第084回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第5号
昭和五十三年五月十日(水曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 廣瀬 正雄君
   理事 塩崎  潤君 理事 増田甲子七君
   理事 松永  光君 理事 箕輪  登君
   理事 小林  進君 理事 横路 孝弘君
   理事 坂井 弘一君 理事 大内 啓伍君
      羽田野忠文君    稲葉 誠一君
      坂本 恭一君    横山 利秋君
      池田 克也君    鍛冶  清君
      中野 寛成君    正森 成二君
      加地  和君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
 出席政府委員
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        国税庁直税部長 水口  昭君
        国税庁調査査察
        部長      藤仲 貞一君
        運輸省航空局長 高橋 寿夫君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   宮脇 磊介君
        ロッキード問題
        に関する調査特
        別委員会調査室
        長       長崎  寛君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  加地  和君     依田  実君
同日
 辞任         補欠選任
  依田  実君     加地  和君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 ロッキード問題に関する件
     ――――◇―――――
○廣瀬委員長 これより会議を開きます。
 ロッキード問題に関する件について調査を進めます。
 この際、児玉譽士夫君に対する所得税法違反等被告事件及び小佐野賢治君に対する議院証言法違反事件の公判経過等について法務大臣から報告を求めます。瀬戸山法務大臣。
○瀬戸山国務大臣 児玉譽士夫に対する所得税法違反等被告事件は一ヵ月に一回ないし二回、小佐野賢治に対する議院証言法違反事件は一ヵ月に一回程度の割合で開廷され、これまでに児玉関係では十七回、小佐野関係では九回の公判が行われております。
 いずれの公判においても被告人が公訴事実を否認しておりますので、検察官は鋭意公訴事実の立証に努めているところでありますが、詳しいことは政府委員からお答えすることといたします。
○廣瀬委員長 伊藤刑事局長。
○伊藤(榮)政府委員 それでは大臣の御答弁を補足いたしまして、児玉譽土夫に対する所得税法違反等被告事件及び小佐野賢治に対する議院証言法違反事件の公判経過について御報告申し上げます。
 まず、児玉譽士夫関係を申し上げます。
 児玉得士夫に対する所得税法違反等被告事件の第一回公判は昭和五十二年六月二日午前十時に開かれまして、冒頭、主任弁護人が東京女子医科大学附属脳神経センター医師喜多村孝一氏作成の昭和五十二年五月三十一日付の、病名脳梗塞後遺症、一過性脳虚血発作、不整脈、付記といたしまして、現在、言語障害発作、視野狭窄、難聴その他の症状があるが、裁判所への出頭は四十分間程度の時間で、かつ病状が急変した場合、直ちに退廷が許されるならば差し支えないとの診断書を提出し、被告人の在廷時間を四十分程度にとどめてほしく、また病状が急変した場合直ちに退廷を許されたい旨陳述し、裁判長は弁護人の陳述の趣旨について配慮して審理を進める旨述べました。
 続いて、人定質問、検察官の起訴状朗読、被告人、弁護人の公訴事実に対する認否が行われ、被告人弁護人は、ロッキード社から年額五千万円程度のコンサルタント報酬を受領していたことは認めましたけれども、その余の事実については否認いたしました。
 以上の冒頭手続が終了いたしました段階で、弁護人から被告人の退廷の許可が求められ、裁判長がこれを許可し、被告人は午前十時四十六分退廷し、被告人の退廷後、検察官の冒頭陳述及び証拠調べの請求が行われたのでございます。
 その後、本年四月十三日までの間に十七回の公判が開かれております。いずれの公判にも、弁護人から脳梗塞後遺症により当分の間自宅での静養が必要であるとの医師喜多村孝一氏作成の診断書添付の不出頭許可申請書が提出され、被告人は不出頭のまま審理がなされております。
 この間、検察官申請に係る書証及び証拠物で弁護人が同意ないし取り調べに異議がないとしたものの証拠調べ及び証人尋問が実施されてまいりました。
 本年三月二十三日の第十三回公判までに証人尋問を行いました証人は、被告人の銀行取引につきまして元北海道拓殖銀行築地支店支店長南善一氏ら七名、被告人の確定申告の実態につきまして日総建設代表取締役福島秀夫氏、盗難小切手問題について元玉川警察署長佐野行雄氏ら二名、三光汽船によるジャパンラインの株式買い占め事件の調停工作に関連する報酬につきまして元ジャパンライン社長土屋研一氏ら二名、熱海観光道路の株式を台糖に買い取らせた件につきまして台糖代表取締役海江田一郎氏ら八名の合計二十名でございまして、主として昭和四十七年以降の被告人の雑所得関連の検察官立証が行われてきたのであります。
 前回の四月十三日の第十四回公判におきましては、福田太郎氏の検察官調書の採否をめぐり、その任意性、特信性等を立証するため、同氏の取り調べに当たりました山辺力元東京地検検事及び同氏の主治医でありました東京女子医科大学教授小林誠一郎氏の証人尋問が行われますとともに、検察官が昭和五十二年十月二十八日の第八回公判において刑事訴訟法第三百二十一条第一項第一号書面として証拠申請をし、その証拠能力について検察官、弁護人双方から意見の応酬がなされてまいりましたコーチャン及びクラッターの嘱託証人尋問調書についての裁判所の判断も遠からず示されるところと思われ、被告人に対する所得税法違反事件の核心とも言うべきロッキード社からのコンサルタント報酬及び同特別報酬の授受関係の審理に入りつつあるところでございます。
 以上が児玉関係であります。
 次に、小佐野賢治に対する議院証言法違反被告事件について御報告申し上げます。
 同事件の第一回公判は、昭和五十二年七月二十一日午前十時から午後零時まで行われました。開廷に先立ちまして、裁判長から被告人に付き添って出廷いたしました医師山口三郎氏に対し被告人の病状について質問があり、同医師は、被告人の血圧二百三十ないし百三十、脈搏百四で頭痛を訴えているが、公判審理には耐えられる旨答えました。
 開廷後、人定質問、検察官の起訴状朗読がなされましたのに次いで、弁護人から被告人に対する衆議院予算委員会の告発は有効でないとして公訴棄却の申し立てがありましたが、これについて裁判所は、最終判断は留保するが、現段階では公訴は有効なものとして審理を進めたい旨の訴訟指揮を行い、実体審理に入りました。
 まず、被告人及び弁護人の公訴事実についての認否が行われましたが、両者とも公訴事実を全面的に否認し、引き続いて検察官の冒頭陳述並びに書証及び証拠物の証拠調べの請求がなされました。
 その後、本年四月十三日まで合計九回の公判が開かれ、検察官申請に係る書証及び証拠物中、弁護人が同意ないし取り調べに異議がないとしたものの証拠調べが実施されましたほか、ロッキード一社と丸紅との間の販売代理店契約の概要とその推移につきまして丸紅機械第一本部輸送機械部特機課長八木芳彦氏、ロッキード社及び丸紅の全日空に対するL一〇一一機の販売活動の概要につき元丸紅機械第一本部長付松岡博厚氏、全日空の昭和四十六年六月以降の新機種選定経緯の概要及び昭和四十七年十月三十日の新機種決定から同四十八年十二月十二日の購入契約締結までの状況について元全日空調達施設部長植木忠夫氏ら二名、東亜国内航空が昭和四十八年十一月一日新機種導入委員会を発足させた経緯及び同社が昭和四十八年一月DC9型機を購入した経緯につきまして東亜国内航空専務取締役窪田俊彦氏、福田太郎氏の検察官調書の任意性、特信性等に関連して山辺力元東京地検検事及び東京女子医科大学教授小林誠一郎氏の合計七名の証人尋問を行っております。
 また、昭和五十二年十月二十五日公判期日外で検察官から刑事訴訟法第三百二十一条第一項第一号書面として取り調べ請求がなされましたコーチャン及びクラッターの嘱託証人尋問調書の証拠能力をめぐって、児玉の公判同様、検察官、弁護人双方から意見の応酬がなされてきている状況であります。これまでのところはいわゆる背景事実についての検察官立証がなされてきたと言えると思いますが、今後はこのコーチャン及びクラッターの嘱託証人尋問調書についての証拠決定を含め、公訴事実である偽証を直接立証する証拠の証拠調べが行われることとなる見込みでありまして、本件公判の審理も徐々に事件の核心に迫っていくものと予想されます。
 なお、小佐野被告につきましては、毎公判主治医の山口三郎氏が付き添って出廷いたしており、公判審理の時間も被告人の病状を勘案して午前中二時間程度とされている状況にございます。
 以上でございます。
○廣瀬委員長 これより質疑に入ります。
 この際、委員長から法務省当局に御質問申します。
 去る四月二十六日の理事会の決定に基づいて資料要求をいたしましたロッキード事件の全日空、丸紅ルートの公判廷における行政指導関係についての各証人の証言等の要録について、今日準備のできたものだけでも順次説明を求めます。伊藤刑事局長。
    〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕
○伊藤(榮)政府委員 ただいま委員長から御質問をいただきました件につきましては、鋭意検察当局に報告を求めましてその作成を急いでおるところでございますが、とりあえず本日までに間に合いました御指摘の証言の要録に関する部分について御報告を申し上げたいと存じます。
 なお、証拠物の要録につきましては、その性質上、作成に若干の日時を要しておりまして、現在なお第一線検察当局において報告のために取りまとめ中のことでございまして、近く御報告申し上げることができるものと考えております。
 御要望いただきました順序に従って申し上げます。
 まず、行政指導関係の一といたしまして、手塚良成元運輸省航空局長の証言、これは、昭和五十二年二月二十一日、全日空ルート第二回公判でございますが、この証言のうち、昭和四十一年の航空企業の運営体制に関する閣議了解の方針を転換した経緯及び事務当局の反応に関する証言の要旨でございます。
 一 明確な記憶はないが、昭和四五年五月ころ、橋本運輸大臣から事務当局に、航空企業の運営体制に関して、全日空の近距離国際線への進出をそろそろ認めてもいいのではないか、東亜航空と国内航空との合併も航空企業の体制を整備するワンステップとして認めてもいいのではないか、国際航空貨物を専門に扱う会社を設立したらどうかというような指示があったように思う。
 二 航空局長としては、全日空の国際線進出、国際航空貨物会社の設立はいずれも時期尚早ではないかと考えていた。東亜航空と国内航空との合併については、当時全日空と東亜航空の合併交渉が行き詰っていた状況だったので、大臣の右指示を聞いて、全日空と東亜航空の合併は実現しないと判断した。
 以上であります。
 二といたしまして、手塚良成氏の証言、昭和五十二年七月二十日、丸紅ルート第十七回公判における証言中、エアバス導入時期についての航空局長在職当時の運輸省の考え方に関する証言要旨は次のとおりでございます。
  昭和四四、四五年当時国内航空需要は大幅に伸びており、運輸省は将来も同様の伸びを示すであろうという見通しのもとに、昭和四七、四八年ころを国内線への大型ジェット機の導入時期のめどとして考えていた。
 以上であります。
 三、松岡博厚丸紅輸送機械部長の証言、昭和五十二年四月二十八日、丸紅ルート第七回公判のうち、ロールスロイス社の倒産と大型機導入延期の行政指導に関する証言要旨は次のとおりであります。
 一 昭和四六年二月四日、ニュースでロールスロイスが倒産したことを聞き、ショックを受けた。Ll一〇一一の売り込みは万事休すと思った。
 ニ ロールスロイスの倒産後のことで時期ははっきりしないが、大型機の導入時期を延期したいという趣旨の行政指導があった。いつまで延期されるのかはっきりしなかったが、従来の昭和四七年四月から一年以上は延期されるのではないかと思った。丸紅としては天佑だと思った。
 以上であります。
 四、千村信次自由民主党政務調査会事務部長の証言、昭和五十二年五月三十日、全日空ルート第十三回公判のうち、自由民主党航空対策特別委員会、昭和四十七年三月二十百及び同年五月二十六日の議事メモに関する証言要旨は次のとおりであります。
 一 右各議事メモは、それぞれの日付けに開かれた自由民主党航空対策特別委員会の議事の模様を記録したものである。
 二 発言者の発言はおよそのところは右議事メモ記載のとおりであるが、発言の中で記載がもれている場合もある。
 三 右議事メモに記載されている以上のことは記憶にない。
 以上であります。
 なお、ここに出てまいりました議事メモの記載内容につきましては、先ほどお断りいたしましたように証拠物の要録でございますので、現在検察当局で作成中でございます。なお、この千村氏の証言は、この議事メモの正確性についての証言であるようでございます。
 五、窪田俊彦東亜国内航空専務の証言、昭和五十二年七月四日、全日空ルート第十八回公判のうち、自由民主党航空対策特別委員会における航空三社の見解に関する証言の要旨は次のとおりであります。
 一 昭和四七年五月下旬ころ、下村会長と一緒に自由民主党航空対策特別委員会に出席した。
 二 窪田は席上、政府の従来の航空政策は東亜国内航空に対する配慮を欠いている旨不満を強く表明し、航空企業の運営体制に関するいわゆる町田試案に対しては干天の慈雨と考えている旨発言した。干天の慈雨というのは干ぼしになっている時に雨が降ったという程度であって、これで十分だとは思わないが、ないよりはあった方がいいという趣旨である。
 以上であります。
 六、川上親人元運輸省航空局監理部長の証言、昭和五十二年十月十七日、全日空ルート第二十七回公判のうち、エアバス導入についての航空局の昭和四十四年六月から昭和四十五年六月当時の考え方に関する証言の要旨は次のとおりであります。
 一 当時航空局としては、空港の混雑緩和のため大型機は昭和四七、四八年ころの出来るだけ早い時期に導入すべきであると考えていた。
 二 そのためには若干の空港整備が必要だが間に合うと考えていた。
 以上であります。
 七、藤原亨一全日空元取締役経営管理室長の証言、昭和五十二年九月二十一日、丸紅ルート第二十回公判のうち、運輸省からエアバス導入延期のサゼスチョンを受けた状況に関する証言の要旨は次のとおりであります。
 一 昭和四六年二月ころ、運輸省から大型機の導入延期のサジェッションを受けた。運輸省のだれから言われたか覚えていない。藤原が聞いてきたものか、渡辺専務が聞いてきたものか両方考えられる。
 二 大型機の導入を昭和四九年度まで延ばしたらどうかというサジェッションであった。
 三 社内で検討した結果、全日空に不都合はないということになり、だれからどういう形で伝えたかはっきりしないが、運輸省へは異存ない旨返事をした。
 以上であります。
 八、朝田静夫日本航空社長の証言、昭和五十三年二月二十日、全日空ルート第三十二回公判のうち、昭和四十七年四月二十七日佐藤政務次官との会談及び同年五月十五日丹羽運輸大臣との会談の部分に関する証言の要旨は次のとおりであります。
 一 佐藤政務次官が、航空企業の運営体制につき、一部企業の立場に偏した案を作っていると聞き、それにつき反論するため、昭和四七年四月二七日佐藤政務次官と会った。
 二 佐藤政務次官の案は、昭和四五年一一月二〇日の閣議了解の線を逸脱する考え方であったので、相当長時間にわたり論争し、利用者不在の行政になってはいけないと意見を述べた。
 三 同年五月一五日、丹羽大臣に会い、佐藤政務次官との右会談のいきさつ等を陳情かたがた説明した。
 以上であります。
 九、尾松伸正運輸省元航空局監理部監督課総括補佐の証言、昭和五十三年二月八日、丸紅ルート第三十七回公判のうち、昭和四十七年八月二十六日付資料「原田審議官から総理秘書官への説明」に関する証言の要旨は次のとおりであります。
 一 右資料は、当時の航空局監督課で作成した文書である。
 二 「原田審議官から総理秘書官への説明要旨」という頭書は、監督課の職員が上司から聞いて書いたものである。
 三 右資料は、航空機輸入金融についての配慮をお願いする趣旨の記載になっている。
 十、澤雄次全日空専務の公判供述、昭和五十三年三月二十七日、全日空ルート第四十六回公判のうち、金銭を授受した際のエリオット氏との会話に関する供述の要旨は次のとおりであります。
  金銭の授受に立会ったのは、二度目に三、〇〇〇万円を受け取った時だと思うが、エリオットに全日空の国際業務を拡大するにはお金が必要だということを言ったと思う。
 以上でございます。
    〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕
○廣瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 いまいわゆる児玉ルート、小佐野ルートに関する公判の状況を聞きました。われわれ考えてみまするに、丸紅並びに全日空ルートを含めて、次第に国民の中にいわゆるロッキード問題の全容が明らかになりつつあります。しかしながら、丸紅ルート、全日空ルートに比ぶるならば、児玉ルート並びに小佐野ルートは依然として深い霧の中にあると思います。実際にこのロッキードを動かしたものは一体本当はどこが中心であったかと考えてみますと、児玉譽士夫ら二名に対する所得税法違反等被告事件冒頭陳述書要旨、これをもう一遍読み返してみましても、公判の状況を読み返してみましても、あるいはコーチャンの追想を読んでみましても、国民の中でもだれでも実は一番の仕掛け人は児玉譽士夫ではないかということが痛切に感じられるわけであります。しかるにこの児玉譽士夫に関する事実関係というものは、冒頭陳述書を読んでみましても、いわゆる雑所得その他についてはわりあいに明らかである、また、幾らロッキード社から金をもらったかもわりあいに明らかになっておる。しかしながら、児玉譽士夫がどうして政府の計画を覆したか、そしてまたもらった十七億以上の金をどこへ一体使ったのか、だれと会って、だれと工作をしてそれをしたのか、大刀川がその仕事をどういうふうに手伝ったのか、小佐野がまたそれをどういうふうに協力し、援助したのかということは、依然として深いなぞに包まれておる。このことが解明されなくて真のロッキード事件の政治的な、あるいは法律違反の問題なり、解明はできないのではないか、やみからやみへ真の真相が隠れてしまうのではないかということを私は痛感をするわけでありますが、法務大臣はどうお考えになっておりますか。
○瀬戸山国務大臣 ロッキード事件については、小佐野賢治あるいは児玉譽士夫関係に何らかの関係がありそうだということで、検察庁は鋭意捜査をしたことと思います。しかし、その捜査の結果、いまあらわれておる程度しか判明しておらない、こういう事情でありまして、これを検察庁がいいかげんにしておるとは私どもは考えておらないのでございます。
○横山委員 この冒頭陳述書要旨の中で私が特にこの児玉譽士夫の任務で注目をいたしましたのは、この二十七ページに「ロッキード社にとって不利な状況の改善」という項であります。「(一)コーチャンは、前記のように全日空に対するL一〇一一型機の売り込みに全力を投じていたが、昭和四十七年十月五日早朝、滞在中のホテルオークラに福田から電話で、「日本政府の決定は、DC10型機を全日空に、B747SR型機を日航に、L一〇一一型機を日航にという方向に向いつつあるが、日航は現在L一〇一一型機を必要としないので、のちに注文することになる」と旨知らされ、日航がロールス・ロイスのエンジンを好まないところから将来日航がL一〇一一型機の発注をしない事態が生ずるおそれがあると考え、驚愕するとともに、これは何らかの陰謀ではないかと思料し、小佐野及び児玉に会って調査を依頼、政府決定を覆えしてもらおうと企図した。(二)コーチャンは、同日午前十時ころ、国際興業本社応接室で福田と共に小佐野に会い、右情報を伝え、ロッキード社としてはかような決定を受け入れ難いとの意向を述べたが、小佐野の考え方がコーチャンにとって満足できるものでなかったため、同日午後八時ころ児玉事務所で福田と共に児玉と会い、右の情報を伝え政府の右決定を覆えすよう助力を要請し、児玉はこれを承諾した。コーチャンは、翌日昼ころ児玉から福田を通じて、状況が元に戻った旨の連絡をうけた。」これは検察側の冒頭陳述書であります。政府の決定を覆してもらおうと企図した。そして小佐野に会ったら、小佐野が余りいい返事をしなかったので、そこで児玉に福田と一緒に会って、児玉は承諾した。翌日昼ごろ児玉から福田を通じて状況がもとに戻った旨の連絡を受けた。わずか一日で児玉が政府の決定をひっくり返した。これは検察側の冒頭陳述ですね。これほどの重大なことが、内容がこの文章ではわからない。これはどういう方法で行われ、どういう結果になったかという説明を求めます。
○伊藤(榮)政府委員 児玉譽士夫の起訴されております所得税法違反につきまして、その大部分をなします事業所得、これがロッキード社からの流入資金すなわち報酬及び特別報酬であるわけでございます。どういうわけであんなに多額の報酬及び特別報酬が児玉の手元に流入したか、その辺の立証をいたしますことが所得の性格を立証するために不可欠の要素でございます。したがいまして、児玉の公判におきましては、これからいよいよロッキード社からの報酬及び特別報酬の関係の立証をすることになっておるわけでございまして、その過程におきまして、なぜ児玉がそんなに巨額の報酬を得ることができたかという事情も逐次立証していかなければならぬわけでございます。そういう意味で先ほどもちょっと御報告申し上げましたが、亡くなりました福田氏の生前の供述調書の任意性、特信性等の立証に検事が努める段階にいま入っておるわけでございまして、公判の過程におきましてそれらの事情等も次第に明らかになっていく、かように思っております。
○横山委員 公判の過程で、明らかにするわけにはいけないというなら、少なくともこの点が、四十七年十月五日、六日のこの事実がきわめて重大なことであるということについては同感でしょうな。
○伊藤(榮)政府委員 少なくとも当事者にとってきわめて重要な事項であったと思います。そういう趣旨で立証がなされると思います。
○横山委員 それではこの事実について関係者、少なくともコーチャン、それから福田、小佐野、児玉、これらの人々について尋問し、調査は進んでいるでしょうね。
○伊藤(榮)政府委員 福田氏につきましては、先ほど申し上げましたように検察官調書というものが現在ございます。それからコーチャンにつきましては、御承知のように嘱託証人尋問調書があるわけでございます。それから児玉はもちろん当該被告人でございますから、十分取り調べをしておるはずでございます。小佐野も同様でございます。
○横山委員 コーチャンについての嘱託尋問調書は、この間の状況について何と言っていますか。
○伊藤(榮)政府委員 コーチャンの嘱託証人尋問調書は、現在まだ公判廷に顕出されておりませんので、この段階で申し上げることは御容赦いただきたいと思います。
○横山委員 ここにコーチャンの回想録がございます。同僚諸君もすでにごらんになっておると思うのでありますが、実に生々しい回想録であります。この生々しい回想録というものに私は非常に信憑性がある、そういうふうに痛感をしておるわけであります。
 長い文章でありますから途中省略して焦点だけ読みますと、十月五日の回想録のしまいの方に、
  「だれか、政府首脳レベルで、全体像のわかっていない連中が決めてしまったんだなー」
  重大な事態を聞き終わった児玉氏は、こう感想をもらし「すぐ、中曽根氏にどういう事態になっているのか調べてもらおう」といって、私の目の前で中曽根氏に電話をした。
  長い電話だった。途中、ときどき通訳の福田氏に何か確認しては電話の会話を続けた。そして終わってから「中曽根氏があす一番に、この件で努力してくれると約束した」と児玉氏は私を勇気づけてくれた。オフィスを出たら、時計は午後九時半をさしていた。長い苦しい一日だった。念のため、あす丸紅の大久保氏にこの件を話さねばならないと思った。
 十月六日
  早朝に起きて、午前七時半には皇居前の丸紅本社に着いた。大久保氏がいつも八時には出勤してくることをこのときまでに私は知っていたからだ。
中間省略いたしますが、結局は大久保が姿を見せたが、わからない。そこでその後になりまして、
  話を伝えたあと、いったん丸紅を引き揚げ、待機していたところ、昼前に福田太郎氏から「中曽根氏が陰謀覆しに成功し、再びもとの状態に戻された」と児玉氏から連絡が入ったことを伝えてきた。私は再び丸紅にとって返し、大久保氏に「陰謀が覆されたはずだ。その点だけを確認してほしい」と要請した。彼は伊藤宏取締役を呼び、田中首相の秘書榎本敏夫氏と電話した結果、期待していた通り、恐るべき“陰謀”が覆されていることが確認された。確認がとれた時は、昼すぎになっていた。
 あと時間の関係で省略をいたしますが、このコーチャンの回想録は、ほかの場所を読みましても実に生々しいのであります。この、政府レベルで、全体像のわかっていない連中が決めてしまったんだなと児玉が感想し、目の前で中曽根氏に電話し、そこにおる福田氏に確認をして電話を続け、そうしてあくる日この問題に関連をしたのが大久保、児玉、伊藤宏、榎本敏夫、福田太郎、みんながこれ、確認ができる事実なんであります。そういたしますと、これらの関係者の中からどうしてどういうふうになっていったかということが芋づる式に私はある程度わからないはずはないと思うのです。この事案の一番の立て役者は、このコーチャン回想録によりますと中曽根さんである、こう言わざるを得ないと私は思う。私はこのコーチャン回想録が、時間やいろんなことがすべて正しいとは必ずしもコーチャン氏も言わないと思うのでありますけれども、少なくともコーチャンの立証するそばにおる人がみんなおるわけであります。この四十七年十月五日、六日事件の一番の功労者は中曽根康弘氏である、そういうことについてどう思いますか。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘のように、私もコーチャン回想録を読みましたけれども、大変生々しい描写であることは間違いないと思いますが、何しろ現在、コーチャンの嘱託証人尋問調書の採否をめぐって検察官側、弁護人側がきわめて緊迫した論争をやっておる状況でございますので、その点についての感想を述べさせていただくことはいかがかと思いますので差し控えさせていただきたいと思います。ただし、検察当局はそういった非常に重要なポイントについては十分調べを尽くしておる、こういうふうに思っております。
○横山委員 第七回の公判で弁護人側からコーチャン氏を証人として申請をしたいという希望があり、それについてあなた方は後で相談して返事をするということになっておる模様でございますが、この点についてはどういう答えをしているんですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘のような事実はございません。それに似たこととして考えられますのは、全日空ルートにおきまして弁護人側からエリオット氏の証人尋問の請求がございまして、これに対して検察官が釈明を求めて、これからこの証人尋問についての検察官の意見を申し述べる、こういう段階になっておりますが、お尋ねのような事実はございません。
○横山委員 先ほど私が申しましたが、この冒頭陳述書を読みましても、児玉に入った金の経過についてはかなり詳細をきわめておる、立証の公判維持も私はできるのではないかと思われます。もちろんその性格がどういうことであるか争われる可能性はありましょう。しかしながら、これらの十七億以上に上る児玉に入った金がどこへ行ったかという点についてはほとんど書いてない。全然書いてないと言ってもいいと思うのであります。これは検察陣としては少しいかがなものか、恐らく綿密に調べられたと思うんだけれども、検察陣が手放しでこれを書いてない。
 大蔵省に聞きたいのでありますが、大蔵省は児玉に課税をしたということになっている、所得税違反で。つまり児玉が全部もらった、全部所得をした、したがってそれに課税する、こういう考えでありますか。両者の意見を聞きたいのであります。
○藤仲政府委員 お答えいたします。
 ただいま御指摘のように、私どもといたしましては児玉が収受しました金員はこれをすべて児玉の所得と考えております。それから出た金があるかどうかという御指摘であろうかと思いますが、その場合にも所得の処分として出た金はあるのではなかろうか、私どもはかように考えております。
○伊藤(榮)政府委員 所得税法違反の公訴事実でありますから、立証上必要な事項といたしましては、とりあえず幾ら所得があったか、これに対して経費が幾らあったか、差し引き課税対象額が幾らかということを立証すればよろしいわけですから、冒頭陳述ではその程度にとどめてあるわけでございます。しかしながら、これから検察官の立証が進んでまいりまして、弁護人側からの反証も挙げられるということになりますと、それらの流入しました金の使途につきまして、経費性を持った使途であるという反証あるいは主張がなされてくるということも十分予想されるわけでございます。さような場合には、検察としては金の使い払いといいますか、そういうものも立証しなければならぬ、こういう段階が来るのではないかと思います。それに備えまして、私が報告を聞いておりますところでは、使途関係についても大部分について解明を遂げておるというふうに聞いております。
○横山委員 一応いまのところは国税庁は、児玉に入った金は全部児玉の所得として考える、そして、出ていった金はわしの方の知ったことではない、もちろん経費があればそれは引くにやぶさかではない、こういうことですね。法務省としては、弁護人から、この金は児玉がもらったわけではない、小佐野にいったんだ、あれにいったんだ、そういう立証があれば、それに応じて証拠を挙げて争う、こういうことですね。この冒頭陳述を読みましても、またこの回想を読みましても、児玉が真ん中におるけれども、必ずしも児玉に入ったわけではないというものがあるわけであります。たとえば、「小佐野氏を抱き込むためには、「別に五億円必要だ」と要求してきた。前回訪日した時この件を頼んでから三週間余り。この間に児玉氏は五億円という“抱き込み費用”を算出してきたわけだ。午前中、大久保氏から首相向けの五億円を約束させられ、午後には小佐野氏用として児玉氏から新たに五億円を要求される。」こうあります。したがって、大蔵省なら、国税庁なら別としても、法務省としては、児玉に入ったものを児玉が全部取ったんだ、そういう観点ではないと私は思うのでありますが、この間の感想をひとつ言ってください。
○伊藤(榮)政府委員 詳細は先ほど御説明しましたような、公判への影響から申し上げることを差し控えさせていただきたいと思いますが、私が報告を受けておりますところでは、意外に児玉から外へ出た部分は少ないというふうに聞いております。
○横山委員 意外にということは、それだけの金を児玉がまだ握っているということですね。
 国税庁に聞きますけれども、国税庁は査察をおやりになるときにはいろいろな方法がある。たとえば四十六年から五十年までの財産の増減状況、それを調べるのも一つの査察の常套手段だと思うのであります。それならば、十七億円以上がこの年度を中心にして児玉の手元に現在あるのかないのか、財産の増減状況から見た判断を一遍聞きたいと思うのです。
○藤仲政府委員 お答えいたします。
 その点につきましては、個人の財産の内容のことでございますので、御答弁を御容赦させていただきたいと思います。
○横山委員 それは国税庁、いつもならそれでもいいのですよ。けれども、これほど国会を、日本を、いや世界を震憾さしたロッキード事件です。われわれがここで何十回となく議論を尽くしておる。そして政府は国政調査権については最大限これを尊重するというお約束までいただいており、法務省は前大臣以来、ロッキード事件については事情許す限りよく国会にも協力をしてくれると私は思うのであります。不十分な点はありましてもその誠意を認めておるわけです。私がいま聞いておるのは、国税庁査察がいつもやります財産のある期間からある期間までの増減状況からいって、十七億という多額の金が児玉の中にまだ現存しておるかどうか、いま一銭一厘間違わぬことを言ってくれと言っておるわけではないのですが、一つの物の感覚として、これは重大なことでありますから、もう少し国会を尊重して丁寧な答弁をしてもらいたい。
○藤仲政府委員 お言葉ではございますが、先ほどお答え申し上げたとおりでございますので、御了承いただきたいと思います。
○横山委員 委員長、これは私は大変残念なことであります。この問題、この児玉に対する金がどう流れたかということにつきましては、これはもう私が冒頭に申しましたようにロッキード事件の心髄の問題だと私は思っておるわけであります。ですから、私の質問はやや抽象的でございますが、具体的に言ってもよろしゅうございますが、少なくともこの期間における児玉の財産の年度別の増減というものは、後でちょっと話しますが、児玉の財産というものは国税庁も、この事案がありますまではなかなか捕捉が不十分でありました。検察についても同じことが言えます。しかし、一たんロッキード事件が起こりましてから徹底的な調査が行われたわけであります。ですから、知らないとは言わせません。これは国会に協力をするか否かの問題であります。
 もし藤仲調査査察部長が調査部長個人の立場においてはできないというならば、委員長から大蔵大臣に、この間の年度別の児玉の財産の増減状況の資料要求をしてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
○廣瀬委員長 ただいまの横山君の御要請でございますが、理事会でよく相談いたしまして方針を決めたいと思います。
○横山委員 それではぜひ理事諸公の御好意をもって、このロッキード事件が起こります二年ぐらい前から今日までに至ります児玉譽士夫の年度別財産の増減状況につきまして資料を提出願いたいと思います。
 それは一つには、いま法務省に言っておりますが、少なくとも児玉の金がどう流れたか、それを年度別の増減とそれから児玉に入ってきた金と差額を見れば、行方不明の財産、金というものが判明するわけでありますから、ぜひひとつ協力を願いたいと思います。
 それから、先ほど中曽根さんの名前を出して恐縮でございましたが、この十月五日、六日のコーチャンの回想を見ますと、どうしても、児玉の依頼によって中曽根さんが一日で政府の陰謀をひっくり返した。陰謀という言葉が適当であるかどうかわかりませんけれども、少なくともこの冒頭陳述書にも出ておる言葉でありまして、「政府の決定を覆えしてもらおうと企図した。」という言葉が冒頭陳述書に出て、それから「翌日昼ころ児玉から福田を通じて、状況が元に戻った旨の連絡をうけた。」ということはコーチャンの回想とぴたりと一致をしておるわけであります。もちろんコーチャン回想の以前にもう検察陣としてはお調べになったと思いますからこれが先でコーチャンが後だと思うのでありますが、いずれにしてもぴたりと一致して、これが問題の核心に触れる問題があり、その核心に触れる児玉がなぜ一日でうまくやったか、コーチャンはそれは中曽根さんによってできたんだということなんであります。その点については法務省に、大臣、非常に政治的なことで恐縮でございますけれども、少なくともこの十月五日、六日の時点について中曽根さんに事情をお聞きになったことがございましょうか。
○瀬戸山国務大臣 法務大臣としては聞いておりません。
○横山委員 じゃあ刑事局長としてはどうですか。
○伊藤(榮)政府委員 検察当局としては必要な参考人等はすべて調べていると思いますが、ただいま具体的に名前をお挙げになった方を調べたかどうか、これについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 お言葉がはっきりしないのでありますけれども、これはどうしたってこの公判の中で中曽根さんの名前が出てまいります。冒頭陳述書の二十六、七ページに出てまいります一日で政府の決定が覆えされたという中で、どうしてだれがどういう方法で、しかもその一番の功労者であると思われる人にどんな謝礼をしたかということは当然の常識として出てくる問題だと思うのであります。公判の中でそれがやはり問題に出てくると私は思いますが、伊藤局長、違いますか。
○伊藤(榮)政府委員 二つに分けてお答えいたしますと、まず第一に、冒頭陳述書に書いてあります事柄につきましては、検察当局が証拠に基づいて立証できる自信を持って書いておりますから、所要の立証がこれから行われると思います。
 それから、先ほど児玉に入った金の使途についてのお尋ねがあったわけでございますが、児玉から外へ出ました金の中にいわゆる政界、官界等に流れた金はなかった、こういうふうに聞いております。
○横山委員 児玉から流れた金が政界へ出たことがなかったと聞いておる、それは聞いておるというのはそういうようなことについて検察陣として確保した証拠がなかったということなんで、あったかなかったか、事実関係については定かではない、そういうふうに理解をしてもいいんでしょう。あなた方がそうかと思って調べたところがそういう証拠がなかったということなんでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 大変大ざっぱに申し上げますと、児玉に流入しました金の行方というものを非常に抽象的な表現で恐縮でございますが申し上げさせていただきますと、児玉の財産となって残っているものが大、児玉からだれかに出ておるということがわかっておるものが中、わからぬ部分が小というような関係でございまして、そのわからない小の部分にそういうものがあるかないか、これは一〇〇%の確信を持って検察当局も言うわけにいかぬと思いますが、検察当局の感触といたしまして、児玉からはそういう方面に金が出ておらないというような心証を持っておる、こういうことのようでございます。
○横山委員 先ほど委員長にお願いをした財産増減状況そのほかいろいろな方法があってあなたがそういうふうにお考えになったのか、いろいろ調べてみたけれども、それに関する証拠がないというのか。あなたが大、中、小とおっしゃったということは、児玉の財産十七億の使途、それらについてはすべて調査した結果、小しか残らない、つまり財産はかなりある、そういう意味ですか。
○伊藤(榮)政府委員 未解明の部分の大きさから推論いたしまして、そういう方面へ金が出たことはないのではないかというふうに検察当局では心証を持っておるようでございまして、その状況を私も報告を聞きまして、何と申しますか、率直に言いますと、児玉という人は金を使わなくてもいろいろなことができる人なのかなという印象を持っておる次第でございます。
 それで、お断わりしておきますが、最後の部分は全く私の個人的な感想でございます。
○横山委員 結構な御身分で、私もその点に関して後でいわゆるフィクサーあるいは総会屋というものについて少し触れたいと思うのでありますが、少し問題を残しておきます。
 第二回の公判で、「国内のフィクサー料として検察側があげた「雑所得」については、一部分を除き大筋を認める意見を述べた。しかし、五十年度の所得税については脱税の意思はなかった、としている。」こうありますが、そのとおりでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 児玉の公訴事実に対する意見、これを主任弁護人が述べておるわけですが、雑所得につきましては一つ一つ細かいいろいろな弁解をしておりますけれども、概括的に申し上げますと、入った金額については大体認める、ただし、それぞれについて課税対象になる所得ではないと思っておったとか、あるいは総体的に所得税逋脱の犯意がなかったというような弁解をしておるようでございます。
○横山委員 雑所得の内訳説明書をずっと目を通してみました。実に年度別に多額の雑所得があるわけであります。いまの伊藤局長の言うように、児玉譽士夫という人は、もらうはもらっても経費が必要でない、大したものだという個人的感想を述べられたのでありますが、そういう観点から見ますと、この雑所得というのはべらぼうもないフィクサー料としての多額の金であります。そこで考えられることが幾つも出てくるわけでありますが、法律上、フィクサーという仕事は、仲介をして、おどしたり、殺したりすれば別として、右翼の頭領としての児玉選士夫が顔を出した、名前を出しただけで話がつくということと、それからいま警察陣が全力を挙げておる総会屋、もちろん総会屋が悪いことをすればすぐに刑法にひっかかるのですが、刑法にひっかからなくても、総会屋を一応悪と見て、銀行、証券会社に総会屋に対して協力しないように、場合によれば背任、特別背任でしょっぴいてもいくからと、総会屋対策については全力投入を警察がしておる、つまり総会屋というものを一応悪と見て作業をしておる、ある意味で言えば法律に触れなくても。それとフィクサーとどういうふうに考えたらいいのでしょうか。フィクサーという仕事について法務省としてはどうお考えになっていますか。
○伊藤(榮)政府委員 私どもは、刑罰法令の適正な運用ということを使命とする者でございますので、このいわゆるフィクサーと世の中で言われるような人の中には、きわめてしばしば法律に触れるようなことをする場合が多いのではないか、そういう場合には、厳正に取り締まるべきだと思っております。現に、児玉の場合、彼がフィクサーという定義に当てはまるといたしますと、多額の所得税逋脱ということで、現在刑罰法令に触れて起訴されているわけでございますが、児玉のみならず、そういうたぐいの人たちには暗い半面があるのではないか。そうすれば、その暗い半面の中で何らかの犯罪に関与してはいないか、そういう点を常に見守っていく必要があるのではないか、こういうふうに思います。
○横山委員 ところが、警察庁に後で聞かなければなりませんが、警察庁は総会屋というものを本来的に社会悪と見て、金融機関並びに証券会社に厳重に総会屋排除を要望をしておるわけです。
 児玉の雑所得の内訳を見ますと、東海興業は、これは児玉の関係会社と言ってもいいのでありますからあれですが、有名なジャパンライン、これは三光汽船との争いの問題、それから野村証券、殖産住宅、昭石の関係のもの、それから水谷文一、これは精糖関係、台湾製糖等が渦巻いておりますね。しかも、ジャパンライン事件や台湾製糖等事件に至っては、経営者が児玉のところへ何とかしてくれと頼みに行っているのですね。児玉がみずから腰を上げたわけではない。頼みに行って、児玉が顔をきかせてジャパンラインでもおさまった、台湾製糖でもおさまった。ジャパンラインからは一億、殖産住宅関係は二千百四十万、それから野村証券に至っては毎期五百万ぐらい、台湾製糖は四億五千五百四十万、そういうことを一体どう考えたらいいのでありましょうか。これはもう刑事局長の段階ではない、法務大臣として、警察庁が総会屋に大追撃をしておるときに、財界が児玉に頼みに行って、五億数千万円という金をばらばらまいて、児玉に仲介を頼んでおるということをどうお考えになりますか。
○瀬戸山国務大臣 私に聞かれても、正直なところ私もよくわからないのですが、児玉という人がどういう世話をすればそういう多額の金が入るのか、きわめて不思議ではありますけれども、私自身は、どういう仕組みになっておるのか、正直なところ承知しておりません。
○横山委員 ほかの事案は説明でよくわかるのでありますが、野村証券が毎期五百万ぐらい児玉に出しておるのですね。これは恐らくお調べになったと思うのです。なぜ野村証券が毎期児玉譽士夫に五百万を出すのか、野村証券はその五百万というものをちゃんと帳簿に掲上しておったかどうか、出した理由は一体何でありましたか。
○伊藤(榮)政府委員 ずいぶん前に一度その点について調べました上でお答えした記憶があるのですが、現在私ちょっと鮮明な記憶を持っておりませんが、野村証券としては、私の記憶に間違いがなければ、何らかのいきさつでずいぶん前に知り合いになって、その後一種の献金というような形で、たしか半期に五百万ぐらいだったと思いますが、それだけの金を児玉に渡しておった、こういうことのようで、これはたしか表の勘定から出ておったのじゃないかと思います。
○横山委員 私が聞いておるのは、どういう理由で児玉と知り合いになったか。少なくとも野村証券が毎期、半期ごとですか、五百万ずつ出すというのは、五十万や百万の問題ではありません、五百万という金を各期ごとに出すということは、それだけの理由があろうと思うのであります。きょうあなたの記憶がなければ、ひとつ後日報告を求めます。
○伊藤(榮)政府委員 この雑所得関係は、恐らく立証が終わっておると思いますから、その証拠に基づきまして、記憶を喚起いたしまして、改めて御報告いたします。
○横山委員 第四回公判で、金融機関と警察の調査がございます。ここで驚くことは、二億円の運搬をした北拓の諸君、あるいはまた児玉の被害届によって盗難事件を実際に捜査した警察署員の態度であります。検察側認定二億五千万円を届けたときの状況が、第四回公判できわめて綿密に証言されておるわけでありますけれども、金融機関が児玉の家で二億五千万円を一生懸命に数える。数えるときに、とても大変だから銀行へ持っていこうと言ったら、ここで数えてくれと言う。時によっては児玉の奥さんまで手伝って一生懸命に数えた。数えたのが銀行の帯封でなくてばらばらの帯封であった。そういう金が、金融機関として一体どういう金だろう、どういうものだろうという疑いを持たなければおかしいと思うにかかわらず、むしろこの金融機関から、児玉先生の金なら本名を出さない方がよいと自分で考えたとして、仮名を勧めておるわけであります。驚いた金融機関だと思うのであります。
 今度は警察の方であります。この盗難事件を実際に捜査した当時の玉川署員古賀英人、現在警視庁捜査二課員が、児玉は初め被害品の中に複数の小切手があると言っていたが、小切手の種類、枚数などを聞くと、児玉の答えはだんだんあいまいになり、翌日になって小切手は盗まれていないと訂正した、被害品の詳しい内容を児玉は余り話したがらない様子であった、こう言っている。そして午後から証言に立った玉川署の元署長佐野行雄氏はいわく、佐野氏は訳された文書、これは児玉の被害届を外国へ連絡するために外国語へ翻訳したものを持ってきた、その訳された文書が何語かもわからなかったが、児玉は外務省の専門家に訳してもらったと言うので、児玉さんのおっしゃることに間違いはなかろうと判を押したという。まことに警察官として、しかも署長なんでありますが、たわけたことをこの公判廷で証言をしておると思うのであります。
 このことの中に思われることは、金融機関はもう商売オンリーで、児玉先生それは御本名ではいかぬので仮名にしなさいよと言う。警察署長は警察署長で、きのうは小切手が紛失した、これは問題の小切手ですね。児玉としてはコーチャン、クラッターにあれは紛失したのでもう一遍五億円くれと言う。そんなことはいやだと言う。しかしもし五億円が返ってきたらアメリカへ、ロッキード社へ必ず返すから、もう一遍書いてくれ。それならそういう条件つきで書こうと言って書く。そのためには被害届が要る。その被害届を警察につくってもらおうと思って、小切手があると前の日に言ったにかかわらず、明くる日になったら小切手はなかった。聞けば聞くほど児玉の返事はあいまいになっていく。ところが、警察署長は、児玉さんのおっしゃることなら間違いないだろう、余り詳しい話をおっしゃらないで、まあいいや、児玉さんのことですから、と言って判こをついたというばかばかしい話であります。警察庁としてはこの辺のことについてどう調査をしていますか。
○宮脇説明員 玉川の警察署長がいかなる気持ちで申したのか理解できませんが、警察といたしましては、総会屋等に対しましては先生仰せのとおり断固たる態度で臨んでおりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○横山委員 よろしく頼むと言われても、穏便に質問してくれとおっしゃる意味かと思うのでありますが、それは穏便にできません。これはいまでこそ私は警察も法務省も一生懸命おやりになっていると思うのです。それは否定しません。けれども、事件が起こる前の金融機関の児玉に対する態度、警察が児玉に対する態度、国税庁が児玉に対する態度というものは、私はこの一事をもってしてもいいかげんなものだと思う。恐る恐る伺候して、そして、後で出てまいりますけれども、所得の申請についてははいはい結構でございますというようなことが行われていたのではないか。児玉の家から被害届が出た。署長が飛んでいく。署員が飛んでいく。そして、何がなくなりましたか。小切手です。ああそうですか、それでは小切手は幾らですか。だんだん怪しくなって、明くる日になったら、いや小切手は紛失しておりません。ああそうですか、児玉さんのおっしゃることなら間違いがないでしょうと言って、被害届に判こを押す。こんなときに、一般の庶民だったら、警察がそんなあいまいな被害届に判を押すわけにいかぬと言うじゃありませんか。
 警察庁に再度伺いますが、この佐野行雄署長の証言について、きょうあるいはあなたは突然だったかもしれぬけれども、これは新聞に載っておることですから、署長として公判廷に行って、いま警視庁警務部付でおるのですから、一体その当時の事情はどうであったか、もう一遍よく聞いて、報告を願いたいと思いますが、どうでしょうか。
○宮脇説明員 第四回公判廷での佐野署長の証言につきましては、前後関係等につきましてまだ私といたしましても承知いたしておりませんので、仰せのとおり調べまして後刻また御返事をいたしたいと思います。
○横山委員 第五回の公判で大変なことが明らかになりました。ジャパンラインの株の防戦で元ジャパンライン社長土屋研一氏の証言内容を見ますと、要するにお礼に一億円を持って児玉家を訪れ調停を依頼した。そして児玉は金の受け取りを隠すために、土屋氏と一銭たりとも謝礼、報酬は差し上げないことを前提にして引き受けていただいたという覚書を交わした。つまり一億円持っていったら、要らぬ、そしておまえから一文ももらわないという約束でとにかく引き受けたと言って、さて実現がされた。そしたら公判になって土屋氏の言うたことは、検察側が実際は一億円は児玉から戻っていなかったわけだがどう思うかと尋ねたのに対し、同氏は、検察庁でそう聞かされ非常に意外と思ったと答えています。つまり、児玉は、脱税のためにも世間体にも、あなたから一億円はおろか一銭ももらわない、義侠心でやるということで覚書を交わしましょうということで交わした。あにはからんや、出した一億円は本人土屋氏の知らぬうちに児玉のところへ持っていったやつが返ってこなかった。検察官の取り調べの中で一億円が実は返ってこないことがわかって実に意外な顔をした。土屋氏も土屋氏だと私は思うのであります。一億円という金が返ってきているか返ってこないかそれまでにわからないはずはないと思うのであります。いいかげんな会社だと思うのでありますが、そういう覚書を交わしておいて一億円をポケットに入れて脱税をはかったということは悪質きわまるものだと私は思うのであります。この事実に間違いはございませんか。
○伊藤(榮)政府委員 大体いま御指摘のような証言を土屋氏がしておることは間違いございません。
○横山委員 国税庁の課税状況を見ますと、所得も税額も書いてあるけれども重加算に関してはここに書いてないように思うのですが、これはどうなっていますか。
○藤仲政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように重加算税を徴収いたしております。
○横山委員 それならばいいのですけれども、この冒頭陳述書の逋脱税額掲上書の中に重加算は出ておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 所得税法違反として刑罰の対象になる金額とそれから重加算税の問題とは別個の問題で、課税上の問題でございますので、起訴状の記載金額あるいは冒頭陳述の金額としては重加算税額は加えないことといつもしております。
○横山委員 わかりました。
 それでは国税庁に伺いますが、いまの児玉の脱税額の徴収状況はどんなふうですか。
○藤仲政府委員 お答えいたします。
 私ども東京地検に告発をいたしますと同時に課税処分を当然のことながらいたしております。その課税処分につきましては、所要の債権保全という関係から財産の差し押さえを行っておるところでございます。逐次そういうことから徴収に努めてまいっておる、こういうところでございます。
○横山委員 あなたの言うことはしまいの方がよくわからぬ。
○藤仲政府委員 債権保全の措置は十分にしておるつもりでございまして、逐次徴収をしてまいる、こういう状況でございます。
○横山委員 時間がありませんので、この冒頭陳述書のみならず、重加算の金額、つまり児玉に課した全税額並びにそれを徴収するためにいまどんなことが行われておるか、差し押さえをした物件、その物件の大体の額――あなたは債権保全に完璧を期していると言うのだが、抽象的でわかりません。具体的に債権保全に何をどれくらい押さえたか、実際に税額として徴収した金額はどのくらいか、どのくらいの金が残っておるか、その資料をひとつ出してください。
○藤仲政府委員 お答えいたします。
 徴収関係は私担当をしておりませんので、担当の方の部に連絡をいたします。
○横山委員 それでは本件は御了承願いましたから資料として国税庁から提出をお願いをいたします。
 時間がなくなってまいりましたが、第八回公判で、三光汽船は山口組に、ジャパンラインは猶存在、つまり児玉組に協力を依頼して、そこでジャパンラインはお礼として一億円、それから四十八年に猶存社の諸君を台湾でしたかな、外国へ大量に招待をした、こういうケースがございます。
 そこで警察庁に伺いたいのですが、現在なお児玉書士夫が持っております肩書きですね、どこの何をやっている、何をやっているということはおわかりになっていますか。
○宮脇説明員 警察庁の方では承知をいたしておりません。
○横山委員 それでは、第九回公判の台糖事件で、児玉が時価大体五百円の株を三千二百六十円で台湾製糖に買ってもらった、これについては萩原吉太郎氏もおかしなことだということを言うておるということになっているわけであります。通算して大体四億五千万円の謝礼を受けたことになるわけでありますが、これはたしか無申告でしたね。これは大蔵省。
○藤仲政府委員 御指摘のとおり無申告でございます。
○横山委員 この種の問題が、だんだん、雑所得に関しましてはわりあいに明らかになっていくわけでありますが、明らかになっていけばいくほどこの雑所得がいかに多いか、そしてフィクサーとしての仕事というものがどんなにべらぼうな収入になるのか。児玉譽士夫はそれを何と脱税に、あるときには合法的に、合法的らしく一銭ももらわないという覚書を交わしたりなんかをしておるわけであります。私も戦争中南京で児玉譽士夫に会ったことがあります。少なくとも当時からの印象としては、国士的な感じを持たないではありませんでしたし、いまでもそう思っておる人がないではありません。しかしながら、フィクサーとしての彼の仕事、そして脱税、そして一億円もらわないと言って実はもらっておった、そういうことから考えますと、まことに彼のこの手口というものは、先ほどは純粋なフィクサーとしてはどうだと言ったんでありますが、刑事局長の言うように、何かかんかこのフィクサーには、やはり違法なこと抜きでこのフィクサーは行われていないということが痛感をされるわけであります。
 時間が参りましたので、あとまだ数点を残しておりますけれども、この際、政府側に要望をいたしておきます。それは、先ほど冒頭に申しましたように、四十七年の十月五日、六日の事件というものが本件の児玉ルートの真相の一番中心地にあるのではないか、そこの剔抉なくして単なる脱税、単なる為替管理法違反、そういうことでこの裁判が仮に終わるとするならば、国民の失望はきわめて大きなものがあると私は思います。したがって、さらにこの問題の追及を、この冒頭陳述書以外の問題についても鋭意検討をすることが国民の期待に沿うゆえんであると私は考えるわけでありますが、法務大臣から児玉ルートについての感想と今後の見解をひとつ述べていただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 大臣が御答弁になります前に、先ほどお答えを留保しました野村証券との関係につきまして御報告申し上げます。
 これは、昭和二十四年ごろ、瀬川社長とパーティーなどで顔見知りとなり、以来友人づき合いをしておりまして、野村証券から中元、歳暮などを出すようになった、こういうことのようでございまして、以上が瀬川氏の検察官調書、これは公判廷で取り調べ済みでございますが、それに記載されておるようでございます。フィクサー等の関係は全くない、こういうことのようでございます。
○瀬戸山国務大臣 このロッキード事件に関して、特に児玉譽士夫、小佐野賢治、この捜査には検察としても全力を挙げたと思いますが、ただ御承知のように、健康上の関係で法律に従って思うとおりの捜査ができなかった点もあると思います。先ほど横山さんが、ここが中心のところだ、こういう御指摘のところがありましたが、これは先ほど刑事局長からもお答えいたしましたように、そういう点はもとより検察としては綿密に捜査をしておるはずでございますから、公判廷等でだんだん事態が明らかになってくるんじゃないか、かように考えます。しかし、その間に別にまた犯罪事実がある、こういう疑いがあるときに、これは十分捜査をするのは当然でありますから、今後とも激励していきたい、かように考えます。
○横山委員 終わります。
○廣瀬委員長 次に、池田克也君。
○池田(克)委員 四月五日に本委員会でお伺いをいたしましたことに引き続きまして、運輸省とまた法務省にお伺いをしたいと思います。
 きょうは航空局長に忙しい中をおいでいただいておりまので、最初にお伺いをしたいと思いますが、航空需要の予測というのはどういう方法でやっていらっしゃるんでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。
 ほかの経済予測と同じように、一番基本になりますのはやはり経済企画庁等で握っておられる将来の国民総生産の予測でございます。これをべースにいたしまして、私どもは全国を二十幾つかのブロックに分けまして、そのブロック相互間の航空輸送需要をはじいているわけでございますが、これには過去の経緯等からできました一定の方程式がございまして、それによって各ブロック間の交通需要をはじくわけです。これは当然ブロックとブロックの間の、たとえば北海道ブロックと関東ブロックという場合には、鉄道による方法もあります。航空による方法もあります。お客さんがどちらをどう選択するかということにつきましては、結局時間とそれから運賃、この二つを主たる判断材料にして選択なさるわけですから、時間が短い方、運賃が安い方というのがいいわけですから、そういうファクターでお客さんがどちらを選択するかということの方程式をまた入れまして、全国二十幾つかのブロック相互間の航空輸送需要を予測いたします。この予測に基づきまして、今度は輸送需要の太さに従いまして、大きい輸送需要があるところには大きい機材、小さいところは小さい機材ということで、どのぐらいの機材が年間発着しなければならないか、そういったことをはじきまして、それで最終的にはそれをそれぞれの地域に配置される空港の建設規模にリンクさせる、こういうことで計算をしているわけでございます。
○池田(克)委員 そうしますと、かなり大がかりな調査というものが必要じゃないかと思うわけです。いまのような手順を踏んで、航空需要の予測というのは何年に一遍おやりになっていらっしゃるのでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 最近の政府での長期的な経済見通しとなりますと、五ヵ年計画もございますけれども、もう少し長期なものの方がより私どもはベースにしやすいものですから、たとえば新全総、最近では三全総と言われているもの、こういったもので大体十年ないし十五年先の予測をしているわけですが、こういったものを基本にしながら、さらには、五ヵ年単位ぐらいで決められる五ヵ年計画の数字もにらみながら計算をいたします。
○池田(克)委員 そうしますと、五年に一遍ぐらい出てくるということでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 五年に一遍やればいいのですけれども、計画と実績がそごいたしますので、現実には三年に一遍か四年に一遍ぐらい見直しをしているというのが実績でございます。
○池田(克)委員 最近、総理がアメリカへ行かれるについて、DC9でしたか、前倒しの発注をさした、こういう報道がございましたけれども、これは事実でしょうか。
○高橋(寿)政府委員 これは総理の訪米とは全く関係ないわけでございまして、先ごろ、対外経済政策といういわゆるドル減らしの一環といたしまして、政府は外国の航空機の輸入促進を図るということを関係閣僚協で決定いたしたわけでございます。それに基づきまして、私ども航空三社に、ここ一、二年のうちに発注する予定の機材を報告してください、こういうことを求めまして、その報告の中にすでに入っているわけでございます。したがいまして、東亜国内航空といたしましては、一、二ヵ月前に運輸省に報告をしたその線に沿いまして発注をしたわけでございまして、総理訪米とたまたま時期が一緒になったわけでございますが、それとリンクさしていることは全くございません。
○池田(克)委員 そうしますと、航空各社から大体買う予定を運輸省はとっていらっしゃる。そのことと、運輸省が、いまお話がありましたようなかなりの年月とシステムをかけて航空需要予測をしていらっしゃることと、この相互関連はどうなっておるのでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 私どもの立場では、きわめてマクロな見方で各地域、各空港間の輸送需要をはじくわけでございますが、今度はエアラインの立場は、これは個々の企業の立場で、自分のところの会社はいまから三年なり五年なりのうちに輸送需要に応じてどういうふうな供給力をつけていこうかということを経営計画として決めるわけでございますね。これは、当然のことながら各会社のそれぞれの消極、積極いろいろな考え方が反映されるわけでございますが、そういった中で、それでは、たとえばこの路線についてはこのぐらい自分の会社は運びたい、とすれば三年後にはどのぐらいの大きさの飛行機がどのぐらいの数要るのじゃないか、こういうふうに経営計画の中で立てまして、そして機材の購入計画を会社として立てて、それで手続に乗せる、こういう段取りになるわけでございます。したがいまして、会社の人は、私どもが五ヵ年計画その他に基づきまして決めますそういうものを参考にすることはあると思いますけれども、必ずしもそれに全部縛られてとかそれの示唆を受けてとかということが全部ではないと思います。
○池田(克)委員 そうすると、いわゆる航空需要の予測というのは、飛行場を整備するという側にとっては運輸省が所管として具体的な形であらわれるのであるが、飛行機を何台買うとかということになると、それはもっぱら航空会社の商売上の判断だ、こういうふうに考えていいのでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 そのとおりでございます。
○池田(克)委員 そうしますと、いわゆる運輸省がやっている行政指導とは一体何か。私がなぜこの問題を航空局長にお尋ねしているかといいますと、ロッキード事件の全体を見ておりまして、片っ方にはPXLの問題がある。もう一つには、いま横山委員から御指摘がありましたように、十月五日の児玉から中曽根氏への電話、そして不利だったと言われる状況が一夜にして一転したと言われる問題。さらに三番目には、昭和四十五年の十月二十七日に、四機、三機と、合計七機について運輸省に対してその取得の許可あるいはまた国内線転用の許可が求められておった。しかしそれがわずか三ヵ月後の昭和四十六年の二月に運輸省によってそれは白紙に撤回されている。つまり、片っ方には児玉によるところのそうした力が働き、もう一方では運輸省の航空行政というものによって導入の延期というものが図られて、そして全日空はちょうどトライスターの生産、購入とほぼ時を合わせるようにして時間を延ばすことに力を注いできた。その背景にいわゆる自民党の航空対策委員会、福永一臣さん等について何らかの働きかけがあったのじゃないか。そして事が成ったときに、そこにいわゆるお金が出た。一部の方は受け取ったと言われておりますが、私ども、これを拝見しておりまして、やはりその三番目に私が指摘をいたしました飛行機の購入、そういうものについて運輸省というものが力を持っておった。そしてそれについてお金が出た。私はいまお話を伺っておりますと、飛行場の建設については関係があるが、飛行機の購入については関係がないと航空局長はおっしゃる。それであるならば、こういうふうな経過にならなかった。
 お伺いしますが、昭和四十五年の十月二十七日から昭和四十六年の二月までわずか三ヵ月の間に航空需要予測の何らかのデータができ上がり、それによる判断の変化があったと考えていいのでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。
 先ほどの説明の補足が若干要ることになるわけでございますが、エアラインが原則的には機種を決め、機数も決めるわけでございますけれども、実際に外国の航空機でございますから、これを購入する手続に入りますと、通産省に対して外貨割り当ての申請をエアラインがする必要があります。そうすると、通産省はこの航空機に対して外貨を割り当てることについて航空政策上どういう判断であるかということを、これは事務的な連絡でございますけれども、聞いてくるわけでございます。そのときに私どもは、各社の経営計画だけに任しておいた場合に過剰な機材の購入をするおそれがある――各社はそれぞれ自分のところの会社で需要をみんな食ってしまいたいと、潜在的にそういう拡大意欲を持っていますから、ほうっておきますと、各社合わせますとかなりだぶついた機材を手当てすることになってしまう。それはやはり需要との関係で過大投資になって、高い運賃をお客さんに払わせる結果になるというところから、原則的にはエアラインの判断に任せつつも、余りにも過大なものであるかどうかということにつきましては私どもチェックいたしまして、現実には通産省から外貨割り当ての申請があったときの行政判断を求められたときに、これは無理がない、大丈夫です。あるいはこれは若干問題だからしばらく抑えた方がいいとかいう返事をする、これはルールになっているわけでございます。したがって、その段階でいわばこれは行政指導ということが発揮されることになると思います。これは一般論でございます。
 それから、いま先生のお尋ねの四十五年の秋の出来事でございますが、これにつきましては、たびたび当委員会でも御答弁しているわけでございますけれども、四十五年の秋に万博が終わりまして、それで万博の間はかなり、飛行機も切符が買えないほどの大騒ぎでございましたけれども、万博以後、毎月毎月がた減りになってきたわけです。こういうふうな傾向では、四十七年から大型機を導入するということであると供給過剰になるのじゃないだろうか、そういう心配を運輸省の局内で事務的にいろいろ判断をした結果、結論が出てまいりまして、それではひとつ日本航空に対して、国際線に使っておりましたジャンボLRの国内線転用ということを前提にして、新しい国際線の機材の購入を秋に認可したばかりだったのですけれども、しかし、これほどがた減りになってきているのでは、これはとてもほっておけないという判断がございまして、四十六年の年明け早々に日本航空に対しまして、四十七年からのジャンボ機の国内線への転用はちょっとどうも時期尚早な感がある。これはやはり延ばすという方向で検討をしてみないかということを示唆をいたしまして、その後日本航空との間に数カ月間いろいろ議論をいたしましてやっております間に、航空事故が起こりまして需要ががた減りになったというところから、エアライン自身としても、万博後の減少だけではなくて事故による激減というのがありまして、結果的にはこれはとても延ばさなければならないという形になって延期が行われたという経緯がございまして、その間、私どもは、いろいろ冒頭陳述等にも書かれておりますような、政治を通しての延期への働きかけというものを航空局として受けた事実はないというふうに認識をいたしているところでございます。
○池田(克)委員 当時は、局長はどんな立場にいらしたのですか。
○高橋(寿)政府委員 私は、たしか官房の政策課長か、または官房の参事官をいたしておりました。
○池田(克)委員 四十五年の万博が終わって需要ががた減りになった、これは察しがつくわけです。減ったのなら、何もジャンボ機の転用を十一月三十日に橋本登美三郎運輸大臣名ですることはなかったんじゃないか。私は、いまの御説明ではどうもその辺が納得できない。しかも、航空需要の予測というのは、単なる万博が終わったからという単純なものではなくて、先ほど来お話があったような、かなり大幅な研究、そして調査がなされて結論が出るものだと思うのですね。ですから、いま御説明のあったような、万博が一つの原因で、この十一月三十日の導入決定、さらに二月の変更、これは要因は万博だけだったのではない、私はこう見ますけれども、どうでしょう。
○高橋(寿)政府委員 その辺の事情につきまして、私たちもいろいろな観点から検討してきたわけでございますけれども、一般的に行政の物の考え方は、世の中の進んでいく動きに対して、どちらかというと抑制的に物を考えるということが多い性格を持っているわけでありますが、そのときにも、本当は十一月の国際線の取得認可のときにそういう判断が働きまして、すでにそういう警戒的な判断をすればよかったのでありますけれども、そのときにはまだ万博後の需要の減少ということも現実に統計面に出てこなかったということもありましたし、その話は恐らく数カ月前からすでにずっと仕事に乗っておりまして、その流れの上に乗って、それほど疑問を感じないままに認可をしてしまった。認可直後の状況として、そういう需要の減少ということが起こりまして、それでも二、三ヵ月見ていたわけでありますけれども、やはりこれはとんでもないことになりそうだという判断から、行政官本来の、事業者の自由に任せずに若干抑制した方が安全だという本能が働いて行政指導を行ったというふうに私は認識をしているわけでございます。
 マクロの輸送需要の見通しとの関係でございますが、やはりいろいろの状況によりまして需要が変動するということは、経過期間中にもあるわけでございますので、そういう需要の上がり下がりに応じまして、多少の軌道修正をしていくということはいまでもやっているわけでございますが、当時もそういうことでやっていたんだろうと思います。
○池田(克)委員 これは刑事局長にお伺いをしたいと思うのですが、第十回の丸紅ルートの公判、五十二年五月二十六日です。このときの証人は、検察側証人で日本航空の稲益専務という方が来ているわけです。
 この記録を見ますと、「最終的に航空局がメモを出してきまして、どうしても日航が(四十七年に大型機を)導入するというなら、全日空と話し合ってくれといってきました」、この部分だけちょっと取り上げてはおわかりになりにくいのかもしれません。つまり、日本航空側としては、このときの行政指導が――日本航空はどうしても入れたい、ジャンボ機を四機、三機と七機入れたい。しかし、急に様子が一変をいたしまして、四十五年の十一月三十日にオーケーが出たものが二月に変わってしまった。そして、それを一生懸命運輸省に対して働きかけをしているという、そういう経緯が述べられているわけです。そして「“四十七年に導入しなくてもいけるのではないか”と、一案みたいなものが出てくる事態で、これは相当深刻だなと思いました」。導入延期の行政指導が本物であることを知ったのだ。」こういうふうな話なんです。そして、いま申し上げたように「最終的に航空局がメモを出してきまして、どうしても日航が導入するというなら、全日空と話し合ってくれ」つまり、運輸省としては、もうさじを投げる。この導入あるいは延期、この間の問題は日航と全日空との航空会社問のかなり熾烈な分捕り合戦であり、いわゆる運輸行政としての問題からもギブアップである。そして、両方で話し合って決着をつけてくれ、こういうふうなやりとりが出ているわけなんです。
 これは刑事局長、こういうやりとりがあったことを、これは新聞の報道のまとめですが、事実かどうか、お伺いしたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘の証言の要録を持ち合わせませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、ごらんになっておりますものから見まして、大筋においてそういうような証言があったというふうに思います。
○池田(克)委員 重ねてお伺いしますが、いま航空局長がお話しになったこと、さらに刑事局長がおっしゃっているように、証人の証言は、私は、ここに、単なる行政指導ではなしに、何らかの政治的な力というものが働いていた、こういうことをこういう資料から推察するわけであります。検察当局として、こういうような問題があるがゆえに今日までいわゆる灰色問題が出てきた、このことの意味というものをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○伊藤(榮)政府委員 検察官といたしましては、全日空ルートにおきましては、いわゆる政治家である方のある種の圧力といいますか、取り計らいといいますか、そういうものによりまして導入時期等がずれたりしたということと、その授受された金員との関係があるということで、鋭意立証に努めておるわけでございまして、ただいま御指摘の証言もその一環である、こういうふうに思います。
○池田(克)委員 臭いという判断で立証していらっしゃるということでありますが、さらに申し上げるならば、五十二年三月九日の第四回公判で、全日空常務会の議事録が取り上げられ、「四十六年六月三十日の議事録。日航の国内線ジャンボ乗り入れ問題での渡辺(尚次全日空副社長)発言はこうです。自民党航空部会で検討してもらうことにした。福永一臣と会ったら……」これは松尾検事さんの話であります。また四十六年六月三十日、新機種選定準備委員会「本委員会資料ファイルです。機種選定はまだ結論にならずとありまして、日航のB747導入を、あらゆる手段で引き延ばす、日航ジャンボの単独就航をできる限り短縮するとあります。」これは前回私が本委員会で読み上げた七つの資料の一部であります。これに対して刑事局長からは「大筋においてただいま御指摘になりましたような証言がなされております。」この事実関係を刑事局長もほぼ認めていらっしゃったわけであります。このことはいまもお変わりありませんでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 その後確認いたしてみますと、大筋はそのとおりでございます。五十二年三月九日の丸紅ルート第四回公判で、検察官が証拠申請し、証拠として調べられました全日空常務理事会議事録、四十六年六月三十日付の分でございますが、そこのただいま御引用の渡辺副社長の発言部分は「福永一臣氏と会ったが早急にやることになり、成田とか厚木とかとあわせて事情聴取の形で七月二日十三時から自民党本部で開催することになった」、こういうふうな記載がございます。
 それから、四十六年六月三十日付の新機種選定準備委員会会議資料、これも五十二年三月九日の同じ丸紅ルート第四回公判で証拠として採用になり取り調べになっておりますが、これにおきましても、「JALの計画には断固反対し、投入時期を延期させる旨の全日空の方針を確認」というような文言が出ておるようでございます。
○池田(克)委員 これは委員長にお願いですが、いま読み上げられました刑事局長の持っていらっしゃる資料を、委員会としてコピーないし何なりいただけないかお取り計らい願いたいと思います。
○廣瀬委員長 理事会で協議いたしまして、御希望に沿いたいと思っております。
○池田(克)委員 重ねてお伺いをいたしますけれども、「日航のB747導入を、あらゆる手段で引き延ばす、」こうあるわけであります。この「あらゆる手段」というのは一体どういう手段というふうに検察側は考えていらっしゃるのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど私が読み上げさせていただきましたように、あらゆる手段という言葉は実はメモに使ってございません。「JALの計画には断固反対し、」という表現でございます。したがいまして、ちょっとお答えいたしかねます。
○池田(克)委員 そういたしますと、検事さんが法廷でおっしゃった、これは裏のないあらゆる手段というのが一つの観測かもしれません。いろいろな手段の中にそうした政治的な力関係というものがあった。先ほど来そういう方向で立証するというふうに伺っているわけでありますが、航空局長、メモをお出しになって、そして「どうしても日航が導入するというなら、全日空と話し合ってくれ」と言った、日航の稲益さんという重役さんが法廷でそういう答えを出しているようであります。こういうことはあり得ますか。
○高橋(寿)政府委員 その辺の事情は、すでに当ロッキード委員会に運輸省からお出しいたしました資料あるいは当時の大臣からの答弁でも、私どもこういうふうに言っております。先ほどのような行政的な判断に基づきまして運輸省の中で出した結論は、「大型ジェット機の導入時期は四十九年度ごろが適当であると思われるが、各社で検討し、また両社で話し合う必要がある」、そういう結論を出しまして、そこでその結論を担当課長から日本航空及び全日空の担当の室長に伝えたということでございます。
 それで、話し合いをというのは、これは私の推測でございますが、航空局としてはもうこの段階で四十七年導入というのを二年ほど延ばした方がいいという判断を持ったわけでございますけれども、これを強制するわけにはいかないし、企業として十分理解をしてもらいたいということがあったことと、やはり全日空と日本航空のしのぎを削っているライバル同士でございますから、両社がそれぞれよく話し合って、双方とも供給過多になるような事態を避けるために平和裏にこの問題を話し合ってもらうのが一番いい、こう考えて行政指導をしたものと私は理解をいたしております。
○池田(克)委員 時間が余りありません。
 検察当局としては福永一臣さんという方をお呼びになって、この件についてお聞きになっていらっしゃるでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 検察当局といたしましては、必要な参考人は十分取り調べておると思いますが、具体的な福永一臣という方を調べたかどうかは御本人の名誉その他の関係がございますので控えさせていただきたいと思います。
○池田(克)委員 御本人の名誉があるから、もし調べたとするならば調べた内容を伺いたいのです。要するに、お金はもらった、そのお金の趣旨が何だということが問題のように私は考えているわけです。それがここ一月、もう少し長い期間ですかの間、このロッキード委員会でも理事の方々でかなり議論があった。これを解明していくためにはやはりそこが一つのかぎである。先ほど来航空局長に伺っているように、需要の予測というものはかなり大がかりであり、三年ぐらいの間で発表されていくものだ。それは主に飛行場の整備その他に使われる。しかし、飛行機会社が独自の経営判断で行っていい機種の購入、そうした問題について運輸省がそこで行政指導をされた、これは各社間の競争を調整する趣旨である、こういうふうなことになってきますと、運輸省というもの、そこに運輸大臣がおり、そこに与党というものが出てくる。そうなってきて、そこに自民党の航空部会で、航空対策特別委員会ですか、委員会で聞いた。いまの御答弁によれば、早急にやる、日にちも決めて、そこでもって打ち合わせをするというような話が「……」の部分としていま明らかになったわけでありますけれども、そうなってくると、そこで何らかの一つの力があった、そういう問題を解明していくためには、この福永さんについて検察側がどういうことをしたのか、そしてその結果、大丈夫だあるいはだめだという判断がなされたんじゃないかと思うのですけれども、その経緯というものが出てこなければこの委員会での一つの一歩前進にはならないじゃないか。いままでの経緯はわかっておりますが、まげてもう一遍、一切ノータッチであったのかどうかお伺いをしたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 国会におきます国政調査には全面的に御協力を申し上げるべきだと思っておるわけでございますが、捜査はおよそ密行を旨とするものでございまして、捜査の過程でどういう方を調べた、どういう方は調べない、または調べた方についてどういうことを聞かせてもらったかというようなことを申し上げますことは、捜査一般に対して国民の協力を得るという観点からも障害となりますので、これはひとつ御勘弁いただきたいと思うわけでございます。
○池田(克)委員 最後になりますが、私、前回、資料要求をさせていただきました。理事の方々の協議で幾つもの資料が要求されておりますが、それができ上がって当委員会に出されるのは大体いつごろになりましょう。
○伊藤(榮)政府委員 いま検察当局で鋭意こしらえてくれておりますが、何分公判立会の合間に検事がやらなければなりませんので、いつというはっきりしたお約束はできかねますが、十日もあれば間に合うんじゃないかと思っております。
○池田(克)委員 終わります。
○廣瀬委員長 次に、中野寛成君。
○中野(寛)委員 いま非常に国民の皆さんが関心を持っておりますのは、このロッキード事件の解明にいつ決着がつくのか、そして、それに伴う政治的道義的責任を本院がどのように決着をつけるのか、その内容と時期について大変強い関心をお持ちである、これは言うまでもないことだと思います。そこで、それに並行いたしまして、でき得る限りわれわれはその該当するかもしれない人たち、その真相を明らかにしながら、その結論へ速やかに近づくことが必要だというふうに思うわけでありますが、それに関連をいたしまして若干お尋ねをしたいと思います。
 法務省にお尋ねをいたしますが、われわれはいま実は福永一臣氏の御意思も含めて、いまその証人としておいでをいただくことが現在やはり必要であるという考え方に立って今日までその証人喚問を要求し、御本人もその応ずるという意思を明らかにされた経緯があるわけであります。しかし、今日までの交渉の過程においてなおその実現を見ていないわけでありますし、そしてその実現方へ向かって今日委員長にその時期等を含めて一任をしているところでありますけれども、その委員長が私どもが御一任をしております内容について判断をし、御決意をなさるについても、法務省が、その福永氏の証人喚問について今日までは公判に支障があると述べておられたように存じますが、その影響、支障がないと判断される時期を明示されることがきわめて大きな意味を持つと思うのであります。そういう意味で私どもは、今日被告として起訴されているわけでもないわけでありますから、福永氏を証人喚問することは今日ただいまでもなすべきことであるとは思いますけれども、私どものそしてまた委員長が判断をされるその一つの資料として、公判に果たしてなお支障があるのか、そしてまたあるとすればそれはなぜであるのか、どのような条件が整えばできると御判断なのか、そしていつごろまでそれはかかるのか、これらのことにつきましてまずお尋ねをしたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 事柄は国会で証人としてお呼びになるということでございますから私どもとしてとやかく意見を申し上げる限りではないのでございますが、せっかくのお尋ねでございますから私どもの率直な意見を申し上げさせていただきますと、一般論として、公判係属中に当該公判と関係のある方をお呼びいただくということは私どもとしては歓迎しない事柄でございますが、事柄の性質から言いまして、本件の特殊性、重要性にかんがみますと、国政調査に全面的に御協力申し上げるというたてまえからそうも言っておれないのではないか。
 そこで翻って考えてみますと、御承知のとおり伊藤証人あるいは副島証人によりまして三十ユニットの金の流れというものがある程度明らかになりつつあるわけでございますが、これまた御承知のように、法廷におきましてその金の趣旨につきまして必ずしも検察側の期待するような証言が得られておりません。したがいまして、これは私の経験に基づく推測でございますが、検察当局としては、今後これらの証人に立った人たちの検察官調書を裁判所に証拠として採用してもらうべく全力を尽くすのではないかと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、検察官が賄賂罪の立証に最も重要な金銭授受の趣旨、これについての検察側としての立証がなされるまでは何とか御勘弁いただけないかという感じを持っております。具体的に申し上げますと、関係者の検察官面前調書が裁判所によって証拠として採用され、その取り調べが行われるまでの間、こういうことでございます。
 さて、それでは裁判所がその検察官面前調書を証拠として採用し、取り調べる時期はいつごろか、こういうことになるわけでございますが、現在検察官調書の採否をめぐりましては弁護側の強い抵抗もあるわけでございまして、今後取り調べ検事が証人に立つとかその他諸般の手順を踏みましてこの検察官調書の採否が裁判所によって決定されるわけでございまして、きわめて遠くの時期ではないということは間違いないところでございますが、果たして何月ごろというふうにはいまちょっと申し上げることができない状況でございます。
○中野(寛)委員 その判断、これは裁判すべての経緯の見通しにもかかわってくるわけでありますけれども、やはり事の性質上、局長もおっしゃられたように非常に急務を要することであるというふうに考えるわけであります。もちろん検察当局としてはそのことのために最大の努力をしておられるとは思うのでありますけれども、少なくとも、もちろん拙速ではいけませんが、速やかになおかつ真実を追求する裁判のたてまえ、その真実を求めることをおろそかにしろとは申し上げませんが、その国民の切なる要求にこたえる、そのことのためにも検察のなお一層の御努力と、そして裁判所自身の努力というものがまた望まれると思うわけであります。検察当局としてむしろ一方的な希望をお答えいただくことになりますが、この見通しといいますか、検察当局としてこういう時期までには何とかという、そういう目標をお持ちでございましたらお聞かせをいただきたい。そのことが結局国会審議にもつながっていくというふうに考えるわけであります。
○伊藤(榮)政府委員 何分具体的事件の公判でございますから、法務大臣を初めといたしまして私どもも、個々の検察官にこうしろああしろと言える立場には全くございません。また事件が事件で、きわめて重要な事件でございますので、検察当局としては誠心誠意万全を期して立証に努めておるところでございまして、したがいまして、なるべく検察官の必要と認める証拠は早く裁判所に見てもらうということが望ましいことは言うまでもありませんから、そういうつもりで一生懸命努力しておるはずでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、一つの検察官調書を裁判所に採用してもらいますまでには、任意性あるいは特別な信用性、こういうものの立証を十分尽くして、裁判所がすっとこの証拠にとれるというような立証を尽くさなければなりませんので、そのことの手順の問題がございますので、まあきわめて遠い将来の話ではないというふうに思いますけれども、検察当局を信頼をして見守っていきたい、こう思っております。
○中野(寛)委員 きわめて遠い将来ではないというそのお言葉だけが私どもにとっては唯一の手がかりになるのでありますけれども、今日までの裁判の期限というか、今日までのいろいろな裁判が行われているその経験上、その遠い将来ではないというお言葉は、せめてもの私どもに対する目標として、たとえば一年はかからぬという意味くらいにとっていいのですか一半年はかからぬという意味くらいにとっていいのですか、それとも今国会、あと一週間ほどしか残されていないけれども、それには無理かもしらぬけれども、夏ごろまでにはという意味なんですか、おおよその目標はお聞かせいただけないでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 裁判というものは非常に流動的なものでございますから、大変お答えしにくいお尋ねでございます。私自身の個人の経験に基づきます達観で申し上げれば、もちろんこれがカレンダーが来年になってからというようなことではないと思います。しかしながら、検察官調書というのが、御承知のように全日空ルートにおきましてもいわゆる証人が、意外に検察官の期待するような十分な供述をしない証人もちらほらございますわけで、それについて順次手順を尽くして法廷に出してまいりますから、まあそう遠くはないということで御了承を願いたいと思います。
○中野(寛)委員 そのことが一日も早く進められ、そして私どもはその法務省の最低限の条件としておられる検察官面前調書の採用というものの時期が一日も早く明確になるということ、そして、そのこととあわせて委員長のより一層今日までの御努力に伴った御決意というものがなされることを期待をしておきたいと思います。
 次に、ただいまの局長のお答えの中に、今日まで証人が必ずしも検察官の期待に十分こたえる証言がなされていないということがあったのでありますが、今日まで大久保、副島、伊藤、三者の一連の証言が行われて、そして三十ユニットの金の流れについて証言がなされているわけでありますけれども、この流れに関してはすべて解明されたというふうにお考えなのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 三十ユニットに関します金の動き、それ自体につきましては検察官としては一応の立証ができたというふうな段階であろうと思います。
 なお、細部についてこれを補強するような証拠等も将来出すかもしれませんけれども、大体そんな段階だと思います。
    〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕
○中野(寛)委員 その中で若干大久保証言と伊藤証言に食い違いが見られるように思うわけであります。同時にまた、その金を受け取ったとされる方々につきましてはそれぞれの反応が今日まで出てきているわけであります。中には受け取ったこと自体を否定しておる人もおりますし、そしてまたそのことがけしからぬといって告訴すると言っている人もいる。中には、受け取ったことは肯定をしている人もおりますけれども額が違うということを言っている人もいる。そこに、この金の流れについての解明の内容について証言の食い違い、そしてその他の反応、そのような一連のものを見るときに、私どもは検察当局として今日までの証言内容から十分にその所期の目的を達しつつあるというふうな自信をお持ちなのかどうか、そしてこの一連の内容につきましての御見解もできればお聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 私ども法務当局といたしましては、検察当局に対して一人の証人の証言が終わるごとに大丈夫かどうかとか、そういう一喜一憂はいたしておりません。ただ、検察は万全を期してやってくれるものと思って見守っておるわけでございます。確かにただいま御指摘がございましたように、三十ユニット関係の立証といたしましては、私、経験に基づいてみますときに、金銭の賄賂性についての認識の問題、この立証はまだできておらないと思います。これはやはり先ほど来申し上げております検察官調書等によりまして最終的に立証されるのではないかというふうに思うわけでございます。しかしながら、はなはだ個人的なことを申し上げるわけでございますが、私相当年月にわたりまして汚職事件あるいは会社犯罪の専門検事として検察官の飯を食ってきたわけでございますが、そういう私自身の経験から見ますときに、現在の訴訟の運営状態はおおむねまあまあいいところではないか、妙な表現で恐れ入りますけれども、検察側にとってまあ大体いい線をいっているのではないかというふうに考えております。
○中野(寛)委員 次に、先般の伊藤証言の中で五億円について触れた、こういうことでございますけれども、その概要と目的をお伺いいたしたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 先般新聞にも報道がございましたが、五月一日の全日空ルートの第三十七回公判におきまして伊藤証人に対する弁護人の反対尋問があったわけでございます。主として橋本被告人の弁護人らが田中への一千万円の供与について伊藤が檜山と相談した旨の検察官調書中の供述と伊藤証人の証言の矛盾を弾劾したわけでございます。この点については検察官の主尋問における証言を維持しましたが、なおこの反対尋問の続きといたしまして佐藤被告人の弁護人から、昭和四十七年十一月十六日「木の下」で榎本と会食した当時すでに田中に五億円を贈ることになっていたのを知っていたねと問われまして、これを肯定する証言をいたしましたけれども、詳細については自分の刑事責任に関係するということで証言を拒否したようでございます。
○中野(寛)委員 この三十ユニットの金の性格につきましても、大久保証言と伊藤証言では若干食い違いがあるように思うのであります。大久保証言は全日空からのお礼だということで賄賂性を認めているようでありますし、伊藤証言は政治献金だ、こう言っているわけであります。この辺の被告同士のそれぞれの食い違いまたはそれぞれの立場の違い、そのようなものから出ているのかと思うのでありますけれども、これらについてどのように御判断をしておられるのでございましょう。
○伊藤(榮)政府委員 検察官といたしましてはもちろん賄賂として授受されたものであるという主張をし、これを立証するために全力を挙げておるわけでございます。
 そういう観点からしますと、御指摘のように大久保証言はお礼というような言葉を使っておりますし、伊藤証人等は政治献金というような言葉を使っております。どちらが真実であるかは最終的には裁判所がお決めになることでございますけれども、これまた私個人の経験を引き合いに出して恐縮でございますが、賄賂の事件につきましてはやはり趣旨を関係者が否認して、そこで一応逃れようとするのが常でございまして、それに対して検察官は検察官面前調書等を証拠に出しましてやはり賄賂性の認識があったということを立証するのが常であるわけでございます。そういう意味で、私先ほど申し上げましたように、一応証言が矛盾をしたりしておりますけれども、最終的には検察官の立証が尽くされるものというふうに思っておる次第でございます。
○中野(寛)委員 次に、若干小佐野ルートのことについてお聞きをしたいと思います。
 この小佐野ルート、P3Cの採用に当たって、これはきわめて今日的な問題でありますし、昨年途中からこのP3Cの問題が訴因の一つとして追加をされたわけであります。そのことが実はわれわれにとってもまたきわめて大きな不明快な部分としてひっかかるわけでありますけれども、この訴因の一つに追加された事情、具体的な新しい事実が出てきたということかと思うわけでありますが、そのいきさつについてお聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 この訴因の追加ということは、一段的に言えば、起訴当時に一括して起訴いたしますものを、一たん起訴した後で訴因を追加したということでございまして、現に訴因追加ということがなぜ行われたかということが公判でも一つの争点になりつつあるような状況もほの見えるわけでございますので、いずれこの辺は法廷で明らかにされるべきことでございまして、そういう意味におきまして現段階でその事情について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に言えば訴因の追加というようなことは起訴後にはっきりした証拠が固まったというような場合に行われるものでございます。
○中野(寛)委員 あわせまして、その小佐野ルート、また児玉ルートの解明にとりまして、先ほども若干触れられたと思いますが、児玉、小佐野両被告の健康状態というのはきわめて大きなポイントになっていると思うのであります。その後どういう状況にあるのか、そしてまたあわせまして、昨年二月の法務大臣による第二回中間報告の中にも触れられておりますけれども、今後の捜査方針として、関係人の病状が回復するなど特段の事情の変化が認められた場合には、さらに解明のために必要な措置をとる、こう述べておられるわけであります。この病状の回復状況、そしてまた今後とも、その中間報告に述べられました捜査方針というものは、捜査の山を越したとされるいまにあって、また公判の真っただ中にある今日にあっても変わるべきことではないと思うのでありますけれども、その方針にお変わりがありませんかどうか。そしてまた、今後さらにそのような必要な措置をとる御決意がありますかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 まず、これまでの段階におきまして、過去二回の法務大臣の御報告を変更すべき点は全くございません。そのように考えております。
 それから、続いてお述べになりました児玉、小佐野ルートにつきましては、すでに起訴されております事実関係につきまして二人を調べるということは一訴訟の当事者同士でございますから適当でございませんが、新たな犯罪の嫌疑が認められれば当然さらに取り調べを行って真相を究明する、こういう決意に変わりはございません。
 さてそこで、二人の病状でございます。まず児玉の脳梗塞後遺症の病状でございますが、衆議院ロッキード特別委員会におきまして、昨年五月十八日に証人喚問されましたころとほとんど同様の状態を維持しておるようでございまして、依然として自宅での静養を必要とするということでございますし、先ほども御報告申し上げましたように、公判も七月二十五日の第二回から本年四月十三日の第十七回まで、その都度診断書を提出して、裁判所の許可を得て不出頭でございます。それから小佐野につきましても、高血圧症兼重症狭心症でなお安静加療を要するということでございまして、月一回の公判には出頭しておりますが、終始医者が付き添っており、一回の公判も午前中二時間程度の短時間である、立会検察官の観察によりましても同人の病状には格段の変化は認められない、こういう状況のようでございます。
○中野(寛)委員 最後に、冒頭私申し上げましたように、本委員会の審議、そしてまた同時に公判の進捗状況、これはきわめて国民の関心の深いところであります。今後の日程的な見通し、それぞれ全日空、丸紅、児玉、小佐野の四つのルートについて並行して徐々に行われているわけでありますが、国民の声からいけば、いつまでやっているんだというのがまさに率直な声だと思います。だからといってその公判の内容をおろそかにして結論のみを急げばいいというものではありませんが、おおよそ今日までの経過、そして今後の見通しというものをどのようにお考えになっておられますか。もちろんこれは相手のあることでありますから、明確なお答えができないことは承知をいたしておりますけれども、検察当局として、また法務省としての見通しをお聞かせいただければと思います。山に登るのにたとえて、いま何合目あたりを登っているのか、その見通しを含めましてお聞かせをいただきたい。
○伊藤(榮)政府委員 丸紅ルート、全日空ルートはいずれも一週間に一回というテンポでいま公判が進んでおります。児玉、小佐野につきましては、けさほど御報告しましたように、二人の病状の関係からややテンポがおくれております。丸紅ルート、全日空ルートでは、客観的にはやや全日空ルートがテンポが進んでおるかというふうな状況にございますが、これらの四つのルートを通じまして一つのポイントは、嘱託尋問調書の採用が行われるかどうか、そしてその証拠調べがいつ行われるかということで、まあいわば検察官立証という段階を山にたとえますれば、時期的にはこれらの嘱託尋問調書の採用決定というような時期がそろそろ頂上の見えかかるころではないかというふうに思うわけでございます。いずれにいたしましても、先ほどお尋ねいただきました検察官調書の採用の問題よりももっと予測がむずかしい問題になるわけでございまして、検察当局としては一日も早く所要の立証を終えたいと思って努力いたしておりますが、あとどれだけということはまことにどうもお答えしにくい問題でございます。まあ、ただいま申し上げましたように、嘱託尋問調書の採否というものを一つのめどというふうにごらんいただいてもいいのではないか、かように考える次第でございます。
○中野(寛)委員 なお一層の御健闘をお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。
○箕輪委員長代理 正森君。
○正森委員 先ほど同僚委員に、裁判に支障のなくなるのはきわめて遠い将来ではないというようにお話があり、それを補足する若干の説明がございました。
 もう少し端的に伺いますが、伊藤氏を取り調べた検察官が三百二十一条一項二号の要件を備えておるかどうかということについて法廷で取り調べをする期日というのは決まっておりますか。決まっていたら、それはいつですか。
○伊藤(榮)政府委員 まだ決まっておりません。
○正森委員 それが決まる見込みはいかがですか。あるいはそれはいつごろだと思われますか。それがなければなかなか採否の決定まで至らないと思いますから……。
○伊藤(榮)政府委員 全日空ルートがいま問題になっているわけですが、この全日空ルートのいまの公判の進め方を大ざっぱに申し上げますと、検察官が証拠申請をいたしまして、そして裁判所、弁護人、検察官、三者で大体の大筋を相談しながらやっておるわけですが、検察側の主要な証人、これをずっと大体期日をあらかじめ考えておりまして、具体的な証言の前になりまして時間の割り振りが決まります。あいたところへそういう任意性、特信性の証人をはめ込むということでございますから、ぼっとあいてそこへはめ込むというような状況でいまやっておりますので、適当なすき間があればやるのじゃないかと思います。
○正森委員 裁判の進行に国会として干渉するわけではありませんけれども、常識的には主尋問、反対尋問が行われてなるべく近接した時期に特信性等の証人を調べるというのが裁判の常道ですし、国会の証人喚問の関係もありますから、それらの点について国会の意のあるところを適当な機会に現場に伝えていただきたい、こういうように思いますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 御要望ですから、お伝えすることにいたします。
○正森委員 それでは次に伺います。
 田中角榮氏の五億円の受け取りの趣旨に関連して御質問します。
 この間の五月一日の公判で、伊藤宏証人は、田中への一千万円を料亭「木の下」で榎本に渡した際に、五億円の話は承知していた、しかし、それに関する話はその席では出なかったというように証言したと報道されております。この公判でまた検察側は、トライスター採用が決まったら、田中総理に応分の謝礼をしなければならないと檜山社長に相談していた、私は一千万円が適当だと考え、選挙も近いので政治献金の名目で表金を使えばよいと思っていたが、三十ユニットの金が一千万円余ったのでそれを使ったとの伊藤の調書を朗読したと報道されております。同じくこの公判で伊藤は、弁護側の、田中首相への五億円はトライスターの売り込みと関係があるかとの尋問に、自分の起訴事実と直接関係があるので証言をお断りしたいと、証言を拒否したというように報道されております。これらの新聞報道は、おおむね真実ですか。
○伊藤(榮)政府委員 大筋においてそのとおりでございます。
○正森委員 ところで、コーチャン氏は、五億円を日本円で用意するためにはかなりの日時を要するところから、四十七年十一月初めごろ及び四十八年初めごろ「大久保にその支払い時期を尋ねたが、大久保はそのうち連絡する旨答えておいた。」こういうように検察側の冒頭陳述では言われております。冒頭陳述の性質上、これは十分に立証し得るものである、こういうように思うのですが、この「そのうち連絡する旨答えておいた。」と答えた大久保は、丸紅側から連絡をしているわけですか、あるいは連絡をするために田中角榮側と連絡をとっておるという事実はあるのですか。
○伊藤(榮)政府委員 それらの関係につきましては、いまのところ冒頭陳述書に記載されてあることを除きましては、ちょっとお答えを差し控えたいと思います。
○正森委員 答えられないということですから、その点は飛ばして質問を続けますが、その冒頭陳述では、四十七年の八月二十二日に、檜山は田中に対して「実は、アメリカのロッキード社が、全日空に飛行機の売り込みをかけているが、なかなか思うようにいかない。ロッキード社は飛行機の売り込みに成功した場合、総理に五億円の献金をする用意があると言っている。」こう言って五億円の賄賂の申し込みをしているわけですね。トライスターの売り込みは、十月三十日導入の公表で成功しておる、そして伊藤は、先ほどの証言が正しいとすれば、トライスター採用の応分の謝礼として田中に一千万円が適当だと考えている、五億円の話は伊藤も榎本も知っていたのに、十一月十六日の料亭「木の下」ではその話は出ない、コーチャンの問い合わせにも大久保は、そのうち連絡するとだけ答えておる。そして冒頭陳述によれば、榎本が五億円の支払いを催促したのは四十八年六月ごろからになってのことである、こう言っておるのですね。丸紅は、コーチャンの方から払うから早く連絡してくれ連絡してくれと言われているのに、逆に田中角榮側の榎本からまだ持ってこないのかと言われるまで連絡もせず、そして田中との連絡をコーチャンにも伝えなかったというのは非常に不可思議のことであるというように思われるわけですね。この五億円というのは、本当はトライスター売り込みの成功だけではなしにもっとほかの目的があり、五億円贈るのにその時期が熟していないと六月ごろまでは考えていたということではないのですか。
○伊藤(榮)政府委員 すべては冒頭陳述書に書いてあるとおりでありまして、今後その具体的な状況が立証されると思いますが、結論的に申し上げまして、この五億円はトライスターの売り込みに関連する請託をして、その謝礼の趣旨であって、それ以外の趣旨が含まれていたという報告は全く受けておりません。
○正森委員 報告は受けていないようですが、いままでたびたび私どもも指摘いたしましたように、四十七年十月九日の国防会議でP3Cの問題に関連して国産の問題が白紙還元されておる。十一月一日に丸紅はロ社とP3C代理店の契約を締結しておる。四十八年七月二十七日に児玉とロッキード社がP3Cについての契約をしておる。七月三十一日、防衛庁が米海軍省よりP3Cのリリースは可能であると回答を受領しておる。八月十日に専門家会議が発足しておる。こうなって初めて八月十日に一億円が贈られておる。以後第一回から第十九回まで専門家会議が開かれるに従って、一億五千万円とか一億二千五百万円とか贈られておるというかっこうになっておるのですね。これは依然としてP3C絡みであったというような疑いを消し去ることができないわけですけれども、冒頭陳述で、榎本の催促を受けた丸紅側は、支払いを渋るコーチャンに大久保が電話して、五億円を出さない場合に「ロッキード社はその製品を日本においてこれ以上決して売ることができないと知ってもらいたい」と檜山が言っている、こう支払いを強く要求した、こうなっておりますが、この事実は間違いないわけですね、冒陳に書いてあるから。
    〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤(榮)政府委員 その事実が間違いないと申しますか、冒陳に書いてあることは検察官が自信を持って立証するところであると思います。
○正森委員 私が言うておりますのは、その事実は検察側が証拠に基づいて主張しておるという事実に間違いはないな、こういう意味であります。そうだといたしますと、検察側の冒陳自体が非常に矛盾してくるのではないかと思うのです。前の冒陳では、コーチャソの方から逆に五億円というお金を日本円でそろえるのは一朝一夕にできないから、早くその時期を言うてくれというわけで、むしろ払うつもりで催促しているわけですね。ところが、いよいよ催促を受けてみると支払いを渋るというのは前後矛盾するんじゃないかと思うのですが、それはどういうようになっているのですか。
○伊藤(榮)政府委員 私も、冒陳以外にお答えする資料がいまないたてまえでございますが、早目に言ってくれないと用意ができないということであったとすれば、矛盾はないと思います。
○正森委員 早目に言ってくれなければ用意ができないといいましても、そんなに何ヵ月も用意が要るわけではありません。ところが今度は、いよいよ催促を受けた場合には、冒陳の記載及びコーチャンの回想録によれば、これは急に言われても金が用意できないというわけではなしに、支払い自体を渋っておるのですね。だから明らかに冒陳自体も矛盾しているというように思うのです。
 それからもう一つ、冒陳ですからあなた方は立証できる自信を持っておるのでしょうが、「ロッキード社はその製品を日本においてこれ以上決して売ることができない」、こう言うておるのですね。ロッキード社の「その製品」というのは、トライスターを除きますとP3Cが非常に有力なものであるということは非常にはっきりしているわけです。そうしますと、この冒陳自体が、五億円のお金を払うということはトライスターに対する謝礼であると同時に、ロッキードの「その製品」、つまりトライスターはもう売ったわけですから、それ以外のP3Cを売ることについてのあいさつ料、あるいは無事に売れるための税関料といいますか、踏み越えなければならないハードルであるということを言っておると思うのですね。そうすると、このお金は決してトライスターに対する賄賂だけでなしに、その他の製品を売るためのあいさつ料であり、とりもなおさず賄賂であるということを冒陳自体が認めているのではないでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの御指摘は一つの鋭い御推理であると思いますけれども、実際問題として検察当局は、この五億円というものはトライスターの売り込みに関する請託、それに基づく約束、その約束に基づく供与、こういう関係で立証に努めようとしておるわけでございまして、これにその他の趣旨が介入してくるというふうには考えていないようでございます。
○正森委員 検察側がロッキード事件でそういう立証方針をとっておることは知っておりますが、検察側の冒頭陳述といういわば検察側の青写真の中自体でも、この五億円というのがトライスターの請託及びそれに基づく約束金の支払いというだけにとどまらないということを非常にはっきり示しているということを私は指摘しておきたいと思うのです。
 それで、もし可能なら大臣にもお願いしたいのですが、大久保に五億円の支払い時期を問い合わせ、大久保がそのうち連絡する旨答えておいたという関係部分と、大久保がコーチャンに五億円払わなければこれ以上製品が売れなくなると電話したとの冒頭陳述の記述について大久保がもし証言しておればその部分の詳細な証言内容、これは法廷で明らかになっておるところでございますから、私あるいは当委員会に御提出を願いたいと思いますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 御承知のように大久保は全日空ルートの関係で証言をしましたので、したがって、五億円に関する証言はまだ一切しておりません。特に大久保は被告人の立場になりますので、ただいま御指摘のような証言をした事実がございません。
○正森委員 大久保が自分の関係では証言していないとすれば、その部分の供述調書の該当部分を当委員会に出していただくことをぜひお願いしたいと思うのですが、まだ公判立証との関係において時期尚早であるという御見解ですか。
○伊藤(榮)政府委員 いずれ公判廷へそれらのものが顕出されましたら、その要点を御説明申し上げます。
○正森委員 その点はぜひお願いしたいと思います。
 それでは、時間がございませんので、次の一、二の論点に移らせていただきます。
 私は、五十一年八月五日の当委員会で、田中が収賄した五億円が田中ファミリー会社の増資という形で表金に変えられたのではないかということを質問いたしました。これに対して当時の安原刑事局長が、「必要とあれば、その流れということも一当然に調べるべき筋のものと思います。」というように言っておるわけですね。詳しいことは省略いたしますけれども、当時、たとえば室町産業というのは四十九年二月二十八日に二億五千万円増資をしておりますけれども、その直前に連続して二億五千万円がロッキード事件で田中角榮のところにいっておるという事実があります。あるいは新しく軽井沢商事というのを四十八年十二月二十一日に設立して、翌年の三月二十六日に増資をしておりますか、このお金の合計二億円というのがやはりロッキード事件で支払われたお金とほぼ同額であり、非常に接着しておるわけです。また四十九年五月にパール産業が三千二百五十万円の増資をしておりますが、これら全部をひっくるめますと、軽井沢商事、パール産業、室町産業のこの時期の増資部分で四億八千二百五十万円ということで、五億円にほとんどぴったりと合うわけですね。この点についてお調べをお願いしておきましたが、その結果はいかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 その後、昭和五十一年十月十五日の中間報告で申し上げましたように、田中の収受したと認められる五億円の使途についても鋭意捜査したが、その個別的な使途を明らかにすることはできなかった、これがただいままでの結論でございます。
○正森委員 私はその結論を当時伺いましたけれども、非常に遺憾に思うのですね。こういうようにほとんど金額がどんぴしゃりと合っておる。しかも私たちが当時関係の増資をした方に電話をかけて聞きましたら、自分は五百万円増資したとなっているが一文も出しておらないという返事をされておる方がおられるということも指摘したのです。ですからこの点については、五十一年当時はそういう中間報告かもしれませんが、その後一年半たっておりますし、さらに捜査をしていただきたいと思うわけであります。
 と言いますのは、どのような犯罪事件でもそのお金がどういうぐあいに使われたかというのは、そのお金の趣旨を考える上でも非常に重要であるということは捜査の常道であります。
 私はもう一つお願いしたいのですが、昨年の二月十七日の衆議院の総括質問で私が問題提起をしました大村襄治衆議院議員の事実上の機関紙である「青空」というのがあります。その中に大村襄治議員が「田中前首相起訴とわれわれの決意」ということで書いておられるわけです。
 この前申しましたから簡単に申しますが、五億円のお金はどういうぐあいに使われたかということをみずから言っておるわけです。これは四十九年ですが、今度の参議院「選挙に臨む田中氏の決意は凄ごいものがありました。」「こうして田中氏は自からヘリコプターを駆使して全国を遊説。選挙資金も、企業選挙といわれるほどギリギリまでに動員しました。もちろん、田中氏がいまその責めを問われている丸紅からの五億円もこのなかにはいります。田中氏は一部から金権選挙をうたわれながら、自由な社会、自由な生活をこの日本において守るため、しゃにむに戦いました。そして辛うじて参院の過半数維持には成功したものの、いまはそのときの無理がたたって、法違反を問われることとなりました。」こういうぐあいに言うておるわけです。
 そうだといたしますと、これは単に贈収賄という犯罪が成立しただけでなしに、当時の公選法に違反して、外国からもらったお金を選挙に使うということになる。現在の政治資金規正法二十二条の五では外国の法人や外国人からもらったお金を選挙だけでなしに政治に関して用いてもそれは犯罪であるということになっておりますね。これは明白に写真入りの機関紙の中で言っておるわけですし、しかもこの人物は田中内閣の官房副長官をしておられたのですから、どういう経緯でこういうことを書かれたのか、また、このお書きになっておることは事実なのかどうかをお調べ願いたいということを質問した記憶があります。以来一年有余経っておりますが、どのような捜査がなされたか簡単に報告してください。
 これで質問を終わります。
○伊藤(榮)政府委員 最初の五十一年八月の正森委員の御指摘につきましては、検察当局もそれを参考にしながら調べた結果が例の中間報告の結論でございます。
 後に御指摘になりました件は、やはり検察当局にその旨連絡をいたしまして、それを配慮しながら捜査をさらに続行したようでございますけれども、別の犯罪の容疑に触れるようなものを発見するには至っておらないようでございます。
○正森委員 それでは結構ですが、参考までに後の大村襄治氏の件についてはどの範囲のことをお調べになったか私に御説明を願いたいと思います。調べたようでございますがということですが、どうもわが党のこの記事を書きました関係者のところもお調べになっていないようであります。大村襄治氏に直接お聞きになったのか、あるいは大村襄治氏に聞くまでもなく、後援会のこの記事を編集した人にお聞きになって、これは大村襄治氏の知らない間に事務局が勝手に書いたのだとか、そこら辺の簡単なことでもいいから経緯を御報告いただきませんと、調べたようでございますが何ともなかったようでございますでは、こちらの方は明白に御自分の写真入りで書いておられますから、納得できないと思いますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 私の言葉がやや選択を誤っておったかもしれませんが、御指摘を十分念頭に置いて捜査を続行したと思うわけでございまして、なお調査して御報告できることがあったら御報告いたします。
○廣瀬委員長 次に、加地和君。
○加地委員 児玉氏の裁判、それから小佐野氏の裁判におきまして、いずれもコーチャン、クラッターの嘱託尋問調書が裁判所で採用されるかどうかというのが大きな山場になってきておると聞くのでございます。起訴されたときには、検察当局も自信を持ってこれらが証拠に採用されるという見通しで起訴されたと思うのでございますが、先ほどからちょっとお聞きしておりますと、やや雲行きがわからないというような感じにも受け取れるのでございますが、裁判所の判断がはっきりと見通しが立たないというのは、どういう強力な弁護側の反論なり、どういう点がひょっとすれば裁判所が検察庁の思うようになってくれないと思われる点なのか、それをちょっと御説明いただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 私どもといたしましては、検察当局からの報告を受けまして、この嘱託尋問調書が採用されることは間違いないというふうに確信をいたしております。ただ、弁護側にとりましては、ただいまも御指摘になりましたように、嘱託尋問調書を裁判所に採用されるということは一つの非常な打撃を受けるわけでございますので、あらゆる法律論を展開をいたしましてこれを阻止しようという熾烈な法廷戦術をとっておるわけでございます。その中には憲法違反の支障でありますとか、あるいは嘱託証人尋問のやり方が手続法に違反するとか、いろいろな論点がありますが、それらを現在検察側が一々論駁しておる段階でございまして、やがて裁判所において採用されるというふうに確信しておる次第でございます。
○加地委員 論駁しておる段階というのは、弁護側から書面が出て、それに対し検察側がまた書面を出し、また弁護側が書面を出すというように書面でもってやっておられるのか。それからまた、その論戦はいっか尽きると思いますが、検察側の方で見られて、たとえば児玉氏が被告になっておる事件については、いつごろ裁判所の判定が下りそうでございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 書面及び書面に基づく陳述合戦と申しますか、そういう応酬はほぼ終わりに近づいておると思います。
 今後考えられますのは、これは裁判所がどういう判断を示されるかわかりませんけれども、やはり若干検察側から嘱託証人尋問調書の作成の経緯に関する証人等も立てなければならぬのではなかろうかと、私、横目ながら推測しておるわけでございまして、その時期は大体夏休みをはさんだあたりにそういうような段階になるのじゃないか、私、勝手な推測をしておる状況でございます。
○加地委員 検察側の方の証人を調書作成について立てなければならないというのが夏休みをはさんだ段階なのでしょうか。それとも裁判所の方が採否を決定するというのが夏休みをはさんだ段階なのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 全く私の経験その他に基づく推論でございますが、証人を立てる時期が夏休みの前後に入ってくるんじゃないか、そういう手続が終われば、採用決定はそう遠くないのじゃないかという感じを持っております。
○加地委員 いずれにいたしましても、これはきわめて手に汗を握る現象でございまして、いっそのことこういう嘱託尋問調書等が明白に、合法的に、何人の疑いもなく理解できるようないわゆる刑事訴訟法の改正というようなことなどもお考えになるあれはないんでしょうか。
 それとまた、実体法については遡及効というのが禁止されておるのが常識でございますけれども、こういう手続法については遡及効をもたらすような改正というのは考えられないものでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 かつて法務委員会でも一部の委員の方から御指摘がございましたが、民事訴訟法には外国への嘱託の規定がある、ところが、刑事訴訟法にはこれがない、この辺も少し検討したらどうかという御指摘がありまして、私どもといたしましても、確かに将来検討すべき事項の一つであるという認識を持っております。
 手続法でございますから、これは御指摘のよう一般論として申し上げれば、手続法については遡及させて適用し、あるいは瑕疵が手続法の制定によって治癒される、こういうことは一般論としてあることでございます。
○加地委員 児玉氏は起訴事実を否認しておるようでございますが、これはこの起訴状に書いてあるところのいわゆるロッキード社の方からもらった金の授受自体を否認しておるのか、あるいはその趣旨を否認しておるのか、どういう争い方に基本的になっておるんでございましょうか、児玉関係の裁判ですね。
○伊藤(榮)政府委員 児玉の所得税法違反等の事実につきましては、事業所得につきましては、ロッキード社から年額五千万円程度のコンサルタント報酬をもらったことを認め、その他の金の受領は否認をするという態度でございます。雑所得につきましては、外形的な金の受領は認めるけれども、必要経費を争ったり、逋脱の範囲を否認したりする、こういう状況でございます。
○加地委員 児玉氏が自宅で寝ておるところへ検察庁の方もしばしば出向いて検事調書もたくさんおとりになっておると聞きますけれども、検事調書等にはこういう起訴事実を認めたような調書はあるのでしょうか。それは全く児玉氏は否認のままで、その他の情況証拠等によって立証できるという見込みで起訴されたのでございましょうか、どういう状態なんですか。
○伊藤(榮)政府委員 そのあたりはまだ公判へ全く出しておらない問題でございますので、お答えを御容赦いただきたいと思いますが、一般的に申し上げて、余りすかっとした話はしておらなかったのじゃないかと思います。
○加地委員 最近、長者番付等も新聞等に発表されておるのでございますが、児玉氏の昭和五十二年、五十一年あたりのいわゆる所得金額というのはどのような実情になっておるんでしょうか。国税庁の方いらっしゃいますか。
○水口政府委員 お答えいたします。
 児玉氏の所得税の公示金額でございますが、昭和五十一年分、これが八千七百八十九万五千九百一円、それから昭和五十二年分でございますが、二千四百十万二百五十五円、かようになっています。
○加地委員 われわれに配られておる資料によりますと、少なくともロッキード社からのコンサルタント料というのが、年額五千万円ほどあったと思うのですね。それがまたロッキード社とのいわゆるコンサルタント契約を解約した、された話もちらっと聞いたことがあるのでございますが、それはもうすでに五十二年度からはそういう報酬は入らなくなっておるような状態になっておるんでしょうか。
○水口政府委員 ただいま公示金額の数字を申し上げたわけですが、御承知のように公示におきましてはその納税者の氏名、住所、それから申告所得金額の合計額、これだけを公示するということになっておりまして、それ以外の事柄は守秘義務ということでひとつお許しをいただきたいと思います。
○加地委員 これは検察庁、国税庁いずれの守備範囲になるか、ちょっと私判断つかないのでございますが、児玉関連企業というのが、たとえばこういう立花隆氏の書かれた「田中角榮研究」下巻の百六十七ページあたりに二十ぐらいずっと出ているんです。こういう資料を刑事局長も以前私のほかの質問のときにごらんになったかと思うのでありますが、こういう児玉関連企業の中で、実際に従業員がいたり事業をやったり活動しておるのがどれが生きておって、いわゆるペーパー会社といいますか幽霊会社といいますか法人格、定款のみがあるというような存在の会社とどういうぐあいに区分けできるでしょうか。
○藤仲政府委員 お答えいたします。
 ただいま仰せのとおり、児玉譽士夫につきましては、関連事業会社というのがかなりの数あるわけでございますが、それがペーパーカンパニーであるかどうかということについての区分けをしたものをただいま所持いたしておりません。
○加地委員 ただいま資料を持ってないというだけのことなんでしょうか。あるいは時間があれば、正式の要請があればそういう資料等をこの委員会などに出し得るということなんでしょうか、どうでしょうか。
○藤仲政府委員 ただいま申し上げましたような関連の事業会社につきましては、徹底した調査を行っておりますので、その実態というものは国税局において把握しております。しかしながら、これを一々資料としてお出しできるかどうかということにつきましては御容赦をいただきたい、かように考えております。
○加地委員 最後に一点、ロッキード事件等にも関連することでお尋ねしたいのでございますが、法務大臣のいわゆる指揮権発動というものが大きな問題になったことがございますし、また現在の検察庁法を見ましても、具体的な事件については検事総長を指揮できる、検察事務一般については一般的に指揮できるという規定になっておるのでございますが、いわゆるロッキード事件の起訴、これはやはり法務大臣、検事総長あたりすべて御相談になった上での起訴になるのでしょうか。また、こういう具体的な指揮がなされる事件、そうでない事件、何か内規的に区別があるんでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 まずロッキード事件について申し上げますと、法務大臣は検察当局を全面的に信頼しておられましたし、個々の事件の処理、逮捕その他につきまして、法務大臣の御指示を仰いだことはございません。
 それから一般的な問題でございますが、法務大臣が具体的事件について検事総長を指揮される事件は事件の種類によって定められておりまして、処分請訓規程という外部には出しておりませんがそういう訓令がございまして、それに基づいて指揮をしておられます。たとえば一例を挙げますと、外国の国家元首あるいは外交官に対する罪等につきましては、検事総長はその処分について法務大臣の指揮を仰ぐ、こういうこととされております。これは申し上げるまでもなく、外交的な関係等もありますからそういうことになっておるわけでございます。これらについて私の知る限りと申しますか、私は戦後のことしか知りませんが、戦後それらの処分請訓規程に基づく処分の請訓について、請訓と異なる御指揮をなさったことは一度もございません。
○加地委員 世間のいろんな憶測では、具体的な指揮権発動という形になれば問題を残すかもしれないけれども、法務大臣と検事総長は同じ人間でもあるし同じ役所におるから、いわゆる指揮権発動という形にはならないけれどもいろいろと情報交換したり相談した上で、形の上では検事総長が自主的に最終判断をしたような扱いをなさることはしばしばあるのでなかろうかというように聞くのでございますけれども、その実態はどうでございますか。
○伊藤(榮)政府委員 検事総長が法務大臣にお目にかかられるといいますのは、私の存じ上げております限りではお正月とかあるいは認証式の後の乾杯とかということがほとんどでございまして、具体的事件に関して大臣と総長がお会いになるということは絶無であると思います。さて、それでは全くパイプがないのかと申しますとそうでもございませんで、いわゆる検察庁が大変重要視しておるような事件で、しばしば新聞で御前会議などということが言われますが、検察幹部が検察庁で集まって会議をされます。そういうときに、刑事局の係官が行ってその様子を見せていただくということがときどきございます。いかなる場合にでも事件処理についての意見は一切言わないというのが不文律でございますが、たまに法律問題について見解を聞かれますと意見を申し述べて帰ってくる、こういうことでございます。したがいまして、検察がいまどんなことを考えて動きつつあるかということは、そういう方法によりまして刑事局におきまして把握をして必要に応じ大臣のお耳に入れる、こういうことはいたしております。逆のルートの流れ方は一切ございません。
○瀬戸山国務大臣 誤解のないように私からも申し上げておきますが、検事総長と途中で会ってもわからないような間柄でございまして、正月のお祝いのときに会うくらいのものでございます。事件について云々ということは一切ございません。ただ、世間を騒がせるような事件等の場合は、いま刑事局長から申し上げましたようにその状況等を報告を受けて、刑事局の方から私、報告を求めることがありますけれども、事件について云々ということは一切ございませんから、御理解を願いたいと思います。
○加地委員 私はすべていかぬという論調で聞いているわけでもないのです。あいまいであったらいかぬというのが私の趣旨なんでございますが、それじゃたとえば海外でシージャックが起きて、シンガポールかどこかで射殺された犯人があったと思います。たしか大阪府警あたりに所属している射撃の名人が行ったことがございますけれども、これはなかなか政治的判断も要する問題だと思うのですが、こういうときなんかでも法務大臣は全く御承知ないのでしょうか。内閣の中ではそういう治安維持については法務大臣が責任をお持ちになることでございますし、また法務大臣もなかなか活発に閣議で御意見をお話しなさっておると聞きまして頼もしく思っておるのでございますけれども、やはり内閣での責任ということを考えていけば、いわゆる世間の耳目を聳動させるような事件についてほとんどパイプがないに等しいというのは私はちょっと解せないのでございますけれどもね。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘になりました中の、たしか広島ではなかったかと思いますが、シージャックの問題、これは警察の問題でございますから、法務大臣、検察当局とは直接関係のない話でございますが、私ども刑事局におります者としましては、検察が何をやっておるかといいうことにつきましては、検察当局の活動について法務大臣が全責任を内閣に対して、また国会に対して負われるわけでございますから、検察の動きというものは当刑事局におきまして逐一把握をいたしまして、そして、大臣からお尋ねがあれば、こうなっておりますというふうに御報告申し上げる、またお尋ねがなくても、大臣のお耳にお入れしておいた方がいいと思いますことは積極的に耳にお入れする、こういうことでございまして、検察のやっておりますことは、少なくとも当刑事局において、大げさに言えば一〇〇%把握をしておる、報告はすぐにパイプを通って来るようになっておる、こういう状態でございます。
○加地委員 終わります。
○廣瀬委員長 次回は、来る五月十七日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十一分散会