第087回国会 外務委員会 第3号
昭和五十四年二月二十八日(水曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 塩谷 一夫君
   理事 愛野興一郎君 理事 大坪健一郎君
   理事 奥田 敬和君 理事 毛利 松平君
   理事 井上 一成君 理事 渡部 一郎君
   理事 渡辺  朗君
      川田 正則君    木村 俊夫君
      鯨岡 兵輔君    小坂善太郎君
      佐野 嘉吉君    中山 正暉君
      河上 民雄君    高沢 寅男君
      土井たか子君    中川 嘉美君
      寺前  巖君    依田  実君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        国防会議事務局
        長       伊藤 圭一君
        防衛庁参事官  岡崎 久彦君
        防衛庁長官官房
        防衛審議官   上野 隆史君
        法務省入国管理
        局長      小杉 照夫君
        外務政務次官  志賀  節君
        外務大臣官房領
        事移住部長   塚本 政雄君
        外務省アジア局
        長       柳谷 謙介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
 委員外の出席者
        法務省刑事局刑
        事課長     佐藤 道夫君
        資源エネルギー
        庁石油部計画課
        長       箕輪  哲君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  中川 嘉美君     矢野 絢也君
  依田  実君     山口 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  矢野 絢也君     中川 嘉美君
  山口 敏夫君     依田  実君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  土井たか子君     岡田 利春君
同日
 辞任         補欠選任
  岡田 利春君     土井たか子君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  土井たか子君     安井 吉典君
  松本 善明君     寺前  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  安井 吉典君     土井たか子君
  寺前  巖君     松本 善明君
    ―――――――――――――
二月二十日
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議
 定書の締結について承認を求めるの件(条約第
 三号)
同月二十一日
 日本国とポーランド人民共和国との間の通商及
 び航海に関する条約の締結について承認を求め
 るの件(条約第四号)(予)
 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に
 関する条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第五号)(予)
 南極のあざらしの保存に関する条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第六号)(予)
同月二十七日
 教育交流計画に関する日本国政府とアメリカ合
 衆国政府との間の協定の締結について承認を求
 めるの件(条約第九号)
 北西大西洋の漁業についての今後の多数国間の
 協力に関する条約の締結について承認を求める
 の件(条約第七号)(予)
 日本国政府とフィンランド共和国政府との間の
 文化協定の締結について承認を求めるの件(条
 約第八号)(予)
同月二十一日
 世界連邦建設に関する請願(中馬弘毅君紹介)
 (第一一七七号)
同月二十六日
 世界連邦建設に関する請願外一件(福田篤泰君
 紹介)(第一二九九号)
 同(中川嘉美君紹介)(第一三二八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○塩谷委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、昭和五十四年度外務省関係予算について、その概要説明を聴取いたします。外務政務次官志賀節君。
○志賀政府委員 昭和五十四年度外務省予算重点事項を御説明いたします。
 このたび、政府が国会において御審議願うために提出いたしました昭和五十四年度一般会計予算において、外務省予算としては、二千四百二十一億七千百万円が計上されております。これを前年度予算と比較いたしますと、三百七十五億八千五百万円の増加となり、一八・四%の伸び率となっております。
 また、一般会計予算全体に占める割合では、〇・六三%となっております。
 次に内容について御説明いたします。
 一つ、昭和五十四年度においても、昨年に引き続き外交実施体制を整備することとしております。このため、特に定員の増強と機構の整備を図るとともに、在外職員の勤務条件改善の諸施策を強力に推進し、外務省の責務遂行に遺漏なきを期することといたしました。
 外務省定員につきましては、本省及び在外公館の新規増九十四名、他省振りかえ増二十四名、計百十八名の増員となりますが、他方定員削減が二十九名ありますので、純増員としては八十九名となります。この結果五十四年度外務省定員は、本省一千五百五十五名、在外一千八百四十八名、合計三千四百三名となります。大臣その他、総定員法枠外の特別職三名が含まれるために、三千四百名ちょうどではなく、三千四百三名となるわけであります。
 本省及び在外公館の機構整備につきましては、本省関係では、まず、中南米局を設置することが予定されております。これに伴い情報文化局文化事業部、大阪連絡事務所、アジア局次長及び官房審議官一名を廃止することになります。なお以上と関連して、アメリカ局の名称を北米局に改称することになっております。
 また、大臣官房調査部を大臣官房調査企画部と改称すること、欧亜局に調査官を振りかえて外務参事官一名を設置すること、国連局に書記官を振りかえて原子力課を設置すること等が予定されております。
 在外公館関係では、米国のボストン、西独のフランクフルト及び中国の広州の計三カ所にそれぞれ総領事館の設置が予定されており、これが実現いたしますと、実館化の予算措置が講じられておりますわが国の在外公館数は、百六十三館となります。
 また、ソロモン諸島、ツバル及びドミニカ国に兼館の大使館を設けることとしております。
 このほか、在スラバヤ及び在メダンの領事館が、それぞれ総領事館に昇格することとなっております。
 不健康地勤務条件の改善関係経費は、三億二千九百万円であり、前年度予算二億九千五百万円と比較いたしますと、三千四百万円の増加であります。
 本経費は、主として中近東、アフリカ地域に見られる生活条件、勤務環境の厳しい地に所在する在外公館に勤務する職員が、安んじて外交活動に専念し得るよう、健康管理、福祉厚生施設等の改善を図るためのものであります。その内訳として、従来からの施策については、まず、健康管理休暇に伴う経費が四千八百万円で、この制度の適用を受ける公館数は、五館増の三十五公館となります。このほか、高地勤務対策のための経費、不健康地在勤職員の家族に対する健康診断費等が計上されております。
 次に、新たな施策として、館員宿舎の防犯対策の実施及び物資調達のための旅費支給を行うことになりました。
 在外公館の警備強化については、施設面、人員面でこれを図るための関連予算として四億五千万円が計上されております。
 在外公館国有化の促進のための施設整備等経費は、四十一億三千六百万円であり、前年度予算三十七億七千九百万円と比較いたしますと、三億五千七百万円の増加であります。
 次に、国際協力の拡充強化に関連する予算内容を御説明いたします。
 南北問題がますます深刻化しつつある今日、自由主義諸国中第二位の経済力を有するわが国は、経済技術協力の拡充強化を通じて、その問題解決のために、より積極的な役割りを果たしてまいらねばなりません。政府としては、その観点より政府開発援助の三年間倍増の方針を打ち出しております。その一環として五十四年度においては外務省所管の政府開発援助のための経費の拡充を図っております。
 五十四年度の経済協力関係予算は、総額一千五百七十六億七千五百万円で外務省予算全体の約六五%を占めております。これを五十三年度当初予算一千二百十五億九千七百万円と比較いたしますと、三百六十億七千八百万円の増加となり、二九・七%という伸び率になります。
 特に、二国間無償資金協力については、六百五十億円が計上されており、前年度予算三百九十億円に比して二百六十億円の増加であります。
 国際協力事業団の事業については、五百億一千百万円が計上されております。
 国際協力事業団は、昭和四十九年八月一日の設立以来政府ベースの技術協力担当機関として、開発途上地域等の経済、社会の発展に貢献しておりますが、五十四年度予算においては、技術協力事業を初め、同事業団の各事業の拡充強化を図ることといたしました。
 技術協力に関連する予算は、四百七十三億六千万円で前年度予算に比し、七十億三千万円の増加であります。具体的には、研修員受け入れ、専門家派遣、青年海外協力隊員の派遣、開発調査、機材供与等に必要な経費と、開発途上地域等の社会開発、農林業及び鉱工業に係る関連施設整備及び試験的事業等に対する貸し付けを行うための開発投融資事業に必要な経費であります。
 同じく国際協力事業団の移住事業関係の予算は、二十六億五千百万円で、前年度予算に比し、二億七千万円の増加であります。
 主な内容は、海外移住事業費並びに移住投融資事業のための経費であります。
 移住投融資事業は、移住者等に対する農業、工業、漁業その他の事業に必要な資金の貸し付け及び移住者が入植するための土地の取得、造成、管理及び譲渡等を行うものであります。
 次に広報、文化活動の推進でございます。
 海外広報活動の拡充強化のための経費は、二十三億三千七百万円で、これは前年度予算に比し、一千七百万円の増加であります。
 その主な内容は、広報センター関係経費、招待事業費、フォーリン・プレスセンター委託事業費、南北問題対外啓発費等であります。
 第二に、国際交流基金の事業を含む文化活動の経費は、九十四億七千六百万円でありまして、前年度予算に比し、三十一億二千百万円の増加であります。その内容としては、国際交流基金にすでに出資済みの四百億円に加え、さらに五十億円の追加出資を行うこととしております。この結果、基金に対する政府出資金は合計四百五十億円となり、これの運用益による年間事業規模は、三十五億二千八百万円となり、前年度予算に対し一〇・七%の伸び率になります。この運用益による事業としては中国よりの京劇の招待、N響の中国派遣等が予定されております。またASEAN文化基金に対し、さきに補正予算で出資した二十億円に加え三十億円を出資することとしております。
 重点事項の第四の柱であります日本人学校の新設を初めとする海外子女教育の充実強化のための関連予算としては、四十六億六千八百万円が計上されております。これを前年度と比較いたしますと七億九千五百万円の増加となります。現在、海外在留邦人の同伴子女で義務教育年齢にある者は、およそ二万一千人に達しており、これらの子女の教育がきわめて切実な問題となっているので、昭和五十四年度においても引き続き海外子女教育の充実強化のための諸施策を推進するものであります。
 具体的施策としては、オランダのアムステルダム、トルコのアンカラ、エクアドルのキトー、インドネシアのスラバヤ、カタールのドーハ、ユーゴスラビアのベオグラード及びベルギーのブラッセルの七都市に全日制日本人学校を新設することになり、この結果全日制日本人学校数は六十校となります。右のほか、既設の日本人学校について校舎の確保、拡充に対する援助を充実し、また、教員八十九名の増員を行い、教員の待遇についても必要な改善を行うこととしております。
 さらに、補習授業校については、大規模校等への派遣教員を増員し、謝金補助対象講師数を四十四名増員する等の改善を行うこととしております。
 以上が、外務省の昭和五十四年度予算重点事項の概要であります。
    ―――――――――――――
○塩谷委員長 以上で概要の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山正暉君。
○中山(正)委員 二十分でございますので、大変短時間でございます。最近起こっております海外の急激な変化、これが日本の政治にどんな影響を与えるかお伺いをいたしたい、かように存じております。
 まず、今度の中越紛争に対しまして、日本政府がどういう処置をおとりになったか、それを聞かせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 中越紛争については、中国、ベトナム両国に、日本政府は紛争を力をもって解決することには反対である、したがって、事の理由、経緯を問わず、両国は即時停戦、外国からの軍の撤退、平和的な話し合いをするよう強く要請をしておるところでございます。
○中山(正)委員 世の中を最後に制するものは力と暴力だ、こういう言葉があります。愛と説得というのが一番弱い、こういうことわざがございますが、今度の問題も実は、日中条約の覇権条項という、中国の戦争には賛成をするが、その相手側の戦争には反対をするという隠し言葉を、日本がやすやすと世界で最初に結んだことに大きく端を発しているのではないか、以前お伺いをいたしましたときには、外務大臣は、この条約はアジアの平和と安定に効果があるのだ、こういうお話でございましたが、私は全く逆の結果が出たと思っておりますが、いかがお考えでございましょうか。
○園田国務大臣 日中友好条約は、日本と中国の長きにわたる関係を律し、これをてこにして平和の追求、アジアの平和を念願することはいまも変わりはございません。いまの中越紛争が、日中友好条約が締結されたから紛争が起こったとは考えておりません。
○中山(正)委員 ケ小平さんがアメリカへ行かれ日本に来られ、特にその前にはあのインドシナ半島を回っておられるわけでございますが、ソビエトあたりの書いておりますもの、言っておりますことによりますと、ケ小平はアメリカと日本に寄ったときに、ベトナムに制裁を加えるということを言って、日本政府やアメリカ政府に内々了解を取りつけたという話があるのでございますが、そういうことに関して、外務大臣、何かおっしゃることはございませんか。
○園田国務大臣 そういう事実は全くないばかりでなく、米国の方は別として、わが方は総理からも私からも強く、紛争を力をもって解決するということはアジアの平和のためによろしくない、日本は断じて反対をする、そういう行為をとられないように自重されるよう強く要請をしておったところであります。
○中山(正)委員 実はきのう夜、NHKの、党首との記者会見というのがありまして聞いておりましたら、社会党の委員長飛鳥田さんが、今度のはどっちから攻めていったのかはっきりわからないので、まだ論評を加える段階ではないということでございました。私は、大体中国とソ連の争い、共産主義政権同士の争いというのは信用をいたしておりません。特に、いま飛行機を飛ばした、戦車を出したという話がございますが、中国とベトナムの国境というところは高い高いジャングルで一千メートルぐらいの山があって青空は指で丸をしたほどしか見えない。その上にいま雨期でございますから、八百メートルぐらいのところに厚い雲があって、サテライトからも見えませんし、アメリカの情報部は確認をしていない状況でございます。防衛庁あたりの関係の話によりますと、あの部分、中国とベトナムがそれぞれに戦闘状態にあるということを発表していることが世界で確認できないことが大変な問題だと私は思っておるのでございますが、特になぜ東欧諸国とは大変離れたインドシナ半島でベトナムだけがコメコンの組織に入ったのかという、あの部分、ベトナム、カンボジア、ラオスという部分がなぜソ連に近くなっていったのかということをどういうふうに外務省は分析をしていらっしゃるのでございましょうか。
○園田国務大臣 ベトナムがコメコンのグループに入った、それからソ連と条約を結んだ、こういうことはベトナムが自国の平和と繁栄のために、中国との間がまずくなってまいりましたので、自然そういう方向に行ったものだろうと考えております。
○中山(正)委員 実は地政学という学問がございます。それは「地は政の本なり」という昔の中国の管子というものの中に出てくる、それをとって日本では地政学、こう言っておりますが、その地政学には地球を真ん中のハートランド、つまりユーラシア大陸、中国とソビエトの国境あたりがハートランドで、それを取り巻くユーラシア大陸の縁を周辺弧状地帯、こう言っております。それからカナダからずっとオーストラリアに至りますところを、外側の島網弧状地帯、こう言っております。そのハートランドを制するにはまずリムランド、そのアジア周辺の大陸の縁をずっと制覇しろという学問がございます。それによりますと、確かに最近おもしろいことに、イランのパーレビという王様を、カーター大統領はホワイトハウスにシルスという皇太子を呼んで、パーレビをアメリカへ引き取るという話をした後、だんだん暴動が激しくなりまして、私はアメリカは大変大きなかけをしたと思っております。王様さえ呼び出せばイランはアメリカの思うようなバクチアル内閣でおさまるだろう。おもしろいことに内閣総理大臣の名前も、まるでアメリカがかけごとをしたのを象徴するようにバクチアル内閣というのは、大変おもしろいと思うのですが、ばくちでアメリカが負けた。本当はいままでは、アメリカが王様を守ってソビエトが坊さんをきらったはずでございますのに、パリにいたホメイニという、ソビエトが後ろについた、KGBが後ろについたホメイニがイランに帰ってきたら、自分は政権を持たずにバザルガンというのにやらした。イランはひっくり返りました。これはイランというところがインド洋に対するアメリカの防衛範囲の大きな拠点であったわけでございますが、ここがなくなりました。それから、イランからアフガニスタン−アフガニスタンは、ソビエトがインド洋に向かう高速道路をいま引いております。それからその横にパキスタンでございますが、これはブット大統領が死刑の宣告を受ける、キッシンジャーが中国に入るときにいろいろな御貢献をなすった。余り中国とやった人は後運勢がよくないという評価もありますが、ブット大統領が死刑の判決を受けて、特にパキスタンはいま南部のパプトスタンというところで民族解放運動が起こっております。これはインド洋に出る道だろうと思います。パキスタンがやられ、それから、もちろんインドはソ連と大変近いですし、その裏のバングラデシュ、これはここにいらっしゃる木村先生がこの間安保常任理事国として日本のために大変御活躍をなさったのは、私は木村先生に心から御苦労さまでございましたと申し上げたいのですが、バングラデシュというのは、北朝鮮の解放三十周年記念大会では世界の各国の最初に紹介されています。ソビエトは何と八十番目に紹介をされております。
 そうやって見てくると、イランからバングラデシュ、それからビルマもややこしいですし、ベトナム、ラオス、カンボジア、それからずうっと出て中国、台湾はアメリカが捨てた、それから北朝鮮まで、韓国は米軍が撤退すると言っている。日本ではグラマンで自民党の政権の根底を揺すぶりかけている。不思議なことにリムランド、この三日月のところがやがて満月になるという理論だそうでございますが、これは確かにアジアの周辺部がソビエト系統でちゃんと統一をされております。特にベトナム、ラオス、カンボジアをなぜソ連が持っているかというのは、この理論を当てはめていくと私は大変わかりやすい感じがするのでございます。あそこはソビエトが持たないで中国に持たせると、三日月の一部が欠けることになる。その辺から見てくると、私は、アメリカはベトナムから撤退したときからずっと大きな失敗を繰り返しているのではないかと思います。
 ソルジェニツィンが十八日にこう言っています。「西側の政治家たちは、世界はデタント(緊張緩和)へ向かっていると自らをあざむく発言をしているが、われわれは明らかに世界戦争へ向かって歩んでいる。一年間に数カ国が共産化しており、この傾向は今後もどこまで続くかわからない。過去の征服者と同様、ソ連の指導者たちは全世界を制圧できるほど強力だと想像している。彼らは全世界を破壊し、人びとをほろぼすが、結局、敗北を喫するだろう。数億の中国を敵に回しているからである。したがって、勝利者はふたたび共産主義者となるが、それは異なった形態の共産主義となろう。米国は中国を世界征服者として育てている。その結果は、米国自身の上にふりかかるだろう。米国の知識人たちは社会主義と共産主義に対して共鳴しすぎている。今日、米の大学ではマルキストであることは名誉にさえなっている。」こう言っております。
 そこで、外務大臣、一九四九年のアチソンの秘密文書というものが最近公開になりましたが、お読みになりましたでしょうか。
○園田国務大臣 まだ読んでおりません。
○中山(正)委員 これは時事通信の田久保さんがお書きになった「戦略の構図」という本の二十ページ「米政府当局者の自信のようなものを感じさせる」という秘密文書の発表の中に、
 アチソン国務長官が四九年二月二十八日付でトルーマン大統領の承認を経て作成した基本文書なるものがある。私はこの中に米政府の本音のようなものを見出してギョッとした。アチソン長官はこの中で「中ソ間の紛争を激化させるため、日本の経済的立場をあらゆる機会をとらえて利用すべきである」と随所で強調し、
  マル1対中国政策の主目標は、四九年一月十一日の国家安全保障会議(NSC)で達した結論のとおり、中国がソ連の属国になるのを阻止することに置くべきである。
  マル2米国はソ連政府と中国共産党政権との間に重大な亀裂を生じさせるのに役立つような政策をとれるよう、行動の自由を確保すべきである。
  マル3この政策の一環として、米国は日本および西側諸国と中国の間の経済関係を基本的な安全保障の範囲内で再開することを認める。
  マル4中国政府と日本、西側諸国との貿易関係の強化はクレムリンと中国共産党の政策に深刻な対立をもたらし、中国政府の独自性を高めることになろう
これはいまから三十年くらい前に、日本を使って中国を大きくして、そしてソ連と対決させろという、これはアメリカが仕組んだとおりにちゃんと、日本政府はアメリカの言うとおりにやってきている、こう私は思うのでございます。
 この間、栗栖前統合幕僚議長のお話を聞く機会を得たのでございますが、栗栖さんの評価もどういうことかというと、アメリカにとっては日本を中国にくっつけることは有利かもしれない、しかし、日本自体にとってこの問題が将来の日本の幸せにつながるかどうか、これはもう全くアメリカの利益とは違う方向へ日本が押し向けられているのではないかと自分は心配をしている。たまたまお話を聞いて私も驚いたのでございますが、私が言っております中国、私は何も台湾を守るために中国との問題に反対をしているわけではありません。私は、中国と台湾、両方が何とか平和共存で行ってくれればいいという政治家としての念願から、特にそのために日本が悪い運命に入ることがないようにということから、いままでいろいろ考えておるわけでございますが、そんなことを思ってまいりますと、このアメリカのベトナム放棄、そしてこの本によりますと、「最初の中国に対するサインは、アメリカがアジアを撤退するという沖繩の返還であった。」こう書いてございます。日本が喜ばせられながらアメリカがアジアを捨てるという一環の中でいろいろなものに対処をさせられている、アメリカの言うとおりに動いている日本の外交政策が本当に結果的にはアメリカの幸せになるのだろうか。今度のベトナム紛争なんというのは、その意味で大変示唆を受ける問題でございます。
 そういうアチソン秘密文書その他、こういうものに対して、日本が将来こんなふうな、アメリカはそう考えていないと外務大臣はお考えかもわかりません、アメリカはそんなことを言っていない、日本とは安保条約を結んでいるのだから大丈夫だというのが大体の御構想、将来への希望のように私は拝察をいたしておりますが、こういう秘密文書が発表されるに及んで、日本が自由主義国の中から最初に中国に手を出した国となった、その結果の一もし中国とソ連がそういう形でアジアに対して、ベトナムにもしソビエトが出てきますと、中国がベトナムを攻める、それをベトナムが追い返す、そうするとインドネシアが安心をする、タイ国が安心をするという形で、むしろインドネシア、ニューギニアに至りますまで、ASEAN諸国でソビエトが非常に好意的に受け入れられるようになってくるのではないかという私は懸念を持っておりますが、そういういま申し上げましたようなアメリカの政策が、秘密文書にあるとおりの設定で日本をその中に巻き込んでやってきているようなことを、いま読んでないとおっしゃいましたが、これをお聞きになってどうお感じになりましたか。
○園田国務大臣 御意見拝聴いたしましたが、私は、世の中はどんどん変わっておる、太陽は回り地球はめぐっておる、力関係、駆け引き、謀略、そういうものは確かにありますよ。しかしながら、世界というものは、世界の必然性、いわゆる平和追求に向かって努力をし、苦悩しあるいは停滞をしあるいは前進する、このように考えております。
○中山(正)委員 そういうふうに外務大臣がお考えになっているとしたら、今度行われるサミット、これに中国とソ連が入っていないのはどういうわけでございますか。全方位外交とおっしゃるならば、そういうお言葉ならば、アメリカを説得して、きょうの朝日新聞にも「宝山製鉄所や石油化学 支払い能力上回る 中国プラント輸入を保留」いろいろ四つぐらいある見方の中には、そういうことを言ってくるのは駆け引きかもわからないという話もございますが、私は、サミット会議に世界の大きな国家の首脳、特に共産圏といろいろな取引を始めたときに、サミット会議に中国とソ連を招待するような、いまおっしゃったように地球は回るとおっしゃるならば、回してみられるお考えはございませんか。
○園田国務大臣 サミットは、御承知のとおりに先進首脳国が世界経済の不況打開のためにいかに協力すべきかという純経済問題で出発した会議であります。政治的問題はこれでは一切討議はしないという当初からの一つの限界があるわけであります。したがいまして、このサミットに参加したいという国もあるわけでありますけれども、それではサミットの価値がなくなるということで、いまのままでいくということが一つのイディオムになっておるわけでございます。したがいまして、いまの段階でこの自由主義社会の経済運営をどうするかということが主題でありますから、共産圏のソ連や中国が招待されるという可能性はないと存じます。
○中山(正)委員 オーストラリアが、何か日本の努力で入らないかというお話があって、それがオーストラリアもだめになったということでございます。私はわずか二十分の時間、もう二分という知らせが来ましたので、この大勢力を持っておる自民党にたったの二十分というのは実に情けない思いがするのでございますが、それはいたし方ないといたしまして、私は中国、ソ連を入れないような将来の首脳国会議というのは、経済問題だけで限るなら経済問題でいいと思うのでございます。それでは、たとえば平和条約、これからソビエト、私は五年前に共同声明を出した中国との条約よりも、二十年前に共同声明を出したソビエトとの条約というのが本当は先ではないだろうか、順番が間違ったのじゃないだろうかと思いますが、いま日本の方からは北方領土返還、平和条約と言うのに対して、向こうからは北方たな上げ尖閣方式、善隣修好条約、私が昨年ソビエトへ行ったときにも向こうはしきりにそれを申しました。外務大臣、これは北方領土、平和条約で絶対行くのだというのか、それとも善隣修好条約に入る可能性も、善隣修好条約でまず最初の段階はやるのだということになるのか。いろいろな説明を省いて、私、端的にお伺いしますが、ソビエトとの間ではこれからどういう方式で進んでいかれるおつもりでございますか。
○園田国務大臣 日ソ間のいろいろな話し合いは北方四島の解決が大前提であることはいささかも変わりはございません。
○中山(正)委員 それでは北方領土返還、平和条約という線は絶対に崩れない、こういう認識を得た、かように確認をいたしておきたいと思います。
 大平総理大臣がいろいろなことをおっしゃる中で、環太平洋条約ということがしきりに入っていますが、環太平洋というのはどういう意味でございますか。
○園田国務大臣 わが国の置かれた地理的状況にもかんがみて、太平洋諸国との間に、あらゆる分野にわたる関係の増進を図りたいというところからこういう言葉が出てきたわけでありまして、将来は環太平洋の外相会議等ということも言われておりますけれども、まずとりあえずはこの地域の諸国の民間団体の連絡会議等あたりをできれば、過程としてはいいのではないかと考えております。これもなかなか注意しませんと、この環太平洋構想というのはASEANの国々から言えば、いままで同調しておったのにわれわれから手を抜くのではないかという懸念を持たれますので、十分注意してやるべきことだと考えております。
○中山(正)委員 いまおっしゃったように、私はいまの状況を見ておりまして、中国との条約を結んだら途端に、朝日新聞、読売新聞その他いろいろなところに、択捉島に基地があるという記事がぱあっと急に載り出しました。あんなものは一日や二日でできたものでないのに、突然載り出したのは何かというと、日本に有事立法がない、有事立法がないからどうするか。有事立法がないから、それじゃソ連が攻めてくる。いや、それじゃそのこわいソ連と条約を結ぼう、ここへ入ってくると思うのです。
 そうするとそのときに北方領土、平和条約でないと結ばないといういまの外務大臣のお話の勢力が崩れていって、そうではない、善隣修好条約でいいじゃないか、こういう、もう大阪、東京では大体中道政治が中心になって知事選挙でも始めたのを見てみますと、大体中道ラインに入ってくる。特に公明党が善隣修好でいいじゃないかというような話をなさっておられますから、その方向にこれから入ってくる。そうすると中国と条約を結んで、仲の悪いソ連と結んだから、これは両方入りなさい。北朝鮮も入りなさい、韓国も入りなさい、台湾も何ならしばらく入りなさい、日本も入りなさい、それがひっくるめて環太平洋条約というものになってくるのではないか。
 そのときに、それじゃ日米単独安保は切りなさい。特に私は、共産党のないアメリカが、ロッキード、グラマンという事件の裏側の話を、どんどん共産党の入国を許して、それに秘密文書を渡して、日本の国会でそれをもめさせろと言っている状況を見ておりますと、その辺にも行っていらっしゃった方がおられますけれども、どうもこの傾向は日本から安保条約を切るような方向、特にきょうの朝日新聞の中にもおもしろい記事が出ております。
 私ときどきユダヤ問題をやります。私はユダヤ人に敵対しているのだなんということを、朝日新聞が反ユダヤ主義と私のことを書いたことがございますが、私はそんな気持ちはありません。世界を平和にするために、その手のうちを早く教えてほしい。きょうの朝日新聞にも「イランで暴露元首相ら一二〇〇人がフリーメーソン」とこう書いてあります。四代にわたる総理大臣がフリーメーソンというのですが、私はここに朝鮮画報からとりました写真を見ましても、金日成の机の上に、いわゆるイスラエルの象徴であるメノーラが、メノーラというのは七本のろうそく台でございますが、これが置いてあります。ですからそういういろいろな謀略、もう私は大きな戦争はないと思います。政治をひっくり返して取るというような方向に入ってくるのだろうと思いますが、そんな中で、もう時間がありませんので打ち切りますが、これからの政治の向かう方向の中で、環太平洋条約というお言葉が総理大臣からどんどん出てまいりますので、その方向をひとつしっかりと、はっきりといまから示しておいていただきたい。
 それから米国は、アジアを去っていくことが自分の利益だ、国防省はそう考えていないが、国務省がそう考えているという話もございますから、その辺の問題を、将来の日本人、これからの若い人たちに対して、将来のアジアはどうあるべきかというのを、ひとつ総理と御相談あそばして、はっきりした方向を打ち出していただきませんと、有事に対する、総裁候補に出た二人の方は、有事立法はやらない、あと二人の方はやる。いまの国会の状況から見て私はやれないと思いますから、やらないで正しいのだと思っていますけれども、そういう日本の将来に対する構想をしっかりとしておいていただきたいということ。
 それから最後にお伺いをしたいのは、日本は共産圏の国にいっぱい投資をしています。たとえばイランにも三井がプロジェクトをやりました。これが全部引き揚げてまいりました。三千人ぐらいの人が入っていましたが、全部引き揚げてまいりましたが、日本は外国との投資保証協定が、エジプトかどこか一国しかありません。アメリカは百カ国と投資保証協定を結んでおりますが、外務省はそういう投資保証協定をこれから結んでいこう、どういう構想のもとにもせよ、日本の企業家が日本で投資ができないときには、海外で投資をするということが海外援助にもなりますし、外国で雇用の機会をつくって差し上げるということにもなりますので、そういう投資保証協定さえあれば、日本の企業家が出ていくだろうと思います。それに対するお考えをひとつ伺わせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 環太平洋条約というお言葉が出ましたが、総理はそういう言葉を言っているのではなくて、環太平洋の諸国と緊密に連絡したいと、こう言っているだけでありまして、それ以上はいささかも考えていないわけであります。
 それから共産党の方にアメリカは情報をやってかき回しているとおっしゃいましたが、私はそのように考えませんので、日本の憲法で認定されている正当な政党の国会議員が行けば、必要に応じて情報を出すのはあたりまえだ、こう思っておるわけでございます。
 ただいまの投資保証協定、これは海外投資の円滑な発展を図る見地からも基本的には好ましいものであると考えております。ただいまの御意見を十分拝聴して、できる限り積極的に取り組んでいきたいと考えます。
○中山(正)委員 どうぞひとつそういう方向で、日本の企業家の保護を考えていただきたい。
 それからいま、アメリカには共産党がないのに共産党に資料を渡す、これも民主主義でいいんだ。共産主義を含めた民主主義というのは一体あるのかしら。私は、逆に一党独裁を志向する共産主義等が民主主義の中に入っているとお考えになっている外務大臣、大変お人がいいことはよくわかりますが、それでこの自由主義日本の政治体制が最後まで守れるのかという危惧を持ちましたが、そんなことも全部ひっくるめて、共産党にアメリカが資料を渡してもいいような世界にする方法があります。それは世界連邦宣言だと私は思うのです。共産主義者も何もかも入れて、そして世の中ひとつりっぱにやっていこう。共産主義の国には自民党はありませんし、ほかの政党もございません。私は、政治というものははっきりしないといけない。レーニンは、中立というのは垣根の上に座布団を敷いて座るようなものだ、どっちかに落ちる、こう言っております。そういう言葉を考えましても、日本こそ早く世界連邦宣言というのをして、まだ国会でも本会議で宣言をされておりませんが、世界連邦宣言をして、早く世界を一つにするような方向に日本はむしろ率先して入っていって、世界の国々と仲よくする。全方位外交と言うならば、サミットで、さっき言いました中国、ソ連が抜けているのもおかしいですし、私は、世界連邦というものに対して一体外務大臣は何かお考えになっておられるか、それを最後にお伺いをして、あとは何も言いません。お伺いしただけで、質問を終わりたいと思います。
○園田国務大臣 世界の恒久平和のために、世界連邦という考え方から各国で運動がやられておることも承知しております。この理想は、きわめてよい考えであるとは存じますけれども、その高邁な理想と現実の社会というのは非常に隔たりがありまして、国連さえもなかなか思うとおりにいかない時期でありますから、そういう理想は理想として、現実の間でそういうことが単なる理想ではなくなるような社会をまずつくることが大事だ、こう考えております。
○中山(正)委員 ありがとうございました。
○塩谷委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 まず私は外務大臣に、大変残念な状態が続いているベトナムと中国の現状の戦闘の状態の御認識について、外務省としてどう把握していらっしゃるか、お伺いをいたします。
○園田国務大臣 経過その他は御承知のとおりでありまして、いま情報を総合すると、ベトナム、中国両方が兵力をどんどん投入しているということでありますが、なかなか流動的でありまして、いままでのところは、大規模な戦争というほどの衝突になっておりません。しかし、その可能性は十分あるわけでありまして、ここ数日が山ではないかということで見守っておるところでございます。
○井上(一)委員 いまのお答えで、大規模な戦闘に発展する可能性がある、ここ数日がその山である、私は非常にそれを憂えるわけであります。
 そこで、当初ケ小平副主席は、限定的な戦闘である、制裁という表現も使われておりましたけれども、長期化をしないのだ、拡大をしない、こういう三つの原則的な意思を述べられておったわけであります。現状としてはこの意思から外れたというふうに理解してよろしいでしょうか。
○園田国務大臣 中国は、いま御発言のとおりのような言明を、若干ニュアンスの相違はありますけれども、しばしば繰り返しておるようであります。果たして中国が当初考えたとおりにいっておるのか、あるいは、考えたこととやや食い違ってきておるのか、これは今後の状態を見なければわかりませんけれども、じっと見ておるところでございます。
○井上(一)委員 ベトナム領内への直接侵攻に当たっている中国側の兵力は何個師団程度だと外務省は把握していらっしゃいますか。
○柳谷政府委員 情報がきわめて限られておりますし、いろいろまちまちの情報もございまして、正直なところ、外務省自身あるいは防衛庁その他といろいろ意見交換をしまして得られる情報も含めまして、なかなか正確なところはわからないのが現状でございます。
 大体いままで得られている情報のうちの公約数というようなものをとりますと、中国側の兵力は二十万から二十数万というものが国境地帯に、五個軍団という表現も使われておるようでございますけれども、いるのではないか、そのうちの半分以下ぐらいが、現実に第一線に出ているのではないかということであります。繰り返しますけれども、これについては私どもが直接得た情報ではなくて、種々の情報からそのような一つの判断をしている程度と御理解いただきたいと思います。
○井上(一)委員 そこで、私はこれは防衛庁にもお聞きをしたいのですけれども、一時的である、いわゆる長期化をしないという一つの柱、それから限定的なものである、こういうふうにケ小平氏が言われておる。大臣は、ここ二、三日が山であり、大規模に発展する可能性がそこにあるという当初の御認識を明らかにされたわけです。一体いま報じられておる二十万に及ぶ兵力というものは、大体どのような規模を指すのか、通常常識的に考えられる小規模限定的な場合の兵力は一体どれくらいなのか、そういうことをまずお聞きいたします。
○岡崎政府委員 お答え申し上げます。
 中越国境におきます中国軍の規模につきましては、防衛庁といたしましては最終的に確認しているわけではございませんけれども、種々の報道によりますと、いま御指摘のとおり大体二十数万くいの規模であろうと言われております。われわれとしても特にこれを否定する材料を持っているわけではございません。二十数万と申しますと、師団、軍団にいたしまして、中国の師団は二個師団あるいは三個師団で一軍となっております。大体八個軍から十個軍くらいであるというふうに推定はしております。
 それが限定規模であるかどうかということでございますけれども、われわれが現在持っております限りの情報では、現在中国軍が使っております地上兵力は、主としてベトナム地域に隣接する軍区からの陸軍である、他の軍区からの増強はあってもそう大規模なものではないのではないかというふうに判断しております。
○井上(一)委員 私は、あえて防衛庁長官の出席をここで要求しておったわけなんです。基盤的防衛力構想というものによりますと、やはり十個師団以上というのは大規模侵略だということを定義づけているのですよ。そうでしょう。十個師団以上というものは大規模侵略だという定義があるのじゃないか、こういうことなんです。まずこれについていかがですか。−そういうことが答弁できないのですね。私の言っていることが正しいわけなのです。外務大臣も、大規模に展開する可能性をはらんでいると言う。私は、ここで中国がベトナム領内に相当数の兵力を持って侵入しているということは、大規模な侵入、侵略であるというふうに理解をしているわけなのです。常識的な私の見解であります。防衛庁いかがでございますか。
○岡崎政府委員 わが国の防衛体制と中越関係の比較をいたしますのは、諸般の状況が違いますので、必ずしも適当かどうか私は存じませんけれども、二十数万の軍隊ということが大規模な軍隊であるかどうかということは、ごく一般的、常識的に申し上げれば、これは相当規模な軍事力であるということは常識的に言えると思います。
○井上(一)委員 外務大臣が御懸念をなさっていらっしゃるように、常識的な判断からして、現状は、当初報じられておったように限定的な、一時的な戦闘ではないという認識を持たざるを得ないわけなんですね。大規模ないわゆる状態であるということなのです。この点について、冒頭にも触れられておりましたけれども、もう一度重ねてそういう懸念を持っていらっしゃるということを確認をしたいと思うのですが、外務大臣いかがですか。
○園田国務大臣 私が申し上げましたのは、いろいろ新聞情報等がありますが、いままでのところは大規模な衝突はない、しかし両方兵力をどんどん投入しておりますから、まかり間違うと大規模な両国間の戦争になる可能性もある、こう言ったわけでありますが、ベトナム軍の方は、情報でありますから的確ではありませんが、主力軍というものは北上しないで、やはりハノイ周辺に展開をしておるようであります。それから一方は雨季を控えております。こういう点で、今後の模様はもう少し情勢を見なければ全くわからない、こういうことでございます。
○井上(一)委員 まず私がここで確認をしたかったのは、決して一時的、限定的な現状でないということなんですよ。決して大規模な戦闘に入ることを望むわけじゃないし、一日も早い平和的解決を望むということは、私自身もその気持ちは十分でありますし、外務大臣もそれを再三繰り返されているわけなのです。しかし、正しく現状を認識する、その上に立ってわれわれは検討を加えていくということがやはり大事だと思うのです。そういう意味で、外務大臣、これは少し具体的なことに入るようですけれども、報じられておるところ、あるいは外務省の承知している、把握している状態でよろしゅうございますから、中国軍は現在中越国境を何キロ程度進出しているのでしょうか。
○柳谷政府委員 その何キロという点も種々雑多な報道がございまして、正直なところ何キロまでぐらいということもなかなか言えないのでございますけれども、従来、大体十五キロとか二十キロとかいう数字が出ておりましたけれども、きのうきょうの報道によりますと、部分的には三十キロとか四十キロとかいう数字が出始めておりますが、これがある種の意図によって流されたものなのか、現実にそういう進出があるのか、そこまではつかめないというのが私どもの現在の立場でございます。
○井上(一)委員 私は、当初新華社が報道していた状態から、あるいは前回の外務委員会で余り時間がなかったので深く御質問を申し上げることはできなかったのですけれども、楽観的と申し上げるのは当てはまるかどうかわかりませんが、やはり非常に厳しい状況になりつつあるということを指摘したいわけです。短期、一時的、長期化しないのだ、あるいは限定的だというようなことが言われておったけれども、あるいは日本政府自身もそのような中に入ったというか、そうあってほしいという一つの願いも作用したと思うのですが、いま言うように、悪化しないであろうという楽観的な考え方を少しは持っていたと思うのですが、それとは非常に別な方向に、私自身は相当長期の大規模な侵略が懸念される、こういうことなのです。こういうことは、ランソン市の攻防をめぐっての現状の戦局から考えて非常に厳しいものがある。そういう意味で、先ほど外務大臣が冒頭におっしゃられたように二、三日中が山であり、それがひょっとしたら、外務大臣、大規模という表現がお使いになりにくければ、ひょっとしたら現状よりもさらに悪化するという御認識を持っていらっしゃる。私は当然だと思うのですよ。私自身もそういう認識を持っているのです。それで、そういうことについて再度確認をしたかったので重ねて質問を申し上げたわけです。大臣、一言で結構でございますから、憂慮しているのだ、いや心配は要らぬのだ、どちらかだと思うのですが、いかがでございましょうか。
○園田国務大臣 長期化すると不測の事態が出てくるわけでありまして、武力衝突という異常の事態でありますから、どのようなかっこうで、どのような限定作戦で終わるか、あるいはそれが終わらないで長期化するのか、長期化すれば懸念がふえてくるわけであります。現在の段階でも、平和的話し合いを両国に要望しつつも、非常な心配を持って見ております。
○井上(一)委員 御心配をなさっていらっしゃる、大変御心労だと思います。不測の事態の発生を未然に防ぐためにも、一日も早い平和的解決を私も望みたいということであります。
 さらに、今回のいま申し上げた状態自身を少し冷静に、ひとつ現状、現実をありのままにとらえてみたい。
 そこで、覇権という言葉の定義、これは日中の平和条約締結の折にいろいろ問題になったわけでありますが、ここで改めて私が覇権の意義をお尋ねするのもどうかと思うのですけれども、あえてもう一度、覇権とは一体何なのか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
○柳谷政府委員 これはさきの日中平和友好条約の批准国会において御答弁申し上げたことを繰り返すことになりますけれども、この反覇権というのは国際的に広く受け入れられた概念であるということで、この条約自身においては定義しておりませんけれども、条約交渉におきまして、わが方から、一国が他国の意思に反して力によって自己の意思を押しつけるごとき行為は覇権を求める行為であり、国連憲章の原則にも反するものであるということを述べた経緯がございます。これは中国側においても同じ見解であったというのが交渉の経緯でございます。
○井上(一)委員 外務大臣、去年の八月十八日の当外務委員会で大臣は、力をもって国を動かすは覇道という、国が他国の意思に反して自己の意思を押しつける行為、このことをもって覇権という、こういうお答えをなさっていらっしゃるわけなのです。ぼくは当然だと思うのです。今回のベトナムの行為は行為として横に置いておきたい。この論議は論議でまたいたします。私は、中国のとった行為、行動それ自体は、外務大臣はどのように位置づけられていらっしゃるのか、どう受けとめていらっしゃるのか、大変お答えがしにくいということを私自身自分でもわかりながら、きょうはあえてこれはひとつ尋ねておきたい、こう思ってお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 今度の紛争については、御承知のとおりにベトナム側と中国側の言い分は全く対立し、相反しております。中国側は、これは侵略ではない、やむを得ざる自衛権の発動だ、こういうことを言っておりまするし、ベトナムの方は、侵略であり覇権である、こう言っておるわけでありまして、ただいま、ちょうどいまの時間だと思いますが、国連の安保理事会等でもこの議論をされておるところでございます。したがいまして、このような微妙なところにある段階で、外務大臣の私が、これが覇権であるとかないとか、侵略であるとかないとかと言うことは適当でございませんので、お答えはお許しを願いたいと存じます。
○井上(一)委員 少なくともそういうお答えしかいただけないだろうとは予想しておったのです。しかし、本当はもっと大臣のあるいは日本国政府の見解というものをやはり明確にする必要があるのじゃないでしょうか。それが自主的な日本の平和外交を貫くのだという意思表示にもなると思うのです。安保理の動向等で何か御遠慮なさっているようです。少なくとも反覇権条項という、日中で話し合いをしたそのときの考え、いまでなくて結構ですが、そのときの考えとしては、さっき私が申し上げたような、特定の国が他国の意思に反して自己の意思を押しつけているような行為をしてはいけないのだ、そういう行為を覇権だ、そういうことには反対するのだ、こういうことだ、これは確認いただけますね。
○園田国務大臣 八月に答弁いたしました考え方はいまでも変わっておりません。ただ、日本は、このインドシナ半島における紛争が一日も早く平和的解決をされることを望んでいるわけであります。そのためにはベトナム、中国両国と話し合いのできる数少ない国でありますから、一方に偏しないように中立の態度は堅持することがきわめて大事であります。したがいまして、年来の主張であるように、紛争を力等をもって解決をすること、事の理由あるいは経緯のいかんを問わず他国に軍隊を入れることは反対でありますから、この事実は即時停戦、撤退、平和的話し合いということを強く要望し、日本政府の方針も明確にしているところでありますが、これが覇権であるとか侵略であるとかと言うことは、これは一方の言い分に加担することになりますので、あくまで中立の立場から、現実の問題をとらえて日本の政府は平和的解決に努力したい、あるいは要望する、こういうことにやっておるわけであります。
○井上(一)委員 外務大臣、ちょっと答弁の中でおかしいのじゃないですか。一方に加担するとか加担しないとか、加担するから覇権を言える、覇権を言えない、そんなのじゃないのですよ。だれがやっても覇権は覇権なのです。そしてどの国であろうとも覇権に反対をするのだ、そういうことをしてはいけないと強い抗議をしなければいけない、日本は。そうじゃないですか。それを言うことが一方に加担する、加担しないということになると、これはおかしい話になって、それは一方に加担するということになると、一方の方が覇権だから、こういうことになるのですよ。外務大臣、ちょっといまのお答えの中で、覇権であるかないかを言うことは一方に加担することになるという御認識は、少し私はおかしいと思うのです。
○園田国務大臣 現実の問題として両方が言い争っておるわけであります。一方は覇権であると言い、一方は自衛権である、こう言っておる。そのときにその問題を私がどのように答弁をしても、現実の利点はないわけであります。一番大事なことは、私は、両国に対して公平中立の立場から現実の問題を、とにかく軍を入れて力をもってやっておる方はいけない、これはよしなさいと言う方が、私は現実の問題の解決としては適当である、こういうことを申し上げておるわけであります。
○井上(一)委員 制裁が制裁を呼び、侵攻が侵攻を引き出してき、そういうことが新たなる戦いに拡大していく。これはやはり過去の歴史を振り返っても、大国主義的、私の考えでは覇権的行為だ、こういうふうに思うわけです。いかなる国といえどもそういう発想で、そういう考え方で事を起こしてはいけないということを、私はやはり明確に言うべきだと思うのです。本当に平和をあなたが愛するなら、そして平和に徹するなら、それだけをいまの時期に言えない、言えるという問題でない、そういう気持ちで、それでは言えなければ、そういう考えをひとつ行動に移さなければいけない。ただ抗議をしたり、遺憾の意を表明したり、そういうことだけではいけない。本当に実情はどうであるのか。ベトナムに、あるいは中国に、やはり外務省として的確な情勢を聞き、そしてその中から正しい判断をしていく。そういう意味で、何かそれは依頼があればとか、あるいは相手側の何かアプローチがあって初めて動くということでなくして、こちらの方からアクションを起こしていきたいのだ、起こすのだというお考え、お持ちではございませんでしょうか。
○園田国務大臣 侵略であるかどうかということは、いまのベトナムと中国の問題、さらにさかのぼれば、カンボジアとベトナムの問題もあるわけであります。その場合に、どちらが侵略であるとか、ないとかということよりも、現実問題として、即時停戦、外国軍隊の撤退、話し合い、こういうことが日本政府の方針であります。なおまた、それを行動に起こすこと、確かに大事なことであるとは存じますけれども、この行動に起こす時期あるいは方法等はきわめてむずかしく、微妙な問題でありますから、十分考えてやりたいと思います。
○井上(一)委員 私はもう時期を遅きに感ずるわけなんですよ、本当は。考えている、考えている、やります、やりますと言っている間に済んでしまうわけですわ。あるいは済んでしまうというのは、出おくれてしまうと事が重大な方向にいってしまうか、いわゆる日本の出る幕がなくなってしまうということです。どうでしょうか。重ねてお聞きしますが、現地にも日本の大使館があるわけですから、ひとつもう少し、行動を起こすというタイミングもおありでしょうけれども、もう起こすべきではないでしょうか。
○園田国務大臣 こういう戦争と個人のけんかとを比べることは不謹慎かもわかりませんけれども、けんかの仲裁にいたしましてもなぐり合いをやっている最中に顔を出して、そして両方から引っこめとけられてひっくり返ることもありますし、あるいはなぐり合いをやる前に気合いが合ってぱっと手を出せば、そこで効果を出すこともありますし、あるいはなぐり合いをやって両方が少し反省をした時期に行動を起こしていくこともある、こう思いますので、これはなかなか微妙で、ここでお答えをできる問題ではないし、むしろまたそういうチャンスがあるいはないかもわからぬということで、無理をして日本の無力をさらけ、あるいは恥かくことは構いませんけれども、逆の効果があってはならぬということも十分配慮してやりたいと考えております。
○井上(一)委員 けんかの中に割って入るぐらいの元気さ、勇気さ、正義感あるいは平和主義に徹するのだという、そういう心がけがなければ、これは全く絵にかいたもちというか、表現は悪いけれども、空念仏ですわ。そんなことは、大臣、やめておきなはれ。それなら、いや、しばらく静観しております、そういう答えならわかるのだけれども、いつ聞いても一生懸命やります、やりますと言って、私も期待をしているからこれを言っているのです。期待をしているから。だから、答えにくいでしょうと、私の方もわかっているのです。そんなら、わかっておったら、おまえ質問せぬでもいいじゃないかというのが、これはまたそういうことになるかもわからぬけれども、しかしどうしても質問しておきたかったということなのです。これはこれぐらいにおいておきましょう。
 それで私は、次はひとつ侵略の定義というか、国連憲章の一条、二条、三条というこの条文、こういう中からお教えをいただきたい。侵略の定義と国連憲章の性格、精神というものを私は私なりに理解をしているつもりなのですけれども、ひとつきょうは外務省からお教えをいただきたいと思うのです。大臣からひとつ教えていただけぬでしょうか。
○園田国務大臣 確かに国連憲章にはそれぞれ規定してございまするが、しかしこれはガイドラインというか、一つの精神なり方針を示したものであります。どのようにしてこれを侵略であるとか決定するかということは、国連の会議によって決まるものであると考えております。
○井上(一)委員 国連に加盟をしている国は、少なくともそのガイドライン、それに沿った行動、その精神を尊重するということは当然であります。もしそういう精神を尊重しないというなら、これはおかしなぐあいであるし、国連という一つの組織が疑われるわけであります。
 また戻りますけれども、中国は忍耐の限度に達して、そして中国軍警備隊は反撃を余儀なくされた、いわゆる自衛反撃だということを主張しているわけです。このことと、それじゃ国連の決議の中での侵略の定義というのは、どう違うのか。さっき私がお教えをいただきたいと言った侵略の定義はおっしゃっていらっしゃらないのですよ。もう私が読む必要もないし、私の考えを申し上げる必要もない、時間がありませんから。もうお互いに理解をしているということで、今度は逆に、これとはどう違うのですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 まず第一に、国連の場におきまして一九七四年に採択されました侵略の定義について先生はお話しになっておられるのだろうと思うのでございますけれども、(井上(一)委員「それはよろしい、時間がないから」と呼ぶ)先ほど大臣からガイドラインと申されましたし、もとより、先生もおっしゃいましたように、国連の各国はこのガイドラインに沿って行動するということでございますけれども、本来この前文に言っておりますガイドラインと申しますのは、国連憲章上、侵略行為が存在するかしないかというのを決定するのは安全保障理事会でございまして、その安全保障理事会がその判断をする際のガイドラインとしてこういうことが決められたというように了解している次第でございます。
○井上(一)委員 私は、侵略を決める、決めない、それが侵略行為であるかどうかということについて尋ねているのじゃない。それはおいておきましょうと言ったわけです。侵略の定義というものを聞いているわけです。時間がないから、もっと私の尋ねているものに答えてくれなければいけない。もう一度答えなさい。
 私の言っていることは、そういうことで侵略の定義といわゆる自衛反撃というものの違いをちょっと教えてほしい、こういうことです。
○伊達政府委員 侵略の場合と自衛の問題でございますけれども、国連憲章第三十九条に「安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、」ということになっておりまして、侵略行為があるかないかという問題につきましてはこの三十九条の関連で論じられるわけでございます。なお、自衛権といいますのは個別的及び集団的自衛権ということにつきましては、同じ章で第七章ではございますが、第五十一条で「武力攻撃が発生した場合」ということについて議論がされるわけでございます。
 それから、現在問題となっております侵略の定義と申しますのは、第三十九条に関連いたします侵略行為というもののガイドラインとしてできたものでございまして、五十一条で申しております武力攻撃があった場合の自衛権とは直接的に関係がないというふうに考えている次第でございます。
○井上(一)委員 余り時間がないので、私は、侵略があってそれを阻止するために自衛権、そして、そういうことで武力をもって他国に自国の意思をというくだり、いろいろ覇権と侵略の連係的な質問をさっきからしでいるわけなのです。私の見解では、まさにベトナムはカンボジアに対する侵略という表現が当てはまるのじゃないかと思うのですが、中国はベトナムに対して侵略という表現が当てはまると思う、私自身はですよ。だからそういうことから考えて、たとえば、それじゃベトナムに対するわが国の経済援助を一時考慮していきたい。カンボジアに対する一つの行動がやはりその引き金になったわけですね。外務大臣、いかがですか。
○園田国務大臣 ベトナムとカンボジアの問題は、御承知のとおりに、ベトナムの方はわれわれの行動は侵略ではない、これは条約も結んでおるし、これは後でできたことでありますけれども、それから人民がポル・ポト政権にひどい目に遭っているから、その解放軍に協力した、こういうことでこれは協力であって、民主化を図ったのであって侵略ではない、こう言っております。中国とベトナムの問題は、中国ではしばしば国境を侵犯されたから自衛権の発動、こう言っているわけであります。したがいまして、これは両方が侵略であるあるいは覇権であると断定することよりも、現実の事実を停止することが大事でありますから、国連においては一方の言い分、侵略ではない、こう言うし、自衛権の発動であるかどうかということは国連憲章のいま読まれた、はっきり定義のある中に該当するものなのか、それともその定義の中に行動は入るが、自衛権の発動に入るものなのか、こういうことが国連の仕事だと考えております。
○井上(一)委員 さらに外務大臣に、日中平和条約締結の折にもいろいろ話題になったわけですけれども、中ソの友好同盟条約というものがあるわけですね。まだ存在しているわけです。これは相互間の不可侵条約的性格を持っている、私はこういうふうに理解をして、この三月が一応廃棄通告を、三月三十一日という期限があるわけです。私も黄華外相と会ったときには名存実亡であるということで、実際は三月三十一日までの中国側の通告が予想されるわけですね。そういう場合に、現状の中越国境における紛争状態等をとらえた中で、三月三十一日というものは中ソ関係に不測の事態が起こり得る一つのきっかけにもなるのじゃないだろうか。その通告が一つの大きな引き金になりはせぬだろうかという心配をしているわけなのです。この点について、外務大臣はどういう御認識を持っていらっしゃるのか、ひとつお聞きをしたいと思います。
○園田国務大臣 中ソ同盟条約は、破棄せんとする国が相手に対して通告するのではなくて、意思の表明ということになっておると承っております。中国はすでにしばしば公的な場所でその意思は表明しておるわけでありますけれども、最後の表明というものをいつやるのかあるいはどういう方法でやるのかわかりませんけれども、これが破棄されたことによって中国とソ連の仲がよくなるとは考えませんけれども、これによって直ちに不測の事態が起こることはないのではなかろうかと考えております。
○井上(一)委員 不測の事態は起こり得ないであろうというお考えでしょうか、ちょっと最後聞き一漏らしたのですが。
○園田国務大臣 中ソ同盟条約で両方がこの条約の破棄について合意をして決めたことでありますから、その決めたことを中国がやっても不測の事態は起こらないのではなかろうか、こういう考えであります。
○井上(一)委員 私はその考えもまた非常に甘いのじゃないだろうかと思うのです。中越戦闘のこの情勢というものをとらえる中で、日中平和条約を結んだ状態と今日の状態は、やはりアジアにおける情勢が変化している。そして、条約の当事国で相手国である中国の国際的な情勢というものも変化している。そんな中で私は非常に懸念をするわけなんですよ。外務大臣、そう甘いものではないのじゃないでしょうか。だから不測の事態を起こさせないように、日本としては相手国の主権を侵害せずに、自主性を尊重しながら、そういう事態が起こらないように、具体的な最大の努力をしなければいけない、そういうことを申し上げたわけなのですが、どうでしょうか。
○園田国務大臣 御意見は十分わかりました。そのように努力をいたします。
○井上(一)委員 最後に一点、日中の経済協力についてきょうの各紙にすでに報道されているわけなのです。大型プラント輸出についての一応留保ということが報じられておるわけです。外務省の経済協力局が把握している今日の日中間における経済協力の状況あるいは今後の見通し等もあわせて、ひとつ詳しく御説明をいただきたい。
○柳谷政府委員 経済協力案件と申しますよりも経済案件でございますので、私からお答えをさせていただきます。
 関係方面からいろいろ伺っているところによりますと、対中プラント輸出契約が一番の中心でございます。昨年一年間非常に順調に契約が進んでいたようでございますけれども、最近になりまして、具体的にはこの二十六日でございますが、中国側から最近の契約の発効条件たる上部の認可が得られないということで、昨年の十二月十六日以降の契約署名分について、これを保留するという通報があったそうでございます。ただ、これについて日本側が、いかなる理由であるかということをただしたに対しましては、先方からは明白な理由の説明がなかったそうでございまして、その結果いろいろ憶測も生んでいるかと思います。当面の感じといたしましては、中国が現代化計画を進めるに当たりましてのいろいろの速度とか優先順位とかあるいは部門別の分配とかという点について、中国内部でもいろいろ調整、検討が行われているのではないか、それに伴って資金、特に外貨の手当ての問題についていろいろ論議があるのではないか、その辺のために一時的にこういうような態度が示されたのではないかと、とりあえず想像しておるところでございまするけれども、詳細はまだ分析できない状態でございます。
○井上(一)委員 総額的に金額でどれくらいになるのでしょうか。
○柳谷政府委員 お答えいたします。
 昨年におきます対中輸出プラント成約は合計四十九件、七千五百億円に上ったというふうに承知しております。このうち、先ほど申しました十二月十六日以前に契約された分十七件は、千九百億円というふうに承知しております。これについては円滑に履行されている。その後の分について先ほど申し上げました状態が発生しているというふうに聞いております。
○井上(一)委員 海外経済協力基金による直接借款との絡みには影響するでしょうか。
○柳谷政府委員 この海外経済協力基金につきまして、中国側がこれを日本に求めるか否かという点については、現在のところ政府としては承知してないわけでございます。一部にそういう話が出たとか、先方が情報を求めたということはあるようでございますけれども、これについて公式にも非公式にも政府が先方の意向を聞いたことは現在までのところございません。
○塩谷委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 まず私はハワイ会談におけるE2Cをめぐるグリーン発言、このことにつきましては、過日二十二日の予算委員会におきまして、外務大臣にも私の方からお伺いしたわけですが、大臣にそのときのやりとりを思い出していただくために、骨子だけちょっと読んでみたいと思います。
 私はそのときに、グリーン元米国務次官補は訪米議員団に対して、四十七年の日米ハワイ会談の一年前からE2C導入を働きかけており、ハワイ会談は日本側の回答を求める場であったと発言している、さきの外務省調査報告とは違うのではないかという意味の御質問をしております。これに対して外務大臣から、直ちに検討するよう命じた、このような御答弁があって、それに対して私から、グリーン氏の発言のとおりなら政府の見解と大きく食い違い、疑惑を一層大きくする、再度徹底調査して明らかにすべきである、こう申し上げております。これに対して大臣から、ハワイ会談及びその後のグリーン氏から鶴見審議官への発言はそのようなものではないことを向こうが明らかにしており、われわれもそう信じている、しかしそれ以前のことについては十分真相を検討する、このような御答弁をいただいたはずでございます。疑惑解明の点からもこれらの真相というものは一日も早く明らかにしていかなければならない、このように思いますが、本件に関する外務省としての検討と調査の結果はどのようなものであったか、お答えをいただければと思います。
○園田国務大臣 私の中川委員に対する先般の答弁はそのとおりでございます。そこで検討を命じておりますが、正直に言いまして、グリーン氏の発言は一年前に外務省関係に話をした、こういうことだと承っておりますが、日本と米国の間の書類、電報その他の記録等は少なくとも数万通に上っているわけでありますから、この中から探し出して検討する、それから向こうの方に問い合わせるということは、これはなかなか大変なことでありまして、いま一生懸命にやっているところでございます。外務省は決してあった事実を隠すとかあるいは報告を怠るとか、こういうことは断じていたしませんから、もうしばらくお許しを願いたいと存じます。
○中川(嘉)委員 そうなりますと、私どもも決して事情もわからないわけではない。数の多い往復文書ということですが、そうなると、いつごろまでに大体の目安というものは立つのであろうか。いつごろまでにこの回答がいただけるのか。ただし、この問題というのは外務省だけではなくて、当時の政府関係者すべてに対して米側からどのような接触と働きかけがあったのか、これを調べる必要があるのじゃないかと私は思うわけで、この点についても当然調査を行っていると思いますが、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 話した相手がよそでありましょうとも、大体外務省を通ずるかあるいは外務省がその間に介在しているわけでありますから、そういう点も含めて調査を命じております。
○中川(嘉)委員 いつごろまでにという御返事はあるいはむずかしいかと思いますが、いずれにしても疑惑解明のために早急にこの調査結果というものを提出するように、本席で再び御要望をしておきたいと思います。
 次に、先ほど来出ております中越武力紛争の件についてですが、中国のケ小平副首相が、去る二十六日の共同通信との会談で、中越紛争の見通しについて、中国の懲罰行動というものはまだ続くのだというようなことを言明しております。また一方では、相手の出方次第である、このようにも述べておるわけですが、このまま推移すれば武力紛争の長期化あるいは拡大というものが依然として懸念されると私は思います。
 見通し等については、先ほど来同僚委員に対しての御答弁にもありますので、ここでは質問を略させていただきますが、ここで伺いたいのは、特に最近ソ連の海、空軍、この南下があわただしいように思いますが、政府はソ連軍の動きをどのように見ておられるか。予算委員会でも若干触れたような気がするのですが、その後、日がたっております。大分情勢も変わってきておりますが、そして中越武力紛争を契機として中ソ戦争というような最悪の事態は全く考えられないのか、あるいは事態の進行いかんによっては否定し切れないというような展望、こういったものもあり得るのか。非常にむずかしい御判断が要求されると思いますが、この点について大臣御自身はどう考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 ソ連の動きの実情は事務当局から報告をいたしまして、その後判断は私が御報告をいたします。
○柳谷政府委員 最近の情報ちょっといま手元にありませんので、すぐ後ほどお答えいたします。しばらく時間をおかしいただきたいと思います。
○中川(嘉)委員 きょうこの外務委員会においてこのような質問というものは、当然想定される。これは用意してこられるのが私は当然だと思います。いまここでこの質問に接して、そういった資料がいまのところ最新ニュースがないということでは、これは準備が不足しているのではなかろうか、このように思うのですが、大臣、この点についてもあわせて御答弁いただきます。
○園田国務大臣 御注意のとおりでありまして、今後注意をいたします。正確を期するために事務当局にと言ったわけでありますが、記憶に基づいて大体中川委員が判断される程度の資料は私から申し上げたいと存じます。
 第一に、ソ連の南下する艦艇、海上、港湾に集結をしている艦艇というものは、ミサイル巡洋艦初め駆逐艦等があるわけでありますが、この性能は対空防御戦闘、それからもう一つは海上封鎖、こういうものに威力のある艦艇でありまして、いまのところは、海岸から艦砲射撃をして戦闘に直接加入するとか、あるいは御承知のとおりに、艦艇の中に海兵隊というか陸上兵を積んで、強制、強襲上陸をする上陸用舟艇などを準備した艦艇もあるわけでありますが、そのような艦艇はいまのところ見当たりません。情報でありますけれども。
 それから、南下する航空機は、新聞等でも書いてあるところでありますが、まず第一には、偵察用の電子計器を積んだ大型飛行機が六機か七機ぐらい南下しております。それから、そのほかに武器あるいは物資等を補給するのではなかろうかと思われる航空機も南下しているわけであります。
 強制上陸または海岸から艦砲射撃をする艦艇というのは、地中海の方にいまのところおるようでありますが、地中海の方から南下する気配があったようではありますが、一時はこれが行方がわからぬ、どこへ行ったのか、インドシナ半島の方へ行ったのではなかろうかという情報もありましたけれども、これまた地中海の方に帰ったようなことであります。
 そこで、ソ連はソ連で警告を発し、米国は米国で、お互いに警告を発しておりますけれども、今後中国がどのようにやるのか、ベトナムがどのようにやるのか。これが長期化をすると戦争でありますから、不測の事態が非常に心配されるわけでありますが、いまのところは直接武力介入するという公算は、パーセントとしてはまだいまのところは少ない方ではないか。今後長期化すると、だんだんこのパーセントがふえてくるのではなかろうか。
 それからもう一つは、中ソの国境の問題でありますが、ここではごたごたあるようでありますが、中ソの国境で事を構えるような考え方はソ連にはないのではないか。
 大体以上のようなことでございます。
○中川(嘉)委員 ケ小平副首相は、今回の懲罰行動では戦果そのものに重きを置いていない、このように述べておりますが、それでは中国はどういう条件が満たされれば国境から撤兵するということなのか、この点について、中国の問題ですけれども、外務大臣の御判断そのものはどんなものか。どういう条件が満たされれば撤兵をするのか、いつそういうものが満たされて撤兵をするのか、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 ただいま戦闘が続いているところでありますから、一方のことを私が判断することは軽率かもわかりませんが、中川委員から、大臣としての判断でよろしい、こういうことでございますから、私の考え方を申し上げますると、中国の公式、非公式の発言等から総合して判断しますると、限定作戦、一つの目的を達したら撤退するという方針は、大体そういう方針であろうと思いますけれども、しかし果たして中国の計画どおりに中国の作戦計画が進んだかどうかということになると、これはなかなかわからぬところでございます。
 そこで、一方には、四月になったら部隊の運用は全くできないほどの雨季でありますから、四月という一つの期限があるわけであります。それからもう一つは、これが長期化をすれば、やはりソ連等の動きは相当活発化してくるという配慮は当然中国もすべきであるし、しておろうと考えます。
 その中で、中国がどのような目標を達して、というよりもむしろ戦争、停戦、撤退という中国の面目なりあるいは中国の今度の作戦の目標をどのように達成できるか、これも非常に意味深長な言葉でありますけれども。したがって、中国の指導者の言い分も、限定作戦、撤退とは言いながらも、まだまだ長くかかるのだとか、あるいはもっと教訓を与えなければならぬとか、あるいは最近に至っては、ベトナムは中国から断じて侵されないという神話を打破するのが目的だというふうに、表現の方はいろいろ変わってきているわけでありますが、そういうところから判断をして、今後の見通し、懸念等を持っておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 中越武力紛争は、国境紛争に端を発しているということ、これは言うまでもないわけですが、いずれにしても現実にこの武力紛争というものはベトナム領土の中で行われていること、これも否定できない。国際世論もまたこの点に注目しているようですけれども、したがって、わが国は、中国の最もよき友人として、この紛争の原因がどうであったとしても、ともあれ中国軍がひとまずこの国境内に撤退するように申し入れをする、このようなことを政府は考えておられるかどうか。中国の友人という立場からそのような申し入れ、この点はいかがでしょう。
○園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、あらゆる意味から中国へは即時停戦、軍の撤退、そして平和的解決をやられたい、平和会談の提案もしておるところであり、これはしばしば機会を通じ、場所を通じて今日までやっているところでありますが、今後ともさらに強くこれは要請するつもりでございます。
○中川(嘉)委員 私がいま質問の中に申したような、国境内に撤退するような申し入れをも含んだ御努力を重ねて要望しておきたいと思います。
 この中国の武力行動の原因といいますか、背景は、カンボジアに対するベトナムの武力侵攻並びに駐留が大きな要因となっているように思われるわけです。したがって、中国に軍隊の早期撤退を求めると同時に、ベトナムに対してもカンボジアからの軍隊の撤退を強く求めるべきではないか。いましばらく情勢を見守らなければという形の御答弁ですね。これは、紛争解決のための実効性のある外交行動という立場から見ても、もういまはこういう御答弁は許されないのではないだろうかと私は思いますので、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 ベトナムに対しましても、中国にやると同様に、しばしばあらゆる手段を通じていまおっしゃいましたようなことを申し入れいたしております。
○中川(嘉)委員 この間の国連安保理事会においてベトナム代表が、日米両国が中国のベトナム侵攻に同意を与えた、このように非難をしているわけですけれども、これは事実に反するものであることは私どもも十分承知しております。安倍国連大使が二十五日の安保理事会でこれに反論しておられる。これはすなわち、ベトナム代表の非難はきわめて大きな認識の誤りであって、日米両国が中国のベトナム侵攻に同意を与えたなんということは当然考えられないし、見逃すことのできない問題ではないかと私は思います。で、日本政府として本件について何かベトナム政府に正式に申し入れを行ったのかどうか。まだ行っていないとするならば、当然正式に申し入れて認識の誤りを正すべきだ、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 私自身の口から在京大使、これはベトナムに帰って数カ月たって帰ってきた大使でありますが、いまの件を指摘して、中国に厳重な警告を与え、自重を望んだということはちゃんと記録にも残っておるし、事前に中国に了解を与えるようなことは断じてない。しかもその後においても一方的に中国に同調した点はいささかもない。のみならず、場合によってはベトナムの立場になって物を考えている。国会では今後の経済協力も慎重にと言っておるが、経済協力はどんどん進んでおるではないか。この点は認識を改められたい、と申し入れをいたしました。
○中川(嘉)委員 中越武力紛争の深刻化に伴いまして、先ほども述べたとおり、ソ連の海軍あるいは空軍の動きというものが活発化していることは言うまでもないのですが、紛争が長期化した場合にわが国の船舶輸送、特に石油タンカーの航行であるとか、あるいは漁業の安全操業とか、こういった問題が出てくるわけですが、これらに支障を来す心配がないのかどうか。もちろん現段階では、そういったことに対しては御答弁も非常に困難もあろうとは思います。これはこれからの推移を見てみなければわからないと思います。しかし石油タンカーの航行とかあるいは安全操業というのは当然守らなければならない、そういう立場から、そういう心配がないかどうか。政府としてはこれらの情勢をどのように判断しておられるか、お答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 現段階では、御発言のとおり、いささかも支障はございませんが、将来においても日本政府が一方に加担せざる限りはそういう懸念はないと判断をいたしております。
○中川(嘉)委員 御答弁にありましたように、現在わが国はこの中越武力紛争においては全く中立的な立場にあるわけで、その限りにおいてはいずれの側からも海上輸送を妨害されるようなことはない、このように思いますが、大臣の御答弁の内容と若干表現は違うかもしれませんが、そういったものを妨害されることはないということには同意見であるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 妨害されることはないと考えております。
○中川(嘉)委員 それでは、万が一の事態ですけれども、加担しなければという御答弁でしたけれども、そういうことと直接間接関係あるなしは別として、万が一の事態を考慮して、将来日本船舶の安全航行というものを確保するために政府としてはどのような計画を考慮しておられるか。この点はいかがでしょう。
○園田国務大臣 そういうおそれが出てきた場合には、当事国である中国、ベトナムはもちろんのこと、関係諸国と密接に連絡をし、情報の交換等をやりつつ航行の安全を図る対策を講じたいと思います。
○中川(嘉)委員 そうしますと、この安全航行を確保する手段といいますか、物理的なそういうものではなくして、あくまでもいまのお答えのような、当事国両国との密接な連携においてそういう必要性が起きないように努力をしていく、こういうふうに解釈をしてもよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 そのとおりでございます。
○中川(嘉)委員 くどいようですけれども、万が一の事態、何かが起きたというような場合に、そのような当事国間との話し合い、密接な連携だけがすべて力を発揮するかどうかということも非常に疑問があるわけで、くどいようですが、その場合に備えての船舶の安全航行というものを確保する手段、物理的なものと言うといまは言い過ぎかもしれません、しかしながら当局としてこういった事態の発生ということも一応想定された準備といいますか、そういうものも勘案していていただきたいことを本席で要望しておきたいと思います。
 次に、米中国交正常化で台湾の今後の動きが注目されるわけですけれども、中越武力紛争によって台湾の動向というものはどんなものか。何らかの動きを示しているのかどうか。台湾は中越武力紛争に対してどういう態度を見せているのか。また台湾の世論というものは一体どんなものか。外務省としてつかんでおられる範囲、これは質問として一応聞きおいておきたいと思います。
○柳谷政府委員 私どもも注意して見守っているわけでございますけれども、一口に申しまして、現在特に台湾内部等において大きな動揺とか動きはないようでございます。台湾当局においてはこの情勢について非常に関心を持って見ているということは当然だと思いますけれども、私どもが見る限り、特別な事象はいまのところ見出しておりません。
○中川(嘉)委員 中越間に武力紛争が続く限りいわゆる捕虜という現実も不可避ではないかと思うわけですけれども、わが国としては、いずれの側の捕虜に対しても人道的な処遇が与えられるように配慮すべきではないだろうか。こういう見地から、政府は、中越両国政府に対していわゆる捕虜の待遇に関する条約、それから戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する条約、これは総称してジュネーブ条約と言いますが、これを十分に尊重するように申し入れを行うべきではないかと私は思います。これは尊重されてないわけではないと思いますけれども、こういったものを十分に尊重するようやはりこの際申し入れを行っておくべきではないだろうか。先ほどから、それぞれの当事国に対して、大臣は、密接な連携をとりながらあらゆる面で努力を払っていく所存であるとお話しでありますが、こういったものも含んでそういう御努力がなされてしかるべきじゃないだろうか、この点はいかがでございましょうか。
○園田国務大臣 貴重な御意見を拝聴しましたから、よく検討いたします。
○中川(嘉)委員 たとえばですが、この中越両国政府に対して、必要とするところの医薬品等の供与、こういったものを提案するお考えはないかどうか、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 状況の推移を見て、そういう必要があり、また、関係国から要請があればそういうことも考えなければならぬと思っております。
○中川(嘉)委員 関係国から要請があれば、ぜひそのようにお願いしたいわけですが、状況の推移ということになりますと、たくさんの死傷者がすでに発生している、こういう現実の事態というものを踏まえた政府としての対応がいま強く望まれているということを十分御承知の上で、一刻も早くこういった対応をしていただきたい、このように思います。
 次に、テーマを変えまして、朝鮮問題ですけれども、三月一日から韓国を舞台として大規模な米韓合同軍事演習、いわゆるチームスピリット79、これが十七日間にわたって行われることになっております。昨日も予算の分科会でどなたか御質問しておられたようですが、今回のこの米韓合同演習の目的はどういうところにあるのか、これが第一点。この合同演習に参加する米軍というのは在日米軍も含まれるのかどうか、これが第二点。それから、在日米軍基地もその演習に使用されるのかどうか、これが第三点。政府がつかんでおる、実態というものをお答えいただきたいと思います。
○柳谷政府委員 先ほどお答えできないで失礼いたしましたソ連海軍の状況でございますけれども、防衛庁その他を含めて得られた数字をちょっと御披露いたしたいと思います。
 トンキン湾には、ミサイル巡洋艦クレスタ級が一隻、護衛艦が一隻、掃海艇が一隻、情報収集艦三隻、測量艦一隻、給油艦、これは油を補給する艦、一隻というようでございます。それから、東シナ海には、ミサイル巡洋艦一隻、駆逐艦一隻、それから給油艦一隻。なお、中ソ国境の状況は、トンキン湾等の状況以上になかなかわからない状況でございますが、一口で申しまして、特に目立ったような動きは見当たらないというのが大方の判断のようでございます。
 以上、先ほど足りなかった点を申し上げます。
○中島(敏)政府委員 チームスピリット79についてのお尋ねでありますけれども、まず、演習の目的、内容につきまして、一月末、在京米大使館より通報を受けたところによりますと、この演習の目的は、朝鮮半島における不測事態に対する米韓の合同の防衛作戦を通じ、指揮官、幕僚及び部隊を演練することにある、こういうことだそうでございます。
 それから、この演習に参加する在日米軍の参加規模でございますが、同じく在京米大使館より受けました通報によりますれば、陸軍関係はまずありません。それから、アメリカの海兵隊につきましては、第三海兵師団水陸両用船上陸部隊、それから、第一海兵航空団所属のF4、A4、A6、AV8A等の飛行機、これが人数で計七千名、それから、アメリカの空軍でございますけれども、第十八戦術戦闘航空団所属のF4、RF4Cなどの飛行隊、それから第三、四、五戦術空輸航空団所属のC130飛行隊、これらが合計千五百名、それから、アメリカの海軍の第七艦隊の関係でございますが、一個空母機動任務軍、艦載機を含む、それから、両用船部隊及び支援部隊、これが計九千九百五十名、日本関連の米軍が合計で約一万八千五百名ということになっております。
 それから、三番目のお尋ねは、在日米軍基地がどのように使われているかという点でございますが、同じく米側からの通報によりますと、まずアメリカの海兵隊が、在沖繩の第三海兵師団それから在沖繩、岩国の第一海兵航空団、それから空軍の関係で、在沖繩の第十八戦術戦闘航空団、それから在横田の第三、四、五戦術空輸航空団、それから米海軍が、在横須賀の第七艦隊の一部ということでございます。なお、この演習に参加する米本土及び太平洋地域の米軍部隊の一部がわが国の施設区域に立ち寄るものがある、これはたとえばランス部隊が途中給油のため横田に立ち寄るほか、米空軍部隊の一部が途中給油のため横田、沖繩に立ち寄るものがあるということだそうでございます。
○中川(嘉)委員 朝鮮に再び戦争が起こるということを想定して、いまお答えがあったように在日米軍が出動するということ、これは日本の安全にとっても重大な関心事であることはもう間違いない。というのは、直接戦闘作戦行動、この事前協議事項に関連するわけで、わが国としては、この演習の仕方とかあり方、こういったことに重大な関心を持たざるを得ないわけで、むしろ重大な関心を持つべきである、私はこのように考えますが、この点はいかがでしょうか。
○中島(敏)政府委員 今回の場合には、いずれにしろ演習でございますので、実戦の場合にそれがいかなる在日施設区域の使用の仕方をするかということが問題になると思いますが、従来からもお答え申し上げておりますとおり、戦闘作戦行動を在日施設区域から発進させるということがあれば、実戦の場合には当然にこれが事前協議の対象になりますし、戦闘作戦行動の発進ではなくて、当該地域、具体的には韓国地域に部隊が移動していく、そこで戦闘行動に入るというようなことであれば、これは事前協議の対象にはならない、こういうことになると思います。
○中川(嘉)委員 言葉じりを云々するつもりはありませんけれども、いずれにしても演習である、私は、やはり実戦のための演習ではないだろうか、こう思うのです。たとえて言えば、入学試験のための勉強というようなもので、演習だから大丈夫だろうみたいな考え方というものはあってはならない、こう思います。今回の米韓合同演習は在日米軍基地からの直接発進はないという前提で行われているのかどうか、直接発進というのは、直接戦闘作戦行動を意味することは言うまでもないわけですけれども、直接発進はないという前提で行われているのかどうか、この点はいかがでしょうか。
○中島(敏)政府委員 ただいままで私どもが承知いたしておりますところでは、戦闘作戦行動のための直接発進のための演習というようなものは見当たらず、むしろ給油基地として中継するとか、それから部隊が当該演習地域へ移動していくというような形態をとっているように思っております。
○中川(嘉)委員 直接発進はないといういまのなには正式に確認をされたのですか、どうでしょうか。正式に確認をされたかどうか。
○中島(敏)政府委員 直接戦闘作戦行動を発進させたかどうかということを特別に聞いて尋ねたのかどうかというお尋ねであれば、そのような形で米側に尋ねたことはございません。ただ、従来米側から受けておりますこの演習への参加形態を聞いておりますと、いわゆる戦闘作戦行動の直接発進というような形ではないのではないかというふうに承っているわけでございます。
○中川(嘉)委員 ただいまのような想定が非常に将来に危険を残すと私は思うのです、ないのではないか。もしこの点が確認されていないならば自由発進に直結していく危険性というものも当然持っていると言わなければならない。直接発進はないという前提の演習であることを、では外務省はどうような形で確認をこれから、これはしていかなければならないはずです。では、どのような形で確認をしようとされるのか、はっきりしていただきたいと思うのです。
○中島(敏)政府委員 先生よく御承知のとおり、わが国の施設区域を発進基地として戦闘作戦行動を行おうと米側がする場合には、これを承前協議の対象とするということは安保条約に基づく条約上の義務でございます。そしてアメリカは従来からこの条約上の義務を誠実に履行するということを言っているわけでございます。したがいまして、わが国といたしましては、本当に実戦の場合に米側がもしそのようなことを考えるということであれば、当然に条約上の義務を履行してくるものというふうに確信いたしておるわけでございまして、個々の演習の場合に、実戦の場合なら事前協議をやるだろうかどうだろうかということを一一詰めるというようなことはしておらない、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 米側を信じてということでありますけれども、要するに事前協議のこういったことが結局は形骸化につながるのじゃないか、そのようなおそれが出てくるのじゃないだろうか、このように思うわけで、くどいようですけれども、いま伺ったわけです。政府として今後とも十分な関心と対応、これを講ずべきであることをこの席で強く要望しておきたいと思います。それでないと、この問題をずっと詰めていきますと時間がありませんので、これはこれとしてきょうは伺っておきます。演習はあしたから始まるわけですから、いまからばたばたというわけにいかないものもあるかもしれない。しかし、これは将来のためを思ってこのような要望を強くしておきたいと思います。
 さらに一問だけ、事前協議の問題です。事前協議に際して日本側がイエスと言う場合、その都度協議をするのかあるいは一括して無期限にそれを認めることを意味するのか、これは非常に重要な問題ですので、確認をしておきたいと思います。
○中島(敏)政府委員 この点も安保国会以来しばしば御論議のあるところでございますが、政府がたびたび申し上げておりますことは、事前協議の回答を、一つの大きな発生したその紛争全体に対して包括的に事前に回答をするということはあり得ないということが一点でございます。他方それでは、今度は逆に、一機一艦の行動一々について事前協議を行うべきかということになれば、必ずしも実際問題としてそのようなことは実際的ではないであろう。したがいまして、そのような事態が起こった場合には具体的な状況に応じて合理的な範囲で事前協議の問題を処理していく、こういうことになるかと思います。いずれにいたしましても、包括的に回答を与えることはない。他方、一機一艦一々についてやるということでも必ずしもないであろう。具体的状況に応じて処理されるべきものであるというふうに考えているわけでございます。
○中川(嘉)委員 この問題は先ほどの問題と関連しますので、いままでも国会の場でしばしば論議されたことですから、これを踏まえて、また改めて論議を展開していく必要があると思います。
 時間がありませんので次に急ぎます。
 大臣の御意見も伺ってみたいと思いますが、政府は南北朝鮮の話し合い、緊張緩和のために国際環境づくりを行うと言っておりますが、こういった時期に、しかも従来より大規模な軍事演習が行われて在日米軍基地が使用されるということは、政府の言ってきた国際環境づくり、こういったものに反するのではないか、このように思いますが、大臣はどのようにこれにお答えになられるか、伺いたいと思います。
○園田国務大臣 日本と米国の場合と、韓国と米国の場合は若干の相違があります。日本と米国の場合は、御承知のとおりに独立をした軍事共同作戦ということになるわけでありますが、韓国と米国の場合には指揮系統が一本になるわけであります。したがいまして、今度の演習は、想定は状況づくりでありますが、この演習の目的というのは、指揮系統が一本になる韓国軍と米軍との共同訓練というのが主目的であって、これは御承知のとおりに例年やっている演習でございます。いまいろいろ御発言あった点は十分留意をしなければなりませんけれども、やはり問題はいまおっしゃったように、南北対話が始まった時期にこういう演習が果たしていいか悪いかという問題は、まじめに考えなければならぬ問題であると存じますが、これは三十八度線はずっと下がって南の地区で行われる。それからもう一つは共同訓練が主体である。こういうこと等も考えて、すでに実施の段階に入ったわけでありますから、わが方としては、南北対話の現状というものを十分米国は考えて、基本的には米韓両国の問題でありますけれども、周辺にある日本としては、特に基地等を使って通過をするということでありますから、刺激をしないように十分配慮されたいという申し入れはしてございます。
○中川(嘉)委員 符に朝鮮の両当事者間では、平和的な自主統一を目指した対話というものが現在再開されているわけですから、南北の軍事衝突というものを前提とした、先ほどの御答弁の中に、朝鮮半島の不測の事態という言葉が飛び出しておりますけれども、これは私個人のあれかもしれません。非常に刺激の強い言葉なんで、不測の事態、いまは南北が対話をしていこうじゃないか、現実にそうなってきている、そこにおいて周りから不測の事態、韓国も当事者ですけれども、こういう言葉が出てくるのは、非常に刺激的な意味合いが強いように私は思うのです。南北の軍事衝突を前提とした大規模演習が行われるということは、平和的な話し合いに好ましい結果を及ぼすものではない、このように思います。特に北側が三月一日からあらゆる軍事行動を無条件かつ即時停止するように呼びかけている。北の方がそのように呼びかけている。一方で、同じ三月一日から大規模演習を行うということになりますと、やはり南北の対話への悪影響というものが懸念されると考えざるを得ない。ただいま申し上げたとおりです。したがって、政府は、米韓両国に対して今回の軍事演習というものを再考するように求めるべきではなかったのか、このように思います。きょうのあしたですが、いまの時点においてすら、この演習というものは、ここでは例年とは言われたものの、やはり時代の推移といいますか、国際環境の変化があるわけですから、このように非常に良好な関係を保とうという矢先において、そういうような軍事演習はちょっと思いとどまるべきではないだろうか。日本政府として果たすべき役割りというものにもつと忠実でなければならなかったのじゃないか。本件に関して政府は事前に何らかの対応をしたのか、全くやらなかったのか、もしやらなかったとするなら、なぜこのように関心を持たなかったのか、最後にこの点についてお答えを伺いたいと思います。
○柳谷政府委員 お答えいたします。
 先ほどアメリカ局長が申しましたように、この演習の行われることについては、事前に連絡があったわけでございますが、私ども、アメリカ側といろいろ朝鮮問題を含めまして意見交換をしておるわけでございますが、この合同演習の話がありましたときにも、あわせて南北対話の現状、見通し、これに対するアメリカ側の考え方についても、いろいろ意見を聞いたり交換したりしているわけでございます。その中で、私どもからも強く指摘し、またアメリカ側も同意見でございましたのは、この南北対話という好ましい動きについて、これがぜひ再開に至り、あるいはさらに実を結ぶということがきわめて望ましいという点においては一致しておりました。
 こういう話し合いの際に、アメリカ側は、今般のこの合同演習は、現在の時点における朝鮮半島の諸情勢の中で毎年行っている演習を、ことしも防衛的なものとして行うのであるということでございまして、したがって、先ほど大臣も御答弁いたしましたように、これが南北対話に悪影響を与えるものではない、こう考えておるわけでございますが、アメリカ側におきましても、将来のこととして、南北対話がさらに実を結んでいきます過程で、現在のように南と北双方に相当な軍事力があるという、その軍事力が一つの支えになって存在しているようなバランスが次第に改善、緊張緩和に向かうことは望ましい。この点においては、日本もそう思い、米国もそう思っているという、その認識は一致しているということは、今般も再度確認している次第でございます。
○中川(嘉)委員 先般来予算委員会でも大臣に御質問した、例の仲介の問題、あるいは会談の場所を提供するような問題、さらにはきょうの中越武力紛争にかかわる諸問題、そしてまたこの朝鮮の問題、いろんな面で私ども発言ないしは提案をさしていただいておるわけです。こういったことについて、もちろん大臣がいままで一生懸命御努力されていることは私ども十分わかるわけですが、引き続き鋭意平和的な解決のため、また朝鮮に関してはそのような事態、不測の事態といいますか、そういったものが起きないように、事前に十分な対応をしていただきたいことを強く要望して、ちょうどお昼の時間で、食事の時間割いてしまいまして大変恐縮でございますが、ちょうど時間がきましたのでこの辺で終わりたいと思います。
○塩谷委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十九分開議
○塩谷委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑を続行いたします。高沢寅男君。
○高沢委員 私、大臣に、いまの中国とベトナムあるいはベトナムとカンボジア、こういう関係でひとつお尋ねをいたしたいと思います。
 初めに、中国とベトナムのいまの戦争状態、これは、もちろん、ある日突然起きた現象ではなくて、その前からのずっと経過があってこういうことになった、こう思うのであります。そこで、その経過をどういうふうに見るかということが、事柄の本質を見るやはり大事なポイントではないか、こういうふうに思うわけですが、実は大臣御存じかどうか、日本ベトナム友好議員連盟というのがあるのです。これは自民党、与党の方からも参加されていますし、もちろん私たち社会党も参加しております。木村武雄さんが会長で、実は私はその超党派の議員連盟の代表幹事、こういう立場を務めております。そこで、この問題についても東京にあるベトナム大使館の関係から、そのときどきいろいろな説明を聞いてはいるわけなのです。そういう説明を聞きますと、こういういわれがある、経過があるということなのですが、それについての大臣の御見解をお聞きしたいと思うわけなのです。
 こういうことのそもそもの発端は、御承知のとおり、中国はソビエトが敵である。このソビエトに対して対ソ包囲網をつくっていくというやり方が中国のいまの国際路線の一番の基本方針になっておる。そこで、そういう中国の国際路線にベトナムも協力しろ、おまえも対ソ包囲戦線の一翼に入れということを中国は要求した。それに対してベトナムは、それはお断りした。断ったところが、言うことを聞かぬのはけしからぬというような形で、ベトナムに対するいろいろな仕掛けがかけられてくるようになった。その仕掛けのたとえば一つが、カンボジアのポル・ポト政権を使って、国境紛争の仕掛けをさせる。これはその一つのあらわれだ。あるいはベトナムにいる華僑に対して、おまえたちは殺されるから早く帰れ、こう言って、十数万の華僑をどんどん中国へ帰らせるというようなことも、中国が仕掛けてそういうことが起きたのだというような説明で、それが結局今日の事態にまで至った。ベトナム側に言わせると、そういう経過になっておる、こういうことなのであります。
 そこで大臣にお尋ねしたいことは、たしか昨年の七月にベトナムの外務次官のファン・ヒエンという人が来日されました。それから十二月にはグエン・ズイ・チン外務大臣が来日されて、もちろん大臣はそのたびに会談をされているわけですが、こういうベトナム側の説明を大臣はお聞きになったことがあるかどうか、それをまずお尋ねしたいと思うのです。
○園田国務大臣 ただいまのようなお話を承ったことはございません。
○高沢委員 そういたしますと、いま私がごくかいつまんで申し上げたそういうベトナム側の説明というものに対して、大臣はどういう感想をお持ちか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 いまベトナム側と中国側は言い分が真っ向から対立しているわけでありますが、いまのような段階で、いまのお話を承って参考にしたいとは思っておりますが、これに対する私の所感を申し述べることはいささか穏当でございませんので、お答えは許していただきたいと思います。
○高沢委員 私としては、こういうふうな説明が本当に事実そうであるのか、いずれにせよこれらのことはなかなか外へはっきりとあらわれてくるものではありませんので、その判定は大変慎重にしなければいかぬというふうに思うわけです。ただ、現実のこの事態というものはこれからも発展してくるわけですから、そういう発展を見ていく中でさかのぼって考えてみて、なるほどそうだったかというような見方のできる段階も当然くるだろうと思うのであります。そういう意味においては大臣も、こういう事柄の性格を、こういう見方もあるということをひとつ頭の中に置いて情勢の発展を見ていただきたい、このように考えるわけです。
 さて、そういう立場からカンボジアの事態についてひとつお尋ねをいたしたいわけですが、ことしの一月八日にこのポル・ポト政権は、プノンペンが陥落するという形で崩壊することになったわけです。それを受けて一月十日に、今度はカンボジアの救国戦線の政府ができた。カンボジア人民共和国が樹立されたということを宣言した、こういう経過になっているわけであります。しかし一方、そのポル・ポト政権の側ではその後ゲリラ戦をやっておるというように伝えられているわけですが、このゲリラ戦のいろいろなニュース、私たちも新聞などで見るわけですが、そのニュースの出どころを見ると大体バンコク発あるいは北京発というようなニュースになっているわけです。このゲリラ戦が行われている状況について、外務省としてはどういうふうなニュースといいますか、どういうふうな資料をもとに状況判断をされているのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○柳谷政府委員 率直なところカンボジアの情勢は非常にわかりにくいというのが実情でございます。御指摘のような、各地から来る外電のほかに、関係方面との意見交換、情報交換も鋭意いたしておりまして、それらの情報を取捨選択と申しますか、比較検討して、大体この辺が間違いないだろうというようなことで私どもは判断しております。特定の情報と申しますよりも、やはり種々の情報をあわせて大体間違いない、こう判断するというのが現状でございます。
○高沢委員 そういうような総合判断をされているというその上に立ってまたお尋ねしたいわけですが、ポル・ポト政権の今後、いまゲリラ戦を戦っているということは、言うならばもう一度プノンペンを取り返して、ポル・ポト政権としては自分たちのカンボジアにおける政権としてのそういう支配体制をもう一度確立するということを恐らく目指してやっているのだろうと思うのでありますが、ポル・ポト政権がもう一度カンボジアの国民を有効に統治する、有効に支配する、そういう政権としてカムバックできる可能性があると御判断になるのかどうか、その見通しをお尋ねしたいと思います。
○柳谷政府委員 お答えいたします。
 プノンペンが陥落いたしまして新政権ができた後の状態におきまして両方に非常に苦しみがあるのではないかと私どもは思います。ポル・ポト政権側は首府を失い、また従来の政策が必ずしも民衆から十分に支持されてなかった面もあったり、それから補給の問題がなかなか困難だということもありまして、人民戦争、ゲリラ戦に訴えて山地に入ったようでございましたけれども、よほど大きな情勢の展開がない限り――その大きな情勢の展開の中には、実は中越間に何か動きがあった場合も含めて当時考えたわけですが、独力では、御指摘のような、プノンペンに戻るというようなことは非常に困難ではないかということを感じておりました。他方、サムリン政権の方も、電撃戦で政権につきましたけれども、点と線を確保したということで、なかなか面まで至っておりませんでしたし、また行政能力等が非常に不安とされておりましたので、これがまたカンボジアにおいて非常に有効な支配を早急に確立できるかどうかも懸念されるということで、かなり長い間いずれともつかない状態が続くのではないかと考えたわけでございます。
 その後、この中越の状況がこうなりました後、最近の一部の報道では、カンボジアにいるベトナム軍が精鋭軍と新しく編成された師団とに入れかわったとか、あるいは全体の数が減らされて一部ベトナムの北部の方へ動いたらしいという情報はございますけれども、まだ確認されておりません。もしそれが事実ですと、先ほど申しましたプノンペン陥落の時点の私どもの判断は少しほかの要素によって影響を受けるかと思います。しかし、いずれにいたしましても、最近報道されますように、ポル・ポト政権側は、補給のために特に重要な南部のコンポンソムの奪回などをいろいろねらって、かなり活発な動きがあるやに伝えられておりますので、一時よりは盛り返したという感じはいたしますけれども、さりとて近い将来に全面的にもとに戻るというような状況はいまの諸情報で見る限りまだあらわれていない、大体そのように見ております。
○高沢委員 そういたしますと、カンボジアと日本との国交関係、従来はポル・ポト政権を相手とする国交を結んできた、こういう状態できたわけですが、それがいまのような、事実上倒れて、そしてどこかでまたカムバックを目指してやっておるというような状態になった、一方では新しい政権がみずから設立を宣言したというような状態で、しかし、これがこの先どういうふうな安定の道をたどるかということを見きわめるには一定の時間がかかる、こういう状態だと思うのです。われわれもそのカンボジアの状態を直接に知る方法は何もないというような状態のもとで、先ほど言いましたベトナムの在京の大使館の方から説明されることの中に、救国戦線の政権も大変カンボジアの民衆の支持を受けて、そして刻々とその体制が進んでおるというようなことがあるわけですが、実際にそういうふうになるかどうかはやはり一定の時間をかけて見きわめていかなければいかぬ、こう思うわけですが、その辺のカンボジアの政権の承認問題というのはどういう状態、あるいはどういう段階で現実の問題になってくるのか、そのことについてお尋ねをしたいと思うわけです。
○柳谷政府委員 先ほども申し上げましたように、首都を追われたということは事実でございますが、なお地方においてゲリラ戦を展開しているという状況でございます。
 他方、サムリン政権のいわゆる人民革命評議会側もカンボジア国内に有効な支配を確立したというふうに判断できる状態にはなっておりません。したがいまして、現在のところ前政権にかえていまのサムリン政権を承認するということを考えておりません。
○高沢委員 その点はまた今後の事態の推移を見守るということで一応預けて、次の問題へ進みたいと思います。
 昨年の十二月にグエン・ズイ・チン外務大臣が来日されたとき、外務大臣との間で会談をされて、日本からベトナムに対する援助の取り決めをされたと思うのでありますが、その際の取り決めされた援助の内容、これはどういうふうな内容のものかお尋ねしたいと思うのですが。
○武藤政府委員 昭和五十三年度におきまして、ベトナムに対しましては百億円の借款と四十億円の無償協力を供与したわけでございます。昨年の十二月、グエン・ズイ・チン外務大臣がお見えになりましたときに、当時における私どもの意図といたしましては、来年度におきましても同規模の援助を継続するというお話はした経緯がございます。
○高沢委員 いまお話のあった五十三年度のそれも含めてその後、五十四年度あるいは五十五年度というような、将来へ向けて全体で四年計画で、有償で二百億、無償で百六十億、合計三百六十億の援助の約束をされた。そのほかに米を十五万トン、それからチョーライ病院に対する医療技術の援助をやるというような取り決めをされたというふうに聞いておりますが、この事実の関係はどうでしょうか。
○武藤政府委員 ただいまお話がございましたような三百六十億円というような取り決めをした事実はございません。先ほど申し上げましたとおり、五十三年度につきましては百億円の有償協力と四十億円の無償協力ということを取り決めたわけでございますし、それから五十四年度につきまして、グエン・ズイ・チン外務大臣が見えましたときに、今後も同規模のというお話をいたしましたのは、まだ正式の取り決めということではございませんで、いずれ五十四年度中にそういうものを正式に取り決める段階が来るであろうということを予想しての話であったわけでございます。
 それから、チョーライ病院に対します医療協力につきましては、これはその当時予定しておりましたお医者さん方の都合がつかないというようなこともございまして、いまは延期しているという状況でございます。
 それから、お米の問題につきましては、アジア局長の方からお答えをいたします。
○柳谷政府委員 グエン・ズイ・チン外務大臣が来られるかなり前から、ベトナムは洪水その他の理由で非常に食糧不足、お米不足であるということで、世界各国に援助を求めておられました。同じ社会主義圏から大部分を得たいけれども、足りないので、その他の友好国からも協力を得たい、こういう話がかねてあったわけでございます。
 そこへグエン・ズイ・チン外務大臣が来られましてさらに具体的な話がございまして、結局十五万トンの米を貸与するということについてわが方からの意図を表明いたしました。その上で食糧庁との間で一次的な話し合いがあったわけでございますが、先方はこの話を持ち帰りまして、遠からずまた具体的話し合いに入りたい、細かい契約等の話に入りたいと言って帰られたわけでございますが、自来今日まで、先方から何らの接触を見てないというのが実情でございます。
○高沢委員 それでは、いまの御説明で全体のベトナムに対する援助の枠組はわかったわけですが、この中で、五十三年度の分はもうすでに実施された、あるいはいまされつつある、こういうふうに見ていいわけですか。
○武藤政府委員 五十三年度の分につきましては、まず無償の四十億円につきましては昨年の四月二十八日に交換公文が締結されました。それから百億円の有償協力につきましては昨年の七月七日に交換公文が締結されまして、現在進行中でございます。
○高沢委員 そうすると、いま言われた米の方も、現在実際に行うための措置を進めつつある、こういうふうに見ていいわけですか、お米の現物貸与。
○柳谷政府委員 先ほど申しましたように、これは今度初めての話でございまして、五十三年度はないわけでございまして、いままで日本がパキスタン等に、やはり食糧が非常に不足したときに貸した例がございます。大体十年間お貸しして、同質米で返却してもらうという取り決めになっておるわけでございます。食糧庁の担当の方からその過去のわが方が貸与した先例等を詳しく説明いたしたわけでございます。先方はそれを詳しく聞いて、いずれ遠からず具体的な契約の話を始めたいと言って帰られて、今日まで先方からの動きがないというのが現状でございます。
○高沢委員 そうすると、先方から米の問題はひとつ具体的にこう進めたいというアプローチがあれば、こちらとしては受けるというふうに理解していいわけですか。
○柳谷政府委員 この点につきましては、カンボジア情勢があのように急変いたしました後に、日本政府といたしましてベトナムに対する当面の経済協力については事態の推移を慎重に見きわめて決めていきたいということを公にしておるわけでございます。したがいまして、お米の話につきまして申し上げますれば、いつの時期にどのような形で先方から話し合いたいと申しますか、交渉に入りたいという申し出があるか、その時点において考えるというのが現在の姿勢でございます。
○高沢委員 そういたしますと、これは今度は大臣にお尋ねしたいわけですが、先ほどの説明で、五十三年度の借款百億、それから無償四十億ですね、これとほぼ同じものをまた五十四年度もやりましょう、こういうことでグエン・ズイ・チン外相とは話し合った。それを具体的に実施するにはそれなりの交換公文を結ぶとか、こうなっている。それからいまの米の問題もそういう具体的な話し合いにこれから入ることになるが、しかし、これら全体についてはカンボジア情勢ということの中で、これをいわば一時見合わせというのかあるいは凍結というのか、そういう措置をとる、こういうふうに理解していいわけですか。
○園田国務大臣 いまの事務当局の説明の中でお米の問題があるわけでありますが、これは経済協力というよりも救援米でありますから、人道上の問題から出てきている問題であります。その後、ベトナムではお米の事情が少しよくなったという話もありますけれども、今度の事変で条件の申し出がおくれておるのかどうかわかりません。しかし、これは申し出があれば話し合いをすべき問題であると考えております。
 なお、その後の問題は、おっしゃるとおり今後具体的に相談すべき問題でありますけれども、私は凍結ということは一回も実は使っておりません。これは非常に微妙な答弁をいたしておりまして、やはりASEANの諸国が懸念を持っておってASEANの諸国に不安を与えるようでは私の方では経済協力というのはなかなかやりにくいのだ、だからあなたの方はひとつASEANの諸国に懸念を与えないように努力をしなさい、外務大臣は十分努力をする、こういう話をしている。それを受けて今後の情勢を見ながら両国で相談をする、このように受け取っていただければ結構でございます。
○高沢委員 世上伝えられるごく生な話としてカンボジアにベトナムの軍隊が入っておる、侵入しておる、これはけしからぬ。したがって、そういう事態では援助はやれぬというように、ごく生に表現すれば。そういうふうな理解がずいぶん世上にはあるわけです。いまの大臣の御説明は必ずしもそういうものじゃないという、もっと慎重な御説明があったわけですが、しかし、カンボジアにベトナムの軍隊が入っておるということについては、これは政府の公式な立場として外務省はそのように認定されているのかどうか、ここをひとつお尋ねしたいと思うのです。
 ベトナムの大使の説明によれば、カンボジアが国境戦争を仕掛けてきた、仕掛けてきたのには反撃をした、しかしわれわれはそれ以上入ってない、こう言うのです。ベトナムの軍隊はカンボジアへ入ってはいない、ポル・ポト政権が倒れたのはカンボジア国内の民衆の立ち上がりで倒れたのだ、こういうふうな説明をしているわけですが、これはつまり、ベトナムの軍隊はカンボジアへ入っておりません、こういう説明。それに対して、いるに違いない、いるはずだ、こういうふうなニュースがずいぶん多いわけですが、そこの判断をどういうふうに外務省としてはしておられるのか、それをお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 ベトナムは、おっしゃるとおりにポル・ポト政権がしばしば国境侵犯を侵して武力攻撃をしてきた、したがってこれを反撃しただけだ、こう主張しているわけでありますが、カンボジア領内にベトナム軍がいないという主張はしないわけであります。国連の安保理事会の大多数の国々はカンボジアにおいてベトナムが侵略者だとかなんとかというきめつけはいたしておりません。しかし、少なくともカンボジアにおける情勢というものは、ベトナムが非常な深いはなはだしい影響力を与えた、こういう奇妙な結論をやっているわけでありますが、私の方はいまのベトナムの問題もカンボジアの問題も両方とも侵略であるとかなんとかということは、これは両方の言い分が違うわけでありますから、そういうことをきめつけることよりも、いずれにしても、紛争を力によって解決をし、他国に軍隊を入れることは反対である。よって即時停戦、撤退、こういうことを一両方に要求しているわけであります。
○高沢委員 いまの点、一つのポイントだと思いますので、もう一度お尋ねしますが、ベトナムの大使がわれわれに説明するときに、私もこの点、大変大事なポイントですから何回も聞いたのです、入っていないのですかと。いるんですかいないんですか、はっきりしてくれ、こういうふうに聞いたわけですが、ベトナムは軍隊はカンボジアヘは入れていない、こういうふうに答えるわけです。そしてまた、この種のことがあれば大抵その写真が出るとか、その入っていた軍隊がこんなふうにやっているという現実の姿が出るとかするのが普通です。いまの中国の軍隊がベトナムへ入っているのは、これは明らかにそういう写真もあり、これはだれが見てもそういう姿であるわけですが、カンボジアにおけるベトナムの軍隊というのはいろいろ言われのだけれども、その姿はだれもこういう姿として証明する客観的なものはない、きわめて奇妙な状態だ、こう私は思うわけですが、そういう状況だということで、もう一度大臣の御判断をお尋ねしたい、こう思うわけです。
○柳谷政府委員 前にもこの国会でも御説明があったと思いますけれども、ベトナム側の説明は、二つの戦いがあるのであるという言い方でございまして、一つは国境紛争である。これはベトナム側に言わせますと、カンボジアが何十回、何百回とベトナム領内に侵入したので、これを自衛のために追い払う、自衛の戦いである。これが一つの戦争である。もう一つの戦争は、カンボジア人民の中の戦争であって、信任を失ったポル・ポト政権に対して立ち上がった民衆が内部で戦っているのである。そこでベトナム側のつけ加えておられまずのは、そういう人民の戦いに対してベトナムとしては自分の能力の範囲内において協力するのだ、こういう言い方をされているわけでございます。
 それから、いろいろ情報はあったわけでございますけれども、一つの例を申し上げますと、一月二十六日にプノンペンでカンボジア人民革命評議会国防担当副議長が勝利の祝賀集会というのをやっておりますが、このときの副議長の演説の中に、われわれの輝かしい勝利は特にベトナム及びラオスの党、政府、軍隊及び人民の支援のおかげである、こういうことを発言しておられる事実がございました。
○高沢委員 それでは、この問題もいずれ歴史が解決するということでひとつ見守っていきたいと思います。
 そこで次に、今度は中国とベトナムの関係についてお尋ねしたいと思うのです。
 中国の軍隊がベトナムへ侵入しましたが、その侵入する目的といいますか、口実といいますか、ベトナムはいろいろけしからぬことをやるから、いわばこらしめてやる、これに制裁を加えてやるというような言い方で入った、これが一つです。それから、そのうちに事態の発展の中で、今度はベトナムの戦力といいますか、軍事力を粉砕するのが目的だ、こういうふうな言い方も出てくる、あるいはそのうちに、今度は中国とベトナムの国境問題、この国境においていろいろな紛争があって、そしてベトナムがいろいろ仕掛けてきたから、今度は自分たちはそれに対して国境問題の解決ということで軍隊を出したのだというような、軍隊を出したことの理由づけの説明が、ああなったりこうなったりというふうなことになっていると思うのですが、まずその大前提の、こらしめてやる、こういう考え方、これは国際政治の原則の上で一体どう見るべきかということだと思うのです。ある国がほかの国をこらしめてやるというようなやり方というものが一体許されるのかどうか。私の理解では、こらしめなければならぬ場合には、国連憲章に従う安全保障理事会というものがあるわけであって、そういうところを別にして、ある国が自分の判断でよその国をこらしめてやるとかいうような考え方は、これは覇権主義ということにつながるのじゃないのか、ということについて大臣のお考えをひとつお聞きしたいと思うのです。
○園田国務大臣 こらしめてやるとか制裁するとかという言葉以前に、わが日本政府は紛争を力をもって解決することはけしからぬ、他国に軍隊を入れることはけしからぬ、こういうことでありますから、即時停戦、撤退、平和解決ということを強くしばしば要望しておるし、また以前においても非常に強く警告を発し、自重されるように望んできたことは御承知のとおりであります。これを侵略と決定するかどうかということは、いま安保理事会等でも議論されているところでありますけれども、わが日本は中国にも加担せず、ベトナムにも加担せず、全く中立の立場で両国に対して平和解決を望んでいるわけでありますから、これを侵略とかあるいは覇権とかということで私が言うことは今後の問題でやりにくくなってまいりますので、お許しを願いたいと思います。
○高沢委員 ついでに参考までにお聞きしたいと思うのですが、ケ小平副首相がアメリカの帰りに日本へ、東京へ寄られて、そのときにも、こらしめてやるというような発言があったわけですが、そのことに対して大臣は何かケ小平副首相に言われたかどうか、こらしめるという考え方はよくないですねというようなことを何か言われたかどうか、念のためにお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 そのときの言葉、ただいまははっきり覚えておりませんが、そのときは即座に、私は黄華外務大臣に対して、総理はケ小平副主席に対して、力をもってそういうことをやることはよろしくないという強い警告を発しました。
○高沢委員 私は次に、この中国の行動の領土問題との関連ということをひとつお尋ねしたいと思うのです。
 二月の十七日に中国の軍隊がベトナムへ侵入を開始したわけです。そうして同時に新華社が声明を発表して、その声明の中では自分たちの行動は自衛の行動である、こういう言い方が一つ、それから自分たちはベトナムに対して領土的な目的は何も持っていない、領土を取るという目的は持っていない、こういうふうな声明を発表しているわけです。ところが、その後ベトナム、中国のいろいろな戦いの行われている中で、これは何か北京からの共同通信の記者との会見の中で、名前は出ておりません、中国の当局者、こういう形で出ているのですが、その中国の当局者は、ベトナムへ中国の軍隊がいまざっと入っている、これが十キロであるか二十キロであるかあるいは三十キロであるか入っている、そうして目的を達してそのうちに引く、その引くときには中国が考える国境線というところでとどまる、そういう形で中国とベトナムとの間の国境線を、いわば事実上中国が実力で入っていって、そしてこの線だというものを自分で決めて、ここが国境だということでもってそれよりは引かない、こういうふうな言い方を中国の当局者がしているということなのです。こうなりますと、今度のベトナムに入った中国軍の行動は、これはベトナムとの国境について意見の違いがある、しかし中国はこれが国境だと思うというものを実力で実現する、こういうことになるのじゃないのか、こう思うのでありますが、大臣いかがお考えでしょうか。
○柳谷政府委員 中国とベトナムとの国境でございますが、これは基本的にはフランスがベトナムを支配した時代に国境の画定ということがあったようでございまして、中国側は従来、一般論としてはいろいろ異論異議もあるけれども、そのときに決められた国境は一般的には尊重するということを言っているようでございますが、具体的にどこが国境かということになりますと、標識等があるようでございますけれども必ずしも不十分のために、すでにずいぶん前からいわゆる国境紛争がありまして、こちらの国境だ、向こうが入った、いやおれのところだというような争いはずいぶんあったようでございます。したがいまして、その細かいところについては確かに相当広い範囲に双方の主張の違いがあるようでございますが、これは広いある地域をここが中国領である、あるいはベトナム領であるというような意味における大きな領土紛争的な争いではなくて非常に狭い、何十メートルとかそういうような範囲内における争いだということに承知しておりまして、中国がもしいま御指摘のようなことを言っているとすれば、そういう意味における中国側の考え方をこの際はっきりさせたいという趣旨であろうかと理解しております。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 国境の紛争、国境が明確でない、それが大であろうと小であろうと力をもって国境を解決することは反対でございます。
○高沢委員 いまの大臣のお答えは私もそうなければならぬ、こう思うわけですが、そういう立場で見ると、過去における中国、ベトナムの関係では一九七四年に例の南シナ海の島、西沙群島とか南沙群島とか、そういうところもお互いの領有権の意見の違いがあって、これは中国が実力で西沙群島を占領しておる、こういう事態が一九七四年に起きているわけであります。そして現在も占領を続けておる、こういうことですが、これも今度の場合と同じやり方という性格になるのじゃないか、私はこう思うのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○柳谷政府委員 西沙群島につきましては七四年の一月に中国が侵攻いたしまして、当時の南ベトナムの軍がそこにおりましたのを排除してこれを占拠して、それ以来そこを領有している状況でございます。中国側は終始一貫西沙群島及び南沙群島は歴史的にも中国の明らかな領土であるという立場をずっととっているようでございます。中国とベトナムの関係が良好なときには余りこれが顕在化しなかったようでございますけれども、その後、御指摘のような事件があって戦闘が行われて、西沙群島については中国軍が制圧して現在領有している現状でございます。
○高沢委員 そのいまの領土問題についての中国の考え方をもう一つ進めてみると、これは北京で発行されている中国の地図の写しなんでありますけれども、その中国の主張ではちょうど清朝の末期、一八四〇年から一九一九年の間にこれこれの場所を中国は外国の帝国主義勢力に取られた、その取られたこれこれの場所が本来は中国の領土である、こういうふうな地図が北京で発行されているわけです。
 その地図で見ますと、インドシナ半島全体、ベトナムもラオスもカンボジアも本来これは全部中国の領土である、あるいはマライ半島全体、これも中国の領土である、ビルマ、タイ、これも中国の領土であるというような地図になっているわけです。さらにはさかのぼって北の方へ来ると沖繩、これは中国の領土である、こういうことになっておる、あるいは朝鮮は中国の領土である、樺太も中国の領土であるというようなことになっておる、こういう地図が北京で発行されているわけです。私もいままでこういう地図があるということは聞いてはいたわけですが、これはかつての清朝末期の当時の歴史の経過を述べるものとしてこういうものが出ているのだというように理解していたわけですが、最近のようになってまいりますと、中国は本気でこの考え方で皆領土を回復するのだというような考え方を持っているのじゃないかと、実は私も最近、そういう不安の念が出てきた、実はこういうことなのであります。
 今度のベトナムに入った行動も自衛の行動である、こう言っています。自衛の行動であるということは、つまりもともとそこはおれの領土だからおれの領土へ入るのは自衛の行動だというような一つの論理があるのじゃないのかというような感じもするわけなんですが、これは振り返ってみればかつての尖閣列島、これについても沖繩全体が中国の領土であるというような考え方があれば、もう尖閣列島のごときはもちろんそうであるというようなことになるわけであって、そういうふうな立場で領土問題というものが中国の立場から出されてくるということになるとこれは大変な事態である、こういうふうに言わざるを得ないかと思うのですが、こういう中国の地図について大臣は御存じかどうか、あるいはそれについてのどういう評価と判断をお持ちか、それをお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまおっしゃいました地図は見たことはございません。初めて承ることでございます。しかしそれはあくまで歴史的経過を述べただけであって、現実に中国政府が出している地図にはそうなっておりませんし、特に尖閣列島等は日本領土としてこの地図には書いてございます。これはあくまで歴史的経過を述べたものだと考えます。
○高沢委員 いま大臣のおっしゃった中国の政府が出した地図というのは別にあるわけですね。それは後ほどそのコピーを私も見せていただきたい、このように考えます。
 そのことはそういうことにいたしまして、最後にお尋ねしたいことは、先ほどベトナムに対する援助の関係については、そういう状況の中で慎重に事態を見守って、そして適当な段階でもってそれぞれ援助をするかどうか判断をつける、こういうお話ですが、私は今日の事態では、中国に対する援助も当然同じ扱いであってしかるべきじゃないか、こう思うわけです。中国の関係は民間の経済協力、これが主体になっておりますが、ただ政府の関係で言えば、たとえば輸出入銀行とかあるいは石油公団であるとかいうような政府関係機関の関与するようなものも出てくるわけですから、そういう関係についてはベトナムに対してと同じような政府としては慎重な御判断が必要ではないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 ベトナムの援助はいまおっしゃいましたとおり政府間の約束でありまするし、少なくとも年度の具体的な話はあとに残るといたしましても、私としては、日本外務大臣として正式に約束をしている問題でありますから、これを破ると、また話し合いを破ったということにもなりかねないわけでありますから、そういう面からいっても慎重にやりたいと考えております。中国については御意見は拝聴いたしておきます。
○高沢委員 予定の時間が来たようですから、以上で私の質問を終わります。
○塩谷委員長 土井たか子君。
○土井委員 外務大臣、まずお尋ねしたいのは、いまもなお十万の兵員がベトナムからカンボジアに行ってそのままそこに存在しているという情報がございますが、これは確認なすっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 正直に言ってカンボジアの情報というのはなかなか正確かどうかわかりませんので、両方の言い分を聞いて判断するだけでありまして、確認するという状態ではございません。
○土井委員 そうすると、確認はできないけれども、一応いままで入ってくるいろいろなかの地からの情報、またいろいろな場所からの情報を総合して判断すると、カンボジアにはベトナムの兵員がいまもなおかつ存在しているというふうに考えて間違いがないということが言えるかどうか。いかがでございますか。
○園田国務大臣 ただ、私の即時停戦、外国軍隊の撤退、平和的話し合いということに対して、ベトナムの方は、カンボジアに自分の軍は全然いないとかあるいは国境を侵していないということは一言も言わないで、カンボジアに対するベトナムの行動が正当であるということだけを主張されますので、私はそれをそのまま承っておるわけであります。
○土井委員 そうすると、ベトナムの方といろいろ話し合われる感触の上では、ベトナムの方は別にカンボジアに軍隊を入れているということを否定していないというふうなことが一応は言えるということなのですね。
 それを前提にいたしまして、ポル・ポト政権がカンボジアの国内で人権を無視した弾圧を行ったという世界的な非難がいまあることを私は知っております。しかし、考えてみますと、あくまでカンボジアの国内政治の問題でございまして、そのことに対して、いかなることがあろうとも、外国、すなわちベトナムの軍隊による一方的な介入がそれがために正当化されることがあってはならない、こう思うのです。しかしまた、今度は中国がベトナムに制裁を加えるという正当性は、このことに対してはまたないと思うのです。
 そうしますと、中国がベトナムに対して制裁を行う必要をみずから主張しているということが現実の問題としてあるわけでありますから、いま外務大臣はこの状況をごらんになって、いま私が申し上げたこと以外の、中国側にとってはベトナムに対して制裁を行う必要があると唱えている動機を何か把握なさっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 中国が正式に言っている言葉は、まず最初は、たび重なる国境侵犯、武力攻撃によってやむを得ざる自衛行動だと、行動を始めてからは言っておるわけでありますが、それ以前においてはこらしめてやれということを言ったので、われわれはこれに厳重警告を発したわけであります。
 なお、中国のベトナムに対する行動、ベトナムのカンボジアに対する行動、これはいかなる理由があっても正当にはならないと存ずることはおっしゃるとおりであります。
○土井委員 そういたしますと、いまの外務大臣の御答弁どおりに受けとめてまいりますと、どちらが覇権だとかどちらが侵略をやったとか、認定できるものじゃないと思うのです。そういう意味からすれば、現段階で無理に、これは覇権行為であるとか覇権主義であるとか侵略行為であるとかいうふうなことを認定していくこと自身は、パワーポリティックスに巻き込まれることになりはしないか、このように思うわけです。したがいまして、問題は、この紛争を何とか平和裏に解決することにあると思うけれども、この点、外務大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 私もそのように考えて努力しているところであります。
○土井委員 そこで、外務大臣が私も努力中だということをおっしゃっているわけですが、いまこの状況を見て、世界でもそれなりな努力をお互いが模索しているところなんですね。
 前回の外務委員会の席で私は、中国側が主張しております自衛のための行動ということが果たして国連憲章の五十一条に言う自衛権として理解されてよいかというふうな意味で、この国連憲章五十一条の条文についての大臣なりの御理解を問いただしました。しかし、大臣のお答えはまことに慎重でございました。これに対しては諸外国と相談の上、内容に対してさらにいろいろと考えてみたいというふうな御答弁であったことは私はよく覚えておるのです。しかし、国連の場ということを求めた場合に、現実、いまの国連の場所における安保理事会の状況を見ますと、決議案文を起案することすら引き受ける理事国がないということをわれわれは知っております。玉虫色では紛争解決には一向に役に立たないのですね。中国寄りの案文を出せばソビエト側が拒否権を発動するでしょう。ソビエト寄りの案文を出せば中国側が拒否権を発動するでしょう。そういうことで世界の平和に対する安保理事会の役割りがいま試される曲がり角に来ているということを一応言えると思うのですけれども、この役割りを果たすということに対していま非常に行き悩んでいるというかっこうだと思うのです。
 そこで大臣に、大臣御自身の御所見をお伺いしたいのですが、国連に対して、いまの安保理事会の行き方に対してどういうふうなお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
○園田国務大臣 安保理事会は本日もやっておるわけでありまして、どのようになっているかわかりませんけれども、いま土井委員がおっしゃったようなことで結末をつけるのに苦労しておるというかっこうじゃないか、決議文がなかなか出せない、そこで事務総長が、事務総長の出す妥協的な決議文を何とか通そうと努力しているところじゃないかと推察をいたしております。
 そこで、安保理事会で論争されるにしても、この結論はなかなかつけにくい。私としてはどちらが罪人かということを決定することよりも、一日も早くこの戦争状態をやめて外国の軍隊が撤退をして、そして平和的な話し合いに進む、これに関連がある大国は介入しないように自重を望む、こういうことだと思っております。
○土井委員 それは、当然外務大臣としてはおっしゃるような御答弁でございましたが、前回のこの外務委員会で外務大臣は、わが国は中国とも話し合いがもちろんできる、中国と違ってベトナムとも話し合いができる数少ない国であるということをたびたび繰り返して言われた。これが、考えてみますと単に両国と国交がある国という意味でおっしゃっているのだったら、日本以外にもたくさんそういう国はあるわけでありまして、日本の場合にそのことを特に外務大臣が強調されるというふうなことを考えていきますと、何らかの特殊な立場を認識してそれをおっしゃっていらっしゃるのではないかとも思われるのです。この点は外務大臣としてはどのようなお考えがあって強調をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○園田国務大臣 私が両国と話し合いのできる数少ない国であると申しましたのは、単に外交があるというだけではなくて、今度の紛争が起こった後も両国と話ができ、連絡ができ、しかも日本の言うことは、両国ともいろいろ小さい意見はありますけれども、好意的に話を聞いてもらえる関係にあるということを申し上げたわけであります。そこで、そういう数少ない日本でありますから、無力のようでありますが、何とかこの両国間でいまの事態を正当な状態に返して、そして話し合いでいくようなことにならぬものか、こういうわけで国連でも安倍大使に訓令をして、平和な話し合いを提案をさせているわけであります。かといって、なかなかこれもむずかしいところでありまして、何とかならぬものかと思っておりましても、果たして具体的にどういうことをやるかということになると、いろいろ考えあぐねる問題もありますので、そういう念願をしつつ事態を見ているところでございます。
○土井委員 大臣も非常にこの問題に対しては思慮深く苦労をされて、考えあぐねていらっしゃるというのがよくわかるわけでありますけれども、しかしまた、両国から協力してほしいというふうな働きかけがわが国に対してあった場合には、冒険と言われようと私自身は努力したいというふうな意味の決意を込めての御発言もあるわけなのです。それで、双方の言い分はいろいろあるわけでございますけれども、中国という国は、考えてみますと国連の安保常任理事国でございますし、そうなると国際の平和及び安全の維持に対して重大な責任を背負わされているという立場でもございます。また、ベトナムはカンボジアに対しての一通の介入があったということを具体的に事実として指摘するとしても、中国という国はベトナムに比較してはるかに大きな国だというふうな立場も、これは問題にしなければならない。現実にそういうふうなことからしますと、話し合いの平和姿勢ということに持っていくために、日本としては中国との間で平和友好条約を締結している。これは隣人、大変大事な友人である。そういうふうなことから考えまして、中国に対してまず名誉ある撤収と申しますか、やはり一定の制裁というふうな意味に対しては効果を上げ得たのではないかというふうなことも含めて、名誉ある撤収というものを勧めることができはしまいかということが考えられてよいと思うのですが、この辺は外務大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 非常にむずかしい答弁でありますが、いまおっしゃったようなことも一つの考え方の中に入れて、事態を見なければならぬと思います。
○土井委員 ただ、終始一貫この問題について質問をいたします節、事態の成り行きを見守らなければならないとか、また事情の推移に即応して考えていくことが必要であるとか、また肝心の問題になりますと、これを言外にすることにおいて具体的な国際間における行動をとる場合のかえって支障になるから、したがってこれは慎むべきであるとか、いろいろな問題がございましょうと思いますけれども、しかし、ある一つの心積もりというふうなことがどうしても外交問題については必要じゃないかと思うのです。私自身はいろいろ勘案いたしまして、今回の中越紛争というのは恐らく長続きするものではないだろう、そう長引くものではないであろう、大きな戦争に発展するものには断じてならないだろう、そういう確信を持って見ているわけでありますけれども、この辺は外務大臣の感触はどのようなものをお持ちになっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 いままでの戦闘の推移、それから近く来る雨季、それからあの地帯一帯の問題、これを取り巻く環境、特に大国、ソ連、米国の動き等を見ると、そう長期化はできないのじゃないか、長期化すればかえって不測の事態が出てくるのじゃないかというような考え方は、土井委員と私も同じように考えておるわけであります。そこで、ちょっと私が両国から頼まれればという話をしましたが、これは両国から頼まれれば、事の成否のいかんを問わず、日本の力を考えずに最善の努力をすることが日本の責任だとは考えております。ただ、頼まれないうちに潮どきをいつに見るか、飛び出すかというようなことになるとこれは大変な問題でありまするし、また何かそういう場面が来たといたしましても、いま事務総長が乗り出して調停役をやれという意見も出ているわけでありますから、そういうことも勘案しながらここのところは本当に慎重にやっていかぬと、できもしないことを言ったとこうやられるし、またやる場面が来るとすれば、こちらの心持ちをちょっとでもにおわすことは、これは現実の問題として大変不利でございますから、長々とした私の答弁の中に私の真意をくみ取っていただければ幸いであると考えます。
○土井委員 そこで、もうあと残る時間で、きょう私自身がどうしてもはっきりさせたい問題が別に一つございます。法務省の入管局長、御出席ですね。
 法務省は、従前は、各議員から要求のあった出入国記録に対して、これを資料として提供することをしてこられました。今回、一月四日のアメリカにおける証券取引委員会の報告があって以来しばらくたって、法務省は、委員会からの要求があった場合に、出入国記録に対しては、この要求にこたえて出すという方向に事を変えられたわけでありますが、これは自主的な立場でそういうふうに切りかえられたのか、それともどこかからの命令に従ってそうされたのであるか、いずれでございますか。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。
 この種の出入国記録に関連いたします資料につきましては、関係者のプライバシーなどにかかわる問題を含んでおりまするので、従来とも、その提出につきましては慎重に対処してまいったわけでございますが、最近のグラマン、ダグラス案件等を通じまして、マスコミの取り上げ方であるとか、あるいはこの問題に関連いたしまして捜査が開始されたばかりの段階にあるということなどの諸事情を考慮いたしまして、私どもとしては一層慎重な取り扱いをするということにいたしたものでございまして、法務省の判断でございます。
○土井委員 法務省の判断とされてはおかしな判断だと私自身は思っているわけであります。国会というところは裁判所じゃないのです。責任追及というのも、刑事事件や民事事件の問題を取り上げてやるわけじゃないわけでありまして、政治的責任というものをあくまで政治の場では問題にしなければならない。そういうことからすると、国会審議という場所で資料要求をすることが、いまおっしゃったような理由で忌避されるというのはもってのほかだと私は思うわけであります。その法務省の考えから、実は当委員会において一月二十三日理事懇を開きまして、これは与野党一致の賛成でもって、委員長名で法務省に要求した出入国記録があります。具体的に要求している記録があります。いまだにそれを入手でき得ないわけでありますが、この理由を聞かしていただきます。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。
 いま問題の出入国歴に関します資料の提出につきまして、本委員会に多大の御迷惑をおかけしておりまして、まことに申しわけなく存じております。御要求がございましたチータム、カーン、川部王氏の出入国歴のうち川部氏につきましては、当時の記録がすべて廃棄済みであるということで提出申し上げられない旨、すでに土井先生にはお話し申し上げたことがございますが、残りのチータム、カーン両氏の出入国歴につきまして、実は調査結果はすでに判明いたしております。実は資料要求がございました一月二十三日以降、すでに皆様御承知のとおり、たとえば証人喚問を予定されておりましたと私どもも思っておりました日商の島田常務の変死であるとか、あるいは予算委員会における質疑あるいは集中審議を通じての証人、参考人の喚問等々の場におきまして、ここで御要求のありました方々の名前が再三にわたり言及されておりまして、さらに報道機関もこれを大々的に取り上げるなど、一月二十三日当時に比べまして状況が格段に変化したというふうに私ども見ておるわけでございます。このような客観的な状況の変化というものを踏まえまして、法務省といたしましては、実は現在の段階でこれらの資料を直ちに提出申し上げることはこれら両氏のプライバシーや名誉にも重大なかかわり合いがあることであるというふうに判断されますので、現在私どもといたしましては資料提出の時期について慎重に検討しているというところでございます。
○土井委員 まことにもって、もう聞くにたえない御意見であります。外務大臣お聞きになっていてどうお思いになりますか。一言感想をお聞かせください。
○園田国務大臣 入国管理局は法務省の所管でありますが、出ている局長は外務省から行っている局長でありますから、よく話をしたいと思いますが、いまの話はちょっと国会では通用しない、事務的に処理すべき問題、委員会から要求されたものを事務当局が政治判断をして出すとか出さぬとかということは、これは通用しないと思いますので、後でよく法務大臣にも局長にも話をしたいと思います。
○土井委員 いまの大臣の御意見からしましてもそうでありますが、法務省というのは憲法で言うとやはり法律遵守の義務があるのですね。もちろん憲法遵守の義務は言うまでもありません。その憲法からいって、いまの御答弁どうなりますか。また法律からいってどういうことになりますか。憲法では国会というのは、四十一条で明記してあるとおり国権の最高機関ということになっている。したがって六十二条の国政調査権の内容というのも両院に付与されているわけですね。しかもなおかつ国会法の百四条を見ると「各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」と書いてあるのです。いつ応ずるかということの判断は、これは役所にあるわけじゃないのですよ。憲法の四十一条にあるとおりです。国会の最高機関性ということをひとつ忘れずに、この問題に対しては対処していただかなければならない。国政に関する調査というのはそういう意味であるわけでありますから、いまのその御返答というのは、これは御返答としては意味をなさない御返答なんです。よろしいですね、局長。
 一月二十三日以来もう一カ月はとっくに過ぎました。こんなことは後にも先にもないですよ。そして先ほど来るる述べられましたけれども、一つお伺いします。
 外務委員会以外に、いま正式に資料要求を委員会からあるいは委員長名でされている他の委員会がございますか。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。
 私が承知しておりまする限りでは、そのような御要求はほかの委員会からはまだ正式に出ていないというふうに理解いたしております。
○土井委員 いよいよもって先ほどの御答弁というのはまことにナンセンスもいいところだということになるわけです。何かそういういわく、理由をつけていま要求にこたえないという必要がことさらあるのですか。こたえてはならないということが何かあるのですか。また、そうできないという後ろめたい何かがあるのですか。法務省いかがです。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど私が申し上げましたことの繰り返しになるのでございますが、私どもがなぜ現在提出の時期について慎重に検討しているかというバックグラウンドでございますが、これは実は最近のマスコミの報道ぶりを見ておりまして、私ども、たとえばある特定の個人というものが、グラマンであるとかダグラスの購入に何らかの形でかかわり合いがあったというようなことが判明いたしますと、容疑事実の確認というようなことも待たないで、その特定の個人というものが、ほとんど例外なく疑惑濃厚な被疑者に仕立て上げられてしまうというような、個人の人権尊重という観点から見まして、まことに憂うべき社会的風潮があるのではないかというふうに考えておるわけであります。ただいま問題の出入国記録につきましても、もしこれが外部に漏れるといたしますると、その個人の日本への出入国の事実というようなものが直ちに当人の不正行為に短絡的に結合されて、恐らく大々的に報道されるであろう。このような事態というものが私ども目に見えるような気がするわけでございます。
 したがいまして、個人のプライバシー、人権、名誉、信用というようなものが著しく傷つけられる事態というものが十分想定されるので、法務当局といたしまして、現在、個人のプライバシー尊重の観点からこの対応ぶりについて苦慮しているところでございます。
○土井委員 これはますますおかしいことをおっしゃいますね。プライバシー尊重とおっしゃるけれども、これを外に漏らしてしまうということを先ほどからしきりにおっしゃる。秘密警察でもそんなことないですよ。国会を何と思っていらっしゃるのですか。これは国会審議の上で要する資料なのであります。そのことに対しましていまの御答弁というのは、私はまことに穏当を欠くと思う。
 先ほど来、資料については具体的にもうでき上がっているという御答弁でありました。これは二ついまから聞きます。確認しますよ。
 一つは、他の政府機関にそれをすでに提出されたことがあるかどうか。法務省内でそれを要求される場所もあるだろうと思いますが、他の政府機関に提出されたことがあるかどうかですね。
 あと一つは、これはできているのでありますから、きょうにでも提出は可能であります。当委員長名で要求している資料でありますから、即刻当委員会に出す、このことがはっきりここで確認されなければならないと思います。
 よろしいですね、この二つのこと。初めのは答えてください。後のは、それに対して出しますと言ってもらえばそれで済みます。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。
 第一点の方、他の関係機関に提出したかどうか、私はその事実関係を存じておりません。
 それから第二の点でございますが、この第二点につきましては、私現在申し上げておりまするのは、現時点で御要求の資料を直ちに提出することはいかがかということについて検討を行っているのでございまして、提出しないとか、提出を拒否するという方向で検討しているわけではございませんので、いましばらく資料提出をお待ちいただきたいとお願い申し上げる次第であります。
○土井委員 私は、もうこれで質問を終えようと思いましたが、ただいまの御発言を聞いていて、これはもう一言言わなければなりません。
 一体政治的判断というのは許されていいのですか。提出するしないの時期を勝手に――ここの国会審議上必要であるから資料要求をしていることに対しては、まず原則として即刻こたえなければならないという義務があるのじゃないですか。われわれが要求している資料について時期外れのものを出されても、これは意味がないというのは当然であります。そういう政治配慮のもとに国会審議というものが無視されたり、軽視されたり、まるであってもないような意味に政府によってされていくということは、憲法から考えて許されないという条文が現に四十一条だというふうに先ほどから言っているとおりなのですよ。これはちょっとひど過ぎやしませんか。
 外務大臣、再度外務大臣の見解を聞かしてください。
○園田国務大臣 私の見解は先ほど申し上げたとおりでございます。
 局長とも、法務省ともよく話したいと思っております。
○土井委員 委員長に最後に申し上げたいのは、一月二十三日という日、与党の理事の皆さんも賛成をされた上で、全会一致で委員長名において要求した資料が、ただいまの私が質問している内容になっている資料であります。委員長から、即刻これの提出要求をされんことを望みます。よろしゅうございますか。
○塩谷委員長 ただいまの土井君の要求に対しては、確かに一月二十三日の事実を認めますが、その後の推移もこれあり、与党間との折衝もしておりまするから、理事会で後刻決定してまいりたいと思います。(発言する者あり)新たに発言を求めてから言ってください。
○土井委員 しかし、それはおかしいことでありまして、委員長、このことのために理事会を何度開いたでしょう。そうして、法務省からの出席を要求してその場に出席をしてもらったという経過もございます。
 委員長、一回決めたことがこのようなかっこうになるのなら、これは議会運営というものは成り立ちませんよ。当衆議院の外務委員会の自主性の問題にもかかわります。委員会の自律性の問題にもかかわってまいります。篤と、委員長から資料要求に対して即刻提出するように要求されんことを再度望みます。
○塩谷委員長 再度お答えいたします。
 理事会で相談をいたします。(発言する者あり)
○土井委員 一たん決めましたことに対してただいまの委員長の御答弁というのは、まことに残念な御答弁であります。また、与党の方の理事の態度というのも、一たん理事会において賛成をしながら、まことに不見識で、不誠実で、約束事に対して責任を持たない態度というものは許すことのできない問題だと私は思っております。これは何遍こういう状態の中で理事会を開いたって、延々時間延ばしにしかならない。内容からいうと、もう法務省としてはわれわれの要求に基づいて、従ってと言ってもいいでしょう、事務を終了してちゃんと整えておられるのじゃないですか。したがって、これに対して資料要求を即刻するということはあたりまえであるし、また一当然法務省としてはわれわれに提出する義務がある。一日一日延延させられているこの状況というものは納得がいきません。先ほど来の法務省の入管局長の御答弁でも、これは納得のいかない御答弁であります。その辺をしんしゃくされて、委員長としてひとつはっきり決断されますように望みます。
○塩谷委員長 重ねて申し上げます。
 時間をかけないで、理事会で結論を出しましょう。(発言する者あり)発言は、通告をしてからしてください。(発言する者あり)いいですか、土井君。(「議事進行をお願いします」と呼び、その他発言する者あり)
○土井委員 そうしますと、これはひとつ休憩を求めたいと思います。休憩をして、即刻理事会をここで開かれんことを望みます。
○塩谷委員長 せっかくの土井君の注文でありますが、時間もこれあり、質問終了後理事会を即刻開くことにしたいと思います。
○土井委員 それでは、まず、いま休憩するかどうかを理事相互間でお諮りいただきます。
○塩谷委員長 ただいまの決定どおり進めます。
○土井委員 じゃ終わります。
○塩谷委員長 寺前巖君。
○寺前委員 いまの土井委員の発言は非常に重要な発言だと思いますので、私は特に自民党の理事の皆さんが責任を持たれることを重ねて要望しておきます。
 そこで、時間の都合がありますので質問に入ります。
 中国のベトナム侵略は、きのうきょうの報道を見ても、国境の一部省都を占領し、八十キロメートルにまで及ぶ深い侵攻がされてきているようで、一時限定とかいろいろの言葉が使われておりましたが、拡大に次ぐ拡大という方向で事態は動いているというのが客観的な姿だというふうに言えると思うのです。
 そこで問題は、日本政府がこの中国のベトナムに対する侵略の行為に対してどういう態度をとっているのかということがわれわれにとっては重要な問題であります。中国の大規模かつ明確な侵略に対して、いまだに侵略の行為と見ない、即時無条件に軍隊を撤退させようと強く抗議をしない日本政府の態度というのは、私は重大な問題だと指摘をせざるを得ません。
 そこで、まず最初に確認をしておきたいと思います。
 ベトナム、カンボジアの問題がどうであれ、中国がそのことを理由に武力行使をするということは、国際法上正当な理由はないと思うのです。違法であると思うのですが、国際法上正当であるという根拠、何かございますか、御説明をいただきたい。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 中国ももとより国連の加盟国でございまして、国連憲章のもとにおきましては、ただいま先生がおっしゃいましたようなことは国連憲章の違反であるということが言えると思います。
○寺前委員 国連憲章から見て違法であるとはっきりおっしゃったわけであります。
 そこで、私は次に移ります。
 中国のベトナム侵略と、ベトナム、カンボジアの問題は別個の問題であります。ベトナム、カンボジア問題が中国の行為を免罪するようなものでないことはさきの説明から明らかだと思いますが、外務大臣、いいですね。
○園田国務大臣 ただいま事務当局から中国の行動は国連憲章違反であるという発言がありましたが、国連憲章のガイドラインからすればそれから外れたものであるけれども、しかし、一方中国は自衛権の発動だと言っております。ベトナムがしばしば武力攻撃をやってきたからこれに対する反撃を加えた、こう言っている。ベトナムは、そうではない、中国の侵略だと言っている。両方がお互いの正当性を主張しながらああいう紛争を起こしておるわけであります。したがいまして、私は中国の行動が正当であるという発言は一回もしておりません。ただ、問題はどちらが罪人かということを決めることよりも、アジアの平和を妨害するような、このような、力をもって紛争を解決し、他国に軍隊を入れることは日本政府としては反対でありますから、これは当初から強く即時停戦、撤退、平和解決、こういうことを要望しておるところであります。
○伊達政府委員 先ほどの私の御答弁、ちょっと舌足らずでございましたので追加させていただきますと、国連の加盟国が、何事によらず、一般論といたしまして武力を行使することは国連憲章では許されていない、国連憲章に定めます安全保障理事会の決定に従って武力を行使するというようなことはございますけれども、そういうことではなくて、そのような正規の手続を経ることなく武力の行使に至ることは違法であるということを一般論として申し上げたわけでございます。
○寺前委員 また質問と違うところへあなたは話を発展されましたな。ぼくが問題提起しているのはそうじゃないのですよ。ベトナム、カンボジアという向こうの方の問題を理由にして中国がベトナムに入ってくるということが、正当な何らかの根拠がありますかということを聞いたのです。ベトナム、カンボジアという向こうの方の行動を、そのよしあし、そういういろいろな細かい話は別にして、そういうことを理由にしてベトナムに中国が侵略をすることの正当な根拠というものがありますかと、それはないでしょうと、こう言っているんだ。
○園田国務大臣 いまのような論が出てきますから、カンボジア、ベトナムの関係においてはベトナムの、侵略者であると断定をしてないわけであります。わが日本は、その行動自体を是正したいというのが念願であります。したがいまして、ベトナムとカンボジアの関係と、中国とベトナムの関係をわれわれは関係づけて話しておるわけではありません。
○寺前委員 私、政治論を言っているんじゃないの。国際法上許される根拠というのがありますかと聞いている。私は国際法上そんなに勉強しているわけじゃございませんので、よく勉強しているあなたさんにお聞きしているわけです。ですから、外務大臣も専門家でもなかろうかと思いますので、これは局長さんに国際法上お教えをいただいたらありがたいのです。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 国連憲章では五十一条というのがございまして、これは国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合に、個別的、集団的自衛の権利を行使してよろしいという意味のことが書いてございます。これ以外に武力の行使をするというようなことは許されていないということが言えるのだと思いますが、自衛権の行使ということでございますれば、国連憲章上は、またほかにも手続がございますけれども、五十一条で認められているということでございます。
○寺前委員 もう一回教えてほしいのですが、ベトナムとカンボジアの問題を理由にして中国がベトナムに攻め込むということが国際法上正当なという根拠、何かありますかと聞いている。国際法上正当だと言うのだったら、どの根拠がありますかと聞いている。
○伊達政府委員 ただいま申し上げましたように、自衛権の問題と観念される場合には許されるということでございますが、しかし、御質問にございましたように現実の事態に当てはめてみますれば、現実の事態は非常にわかりにくい。実際の実情というものはわかっていない。したがって、その面では私としては判断を差し控えさしていただきたいと思います。
○寺前委員 あなたも辛気臭いな。私は政治論を言っているのじゃないの。ベトナム、カンボジアの問題を理由にして中国がベトナムに入るということを正当化する根拠というのはありますかと聞いている。それは、なければ、ないでいい、国際法上。違う理由ですと言うのだったら、また違う理由でいいのだから、そのことに関する国際法上の正当な何か理由があったら教えてください、こう言っている。国際法上の話を言っている。政治論は何も聞いていない。
○園田国務大臣 私は政治論を言っているわけではありませんので、国内法においても、殺人その他あった場合、正当防衛であるかどうかということは、これはその法律を基準にして運営をしていくわけであります。したがいまして、いまの質問にお答えをすると、カンボジアにベトナムが何をやろうと、中国がベトナムに入っていく正当性はない。と同様に、ベトナムも理由のいかんを問わずカンボジアに入る正当性はない、こういうことであります。
○寺前委員 だから、あなたは政治論だと言うんだ。ぼくはそこのところだけを聞いているわけです。一つずつ全部、これから聞くのは私の方ですからね。あなたの方じゃないのだから、立場ははっきりしてもらわなければならない。ここの委員会の運営はそうなっているんだから。だから、ベトナム、カンボジア問題を云々して中国がベトナムに入る国際法的な根拠はありません、それだったらそれでいいんです。あとの話は私はまた聞くのだから。また、答弁もしてもらうのだから。
○園田国務大臣 お聞きにならないベトナムとカンボジアの問題を答弁して、おわびを申し上げます。多分お聞きになるだろうと思って、前もってお答えをしたわけであります。
○寺前委員 それじゃ、国際法上の見解は私のさっき言った説明で異議ありませんね。認めますよ。異議あったら言ってください。いいですね。
○園田国務大臣 先ほど言ったとおりでありまして、カンボジアにベトナムが何かやったからといって、中国がベトナムに入る正当性はない。
○寺前委員 時間がかかるな。
 それじゃ、その次にお聞きをいたします。
 中国の侵略は、国境の省都を占領し、さらに大規模侵攻が続いておりますが、ケ小平副首相が、十日間ほど侵略行動を続けてきた、ベトナム側の出方次第ではさらに数日間長引く可能性もある、こういうようなことを言明している現在、報道によると、アメリカのブルメンソールというのですか、財務長官が、二十五日北京で、中国のベトナムにおける軍事行動を侵略として表現している報道が出てきております。私は、当然正当性のない、国境を越えて入ってきておる中国の侵略に対して、日本政府もそれは侵略であると明確に言うべきであると思いますが、言えないというのは一体どこにあるのでしょうか。
○園田国務大臣 先ほどの御発言の中に、ケ小平副主席が侵略を十日間やったがという発言は、私は聞いたことがありません。そういうばかな発言をケ小平副主席がやるはずがないと思っております。
 ブルメンソールが北京で、これを侵略と断定したかどうかは、これは私の耳に入っておりません。近く日本にやってきて私と会いたいというこでありますから、来たらよく確かめる所存でございます。
○寺前委員 ぼくは、アメリカが言うたから言わなければいかぬと言っているのではない。アメリカでも財務長官がそういうふうに言っておるけれども、日本政府としては侵略としてなぜ位置づけられないのかと聞いている。日本政府の話をしているのです。
○園田国務大臣 一番大事な答弁を余りおしかりになるから忘れました。
 日本は中国をベトナムに対する侵略と断定しないことにちゅうちょしているのでもなければ、憶病であるわけもありません。問題は、このベトナムと中国の争いが大規模な戦争に発展し、ひいてはこれを取り巻くソ連と米国との関係にも影響を及ぼし、アジアの平和を乱すことが一番心配でありますから、私の念願するところはどちらが罪人か、どちらが侵略者かということをきめつけることよりも、両方に対して日本政府が平等の立場で等距離の立場で物を言える態度を留保することが今後の解決のためにきわめて大事であると思うから、私は侵略であるとか覇権であると言うことは、それを避けておるわけであります。
○寺前委員 そういうようなことを言っているから、国連で日本の代表がベトナムの代表から批判をされる運命になるという結果が出てきているというふうに言えると私は思うのです。
 中国当局は一時限定的な戦いだとか拡大しないなどと言うておったけれども、現実の事態の発展方向はそれらの言葉が煙幕にしかすぎなかったということが、今日の発展をしてきている段階を見るに及んで明らかになってきていると思うのです。
 ケ小平副首相が二十六日、共同通信の渡辺社長との会見で、いつまで続くかはこちら側で決められるわけではない、ベトナムに教訓を与えねばならない、こういう態度で自分の行ってきたベトナムと中国とのこの関係問題をどういうふうにこれから処置していくかという表現を使っているわけです。すなわちベトナムさん、あんたの出方によって私の態度を決めますぜという、まさに強盗が裁判官的な態度を表明している態度であるわけです。私は、そういう態度は正しくない態度だと日本政府は中国に指摘をするのか、一体どういうふうに考えておられるのかをお聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 ベトナムそれからソ連及びこれと同調する国々、そして寺前委員の発言もそうでありますが、日本に中国を侵略者ときめつけろ、きめつけないからいろいろな問題がこんがらかっているという発言、ということはベトナムはカンボジアでおれのやっていることは正しい、ベトナムで中国のやっていることは正しくない、こう言っておるわけでありますから、その正当性をつなぐために日本にクロシロはっきりしろ、こういうことであります。決して誤解ではありません。したがって、国連で安倍大使がこれに反論し、私はみずからベトナムに対してそれは間違いではないか、日本政府はベトナムといまなお友好関係を続け、経済援助等も続けてやっているじゃないか、こういうことを私の方から強く申し入れたことであります。山国に対しては、当初から言っておるとおり一日も早く戦をやめて自国内に軍を撤退するよう、そして平和のテーブルに、話し合いのテーブルに着くように今後とも強く要請するつもりでございます。
○寺前委員 質問をはぐらかさないでください。もう一回聞きます。
 いつまで続くかはこちら側で決められるわけではない。ベトナムに教訓を与えなければならない、ベトナムの出方によってうちの方は決まるんだぞ、国境を越えて攻め込んでいるが、あなたのさっきの一番最初の規定から言えば、ベトナム、カンボジア問題がどうあろうとべトナムへ攻め込んでいく中国には正当性は国際法上ない。その中国がベトナムさんの出方によって決めるぞという理論、これは受け入れることのできる理論なのかどうか、受け入れられるのか受け入れられないのか、私はそこを聞いている。
○園田国務大臣 中国のケ小平副主席の発言こそは政治的発言であると私は解釈をしております。日本は、中国が何と言おうとやっていることはよろしくない、力をもって紛争を解決するな、軍を早く撤退しろ、こういうことを強く要望しているわけでありますから、私はこの点を強く進めていくつもりでございます。
○寺前委員 時間の都合がありますので、残念ですが、次へ行きます。
 日中平和友好条約は当事国が覇権を求めない約束をしたわけであるけれども、あれほど覇権をわあわあ言った中国が今日あのような行為をとっている。
 そこで、ちょっとお聞きをします。
 相手国が覇権行為に出たときにそれをやめさせることを当然の前提としてこの二国間の友好条約はできていると思うのですが、相手国がそういうことに出たときに条約に基づいてそれをやめさせるという行為は責任がないのですか、そこはどうなっているのですか。
○園田国務大臣 先ほどからしばしば繰り返しますとおり、日本政府は中国の行動を覇権とか侵略者とかきめつけてはおりません。きめつけないことが平和解決の道であると考えておるからであります。しかし、力をもって他国に侵入をし、紛争を力をもって解決しようとすることに反対でありますから、これをよせと、こう言っているわけでありますから、いささかも私の意見には変わりはないと思います。
○寺前委員 あなたは、日中平和友好条約を審議した際に、一国が他国の意思に反して力により自己の意思を押しつけようとするがごとき行為は覇権を求める行為であり、国連憲章の原則に反するとおっしゃった。いま行われている中国の行為というのはその覇権の行為ではないのか。覇権の行為であるとするならば、日中平和友好条約の約束に基づいて明確にやめさせるということを指摘するのが条約を結んだ締結国としての当然の使命ではないのでしょうか。
○園田国務大臣 寺前委員、話が上手ですから、黙って聞いているといかにもあなたの方が正当性があるように聞こえますが、私は先ほどから言っておるとおりに、だから覇権と日本はきめつけていないわけであります。いま当事者同士は真っ向から対立をしておって、一方は、侵略だ、覇権だ、こう言っているし、中国の方は、しばしば武力攻撃を受けたからこれは自衛権の発動だ、こう言っているわけでありますから、その論争中に、日本の外務大臣である私から、覇権だ、侵略だということを引き出そうとなさるのは無理だと存じております。
○寺前委員 私はそこに問題があると言わなければなりません。侵略、中国には国際法上何の正当性もないことをあなた自身もお認めになっている。その中国を侵略者としてぴちんときめつけない。その中国に、日中平和条約で中国があえて声を大にして言われた覇権、その覇権行為をやっていながら、それに対して覇権行為をやめなさいという指摘をおやりにならない。そしてお互い話し合いで解決しましょうでは、殴られている人間に対して、強盗に入られている諸君に対して仲ようしなさいという仲裁などというものはあったものか。本当にまじめに考えるならば、日本政府は、侵略者と被侵略者を区別をして、あなたは侵略者だ、私との国の間には覇権を求めないということを世界に明らかにしたあの条約に基づいて行為をしなさいということを要求して、初めて、世界に対して正当な日本外交ここにありという立場を宣言したことになるだろう、私はそう思うのです。これは態度を改めていただく必要がある、これが一つです。
 それからもう一つは、この間うち、中国の政府のお方がお見えになっておりました。向こうの大使も出席をして会談をおやりになっておりましたけれども、この際に、ベトナムに対して中国が行為をとっている問題について一言あってしかるべきではないだろうかと注目を払って私は新聞を読んでおったのですが、残念ながら、そういう指摘を中国の外務省のアジア局長でしたか、大使も一緒に来ておるところで御指摘をなさっていないようにお見受けをいたしたわけです。本当にアジアの平和と安定のためを心されるというならば、そういう機会においても毅然たる態度をおとりになるべきではなかったのでしょうか、御説明をいただきたい。
○園田国務大臣 第一番目の話でありますが、どうも寺前委員は、自分のおっしゃることは言われるが、私の言うことをお聞きにならぬようであります。私は、いまのまま中国の軍隊は居座って、そして武力を振りかざしながら平和的な話し合いに入れとは一度も言っておりません。直ちに戦争をやめて、そして他国から下がれ、自分の国に帰れ、そして話し合いをしろと、こう言っておるわけでありますから、私のやっていることは間違いではないと存じます。
 次に、二番目の質問でありますが、あのとき、御承知のとおりにベトナムに帰っておったベトナムの大使が私のところへ参りました。その用件は、外務大臣から私に対するメッセージの伝達であります。この大半は、先般やってきたときの御礼と、それから日本との友好関係をもっていきたいという趣旨であり、一部には先ほど言ったような日本に対する誤解があったわけであります。そのメッセージがあったからベトナムは誤解をしている、日本はこういうことをやっているということを言ったわけであります。中国の局長は研修交流の用件で来て、そして私と顔見知りであるからごあいさつをしたいというお客さんであります。ごあいさつをして向こうから一言もない。その日には、しかも北京では日本からは厳重に中国に申し入れをいたしております。そういうわけでありますから、ごあいさつに来たお客さんには何も言わないのが日本の礼儀であると存じます。
○寺前委員 時間が参りましたので、これでやめますが、私は、侵略者と被侵略者を区別する態度、これこそ正しいあり方の基本だということを強く申し上げて発言を終わります。
○塩谷委員長 依田実君。
○依田委員 きょうは、主に日本と中国との間の経済交流の問題、それと日ソ間の領土問題についてお尋ねをしたい、こう思っておるわけでありますけれども、その前に一、二細かいことをお尋ねをさしていただきたい、こう思うわけであります。
 まず最初に、先般、イランへ江崎通産大臣を団長とするミッションを派遣する、こういうお話がございました。聞くところによりますと、当初から外務省はいろいろ諸般の事情、つまりイランの国内情勢あるいはまた周辺諸国の情勢などを勘案して、この江崎ミッションの派遣については慎重な態度だった、こういうように承っておるわけであります。私、予算委員会でこの問題を江崎さんに伺いましたときは、江崎さんは行くという御答弁だったのでございますけれども、その後、一部の新聞にはこれが一時中止、こういうお話が出ておるわけであります。
 この問題につきまして外務省といたしまして、通産大臣はいろいろ御意見を言われたと思うのでありますけれども、その諸般の慎重に考慮する事情、情勢というものは何であったのか、そしてまたこの問題は一時中断なのか延期なのか、この辺の結末についてお聞きをしたい、こう思います。
○園田国務大臣 これは新聞の報道がやや先走って、真相を御承知なく書かれたことであります。事の起こりは、事務当局から詰めていったものではなくて、私が通産大臣とじかに話したことからこの問題は始まっております。と申しますのは、新政権がイランにできました。そこで、新政権は、御承知のとおりに米国初め他の国々に対しては非常に反発を感じているわけであります。いままで日本というものは正面に出ていなかった関係もありますが、そういう関係で日本に期待するところが非常に大きい、こういうことであり、いち早く新政権を承認いたしましたので、向こうの総理は非常に日本に対する好意を表明し、さらにイランとしては何としてもまず石油を輸出することがイランのために一番大事だ。ただし、御承知のとおりにまだ混乱がおさまらぬときであるから、いま具体的な話はできないがと、こういう話がありました。そこでわが方の大使からは、イランが治まった後何か日本が役立つことがあればどんなことでもいたしたい、こういう話を持ち出したところ、ありがたい、しかし、その時期あるいは具体的にどういうふうにやるかということは、もう少し治まって自分の方からお願いしたときにしてくれぬか、こういう話がありました。そこで、それを受けて私が江崎通産大臣に、第一にはイランの新政権は日本に非常に好意的だ、いままでは、小型の車でこそこそ歩いておったのが、近ごろでは大型の車で、日の丸をつけておけば安全だということさえ報告が来ておる。しかし、ここで注意をしなければならぬのは、第一は、日本が資源ということで前々から一度非難されたように、石油を何とかしてくれという相談で乗り込んでいくということでは、これはおもしろくない。二番目には、こちらから押しつけがましく何か言っては、これまたかえって反発を招いて、よほど慎重にやらぬと、これは米国その他と同じじゃないかというふうに空気が変わるおそれもある。したがって、石油も含むけれども、イランが政局安定後何か日本がお役に立つことがあればということで、その際にはひとつ協力調査団というものをつくって、各省、民間も入れて、その調査団長に通産大臣が行ってくれれば非常に都合がいい。しかし、それは向こうから話があった場合の話だ、こういうのが本当の経緯であります。
 それが、話しているうちに新聞にいつか漏れて、いかにも通産大臣が石油の問題で乗り込む、イランの方から断られたと、こういうことでありますが、断ったわけでもなければ何でもない、経緯はいま申し上げたとおりであります。
 なお、この調査団が仮に合意がされて行くようになった場合にも、注意をしなければならぬことが数々あると思います。
 第一は、イランの復興、経済復興、こう言いますけれども、イランの方では戦争でやられたとか、あるいは何かがあってイランの施設が全部壊れて、これから戦災復興みたいに復興するのではなくて、施設そのものは何とか残っているわけであります。これをイラン人の手でどう運営して復興していくかということでありますから、あくまでイランの考え、イランの欲することを重点に置きながら、日本がお役に立てばということでやっていかなければならぬと考えております。
○依田委員 いままでの経緯よく理解をいたしました。しかし、あの当時も言われましたように、何か日本だけがほかの国を押しのけて先に行って石油をあさるというような国際的批判を浴びないように、ひとつこの問題については慎重に御検討をいただきたい、こう思うわけであります。
 二つ目の問題は、サミットについてでございますけれども、御承知のように、いまいろいろ外務省内で根回し、あるいは打ち合わせ会が開かれているのじゃないかと思うのでありますが、大平総理大臣の言われました環太平洋構想ではありませんけれども、せっかく東京でサミットが開かれる、ついては日本と特別の関係のあります豪州を参加させたらどうだという意見があるわけでありまして、豪州も強くこれを望まれておったようでありまして、外務省当局も参加各国にいろいろ根回しをなさったのじゃないかと思いますけれども、その状況と、そして結末がどうついたか、この点についてお伺いしたい。
○園田国務大臣 いまの問題は大体依田委員が御発言されたとおりでございまして、確かに日本はASEANも大事でありますが、豪州というものはきわめて大事でありまして、しかも豪州は、ECとの関係は切れておって、豪州自身も日本を必要としているときで、私と豪州はこれをナチュラルパートナーと呼んで緊密の度を加えておるわけであります。そういう意味におきましても、何とかしてこのサミットに豪州が参加してもらったがよいという私の気持ちがございまして、参加国にそれぞれやったわけでありますが、参加国は、日本の気持ちはよくわかる。われわれが日本だったら豪州を入れろと必ず要求をする。しかし、ここで豪州を入れると、次のサミットでやれ欧州のどこだどこだというように次々にふえてきて、サミットの性格を失うということでなかなか困難な状態になってきたわけであります。
 また一方、豪州もサミットに出られればよろしいという気持ちはあったようでありますけれども、その後、日本の立場を余り困難にしてはならぬという配慮が豪州の方にあるようでございます。見通しとしては豪州の参加は困難だということでございます。
○依田委員 結論としては、今回のサミットには参加できないというお話のようでございます。
 豪州という国は、日本との関係は深いわけでありますけれども、国際経済への、特に国際金融などの面での国際経済への参画度、こういうことからすると、まだ機は熟していないというふうにほかの国がとったのだろうと思うわけでありますけれども、日本と豪州という特殊の関係がございまして、それだけ外務省が御努力なさったということについては評価をしたいと思うわけであります。
 次に本論の、日本と中国の経済交流の問題について少しお尋ねをしたいと思うわけであります。
 細かいことは担当部課長で結構でございますけれども、先般この外務委員会で、ベトナム、中国の問題が起こった以降、中国の経済外交政策に対して日本がいままでどおり対応していいのかどうかということを私は外務大臣にお尋ねをしましたけれども、そのときは従来どおりと、こういう御返答をいただいておるわけであります。しかし、ここ一、二具体的問題につきまして、日中経済間にいろいろ問題が出てきておりますもので、改めてひとつお伺いをさせていただきたい、こう思うわけであります。
 まず、聞くところによりますと、例の渤海湾の石油の開発、この交渉団が突如として引き揚げた。あるいはまた、上海の製鉄所のプラント、これが延期を申し込まれてきた、保留という形になってきた。こういうような具体的例が一、二伝えられておるわけでありまして、その背景については、いまの段階で日本側が憶測するのもなかなかむずかしいと思いますけれども、いま当局はその裏にどういう原因があるとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○柳谷政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、最近数日間の動きについてこれはどういう背景があるかという点は、関係者も非常に関心を持ちまして、いろいろ意見を出し合っているようでございます。正面のところいま結論めいたものはないわけでございますが、少なくとも、もう少し長期的の日中経済関係という見地から見ますると、やはり中国側は四つの現代化を急ぐということで非常に積極的に、日本のみならず、諸外国からの協力を得るという姿勢をとっており、現在の中国の政権は、この四つの現代化を進めるという点においては原則的には意見の不一致はない、こういうように見ておりますけれども、これは十億の民、あの膨大な地域を対象にした大変壮大な計画でございまして、これを具体的にどう進めるかということになりますと、やはり優先順位とかいろいろな分野間の配分とか地域的な配分とか、さらには民事と軍需とのバランスとか、いろいろな問題が恐らくあるのだろうと思いますし、その根底には非常に外貨事情が苦しいというような中国の事情から、特に外国からの協力を得る場合の資金の手当てをどう考えるかという点については、中国側においても相当真剣に検討されているのだろうと思います。そして、日本のみならず諸外国といろいろ商談その他を進めて、ある程度輪郭が出てきた段階においてこれをどうまとめていくかということは、恐らく中国内部でいろいろ議論されておるのじゃないかと想像されるわけでございます。最近数日の動きがその反映だけであるのかほかにも何か理由があるのかという点は、いまの段階で私どもとしてもなかなか判じ得ない状況でございます。
○依田委員 まあ共産主義の国でございます。これまでの日本と中国とのいろいろ経済交渉、つまり商談などのやり方を見ておりますと、向こうは相当長期にわたって物事を考えて日本側をゆさぶってくる、これが中国側のやり方であったわけであります。ところが、その共産主義国の中国が今度のような処置をとったということは、私はその裏には非常に重大なものがあるのじゃないか、こういうふうに見ておるのであります。つまり、国内的ないろいろな混乱、日本側はこれまでは向こうの政情というのは非常に安定しておる、権力関係が安定しておるという上に立っていろいろ経済交渉をなさっておるわけでありますけれども、私は今度の事件などを見てみると、国内情勢のいろいろ不安というものがあらわれてきているのじゃないか、こう思うのであります。そういうものが安定しておれば、共産圏というのは長期プランに乗ってやってくるわけでありますから、そんな短期間にいろいろ大きい変化を与えるような情勢はない、私はこういうふうに見ておるのであります。中国側に何か計算違い、つまりベトナムへの軍隊の派遣などの、そしてまた、それが短期間と思ったのが案外長期化するかとか、いろいろそういう計算上の変化、あるいはそれに伴う国内の権力闘争というものの何か兆しがなければ、こういう処置を中国側はとってこない、私はこういうふうに思うのであります。そもそも、大体われわれ外から見ておりまして、外貨支払い能力が、まあ聞くところによると二十数億ドルあるいは二十五億ドルとかいろいろ説はありますけれども、実態はわかりませんが、それを越えるような日本側からのプラント輸出、そういうものはそもそも本来ならば日本側でもっと厳しく考えておかなければならない問題じゃないかというふうに思うのであります。特にまたこれからは、大手銀行のいわゆる協調融資であるとかあるいは輸出入銀行の延べ払いだとか、こういうものも考えよう、こういう段階であります。この段階でいままでのような安易な考え方で臨むということは、私は日本の将来に間違いを起こすと思うのでありますけれども、その辺はいかがでしょう。
○園田国務大臣 御発言のとおりに相当部分の契約が留保になっているわけであります。契約をやっておった人々が引き揚げたり中止をした理由というのは、契約の発効のための条件である上司の認可が得られないからしばらく待ってくれ、こういうことであります。これに対して問い合わせたところ、中国の方では基本的な変更ではない、こういうことでありますけれども、やはりいま御発言になりましたように、一つは外貨の問題、外貨がなかなか思うとおりにいかなかったということもありましょうし、それからもう一つは、近代化というのはほとんど金融の問題にかかってくるわけでありますが、この金融の条件というものを他の諸国と見比べながら検討しているのではなかろうか。またもう一つは、契約はほとんど大型プロジェクトでございますが、果たして中国でこのように大型プロジェクトだけどんどん進めていくことが、いまおっしゃいました中国の国内的な問題から妥当であるのかどうか、大型プロジェクトも必要であるが、軍事を除く三つの近代化からいっても、農村とかその他の近代化があるわけでありますから、そういう国民自体の細々した問題をもう少し検討すべきではないか、いろいろ事情を推察をしているわけでありますが、御発言の趣旨をよく承って、われわれも慎重にさらにもっと深く検討して今後の問題を善処していきたいと考えております。
○依田委員 私も中国へ二度ばかり行かせていただいております。中のいろいろ工場、農村を回らせていただいておるわけであります。NHKの取材で入りましたから、一般の観光客よりも相当奥まで入らせて見させていただいておりますけれども、常識としていまのような大型プロジェクトを入れまして、鉄板だけ最新鋭機械から流れ出して、果たしてそれをどうやって製品に加工していくのか、私はいまの中国の能力からいって非常に疑問なのであります。
 日本は、御承知のように製鉄会社を取り巻く下請関連企業の膨大なすそ野があって初めて世界一のこういう工業国になっているわけであります。それを見ておりますと、いまの日本の機械を果たして中国へ入れていくのかどうか、採算が合うのかどうかということを非常に心配しているわけであります。経済人ならば一見中国の内情を見ればその点は十分わかるはずなのにもかかわらず、商売やりたさのために、もしそういうことを知っていてやるならば、私は日中間の長い経済交流に大
 マイナスになる、こういうふうに思うので、ひとつこの点もぜひ慎重にやっていただきたいと思うわけであります。
 三月十日に劉希文対外貿易次官が来日されまして、日中長期貿易協定の延長問題について話し合うと伝えられておりますけれども、この状態の中で、この延長問題にどういうふうにお取り組みになるのか、その点を伺わせていただきたい。
○柳谷政府委員 これは御承知のとおり、七八年二月に合意を見ました日中民間長期貿易取り決めをさらに拡大し、期間を延ばし、額をふやすということを念頭に置いてのお話と聞いておりますが、これは先方と日本側の民間の間の話ということでございまして、いまの時点では特に、この数日来の動きにもかかわらず、劉希文氏の来日が延びたとかあるいは当初の予定と違った話になりそうだとかいうような新しい情報には私どもは接しておりません。
○依田委員 時間がないので、中国の石油の問題についてお聞きをさせていただきたい、こう思うのであります。
 御承知のように、日本は年間七百六十何万トンですか中国から原油を買っておるわけでありますけれども、今度の中国とベトナムとの問題が起こりまして、計画どおりこれが実施されていくのかどうか、その辺の見通しをどういうふうにお持ちになっておるか伺わせていただきたい。
○箕輪説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘のように、今年度の輸入予定量は長期取り決めによりまして七百六十万トンでございます。実際の契約というのは、現在できておりますのは七百六十四万トンということで成約しております。これまでのところ、中越紛争のために実際の取引に支障を来したという話は実は聞いておりません。したがいまして、私どもとしては、これが予定どおり行われるという期待を持っておるわけでございます。
○依田委員 防衛庁にちょっとお尋ねをいたします。
 いま中国がベトナムへ派遣しておる軍隊の量、それの師団編成、こういうものから大体一日どの程度の油を使っておるのか、おわかりになりましたらお尋ねをしたい。
○岡崎政府委員 御質問いただきまして勉強したのでございますけれども、必ずしも自信を持ってお答えできる数字は持っておりません。ただ、ごく一般的に申し上げまして、軍隊の中でも陸軍の消費量というのは意外に少ないものでございます。日本の自衛隊の場合でも、これは五十二年度でございますけれども、年間八十万トン使っておりまして、陸は六万五千トン、これは一割以下でございます。中国全体――それほど油を使っている軍隊ではないようでございまして、そのうちの主として地上軍が一部分あそこにいるということで、中国全体の需給関係に影響を及ぼすほどの油は使わないようでございます。
○依田委員 中国はいわゆる日本の備蓄、日本は九十日とか言われておりますけれども、その計算方法によると大体どの程度の備蓄を持っておるのでしょう。これは通産省おわかりになりましたら……。
○箕輪説明員 中国の備蓄量についてのお尋ねでございますけれども、御存じのとおり中国は石油の生産量についても、どのくらいの生産をしているということを公表してない国でございまして、まして備蓄がどれくらいあるかということについて、われわれはとうてい知り得ない状態にいまございます。
○依田委員 中国とベトナムとの争いがもし長引くと、日本への原油輸出についてもまたいろいろそごを来してくるような状態にもなるのではないか、私はこう思うのであります。それがひいては、日本と中国との経済問題にも重大なる変化を与えてくるということになるとまた困るわけでありまして、いずれにいたしましても大臣、日本と中国との経済交流について、先般は、いままでどおり、いささかも変わらぬという御返答でありましたけれども、ひとつぜひ慎重に御検討いただきたい、こう思いますが、この最近の御事情の中でどういうふうにお考えになっていますか。
○園田国務大臣 中国内の変化、それから国際情勢の環境等も変わってまいりますから、ただいまの御発言を深く承りまして十分慎重に検討もし、慎重に進めていきたいと存じます。
○依田委員 時間が参りましたので、きょうは日本とソ連との問題は、せっかく防衛庁の方にお出ましをいただきながら質問ができなくて大変申しわけなく思っておりますが、最後に一つだけ、昨日、モスクワの魚本大使がソ連側のフィリュービン外務次官に例の国会決議文を手交された、こういうニュースが出ております。前に東京でポリャンスキー大使に日本側が抗議をしたときは、内政干渉ということで一喝されたわけでありますけれども、きのうのソ連側の反応をお知らせいただきたい、こう思うわけです。
○宮澤政府委員 昨日、魚本大使がソ連外務省のフィリュービン外務次官に、わが国会の決議が行われましたこと及びその内容について伝えましたところ、先方はそのような決議が行われたことは承知しておるが、大体この領土問題などというのは存在しない問題であるということが一つ。それから日本国内でいかような決議が行われようともこれは外国の関知したことではないということが一つ。それから第三点といたしまして、いずれにしてもこのようなことで日本国内が騒ぐのは友好的なこととは認めない。こういう趣旨を述べたわけでございまして、魚本大使はこれに対して日本の立場を重ねて強調した、こういうことでございます。
○依田委員 残念ですが、その続きはまた次の機会にさせていただきまして、時間も超過しましたのでこれで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○塩谷委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 前回に引き続いて私はダグラス、グラマン問題について質問を続行したいと思います。
 まず、私どもこの種の事件を、ロッキードに引き続いて国会の責任で真相解明をやっておりますが、私どもとしてはやはりこれは国の名誉にかかわる問題であり、この解明は国民に対する義務、責任でもある。そういう意味で私どもがこの解明をやっておることは、まさに国益上の必要あるいは公益上の必要からやっておるのだ、私はそう思いますが、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
○園田国務大臣 ただいまの御発言は当然であると存じます。
○楢崎委員 そこで、刑訴法第四十七条の場合でも、たとえば訴訟関係の書類、これが公判の開廷前に公にしてはならない、ただし公益上の必要その他の事由によっては例外である。そういうこの刑訴法四十七条から、ロッキード事件の場合にいわゆる灰色高官四名が明らかにされた。訴訟上の書類でも公益上の必要からそういう例外がある。ましてや、私がせんだって要求をした外務省の海部八郎氏に対するパスポート関係の申請書その他サインのあるものを資料として出してくれというこの点は、公益上の必要からであります。ほかの理由では使われないとおっしゃったが、訴訟上の書類でもそうであります。したがって、私はぜひ、まさに海部メモというのは福田前総理もこれに関して告訴をされておるような状態ですから、この解明のために、ぜひ私が要求したその海部八郎氏のパスポート関係の申請書その他サインがあるものを当委員会に出していただきたい。重ねて要求します。
○塚本政府委員 お答え申し上げます。
 せっかくの先生の御要請でもございましたので、重ねて省内において十分討議したのでございますが、やはり現段階におきましては、行政目的、つまり旅券申請のために提出した本サインについては、遺憾ながら御要望に沿いかねる、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
○楢崎委員 先ほどの土井委員の法務省に対する質問と同じでございまして、あなた方は結果的に真相解明を邪魔しておることになる。協力する態度がない。私どもはほかのために使うのじゃないのです。真相解明のためにぜひお願いしている。真相解明を邪魔していることになりますよ。それでいいのですか。
○塚本政府委員 私どもといたしましては、そのような真相解明を邪魔しているとかなんとかというような意味合いでお断りしているわけでございません。
○楢崎委員 結果的にはそうなるじゃありませんか。先ほどの土井委員の質問の論理と同じですよ。だから私は、この問題も含めて理事会で処理をしていただきたい。私の希望としては、先ほど土井委員は国会法の百四条を出された。これでもなお承知されないならば、私は、証言法第一条によって大臣なり担当局長を証人として、喚問じゃありません、必要書類の提出をひとつ決めてもらいたい。それぐらいの強制力を、せっかく議院証言法では喚問とともに書類の提出というものがあるのですから、それぐらいの強硬な措置をとらないと、当外務委員会の権威にかかわる。せんだって土井委員が出しました問題は、重要な問題であろうと私は思いますよ。それぐらいの、もし渋るならば、証言法による書類提出を私は求める、採決してでも求める。したがって、この問題も土井委員が提出された問題と一緒に理事会でひとつ御検討いただきたい。どうでしょうか、委員長。
○塩谷委員長 後刻理事会で検討いたします。
○楢崎委員 それでは次の問題に移ります。
 外務省から、例のいわゆるグリーン発言に関する国務省側の回答というものをいただきました。この中で鶴見外務審議官は、グリーン国務次官補からE2Cの話をされて、こう答えておるということになっておる、この資料によると。四次防がどのようなものになるか見通しの立たない現段階では、ゼアリズノーテリングアバウトイット、何とも言えない。この段階、つまりこの昭和四十七年九月一日の段階では、四次防がどのようなものになるか見通しが立たない状態でありましたか、どなたか答えてください。いいですか、PXL、AEWは措置が決まっておったじゃありませんか。私はこれは意味があると思っている。何で見通しが立たないか。よく考えてみると、あの海部さんの証人喚問のときに、海部さんが四十四年の例の日商岩井とカーン氏の密約で、四〇%もの手数料をもらうのは高過ぎるじゃないかと聞かれたときに、海部氏は、いやすぐ片づくと思っておったという意味の答弁をしている。それと似ているのですよ、これは。このときの、四十四年り段階でも、もう国産化の方向へ進んでいますよ。私は例を挙げましょうか。時間がないから、こちらの方から。――ちょっと待ってくださいよ。いいですか。四十一年十一月二十九日三次防人綱決定、PXL、AEWは研究開発、これは国産化のためですよ。それから四十五年七月十八日門衛庁通達、装備の生産及び開発に関する基本方判。四十六年四月一日中曽根長官は庁内幹部会でPXL、AEW国産化を決定。同四十六年四月二十七日中曽根長官発表、新防衛力整備計画、後でこれが四次防になる、これが四次防の原案です。この原案の中では、研究開発、PXLは二百七十億、AEWは百十億円。そして四十六年の八月にいわゆる四次防の四十七年に向けての予算化がなされた。その中にPXLは研究開発費として六億八千万円、AEWは二千七百七十八万円。四十七年十月九日まではこの方向で走っておった、背景は。四次防がどうなるかわからぬなんということはないのです。ところがこれをよく読むと、審議官が亡くなられておるから聞かれないけれども、四次防がどのようなものになるか見通しが立たないという背景を鶴見さんは別に持っておった。これは海部氏と同じですよ。すぐ片づくかもしれないという、あの言い方と同じです。何かそういうふうに思わせるものが過去にあった。これがグリーン氏が国会から行った調査団に、いや、ハワイ会談の一年前からこの話は出しておると言うところに結びつく、そうじゃありませんか。だからグリーン氏の方は、これはアメリカにとっては四次防がどうなるかというのは大変関心がある。重大関心がある。それは防衛政策上の意味といわゆるドル防衛、この意味から、これは非常に重視して記録にとどめた。私は、これは鶴見さんの重大な発言だと思うのですよ。だれか答えられますか。
○園田国務大臣 今度国会調査団が行かれて、そういうことが新聞に出ました。そこで、外務省が出しましたその資料というものは、外務省がつくったものでも何でもございません。正直に言って、外務省には記録がない。記憶もある人がいない。鶴見審議官は亡くなっている。そこで、米当局に問い合わしたところ、米当局から来た返答がそのとおりの返答でございますので、したがって、今度の調査団に言われたグリーン氏の、一年前のことは別として、いまの問題に対しては非常におかしいなと私自身も思っておるところであります。自分の方でこう言って、鶴見がこう返事をした、雰囲気はこうであった、詳細に米国の方から言ったものをそのまま私の方は出しておりますので、決して外務省でつくるとかあるいはごまかすということは絶対ございませんから、この点は御信用願いたいと思います。ただし、いまおっしゃったようなことでありますから、食い違っておるわけでありますから、私の方では直ちに、話が違うじゃないか、自分の方で教えておいて、また調査団が行かれたら少しニュアンスが違うじゃないか、こういうことは問いただしているところでございます。
○楢崎委員 私は、外務省がごまかしているといま言っているのではないのです。もし鶴見審議官がこう言ったとすれば、これは大変おかしな発言。客観上、背景の進んでおるPXL、AEWの進行方法と非常に違う。それで、一年前ですけれども、中川委員に調査せよということを言われました。私は、このハワイ会談から一年前のいわゆる日米のいろいろな話し合いの代表的なところをいま申してみますよ。
 まず一年前、昭和四十六年七月六日にレアード国防長官が参りました。ここで九日に佐藤・レアード会談、それから十日に増原・レアード会談、これが行われている。ここでレアード長官は、アメリカ製の兵器の購入を要請しています。そして、八月十五日に例のニクソンのドル防衛策が発表された。そして九月九日から十日にかけて第八回日米貿易経済合同委員会がワシントンで開かれた。ここでロジャーズ国務長官が当時の福田外相に対して、やはりアメリカ製兵器の導入を強く要請した。これは強く要請している、資料がありますよ。そして十月二十三日に岸元総理が個人的に訪米されて、ニクソンとワシントンで会われた。これは後で申し上げます。そして、公式では、今度は十一月十日から十一日の二日間にかけて、コナリー米財務長官が来日されておる。ここで各大臣と個別に会われている。そして七二年、四十七年の一月六日、七日の例のサンクレメンテ会談。だから、一年前ということになると、いま申し上げたどこかで話が出ているということになるのです、これは。必ずなりますよ。だから、先ほど大臣は、この種のあれは何万通もあるから、なかなかすぐは調査できないとおっしゃったけれども、こういうところに限定して、まず調べてごらんなさい。そうたくさんはありませんよ。
 そこで、私は、鶴見審議官が、四次防がどのようなものになるか見通しが立たないという、これと関連をいたしまして、実は四十六年十月二十三日、岸・ニクソン会談、これはまことに重要である。この内容がリークされている。
 どういうふうにリークされているかというと、まず一、「円をIMF方式で一二・五%切上げ、レートを一ドル三百二十円とする。これを基準に上下三%の変動幅拡大。」二番目に、「日本は以下のドル防衛協力措置をとり、米側の国際収支赤字改善のため全面的に協力する。(a)として「伸び率の激しい対米輸出品に輸出税を課税する。自動車、電卓などの自主規制による対米輸出の拡大を抑制する。」(b)として「電算機、農産物など対米関心品目の輸入自由化を実施」。(c)、ここですよ、「武器国産化の方針を再検討し、四次防期間中にアメリカから少くとも八億ドルの武器を購入するほか、防衛分担金の肩代りについても考慮する。」そして今度は大きな三番目として、「これらの条件と引換えに輸入課徴金の全面的撤廃を求め、日米間の基本的合意が成立すれば、十一月上旬来日するコナリー米財務長官と細目の詰めを行う。」これがリークされているところです。これをリークされた新聞記者の人は、当時の水田大蔵大臣から厳しく、どこからそういうあれをリークしたかと問いただされておる。そして、この中の事実は幾つか真実である。たとえば「四次防期間中にアメリカから少くとも八億ドルの武器を購入する」これはそのとおりになっているでしょう。それから、三項目の「日米間の基本的合意が成立すれば、十一月上旬来日するコナリー米財務長官と細目の詰めを行う。」このとおりになっている。十一月の上旬、つまり十日と十一日にコナリーさんが現実に来ている。これは真実です。だから、私はこういうところにしぼって、ひとつ解明のために、今度はアメリカから言われたからというのじゃなしに、外務省の責任でぜひ解明をしていただきたいと思う。どうでしょうか。
○園田国務大臣 承知いたしました。
○楢崎委員 法務省にお伺いしておきますが、私は、福田前総理が海部メモについて告訴された。その告訴状を見せてください、重要問題だからと。そうしたら、これはもうすでに訴訟書類になっているから出せないとおっしゃる。私が問題にしているのは、見ないとわかりませんよ、私は新聞だけしか見ていないから。あの二項目目に、十四日の証人喚問でというくだりがありますね。これは新聞です。そして出席委員を通じてあの資料を配らした者、こういうふうに私は読んだのです。よくわかりませんけれども、これは国会でやられたことですから、氏名不詳になっているけれども、もし議員であれば、これは憲法五十一条において、院外で責任は問われない。これは重要問題です。だから、私は、よく告訴状を見せてくださいと言ったのは、その意味です。どうでしょうか。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねの告訴状につきましては、二月二十一日付をもちまして、福田赳夫氏から、氏名不詳者を被疑者といたします名誉棄損罪ということで、東京地検に告訴状が提出されております。告訴状の内容は、いわゆる海部メモにつきまして、内容虚偽のかかる文書を不特定多数の者に頒布して、告訴人の名誉を棄損した、こういうことでございますが、その中の一項目といたしまして、ただいま先生御指摘のように、国会の委員数十名に頒布するに至らしめたという記載がございますけれども、問題は、頒布するに至らしめた者が国会議員であるという断定は一切いたしておりませんので、先生御指摘の問題は起こり得ないかと思います。
○楢崎委員 だって、私は告訴状を見せていただかないから、よくわからない。それば氏名不詳ですからだれかわからないでしょう。国会議員だったらどうなるんです。それを聞いているのですよ。もし国会議員だったら憲法五十一条との関係が起こりますね、こう聞いているのです。
 外務大臣、お忙しかったらもう私はよろしゅうございます。
○佐藤説明員 六法全書を持っておりませんので正確は期しがたいのでありますけれども、国会議員の免責特権は国会における発言その他についてということでございまして、頒布するに至らしめるということにつきましては直接関係がないように考えますが、なお必ずしも理解が正確ではないので、その点は後ほど確かめたいと思います。
○楢崎委員 それは私が言っておることは、先ほどから何回も言うように、中身がわからないから必ずしも当たっているかどうかはわかりません。ただ、国会でわれわれが質問するときに、その質問のための資料として、委員長の許可を得て配ることはあるのです。それは質問の一部ですよ。だからそういうことで、責任を院外で問われることはないのだ。それとの関係があるから、見せてくださいと言ったのはそういう意味です。
 もう時間がありませんから次に進みます。
 例の有森証言ですが、あの証人喚問のときに海部メモのことを聞かれて、外為法違反の訴追を受ける可能性があるから証言できない、私は一般的にお聞きしたいのです。お間違いのないように。もしあれがにせものであればそういう心配は全然起こらぬと思うのですね。それは一般的にどうでしょうか。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 一般論ということではございますが、あれがもしにせものならばということで、どこまでが一般論でどこまでが具体論なのか、必ずしも定かではございませんが、純然たる一般論ということになりますれば、仮に当該文書の内容が真実性が全くないということであれば、いかなる犯罪も想定はされ得ないということになろうかと思います。
○楢崎委員 それで結構です。
 次に、これも一般論で結構です。外為違反の訴追の可能性がいまもある、あの証言はそんなふうに何回も聞こえたのですね。そうすると、あれは十年前の問題ですから、もしいまもその外為法違反の可能性があるとすれば、有森氏も言っておったけれども、包括一罪の問題がある。それからいまも政府高官への金の流れが続いておる可能性がある。そうしなければ、いま十年前のことで外為違反の訴追を受ける可能性があるということにならないと思いますが、一般的にはどうでしょうか。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 あくまでも一般論ということで申し上げたいと思いますが、十数年前の出来事につきまして、仮に外為法違反の容疑が認められるというふうにいたしましても、明らかに公訴時効は完成しておるわけでございます。したがいまして、免訴判決を受けておる、受けていないにかかわらず、わが国の司法制度のもとにおきましては、かかる明白に時効の完成しておるものにつきまして、公訴が提起される、刑事訴追がなされるということは想定し得べからざる出来事でございます。したがいまして、刑事訴追を受けるおそれがあるということは言えないというふうに私は一般論として理解いたしております。
 次に、包括一罪の問題でございますが、これははなはだしく訴訟技術上の概念でございますのでなかなかむずかしい問題もあろうかと思いますが、外為法と申しますのは、要するに国外に対する、あるいは国外からの送金、支払いあるいはその受領、かかる一つ一つの行為につきまして関係機関、この場合大蔵大臣でございますけれども、関係機関の許可が必要であるということになっておりまして、したがってこの許可を受けずして一つ一つの行為が行われました場合には、その一つ一つの行為について外為法違反が成立するということでございます。これに対しまして包括一罪というのは、ある期間内に幾つかの行為が行われて、その行為がなかなか特定しがたい場合に、その期間内の行為を一括いたしまして一つの行為として訴訟上包括して評価するという、きわめて技術的な概念でございます。この概念は、窃盗罪とか横領罪とかには間々使われることもございますけれども、外為法違反につきまして包括一罪という理論はなかなか立ちがたいというふうに私は考えておりますし、法務省の刑事局といたしましても同じような理解、すなわち私の理解そのものであるというふうに考えております。
○楢崎委員 一つだけ抜けておりました。これで最後にします。
 私も課長の言うとおりそう思うのです、十年前の問題ですから。ところが現在も外為法違反の訴追を受ける可能性があると本人が言い張っているということは、ずっとその金の流れが続いておる。つまり、たとえば一例を挙げますと、ロッキード事件のときの児玉方式ですね、何機納めたら幾らという方式、いままだファントムは納入が続いているのです。だからそういう場合には外為の違反のあれは続いておる、こういうことになるのじゃないかということを一例として聞いておるのです。
○佐藤説明員 一般論を前提としてかなり具体的な内容に入っておるようでございますので、お答えすることは大変恐縮でございますが遠慮させていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、証言拒否というものは、当該証言事項について刑事訴追を受けるおそれがあるかどうかということでございますので、いまのように金の流れが続いているかいないか、その辺のところは実は事実関係を確定した上でないと何とも議論のいたしかねる問題ではなかろうかというふうに考えております。
○楢崎委員 終わります。
○塩谷委員長 先刻の昭和五十四年度外務省予算に関する志賀政務次官の説明中、末尾の部分につきまして本人より取り消したい旨の申し出がありますので、委員長において速記録を取り調べの上、適当に処置いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十七分散会