第084回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第26号
昭和五十三年七月五日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 久保  等君
   理事 池田 行彦君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君
   理事 水田  稔君 理事 古寺  宏君
   理事 中井  洽君
      高村 坂彦君    萩原 幸雄君
      福島 譲二君    岩垂寿喜男君
      土井たか子君    馬場  昇君
      坂口  力君    東中 光雄君
      工藤  晃君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 山田 久就君
 委員外の出席者
        総理府人事局参
        事官      片山虎之介君
        環境庁長官官房
        長       正田 泰央君
        環境庁企画調整
        局長      上村  一君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 山本 宜正君
        環境庁自然保護
        局長      金子 太郎君
        環境庁大気保全
        局長      橋本 道夫君
        環境庁水質保全
        局長      二瓶  博君
        法務省刑事局参
        事官      飛田 清弘君
        文部省学術国際
        局研究助成課長 大門  隆君
        農林水産省構造
        改善局建設部防
        災課長     長野 孝夫君
        特別委員会第一
        調査室長    綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
七月五日
 理事水田稔君六月二十三日委員辞任につき、そ
 の補欠として水田稔君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 公害対策並びに環境保全に関する件(二酸化窒
 素に係る環境基準に関する問題等)
     ――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 去る六月二十三日、理事水田稔君の委員辞任に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、水田稔君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○久保委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
○島本委員 長官は、きのう公害連の皆さんとお会いになった、こういうようなことを新聞で承知しましたが、この問題につきましては、長官はどういうような考えで対処いたしますか。
○山田国務大臣 昨日お目にかかりまして、いろいろお話も伺いました。私どもは国民の健康、このことは絶対に守らなければいけない、そういう立場で終始してこの問題に臨んでいるわけでございまするから、したがって、患者の皆さん方の御心配、そういうような点も、われわれとしては十分にこのことに詳しい方の専門の意見もよく聞きまして、それで健康には不安のないようにという立場で対処しているので、その点をよくひとつ理解していただきたいということを申し上げたわけでございます。
○島本委員 健康のことを考え、健康に影響のないような環境基準、こういうようなものをつくりたい、こういうようにやったならば、現在はNOxの環境基準はもう目標でありまして、行政目標です。それに対して罰則もないのでありますが、それをあえて改正する必要はないではありませんか。口ではそういうふうにして国民の健康を守る、そういうような立場であると言いながらも、窒素酸化物の環境基準をこれまた大幅に緩めるようなことは、言うこととやることは別だということになりませんか。行政に対する不信を招くことになりませんか。長官はどう思いますか。
○山田国務大臣 現行の二酸化窒素にかかわりまする環境基準は、これは科学的知見が当時としてはまだ限られていたものであった、そのために十分な安全率も見込んで設定されたということは御承知のようなとおりでございます。その後、現在に至るまでに、内外で二酸化窒素の健康影響に関する科学的知見の充実と蓄積を積んでまいりました。国内での疫学、動物実験あるいは人体関係のもの、外国におけるそういうような資料、これらと、非常に科学的知見の充実と蓄積が進んできた、そういうものに基づいて、公害基本法の第九条第三項の規定によりまして、われわれが公害対策審議会の答申を得たこの機会に基準改定の適否を判断するというのが法の命ずるところであるという考えのもとに、これに対処しようといたしておるような次第でございます。
○島本委員 いま大臣がおっしゃったことは、前から議論の焦点になっているところなんです。しかし、この基準緩和の問題点の一つでありますが、専門委員会の報告の指針となった健康影響、この知見というものが一般的な地域人口集団を対象とした、こういうことになっているのです。そうすると、その中に、特に前も言ったように病人、老人、乳幼児、妊産婦、いわゆる社会的、医学的に弱い立場にあるような人たち、そういう人たちを大気汚染の影響から完全に保護するために、これには欠けているものがある。したがって、欠けているものがある以上、いま国で、口では国民の健康を守るためと言うけれども、人口集団に対してのこれは一つのデータなんです。そうなると、いま言ったような病人や老人や乳幼児や妊産婦はそれより弱い立場にあるのでありますから、こういう人は守らなくてもいいということになります。そうなっちゃいけないのでありますから、この点等においては安全率を掛けて相当やれということはもう周知の事実じゃないかと思うのです。本当に大臣が国民の健康を守るなら、普通の人、われわれみたいな人ならまだしも、われわれより弱い立場にある人の健康も十分考えて対処しなければならない。大臣、この点はまあ考えなくてもいいと、こう考えますか。
○山田国務大臣 いま御指摘の点でございまするけれども、これはその集団等についても十分の配慮が加えられておる。これは専門委員会の方で検討された結果によってもそういうことになっておりますし、そしてまた、この健康のつまり安全性の点でございまするけれども、これも答申の付記にもありますように、きわめて高い確率において健康を損うようなことがないという、つまりこれは言葉をかえて言えば、相当な安全を見込んでそういうことがないという判断のもとに判断条件と指針の答申が行われているということでございまして、したがって、いま御懸念のような点については、私は、十分に配慮をされているものであるということをお答え申し上げたいと思います。なお、細部の点について、局長からもひとつ補足説明をさせるようにいたしたいと思います。
○橋本説明員 いま大臣がお答えになりましたとおりでございますが、基準の議論を考える判断条件や指針として、なぜ地域人口集団と言っているかといいますと、地域人口集団にはいろいろな人がまざっているということで地域人口集団という取り方をしているわけでございます。ですから、疫学のデータをこれだけ積極的に採用したこと自体が相当鋭敏な、また安全サイドに立った物の考え方としてやっているということが、その中に入っているということは、専門委員会の中の議論でもやっておられるわけです。
 それから、人に対する影響という中で、病人さんに対する影響もこの中で見られておるわけでございます。そういうことで、動物実験からだけ割り出してきたとか、外国の疫学からだけ割り出してきたとかいうような議論では全然ございません。
 それから、一般原則として、指針から環境基準に直すときに安全率の問題がある、これは何も否定いたしません。何も否定いたしませんが、ここで、それじゃ今度のNOxの答申はいままでの一般原則でいってきたようなレベルの答申をしておるかといいますと、今度のNO2の答申は、それよりも非常にある意味で安全性を見込んだ物の考え方に立っておられる。たとえば、従来のSO2や、前回のNO2をやったときもそう変わっておりませんが、どういう条件で物を考えたかというと、「病人の症状の悪化が疫学的に証明されない事」。SO2では悪化証明のデータがございました。NO2ではございません。悪化証明のデータから、SO2は安全率をかけております。それから「死亡率の増加が証明されない事」。SO2では死亡率の増加が証明されたデータがありました。これには安全率をかけております。それから「閉塞性呼吸器疾患の有症率の増加が証明されない事」。この点につきましては、この有症率の底辺をとるということでやっております。いままでのSO2のときも、これは有症率の一番低いところをとったときには、それに対してはセーフティーをかけておりません。特に四十四年のときには、その有症率が倍になるという前提で環境基準を決めたといういきさつがございます。それから「年少者の呼吸機能の好ましからざる反応ないし障害が疫学的に証明されない事」。SO2ではその証明がございました。ですから、その証明のあったものについてはセーフティーを使っております。
 今回の議論の中では、これよりもさらに程度の高い、つまり「健康な状態からの偏り」をも防いで正常の中におさめるという、そういう物の考え方で整理しておりまして、鈴木先生がいろいろ御説明なさったときも、安全率は今度は使ってません、今度は非常に程度の高い議論をしてこの整理をしておりますということを言っておられます。それから先に安全率をかけるかどうかという一般論の議論はございます。けれども、いままでとは非常に違って高度の水準のものでやっておられるということになりまして、そこから先は総合政策としての判断ということがあるわけでございます。
 そういうことで、この専門委員会の報告の中にも、「本専門委員会は、地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけでは十分ではないと考え、更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りについても留意した。」こうなっております。そして、最終の締めくくりに、「本専門委員会は、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮し、」ということで、この指針を出しております。そして、付言の中におきましても、「高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができる」ということを言っておられるわけです。
 そういうことで、それから先の議論には理想論、あるいはこうしてほしい、そういうことはいろいろあると思います。あると思いますが、この数字を見ますと、普通の家の中の濃度と同じ程度か少し低い、台所の濃度よりも低いという状態でございますし、アメリカの〇・〇五の環境基準よりもはるかにいい水準でございます。そういうことを考えてみたときに、これ以上にセーフティーをかけるということは、理想や考えとしてはあり得ますが、そこまでの必要はないというのが総合政策判断にありまして、というのは、セーフティーをかけたときにどのような数字になるかといいますと、東京、大阪の発生源九割カットでございます。自動車の交通半減でございます。もちろん大きな発生源は脱硝ができますから九割カットできますが、あとの中小煙源は恐らく三割を少し超える程度以上はストップをしなければならない。そこまでの目標まで考えて安全率をかけるということは総合政策的には適切ではないということで安全率をかけておらないわけであります。
○島本委員 ちょっといままでにない、あなたとしては歯切れのいいような詭弁を弄しているわけです。先般、六月二十三日に、十時から六人の参考人の人に来てもらいまして、そして参考意見の陳述がありました。その中で、浜田参考人の切々たる陳述の中には、NO2の被害はないというけれども、ある、その被害は、恐らく私の周囲だけでも相当のものがある、あるいは三千万人かもしれない、〇・〇二ppmから〇・〇三ppmに目標を直したにしても、何をもたらすと思うか、この被害は、子供が鼻血が出たままとまらない、そして自動車の沿線、ここでも同じような子供の被害が出ている、三十歳になる娘が、頭が痛い、寝つけない、こういうようなのが一人や二人じゃない、その沿線にずっと起こっておるという参考意見があったわけです。大臣がいま言ったように、国民の健康を守るためだというのならば、むしろこういうような落ちこぼれがあるかないかも慎重に調査した上で環境基準そのものに手をつけて、これを守ることになるならやってもよろしい。口ではいま言ったようなことをおっしゃっても、もうすでにこういう表現さえ参考意見として出ているのであります。それだけではない。これは橋本局長も聞いておったと思うのでありますが、西村という参考人が陳述をいたしました。東京大学の医学部の教授であります前田教授、それから東京大学工学部の西村助教授、それぞれ陳述がございました。その中で、西村さんの場合には、これは疫学ですか、この方面をやっておられたようでありましたけれども、自分の考えによると、NO2は、都会の場合には、粉じん、硫黄酸化物、こういうようなものと窒素酸化物の場合には〇・〇二ppm以下が私としては正しいと思う、そして総体的には〇・〇三ppmと、こういうような最後の結びだったわけであります。都市部分では〇・〇二ppm以下が正しい、もうすでに自分らが研究した人たちがこういうようなことを言っているわけです。もう一つ、こういうふうに、もうすでに鼻血がとまらないような病人さえ沿線に出ているという表現があったわけであります。そうだとすると、ありませんということからあるということにこれは転化してしまっている、この現状。そしてその際に、基準を緩めるというようなことは、恐らくはもうとらない方が環境庁のためにいいんじゃありませんか。参考人の意見です。これは私の意見を言っているんじゃないんです。大臣、こういうような際にあわを食って急いでこの基準を変えるということは、逆に、行政の不信だけじゃありません。環境行政を冒涜することになりませんか。こういう表現を無視することになりませんか。これを急いでやる必要はない、もっと科学的なデータに準拠しなければならない、こういうように私は感ずるのでありますが、大臣どう思いますか。
○山田国務大臣 先ほどから繰り返して申し上げておりますとおり、われわれとしては、国民の健康ということはあくまでこれを守るという立場に立って物を考えていく、これが私どもの動かし得ない方針でございます。したがって、議論としてはいろんな議論があり得ると思う。しかしながら、われわれの方で一番大事な判定条件、指針というものについて中公審に諮って、その答申によって、高い確率で健康に好ましくないような影響を与えることのない、そういう一つの指針であるという意見が、とにかく数十回、一年もかかって議論した後にあらわれてきた結論であれば、われわれとしては、これは素直にそういう科学的な結論を土台にして、そうして物を考えるほかないので、これがわれわれの態度でなければならないし、また法の命ずるところもそういうことの責任をわれわれに命じているもの、こういう確信に立っているような次第でございます。
 先ほどの参考人の点については、補足的にひとつ局長からお答えさしていただきたいと思います。
○橋本説明員 参考人の御意見の中でいま御指摘になった浜田さんの御意見というのは、やはり一番実感から出ている御意見だと思うのです。ただ、実感と科学とはマッチするかというところの問題があるわけでございます。
 そこの西淀川地区といいますのは、本当にいろんな公害に悩まされ続けているところであります。あらゆる公害を見たければ西淀に行けばすべてのものが見られます。そういうことで、あそこはやはり複合公害、複合汚染の最たるところであると思います。ですから、浜田さんの叫びというのはぼくは本当に正しいと思います。ただ、あの影響がNO2だということにしない、そう言わない政府はけしからぬということは、あるいはそう言わない科学者はけしからぬということは、これはやはり科学的ではない、学問的ではないということであります。
 われわれはやはり、この専門委員会で、内外の文献をすべて調べてみて、そしてあれだけ意見の違う学者、また被害者の方々も信頼する専門家が全部寄って議論をして、そしてあそこで非常な苦しい議論の末合意されました。国際的な専門委員会は大体一週間でございます。しかしながらあの委員会は、一年間かかってあれだけの議論をしてあそこで科学的に合意をした、経済も技術も何にも考えない、とにかく科学的に学説や何か違ってもどこかで一致点を見出してほしいということで出した議論があれである以上は、現時点における最善の議論だと思います。完全ではございません、最善の議論だ、こういうぐあいにわれわれは確信を持っております。
 西村さんの御意見は、これはシステムエンジニアとして、特に六都市、五年のを非常に詳細に御検討なさったわけであります。ですから、システムエンジニアとしてどういうぐあいにあの問題を見られるかということにつきましては、私も非常に勉強になりました。それは一つの例としての解析であります。けれども、疫学や全体としてどう判断をするかということの医学、生物学的な視点はあの先生の議論の中には欠けておるということでございまして専門委員会としては、総合的な疫学や、あるいは臨床や、あるいはそのほかの人間の志願者に対する問題すべてをあわせて総合判断をされて出されてきたものであるということを御理解をお願いいたしたいと思います。
 そういう点で、システムエンジニアとして解析してこうなったということにつきましては私は敬意を表します。しかしながら、それですべてのものを律するということの考え方は、総合的な医学、生物学的な判断の上からは一つの材料としてしかあり得ない、こういうことでございます。
○島本委員 一年かかったということを大分強調されて、長期間の研究のデータ、このことの信憑性を訴えるのであります。これは私は環境庁長官に伺いたいのです。成田空港が開港したのはいつでした。
○山田国務大臣 本年の五月二十日でございます。
○島本委員 閣議にかかりましたか、開港は。
○山田国務大臣 ちょっといま、日にちについては後で調べますが、閣僚協議会にかかりました。
○島本委員 あなたは環境庁長官であります。一年間かかったというNO2、この環境基準、これの見直し――成田は十二年間かかりました。しかし、あなたはそれを認める際に、騒音公害が十分手を打ってあるかどうか、こういうようなことのおそれがないか、閣議で発言されましたか。騒音公害は環境庁自身がやらなければならない対策のうちに入っておるでしょう。これをやりましたか。そうして完全なアセスメントをやった上でこれを実施するのかということをあなたの責任として閣議で発言しましたか。これをお聞きします。
○山田国務大臣 騒音の問題は、昨今の世論調査その他でも一番国民の関心事でございます。したがって、こういうものに対する対策、これは十分考える必要があるということは申し上げました。
○島本委員 申し上げましたけれども、結果はどうでした。いま騒音に悩む住民がまた反対に立ち上がっているでしょう。ただ環境庁は聞きっ放せばいい、こういう官庁ではないでしょう。やったというならば、どういうデータでやったのか、そのデータをきちっとさして、そしてそれをあなた自身が責任を持って、環境の問題は全部調査済みですと言わなければなりません。ただ聞けばいいのですか、環境庁の長官は。うそであっても、それを聞いておればいいのですか。じゃ、いまの騒音公害、あれはうそだという結論ですか。どうですか。
○山田国務大臣 これまでの全部の経験から出ているところの基準、これをむしろさらに早めてこれに対処する必要があるんだ、こういうわれわれの意見、希望、それによって当局は対処しておる現状でございます。
○島本委員 言うことがわかりません。責任を果たしたかどうか聞いておるのです。きちんとしていたならば、各部局長もいるでしょう、それに調査させて、騒音公害はない、これであなたの聞いたその責任は解除されるじゃありませんか。聞いた、言った、しかしながら起きた、これはずさんな騒音対策だ、公害対策だ、こう言われてもしょうがないでしょう。あれで十二年かかった結果です。いま一年と言う。一年でも、この問題の中に人口集団を中心にしたと言いながらも、安全率は掛けておらない、病人や弱い人、こういうような人の点はまだ調査の資料がないから、これはいいはずだ――はずだでしょう。ところが参考人は、その周辺には、たとえこれは相乗効果による複合汚染であっても、鼻血がとまらない、耳鳴りして寝れない、こういうような人が沿線にたくさんいるという表現でしょう。なぜそれをもう少し的確に調べないのですか。なぜ急いで環境基準をそのときに緩めるのですか。十二年やったと言いながら、成田の場合にはそういうような一つのあなた自身は間違いを犯したでしょう。今度一年間やったからと言う。これを強行することによって再びまた取り返しのつかない間違い、これを犯すおそれがある、この指摘ですよ。あなた、自信を持って間違いないと言えますか。少しでもあるならば、この誤解は完全に解くべきです。そうして、きのうはまた光化学スモッグが発生しておるじゃありませんか。今度基準を緩和して、光化学スモッグの問題はどうなるのですか。毎日のように発生でしょう。その最中にまた緩和しようとしておる。これは長官、間違いじゃありませんか。光化学スモッグ警報、きのう出たのですよ。プールで泳いでいる子供たちまでも目がちかちかして痛い、こういうような訴えをしているのですよ。もうきのうの段階でもそのとおり。今度これから多発する場合に、NO2の環境基準を緩めるようなことがある場合には、どういう現象が続きますか。この点も自信を持って、そんなことはありません、こういうようなことが言えますか、長官。一つだけこの光化学スモッグの問題を聞きます。
○山田国務大臣 御承知のように、光化学スモッグはNO2、そのほかに炭化水素、そういうものの複合によって起こる現象でございます。しかも、環境基準とかかわりなくこれに対する規制の努力は今日一生懸命になって続けていることは御承知のとおりでございます。したがって、その点については問題が別な問題である。光化学スモッグにおいては、これを起こさないような努力は別途行われておる。それはいまの環境基準というものと直接かかわりがないということを申し上げても差し支えないと思います。
 細部はさらに局長から説明させます。
○橋本説明員 光化学スモッグの問題について申し上げたいと思いますが、現在まだ光化学スモッグ対策は進行中でございます。NOxとハイドロカーボンをカットするということで、ハイドロカーボンでは乗用車のハイドロカーボンをカットされたことと、あとはまだ半分程度の緩いカットしかいっていないということでございます。そういうことで、固定発生源対策や溶媒対策やトラック、ディーゼル対策でハイドロカーボン対策をこれからまだどんどん進めてまいります。それからNOxの方につきましても、これから総量規制等の問題も始まりますし、またディーゼル、トラック等のNOx規制も始まります。ですからいまは途上問題として起こっておるということでございます。
 今回の環境基準を決めるときに、影響としてNO2とオキシダントといろいろまざったらどうなる、これはやっております。けれども、光化学スモッグが起こる条件は何かというのは、これまた非常にむずかしい別の問題でございまして、ですから今回の環境基準に別に拘束されることなく、光化学スモッグ対策としてNOx対策は物を考えなければならないという考え方を持っておるわけでして、少なくとも現在の段階ではどこまでやったらいいかということはまだはっきりしません。しませんが、とにかくNOxとHCの両方をどんどん抑えながら全体の反応量を抑えようという日本の対策は、いままで非常に反対をしておったアメリカやOECDでもこれは全部認めました。いままで日本のは何でも間違っておるという批判が多かったのですが、そういうことはございません。きのうアメリカから日米の共同声明の資料が出てきたときに、日本の言ったことがぴしゃっと今度は入りました。つまり日本の方に入ってきたわけです。その対策は進めていくわけです。ですから、断じて緩めるというようなことではございません。しかも光化学スモッグ問題としては、NOxの濃度だけで考えるのではなしに、光化学スモッグ、オキシダントの発生している広域のゾーンを考えながら、それもNOx対策に組み入れていくということは今後の対策の一番大事なところの一つであるというぐあいに考えておりまして、複合汚染対策をこれから進めるという中の一つの重要な柱として考えているということを御理解願いたいと思います。
○島本委員 前にはいろいろこの問題でも話をいたしました。意見を聞きました。また、大体同じような結論を導き出されるような御意見を拝聴いたしました。しかし、二十三日の参考人の意見開陳、これはわれわれがいままで議論する上においても知り得ないことをいろいろと知らしてもらったのです。それ以後は、むしろそれらの議論を中心にしてあなたも立論しなければならないわけですが、さっぱりそうされておらない。前に参議院の方へ参考人として出てきた鈴木参考人も、それから今回出てわれわれのために参考意見を言ってくれた前田参考人も、安全係数を必要と認める、こういうようなことははっきり言っているわけです。環境庁が安全係数は認めなくてもよろしいと言っている。この重要な参考人の二人までもすでにこれを認めている。これが学者であります。こういうような意見をやはり聞いてもいいじゃありませんか。
 それだけでなく、NO2の測定法についてもザルツマン係数、これを〇・七二からO・八六に変えること、こういうようなことにしているのでありますが、これに改めると、事実上約二割数値が緩くなる。そして〇・〇四から〇・〇六、これは現行の〇・〇五から〇・〇七Pppmに相当する。これは柴田参考人も述べておったのでありますけれども、環境庁もこういうような点ははっきり聞いているはずです。それだけではないのであります。これは一日ですか、橋本局長も公害関係で悩む被害者の訴えを聞いたと思うのです。いまのようなことは、私は参考意見としては重要視したいと思うのでありますが、それらの人の意見の中に、私も立ち会わせてもらいましたけれども、川鉄はもう市との間に協定を結んでいるそうであります。そしてその協定の中には、現行の環境基準を守ることになっている、こういうようなことに努力することになっておるわけであります。それが改定されると、今度はもう大幅に緩くなる。規制を見直されることによって大幅にこれが緩くなるおそれがあるのか、これについてもはっきり物を申せない。相手側ははっきりしたことを言わない。そんなことはしませんということを言わない。企業はもうそういうような態度になっておるわけでしょう。
 それだけではないのであります。同じくNOxの排出規制について、これは同じ川鉄ですが、これは水島でしょうか、警報が出れば四〇%カットすることになっているけれども、もうすでに企業はそういうことをしない、していない、こういうようなことを言っているじゃありませんか。この影響は、企業の方できちっと連絡がとれたかのようにして、もうすでに実施されている。こういうようなことは重要じゃありませんか。私は、これについてきちっとした態度をとってもらいたい。もうすでに企業はそういうふうに動いている。
 自動車の排気ガスのこの問題に際して、いまの長官は長官じゃございませんでしたけれども、いろいろなことがございました。同じ参考人として来てもらいました自動車のトヨタの社長であります。そしてもっともっと研究費をかけて排ガスの研究をすべきだ、こういうようなことに対して、十分かけている、それならば自民党の国民協会に対する献金、こういうようなものをやめても、きちっと研究の方に注ぐべきじゃないか、そのくらいの熱意を持つべきじゃないか、こういうふうに言ったのであります。しかしながら、自由、社会を守るために自民党への献金は継続させてもらいます――唖然としたのであります。しかし、その後すぐ五十三年規制にパスするようにして、もうやったじゃありませんか。やればできる。それはいまやったら損だ、こういうような一つの計算勘定に立ってやっている。
 今度の場合もいろいろなことが言われているじゃありませんか。この疑惑をきちっと晴らして、それから環境基準をやって行政の品位を高める、信頼を高める、こういうようなことは必要だと思うのです。前のトヨタの排気ガスの問題、これは歴然たる事実としてここにあるのです。再びこの愚を繰り返すのですか。長官、いまいろいろと疑惑を持たれています。献金の問題です。この献金の問題をきちっと片づけて、世に信を問うて、それからこの環境基準に手をつけるべきです。そうでなければ環境庁の権威は地を払うでしょう。いまのうわさはどうなんですか。きょうの朝日を見ましたか。この中でも急いで改定に踏み切るのですか。疑惑を避けてからやってもおそくはないでしょう。長官、大事な瞬間ですよ。意見を聞きます。
○山田国務大臣 この環境基準の問題については、ただいま自動車業界のお話がございました。もっと緩くせいという意見もあります。またもっとこれを厳しくしろ、変える必要はないのだ、あるいは、理想としては厳しければ厳しい方がいいんだというような御意見もそれぞれの立場でございます。しかしながら、われわれの健康に密着した環境基準の、ことに判定条件、指針の問題は、少なくとも最善の科学的な基準によって考えられるべき事柄であるとわれわれは確信いたしておるところでございます。
 先ほども局長から話がございました。この委員会では、とにかく専門分野として医学あるいは公衆衛生、そしてまた環境測定というような専門分野の違う方をそれぞれ集め、そしてまた、その中において学問的見解、考え方の違う方もいろいろ重要な問題について、根幹的な問題について十分に議論を尽くされたわけでございます。しかも、そこで採用されているものは、少なくとも今日まで、国の内外を問わず、りっぱな専門誌の中で学問的見解として採用されているデータのみによって専門家が議論している、こういうことでございます。
 きょうもいろいろな新聞その他でございましたけれども、結論を得るまでの過程というものは、単なる個人的な意見、立場のデータというものは採用されていない、学問的な試練に耐え得るもののみが採用されたその結果によって行われておる、私はこのこと自身が雄弁な回答になると思うのですけれども、頼るべきものはその結果出た結論、われわれはこれに頼るということが一番冷静な科学的な態度でなければならない、こう考えるわけでございます。
 先ほども局長が、個人、専門分野の者の意見としては、それは部分的に傾聴する点もある、われわれは虚心坦懐にいろいろな御意見に耳を傾けているのだということは、繰り返し今日まで申し上げてきたことでございます。しかしながら、まとまった結論によって環境基準を考えるという法の命じている立場においては、今回の答申によって得られたその結論、やはりそれによるほかないのだ、それがわれわれのとるべき態度でなければならない、こう確信いたしておる次第でございます。
○島本委員 一度言い出したならば、どのような科学的データやどのようなことがあっても、一つしかあなたはわからない人なんですね。私としては反論するのもなんですが、前に挙げたこれらの人たち、鈴木委員長も前田参考人も、これは専門的な学者の意見ではないのですか。専門家の中の専門家じゃありませんか。あなたは、どうも自分が言われたこと一つしか考えないで、ほかのことは考えようとしない。それでは環境庁として最も困ったことになりますよ。したがって、あなたがいまやるならば――かつては自動車の排気ガスの問題でやった、成田の問題でも、あの航空機騒音の問題で完全に手を打つべきものを打たないままにあなたは閣議で了解してしまった。今度これを失敗なしにやろうとするならば、もう一回敢然と中公審に諮るべきではありませんか。前にやった諮問は判定条件と指針だけ、環境基準に対するものではないということははっきりしているにもかかわらず、急いでこれをコネつけてやろうとするわけです。誤解を生みます。金銭的な誤解を生みます。また、環境庁の信頼が地を払うようなものになりかねないような危機さえ感じられます。
 しかしながら、この窒素酸化物の場合には、大企業の場合にはこの環元触媒を使用した装置なんかを設置すれば〇・〇二ppmは非現実的ではないはずではありませんか。それと同時に行政目標です。これを、実施期日を延ばすことにしてでも目標値を、〇・〇二ppmを緩めるべきではない、こうじゃありませんか。もしこれに対して緩めてもいいと言うなら正規に、判定条件と指針だけではなしに、この環境基準という問題ではっきりと中公審にかけて、その答申を得てからやっても遅くないはずです。いまやるととんでもないことになる。それでも急いでやらなければならない理由があるならば、長官、教えてください。
○山田国務大臣 山田個人がこの問題で妙な考えを持っちゃいかぬというおしかりでございまするけれども、私が自分の恣意な考えでやっておる点はさらさらない、この点はひとつ誤解をしないようにしていただきたいと思う。われわれが法の命じているところの環境基準というものを見直すというのは、最近の科学的な判断によって見直さなければいかぬということを言われているわけです。そして、その最近の科学的判断というのは、その最も科学的な点について、われわれは法の第九条三項によって、一番科学的でなければならない、つまり核心であるところの指針と判定条件について、中公審にわれわれは諮問したわけであります。したがって、その諮問をわれわれが忠実に受けてそれで考えていくということは、これは決して山田が個人で考えていることでも全くないので、それは法の命じておるそのままのことに立脚してわれわれがこれに対応していこうということである、この点については、ひとつ改めてよく御理解をいただきたい点でございます。
 個人の学者としていろいろな意見がある、われわれはそういうものにも耳をふさいじゃいかぬ。にもかかわらず、われわれがここで基準を考えていくのに立脚していかなければならぬ基本は何であるかということについて、われわれは法の命ずるところを間違ってはいけないと考えております。法の命ずるところに従ってやっているわけでございまして、この点はひとつ、返す返すも御理解をいただきたい点であると思います。その一番科学的である点の判定条件、先ほど申し上げましたように、九条第三項によってこの点の答申を求めるということに従って答申をしてまいったわけでございまするから、したがって、その他を中心にしての判定基準ということについては、法によってわれわれがそれを考えていかなければならぬ立場にあると思っているわけでございます。ただしかし、すでに専門会議あるいは専門の部会、総合部会等には、基準問題についても十分に意見の交換もいたしております。どうかその点、ひとつよく御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
 なお、補足する点は、ひとつ局長からも御説明申し上げたいと思いますので、お聞き取りいただきたいと思います。
○島本委員 何回言ってもあなたがわかってくれないのは残念です。諮問したのは判定条件と指針だけ。環境基準として諮問はしておりません。それで、固定発生源では、還元触媒を使用した装置などを設置すれば〇・〇二Pppm、これは非現実的ではない。移動発生源その他を含めて、この完全実施期日の一定の延期をも必要でありますから、そういうふうなことにしても、目標値は〇・〇二ppm、これを緩めるべきじゃない。いま、金の問題で疑われている。したがって、いまの時期に急いでやるよりも、本当にそれをやりたいならば、そのような疑いをきちっと晴らしてこれをやるのが正しいのだという、これを証明するためには環境基準を命題にして、中公審にもう一度諮ってやるべきです。あなたの答えを期待しても同じことでしょう。私は、これをあなたに二度、三度言っておきます。わかりましたか。いま、あなたのやることによって環境庁自身の威信が地を払うのですよ。一年間で十分だ――十二年間やった成田でさえも騒音公害一つだって完全に手を打てない。それが環境庁長官としてのあなたの態度だとすると、まことに遺憾です。中公審にもう一度諮ってからやりなさい。強く主張します。
 終わります。
○久保委員長 次に、岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 最初に、環境庁がいろいろな形で、クラブに発表をしたわけではないと思うのですが、新聞が報道をしておりますが、たとえば昨日の日本経済新聞は、日平均〇・〇四ないし〇・〇六ppm以下で非悪化原則で歯どめをかけていくというふうなことが報道されておりますが、環境庁はここまで煮詰まっているのですか、どうですか。
○橋本説明員 昨日の新聞はもう完全に推測記事でございます。
 それから、環境庁はどのような基準検討の考え方をしておるかということにつきましては、いつでも申し上げておりますように、幅として答申をいただいて、その幅を生かす。基準条件はどうなるかわからない。基準条件は上をとるか、真ん中をとるか、下をとるか、幅だということを絶えず言い続けてきておるわけであります。そういうことで、幅になってくる公算は高いということは申せますが、そこまで固まったわけではございません。
 また、非悪化原則といいますのは、アメリカの考え方は法律条項にございますが、日本は法律条項じゃございません。一つの参考にすべきものであろうということで、幅の議論をする場合には、上まで全部筒いっぱい汚すのがあたりまえであるというような考え方は排除すべきであるということでそういう考え方の議論をしている、そこまででございます。
○岩垂委員 橋本さんは、こういうことを決めていくときには関係官庁との調整をやって、こういうことをいつも強調されておられますが、通産省や建設省は、環境庁がもう環境基準を、どういう形であれ、決めてもいいというお任せをしている段階ですか。
○橋本説明員 まだ最終的にはお任せをいただいておるという段階ではございません。非常に議論をしておりますが、最終までは完全に合うことはなかなかむずかしかろうという目途でございます。
○岩垂委員 私が言いたいのは、アセスメントなどとの関連で、環境基準の緩和というような問題が、言葉は余りいい言葉ではないけれども、通産サイドなどと取引があったというふうないきさつを漏れ承っていますので、やはりその辺のところの作業がまだ残っているというふうに理解をしておきたいと思います。
 さて、それじゃ、大気部会というのを七月十日に御招集なすったらしいですが、それが済んだらすぐ告示をするつもりで招集なすったのですか。
○橋本説明員 それが済めば極力早くということでございまして、あとは大臣の御決断でございます。
○岩垂委員 私、この環境基準議論をして、いま島本先生もおっしゃっておられましたけれども、いわゆるクライテリアあるいは指針というものが、これはもう申すまでもないのですけれども、「その濃度のレベル以下では、高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断」されたものというふうにされ、しかも、それは科学的にはまだ不確定性が強いということを前提にしておるわけですね。
 公害村策基本法によれば、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」こうなっているのですよ。率直なところ、これとこれとは別だと私は思うのです。つまり、公害対策基本法というのは、人の健康、生活環境を保全する上で維持されることが望ましいということなのですから、ある意味では、ゼロ論議とは申しませんけれども、少なければ少ないほどいいという立場を基本法の中で位置づけていると思うのです。環境庁は、これまでは、それと行政目標というものを、わりあいにうまく使い分けて進めてきたように思うのですが、今度の論議というのは、基本法の「人の健康を保護し、」云々というところがどうもないがしろにされている、これでは環境基準を決めていく過程で、公害対策基本法自身を見直される必要があるのじゃないか、こんな感じさえ私はするのです。その点は、環境基準の見方とクライテリアの判定指針というものとはイコールだというふうにやはりおとりになっていらっしゃるのですか。
○橋本説明員 いま先生の御指摘になった点がもう一番問題の核心だと思います。「維持されることが望ましい」と書いた中で、その「望ましい」とは一体何かということになるわけです。それがある程度の不確定性のある中で、非常に価値体系の違う方々がいろいろ御議論をいまなさっておられるわけであります。そこに論争点があるわけでありますが、このキーは、国民の健康保護は絶対的な要請であるということは、これはもういささかも揺るがすわけにはまいりません。そういうことで、先ほどちょっと申し上げましたが、死亡とか有病とか機能低下とか、そういうことから出された数字であるならば、これは完全にセーフティーを掛けてやるべき問題であるというように考えております。専門委員会のフィロソフィーも変わってきております。そういうところで、この専門委員会の先生が御答申になったときに、やはりこれは相当な安全性を見込んだものだという考え方を持っておられることは間違いございません。さらに、それから先の政策議論の何が望ましいかというと、安全率を掛けた方が望ましいという先生がおられることは当然のことであります。しかしながら、それだけの厳しい考え方を持っておられる先生が皆さんで御議論になって、この判定条件、指針としてこれで高い確率で守れるということをおっしゃったことは、これは間違いないわけであります。そういうことで、行政として決めますときには、基準を決めたのは、これは行政が独断で決めるという意味ではございません、決めたことは政府が責任がある、こういうことでございます。これは専門委員会、審議会が言ったから決めましたなんて、そんなような逃れ口上を言うことじゃございません。ですから、一番の核心は、定期的に常に科学的な点検、判断を加えるというところが最もの核心でございます。そういうことで出されたものに対して、行政として判断した場合に、「維持されることが望ましい」という考え方としてあの幅を採用しても、これは余り責められるべきようなむちゃな話ではない、といいますのは、ほかの問題との比較考量あるいは国際的な点検、いろいろな問題を合わせてみますと、決してむちゃな議論ではない。しかも、相当厳しいところへ入ってくる、これもまた間違いはない。しかし、それでは望ましくないという人も中にはおられるかもしれぬ、しかし、行政としては、やはり総合的な見地から国民の健康と福祉の向上を図るということでありまして、その中でどういうぐあいに判断をするかということが、これはわれわれにゆだねられた責任であるということで、責任を回避することなく、考え方を最後的に慎重に判断をしようということでございます。
○岩垂委員 安全率を掛けるべきだという議論というのは、中公審の専門委員の先生方にもたくさんありますね。その点は結局は見切り発車ということで、行政が判断をして、そして環境基準を緩和していくということですね、事実の関係として。こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
 そうなりますと、要するにクライテリアの指針がイコール環境基準に移行される。それは、たとえば日平均値をとるかとらないかということは別にして、その枠でやる、以上でも以下でもない、こういうことですか。
○橋本説明員 あの幅を尊重するという考え方でございます。
 それから、専門委員会の先生方の中で安全性をとるべきだという方が一部におられるということも私もよく存じております。
○岩垂委員 専門委員会の議論に移りましたので、若干ただしておきたいことがございます。
 それは、昭和五十年の十二月でございますが、専門委員のお一人である和田教授が、ある学者に、鉄鋼連盟から六千万円お金が出ますから一緒に本を出しましょう、印税は別に出ますよという話を持ちかけた。某教授はびっくりしてそれは断りました。その後五十一年の七月に「窒素酸化物」という本が和田教授のもとにいる二人の助手と三名の連名で出された。これはたしか単価六千円になっているのですけれども、鉄鋼連盟や新日鉄などの封筒でかなり広範に関係方面に贈呈という形でばらまかれたわけであります。その後、これはことしの一月でございますが、恐らく原稿をつくっている過程というのはこれを議論している最中だろうと思うのですが、疫学研究会という名前で、「窒素酸化物の生体影響に関する疫学調査についての一考察」、こういう本が出版をされました。これは非売品ということで、同じように鉄鋼連盟の封筒なども使ってかなり広範にばらまかれているわけであります。私は、これを拝見をしまして実はびっくりしたのですけれども、橋本さんおわかりだろうから、長い文章は読みません。「ましてや、因果関係が樹立されない事象について、単に統計学的手法をもって、クライテリアとすることなどは以ての外であろう。」ということを書いておられるわけであります。早速実はこの言葉が引用をされまして、「化学工業日報」という新聞がございまして、これに新日鉄の環境管理部長の内田さん、この方はNOx対策の中心的な役割りを担っている人ですが、その方が、「NO2にかかわる判定条件の問題点 日本的疫学調査の怪」という文章を書いておられるわけであります。つまり内田さんがそのままそれを引用している、こういうわけであります。私は細かくは言いません。しかし、こういう企業との余りすっきりしない結びつきというものを通して委託研究をやっていくような形が許されていいものかどうか、一般の学者でも問題があると思うのだが、まして国民の生命や健康を預かる環境庁の専門委員の一人としていかがなものだろうかと私は思います。その意味で、こうした委員を選んだ環境庁の責任といいましょうか、態度を私は伺っておきたいと思います。
○橋本説明員 環境庁がどうしてそういう委員を選んだのかということでございますが、これは、和田先生は当時東大の助教授であったと思いますが、疫学の部門の助教授をしておられたわけです。御本人は本来は毒性学の専門家であります。非常にいろいろな本も出しておられて、きっちりした学究の方であるというぐあいに存じております。また、いままで大気汚染の疫学の中では余り仕事をしておられないと思いますが、毒性とかそういうことの論議では非常に客観的に物を見ておられるということは間違いない方であります。そういうことでこの方は選ばれておるということでございます。いろいろ議論する場合に、自分で直接やったアルバイトの人はその限界をいろいろ知っていますからそれ以上客観的な議論ができないわけでございます。専門委員会というのは客観的な議論もできる人が中に入っていなければ、同じ考えの人たちだけではまずいというところがあるわけであります。そういうことでこの方々が入られたということでございます。そういうことで、学問的にも識見がはっきりしておられる方でございますし、地位もはっきりしておられる方であります。その方がどこから研究費を得られるかというようなことは、これは環境庁が関知するところではございません。そういう立場を環境庁としてはとっております。
 ただ、その人が専門委員会で使えるペーパーは、その本は使えません。これは、専門家として書くならば専門家としての肩書きで専門家として学会誌かあるいは専門誌にはっきり投稿してやるということがキーでございます。いずれにも肩書きが入っておりません。ですから、専門委員会では一切その資料は使っておりません。しかし、議論としては先生の頭脳は非常にすぐれたものを持っておられるということで議論をしていただいているわけでございまして、そのような本に影響されるということは一切ございません。
○岩垂委員 この本には専門委員会の文献が堂々と収録されているのですね。橋本さん御存じのとおりです。専門委員会の資料というのは外に出さないということをおっしゃって、私が資料要求した大気部会の議事録でも、橋本さん大変御努力願ったようだが、私の手元へ届くには十日以上かかりました。しかも、そのときにお見せいただいたのは、「中央公害対策審議会の運営方法」というのを環境庁の方が持ってきてくれて、赤い線を引いて、議事録は委員以外の者は閲覧できない、こうなっていますので取り扱いを御注意願いたいということを申されました。ところが、こっちの方は、本の方にそういう文献がどんどん堂々と出ている。自分がやったという文献じゃないのだろうけれども、そういうことというのはまことに私は遺憾だろうと思うのですよ。その点はどうなんですか。
○橋本説明員 文献は、これは先ほど申し上げたように学会誌、専門誌にすでに投稿されたものでございますからへ専門委員会ならずともどなたもこれに対して近寄ることができるわけであります。たとえば医学情報センター等で全部こういう文献を引き抜いてくるということはできるわけでございます。そういうことで、専門委員会で使っている文献と同じ文献をここへ書いているではないかという御指摘は、それは少し理解をしていただければおわかり願えることではないか。その中に専門委員会の議論とか議事録の内容をいろいろ書いてそれに対して運動しているということでは、これは私は非常に公正を欠く問題と思いますが、そのような問題では全然ございません。文献として公にされておる学会誌、専門誌に載っておるものを引くのは世界じゅうのどこでも自由でございます。そういうことでやられているということとして御理解を願えればありがたいというように存じております。
○岩垂委員 さっき局長が言われたけれども、和田さんは疫学の専門家ではないわけですね。
○橋本説明員 御本人は疫学の問題に最近触れておられるようでございますが、本来、私どもが理解をいたしておりましたのは、トクシコロジストとして非常にかたい仕事をきっちりやっておられる学者であるというぐあいに存じておりました。
○岩垂委員 その方が疫学研究会というものをつくって、疫学調査についての一考察というもの、橋本さんのおっしゃるきっちりなさった自分の業績というものを使って、そしてこういう研究をして鉄鋼連盟から金が出ているということは、やっぱり私は非常に問題じゃないだろうかと思うのですよ。特に疫学研究会と書いてあるだけで教授の肩書きがないのです。言いわけの言葉もあるようですけれども、こういう形で実は鉄鋼連盟と専門委員の特定の学者との間の結びつきというものが決して浅いものでない、こういうことを私はどうも強調せざるを得ない。
 そこで伺いますが、橋本局長はかつて、委員の中には産業界とコンタクトのある人も入ってもらっているという意味のことをおっしゃったことがございますが、この方はどなたですか。
○橋本説明員 私は個人の名前を申し上げるのはやっぱり先生方に失礼であると思いますが、いま言った研究費をもらっておられる方はそういう形のコネクションはある方だ、あるいは産業構造審議会に籍を置いておられる方もやはり一つのアフィリエーションはあるというぐあいに私どもは頭にあるわけであります。
○岩垂委員 率直なところ、業界代表も含めてコンセンサスをつくっていくというようなことが必要な場合もあるでしょう。しかし、環境庁というのは、さっきも申し上げましたように、業界の代表ではないにしても、研究費をもらって、そしてその意に沿うような見解を発表して、そしてそのことが内外に明らかになっている方々が、専門委員の一人あるいは二人あるいは三人、四人という形で入って、それがお互いに連絡をとりながら科学的であるべき委員会の審議の中で一定の影響力を持つということは非常に問題だろうと私は思うのです。環境庁は経済との調和という立場というのを放棄しているわけですから、否定しているわけですから、だから、コンセンサスをつくるとか、巻き込んでおいた方が得だという意味ではなしに、もっと純粋に、科学的に、人の生命や健康というものを預かっている委員として公正であるべきメンバーが必要ではないだろうか、私はしみじみそう思うのです。事によったら、橋本さんがいまおっしゃったコンタクトのある方々が、産業界に逐一、中公審の議事録をお渡しになっているということだってあり得ないことじゃない、現実問題として。だから中公審の審議それ自体が一体どっち向いているんだろうかということを国民の目から見られてもやむを得ない弱点というか、欠点というか、問題点がある。私はそれを指摘しておきたいと思うのです。この問題点について橋本さんは率直にどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。
○橋本説明員 業界代表というようなことで選んだ気持ちは毛頭ございません。私ども、そのような失礼なことは全く考えておりません。
 それからもう一つは、業界に行って例の議事録を流した、そんなことは全くあり得ないことであります。厳重にそこのところは申し上げております。これは委員としてやっていただいているわけですから。ですから前の自動車公害の専門委員会のときの話も前もっていたしまして、厳重な、箝口令といいますか、そういう形で私どもはやっております。先生方は地位のある、ちゃんとした、社会的責任のあるプロフェッショナルでございます。当然そういうことは守っていただいているというぐあいに私どもは確信をいたしておるわけでございます。
 それから、経済や技術の問題は、専門委員会では技術的可能性という問題は全く入りません。何にもそれは考えてもらわなくて結構だということで申し上げております。ですから、経済や技術の角度からこの数字はどうのこうのなんということは、これは議論になり得ない、言ったところで無視されて問題にされない、このようなことが専門委員会の状態でございます。
 その次には、純粋にというお言葉でございますけれども、この点は、私は若干、先生が考えておるのと違うところがあるのかもしれませんが、学問に対して、あの学問は被害者のサイドであり、あの学問は産業界サイドであり、あの学問は環境庁下請だというような学問のレッテル張りというのは非常に恐るべきことでございます。学問はやはり冷静公正にやる。また学問は、学会誌、専門誌に掲載したもので行われるということの原則が貫かれておるということがキーではないかということでございます。そういう意味で専門委員会では、学会誌、専門誌に掲載されたか、掲載される予定の明確なものと地方公共団体が責任を持って出したレポート以外には一切使用いたしておりません。
 そういうことで、いろいろの御意見はあろうかと思います。あるいは、学問といいますのはやはり冷たいものでございますから、こう言おうと思ってもなかなか証明できないというところがあると思うのです。ですから、そのような議論が出るのかとも思いますが、正直に申しまして、専門委員会の先生がなぜそこで合意に来たか。もしも先生方が自分の信条や自分の立場や自分の願望だけでやられたら、絶対に合意に来ません。やはり皆さんプロフェッショナルで、皆さん学問の場であるので、その学問の中で学問の良心を売り渡してやっておる人はどなたもおられないと確信しております。その中でのことだと思っております。
○岩垂委員 それは橋本さんの確信でありまして、たとえば数千万円の金を受け取って、それが学問的な労作でございますとおっしゃったとしても、疫学の専門家でないと自分が言っていらっしゃる方々が――採用したかしないかは別ですよ。いいですか。そのお金を受け取って論文を発表して、内外にばらまいている。これは全く無関係でございますという議論になりますか。それじゃ何のためにお金を出すのですか、逆に言えば。やはり自分たちの要求や希望というものを考えるから、生かしてほしいということで大変なお金が出ているわけです。
 橋本さん、これまでに金の話は聞いたことありますか、ございませんか。うわさ話は聞いているでしょう。――まあいい、それは。
 そういうようなことで、この専門委員会のあり方というものが改めて問われざるを得ないという問題点を一点、私は指摘しておきたい。
 後でまたやりますが、二点目に移ります。それはもう皆さんも御理解のとおりの、例のNOx基金のことです。
 私は、和田さんのことを言うのは、和田個人が憎いとかなんとか言っているんじゃないのです。ここでは、産業と学界というか、あるいは産業と学者と言いましょうか、そういう癒着と言われてもやむを得ないような関係というものが蔓延化している。科学の名において、国民の生命や健康という問題を追求していくんじゃなしに、その科学にアクセントをつけたり色をつけたりするというのは、人の情としてあり得ないことではない。そういうふうになっていくことを恐れるから、この問題点は明らかにせざるを得ないという気持ちで、個人的にはこういうやり方というのはぼくは好きじゃないですよ、しかし、やらざるを得ない思いというのに実は私は駆られているんですよ。
 たとえば鉄鋼設備窒素酸化物防除技術開発基金、これは目標金額は三十四億円、昭和四十八年に十億円、昭和四十九年に九億円という莫大な資金が使われてきています。その中で学者に対する助成費というものも相当な金額に上っている。この基金というのは、防除技術の開発という美名のもとにありますけれども、理事長をなさっていらっしゃる徳永さんという方の「ニュース」によってみますと、こう書いてある。「最新情報を交えて所見を述べてまいりましたが、いうまでもないことながらNOx基金理事長として、また日本鉄鋼連盟立地公害委員長として関連技術の開発には今后とも全力を尽してまいる所存でおります。私共の申上げることは我国におけるような多少とも独断と偏見を帯びたNOx規制行政に対し強い反省を求め、適正かつ良識ある行政に復帰されんことを強く期待したいことであります。」、ここにあるんです。本当のねらいは。つまり、環境基準というものを緩める目的で基金が利用されているというふうに問題にせざるを得ないのです。
 実は、この研究の一覧表を私は複数の専門家に検定をしてもらいました。そうしたら、この研究の多くはベーシックな研究で、これももうすでに内外の学者が発表したものの再確認か、いわば再実験でしかない、そういうものが多い。また、基礎研究としてもオリジナリティーに乏しいと言わざるを得ない。こうした基金をもらうと、業界に遠慮することを避けることはできないんじゃないだろうかという言葉をいただきました。この人は大変な専門家です。名前はあえて言いませんけれども。それから、学者としても必ずしも専門家でない人たちが金をいただいている、こういう御指摘も得ました。
 この基金のいわば審査をやる技術委員会のメンバーに環境庁の職員が入っていますね。これはどういう形で入っているんですか。
○橋本説明員 その研究の委員会ができましたときに、余り勝手なことをやられては困る、どういうことが進んでいるか、環境庁はちゃんと把握しておく必要があるということで、正式に手続をとって、これはむしろこちらから押しかけたような形で中に入っておって進捗を見ている、こういうことであります。
○岩垂委員 確実に出席しておられますか。
○橋本説明員 出席率はどれぐらいか、私はよく存じません。
○岩垂委員 いま私が徳永さんの「ニュース」の原稿というか論文を申し上げました。こういう研究をする目的であるスポンサーの親分です。これは。それが進めていこうとしているねらいというのは明らかじゃないですか。それを環境庁がいって幾らかチェックするという役割りができるのですか。現にやってきたのですか。率直に言って何にもやってないじゃないですか。出席なさってもいらっしゃらないじゃないですか。何が歯どめなんですか。やはりこれは業界と環境庁との関係というふうにせんさくせざるを得ないのですよ。ここに実は一覧表の交付金額、交付者のリストがありますけれども、環境庁はこの資料を使ったことがございますか。
○橋本説明員 環境庁として交付金額やリスト一覧等、私の知る限りにおいては存じておりません。
○岩垂委員 つまり専門的な価値が乏しいという意味ですか。
○橋本説明員 個々の一番私どもが目をつけておりますのは、防止技術の進展というものをあらゆる場所でチェックをしていこうということでございます。われわれもヒヤリングをしております。通産もやっております。この中でもやっております。そういうところの場所として見るということでございますので、そこを御理解いただきたいと思います。
○岩垂委員 文部省おられますか。
 さっきの和田教授の話、それから交付金額、こういうのは大体大学へ全部届けることになっていますか。
○大門説明員 国立大学におきましては、教育研究の経費に充てる目的を持って外部から経費を受け入れるものにつきましては一応公費として受け入れる。その受け入れの方法としましては、一つは受託研究費、もう一つは奨学寄付金という形で受け入れております。このいずれにつきましても、その受け入れの決定については当該大学の長に委任しております。大学においては受託研究あるいは奨学寄付金、いまのお話の研究助成金などはこの奨学寄付金に当たると思いますが、これについては研究上有意義であるというようなことで判断いたしまして、それで受け入れを決定している。したがいまして、個々の具体的な事項につきましては、文部省としては承知はしておりません。しかしながら、外部からの資金の受け入れにつきましては、従来ともそういう教育ないしは研究上の観点からの配慮、それから経理上の適切な取り扱い、そういうようなことで十分、外部からくる場合には、いまの二つの形で受け入れるように指導はいたしております。ただ、この和田先生の件については、われわれとしてはいまは承知しておりません。
○岩垂委員 群馬大学にも通ってないのです。それはそれとして、こういうものを受け入れる方向で文部省はリードしているのですか、奨学金という意味で。
○大門説明員 先ほども御説明いたしましたように、個々の決定につきましては大学でお決めいただいている。したがいまして、大学では教授会など、あるいは学長がその事項が教育研究上適切かどうか判断して決めていただいておりますので、この和田先生の件についても、先ほど承知してないと申し上げましたのは、その事情についてわからないということでございまして、あるいは調べたら当然、大学の方には出ているのじゃないか、そんなふうには推測いたします。
○岩垂委員 調べてくれますね。
○大門説明員 大学の方に一遍照会いたしてみます。
○岩垂委員 それから助成金額の、国立大学に限ると思うのですけれども、これは後で私、お渡ししますから、時間かかって恐縮ですけれども、お手数ですがちょっと調べてください。私は、こういう形で助成をしていくという、そういうことのために学者が動員されていくというようなことは好ましいことじゃないと思うのです。率直なところ。こういう点については文部省、どうですか。
○大門説明員 これは大学の自主的な考えでお決めになることじゃないか、そのように文部省としては考えております。
○岩垂委員 大学が勝手に決めろと言ったって、あなた、国立大学ですよ。国家公務員ですよ。これは詰めていくと税金問題まで出てくるのですよ、率直なところ。きょうは大蔵省、呼んでありませんけれども。それがどう始末されているかというようなことを、管理監督ということは言いませんよ。しかし、少なくとも国立大学の運営について、内政干渉し過ぎても困るけれども、そういうことについて関心を持っていただくことは当然じゃないでしょうか。そういうことが好ましいことであるかどうかというようなことは文部省の見解としてお示し願いたいものだと思いますね。産学協同の大規模な推進というものが、日本の土壌において学問を前進させるという要素だけでなしに、もっと複雑な影響というものをもたらしてこざるを得ないということに立ってどうお考えになるか、もう一遍御答弁を煩わしたいと思います。
○大門説明員 この経緯につきましては、あくまでもそれを受け入れることが教育研究上有意義である、それから、本来の研究に支障を生じないというように大学の方で認められるのであれば、それは文部省としてはそれ以上申し上げられないのじゃないか、そのように思います。ただ、私がいま申し上げましたようなことは再三大学にも申し上げておりますので、今後も同じ形で申し上げるというようなことになろうかと思います。
○岩垂委員 この助成金といいましょうか基金で、北里大学の衛生学部の安斉先生が「NO2のラット及びマウスに及ぼす影響」という調査を引き受けて、五十年十一月に五千八百二十万円、さらに引き続いてことし六月に北里の、これは環境科学センターという名前になりましたけれども、九百六十六万円追加助成をされています。文献があっちこっち、またこれも配られていますね。これは実は、さっきの徳永さんの「ニュース」にもあるわけです。引用されているのです。「極めて異色のものも含まれています。」ということも含めて。これは実は、いままで環境庁の、あなたががんばってきたものの反論の有力な材料に使われているのです。つまり、基金というものがこういう形で生きて、こういう形で社会影響的な影響力を持って、そして歩き出しているのですよ。こういうことを結構な話でございますというわけにはいかぬでしょう。
 それからもう一つは、専門委員である柳沢教授、この方も技術委員会のメンバーですよ。審査委のメンバーですよ。これは実は御自身で基金を受けられている。李下に冠を正さずという言葉がありますけれども、こんなことをやってくることを黙って手をこまねいて見ているというのじゃしようがないのじゃないかと私は思うのです。率直なところ。専門委員会のメンバーですよ。専門委員会の会合の中だけで、後は関係ございませんというわけにいかぬと私は思うのです。
 私の言いたいのは、基金というものも、結果的にとあえてつけます。結果的に環境基準の緩和のための理論武装をしていくファンドとして利用されている、そういうことを言わざるを得ないのです。つまり科学というオブラートで業界の要求や期待というものを国民に飲み込ませようとするような仕組みだと私は言わざるを得ないのです。こういう点についてもぜひ橋本さんの御答弁をいただきたいと思うのです。率直に答えてください、好ましいことであるかないかということを含めて。
○橋本説明員 これは日本の研究体制で資金と研究計画がどういうぐあいになるかという非常に根本議論が中にあると思います。特に私学の方にとっては、どこから研究費が入るかという問題もあります。そういうことで、やっと企業が社会的責任で自分の得た利益をファンドにしてやり始めた、それがまだ日本の中では非常に年限が浅い、そういうところでいろんな議論あるいは、いろんな解釈を生む余地が、いまの先生の御意見のようなことも出てくるのではないかと思います。しかし、これは芽を摘むとかそういうものではなしに、やはりどのようにこの研究資金を、また公正な研究をあらゆる角度ですべての資源を合わせてやるかということについて、ドイツやアメリカでずいぶん成熟したものがあるわけです。ですから、やはりそういうものを目指してよりよく改良していくということでありまして、これは今後、より理想的にしていく問題ではないかと思います。
 なお、一点申し上げますが、北里大学の先生のケースは、学会誌にも載せておりません、専門誌にも載せておりません、いま報告する気もないということでございまして、専門委員会では一切その問題は触れておりません。環境庁としてもその知見はとっておりません。
○岩垂委員 しかし、第一報といって、一生懸命間に合うようにばらまいているのです。そこにはどういう意図があるかということは、これは指摘をぜざるを得ないのです。そして、それが全く環境庁の行政を進める上で無関係だというわけにけいかぬですよ。専門委員の有力なお一人じゃないですか。
 三番目に申し上げたい。ここに実は同じ専門委員のお一人である東海大学の香川助教授の、委員に配ったメモがございます。私、余り専門家じゃないんだけれども、私なりにいろいろ勉強さしていただきました。
 アメリカの高濃度地域調査で、しかも急性疾患を調査した資料を引用するという非常に非科学的な――日本にないわけですからね、意図的な〇・〇四ppmパーイヤー、つまり日平均に直せば〇・〇八ppmになりますか、日本全国でほとんど見られないような高濃度の数値を修正案として提案をしていらっしゃる。これは橋本さん、ごらんになったと思うのです。しかも産業界を代表するような、代表と言って悪ければ、意を受けたような、大変露骨な御発言を行ったり、意見書を連名でお出しになったりというふうなことが実はあるわけです。これはもうここでは余り細かくは言いませんが、先ほどの和田さんにしてもあるいは柳沢さんにしても、外山さんにしても、前田さんにしても、香川さんにしても、漏れ承るところによる議論の中では、どうも露骨に産業界の気持ちを代弁をしていらっしゃったということも聞いております。私は、それが学問だろうか、それが科学だろうかと問わざるを得ないのです。グループになって委員会をリードして、大変聞くにたえないようなやりとりというようなこともあったやに聞いていますけれども、それはそれとして、科学ではなくて産業の圧力を委員会内部で加えるようなことになったとしたら、幾ら科学というオブラートでくるんでみても、それは国民が容認できることではないだろう、このことを私は指摘をしておかざるを得ないのです。この点について、香川メモとの関係で、橋本さん、何かお答えをいただくことでございますか。
○橋本説明員 いま御指摘のあった香川先生は、最も中型の、非常にいいアルバイトをしておられる先生でございます。私立の大学の方でございますが、いままで大気汚染の研究の中で最もかっちりした仕事をしておられるお一人であるということで、私は絶えず尊敬をいたしております。先生の御議論の中に、アメリカの文献を引いて、それは高い濃度であるから非科学的だという御議論がありましたが、やはり科学というのは、内外の文献でどこまで理論がかっちり固まって合うかということをするために、非常に不利なデータでも何でも本当に学界論文として認められるものはそれを出して議論をするということが科学の立場でございます。
 そういうことで、今回の専門委員会の答申が、私は国際的に見られてもこれは恥ずかしくないと思っていますのは、相当厳密な議論を、おのおの相当いやなお気持ちをお持ちになったこともあるかと思いますが、これはやはり人間でございます。人間でございますから、どこかにそういう人間関係というのが出るわけでございますが、香川先生のおっしゃっておられる数字は、何も産業界から言われたとかそういうものではなしに、ちゃんと文献にしてあり、また肺機能検査やそういうものであり、そういうものを中心にしておっしゃっておられる。それから学者というのは、学派といいますか、いろいろそういう筋があるということは、これはやはりお認めになると思います。人間のほかの社会でも派閥や何かあるわけでございますが、学者の中でもやはりどういう学問の系統か、あるいはどういう学校かとか、どういう学説かと、そういう系統があるのは、これは当然でございます。そういうことで、私どもは、専門委員会の中でそのような外国の論文を引き、あるいはみずからやられたそのアルバイトを引いて御議論を厳密におやりになるということは、これは非科学的なことではないということでございまして、これはやはりいろいろな議論が、科学の議論の最中、本当にお互いに不愉快な思いをすることや冷たい議論、いろいろございますが、そこがやはり科学の宿命で、そういう科学でなければ、何かのために利用される色のついた科学だけになってしまうということは絶対にまずいのじゃないかというぐあいに私は思っているわけでございます。
 そういうことで、例の香川先生の御議論あるいはいろいろその中でございました、グループとしてこういう御意見をおっしゃったということは、いろいろな解釈がおありになるかもしれませんが、あくまでも内外の学問文献に基づいてやっておられるということについては間違いがない。そういう文献も学説もあるということでございます。
○岩垂委員 アメリカの高濃度地域調査で、しかも急性疾患を調査したデータをそのまま日本に持ってきて、それでそれが日本で適応するときに、科学的だなどと言えますか。これはむちゃじゃないですか。しかも〇・〇四ppmなんという数字までちゃんと言っているじゃないですか。言っているでしょう。書いているでしょう。
 そのほかに、この中で非常におもしろいのは、指針値の決定というところに言及されておられまして、そして指針値の決定というものはこうふうに書いてあるのです。これは「(環境)指針値の提案」ということで、「現在利用しうる科学的証拠にもとづいて、科学的誤差などを評価した適切な係数をもとに一般住民に健康への悪影響をおこしそうにない大気汚染物質の濃度を科学的立場から評価し推定したものをいう。」「なお環境基準は、指針値を参考に政府機関が諸因子を考慮して決定されるものと本委員会は理解している。」こういうふうに言っているわけですね。環境庁、いまおやりなさろうとしていることをここで提案していただいているわけです。判定条件と環境基準は別でございます。どうぞ環境庁で諸因子を考慮してお決めください、こうなっていますね。環境基準を決めていく過程で、環境庁、諸因子を考慮しましたか。みんな指針値イコールでと言って流しているじゃないですか。
○橋本説明員 これは今回学者の先生にあくまでも純粋に科学的な立場で、防止の技術的可能性とか経済とかそういうものは全く抜きにして、社会的な政治的な討論に巻き込まれることなく自由に議論をしてくれ、出していただくのは判定条件と指針値でございますということで申しております。ですから、先生方の議論の中に、基準とときどき混同するわけです。それは違う、ここは全く学問の場なんだということをお互いに確認をしながら議論をしておられる節が、これは当然あるんだろうと思います。非常にセンシチブでございます。そういう点で、学者のおやりになる判定条件として、全く学問のことでございます。私どもは全く関与しておりません。それは学問としての合意として出されて、それから基準に直すときに諸因子をどう考えるかということは、これはいろいろ資料を出しました。中公審にいろいろ資料を出しておりまして、また私どもも専門委員会の報告や答申を詳細に読んでおります。そういうものを読み、よその国のものも比べてみて、そしてまた、極力いろいろなところの意見を整理して集めております。そういうものが諸因子である。しかし、諸因子の中でどうしてもキーは、やはり健康の保護は絶対的なものである。健康の保護のレベルをどう考えるかという考え方は、専門委員会の報告の中の健康の考え方を私どもは基調にして、これは環境庁として、行政として、これだけのことを科学で固めていただく、これは健康は大丈夫だ、これは行政としてとるということで、いつも幅を幅をということを申し上げております。ですから、のみ込むという表現はあるかもしれませんが、もしもこれを外れる議論をいたしますと、やはりその外れる理由は何かという議論が当然あるわけでございます。片っ方はめちゃくちゃに緩めろ、片っ方はもとのままに厳しくしろ、こういう議論があるわけでございまして、外れるときには一体どういう理由でそれが外れるかという議論があるわけでございます。厳しくせよという御議論に対して、この基準が外れるというときには安全率の議論でございます。安全率の議論につきましては、先ほど来申し上げましたような判断を私どもとしては持っておりまして、そうして、それじゃ健康はこれで守れる、そこから先に、それでは〇・〇二まで持ってきたらどうなるかということにつきましては、〇・〇二はできるところはあるかもしれませんが、都市工業化地帯では〇・〇二は不可能でございます。これだけは費用効果の中でも〇・〇二は不可能であることは事実でございます。そういうものでございまして、〇・〇二はむずかしい、できないということをよく申しておりますが、それは費用効果調査としてもわれわれは物を置いて考えておるということで判断をしておるということと御理解をいただいたら結構でございます。
 なお、費用効果調査の中で〇・〇三ppmを目標として削減することは可能であるとなっておりますが、でき上がりのデータとしては〇・〇四四になるということで、〇・〇三そのものを大都市工業地帯でできるとは費用効果調査には、結論には入っておりません。そのようなことを頭に置くということが、一つの諸因子を判断して、総合政策を判断するときの要件というぐあいにいたしております。
○岩垂委員 もう時間がなくなってしまったのですけれども、最後に大臣に伺います。やはりいま私が申し上げたようなこと、それはだれが考えたって、橋本さん強弁しておられるけれども、そういういろいろなインパクトが学会やそして専門委員会のメンバーの皆さんにまで及んでいるという状態、これはやはりぼくは問題視しなければならぬと思っておるのですよ。一つただしておきたいのは、中公審や専門委員会のメンバーの選任に当たって、私は、環境庁というのは非常に厳密な態度というものがいま改めて問われている、こういうふうに思いますが、この点、一点お答えをいただきたいと思います。
○山田国務大臣 専門委員の選任、これは無論、非常に厳正でなければならぬと思っております。先ほど申し上げましたように、いまの専門委員の二十人の先生、これはそれぞれ、さっき申し上げましたように、医学あるいは公衆衛生あるいは環境測定というようなそれぞれの中では、いままでの学問的な実績で非常に権威を持ったものであると思われておられる先生の中から、それでまた、それぞれいろいろな学説、考え方、こういう違った人の組み合わせというものをその中で考えながら、そうして厳重に選任してまいっていたのがわれわれの立場でございます。無論、今後においてもそうでなければならないし、無用な疑惑を招くことのないようわれわれは注意しなければならないと思っております。
 ただ、選任の後に、学問的研究というものと、そしていろいろ財界方面の支援、これは外国ではロックフェラー、フォード・ファウンデーション、それぞれ長い実績を持っておってやられておる、われわれはそういう点についての科学的な、いい意味での協力、援助、こういうものを育てていかなければならないけれども、そういうことと相まって、私は、委員会は本来の任務を発揮していくというためにいろいろな障害のないようには十分配慮してまいらなければならぬ、こう考えております。
○岩垂委員 私は、さっき文部省からもお答えをいただきましたけれども、やはり国の開発研究体制の貧困ということをどうしても強調せざるを得ないのです。砂糖に群がるアリという言葉を使った学者がいましたけれども、卑近でもそうなんです。やはり、もらえるとすればもらおうという気持ちを抑えることはできないと言うのですね。実は自動車のときもそうだったけれども、答えを持たない環境行政というのは、やはり業界に振り回されてもやむを得ない、こういうふうに私は感じます。だから、そういう研究体制の強化のために環境庁がこれからどんな御努力をなさるかということを問わなければなりませんが、時間がございませんから答えは要りませんけれども、こういう疑惑が現実にあるのです。こういう状態で環境基準の告示の見切り発車というのはすべきでない。これらの問題に対して、環境庁として国民の理解と納得の得られるための努力をどうなさるのかということを最後に伺って、質問をやめたいと思います。
○橋本説明員 いろいろ御指摘がございました。これはいろいろなサイドから御指摘がございます。また、全然別の、反対側からの御指摘もまたあるわけでございます。そういうことで、やはり今後大事なのは、調査研究ということを長期の視野で、どのように公正に、しかもレベルの高いものをやるかということが一番キーであると思っています。また、それをやっていく場合に、いろいろな角度から現在加えられました批判を整理しまして、これを一つずつつぶしていくには一体どういうぐあいにしたら一番いいだろうか、一挙にはできませんが。そういうことで、現在、私ども次の年度の予算をやっておりますが、やはりNOxの問題については将来の長期――NOxだけじゃなしに、大気汚染全体としてそういうものをちゃんと確立してこれからやっていきたいということを、非常な決意で思っております。
 それから、なぜ急ぐかという御議論でございますが、これは五月の初めにもうすでに前回の告示は切れておるわけでございます。そういうことで、一日も早くきっちりした軌道に乗せて、そして、これはNOx対策だけじゃございません。もう、いまわれわれは四次規制もしたいということで、四次規制の準備もいろいろ検討いたしております。ばいじん規制もはっきりいろいろ乗せたいということでございます。ハイドロカーボンの規制も乗せたいということでございます。そういうものが、いまの環境基準論争ではすべてストップであります。これは正直に申し上げまして、すべてストップであります。あらゆることでこの問題はそうであります。
 そういうことで、この問題後やはりいままでの議論といたしましては、環境基準論争の中でこれほどあらゆるものを公開してやった時期は恐らく、私の経験ではございません。審議会の資料も、あるいは役所が基準として直す場合にどのようなことを考えているかという手書きの資料も、これは野党の先生にお配りしました。また、国会の答弁におきましても、全く正直ベースでお答えしております。そういうことで、日本の大気汚染防止行政ということを早くかっちりしたレールに乗せるということはキーであるということでございます。
 われわれの、今後改良し反省すべきところは、いろいろこれからよいものにしていきたいという強い決意で臨みたいと思っております。
○岩垂委員 どうもNOxが告示が出せないからほかの公害行政がストップしているなどという言い方は不遜ですよ、橋本さん。これは基本じゃないですか。もちろん、浮遊粉じんもSO2もハイドロカーボンも必要でしょうよ。それなら、いま具体的なものを出したらどうなんですか、どういうふうにしようと思っていますと。やろうと思っています。やろうと思っていますという言葉だけで――具体案を出せば歯車は回りますよ。国民的な合意を求めればいいじゃないですか。それを何か、告示ができないので、とめられているものだからほかの環境行政がストップしているなんという言い方はいけません。それはあなたの信条かもしらぬけれども、そういうことは国会というものに対する、あるいは国民の不安というものに対して押しかぶせる態度ですよ。そうではなしに、わかっていただく努力というものがもし必要であるという場合にはどうするんだ。納得していないじゃないか。あなたは、大丈夫だ、任しておけと言っても、それを信頼できない気持ちになってきているわけですよ。それを一方的に、ただ信じなさい、ただ信じなさいと言ったって、信じられるものじゃないですよ。だから私は、告示を急がないで、きちんと見直していくための努力が必要だということを申し上げているのです。
 以上で終わります。
○久保委員長 次に、水田稔君。
○水田委員 二酸化窒素の環境基準の見直しが言われ出して、実際にそれぞれの地域の住民の健康を守る地方団体は大変心配しまして、たくさんの意見書が出ていると思うのですが、いま環境庁にどういうところからどういう意見が出ているか、まずそれを聞かせていただきたいと思うのです。
○橋本説明員 現在出ております御意見は、一番最初が東京都の知事さんからの緩和に対して反対等の御意見でございます。それからその次の御意見として、大阪府から非常に慎重にということでございます。また、神奈川県からも慎重にということでございます。それから埼玉県からは、現在の水準を維持するように、それから慎重にということでございます。それから十大都市の公害対策局長さん方の会からも、やはりこの問題について慎重に、誤らないように科学的に対処をしてくれという御意見でございます。そのほか東京都の特別区の区長さんの方から、あるいは区議会の方でございますか、健康被害補償法との関係とか、あるいは基準を緩めるなというような御意見、あと一、二の地方自治体の議会からの御意見が出ております。
○水田委員 先般来、長官は、ずっと科学的な根拠に基づいてと、御理解願いたい、きのうの公害連との話し合いでも、御理解願いたい、この一言なんですが、実際に実務を担当しておるそういう地方団体が、現行基準を維持してもらいたい。これは実際にやってきておるだけに真剣な、住民の健康を守りたい、その中で起こるもろもろのことに対して明らかになっていないことが多い、その中でこの基準を緩和されることはもう大変なことになる、そういう心配があるからこういう意見が出ておると思うのですね。こういう地方団体から、私は岡山県ですが、倉敷市と備前市が出しておるはずなんです。これは実際問題として、後でまた触れますが、オキシダントの関係等、現行基準でさえ出るという心配がある中でそういう意見か出ておるわけです。その地方団体の意見に対して、長官、どういうぐあいにお考えになりますか。
○山田国務大臣 ただいま局長からも答えましたとおり、動かさないでくれというのは二、三、それからあとは要するに慎重を期してもらいたいというのが大部分で、もとよりわれわれは十分これについては慎重に臨む態度をもって進んでいっているわけであります。動かすなという点については、われわれは先ほどもお話し申し上げましたように、動かすな、こう申されますけれども、公害対策基本法の第九条第三項には、最近の科学的判断というものによって見直さなければならない、これが法律の命ずるところであるということはすでに申し上げたとおりでございます。中公審から最近までの科学的な資料というもので一年間かかって大事な判定条件、指針というものの答申を受けたというところで、われわれはこの答申を受けたら、それに基づいてやはりいままでにおける最善の科学的な判断としてこれを当然再検討し、進まざるを得ない、これがわれわれの責任じゃないか、こう考えているわけでございます。その上でそれを動かすか動かさないかという点については、先ほど局長の方からも答えました、ただ、幅のある基準によって科学的な一つの判定条件が出たら、当然それによって、その幅というものに基準を置くならば、やはりそういうような結果というものにいかざるを得ないだろうということでございまして、無論、意見は意見としてわれわれは拝聴いたしまするけれども、そして慎重には無論やりまするけれども、しかしながらやはり法の命ずるところに従いまして冷静に対処するのがわれわれの任務だ、こう心得ております。
○水田委員 中公審の大気部会が明後日開かれる予定と聞いておりますが、間違いありませんか。
○橋本説明員 そのとおりでございます。
○水田委員 そこへはこの二酸化窒素の環境基準に係る問題が議題として諮られますか。
○橋本説明員 まず最初に、いま申し上げた日にちをちょっと間違えました。明後日ではございません、十日でございます。(水田委員「十日に変更になったわけですか」と呼ぶ)先生方の御都合をいろいろ合わせまして、十日ということになりました。
 それから現在、この間最終に環境庁からいろいろ出された御意見に対して、どう整理をしてやるかということにつきまして先生方に御報告をして、また最後にそこで先生方の御意見も聞くということを考えております。
○水田委員 先ほどの岩垂議員に対する答弁、ちょっと私には理解しにくかったのですが、判定条件は〇・〇二ないし〇・〇三ということですが、前回の委員会等を通じてわれわれは判定条件と環境基準は別問題だ、こういう主張を続けてきたわけです。環境庁の答弁は、特に安全率を見ておるから判定基準イコール環境基準、どうもそういう考え方のようですが、〇・〇二と〇・〇三をどういうぐあいに、基準として決める場合にお考えになっておるか、聞かせていただきたいと思います。
○橋本説明員 まず最初の点を申し上げたいと思いますが、判定条件と指針はあくまでも科学として出されたものということで、基準と異なります。それをいろいろ検討して、これはこの幅で採用すると最終的に確定いたしますと、今度はその性質が指針としての条件と、もう一つは環境基準として決めるということの問題と両方あるということでございます。
 〇・〇二と〇・〇三という幅でございまして、これはいま議論しているところはどうかということでお許しください、最終確定したものではございませんから。議論としての問題でございますが、そこの幅の上を超えているものと、それから真ん中のものと、それからその下のものとあるということでございます。これはわれわれ年平均は使いませんで、年平均と時間平均を両方満足さすようにということで、〇・〇四と〇・〇六という日で考えております。これは従来、地方自治体から日平均を崩すなという御議論が非常にあったわけでございます。データも何もすべてそうなっておるということでございまして、日平均のそれをやりますと両方の条件がちゃんと満たされるということでございまして、その幅を超えているところについては、これは総量規制を含む厳しい規制をかけるということでございます。そうなってきますと、この〇・〇六という数字の重みというのは非常に大きくなるのではないか。それから〇・〇二と〇・〇三の間というところにつきましては、これはまず現状は悪くしないようにするのが幾ら何でもキーではないか。それから都市化、工業化がどんどん進んでいく場合も中にはあると思います。そういう場合にどうするか。これは当然に上まで擁護するのだなんという理想、考え方もちょっとおかしいのではないか。やはりぎりぎりやってみて、そこでどうなるか。しかし、若干上がるときはあるのではないだろうか、こういうような議論をいたしております。それからこの〇・〇四のところもできれば当然下げればいい。しかし余りむちゃなことはやらすべきでもないだろうということであります。それから〇・〇四以下のところはなるべくこの条件をずっと保っているということでありまして、都市の性格などが変わるとその変わる節も中にあるのだろうが、これは悪くしないという物の考え方で、後は一つずつを点検をしていくというような考え方でしていくということでございまして、基本の考え方は、健康を守るのは絶対的である。しかし、健康を守れるからと言って筒いっぱいぬけぬけ汚すなんということは絶対に許せることではない。やはりいまきれいなところはきれいなレベルを保っていく、そして、できるところはできるだけ下げていく、また場所によって厳しさが違うというような物の考え方の議論をしているということでございまして、決してこういうことが最終的に確定をしたという話ではございません。
○水田委員 それでは、日で言いますと〇・〇四のところもあれば〇・〇六のところもつくるという考え方を持っておる、こういうぐあいに理解していいですか。
 それから、ついでに聞きますが、ザルツマン係数の変更についても、その際、測定の方法についての変更も考えておるのかどうか、含めてお答えいただきたいと思います。
○橋本説明員 地域の区分としていたしますが、どこまでやれるかというのは地域によって相当差があるという立場に立っております。そういう議論をいたしております。これは基準をびしっと決めてしまうという議論もございますけれども、やり方を変えるという議論もございます。そういうことで、地域によって差のあるやり方という考え方でございます。ですから高いところは少なくとも〇・〇六を超えなければ話にならぬという考え方を持っているということであります。
    〔委員長退席、古寺委員長代理着席〕
 それから、ザルツマン係数はこれは変わります。これはいま〇・七二のものが〇・八四ぐらいになるというふうに、ほぼ技術的に固まってきております。そういうことになりますと二割ぐらい数字が違うということでございますが、これは専門委員会で、まだいまの段階では、それを持っていった数字を変えるというところまでにはこない。動的校正を導入したときにはこの数字をいじることを検討しなければならないだろうというような理解のもとに立っております。ですから、専門委員会としては指針値の条件については、ザルツマン係数をいじることによってこの指針値の条件を変えるという考え方は持っていないということが全部の合意になっております。将来、動的校正が出れば、数字はまた新しくやらなければいけないということでございます。
○水田委員 そうすると、実際にいまの基準から言いますと、もしいま答弁があったようなことで決めるとすれば、現在の三倍ないし五倍緩やかなもの、こういうぐあいに理解せざるを得ないと思うのです。そこで、〇・〇四と〇・〇六のところができる。人間の体というのは住んでいるところによって被害を受ける――ほかの条件を全然別にして、一つのところでは〇・〇四で影響を受ける、一つのところでは〇・〇六で影響を受ける、そういう人間がおるんでしょうか、疑問に思うのです。そこは科学的にどうなんでしょうか。ちょっと答えてください。
○橋本説明員 そういう御議論の立場に立ちますと、〇・〇六以下ならよいという議論になってしまうわけです。そうすると、できるだけきれいにするという努力がなくなってしまうわけでございます。ですから、科学的に言われたことを法律や測度でそのままの幅を使うとして議論すると、これはもう上だけとればいいじゃないかということになってしまうわけで、それではこれはまた話にならないと思います。
 それからもう一点、御理解をお願いいたしたいのは、地域全体をそんな濃度にするという議論では全然ございません。地域の一番高いところをそこまでおろすということでございまして、東京都ですと一番高いところでは〇・一何がしのところがあります。そこをどんなことがあっても〇・〇六までは六十年代までに下げなければいけないなというような議論になってくる。そうするとそれに合ったカットをするので、ほかの部分のカットは恐らく非常に多くの部分が〇・〇四に下がるのではないかというような考え方を持っております。そういうことで幅がありまして、どこかに付着させて地域を区分してしまうんだというような考え方もございます。あるいはそうでなくて、動かし方を変えていくという考え方もございます。そこのところは最終的に決定している議論ではまだございません。
○水田委員 私は与えられた時間が短かいものですから、それだけの論議をしても、こうなるともとの答申のあれを全部やらなければいけないことになりますからやりませんが、人間が影響を受けるのは窒素酸化物だけではないということは先ほどの答弁で明らかでありまして、粉じんもあればハイドロカーボンもあれば硫黄酸化物もある。その他有害物質はいろいろあるわけですね。汚染を受ける地域の住民というのはすべて複合で受けておるわけです。複合の中で窒素酸化物とほかの関係というのは明らかでないものが多いわけですね。そうすると、当然そういう中では単体だけの影響と、複合の場合は加重されて出てくるということは当然考えなければならない。
 そういう点でたとえばオキシダント、いわゆる光化学スモッグという問題が先ほど島本議員からも出ましたけれども、水島の例をちょっと申し上げますと、これは昭和四十九年に窒素酸化物五千七百六ノルマル立米パーアワーというものであったのを漸次下げて、ことし五十三年三月三十一日の目標値は二千で、これは固定発生源だけで日〇・〇四ということだったわけですね。ところが実際問題としては、ことし三千五百三十ノルマル立米パーアワーでやっているわけですね。これでいきますと、この現在の状態で〇・〇六をオーバーすると思うのですね。それで、五月と六月の二カ月だけでオキシダントの情報が二十五回ですから、これはとてもじゃないが、東京都の方も現行二酸化窒素の基準でなお〇・三一ですかハイドロカーボンの存在する中でオキシダント発生ということが言われておるわけですね。いわゆる光化学スモッグによる人体被害というのは人間の被害と私は思うのですが、被害じゃないですか。
○橋本説明員 先生の御指摘にありましたような複合の問題、特にオキシダントの問題につきましては、答申の中でも十四のうちの十二番目と十三番目のところで複合の影響の問題を触れております。そういうことで重視をいたしております。
 それで、いまの水島のお話でございますが、水島は鉄鋼の操業ダウンで、実際は、それがフルに動くと恐らく相当なものになるのだろうと思っております。そういうことで、そういうことも全部頭に置きながら濃度レベルというものは判断しなければならないだろうなというような議論をいたしております。現在はかっている濃度は操業ダウンしている中での濃度であるということになると、それを本当に復活するとしたらどうなるだろうかという議論であります。ですから測定データは、いつの測定データを一番高いところを平均してとるか、これも相当整理しなければなりません。それから、いま操業ダウンしているものをどう見込むか、それから六十年までの議論をするとしますと、それまでの成長を一体どう見込むかということを全部がちっと押さえ込んで規制をやるという考え方をいろいろ議論をしている最中でございます。まだ何も決まっておりません。そういう中で、オキシダント対策のためにNO2は幾らにあるべきかという学問はまだきれいに整理されておりません。ですから、窒素酸化物の環境基準には縛られる気持ちはいまございません。ただ、そこにまたどんどん下げていかなければなりません。しかし、一方において、ハイドロカーボンのカットがまだ非常におくれておるわけであります。乗用車だけは九十幾らはいきました。トラック、ハスは五十そこら辺をちょっといったところでございます。まだこれはカットしなければならない。それから、水島はハイドロカーボンの固定発生源をきっちり押さえるまでいっているかどうか、そこの問題がございます。それから有機溶媒の問題がございます。ですから、そういうものを全部あわせて押さえなければならぬということでございまして、いままだその押さえる途上であるというぐあいに考えて、われわれはオキシダント対策は広域的な観点でどのような範囲でオキシダントの問題が起こるだろうかというマップをつくりながら現在検討しており、それとNOx対策とをどう組み合わすかということも考えております。
○水田委員 いまの局長の答弁から言うと、それならば、そういう総合的な対策ができるまで窒素酸化物についてはいらうべきでないという考え方も出てきますよ。私が言いましたのは、東京都も言っていますが、水島でも三千五百三十と、これは固定発生源で言えば大体〇・〇六ぐらいだと思いますが、そこで五月と六月のたった二カ月で二十五回もそういう状態が起こっているわけですね。ということは、窒素酸化物とハイドロカーボン、粉じん等の対策が総合的に進む中で窒素酸化物の基準の問題をどう考えるか。むしろその場合は中間目標値としてやってみて、ほかを進める中で判断していく。いわゆる窒素酸化物だけ、ほかとの複合の問題が解明されてないのに、それだけを基準を緩めることはむしろとるべきでないというような考え方がそこからは出てくると思うのですね。
 それから、それではもう一つお伺いしますが、先ほど窒素酸化物について総量規制をやる、こういうことを言われましたが、これはやられるお考えですか。
○橋本説明員 いまの先生の中間目標という考え方の議論もあるでございましょうが、キーは健康保護の目標としての環境基準ということでございまして、これはるる申し上げたから、この点については御説明を省かせていただきます。
 それから、総量規制につきましては、まず一番汚染のはなはだしい地域について総量規制に着手していくということは、ことしの大臣の所信表明の中でも申しておりまして、その問題についてはことしから着手していきたい。ただ、いろいろ調査をして準備をしてきちっと基準を固めるには、少なくとも三年余の歳月がかかるであろうというぐあいに踏んでおるわけでございます。それから以降に、猶予期間を置いた規制に入ってくるというぐあいに私どもは構想としては持っておるわけでございます。
○水田委員 総量規制なりオキシダントの解明の問題等を含めて、二酸化窒素というのは、固定発生源から出た場合、どういう形で拡散をしていくのか、そういう点の研究はできておるのでしょうか。自動車については東関東自動車道でやりましたけれども、まだまだ使えるような確定的なデータはない、こういう報告を聞いておるわけです。
○橋本説明員 拡散につきましては、五十年代にわれわれの総量規制で使えるのはまだ限界があろうと思っております。そういうことで、総量規制の問題を考える場合に、五十年代は第一段階的な、技術的な水準における総量規制である。六十年代後半になると、恐らく第二段階的な、NOからNO2までの変化も全部含めた形での細かなプランニングができよう、しかし、そこまで待っていては手おくれであるという考え方でございまして、ある程度までのことは現在だんだんめどがついてきておりますので、第一段階的な総量規制ということを頭に置きながら議論をしているのが現状であります。
○水田委員 私が申し上げるのは、一つは、固定発生源からの窒素酸化物の拡散が一体どうなっているのか、あるいはNOからNO2に変わっていく状況はどうなのか、そういうことも明らかでないし、そこから他の汚染物質との複合的な影響がどうなのか、そういったことが明らかでないのにもかかわらず、そのもとになる二酸化窒素の基準だけ緩めて、ほかとの関係が明らかでないという――明らかでないことを先にすることが私は先決だと思うのです。なぜそれをしないのか。それをした上で、全体的に窒素酸化物の影響というのはここまでということを当然考えるべきであって、先にやるべきことを環境庁はやってない。やってなくて、先ほど島本委員なり岩垂委員から指摘されたような圧力によって、一番急がなくてもいいものを急いで、急がなければならぬ問題をほったらかしてきておるのじゃないか、そういうことを私は痛切に感ずるわけであります。その点について、もう一遍局長から答弁をいただきたいと思います。
○橋本説明員 環境基準というのは、やはり一番基本でございまして、特に健康保護の問題についてが一番基本でございます。いま議論されている程度の細かさを要求するのは、将来、恐らく環境基準はほとんどできなくなるだろうと思います。これは正直に申し上げまして、そう申し上げなければならぬと思います。そこまでの議論を詰めなければ環境基準はいじれないという議論になりますならば、恐らくこれはほとんどの場合絶望的であろうと思います。そういうことで九条三項というのは設けられたわけでありまして、あるところで。ぱっと割り切ってやる、そしてその後で科学的に検討してみて、直すなら直す。これは野党修正で入った条文でございます。厚生省自身が原案には入れましたが、政府提出では落としました。そういうことで、九条三項の必要な改定をしなければならないということによってやっているという考えでございます。
 もちろん、ほかの拡散やいろいろな問題がございます。そういう拡散や光化学反応の問題が、健康に係る環境基準を設定するときの必須要件であるとわれわれ思っておりません。健康要件に関しては、汚染と影響ということの関係でやるべきでございまして、先ほど先生の御指摘のあったような問題は、対策を打つ場合にどの程度までの細かな理屈詰めができたらできるかということでございまして、もしも先生の御指摘のあるような精微な議論をしましたら、対策すらもなかなか進められないようになるというぐあいに、私はきわめて危倶するわけであります。
    〔古寺委員長代理退席、委員長着席〕
○水田委員 それじゃ、時間がありませんから。もし今度決める基準によって健康被害が出た場合、環境庁は一切国民に対して責任を持ちますか。というのは、影響というのは全体的にはまだ明らかになっていないわけでしょう。受ける側は複合で受けているわけですからね。そして、窒素酸化物をそこまで緩めたことによって複合が激しくなって影響を受ける。窒素だけでないという逃げ言を言うかもしれませんけれども、受ける側は複合で受けるわけですから、被害を受けたら一切、企業の責任でなくて、国の責任で国民の健康被害に対する責任を負う、こういうお考えですか。
○橋本説明員 環境基準を決めることは国の責任でございますし、環境基準によって生ずる帰結は、それに対してどういう問題が絡んだかというせんさくはあるにもせよ、私はまず第一義的には国に責任があると思います。そういうことで、きのう会合で、私はちょっと言い方がまずいということで後で大臣にも御注意を受けましたが、絶対にということは、君、学問的に言えるものではない、世上の普通の基準で言えば絶対にということなんだということでございまして、そういう意味において私は絶対にそういう心配はないということを考えております。
 ですから、複合がひどくなってよけい悪くなるというのは、これはちょっと理屈の上で考えられない。しかも、NO2につきましては経験されていないという問題ではなしに、いままで労働衛生で経験され、あるいはたばこなんかはきわめていろいろな複合の結晶でございます。それからインドアポリューションも、これははるかに高いものでございます。そういう点から考えて、この濃度でそういうものが起こるとは社会的通念にいう絶対にこれは考えられないということでございまして、これを決めたことについて環境庁は責任があるというように思っております。
○水田委員 いま各地で、環境庁の承認を得て公害防止計画がそれぞれの地域でつくられている。それに基づいて、各企業との間に公害防止協定というのが結ばれて、到達目標というのがそれぞれ決められているわけですね。今度、先ほど聞いてみますと、わかりませんけれども、どうも事実上、現行から言えば三倍ないし五倍緩やかなものになる。そういうことになると、現地の担当しておる都道府県なり市というのは、一体どういうぐあいにしたらいいのか戸惑いも出てくると思うのですね。これは公害防止計画というのは一体どうするのか、あるいは今日結ばれておる公害防止協定というのは、環境庁が新しい基準で全部やり直せ、こう言うのか。地方の団体にとっては、環境行政の基本がひっくり返るようなそういう感じを受けておるからこそ、きわめてたくさんな地方団体から現行基準維持、慎重という言葉で、いま報道されておる、あるいはこの論議を通じて、三倍ないし五倍緩められるということに対する心配があるから、そんなことをしてもらっちゃ困るという意見が出ておるわけですね。ですから、その点は、具体的な実務を担当しておるのは都道府県なり市町村ですから、これは単に二酸化窒素の問題だけじゃなくて、こんなことをやられると、ほかの水の問題であろうと、硫黄酸化物であろうと、すべての問題で、決められたことがこれからしょっちゅうひっくり返るということで、まさに実務を担当しておる地方団体は、企業に対して指導することもできないような、そういう混乱が起きる危険があると私は思うのです。その点についてどういうぐあいにされるお考えか、これだけ聞いて、質問を終わりたいと思います。
○橋本説明員 いま先生の御指摘になった点が、私は、環境庁として最も具体的な、重大な問題の一つであるというぐあいに考えております。そこの中で防止計画は、これは変わったといたしますとやはり見直しをしなければなりませんが、どういうぐあいに見直しをするかという詳細なマニュアルをきっちり製作してやるということがなければこれはできないと思います。
 それから防止協定につきましては、これは企業と地方自治体との合意に基づくものでございますから、環境庁としては法的には介入することができませんが、どういうわけで〇・〇二を引かれたかということにつきましては、これは四十八年の告示に示されたということがあって出されておるということでございます。ですから、ここにつきましては、法的にはこれに介入することはできませんが、基準がこうこうこういうぐあいに変わったのでこれに対して適切に対処していただきたいということを言うことが、環境庁としてなさなければならないことではないかと思っております。地方自治体の方が一番問題のむずかしさも知っておられますし、あるいは現地での苦しさも最も知っておられますし、われわれの行政ができるのは地方自治体の方がおられるから初めてできるものだと思っております。そういう点におきましては、私は、大気保全局長としてきわめて責任は重いというぐあいに考えております。
 この問題はそれではほかの方に波及するかという御議論でございますが、大気保全局の問題につきましては、私はいまこういう問題の必要性があるというぐあいには一切感じておりません。むしろ、ひょっとしたらこれは厳しくしなければならぬなというようなものが中にはぽつぽつあるということでございまして、NO2はきわめて特殊な問題であるというぐあいに御理解いただければ幸いでございます。私もきわめて特殊な問題の処理をいまいたしておるという、腹をくくった気持ちでございます。
○水田委員 私が最後に言いました、いわゆる行政と企業との間にまさに実務を担当するところが、企業から全く信用されない、おまえらそんなことを言ったところで、環境庁の方と話をしてひっくり返したら変わってしまうじゃないか、そのことを示すわけですから、そういう地方団体の実務を担当しておる人たちの士気に関する重大な問題をいままさに環境庁はやろうとしているわけですね。ですから、そういう地方団体に対する環境行政のいわば環境庁は裏切りだと私は思うのですね。そのことは、個々の技術的な問題じゃなくて、基本的な姿勢の問題だと思うのです。その点について、そういう不信が地方団体にはほうはいとして起こると私は思うのです。そのことに対する決意をどうされるのか、長官に最後に聞いて、終わりたいと思います。
○山田国務大臣 ただいま局長からお答えしましたように、われわれは地方庁との緊密な協力、これによって実際の成果を上げていかなければならぬ。そういう意味において、われわれの責任は重大である、こう感じております。
 ただしかしながら、環境基準の見直しということは、法によって、細心の判断条件によって見直さなければいかぬということになっております。したがって、法の命ずるところに従ってわれわれがそれを行う、これはわれわれの責任であると考えます。その場合に起こり得る具体的な地方庁との関係、これについては、ひとつできるだけわれわれとしても努力をして、遺憾のないように期して善処してまいりたい、こう考えておるような次第でございます。どうか御理解をいただきたいと思います。
○水田委員 終わります。
○久保委員長 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十六分開議
○久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。土井たか子君。
○土井委員 まず、懸案のNO2の環境基準について、基本的なことをひとつお尋ねをしたいと思います。
 四十八年のNO2についての基準値が問題にされましたときの専門委員会で討議をされた内容の中に、SO2よりもNO2の方が有害であるということで、SO2〇・〇四に対してNO2〇・〇二ということを決めたはずであるとわれわれは認識をいたしております。今日、このNO2に対して、もし緩和されるということになりますと、SO2とNO2に対しての基準の内容というものが同一になるか、さらに有害であるという点が上回るという、この問題が出てまいるわけでありますから、かつての立論が基準値緩和ということで崩れるということにもなるわけでありますが、この点はいかがお考えでいらっしゃいますか。
○橋本説明員 いま先生の御指摘のございましたような認識があったわけでございます。その中の最も大きなものは何か、最も核心のものは、これはWHOの専門委員会でも指摘しているのですが、細胞の構造的な変化が起こるというのがございます。それは肺胞上皮細胞の異常増殖、それが動物実験で低い濃度で起きたということがこの当時の一番のキーであったというぐあいに考えておりまして、この肺胞上皮細胞の増殖という知見は、ひょっとしたら害になるのではないか、あるいはしかし、がんではないかもしれない、反応性かもしれないということでございましたが、その成長が皆途中でとまってしまって、がんに発展するというレポートは現在のところなく、国際的にいまNO2を発がん性物質として注意をするというところにはないということで、最も心配している点はなくなった、こういうぐあいに解していただけば結構だと思います。
○土井委員 そうすると、この四十八年のNO2に対しての基準値を問題にされた専門委員会で討議されたというこの立論というものは、もうすでに崩れているんだというふうに理解をしなければならないわけでありますか。
○橋本説明員 少なくとも肺胞上皮の異常増殖が発がん性を持つのではないかという知見はまず落ちたというぐあいにお考えいただいたら結構だと思います。
○土井委員 しかしながら、この有害であるという問題は、それに尽きることではないと私は思うのです。いまの橋本局長からの御答弁だけで、かつての四十八年の専門委員会で討議された内容すべてについて、これはSO2よりNO2の方が有害であるということが、実はそうではないと、これを切り崩す反論にはなり得ないと思うわけですよ。したがいまして、四十八年のあの専門委員会で討議されたという立論を重視すればするほど、そのことをわれわれが忘れないでいればいるほど、今回、このNO2に対しての基準値を緩和されるということに対しては、当時と矛盾するのではないかということが、なおかつ考えられて当然だと思います。この点はいかがです。
○橋本説明員 NO2がSO2より複雑な影響を持つというのは、一つは、やはり生化学的な影響の中で免疫性に対する影響がございます。ただこの点は、疫学でも動物実験でも非常にはっきりしたデータができておりまして、われわれが思ったよりもずっと高い濃度で問題がある。年平均〇・〇八を超えるぐらい、アメリカはこれを年平均〇・一と称しておりますが、それが出てくるようなところでは問題は急性呼吸器系疾患の異常増が起こる。その濃度はいまはないわけであります。そういうことでございます。
 それからもう一点は、前の立論が崩れるということでございますが、その立論のすべてではございません。非常にこれはセーフティーを持たなければいかぬという考え方の一つがドロップしたということと解しておりまして、そのほかのものがみんながたがたと音を立てて崩れたというわけではございません。これは例の関連性があるのではないかというところは前よりも明らかになったが、どうも幅のある存在で物を言うにとどまるというところでございまして、複合汚染の問題はまだ解明するところまではいかないということでございます。
 それから、もう一点つけ足して申しますと、四十八年から今日まで、NO2のこういう濃度になると患者がふえる、NO2のこういう濃度になると患者の症状が増悪する、NO2のこういう濃度になると死亡率がふえるという筋がどこから出てくると思いましたが、これは全然出ずでございます。これはSO2の場合と根本的にどうも違います。私はその点の認識を新たにいたしました。これは専門委員会はストレートにそういうデータはないということだけしか言っておりません。そういうところがあるわけでございます。
 それからもう一つは、私どもの四十九年、五十年ごろの認識ですと、NO2は本当はもう少し響くんじゃないか、SO2のばいじんは下がってもNO2はこの程度なら有症率は容易に下がらない、あるいはむしろ上がるという傾向をとると実は期待しておったわけです。ですから、健康被害補償法のときの審議などで私は非常に積極的な議論を吐いておりました。ところが、いろいろやってみますと、どうもポジティブルデータが出てこない。むしろばいじん、SOxが下がって、NOxが上がりぎみか水平であるにもかかわらず有症率のダウン傾向が見られるというところがどうもわれわれの想像と違ったということでございます。
 生化学的な議論はいろいろありますが、生化学的な議論になりますと、いろいろな分野でもありますけれども、解釈の整理もなかなかまだそう議論としてやる問題のところまで入っていないということでございまして、非特異性の呼吸器系疾患でいきますと、どうもわれわれが思っていたほどのところに来ないのかなという感じが実際は強い。しかもその中で、肺胞上皮の異常増殖の最も注目した知見がドロップしたということでございます。
○土井委員 いま局長から種々御説明を賜ったわけですけれども、るる説明を賜ったにもかかわらず、なおかつ、四十八年当時の専門委員会で討議されたNO2の方がSO2に比べて有害だという線は突き崩せていないわけでありますから、こういう立場を一つは今回は、やはり考えられる場合に重視していただく、見失ってもらっては困ると私どもは考えます。
 さて、具体的に自治体の公害防止計画に対して、さきにもう環境庁としては承認をされたばかりであります。この前提となる目標値を、今回もし基準値が緩和されるということになりますと変わることになってくるわけですが、自治体に対して何の調整もそのためにはしないでおやりになるのかどうかなんですね。すでにもう御承知のとおりに十大都市から意見書が参っておると思いますが、この意見書をお読みになったかどうかということも重ねてお尋ねをしたいと思います。
○橋本説明員 まず最初に、意見書は拝見をいたしております。
 それから、公害防止計画につきましては、これは全く先生の御指摘のとおりで、私も大気保全局長として最も心苦しいいろいろな批判を受けるポイントであると思います。しかしこれは、九条三項の必要な改定をしなければならないということをやらないと、むしろ法律違反になるという考え方でございます。そういうことで、改定をするという考え方は基本的には持っておるわけでございますが、この場合には、これは防止計画の目標を変えてどういうぐあいにやるかということにつきましての細かなマニュアルをわれわれはつくろうということで、いろいろな議論をこれはいたしております。そういうものをちゃんと固めた上で、こういうぐあいに変えなさいという問題を公害対策基本法に基づいてやらなければならない。しかしその責任は大気保全局長としては確かに重いということを感じております。
○土井委員 いま法律違反になるということをおっしゃいました。それの根拠は公害対策基本法という法律だろうと思うのですが、ただこれはいかがなんです。局長。地域に対して責任を持っているのは自治体なんですよ。地域のすみずみに至るまできめ細かなところを一々環境庁は責任をおとりになるかというと、そうはいかない。自治体がやはりそれに対して責任を持っている当事者であります。しかも、法律じゃなくて憲法では、自治体に対しての自治の尊重ということがちゃんと具体的に明示の規定としてあるのです。そういうことからすると、いまこの基準値に対して、いかにこれを防止計画の上で組み入れて目標達成のために努力するかという自治体のあり方というものは、尊重してもらわなければならない。
 十大都市からの意見書は読んだということをおっしゃいましたが、これに対して回答をお出しになりましたか。いずれですか。
○橋本説明員 書面では回答いたしておりませんが、約一時間しばらくにわたりまして、私といたしましては相当お話ししたつもりでございます。
○土井委員 十大都市それ自身は文書で意見を出していられるわけです。それは一時間に余る局長からの口頭での御説明があったかもしれませんけれども、具体的には環境庁から十大都市自身は回答をいただいてないというのが客観的に述べられることだろうと私は思う。これはぜひ回答をお出しにならなければならないと思いますよ。十大都市はそれぞれ意見書を具体的に出していらっしゃるわけですからね。したがいまして、こういうことに対する対応を抜きにして見切り発車で告示を出すなんということは、本来許されてしかるべき問題ではないと私は思います。このことに対しての手当てをやらなければ告示は出さないということは一応常識的にも言えることだと思いますが、いかがですか。
○橋本説明員 これを決定したと同時にこれは公式に回答しなければならないというぐあいに思っております。
○土井委員 この意見書というのは決定してから後に答えて十分である内容ですか。そうじゃないので、いま環境庁が告示を出すに当たって、それに向けてどういうふうにやっていただけるかということに対する意見が内容じゃないですか。そうすると、やはり告示以前にそれぞれの自治体に対して、環境庁なりのあり方というものを具体的に示しておくということの方が順序として先じゃないですか。いかがです。
○橋本説明員 いま先生のおっしゃったような御意見もあると思います。これは自治体とわれわれ、かなりお話をしておるつもりですが、やはり自治体には私どもが接しない方もおありになるわけですし、そういう方のすべてに満足のいくようにはまいりませんが、できるだけ誠意を尽くしたやり方をいたしたい、こういうように思います。(「どこも聞いてない」と呼ぶ者あり)
○土井委員 いま横から、どこも聞いてないという声がありました。これはやはり局長はそれぞれ説明をしたというふうなおつもりでいらしても、文書に対しては文書で回答というのが回答の意味をなすことになるわけであります。その点の努力を最大限いま払っていただかなければならない時期ではないかと思います。いま最大限の誠意をもって努力してこれに当たりたいというふうな御答弁の趣旨でございますが、これは確認しておいてよろしゅうございますか。
○橋本説明員 はい、そう確認していただいて結構でございます。
○土井委員 そうすると、この作業をまずやってしかる後の告示であるというふうにわれわれとしては理解をさせていただきます。よろしゅうございますね。
○橋本説明員 これはどういう態度で臨むかということをはっきりさすということでございます。
○土井委員 どういう御答弁ですか、それは。ちょっと意味がよくわかりません。わかるように再度お答えをいただきます。
○橋本説明員 どういう文書になるかはまだ何ともわかりません。けれどもこれは、われわれは九条三項の趣旨に基ついて慎重に検討しておるわけでございまして、その文書につきましてはお任せいただきたいと思います。
○土井委員 文書についてはお任せいただくというのは、私は、内容のことについては言ってないので、時期の問題についていま言っているわけでありますから、時期についてお任せいただくという御答弁じゃ満足できないのです。こっちの言っている質問に対してもう一度お答えいただきます。
○橋本説明員 これはできるだけ早くということでございまして、告示の出る日というときには向こうには渡っているというのがわれわれのできる最善なのではなかろうかと思っております。これは役所のルールとしてはそういうことでございます。
○土井委員 そうしますと、各自治体に対して回答を出さずして告示はしないということは、いまの御答弁ではっきりすると思うわけです。そのように理解をさせていただきます。よろしいですね。
○橋本説明員 はい。
○土井委員 さて、橋本局長ばかりにお伺いをするようなかっこうになりますけれども、局長は先日、私は十三日に当委員会で質問を申し上げた節にもこの点を取り上げたわけですが、もうすでに三年前からこの基準について見直しを決めて、そうしてそれに対していろいろと作業に対して考えを進めてきたというふうな御発言が新聞紙上にも出たわけでありますし、そのことは局長自身がお認めになっているわけであります。ところが、このクライテリアの専門委員会の第一回の会合のあいさつにおきまして鈴木委員長は、本委員会は環境基準とは別の立場で審議を行う旨というのを明言されているわけであります。つまりクライテリア専門委員会においてはこの基準値ということを問題にするのではないという立場で審議を行ってこられたということがこれではっきりするわけであります。これはつまり、三年前から基準に対しての見直しをやりたい、そうしてこの専門委員会の作業というのは基準に対して考え直すための作業を諮問している委員会の作業である、そういうふうな局長の御発言からすると、誤解を持ってクライテリア専門委員会の作業を見る向きがあるのです。現に新聞紙上のいろいろな記事を読んでみても新聞記者さんの中にもこの点誤解をされている方もあるようであります。けれどもクライテリア専門委員会は基準値に対しての諮問を受け基準を考えるということの作業では断じてなかったはずでありまして、この点むしろクライテリア専門委員会のいまの作業が、すなわち基準を問題にしている委員会であり、基準値について答申をしたという中身になるということになるならば、これは欺いているというかっこうになるわけです。この点はどうなんです。これははっきりしておいていただきたいと思います。
○橋本説明員 五十年十二月に今後のNOx対策の進め方ということを整理をいたしまして、そしてそこの中に、一つは環境基準の問題、一つは政策の問題、一つは防止技術の問題、一つは費用効果の問題、一つは規制のスケジュール、それらをすべて整理をいたして構想を明らかにしたわけであります。これは改定するかしないかは今後の科学的なデータが出てからの話ということでございまして、五十一年の環境白書をごらんいただきますと九条三項問題を出しております。九条三項問題というのは、検討してみたらこれは所見が全然変わってしまったというと、これは変えなければなりません。どう見ても全く同じであるというときには別に変えません。その変えるのは厳しくなる場合も緩くなる場合もあるのです。そういうことで、九条三項問題を持ち出したら必ず環境基準は変わるかというと、決して必ず変わるとは決まっているものではございません。変わる場合もあり、変わらない場合もございます。そういうことで、これは国会でもずっとお答えしており、あるいは審議会等でもいつも申し上げたのですが、答申が出ました暁には虚心坦懐にその条件を拝見した上で、そして同じ条件に保つか、新しい条件を付加するか、全く新しい条件になるか、あるいは緩くなったりきつくなったりという言い方をする方もあるのですが、それはその段階で私どもは責任を持って決めます。先生方には環境基準を伺っておるわけではございません。基準を決めるのは行政としての責任であります。この専門委員会がこう言ったから、審議会がこう言ったから、これは決めましたという議論がよくあるわけです。これはいい意味でもありますし、また悪い意味でも言われる場合がございます。そういうことで、最も核心は何かというと、九条三項では適切な科学的な判断を加える、ここが最も核心でございます。ですから、科学以外に判断の加えようがないわけです。ですから、圧力が加わろうが、だれに怒られようが、あるいは厳し過ぎようが、できなかろうが、そんなことは環境基準改定の理由に全然なりません。そういうことで、科学的な基準がどう出るかにつきましては、専門委員会の先生に、何ものにもこだわらず、また技術的にできるかとか、経済的にどうとか、これを変えたら政府が困るとか、そんなことは一切構っていただかなくて結構です。そのかわり公正に議論をいたしてください、その後の責任は私どもがとります。こういうことでございますので、決して先生方をだましているというようなことは私は全くいたしておりません。
○土井委員 そうすると、これ、確認をいたしますが、クライテリア専門委員会では、基準とは関係なく作業を行ったということを確認させていただいてよろしいですね。
○橋本説明員 全くそのとおりでございます。九条三項の「適切な科学的な判断」を加えということをやってきました。
○土井委員 いま五十一年の公害白書の問題を取り出して局長はおっしゃったわけでありますが、その五十一年の公害白書に先立って、局長御存じのとおり五十年の十二月四日に通達がございます。この五十年の十二月四日の通達の内容というのはどういうものでございますか。
○橋本説明員 私はいま詳細に全部覚えておりませんが、第二次規制につきましての通達でございます。五十年十二月に規制をいたしまして第二次規制をどう進めるかということの基本通達だったと心得ております。いま通達を持っておりませんので、またそれをチェックしてみます。
○土井委員 私がこれを拝見した限りでは、それはそうではないので、この基準値に対しては見直しをせず五十三年度末に中間目標値を決めるということが具体的に決められているわけであります。そうしてさらに五十三年度末になって、むずかしい地域については、五十八年についてこの中間目標値ということで問題にしていくということが、具体的に通達の中で問題にされているわけであります。この五十年十二月四日の通達がある後の五十一年の公害白書の問題を先ほど取り出し、さらに三年前からこの基準値に対して見直しをすべく努力をしてきたと局長はおっしゃるのですが、そうすると、五十年十二月四日のこの通達というのは全部破棄されたのですか。変更されたのですか。いっ、どういうかっこうで破棄され、変更されたのですか。
○橋本説明員 この問題は、五十年十二月の時点で別に基準に対する確信を揺るがしているわけでは全然ございません、告示にございますから。これは五十三年中間目標、五十八年にファイナルということでいたしております。ですから、その考え方は、今度の答申をいただいていま議論するまではいささかも動かしておりません。ですから、新しい答申が出た途端に、これはなるほど条件が変わったということになってくるわけであります。ですから、これは事情変更の原則で、新しい判断が出てくるということで対応する。これは決して詭弁ではございませんで、やっていきます最中は告示に対して忠実に守るということが局長の使命である、しかし、国際的な検討に至っては、やはりWHOの委員会もやってみようということでいたしておるということは事実でございます。
○土井委員 そういたしますと、事情変更の原則とただいま局長はおっしゃいました。事情変更の原則というのは、客観的に認識できる条件というのを整備することから事情変更の原則は確認されるわけであります。いま五十年十二月四日の時点における内容は、通達で示されているのですよ、それが変わったのは、やはり通達なり何なり文書化されたものが何かあるのですか。いかがです。
○橋本説明員 その通達はこの次の通達で新しく出てくるわけであります。
○土井委員 その次の通達というのを御明示ください。
○橋本説明員 これは仮説的に、環境基準が改定されればそれに応じて新しい局長通達を出すということでございます。
○土井委員 いまの局長の御答弁、まことにおかしいですよ。環境基準を変えるという問題じゃないのでしょう。五十年十二月四日の通達の内容では、基準を見直しせずに中間目標を決めるという基本的なことが書いてあるのですよ。やり方の問題なんです。基準値の内容の問題じゃないのです。事情変更の原則でこれは変わったと言われるのだから、その変更を明示した文書があるでしょう、それを御明示くださいと言っているのです。いかがです。
○橋本説明員 これはあくまでも今度新しい基準が決まれば、そのときに新しい条件が出てくるというぐあいに私は解しております。
○土井委員 これはなし崩しもいいところですよ、局長。それはちょっとおかしな話です。何のためにこういう通達を一つ一つお出しになるのですか。この通達は現に生きているのでしょう、この通達を変更する通達が出るまでは。そうすると、この通達に従ってやられる行政措置というものは、手順を踏んでおやりになるのが現状においては大事な問題なんじゃないですか。したがって、いまは五十三年末においては中間目標値をいかに考えるかということを決めるのがこの通達の指示している内容であります。これを事情変更によって変えようとするなら、通達が新たに出ていなければならない。通達及びもう一つ強い何らかの明示する文書化されたものがあるに違いないとわれわれは思う。これがあるのかないのかと聞くと、ただいまの御答弁ではあやふやで、どうもなさそうなんですね。行政手続からいったらそれが先じゃないですか。私はいままで、通達というのはそうだてや酔狂で出されるものではないと思っていましたよ。やはり通達というのは、これを遵守するという義務が行政においてはあると私は考えていた。そういうことからすると、いまの御答弁というのはいただけないですね。いかがです。
○橋本説明員 通達をどう変えるか、その次に第三次規制の通達が出ておりますし、しかし、そこのところではまだ私は触れていなかったと思います。先生からどの通達をやるという御指摘を受けませんでしたので、いま通達を持っておりません。しかし、通達を上回るものは何かと言えば、告示でございます。告示が出れば、それによってまた施行通達をきっちりするということがありまして、先に通達で変えて告示をやるというやり方は、これは役所ではいたしておりません。
○土井委員 いまの最後の方の御答弁もまたあいまいなんですね。告示というのは、やはりこの五十年十二月四日の通達に従ってお考えになる作業の中で具体的につくられるものじゃないのですか。この通達というのは公害対策基本法に基づいてお出しになっているのでしょう。公害対策基本法を具体的に行政面で行使する場合は、この通達に従って行使するということが義務づけられて現状はあるのじゃないですか。だから、そういう点からすると、私は、この通達に対して、これを見直すとか、これを変更させるとか、この通達を破棄するとかいうふうな意味の内容の新たな通達があってしかるべきだと思っていまお尋ねをしています。いかがです。
○橋本説明員 これは、何次規制とかいろいろな新しい方針が出てきますので、そのときに通達を出します。ですから、いま先生御指摘のありました点は、五十年十二月の一番の時点は、現行環境基準を遵守するということを非常に厳しく打ち出したわけであります。ですから、あの三年間においてはうかうかした手は絶対触れさせないという決意のもとにやったことでございまして、そういうことで、この次にやるときにはもとの通達はこういうぐあいに変わるということは、やはり明白にしなければならないというぐあいに思っております。ただ、国会の質問におきましては、政府委員の責任といたしまして、絶えず九条三項の問題、あるいは出たときには虚心坦懐にそのデータを見て、新しくするかあるいはもとのままであるかということを言ってきたということも、これは御理解をお願いいたしたいと思います。
○土井委員 ただ、しかし、この通達の内容は私は大変大きな意味を持っておると思うのですよ、そうはおっしゃっても。これは中間目標を中間目標値として定めて、いろいろと作業を進めるというかっこうになるわけですからね。したがって、この通達どおりにいまはやっていらっしゃらないかっこうなんですね。そうでしょう。だから、この通達と違うやり方でいまのNO2に対していろいろ基準を考えるという立場で臨まれるのなら、この通達に対して、これを変更するという趣旨の通達がなければならないですよ。五十年十二月四日の通達というのは意味が大きいのです。したがいまして、これは、どれだけどう言われようと、私は、この十二月四日の通達に対して、事情変更を具体的に示した通達か、通達より以上に効力の大きな、具体的にこれを規定している文書がなければならないと思います。こういう手続が得られないのに告示をぽんと出すというのは、私はまことに法治主義の破壊だと思いますよ、大きく言えば。いかがです。
○橋本説明員 これは毎年度、その年度の方針を主管部局長会議をいたしてやっていることと、三次規制が出ればそれでやっていくということであります。五十年のその通達は重大であるとおっしゃいます。確かに重大でございます。これはNOx対策の今後の進め方という構想をがちっと固めまして、そして、それまで幾らどんなところの圧力があろうとも絶対に変えないという覚悟に立ったものでございますから、これはきわめて重大であります。そういうことでわれわれはいままで非常に立場を変えずにやってきたわけであります。そういうその間においてどんな問題が起こってきているか、あるいはどういう考え方に立っているかということは、これは主管部長会議あるいは主管課長会議、あるいは何か発表するとき、あるいは三次規制の場合、すべてこれは地方自治体を招集してやっております。また、今回の場合も、地方自治体をブロック別に招集しまして、いろいろ紙で書いた質問を出して、それに対して紙で書いた答えもいただいて、そしてデスクで回りを囲んだディスカッションをいたしまして、そういうものを通じながら検討を始めてきておるということでございまして、最終的にはっきりするのは、告示が出て、それについての施行通達が出てはっきりする、こういうことでございます。
○土井委員 それはちょっと順序として逆だということを私はさらに申し上げます。これは、現状は中間目標について決めることということが義務づけられているということを忘れてはならない、この通達がある限り。この通達と違った行き方でひとつ新たに基準を考えようということであるならば、新たな通達がどうしても必要ですよ。いまお考えになっていらっしゃる、そして作業を進めていらっしゃるのは中間値ですか、どうなのです。中間値なら結構ですよ。中間目標値というのをお考えになっていらっしゃるというふうにわれわれとしては理解してよろしゅうございますね。
○橋本説明員 九条三項に基づく検討でございます。
○土井委員 この五十年十二月四日の通達も九冬三項に基づく通達でございます。したがいまして、九条三項をいかに具体的に行政サイドで行使していくかということについて、この通達をあだやおろそかに考えられたら困る問題だと私は思います。先ほどから局長もお認めになっていらっしゃるとおり、これ、持っている意味は大きいですよ。これをこのままにしておいて、そして見切り発車で告示を先にやっちゃおう、告示さえ出せばもう何でもかんでもみんないいんだというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。いかがです。
○橋本説明員 方針が途中で変わった場合には一体どうするかという議論を御指摘であろうかと思います。変わったという決断がいつに下ったかという議論もこの場合に起こることであろうと思います。そういうことで、五十年十二月といいますのは、環境庁が非常な決意をした時期でございます。そういうことで、それに従って忠実に行ってさた、これはまた全く間違いございません。そのとおりのスケジュールでほとんど入ってきております。そういうことで、そのときに打ち出した方針を変えているということはございません。ただ、この五十二年三月に九条三項の趣旨にのっとって諮問をするといいますのは、そのときに、それじゃあ九条三項の趣旨にのっとって諮問をするという通達を出すべきであるという先生の御意見であろうかと思いますが、私どもは通常そこまでのことで通達を変えるということはいたしませんで、九条三項の検討を行って、そしてそれに対する結論を得た段階で次の通達を出すということでございまして、あくまでも新しい条件が確定しなければ次にどうするかわかりませんよというような通達を出すということは、普通は私はやらないことであるというふうに思っております。
○土井委員 そうすると、通達についてはお変えにならないのだったら、中間目標値というのをただいまお決めになるということが必要になってまいりますが、それは考えていらっしゃいますね。
○橋本説明員 あくまでも、申しましたように告示の方が上位でございます。
○土井委員 通達に従っていままで作業を進めてこられて、その作業の中で突然違った告示というのがぽんと出るというのは、これは許されるのですか。私は行政行為というものは一貫したものだと思っております。しかも、国会でつくる法律を遵守するという義務が大前提としてある。したがって、この法律の趣旨からしたら、もう誠実にまともに懸命の努力を払ってやっていたのが五十年十二月四日のその段階の通達だと口をきわめて先ほどから局長おっしゃる。ただいま環境庁はそういう努力をどこかに忘れてこられたのですか。
○橋本説明員 全く忘れておりません。この三年間の歩みというものがいかに苦しいものであるかということをよくよく感じております。ですから、そこで九条三項の検討を始めるということに入っております。
○土井委員 その九条三項の検討を始めるとおっしゃるけれども、九条三項に基づいてどうするかという検討でしょう、正確に言うと。九条三項に基づいてどうするかという検討を非常に真摯にやって、五十年の十二月四日の通達となったのじゃないですか。したがいまして、私は繰り返しこれを先ほどから言っているわけでありますけれども、この中間目標値は、それではどうしようというお考えなんですか。この点をひとつ聞かせてください。
○橋本説明員 いま初めて先生の御指摘の意味がわかりました。五十年三月に九条三項の検討をしたことはございません。九条三項の検討は、役所の局長だけの通達でできるようなことでございません。この問題が将来にあるということを頭に置いているわけでございます。そういう意味で九条三項を五十一年白書に書いております。五十年三月に九条三項の検討をしたなどということは一切ございません。そういう立場でございます。
○土井委員 答弁をまだいただいてないです。ただいまの質問に対しての答弁をはっきりお答えいただきます。
○橋本説明員 そういう意味で、五十年の十二月は、この中間目標値の設定のために九条三項をやったものではない。九条三項の問題があるという意識は明らかに持っております。九条三項に基づく検討といいますのは、これは五十二年三月の中公審に対する、九条三項の趣旨にのっとって、この判定条件等について改めて貴会の意見を問うというときに、初めて局長よりも上位の意思表示が示されるというぐあいに解しております。答申が出ることによって、九条三項を次に実施に移すということの問題に、いま最終の検討段階にあるということにあると思っております。
○土井委員 いろいろとこれは手続の上からいっても疑義を後に残しますよ。きょうは時間が大変に制約されていますから、さらに詰めというのは私の別の機会にやります。その告示と通達というものがどういう関係にあるか、通達というものが、事情変更の原則と先ほど言われるけれども、変更されたときにどういう措置を、それに対して行政としては講ずる必要が命じられておるか、これはひとつ問題にしましょう。大変大きなことだと思いますよ。これはきっと後に残ります。
 さらに大事な問題。いま、クライテリア専門委員会は基準とは関係なく作業を行ったということに対して、局長は確認をされました。中公審に諮問しないということを、基準値に対して今回は、どうも告示前に環境庁としてはおやりになってしまいそうな気配であります。これを今後の前例にするということを局長は語っておられるということを私は聞いておりますけれども、それは本当なのかどうなのか。もし本当だとするならば、あとこれに続いてばいじんの問題も恐らく出てくるわけでありますが、ばいじんについても中公審に対しての諮問はしないということになるのかどうか。それならば、一体何のための、だれのための、一体何をやる中公審なのかということになってくるわけでありますが、この点をひとつお尋ねいたします。
○橋本説明員 これは大気部会においての質問の中で、これをどう扱うつもりかということに対しまして、私は、この問題につきましては、政府の責任で九条三項の趣旨を体してこの処理をする、これは行政の責任で決めます。またそれを諮問する考えはないということを明らかにしております。それじゃ、今後そういう問題があるのかという議論でございます。ばいじんを九条三項の検討に基づいて緩めようなんという可能性はさらさらございません。これは明確にしておきます。そういう可能性はもうさらさらないです。それから、このSOxにつきまして、九条三項を考えるというような状況は私は全くないと思っております。これはいままでのデータですべて明らかになってきておるということでございます。それからオキシダントにつきましては、これも全く私は、こういう考え方は、いまNO2と同じような状況はないということであります。また、私の局の行政としまして、騒音につきましては、これは九条三項問題でやるべきものがあると思っております。あると思っておりますが、問題は、これはまた逆でございまして、少し厳しく議論しなければならないということの方の問題でございまして、今度は厳しくするときの問題はあるかもしれないというぐあいに考えております。
 以上でございます。
○土井委員 厳しくするか緩めるかというのは別として、こういう基準を問題にする節、中公審に対して諮問しないなんというのは、これが後にも先にも初めてなんですよ。しかも、これを前例とされるというふうなことになってくると、一体だれのための中公審になってくるのか、一体中公審の作業というのはどういう意味を持つのであるか、基本的なことが問われ始めます。したがいまして、いまの御答弁ではどうも私は納得できない。一体諮問されるのですか、どうなんですか。
○橋本説明員 九条三項の中で最も核心の部分は、定期的に科学的な点検を加えるということでございます。大体そういう問題の起こるのは、緩くしろとか厳しくしろとか、あるいはあれはおかしいじゃないかとか、そういう議論のある問題でございます。ですから、その客観性を保ってどういうぐあいに判断をするかということのキーは、定期的に科学的に点検をしというところでございまして、個々の問題について公正な審議をいただき、その時点での最善な答申をいただくということがキーである。そういうことで、環境基準は政府が設定をするとなっておりますし、そのような責任を逃げずにきちっとやるということ、これが公害行政としての一つの姿であると思います。もちろん新しい環境基準を決めるときには従来どおりの手続をもって決めることを何ら変えるわけではございません。
○土井委員 局長は非常に丁寧な答弁をされるので、余分なことまで言われるから、時間が非常にかかるわけでありますが、新しい基準を設定するというのは、従来の基準を変えることも新しい基準であるという意味においては変わりないのですかね。したがって、どういう基準に対しても、これは中公審に対して諮問なさるということをいまおっしゃったことですね。これは確認させていただきます。
○橋本説明員 私の言い方が少し適切を欠きました。基準を改定するというふうに申し上げます。新しい基準を設定するときには、中公審に対してやるということには何ら変わりはない、こういうことでございます。
○土井委員 基準を改定するということだって、基準そのものが問題にされるという意味においては同じなんです。基準そのものが持つ意味というのは、これは非常に、もう釈迦に説法のたぐいになりますけれども、基本的なことですから、したがって中公審に対して諮問をするというのは原則であろうと私たちは思う。この原則を踏み外して今回公示に持っていかれるということがあってはならないと私たちは思っているのです。しかもそれを前例とされるということになったら、もう何をか言わんやだと思っているのです。したがいまして、再度このことに対して確認をさせていただきたい。もちろん諮問なさいますね。
○橋本説明員 NO2の改定につきまして諮問をするという考え方はございません。
○土井委員 これを前例となさるということについては、そういう考えは毛頭ないとおっしゃいますね。いかがです。
○橋本説明員 これは前例とする考え方は毛頭ないということを私から言い切るのは問題があろうと思います。これは改定のときに政府がこうしてやるのが、これが本当の姿ではないかというぐあいに考えておるということでございまして、そういう問題が将来起こるかというと、ほとんどこれは起こりっこないという問題のように感じておりますが、われわれは、前の答弁のときに申し上げましたように、改定のときにはこの方式でいくということは、庁内でも議論いたしまして統一して整理した考え方でございます。
○土井委員 大抵はこういう方式でいくという、こういう方式というのは、どういう方式なんですか。大事なところは具体的にきちっとおっしゃっていただかないと、抽象論でこういう、ああいうと言われても、よくわからないです。
○橋本説明員 九条三項の核心は、前段の、定期的な科学的な点検ということを公正、冷静にきっちりやる、こういうところでございます。
○土井委員 環境庁長官、先ほどからお聞きになっていらっしゃるわけでありますけれども、山田環境庁長官になって初めてこういう基準値というものを中公審に諮問しないで告示の方に持っていくということが出てきたわけですよ。いままでこんなことなかったのです。初めて出てきた。これが持っている意味というのは非常に大きいのですが、長官としてはこれでいいというふうに考えていらっしゃいますか。いかがです。
○山田国務大臣 先ほど来、九条三項の規定が出ております。九条三項では、その科学的な最新の判断で、それで環境基準の見直しをしなければいかぬ。その最近の科学的判断というのは何かということが、これが判断条件であり、そして指針というものです。したがって、九条第三項によって、その一番もとになる科学的な面、つまり判断条件と指針を諮問したわけなんです。重要な、ほとんど骨格とも言うべきその点を諮問した。したがって、われわれは、これは先ほど判断条件と関係がないというのは、それはそういう意味ではなくて、環境基準の、九条三項に命ぜられておる、その一番骨格のところである科学的な判断というのが、それが判断条件であり、指針である、それをわれわれは何らのほかの政治的な考えを入れないで諮問して、それの判断をわれわれが受けておる、これがほとんどですね。つまりその中核、あるいはそのものと言ってもいい重要な部分をわれわれは諮問しておる、したがって、改めてその他の点について諮問する必要はない、まさに九条三項に求められておるものの重要な部分というものを答申を受けておる、それを踏まえてわれわれは考えよう、これがわれわれの立場であるということでございます。
○土井委員 ある例を示せば、これは、裁判所で被告は判決理由だけは聞かされるけれども判決は受けなかったという裁判なんですよ。裁判官の主なる任務というのは判決を出すことなんです。重要な部分に対しての諮問はしたから、その重要な部分の結果、結論としてここだということは諮問しなくてもいいなんというのは、私は間違いだと思う。重要な部分に対して諮問をなさった。いろいろな意見があって、専門委員会で具体的にこうであるという答申がそれに対しては出ていますけれども、しかしながら、その結論として基準をどう考えるかという諮問なくして、中公審の作業はそれで構いませんと言い切られるのは、私は、ちょっと変わっているなと思います。これは大変な間違いだと思うのです。大事なのは、その基準をどう考えるかというその結論そのものじゃないですか。一番大事な部分に対してどう考えるかということを考えた結果こうなったということを、全部を聞くことがやはり諮問としては大事だろう。一番大事な部分についてはお聞きになったかもしれないけれども、その結果どうなったということをお聞きになっていらっしゃらないいまは段階であります。結論をお聞きになることが必要だろうと私は思うのですけれども、この点はいかがですか。
○山田国務大臣 法の命ずるところは、環境基準はこれは政府が決めるということが法にちゃんと示されておるところであります。そうして、中公審には重要なることについて諮問するというその重要なる、最重要なる部分がつまり判断条件であり、指針である、これが中心部分のあれだとわれわれは考えているわけです。まあその点は、第一回の答申についてもその重要なる部分がどこにあるかということは御理解いただけるんじゃないかと思います。
○土井委員 重要なる部分でありますけれども、最重要なる部分というのはどこかといったら、基準をどう考えるかの問題です。したがいまして、そういう点から言うと、この点は環境庁長官に再考を私はお願いを申し上げたいですね。山田環境庁長官の時代にこれが変わったわけですよ、従来の行き方が。やはり中公審に対してその点の諮問がどうしてもこの節、世上、国民から考えても大切な、NO2に対しての基準をどうするかという問題なんですから、やはりお考えになってしかるべきである、このように思います。再度御答弁をお伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 われわれは、先ほど申し上げましたように、中公審にはこの環境問題に対する重要なることは諮問する。それは答申どおりにやれとは書いてありません。しかしながら、重要なる部分を諮問して、そして、それによって命ぜられている政府が決定するという点を決定する。これは、本当にわれわれは法に忠実に行動しているものだ、こういうふうに考えているわけでありまして、何も大事な部分で中公審をオミットしようなんていうことはちっとも考えているわけじゃない。事実、答申の後にも環境基準問題についてはこの専門部会にそれぞれ十分いろいろ諮って、御意見も聞いておるということはやっております。しかしながら、それそのものをやらなければそれが違反であるということには、私は、法に照らして考えてはいない、こういう立場であるということをどうか御理解いただきたいと思います。
○土井委員 あと一問でこのNO2の問題については、もう時間が過ぎておりますから、終えたいと思いますが、これは非常に大事な問題なんですが、今後NOxの総量規制をどういうふうな予定でお進めになるかという問題です。その際、環境基準というものが計画の前提となるわけでありますから、いまのこのちまたに問題にされております基準値が緩和される方向で告示がされますと、全国にある重要工業地帯では総量規制の必要がなくなってくるわけであります。重要工業地帯は総量規制の対象からお外しになるという御予定で作業をお進めになっていらっしゃるわけですか。いかがです。
○橋本説明員 そのような前提で作業をしているなんということは毛頭ございません。それだけはまずはっきり申し上げておきます。それから、どういうことになるかということですが、はなはだしく汚れたところに対して地域を指定をして総量規制をかけるということでございまして、たとえば幅で考えると〇・〇六を超えたところで、これは普通の規制じゃどうもおさまらぬというところは当然総量規制になってくるというぐあいにお考えいただければ結構でございます。
 それからもう一つは、そのような場合に地域を決める場合に相当いろいろな広域的な配慮も加えながらこれに対応していくという考え方も持っているということでございます。どういうぐあいにこれを進めていくかということでございますが、NOxの総量規制は、SOxと違いまして、移動と固定と両方入ってまいりますし、非常にむずかしい問題がいろいろ入ってまいります。そういうことで、今年度なるべく早く地域指定に着手をいたしまして、また今年度いろいろなマニュアルをつくります。そうしますと、来年度その調査に入るわけでございます。来年度調査に入りまして、それをいろいろまとめて整理をして、そうすると、五十四年度いっぱいかかるわけであります。次に五十五年度に今度はそれを基準に直していくということをしなければなりません。そのときに現在の第三次規制のフルの効果が出てくるといいますのが、これが大体五十五年の春過ぎでございます。そうしますと、基準をはっきり決定できるのは恐らく五十五年度末かそこらになるのではないかということでございます。そうすると、それに対して猶予期間をたとえば五十六年度の中ごろになりますか、どこになりますか、そこからかなり猶予期間をもって、そのかわりばいじんやいろいろなものを一緒にきちっと抑え込んでしまうということをやろうというぐあいに考えておるわけでございまして、東京、大阪等の一番汚れているところを――一番汚れている地点でございます。地域ではございません。一番汚れている地点を間違いなく〇・〇六以下にしようという前提でやっていくというのは、これは相当な議論になってくることはもう明白でございます。そういうような考え方で総量規制というのはかなり時間がかかりますが、それまでにやるべきことは四次規制としてまたやっていく面があるというようなことでこれを処理をいたしていこうというぐあいに考えておるわけでございます。
○土井委員 もう時間が経過しましたので、私、きょうの質問はこれで一応打ち切らなければなりません。ただしかし、いまマニュアルの問題などについても、局長からの御答弁の中に出てまいりましたけれども、実は告示を出すのが先である、それからの作業はそれからだというふうな態度でこの問題に対処なさるということは、私は逆立ちのありさまだと思って見ているわけであります。まことに厳しい〇・〇二という基準ではありますけれども、この目標に対して達成できないということはない。現に私は、きょうは手元に、それは大変大部のものでありますから持ってくることをいたしませんでしたけれども、四十九年四月版で業界から出ておりますNO2に対してのパンフの中にも、達成については見通しは明るいというふうな中身が現にはっきり書かれているわけであります。
 さらにこの移動発生源である自動車などの対策についても打つ手が十分に打たれてない。それぞれの自動車に対して排ガス規制をやることで十分だなんというのは、とてもこれは十分ではないわけでありますから、打つ手をまず打って努力をした上で、どうしてもこれは厳しいということが初めて出てくるわけでありまして、厳しいか厳しくないかということは、十分なる努力を払った上で言えることであります。現にその点で、まだまだ努力の払い方がある。この点に手をこまねいておいて、厳しいから基準値を緩めようというのは、先ほど私が申しましたように、逆立ちをするさまだと言わなければなりません。
 いま御答弁の中に出てきたマニュアルの問題を次回取り上げて私は問題にしたいと思います。移動発生源である自動車の問題もあります。これに対する対処の仕方は、一つは立法を用意しなければならないという側面も出てこようかと思います。しかし、現行法の中で行政措置としてできる部面もございます。私は、これをひとつ提唱したり質問をしたり、ぜひさせていただきたい。
 きょうは、林野庁わざわざここに御出席でございますが、時間のかげんでついに私は質問をすることができません。大変申しわけないと思います。しかし、これも次回の質問の機会に譲りたい。したがって、できたら今月中にもう一度NO2について質問の機会を改めて設けていただくことを委員長に要求をして、私の質問の続行の要求を出してきょうは打ち切りたいと思いますが、委員長お計らいをお願いします。
○久保委員長 ただいまの御要望につきましては、別途また相談をしてみたいと思います。
○土井委員 ありがとうございました。
 終わります。
○久保委員長 次に、古寺宏君。
○古寺委員 非常に切歩的な質問でございますが、環境庁は環境基準というものについてどういうようにお考えになっておりますか。
○橋本説明員 環境基準につきましては、公害対策基本法の九条に示されておりますとおり「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」ということでございまして、そういうぐあいに理解しております。
○古寺委員 公害対策基本法の第二章の第一節に「環境基準」というところがございますが、環境庁長官は環境基準というものを重要事項というふうにお考えになっておりますか。
○山田国務大臣 環境基準を重要事項と思うかという御質問でございますが、環境基準はとにかくわれわれの生活環境というものを維持していく上の基準ですから、これは無論重要事項であることは間違いありません。しかしながら、次にお聞きになろうということかと思いますが、環境基準というものの中で、では一体何が重要事項かということは、またおのずからそこにあろうかと思います。
○古寺委員 環境基準の中で、先ほどからお話ございましたいわゆる科学的な知見、科学的な判断、これは重要事項でございますね。しかし、公害の基本的な施策の中で環境基準というものが重要事項であるということは、これは国民がひとしく認めておるところでございますね。どうですか、長官。
○山田国務大臣 環境基準は無論その意味の重要なことだと思います。ただ、繰り返して申しますけれども、環境基準を決める上においての重要な事項は一体何であるかということになれば、それは審議会等に諮らなければならない重要事項については、われわれはそれなりの見解を持っているわけであります。
○古寺委員 そうしますと、いままでは環境基準を決める場合には、改定する場合においても、中公審に諮問をして環境基準を決めてまいりましたね。今回のこのNO2に関してはなぜ諮問をしなくてもよろしいというふうにお考えですか。これは長官に。
○山田国務大臣 環境基準の中で九条三項に言う「科学的判断」、判断条件と指針、これが基準の中の最も重要なものである、こういうたてまえで、したがって、第九条第三項によってその部分を諮問いたしたわけでございます。したがって、環境基準における最も重要な部分を諮問しているので、その諮問に応じて得た答申に対してわれわれは別にその答申どおりにやらなければならぬと書いてあるわけではありませんけれども、法によってわれわれがその環境基準を決めるに当たっては、この答申というものを十二分に尊重してやろうという態度で臨もうということは繰り返し申し上げているとおりでございまして、したがって、われわれが審議会を最も尊重した態度において臨もうとしておるのだということについて、十二分の御理解をいただきたいと思います。
○古寺委員 いままでの環境庁長官は、公害対策の重要事項として、この環境基準というものを中公審に諮問をしてまいりました。ところが、今度、山田環境庁長官の場合は、環境基準はクライテリアあるいはガイドが出たので諮問をしなくてもよろしい、こういうふうにいま解釈をして進めていらっしゃるように私、受け取れるのでございますけれども、その問題は別におきまして、環境基準というものは公害防止に関する重要事項であるというふうにおとりになりませんか。
○山田国務大臣 先ほどから局長が申し上げていますように、新しい環境基準をつくるという場合にはこれをかけていく方針でまいりたいと考えています。ただし、改定のときには、この環境基準の最も科学的な部分、条件及び知見というものの答申を得てそれによってやっていくべきことが至当である、こう考えておるわれわれの態度を先ほど来申し上げている次第でございます。
○古寺委員 なぜ長官はいままでの慣例を破ってそういう考え方にお立ちになるのですか。いままでの長官は、すべて中公審に諮問をして、答申をいただいて、環境基準を決めたりあるいは改定をしてきたわけです。それをなぜ山田長官だけがそういう新しいアイデアと申しますか、いままでの慣例を破ってそういう新しい考え方に立つのか、その点を承りたいと思います。
○山田国務大臣 五十二年の三月に前長官が諮問されたわけですけれども、そういう趣旨によって諮問されたとわれわれは了解しております。
○古寺委員 よく内容がわからないのですが、もっと具体的に。
○橋本説明員 いま大臣のお答えになりましたところは、五十二年の三月二十八日に石原前環境庁長官から審議会会長あてに「二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等について」の諮問がございました。環境基準にかかわる「公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、」ということでございますが、「二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等について、同法第二十七条第二項第二号の規定に基づきあらためて貴会の意見を問う。」こうなっておりまして、九条三項の趣旨に基づいて諮問をいたしたのはこれが最初でございます。
 九条三項の中で環境基準改定議論のありますものは、これはいろんな圧力の議論やいろいろあるやつでございまして、その中で最も核心的なところは何か、これは定期的、科学的に点検しということでございまして、九条三項問題はむずかしいとか、できないとか、あるいは圧力があるからということで一切これをいじるべきことではないということに立って、その核心のポイントを諮問されるということで、その後のこの基準をどういうぐあいにするかという決断については、これは政府の責任でいたしますということでいたしたわけでございます。
○古寺委員 この「二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等について」の答申は、あくまでも専門委員会の答申の中身でございますね。これは中公審の答申というふうに考えるわけでございますか。
○橋本説明員 中公審への諮問に対する中公審の答申でございます。
○古寺委員 そうしますと、中公審ではこの専門委員会の報告書をどのように取り扱っておりますか。
○橋本説明員 中公審では、まず一番の議論は、専門委員会の報告書を受け取るか受け取らないかということの判断の自由は、まず第一義的に大気部会にあるわけでございます。ですから、大気部会は差し戻しをしようと思えばできることになるわけでございます。そういうことで、一番キーのところは科学的な判断というところにございまして、これはいろんな論争のある中で科学的判断だけは唯一の九条三項のキーポイントでございますから、出していただいたものを大気部会では専門委員長から報告があり、それに対して質疑応答をいろいろやられ、これはいろいろな角度から御議論をされるわけであります。これは経緯がどうかとか、この点はどうかとかいろいろな御議論があって、その上で、これなら科学的な点検として適当だ、了承できるということで、この答申文にもありましたように「本審議会は、これを審議した結果、内容を了承したので答申する。」、九条三項にのっとりというのがございましたから、「政府においては、この報告を参考とし、現在の二酸化窒素に係る環境基準について、公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、適切な検討を加えられたい。」ということの、これは九条三項にのっとりという趣旨の前文がございます。また、それに対して今後行政は一体どうするつもりであるかという御質問があって、行政がそれに対して答えましたことを基調にして、それではこういうことでこの答申を処理しようということでお決めになったわけでございます。
○古寺委員 このいまの「公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、適切な検討を加えられたい。」という前文につきましては、これは環境庁がつくった文章だというじゃないですか。これは中公審でこういうことを皆さんで合意なさったのですか。
○橋本説明員 これは役所の通例といたしまして、審議会の最終の答申文章というのは草案を役所がつくって、そしてそれを審議会の場所で朗読をいたして、これがノーというときには訂正が入ります。そういうことで草案を皆さんに全部書いた形で配付いたしました。これは九条三項にのっとりという趣旨があるので、言い方によれば、必要な改定を行えというような、それでもいいわけですが、そういうことは全然なしに、この「適切な検討を加えられたい。」ということで審議会の大気部会の全員の合意で決まったことでございますから、これは環境庁の草案で環境庁が勝手にやったものでは毛頭ございません、審議会の答申でございます。
○古寺委員 そこで、いままでの橋本局長あるいは環境庁長官の御答弁によりますと、いわゆる中公審に対して諮問しているのは環境基準ではなくしてあくまでもクライテリアの問題、指針値の問題について諮問をしたのであるということを盛んに強調しているわけですね。そういういままでの経緯からするならば、この文章の解釈といたしましては、中公審はクライテリアの専門委員会の報告については一応これを了承する、しかし、これに基づいてこの環境基準については適切な検討を加えられたい、このような意味に解釈してこの中公審の答申というものが出てきた、私はこういうふうに解釈をしているわけですが、どうですか、長官。
○山田国務大臣 われわれは法律に従って行動するわけでございまして、九条三項に書いてあるとおりの法の規定によりましてわれわれはこれに応じて対処しているわけでございます。
○古寺委員 そこで、九条三項に基づいて、法の命ずるところに従って適切な検討を加えるということは、このクライテリアに基づいて、出てきた答申によって中公審に対して新しい環境基準というものを諮問しなさい、こういうふうに中公審がここで強調されているというふうに私は考えるのです。それを逆に全然もう中公審に諮問する必要はないのだ、もう諮問の手続は終わったに等しいのだ、こういうような答弁をなさっておるわけです。しかしそれは全く違うわけです。あくまでも専門的な立場でクライテリアまた指針値の問題については専門委員会は報告書を出しておりますけれども、環境基準については何ら検討もしていないし、そういう目的でこの専門委員会というものはつくられていないじゃありませんか。そういう答弁をいままでなさっているわけでしょう。したがって、この報告に基づいて中公審に対して環境基準というものをきちっと諮問をして、新しく改定をするかいままでの基準値でよろしいか、こういうことを検討してもらうということが、これは長官として当然やらなければならないことじゃありませんか。あなたは先ほどから、法の命ずるところに従って、九条三項に基づいて、こういうことを強調していらっしゃるけれども、九条三項に基づいておやりになるならば、そういう手続というものをきちっと踏まなければならぬじゃないですか。なぜそういう手続をなさらないのですか。
○山田国務大臣 繰り返しになって非常に恐縮でございますけれども、九条三項によりまして、環境基準というのはわれわれの責任においてこれを決めなければならないわけです。そしてこれを決めるに当たって、この中公審は、環境に関する重要な事項は先ほど申し上げましたように九条第三項の規定によって、その重要事項として判断条件を諮問するということをはっきり申し上げて、そうして中公審がその諮問に応じて答申をしていただいた、その答申にわれわれがのっとって今度は九条三項でこれを決める、こういう立場にあるのがわれわれの立場である、そういう了解においてわれわれが行動しようとしているわけでございまして、その点はひとつよく御理解いただきたいと思います。
○橋本説明員 当時の情勢を若干補足して御説明いたしたいと思います。
 その点は審議会の委員がやはりよく注意をしておられまして、これが提案されることによって、いろいろ条件が違う、そういうことで環境基準に影響が及んで変えることになりかねないのじゃないか、緩めたらいいという議論もあるけれども、あるいは防止計画の問題もある、自治体もこの問題については非常に気にしている、これから一体どうするつもりだという御質問がありまして、そこで、局長といたしましてこれをいただいて、九条三項に基づく検討をいたします。また達成の方途も検討いたします。そしてまた大気部会にもいろいろ経過も御報告して、御意見も伺って最終の整理をいたします。その問題について二、三回程度開いて御意見を伺いたい、しかし、環境基準そのものについて諮問するという考え方はございませんということを明確に申し上げて、そうしてその草案を朗読をして、そこで決定されたというものでございまして、決してそのような状況のあることを環境庁があいまいに隠して、そこで審議会の委員がそういうぐあいに決定されたというものでは毛頭ございません。
○古寺委員 そうしますと、環境基準に対しては中公審は調査あるいは審議ということは全く今回はやらぬわけですね。このクライテリアに基づいて重要事項である環境基準についての調査審議、そういうものを中公審はおやりにならないわけですね。
○橋本説明員 精密に申し上げますと、諮問に基づいて調査審議はおやりになりませんが、諮問ではございませんで、大気部会でいろいろな資料や考え方を御説明いたして、それに対して調査審議の御意見をおっしゃるということはございます。また、審議会の自主性として意見を申し述べることができるという形になっております。これは審議会のお考えでございます。
○古寺委員 意見を述べる、あるいは説明を聞く、これは調査審議になりますか。どうですか、長官。
○山田国務大臣 意見を承る、これも調査審議ということの広い意味ではその一部になり得ることかと私は思います。
○古寺委員 広い意味でということは、これは不十分でございましょう。公害の対策においては非常に重要な事項である環境基準という問題について、中公審に諮問して調査審議をしていただくということが長官として当然踏まなければならない手続なんですよ。それは私がここで申し上げるだけじゃなくて、新聞報道をごらんになってもあるいは各地方自治体の公害に関係のある方々のお話を承っても、国民の大部分も、なぜ今回に限ってこの環境基準の問題を諮問しないのか、そういう手続を踏まぬのかという疑惑の目でみんな見ているのです。なぜそういう手続をせっかちにお省きになるのか、その辺の理解ができないのです。きちっとした手続を踏んで、そして国民が納得する線で新しい環境基準を決める、こういう手続をなぜお踏みにならないのか、そこが理解できないのですよ。
○橋本説明員 調査審議になるかということにつきましては基本的に大臣の御答弁のとおりでございますが、第二十五条の「設置及び所掌事務」の中に「前号に掲げるもののほか、公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策の企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。」というのがございます。諮問に応じた調査審議ではございませんが、この機能を果たしておられるということは間違いのないところでございまして、その二十七条の二項の第一号の諮問に応じ調査審議するには当たらないということでございます。
 なお、手続につきましては一切法的な誤りはございません。
○古寺委員 そうしますと、重要事項であるということはお認めになりました。それから諮問した形にはならぬというふうに今度なりましたですね。中公審に、環境基準に関しては諮問したのではないというふうになりましたですね。そう理解していいですか。
○橋本説明員 九条三項の趣旨にのっとり、ということでございまして、九条三項は「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」ということで、「第一項の基準」は九条一項の「政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」のその第一項の基準でございます。
 ですから、九条三項はあくまでも環境基準という問題がありますが、その中で最も中核になる、核心の部分は「常に適切な科学的判断が加えられ、」という。ハートでありまして、論争の最もある場所はそこだということでございます。
○古寺委員 そこで、一つ、重要事項であるという点もお認めになりました。環境基準は中公審に諮問してないということも、これははっきりお認めになりましたですね。ただし、その科学的な判断を下すためのいわゆるクライテリアなりあるいはガイドについては、これは一応中公審の答申を得ている、こういうふうに私は理解したのですが、どうですか。
○橋本説明員 環境庁が窒素酸化物に係る判定条件等について問うということだけならそうでございます。そのような諮問ではございません。あくまでも九条三項の趣旨にのっとりということでございまして、九条三項が全体にかかっておる、こういうことでございます。
○古寺委員 そこで、このクライテリアの指針値には六つのレベルがあります。その第三のレベルをおとりになっているわけですね、指針値は。どうですか。
○橋本説明員 指針値は第三のレベルを避けるということで、第一、第二のレベルの議論をしておられるわけでございます。第三は、「観察された影響の可逆性が明らかでないか、あるいは生体の恒常性の保持の破綻、疾病への発展について明らかでない段階」。これはどこにくるかと言いますと、これは鈴木先生が参議院でお話しになった、これは一番キーをついておられますが、十四の重要な知見がございまして、ここの中で第十番目のものがございます。「我が国の小学生を対象とし、末梢気道の肺機能の変化に着目した疫学的研究によれば、二酸化窒素の年平均値〇・〇四ppm程度の都市において各調査日の特定の時間帯の二酸化窒素濃度(〇・〇二ppm〜〇・二九ppm)と一部の感受性の高いと思われる者の肺機能に個人正常調節機能範囲で相関が見い出される。」というのがございます。これは鈴木先生の参議院の御答弁は三の一つ手前であるということでございます。
 そういうことで、ここで健康を保持できるとおっしゃっているのは無影響レベルをおっしゃっておられるわけではございません。確かに影響はあるレベルでございます。影響はあるレベルでございますが、第一、第二というレベルを置いておられるわけでありまして、もしも第三のレベルをとったということですと、年平均〇・〇四になるということとわれわれは解しております。
○古寺委員 そうしますと、この現在のクライテリア、指針値というものは、六つの段階のレベルの中のいわゆる第三のレベルじゃなくて、第二のレベルからをとった、こういうふうになるわけでございますか。
○橋本説明員 第二のレベルをおとりになったという論拠のところは答申の十六ページにございます。「本専門委員会は、地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけでは十分ではないと考え、更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りについても留意した。」ということをおっしゃっておられます。そういうことで、第二のレベルをおとりになったというぐあいに私どもは解しております。これは参議院における鈴木先生のお答えの中に初めて明らかになってきておるというぐあいに私は解しております。
○古寺委員 そうしますと、このいわゆるクライテリア、指針値というものは環境基準を前提とした指針値ではなくして、あくまでもクライテリアに関する指針値でございますね。
○橋本説明員 クライテリアの一番のキーは、十四項目に示されております。十四項目に示されておりますことから、最終的に指針値というのは、それ全部を判断されまして、「指針の提案」というのがございまして、
  以上の動物実験、人の志願者における研究、疫学的研究などの成果を総合的に判断し、本専門委員会は、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮し、環境大気中の二酸化窒素濃度の指針として、次の値を参考とし得ると考えた。
  短期暴露については一時間暴露として〇・一〜〇・二ppm
  長期暴露については、種々の汚染物質を含む大気汚染の条件下において、二酸化窒素を大気汚染の指標として着目した場合、年平均値として〇・〇二〜〇・〇三ppm
これは、あくまでも指針でございます。ですから、同じ数字が基準になるか違う数字が基準になるか、これはいずれの選択もあるわけでございますが、これが同じ数字が基準になったとしても、指針で言われているときと基準として決定されたときの数字が同じであっても、数字の性格は、基準で言っている場合と指針で言っている場合と違う、こういうことでございます。
○古寺委員 そうしますと、WHOが言っているところの三つのレベルと、それからクライテリアの指針値とでは、どこのレベルで分けていることになりますか。
○橋本説明員 WHOの言っていますレベルは、死亡と疾病と、疾病が起こりそうな生理学的徴候と、意味のはっきりしない医学的その他の知見ということでございまして、生体負荷でございます。これは正確に申しますと、意味のはっきりしない生理学的その他の変化と若干生体負荷にかかってきているのではないかというぐあいに考えております。これは、WHOの七二年の専門委員会報告に入っておりますが、この原典は、アメリカの国会に提出したEPAの資料をそのまま引いたものであるということでございまして、WHOよりもさらに慎重に、さらに細かく議論された結果が日本の専門委員会の報告であるということでございます。
○古寺委員 そうしますと、九条三項で言っているところの環境基準の数値と、このクライテリアが指針値として出している数値とでは、これはおのずから内容が違いますね。
○橋本説明員 法的性格が違うということで違うということならば、おっしゃるとおりでございます。
○古寺委員 そうしますと、このクライテリアの指針値というのは、望ましい基準値ではないわけですね。
○橋本説明員 そこに、何が望ましいか望ましくないかということが決まるわけでございます。そこは政府が決めるということになっておりまして、これは、人によって望ましいか望ましくないかという尺度がいろいろあるわけでございます。これは、環境行政としては総合政策でございます。あとの達成も総合政策をとります。そういう判断がどうしても中に要ることは、健康保護だけは絶対的な要請でございますから、先ほど読みましたように「本専門委員会は、地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけでは十分ではないと考え」と、この考え方は、従来よりも一歩進んだ、よいレベルを目指しております。「更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りについても留意した。」ということで、微細な、先ほどの年平均〇・〇四に至るまでチェックしておる。そうすると、そのレベルは疾病そのものではありません。機能低下レベルでもございません、生理的な範囲内ということでございますから。あれがもし機能低下レベルとしてあれば、これは議論が起こります。機能低下レベルではございません。わざわざ正常の範囲内、こういうぐあいにうたっております。そうしますと、あそこで言っておることは、これは正常な健康の範囲内ということでございます。ですから、その正常な健康の範囲内じゃ自分たちは満足しないんだ、それよりも猛烈によくして、何の問題もない、すばらしいユートピアみたいな健康を考えて、そうでなければ「望ましい」にはならないという尺度の方もございますし、「望ましい」という数字じゃないか、健康は絶対大丈夫だ、しかも正常な健康は保てる、その上でいかに生活環境をよりよくしていくかということはどこまでいけるかということの判断が、九条の「望ましい基準」ということで示されておるところでございます。そういう意味で、望ましいか望ましくないかということは自然科学の一部門のみの観望によってできることではないというぐあいに考えております。
○古寺委員 そうしますと、この答申をお読みになってもわかりますし、それから先日の西村参考人のいろいろな御意見によりましても、疫学調査の問題があるわけです。疫学調査のデータがまだ非常に不十分なんですね。そういう不十分なデータに基づいて出されたこの指針値をそのまま望ましい環境基準として、この指針値イコール環境基準というようなとり方は、これはこの法律で規定している九条三項の精神を無視するものだ、十分なデータに基づいて、そしてきちんとした指針値によってさらに環境基準というものは中公審で審議をしていただいて、そして望ましい基準というものをつくってこそ初めて国民の健康というものは保護され、環境が保全されるんです。ところが、いまのやり方を見ておりますと、これは非常に危険な進め方であるというふうにしかとられない。そういう点について、私は環境庁長官に、この問題は、やはり慎重を期する意味においても、また国民の合意を得られる立場からも、もう一度このクライテリアに基づいて、報告書に基づいて、中公審に諮問をして、そしてきちっとした環境基準というものを答申していただくことが一番いい方法じゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
○橋本説明員 長官への御質問でございますので最初に長官がお答えいたしますが、先ほどの問題のところにお触れになったところがございますので、その点を若干前もって御説明をさせていただきます。
 これは不十分であるという御指摘がございました。この不十分であるということで、産業界は、悪い確証がないからもっと緩くしろという議論をお持ちであります。また一方は、もっと厳しくしろという議論をお持ちであります。そのときに、それじゃ今度のとり方が一体そんな緩いやり方を考えたのかということを考えてみる必要があると思います。これは、アメリカにおきましては、疫学をとると非常に鋭敏になってくるというので、疫学の関係の人が非常に苦しい目に遭い出したというお話に関連して、えんきょくに言われましたが、前回の前田教授の、四十九年にEPAの人が首になったというのはその話であります。これは、もしもNO2の環境基準がアメリカで変わることがあれば、自動車の規制からあらゆるものに及びます。そういうことで、アメリカは疫学に対する態度を変えたとわれわれは思っております。非常にクリニカルなサイドから入ってきております。それでなかなか進みません。そういう意味でアメリカは、年平均〇・〇五三でもまだ決定的に慢性気管支炎をふやす証拠はないという言い切りを、七七年夏のナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスのレポートの中に明確にいたしております。彼らの主張は、年平均〇・一なら急性疾患はふえるだろう、それに対して二分の一のセーフティーを持っているというのが彼らのとり方であります。また、短期暴露におきましても、オーレックのレポートでありますが、ぜんそく患者のテストに対する日本が採用したレポートに対して、アメリカはこれを棄却しております。しかし日本は、少しでも手がかりになるものは、しかも、学界的には意味がある、全体に対してはいろいろ議論があるが学界的に意味があるというものは最大限に取り上げておるということでございまして、この点はアメリカと非常に違うということでございます。しかも、取り上げるだけならば、WHOのレポートが取り上げております。WHOは、文献としては採用しております。しかしながら、WHOは判断を下しておりません。日本はこれを判断にまで持ち込んだわけであります。しかも、判断に持ち込む過程において、いろいろな弱みのある疫学データではございますが、弱みは弱みとしてはっきり認識しながら、どの程度まで問題を言えるのかということを学者的良心でおっしゃっているので不確定性があるわけでございます。そういう立場で非常に慎重に入られまして、そしてこの数字を〇・〇二から〇・〇三の幅と、いまの確度ならこの程度しか言えないということでおっしゃっておられて、しかもその基本のフィロソフィーは、先ほどこの答申で読み上げましたような非常に進んだ立場で考えておられるという点は正しく御理解をお願いいたしたい。国際的な場所ではもっと死亡とか病気とか明らかな機能低下を問題にしていたします。けれども日本では、それだけではだめだということで入ったということで、決して悪い水準をおとりになってはおられない、またそのような趣旨のことを鈴木専門委員長も大気部会の報告の中において言及しておられるということを一言つけ加えさせていただきます。
○山田国務大臣 いま御説明のとおりでございまして、われわれとしては中公審の答申の、高い確率において健康を損なうことのない、その健康の幅というものを謙虚に受け入れて、そしてこれに対処していきたい、こういうことで臨んでおりまするので、健康というものは常に最大の考慮で進みたいというわれわれの立場を、どうかひとつ御理解いただきたいと思います。
○古寺委員 それから、わが国の一日平均値のとり方は、九八%最大値が〇・〇二ppmというふうになっているわけですね。アメリカの基準値は九九・九%最大値ということをとっておりますね。そうしますと、現在の〇・〇二ppmをもってアメリカのこの基準値と換算してみますというと、大体一・五、六倍ということになりますね。そうしますと、今回環境庁がおっしゃっている新しい環境基準というものは、アメリカよりも緩い環境基準になる、そういう可能性があるのですよ。どうですか。
○橋本説明員 さような可能性は全くございません。これは明確に申し上げます。
 今回専門委員会が、一時間値を述べた場合にパーセンタイルを述べておりません。これはパーセンタイルを述べれば、英語で言えばガイドがガイドラインに変わる、そのものがストレートに基準に入ってくるということで、先生方はその。パーセンタイルを外されたわけです。そこのパートは次の、これは実際上の管理判断に入っているわけでございます。ここの部分は、たとえば〇・一から〇・二ppmということを一体どれくらいな程度に一日平均値九八%値で満足尽くされるかといいますと、〇・一ppmは大体〇・〇四、正確に言えば〇・〇三七程度の九八%値でこれを平均的に満足尽くされます。非常に動きますが、われわれは平均的に満足尽くされると踏んで白書にもこういう紹介をいたしております。〇・二ppmにつきましては、これは九八%で計算しますと〇・〇八になります。これは、恐らく産業界が〇八と言っているのはそこをついてきているのではないかという感じもいたします。けれども、これは〇・〇三という条件に合う九八%の〇・〇六から見たら悪くなるということでございまして、〇・〇八よりもさらに低い〇・〇六という数字を長期平均の方に合わせてとってきております。そういうことでアメリカの長期平均は年平均〇・〇五でございます。これは幾らザルツマンの係数が変わりましても――日本の方がザルツマンの係数が変わりますと、今度アメリカと日本がはっきりと同じ数字で比べられる状態になります。その点におきまして、この次に数字が出てきますと、たとえば日本の指針の〇・〇二、〇・〇三が〇・〇五に対してどれくらいの大きさかと、こういうぐあいにごらんになりましたら、日本とアメリカの比較はできるということでございます。アメリカの九九・九%は現在の一時間値の議論の最中に言われていることであります。〇・〇四と〇・〇六をとりますと〇・二の九九・九%パーセンタイルは満足されるというぐあいに考えております。
○古寺委員 時間がないので局長とやりとりしても困るのですが、もちろん日米の分析法には相違がございますよ。しかし、これを測定法による修正を加えて計算した場合に、アメリカの環境基準の年平均の〇・〇五Pppmを修正してまいりますと〇・〇一一になるのですね。それで一日平均に直しますと〇・〇三一、日本との一日平均の対比でいきますと、日本が〇・〇二ppm、現在の基準値でもって一・五倍ということになる。これを、今回の環境庁の緩和の方向の数値をいろいろお聞きしますと、現在の〇・〇二が仮に〇・〇四になれば、これは倍でございますよ。そうしますと、現在でアメリカの一・五倍なんですから、これが日本の環境基準値が二倍に緩和された場合にはアメリカの環境基準よりも緩和されたということになるわけです。
 これはいまここで論争しても、ちょっと時間がないですから、それはとどめおいて、そこで、もし環境基準が改定されて緩和された場合には、地方自治体で非常に混乱が起きる、こういうふうに言われておりますが、どういう混乱が起きるというふうにお考えですか。
○橋本説明員 先ほどの数字につきましては、改めてまた先生と御相談さしていただきたいと思います。どこか私ども腑に落ちないところがございます。
 地方自治体の問題は、これは環境庁としまして最も責任のあるところだと思います。裏切りとかいろいろな批判を受けます。私は非常に心苦しい思いですが、これはやはり批判するのがもっともと思います。環境庁が告示を決めたからこういうことになったわけです。これは私どものところの責任であると思います。
 一番の混乱が起こるのは何かといいますと、第一は公害防止協定であろうと思います。これは一番の問題であろうと思います。公害防止協定の中に〇・〇二というのを引いておられるということであります。それから公害防止協定の中には〇・〇四と引いておるのがあります。これは〇・〇四はいじられる必要はあるかないかということは議論の余地はありましょうが、少なくとも〇・〇二はいじるという議論は当然に起こるだろうと思います。しかし、環境庁としては、企業と自治体とか自主的に紳士協定で満足しているものとして法的に介入する手段はございません。法的に介入する手段はございませんが、なぜ〇・〇二という数子を引っぱってきたかといいますと、環境庁がそもそも告示を決めて打ち出したというところに基本があるわけでございまして、その問題につきましては環境庁としましては、これは地方自治体に率直に頭を下げて、告示を決めてこうなって、また今度はこういうぐあいに変えなければならない、この点につきましてはいままで努力をしていただいて非常にわれわれは感謝する、御苦労をいただいた、しかしながらこの点でこれだけ議論してみるとこうだということは率直に地方自治体に申し上げる決意でございます。
 それから、その次の問題が条例でございます。条例で環境基準そのものをストレートに決めておられるところはほとんど皆無でございます。上乗せ条例そのものは法律に認められておるわけでございます。ですから、どのような議論があるか、これはわれわれ十分つまびらかにいたしておりません。ただ上乗せ条例等、今後やっていく場合に、やはり合理的な進め方をしなければならないということで、私どもはやはりこれにつきましては責任のある相談に乗って指導していかなければなるまい、こういうように思います。
 それから、最も国に直接関係のある具体的な問題は公害防止計画でございます。ことしの春に改定をいたしております。これは中で非常に苦しんで議論いたしました。改定するときに一体落とすか落とさないか、初めから落とすと、もう最初から変えることを前提としておる、それじゃまずい、やはりあくまでも告示の数字が変わった日まではもとの基準が生きておるということでございます。そういうことでいきますとやはり触れるべきではないということで、これはそのままいっております。これは変えなければ――この方は公害対策基本法に基づいて行われる公害防止計画でございますし、この方は改定問題を生じます。この方は公害対策基本法のベースに乗った問題になります。これをいじるのは相当、六十年までの伸びはどうであるとか、いまの操業ダウンがどうなっているとか、あるいは固定と移動の関係はどうだというようなことを詰めなければならない。その詰め方について、われわれは自治体に対してできるだけいろいろ事情も聞かしていただき、われわれの技術指導的なものもいたしまして、その混乱を最小限にいたしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○古寺委員 同じことをぐるぐるやっているわけでございますけれども、先日の中井先生の質問に対して橋本局長が「技術の進歩に伴ってナショナルミニマムとしての規制がどう進むかということで、何もしないで基準以下だからほうっておくというような考え方ではないが、基準以下でも厳しいところと全く同じにガチャンとやるんだという考え方でもない。その辺はやはり、その地域の社会的な特殊性で自治体がどういうぐあいに考えるかということもありましょうが、国の基準が出れば、やはりその国の基準ということをキーとして対応していく。」、「行政指導でどういうぐあいにするかという問題は、きわめて大事なところだと思います。」、こういうふうにこの前お答えになっているわけでございますが、環境基準を緩和した場合に、このことは具体的にどういうことをおっしゃっておられるのか、また未規制の対象施設に対する排出規制というものは今後どういうふうに行うのか、また全国一律の規制強化というものはなかなかむずかしくなるのではないか、こういうことが考えられるのですが、この点について御答弁をお願いします。
○橋本説明員 いま先生の御指摘の点は、まだ環境庁として決まったとかそういうものではございません。ただ、本当の議論をしておる問題を御理解いただいた方が間違いないということで、決まったものとしてお聞きにならずに、そういうふうなことを議論しておるのかというぐあいなことでお聞きいただきたいと思いますが、たとえば幅が出たといたします。すると、法律上の理屈で言えば、上まで筒いっぱい汚して何もないのだという議論になるわけです。これは健康を守ることが大前提で、それでいけるけれども、その下まで大丈夫だからみんな汚してしまえというのは、これはもう全然話にならぬじゃないかというのが環境庁の基本の考え方でございます。
 そういうことで、そこにはいろいろ差があるということでございます。幅があるというところにそもそもそういう問題があるわけでございます。ですから、達成の仕方にいろいろな差があるだろう、あるいは目標の設定の仕方に差があるだろうという考え方を持っておるわけであります。そのときに非常に大事なことは、いまきれいなところを、ここまでできたから、みんなもう何もせぬと汚そうかというようなことはまず原則として考えてくれるな、それに対して、しかし都市化、工業化がずっと伸びてくる、それでこれはどうも超えそうだという議論のときにどうするかという議論はケース・バイ・ケースの議論をしないと、一般論の議論をすると非常に危ないのじゃないだろうかという気持ちでございます。しかし、そのときには余りむちゃなことをしてくれるなということで、むちゃなこととは一体何なんだという議論はやはり整理しなければならないと思います。それから、幅の中にあるところのものはまず最小限汚れをふやすなよという気持ちを持ちますが、しかし都市化、工業化があるということで少しいままでのレベルを超えることになることは完全に起こり得ないことではないと思います。大体そういうところは都市化、工業化地帯でございますから。そのときでも絶対に上へ超えてはいかぬ。それには一々非常に厳しいチェックをしないと、非悪化の原則は保てない。しかし非悪化の原則というのは、いま日本に法律的な規定はございません。その辺は今後の法律問題として非常な議論を呼ぶものだろうと思います。
 それから、その上を超えたところは総量規制問題が起こります。これは地域指定をして総量規制をしていくという態度でございます。
 そういうことで、基準を改定したから規制が後退するということをよく言われますが、これはよく考えていただきたい。そういう公式的なものではないということでございます。よく議論をしておりますのは、たとえば東京の地域の中で非常にきれいな、日平均値で〇・〇四ぐらいのところがあります。〇・〇四以下のところももちろんあります。ところが一番高いところは〇・一何がしのところがあります。この〇・一何がしのところをがさっと、たとえば〇・〇六まで下げるという議論をしております。これは相当なドラスチックなものであります。そういうものを下げる。ところがその〇・一のところだけを、小さな地域だけを下げるのじゃありません。それは遠くから全部来るわけであります。そうすると、かなり広いゾーンをとってこの厳しい枠のものと同じ基準がガチャンと周りにかかるわけです。そうすると、一番高いところは〇・〇六ぐらいかもしれませんが、きわめて多くのところは恐らく〇・〇四以下になってしまうのだろうと思います。そういう問題がございます。
 それから、自動車の規制はもちろん二段構えの規制をやらなければ、沿道で〇・〇六はとうていクリアできません。いままでの自治体は沿道は外すという議論でした。しかし、沿道には人が住んでおられます。地域代表ではございません。特殊地点ではございませんが、やはり健康上大丈夫ということにしなければいかぬと思います。それには二段規制の長期目標を達成することが絶対に必要条件でございます。それから、間のところにはまた地方条例の上乗せという問題が起こってこようと思います。これにつきましては、よほどやはり合理的に進めるように、われわれはちゃんとしなければいけない。この点につきましては、いま詳しいところまでは、私、まだ十分申し上げるというところまで来ませんが、やはりいろいろな指導マニュアル等をつくらなければならないだろうという考え方に立っております。それから、未規制のものでございますが、これは大気汚染防止法で取り上げますときには、当然、全国一律の規制がかかります。いかに環境基準が〇・〇二を達成しているところにある施設であるからといったって、大気汚染防止法の全国一律の規制は絶対に逃れられません。これは絶対にかかります。そういうことでございまして、未規制の施設の中で、たとえばガラス溶融炉が残っている。これはいま脱硝の開発をいろいろとしております。いずれこれは入ります。ですから、未規制のものは対象として入ってくるという場合に、それが法律内にどれほど入るか、あるいは地方上乗せに入るかという議論の余地は若干残りますが、法律対象として施設を取り上げて全国一律の規制をかけるからには、これは全部かかってくるということでございます。
 それから、特に新設に対する規制問題は、技術か進展すれば新しい施設はいいものに合わせるということでございます。現在ばい煙発生施設の対象施設のうち約九十数%が施設規制対象外でございます。これは非常に群小煙源でございます。何かやらなければいかぬと思っています。中にまだ一部方式のないものがあります。それから排出量にしましたらこれは七二%抑えております。ですから、その残りのものが低いところでもやもやもやもや全部出しております。
 そういうことで、厳しい規制は一律でしなければいかぬということについての方針は何ら変わりはありません。そういうことで全国一律規制の中では非常に具体的に、総量規制にはちょっと年次かかかりますが、四次規制は今年度内にもしなければならぬということで、実は規制課にも早速、とにかく今度は早く四次規制にかかれよということをしてやっておるわけでありまして、これは総量規制のスケジュールに入ってくるという形でございます。ですから、規制の方向に何か変な緩みが出てという御議論でございますが、全く新しいきれいな地域を開発する場合に、たとえば幅をとった場合にまず〇・〇四が基本になるだろうということの議論はございますが、これとても集団的に律していきますと、相当なことになってまいります。そういうことで、どこまでおのおのの地域がいけるかということの問題にはかなり地域的な差があるということで、緩んだような議論をいたしているわけではないということだけはひとつ正しく御理解をお願いしたいと思います。
○古寺委員 時間がないのですが、長官、環境基準は行政判断でこれからお決めになろうとしているわけですね。その場合に、この環境基準を達成するための責任は政府にあるわけですか。どうですか。
○山田国務大臣 「政府は、公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。」、こう法律にも書いてございまして、われわれの責任において所要の規制等も実施していかなければならぬ。それがわれわれの立場でございます。
○古寺委員 そうしますと、環境基準を達成するためには省資源のための省エネルギー対策とかあるいはNOxの低減対策とか、こういうものをその環境基準に合わせて進めなければいけないわけでございましょう。そういうようなことについて政府として一体どういうふうにお考えになっているのか。これは長官にお尋ねします。局長じゃなくて長官に。
○山田国務大臣 これを達成するのは無論政府の責任でございますが、それぞれ所管の省もございます。それらの責任においてこれを要請いたしまして、達成に向かってまいる、こういうことでございます。
○古寺委員 ですから、そういう目標に向かって政府が一生懸命にいろいろな施策をおやりになっているときに、この環境基準を緩和するということは後退なんです。自動車はもちろんのこと、皆いろいろ低減対策が進んできているわけでしょう。それが緩和をしなければならぬということは後退なんですね。ですから、そういうような重要な事項をお決めになる以上はやはりきちんと中公審に諮問をして、国民が納得のいく手続を踏んだ上で新しい環境基準というものを決めていただきたいということを私、特に御要望申し上げておきます。よろしいですか。
○山田国務大臣 お言葉を返すようですげれども、後退というような言葉でこれを考えていただきたくないと思います。先ほどから繰り返し申し上げておりますように、われわれは九条三項の命ずるところに従ってきわめて科学的な判断をもとにいたしましてやろう、いたずらにただきついことを要請するということは必要ない、高い確率において健康はちゃんと守られるという基準にのっとる限りは、その判断に基づいてわれわれがこれに対処し運用を考えていくのが政府の立場でなければならない、こういう法律の命ずるところに従って対処していくのだ、この点どうかよく御理解いただきたいと思います。
○古寺委員 その点はけさから、専門委員会の問題、いろいろな問題について疑問点があるわけでございますので、理解をするわけにはまいりません。どうかひとつ、もう一回慎重に御検討をお願いしたいと思います。
 土壌の問題についてちょっと承っておきます。
 青森県の大畑町というところで昭和三十三年から昭和四十三年までの十年間に、土地改良事業等が行われまして開田が行われたわけでございます。その後非常に生育障害が、特に正津川地区と言いまして約百五十ヘクタールでございますが、この地域はほとんど水稲がうまくいかないということでいろいろ調査をしました結果、昭和五十年の調査でございますが、最高で砒素が三一五ppm、三〇〇ppm以上が二地点ございますが、そういうふうに土壌中の濃度が非常に高いということでございまして、原則としては、指定要件としては一五ppm以上のものが指定地域になる、こう定められているわけでございますが、今日まだこの指定をされていないわけでございまして、農家の方々が今後どうするかということで非常に不安を持っているわけでございます。
 これは時間があればいろいろお尋ねしたいのですが、なぜこういう地域に開田を進めたか、あるいはまた、そういう砒素の公害がわかって、その後なぜ調査、究明がおくれているのか、指定がなぜできないのか、いろいろ疑問を持つわけでございますが、そういう点について、環境庁と農林省はこの問題について現在どういうふうにお考えになっておられるのか承りたいと思います。
○二瓶説明員 正津川地域の砒素の汚染の問題でございますけれども、ただいま先生からお話ございましたように、五十年に青森県が調査をした際に、最高三一五ppmという高濃度の砒素が検出されたということでございます。
 県の方では、こういう事態にかんがみまして、五十二年度におきまして、その地域を対象にいたしましていわゆる細密調査を実施をいたしております。その結果につきましては、調査点数五十六点ほどやったわけですが、三十四点の水田土壌から基準値でございます。五ppmを超える砒素が検出されておるというふうに県から聞いております。
 県の方では、さらに五十三年度に詳細な調査を実施したいということでございますが、その調査結果によって、県の方なりあるいは農林水産省とも相談の上で対応策を考えたいと思っておりますが、問題は、ここが、いわゆる汚染原因が何にあるかという問題になろうかと思います。事業活動その他の人の活動に伴うものということでございますれば、これはまさに農用地区土壌汚染防止法体系によりまして、ただいま先生からお話ございました地域指定をやり対策計画を立てる、排土、客土等の事業をやるということで進んでいくことになると思いますが、汚染原因が完全に自然汚染であるということになりますれば、公害というわけにはまいらぬと思います。したがいまして、それに対しては、また、別途農林省の方で鉱毒対策事業等もございまして、そういう面で対処することになろうかと思います。したがいまして、県の方でさらに五十三年度にこの詳細な調査をやって、汚染原因等もその際あわせてよく調べるということでございますので、その調査結果を待って県の方及び農林水産省の方とも相談をいたしまして対応策を考えたいということでございます。
○長野説明員 いま御指摘のございました大畑町の砒素の問題につきましては、現在、青森県の方でいろいろ対策を検討中であるというようにも聞いております。農林水産省といたしましては、まず地区の実情を的確に把握いたしまして、必要に応じまして関係省庁と協議あるいは意見を承りまして、十分な対策が講じられますように県を指導してまいりたい、このように考えております。
○古寺委員 時間ですから、これで終わります。
○久保委員長 次に、中井洽君。
○中井委員 過日から二酸化窒素の環境基準の改定問題に関して、当委員会でいろいろな議論が行われました。その中で、橋本局長の答弁が非常に熱意がこもり、また具体的で、私はこういう議論、討論というのは国会において必要であり非常にいい議論であったと思います。また、その議論の環境庁側の――大臣の答弁には失礼でありますかときどきわからぬところもあるのですけれども、非常に方向が、特に科学的に環境基準、公害対策というものをやっていくのだ、こういう姿勢については、私は前回も申し上げたように全面的に賛成であるわけでございます。しかし、先ほどからの議論等聞いておりますと、念のために幾つか御確認をさせていただきたい点がございます。その点について質問をしていきたいと思います。
 最初に、先ほどの議論の中で、盛んに九条三項にのっとってという言葉がございました。この九条三項にのっとってやるというのは私は大賛成でありますが、何か先ほどの御答弁の中に、初めて九条三項にのっとって見直しを諮問したのだ、こういう言葉がございましたが確かでございますか。
○橋本説明員 前回の四十八年のときのSO2の見直しは、九条三項ということは、実は答申の中にも載っておりません。四十六年の環境庁発足当時の包括的な環境基準諮問という中でやられておるということでございまして、私ども、今回の諮問の議論をいろいろ中でいたしまして、やはりこれはおかしいのではないかということで今回の手続をとったわけであります。
○中井委員 そうしますと、今後、二酸化窒素ということだけじゃなしに、いろいろな公害の問題に関して、環境基準にかんがみて、この九条三項にのっとって定期的に諮問をしていくということなのか、あるいは逆に、先ほどの御答弁にありました、たとえばSOxについてはもういいんじゃないかとか、いろいろございました。騒音についてはもう少しきついのが必要じゃないか、こういうふうに考えているというお言葉がございましたが、環境庁が、これは科学的に見直してもろうた方がいいという形で判断をして諮問をしていくのか、あるいは一つ一つの基準について何年なら何年という形で定期的に諮問をしていくのか、そういった点はどうでございますか。
○橋本説明員 定期的に諮問をしていくという考え方もあるわけでございますけれども、やはりよほど議論が、本当の科学論争があって、知見がまた新しい、これは検討しなければならぬなというような議論のあるもの以外には、一々九条三項でどうこうするという考え方を私どもは余り持ち合わせておらないということでございます。
○中井委員 そうしますと、今回の改定に関しても、巷間いろいろと、決められたところから議論があったわけでありますが、結局のところ、科学的に少しおかしいじゃないか、あるいは科学的知見がもう少しふえてきたのだ、それによって見直せ、こういう声を環境庁は受けて、あるいは、これはもっともだというふうに考えて改定についての諮問をなすった、こういうふうに理解していいわけですね。
○橋本説明員 いろいろな批判をされましたが、ここに問題があるではないかと言われたことは、どんな自分たちが反対する嫌いな人が言ったことであっても、これはちょっと問題があるというような点は、やはりもう全部聞きながら議論しなければおかしいということでございます。ただ、前のNO2の知見は、あの時点においては最善のものだったと思っております。決して、あの時点において間違ったことを言っていると私も全然思っておりません。あの時点においては最善のものでございましたが、疫学が非常に乏しいなりに、本当の一次レポートのまだラフなものをぱっと割り切ってやらなければならなかった。これは先生方のつらいところも本当におありだと思いますが、それそのものが間違っているというぐあいには私どもは考えておりません。ただ、非常に不足していて乏しいところでやった、あるいは付表にプロバビリティー幾らと書いたのが間違ったとか、そういう事細かしいことはございますが、全然おかしいという議論ではなしに、やはりNO2の問題は非常に知見も進んできている、また、ある意味で問題点もあるということを認識しながらしたということは事実でございます。
○中井委員 橋本さん、どうでしょうか。いろいろな環境基準があるわけであります。それに対して、これから科学技術、科学というものがどんどん発達してくると思うのです。データも、あるいは疫学等もずんずん進んでくる。データもたくさん積もってくる。そういったものを常に環境庁で集めて、定期的にありとあらゆるものについて科学的に見直しの諮問をしていけばいいんじゃないか。専門委員会が、これはいろいろなデータが出てきたけれどもいまどおりでいいというのならそのようにしていけばいいし、これは少し、このように科学の発達でここまでは大丈夫だということになれば改定をしていけばいい。環境庁が改定をしなければおかしいと考えるものだけ諮問をするというのも、逆におかしいのじゃないか。全部定期的に科学的にやっていくという方法を確立されたらどうですか。そういったことについてお考えはどうですか。
○橋本説明員 いま先生のおっしゃった御意見は、一番オーソドックスな議論ではないかと思います。アメリカも、定期的に見ては何ともないとか言いながらやっております。ですから、いまどちらというぐあいに私が申し上げるわけにいきませんが、確かに、おっしゃったところは一つの問題点であるとは存じております。
 ただ、NO2の今度の問題は非常に特異であるということも事実でございまして、それだけは一つ申し上げたいということで強調し過ぎた点があるのかもしれませんが、オーソドックスには先生のような御議論があると思っております。
○中井委員 私は、この前も申し上げたのですけれども、今回のものは基準の緩和だとか、そういうことではなしに、改定で、九条三項にのっとって見直していけばいいし、それから、あと何年かたてば、こういうことに、科学的で、強めたり弱めたり、改定をしていくのに国民全体がなれていくというふうに思うのであります。ただ、今回のことを、いまのような環境庁のやり方であるならば、他の政党の方々がおっしゃるように、緩めるやつだけ諮問をしていくのだというような形に見られる、そういった点を非常に心配するわけであります。したがって、ぜひ定期的に、科学的に、そのときそのときの最善の科学を集めていただく、こういった方法を確立していただくようにお願いを申し上げたいと思います。
 それから、もう一つ議論になっております。中公審に対して環境基準の改定を諮問しないのはおかしいじゃないか、こういう質問に対して、橋本さんは、改定については諮問をしないでいく、そうして設定に関しては、新しく設定をするときには諮問をするのだ、こういうふうにお答えになっておったわけでありますが、これはひとつルールとしてこれからそういう形でやっていく、環境庁はそういう形で決めたのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○橋本説明員 これはむしろ官房長か企画調整局長がお答えになることでございますが、このものをどう扱うかということを、答申のときから中で相当議論しました。そういうことで、全く新しいものを決めていくという場合には、やはりいろいろな議論が相当出てくるということでございます。しかも、全く新しいという問題でございまして、これはやはり聞いていくのが普通じゃないかということでございます。ただ、改定議論のあるものというのは、実は、恐らくきわめて論争の多い点があって、しかも、その核心は何かというと、科学だ、ですから、科学以外に変えちゃいかぬということはやはり一つのルールではないかというところが非常に問題でございまして、そういうことで、最もの核心はやはり科学だということで、今回のようなことが一応原則ではないかということが、庁内で議論をして一応合意をされていることは事実でございます。
○中井委員 そういった環境庁の方針に対して、中公審の側は別に不満はございませんか。あるいは中公審も了解をしているわけでございますか。
○橋本説明員 一般の全体原則論としては、まだ中公審にお話したことは、私の記憶では、ないかと思います。ただ、NO2問題についてはいたしております。NO2の問題については、この一年にわたりまして、これをどうするかという議論のときに、総合部会や総会や、いろいろな機会をつかまえまして、答申が出されれば、行政の責任でこれを虚心坦懐に判断をしていたしますということを申しておりますし、この間のNO2の専門委員会があり、大気部会のときにもそのことを申し上げて、先ほどちょっと申しましたように、こういう心配があるがどうかという御質問もあり、それに対して環境庁としてお答えをいたしております。ですから、NO2の問題につきましては、中公審におきまして、そういうことを絶えず表明してきておるということは事実でございます。また、今回も認められてきておるということも事実でございます。
○中井委員 大臣、いまの問題で、先ほど冒頭御答弁がありましたように、とにかく改定ということは初めてである、したがって、中公審に、改定について諮問をしなくて、環境庁の総合的判断で指針の答申を受けてやるのだ、こういうことで環境庁もルールとして確立をしてほしいし、中公審に対してもきちっと了解をとっていただきたいと思うのですが、その点、どうでございますか。
○山田国務大臣 いま御指摘の点、私もそういうふうにいたしたいと思っております。要は、動かすべからざるものは科学である、科学以外にこれは右へも左へも変えないのだ、そういう態度でやっていきたい、さめた理性でこの問題に対処していきたい、その方針を、中公審においても了解をとってやっていくというただいまのお話、私もそのように考え、ぜひそのようなふうにやってまいりたいと思います。
○中井委員 答申を受けて、それから、その答申の指針を、行政の責任において総合的判断の中で環境基準の改定として出していくのだ、これはもうたびたび御議論のあったところでございます。あるいは重なるかもしれませんが、今回の改定を考えたときに、その総合的判断の一番中心は何であったのか、それをお尋ねしたいと思います。
○橋本説明員 まず一番中心の問題は、健康を絶対に守るということで、この答申の中に書かれた字句、あるいは大気部会で説明された御説明、あるいは専門委員会の報告をすべて通してみて、しかもそれをWHOのドキュメントや、あるいはアメリカで言っているような考え方に合わせてみて、果たしてこれで健康が守れると言い切れるかどうか、われわれは望ましいという議論をしなければなりませんので、そのことは非常に神経質に考えました。決して初めから安全率は要らないのだというような議論だけで走っているわけではございません。これは非常に真剣に考えました。どういうレベルでのヘルスを問題にしておられるかということ、あるいはどんなデータを基礎にして問題にしているかということでございます。そういうことで、先ほどお話しいたしましたように、「健康からの偏り」があってもいかぬというもので見ておられるというところでございまして、これは、産業界は、またむちゃなことを言い出したという批判をしておるが、私は、全く正当なことをしていると思います。そういうようなことで、これで健康なものはいけるということになります。
 それではその次に、これを基準に直す場合――健康は絶対にこれでいける、こうなるわけです。それを今度は基準に直す場合にどうするかという議論は、その条件が前提にあるわけであります。前提にあって、それを直す場合に、それでは日本の汚染条件は指針に合わせてみたらどんな姿になっておるかということをあわせて見るわけであります。そうすると、上の高い方は大体八三%程度、低い方は五十数%程度であるとか、どのような形であるということがいろいろわかります。そういうような現状との照合。
 それから、日本というのは国際的に見てみて、NO2の問題が物すごく議論されたけれども、本当に客観的にながめて一体どうなんだろうかということで、国際的な資料をずっとあわせて汚染のレベルを見てみます。ロサンゼルスは年平均〇・〇七という数字があります。日本でそんな気違いじみた汚染はございません。はるかに前からずっとあるわけであります。それに比べると日本というのは真ん中辺であるなという、国際的なオリエンテーションを持つわけであります。よその国と比べてみて日本のほかの汚染はかなりよくなった、しかし、NO2については中程度である、しかし、ばいじんはちゃんとしていないというような汚染の判断であります。
 それから今度は、それではいろいろ議論になっている呼吸器系の疾患というのは、よその国と日本と比べて果たしてどうなのか、あるいは日本の中でそのような呼吸器系の疾患というものが地域的にどんな問題があるのかということを、農村と都市の人の健康を脅かすものの要素を比べたり、あるいは外国と統計を比べたりしています。
 そういうことで大体の見当をつけまして、そして、その上で今度は防止。いままで何をしてきたかということ。一次、二次、三次の規制がございますし、それから自動車の四十八年以来の規制がございますし、そういうものを全部、いままでやったことは一体どれだけの効果が期待できるとしてやったのかということを整理しました。
 それから次には、今度は全部の対策として費用効果としてどうであるかということ。これはむしろ達成の方途の方であります。それを詳細に調べております。どういう条件をねらえばどういうところへいく、そのコストはどうで、インパクトはどうだというものでございます。
 あくまでも基準設定はその前に腹を決めております。それから次に、達成の方途で議論しております。
 それから今度は、いろいろ国際的な批判が起こりますので、それでは、いろいろ国際的、国際的と言うけれども、一体よその法律がどういう法律を使ってどういう制度でこれをやっているのかということを、詳細に全部整理をいたしております。まして今度はいろいろな御議論があるわけでございまして、私、いままで環境基準をいろいろやりましたが、これくらい考え方の過程を全部公開してやったのはないと思います。国会の御議論でも、私どもも極力本当のお話をいたしております。そういうことで、基準を決めているときのメモとしての考える過程までこれはばらまいております。これは地方自治体にも言っております。そういういろんな意見を全部整理をいたしまして、どんなところにどういう批判があるか、どういうものがあるか、それに対してはどういうぐあいに対処しなければならないかということで、自治体の意見とか産業界の意見とか、患者さんたちとも、まだ不十分だという御批判があるかもしれませんが、できるだけの話はしてみました。そういうことをいたしてみまして、そしていまの最終的に基準をどうするかということで、先ほどの幅の運用とかそういう議論に入ってきたわけでございます。
○中井委員 そうしますと、いまのお話を聞いていますと、専門委員会から答申のあった指針に対して、さらにまだ、環境庁として健康を守るのにどうであろうかという検討を加えるわけでありますか。先ほどの大臣のお話のように、いままでもあるいは議論のあったように、そういったことに関してはもう全く科学に任せるということではないのですか。どちらなんですか。
○橋本説明員 答申の内容そのものについてはいささかも触れません。これは与えられたものであります。どこを言っておられるかという検討であります。
 それから、国としては国の保健政策がございます。これは公害病だけではなしに難病もございます。あるいはいろんな成人病もございます。そういうものの中でどういう位置を占めているかということは、この国の保健福祉政策を決める上においてそれを全然抜きにした議論というのはおかしいと思います。そういうことでの整理をしているということで、専門的な事項について答申をいただいたことに対して疑いを抱いたり批判を抱いたりしてやっているということでは毛頭ございません。政策議論の場でいかにこれを評価をして物を言うかということの検討でございます。
○中井委員 今後ともそうですか。
○橋本説明員 全くそのとおりでございます。
○中井委員 もう一つ、答申から基準をつくるときに、今後ともを含めてでありますが、そういう世界の情勢とか、日本の政策とか、あるいはいままでの達成した状況とか、そういうことを見て、指針から環境基準にするときに総合的に判断をする――私は変なふうにとるのじゃない。いまのお話を聞いていると、逆に指針よりかまださらに下げた方向へ環境基準をつくり得る要素というものもあると思うのであります。環境庁としてはとにかく今後とも断固そういった指針から下の環境基準を決めるということはあり得ないのだ、あるいはまた、今回のこの改定についても、結局指針どおりいこうというのは、これは指針より上をいかなくても十分いいのだという総合的な判断の上でやったのであって、指針から下へさらに下がってもどうだろうというような議論はなかったか、こういった点についてお尋ねをしたいと思います。
○橋本説明員 一方では、指針というのは国際的に見て余りむちゃな厳しいことを言っておるという議論があります。一方では、もっと厳しくしなければいかぬという議論です。ですから、その議論に対して一体どういうぐあいに考えて整理をするか。これは科学は科学で整理しますけれども、決めることは政府の責任でございます。そこの議論を整理するためにはやはりいろんな角度から議論をしてみるということが基本でございまして、それは何も指針を動かすとかそういう意味では毛頭ございません。あれだけの専門の違う人を集めてやった議論というものはなかなかできるものではないということでございまして、指針そのものをどうこう干渉するという議論ではなしに、反応としては、もっと緩めろ、もっと厳しくしろという反応がある。しかも、いずれも一応科学的な議論としては不確定性をついた一理のある議論をなさる。それに対して政府は決断をどういうぐあいにこの指針をキーにしてやるかということにつきましては、政府として責任のある検討をしなければならない、こういうふうに考えます。
○中井委員 そうすると、ちょっとわからないのです。指針の科学性についてはいささかも議論をしない、疑わないのだ、こうおっしゃっておいて、これを環境基準にするときの総合判断の中で、科学的な立場からもっときつくしろ、もっと緩めろという議論が出てくるというのはおかしいじゃないですか。指針というものは、これから将来いろんな諮問に対して出てきた場合に、科学的なものについてはもう信用し、そして尊重するのだということであれば、環境基準というものは最低この指針の線になってくる。あとそれ以上にもっと厳しくするというのは総合判断のあれにかかってくると私は判断するのでありますが、いまのお話だと、指針よりももっと下げた形での環境基準もつくり得る、こういうように受け取るのですが、どうですか。
○橋本説明員 これは一つそういう意味で御理解をされて私もちょっと恐縮しておるのですが、指針を尊重ということは全然間違いございません。しかし、この先生方の御議論はやはり不確かさを非常に明確に書いておられます。どういうところがまだ不確かかというところを明確に書いておられます。これがやっぱり科学者であり良心的なことであろうと思うのです。行政の決断というのは、やはりある程度の不確かさの中でも決断をしなければならないということでございまして、そんなものはもう、科学は全くこれで腹を決めますけれども、どういうぐあいにこれに対応するかということは、これは行政としては備えをしなければならないということでございまして、先生のおっしゃったようなけしからぬ意味での議論ということで言っておるわけではございません。そういう議論をされる方もおられるわけですが、環境庁としてはやはりベストの指針をいただいておるということでいたしております。
○中井委員 先ほどの古寺先生の御議論にもちょっとあったわけでありますが、年平均値から日平均値へ直される、この間の直す計算についてもう一度、ちょっと私、わからない点があるのでございます。御説明いただけたらありがたいのです。
 大変素人っぽい質問で恐縮なんでありますが、その〇・〇二から〇・〇三ppmという年平均値を日平均値にして〇・〇四から〇・〇六、こういう計算に直した場合にその値、日平均値にしたときに安全性というものが含まれる部分というものはあるのかどうか、それについても教えていただきたいと思います。
○橋本説明員 これはNO2につきましては、幸い、いろいろデータを整理してみますと、年平均値と日平均値の九八%というのは非常によく関連性を持っております。そういうことでいままでのデータをずっと整理してみております。ですから、そういう整理の傾向からいきますと、年平均値の〇・〇二は〇・〇四に当たる、〇・〇三は〇・〇六に当たるということであります。
 先生の安全性とおっしゃったのはどういうことかちょっと私わかりかねるのですが……(中井委員「安全率だ。ごめんなさい」と呼ぶ)一つは一時間値の議論のときに、これはやはり整理をいたします。一時間値はもっと入れます。入れますが、これを傾向として整理をいたしますと、一時間値の〇・一が〇・〇三七で大体〇・〇四に当たる。それからWHOの〇・一七が〇・〇六七に当たって〇・〇七に当たる。それから一時間値の〇・二が〇・〇八に当たるということでございます。これで両方の条件を合わすと皆ぴったり合うのが〇・〇四と〇・〇六の間であるということでございまして、それらに対して特別の安全率というものは全く見ておりません。
 先ほど御説明が少し不十分でございまして大臣から御注意がございましたが、環境基準の検討のときには、基準をこうだと決めると同時に今度は達成の方途をきっちりしなければならないということで、先ほどのような検討は不可欠であるということを申し落としておりましたので、つけ加えます。
○中井委員 もう一つ、先ほどからこれまた議論になっております自治体との関係でございます。条例が上乗せをしていけるのは、これはもうわかっているわけでありますが、今度の場合に、そういった改定をされたら、条例そのものがもし改定しなければ上乗せになってしまうわけであります。それについて環境庁は、先ほども御答弁ありましたけれども、どういう形で自治体と話し合いを始められるのか、これが一つであります。
 それと、先ほど何か十大都市から来た質問に対して文書でお答えをする、こういうことでありましたが、告示の前あるいは告示後に、こういった条例をつくっている都市に対して、全部文書で環境庁の今回のことについて十分説明をするつもりがあるのかどうか。この二つであります。
○橋本説明員 まず、地方自治体でやはり上乗せ条例のあるところということでございますが、上乗せ条例ということだけで、これは規制でございますから、ストレートにこの環境基準が直ったからそれをいじるかという議論はまたちょっと、次の議論だろうと思います。ですから、それはそのもとをやはり洗ってみなければならないと思います。
 それからもう一つの問題は、環境基準が新たになるとしますと、そこがどこの場所にはまるのかという、ゾーンだといたしますと、どこに来るのかという議論が出てくるのです。そうしますと、〇〇六を超えているところと、〇・〇六と〇・〇四の間、その下で取り扱いがやはり違ってくるわけです。やはりそういうことのルールを整理しなければならないということでございまして、そういうことに基づいてこれが全部決定をいたしますと、地方自治体に通牒を出して、まず最初に全国会議を開きます。それから後は、個別のこれかりの対応になりまして、これはその達成のための通牒というのを明らかにして、どこがどう新たになった、今後こういうぐあいにやる、やるときにこういうところに注意ということをはっきりしなければなりません。そういうことについてはブロック会議とかやりますが、それだけではなしに、やはり一つずつの地域でそのデータの判断とか、モニタリングステーションとかあるいはシミュレーションをどうするかとか、いろいろなそういう問題があると思います。そういう固めをこの夏から秋にかけてしていかなければならないというような考えでわれわれは整理をするということでございまして、通牒としては当然に参ることになります。
○中井委員 先ほどから申し上げておりますように、初めてのことであります。十分地方自治体との議論あるいは説明、こういったものをしていただきたい、このように考えます。
 それと同時に、いま夏から秋にかけてそういう形でやるというお話がございましたが、環境庁自体としてはこの告示をいつなさる御予定でございますか、それもちょっとお尋ねをしたいと思います。
○橋本説明員 最終的には大臣の決裁をいただかないと、これはできないわけでございます。(中井委員「大臣答えてください」と呼ぶ)後で大臣がお答えになると思いますが、衆参両院の御議論が終わりましてできるだけ早くということで、それまでに大気部会をいたします。ですから、大気部会が終われば、われわれの気持ちとしては、もうその次の日でもいたしたいという強い希望を持っておるということが現状でございます。
○山田国務大臣 いま局長が答えましたとおり、できるだけ速やかにやりたいと思っております。
○中井委員 橋本さん、最後に。いま、二酸化窒素の環境基準を決めて、後はずっと目標やら決めてやっていくというプログラム、大体順番やら決まっているようでありますが、一つ確認をしていただきたいのは、先ほども御答弁にありましたけれども、巷間うわさされているような、たとえば自動車に対する規制だとか、あるいは工場に対する規制というのは、今回のことで環境基準の変更と同時になだれを打って変えられるんだ、緩められるんだ、こういう理解不足の点がたくさんあると思うのであります。
 御承知のように、自動車等は中間目標値に対してもまだまだという形でいまやっているわけであります。したがって、私自身は、環境基準がそういう形で改定されても個々の固定発生源、移動発生源に対する規制、そういったものが緩むとは考えないのであります。その点がどうかということです。
 それと同時に、大気汚染で二酸化窒素あるいはNOxだけをやっておっても、健康を守るということに関しては不十分であるのは、もう言うまでもございません。総合的な大気汚染に対する御努力、たとえばいままではこういうこともあったと私は思うのであります。この二酸化窒素の基準が余りにも非科学的な面が多いという議論があって、そのために、それがゆえに何か一生懸命対策をやらなくてもいいんだ、こういうような感じもあるいはあったわけであります。今回は自信を持って科学的に厳密にやるんだということでありますから、これを契機に、たとえば炭化水素等も一刻も早く対策を立てていただく、あるいは先ほど申し上げた移動発生源やら固定発生源に対する対策も科学できちっとやっていくんだから、あんたらも納得してどんどんやれという形で指導をいただく、そういった方向が当然だと私は思うのでありますが、そういった全般的な大気汚染の対策についての具体的な考えもひとつお示しをいただきたいと思います。
○橋本説明員 いま先生の御指摘いただきましたところが、環境基準と規制の関係というところで、ややもすれば最も誤解されやすいところでございます。
 まず一番はっきりしているのは、現在法律に決められてやっている規制が緩むなんということは全くないということであります。現在の規制がこれ以上、全国一律規制が進まなくなるということ、これも全くございません。これは今年度中に四次規制をしなければならないということの方針にはいささかも変わりはございません。
 それから、汚染の著しいところについて総量規制をしなければならないという考え方についても、これもいささかも変わりはございません。これは先ほど申し上げましたように、少なくとも三年ちょっとは全部の計画でかかるということでございます。
 それから次は、複合汚染対策ということで、いままでの大気汚染防止の体系をぐっと全部、どう言いますか、集中化、最適化でぎりぎりやっていこうという考えに立っているわけでございます。特に、ばいじんとSOxとNOxというのは、一つは立地スペースの問題、一つはレイアウトのボリュームの問題、一つは熱エネルギーのロスの問題、一つは重複投資を避けるという問題でキーであると思います。ですから、新しい発生施設に対する厳しい規制、これは最初からレイアウトすればいいわけでございますけれども、既存のものを地方自治体等が厳しく直すときには、ばいじんや全部と合わせてぴしっと押さえ込むのは最適化だということは強く打ち出していきたいということであります。それからハイドロカーボンはスペース的には余りコンフリクトはないわけでございますけれども、ハイドロカーボンにつきまして、昨年度来、予算を取ってやっております。これは来年度から再来年度からずっと規制を次第に進めていこう、しかし、いまの法律だけではできない体系でございます。これはやはり法律として整備しなければならぬということでございます。
 それから自動車の方につきましては、第二段階の規制というのは、これは絶対必須でございます。長期目標の第一段階、この間出しました。ただ、これは騒音の方が優先の基準でございます。そういうことで第二段階は絶対要ります。この中でむずかしいのは大型トラックでございますけれども、これは何といってもやってもらわなければいけない。これを全部完全にやって初めて六十年代の中ごろに沿道の最も汚れているところがどんな高いところでも間違いなく〇・〇六以下に押さえ込めるだろうというぐあいに見ておるわけでございます。ですから、こういうことをやったからもう自動車の規制をさぼろうかなんということは一切起こり得ないということでございます。そういう立場でございまして、規制そのものが緩むという考え方でございません。ただオキシダントの問題につきましては、NOxとハイドロカーボンの関係、オキシダントの発生の仕方を相当これは慎重に見ながら対応していかなければならない。われわれどちらもカットしてまいります。その方針を全然変えません。そういうことでございますから、オキシダントの問題はいまの基準とは独立して物を考えながら判断していこうという考えでございます。しかし、これは地域的、季節的な議論でございます。そういう関係でこれは対応していくべきであろうということでございまして、そのほかディーゼルの中の軽油中のS分を下げてもらわなければいけないのじゃないか。いろいろなものが進んでいるのにディーゼルの軽油中のS分たけECよりも高い。これはやはりちょっとおかしいのじゃないかという議論もございますし、自治体からの強い要望の中に、港を持っている都市では船から出ている煙というのはもうばかにできなくなったというのがございます。そういう問題もございます。ただ、いま申し上げましたのはすべて排出規制であります。これはやはり一つの限界というのがございます。やはり総合的な施策として将来のものにどう対応していくかということか一番基本でございますので、それはそれとして、交通公害というような角度から力を入れていきたいということでございます。
 最後にもう一度申し上げますが、複合汚染対策としてぐっと組み直した、五十年代後半に集中的に押し込むという形のものをわれわれは頭に持っておるということを申し上げておきます。
○中井委員 NOxの問題につきましてはこれぐらいにいたしまして、あと時間が少し残っておりますので、他の問題で御質問をいたします。
 過日、総量規制の決まりました伊勢湾地帯で大変な赤潮が発生をいたしました。この赤潮がいままでの赤潮と違いまして大変な悪臭を伴う。私の選挙区の三重県の海岸沿いなんというのはほとんど旅館なんかは営業できない。食堂なんかもお客さんが物を食べられないほどの、一般家庭ももちろんである、そういったほどのひどい悪臭が何日か続いたわけでございます。環境庁はこういったことを、この伊勢湾の今回の赤潮について報告を受け取っておられるのか、あるいは原因がどうであったとお考えになっておるのか、あるいは今後の対策等についてどのように対処されるか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○二瓶説明員 伊勢湾の赤潮の関係でございますけれども、伊勢湾の赤潮は県の方からも報告を受けておりますが、五月の下旬から赤潮が出始めまして、六月下旬には一たん収束をいたしましたけれども、また七月に入りまして部分的に再発しておるということでございます。ピーク時といいますのは六月の十四、五日というところがピークでございます。その時点におきましては、三重県の四日市から津までの海岸、その辺はもう一面に赤潮ということでございます。河口の部分のところで相当魚が斃死をいたしまして、いろいろ悪臭なども出たということでございます。
 それで問題は、いまも悪臭のお話が出たのですが、一般的には大阪湾等におきましても、赤潮が出た後よく悪臭で悩まされるということがございます。といいますのは、赤潮が死ぬわけでございます。死にますとこれが分解をされるわけです。赤潮そのものの生物が死んでしまいますから、これの分解過程においていろいろな悪臭が出るということがございます。それから琵琶湖などは、これはまさにウログレナという赤潮生物が生臭いにおいを出すわけでございます。今回の三重の場合は、県の方のいろいろな調査した結果によりますと、特に津の場合には津の港がちょうどいましゅんせつ工事をやっております。そのしゅんせつ工事をやっております際に赤潮が発生をしたということで、どうも赤潮の発生とそのしゅんせつとの絡みが相乗作用を起こしたということではないか。津の場合は非常にどぶ臭いといいますか下水臭なんです。ですから河川の溶存酸素、DOが減っておりますと、好気性のバクテリアでなしにむしろ嫌気性のバクテリアが有機物を分解するということになります。そういたしますと、硫化水素とかああいうようなたぐいのものが発生をいたします。そういうことでどぶ臭いといいますか、そういう下水臭を発するということで、県の方では、そういう水質の汚濁そのものと赤潮の発生との相乗作用によってどぶ臭いにおいといいますか下水臭が、津の場合には岩田川等を中心に発生した、このような考察をいたしております。
 それから、一般的な赤潮がなぜ出たかという話になりますと、これは……(中井委員「いやいや、それくらいでいいです」と呼ぶ)とりあえずここまで。
○中井委員 いまのお話、御調査いただいて、これからも研究していただくのは結構なんでありますが、伊勢湾の今回の赤潮の場合、一つお言葉を返して恐縮なんですが、においそのものは四日市等の方が猛烈だったのです。何ぼ津の方でしゅんせつをやっておっても四日市までにおうということはないと私は思うのです。
 それから、そういったにおいを含めて、伊勢湾の赤潮だけというわけじゃございませんけれども、ぜひ対策を練っていただきたい。特に私は、発生をいたしまして一週間ぐらいのときに環境庁へお電話を入れて、被害やらずっと上がってきているかといえば、これから調べるということであったわけです。何も環境庁を責めているわけじゃありません。実は瀬戸内海等で赤潮が出ますと、明くる日にはハマチが何匹死んだといって、あれはどうやって勘定するのかわからぬけれども、すぐ報告が来ているという。私は三重県をしかり飛ばしたのです。何だと、一週間も十日もたってから調査をしてない、こう言うと、やはり漁民の中には一部、赤潮発生なんて騒いでもらったら魚が売れぬようになるというような議論があっておくれたように聞いております。その後、それどころではないわというもう一つの騒ぎになって、やっと本腰を入れた、実は情けない話だと私は思うのです。そういった裏話はともかくといたしまして、過日、瀬戸内海の後継法やら閉鎖性水域の総量規制のときにずいぶん赤潮問題が問題になったわけでございます。瀬戸内海、東京湾、伊勢湾、琵琶湖、こういったところの赤潮対策を本当に総合的に国の方でやっていただく、このことを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○久保委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 二酸化窒素の環境基準の緩和をめぐって、反対の世論がうんと高まってきております。住民運動あるいは法律家あるいは学者、これにとどまらずに、先ほど来お話も出ておりましたが、東京、大阪、神奈川、埼玉、また十大都市公害主管局長会議も反対の意思を表明しておる。これが非常に大きな問題になっておるわけでありますが、環境庁長官は先ほど来、公害対策基本法九条三項、これ一点張りであります。この科学的判断、あるいは適切な科学的判断に基づいて見直しをしていくんだ、こう言われておるのでありますが、いま問題になっている前回の判定基準あるいは指針値のこの専門委員会の結論は、本当に科学的判断だというふうに考えていらっしゃるのかどうか。先日のこの委員会に出てこられた前田参考人も、科学的な結論というよりは、「諸般の状況にもとづく決断」にほかならないというふうに朝日新聞の「論壇」で書いたことを当委員会においても、やはりそういうものだと思っているということを言っているのですね。科学的判断というのは、これはまさに科学的帰結であって、諸般の状況を見て決断をするというふうな科学的判断というのは、私はあり得ぬと思うのですけれども、専門委員自身の中でもそう言っておられるのですが、環境庁長官が九条三項を盛んに言われますので、あえてこの判断、科学的判断だというふうに確信を持っていらっしゃるのかどうか。政治的にそう言われているのではないのか。現に専門委員がそう言っているわけですから。その点、まず環境庁長官にお伺いをしたい。
○山田国務大臣 中公審の答申が政治的な決断であるか、あるいはそれ以外のものであるか、科学的なものであるかということは、答申そのものをよくお読みになっていただければわかることであると私は思います。個人としてはいろんな御意見もございましょう。しかしながら、その意見はともあれ、ただいま申し上げましたように答申そのものを見ていただければ、専門家が何回か会議を開き、そして議論を尽くしてこの結論に到達したという過程がよくわかっていただけるのではないか、こう思います。
○東中委員 副委員長の外山さんが、ことしの四月二十四日に篠原弁護士という人がいろいろこの経過について聞いたときに、答申は非科学的だ、科学的だと思って読んではいけない、こういうふうに言われたそうであります。いま長官の言われているのと全く違うことを外山さん自身が言われておるわけであります。また、五十三年四月二十五日に吉田克己先生からその状況についていろいろ聞いた報告があるわけでありますが、二酸化窒素に係る判定条件等についての専門委員会報告は、表題のとおり判定条件についての報告であって、指針の提案は最終段階で付加された、判定条件についての討議は順調に進んだが、指針値については、短期暴露について、長期暴露についてのグループA、Bに分かれて激論が続き、調整に難航した、この吉田さんや鈴木さん、常俊さんらのAグループと、それから、外山さんや和田さんらのBグループで、一度はAグループの見解に統一し起案にかかったが、Bグループの巻き返しで結局併記の形となってしまった、その背景には、Bグループに対する鉄鋼連盟等、産業界の圧力があったと思う、こういう趣旨のことを言われています。これでは科学的判断とか科学的結論というには余りにも非科学的、力の場になっているのじゃないかというふうに言わざるを得ぬわけであります。この前の自動車公害専門委員会が自動車排ガスの五十一年規制問題のときに、わが党が国会でも暴露しましたけれども、企業サイドというよりも、企業自体からこの専門委員会に人が入っておって、そしてその専門委員会の内容が逐一自動車メーカーに伝わっておった、こういうことが大問題になったことがあります。同じような事態がいまここに起こっておるのじゃないか、私はそう思うわけであります。さきに岩垂委員からの質問もございましたけれども、今回の答申は、答申の結果に直接利害関係を持つ企業側、NOx、NO2関係ですから、自動車業界あるいは鉄鋼連盟が直接関係があるわけですが、こういった利害関係を持つ企業から研究助成金を受けている者が、私たちの調査では三名いるということが非常にはっきりしました。先ほど和田さんのことも出ておりましたから、四名になるのかもしれませんが。
 これは古い順番に言いますと、昭和五十年度に専門委員会の副委員長である外山敏夫氏が「都市大気汚染の医学的評価方法と環境基準との関連に関する研究」というテーマで七百二十万円、昭和五十一年度には香川順氏が「複合汚染の人体影響−特に肺機能への影響から見た量・反応関係の研究」ということで三百万円、続いて同氏は五十二年度にも同じテーマで四百万円、そして五十二年度には「空気中有害物質の濃度基準の医学的考察」というテーマで、外山氏が二百八十万円、いずれもトヨタ財団から金を受けています。鉄鋼業界でつくられているいわゆるNOx基準から、「アンモニア大気質改善に関する研究」で柳沢三郎氏が七百二十万円ことしの六月に助成されているという事実が明らかになっておりますけれども、こうしたいわばNOx問題については、国民の健康を保護する環境行政、それに対してそれを侵して、いわば加害者側の企業という関係になるわけですが、その加害企業側からそういう研究費をもらってやっている人がその問題について専門委員としてやっておる。しかもそれが、先ほどの吉田克己さんの報告によりますと、いわゆるBグループで巻き返しをやったという感じを吉田さんに与えているような状態になっている。こういう点について環境庁はどうお考えになっておりますか。
○橋本説明員 いま先生から、まず科学的判断と思うかということでございますが、私は、どうも環境庁といたしましてこれが現在得られる最善の科学的な判断だというぐあいに思っております。完全ではございませんが、いま得られる最善であるということでございます。
 それから、おのおの先生方は、それぞれの専門分野の方を測定や影響という角度で御参加いただいている。それから、その先生方にいろいろ、医学や工学のグループもそうだと思いますが、何とか学派とか説が違うとか学校が違うとか、これはいろいろな問題があるわけでございます。そういうところのいろいろな人間的な絡みのある問題もあろうと思いますが、そういういろいろな考え方の違う人も何人も入れて議論していただいている。しかし、その方々は皆さんりっぱにそれぞれ業績を出しておられ、そして社会的に専門職業としての責任ある地位についておられて、いままで大気汚染の分野でも貢献をしていただいた方が中核を占めておられるということでございまして、まず人選の面では私どもは最善の問題だと思います。
 そこに、研究費の問題をいま御指摘になりましたが、これは研究費をどこから得ている人はこの中に入れないというようなことは環境庁は考えておりませんで、むしろそういうことは環境庁自身が関与する話ではないということでございます。そういうことは、学校行政としては文部省がやっておるでしょうし、それぞれの学校で自主的にやっておるでしょうし、私学で、よそからお金が来なければなかなか研究ができないということもあろうかと思いますが、それはわれわれ関与するところではございません。
 その先生方がおやりになった報告そのものを使うというのではなしに、その先生方が学会誌にお出しになったもの、専門誌にお出しになったもの、あるいは出される予定が明確なものを使って、それに基づいて議論をするということでございまして、そこには学会誌、専門誌のスクリーンがかかっておるということでございます。
 それから、いろいろな角度の先生方がおられますから、余りへんちくりんなことを言っておりますと、やはり学者の中で、あの人はおかしいのじゃないかみたいなことになってしまいますので、それはお互いにやはり学問の立場で議論されたからこそ合意されると思います。もしも学問の立場を捨てて、自分はこういうことを考えている、自分はこういう運動をしている、自分はこの方がいいと思っているという議論を先生方にしていたら、絶対にこれは合意のしっこのないところと思います。そこで、学問の立場で御議論をされて、そのときに、やはり自分の方にはこの学問は、どうもこのデータでは反対のものが出ているというのはあるわけです。学問ではどうしてもその議論が出ます。そういうものの議論のない場所というものはこれはおかしなわけでございまして、そこの中で、先ほどのAグループとかBグループ、そういうことがあったかどうかは存じませんが、いろいろそのようなお受け取りを中でおやりになったのかは存じませんが、要するにそれは学問として議論をしておられるわけでございまして、決して鉄鋼とか自動車の利益のことからおっしゃっておられるような先生は私はもう全くおられないと信じております。研究費はもらっておるでしょうが、専門職業人としての地位も倫理もしっかりしておやりになる方であることとわれわれ信頼し切っておりますので、そこでやられておることは全く学問議論であるということでございますので、全体的に非科学的だというような感じを持っておりません。外山先生が非科学的だとおっしゃったことはどういうところをおっしゃったか知りませんが、外山先生が非常に厳しい疫学の見方、しかし非常に正統的な疫学の見方をおやりになることも事実でございます。ですから、おのおの先生は自分の学説、自分の信条がありますから、一人として自由に言われるとやはりそういう議論があるでしょうが、全体の中で議論されるときにはそのような人間的な葛藤もございましょうが、やはりそれを超えて、おのおの地位としては、どこそこ大学の教授、何の専門家、いままで何をやった人というバックがあるわけでございます。そういうこともやはり大事にされながら議論して合意に達した。しかし、一人ずつを聞いてみると不満や異論がある。しかし、あそこにでき上がったものを見ますと、私は、全部完全に国際的に、英文に訳して出したら非常にいいレポートだと思います。最善のレポートだと思います。
 そういう意味で、環境庁は、いろいろな個人的な感情としての御意見はおありになろうかと思いますが、全体としては、鈴木先生の委員長というリーダーシップのもとに最善の努力をしていただいて、非常な御苦労をいただいた。その出たものは現在得られる最善の科学的な判断だと思っております。そこで、判断と結論という御議論がございましたが、学会論文で結論と書いたことと判断とは違っております。学会論文で結論というものは、はっきり理論的に積み上げてきてごうごうという、その論文が一つの結論です。判断というのは、いろいろな結論や材料がある中で最後にこうだという、いろいろプロフェッショナルジャッジメントというのをやるわけです。ですから、そこは判断と結論とは違うということがあります。そこにどうしても、ある程度飛ぶところがありますが、あくまでも専門家の範囲内で考えられるところでそこに来ておる。それだからこそ考えやいろいろな違いのある方々でもあそこに合意することができたのだというぐあいにかたく信じておるわけでございます。
○東中委員 行政官が科学的判断だと言い、それに参加しておった科学者自身が、とうてい科学的な結論と言えない、むしろ「諸般の状況に基づく決断」にほかならない、こう言っているわけです。「諸般の状況に基づく決断」というふうな言葉を学者が使うというのは、これはむしろ、全く異常なことではないか、私はそう思うのです。
 それはそれとしまして、昭和五十年度のトヨタ財団の外山さんに対する研究助成ですが、「都市大気汚染の医学的評価方法と環境基準との関連に関する研究」、これは今度のものとは非常にダブっているといいますか、密接な関係のあるものだと思うのです。それから香川さんに対する「複合汚染の人体影響」という、トヨタ財団の五十一年度の助成、これはいずれも五十年、五十一年ですから、この専門委員を任命されるについては、こういう財団、企業側から助成を受けて研究している人だということを、これは内閣総理大臣の任命ですけれども、環境庁としては承知の上で任命をされておるのか、それは知らぬで任命をされておったのですか。事実はどっちでしょうか。
○橋本説明員 私は、年度関係は存じませんが、外山先生はトヨタ財団の研究費を受け取られておるということは、人を介して知っておりました。しかし、これはやはり、そういうところの私学としてどこから研究費をやるかというのはわれわれの全く関与する問題ではございませんし、外山先生は日本の大気汚染の、医学、公衆衛生学的な研究としては一つの権威であるということは間違いございません。そういうことで、外山先生は、一つの日本の大気汚染の影響を研究するときにはこれは不可欠の専門家であるというぐあいに尊敬をしておりまして、研究費がどこからというようなことでこれは選択の基準にいたしたということは全くございません。
 そういうことでございまして、先生がおやりになることは、文献として引かれるものは自分が学会誌、専門誌に書いて出したもの以外はお使いにならない、あるいは国際的な場所で使える文献あるいは内外の専門誌、学会誌の文献の中で外山先生が、これと思う文献しかお使いにならないということがキーでございまして、この文献の中に、トヨタ財団に出したもので専門誌、学会誌に載っていないものをやるということは全くございません。
 また、香川先生は、これは非常に手がたい、きっちりした研究をなさる方でございます。私は、中堅の研究者として最も尊重しているお一人でございますが、あの方はNO2やオキシダントの研究をしていく場合にきわめて大事な方だというように尊敬申し上げております。これは外山先生のお弟子さんでございます。いま私学に勤めております。
 そういうことで、この場合も別に、研究費云々――私は香川先生が受け取られたのは存じませんでした。存じませんでしたが、これは先生として研究費をどこから受けておられるかということは、私たち、そういうことは選択の考慮の対象には毛頭入れておりません。先生方の学問的なデータを中心として御議論をされるということでございまして、信頼をいたして御議論を願っておる。環境庁をきらっておるということはお一人としておありになるかどうか、それは存じませんが、環境庁をきらっておる方でも何でも、学問的にちゃんとした方はお入り願う、環境庁は、そういう意味で好ききらいを言わないということでございます。
○東中委員 橋本局長が、私は尊敬をしておりますとか、私は評価をしておりますと、非常に個人的な一印象で物を言われたのでありますけれども、事は国民の健康にかかわる環境基準に及んでくる問題であります。同時に加害企業、特に鉄鋼連盟にしましてもいまの自動車工業会にしましても、あの排ガス規制の問題であるいはNO2の環境基準の問題でそれぞれ、ずいぶん一方では抵抗し、一方では改定のためのキャンペーンをやっている。これはもうきのうきょうのことではないわけです。そういう状態で、いわば環境基準を緩和しようということでキャンペーンをしているところから金をもらって研究をしているという学者、それを一切考慮にも入れないままで専門委員に任命するという方向を環境庁としてとっておったとすれば、私はこれは非常に重大な問題だと思っています。企業サイド側の委員もおってもいい、住民サイド側の委員もおってもいい、右も左もいろいろな人が皆おって、そしてやってもらうんだという趣旨のことを橋本局長は、委員会で言われたかどうか知りませんけれども、私も何遍か聞いておりますが、そういう性質のものではないのじゃないか。いわばひもつき専門委員ということになるわけですよ。だって、それで被害を受けている公害患者の立場から見てごらんなさい。そういうふうになると思うのですが、そういう点についてどう考えていますか。
○橋本説明員 いま先生からいろいろ御意見がございましたが、研究費をどこからもらっている人はこの専門委員会や何かに入れないという議論というのは、これはもう容易にできる議論ではないというぐあいに私は考えております。それから、やはり一人ずつの学者の先生方はりっぱな社会人として倫理を保ち、研究業績を保っておられるわけでございまして、その方を私どもは信頼をいたしておるということでございまして、そう一人ずつの思想傾向や、あるいはどんな傾向に考え方の傾いている人であるなんということでやっているわけではございません。右も左もということはあなたは悪いですよと私は注意をされました。ですからそういう言い方が悪ければ、いろいろな考え方、立場の違う方ということで、思想で分類しておるわけではございません。いろいろな方々が中に入ってやらなければできないということでございます。そういうことで、しかし学問に、この学問は企業サイドの学問でこの学問は被害者サイドの学問というのは医学ではちょっと考えられないことだ。これはもう医学のものとしての倫理は基本にあるわけでございます。そういうものは私は考えられない。これは環境庁として考えられないと私は思っております。そういうことでお願いしてお選びしているということでございまして、そこについて御批判をされると、これから何かあの人は企業サイド、この人はどこそこの役所のひもつき、この人はどこそこの被害者団体の何という分けを考えないと科学というのはできないというぐあいなお考えをお持ちなら、環境庁はそういう立場には立ち得ない、こういうことでございます。
○東中委員 文部省から来ていただいているのですが、文部省では通達を出されておるようでありますが、こういう民間企業からの研究助成等について、その金の扱いというふうな点についてはどういうふうにするように通知なり指示なりをされていますか。
○大門説明員 御説明いたします。
 国立大学において研研、教育の経費に充てる、そういう目的をもちまして外部から受け入れる資金につきましては、公費として受け入れるということにいたしております。その受け入れの方法としましては二つございまして、一つは受託研究費、もう一つは奨学給付金という形で受け入れております。いまの研究助成金につきましては、奨学給付金ということで受け入れるということになっております。この両者の受け入れに当たりまして、その決定は当該大学の長に委任いたしております。大学の方ではその受け入れの際に、その受託研究あるいは給付金、そういうものが教育、研究上有意義である、それから、かつ本来の教育、研究に支障を生じない、そういう判断の上で受け入れてきているという状況でございます。
○東中委員 すべてこれを私的に経理することなく公費の扱いにより処理すべきものとする。公費の立場で処理するとしても、その辺についていわゆる産学協同とかいろいろ問題がありますので、私たちも必ずしも賛成するものじゃありませんが、しかしやはり公的にチェックしていくという姿勢をとっていると思うのであります。いまの外山さんあるいは香川さん、柳沢さんの場合は、どうも個人に対する助成のようであります。トヨタ財団の発表文書によればそういうふうに思われます。その問題について研究するということは、同時にこの専門委員会で論議していることと全く同じ内容になってくるわけですね。論文の発表だけでこの専門委員会で物を言っているのだったら、そんなものは専門委員会で集める必要はないわけです。そうでしょう、すでに発表されている論文そのものなんですから。そうじゃなくて、たとえば外山さんは非科学的だということを言われてさえいる。あるいは前田さんは、諸般の情勢を見て決断するというふうに言っている。自分が受けている私的助成研究費、そういうものも諸般の状況の中に入らないとすれば、これはむしろきわめて非良心的ということになると思うのです。研究を依頼しているトヨタ財団にしろあるいはNOx基金にしろ鉄鋼連盟にしろ、やはり企業集団として緩和の方向を期待してそういう研究費を出しているわけです。そういうキャンペーンをやっているわけですから、そういう状態だということを無視してかかるのは、私はもう全く言語道断だと思っているのです。
 それで、先ほど企業サイド側とかあるいは右とか左とかということは言わぬ方がいいという注意を受けた、それは私は言葉の問題ではないと思うのです。問題は、なぜそういうことを言うたらいかぬのかといえば、そういう者が事実として入っているから、入っておったらいかぬことだからということで言葉も変えろということになっておるのだと思うのです。言葉だけ変えたら実体は一緒でもいいのだ、そういうものだったら、全くこういう審議というのは、合理化し、体裁を整えるための審議ということにしかならないというふうに思うわけであります。そういう点で、こういう企業から出ている専門委員というものについての態度を私たちは本当に考えなければいかぬのじゃないか。
 改めてお伺いしたいのでありますが、専門委員というのは公務員でありますね。
○橋本説明員 非常勤公務員だというぐあいに理解しております。
○東中委員 非常勤公務員でありますが、国家公務員法の適用を受けると思うのですけれども、総理府人事局の方ひとつ……。
○片山説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、専門委員は非常勤の国家公務員でございますが、国家公務員法の規定の適用はございます。
○東中委員 国家公務員法の規定の適用で、服務の基本基準、あるいは守らなきゃいかぬ服務上の基準というのが決まっておると思うのでありますが、その点について、大筋の御説明を願いたい。
○片山説明員 お答え申し上げます。
 服務の規定の中で一部適用がないものもございますが、先生いま御指摘の、たとえば九十六条なり九十九条の適用は、ないとは言えないと思います。
○東中委員 ないとは言えないというのは、あるということでしょう。
○片山説明員 あるということでございます。
○東中委員 いまくしくも、あるということを、ないとは言えないという表現をされた、ここに私は非常に大きな問題があると思うのですよ。専門委員、非常勤公務員というものについて、大体総理府の人事局自身が、ないとは言えないというような何か非常に消極的な、余りそういう服務は適用しないように、勝手にやってもらっていいんだ、そういうふうに感覚的にとらえているというところに問題があると思うのです。
 ここで、九十六条の服務の根本基準というのは、「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」
 いまNOxのことについて内閣総理大臣から任命をされた場合、その専門委員としては、それについて、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、職務の遂行に当たっては、全力を挙げて専念しなければならぬのであります。それが大原則でしょう。それを、そういう適用を受けないとは言えないというような感覚でおられたら――これはもう環境庁も同じような感覚じゃないかと思うのですけれども、私企業から研究調査ということで七百二十万とか三百万、四百万というふうに研究費を受けて、そして同じ問題について研究をしているということになれば、それは、研究費は単なる学問研究のための研究助成じゃなくて、企業体なんですから、営利追求を目的とするのが企業体でしょう。その企業体がいまNOx問題についてキャンペーンをやっている。そこがその問題について金を出しているのでしょう。それの研究をやっているのでしょう。これが同時にダブってきている。
 しかも、そういう人たちが今度は緩和の方向の結論を出しているということになってきているわけですから、私はこれは非常に重大な問題だと思うのですけれども、これは具体的には環境庁が、専門委員といえども非常勤公務員の服務について監督する立場にあるのだろうと思うのですが、環境庁長官、そうじゃございませんか。
○橋本説明員 ひとつ御理解願いたいのは、トヨタ自動車が出したとか新日鉄が出したということではございませんで、別に非営利の財団としてやっております研究財団が出しているという点は、やはり一つの性質の違う点ではないだろうか、そういうように思います。ですから、研究財団ができてそこから出ている、その金を出しているやつはこういうやつじゃないかという先生の御指摘は、これはまた問題が少し違うのではないかということでございます。
 それから、環境基準といいますのは、いろいろな細部の議論もございますが、やはり汚染と影響という純粋の科学的な問題として議論をしている。いろいろなそれをめぐる議論があるのは存じておりますが、やはりそういうサイドで議論をしていただいて、専門家が学問の知見がだんだん深くなるというのは、私は、結構なことではないか、そういうぐあいに思います。
 そういう点で、たとえばロックフェラー財団は石油資本であるからいけないと、私はロックフェラー財団の留学生を二回やりましたが、そうすると、あれは国際石油資本のあれを受けておるのかというようなことを言われても、これは全く困るわけであります。公衆衛生院はロックフェラー財団の寄贈によってできた研究所であります。日本ではまだ歴史が浅いので、そこらのところについていろいろな理解や成熟度が足らない。どういうぐあいにしてちゃんと持っていくかという議論としての問題点は、私はこれからの改善のためにいろいろあると思いますが、しかしながら、これから職務専念し――勤務についてということで、これは人事院からまた直していただいたら結構でございますが、勤務していただく時間というのは、実は恐縮するぐらいもう夜まで議論していただきまして、それに対する委員等謝金なんかも、本当は私らはブルブルするぐらい少ないお金でございまして、そこの中で非常に不愉快な議論もしていただいて、御自身で勉強していただいておるということでございまして、その中で企業の利害なんということを頭に置いてやっているわけでは毛頭ないということは、それだけ学者というのはやはり一人ずつについて責任を持ち、社会的な倫理規定を身につけておられるというぐあいに私たちは考えているわけでございまして、やはり公害とか労働衛生とかあるいは産業関係のほかの規制問題というときに、専門委員会のそういう規定で全部片っ端から縛られるのかという問題は、これは私どもから見ますと、その時間の最中にすぐ後ろに新日鉄の人を引っ張ってきて、よしよしとあれするのは、これはいけないと思いますけれども、学問として勉強されて、その実績をもってやるということについて、私は問題はないのではないかというぐあいに考えておりますが、人事院からまた訂正がありましたらおっしゃっていただきます。
○片山説明員 お答え申し上げます。
 表現が一部あれでございましたが、実は服務の規定は十一条ございまして、その中には、非常勤の公務員にも適用があるものとないものがあるわけでございまして、たとえば百三条、百四条、百五条関係はございません。そういう意味では、全部がそのまま適用があるということではないというふうに考えていただきたいと思います。
○東中委員 百三条なんかの適用がないことも私はよく知っております。問題は、いま橋本局長が言われたような一般化したロックフェラー財団がどうしたというようなことじゃないのです。いまNOx問題というのは、わざわざNOx基金を鉄鋼連盟はつくっているのでしょう。そこから金が出ているのでしょう。そして、NOx基準の緩和を大キャンペーンしているのでしょう。それについて専門委員を任命するというときに、そこから金をもらっている人、そして研究をしている人をやっていくということだったら、まさに企業サイドの代表を入れておるのと同じじゃないですか。そのことを言っているのですよ。トヨタ財団一般についていま言っているのじゃないのです。NOxという問題、それと自動車工業会との関係、テーマとそして金を出しておる企業の金の問題ということを言っておるわけであります。そういう一般的な問題に解消することは、私は断じて許せぬというふうに思います。
 何といったって、それはもう被害者の日々の、この前浜田参考人が来て言いましたけれども、ああいう気持ちから見れば、何ということだということになりますよ。そういう点はひとつはっきりとしておかなければいかぬじゃないかというふうに思います。私は、国家公務員のこういう立場とは両立し得ない――同じ問題についてですよ。一方では企業の側の研究依頼を受ける、そして今度は全体の奉仕者として専念するという、そのテーマについて別の研究を同時に同じ問題についてやっておるということになれば、これは公正たり得ないということを申し上げたいのであります。
 さらに、そういう点で国家公務員法上も問題がありますが、これは私たちの方で相当確度の高い情報として、鉄鋼連盟が、研究助成というようなものではなくて札束を専門家に配った、あるいは配ろうとしたという事実について聞いております。いまそれを具体的に出すことはちょっとはばかられますが、もしNOxの専門委員に対して、その専門委員の答申作成の過程で重大な利害関係を持っておる企業が、現ナマ、札束を関係委員に配ったということがあれば、それは非常勤公務員といえどもはっきりと収賄罪になるのじゃないか、贈収賄になるのじゃないかと思うのでありますが、法務省から来ていただいておると思うのですが、その点いかがでしょう。
○飛田説明員 刑法の百九十七条第一項前段には、公務員がその職務に関し賄賂を収受したときは収賄罪が成立する、そういう規定が設けられておりますし、また、同じ刑法の百九十七条ノ三の第一項には、「因テ不正ノ行為ヲ為シ又ハ相当ノ行為ヲ為ササルトキハ」枉法収賄としてその刑を加重する旨の規定が設けられております。
 そこで、お尋ねの件につきましては、中央公害対策審議会委員及び専門委員は公務員でございますので、これらの者が収賄罪の主体となり得ることについては問題はないと思うのでございますが、収賄罪が成立するためには公務員がその職務に関して賄賂を収受したものであるということが必要でございまして、その金員の授受が職務に関してなされたものか、当該金員が賄賂と認められるものかということの認定は、具体的な事案に応じて個別的に行われるものでございます。
 また、賄賂といいます場合には、当該公務員がどのような認識のもとにその金員を受け取ったかということも密接に関連するところでございます。
 このように、具体的な事案に応じて収賄罪が成立するかしないかというのは結論が変わってまいりますので、事案の詳細について、また、当該金員を収受した者の認識がどういうものであったかということが明らかとなっていない現段階におきましては最終的な結論を述べることは差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えております。
○東中委員 そういう疑惑から私たちもある程度の事実をつかんでおりますので、もしこういうことで国民の健康の保護を崩していくようなところにつながっていく、そういうことで金が流れておったとすれば、これは大変なことでありますので、検察庁でもひとつぜひ調査をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それと、こうした問題が起こっておる。たとえば外山氏の場合は産業界の主張である〇・〇五ppmを繰り返し強調されましたし、あるいは柳沢氏の場合は、議事録を見ますと、たばことか室内汚染の影響を非常に強調された、これも産業界が言っているとおりです。そういう産業界代表のような発言になっておるということは、われわれもうかがい知ることができるわけでありますから、この研究助成と無関係だとは言えない。私は、こういう点について不明朗な問題が残っておるということをはっきり指摘するとともに、これははっきりしなければいかぬ問題だ。不明朗の問題が残ったままで環境基準を設定していくことは国民の健康にかかわる問題で、こういうことで押し通していくということのないように、手続だけ済んだらそれでやっていくんだというようなことのないように、強く要請をしておきたいと思います。
 時間が過ぎまして申しわけありませんでした。
 質問を終わります。
○久保委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会