第084回国会 交通安全対策特別委員会 第3号
昭和五十三年二月二十八日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 沖本 泰幸君
   理事 左藤  恵君 理事 佐藤 守良君
   理事 中村 弘海君 理事 太田 一夫君
   理事 野坂 浩賢君 理事 新井 彬之君
   理事 青山  丘君
      井上  裕君    石川 要三君
      北川 石松君    井上  泉君
      岡田 哲児君    後藤  茂君
      吉原 米治君    草野  威君
      寺前  巖君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)     稻村左近四郎君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      三島  孟君
 委員外の出席者
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 交通安全対策に関する件
 沖繩県における交通方法変更に関する件
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
○沖本委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 沖繩県における交通方法変更に関する実情調査のため、去る十五日及び十六日の両日、沖繩県に委員を派遣いたしましたので、この際、派遣委員から報告を聴取いたします。佐藤守良君。
○佐藤(守)委員 沖繩県における交通方法変更に関する実情調査のため、議長の承認を得、去る二月十五日及び十六日の両日沖繩県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、その調査の概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は委員長沖本泰幸君、太田一夫君、新井彬之君、青山丘君、井上泉君及び私佐藤守良の六名であります。このほか玉城栄一君及び瀬長亀次郎君の現地参加を得ました。
 以下調査結果について御報告いたしますが、その前に沖繩県の交通事情について簡単に述べさせていただきます。
 沖繩県には鉄道がなく、陸上交通はもっぱら道路交通に依存しておりますので、その県民生活に及ぼす影響力はまことに大きいということができます。
 沖繩県における道路整備は近年かなり進捗し、最近の統計資料によりますと、総延長約四千六百八十キロメートルであり、改良率は三八%、舗装率は四八%で全国平均の二八%及び三四%をかなり上回る水準に達しております。また歩道の設置率も全国平均の一・六倍であります。しかし道路延長そのものが短く、本土類似県に比べて半分以下にすぎないことが基本的な問題点であろうと存じます。
 反面、本県においても自動車の増加は著しく、復帰の年昭和四十七年の当初約十四万台弱であった車両数は昭和五十二年末には二十九万台を突破し、この間の増加は二倍以上となり、全国平均の一・五倍を上回る増加を示しました。これによって自動車一台当たり道路延長は全国平均の約三十七メートルに比べてわずか十七メートルにすぎず、都市部においては慢性的な交通渋滞が発生しております。
 交通事故発生の状況は昨年中において千九百九十一件、死者七十七名、負傷者二千三百九十名で、発生件数、負傷者数は前年に比べ若干増加しておりますが、死者数は昭和四十八年の百二十三名をピークに四年連続の減少を記録し、人口十万人当たり事故死者数で見ても七・〇人と全国平均の七・九人を下回りました。沖繩県の交通事故の特徴は、交通事故の発生率は低いが一たん発生すると死亡事故となる率が高いこと及び酒酔い運転、無免許運転、最高速度違反のいわゆる交通三悪による死亡事故が高率を占めているということであります。
 このような状況を踏まえて、本県では交通安全施設等整備計画の推進、県内ドライバーに基本的な交通ルールを守らせる交通マナー向上のための総合対策、ゆっくり走ろう運動の展開、交通三悪防止のための交通作戦図の作成や取り締まり強化、テレビキャンペーンの実施など幅広い事故防止活動を展開しているところであります。特に今回の交通方法変更の機会をとらえて、沖繩県を日本一安全な県にするという意気込みが感じられました。
 以上、沖繩県の交通事情について申し述べましたが、次に沖繩県における交通方法の変更に関して御報告いたします。
 御承知のとおり、沖繩県の交通方法は現在本土と異なり車両右側通行、歩行者左側通行となっております。本土復帰に伴い、これを本土と同じ方式に統一することが必要となりましたが、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律によって、政令で定める日までの間は、従来の交通方法でよいという暫定措置が講じられております。
 政府は、昭和四十八年九月から総理府総務長官を長とする交通方法変更対策本部を設置して交通方法変更の準備を進めておりましたが、昭和五十年六月の閣議でその実施時期については昭和五十三年七月末を目途とすることとし、さらに昨年九月に政令を公布して、本年七月三十日に交通方法変更を実施することを決定したのであります。
 今回の調査におきましては、現地において室城総理府交通安全対策室長から交通方法変更対策の概要について、また、沖繩総合事務局から対策事業の進捗状況についてそれぞれ説明を受けた後、県庁において県当局から県の対策の概要についての説明及び要請事項を聴取しました。また、同所において県市長会、県町村長会を代表して平良那覇市長から、さらに宮城沖繩県交通安全協会長、喜納県バス協会専務理事、安次富県タクシー協会副会長から要望、意見を聴取しました。
 以下その概要について報告いたします。
 沖繩総合事務局においては、交通方法変更に伴う道路事業のうち、国の直轄事業であるもの及び車両対策等について説明を受けました。
 直轄の道路事業については、本年度分の交差点改良、車両停車帯、道路標識等の大部分についてすでに発注を完了しており、残りについても二月中に発注完了の予定とのことであります。
 前照灯対策については、本年二月一日から県下の実施工場において無料の前照灯つけかえサービスが開始され、すでにつけかえ対象約三十万台のうち四万台のつけかえが終了したものと推定されております。
 県当局の説明は、最初に野島副知事が復帰後六年の間に残された重要な課題として交通方法変更問題に真剣に取り組んでおり、あと本年度わずかの期間であるが、事業の執行を急いでいること、県の要請事項について国の態度を明確にしてほしいこと、交通方法変更を機会に沖繩県を国内で最も徹底した交通安全の県にしたい旨が述べられました。
 次に交差点改良、車両停車帯、防護さく整備等の県が補助道路事業として行う対策事業については、補正後の本年度事業費十一億千二百万円は本年二月末に執行率約八四%になる見込みであり、用地買収を伴う交差点改良の一部を除き、年度内に完了する見込みでありますが、市町村分については執行はややおくれており、二月末の執行率は当初予算で六八%、補正を含めると約二四%にとどまるものと見られるとのことであります。
 広報については、国から今年度四千六百万円の全額補助を受けてポスター、幼児用絵本、老人用パンフ、シンボルマーク、ステッカー、盲人用点字パンフ等により実施中であり、すでに予算の九〇%は執行済みとなっているとのことであります。
 学校の児童生徒に対する安全教育については、文部省において教師用指導資料が作成済みとなっており、それを用いて現地で第一回の学校安全指導者講習会が開かれたなど、来年度から本格化する学校における安全指導がその緒についていることが述べられました。
 県警察では昨年九月から本部長を長とする交通方法変更対策委員会及び同対策室が設けられ、信号機等の交通安全施設の切りかえ、安全教育、街頭指導等について着々と準備を進めており、去る一月末で予算約六億六千万円は執行率九七%となったとのことであります。
 沖繩県からは席上、1交通方法変更対策に関する政府の基本的考え方の明示、2特別事業の実施、3交通方法変更に伴い営業上著しい影響を受ける者に対する救済措置、4県及び市町村の財政負担に対する国の措置、5私立幼稚園及び保育所等の通園通学バスに関する措置、6米軍関係の交通方法変更対策の明示の六項目からなる要請が委員長あて提出されました。
 平良那覇市長は1実施要綱の速やかな明示、2市町村道の重点的整備、3交通公園等交通安全教育施設の設置、4交通方法変更関係経費の国庫負担、5市民がこうむる損失の完成補償、6交通方法変更に伴って市町村道で起きた交通事故についての特別措置の六項目からなる要請を行いました。
 なお、県安全協会からは百九万県民のための特別事業の実施について、県バス協会及びタクシー協会からは交通方法変更に積極的に対応して県民の足を確保するため準備を進めているところであることについて、それぞれ述べられました。
 県庁での説明等聴取の後、琉球日産自動車株式会社整備工場において前照灯つけかえの現場を視察し、第一日の調査日程を終えました。
 翌日は沖繩本島内の主要道路である国道三百三十号線、沖繩自動車道、国道五十八号線等について、道路交通の実態と交通方法の変更のための道路及び交通安全施設の整備状況を実地に視察し、関係者の説明を聴取したほか、沖繩海洋博記念公園の視察を行ってすべての日程を終了しました。
 最後に、今回の調査により問題と思われる事項を挙げると次のとおりであります。
 第一に、現地側に特別事業実施の要望がきわめて強いことであります。県民の協力を確保するために、政府側にこれに対するより積極的な取り組みの姿勢が欲しいと感じられました。
 第二に、交通方法変更についての基本的な方針と施策の内容について、実施要綱等の形で早急に決定を行い、県民に周知を図るべきであります。
 第三に、交通方法変更対策事業の進捗は、おおむね順調のようでありますが、市町村の土木関係の事業に一部おくれの目立つところが見受けられます。今後その促進について格段の努力が必要であるとともに、国または県と市町村との間の協力関係の緊密化を図る必要があります。
 第四に、交通方法の変更対策は変更の実施をもって終了するのではなく、県民生活に対する真の影響は、その後にあらわれるものでもありますから、変更後も経過を注意深く見守り、必要なときには適宜適切な手を打つという政府の心構えが必要であろうということであります。
 以上でありますが、今回の調査に当たり関係者の御協力をいただきましたことを心から感謝申し上げ、御報告を終わります。(拍手)
○沖本委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。
○沖本委員長 次に、沖繩県交通方法変更関係予算について説明を求めます。三島総理府交通安全対策室長。
○三島政府委員 沖繩県の交通方法変更関係予算につきまして、お手元に配付してあります資料によりまして関係各省庁の分を一括して御説明申し上げます。
 御承知のとおり、沖繩県における交通方法変更は本年七月三十日を期して実施する一回限りの事業でありますので、その関係予算は若干の事務経費及び予備的な調査費を除き、すべて昭和五十二年度及び昭和五十三年度の両年度において一挙に計上しておりますので、この両年度分につき御説明申し上げます。
 交通方法変更関係予算の総額は、昭和五十二年度七十六億三千三百万円、昭和五十三年度百三十八億六千三百万円、両年度合計は二百十四億九千六百万円となっております。
 各項目ごとに御説明いたしますと、1の交通安全の確保につきましては、昭和五十二年度六千九百万円、昭和五十三年度八億五千九百万円、合計九億二千八百万円を計上しております。
 その内訳について御説明しますと、
 (1)の広報対策は、交通方法変更の意義、その実施方法等について沖繩県が県民に対して行う広報の事業について国が補助するもので、両年度で合計九千九百万円を計上しております。
 (2)の交通安全教育につきましては、運転者、歩行者に対する交通安全教育を新聞、テレビ等の各種広報媒体、安全運転講習会、地域の自治会等を通じて行うのに要する費用について補助する経費として両年度合計で一億五千九百万円、バス、タクシー等の運転者対策として行う運行管理者の交通安全教育を自動車事故対策センターが行うための費用について補助する経費として、昭和五十三年度に六百万円、幼稚園、小・中学校、高等学校におきまして児童生徒に対する交通安全教育を行うための経費として両年度合計で千九百万円をそれぞれ計上しております。
 (3)の交通方法変更の実施につきましては、沖繩県警察に配置された警察官のほか、他府県からも多数の応援警察官の派遣を得まして交通方法変更の期日の前後を通じて、主として街頭において行う交通安全指導及び交通方法切りかえ時点における自動直逆転者等に対する指示、誘導等を行うための経費として、昭和五十三年度において六億四千五百万円を計上しております。
 次に、2の交通安全施設及び道路施設の整備につきましては、昭和五十二年度に五十四億八千百万円、昭和五十三年度に二十三億千百万円、合計七十七億九千二百万円を計上しております。
 その内訳について御説明しますと、交通方法の変更に伴って必要となります信号機、道路標識、区画線等の交通安全施設の整備及び交差点改良、バス停車帯移設等の関係道路整備事業のうち、公安委員会分は両年度合計で十三億四千八百万円、道路管理者分は同じく六十四億千四百万円で、他に農道に係る分が三千万円となっております。なお、このほかに空港道路及び港湾道路に係るものがありますが、予算の金額が実施協議により確定するものでありますので、ここに計上してございません。
 次に3の車両及び交通施設の整備等につきましては、昭和五十二年度に二十億二千九百万円、昭和五十三年度に百六億二千三百万円、合計百二十六億五千二百万円を計上しております。
 そのうち(1)の車両対策には、両年度合計で百二十億九千八百万円を計上しておりますが、その内訳を御説明しますと、アの前照灯関係は沖繩県内の保有全車両のうち右側通行用の前照灯を備えているものについて、前照灯を左側通行用のものに取りかえ、交通方法変更時点までの間は、これに眩惑防止用のテープ、いわゆるマスキングテープを張っておくのに要する費用について補助するための経費で、両年度合計で二十億九千万円を計上しております。イの営業用バスについては、本年七月三十日から一斉に左側通行用の車両による運行に切りかえるのに要する費用について補助するための経費で、両年度合計で九十二億四千五百万円を計上しております。ウのタクシーについては、交通方法変更に伴って必要となる車両の代替または自動ドア開閉装置の改造に要する費用について補助するための経費で、昭和五十三年度に七億九百万円を計上しております。なお、バス及びタクシーにつきましては、財政融資を行うこととしております。さらに、車両対策といたしましては、自動車教習所の教習車両の代替、特殊学校、僻地の学校等のスクールバスの買いかえ、及び精神薄弱児、老人のための社会福祉施設の通園バスの代替を促進するのに要する費用について補助するための経費として自動車教習所について九百万円、スクールバスについて四千五百万円をそれぞれ計上しておりますが、福祉施設バスについては、昭和五十三年度予算の実施計画によって金額が定まるものでありますので、ここでは計上しておりません。
 次に(2)の交通施設等の整備につきましては、昭和五十三年度におきまして五億五千四百万円を計上しておりますが、このうちバス停留所の移設及びバスターミナルの改造に要する費用について補助するための経費として四億七千百万円、自動車教習所内の信号機、標識等の施設の整備に要する費用について補助するための経費として八千三百万円を計上しております。なお、バスターミナルの改造については財政融資を行うこととしております。
 最後に4の企画調整事務費につきましては、昭和五十二年度に五千四百万円、昭和五十三年度に七千万円を計上しておりますが、これは沖繩県交通方法変更対策本部関係の事務費、警察庁の幕僚団派遣に要する経費等であります。
 以上で御説明を終わります。
○沖本委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○沖本委員長 ただいま左藤恵君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六派共同提出に係る沖繩県における交通方法変更に関する件について決議せられたいとの動議が提出されております。
 本動議について議事を進めます。
 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。左藤恵君。
○左藤委員 ただいま議題となりました沖繩県における交通方法変更に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、私からその趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    沖繩県における交通方法変更に関する件(案)
  沖繩県における交通方法の変更は、県民の三十年余にわたる生活習慣を一挙に変更するという重大な事業であることにかんがみ、政府は、人命の安全を尊重し、かつ、県民の一致した協力を得るという立場から、次の措置について格段の努力をすべきである。
 一、交通方法の変更を実施するにあたっては、これによる交通事故の発生を防止するため、安全教育指導の徹底並びに道路及び交通安全施設の整備等に万全を期すこと。
 二、交通方法の変更が県民生活に及ぼす影響について充分に配慮し、必要な財政措置及び特別事業の実現を図ること。
  右決議する。
 次に、その趣旨について申し上げます。
 沖繩県における現行の交通方法は、戦後県民がなれ親しんできた基本的な交通ルールであります。したがって、これを変更するに当たっては、安全の確保に最大の努力を傾注することがまず必要であります。このため、県民一般に対する交通安全指導の徹底及び交通安全施設の変更、交差点の改良など、施設関係の変更整備対策を遺漏のないよう行う必要があります。
 さらに、交通方法の変更が県民各層に種々の影響を及ぼすことは避けられませんが、これによって県民がこうむる有形、無形の負担を極力軽減するために車両対策その他の財政措置を講じ、さらに地域住民の意見を聴取しながら、県民一般の利益となるような特別事業を実施することにより、県民の一致した協力を得て交通方法変更の円滑な実施を確保する必要があります。
 よって、政府は、本決議の指摘する措置を強力に推進するよう特段の努力をすべきであるというのがその趣旨であります。
 委員各位の御賛同をお願いする次第であります。(拍手)
○沖本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 左藤恵君外五名提出の動議のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、左藤恵君外五名提出の動議のごとく決しました。
 なお、議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 この際、総理府総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。稻村総理府総務長官。
○稻村国務大臣 ただいま採択されました決議については、その御趣旨を十分に尊重いたし、努力いたしてまいりたいと考えます。(拍手)
○沖本委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時五十三分散会