第085回国会 大蔵委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十三年九月十八日)(月曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次のと
おりである。
   委員長 大村 襄治君
   理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君
   理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君
   理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君
   理事 坂口  力君 理事 永末 英一君
      愛知 和男君    池田 行彦君
      宇野 宗佑君    小渕 恵三君
      大石 千八君    後藤田正晴君
      佐野 嘉吉君    坂本三十次君
      高鳥  修君    林  大幹君
      原田  憲君    本名  武君
      村上 茂利君    森  美秀君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      伊藤  茂君    池端 清一君
      大島  弘君    川口 大助君
      沢田  広君    只松 祐治君
      平林  剛君    山田 耻目君
      大久保直彦君    貝沼 次郎君
      宮地 正介君    高橋 高望君
      荒木  宏君    永原  稔君
―――――――――――――――――――――
昭和五十三年九月二十二日(金曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 大村 襄治君
   理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君
   理事 保岡 興治君 理事 佐藤 観樹君
   理事 坂口  力君 理事 永末 英一君
      小渕 恵三君    大石 千八君
      後藤田正晴君    佐野 嘉吉君
      坂本三十次君    林  大幹君
      原田  憲君    村上 茂利君
      森  美秀君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    伊藤  茂君
      池端 清一君    大島  弘君
      沢田  広君    只松 祐治君
      貝沼 次郎君    宮地 正介君
      高橋 高望君    小林 政子君
      永原  稔君
 出席政府委員
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        大蔵政務次官  稲村 利幸君
        大蔵省主計局次
        長       加藤 隆司君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        国税庁長官   磯邊 律男君
        国税庁直税部長 藤仲 貞一君
 委員外の出席者
        総理府人事局参
        事官      片山虎之介君
        経済企画庁調整
        局審議官    廣江 運弘君
        大蔵大臣官房秘
        書課長     西垣  昭君
        自治大臣官房総
        務課長     大林 勝臣君
        参  考  人
        (税制調査会会
        長)      小倉 武一君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月二十二日
 辞任         補欠選任
  荒木  宏君     小林 政子君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 政子君     荒木  宏君
    ―――――――――――――
九月十八日
 法人税法の一部を改正する法律案(村山喜一君
 外九名提出、第八十回国会衆法第一五号)
 土地増価税法案(村山喜一君外九名提出、第八
 十回国会衆法第一七号)
 銀行法の一部を改正する法律案(村山喜一君外
 九名提出、第八十回国会衆法第四三号)
 貸金業法案(坂口力君外三名提出、第八十回国
 会衆法第四九号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(山田
 耻目君外九名提出、第八十四回国会衆法第五
 号)
 所得税法の一部を改正する法律案(山田耻目君
 外九名提出、第八十四回国会衆法第一八号)
 国税通則法の一部を改正する法律案(山田耻目
 君外九名提出、第八十四回国会衆法第一九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会設置に関する件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
○大村委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の会計に関する事項
 税制に関する事項
 関税に関する事項
 金融に関する事項
 証券取引に関する事項
 外国為替に関する事項
 国有財産に関する事項
 専売事業に関する事項
 印刷事業に関する事項
 造幣事業に関する事項
の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○大村委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 先刻の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十六名よりなる
 税制及び税の執行に関する小委員会
 金融及び証券に関する小委員会
 財政制度に関する小委員会
 金融機関の週休二日制に関する小委員会
を設置することとし、各小委員及び小委員長は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長は、追って公報をもって指名いたします。
 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 また、小委員会において参考人の出席を求め意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○大村委員長 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、税制に関する件について、本日、参考人として税制調査会会長小倉武一君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小倉参考人は、午後一時三十分に出席いたしますので、御了承を願います。
    ―――――――――――――
○大村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島弘君。
○大島委員 きょうは、何と申しても一番大きな国民の注目の的となっております。過日、特別部会で発表されました一般消費税のことについて若干、短い時間でございますけれども、お伺いしたいと思います。
 なお、午後から税調会長が来られますので、なるべくそれと重複しないようにお伺いしたいと思います。
 これ一応全部読ませていただきましたが、問題もいろいろ多分にあるのですけれども、大きく分けて、タイミング論といいますか、いつ実施するのかという問題、それから物価上昇論といいますか、物価にどういう影響を及ぼすのか、それから大衆課税論といいますか、これは大衆課税にならないか。そういうようなことで、まだほかにいろいろございますけれども、大きく分けまして、タイミングがいつになるか、物価上昇がどうなのか、あるいは大衆課税としてどういう弊害があるのかということが大きな問題だと思うのですけれども、これを読ましていただいた限りでは、私は、もう一つ大きく手順論というのが抜けていると思うのでございます。
 手順論といいますのは、まずこの問題を審議する前に何をなすべきかということ、たとえば不公正税制を是正するとか、あるいは不要不急の歳出を削減するとか、そういうようなことがほとんどここにあらわれておらずに、単にいまのような仕組みを一般国民に理解してもらうというようなことで、そういう根本的な手順論というものがここで消えてしまっているような気がするのですが、税制調査会でそういうようなことが論じられたのかどうか、また主税局としてどういうふうに考えておられるのか、その手順論につきましてお伺いしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 今回の九月十二日に税制調査会の総会に報告になりました一般消費税の特別部会の試案の中では、いま先生から御指摘になりました前提問題と申しますか、不公平税制の問題、歳出の問題、これらに直接触れられておりません。それは、昨年十月四日のいわゆる中期答申の中でいろいろの御議論があって、今後一般的に財政収支の現状から見まして、国民に対して税負担の増加をお願いしていくからには、やはり歳出の節減合理化、いわゆる税制及び執行両面を通ずる負担の公平の確保ということについて、従来にも増して努力を払うということは当然であるということで、御審議がかなり重ねられたわけでございます。
 今回の税制調査会の特別部会の御報告は、その点は、全体の税制の問題、また歳出と税制と両方を通ずる国民の負担、受益のバランスの問題、そういう問題として取り扱うべきでありますけれども、今回の特別部会が設けられました趣旨は、具体的な仕組みをできるだけはっきりつくりまして、それに基づいて国民の御理解を得、また各方面の御意見を承る、そういうことで作業が進められた関係で、直接触れられておらないわけでございます。
○大島委員 そうすると、仕組みを国民に理解してもらうということなんですか、それとも仕組みも含めて一回、増税の是非とか、そういうことを理解してもらうというものじゃないわけですか。
○高橋(元)政府委員 特別部会の御報告の中にございますように、総会の審議が今回、六月二十七日以降に行われました総会でございますが、総会の審議の中で、試案の作成に先立っていわゆる不公平税制の是正と歳出の節減合理化の関係の問題について審議すべきでないかという御意見があったわけでございます。先ほど私が申し上げましたように、一般的な税負担の引き上げについて国民の御納得を得るためには、いわゆる不公平税制の是正と歳出の節減合理化を推進していく、それについての税調の基本的考え方は中期答申の中で示されておるので、これに即した具体的検討は、一般消費税の仕組みの検討とは別に、各年度の税制改正の際に行うことが適当であるという御審議が重ねられまして、今回の部会の総会に対する報告では、一般消費税の仕組みの問題が検討され、提案されておるわけでございます。さように承知しております。
○大島委員 これは特別部会の報告ですから、いずれ総会にかけなければならぬと思うのですけれども、総会にかける前に国民のコンセンサスを得るわけですか、それとも国民のコンセンサスを得ずに先、総会にかけてしまう予定でございますか。たとえ仕組み論にしろ、あるいは仕組み論を含めた増税の問題にしろ、総会が今度開催されるまでに国民の了解を求めるとか、コンセンサスを求めるということ、どういうふうになっておるわけですか、その辺は。
○高橋(元)政府委員 ただいまお答え申し上げたとおりでございますけれども、今回の特別部会の試案は、仕組みについての具体的な税制調査会特別部会としての考えを総会にお出しになった。特別部会としての仕組みの具体案を広く国民に周知を図り、その御理解をいただくように努める。それから、各方面の御意見を積極的に聴取し、検討を行うという手順でございます。
 先ほども申し上げましたように、歳出の節減合理化の問題、それから既存の税制の改善の問題、執行の充実の問題、それらの問題につきましては、従前からの政府の税制調査会での御提言に従いまして、私ども十二分に努力をいたしておるつもりでございますが、そういう点につきましての検討は、具体的にこの試案に基づいて、仕組みについての国民各位の御理解及びそれについての御意見、そういうものを得て、今後税制調査会の特別部会でも総会でも、いわゆる「最終的な具体案」というふうに報告に書いてございますが、そういうものを御審議になるわけでございます。最終的な具体案について具体化していく段階で、年度答申の問題として包括的に取り上げてまいるというふうに承知しております。
○大島委員 いまの時期の問題それからタイミングの問題は、午後改めて税調会長にお伺いしたいと思うので、これで打ち切ります。
 次に、税率の問題と物価上昇の問題をお伺いしたいのです。
 大蔵省は、税率の半分の物価騰貴を及ぼすであろうと推測をしておるのですが、税率が五%ならば物価騰貴が二・五%、税率が一〇%であるならば物価上昇は五%、その根拠をお示しいただきたいと思うのです。
○高橋(元)政府委員 これは部会の御報告の中で、具体的な税率をどう設定するかということは今後の検討問題というふうにされておるわけでございます。私どもこの部会の試案のたとえば課税から除外されます非課税品の範囲、それからすでに個別消費税が課せられておりますところの消費物資と申しますか、そういうものの大きさ、それらを大まかに想定をいたしますと、大体新税の対象となります消費支出のうち、約半分くらいがCPIに影響いたすであろうというおおよその推測を立てておるわけでございます。ただし新税は、もちろんこの一般消費税は、転嫁を前提とする税制でございますから、新税の課税されるものにつきましては、課税されました金額というのが生産、流通の各段階を通じて逐次転嫁をしていくということを前提にしておりますが、非課税品なり既存の税制、個別消費税の税負担との調整を行います結果として、そういう転嫁が行われますと予想されるものが、全体の課税の対象になります消費支出の約半分であろう、そこからCPIに及ぼす影響は税率の約半分くらいではないかということを申し上げておるわけでございます。
○大島委員 よくわからないのですが、その半分であるという理由をもうちょっと詳しく説明してもらいたい。
○高橋(元)政府委員 五十一年度ベースで新税の税収の基礎となります課税対象は、国内事業者及び輸入者の合計で約百十五兆でございますが、その中で輸出と輸出類似の売り上げというものは、この部会の報告にもありますように、課税からも除外されるわけでございますし、CPIの計算には関係がございませんので、それが約二十二兆というふうに推定をされますから、それを除外いたします。それからそのほかに、食料品、社会保険医療等々を非課税というふうにいたしますと、先ほどの二十二兆を含めまして四十兆くらいの非課税品というものが出てまいると思います。それを差し引きますと七十五兆でございます。それで、さらに既存の消費税がかけられておるものにつきまして調整を具体的にどう進めるかということについては、この特別部会の試案の中で必ずしもはっきり触れられておりませんけれども、特別部会の試案を踏まえまして私どもの方でそれを推定いたしてみますと、調整額が二十七兆であろうか。そうなりますと、百十五兆と申し上げておりましたが、その約半分の四十八兆くらいというものが一般消費税の課税の対象になるのではないか、こういうふうに考えられます。
 そこで、先ほども申し上げましたように、一般消費税が一〇〇%転嫁される、かつ便乗値上げが一切ないということになりますと、百十五兆から輸出を引きました九十三兆に対して、いま申し上げております金額は約半分でございますが、おおむね半分くらいのCPIの上昇になるのではないかというふうに申し上げておるわけでございますが、これらの数字につきましては、案の具体化の段階を待ちまして、さらに詳細に検討してまいらねばならぬというふうに考えております。
○大島委員 要するに、税率の半分であるということはまだ確たる基礎はないのだというふうに理解していいですか。
○高橋(元)政府委員 ただいま申し上げましたように、五十一年度のマクロの数字を用いまして計算をいたしております。それから、課税される品目については便乗値上げがないということと、完全に転嫁されるという前提で計算をいたしております。それから、税制調査会の一般消費税特別部会の案の中には、はっきりこれから具体的な検討に待たなければならない部分がございます。そういう意味で、いま申し上げておる数字は、私が先ほどお答え申し上げましたように、大まかな推定ということでございますが、オーダーが何・何%になるかというような細かいところまでは、それは経済は生き物でございますから、なかなかつかみにくいかと思いますが、大体半分くらいと申し上げておるのには、私どもはそれなりの根拠があるという考え方でおります。
○大島委員 非常に大事なことでございますので、物価押し上げの力ということも少し検討していただきたいと思います。
 次に、税率でございますけれども、これはあるいは税調会長にお伺いした方がいいかもしれませんが、二、三%くらいでは意味がない、ヨーロッパの税率というのは御存じのとおり非常に高くて、ほとんどの諸国が一五%以上だというふうになっておるわけですが、主税局としては、単一税率とした場合にどのくらいの税率が理想的だと考えておるわけですか。
○高橋(元)政府委員 税制調査会の特別部会の試案の中では、これは御案内のとおり、税率の水準についてはさらに今後も検討を行うということになっております。一%当たりで五十一年度ベースで申しますと、四千三百億ないし四千五百億くらいの税収規模である、これもマクロの統計等を用いました推計数値でございます。おおむねそのくらいのオーダーであろうかと考えておりますが、税率及び税収の規模をどのくらいに設定いたしますかということについては、ただいまも大島委員から御指摘のございました、EC諸国における導入時の税率がおおむね二けたである、ほとんど例外なしに二けたであった、しかし、日本はそれとは事情が異なるでありましょうということが一つ。それからもう一つは、先ほどもお答え申し上げております物価への影響を判断しなければならぬということ。それからもう一つは、財政の事情というものも勘案しなければならぬであろうということ。それらのことを踏まえて今後検討をしていくというのが部会の試案の考え方でございますし、私どももそのようにして今後検討を進めてまいるというふうに考えております。
○大島委員 いまの段階では、確かに確定的なことは言えないだろうと思いますが、これもまた税調会長の方にお伺いしたいと思います。
 次に、単一税率をとっておりますけれども、仮にこの税を実施するとした場合に、たとえば奢侈品等、あるいは医療、食料品は非課税になっておりますけれども、食料品のもととなる飼料や肥料、こういうものとダイヤの宝石というものを比べて、仮に同じに五%なら五%、一〇%なら一〇%というのは非常におかしくなるんじゃないかというふうな気がするのですが、主税局の考え方はどうですか。
○高橋(元)政府委員 これは税の具体的な仕組みといたしまして、執行と申しますか、各納税義務者の方々の事務の負担というものを考えますと、税率を複数にするということは大変繁雑と相なるということが一つございます。そういうこと等を基礎といたしまして、部会の試案では税率は単一とするというお考えでございますが、一部政策的またはその性格上の非課税品というものが列記されております。
 ただいまの御指摘は、そうすると、一般消費税としての税率が一律であるということが、もう少し担税力のある個別消費というものが十分とらえがたいのではないかという御指摘だと思いますが、その点につきましては、税制調査会のこの試案の中で、特別の負担を残す道というものも個別消費税の調整の際に考えておいてはどうであろうかという御指摘がございます。
○大島委員 それに関連しまして、この税の仕組みが、いまの単一税率にすること自体が、別の意味で非常に不合理でもあり、もう一つは、輸出に非常に有利に働くのではないかという気がするわけです。
 輸出取引が一応非課税になっておるわけですけれども、輸入にかかると、輸入業者はそれだけ転嫁しなくてはならない、ところが輸出業者はそのままだということでございます。特に輸出業者につきましては、物品税についてはこの答申では、将来、この税に吸収するか、または物品税率の引き下げを考えるということを言っておりますが、たとえばトヨタ自動車を例にとってみますと、トヨタ自動車はいま約一千億くらいの物品税を払っていると思うのですけれども、もしこれがそういうふうに一般消費税に吸収されてしまうと、その何分の一かで課税が済んでしまうということで、大企業に有利に、輸出に非常に有利に働くということがうかがわれるのですが、その点について事務的にどういうように考えるわけですか。
○高橋(元)政府委員 一般消費税ももちろんさようでございますが、現在ございます個別消費税、たとえば物品税、酒税その他につきましても内国消費税でございますから、国内の消費に対して負担を求めるという趣旨からいたしますと、輸出の際には課税をいたさないというのが通則でございます。これはいわゆるガットのルールの中でも、輸出に際して国内消費税は非課税にするということが認められておるわけでございます。
 先ほど御指摘のございました、輸入についてはかかるが輸出についてはかからないと申しますのは、そういう一種の消費に対する課税管轄と申しますか、日本国内の消費について課税をするという趣旨で設けられておる規定でございますが、これは国際的に見てほとんどの個別消費税及び一般消費税はそういう形をとっておるわけでございます。輸入につきましては、国内産品、国内取引商品ないしサービスとの競争がございますから、これは当然内国で消費されるものとして一般消費税がかかるわけでございます。現在の酒、それから自動車等につきましても、輸入された場合には酒税または物品税が税関でかかっておるわけでございます。そういう意味で従来と考え方に差はないというふうに考えます。
 それから先ほど御指摘の、自動車のメーカーが輸出する場合の物品税が今回の一般消費税に移行した場合に大幅な軽減になるのではないかという御指摘でございますが、自動車のメーカーが輸出用につくっております自動車につきましては、現在でも物品税は非課税という手続で、納税をいたしませんで、輸出用に製造をして輸出をしておるわけでございますから、その点は従前と同様であるというふうに私どもは考えております。
○大島委員 しかし考えてみますと、確かに輸入業者よりも輸出業者に有利な制度である、しかも特に大企業に有利な制度であるということ、われわれはそういう意味でも非常に疑いを持っているわけでございます。
 それから、やや細かい問題ですが――細かい問題というのはなんですけれども、食料品を非課税にするということ、たとえば魚なら魚を非課税にするということ、しかし運送料や倉庫保管料は非課税ではない、そういう現状でございます。しかも先ほど言いましたように、飼料や肥料というものも非課税ではない、食料品だけが非課税だというようなことで、逆進性がないと言われますでしょうか。
○高橋(元)政府委員 食料品について原則として非課税とするという部会の試案の骨子でございますが、その場合に、食料品をどこからどこまでというふうに考えるかという問題が御指摘のとおりあるわけでございます。たとえば肉を例にとりますと、店頭に並んでおります精肉というものの前に枝肉の段階がございましょうし、さらにその前に生体の段階がございましょうし、生体の前にもっと肥育中の牛または豚という段階がございましょう。どこまでさかのぼってまいるかということにつきましてはなお検討を要するという御意見が特別部会の御議論の中でありました。私ども、これから具体的に各方面の御意見を伺ってまいる段階でその辺は検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
○大島委員 食料品だけというのじゃなくて、EC諸国でもやっておるように、食料品の基礎となる肥料や飼料その他を含めて、どうせ非課税にするなら非課税にすべきだというふうに私は思うのです。食料品だけと限定してしまうのはすこぶるおかしいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○高橋(元)政府委員 いま申し上げておりましたことでございますが、食料品をどこまでさかのぼるかということでございますが、たとえば肥料とか飼料という段階までさかのぼるべきかどうかということでございますけれども、その点は今後の検討事項でございます。
 ただし、たびたび御指摘のございます運送のサービス、輸送のサービス、そういうものに対する課税が、最終食料品が非課税である場合に、やはり課税された後の仕入れとして、仕入れについて課税額として残ってしまうのではないかという問題がございますけれども、これはECの取り扱いにおきましても、非課税品についてそれ以前の段階で負担した、ECの場合でございますから付加価値税額というものについては、一般的に控除を認めていないわけでございます。
○大島委員 これは御参考ですけれども、EC諸国では食料品のほかに、新聞、雑誌、書籍、それから旅客運送、肥料、飼料、医薬品というようなものは、ほとんどの国で低額な税率でやっておられるということは御存じだろうと思うのですけれども、こういうようなところまで広めるという意図はないですか。
○高橋(元)政府委員 一般消費税でございますから、競争のと申しますか、経済産業に与える非中立的な影響というものも考えますと、非課税の範囲というのはできるだけ限定することが望ましいということは部会の試案の中にあるとおりに私どもも承知しております。
 ただEC諸国の事例で見ますと、輸出、金融、保険というような取引につきましては、性格上非課税としておるのが共通の例でございます。医療、教育につきましては、政策的に免税措置を講じておるというふうに承知しておりますが、それ以外、ただいま御指摘のありました新聞、雑誌というようなもの、また運輸というものにつきましては、軽減税率を設けている場合がございます。一部免税という国もないわけではございませんけれども、それらにつきましては、先ほど単一税率としたゆえんを申し上げました際と同じ理由で、私どもは、事務負担というものも考えれば、非課税品の範囲はそれほど大きくすべきではないのではないかという部会の御意見に従って考えておるわけでございます。
○大島委員 土地取引は資本取引として課税の範囲外だ、しかるに家屋の方は消費とみなして課税がされる、これはいまの住宅政策その他から見てどういうふうに考えられますか。土地はいいんだ、家屋はいけないんだ……。
○高橋(元)政府委員 土地は消費されるものでないわけでございますから、土地を売りました場合にこれが消費税の対象にならないということは、御理解いただけるかと思うわけでございます。ただし家屋につきましては、建設の役務それから建設の資材というものにつきまして課税の対象にするというのが、部会の試案のお考えでございます。
 ヨーロッパの場合に一部軽減または免除という措置を講じておりますのは、私どもいま研究中でございますけれども、ヨーロッパでは、家賃補助という形をとっておる場合に、家賃補助が課税の対象になりました場合には、歳入歳出両方ともふえてしまって本来の政策的な措置が意味を失うと申しますか、そういうことから外れておるというふうに理解いたしております。日本の場合には、建設または土地の購入の段階、家の使用の段階で、たとえば住宅公庫とか住宅公団とか公営住宅とか、そういう建設費の補助という形をとっておりますので、おのずから事情が異なるのではないかと思っております。
○大島委員 土地及び定著物は不動産だという法律上の規定がありながら、土地と家屋を区別するのは非常におかしいということ、これが国民のコンセンサスを得られるかということを強くここで申し上げておきたい。
 最後に、便乗値上げの対策はどう考えておられますか。
○高橋(元)政府委員 ECの諸国でも、付加価値税を導入いたします際に、便乗値上げを排除するためにさまざまな形でのかなりきめ細かい行政指導が行われたというふうに承知しております。私どもは、この一般消費税の特別部会の案にもございますように、一般消費税が導入されました際に、一般の価格水準というものが一回限り上昇することは避けられない、やむを得ないと考えておりますが、その場合に便乗値上げが起こるということでは、これまた国民の御迷惑になることでございますし、また国民の御理解を得るにも十分でないと思いますので、ヨーロッパの先例、わが国でのさまざまな商業取引の慣行や仕組みを研究をして、これが実施される時期が来ました際に遺憾のないように、具体的になるべくきめの細かい便乗値上げの防止策というものを勘案してまいらなければならぬであろうというふうに考えて、現在真剣に検討を重ねておるところでございます。
○大島委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、一番最初お話ししましたように、タイミング論や物価上昇論やあるいは大衆課税論のほかに手順論というものが一つあるんだということを、ひとつ十分御認識いただきたい。その手順論とは何かと言うと、やはり何といいましても、不公正税制の是正あるいは経費の節減というようなことで、それがないことには国民のコンセンサスはとうてい得られないということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大村委員長 只松祐治君。
○只松委員 後で一般消費税のことを午後から小倉会長にもお尋ねいたしますが、大臣がお見えになりませんけれども、大臣の財政演説の中で税制の問題について触れられまして、「今後、一般的な税負担の引き上げを求めることを真剣に検討」する、こういうふうに述べておりますけれども、このことは一般的なことだけを指すのか、ここで特に強調してありますので、一般消費税のことを念頭に置き、その実施を要望しつつ御発言になっておるか、まずその辺をお聞かせいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 一昨日の財政演説の中で、「今後、一般的な税負担の引き上げを求めることを真剣に検討」するというような表現で大臣が申し上げていますが、これは御高承のとおり、今日の財政ギャップがきわめて大きい、それから今後、福祉その他の公共サービスを確保しながら財政体質の改善を図っていくためには、国民に対して一般的な税負担の引き上げを求めざるを得ない、こういう考え方になっておるわけでございます。
 ただし、その方策として一般消費税のことを、具体的にそれだけを言っておるのかという御指摘でございますが、法人税、間接税等の既存の税目によってできる限り増収措置を講じていく必要がございますけれども、それだけでは問題の解決にほど遠いということでございますから、したがって、所得税の一般的な引き上げか、一般消費税の導入か、いずれかが必要であるというのが昨年の中期答申の考えでもございますし、政府としてもさように考えておるわけでございます。
 いずれの方途を選ぶべきかということにつきましては、国民の選択すべき重要な課題でありますけれども、所得税に大幅な負担の増加を求めるということにつきましては、現実問題としておのずから限界があるのではないかということで、一般消費税の検討についても、具体的な仕組みについて明らかにして、広く各方面の御意見を求め、また具体的な検討を進めてまいる、そういう段階に立ち至っておるわけでございます。
○只松委員 私が申し上げるまでもなく、いまわが国の財政、税制問題は大変重大な段階に差しかかっております。そういうことでございますから、与党である自由民主党も税制のいろいろな御研究をなさっておいでになるわけでございます。そのために、各新聞等でも報道いたしましたが、二日から十五日までの約二週間、消費税の調査、視察においでになったわけでございます。
 それはその限りにおいて、われわれもお互いに勉強しなにするのは結構でございますし、必要なことでございます。ところが、長い間の自民党の単独政権と申しますか、独裁政権が続きまして、そこらのなれといいますか、けじめがつかなくなってきている。その今度の調査団の中に公務員の方が二人、財界代表が一人おいでになっておる。財界の代表は、これは資本主義を代表する自民党として当然のことといたしまして、公務員幹部が二名同行いたしております。大蔵省、自治省からそれぞれ同行をいたしております。そういうことがあるかないか、人事課長、きょう来ておると思いますが、御報告をまずお願いいたしたいと思います。
○西垣説明員 同行いたしております。
○大林説明員 同行いたしております。
○只松委員 何の目的で同行したか、身分は、資格はどういう資格で行ったか、公務員の資格のままか、休暇をとって私的で行ったか、そういうところをひとつお聞かせいただきたい。
○西垣説明員 公務員として出張命令に基づきまして出張いたしております。
○大林説明員 自治省の職員につきましても同様でございます。
○只松委員 これは自由民主党――政府としておいでになったのですか、社会党や共産党、公明党その他が行くように全く私的な調査団としておいでになったのですか。私の知る限りにおいては、これは全く私的な調査団でございます。そういうのに公務員として行くことができるかできないか、いままでのこともあるでしょうが、しかしいままでのこととかそういうなずんだことではなくて、ひとつ法律上の問題等含めてお答えをいただきたい。総理府からもひとつお答えをいただきたいと思います。
○片山説明員 事実は詳細に承知いたしておりませんけれども、一般的に公務出張の是非だとか内容などにつきましては、それぞれの責任ある行政当局の御判断によるべきだと考えております。この場合でございましたら大蔵省、自治省御当局の御判断によるべきだろうと思います。
○只松委員 それじゃその当局の御判断をひとつ……。
○西垣説明員 一般消費税につきましては、政府といたしましてかねてからあらゆる機関を通じまして、欧州諸国の実情を調査してきているところでございますが、今回もたまたま自民党の調査団が行かれる、こういう機会を利用してさらに調査を深めたい、こういう目的でございまして、まさに大蔵省としての職務遂行上必要であるということで、私どもは問題ないと考えております。
○大林説明員 自治省におきましても、御承知のとおり、一般消費税問題が非常に問題になっております折から、特に国と地方の税源配分を中心としまして大変な関心を持っておりました。常々外国の状況がどうであるか、こういうものを調査いたしたいと考えておりましたが、そういう機会に職員を出張させて調べさしたのでございます。
○只松委員 自治省のことは私よく存じませんが、大蔵省の場合には、これはいわゆる党と政府は違いますからね、同じじゃないのですよ。私が冒頭に言いましたように、なずんでしまっているからそういうことが平気で言えるので、あえて言うならば、私たち社会党やなんか野党が行くというときに幹部、高級公務員がそれに同行するということがいままであったことがあるか、あるいはあり得るか。これは外国だからいいというならば、国内のそういうことも今後あり得るか、こういう大変な問題に発展をしてくる。しかもこれは出張旅費が一万円や二万円のわずかなものではない。
 したがって、いま簡単に皆さん方はそういうことをお答えになっておるけれども、政府の調査団としておいでになるなら、その中に自民党の関係者がおいでになって政府関係でおいでになる、これはいいですね。しかしここに外務大臣あてに、自由民主党税制調査会欧州視察団団長金子一平という園田外務大臣に対する要請文が出ております。自由民主党税制調査会欧州視察団に対する便宜供与方依頼について、こういうことで、今般自由民主党税制調査会では欧州諸国における税制及び税務行政視察のために視察団を派遣することになりました、こういうことで、政府ではなくて、明確に団長の金子一平さん名をもって政府に対して自由民主党として行く、こういう要請文がちゃんと出ております。しかも日程等も出ております。こういうものに対して政府の幹部が、たまたま聞きましたから同行しました、そういうことでこれは済む問題ですか、政府だからいい、野党だからけしからぬ、共産党が一緒に来い、こう言ってもあなた方はおみえになりますか、公明党が一緒に来いと言ってもおみえになりますか、社会党が一緒に来いと言ってもおみえになりますか。社会党も間もなくそういうことをやろうと思っておりますが、おみえになりますか。そういうことはいままでなかったでしょう。これはたまたま出たから、今後やると言って逃げれば別でございますけれども、これがない限りは恐らくおいでにならないでしょうね、前例がないのです。
 これは明らかに公務員法違反の問題です。私がこういう情報を入手したのがきわめて遅かったために、残念ながらまだ法律関係を明らかにしておりません。私は、次回なりいずれ機会を見て、その前にそういう法律関係等を明らかにいたしたいと思っておりますけれども、いまみたいに、たまたまこういう自民党の視察団が行くから同行した、こういうことで済む問題では断じてないと私は思います。これはいいということならばいいで、また次の機会なりほかの内閣委員会等でも論争することになります。また、これは幹部公務員ならばいいけれども、下級公務員ならば悪い、こういうことにはならない。下級公務員といえども、それぞれの党が行くときについていっていい、こういうことになるわけなんです。幹部公務員だからそういうことは恣意的に許される、下級公務員はそういうことは許されないということではない。私が公務員法違反と言っているのは、公務員法全般の問題につながってくる問題です。きょう私は、残念ながら法律論争はしませんけれども、いいならいいと断言しておけば、この次に大いに勉強して論争します。また、他の委員会でもわが党はこの問題を取り上げて論争します。
 重ねてお聞きいたしますけれども、公務員法違反ではない、当然のこととしてお考えになるかどうか、まずお聞きをしたい。
○西垣説明員 私どもは、この出張が職務遂行上必要であるかどうかということで判断しているわけでございまして、自民党であるとか野党であるとかということでやっているわけではございません。あくまでそこはケース・バイ・ケースで判断いたしまして、職務遂行上必要であれば出張するということになると存じます。
○只松委員 一党一派に偏してはならないというのは公務員の原則でしょう、鉄則でしょう。ケース・バイ・ケースとかなんとかでなくて、ある特定の党が行動するときに参加してはならないことは、これは公務員の原則でしょう。選挙活動さえも禁止してあるのでしょう。それがここで、この一般消費税というのは、ほとんど全野党反対をしておる、与党は賛成をしておる、こういう段階に、明確に政策目的を持って偏った一つの方向を出そうというものに参加していいということが適当なものとこれを認めるわけですか。大蔵省において、たとえばこれは一般消費税ということですが、有事立法なり何なり他の問題においても同様に、ある一定の政策目的を持ってそれを実行しよう、そのための下調査等をしようというときに、幹部公務員なりあるいは一般公務員がそういうものに随行していったり、国家の費用をもって一党的な政策を遂行しようということが公務員に許されることですか。そういうことが許されますか。詭弁はやめなさい。
○片山説明員 先ほども申し上げましたように、事務局としてまだ詳しく甲信を承知いたしておりませんけれども、公務出張の是非だとか内容については、それぞれの御当局、この場合には先ほど言いましたように、大蔵省、自治省の御判断によるべきだと考えております。
 なお、当方といたしましても、両省からよく事情を聞かしていただきたいと思っております。
○只松委員 そうではなくて、私は一つの事例を挙げているけれども、一つの政策目的を持って議会内に――立法府と行政府は違うわけですから、立法府において一つの政策目的が違う問題を論議しておるときに、その政府の相当の幹部の一員が一方の政策に加担する目的を持った、そういう実行行為に対して加担していいのかどうかという、法律行為をぼくは聞いているのです。その事実行為についてはぼくももっと調べ直して次の機会に論議をします。
 あなたのところで、一般公務員として、上級だろうが下級だろうが、これはもちろんだけれども、特にこの場合は上級公務員ですから、そのことを明確にしていただきたい、こう言っているのです。
○片山説明員 いろいろむずかしい問題を含んでおりますので、よく調べさせていただきたいと存じます。
○只松委員 事実はもう少し調べて、法律上は後から――ぼくがここに来てそのことを聞くことはわかっているわけですから、けがをして多少遅くなりましたけれども、要するに法律違反であるかないかということだけくらいはあなたは判断できるでしょう、これだけの具体的な行為ですから。法律違反であるかないかということだけをここで断言をしておいでください。
○片山説明員 非常にむずかしい問題でありますから、何度も繰り返しますが、よく調べさせていただきたいと思いますけれども、お聞きした範囲で直ちに法律違反になるかどうかは、なお検討の余地があろうかと思います。
○只松委員 大蔵省、自治省それぞれに、公務員法違反であるかないかという所見を、特にその上司である、自治省の方は上司は参っておりませんが、当の高橋さんがお見えになっておりますから、上司であるあなたはどういう判断か。いやそういうことは知らなかった、こうおっしゃるのか、いやそういうことは十分知った上で違法行為ではないということでなさったのかどうか、お聞かせをいただきたい。
○高橋(元)政府委員 従前から一般消費税の問題は、過去数年にわたって主税局で検討を重ねてまいっておるわけでございますが、何分にもわが国には経験のない一般的な消費税でございます。したがいまして、欧州諸国の事例、法令、適用状況、それから実施の状況等々を詳細に承知する必要があるわけでございます。そこで過去何年かにわたりまして、相当数の職員をヨーロッパに派遣をいたしまして、実情調査を繰り返してまいりました。今回の私どもの方の職員の出張がそれと同じ性質のものであるというふうに私どもは考えております。
 ヨーロッパ諸国に参りまして、こういった税の制度、それから実施、執行というものを調べます際には、相手国政府、それから相手国の納税者団体というものとの接触が必要でございますから、それには相当の準備期間というものが要るわけでございますし、わが方の在外公館、また相手国の政府につきましていろいろのスケジュールを立てて意見をまとめて話を聞くという、かなりの準備が要るわけでございますから、今回、自民党の調査団に職員を同行派遣させるということについて違法かどうかというお話でございますけれども、私どもは、当局の事務として外国の税制を掌握しておくことがぜひ必要である、そのためには、そういう機会に同行をさせたいということで派遣をいたしたわけでございます。
○只松委員 全然考え違いですよ。あなたたちもたびたびやったでしょう。在外公館からも調査資料を取っているでしょう。政府でやったことを批判しているのじゃない。これは当然のことですよ。国会が決議をして、国会で調査団をやろうということで行って、それに大蔵省なり外務省なりが随行していくということはあり得ることなんです。いいですか、そうではなくて自民党が行っているんですよ、資料を見せましょうか。
○高橋(元)政府委員 同行いたしました職員の調査研究というものは、政府の職員としていたしたわけでございまして、私ども、一般消費税のほかに、たとえばいま問題となっております利子配当課税の現状等につきましても調査をしてもらいまして、それにつきまして政府として私どもその状況の報告を受けております。
○只松委員 事実関係は、私はきょうやろうと思っているのじゃないんですよ。いいですか、だから公務員法違反であるかないか、あなたたちがそれをお考えになっているかなっていないか、きょうでこの問題は終わるわけではありませんから、今後の論議を進める上においてまずお考えを聞いておきたい。公務員法違反だと思って、誤りでございました、もう二度といたしません、こういうことをおっしゃるのか、そうではなくて誤りでなければ、今後もたびたびいたします。社会党が行くときはどんどんお申し出ください、幾らだって随行いたします。こうおっしゃるのか、そのことをはっきりしておきなさい、こう言っている。
○高橋(元)政府委員 私ども、今回の職員の派遣につきまして、公務員法違反であったというふうには考えておりません。適法な出張であり、適法な職務の遂行であるという考え方でおります。
○只松委員 自治省は。
○大林説明員 自治省におきましても同じ考え方を持っております。
○只松委員 これは後日また論議をすることにいたしますが、きわめて重大な段階を迎えつつある一般消費税あるいは税制の問題、こういうときに、公上平であるべき、国民に奉仕すべき政府、国家公務員が、特定の政党に所属した調査団に公費を使って、莫大な金ですね、それを使って調査に随行する。しかもその中には、私はこれは国庫の問題で、本来は論ずべき問題じゃありませんから論じませんでしたけれども、財界の方もおいでになっておる。こういう中で国家公務員が行くということは、私はきわめて不謹慎、不穏当だと思います。私は、以後そういうことがないように要望するとともに、また後日この問題は論議をいたしたいと思っております。
 それから資料として、出張の日程あるいはかかった費用、そういうもの等に関する資料をひとつ自治省、大蔵省両方ともに要求をいたします。
○西垣説明員 資料を調製させていただきます。
○大林説明員 提出いたします。
○只松委員 次に、いま問題になっておりますサラ金の問題についてお尋ねをいたします。
 大変に社会をにぎわしておるわけでございますが、この実態というものがなかなかつかまれておらないわけでございます。したがいまして、まず立法措置等を行うためには、実態をよく把握していかなければならないわけなんです。そういたしますと、実態の内容、金、いわゆる元手、資金をどこから集めてきているか。
 大手は金融機関から借りておるということがある。しかし金融機関から借りておれば、通常は当然に担保が提供されておるべきですけれども、私たちが知る限りにおいては、サラ金業者というのはほとんど担保を持っておらない。したがって、そういうこともきわめて不十分だ。それから、中小零細の庶民金融あるいはサラ金業者というのは、いわばいろいろなところから借り集めてまいりまして、そして又貸しをしておるというのが実態である。自分で何千億という金を持っておるわけではないわけなんです。したがいまして、そういう点について知っておる面があればひとつお答えをいただく。あるいは私が前からも非公式に要求をいたしておりますが、どういうふうに調査を進めるか、調査の進め方等についてひとつお答えをいただければ幸いと思います。
○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、サラ金問題はいま社会的に大きな間脳になっているわけでございまして、これに対する対策は、関係六省庁の会議におきましていろいろ積極的に推進しているところでございますが、そのような対策を行うためには先生御指摘のとおり、実態の把握がまず大事でございます。ただいままでのところは、出資の受入等の取締等に関する法律しかございませんので、これによりまして貸金業一般につきまして、届け出件数等については一応資料がございますが、全国的なその経営の実態については全く資料がなかったわけでございます。そこで先般、各都道府県知事に依頼いたしまして、これは貸金業の届け出をしているもの、五十三年三月末現在でございますが、それの約十分の一を抽出いたしましていま調査を実施したところでございます。この結果については目下集計中でございますが、ただいま先生御指摘のような資金源等についてもある程度の実態が把握できるのではないか、このように考えております。
○只松委員 営業を営んでおるわけですから、当然に利益が出ております。これだけの商利をやっているのだから相当の高収益を得ているだろうと思いますが、税制面からこういう問題についていままで調査をされたり、あるいはそういう中で特に顕著な違法的な面があったかどうか、そういう点について税制面から、いままでの問題、あるいは今後どういうふうに調査を進めていかれるか、そういう問題についてひとつお答えをいただきたい。
○磯邊政府委員 貸金業者に対します最近の税務調査について申し上げたいと思います。
 昭和五十一年、昨年分でありますけれども、法人税につきましては昭和五十一事務年度、それから個人につきましては五十二年一年中であります。それによりますと、まず貸金業を悩む法人の実地調査は、全国で六百六十九件調査いたしまして、それに対しまして税務調査上摘発いたしました不正申告割合というのが三七・四%、不正の脱漏所得が、全部の調査の結果でありますけれども、二十億余りであります。正確に申しますと二十億六千五百万円。それから不正申告の一件当たりの不正脱漏所得というのが千百二十九万円というのが法人の状況であります。それから個人について申し上げますと、実地調査件数、五十二年一年間でやりましたのが三百八十四件、不正申告の所得の脱漏割合が六三%、一件当たりの脱漏金額が四百三十四万円というふうになっているわけであります。この貸金業者に対します調査というのは非常にむずかしい面がありますが、いろいろと世間を騒がしている問題でもございますので、すでにたとえば大阪局であるとか東京局であるとかにおきましては、本年度の重点調査事業の一つとして取り上げておるわけであります。
 なお、これに対しまして若干不正の態様を申し上げますと、いままで調査いたしました典型的な不正のやり方といいますのは、まず完全に簿外帳簿を持っておりまして、簿外資金を調達してこれを貸し金に回す、全く簿外によって資金の調達と運用を図って、それによる利息をまるっきり除外しておるという例であるとか、あるいは大部分を貸付金の台帳に記載しないでこれを抜かしておる、それから単純に利息収入そのものを除外する、それから利息収入をあたかも元本の回収があったように仮装してこれを除外しておる、あるいはまた各種の架空経費を計上しているというふうな典型的な例が見受けられるわけであります。
 それから、ただいま先生御指摘になりましたいわゆる資金調達の問題でありますけれども、これは昭和四十八年四月以降査察調査をいたしまして、そのうちで五件の告発をいたしました。査察調査をいたしますと、わりあいにいわゆる資金の供給源というのがわかるわけでありますけれども、ただ、告発をいたしました五件のうちで、実際に借入金のありましたのは一件だけで、他は全部自己資金で事業をやっております。ただ、告発はいたしませんけれども、典型的な例といたしましては、運用資金総額が期末で二十八億五百万円あったわけでありますけれども、そのうちの借入金が二十三億五千万円。その借入金の内訳は、金融機関からの借り入れが二十一億六千六百万円、同業の金融業者からの借り入れが一億一百万円ということで借入金の大部分を占めて、残りの八千三百万円というのが個人からの借入金で、これは十三人から分割して借り入れた、そういうふうな実例が見受けられたわけであります。
○只松委員 これも時間がありませんからまた論じますけれども、私が知っておるところにもそういうのがありまして、やはり何人からか集めてきたのを、ばらしますと迷惑をかけたりあるいはまた金が集まらないということで、あくまで自己資金だということでやっておるのじゃないかと思いますね。したがいまして表面上のそれと、大変に口がかたいと申しますか、暴力団やなんかも多いわけですから、そういう点の資金の元金を探すのは容易ではないだろうと思いますけれども、私はそんなに莫大な金を、軒数で言えば庶民金融が十六万軒からあるわけですね、サラ金は五、六万と言われておりますけれども、そういう人たちが、そうたくさん金を持った人が金貸し業をやっておるとは思わないのですね。だから、もっとそういう実態面を今後洗っていただきたい。これは国税庁だけの問題ではなくて、金融と言ったって銀行局も大変だと思いますけれども、そういう面をひとつ調査をして、的確な収益、適正な課税というものを行うようにしていただきたい。
 なお国税庁、ついででございますけれども、前回同僚議員の佐藤君からも質問いたしましたが、その後、為替差益の問題で具体的にどういうふうに調査をお進めになっておるか、またその結果が出ておるものがあれば、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
○磯邊政府委員 過日大蔵委員会で御答弁いたしましたように、本年の九月から、為替差益が特に多いと思われる業種、それぞれランクを分けまして、最重点業種として石油精製業並びに卸売業、それから電気供給業、ガス供給業、これを最重点業種、それからその次の重点業種といたしまして、特に為替取引の多いと思われる金融機関、証券会社、商社というのを取り上げました。それから第三番目の順位といたしまして、コーヒー豆の輸入業者であるとか、あるいは高級化粧品、その他特に高級輸入品を取り扱っておると思われる業種をそれぞれ選定いたしまして、調査にかかったわけであります。
 もちろん東京局、大阪局等におきましては、本年の四月ごろからすでに調査にかかっておりまして、それなりの成果はいままとめつつあるわけでありますけれども、今回の一斉調査によります結果というのは、まだ着手したばかりでありまして、特にまだ報告を受けておりません。しかし、ガス供給業あるいは石油、電力等につきましては、年内に一応調査を完了したい、それから、その次のカテゴリーに属する第二業種につきましては、年度内に調査を終了したいというふうなことで、全同一斉にやっておりますので、その結果がまとまりましたら、また御質問に応じて当委員会で御報告するということもあろうかと思います。
○只松委員 最後に資料要求をして終わりたいと思います。
 前回私が税小でお願いをいたしました社団、財団の資料の中で、利益の出ておる団体、それから課税されておる団体、それから補助金などを支出している、これは国だけではなくて民間のたとえばモーターボート協会とか競馬協会とか、そういうところからも出ておる団体をひとつあわせてお願いをしたい。一般のものはいただきまして、どうも大変ありがとうございましたけれども、さらにそういう面だけ追加をお願いしたい。
 これはこの前金省呼びましたけれども、きょうは全省大変でございますから、大蔵省を通じまして、前回お願いしたところにひとつ提出いただくよう取り計らいをいただきたいと思いますが、いかがですか。
○磯邊政府委員 いま先生からの公益法人に関する資料の御要求でありますけれども、私たち国税庁の立場といたしましては、個々の公益法人がそれぞれ収益事業を営んでおるか、課税されておるかということになりますと、やはりこれはそれぞれの個々のいわゆる個人の秘密に属するという面もございますので、この公益法人については課税されておるとかされてないというふうな資料を全般的にお出しするというのは、これはお許し願いたいと思うのであります。
 ただ、只松先生のところに各省庁からお集めになりました公益法人が多数ございますので、その資料をお見せいただきますと、総体として収益事業を営んでおる法人の数は幾ら、それから収益の総額は幾らかというふうな総体としての御報告、それは御協力させていただきたいと思いますけれども、個々にということになりますと、ちょっとお許し願いたいと思います。
○只松委員 国税庁からだけでなくて、当然に非課税団体ですから、私これも論争しませんけれども、本来は課税すべきだという論も出てきておりますし、私は当面監査ぐらいしろと言っているわけです。そういう中で、ひとつ国税庁だけでなくて、監督官庁が全部あるわけですから、監督官庁の方からとして私は要求いたしておりますので、国税庁としては多分無理だろう。しかし守秘義務の立場から無理な面は私はあえて要求いたしません。補助金や何か、そういうものは税金の中から支出しているわけですから、当然に知らせる義務があるわけですから、ひとつできる範囲内においてお知らせをいただきたい、こういうことであります。
○大村委員長 答弁はありませんか。
○只松委員 総務課でしょう。――委員長において取り計らってくださいよ。
○大村委員長 相談して、できる範囲で提出できるようにお願いします。
 官地正介君。
○宮地委員 九月十二日に税調の特別部会から、一般消費税に対するたたき台ともいうべき報告が出されたわけでありますが、今日私たち日本経済を運営する上で、また国民の最大の課題は、いかに景気を浮揚させるか、不況をいかに克服するか、これが最大の課題であり、今臨時国会も開会になったわけであります。しかるに、今回の一般消費税の報告というものがきっかけになりまして、この景気浮揚という国民の最大の課題に水を差すようなデフレ効果、こういうものをもたらしたのでは、これは反国民的経済運営になろうと思います。
 そういう意味におきまして、まず今回の報告に対しまして大蔵省といたしまして、果たしてこれがどういうように国民生活に影響を及ぼしていくのか、また日本経済への経済的な影響はどのようになっていくのか、この辺について具体的に青写真ともいうべき試算をしているのか、この点を御説明いただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 一般消費税の経済的な効果でございますが、これは導入のタイミングと申しますか、それから導入した場合の税収の使途、それらのものとからめて初めて判断ができることであろうかと思います。したがって、一般的に一般消費税の枠組みに関する税制調査会の特別部会の試案等の御報告がありました段階で詳細にはじいておるかという御指摘でございますと、そういうことは政府としての試案は持っておりません。
 ただし、申し上げておきたいと思いますのは、今日の財政の現状からいたしますと、財政の機能を拡大していくときに、財政収支の健全化という要請を離れてもはやそういう問題は論じられないのではないか、そういう段階に立ち至っておるかと思います。したがって一般消費税が、財政の支出が変わらない段階でそのまま導入されますれば、それは確かにおっしゃるように収縮的な効果というものはあろうかと思いますけれども、税収の使途、その目的、それから支出の態様、政府支出の水準がどうなるか、そういうことと関連して検討を加えなければならぬというふうに私どもは考えております。
○宮地委員 それでは、この報告に基づいて大蔵省として今後どういうスケジュールでこの問題に取り組んでいく考えなのか、その辺を伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 先ほども他の委員の御質問にお答えして申し上げたことでございますが、ただいまの税制調査会の試案と申しますか、一般消費税部会の報告でございますが、これは、具体的な枠組みについてできるだけ詳細な具体案というものをお示しして、これを国民の御理解に資し、かつ各方面の御意見を聞いてより具体的な実施可能なものにまとめていくというところにその趣旨があるわけでございまして、私どもとしては、政府といたしましても、今回公表になりました税制調査会の試案に基づいて広く国民に周知をしていただく、かつ御意見を多面的にいただきたい、それに基づいてさらに検討を加えていきたい、こういうふうに考えております。
 そこで、たとえば不公平税制の問題でございますとか、歳出の節減合理化の問題でございますとか、他の税制をどうするかという問題でございますとか、地方との税財源の配分の問題でございますとか、そういうことにつきましては、引き続き別途検討を続けてまいりまして、年度税制改正という際に総合的に判断を加えてまいるというふうに税制調査会もお考えのようでございますし、政府としてもさような運び方でいきたいとただいま考えております。
○宮地委員 いわゆる財政危機、こういうことで新税の導入ということで増税を図ろう、こういう魂胆でありますが、国民はまず、財政の破綻をもたらした最大の理由というものは政府の経済運営の失政にあるのだ。ましてやその経済運営の失政の中で、石油ショックの折、二けた成長のとき、あるいは総需要抑制問題、こういう過去の一連の経済運営の失政のその反省もない。またそういう反省があれば当然、その過程で資源配分の問題やあるいは所得の配分の問題、こういうものを是正していくべきである。いまお話がありましたように、不公平税制の問題、行政改革の問題、歳出の節減の問題、こういうやるべきことをやらないで、どうもこの夏ごろから一般消費税という問題がクローズアップされ、ひとり歩きをし始めている。これでは国民は納得がいかないと思います。
 ましてや現在の日本経済の中において、先ほど申し上げましたように、この不況克服という最大の課題に対して、御存じのようにすでにその最大の問題は内需の喚起である。内需喚起を最も重点にした景気浮揚をやらなければならない。御存じのように輸出の伸びがとまってきておる。いままでは輸出主導型のどちらかと言えばいわゆる景気浮揚の態様であった。その輸出がとまってきた。どうしても内需を喚起していかなければならない。ところが、その内需の一番大事な一般国民の消費の需要に対しましても、前年度から二%ぐらいいま落ち込んでおる。そういう中でこの一般消費税の問題は、いま一応たたき台として出されましたけれども、もうすでに多くの中小企業団体あるいは消費者団体、特に低所得者層、中小零細企業の皆さんは大変な危機になって、心理的にも大きなデフレ的な影響を与えているわけです。ましてや大蔵省としては、いま具体的に煮詰まってから経済への影響あるいは国民生活への影響に取り組むと言っていますけれども、そんななまぬるい甘い考えではならない。
 先ほどのお話においても、物価の問題に対しても、便乗値上げを含んでいないとか考えていないとか、全く子供だましのような答弁をされております。すでに御存じのように一般紙でも若干発表になっておりますが、某民間会社がこの一般消費税の経済的影響ということについて発表しておるじゃありませんか。その概要を見ましても御存じのとおり、一般消費税一%の影響がどうなるか。五十四年度で見ればGNPの減少は五千億円だ。五十五年度においても約五千二百億円だ。物価の水準に与えるその影響というものも、消費者物価に対しては五十四年度は〇・五三%引き上げる。五十五年度でも〇・五二だ。税収の増加傾向においても、法人税などが五十四年度でマイナス二百五十三億円、五十五年度でもマイナス三百億円。ましてや雇用の問題においても大変な影響が出る。民間でさえ心配の余りに、民間のできるだけの資料を集めて、いま一般消費税の導入は絶対やるべきではない、日本のこれからの経済の不況克服の面、あるいは国民生活の低所得者層、中小零細企業の皆さんに対する逆進性の問題などから考えても、この問題は断じていま取り組むべきではない、導入すべきではない、こういう国民の多くの動向がいま出ているわけです。
 民間においてさえもそういう具体的な積算、試算が行われているにもかかわらず、ここまで報告がなされている。実際この報告といいましても、大蔵省の事務レベルでは税調との間で表裏一体になって、いままでむしろ大蔵省がけしかけながらつくってきたと言っても過言ではない。それを、いわゆるたてまえと本音を適当にわきまえながら、国民にそういう無責任な甘い答弁をすることは私は許せない。そういう点において、この一般消費税に対して本当にこれからの日本経済の運営というものを考えているのか。ただ財政健全、財政健全というにしきの御旗を盾にして、むしろ私は財政当局のエゴではないかと思うのですが、どうでしょう。
○高橋(元)政府委員 いろいろお諭しをいただきましたが、私ども一般消費税の経済効果につきまして、一部の民間の機関から発表されました数字は、純粋に一般消費税の導入だけを分離して、その部分についてデフレ的効果と申しますか、収縮的効果をモデル的にはじいたものであるというふうに承知しております。ただし、一般消費税が歳入として仮にふえた場合に、そのふえた歳入がどういうふうに支出として使われていくかというところまで含めて考えていくべきではないか。先ほども申し上げましたように、財政の機能を拡充するためには今日、国民経済の将来、財政の現状というものを考えますと、やはり財政収支の均衡化ということが基本的な命題であろう、私どもそう思っております。税制調査会もさような御意見であろうと私は承知しておるわけでございます。そういうこと全体をくるめて一般消費税の経済効果というものを御判断いただくのが本当ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
○宮地委員 そんなのは答弁になってないですよ。
 それでは、実際にあなた方は、不公平税制についてはその年度年度の税制調査会で検討し、答申を受けて別途検討すればいい、こういう逃げ方をしている。私はこれは大蔵官僚独特の非常に巧妙なやり方だと思う。これはまずい。なぜなら、たとえば租税特別措置法の問題についても、昭和五十年の三月に大蔵省は、衆参両院の大蔵委員会に昭和五十年度の租税特別措置減収額の見積概要というのをこうやってきちっと出している。ところが、その後五十一年、五十二年と出してこない。ましてやこの一番大事ないわゆる一般消費税という問題をここまで報告がたたき台としてでき上がってきた段階において、実際この問題を、たとえば不公平税制に本当に真剣に取り組むのだというのであれば、なぜこういう問題についてもまじめにきちっとこの二年間出してこなかったのですか。また、じゃ来年はっきりと出す用意があるのか、その問題について伺いたい。
○高橋(元)政府委員 租税特別措置によります減収額、これは予算額でございますが、それにつきましては各年度作成いたしておりまして、御要求に応じて提出いたしたいというふうに考えております。
○宮地委員 提出したいじゃなくて提出すべきなのですよ。ましてやこういうきちっとしたのを二年前に出しているのだ。いわゆる一般消費税というものにねらい撃ちして、主税当局は完全にもうそのペースで突っ走ろう、その意図が明らかじゃありませんか。ましてやきょうの論議を聞いていますと、先ほどの答弁などを聞いていますと、もう土俵の上に上がったような、法案が提出されたような答弁をしている。まだ土俵に上がってないのですよ。上がる前にやるべきことがあるじゃないかというのが国民の声じゃないですか。その声に対して忠実に、誠実に耳を傾けていく姿勢があるのかないのか、伺いたい。
○高橋(元)政府委員 執行と税制の両面で税負担の公平を確保してまいるということは当然でございます。私どももそういう考え方のもとに、先ほどお話のございました五十年の暮れの税制調査会で政策税制の整理方針というものについて御検討をいただいて、それに従って過去三年間租税特別措置の中の政策税制の整理ということに取り組んでまいりました。その状況は、御要求でございますから、御提出しました後の各年の特別措置の減収額調べを後ほど提出させていただきます。遅くなりましたことをおわびいたしますが提出させていただきますけれども、概括して申し上げますならば、その政策税制の中で現在までに、たとえば法人税に対する特別措置の減収額のベースで申し上げますと、昭和五十年に税収の五%ぐらいが政策税制によって減収が起こっておったのでございますが、その後見直しを加え、縮減を図りました結果、現在五十三年では約三分の一を圧縮いたしまして、千九百億ぐらいの減収ということに相なっております。その千九百億、残りましたものの半分は中小企業向けの政策税制でございますから、今後とも政策税制について真剣に縮減、見直しというものに取り組んでまいりますけれども、かなりの成果が上がったであろうと思います。詳細につきましては、別途御提出する資料について、また御質問に応じてお答えしてまいりたいと思います。
○宮地委員 いわゆる不公平税制に取り組む姿勢がなまぬるいということを、一つの租税特別措置法という減収額の問題をとらえて私はお話ししたのです。そこのところをぜひくんでいただきたい。いま国民は、一般消費税の導入よりも景気を浮揚していかに内需喚起を、政府がどこに手を打ってくれるか、どれだけ努力をしてくれるかということに最大の期待をしているのです。それに水をぶっかけるようなことをすべきでない。ましてや日本経済という一つの大きな日本丸がいま健全に進んでいくために、大蔵省だけが財政、財政、財政が危機だ、公債依存率が高い、だから何とか増税しなきゃならぬ、それはある程度そういう点については国民の中にもやはりコンセンサスづくりをしていかなきゃいかぬ。そうして不公平税制だとか、先ほど言ったように行政改革だとか、やるべきこともやっていかなければならぬ。むずかしいものはさておいて、取りにくいところはさておいて、一番取りやすくて一番便宜的なところに手をつけようという姿勢は私はぜひ改めていただきたい。むしろ難局であればあるほど、大変なところに勇気を持って、日本の頭脳と言われる大蔵官僚がぶつかっていくぐらいの気概があっていいと私は思うのです。
 そういう中において、たとえば特にこの一般消費税の問題を論ずるに当たって一番大きな問題の一つと言われているのは、何といっても低所得者層、中小零細企業、そういう国民の比較的弱い立場にある方々に重税になるという問題であります。それについては具体的に試算をしておりますか、伺いたい。
○高橋(元)政府委員 ただいまの御質問に十分お答えすることになるかどうかあれでございますが、この試案の中では、一般の家計に及ぼす影響、先生のおっしゃいましたあれで申しますと逆進性という問題がございますので、それを緩和いたしますために、原則として食料品を非課税の範囲に入れる、社会保険診療報酬についても非課税の範囲に入れる、学校教育等につきましても一定のものにつきましては非課税とする、こういう形になっておりまして、仮に家計支出の中で食料費支出というものが除外されたというふうにして試算をいたしますと、五十一年の家計調査の勤労者世帯の五分位階層で申し上げますと、食料費を除きます家計支出は、各分位を通じて可処分所得に対してほぼ五四%ないし五六%、そういう数字と相なります。したがって、逆進性の問題はこの試案の御提言によりましても、相当程度緩和されておるというふうに承知しておるわけでございます。
 中小企業問題につきましては、いろいろな配慮がこの試案の中に組み込まれております。
 一つ申し上げますと、ECの付加価値税のとっておりますインボイス方式というものを避けて、年間総体の売り上げ、年間総体の仕入れというものを基礎として、売り上げに対して税率を乗じた税額から仕入れに対して税率を乗じた金額を差し引いたものを納付税額とするという形で、事務負担の軽減を図っておられますことが一つでございます。
 もう一つは、実際の取引の実情、企業経理の状況、事務負担等から考えまして、家族経営的な小売業者などは除外することを目途として、小規模零細事業者を納税義務者から除外することはどうかということになっておるわけでございます。「税率」の項でこの報告の中に書いてございますように、仮に一千万以下の方を除外しますと、総体五百十数万というふうに想定されます個人農林漁業以外の方々の事業者数のうち約半分が外れまして、二百四十万程度になろうかというふうに考えております。それから、二千万という数字が出ておりますが、それに対応するところで計算いたしますと、三分の一になりまして百六十万ぐらいということになると思います。
 さようにして納税義務者となられる零細事業者の方々の事務負担の軽減というものについても配慮がなされておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○宮地委員 この個人消費の支出を支えているのは、特に中低所得者層なんです。それは御存じのとおりなんです。しかもその内訳というものは、もちろん食料費は大きな部分でありますが、住居費だとかあるいは衣服費とか雑費、こういう伸びが大きいのです。ところが、こういうところは今回はやはり――今回といいますか、あなた方が考えているいわゆる一般消費税なるものは課税の対象にしようとしている、この点についてはどうなんですか。やはり配慮したのですか、また今後検討課題で配慮していく考えかどうか伺いたい。
○高橋(元)政府委員 他の諸国の一般消費税制をいろいろと検討いたしましても、一般消費税が広く国民一般に税負担をお願いをするということを基礎として成り立っておる税制でございますので、除外される範囲というものは極力狭く限定をいたすということが考え方としてあるのは事実でございます。私ども欧州諸国の立法の過程におけるさまざまの検討、それから立法が終わりました後の現実の税制というものを詳細できる限り検討いたしたわけでございますが、いま税制調査会の特別部会から報告になっております範囲、すなわち消費財でないもの、つまり消費税の課税が適当でないというふうに考えられておる三項目、及び政策的に除外することが適当であるというふうに考えられております三項目、これだけのものについて御提言の中で非課税とするということによってそこは最大限の配慮がなされておるというふうに考えております。なお、今後各方面の御意見を伺いながら、具体案についてさらに検討を重ねてまいるという手順になると思います。
○宮地委員 いずれにしましても、国民生活に重大な影響があるわけです。特に低所得者層に対しては大きな逆進性また税の圧迫になるわけでありますから、今後の検討の中においてぜひ十分に配慮していただきたい、また検討をしていただきたい。いまもうすでに狭めていくなんという発言がありましたけれども、それ自体本当は許せないと私は思うのです。
 たとえば昭和五十二年度の総理府の人口五万以上の都市における平均的勤労者の家計を見まして、月収二十四万円のサラリーマン家族で果たしてどのくらいになるのであろうということで試算をしたデータがあります。たとえば税率についていろいろ言われておりますが、この試算は八%税率で計算をしておりますけれども、一般消費税が約八千六百円かかるということで、この方々が大体所得税八千四百円ですから、所得税の二倍という税額になる、こういう計算が試算されているわけであります。こういうように国民生活に非常に大きな圧迫になる。
 また逆に、景気との関係を見ましても、先ほどお話ししましたが、たとえば消費者物価一%の上昇になりますと、大体個人消費が〇・七五%減少すると言われておるわけであります。でありますから、もしも五%の税率がかかれば二・五、あるいは一〇%では五なんです。もうとんでもないことになるわけです。政府の方で景気を浮揚させるためにいろいろ内需喚起で、公共事業一本やりでいまやっております。そういうような中でむしろ水を差すような結果になることはこれはもう明らかです。ましてやわれわれは、公共事業一本やりの景気浮揚策でなくして、むしろこの際思い切って所得減税をやって内需喚起をすべきである、そして公共事業の内容においてもできるだけ生活関連型のそういう公共事業にすべきである、こういうことを主張しているわけでありますが、全く景気に水を差すような、そして国民生活に物価の面から、景気の面から、また税の負担の面から、あらゆる面でいまこの一般消費税というものがもしも仮に導入されるとすれば、国民生活に私は大変な悪影響を及ぼすと思うのです。そういうことをぜひ十分に考えてやはりこの問題には取り組んでいただきたい。
 もう一点は、やはり財政の危機ということをにしきの御旗にしておりますけれども、その財政の危機をもたらしたのはやはり政府の経済失政である、財政の運営にやはり明らかな失敗があった、そういう反省も私はなくてはならない、こういうふうに思うわけでありますが、その点について主税局としては十分、そういう大きな日本経済、日本丸の運営というそういう中からこの問題について取り組んでいるのかどうか、その点のまず基本的姿勢について伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 具体的にいま御礎案になっております一般消費税というものの導入問題を考えてまいります際に、それが御指摘のとおり、国民の一般の家計に及ぼす影響、それから物価水準に及ぼす影響、それからさらには経済全般に及ぼす影響というものを具体的に考えてまいらねばならぬことはもちろんであると思います。ただ、私が先ほど来申し上げておりまして先生にいろいろお諭しをいただいておりますが、これは現在の財政の不均衡というものを放置しておくならば、これは解決できないような、ほとんど解決が不能になるような国民経済への悪影響を伴うものだ、したがっていつの日か一般的な税負担の上昇というものをお願いせざるを得ないだろう、そのことを申し上げておったわけでございます。したがって、その問題の解決は引き延ばすことができないほど緊急になっておるかと思いますけれども、具体的にどう導入してまいるかにつきましては、先ほど私が申し上げましたように、導入時点の社会経済情勢というものを全般的にながめて判断すべきものであろうし、それは、具体的な今回の仕組みの案につきまして、国民の各方面からの御意見を求め、それを練り上げてまいりますのと並行いたしまして、年度の税制改正の問題として検討を十分加えてまいりたいというふうに考えます。
○宮地委員 じゃ最後に、いつの日かということについてはどの辺を目途にしておるのか。まさか来年とか再来年ということじゃないでしょうね。その点お伺いします。
○高橋(元)政府委員 まあいま私がお答え申し上げたことでございますが、具体的な導入をいつにするかということにつきましては、これは全体の社会経済情勢の判断ということであろうと思います。ただし、そういう段階で私どもがいま仕組みの具体案につきまして国民の御理解を求め、各方面の御意見をいただいておきたいと申しますのは、客観情勢が許すならばできる限り早く導入ができるような準備はいたしておきたい、体制は準備しておきたい、さような趣旨でございます。
○宮地委員 準備、体制を整えておきたい、こういうふうに私は結論として伺ったわけでありますが、いずれにいたしましても国民経済への影響、また現在の置かれた日本経済の環境、こういうものを十分に――単に財政エゴが突っ走っているというような感じを与えないように、また国民に誤解を与えないように、十分配慮してこの問題は十分研究していただきたい。また、この問題については特にいま国民の多く、特に低所得者層の間には大変な反対も起きているわけでございますから、その点についても十分に考慮していただきたい、このことを強く上要望して、質問を終わります。
○大村委員長 永末英一君。
○永末委員 きょうは、一般消費税のことについて主としてお伺いいたすのでありますが、昨日のNHKのニュースセンターで関西相銀と住友銀行との合併問題が報道されておりました。すなわち、この問題がきわめてニュース性があるという受け取り方を一般の国民がしているからだと思います。ちょうど一月前の八月二十二日に本委員会でこの問題についての大蔵当局の考え方を聞きました。それから一月たっておるわけでございますが、この一月の推移を見て、一体その合併が可能な方向に推移しつつあるとお考えか、不可能な方向に推移しつつあるとお考えか、お答えを願いたい。
○徳田政府委員 関西相互と住友銀行の合併の問題につきましては、これが表面化いたしましてから関西相互銀行の内部において、職員その他の反対がございますし、また取引者につきましても反対の動きがあるわけでございます。現在、その当事者の間で話し合いが行われている状態でございまして、まだ事態はきわめて流動的な段階ではないか、このように考えております。
○永末委員 まあ問題が起こりましてから三月近くたっておるわけでございまして、しかも本委員会といたしましても、この問題を取り上げましてから一月ですか、流動と言ったって、右や左へふらふらやっておるのも流動ですが、川でも何でも、大体あらゆる川は海に注ぐようにある方向を持って動いている、これが流動でございまして、方向があるとお考えですか、方向がないとお考えですか。
○徳田政府委員 現在では、各当事者の間での話し合いがいろいろ行われておりますので、直ちにどちらの方向に進んでいるかという判断をおろすのは、非常にむずかしい事態になるのではないかと考えております。
○永末委員 この当事者の意思が合致するまでは、大蔵省としては合併問題には介入しないという御方針をこの前の委員会で徳田局長から承っておるのでありますが、九月の八日に、この関西相互銀行の労働組合が参加をいたしております相互銀行全国労働組合連合会議、通称相銀全労が大会をやりまして、そのときの決議で反対を決議し、あなたのところへも通達しておると思いますが、来ておりますか。
○徳田政府委員 そのような文書を受け取っております。
○永末委員 それから今度は、その経営者側の関西相互銀行が参加をいたしております相互銀行協会というのが九月の十三日に非公式の社長会を、十四日に公式の社長会をやりまして、そうしてそこで反対の意思を固めて、あなたのところへ申し入れたという新聞報道がございますが、この相銀協会長は、あなたのところに何を言いに来たのですか。
○徳田政府委員 相互銀行協会におきましては、この合併問題につきましていろいろ議論をいたしまして、その結果といたしまして、このように従業員あるいは取引先の反対がある中で合併を強行することは好ましくないという意見が大勢であったと聞いております。それからまた、このような事態が長く続くことは各方面にいろいろと悪影響を及ぼすので、なるべく早く収拾が行われることが望ましいということも大多数の意見だったと聞いております。相互銀行協会の協会長は、このような協会での話につきまして、このような状態だったということで私たちは話を承ったわけでございます。
○永末委員 という報道が新聞に載りますと、あなたの方は十六日、土曜日でございますが、新聞記者会見を求めて、それでそれに何か紙を回して、白紙撤回または凍結を申し入れたとする記事があったが、大蔵省はそのような申し入れを受けておらずというような記者会見をやったというのでございますが、その申し入れを受けておらずですが、どういうことの申し入れを受けていないと言ったのか。先ほどおっしゃったように、大勢は反対だということであり、こういう状態が長く続くことは好ましくないという協会長の申し入れだというわけでありますが、十六日にやられた趣旨は何ですか。
○徳田政府委員 協会長との話し合いの席上では、いま申し上げましたような協会での意見の大勢について話があったわけでございまして、ただ、その話し合いの中には、白紙還元とか凍結とかそういう言葉はなかったわけでございます。そういうことでございます。
○永末委員 そこへ記者会見に配られた紙は、わが委員会に御提出願えますか。
○徳田政府委員 これは新聞発表とかそういうことではございません。いま申し上げたとおりのことをただ記者会見にかえまして紙でお配りしたわけでございまして、その書いてございました内容は、白紙還元あるいは凍結というような言葉は話し合いの席上ではございませんでしたという趣旨でございます。
○永末委員 記者会見で大蔵省が配られたものを当委員会に御提出を願えますかと聞いている。
○徳田政府委員 御提出申し上げるような資料ではございません。いま申し上げたとおりの内容でございますので、そういうことで御了承いただければと思いますが……。
○永末委員 新聞というのは公器でございまして、そこへ公の機関である大蔵省の責任者のあなたが紙を配った。わが国会は国権の最高機関だと憲法に書いてございますが、そこには出せないのですか。
○徳田政府委員 これは正式の新聞発表ではございません。ただのメモでございますので、そういうことで、いま申し上げたとおりのことでございます。
○永末委員 資料でしょう。資料として外へ出されたものを国会が見たい、こう言う場合には、それは出せないというと、別に省議で決まったものであるとも何とも了解しておりませんが、手に持ってしゃべられたものを出せと言うておるわけじゃない、ともかく外へ配られた紙をひとつ見たいから資料として御提出願いたい。それでも出せませんか。
○徳田政府委員 そういう御要求であれば、先生のところへそういう紙を持参いたしたいと思います。
○永末委員 お聞き及びのとおりですが、委員長としてもひとつ資料提出を要求してください。よろしいか、委員長。
○徳田政府委員 新聞記者クラブに配りました紙を先生に御提出したいと思います。
○大村委員長 それでよろしゅうございますか。
○永末委員 先生という話ですが、委員会として要求しているので、先ほどの質疑の経過から言いますと、何かメモみたいなものは国会議員は見ぬでもいいんだという話ですか。恐らく委員各位もどういう紙を配ったかごらんになりたいと思います。私はやはり委員会にひとつ御提出願うべき筋合いのものだと思います。委員長の判断。
○徳田政府委員 提出いたします。
○永末委員 さて、いまのようなことでいろいろなことがあるわけでございまして、この前の委員会では、大蔵省がこの問題に介入をする時点というのは、「内部でいろいろな議論が起こりまして、信用秩序の維持というような問題、あるいはその相互銀行としての業務の遂行上問題が出るようなととが将来万一ありますれば、その時点において検討したい」というような徳田局長の見解ですが、その時点になっておりますか。
○徳田政府委員 本件は個別の経営の問題でございまして、現状ではまだ信用秩序の維持とか預金者の保護とかいう点で問題が生じていることでもございませんので、行政当局といたしましては注意深く事態の推移を見守ってまいりたい、このように考えております。
○永末委員 その後、関西相互銀行では、人事の異動等があり、その人事の異動の趣旨も、合併反対運動をしている人々を中心に行われたり、あるいはまた取引先である人々が守る会をつくって、それがデモ行進をしたり、それからいま二つ事例を挙げましたように、その労働組合を含む大きな労働組合が大会をもって決議をしたり、あるいは経営者の方が集まったりというようなことをごたごたやっていることは、相互銀行全体の経営あるいは相互銀行の存在について国民側に大きく信用失墜しかねまじき空気を醸成するのではないかと私は思うのでございますが、あなたの方はどう思いますか。
○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、公共的性格を有する金融機関がいつまでも合併をめぐりまして収拾がつかない状態であることは、決して好ましくない、このように考えております。
○永末委員 したがって、いまは静観をしておられますが、物理的にはこれは五十日たっておるわけでございまして、だといたしますと、何日ぐらいたったら大蔵省としては考えなければならぬと思われますか。
○徳田政府委員 特にいま具体的に何日ということを申し上げることは非常にむずかしいかと思いますが、仮に信用秩序の維持であるとか預金者保護であるとか、あるいはことに、中小企業金融でございますから年末金融とか、そういうところに影響が生ずるような事態に万一立ち至りました場合には、そのときの事態を踏まえていろいろ処理について検討したい、このように考えております。
○永末委員 長引いておることを静観しておることだけが行政ではなくて、当初申し上げましたように、やはりそれが一つの事件として世人の関心を集めているならば、その方向を見定めつつ、流動と言ったって流れの方向はわかるわけでございますから、適宜適切な御処置をされる姿勢をひとつお持ち願いたい。
 一般消費税の問題に入りますが、主計局の方、来ておられると思いますが、現在は一体どんな不景気、不況だと思いますか。
○加藤(隆)政府委員 もう御承知のとおりでございましょうが、繰り返しになりましょうが、四十年代の後半にいろいろな問題が起こったわけでございます。国内経済的な構造の変化の問題、それから二番目にはオイルショックというようなことで、先進工業国がひとしくダメージを受けたわけでございますが、こういうような問題を克服すべく、大体五十年の一−三が景気の底だったと思いますが、各国いずれもそういうような段階からスタートして、それぞれ財政政策なり金融政策なりいろいろな努力を重ねながら、基本的には経済が正常化に向かって着実に進んできておるというような段階にあると思います。
○永末委員 主計局に伺っているのですから、ふわっとした話を聞いているのじゃなくて、やはりあなたの方は財政バランスを考えている。国民側は国民経済全体のバランスを考えている。しかも国内に操業短縮があり、雇用保険で自分の生活を立てている人があり、顕在失業者がふえておる。しかしわが国の工業水準は悪いわけでも何でもない。こうなりますと、民間においては供給過剰がある。だからあなたの方の財政政策としても、政府の需要創出をやるというので赤字国債を発行してきたんでしょう。そういう財政的に見てどういう不景気かと聞いておる。一言で答えてください。
○加藤(隆)政府委員 これは四十九年から五十三年の一般会計の姿を分析してみますと、大蔵大臣が再三申されておりますが、税金が大体年率九%ぐらいで伸びておる、歳出の方は一九%と伸びておる。これはただいま御指摘のとおり、失業の問題なり景気の問題なり、そういうような問題に対処するために財政が一手に引き受けてきた姿をあらわしていると思うわけでございます。その結果、公債がその間約五倍になっておるわけでございます。こういうような姿を一体いつまで続けることができるのであるか、あるいは続けることが適当であるのかどうかという段階にもう来ているわけでございます。そういうふうに認識しております。
○永末委員 つまり、景気回復をするために赤字国債を発行してまいった。いわゆる建設公債も国債という性質においては同じですけれどもね。しかし、いまあなたのおっしゃった、それはもうこのままでは耐え切れない段階に立ち至ったということは、景気がいかんともあれ財政のバランスを持ちたい、こういう段階だとあなたの方は判断しておられますか。
○加藤(隆)政府委員 景気の先行きの問題が当然のことながら絡むわけでございますが、先ほど申しましたように、基調的には経済が各セクターはそれぞれ均衡化の方向に向かっておる。ただ財政部門が非常に不均衡状態にある。その場合に、財政部門の不均衡状態をさらに悪化させるというかっこうで果たして経済全体の均衡が図れるであろうかという問題だろうと思うわけです。
 具体的に言えば、五十三年あるいは五十四年の経済の情勢がこれから一体どういうことになるのか、現段階に関する限り、財政部門の問題を第一義的に考えてもいいような気はいたすわけでございます。もちろん、先行きの五十三年後半の問題あるいは五十四年の問題、単にわが国経済だけでございません、各国の経済のリパーカッション、フィードバックがあるわけでございますから、その辺はそういう基調には立っておるとは思いますが、具体的に一体どういうふうに対処するかというのは、五十四年度の予算編成過程の進行に沿って検討さるべき問題だと思います。
 もちろんもう一つの問題としては、こういうオイルショック以降、かなり長期にわたって赤字財政を運営してきたわけでございますから、急カーブにこれを方向を変えるというようなことはかなり問題があるという、そういう認識ももちろん持たなければいけないと思います。
○永末委員 国民経済が均衡を回復する端緒があるかのような御認識ですが、端緒が見えたら財政の均衡回復を図ることがすぐに問題になりますか、それとも国民経済が均衡を回復する、相当程度進んだときに初めて財政のことを考えるか、どっちですか。
○加藤(隆)政府委員 これは相関関係があるわけでございますから、ただいま申しましたように、財政部門の不均衡が非常にひどくなれば国民経済全体の均衡も図りがたい、そういうような段階に来ていると思うのです。ですから、そこは両方が相互関係にあると思うわけです。
○永末委員 そこのところ、ようわからぬのですがね。国民経済全体を不均衡というのは、私が先ほど申し上げましたように、一言で言えば、供給過剰体制がまだなくなっていない、したがって、政府需要を多くしてその供給過剰を薄めようというのが、国民経済全体とすればいわゆる均衡回復の方策だと思うのです。ところが、その財政の均衡が回復しなければ国民経済全体に悪影響を及ぼす。なぜ悪影響を及ぼすのですか、その辺説明してください。
○加藤(隆)政府委員 いろいろな考え方があると思いますが、たとえば家計部門の問題でございますが、これは財政赤字というようなかっこうでかなり均衡傾向を示しているわけでございます。体的には、特定不況の地域において雇用問題が非常に残された問題であるわけです。それから外国部門が経常黒字が大きいというような問題、これは一つの不均衡状態にあるわけです。それから企業部門で見ますと、いろいろな問題が絡みまして、均衡化の方向には向かっておる。それから財政部門は、ただいま申しましたようにどうしようもないような不均衡状態にある。したがって、経済全体の均衡発展ということと、その場合の財政の均衡化というような問題は、繰り返しになりますが、財政部門の不均衡状態をこれ以上続けることによって経済全体の均衡を破壊するのではないかという問題はあるのではないか。要するに、いままではかなり無理して財政の不均衡状態を続けながら他の部門の均衡を図ってきたわけでございますが、これ以上続け得るかどうかというような段階にあるのじゃないかと思うわけです。
○永末委員 全体の経済の均衡が回復されていない。しかしそれは、あなたの挙げられたようなそれぞれの部門の均衡が回復すれば回復するのじゃないわけですね。政府の方策としては、ともかく経済全体の均衡を回復するために財政が不均衡でもよろしい、こういう政策を追求してきたら、経済の全体の均衡が回復するまではやはりやらなければいかぬ話でしょう。いまの一般消費税というのは、そこにいかぬでも、あなたがいま何遍も口にされたように、財政の不均衡がえらいことになっておるからそれを回復しようというので税金をかけようと言う。
 増税をするということは、一体いまのような不均衡状態におきます経済全体の均衡を回復する道ですか、それとも阻害する道ですか、どう判断されますか。
○加藤(隆)政府委員 基本的には財政部門が不均衡状態にございますから、税金というかっこうで何らかの方途をとらなければいかぬわけでございます。ただそれは、先ほど主税局長が申されましたように、タイミングの問題とか、あるいは税によって歳出をどうするのか、そういうような問題に絡んでいく問題だろうと思います。
○永末委員 あなたは財政の責任者ですから、財政均衡ばかり先に頭がありますが、われわれ国民の方は国民経済全体の均衡を考えていますから、ちょっとこれはすり合わさなければいけませんが……。
 さて、もうちょっと御研究を願うことといたしまして、中期税制の答申のときには、歳出の節減合理化とか、あるいはまた不公平税制の是正とかというようなことを並べながら、新税の創出の必要、そして一般消費税という立て方になっておった。さて、歳出の節減合理化も少しはやってきた、それから不公平税制の是正もちびっとやってきた、こういうわけでございますが、これからは、あのときに挙げられたことをもっときちんと実現をして後に一般消費税の導入を図るという態度なのか、少しやったからもうこの辺でやろうというのですか、どっちですか。
○高橋(元)政府委員 歳出の問題を私がお答えするのは適当でないかと思いますが、執行と税制の両面を通ずる税負担の公平の確保ということについて、たとえば利子配当課税の総合課税へのできるだけ早い移行、それから社会保険診療報酬の問題、それらを初めとする個人の税制上の特別措置、それから企業に対するいわゆる企業税制と申しますか、政策税制の問題、これらにつきまして五十年来、政策税制をできるだけ、政策の必要のなくなったものはもとよりとして、従来よりも公平に重点を置いて考え直していくという方針で取り組んでまいりました。そのことは中期答申の中にも述べられておりまして、私どもといたしましては、今後とも各年度の税制改正でそういう問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 ただし、中期税制答申の中でも、今回の特別部会の報告の中でも述べられておりますように、そのような努力はもちろん必要でございますけれども、それのみでは現在財政の当面しておる大きな不均衡というものを解消するには十分とは言えない。そこに新税について具体的な仕組みをあえて国民にお示しをして、それについての御意見を伺って、先ほど申し上げましたように、客観情勢が許すならば、いつでもできるだけ早く導入できるというような体制を整えておく必要があるわけでございます。もちろん、その具体的な導入のタイミングにつきましては、これまた先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、その時点における経済情勢に配慮しながら、財政、金融政策全体の立場から総合的に判断すべきものとは思っておりますけれども、先ほど主計局からもお答え申し上げましたように、財政と経済と社会と、それぞれ三つを総合的に考えなければならない。
 財政だけのエゴではないかという御指摘がたびたびございますけれども、私ども財政収支の不均衡状態というのを放置して、それがますます拡大していくならば、やはり国民経済にとって回復しがたいような損失を及ぼすであろうと思っております。その点から私、先ほど申し上げましたように、現在の税制調査会の作業なり、これからの私どもの取り組みなりというものの位置づけがあるわけでございます。御了解いただきたいと思います。
○永末委員 時間が参りましたので、二つ見解を明らかにしておきたいと思います。
 この税制調査会の特別報告を見ましても、一般消費税を各段階で同じ税率、単一税率でやるとすると、景気に対して中立的である、こういうことが何カ所か書いてございますが、私はそうではないと思う。景気に対して悪影響を及ぼすと思います。それは先ほど、いまの段階でやれば、要するに需要に回るべきものを政府が吸い上げるのでありますから、中立的でなくてマイナスの影響を及ぼす、反論があれば反論していただきたい。
 それから、便乗値上げは起こらないと言いますが、これは起こります。なぜかならば、仕入控除方式でございますから、一つ一つの商品について税額を固定していない。それをはっきり明示するわけではございません。結局売り上げの総額から仕入れを引いていくわけでしょう。そうしたら、それぞれの問題は、それぞれの段階における品物を扱うあるいはサービスをやる者が勝手に値段をつけていくわけじゃありませんか。そうなれば、たとえ単一税率だとしましても、その単一税率だけできちっと計算して値段がつけられることはありません。必ず便乗値上げが起こります。反論があればやってください。
○高橋(元)政府委員 二つの点でお示しがございました。
 最初の点を申し上げますならば、中立性の問題でございますが、単一税率であれば景気に対して中立的であるというふうには述べられておらないと思います。これは、経済に対して中立的、つまり各部門の競争関係は、単一税率であれば、税制が導入された場合でも中立的であろうということで申し上げておるわけでございます。
 第二の点でございますが、これは売り上げに税率を掛けて次の段階に転嫁をしてまいる。一般消費税でございますから、転嫁がしやすいような仕組みというものを考えておるわけでございまして、売り上げに税率を掛けた金額が次の段階に転嫁される。その売り上げに税率を掛けたものは、すでに仕入れた段階で払われている税額と、納税義務者の方が納められる税額との合計でございます。これは先ほど永末委員のおっしゃいました税額計算の仕組みによってそういうことになっております。したがって、売り上げから仕入れを引いたものに税率を乗じて納めるのであるから、必ず便乗が起こるということにならないわけであると私どもは考えておりますし、税調の御報告もさような考え方によって組み立てられております。
○永末委員 もう時間が来ておりますから反論いたしませんが、経済に中立的と書いてある。経済とは何か。いまの最大問題は景気ですから、経済というごまかしの言葉であっても、われわれから見れば景気に中立的なごとき響きを与えるのでそれは間違いだと私は考えます。
 それから第二点は、めんどうくさいので一括して言うただけであって、あなたの言っておられるように、仕入れで税率、売り上げで税率を掛けてという計算はわかっております。商売人はその差額が問題だから、従来までの差額に対しての単一税率で計算するのではなくて、売るときにはもっと上げるに決まっている。それが商売、つまり企業をやる者の心理でしょう。それをチェックして、いやいままでの差額以上のものをつけてはいかぬということはこの税法ではできない。したがって便乗値上げが起こる。それを追及する方法があるならばお示しを願いたい。
 議論はまた後にいたしまして、きょうはこれで終わります。
○大村委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 一般消費税の特別部会の報告が出されておりますけれども、私この問題について主税局長にお尋ねをいたしたいと思います。
 時間の関係で大変どうも簡潔になりますけれども、この試案の一般消費税が導入された場合、標準世帯で税負担というものが具体的にどのようになるのかということについてぜひひとつお示しをいただきたい。いま国民が一番関心を持っている問題は、一般消費税というものが導入された場合に、自分たちの税負担というのはどうなるんだろうか、このことと、もちろん物価騰貴の問題とか、逆進性の問題とか、中小企業への影響の問題とか、さまざまな問題点を含んでおりますけれども、まず私はこの点について試算をされているのであればお示しをいただきたい、このように思います。
○高橋(元)政府委員 具体的な税制の仕組みを考えます際に、たとえば零細な事業者の方々の中でどれだけを納税義務者から除外をするかという問題、それから税率の高さをどのように設定するかという問題、さらに非課税品の範囲をどこまでとするかという問題、それらの問題がございませんと、個々の家計に対するインパクトがどうなるかということについて正確な計算はいたしかねるわけでございます。しかしながら、先ほどもお答え申し上げましたように、私どもが把握しておりまして研究をいたしました限りのマクロの指標から申しますと、この試案で、これは五十一年度ベースの数字でございますが、税率一%当たり四千五百億ないし四千三百億となっておりますけれども、一%当たりの税額でCPIに対しておおむね半分くらいの上昇効果を持つであろう。この上昇効果は、一般消費税でございますから、私どもは税制の性格上一回限り起こるやむを得ないものと考えておりますが、そういうこととか、それから申し上げておりますように、小規模事業者の方々を除外する場合に、どのくらいの方々が納税義務者として残られるかとか、そういうことをいま申し上げておるわけでありまして、個々の家計がどのくらい負担なさいますかということにつきましては、申し上げましたように、非課税の範囲なり税率なりが決まった段階で私どもとしては検討してまいりたいと考えております。
○小林(政)委員 私は、導入後の税率を仮定で三%あるいは五%、あるいは一〇%、こういうような仮定を示した所得階層別の十分位ぐらいの、あるいはもっと十六分位ぐらいにした詳細な案をぜひつくってもらって、そして国民の前に示すべきではないか、このように思いますけれども、この点についてお返事をいただきたい。
 それから私、非常に素人で大ざっぱに試算いたしたものがございますけれども、総理府が五十二年度の家計調査で調べております全国勤労世帯の実収入、これは四人家族の標準世帯で三百六十二万二千六百五十七円、その年間の現在の税負担は、所得税で十万三千五百三十六円、地方税で固定資産税等を含めまして九万二千五百三十円、いわゆる直接税が十九万六千六十六円になるわけです。これに現在の間接税、いわゆる物品税も含めて大体実収入の一%と見込むと三万六千二百二十一円、合計二十三万二千二百八十七円、こういうように標準家族が税金を納めている。それにいまおっしゃった今度の一般消費税を一〇%ということで導入をいたしてみますと、試案で発表されております四千五百億円を免税点一千万円というベースで機械的に計算しますと年間四人家族で、端数が出ますけれども、十九万円になるのです。結局いままで二十三万円の税金が、新税が導入されるということで四十二万円もの税負担になる。これは大問題じゃないか。こういう大変な負担増になるという計算をしたわけですけれども、この問題について大蔵省として、責任のある立場から国民に対してこうなる、こういう状況が出てくるということをぜひ資料を提出して国民にも発表をしてもらいたい、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 所得階級別の各税の負担額を出しますのは、実は大変むずかしい作業でございまして、いま先生がお示しの数字と申しますのはかなりの推計が加わっていると思うのでございます。直接税でもそういう状況でございますから、現在の個別間接税の各世帯における負担を所得階級別に割り振るということにつきましては、私どももいろいろな試みはやってみましたけれども、なかなか自信を持ってお示しができるような結果がまだ得られておりません。もちろん今回の一般消費税というものが、納税義務者にいろいろな負担をお願いすることになりますのはもとよりでございますけれども、国民全般に一般的な税負担をお願いするわけでございますから、いま委員からお示しのありましたような、なるべく事務的にできる範囲で正確な税負担というものをやってみたいとは思いますけれども、いま直ちにその結果をお答えできるような自信は持っておらないわけでございます。
○小林(政)委員 私は、これは本当に大変な税負担が国民にかかる、これは若干機械的な面もありますけれども、そういう数字が出たことで、一般消費税というのは大変な負担増になる税金だということを、これを試算して改めて痛感をいたしたわけでございます。
 次に、税率の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 何%にするかは導入の時点で決めると言われておりますけれども、問題は、税率の決め方を法律で決めるのか政令事項にするのかということについて、どのような検討がされたのかお伺いをいたしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 税率の問題につきまして、報告の中に二つのことが書かれておることは御承知だと思います。一つは、単一税率ということであります。それからもう一つは、今後検討をさらにしていく。その場合の考え方が三つありまして、一つは、ヨーロッパの諸国が付加価値税を導入した際のように一〇%台の税率というものは、わが国とは事情が異なるであろうということ、それから二つ目が物価に及ぼす影響、それから三つ目が財政事情ということでございます。それらの点を踏まえて今後検討していくということが報告の中に書かれておるわけでございますが、税率を将来の法案の問題として政令事項にするというのは、わが国の税法のたてまえからすると非常に考えにくいのではないか、やはり税率は法律をもって書かれるということになるのであろうと思います。
○小林(政)委員 次に私は、一般消費税が広く一般的消費支出に負担を求める、こういうことになっていますけれども、調べてみますと、実際はこれは企業課税になる可能性が非常に強いのじゃないか、こういう観点から質問をしたいと思うのです。
 売り上げが一千百万円、仕入れが八百八十万円の業者の場合、試案の中に示されている計算方法でやりますと納税額は二十万円ということになるわけです。ところが、納税額二十万円を全部価格に上乗せして消費者に転嫁することができなくて半分だけ残ってしまったという場合に、売り上げは千九十万円となって、これも試案にある計算方法でやってみますと、納付税額は十九万円、こういう数字が出てまいります。ここで問題だと私が思うのは、売上価格への上乗せは結局半額の五〇%しか価格への転嫁ができなかった、しかし重要な問題は、九五%に当たる十九万円を結局は納税をしなければならない、こういう結果になるのですね。特に問題は、本来であれば二百万円保証されまた自分で確保するということであった粗利益が、半額しか上乗せができなかった場合は百九十一万円に減少してしまう。これは結局十九万円の納付税額のうち、十万円については売上価格に上乗せできたけれども、九万円については業者が粗利益を減らして納税をする、こういう結果になりますけれども、この点についてひとつ見解を伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 申し上げるまでもないと思いますけれども、多段階の売上課税というのでございますが、今回の一般消費税の試案の性格というものは、税抜きの売上価格に税率を乗じた金額を次の段階での事業者、つまり卸でありますれば小売の方に対しての販売価格に上乗せすべき税額であるということになるわけでございます。ただし、いまの委員お示しの資料で申しますと、一千百万円で消費者に商品を売ります小売業者は、仕入れを八百八十万円でなさっておられるわけですから、八百八十万円のこの計算例で申しますと、十一分の一を仕入れまでにもう納められた税額というふうに考える、そういう仕組みでございます。それから、売り上げが千百万円でなくて下がったら、それの十一分の一が税額でございますから、それから八十万円を引いた金額を納めていただくということになるわけでございますが、多段階の売上課税でございますから、売り上げに税率を乗じた金額を自分の次の相手に売る価格とする、そういう形で転嫁を図っていくということで、そういうことがやりやすい仕組みというものを税制として組み立てていくべきであろうと考えております。
 転嫁関係がスムーズにいかない場合にめり込みになってしまうのではないかという御指摘につきましては、この税の性格からやはり転嫁は可能である。それがなぜそうであるかと申しますと、それは、単一税率である、したがって相互に税額の認識というものが明確にできる。それから、転嫁されるべき金額は、納付税額と関係なく税抜きの取引額に税率を乗じたもの、または税込みの取引額を一プラス税率で割ったもの、それが転嫁すべき価格のアップ分ということになる。そういうシステムで売上税、一般消費税というものが成り立っておる、またそれが実施可能であるというふうに私どもは考えております。
○小林(政)委員 結局私が言いたいのは、本来であれば、これはやはり全額、二十万円であれば二十万円を一般の売上高の上に乗せて、そして消費者に転嫁をする、こういう性格を持っているのですね。ところが、この不況の中で、そう簡単に転嫁するといってもなかなか転嫁できない。半分しか転嫁できない、あと半分は、品物はある程度売れているのですけれども、どうしても転嫁できないというような事態が出てまいります。こういう場合に結局税額の方は、納付額の方は、五〇%しか転嫁できなかったにもかかわらず九五%も納付をするようになる。だから先ほど言ったように、広く一般の消費支出に負担を求めると言うけれども、実際には転嫁しなければならないこの税額が転嫁できなかった場合には、結局粗利益に食い込んで、中小業者なり企業が負担をしていく、こういう結果がこの中でははっきりと出ているのです。こういう点は問題だと私は思うのです。
 それから、時間がもうありませんけれども、この場合は、特に下請企業などの場合にもこういう例が出てきます。たとえば親企業が仕事を発注する。しかしどうもいまどんどん単価も下げている。それで気に食わないならもう仕事をしてもらわなくてもいいというようなことで、いろいろ例が出てきているのです。私どもこういう点から考えても、やはり中小業者、下請業者、こういう業者が結局、自分でもって転嫁できなかったものをある程度しょい込んでしまう、この試算ではこういう結果が出てくるという点は、これは問題だというふうに指摘をしておきたいというように思います。
 それからもう一点、あとすぐやめますけれども、現在仕入控除方式をとっておりますので、その場合に、これは先ほど主税局長は、やはり余り一千万で線を引いて納税義務者を免除するということになると、市場撹乱というようなことをここに書かれてございましたけれども、私は逆の意味で、仕入控除方式というのは、先ほど民社党の方もおっしゃっていましたけれども、実際には便乗値上げをもたらしていくという、こういう結果を招くのではないだろうか、たとえば事業年度の総体としての売上高と仕入高に着目して税率を掛けることになりますから、個々の商品のこの販売価格というものは、商取引の範囲内ということで価格そのものについては関与していませんから、それに対して一定の税率を掛けていくわけですから、したがって、これは大きなスーパーなんかの場合は、いろいろな品物を取りそろえていますので、結局ある個別の商品に対しては決められた税額を下回る、あるいはある個別の商品については決められている税額を上回って、ともかく総収入と総仕入れでトータルをすればいいわけですから、個々の問題については何ら関与しない、こういう結果になりますので、私は市場撹乱ということで心配をいたしますのは、特に大スーパーが、近辺の零細小売店に出回っている商品については粗利益も少なくして、そして価格を安くしてずっと売っていく、あるいは特定の商品については、これは自分のところで自由にある程度操作して価格をつけるということはできるわけですから、こういった問題について歯どめをやはりきちっとかけていくということは必要じゃないだろうか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 繰り返しになりますが、各段階で納めていただく税額は、その段階の販売価格に税率を掛けた金額を上乗せして税込みの販売価格にするということで転嫁されていくわけであります。一般消費税でございますから、なるべく例外が少なく、すべての財貨及びサービスの売り上げにかけられるという形で、先ほどもお答え申し上げましたように、競争関係と申しますか、経済に中立的になっておる。また買われた方も、御自分の売り上げに税率を掛けたものを上乗せして次の段階に売っていかれるわけでありますから、個別の消費税の場合とは定価関係ははるかに変わってまいると思います。ただし、小林委員の御指摘の、事業年度または暦年の所得税、法人税の申告時期に合わせて申告納付するから、したがって幾らの税額だかわからないではないかとおっしゃいますが、それはそうではございませんで、私がくどく繰り返し申し上げるような形で転嫁が図られるというふうになりますし、その際に便乗値上げが起こらないように、これはもちろん指導は、ヨーロッパの例等も勉強いたしていかなければならぬというふうに考えております。
 問題は、不公正な競争が企業間にこれをきっかけとして起こるのではないかという御指摘かと思いますが、不公正な競争を各関係の主務官庁ないし各関係の業界団体で排除をしていくようにやっていただかなければならぬと思いますけれども、それは、転嫁の仕組みができるだけスムーズにいくような税制を考え、また、導入について便乗値上げが起こらないように工夫を加えていくということと別個の問題であろうかというふうに考えます。
○小林(政)委員 終わります。
○大村委員長 永原稔君。
○永原委員 先ほど来のお話、私は単純な意味でもう一回伺いたいと思います。
 先ほどからいろいろ出ていますけれども、税調の中期答申にもありますように、財政の不均衡、それを是正するという考えが非常に強く打ち出されております。適正な経済成長のもとにおける自然増収のみではもう解決できない、そういう状況にあることを主張し、また、歳出の削減とかあるいは不公平税制の是正、これは前提として必要だけれども、それのみでは解決できない、こういうように断定的な意見を述べて、そして新税の導入を図ろう、こういうようにしておられるわけですけれども、やはりこの一番先に立ちます財政収支の不均衡、これは一体どうして起こったのだろうか、その原因をまず簡単にお聞かせいただきたいと思います。
○加藤(隆)政府委員 先ほどの御質問にございましたときに申し上げたことに尽きると思うのでございますが、端的に申して税収の方が九%の伸びでまいったわけでございます。歳出の方は一九%の伸びできておる、その結果公債が五倍になっておる、こういうことに尽きると思います。
○永原委員 私はまだ政策問題に触れたいのです。結局GNP七%の成長、これが本当に正しい政策であったのか、そういうようなものに誤りがあったのではないか、こういう気がしてしようがないのです。というのは、財政主導型ということで予算が編成されてまいりました。しかもその内容は公共事業、その公共事業は一〇〇%建設公債、こういうようなことでずっと貫かれてきております。いま七%の経済成長が非常に困難になった、そういうことで補正予算ということになっていますけれども、その内容はやはり公共事業が中心になり、また構造不況対策というようなものが乗せられております。しかし、ネットでいきますと千四百五十億の増にすぎません。もちろん財投は別にいたしまして、一般会計ではその程度の範囲にすぎない。それで本当に経済の成長率七%、この達成ができるのだろうか、そういうところに懸念を持つわけですが、二兆五千二百億程度の公共事業の投資の増加、それで何とか七%成長を維持したい、こういうようなお気持ちのようですけれども、財政の寄与率が本当に言われるほど大きいのかどうか、そういう点に非常に疑問を持つわけです。
 経済成長七%というような目標を設定し、昨年は六・七%、こういうような数字を実現するための方策として財政運営をやってきた、そういう中で税収を超えて歳出の伸びが大きかったというようなお話がございましたけれども、そういう政策に間違いがあったのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
○廣江説明員 お答えいたします。
 今年の経済運営の基本は、経済情勢の認識といたしまして各部門、政府部門も海外部門も家計も民間企業部門もいろいろ考えてやっているわけでございますが、その中で、いろいろなことを考えて一番基本は景気の回復である、そのことがまた、雇用の回復にも結びつくし、対外調整にも結びつくということで、内需を拡大するために七%程度の成長を図らなければいけないというふうに考えて運営をしておるわけでございます。そのことによって、日本経済を内需主導型にして、いろいろバランスの崩れているところを面していこう、こういうふうに考えたわけでございます。
○永原委員 そういう中で、財政の果たす、政府部門の支出が果たす役割りというのはどの程度でしょうか。
○廣江説明員 当初の見通しで、国内民間需要で大体六%程度のものを見まして、政府支出の分を入れまして七%ちょっと強という程度の需要を見ております。
○永原委員 いま経済の状況を見てまいりまして、円高のメリットが盛んに言われますけれども、円高のデメリット、こういうのが一般企業にもこれからあらわれてくると思います。そういう中で、現実問題として財政の観点に立てば、法人税の落ち込みあるいは関税の落ち込み、所得税の落ち込み、こういうのが現実にあらわれてくるわけです。そういう中で本当に、この政府部門の支出が全体の経済成長に果たす役割りは、全体で一%というようなお話でしたけれども、それが守り切れるのだろうかどうか、そういうところに疑問を持ちますが、そういう点についてはどうお考えでしょうか。
○廣江説明員 今回、九月二日の総合経済対策でございますが、大体年初来の経済の道行きをながめてみますと、国内の部門では、たとえば雇用部門ではかばかしい進捗といいますか、改善が見られないといったような点はございますけれども、総体として見ますと、消費にいたしましても、設備投資にいたしましても、また在庫の調整ぐあいにいたしましても、大体当初見たのとそれほど大きな動きは出ていない、こう考えております。ただ、海外の部門につきましては、急速に起きました円高の影響によりまして、たとえば四月−六月で見ましても、対前年比輸出の数量は減少するというような形であらわれておりまして、それが国内経済にいろいろの悪影響を及ぼすのではないかということが懸念されます。そういうことを勘案いたしますと、このままではGNPを一%強程度当初目標に対して引き下げるのではないか。それを今回の総合経済対策によりましてカバーしていこう、こういうふうに考えておりますし、それでカバーできるものと考えております。
○永原委員 いままでの財政支出の伸びをずっと見てまいりますと、GNPの伸びを見、またそういうものと関連しながら分配所得の伸びを見てまいりますと、分配所得の伸びはずっと落ち込んでいる。こういう中で、やはり本当に財政主導で国民経済を引っ張っていこうという場合に、計数的には理解できますけれども、実体としてそういうような実効が上がってないという気がしてしようがないのですけれども、どうお考えでしょうか。
○加藤(隆)政府委員 企画庁の御答弁の方がいいかと思いますが、財政面から考えますと、過剰在庫の問題、それから過剰設備の問題、そこで財政で経済に対してインパクトを与える場合に、需給ギャップを埋めるというような考え方が片方にあるわけでございますが、片方には、財政を起爆剤にして民間の需要を引っ張り出すという考え方があるわけでございます。当然のことながら、ギャップを全部財政で埋めるというような考え方はなかなか現実問題として成立しないのではないか。その場合に、オイルショック以降ずっとやってきたわけでございますが、ただいま申しましたようにいろいろ構造的な問題があって、財政の効きがなかなか出てこないという問題があったわけでございます。したがって、先ほど申したような莫大な公債を年々続けてやってきた。しかし、ようやく最近時に至りまして、在庫調整が進んでまいっておるわけでございます。
 いずれも根の深い問題でありますから、かなりの時間がかかるという困難な問題があるわけでございます。と言って、財政の効きが全然なかったかという問題、あるいは片方の議論の足りない分をもう全部財政で埋めちまえという議論、こういう議論というものはきわめて危険な考え方でございまして、そういう意味で、われわれが相当思い切った赤字財政をやってきた効果がだんだん出てきておるというふうに考えております。
○永原委員 こういう論議を交わしていると、時間が来てしまいましたので、非常に困るのですが……。
 先ほどお話の出ていました一般消費税の税率の問題で、一〇%を基準とするような考え方が一つ述べられ、また経済事情について勘案するということを述べられ、財政再建という観点、そういうのをいろいろお話になりましたけれども、やはりこういう財政収支の不均衡ということを前提に置いて新税を設けるとなれば、財政の再建策というものが先に立てられなければならないという気がするのです。そのためにいきなり税調が、もはや歳出の削減とか不公平税制の是正だけでは解決できない、こう断定的におっしゃるのは行き過ぎじゃないかと思いますけれども、そういうようなものもあわせて、これから財政収支試算を立て、また新しい経済計画をつくって、そういう中でどうなっていくか、こういう見通しをはっきりさせていかないと、税率についても決めようがないのではないかという気がするのですが、そういう前提をはっきりさせる御用意があるのか、またそういう中で税率を決めようというお考えはどうだろうか、こういう二点について……。
○高橋(元)政府委員 ただいまの永原委員の御質問の中で、税率を一〇%を基準とするというふうに私が申し上げたということがございましたら、それは誤解でございます。小林委員に申し上げましたのは、計算の簡便化のために一〇%と仮定した表に基づいての御質問でございましたので、お答えしたわけでございます。
 税率につきましては、これも繰り返しでございますけれども、欧州諸国が一〇%台で導入したのとはわが国は事情が異なるであろうということと、それからもう一つは物価への影響、三つ目には財政の事情というものを勘案して、今後さらに検討を進めていくということに報告はなっておるわけでございまして、私どもも今後の検討課題であると思っております。
○永原委員 財政収支試算あるいは中期財政計画、新しい経済計画、そういうようなものを前提にしなければ財政再建策はできないんじゃないか。不公平税制の是正ということもありましょうし、歳出の削減ということもありましょう。どれだけやればいいんだという限界はなかなか見解が統一できないかと思いますけれども、そういうものを示していただいて、財政を再建するためにどうしてもこれだけ必要だというように税率が決まってくるのではないかと思いますが、そういう考えに基づいて再建策というのはお示しいただけるだろうかどうか。
○加藤(隆)政府委員 御指摘のとおり、経済企画庁の経済見通しの問題あるいは経済計画の問題、これの前提の上に財政収支試算を過去三回お示ししておるわけでございます。
 本年の場合で申せば、AからEまでのいろいろなタイプがございますが、一応のめどはつくわけでございます。ただ経済計画の方が、企画庁の作業の前提として、現行の経済計画が現実とかなりずれが出てきておるという問題もあるわけでございます。そちらの作業が進むに応じまして、私どもとしては五十四年度の場合に、従来ベースのような財政収支試算の姿を描いてみるという作業は現実問題として当然のことでございますが、同時に、いわゆる財政計画というようなもの、これは人々によってみんな財政計画の概念、イメージが違うわけでございます。そういうようなものは、繰り返し本委員会でも予算委員会でも政府から答弁をなされておるわけでございます。相当歳月勉強してきてはおるわけでございますけれども、いろいろな問題がある。今度財政制度審議会の方で財政計画等特別委員会というものを設けまして、この九月末から検討を始めようということを考えております。ただ、それはいま申しましたように、かなりいろいろな前提条件が満たされなければいけませんし、それからいろいろな技術的な方法論の問題もございます。したがって、五十四年度の問題としては、企画庁の方の経済計画がどのようなかっこうで私どもの手に渡るのか、あるいは来年度の経済見通しがどういうふうになるのか、そのようなものを踏まえまして、従来のような財政収支試算というかっこうでいまの財政不均衡状態をお示しすることになるのか、あるいは何らかの改善ができるのかどうか、目下その財政計画というような作業と財政試算の方の作業とあわせいろいろと検討しているわけでございます。
○永原委員 最後にお願いですけれども、この前の大倉主税局長の御答弁では、利子配当課税の五十五年目標というようなことが一応示されておりますけれども、そういうものとあわせ、やはり不公平税制の是正についても一つの腹案をお持ちになって示さないと、税率のいろいろな検討の素材が足りない、こういうように思いますので、よろしくお願いします。
○高橋(元)政府委員 御案内のとおり、九月十二日に税制調査会において、利子配当課税の把握体制の整備の問題を取り組みを始めていただいております。五十五年まで現在の税制が続くわけでございますが、できるだけ早く具体的な手がかりを得て、総合課税に移行するような体制を整えたいというふうに考えております。
○永原委員 終わります。
○大村委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十四分開議
○大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま税制に関する件について、参考人として税制調査会会長小倉武一君が御出席になられております。
 小倉参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 午前に引き続き質疑を続行いたします。只松祐治君。
○只松委員 私が申し上げるまでもなく、税調の任務はきわめて重く、特に一般消費税をめぐりまして国民の関心がかつてなく税調に向けられているわけでございます。そういうさなか、たびたびおいでいただいて大変恐縮でございますが、それだけ重要な段階を迎えておりますので、ひとつ率直な御意見を承りたいと思います。
 まず最初に、特別部会の方で結論が出たわけであります。それで全体会議に報告をなさったわけですが、そこでは全然異論はございませんでしたか、そしてこの報告は今後どういう形で全体会議で討議されるのか、もうこれだけで終わりになるのか、そこいらの特別部会と全体会議との関係、いわば今後の運営、運びの状況をお聞かせいただきたいと思います。
○小倉参考人 御質問にございましたように、税制調査会といたしましては、特別部会で一般消費税を検討してまいり、その審議の途中におきまして、適時に総会に経過を報告して、総会の意見も徴し、その上でさらに特別部会を開いて試案をまとめていくというふうな形にいたしたわけでございますので、特別部会のみならず税制調査会全体の委員の各種の御意見もできるだけ取り入れる、試案の中に取り入れにくい点は審議の経過でそれを明記するというようなかっこうで進めてまいったのであります。
 九月十二日に、そうしてでき上がった特別部会の報告を部会長から報告を願って、若干の質疑あるいは意見の開陳があったのでありますが、特別部会の部会長の報告を公表するということについて了解を得たということでございまして、形を申しますれば、報告そのものが総会の了承を得たといいますか、総会の全体なり多数で可決された、そういったような性質のものではございません。税制調査会としては、まだ最終的にどう持っていくかということについては結論を得ないままに、ただし、一般消費税と言われるものについての具体的な仕組みについては相当程度明らかにしまして、これを一般に公表して、役所を通じて各方面の意見をお聞きし、あるいは役所の意見、関係省等の意見もお聞きした上で、さらに今後一般消費税についてどうするかということを税調として考える。その考える時期がいつになりますか、まだ予定をしているわけではありませんけれども、いまのところの段取りは大体そういうことになっております。
○只松委員 五十四年度か、いや実施がむずかしくて五十五年度だろう、こういうことがいろいろ取りざたをされております。そういう中で、いまお話を聞きますと、まだ税調としては最終決定をしたわけではない、こういうことでございますが、仮に――私たちは反対でございますけれども、仮に五十四年度から実施するといたしますれば、法案、それからそれに基づく省令あるいは通達、これは後で若干質問いたしますが、内容は大変でございます。したがいまして、するとすればもう結論を出し、実施の段階へ移行するということでないと時日がないようにも思います。そういう作業を想定いたしますと、作業の面からだけでも五十四年度は無理ではないか、こういうことが推測されるわけでございますが、反対という立場の中からでございますが、しかし作業は、大体私が申すような形で五十四年度は大体無理だろう、こういうふうに判断してもそう誤りではない、こういうことでよろしいというのですか、違いないでしょうか。
○小倉参考人 いま先生のお話しのような見方も一つの見方かと思いますけれども、税制調査会というよりは役所、大蔵省なり自治省の方では、具体的な実施を仮に考えた場合にどういうふうに進むのか、実際の準備をどうするかということは、それぞれお考えになっていることに違いございませんので、実施までに無論相当の準備期間は要りますけれども、仮に来年度から、まあ四月からというわけにはまいらぬでしょうけれども、適当な事業年度が始まる時期等から始めるということが物理的に不可能である、あるいは不可能に近いということではないのじゃないかと思います。しかし、五十四年度から導入するかしないかということについては、まだ税制調査会としては審議いたしておりません。さようなことでひとつ御了承賜りたいと思います。
○只松委員 特別部会では一つの方向が出たわけですが、税調としては出ておらない。そうすると、いままで税調で参考人の意見聴取が一回、参考人は反対の方が大体多いと聞いております。それで、これも前回申しましたのでくどくど申しませんが、シャウプ税制以来のいわば税制の大改革、こういうことになりますから、私は、国会における論議、国会における公聴会、国会に出てきた場合には、残念ながら自民党は多数でございますから、決まるという方向で行くわけですが、ひとつその前に、税調としてもっと広く国民の意見を聞く、いわば閉ざされたいまの参考人というような形ではなくて、公聴会的なものをひとつ構想され、お考えいただければ、こういうふうに思います。もっと公聴会的なものを開き、参考人の多数の意見を聞いて一つの方向を出す、こういうお考えがあるのかどうか、またぜひひとつお願いしたいと思います。
○小倉参考人 公聴会という言葉は、法律制度の言葉になっておりまして、具体的な意味内容も相当あるのだろうと思うのですけれども、そういう形式的なことにかかわりませず申し上げるならば、今回特別部会の報告を税調として賛否を決めないままに公表していろいろ意見を聞くということは、どうも公聴会以上のことを実はやっておる。これは税調が直接いろいろな方々にお会いして意見をお聞きするということは実際問題としてできかねますが、委員の数は相当ございますし、それぞれの方面の有識者がたくさんおられるわけでございますので、各方面から意見をお聞き取り願えることになっております。他方また、役所の方は役所の方で、それぞれ各種の団体なりあるいは各省庁等を通じていろいろ意見をお聞きになるべき筋合いでございます。どうもいわゆる公聴会ということ以上の姿で、一般国民あるいは国民各層各界の意見をお聞きしよう、実はこうしている最中でございます。
 税調そのものが多数になっておりまして、各方面の委員の方もおられます。もっとも限度はございますけれども。そこでいろいろ論議するということで、役所が独自で決めてしまう場合の公聴会というようなものは、税調としてはどうも必要ではないのじゃないか。無論、結論をはっきり出してしまって、その上でもう意見は聞きませんぞというような姿になりますと、これは適当じゃございませんけれども、できるだけ審議の都度、広報関係の諸機関に経過を発表し、その反応もいろいろな形で吸収しながら審議を進めていくというのが従来の例でございますので、実質的なことにおいては御趣旨のようなことはやっておるつもりでありますし、今回は特にそういうことを重視して措置をしておるというふうに言えるのじゃないかと思います。
○只松委員 巷間言われておりますし、私たちもたびたび繰り返してきたのですが、今度大きな税制改正を行う、あるいはそれがなくても、日本の税制にはたくさんの不公平税制があるわけでございますが、これは皆さん方も中期税制答申のときも幾つか指摘をされておいでになります。こういう大きな改革をする場合には、国民に消費税そのものを納得させる、知らしめる、こういうことではなくて、税制全部の現状というものを知らしめるべきだと思うのですね。これは必ずしも税調だけの責務ではありません、むしろ大蔵省主税局の方にも当たるわけですけれども、税制白書というようなものをつくり、国民に知らしめるべきだと私は思います。税調において、あるいは作業としては私がこの前から言っているように、税調には事務局もないわけでありますから、主税局という形になるかもしれませんが、そういうことを要望いたしますが、そういうお考えがあるのかどうか。
○小倉参考人 税制白書というお考えのほどは、私としては初めてお聞きするわけですが、抽象論としてはそういうことは十分考えられると思います。ただ、税調が税制白書といった種類のものをつくる、これはつくるのは実際上役所の協力を得なければならぬでしょうけれども、発表するということは、なかなかむずかしいのではないかと思います。と申しますのは、中身について、白書になれば場合によっては百ページ、二百ページのものになるのですが、これについて税制調査会として一致した意見でもってまとめていくという作業は、これは大変なことじゃないかと思います。役所であれば、役所も大変でしょうけれども、いろいろな白書がございますから、恐らく不可能ではないと思いますが、税調としては無理じゃないか。
 ただ御承知のとおり、税制調査会でも、大きな税制改正についての提案をする場合は、ある程度税制全体のことについての鳥瞰的なものを説明しながら、ここはこう直したい、ここはこういうふうになすべきだろうということを言っている例が多うございます。最近で申しますれば、中期税制、「今後の税制のあり方について」は、わりと税制全般について、簡単でございますが触れておりまして、白書とは言いにくいのですけれども、大体の税制がどうなっている、どこの点を検討し、どこをどう直すべきだろうかということについては重要な点は触れておる、こういうふうに考えられるかと思います。
○高橋(元)政府委員 税制及びそれの執行につきまして、国民の皆様方の御理解を得なければならぬということは、当然私どもとして平素から心がけておることでございます。毎年毎年の税制改正の税制調査会における御審議の後、各年度の税制改正の大綱を税制調査会でおまとめいただいておりますし、法案の段階で、立法の後では、私どもは各年「税制改正のあらまし」という冊子をつくりまして、各年の税制がどう運んでおるか、税制改正がどう運んだかということをできるだけ広い方々に承知していただくということもやっておるつもりでございます。
 なお、先生の御指摘でございますから、税制の実態、それの持っております問題について、国民の皆様方の御理解をできるだけ得られるような広報の方法というものについて、検討を重ねてまいりたいと思います。
○只松委員 経済企画庁あたりがいろいろな白書を出したり、あるいは各省によっても通産白書なり農林白書が出ておるわけですから、その収入の土台をなす税制について白書が出てもおかしくない。白書という名前をつけるか実態をあらわすかは別にいたしまして、ぜひひとつそういうふうにしていただきたい。委員長の方でもぜひひとつそういう努力をお願いしたいと思います。
 それから、こういう税制の論議の前提として、不公平税制の是正が叫ばれておるわけでございます。利子配当の問題については若干討議が進んでおるやに聞いておりますけれども、これもきょうは時間がありませんから詳細は論じませんが、これが大きな不公平税制の基本問題だ。そのほかに、社会保険診療報酬の制度の問題であるとかいろいろございますが、そういう問題について、どの程度進んでおるかあるいは進んでおらないか、また、今後どの程度勇気を持っておやりになるか、ひとつ決意のほどをお聞きしたいと思います。
○小倉参考人 不公平税制と言われておるものにつきましては、そもそも私ども税調に関係する前から是正の方向でいろいろ研究され、また答申もされておるわけでございますが、しかし、これはなかなか思うように合理化できておらないのもまた事実でございます。ごく最近といたしましては、中期税制の答申の前の段階のときに相当幅広く特別措置について洗いまして、特別措置の中でいわゆる不公平税制と言われるもの、これについて税制調査会では、ほかの政策的な目的がなければ満たさなかっただろうけれども、他の政策目的があるのでやむを得ず原則に例外をつくったというようなものを政策税制というふうに定義いたしまして、これはできるだけ整理しよう、期限が来たときには当然整理の方向で見直しをするというような方向で従前やってまいりました。
 御指摘の社会保険診療報酬については、年限がございませんのですけれども、これについても御承知のとおり、税制調査会としては政府にある程度具体的な答申をいたしましたが、政府ではまだお取り上げになっていただけませんので、自後毎年これを実施するように政府に要請しておるということでございます。
 利子配当につきましては、いろいろ御意見がございましたのですが、税制調査会としては、基本的にはやはり総合課税にすべきであるということについては一致をしております。現在の源泉分離の選択は五十五年度までというふうに一応区切りをつけて、その間に総合課税に移行する方式を研究しようということで本年度九月十二日から、これまでの政府の検討の結果を聞き、またこれからその審議を続けるということにいたしております。
 さような次第でございますので、来年度税制の中でどういうふうに整理するかは、来年度の税制改正についての討議が始まる際に当然取り上げられるべき重要事項、こういうふうに存じております。
○只松委員 一般論はたくさんございますが、一、二具体的な問題をお聞きして、こういうふうに新税の施行に当たっては大変に容易ではないという事態がいろいろ出てまいりますということから御質問いたしたいと思います。
 まず最初に、あなたは来年からでも不可能でない、こうおっしゃいましたけれども、たとえば五十四年度から実施する、こう仮定いたします。そうすると、五十四年度から実施するということになると、課税最低限は一千万にするか三千万にするかいろいろありますが、一千万と仮にすると、その一千万というものはいつの時点をもって一千万とするのか。恐らく五十三年度の三月十五日の納税申告という形になろうかと思いますが、課税の基準年度をいつにするのか、こういうことを御討議になりましたかどうか。
○小倉参考人 課税について、いまお話しのように、売上高なら売上高の実績をつかむというのをいつにすべきか、非課税と課税との区別も出てくるというようなことで非常に重要なことですし、また、税率は同じでも税額が違うというようなこともございますので、これは税制調査会でも相当討議がございました。前年度の実績でやるべきだという意見、あるいは当該年度締め切ったときの状況でやるべきである、こういう意見もないことはないわけでございまして、それらをめぐって議論が行われましたけれども、現在のところ、しかとどの年度でどういうふうにそれを把握するんだということについては、まだ答申というか試案の中には決めておりません。
○只松委員 たとえば五十四年度実施で五十三年度を基準にすると仮定いたします。しかしAという商店は、五十三年度には申告は八百万円しかなかった、ところが調査によってそれが一千百万円になった、こう仮定をいたします。そうすると、その一千百万円になったところは当然に一般消費税を取る義務が生ずる。これが五十四年度の途中で発見されればそういうことになるでしょう。しかし、五十五年度なり五十六年度に発見された、こういうことになれば、これは遡及して取るか、あるいはその取らなかった分はAという商店の責任において納付しなければならないか、こういういろいろな問題が出てくる。遡及する分あるいはその途中で――そういう故意の脱税ではなくても、いままで八百万円しかやっておらなかった、ところが異常な、いい商品が開発されて売り上げが上がったということで、三千万も五千万にもなったと仮定いたします。そうすると、前年度は八百万しかないけれども、その五十四年度の当該年度で三千万にも五千万にもなったとするならば、途中から課税をするかどうか、こういう問題は、記帳の問題等と関連いたしまして、課税の一つの基準年度、あるいは同じ額を、一千万といたしましてもどこで一千万にしぼってくるのか、いろいろ問題が出てくるわけでございます。
 ほかでもまた一、二聞きますけれども、そういうふうに同じ基準年度を決めても、あるいは限度額を決めましても、もう千差万別でいろいろなものが想定をされてきまして、相当の混乱をする。その場合、一番基本になるのは一つの記帳問題だろう。ところが日本の場合は、記帳は今度の場合は余り重要視しないということになっております。フランスの方向まで行かないけれども、とにかくそれほど重要視しないということになっています。しかしとどのつまり、やはり記帳という問題が大変になってきて、商店や何かあたりでは一番懸念しているのは、記帳をしておかなければ大変なことになりはしないかということにあろうと思うのですよ。そういう点等、まだ結論は出ておらないと思いますけれども、お考えになったり顧慮をされておるかどうか、ひとつお聞きをしておきたい。
○小倉参考人 この課税の対象になる標準が、当初の見込みといいますか、あるいは見込みでなくても実績、いまお話しのように八百万円が年度を締めてみると一千万円を超しておった、こういうような場合にどうするかということにつきましては、これは、それが善意のことであろうと悪意のことであろうと、わかったとき以後において追徴といいますかそういうふうになるということが普通のことだと思います。しかし、まだこれは税制に仕組んでいませんから、果たしてそういうように移行するのかどうか、なお問題があろうかと思いますけれども、普通ならばそういうことだろう。
 その他、記帳問題等につきましての御心配でございますけれども、お話しのように、記帳能力には限度があるというようなことで売上高から仕入高を控除するというような、それも事業年度を通じてそういう方式でいたしていくという仕入高控除方式をとることにいたしたのも、これは記帳能力の関係でございます。それからまた、課税の対象になる事業者でも、最低ぎりぎり、限界のところに位するような事業者につきましては、簡易課税の方式というようなことで、たとえばおおよそ仕入高あるいは売上高というふうなものがわかれば課税ができる、あるいは税金を納めてもらえるような仕組みも考えたらどうかというようなことで、そういう便法も考えておりまして、余り無理な、お互いにめんどうな記帳を要請をするということはできるだけ避けたいというのが一つの趣旨になっておるわけであります。
○高橋(元)政府委員 ただいま会長から税制調査会のお考え方をお示しになりました。私どもは、たとえば除外の水準を前年度基準でやりました場合に、その基準が過去にさかのぼって改定された場合の納税義務の発生ないしそれに基づく納税の問題、それから記帳義務、またその記帳が十分でない方についての便宜の取り扱いということにつきまして、一般消費税特別部会の御報告にあります考え方をもとにして各方面の御意見を伺って、充実した制度というものを考えてまいりたいと思います。
○只松委員 まあ十分な答弁にはなっておらないのですが、たとえばここにまたAという商店で二千万円の売り上げがあります。二千万円だから当然にかかってくる。その一千万円というのはたばこであった、残りの一千万円がほかの化粧品や何かで消費税がかかった、こうします。そうすると、一千万円ですからかからないということになるわけですが、そこで多少たばことそういうものと入り組んだりなんかする場合があると思うのですね。こういうものもやはり記帳をしておかないと、国税庁としては税金を取りたいわけですし、ところが片一方は、どうもこれはたばこの方が一千百万円ぐらいあった、化粧品や何か――たばこだと相当わかりますけれども、非課税のやつが一千百万だ、課税部分が九百万だ。ところが国税庁がよく調べてみたら、非課税分が九百九十万円で課税部分が一千十万円だというようなことになれば、これは課税をされてくる。こういう場合も、やはり記帳というのが一つの論争の場合の証拠になるわけですね。
 したがって、強権を持った国税庁側が御調査になって課税をしてくる場合に、やはり反論立証をする場合には記帳をしておらないと、なかなか国民の側には有利には問題は展開してこないということになりまして、いまおっしゃったように、記帳は余り私の方はそう重要視しません、こうおっしゃるけれども、いざ徴税の面になってまいりますと、これは記帳という問題が一番ポイントになってくると思うのですね。
 だから、いろいろありますけれども、一般の国民が大変に心配し顧慮されておるというのは、一番論争になりましたときにこの記帳をどうするかという問題。いまだって一般消費税がなくても、最後にいろいろトラブルが起こったり違反でやられる場合に問題になるのはやはり証拠、あるいは帳面が二重帳簿だ何だってやられる場合には銀行からずっと調べられるわけですね。そういうことで、何といっても帳面というのを一番土台に据えた攻防戦、論争になるわけです。だから、いまの税調の論議の過程では、余りそんな重要視しませんとおっしゃるけれども、私はそうじゃなくて一番最後の証拠。だから、もしそれを余り重要視しないとおっしゃるならば、相当明確に、記帳をしなくてもいいとまでは書けないでしょうけれども、記帳に頼らないで自主申告というものを十分に認める、あるいは優先して認める、こういうよほど明確なものがそこにないと、これは大変なことになるだろう、こう私は思うのですが、いかがですか。
○小倉参考人 たばこと化粧品の例がございましたからちょっと申し上げにくいわけですが、と申しますのは、たばこをどう処理するかということについてはなお検討を要するというふうに思うからですが、たばこというよりは、非課税とすべきであるというようになっている大方の食料品と、課税されるようなその他の物と両方販売をしておるというような一般的な例として見ますと、個々の物が非課税であるかどうかということと、その事業者が課税される事業者になるかどうかということとはちょっと問題が違うように思います。これも今後の税法の仕組み方いかんにもよることでしょうが、課税されるかされないかというのは、非課税であろうとなかろうとそういうものを含めた販売局が、お説の例によりますと年間一千万円なら一千万円になるかならぬかということでございます。したがって、その点から、記帳能力云々という問題は余り関係がないのじゃないかと思いますが、いずれにしましても、日本の記帳能力云々というのは、仕入高がどうだ、販売高がどうだというその程度の記帳能力というのは、年間の売上高が先生の設例によりますと一千万円というようなことであれば、あると考えた方がいいのではないか。ちょっと余談になって恐縮ですが、聞くところによると、数字にかけては、ヨーロッパやアメリカの一般大衆よりは日本の大衆の方がうんとすぐれておるということもありますので……。
○只松委員 それから、けさの新聞なんかにも、たとえば一千万円以下の本屋と一千万円以上の本屋によって本の値段が違うというような例示が出されておりますが、たとえばクリーニング屋で、八百万円しか売り上げていないクリーニング屋さんには、会長がワイシャツをクリーニングに出されてもかからない。ところが、一千百万円売り上げているところにすればかかる。散髪屋なんかでも同じになってくるわけですけれども、これもまた大変なことになりますが、やっぱりそれはいたし方ない、こういうふうにお考えですか、それともそういうものには何か共通というか、便宜的に本なら本でもかけるものは全部かける、免税の額とは違うのだ、こういうふうにお考えですか、そこいらはどうなります。
○小倉参考人 お話しのようなことが起こることはやむを得ないというふうに考えておるわけです。ただしその境目のところですが、一千万円を仮に例といたしますれば、一千二百万円までの人の税金は少し下げる、税額を控除するというようなことで緩和するという方法はございますが、いずれにしましても、税金のかかる事業者の方と税金のかからない事業者ができるということは、中小企業といいますか、零細企業を非課税にするということであればやむを得ず生じてくるということであります。
○只松委員 それから、そういう中で簡易課税方式というものをお考えでありますが、それは大体フランスの方向みたいなものまで行かないだろうと思いますが、どういうことであるか。それから、限界控除という言葉もお使いになっていますが、限界控除とは一体どういうことを意味されているのか。
○小倉参考人 これは主税局長から御説明願った方がいいかもしれませんが、考え方としましては、限界控除というのは、税金のかかる事業者とかからない事業者の境目になるのが限界ということでございまして、一千万円ということでありますれば、一千何百万円までのものが限界ということになるわけで、そういう境目のところで納税義務者になる事業者の税額は若干控除しようという趣旨だと思います。
 それから簡易課税、これはフランスの例はよく存じませんけれども、私どもの考えておりますのは、売上高から仕上高を控除する、こういうやり方でなくて、売上高にしますか、仕入高にしますか、どちらか一方がわかればそれに相応する税率を掛けて税額が計算できる、こういうことにしたら、こういう趣旨でございます。
○只松委員 ほんの一、二例を挙げましてもこういういろいろなむずかしい点が出てまいります。たとえば一千八百万円売り上げている会社がある。それを二つに分けまして九百万円ずつにするということになれば、これは課税を逃れることもできます。だから、やればいろいろなことがいわば問題になってくるし、あるいは脱漏の方式等も考えられてくる、こういうことでございますから、大前提としては私はやはり国民の納得を得るということにある。それには、やはり不公平税制というものを是正をしていく、あるいは申しましたように白書等を出す、いわゆる税問題そのものをもっとオープン化して、これまたたびたび言っておりますが、税調だけじゃなくて、密室じゃなくて、私はもっと税調が開かれたものになっていく、こういうことが必要だと思う。
 ぜひひとつ、まだ最終結論が出ておらないわけでございますから、国会でこの案が討議される場合には大体固まったものがいままでの経験によっては出てくるわけでございます。何回かお忙しい中を小倉さんにおいでいただいたのは、これだけ重大なときですから、決めてしまうまでにできるだけ大蔵委員会や税小でお聞かせいただきたいし、私たちも意見を申し上げたい、こういうことでたびたび御足労を煩わしておるわけでございます。きょうも大蔵委員会になりましたけれども、当初から税小ということで取り組んでまいったわけでございます。ぜひひとつそういう点を十分御理解くださいまして、決めてしまう前にまたお呼び立てすることもあろうかと思いますけれども、私たちの意見も聞いていただくし、あるいは広く国民の意見も聞いた上でひとつ討議を進めていただくようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○佐藤(観)委員 関連。
 いま只松委員の質問に非常に重要なことで落ちている問題があるものですから、ちょっと一問だけお伺いさせていただきたいんですけれども、たとえば一千万円に免税点を設けるといたしますと、確かに企業がずっと伸びていくときはまだいいと思うのですよ。一千万円が来年売り上げが千八百万になって、さらに二千万になったというんだったらいいと思うんですが、業界によっては、たとえばダクトなんかをつくっている業界というのは、本当にどういうわけか二年に一回ずつなんですね。いい年はいい、翌年は必ず悪くなるんですね。その翌年はまたよくなる。大体二年に一遍ずつよくなったり悪くなったりするわけですね。そうしますと、たとえば前年度を基準といたしてもいいです。実際に一千万なら一千万といたしますと、ことしの売り上げがそれより多ければいいけれども、少なくなって一千万から下がった場合、いま小倉会長のお話ですと、それは後で追徴されるんじゃないですかという御答弁のように私は聞いたんですけれども、しかしそれは現実には、五十二年度が一千万あったが五十三年度が一千万を割ったというときには、ことしの営業姿勢といたしましては、実際には去年一千万あったからそれは課税、一般消費税をかけて販売をしていた、そういうことになればいいですけれども、去年八百万だった、ことしは課税される店になった。ところが、前年度を基準にした場合には、ことしはこれは課税してないのですね。おのおのの物品を売るときには、価格にそれは転嫁していないわけです。要するに、一年に一遍と言っているわけですから、確定申告の時期に合計すれば、総売上高から総仕入額を引いてパーセンテージを掛ければそれは出るでしょう。しかし個々の商店というのは、おのおのの物品については転嫁をしていないわけですね。こういった問題を考えますと、どこの店まで一般消費税がかかり、どこまでがかからぬという問題は実は非常に大変な問題で、売り上げが一律に伸びていくという前提に立てばそれはいいでしょうけれども、ジグザグがある限りはこの問題というのは、ことしは八百万円しか売り上げがなかったのに、前年度が一千万を超えたから一般消費税をかけられる店になるということは、法的にも非常に重要な問題になってくると思うのです。一体この点についてはどういうふうに税調の中で討議をされたのか、この一点だけちょっとお答えを願いたいと思います。
○小倉参考人 仮に前年度一千万円ということで、一千万円を非課税の限度だ、こういうふうにいたした場合に、次の年度で売り上げが八百万円になったという場合は、税金は恐らくかからぬことになると思います。実際、事業者が自分の売り上げが八百万円になるなんということは当然想像しない。したがって、税を込みで販売されるということはあるかもしれませんけれども、これは私の解釈は自信がございませんので、主税局長にお答え願います。
○高橋(元)政府委員 補足して申し上げます。
 前年度の売上高を基準にして納税義務を持たれるか持たれないかを判定するということにつきまして特別部会で御議論がございました。その場合に、当年度につきましてもやはり売り上げが一定水準を超えておりませんと納税義務がないわけでございますから、いまお示しの前年度一千万で翌年八百万というときは、八百万の売り上げでございますので、その前年度の基準で申せば納税義務者でありますが、納税額がゼロということになるわけでございます。
○佐藤(観)委員 八百万から一千万になったらどうするのですか。
○高橋(元)政府委員 八百万から一千万になった場合は、前年度の売り上げが一千万に満ちておりませんから、翌年は、結果的に一千万になりましても納税義務はないということになります。
○大村委員長 大島弘君。
○大島委員 税調会長にお伺いしたいのですが、日本やイギリス、アメリカ等のいわゆるアングロサクソン法系と言えば、直接税の比率が非常に高いことは御存じだと思います。逆にフランスやイタリアというラテン系の国は直接税の占める比率が非常に少ない、もう御存じのことだろうと思います。日本では七対三くらいで、フランスではその逆だ、こういう場合に会長として、日本が今後アメリカのような極端な直接税の方へ行くのが好ましいのか、それともラテン系的なフランスやイタリアの方へ税制の方向が行くのが好ましいのか、ちょっとその点をお伺いしたいと思います。つまり直接税中心、間接税にウエート、どちらが税の方向としてよかろうかということです。
○小倉参考人 いわゆる直間比率をどう持っていくのがよろしいかというようなことで問題を考えていくというのも一つの方法かと思いますけれども、税制調査会では、従来そういうような考え方は少し逆立ちしているのではなかろうか。逆立ちというとちょっと語弊がございますが、いろいろな税を仕組んでおって、結果的に直接税が主体になり間接税が従になるということはあるけれども、その結果を見て、間接税が少し従になり過ぎているから間接税を増徴しようではないかというふうにすぐ行くことはどういうものかというのが、大体税制調査会の気持ちだったと思います。
 お話しのように、フランスなどのラテン系と比べますと、英米系では直接税が主になっておるということは事実でございます。日本もどちらかというと、英米系に近いようなかっこうに偶然なっておった。しかしそれが、直接税に余り依存し過ぎるからもっと間接税、今度の例で言いますれば一般消費税を導入すべきであるという主要な理由になるのだということでは、必ずしもないというふうに思います。
○大島委員 われわれは、今回のこの一般消費税を大衆課税として、原則的にはもちろん反対するわけでございますけれども、よくこの一般消費税が最後の切り札ということを大蔵省の方で言われているのです。果たして最後の切り札であるかどうかということでございますけれども、まず、不公平税制の是正ということはここであえて申しません、これは当然のことだと思いますが、不公平税制のほかに、たとえば所得税についても一千万以上の高額所得者の実効税率、これは夫婦、子供二人の標準税率を見ましても、アングロサクソン系の中では日本が一番低い。それから法人税の実効税率も、アングロサクソン系の中では日本が一番低い。こういうもので――もちろんそれは一千万円以下の二百万、三百万も諸外国に比べて低い。低いけれども、こういうものをいじったところで大して増税ということにはならない。むしろ増税というならば、高額所得者に対しての税率をいじるとかあるいは特別付加税をかけるとか、あるいは法人税については法人税を上げるとかあるいはかつてあったような法人税の特別利得税をかけるとか、そういうふうなことを研究された後に、この最後の切り札として一般消費税を出されたのですか、どうですか。つまり直接税を徹底的にいらわれたのかどうか。不公平税制は結構です。不公平税制以外のことでいま私はお話を申し上げているわけですけれども……。
○小倉参考人 ただいまのお尋ね、ごもっともでございまして、いきなり一般消費税ということで間接税に重点を移すというようなことから発足したわけではございませんで、所得税、法人税等につきましてもなお増税をお願いすることができないだろうかということは、十分審議したのでございます。
 ただこの所得税は、イギリスなんかは非常に累進的になっているようですけれども、先進国数カ国比べてみますと、日本も実は比較的累進度が高い方になっております。それに、近年所得税の減税が国会等を初め要望されるというようなことも事実でございますし、それに所得税自身は税率を直さなくても、名目所得の上昇だけでもって増税と同じような結果をもたらすという特色も持っておるというようなことから、どうも所得税で大きく増税をお願いするということは無理なんではないかというのが、税制調査会では大方の意見になりました。
 法人税につきましては、これはなお若干の増徴をお願いすることができるのではないかというふうなことが少しございますけれども、これに大きく期待するわけにもまいらぬということで、結局は所得税でお願いするか一般消費税でお願いするかということなんでございますが、税制調査会としましては、どうも一般消費税でお願いする方がよくはないか、こういう結論に、これは一般的な考え方の問題として昨年の十月の中期税制の答申で明らかにされたところでございます。
○大島委員 その場合に、所得税一般を増税する、あるいは法人税一般を増税するという意見が出たのか、それとも所得税については高額所得者、あるいは法人税については大法人の税率なり何なりを考えると、そういうふうな意見だったのか。所得税一般、法人税一般という意見であるならば、これは私は余り大した意義はないと思うので、やはり担税力のあるところに租税負担を求めるべきだ。そういう意味で、その場合に高額所得者あるいは大法人ということと区別して議論されたのかどうかということをお伺いしたいと思うのです。
○小倉参考人 所得税のことでございますけれども、相当の財源になるような増収をお願いするということでありますれば、特定の高額所得者だけを対象にするということでは目的が達せにくいということであったわけです。もっともいわゆる所得税のほかに富裕税というような税を起こしたらどうかというふうなこともございまして、これはペンディングのままに今日までに至っているわけですが、先般の一般消費税に関する特別部会での審議の中では、一般消費税を導入することに絡めて富裕税を考えるということは必ずしも必要ないんではないかというような結論であったかと思います。
 法人については、大小区別するという御意見もございましょうけれども、一般的に言って、若干の増税をお願いすることができるのではないかということであったわけですが、しかし実際問題として、それを実行するというようなことになりますと、なお今日のような景況で企業に負担の増を求めることができるかどうかということは、改めて検討しなければならぬ事項かと思います。
○大島委員 そうしますと、この税は、会長は早ければ早いほどいいということをおっしゃっておられるわけですけれども、その場合に、幾ら早くてもやはりある程度国民の納得を得なくちゃならない。しかもこれは特別部会にかけられたもので、いずれ総会に諮らなければならない。その総会に諮る前に、いまのような本税の仕組みのほかに増税理論一般もやはり国民に問うというお考えですか、それとも総会にかけてから国民に問うというお考えですか。つまりその間に、総会にかけるまでどのくらいの時間があるわけでございますか。
○小倉参考人 これは一般消費税をいつ導入するというようなことを目途とするかということと非常に関係ございますので、そこはまだしかと決めておるわけでもございませんし、いつ導入すべきかということを深く論議したこともございませんので、申し上げにくいわけですけれども、無論総会で、一般消費税あるいはそれと関連してほかの税についての増税措置等についてもあわせて検討するというようなことにもなる際には、できるだけ前広に、ひとつ各方面の御意見を拝聴できるような措置は当然とられるべきであろうというふうに考えております。
○大島委員 私は、けさほどもお願いしたのですけれども、この仕組みだけを論議するならば、そういう基本問題が全部後ろへ遠ざけられて、結局国民はこの仕組みだけの議論をするということでは、いわゆる大局を忘れて小局のみを見るということになるかと思うのです。したがって議論の場合には、この仕組みだけではなくて、仕組みのほかに仕組みの根底にあるもの、そこに増税論、あるいはそのためにはまず直接税をどう考えるかとかそういうことまでもあわせて議論していただかないと、仕組みだけ議論すれば、結局どうも議論の舞台が違うというような気がするのですが、いかがですか。
○小倉参考人 これはまことにごもっともな御意見だと思います。ただし税調といたしましては、昨年の十月の「今後の税制のあり方」で、お話しのようなことはおおよそ、ごくおおよそでございますがこなした上で、その中で、一般消費税というのは新しい税目でもありましたのですけれども、基本的な考え方だけのようなことだったものですから、ことしの六月ごろでございましたか、もう少しいわゆる一般消費税について具体的な仕組みをひとつ明らかにしようじゃないか、そうでなければやや抽象的になって、賛否はあるかもしれませんが、一般消費税を導入するとして、さてどういうかっこうなり仕組みがいいかということについて大方の御意見が拝聴できないものでございますので、今回はお話しのような点を見送りまして、一般消費税の具体的な仕組みということだけにしぼったわけでございます。
 さて、これを導入するということを考えます場合には、お話しのような点は十分考慮しなければならぬというふうに考えております。
○大島委員 会長は、記者会見ですか、二、三%の税率では余り意味がないというようなことをおっしゃられたと記憶しておりますが、二、三%ではない、とすれば上限はどこかといいますと、一応参考になるのはヨーロッパ、EC諸国あたりの付加価値税でございますけれども、大体最低一五%以上だということになっております。したがって会長のお考えは、二、三%ではない、だけれども一五%以上ではないから、その中間くらいだ、こういう御意見と思っていいですか。個人的見解でも結構でございます。
○小倉参考人 大体そんなような感じに近い考えを私は持っております。
 少し具体的に申しますと、これは税調で諮ったわけではありませんが、税調の各委員の論議を通じて私が得ておる感触といたしましては、五%前後から一〇%以内というようなことだと思います。もっともこれは導入の時期なり、あるいは導入されてから一般消費税が定着をしてそれからどうこうというそのときの財政事情その他もございますから、軽々に以内ということは申しませんけれども、感触としてはそういったような範囲で決まりそうだといいますか、そういった感触を持っております。
○大島委員 会長は、早ければ早いほどいいんだということをおっしゃいましたが、昭和五十五年度導入のお考えを持っておると解釈してよろしゅうございますか。
○小倉参考人 五十五年度に導入したらよろしいというふうには私、考えておりません。というのは、具体的にいつがよろしいということについては、実はまだ税制調査会で論じておりませんので、感触を得ていないわけです。無論、財政のことを心配される向きは、できるだけ早い方がよろしいし、物価の安定状況を見ればむしろ早い方がいいのではないか、今日のような比較的安定をしているときは、という意見の方もおありでありましょうけれども、しかし他方、物価に与える影響というようなこともお話を申し上げるまでもございませんし、また人によりましては、せっかく景気浮揚ということを政府が努めておるにかかわらず、若干デフレ効果があるのではないかという説もございます。もっとも、これは導入するということを前提にした場合でしょうけれども、その場合に、その一般消費税で上がってくる税収を一体どういうふうな使途に充てるのかというようなことも関連してまいりまして、一概に必ずデフレ効果があるのだというふうには申しにくいのではないかと思います。
 しかしいずれにいたしましても、一般の景気に与える影響ということも考慮しなければなりませんので、そういうことを判断するには、もう少し来年、再来年なりの経済の見通し、あるいは中期と申しますか、新しい五カ年なり七カ年計画がどのようなかっこうでできてくるのか、それらの作業との関連もありますが、それらをまだ私ども承知しておりませんので、どうこうということはまだ申し上げにくいのでございます。
○大島委員 最後にもう一問だけ。これはもうけさほどからも論議されたのですが、便乗値上げが恐らく起こるであろうということは、まずまず常識的に間違いないと思うのです。そういう点につきましていかがでございますか。
○小倉参考人 便乗値上げが起こるということは、外国の例で見ても、いままでそういうことがどうもあったような例がございますから、全くないというふうには言えないかと思いますが、それはやはり導入する時期、そのときの景況、物価の状況というようなことと、他方において、導入する政府の当局、これは大蔵省だけではなくて恐らく各省、福祉なりサービスを取り扱っている役所も関係すると思いますが、そういう役所が便乗値上げがないようにどう協力するかということにかかわるところが多いかと思います。
 もう一つは、逆に消費税といっても、なかなか転嫁できないのではないかという意見もございまして、これもやはりそのときの景況いかんによりましては、なかなか転嫁できないというような問題もあり得るわけでありまして、スムーズに転嫁でき、しかも便乗値上げがないような時期を選ぶということ、またそのために各方面が協力するということがどうしても必要か、こう思います。
○大島委員 この便乗値上げについて特別立法、特別罰則というようなことは、いまのところお考えはないですか。
○小倉参考人 これは実際問題として、罰則等々のことはちょっとむずかしいと思いますが、税調でそこまで議論したというわけではありません。行政指導で便乗値上げがないようにすることはぜひとも必要であるということはうたっております。
○大島委員 これで終わりますが、ただいま実施されたということを前提としてで、実施には原則的に反対するということを申し上げまして、質問を終わります。
○大村委員長 宮地正介君。
○宮地委員 今回のこの一般消費税特別部会の報告について、初めに会長に、この特別部会の委員、また特別委員の指名、これは政令で会長が指名するというふうになっているわけですが、その選択の基本的考え方、基準、この辺はどこに置かれてこの方々を選ばれたのか、お伺いしたいと思います。
○小倉参考人 従前ともそうでございますが、税制調査会で小委員会なり特別部会を置く、こういう場合に、ある程度取りまとめを必要とするというときにおきましては、何といいますか、直接その業界の代表的な立場から委員になっておられる方に入ってもらいますと、バランス上いろいろな利害関係者を入れなければならぬということになって、これは税調の総会と変わらぬことになるということがございます。案はつくることが大事で、たたき台をつくるというわけですから、たたき台をつくって、その上で総会で意見を聞き、意見に基づいてさらにまた小委員会なり部会を開いてということを繰り返すわけでございまするので、そのたたき台をつくる御苦労を願うという趣旨で、学者出身の委員の方であるとか、あるいは余り特定の業界と深い結びつきのない方であるとか、そういった方を主にして構成されておるのが、余り原則らしい原則でございませんが、そういう気持ちで委員をお願いしておるわけです。
○宮地委員 一般消費税というのは、この問題で直接にパンチを受けるといいますか、一番国民生活に影響のあるのは、何といってもやはり低所得者層あるいは中小零細企業、消費者、こういう方々であろうと思うのです。そういうことを考えたときに、税制調査会の委員の中には労働界の代表が入っているわけですが、特別部会になったら途端に労働界の代表がオミットされる。また、一番大事な消費者の代表あるいは中小企業の代表、こういう方々をたとえば特別委員として指名をしていく。何かたたき台をつくるために、いわゆるやりやすい人を選んだというような原則では私はまずいと思うのです。むしろたたき台の段階でそういう消費者あるいは中小企業あるいは労働界、こういうやはり国民生活に直接影響のある方々の意見、良識ある発言を、こういうものをつくっていく段階で入れるべきではなかったか、こういうふうに私は思うわけですが、その特別部会の構成メンバーを指名する基本的考え方に会長、少し甘さがあったのではないか、こういうふうに私は思うわけです。ましてやこの一般消費税の導入というのは、これはもう国民経済の上からも非常に重大なわが国の課題でありますし、その重大な課題を提起するそのたたき台づくりに、基本的なところから食い違い、誤りが起きてはならないというふうに私は思うのです。その点少し甘さがあったのではないかと思うのですが、会長の考え方なりその点の経過をもう少し補足的に御説明いただきたいと思います。
○小倉参考人 特に申し上げるほどの経過もございませんけれども、実は説調の中でもそういう御意見があったことはございます。今回の特別部会についてではございませんけれども、年々の税制改正を論議するときに臨時に小委員会をつくることがございますが、その小委員会の委員にお願いする委員の選考の方針というのはどういうところにあるのだというようなことで、ちょうどいま御質問のあらわれたような趣旨を込めて説調の中で御発言になったようなこともございます。
    〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕
しかし、先ほど申し上げましたようなことを私どもの方から申し上げて、実は了承願っておるということもございます。
 これはお言葉を返して御迷惑かもしれませんが、特に今回のような一般消費税につきましては、頭から反対であるという方がおられるわけです。ところが、この特別部会の使命は、導入するということをいわば前提として具体的仕組みを考えるということで、頭から反対の方も、反対だけれども導入するとすれば具体的仕組みについては、ここにこう意見があるということはおっしゃっていただける方もおありかもしれませんけれども、今回についてはどうもそうではないのですね。そういうこともございまして、今回だけに限りますれば、入っていただいてもかえって御迷惑をかけることになるような感じが実はいたします。
○宮地委員 この議論は、続けておりますとすぐ三十分たちますから深追いしませんが、やはり民主主義の国家でございますから、当然特別部会においても大いに、むしろそういういろいろな反対の立場にある方であっても十分に意見を聞いていくという姿勢は必要であろうし、そういう方々がどういうような考えを持っているか、またその考えをいかに具体化していくか、やはり青図面づくりをする以上は、そういう考えなり論理なりまた意見というものをできるだけ考慮して具体的に青図面づくりをしていく、これがたたき台であろうと思うのです。頭から反対の立場だから意見は出ないだろう、これは大変な問題であろうというふうに思うわけでございまして、今後の過程において十分にその点は御配慮いただきたい。やはり公正にしで公平な、また多くの国民の声なき声も具体化していくという姿勢、努力はぜひお願いしたいと思います。
 また、今回の報告をつくるに当たって、特別部会の中でいろいろ議論があったようでございますが、その議論の中で、今回のこの報告の中にもありますが、一般消費税の導入、いわゆる増税かあるいは福祉切り捨てかと、こういう極論的な議論もあったように伺っておるわけですが、この点についてもう少し、どの程度の話し合いが中で行われたのか御説明いただきたいと思います。
○小倉参考人 ただいまのお尋ねの前に、特別部会の人選についてのこと、ちょっと補足させていただきますが、特別部会と申しましたのは、実は文字どおりたたき台をつくっていただくという趣旨でございまして、それを総会にかけ、また特別部会に戻り、また総会にかけるということを実は何回も繰り返しておるわけでございまして、総会の数の方が特別部会の回数より多いというようなことでございますので、特別部会に出ていないから、総会だけでは時間が足りなくて意見が吐けなかったというようなことはなかったというふうに申し上げていいんじゃないか。十分発言できなかったというような不満を持っておられる委員の方は恐らくなかったというふうに申し上げていいんじゃないかと私は思います。
 それから次のいまのお尋ねでございますが、福祉切り捨てというようなことを余り真正面で論じられたようなことはないと思います。むろん今後、むしろ福祉を増大していかなくちゃならない。にもかかわらずこういう財政状態だから、何とか福祉を増大するには、一般消費税導入ということもやむを得ないのではないか。ついては、目的税にしたらどうかというような御議論すらございまして、その点について相当論じたというようなこともございますのは、それは福祉増進ということを前提にした話でございます。目的税に反対される方もむろんおられましたけれども、福祉をさらに充実していく必要があり、そのために増収措置を講ずる必要があるのだというようなことであったわけでありまして、福祉を削っていいんだというようなことを積極的にお述べになった方はないかと思います。
○宮地委員 その意味は要するに、この一般消費税の導入が無理なら福祉を切り捨てていかなければならないぞと、こういう逆の論理の展開の中の議論があった。ですから、ひっくり返せばいま会長がおっしゃったようになるわけです。導入をして、その財源で福祉をできるだけ充実したい、こういう目的税的な考えの議論が出てくる。こういういわゆる二者択一論的な中の発想が基本で議論されていくと、これは問題であろうと私たちは大変心配をしているわけです。
 そこで、きょうは時間も限られておりますので、特に税調会長が実際に責任者として会を運営してきたわけでありますから、特に私は先ほどの議論の中でも、どうも税率というのは大体五%から一〇%ぐらいの間で議論がされた、その間で大体感触もつかめてきた。時期については来年、再来年の経済の状態を見て、また政府の検討しておる中期経済計画などをあわして十分検討したいというのが大方の感触である、こういうふうな答弁というふうに聞いたわけですが、その点についてもう一度御確認いただきたいと思います。
○小倉参考人 それはいまおっしゃったとおりでございます。ただもう一つ、お話の中に当然含まれておったかと思いますが、せっかく特別部会の報告を公表して各方面の反応といいますか、反響、意見を聴取しつつある時期でもございますので、そういう意見もひとつ十分取り入れるようにしたい。もっともいつからそういう作業を始めるかということについては、先ほどお話しのようなことも関連しまして、今後に決定されるといいますか、今後どうするかということはなお若干先のことかと思います。
○宮地委員 そこで、先ほどもちょっと触れておりましたが、いわゆるデフレ効果のことについて、これは非常に大事な問題であるので、どういう議論があったかを私お伺いしたいのですが、日本経済が非常に低経済成長の段階にいま入ってきておる。七%経済成長も、政府の見通し、目標に対しても現実はいま五%台で動いておる。恐らく今回の補正も、ああいうような補正のやり方では七%むずかしいのではないか。大方の研究機関も、大体この目標達成はむずかしいというような状態に入っておるわけです。中身においても、特に輸出がここで停滞をしてきておる。また国民の消費も非常に前年度から落ち込んできておる。そういう中で、内需喚起をやっていかなくてはならない、こういう非常に経済環境は厳しくきているわけです。
 そういう中において、特に私たちは、政府の景気の浮揚策は公共事業一本やりである。ましてそれも、どうも大企業優先的なものに、産業優先的なものに偏り過ぎているのではないか。むしろ公共事業については、国民の生活関連事業である下水とか学校とか病院といったところに重点を置いていくべきであって、またあわせてこの際思い切って、財政的に厳しいけれども、一兆円程度の所得減税もやるべきではないか。やはり所得の減税、公共事業、この二つを中心に景気浮揚をしていくべきではないか、こうわれわれは主張し続けているわけであります。
 恐らくこの経済の特に実質経済成長率のスピードというものは、よほどの思い切った手を打たない限り、私はここ一、二年続いていくと思うのです。そういう低経済成長下の中において、この一般消費税の導入、まさに非常に大きなデフレ的な作用が働くのではないか。ましてそれが低所御者層、中小企業、零細企業、こういう方々に対してのやはり大きな景気を冷やす働きにつながっていく。これは私は非常に重要な課題であり、ましてこの報告書が出たということで、もう心理的に、いま国民の中には、いつどのくらいのパーセントで一般消費税が導入されるのだろうという危惧がいま各界に働き始めました。私はそういう意味で、そのデフレマインドというものがすでに働いてきているのではないか、こういう危惧さえしているわけです。
 こういう点について、どの程度この景気と一般消費税の導入、また日本の置かれた経済環境と一般消費税の導入、この問題を議論されたのか。先ほどのお話ですと、円高などによって物価がいま低迷している間に、むしろこの際やってしまえばいいじゃないかというお話がちょっとあったのですが、それは私はむしろ余りにも軽々な暴論ではないか、余りにもミクロなところだけを見て押え込んでいるのではないか、こういう心配もあるわけですが、この点もう少し突っ込んだ議論を明らかにしていただきたいと思います。
○小倉参考人 ただいまお話の一般消費税を導入する場合に経済に与える影響のことでございますが、これについては、ごくごく抽象的な段階についての論議はありましたけれども、具体的に五十四年度から導入するということを前提にしたようなことで、たとえば今日の状況はどうであるか、来年の見込みはどうであるか、それに対してどういう影響があるかというようなことについての論議は、深くいたしておりません。したがいまして、デフレ効果がどうであるかというようなことについては、論議はいたしておりません。恐らくこれは、導入するというような時期がたとえば五十四年度という場合には、一体どうだということは多少具体的に論議することができますけれども、一般論、抽象論としては、どうもデフレ効果があるなしを論ずることがなかなかできないのではないかというふうな気がいたします。
 一つは、ただ一般論といたしましては、できるだけ物価に悪影響のないときがよかろうということは当然でございます。もう一つは、お話しのようにデフレ効果がないような時期、また財政支出にしましても、デフレ効果が及ぶことが余りないように一般消費税の税収を使うということの配慮もあるいは必要かと思いますが、そういうことがどういうふうになるかによってまた違ってまいるわけでございますので、これはどうこうというふうに申し上げることはいまの段階ではなかなかむずかしいかと思います。
 お話の例は、いつということではございませんが、たとえばいまここで導入を考えるというような場合についての御心配をおっしゃったように思うわけでございます。
    〔野田(毅)委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、景気の問題の見通しにつきましては、いろいろな見方がございまして、七%の目標達成はなかなかむずかしいという見方もございましょうが、しかし政府は少なくとも、七%近いところの成長率を目標にしてやっておられるということでございますし、補正予算も審議を国会でされるというような段階になってまいっておりますので、そう先行き暗いというふうに考えることもできないのではないかと思います。その際に、一般消費税を導入して直ちにデフレ効果が起こるかどうかということについては、これはその導入する際における財政のあり方等も非常に関係しますので、ここですぐ、何%の消費税であればGNPにマイナス何%になるのだというふうなことは、ちょっと申しにくいのじゃないかと思います。
○宮地委員 要するに、今回のこの報告書をつくる、たたき台をつくるということは、少なくともその中には、将来一般消費税を導入するという意思が働いていることは事実だと思うのです。ただ、たまたま仕組みをつくるだけだから、仕組み一本に焦点をしぼったから、経済環境だとか他の要素については余り考えなかったのだ、こういうことですね。そうなりますと、当然もっと重要な経済環境の問題、財政との関係、あるいは不公平税制との問題などなど、取り巻く環境は厳しい要素がたくさんあるわけです。そういう要素について、部会でいわゆるたたき台、仕組みだけをつくったとおっしゃるなら、当然税調の総会においてもそういう要素を含んだ議論を大いにやって、むしろ第二次報告的なもの、第三次報告的なものもどんどんやっていく意思がおありならつくるべきではないか。そうなると今回の報告は、いわゆる仕組みだけを議論した第一次報告、こういうふうに受けとめてよろしいでしょうか。
○小倉参考人 特に第一次報告というふうに申し上げるわけにもまいりませんけれども、と申しますのは、今後どういうふうにこれを具体化していくかということは、まだ税制調査会として決めておりません。これをさらに具体化していく、たとえば税率がどうであるかとか、非課税の金額、事業者の金額はどの程度にするのかといったようなことなどを含めまして、一般消費税の全貌を明らかにする、ついては、いつから導入するのがよろしいんだというようなことになります節には、お話しのように、それが経済に及ぼす影響あるいは物価に及ぼす影響等々を十分考慮して、それらの点についての考察を加えたものが、一般消費税の導入に関連する答申といいますか、あるいは報告といいますか、そういうものの中で当然必要になってくる。また一般消費税のみならず、それをめぐる、関連するいろいろの税制のあり方についても、当然言及されるべきであるというふうなことになろうかと思います。
○宮地委員 私は答申をする前に、詰めるべきを徹底して詰めていくことが、やはり本来の税制調査会の公平を保つ、中立を保つ立場ではないか。何か大蔵省の出先みたいな形になって引きずり回されて、そのペースに乗って税調が動いたとしたら、これは大変な問題であろうと私たちは危惧しているわけです。そういう点はやはり小倉会長さんも、これは一世一代の問題なんですから、あらゆる問題について勇気と中立性と国民に対する公平さというこの立場を貫いて、ぜひ大蔵官僚の皆さんに引っ張られるような、引きずられるようなことのないように、厳正な立場に立って厳然とこの問題に取り組んでいらっしゃるとは思いますけれども、しかし、いままでのお話をいろいろ聞いていますと、どうもそういう感じもするわけで、われわれとしては、やはり国民の代表としてもその点は大変心配するわけですから、その点はぜひお願いをしておきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、最後になりますが時間の関係で、やはり間接税のこわさというものもわれわれ認識をしておかなければならぬと思うのですね。この一般消費税というものが導入されてきますと、これは一度導入されますと一人歩きをしてまいります。ましてや西ドイツなどにおいても、一九六八年に付加価値税導入後、一年もたたないうちに税率を引き上げる、こういうある意味では非常に安易に増税をしやすくする、そういうこわさがこの一般消費税にあるわけです。ですからそういう面で、単に財政当局の立場だけにこだわりますと大変危険な要素がある。私はそういう意味でも、非常に慎重に、公正にこの問題に取り組んでまいりませんと、これは後世に大きなまた大変な問題を残すのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点を含めて御説明、また会長の御決意のほどを伺って終わりにしたい、こう思います。
○小倉参考人 大変叱咤激励をいただきまして、ありがとう存じます。
 一般消費税はお話しのように、非常に重要なことでありまして、単に税制のみならず国民生活上大変な重要なことかと思います。したがって、十分慎重でなければならぬということはお話のとおりと思います。
 ただわが国の国民生活も、戦前なり戦争直後とはずいぶん変わってまいりまして、一般的に言えば、歴史的に比較して言えば相当豊かになってきておるというわけでございます。しかしながら他方、財政は借金財政といいますか、非常に苦しい。しかも財政需要は、先ほどもお話しのような福祉その他非常に増大するというわけでございまするから、広く一般に負担を求めるということが必要なことになっておるということを、国民一般の方もひとつ理解を願うということかと思うのです。その理解を願うということが、やはり一般消費税を導入するということの一つの決め手にもなるかと思いますので、それだけにひとつこういうことに参加する私どもも慎重に勉強したい、こう思っております。
○大村委員長 高橋高望君。
○高橋委員 一般消費税について税調会長に伺うのですが、本来、大臣あるいは政務次官でもいらっしゃってお答えいただくことに中身があろうかと思うのですが、その辺はひとつどうぞ主税局長、かわったお立場でお願いしたい、そう思います。
 私は、今度の一般消費税の論議の細目に入ることはこの際、できるだけ避けたいと思うのです。それよりも財政政策の立場から、一般消費税というものをいまの日本の国の財政事情の中でどういうふうに考えておられるかということをひとつ伺ってみたいと思います。
 というのは、財政政策の目的というのはやはり二つあろうかと思うのです。一つは、財政のバランスがある。それからもう一つは、経済全体の需給均衡があろうかと思います。そこで大蔵省サイドとすれば、借金財政が続くと五年後にはもう国債依存率が大変だということを昨年いろいろと指標を出して御説明くださった。しかし、だから増税だという言い方をそのまま私たちが受け入れたといたしますと、経済全体のバランスを壊す問題が出てくるのじゃないかということを私は恐れるのです。逆に言えば、供給過剰が激しくなるような気がしてしようがない。一般消費税によれば、何だかんだ言ったって間違いなく物価は上がると思うのですね。先ほども同僚議員がお尋ねしておりましたけれども、物価が上がれば消費が小さくなる、そうすると投資需要も減ってくる、これでは財政赤字を改善しようとしてかえって国民経済全体を壊してしまうのじゃないか。この危険性を今度の場合に非常に感ずるのですが、まずその辺について、税調で何か御討議が行われたかどうか、ひとつ伺いたいと思いますが、いかがでございましょう。
○小倉参考人 先ほど申しましたことに関連いたすわけですが、一般消費税をどういう形でいつ導入するか、また、そのときの財政の中身がどういうことになっているかということと非常に関係をいたすわけでございまして、ある筋では、今日のような状況で一般消費税を導入するのは、せっかく景気を浮揚しようとしておる時期にはなはだこれはマイナスの影響を及ぼすのではないかというふうに見ておる向きがあるようでございます。果たしてそうなのかどうか。一般消費税を導入するというふうにいま決めましても、あすから導入できるわけでもございませんし、どんなに早くても半年先以上になるわけでありまして、半年先がどうなるかというようなことで判断をしなければならぬということもございますので、いま直ちにデフレ効果が当然生ずるんだということで議論を進めるわけにはいかぬのじゃないかという気がいたしております。
○高橋委員 重ねてお伺いしますけれども、いわば導入するということを前提として税調では仕組みを検討した、それだけだ、今度の場合はこういう御説明でございますか。
○小倉参考人 簡単に申しますればお話のごとく、導入を前提にした場合具体的な仕組みはどうか、それをできるだけ明らかにしようということで、したがって、導入の時期とかその他の重要なことについて、まだ税調の試案の中にはこうであるというはっきりした明示はしていないわけでございます。
○高橋委員 そのことはわかりました。
 ここで、ちょうだいしておいた部会報告の中の「序言」の一文についてお尋ねをしたい。これは税調の内部のことであろうと思います。
 「序言」の第一ページに、「歳出の節減合理化及びいわゆる不公平税制の是正に向けて従来にもまして積極的に努力を重ねるべきであるが、そのことによって問題がすべて解決すると期待することはできないとし、」こう書いてあるわけです。ここでわかることは、税調の内部で現在の段階で、歳出の節減合理化とか不公平税制の是正によって、ある程度の金額的な意味を含めて、財政のバランスをとるという目標に到達できないという数字的な見当も資料としてお持ちになってこの御討議をなさったのですか、もしありましたらその額をお知らせいただきたいと思うのです。
○小倉参考人 「序言」の中にいま御指摘のようなことを書いてございますが、これは昨年の中期答申の文章を援用したものでございます。
 無論御承知のとおり税制調査会は、財政支出の中身まで吟味いたしまして、どれをどの程度削減できるだろうというふうなことまで調べ、あるいはそれを政府に申し述べるというふうな立場ではございませんので、しかとした数字的根拠があってこういうことを申したのではないわけであります。しかし、主計局長なり主計当局の担当の次長さん方に総会の席等に来ていただいて歳出合理化案の考え方などをお聞きする、それから政策税制の節減合理化につきましては、税調の仕事そのものでございますから、おおよその見当はつくわけでございます。そういう検討をいたしました結果、年々の特例公債を解消していくにはどうもなかなか間尺に合わないというような感触を得ておるわけであります。
 以上のような趣旨が中期答申のいま御引用になりました文筆にあらわれておる、こういうわけでございます。
○高橋委員 もう少し御親切に、主計局のお立場を尊重なさったそのままでも結構なのですが、この中期答申のときに考えられていた現在の政府サイドでの合理化できる金額というものをお示しいただけないものでしょうか。政府側、いかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 税制調査会での昨年の御審議のことでございますから、かわりまして便宜私から御説明させていただきます。
 昨年中期答申の中で、財政の今後の展望を御検討いただきました。その手がかりは、五十二年度に国会に提出されました財政収支試算でございます。つまり、五十年代前期経済計画に示された政府投資、振替支出、政府消費、五十年代前期計画で言っております安定的な経済成長の要素としてどのくらいの中期的な財政の支出が必要か。それは、従前の財政の支出の伸びに比べればかなりつつましいものでございますが、その財政収支、適正な経済成長の維持というものを前提といたしましてはじきました財政支出に対して、弾性値一・二ないし一・四、地方税の場合には一・一ないし一・三という仮定で税収をはじきますと、なおか2不足する金額が五十五年度の税収見込み額との間で、一般会計ベースで四兆六千億ないし六兆六千億、地方において一兆七千億ないし二兆八千億、こういう数字が出てまいりました。それについて御検討をいただいたわけでございます。
○高橋委員 そこで、前任の主税局長のお話で、たしか七月の十六日か十八日だったと思いますが、どこかのゼミで、五%の一般消費税の枠をまず公式的というか表向きになさった。新任の方に前任の方のお話の御説明を願うのは大変恐縮ですけれども、前主税局長の五%のお話というのは、この辺からの兼ね合いでするとどういう数字を踏まえて出てきたものですか。
○高橋(元)政府委員 私が前局長から伺いましたところでは、これはあるセミナーの席上で述べられたことでございますけれども、そこで一般消費税の話にたまたま及びまして、それで税率は――税率の御質問というよりも、どういう仕組みであればどういう転嫁が起こるのかというような御質問であったようでございますから、それに対してお答えしたときは、この税制は一般消費税でありますから、完全転嫁を前提といたしております。したがって、物価に対する影響は必ずあるでしょう。物価に対する影響が五%にも及ぶというのは問題でしょうね、こういう返事だったようであります。それがあのような報道になりましたようで、当時まだ税制調査会の御審議が始まったばかりでございますから、それに対して大蔵省の部内の者が税率を専決するようなことを申し上げておることではないわけです。これは私が直接確かめまして、そういう答えをもらっております。
○高橋委員 そうすると、くどいですけれども、この現大蔵次官の御説明は、物価の上昇分が五%だということで解釈してよろしいのですか。
○高橋(元)政府委員 五%の物価上昇ならいいと言ったのではございませんで、物価に及ぼす影響が五%にもなるということは問題であろうと言ったというのが、私が聞いて承知しておるところでございます。
○高橋委員 わかりました。そのお話のとおりに承っておきます。
 それで私、続いてお尋ねしたいことは、今度の「一般消費税について」というより薄いパンフレットの中で、十一ページになろうかと思いますけれども、「新税導入の際、一時的にもせよ物価上昇が生ずるのはそれ自身増税の反映であり、やむを得ないところであるが、それは価格の形で税金を納め、国の収入となる性格のものであって、いわゆるインフレ的な物価上昇とは異なるものである。」こう大変割り切っていらっしゃるわけです。このお考え方というのは、確かに大蔵省のお立場にすればこういう割り切り方になろうと思いますけれども、現実に生活を行っている消費者の立場に立ったときには、やはり経費の増加ということで圧迫が激しいわけです。私は、今回のこの(3)に書かれているあたりに、大蔵省当局並びに現在の関係機関の御配慮のなさがわかるわけです。こういう言い方で。この辺について主税局長、何か言葉を加えておかれる必要がおありになるのではないですか。
○高橋(元)政府委員 これは中期答申の御審議の際にそういうことが議論されたわけでございます。ちょっと恐縮でございますが、中期税制答申を読み上げさせていただきますと、「物価への影響については、一般消費税の導入は一般的な物価騰貴の契機となるおそれがあるとの意見がある。これに対しては、一般消費税の導入の際物価上昇が生ずるのは避けられないが、それ自身増税の反映であり、それによる実質所得の縮減と所得税増税による可処分所得の削減との選択の問題であるとの指摘があり、さらに、一般消費税の導入による物価上昇は本来一回限りで、便乗値上げの防止措置、導入のタイミングの選び方等により一般的な物価騰貴の契機となることは回避できるし、また、そのように努力すべきであるとの意見が多かった。」それで、私どもの方で作成いたしましたパンフレットの中で表現に足りないところがあることは御指摘のことでございますが、一般消費税というものが伴います物価上昇というのはインフレ的な物価上鼻と異なっておるということは、昨年の税制調査会の御審議でも明らかにされておるところであると思います。
○高橋委員 私は、今回のようないわゆるシャウプ勧告以来の税制の大きな改革に伴っての国民への周知徹底の仕方というものが、最大のポイントになろうと思うのですね。また、これはひとつ間違えたら大変な反税運動が起こってくると思う。そういう意味合いから、税法の導入以前にこういう配慮のない中で税法を取り上げられるというこの辺に、国の政策として大変温かみがないものだと言わざるを得ないと思うのですね。
 それで、いま現実に今度のこの導入に当たって、大蔵省御当局、主税局の立場で、各種団体並びに業界に対してどのようなPRの方法の御展開を考えておられますか。
○高橋(元)政府委員 今回の公表されました特別部会の御報告、この中にもありますように、これに基づいて具体的な仕組みを国民の方々に周知をし、広く各方面の御意見を承って、よりよい具体案を取りまとめていくということが私どもに課せられた仕事でございますから、その方向で全力を挙げて国民の方々の御意見を仰いでまいりたいというふうに考えております。
○高橋委員 主税局長、全力を挙げてというような言い方でやれば、いままでと同じようなことだと私は思うのですね。こういう問題を今回取り上げられる以上は、従来のような姿勢でいいかどうか。仮に大蔵省御当局が十分にやったと言ったって、私は反税闘争が起こる危険性があると思いますよ。それを、全力を挙げてというような取り上げ方の中でこの問題を国民に知らせていくというのは、私は大変危険なことだと思いますね。
 ですから、すでに試案が出てきた。試案というか、特別部会の報告という形で出てまいりましたけれども、これが出てくる以上は、大変失礼だけれども、大蔵省とすれば、十分取り上げられるおつもりであると私は思うのです。だから、報告書が出てきた瞬間においては、すでにそういった周知徹底の方法というもの、それこそ胸を張って、今回こういうふうにやらせていただきますというのがあるはずだと思うのだが、それがあなたのおっしゃるような、全力を挙げてというような表現で済ませられるというのは、私はこれではちょっと困るのですね。国の方針ですから、理のあるところは私たち自身もできる範囲内でお手伝いしなきゃいかぬこともあるかもしれません。しかし、現在のような大蔵省のお取り上げ方の中では、これはとても御協力するというわけにはいかないと私は思いますね。何かこの辺については、主税局としてそれこそ一大キャンペーンを張るべきじゃないのですか。
○高橋(元)政府委員 いろいろお示しでございまして、私どもも先ほどの答弁は少し言葉が足りなかったかと思いますが、たとえば納税義務者となられる方々の各種の団体、それから各地域それぞれにつきまして、現在、出先ともいろいろ連絡をとりまして、説明会と申しますか、この新税の仕組みを御説明し、御理解をいただくというような会合を頻繁に開くように準備を進めておりまして、近々かなり広い地域で、かなり回数を重ねて御理解をいただくための集まりというものを催したいと思っております。
 なお、私の申し上げ方が悪くて大変失礼いたしましたが、先ほどの「一般消費税について」という文書の中の「やむを得ないところであるが、」というのは、物価上昇はしようがないというつもりで書いたのでは実はございませんで、インフレ的な物価上昇とは異なる、物価騰貴の悪循環の引き金になるものではない、こういう趣旨であったわけでございます。これは私どもの作成した文書で、税制調査会の御了承を経たものではございませんけれども、御指摘でございますので、その周知の方法として適切でないところは改めてまいりたいというふうに考えております。
○高橋委員 私、残念なことにもう時間が来てしまいましたから、また次の機会に譲らせていただきますが、最後に、捨てぜりふではございませんけれども、中身といい、その取り組み方の姿勢といい、とても私たちにとっては今回は容易に受け入れがたいものだということを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大村委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 税制調査会の小倉会長さんに、一般消費税の試案の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 試案をまとめた特別部会長である木下和夫氏が九月十三日の読売新聞で、この税への大きな批判の一つである逆進性は、食料品を非課税とすることでほぼ解決されたという意味のことを述べております。食料品の非課税といってもいろいろございますけれども、特に税制調査会の会長さんは米価のことは大変お詳しくいらっしゃいますので、主食のお米の場合でも、生産段階では肥料もかかりますし、あるいはまたいろいろ資材もかかりますし、あるいは倉庫の料金だとかあるいは袋代だとか輸送費だとか、生産、流通段階でいろいろと動きがあるわけですけれども、こういったものは、生産者米価のその分の上乗せということで、もし実施されれば当然要求が出てくるだろうと想定されますけれども、その場合に、この問題については結局食管会計の補正なり補てんなり、あるいは消費者米価との関係が出てくるというような形で、お米そのものは確かに非課税ということですけれども、その背景に流通だとか生産段階でいろいろかかっていくそういったものなどというのは、すべての食料品について共通して言えるのではないだろうか、このように考えますけれども、こういった問題が税調の特別部会の審議の中で、木下部会長さんがおっしゃったように、食料品を非課税にすればもうそれで逆進性というのはなくなった、こういうことが果たして言えるのかどうか、またこの点についてどんな論議がされたのかという点についても、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
○小倉参考人 食料品を原則として非課税物品にするという趣旨につきましては、お話しのように、一般消費税の持つ逆進性をできるだけ緩和したいということであることはそのとおりでございますが、それで逆進性が全く排除されることになるのかならないのかということになりますと、これは少しむずかしい問題になるかと思います。間違いなく言い得ますことは、一般消費税の持つ逆進性が大幅に緩和されるということかと思います。それ以上、逆進性が排除されて、一般消費税は所得ないし消費そのものに比例的になっていくのだ、可処分所得に比例的になっていくというふうにまで言えるかどうか。これはお話しのように、食料そのものが全部非課税になりましても、その前段階、食料をつくる段階での原材料費あるいは運賃等々については課税されるということでありますと、食料品非課税がもともとの生産から加工、流通まであらゆる段階の事業者に非課税ということでありませんので、お話しのようなことかと思います。
○小林(政)委員 確かに大幅な一定の緩和は私も認めておりますけれども、これで逆進性がすべて解決してしまったというようなことにはとてもなるものじゃありませんし、それにとりわけ、最近の消費構造だとかあるいは家計支出の中に占めるいろいろな変化の中で、食費の占める割合というのは下がってきていますね。そういう点から考えても、現状で、食料品をともかく非課税にすれば、これですべて逆進性は解決したなどということはとうてい言えるものではないと思っておりますので、この点についてちょっとお伺いをしておきたかったわけです。
 それからもう一つは物価の問題なんですけれども、これはいまも、赤字財政穴埋めのための増税として大規模な税収を予定して導入するのだ、こういうことですけれども、そうすると、相当額の物価上昇が起きることは常識で考えてもわかることですし、そういった中で、インフレ的な物価騰貴ではないのだ、一回だけの云々というふうに主税局長は先ほどおっしゃったが、これはやはり問題じゃないかと私は思うのですけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 中期答申でどのような御審議があり、どのような結論が出たか、先ほど申し上げましたが、所得税による一般的な税負担をお願いする場合には可処分所得が減るという形でございますし、一般消費税によって広く消費に負担をお願いするということであれば一回限り物価水準の上昇が起こる、所得税か一般消費税かというのは、この中期答申で申しますと国民の選択の問題である、そういうことで物価騰貴の問題の御審議があったということを御報告申し上げたわけでございます。
○小林(政)委員 結局物価騰貴というのは、インフレ的な要素じゃなくて、税額がその分だけ上積みされたものなんだ、こういうことなんでしょうけれども、しかし受け取る方は、これは税額だとかあるいは商品の価格が上がったとか、そういうこととは全く関係がなく、やはり消費者にとってみれば、自分の家計の中から支出するわけですから、全く税金が上がった分だけ云々ということは私は理由にならないと思うのです。やはりさらに便乗値上げなども出てきて、私はこれだけの大きな税負担ということを求める以上、相当な物価騰貴というものが起きるということは、これはもう大問題だというふうに思うのですね。
 それで、それは一回こっきりのあれだと言うのですけれども、それは上がった段階で安定するということなのかどうなのか、どういう意味なのか、もう一回説明してください。
○高橋(元)政府委員 少し話がそれまして恐縮ですが、ヨーロッパの例などを見ておりましても、消費者物価が一回限り導入時に上がりまして、その後その水準で安定をするという形であったところが多いようでございます。わが国の場合に、導入の時期、タイミング等をどうするか、これは今後の問題でございます。物価への影響をできるだけ緩和する形で税率も決めなければならぬということが、今回の試案の中に触れられておることは先ほど御説明申し上げました。
 また、便乗値上げについても、委員の御指摘もございますし、そういうこととまた別に基本的に十分、便乗値上げが起こらないような指導というものを施していかなければならないというふうに考えております。
○小林(政)委員 私はもう一点だけにいたしますけれども、こういった物価が異常に高騰してくる、しかもその中で低所得者の人たちに一般消費税というのは単一税率で一律にかかってくるわけですから、ちょっと調べてみただけでも、五十一年の就業人口がどのくらいかというと、これは五十一年、ちょっと数字は古いんですけれども、五千二百八十二万人で、所得税を払っている人というのはその中で三千三百二十万人、あと千九百六十万人というのは所得税以下の生活をしている人たち、相当いるわけですね。こういう場合に、やはり年金生活者とかあるいはまた生活保護世帯とか失業者とか、こういう人たちに対して一律の一般消費税ということで課税がされるということになりますと、これは私はやはり生活費に食い込む課税ということで問題が出てくるのじゃないか。ここいらに対する配慮なんか、税調の討議の中で、いや生活保護にかかっていようが、会社の重役さんであろうが、それは関係ないのだというような立場で御論議がされたのか、それともそういった問題がどういう角度かで論議の対象になったのかという点が一点と、それからもう一点は、いままではたとえば生活保護費にしろあるいは年金にしろ、これは物価スライドというものが一つの基準になって、毎年是正をされたり引き上げられたりということが行われてきたわけですけれども、試案を討議される中で、物価との関係でこれらの問題も何らかの形で配慮され、論議をされて結論も出されているのかどうか、その二点についてお伺いをいたしたいと思います。
○小倉参考人 一般消費税は、先ほどもお尋ねございましてお答えいたしましたように、どうしてもある程度逆進性の傾向を持つわけでございますが、その点は、食料を除くということによって完全とは申しませんけれども大幅に緩和されるということでございますので、他方、所得は非常な大きな累進的なことになっておりますので、あわせて考えますれば、国民に広く、また高所得者には多く負担していただくというような税の構造になるのではないかと思います。
 もっともそういうことによって、従前、所得税は納めておらない方が国税なり地方税として一般消費税がさらにその上に新しく課されるということになって困る、あるいは所得税を納めておられる方も低所得でさらにその上に一般消費税が課されるということになると困るというような階層の方も、これは確かにおありになるかと思います。
 そういう際に一つ税制上できますことは、所得税につきましてどういうふうな緩和といいますか、調整措置が必要であるか、またできるだろうかということは今後の一つの検討課題でございます。そういうことが必要ではないかという御意見の方も確かにおありになったわけであります。
 それから物価との関係でございますが、物価に対する影響がインフレ的な影響でなくて、一回だけのものであるということにできるだけなるようにしたいというふうに政府の方でお考えになって、そうなるような措置を講じてもらわねばなりませんけれども、それにしましても、消費税を賦課される多くの物資なりサービスについては、消費税が賦課される分だけ上がるということは当然予想しなければなりませんので、それによって生活が非常に困られる方、早い話が生活保護についての単価をどうするこうするといったような問題は、一般の財政支出の面で御検討の上考慮していただくというようなことは必要になることがあろうか、こう思います。
○小林(政)委員 終わります。
○大村委員長 永原稔君。
○永原委員 この部会報告を拝見しまして、三十四ページになりますけれども、「農漁業については、特別の配慮を行うべきではないかとする意見が示されたが、これについては、食料品に対する非課税措置を講ずることや小規模零細事業者を納税義務者から除外することでおおむね対処することができるので、特別な措置は講じなくてよいのではないかとする意見が多かった。」こういうように書かれております。
 いま小林委員が質問されましたけれども、食料品、いわばこれはほとんど農水産物になるわけですが、会長もよく御存じのように、農産物の価格決定、これは米などについては政治的にいろいろ決定されていきますけれども、ほかのものについて見てみますと、需要供給の自由主義経済市場の中で価格決定が行われております。生産コストがどうこうというようなことで価格が現実には決められていない。私は静岡県ですからミカンを例にとりますと、薬剤費もかかりますし、肥料代もかかる、あるいは包装代もかかる、こういうものにはすべて一般消費税がかかっていくわけです。しかし、それが価格に反映しないということになって価格が決定されていきますと、結局農民負担というようなことになってしまって消費者への転嫁はできないではないか、こういう気がしますけれども、そういう点についていかがお考えか。
 と同時に、今度は消費者の立場に立ちますときに、これは小売業者は食料品というとすべて裸のままで売っているわけではなくて、大体どこへ行ってもパックされております。そういうものにはそれぞれ一般消費税がかかってまいりますので、そういうものは食料品といえども当然、消費税相当部門を値段の中につけていかなければ消費者に転嫁できないんではないか。それをつけないとすると、小売業者がみずから消費税を負担するというかっこうになってしまいますが、結局そういうものを価格に乗せるということになれば、食料品についても消費税が課せられるというようなかっこうになりはしないかと思いますけれども、その二点についてどうお考えでしょうか。
○小倉参考人 具体的な物につきましてそれを生産する方が、たとえば経済的に非常に弱い立場にあるという場合には、これは消費税に限りませんけれども、かかったコストが販売価格の中でなかなか回収できにくいという点は、経済の実体としてしばしばあることかと思います。ただそうかと言いまして、たとえば一般消費税を導入するということになりました場合には、これはむろん生産者にとりましてはコストの一部であるということでありますから、ほかのコストと同じように販売価格の中に税込みで入れられまして、次の段階で負担してもらうということになることを期待しておるわけでございます。それが実際上どういうふうにうまく転嫁できるかどうかということになりますと、これは個々の事情によって非常に違いますので、一概に必ずできるとかまたできないというわけにもいかぬかと思いますが、税制のたてまえでは、それは次の段階に転嫁して、最終的には消費者に負担されるというふうな仕組みで考えておるわけであります。
 それから第二点の食料品を非課税物品にするということに関連してのお尋ねですが、食料品でもお話しのように、パックしなければならぬものが非常に多うございます。そのパックについては一般消費税がかかっておるわけでありますから、その分の消費税分は、そのパックされた食料品の価格の一部として値上げはやむを得ない、こういうことになるかと思います。したがいまして、食料品非課税ということは、食料品の価格を消費税の関係で一銭も上げなくてよろしいんだということではない、上げなければならぬ場合がむしろ多く生ずるかと思います。しかし、その額がどの程度になるかは、深く検討はいたしておりませんけれども、そう大きな割合を占めるということはないんではないかというふうに思います。
○永原委員 これにも書いてありますように、取引の実態というのは非常に複雑ですので、それに即して検討することを要求する、こうおっしゃっていますけれども、特にいまお話しいただいた農産物というものについては、みずから価格決定ができないのが実態でございますね。それだけにやはり検討すべき対象の一つになるんではないか、こう私は思いますけれども、私の意見としてこれは申し上げておきます。
 それと、伺いたいことがたくさんあるのですが時間がありませんので、公共法人等民間事業と類似する経済活動をするものについては、納税義務者ということで納税の対象にするというようなお考えのようですけれども、国や地方団体の仕事、特に地方団体では、ごみとか屎尿とか、そういうくみ取りのような仕事までやっております。また、交通関係は公営企業としてやっていますけれども、こういうものもやはり納税の対象になるのかどうか、それが一点。
 それから、国鉄、公団の直営事業、こういうものもやはり対象になっていかざるを得ないと思いますけれども、こういう点についてのお考え。
 と同時に、たばこの専売というものを見ますと、専売事業ですから民間に類似した経済活動がない、だから納税しなくてもいいのだと言えばそれで割り切れます。しかし、現実に葉たばことかたばこの用紙とかあるいはフィルターの原料、こういうものについてはそれぞれに消費税がつくわけです。そうしていくと、価格法定主義でいきますだけに、値上げをしないとすれば専売公社の負担になる。そういう消費税相当部門が負担になるということになれば、今度は専売納付金の方に影響してくるというかっこうになります。こういう点についてもどういうお考えで進んでいらっしゃるのか。
 また、お酒の税金がこの前上がりました。自動販売機などで売っているワンカップのようなものは結局企業負担になってしまった。こういうことを考えますと、この消費税というのはかなり企業負担を伴う部分が出てくるのではないかという気がしますが、そういう点について一括してお答えいただきたいと思います。
○小倉参考人 最初のお尋ねは、公共団体等がやっておりますいろいろな仕事の中で民間と競合する部分についてのお話でございましたけれども、民間と競合するような事業については原則的に一般消費税の対象になるというのが試案の考え方でございます。ただ、具体的にどういうのが競合する、どういうものは競合しないと考えるかということは、個々のケースによって判断がむずかしいかと思いますが、これは新しい税制が導入されるときにはむずかしくてもそこまで決めなければならぬ。たとえばお話しのように清掃事業、清掃の範囲いかんにもよりますが、これは余り民間と競合がない仕事である。個人個人はある程度清掃ということもやるかもしれませんが、一般に清掃事業というのは公共団体の仕事にされておりますから、これは競合しないと考えるのが妥当ではないかと思います。しかし、たとえばごみ処理の量で有料だということになればどうかというような疑問点も発生して、なお検討を要するかと思います。
 たばこについてのお話でございましたけれども、これはどう処理するかということはまだ今後の検討事項ということにいたしております。特殊の事情にあるということはお話のとおり十分承知しておりますので、これが一般消費税の対象にした方がよりいいのか、それは別扱いにするのがいいのかということは、今後の検討事項にいたしたい、こう思います。
 それから最後にお尋ねの酒の関係で企業負担になりはしないかという点は、一番心配される点でございます。消費税ですから、消費者に負担になるということは当然としてがまん願うということなんですけれども、なかなかそうはいかないで、端数になるようなものがございまして、自動販売機の例をお話しになりましたけれども、企業負担になるということは全くないとは無論申しません。申しませんが、一般原則的には消費者の方に転嫁させていただく、また、その限度において価格が上がるのはやむを得ないということで考えていきたいと思います。具体的な問題として企業の一部負担になるというような場合、それはあり得ることは否定できないかとは思います。
○永原委員 時間が来ましたので、最後に一つだけお願いします。
 先ほど生活困窮者、所得の低い者にも、たとえば住宅とかいろいろなものに消費税を課し、それについては財政支出でめんどう見るべきだというお話がございました。税制調査会ですから、こういう措置に対して歳出でもって考えるというのも一つの方法でしょうけれども、負の所得税ということについて何か御検討になるようなお気持ちはございませんでしょうか。それを伺って終わります。
○小倉参考人 負の所得税という考え方のあることは承知しております。税制調査会でもそういうことが話題になったことは一、二回ございますけれども、それを真っ正面に取り上げて税制調査会の主要な論題といいますか、議題にしようというふうなことにまでは至っておりません。
○永原委員 終わります。
○大村委員長 小倉参考人には、御多用のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十六分散会