第085回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第4号
昭和五十三年十月十九日(木曜日)
    午前十一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 久保  等君
   理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君
   理事 登坂重次郎君 理事 島本 虎三君
   理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君
      北川 石松君    高村 坂彦君
      戸沢 政方君    西田  司君
      羽生田 進君    萩原 幸雄君
      橋本龍太郎君    福島 譲二君
      藤本 孝雄君    馬場  昇君
      坂口  力君    瀬野栄次郎君
      東中 光雄君    工藤  晃君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 山田 久就君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       正田 泰央君
        環境庁企画調整
        局長      上村  一君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 本田  正君
 委員外の出席者
        議     員 池田 行彦君
        議     員 福島 譲二君
        特別委員会第一
        調査室長    綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十九日
 辞任         補欠選任
  藤本 孝雄君     北川 石松君
  竹内 勝彦君     瀬野栄次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  北川 石松君     藤本 孝雄君
  瀬野栄次郎君     竹内 勝彦君
    ―――――――――――――
十月十六日
 二酸化窒素の新環境基準撤回等に関する請願(
 島本虎三君紹介)(第二四六九号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第二四七〇号)
 同外一件(久保等君紹介)(第二四七一号)
 同外一件(工藤晃君(新自)紹介)(第二四七
 二号)
 同(竹内勝彦君紹介)(第二四七三号)
 同外三件(土井たか子君紹件)(第二四七四
 号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第二四七五号)
 同外一件(水田稔君紹介)(第二四七六号)
 同(荒木宏君紹介)(第二八一〇号)
 同(小林政子君紹介)(第二八一一号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第二八一二号)
 同(東中光雄君紹介)(第二八一三号)
 同(不破哲三君紹介)(第二八一四号)
 同(正森成二君紹介)(第二八一五号)
 同(松本善明君紹介)(第二八一六号)
 同(三谷秀治君紹介)(第二八一七号)
同月十七日
 二酸化窒素の新環境基準撤回等に関する請願(
 田邊誠君紹介)(第三一六〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案
 (坂田道太君外九名提出、衆法第二号)
 公害対策並びに環境保全に関する件(水俣病問
 題)
 水俣病問題総合調査に関する件
     ――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 この際、水俣病の認定に関する環境事務次官通知については、去る十二日及び十三日の両日にわたり調査を進めてまいったのでありますが、本通知に関し、その趣旨及び内容につきまして、政府より明確な見解を求めます。山田環境庁長官。
○山田国務大臣 昭和五十三年七月三日付環境庁事務次官より発した通知について、当委員会の各委員の質問について、次のとおり環境庁の見解を明らかにします。
 一、当通知は、水俣病認定についての不作為の違法状態は国にも責任があることを痛感し、昭和四十六年次官通知の原点に立って、認定促進に資するため通知を出したものであります。
 二、当通知は、昭和四十七年三月十日当委員会で、当時の大石環境庁長官が答弁した「一人でも公害病患者が見落とされることのないように、全部が正しく救われるようにいたしたい」との精神にのっとっており、昭和四十六年八月七日次官通知、昭和四十六年九月二十九日公害保健課長通知、昭和五十二年七月一日の「後天性水俣病の判断条件について」の環境保健部長通知を変更するものでなく、水俣病の範囲については、当通知に、上記三通知は完全に含まれているものであります。
 三、当通知に、水俣病について「蓋然性が高い」とあるのは、昭和四十七年三月十日、当委員会で大石長官が答弁した「まず五〇%、六〇%、七〇%も大体こうであろうけれども、まだいわゆる定型的な症状が出ておらぬとかなんとかいうような、そういうものが疑わしいという医学用語になるわけでございます。」とありますが、これは同じ内容のものであります。
 四、当通知の「処分にあたって留意すべき事項」の中で「新たな資料を得る見込みがない場合」は「所要の処分を行う」とあるのは、主治医のカルテ等、昭和五十三年十月十二日、当委員会において馬場議員が例示された資料等も検討し、さらに、生活史、疫学面も重視して万全の検討をし、法の精神にのっとり処分を行うのは当然であります。
 さらに、棄却の処分理由を説明し、患者、家族の不安を解消するように十分努めるべきことは当然であります。
 五、昭和五十三年六月二十日の閣議了解事項の第一の認定業務の促進の一項、二項は、チッソへの金融支援措置の前提とはなっておりません。
 六、水俣病認定については、審査会及び知事等の意見を聞いて、今後ともさらに改善に努力していきたいと思います。
 なお、十月十二日の本委員会における馬場委員の質疑の際に、今回の事務次官通知に関する報道について私が言及いたしました点について、一言補足いたします。
 私の発言の趣旨は、事務次官通知の趣旨が理解されるよう各方面に全力を尽くすべきであったという反省に立つものでありまして、それを全うできなかったことは遺憾であるというのが真意であります。
 以上。
     ――――◇―――――
○久保委員長 次に、坂田道太君外九名提出の水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
○馬場(昇)委員 時間が非常にございませんので、イエス、ノーという程度で、簡潔にお答えいただきたいと思います。
 まず、この法律は、認定促進の不作為違法の状態が国にも責任があることを確認した上での提案であるかどうか、お答えいただきたい。
○福島議員 馬場委員御承知のように、不作為違法の状態についての混乱というものは、現在の水俣病患者にとっての大変大きな不幸の原因になっていることは御承知のとおりであります。それにつきまして国、県は早急に解決するために、その一助となるためにこの法案を提出した次第でありまして、その混乱の責任が国にあるということは、私ども、この委員会においてしばしば環境庁長官もその一端の責任があるということについて御発言になっておると承知いたしております。
○馬場(昇)委員 抽象的なお答えですけれども、不作為違法状態が国にも責任があると環境庁長官は先ほども言われたわけですが、その前提に立って自民党も出しておられるのかどうかということですから、イエスかノーかで結構です。
○福島議員 そのとおりでございます。
○馬場(昇)委員 次に、この法律は申請患者切り捨てにならないか、こういう心配があるわけですけれども、絶対にそのようなことがあってはならないと私は思うのですが、提案者いかがでございますか。
○福島議員 水俣病患者が一人残らず公正に救済されなければならないということにつきましては、私どもも全く同意見でありまして、この法案が切り捨てにつながるものでもありませんし、また、つながるような運営が決してあってはならないと確信するものであります。
○馬場(昇)委員 次に、この臨時審査会は四十六年次官通知の原点に立って審査を行うものである、そうあるべきだと思うのですが、いかがですか。
○福島議員 先ほど次官通達についての環境庁長官の総括的な締めくくりの御答弁がありましたと同様に、まさにその精神に従って運用さるべきだと思います。
○馬場(昇)委員 次に、認定業務の原則は、地元の諸施策を拡充強化で行うことが原則であると思いますが、あとの答弁は要りませんけれども、この原則であることをお認めになりますか。
○福島議員 従来も熊本県が主体となって認定促進の業務を行うという体制があったことは、これはまさにそのとおりでありまして、そういう意味合いにおきまして地元の体制を拡充することにつきましては、今後とも努力をいたさなければならないと思う次第であります。
○馬場(昇)委員 私が質問しておりますのは、認定業務というものは、地元熊本あるいは鹿児島、新潟、あるわけですけれども、そういうところで行うのが原則であると思っておられるかということです。
○福島議員 お話しのような意味で原則であると思っております。そういう意味で今回の措置法は臨時特例のものと考えております。
○馬場(昇)委員 次に、時間がございませんので答弁も簡単に願いたいと思うのですけれども、臨時審査会委員の任命及び審査会の運営について申請患者と信頼感の成立、これが前提であると思うのです。それについての御見解をお尋ねしたい。
○福島議員 あくまでも患者さん方の信頼を失うようなことがあってはならない。そういう意味合いにおける任命なり運営なりが行われることは、私どもも環境庁に期待いたしたいと思います。
○馬場(昇)委員 期待するのじゃなしに、提案者はどう考えておられるのかということです。
○福島議員 そのとおり考えております。
○馬場(昇)委員 それでは、臨時審査会委員の任命やあるいは運営について、申請患者及び被害者全体から信頼されるように具体的にどのようなことを考えておられるのか、あれば簡単にお答えいただきたい。
○福島議員 私ども、その精神においては馬場委員お話しのとおり考えておりますが、具体的な任命、運営の問題につきましては、これは環境庁の問題であります。もし必要があれば、環境庁からお答えをお求めいただきたいと思います。
○馬場(昇)委員 環境庁から簡単にお答えいただきたい。
○本田政府委員 委員の任命に当たりましては、円滑な審査が行われるという立場から任命々進めていきたいと存じております。
○馬場(昇)委員 私の質問には答弁になっていない。委員の任命とか審査会の運営とかと、こういうものについて患者と信頼関係が行われるように具体的にどうするのかということを質問しておるのです。
○本田政府委員 具体的にはお答えできませんけれども、とにかく精神においては円滑に、いま馬場委員御発言の趣旨を体して任命なり運用をいたしていきたいと存じております。
○馬場(昇)委員 念を押しますけれども、信頼が結ばれるような具体的方策をいまは言えないけれども、それをとるということですね。
○本田政府委員 そのような精神で臨みたいと存じております。
○馬場(昇)委員 臨時審査会の委員は、水俣病について豊富な経験と高度な学識を持っている人で構成しなければならないことは当然でございますが、これはこの法律には書いてありません。そういうことで考えておられるのかどうか。
 それともう一つは、速やかに構成ができる見通しが立っておるのかどうか、この二点についてお答えいただきたい。
○福島議員 豊富な経験、高度の学識を持つべきことは、これは新法の精神からいきましても当然のことであり、この臨時措置法におかれてもそのような精神で選定されるものと確信をいたしております。
○馬場(昇)委員 これは環境庁に聞かなければいけないと思うのですが、速やかにそのような人で構成される見通しを持っておられるのかどうか。
○本田政府委員 できるだけ早い時期にそういった方々の御協力を得べく余力を挙げたいと存じております。
○馬場(昇)委員 見通しはあるのかどうかということです。
○本田政府委員 見通しございます。
○馬場(昇)委員 本法によりますと、審査の再審査申し立てというものにつきましては、上級庁がないという状況になっております。これは従来のシステムに比べて申請者の権利が侵害されておると私は思います。
 そこで、端的に聞きたいのですけれども、実質的に現行の制度と変わりのないというような方法をとるべきであろう、こう私は思うのですが、それについての御見解をいただきたい。
○福島議員 私ども、この法案を用意いたしましたときには、行政不服についての従来の基本的な原則に従って、上級審があるときには審査請求、上級審がないときには処分庁に対する異議申し立ての制度と、従来の考え方に従ってこの立方措置を講じた次第であります。そういう意味合いにおきまして、しかも私は、その前段階といたしまして、この臨時措置法によるか、旧法によるかという選択の道は患者さん方の選択にゆだねられておるという意味合いにおきまして、決して患者さんの方のいまお話しのような意味における権利を侵害するというようには考えておりませんけれども、この方法につきまして、いま馬場委員が御指摘のような、感じの上での差異、そういうことが現実にあることも事実でございますので、その辺につきまして適切な案がありましたら、本法案につきましても修正するのにやぶさかでないと考えておる次第でございます。
○馬場(昇)委員 私の言ったのと大分見当違いの答弁があったのですけれども、上級庁がないということは、厳然と従来と変わっておるわけです。患者側から見ますと。だからそこが差が出ておるということは権利侵害に当たるのだ、こう言っておるわけですが、いま後段で福島委員が申されましたように、私どもは実質的に従来と変わらないような、上級庁がなくなったけれども変わらないような修正を出すという考え方を持っておるわけでございますが、そういうことは検討しておるのだというようなことで理解しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○福島議員 結構でございます。
○馬場(昇)委員 それでは次に、臨時審査会は形式的にも実質的にも県の審査会の上級機関的な審査会であってはならないと私は思いますが、これについて提案者の御見解を聞いておきたいと思うのです。
○福島議員 御意見のように、私どもも上級審とは考えておりません。県の設置される審議会とあくまでも並列的なものであると考えておる次第であります。
○馬場(昇)委員 この法律は、チッソ支援のための県債発行の前提ではないと私は思うのです。環境庁長官もそのことをはっきり答弁しておられるわけですけれども、県の事情等については知っておりますけれども、論理的にだけ、前提であるかないかということについてお答えいただきたいと思います。
○福島議員 この法案は、県債発行の問題の有無にかかわらず、私はそのこととして必要だと考えております。そういう意味合いにおきまして、県債の発行の前提でない、論理的にはないということについては、私も同感であります。
○馬場(昇)委員 次に、チッソ支援の県債発行の問題について、閣議了解事項があっておるわけでございますが、その閣議了解事項を決めます前に、関係閣僚懇談会だとかあるいはその他のところでいろいろ議論があったわけでございますが、その経緯の中で、県債を出すのだったら患者の審査をいまよりも非常に厳しくすべきじゃないかとか、あるいは伝えられるところによりますと、にせ患者がおる、こういうような意見があったとか、あるいはさらに、県債を発行するということであるならば、将来、いま患者とチッソが結んでおります補償協定によりますところの補償金、こういうものを切り下げなければいけないのじゃないか、こういうような発言が多く出ておったということが報道されております。そしてまた、個々に私どももそういう意見を聞いたことがあるわけでございますが、このようなことはあってはならないと私どもは考えておるわけでございまして、これについて提案者、自民党の特別立法でございますので、自民党はいま言ったようなことについてどう考えておられるのか、お尋ねしておきたいと思うのです。
○福島議員 私は、そのような報道が具体的にどういう形であったかは詳細には承知いたしておりません。私は、県議会とかあるいは水俣市議会とか、そういう公式の場における議論としていまのようなお話があったということは寡聞にして承知をいたしておりません。ただ、いろいろな意見をお持ちの方はたくさんおられるわけでありますので、そういう個々人の資格においていかなる場所においてどういう発言があったということまで、完全に承知しておるものではありません。ただ、私がいま言えますのは、県債を発行する、したがって認定を厳しくするというようなことがあってはならないということは私も全く同感でありまして、あくまでも認定という業務は水俣病にかかった方の公正なる救済ということを念頭に置いてなされるべきであるということは、私も全く異存がございません。
 補償協定の問題につきましては、これはチッソと患者さん方との協定の問題でありますので、いま私が意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○馬場(昇)委員 これは念を押して聞いておきたいわけですけれども、いま大体御答弁があったわけでございますが、この法律が出ると、さっき言ったように、県債を出す、国とか地方公共団体が結局補償金支払いのために借金をして、そしてチッソに貸す、チッソはそれを返還する、こういうことですから、だから厳しくしなければいかぬとか、だからこんな補償協定は高過ぎるとか、こういうような意見が出たということを聞いておるわけですが、いまいろいろありましたので大体わかったのですけれども、自民党としてはそういうことは考えていない、また、考えていなければするつもりもないわけでしょうから、自民党として考えておられるのか、おられていないのかということをはっきりお聞きしておきたいと思うのです。
○福島議員 県債を発行するという関連において認定業務を厳しく運営するというようなことについては、一切考えておりません。
○馬場(昇)委員 補償金が高過ぎるとか、あるいは公平を欠くとかというようなことで補償金を切り下げなければならない、これは患者とチッソの関係で補償協定があるわけですけれども、そういう問題については関係ないから答弁しないということでございますが、やはりこれは患者さんとチッソがいろいろな懇談の上で結んだわけでございますので、それでは、自民党としてはこれを尊重しなければならないという考え方を時っておられるかどうかということを聞きたい。
○福島議員 自民党としてということでの答弁でありますと、私も本問題について正式に党議に諮ったわけでもありませんので、どういうお答えをしていいかわかりかねますが、私個人としては、いまお話しのように、会社と患者さんとの間における従来の補償協定は十分に尊重されるべきであるし、また、それがために県債発行というような特殊、異例の措置が講ぜられたものだと理解をいたしております。
○馬場(昇)委員 関連をしたような質問ですけれども、いまチッソと労働者がいろいろな協定、協約を結んでおります。そのことが、たとえば県債発行だとかこういう特別立法をつくるとか、こういう中でいささかも侵害があってはならないというぐあいに私は考えるのですけれども、自民党としてはあるいは提案者としては、その点についてどうお考えになっておるかということを聞いておきたいと思う。
○福島議員 私ども地元の選出の国会議員として、チッソに従事される方々のお気持ちというのも十分に承知をいたしております。いまのようなチッソが非常に経営的に苦境の中にありながら、やはり患者さんの救済ということをあくまでも一つの大きな課題として会社が担っておる、その現状を十分に理解をしながらチッソの従業員の方々が営々として仕事に励んでおられる、大変敬意を払いたいと私は思います。
 そういう意味で、チッソとチッソの従業員の間の関係におきましては、従来緊密な信頼関係のもとに運営されておると思いますので、これは恐らく、両当事者間の問題でありますけれども、御懸念のないような形において今後とも運営されるであろうと私なりに推察するところであります。
○馬場(昇)委員 たくさん質問あるのですけれども、実は持ち時間が来ましたものですから、最後に、環境庁の長官おられますね、長官にこの法律についてお聞きしておきたいと思うのですが、この法律について、いまここで審議をしておるわけでございますけれども、環境庁長官もすでにお聞きかと思いますけれども、この委員会の理事会において何十時間となるかどうか知りません、計算しておりませんけれども、物すごい、数日間にわたりまして理事会で議論をいたし、討論もいたしたところでございますし、その点については長官もお聞きになっておるのではないかと思うのです。さらに、きょうわれわれは修正案を出したい、さらには附帯決議を出したい、こういう予定でおるわけでございますが、長官にお聞きしたいのは、私どもの理事会の中における議論そしてきょう出す修正案、通るかどうかわかりませんけれども、さらに附帯決議、これが通りました暁には当委員会の意思を忠実に守りそれを必ず実行するという決意でおられるかどうかということを長官に聞いておきたいと思う。
○山田国務大臣 水俣病問題はわれわれの最も大きな関心事でございます。この件について連日理事会において非常な御尽力、御心配、われわれはこの努力を非常に多としておるものでございます。皆様方のいろんな打ち合わせ、結果生まれ出たものがあらわれました暁には、十分その精神を体しましてひとつ趣旨に沿うよう尽力いたしてまいる所存でおります。
○馬場(昇)委員 精神を体しましてというのではなしに、具体的に、この委員会では具体的事実として幾らかのことがいまから行われるわけですし、結論が出るわけです。その具体的な出てきた事実については忠実に守るか守らないか、あなたは精神と言って逃げられましたけれども、この委員会の決議その他については忠実に守るかどうかということを聞いているのです。一言、抽象的精神じゃなしに、ここの委員会の決議には、忠実に守るかということについて念を押しておきたいと思います。
○山田国務大臣 いままたその決議もできておりませんから、したがいまして、そのできた暁について私の御意見をひとつ表明させていただきたいと思います。
○馬場(昇)委員 忠実に守るかどうかということを聞いているのです。
○山田国務大臣 むろん決議等ができ上がりましたら、その決議にのっとって十分努力する覚悟でございます。
○馬場(昇)委員 努力じゃなしに、守りますかと聞いているのです。守りますかと聞いているのです。
○山田国務大臣 決議にのっとって処置したいと考えております。
○馬場(昇)委員 もう質問の時間が来ましたので、最後に強く、提案者にも法の運営についていろいろ責任もあるわけですし、さらにこれを実行する環境庁長官におきましては、本当に一人でも患者の切り捨てにならないように、そして運営に当たっては患者と信頼関係を回復するように、そしてまた、もろもろの施策について、今後はさらに心を新たにして水俣病の施策に全力を挙げて本気で取り組んでいただきたいということを心から申し上げまして、私の質問を終わります。
○久保委員長 次に、瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案について、提案者並びに環境庁長官、政府当局に質問いたします。
 この臨時措置法案については、熊本県側としても一歩前進として、いろいろ意見があるわけでございますけれども、たとえば県債発行の問題等ございます。しかし、議員立法の成立を強く要請しておられるところでございます。そういったことで、私は、去る十月十三日、環境庁長官に対して一時間半にわたっていろいろと質疑をし、政府の見解をただしてまいったところでございますが、いよいよ本日は本法の採決を目前にして、最終的に若干の質問をいたしたい、かように思います。
 まず、提案者にお聞きする前に環境庁長官にお伺いいたしますけれども、今回の議員立法に対して、政府は、水俣病の発生及び認定のおくれにどのように責任を感じておられるか。議員立法を待つまでもなく、政府として提案をすべきではなかったかということを国民の前に一応明らかにしていただかなければならないし、今後のためにも私は、環境庁長官のこのおくれに対する責任を再度ひとつお伺いしておきたい、かように思います。
○山田国務大臣 環境庁の立場につきましては、冒頭私から申し上げたとおりであります。この違法状態については国にも責任があるということを痛感して、ひとつこのものに対しては全力で対応していきたい。たまたまいろいろ党等の御努力、これに対して、われわれとしてもこれに協力しながらひとつ万全の措置を講ずることに尽力したい、そういう決意と態度で臨んでおる次第でございます。
○瀬野委員 提案者にお伺いします。
 まず第一点は、この臨時措置法案は五年間の時限立法でありますけれども、五年間で十分かどうか、五年間で処理し切れない場合はさらに延長等を考えておられるのか、その点どうですか。
○福島議員 この特例、一応五年間といたしまして、しかも、旧法適用者ということに該当いたしまして特に問題の多い熊本における滞留者についてできるだけ早い機会に救済をし、不作為違法の状態をなくしていこうというのが趣旨でございます。そういう意味合いにおきまして、今日この段階で申し上げられることは、全力を挙げてこの制度に患者さん方も御理解をいただき、乗ってきていただいて、そしてこの五年の私の考える期間にこの問題が解消することを望みたいと思う次第であります。万一その五年終了直前にどういう状態になるか、その辺は改めてその状態を判断し、また、当委員会において皆様方に御議論をいただきたいと思っておる次第であります。
○瀬野委員 臨時措置法案の対象者を旧申請者に限定したわけでありますけれども、これも患者に対してわかりやすく、なぜ旧申請者に限定したのか、その理由を明らかにしていただきたい。
○福島議員 旧法による申請者というのは、大ざっぱに言って大体年代的にも古いということが考えられるわけであります。いわば不作為違法状態に置かれておる年限が非常に長い方々、その方々をまず救済をしていこう、旧法該当者を救済していけば自動的にその後に続くべき新法該当者についての間接的な意味での救済になるというふうに考えております。
 同時に、熊本県、新潟県、鹿児島県が該当する三県でありますけれども、新潟県、鹿児島県につきましては御承知のように旧法関係者はおおむわ救済されていると、いささか言い過ぎでありますが、そのテンポは大変早く処理をされております。そういう意味で、まず大変問題になっている熊本の患者さん方を優先的に救済していくということのためには精力を旧法該当者という形でしぼっていった方が問題が適確、迅速に処理されるということを考えまして旧法該当者に限ったわけでございます。
○瀬野委員 水俣病患者の申請は、御存じのように、毎月たくさんの方が現在申請をなさっております。将来は一万人を越すのではないかということまで言われております。
 そこで、重ねてお伺いしておきますけれども、新法に基づく認定審査は現在の検診、審査体制で行き詰まることは明らかであります。この辺が私たちも大変心配いたしておりますが、停滞、行き詰まりの現状を将来どのような計画でどのように打開するのか、五年間経過して現在以上に停滞した場合はどういうように考えて提案なさったのか、その点も明らかにしていただきたい。
○福島議員 先ほどの御質問に対して御答弁いたしましたように、今回旧法に限りましたのは、旧法に該当される方だけがこの法律の利益を受けるわけではありません。新法に該当する方々も自動的に早く救済を得る機会が与えられるという意味合いにおきまして今回の臨時措置法案は大きな役目を果たすものと思う次第であります。
 ただ、現状だけで将来にわたって十分かどうかにつきましては、私どももまだ完全に十分とは決して思っておりません。今後とも県の認定審査会あるいは検診に当たられるお医者さん方の充実強化のために、環境庁としても十分な施策をとっていただくことを私どもとしても期待いたしておる次第であります。
○瀬野委員 臨時審査会は、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように、全部が正しく救われるような精神にのっとって審査されなければならぬ、かように思うわけであります。臨時審査会委員の任命に当たっては、患者の信頼を得るよう十分配慮すべきでありますが、その点はどういうようにお考えですか。
○福島議員 この審査会委員の任命に当たりましても、新法において考えておりますように、豊富な経験と高度の学識を有する、そして当然に地元住民、患者さん方の信頼を得られるような適正な委員の任命が環境庁において行われるものと確信いたしております。
○瀬野委員 なお、臨時審査会は県、市の認定審査会と並列的なものでなければならない、かように思うわけであります。したがって、そのような考え方で本法提案をなさっておるか、その点も明らかにしておいていただきたいと思います。
○福島議員 そのとおり並列的なものと考えております。
○瀬野委員 環境庁長官が認定を棄却した場合、当然申請者は行政不服審査請求をすることになるわけであります。この点が数日来大変論議の的になって、昨晩も十二時まで検討が続けられたわけでありますが、棄却した本人がまた審査することになるわけでございまして、行政不服審査請求をする意味がなくなるということが論議の的となったわけです。これに対してはわれわれもいろいろ修正を考え、提案をする考えでいま検討してきたわけですが、この点について提案者としてはどういうふうに考えておられるか、これもひとつ明らかに見解を述べていただきたい。
○福島議員 従来の行政不服に対する国民の権利の救済については、上級庁があるときには上級庁に対して審査請求する、上級庁がないときには処分庁に対する異議申し立てというこの基本原則を、私どもいまにわかにこの臨時特例法で崩すわけにはまいらない、そういう意味でこの大原則は崩さない、したがって、今回は、県に第一次処分が参らずに環境庁長官に第一義的に参りますので、そういう意味で処分庁に対する異議申し立ての道はあくまでも残されている。そしてこの異議申し立てについては環境庁長官、いわば第一審を裁決した同じ環境庁長官がなされるわけでありますけれども、これは環境庁長行の処分についてあくまでも問題があるという反省を求める意味での異議申し立てでありますので、環境庁長官はその異議申し立ての裁決に当たっては、当然、行政不服審査法の二十七条の規定による適切な関係者の意見などを聞いて、同じ環境庁長官ではありますけれども、いわば別の立場、別の人格において適切な判断がなされるだろうと考えております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、この辺について大変大きな問題がこの数日間、理事会、理事懇談会において展開されておったことは御承知のとおりでありまして、その議論を踏まえた上で適切な修正が御提示あるのであれば、私どもとしても十分に検討し、また受け入れさせていただきたいと考えております。
○瀬野委員 この件については、数日間いろいろ論議をしたところでございますので、われわれも修正をすべくいろいろ検討いたしておりますので、後ほどいろいろ諮りたい、かように思っております。
 そこで、提案者に対する質問は一応終わりまして、環境庁長官並びに環境庁にさらにお伺いしておきます。
 まず、環境庁にお伺いしますけれども、臨時水俣病認定審査会のメンバーは「十人以内」とありますけれども、メンバーは何人になるのか、また、人選はほぼ内定しているのか、その点をひとつ明らかにしてください。
○本田政府委員 「十名以内」となっておりますので、その線でお願いしたいと存じております。人選についてはまだやっておりません。
○瀬野委員 環境庁は、先日来、この人選については、事務的にはという前置きはありましたけれども、十名くらいの人選はできるという確信ある答弁を聞いているのですけれども、その点、確認の意味でもっとはっきり具体的に見解を述べていただきたいと思う。
○本田政府委員 おっしゃっていただいたわけでございますけれども、申し上げましたように、人選についてはまだ全くやっておりません。この法案の通りました後にできるだけ急いで各先生方にお願いしたい、かように思っております。
○瀬野委員 その人選の自信があるわけですね。めどはちゃんと立っておりますね、どうですか。
○本田政府委員 できるだけ早急にお願いするということ以外、いまなかなか――事実そのとおりでございますので、とにかく十名の先生方に御理解いただいてこの審査会が成立するようにできるだけ早くいたしたい、そういう努力をいたしたいと存じております。
○瀬野委員 環境庁長官にお伺いしますが、国及び地方公共団体は、水俣病の検診業務に従事する常駐医の拡充強化等、認定業務促進をぜひ図れということで強い要請が出ておりますけれども、長官もお聞きのように、今回、臨時措置法が議員立法として出るわけでございますが、これに対しては十分対処すべく用意があるか、また、そういうふうに長官も十分考えておられると思うが、あなたの所見を伺っておきたい。
○山田国務大臣 人員の確保という問題は、これは非常に重要な問題であります。したがって、われわれもいままでに非常に努力もしてきております。今後においてもこの点については特に努力をしてやっていきたい、そういうつもりでおります。
○瀬野委員 いずれにしても、臨時措置法が成立しても、水俣病患者のいわゆる申請者がたくさん滞留しておるわけでございます。何といっても、水俣の検診センターの医師の拡充と水俣病に対する検診を進めなければ、これまた問題にならない、進まないと思うのです。この点について、一番基本的になる問題でございますので、こういった問題については徹底的にひとつ皆さん方も検討を進められて、ここまで問題になってきた本件でございますので、十分対処するように重ねて強い要請をいたしておきたい、かように思うわけでございます。
 さらにお伺いしますが、水俣病の認定業務について、各県、市認定審査会、当該地方公共団体の長、患者代表の意見というものを十分に聴取して、今後とも一層改善を図っていただきたいということは、これは従来も今後も変わりない問題でございますけれども、これらについて十分心にとどめ、また環境庁長官としては対処する、こういうふうに決意を持っておられると思うのだが、この点もこの機会に明らかにしていただきたいと思う。
○山田国務大臣 そのとおりでございます。
○瀬野委員 環境庁長官にお伺いします。
 昭和五十三年七月三日付環境庁の事務次官通知、すなわち「水俣病の認定に係る業務の促進について」のうち、4の「処分にあたって留意すべき事項」中(2)の「所要の処分を行うこと。」の対象となるものに対しては、法の救済精神を尊重し、単なる患者の切り捨てにならないよう今後とも配慮の手段を見出すべく十分対処していただきたい、かように考えるわけでございますが、この点についても長官の御見解を承っておきたい。
○山田国務大臣 御趣旨のとおりでございます。
○瀬野委員 環境庁が、四十六年次官通知と五十三年次官通知の内容について何ら異なるものでない、こういうふうに見解を述べておられたわけでありますが、この点についても私は確認をしておきたいという意味でいろいろお伺いしたいわけです。
 次官通知の内容、表現によって、実際審査するのは現場の審査員であり、審査会でございます。水俣病であるかどうか、微妙な問題であるだけに、表現上の微妙な変化も実際の認定に大きな影響をするものでございます。そういった意味で、まず有機水銀の影響について、これを全身病ととらえている学者もいますが、現在の段階でどの程度のことがわかっておるか、また、有機水銀の影響及び治療法について、どの機関がどのくらいの予算を使ってやっておるか、この点もひとつ明らかにお答えいただきたいと思う。
○本田政府委員 水俣病像と申しますか、水俣病の病像につきましては、去年の七月の一日付で環境保健部長通知をもちまして「後天性水俣病の判断条件について」というところの記の1で示しておりますように、「水俣病は、魚介類に蓄積された有機水銀を経口摂取することにより起る神経系疾患であって、次のような症候を呈する」ということであって、感覚障害、あるいは運動失調等が列記されております。現在、水俣病に関しますところのいろいろな研究者、学者、それから治療に当たる方々の意見を集約したものだと解しておりまして、現在における水俣病のいわば定義と言ってよろしかろうかと思っております。
 それから治療の機関でございますが、これは水俣病だけを治療するという機関はございませんけれども、それをもっぱら行っておりますのに、たとえば現地におきますところの市立病院、それから医師会の各医療機関、そういったところで行われているのが現状でございます。
 なお、治療法の開発につきましては、神経系の疾患でございますので、これもなかなかむずかしゅうはございますけれども、私は、やはりこれが最も大事な研究事項だろうと思います。そういったことにつきましても、十月一日発足いたしました水俣病研究センターを中心に、こういう治療方法の開発ということに努めさせていきたい、かように存じております。
○瀬野委員 去る十月十三日の私の質問に対して、ちょっと私、確認をする意味で若干お聞きするわけでございますが、もう一点は、認定申請者の症状のうち、他の原因ですべて説明される場合には水俣病に含まれないとされていますが、申請者が有機水銀の暴露歴が確かに認められる場合、たとえば高血圧、肝、腎の障害などがあった場合、それらの症状が有機水銀の影響でないと医学的に証明できるのかどうか。現段階ではできない、こういうように言われているやにわれわれは認識しておりますけれども、その点、もう一度さらに明らかにしていただきたいと思います。
○本田政府委員 先ほど申し上げました、去年の「後天性水俣病の判断条件について」というところで、水俣病の一般的に示し得るいろいろな症状、たとえば知覚障害、運動失調その他のいろいろな症状が列記されております。それから患者一人一人によって症状が違うと存じます。それの組み合わせと、それから有機水銀に暴露したその暴露歴、そういったものの組み合わせによって水俣病が判断されております。
○瀬野委員 そうすると、私は、医学的に証明できない場合は、有機水銀の影響でもあるわけですから、こうした場合も考慮して、それらも含めるようにすべきだ、かように思うのですが、私のこの理解はどうなんですか。去る十三日の質問についても、ちょっと私、十分理解できなかったのですけれども、この点、どういう理解でよろしいですか、さらにお答えください。
○本田政府委員 医学的に水俣病の示しますいろいろな症候、それの一つ一つを、たとえば手のしびれとか歩行障害とか、求心性の視野狭窄、その一つ一つをとってみますと、すべて非特異疾患と申しまして、ほかのいろいろな病気でも来得る症状です。したがって、水俣病というのは単独に来ることはございませんで、それらの症状の組み合わせでございます。しかし、それらの症状の組み合わせも、あるいは他の、たとえば脳腫瘍とか脳溢血とかその他の疾病によってくることもあるわけでございます。
 そこで、水俣病の認定に当たりましては、その申請の患者の有機水銀に対します暴露歴ということのかみ合わせにおいて判断していくべきだということであるわけでございます。そういったことを去年の「後天性水俣病の判断条件」に示されているわけでございます。
○瀬野委員 あえてお伺いしますが、そういった判断条件の見直しについては、どのような場合にどう対処するというような方針といいますか、そういったものはどうお考えでございますか。
○本田政府委員 昭和五十年に水俣病の検討会でございましたかが設置されまして、各県の審査会のメンバーを中心に寄りまして、水俣病の病像というものをできるだけ明らかにしようということから、二年間にわたる詰めが行われたわけでございます。その結果が判断条件でございますけれども、そういった努力は今後ともしていく必要があろうと思います。しかしながら、現状におきましては、少なくともこの「後天性水俣病の判断条件」にのっとるということにおいて、各医学者あるいは水俣病に関係のある先生方の合意を得ているものと解しております。
○瀬野委員 以上、臨時措置法に対する提案者の見解を求めると同時に、水俣病問題に対して環境庁長官並びに政府当局に、去る十月十三日の私の質問に対する補足的な問題等あわせてお伺いをいたしたわけでございます。
 いずれにしても、いよいよ本日、長い間地元では大変心配しておりました問題が一歩前進という形で臨時措置法が日の目を見るということになるわけでございますが、県側も県債等を含め大変な心配をし、対策を苦慮しているところでございます。数日来、精力的な検討が進められてきたわけですけれども、本法提案に対しては、われわれとしても修正案を検討し、後ほど修正を含めて採決をするという方向でいま進めております。なお、附帯決議等についても付することにいたしておりますが、いずれにしても、二十二年間にわたり、また国が認定してから十年閥、また今後ふえつつあるこの水俣病患者に対して、本法の成立だけで解決するものではありません。あくまでも、患者の信頼と、また医師行政に対する信頼がなくてはなりませんし、そしてまた、審査は一人も漏れなく、公正、迅速に水俣病患者の救済をしていただくということが肝要でございます。このためには、先ほど言いましたように、医師の確保といったものが大変根本的な問題でありますので、そういったことに十分対処されて、これを契機に、今後、水俣病患者の救済に全面的に、また全力的にひとつ政府は努力されることを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
○久保委員長 次に、車中光雄君。
○東中委員 最初に、環境庁長官にお伺いしますが、水俣病の認定業務の促進、これは、いま非常にやらなければいけない重大な問題になっておる。とりわけ一昨年の、行政の怠慢が不作為違法と裁判所が判断するぐらいまで、要するに違法状態に置いておるという状態にまでなっておるわけですから、切り捨てにならない認定業務の促進ということは、環境庁としては最大の課題だと思うのでありますが、それについて環境庁が、あるいは政府が法案を提案しないで、自民党の提案に任しておるというのはなぜですか。政府が提案しなかった理由をお聞きしたい。
○山田国務大臣 認定促進ということをわれわれ非常に大きな関心を持っておることは、累次御説明のとおりであります。一人でも認定を得べき者が認定を得るように、そのためにこの法案が考えられているわけでございますが、無論この趣旨そのものは政府として提案をすべき筋合いのものだと考えております。しかしながら、これを現下の事情において早く実現するという手段としては、党側の提出という形で処理されるのが諸般の状況上、より適確、迅速であるという趣旨にのっとって、その方法、行き方をわれわれとしても支持してまいっておる、こういう状態でございます。
○東中委員 裁判所から違法状態だと責任を指摘されて、そして、それを解決するための適切な立法措置が必要ならば、政府がやるのが当然じゃないですか。政府はそれでは責任を果たしておらぬことになるじゃないですか。しかも、それは一昨年なんですから。そういう点では、いま長官が言われたのは、政府として責任を果たそうという姿勢に立っていないということの表明でしかないというふうに私は思うわけであります。
 それで、この認定業務の促進については切り捨て促進になったらいかぬのだ、これが大命題であります。そこで、今度のこの法案は自民党提案でありますけれども、この間来問題になっておりますいわゆる新次官通知とのセットになって出されてきておる、私たちはそう考えますし、地元の人たちもそう考えています。
 そこで、本日の委員会の冒頭に長官が環境庁の見解をまとめて言われましたけれども、あれは新次官通知が切り捨て通知だということの批判には全然答えておられない。あそこで説明されたのは、たとえば私たちは、昭和四十六年八月七日の次官通知、これが本当に患者が一人も認定の誤りで切り捨てられるというようなことにならないようにするという大原則だと思うのですけれども、その大原則から今度の次官通知はずっとまげられている。そして、現実に切り捨て、保留がどんどんふえてきている。事実そうなっているのですから。それについての批判が言論関係からも出されたし、そうしたら、それは言論関係の誤解だというような、この前、全く独善的な発言をされたわけでありますけれども、私たちは誤解でも何でもない、そう言っておるわけでありますが、この見解によりますと、たとえば新通知について言えば、四十六年九月二十九日の次官通知その他の三つの通知は完全に含まれているものでありますと書いてあるのです。含まれておるけれども、完全に一致しておるとは言うてないのです。含まれておるけれども、そこにほかのものがついているということを言っているのですよ。そのほかのものがついているというのは、先ほど出ました四項の(2)ですかもそうでありますし、内容的にもそうだとわれわれは考えている。このことについては、熊本県の県議会から正式に出された意見書で「環境事務次官通知を発せられたが、申請者に不安を与えており、本件の認定業務の推進に支障を来すおそれがある。」断定的にこう言っていますよ。しかし、それについては誤解を解いてもらったらいいのだという趣旨のことしか言われていない。これでは切り捨て方針でそのまま進めていくということになるじゃありませんか。私たちはそういう点で、あの新次官通知でやられておる切り捨て方針というものに対して、これはもとへ戻す――四十六年のあの通知が出されたときに、確かに進みました。しかし、その後どんどん後返してきておる。だから、そこへ戻しなさいということを言っているのでありますが、そういうふうにする考えはあるかどうかお伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 環境庁の見解は、先ほど私の見解で申し上げたとおりでございまして、一人でも認定されるべき者が認定されないというようなことがあってはならない、そういう趣旨でやっていくということは、繰り返し申し上げたとおりでございます。
○東中委員 新次官通知について変更する意思はない、不安を持っておる、そして支障を来すおそれがあると当該県議会が言っておるものについて、それはそのままでいくのだという姿勢であります。これははなはだ遺憾だと言わなければなりません。そういう態度は改めらるべきだということを強くここで要請をしておきたい。
 と同時に、この滞留という問題については、環境庁の次官の回答によりますと、「認定申請から検診、審査までの滞留期間が長期化し、保留扱いとなる事例が増加している実情にある。」これがぐあいが悪いんだ、これを解決するのにどうするかということに昨年の回答はなっているわけです。したがって、認定業務の促進ということになれば、これをなくしていくということでなければいかぬわけです。それでは検診体制は一体どうなのか。昨年に出されたままで一向に進んでいない。検診体制の強化と言葉だけで言っているけれども、一つも強化されていない。昨年のままじゃありませんか。滞留はどんどんふえてくるじゃないですか。だからこの点について、いま、名前は認定業務の促進という法律が出ていますけれども、本当にそれをやろうと思ったら、まずそこが第一関門なんだということを環境庁は去年言うておるのですから、それについて促進の体制、措置というものをとっておられるかどうか、まずそのことをお聞きしたい。
○本田政府委員 検診体制の強化につきましては、先生も御存じのとおり、百五十人検診、そして月に百二十人の審査をするという体制を去年熊本県において打ち出してもらったわけでございます。これは、中には再検査が必要であるという者もあり得るので百五十人検診になっているわけです。御指摘のように、もちろんこの検診体制を強化するということが認定促進の最も重要なことだと思います。と同時に、やはり審査をする能力というものも必要でございます。検診体制の強化につきましては、検診センターというのが水俣市に県立でございますが、そこにおけるところの何よりも大事なことは、専任の検診医の確保だと存じます。そういったことにつきまして、いろいろな機関に、たとえば国立病院等に、県も私どもも専任の医師を設けてもらう、派遣してもらうということについて努力をいたしております。現在の検診の実態を申し上げますと、土曜、日曜に検診をやる、そのほかの日は予診に当てているという状況でございますので、できるだけ検診の数がふえますように、そういった専任の医師の確保を図ることによりまして進めていきたい、かように存じております。
○東中委員 熊本の場合の検診は、専任医師はただ一人じゃないですか。あとは熊大の先生というふうに限っているじゃないですか。だから土曜と日曜しかできないということになっているじゃないですか。だから百五十人しかできないんじゃないですか。同じ水俣病について、たとえば鹿児島の場合は、水俣について豊富な経験を持ち、そしてまた高度の知識を持っている開業医が検診医になっているでしょう。同時に審査委員にもなっている。熊本はそういう体制をとらない。そして熊本については、百五十人と言えばふえたように聞こえますけれども、滞留がふえてきておるのに百五十人でとめているわけじゃないですか。本当に促進をやろうというのだったら、その第一関門のところをなぜやらぬのですか。環境庁はそういう姿勢になぜ立たないのか。三百人にします。五百人にしますということを言うたらどうですか。
○本田政府委員 実はそういう気持ちで、一挙に三百人にいかなくとも百五十人をふやすべく、そういう心構えは持っております。熊本県ともおいおいと相談をいたしておりますけれども、できるならばふやしていきたいと存じております。しかしながら、御指摘のように医師の確保の問題それからまた検診施設の問題、そういった問題もございます。しかしながら、現状においても、より数をふやす、医師の確保ができれば、また、専任の確保ができなくともパートの確保ができればふえていくと存じます。御指摘のような、決して百五十人でこれをやめていろということじゃなしに、これをふやす方向で心構えはいたしております。ただ、そういう客観的な事情がいろいろございますので、努力をいたしているという現状でございます。
○東中委員 昨年の七月一日に、百五十人を目途としてということでそういう体制を組んだが、そこから先は、それじゃ三百人を目途にしてこれから努力しますというふうな目標を立ててやる気がないのか。ただ一般的に、抽象的に努力しますと言うだけでは、百五十人体制から一つも変わってないじゃないですか。鹿児島ではやろうと思ったらやっているのに、なぜ熊本ではそういうふうにしないのか。やる気があったらできることですよ。開業医だっておるのですから、診察する人がたくさんいるのですから。それをそういう気持ちにならないというのは、本当に促進という立場に立っていないということを言っているんです。その点がまず第一点。
 時間がありませんから次に進みますけれども、まず、そういう点についての目標を新たに設定をして、そういう方向に向かって進んでいくということ、そういう方向をとるかとらぬかですね。長官どうですか。
○山田国務大臣 その方向は地元の熊本ともよく相談して、なお一層の努力はいたしたいと思います。
○東中委員 熊本と相談するんじゃなくて、相談するに際して環境庁としてはどういう姿勢で行くのかということを聞いているときに、向こうと相談しなければ環境庁の姿勢が決まらぬのですか。それだったら業務促進という姿勢に立っておらぬじゃないか、こう言っているのですから、はっきりしてくださいよ。
○山田国務大臣 基本的な点については繰り返し申し上げているとおりでございます。われわれは、そのことについて全面的に努力してまいるということは繰り返し申し上げております。ただ、具体的にどういう点に問題があるかということは、あなたが一番よく御存じだろうと思います。
○東中委員 あなた何を言っているんですか。それは答弁にならぬですよ。去年は百五十人を目標にということで体制を組んだ、しかし滞留はふえてきておる、だからその目標をさらに上げてやっていくということを具体的に進めますかと聞いているのに、あなたのいまの答弁は何にもないじゃないですか。結局、やる気がないというふうに言わざるを得ないですよ。これに対して患者の皆さんが非常に怒りをぶちまけているのですから、この点をはっきり申し上げておきます。その姿勢を改めるべきだということであります。
 時間がないから次へいきますが、次は審査であります。これも百二十人体例になっている。今度の法案の審議の過程でも出てまいりましたけれども、「十人以内」というふうになっているのを二十人以内あるいは三十人以内にふやして、審査体制を強化して審査を進めるという方法をなぜとらないのですか。環境庁は審査を進めていこうと言っているのでしょう、滞留がふえるのだから百二十人じゃだめなんだと、そうしたらそれをふやすための法改正をやったらいいじゃないですか。なぜそれをやらないのですか。環境庁はどうですか。
○本田政府委員 審査に当たる委員といいますのは、高度の学識と豊富な経験を有している人たちに限られると思います。そういった方々によってこの水俣病に関する審査を慎重に進めていただかなくてはいけないわけであります。熊木県におかれましても、従来、不作為の違法判決以来、この認定促進についていろいろと検討されております。しかしながらその現状は――御指摘は二班制と申しますか、二つ三つ置いたらどうだという御指摘だと存じますけれども、現地においては確保できないという事情があるわけでございます。水俣病のそういった学識経験を有する方々というのは、県段階においては非常に限られているというのが現状でございます。審査会をふやせばそれだけふえるのは御指摘のとおりでございますけれども、そういったメンバーの編成ということにおいて現地で苦慮いたしているというのが現状だと存じます。
○東中委員 いいかげんなことを言っちゃいけませんよ。あなた方が去年の七月一日に熊本県知事あてに次官回答として出しているものによると、「水俣病に関する専門家が主として現地に集中していること等の実態をも考慮」したら、国へ持ってくるんじゃなくて地元でやらなければいかぬのだ、こう言っているじゃないですか。しかも、「認定申請者の大半が県内在住者であること」、これも言っているじゃないですか。これはいずれも事実であります。去年はそうだったけれども、ことしは変わるというようなものじゃないでしょう。そして、「住民と身近な立場にある地方公共団体の長」が行うのが妥当なんだ、こう言っているでしょう。この三つの原則を文書にして発表した環境庁が、今度こういう、それとは全く別な、現地から離れてぽっと中央へ時ってくるというふうなことはやらない、適当でないと言っておったことが自民党案として出てきたら、それに対して協力をする。実際にやれることをやらないで、やることは適当でないと言ったことをやり出してきたらそれに賛成する、これは原則の大転換じゃないですか。だから、この法案は、そういう点でいうと、環境庁が公式に示しておった見解、しかもそれは事実及び事柄の性質上密着した身近な人、身近な機関と言っておったことからいえば、まるきり逆のことが、いま自民党から提案されてきておるわけです。これは、本当に促進するというのじゃなくて、別の意図、切り捨てのためのものじゃないか。だって、百八十度、あるいは二百七十度といってもいいですが、転換をしてここに来ておる。というのが今度の自民党案だと思うのであります。
 提案者にお伺いしたいのですけれども、環境庁がこういう見解を出しておることを承知の上で、それをまげさせるという提案をされてきたように思いますが、いかがでございますか。
○福島議員 環境庁からいま御指摘のような内容を持つ県知事あての通知が出されておることは、私も承知をいたしております。その中に盛られておる、いま御指摘の三つの考え方というのは、当時もいまも全く変わっていないと私は思います。ただ、昨年の環境庁の通知というのは、一般論として申し上げたというよりは、むしろその前段階に、県知事から環境庁長官に対して意見書が提出されております。その内容は、現在、熊本県が機関委任事務として行っておりますところのこの認定審査に係る業務を、県はもう御免だ、とてもやり切らぬ、そういう意味で、国にもう一切返上をしたいという趣旨の意見書が出されました。それに対する回答として、いまのような三つの内容を持つ回答がなされたわけであります。
 現在考えております私どものこの法案というものは、やはり県が第一義的に、いまお話しのような趣旨におきまして水俣病患者の救済に当たるというその原則を崩したものではなくて、いまのままではいつまでたっても、何年もなかなか救済ができない、その不作為違法の状態を少しでも解消するために、いわばダブルトラックといいますか、バイパスをつくるということにおいて、臨時特例のものとしてお考えをいただいておるわけでありまして、先ほどの、県自体もっと認定審査の人員を強化しろという御意見については、私も、将来の方向としてそういう方向をとるべきだと思いますけれども、いままでネックになっておりましたのが、残念ながら県と環境庁との間における相互不信感であり、県側から言わせますと、国は一切めんどうを見てくれない、やっかいな問題はみんな県に押しつけるということが、本問題処理の大変大きなネックになっておったわけでありまして、今同こういう形において国も応分の協力をするという体制をとった場合には、やはり県も、これから本認定審査の事務、そして水俣病の患者に対する熱意というものもおのずから従来にまして一層増してくる。そういう意味で、いま先生御指摘ありましたような大きな改善が結果的にも引き出されるのではないか、このように期待しておる次第であります。
○東中委員 地元に強化するということが今度はできない理由は何にも言われてない、なぜこっちへってくるのかと。適当とは考えがたいというふうに公式に言っておった。環境行政の基本的な立場から言ってこうだということを言っているのでしょう。それと違う方向へってくるバイパスというのは、これはバイパスに乗ったら目的地へ行かぬでほかのところへ行ってしまうわけです。バイパスに似ておって、実は横道それ道である、有害なそれ道であるというふうに思うのです。なぜかと言えば、臨時審査会で認定却下をするという場合に、今度はほかの構成メンバーの判断によってそれを覆すということはできない仕組みになっています。一回きりなんですね。現在の新法でいけば、県知事がやった、それが今度は不服審査会の方へ来て破棄されておるといいますか、審査請求認容の方が審査請求却下よりも多いという事態がいま起こっていますね。再度やれば、専門家が、しかも国会人事で最高の人として任命されているところは、さすがに認定の棄却に対してそれはだめだという結論を出している方が棄却のとおりでよろしいという結論よりも多いという数字がはっきり出ているわけですから。ところが今度この臨時審査会に出したら、この臨時審査会が出した結論、それを、審査会自身が変える場合は別ですけれども、審査会以外のところが変えるということはあり得ないわけですね。そういう仕組みになっているわけです。これじゃ一回きりの切り捨て御免ということになるじゃありませんか。やってはいかぬ原則の方向へ持ってさておいて、しかも一回きりで切れ捨てる。だから、これは切り捨て促進法だとわれわれは言わざるを得なくなるわけです。その点は、制度として、この審査会以外の結論によって審査会の結論を覆すということはできないような仕組みになっておるけれども、そうじゃございませんか。制度自体について言ってください。
○福島議員 いま御質問の中にありました、新法の場合においては県知事に異議申し立てをして、さらに環境庁長官、そして不服審査委員会の判断を仰ぐという意味で、いわば二段階であることは御指摘のとおりであります。しかし、この新法を引用して、新法が二遍になっておる、そして今回は一回限りになっておる、大変アンバランスではないかという御指摘でございますけれども、今回の場合には旧法適用者に限った問題の処理をお願いしておるわけでありまして、旧法申請者については、従来とも上級庁がないときには原処分庁に対する異議申し立てをするということにおいて一遍限りであることについては何ら変わりないわけであります。そういう意味で私どもは、この原案におきましては、行政不服の場合の国民の権利の救済については従来の原則をこの臨時特例措置法でまげるわけにはいかないという趣旨において、従来のこの基本的な考え方のもとに法案を準備したわけでありますが、この数日間の長時間にわたる理事会あるいは理事懇談会における御意見も拝聴いたしまして、この臨時審査会が異議申し立てについての再度の判断をするときには、患者さん方に対して御不安がないように、公正適格な方の御意見を伺ってこの判断をするという形における修正の方向を私どもも検討いたしたいと考えております。
○東中委員 この間からの論議に私も参加しておりますから、非常に簡単な説明はされましたけれども、一番中心になった問題というのは、あれは努力規定では、結局はこの臨時審査会がみずから変えるということにならなければ変わらないのだ、これは努力規定じゃなくて義務規定にすれば、再度の実質上の結論、要するに取り消しをほかの人の意見でやるということがあり得る、そういうふうにしなさいということを何ぼ言っても頑強に自民党は拒否されたわけですね。だから、それはあくまでも一審きりでいくぞということなんであって、だからこそこれは切り捨てだ、私はあのときも言いました。これじゃ切り捨てになるじゃないですかと言ったでしょう。そこのところは義務規定じゃなくて努力規定にしてしまったということについては、あなた方は提案者としていま検討したと言われたけれども、これははっきりとそうなっているのだということをここで認めてください。
○福島議員 御指摘のように、本問題について終始大変熱心な御議論があった結果、東中委員御承知のように、努力規定にいたしたわけであります。それは、この臨時措置法によって従来の行政不服の救済に対する基本的な原則というものをまげるわけにはいかない。土地収用法その他におきましても、全く今回の臨時措置法と同じような考え方において制度があり、これは憲法上も何ら怪しむところのない制度として認められておるこの制度を、臨時措置法によってその基本原則、基本的な体系を崩すわけにはいかない。そういう意味で義務規定にすることにつきましてはあくまでも避けなければならない、そして私どもとして最大限可能な限りの手段として、努力規定という形においてこの委員会、理事会の各党の皆さま方の大方の御同意を得たものと判断をいたしておる次第であります。
○東中委員 質問を終わりますけれども、私たちが言っているのは、不服審査規定の原則を変えるとかなんとか言っているのではなくて、それは地元の審査会をふやせばちゃんと二審でいけるのを、あなた方がぼっと初めから環境庁へ持ってくるからできなくなるんじゃないかと言っているんだということを、これもはっきりとさせていただきたいと思います。
 質問を終わります。
○久保委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○久保委員長 ただいま委員長の手元に、島本虎三君、古寺宏君、中井洽君及び工藤晃君より、本案に対する修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。島本虎三君。
    ―――――――――――――
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措遺法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○島本委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案に対する修正案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正案はお手元に配付してありますので、案文の朗読はこの際省略させていただき、その要旨について御説明いたします。
 修正の第一点は、第一条の本法の目的に「水俣病にかかった者の迅速かつ公正確実な救済のため、」という字句を加えたことであります。
 修正の第二点は、第四条の臨時水俣病認定審査会の委員の要件を「水俣病に係る医学に関し同慶の学識と豊富な経験を有する者」であることと明確化したことであります。
 修正の第三点は、第六条として、環境庁長官は、認定に関する処分についての異議申し立ての審理をする場合において、公害健康被害補償不服審査会の委員及び当該患者の主治の医師の鑑定を求め、これを尊重するよう努めなければならない旨の規定を加えたことであります。
 以上が修正案を提出いたしました趣旨と内容であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○久保委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、原案及び修正案はいずれも予算を伴うものでありますので、内閣において御意見があればお述べをいただきたいと思います。山田環境庁長官。
○山田国務大臣 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案の原案については、政府としてはこれに応ずることといたしたいとの意見であります。
 また、原案に対する修正案につきましては、政府といたしましてはやむを得ない考えであるとの意見でございます。
    ―――――――――――――
○久保委員長 これより原案及び修正案について討論に入ります。
 討論の申し出がありますので順次これを許します。古寺宏君。
○古寺委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表して、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案及びその修正案に賛成する態度を表明するものであります。
 以下、その理由を申し述べることといたします。
 水俣病は、わが国において他に類例を見ないほど大きな水質汚濁による公害であり、水俣病患者の迅速かつ公正確実な救済を図ることは、今日当面している最大の環境問題の一つであります。
 水俣病被害者の救済のためには、水俣病の認定業務を促進することが一日もゆるがせにできない重要な課題であります。
 しかしながら、最近における水俣病の認定業務の状況を見ると、国及び地方公共団体の努力にもかかわらず、いまなお未処分の認定申請者が九月末において五千件余に達する状況にあります。
 このような状況にかんがみ、原案は、旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法による「水俣病に係る認定の申請をした者で」「認定に関する処分を受けていないもの」については、環境庁長官がみずから認定に関する処分を行うことができることとする道を臨時に設けることにより、申請滞留者の解消を図り、もって水俣病認定業務の一層の促進を図ろうとするものであります。
 しかしながら、法案審議の過程において種々論議がありましたので、原案を修正いたしまして、法律の目的に「水俣病にかかった者の迅速かつ公正確実な救済のため」のものであることを明記し、また臨時水俣病認定審査会の委員は「水俣病に係る医学に関し高度の学識と豊富な経験を有する者」のうちから任命することに改め、さらに環境庁長官が異議申し立ての審理をする場合においては「公害健康被害補償不服審会の委員」及び当該「患者の主治の医師の鑑定を求め、これを尊重するよう努めなければならない」旨の条文を加えました。これにより、患者救済の趣旨が加味され、患者の信頼を回復する上で前進を見ましたので、本法律案は認定業務の促進及び患者の救済を図る見地から、現実的かつ妥当な方法であると考え、これに賛成する次第であります。
○久保委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 私は日本共産党・革新共同を代表して、原案及び修正案に対し反対の討論を行います。
 原案は、県の行う認定審査と並行して、国でもそれを行おうとするものですが、これは認定促進に名をかりた患者切り捨て促進策であることは明らかであります。
 その理由は、第一に、これが従来の認定基準の改悪である環境庁事務次官通知とセットされている点であります。政府は、本通知はいわゆる「疑わしきは認定」せよという旧事務次官通知と同趣旨であると答弁していますが、すでに旧事務次官通知の趣旨が大きく失われている認定の実態からするならば、このような答弁が何ら今回の次官通知を正当化するものでないことは明らかであります。
 第二に、これは患者と審査会を分離し、その信頼関係を一層失わせ、ひいては患者の声の反映しない認定審査とならざるを行ないという点であります。
 第三に、この、国でも認定審査を行うという措置は、閣議においても了承されたものですが、これは当の政府自身が一年前に、国の認定業務は不適当であると述べていた態度を百八十度復すものであり、認定業務は、政府も述べていたとおり、あくまで住民に最も近い立場にある、そして患者の声を最もよく反映することができる自治体が行うべきものであります。
 第四に、本制度の対象は旧法時代の申請者に限られた措置ではあるものの、これは認定業務は自治体の事務であるという本制度の大原則を崩すものであり、いまなお増加しつつある申請の滞留を見るならば、今後この対象が拡大されないという保証はない。一層の患者切り捨てに道を開くことになりかねません。
 真の認定促進、患者救済の道は、新事務次官通知を撤回して、現在の認定基準を事実上失われている旧事務次官通知の趣旨に沿ったものとするとともに、自治体の常駐検診医の確保、審査会の二班制を行うこと以外にありません。これは、政府がそのための手だてをとろ意思さえあれば、先ほども申し上げましたように、現行法下で十分できることであります。
 自民党は、本制度をつくらなければチッソ救済の県債の発行ができないなどと主張していますけれども、本来これは全く具なる性質の問題であるとともに、熊本県知事自身もこのことは県議会で確認していることであります。ことさらこれを強調することは、県債発行と患者の切り捨てで、二重に加害企業であるチッソを喜ばせることになるのであります。
 修正案は、異議申し立てという本制度の部分的問題についての、しかも単なる努力規定であり、あわせて現在の厳しく制限された認定基準を見るならば、以上のような私たちの反対理由を何ら変更する必要のあるものではありません。
 水俣病正式発見以来二十二年、いまなお苦しみ続ける患者の切実な願いを踏みにじって、あまつさえ患者不在のままで患者切り捨て策を強行しようとすることに対して、私は心からの怒りを感じるものであります。このことを表明しまして、反対討論を終わります。
○久保委員長 以上で討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○久保委員長 これより水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、島本虎三君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○久保委員長 この際、ただいま修正議決されました本案に対し、馬場昇君、古寺宏君、中井洽君及び工藤晃君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。馬場昇君。
○馬場(昇)委員 私は、ただいま議決されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案に対する附帯決議につき、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
 附帯決議の案文はお手元に配付してありますので、その朗読は省略させていただきます。
 本附帯決議は、水俣病の認定業務の処理の状況にかんがみ、本法の施行に当たり、政府において特に措置すべきところを明らかにし、遺憾なきを期そうとするものであります。
 以下、附帯決議の内容につきまして、簡単に申し述べます。
 まず第一に、臨時審査会は、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように、全部が正しく救われるような精神にのっとって審査を行うことについてでありますが、これは、かつて大石環境庁長官が当委員会で発言した趣旨にのっとって、患者の救済に万遺憾なきを期そうとするものであります。
 第二に、臨時審査会委員の任命に当たっては、患者の信頼を失うことのないよう十分に配慮することとしたものであります。
 第三に、臨時審査会は県、市の認定審査会と並列的なものであり上級的なものでない趣旨でその連帯を図ることとするものであります。
 第四に、本法の異議申し立ての審理に当たっては、不服審査会委員及び主治医の意見を十分尊重し、患者救済の趣旨を徹底しようとするものであります。
 第五に、昭和五十一年十二月十五日の熊本地裁判決にかんがみ、認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務について、患者との信頼回復に努めることとしたものであります。
 第六に、現在の認定業務の著しい遅滞を解消するため、国及び地方公共団体は、水俣病の検診業務に従事する常駐医の拡充強化等認定業務の促進のために諸般の施策を講ずることとしたものであります。
 第七に、さらに今後の問題として、認定業務については、各県、市認定審査会、当該地方公共団体の長、患者代表の意見を十分に聴取し、一層改善しようとするものであります。
 第八に、認定申請中に死亡した者に対して、法の救済の精神を尊重し、単なる患者の切り捨てにならないよう今後とも配慮の手段を見出すべく努力しようとするものであります。
 以上をもって、趣旨の説明を終わります。
 何とぞ、御賛成を賜りますようお願いを申し上げます。
    ―――――――――――――
   水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法の施行にあたり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一、臨時審査会は、水俣病患者が一人でも見落されることのないように、全部が正しく救われるような精神にのつとつて審査を行うこと。
二、臨時審査会委員の任命にあたつては、患者の信頼を得るよう十分に配慮すること。
三、臨時審査会は、県、市の認定審査会と並列的なものであり、従つて、そのような趣旨の運営を図ること。
四、本法の異議申立てについて、環境庁長官は、不服審査会委員及び主治医の意見を十分尊重すること。
五、認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務について、患者との信頼回復に努めること。
六、国及び地方公共団体は、水俣病の検診業務に従事する常駐医の拡充強化等認定業務の促進のために、諸般の施策を講ずること。
七、認定業務について、各県、市認定審査会、当該地方公共団体の長、患者代表の意見を十分に聴取し、今後とも一層改善に努めること。
八、昭和五十三年七月三日付、環境事務次官通知「水俣病の認定に係る業務の促進について」のうち、4.処分にあたつて留意すべき事項中(2)の「所要の処分を行うこと」の対象となる者に対しては、法の救済の精神を尊重し、単なる患者の切捨てにならないよう、今後とも配慮の手段を見出すべく努力すること。
    ―――――――――――――
○久保委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について、山田環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。山田環境庁長官。
○山田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして努力いたします。
    ―――――――――――――
○久保委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に対する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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○久保委員長 ただいま島本虎三君、古寺宏君及び中井洽君より、水俣病問題総合調査に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。古寺宏君。
○古寺委員 私は、日本社会党、公明党・国民会議、民社党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    水俣病問題総合調査に関する件(案)
  水俣病は事実判明後、二十二年を経た今日においても医学的病像さえも、今なお未解明であり、被害の全体像及びそれが及ぼした影響等について、実態が明らかでない。
  水俣病問題解決の遅滞をなくし、住民の健康が守られ、環境が改善され、登かな社会生活がいとなまれるための、完全な水俣病対策を樹立するには、基礎となるべき水俣病問題の総合調査を行う必要がある。
  世界最大の水汚染公害の実態と影響を正しく総合的に把握するためには、総合調査のための行政措置、立法措置の検討が必要であると考える。
  よつて、左記事項を検討し、特別立法化を含め、速やかに成案を得るように努めるものとする。
     記
 一、水俣病の健康被害、漁業被害及び環境破壊等、医学的、生物学的調査及び各分野への影響等について
 二、調査計画について、住民特に被害者代表の意見を十分反映させる方法について
 三、調査計画及び実施について、国と地方自治体の役割分担について
 四、調査の工場、事業場等への立入検査等について
 五、調査経過、調査内容の報告等について
 六、調査費用について
 七、調査期間について
 八、その他必要な事項について
  右決議する。
以上でありますが、本決議案の趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○久保委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいまの島本虎三君外二名提出の動議のごとく、水俣病問題総合調査に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
 なお、本決議の参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、明二十日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十三分散会
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