第085回国会 予算委員会 第5号
昭和五十三年十月六日(金曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
  理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君
   理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君
   理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君
   理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君
   理事 竹本 孫一君
      足立 篤郎君    伊東 正義君
      大坪健一郎君    海部 俊樹君
      金子 一平君    笹山茂太郎君
      塩崎  潤君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      谷川 寛三君    玉沢徳一郎君
      根本龍太郎君    藤田 義光君
      古井 喜實君    坊  秀男君
      松澤 雄藏君    松野 頼三君
      森   清君    井上 普方君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      岡田 利春君    川俣健二郎君
      小林  進君    沢田  広君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      横路 孝弘君    坂井 弘一君
      玉城 栄一君    広沢 直樹君
      二見 伸明君    正木 良明君
      大内 啓伍君    河村  勝君
      中井  洽君    安藤  巖君
      工藤  晃君    津川 武一君
      寺前  巖君    大原 一三君
      小林 正巳君    中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        文 部 大 臣 砂田 重民君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        農林水産大臣  中川 一郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        郵 政 大 臣 服部 安司君
        労 働 大 臣 藤井 勝志君
        建 設 大 臣
        国土庁長官   櫻内 義雄君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       加藤 武徳君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      安倍晋太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)     稻村佐近四郎君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      荒舩清十郎君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 金丸  信君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      宮澤 喜一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      熊谷太三郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 山田 久就君
        国 務 大 臣 牛場 信彦君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  清水  汪君
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        国防会議事務局
        長       久保 卓也君
        内閣総理大臣官
        房同和対策室長 黒川  弘君
        総理府賞勲局長 川村 皓章君
        総理府恩給局長 小熊 鐵雄君
        総理府統計局長 島村 史郎君
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 長谷川 古君
        警察庁刑事局保
        安部長     森永正比古君
        警察庁警備局長 鈴木 貞敏君
        宮内庁次長   山本  悟君
        行政管理庁行政
        監察局長    佐倉  尚君
        防衛庁参事官  夏目 晴雄君
        防衛庁参事官  古賀 速雄君
        防衛庁参事官  番匠 敦彦君
        防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君
        防衛庁経理局長 原   徹君
        防衛庁装備局長 間淵 直三君
        防衛施設庁施設
        部長      高島 正一君
        経済企画庁調整
        局長      宮崎  勇君
        経済企画庁調整
        局審議官    廣江 運弘君
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        経済企画庁総合
        計画局長    喜多村治雄君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省訟務局長 蓑田 速夫君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省経済局長 手島れい志君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
        外務省情報文化
        局長      加賀美秀夫君
        大蔵省主計局長 長岡  實君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省関税局長 副島 有年君
        大蔵省理財局長 田中  敬君
        大蔵省理財局次
        長       吉本  宏君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        大蔵省国際金融
        局長      宮崎 知雄君
        国税庁長官   磯邊 律男君
        文部省初等中等
        教育局長    諸澤 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
        文化庁次長   吉久 勝美君
        厚生省環境衛生
        局長      山中  和君
        厚生省薬務局長 中野 徹雄君
        厚生省保険局長 石野 清治君
        社会保険庁医療
        保険部長    今泉 昭雄君
        農林水産大臣官
        房長      松本 作衛君
        農林水産大臣官
        房技術審議官  松山 良三君
        農林水産省経済
        局長      今村 宣夫君
        農林水産省構造
        改善局長    大場 敏彦君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        農林水産省食品
        流通局長    犬伏 孝治君
        食糧庁長官   澤邊  守君
        通商産業大臣官
        房審議官    島田 春樹君
        通商産業省通商
        政策局次長   高橋  清君
        通商産業省貿易
        局長      水野上晃章君
        通商産業省産業
        政策局長    矢野俊比古君
        通商産業省機械
        情報産業局長  森山 信吾君
        通商産業省生活
        産業局長    栗原 昭平君
        資源エネルギー
        庁長官     天谷 直弘君
        中小企業庁長官 左近友三郎君
        運輸大臣官房長 中村 四郎君
        運輸省海運局長 真島  健君
        運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
        運輸省自動車局
        長       梶原  清君
        運輸省航空局長 松本  操君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  寺島 角夫君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  神保 健二君
        郵政省郵務局長 江上 貞利君
        郵政省貯金局長 佐藤 昭一君
        郵政省人事局長 守住 有信君
        労働省職業安定
        局長      細野  正君
        労働省職業訓練
        局長      石井 甲二君
        建設省計画局長 丸山 良仁君
        建設省道路局長 山根  孟君
        自治省財政局長 森岡  敞君
        自治省税務局長 土屋 佳照君
 委員外の出席者
        外務大臣官房領
        事移住部外務参
        事官      橋本  恕君
        会計検査院事務
        総局第四局長  岡峯佐一郎君
        日本輸出入銀行
        総裁      澄田  智君
        参  考  人
        (日本銀行総
        裁)      森永貞一郎君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月六日
 辞任         補欠選任
  伊東 正義君     大坪健一郎君
  奥野 誠亮君     森   清君
  金子 一平君     玉沢徳一郎君
  塩崎  潤君     田村  元君
  谷川 寛三君     三原 朝雄君
  岡田 春夫君     沢田  広君
  正木 良明君     浅井 美幸君
  矢野 絢也君     玉城 栄一君
  河村  勝君     中井  洽君
  寺前  巖君     松本 善明君
  藤原ひろ子君     津川 武一君
  小林 正巳君     中馬 弘毅君
同日
 辞任         補欠選任
  大坪健一郎君     伊東 正義君
  玉沢徳一郎君     金子 一平君
  森   清君     奥野 誠亮君
  沢田  広君     岡田 春夫君
  玉城 栄一君     矢野 絢也君
  中井  洽君     小平  忠君
  津川 武一君     安藤  巖君
  中馬 弘毅君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤  巖君     工藤  晃君
同日
 辞任         補欠選任
  工藤  晃君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和五十三年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十三年度特別会計補正予算(特第4号)及び昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して議題とし、質疑を行います。小林進君。
○小林(進)委員 私は、与えられた一時間半で多くの質問を持っておりますので、若干要旨が緻密を欠いて粗雑になるかもしれませんけれども、言葉の足らざるところはひとつ政府側でよく判断をしていただいて、的確にして要領のいい回答をしていただきたいと思います。
 まず第一に外交問題でございますが、私は、園田外交にはいままでの官僚外交とは違った、二味も三味も味のよい外交をやっていただいたと、これは率直に感謝をいたしたいと思います。もちろんその内容は何かといえば、第一は、日中平和友好条約を締結された。第二番目には、国連の軍縮総会において、いままでの官僚大臣のやり得ない非常に国民の魂を打つ演説をおやりになった。第三番目は、これはまだ進行中でありまするが、朝鮮半島の問題についても、いままでの官僚大臣には見えない一つの味をわれわれは察知することができるのであります。もちろん、外務大臣といえども福田内閣の外務大臣でございまするから、大臣をして、かく、いままでにない、国民の感情に訴え、国民の魂を揺すぶるような、いわゆる国民外交といいましょうか、進めていただいたのは、やはり後ろにいられる福田総理の的確なる決断と勇気によるところでございましょうから、その点、福田総理にも感謝の意を表しておきたいと思うのでございます。
 それらの問題に関連をいたしまして、まず、日中条約締結後のアジア外交、それに対する総理、外務大臣の所見を承っておきたいと思うのであります。せっかく国民になりかわって感謝申し上げたけれども、その後どうも期待に反してマイナス、プラス・マイナス・ゼロということになったのでは非常にわれわれの失望を買うわけでございまするので、この日中平和条約を結んだという基盤の上に立って、アジア外交を国民の魂に訴えるような方向で進めていただきたい、私はこう思うのでございます。
 その第一は、やはり朝鮮問題であります。
 朝鮮問題は、俗に申し上げまするけれども、北の朝鮮には中国とソ連が後ろにいる、南の朝鮮にはアメリカと日本がついておる、三十八度線を境にして南北対立して、戦争の危機があるというのが古典的に言い古された非常に古い考え方だと思う。ところが、この日中平和友好条約に基づいて、中国はアジア太平洋地域において覇権国家にはならない、いわゆる力による威嚇や暴力をもって他国に対して圧力を加えないということは、そのまま朝鮮半島に適用される問題だと私は思うのであります。北には中国がついているというその中国が、日中平和友好条約によって、圧力を加えないということを約束いたしました。これは今後の日中国交を進めていく上に重大な一つの変化であると私は思います。
 いま一つは、この平和友好条約を通じて中国はあなたに、南北朝鮮の統一を心から願っているということを明らかにせられました。これは総理もそうですが、外務大臣の八十五国会における本会議の発言の中でも、南北朝鮮の対立統一のためによき環境づくりを行うということを国民に約束をしていられる。中国も南北の統一を望んでいる。これは日中同じであります。ここまで進んできた。これはやっぱり日中平和条約の一つの成果です。これをどう具体的に一体持っていかれようとするのか。何しろ時間がありませんから……。私は少ししゃべり過ぎると言われるかもしれませんけれども、いま少ししゃべります。これが一つ。
 いま一つは、仮にソ連が北と組んで覇権行為に出たとしても、日本と中国はその行為に反対するという基盤ができ上がった。これが一つ。
 いま一つは、これは今度は南でありまするけれども、正確に言えば大韓民国でございましょう。これがしばしばソ連へ行って、いま人事交流をやっております。現に大韓民国の外務大臣もソ連へ行っていられる。この間に交流があるということは、いわゆる雪解けが始まっていると見てよろしい。これが一つです。三十八度線がなくなりつつあるじゃありませんか。これが第二番目。
 第三番目にひとつ申し上げまするが、これは総理大臣は、今度の本会議にわが党の下平君の質問に答えて、南北の緊張緩和のためには軍事的均衡がなければならないと言って、やはり南に対する経済援助、軍事援助をまだまだ続けていかなければならぬようなことを思わせる答弁をしておいでになりまするが、一体いま南はどうでありまするか。二、三日前に何とか行事をやりましたけれども、そこには朴大統領みずからがあの大きな韓国の武装力を宣伝しながら、兵力においては世界で韓国は第五番目だ、しかもミサイルは持っている、北朝鮮は全部で一撃を受ける、われわれは名実ともに北に対して優秀な軍事力を持つことができた、彼みずからが世界に向かって宣言をいたしました。これが第三番目。
 こういう三つの条件をそろえて、もはや南北が対立をしていなければならぬ理由は一つもないのでありまするから、そこで、日中の平和条約を結んだあなたのすぐれたる外交手腕と英知をもってひとつこの南北の統一、南北の平和を招来する、そういう具体的な行動をお起こしになる意思はないかどうか。そのためにはアメリカも事前に了解がなければならぬでしょう。ソ連もいま申し上げました状況にあるのでありまするから、ソ連と事前に話をすることもあなたには可能でございましょう。日中アメリカ三国を中心にして、ソ連にもこの問題の話を通じて、南北統一のための具体的なお話をお進めになるという勇気と決断と行動力をお持ちになっているかどうか、これはひとつ総理にお聞きをいたしたいと思うのであります。
○福田内閣総理大臣 私は、朝鮮半島の平和は南北の平和的統一、これが最終的な目標とならなければならぬ、そのように考えてそれを強調しておるわけでありまするが、今回の日中平和友好条約、これは小林さんが御指摘になりましたように、私は、南北和平の問題につきましてこれは環境づくりの一つと、こう理解をいたしておるわけであります。しかし、それだけで南北統一がすぐ実現できるかというと、そうじゃない。この上とも環境の成熟を助長し、またわが方といたしましても、南北の平和的統一ということが最終的な目標であるという認識のもとに努力いたしてまいりたい、そういうふうに考えております。
○小林(進)委員 総理の御答弁をちょうだいいたしましたが、ともかく時期は熟しているというのが私の考え方です。日中平和条約ができたことによって朝鮮問題に真剣に取り組むような情勢はできたぞ、いつおやりになるか、その具体的な進み方はどうか、これを聞いているのであります。外務大臣、いかがでございましょう。
○園田国務大臣 朝鮮半島における平和と安定及び半島の統一は各国の願うところでありまして、そういう意味から南北の緊張は、諸情報を総合し環境を見まするに、対立することはあり得ない。したがいまして、先般から米国は米国で両方の対話のことをやったわけでありますが、今度またソ連の方は韓国から会議に厚生大臣を呼んでおるわけでありますが、こういう対話が始まることはきわめて歓迎すべきことだと考えております。そこで、わが方といたしましても、いま総理がお答えになりましたとおり、事あるごとに交流と相互理解を深めるために、安定、統一、両国の話し合いができるような国際環境をつくることに逐次努力をしていきたいと考えております。
○小林(進)委員 まだ私は物足りないのでございまして、もう環境はできている、アメリカも朝鮮民主主義人民共和国――北朝鮮と言うとちょっと語弊がありまするから、朝鮮民主主義人民共和国と言いましょう。――との話し合いも非公式にできている。ソ連も、韓国いわゆる大韓民国と話し合いができている。言うなれば一番近隣、一番近いと総理大臣はしばしばおっしゃる、その近い日本に一番関係ある問題でありまするから、逐次環境づくりなどという言葉でなくて、むしろ具体的な行動に出ていただいたらいいのではないか。具体的な行動です。それを進めていただけないかということであります。外務大臣、いかがですか。
○園田国務大臣 ただいまおっしゃったような方向に動いてはおりますものの、米国の両方の対話の問題、ルーマニアその他の調停、それからソ連の韓国の閣僚の招待等もまだその段階でありまして、その話し合いがついているわけではございません。こういう現状もにらみ合わせながら、逐次やっていきたいと思っております。
○小林(進)委員 これはともかく日本の存亡に関する重大問題でありまするから、質問はきょうをもって終わるわけではありません。そのお話を次から次へと押していくとここでひとつ申し上げます。
 これだけにこだわっていると時間が過ぎていきますから、私も焦るのでありますけれども、一つは、やはり同じくアジア外交の一つのベトナム問題であります。ベトナム、カンボジアです。これもやはりアジアにおける安全と平和のためには非常にまずい問題であります。
 これに対しては、先般のベトナムに対する中国の行為は覇権行為ではないかなんという質問に対して、外務大臣は、いや、あれは紛争だという実に適切な答弁をされておりました。あれも名答弁でございました。あれは決して覇権行為ではございません。ベトナムにおける華僑十六万人を引き揚げた、その引き揚げることによって莫大な費用がかかるから、その費用を賄うためにベトナムに対するいままでの援助、これはできないという中国の言い分、必要がないからといって中国本国におけるベトナムの総領事館を三カ所閉鎖を申し入れたということで、まだ武力や圧力などというものは一つも加わっていないのであります。いないが、こういう問題が尾を引いていくということはアジアにおいて不幸である。これも日中の平和条約ができ上がったという基盤のもとに、私はアジア外交に対する日本の発言力も相当に出てきたと見ております。私はあなたの物を言う場所が出てきたと思います。
 これは時間がありませんけれども、いま日本の政府はベトナムに対して相当の援助をおやりになっている。あるいはいままでの債権を打ち切ったり、新しい援助条約をされたり、またベトナムの外務次官が来ることによって新しく長期の貸し付けの契約をされたりいたしておりますけれども、こういうようなことをおやりになることが、アジアの平和、中国とベトナムとの妥結への方向へ力をかすことにならないで、むしろ両者の間隔を広げる方向へ行く危険がないかどうか。あるいはベトナムがいま非常に援助、協力を求めている別の超大国との関係をむしろ偏向の方向へ持っていくおそれがないか、この点を外務大臣はどうお考えになるか。朝鮮の問題とともに、ベトナム、カンボジア等の問題についても、アジアの平和という一つの目的に向かって、正しく、方向を誤らぬように進んでもらいたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○園田国務大臣 先般中国に参りましたときに、他の意見はことごとく合意されたわけでありますが、ベトナム問題では意見が合いませずに、小林委員のおっしゃったような趣旨の発言が中国からございました。そこで、これに対して私の答えたのは、九割九分はよく理解いたしました、しかし、わが日本の外交方針は、いかなる理由であろうとも、アジアの一角で火を噴かないようにするということがわが外交方針の目的であります。したがって、ベトナムにも援助しておるが、対決しているカンボジアに対しても応分の援助をしている、ベトナム、カンボジア両国の指導者に対して、お互いに紛争は起こさないで平和的に話し合って、そうして中国との問題も平和的に話し合って、まず自立を得られることが適当ではないか、こういう返答をしておきましたが、それが私の考え方でございます。
○小林(進)委員 この問題をやっておりますと時間を食い過ぎますから、残念ながら半端で終わりますけれども、あなたは参議院において、ベトナム援助の問題について、ベトナムという国が外交においても政治においても一つの大国に偏向した場合、そういう場合にはひとつ考えなければならない、自主独立路線を外れるようなことがあってはならない、ベトナムがアジア紛争の基地またはその地帯にならないように希望するということを言っておられます。これは私は大変大切なことだと思います。七五年から日本は百億に近い援助、七月七日には改めて外務次官の来日で百億円の借款の動きにもなっておりますが、この点はひとつくれぐれも御注意いただいて、間違いのないような方向に外交を進めていただきたいと思います。
 時間がありませんので急ぎますが、次は、やはり中国との、日中平和友好条約の問題に関連をいたしまして、今度は経済問題を一問通産大臣にお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。
 日中平和友好条約の締結は、外務大臣をして言わしめれば日中の橋をかけたのであって、この橋をどう渡るかの問題はこれからの問題であるということを言われた。そのかけた日中平和友好条約の橋を第一番目に渡ったのが、政府要人としては通産大臣、あなたであります。あなたは中国へ行かれて、日中経済交流について大変内容の豊富なお話し合いをしていただきました。国民は心を割って歓迎をいたしております。しかし、このあなたの約束せられた日中経済の交流が将来どういう方向に発展していくかということは、国民はまだ全貌をつかみかねておるのであります。
 人によっては、日中平和友好条約は、経済交流など日本がそうあわてる必要はない、中国は何もかもないのだから、日本の経済が援助しなければならないのであるから、黙っていても日中の経済は大いに発展をしていくなどと言う人がおりますが、そういう楽観論を一体通産大臣はどうお考えになっているのか、これがまず第一問であります。
 私の調査によりますというと、そんなにぬれ手で日本と中国との関係が、経済が伸びていくという、そういう根拠はありません。それは最近五カ年間の中国に対するプラント商談であります。これは過去五カ年間の数字ですけれども、ECに対して五八・四%の商談ができ上がった。これに対して日本との商談が三二・七%、ECの約半分くらいしか日本と中国との経済交流はできておりません。それからまた、この二月も長期貿易は締結をされましたが、中国はそれに先立ってECとやはり長期の貿易協定を結んでおります。また、調査団を派遣する等の場合でも、中国はECに派遣するときには主任級の人物を団長にして経済派遣をいたしております。けれども、日本へ来る経済団の団長は副主任級です。その構成においてもECの方にうんとウエートを置いていることが明らかです。特にプラントの問題の内容を見ましても、ECに対しても電力プラント一一・三%、石油プラント五二・八%、その他一三・九%で、七八%もプラントの約束をいたしておりまするけれども、日本には鉄鋼プラントでわずかに二二%、非常に少ないのであります。
 こういうような状態でいけば、日本の貿易経済が世界から全部はみ出されて、黒字をためてけしからぬというときのこの日本の経済を、快く迎えてくれるものは中国しかないのです。日本の経済のはけ口は中国なんです。その中国にそういう思い上がった楽観論でいると、このままの形でいって、中国においても、経済的競争ということも適当ではありませんけれども、敗北に陥る危険がある。
 時間もありませんから、私は、ここで一発そのものを通産大臣にお伺いしたいことは、日本の中国に対するいわゆる輸入であります。
 いまプラントでも八十億ドルですか、九十億ドルに近い何か商談が続けられていますけれども、その日本の輸出の見返りに中国から受けるものは――日中の経済は、外交交渉にもあるように、相互扶助、互恵平等であります。こっちが売っただけのものは向こうから買わなくちゃいけない、向こうから買ったものはそれだけこちらは売らなければいけない。互恵平等の原則でいくというこの条約の基本からいけば、日本がプラントを初め多くのプロジェクトを売りたいというためには、中国から買うものは何だ、石油しかないのであります。通産大臣、石油しかない。このECにおける大きな中国に対する発展を横目で見ながら、日本がこれに負けないように日中の経済を進めていくとすれば、買うものは石油しかない。右炭も非鉄もあるだろうけれども、これは金額としてはわずかなものなんだ。日本の輸出に相賄うものは石油しかない。あとのものは小さなものだ。ファクターがない。金額が高まらぬ。
 その石油を買うことに対して、最近のいわゆる産業界、経済界、財界の姿勢がよくない。特に電力界などというものははなはだ姿勢がよろしくない。三十年たてば電気がなくなる。いわゆる燃料がなくなる。石油がなくなる。だから、国民の健康や生命を犠牲にしても原子力発電の開拓をやらなければならぬ。
 科学技術庁長官、熊谷さん、余り眠ったような顔をしないで聞いていてください。問題が後であなたに行くのだから、黙って聞いていなさい。
 そういうことをやって発電をやらなければだめだと言っておきながら、いま中国が渤海から、東シナ海から、大慶から、至るところに新油田を発見して無尽蔵に石油が出るというのだ。三十年たてば石油が絶えるなんという心配はなくなった。その石油を買ったらいいじゃないか。その石油を買えば、その見返りとして、世界からはみ出された日本の経済が無限に中国に伸びていく。
 それに対して、電力会社は中国の石油を買わないということをあなたに申し込んでおるじゃないか。余っている中国の石油を買わないで、なおかつ、原子力発電でわが新潟県等の住民の命を奪うような、そこに三兆、五兆の金を注ぎ込んでむだな原子力発電所を持つというこの論理的矛盾は一体どこからきておるか。こんな矛盾が一体許されていいのですか。彼らは、やれ中国の石油は重質油だ、ガソリンの含有量が少ないとか言うけれども、それは一つの化学的分解でできることなんだ。
 そこで、われわれが、これは日中議連でありますけれども、超党派の議員連盟、約五百有余名の国会議員、その幹部会も開いた。日中のかけ橋をつくった。平和友好条約を将来、その道を改めさせて、この間をなくするものはだれだと思うか。それは文化交流でもない、学者の交流でもない、技術の交流でもない。経済人だ、産業人だ。かつて田中総理が東南アジアを回ったときに、インドネシアのあそこでも、いわゆる日本の経済人のあの不当な進出に基づいてあれだけの排撃を受けた。その形が再び中国の中にあらわれてくるのではないか。この経済人の姿勢こそ今後の日中平和友好条約で最も注意しなければならぬというのが定着した国民の世論なんだ。
 いいですか。日中平和友好条約における一つの特徴は何だ。一つは覇権主義反対です。これは世界にない例だ。いま一つは無賠償、無分割の原則がこの平和条約の中に定着したということだ。戦勝国が戦敗国に対して一銭の賠償金も取らないというのです。一歩の土地も分割しないというのです。これが日中平和条約の中に定着した。
 そのときに、この平和条約を結ぶ前までに、自民党の、名前を言いますよ、いま引退したけれども、賀屋興宣などという、自民党、大蔵官僚の大臣頭が何と言ったか。日中平和条約締結絶対反対だ、もし締結すると中国は五百億ドルの賠償金を日本へ要求する、五百億も賠償金を取られたら日本は立っていけないだろう、だから日中平和条約反対だ、こういう暴論を吐いていた。
 その中国が一銭の賠償金も取らない。その恩義を胸に秘めて、これからは経済交流も、相互の人民に奉仕する、日中両国の国民に奉仕するという気持ちで経済を進めていかなければならぬ。石油を買わぬとは何事ですか。この問題に対して、通産大臣の御答弁とともに、こういう間違った業界の利益オンリーの考え方を厳しく監視、監督する、そういう立場で御答弁をいただきたいと私は思うのであります。
○河本国務大臣 ただいま日中の経済関係につきましていろいろお話がございましたが、まず第一番に、中国の国家建設計画、一九八五年までの十カ年計画は、昨年来完全に軌道に乗りつつあると私どもは判断をいたしております。欧米諸国の判断も同じだと思います。
 いま御指摘がございましたが、特にことしになりましてから、中国と欧米諸国との経済交流はきわめて盛んであります。欧米諸国からも要人がたくさん中国に行っておりますし、また中国からもやはり要人がたくさん先方に出向いております。きわめて交流が盛んになっております。したがいまして、日本だけが特別に有利な立場にあるということではございません。すべて経済原則に基づきまして、国際競争力という観点に立って中国との間の経済諸問題は進められておるということでございます。
 ところが、わが国の場合は、最近円高等の事情もございまして、非常にやりにくい分野がふえております。しかしながら、これはいろいろな努力によりまして解決しなければならぬと考えておりますが、まず、その前提条件といたしまして、貿易の枠を思い切って拡大すみということが肝心だと思います。いまそういう方向で具体的に話が進んでおります。貿易の枠を拡大するにいたしましても、いまお話しのように、日本が中国から石油引き取りの枠を拡大いたしませんとそれは実現をいたしません。
 そこで、日本がどの程度の石油を中国から引き取れるかということがこれからの最大の課題だと思います。幸いにいたしまして、わが国の将来の石油事情を考えますと、今後六%成長が続きますと、大体昭和六十年には、省エネルギーなどで相当節約いたしましても、現在の国内の消費量二億九千万トンがほぼ五割ふえまして、四億三千二百万トンとふえる予定になっております。これは昨年八月に総合エネルギー調査会が中間報告を出しましたが、その中に明記されておる数字でございます。
 それから、もう一つは、重質油といいましても、世界全体が重質油の傾向にいまなりつつあります。中近東の主だった国におきましても重質油の生産がだんだんとふえております。したがいまして、日本がこれから七、八年の間に一億四千万トンという消費を伸ばしていくということのためには、重質油も相当買わなければならぬ。それは世界の大勢だと私は思います。
 そういうことで、政府では最近重質油問題に対応するために重質油懇談会というものをつくりまして、民間の権威者に集まっていただきまして、重質油に関係するすべての問題をいま整理して検討中でございます。特に重質油を分解精製するための技術開発が非常におくれておりますので、ごく最近二組のチームを欧米諸国に送りまして、世界における重質油精製技術の現状について十分調査をさせようと思いまして、いまその準備をいたしております。それから同時に、重質油の分解精製をいたしますといろいろな副製品が出てまいりますので、その市場を開拓するにはどうしたらいいかということもあわせて関係者に研究をしていただいております。そういうことを背景といたしまして、重質油に日本全体が対応できるような政策を強力に進めておりますが、その過程におきまして中国油の問題を解決していきたいと考えております。
 なお、電力業界のお話が出ましたが、電力業界は現在原油、重油、ナフサ等の石油類を年間約八千万トン消費しております。その中で原油の生だきと言われるものが約二千二百万トンございまして、その一部が中国油を使用しておるというのが現状でございます。
 ただ、原則として申し上げたいことは、これからの発電所は、大体原子力発電、LNG発電、石炭火力、それから水力、地熱、こういうものが中心になりますので、石油火力発電というものは若干ふえますけれども、まずほとんどふえないというのが現状でございますので、全体の石油使用量八千万トンというものは今後全体としては余りふえない、こういうことになっておりますが、その中におきましても、先ほど申し上げましたように世界全体が重質油の傾向にありますので、中国石油引き取り等についても、いろいろな角度から電力業界に協力してもらう分野は大変多いと思います。先般、一部の新聞に電力業界が協力をしない云々という記事が出ておりましたが、必ずしもそういうわけではございませんで、いろいろな角度から協力方につきまして検討していただいておるところでございます。
○小林(進)委員 私は、ともかく通産大臣の御答弁は半分はちょうだいいたしますけれども、電力、エネルギーの問題で、石油がないからどうしても原子力発電に依存しなければならない、そういう主張がもう根底から崩れたにもかかわらず、なおかつそれに固執するという考え方は、私は了承できない。
 科学技術庁長官、時間がないから、私は、残念ながらあなたに質問できない。あなたの科学技術の電力行政などというものは、私はもっと言いたいことがあるのでありまするが、これは残念ながら言えないから、ただ通産大臣に言いますけれども、その重質油の分解が、これが調査委員会の決定に基づくと、一般的には、一年間に二百万トン処理の重質油の分解設備をつくるのに九百億円の金がかかる。これはポピュラーに、多量になれば減るでしょうけれども、これをずっと平面的に考えておいて、いま、あなたが中国で一応話をしていらっしゃいました、一九八二年までに年間四千万トンの中国原油を輸入すると仮定すると、これは二百万トン設備二十カ所で一兆八千億円の金がこの分解設備にかかる勘定になる。この金が多いか少ないかという問題になる。これも含めて、中国に対する莫大な補償料、賠償金を払う気持ちになれば、そんなものは国内で設備をする、そうしていまから分解装置も含めて中国の石油を受け入れる体制をつくり、これをいわゆる行政のルートに乗せるべきだ。私はこれを言いたい。早くその設備をつくりなさい。もう五十四年度の予算にそういう援助とか協力の金が出てきてよろしい。このくらいのことは電力会社に少しくらい援助してやってもよろしいと思っております。これが一つ。
 それから第二番目は、残念ながら時間がありませんが、あなたは中国に行かれて李先念さんと、ココムの規制に対して大緩和することを約束してこられました。いまココムの会議がパリで行われておりましょう。日本は何か五十三品目かの削減、アメリカは六十九品目を解除することをいま提案されておるというけれども、こういう人為的なココムなどというものは、これは本来、存置せしめておることがおかしい。あなたは北京で約束されてきたのでありますから、一挙にこういうものは廃止すべきであるという主張を日本側からやるべきではないか。これはあなたに対する要望です。
 それから、私は輸銀の総裁にもきょう来ていただいておりますけれども、日中の貿易には輸銀が大きく役割りを演じてもらわなければならぬ。プラントの問題、プラントにいまガイドラインなどといって、これまたつまらない人為的な規約があって、長期のプラント輸出をするときの貸し付けの利息までアメリカが中心で決めておる。そんなものは廃止すべきじゃないかと私は思うが、この問題はどうなのか。特にこれは民間の銀行等も中国に対する預託預金というような形で、民間資本も活用しなければならぬ。こういう方向を一体日本銀行総裁はどう――これは時間がなくなりましたからよろしゅうございます。いまの問題は答弁は要りません。いまのことは要望にいたしておきます。
 通産大臣に対する要望、日本銀行総裁に対する要望、輸銀の総裁に対する要望、これを要望しておきまして、次の問題に移ります。
 次に、私は、先ほども申し上げましたが、国連総会における外務大臣の公式な演説は歴史に残る名演説であると思う。本人を前にしてほめるのは私は余り好きじゃないのでありますけれども、その中で、あなたは、平和への決意、国際協調をもととする外交力を強化することによって核を世界からなくしたいと、そういう訴えをされた。広島、長崎の悲劇を述べて、再びこれを繰り返さぬことを世界に訴えられた。りっぱでしたよ。私は、いままでずっと日本の首相ないし外務大臣等の国際舞台における晴れの演説を聞いているが、その中で国民が常に念願していたことは、日本は平和憲法を持っているのだ、国際紛争解決のための武力を持たないのだ、これをだれか誇りを持って世界に訴えてくれる人がいないか。いままでだれもいなかった。第二番目は、広島、長崎。世界における唯一の被爆国として、この日本国民の経験を再び繰り返してはならない。この生々しい日本の経験を世界の舞台でだれが訴えてくれるか。これは私だけじゃないのです。日本国民が全部これを祈ったのです。いままで一人もいなかった。腰抜けだ。平和憲法なんか持っていることを世界に訴えることはむしろ恥だぐらいに思っている日本の外務官僚政治の中で、あなたは勇ましくもこの二つを訴えてくれた。誇りを持って日本は平和憲法を持っているということを高らかに訴えてくれた。広島、長崎の原爆の悲劇を再び繰り返してはいけないということをあなたは訴えられた。世界の平和のためにわが日本は先駆者として歩くのだという誇りある演説をあなたはしたのです。りっぱでしたよ。何回繰り返してもいい。本当にりっぱでしたよ。
 りっぱではあったが、それに対して日本の新聞は全部批判をした。何と批判したか。内容は非常にあるけれども具体性がないと、こういう批判をしているのであります。これもまた、私はもっともだと思うのです。しかし、あの限られた演説の中で、その演説の内容を具体的に一々述べていては一日もやらなくてはならない。新聞なんていうものは勝手なもので、批判をしなくちゃ悪いからと言えばそういう受け取り方でもいいけれども、しかし、私がいまあなたに問わんとするのはその先なんです。新聞で批判したその具体性をこれからどう進めていくかということをあなたに聞きたい。
 いいですか。「人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神に立脚して、」とあなたは言われた。「わが国は、他国に脅威を与えるような軍事大国には絶対なりません」とあなたは訴えられたが、そのあなたの主張を具体的に進めていくために一体どの手段があるか。幾つもあなたは項目をお挙げになりましたけれども、その中で一番重要だと思う点を私は三つ挙げてお聞きしたい。
 一つは、あなたは国連の演説で、憲法の精神にのっとって非核武装地帯を設置するということを訴えられておる。非核武装地帯を設置する。これが第一番です。第二番目には、いわゆるSALTの締結だ。米ソ二大国の戦略核兵器制限交渉、このSALTの交渉の成功を私はどうしても祈らなければならぬと訴えられた。これらの問題について私はあなたに申し上げたい。
 第一番に、非核武装地帯を設置するということに対してどういう具体的な方法をお進めになるか、お聞かせ願いたい。
○園田国務大臣 私が提案いたしました非核武装地帯の設定についての構想は、適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱によって非核地帯が設定されることは核拡散防止等の目的に資し得るものと考えております。
 なおまた、したがって、その地域を設定せんとする国及び核を持った国との間に合意ができた地域から一歩ずつ醸成していこうという考え方であります。
○小林(進)委員 それは抽象論です。私はそれをもっと具体的に聞きたいのです。
 それをもっと具体的に聞きたいという私の提案の理由は、私はこの委員会でも何回も繰り返した。日本と中国とアメリカとの間に、アジア太平洋地域においてお互いに覇権国家にはならないぞ、覇権を主張する国家に対してはともにわれわれは反対すると、こういう三大国の中の合意ができているじゃないですか。このアジア太平洋地域においてその条件がそろえばとあなたは言うけれども、条件をつくることをやってもらいたい。
 そのいま一つの条件は何かと言えば、ソ連ですよ。いま三つの国の中ででき上がった反覇権の協定の中にソ連を加えて、アジア太平洋地域において覇権を行うことは反対だという協定をつくったらどうか。私はそれを申し上げます。いいですか。
 それは私は、ここで思いつきで言っているのじゃないのですよ。これはもう昭和四十九年から数回、三木内閣から続けて私はこの予算委員会で論じかけている。それに対し三木総理も、ソ連とアメリカの協定がある――覇権という言葉は使っていないけれども、一九七二年に締結されたアメリカとソビエト社会主義共和国との関係の基本原則に関する協定がある。その十一条に、「米国およびソ連は世界の問題における如何なる特権または優越に対する要求もしないものとし、また他の何者のかかる要求も認めない。双方はすべての国家の主権の平等を認める。」と、こういう協定ができている。これはやはり反覇権の条項ですよ。米ソの間にもこういう反覇権の条項ができているんだから、これをひとつこのアジア太平洋地域に生かして、四大国の中で覇権に反対するという協定をつくれば非核武装地帯をつくるだけの基盤ができ上がるじゃないか。米ソの間ででき上がっているこの反覇権の協定を日ソの間でできないか。日中平和条約をつくったあなたの高邁な外交哲学をソ連と日本との間に、米ソの間にできたようなこの原則、反覇権の条項を締結するために、あなたは、これはアメリカと事前に連絡をとってもよろしい、中国と連絡をとってもよろしい。両国の理解を得ながら、ソ連に対して反覇権の協定を結ぶだけの具体的な行動をお起こしになる意思がないかどうか、承っておきたいのであります。
○園田国務大臣 条件をつくりつつ一つずつ積み重ねていくということは、今般の日中友好条約について、侵し侵されずという原則が確立したわけであります。
 ソ連についても、将来平和条約その他が逐次進んでいく段階でそういう問題は話し合うべきことであるとは考えております。
○小林(進)委員 それじゃ、ともかく具体的に進めてもらいたいと思います。
 この問題は、政府の外交じゃない。立法府においても、この反覇権をひとつ日本とアメリカとソ連の間にやろうじゃないかという動きがあった。一九七五年十一月一日から十日間、当時の予算委員長の荒舩清十郎氏を団長としてアメリカへ行った。一行が行ったのです。国会代表が行ったのです。衆議院代表が行ったのです。そのときに持っていった用件は二つだ。一つは、核が一体日本に存置するかどうか、これを議員同士の話の中で確認してこようという意味が一つあった。いま一つは、いまの覇権問題。アメリカへ行って、この三大国、ニクソンが結んだこの覇権反対を、ソ連を引き入れて、アジア太平洋地域における四つの国が反覇権でひとつ心を合わせようじゃないか、アメリカはどうだ、日米が一緒になってやろうじゃないかという話をやった。
 そのときにおける荒舩団長の熱意というものは、いまでも驚くほど非常に熱情にあふれていた。そして交渉した。いいですか。その話を進めたときに、アメリカは一体何と答えたか。時間がないから駆け足で言いますけれども、アメリカのマクギー上院議員はこう言っている。「中ソの対立が激しいのでむずかしいと思うけれども、中国はNATOの同盟に代表を送り協力的であるのに比べ、ソ連はアジアにおいて緩和政策をとろうとしないのは残念である。中ソの最近の話がどうなっているか知らぬが、ソ連を四大国の覇権主義反対の仲間入りをさせることは全く賛成である。もしソ連がこれに協力しなければ米日中間の関係はさらに緊密の方向に向かうことは間違いなく、ソ連は結局孤立することになりましょう」と、こういう見解を示しておる。
 ジャビッツ、これは日本へ何回も来ましたが、ジャビッツ上院議員は次のように言っている。すなわち、「私も全く賛成である。ソ連にはオファーを出して、ドアを開いておいて、仲間に入りたいときはいつでも入れるようにしておくことが大切」と、こう答えている。
 下院議員で、当時、下院の軍事、委員会小委員である、これは日本へ何回も来ましたが、ストラットン議員は次のように言っている。「覇権主義反対は全く賛成である。ソ連をこの仲間に入れることは全く賛成だ。しかし、アメリカはソ連を説得する力があるかといえばいまはない。アメリカの力には限度がある。覇権主義に反対するアメリカの態度は、国家も議会も真剣に話し合いをしてその実現を願っておる。そしてフォード大統領も北京においてこれを確認している。われわれはソ連がこれに賛成してくれることを心から願っておるから、これはひとつ一緒にやりましょう」という答弁をしているのでありまして、これは荒舩委員長の覇権反対に対する、アメリカ議会に対する交渉の内容の一部です。顔に似合わず荒訟さんという人は実にすぐれた政治家であると私は心から敬服をいたしておるところであります。
 ここまでいっているのでありますから、これはひとつ軌道に乗せることを私はいま一度総理に、あなたに確認をしておき丸いと思うのでありますが、いかがでありましょうか。もしソ連と日本との間に覇権反対のこの協定ができれば、その協定の上に立って、今度は核不使用の話し合いもできるでしょう。あるいは、何といいますか、日米安保条約を空洞化することもできましょう。アジア太平洋地域に非核武装地帯をつくるという、その話にまで進展していくことができましょう。そのときこそ日本がこのアジア太平洋の中に武器一つ持たずして裸で昼寝できるという、日本の安全が永久に確保せられるのであります。その基盤づくりなんです。
 総理大臣、あなたに聞いているのですが、いかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 よく検討いたします。
○小林(進)委員 情けないような声ですが、外務大臣、いかがですか。いま少し具体的に私はあなたの所見をお聞きしたい。
○園田国務大臣 各国はその方向に努力をしているところでありますから、逐次積み重ねていきたいと考えております。
○小林(進)委員 ともかく、こういう大国が錯綜しているアジア太平洋地域に非核武装地帯をつくるというのは、それは言葉で言うほど簡単でないこともわかっておりますけれども、一歩一歩やはり努力をしていくところに道は開かれるのですから、大いに私はやっていただきたいと思います。
 それから、第二番目に、これに関連いたしまして、時間がないから私は急ぎますけれども、日本と中国との間に核不使用、少なくとも日本と中国の間には核を使わぬぞという不使用の協定をお結びになる考えがあるかどうか。われわれの国は核はないのだから、そんなことを結ぶ必要はないとあなたはおっしゃるかもしれませんけれども、日本と中国が、日中平和友好条約ができて覇権国家にならないという基盤の上に立って、両国はお互いに核兵器を使わぬぞというこの宣言的協定を結ぶことは、アジア並びに太平洋、世界に対する影響がどんなに大きいかということを考える場合に、私はこれを政治の舞台に乗せてもらいたいと思う。
 私がなぜそれを言うかといいますと、これは一九七二年一月二十一日でありますが、周恩来総理が、いまは亡くなられたが、社会党・総評の代表団が北京に行ったときにわが党の代表に言われた。「中国は核実験を十三回やり、そのうち一回は失敗した。日本政府が日台条約をやめ、中国との戦争状態を終結して国交を開けば、中国政府は日本政府の要請に応じ核の不使用に関する取り決めに調印できる。そうなれば日中は同じ側に立って米ソに同じ要求ができる。」と言われた。これをやろうではないか。どうですか。平和友好条約ができたら、その日本政府の要請に応じて核の不使用に関する取り決めに中国は調印しますよ。もし日中の間にそれができれば、同じ側に立って一緒になって米ソにその要求ができるではないか。やろうではありませんか。私は実に崇高な提案であると思う。
 外務大臣、あなたはこれに対してどうお答えになりますか。これは社会党使節団に対する要請でありましたが、あなたは外務大臣として、あなたに中国政府からこういう要請があったら、あなたは何とお答えになりますか。お答えを願いたいと思います。
○園田国務大臣 友好条約の主眼は、アジアの平和と安定のために日中両国がお互いに侵し侵されない、覇権を行わない、こういうことが必然でありますから、お互いに鉄砲を撃たないというのに、核を使用するかしないかということは必要はないと存じますけれども、また一面、先ほどの非核武装地帯をつくるということから考えれば、そういう段階も必要が来るかもわかりませんから、十分検討いたします。
○小林(進)委員 あなたは私の言っていることを半分ぐらい理解されて、まだ半分ぐらいどうも理解の足りないような気がしますけれども、それはアジア太平洋地域において覇権国家にならない、平和原則を守るというのは、あれは総論です。それは橋をかけただけだ。その橋を今度は具体的に渡るときの各論だ。こういう各論を一つ一つ推していくことによって日本の平和、アジアの平和は保たれるのであります。時間がないのは残念でありますけれども、どうしてもこれはひとつ具体的に外交ルートに乗せてもらいたいと私は思います。周恩来さんが亡くなって、せっかく遺言としていま残っておるのでありますから、やりましょうと言っているのでありますから、ひとつやってくださいよ。これもきょうここであなたに確約をとれないけれども、この問題はまだ繰り返しここでやりますから、私の生きている限りこれをやりますから、そのつもりでひとつ考えておいていただきたい。これはやるべきです。大いにやらなくちゃならぬ。
 次に、時間もありませんけれども、第三番目は、あなたが国連の中で約束せられたSALT交渉に関する問題であります。「核兵器の廃絶という目標の達成のためには、すべての核兵器国の積極的貢献が不可欠であります。」とあなたは言っておられる。「しかるに、核兵器国による核軍備の削減のための努力はほとんど進展を見ておりません。」「ことに二つの核大国は、この点について特別の責任を有すると考えます。」これがいいところです。あなたの演説の中の一番白眉だ。そして、「わが国は、米ソ両国がこの特別の責任を自覚して、第二次戦略兵器制限交渉を、速やかに妥結せしめるとともに、更に戦略兵器の実質的削減を目標とする次の交渉を遅滞なく開始するよう強く要請致します。」と、こう言っておられる。
 これはいいのだ。いいが、具体的に言ってどうしようというのだ。いま世界の五十億の人民をふるえ上がらせているものは、インドに核があるとか、フランスに核があるとか、中国が核実験したなんて問題じゃない。米ソ二大強国が、このSALTの戦略兵器制限の名のもとに、どんどんとこの恐るべき核兵器を増大していることが人類をおびえさせている。地球の人類を七回絶滅してもまだ余りあるような兵器を二つの超大国が持っているということが、これが人類に無限の恐怖を与えておる。これを抑えるのが政治です。これが外交です。
 いみじくも、あなたはこれを国連の場で言われた。りっぱですよ。いままでの外務省の官僚なんかが言えないことをあなたはずばずばと言われた。実にりっぱだが、何をやるか。何にもない。一体、米ソに対してこれをあなたはどう要求されるのか、具体的な見解をひとつ承っておきたいと思う。抽象論は要りませんよ。具体的な話を、私は政治を論じているのでありますから……。
○園田国務大臣 SALT交渉についてはいろいろ経緯がありますが、米ソ両国で逐次話が煮詰まっておりまして、九月二十九日の国連総会のバーンズ国務長官の演説においては、今年末までには協定の決定の見通しがつく、こういう演説をやっております。私は、演説だけではなくて、バーンズ国務長官その他の方々と会う場合には、それに対する成功と期待に対する意見を具申し、努力をいたしております。
○小林(進)委員 それは米ソ両国の交渉の内容を三者的立場で私はお聞きしようと言うのではない。その交渉が成功するかしないかは、やってみなくちゃまだわかりません。それに対して、あなたが国連の場で発言したからには、具体的に米ソに対してあるいは申し込みをするとか、あるいは核を持たない国に共同的な体制をつくりながら何かのタイドをつくるとか、これをどう政治の日程に乗せるかということを私はお聞きしている。いいですか。向こうの情報をお聞きしているのじゃないのです。一体、日本の政府の外交日程にどうお乗せになるかということを聞いているのであります。
○園田国務大臣 バーンズ国務長官にもソ連の方にもそれぞれ、この協定の成功についてのそれぞれの意見を申し述べて努力をいたしております。
○小林(進)委員 私は、その程度の御発言では、まだ満足をするわけにはいきませんけれども、残念ながら時間がありませんので次の問題へ移ります。みんな半端になってしまって私は非常に残念なのでありますけれども、やむを得ません。
 次に私は、金大中事件についてお尋ねをいたします。
 日本と朝鮮半島との問題をあなたたちが平和裏に解決をしようとおっしゃるならば、この日本と朝鮮半島、日本と韓国との問題の解決ののど仏に食いついているのは金大中事件です。この問題を日本国民ののどに差し込んでおいて韓国との平和問題をのめのめと言ったところで、のめる問題ではありません。外務省などというあのつまらぬ――つまらぬ省と言ってもいいでしょう。もはや金大中事件は済んだなどと言っている。どこに済んだのですか。
 私は、警察庁長官にお尋ねいたしたいと思いますが、金大中事件の捜査はその後どうなっているのか、お答えを願いたい。
○鈴木政府委員 お答えいたします。
 警察といたしましては、現在約二十名の捜査員をもちまして継続捜査中でございます。
○小林(進)委員 二十三名が二十名に減ったのは残念でありますけれども、少なくとも形式的な捜査ではなくて、一体捜査員を置いたというが、もはや五年の歳月が経過している。その中で一人の犯人も挙がりましたか。一人の容疑者も出ましたか。一人の犯人も出ない。容疑者も出ない。その中で二十人を抱えて一体何をされているのか。国費の乱費じゃないですか。何かその後の実績が上がりましたか。経過についてお尋ねいたしたい。
○鈴木政府委員 警察といたしましては、あらゆる可能性を推測しながら、事実を積み重ねまして、慎重に捜査をしているわけでございますけれども、いまの段階におきましては、たびたび国会においてもお答えしておりますように、金東雲元一等書記官の指紋による割りつけ及び劉永福副領事の自動車が連行に使われたという疑いがきわめて濃いという以外におきましては、その後の捜査におきまして具体的な事実は出しておりません。
○小林(進)委員 いま金大中事件に対してこの問題が済んだと言っておるのは外務省だけです。国民は許しておりません。国民は承知をいたしておりません。この問題を解決しない限りは、いわゆる日本と韓国の問題に対しては断じて国民は了承しない。
 その一つの例は、五十三年、ことしの一月には、日本を代表する読売新聞が金大中拉致事件を大きくスクープいたしまして、九段から信濃路を通り北陸の港から韓国に運ばれていったという報道をいたしました。真偽は別にいたしまして……。毎日新聞は「金大中事件五年 いま証言する」こういう記事を一カ月にわたって連載をいたしました。国民は許さぬぞというしるしだ。朝日新聞はことしの九月十七日の報道で、いわゆる金大中は静岡県の焼津から遠州灘を通って拉致されたという、実にあの朝日新聞一面を埋めた記事を掲載いたしました。真偽は別でありまするけれども……。日本を代表する三大紙がかくもこの問題に情熱を傾けているということは、これは国民の意思を代表しているのだ。
 警察庁、あの朝日新聞の、焼津から遠州灘を通って韓国まで行ったという報道に対して、一体どういう見解を持っているのか、一言でいいからお聞かせを願いたい。
○鈴木政府委員 お答えいたします。
 連行ルートにつきましては、あらゆる可能性を推測しながら広範囲の網を張りまして、それぞれ捜査をしているわけでございますが、ただいまの遠州灘のケースにつきましては、われわれ捜査の結果、何らそういう事実はないということでございます。
○小林(進)委員 これは捜査当局と朝日新聞の対立でありまするが、われわれ立法府といたしましては、その真偽はどうでもいいのだ。やはりこれほど三大紙がこの問題について許さぬぞ、この真剣な取り組み方を高く評価しなくてはいけない。それを国民の目を覆い、済んだなどという外務官僚のこの恐るべき姿勢は、怒りをもってわれわれは了承することができない。
 この問題について私はお尋ねいたしますが、いわゆる金大中氏が拉致されたその直後、警察庁が、いまもお話がありました、いわゆる金東雲の指紋をつかんだ。このつかんだときに対して外務省がどういう態度をしたか。これをつかんだということに対して、警察庁当局、警察庁長官が外務省に対して、四十七歳の在日韓国大使館一等書記官金東雲に対し外務省を通じて出頭を要請した。これは指紋をつかんだのだ。金東雲を出頭させよという要請をした。それが四十八年の九月五日だ。しかるに外務省は、この警察庁の出頭要請したことに対して何をやったか。外務省はこの要請を受け――――――――――――――――――そして警視庁が金東雲の出頭を要請するということがあるから、韓国側はこの情報に対して速やかに処置をしなさい、それを打ち消すような処置をしなさいという事前通告をしている。その当時の駐韓大使であった後宮虎郎だ。虎郎はいわく、電報で、大使館員が関与しているという有力な資料をつかんだということを警察から得て、その要請があるから早急に善処をされたい、善処をしなさいという申し入れをした。申し入れのいわく、本省からその訓令が来ているから、その前に韓国側では自主的にひとつ善処をするように手を打ちなさい、そういう使いを持って、外務省本省の訓令を持って韓国へ行っている。これに対して一体韓国はどういう態度に出たかも当時の後宮大使は語っている。これに対して当時の韓国の外務大臣は、金溶植という外務大臣、これに会っていまの外務省の訓令を言うと、この韓国の外相は何と言ったかといいますと、善処せよというのは何事だ、善処せよと言うならせめて二、三日ぐらいは考慮する時間を与えて忠告してくれるのが外交の常道だ、たった一日ぐらい前にそれを善処せよなんと言ったところで間に合わないじゃないか、こういうことを言われて、この問題で日韓の間に大変感情のもつれができたという記憶がありますと彼は語っている。いいですか。こういう事実が一体あったかないか。私は、時間がないから言えないで残念ですが、これが一つ。
 まだいわく、当時の外務省の外務次官法眼晋作だが、彼は何と言ったか。この指紋問題について法眼晋作は、指紋が出たということは、個人の犯罪ならば指紋が出ただけでもうかぶとを脱ぐ、犯罪はクロと決定される、しかし、国家と国家とのやりとりというものは常識ではいかぬからね、日本の捜査当局が出頭を要請するのは当然かもしれないが、しかし、命令を出してもすぐ出てくるものとはだれも思っていないよと彼は語っている。
 これが外務省を代表する姿勢なんです。いいですか。こういうことをやられていたのでは、国民がどう騒いでも金大中事件が解決するわけがない。早く問題を打ち切ってくれというのが外務省の本音だ。公式には言っていないけれども、早くこの問題を打ち切ってくれ。警察として要請すべきことは、これはいまの山本長官が言っているのですが、外務省の態度に対しで、警察としては要請すべきことはきちんと外務省に要請するが、それを相手にどの程度の強さでぶつけるか、それはもう国と国との関係で、外交的な配慮もありますから、最終的には外交的判断に任せる以外にはない、警察庁としてはどうにもならないということを言っているわけです。問題の本質を明らかにしてくれたのです。金大中を隠したのは外務省なんです。こういうあきれた存在、――――――――――――――――――――国民の目を奪っているという証拠が幾つも出ている。
 なお、韓国問題を解決するために、外務省は金山政英元大使を使ってもみ消し運動をやらせた。この金山政英氏がいわゆる韓国の当時の金鍾泌国務総理と会見した会見の内容も一部出ている。その内容には何と書いてあるか。問題は、金東雲がクロだということを一言認めてくれれば問題が解決するからこれを言ってください、こういうことを言ったのに対して金鍾泌総理は、金東雲はあくまでもシロだと言う。そこで金山元大使は、ともかく過剰忠誠で、彼がやったのだということをうそでもいいから認めてくれ、こう金鍾泌に言った。これに対して、いや、絶対にそんなことはないと金鍾泌は否定している。それについて当時の金鍾泌国務総理が、しかし、日本政府に迷惑をかけたのだから、自分が日本に行って田中総理に会って遺憾の意を表したい、一国の総理が国を代表して遺憾の意を表するということになれば、これが最高の解決の方法ではないか、こういうことを言われている。この問題を中心に日本と韓国とその後二、三のやりとりがあったその結果、ついに十一月の二日に金鍾泌氏が来日をして田中総理に面会をしている。そこで金大中事件の第一回目の幕引きが行われた、こういうインチキが行われて一体いいのですか。時間がないから残念だけれども、本当に私は徹底的にこの問題をやりたい。
 なお、この問題に入っているのは後宮大使だけではない。金山元大使だけではない。われわれの先輩国会議員の岸信介議員、矢次氏も入っている。この問題のさなかに、九月二十七日には日韓協力委員会の第十回常任委員会というものが韓国で開催せられて、岸さんが団長になって、石井顧問あるいは事務総長に田中龍夫、常任理事に矢次氏等十二名の国会議員、それに八人の随員を連れてソウルに乗り込んでいって、そのときに行われた会談の内容は何だ。これは刑事事件と外交交渉とは別個に切り離して、金大中は別にして日韓の定期閣僚会議を早く開いて、日本から借金をさせる、金を貸す話を早くやろうではないか。この話を決めてきて岸さんは、十日の日に当時の総理大臣の田中さんに会って、十月の十二日に田中さんが、刑事事件と外交問題は切り離して解決するということを山形において発表せられている。いいですか、これはみんなつくられた証拠じゃないですか。この問題に対して、岸さんについていった財界の巨頭の矢次氏が何と言っているか。そのときの言葉なんか暴言もはなはだしい。金大中拉致事件の本質は大した問題ではない、韓国人が韓国人によってちょっと持っていかれた、それだけの話ではないか、こういうような発言をしている。いまの話をずっと継続的に持ってきても、その中に、日本の主権が侵された、金大中という人間のいわゆる人権が失われているという言葉が、この外務省の外交の中に一言でも出ておりますか。
 宮澤さん、あなたはいま腕を組んでいるけれども、何ですか、あなたは、五十年の七月には韓国に行って、韓国といわゆる外相会議をやっている。その外相会議の中でだれが聞いても一言も、金大中を釈放してくれ、日本に返してくれという言葉は、韓国側さえあなたの中から出てくるかと思って期待したけれども、一言もなかった。金大中は韓国の国内法の選挙違反で縛られているのだからという、そういう恬然たる姿勢である。これが外務大臣を中心にする外務官僚だ。日本の主権が侵されたのだが、こういう問題に一つも触れていない。韓国人が韓国人をちょっと持っていったんだというくらいの認識しかない。これで一体、国家の独立が保たれるのでありまするか。
 私は、この問題を含めて、予算委員長に聞きまするけれども、こういう問題をこのままにしておくことは了承できません。すなわち後宮、金山、それから岸さん、矢次、これをわが予算委員会に参考人としてひとつ招致をすることを御承諾いただきたい。私どもは、この問題の真相をどうしても国民の前に明らかに聞かなければならない。よろしゅうございますか。これを私はお願いいたしたい、よろしゅうございますか。
○中野委員長 後ほどまた理事会で相談をして、適宜な処置をとります。
○小林(進)委員 こういう問題に対してハーバード大学のライシャワー――ライシャワーさんは元日本の大使であり、皆さん方が一番尊敬しているアメリカのいまの著名なる人である。何も私が経歴を言わぬでもいい。そのライシャワーさんがこの金大中事件に対して、これは最近の発言ですが、何と言っておられるか。これから先はライシャワー氏の発言だ。「東京のホテルから一人の政治家が拉致されて五年たった。犯人はだれ一人つかまらない。拉致された被害者は帰ってこない。だが、政府はすべてが決着がついたと言っている。これでよいのか。金大中氏が韓国に帰国すれば当然危険はあると思ったが、まさか日本でこのようなことが起ころうとは思っていなかった。私はKCIAがやったことだと一貫して思っている。数々の証拠と状況から見てもKCIAの犯行だというのが合理的に納得できる唯一の結論だ。まさかマフィアの犯行だというわけではなかろう。この犯行はある意味で国際秩序に対する挑戦だ。米国は韓国に対していろいろのてこを持っているから、もっと強い態度に出てもよかった。だが、日本は自国の主権が侵されたのだから、何といっても強硬な態度に出るのが当然だ。日本と米国は連名で金大中氏の国外出国を韓国に要求すべきだった。」いいですか、外務大臣。「日本とアメリカは連名で金大中氏の国外出国を韓国に要求すべきだった。私は、日本政府のとった態度に失望した。この事件は日本の主権を侵し、日本にとっては最大の侮辱なのだ。事件が起きたら直ちに金大中氏の釈放と日本への送還を断固として要求すべきであった。それなのに、きわめてあいまいなやり方で解決を図るようにした。金大中氏の原状回復もされないのに韓国の首相の訪日による政治解決をなぜ受け入れたのか、いまでも私には理解できない。日本の強硬な抗議によって韓国が金大中氏を国外に戻せば、韓国政府にとっても大きなプラスになったであろう」云々と言っておられるのであります。
 私は、このライシャワー氏の発言によってまことに救われた気持ちになった。これが日本を代表する日本人の総理大臣なり外務大臣の話なら、私は随喜の涙をこぼしてあげたいと思うが、こういう言葉がなぜ一体日本の政治家の中から出てこないのですか。総理大臣いかがですか。まだあなたはこれを幕を引いたままにしておくとおっしゃるのか、このライシャワーの発言に対して、私はあなたの御所見を承っておきたいのであります。
○福田内閣総理大臣 金大中事件につきましては、御承知のように一応政治的決着がついた、こういうことにしておりますが、刑事事件といたしましてはなお捜査を続行しておるのです。捜査の結果、日本の主権侵犯という事実が明らかになりますれば、そのときはまた政治決着について考え直す、こういう考えです。
○小林(進)委員 追い詰められないのがまことに残念だ。まだ証拠は山ほどある。
 最後に一言言いまするけれども、オルランド・レテリエ事件というのを外務大臣、御存じですか。これは最近アメリカに起こった事件、御存じですか、申し上げましょうか。
 金大中事件と共通の点がある。オルランド・レテリエ虐殺事件、これに対する米国のとった態度、これをまねしなさいと言っている。元駐米チリの大使で、その後、悲運なアジェンデ政府の閣僚を務めたレテリエ氏は、一九七六年、おととしワシントンでチリの秘密警察、韓国のKCIAと同じだ、その手で暗殺された。この犯罪は金大中誘拐事件と非常に似通っている。これは、たとえば反政府派の口を封じていること、実行したのが秘密情報機関がやったこと、これに対して、アメリカがこのレテリエ事件でとった態度は実に適切だった。いまのカーター政権です。カーター大統領政権が勇気と粘りを持ってレテリエ氏暗殺犯人を告発した。正義がいまアメリカにおいて行われている。なぜ日本はこのまねをしないのか、こういうアメリカの批判が日本にも出ている。調べてください。この事件の真相、外務省を通じて私のところへもっとつまびらかな資料をひとつ出していただきたい。
 それで、この問題についてあなたは一体どう処置せられるのか。もう余り時間がないから、私は仲間から大変に怒られるのでありますが、一つ言います。大事なことです。
 なぜ日本の政府がこんなに弱いかということに対して、元アメリカ国務省の極東部長であるレイナード氏がこう言っている。なぜやらないか、それは韓国政府が長きにわたって日本の政治家に金を渡しているからだと彼は言っている。これは長い間やった証拠だということを彼は全部言いながら、その最後にこう言っている、すなわち「韓国政府が日本の与党政治家に献金をするという習慣は李承晩政権時代にまでその起源をさかのぼり、政権末期の一九五九、六〇年ごろにそうした献金のパターンが確立されたといえる。私は五九年から六〇年代初めまでソウルの米国大使館に勤め、そうした献金の実態を米大使館の機密報告、そのほかで克明に掌握する立場にあった。五九年ごろそうしたインテリジェンス・レポートで毎日のように韓国政府から日本の個々の与党政治家にどれだけの額の金が寄付されたかが報告されていた。やり方としては、李承晩大統領の腹心だった当時の駐日韓国代表が自ら直接、日本の政治家に会って現金を手渡していた。その献金についてはしばしば同代表から韓国の外務省を飛び越して直接李大統領へと事後報告されていた。私は当時極東勤務が新しく、韓国政府のそういうやり方も知らず、対日献金の実態には大変驚かされた。韓国政府の金が日本の政治家のだれとだれにいくらという事例の報告を連日驚きながら読んだ。なお、いまでもまざまざと覚えている。当時、日韓の国交正常化はまだだったが、李承晩大統領は日本の与党への献金により在日朝鮮人の本国帰還、韓国美術品の本国送還、日本から韓国への賠償援助供与などについて日本の国会や政府が有利な決定をするようになることを狙いとしていた。こういう目的と手段に基づく韓国から日本への政治献金はその後も絶えることなく続き、金額もどんどん増えた。米国政府はそういう金の流れを一貫して確実につかんでいた。最近の献金では駐日韓国大使館が直接動くことはなく、韓国から時折訪日する政府要人が直接日本の政治家に金を渡す役目を果たすことが多くなっていた。日本の政治家も選挙が多く金が必要だからどうしても受け取ることがほとんどで、その献金によって日本の国会議員が韓国に有利になるように動くというパターンは李承晩政権崩壊後もずっと続いていた。」今日も変わりはない。
 これは巷間のうわさ話じゃありませんよ。これはアメリカのいわゆる国務省の要人が世界に発表した記事だ。こういうことを言われて、われわれは黙っていることができますか。単に与党だけの問題ではありません一与野党を含めた日本の国会の政治姿勢の問題でありまするから、米国にもいわゆるフレーザー委員会がある、チャーチ委員会があるごとく、日本においてもこういう問題の真相を追及する委員会は設けられてしかるべきだ。なければ日本の恥を世界にさらすことになるのであります。
 そこで委員長、私は言いまするけれども、せめてひとつ予算委員会にこのレイナード発言、日本の国会議員が韓国から金をもらっているというこの問題を審議する小委員会を早急に設けられて調査に入られんことを私は要望するものであります。いかがでございましょう、委員長。
○中野委員長 また理事会に御相談をして適当に処置するようにいたします。
○小林(進)委員 適当に――適当になんて、そんなあいまいなことじゃいけませんよ。委員長、そんなことを言うと、あなた自身が疑われますよ。みずからの潔白も証明するという意味で――あなた、与党に所属しているのでありまするから……。
 この資料、早く閣僚の方へ配ってください。
 最後に、私は、時間が参りましたから、これは一言紹介いたしまするけれども、いまお配りいたしました「兵役期間を年金に通算する提案」というのは、これは与党だけじゃありません。与野党一致してでき上がった軍歴通算議員連盟というのがございまして、この議員連盟の会長は櫻内義雄という人であります。これは御存じでありましょう、総理大臣。櫻内義雄氏が会長、私が副会長、事務局長はわが党の武藤山治政策審議会長、各党が全部入っております。
 これは何を要求しているかといいますると、同じ兵隊に行って、一年から十一年間の間兵隊でとられていた者が、帰ってきて――甲というのはこれは公務員です。公務員あるいは公共企業体の職員になると二十年で共済年金がついている。五十五歳から共済年金の支給はされるが、それにアルファして、この一年から十一年間の兵隊期間が期間に通算される、いいですか。ところが、同じ兵隊で同じ暮らしをしておりながら、帰ってきて会社員あるいは自由業者、農民になりますと、会社員は厚生年金、二十年勤めて六十歳になって厚生年金はもらうが、軍人でいた、兵隊でいた期間はゼロです。加算にならない。同じ百姓、農業者でも、これはまた二十五年、六十五歳になって国民国金が給付されるけれども、軍人でいた、兵隊でいた期間はゼロです。同じ戦地の中で一年も十一年も同じ弾あらしの中で共同の生活をしておきながら、帰ってきて公務員であった、公共企業体の職員であった、五十五歳から年金をもらって、それになお兵隊期間が通算されて二十年なり十年が加算されれば三十年、四十年になる。片方は、同じでも会社員であり、自由業者であるならば、その同じいた兵隊期間が一年も加算されないという、職業によって差別がある。こういうようなことが政治の舞台で許されていいかどうか、私はこれをお伺いいたしたい。その問題でありまするから、理解力の強い櫻内義雄氏がみずから会長を買って出ました。こういう政治の不公平は、これは福田内閣の名誉に関する問題であるから、総裁選挙の前にこれはどうしても解決しておかなければならないということで孤軍奮闘せられておるのでありまするが、総理、私はこの問題を一気に解決せよと言うのではないのであります。こんな不公平を三十年もやってきた政治の盲点をひとつ後悔されて、これを調査する調査費というものを五十四年度の国家予算に計上していただいて、いま少し真剣に取り組んでいただけないかということでございます。総理の御発言をお伺いいたしたいのであります。
○福田内閣総理大臣 ただいま小林さんから御指摘の問題につきましては、篤と検討いたします。
○小林(進)委員 可能性に向かって御審議いただくことを心から期待いたしまして、まだ用意いたしました質問の十分の一も済んでいないのでありますが、残念ながら時間に迫られて、私の質問はここで終わることにいたします。大変どうもありがとうございました。
○中野委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。
 広沢直樹君。
○広沢委員 予算委員会が再開されたわけでありますが、前半の質問を伺っておりますと、総理は、今回の補正予算並びに総合景気対策に対して、七%成長には大変自信をお示しになっていらっしゃいます。また、数々の質問に対しましても、七%成長に対しましては絶対責任を持つ、こういうふうに言うておられますけれども、やはりその言葉の陰には先行き不安を隠せない、こういうことが前段の議論の中では出ておりました。また、新聞の批評を見ておりましても、やはり先行きの不安は隠し得ず、その原因は円高による輸出の落ち込みの懸念、それからまた円高のデフレ効果をつかみがたい、こういった問題があるわけでありますし、また、代表質問の与党の質問の中にも、第二次補正が必要じゃないかという声が出ておるわけでございます。
 こういったことを考え合わせてみますと、どうも政府の自信はぐらつきぎみじゃないか、こういうふうに考えられるわけでありますが、確かに数数指摘がありましたように、円高による輸出の落ち込みの懸念というのは、これから先大変な問題だと思います。輸出数量が四−六月、いわゆる第一・四半期で二・六%減、あるいは七月には七・六%、八月には四・七%、九月にも八%前後の減があるのじゃないか、こういう状況でございますし、最近また、マルクを中心としてまた円にも影響してきておりますが、円高の傾向も出ております。
 こういうことを考えておりますと、過去三年にわたってとってきた政府の景気対策、いわゆる公共事業一本やり、こういった問題は考え直さなければならないのじゃないだろうか。当初予算の審議のときにもこういった同じような論議が繰り返されておるわけであります。昨年も同じような論議を繰り返しながらついに補正予算を組み、第二次補正を組んで、最終的には政府の見通しというものを二度も是正しなければならない、こういう状況になってきております。
 私も、このままの情勢でありますと、最近の税収見込みは、進捗率を見ましても大変な落ち込みようでございますし、このまま円高基調が続いていくならば、やはりまた去年と同じような第二次補正に追い込まれるのは必至であろう、このように思うわけであります。特に、当初予算のときの円レートは大体二百四十円で見ていた、今度の補正では二百円、それが実態は百八十円台で動いておるわけでありますが、こうした影響がやはり十二月ごろに出てくるのではないか、こういうふうに考えられます。したがって、政府の方も、減量経営、あるいは在庫調整についても一巡したという見方が相当ずれ込んできた、こういう見方をとっているわけであります。
 私は、こういった一つの流れから考えてみますと、やはり私たちが主張しましたように、公共事業一本やりではなくて、もっと具体的な総合的な手を打っていかなければならない。私は、念を押すようでありますけれども、こういうあり方で、果たして政府がいま前段の議論の中で申しておりましたように景気に対しての責任がはっきり持てるのかどうか、言い切れるのかどうか、そういったことをもう一度念のために聞いておきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 わが国の経済は、これを大観しますと、その国内的側面はわりあいに順調に動いておると思うのです。私は、わが国の経済の黒一点だ、こう申し上げている点があるのですよ。それは通貨不安の問題だった。
 そこで、これから先を展望しますと、通貨不安の中で円高がこの一年間に大変激しい状態で襲いかかってきておりましたが、これからそう急激なこともないのじゃないか、そのような感じもいたします。それにしても、いま出てきておる円高現象、これがこれからの輸出にかなり暗い影を投げかけるだろう。現に数量的には上半期でも少し減ってきているのです。下半期に入りましてからかなり、いま広沢さんもお話がありましたように、それが深刻になってきておる。これをほうっておきますと、国全体の経済とすると、これは七%成長というようなわけにいくまい。そういうようなことに考えまして、輸出の減退というか、停滞ですね、停滞によって引き起こされるデフレ効果を消す、そういう性格の総合対策を決定したわけです。もとより補正予算だけじゃありません。これは中小企業対策だとか雇用対策だとか、そういういろいろな角度からの総合対策を決定したわけですが、これを速やかに予算の御成立を願って、そして実行するということになりますれば、これは私は、国の経済は大体政府が見通してきた程度のことはいける、このように確信をいたしております。
○広沢委員 先ほど申し上げましたように、円高の影響というものが輸出減少になり、そして国内のデフレ要因を大きくしている、こういうことでございます。その円高の影響というのは、先ほど申し上げましたように、昨年の後半から厳しい円高に見舞われた、その影響がだんだんに出てきて、第一・四半期の四−六月期には、いままで不況期にも輸出というのは数量的に減ったことはないのですけれども、初めて二・六という数量的な減があった。その後にまた、ボン会議後に、予想もしなかった八十円台といいますか、そこまで急激な円高に見舞われた。その影響は、恐らく出てくるのはやはり十二月ごろになるのじゃないか。これは前の議論でもそういうことですし、タイムラグがありますから、そういうことにあらわれてくるのじゃないか。こういうことになりますと、大体いま石油ショック以後、四十八年から五十二年、ことしまでも入れてもいいのですが、GNPの増加寄与率というのは、輸出が大体中心になって引っ張ってきた。次いで消費ですね。また、その反面、民間の設備投資というのが逆にマイナスになっている、こういう状況が景気の情勢になっているわけでございます。その輸出がさっき言ったようにどんどん落ち込みをしているということになりますと、それは確かに黒字減らしという面からは、ある意味では輸出が減るということは、円高になるということはそのことですから、考え得ることではありますけれども、やはり政府の見通しから、輸出の減少というものがこれから顕著になってくるという見通しに立ちますならば、総合対策の中には消費を直接喚起する政策というものが当然考えられていかなければならない問題ではないかと私ども思うわけです。
 私は、これまでの議論をずっと考えておりまして、どうもはっきりしない点もあるので基本的にひとつ伺っておきたいのですが、今回減税の問題についても野党から強い要求があったわけでありますけれども、財源難ということで、財源があればやりたいんだというような言葉を言いながらも、財源難だからできないんだ。確かに、いまの財政危機の状況というものは看過できない重大な問題だと私は思う。しかし、財政再建というものはやはり短期的にできるものではございませんで、中長期的な計画のもとに行財政の見直しだとか税制の改革だとか、やるべき前提条件というのは非常な問題がたくさんあるわけですね。そういったことを総合的にかみ合わせながら財政再建というものを考えていかなければならない。景気対策というのは、御承知のように当面の対策であります。しかも、不況が長引いておるときには財政事情を悪化さしていく大きな要因になっていることは否めないわけであります。中長期計画をこれから改定ないしは策定しよう、こういう段階にあるわけでありますが、そういった意味から、消費を直接刺激するような政策も当然、それは時期とかいろいろな問題があるかと思いますが、考えていかなければならない問題である、このように私どもは考えておるわけですが、総理、もう一度、念を押すようですが、お考えを承っておきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 いま財政が非常に深刻な状態なんです。下手をすると財政インフレを起こしかねない、こういうような状態でございます。御承知のように、財政の中で三七%が公債財源である、そういう国はほかにはないのです。そういうような状態で、しかも一刻も早く景気を軌道に乗せたいということを念願しておる。景気が軌道に乗ってくれば設備投資が起こってくるのです。十兆を超える公債を発行しておる。政府はそれを消化しなければならぬ。一方、来年、再来年、再々来年、これはだんだんと設備投資が起こってくるだろう。その競合が起こってきたらこれは大変なことになるのです。そういうような先々のことまで考えますと、ここで減税というような時期ではとうていない、そういうふうに考えておるわけです。まあ一兆円なら一兆円の財源があるとするならば、減税か公共投資かといいますれば、これは文句なしに私は一年限りの公共投資、これがいいのだ、後にずっと尾を引いて財政を圧迫する要素になる減税、これはとり得ざるものである、そのように考えます。
○広沢委員 これまでの、石油ショック以後の経済を支えてきたといいますか、GNPの寄与率は、先ほど申し上げましたように輸出、消費支出、こういうことになっておりますが、輸出の方が相当なかげり、先行き不安ということをおっしゃっていらっしゃるわけですから、それにかわるものとして、やはり個人消費支出をいかにしてふやすかということが、当面の対策としてどうしても必要になってくるのじゃないか。個人消費という問題は、心理的効果というものが非常にあると思うのですね。それに対する直接な刺激材料になっていくのは減税だとか福祉だとか、そういった面を考えていくということ自体が国民の生活に与える影響というものははかり知れないものがある。これは大きい小さいの問題もある、時期の問題もある、いろいろな条件というものがあるだろうと思うのですけれども、やはり政策の一つの大きな要因としてはこれは考えていかなければならない問題であるということなんですね。
 それで、私はこの問題ばかり触れても平行線になってしまいますが、総理の基本的なお考えの中で財政難を特に挙げられております。それはよくわかっておることなんですけれども、それでは、いまの赤字国債、財政が苦しいときには、景気対策の手段としては、いかなる場合も総理は減税ということは考えることはできないのだ、そういう政策はとることはできないということをお考えになっていらっしゃるのですか。どうでしょう。
○福田内閣総理大臣 先ほどから申し上げておるとおり、財政が非常に深刻な状態だ。先々のことを考えますと、何としても早く経常赤字を消すということを実現しなければならぬ。そういうことを考えますと、先々は国民に負担の増加を求めるということまでもあるいは考えなければならぬじゃないかというような事態になってきておるわけなんです。そういう際でありますから、この際減税をする――減税というのは、一年限りやって後で引っ込めるということになれば、これはまた増税ですからね、これは相当またその際衝撃がある。結局、本年度において減税をするというようなことになりますと、後々の財政をそれだけ圧迫する、こういうことになってくる。その辺を考えますと、なかなか所得減税、それによって消費を刺激する、そういう考え方はこの際はとれない、このように私は考えます。
○広沢委員 この際はとれないと申しておるのですが、私は基本的に、いま言うような状況下においては景気対策としての減税あるいは福祉、いわゆる消費に直接波及効果の大きいそういう対策はもうおとりになる考えはないのかと聞いておるわけであります。第二次補正の話も出ております。また来年も、総理は内需拡大を刺激的にやっていかなければならない。また将来も、そういうことはいろいろな関係で当然起こってくるわけでありましょう。政府の態度というのは、それでは、財政が少々大変だからということになれば、再建の方を先にして、そっちの方を考えて、当面の景気対策は必要であったってそれはできないんだという考えに立つのかということを基本的に、念を押して聞いておるわけであります。どうなんでしょう。
○福田内閣総理大臣 来年のことになりますと、来年の事態を想定いたしまして、そしてどういう対策をとるのがいいかということを決めます。恐らく来年度は、ことしと同様に円高の影響というものがかなりの勢いでのしかかってくる。そういう中におきまして内需振興政策、これをとらざるを得ない、このように思いますが、その際の考え方といたしましては、やはり来年度におきましても公共投資を中心として内需を振興する、こういう考え方が妥当なところではなかろうか、このように考えます。もとより来年のことですから、これからいろいろ慎重に考えなければなりませんけれども、大方の見方としてはそのような感じがいたします。
○広沢委員 輸出も減る、そして個人消費にもかげりが見えてくるということになれば、いままで国内景気をこの不況の時代に支えてきたいわゆる二本柱がかげりを見せてくるということになれば、これは国民もますます萎縮してきますし、経済的にはマイナスの要因が出てくると思うのですね。ですから、やはり具体的には総合対策の中に消費を直接刺激するような減税あるいは福祉に対する考え方を当然入れるべきであるということを、私は主張として申し上げておきたいと思います。
 そこで、きょうは通貨の問題について、先ほども総理は、経済に与える黒一点は通貨問題である。確かに急激な円の高騰に見られる通貨問題が大きく影響していることは否めないことでございます。そこで、通貨の情勢とそれに対する対応について、若干伺っておきたいと思うわけであります。
 もとより通貨不安というのは、基軸通貨であるドルの信認低下を意味しているということでありますが、これまでの通貨を問題とした一連の会議の状況、特に先進国首脳会議でございますが、第一回は一九七五年ランブイエで行われて、そのときに通貨変動相場制というものが確認をされた。その後サンファンの会議、ロンドン会議、そして今回のボン会議が行われているわけであります。その間、黒字国の責任ということは非常に問題になってまいりましたし、特にロンドン会議においては、世界景気の中だるみの中で強弱の二極の分化、こういったことが取り上げられた中では黒字国の責任ということに集中した、こういうことになっておりますが、今度のボン会議においては、むしろそういうことよりもいわゆる各国の役割りの分担が確認された。そして、言うならば米国のドル防衛策ということに論議の焦点があったやに伺っておるわけであります。したがって、総理も最近、円高よりもドル安が問題だと言われるのは、そういったことも背景にあるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、一応そういうふうな方向に全体の目が向けられてきている。いわゆる黒字国の責任というよりも、ドル安、ドルの安定の本質について大体の見方が変わってきた、こういうふうに受け取られるものなのかどうか、その点についての御所見を承りたいと思います。
○福田内閣総理大臣 わが国は、先進工業国の中で一番大きな黒字をいま出しておるのです。これに対しまして黒字を減らせ、こういう議論は一般的にはあるのです。しかし、たとえば先進国首脳会議、そういう場とかあるいはその他の場におきまして、私に向かって、日本は黒字を減らすべきだというふうになかなか言い得ざる立場にある国が多いのです。と申しますのは、日本はいま黒字減らしに相当努力しているのですよ。政府の努力ももちろんある。それに加えて円高という影響もある。数量的には、ことし、五十三年度を展望しますと、数量で七%ぐらいやろうというのです。ところが、これをドルに換算してみますと、七%は減らない、逆に十数%もふえるかもしらぬという展望になるわけです。それは一体何だといいますれば、わが国の商品が海外においてより高く売れる、こういうことなのです。その背景は何だというと、そういう状態を許す海外諸国のインフレ、これがいま問題にもなってきておるわけなのです。
 私は、いま来ておるクレプス商務長官にもはっきり言っているのです。私は本当に努力しているのだ。私の気持ちを言えば、日本の有名な詩人石川という人がおる、「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」、これが私の気持ちなのですよ。日本は最善を尽くしているのだ。しかし、あなたの国、その他の国でインフレが進行しておる。そこでドルに換算すると、量では減るところの輸出というものが、額ではふえてしまうのだ。日本は最善を尽くしておるが、貿易相手国においても最善を尽くしてもらわないと、この黒字問題というものは解決しない、こういうことを私は強調しておいたのです。そういう、黒字はもちろん悪いのだが、お出たちにも問題があるのだという認識はかなり高まっておる、このように考えております。
○広沢委員 時間がないので、答弁も簡潔にお願いしたいと思います。
 そこで、端的にお伺いいたします。きょうは日銀総裁にも御出席いただいておりますので、現在の円の実勢ですね、これは割り高になっておる、これが大方の見方であろうと思いますし、いま言う一連の会議を通じても余り批判がなくなってきたということも、いまお話しになりましたような国際協調的な見方をしていかなければドルという問題の基本的な解決にならないという感覚になってきたということにあろうかと思うのです。
 まず、日銀総裁にお伺いいたしますが、いまの実勢をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。
○森永参考人 お答え申し上げます。
 変動相場制のもとでございますので、為替市場を預かる者の一人といたしまして、現在の為替相場が高いとか安いとか、あるいはどのぐらいが適正かということは、言うことを差し控えた方がいいと存じますけれども、昨年九月以後の円高は余りにもテンポが速過ぎ、かつ結果として達しました水準も、スミソニアン比でもうドイツ・マルクと並ぶところまで来ておるわけでございまして、水準としてはかなり高くなっていることは疑いを入れないところであります。それだけドルが下がっておるわけでございますが、個人的には、やはりドルが過小評価されている結果が円高にあらわれておるという感じでおる次第でございます。
 きょう十一時現在の東京市場の為替相場は百八十七円四十銭でございまして、ここ数日九十円を割っておるわけでございますが、これは主としてドイツ・マルク高につれて上がっておるということのようでございます。国内の為替市場そのものは、最近は大変落ちついた雰囲気で推移いたしておりますし、またドルにしろ円にしろ、為替相場変動の背景にございますところの基礎的な諸条件がこのごろ大分変わってきつつある。アメリカの国際収支は、わずかではございますが赤字が減少の方向に向かっておりますし、日本の国際収支も黒字幅が縮小の傾向に向かっておりますし、また、アメリカ政府のドル価値維持についての決意も並み並みならぬものでございます。具体的な措置も相次いでとられたような次第でございますので、昨年九月以後たどりましたような急激な円高が今後再び起こるとは考えられないと思います。私どもといたしましても極力為替相場の安定をこいねがってやまない次第でございます。
 以上。
○広沢委員 フロート下におきましては、それは、一つは経済の実勢をあらわすものとして、固定的相場ではありませんから動かないということは言えないだろうと思うのですけれども、政府の方はこの点についてどういうふうに見ておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○村山国務大臣 これはIMFでもしばしば論議されたわけでございますが、やはり基本的には経済の基礎的な条件が決めるであろう。しかし、それによって形成された相場については、いわゆる国際収支調整能力というものが考えられまして、Jカーブあるいはある段階に行きますと逆Jカーブの問題が出てくる。しかし、また同時に、その間に、それが出てくる過程において短期資金の移動の関係がありまして、それらのものが交錯しておるところにこの為替相場の非常にむずかしい問題があるわけでございます。
 したがいまして、私たちは、第一に言いましたことは、何といっても基礎的条件、日本は総合経済対策を決定した、特に基軸通貨として、先ほど総理が言われましたようにアメリカにおけるインフレ対策、エネルギー対策あるいは輸出振興対策の重要性を説いたわけでございますし、同時に、それらの為替市場のあり方については、無理に介入するということではなくて、その短期資金の移動による不自然なもの、そういうものに対しては各国がやはり協調してやっていかなくてはならぬということを強調したわけでございまして、その点の理論的な問題に関する限りは各国恐らく同感であったと思うのでございます。幸いにいたしまして、わが国の総合経済対策決定と相前後いたしまして、八月半ばからアメリカが一連の基本的な経済政策について、インフレ防止、エネルギー対策、輸出対策等を決めてまいりましたので、われわれは評価し、さらにその政策を前進することを強く要望した次第でございます。
○広沢委員 それは後ほどもお伺いしますけれども、一応、現在の円の実勢を率直に言ってどう見ておられるかということをお伺いしたいのです。
○村山国務大臣 何と申しましてもやはり基礎的な条件が私は基本的だと思いますし、その意味では、日本の総合経済対策と基軸通貨の方で努力しておりますので、まずまず、いま百九十円程度を中心にして安定しておるわけでございます。したがって、市場相場を今後予測するというのは、さっき申しましたようにいろいろな動きがあるものですから予断はできませんけれども、よほどの材料がない限り、まあまあ今後そういうような大きな変動はないであろうし、また、なくてほしいということは基本的な認識でございます。
○広沢委員 やはりフロート下でありますから、それは経済の実勢をあらわすものとして長期的には変動してまいるだろうと思いますが、急激な騰貴を含んだ円高というものは、やはりその次元においては割り高になっているから何らかの対応をしなければならないという、通貨面に対する各国の協調を呼びかけると同時に、具体的な手を打っていかなければならないのじゃないか。それは、先般もずっと批判もございましたけれども、恣意的に円安をやっているのじゃないかというような疑問も以前にはあったようでございます。そういう経済の実勢よりもまだまだ円安の状況であるということでございますれば、それはある程度成り行きに一応任せておこうということもあるかもしれませんが、やはりもうこの辺がぎりぎりのところじゃないかということになれば、通貨問題に対しても具体的な手を打っていかなければならないのじゃないかと思うわけです。これは、先ほどから総理もお話がありますように、確かにこれからある程度黒字が続く、そしてまたアメリカのドル防衛策が具体的に進まない限り、そういった円高基調、いつ、どういうことでまた急激な変動があるかわからないという要因はあると思うのですね。したがって、そうなれば、いま言うように円高というか、円が割り高の状況になってきているという状況の中では、やはりこれに対する具体的な対策を打たなければならないのじゃないか、このように思うわけでございますが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○村山国務大臣 割り高であるかどうかというのは非常にむずかしい問題でございますが、仮に割り高であるとすれば、それはまさに当然、為替市場の本来の変動為替相場として調整されていくべき筋合いの問題である。ただ、いまの短期資金がその間そういう自然調整を待たずして動く、非常なイレギュラー分子が出てくるわけでございまして、これが本来の調整機能とは別に円高をもし誘っておるとすれば、それは不正常な部分でございますから、当然IMFの協定によりまして介入の義務を負わされているわけでございます。したがいまして、日本銀行を中心といたしまして、そういうイレギュラー分子に対してはわれわれはいま適切な介入をやっておる、こういうことでございます。
○広沢委員 先ほど総理は、円高というよりもドル不安である、そこに今日の問題があるというお話をなさっておられたのですが、そのためには、やはりアメリカのドル防衛策が次々に一応打たれておりますけれども、果たしてそれだけでいまのドル不安の本質というものは解消できるであろうかということが疑問視されておるわけでありますが、その点はどういう見方をなさっていらっしゃいますか。
○村山国務大臣 八月中旬にカーター大統領がドル防衛の決意を述べましてから、公定歩合が二回にわたって引き上げられ、それから金の売却の量がふやされ、それからまた海外からの資金流入の預金準備率が外され、さらにまた今回におきましては天然ガス法案が通る、また、まだ実施はされておりませんけれども、賃金等についてスタンダードのラインを決めて今後物価政策に対して労働並びに企業に協力を求めたい、こういう一連の政策を持っておりますし、それから、来年度以降の予算のあり方について赤字を縮減していく、こういうことを相次いで発表されているわけでございます。したがいまして、少し安定しているように思いますが、さらにその問題を具体化していただきたいということをわれわれは強く要望しておきましたし、また、そういうことにだんだんいくのではないかと期待しているところでございます。
○広沢委員 もう一点、この問題について経済企画庁長官にお伺いしておきたいのですが、九月二日の総合経済対策を決めました翌日、記者との対談においての企画庁長官の発言ですが、これは通産大臣も会見をなさっていらっしゃるので同じような発言をなさっていらっしゃるのですが、円相場はすでに天井感が出ているので、米国に新たなドル防衛策がなくても円高が進む心配はない、これ以上悪くならないから米国には期待をしていない、したがって、総合経済対策を決めるに当たってはアメリカのドル防衛策を余り勘案していないというような御発言が新聞に載っているわけでございます。総理は、今日の円高というものはやはり基本的な問題ではありますけれども、アメリカのいわゆるドル防衛策、こういった具体的な対策のいかんによって左右されるということを言っておりますし、わが国の経済に対する黒一点はいまの通貨問題だということ、それを強調しておられるわけでありますが、その点、考え方に多少の食い違いがあるのじゃないかというふうに受け取られますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 私のあのとき申しましたことは、ここまで円も来ますと、日本経済がこれ以上円高になった場合にはちょっと運営がむずかしい、現実に輸出の数量がこれだけ減り始め、輸入の数量がこれだけふえ始める、先ほども広沢委員が言われましたように、成長を引っ張るようになってまいりましたことからも明らかなように、これ以上の円高というものは日本経済の運営がちょっとむずかしいという感じのことを申しました。それと同時に、本来は基軸通貨であるアメリカがいろいろ対策をしなければならないわけで、九月の初めの現在で私が見通しておりましたことは、先ほど大蔵大臣が言われましたような幾つかの政策、それはアメリカとしてもやるであろう、けれども一番大事なのは、さっき大蔵大臣の言われました最後の物価と賃金との関連の問題であって、これはどこの国でも非常にむずかしい問題でございますけれども、現にアメリカでもいろいろ議論があって、もうガイドラインというような言葉はいろいろなことでやはり使いにくい、せめて、先ほど大蔵大臣の言われましたのはスタンダードということをおっしゃいましたけれども、そのぐらいの表現のもの以上にはなかなかいけないということ、そういうのが現状でございますから、したがって、われわれとしてはやはりわれわれのすることをやっていくので、アメリカがそれはいろいろやってくれるべきであるし、くれることは望ましいけれども、それはやってくれただけがプラスになる、そのぐらいの心構えでないといけないのではないかな、余り過大な期待を持ちますと、かえってその裏が出るというようなことになりかねないということを申しましたわけでございます。
○広沢委員 それで総理にお伺いいたしますが、影響は大きなものがあろうかと思うのですが、具体的にわが国としては、アメリカのドル防衛策に対してどういう要求をなさっておられるのか。伝えられるところによりますと、西独のシュミット首相も訪日される、こういうことでございますね。それは両国とも黒字国として、いろいろなドル問題についての問題が焦点になろうかと思いますけれども、いままでの一連の会議の中での発言を見ましても、ドル防衛という問題に対する一つの強い要求をしていかなければならないということが前面に立っているようにうかがわれるわけでありますが、その点どういうふうな具体的な要求をなさったのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 これからの国際社会を安定させるというためには、基軸通貨であるドルの安定ということは絶対必要である、私はこのように思うのです。この問題がふらふらしているというのではもう世界は安定し得ない、そういう認識はシュミット首相も私と一緒じゃないか、こういうふうに私は思います。
 そこで、アメリカに対しましては、そのことを強く強く要請してきておるわけです。これは機会あるたびに、特にサミットの会議におきましては、私から強く、アメリカの基軸通貨国としての責任、その上に立って行動せられたいという旨を要請しておりますが、ただ、どういう施策をそのためにすべきという点になりますと、これは余り具体的に言いますと内政に対して介入したというような印象になりますので、私は事細かには申し上げません。しかし、考え方としては、インフレを阻止することである、また国際収支の大赤字を是正することである、そう考えるということは申しておりますけれども、どうもそれ以上、具体的にああすべきだ、こうすべきだと言うことは差し控えておる、このように御理解願います。
○広沢委員 それでは、大蔵大臣にまたお伺いいたします。
 過般のIMF総会、世銀総会に出席されたわけであります。そのために国会も一週間休会になっておったわけでございますが、その結果、一応成果としてはIMFの第七次増資が決まった、あるいはSDRの追加発行が決まった。国際流動性ということがインフレの関係で問題になっているときに、これがすんなり決まったということの背景は一体何であるのか、その点と、それからもう一つは、わが国としてはこの総会に出席するに当たっては、通貨問題の専門会議でありますから、今日まで問題になってきた通貨問題に対する何らかの方向が打ち出されるのじゃないかという期待は多くあったと思うのですね。したがって、蔵相も出発前の記者会見におきましても、あるいはIMFの演説におきましても、具体的に現在のフロート、変動相場制に対する新しい仕組みを考えなければいけないのじゃないかという提案をされる、それから、現実に急激な通貨の動揺が起こった場合は、やはり市場介入、スワップも発動してそれを鎮静化するための現実的な手を早急に打たなければならぬ、こういったことを、これは当然のことでありますけれども主張される、こういうことであったわけでありますが、その結果として、具体的にそういったことが論議外にあって、論議外というか、余り中心的な議題ではなくて方向性がはっきり示されていない、こういう状況にあるのではないかと思うのです。その点について、どういう状況であったのか、そして具体的にわが国の主張というのはどういう面でどういうように生かされたのか、御説明いただきたいと思うのです。
○村山国務大臣 二つの面から申し上げたいと思います。
 いま世界の協調行動が必要だという一般的認識の中で、日本がとりました総合経済対策のねらいを特に国際的側面から解明いたしまして、それは経常収支の黒字縮小に大きく貢献するであろうし、それからまた、三年間の政府開発援助の倍増の問題等を申しまして、その点は高く評価していただいたと思います。それからなお、現在われわれが経常収支の黒字幅の縮小をねらいまして総合経済対策を決定したけれども、ドルベースではなかなかそういうわけにはまいりませんということも克明に申しました。その点も、外人記者会見等にも資料を配りましてその理由をお話し申し上げましたし、会議でも申し上げました。ですから、そういう努力にもかかわらず、なかなかドルベースでは、方向は出ますけれども急激には縮小しない、そういう点も理解されたのではないかと思うのでございます。
 一方、第二の問題でございますが、世界的な立場でわれわれが言っておりましたことは、先ほど私がちょっと申しましたように、為替変動の要因というのは三つあるということを申し上げた。実体経済の差の問題、それからそれによって形成された為替相場というものの本来持つ国際収支調整能力の問題、その間における短期資金の移動の問題、この三つがあって非常に交錯をしておる。ですから、当面基礎的な問題については、黒字国と赤字国との間でそれぞれ実体条件を直していく必要がある。本来の国際調整機能、それによって形成される、それは変動為替相場の利点であるので、その点は何とも言えないわけでございますけれども、本来それが為替相場の持つ機能、しかし、その間短期資金が出てくるものは今度は逆に動くわけですから、その分について介入すべきところをどこに置くのか、それはIMFは専門家がたくさんおるのだから、その介入すべき点について、過去の経験から照らして介入点というようなものを実証的に理論的に分析してほしいということを強く言ったわけでございますが、この点が実は一番むずかしい問題でございまして、重要性の問題はわかっても、どこがその部分であるか、これが非常にむずかしいということであったわけでございます。
 したがいまして、問題点だけは明らかにし、それからみんなが通貨面でも協調する必要のあることは認めましたけれども、そういう非常に微妙な点については、残念ながら問題は何ら出てこなかったというのが実情でございます。
○広沢委員 時間がなくなってまいりましたけれども、現在フロートにはやはり限界があるということは、お互いの認識としてそれはわかってきていると思うのです。したがって、過般もターゲットゾーンをつくる通貨経済圏の問題だとかということも出ておりましたが、今度はECの方では、準固定相場制と見られるいわゆるECの新通貨制度というものが検討されて、恐らくこれはできるのじゃないかということになっているわけですが、これもやはり、通貨の安定も自分で防衛する以外にないのじゃないかという発想から生まれてきたのではないか。ですから、これについてどういう評価をしているか御答弁もいただきたいのですけれども、やはりこういう専門会議においては、これまでずっとサミット以来問題になってきた変動相場制あるいは通貨の問題に対しては、何らかそこに変動相場制についての考えが芽生えてもいいのではないか。ただ提案だけしておいたというのでは、これはやはり責任がないのじゃないか。特に非常に円高の影響を受けたわが国でございますから、変動相場制の限界ということについては、これは痛切に痛みを感じているはずであります。したがって、具体的な何らかの考えをお持ちなのか。
 先般、これは間違いかもしれませんけれども、経済企画庁長官は管理フロートの考え方を出されたこともございました。しかし、それじゃ今度の総会に出られるについて新しい通貨制度の必要性を強調されるならば、何らかのわが国としての将来に対する考え方は持っておったのかどうか。少なくとも今度急激な変化があった場合におきましては、スワップはもう協定を結んでいるわけですが、具体的にスワップを発動する、拡大するということぐらいは明確にしておかなければやはり安定しないのじゃないか、私はそのように思うわけでございますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
○村山国務大臣 まず、ヨーロッパの新しい通貨制度の問題でございますが、御案内のようにEC諸国におきましては、やはり経済の基礎条件を一致させるという努力は積み重ねられておるところでございまして、その基礎の上に立って従来スネーク制度がありまして、最近の為替変動の激しいことによりましてさらにそれを一歩前進させて新しい通貨制度をそこにつくりたいと言っておるのですが、その内容その他はまだ不明なのでございます。いろいろあらゆる角度から聞いてみましても、まだ検討状況でございまして、本年末くらいまでには何とか専門家の間で取りまとめたい、こういうことでございます。したがいまして、内容についてはまだ不明確でございますが、われわれは、それが国際通貨の安定に資すること、それからIMFの機能がさらにそれによって保持、補完されるようなことになることを強く希望しておるわけでございまして、まだ具体的な仕組みなりそういったものが明らかでございませんので、いまは希望だけをわれわれは申し述べておいたわけでございます。
 それから、新提案というお話でございましたが、私は、やはり変動為替相場は好ましいことではないけれども、現在のもとにおいてはやむを得ない、したがって、変動為替相場の利点とそれから欠点と二つあるということを申しまして、その欠点について、さっき申しました国際調整が行われる過程において短期資金が、まあ人によりましては六千億ドルもある、こういうわけでございますから、これが動く、それに対してどのように共同介入していくか、ここが最大の問題。しかし、その部分を抽出することは非常にむずかしい。そこになかなか合意が、たとえば共同介入についてもそこの議論がなかなかむずかしいのでございます。
 スワップという問題も、これは協力の一つの方法でございます。したがいまして、それが普通のスワップであろうが、あるいはまた、いろいろこちらからお願いしてやっておるようなことでも、結果としては同じことであろう、ただ心理的効果がかなり違うと私は思っておるのでございまして、そういう意味でスワップのことも話しましたけれども、いまは国内情勢はそこまではなかなか行きにくいというような話でございました。しかし、私としては、心理的効果という点から言えばそれも大きな要素であるから、ぜひ考えてもらうように強く希望しておいたところでございます。
○広沢委員 それでは、最後に総理にお伺いいたしますけれども、一応総理は、ボン会議後、次のサミットは東京でということを約束されて帰ってきておられる。最近の新聞によりますと、すでに具体的な日程が相当交渉が続いているというふうに伺っているわけでございます。外務省の方ではその日程の検討、調整をやっている、こういうことでございますが、いずれにしましても、いまお話し申し上げましたように、やはり新しい通貨制度の問題ということを今度のサミットの中では問題にされるのか。私は、やはり何らかの方法というものは、いま問題になっている以上は具体的な検討、あるいはそれに対しての将来の芽というものははっきり考えていく段階が来ているのじゃないか、こう思いますので、東京サミットを中心としたそういう問題についてのお考えを承りたいと思います。
○福田内閣総理大臣 東京サミットは、いま国際社会では大勢というふうになっておるのです。しかし、まだ正式に東京開催が決まったわけでもなし、また、まして何月にこれを開催するというようなことは、いろいろ憶測はありまするけれども、正式な動きはまだございません。もう少し情勢の推移を見て、いつごろのタイミングが世界経済のためにいいのかということで判断すべきかと、このように考えます。その際に通貨問題、これは通貨問題は正式の議題にことしはなったわけですが、来年はもう少し突っ込んだ議論にはなろう、こういうふうに思います。ただ、サミットはサミットでありまして、通貨問題になりますと非常に技術的な問題がありますので、これは各国蔵相間で話し合うべしとかなんとか、そういうようなことに結論的にはなるのだと思いまするけれども、論議はかなり活発に行われるであろう、このように見通しております。
○中野委員長 これにて広沢君の質疑は終了いたしました。
 午後零時二十五分より再開することとし、この際、休憩をいたします。
    午前十一時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時二十八分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。安宅常彦君。
○安宅委員 いま長引く不況の中で武器輸出論議が、有事立法といいますか、これは戦時立法ですね、などの危険な風潮の中で大きく頭をもたげています。まことにゆゆしいことであります。
 私はこれまで、たとえば昭和五十一年当時など、こうした議論が出た都度、その後もそうですが、武器輸出問題を本委員会で取り上げてまいりました。武器輸出の原則を、単に武器そのものだけにとどまらず、関連設備、対外直接あるいは間接の投資、在外法人の問題などを修正追加しよう、あるいはした、そういうことを、その都度内閣の統一見解を明らかにさせてきましたけれども、どうもこの問題は、日本の憲法が邪魔になって仕方がない、巨大な独占企業の、特に最近で言うならば多国籍企業化の急激な構造的な変革の中で、石川五右衛門じゃないけれども、浜の真砂は尽きるとも武器輸出の死の商人の後は絶たないというのでしょうか、ほうっておけばついに大手を振ってのし歩く時代が来る。私は非常にこのことを重要視しています。
 きょうは、この問題で具体的な議論と提案をやりたいのです。政府もそのつもりで答弁していただきたいと思います。時間がありませんから、大体イエスかノーみたいな質問になります。飾りや何かは要りません。ぶっきらぼうと思われるようなことでも構いません。答弁は短くお願いしたいと思います。
 その前に、どうしても気にかかることが一つ、簡単なことだと私は思うのです。しかし、非常に重要なことですが、外務大臣に聞いておきますけれども、日本政府発行の旅券のことです。いわゆる数次旅券というのがありますね。その渡航先の欄に、この旅券は北朝鮮を除くすべての国及び地域に有効であるとでも訳すのかな、英文で書いてあります。ここで、旅券法第三条の五項及び第五条の二の第二項に関連することですが、その規定に基づいた告示というのを外務省で出しています。この告示にはどう書いてあるかといいますと「旅券法第三条第五項に規定する範囲は、次に掲げる地域を除くすべての外国の地域とする。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)」こう書いてあるのです。ところが、英文の方は単なるノースコリアとしか書いてない。つまり、北朝鮮としか書いてない。告示にはちゃんと括弧つきで書いてあるのに、旅券には書いてない。一般旅券の方は、公用旅券でもそうですね、私らしょっちゅう行っていますが、ちゃんとこれは朝鮮民主主義人民共和国と書いてあるのです。同じ旅券でも。これはどういうことなんですか。外務大臣、そんなけちな根性起こさないで、告示どおり旅券に書いたらどうですか。そのことぐらいは直しますと言ってください。時間をとりたくありませんから。
○橋本説明員 お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の旅券につきましては、これは一次往復旅券と数次往復旅券がございまして、一次往復旅券にはすべて朝鮮民主主義人民共和国、こういうふうに書いてございます。
 それで、数次往復旅券……(安宅委員「それはわかっている。それを直すか直さないかだけでいいと言ったじゃないか」と呼ぶ)先生御指摘の告示に従いまして現在行っております。ただいまのところ、それを修正いたす必要は、私どもとしては感じておりません。
○安宅委員 これはさっき大臣に言っておきましたけれども、役人に答弁させると、小林さんじゃないけれども、何かえらい強い言葉を言いましたけれども、どうもそういう傾向があるのです。告示にはちゃんと書いてあるのですよ、「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)」と。告示どおり、旅券に朝鮮の国名をちゃんと書いたらどうなんですか。たとえば、私らのところは何回も行っていますが、デモクラティック・ピープルズ・リパブリック・オブ・コリア、そういうふうになっているのですから、告示に。なぜ省略しておるのか。そのとおりやればいいじゃないですか。そのとおりとあなた言ったでしょう。大臣、どうです。そんな細かいこと、何とかしますと、大臣のあれで、やりますと言ってくださいよ。――大臣、言いなさいよ。告示にはちゃんと書いてあるじゃないか。告示どおりとあなたは言ったじゃないか。
○橋本説明員 告示どおりにいたしております。これは数次往復旅券でございます。
○安宅委員 だから、数次往復旅券のことを言っ七おるのですよ。
○橋本説明員 この告示は、数次往復旅券についてこのようにする、こういう告示でございます。
○安宅委員 あなた、ちょっと来てください。(資料を示す)
 だから大臣、言ってしまえばいいんだよ。そんな者に任せておくとろくなことはないんだ。
○園田国務大臣 告示どおりにやるようにいたします。
○安宅委員 こんなに簡単になるのに、あなたが答弁すると。おかげでもう十分くらい損してしまった。さすがに大臣だ。小林さん以上にほめますよ。
 それでは本論に入ります。
 七月十一日、マニラ空港で、乗客の手荷物の中から手投げ弾の部品が発見された事件がありました。これについて聞きたいと思います。これは通産省、外務省、警察庁関係ございます。私ずっと言いますから、その中からここと言いますから答弁してください。
 この手荷物は東京のフジ・インダストリアル会社の金沢和男社長のものであることは確かか。これは本人は否定しているそうですね。だけれども、情況証拠として明らかなことです。後で私言いますが、どうしてそうだかということも非常に疑問です。このことはきちっとしてもらいたいということがあります。本人が通産省の事情聴取で否定しても、通産省当局、聞くところによると、取引銀行の輸出認証状で確認したと言われておるらしいのですが、つまり本人はうそを言っているのじゃないか、これが一つ。その認証状は、私の調査によれば、この会社の取引銀行、いろいろ書いてありますが、いま七人ぐらいで規模は小さくなっています。恐らく協和銀行、もっと詳しく言えば渋谷支店じゃないか、私そう思います。これはそのとおりか。そしてその認証状には、品物はコンポーネント・パーツ・ヒューズ、こういうふうに記載されて、五十一年の三月、五十一年の五月、この二回にわたって約十万個、これが調査した内容ではないか。そういうふうに確認しているのかどうか、それを聞きます。
 それから、日本の各新聞は、それぞれの特派員が七月の中旬、まだ熱のさめないうちに金沢和男氏と会って本人から直接聞いている話、確実な記事を詳しく掲げています。たとえば、フィリピンの国防省が発表した、空港で一時押収された手投げ弾の部品は、軍が金沢から正規に輸入したもので、同社から納入された信管の十万個の一部である。第二番目は、当日、軍の担当者の所用で空港に受け取りに行けず、行き違いを生じた。フィリピン軍は武器国産化計画の一環として手投げ弾の製造をしている、基地内で金沢が起爆部品、ピンあるいはバネ、安全弁など十数個にわたる部品の組み立てを指導しているなどと発表している。その発表した名前も書いてありましたが、時間がありませんから言いません。その事実を確認しているはずだ、本人がどう言おうと。この問題。
 それからまた、金沢氏は十四日の夜、マニラガーデンホテルで日本人記者と会って、荷物は私のものではない、軍の発表は間違っていると言っている。しかし持ち込んだのはX線透過検査装置だけだ、こういうことも言っている。重要なことは、五百ドル以上の物品は輸出許可証が必要なことは知っている、しかしそれでは商売にならない、こういうことを記者会見で言っている。それから、通関の際関税を六十ペソ、約千九百円ぐらいですけれども、に抑えてもらったということも言っている。フィリピンでは一九五四年から商売している、米軍にも売っている、年六億円の商売だ、マニラには毎月来ている、こういうことも言っています。今回の事件は、ライバルの韓国、台湾の業者が仕組んだものではないかということも言っている。
 ざらに、朝日の記事によれば、マニラのマカティ地区のこの会社の事務所で佐藤特派員という人と会見して、重要なことを言っています。ベトナム戦争中、同社を含め大企業の委託を受けて中小企業が、アメリカが使ったいわゆる豆爆弾を製造したこと、それから横浜にあった米軍部品調達部に納めたなどを図面を描いて話をした。第二番目は、かの悪名高い枯れ葉作戦で日本製の薬剤を使ったこと。第三番目には、フジ・インダストリアルがこれまで六十万個の手投げ弾の暴発を防ぐための金属製ピンを納入した。それから第四番目は、フィリピン国防省の武器調達パンフレットを特派員に示して、ゲリラ対策用の六十ミリM75モルタル砲の砲身については、日本の業者から輸入されていることは断言できる、こういうふうに言っていますね。それから、大企業でも武器を輸出しているのに、ここが重大がんですが、なぜ吹けば飛ぶような小さなところだけ対象になるのか。やみ米は小さなかつぎ屋ばかり引っ張られて、トラックや何かでうまく輸送しているやつは問屋になる、そんなことをこの人は思い出したのではないかと思うのですが、とにかくそういうことを言っている。
 これは非常に重大だと思うのですね。このことこそあらゆる困難を排して政府が、警察庁を含めて調査を急ぐべきであって、決して金沢氏個人の貿管令違反だとか外為法違反だとか、そういうところにだけとどまってはいけないと私は思うのです。ここが本質だと思うのですよ。だから、この本質が洗われない限りこの武器輸出というのは、さっき石川五右衛門の話をしましたけれども、後を絶たない、こういうことを私は考えています。そういう意思があるのか、これで打ち切るつもりなのか、このことについて聞きたい。
 サルバドルという大佐の無実証明というのを持ってきていますね。これは新聞にも写真が出ておりましたが、訳文もあります。長くなりますから読まないんですが、どうもいかがわしい連中で、そんな証明書を出す軍部も軍部、日本の記者に先にしゃべっておいて、そしてそのことをマニラ日本大使館の谷口参事官、私の聞くところによれば、谷口参事官に見せてさらに証明してもらうように署名を取りつけようとしたけれども、同参事官は、こんなものはうそだか本当だかわからないと言って、確認できないと言って拒否した、こういうことを外務省は確認しているはずだ。つまり大使館は、金沢氏がいろいろしゃべったその時点、後にずっと時期がずれた時点ではなくて、その時点では、金沢氏がしゃべったことと、さらにフィリピン国防省の発表など、同大使館はやはりきちっとつかんでおった。つかまなかったら大使館はおかしいんで、それは防衛庁から出向している人もおるでしょうし、通産省から行っておる人もおるはずだから、こういうことについて敏感に反応したはずです。全然そのことを聞いていないのかどうか、この答弁。
 サルバドルの証明書は、どうも子供だまし、頭隠してしり隠さずどころか、皆隠さずみたいな、変なインチキものだと私は思っているのです。つまり、フィリピン国防省の態度、本人の態度ががらりと途中から変わった、この背景こそがくせ者だと私はにらんでいるのです。きょうその根拠を若干ここで発表すれば、貝のように黙ってしまったあなた方政府当局は、何か金大中事件とどうも、小林さん、同じみたいなやり方ですよ。だから、手のうちを見せるようなものだから、私はきょうは言わないです。けれども、このことだけ言っておきたい。
 このことだけ言っておく前に、さきの若干の質問についてそれぞれ担当の部門で答弁してください。
○森山(信)政府委員 フジ・インダストリアルの件につきましては、ただいま安宅先生から御指摘の事実がたくさんございまして、私どもといたしましても大変不可解な状態がございます。そこで、本人の帰国を待ちまして、直ちに通産省に出頭を求めまして事情聴取いたしましたところ、全面的な否定をいたしております。しかし、私どもは、ほかの情況証拠によりまして貿管令違反の疑いありということで、九月十九日に警視庁に対して告発をいたしました。
○伊藤(榮)政府委員 順番から言いますとこの次に警察庁がお出になるわけですが、中間を省略いたします。
 ただいま告発された旨御報告のありましたケースにつきまして、現在東京地検で、関係者二名を勾留して鋭意取り調べております。十一日が勾留満期になります。そのときまでに完全に真相を明らかにしたい。さらに、他に刑罰法規に触れる点があれば徹底的に糾明したい、こういうことで警視庁と協力してやっております。
○森永政府委員 お答えいたします。
 警察庁といたしましては、フィリピン軍に対する手りゅう弾部品の密輸出事件につきまして報道がされましたこれを端緒といたしまして、関係機関と協力いたしまして捜査を進めたわけでございますが、その結果容疑が明らかになりましたので、フジ・インダストリアルの代表取締役金沢和男、同社員の波治宏明両名を逮捕いたしますと同時に、関係個所七カ所を捜索いたしまして約三百点の証拠資料を押収したわけでございます。それに基づきまして、現在、逮捕いたしました容疑事実について裏づけを急ぐとともに、余罪などにつきましても徹底的に追及するということで現在捜査を進めておるわけでございます。
 先ほど先生から、七月十一日に金沢和男がフィリピンに携帯輸出をいたしましたものについての御質問がございましたけれども、この事実についても現在捜査中でございます。
○中江政府委員 この事件につきましては、事件が発生しました当初、通産省の方の御要請がございましてフィリピン政府に――これは七月の十一日現在でございますが、フィリピン政府が捜査しておったわけです。それで、フィリピン政府の方でこの情報資料と収集されたものをわが方に提供してもらいたいということを正式に申し入れましたところ、フィリピン政府の回答が八月三十一日にもたらされまして、それによりますと、本件情報はフィリピンの安全保障にも関連する事項であるので、残念ながら詳細な情報提供には応じられない、こういうことになっております。
○安宅委員 それを知っているから、だから熱の冷めない時期にべらべらしゃべったのを、大使館はこんなもの本当だかうそだかわからない、無実証明みたいなものにサインなんかできるかとサインを拒否したくらいですから、調査をしておったはずだ。通産からも出向しておるだろうし、防衛庁から行っておるだろうし、本当は外務省知っておるはずですねとこう聞いておるのです。しなかったのですか。ただ、態度表明はわかるのですよ。フィリピンの国防省があわてて口をうっとふさいだんでしょう。その前の話を聞いているのです。
○中江政府委員 その点は、いま安宅先生もお触れになりましたように、わが方の大使館員も、真偽のほどのわからない雑情報はいろいろ掌握しておったわけです。したがって、それを正確な情報に基づいて判断しなければならないということで鋭意努力いたしましたけれども、結局不明な点が多いので、フィリピン政府に正式に要求した、こういうことでございます。
○安宅委員 私が言ったことは、新聞社の記事を含めて、谷口さんが真実かどうかという判断をした、おかしいと判断をしたのも含めて雑情報、そこが問題なんですよ。外務省の常套手段だ。まあいいでしょう。時間がかかるからここで議論しません。後で、さっき言ったここでは言わないといったものの問題に触れますが、一つ言っておくと言ったことをこの次に言います。
 警察庁にも再度答弁願いたいのですが、金沢和男という人は、なぜこんな吹けば飛ぶような者だけつかまえるんだ、大企業は皆やっているじゃないか、こういうことを言っている。そういうことをくぐり抜けなくては商売できないということまで言っている。ここが重要なんで、ここで外為法違反ぐらいでやるのではなくて、その背景というものについて、何かとっつかまると、背景はないとかあるとか、いろいろあなたの方ではやるでしょう。警察庁は、そういうところを徹底的に追及するのが本当じゃないかと私が言ったことについて、そのとおりやるかどうか答弁してもらいたいのですが、私どもの方で会社のいろいろな内容について調べたところによりますと、三井物産のダミーになっておるのですね。これはおかしいなと思うでしょうが、しかし、たとえば大使館を含む日本政府も加わってきわめて迅速に情報操作を行ったのじゃないか、私はそういう疑問を持っているのですよ。私が言ったことは四年くらいたつと本当に出てくるのですから、いままでは。あともう一つ、韓国のことをやりますけれどもね。フジの社長がいみじくも言ったとおり、武器輸出の原則の網をくぐってやる方法、武器そのものの持つシステム的な構造を悪用して、部品をばらばらにして、部品は武器等製造法の影響のない、何にも認可も受ける必要もないみたいな下請企業に全部やらしておいて、そして集積しておいて、そして武器の部品だというふうなことにしておいて、そして安い工賃を中小零細企業者に払って、そうして大企業だけがすぽっとうまくもうけている、こういうことが明らかにされないと問題の本質は解決しないですよ。それを金沢さんが非常にくやしがっているのですね、いままでのことを新聞社の記者に話したことは。これは雑情報じゃありませんよ。特に最近は、日本の法律の及びにくい多国籍企業、ペーパーカンパニー、いわゆる在外法人の責任にしてしまう。どんどんつくっていますからね。私は毎回文句を言っているのですが、これは彼らの常套手段で、それを横行さしておく現状こそ大問題だと思うのですが、それはそう思いませんかな。通産大臣、そういうことについて気がつきませんか、どうです。
○河本国務大臣 告発されました金沢が言っておりますように、他にもいろいろやっておるところがあるのだということだけでありますが、その名前が具体的にわかれば当然調査をいたします。
○安宅委員 捜索したというのは、七カ所はすでに新聞にも発表されていますから、七カ所は私も知っています。ただ、これはロッキード事件にかこつけて言うつもりはありませんけれども、一たん告訴してそれで検察庁の手に渡ってしまうと、証拠書類は全部出せないということになって、その制限を受けるのですよ。私に説明に来た人もそう言っております。だから、七カ所はっきりしているのですから、わかればじゃなくて、大臣、ぜひこれは通産省からも事情を調べることは、強制捜査権のない通産省ですが、しかし業界を通じていろいろ調べる方法もあるでしょうし、ぜひ調査願いたいと思います。いいですな。わかっているのですから、わかればじゃなくて、いいでしょう。――まあ、いいでしょう、相談しながら、後で答弁してください。
 たった七人の従業員のこの会社が三井物産と取引があったりすること自体がおかしいですね、素人考えでは。だが、貿易商だからあり得るということを言うかもしらぬけれども、その範疇を越えて強烈な、きな臭いにおいがするのです。私の調査では。きょうは時間がないから言いません。
 それで、取引銀行の中にはバンク・オブ・アメリカがあるのですよ、東京支店ですね。こういう状態の中でこのことを非常に気にして、私もいろいろあちこち聞いて歩きました。やはりみんな、泣く子と地頭には勝てない、取引拒否されますから。事実、それをやられると私の企業は困るんだということで、なかなか言ってくれないですよ。そういう人と連帯しながら真相を追及するつもりです。私はこれは必ずやり遂げるつもりです。すでに味方はだんだん集まっているんですから。どうかひとつそういう意味で、いま言ったことの方向に、途中でぶった切ってあとは終わり、この金沢さんだけに罪名着せたから、あとの下請業者は武器等製造法の適用を受けないで幾らでもやれるという盲点もあるのですから、それが悪用されているのですから、そういうことも含めて、通産大臣、ひとつ研究してもらう、こういうことは答弁できませんか、さっきの答弁と一緒に。
○河本国務大臣 告発をいたしました後で、その七カ所は警察で承知しておるそうでございます。
○安宅委員 だから、私が言ったように、そういう調査をするなら、たとえば武器等製造法の盲点があるわけですね。指定されている個所しか軍需品、兵器はつくれない。ところが下請については何もないのですよ。だから、その盲点をやって、資格のない者がどんどん部品をつくっているんですよ。そういうことはおかしくないか、そういうことを通産省は、これは大変だなと気がついて、それを改正していくような方向とか規制をきちっとするとか、そういう考えはないかということもあわせて私は質問しているんです。事務当局でも結構です。
○森山(信)政府委員 今回のフジ・インダストリアルの事件に関しましては、先ほどお答えいたしましたように、現段階におきまして輸出貿易管理令違反という事実が判明いたしましたので、その線によって告発をしたわけでございますが、先生御指摘の武器等製造法等に関する違反の問題があるかどうか、この問題につきましては、引き続き私の方でも調査をしてみたい、かように考えております。
○安宅委員 つまり、小さな企業に下請させておる。武器を製造する許可を取ってない企業がどんどんつくっている。兵器というのはばらばらと集めると一つの物になってぶんとふっ飛んでいくんですね。だから、そういうことをきちっとした考えを持って、武器等製造法との関係、武器輸出の原則という問題について、通産大臣、改めて検討するということをぜひおっしゃっていただけませんか。
○河本国務大臣 いま局長が答弁をいたしましたように処理をいたします。
○安宅委員 では、警察庁に聞きますけれども、そういうことがあるんだから、金沢氏の背景というのはどうか。おれたちだけじゃないと金沢が言っているんですから、そういうことについて、法律をもぐらなければ商売できないとまで新聞記者に対して言っているんですから、新聞社に問い合わせて、特派員に連絡してもいいから、本当に言ったかどうか。あるいはテープぐらいとっているかもしれませんね。とにかく、あなたの方でその背景というものを、いまのような考え方を非常に重視した捜査をやって、外為法違反で打ち切りだ、こうなさらない捜査をぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど来御指摘のような問題があるわけでして、金沢氏の言い分が客観的に相当尊重すべきものであるということになれば、当然刑の量とかその他の情状に大きく響いてまいりますから、ただいま御指摘いただきましたことを検察当局にしかと伝えたいと思います。
○森永政府委員 お答えいたします。
 現在、警察の方では、外為法の第四十八条違反の容疑で捜査をいたしておるわけでございますが、武器等製造法等その他の事案につきましても、いわゆる余罪追及という中で捜査を進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 また、この小さな企業だけじゃなくて、大きな企業もいろいろこういうふうな類似の行為をやっているのじゃないかという御指摘がございましたけれども、残念ながら、現在のところ警察といたしましては、捜査の端緒になるような情報は入手しておりません。しかしながら、警察といたしましては、そのような容疑が発覚いたしました場合には事実を明らかにしていくということが責務でございますし、特に武器の輸出の問題につきましては重要な問題でございますので、厳正な態度で臨みたい、このように考えております。
○安宅委員 どうもありがとうございました。
 次に進みます。韓国の金烏工高に対する援助について問題提起をしたいと思います。
 これは前提として総理に明きたいのですけれども、日本政府が韓国の技術下士官養成の機関と見られるような高校の建設のために、しかも無償で援助するということ、これは日本の憲法に照らし不当だと私は思います。具体的な金鳥に特定しないで、一般的に、そういうことが事実だとするならば不当なことだと私は思います。金烏と特定しないで、一般論として総理から答えていただきたいと思います。そう思いませんか。
○福田内閣総理大臣 金烏という援助問題は私は承知しませんが、一般論といたしましては、外国に対して軍事援助はすべきでなく、いたしてもおりません。
○安宅委員 私は口が悪いからあれですけれども、これからただすことはフジ・インダストリアルの政府版みたいな、私はそう思っておりますが、昭和四十九年二月八日の本委員会で、韓国つまり南朝鮮の朴正照大統領の故郷にある金烏工高の援助について質問しています。
 その要旨は、まず第一として、昭和四十八年十二月二十六日、金大中氏事件でストップしていた援助、それを、先ほども話が出ました政治解決、第一次の政治解決があったので、日韓閣僚会議、第七回の会議が開かれた。それで、昭和四十八年の同月の二十四日には、これまた私問題にいたしましたが、商品援助、つかみ金、プロジェクトに基づかないものですね、こういう根拠なしのつかみ金の商品援助というのはおかしいのじゃないかと言っておったのですが、この交換公文も交換されました。それはすでに慣例によって、政府は新聞社にもどこにも発表しているのですよ。必ずやっているのです。その後もやっていますよ。ところが、この金烏工高の交換公文は、明けた昭和四十九年の二月六日に交換公文を交わしているのですけれども、このときだけ発表しないのですね。当時の新聞は大きくそれを書いた。おかしいではないかと書いたのです。ちょうどその日に、わかった日に私が質問しているのですが、この金烏工高の援助だけが極秘裏に――交換公文だって、本当は十二月二十四日にやっているのですからね、一緒にやれるのです。日韓閣僚会議を開いたのだから、そのついでだってできるのでしょう。それを切り離しておいて、新聞社にも発表しないで、ぽかんとやった。これはおかしいではないか。そうしたら、極秘裏にやったつもりはないとがんばっていましたが、これは非常に大きな疑問を持って私は当時質問しているのです。
 第二番目は、しかも、これは昭和四十六年から無償援助が始まっているのです。昭和四十六年は一億三千方円、四十七年は三億九千四百万円。ところが四十八年は、例の金大中事件のごたごたがあって、そのために日韓閣僚会議は開けない、援助も中止、そういう方針だったのです。それでこの年は予算がなくなったのです。そして四十九年の分、残りは五億六千何百万かです。これが交換公文で四十九年の二月に締結された。だから四十八年は空欄です。空欄というか、空白なんですね。ところが、それが、合計で十億円ちょっとになるのですけれども、その空白の時期に金が使われているのですよ。おかしいではないか、どの金を使ったのだと言ったら、建物は向こうの政府の金で建てているのだが、あとは部品だけ、暖房とかボイラーだけだなんて言っていましたね。そういう答弁で、おかしいではないかと言って資料を出させたら、今度いろいろな説明が出てきた。これからやるのだと言うのですよ。いろいろな設備があるのですけれども、それはいいとして、一文の金もないのに物品、設備を搬入しているのです。代金の支払いもやっているのです。不明朗ではないかと言ったら、答弁できなくなったのです。いまいみじくも、私の記憶間違いでなければ、たしかフィリピンの大使をしている、何ですかむずかしい名前の人、イザナギノミコトみたいな名前の、何と言ったっけ、御巫さん、この人が一生懸命答弁して、つかえてしまって立ち往生したのですよ。それで結局、理事会預かりになった。ところが、調査すると言っても、その後全然音さたがないのです。幾星霜、全然返事がない、ナシのつぶてです。外務省というのはそういうところですよ。小林さんが怒るのはやむを得ない。こういうことになっているのですよ。だから、このことについて私、非常に怒っているのですけれども、ずっとそれを追いかけて調査しつつあったのですが、最近、金がないはずなのに金の支出をしたり、極秘裏にして発表しなかったりした理由がやっと明確にわかってきたような気がするのですよ。おかしい、おかしいと思っていた。しかも一、これは朴大統領の故郷の地盤のところなんだ。当時田中さんでしたか、通産大臣か総理かどっちかだったけれども、あなたの郷里に高校を建てるとき、外国から援助なんかもらって建てたら政治家としておかしく思われないですか、朴大統領のところだって同じ意味でしょうなんという皮肉を言いながら質問しているのですけれども、とにかくこの金烏という工高は、正体は現実的に韓国の軍の技術下士官の養成機関になっているのですよ。そういうことだからおかしいことをやったのじゃないか、私ここを非常に言いたいのです。外務省は、そういう機関になっていることは確認しているはずです。外務大臣、答弁してください。
○園田国務大臣 いまおっしゃいました金烏工業学校は韓国の文部省所管の学校であって、お話がありましたけれども、軍の下士官または士官養成の学校ではなくて、ただ、ここの卒業生が軍需工場とか下士官を志願している者が多い、こういう話であって、軍事教練は他の一般の学校と同様にやっておる。
 なおまた、援助については、建物ではなくて中の内容のものである、こういう話を聞いておりますけれども、さらに詳細検討して、不明朗かつそういうものであれば、総理大臣がおっしゃった方針で検討をいたします。
○安宅委員 これはあなたの方からもらった資料でございますけれども、私、日本側が研修員を向こうから受け入れておるという話を聞いておったので、一覧表をぜひ出してくれと言ったら、出してきましたよ。昭和四十七年が十五名、四十八年が十四名、四十九年が六名、五十年が五名、五十一年が五名、五十二年が五名、五十三年は書いてないのですが、とにかく、私、研修生というから生徒だと思ったのです。ところが、そうじゃないのですよ。向こうの学校の先生ですよ。そして、宇都宮工業、北豊島の工業、香川県の多度津の工業高校、千葉県――東京でいうならば駒場の東工学園とか、たくさんのところで受け入れてやっているのです。それで、非常におもしろいことは、最近エレクトロニクスの講習をやる人が出てきて、生徒じゃない、先生ですよ、これは。そういう人を受け入れている。そして、こっちからも行っているのです。これもあなたの資料です。資格を書いてくださいと言ったが、あなたの方で書かなかったのですよ。そんなばかなことがあるかと言ったら、きょう午前中に持ってきたのです。これは四十八年に八名。この人たちは四十八年から五十一年五月まで行っていますね、長い間ぴしっと定着して。その後、今度は五十二年七月二十一日から、二人行っています。そして五十三年七月二十二日、最近帰ってきた。こういうことになっているのです。じゃ、この人たちはどういう人か。これは生徒のための指導でなくて、教員の指導のために行っているのですよ。どういう人が行っているのかということを調べてみたら、金鳥工高の指導のために、全部、学校の先生です。工業学校の先生や何かですよ。あなたの方の資料だから知っているはずだ。
 これは建設を初め、運営から全部日本が介入している、そういうことは歴然としているじゃありませんか。それで、たとえばあなたが言った範囲でも、軍事教練は普通並みにやっていますとあなた言ったが、さっきはそうじゃない、軍事教練、特に激しそうだと言ったじゃないか、外務大臣。そして、なるほどああいう言い方をしているけれども、それだったら私、これからいろいろ言います。
 七三年に開校したこの学校は、まず背景として、金烏というところは電子精密機器の生産を主体とする工業団地なんです。そこの学校なんですけれども、ところが七四年十月二十八日、韓国の国会の国防予算委員会に提出された七五年度予算案報告書には、「技術下士官教育費追加所要一億一千万ウォン必要。」こう明記してあるのですよ。そして、これは向こうに新聞ですけれども、現代経済日報七八年一月十日付、これには、金鳥高校は完全官費で、卒業後は軍下士官として服務する、その後に、あなたがおっしゃるように、兵役のいやなやつだか何だか知らないけれども、内情はよくわかりませんが、この工業団地に行く人もいるようだと書いてあるのですよ。そして、この日報の報道によりますと、軍下士官要員を輩出させ、軍戦力強化に貢献したとの理由で第十三回五・一六民族賞教育部門本賞を授与されたということを報道されています。これは向こうの新聞だから間違いないですね。これが真相なんですよ。さらに、日本にある、言うなれば朴政権系の新聞で統一日報というのがありますけれども、生徒の募集の方法はどうかと報道しているのです。全国の中学校では成績は上位一〇%以内に入って、しかも身体健康な者の中から一人ずつ推薦し、それで今度は市や道の教育委員会に推薦する仕組みになっているのです。その教育委員会は、書類選考の上、定数よりちょっと上回ったぐらい、大体倍ぐらいですが、七七年は七百人だそうですけれども、これを推薦する。さらに学校が学力テストや身体検査や適性検査などをやって、四百人にしぼって合格させる。これは、費用はさっきの国防費、それで全額官費、こういう仕組みになっているのですよ。
 これでも軍事援助というか、軍の下士官養成機関ではないとあなたは言い張ることができますか。どうなんです。
○園田国務大臣 私の知っているところでは先ほど報告申し上げたとおりでありますが、いま表彰された理由のあれを読んでも、その学校の生徒の中から軍の幹部がたくさん出ているという表彰状でありますから、この学校自体が軍の学校ではないと考えておりますけれども、さらに調査をいたします。
○安宅委員 それは平清盛みたいなものじゃないですか。衣の陰からよろいが見えたりですね。日本政府との関係があり、いろいろ考えた、知恵をしぼったのでございましょうな、あなたの言うとおりだとすれば。実質そうなんです。私は逓信講習所を卒業したのですけれども、官費だったですよ。貧乏だから私はそこに入ったんです。金は要らないんだから。手当をもらって。いまはそんなことは新しい憲法ではできませんけれども、三年間なら三年間義務的に、どこかへ離れてはならぬという拘束がございました。ここはこういうやり方なんです。それはどこの管轄かという形式論議は別として、それでは完全にだまされたということになるのじゃないですか。もっと徹底的にこれは調べていただけませんか、どうですか。
○園田国務大臣 戦前は日本の学校でも、一般の学校にそれぞれ軍に進む者に対する補助金を出したこともあります。しかし、それがそのとおりであるかどうか、これが純然たる下士官または士官、幹部の養成学校であるかは調査をいたします。
○安宅委員 総理に伺っておきますが、どうも私の考え方とあなた方の考え方は立場上いろいろ違うようですけれども、内容はまた私も必死になって追及しますが、本当に実質的に下士官養成機関であるというようなことならばゆゆしい問題だと思います。それがはっきりしたというときには何らかの措置を講じていただきたいと思いますが、総理、どうですか。
○福田内閣総理大臣 いずれにいたしましても、調査をいたしまして善処いたします。
○安宅委員 では、次に進みます。
 そういう空気の中で、先ほど第一番目に申し上げたような非常な不況の中で、兵器工業会なり産業界がいま非常にあせっているのです。そういう中で、きょうは時間がありませんから傍証固めみたいな意味で、経団連の幹部がどう言ったとか、何月何日にこう言ったとか、あるいは兵器工業会の幹部がどう言ったとか、そういうことは私は言いません、皆わかっていることですから。その中で非常に関心を持っているのは金沢和男さんの問題で、なるほどなと痛切に感じたのです。
 実は兵器工業会発行の機関誌ですか編集の「兵器と技術」というのをずっと毎号買っているんですけれども、去年あたりからPGM――その定義はいまもまだ定かでありません。非常に広範囲に考える人もおりますし、非常に局限して考える人もおりますし、核弾頭をつけたものはそれに入るのか入らないのか、本当は入るんだろうけれども、核弾頭つきのものは定義から除いたらどうかとかいろいろな論議がありますけれども、とにかく、そういうことに非常に重大な関心をこの兵器工業界の人たちが持っているようです。たとえば航空宇宙工業会ですか――航空が先か宇宙が先かちょっと忘れましたけれども、通信工業会とか、そういうところを含めて、通産省の偉い人は行っていないようですけれども、向こうから来たり、まあ言うなれば座談会というか懇談会みたいなものは「兵器と技術」にもときどき載っていますよ、通信部会がどこどこと懇談会をやったとか。そんなことはやっていませんなんて、私に説明に来た人は言っていましたが、これは自分で書いているんだから間違いない。そういうことで非常に関心を持っているんですね。
 こういう空気にあることについては、通産省、防衛庁、感じ取っておりますか。
○金丸国務大臣 PGMという精密誘導兵器というものは将来の装備体系に重要な位置づけを持つものだと私は考えております。昔の火砲とか鉄砲とかというものは数撃てば当たるというのですが、数撃たなくても非常に命中率が高いということでありまして、そういう意味で防衛庁も重大な――効率的にも考えておるわけでありますから、兵器生産、民間の関係の人たちも重大な関心を持っていることは当然だと私は考えております。
○安宅委員 金丸さん、あなたは何か有事立法――私は、戦時立法と言った方がはっきりわかると思う。有事と言ったって何だかわからない。事があると言ったって、何の事があるかわからないのだから。そういうことを口に出す幹部がどんどん出てきたり、つまり軍国主義の、あるいはファシズムの風潮というのをあおっているような、そういうふうに言われても仕方がないような態度がときどきちょろちょろ出る。そういう雰囲気の中だから――いわゆる防衛産業界がいまの不況の中で苦しんでいることは事実ですよ、防衛庁はなかなか買ってくれないから、アメリカからばかり買うから。まあそれがいいか悪いかは別。だから、もうこれは時機到来だと言ってはしゃぎ出すのは当然だと私は思うのです。
 だから、その一例として、さっき言いました「兵器と技術」、日本兵器工業会編集の一月号。それから、これは一部だけとってきたのですが、経団連月報、七八年三月号。これにも「精密誘導兵器(PGM)について」という、江村さんという人の論文が載っています。こういう中で、特に「兵器と技術」という本の中では、ゆゆしい問題、穏やかでない発言、座談会。一月号は特集号です。あなた方、見てないですか。関心の重大さはわかるのですけれども、穏やかならざることを言っています。たとえば前提として、仮にという言葉は用心深く使っていますけれども、ソ連を仮想敵にした場合のことを一生懸命議論していますね。上陸の際はこれは水際作戦だとか、あるいはその以前のときに精密誘導兵器、つまりPGMでいかにして落とすか、こういうことについて、これは全天候の場合にきく兵器まで幾らぐらい時間がかかるだろうか。一握りの防衛担当者あたりに任せておけないじゃないかというのだ。なめられたものだ、あなたの方は。そういうことまで皆書いてあるのですよ。だから重要かと思うのです。これは外交上だってゆゆしい問題だと思うのですけれども、こんなことを平気で書いてあるのですから。そして、われわれが考えておるものこそ本当の防衛的な専守防衛のPGMだ、そういう前提で論議しています。これは大型のことをねらったり長距離ミサイルの関係のやつをねらったりするものではない意味の議論です。だから、専守防衛だから大手を振って議論できると書いてあります。
 これは非常に重要なことだ。見ましたか、まずそこから聞きましょう。通産省、見ましたか、武器輸出と関係あるのですから。それから防衛庁も。
○森山(信)政府委員 ただいま先生の御指摘の雑誌は私も拝見いたしました。
○間淵政府委員 私どもも拝見しております。
○安宅委員 これは明らかにはしていないのですけれども、非常に巧妙に逃げておりますけれども、総理、こういうものはつまり軍だけが持ったってしようがないのだ、日本海の海岸なりは広いものですから、だから部隊を展開するといったって小部隊に編成しなければならないだろうということをはっきり言っています。あるいは、ある機関を通じて国民に、軍隊以外の者に相当持たせるようなことにしておかないと、どこから入ってくるのか、海岸線が長いから。操作は簡単だし、幾らでもできる。一つ一つにすれば高いように見えるけれども、軍艦や大砲よりはべらぼうに安いし、この兵器というものは単なる戦術だけではなくて戦略も、もっと言うならば戦争の様相を一変させる、そういう兵器だ、そして、どこかで持たせて、小回りのきく日本人だから……。そして企業界だって、このPGMの言うなれば心臓部である、あるいは頭脳である、脊髄である中心部隊は、何と言っても集積回路の進歩なんかによるところのエレクトロニクスの産業技術、そういうものが非常にいま発展しているので、その程度だったら自信があるんだということを、自信満々のにおいをかがせながら座談会の記事を書いているのですよね。言うなれば国民皆兵、皆一致団結専守防衛の方向に持っていきたい。その背景は何かというと、一握りの防衛当局に任せておけないというのは、どだい、生産したって防衛庁はろくな数は買ってくれないだろうということを言っているのですよ、はっきり言うならば。だから、その次には何かというと、そういう意味でわれわれが量産してコストを下げてやるためには、これは防衛兵器だから大手を振っていけるという、イコール外国に売ればいいのだ、これはわれわれの執念だという意味のことは、今度は別なものに書いてありますね、ここでは論議していないようですけれども。自衛隊はプッシュしてみたけれども、どうも若干頼りないのだというふうなことも書いてありますよ。
 装備局長さんおりますね。どうなんですかと言ったら、装備局長さん、なかなかうまいですね。安宅さん、若い人は、と言っている。産業界でも若い人はいろいろ関心を持っているようです。だけれども、私らは航空機も買わなければならないし、戦車の製造もしなければならないし、軍艦も買わなければならないし、いろいろあって、精密誘導兵器なんというむずかしいことは私らの頭にはないのだ。じゃ昔の大艦巨砲主義をまだ守っているのかと言ったら、いや、そんなものでございますなんて言っているのですね。しかし、そういうことを幹部は言っておっても、通産省や防衛庁の若い幹部がちゃんと必死になって働きかけてくる。言うならば、通信産業界では三菱電機それから東芝、これは非常に大きな関心を持っている。このくらいは知っているだろうと言ったら、知っています。日本電気はどうだと言ったら、日本電気も、それよりは少ないけれども、一部重大な関心を持っているようだという話がございましたが、大体、いかなる根拠でそんなことを私に言ったのかなと思って考えているのですが、やはり防衛庁当局はつかんでいると思うのです。ちょっとその真相を発表していただけませんか。
○間淵政府委員 PGMにつきましては、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、将来の相当重要な部門を占めるということは認識しておるわけでございまして、こういう認識からいたしまして、防衛庁といたしましても、まだPGMといったようなものがかまびすしくと申しますか、そういう取り上げられない前から、わが国の風土に合ったミサイルといったようなものはどんなものがいいかというようなことは、もうかなり長い間にわたって研究して開発しておるわけでございます。それからまたアメリカからも、最新の空対空ミサイルといったようなものはライセンス生産というような形で、いま私どもが調達しておるわけでございます。
○安宅委員 研究所の方ではやらないで、ライセンス生産の方に力を入れているのですか。それから、東芝や三菱電機などが中心になって非常に力を入れているようだと私が言ったそのことを、あなたは肯定なさいますか。ちょっと追加答弁してください。
○間淵政府委員 研究開発の部門におきましても、私ども、対戦車ミサイルあるいは空対空の格闘戦用ミサイル、あるいは空対地ミサイルというものを研究開発しておるわけでございまして、その開発の段階といったような場合には、ほとんどの場合、各企業にこの開発を委託して製造しておるというのが現状でございます。
○安宅委員 いや、通信産業界の話……。
○間淵政府委員 それからまた、ライセンス生産の場合は、たとえばホークといったようなミサイルをつくる場合には、マクダネル・ダグラス社ならマクダネル・ダグラス社とライセンス生産契約を結びまして、この場合は三菱電機でございますが、その一部をまた東芝なら東芝に生産させる、そういうような形態になっております。
○安宅委員 非常に専門家であるくせに、私が素人だと思ってあなた、ずらしてはいけませんよ。ホークだとかそういうものではだめなんで、それよりも進んだ考え方に――実は定義は定かでないと私は言いましたけれども、そういうものを飛び越えたもの、そうして日本の業界がねらっておるのはそういう大型のものではなくて、取り扱いが簡便で、距離はそんなに長くはない、専守防衛で大手を振ってということが前提ですから、命中率はものすごく、八〇%以上といいますか、全天候の兵器になるかならないかということまで議論しているのですが、その点立ちおくれがあるとかないとか議論がありますけれども、ナイキとかホークとかという時代の話をあなたは答弁に利用していますが、そうではなくて、私は一次元違ったことを言っているのですよ、ごまかさないでくださいよ、あなた。
○間淵政府委員 わが国の国情に適したミサイルといったものも研究開発を進めておるところでございまして、たとえば携帯用の地対空ミサイルといった非常に簡便なものも研究開発を進めております。
○安宅委員 防衛庁の研究所でですね。
○間淵政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの研究所でいろいろこの設計をいたしまして、実際のものをつくるという場合には会社に委託生産をさせております。
○安宅委員 なかなか論議がかみ合わないのですけれども、これはこういうことですね。日本で言う精密誘導兵器、単なる誘導兵器ではない精密誘導兵器というものは、前の時代、五〇年代、六〇年代のそういうミサイルではない、そういうことを定義にぴしっと考えなければならない。いまの話では、そういうものも研究しております。さっき金丸長官が、これは将来の兵器として重要な要素を持つものであるという話をしましたが、私は、昔のナイキやホーク、そういう時代のものではないものとして論議を進めているのですけれども、そういうものも皆すべて研究をやっておりますというふうに理解してようございますね。
 それからもう一つは、あなたの方はこういうことをつかんでないでしょうか。通産省もこれは厳重に監視してもらいたいのですけれども、私の党におった松前さんの話をしては、これはもう時代が違うのですからどうでもいいのですけれども、東条さんににらまれたりした人ですから。つまり無装荷ケーブルを実験するときは、当時は日本でなくて満州でやったですね。そういう思想を受け継いだのかは別として、日本の業界は、そんなにアメリカより進歩していないという評判は立っていますけれども、そうではない、自信を持っています。私は電電公社出身ですから、通信工業界やこういうところとの関係、友だちもおりますからいろいろ聞いてみましたよ。そうしたら、精密誘導兵器の心臓部は何と言ったって電子工業が先に立たなければならない、これは付属品ではないと言うのですね。あなたの方も認めておりましたね。ですから、これは中枢部なんです。これがなければ、安宅をねらったって、ひょいとこの辺に行ったらぼんとぶつかるようにならないですから。それは集積回路の進歩などで私は非常に自信を持っていますと言っていますね。ですから、もう防衛庁の研究所は遅々として進まないのだということを装備局長、盛んに私に言っていましたがこれらの人たちはアメリカから何とかうまくやって技術をとったのか、あるいは韓国あたりの在外法人の中でパテントを取ってうまくやっているのか、あるいは技術提携をしているのかは別として、とにかくこの人たちは、防衛庁なんかよりずっと進んでいるのだという自信を持っているのですよ。
 こういうことを考えてみると、どうもこのまま放置しておけないのではないかと私は思います。しかも、これを防衛庁に納める分にはいいでしょうね、兵器だって買い上げるのはあたりまえですから。彼らのねらいは輸出であるということは言いましたね。そうなりますと穏やかでない、私はそう思いますが、そういう方向に進むのだったらやはり穏やかではないなと思うのではないでしょうか。これは貿易ですから通産省当局どうぞ。
○森山(信)政府委員 御指摘のとおりでございまして、国内防衛用にいろいろ研究開発されますことは私も重大なる関心を持って見守っておきたいと思いますけれども、それが輸出へつながっていくことになりますと大変な問題だという意識は持っております。
○安宅委員 それでは防衛庁、さっき三菱電機や東芝あるいは日本電気の例を私が言ったら、昔の時代の問題としてあなたは答弁していますが、私が聞いているのはそうではなくて、いま重大な関心を持っているのは非常に精密な誘導兵器、新しい時代のこれこそ本当のPGMだというものを必死になってやっているのが三菱や東芝ではないか、こう私は感じ取っているのですけれども、装備局長どうなんですか、正直言ってくださいよ。
○間淵政府委員 先生御指摘のように、精密誘導兵器の定義がまだ確立しておらないような段階でございまして、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、わが国の国情に適したものといたしまして携行用の地対空ミサイルとか、短距離の地対空誘導弾あるいは対戦車誘導弾というようなものは研究開発しておるわけでございますが、先生が御指摘なされましたような奇想天外なもの、非常に精密なというようなものは、ただいまのところでは研究開発しておりません。
 それから、技術のレベルにつきましてはいろいろの評価があると思うわけでございますが、私どもが公平に見たところ、民生用の電気機器は別にいたしまして、研究費も少ないというせいもあると思うわけでございますが、軍事用のそういう技術段階は、素質はあると思いますが、まだまだアメリカなどには一歩を譲っておる段階じゃないか、こう思っております。
○安宅委員 あなたはそういうものに関心が薄いのでと私に言いましたね、だから知らないのじゃないですか。あなたの評価は評価として受け取っておきましょう。いいですよ。
 ただ、皆さん、非常に重要なことは、韓国だけじゃありません、さっきフィリピンの話もちょっと出しましたけれども、金沢さんという人がひっかかった御巫大使、金烏工高のときの答弁に詰まった人ですが、どうも何か関連が――誇大妄想狂じゃないかおまえ、と言われればそう思う人もいるかもしれませんが、実際調べてみましたよ。そうしたらなかなか言ってくれない。ただ、余りそうでもない方にしかランクできない日本電気が、韓国の会社に二〇%投資しています。金星というのですが、この工業会社は韓国が軍需産業であるという指定をしている工場ですよ。これは二〇%株を持っているのですね。七四年に取得しています。これはもう少し調べなければなりません。アメリカとの技術提携があるのかどうかということもあります。それから、アメリカの技術を入れた部門で軍需産業をやっているのだとはっきり言っていますね。それで、日電の分はそういうものじゃなくて伝送部門、つまり搬送回路、そういうものをつくっておるのですとこういう話でした。だって軍需産業ですから、あなたの方で二〇%資本を投資しておるということになりますと、日電に使っている通信機を生産するためにのみその資金が動くわけじゃあるまいし、結果的には非常におかしくなりませんかと言ったら、そこまで私わかりませんと言っています。
 だから、そういう非常に疑わしいやり方で――これは公明党の坂井さんなんかも非常に心配して討議していましてね。総理、この間もあなたと私いろいろやりとりしましたね。平和産業に投資するのだと言いながら、向こうへ行ってみたらそれは軍需産業だった。これは親会社の影響力を行使させるし、その上に政府の影響力も行使させますと、毅然たる答弁をなさいましたね。こういう疑わしいのがあるわけですよ、これは一つの例ですが。そんな小さな国です。もっと大きな深入りしている会社、具体的にさっき二つの名前を出しましたけれども、まだまだ多いのです。そういうやり方で無装荷ケーブルが満州で実験されたと私言いましたが、そういう気持ちで在外法人をつくり、あるいは外国の会社に投資し、そこでは、昌原団地というのはすでに皆さん御存じのとおりです。これは軍需産業の工業団地ですよ。おととしの新年のときに朴大統領が、昌原団地は軍需産業基地として偉大な発展を遂げた、祝賀にたえないなんて言っているし、その後も激励に行っていますね。三菱なんかは使節団を派遣したりいろいろやっています。きょうは時間がないのでそれは言えないのですが、そういうものにいつの間にかなってしまうのですね。
 日本電気の例で言ったら、二〇%投資したというのは、技術提携してパテント料をもらっています。それは搬送回路の分です。こう言うけれども、投資した二〇%は、アメリカとの提携で、日本電気が言うとおり解釈しても、八〇%の資本はラッキー・グループというのを含めて韓国の業界ですから、二〇%というのは、日本電気が考えている搬送伝送部門の部品なりプラントをつくる、そういうものだけに利用されるとは限らないわけでしょう。その金でもって軍需産業は大部分つくっているんですから、そこに活用されるのは当然ですね。そうすると、それが本当に軍需産業に投資したのかしないのか、非常に疑義が分かれるところじゃないでしょうかね。そうでしょう。だから、こういう問題については、総理、どういう考えを持ちますか。
○福田内閣総理大臣 武器輸出につきましては、政府は準則をつくっておりましてそれを規制しておりますが、それが投資という形でこの準則の趣旨が逸脱されるというようなことがあれば、これは武器輸出の趣旨に反するわけでありますから、そういうことのないようにすべきである、このように考えます。
 やはり投資の場合に武器輸出の場合に準じてこれを扱う、こういう基本方針でケース・バイ・ケースの問題を処理するということが大事だろう、このように考えています。
○安宅委員 私が調査をしました結果、具体的に疑義ないように、たとえば下士官養成機関であるかないかなんという、そういうことにならないように――たとえば日本電気の例もありますが、これは正直に言った方ですよ。あとはなかなか言わないです。下の人は言っても偉い人は特に言わない。だから責任ある話じゃない。言うならば外務省で言う雑情報なんだね、アジア局長。そういう失礼な言葉をあなた使ったけれども、新聞記事ではみんな雑情報だそうだから。そういう考え方じゃなくて、まじめに考えて、調査した結果について政府機関に対して私から、こういうことはどうなんだろう、一々私これはどうでしょうかと通産省あるいは防衛庁あたりに伺いを立てて謙虚な気持ちで行く場合が想定されますが、ひとつ親切にそういうときは、国会外の質問の場合相談相手になっていただけるように指導していただけますか。
○河本国務大臣 武器輸出につきましては、かねて三原則がございまして、厳重にこれによって規制をしております。
 設備につきましても、ただいま総理が言われたとおりでございまして、武器輸出に準じてこれを規制いたしております。
○安宅委員 この問題の最後にちょっと私、提案があるのです。
 輸出貿易管理令の別表がございますね、通産省。この中で、軍用電話機というのはこれは兵器でないのですね。軍用航空写真作成装置もそうでないのですが、軍用電話の送受話器というのは兵器の部類に入っていない。なぜ入っていないかというと、武器三原則というものをさっき小林さんが言っていましたが、中国とも国交があるようになった。ソビエトとももちろんそうだ。そうなってくると、共産圏に対しては輸出を行わない、武器三原則の第一がそれなんです。だから、共産圏には特にそういう精密な通信機械なんというのは売っていないです。なぜかというと、武器に利用されるからだという意味なんです。ですから、電話機まで、そういう論法からいけば、三段論法で武器じゃないかと言いたくなるけれども、そういうことは私は言わない。言わないが、命中精度八〇%以上にもなるような、しかも小型、大型を問わず、その精密誘導兵器に限って言うならば、この通信関係の部品というか部分は完全に補助手段じゃないです。弾そのものであり兵器そのものなんです。だからこの部分、電話器あるいは通信設備は武器でないということになって、それでごまかされてやられる。しかも、なぜそういう制度を設けたかというと、私が言ったように共産圏に売りたくない。兵器に利用される。軍事用に利用される。ココム、チンコムというのはそうなんでしょう。そこまで私は言わないが、精密誘導品、狭い範囲の解釈で結構です。防衛庁が言うように昔のものなんか入れなくてもいいから、非常に局限された精度以上の基準を設けて、これは武器の分類の中に明確に別表として入れる必要があるのではないか。探照灯だとか鉄かぶととか小銃なんてばかり書いて――書いて悪いことはないけれども、日露戦争のときの例示みたいなコードを掲げたって笑われるのじゃないかなと私思うのですが、それは入れる意思はありませんか。
○森山(信)政府委員 ただいまの安宅先生の御提案はまことに結構な御提案だと思います。ただし、私どもが考えておりますのは、先ほど来議論にございましたPGMにつきましては、精密誘導兵器ということでやや狭い意味に解釈されますので、もっと広く爆弾そのものを貿管令の対象にしておいた方が規制が幅広くできるのではないか、こういう解釈をとりたい、こういう感じでございます。
○安宅委員 そうするとごまかされるのですよ。爆弾の一部だ、部品だという考え方で、補助手段だという考え方では立たないのだ。だって、この精密誘導兵器というのは、戦略も戦術も戦争の様相も一変させるものだ。その中枢部は、心臓も頭脳も脊髄もすべて集積回路を中心として発展したエレクトロニクスが問題になってくる。そういうものだという認識にあなたは立つ。私はそう思っているのです。だから、広い兵器、昔の余り当たらないような、五〇%ぐらいなやつまで私は言うわけじゃないが、そういうものは補助手段としないで、弾の火薬が詰まっている部分だとか、そんなにごちゃごちゃ言わないで、そのものを兵器のコードに入れる意思はないか、こう言っているのです。古い考え方でなくて。探照灯だなんてそんなこと言わないのですよ。
○森山(信)政府委員 確かにごもっともな御意見でございますが、やはり広い意味で規制しておいた方が法の目的が達成されるという感じを持っております。
○安宅委員 そういう意味で、やり方について局長さんと相談してみたいと思うのです。よけいなことをするなとあなたは言われるかもしれませんが、私、圧力をかけたりなんかしませんから、本当にどういうものだろうかという純技術的な問題でいろいろ御相談してみたいと思いますが、そうさせてもらえますか。どうですか。いいでしょうな。通産省、いいでしょう。ばかみたいなことを言わないですよ。
○河本国務大臣 具体的な問題についていろいろ質問されるのは結構だと思います。
○安宅委員 質問はいいのだそうですね。
 総理、最後に、私、議事録のコピーをちょっと皆さんにお配りしております。理事さんだけだと思います。総理には行っておると思うんですが。これは三木内閣の当時でございますけれども、こういう海外援助というものは、さっき言ったような金烏工高の問題などがある、これは武器輸出と関係ありませんけれども、そのほかにいろいろなゆゆしい問題が国会で問題になってくる。そして企業そのものが多国籍企業なりいろいろな、いままでと違った要素で構造的に進展している。そういうことを念頭に置いて言ったのです。
 そのコピーの一枚目の下段から二枚目の上段の一部にかけてですが、その後ろの方だけ読んでもらっても結構ですけれども、疑惑を抱かせないために、つまり政府においてそれを調整するといいますか、いろいろな意味で問題を討議するといいますか、そういう委員会をつくったらどうかということをずっと長々述べているんです。そうしたら三木さんが、その二枚目の上段のところに、安宅君の意見には賛同いたします。これを実行いたしたいと思います。こう答弁をしているんですね。三木さんに力がなかったのか私は知らないけれども、とにかくその後何にも音さたがないのですね。安宅のやろう、あれはうまくごまかして、そのときはかっこいい答弁してあとすっと忘れて、あいつも健忘症だから忘れてちょうどいいあんばいだなと思っているのじゃないですか。これは牛場さん、そういう意味で、あなた担当大臣なわけですから、余り機能しないような委員会が、三木さんもそのとき言っているように、いままでもあるのです。ですから、これを強力なものにするというあなたの意見に賛成だから実行すると言っているのですが、あなたの管轄ですか、それ。どういうふうにするかということについてはっきりした方針を立てて、やはり三木さん同様それを実行したいという御答弁、当然もらえると思うのですが、どうですか。
○福田内閣総理大臣 安宅さんは、この速記を見ますと、「国家行政組織法の第三条による強力な委員会、こういうふうにしたらどうかという考え方を私は持っておるのですが、政府はなかなか困難なところもあるでしょうけれども、その問題について、もし三木さんから具体的な問題としてお答えがあるならば大変ありがたいと思います。」こういう御質問に対しましで、「どういう形にしますか、いまでもあるわけですから、これがもっと積極的な活動ができるように、方法論はいろいろ検討いたしますが、強力な審議会にしたいということでございます。」こういう答弁ですね。私は、いま現にある対外経済協力審議会、これが強力なものであることを願っております。また、現に非常に活発な審議活動をいたしておるわけであります。ただ、これを行政組織法第三条に言う審議会にする、こういうことになると、これはまた皆さんからおしかりを受ける行政改革という問題とちょっと重複するというか、逆行するという面もありますので、これは私は慎重に考えなければならぬ、このように考えます。
○安宅委員 時間が参りましたので……。
 私は、その前の国会ではそういう論議をしているんですよ、国家行政組織法の八条と三条との関係なんかも言って。いろいろ問題はあるだろう。ところが、そういうことを含めて説明をしながら最後に三木さんが、あなたそこの重要なところを読まなかったけれども、安宅君の前段の意見というのは、国会に置けというのが後段なんですよ、政府の中で活動を余りしていない委員会があるから、それを強くするためにそれに賛意を表し実行いたしたいと思います。そこのところをあなた、なぜ読まないのよ。おかしいじゃないか。だから、そういう意味で、三木さんが言ったことをあなたが言えないということはないので、それはもう少しあなたの方で検討してもらって、ぜひそういう方向に、どういう機関にするかは別ですよ、考えておいていただきたいと思います。どうぞ最後に……。
○福田内閣総理大臣 対外経済協力審議会ですね、この活動は充実したい、このように考えます。
○安宅委員 新しくつくるつもりはない、三木さんと違う。――はいとうなずいたって議事録に残らないから、あなたちょっと……。
○福田内閣総理大臣 三木さんがその問題についてどう答弁をされましたか、私承知いたしておりませんけれども、私としては新たに行政機構をつくる考えはありません。
○安宅委員 官房長官、これは本当はそういうことになっているのですから、内閣の継続性というものもありますから、あなたがまさか総理に聞くわけにいかないだろうから、当時の模様なり当時の官房長官などと打ち合わせて、どういう気持ちでおったかとかいろいろ考えてみて、私もまた問題提起するかもしれませんから、あなたの方でそういういろいろな行動に入ってみていただけませんか、いかがでしょう。三木さんとどういう食い違いがあるのか、福田さんと同じなのか、いろいろ意見調整してください。
○安倍国務大臣 いま福田総理が答弁をされたとおりで政府は進みたいと思います。
○安宅委員 やる意思はない、当時の内閣総理大臣の答弁と関係がちょっと違うみたいだけれども、福田さんと同じ意見だったでしょうかということを聞いてみるつもりもない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○安倍国務大臣 政府としては、いま福田総理が答弁いたしましたような考え方で対処したいと思っております。
○安宅委員 そういう政府であるということは念頭に入れておきます。
 以上で終わります。
○中野委員長 これにて安宅君の質疑は終了いたしました。
 安宅君の申し合わせ時間のうち、残余の二分を次の質問者川俣君の質問時間に加算をいたします。
 次に、川俣健二郎君。
○川俣委員 農林省の統計情報部の発表によりましても、予想だろうけれども、未曾有の豊作である。ところが、政治の舞台は国を挙げて豊作を喜べない、とりわけ福田内閣には喜んでもらえない。一体、つくる農民が悪いのだろうか、食わなくなった国民が悪いのだろうか。しかし、二千億という国費は全くむだ使いで、倉庫料と金利で吐き出される。その上に今度の補正予算の約九百億に近い関係費を予算に入れると、今年度は三千億かけて減反をしようとしておる。一体どうなっているのだろうかということであります。
 そこで、時間にきわめて制約があるし、協力する意味で、端的に伺っていく内容に入る前に、これは福田内閣の姿勢にも関係すると思うのだが、通達行政というものをどう考えておるのか。
 そこで、本予算の審議の中で、少なくともこれだけの膨大な計画であり、これから十年、私は約四兆円に近い金が流れるのだろうと思うのですが、それを通達一本でやるという問題ではないのじゃないか。しかも通達というのは、特にまの通達は人の権利義務に伴う、いわゆる減反しなかったら翌年に回すぞ、こういうようなことになると権利義務にかかわる問題であるから、当然国会で論議すべきでないか。法制局長官の見解も途中にあって、従来の通達はよるところの法律がなければできないが、行政指導的な意味の通達もあり得るのだ、したがって、今回は、この減反政策の通達はよるところの法律がないのだから、必ずしもこれに従わなければならないものではない、こういう見解が出された。そこで、一体通達というものをどう福田内閣は考えておるだろうかということを参考までに例を挙げて二つ三つ聞いてみたいと思います。
 一つは養護学校であります。いよいよ日本の国も、来年の四月一日から養護学校が義務化される。ところが、前回この話も出ましたが、いま身体の満足なお姉さんの手に引かれ通っておる身障者の弟が特殊学校に入って免状はやらない、修業したと認めないという文部省からの通牒が出されると、養護学校というのは一つの学校の隣に必ずあるわけではないから、十キロ四方に一つ、二十キロ四方に一つ、特に地方の方はもっと距離感のある学校になる。ところが、その学校に通わなければ修業したことにならないよという通達を出されるとこれはかなり問題があるよ、こういう指摘を私の方から申し上げたら、文部大臣が、いろいろと事務当局との質疑応答を伺った後で、それは委員会をつくるなり何するなり運営の妙味であろう。だとすれば、この通達は、生産調整と違って、よるところの法律があるわけですから、当然規制される問題ですから、もう一度その通達を出し直すべきではないかというのが、これは国民サイドから見れば当然であり、まして、その行政機関ではそれを待っておるわけです。したがって、国会答弁で運営の妙味でやると言ったって、正式な通達を出し直さない限りにおいてはこれは混乱するのだ。あと半年しかない養護学校の義務化の前ですが、ちょっと文部大臣から、一体通達を出し直す気があるのか、いつごろ出すのか。
○砂田国務大臣 前の国会で川俣議員から御指摘もございました。私、お答えをいたしたわけでございますが、いまお話しの通達の前に、やはり政令改正を当然いたさなければなりません。すでに政令の改正をいたしました。そして、健康診断の時期を繰り上げますとか、現在の養護学校ではなくて通常の学校に在校をしている障害を持ったお子様を、事情があったり、教育上差し支えないというふうに教育委員会が認める場合には、いままでどおり通常の学校に通学をさせることは構いません、そういう政令の改正をいたしました。そして、引き続きまして保護者の意見をよく聞いて、専門家から成ります指導委員会に諮問をして、適切な就学指導を行いますための体制の整備を図らなければなりませんから、ただいま、通達の出し直しをするその通達の準備にかかっているところでございます。間もなくこの通達が出せるかと考えております。
○川俣委員 もう一度、大変恐縮なんですが、あと半年しかないものだから、事務当局でもいいですが、いつごろ地方に着くように通達が出るのだろうか。
○砂田国務大臣 今月中か来月早々には自治体に届くものと考えております。
○川俣委員 了解しました。
 それからもう一つ、世を騒がせたスモン訴訟です。裁判は、国家賠償の義務がある、こういう判決を下した。ニュースバリューがあった。ところで、厚生省は不満である。そこで、厚生大臣が法務省を通じて控訴することになって控訴した。ところが、内容はまだ出ていない。控訴するうたい文句だけは出た。一体この際に控訴をするという理由をひとつ……。
○小沢国務大臣 御承知のように、東京地裁の判決は、昭和四十二年に薬事法に基づく医薬品の承認審査に必要な資料要求の範囲についての行政方針を通達で出したわけでございますが、この通達によって、そのときから実定法規としての薬事法が実質的に修正されたという見解をとられたわけでございます。私どもは、これはちょっといただけない。もしそういうことになりますと、他の行政一般にも非常に大きな影響を来しますし、これは四十二年、御承知のとおりキノホルム事件等で医薬品の安全性が緊急課題になりましたから、医薬品承認審査に必要な資料、その資料の提出範囲等についての通知を出したわけでございますから、これをもって実定法上薬事法の実質的な改正が行われたと断定することは私は誤りだと思っておるわけでございますので、控訴をいたしたわけでございます。
○川俣委員 だから、簡単に通達に手を出すとそのようにやけどをするわけですよ。
 法制局長官、いまのはこういう解釈なんです。スモン訴訟の控訴した理由は、その前に法律があるわけなんです。法律があるんだが、法律を超えて通達を出したかどうかは別として、裁判所の判定は、その通達を出した以上はその通達によって国家賠償せい、こう判定されたわけですよ。それがこのスモン訴訟のいい例ですよ。これもいま司法の手に入っているからここでは論議しませんけれども、さっきは、やはり間違いでしたというので再通達を出すという文部大臣の話でした。今度は実定法規というものを取り上げられて、根拠がなかったはずであるが、通達を厚生省が出した以上は、その通達によっては国家賠償しなければならないようになっているわけですよ。ところが厚生省は、これは通達行政的な通達であって、法律的な根拠は一切ないんだということで逃れようとしているわけです。だから、私が言わんとするのは、通達というのはその内閣なりいわゆる権力に乗っていくと、法律にもないものが大変な危険な道具に使われやすいんだ、こういう意味で、この通達論争は後でまた出てまいりますけれども。
 それから、もう一つ厚生大臣に伺いたいんだが、いま健康保険の組合というのは八つある。規模の小さいのが政府管掌である。規模が大きい民間の企業は健康保険組合である。ところが、政管健保に入っておった会社がだんだんに規模が大きくなって、組合健保の資格を取得したというので厚生省に申請をした。非常に多い。これがなぜ滞留されているのだろうか。いろいろと調べてみると、健康保険組合というのはやはりもう少し診療費というものを的確に――いま非常に事件が起きるわけです。悪い医者といいお医者さんがいるわけです。十日くらいしか入院しないのに二十日入院したと、この間も新聞に出ておった。そういうのが健康保険財政を圧迫する原因にもなるのだ。したがって、健康保険組合としては、徹底的にその医者の請求というものを審査するという機関が必要ではないか、こういうことが言われている。かといって、国の言うことを聞く政管健保から健康保険組合というものに入りたいというのを抑えるというのは、やはり勘ぐりたくもなるのじゃないのかな、こういうように思っている。
 そこで、いまこれは、申請があったら受け付けなければならないという義務が厚生省にある。後は審査いかんである。ところが、申請を受け付けないという極端な例もあるということをわれわれが聞くと、やはり政治としては黙っていられない。その辺はどうですか。
○小沢国務大臣 健康保険法の規定によります健康保険組合の認可行為は、一応行政庁の自由裁量行為と私どもは考えておるわけでございます。
 そこで、去年の十一月あるいは十月ころでございましたか、渡辺厚生大臣のときから、しばらくの間は認可をしないという、一応省内で方針を決定いたしました。これは御承知のとおり、衆参両院の社労委員会において十四項目にわたる健康保険制度についての抜本的な改正の御議論がいろいろございまして、その十四項目に従って逐次健康保険の抜本改正をやっていきますということを申し上げたわけでございます。そこで、今度政府が提案をした健康保険法の改正がその第一回目になているわけでございますが、この法律案、まだ御審議いただいておりませんけれども、その中に、御承知のとおり、いわゆる負担の公平、給付の平等という観点から、とりあえず健康保険組合相互間においての財政調整をやるという規定がございます。また一方、当面はそういうことでございますが、やはり中小企業、大企業の全体の財政調整まで、共済組合を含めた、いわゆる健康保険の被保険者全体の財政調整も行うのだという意思表示をしているわけでございます。そういたしますと、やはり根本改正をいろいろ議論している最中でございますから、健康保険組合の新しい設立というものをいまどんどん認めていくということは、その根本的な改正の方向に相反するのではないだろうか。しばらく、その結論が出るまではもう少し待ってもらいたい。
 それからもう一つは、当面の理由として、政府管掌が非常な赤字でございます。したがいまして、御承知のとおり、昭和五十二年度の改正におきましても、皆さん方の御協賛を得てボーナスからも臨時にひとつ保険料をいただく、いろいろ被保険者や事業主の負担を求めている最中でございます。それは政府管掌が財政難に陥っているからでございます。その政府管掌の中に入っているいいものをどんどん出していくとすれば、政府管掌はますます悪くなるわけでございますので、そういう事業主、被保険者に負担を求めているいまその最中でございますから、ひとつ新しく事業所健康保険組合を認可するようなことは当分見合わせていこう、こういう二つの理由からでございますので、この点はしばらくの間、いろいろ御議論があると思いますが、ひとつお許しをいただきたいと思っておるわけでございます。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
○川俣委員 いま、そのとおりだという意見があるように、だから法律は個人が曲げて解釈してはいけないというのは、法哲学論争をするわけではないが、いまある法律の中で国民が生きているのだ。ところが、この法律をやがてこのように変えるであろうから、それは待てという言い方はないのだ。時間はないけれども、しかも健保の論争をするのなら私も言いたい。少なくとも政党政治の自民党政府、総裁であり総理なんだ。そこから健保を一たん国会に出していながら、自民党の一部内部の方が不満だから、その健保に対して議員提案をするという態度の方がむしろ問題であって、そうでしょう、そこまで論議するなら、この間の衆参両院の十四項目というは、今度抜本改正するときにこういう項目は載せろよということであって、それが載るまでおまえらも順番を待て、こういう、人の運用で法律を曲げられたのでは、これはいかぬと思うな。これは法治国家ではなくなるな。法務大臣、ちょっと権威のあるところ、それは違いますか。ノーと思いますよ。
○小沢国務大臣 いまのような御議論があると思って、最初に法律の解釈上、健保組合の認可行為というのは行政庁の自由裁量行為であるという公的な性格を申し上げたわけでございます。したがって、その範囲内において行政庁がいろいろそのときの方針によって認可をするしないを決定していくということでございますので、法治国家における違反行為でもなければ、権限の逸脱でもない。被保険者の皆さんがみんな負担をしなければいかぬようなときでございますから、政府管掌中小企業全体の相扶共済の制度でございますので、やはりいい人はたくさん出していただいて、少ない人は少なく出す、そうして給付は平等にしていく、こういうことでございますので、よろしく御理解をいただきたい。
○川俣委員 時間がないから、これは本論でないから、常任委員会の担当委員会でなされると思うのですが、私は精神訓話はわかるんだ。だけれども、いまある法律だから、法律に乗ってきて処理すべきなんだ、いまの大臣は。したがって、窓口で拒否するとか受け付けないなんということがあり得たとすれば、私はこれは国会のサイドで注意しなければならぬと思って取り上げたので、これはひとつ後で大臣と詰めます。いいですか。
 それから、この前、大変いやがる生産調整を、あめとむちでもってと言うとちょっと言い過ぎかもしらぬけれども、補助金もやるのだ、しかもペナルティー的ということまで政府の口から出たが、いわゆる罰則的という発言も知事会議であった。それをまともに受けた方が悪いのか、町村長の農民に対する通知は、これは罰則を加えられるから気をつけなさいという文章まで委員長の手元に出して、確認されて再通達をした。これだけ大きな問題を町村長がなぜ責任を持たなければならぬのだろうか。一体自治大臣はこれを知っているのだろうか。そうしたら自治大臣は、余り生産調整のことは協議を受けていない、しかも機関委任事務じゃないという発言まであった。自治大臣が機関委任事務でないというのを、町村長がそんなに責任を持たなければならぬだろうか。たとえばあの三枚目に、稲を植えるところに豆を植えた。本当に豆を植えて奨励金をもらったのか、それとも植えたふりして植えていなかったところへ町村長がやった場合に、もしそれが会計検査院に見つかった場合はだれがしかられるのか。農民がしかられるのか、与えた町村長がしかられるのか。食糧事務所は関係ない、統計事務所は関係ない、農政局ももちろん関係ない。こういったものを自治体に押しつけること自体がおかしいと思うのだ。機関委任事務ではないと言ったが、後で訂正されて機関委任事務だ、こうおっしゃったと思うので、ちょっと確認したいのですが。
 それからもう一つは、これは農林省は希望してないんだろうが、これだけのものを農民に従わせるには政府の補助金以外に上乗せしているのよ。十アール当たり三千円ないし五千円、私の知っているところは一万円も上乗せしている村がある。これは農林大臣は、そういうことをしちゃいけないと期待しているかもしらぬけれども、そうでもしないと従わなかったわけです。そこで、これは地方財政の大変な圧迫の一つの原因になっている。それから残業、いわゆる農業課、農林課というセクションなんかは、その通達そのものの達成のためにつきっきりですよ、かかりっきりですよ、町を挙げて。
 こういったところを見ると、もう少し自治大臣は、自治大臣を言うんじゃなくて、閣議全体で、これだけの金を使うわけだから、一体使った後はどういった結果になったかは後で聞きますけれども、まず自治大臣、その辺をもう一遍聞かしていただけますか。
○加藤国務大臣 お答えをいたしてまいりますように、水田利用再編成事務は機関委任の事務ではございませんけれども、しかし、地方団体といたしましても非常に重要な仕事でございますから、国の考え方に基づきまして協力をいたし、努力いたしてまいっておる、かようなことでございます。
 なお、水田利用再編対策に必要といたします金は、全額国が負担すべきが筋であり、国庫支弁がたてまえでございます。が、しかし、実際は非常に苦労してやっておりますので、この程度のことでは十分ではないからということで、公共団体がさらに上積みをいたして支出をいたしておる、かような例はあろうかと思うのでございますけれども、その実態はつまびらかには承知をいたしておらないところであります。
○川俣委員 これは時間がないからあれですけれども、総理大臣、私はここがやはり問題だと思うのだな。これは農林大臣だけでいい問題でもないし、農林大臣の通知にお金をつけて判こを押したものを町村長に出せばそれで足りるというものじゃないんだ。これはやはり内閣挙げて、むしろ国会挙げてこれとは取り組まないと、これから質問するであろう古米に対する国費のむだ遣いというのは大変なことになる。時間がないから……。
 それで、もう一つ例を挙げて、内容に入る前に聞きたいのですが、たとえば、このごろ大型ダンプの左折の際のいわゆる死角の問題ですね、あれなんかはもう本当に社会問題である。そうすると、いち早く行政、国会、早くこれを何とかしてくれなければならぬというあれがあると思う、国民サイドから見た場合。ところが、どうやらこれは、まだ未確認情報ですが、どうもしばらくこのまま泣き寝入りせにゃならぬ。うんと将来検討するまでしょうがないだろう、気をつけて歩いてもらうしかないだろう、こういうように受けとめざるを得ないのだろうか、どうです。これは運輸省の方では。
○福永国務大臣 大型トラックの左折時における事故防止をいたしますために、当面の対策といたしまして、サイドアンダーミラーの新設などミラーの改善、それから補助方向指示器の新設、側面防護装置の改善、こういったようなことを十一月一日から生産される大型トラックに実施するよう指示をいたしたのでありますが、それを申し上げると、こういう緊急的な措置のほかに、従来使われているトラックについて、いわば抜本的、恒久的な対策という問題があるわけでございますが、これは御指摘のごとく大変大事な問題でございますが、うんと台数もあることでもございますし、しかし、よけいあったってよけい改造すればいいじゃないかということ、もちろんそういう議論もあるわけでございますが、まあ現在使っておりまするいわば使用過程車につきましては、この新たに実施するなにのほかに、いろいろの装置をどういうようにつけ、どういうように強度的にも対処せしめるかということ等がございまして、いま鋭意これについて……(「くだくだ言っているな。運輸官僚はもっと要領よく答弁書を書けよ。」と呼ぶ者あり)いや、いま要領よく言っているのでありますが、やじの方もかなり要領いいので、幾らかまあ混線しておりますが、いずれにいたしましても、いま鋭意こういうことについての技術的な検討をさせております。そこで、この結果を踏まえまして、現在使用中のものにもできるだけ早くこれに対処せしめよう、こういうようなことでいまやっておるところでございます。
○川俣委員 どうもありがとうございました。要領よい答弁は期待していませんが、ただ、要領のいい行政指導というか、鋭意これから検討したって、毎日ダンプが動いているわけだから、一カ月待てと言うなら話は別だけれども、しかも数も多いことだ、こういうことだから、したがって私は、運輸大臣、これは担当委員会で当然やるべき問題だろうと思うんだが、答弁なんか要領よくなくったっていいから、やはりこういうようにやるというぐらいを、大臣の立場で運輸省の諸君に言うべきだと思うのです。
 そこで農林大臣、約二千七百億、今度は七百億ぐらい補正予算にのっけたわけだが、その前に二千百二十億当初予算でのせている。それで目的は、三十九万一千ヘクタールという面積がほかのものに転作なり休ましてもらいたいという目的であった。しかし、目的はたんぼを休ませるのが目的ではなくて、米が減ってほかのものがふえるというのが目的であった。ところが、私は指摘した、農民というのは転作、減反を幾ら命令したって、十枚のうち一枚は、比較的作の悪い、できの悪いたんぼは転作に提供するであろうが、残る九枚で十枚以上とるというこの農民の精神をつかまなければ、この減反政策は恐らく失敗だよ、こういうことだった。ところが、いや、天気もよくてまあ予想しなかったということは、これは違うのよ。たんぼの中に入ってみなさい。ことしほど農協の肥料と農薬が売れた年はないんだ。もう農民というのは、徳川時代からしぼられて虐げられた歴史があるか知らぬけれども、それに機械化されて労働力の余裕が出てきた。昔はいろりのそばでなわなって、わらじ編んで、みのかさつくって、カキの皮むいた。いまこれが全部、買うものになった。それに機械化された。
 そこで、私はやはりどうも的中したんじゃないかと思うんだが、大臣、これどう思いますか。目的は面積じゃなかったんでしょう。量だったんでしょう。ところが、百七十万トンでかけようとする三千億を割ると、六十キロに換算すると一万円かけるわけです。ところが、これは全然効果がなかった。これはどうなんですか。
○中川国務大臣 生産調整の目的は米の生産量を抑制したいということでありますが、協力をお願いするのには面積でお願いするより方法がない。もし、量でお願いするとするならば、限度数量をお願いしておりますから、限度数量のお米以外は責任を持てない、こういう方法もありますが、それは過酷であるということで、やはり面積でお願いをする、こういうことでやったわけでございます。結果としては、確かに百七十万トン生産調整、面積は達成しましたが、天候のために約七十万トンから八十万トンは増産になった。その増産になったものは、九枚で千枚分つくったからではないかという御指摘もありますが、そういう傾向がないとは言えませんが、従来も農家は一枚の面積で最高収穫を上げようという努力をしてきておりますし、ことしだけが急に九枚で十枚分とれるというようなこともまともにできるものではありません。結果としては気象が一番大きい。川俣委員の考え方をまるきり否定はいたしませんが、やはり異常な天候による八十万トンの増産と見るべきではないか。
 また、仕組みとしてもそれ以外方法がない。御指摘のとおり、もし量でやれというならば、限度数量以外は買い上げませんという過酷な方法もできないわけではありませんが、それはなかなかとり得ないところではないか、こう思う次第でございます。
○川俣委員 論議よりも実績が示しているものだから、議論はいたしませんが、(「凶作の方がよかったみたいな話だな」と呼ぶ者あり)そうそう、そういうような感じなので、どうも……。
 それでは、農作物がどさっと出た。つくれと言うから出た。これは、農民は価格保障に充てられるなという判断でほかのものをつくった。一反歩、十アール当たり五、六万も奨励金をくれるならば、もともとこれは稲をつくるより畑をつくった方がいい土地だったという農民の知恵で、もう全然切りかえた。そこへ五、六万円の奨励金が来た。ところが、農作物がどっさり出た。北海道の場合は四〇%近い協力率が出た。したがってかなりなものだ。この農作物は一体どうするのだろうか。そこで、いま日本の国民が食べる農作物がないのに充てるということであれば喜ばしいことだ。ところが、輸入の規制がない限りにおいては当然競合する。価格は当然合わない。向こうの方が安い。たとえばサクランボである。五千トンぐらいしか日本ではとれなかった。そこで農林省も力を入れ、農民もたんぼをつぶしてサクランボの桜を植えた。ところが、サクランボは雨に弱いからテントや何かをやってかなり投資をした。収入は、米の三倍ぐらい所得がよろしい。しかし、さてそれから七、八年になった今回、売りごろになった、食いごろになったといったら、ことしから七月一日、サクランボがアメリカからどっさり入ってきた。こうなると、これは一体どういうことになるのでしょうか、こうなる。そこで、農林大臣はせんだってから、前の農林大臣と違っておれは余り歓迎されない農林大臣として交渉してきたと言う。しかし決裂であった、これじゃ済まされないですね。
 そこで総理大臣、ちょっと伺いたいのは、国家統制論というか、せんだって本会議で、古めかしい自由主義経済誌じゃないかなと思ったけれども、うちの方の代表質問に対して、まだ価格差益があるのでないか、一遍調査機関をつくって的確に調べる必要があるのでないか、こう言ったら、これはちょっと国家統制につながるからいやだ、こういうように突っ張った。だとすれば、たとえば、いま歴史を持った釜石鉱山が閉山の通告を受けた。それはなぜかというと、隣の新日鉄釜石製鉄の炉が食う原料は、アメリカから買ってくる方が四千円、隣の鉱山で掘った方が六千円、したがって二千円安いから、向こうから買ってくるのでおまえの鉱石は要らないという通告で、それが伝わって、労働者の首切り六百人ということになろうとした。そこに、じゃ、自由主義経済だからやむを得ないのだろうか、国家統制、これに干渉するのはちょっと言い過ぎでないか、こういうことなんだから、ちょっと姿勢というか、哲学めいたものを聞きたいのです。
○福田内閣総理大臣 御質問は、いわゆる差益還元、これに関連して差益の調査をしたらどうだろう、そのために中立的な機関を設定したらどうだろう、こういう御意見でありましたが、われわれの使うところの商品、これはほとんど差益に関連があるわけです。それを、差益が一体どういうふうになるか、これを一々調べる、また逆に、適正な売り値が一体どうであるべきかということを調べるためには、差益を殺す要素、物価の値上がりとか賃金の上がりとか、そういうものも調べなければならぬ。そうすると、あらゆる商品につきまして全面的な価格統制という形態をとらない限りそういうことはできない、こういうことになりますので、これは自由経済の流れ、これに大体従って差益というものが国民経済全体の中に還元されていくということが大筋でなければならぬ。現にその大筋は動いておるわけです。卸売物価は一年間で三・六%も下がっておる。これはまさに自由経済原理が何も一々の商品を精査して値段を統制せぬでも動いておる、こういうことを示しておるわけでありますが、とにかく考えてみれば、一つ一つの商品を全部調べ上げて、その適正価格はどうだということになりますと、これは統制経済であり、この仕組みはとうていこの膨大な日本経済をいまの国家機構、社会機構で動かすことはできない、このようなことを申し上げたわけであります。
○川俣委員 大分論議があるのですけれども、先に進ませてもらいます。現実の話だけは時間内に済ませたいので……。
 それでは農林大臣、何はともあれ、豊作、農作物がどさっと出たわけですから、そうしますとこの辺で畑作物の価格、こういった論議になると思うのですが、一体ことしはどういう行政的な取り決めをするのですか、畑作物。
○中川国務大臣 生産調整をやりまして、お米を休んだ方には奨励金を出す。そのことによって、水田でつくります大豆その他が畑作に比べて有利である、あるいは米に比べて畑作物が不利である、こういう関係もありましたので、昨年、いわゆる奨励金と言っておりましたものを価格に織り込んで米価とのバランスをとる、そして、そのげたをはいた畑作農作物については、今後いろいろ議論はありますけれども、パリティを乗じて決定をする、こういう基本方針がありますので、そういった方法によって、今年産の政府が介入をいたします畑作物の価格についてはそういう方向でいきたい、こう思っております。(川俣委員「具体的にはないのですか」と呼ぶ)具体的にはきょう夕刻決める予定でございますが、大体パリティは、二%、少々高く一・九四ぐらいになるのじゃないかと思いますが、その価格をアップする、こういう方針でいきたいと思っております。
○川俣委員 時間がないので飛ぶのですが、古米処理をひとつ審議にのってもらいたいのですが、食糧という人の口に入るものであろうが、畜産のあれに入るものであろうが、結局人間の体へ入ってくるわけですから、放射能照射というのは非常に問題になっているわけです。そこで、飼料ならよろしい、人間が直接食べないのだから、残留しないならば、こういう考え方だろうが、しかもジャガイモはよろしくてほかのものはいかぬ、こういったようなまちまちなあれをやると……。時間がありませんから、この問題をひとつ投げかけておきます。
 それから、いままた米穀年度、十一月一日で古米になるトン数は五、六百万トン、これは倉庫に入っているわけだが、低温倉庫のほかに常温倉庫というものにも入っておる。したがって、当然カビを防いだり、腐るのを防いだりするために薬剤を使う。この薬剤は三つ使っておるわけだ。その薬剤は、劇物が二つ、毒物が一つ入っている。まず、そういうことを前提に、いま東京都で一体何%くらいの古米を配給しているのだろうか。
○澤邊政府委員 食糧庁が現在東京都において配給をしております古米は、約二〇%をやや切ったところでございます。月によってかなり違いますが、全国平均では約三割でございますが、東京都の場合は、自主流通米という形で新米が流入するのが多い事情がございますので、全国平均よりは下回っております。
○川俣委員 私の手元に届いている資料は、いわゆる配給米、標準米というか、配給米の中の政府米、これは三五%入っている。資料が届いておるんだけれども、その辺の整合性はどうですか。
○澤邊政府委員 全国ベースで見ますと、古米の配給率といいますか売却率、自主流通米を含めまして……(川俣委員「自主流通米は含まない」と呼ぶ)約三割でございます。東京の場合は、政府米で二割をちょっと切ったところというように、ちょっといま手元に資料がございませんけれども、考えております。
○川俣委員 担当官が持っている。
○澤邊政府委員 いま資料を持っておりませんので、正確にちょっとお答えいたしかねるわけですが、どういう資料を御提出したかちょっとわかりませんが、大体二割以下というふうに記憶しております。
○川俣委員 私の手元に持ってきた資料がそちらでお持ちでないというのはどういうものでしょうか。いずれにしても三五%ちょっと切ります。
 そこで、ひとつ農林大臣どうです。これは新米だけを配給するということ、どうです。それが一つと、それから、どうせ五、六百万トン余るであろう古米は手をつけないで、新米で消費、需給が整うわけです。いまの生産調整でずっといくと。それで、二百万トンの適正貯蔵を考えていると、こう農林省が言っているわけですから、したがって、五百五十万トンから六百万トンぐらい常に余るわけです。したがって、新米だけを配給すると消費拡大につながるということは、うまい米を食べようとすると自主流通米、高いものになる、配給米を食べようとするとまずい。したがって、これをまずひとつ――耳打ちしないで、少し調べて……。
 その前に会計検査院に、この前どのくらい一体かかるだろうか、倉庫料と金利が一体どのくらいかかるだろう、一トン当たり。そして、それが将来食うものであるならいいけれども、昭和四十二年からある。そうすると、会計検査院だったら、この国費のむだ使いを――むだ使いというのは政府が出している、国が出しているということは、もらっているという団体があるはずだから、その団体に会計検査院なら余り気がねしないったっていいんじゃないか。農林省はいろいろとそのほかにも関係があるので、倉庫料をやっている団体とは農林省は関係するなと言ったって関係があるようになっている。これはしようがない。だけれども、会計検査院としては、どうせ食わないものであろう、そのものに使う金をこれは抑えて、あとは全部新米でその需給関係を考えるということ、当然に、国民サイドから見れば思うんじゃないですか。すでに会計検査院が、この前指摘したことをこのとおり調査したかということと、それから一年間、梅雨を越すためには一トンどのくらいかかるのか、総額どのくらいかかっているか。
○岡峯会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 これまでの検査の結果についてでございますが、五十二年度の決算を中心にして仕事をいたしておりまして、本年の食糧庁関係の検査につきましては、国内米の在庫管理を重要テーマといたしまして、本庁のほか三十の食糧事務所につきまして検査をいたしました。つい先般、検査を了したばかりでございまして、現在取りまとめ中でございます。
 そこで、先生お尋ねの件でございますが、古米の在庫につきまして見ますと、先般二月にお答えしましたときには五十一年度末でとらえたわけでございますが、そのときに比べますと、五十二年度末におきましては百二十二万トンが増加いたしております。いま、仮にこの百二十二万トンにつきまして一年間そのまま在庫いたしますということで私の方が試算をいたしますと……(川俣委員「単価でいい」と呼ぶ)一万七千円ほどの単価になります。そういうことで計算いたしますと、百二十二万トンにつきましては二百十億ほどの管理経費を要することになろうかと存じます。
○川俣委員 どうも会計検査院が頭に入ってないんだよね。農林省は五百万トンないし六百万トン余ると言っているのだよ。要らないと言っているのだよ、はっきり言えば。だから、五百万トンは常に余っているわけだ。十一月一日になると、新米がどさっと入ってくるわけだ。そうすると、いままでの分が全部古米になるわけだ、十月末で。それが五百五十万トンぐらいになるわけだが、一万七千から一万八千、約一千億になるのですから、そういうとらえ方で、会計検査院は国費のむだ使いだということで調査すると約束したのじゃないですか。あなたの百二十二万トンというのは、去年の分とことしの分との差額のふえた分だけを計算したってだめなんだ。何をやっているんだ。会計検査院はそれが商売じゃないか。
 それはいいです。では農林大臣、その辺をずっとどうです。
○中川国務大臣 現在五、六百万トンという政府手持ち繰越米があるわけですが、厳密には五百三十万トンあるわけでございます。そこで、そのうち備蓄米として必要な量は二百万トンである。したがって、古米として処理をしなければならないものは三百三十万トンということになるわけでございます。これは早く処分した方が、倉庫料、金利等がかかりますから、いまの一万何千円を掛けなければいかぬ、そうすれば相当大きなものになる。一千億にはなりませんけれども、六、七百億にはなる。
 そこで、実は、二百万トンをいま備蓄米として翌年食わしていただいているのが古米として加給になる分、三〇%とか二〇%になるわけなんです。われわれとしては、当初五十万トンあれば備蓄米は十分だろう、不作その他があっても五十万トンあればいいということだったのですが、国会や生産者の皆さんから、五十万トンじゃ足りない、二百万トンは持てと言う。農林省がいやがるのを――むしろ過剰傾向になってきたということを言ったのですが、二百万トンぐらい持っているのがあたりまえだ、何も過剰ではないということで、必要以上の備蓄米をしている感じもないわけじゃないのです。ですから、備蓄米が五十万トンから六十万トンでいいということになれば、ことしは新米が六、七十万トンよけいできておりますから、五百三十万トンは処分してもあるいはいいのではないか、こういうことになります。
 それでは、これを処分するのに今度はどれくらいの金がかかるかというと、五百三十万トンは恐らく一兆七、八千億かかるのじゃないかと思うのです。一兆七、八千億を仮に五年間、六年間でやっても、単年三千億から四千億の金がかかる、こういうものでございまして、前回も七百万トン生産調整するのに約一兆円かかっておりますが、当時よりはこの古米処理というのは大変な問題で、農林省、財政当局も予算が組めないじゃないかというくらい厳しい状況にあるわけなんであります。したがって、一俵あたり一万円かけましても、あるいは三千億かけても、過剰米が出ないという、とにすることが政府の責任であり、農民の責任であり、日本全体の責任だと思って、理解と協力を求めてお願いしているのもまさに――過剰米が出たときの後始末は、金利、倉敷料のみならず、これを処分するときには、家畜のえさにすると、恐らくコスト二万円のものが二千円にしか売れない。あるいは外国へ売りましても、二千円いただけるかどうかわからない。こういうきわめてやっかいなものでございまして、生産調整をいろいろ御批判をいただきながらお願いしているのもまさにこのためでございまして、御指摘の点は十分理解しているところですが、頭を痛めている最大の課題でございます。
○川俣委員 だから大蔵大臣、それは人ごとじゃないですからね。結局、農林省としては、農林大臣としては、一粒でも財産だからどうにもならない。それを処理するには、損金処理をしなければならないから金が要るわけだ。だからとっておくと七年かかる、七年かかればまた古い米になる。しかも国民は古い米と新しい米とまぜて食わされる、だからますます消費が下がる。うまいものを食うためには自主流通米で高い米を買わなければならぬというこの悪循環だ。したがって、いま現実に金がかかるというので延ばして、倉庫料をかけて評価を上げていくよりも、たとえ二千円で処分したって国としては得じゃないの。どうなんです。五百五十万トンといったら一万八千円で約一千億円、どうです。これを二千円で売れるわけですから。もっと簡単に言うと、一円で売ったってもうかるわけだ、千三百円かけて一年とっておくよりも。千三百円かけてとっておいた米がやがて役に立つというものならいいんだよ。そうじゃないでしょう。これはどうですか。
 やはり農林省だけで処理せいと言ったって無理よ。総理大臣のあれだろうけれども、どうですか。農林省じゃどうにもならないよ。古米を処理するためには金がかかる。だから七年ぐらいかけて、七年かかればまた変わる。大臣はかわるかもしらぬけれども、食糧庁の長官はかわっても、かわったたびに頭を悩ませられる。こういう悪循環だから、ひとつどうです。国を挙げてこれを全部整理したらどうか。処理したらどうか。
 酒米だって、いまは酒米は自主流通米でなければ酒屋は買えないのですよ。高い米でなければ買えない。配給米は売らないでしょう。だから、売れない、国の財産だからとこう言っている。財産だ財産だと言ってとっておけば、六十キロに千三百円かかるのですよ。一俵に千三百円、倉庫と金利がかかるのですよ。それは確かに倉庫業をやっている人方からは抵抗がある、一千億黙って入ってくるのをみすみす逃がしちゃうわけだから。だけれども、それは農作物その他があるわけでしょうと言うんだ、米以外の農作物があるのだろうから。やはり倉庫を建てさせたという農林省の責任もあるわけでしょうから、一遍に倉庫を全部空にするわけにはいかないだろうと思います。けれども、一応国民サイドから見た場合は、どうせ役に立たない五百万トンだから何ぼかかったっで積極的に処理するという国を挙げての責任、農林省だけに任しておくところに問題があるんだ。それは食管会計の中で、農林省の総枠の中で処理せいと言うから七年かかるわけです。ところが、この古米処理というやつは総理大臣の責任じゃないか。福田内閣の責任だと思うのです。責任と言っては悪いけれども、責任をお持ちになる総理ですから。ここでひとつどうですか。
○福田内閣総理大臣 いま古米を整理する、これは大変大事なことだと思いますが、さて、それは一体どうやって整理するのだ。いま川俣さんは、海外にくれてやったらいいじゃないかとか、あるいはうんと安く売ったらどうだ、こういうようなお話ですが、いずれにいたしましても、これは非常に財政問題と関連を持ってくるわけです。また、海外に売るにいたしましても、わが国の生産費と海外の市価、これとの問題もあるし、また、これをただでくれちゃう、こういうようなことになりますと、これは相手国の伝統的な輸入先、それとの調整の問題もあり、そう簡単な問題じゃないようです。私は、海外にたとえば経済協力だというような形で古米処理をするということを全面的に否定するわけじゃございません。しかしながら、ただいま申し上げたような事情を勘案いたしましてこれはほどほどにやるべきものである、このように考えております。
○川俣委員 終わります。
○中野委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。
 午前中の小林進君の発言中穏当を欠く字句があるようでありますので、委員長において速記録を調べ、そのような個所があった場合は、委員長において適当なる措置をとることといたします。御了承を願います。
 次に、大出俊君。
○大出委員 園田外務大臣がどこかほかへ出ていきましたから、いきなり質問をと思いましたが、先に、ソウル地下鉄に絡みます問題についてちょっと承っておきたいと思います。
 国税庁長官に先ほどお願いをいたしてありますが、私が何回か今日までソウル地下鉄問題を取り上げてまいりましたが、なおその後の調査をいたしておりまして、チェース・マンハッタン銀行であるとか外換銀行であるとかいうところの金の出ということについて、いかなる口座名であるか、あるいはそれがどういうふうに流れたか、あるいはチャンイル・エンタープライズ社の手数料二億二千万円がどうなっているか、これは実は国税庁がお調べになっている四商社、三菱初め四商社に対する課税という意味での調査と絡んでいるわけであります。
 最近、前から問題になっておりまして私が指摘しておりました二百五十万ドル、この金の問題等をめぐりまして、出がはっきりわかれば課税そのものが決まるわけでありまして、そういう意味で目下一生懸命やっておりますという御答弁を実はいただいておりますけれども、ようやく国税庁としての決着になったようであります。したがいまして、とりあえず、一体いかなるルートでいかなる性格の金だということになったのか、総額どのくらいということにおさまったのか、大体同額の金を出しているわけでありますが、そこで課税の処理は済んだのか、ここを少し詳しくお話をいただきたいと思います。
○村山国務大臣 いま国税庁長官を呼んでおりますので、後で具体的に答えさせていただきます。ただ、私が聞いておりますのは、課税処理は一切済んだ、こういうことでございます。
○大出委員 私も大分前に、午後の冒頭に委員部にお願いをしておいたのでありますけれども、お見えにならぬというならば、おいでになってからにいたします。
 どうも今回は、質問をするとかしないとか、またやめるとかやるとかいうことになりましたから、また二時間だと思ったら一時間半、いや一時間だと言ってみたり、出たり引っ込んだりまた出たりになっておりますので、質問の方も、また外務大臣に質問しようと思ったら便所へ行く、こう言う。国税庁長官へと言ったらまだ来ないと言う。どうもジグザグでございますけれども、そうも言っておられませんから、もう一つ、しからば承りまして、それからにさしていただきたいと存じます。
 実は、これは大変重大な問題だというふうに私は思っておりまして、さきの国会でも総理並びに総務長官に承ったのでありますけれども、同和関係費にかかわります問題であります。同和対策事業特別措置法なるものの期限は来年の三月末である、こうなっているわけでありますが、前回私がここで質問をいたしましたときに、次の国会でということで実は御答弁をいただいているわけであります。したがって、私はこの国会で何らかの措置を、ある意味のめど、決着としてお出しを願わなければならぬ筋道だ、こういうふうに実は考えているのであります。総務長官には大変前向きにお取り組みをいただきまして、前回の国会でも私に前向きの御答弁をいただいておりますから大変感謝をいたしておるのであります。つまり予算要求等の段階で、五十四年度予算、ここでそれなりに相当の措置をしてもらわなければ困る、こう申し上げておきましたが、私の知る限りでは二千六百三十億、端数がございましょうけれども、対比いたしますと四二・七%ぐらい前に出ている。したがって、これは大変ありがたい次第でありますけれども、その後の、つまりどういうふうに年限を含めまして決着をつけるかというところが、いま問題の焦点でございましょう。
 そこで、まずもって長官に、現地の視察をなさっておられるわけでございますから、しかも相当突っ込んで詳細にお調べのようでございますので、これまた感謝を申し上げておりますけれども、その上に立って、一体これは果たして打ち切れる筋合いか、そうではないのではないか、まだ相当な期間をかけなければこの問題の本当の対処にはならぬのではないか、率直に言って私どもはそう思っておるわけであります。現地をごらんになって、視察をされ、御検討いただいた上に立っての総務長官の感触と申しましょうか、そういう意味のお考えをこの際いただいておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○稻村国務大臣 延長問題の成否の問題についてのお伺いでありますか質問でありますか、御指摘をちょうだいいたしましたように、私は去る十一日、現地を視察いたしました。そのときには詳細に視察をしたわけでありますが、まず完成したところ、それから目下着工中のところ、それから未着工のところと、拝見をいたしました。もうでき上がっているところは、私が想像しておったよりも大変りっぱにできております。ただ、問題は、同じ地区内にできているところとできていないところということでございますから、私は一日も早くこの格差を解消しなければならぬ、こういう考え方を強く持ってまいりました。特に、四十四年から九カ年間この措置法に基づいて、いろいろな問題があったとは思いますが、この政策実効と申しますか政策の効果があったものだ、私はこういうふうに考えております。
 残事業も相当量残っております。三千二百六十億。また、この間に最近百二十地区を新しく指定いたしました。そういう関係から、これはここでどの程度までの年月を要すれば解決をできるものか、こういう答えについて簡単に申せということでございましょうが、これは各党間の意見を尊重する、各党間の意見が速やかに合意に達することを私は主管大臣として期待をかけておるというのが現状であります。
○大出委員 この各党間の意見でございますけれども、野党側と申しますか、そういう言い方が適当かどうかわかりませんけれども、大体五年延長ということで大筋の合意はできていると私は思っているわけであります。先ほど昔の話が出ましたが、私もこの法律をまとめますときに、幾つかの委員会、幾つかの省庁にかかわりますために、最終的に内閣委員会、つまり総理府という形でまとめていただきたいということになりまして、私も長らく内閣委の理事をいたしておりました関係で、各党の方々にお出かけをいただきまして、また各委員会の方々にお出かけをいただきまして内閣委員会でまとめたわけであります。そういう責任を実は痛感をしている一人でございます。したがって、新しい地域の指定もなさったわけでありますし、そういたしますとそう簡単に打切れる筋合いのものでない、こう考えているわけでありまして、中にはしきりに三年などと言う方がおりますけれども、やはり五年という延長を考えておいて、あるいはそれ以上の延長を考えておいて、物事、大抵の場合に、当初計画どおりおさまるたぐいがないのでありまして、まして、いままでの経緯からいって、いまおっしゃるようにできているところあり、できていないところもある。九州の大分周辺の話をこの間、私、細かく聞きましたけども、宇佐等の状況も調べてみましたが、いま、いろいろな要求をそろえて出してきて、こうやってくれというところまである。そうなると、これからやるとなると、これはちょっとやそっとで片はつきません。そうなりますと、どうしてもやはり相当の間の延長に持ち込まなければ、これは逆に大変な不公平、不均衡が生まれる、こう私は考えています。
 そういう意味で、くどいようでございますが、もう一遍承りたいのでありますけれども、御視察をいただいた結果として、やはり相当の間この事業というものを進めていく必要がある、こういう感触はお持ちのはずだと思うのでありますけれども、恐縮でございますが、もう一遍その点をお答えいただきたいのです。私の方も本当に必死でございますから。
○稻村国務大臣 こちらで陳情を受けておるのと現地に入ったのとは相当違う、こういう感触を持ってまいりました。これから実行しようというときには、まず、住宅であるとするならば立ち退きをしていただかなければならぬ、立ち退きをする人たちの住居をも準備をしなければならぬ。これはやはり全部一斉というわけでございませんので、またそれを繰り返し、完成をした、また入居をしていただかなければならぬ、そこでまた立ち退きをする、また、その立ち退きをする人たちの住居という問題もございますので、どういう期間が適当であるかという問題については、いろいろな関係上ここでお答えをするというわけにはいきませんが、この措置法だけはやはり短期間にいくということはむずかしい。
    〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
私は、その年限はどういう年限が適当であるかは知りませんが、きめ細かく実施をすることによってこの目的が達成されるものである、こう確信をいたしておるわけであります。
○大出委員 いまのお話を聞いておりますと、これを前に進めるという意味では、これはまた相当きめ細かな手数がかかる。土地の取得に関する問題、建てる、さて、どいていただく、入っていただく、その繰り返しをやっていかなければならぬというお話でございまして、したがって、年限は言えぬけれども、もちろん短期間では片がつきそうにはないという御感触でございまして、いろいろ言われている三年というのは短期間、五年以上というのは長期間ということでいま論争していますので、いま、短期間ではいかないというお話でございまから、そうなると五年以上の部類に入るという感触に私は受け取るのでありますが、ここで詰めろというのはしょせん無理な気がいたします。
 総理に一言承っておきたいのでありますけれども、いま稻村さんがおっしゃっているのは、行ってみるとわかるのですよ、用地取得から始まって、いる人をどいてもらって建てる、また今度は入居してもらうということを繰り返すわけですから。したがって、いままでやっているところあり、これからのところがあるわけでありますから、そういう意味で、実際問題としてやはり相当期間を見ていただきませんと無理だと私は思うのです。総理は恐らくいろいろ御報告をお受けになっているのだと思うのでありますけれども、いま総務長官が、短期間じゃ無理だ、やはり相当期間がかかる、こうおっしゃっているのですが、ひとつそういう意味で、相当な期間をかけてもこれはやる、この点を総理に一言、年限を切るということは無理な質問になりましょうけれども、ぜひひとつお答えいただきたいのです。
○福田内閣総理大臣 本問題のいきさつは、私よく承知しております。そこで、できることならばなるべくこの国会でこれが成立するということが望ましいというふうに考えまして、一昨日の自由民主党の役員会でも、鋭意各党間の調整に努力してもらいたいというお願いをしておるわけですが、これは打ち切りというわけにはいきません。さて、それならばどのくらい延ばすのだということなんですが、率直に申し上げますと、自民党は余り長い年限を希望しないのです。その辺に問題がある。まあ、しかし、各党とよく話し合って妥当な結論を得るように、私としてもこの上とも努力いたします。
○大出委員 自民党は余り長い期間を望まない。総裁でおいでになる総理のいまのお気持ちは、総務長官と同じように、きめ細かくやっていくとなると相当期間がかかるというふうにお考えのようなニュアンスに聞こえる。だがしかし、一つの集団の中をまとめるということはなかなか大変なことでございましょうから、ここでいつというふうに期限を切れなどということは申しませんが、いま一つ何とかこの国会で成立に努力したい、こういう実はお話でございました。それをひとついただきまして、もう一つ総務長官に承りたいのですけれども、小委員会もつくられているわけでありまして、どうかひとつこの国会で――短期間ではちょっと簡単にいかない、相当の期間かかるというニュアンスの先ほどのお答えでございますから、ひとつぜひそういうニュアンスで、いま総理であり総裁である福田さんからお話しいただきましたけれども、取りまとめに御苦労なさると思うのでありますけれども、どうかひとつ各党間の意見の調整に総務長官の方も密接にタッチしていただいて、何とかこの国会で、短期間というものでない、きめ細かく施策を進めていける形におまとめいただく御努力を願いたいのですが、最後の質問でございますが、いかがでございましょう。
○稻村国務大臣 小委員会への出席要請があれば私も出席をいたしまして、現地視察の模様等々も報告を申し上げて、まあ来年の三月三十一日、こういうふうになっておりますけれども、いろいろな情勢から考えまして、いま総理も答弁をされましたように、今国会に成立ができますならば私も大変幸せに存じております。
○大出委員 期間につきましては、短期では困難であるというふうに、まあ短期、長期のいまの論争が三年あるいは五年以上という論争でございますから、ニュアンスとしては前向きに受け取らしていただきますし、今国会でという総理の答弁でございますので、ぜひひとつ、これまた前向きに受け取らしていただきまして、大変な期待をしている向きが全国的にたくさんございますので、これは実は大変根本的なこの国の問題でございますから、そういう意味でぜひひとつ御努力をお願いをいたしまして、時間がございませんので、この問題を打ち切らせていただきます。
 国税庁の長官がお見えのようでございますから、先ほどの質問をもう一遍繰り返しますが、実はこの地下鉄問題については、この国会で、先ほど申しましたようにチェース・マンハッタン銀行の出の方の問題あるいは外換銀行の出の問題、そこから先の問題、不明費、あるいはチャンイル・エンタープライズ、二億二千万円の問題をどう考えたらいいか、使途不明のなぞという問題もございます。そこらを実はまだ追っておりまして、際どいところまで来ている問題もございますが、これまた、本格的に申し上げますと長くなります。したがって、何回かにわたって私が指摘をしてきた、まあ、言ってみれば国税庁のお手伝いをしたようなかっこうになる。皆さんに見当のつかなかったところで税金を取るという問題が浮かび上がったわけでありますから、逆に四商社からえらいところへ食われたなんていって恨まれるということになりそうでありますけれども、しかし、資料は私がこの席で幾つも提出をしているわけでありまして、その上でようやく税務処理を終わりにするというところに来ている、あるいは終わった。これは出をきちっと押さえなければ終わらぬわけでありますから、そういう意味で、いかなるルートで出をお調べになった結果、どうなっていたのか、いかなる性格の金と見て課税をなさろうとしたのか、あるいは課税をしたのか、税務処理をおやりなのか、そして大体どのぐらいの額になるのか、総額、この辺も承りたいのであります。
○磯邊政府委員 去る八十三臨時国会、また八十四通常国会におきまして、ソウル地下鉄の問題についての課税上の諸問題についていろいろと御質問を受け、また私、御答弁申し上げました。大出先生の方の御質問に対しまして私がお答えした記憶では、現在、関西糸の二社については調査を終了して、東京糸の二社については現在調査中である。そういったことで小林先生の方からも、調査が終了した場合にはまた当委員会においてそれを答えろというふうな御要請がございました。御質問でございますので、申し上げられる限りにおいて御報告させていただきたいと思います。
 まず第一の二億二千万円の件であります。これは当委員会でも御指摘いただきましたように、韓国のチャンイル社に対します五社からの手数料の問題であります。この問題につきましては、去る国会で私御答弁申し上げましたけれども、それぞれの四社の経理処理に従って是認しておりますということをお答えいたしました。といいますのは、それぞれの各社におきましてソウル地下鉄に関与する程度が違いますので、二億二千万円の通常の手数料の支払いの額もそれぞれ違います。したがいまして、この処理につきましても、それぞれの商社によって、ある商社はそれを寄付金として経理し、ある商社はこれを手数料として損金計上している。寄付金計上しておりますところは経費として認めておりませんで、課税処理を済ましております。それから手数料処理といたしておりますところは、それぞれの手数料契約の内容、それから実際にチャンイル社の果たした役割り、そういったことを勘案いたしまして、これは計上を認容しております。
 それから、問題になりました例の二百五十万ドルの件でありますけれども、この二百五十万ドルの経理につきましては、各社またそれぞれの経理をしておるわけでありまして、その統一的な処理に私たちは苦労したわけでありますけれども、最終的に申し上げますならば、各社とも、これを損金に計上しないということで修正申告を提出いたしまして、それによって、私どもは過少申告加算税を徴することによって終了いたしたわけであります。ただ、この二億五千万ドルの行き先はどこかということになりますと、先生御承知のように米国国内における問題がございますから、これはわれわれの手としてはいかんとも調査ができないというようなことで、この問題についての日本の国税局の処理といたしましては、これをもって私たちは終了いたしたものと考えておる次第でございます。
○大出委員 大変時間がないので本格的な質問は後刻に譲りますけれども、いまの御答弁には非常に大きな関心を持たなければならぬ答弁が、前段のチャンイル社をめぐる問題にもございます。私も細かく調べておりますので、これはもっと細かく詰めなければならない、こういうふうに思います。もちろんチャンイルの場合には、チャンイルを使っている商社、使っていない商社、ございます。その差があることはわかるのですけれども、いまの御答弁には大変に後に問題が残ると思う問題がございます。
 それからもう一つ、例の二百五十万ドル、当時の三百円換算でいけば七億五千万円であまますけれども、この問題も、いかにアメリカ国内の問題とはいいながらも、出を押さえなければ課税のしようがない。しかもやり方が、政治問題になりましたから、そこをつかれては、あるいは国税庁はそこは調べたが出てきてはまずい、こういう配慮のもとに各社が損金に計上しないで修正申告で済ました、これもちょっとどうもうまいことをやるなという気がするのであります。それでちょんにするという。そうなると、それじゃ済ましませんぞ、こう一言言っておかなければいかぬのでございます。だが、いまは時間がありませんので、まとめてまた後の機会に申しますが、そこで、国税庁がはからずも徴収できた金の総額は一体どのくらいになるのですか。
○磯邊政府委員 お答えする前にちょっと訂正させていただきます。
 先ほどの私の答弁で一カ所、二百五十万ドルと申し上げるところを二億五千万ドルというふうにお答えした個所が一カ所あったと思いましたが、それは二百五十万ドルの誤りであまますので、訂正させていただきます。
 それから、総額でありますけれども、われわれの課税の今度新しく対象となりましたのが例の二百五十万ドルでありますけれども、これはそれぞれのレートで換算いたしまして、日本円にいたしまして六億三千万円であります。したがいまして、六億三千万円の仮に四〇%といたしますと約二億六千万円程度の税金になろうかと思います。
○大出委員 大体、各商社同じくらいずつ払っておられますから、内部事情の変化がありましても、大体これを四つで割りますとおおむね各社の納税、修正した金額になる、こういうことであります。これはいまの御答弁の中にもいろいろございますので、改めてひとつ機会をいただいて、その先をひとつまた質問をさせていただきたいと存じます。
 時間がございませんので、次に移らしていただきます。
 もう一つ、本題に入ります前に承っておきたいことがあるのでありますが、三十日の各社が扱いました大きな記事の中に、模擬原爆のテレックスが、本来これは熊本の秋月の弾薬庫あてに打ったものなのでありますが、熊本の金融機関に入ってしまった。大騒ぎになりまして、後でそれを持って、写しかどうかわかりませんが、調べた社もおいでになるようでありますし、防衛庁に聞きにおいでになった社もあるようであります。
 そういうふうなことが重なりまして、実は大きな政治問題を現地広島では起こしております。あわせて私の足元の神奈川の方も、これは座間の陸軍司令部から打っておりますので、また神奈川県にも皆さんがよく御存じの池子という有名な弾薬庫がありましたり、幾つもございます。これはみんなに打っているのだとすればえらいことじゃないかということになったわけであります。いま方方で地域地域に運動が起り始めている。行政長官である方々もそれぞれいま動いております。
 中身は、簡単に申し上げますと、テレックスでM142と名づけられた模擬原爆の荷ほどきの仕方から、発射態勢をとるまでの指示が英文で細かく書いてある。この指示を読んだ関係者は、模擬爆弾だとはいっても、原爆に関する訓練指示が電電公社の回線を使って無造作に白昼、やたらそこらにテレックスで打たれている。事もあろうに、世界でまさに初めての原爆の大変な被害を受けている広島、この秋月初め三つある広なり川上なりの弾薬庫問題というのは、前から、核が置いてあるのじゃないかという幾つもの問題がございました。にもかかわらず、これは実に細かいですね、中身を見ると。つまり、上の方の高さがこのくらいある。だから、上に障害物のあるところを避けて、地盤のかたいところで、コードを十四フィート延ばしてということで、鉄製のドラム、荷ほどき用具などの指示も全部入っている。そうして、こういうふうなことでこの模擬爆弾というのは使うのだということになっている。高さが大体百三十メートルぐらいのキノコ雲ができる。核反応による光と同じような光が出る、こういうものなんですね。
 こうなると、これはどうもただでほうっておけない。そこで、こういう模擬爆弾にかかわる非常に細かな、つまり扱い、訓練の仕方に類するもの、大変細かく書いてあります。そうなると、これは模擬爆弾のないところへこのテレックスを打ったって意味がない。ひょっとすれば本物があるかもしれない、こういうことで大変大騒ぎになっているのですが、外務大臣、ひとつこれは一体どういうことだったのか、その中心点を承りたいのです。
○園田国務大臣 米国の方に照会いたしましたところ、御指摘の問題は、日本の軍司令部から出したものではなくて、米国防省からの指令によって世界各地に指令をしたものである。米軍の内部には、その地域にあるなしにかかわらず、すべての兵器の装置取り扱い等についての指令書があるわけで、適時これに対する修正あるいは指令を行なっておる。したがって、このテレックスは秘扱いではなくて、世界各地の弾薬庫に送ったものである。こういうわけで、そのようなM142は貯蔵してないということは事実である、こういうことであるし、なおまた、これは事前協議の対象になっておりますから、これはないものと確信をいたしております。
○大出委員 これは調べてみましたが、方々食い違うのですね。米軍の方の中佐の方は、核アレルギーの強い日本だということはよく知っている。だから日本国内で模擬爆弾を含めて核兵器を保有していることはない、だから模擬爆弾を使っての訓練もしていない。防衛局長の伊藤さんの方は、訓練、これは模擬爆弾を使ってと言っているわけじゃないでしょうが、訓練はやっている、それは認めると言うわけですね。しかし、ないだろうと言う。
 ところが、今度は電電公社の九州通信局の方は、テレックスというのは最初にどこどこにつなぐというときに電話と同じようにダイヤルを回すと映りますから、目的のところにつながったのを確認してから送る、これが筋だ。それを相手の確認をしないで打ってしまったんだろう。だから秋月の爆弾庫に行くべきものが熊本の信用金庫に行ってしまった。ところが、大使館の方はそうじゃなくて、着いたやつをだれか盗み出して持っていったんだろうと疑いの眼で見る。さらに聞いてみると、外務省筋のお話では、機械ミスだと言っている。機械ミスということになると、電電公社の機械が悪いことになる。
 一体これはどこでどうなってこういうことになったのか、まずそこのところをはっきりしていただきたい。郵政大臣お帰りのようだから、郵政省間違いないですね、これは。機械ミスですか。
○服部国務大臣 聞いておるところでは、テレックスの打ち間違いであったと聞いております。
○大出委員 向こうが悪い。これは大使館その他に当たられたのはだれですか。外務省でしょうな、やっぱり。だれか盗み出してどこかに持っていったんじゃないかと言うのですがね。ここに書いてある、大使館の。これはどういうことになるのですか。
○中島政府委員 私の方で在京米大使館に照会いたしましたところでは、米側は事情を調べた結果、原因はテレックス回線の機械的なミスによるものであった、こういうことを申しております。具体的に機械的ミスなるものがいかなるものであるかという点につきましての詳細な説明は、アメリカ側からはないわけでございますが、ただいま申しましたように、機械的なミスというような返事がございます。
○大出委員 時間がありませんから多く申し上げませんが、郵政大臣はテレックスの打ち間違いだからと言うのですから、これは機械ミスじゃないですね。打ち間違えた方が悪い。ところが外務省の方は、機械ミスだということを大使館から言われている。これは郵政省の責任だということになる。こういう点はどうもおもしろくないから、はっきりしておいていただきたい。これが一つ。
 それからもう一つ、外務大臣に承りたいのですが、広島現地でも、これはおいでになる宮澤さんの御関係の方なんでしょうけれども、どうもこれは大変に困ることになるということで、弾薬庫がどうなっているのか、事情を詳細に調べてくれということで、東京事務所にも指示をしたということなんでありますが、私どもの方も福岡代議士だとかあるいは大原代議士だとかいう現地の方々は、これは広島県民でございますだけに非常に強い衝撃を受けている。こんなことを年じゅうやっていたんだな、これは、こういうことになるので、ひょっとするとこれだけのテレックスを打ってくるのだからあるのじゃないか、こういうことになっている。したがって、どうしても弾薬庫調査をさしてもらいたい。秋月弾薬庫に行ってみたい。そして、でき得れば説明を聞きたい、国会議員中心に、こういうことでございます。
 外務大臣、ひとつこれは、かつて岩国で、この席で楢崎君の質問でございましたが問題になりました。私、実は楢崎君と一緒に調査に参りました。その前に伊藤さんが行って見てきたのじゃなかったかと思ったのですがね、岩国のやつは。ないことになっているところへ私どもを案内したのかもしれません。しかし、いずれにしても、中の案内を皆さんでしたわけであります。これはやはりそういう一つの大きな社会的な問題として町の方の口の端に上っている問題でございますから、外務省としても当然、議員中心に弾薬庫をと、この件についてはそれなりの措置をおとりになってしかるべきものとこう思っておるのですが、いかがでございましょう。
○園田国務大臣 外務省としては、先ほど申し上げましたような理由で、基地を調査、立ち入るつもりはございません。しかし、地元の方々の関心もあることであり、国会議員の基地訪問についてはこれを米側に取り次ぐ考えでございます。
○大出委員 国会議員の基地訪問については米側に取り次ぐという。つまり調査のできる努力をなさる、こういう意味でございますから、これは大変に関心の高い問題になっておりますので、ぜひひとつ外務省としての御努力をお願いをいたしておきたいわけであります。
 次に、本題に入らせていただきますが、大変時間の制約を受けておりますので、系統的な質問にならぬかもしれませんけれども、お答えをいただきたいのであります。
 最初に防衛庁に承りたいのでありますが、奇襲対処、有事立法という問題であります。特に奇襲対処の方を先に承りたいのでありますけれども、防衛庁がお出しになった文書がございます。これは統一見解と受け取っていいのかどうかわかりませんが、恐らくそういうものだろうと思う。この奇襲対処の一番最後に――えてしてこの文章というのは、最初の方はきれいごとが書いてあるんだが、最後にどうも大変なことが書いてあるということになるものでありますが、これまた、そうであります。何しろこれは総理、有事立法、奇襲対処の問題が栗栖発言以来大きな問題になりまして、私に言わせれば、これは政治的な騒乱罪でも適用せにゃいかぬのだと思うのですね、伊藤さんだとか竹岡さんは。いろいろなことを言うものだから、世の中大騒動。中には、戦争が始まったのに戦車があわてて出ていったら赤信号でとまっちゃって戦争にならぬなんというようなことを言い出す人がいるのですね。これは話にならぬ。これじゃまるっきり政治的騒乱罪だ。
 そこで、私も昔旧軍の教官ですから、回れ右、前へ進めと号令をかけたことがありますけれども、一番どん詰まりだったのは、回れ右、前へ進め、Uターンだった。騒ぎだけ起こしてもとに戻っちまう。戻ったのかと思ってさて見たら、これはとんでもないことになるのですね。
 この文章の一番最後に「防衛出動命令の下令前における自衛隊としての任務遂行のための」とある。私は、「防衛出動命令の下令前における自衛隊としての任務」、そんなものは存在しないと思っている。「防衛出動命令の下令前における自衛隊としての任務」、これを遂行するための応急的な処置、応急的な対処行動、こんなものは法律上ない。任務にもない。記者会見で何かおっしゃったようですが、「防衛出動命令の下令前における自衛隊としての任務」、これは一体何ですか。そしてまた「応急的な対処行動」とは何ですか。
    〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤(圭)政府委員 この奇襲対処の問題につきましては、総理大臣の防衛出動の命令が下令される前に何か突然奇襲を受けるというようなことがあった場合にどうするかということで、八月の内閣委員会等におきましていろいろ御議論がございました。そのときに私どもが御答弁申し上げましたのは、自衛隊員といえども生き残る権利といいますか、これは基本的な人権としてその対応はできるだろうという観点から御説明申し上げたわけでございます。しかしながら、御承知のように自衛隊というのは部隊行動をするのが本旨でございます。したがいまして、そこに書きましたのは、防衛出動下令前においても自衛隊は応急的な対処の行動のあり方があるのではないか、その点について検討しようということでございまして、自衛隊には直接侵略、間接侵略に対処する任務が与えられているわけでございます。したがいまして、そういう任務を遂行するためにも、そういう場合に応急的な対処の行動のあり方があるのではないかということで検討したいということでございます。
○大出委員 伊藤さん、また大変な答弁をするものですな。あなたはやはり法律というものをお考えにならなければいけませんよ。
 自衛隊の任務というのは自衛隊法に第三条しかない。「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」こうなっている。これが自衛隊の任務でしょう。第三条第一項です。
 そうすると、この任務、三条からいけば、野放しなら、そのためには何でもできることになってしまう、そうでしょう。だから、これは大変に危険なことになる。「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため」、この目的のために何でもできることになる、公共の秩序の維持までやれる、それが任務だとなると。それじゃうまくないから、この法律は条文的に整理して、七十六条というのは防衛出動ですよ、あるいは治安出動ですよ、あるいは海上における警備行動ですよと条文的に決めて、任務はこうだが、動けるのはこれとこれとこれなんだということになっているでしょう。にもかかわらず、自衛隊が下令前の任務遂行ということになると、これは言ってみれば何でもできるということでしょう、三条は何でも包含しているのですから。公共の秩序維持まで包含しているのです。そういう書き方で、今度はそのための応急的な対処、そして自衛隊は組織行動を本旨とする、だからその自衛隊の特性を踏まえて検討する、こうなると、これはとんでもないことになる。
 そこで、法制局長官に承りたいのですが、憲法に明文はありませんが自衛権がある、こういうことになっている。自衛権の発動というのは私はたった一つしかないと思っている。自衛権といったら七十六条と思っていますが、長官、いかがでございますか。
○真田政府委員 憲法第九条の規定にもかかわらず、わが国には固有の独立国として自衛権はあるというのが一般の考え方でございます。どういう場合に自衛権を現実に発動することができるかということになりますと、それは憲法上の解釈といたしまして、従来から自衛権の発動に関する三原則というのを唱えているわけでございます。その考え方を実定法上手続としてあらわしたのが七十六条である。(大出委員「それだけでしょう、ほかにはないでしょう」と呼ぶ)そういうふうに御理解になっていただいて結構でございます。現行法といたしましては。
○大出委員 法律改正をすれば何だってできますよ。憲法改正すれば何だってできる。だからそれしかないでしょう。それしかないだろうと聞いているのに、それしかないかどうかあなたは言わぬのだ。どうもあなたはさっき、少し眠そうだったから聞いたのだけれども、もう一遍言ってください。七十六条しかないでしょう。自衛権の存在を認める、その行使、何によって行使できるか、七十六条それだけでしょう。もう一遍言ってください。理屈は要らない。
○真田政府委員 現行法の自衛隊法によれば七十六条でございます。
 そこで、補足して申し上げますと、ここで法的側面を含めて書いてありますのは、現行法上そういうふうに読むということではなくて、ここに書いてあるような奇襲というような事態がもし起きた場合に、現行法のままでいいかどうかということを検討して、もし何らかの手当てが必要だとすれば法制面を含めて検討したい、こういう趣旨で書いてあるものでございます。
○大出委員 そこまでおっしゃるから、私もう一遍聞きますが、その法制上のというのは――真田さん、ちょっと聞いていてくださいよ、寝ちゃいけませんよ。法制上のという意味は、現行の、現行のと、さっき三回か四回あなた念を押しましたが、そうすると法制上のというのは、それでぐあいが悪ければ、現行法でぐあいが悪ければ法改正ということになるということですね、いまのお話は。そうですね。もう一遍言ってください。
○真田政府委員 もう少し詳しく申しますと、まず現行法で七十六条があるわけなんです。七十六条で正規の防衛出動の内閣総理大臣による下命行為があって、そこで防衛活動に入るわけなんですが、われわれは七十六条の規定のしぶりから見て、奇襲なんということはまずないのだろうというふうに従来考えておったわけなんです。ただ、たまたま、そういうのがあるかもしれぬではないかという発言をなさった方がいらっしゃいましたので、それではこれは大変なことであるというので、現行法もよく検討をし、それから、奇襲というようなことが仮に、万々々一起こった場合に一体どういう事態が生起するのかというようなことも研究をして、そしてそれに対応するための法制がもし不備であるならば何らかその法制面を含めて検討したい、こういうのがこの真意でございます。
○大出委員 だから現行法、現行法と念を押して、現行法なら七十六条だけだ、だが、奇襲というのが現行法の範囲を超えるものであるとすれば法制的な面を含めて直す。つまり、だから私は危険だと言うのだが、Uターンをしたように見えるけれども、奇襲という問題を取り上げて、これは自衛隊法の改正に進むということを含むのだ、そうでしょう。穏やかならぬことになる。だからこれは、伊藤さんが言っているように、自衛隊といえども生き残ることができるだろう、そんな問題じゃないのだ。いまの答弁と違うでしょう、明確に。記者会見のときにあなたはそう言ったと言うけれども、つまり現行法は、七十六条しか自衛権の発動、自衛権の行使はない。それじゃどうも奇襲ということになるとぐあいが悪い。だから法的な措置を研究してみて、現行法からはみ出すならそれは法的措置をしなければならぬ、つまり法改正が必要だ、こういうことじゃないですか。だから、この結びのこれは大変なことになると私は言っている。一つ間違うと、三条に基づいて、任務からいけば何でもできることになるわけだ、七十六条を外せば。そういう意味でこれは穏やかならぬことである、この点を指摘をいたしておきます。
 そこで、ということになると、奇襲という何とかという人の発言、それがここにある奇襲対処になっておりますが、奇襲というのは一体何だ。しかも、この栗栖発言というのは、七十六条が発動される、総理が国防会議の議長、責任者として命令を出す、その間の、二時間とか三時間という御答弁がありますが、時間的ずれ、これを埋める。そこで、命令がなければ超法規行動――精強な自衛隊と言っているのだから逃げて帰るということは言えないから、現地の指揮官が超法規的に対処せざるを得ない、実はこういう問題なんですね、焦点は。
 そうすると、ここで問題になるのは、七十六条が発動される、その前に奇襲という形で攻撃が行われた。まだ発動されていない、この間のずれを埋めるための超法規行動というのだから、この行動は七十六条の発動というのを前提にしている。やがて七十六条が発動される、このことを前提にして、だからその間、間に合わない、まだ発動されてないから。されるだろうがまだ時間がある。二時間なら二時間あった。だから超法規行動。となると七十六条を予測している、前提としている。やがて発動される、そういう奇襲ということになる。そうすると七十六条の発動というのは、武力による攻撃、これが七十六条の中に書いてありますけれども、つまり、この武力侵攻と言っているものは、一体どういうものを武力の侵攻だと言うのか、ここをひとつお答えをいただきたい。七十六条は「外部からの武力攻撃」、こういう表現を使っておりますが、「外部からの武力攻撃」というのはどういう武力攻撃を指して七十六条発動の対象にしているのか、長い国会論争の間に明確になっておりますが、お答えいただきます。
○真田政府委員 「外部からの武力攻撃」という意味合いにつきましての従来の国会論議の概要を繰り返して申し上げますと、これは外国からの組織的かつ計画的な武力による攻撃というふうに言われております。
○大出委員 これは議事録を持ってくるのはめんどうくさいですから、私が書いたもの、抜き書きしてありますから読み上げますが、これはどこで確定したかというと、昭和三十六年四月二十一日衆議院の内閣委員会、加藤陽三さんの答弁、当時の防衛庁の官房長で、この間まで衆議院議員をおやりになっておられました加藤さん。自衛隊法七十六条に言っております外部からの武力攻撃というのは、他国のわが国に対する計画的、組織的な武力による攻撃を言う、これが今日までの確定解釈です。そうすると、七十六条、この発動を前提にして、二時間なら二時間ずれがあるから超法規行動をやるというのは、その侵攻してきた相手方は三百や五百の単なる徒党じゃない、計画的、組織的に侵攻してきたものに対して超法規行動で武力攻撃をやる、こういうことですね。当然そうなるでしょう。だれかお答えになりますか。
○伊藤(圭)政府委員 実は、この見解の中で述べてございます。いま先生がおっしゃいましたような奇襲というものは、第一項、第二項によりましてその奇襲に対処できるような態勢をとれるように法律上なっているというふうに私どもは判断をしているわけでございまして、そういった奇襲に対抗するためには有事即応態勢を高めておく、すなわち、情報を的確に総理に上げ、総理が的確に御判断いただけるような通信機能を持っている、そういうことによっていま先生がおっしゃいましたような二時間、三時間のずれというものは解消できるであろうというふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、ここで言いますいわゆる奇襲対処というのは、そういった場所におきまして、直ちにそういった組織的な、計画的な攻撃であるかどうか全くわからない、突然起こったような場合に、先ほど申し上げましたように、自衛隊として生き残るための応急措置、そういったものが一体どういうものがあるのかというのを検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○大出委員 それは伊藤さん、答弁にならぬ。栗栖氏が週刊ポストでしゃべった。記者の皆さんで問題になった。私、アメリカに行ったときでありますが、帰ってきて調べてみたら、週刊ポストが栗栖さんを呼んで第二弾をなさっている。栗栖さんが発言しておりますのは、最初も二回目も一緒でありまして、七十六条によって防衛出動命令が出る、これは予想されている。が、しかし、間に合わない。国防会議だ何だの議を経るから間に合わない。そのときに、ではどうするんだと言われたら、法律がないんだから、行動基準もないんだから超法規行動に走らざるを得ない、こう言っている。そうすると、防衛出動が発令されるというのは、計画的、組織的な武力攻撃でなければ発動されない、法律上できない。計画的、組織的な武力攻撃だから七十六条の発動ができるので、それを予測して奇襲対処、つまり超法規行動と言っている。ごまかしてはいけませんよ、三百や五百そこらへ来たってどうってことないんだ、そんなものは。逃げてきたっていいんだ。そこが原点でこの問題が起こっているんじゃないですか。国会で委員会の議事録みんな読んでいるんだから、あなた、そうくるくる答弁を変えてはいけません。この文書だって、最初はおそれ出動、おそれがある場合にも出動ができるのだから対処できると思う、こう書いていて、だがしかし、万々一奇襲攻撃というものがあるとすれば、だから文脈は、それを検討するものだという。別な奇襲作戦じゃない。奇襲というのはいろいろなものがあるでしょう。そうじゃない、七十六条、八十八条の発動の対象になる奇襲。そうでなければ栗栖さんもこんなことを言いませんよ。ばかばかしい。そういうふうにくるくる変わっちゃいけませんよ。あなたがお認めになったとおり、計画的な、組織的な武力攻撃、これがあったときに七十六条が発動する、こうなっている。だから七十六条が発動される間のずれ。専門家、プロなんですからね、防衛庁というのは。大体、奇襲に遭うなんというのはプロとしては恥ずかしい話で、それじゃ何のために自衛隊はあるんだということになる。だから、そんな三百や五百飛んできたものをどうのこうのじゃない。だから、そういう意味で言いますと、その点、いまの答弁は受け取れません。
 そこで次の問題ですが、さて、この自衛権の発動は現行法では七十六条だけです。自衛権の発動というのは三条件がございます。急迫不正の侵害から始まって三つ条件があります。そこで、これは国会で詰めまして、この三条件は必須条件だということになっている。
 ところで、先制的な自衛権というのは存在をするか、先に攻撃をするという自衛権は存在をするか、これも長年論争をしてきています。国連でも議論をされています。なぜならば、安保条約五条がある。安保条約五条は国連憲章五十一条を受けている。五十一条には「自衛権」という文章がある。この自衛権とは何か、国連で長い論議がされている。日本政府は、先制的自衛権はないという判断を下している。まして日本国憲法ですからなおのこと。国連でも同じであります。先制的自衛権はない。お認めになりますか。
○真田政府委員 その点は、従来しばしば政府の方で明言しているところでございます。ただ問題は、国連憲章五十一条にも関連いたしますけれども、一体、外国からの武力攻撃があったというのはいつかという、ちょうど楢崎先生が何か「ニイタカヤマノボレ」とかいうような例をお出しになって、一体それじゃ国連憲章五十一条が発動するその時点はいつだということが問題になったことはございます。そのときには、日本に対して外国からの組織的かつ計画的な武力による攻撃の実害が起きるまで発動できないというのではない、あのときに着手という言葉を使ったかと思いますけれども、とにかくそれは国連でもいろいろ問題になって、その記録も一度私は見たことがございますが、現実に実害が起きる前でもよろしいということになっているはずでございます。
○大出委員 法制局長官が、なっているはすでございますだとか、そういういいかげんな答弁をしてはいけませんよ、真田さん。きちっとやってくださいよ、たしかそういうふうに記憶しているとかじゃなくて。それじゃ法制局長官務まらぬじゃないですか。
 正確に言います。昭和四十五年二月二十六日の衆議院の予算委員会心議事録どおりにここに書いてある。自衛権の発動の必須要件、まず、やむを得ないという必要性、急迫不正の侵害、不正という意味の違法性、さらに、向こうが攻めてきたんだが、こっちは自衛隊全軍使ってなんという形はとんでもない、必要最小限度と言っているんだからそういう自衛権の発動はない、だからその意味における均衡性、この三つになっている。それが前提になって高辻法制局長官の答弁、これは非常に逃げた。自衛権の拡大を考えた。何と答えたかと言いますと、先制的な自衛権行使を認めていないはずだがという質問に対して、その点は認めた。先制的自衛権は認められていない。ただし、武力攻撃が発生した時点ということがございます。一般的にいえば、発生したとき、それに応じて自衛権が発動するというのが考え方である、ただ、個々の戦闘における防衛攻撃は話が別であると、ここで一遍逃げた。そうしておいて、次の答弁の文脈の中で、発生した時点というのは一体どういうことか議論になった。発生した時点というのは、高辻さんの答弁で言うと、そのとおり読みますが、武力攻撃による現実の侵害があってから後ではない。それじゃ前か。前でもない。あなた、いま、前と言った。武力攻撃による現実の侵害があってから後ではない。武力攻撃が始まったときである。この間には、前か後かという議論があった。つまり始まったとき。ところで、なおこれに対して武力攻撃の着手が入ります。ここで着手が出てくる。
 もう一つ、時間がないからこっちから言いますが、わが国に対する急迫不正の侵害があること、この場合に、適当な手段のないときに、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。ところで、この必要最小限度の実力行使の中に、敵の基地をたたくことなど三要件の枠内での海外における武力行動が含まれていると答えている。ここまで答えている。そこまであなたに言ってもらおうと思って質問したんです。
 これからいきますと、さっき私が取り上げた七十六条の発動が前提になっている。二時間ずれがある。さて、計画的、組織的にどこかの国の軍隊が入ってきた。軍隊ですよ、でなければ七十六条の発動はしない。そこで、二時間ずれがあるからというので、ここで超法規行動に出た、こういうことになる。この出方が果たして日本国の領土内に限られるか。限られないですね。しかも、攻撃をされたから攻撃するのか、そうじゃないですね。攻撃をされたとき、着手が入るというのだから、その前から入る。領海に、輸送船に兵隊を乗っけているところから入る。あるいは、着手というのだから領海の向こう側かもしれない。公海かもしれない。しかも、もう一つの問題は、必要最小限度の枠内で敵の基地をたたくということがあり得るという。そうすると、ソビエトからの策源というのは、近いところは五十キロ、遠いところで八百キロ。その五十キロ向こうの策源、北方四島なんてなことになりかねない。実は、そこまでのことになっている。
 だから、先ほどの防衛庁文書と絡みまして、防衛庁文書のまとめになっております。十六条発動、防衛出動の下令前における自衛隊としての任務遂行、こうなると、この拡大解釈をもう一つ拡大をして、相手の策源をたたく、これは、栗栖さんの一月四日の「ウイング」の論文というのは、相手の策源をたたけるようでなければ抑止力にならぬと言い切っている。ここにつながるわけですね。こういう解釈をとらざるを得ない。いかがですか。
○真田政府委員 確かに、敵のミサイル基地をたたくというようなことが自衛権の概念として入るかということが問題になりました。そのときに、例の有名な、座して死を待つべきことを憲法は命じているのではあるまい、したがって、理論上は、そういう万やむを得ないときには敵の基地をたたくということも自衛権の観念には入る、しかし、さればと言って、平素から自衛隊がそういう装備を備えておくというようなことは、これは憲法上できないでしょう、というところまでちゃんと押さえてそういう議論があったことでございまして、常に、いつでも敵の基地をたたきに行くというようなことを考えているわけでは毛頭ございません。
○大出委員 あなたはそういうことを言うけれども、高辻法制局長官の答弁で明確になっているのですよ。お調べください、昭和四十五年二月二十六日の衆議院の予算委員会。着手が入る。この後で、必要最小限度の実力行使の中に、敵の基地をたたくことなど三要件の枠内での海外における武力行動が含まれている、答弁をちゃんとなさっている。鳩山さんの時代は、確かにそういう敵の基地に届く武力は持ってない。武器はない。論理的にはたたけるけれども、届く武器がないということになっている。それを高辻さんのときに、必要最小限度の枠内で敵の基地をたたくことがある。もう一遍言いますが、敵の基地をたたくことなど必要三要件の枠内での海外における武力行動が含まれている、ここまで答弁というのは拡大しているんです。
 そうなると、今日は爆装を外さない、F15はある。日本の火器も、近代戦闘遂行能力なんと言った時代から見ると大変なことになっている。幾らでも届きます。ここまで来ている。それだけに、恐らくあなたが相談してつくった文章だと思うからあなたに物を言ったんだが、この文章の最後のところというのは、もしもここで七十六条以外の法改正ということにつながるとすれば、必然的にこの解釈につながらざるを得ないことになる。栗栖さんが一月四日の「ウイング」紙上に書いているように、敵の策源をたたく――当時の鳩山さんの答弁まで引用しているじゃないですか。だから、回れ右して戻ったように見えるけれども、そうではない。このことを明確に私は指摘しておきたいから申し上げる。
 総理、これは私は、国会の議事録にいままで述べられていることを指摘をしたわけですけれども、こういうことがあってはならない。したがって、防衛庁文書の一番最後のところは、七十六条の下令前の自衛隊の任務の遂行、こうなっているんですね、攻撃を受けたとき――着手が入る。三条件の枠内で必要最小限度の枠内で相手をたたくことができる、ここまでの解釈が国会では行われているんですから、そこにこれがついている。しかも相手が計画的、組織的な攻撃ならば、その行動は、超法規行動であれ自衛隊法を改正して対応するのであれ、これは明確に戦争です。しかも、自衛隊のいま置かれている立場というのは、陸上自衛隊というのは専守防衛なんですから、間違いなくこれは国内戦場です。一体流れ弾に当たったらだれが責任を負うんだということになる。しかも、相手がソビエトだというふうに考えている自衛隊ならば、その武力を比較すればわかる、とんでもないことになる。例のソビエト・ワルシャワ軍がチェコ事件でプラハに入っていったときに、当時のスボボダ大統領というのは、軍隊を持っておりましたが、発砲を禁ずるという命令を出して発砲をさせなかった。発砲をさせて戦争になったら、二時間でプラハの街は火の海で灰になっただろうと後世言われているでしょう。私はそういう意味で、立場は皆さんと違うけれども、国民の生命、財産というものを中心に考えるのなら、大変にこれは微妙な、むずかしいところだ。だから、この拡大解釈がつながっていく、つまり総理が防衛出動を下令をするその前の任務として、法改正をしてこれに結びついていくという形のものはお考えになるべきでない、こう思っておりますが、いかがでございますか。
○福田内閣総理大臣 防衛出動を総理大臣が下令したその際のことがいま自衛隊法には書いてあるわけですが、それ以前、二時間になりますか三時間になりますか、そういう短い奇襲の事態に対してどういうふうに自衛隊は対処できるか、これは書いてないわけです。その場合に超法規的に対処するのだというようなことを当時の栗栖統幕議長が言って、それは問題だというので辞職をするということになったわけですが、防衛庁の方からしばしば答えておりますように、そういう奇襲というようなことをないことにするのが、これが外交政策であり、また同時に防衛政策である、こういうことなんです。しかし万々一、万々々一ですね、万々々一そういうことがないとも限らぬ、こういう指摘をする人がある。そういう際にどういうふうに対処するかということを考えておく、これもまた大事な問題じゃないか、そのように考えまして、そのような考え方のもとに奇襲にいかに対処するかを検討していきたい、このような見解です。
○大出委員 次の問題でございますけれども、この超法規行動という物の考え方、表現、栗栖氏は、林修三氏の所論によるということを言っておられる。別なところでは「正論」の六月号に載っている林修三さんの使っておられる言葉を使ったと、こういうふうに言っておられる。これも指摘をしておきたいのでありますが、つまり林修三さんの指摘している超法規行動というのはどういうことかというと、原本は、日本政治文化研究所というところが出している「自衛権行使と憲法第九条」という、ここに非常に詳しく、当時法制局長官、その後ずっと法制局におられた方ですから、自衛隊法をつくるときのいきさつなどをまずここで述べておられる。ここで言っておられる林さんの所論というのは、いまの奇襲対処にせよ有事立法にせよ、それは憲法に抵触をするという前提で書いておる。これはお答えをいただきたいのですが、ちょっと指摘をいたします。林修三さんは、御存じのとおり、真田さんのはるか先輩です。ここにこういうことになっておる。――総理が席を外しては困ったものだ。肝心かなめのところで席を外している。まあいいでしょう。
 この林さんの論文は、当時、「二十九年に自衛隊法をつくる時から一朝有事の際に自衛隊が有効に活動をするのに必要な法律的措置が、」なお不十分ではないかという議論があった。いまある自衛隊法というのを見るとわかるように、「せいぜい土地とか建物、工作物の強制使用収用や物資の統制ぐらいのことが書いてある程度」にすぎない。「それだけでは足りないのはわかっていたのであるが、私どもは当時あまり徹底的なことを書くと」憲法という問題があるので政治的に支障が起こる、したがって、将来の問題としてもう少し先に延ばす、そして、「機会があれば整備しよう」ということでいまの自衛隊法にとどめた、そうしたら二十四年たってしまった、こういうのですね。つまり、自衛隊法をつくるときに、これが憲法の許容するぎりぎりだということで、ここから先のことを書くと政治問題になってしまうというふうに考えて、ここでいまの自衛隊法の限度でとめたのだ。しかし、「自衛隊が警察の補助として治安出動をする程度のことなら現行法で問題はないが、防衛出動をする場合については今の法律では足りないことはたしかである。その時に立法するか、あるいは例の超法規的措置でやっていくか、」これなんですね、この超法規措置というのは。「結局そういう事態になってからやる以外に方法はなかろうという気がする。」偽らざる気持ちを書いておられますね。それを「正論」の六月号にこの部分だけ林さんが書いている。これが実は栗栖さんが超法規的と言った、引用した所論である、こうなっておりますね。当時のいきさつからすると、いまの自衛隊法をこれ以上に拡大するとなると、それは憲法との関係で政治問題になる、だから現行自衛隊法の枠でとどめた、林さんははっきりそう言っている。
 もう一遍言いますが、林さんの言っているのは、二十九年に自衛隊法をつくった、このときに、いまの自衛隊法百三条では足りない、だけれども、これ以上のことを、徹底したことをということにすると憲法との関係があって政治問題になってしまうということで、これ以上無理だととどめた、そうしたら二十四年たった、機会があればそのときにと思ったができなかった、二十四年たってしまった、こう言っているのですね。
 だから、百三条一つつかまえても、百三条の政令一つ考えても、一つ間違うとこれは憲法違反だ、この当時にちゃんと知っておられる。そこで、「自衛隊が警察の補助として治安出動をする程度のことなら現行法で問題はないが、防衛出動をする場合については今の法律では足りないことはたしかである。」だから、「その時に立法するか、あるいは例の超法規的措置でやっていくか、結局そういう事態になってからやる以外に方法はない」、こう言っているのですね。つまり、現行自衛隊法は憲法ぎりぎりである。これから手を出そう、足を出そうとすれば、林さんが言っているとおり、これは憲法との抵触という問題が出てくる、こういうことになるのですね。
 だから、私は総理にここで承りたいのですが、自衛隊法をいまいじるとか有事立法をと、こういうことになると憲法の枠内でと、こういうことならば、問題を摘出してやろうとしてみても、制服の側からすれば大した意味はない。憲法というものがあるから超法規という問題が出てきたり有事立法が出てきたりするのであって、憲法の枠内なら、たとえば有事立法を考えてみても意味がない。はっきりしていると私は思う。そこのところを総理は、私いま林修三さんの所論を読み上げましたが、どうお考えでございますか。
○福田内閣総理大臣 いわゆる奇襲ですね、これに対して、そんなことのないように、これに心がけるのが政治の責任であります。しかし、万々一そういうことがあるという際に対してどういうふうにするかという、対処の方式というものがいまは決めてないわけですね。そのことを検討するということは当然必要である、私はこのように考えます。ただ、その検討の結果いろいろな考え方が出てくると思う。しかし、いずれの考え方が出てきましても、それはわが国の憲法のらちを超えるということは許されない、そのように考えています。
○大出委員 時間がありませんから、紋切り型のやりとりをしてもしようがないのですが、問題の指摘だけをいたしておきます。後でまた細かく論議をいたしたいと思いますが、ここで林さんは一番最後のところで結んでいるのですが、改憲、つまり憲法改正を阻む精神構造というところで、もしここで憲法に触れるものをということになるとすれば改憲につながる。だから、国論の二分から激しい物理的衝突という悲劇さえ生まれかねないということを指摘をして、一つは、「わが国の主導的役割を担い改憲作業の軸ともなる中間層」、日本の国の「中間層の意識と行動の次元に「憲法は、国家機構の編成と行動を規定するインパーソナルな成文法典であるにとどまらず、個人の内面の倫理的基準および社会秩序形成の基準とされるもの」であるというところから始まって、「戦前は暗黒時代で新憲法以後は理想に近い時代であるとする開明・進歩主義的な歴史観」がいまの国民の各層にある。したがって、「憲法機構の自己目的化を促し「平和と民主主義」が最高の価値と観念されている」。また、権力をきらう庶民的風習がある。だから、もし改憲ということになるとすれば、埋めようもない国民間の断層が起こるというところから始めまして、阻止勢力の今日的状況をながめるときに、改憲を断行するなどとてもできるものではないというふうに結んでいるのですがね。だから、先ほどの論理が出てくる。つまり、そのときになって、何か起こったそのときになって、三矢図上研究じゃないけれども、そのときになって一挙にやるしかないではないか、そうでなければ超法規しかないじゃないか、こういう結論なんですね。憲法改正はできない。
 そこで、いまいろいろ議論が空回りしたりする一番中心点は、憲法という制約のもとで有事立法を述べ、奇襲対処を述べるから、そこに問題が空回りする焦点がある。だから、現行憲法というものをそのまま認めるならば、いわゆる有事立法や奇襲対処は出してくるべき筋合いのものではないと私は考えている。中曽根さんのように改憲までおっしゃるなら話は別。総理は、党是として改憲をお考えになっている党の総裁なんですが、その意味でひとつ憲法という問題を、有事立法、奇襲対処等を含めまして、改憲という問題についてはどうお考えでございますか。
○福田内閣総理大臣 日本憲法は、これを改定するということがあり得ることを前提としてその手続まで決めているのですから、これが未来永劫不磨の大典である、こういうふうには考えません。しかし、憲法を変えるということは重大な問題でありますから、これは民心の帰趨、そういうものを十分見きわめて、その上で慎重な判断をすべきものである、そのように考えます。
○大出委員 どこかでこの憲法問題のけじめをつけない限りは、制度と政治のうそということになって、至るところに問題が吹き出すわけでありますが、きょうは時間が全くありませんので、最後の一点だけ承りたいのであります。
 いま、奇襲と言い、あるいは有事立法と言うのですが、その対象になるのは一体どこか、この問題について明確にしたいのですが、自衛隊の内部文書その他いろいろ見ますと、演習対抗国、対象国といま言っておりませんけれども、演習対抗部隊甲、こういうのがありまして、ソビエトが対象になっています。甲、乙、丙と言ったときがありましたが、それをいまやめて甲になっている。この点は防衛庁から承りたいのですが、いまの演習対抗部隊甲というのはソビエトを指すものである、よろしゅうございますか。
○夏目政府委員 陸上自衛隊が演習訓練を行います場合に、従来、ばらばらでその対抗部隊を設定しますと演習訓練が非常に効率が悪いというようなことがございますので、訓練対抗部隊という訓練資料を制定しまして、演習の際の仮想敵となる部隊を設想しまして、そういうものを基準にして訓練をしているということでございまして、特にどこそこの国を仮想敵国にしたというものではございません。そういった仮定の師団を設想して、その装備とか編成とかいうものを記述した訓練資料でございます。
○大出委員 皆さんはしきりにそう逃げるわけですが、三十日に自衛隊の制服の方々が、小田実さん相手にNHKテレビで対談をされている。富田定幸さんという一佐の方初め全部一佐の方、防衛大学の第一期の方です。この八人の方がNHKのテレビで討論をなさっている。この討論の一番最後に小田実氏の方から、奇襲あるいは侵攻、こういう言葉が出てくるけれどもそれは一体どこなんだとずっと詰めたんです。みんな現職の方です。八人おいでになるのですよ、陸海空の一佐の方々が。ここではっきり最終的に結論が出ている。韓国ですか、竹島問題等がある。いや、韓国は対象にならぬ。海軍や空軍がなければ、陸が幾ら巨大であっても能力にはならない。ということになると最終的にソビエト、アメリカしかないんじゃないか。韓国は能力がないとはっきり言い切っている。陸強くして海空なければだめである。能力的にはソビエトと米国だけである。そうしたら小田さんが、なぜそれを防衛白書に書かないか、こういう論議になった。さっきの、制度と政治のうそというところもあります。一体、自衛隊というのは軍隊かと詰めた。とうとう最後に、やはり一佐の方ですが、外国と戦う武力集団、こういう定義になるとすれば軍隊です。その中にいるわれわれは軍人です。さらに、志願制度だから、その意味では職業軍人ですと認めている。
 これは大変な問題なんですね。はっきりこの対抗部隊というのは明らかにしているじゃありませんか。それでもあなた方ははっきり物を言わないのですか。
○伊藤(圭)政府委員 たびたび御答弁の際に申し上げておりますが、自衛隊は仮想敵国というものは考えていないわけでございます。しかし、日本に対する侵略の可能性のある国としてはやはり日本の近隣諸国の軍事力というものを一応念頭に置いているということは事実でございます。
○大出委員 最後に、時間がないところ恐縮でございましたが、国防会議事務局長の久保さんにおいでいただきましたから承りたいのでございますが、久保さんがつい最近の、今月目方ですか、「諸君」という雑誌に、これは藤井治夫さん初め皆さん相当な専門家の方々ばかりでございますが、議論をされております。この中で久保さん自身もいろいろお認めになっているのですが、日本にソビエトが攻撃してくるなんということがあるとすれば、それは一体どういうことなんだろうかというシナリオが書いてありまして、つまり、安保条約、日米関係から言えば、海峡防衛、宗谷、津軽、対馬の三海峡を日本は防衛しなければならない。欧州で戦争が起こった、そうなると、太平洋というところに三海峡を通って、ウラジオストク等にいるソビエトの軍艦、潜水艦は、通峡していつも行けるようにしておかなければ、ソビエトの横っ腹は守れない。そういう意味で、もし欧州でNATOとワルシャワ同盟軍の間に戦争が起こったとすると、こちら側で問題が起こりかねない。その場合に、久保さんの御説明によれば、つまりソビエトの船が太平洋に行こうというので三海峡を通過する、それを日本側にどれだけの阻止能力があるかによってソビエトはその周辺でいろんなことをやりかねないというところについて、日本の海上封鎖の能力いかんによってはソビエトが何をするかわからぬというふうにお答えになっておりますが、そこのところを改めて、簡単で結構ですが、ひとつ御説明願いたい。
○久保政府委員 いまのお話には若干前提が抜けていると思いますが、ヨーロッパで戦争が起こった場合に、それがアジアの方に飛び火をして日本が侵略を受けるような情勢という場合であります。これは大体アメリカの一つの設想でありますけれども。その場合に、私は、よく海上交通の保護が重要であると言うけれども、そういった長大な海上交通を確保するということよりも、まず三海峡を封鎖する能力を持つということが、日本の防衛、特に資源を確保するという意味において重要ではないかという発言であったと思います。
○大出委員 つまりアメリカの側で、時間がありませんから細切れになりますけれども、ブラウン統合参謀本部議長の報告、あるいは議会予算局長のレブリン女史の報告、正式な文書で出ておりますけれども、これによりますと、「アジア向け一般目的兵力」というのがございまして、「ソ連の脅威はどのような条件のもとで顕在化するのか、この種の緊急事態は、NATO地域で戦争が始まり、それが太平洋に拡大したという文脈の中で以外は明らかにあり得ないものと思われる」、さらに「世界的規模の通常戦争にあっては、アメリカに在日基地を使用させまいというソ連の願望が日本向け海上交通路阻止という脅威を動機づけるかもしれない」、これしかソビエトと日本の関係で軍事紛争が起こるということになる場合はあり得ないということを述べている。
 つまり、前提があるといまお話がございましたが、陸上自衛隊は十カ所の要域を決めていますが、十カ所の要域のうちの五カ所は海峡なんですね。したがいまして、久保さんにもう一遍答えておいていただきたいのですが、時間がありませんからもう一点つけ加えて一緒に答えていただきたいのです。石橋質問で、台湾で問題が起こった場合に、この間日本の自衛隊は台湾に行かないのですねということを、台湾海峡を含みますが聞きまして、これは質問が残っておりますが、あわせて朝鮮半島で問題が起こった場合、久保さんはほかの人から、在日米軍基地の使用ということで直接戦闘作戦行動に米軍が出ていくというふうな問題がある、そのことが日本の大きな問題になるという指摘に対して、「この点はまったくないと思います。アメリカの議会筋ではいろいろ言うかもしれませんけれども、米行政府は日本の憲法の立場を十分認識していまして、日本にそういう要求をしてくることはほとんどあり得ない。」こう答えておられますが、ここのところ、あわせて二点お答えをいただきたいのです。
○久保政府委員 日本の防衛上の要域と申せば、航空を除きますと、北部、したがって北海道の北部、北海道の東部、そして日本本土の西部というところが要域になろうかと思います。そうしてまた三海峡というものが日本の戦略上きわめて重要でありますから、その周辺地域というものが非常に重要であると思います。
 それから、朝鮮半島にもし大規模な戦争があった場合に自衛隊が参加するのではないかという御意見が結構ございますけれども、当然そういうことは憲法上あり得ないし、わが方はしかし、そういうものの飛び火が来ないように、自己の防衛を憲法の範囲内、自衛の範囲内で必要があればやるということでして、たとえば、今日でもやっておりますけれども、海上哨戒というものが必要であればやるであろうということであります。
○大出委員 きょうは大変時間がございませんで、いささか質問が中途半端でございますが、改めて取り上げたいと存じます。どうか奇襲対処にせよ、有事立法にせよ、これだけ大きな政治的な、まさに騒乱罪と私冗談を言いましたが、そういうことになったわけでありますから、いまの二点の防衛庁文書の対処の仕方というのは幾つか指摘をいたしましたが、その意味における慎重な、ひとつ国防会議議長としての対処をお願いをしておきたいと思いますが、一言最後にお答えをいただきます。
○福田内閣総理大臣 防衛問題は非常に重要な問題でありますので、思いを新たにして慎重かつ遺憾なきよう取り組みたいと思います。
○中野委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。
 次に、二見伸明君。
○二見委員 私は、東京ラウンドと、それに関連する日米農産物交渉、そして有事立法についてお尋ねをしたいと思いますが、御承知のように時間が非常に限られておりますので、私も要領よく質問をいたしますから、御答弁の方も要領よくお願いしたいと思います。
 最初に、東京ラウンドに関連してお尋ねいたしますが、その前に、ちょっと話が変わって申しわけありませんが、外務大臣に一点お尋ねをしたいと思います。
 ベトナムでは、八月の二十一日から九月の下旬にかけて大雨がありまして、そのために大変な被害が出ております。これに対してベトナム外務省は、世界各国に米だとかあるいは砂糖だとか医療品だとか住宅建築用の材料だとか、そうしたものに対する緊急援助を要請しておりますが、日本にもその要請が来たと思います。もし来ていたのであるならば、ベトナム政府がどういうものを日本に緊急援助として要請をしてきたのか、そして日本としてはそれにどのように対応し、援助にこたえていこうとしているのか、それを冒頭にお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 御発言のとおり、日本にも緊急援助の要請をしてきてございます。災害その他の援助の場合、日本はとかくおくれがちでございまして、事態がおさまってからいく傾向が多いわけでございます。これは個人の場合も国の場合も同じでありまして、一日も早くやることがまず大事でございます。したがいまして、緊急にやっておりますが、近々これを決定する所存でございます。
 要請してきている品目は食糧、食糧の中でも米、小麦粉、メーズ、肉魚かん詰め、食用油、砂糖、布地、薬品、灯油、それからディーゼル用の燃料、屋根用のトタン板、それから短期作用のもみ、野菜、こういうものを要請してきております。
○二見委員 一日も早く決定して、ベトナムの要請にこたえていただきたいと思います。
 ところで、東京ラウンドでございますけれども、七月のボンの首脳会議で十二月十五日の妥結が合意されました。しかし、九月初めにワシントンで行われました日米農産物交渉が、報道によりますと、輸入の自由化という両国の原則的な問題で対立をいたしまして、九月の農産物交渉は決裂をしたと報道されております。そのために十二月十五日の東京ラウンドの妥結も延びるのではないかとか、そうした危惧も出ているわけでありますけれども、総理大臣は現状で十二月十五日の妥結というものに確信が持てるのかどうか、その見通しをお伺いいたします。
○福田内閣総理大臣 この十二月十五日MTN妥結、これは私は世界政治の重大案件だ、こういうふうに考ております。やはり自由貿易体制を堅持しなければならぬ。それにはMTN交渉の妥結、これが非常に重要な前提になる、このように考えておりまして、何としてもこれを妥結させなければならぬし、また世界各国ともそのように考えておると思いますので、恐らく妥結に至るのではあるまいか、そのように考えます。
○二見委員 東京ラウンドの妥結が今後の世界の経済秩序と申しますか、貿易秩序にとって大きな意義のあることを私も承知いたしております。
 それで、妥結したいということになりますと、これは交渉事でございますから、お互いに、特に日本、EC、アメリカ、そうした先進国が譲るべきところは譲らなければ、七月の段階でスタートして、その原則論を一歩も引かないということになりますと、事志とは違った方向に来るわけでございます。
 そうすると、総理大臣はどうしても年内に妥結させたいという強い願望がおありでありますけれども、ということは、この交渉で大きな問題となっております関税の引き下げの問題だとか、セーフガードの選択的適用の問題であるとか、あるいは非関税障壁、たとえば政府調達、それから日本の農業にとっても大きな影響を与えるであろう農産物の輸入自由化、そうした問題について、アメリカ、ECがある程度納得できるような柔軟な態度をこれからの交渉で打ち出すということになるのだと私は理解するわけですけれども、いかがでしょうか。
 農産物については、私もことしの七月に、自民党の倉成さんを団長とした議員団の一員としてECにも参りましたし、帰りには社会党の湯山先生と一緒にワシントンでもってオレンジ議員といろいろな話し合いをしてまいりましたので、EC側あるいはアメリカ側の強い態度が私は全くわからないわけではありません。しかし、日本の置かれている立場も非常に厳しい環境にあることも事実でございます。そうした場合に、農畜産物の自由化などという、わが国の農業の基本にかかわる問題どうしても譲れない一線というものは堅持できるのかどうか、この点を重ねてお尋ねをしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 これは交渉事ですから、もとよりわが国としては柔軟な姿勢をとらなければならぬ、相手の出方によって、それに相こたえる立場をとらなければならぬ、このように考えますが、わが国としてもそういう姿勢の中で特に慎重にしなければならぬ問題は農作物の問題である、このように考えます。これは御指摘がありましたが、慎重を期してまいります。
○二見委員 これは、もしかすると通産大臣の所管になるのかどうかわかりませんけれども、いわゆる非関税障壁の中で政府調達の問題について、政府は、中央官庁のほかに電電公社、専売公社、国鉄の三公社が物品を調達する際に、一件二十五万ドル以上について海外企業も国内企業と対等に入札などに参加できるように門戸を開放するという方針を固めたという報道もなされておりますけれども、これはこのとおり、額面どおり理解してよろしいでしょうか。
○高橋(清)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の政府調達のコードを現在交渉中でございますが、その対象をどこまで含めるか、こういうことは実はこの交渉の一つの交渉事項でございますので、各国がそれぞれどこまで対象にするか、現在鋭意交渉中の段階でございます。
○二見委員 確かに、交渉中でございますから、細かいことをお尋ねしても言いにくいだろうし、また、ここで御答弁いただくことが必ずしも国益に沿うものと思いませんので、深くお尋ねいたしませんけれども、やはりこの問題も、かたくなな姿勢をとるべきではないと私は考えております。
 ところで、この東京ラウンドに関連して一番鋭角的な問題というか、神経をとがらす問題は農産物の自由化でございます。農産物の自由化といっても、幅を広げても話がわからなくなりますので、主としてオレンジに焦点をしぼってお尋ねしたいと思います。
 中川農林大臣は、九月の初めにアメリカへ行って、この問題で交渉されたわけでありますけれども、新聞の報道によりますと、そのときアメリカ側は、オレンジの季節自由化を実施するか、当面できないときは八〇年までに季節枠を現行の二万二千五百トンから五万トンに増加する、それ以降も八七年までに年率一〇%ずつ積み増す、これはアメリカ側の要求ですよ。オレンジ季節枠の期間を六−八月から四−八月に拡大をしてもらいたい。オレンジ果汁を八〇年までに現行の二倍の六千トンに拡大し、以降年率一〇%増加する。四つ目、グレープフルーツ果汁の即時自由化、ホテル用牛肉枠を八〇年までに二倍の六千トンにふやし、以降年二五%ずつ積み増すことを求めたと、こう報道されております。この報道、大体アメリカ側はこういうような内容を農林大臣にぶつけてきたのかどうか。
 それと、これに対して中川さんは、自由化だとかあるいはオレンジの季節枠の期間の延長、こういうことは認められないという立場を表明されて、その上に、オレンジの季節枠を温州ミカンの生産調整が終わる八一年に三万トンにふやす、以降年率一〇%ふやす。二番目、オレンジ果汁も八一年にある程度上積みの上、年率一〇%増加する。三つ目、アメリカが希望する高級牛肉の輸入を牛肉輸入総枠の伸びに合わせ、年率五%程度拡大する案を示したと報道されておりますけれども、大体こういうことが両国の主張としてあったわけでしょうか。大体この内容は間違いございませんか。
○中川国務大臣 先ほど通産省から御答弁がありましたと同じように、交渉事でございますから、内容についてアメリカがどう、日本がどう対応したということはむしろ言わない方がいい。御指摘の内容については、合っているところもあるかなと思いますが、全部正しいわけではない。対処方針としては、先ほど総理が言いましたように、いろいろ厳しい条件はありますけれども、総合食糧政策なりあるいは生産農家の経済がおかしくならないという範囲内において何とか一致点を見出したい。前回はまとまりませんでしたが、追っかけ、代表者会議等を通じて粘り強く十二月十五日までにやりたい、こういうことでございます。
○二見委員 この農産物交渉というのは、いままで日本とアメリカの間で行われてきて、日本が攻め手になったということは最近はないわけですね。すべて受け身、受け身で、向こうではかなり過大の要求をしてくる。日本としてはそれをだめだ、だめだと言いながら、表現が正しいかどうかわかりませんけれども、一歩一歩後退をしてきたというのが日米の間の農産物交渉の実態だろうと私は思うのです。後退しながら日本の政府としては、そうした長期的な農産物交渉が行われる、輸入の自由化だとか輸入枠拡大だとかという問題で外国から攻められる。それに対してだめだ、だめだと言いながら一歩一歩後退してくる。それだけであって、そういう外国の要請に対して日本としては譲らなければならない場合もあるだろうと私は思います。しかし、そのためには日本の国内ではこういう長期戦略を持っているのだというものが何にもなしで、言うなれば、農民の立場から見るならば無原則に枠を拡大されてきたというのが、日本のいままでの農産物交渉の大きな問題点じゃないかと思います。いまオレンジが問題になっている。牛肉もことし問題になり、来年、再来年と、やはり同じように牛肉の輸入枠の拡大が問題となってまいります。しかし、最初からもうこれ以上は絶対だめなんだということを守り切れない。ただずるずると何となく後退してきてしまう。これでは私は、オレンジにしろ牛肉にしろ、日本の農家を守ることはできないだろうと思う。ここら辺の基本的な戦略といいますか政策というものを私は確立する必要があると思いますけれども、農林大臣どう思いますか。
○中川国務大臣 御指摘のように農産物については、アメリカのみならず世界じゅうが、もっと開放しなさいという声が強いわけでございます。オーストラリアにおいてもニュージーランドにおいてもECにおいても、大小の差はありましてもそういう声が強い。特にアメリカで端的に言いますことは、自動車、確かに日本は安いから買ってあげているではありませんか、その結果アメリカの自動車業界は塗炭の苦しみ、そして失業ということに耐え抜きつつ安い日本の製品を買っているんですから、日本でも安いオレンジや牛肉は買ってください、相互乗り入れいたそうじゃないか、こういう基本姿勢、素朴な発言、意見が出てくるわけでございます。それに対して、工業製品は競争条件はそう違わない、しかし農業というものは土地条件、気象条件によって競争条件が違うのだから、工業製品と同じような考え方は、これはわが国だけではなくて世界じゅうがそういうことで農業には特殊な政策をとっているでしょう、この点は理解してもらいたいということで、私としては最大の説明をしておるつもりでございます。アメリカにおいてもこの点は理解してくれておって、無理なことは言わない。たとえばオレンジならばオフシーズン、季節外ならば農家に影響ないんじゃないですか、その範囲内において調整をしてもらいたいという、その範囲内においてもまだ話し合いがつかない。あるいは牛肉についても、総枠を特別ふやせというのじゃなくて、わが国が外国から買う範囲内においてアメリカの関心のあるものを買ってもらいたい、こういうことでございますから、一見無謀のようにも見えますが、アメリカもわが国の農業の事情をかなり理解してくれておる。
 今後の見通しとしては、今回は長期的な、八〇年を初年度として八七年に至るかなり長期的なものでございますから、今後毎年毎年とめどなしに後退していくということのないように、今日の農業の説明を申し上げ、しかも今後十年間に長期的な対応をして、両国が満足する、農家にとっては大きな影響を与えないという範囲内において調整をして、いま言ったような御批判がないように対処したい、こう思っておる次第でございます。
○二見委員 私たちもことしの夏、ワシントンで同じことを言われたわけです。ある上院議員だったと思いますけれども、日本の自動車会社の自動車を買った。名前を言うと差し支えますから言いませんけれども、領収書を見せて、このように私は日本の車を買っているのに日本はなぜオレンジを買わないんだ、その人はオレンジ議員ですから。オレンジというのは、理屈抜きで、向こうにとってみれば非常に政治問題なんですね。そのオレンジ議員にとってみれば自分の選挙に直接かかわる問題ですから、かなり声もでかいわけです。日本も、たとえばオレンジの輸入枠拡大あるいは自由化というのは、和歌山とかあるいは愛媛とか熊木とか、そうした地域の農家にとっては非常に壊滅的な、致命的な影響を与える問題でございますから、これは日本としてもかなりエキサイトするわけです。しかし、何か話し合いがつかないことには、東京ラウンドも年内妥結が苦しくなるわけですね。そうすると、やはり七月にあるいは九月に、七月も日米の対立です。この基本線を、アメリカがそれに固執されていたのじゃ困るし、日本もそれに固執していたのでは、この交渉というのはまとまらないだろうと思うのです。この点では、やはり不満足であってもそうかたくなな姿勢はとれないという認識を大臣はお持ちになっているわけですか。
○中川国務大臣 御指摘のように、アメリカでもよく知っているわけなんです。仮にオレンジを売ってみたからといって、それがドルのアンバランスに、外貨事情にそれほど大きな効果はない。しかしこれは政治問題だという御指摘です。私の方もいま総合農政で、水田をやめてほかのものに転換をしておるときに、その道をふさぐようなことはこれまた政治問題だ。政治問題と政治問題では本当に困るな、いやな立場になったなということで、この点も理解してもらっておりますので、今回参りまして、ずいぶん話し合いの場もありましたし、また先生方もかわるがわる行って日本の事情を説明していただく、あるいは団体の人も行っていただく、意見広告も出る、こういったような積み重ねによって必ずお互いが満足できる成果が得られるであろう、こう思って、交渉事ですから、最後は妥協であることはもう間違いありませんけれども、粘り強くわが方の基本的な問題だけは守り抜いて決着をつけたいというわけであります。
○二見委員 私も、この問題に関しては農林大臣の御苦労もよくわかりますし、あるいは東京ラウンドをめぐってのこれ以外の非関税障壁の問題にしろ、セーフガードの問題にしろ、直接交渉に立たれた牛場さんの御苦労も本当にわかる気持ちがいたします。
 ところで、この輸入の問題に関して、ちょっと基本的な問題になるかもしれませんけれども、私、農林大臣に一点だけお尋ねします。
 昭和五十年に政府が「農産物の需要と生産の長期見通し」というのをお出しになりましたね。その後、農産物のこういういろいろな問題が起こってきている。そうすると、ここら辺で農産物の輸入政策との関連で、この「農産物の需要と生産の長期見通し」というものをやはり改定する必要というものが出てきたのじゃないか。もう一度見直してみる。それは全面改定ということではないかもしれないけれども、部分的には見直さなければならない点が出てきているのじゃないかと思いますけれども、そうした点の修正なり何なりする予定はございますか。
○中川国務大臣 昭和五十年に策定いたしました六十年における需要と生産の長期見通しにつきましては、四年ほどたっておりますし、その後水田利用再編成等もありますから、必ずしも当時のものと整合性を持ったものであるかどうかということで、改定あるいは検討するということはしたいと思いますが、輸入農産物によって変えなければならぬというような大きな支障になるような輸入はいたさない。逆に言うならば、そのことだけによって改定をしなければならぬという事情にはないと思いますが、見直しは常にやってみたいものだと思っております。
○二見委員 これはやはりオレンジの問題でありながらちょっと観点が変わった問題になりますけれども、オレンジの輸入については、生産農家の立場からいくと、輸入枠の拡大はまかりならぬ、自由化などとんでもないというのが偽らざる気持ちだと思います。確かに生産農家にとってみれば自分の生活にかかわる問題ですから、強い態度に出ることは私は理解できますし、その点はこれからも配慮していかなければならぬと思うのですよ。
 今度は別に、オレンジが日本に入ってくる。輸入量はゼロでありませんから、毎年何万トンか入ってくる。では、そのオレンジを食べる消費者の立場からいけばどうなりますか。
 実は、これは農林省からいただいた資料でありますが、時間がありませんから私読み上げますけれども、たとえばことしの、五十三年の一月、千二百二十四トン入りまして、CIF価格が一キロ平均百四十六円であります。それに関税が四〇%つきまして五十八円。ですから、要するに輸入原価は二百四円であります。それが卸売価格は幾らかというと、五百二十九円、約二・六倍であります。二月には二千三百六十五トン入りまして、CIF価格はキロ当たり百五十二円、関税四〇%で六十一円、合計二百十三円であります。それが卸売価格は三百五十円、一・六四倍であります。小売になりますと、二月の場合は七百三十七円、三・五倍になります。三月は二千二百二十四トン、CIF価格は百四十九円、関税四〇%で六十円、ですから輸入原価は二百九円、卸売価格は三百六十七円、一・七五倍、小売価格は六百四十四円、約三倍。四月は三千六百四十八トン、CIF価格百三十九円、関税は四〇%で五十六円、小計百九十五円、これが卸売価格は四百十二円、二・一倍であります。小売価格は六百九十四円、これは三五六倍になります。五月は四千八百四十五トンの輸入量で、キロ当たり百三十三円、関税は四〇%で五十三円、小計百八十六円で、卸売価格は三百三十二円、一・七八倍であります。小売価格は六百十五円、三・三倍であります。六月は一万二千七百七十四トン、CIF価格は百四十円、このときから季節関税で関税が四〇%から二〇%に下がっておりまして、関税は二十八円、ですから小計百六十八円、卸売価格は二百九十二円、一・七四倍、小売価格は五百八円、約三倍。七月は九千七百十三トン、CIF価格百四十円、関税は二〇%で二十八円、小計百六十八円、卸売価格は三百五十一円で約二・一倍であります。小売価格は五百八十九円、三・五倍であります。八月は六千六百六十七トン、百四十四円、関税が二〇%で二十九円、小計百七十三円、卸売価格は三百七十円で二・一四倍、小売価格は六百十九円で三・五八倍であります。
 というように、輸入価格と比べて卸売価格、そして小売価格が非常に高いということは私は問題だと思うのです。政策的にミカン農家を保護するために価格がつり上げられているならば、これはわかります。そうじゃない。これは流通部門でもって勝手に上げている。これは輸入割り当て制ですから需給のアンバランスがありますので、需要よりも供給の方が少ないから価格が上がると言えばそれまでですけれども、こうした事態をそのまま放置しておいたのでは、消費者の方は納得をしないだろうと思います。農林省でも恐らくこの実態はつかんでいらっしゃることだろうと思いますけれども、これに対して今後どういう措置をされようとしておられますか。いつまでも高い値段で、しかもこれから輸入枠が多少増大されるようなことになれば、一方ではミカン農家が困り、一方では消費者が高いものを食わされる、これでは踏んだりけったりであります。この点についてどういうお考えがありますか。新規参入を認めるとか、価格についてどういう手だてをおとりになりますか、時間がありませんのでこの問題は深くはやりませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
○中川国務大臣 ただいま二見委員御指摘の数字は全くそのとおりでございまして、農林省も把握しております。ことしの六月から季節枠をふやして若干ではありますが下がっておりますが、八月にまた値上がりをしておるということで、これはいかぬということで、農林省としても適正な販売が行われるように指導もいたしてまいりましたし、今後もまた続けてまいりたい。特にアメリカ側が言いますのは、このように値段が高くなるのは数量が少ないからだ、あるいは取引をもっと自由化するというようなことで競争原理を入れ、数量をふやしたらいいではないかというようなことを、いま二見委員が言うのと同じようなことの御指摘もあります。しかし、これは決して数量だけの問題ではない、取引の姿勢の問題もあるということで、姿勢の問題を改めることが大事だということで今後も適正に指導してまいりたいと存じます。
○二見委員 確かにこの問題はもろ刃の剣的な要素がございまして、つらいわけであります。ただ、これは農林省の方でお調べいただきたいのですけれども、オレンジの輸入割り当てを受けている会社は全部で九十一社あると聞いております。その中には実際にはペーパーカンパニーもあるといううわさが業界でもあるわけです。割り当てはもらっているけれども、実際にはそれを自分では使わないでスーパーか何かに流してしまうというペーパーカンパニーもあるということであります。この点について農林省の方でお調べいただきたいし、こうした輸入業者に対して新規参入を認める、私も輸入割り当てを受けたいという者があるならば、そうした新規参入を認めてもいいんじゃないだろうか。輸入割り当てですから、既定の業者にいままでの実績で割り当ててくるわけですけれども、その点について農林省としてはお考えがございますか。
○二瓶政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話ございましたように、現在オレンジにつきましては、直接、消費者が消費するものということで商社割り当てをやっております。従来九十七社でございましたが、ただいま先生からもお話ございましたように、ペーパーカンパニーといいますか、ダミーという問題がありはせぬかというようなこともございまして、現在、九十一社にこの五十三年度の割り当てはやってございます。しかし、なおかつそういう面でも、それが本当にそうでないかどうかという問題もあろうかということもございまして、この九十一社全部につきまして、通産省ともども、現在その辺の実態を各一社一社十分調査をいたしております。大体今月いっぱいぐらいには、その調査は全部済む予定でございます。ただいま新規参入の問題等のお尋ねもございましたが、その辺の実態も踏まえた上で今後の面はいろいろ検討させていただきたい、こう思っております。
○二見委員 先ほど大出委員が質問されておりましたいわゆる有事立法について、若干お尋ねをしたいと思います。
 二日の本予算委員会で社会党の石橋委員が、有事立法を専門にお取り上げになりまして質問されておりましたけれども、あの質問のねらいというのは、要するに軍事的な合理性を追求すれば、これは憲法の枠をはみ出さざるを得ないのじゃないかというところにあったのではないかと私は理解いたしております。これに対して総理大臣は、あくまでも憲法の枠を出ないということを強調されましたし、先ほどの大出委員の質問に対しても、憲法の枠をはみ出すことはないのだ、こういうふうに答弁されておりました。いま行われている自衛隊主導型の有事立法というのは非常に危険な側面もあり、私たちはいまの有事立法には反対でございます。しかし、それはそれとして、総理大臣があくまでも憲法の枠内でやるのだとおっしゃいますので、憲法の枠内での有事立法というのは具体的にどういう形になるのだろうか、むしろ、そういうものが余り期待できるようなものはできないのじゃないかという疑問を呈しながら、ひとつお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 最初に、非常に基本的なことになって申しわけありませんけれども、有事立法あるいは有事法制といいますか、この原型は三矢研究だと私は思います。これに対して総理大臣は、三矢研究というのはシビリアンコントロールの外で、要するに知らないところでやったから問題なんだ、よくないんだという御判断を示されておりました。
 それで、私は逆にお尋ねしたいのでありますけれども、総理大臣あるいは防衛庁長官が指示して研究されたその結果、三矢研究と同じものができてきた場合には、それはシビリアンコントロールのもとで研究されたからよいということになりますか。そしてそれは、そう出てきたものが、総理大臣は、憲法の枠をはめてだめなものもあればいいものもあるという判断を示されるのですか。その辺どうでしょうか。
○福田内閣総理大臣 有事体制は、これはもとより憲法の範囲内の体制であります。合理的に防衛を進めるためにはどうすべきかというようなことを突き詰めていったら、あるいは憲法の枠内というのでは合理的と言えない面も出てくるかもしれぬ、それはやむを得ないと思うのです。われわれは日本国憲法を遵守しなければならぬ、そういうたてまえですから、有事体制について検討するといいますけれども、これは防衛庁長官が指揮をする、その検討はあくまでも憲法の範囲内である、検討もその方向でやられますけれども、もし万一、憲法の枠をはみ出た何か結論が防衛庁長官に上がってきたという場合におきましては、それは拒否する、こういうことになります。
○二見委員 そうすると、ちょっと確認いたしますけれども、総理大臣はいま、軍事的合理性を追求すれば、そういう立場からいけばあるいは憲法の枠をはみ出すことがあるかもしれないけれども、その場合には憲法の枠でもって軍事的合理性というものは犠牲にするのだというふうに、いまの答弁を理解してよろしいですか。
○福田内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○二見委員 ところで、有事法制はこれから研究されるわけでありますけれども、私たちも、どんなものが有事立法かわかりません。やはり過去のモデルを参考にして、この程度のことはどういうふうに考えるのかということをお尋ねする以外にありません。
 これは私、三矢研究で指摘している事項について一つ一つお尋ねしますので、それは憲法に抵触するとか、それはいいとかお答えいただきたいと思います。
 たとえば、三矢研究の中に「有事における民生安定をはかるとともに、軍需に応ずることを主眼として、逐次、必要最小限度の経済の統制及び動員を行うとともに、なし得る限りの産業防御施策を実施するものとし、当面次の施策を準備し、情勢に応じ実施する。」とありまして、一は経済の統制、その内容はたとえば戦略物資の統制ということであります。「軍需を優先し、石油、鉄、稀少非鉄金属等を統制する」という項目があります。これは政府がお認めになったとかなんとかということじゃなくて、こういう研究が行われているわけです。こういうことが憲法の範囲内で許されることですか。それが一つ。
 その次に今度は「物価統制――インフレ防止のため主要品目について実施する」、この場合に、もし賃金を統制するようなことがあった場合には、そのことも含めてどうなるか。
 それから「金融統制――軍需産業に優先投資する」と書かれております。三矢研究は政府はお認めにならなかったものですから、政府が関係すると言うわけじゃありませんよ。ひな形としてこういう研究があったから、それをもとにしてお尋ねするわけですが、こうしたことも憲法の範囲内になりますか、範囲外になりますか、まずそれをお尋ねします。
○伊藤(圭)政府委員 まず最初に御説明申し上げますが、今度やる有事法制の研究というのは、この前、九月二十一日に防衛庁の見解として出しましたように、自衛隊法第七十六条の規定により防衛出動を命ぜられるという事態において自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の諸問題を検討するということになっております。
 なお、いま先生が御指摘になりました、三矢研究の中でこういうものをやっているではないかということでございますが、御承知のように三矢研究というのは、当時の統幕の担当者がそれぞれの運用研究という形で、まあ一つの想定といいますか、シナリオを書きまして、その際に自分はこういうことでやるのが適当であろうというような研究課題によりました答申という形になっております。したがいまして、特に法制の問題というものにつきましては、内容を検討しないままに項目だけが羅列されているということでございますから、その内容に即して憲法に違反するかどうかということはお答えできない状況でございます。
○二見委員 そうすると、たとえば有事法制ということで軍需産業に優先投資するということは、これは三矢研究が私はいいとか悪いとかじゃないですよ、これっきり材料がないからこれを使っているわけですが、そういうことは憲法に抵触するのか。細かい法律がないからわからないというのじゃなくて、大体これを見れば、法制局長官は専門家だからおわかりでしょう。
○真田政府委員 実は正直に申しまして、三矢研究なるものの中身は私はいまだかつて読んだことがございませんので、ただ、いまそこで先生が、こういう項目はどうだ、こういう項目はどうだとおっしゃいましただけでは、これが果たして憲法に適合するか、憲法違反であるかということを判断する手がかりが実はないわけなんで、といいますのは、これは最高裁判所の判決もずいぶんたくさんありますが、憲法に保障している基本的人権も、一切もう制約を加えることができないとは限らないので、これは公共の福祉との兼ね合いで、合理的な範囲で制限することは憲法も認めるところである。これはもう累次の判例があるわけでございますので、いまおっしゃいましたような項目を、ただそれをお読みになって憲法違反かどうかということを即答しろとおっしゃいましても、私はその判断の材料を持ち合わせてない。したがって、たとえばそういう項目によって克服しなければならない事態の重さと、それから、たとえばその手続なりあるいは権利の制限の中身なり、これはもういろいろな総合的な観点から判断して結論を出すべきものだと思います。
○二見委員 そういたしますと、いわゆる有事ということについてもう一度、状況定義的なことになりますけれども、有事というのは自衛隊法七十六条と七十七条にかかわる事態を有事と言いますね。この状態というのはどういうことかというと、戦争状態ですね丁栗栖さんは九月二十六日のある会合で、有事とは戦時ということであり、有事立法とは戦時立法である、こう述べておりまして、自衛隊としてはそのように理解している、こうおっしゃっております。だから、有事ということは、われわれここで有事有事と言っておりますし、自衛隊法の七十六条、七十七条という条文でいろいろ言っておりますけれども、では、条文を知らない国民の立場から見れば、有事というのは一種の戦争状態だというふうに、栗栖さんはそう述べておりますが、その理解はそれでよろしいですか。
○伊藤(圭)政府委員 私どもが研究をいたしますのは、自衛隊法の第七十六条の規定によって総理大臣が防衛出動を命ぜられた以降のことでございます。しかし、以降のことと申しましても、それにかかわりのある七十七条の待機命令、その関連においてもやろうということでございまして、これは現在の自衛隊法に書かれている防衛出動下令後というふうに理解しておるわけでございます。
○二見委員 防衛出動は、七十六条が下令された以後の状態というのは、これは戦争状態でしょうと言うのです。そうでしょう。そのときは平和の状態じゃないでしょう、これは戦争状態でしょう。
○伊藤(圭)政府委員 まあ平時と戦時というような分け方をすれば、いわゆる自衛隊が武力を行使しますから戦闘状態であるわけです。ただ、防衛出動が下令されてそれがすぐ自衛権の行使というわけではございませんで、先ほど法制局長官からも御答弁がありましたように、三要件に該当する場合にその自衛権を行使する、自衛権を行使する場合には、これはまさに戦闘状態というふうに理解いたしております。
○二見委員 私は、戦争のときは小学生でございますから、一線でピストルを撃った経験も鉄砲を撃った経験もありませんけれども、爆撃を受けた経験がありますから、戦争のこわさというのはわかります。戦争状態になれば、いわゆる七十六条下令のもとでの法制の研究ということになれば、これは戦争が行われている段階での自衛隊の行動だとかあるいは日本の対応の仕方だとかということの研究だろうと私は思います。それが有事法制だと思います。当面は自衛隊だけの行動に限られるけれども、防衛庁の見解でも、これは防衛庁だけではなくて、防衛庁以外の省庁の所管にかかわる検討事項も多いのだ。民社党の河村先生の質問に対しても総理大臣は、他省庁にわたる問題も多いので、これは国防会議で取り上げるというふうな答弁をされているわけです。というと、それはある部面では、自衛隊が出動する、戦争をやる段階の法制でもあるけれども、もっと大きく見れば、そういう戦争状態に陥ったときに日本をどうするかというのが、私は総理大臣が指示された大きなねらいだろうと思う。そうすると、この有事法制というのは、やはり国民の基本的人権、権利義務に大さくかかわり合ってくる。だから私たちは、この研究は一歩間違えれば国民の基本的人権を規制する、侵害するような方向にいく可能性があるという認識をしているわけです。
 それで総理大臣、もう一つ、より細かいことでお尋ねいたしますけれども、防衛庁見解の中では「今回の研究は、むろん現行憲法の範囲内で行うものであるから、旧憲法下の戒厳令や徴兵制のような制度を考えることはあり得ないし、また、言論統制などの措置も検討の対象としない。」こうなっております。この「言論統制などの措置も検討の対象としない。」ということは、いかに戦時下とはいえ、言論統制をやることは憲法違反だという認識があるからこの検討の対象とされないのか。これはそうではない、憲法には抵触しないけれども、政治的な判断として言論統制などの措置も検討の対象としない、こうおっしゃっているのか。どちらの意味なんでしょうか。
○真田政府委員 お答えを申し上げますが、防衛庁の発表文の中にそういう言論統制は検討の対象としないと言っているわけですから、実は問題にはならないことだろうと思いますが、御質問の趣旨が、一体、では、言論の統制というのはいかなる場合でも憲法上絶対できないから検討の対象としないという趣旨なのか、こういう点にあろうかと思うのですが、一般論として申し上げますと、それは言論につきましても、先ほど申しましたように最高裁判所の判決もたくさんありますし、現に現行法の中でも、たとえば公職選挙法にはいろいろ文書活動の制限もございますし、あるいはわいせつ物の取り締まりもございますし、あるいは、先ほどもお米の話が出ましたが、終戦直後のお米が非常に少なかったときに、お米の供出などはするなという不供出扇動罪という規定がありまして、それがやはり最高裁判所で、そういう当時の事態のもとにおいては憲法違反ではないという判決も出ております。そういう次第でございますの、で、憲法上絶対にもう事言論に関しては制限ができないというふうには私は考えておりません。先ほども申しましたように、そういう制限をすることによって克服しなければならない事態の重さと、それからその制限の中身あるいはその手続、そういうものを総合考覈して判断しなければならない問題だと思います。
○二見委員 その発言は、やはりわれわれとしては聞き捨てならぬところがあるわけです。そうすると、言論統制はそこにおきまして、憲法十九条、二十条、二十一条、二十二条、二十三条、十九条は思想及び良心の自由、二十条は信教の自由、二十一条は集会、結社、表現の自由、通信の秘密、二十二条は居住、移転、職業選択の自由、外国移住、国籍離脱の自由、二十三条は学問の自由、こうした憲法で保障されている基本的人権も、侵害することもあり得るわけですか。あなたはいま、言論統制しても必ずしも悪くない、これは政治判断だと言った。
○真田政府委員 言論の統制ということで問題を提起されましたので、ただいま申し上げましたようなお答えをしたのでございまして、それから最高裁判所の判例のことも申し上げましたが、これも判決に書いてある文句がそのとおり出ているものですから申し上げました。ただ、私自身も憲法で保障しているいわゆる自由権、基本的人権のうち、たとえば信教の自由とか学問の自由とか、これはどうも事柄の性質上、公共の福祉の観点からする制約にはなじまない、そういうものがあると思いますよ。思いますが、先ほどお触れになりました言論につきましては、事と次第によっては合理的な範囲で最小限度の制限をすることは憲法の否定するところではないというのが通説でもあり、最高裁判所の確立した判例であるというふうに信じております。
○二見委員 そうすると、それじゃ集会、結社の自由はどうなりますか。これは言論の自由が規制され、集会、結社の自由が規制されることになりますと、それが可能になりますと大変なことになるのですけれども、政治的にやらないのと、どうなんでしょうか。
○真田政府委員 憲法の第三章にずっと並べてある権利を一つ一つお取り上げになって、これはどうだ、これはどうだとおっしゃいましても、ここで即答するのはなかなか困難な問題でございますが、先ほども申しましたように、事の性質上、そういう公共の福祉という観点から制約するのにはなじまないものがあることは確かなんです。それから一般的には、先ほど申しましたように、そういう制約をすることによって克服しなければならない事態との比較において物を考えるというのが一般の考え方だろうと思います。個別的に一つ一つどうだどうだと言われましても、それは時間をかけて少し勉強してからでないと正確なお答えは、即答はいたしかねることというふうに考えます。
○二見委員 私の持ち時間はあと二、三分でございますので、最後に総理大臣にお尋ねしますけれども、そういう形でいきますと、やはり憲法の枠内といっても、その枠というのがその状況によってどんどんどんどん広がっていってしまう危険性があるわけです。最初から枠があって、その枠がその状況によって広がっていく、これでは、憲法の枠内というのは、何でもできてしまうということになりかねないわけです。その点で非常に私は危惧をいたしております。それで、その点についての総理大臣の御見解を承るのと、もう一つ、いわゆる政府が考えている有事法制の研究というのは、いろいろな面で、いろいろな立場からそれぞれ見られているわけです。だから、これは研究の段階で逐一われわれの前に明らかにしていただきたいということが一つであります。
 それからもう一つ、直接、有事法制に関係ないでしょうけれども、当面の問題になりますけれども、現在日米防衛協力小委員会で、有事の際の具体的な日米防衛協力のあり方というのが検討されております。有事法制をめぐって憲法上のいろんな疑問を私たち提示しているわけでありますけれども、こうした日米防衛協力小委員会で検討されているもの、このガイドラインがいつごろできるのか。それともう一つ、まとまった段階で、これは要綱ではなくて、国民が冷静に検討するためにも全文を明らかにしてもらいたい、発表していただきたい、こう思いますけれども、これに対してのお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○福田内閣総理大臣 憲法の枠というその枠はどういうことか、こういうお話ですが、憲法の枠は、慣行等で出てくる面もあります。また、最高裁の判決なんかで出てくる面もありますが、事一つ一つ、そういう具体的な問題について検討する、こういうことになります。
 それから、そういう研究ができたらいつか発表するかというお話ですが、ある段階になりましたら発表いたす、こういうことであります。
 それから、日米協力の問題につきましては、外務大臣……。
○園田国務大臣 日米協力小委員会の日米の協議は関係国内法を踏まえてやっておる協議でありまして、今日論じられておる有事立法の問題は長い間の国内の問題でございますから、これとは関係はありません。
 なお、小委員会の結論が出ましたならば、国民の方々、国会の御理解、協議を得るためにも、発表する考えであることはしばしば申し上げたとおりであります。
○二見委員 これで終わります。
○中野委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。
 次に、大内啓伍君。
○大内委員 まず、奇襲対処の問題につきまして総理大臣にお伺いいたします。
 先ほど来の質問に答えられまして総理は、奇襲対処の問題は別途検討したいのだという趣旨のことをおっしゃられたのですが、実は十月三日の福田総理の本委員会における答弁では、こういうふうに言っておられるわけです。奇襲が万一あっても出動命令がなければ行動はできない。そうしますと、先ほどの御答弁と十月三日の総理の答弁はちょっと違うわけなんです。つまり、奇襲は想定しないので、どう対処するか決めていない、万一奇襲があったら、総理の指揮がなければ自衛隊は行動できないのだ。奇襲対処について、現行法制上は自衛隊は行動できないということをはっきり言明されているのでありますが、ここに一つ問題があります。
 そうなりますと、たとえば、日本の防衛体制というのは言うまでもなく専守防衛でございますから、敵の侵略等があった場合に一番最初に直面するのが国民であり、地域住民であります。そうしますと、いまの防衛庁設置法の六十二条第四項からいいますと、そういう奇襲事態があった場合には総理大臣は国防会議に諮らなければならぬ。さらには七十六条によりまして国会の承認を求めなければならぬ。これが原則なんです。例外はございますけれども、そうしますと、自衛隊は防衛出動命令があるまで一切行動できないということになりますと、侵略者の鉄砲の弾で国民がばたばた死んでいても自衛隊は拱手傍観しなければならない。これはなかなかわかりにくいですね。総理のおっしゃったのは、防衛出動命令があるまでは一切自衛隊は無抵抗主義を貫け、こういうことなんですか。
○福田内閣総理大臣 いまの自衛隊の体制は奇襲ということを考えておらないのじゃないか。自衛隊としては、奇襲があった場合にどうすべきかというすべがわからない、そういう状態にいま置かれておる。政治の責任といたしましては、奇襲というものがないように万般の措置をとらなければならぬわけでありますが、しかし、万々々一奇襲があったという際に、そういう事態に対処する体制が整っておらぬ、これはおかしいじゃないか、これが私の指摘なんです。そういう際に備えてこの検討をする、これは大事なことだ、こういうことを申し上げておるわけであります。
○大内委員 そういたしますと、必ずしも一切無抵抗主義ではない、そういう問題も含めてどう対処するかは今後の検討課題だ。そうしますと、十月三日の御答弁はちょっと言葉が足りませんね。
○福田内閣総理大臣 十月三日の答弁というのは忘れましたが、私はあくまで申し上げている。それは何かというと、いま奇襲という際に、それに対して自衛隊がどう対処すべきかということが決まってないのです。空白があるのです。その空白を埋めておくことが大事じゃないかということでありまして、もし十月三日の私のお答えがそうでない趣旨でありますれば、そのように理解を願います。
○大内委員 それでやっと、この間、九月二十一日に出されました防衛庁の見解と一致してくるわけですね。この見解では、奇襲は絶無ではない、そして応急的な対処行動については、自衛隊の組織行動を本旨とするその特殊性を考えて、法的側面を含めて検討する。ですから、奇襲対処については法制的側面を含めて検討するというのが総理のお考えなんですね。
○福田内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○大内委員 奇襲というのはもちろんあってはならないし、それをゼロにするためにあらゆる努力を傾注する。これは外交、防衛のみならず、経済の面においても、政治的な面においてもそれを尽くす。そして、そういう事態が絶対に起こらないように措置するということが基本である。しかし、にもかかわらず近代国家の防衛というのは、その努力を尽くしてもなおかつ奇襲が起こり得る、そういう事態に対して狭義の防衛体制を整えておくということが重要な防衛の課題なんであります。最近の世界の戦史をごらんいただいておわかりのとおり、奇襲でないものはほとんどありません。第三次、第四次中東戦争、朝鮮戦争、もちろんハワイの奇襲を含めるまでもなく、第二次大戦後五十を超える局地戦争のほとんどが奇襲なんです。
 ところが、政府の答弁を聞いておりますと、それは絶対にないんで、万々一――そんなに万を重ねる必要はないと思うのですけれども、何か使い分けをしているように思うのですね。たとえば五十一年の十一月にわれわれに提示された基盤的防衛力の整備計画では、奇襲対処ということを最大の目標にして計画を立てておられますよ。ちなみに読んでみましょうか。「基盤的防衛力構想では、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処することを目標としている」そして「そのような侵略は、一般的には、事前に侵略の意図が察知されないよう、侵略のために大がかりな準備を行うことなしに奇襲的に行われる」ものであると言っているのですから、片方では、奇襲があるから基盤的防衛力整備計画をやらなければならぬ、そのために自衛隊を整備しなければならぬとさんざん言っておいて、今度はその有事立法という問題になると、いや、奇襲は絶対ないので、奇襲は絶対防がなければならぬ、それはあたりまえのことなのであります。ですからそういう意味で、その辺を政府としても御答弁をされる場合に、もっと簡潔的に御答弁をされたいと思うのであります。
 そういたしますと、現行法制上は七十六条等の関係からいいまして、自衛隊が武力行使をするためには、内閣総理大臣の防衛出動命令がないうちは動けない、しかし、奇襲対処という今後の問題を考えるときに、これについては何らかの法的措置を含めて手当てをしなければならぬ、こういうことになりますね。
○福田内閣総理大臣 そのように考えております。
○大内委員 真田法制局長官は、十月三日、同じ答弁で、艦艇への攻撃があった場合に、自衛隊は出動命令が出ないうちは実戦はできない。同様に、その段階における無抵抗主義というものを一応表明されたのですけれども、これは現行の法制下の問題であって、将来はこういう問題についてはなお検討しなければならぬという意味だと思うのです。と申しますのは、八月十七日の参議院の内閣委員会における答弁で、いわゆる栗栖発言に関連して、法的な穴があるのじゃないかという問題に対して長官は、検討に値する問題である、必要なら立法手当も考えなければならぬ。こういう御答弁とあわせて考えますと、そういう理解でよろしゅうございますか。
○真田政府委員 おおむねおっしゃるとおりでございます。結局、私が重ね重ね申しておりますように、現行法の七十六条の規定のしぶりから見て、内閣総理大臣の防衛出動命令が出る前に、現実に第三国が、某国が武力攻撃を加えてくるというようなことは、まず現行法は考えていなかったのだろう。それは御存じのとおり、例外規定が手続の面についても要件の面についても書いてございますので、七十六条の運用よろしきを得ればそういういわゆる奇襲はないであろうというふうに考えておったわけなのですが、これは栗栖前統幕議長が、いや、時間的なギャップがある、その場合にどうするか、超法規的措置としてやらざるを得ないことになるというふうな御発言がありましたので、もしそういうことがあれば大変なことである。じゃ、現行法でいままでわれわれが考えておったのが間違いなのか、あるいは現行法はそのとおりなんで、もし栗栖さんのおっしゃるような時間的なギャップが仮にあるとすれば、それに対処するための何らかの手当てが必要ならば、それは専門家に御検討願って、政策判断をしてもらった上で、もし立法が必要であれば、その立法のお手伝いをすることはやぶさかでない、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
○大内委員 いま内閣総理大臣及び法制局長官から、奇襲対処についてはタイムラグというものの可能性を考慮しつつ、したがって、これにどういうふうに即応体制をとるかについては法的側面を含めて検討する必要があるという御趣旨の御答弁をいただいているわけなんであります。
 ここで一つの問題は、金丸防衛庁長官にお伺いいたしますが、長官は九月八日の閣議後の記者会見におきまして、次のように申されている。レーダー網が完備し、日米安保条約で情報交換もあり、実質的に奇襲はあり得ないので立法は必要ない。これはいまの総理大臣の認識とちょっと違うし、もちろん九月二十一日に出されました防衛庁の見解そのものとも実は違うお話なんです。これはやはり言葉足らずでございますか。
○金丸国務大臣 私は、奇襲というものはあり得ないようにすることが政治だといつも申し上げておるわけでありまして、レーダー網とかアメリカの情報、そういうものを十分に、あるいは通信網を完備する、そうしてあり得ないようにする、そういう中でたまたま奇襲という中にもし万々一というものがあるというならば検討をする必要はある、しかし、私はそういうものはないと思うけれどもと、こういう考え方でございます。
○大内委員 そうしますと、基盤的防衛力整備計画では奇襲はあるあると言っていることとちょっと違いますが、これはどういうふうに説明されるのですか。
○伊藤(圭)政府委員 基盤的防衛力の中に書いてございますのは奇襲的攻撃という言葉でございます。この奇襲的攻撃という言葉は、私どもが軍事的な情勢を検討する際に、本格的な準備をして攻撃するもの、これは非常に大きな攻撃であろう、しかし日本の状況から考えてみると、いわゆる日米安保体制をとっている日本に対して、アメリカの軍事力に対して戦うという決意なくしては大きな行動はとれないだろう、したがってこの行動が発動されないような形での奇襲的な攻撃というものが公算としては大きいだろう、ということは、奇襲的な攻撃というのは準備をせずして侵攻してくる、そういった小規模のものに直ちに対抗できるような防衛力を持っていたいというのが基盤的防衛力の考え方でございます。
○大内委員 だから、基盤的防衛力整備計画は奇襲を想定して立てられているのでしょう。それに間違いないでしょう。防衛庁長官は、そういうことはあり得ない。それは願望でしょう。そういうふうに期待をしているわけなんでしょう。しかし、先ほど来申し上げているとおり、国の安全保障というのは、そういう万一の事態に対して、万一の事態も起こらないように措置しておくことが防衛でしょう。それを防衛庁長官、はっきり言ってくださいよ。そんな詭弁じゃなくて、ごまかしじゃなくて、本当のことを言い合おうじゃありませんか。
○金丸国務大臣 私は大内さんと、おっしゃる考え方は同じだと思うのですよ。
○大内委員 そういうあれではずっこけてしまいますな。
 私どもが八月二十八日に、専門家という立場から三幕僚長及び統合幕僚会議事務局長等をお呼びいたしまして聞いたところが、奇襲はあり得るというのが全員の結論でありました。これは政治的な色めがねをかけた発言ではないと私どもは受け取りまして、純粋にそうだろうと思うのです。そうしますと今度は防衛庁長官が出てきて、いや、そういうことはあり得ない。どっちを信頼したらいいか迷ってしまうのですよ。(「私はあなたを信頼します」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 そこで問題は、閣僚の中でもいろいろな意見があると聞いております。この中で、見渡しますと威勢のいい方もたくさんおられますし、たとえば中川農林水産大臣は、これは国務大臣として意思統一しておくべき重要な問題だと思うのですね、やはり奇襲はあり得る、そうしていまの法体系において七十六条だけではこれに対応できないたくさんの穴がある、したがってこれについては整備することの方がいいとお考えですか。所管が違って大変恐縮ですけれども、こういうのもなかなかおもしろいと思うのです。
○中川国務大臣 私は担当大臣ではありませんけれども、一国民として、政治家として、また国務大臣として安全保障というものに責任をとらなくてはならぬ一人だろうと思います。
 そこで、総理大臣が答弁いたしましたように、自衛隊があるのは有事があるからである。有事の場合はどういうことが想定されるかというと、奇襲ということが今日世界の通例になっておる。だから奇襲にいかに対処するかということになれば、七十六条をもっては奇襲に対処できない。これは栗栖さんが、いまの法制下では超法規的に行動しなければならぬ。恐らく、いまどこかへ上がってきて軍事施設なりあるいは地域住民を殺戮して、黙っている自衛隊はないと私は思う。本能として、殴られて、撃たれて、自衛艦が三隻もいて一隻撃ち落とされて、総理大臣に電話をかけて、いいですか悪いですか、こう言ったときに、まだ返事が来ないからといって撃ち殺されて黙っている自衛官はないと私は思う。推定でございます。そういうことになれば超法規的になる。これじゃいかぬからということの御指摘があったのは当然のことであって、これはいかように言われても、この体制をきちっとしたものを法律を含めて考えるというのが常識であって、奇襲がないなどということを考えることは常識に反したことだし、奇襲があるから、有事があるから自衛隊がある。自衛隊がある以上、そういった体制を十分対処すべきである。国民は法律に縛られて、守らなければならぬけれども、法律を改正しなければならぬというのは当然のことだと思う。私は、憲法にもしこれが抵触するというなら、これは憲法についても改正すべきだという議論があるということも十分耳を傾けなければならぬ。改正するしないは総理大臣の判断に従うところでありますが、そういった、憲法に縛られたり法律に縛られて国民が殺戮されてもいいというような基本的な姿勢は断固としてとるべきでない、こう思う次第でございます。
○大内委員 これは本当は取り上げようによりましては非常に重大な答弁なんです。(「重大だよ」と呼び、その他発言する者あり)
○中野委員長 大内君に――ちょっとお静かに願います。
○大内委員 まあちょっと聞いてください。ただ、本当は、参考までに国務大臣として一人一人聞きたいのです。しかし、時間がありませんからそれは割愛いたしますけれども、防衛庁長官もこの辺を十分お考えをいただきたいのです。そして、こういう問題についてはもっとやはり内閣において、国民がわかるような統一見解を出す。やはり防衛庁の見解だけじゃだめです。本当に内閣としての統一見解を出すということについて総理大臣も御留意をいただきたいと思うのです。あえて答弁は要りません。
 しかし、先ほど防衛庁長官がこうおっしゃっているのですね。レーダー網が整備されて、あるいはアメリカとの情報交換等で実質的に奇襲はあり得ないというような趣旨のお話をされているのですけれども、私は、いまの日本の自衛隊の現状というのはそういう体制に全くなってないのじゃないかと思うのですよ。
 たとえば、奇襲に対して備えるという場合には、まず第一に、たとえば沿岸の監視を初め、戦術情報というものが完全にキャッチできる体制がないと奇襲対処はできないですよ。それから、たとえばもう一つは、アメリカでやっておりますように、タイムラグをなくするための中央指揮機構というものが完備してないとそれはできないですよ。それから、たとえば部隊そのものの有事即応性はいまの自衛隊にないでしょう。たとえばいまの日本の陸上自衛隊を見たって、充足率は六〇%から七〇%じゃありませんか。そしてその能力を発揮するということになったら五〇%に下がるのですよ。そういう状態でどうして奇襲対処できますか。また、抗たん性というむずかしい問題がありますけれども、これは一つのレーダーがやられたとき次のものに代替するというようなその脆弱性のカバーの問題、この抗たん性の強化という問題は、いまの自衛隊では全然手がつけられてないのですよ。ないですよ。それから、たとえばもっと重要な問題として、アメリカからの情報提供、これに頼っているようですけれども、いま世界の常識というのは、情報提供というのは全部ギブ・アンド・テークですよ。ですから、こっちから上げるものがなければ向こうから必要な情報提供というのはないのですよ。ですから、ミグ25の後はアメリカからたくさんの情報提供があったはずなんです。つまり金丸長官は、実質的に奇襲はあり得ないんだ、いまいろいろな体制が整備されているからと言うが、それは違います。事実に反します。自衛隊の現状からいってそれは違います。ですから、たとえば金丸長官はある会合で、そういう体制を整備するために偵察衛星を持ちたいという趣旨の発言もされているのですよ。そういう体制を整備しなければ奇襲対応なんかできはしませんよ。万々々一なんて言って、あり得ないなんて強弁されたって、そんなものは実態に即してうそじゃございませんか。自衛隊の実態はございますか、奇襲対応、処置ができるような体制がございますか。ないでしょう。
○金丸国務大臣 ただいま自衛隊の即応体制というものはあるのかないのか、ないというようなお話をされたわけであります。完全なものは私もないと思うけれども、この平時に順次これを積み重ねていくということが必要だと私は思う。そこで、二十七万の自衛隊員だけで防衛というものはやれるわけじゃない。一億一千万の国民の合意を一つ一つ積み重ねながらいくところに防衛という問題があるということでありまして、いまここで奇襲が仮にあった、それに即応できるのか。それは私はいまの情勢というものは、その奇襲というものがあるような情勢は現在はない、こういう判断はいたしておるわけであります。
○大内委員 同様に奇襲対処に対する自衛隊の即応体制は現状ではありませんね。――うんうんと言っていますが、どうですか。
○金丸国務大臣 完全な即応体制は現在はありません。
○大内委員 そこで、防衛庁はこれまで、たとえば奇襲等があった場合――もちろんこれはあってはいけないわけなんです。あった場合に、総理大臣の防衛出動命令がある間のタイムラグを埋める議論として、正当防衛論あるいは緊急避難あるいは集団的正当防衛、さらには最近は刑法第三十五条の正当行為論というようなものを打ってきたのですね。
 ここで一つ問題は、九月十四日の参議院の決算委員会において、法務省の伊藤刑事局長はこの問題についてこういうふうに答えているのです。法務大臣、ちょっとお聞きしたいのでございますが、緊急時の措置は個人ではなく部隊としてのことであり、刑法上の問題ではない、刑法上の問題としてとらえるのは場所が違う、刑法上犯罪を犯した人の構成要件は個人を対象としたもので、自衛隊の行為を刑法上とることは問題があると言いまして、事実上正当防衛論というものを否定する発言をされているのですが、法務大臣はこの点についてはどういう御見解をお持ちでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 刑法三十六条の正当防衛でございますが、これは御承知のとおり「急迫不正ノ侵害ニ対シ自己又ハ他人ノ権利ヲ防衛スル為メ已ムコトヲ得サルニ出テタル行為ハ之ヲ罰セス」こういうことでございます。いま自衛隊の云々の話がありましたが、私どもの解釈では、これは犯罪になるかならないかの規定でありまして、そういう急迫不正の場合には犯罪としては認めない。これはどういうことかというと、生命あるものは当然に、そういう思わざる不正の侵害があるときにはこれに対して防衛をする本能がありますから、そのことを刑法上認めて、そういう場合には罪とはしないのだ、こういう規定でございます。でありますから、これはいわゆる自衛隊の問題に関係がないという意味で申し上げておるわけでございます。
 ただ、ここでつけ加えますが、種々議論がありますけれども、自衛隊が仮にそういう場合に遭った場合、これはやはり生命あるものとしてそういう行為に出ることはあり得る、これは当然なことであります。ただ刑法の問題として考えることでなしに、これは国際法その他の問題として取り扱うべきものだ、かように申し上げておるわけでございます。
○大内委員 そうしますと、大体これはいま、伊藤刑事局長が申されたようなことを法務大臣もお認めになった。たとえば制服の皆さんはこういうことを言っているんですね。たとえば永野陸上幕僚長、これは九月十四日に記者会見をしておりまして「個人の正当防衛というのは、」「統制ある一糸乱れぬ(行動が要求される)自衛隊としては困る。」はっきりこう言っているのですね。それから竹田空幕長は「航空機の射撃装置は、レーダー管制などで正確になっており、第一撃で命中する率が高く、現実には応戦する前に自衛隊機が損害または撃墜される危険が多い。」正当防衛では不可能である。それから海上幕僚長にお伺いをいたしましたら、たとえば艦船が攻撃を受けて、個人が刑法上の正当防衛を行使することはあり得ない。艦船の場合は、すべて一発の弾を撃つのでも艦長の命令が必要であって、したがって個人が刑法の三十六条等に基づく免責の規定を受けるような、そういう行動を勝手にとることができない。
 したがって、いまの法務省の見解等もございましたけれども、この辺について法制局長官の御見解をいただきたいのです。あわせて、集団的正当防衛というのは成り立つのか、または刑法三十五条の正当行為論は成り立つのか、この辺を明快にお答えをいただきたいと思います。
○真田政府委員 ただいまの法務大臣の御答弁の途中にちょっと委員長と話をしておりましたので、御質問の趣旨が必ずしも明確に把握していない点があるかもしれませんが、実はこの奇襲の問題が出ましたときに、時間的ギャップがあっては大変だ、もし本当にあれば大変だ、つまり七十六条の出動命令がなければ、部隊として七十六条が予定しているような防衛活動はできないことになる、そうすると、では何にもできないかという問題になりまして、それでよくよく考えてみれば、各個人の正当防衛行為ならばできるのだろうということで、実はそういう趣旨の御答弁を申し上げたこともあります。しかし、これもまた翻って考えますと、これは部隊としての行動じゃなくてやはり個人の行動でございますから、いわゆる職務行為とは言えなくなる。しかも、ただいま御指摘のように、最近の自衛官なりあるいはあらゆる兵器はどうも一人一人が個別に使うわけにもいかないような性質のものでございますので、いまの正当防衛論ではとても間尺に合わないということもありまして、その後、私は正当行為論あるいは正当防衛論はもう口にしないということにしております。
○大内委員 いまの法制局長官の言によりますと、これまで防衛庁が説明してきた正当防衛論あるいは緊急避難を含めてさらには集団的正当防衛あるいは正当行為論ということでは無理だというふうに理解していいのですね。もう一回確認したいのです。
○真田政府委員 刑法の三十五条正当行為あるいは三十六条正当防衛、これはもちろん場合によっては適用があることはあるのだろうと思います。ただ、事柄の性質上、もし、先ほどから申しておりますような時間的ギャップがあって、そしてその時間的ギャップを部隊の行動として対処するという場合に、正当行為論や正当防衛論では間尺に合わないだろうという趣旨でございます。
○大内委員 これも法制局長官に聞きますけれども、防衛出動命令がなくて部隊指揮はできますか。防衛出動命令が出てない状況の中で部隊指揮はできますか。これはもちろん戦闘行動に関連します。
○真田政府委員 その辺が非常に微妙なむずかしい点でございまして、現行法の解釈の話でございましょうから、現行法として、いまおっしゃったような、つまり出動命令前に部隊として指揮監督をして、部隊として戦闘行為ができるかということになると、それは現行法としては非常に読みづらいし、非常にむずかしいところでございまして、だから、かねがね、出動命令がなければ七十六条が予定しているような防衛活動はできません、これは明らかでありますということを私ははっきり申しておるわけでございまして、いまの御指摘になったような問題は、まさしく検討に値する問題だと思います。
○大内委員 自衛隊法第百十九条八号によりますと、権限なくして部隊指揮をした者、これは三年以下の懲役または禁錮に処する。これは逃げろという部隊指揮をやったときも含まれますか。
○真田政府委員 御質問の前段の方は、これはまず前提として実体的な指揮監督権があるかないかによって犯罪になるかならぬかが決まるわけでございます。
 それから、御質問の後段の方は、一体、軍隊の指揮官が逃げろという命令をするなんというようなことがあるのかどうか、それは実態に関連しますので、私、ちょっとここでお答えはいたしかねるような気がいたします。
○大内委員 いま奇襲等が行われた場合には、七十六条の総理大臣の防衛出動命令が出るまでは何もできない。これが現行法制です。それから同時に、いまの自衛隊法の百十九条八号から言いましても、部隊指揮を勝手にやったら徴役になるわけですから、つまり進むも退くもできないというのが現行法制なんですよ。そうしますと、そういう問題については法的な穴があるということは、法制局長官、お認めになりますか。
○真田政府委員 先ほど二つ御質問があったわけですが、前段の方は、まず実体の指揮監督権があるかないかによって決まる。これは非常に微妙な問題で、検討してみなければわからないというわけです。
 それから、逃げる方は、先ほど申しましたように、逃げろ逃げろというのは一体軍隊の指揮官としてあるべき姿なのかどうか、私、ちょっと自信がございませんので確答はいたしかねる、こういうわけでございます。
○大内委員 今度の防衛庁見解というのは、そういう点について法的に現行法制ではやはり穴があるとは言わないまでも、あるかもしれない、したがって、法制的な側面を含めてこれを検討する必要がある、こういうふうに言っておられますし、この前の法制局長官の御答弁も、実は、場合によっては立法の手当てを必要とするかもしらぬというのは、そういう意味でしょう。ですから、やはりあくまでも立法を含めてそういう問題を検討する必要がある。つまり、それは別の言葉で言えば現行法制上完璧だということは言い切れない、こういう意味ですね。
○真田政府委員 まずそもそもの出発は、現行の七十六条で敵の武力攻撃に対して対処するその穴があるかどうかということ、この事実関係をまず検討してみなければいけない。仮に時間的なギャップがあって、その間自衛隊の部隊として非常に困るということがあれば、それじゃどうしたらいいかということを考えて、必要があれば立法の措置をすることはやぶさかでない、こういうのが私の考えでございます。
○大内委員 本当はそこをもっと詰める必要があると思いますけれども、政府の見解として、現行法制というものを踏まえて、なおかつ奇襲対処等については立法等真剣に検討しなければならぬ、そういう意味で御理解をいたします。
 最後に、もう時間がございませんので一言だけお伺いいたしますが、栗栖議長の解任がございました。この議長解任は、もちろんあの例の週刊ポストの記事及びその後の記者会見の言動ということになると思うのですが、実はこの栗栖議長解任に当たって、参事官会議を通じて協議をしておられる。それから、この週刊ポストに出ました栗栖議長の発言は、統幕の第一室及び内局がちゃんとチェックしている。本当はそれも一つ一つ確かめたいのですけれども、チェックをした人々は全然何にもおとがめがなくて、チェックをされた人が解任された。しかも内局のチェックしたということは防衛庁長官の重大な責任でもあるのであって、栗栖議長の発言は、やはり本来防衛庁長官が責任を負うべき問題ですよ。この点について長官はどうお考えですか。
○金丸国務大臣 栗栖君の発言につきましては、私は、戦前の日本にはしてはいかないという考え方、それがまさにシビリアンコントロールだというような考え方。いま、内局がいろいろチェックしたというお話、私は個人の考え方で事務次官に、まことに今回のこの問題は重大に受けとめておるということで、私の発意でやったわけでありまして、だれから提案があったからやったということでないということだけ御理解いただきたいと思います。
○大内委員 以上をもって終わります。ありがとうございました。
○中野委員長 大内さんにちょっと申し上げますが、先ほどの中川農林大臣に対する御質問でありましたが、所管外の閣僚に対して個々にああいうような意見を求められることは、答弁をする必要がないのでありますから、どうかひとつ今後も、国会運営上、答えなくてもいいのですから、そういう例はなるべくつくらぬようにと思っておりますので、よろしく御理解をいただきます。
 これにて大内君の質疑は終了いたしました。
 次に、近江巳記夫君。(発言する者あり)
 さらにつけ加えます。答える方も答える必要はないのでありますから、御留意をいただきます。
 以上です。
 近江君。
○近江委員 私は、主として経済問題にしぼりまして質問をしてみたいと思っております。(発言する者あり)
○中野委員長 お静かに願います。後ほどまた理事会で相談をいたしますから、お静かに願います。(発言する者あり)後ほど理事会で相談をいたしますから、近江君、どうぞ御発言を願います。(「取り消しなさい」と呼ぶ者あり)いや、取り消しません。取り消す必要はない。なぜ取り消ししなければならぬか。(「私の見解ですよ」と呼ぶ者あり)あなたの見解は別だ。理事会で話をすると言ったのだから、よろしい。近江君。
○近江委員 きょうは非常に時間も限られております。そういう中で、私は主といたしまして経済問題を中心として質問をいたしたいと思っております。
 総理の所信表明、これを私聞きまして、日中条約あるいは中東訪問等、非常に外交関係に力を注がれた。当然、国際社会の中で外交関係ということは非常に重要であることは間違いありません。しかしながら、御承知のように今日これだけの円高でございます。あるいは輸出の減少というような傾向も出てまいりました。不況あるいは雇用不安、さまざまな問題が出てきております。国民といたしましても、こうした点につきましては重大な関心を持ち、非常に心配しておるわけでございます。にもかかわりませず、総理がこうした国内経済に割かれたのは、比率から言いまして約一割ぐらいじゃないかと私は思うのです。そこで私は、総理の基本姿勢といいますか、熱意といいますか、そういう点に非常に疑問を持つわけです。
 総理は、かねて経済の福田である、このように自賛なさっておられるわけでございまして、私は、この経済の福田というのを看板を下げられたのか、あるいはまた経済に対する熱意といいますか、そういうものを失われたのか疑わざるを得ないわけでございます。総理の心境をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 私は、内閣を組織したその最初に、私の最大の任務は日本経済を安定させることだ、こういうふうに考え、その認識の上に立ってずっと今日まで、経済運営に非常に大きな重点を置いて取り組んできております。
 ただ、日本経済は、日本社会は、これはただひとり世界経済から独立して存在するわけにいきません。やはり日本の存在というものは世界各国と非常に深くつながり合っているわけであります。外交努力、これもやはり大変重要な問題であります。もちろん外交にも努力をいたしましたが、しかし経済困難克服、日本経済の安定、これは依然として最大の課題である、そう考えております。
○近江委員 総理は、熱意を持って今後も経済運営に力を注いでいく、このようにおっしゃっておられるわけであります。そういう点で私がいまからいろいろお聞きをいたしますけれども、熱意を持って御答弁いただきたい、このように思うわけでございます。
 まず、経済成長率の問題でございますが、昭和五十二年度、昨年を振り返ってみますと、年間で五・五%の成長率になっておるわけでございますが、当初の見通しは六・七であったわけです。それでこの四半期を見てまいりますと、四−六で一・七、七−九で〇・四、十から十二で一・〇、五十三年の一−三で二・四、こういうようになっているわけでございます。今年度を見てまいりますと、四−六の成長率は一・一、これは昨年の一・七にも達しておらないわけでございますが、そのほかの数値を見てまいりますと、御承知のように鉱工業生産指数、これも九カ月ぶりに前月比〇・八%のマイナスになっておりますし、あるいは通関輸出を見ましても、円ベースで前年同月比一一・三%、このように減少しておる。こういうことから見てまいりますと、あと一・四半期、少なくとも二%程度の成長ということはどうしても必要になってくるわけですね。現状からいきますと、民間でもいろいろな調査データを出しておりますけれども、たとえば三菱銀行の見通し等を見ますと、今年度は四・五だろう、大和証券では四・七だろう、これは政府がおっしゃっておられる数値から見ますと非常に差がある。補正予算等で当然措置をしたといろいろおっしゃっておるかもわかりませんけれども、実際に成長率は七・〇%程度という、これは総理、自信あるのですか。
○福田内閣総理大臣 日本の経済全体として見ますと、私は、大体順調にいっておると思うのです。昨年のことに触れられましたが、ドイツは五%成長の目標を掲げて、実現したのは二・四ですよ。わが国は六・七と言ったのが五・五におさまる、こういうことですが、ことしは内外の要請、日本は七%程度の成長をぜひやってくれ、こう言うのですが、大局的に見まして、日本経済の悪い点というか、黒一点と申しておるのは円ドル為替問題です。この問題さえなければ、私は日本の経済というのは本当に順調に動くと思っておりますが、円高のデフレ影響、これが相当深刻に出てくるだろう、そういうことを考えてみますと、七%と言うが、なかなか七%にいかない、五%台、五・七%程度しかいくまい。そこで今度補正を含む総合対策を講じまして、それで七%程度のことは考えているのですが、諸般の経済項目の動きを見ておりますと、まあまあ実現できる。もとより経済は生き物ですから、これはどういう変化がこれから来るか、予測し得ない点もあります。ありますが、その際はその際で機動的に諸施策を運営して、おおむね七%程度の成長は実現したい、また、できる、このように考えております。
○近江委員 総理は七%程度はできるということを重ねておっしゃっておられるわけですが、昨年度を見てみますと、第一次、第二次の補正で三兆二千億の規模の拡大を図ったわけでございます。それでも昨年は五・五という成長率であります。しかも、去年一月から三月は非常に異常な輸出の伸びがあったわけですが、今年は輸出は非常に減少してきているわけですね。そういう中で二兆五千億の事業規模、実際はいろいろな批判があるわけですね。
 時間があれば、この補正予算をさらに突っ込みたいところでございますけれども、それはいままで議論が出ておりますから避けたいと思いますけれども、そういうようなことを考えますと、総理が七%程度はできるということをおっしゃっても、私たちとしては非常に疑念が消えないわけなんです。非常にその点は私は心配なんですね。本当に大丈夫ですか。もう一度お聞きしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 おおむね七%程度の成長は実現できるし、また、実現をしたい、このように考えております。
○近江委員 恐らくこのままでいきますと、総理はいまかなり自信を持っておられるかどうかわかりませんが、七%程度できるというふうにおっしゃっておりますけれども、私たちは非常に困難だと思うのです。ですから、今回の公共事業等も、それはやればいいのです。と同時に、個人消費の拡大、こういうことも意味もあり、一兆円の減税ということを私たちは強く政府に訴えてきたわけです。これは、福田総理を初め全閣僚の皆さんが、非常に頭がかたいといいますか、応じようとしない。これはまことに国民の立場に立って私は遺憾だと思うのです。こういう点、総理としては、国民の期待にこたえようとしないことについてどのように反省なさっておられるか、率直にひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○福田内閣総理大臣 国民は減税と言えば喜ぶだろうと思いますけれども、本当に国民の幸せを考えるという立場になりますと、そう減税減税と言うわけにはまいりません。やはりいま日本の財政は非常に深刻な状態です。これは一歩過ちますと財政インフレを起こしかねぬです。財政インフレというのは非常にこわいものですから、もし財政インフレというようなことになると、これは社会秩序に大変な混乱が来ると思うのです。そういう認識でいま財政運営をやっておりますが、減税を一兆円する、その負担はずっと先々に行くのです。いまは、財政のことを考えますと、減税どころではないのです。負担の増加まで求めないと日本の社会秩序維持に支障がある、こういうような状態であります。今日的な問題にこたえるばかりでなくて、われわれは来年も再来年も、その先々も、日本の社会秩序を守っていかなければならぬ。そういう立場をとりますれば、どうもいまここで減税ということは、せっかくの御意見でございまするけれども、これに飛びつくわけにはいかぬ、このように考えております。
○近江委員 総理は重ねて減税を突っぱねたわけでございます。しかし、私は、先ほどから申し上げておりますように、これは民間の調査機関等におきましても、幾ら今回の補正措置をとったとしても、七%がいけるというようなところは、私の耳にはほとんど入ってこないわけですね。私は恐らく無理だと思います。
 そこで、七%程度とおっしゃったこの成長というものはまあ無理だろうというこの判断、これは総理は、しばらく見るということをおっしゃると思うのですけれども、その時点になったときはあらゆる措置をとるということもおっしゃっているわけですね。これは先進国首脳会議におきましても、日米首脳会談においてもおっしゃっておるわけですが、このあらゆる措置というのは、いろいろとおっしゃっているわけですが、これは第二次補正ということがやはり柱になるのではないかと私は思うのです。本当にそういう厳しい判断になったときは、第二次補正予算というものは間違いなくお組みになりますか。
○福田内閣総理大臣 いま第二次補正を予定はいたしておりません。補正予算ばかりが景気手段ではございません。他にいろいろの手段があります。そういうことで、第二次補正は予定はしておりませんが、年末、そのころの時点でことしの経済を展望してみまして、どうも七%成長がむずかしい、こういうようなことでありますれば、これはその時点で適切と判断される施策を行う、このように考えております。
○近江委員 では、その時点で適切な措置をとるとおっしゃる中には、当然第二次補正ということは柱なんでしょう。
○福田内閣総理大臣 いま申し上げましたように、第二次補正は予定はしておりません。もう財政措置はこれで大丈夫だ、こういうふうなことでありまして、予定として第二次補正はいたしておりませんが、年末の時点におきまして年度間の経済を展望し、どうも所定の見通しのようにいかぬ、こういうようなことでありますれば、その際どういう施策が妥当であるかということを考えて、それを採用する、こういう考えです。
○近江委員 第二次補正を示唆されているわけでございますが、恐らくそういう事態に、私はこのままでいけばなるということを申し上げておきたいと思います。総理は、私が言っておるのに、そんなことはないとおっしゃるかもしらぬけれども、それはだれが見たってそうだと思います。私は強くそのことを申し上げておきたいと思います。
 それから、今回この政府の見通しを改定されたわけでございますけれども、この国際収支の項目につきまして、従来のドル表示というものを円表示に変えておられるわけですね。これは黒字隠しという批判が非常に強いわけです。これは、政府はそういう声に対してどのようにお答えになりますか。
○宮澤国務大臣 もともと海外経常余剰は国民所得の一部分、海外部門であるにすぎませんわけですから、本来円で表示されてしかるべきものであったと考えておりました。ただ、終戦後、昭和三十年代になりましても、わが国の外貨準備がなかなか二十億ドルに達しないというような時期が長く続いておりましたために、やはりドルというものを何とか蓄積したい、そういう意味で輸出、ことに輸出でございますが、そこのところをやはりドルで表示をして、国民的ないわば目標を設定したいという気持ちが強かったものと思われます。しかし、もういまや全くそういう時代ではございませんから、やはり原則に返りまして、諸外国がまたそうしておりますように、国民経済の一部門である海外経済部門もやはり同じく円で表示すべきものだと、こう考えて改めたわけでございます。
○近江委員 政府の改定見通しを見ますと、経常収支は円表示では二兆七千億程度、このようになっておるわけですが、この場合、この円とドルのレートというものは幾らにお考えになっているのですか。
○宮澤国務大臣 これは、この作業をいたしましたのが七月でございましたのですが、四月から七月までは実績を用いております。二百十五円何がしでございます。それから八月以降を一応二百円と仮に置きまして考えております。ただ、それは先ほどから御質問でおわかりのように、経常収支は円で積んでおりまして、その結果としてこの答えが出ておりますのですが、それを仮にドルで換算したらどうなるかというお尋ねの場合のレートは、ただいま申し上げたようなことになるわけでございます。
○近江委員 この円ドルレートを見てまいりますと、七月二十五日の二百円割れから始まりまして、八月十五日の百八十二円台、これを最高の高値としまして、現在まで百九十円前後を推移してきておるわけですけれども、いま宮津長官がおっしゃった線からいきますと、これは非常に円安になっておる、このように思うわけですね。八月の輸出の通関実績、これは円ベース、数量ベースでは減少ということにはなっておるわけですけれども、ドルベースでは、これは同年同月比でいきますと二三・四%増、貿易収支で十二億ドル余りの出超になっておるわけです。こういう点からいきますと、政府がおっしゃっておるような、長官は最後に、八月以降は二百円ということをおっしゃっておるわけですけれども、そういうレートというものは当面むずかしいのじゃないかと私は思うのです。こういう見通しということについては、政府としては非常にお答えにくい点があるのじゃないかと、従来の点からいきまして思うわけでございますけれども、こういう長官がおっしゃた二百円というそのレートの実現、この円安の方向というものについて見込みをしておられるのかどうか、その辺のことについてお伺いしたいと思うのです。たとえば現在、先ほど私ちょっと聞いたのですが、きょうは寄りつきで百八十七円三十銭ですね。私が聞いた時点、二時四十分で百八十七円五十銭ですね。それについてはいかがですか。
○宮澤国務大臣 先に私からお答え申し上げますが、二兆七千億円という経常収支を出しましたのは、ドルを換算いたしましたのではありませんで、輸出入、貿易外を積み増して二兆七千億といたしました。それを仮にドルで表示したらどうなるか、百三十億ドル程度と申しますときに、七月までの実績レートと八月以降は二百円というものを仮に仮定をして計算をいたしました、と申し上げておるわけでございまして、八月以降の円相場についていわば何らかの予断を行ったという意味ではございませんので、この点は当然おわかりだと思いますが、申し上げさせていただきます。
○近江委員 政府はいろいろ期待しておるかわかりませんが、先ほど総理の答弁でも、この円高が一番の問題だということを先ほどおっしゃっていましたね。しかし、いまの政府の経済運営を私、見ておりますと、これはなかなか政府の思っている方向にはいかないだろう。よほど政府が真剣にこの円高問題におきましても取っ組まないと、さらに皆さん方の予想に反する逆方向に向いていくということを私は申し上げておきたいと思うのです。
 政府は、この二兆七千億程度の経常収支の黒字というものは、ドル表示にいたしますと百三十億ドル程度ということを試算されているわけですね。しかし、近い将来を踏まえて展望しますと、百三十億ドル程度ということでおさまるかどうか。たとえば四月から九月までの上半期で九十五億ドルと、これは大蔵省筋が言っておるのですよ。大蔵大臣、はっきり私聞きたいと思うのです。いまの状態でおさまりますか、これは。百三十億ドルはさらに拡大をしていく、いまのような政府の手の打ち方であれば。総理も一番心配なのはこの点だと先ほどおっしゃった。ところが、このままでいきますと、さらには国際的なそういう摩擦も出てくると私は思うのですよ。大蔵大臣はIMFの総会等へも行かれて、いろいろ諸外国のそうした空気も御存じだと思いますが、この辺につきまして、どういうように大臣としては認識されておるか、これについてお伺いしたいと思います。
○村山国務大臣 私がIMFで申しましたのは、いま確実に日本の経済総合対策の効果があらわれて、実質的には輸出数量が減り、輸入数量がふえております。しかしながら、現在の為替相場の関係で、ドルベースではそれほど減っておりませんということをはっきり申し上げたわけでございます。それは、やはり日本はドル建てが多うございますから、どうしても輸出価格の引き上げという問題があってそういうことになります。しかし、傾向としてはすでに変動為替相場の調整効果があらわれつつあるということを認識願いたい、そういうことを強く言いまして、その点については十分理解を得たつもりでございます。
○近江委員 この経常収支の二兆七千億程度、それを算定されたときに四十億ドル程度の緊急輸入を年度内に期待された結果だと私は思うのですけれども、これは政府発表の総合経済対策におきましてもうたっておられるわけでございますけれども、先般武藤委員からも質問があって、経企庁長官は四十億ドルの中身あるいは現在どのくらいいっておるかというようなお話もあったわけですね。ですから、重なりますからそれはおくといたしますけれども、実際にこの実行という点におきまして、長官、本当に自信あるのですか、いかがですか。
○宮澤国務大臣 先般数字としては御説明を申し上げましたので省略をいたしますが、まあまあかなりの部分進んでおりまして、やはり制度を設けましても、現実に民間の企業がそれを利用するとなりますと、いろいろ私どもも気がつかなかったような問題が出てまいりまして、少しずつ改善をいたしておりますので、ある程度時間がたちますとかなり利用されるのではないか。現在のところ、すでに済みました二億五千万ドル余りのほかに、十五億ドルぐらいは確定をいたしておるわけでございますので、年度末まででございますから、まず申し上げました程度の実現が可能なのではないかとただいま考えております。
○近江委員 通関を終えているのが二億五千万ドル、十五億ドルというのは通関を近々できるという予想ですか。中身はどうなっていますか。
○宮澤国務大臣 ウランの濃縮役務の十億ドル、鉱石の二千七百万ドル、タンカー備蓄の四億三千万ドル、ニッケル、クロムの三千五百万ドル、鉄鉱石、焼結鉱千七百万ドル、航空機のリース七百万ドル、これはいずれも話としては確定をいたしておりまして、間もなく輸出入銀行の外貨貸付制度の融資承諾が決定をするという性格のものだけをとりましたわけでございます。
○近江委員 そうしますと、通関済みの二億五千万、後の十五億で十七億五千万ですね。四十億ドルという点からいきますと、まだ半分にも達してないということなんです。
 通産大臣にお聞きしたいと思うのですが、あなたは百二十五億ドルの緊急輸入を前に宮澤長官とお話しになったようでございますが、それは本当に政府として何としてもやらなければならないという覚悟をもってそういうお話を経企庁長官となさっておられるわけですか。いか覇ですか。
○河本国務大臣 先般宮澤長官に対しまして、通産省の案といたしまして合計百、千五億ドルの緊急輸入を総合的に進めたらどうかという提案をいたしました。
    〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
もっとも、そのうち二十五億ドルは、計算は資本勘定に入るようでありまして、経常収支に計上できるものは約百億ドルでございましたが、私といたしましては、政府を挙げて努力すればその程度のことはできると確信をいたしておりますが、何分にもこれは時間が相当かかりまして、たとえば十月二日アメリカに対してようやく支払いをいたしました十億ドルの濃縮ウランのサービス代金のごときも、実は昨年の夏から交渉を始めておったものでございます。初めは二、三カ月で話がつくだろうと思っておったのですが、一年以上かかってしまった、こういうことでございまして、相手もありますので、なかなか思うように進みません。そういうこともありまして、ことしはかたく見積もって、ことしじゅうに支払いが完了するものはおよそ四十億ドルであろう、このように私ども理解をしておりますが、なお引き続きまして、若干時期的におくれることがありましても、私は緊急輸入は拡大の方向で努力すべきであると考えております。
○近江委員 拡大の方向でいく。そうしますと、百億ドルということをいまおっしゃいましたね。ですから、四十億からさらに拡大をして百億ドルに近づけていく。しかし、本年度四十億プラスどのぐらいの拡大をあなたは最高指揮官としてできる、そのぐらいの腹づもりはなさっているのですか、一挙には百にいかないにしても、四十億プラスどのぐらいを。いかがですか。
○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、なかなか時間がかかるのです。したがいまして、四十億ドルの目標だけを掲げまして、それだけを対象に進めますと、私はどうしてもそれを下回ると思います。でありますから、場合によればその支払いは来年にずれ込むことがあっても、目ぼしい対象があるならば積極的に進めていく、このような姿勢で進みませんと、なかなか四十億ドルということも実際に達成できないのではないか、こういう感じがいたします。実はまだこの百億ドルの目標ということは、政府部内の合意はできておりませんで検討段階でございますので、これ以上のことはまだ申し上げる立場にはございません。
○近江委員 この緊急輸入の問題につきましては前国会でも非常に大きな問題になって、私も政府にいろいろと聞いたわけでございます。そのとき三十億ドルの構想、願望というものが政府から示されたわけでございますが、昨年度のこの緊急輸入というものはどのぐらい実現なさったのですか。
○宮澤国務大臣 ただいまのお尋ねは五十二年度の緊急輸入、まあどれを緊急と考えるかでございますけれども、一応私ども九億八千万ドルぐらいと考えております。
○近江委員 三十億ドルをあのときはぜひともやりたい。私は、総理も覚えておられると思いますが、総理は願望だということを言われて、願望はイコール実現ですか、そのようにしたいということをおっしゃったのですね。三分の一ですよ。三十億を掲げて十億にとどまる。私はこれを言うわけですよ。政府が、まあ七%成長にしてもいけますよと。最近の政府の見通しというのは全部狂っておる。政府は実行力が非常に乏しいのですよ。今回だって、四十億ドルなんて言ったって、目標だけは百億ドル、それを目がけて四十億ドルを達成したいと通産大臣はおっしゃっておりますけれども、昨年度はこういうような実績じゃございませんか。
 それで、今回の四十億ドルというのは、これは当然、昨年のそれとは別ですね、念のために聞いておくのですけれども。
○宮澤国務大臣 先ほど通産大臣が言われましたように、ウラン関係などは昨年から交渉をしておりまして、本来であれば数カ月かと思いましたので、それを昨年度の中に計算をしたことは無理ではなかったと思うのでございますが、実現は今年度に持ち越しました。
 もとより、先ほど申し上げました数字は昨年度のとは別でございます。
○近江委員 なるほど。そうすると、このウランというのはもう緊急輸入の目玉ですね、それが実際上今年度で処理されている。その辺の問題なんですよ。ですから、いわゆる昨年度の実績約十億ドル、それと四十億足して、確かに支払いの問題なんかは翌年に繰り越す場合もあるかもわかりませんけれども、そうするとプラス四十で五十ということですな、昨年のことからいって。こういうことは大事なことですからもう一遍確認しておきたいのです。
○宮澤国務大臣 さようでございます。
○近江委員 昨年の実績等から見まして、あれだけ国会でも問題になり、諸外国からは黒字減らしということでたたかれ、あれだけ皆さん方必死になってやられて、やっと今年に持ち越して、まだ九億八千万ドル、こういうことなんですね。ですから、この四十億ドル自体も私は非常に大きな疑問を持っておるのです。ですから、実行力をもって政府はやってもらいたいということを申し上げておきます。その点は非常に私は不安があるわけですね。
 それで、そういう点からいきますと、さらに政府が掲げております二兆七千億、百三十億ドル程度というものは、もう上半期ですでに九十五億ドルきておるのですから、これは百三十でとまらないことになるのじゃないかと私は思うのです。そういう点からいきまして、緊急輸入というものは本気になって政府がやらなければいけない。これをさらに追っかけて私は申し上げたいと思うのです。総理の決意といいますか、お考えをひとつお聞きしたいと思うのです。
○福田内閣総理大臣 わが国の貿易収支は、下半期には上半期に比べますとかなり傾向が変わってくると思うのです。ただ、これをドルに換算した場合にどうなるか、こういうことは、わが国の輸出商品の値上がりがある。これは相手国のインフレです。これがそれを許すわけですね。相手国、特にアメリカが物価騰貴というかインフレというような状態でありますと、そのドルに換算した場合にどういうふうになるかということは、実は非常にむずかしい見方になるのです。しかし、いまのところ大体百三十五億ドルぐらいなものになろうか、こういうふうに見ておりますけれども、傾向としてはかなり変わった傾向が出てくる。その点は世界各国もわが国の努力を評価しておる、こういうふうに思います。額も大事な問題でありますけれども、当面非常に注目されているのは、傾向が本当に変わってくるのだろうか、変わってこないのだろうか、こういう点ですが、傾向は間違いなく変わってくる、このように私は考えています。
○近江委員 ちょっともとへ戻りますが、九億八千万ドルですね、その中身をちょっと言うてください。
○宮澤国務大臣 一つ一つ申し上げますか。
○近江委員 だいぶかかりますか。
○宮澤国務大臣 いいえ。
○近江委員 時間がありませんから……。
○宮澤国務大臣 では、少し早口で申し上げてよろしゅうございますか。
 原油貯油量の積み増し四億ドル、非鉄金属の備蓄一億ドル、ウラン鉱石の前払い一億三千八百万ドル、ナフサの弾力的拡大一億ドル、農産物の積み増し二千七百万ドル、農産物の前倒し二千五百方ドル、残存輸入制限品目の輸入枠の拡大一億八千万ドル、ホテル用牛肉、オレンジ、果汁の輸入枠の拡大七百万ドル、造幣局用ニッケル、銅の繰り上げ輸入四百万ドル、計九億八千万ドルでございます。
○近江委員 総理、昨年の分も繰り越ししておる。そこで、さっきはっきり確認したわけですが、十億プラス四十、五十億ですね。これはまた、総理、願望である、そういうことをまさかおっしゃらないと思うのですが、これは最低、実現ですな。通産大臣の百億ドル発言といい、それははっきりしておきたい。
○福田内閣総理大臣 去年の三十億とはこれは大分違うのですよ。去年は新聞に三十億ドルというのが出て、それを、一体どういうわけだ、どういうわけだ、こういうお話でありますので、あれは願望だ、こういうお答えをしたのですが、今度はそうではないのです。計画的に積み上げまして四十億ドル、これは御説明申し上げたとおりであります。
○近江委員 総理は、計画を持って必ずやる、こうおっしゃっておるわけですな。
 きょうは時間が非常に少ないので残念ですが、次また、スピードで進みたいと思います。
 円高差益還元等の物価対策の推進六つの柱の中に、電力、ガス料金につきましては通産大臣の認可が行われて、実施されておられるようでございます。しかし、これだって、本当に時間があれば私は徹底して言いたいわけですね。この五十二年度分なんて一体どうするか。たとえば日大の名東孝二教授なんかは、計算で二千百一億ぐらいある、五十二年は、還元出ていないじゃないか、こういうような意見もおっしゃっておるわけですね。そういう点で電力、ガスについては、そういうように実行には移されておられるけれども、問題があるということを申し上げたい。
 それから牛肉、石油製品、配合飼料、国際航空、運賃、国際電信電話料金、並行輸入、輸入消費財調査、各項目につきまして、実際に政府は真剣になさっているかどうか。実施済みの部門、あるいはいまどうなっているかということにつきまして、経企庁長官、農林大臣、通産大臣、運輸大臣、郵政大臣、公取委員長から簡潔にお答えいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 私からまとめて申し上げましょうか。(近江委員「それでも結構です」と呼ぶ)電力、ガスにつきましては御承知のとおりでございます。
 国際航空運賃は、これはIATA、相手国、両方との協議事項でございますが、わが国としては、これからわが国側のディスカウントとアメリカ側のサーチャージ、両方からさや寄せをしていこうという提案をこれからIATAにいたすところでございます。
 なおそのほかに、定期便についてはいわゆるエーペックスといったような割引、不定期便についてはITCでございますか、そういうことを当局として考えておられます。現実にもう実施に踏み切られる段階のようでございます。
 それから国際電電は、御承知のように円高差益と称するものはほとんどございません。ありましても十億円単位の程度のものでございますので、ダイヤル通話の拡大等サービスの改善でやっていきたいというお考えでございます。
 並行輸入につきましては、先般公取委員長から御答弁がありましたように、ソールエージェントの契約を間違いなく公取委員会に届け出させる、並行輸入を妨害するような行為があればこれは取り締まるという方針でございます。
 牛肉につきましては、この差益をいかにして消費者のために役立たせるかという施策について農林大臣がいろいろ御考慮しておられますことは、先般御説明がございました。それから石油製品でございますが、これは消費者価格にいたしまして灯油が四%、ガソリンが一二%等々、まずまずガソリンについては競争の結果安くなっております。そのほかにLPGにつきまして、先般価格の引き下げの動きが本格化いたしましたことは御承知のとおりでございます。配合飼料につきましては、昨年の九月、本年の一月、本年の八月、合わせて二四%の値下げがございまして、これはまあまあ一番成績のいい方ではないかと考えております。
○近江委員 しかし、庶民にはなかなかぴんとこないわけです。皆さん方は差益を還元させるということでいろいろな調査等もなさっているわけですが……。
    〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
 私はちょっと一例を申し上げたいのですが、これは九月十八日の全国紙でも報ぜられたところでございますが、輸入エビの調査につきまして、経済企画庁による第四次輸入品調査と農林水産省の調査では店頭価格につきまして格段に違う、倍から違うわけです。その原因はなぜかというと、店舗対象や熟練度にあるというようなことをぐじゃぐじゃと言っているらしいのです。権威ある両省が調査をしておって価格が倍も違うという、そんなばかなことがありますか。国民が迷うじゃありませんか。政府のデータ、調査なんていかにいいかげんなものかということになりますよ。どういう調査をしていますか。農林大臣と経企庁長官にお聞きしたいと思います。
○藤井(直)政府委員 ただいま御指摘の調査の項目は水産物でございますが、エビにつきまして輸入価格と卸売価格と消費者価格と三本立てで調査いたしております。輸入価格と卸売価格につきましは、総平均の価格というものが現在公的な統計として出ておるわけでございます。末端の小売価格につきまして出ております公的な統計といたしましては、エビの中でも比較的上質のものが選ばれているということでございまして、それがただいま御指摘になりましたものの中で約六千五百円というものがあるわけでございます。ただ、エビについては品質、サイズ等が非常にたくさんございまして、どれをとるかということになりますとなかなか幅が広くて大変でございます。一応公的統計で見た良質のものをとったわけでございますが、全体との関係からいいますと、もう少し詳細に拾った方がいいわけでございますので、農林水産省の方で七月時点から別の銘柄を調査いたしておりまして、それがキログラム当たり約三千五百九十円ということになっておるわけでございます。
 私どもといたしましては、こういう調査につきまして実態をできるだけ把握していくという必要がございますので、そういうエビについて、銘柄別に少し細かい調査をしようということで始めたわけでございますが、この七月の調査をさらに進めまして、八月以降の調査について現在いろいろ調査をまとめているところでございます。御指摘のような点についての調査の内容の改善をこれからも留意してやっていきたいと思っております。
○近江委員 あなたはいろいろと弁明されていますが、私は農林大臣と言ったのですよ。
 農林大臣、農林水産省と経企庁の調査というものは、これは一つのエビの例ですけれども、店頭価格が卸値も小売値も倍も違うのです。それは政府発表でやっているのです。そうでしょう。エビだって、輸入エビがいまいろいろ問題になっているわけです。それの調査が倍も違う、そんなばかなことがありますか。省が違ったら倍になるのですか。そういうずさんなことをやっているから、皆さん方は一つ一つの数字をもとにして対策を練るとか言っておるけれども、そんなずさんな調査や数字をもとにして行政をやっているからなかなか思うとおりいかないのです。これは一つの例です。これでは本当に国民からも信頼を失いますよ。こういうことは当然、統一性を持つ、体制を整備するとか、いろいろな工夫をしてしかるべきものなのです。
 総理、こういういいかげんな発表を今後どのように改善されますか、どう反省していますか。
○福田内閣総理大臣 私は、エビについての二つの調査につきまして詳細承知しておりませんが、国民から見まして誤解を生ずるようなことがあることは好ましくありませんから、自今、調査に当たりましてはその辺を十分配慮いたします。
○近江委員 先ほど経企庁長官は、KDDの国際電信電話料金の問題につきまして、円高差益は十億ぐらいだろう、このようにおっしゃったのです。ところが、これは全体としては非常に利益を上げているわけです。六月十二日、三月期の決算を発表しておるのですけれども、電信電話料収入は一八%の増収となって、経常利益は二百二十二億円、過去最高となっています。しかも、その後円高傾向が著しくなっておるわけですね。かなりの差益が出ておるわけです。外国とのそうした通話料金というものを比べてみますと、これは一つの時期をとらなければいけませんけれども、日本から米国本土への電話料金は三分間で三千二百四十円、米国本土から日本への電話料金は三分間でで九ドル、千八百三十七円相当ですね、その日のドルと円レートによりますけれども。これはやってみて諸外国ずっとそうなのです。ですから、円高差益の問題と同時に、こういうことはやはり国民が皆疑惑に思っておるわけですね。こういうことは当然是正しなければいけない。これは郵政大臣の担当だと思いますが、時間がありませんから郵政大臣の方から簡潔に答えてください。
○服部国務大臣 円高差益については、先ほど経企庁長官から御答弁がありましたので省略いたしますが、御指摘のとおりに、経常利益は確かにそのとおりでありますが、国際電電においては、御承知のとおり今後ますます増大し、かつ多様化する国際電気通信需要に対処するために、膨大な設備投資が必要とされておるわけであります。したがいまして、御指摘の問題については、われわれも国際電話料金について、利用者へのサービスの改善、安定的な国際通信の確保等を総合的に勘案して、今後慎重に検討してまいりたい、かように考えている次第であります。
○近江委員 検討すると言ったって、実際下げる方向で誠心誠意検討するのか、上げないために検討するのか。きょうはもう時間がありませんので、あなたは検討するとおっしゃったのだから、引き下げの方向で真剣に検討する、こう私は聞いておきます。あと具体的な実行を私は待ちますから。
○服部国務大臣 先ほども申し上げたとおりに、電気通信需要に対処するために設備投資に膨大な経費を要する見通しでありますので、これもサービスを低下させることは許されないので、これを総合的に勘案しながら料金問題を検討させてください、この点を確認させてもらっておきます。
○近江委員 時間がありませんので、最後に聞きたいと思うのですが、いろいろな調査を見ますと、たとえばエビであるとか、グレープフルーツであるとか、インスタントコーヒーであるとか、化粧品であるとか、浴用石けんであるとか、これは輸入価格が下がっておっても値段は上がっておるわけです。こういう問題について政府はどうするかということを簡潔にひとつお答えいただきたい。
 そして公正取引委員会委員長に対しては、並行輸入等の問題について調査なさっていると思うけれども、今後公取としてはどういう決意と対策をもって臨むか、この点につきまして答弁をいただいて終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 追跡調査をすでに四回やっておりまして、少しずつ状況はよくなっておりますが、ただいま言われましたような品目は輸入価格が下がっておるのに小売が上がっておるというので、これは実はその都度所管省にお願いをいたしましていろいろ行政指導をやっていただいておりますが、これからは毎月調査をいたしますので結果が毎月出てまいりますので、その都度またお願いをしてまいりたいと思っております。
○橋口政府委員 並行輸入を拡大するためにいろいろな施策をやっておるわけでございますが、先ほど経企庁長官からお答えがございましたように、輸入総代理店の契約内容に並行輸入を阻害するような条項があります場合には、これは除去ないし修正をさせておるわけでございます。ただ、契約上是正をいたしましても実際に並行輸入がふえるかどうかという問題は、これはまた別の問題でございますので、いままで並行輸入取扱商品の小売価格やあるいは輸入総代理店取扱商品の小売価格につきましての調査はいたしておりますけれども、輸入総代理店そのものに内在する問題についての調査というものは、従来の調査は必ずしも十分でなかったと思うわけでございまして、いま私どもが計画をいたしておりますのは、輸入総代理店制に内在する問題につきまして少し掘り下げた調査をいたしてみたいということでございます。その場合にも、すべての並行輸入対象商品についての調査ということは困難でございますから、当面できれば輸入ウイスキ−に限定して調査をいたしたい。さらに、いま御指摘がございましたインスタントコーヒーでございますけれども、これは輸入総代理店の対象品目であるということのほかに、国内の生産が御承知のような寡占的集中の見本でございます。したがいまして、原料としてのコーヒー豆が安くなりましても製品としてのインスタントコーヒーに反映しないという問題もあるわけでございますから、これについても実態調査を行いたいというふうに考えております。
 なお、加えて申し上げますと、調査を計画いたしておりますのが輸入ウイスキーとインスタントコーヒー、さらにレコードにつきましても同じような問題がございます。それから、御指摘のございました冷凍水産物につきましても公正取引委員会としての調査の計画を持っておるところでございます。
○近江委員 終わります。
○中野委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹本孫一君。
○竹本委員 私は、三つの問題について御質問をいたしたいと思います。
 第一は銀行法の改正、第二番目は減税と増税の間といいますかその問題、第三番目はデノミの問題、三つについて御質問をいたします。
 銀行法の改正に入る前に、大蔵大臣に、この間問題を起こしました住友銀行と関西相互銀行の合併計画の御破算になった問題について、感想をちょっと伺いたいのです。
 これは結論としては一時凍結ということになりまして、大体常識的な線だと思って納得をいたしております。大蔵省はこの問題については特に積極的に介入もしなかったようであります。したがいまして、その結論についても一応中立的な立場をとっておられるだろう、かように思うのです。しかし、今回の合併見送り問題について幾つかの教訓があると思うのですね。大蔵省として、大臣としてこれをどういうふうに受けとめておられるか、その点をちょっと簡単にお伺いします。
○村山国務大臣 今後の金融情勢を見ますと、やはり経営の健全化の見地から再編成ということはあり得ることだと思っております。今度の合併事件を見まして、やはりあれだけ関係の深い銀行同士の合併でもなかなかむずかしい問題があるなという感じがしているわけでございまして、今後とも、この合併問題というものは両者の間で十分合意した上でやるべき問題であろう、かように考えております。
○竹本委員 私は、今度の合併問題の挫折で、一つは、住友側の力の論理というものが、力だけでは押し通せないのだという点を教えておる、資本の論理あるいは効率化一本やりというものにも限界があるということを教えたと思うのですね。慎重に取り組んでいくというお話でございますから、そういうことも考慮していただくわけでございますが、弱い人々の生きがいの問題あるいは銀行が社会の公器としてのその使命感のあり方の問題、こういう問題をよく考えてひとつ慎重にやっていただきたい。
 総理、私はこの間、もう大分前になりますが、タイムという雑誌が「資本主義は生き残り得るか」という特集をやったことがあります。これは非常におもしろい特集で、論文を興味深く読んだのです。「資本主義は生き残り得るか」ということの基本的なテーマは、資本主義はリッチソサエティー、富める社会をつくるということには非常に成功した、私もそう思います。しかしジャストソサエティー、公正な社会をつくるということについては非常に問題が多かったということが主なポイントでございますが、われわれの高度成長経済の成果を踏まえて、これからは、総理大臣もかつて経済の質的成長ということを言われておったと思いますが、そういう意味も含めましてリッチソサエティーをつくることについて十分工夫をしなければならぬし、現に銀行は低金利と間接金融で日本の高度成長経済を支えてきたと思うのですね。しかしながら、これからは減速経済になりまして、特にわれわれはいま公正な社会をつくるという大きな政治課題を持っておる。したがって、銀行法の改正にしろあるいは経済政策にしろ、常にリッチソサエティーをつくることとともに、あるいはそれ以上にジャストソサエティー、公正な社会をつくるということを常に理念として持たなければならぬ、かように思いますが、総理のお考えを承りたい。
○福田内閣総理大臣 御所見、私も全く同感です。リッチソサエティー、ジャストソサエティー、これが並行して進められるということが肝心である、このように考えます。
○竹本委員 私どもが計画的市場経済という立場をとっておりますのも、プライベートイニシアチブを十分に生かさなければリッチソサエティーはできないからだという考え方に立っておるわけです。しかし、それだけでも困りますので、いま申しました質の問題あるいは公正の問題を特に重視しておるわけでございます。いま大蔵省では新金融効率化という問題が取り上げられておると思うのです。そして、それがまた銀行法改正の大きな柱になっておると思うのです。
 そこで、大蔵大臣に伺いたいのですけれども、一つは、効率化というものは即合併ということではない、合併もあり得る、けれども、効率化はすべて即合併ということではないのではないか、この点についてのお考え。
 さらに、効率化を進めるということになれば、合併問題以上というか、それ以外に、いままでの過保護行政あるいは護送船団方式、あるいは甘えの構造、あるいは肥大化した経営体質の本当の意味での合理化、さらには過当競争の抑制、こういう合併以外の大きな分野、課題というものがあるのだと思いますが、その二つについてお伺いしたい。
○村山国務大臣 まず最初の、効率化という問題は合併以外にもあるのじゃないか、おっしゃるとおりだろうと思います。それぞれの金融機関はそれぞれいろいろな任務を持っておるわけでございますから、それぞれの立場で努力すべき問題はなお多く残されておると思うわけでございます。
 それから、いまのジャストソサエティーの問題に関連いたしまして、われわれは、今後金融機関というものはやはり新しい時代における公共性、社会性というものを強く考えて、その線についての合理化というものがぜひ必要ではないであろうか、そのように考えておるところでございます。
○竹本委員 金利がだんだん下がってまいりまして、いわゆる逆ざや現象が出てきた。五十二年の上期から都市銀行は赤字になったし、あるいは全国銀行も下期からはマイナスになった、こういう情勢でもありますから、いろいろと工夫をしなければなりませんけれども、先ほども申しましたように、効率化即合併ではない。スケールメリットということは大事でありますけれども、もしこの議論を極端にやりますと、日本には銀行は二つか三つあれば、あとは支店で全部賄えるということになるかもしれない。そういうことであってはならないので、先ほど大臣もお話がありましたように、それぞれの銀行、大中小のそれぞれの銀行、都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、それぞれの分野においてそれぞれの使命がある。それぞれがそれぞれの生きがいを感ずるように、一つの集合体として機能を果たしてもらいたい。したがいまして、規模の利益ということだけでなく、また効率化即合併ということではなくて、それぞれがその生きがいを感ずるように、それぞれの使命とユニークな役割りを果たしてもらいたい、私はジョン・スチュアート・ミルの「自由論」の愛読者ですけれども、彼は、進歩のエッセンシャルな条件は何か、リバティー・アンド・バラエティー、自由と多様性ということを言った。これは思想の分野において特にそうでございますけれども、経済の分野においてもリバティーとバラエティーがなければ、二、三の銀行が全部金融は引き受けたというようなことでは無理が出るし、かえって非能率になる、こう思いますから、大臣も恐らく同感していただけると思うが、念のためにひとつ伺いたい。
○村山国務大臣 全く同感でございます。私は、やはり実体経済というものと即応してやらない金融は無理がかかるに決まっていると思うわけでございますし、実体経済にいろいろな強者、弱者があり、それぞれのニーズがあるわけでございますから、そういう意味で、それに即しまして、それぞれの立場がありますから、やはり競争原理を有効に活用いたしまして、そして合理化を図っていくべきであろう、ときにより再編成ということもあり得るであろう、こう考えておるわけでございます。
○竹本委員 そこで、総理大臣と大蔵大臣にお伺いしたいのですが、私が銀行法の改正を叫びましたのは四十九年十二月二十日であります。三木内閣のときでございます。私の質問に対しまして三木さんは、「銀行法は五十年も前のものでございますから、やはり時代に即応しない面もあって、これは大蔵省に再検討をしてもらう考えでございます。」という答弁をされました。その後大蔵省は、五十年五月、金融制度調査会にこれを諮問されて、いま調査が進んでおると思うのですけれども、私が質問をし、三木さんが答弁してから、すでに四年たっておる。一体銀行法の改正は何年かかってこれをやられるお考えであるか。具体的に申しますと、福田内閣でこれを実現するお考えであるか。総裁公選にまで私は関係しませんけれども、とにかく福田内閣でこの銀行法改正はやられる御意思であるか。先ほど来の金融制度調査会の答申は大体いつ出る見通しであるか。出たものを受けて、法制はいつ国会に出されるつもりであるか。その点を具体的に伺いたい。
○村山国務大臣 事は非常に影響の大きな問題でございますので、非常に分業的にかつ総合的に精力的に検討を進めております。すでに四年の歳月が流れたわけでございますが、私は恐らくこの結論は来年の春、ちょっとおくれるのではないであろうか。それで、国会の提出は来年、五十五年度の予算編成のときまでには何とか間に合わしたい、そのように考えておるところでございます。
○竹本委員 総理に改めて念を押しますけれども、すでに四年たっておるのですね。実はあのころは銀行はもうけ過ぎて困ったのが、いまは逆ざやになっておるのです。これほど大きな情勢の変化もある時代において、調査会にかけてから四年たって、五年たって、それで大蔵省のOBで、竹本さん、それは期待してもだめだ。調査会は銀行法改正をやらないためにやっているんだから、結論が出る心配はないよとアドバイスした先輩もおりますが、そういうことでなくて、福田総理は従来、銀行のあり方については、いろいろと御指導もいただいておるし、御関心も強かったと思うのですが、本当に銀行法改正をやられるつもりであるか。
 さらに、いまのお話のように、来年の春だ、夏だ、秋だと言っておると、世の中が変わってしまいますが、早急にこれを成案をまとめ、法案を提出するということについて、総理のお考えを承りたい。
○福田内閣総理大臣 銀行法の改正はこれは多年の懸案でありまして、目下その作業が進行中である、こういう案件ですが、来年の暮れに開かれる通常国会ですね、まあこれに間に合えばいいところだな、こういうような感触でございます。何とか来年の暮れの国会に提案できる、こういうことを目途といたしまして努力をいたしますが、なかなかこれは容易なものじゃないということもまた御了承おき願います。
○竹本委員 なかなか容易でないから実は四年もたっているわけですね。ですけれども、もうこの辺で切り上げないと、内閣が幾つかわったらでき上がるかということになりますから、ひとつぜひ福田さんの手でがんばってこれはまとめ上げてもらいたい。特に、いまは高度成長から減速経済に変わりまして、構造不況業種の問題あるいは産業構造の改革の問題、いろいろ銀行が背負って解決の一端を担わなければならぬ問題が出てまいりました。さらに中央、地方の公債消化の問題を考えましても、新しく預金のふえたものの三四%までは銀行が背負っているわけでしょう。したがって公的使命というのも、銀行は国家財政の上からも非常に重要な役割りを持っているわけでしょう。そういうことも含め、さらに個人の住宅ローンからいま問題の多い個人ローンの問題まで含めて、金融というものの役割りが非常に重大になっておるのでございますから、この問題は急いでとにかく結論を出してもらいたい。特に強く要望いたしておきます。来年の暮れまで待たないで、ひとつできるだけ早い方がいいですからやってもらいたい。
 そこでもう一つ、この調査会でいま調査検討しておるその中に、銀行の社会的使命、社会的責任と申しますか、そういうものを明確にするという意思が織り込まれておるかどうか。現に調査会に対する諮問にはこう書いてある。諮問の背景として、銀行と社会との接触の深化に伴って生じた銀行行動に対する国民的関心の高まりがあるのでこれを諮問すると書いてある。これはきれいに書いてあるから結構でございますが、はっきり言えば国民的非難が高まっているのですね。たとえば倒産のときでも、これは拘束預金倒産だと言った人たちがたくさんおる。そういう国民的関心だけにとどまらず、いろいろな憤りもあれば、ふんまんもあるわけですから、この社会的責任を明確にするということは銀行法改正の第一の課題だと思いますが、そういう問題意識がありますか。そういうふうに指導しておられますか。
○村山国務大臣 もちろん銀行法の改正の基本的な理念であろうと思うわけでございます。いま竹本先生が御指摘になりましたように、いままでのように単なる産業金融という問題だけでなくて、いろいろな個人的な金融の問題がこれから大きくクローズアップされてきます。また、公共部門に対する金融のあり方も非常に重大なかかわり合いを持っているわけでございますから、そういったものをひっくるめまして今後の金融機関の公共性、社会性のあり方というものを最も重視して検討を進めているところでございます。
○竹本委員 今度の調査会でいま取り上げられている問題は、ディスクロージャーの問題があると聞いておりますが、これは非常に結構なことだと思うのですね。下手な官僚統制よりも、ディスクロージャーで国民の世論の前に銀行のあり方をはっきりさせるということは、非常に前進だと私は評価しておるのでございますが、念のために伺いますけれども、その中には安宅産業の問題等もありますが、不良貸し付けの問題は実態がわかるようになるのか。あるいは大口集中融資というものの実態がわかるようになるのか。あるいは資金コストが特に高いか安いか、むだをしているかしていないかということもわかるようになるのか。さらには政治資金の問題にまで及んで、どの範囲までのディスクロージャーになるのか。その辺についてのお考えがあれば承っておきたい。
○村山国務大臣 ディスクロージャーの問題は、やはり国民の信頼を仰ぎ、また、その金融機関自身の自粛あるいは自戒のためにも必要だと思っております。
 細部について、どの点までいくかということを検討の最中でございますが、必要があれば政府委員から答弁させます。
○竹本委員 時間がありませんから、これは要望にとどめておきますが、今度の住友銀行と関西相互の合併の問題で、御承知のように従業員、労働組合の関係、職員の関係、さらには取引先の問題、いろいろ議論が出てああいう形になって凍結になりました。凍結は結構です。
 そこで、銀行のあり方あるいは銀行のあらせ方の問題として、従業員が物を言う機会、取引先の業者が意見を述べるチャンス、あるいは預金者が希望を述べるチャンスというものを一体どういうふうに窓を開くつもりであるかということについて、たとえばドイツの場合には、貯蓄者擁護連盟というのができて、これは、自分たちが貯金したものをインフレの方へどんどん持っていかれて、結果においては自分たちが自分の金で首を絞めるということのないように、経済一般の政策について発言をする場を与えておるということも聞いておりますが、そういうように従業員に対し、取引先に対し、預金者に対しても、銀行の社会的存在としての強い大きい立場にかんがみて配慮していただきたいということを、これは要望として申し上げておきます。
 次は、急ぎますが、一般消費税の前に減税の問題について一言申しますが、福田総理あるいは内閣は、この問題に非常にかたい態度をとっておられます。時間もありませんし、すでに同僚委員からいろいろと議論が出ておりますが、私の考えとしては、減税というものは、ことしも大事ですけれども、本当は去年やってもらいたかった。私の言うツーレートだ、ちょっと遅い。遅くともやらぬよりはやった方がいいと思いますが、本当は去年相当大規模に、三千億円でなくて、これはツーリトルの問題ですが、もっとどかんとやっておれば景気回復に非常に役立ったのではないか。何よりも困りますことは単年度主義で、これだけ赤字があるからということですぐお考えになるようだけれども、もう少し中期的、長期的展望の中に立って、一歩後退してさらに二歩前進するというような政治的な経済戦略がなければならぬのではないかというふうに考えております。私はそういう意味で減税を支持しておるのでございますけれども、これは時間もありませんし、私の意見だけ申し述べておきます。
 そこで、一般消費税の問題についても、余り言われていなかった問題等もありますので、ちょっと申し上げてみたいと思いますが、一般消費税導入の前提条件としてすでに議論がありました、不公平税制を直せ、行政機構の改革をやれ、これを非常に言われましたが、私はもう一つ、これだけの大きな増税というものを考えるときには、ハイポリシーと申しますか、政治の高いねらいというものがないといけないのではないか。ただ赤字で困りますから増税を何兆円やりますというのでは、国民にアピールしない。ハイポリシーというものがなければならぬのだが、それが余り言われないものだから、単なる赤字対策として増税が言われると、政府の腰も弱くなる、アピールもしないということではないかと思うのですが、これは念のために申し上げておきます。
 さらにまた、食料や衣料の問題、あるいは中小企業に対する課税のあり方といったような問題についても、一般消費税の場合にはいろいろ議論があることは御承知のとおりで、この点は十分配慮してもらわなければならぬと思いますが、きょう制約された時間の中で私が特に強調したい点は二つなんです。
 一つは、タイミングが一番大事だということですね。ところが、この委員会における議論あるいは政府の御発言等をいろいろ聞いておって、私が非常に不十分というか不満足に思えますのは、私は個人として、特にこの赤字財政を考えた場合に、一般消費税といったような増収を考えることはやむを得ないのではないかというふうに思っている。しかしながら、いまその時期かという問題については、この景気のデフレの厳しい段階においてそれは無理だ、やはりタイミングが大事だ、私はこういうふうな基本的な立場でございますが、政府の御答弁は、私の方から言うならば、一般消費税というものはやらなければならぬぞ、やむを得ないのだということもはっきりおっしゃらない、と思うと今度はこちらの方では、もう来年からやりたいのだというようなことも言われるような感じがする。一体どっちが本当だ、こういうことなんですね。
 政治的に言うならば、この赤字財政を再建するという立場からは何としても増収を考えなければならぬし、直間比率が七対三という現況においては間接税に重点がかかるのもやむを得ない、がまんしてもらいたい、しかしやる意思ははっきりするけれども、ことし、来年は無理だ、来年はやりません、しかしその次は経済を一通り正常化した上でやらざるを得ないのですというふうに訴えられた方が、私は国民に非常にアピールすると思うのだが、政府のは逆になって、やるという問題については税制調査会で何とか結論が出るでしょう、試算をしてみたらこんなふうですと言って、あとは皆さんで考えてくださいと言って、おれが責任を持ってやるとは一つもおっしゃらない。しかも逆に、今度は時期の方はもう来年からやりたいという調子で急がれる。逆ではないかと思うが、その点どうですか。
○村山国務大臣 この点はしばしばお答え申し上げておりますけれども、やはり中長期的に見ますと、導入ということはやむを得ないのではなかろうかということは申し上げておるわけです。現在税制調査会でやっておりますのは、その意味で、いわばその基礎工事をやっているわけでございますし、そしておおよその案を披露いたしまして国民各位の御批判をいただいておるということでございます。
 タイミングをどうするかという問題につきましては、もちろん、税制調査会でございますから、来年度の予算編成に関連して、来年度の税制改正としてどういうふうに持ってくるか、これはやはり税制調査会の大きな使命でございます。しかし、政府といたしましては、もちろん何らかの答申が出てまいると思いますけれども、そのときに、タイミング的に来年度がいいのかどうかという問題は、まだ中期経済の見直しの問題もあり、来年度以降の景気の上昇の様子、あるいは財政のフレーム、それから税収の見通し、そういったものがまだ決まっておりませんので、その段階で決定してまいりたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○竹本委員 税収の見通しなんというものを口実みたいに言われるけれども、幾ら計算してみても足らなくなることは間違いないのでしょう。だから、そういうような、ごまかしとは言いませんけれども、なまぬるい答弁で、やろうとしているのかやらないように考えているのかわからないようなぼかし方ではなくて、私が聞いているのは、政治というものははっきりした指導性が要るのだ、総理大臣としてやる意思があるのかどうか、それから来年はやれないと判断しておられるのか、税制調査会の答申次第では何とか考えていこうというように考えておられるのか、私はもう少し明確な線を出すことが必要ではないかと思うが、総理、いかがですか。
○福田内閣総理大臣 わが国の財政を考えてみますと、何らか増収の方途を講じなければならぬ、そういう立場にあるわけです。そういう中で一般消費税構想、いま税制調査会の特別部会が進めておるあの案、これは私は本会議でも申し上げたのですが、魅力のある考え方である、こういうふうに考えておるのです。ただ、これをいつ、どういう手順、段取りで、たとえば最終目標を何%にするか、それを年次別に分けまして、初年度はこのぐらいで、次の年度はこのぐらいでというような考え方にするのか、一挙に最終的な目標に持っていくのか、その辺いろいろ考え方があるわけです。その辺はなお景気の動き、これと非常に大きなかかわりを持っておりますから、その辺をよくにらんでやらなければならぬ、こういうことでございます。
○竹本委員 私はもう少しはっきりした答弁をいただきたいと思うのですけれども、お立場もあって大分慎重な答弁ですけれども、税率を三%にするか五%にするかは後の問題ですよ。やる決意があるかどうかを聞いているのだ。また、来年はやるのかやらぬのかということを聞いているのであって、まあ事務的といいますか良心的というのかわかりませんが、はなはだ不満でございますが、ポイントはその辺だということをわかってもらえば一応いい。
 そこで、時間もありませんから国税庁長官に一口聞きたいのですが、いままでこの問題を導入するということについていろいろ言われるけれども、大事なポイントが一つ抜けている。これは、この税そのものが、日本においては土壌が、風土がなじんでいない。のみならず、今日の五万人の国税庁の職員ということでございますけれども、その納税人口の増加の割合あるいは取引規模の大型化、取引内容の複雑化、そういったいろいろな問題を見ると、いまの五万二千人というのは十年前と同じですから、国税庁の職員としては、ある意味において一万人くらいは足らないのではないか。非常に労働強化になっておる、あるいは調査が非常に手薄になっておる。たとえば会社を調べるにしてもそうでしょう、三年に一遍くらい行ってみるのが本当でしょう。いま五年に一遍、十年に一遍、はなはだしきは十五年に一回しか行かぬでしょう。だから、三菱商事が、何年目に行ったか知りませんけれども、とにかくソウルの地下鉄の問題でも後からわっさわっさと言わなければならぬようになってしまう。十五年に一回なんということでは調査にならぬでしょう。そういうことを考えた場合に、いますでに国税庁の職員の皆さんは、五万人の人が非常に過密な労働をやっておられる。その上にまた今度は新税を導入する、しかも日本では余りなじまない新税を入れるということになると、これは外国の例を見ても、少なくとも一万人ぐらい人をふやさなければならぬ。その裏づけなり見通しなりを全然持たないで今度は導入する導入する、こう言ってみても、これはまた砂上の楼閣になってしまう。その辺について国税庁としてはどういうふうに考えておられるか、一般消費税の問題についてどういうふうな構えでおられるのか、承りたい。
○磯邊政府委員 まず最初に、竹本先生の方からわが税務の職場について大変御理解のあるお言葉を承りまして、まことにありがとうございます。
 私たちの税務の第一線の職員、少ない人員で最大の努力をしておるわけでありますが、さらにこれに一般消費税が導入された場合に、その執行体制あるいは労働強化の問題はどうなるかということでございますが、これは一般消費税に関する特別部会の報告にも取り上げられておりますように、できるだけ簡便な組織にする、それは納税者にもそれから税務の職場にも負担をかけないような組織にすべきであるという報告をいただいております。私たちはこういった報告に期待を持っておるわけでありますけれども、何分まだ具体的にどのような方向で法案が組み立てられるかということがわかりませんので、私たちは、この法案の作成の作業と並行しまして、それが定員並びに機構にどのような影響を及ぼすかということを同時並行的に検討して、これが施行になった場合には、ただいま申しましたように、納税者の方々にはもちろん、わが税務の職場の職員にも過重な負担にならないように万全の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○竹本委員 時間がありませんから詰めるわけにいきませんが、一万人なら一万人今日足らないぐらいに労働強化になっておるから調査が手薄になっておる。その上に新税導入でまた一万人なり必要になる。こういうことを考えますと、新税導入についてはこれだけぐらいの準備期間が要りますよ、研修をするにしても、研修施設の大きさから考えてどのくらいの期間がかかりますよということを、事務的な案を備えて大臣を補佐していくように、国税庁長官も言われてから調べてみるというのではなくて、やろうという人に、やる場合にはこれだけの準備が要りますよということは事務当局として進言してもらいたい、希望を申し上げておきます。
 最後にデノミの問題です。
 私は、ことしの正月にデノミ論が出ましたときに、デノミをやってはならぬ、やるべきでないという立場で反対したのではありません。いまはその時期でない、二兎を追う者は一兎も得ずという言葉がありますが、タイミングが悪過ぎるということを言って反対したつもりなんです。これは総理にもわかっていただいたかと思いますが、いま考えてみてもあれでよかったと私は思っている。
 村山大蔵大臣は、デノミの準備ができたということまで、かつては新聞で言われましたが、念のため伺いますが、準備ができたとは、コインをつくったということか、紙幣を刷ったということか、一体どういう準備ができたのかということ。もう一つ大事なことは、三百八円の百分の一にするのか、二百九十円の百分の一にするのか、二百四十円か、百八十七円の百分の一にするのか、一体どの見当をつけて準備を考えられたのか、そこをちょっと伺いたい。
○村山国務大臣 準備ができたというのは、コインをつくっているという意味じゃもちろんございませんで、基礎研究が大体終わりました、そういう意味でございます。
 それから、為替レートはどの段階でということは一概に申せるわけではございませんが、少なくとも為替レートは安定し、日本の経済が安定軌道に乗ったときでなければ無理であろう、こう申し上げておるわけでございます。
○竹本委員 総理にもお伺いしますけれども、ことしの年頭のあの段階において私は、ドルが安定して、円が安定して、そして円とドルとのレートの関係が安定したものを百分の一にするという形でデノミが行われると思うのですね。ですから、これからやる場合にもそれが必要なんですが、あの段階においてドルは安定したと見られたのか、円は安定したと見られたのか。百分の一だけははっきりしているけれども、その関係はどうしても私は理解できない。いかがですか。
○福田内閣総理大臣 私が年頭でデノミについて私の所見を述べましたのは、まさに竹本さんがおっしゃっているようなことを言っているのです。つまり、いつの日にかデノミはしなければならぬ、しかし、それを実施する段階は、これは物価、国際収支、それから景気、こういう各般の事情を見て、それらを総合いたして、国の経済が安定したその時点でこれを行うのだ、こういうことを申し上げておるわけでありまして、あなたのおっしゃることとちっとも違わないのです。ただ、一般の受け取り方が、そう申してみましても、すぐやるようなふうな受け取りになったというだけの話でありまして、私は、その考え方はいまでも変わっておりませんです。
○竹本委員 総理の言い方がうまくなかったのか、一般の受け取り方がうまくいかなかったのか、この辺はちょっと問題だと思いますけれども、いずれにしても、いま総理が言われるように、ドルが安定し、円が安定するということが前提条件であるということは間違いないということでございますから、それで結構ですし、私はできるだけ早くそうなってほしいと思っておるのです。そしてまた、福田経済政策の最後の総括はデノミではないかというふうに思っておるのです。ぜひそういうことに間に合うように内外経済、特に国内経済の均衡回復をやっていただきたいと思いますが、時間がありませんから、最後に、通産大臣とそれから経済企画庁長官にお伺いします。簡単な答えでいいのです。
 いま言ったような、デノミができるような基礎条件がそろうという意味において、国内経済はデノミができるだけの体質にいつごろになると見ておられるか。また、ドルの安定は、経企庁長官に伺いたいんだが、いつごろには大体安定すると見られておるか。それだけ伺って終わりにします。
○河本国務大臣 デノミを実行するためには幾つかの条件があるというお話でございますが、そのための経済の安定には私は相当な時間がかかるのではないか、こう思います。
○宮澤国務大臣 私も通産大臣と同じ考えでございます。
○竹本委員 そうしてみると、せっかくデノミをやろうとしても、国内経済あるいは国際経済、ドル、円レート、なかなか安定しない、当分むずかしい、こういうことですか。そう受け取っていいですか。
○村山国務大臣 少なくとも安定成長に、減速経済なら減速経済でやはり安定軌道に乗らなければ問題にならぬと思っておるわけでございます。
○竹本委員 終わります。
○中野委員長 これにて竹本君の質疑は終了いたしました。
 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(共) 私は、先ほどの大内委員の質問に関連して中川大臣の答弁がありました、その内容は、有事問題、奇襲問題をめぐってこれまでの本会議並びに当委員会における総理あるいは防衛庁長官の趣旨と著しく違う発言をしている、全く違う答弁をしている、重大な違いがあると思うが、これは閣内不統一だと思いますが、総理、どうですか。
○福田内閣総理大臣 内閣の統一意見といいますか意見統一は防衛庁見解、あれでできておるわけでありまして、あの線が内閣の統一意見だ、このように御承知願います。
○工藤(晃)委員(共) 私は、中川大臣の発言が不統一であるということを言っているのであって、内閣の統一意見はこれであるということを聞いているのではありません。閣僚の中に、国務大臣の中に全く不統一な答弁をする、それがこのままこの委員会で通ってしまうならば、いままでの本会議での政府の答弁やそれから総理の答弁、それの前提が覆えされる、そういう重大な問題であります。もう少し具体的に言いましょう。
 先ほどの大内委員の質問に対しまして中川大臣は、一国民、一政治家、大臣として答弁すると言った。そして、有事には奇襲があるのは世界の通説だ、奇襲があるのは世界の通説だ。これは、いままで総理は、常識的に奇襲は考えられない、奇襲というのは、これはいろいろ政治的にそういうことが起きないようにする、まあ万々々一の場合である、理論的には研究するという立場であります。
 第二に、もう一つ重要ですね。自衛隊法の七十六条では奇襲攻撃に対処できない、栗栖が超法規的で行動しなければならない、それで三隻自衛艦がいて一隻は撃ち殺されて黙っている人間はいない、総理に電話をしているうちに殺されてまだ黙っている手はない、栗栖の指摘は当然だ、この第二点目、どうですか。これまで何度も答弁として、自衛隊法の枠内で、七十六条で総理大臣が国会に諮って承認を得て命令を出さなければ出動命令を出さない、こういうことと全く違うじゃないですか。超法規的にやるのが当然だと国務大臣が言われている。福田内閣の一閣僚が言われている。栗栖さんは首切られたけれども、堂々と閣僚の一員が言っている。これが第二点。
 第三点は、そうしたことが憲法に抵触するならば、憲法改正をするべきだという議論があるのに十分耳を傾けるべきだ、これが第三点目。これは、これまでの答弁が皆、憲法の枠内での研究ということを繰り返されたじゃないですか。憲法の改正をすべきだという意見には耳を傾けろということを言っている。
 以上三点において、この三点において総理のこれまでの答弁と著しく全く違う、この閣内不統一どうするのか、この御意見を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 閣内の意見統一は、先ほど申し上げたとおりであります。防衛庁見解、これが閣内の意見統一であります。ただ、中川大臣は防衛に非常に熱心だ、その熱心な中川大臣がその熱意のほとばしるところ表現に多少の違いはあるけれども、私は、大局的において防衛庁長官の見解と異なるところはない、このように考えます。
○工藤(晃)委員(共) では、改めて一つ一つ聞きますよ。
 有事には奇襲があるのは世界の通説だ、これはこれまでの、奇襲ということは万々々一だ、また政治というのはそういうことを起こさないようにするものだ、そして常識的には奇襲というのは考えられない、こういう答弁とどうなんですか。
 二つ目に、さっき言いましたように、三隻自衛艦がいて一隻撃ち殺されて黙っている人間はない、総理に電話をしているうちに殺されて黙っている手はない、こう言っているのですよ。では、これがニュアンスの違いで総理の見解ですか。そう受け取っていいですか。
○福田内閣総理大臣 中川大臣は、奇襲は常識だというような表現でありました。私どもは、奇襲は万々々一の場合だと、こういうことを申し上げているわけです。万々々一の場合に奇襲がある、こういうことは常識である、こういうふうにとっていただきますれば少しの違いもない、このように御理解願います。
○工藤(晃)委員(共) 中川大臣の答弁というのは、その前の大内委員の質問を受けた答弁でありまして、それで、奇襲に自衛隊が絶えず対処しなければいけないということに始まって、そして有事には奇襲があるのは世界の通説だということで、そして自衛隊がいまの七十六条では対処できないというところへつながっていくわけであります。ですから、奇襲は、いままでの答弁、ここでの答弁は、常識的には起きない、そういうことがないように、万々々一であるけれども、それであってもなお起きないように努力するのが政治である、そういう立場と、もう奇襲はあたりまえのことだ、それに対処していないのが問題だというのと、大きな違いがあるんじゃないですか。だから、それとあわせて二点目も答弁してくださいよ。三隻の自衛艦がいて、一隻撃ち殺されて黙っている人間はない。総理に電話しないと言っているのですよ。電話しなくていいのですか。先ほど、私が命令出さないと出動させないと言った立場と全く違うじゃないですか。やはりこれを容認されるのですか。
○福田内閣総理大臣 第二点は、これは奇襲の場合に対処すべき方式がいまの体制では決まっておらぬ、その点を中川大臣は強く指摘した、こういうことと理解しております。
○工藤(晃)委員(共) これはおかしいですよ。首相はいままで自衛隊法七十六条に基づいて自分が命令を出さないうちには出動させないと言ったことに対して、黙っている人間はない、電話をして、撃ち殺されてもまだ黙っている手はない、栗栖の指摘は当然だと言っていますが、では栗栖発言を容認する、それをまた総理は容認するのですか。そこを言ってください。栗栖発言容認の発言をまた首相が容認するのですか。その問題ですよ。
○福田内閣総理大臣 栗栖発言は二つ問題がある。一つは超法規と言った点、一つは奇襲の場合に対処方策が決まっておらぬ、遺憾である、この点ですね。私は、第二の点は、これは正当な指摘であると思うのです。ただ問題は、その場合に超法規的に対処するのだ、こう言った点ですね、これは私は受け取れぬ、こういうことを申し上げておるわけです。
○工藤(晃)委員(共) 中川大臣が、栗栖が超法規で行動しなければならない、こういう指摘は当然だと言った。それが当然ですか。そうすると栗栖発言を容認する。これはもう大変なことになりますよ。いいですか。それは中川大臣がいま答弁されたでしょう、先ほどそういうふうに。どうなんですか。そこで一致しているのですか。
○福田内閣総理大臣 中川大臣は、いま問題が二つあるとこう申し上げましたが、その第一の、超法規的になっては困る、何か妥当な対処方策は決まっておらなければならぬ、その第二の指摘、これは妥当である、こういうことを言っているのだろうと思います。
○工藤(晃)委員(共) これは中川大臣の答弁をめぐって総理が勝手な解釈を下しちゃいけませんよ。栗栖が超法規的で行動しなければいけないと言ったのは、指摘は当然だ、大臣にはもう電話しないで行動を起こすのが当然だ、こういうことを言って、それで栗栖さんは首になったんでしょう。制服は首になるんですが、閣僚は、これは問題にならないのですか、そういう全く違うことを言って。そんなことを言ったら、この予算委員会のこれまでの大臣たちの答弁、総理大臣の答弁、全く狂ってしまいますよ。前提がなくなってしまいますよ。一体何のためにいままでここで審議をやってきたのか。そういう性質の問題じゃないですか。閣内の不統一、同時に国会の審議に対して重大な問題ですよ。(発言する者あり)
○中野委員長 ちょっと待ってくれ、ちょっと待ってくれ……。(「総理が言っていることと違うぞ」と呼び、その他発言する者あり)……中川農林大臣。
○中川国務大臣 私は総理大臣と一つも違ったことを言ってないのですよ。まず、奇襲ということが世界ではあると。日本であるとは一つも言ってないのですよ。どこに書いてありますか。世界では通例であるから……(発言する者あり)違っていないじゃないですか、どこが違っているのですか。日本では万々考えられないと言ったから、それに違って日本では通例であるなんて私言ってないでしょう。共産党はそういうことをすりかえるからいけないんだ。よく読んでから言ってもらいたい。
 あと、御質問があったら何でも答えますから、どうぞ。
○工藤(晃)委員(共) この質疑は、自衛隊の有事問題、日本の有事問題をこの国会で審議しているのであります。いいですか。世界でどうのこうのということじゃないでしょう。それで答弁されたのですが、国務大臣って、そういう、自分の発言に責任を持たないようでまことに困るけれども、それだけでなしに、栗栖が超法規で行動しなければならない、これは当然だ、ひとつ大きな声で言ってください、ここで。栗栖発言は当然だ、超法規的に行動しなければならない、当然だ、もう一度言ってください、ここで。いいですか、それで。
○中川国務大臣 行動するとすれば超法規的にやらなければならぬと言ったのは、それは当然のことじゃないですか。行動するのがあたりまえだとは私は、だれも言っていないのです。
○工藤(晃)委員(共) それはだめですよ。三隻自衛艦がいて、一隻撃ち殺されて、黙っている人間はいない、総理に電話をして――撃ち殺されてまだ黙っている手はない、一隻でもやられて黙っている人間はない、電話している暇はない、栗栖の指摘は当然だ、まさにこれは栗栖発言そのものじゃないですか。違いますか。(「そうは言っていないよ」と呼ぶ者あり)いや、言っていますよ。(発言する者あり)どういうわけですか、これは。これだけ重大な閣内不統一が出てきて――もうテレビでは放映していますよ、閣内不統一ができたと。国民は重大な関心を持っておりますよ。これを黙って過ごす気ですか。福田内閣、そんなにだらしない内閣ですか。総理の答弁と全く違うことを閣僚が言って、そうして、いや、全然間違っておらぬ、正しいことを言った……。
 どうですか、ちょっと総理、この不統一問題をどう解決するか。
○福田内閣総理大臣 内閣の意見は統一されております。つまり防衛庁見解、これで御承知を願いたいのです。中川大臣の発言が統一見解と相反するようなお話ですが、先ほど申し上げましたとおり、中川大臣は防衛問題には非常に熱心である。ですから、言葉の使い方は私どもと違いまするけれども、言わんとするところは全く同一である、このように理解願います。
○工藤(晃)委員(共) 総理の答弁をいま聞きますと、内閣で統一している、中川発言は統一見解に沿って、表現が違うと言いましたが、そんな性質の問題ですか。栗栖発言は当然だというのは、これはそうすると、統一見解ですか。
 それから、もう憲法の枠内で研究していると、あれほど口を酸っぱく総理は答弁されましたね。そうしておいて、先ほどの中川大臣の答弁は、もう憲法に抵触するなら、憲法を変えろという意見にもっと耳を傾けるべきだ、こういう答弁をしている。これも一致していますか、これも統一見解ですか。
○福田内閣総理大臣 私どもは、これは現行憲法のもとにおいて防衛体制は考えておるのです。中川大臣といえども、現行憲法の枠内において防衛問題は考えておる。ただ、いろいろ意見がある、その意見には耳を傾けるべきものもあるというようなことも言いましたが、とにかく現行憲法のもとにおける見解を支持しているごとは、これは間違いないと私は聞きました。
○工藤(晃)委員(共) 総理が中川大臣の答弁について述べるときには、総理自身がある解釈を加えて、先ほどこの委員会で答弁したその内容に基づいての答弁でなしに、いや、憲法の枠内でだとか、そういう勝手な解釈を加えられてやられている。しかし、これはもうちゃんと議事録にも残るし、答弁が残っているわけですよ。さっき言ったように、栗栖が超法規的で行動しなければいけない、この指摘は当然だ。そうして栗栖議長は解任される。閣僚の中川国務大臣が同じことを言ったときに、これに対しては、これは閣内の統一見解とそう違わない意見だ、これで済まないと思いますが、どうですか。済まないでしょう、これは。
○福田内閣総理大臣 言葉じりと申しますか、その表現の点は私どもの表現を使っておりません、おりませんけれども、言わんとするところは防衛庁見解、これのらちを外れておらぬ、私はそう思います。
○工藤(晃)委員(共) 先ほどの中川大臣の答弁というのは、いま総理が言ったように、閣内の統一見解に少しニュアンスが違う、そういう性質のものでないからここで問題にしているわけですよ。
 私は経済問題を質問したかった。しかし、これを取り上げざるを得なかったのは、もうすでに国内の報道で大問題になっております。そういう重大な問題でありますが、総理は謙虚にこの意見を聞いて、中川大臣に発言を取り消させたらどうですか。
○福田内閣総理大臣 まあ私の見解は、先ほどから申し上げておりまするとおりでございます。
○工藤(晃)委員(共) それでは、中川大臣に、先ほどの発言に対して誤解を生む点もあったということも含めて、それこそ憲法を守るということと、それから栗栖が超法規的で行動しなければならない、その指摘は当然だということを、はっきり否定できますか。否定しますか。それをしなければ閣内不統一が残りますよ。
○中川国務大臣 私は、ずっと総理大臣の意見も聞き、防衛庁見解も聞きながら発言をしているのであって、よく読んでもらえば、日本において奇襲があるかという議論で、万々々ないというだけであって、有事があれば奇襲があるのは通例だと言っているので、世界一般のことしか言っていないのです。栗栖発言についても、行動するとすれば超法規にならざるを得ないというのは、これは林修三さんの意見もそうでしょう。法律を急につくるか、そういうことを言っただけだ。憲法についてもそういう議論があることに耳を傾けるべきだと言っただけで、だから憲法を超えてやれとは言っていない。耳を傾けて採用する場合と採用しない場合があるのです。ですから、誤解の向きもあろうかと思いますが、私は総理大臣の見解と変わったことは発言いたしておりません。どうか誤解のないようによろしくお願いしたいと思います。
○工藤(晃)委員(共) まだその発言では大きな問題が残りますよ。やはり憲法に抵触するなら憲法改正に耳を傾けるべきだ、こういう問題、そうして栗栖が超法規的で行動しなければならない、その栗栖の指摘は当然だと言ったこと、これはもうはっきり残るわけであります。したがって、この問題は、福田内閣がこれまでいろいろ有事問題で答弁してきましたけれども、この憲法の枠内でとか自衛隊法に基づいてとか言っていたこの枠を明らかに踏み越えるような発言となったということを私は取り上げた問題であります。
 わが党は、この福田内閣の閣内の不統一問題、これからも追及しなければならない。このままでは済ませない問題である。しかもこれは、本会議やあるいは予算委員会での答弁、その大きなこれまでの枠をひっくり返すようなものだからこそ私は問題にしたわけであります。このことをはっきり言明するとともに、私はあと残された問題を質問しようと思います。
 一つの問題は、福田内閣の経済政策の最大の売り物は、公共事業を超大型で進めるということであります。五十三年度当初予算公共事業で就労者が十七万人ふえるということを言ってきたわけでありますが、これは全国的にこの効果や実態調査を本当に追跡しているのかどうか、この問題であります。たとえば、失業の最も厳しい地域で大型の公共事業が行われている典型的な地域として広島県がありますが、ここでは特定不況業種離職者法指定地域の全国五つのうちの一つ、これは因島などを含んでおります。また、通産省の特定不況地域、全国十六のうちの四つ、これが広島県にありますが、いま問題とする因島市も含みます。ここでは、公共事業における失業吸収率が定められていることは御存じのとおりであります。特に因島市では、有効求人倍率が〇・〇七という大変なひどさであります。
 他方、最も代表的な大型プロジェクトである本四架橋が、尾道−今治ルートで行われ、因島大橋が建設されている。この因島大橋は五百億から六百億の工事で、すでに下部構造がほとんど終わっているという段階でありますが、こういう最も失業が多い地帯で最も代表的な大型プロジェクトが行われている。これはまさに福田内閣の経済政策が試されるところだと思いますが、これまで、この因島大橋の大工事のために、尾道職安因島出張所や尾道職安本所で何人失業者を吸収したと思いますか。時間がないので私の調査、これは同時に労働省と合わせました数でありますが、この五百億円から六百億円の大工事で、これまでこの失業多発地帯の地元で吸収された失業者の数は、因島でたった三人であります。事務員一人、炊事婦二人であります。尾道の本所では四人であります。事務員一人、それから炊事婦三人、しかも七万円から八万円台の給料ですよ。いいですか。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことないと言うが、調べてありますよ。
 五百億円から六百億円の大工事でたった七名の失業者しか吸収してない。これなら五兆円から六兆円の大工事をやったって、七百名しか吸収できない。中小企業が一つ倒れて、それを吸収できるのがやっとである。三けたくらい違うのじゃないですか。どうしてこういうことになっているのか、その理由をひとつ、これは公共事業で雇用をふやすということを首相は何度も言ってきましたが、答弁していただきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 公共投資、これは全体として雇用に非常にいい影響がある、こういうことを申し上げておるわけです。特にこれは所得税減税に比べれば大変な雇用効果を持つ、こういうことを私は強調いたしておるわけですが、所得税減税をやって雇用にどういう影響があるのですか、工藤さん。これは所得税を納める能力のある人の負担を軽減するということです。ところが、公共投資をする、これは新たに雇用を造成する、そういう大きな影響力があるわけであります。
 いま因島の話をされましたが、これは雇用の問題ももちろんありますけれども、たとえばそれは、鉄材がたくさん要る、木材がたくさん要る、そのもとへさかのぼっていけば相当の雇用効果を出しておるわけですよ。しかし、これは雇用効果だけを考えている施設ではありません。これはとにかく過密過疎、そういうことを考えますと、ああいう雇用だけを考えてみればそう大きな効果はないかもしれませんけれども、しかし、わが日本社会としてはやってのけなければならぬ問題である、そういう角度からやっているわけであります。
○工藤(晃)委員(共) 首相は問題をすりかえて困りますが、いままでの福田内閣の財政経済政策の一番の売り物は、公共事業をやる、これで雇用をふやすということだけでしょう。それが一番代表的に行われているところで実際にこれしか失業者が吸収されてないという事実を挙げて、なぜか、それをどう見るのかということを言っているのであります。だから、いまや、こういう中身を見ると、これは特に失業者や自治体や、実際に職安の第一線の人たちの意見を私は聞いてもらいたいと思うのです。いまの大型の公共事業、普通の公共事業は失業者を吸収できない、これが一致した意見なのであります。なぜかというと、無技能者の四〇%吸収と言ったって、無技能者の求人がない、あるいはこれまでの大きな建設会社が抱えている労働者でみんな間に合ってしまう。新規の吸収というのが起きてないわけなのであります。これが実態であります。
 だから、もう結論に行きますが、第一に、いまの公共事業では、そのままでは失業者をなかなか吸収できないから、実際に因島市や尾道市などが努力して、単独事業をやって失業者を吸収しようとしている、そういう市の努力に対して財政的な負担をするということ。それに加えて、既存の制度をぜひ活用すべきではないか。たとえば中高年齢者雇用促進法の中にある特定地域開発就労事業というのは、そもそも中高年齢者がそういう安定した仕事につくまでの間の就業を保障するということで起きたのだけれども、全国二十二カ所、それが凍結されたままであるけれども、どうですか、こういう既存の制度も活用して、本当に毎日のように保険が切れるという人が出ているこの地域で、こういう全国の地域で、やはり本当に失業者が吸収できるような公共事業を起こすべきだと思いますが、その点について、これは労働大臣並びに総理の見解を伺いたいと思います。
○藤井国務大臣 政府は、景気の着実な回復を図るために、御案内のように公共事業を積極的にやりまして契約を上半期に集中する、こういった施策を進めておるわけでございまして、そのようなことによって安定所の建設業新規求人者が非常にふえております。本年八月の対前年度同月比は二九・二%ふえておりまして、建設業就業者数は昨年末以来五百万人台がずっと続いておるわけでありまして、月を追って増加する傾向にあり、本年八月には五百三十六万人で、前年同月に比べて三十七万人増加しているわけでございます。
 それにはいわゆる失業者吸収率制度の効果も出ておるわけでございまして、先ほど具体的なお話がございましたが、これは本四架橋の橋脚部分が中心でありまして、これから道路関係に着工するということになれば様子はよほど違ってくる、こういうふうに理解するわけでございまして、同時に、因島において、その地域の失業対策として特定地域開発就労事業の実施がいろいろ検討されているということは私も聞き及んでおります。しかし、われわれとしては、いままでこういった構造不況業種、造船企業が集中している地帯に対しては、雇用保険制度あるいは特定不況業種離職者臨時措置法、こういったものを推進いたしまして援護措置に万全を期し、そして現地の職業安定所は総力を発揮して、特別求人開拓の実施、広域職業紹介活動の推進、職業訓練の機動的な実施、あるいはまた失業者の吸収率制度の活用等によって公共事業に失業者を吸収するように努めておるわけでございまして、いま具体的にお話がございました因島の問題につきましては、因島から特定地域開発就労事業の実施について要請があった場合には、これら諸般の対策の効果を見きわめ、かつその地域の開発の可能性、雇用の拡大の可能性、こういったものを見て十分に考え、慎重に検討いたしたい、このように考えております。
○中野委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして昭和五十三年度補正予算三件に対する質疑はすべて終了いたしました。
    ―――――――――――――
○中野委員長 日本社会党、公明党・国民会議及び民社党の三派共同による武藤山治君外二十名から、並びに日本共産党・革新共同寺前巖君外一名から、それぞれ昭和五十三年度補正予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
 これより、両動議について、提出者より順次趣旨の弁明を求めます。近江巳記夫君。
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 昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十二年度特別会計補正予算(特第1号)及び昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○近江委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党三党を代表して、ただいま議題となりました予算三案に対する動議につきまして、その理由及び概要を御説明申し上げます。まず、動議の主文を朗読いたします。
  昭和五十三年度一般会計補正予算、昭和五十三年度特別会計補正予算及び昭和五十三年度政府関係機関補正予算については、政府はこれを撤回し、左記要綱により速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
  右の動議を提出する。
 まず第一に、編成替えを求める理由を申し上げます。
 今回、政府が去る九月二日に決定した総合経済対策の柱として編成した昭和五十三年度補正予算には、多くの問題があります。特に、野党が一致して要求している一兆円減税については措置されていません。よって、政府は原案に追加し、一兆円規模の所得減税を実施すべきであります。
 第二には、その内容についてでありますが、先の理由から、一兆円規模の所得減税を、特に低所得者層に配慮した減税を実施することが必要であります。
 第三には、財源措置についてでありますが、不公平税制の是正並びに国債をもってその財源とすべきであります。
 以上の実施に伴う歳入歳出の組み替えは、政府において措置することを求めるものであります。
 以上が動議の概要でございますが、今回の動議提出に当たって、若干の補足説明をいたしたいと思います。
 福田総理は、七%経済成長を国内外に公約していますが、今日までの経済運営では達成不可能と言わざるを得ません。昨年に引き続いて今年も対外的不信を買うことは許されないのであります。景気対策は、公共投資の拡大と個人消費拡大のための一兆円減税という、両々相まった施策が必要であります。ところが、一兆円減税のない公共事業一本やりの政策では、肝心の個人消費の拡大は望めず、七%の成長はとうてい実現できません。しかも、公共事業の消化がいまや困難視されている現状でもあります。
 また、政府は、減税財源の不足を減税見送りの理由に挙げていますが、不公平税制の是正に着手することなく財源不足を訴えても、国民を納得させることはできません。しかも、国債発行について見ると、政府はこれまで政策実施については、国債発行をいわば自由にといった状況で推移してきたのに対し、今回の減税財源には反対というのでは、国民の生活実態を無視した対応と言わざるを得ません。
 減税の実施が景気の上昇につながり、それが雇用の確保、税収の増加といった循環をもたらすことを知るべきであります。低成長経済のもとでは、とりわけ公正、公平な政治の実行が基本とならなければなりません。かかる観点からいって、政府が補正予算編成で減税を見送ったのは、不公正な政治以外の何物でもありません。
 一兆円減税は多くの国民が期待し、要望しているものであり、政府は潔く予算案を撤回し、組み替えるよう強く要求いたしまして、私の動議の説明を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、工藤晃君。
    ―――――――――――――
 昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十三年度特別会計補正予算(特第1号)及び昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○工藤(晃)委員(共) 私は、日本共産党・革新共同を代表し、昭和五十三年度補正予算三案について、政府がこれを撤回し、編成替え、を求めるの動議の趣旨を簡単に御説明いたします。
 詳細は、動議の案文をお手元に配付いたしておりますので、それに譲ります。
 まず、編成替えを求める理由であります。
 政府提出の補正予算は、まず第一に、国民の強い要求である一兆円減税や社会保障、福祉の緊急改善など、国民生活擁護、購買力向上のための施策を全く盛り込んでおりません。
 第二に、雇用情勢の悪化、下請問題の深刻化をもたらし、際限なき円高の最大の国内的要因になっている大企業の減量経営に何ら手をつけようとせず、補正予算の中にも雇用拡大のための積極的な対策はありません。
 第三に、公共投資では、生活関連投資全体で見ても、一般会計での公共投資追加額の三分の一を占めるにすぎず、特に昨年より一万戸分も減らされた公営住宅建設予算は全く増額されておりません。
 第四に、財源対策では不公正税制の是正は放置したまま、すでに危機ラインを大きく突破している長期国債をさらに三千億円増発し、国債亡国への道を早めようとしています。
 このように、政府補正予算案は全く国民の要求にこたえるものではありませんので、以下の内容による全面的な編成替えを求めるものであります。
 次に、内容についてであります。
 まず、歳入につきましては、地方住民税を含む一兆円規模の所得減税を行うこと、その財源措置として大企業、大資産家への特権的減免税の是正を行うことであります。
 なお、長期国債の増発は認められないということは言うまでもありません。
 続いて、歳出につきましては、社会保障、福祉の緊急改善、二十万人規模の特別就労事業、中小企業・不況地域対策の抜本的強化、公営住宅など生活密着型投資の拡大などの追加を行うとともに、軍事費を初めとする不要不急経費の大胆な削減に踏み切ることであります。
 以上による補正規模は一兆九千億円でありますが、一般会計の総額は当初どおりに据え置くことになります。
 これらの提案は、いま国民が補正予算に期待している最小限のものであります。
 どうか、委員各位の御賛同をお願い申し上げて、動議の趣旨説明を終わります。(拍手)
○中野委員長 これにて両動議の趣旨の弁明は終了いたしました。
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○中野委員長 これより討論に入ります。
 昭和五十三年度補正予算三件及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。山下元利君。
○山下(元)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)外二件に対し賛成し、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党三党共同提出の編成替えを求めるの動議並びに日本共産党革新共同提出の編成替えを求めるの動議に反対の討論を行います。
 最近の日本経済の実態は、わが政府・自由民主党がとってきた適切な経済政策によって、国内需要を中心に緩やかな景気回復の道を歩んでおりますが、八月の完全失業者数は百二十一万人と高水準を続け、厳しい雇用情勢はいまだ改善されず、一向におさまらない円高傾向により夏以来輸出数量が予想外に落ち込んでおり、その国内産業への影響がますます憂慮され、景気の先行きは楽観を許さないものがあります。
 他方、国際収支の黒字基調は依然として強く、黒字幅縮小のための一層の努力が必要とされております。
 このような事態に対し、政府は、過日、内需拡大を図る、事業規模にして約二兆五千億円の公共投資の追加を中心とする総合的な経済対策を決定し、実質七%成長の達成と国際収支の黒字幅縮小の実現に向けて全力を尽くすことを国民に約束したのであります。
 今回、編成された補正予算は、この総合経済対策を裏づけるものであって、きわめて時宜にかなった措置であり、一日も早い成立が望まれているのであります。
 以下、補正予算の内容について、賛成の理由を申し述べます。
 その第一は、景気刺激策の手段として国民生活に密着した公共投資の追加を選択した点であります。
 野党の諸君は、今回もまた一兆円減税を主張しておりますが、公共投資の方が減税より景気刺激効果が大きく、かつ、即効性と確実性にすぐれていることは、多くの識者が認めるところであります。
 また、わが国では立ちおくれている生活環境施設の充実が急がれておるのであり、公債依存度が実質三七・六%というきわめて異常な財政事情のもとにおいて、財政健全化に責任を持つ政府が、国債の増発につながる所得税減税を避け、公共投資の追加を選択したことは賢明な政治判断であり、当然であると申さなければなりません。
 しかも、今回の公共投資の追加に当たっては、特に、いわゆる第三の道として文教、医療、社会福祉などの施設に重点を置いて資金配分が行われており、このことは国民生活の福祉向上を目指す今後の公共投資の方向を示すものとして評価するものであります。
 第二は、構造不況業種、中小企業等に対してきわめてきめ細かな配慮のもとに、不況対策、雇用対策が講じられている点であります。
 すなわち、構造不況業種に依存している地域に対する緊急融資制度の創設を初め、雇用安定事業の地域適用、雇用保険の特例などの措置を講じ、従来の対策を一段と拡充強化して住民の要請にこたえているほか、造船業の過剰設備対策、金属鉱業に対する緊急融資制度など、各種の措置が具体的に講じられているのであります。
 なお、これらの施策の実効を期するため、政府の機動的な政策運営を強く望むものであります。
 第三は、経済協力が拡充されている点であります。
 経済協力費二百十四億円の追加は、政府開発援助を三年間に倍増するという政府の方針に沿ったものであり、特に、無償資金協力を拡充して援助の質の向上を図っておりますことは、国際社会におけるわが国の責務を積極的に果たすものとして諸外国からも評価を受けるものと信ずるものであります。
 第四は、財政の健全化に努めている点であります。
 本補正予算におきましては、歳出の追加を賄うため、公共事業等予備費及び一般の予備費の減額等のほか、既定経費を二千二百九十二億円節減することとし、また、公債の追加発行を特別減税による所得税の減収の範囲内にとどめたことは、財政の健全化を図ろうとする政府の姿勢を示すものとして、まことに心強く感ずるものであります。
 今回の補正予算は、景気の回復を一層確実なものにし、雇用の安定を確保して、国民の生活安定を図るという、わが国が当面する最も重要な国民の課題に十分こたえ得るものとして賛意を表するものであります。
 最後に、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党三党共同提出の動議並びに日本共産党・革新共同提出の動議につきましては、わが党は、ただいま申し述べましたような理由により所得税減税に賛成いたしかねますので、両動議に反対いたします。
 以上をもって討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案になりました日本社会党、公明党・国民会議、民社党三党から成る昭和五十三年度補正予算三件につき撤回の上編成替えを求める動議に賛成し、政府提出に係る予算三案に反対し、加えて日本共産党・革新共同提案の同組み替え動議に反対する立場から討論を行います。
 まず第一は、ただいま公明党近江議員からきわめて適切な趣旨説明がありましたので、多くの討論を必要としないぐらいでありますが、あえて政府提出補正予算の問題点と私たち社会党の主張点を訴えるものであります。
 結論から言いますと、政府提出に係る今次補正予算は公共事業重点の補正予算でありまして、現下の経済不況を克服し、雇用を拡大して国民生活を安定さすことができないというのが、政府原案に賛成できない第一の問題点であります。
 二つ目は、すでに委員会においていろいろ批判してきたところでありますが、政府補正予算は、事業規模において二兆五千億もあるのだから七%成長率に見合う景気刺激は可能だというのでありますけれども、その中身の財源のほとんどは既定予算の振りかえでありまして、いわば右の肩の荷物を左にかけかえる程度のものであります。財源においてはその純増分は千四百五十億程度であり、これでは政府が目指す今年度成長率七%の達成さえ困難であるというのが、賛成できがたい第二の問題点であります。
 第三点は、特にこの予算内容の一つの目玉とも言うべき住宅政策一つとってみましても、そのほとんどが個人マンション、個人住宅でありまして、国内需要を喚起する公共住宅投資ではなく、加えて昨今の地価高騰の条件を考慮するならば、これまた政府の経済見通しはきわめて甘いものと言わなければなりません。そういう立場から、これまた賛成できがたいのであります。
 いま一つ、その反対の理由を挙げますならば、政府答弁でも明確になりましたように、これから下期に向けてさらに輸出は減退をし、輸入増大の傾向がこれからさらに顕著になるのであります。そういうことになれば、成長率はこれまたダウンすることは必至でありまして、政府の見通しは実現でき得ないであろうというのが問題点の第四点でございます。
 このように問題のある政府予算原案の欠陥を補正し、最終需要を拡大して雇用創出への道を大きく開くためには、減税政策以外に道はないと確信するものであります。
 したがいまして、減税政策のもたらす需要効果はひとり単年度だけでなくて、来年も再来年にも波及効果を大きく及ぼすものであり、減税を求むる主張はいまや国民大多数の声であります。それのみならず、OECDに代表される国際的な要請にもなっておる立場から、私たちはこの一兆円規模の減税を強く主張するものでございます。
 次に、かかる私どもの主張に対して、政府はかたくななまでに、財源がないということを理由として私どもの主張を拒否しているのでありますが、政府は公共事業であればどこからでも財源をひねり出すが、減税となると誠意をもって取り組まないばかりか、わが党が当初予算においても補正予算においても強く主張し続けております不公平税制の主張に対しては耳を傾けないことに対しても、厳しくこれに抗議をし、重大な警告を発しておきたいと思います。
 最後になりますが、先ほどの奇襲問題に対する中川農林大臣の見解に対してであります。
 中川農相は奇襲に対する見解として、栗栖発言を擁護するかのごとき、あるいは憲法改正を示唆するかのごとき、いわば内閣不統一の発言を行いました。このことに対しては、私どもは絶対承服することのできない発言でありまして、まことに遺憾であるということを言明いたしておきたいと思います。
 以上の立場から、政府は速やかにかたくなな減税拒否の態度を変更し、私どもの主張に賛成をして、多くの国民の要請にこたえるためにもこの組み替え動議に賛成されんことを強く求め、三党提案の組み替え動議に賛意を表する次第であります。
 最後に、日本共産党・革新共同提案の組み替え動議については、年度途中における補正予算編成の性格上から相入れないものがありますので、賛成できがたいことを申し上げまして、私の討論を終わります。
 以上であります。(拍手)
○中野委員長 次に、広沢直樹君。
○広沢委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十三年度補正予算三案に関し、政府三案に反対、日本社会党、公明党・国民会議、民社党三党共同提案の昭和五十三年度補正予算三案の編成替えを求めるの動議に賛成の討論を行います。
 政府は、今回の補正予算を中心とした総合経済対策によって実質七%程度の経済成長の達成を確約しているのであります。しかし、わが国内外の経済状況から見て、実際はそれほど楽観的な見通しに立つことができるでしょうか。
 本年度当初予算の際にも同じ公約をした政府が追加措置をとらなければ五・七%へ落ち込んでしまうという厳しい見通しを余儀なくされた事実は、政府の楽観的な見方を否定していることをあらわしているのであります。
 わが国経済を着実な景気回復軌道に乗せるにはきわめて多くの困難がつきまとっていると言わなければなりません。もしも適切な景気対策が講ぜられないとすれば、さらに雇用情勢は悪化し、中小企業の経営危機は深まり、国民生活の不安は一層高まることは必至であります。また、巨額な経常黒字を抱える中で、景気回復による輸入の拡大も期待できず、国際的な批判をさらに浴びることも避けられないのであります。これは、同時に、再び円高の危険を呼ぶことにつながるのであります。
 こうした状況下にあって政府は、あらゆる政策手段を駆使し、現実の厳しい状況の打開に取り組まなければならないことは言うまでもありません。
 ところが今回政府が提案した補正予算は、きわめて楽観的な見通しの上に立って公共投資一辺倒の景気対策を繰り返し、野党が一致して要求した一兆円の所得税減税は一顧すら与えていないのであります。
 私どもは、公共投資の景気刺激効果を否定するものではありません。したがって、公共投資をやめて所得税減税を実施すべきであると主張していのではないのであります。
 いまこそ、わが国経済が安定成長へ移行する重大な過渡期であるとの認識のもとに、当面の厳しい経済情勢を克服するとともに、わが国経済を安定成長軌道に乗せるために、所得税減税と生活、福祉関連公共投資の組み合わせによる景気対策の実施こそが緊要なのであります。
 私どもは、補正予算の早期成立を願いつつ、補正予算編成前はもちろん、予算委員会におきましても、こうした観点に立って減税を強く要求してまいりました。ところが、政府・自民党はわれわれの真剣な要求に耳をかさず、若干の小手先対策によってこれを封じ込めようとしているのであります。私は、政府・自民党の独善的かつ国民無視の態度を厳しく糾弾するものであります。
 以下、補正予算三案に反対する主な理由を申し上げます。
 反対する第一の理由は、所得税の一兆円減税が見送られてしまったことであります。
 私どもがあくまでも一兆円所得税減税を要求するのは、減税が実現されなければ七%成長も景気の回復も期待できないからであります。政府は七%成長のためには、輸出減少による海外経常余剰分の落ち込みについて公共投資を中心に民間住宅、設備投資で内需を拡大して埋め合わせようとしておりますが、五十二年度の例から見て民間住宅、設備投資は伸びる期待はなく、したがって公共投資にすべての比重がかかってくるのであります。
 しかしながら、公共投資には工事執行に時間がかかり、消化困難の条件が多く所期の成果が危ぶまれており、輸出減少分の補てんが困難であることが懸念されているのが現状であります。そうした中で、もしも個人消費が減少するとすれば七%達成はとうていおぼつかないことは明らかであります。
 政府の楽観的な見方とはうらはらに個人消費の減少は避けがたいと言わざるを得ません。すなわち、これまで個人消費を支えてきた猛暑にかわる要因や冬の賞与が大きく伸びない限り、政府の個人消費見通しの実質五%強の伸びすら確保できないと見ざるを得ないからであります。したがって、個人消費を喚起する一兆円減税がなければ景気回復は不可能と断ぜざるを得ないのであります。
 わが国は、OECDの対日審査によって減税実施の提案を受けていることは御存じのとおりであります。私はOECDから提案を受けたことをもって所得税減税を訴えているのではありません。景気停滞下にあって、依然として巨額な経常黒字を抱えているわが国に対して、福田総理が公約した七%成長の達成を期待する世界の目がそこにあることを政府は認識すべきであります。減税は実施しない、七%は達成できないとすれば、世界のわが国に対する批判の高まりを予想せざるを得ません。
 補正予算案に反対する第二の理由は、第一の理由とも関連いたしますが、政府の景気対策が公共事業一辺倒であることであります。
 今回の補正予算の追加のうち、大部分が一般公共事業であります。これまで公共事業中心の景気対策が十分な効果を上げ得なかった事実は政府も認めなければならないはずであります。
 公共事業の執行は、用地の確保難や技術者あるいは技能労働者の不足、さらには地方財政に対する超過負担などがつきまとい、徐々にむずかしさを増しております。また、当初予算による公共事業の拡大は、すでに業種間、地域間格差を拡大しておりますが、それが一層増大することも懸念されるのであります。
 一方、福田総理が第三の道と称して宣伝する文教、社会福祉施設整備にしましても、その施設整備はかねてから私どもの主張するところであり当然としても、長期的な整備計画も持たず、補助率の引き上げも行わず、地方負担分の超過負担も改善されず、さらにそこで働く人の補充措置もとらないとあっては、思いつきとしか言わざるを得ません。文教、福祉施設整備は、これまでおくれてきた原因を究明し、その実施にかかわる制度や仕組みの改善をも伴うものでなければなりません。
 前に述べましたように、私どもは公共投資を否定しているのではありません。公共投資に余りにも偏重した景気対策では、政府が見込むような景気を浮揚させることはできない、したがって一兆円の所得税減税と生活、福祉関連公共投資の組み合わせによる景気対策を要求しているのであります。
 反対する第三の理由は、雇用対策、構造不況、中小企業対策が不十分である上、福祉対策に配慮がなされていないことであります。
 私どもは、政府が示した雇用保険失業給付金の給付日数の延長あるいは中小企業融資の金利の引き下げ措置については一定の評価をするものの、当面の厳しい状況にあっては余りにも不十分な対策と言わざるを得ないのであります。政府にきめ細かな雇用対策、中小企業対策を講ずるとともに、生活苦に悩んでいる社会保障給付受給者に対する温かい施策の実施を要求するものであります。
 以上、反対する主な理由を申し述べましたが、一兆円減税が実施されるならば、景気回復に大きく寄与するのみならず、低所得者の生活を守ることは言うまでもありません。最近国税庁の発表した五十二年度分の民間給与の実態によると、一人当たりの平均給与の伸び率は七・三%にとどまり、物価上昇率さえも下回っております。低率の賃上げに加え、公共料金の値上げを見ただけでも五十三年度においてはさらに厳しい状況が予想されるからであります。
 以上、政府三案に反対する理由を要約して述べました。
 最後に、日本共産党・革新共同提案の組み替え動議につきましては、考えを異にしておりますので、反対を表明し、討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、大内啓伍君。
○大内委員 私は、民社党を代表し、ただいま提案されました昭和五十三年度一般会計補正予算、同特別会計補正予算並びに同政府関係機関補正予算の三案について、一括して反対、日本社会党、公明党・国民会議、民社党三党共同提案の昭和五十三年度補正予算三案の編成替えを求めるの動議に賛成の討論を行います。
 わが党が、政府補正予算案に反対する最大の理由は、広く国民を初め、中小企業者や勤労者が期待していた一兆円の所得税減税の要求を全く一顧だにせず、政府がこれを拒否したことであります。私は、福田総理の余りにも硬直的、官僚的な姿勢を強く糾弾せざるを得ません。
 われわれが所得税の一兆円減税を主張する根拠は、本会議の代表質問や本委員会での質問でも明らかにしたように、政府の補正予算案によっては、今年度の七%成長は不可能だと考えるからにほかなりません。現在、この程度の補正予算によって、今年度の七%の成長が達成できると考えているものは、政府以外には全くないと言っても過言ではありません。にもかかわらず、政府が昨年、一昨年の轍を反省することなく、ただ一人楽観的見通しの上に立って、政府補正予算だけで足れりとする態度は、独善以外の何物でもないと言わなければなりません。政府は、予算委員会での審議を見ていますと、万一七%成長の達成が危ぶまれる事態になれば、昨年同様またまた第二次補正を編成するかのごとき態度も見せていますが、これこそ、場当たり主義、事なかれ主義でなくて一体何でありましょうか。
 申すまでもなく、政治は国民の不安を事前に解消することにあり、万一のおそれがある場合に備えて、万全の対策を確立することがその使命であります。ところが政府の姿勢は、目先の対応だけに終始し、将来に向かって確固たる対策を確立することを全く怠っております。
 現在の長期かつ深刻な不況の影響は、まず第一に働く人々の雇用と生活を脅かし、民間企業の人員整理は進行し、低賃金と首切りの不安にさらされております。今後とも失業者は増大しこそすれ、減少する見込みはありません。この不況の第二の被害者は、中小零細事業者であります。特に特定不況地域、輸出産業の窮状は、ますます深刻になっていることはいまさら申すまでもありません。中小企業者の現在の最大の願いは、仕事を確保することでありますが、そのためにも今年度は七%の成長は絶対に達成しなければならないのであります。
 その意味で、一兆円減税の実現は七%成長達成の最大のかぎだと確信いたします。所得税減税をかたくなに拒否する福田総理の頭の中には、大蔵省的財政健全化の発想が中心になっていることは明瞭でありますが、これまで数年の経済運営を顧みれば、財政健全化を主張し、消極的財政政策をとればとるほど景気の回復はおくれ、今日の約四十三兆円に上る公債の累積が示すように、それがひいては財政健全化そのものを破壊してきていることを深く反省すべきであります。このことは今回の補正予算案についても当てはまり、財政健全化はますますおくれることは必至と言わなければなりません。
 わが党は、一兆円減税を無責任な、その場しのぎの人気取り政策で主張しているのでは断じてありません。先般私どもが発表した中期経済計画において、具体的な財政五カ年計画を国民に提示し、昭和五十三年、五十四年はともかく財政による景気回復に全力投球を行い、その後、昭和五十五年度以後、日本経済が新しい持続的な発展段階を迎えた時点において、財政再建の体制づくりを行うべきであると主張しているところであります。政府にこのような中期的展望もなく、景気回復よりも財政健全化が重要であるかのごとき態度は、まさに本末転倒と言わなければなりません。
 今回政府が新自由クラブと合意された諸対策については、われわれも対策そのものの意義を全く否定するものではありません。しかし、われわれの目的はあくまで所得税の一兆円減税の実現であり、それによる雇用の拡大、中小企業の経営安定、円高の是正であります。一兆円減税要求をダシにして、小手先の諸対策をかち取るという性格のものでは断じてないのであります。このような観点から見ましても、今回の政府提案には改めて強く反対するものであることを明らかにいたします。
 次に、補正予算案の内容についても、全く不十分であります。わが党は当初予算においても、年金、住宅など福祉関連施策の計画的な充実と、きめ細かい中小企業、労働対策を講ずべきことを主張し、今回も政府に対し補正予算で措置すべきことを要求したのでありますが、政府はいずれもわれわれの要求を軽視し、公共投資偏重の予算を組んだのであります。所得税減税も拒否し、年金、住宅など福祉関連施策も軽視する福田内閣の姿勢は、生活の向上を願う国民の期待を真正面から裏切るものと言わなければなりません。
 この際、最後に私は、政府に対し、今年度七%の成長が不可能になった時点において、厳しく政府の責任を追及する方針があることを強調しておきたいと存じます。
 なお、日本共産党・革新共同の提案に係る編成替えを求めるの動議については、その考え方に大きな差異があり、反対であることをあわせて表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、寺前雄君。
○寺前委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、わが党提出の組み替え動議に賛成し、政府原案に反対する討論を一括して行います。
 総理は、この国会で、わが国経済は各方面にわたり、次第に明るさが広がりつつあります。来春には経済は長いトンネルの時代を終わり出口が見えるだろうなどと述べられました。同じたぐいの美辞麗句や空約束を、国民はこれまで何度聞かされてきたことでしょう。昨年当初には、春までには明るさが見えると聞かされ、春になれば夏に延ばされ、秋風が吹くころには夜明けまであと一息と、さらに引き延ばされてきたのであります。このようなその場限りの無責任さでは、国民が政府の経済政策を全く信用できないというのも当然であります。
 一部の大企業は、巨額の公共投資、労働者と下請の犠牲による高水準の輸出、十五カ月間に二兆八千億円もの円高差益のひとり占めなどによって大きく潤っております。
 一方、国民は、三十六カ月連続の月一千件以上の倒産、二十一カ月連続の百万人を超える完全失業者など、引き続き生活苦、経営難にあえいでおります。しかも大企業の減量経営がもたらす地域経済の崩壊、国民の生活苦につけ込んだ悪質サラ金の横行による家庭破壊など、新たに深刻な事態が広がりつつあることも見落とすことができません。
 総理の言葉とうらはらに、国民と日本経済は出口のないトンネルの中で立ち往生をさせられている、これが現実の姿であります。
 したがって、出口に至るためには新しくトンネルを掘り直さなければなりません。すなわち、大企業本位の従来型の景気対策を積み重ねるのではなく、経済政策と国の財政運営を思い切って国民優先の方向に切りかえることであります。
 ところが、本補正予算と総合経済政策は、ボン首脳会議での七%成長の公約を至上課題とする大企業本位の従来型景気対策の繰り返しにすぎないのであります。
 すなわち、第一に、国民の強い要求である一兆円減税や社会保障の緊急政策に全くこたえようとしないことであります。総理は口を開けば、減税より公共投資と言うが、その公共投資の中身は国民の生活向上に結びつく住宅、学校、社会福祉施設、病院、下水道、公園などの生活関連投資は一般会計の公共投資追加額のわずか三分の一にすぎず、引き続き産業基盤投資重点の内容となっており、これでは不況にあえぐ中小企業に仕事を回し国民本位の景気を回復することにはなりません。
 いま必要なことは、国民の購買力を高め、低迷している消費支出を向上させて、下から景気を回復することであります。そのだめの確実な道は地方税を含めた所得税の減税を行うことであります。
 第二に、深刻な雇用危機を打開するために、労働時間の短縮、解雇規制などの労働条件の改善に手をつけず、大企業の下請いじめや一方的合理化、すなわち減量経営を放置していることであります。このような抜本策をなおざりにして、不況地域での当面の糊塗策を取りつくろっても、それは根本的な解決にはなりません。中高年齢者を対象にした二十万人規模の特別就労事業の実施、下請保護の強化、中小企業の販路拡大への手厚い助成などの雇用、中小企業対策が緊急に必要なのであります。
 第三は、財源対策であります。赤字国債を増発せずとも、一兆円減税や社会保障の緊急策を行うことは十分可能であります。
 その第一は、軍事費など不要不急の経費を徹底的に削減すること、第二は、不公正税制に抜本的にメスを入れることであります。わが党の試算によれば、大企業の退職給与引当金の繰入限度額の現行の二分の一への引き下げ、会社臨時特別税の復活などの大企業、大資産家への特権的減免税の是正だけでも、年度内に八千億円の財源をつくることが可能であります。また、防衛関係費の圧縮や大企業向け補助金の削減など不要不急経費の削減で七千億円程度を生み出すことができ、当面の減税や社会保障改善を行う財源は十分にあるのであります。しかるに、政府は、大資本本位の高度成長の破綻が明白になったいまも、税制、財政、金融など総動員して大企業の援助策を継続し、そのために生ずる財政不足を、かつては総理みずから社会経済の崩壊につながると述べていた限度のない国債発行によって穴埋めをするという、国債亡国の道を歩み、そのツケを国民に押しつけようとしているのであります。
 すなわち、本補正予算でも新たに三千億円の長期国債を増発し、しかもその上、最悪の大衆課税である一般消費税について大きな魅力を感ずると述べ、近い将来の大増税をたくらんでいるのであります。
 いまこそ政府は、今日の財政危機を起こした責任を明らかにし、反省すべきであります。最後に、本予算委員会において、わが党などの追及で、日米共同作戦体制のもとでの有事立法研究の危険性が明らかになりました。特に中川大臣の奇襲、栗栖、憲法などに対する発言は、きわめて重大なものがあります。このような軍事ファシズムへ日本の政治、経済を歩ませようとする政府の策動に反対するとともに、いまこそ国民本位の政治、経済を行うべきであることを明らかにし、わが党動議に賛成、政府原案に反対する討論を終わります。
 なお、社会党、公明党、民社党提案の動議については、財源を国債に求めることは反対ですが、一兆円減税実現のために、採決される場合には賛成する態度をとることをすでに当委員会理事会において表明してきたところであることは、委員各位の御存じのとおりであることですが、つけ加えさせていただきます。(拍手)
○中野委員長 次に、小林正巳君。
○小林(正)委員 私は、新自由クラブを代表して、昭和五十三年度補正予算三件に対して、賛成の立場から討論を行うものであります。
 われわれは、当面する景気の動向は、政府の楽観的予測にかかわらず、企業の倒産件数等の指標に見られるように、景況に依然明るさが見られず、特に雇用状況はきわめて不安定であると認識するものであります。
 今回の補正予算は、事業規模二兆五千億と言いながら、一般会計の実質規模は千四百五十億円にすぎず、いま一歩の対応が必要であったと考えます。
 私どもは、補正予算の編成に先立って、政府に対し、構造不況対策など十項目の申し入れをいたしました。その一部は入れられたというものの、決して十分ではありません。
 私どもは、一方で補正予算の早期成立を望ましいと考えつつ、他方、政府に対して実質的な予算の修正を求めました。この結果、わが党と自由民主党との間の合意に基づいて、特定不況地域対策、雇用対策の拡充並びに教育費の負担軽減のための追加措置などがとられますことに、この際評価を示すものであります。今回の合意六項目については、来年度予算案において本格的な取り組みをすべきものが少なくありませんので、政府はその点に十分配慮しつつ来年度予算編成に臨まれるよう要望いたしておきます。
 なお、日本社会党、公明党・国民会議、民社党三党及び日本共産党・革新共同からそれぞれ提出されました予算組み替え動議二件につきましては、私どもは残念ながら見解を異にいたしますことを申し添え、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○中野委員長 これより採決に入ります。
 まず、寺前巖君外一名提出の昭和五十三年度補正予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立少数。よって、寺前巖君外一名提出の動議は否決されました。
 次に、武藤山治君外二十名提出の昭和五十三年度補正予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立少数。よって、武藤山治君外二十名提出の動議は否決されました。
 これより、昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十三年度特別会計補正予算(特第1号)及び昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して採決いたします。
 右三件に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって、昭和五十三年度補正予算三件は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました補正予算三件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○中野委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る九月三十日に補正予算の審議を開始して以来、終始真剣な論議を重ね、本日ここに審議を終了いたしましたことは、ひとえに委員各位の御理解と御協力のたまものでありまして、委員長といたしまして衷心より感謝の意を表する次第であります。
 ここに、連日の審査に精励された委員各位の御労苦に対し深く敬意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)
 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時五十七分散会
     ――――◇―――――