第087回国会 外務委員会 第8号
昭和五十四年四月二十七日(金曜日)
   午前十時六分開議
 出席委員
  委員長 塩谷 一夫君
   理事 愛野興一郎君 理事 大坪健一郎君
   理事 奧田 敬和君 理事 毛利 松平君
   理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君
   理事 渡辺  朗君
      川田 正則君    小坂善太郎君
      永田 亮一君    河上 民雄君
      木島喜兵衞君    小林  進君
      松本 七郎君    村山 富市君
      草川 昭三君    中川 嘉美君
      寺前  巖君    依田  実君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 古井 喜實君
        外 務 大 臣 園田  直君
        文 部 大 臣 内藤誉三郎君
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
 出席政府委員
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省人権擁護
        局長      鬼塚賢太郎君
        外務政務次官  志賀  節君
        外務大臣官房領
        事移住部長   塚本 政雄君
        外務省条約局外
        務参事官    山田 中正君
        外務省国際連合
        局長      賀陽 治憲君
        文部省初等中等
        教育局長    諸澤 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省学術国際
        局長      篠澤 公平君
        文部省管理局長 三角 哲生君
        労働大臣官房長 関  英夫君
        労働省労政局長 桑原 敬一君
        労働省労働基準
        局長      岩崎 隆造君
        労働省婦人少年
        局長      森山 真弓君
        自治省行政局公
        務員部長    砂子田 隆君
 委員外の出席者
        法務省人権擁護
        局人権擁護管理
        官       梅田 昌博君
        文部省大学局学
        生課長     石井 久夫君
        文部省学術国際
        局ユネスコ国際
        部企画連絡課長 七田 基弘君
        文部省管理局私
        学振興課長   斎藤 尚夫君
        厚生省保険局保
        険課長     坂本 龍彦君
        労働省労政局労
        働法規課長   岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局監督課長   小粥 義朗君
        労働省婦人少年
        局婦人労働課長 高橋 久子君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ─────────────
委員の異動
四月二十七日
 辞任         補欠選任
  河上 民雄君     村山 富市君
  高沢 寅男君     木島喜兵衞君
  浅井 美幸君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  木島喜兵衞君     高沢 寅男君
  村山 富市君     河上 民雄君
  草川 昭三君     浅井 美幸君
    ─────────────
四月二十七日
 所得に対する租税及びある種の他の租税に関す
 る二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦
 共和国との間の協定を修正補足する議定書の締
 結について承認を求めるの件(条約第一五号)
 (予)
 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦
 貿易規約及び食糧援助規約の有効期間の第五次
 延長に関する千九百七十九年の議定書の締結に
 ついて承認を求めるの件(条約第一六号)(予)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規
 約の締結について承認を求めるの件(第八十四
 回国会条約第一六号)
 市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結
 について承認を求めるの件(第八十四回国会条
 約第一七号)
     ────◇─────
○塩谷委員長 これより会議を開きます。
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件及び市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両件審査のため、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ─────────────
○塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 質問に先立って、委員長に一言お伺いいたします。
 委員長は、この国際人権規約に関する政府側の説明をこの委員会でお聞きになりましたか。
○塩谷委員長 はい。
○小林(進)委員 私は、残念ながら聞いていないのであります。私は、今次第八十七国会から外務委員を命ぜられて委員をやっているのでありますけれども、説明を聞いていない。国会というものは、それは陰では別として、正式にこの委員会で政府側の説明を受け、それに対して質問するというのがたてまえであります。聞いていない。なぜ聞いていないかというと、これは継続審議になっているからであります。だから、私ども新しく委員になった者は聞く機会がない。
 一体継続審議というものは何ですか。これは国会法からいうと邪道なんです。これは一国会一審議で、その審議が未了になれば、改めて次の国会からやり直して、初歩に返って説明して、そしてそれに対して質問する、これが国会の長いたてまえであります。ところが、最近だんだんその原則が崩れて、継続などという例外中の例外が公然と大手を振って国会の中を歩き回っているのは、立法府の権威から見ても非常にけしからぬと私は見ている。この原因は一体どこにあるかというと、一つは与党、一つは官僚です。みんな官僚のエゴのために国会がこういう安易な審議状況に持っていかれるのですが、これはやむを得ません。しかし、今後は当委員会においては断じてそういうことが繰り返されないように、ひとつ委員長においても十分お含みおきいただきたいと思います。したがいまして、私は何ら説明も聞かない、やみの中に鉄砲を撃つような質問をすることになるのであります。残念でありますが、時間の関係上繰り返しません。
 第一に労働大臣にお伺いいたします。三十分だそうでございますから、簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
 労働者の人権に関する留保と解釈宣言について質問いたします。まず第一は、A規約第七条(d)項「公の休日についての報酬」の件については留保されているのでございますが、この内容は、祝祭日には働かずとも賃金が支払われるような制度を設けることを意図しているのでございますが、一体「公の休日」とは何を意味するのか、これをまず私はお伺いをいたしたいのであります。広い意味に解するのと狭い意味に解するのとでは大変な違いが生じてまいりますので、この点ひとつお伺いをしておきたいと思います。
○岩崎政府委員 「公の休日」と申しますのは、審議経過から見まして、わが国で申しますれば、ただいま先生おっしゃいましたような国民の祝日を指すものだというふうに解されます。
○小林(進)委員 なるべくこういう官僚の古手みたいなのは出さないようにして、大臣がひとつ御答弁をするようにお願いしたいと思うのでございます。
 第一番には、日本流に言う祝日とは一体どうか。お祝いの日はどうか。祝祭日も入るとお考えになるのかどうか。
 二番目は、地方地方によりましてそれぞれ慣習がある、地方独特の祝祭日というのがあるのです。たとえて言えば、東京都などは十月一日を都民の日として祝日に加えて休んでおりますが、こういうのが入るのかどうか。
 三番目は、日曜日などの週休日も公の休日として有給にすべきかどうか。
 さしあたりこの三点をお伺いしておきたいと思います。
○栗原国務大臣 政府委員の答弁はできるだけ差し控えたいと思いますけれども、これは専門的なことでございますし定義でございますので、政府委員から答弁をさせたいと思います。
○岩崎政府委員 これは原文によりますとパブリックホリデーズとありますので、地方地方におけるものでなしに、国民全部と申しますか、そういう形での祝日と考えられますので、国民の祝日だというふうに理解しているわけであります。
 それから、基準法でいいます一週に一日の休日、これが一般的には日曜を休むのが多いわけでございますが、これは条約で言いますとレストの方に入ります。休日、休憩、レストでございます。これは条約に言う公の休日ではございません。(小林(進)委員「入らない」と呼ぶ)はい、日曜は。
○小林(進)委員 そうすると、あなたの説明によると、地方で行われておる独特の祝祭日も入らなければ、週一回の日曜日も入らない。これは実に狭義の解釈で、私どもはいまあなたの言うことを了承できませんよ、時間がないから次に行きますけれども。
 どうも労働省というのはけちんぼのそろいだから困ってしまうのですが、次に、「公の休日についての報酬」に関連して、日給月給制は公の休日には賃金をもらえるのかどうか。出来高払いのものはこの(d)項に該当するのかどうか。三番目、パートタイムはどうなる。四番目、臨時雇いはこの規約に当てはまるのか当てはまらぬのか。五番目、日雇いはどうなるか。以上五つの問題について御答弁を願いたい。
○岩崎政府委員 一般的に申しますと、わが国の場合には、月給の形態ですとこれは月給で、休みが何日になろうと引かれないというような形のものが多いわけでございますが、日給月給ということになりますと、日を単位といたしまして月にまとめて月給という形になってまいります。したがいまして日給制の方々と同じような取り扱いになるわけでございます。わが国の場合には、日給制の場合に、そういった公の祝日について、企業が休んでおれば当然休むということになりますので、一般的にはむしろ日給制の場合にその日は無給ということの定めである場合が多かろうと思います。それから臨時についても同じようなことが言えると思います。パートタイマーになりますと、これはその日の時間が一般の労働者よりも短いという形でございまして、これの実際の賃金の支払い形態が月給制になっているのかあるいは日給月給になっているのかあるいは日給制になっているのかということに関連して解釈できるものと思います。
○小林(進)委員 それじゃあなたの説明によると、月給の場合には公休日にはもらえるけれども、日給月給あるいは臨時雇いあるいは日雇いは、日給だから全部公休日にはもらえない、こういうことになるわけですね。こういう話になるのですね。そうでしょう。ただしかし、パートタイムの場合には時間が短いだけだから基礎が月給の場合にはもらえる、こういう勘定になっているのでございましょう。よろしゅうございますね。まだ何かありますか。
 実にこの解釈は大変なことですよ。こんな解釈をやられたら、せっかくの基本人権の規定も、事実上においては全部くれない方へくれない方へと解釈をせられて狭義解釈をしている。これは大変なことでありますが、何しろ三十分ですから次へ行きます。
 一体日本の現状はどうなっているか。だんだんいま週休二日制というものが行われてきておりますが、この二日制の定着に対して、いま私が申し上げました日給月給、パートタイマー、臨時雇い、日雇い、これはみんな何にももらえないで無理に休まされているということになれば、公の休日があればあるほど無報酬で、これらの人たちは全部仕事にあぶれるという結果を、求めずして招来をすることになるわけでありますが、こういうことに対して一体労働省は現在どういう処置をとられているのか、将来これらの問題の救済を一体どのように考えておられるのか、あわせてお尋ねをしておきたいのであります。
○岩崎政府委員 週休二日制の場合にその賃金をどういうふうに取り扱うかということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、月給制をとっております場合には、完全な月給制と申しますか、大方従来どおりの賃金が保障されているということでございますが、日雇いあるいはパートあるいは臨時というような形のものになりますと、それの定め方は結局その企業企業の自主決定ということになるわけでございますが、私ども調べたものによりますと、従来よりも休日をふやしたという形で週休二日制を実施したもののうち――結局日を減らしますので、そのままの日給の据え置きですと月間の収入が減るというかっこうになるわけでございますが、実際にはむしろ何らかの形で現状の賃金のトータルを維持する措置を講じた企業が三分の二ということになっております。それは一日当たりあるいは一時間当たりの日額、時間額を引き上げたというものが三七%、それからその際に日給制を月給制に変えたものが一七・七%、それから増加した週休日につきまして有給としたものが三八・一%、その他若干ありますが、そういうようなことで賃金を維持する措置を講じてない企業は、残りの三分の一程度になっております。もちろん週休二日制というものは私どもも推進をしておるわけでございますが、実際に週休二日制が実施されてきた過程の中では、労働生産性の向上というものを、賃金それから労働時間にどのように配分するかということで、一般的には賃金額も引き上げ、かつ労働時間も短縮するというような形で実施してきているのが従来の形でございます。私どもこれは、あくまでもやはり賃金の決定ということになりますので、労使が自主的に決定する原則だというように考えておりまして、現在並びに今後も、そのような形で指導ないし私どもの行政的態度をとってまいりたいと思っております。
○小林(進)委員 君の説明の中にはある程度希望条件を入れたり、いろいろ美辞麗句もあるけれども、現実に言って、週休二日制になることによって、三分の一の最も底辺における労働者が収入減で悩んでいることは事実だ。それを結論的には労使の対等の原則で話し合いで決める、こういうようないまの説明では私は納得できません。それはやはり弱い者いじめだ。残念ながら時間がない。これはまた労働委員会なりそこで改めてひとつこの問題を切り詰めていくことにいたしましょう。あなたの説明は全然納得できません。
 第二問に移りますが、これはA規約の第七条の(d)項「定期的な有給休暇」、こう言われているが、これは原文を見ると、正文を見ると、私は英語は弱いんだから笑わぬでいただきたいんでありまするけれども、これには「オブ ザ アドミニストレーション オブ ザ ステート」ということになっておるんだ。発音がおかしいですけれども、下手なんですから。そういうことで、これによれば有給の定期的休日になっている。「定期的な有給休暇」と、この原文に言う有給の定期的休日では話の内容が違うと私は思うんであります。これは時間がないから、これも論争していれば相当おもしろい論議になるんでありまするけれども。これは政府側の訳でいけば、すなわち年次休暇も細分化してこれをやることをいかにも合法的に決めている。非常にこすからいやり方なんだ。けれども、いまヨーロッパでは、年次休暇は連続して二十日なら二十日、一定の期間にわたったものでなければならない、こういう慣行が行われているんだ。ところが、これはやはり使用者、管理者側にとっては不便なんだ。やはり彼ら管理者や経営者の都合で、ぽつぽつ自分の都合のいいときにちぎって年次休暇をやった方がよろしい、これがやれるようなそういうちゃんと法解釈をやっている。これは一体、了承できない。いま一度こういうことが間違いないように、正文に戻ってこの解釈を改めることができるかどうか、これを私はお伺いいたしておきたいんであります。労働省、君じゃだめだよ、この話は。訳した外務省だよ、外務省。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先生いま御指摘ございましたところ、先生御指摘のように確かに英文ではどちらも「ホリデーズ」という言葉を使っております。公の休日と有給休暇の関係でございますね……
○小林(進)委員 そうだよ。第二項だよ、君。君はわからないかね、このやろう。おれの言うことをよう聞いてろよ、君。わき見しているからわからぬのだよ、君は。時間がなくて困っているのに。第七条の(d)の「定期的な有給休暇」という君たちの訳文はだめだと言うんだ、私は。有給の定期的休日にしなければ原案に合わぬじゃないかと私は言っているんだ。そうだろう。
○山田(中)政府委員 いま先生御指摘のように、英語では「ピリオディック ホリデーズ」それから「パブリック ホリデーズ」と両方とも同じ「ホリデーズ」という言葉を使っております。ただ、英語ではそういう表現を使うわけでございますが、日本語では休日と申しますのは、一般にすべての者が休む日、たとえば祝日でございますとか、それから勤務先が全部閉鎖されておって休む日、そのような日を休日と言っております。
○小林(進)委員 そんなことを聞いているのじゃないんだよ。この原文を見ろ、原文を。おれ、さっき読み違えたけれども、「ピリオディック ホリデーズ ウィズ ペイ」この原文をどう訳すかということを言っているんだ。君たちの訳し方はちょっとごまかしじゃないかと言っているんだよ。これをどう訳すと言うんだよ、順番どおり、君。そんなおまえの説明を聞いているんじゃないのだよ。この英語の訳文を聞いているんだ。
○山田(中)政府委員 ここで申しております「ピリオディック ホリデーズ ウイズ ペイ」と申しますのは、事業所が閉鎖されておらない場合にも労働者が休暇をとる場合でございまして、日本語ではそのような場合は休暇をとる、休暇ということを言っております。それで原文に、正文でございますが……
○小林(進)委員 正文の訳を聞いているんだ、君。解釈を聞いているんじゃないんだ。正文の訳を聞いているんだ。英語にすれば一つ、二つ、三つ、四つしかない、その言葉の訳を聞いているんだ、君。愚か者めが。何だ。
○山田(中)政府委員 条約を訳出するに当たりまして、正文でございます英語をわれわれもちろん慎重に検討いたすわけでございますが、ほかの正文でございます言葉もわれわれ一応検討いたしておるわけでございます。先ほど申しましたように、英語ではホリデーズでございますが、たとえばスペイン語でございますと有給休暇の方はバケーションという言葉に通じております。
○小林(進)委員 私はこの言葉を、「ピリオディック ホリデーズ ウイズ ペイ」をどう訳すかと言っているだけの話なんであって、スペインがどうの、ロンドンがどうのと聞いているんじゃないんだな。おまえ、引っ込んでよろしい、ばか者めが。引っ込んでよろしい、時間がないから。引っ込んでよろしいと言うんだよ、愚か者めが。こういうような官僚がいるからわれわれは困るのです。こんな官僚に私は法解釈を願っているんじゃないのだ。この本文にあるたった四つの英語の訳を聞いているんだ。その訳が、今日いまあるこっちの訳文と違っているじゃないかと言うんだ。原文と訳文が違っているじゃないか。そこに一つの官僚らしいごまかしが入っているじゃないかということを言っているのに、おこがましくも私に物の解釈をしようという、立法論まで述べてくどいような話をしている。私はそんなへっぽこ官僚に立法論や説明まで聞こうと思っているんじゃないのだ。身のほど知らぬやつでしようがない。これはネックにしておきましょう、しようがないから。また次の労働委員会でやることにいたします。こういう訳文をしながら、いわゆる長期的にやるべき有給休暇の本質を失わせて、労働者の権利を狭めるように狭めるようにやっているじゃないか、こういうことを私は質問している。いいですか。話にならぬから第三問へ行きます。
 第三問は、今度は第八条の第二項へ行きます。これも正文と訳文とのいわゆる相違があるんだ。これがさっき私が一番最初に読んだ文章なんだ。訳文は、「この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員」は「権利の行使について合法的な制限を課すること」ができる、こういうふうになっているが、さっき私が読んだ言葉はこれなんです。「オブ ザ アドミニストレーション オブザ ステート」というのがどうして公務員と訳されるかと言っている。どうしてこれが公務員と訳されるかと言うんですよ。これは行政府の構成員と訳すのが本当だろう。政府の、行政府の構成員と訳するのが正当な訳文じゃないかと私は思うのです。われわれが英語が弱いのをいいことにして、みんないいかげんな解釈をしている。一般公務員ということになれば、本当に家中の取るに足らぬ者まで、労働者としての権利、団結権だとか罷業権だとか、公務員という名のもとに全部労働者の権利を剥奪するために、行政府の構成員と訳すべき本文を広義にとるように訳しているじゃないか。どうですかこの点、労働大臣いかがです。
○桑原政府委員 原文の翻訳につきましては、外務省に有権的にやっていただいておりますが、私ども、ILO九十八号条約の第六条を訳しましたときも、いま先生おっしゃいますように、行政府の構成員というような表現になりますけれども、「公務員」という翻訳をいたして確定をいたしておりますので、この規定につきましても、それと同じ表現で「公務員」というふうに規定をいたしたようなわけでございます。
○小林(進)委員 いまのILOの八十七号とか九十八号の社労での審議の際、私も大分参画をして大いに議論した経験があるから、その内容はある程度知っております。ただしかし、労働者の権利をどう守るかというこの重大な国際規約は正確に訳してもらわないと、こういう言葉の魔術で、だんだん労働者の権利がみんな剥奪されていくのじゃないかという心配があるから私は言っているんだ。ILO八十七号とか九十八号における正文が、これと同じ言葉が使われているかどうか私はわからぬ。あんたの説明を聞いていると、同じ言葉が使われているというふうな意味にも解される答弁をしたが、これは違っていたら大変で、あんた、腹を切らなくちゃならない。同じであっても、前の解釈をそのまま踏襲しなくちゃならぬという意味じゃない。たまたま気がついたからここで言っているんだ。そのときは気がつかなかったから言わなかった。いまの解釈で言えば、この原文は、やはり国の行政府の構成員と訳すべきである。なぜこれが必要かと言えば、構成員ということになると、国の行政府の範囲が非常に狭まってくる。行政府を構成する管理職もしくはこれに準ずる者の範囲にとどめられてくる。少なくとも、国家の意思の構成に参与する者、国家の構成員に限る、こういうふうにこの原文からは解釈が割り出されるが、あなた方の言うような一般公務員という解釈になってくると、全く下位の一般公務員、本当に下っ端の役人から一般職の取るに足らぬ者まで、一網打尽に網を張られて、団結権はだめだ、交渉権はだめだ、ストライキ権もだめだという抑え方をしてしまって、せっかくの国際人権規約の精神が何も生きなくなる。だから私は、この正文に従って「公務員」という言葉は訳し直すべきである、こういうふうに要望いたします。やるかやらないか。どうです、黙して語らずか。だめだ、こんなもの。「公務員」などという言葉で訳しているのは大変危険ですから、だめですよ。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 訳語につきましては、「ステート」という意味が、大文字になっておりまして、これは従来の条約の解釈、その他の慣行あるいは訳文等から、国の行政機構だけでございませんで、要するに国家と地方を問わず、全体の制度を包括する言葉として翻訳しております。その言葉には「公務員」という言葉が、われわれとしては適当と思っておりますので、「公務員」という訳語にさしていただきます。
○小林(進)委員 その辺は了承できません。これは、労働者の権利をどこまで認めるか、小幅にちょん切るかという、非常に重大な実態を伴った問題ですから、そんな大文字に書いてある、Sという字が大きくなっているから、これは国家に関係している者全部だなどという三百代言的な説明では、私は了承できません。だめです。これはひとつ改めて議論を繰り返しましょう。
 時間がないから、次にA規約の第八条の立法趣旨。これはいわゆる軍隊、警察、国の行政府の構成員――あんた方の言う「公務員」以外は、同盟罷業をする権利を幅広く与えることをねらいとしている規約なんです。それを皆さん方は、みんな小刻みに与えないような与えないような訳文の仕方や説明の仕方をしているのが、私はいかにもけしからぬというふうに考えているわけです。
 この中で、「警察の構成員」という中には、警官だけが含まれるのか、警察に勤めている職員もこの中に含まれるのかどうか。あるいは「軍隊」という言葉の中には、いまの自衛官だけを含めているのか、あるいは自衛隊に勤めている一般職員、そういう者も全部構成員の中に含まれるのかどうか、この問題について質問しておきたいのであります。これはどちらの解釈か知りませんが、これをお伺いしておきたい。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 いま御指摘の点は、全部包括するという解釈でございます。
○小林(進)委員 ほれ見なさい、だんだん語るに落ちてくるじゃないか。軍隊に勤めたって、飯たきをしている者もあるだろうし、恐らく人殺しの修業なんかには関係のない、軍隊という一つの機構の中で掃除をしている者もいるだろうし、そんな者までも、全部ここでいう、あなたの説明ではいわゆる軍隊という、そういう機構の中に含まれて、一切の労働の基本権を剥奪する、こういう解釈。警察だってそのとおりですよ。警官の職務とは縁もゆかりもない、そういう者がやっぱり警察の中に勤めている。そういう者までも、「警察」というこの条文の中に含めておいて、労働者としての一切の権利を剥奪する。それじゃ何にも国際的人権規約じゃないじゃないですか。圧力を加えるだけの規約に変貌しているじゃないですか、あんた方の解釈は。間違いありませんか。労働者はそれでもいいんですか。労働大臣、それでもいいんですか。よろしゅうございますか、これ。桑原君、これでいいか。
○賀陽政府委員 ただいまの御質問でございますが、条約上は、これは各国の解釈その他から徴しましても、全体が含まれるということでございますが、ただ、その「警察」等の中身につきまして、一部の方々につきまして配慮をするとか、そういうことは、国内政策の問題として、各国が決めるべき問題でございますが、条約解釈としては包括しておるということで御了承いただきたいと思います。
○小林(進)委員 ちっとも了承できません。そういうごまかしの答弁じゃ、恐らくこういう人権法規ができたって、全く逆の方向にみんな行っているんですから、こんなもの安易に認めるわけにはまいりません。
 労働大臣にひとつ申し上げます。余りむずかしい質問じゃありませんけれども、あなたはこの人権規約、労働の基本権に関しまするけれども、これはこの条文の中に、国内法をやはり無視してはならない、こういうちゃんと歯どめはあるわけだ。しかし、原則としては、何としても労働者にはストライキ権まで与えなければ労働者の権利は認められないというのがこの第八条のたてまえです。たてまえだが、しかし、国内法の制限はそれぞれの国の状況によってそれを無視するわけにはいかないという親切な歯どめの規定があります。その歯どめを見てわが日本の法規を見ますと、時間がないから申し上げまするけれども、わが方には労働者の基本権に対して一体幾つの歯どめがあるかということを私が調べてみたら、労調法、スト規制法、船員法、公労法、地方公務員法、地方公労法あるいは国家公務員法、これは七つもあって、十重二十重に労働者にはみんな基本権を縛っている。そのほかにまだ事業法上の罰則があったり、あるいは退職手当法あるいは共済組合法なんというものがあって、ちょっとでもやれば退職金もくれない、あるいは共済金の掛金も取り上げるというふうな実に残酷な法規が全部あるわけだ。これをさっぱり洗い直しもしないで、このままこの第七条あるいは第八条をわれわれがさっさと認めることになれば、むしろ労働者にとってはこれは自分たちを拘束する悪法に化ける以外に何の利得もない。
 そこで、労働大臣に申し上げたいことは、この基本人権が出たことをひとつ契機にいたしまして、いま私が申し上げました国内法を全部洗い直す、世の中進歩しているんですから、国際的によその国もみんな進歩的に法規の改正をやっているのですから。私は、ひとつこれを労働大臣にお願いしたい。根本的に洗い直す、その洗い直しの作業が済むまではこの批准はしばらく待つというようなことにお願いをしたい、この点は労働大臣いかがでございましょう。
○栗原国務大臣 私は、この人権規約の批准に際しましては国内法をここで改正をする、特にその必要はないと思います。しかしながら、この人権規約の趣旨に沿いまして今後とも施策の充実を期していきたい、こう考えております。
○小林(進)委員 これ一問で終わります。
 非常に御親切なアドバイザーをそばにいただきましたので、お許しをいただきまして、いま一つ申し上げますけれども、いわゆるこのA規約というものは御承知のとおり、これは漸進的にいきなさい、B規約とは全く違って、進んで何年何月までこれを実行せいとか履行せいとかという条項は何にもないのです。漸進的にやっていけ、この漸進的というのは一体何年を予定するのか。五十年でもいいし百年でもいい、永久かかってやらなくてもこれに対する言い逃れは幾つもある。これはそういう実に寛大な緩漫な規約なんです。そういう規約にもかかわらず、日本の政府は、労働の基本権に関するものは、これは留保にして批准していない。何で一体これをこんなに留保までする必要はどこにあるのかと言うのだ、私は。いまも言うように、即日にこれを実行せいと言うのならば、いろいろな諸法規の改正や国内の関係もあるからできませんから留保しますと言うのならいいけれども、永久にこれはやらなくてもいいのですよ。何の理由があって、こういう労働者の権利に関することだけを留保にしておいて、われわれに批准を求めてこなければならぬのか、どう考えても私はこの理屈はわからない。外務大臣いかがですか。やはりせんずるところは、小役人みたいな小利口な官僚がそばにいて、みんな大臣なんかを盲にしてはこういうつまらぬことをやって、平地に乱を起こしている。特に外務官僚というのは一番悪い。こんなのは英語が少しうまいからといって、つまらない外交官試験に通るというと天下をとった気持ちになって、こういういたずらをしたがる。いたずらと見る以外にないじゃないですか、こんなものは。一体これを留保することの利益と批准することの利益と、どれだけの差異があるんですか、明確に答えてもらいたい。
○園田国務大臣 いま労働大臣からお答えになりましたとおりでありまして、現在は国内法その他もあって留保したわけでありますが、将来はそういう方向をめぐって検討したいと考えております。
○小林(進)委員 将来に向かって努力をするとおっしゃいますし、大臣と私の仲でもありまするから、これ以上追及するのはやめますけれども、実際はいまこんなものは留保してくる理由は一つもないのであります。全くない。本当に毛ほどもないのでありますから、直ちにこういうような間違った措置は改められることをお願いいたしまして、若干時間を食いましたけれども、私の質問は一応これで中止です。継続はまた改めて次の機会にやることにいたしまして、本日はこれだけで中断をいたします。
○塩谷委員長 土井たか子君。
○土井委員 特に労働大臣がただいま御出席でいらっしゃいますから、この関係の分野の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。
 A規約の中で、特に女性の労働について第七条a項の(i)であるとか、第十条の2項であるとか等々は具体的な配慮が非常になされているわけでありますが、労働大臣、日本の場合には、現行労働基準法も含めまして、女性に対しまして、この人権規約が求めている内容に十分に合致する労働条件というものがもうすでに確定されているというように考えていらっしゃるかどうか、いかがでございますか。
○栗原国務大臣 労働基準法第四条では、賃金について男女平等といいますか、同一労働同一賃金の原則を定めておって、差別を禁止しております。それからまた、賃金以外の労働条件につきましては性を理由とする差別、それはよろしくないということで、民法九十条に基づきまして、合理的な理由のない性による差別というのは公序良俗に反する、こういうことで裁判でも判決が出ております。したがいまして、この規約の第七条の規定というのはおおむね満たされておると思いますけれども、しかし、いま土井さんが御指摘になられましたように、それでは男女の差別が職業の部面で全然ないかというと、現実には賃金以外の労働条件といたしましては、たとえば結婚をしたら退職しろとか、それから女子の定年は男子よりも若くていいとか、そういうようなものがございます。そういうようなものにつきましては、これは今後行政によりましてひとつ解除していくということでいまやっていることでございます。
○土井委員 労働大臣、いま終わりの方で、ちょっとはっきりおっしゃることが聞き取れなかったのですが、行政措置によって解除していくというふうなお答えだったわけでありますか。それは具体的に言うと、どういうふうな措置を講ずることによってこの問題に対処なさろうというわけでありますか。
○森山(真)政府委員 職場における男女平等を実現していこうということは、特に国際婦人年以来非常に大きな問題になっておりまして、御承知のように国内行動計画におきまして、政府としてもそれを逐次実現していくということがはっきりとうたわれているわけでございます。
 で、特にただいま大臣から例を挙げてお話しいたしました男女差別的な定年制、退職制につきましては、この点については従来からも啓発指導をしておりましたけれども、昭和五十二年に特にこれを改善する五カ年計画をつくりまして、五年の間にそのような制度を、慣行をなくそうということでいま計画的に行政指導を行っているところでございまして、非常に困難ではございますけれども、逐次改善の実効が上がっているというところでございます。
○土井委員 これは、逐次そういうことに対しての御努力の実効性が上がっているがごとき御発言でございます。目を光らせているのと光らせていないのでは大分違うということも現実にはあるのかもしれませんが、しかし、実際問題、見てまいりますと、行政監督であるとか行政指導とかというふうなことが行き届かない分野で、非常にいやがらせであるとか具体的に差別行為というのがなされているわけですね。いろいろな例を挙げていくとこれは実は枚挙にいとまがないと思うのです。夫が管理職になったときには、共働きであった場合に妻に対してそろそろやめてはどうだというふうな勇退についての勧めなど、いろいろ勧奨をされるというふうな例なんかは山ほどありますし、いまのように不況になりますと、まず第一に共働きの女性側が退職を勧奨されるなんというふうなことは日常茶飯事の問題であります。特に極端な例なんかを挙げるとするならば、容姿端麗を条件にしたアナウンサーなんかの例を挙げたら、これはニュースにもなったわけですからもう周知の事実であろうと思いますが、男の人には考えられないようなことが実は女性の場合にはよくあります。アナウンサーとしてりっぱに通用している女性の場合には、三十九歳になってテレビ映りが悪いからアナウンサーとしては不適格だということになるのですが、男性の場合にははげていても、頭がすだれになっていても、どうなったってこれはアナウンサーとして通用するという、これは世にも不思議な物語りと言えば言えると思うのです。
 しかし、そういうことを考えていくと、不平等の原因になっているのは、いろいろな法律を正すとか行政指導を的確にやるとかいうふうなこと以前の問題がどうもあるようでありまして、日本の場合には雇用におけるいろいろな前近代的な社会慣行、慣例というふうなものが、外国から見たらわからないようなものがまだまだ残存しているということじゃないか。一言で言うと、あくまで男は仕事、女は家庭というふうな家制度から来ている、また終身雇用とか年功序列の制度から来ているこういうふうな問題と非常に結びついて、女性というのは本来補助労働だという認識が社会的にある。この問題が非常に根強く各職場である限りは、幾ら法律の手直しをやったって、行政指導をやったってどうにもならないという部面が残っていくという実情であるというこの指摘はよくなされるわけですが、労働大臣はこういう問題に対してどういう御認識をお持ちでいらっしゃいますか。
○栗原国務大臣 確かに従来は女子は補助労働だといいますか、家庭をやれという思想は強かったと思います。しかし、御案内のとおり経済社会は大きく変動しておりますし、女子の職場に対する進出も非常に大きくなりましたし、女子の能力というものが社会的に認められつつあるということも現実であろうと思うのです。そういうような意味合いからいいますと、さらに雇用において男女平等を期するためにはいまの法体系だけでよろしいか、そういう問題も出てくると思うのです。これはもう土井さんも御案内だと思いますが、労働基準法研究会の報告などでも、雇用における男女平等を期するということから、男女平等法をつくれ、こういう御提案もあるのもそういう時代的な背景を映し出したものだ、そのように考えておるわけでございます。
○土井委員 いま労働大臣の御発言の中に出ました、昨年の十一月の二十日に出されました例の労働基準法研究会の女子労働に関する報告書、これは前大臣の私的諮問機関として設けられた研究グループの報告書でございますから、公的に一体どういう意味を持つのかちょっと定かではありませんが、しかし、この報告の中で具体的に取り上げられております、いま労働大臣の御発言でありました平等を具体的に実現させていくことのためには、現行労働基準法の中にある保護規定を外すことが一つの大事な問題だという意味合いの指摘が実はございます。果たして労働大臣はこの点どうお考えになりますか。保護を外せば平等は実現できるという、端的に言ったらこういう物の考え方があるのじゃないかと私は思うわけでありますが、この過度の保護規定があるということの指摘をしながら、取り外す考え方が具体的に報告書の中に出ていますね。労働大臣はどのようにお考えになりますか。
○栗原国務大臣 私もこれを読ませてもらいましたが、総体的に見ますと、特別な理由がないのに保護措置を講ずべきではないということ、それからいま一つは、必要な母性保護というものは充実しろ、ですから、保護をするのには合理的な理由がなければならないということと、いま一つは、必要な母性保護、そういうものについてはこれは守っていかなければならぬということでございますから、総体的にこういう問題は見なければならぬ、こういうように感じております。
○土井委員 その必要であるか必要でないかということがそこで問題になってくるのですが、あの報告書を作成されるときに、女性の労働現場の実態というものに触れて、いろいろと事実を事実として認識しながら、研究をやった成果を報告書として結実されているというふうに労働大臣はお考えになっていらっしゃいますか。
○森山(真)政府委員 労働基準法研究会のメンバーの方々は、労働問題、社会問題、法律問題、経済問題、婦人問題等々の専門の研究家の方々でいらっしゃいますので、十分そのことを御承知の上でお出しいただいた報告であると認識しております。
○土井委員 そういう御答弁をなさいますが、現にあの一番の責任者である有泉先生自身が、これは学識経験者だけでフリートーキングをしてもらいたいというふうな趣旨でできたようであるので、いま実態に触れてもう一つ事実を知らないという御批判があることは甘受しなければならないとおっしゃっているのです。それからまたさらに、「法制審議会の部会などですと、若い学者を幹事という名前でお願いをして、そしてその幹事と役所のほうのスタッフとが幹事会を組織して、そこで準備をするというのが普通に見られる形なのですが、労働省はそういう伝統がないとみえて、研究会が出来るころに私は当時会長だった石井照久君に、若い人を入れて一緒に検討してもらったらどうだろうと言い、彼も賛成したのですが、それは何かの事情があって実現しませんでした。」ともおっしゃっているのです。確かにあの委員会のメンバーは平均年齢が非常に高いですよ。率直に申し上げますが、おじいさんばかりです。女性はたった一人でしょう、実際問題の討議として正式にメンバーになっていらっしゃるのは。あともう一人は常に出席されていて、都合女性の数は二人だということもおっしゃっていらっしゃいます。「ジュリスト」という雑誌にちゃんと有泉先生自身がおっしゃっていらっしゃることでありますから、実際問題について言うならば、その点は事実いまの現状を十分に把握した上での研究とは言えない。フリートーキングをやったけれども、この資料は万事労働省が提供された資料に基づいてやったということもはっきりおっしゃっている。やっぱり現実の事実に即応して調べた結果が研究会報告となって初めて説得性はあるものですよ。だから、現実の現場に働いている人たちからすると、こんなのは私たちに全然関係ない、事実を何と認識されていない報告書だろうという実感しかありません。この点いかがですか、労働大臣。労働大臣に聞きます。
○栗原国務大臣 この報告書に対しましていろいろ各界、各方面から御意見があるのは当然だと思います。ただ、ただいま政府委員から申し上げましたとおり、労働省といたしましては、この道にかけてそれぞれ経験もありベテランの方々の御意見を承って、そして報告をいただいたわけでございます。そういう意味で、これはこれとしてまた大変貴重な御意見ではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、私どもはこの報告書をもって直ちに結論を出そうとしているわけじゃございません。労使の代表による関係審議会で十分な御審議をいただいて結論を出したい、こう考えているわけでございます。
○土井委員 そうすると、この報告書というものはどういう取り扱い方をなされるかというのは、今後の取り扱いについては、これを基本に置いてやっていくということでも必ずしも姿勢はないというふうに理解をさせていただいていいわけですか。
○栗原国務大臣 これはせっかくの御意見でございますから、その答申の趣旨を尊重しながら各方面の御意見を聞くということです。ですから、これに全然こだわるということはございませんけれども、答申について最初から、これは尊重しないという態度はとるべきでないと考えております。
○土井委員 これの取り扱い方については常々指摘されることなんですけれども、女性の問題について問題になるのは、もうそれは女性ばかりがこれについて、たとえば運動となると、これは労働組合の運動でも女だけの問題だ、政治の面でも、女性の問題であって男性の問題じゃないという、とかく何かこういう取り扱い方については特異祝をして特に取り上げられて、女性の問題だから女性がというふうな取り扱いというのがよくありがちなんでありますけれども、男女がともに全体の問題として考えるということが非常に重要な、今後労働問題として考える場合には課題ではなかろうかと私は思うわけであります。特に男性の場合には、この報告書の中で述べられております時間外労働に対して一体どう考えるべきか、深夜業の一定の規制に対してどう考えるべきかというふうなことは、現実、過重労働、それから時間外労働ということが至極当然であって、しかも、考えてみると賃金はそれに比べて低賃金だというふうな実態もあるわけでありますから、現行労基法なんかについて言うならば、男女ともの問題であり、男女平等、女子の特別措置の是正というのは総合的に考えられていかなければならない問題だというふうにも私は思うわけですが、この側面はどういうふうにお考えになりますか。
○森山(真)政府委員 いままさに先生がおっしゃいましたような趣旨が労働基準法研究会報告書には述べられているわけでございまして、特に時間外労働について例を申し上げますと、長時間労働につきましては男女とも好ましくないことであって、男女とも時間外労働は必要最小限にとどめるべきであるということをはっきり言っておりますし、また、深夜業につきましても、長時間労働と同様に男女双方に影響が大きいものであって、できることならば、このようなものはできるだけ少なくするべきである、男女ともに望ましくないということをはっきりと言っているわけでございます。この趣旨を体しまして、男女ともに時間外労働あるいは深夜業については総合的に考えていくべきであるというふうに私どもも考えております。
○土井委員 ただ、その考え方とか理屈からいうとそういう御答弁をこの席ではなさるのですが、実際問題運用の点になっていく、それから労基法に対してどう考えるかという問題になっていくと、現在労働基準法に違反する、労働基準法に矛盾する、そういう形で労働強化であるとか、労働条件がだんだん低く抑えられていっている現実に合わせて、そういう男性の職場における条件に合わせて女性に対しても引き下げる、さらに劣悪な方向に持っていくという意味での改正というのは考えられなくはない、そういう傾向というのは間々あるわけです。たとえばここに出ている「女性保護というものを切り捨てることによって初めて男女平等というものは実現されるのである。」なんという問題の認識の仕方というのは、まことに間違っているというふうに私は理解をしているわけであります。今回の人権規約というのは、実はその母性保護というものを尊重しながら、労働条件に対しては男性に劣らない労働条件ということを言っているのじゃないか。この点に対する認識というのをはっきり労働省としては持っておいていただかないと、労働基準法に対する現在の取り扱い方、さらには現在の労働現場においていろいろありますところの労働条件なり、それから女性労働者の実態というふうなものを、再度労働基準法というものを考え直す場合にどういうふうに考え直すべきかという足場と申しますか、基本的な態度というものが非常に見失われるのではないかというふうな危惧を私は持っているのです。いまの人権規約からすれば、再度私は申し上げますけれども、母性保護というふうな保護というものを重視しながら、それを尊重しながら、男性に劣らない労働条件ということを、労働者ということの立場においての人権に対して保障しているのではないか、この点は労働大臣はどういうふうにお考えになりますか。もう時間ですから、私はこれで終えますから……。
○栗原国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、必要な母性保護というものは重視しなければならぬ、すべて総合的に考えなければならぬ。それだけを取り出すというのじゃなしに、総体的に考える。ただし、その中にはいまお説のとおり、必要な母性保護については重視していくということであると存じます。
○土井委員 これは再度社会労働委員会の方に出かけていって、私はさらに具体的にこの質問を継続しなければならないと思っておりますが、最後に一言申し上げたいのは、私がいま非常に気にかかるのは、労働大臣は必要な、必要なと言われるのですね。必要な母性保護はとか、必要な、必要なと言われるのだけれども、必要であるか必要でないかということは一体だれが判定をして、そして決定をしていくのかという問題ですね。これは政府が頭ごなしに行政的感覚で、いい、悪いということを判別されたらたまったものではないと私は思うのです。労働現場において現に働いている女性というものが、それを必要であるか必要でないかということをみずから知っている一番肝心かなめな人なんですから、労働現場の実態ということをひとつしっかり現実の問題として把握していただくという努力を抜きにしては、こういう問題に対処していただきたくないと私は思うのです。私は、今回のこの報告書の内容を見まして一番強く感ずるのはその点です。労働現場とかけ離れておりますよ。
 率直に申し上げますけれども、労働現場に何の関係もない学識経験者と称する偉い先生方が寄って、ああでもない、こうでもないということを労働省が提供なさる資料によってお考えになったって、現実の問題に即応し切れない、このことだけははっきり言い切れるのではないかと私は思います。労働大臣、この点はよろしゅうございますね。
○栗原国務大臣 現場の実態の把握ということは重要なことだと思います。そういうことも含めまして、関係審議会で十分な御審議をいただきたい、こう考えております。
○土井委員 労働基準法の改正については、いま労働省としてはいろいろ準備を進めていらっしゃるのですか。
○森山(真)政府委員 労働基準法の新しいあるべき方向につきまして、特に女子関係について昨年十一月、いままでお話の出ました研究会報告が出たわけでございますが、これを参考にいたしまして、これから関係審議会において十分議論をしていただくということでございますので、いまのところはいつごろ、どのようになるかということははっきりしておらないわけでございます。
○土井委員 終わります。
○塩谷委員長 草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。きのうに引き続いて、私の方も時間が二十五分でございますので、簡潔に御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、労働大臣にお伺いをするわけでございますが、人権規約が国連で採択をされてから非常に長期の期間がかかっておるわけでございます。きのうもいろいろと外務大臣にお伺いをして、おくれた理由ということを聞いたわけでございますが、やはり国内法の整備の関係あるいはまたぎりぎりの部内調整で手間取ったということを言われております。
 そこで、ざっくばらんにということで、一体関係省庁はどのような協力の態度をとったか、こういう御質問をしたわけです。そうしたら、外務大臣の方としては、関係各省は大変気持ちよく協力的だったというお話がございましたが、実はそのときに苦笑された方が多かったわけでございまして、実態はそれぞれの調整の段階でかなり難航したということが私どもにもうかがい知れることがあるわけであります。しかし、労働省として、これに踏み切った経過の中で特に問題になった点、これは留保条項というのもあるわけでございますけれども、ひとつその点について労働大臣にお伺いします。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。
 外務省を初めとする関係各省とともに、この人権規約の批准につきまして、積極的なかつ熱心な討議が行われたわけでございますが、特に労働関係におきましては、先生も御指摘になりましたように、公の休日に関する報酬の条項、また同盟罷業をする権利の条項に関しまして、現在のわが国の実態、実情、あるいはわが国の現在の法制、そういうものから見まして、どうしても問題があるということになりまして、留保することになったわけでございます。
○草川委員 特に公の休日、これはA規約第七条(d)に関することでございますが、先ほどもいろいろとお話があったわけでございますが、実態論としては日本の国内で日給制、月給制、あるいは最近年俸契約というのもぼつぼつ出てきておるわけでありますし、セールスマンのように非常に違った雇用形態というものも出てきておるわけでございますが、休日と年契約、月契約あるいは時間給、いろいろな体系というものが徐々に変化をしてきておることも私は事実だと思うのです。たとえば管理職なんかは特に変わってきておる面があると思うのですけれども、今後の労使間の実態が変わってくれば、このような留保条項というものは再検討をされることがあるのかどうか。留保と一たん決めた以上は動かしがたいものなのかどうか、その推移、考え方についてお伺いします。
○岩崎政府委員 この規定が公の休日に関して、公の休日に対する報酬を保障することを義務づけている関係になっております。ところが、いま先生の御指摘もありましたが、わが国は完全月給制ないし年俸というような形に若干ずつ移行しているかもしれませんけれども、私どもがつかんでいるところでは、現実にはまだ国民の祝日を休日にしていない企業もあるわけでありますし、国民の祝日を休日としている企業でありましても、その間に賃金を支給するという明確な労働協約なり、就業規則なりの規定があるというものも必ずしも多くないというような現在の実情でございます。それから日給制その他の賃金形態のものにつきましては、その点が明確でないというようなことがございます。
 そこで、そういうような賃金の支給をどうするかというような問題は、私ども、本来労使が自主的に決定すべき問題ではないかということが基本にあるわけでございますが、今後、そういった祝日の付与形態ないし賃金の支払い形態というものの推移いかんによりまして、また検討すべき段階が必ずしも到来しないとは考えておりません。
○草川委員 私がなぜこういう質問をしたのかということは、「公の休日についての報酬」というのですか、A規約第七条を外すこと、留保したことによるヨーロッパの対日感情いかんという問題があるわけであります。事実EC関係では、日本の労働者というのですか、日本の国民は働き過ぎではないかという批判があるわけですね。ウサギ小屋に住んでいて非常にあくせく働く、こういうような一般的な見方がある中で「公の休日」について留保しようということはかえってヨーロッパなり――アメリカでもそうでございますけれども、日本に基本的な人権が非常に欠けておるのではないだろうかといういろいろな意味での初歩的というのですか、いわれのない批判があるかもわかりませんけれども、そのために日本の外務省も、そういう物の見方に対して困るというのでしょうか、ずいぶん苦労してみえる、こういうことがあると思うのです。だからこれを外すというヨーロッパ的な見方について一体どうなのか。ECのような対日批判があったわけでございますが、この問題を含めて、この点について外務大臣と労働大臣の見解を一回聞かせてください。全く関係がないのか、あるいは対日批判は正当だと言っておみえになるのか、間違っておると言っておみえになるのか、これは労働省からも双方からあわせてまず聞かせてください。
○栗原国務大臣 労働時間とかあるいはいま言った祝日に賃金を出すか出さぬかという問題について、諸外国が関心を持っておるということは私はそのとおりだと思うのです。ただ問題は、やはりそういうことを考える中においても、現実の日本の経済の実態あるいは企業の実態というものを無視してはいけないという点があるわけです。こういう問題、快刀乱麻を断つがことく、それじゃ認めましょう、こう言いますと、その結果どういうことになるかといいますと、コストの問題になります。コストの問題になりますと、そのコストが全体の企業活動の中で吸収されない場合には、今度はむしろそれをやり切れないということになりますから、雇用の減少、雇用問題に関連をしてくる。そういう国内的ないろいろな問題がございますので、そういう点の勘案をしながら施策を講じていかないと、外国がどう考えているかというだけではこれは処理できないと思うのです。もちろん私どもはそういう方向に向かって行政指導していくということは当然でございますが、これを一気に国内法で規制をするというようなことは現時点において適当でない、かように考えます。
○園田国務大臣 今後ECあるいは米国、世界全般にわたって政治、経済の分野で自由な立場で自由に勝負をやるべきだ、これは一定の流れであります。その場合に、いま現在問題になっておる市場の開放であるとか、貿易障害であるとかと同時に、労働条件等についても日本が特別の伝統であるとか習慣とかということで枠を設けておることは勝負に汚いというのが概略の言い方でありまして、今後はそういう点から、またいろいろな問題が逐次出てくると外務大臣としては考えておるわけでありますが、しかし、この問題はよその国から非難されるから、その非難を受けてからやるというべき問題ではなくて、先ほど労働大臣が言われたとおりに、社会の必然性に向かって、伝統や習慣等困難な問題がありましても、国際基準に向かって一層の努力をするべきであると考えております。
○草川委員 いまのお話を聞いておりましても、外務大臣は明らかに軸足というのですかウエートというものは、外務省ですから当然でございますけれども、国際的影響というのですか、あるいはあるべき姿ということで踏み切ってお見えになりますね。ところが労働大臣の方は、いやいやそうは言うけれども、実際は国内法の関係だし、現実にそぐわぬじゃないか。だからきのうも漸進的という言葉が、これはいい、悪いは別として、漸進的という言葉がここで国際条約にもかかわらず、意味合いが出てくるわけですね。ですから、きょうは厚生省はお見えになっておりませんけれども、厚生省の第九条にかかわる社会保障の面は、いまの労働大臣のお言葉で言うならば、逆に厚生省の方が負担というか国内法整備の影響力が大きいと思うのです。だけれども、厚生省は今回留保条項なしに踏み切ってお見えになっているわけですよ。そういう点では労働省の方が、後のスト権の問題はちょっと違うと私は思うのですけれども、前半の公の問題は、その他の問題とも関連して割り切ってもよかったのではないだろうか、この留保条項はなくしてもよかったのではないだろうか、こう私は思うのですが、その点、くどいわけですが、もう一回答弁してください。
○栗原国務大臣 私も国際経済の中の日本であるという点については、その認識は人後に落ちないと思うのです。ただ問題は、とにかく割り切っていけ、割り切っていけというのも一つの理論でございますが、しかし準備なしに割り切っていくということはなかなか大変なことです。かえってそのことが混乱を起こすゆえんにもなる。ですから、いま外務大臣が言われましたように、そういう国際社会から、労働条件について日本はアンフェアじゃないかと言われるようなものにつきましては、それはよく考えて直していかなければならぬと思うのですよ。ただしそれには時間がかかる。そういう観点からいたしますと、いまの段階でこの問題について留保をつけるのは当然である、そういうように考えるわけでございます。
○草川委員 ですから、労働大臣のお話を聞いておると私はよけいにもう一回繰り返したくなるのです。
 いまアンフェアという言葉が出ましたけれども、実際外国から、特に日本の労働の質という面で向こうは非常に焦って、自動車産業についてもあるいは電子機器についてもいろいろな意味での批判が出るわけですよ。だから、私はかえってそこで割り切っておいた方がここはいいのじゃないだろうか。逆に国内的には、いま何回か言うように、社会保障の厚生省の方がいろいろな意味での影響力が大きいわけだから、そちらの方がかえって混乱が起きる。いまのような労働大臣のお言葉は、逆にそちらになるのじゃないだろうかというように、私どもは心配をする必要はない立場でございますけれども、要らぬ心配をするのです。どちらかと言えば、そういう趣旨で労働省の態度は、留保したことは非常に明確に割り切っておる、その点では国内的には後でトラブルがないと私は思うのです。ないけれども、せっかくこの人権規約を国際的に結ぶ趣旨に反するのではないだろうか、私はこう思うのですが、その点は外務大臣、よろしいのですか。
○園田国務大臣 昨日来、草川委員の質問を真剣に拝聴しておりますが、正直に言うとわれわれの痛い点というか、あるいはもっとよく言えば問題点、将来についての問題等が非常に的確に指摘をされておると思って拝聴しているわけであります。
 問題点は三つあります。一つは、政治的に日本がどのようにうまく混乱なしに生きるかという調整の問題、一つは社会保障、年金、児童手当、住宅の入居、こういう国家財政の面をどう調整していくかという問題、もう一つは、きのう言われました日本の現国内法とこの人権規約の必然的な方向をどう調整していくか、こういう三つの点で苦労したのがそれでございます。しかし、外務大臣としては、まず人権規約の批准をお願いをして、それを契機に漸次必然的な方向に関係各省の方々と協力をして進めていきたい、こういう考え方でやっておるわけでございます。
○草川委員 では、せっかく大臣の方からおほめの言葉をいただきましたので、この問題は一応終わります。
 次に労働大臣に、スト権の問題に入るわけでございますが、ずばり言いまして公共部門の労使関係というのは非常にひずみがあるわけでございまして、将来の見通しについての答弁は非常にむずかしいと思うのです。そうでございますが、一応それはおきまして、今度の春闘の情勢について、私は従来の経過を見ておりますと、公共部門における労使関係のパターンというのはかなり変わってきておるのではないか、こう思うのです。これが直ちにこの条約にというふうに短絡はいたしませんけれども、これはわが国の非常に基本的な一つの方向でもあると思うので、ひとつ念のために、労働大臣として今次春闘における公共部門の労使関係の、変化と受けとめるのかあるいはそれを前進した形と受けとめられるのか見解を賜りたいと思います。
○栗原国務大臣 俗に言う春闘が終わりまして、いろいろの見方があると思いますが、私は、大きな特徴として二つあると思うのです。一つは公共企業体等がストライキというものを労使ともにできるだけ避けたい、こういう空気が非常に強かったと思うのです。ストライキに突入したことはまことに遺憾でございますけれども、しかし、半日といいますか、約一日といいますか、そういうところで収拾されたことは不幸中の幸いであった。これは、やはり労使の中にストライキはできるだけやるべきでない、訴えるべきでないという気持ちが働いたものだと思うのです。いま一つは自主交渉ですね、自主交渉に力を置いてやるべきではないかというような動きが出てきたことも、これは今春闘の大きな特徴ではないかと思います。そういう意味では、ある意味における労使の間に良識ある流れが出始めたのではないかというふうに私は評価をしております。
○草川委員 常識ある一つの流れが出たわけですから、これはぜひ育てていきたいし、これは国民的な願いでもあるわけでありますから、そういう中で留保条項もおのずと一つの結論が出ていくように、ぜひ関係当局としてもそういう配慮というか、いろいろなバウンダリーをつくられるようにお願いをしておきたい、こういうように思います。
 時間がございませんので、次に、私、きのうの質問で答弁がちょっと聞き取れなかったのでございますが、いわゆる人権規約の遵守状況を監視する機関として経済社会理事会というお話があったわけであります。労働関係の事項については専門機関としてはILOがあるわけでありますが、このILOが関与することになるのではないか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
○賀陽政府委員 御指摘のとおりでございまして、A規約の第六条から第九条までの条項につきまして、ILOが経済社会理事会と特別の取り決めを結んでおるわけでございます。と申しますことは、事務総長がまず報告を締約国から受けまして、その写しを直ちにILOに送付いたします。ILOは送付を受けましたその報告につきまして勧告的意見とか所感を述べ、かつはまた、ILOの中でこれと関連いたしまして従来実施してきたこと、それから今後実施いたすべきことについてこれを包含せしめつつ、これを還流せしめるということにおきまして、ILOの意見が反映するという仕組みになっておるわけでございます。
○草川委員 時間がございませんので最後になりますけれども、今回留保条項があったとはいうものの、批准案件が提出されておるわけでございます。これは画期的なことでございますし、先進国でございますので、ぜひこういうものを早く内外にも表明をして遵守をしていかなければいかぬ、こう私どもも思うのでございます。
 これに関連して、ILO条約というのもたくさんの基本条約があるわけでございますが、現在十七でございますか、キー条約という基本的な条約、これについての日本の批准が、七かそこらだと思いますが、まだ大分おくれておるわけでございますね。この未批准の早期の批准方を働くべきだと思うのですが、その点、労働大臣どうお考えになっておられますか。
○栗原国務大臣 御説のとおり、先進国として日本が国際社会の中に入っていくためには積極的に進めていかなければならないということでございまして、私どもも関係各省とよく相談をいたしまして努力をいたしたい、こう考えます。
○草川委員 特に栗原労働大臣は、たしか五十年か五十一年だと思いますけれども、社会労働委員会の委員長をなすっておみえになって……(栗原国務大臣「外務委員長です」と呼ぶ)外務委員長ですか、それはどうも。例のILOの百二号条約でございますか、あれの議事録も改めて拝見させていただきました。そのときには、特に社会保障関係でこれも若干の留保条項があったわけでございますが、参考人まで呼んできわめて熱心な審議がなされておるわけですよ。ひとつそういう伝統的な精神を特に生かしていただいて、やはりこれも流れがあるわけですから、その条約が一つ済んだからといって次だというのではなくて、必ずフォローする、どこがおくれているからとか、またおくれておるとするならば早期に施策を立てて、そしてそれをまたもとへ戻すとか、それをまた国際的に表明をするとか、そういう立場をぜひとっていただきたい、こう思うわけであります。
 最後になりますが、今度は外務大臣にILO条約の批准等の問題について、今後の見通しについて大臣の見解を受けて私の質問を終わりたい、こういうように思います。
○園田国務大臣 ILO条約は労働大臣からお答えになりましたとおりに、労働分野における国際基準を設定したものでございまするから、先進国たる日本は、これの批准を積極的に推進すべきものであると考えております。そういう視点から、労働省を初め関係各省と相談、協力を得つつ、一層その批准に努力をしたいと考えております。
○草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○塩谷委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 初めに労働大臣に二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 さきの四月三日の閣議決定で、ベトナム難民が一定の数日本にこれから定住ができる、こういうような形になるやに聞いております。そしてまた具体的な措置も講ずることになっている。たとえばそのベトナム難民に対して職業訓練あるいは職業紹介を行っていく。これは大変結構なことでありますが、そうしますと、当然ベトナム難民は日本国民と同じような平等の待遇を受ける、そのようにこれからいろいろ措置が講じられていくというふうに理解してよろしいのでしょうか。その点、労働大臣いかがでございましょう。
○関(英)政府委員 日本に定住する外国人ということになろうかと思いますが、労働関係のいろいろな施策につきましては、保険関係その他いろいろの労働関係の施策は国籍を問わず適用する、雇用関係に入れば雇用労働者ということで適用するということで従来から行っておりますので、このたびのベトナム難民の問題についてもそのような取扱いになろうかと思います。
○渡辺(朗)委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、当然社会保険や何かも均等に適用されるということで準備されていると思いますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
○関(英)政府委員 労働省関係の保険、労災保険、それから雇用保険、昔の失業保険でございますが、こういったものは、日本国内にあって雇用関係に入る限り外国人にも適用されるわけでございます。
 厚生省関係のことについては、私、つまびらかでございませんので、御勘弁願いたいと思います。
○渡辺(朗)委員 関連いたしまして、外国人の目から見ると日本の労働市場というのは大変閉鎖的で、外国人労働者が働くなどということはなかなかあり得ないことだ。しかし、ベトナム難民の例は一つ新しいケースだと思うのですけれども、人権規約を批准いたしますと、今後ともやがてはそういうことにも門戸を開いていかなければならぬのではあるまいかというふうに思いますけれども、労働大臣、将来に向かってのお考えはいかがお持ちでいらっしゃいましょう。
○栗原国務大臣 御案内のとおり、外国人労働者一というのは入れないということでいままで来ているわけでございます。それにはそれなりの理由がございますから、これをいまにわかにどうするということはできないと思いますが、今後の推移というものも同時に見なければならないと思います。
○渡辺(朗)委員 それなりの推移があって厳しい条件が付され、門戸が閉ざされている。これを将来はやはり考えていかなければ、先ほどのお話ではありませんけれども、日本はエゴイストというふうに国際的にも指弾を受ける、そういう一つの大きな理由にもなりますので、ぜひぜひ前向きに検討をしていただきたいと思います。
 関連いたしまして、そういう条件が厳しいものですから、海外からたとえば技術研修生というような形でもってそういう方々がかなり日本に来ていらっしゃる。まあ賃金は、研修生ですからさておくといたしまして、たとえば作業場において日本人の労働者と同じ条件のもとで仕事をしているわけですね。危険も同じなんです。ところが、労災保険であるとかあるいは健康保険というものは適用されていないように私は聞いておりますが、こういった問題についての解決策というものは何かお持ちでございますか。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。
 労働省の方で海外から研修生を受け入れるというような仕事もいたしておりまして、そういうような場合には、仕事に付随して業務上の災害が起こった場合に労災補償をするような手続をいたしております。そのほかに、旅券の目的はほかの目的で来て働いているというような場合には、私ども必ずしも把握できないような場合もあろうかと思いますが、労働省の方で計画的に受け入れている技術研修生については、その辺の保護に欠けることがないように措置いたしておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 民間産業の場合はいかがでございますか。
○関(英)政府委員 労災保険の場合には、どんな短期の雇用であろうと、事業主が雇用している労働者が業務上の災害を起こした場合には適用になりますが、問題は、その契約関係が雇用関係か、それともそうでないかというところにあるいはあろうかと思います。
○渡辺(朗)委員 その点についてもやはり不満が起こっているところでもございます。これは一遍にすぐぱっと直せるものならば直していただきたいと思いますが、人権規約というものを私どもが受け入れるということは、やはりそういうようなところにも細かな配慮をしていく、そういうことを意味するのだろうと思いますので、労働大臣のこれからの善処方をぜひぜひお願いしたいと思います。
 次に、A規約の中でわが国が留保をつけた項目の中に「同盟罷業をする権利。」これは八条の一の(d)項であります、これに留保がついている。これは私ちょっと不思議に思うのですけれども、これだけを見ますと、「ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されることとを条件とする。」こういうふうになっておりますのに、なぜことさら留保しなければならなかったか、ここら辺を聞かせていただきたいのです。
○桑原政府委員 私どもは、この条項につきましては、現行法が御承知のように国家公務員法、地方公務員法あるいは公共企業体につきましては公労法等によりまして同盟罷業について禁止がされております、そういった国内法との合致性の問題がございますので留保をいたしたようなわけでございます。公務員とか警察とか軍隊というのは最初から禁止してもよろしいことになっておりますが、特に問題になります三公五現等については国内法で禁止をされております。特にこの問題は、昨年の六月に公共企業体等基本問題会議がございまして、そこで、現時点ではこの権利、争議権を認めることは適当でないというような意見書が出まして、これにつきましては政府は尊重いたすという方針をとっております。そういったような国内のいろいろな法制、現状から見まして留保いたしたようなわけでございます。
○渡辺(朗)委員 いまのお話を聞きましても、公企体の問題ばかりを頭に置いて物を言っていらっしゃるわけです。ところがここに書いてあるのは、「同盟罷業をする権利。」ということに留保がつけられたという形になっておりますね。これはやはり国際的に見ると大変にとんでもないことをしているのではないかという誤解を逆に受けるのじゃないでしょうか。しかも、そこにはわざわざとただし書きまでしてこの八条というのはできているわけでございます。ですから私はあえてお尋ねしたわけで、何かそこら辺の説明は、あなたの方では公企体のことばかり言っておられるけれども、労働者の持つ基本権そのものに留保がつけられたというふうに誤解を受けることにはなりませんか。
○桑原政府委員 同盟罷業をする権利につきましては、民間、それから公共部門と分かれますけれども、もちろん両方についてそういう権利を認めるべきである、こう書いてあるわけでありますけれども、公共部門につきましては、先ほど申し上げました国内法制その他によって合致いたしませんのでそこに留保をつけた、こういうことでございます。
○渡辺(朗)委員 どうもこの点は納得がよくいかないのです。たとえばこの説明書の方、外務省の方でお出しになった説明書の方にはこの「規約の批准の時に我が国の国内法令により同盟罷業をする権利が与えられている部門についてはこの限りでない旨をあわせて明らかにする。」となっております。ここら辺が本当に国際的に明らかにされておればいいけれども、日本国内向けだけに明らかにしておられたのではこれは大変な誤解を受けることになります。そこら辺、今度は外務省側の方でどのようにお考えでございますか。これは一体だれに明らかにされたのですか。
○賀陽政府委員 これは留保の文言の中に明記してございます。
○渡辺(朗)委員 これはもちろん国際的に明らかにされたというふうに理解してよろしいですね。――わかりました。
 それから、ついででございますので労働大臣にぜひお尋ねしたいのです。
 公企体の基本問題、この意見書が昨年六月に出されましたね。公労法の体制が崩壊していると私は思います。違法ストが頻発して国民生活あるいは国民経済に大変に被害を及ぼしている、これをどう改善するかということなんです。一つは、やはりスト禁止を実効あらしめるために、罰則等の抑制措置を強化するという方法もあるでしょう。あるいはまた、一定の法規制のもとにスト権を付与するという方向が出てくる。これはやはり選択の問題だと思うのです。私は、これは一定の規制のもとに、公企体の場合は公益性の限度に応じた一定の規制を加えた上でスト権を付与すべきだ、これが解決方式だと思うのです。大臣のお考えを聞かせていただきたい。現在どのようにお考えでございましょう。
○栗原国務大臣 このスト権の問題につきましては、ただいまも労政局長から話をいたしましたが、基本問題会議の意見書によりまして、現時点においてはスト権を認めることは適当でない、こういう意見書が出ております。政府はそれに従う、それを尊重するという立場でございます。いま渡辺さんからいろいろ御提案がございました。それはそれなりの御提案として拝聴いたしますが、政府といたしましては、三公社五現業の現状といいますか、これについては、基本問題会議の方でも、これはこのまま放置しておいてはいけない、もっと国民的視野に立って、いろいろな労使の問題について合意を得るようにすべきだ、そのために政府の方も何らか工夫をこらすべきだという意味の御意見もございましたので、御案内のとおり、公労懇というものを昨年の暮れに発足させまして、私になりましてからも、二月でございましたか三月でございましたか、公労懇の二回目をやりました。
 正直に申し上げまして、産労懇と比べてみまして公労懇というのはまだ回数が足りませんのでぎくしゃくしたところがございます。産労懇を見ておりますと、産労懇というのは一番最初はぎくしゃくしておったそうでございます。しかし最近になりますと、労使が相当ざっくばらんに話し合いができる雰囲気がございまして、これは日本の産業労働政策に与える影響も非常に大きくなりつつあるのじゃないか。そういう意味でこの公労懇の運用、それに工夫をこらして、労使が虚心に話し合いができる、そういう労使間の信頼を得られるような措置を講ずることが政府としては当面一番必要なことじゃないか、こう考えております。
○渡辺(朗)委員 私は二十分程度の時間をいただいて立たせてもらいましたので、先に進ませていただこうと思います。
 主として外務大臣の方になるかと思いますが、A規約とB規約の違いでございますね。いままでも明らかにされているように、A規約は国家が個人に対して与えるべき保護を内容としている、したがってそこには漸進性、こういうものが配慮されている。それに対してB規約の方は、公権力の行使から個人を守る、しかもこれは即時的確保である、いますぐにでも確保せぬといかぬものだ、したがってそこには留保というようなことであるとかあるいは漸進性というのはない、そういうふうに理解をしております。
 ところがこのB規約の方の四十一条、これの規定によりますと、日本はいま宣言をしてないわけです。ところが宣言をしてない国はよその国に対しても、たとえば人権が守られてないというようなことについて文句が言えないし、また日本側の方が宣言してないのですから、よその国が、万が一日本が人権規約に違反するようないろいろなことをやっていても文句を言う筋ではない、こういうことになってくる。何か他国から非難を受けても知らぬ顔でおれるような、大きな風穴があいているように思えますが、この点はいかがでございましょう。
○賀陽政府委員 この点につきましては、前回来、渡辺委員から再三御指摘をいただいたところでございまして、現在締約国が四十一条一条につきましては十カ国になりました。十ということはこれが発効いたしたということでございます。今後これがふえますかどうかにつきましては私も定かな見通しを持っておりませんけれども、加入いたしました国の顔ぶれから見まして、やはり文化、経済、社会の諸般の面において同質的な国が大多数を占めております。特に御承知の欧州人権条約というのがございまして、欧州の諸国間においてはきわめて同質的な文化ということで、お互いにこういう制度を適用し合うという一種の黙示の了解といいますか、そういうものが比較的多くあるわけでございまして、そういう前提から十カ国の加入というものが出てまいった、こう考えるのが順当かと思っておるわけでございます。多くの国がこれを見送っておりますのは、そんたくいたしまするに、やはりそういった同質性の基盤、土壌がないということでございます。
 日本についてこれをどう考えるかということでございますけれども、これはやはりしばらく運用を見まして、特に国と国同士の内政干渉とか、そういう問題をも惹起しかねないような点も含まれておるために非常に慎重な扱いが要求されている部面でございますので、この点は運用を見守ってまいるのが現在の姿ではないか、このように考えておるわけでございますが、将来についてはまたその時点で考えさせていただく、こういうことになるかと存じます。
○渡辺(朗)委員 いまの十カ国の宣言、十カ国のうちにはECのメーンメンバーがみんな入っていますね。そして近ごろ、先ほどお話も出ましたけれども、ECのレポートの中に日本人の働き中毒病であるとかウサギ小屋のようなところに住んでいるとか、こういう問題が指摘されている。いままだそれは単なるレポートみたいなものに載っかっている段階だからよろしいけれども、そういうところからだんだんと厳しい批判が出てくる根拠にもなってくるのではあるまいかというようなことを憂慮しながらこれをお尋ねをしているわけであります。
 それからまた、せっかく人権規約を私どもは受け入れる、そしてまたみずから進んでこれを完備していこうというようなことで、意気込みを持って臨もうとしているけれども、外務大臣いかがでしょうか。よその国で、大変著しく人権が抑圧されているようなケース、たとえば南アのアパルトヘイト問題がある、あるいはまた、国の名前を言ってはいけないけれども、ウガンダの前政権のああいうふうな虐殺行為みたいなものもある、あるいはまたソルジェニーツィン事件のような問題があるといった場合に、これは、宣言していないから、日本はよその国の問題に何も触れませんということで黙っている、こういうことになってしまうわけですね。積極的に人権というものを中心にしながら外交もやってよろしいと思いますし、進めるべきだと思うのですけれども、宣言をしていないがゆえに黙っている、そのよその国のことは内政干渉にもなるので、口は開きません、これでは大変に言葉と行動とがうらはらになってしまいはせぬだろうか。大臣、どのようにお考えでございましょう。
○園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、人権規約に批准する前からも、それぞれの国でひどい人権問題があれば、当然わが方はその国に対して注意を喚起し、要請をしているところでありますが、今後ともそういう点は十分積極的にやっていきたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 そうすると、やはりいまのお話を聞きますと、やがて宣言をされるという方針でいかれるというふうに理解をいたしますが……。
○園田国務大臣 先ほど局長から申し上げましたとおり、しばらくこれを見守りますけれども、運用その他については御指摘のようなことも考えながら検討してまいります。
○渡辺(朗)委員 大臣だけの御答弁を聞いていると、大変前向きに宣言の方へ踏み切られるかのごとく思いましたが、ちょっといままた耳打ちがあったら後退をされたような発言にもなりました。私はその点で、大臣、やはりこの辺は思い切ってみずから範を示すということで、日本の評価も上がるわけでございます。そういう意味では前向きに取り組んでいただきたい、これを要望しておきたいと思います。
 最後に一点だけ、人権委員会がこれからできることになっております。十八カ国によって構成される。日本はこれに立候補されますか、その準備はしておられるわけでございますか。
○賀陽政府委員 先生の御指摘の人権委員会は、国連には二つございまして、B規約の人権委員会、こういうことでございますか。
○渡辺(朗)委員 Bの方です。
○賀陽政府委員 これにつきましては、もちろん締約国になります以上は、これに立候補する権利を有するということでございますが、実は選挙の日取りの関係で、今回は恐らく御批准をいただきましても、この人権委員会に立候補することは間に合わないと思いますけれども、近い将来においてぜひとも参加する方向で考えさせていただきたいと思います。
○渡辺(朗)委員 ありがとうございました。
○塩谷委員長 先ほどの答弁のうち、労働省関官房長から発言を求められておりますので、これを許します。
○関(英)政府委員 先ほど、労働省で計画して受け入れている研修生についての労災補償の問題につきまして、労災保険が適用されているふうに答弁したように思いますが、思い違いがございまして、研修生はやはり雇用関係でございませんので、労災保険がそのまま適用になりません。したがいまして、それぞれ民間の保険に加入させて、労災保険が適用された場合と同様の補償が行われるように措置している、こういうことでございます。訂正させていただきます。
○塩谷委員長 寺前巖君。
○寺前委員 時間が限られておりますので、できるだけ実務問題は当局に質問するとしまして、大臣の見解を聞きたいというのを中心にしてやりたいと思います。
 まず最初に外務大臣に確認をしたいのですが、過般外務大臣は、これを批准するに当たって、留保事項をどう見るのか、将来どうするのかという問題に対する答弁があります。将来にわたって大事な問題だから、私からやりますということをわざわざおっしゃって、
  この人権規約の批准が他国に比べて非常におくれたことを遺憾に思っておるものであります。そこで、だんだん国際情勢、考え方が変わってまいりまして、人間の基本的な人権というものが、やはり政治、外交の中心になってだんだん上ってきた時期に、この批准がおくれていることは、他国と同等の外交というものがなかなかできにくい。
だから他国からおくれたということを指摘しておられます。
 そこで、当然、この人権規約というものは、留保条項なしに批准をするのが望ましい姿ではありますけれども、残念ながら、時間その他の関係で政府部内の意見が統一をできなかったということを恥じておるわけであります。いずれにしましても留保事項で、二国間の留保事項では漸進的に解消、解除されていくということがある場合とない場合があるわけでございますが、この人権規約については、留保した事項は、残念ながら留保したわけでありますから、これは当然、将来、法的な解釈その他は別として、解除する方向に努力をし、また、そういう責任がある
こういうふうにおっしゃいました。私、そういうふうに解釈といいますか、確認をしたいわけですが、御異論ございませんね。
○園田国務大臣 先般から申し上げましたとおり、国内の現状、財政面、国内法との関係で留保事項がそれぞれついているわけでありますが、国際社会の必然性というのはあるわけでありますから、そちらへ向かってこの留保事項が漸次解除されるよう努力することは当然であると考えております。
○寺前委員 外務大臣は先般もこのことをおっしゃったわけですが、労働大臣としても確認できますね。御異論はございませんね。
○栗原国務大臣 留保条項をつけるということは、つけてよろしいということでつけるわけです。なぜ留保条項をつけたかといいますと、国内的にそれは留保条項をつけないで無条件でやるということは許されない、適当でない、そういうことで留保条項をつけたわけでございます。だから、将来の問題について、いまの段階でこの留保条項は特別の言及をしていない、こういうふうに私は承知をしております。
○寺前委員 外務大臣の意見に異論がありますかと私は聞いているのです。
○栗原国務大臣 外務大臣は、そういうことで努力をいたしたいというお話でございます。そういう御期待とか御希望というものは、これは承っておきます。
○寺前委員 重ねて聞きますが、異論がありますか。異論ありませんね。
○栗原国務大臣 これは異論があるとかないとかいう問題ではございません。
○寺前委員 あるとかないとかいう問題じゃないと言うが、異論があったら異論を言ってもらったらいいんですよ。なければないでいいんですよ。外務大臣の見解に対して、異論はございませんねと私は確認しただけなんです。
○栗原国務大臣 外務大臣は今後の問題として言及されている。私の方の留保条項というのは現実に即して処理をするということでございます。そういう意味で、外務大臣の意見について異論があるとかないとかいうことは、私は申し上げない、こういうことです。
○寺前委員 趣旨説明された方が外務大臣ですから、それに基づいて検討させていただくのですから、外務大臣の見解を中心にして私は承っておきます。
 次に、留保された事項の一つがスト権の問題になっているわけです。そもそも、この人権規約が、「国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、」云々というふうに前文に書かれています。すなわち、長い戦争の歴史的な教訓の上から人権宣言が出され、そしてこの人権規約にずっと到達してきたという歴史があると思うのです。そういう前文の中にも示されている歴史から考えて、特に、あの第二次世界大戦、日本軍国主義とかナチスドイツというのは批判の中心になっているわけです。
 そこで、その当時のことを考えてみると、労働者階級の団結権とかスト権とか発言というものはこれを保障するという、・そういう基本的な権利を確立するということが、その戦争への道を押しとどめる、危険な侵略戦争を防ぐという上において非常に重要だった、こういう歴史の上でこのいろいろな権利の問題が指摘を受けているのだろう、私はそう思うのです。
 そういうふうに考えてくると、日本の国がこの人権規約に対してどう出るかということは、やはりそういう意味では、人権規約全体がつくられてきた歴史の経過から見るならば、日本の出る態度というのは非常に注目される位置にある。その日本においてスト権問題というものを基本的にまず留保してしまったという扱い方というのは、批判を受ける当然の結果になるだろうというふうに私は思うのですが、その点について、国際社会との関係ですから、外務大臣の見解をお聞きしたいと思うのです。
○園田国務大臣 人権規約が出された背景というもの、これは、この前の戦争の原因が個人的な人権が守られていないということから出てきた、歴史的背景は御発言のとおりであります。したがいまして、日本の軍国主義であるとかあるいはナチスの思想であるとかということが再び出ないよう、これと全く相反するものであることも御発言のとおりであります。
 スト権の留保事項については、留保は認められるところであって、日本の現状から留保になったものであって、だからといって、その人権規約の趣旨に相反するものではないと考えております。
○寺前委員 私は、留保条件が認められるとか認められないということを言っているのじゃなくして、そういうあの苦い戦争の経過から考えるならば、日本とかドイツとか、こういう諸国がどういうふうにこれに臨んでくるかということは最大の注目の的になる、その最大の注目の的になっている日本において、スト権問題について留保がされるということになってくると、これは日本は、本当にこの人権規約ができてきた過程について十分に責任を感じているんだろうかなという批判を受けるのではないのか。私はそのことを心配して、あえて、外交担当者として外務大臣がこれをどういうふうに見ておられるのかということを聞いたわけです。
○園田国務大臣 日本の現状に即して現段階でスト権を留保したことによって、日本が再び軍国主義に復活するなどという批判を受けることはないと考えております。
○寺前委員 参議院の本会議の都合が外務大臣おありのようですから、また後でお話しさせていただきますから、どうぞ御退席していただいて結構です。
 それで、私は労働大臣に……。
 そういう立場から考えても、スト権問題というのは、日本の政府の批准する場合に当たって、非常に重要な位置を占めているというふうに考えているのです。
 ところで聞きますが、ここにわざわざスト権という問題が人権規約の重要な権利の一つとして指摘がしてあるということは、国際的に見ても、スト権を労働者の基本的な権利として定着した見解としてここに提起された問題だと私は見るわけです。実際、労働運動の発展してきたヨーロッパの先進諸国においてスト権を留保するという国はありますか。どういう事態になっていますか。御存じですか。
○賀陽政府委員 A規約第八条1(d)の権利について申し上げますと、現在留保しておりますのは、ノルウェー、オランダ、トリニダードトバゴの三国でございます。
○寺前委員 ですから、ドイツとかイギリスとかフランスとかイタリーとか、先進的なヨーロッパの諸国において、こういうふうにこのスト権問題を留保しているという国はないんだというふうに、いまのお話からもきわめて明確だと思うのです。そういう性格を持っているのだ。ですから、昔、三国防共協定と言われた三国の中で言ったら、日本だけが労働者に対するこの権利問題を留保したのだということは、私は非難を受ける一つになるだろう、ちょっと見解を述べさせておいてもらいます。
 そこで次に、そのスト権ですが、スト権の中に、これは第八条の(d)項ですか、第八条の(d)項にスト権があって、その後にただし書きとして、「各国の法律に従って行使されることを条件とする。」それからその次の二項で、「この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な制限を課することを妨げるものではない。」というチェックをあえてつけている。
 ですから、全体としてスト権というのは確認してしかるべきものであって、そしてその中で若干のチェックをしてもよろしいというふうな、わざわざ条項全体からできているとするならば、これを何で受け入れることができなかったのか、これが一つ。見解ですから、労働大臣からお話をしてもらった方がいいのですよ、これはもう細かいことを言っているのじゃないので。
 それからもう一つは、ここで訳文、これはまあ英文がある。英文を見ながらまた日本文を見て私は言うわけですが、要するに「公務員による1の権利の行使について」はだめなんだと言わんばかりのことがここに書いてあるという立場を、解釈として、労働省当局の諸君はしているのじゃないだろうかなと私は思うのだけれども、そこで第二番目の質問は、一律的に公務員を外しているという解釈をしている国がヨーロッパの先進諸国の中にあるのか、日本で国家公務員とか地方公務員というふうな名前をつけているだけであって、一律的に国家公務員、地方公務員、これをスト権を奪うのだというふうにやっているという国が先進諸国では一体あるのか。これは私は、第二番目の質問として聞きたいと思うのです。御説明いただきたい。
○桑原政府委員 第八条の(d)項の方は、私どももこれは同盟罷業を禁止しているというふうに読んでおりません。一定の法律のいろいろな条件に従って「行使される」と書いてあると思います。
 それから二項は、「合法的な制限を課する」ということは、私どもは禁止も含むということで理解をいたしております。
 したがいまして、留保いたしましたものは、御承知のように民間についてはスト権が認められておるわけでありますから、その分については留保いたしておりませんで、国内法に合致しない部分についてのみ留保をしたということでございます。
 それから、第二の御質問の点でございますが、私ども外国のものを完全に全部目を通しておりませんけれども、アメリカの公務員につきましては全般的にスト権が禁止されておる、こういうふうに聞いております。
○寺前委員 そこで私は大臣に言うわけですよ。先進的な労働運動をやってきた国と言えばヨーロッパです。ヨーロッパの国々の経験からは一律的なことをやっている国は存在していないという事実がここに明らかにされた。いまアメリカの場合をおっしゃった。アメリカの場合だって地方の州の公務員まで拘束しているということは私は聞いてない。現実的に世界の水準というのはこの先進的水準にきているんだ。だからここで言うところの公務員というふうにして、これはもう英文をどうのこうのということじゃなくして、日本で公務員という名前を使っているからといって、すべてその公務員を一律的に禁止している国は先進的ヨーロッパ諸国にはないという事実を見ても、私はこれは解釈を進めていく上においても、かなり無理な勝手な解釈にきているのではないだろうかというふうに思います。
 そこで、私は労働大臣に、そういうふうに考えてみたら何も留保することは――特定の公務員の問題についてはチェックすることができる、全体としては認められるんだということになったら、留保条項という問題はない話になるではないかというのが一つ。
 もう一つは、公務員の解釈問題は、いまの見解との関係で言ったら残された課題になる。私はこの公務員の解釈問題は別の問題として次に意見を言いたいわけですけれども、いまも言ったように、日本の公務員の解釈には世界の高い水準からいったら無理が起こっているのではないか。現にそれはILOの一九七一年の公務合同委員会の事務局の九十八号条約に伴う説明のときだって、国の施策に影響するところの高級の官吏、そういう諸君をスト権云々の中へ持ち込むということになると問題があるという形の見解をとっていると私は承知していますよ。ですから私はそこの考え方の問題としても、現行のとっている態度を言うのじゃないんです、将来考える問題として、公務員を一律に禁止するということは、当然先進諸国の中に日本はいれないぞという問題として検討を要するのではないか、これが第二番目の質問として労働大臣にお聞きしたいところであります。
○桑原政府委員 前々から公務員の範囲につきましては、先ほど御指摘のようにILO九十八号条約の団交権の問題が議論されたときに、政府の考え方としましては、公務員というのは、法令で勤務条件が決められている、その範囲のものを政府として確認をいたしております。今回もこの問題についてそういった考え方、態度で臨んでいるわけでございます。
○寺前委員 私、重ねて言いますが、どういう解釈云々の問題はさておいて、本当にヨーロッパ諸国、そういう先進的な国が公務員というものをこういう扱いをしているんだよ、政策決定に関係するような特殊な諸君だけだよ、そうでない限りこういうようにやっているんだよという水準を認められた。日本のあり方も将来像としてそういうふうに持っていくという考え方、それが先ほど外務大臣が言った国際社会の中における立ちおくれという問題を考えてみた場合に、将来検討すべき問題ではないのだろうかと私は意見を提起しているのです。労働大臣の見解を聞きたいということなんです。私は解釈を聞いているのじゃないんだから、ちゃんとそういう政治的な見解を話し合っているんだから、解釈の方はいいんです。
○栗原国務大臣 ILOでも日本の解釈ということについては大体これを認めているようでございますし、また世界がどうだということを言いますが、世界のことを参考にすることは結構でございますけれども、同時にこれが日本の風土の中でどうだということも考えなければならぬと思うのです。そういう意味合いで、いまの段階で考え直すということは適当でないと思います。
○寺前委員 世界の人権規約についての水準というのは、批准をしよう、国際的に努力をしようじゃないかという方向をここに打ち出しているんだ。国際的な方向というのがそこへ向かって進んでいるんだ。それで批准をしてきているんだ。そうしたならば、日本の場合だって将来問題として当然検討しなければならない事項になるだろうということは労働大臣としてお気づきにならないかと言っているのですよ。
○栗原国務大臣 解釈の問題ですね。解釈の問題についてはILOの考え方がどうだとか、日本の方でどう解釈するかという問題であって、日本の解釈がおかしいということであればこれは別でございます。日本の解釈がおかしいという考え方を持たれているのは寺前さんであります。私どもの考え方はそれでよろしいというふうにいま解釈しておるわけです。
 もっと大きく言いますと、政府委員の答弁の中にもありましたとおり、私どもはいわゆるストライキ権全体を否認しているわけじゃないわけです。憲法二十八条でも労働権というものを認めているわけですね。ただ、公的部分については認めない、認めることが適当でない、こういうことになっておるわけでございます。その分について、留保条項というのがあってよろしいということでございますから留保をしているわけでございます。別段これと人権規約の批准の問題とは矛盾をしない、そう考えております。
○寺前委員 時間の都合があるからこれは進めませんけれども、私は、人権規約は、将来展望として国内法は整備していったらよろしい、それで全体としてスト権というものは労働者にはあるのだということを指摘している。ただし条項がある、このただし条項でちゃんとするならば別にどうということができる。ただし条項の中における解釈の異論は国内的にまた整備をしたらいいということになったら、留保することは一つもなかろう。ですから、さっきから提起しておられる問題は理解に苦しむということを一つは私は言っている。それから今度は公務員というものの扱い方の問題においては、先進的なヨーロッパ諸国の措置から考えたら日本は立ちおくれている。ですから、それは将来検討すべき問題として明らかにチェックをすべき性質のものではないのかという見解を私は申し上げておきます。
 次に、消防職員を警察職員の中に解釈をするという宣言をしておられます。それでは、これも先進的なヨーロッパ諸国は一体どういう扱いをしているのか御説明をいただきたい。
○岡部説明員 消防職員の団結権問題につきましては、先生御高承のとおり八十七号条約九条の解釈の問題といたしまして、ILOの主として条約勧告適用委員会においてここ数年議論されている問題でございます。
 この問題は、日本政府といたしましては、この条約を批准する際に条約問題小委員会、これは労働問題懇談会の中に設けられた小委員会でございますが……(寺前委員「先進諸国はどうなっているかと聞いているんだ」と呼ぶ)消防職員の団結権につきましては、それぞれの国においてさまざまな状況でございますが、消防職員を警察の一員として数えている国も多々あるところでございます。
 それで、わが国はこの消防というものの……
○寺前委員 質問に答えていただきたい。先進諸国のヨーロッパでどこが警察職員に入れているか。
○岡部説明員 たとえばフランスにおきましてはマルセイユの消防というのは、これは軍隊、警察に入っております。
○寺前委員 マルセイユの一警察のことを言われただけであった。この事実を見ても、世界の圧倒的な先進諸国にはないという事実を示している。ここに解釈宣言の無理がある、これも再検討すべき性格であろうという意見を労働大臣に申し上げます。
 労働大臣の時間の御都合があるから、その次に国鉄の職員の取り扱いの問題です。私鉄の諸君たちはスト権がある。それが、国有鉄道だ、公務員だということになるとスト権がなくなる。同じ鉄道に従事する者が別な扱いを受けるということは、これは理解に苦しむけれども、それはどういう解釈になるのだ。大臣はどういうふうにお考えですか。――いや、ぼくは大臣の意見を聞く。大臣はおかしいと思われませんか、どうでしょう。おかしいのか、おかしくないのか。
○桑原政府委員 お答えいたしますが、国鉄は、やはりその事業の公共性というのがまず一つでございますし、また一般の私鉄と違いまして、経済原則によるストの抑止力というようなものも必ずしもない。それからまた、労使の自由な交渉という中においても、当事者能力の問題として一定の制限がつけられることはやむを得ない。それは、当然に財政民主主義的な前提の上において、そういう当事者能力の限界というのがあろうかと思います。そういったような総合的な判断をいたしますと、一般の民間の鉄道と国鉄とは、おのずからそこに違いがある、こういうふうに考えます。
○寺前委員 すっきりしない話ばかりなんですね。常識的に考えておかしいと思わぬのか、これは私は労働大臣に対する質問ですよ。常識的に考えておかしいと思わぬのか。
 それから、昭和二十一年七月二十六日の労調法案の委員会議録を、第五回目ですよ、これは帝国議会のときですが、そのときの議事録を見ますと、吉武という政府委員がこう言っている。一般の官公吏でありましても、国鉄、公共団体の電車、いわゆる公企業の現業は、一般官吏と同様団結権を認めています。それは、国が鉄道を動かしても会社が鉄道を動かしても、その企業自体の本質から申しまして同じことですから、会社であるから争議権を認め、国家なり公共団体が経営するからこれを認めぬというわけにはまいりません。これについては、一般と同様に実質的にこれを取り扱っておるのであります、その当時こういうことを言っている。
 いまだって、それはおかしい。何で同じ鉄道が、国有と名がついておったらだめであって、こっちだったらいい、筋が通らぬ話だとは思わぬのか。これは具体例として、過去に提起された問題として私は大臣の見解を聞きたい一つとして話をしております。
 それからもう一つ、吉田茂氏の「回想十年」という本の中、「ただ私の思うには、公務員の労働組合の罷業禁止は、最初に与えたものを後に剥奪したのであるから、そこに一種の無理があったことは争われない。」こういうふうに述べておる、無理があったのだと。当時の総理大臣は、そういうふうにやはり政令二百一号で抑えちゃった、それはかなり無理があるのだ、こういう歴史的な事実から考えても筋の通らぬ話とお思いになりませんかというのが、私の大臣に対する質問です。
○栗原国務大臣 過去のものについていろいろお引き合わせがございましたけれども、しかし、いわゆる政令二百一ですか、あの後でも公労法、地公労法といろいろそういうものが出まして禁止をしておりますね。ですから、私は時代とともにいろいろ変わっていくと思うのです。それから、国民感情からしましても、国鉄と私鉄と同じというふうに考えているでしょうか。それから財政民主主義の立場からいいましても、国鉄に対する国民の関心は非常に強いと思いますよ。そういう意味で私は、寺前さんのせっかくのお言葉でございますけれども、私鉄と国鉄とを一緒に考えるということの方が現代的にはおかしいのじゃないか、こう思います。
○寺前委員 それば労働大臣の方がおかしいと私は思いますよ。(栗原国務大臣「見解の違い」と呼ぶ)いやいや、働く人々の団結権とか団体交渉権とかストライキ権というのは、基本的権利として、それは国鉄であろうと私鉄であろうと、ある。それをどのように行使するかということは、それぞれの労働者が組合をつくってそれからのあり方の問題で、そのあり方が国民的支持を受けるか受けないかという問題は、別の次元の話だ。私はいまここで論議しているのは、基本的権利の話としておかしいと思いませんかということを提起しているのであって、現実の運動のあり方を云々しようということを言っているわけではない。ですから、あなたは先ほど、私語ではあったけれども、見解の違いだとおっしゃっているのだから、ちょっと時間がないのでこれは後に譲っておきますけれども、そういう考え方では、時代が変わったからといって奪ってしまうということになるならば、これは大変なことだ。戦争中奪われておった、時代が変わったから与えた、また奪ってもいいのだ、時代とともに変化する、そういう性格のものではなかろうという見解を私は述べておきます。
  時間がないから、次に行きます。
○栗原国務大臣 私は労働権は憲法二十八条で保障されているということは前に申し上げたところです。ただ、先ほど申し上げましたとおり、国民全体の利益というものを考えなければならぬ。そういう観点から一定の制約が起きる、あるいは財政民主主義の立場から一定の制約があるというのはこれは当然でありますし、それを判例も認めて
 おるということでありまして、あなたのおっしゃるとおり私があたかも基本的な労働権を認めていないというようなことでございましたらば、御理解が違っておりますので、これは改めていただきたいと思います。
○寺前委員 いや、私は基本的に認めていないと思うから言っているのですよ、明らかに国鉄だったら認めないと言うのだから、基本的に認めないと言うのだから。基本的に認めるけれども、制限すべき人たちはこういう人だというのだったら、また話は別です。基本的に認めているのか認めていないのか。この論争は私はちょっと残します、時間のあれがありますから。あなたの都合で時間があるからと言うているのですよ。だから、それは残します。座りなさい、私はあなたの都合で時間を言うているのだから。
 その次に、留保条項の問題として休日に対する報酬の問題があります。これは先ほどここで小林先生がおやりになっておった。話が途中でちょん切れている答弁でもあったので、私はこれをきちんと聞かしておいてほしいなと思うのですが、明らかに、学者の中の解釈をしておられる人たちの中に、ここに出されてきている「定期的な有給休暇」という指摘は、これはちょっと訳の仕方としても問題があるのじゃないかという意見が、かなりいろいろなところから出ています。これは定期的な有給の休日というふうに解釈をすべきではないのか。そういう点からいうと、日本の国内法というのは、定期的な有給の休日に対してきちんと労働協約などで決めない限りは、週休日の有給とかあるいは公の休日支払いをやりなさいということになっていない。ですから、そこは国内法として当然整備をしていかなければならない問題じゃないか、これはむしろきちんと受け入れるべきではないのかという意見が学者先生の間で広く提起をされている問題だと思うのです。これについて労働大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○栗原国務大臣 定義の問題につきましてはそういう御解釈をされておることは私もただいま承りました。ただ、私どもといたしましては、政府のいままでの解釈に従うということでございます。
 なお、国内法をこれによって整備すべきではないかということにつきましては、本日のこの委員会で政府側から答弁いたしましたとおり、そういうことは考えておりません。
○寺前委員 労働大臣、何か参議院の関係ですか、これまた中途半端になりましたけれどもやむを得ません、御退席ください。
 それで、時間があれのようなんで、また午後引き続き質問をさせていただきます。
○塩谷委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ────◇─────
    午後三時五十二分開議
○塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小林進君。
○小林(進)委員 私は、きょうの午後からの質問には外務大臣とあわせて文部大臣、自治大臣、運輸大臣等を要請しておりましたけれども、外務大臣のほかまだお見えにならないようでございますが、これは一体どうなっているのでございましょう。われわれの要請をいま少し真剣に考えてもらわないと、だめならだめで、文部大臣も来て、出席できない諸般の事情をここで釈明していってもらわないと困る。われわれもそのつもりで質問を用意してきているのだから。出るとも出ないとも、私のところには連絡がありません。何も言ってこない。私はそういうためにちゃんと質問を用意しておるのでありますから。どうなっているのですか。
○塩谷委員長 事務的にちょっと失礼しました。大臣は各委員会があるようです。
○小林(進)委員 それでは、後日また文部大臣なり運輸大臣からじかに理由を承ることにいたしまして、次へ移ろうと思いますが、どうも最近は、特に立法府を軽視して行政優位だ。ともかく大臣くらいになると、何か立法府の要請におためごかしに出てやるくらいの考えでいることは私はけしからぬと思う。それはわれわれ委員に対する侮辱であるとともに、委員長がなめられている証拠ではないかと私は思いますので、委員長は、そういう屈辱がましい要請が出たときには瞬時を入れずひとつずばりとした決断を下していただきたいと存じます。さもなければ、立法府の任務は果たされませんから、特にこの点はお願いいたしておきます。
 それでは、外務大臣にお伺いいたしますけれども、金大中氏の最近の情勢はいかがなものでございましょう、お伺いをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 経緯については私よりも小林委員の方がよく御承知でありますが、その後、釈放されましてから自宅にあって療養しておられる、こういうことを聞いております。
○小林(進)委員 療養せられて、何か政治的な重要発言をされたことに鶏口して、二、三日、逮捕ですかあるいは強制出頭ですか、何かをやられて、その発言の取り消しとかそういう権力の圧迫を受けたということを承っておりますが、これはいかがなものでございましょうか。
○園田国務大臣 その後、二日か三日かわかりませんが、召喚をされて取り調べを受けたのか意見を調べられたのかわかりませんが、そういうことがあったように承っております。
○小林(進)委員 私どもはこの国際的人権規約の批准をいま論じているのでございますが、金大中氏が拉致されたということは一体どういうふうに位置づけたらよろしいのでございましょうか。これは一体人権問題とは関係がないのかどうか、この点、私は外務大臣の御判断をお伺いしておきたいと思うのであります。
○園田国務大臣 日本国の現職の外務大臣でありますから、第三国の個人に対する取り扱いを私がとかく言う限りではないと存じます。
○小林(進)委員 ちょっと外務大臣のお声が低くて、私は耳が遠いものでなかなか聞こえませんでしたけれども、四十八年八月でございますか、九段のグランドホテルで平穏無事にわが日本の法の保護を受けて滞在されている人が、暴力的にわが日本から拉致せられた。しかも、ライシャワー元大使の言葉をもってすれば、あれはKCIAの行動であることは間違いない、いわゆる韓国の国家権力の行為に基づく拉致であるということを言われております。私もまたそう信じております。いずれにいたしましても、拉致した者がだれであろうとも、金大中氏個人の人権があからさまにわが日本において侵害されておることは事実であります。その侵害されている金大中氏の問題に対して外務省はその後一体いかなる措置を講ぜられたのか。それを放任したままにしておいて、おこがましくもこういう国際的人権規約の批准をお出しになるということは、私の言葉に誤りがあればお許しいただきますけれども、これはどうも耳を覆うて鈴を盗むたぐいではないか。もっと極端に言わせますれば盗人たけだけしいとさえも言いたいくらいな恥ずかしいやり方ではないか。私は心から憤激にたえないのでありますけれども、こういう問題を一体外務大臣、外務官僚はどうお考えになっておるのか。
○園田国務大臣 本件については、御承知のごとく政治決着はついておりますものの、捜査当局は依然捜査を継続しておるわけでありますから、これに対する新たな証拠が挙がればまた別個の問題だ、こういうことでいままで来ているわけでございます。人権規約の精神から言えば御発言のとおりだとは存じますけれども、まずわれわれは他よりもみずからのことを正す、こういうことで人権規約の御審議を願っておるわけであります。
○小林(進)委員 歴代総理大臣並びに外務大臣は、口を開かれると政治的決着はついた、だれがつけたのです。私ども立法府並びに野党の立場でもだれもその政治的決着を認めているわけじゃありません。それは政府が韓国の政府の首脳部と話し合いをされて決めた。そういう政府間の話し合いをわれわれに押しつけて、政治的決着がついたんだから問題はないというふうな言い分は、私ども一回もそれを認めたことも了承したことも賛成したこともございません。われわれの立場から見れば、四十八年十年月の二日ですか、金鍾泌が来て田中元総理とお会いになって、そして遺憾の意を表して、それをもって政治的決着は済んだ。第一回のラウンドはこれで終わった。第二回は宮澤外務大臣か何だか韓国まで飛んでいって、そして金大中の身柄拘束の問題等も含めて何とか話し合いをもちゃもちゃやって、それで政治的決着がついた。これが第二ラウンドだ。こんなことをおやりになってそれをもってもはや能事終われりというような言い方をされること自身、私どもは腹の底からまことに怒りを感じざるを得ないのです。そんなことでこの重大問題が処分できるとお考えになることは、大変間違っていると私は考えます。いずれにいたしましても、この金大中が暴力をもって法治国家日本から拉致されたということは、いまわれわれが審議をしておりますB規約の市民的及び政治的権利に関する国際規約にそのまま完全に抵触している行為である、私はこう思うのでありますが、これは外務大臣、抵触しているかいないか、この点だけの判断をお伺いいたしておきたいのであります。
○園田国務大臣 経緯また理由は別にいたしまして、本件の進行状態は先ほど申し上げたようなことでございます。
○小林(進)委員 私はその政治的決着というその政治的進行状態をお伺いしているのではございません。いわゆるわが日本から暴力をもって身柄を拘束されながら拉致されていったということは、これは金大中氏その人に対する基本人権の侵害ではないでしょうかということをお伺いしているのです。侵害ではございませんか。金大中氏であろうとだれであろうといいです。私自身に関係してもいい、ああいうような形で拉致されたらその行為同体は基本人権の侵害に当たるのですか当たらないのですか、私はそれをお伺いしているのであります。
○園田国務大臣 わが国の政府としては主権が侵害されたかどうかということが第一の問題でありまして、金大中氏の基本的人権が侵害されておるかどうかということは、第三国韓国の問題でありますから、私がこれをどうこう言うわけにはまいりません。
○小林(進)委員 ちょっと私は大臣のおっしゃる御答弁に了承できませんな。ただ、その金大中氏の基本人権を侵害したものが、あるいは個人の不法行為に基づくものであるか、あるいは韓国という国の国家権力に基づく行為であるかによってその後の取り扱いは変わってきましょう。変わってきましょうが、その金大中氏に暴力を加えたものが個人であろうと国家権力であろうと、私はそれを問うているのではない。それはいま常に政府が、まだ韓国の国家権力が金大中氏を拉致したのであるという確かなる証拠は出てこない、捜査の過程だ、こう言って逃げていられる。逃げていられるという言葉がお気に召さぬならば、これはこれだけで議論してもいいです。完全に政府は逃げている。牽強付会な詭弁を弄して逃げているのであります。しかし私がいま質問していることは、それは韓国の国家権力がやったんだ、あるいは個人の暴力団がやったんだということを聞いているのじゃない。やられた金大中氏の基本人権が侵害されたというこの事実は否定できませんでしょうねということを私はお伺いしているのであります。
○園田国務大臣 御意見は十分承っておりますが、現職の大臣として第三国の取り扱いをとかく云々するるわけにはまいりません。
○小林(進)委員 私は第三国の取り扱いがいいとか悪いとかいうことをあなたに聞いているのじゃないのであります。金大中氏が頭をなぐられてけとばされて盲にされてそして拉致されていったそのことは、金大中が基本人権を侵害されたことにならないですかということをお伺いしているのであります。
○園田国務大臣 私が小林さんの御意見を肯定するわけにはまいりません。
○小林(進)委員 大臣、まさに壁に向かって物を言っているのでありますが、これは全く問題のイロハじゃございませんか。やった人が、私は日本人がやったとか韓国人がやったとか個人がやったとか政府がやったとかと言っているのじゃない。たとえ日本人が、あるいは仮にあのホテルのボーイが、金大中氏をなぐってけ飛ばして暴力を加えたとしても、やはり金大中にとっては基本人権の侵害だというこの画然たる事実は否定できないだろう。だれがやったかと聞いているのじゃないのであります。金大中氏のあの現実の姿は客観的には基本人権を侵害されたというこういう結果に形ではなるのではないか、私は客観的な事実関係を聞いているのであります。いかがでございましょう。
○園田国務大臣 韓国内における金大中氏の取り扱いについては、事の経緯からしてわが方が重大な関心ありということを、趣旨を再三申し入れておるわけであります。それ以上のことは私が発言するわけにはまいりません。
○小林(進)委員 どうもあなたは何もかも承知をしてそして逃げを打っていらっしゃる。園田流の最もそれはあなたのずるいところですよ。ずるいところだが、だれにどうされようということを言っているのじゃなくて、あの金大中氏が仮に私小林進であろうとも、ああいうことをやられれば小林進の基本的人権の侵害である、人はだれもがそれはそういうふうに論じてくれるだろうと私は思う。しかしあなたはおっしゃらない。おっしゃらないが、基本的人権の侵害であることはもはや争いの余地がない。ないならば、侵されたその人の基本人権を何とかして取り戻す、回復せしめる主管官庁は外務省なんですよ。日本政府とは言いながら、政府の中のその主管官庁たる外務省が、自来いわゆる基本的人権を侵害されているその種のことについて何らなすところがないじゃないですか。なさないでおいて、おこがましくも、こういう基本人権の侵害に対する法案をわれわれに批准せよとかあるいは何かせよと言うことは、自己撞着ではないか。まず顧みて皆さん方自身がその矛盾をお感じになりませんか、私はそう聞いているのであります。もしお感じになるならば、こういうような法案を審議してくれとわれわれ立法府に出す前に、まず足もとにころがっている基本人権、その事実の問題を事前に処理してからこの問題を立法府へ持ち込んでこられるのが事の順序じゃなかろうかと私は言っているのです。これはいかがでありましょう。外務大臣、大事な基本人権侵害の問題をそのままにしておいて、われわれにこっちの方のことをもっともらしいかっこうで、おい、やれやれとおっしゃるのは少しどうも厚かましいやり方ではないか。
○園田国務大臣 小林委員の発言を私は反発をしたり否定をしているわけではありません。私は現職の大臣として発言ができませんと言っているだけでありまして、韓国に対しては、重大な関心ありという申し入れを再三やっております。ただいまお願いしている基本的人権はわが日本国の問題でありますから、どうか御審議をお願いしたいと存じます。
○小林(進)委員 大臣のその御答弁の気持ちもわからないわけではございませんからやっておきますが、私も仏の小林と言われるくらいですから本当にこの程度にしておくのでございますが、しかし問題を進めていく上において、金大中氏は身体の自由及び安全について完全に権利を侵されているのでございますから、いわゆる市民的及び政治的権利に関する国際規約第九条に全く敵対するようなことをやられたものだと思いまするが、九条違反行為であると思うが、いかがでございましょう。規約の九条に違反しておりませんか。いかがです。この関連について、これは大臣でなくても、局長くらいでよろしゅうございますがね。
○賀陽政府委員 先ほど来御答弁がございましたように、金大中氏の問題につきましては、事実関係において確立をしておりませんので、事実関係をだれが一体証明するのかということが確立いたしません前に、この条項に該当する該当しないと言うことはできないのではないかというのが私どもの感じでございます。
○小林(進)委員 だから役人の答弁を聞くと腹が立ってくるのですよ。だれがやったとかと聞いているのではないのです、私は。客観的な事実を聞いているのです。この事実はだれもみんなわかっているじゃないですか。何もやみの中でやられたのではない。部屋からどんなかっこうをして持っていかれてどんなことをやられたかという事実はだれもが承知している。この客観的事実は一体何だと言っているのです。それはやはり不法行為に基づく人権の侵害だ、そんなことを改めて、だれがやったかわからなければこの厳然たる事実に対する判定もできないなどという三百代言みたいなそんな理屈をわしが黙って聞いていることができますか。原因を問うているのじゃないのだ。先ほどから繰り返すようにだれがやったか聞いているのじゃない。彼がやられた、この実際の姿は何だと私は聞いているのです。第九条そのままではないかと私は言うのです。まだあなた方はそういうわからぬことばかり言う。
 第十条には、次に何と書いてあるか。「自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱われる。」これはいわゆる罪を犯した被告人、被疑者となって被告人となった者に対する基本的人権の擁護なんです。こういう犯罪の被疑者であってもなおかつ人道的に、かつ人間の固有の尊厳を尊重して取り扱わなければならない、これが国際規約。金大中さんは何も罪を犯さない。しかるにこの第十条に規定しているより以上の尊厳を失うはなはだしい取り扱いを受けているわけでありますから、これは第十条に該当する行為であると考えますが、この点はいかがですか。もう一回聞いておきましょう、第十条との関係。
○園田国務大臣 再三にわたる御質問でありますが、事務当局が答えるとますますかんにさわられるようで私がお答えした方が、御意向どおりの発言はできませんけれども、まあまあ無難かと思いますけれども、先ほどから申し上げるとおり、金大中氏に対する取り扱いについては事柄の経緯上わが方は重大なる関心を持っているという再三の申し入れで御勘弁を願いたいと思います。
○小林(進)委員 この問題は後日にまたいま一回反復する実は資料づくりでやっているのでありますから、大臣が重大な関心とおっしゃってもまだこれだけで矛をおさめるわけにはまいりません。
 第十二条の規約をひとつ見ていただきたいと思います。第十二条には第一項で、「合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者は、当該領域内において、移動の自由及び居住の自由についての権利を有する。」第二項「すべての者は、いずれの国からも自由に離れることができる。」金大中氏の拉致事件はこの十二条にそのまま違反する行為だと思っている。移動の自由、居住の自由をこれは完全に侵害されているのでありますから、十二条違反の行為であると思うのでありますが、これは法解釈ですから大臣座ったままでよろしい。局長、答弁。
○賀陽政府委員 先ほど来九条、十一条、十二条についての御質問があったわけでございますが、私が先ほど申し上げました点は、あるケースが起こりましてそれが基本的人権の侵害であったかどうかという判定は、しかるべき合法的な機関によってなされるということが国際法上の通則でございますので、単なる判断、見通し等によって第何条に該当すると言うことが適当ではないということを申し上げた次第でございます。
○小林(進)委員 局長、ちょっと待ってください。あなたに聞きます。
 それじゃ金大中氏は何月何日九段におけるグランドホテルからどんな形で拉致されていったか、その様子を具体的にここで述べていただきたい。これは事実関係だ。
○賀陽政府委員 本日は、小林委員の御指摘でございますが担当局長が来ておりません。私は国際連合局長でございますので、人権規約の関係は御答弁申し上げるのでございますが、その事実関係はここに適当な人間が来ておりませんので、必要があれば早速調べて御報告いたします。
○小林(進)委員 先ほどから私は大臣とその事実関係に基づいてその行為が一体基本的人権の侵害になるかならぬかという議論をしている。君はならぬなどとおこがましくも言いながら、それじゃその事実関係を述べてみろと言ったら、知らぬとは何事だ。私に対する侮辱じゃないか。君はぼくをからかっているの。事実関係を知らないで一体それが侵害であるとかないとかという答弁があるかね。侵害であるとかないとか言うならば、その事実関係を述べてみろと言っている。そこで言ってみろ。よけいなことは要らぬ。事実関係を言ってみてくれ。
○賀陽政府委員 先生の御指摘でございますが、事実関係がはっきりしないからわれわれとしては判断ができないということを申し上げているのでございますが、われわれが韓国政府から聴取しておる事実関係でございましたら調べまして御報告いたします。
○小林(進)委員 私の言う事実関係というのは先ほどから繰り返し言っている。九段のホテルにいて平穏に食事を食べて人と話をしている金大中氏が、どんなかっこうでどんな形でホテルから拉致されていったかという実際の様子ですよ。それを説明してみろとあなたに言っている。それができなければ、侵害があったとかないとかいう判断を君ができるわけないじゃないか。その客観的な様子をここで述べてみろと言っている。
○賀陽政府委員 この点は、先生再三の御指摘でございますが、担当の者を呼んで御説明させるよりいたし方ないかと思います。
○小林(進)委員 担当の者を呼ばなければその事実、その様子が言えないということであれば、何で一体その結論を出すのだ。韓国に聞かなければだめだとかあっちに聞かなければだめだとかいうその答弁は一体何だ。私は韓国に聞けとか言っているのじゃないのだ。そのホテルから持っていかれたその段階、その姿、それ自体が一体何かということを聞いているのだ。その事実も知らないで、説明もできないで、それが事実関係がどうのこうのでございますの、基本的人権の侵害であるとか侵害でないとか言うのは、君、三百代言だよ。三百代言でなければ君の頭が狂っているのだ。私はだれがやったとか言っているのじゃない。具体的な、彼が拉致されていくその段階を述べてみろと言っているのだ。
○賀陽政府委員 拉致されましたという言葉が適当かどうかわかりませんが、金大中氏がその段階で日本を離れたことは私も承知しておりますが、先生の御質問の何月何日何時何分にそういうことが起こったかということは、私担当者でございませんので、現在の段階において承知しておりません。したがいまして御必要があれば外務省が把握している事実関係を御報告申し上げたいと存じます。
○小林(進)委員 こういう三百代言と話をしたって話にならないが、事実関係を後で述べるというのでありますからこれは留保いたします。
 それでは改めてその担当者からそういう事実関係を承ることにいたしまして、そういう客観的な事実が、一体合法的に平穏無事に拉致されていったのか、不法に拉致されていったのか、その不法に拉致された行為は日本語でこれを人権侵害と呼ぶに値するのかどうか、そこまでの質問は私は留保しておきます。不法な行為で持っていかれたことは事実だ。その不法行為を日本語で一体何と言うか。だれが言ったってこれは人権の侵害だ。三つの子供だってそれを言いますよ。それを言いたくないということでそういうむだな議論をしながら三百代言的な主張をしているなんというのは国会の尊厳に対する侮辱ですよ。そこで、もう時間が来ましたから私は言いますけれどの、カーター大統領が近く韓国へ行かれるそうであります。カーターさんは御承知のとおりいわゆる人権外交のオーソリティーです。カーターさんの政治的特徴はと言うならば、あの平和外交もありましょうけれども、カーターさん即人権外交、ここにあの人の真価がある。だから去年でしたか、福田総理がカーター大統領との会談に行かれたときに、福田さんに特に予算委員会で私は申し上げた。いわゆる韓国の金大中の人権侵害の問題をカーターさんに訴えて、問題の処理を日本人にも国際的にも了承を得るような解決をする、そういう話し合いをしてきていただきたいということを私は申し上げた。大変期待しておりましたけれども、残念ながら福田総理はカーター大統領との話し合いの中ではむしろ朴大統領の人権侵害の問題を余り大っぴらにおっしゃらないで、こういう話は世間に対する刺激も強いからまだ低目にこれを取り扱われるようにしてもらいたいというふうな朴大統領のベースに立った話し合いをされた。あのときは私を含めて日本国民は非常に落胆をいたしました。第二番目には、南北朝鮮統一の問題についていま少しその話を進展してもらいたいと言ったのを、むしろ韓国からアメリカの軍隊を引き揚げること、それを余り急激にやらないように、北の侵害から南がむしろ危険に瀕するというふうなそういう話し合いに持っていかれた。これも私は、この福田
 ・カーター会談に非常に落胆をしたといういまでも生々しい覚えがあります。今度あなたは三十日から大平さんとともにいわゆるカーター大統領との会談に入られるのでありますから、そういう福田・カーター会談をもひとつ横目で見ながら、今度南北朝鮮問題とあわせて金大中の問題であります、人権侵害の問題であります、これを真剣にひとつカーターさんに申し入れてきていただきたいというのが私の言わんとする結論なんでありまして、きっとあなたが言われなくたってカーター大統領は韓国へ行かれれば何らかの形で金大中事件は申し入れられると私は思う。公式か非公式かわかりません。わかりませんけれども、カーター外交のあるいはカーター大統領の実績をながめてみるときに、必ず私は出ると思います。またアメリカのカーター大統領の周辺にいる人たちの中でも、一方には軍事力あるいは強硬派の人々、ブラウン長官はどっちか知りませんけれども、国務省における次官とか次官補等のタカ派に属する諸君にはなるべくさわらせないようにしていることも私はわかっておりますけれども、一方には、この金大中事件の問題を中心にして朴大統領のタカ派的、人権侵害的不法な行為に対してどうしても何らかの方法で進言をすべきであるという動きがあることも私は承知しております。これが出た場合には隣国日本の恥さらしですから、私はカーターさんが口を切らない前に、少なくともアメリカにおいて大平・カーター会談の中でこの金大中氏の釈放問題を含めて人権回復の問題の話し合いをひとつやってもらいたいと思います。これはいかがでございましょう。
○園田国務大臣 御意見はよく承りました。
○小林(進)委員 あなたの先ほどからの御答弁の中に、この問題に対しては重大な関心を持っている、こういう御答弁がありました。私はあなたのおっしゃるその関心という言葉に実は大変ウエートを置いているのでありまして、そこらにいる官僚とは違って外務大臣でありまするから、胸の中に私の質問をも相当まともに受けていただいているというふうに理解をしているわけだ。あるいは思い過ごしかもしれませんけれども、そういうふうに考えておりまするから、あえて私は申し上げるのでありますけれども、これ以上具体的な約束はできぬとおっしゃればやむを得ませんけれども、いま一度カーター人権外交に絡んで対韓国の問題対金大中の問題で口火を切る、あなたも随行者ですから、総理大臣をして口を切らしめるということのお約束をしていただければまことに幸いと存じますが、いかがでございましょう。
○園田国務大臣 お話はまじめによくわかりました。
○小林(進)委員 私に与えられた時間が参りまして残念ながら詳しく申し上げられませんが、私は繰り返して申し上げます。
 これは先ほど留保になかました、外務省の他の官僚から金大中が拉致された実態を聴取いたしまして、それに基づいてこれが一体人権侵害の問題かどうか、そういうこともきわめまして、これが解決されない限りは、これはわが党の態度が決まったわけじゃありませんけれども、外務省自体がみずからの足元で人権侵害をするような不当な行為を黙認をしておきながら、われわれにこの法案を審議しろと言ったところでわれわれは了承できない。問題は、まずそっちの方の処理をしていただかなければ、私どもはこの法案の仕上げに応ずるわけにはいかぬということを、くどいようでありまするが申し上げまして、私の質問をこれで中断をいたします。終わったわけじゃない。中断をいたします。
○塩谷委員長 土井たか子君。
○土井委員 法務大臣がただいま御出席でございまして、時間の関係から先にひとつ法務大臣に対しての御質問をさせていただきたいと思うのです。
 ただいま審議中の人権規約のB規約の二十四条の三項を見ますと、「すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」こう非常に明確な規定がございますが、大臣、現行法で日本人の母の子供でありながら日本国籍を取得できず、しかもなおかつ国籍を持たない、つまり無国籍となる場合がございませんでしょうか。この点はどのようにお考えになりますか。
○古井国務大臣 正確を欠いている点があったら正確に知っている専門の事務当局から訂正させますけれども、実際問題は、耳にいたしますのは沖繩にその種の子供がいる、こういう事実があるわけでありますね。それ以外にそういう実例がたくさんあるのかよく存じませんけれども、沖繩のことは私も承知しております。
○土井委員 沖繩にそういう実例があるということを法務大臣は御承知おきいただいているようでありますが、沖繩返還が七二年五月十五日に発効いたしておりますが、それ以降、こういう国際児の国籍問題についで法務省としては実情を把握なさっているだろうと私は思いますが、実情把握というのは具体的にはどうなっていますか。
○香川政府委員 沖繩返還協定の発効時のことの細かな数字は現在記憶いたしておりませんが、最近におきまして、いまお尋ねの無国籍人の数は約八十名ばかりというふうに承知いたしております。
○土井委員 いまのお答えは、国籍を持たない子供たちですか。無国籍の子供たちが八十名とおっしゃったのですか、いかがですか。
○香川政府委員 無国籍、つまり国籍がない人でございます。
○土井委員 その国籍がないというのは、いかなる理由に基づくわけでございますか。
○香川政府委員 その多くの事例はアメリカ人男と日本人女の間に生まれた子供についてでございまして、御承知のとおり、アメリカ国籍法によりますと、アメリカ人を父とする子供のアメリカ国籍取得について厳格な要件がございまして、外地で生まれた子供につきましては、その父親たるアメリカ人が十四歳から五年間継続してアメリカに居住しておったこと及び二十八歳までの間に合計十年間アメリカに住んでおったこと、こういう要件がございますので、たまたま沖繩でアメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれた子供で、父親がいま申しました要件を満たしていないというときにはアメリカの国籍を取得できない。わが国の国籍法では父系主義をとっておるわけでございますけれども、この場合、父親がアメリカ人でございますから日本国籍が与えられない。たまたまその婚姻が正式のものでないということでございますれば、母親が日本人でございますので子供は日本国籍を取得しますけれども、正式に婚姻いたしておりますと、父親の関係からアメリカでも国籍を与えない、日本でも国籍を与えられないという結果、無国籍になる、こういう関係でございます。
○土井委員 一九七七年の八月三十日に衆議院の社会労働委員会が現地調査に調査団を組んで行かれているわけでありますが、その際、国際福祉沖繩事務所を訪問されて事情聴取をされているという事実がございます。その節、現行国籍法の改正問題にも触れて、やはり父系優先主義というのに一つの原因がある、したがってその点の手直しが必要だという趣旨の要望も現地においてあったようであります。その後そういうことについて法務省としてはいろいろ御検討を重ねられたに違いないと思うわけでありますが、どういう経緯がそれに対してございますか。
○香川政府委員 その点につきましては、先日当委員会におきまして西宮委員からも御質問をいただいたわけでありますが、御承知のとおり国際的な統一的な考え方といたしまして、二重国籍はできるだけ防止しなければならないという要請があるわけでございます。いまお尋ねの問題にしぼってその点を考えてみますと、アメリカ人男と日本人女の間で生まれた子供につきまして、本来ならばアメリカの国籍をその子供が取得するわけでございますが、その場合に母親が日本人であることから母系主義を並行的に認めると二重国籍になるわけでございます。そういった二重国籍が生ずることを防止しようということから、結局日本の国籍法においては父系主義をとっておるというわけでございますが、たまたま先ほど申しましたようなアメリカと日本の国籍法の不整合の結果無国籍の子供で、しかも母親が日本人であるというものが生じました場合に、御承知のとおり国籍法の六条におきましてきわめて簡易な手続によって帰化を認めておるわけでございまして、その帰化を申請していただいて、それによりて日本国籍を与えるということで十分賄えるであろうというふうに考えておりまして、ただいまのところ、その面での国籍法の改正は考えておりません。
○土井委員 そうしますと、これは無国籍の子供たちがどういうふうな実態であるかということに対しての認識をなかなかお持ちいただけていないようでございますから、いまここにございます「沖繩からの提言」という一文を読み、御承知のとおりことしは国際児童年でもございますので、再度国籍法に対して改正の要請もあるということを申し上げたいと思うのです。
 まず、御参考までにここにある一文を読ましていただきます。それは「婦人通信」という雑誌の中にございます一文ですが、ことしの五月号、大城安隆さんという人の、「沖繩からの提言」というテーマの中で「無国籍の子どもたち」という表題の内容でございます。
  次の事例は、私がこの原稿を書いている最中
 に相談のあった、耳を疑いたくなるような内容
 のケースである。
  十八歳の長女を先頭に五名の、一見して混血
 児とわかる可愛い子どもたちが事務所に入って
 きた。神妙な顔つきでソファに並んで座ったも
 のの、何から話を切り出してよいのか迷ってい
 るようすだったが、相談員に促されて長女と二
 女が話した内容をまとめてみると次のようにな
 る。
  父親は八年前の六月、米軍退役と同時に、母
 親と五人の子どもたちを置きざりにして米国に
 帰ったまま、音信がなく、行方もわからない。
 当時長女は十歳で、末の子は二歳になったばか
 りだった。
 両親はお金のことでよく口論をしていた。上
 の子三人は、米軍の付属学校に通っていたが、
 父親の退役により、その資格がなくなり退学し
 た。その後は八年間どの子も学校に行ったこと
 がない。下の子二人は未就籍である。
  借金取りに追われながらなんとか暮してきた
 が、今年の初め、母親は仕事に出たまま帰った
 こなかった。現在は上の子三人が夜働いて家計
 をやりくりしている。彼らの訴えは、下の二人
 の籍をつくり就学させたい、またアメリカにい
 る父親を捜してほしいということであった。こう書いてあるのです。
 人権規約をまさにいま審議をして、そしてこの内容を私どもが同意しさえすれば、日本としてはこれを認めることになるわけですね。先ほど申し上げたとおり、この人権規約の中に、二十四条の三項に、「すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」きっぱり書いてあるのです。しかも同じB規約の二条では、「立法措置その他の措置がまだとられていない場合には、この規約において認められる権利を実現するために必要な立法措置その他の措置をとるため、自国の憲法上の手続及びこの規約の規定に従って必要な行動をとることを約束する。」ときっぱり書いてあるのですよ。いかがでございますか、これは。いつも法務省は二重国籍を持ち出されるけれども、しかし、無国籍問題の方が、現実の問題について考えるならばより深刻じゃないですか。子供たちの問題を考えたら、学校への進学は言うまでもありません。就職もできないです。身分も不安定です。特に心身ともに成長期にある人間にとってこれくらい残酷なことはない。結婚なんということを考えていくととても深刻で、普通の人間だったら生きる気力さえ失うという場合が多いだろうと私は思う。こういうことをひとつ考えていただきたいと思いますよ。
 いま法務委員会の方では、国籍法の一部改正案を提案して審議をしている最中ではありますけれども、人権規約審議に伴ってこの問題というのは、いま法務省が国籍法については改正を考えておりませんときっぱり言われるようなことで済む問題では絶対ないと私は思うのです。いかがでございますか、法務大臣。
○古井国務大臣 国籍のない子供がおる、このことは望ましくないことであることは申すまでもない、子供をどこかの国籍を持っておるようにしてやりたいものだということは、人権規約をまたないでも当然のことと考えるわけでございます。問題は、先ほども局長から申しましたように、正式に結婚した父親がない、こういうことならば母親ということで日本の国籍を与えるということが簡単に考えられるのですけれども、父親が正式にある、こうなっておる場合なんですね。そこで、父親の方、つまりアメリカの国籍法が条件がむずかしいものだからアメリカの国籍は得られない。そこで行き詰まってしまう、こういうところに突き当たってとまってしまっているわけであります。
 そこで、ではその場合に。今度は母親の国籍にすぐしちゃっていいか。これは父親がはっきりしておる正式の父親の場合でありますから、簡単に母親の方の国籍を与えてしまう、そこへ飛んでしまうのに一つ問題点が残るわけでありますね。それでいまのところは、簡単に日本の国籍を得たいというなら帰化という手続、簡易なものが特にあるんですから、それでもって日本の国籍を得られるようにしたらどんなものだろう。本人も父親の方の国籍を得たいという希望を持っておるものもなきにしもあらずでありますね。ですから、いまの簡易な手続になっておるというわけでありますから、帰化ということでこの問題を解決するということが実際的じゃないか。理屈上もめんどうなところはありませんし、実際上も手っ取り早いじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、どんなものでありましょうか。それでは土井先生は御満足にならぬでございましょうか。
○土井委員 法務大臣、大臣は、いわゆる人格とか人間に対してどのように政治の課題として取り組むかということに対しては、もっと基本姿勢がはっきりおありになる方だと私はいままで思っておりました。非常に便宜主義的な問題の取り扱いしかいまお考えになっていらっしゃらないということをここで確認をいたしますよ、いまの御答弁ならば。
 というのは、その人の法人格というものをどう認めるかということは、その人間をどう取り扱うかということに対しての基本的な問題だと思うのです。いま一連の沖繩の子供たちに国籍がないからというので、その子供たちに対する取り扱いは、それは日本に帰化させたら日本国籍をそこで取得できるんでいいじゃないか。それで何とか間に合うのじゃないか。間に合わせのための便宜主義なら要りませんよ。そんな問題じゃないのです。国籍ということをどう考えるかというのはもっと基本的なことじゃないのですか。現行国籍法というのは、いまの人権規約の中でもはっきり明記されているとおり、性別によって差別することは人権規約の中では認めていないのです、人権の基本的なことですから。そういうことからすると、父親の国籍ということについて、日本人の男性が父親である場合には認めるけれども、母親が日本人である場合には日本国籍は認められないという、いわゆる父系優先主義ということを国籍法の基本に置いているという、そもそもそこが問題だということを再度私は申し上げたいのです。
 したがいまして、父または母が日本国籍を取得している場合には、日本人である場合には日本国籍を取得するということが認められていいのじゃないか。成人になったときに本人がいずれを選択するかということは、それは任せればいいわけであって、二重国籍になるからこれは認められないという、何だか石頭みたいな物の考え方でこのことに対して、なおかつ国籍法に対しての一部改正ということをよう踏み切らないというのは、いかにも法務省は人権意識が疑われるだろうと私は思いますよ。いまのそういう便宜的な措置だけの問題じゃないのです。私はもっと基本的なことをお尋ねしているということをひとつ認識していただいて、法務大臣、もう一度お答えいただきます。
○古井国務大臣 便宜主義の話とばかり私は思わぬので、まことに申しわけないが、便宜主義の考え方とばかり思わぬので、しからば、はっきり正式にアメリカ国籍を持った父親がおる、しかしいまのようなケースには、もう当然、母親が日本人なら日本の国籍をそれだけで与えてしまうということにすべきだということになるのでしょうか。これは問題が一つも二つもそれについてはあるのじゃありますまいか。いまの父系主義と簡単におっしゃるけれども、一つの考え方のたてまえもあります。それのみならず本人の希望だってあるわけじゃないかと思うのです。
 それから、もともと父親がほうっておいて帰ってしまった。こういう背景もそういう場合には加わっておるのですね。便宜というよりも、簡単にそれじゃそういう場合は母親のあれだ、こう言っていいんだろうかに問題があるのじゃないかと思うのです。
○土井委員 本人の考え方もあるとおっしゃる。現行国籍法からすると本人の考え方を許してないのですよ。まず国籍法の中では本人が考える範囲というものをちゃんと用意しておいて、その中で取捨選択できるようにしておくことが本来あるべき筋じゃないか。いまは国籍法では本人の考え方を許してないのです。そうでしょう。ですから、父親の国籍が欲しいと思う子供もあるでしょう。母親の国籍でいい、そうあってほしいと思う子供もあるでしょう。それを認められるように法律をすればいいのじゃないか。いまの法律は認めてないのですよ。そういう方向で国籍法の改正を、「沖繩からの提言」の中でも特に具体的には無国籍の子供たちについて問題にされておるのですよ。これは私は非常に大事な問題だと思う。そういう意味での国籍法の一部改正を、さらに私は法務委員会に出かけていって問題にいたしますけれども、法務大臣としてはこの節人権規約の審議に従って考えることが必要であるという御認識はお持ちになりますね。いかがですか。
○古井国務大臣 これは問題だということはよくわかりますし、子供を無国籍に置いていいことだとは思いません。全く同感なんです。ただ簡単に、それじゃそういう場合は日本の国籍をそれぞれに与えてしまえということにまでいくならちょっと問題があるのじゃないか。そこでおっしゃるように、法務委員会でもまた十分意見を聞かしていただきまして、研究しないというのじゃありませんが、ちょっと私もぴったり来ぬところがありますので、お上手言っていいか、その場しのぎで言っておくなら簡単ですけれども、法務委員会でおっしゃるというのだから、十分聞かしていただいて結論を出したいと思いますので御了承願いたいと思います。
○土井委員 外務大臣、事ほどさように、児童に対しての国籍を取得する権利一つ取り上げてもこういうざまなんです。人権規約の中で書いてあること一つ一つが、押さえて確認をしていけばいくほど、一つ一つの問題を動かしていこうとすると大変なんですよ。それぞれの省庁のなわ張りもあるでしょうから、人権という認識についてどのようにお考えになっていらっしゃるかという、基本問題からもう一度問いたださなければならないようなことばかりであります。いまのいろいろなやりとりをお聞きになっていて、外務大臣としてはどのようにお考えになりますか。
○園田国務大臣 ただいま沖繩の子供さんの話が出たわけでございますが、これについてはいろいろいままで厚生省とも話をしてきたところでありまして、米国の国籍を取得するために外務省と厚生省が何か協力する方法はないかなどということもありましたけれども、問題はそういうことではなくて、沖繩だけではなくて、日本で日本の女の方が外国の方と子供を産んだ、あるいは子供が一人残ったという場合のその国籍については、単に窮余手段で過ごされないもの、いわゆる人間としての基本的な問題がある、私はいろいろやっておるうちに考えるものであります。日本の国籍法というのはなかなかむずかしい問題でありまして、これに障害がありますけれども、この基本的人権という規約を提案をし、御批准を願うからには、法務省とも相談をして、そういう基本的な問題を一つずつ片づけていくことがこの規約を提案した動機でなければならぬ、私はこう思っておりますので、法務省の方ではなかなか強い意思を持っておられるようでありますが、今後とも法務省初め関係省庁と相談をして、私は、これはひいては男性と婦人の差別問題にも発展していきますし、それからまた、日本の国籍というものが、日本に住む人間は、日本人でなければ人間としての平等な待遇を受けないなどという問題にも発展してくるような気がいたします。こういう問題は、いますぐというわけにはまいりませんが、率直に話し合って、法務省初め関係省庁と相談をしていくべきものであると私は考えております。
○土井委員 法務大臣、いまのをお聞きになったらもう結構でございます。どうぞ、お急ぎでいらっしゃるらしいので、御退席をお願いします。よろしゅうございますね、法務大臣も。それはやはり、人権規約に対しての審議をしている外務委員会においては、一つ一つの問題に対して、誠実に遵守するという義務が生ずるわけですから、国際法について日本が締結すれば。ですから、これはやはり法務省もいままでどおりの姿勢ではまいりませんよ。せっかくいま大臣が御就任になって、非常に意欲的な法務大臣だというふうに私は拝察をしておりますから、ひとつこれに対しては鋭意御努力をお願いしなければならぬのですが、よろしゅうございますね。
○古井国務大臣 よく勉強させていただきます。
○土井委員 さらに、これは基地問題につきまして、先日、二月段階でございますが、安保条約がある限り、沖繩に限らず、日本のどの基地周辺についても、また基地内においても、同じことが言えると思いますが、沖繩から比嘉副知事が上京されて、マンスフィールド駐日米大使との間で話し合われた結果、基地問題についてのいろいろな、たとえばいまの混血児の問題もそうでございますし、家族の問題もそうです。軍事問題、経済問題についてはお互い交流があるわけでありますが、事、人権問題、人間関係の問題についてはなかなか交流が、具体的なことに対してずっと追及していくと、なかなか行き届いていないという部面がある。そこで、協議機関を設けてはどうかというふうなことに対して、マンスフィールド大使の方は、非常に積極的にこれに対して努力しようというお約束があったようでありますが、このことについて、後、外務省としては何らかの御努力を具体的になさっていらっしゃるかどうか、また、具体的にまだなっていなければ、今後こういう問題に対しての見通しはどのようになるかというあたりをひとつお聞かせいただけませんか。
○園田国務大臣 基地問題については、基本的な立場は、先生とわれわれとは異にしております。われわれは、日米安保条約、いわゆる日米協力の安全保障を考えておるわけであります。しかし、私たちもそういう違った立場からしても、今後、日米安保条約の協力の基本は、基地の住民の人々が喜んで日米安保の協力に協力をしてもらうということが一番大事である、こう考えるわけでありまして、そういう観点からいたしましても、基地におけるもろもろの人権問題は、これは非常に大事な問題で、これを過つならば、われわれの立場からいっても、日米安保条約というものは、存立が危うくなるわけでありますから、この点についてはいま御発言のとおり、米国の方ともよく協議をして進めていきたいと考えております。
○土井委員 さらに、時間の制約もございますが、あと、今回の人権規約の内容をずっと検討してまいりまして、大変重要な点が一点ございますので、この点を外務大臣にしかとお尋ねをしたいわけであります。
 このB規約の第四条にございます「公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、」という書き出しで、この一連の「規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。」という項目がございます。ここに言うところの「公の緊急事態」というのは一体何を指して言っているわけでございますか。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 「国民の生存を脅かす公の緊急事態」でございますが、国民の生命または生活全体を脅かすほどの急迫事態というように私どもとしては解釈をしております。
○土井委員 それは一般的な抽象的説明でございまして、具体的に言うと、それにはどういう事例がございますか。
○賀陽政府委員 この点は、わが国の国内立法との関係で考えますると、たとえば警察法の七十一条でございますか、あるいは自衛隊法七十八条、前者については緊急事態、後者についても緊急出動ということが想定されておりますけれども、こういったような事態に該当するものと考えております。
○土井委員 それは人権規約で言うところの緊急事態がそういうふうに国際的認識をされているのか、それとも局長の認識がそういう認識であるのか、いずれでございますか。
○賀陽政府委員 第四条1の「公の緊急事態」の解釈は各締約国に一応ゆだねられておりますので、それぞれの国内法等に徴しまして、一体どういう事態がこの状態に該当するかという判断をするわけでございまするけれども、先ほど申し上げましたように、「公の緊急事態」ということだけでは、これはなかなか統一的な解釈が出てまいりませんので、われわれとしては、ただいま申し上げたような事態を想定しておるわけでございます。ただ、後段のように、そういう「措置をとることができる。」から「措置をとる」云々の話が、すべきであるとか、そういうことを申し上げている意味ではございません。
○土井委員 おっしゃっていることの意味がわかりません。
○賀陽政府委員 後段の、私が申し上げようとしておりますることは、この「基づく義務に違反する措置をとることができる。」ということについて、これは「とることができる。」ということを授権しているにすぎないのであって、とるかどうかということは、これはまたあれでございますが……
○土井委員 局長、そんなことまでを言っているわけではございませんで、私がいまお尋ねしているのは、「公の緊急事態」とはどういう状態を指すかという質問をしているわけでございます。よろしゅうございますか。「緊急事態」という中に戦争とか内乱とかクーデターとか天災とかいうのは入らないのですか、いかがなのです。
○賀陽政府委員 この点は、内乱の定義、内乱の程度その他いろいろあると思いますけれども、先ほど申し上げましたような、国内法上、そういう事態に該当するものと認められるような場合には、そういうものも入るというふうに考えてよろしいかと存じます。
○土井委員 そうでしょう。そうすると、この第四条で言うような、公の緊急事態を宣言する国内法というのが日本の場合には現に存在しているか存在していないか、いかがでございますか。
○賀陽政府委員 ただいまの点でございますが、国内法が存在するかどうかという御質問は、この規約に基づく義務に違反する措置をとることを可能ならしめるような国内法が存在するかどうかということでございましょうか。それとも自衛隊法、警察法のその該当例のことをおっしゃっているのでございましょうか。
○土井委員 第四条で言うような緊急事態を宣言する国内法が存在しているかどうかということを私はいまお尋ねしているのです。
○園田国務大臣 ただいまの問題は、人権規約の規定そのものではなくて、これを解釈してどのような国内法をつくるかということに問題があるわけであります。私は、土井先生の質問に答弁するとよく問題を起こすわけでありますが、一時言われた有事立法などというものもそれでありまして、現在ある法律では、私の記憶では、災害基本法が一部そういうものに該当するかどうか、これは記憶でありますから当たっているかどうかわかりませんが……。したがいまして、これに基づく国内法というのはきわめて慎重にやらなければならぬということでありまして、今後できるその種類の国内法にはあくまで、逆にこの基本法の本旨を踏まえつつ国内法は規定していかなければならぬと考えております。
○土井委員 それは重大な御発言ですよ、大臣。これはいまのその緊急事態というふうな問題に対する認識というのが、先ほど申し上げたとおり、大臣もいま御答弁の中でおっしゃいましたけれども、有事立法等々ももちろんこの中に入っていくわけです。それから、確かに、このいまわれわれが審議しているのは国際法でございますから、国際法を一たん締結いたしますと、国家は好むと好まざるとにかかわらずこれに羈束されます。特に憲法の九十八条二項からすれば、一たん締結した国際法規に対して、日本はこれを遵守するという義務がございますから、したがって、これを国内法化しなければならなくなってまいります。
 そういうことからいたしますと、第四条との関連からいたしまして、これを見てまいりますと、いま申し上げているのは第四条の一項なんですね。第四条の二項、三項と見てまいりました場合に、これはいかがでございますか。身体の自由と安全を保障している人権規約の九条、自由を奪われた者の待遇に対しての十条、移動の自由に対する保障の十二条、外国人の追放に関する十三条、公正な裁判を保障している十四条、私生活に対する干渉を規制している十七条、表現の自由に対しての保障の十九条、平和的な集会の権利を保障している二十一条、結社の自由というものを具体的に保障している二十二条、婚姻をめぐる諸権利の二十三条、児童の権利を保障している二十四条、・政治上の権利を保障している二十五条、法の前における平等を具体的に決めている二十六条、こういう条文に対していろいろと、この規則に基づく義務に違反する措置を国はとることができるということを四条の一項は言っているわけです。
 問題は、日本国憲法からいたしますと、憲法の基本的な、それこそ基本的人権にかかわる問題に対して、この人権規約は、国が緊急事態ということを認識した場合にはそれに対して羈束してよろしい、制約してよろしいということを認めることにもならざるを得ないのですね。これは万事、いわば日本国憲法下においては、もう申し上げるまでもなく、外務大臣はよく御認識のとおりでございます。平和憲法でございますから、したがいまして、この四条の一項に言うような内容に拘束されることは認められ得ないというふうに考えなきゃならないと私たちは思っているわけであります。よろしゅうございますか。日本国憲法からすれば、第四条の一項に拘束を受けるという余地はないのです。つまり、日本国憲法下において、第四条の内容に拘束されることは日本の場合認められない、こういうふうに考えられなければいけないのじゃないかと私は思うわけであります。
 というのも、このB規約の二条の二項の中に、「この規約において認められる権利を実現するために必要な立法措置その他の措置をとるため、自国の憲法上の手続及びこの規約の規定に従って必要な行動をとることを約束する。」とございますから、憲法に違反するようなことは認められないわけでありまして、この間の事情というのをひとつ明確にしておいていただかないと、私は、これは人権規約の条文の方を読んでまいります場合に、四条一項というのは大変大きな意味を持っていると思うわけであります。
 もちろん、先ほどちょっと局長が言われましたけれども、「基づく義務に違反する措置をとることができる。」とあって、とらなければならないと書いていないから取捨選択の自由がある、そういう措置をとらなくたって人権規約違反にはならない、こういう論法も生ずると思いますけれども、しかし、日本の場合は、平和憲法下にある国として、この点はことさらに明確にしておく必要があると思うわけであります。外務大臣、いかがですか、これは非常に大事な問題ですから。
○園田国務大臣 私が答弁いたしましたのも、いま言われたような趣旨でありまして、人権規約の中のもろもろの基本的な持っている人権、それが国家非常の場合は、それを一時制限しても構わぬということであるから何でも自由にやっていいという意味ではなくて、基本的人権規約の中に盛られた数々を踏まえ、当然憲法の条項の枠内で国内法というものは決めるべきものだ、勝手にやってよろしいのじゃない、こういう趣旨のことを言ったわけでございます。ただし、日本は平和憲法がありますから、この憲法の枠というのはありますけれども、国家非常の場合に、全然個人の人権を制限してはならぬということではないと存じます。
○土井委員 ただ、国家非常の場合とおっしゃる非常の場合の中にも、日本国憲法九条からすれば、戦争ということは、国家非常の場合には、外国が認識していると同義の認識じゃないんです。そうでしょう。したがいまして、そういう点からいうと、留保に対しての三条項、解釈宣言、それと同じというよりももっと大事な意味で、この第四条については実施することが、日本の場合には憲法第九条のある平和憲法下にある国家として、この特殊事情というものを公式の国連の場で鮮明にしておく必要があるのではないかと私は思いますが、このことに対して批准をするに先立って、何らか日本としては意思表明を公式の場でなすったということがあるのかないのか、その点はいかがでございますか。
○賀陽政府委員 公式な表明をいたしておりませんが、第四条につきましては、「義務に違反する措置をとることができる。」と、これは前に申し上げましたけれども、これをとることは日本は現在できないわけでございます。何となれば、条約のセルフエグゼクトリーな性格というものを認めておりませんので……(土井委員「どんな性格」と呼ぶ)まあ、条約をそのまま、国内法なしに条約の内容を実施するというたてまえを日本の法制はとっておりませんので、もしこの義務に違反する措置をとろうとすれば、国内法が必要でございますが、現在国内法はございません。そういう意味におきましては、第四条につきまして、日本がこの措置をとるということは現実にあり得ないことでございますので、そういう意味で、各国の国内法それぞれ区々であるとは存じますけれども、日本については国内法もございませんし、先ほどの御指摘の憲法の問題もございまして、かかる措置をとることができるという状態には現在ないわけでございますので、そのことをわざわざあるいは日本が国際的に表明することが必要であるかという点につきましては、いずれの国もこれを行っておりません。そういう観点から、われわれもこれを行っていないわけでございます。
○土井委員 いまの局長の御答弁で、私は確認したつもりになりますけれども、外務大臣、最後に一言だけ。
 これは、国内法において具体化される問題であるというこの局長答弁、そのとおりであると私は思いますが、現在、そういう国内法は日本の場合は存在しておりません。していない日本において、この四条一項から、人権規約を日本も締結するに及んで、二条二項で立法措置を特にするという考えを持ってはならないと思うわけであります。そういうことは不必要だと思うわけであります。不必要であるばかりでなく、してはならないと思っているわけでありますが、この点の確認をひとつ外務大臣からいただいて、私は終わりにします。
○園田国務大臣 日本の平和憲法の大前提から申しますと、そういうことをやることは必要はない、私もそのように存じます。
○土井委員 終わります。
○塩谷委員長 村山富市君。
○村山(富)委員 私は、国際人権規約を調印するに当たって、日本政府が四項目にわたる留保及び解釈に関する宣言を行っておりますが、その宣言をされた中で、特に消防職員の問題についてお尋ねをしたいと思うわけであります。
    〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
 この消防職員を警察職員と同一に扱うというのは、これはもう国際的にも通用しない問題でありますし、日本の国民のだれに聞いても、警察職員と消防職員が同じ扱いにされるということについては問題がある、ある人は、それは服装が似ているから同じ扱いをするのじゃないですかというような話をした方もあるのですけれども、服装が似ていると言えば、むしろガードマンや交通指導員の方が似ているので、まさかそんなことで同一の扱いをしているとは思いませんけれども、一体、日本政府が消防職員を警察職員と同じような扱いをしておる、その根拠は何なのか、そういう点についてお尋ねしたいと思うのです。
○砂子田政府委員 お答えを申し上げます。
 ILOの第八十七号条約の第九条の規定に従いまして、軍隊と並んで警察が適用除外をされておるということはすでに御案内のとおりでありますが、これを除外しました趣旨は、国の治安の確保についての警察作用の特殊性を考慮したものと解されております。したがいまして、わが国の消防につきましても、その作用につきましては歴史的沿革なりあるいは現行の法制上の立場なりあるいは業務の内容から見まして、同条約に定められておりますところの警察に包含されるという考え方から、現在そういう取り扱いをいたしておるわけでございます。
○村山(富)委員 そういう抽象的な答えでなくて、歴史的にどうして同じなのか、あるいはその業務内容から見てどこがどういうふうに同じなのか、ちょっと詳しく教えてくれませんか。
○砂子田政府委員 それではお話に従いまして内容的に御説明を申し上げます。
 まず、実質的な理由といたしましては、一つは歴史的な沿革がございまして、日本の消防はその成立以来一貫して警察機構のもとにございました。それが昭和二十三年に組織がえがございまして警察から分離されたのでありますが、その職務権限につきましては、その内容、性質ともに従前と変わっていないわけでございます。また、学問的にも消防の業務というのは保安警察の一種だというふうに一般的に解されておりまして、そういう意味からも消防は警察の一種であるというふうに理解されているわけであります。
 第二番目に、法制に基づく業務内容につきましては、公共の安寧秩序の維持という警察と同一の使命を有していることは、法律の目的から見てそういうふうに解されるわけであります。また、業務遂行のための警察と同様に強制権限を持っていることも法律上明白であります。さらに火災や災害等の現場におきましては警察と相互に協力して任務遂行に当たるということも記載されておるわけでありまして、これは互いに警察、消防が補完をし合っているという状態でございます。
 それから、第三番目に、消防活動の実態面につきましては、消防が、火災でありますとかあるいは地震でありますとかその他の災害、あるいは救急業務、あるいは緊急の場合の火急危難というような場合に対しましてもその任務を遂行いたしますためには、高度の規律と統制のとれた迅速果敢な行動が要請されているわけでもあります。そういう意味で、警察活動と軌を一にしているというふうに理解をいたしているわけであります。
 そのほかに、従前のいきさつに基づきますと、日本の消防が警察に含まれているという政府の見解は、このILOの八十七号条約を批准いたしますときの結社の自由委員会、ここでそういうふうな理解のもとに示されたものをわれわれとしましても批准の際に理解をいたしましてこの条約を批准したという関係にあるからでございます。
○村山(富)委員 そういう歴史的な沿革やらあるいは法制上の問題やら、業務遂行の実態やら何かから判断をした場合に、その判断の立場が違うものだから解釈が違うわけですね。
 しかし、現に組織がえを二十三年にして、その後のいろいろな事例がございますけれども、佐久間元消防庁長官が言っていることについてちょっと紹介しますけれども、二十三年に警察から分離されましたね。組織がえをしたわけです。分離をしたということは、明らかに警察の業務と消防の業務が違う、これを同じ法律のもとに扱うことは問題があるということから分離をされたわけです。その分離をされたことに関連をして、いま申し上げました佐久間元消防庁長官が言っていることは、
 警察から分離したということ、これはいまさら言わなくてもいいことでありますが、やはりこのことは、消防行政を伸ばしていく上に非常によかったと思うのであります。消防行政というものは、私はその本質はサービス行政だと思う。予防行政で多少取り締まりの権限はありますけれども、その基本はサービス行政だと思う。警察行政というのは、これは取り締まり行政であります。権力行政であります。その本質が違うこともありますし、やはり警察の範疇の中にはいったんでは、この二〇年間にこれだけ消防行政が伸びるということはできなかったと思います。
こういうふうに消防庁長官が言っているわけです。ですから、その立場から違う解釈ではなくて、現に消防を担当しておりました最高責任者が警察と消防とは違う、こう言っておるわけでしょう。それをあなた方が同列に扱うのは一体どういう意味ですか。たとえば公共の安寧秩序を保つというのにいたしましても、これは国民全部が公共の安寧秩序を保つ責任が、ある意味ではあるわけですよ。その公共の安寧と秩序を保つ立場から警察は権力を持っている、あるいは取り締まりという立場から扱う、消防行政はそうではなくてサービス行政として扱う、これは扱い方に違いがあるわけでしょう。それを同じように解釈をして取り扱おうということについては問題があるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
○砂子田政府委員 二十三年に警察から消防を分離したというお話は、実はこれは当時の内務省の解体にかかわる一つの問題でございまして、一つの権力に物を集中させておくということは大変問題があるということで、実は警察から消防を分離したということになっておるわけであります。そういう意味で消防というのを警察から離しまして、いま先生が言われましたようなサービス行政を含む強制権限を与えるという形の中で消防の育成に努めてまいったわけでもあります。
 たとえば消防の中にも、道路の通行優先権に関する制限でありますとか、あるいは特定区域内の通行制限でありますとか、あるいは一般人に対する協力の命令権でありますとか、そういうことをやれることになりますし、現実に火事が起きました場合には、他人の家屋に侵害をいたしましてそれを破壊をするという行為までいたすわけでありまして、やはり警察というのは単にサービス行政だけをしているわけではございませんで、一般的に、火災が起きましたときのそういう強制権限と申しますか、そういうものを消防にも与えているわけでございまして、この点は警察と全く同様に考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 火災が起きたときに消防車が出動しますね。そのときに同じ交通法規に縛られて、そして交通信号を守らなければいかぬ、渋滞になっている、行かれない、そんなことでは業務は遂行できぬじゃないですか。しかし警察権力を持って遂行するのと消防署の消防車が遂行するのとはおのずから違いますよ。これを同じように解釈するところに大変な間違いがあるのではないかと思うのです。ですから、これはやはり前提として、警察官が持っておる役割り、権限、消防署の職員が持っておる役割り、権限、これはおのずから違うわけですから、それを同列に扱うことは問題があるということを私は、ここでそれだけを言っておると時間がありませんから、指摘しておきます。
 それからもう一つは、ILOの八十七号条約が批准をされて以降、一九七二年にILO結社の自由委員会に総評自治労から消防職員の団結権問題で提訴が行われ、日本の消防職員が団結権禁止の対象となり得ないこと、消防職員と警察官とは同一ではないことなどの結論が出されておりますね。これは承知しておりますか。
○砂子田政府委員 一九七三年の第百三十九次報告にそういうことが載っております。承知いたしております。
○村山(富)委員 そうしますと、この八十七号条約が批准をされたそのときの総会における結論と、いま日本の政府がとっておる解釈とは大変な違いがあるじゃないですか。これはどういうふうに理解しているのですか。
○砂子田政府委員 先ほど申し上げましたように、ILOの結社の自由委員会におきましては、第十二次の報告あるいは第五十四次の報告におきまして、わが国の消防がILOの八十七号条約に言う警察に類似するものだということの見解を示しまして、それに従いましてわが国がこのILOの八十七号条約を批准されましたことにつきましては、疑いの余地がないと思います。
 ただ、いま仰せられました一九七三年の百三十九次の報告の中にはそういうことが書いてありますが、しかしながらこの問題というのは、御案内のとおり条約の勧告適用専門家委員会あるいは条約の勧告適用委員会などで、ILOの機関で相当な検討が行われてきておりまして、ILOの見解は、その間においてきわめて流動的であることはまた御案内のとおりでございます。昭和五十二年の六月のILOの総会におきましては、条約勧告適用委員会の要旨の中に「委員会は、この本質的に国内的な問題が日本国内において解決策を見出すことを希望する。」という見解が表明をされております。しかも、この見解は、基本的には消防の団結権の問題というのは国内問題であるとする政府の年来の主張が理解されたものだというふうに考えておりまして、今後ともこの問題につきましては、ILOの審議状況を見ながら、さらに慎重に検討していきたいというふうに考えております。
○村山(富)委員 都合のいい解釈をされては困るので、それはいまあなたが認められましたように、文書には明確には書かれているわけでしょう。これはもう解釈の余地はないのですよ。都合よく勝手に解釈する余地はないのですよ。現に日本政府は終始一貫そういう態度をとってやってきていますね。機会があればそれを主張しよう、機会があればそれを強調しようというこういう態度をとってきておりますけれども、昨年六月のILO総会で第百五十一号条約が採択をされた、これは知っていますね。この採択をされた際に、ポルトガル政府と日本政府が修正案を提出しようとしたわけですね。その修正案というのは、いままでお話があったような日本政府の立場を主張する修正案ですね。ところが、この修正案は、出してみても支持がない、採択をされる見込みがないというので、提出を撤回しましたね。この事実を知っていますか。
○砂子田政府委員 昭和五十二年の六月のILOの総会におきまして、ILOの第百五十一号条約か採択をされましたが、その同条約の第一条の三項の中に、ILOの八十七号条約の第九条と同様の趣旨のものが含まれておりまして、そこで、この条項につきまして、日本政府の軍隊及び警察の定義というのは国内法あるいはその慣行によるものとするという文書による提案に対しまして、ILOの事務局は、解釈の一般原則のもとでは、たとえ関係国において別の名称で呼ばれていても、軍隊または警察の機能と通常解されるものを遂行する機関に適用されるであろうという回答を文書によって政府に示しましたので、日本政府の従来の見解に同調する見解であるというふうに政府としては理解をしたわけであります。
 いまお話ありました昭和五十三年六月のこの総会におきますポルトガル政府からの提案に係ります消防職員等を公務条約の適用から除外するという修正案が提出されましたが、その取り下げられたいきさつがありましたことは、いまお話しのとおりでございます。しかし、これは審議経過からも明らかなとおり、消防職員の団結権を否認する日本の考え方というものが否定されたものではないというふうに考えておりまして、ILO事務局から、いま述べました日本政府に対して行った回答を援用いたしまして、名称が異なっていても機能は同じだというふうに解されるならば軍隊または警察に該当するという意見が開陳された結果であるというふうに理解をいたしております。その結果、日本といたしましては、日本政府の見解がILOの事務局によって評価されたという立場に立って撤回を行ったわけでありまして、その後の報告の中にも、日本政府が、一般原則に従えば日本の消防はその特殊性及び機能に照らし警察の範疇に入るものと理解するという旨の発言を行いまして、これが公務委員会の報告書に明記されていることも事実でございます。
○村山(富)委員 やはり立場に固執しているものだから、だから、どんな文書が出ても、どんな内容のことが書かれておっても、自分の立場に都合のいいような解釈ばかりをするからそれはそんなことになる。
 では、消防職員が警察官と同じ扱いをされておるという国は世界で幾つくらいありますか。
○砂子田政府委員 警察と同様と申しますか、団結権の禁止をしている国が二十四カ国ございます。
○村山(富)委員 わずか二十四カ国ぐらいで、あとの国はもう全部分離をして、消防職員には団結権を保障しているわけですね。ですから、日本政府がそれは幾ら強弁してみたって、もう国際的に通用しないというところまで来ているのですよ、実際のところは。これはいままでのILOの審議の経過の議事録を見れば明確ですよ。
 そこで、もう時間も余りございませんのでお尋ねしたいのですけれども、八十七号条約が批准されて、その批准に伴って政府の公的諮問機関として設置された公務員制度審議会の第三次の答申で「今後のILOの審議状況に留意しつつ、さらに検討するものとする。」こういう旨の答申がありますね。政府につくられております公務員問題連絡会議で現在検討中ですね。これは承知していますか。
○砂子田政府委員 そのとおりでございます。
○村山(富)委員 これはILOでいま審議中でありますから、私は結論が早晩出てくると思うのですね。その結論が出た場合、一体この政府が行っておる解釈に関する宣言はどういう扱いになるのか。もっと申し上げますと、一つは、現在ILOでも審議中ですし、日本の公的機関でもこの問題についてはILOの審議の状況を慎重に検討しながら審議を進めていく、こういうことになっているわけですね。
 一方では、まだ結論は出ていませんから、いま審議中なんです。その審議中にこういう宣言が国際的になされたという場合に、日本の国内で審議をしておるこの審議とこの宣言とはどういう関連が生まれてくるのか。この宣言に拘束されるようなことにならないのかということが一つです。これはどうですか。
○砂子田政府委員 今回の解釈宣言を付しましたのは、御案内のとおり国際人権規約におきまして政府としてはILOの八十七号条約の批准にとった立場と同じであることを明確にするという意味で実は解釈宣言をいたしたわけでありますが、したがいまして、この解釈宣言を行ったからといって今後の作業に支障を生ずることはないと考えております。
○村山(富)委員 そうしますと、この宣言に拘束されずにもちろん自由な立場でILOは審議するのでしょうし、日本の連絡会議等においてもそういうILOの審議の状況に見合いながら審議を進めていく、そして結論を出すということになるわけですね。
 そこでさらにお尋ねしたいのは、ILOではもう早晩結論は出る、だから、日本の政府はそのILOの結論に基づいて国内法の整備をしなければならぬというふうに思うのですけれども、そうした場合に、この宣言との関係というのは一体どういうふうに解釈すればいいのですか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 政府が行います解釈宣言は人権規約の解釈としての宣言でございますので、そのもの自体は、先生いまおっしゃいましたような事態が生じましても別に変わらないわけでございますが、ただ仮定の問題といたしまして、先生おっしゃいましたように事態が変わった場合に、そもそもこのような宣言をしてわが国の立場を明確にいたしましたのは、日本の現状というものを踏まえていたしたわけでございますので、その事態が変わったということでございますれば、解釈宣言の問題としてではなく、事態が変わったという事実を公にする措置は検討すべきだろうと思います。
○村山(富)委員 これは今度の人権規約を調印するに当たって、日本政府の解釈あるいは内容について留保する事項等を国際的に明確にするために宣言をしたのですね。この宣言は消えない。そうなんでしょう。ところが、この宣言やら留保事項の中身については国内法も改正をするし、事実も変わってきた、こういう場合に、その消えない宣言と変わってきた事実との関連というのはどうなるのですか。この事実はこの先どこに明らかにするのですか。
○山田(中)政府委員 宣言自体は解釈宣言でございますので、それはそのまま特に手当てをする必要のないものと考えておりますが、先生おっしゃいましたように、国内の事態が変わって新たな措置がとられるということでございますれば、仮定の問題といたしまして、たとえば消防に団結権が与えられるというふうな事態が起こったというこでございますれば、日本としては消防に団結権を与えることとしたというふうなことをこの規約の運用と申しますか、その一環として国連に通報することを検討していいのではないかと思います。
○村山(富)委員 ちょっとその解釈について最後に大臣にお答え願いたいと思うのです。どうもそこらがちょっと不明確ですからね。
 何度も申し上げますけれども、この調印に伴って、日本政府は規約の中身に守れないものがある、実行できないものがあるという意味で留保し、解釈の宣言をしたわけでしょう。特に消防職については「国際規約第二十二条2にいう「警察の構成員」には日本国の消防職員が含まれると解釈するものであることを宣言する。」こういう宣言をしているのですね。ところが、この宣言の内容は変わらないわけでしょう。たとえば、条件が変わった、そして国内法でも消防職員は警察の職員とは違うという扱いになった、こうした場合に宣言の中身を修正されるというのならこれははっきりします。だけれども、宣言は宣言として存在する、けれども事態は変わってきた、こういう場合の扱いというのはどういうことになるのか、もっと明確に答えてくれませんか。
○賀陽政府委員 より具体的に私から申し上げさせていただきますと、仮に団結権が与えられたような暁には、恐らくそういうような国内法が改正をされて新しい法律ができるものと思いますが、そのことを国連に通知をするということであろうと思います。解釈宣言の方は、これは条約の解釈として警察の一部に含まれるという解釈そのものはそのままでございまして、解釈宣言そのものを変えるということは特に必要がなく、国内法の通知をもってかえ得るというふうにわれわれは考えておるわけでございます。少し先の話でございますが、その点はもう少し研究の御猶予を賜りたいと思います。留保でなく解釈宣言でございますね。内包しておる解釈というものは、日本はそういうふうに思っておるのだ、解釈しておるのだということを申しておるわけでございますが、仮に団結権が与えられた場合には国内法が改正されるわけですから、その改正を率直、端的に国連に通知するということになると思いますが、これはちょっと先の話でありますが、さらに研究させていただきます。
○村山(富)委員 そうすると、ぼくはよくわからぬけれども、この種のものは一遍宣言をしたらもう永久に変えられないものですか。
○賀陽政府委員 これは解釈宣言の中身、ケース・バイ・ケースでないかと存じます。
 本件については、警察の中に消防が含まれるという解釈を相当多くの国がとり、その解釈をしておるということでございまして、解釈宣言に必ずしも影響されずに国内的な審議も今後行われるわけでございますから、そういう意味では、その国内審議の行き着くところ、仮に団結権が与えられた場合には法改正が行われ、そのことは率直、端的に国連に通報するということはもちろんでございますが、解釈宣言をいじらなければならないかどうかという点はさらに研究をさせていただきたいと思います。
○村山(富)委員 留保された事項と解釈宣言をされた事項と扱いが違うのかどうか、それは知りませんけれども、日本国が国際的に表明したのです。宣言したのですよ。それがそのまま残っておって、そして事実関係が違ってきた。日本の国内法が変えられた。どこかでまた宣言をする場所があればいいですよ。だけれども、なければ、一方はそういうことが残っておる、一方は変わってきたからと国連に通達する、それだけで片がつくものですかね。これは今後の問題だから検討もすると言いますから留保しますけれども、いずれにいたしましても、これは外務大臣に聞いてもしようがないので、警察職員と消防職員を同じ扱いをして団結権を保障しないということについてはもう国際的にも通用しない扱いになっておる。だから、私がさっきから申し上げておりますように、早晩ILOでは結論が出されるというふうに見通しを持っておりますけれども、自治省も余り過去のものにとらわれずに、時代は変わってきておるし、もっと進んでおるし、同時に憲法では基本的人権として団結権も保障しておるわけですから、そういう素直なまともな立場に立って物事を考えていく、そうして悪くする悪くするという解釈でなくて、忠実に憲法の精神に基づいて、いい方向にいい方向に解釈されるような考え方に立たないと、自治省は国際的な孤児になってしまう。ですから、そういうことも意見として申し上げて私の質問は終わります。先ほどのまだ解釈の明確でない問題については一部留保して質問を終わります。
○愛野委員長代理 寺前巖君。
○寺前委員 午前に引き続いて発言をさせていただきます。
 午前中に、人権規約のできてきた歴史的な経過が反映しているものとして、前文についてちょっと紹介させてもらいました。
 考えてみると、あの第二次世界大戦の日本なりあるいはドイツなりイタリーなりの軍国主義、ファシスト、そういう諸君たちの手でなされた戦争、そしてその中でなされた人権の侵害、こういうものを非常に考慮してこの国際規約ができておるという歴史的な経過からかんがみるならば、国際人権規約を私たちが締結するに当たっても、当然その精神を十分にくみ取っておくということが基本的に重要な課題だろうと思うのです。
 そこで、外務大臣にお伺いをいたします。
 ヒトラーの指導のもとになされたナチの侵略と人権について、外務大臣はどういう御所見をお持ちなのか。それから、日本の帝国主義が中国その他アジア各地を侵略して、国内的にも人権を侵害するし、国際的にも人権を侵害することがあったというふうに、私は侵略行為とそういう人権の侵害が戦前になされておったというように理解をするけれども、一体この戦前の日本の支配者階級がなしておったことに対してどういう理解を外務大臣は示しておられるか、お聞きをしたいと思います。
○園田国務大臣 午前中の御発言に対して、私はこの人権規約の持つ歴史的背景は全く同意見でありますというお答えをしたわけでありますが、個人の人権が尊重されない社会体制が存在することがこの前の戦争の原因であり、また今後の戦争のおそれもある、こういうことで、ドイツのナチス、日本の軍国主義、こういうものの復活を是認しない、こういうことで、国連では個人の人権尊重ということを主体にしてこういう趣旨が出されたものであり、人権規約はその趣旨のもとに出されたものであります。したがいまして、ナチス、軍国主義は再びあってはならないものである、こう考えます。
○寺前委員 日本の対アジアの行為は侵略的な行為というふうに大臣は理解をしておられますか。侵略戦争として位置づけられますか。
○園田国務大臣 これは一部の人は別でありますが、ほとんどの意見はそういうふうに一致しているところでございます。
○寺前委員 それでは次に、戦前の日本の軍国主義を支えるものとして、教育勅語や軍人勅諭というものがあったと思うのです。これらは現行憲法では排除をされているところのものだというふうに思うわけです。そこで、軍人勅諭については時代が変わっても忘却してはならないというようなことをおっしゃる人があるのですが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○園田国務大臣 私はいささか意見を異にしておりまして、軍人勅諭、教育勅語等は明治憲法下のモラルでありまして、これはすでに過去のものであって、新憲法は民主主義というものが原則になっておるわけでありますから、言葉だけをとらえて言うことは非常な誤りであると思います。
○寺前委員 最近、靖国神社に東条英機などAクラス戦犯の十四人が昭和殉難者として合祀されているということが新聞に報道されました。そしてまた、一方、ことしは出てませんが、靖国神社の国営化ということを意図する動きもありました。それから、最近、私的な参拝だという話ではありましたけれども、総理が参拝したことも事実です。こういう一連の事実を見るにつけて、いま反省の上にこの人権規約を批准し、確定をしていきたいというふうに動いているときに、こういう一連の事実についてやはり憂慮をするものであります。
 そこでお聞きしたいのですが、外務大臣はAクラスの戦犯の罪というものをどういうふうにお考えになっていますか。
○園田国務大臣 靖国神社に合祀された方々が戦争の難に殉じられた方だという意味から言えば、その難を起こした人たちだと考えております。
○寺前委員 その難を起こした人は、これは犯罪者として見ておられますか、どういうふうに見ておりますか。
○園田国務大臣 連合国が決定した戦争犯罪人という立場を変えてわが日本の立場からいっても、これはやはり罪を犯した人だと考えております。
○寺前委員 一九六八年に成立して、七〇年の十一月に発効した戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約というのがあります。ここでは戦犯に時効は認めない、反戦の願いを反映した意義あるものとしてこれが出されてきておりますが、これに対してわが国はどういう態度をとったのか。外務大臣はわが国の今日までとっている態度に対してどういうふうに理解を示されますか。
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 いま先生御指摘になりました条約が国連で採択されました際に、わが国はその採択には棄権した経緯がございます。
 それから、この条約には、戦争犯罪及び人道に対する罪は、その行われた時期のいかんにかかわらず犯罪とされるという事後法による処罰の内容を含んでおりますので、わが国憲法第三十九条の遡及処罰の禁止との関係で締約国となることは困難ではなかろうかと考えております。
○寺前委員 ドイツではいまだにナチスの追及を厳しくやって、戦争犯罪人に対するところのこの罪というのはいつまでもそれは問われるのだという扱いをきちんとしています。戦争犯罪というのは一般的な犯罪とは違う性格を持っているんだということで、国際的に広く認められたところの措置が行われているわけであります。そういうことを考えてみると、先ほども申し上げましたように、あの第二次世界大戦というのは日本とドイツとイタリーの三国、いわゆる防共協定と言われた国が中心になされたそういう行為であって、その中心の一つの日本が、その戦争犯罪者及び人道に対する罪の問題に対する時効不適用に関する国際的な世論に対して、この一つの法則に対して棄権をしておくという態度では、国際的にその責任を果たすことにはならないのではないか。私はこれは再検討を要する課題だと思うのですが、外務大臣はいかがお考えですか。
○賀陽政府委員 先ほど条約局参事官から御説明申し上げましたように、棄権をしたわけでございますが、この条約は中身において若干の問題点があることはあるいは御承知のことと存じます。特に戦争犯罪、人道に対する罪、集団殺害罪等につきまして、犯罪時点のいかんを問わずこれを処罰する、また犯罪人引き渡しを可能ならしめるための国内的措置をとることを義務づけておるわけでございますが、憲法の遡及罰禁止の措置が、憲法上位説をとりまする以上は、この条約にとって障害となるということも否定いたすわけにまいりませんので、この憲法問題をどういうふうに考えていくかという点との関連で今後考えてまいるべき問題かと存じております。
○寺前委員 一九六七年に日本政府代表は国連の第三委員会で、わが国としては、例外的に戦争犯罪、きわめて非人道的な残虐な犯罪について時効制度の適用除外を考慮することは可能と考えると、国際舞台ではわざわざ発言をしている経過があります。それはそうだろうと私思うのです。ということを考えてみたら、事後法で時効の適用除外をすることは、戦争犯罪に限っては当然検討してしかるべき課題だ、日本国の憲法の精神そのものから見て当然あってしかるべきだろうと思うのです。いま局長は検討の課題として最後の方におっしゃったようですから、検討してもらえるのだろうと私思いますが、改めて外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 憲法と、それからいまの国連の問題の法的解釈で若干問題があったようでありますが、精神から言えば全くそのとおりでありますから、十分検討、研究してみたいと思います。
○寺前委員 この人権規約が出されたのが、外務大臣自身の御答弁の中にあったように、国際情勢、考え方が変わって、そして人間の基本的な人権というものが政治、外交の中心になってきている、他国と同等の外交というものを進めていくということは、これが批准されていないとなかなかできにくい、したがって批准は、留保が望ましくないけれども、時間その他の関係があって恥じて内の意思統一ができなかったけれども、恥じているんだけれどもやるんだという立場、きょうも御確認させていただきましたが、そういう話がありました。これが作成されたのが一九六六年だし、発効したのが一九七六年。すでに十二年前に作成されて、二年前には発効しているのに日本が非常におくれているということは、大臣もおっしゃるようにきわめて残念でならない話です。
 そこでお伺いしたいのは、この種の人権の規約というものがいろいろ国連でも出されていると思うのです。これだけではないと思うのです。ここに出されていないのでは、関連をする問題として選択議定書もあれば、そのほかいろいろあると思うのです。一体こういう人権にかかわるようなものが何条約あって、そのうちで日本の国としては何条約について締結しているのか、御説明をいただきたいと思います。
○賀陽政府委員 お答え申し上げます。
 今後批准、加入の方向で検討をし、また検討する可能性があると考えております条約が約十件ございまして、既婚婦人の国籍に関する条約、なおこれにつきましては実は女性差別条約との批判が一部にございますが、それにもかかわらず、そういう批判を十分踏まえましていろいろ検討いたす必要はあるかと存じております。
 それから婚姻の同意、最低年齢及び登録に関する条約、この点はあとは若干省略させていただきますが、御必要があればまた資料を差し上げることにいたします。
 それから、条約の趣旨から、早期批准、加入が望ましく、そのため速やかに検討を進めるべきものといたしましては難民条約とその議定書があるわけでございます。
 難民条約につきましては大臣よりかつて御発言もございましたとおり、来国会の御批准をいただくために鋭意検討中でございます。この条約はすべての難民に例外なく適用されるわけでございますが、いま御批准をお願いしておりますこの人権規約も難民を含むすべての外国人に適用されるわけでございますから、まず一般的に大きな条約から、包括的な条約から御批准をお願いいたしまして、難民条約という細かな、さらにその中身を詰める条約について次に御批准をいただくということを考えておるわけでございます。
 それから人種差別撤廃条約、これも研究をいたしたいと思います。
 奴隷条約につきましては、強制労働の概念が不明確でございますとか、わが国の現状において特に奴隷問題ということを把握しなければならないという必然性が必ずしも十分でないことから、検討はいたしますけれども、どういう方向になりますか、まだ方向は出てないものでございます。
 さらに、条件が整えば批准、加入の方向で検討する意義のあるものは無国籍の削減に関する条約、無国籍者の地位に関する条約等でございます。
 また、当面批准または加入の条件、可能性が見出しがたいものは集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約でございまして、日本における集団殺害罪というような現実性から、これは特に緊急のものとは考えておらないわけでございます。
 それから、ただいま御指摘のありました戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約、これは御指摘もございましたので、憲法との関連等を踏まえて検討させていただきたいと思います。
○寺前委員 大臣、いま局長から説明があったように、人権に関する条約については検討しなければならぬということで、かなりたくさんだまっているわけです。私は、基本的に一番大きく位置づけられるこの国際人権規約がおくれているというのも、またこれらのおくれているという事実もやはり共通した問題として、人権問題というのをもっと重視していただく必要があるのではないかと思う。同時にまたこれは基本的な問題だから、単にさっさと処理していったらいいという性格のものでもない。したがってそういうことを考えると、今度の場合に三つの留保をつけてA規約の批准をする、またB規約をやる、それから議定書はちょっと置いておくというような処置で、国内的な準備が間に合わなかったという形で処理をされていくけれども、しかし考えてみると、この規約というのは一つずつが形式的にはばらばらの留保ということはあり得るか知らないけれども、全体として一つのものを構成しているというところにこの国際人権規約の大事な、尊重しなければならない立場があるというふうに私は思うのです。ですから大臣がおっしゃったように、残念ながら留保したのだから、当然、将来、法的な解釈その他は別としても、解除する方向で検討しなければいかぬというのは私は正しい態度だと思うのです。大臣のおっしゃった意味は、そういうふうに、一つずつ留保ということはあったにしても、全体としてそれは関係のある問題なのだという位置づけで、一つずつの問題についての解除の方向の検討を早急に進めさせるのだというふうな角度でこの閣議の意思の統一をさせていくということで理解してよろしいですか。
○園田国務大臣 人権規約は、御承知のとおりに国連総会において話し合いで採択されたものであります。その趣旨からいいましても、本当は留保なしにこのままの姿で提出をし、お願いし、批准をすることが好ましい姿であると考えておるわけであります。しかしながら日本の現状からこういう留保づきになったわけでありますから、将来この留保事項は一歩一歩となくしていく方向に努力することは当然であると考えております。
○寺前委員 そこで、留保の労働に関係するものは午前中聞きましたので、留保のもう一つとしてA規約の第十三条の二項(b)、(c)の留保があったと思うのです。これは一体何で留保しなければならないのか、ひとつ説明をしていただきたいということと、同時に、中高等教育の無償化という問題が、ヨーロッパのいわゆる先進諸国と言われるところでは一体どういうふうになっているのかを御説明いただきたい。
○七田説明員 お答えいたします。
 後期中等教育及び高等教育につきましては、私立学校の占めます割合の大きいわが国におきましては、私学進学者との均衡ということ等から国公立学校についても妥当な程度の負担を求めることとなっております。また、私立学校を含めまして無償化を図ることは私学制度の根本にかかわることでございます。したがいまして、従来の方針を変更いたしまして漸進的にせよ無償化の方針をとることは適当でないということで留保したわけでございます。
 なお、ヨーロッパその他先進諸国におきましては、このような留保をした国はないようでございます。
○寺前委員 先進的な諸国はどうなっておるのですか。よく聞こえなかったから。
○七田説明員 先進諸国でこういう留保をした国はございません。
○寺前委員 そこで、さきの労働の場合を見ても、スト権というものについて、ヨーロッパの先進諸国の国々の中においてスト権というのは基本的に全部認めていっているし、公務員の場合だって、特別に施策に携わるような人は別として、一般的に認めていっているというのがヨーロッパの先進諸国の実態になっている。公務員の解釈自身においても全面一律禁止という考え方がとられている国々はない。それから、先刻の消防の問題にしても、これも午前中に聞きましたけれども、ヨーロッパの先進諸国ではどこも、特殊な部分的な警察を除いて消防を一緒の解釈にしているところはない。また教育の問題についても、ヨーロッパの先進諸国は全部日本と違う態度をとっている。それは、それぞれの国々の実情があるといっても、一般的に先進的な諸国の中で日本も一緒になって会議を開いたりいろいろなことをやってきているという国際諸関係から考えても、こういう人権に関係する分野においてみると後進国の水準にものが現実にあるのじゃないか。ですから、そういう意味から考えても、大臣が先ほど、これは解消する方向でとおっしゃったけれども、そういうふうに置かれている客観的な位置から考えたら、早急にヨーロッパ先進諸国の水準に持っていくのだという立場からも、解消というものを考える必要があるのじゃないか、日本の関係するところの行政機関が余りにもおくれ過ぎているのじゃないかというふうに私は思うのだが、その点はどうですか。
○賀陽政府委員 ただいまの御指摘の面でございますが、実態は、高等教育につきまして有償、無償ということでございますと、公立の場合は日本、米国、フランス、イギリス、イタリアは同じ立場でございます。西ドイツだけがそうでございません。したがいまして、こういう状態にかかわらず多くの国が留保をしておらないという事態をどう判断いたしますかということになるわけでございますが、これは、この規約が漸進的にせよ最終目的としては無償を実現しなければならぬという自信を有するかどうかという点の判断をどう表明するか、自信の度合いがある程度反映するわけでございます。
    〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
端的に申しまして、日本の場合は文部省の所管でございますが、御批准の現段階においてそこまで完全目的の遂行を受諾することができると考えるのは行き過ぎではないかという御判断によって留保が行われ、その他の国はむしろ、いまはそうでないけれども、完全目的の達成を必ずやれるというふうに考えておるとしか申しようがないわけでございます。
○寺前委員 この人権規約そのものがそういう組み方になっているのだから、日本もそういう方向で検討するということで、先ほど大臣は解消の方向に向かって努力をするのは当然だとおっしゃっているのですから、その方向にぜひともきちんと進めていただきたい、解消する方向でやっていただきたい。
 次に、民族の自決権の問題がこの規約の中にもありますが、この民族の自決権を経済的に支えるとでもいうべき性格のものが天然資源の恒久主権という問題になるのではないだろうか。民族の自決権を認めることは、民族を構成する個人の基本的人権が保障される前提条件とも考えられるので、私はこの問題は非常に重要な問題だと見ているわけです。
 そこで、最初に、外務大臣は、民族の自決権と天然資源の恒久主権、この関係の問題についてどういう見解をお持ちか、A規約、B規約それぞれに出ておりますので見解を聞かしていただきたい。
○賀陽政府委員 ただいまの御質問でございますが、民族の自決権、それからその延長線上における天然資源の富及び資源の自由処分権でございます。第一条第二項にございますように「国際法上の義務に違反しない限り」これを認めるわけでございまして、その条件つきでわれわれもこれを認めるという立場に立つわけでございます。
○寺前委員 一九六二年十二月十四日に国連総会で天然資源に対する恒久主権という決議が出されております。それから、一九七四年十二月十二日に第二十九回国連総会で諸国家の経済権利義務憲章というものが出されておりますが、その第二条で天然資源の恒久主権というものを規定しております。日本政府はこれらの天然資源に関する恒久的主権の問題についてどういう態度をおとりになりましたか、御説明をいただきたい。
○賀陽政府委員 第一に御引用されました総会決議でございますが、一九六二年第十七回総会、これは賛成をいたしております。それから諸国家の経済権利義務憲章関係条項、これは第二に御引用された点でございますが、これに対しましては棄権をしておるわけでございます。
○寺前委員 なぜ棄権をされたか、御説明をいただきたいと思います。
○賀陽政府委員 諸国家の権利義務憲章の方でございますが、恒久主権の原則そのものは、わが方も異存はございませんけれども、もし国有化等が恣意的に起こりまして、その場合の補償に関する紛争が起きましたときに、最終的にはすべての国有化を行うときの裁判所が決定するとかというような問題を含んでおりましたので、この場合、わが方といたしましては、かかる適用が認められた場合には、投資の自由な流れが阻害されるとかいう、必ずしも望ましくない結果が出ると存じましたので、わが方はこれに棄権したわけでございます。
○寺前委員 基本的に天然資源の恒久的主権を認める。特に諸国家の経済権利義務憲章の第二章にそのことを指摘しておりますが、同時に、いま国有化の話が出ましたけれども、「外国人資産を国有化し、収用し、又はその所有権を移転すること。但し、その場合には、」ということで、わざわざ「自国の適切な法令及び自国が適当と認める全ての事情を考慮して、妥当な補償を支払わねばならない。」とか、細かいところまでこの分野は指摘をしております。そうすると、基本的に認めたならば、そこの基本的なあり方はどうするかということは、その国家が決めることであって、その国家がさらにそれを進める上において、いろいろな補償問題まで含めて、この権利義務憲章がうたわれている以上は、棄権をする理由というのは一体那辺にあるのか、私はさっぱりわからない。本当に尊重するというのだったら、この人権規約の中で天然資源の問題の条項があります、A規約もB規約も。そこを承認するというのだったら、この権利義務憲章の分野においても姿勢を正さなければならない問題があるのではないだろうか。その点、どういうふうにお考えになりますか。
○賀陽政府委員 先生御指摘の点でございますが、今回御審議を願っております人権規約は、「国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。」わが方の立場も、基本的にはこれと一致しておるわけでございまして、国際法的解釈と両立する意味において恒久的主権に対する権利が行使されるということを、われわれとしては念頭に置いておるわけでございます。
 先ほど、賛成をいたしまして、総会決議を申し上げましたが、これは全体としての投票でございまして、国連においては全体投票と個別投票というのがあるわけでございまして、これはなかなか微妙な局面が多々あるわけでございますが、内容の一部に留保ないしは批判を持っております場合も、全体ではこれに賛成するという考え方がございます。分割投票が認められるかどうかということは、そのときの投票の勢力で決まるわけでございますので、たまたま分割投票ができます場合には、そこにおいて棄権なり反対なりということを表明いたす。全体としては、そういうことはあるけれども趣旨は結構である、しかし一部には若干の疑問があるというときには、そういう投票ぶりになるわけでございまして、このケースも、その一例としてぜひ御理解を賜りたいと思っておる次第でございます。
○寺前委員 現実にイランの事態がこれから発生してくる問題だろう、本当に民族の自決権とか、あるいは天然資源の主権がそこにあるんだということを尊重する態度というのが、そういう具体的事実になってきたときに、私は問われるだろうというふうに思うわけです。
 せっかくの機会ですから、三井石油化学工場が、イランの中においては国有化の方針が打ち出されてきているように思うんですが、見通しはどういうことになっているでしょうか。
○園田国務大臣 イランの新政権は、イラン国営の傘下にある石化工場、小規模なものであって能率も上がらない、したがってこれを一本化をして、話し合いがつけばその株を買い取って国有にしたいという意見を発表いたしましたが、その後数回にわたってわが方は向こうと話し合い、確認をとっておりますが、三井の石化工場だけは、これは大規模なものであって、全然性質が違う、将来とも国有化することはないという言明を得ております。
○寺前委員 事態がまたどういうことになるかわかりませんので、私はそういう人権規約の一つずつに盛られたものが、現実の中でぴちっと生きていくようにしてほしい。
 時間もあれですから、次に進みます。
 戦争宣伝の禁止という問題が、B規約の第二十条の一項にあります。これは、日本政府としては、法律制定について検討しないんですか、するんですか。どうでしょう。
○賀陽政府委員 戦争宣伝ということでございますが、この立法を日本は検討するか検討しないかということでございます。基本的立場といたしましては、戦争に対する憲法の断固たる立場が日本の社会においては浸透をしておるということで、具体的に法益が害されるような事態というものは、現在においては恐らく存在しないのではないか。
 もう一つは、戦争宣伝というものの罪を構成要件として決めますのは、しかく簡単ではないのではないか。たとえば、どこかの場所で、スピーカーで戦争宣伝を五分か十分か流しておるだけで、構成要件でこれを罪とし得るかどうかということは、最近の表現の自由との関係におきまして、非常に機微な判断をしなければならない事態になっておると存じますので、そういう意味で両者のバランスを図る必要がございますし、現在の段階では立法の必要はないのではないか。ただし、今後社会情勢の変化等が起きました場合におきまして、その必要が生ずるかどうかという検討の余地を残しておる次第でございます。
○寺前委員 文部大臣が教育勅語を礼賛したり、軍人勅諭について、石田元最高裁の判事なり、あるいは最近は山下防衛庁長官などの発言がずっと出てくる。そして、有事立法云々という問題が出てくる。一連の軍国主義復活の方向が強化されていくという事態の中で、この間もナチスを支持する暴走族の動きも出てくるというように、だんだん、それこそ戦争宣伝の方向が生まれてこないとも限らない。したがって、そういうようなことが若い諸君たちの中で公然と理解もされないままにずっと広げられていくということについては、非常に憂慮すべき事態というものも生まれてくる。表現の自由という形だけで消極的になっておったら、これは大変なことになるという場合もあり得ると私は思うのです。したがって、いま局長は、決してしないというわけじゃないのだというふうな発言であったと思いますし、いろんなむずかしさもあるというようにおっしゃった面もありますけれども、私はやはりこの問題についてはもう少し積極的に研究をしていただく性格のものではないだろうかと思う。大臣、御所見はいかがですか。
○園田国務大臣 この規定では、侵略戦争を肯定し、戦争をたたえるような、実際の社会的にも好戦的な風潮を助長するということは禁止をするということになっておりますが、わが国において、いまいろいろ言われましたけれども、十分注意をしなければなりませんが、まだそういう禁止すべきような風潮ではないと存じます。
○寺前委員 注意だけでなくして、積極的に研究をしてもらいたいということを意見を申し上げておきます。
 それから、大臣の御都合もありますので、できるだけ協力して整理をしたいと思うのですが、選択議定書ですか、これはB規約実施のための同時に考えられるべき措置として提起されたものではないのか。国内的な救済手段を尽くしたものが、なおかつB規約の権利が侵害されたと主張する個人の出訴権を前提としたものであって、人権委員会が個人の通報によって審議し、その意見を関係当事国及び個人に送付するということにこれはなっていると思うのです。そういう制度というのはなかなかいい制度ではないんだろうか。そういう制度というものはいい制度だというふうに理解できないんですか、これは。私は、この制度そのものをどういうふうにお考えになるのか、評価できないのかできるのか、ちょっとそこを聞きたいと思うのです。
○賀陽政府委員 この選択議定書は、読んで字のごとく選択でございますが、ただいま寺前委員がおっしゃいましたように、締約国の個人が国連の人権委員会に通報して、同委員会がこれを審議してその見解をその当該締約国または個人に通報する、こういう制度でございます。これは十九カ国が現在加入しておるのでございますが、必ずしも多くの数とは言えないわけでございます。何ゆえにこういう現象になっておるかというところは、いろいろ意見がございますと思いますが、やはりそういう個人の出訴というものは、まず個人の問題点はそれぞれの国において、日本のごときは非常に完備した国内法制、制度がございまして、救済が行われるという前提もございましょうし、その個人が国際機関の力をかりてその国の状態というものを改めるということは、われわれが想像するほどやさしいことではないのが現状であるからこそ、この加入がかなり立ちおくれておるという状態でございますので、多くの国が慎重論であるようでございますが、これまた未来永劫加入いたしませんということではございませんので、運用の実態を見て、もしこれが真に有益であるならばわが国としてもこの加入にやぶさかでないということになるかと存じます。
○寺前委員 大臣まだ御都合よろしいですね。遠慮なく言ってください。
○賀陽政府委員 ちょっと訂正。
 加入しております国の数は十九カ国と申し上げましたが、二十一カ国の誤りでございました。
○寺前委員 その次に人権の問題ですが、日本の国内で一体人権がどういうふうになっているのか、侵されている事態というのはどういうものがどの程度なされておるか、それに対してどういう措置をとってきたのか、こういうような国内の人権白書ともいうべきものをつくったことがないのか、私は寡聞にして知らないのですよ。犯罪白書というのは見ることがあるのですが、人権を守る、人権の侵害の実態についてそういうものをまとめるというようなことをやらぬのかなということを私はいつも思うのですが、関係の法務省ですか、説明していただけますか。
○園田国務大臣 人権規約の批准を契機に、いま御発言のようなものを検討することはまことに結構なことだと考えますので、検討いたします。
○鬼塚政府委員 ただいま御指摘のように、法務省といたしましては、これは法務総合研究所というのがございまして、そこから毎年犯罪白書というものを出しております。このような白書で、しかも人権侵害あるいは擁護、それをすべてを網羅しているようなものはできないものだろうかというお尋ねかと思います。
 実は、私思いまするに、人権の最も大切なものはやはり命であろうと思いますが、あるいはまた身体あるいは自由といったものでございますが、これが侵されている最大のものはやはり犯罪でございまして、そういう意味では犯罪白書も人権白書の一部である。もちろん全部ではございませんけれども、かなり相当な部分を占めているというふうに考えられますし、それからまた広く公害問題、環境関係あるいは社会福祉関係、老人問題、児童問題、婦人問題その他また差別一切ということになりますと、実はわが国の行政が担当しておりますあらゆる事象が、これはやはり人権問題だということが言えるんではないかと思いますので、これをすべて網羅することは実際問題として困難なことではなかろうかと思います。ですが、もしそういう意味でなくて、法務省で人権擁護局がございまして、それが担当しております人権擁護行政の実情あるいは問題点の指摘ということでございますならば、これは白書という名前はついておりませんけれども、その概要につきましては各種の啓発広報資料を作成しておりまして、マスコミにも提供しておりますし、また各地の法務局、地方法務局、それから全国の人権擁護委員に配付して、さまざまな広報資料に利用していただいている。それからまた市町村の広報紙などにもこれを利用さしていただいているという現状でございます。
 それからまた、まとまったものといたしましては、法曹会という会議がございますが、そこから月刊誌で「法曹時報」という書物を出しておりまして、これは人権に特に深い関心を持っておられる弁護士さんがたくさん読んでおられるものでございますけれども、これに毎年一回、人権擁護事務の概況ということを詳しく発表いたしまして、やはり周知を図っているところでございます。
 ついでに御参考までに申し上げますが、犯罪白書の市販部数は五千五百部でございますが、この「法曹時報」は約一万部出ておりまして、数の上からいいましても、そういう意味では、白書という名はついておりませんけれども、実質的にはそのような効用を持っているというふうに考えているわけでございます。
○寺前委員 せっかく国際人権規約を批准をしようということになっている。まあ留保があるにしても、総合的なこういう人権に関するところのものが到達してきているんだから、これを国内的にも意識的に、その年度のものを整理し、方向づけを持っていくという意識というものは私は非常に重要な活動だろうと思う。それがすべて法務省に所属するのかどうかは、それは知りません。そこは政府部内で検討してもらったらいいと思います。ですから、ぜひともいま大臣がお答えになったようなことで積極的にこれは取り上げていただきたいということを重ねて、私はこれは意見として申し上げたいというふうに思います。
 その次に、四月十一日のことなんですが、いわゆる第二次藤木訴訟というものが、東京地裁で、貧困者に対する法律扶助を具体的にどの程度行うかは立法政策に属する問題であるとして、この裁判に要した弁護士報酬などの裁判費用は生活保護法による支払いの対象にすべきだとの訴えを退けるという判決が出たと思うのです。そこで、これはいよいよ国際人権規約を締結することになってくるわけですが、B規約の第十四条第三項の(d)には「司法の利益のために必要な場合には、十分な支払手段を有しないときは自らその費用を負担することなく、弁護人を付される」と述べています。これは、生活保護者のように十分な支払い手段を有しない者に適用されるというふうなものとして私は読み取れるのですが、現実的に日本の制度はこの種のものはどういうふうになっているのか、まず御説明をいただきたい。
○鬼塚政府委員 ただいま御指摘の条文はB規約の十四条の三項の(d)というところでございますね。これですと、これは刑事上の罪の決定に関する弁護制度の問題に触れまして、私の直接の所管でございませんのでちょっと御答弁がしにくいのでございますが、一般常識といたしまして日本ではこの点は刑事上の国選弁護の制度というものがこれに当たるかと思います。
○寺前委員 民事上の場合はこの裁判で退けられたわけだけれども、その民事上の裁判の費用の問題については、いまの日本の国内では生活保護者のような人のためにはどういう制度があるのですか。
○鬼塚政府委員 貧困なために民事上の裁判につきまして自分の権利の実現ができないかあるいはきわめて困難であるという人のためには、いわゆる法律扶助という制度がございまして、これは財団法人の法律扶助協会というものが必要な費用を支払う。この中には弁護士の報酬なども入っておりますが、これにつきまして法務省からは毎年補助金を交付して援助をしております。
○寺前委員 東京地裁の判決の中にも、法律扶助制度というのがあって、それでめんどうを見てもらうことができるということが少し出てきます。これは日弁連が設立、運営している財団法人法律扶助協会のことだろうと思うのです。こういう法律扶助協会が、それじゃここに頼ったらそういう生活保護のような人たちが全面的にめんどう見てもらうということができるような制度として使うことができるのかどうか。これが一つ。
 それから、現実的には恐らく、その判決の内容を読んでおっても、四分の一ぐらいを持たなければいかぬみたいな書き方になっていますよ。ということになると、これは結局借りるということであって、それは立てかえであって返さなければならぬという事態になっていくんではないか。こういう運営に対して国家から幾ばくかの援助が出ているけれども、全面的ではない、こういう話です。
 そこで、一体年間どのぐらいの要望があって、実際に処理しているのはどのぐらいの件数で、そして費用としては年間どのぐらい要って、国としてはどの程度めんどうを見ているのか、この制度について説明してください。
○梅田説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 まず第一番目の問題でございますが、これにつきましては私ども扶助協会の方から報告を受けているわけでございますけれども、毎年申請があったものについては扶助決定あるいは拒否決定をしておりますが、少なくとも拒否決定をしたものについて不服の申し立てがあったという例はない、こういうことでございまして、一応需要にはこたえている、こういうように考えているわけでございます。
 それから次に、貧困者であっても四分の一は費用を持たなければならないのではないかという点でございますけれども、これにつきましては、実は勝訴いたしまして相手方から給付金を受けたという場合に、そのうちから緊急必要経費というものをまず除外するわけでございます。それで、ただいま先生から御指摘のございました藤木さんの場合、たとえば生活保護を受けたいということで訴訟を起こしたわけでございますが、これにつきましては、この訴訟の目的自体が生活保護を受けるということでございますので、この保護を受けられるということになりまして国から生活保護費が出るということになりますと、それは相手方から給付金を受けるということでございますので、それ全体が緊急必要経費に当たる、このように解されますので、この場合には、私どもの方で免除の取扱規定を定めておりますが、それに該当するから、結果的に免除に該当することになるであろう、こういうように解釈しているわけでございます。
 次に、年間にどのぐらい申し込みがあってそれに対してどのぐらい扶助をしているかという御質問でございますが、まだ五十三年度の決算が終わっておりませんので過去三年の件数を申し上げますと、昭和五十年、会計年度でございますが、八千五百三十六件、これに対しまして二千百六十九件扶助しております。それから五十一年は九千二百四十件に対しまして二千二百七件、五十二年は八千八百七十二件に対しまして二千五百五十六件、このような扶助件数になっているわけでございます。
 それから次に、立てかえ金、いわゆる扶助決定をしたものに対しましてどれだけ扶助協会が立てかえたかと申しますと、昭和五十年度におきましては二億六千百九十三万八千七百四十八円、それから五十一年度におきましては二億七千百九十四万四十三円、昭和五十二年度におきましては三億四百六十五万七千三百三十二円、少しずつこの立てかえ金が増加しているわけでございます。国といたしましては、五十年度、五十一年度、五十二年度どれだけ扶助協会に対しまして補助金を交付したかと申しますと、総額で五十年度、五十一年度、五十二年度、各年度とも七千二百万円の補助金を交付した、こういうことでございます。五十三年度につきましても同様金額でございました。
 以上でございます。
○寺前委員 詳細は私よくわかりませんが、八千件からの申し込みに対して処理されていっているのが、交付されたのが二千何百件とかいろいろ報告がありました。全面的に必ずしも取り上げられているということにはこの数字はならぬということなのだろうと思うのです。そこで私は、積極的に現在の法律扶助協会の助成について大幅に検討する必要があるのではないだろうかというふうに思うのですが、簡単に一言だけお答えをいただきたい。
○鬼塚政府委員 ただいま人権擁護管理官がお答えいたしました数字は、実は仮に申し込みが八千件あって、それが全部扶助協会の定めております基準に合致すれば、これは大変なギャップがあることになるのでございますが、やはり貧困者に対する扶助ということでございますので、そういう面で検討いたしますと、必ずしもその全部の申し込みの方が基準に合っているということではございませんので、現在私どもが把握しておりますいわば表面にあらわれました法律扶助に対する需要というものは、現在国が出しております補助金、助成金と申しますか、それとのバランスがある程度とれているのではないかというふうに私どもは理解しているのでございます。問題は、その隠れた需要がどうかということがやはりございますので、この点につきましては私ども積極的にこれを検討把握する必要があると考えまして、ただいま扶助協会ともあるいは日弁連とも連絡をとりまして検討を進めているところでございます。
○寺前委員 せっかく政務次官においでをいただいているのですから、もう時間が余りないので失礼なことになりましたけれども、二点お伺いをしたい。
 問題は男女差別の問題なのです。男女差別について、最近日産自動車の東京高裁判決というのが出されました。五十歳の定年で解雇された人が訴えられた内容です。三月十二日の東京高裁では、労働力の需給の不均衡から生じる経済的優位に乗じて、女子なるがゆえに差別することは、企業経営本来の道筋から外れている、社会的な妥当性も著しく欠いており、公序良俗に反するということで指摘を受けているわけですが、A規約の七条から考えて、こういうようなことをどういうふうに日本政府としては考えるのか、そしてどういうふうな指導をしているのか。これは事務当局で説明していただいて結構です。
 それからもう一つは、これは労働省の方にはすでに渡っている話ですが、全国社会保険診療報酬支払基金労働組合から昨年の八月二十四日に申告書が基準監督署に出されています。この基準監督署に出された内容を、当局も認める内容として東京基金における男女差別というのを見てみると、これは表になっているわけです。お互いが認め合うところの正確な表なのですが、勤続年数別に男女の比較をやると、これはおたくの方の省にもすでに行っている話です。男子の方は勤続年数が二十三年ぐらいから二十九年以上のところの者は全部三等級になる。女子の方は四等級、五等級に全部なっている。それから、十五年ぐらいから二十一、二年ごろまでの人は、男子は全部四等級で、女子は全部五等級だというふうに、もう全員が見ただけでひどいこと、明らかに違いがあるということ、これは個別の勤務評定上やむを得ないのだというような部類に属しない内容になるわけですね。
 そこで私はお伺いしたいのですが、監督官庁である厚生省は、こういう事態を訴えられるまで知らなかったのかということと、これを見たときに異常だなというふうに厚生省は思わなかったのか。
 それからもう一つは労働省の方ですよ。これを受けて、去年の八月から今日まで八カ月になってきているのです。これを見て労働省としても、政府の特殊法人としての、いわば準政府機関に属するようなところで、男女同じような学歴で同じ仕事をしておって、こういうように結果として大きな歴然たる違いが公然と生まれている、こういうようなことを何とも感じなかったのか。
 こういうことについて政務次官として、政府機構なり政府の周辺なり積極的にこういうのを見てどんなふうに思うのか、率直な意見を聞かせてほしい。
 以上で終わります。
 事務当局から説明してください。
○高橋説明員 先生からただいま男女平等の問題につきましていろいろと御指摘がございましたけれども、男女の平等ということはわが国の憲法においても保障された基本的人権でございますし、私どもは、雇用の場におきましてもそれが確保されなければならないということは当然であると存じます。現在、賃金につきましては、労働基準法の中に男女の平等を確保する旨の規定がございますけれども、賃金以外の労働条件につきましては、民法の九十条に基づいて、合理的理由のない性による差別を公序良俗違反として無効とする判例が多く出されております。ただ、現実の問題といたしましては、まだ現在いろいろと男女の平等と言いがたいいろいろな状況がございますので、労働省といたしましては、そういったものが改善されてまいりますように、男女同一労働同一賃金の確保、それから男女の差別定年制の解消ということに努力をしているところでございます。ただ、行政的にも男女の平等ということが裁判を待たずに行い得るように、男女の平等につきまして法制的な措置をとるかどうかということにつきましては、昨年の十一月に労働基準法研究会から男女平等法の制定についての提言がなされておりますので、労働省といたしましては、今後関係審議会の御審議を経た上でその具体化を検討してまいりたい、このように考えております。
○小粥説明員 社会保険診療報酬支払基金の件につきましては、御指摘のとおり、昨年八月末に労働基準法四条違反ということで関係の労働基準監督署に申告が出されました。所轄の署あるいは都の労働基準局でその実態いま調査中でございます。お示しになりました表につきましては、私ども申告書に添えて提出されておりますので承知いたしております。その表だけでもって基準法四条違反ありと断定することは、やはりいろいろ調査をいたしませんとそうした即断はできないわけでございますが、ただそうした非常にはっきりした結果が出ているという御指摘の点については、私どもも昇格基準の運用の仕方に問題がありはしないかという疑問を持って調査に当たっているところでございます。
○坂本説明員 ただいま御指摘になりました社会保険診療報酬支払基金における男女の賃金額の問題でございますが、昨年の八月に、労働基準法違反ということで労働基準監督署に申告がなされたということは私どもも存じております。また、労働基準監督署において調査中であるということも承知をいたしておるわけでございます。
 この法人は厚生省の監督下にございますけれども、何分にも労働基準法違反、こういう問題になりますと、私どもとしてその判断をいたす権限がございませんので、これは果たして法律違反であるかどうか、この点については労働省の方の御判断を待たなければ、私どもの方でこれがどうこうということまでは申し上げかねるわけでございます。しかしながら、厚生省の監督下の法人においてこういう問題が生じているということは、私どもも十分認識しておりますし、そういった問題の判断ということは権限のある官庁にゆだねるといたしましても、こういう法人においてそういった問題が生じるということがないように、私どもとしては常に心がけておかなければならない、こういう気持ちは持っておるわけでございます。
○寺前委員 お約束の時間が来ましたので終わりますが、せっかく政務次官あれですから、おわかりにくかったらいいですけれども、男女同権を人権規約で重要な位置づけをしておるわけです。ところが、現実に政府関係の周辺の特殊法人において、いまお示ししましたような結果が生まれているということについては、国内のあり方の問題としても問題ではないのか。政治家として政務次官は、こういう事態についてどういうようにお感じになるかというお話だけを承って、終わりたいと思います。
○志賀政府委員 お答えいたします。
 ただいま寺前委員から、私、この資料を拝見させていただきましたが、ちょっと見た目では、私不勉強で、この資料だけでは男女別の偏見があるとか、あるいは差別があるとかどうとかということについてはにわかにわかりかねますので、これから研究をさせていただきたいと存じます。
 なお、男女同権であることは憲法の示すとおりでありまして、私はこの考え方に全く賛成でございます。同様に、この国際人権規約に関しましても、男女の差別をしなければならないというようなことは日本にはございませんために、留保を付していないはずでございます。したがいまして、そういう点からも政府の姿勢というものは御理解をいただけるのではないかと思います。
 しかし、これはあくまでも総論でありまして、各論においてはあるいは御指摘のような非常に反省しなければならない事態があるやもしれません。こういう面に向かっては人類社会、ややともすれば過ちを犯しがちでありますが、その完全を期して一歩一歩着実に歩んでまいりたい、これが私の考えであり、また政府の考えと申してもよろしいと存じます。
○寺前委員 どうもありがとうございました。
○塩谷委員長 依田実君。
○依田委員 国連は第二次世界大戦の教訓を踏まえまして、創設当初より人権の国際的保障の実現を重視して、一九四八年に世界人権宣言を採択しているわけであります。この宣言は、基本的人権の普遍的な尊重及び遵守を促進するために、すべての人民とすべての国とが準拠をすべき共通の基準である、こういうふうにみなされておるわけであります。次いで、国連が採択しましたのが国際人権規約でありまして、世界人権宣言を受けまして、基本的人権を具体的かつ明確な権利として規定し、かつ、その実現を締約国に義務づけているものであります。これを世界各国が遵守、そうして擁立していくことは、国際社会にとってきわめて重要なことであります。今般、政府がこのような人類史上大きな価値を有する国際人権規約の締結に踏み切ったこと、これ自体は歓迎すべきことだと、こう思うのでありますけれども、基本的人権の尊重、これはわが国の憲法の基本的理念の一つであるわけであります。そういうことを考えますと、この両規約の批准というもの、この決定が少し遅きに失したきらいがあるのではないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、その点についてお伺いをさせていただきたい。
○志賀政府委員 お答えいたします。
 国際人権規約の早期国会提出を目指して政府は努力をしてまいりました。しかし、この規約の内容は、人権に関する基本的な条約でございますだけに、きわめて広範かつ多岐にわたっており、政府部内の調整のために大変準備期間を要せざるを得なかった、こういう実情でございます。政府としては、規約の重要性及び早期批准の必要性は十分心得出ておりますが、そうして最大限の努力をこれでも払ってきたわけでございますが、これだけ時間がかかったわけでございまして、ようやくこの国会に提出することができるに至ったわけで、その点、どうか御了解をいただきたいと存じます。
○依田委員 国連憲章の第一条、国際の平和及び安全の維持、これと並んで、人権及び基本的自由を助長奨励するための国際協力の達成を主要な目的として規定しているわけであります。こういう認識に基づきまして国際人権規約が作成されたわけでありますけれども、A規約、B規約及び選択議定書は、かかる人権保障の国際的義務づけという観点からは国連において常に一体だろう、こう思うのであります。これら三木の条約をともに締結して初めて意味があるのじゃないか、こう思うのであります。
 しかし、今度の政府は、今般の規約の締結に際しましては、選択議定書、これを先ほどからいろいろ聞いておりますと、締結するつもりはない、あるいはまたB規約第四十一条の宣言も行わない、こういうことであります。選択議定書は、B規約に規定する権利の侵害について締約国の個人が人権委員会に通報を行う、同委員会はこれを審議の上、その見解を締約国及び個人に送付する、こういう制度を規定したものであります。また一方、B規約四十一条の方は、他の締約国の義務の不履行に関して、いずれかの締約国が人権委員会に通報を行った場合、同委員会がこれを検討し、関係締約国に対し、あっせんを行う制度を設けているわけであります。いずれにしましても、国際人権保障の制度として不可欠のものである、こういうように考えるわけでありますけれども、これらの国際的保障制度を欠いた今度の人権規約の締結では不十分じゃないか、こう思うわけであります。
 B規約第四十一条については十カ国が宣言を行った、そして三月二十八日に発効しているわけであります。また、選択議定書の締約国は二十一カ国、非常に多数に及んでおるわけでありまして、中に西側の主要国は大体すべて入っているわけであります。わが国としても、この議定書の締結及び四十一条の宣言による受諾について再考する考えがあるかないか、先ほど寺前委員からも御質問ありましたけれども、もう一度繰り返しひとつお答えをいただきたい。
○賀陽政府委員 先ほども御説明さしていただきましたが、選択議定書と四十一条の御質問でございますが、個人の国連に対する出訴をどういうふうに評価するかということでございます。これはしばらく運用を見さしていただきまして、この制度がどういうふうに動いてまいりますか。多くの場合、やはり個人が出訴いたしましても、その国に問題が戻りまして、その国の法制度による救済というものをまず前提とした上でないと、なかなか国連の救済ということは行われがたいということもございますので、この点がどう運用いたしますか、しばらく見守らしていただきたいと思うわけでございますし、四十一条につきましては、これは任意調停制度でございますが、先般来申し上げておりまするように、欧州人権規約のような制度になじんでおりますヨーロッパの国は、他国の人権制度に対してあるいはみずからの人権制度に対して、いろいろ注文をつけたり注文をつけられたりという、いわば慣習と申しますか慣行と申しますか、そういうことに比較的なじむ国が多いわけでございまして、やはり文化的な同一性、社会的な類似性を前提としておる、こう言わざるを得ないわけでございまして、そのために、加入の国の数もまだ限定されておるということでございます。
 したがいまして、両制度とも、これは任意のものでございますので、これを人権規約を担保いたしますためには、これまた過般来御説明しておりまするように、報告制度がA規約、B規約にございまして、この方は経済社会理事会と人権委員会の審査によって勧告的意見がその国に還流してまいるということで、より実際的な効果を期待し得る、その方の担保により大きな重点があるのが人権規約の実情でございますが、御指摘のこともございますし、この委員会でもいろいろ御意見も出ましたので、今後の問題としては運用を見て検討さしていただきたいと思います。
○依田委員 少し細かいことになりますけれども、人権の尊重を基本理念の一つとしているわが国の憲法、その十四条で法のもとの平等、これを規定しておるわけであります。
 そこで、内外人の平等の原則、こういうものについて、この憲法と人権規約の考え方、この辺に違いがあるのかどうか、どう違うのか、その点をひとつ……。
○賀陽政府委員 憲法及び本件規約において、もろもろに双方とも内外人の平等という原則を強調しておるわけでございまして、人権規約というのは国際規約であり、憲法は国内法規であるという違いはございますし、それぞれの分野が違うわけでございますが、両々相まってこの原則がさらに強化されるということは大変望ましいことであろうかと思います。
○依田委員 従来、日本の国は諸外国から、経済的、文化的に閉鎖的な国じゃないか、こういうふうに言われてきたわけであります。日本が今後国際社会の一員としていろいろこれから世界とつき合っていく、そういう意味では、人権尊重の面でもわが国社会をもう少し開かれた社会、こういうことにしていく必要があるのじゃないか、こういうことがよく言われておるわけでありまして、この点に関しまして、人権規約に明確に規定してある内外人平等の原則について、もう一度政府の御見解をただしていきたいと思います。
○賀陽政府委員 わが国をもっと開放された社会にしなければいけないということは御説のとおりでございまして、国際規約としてこれを御批准いただくわけでございますから、そうなりました場合には、一層、内外人平等の原則というものを充実する方向で推進してまいるということは、われわれの責務であると考えております。
○依田委員 A規約の中で、「教育についてのすべての者の権利を認める。」それと同時に、権利の実現を達成するために、初等教育を義務的かつ無償とするものとする、こういうふうに規定しているわけであります。さらに、中等教育及び高等教育についても、「無償教育の漸進的な導入」と「すべての適当な方法により、」「すべての者に対して」「機会が与えられるものとする」、こういうふうに規定されておるわけでありまして、わが国は、教育の普及、これではもう世界で最も進んだ国の一つであろう、こう思うのです。わが国における明治以降の近代化あるいは経済発展、これも教育の普及によるところが非常に大きいわけでありますけれども、こういう観点からしますと、教育についての権利がA規約に設けられていることはまことに結構だ、こう思うのであります。A規約のこの締約国が、この規定を誠実に遵守すること、これが大事だろうと思うのでありますけれども、しかし政府は中等教育及び高等教育について漸進的に無償とする、この項目について留保する、先ほどもそのお話が出ましたけれども、まず、この日本と同じように留保を行っている国がほかにあるのかどうか、これを聞かせていただきたいと思います。
○賀陽政府委員 この項目に関する限りは、留保を行っておりますのはルワンダだけでございます。
○依田委員 そうなりますと、日本が留保する、少し納得できないのでありますけれども、わが国では、前期中等教育、これは義務教育で無償となっておるわけでありまして、しかし後期中等教育及び高等教育についても、私学の助成であるとか育英奨学制度、授業料の減免等の措置により普及が図られている、こういうふうに私は理解しているわけでありますけれども、なぜ留保をするのか、その点をもう少し詳しくお話しをいただきたい。
○七田説明員 お答え申し上げます。
 この規約十三条に言います無償といいますものには、授業料を徴収しないという意味に解されておるわけでございます。この規定は、中等教育、高等教育の機会の確保のためにとられます手段の一つといたしまして、締約国は無償化を漸進的に実現することを求めておるものでございます。後期中等教育及び高等教育につきましては、私立学校の占めます割合の大きいわが国におきまして、私学進学者との均衡等から漸進的にせよ無償化の方針をとることは適当でないということで留保したわけでございます。わが国では、本規定の趣旨といたします後期中等教育及び高等教育の機会の確保のためには、かねてから、私学助成、育英奨学、授業料減免措置などの充実を図っておるところでございまして、今後ともその充実に努力していきたいということでございます。
○依田委員 中等教育及び高等教育について無償教育の漸進的な導入、この部分に留保を行う、この説明があったわけでありますけれども、そうしますと、逆に、従来からとられておった私学の助成あるいは育英奨学制度あるいは授業料の減免等、こういうことの措置が廃止される、こういうことになるとすると、きわめて遺憾、こういうふうに思うわけであります。これらの処置について、その現状及び政府はこの規約との関係で今後どういう方針をするのか、その点をちょっとお伺いしたい。
○斎藤説明員 私立学校に対します国及び地方公共団体の助成につきましては、現在、私立学校振興助成法に基づきまして、私立学校における教育条件の維持、向上あるいは修学上の経済的負担の軽減ということを目指しまして、鋭意努力を行っているところでございます。特に経常費補助につきましては年々その拡充を図ってきておるわけでございまして、今後とも、この法律がございます限り、その充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○依田委員 奨学制度あるいは授業料の減免、こういうものは、外国人に対しても適用されるのかどうか、その点もちょっと伺わせてください。
○石井説明員 日本育英会の奨学金につきましては、永住権を有する外国人に対しましては貸与されることになっております。現に四百名近い者に対しまして奨学金が貸与されているわけでございます。奨学金は将来返還していただくことが前提でございますので、そういう取り扱いをしているわけでございます。それから、授業料の減免につきましては、国立大学におきましては、現在授業料徴収予定額の一〇%を減免することになっております。しかし、実際問題といたしましては、国立の授業料は前期、後期と二回に分けて取っておりますので、大学によりましては、一人の学生につきまして一年を通じて減免する場合と、前期、後期に分けて減免する場合とありますので、学生数に対しまして一二・四%程度減免になっているわけでございます。
 奨学金につきましてもそれから授業料減免の制度につきましても、財政的な限度があろうかと思いますけれども、私どもは修学援助という観点から今後とも充実を図っていくべき性格のものだと考えているわけでございます。
○依田委員 ところで逆の方になるわけでありますけれども、近来日本人の海外進出に伴いまして海外の日本人子弟の教育問題が非常に話題になっておるわけであります。あるいはまた帰ってきてからの受け入れ体制、こういうものについてもいろいろ議論が行われておるわけであります。私たちの政党もこの問題についてはずいぶんやっておるわけでありますけれども、在外日本人の教育について政府はどういう配慮をされておるのか、その辺についてまずお伺いいたします。
○塚本政府委員 お答え申し上げます。
 現在対象になる在外の永住者は約十六万人ほどおりまして、義務教育の適齢児童はそのうち二万一千人、これに対しまして、約四四%である九千四百人は日本の義務教育と同じ毎日、ディリーにやっております全日制学校で勉強をしております。一方、そのうち七千八百人、約三六%でございますが、これは在外の学校に入りまして土曜学校、土曜において主として算数、国語等に重点をしぼりまして補習教育をいたしております。
 外務省はこれらの子弟の教育の充実を図るために、文部省及びこれが実施機関であります海外子女教育振興財団と三位一体力を合わせまして、五十四年度におきましては四十六億の予算をちょうだいいたしまして、先ほど申し上げました全日制学校につきましてはその校舎の一部の借料の負担あるいは教員の派遣、それから補習学校につきましても講師謝金の一部負担といった点等充実の方向に向かいまして、在外子弟の教育の振興に配慮している次第でございます。
○依田委員 これはきっと午前中にもいろいろ話題が出たと思うのでありますけれども、教育に関する部分だけじゃなくて例のスト権、これに関する部分も留保をしておるのであります。このスト権に関する規定で留保を行っている国があるのかどうか、その辺を承りたい。
○岡部説明員 お答え申し上げます。
 スト権に関しましてA規約第八条一項(d)において規定がございますが、この規定に留保を行っている国は、いまのところノルウェー、オランダ、トリニダードトバゴの三カ国でございます。
○依田委員 いまのお話にもありましたように三カ国ということだそうでありますけれども、スト権の留保、こういうことになりますと、日本の国というのは労働者の労働基本権を否定しているのじゃないか、非常におくれた国と海外から評価されるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。そういう心配がないかどうか、その点をひとつ……。
○岡部説明員 先生御承知のとおり、わが国におきましては、憲法におきまして労働者に対し労働基本権が保障されているわけでございます。したがいまして、たとえばわが国の民間部門につきましては、スト権については十全の保障がなされているわけでございます。ただいわゆる公共部門につきましては、その職務の公共性と地位の特殊性から争議行為が禁止されているわけでございます。したがいまして、わが国の法制必ずしも今回の規約八条一項(d)とマッチしないところがございますので、所要の留保を付したということでございます。しかしながら、わが国の法制全体にとりましてスト権というものは、これは一般的に認めておりますが、そういう必要に応じた措置を国内的に講じておるということでございまして、その辺の先生の御心配はないものというふうに考えております。
○依田委員 三公社五現業の問題ですが、最後にちょっとお伺いをさせていただきたい。
 これにつきましては、昨年の六月に公共企業体等基本問題会議の意見書が出されておるわけでありまして、政府はこの意見書の趣旨を尊重して対処する、こういう方針を出されておるわけであります。この三公社五現業の職員のスト権について最後にお伺いをさせていただきたい。
○岡部説明員 三公社五現業のスト権の問題は、いわゆるスト権問題といたしまして戦後長い経緯を有する問題でございます。その中で、御指摘のとおり昨年六月に公共企業体等基本問題会議意見書というものが出されまして、現時点においては争議権を認めることは適当でないというふうな見解が示されたわけでございます。
 その理由といたしますところは、事業の公共性、争議行為に対する経済原則に基づく抑制力の欠如、当事者能力の強化には限界があるということ、それから、現在の労使関係の実態をそのままにいたしまして争議権を認める場合には、今後労使関係に悪影響があるのではないかというふうな四つの点が指摘されているわけでございます。
 ということで、現時点においては認めないということでございますが、しかしながら政府といたしましては、三公社五現業の労使関係をこのまま放置できないという強い考え方のもとに、労使関係の改善を目指しまして、現在のところ労使が胸襟を開いて語り合う場の設立を考えまして、昨年の十一月以降公共企業体等労働問題懇話会、公労懇をつくりまして、そういう意思疎通の場を設けているところでございます。
○依田委員 もう時間が来ましたので、これで終わりといたします。
○塩谷委員長 木島喜兵衛君。
○木島委員 私はもうきょうの最後だそうでありますから、なるだけ時間をとらないように質問をいたします。だから一番時間を短くするならば、全くそのとおりです、そうします、こう言えば一番簡単であります。
 そこで、私の質問は、いまの御質問にもございましたA規約の十三条の教育の留保の問題だけであります。
 最初に聞きますけれども、留保の基準ですね。これは文部大臣じゃない。外務省の方です。これは国内法がいまだ整備されておらず、あるいはまた早急に整備の見通しが立たないというようなことの条件のときに留保するというように考えていいのですか。
○山田(中)政府委員 A規約につきましては、漸進性をもって実現すればよいという規定はございますが、先生ただいまおっしゃいましたように、教育の部門につきましては国内法の手当てができておりませず、またその方向に向かっていくという政策決定もなされておりませんので、留保いたしたということでございます。
○木島委員 整備というのは一〇〇%を直ちに意味するわけではないわけですね、ちょっとそこのところだけ。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
  一〇〇%の整備ができておらなくてもよろしいわけでございますが、ただ、原則としてはその方向に向かうという政策決定と申しますか、方向が出ておる場合でございましたら、一〇〇%整備されてなくてもよろしいということでございます。
○木島委員 大臣、十三条の2の(b)と(c)が留保されておるんですね。(b)は「種々の形態の中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入」ということが一番中心だと思うのです。中等教育でありますから、日本の教育制度では前期中等教育、すなわち中学校及び高等学校の二つに分けられる。前段の中学校は無償ですね。これはもう答弁は要らない。後段の後期中等教育、すなわち高等学校については、憲法二十六条第二項の理念はその方向を志向していると思いませんか、大臣。
○内藤国務大臣 後期中等教育につきましては、木島先生御存じのとおり、わが国では大体私学が三割近くあるのですよ。ですから、私はとても無償の方向にまだ向いていないと思えるのです。
○木島委員 私は憲法二十六条の二項からして、その条文は義務教育ないし無償の方向を志向しておりませんかと、憲法解釈であります。
○諸澤政府委員 失礼ですけれども、先生十分御承知のことと思いますが、憲法の二十六条二項というのは、すべて国民は、その子女に普通教育を受けさせる義務を負う。普通教育というのは、学校教育法の規定で、小学校の初等普通教育、中等普通教育、それから高等学校の高等普通教育と専門教育、高等学校は専門教育がプラスになっておるわけです。そこで、憲法の二十六条二項は、無制約に、無条件に子供に普通教育を受けさせる義務を負うとは書いてないので、「法律の定めるところにより、」と書いてあるわけです。そこで、その「法律の定めるところ」を受けて、教育基本法の何条でしたかには、国民は「子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」こう書いてあるわけですから、理念的に憲法が高等学校教育まで義務教育にするんだあるいは無償にするんだという前提に立っているのではなくて、それはそのときどきの政策決定においてどう法律の形において審判するかということであろうかと思いますから、ちょっと先生の御説には私は同意しかねるわけでございます。
○木島委員 あなたがどんずばり二十六条の二項が義務教育を志向していると言えば、では現在の制度は何だということになるからそう答えざるを得ないでしょう。ただ、「國民は」というこの場合は親ですね、義務教育を受けさせる義務を負うというのは親なんですから、親が「保護する子女」、保護する子女は元来未成年、二十歳であるけれども、現在の国内法で言うならば未成年というのは十八歳以下。児童福祉法は十八歳まで。ですから十八歳。すなわちこれは高校を卒業する年齢。普通教育は、いまおっしゃったとおり、後期中等教育は普通教育と専門教育とあるけれども、普通教育も入っているわけです。しかし、大学には入っていないわけです。だから、普通教育をする義務を負う。義務教育は無償。これは生存権的基本権でありますね。もし現在で言うなら、中学校を卒業できなかったならば、まともな就職ができずまともな生存ができない。しかし、今日、九三%行っているところの高校の場合は、そこを出なかったならばまともな生存ができないという状態になりつつある、生存権的基本権からすれば。だからそういう意味で、私はそういう義務制を志向しておりませんかと言う。思想的にはそういう物の考え方の上に立って、いまあなたは、だけれども、基本法は九年間と決めている、それは「國民は、法律の定めるところにより、」なんだから。しかし、憲法がそれを志向しているならば、それは基本法以下は直さなければならぬのはあたりまえであります。けれども、それをいま言っているのではありません。この条約は将来に向かってなんだから、政策の決定がないとさっき御答弁あったけれども、憲法というのはそれを志向しているのならば、なぜこれを批准しないのだろうかという疑問がまず出ても仕方ないんじゃございませんか。まあいいや、時間を短縮するからね。
 大臣、日本の教育制度は国際的にはどのように評価され、どのように位置づけられていると思いますか。世界に誇るべき教育でありますか。
○内藤国務大臣 日本の教育は相当高く評価されていると思うのです。特に戦前は、御承知のとおり、ヨーロッパと同じように複線型でした。終戦後はアメリカの制度を学んで単線型にいたしましたので、すばらしく普及したので、私は世界的に見てもそんなに遜色はないだろう、こう思っております。
○木島委員 大臣、今後も世界の各国に誇るべき教育制度になおあなたはこれからも努力していきたいとお考えでしょうな。
○内藤国務大臣 お説のとおり、やはり今後も日本がすばらしい教育制度をしておるというふうに誇りたいと思っております。
○木島委員 ところが、この十三条を批准をしていないのは批准国全体の中でもって、おれどこにあるんだか知らぬのだけれども、ルワンダという国だけなんですわ。世界に誇っている日本の教育制度とあなたはおっしゃるが、その世界全体がほとんどみんな批准しているのにこれをやらぬというのは、世界に誇るだの、これからも世界に誇るように努力するなんてならぬじゃないの。どう考える。
○内藤国務大臣 それは確かにお説のとおりでございますけれども、条約を本当に守るという気があれば、私は多少そこの点が問題だと思うのは、特に現在日本では御承知のとおり八割が私立大学なんですよ。それで、国はどれだけのめんどうを見たかというと、見ているのはまだ人件費の半分以下ですよ。ですから、それをお約束して見込みがあればいいですけれども、いまのところ見込みがないんだからしばらくこれを猶予していただきたい、私はこういう気持ちであります。
○木島委員 外国でこれを批准している国々には私立学校がないとでもおっしゃるのですか。
○篠澤政府委員 ただいま外国の事例をお引きいただきましたのでお答えをさせていただきたいと思います。
 実情を申しますと、たとえばイギリス、西ドイツ、フランス、アメリカ等、たとえば中等教育が同一の学校で一貫して五年ないし九年行われているとか、あるいは義務教育年限が日本の場合九年でございますが、イギリスは十一年、あるいはフランス十年、アメリカも大部分の州で十年以上である。さらに、進学率が、特に後期中等教育に対する進学率が低い。したがって、無償化に伴う財政負担が少ない。さらに、先ほど大臣も例に引かれましたが、私立学校に行く者の比率が非常に低い。そういったような事情がありますので、留保しないということにもなったかというふうに推察するわけでございます。
○木島委員 だから、世界で批准している国の五十何カ国の中のルワンダという国だけで、あとは私立学校あるのにみんな批准しているのです。なぜかと言えば、漸進的であって、最初に聞いたように一〇〇%必ずできるといってすべての国が批准したわけじゃないんですよ。しかし漸進的にやろうということなんです。だから私は中等教育、高等教育分けて、批准してない(b)と(c)を分けて、(b)方はすでに前期の中学校は無償なんだし、後期も憲法の解釈をそういう方向へ持っていくならば、もはや(b)は絶対に批准しないなんということはあってはいけない。そして(c)の大学に関しては、いま私学とおっしゃいましたが、私学と国立と考えましょう、大臣、ここに土井たか子先生がいらっしゃいますけれども、あなたは、おれは大変苦労したとよくおっしゃるが、兵庫と新潟に教員養成大学をつくりましたね、あれはあなたの得意のことだ。それで、その大学院に入る三分の二は現職のままで賃金を得て入りますね。そしてその制度はさらに拡大をしていくということが前提になっておりますね、あの法案をつくるときの。国立は漸進的に無償の方向にいっていませんか。それは全部ならないかもしれないが、そういう方向にいっていませんか。あれは完全なる教育有給休暇じゃありませんか。そういうものが一歩進んだでしょう、漸進的に進んでいるでしょう。これからさらに拡大するんでしょう、いいじゃないですか。どうして悪い。
○内藤国務大臣 それはいまおっしゃる神戸と上越の大学の大学院については研修でございますから、確かにお説のとおりですけれども、これから全部無償にすると日本は八割は私学ですから……(木島委員「いま国立だけ分離して言っているんだから」と呼ぶ)国立だけの問題についても、無償にすることは非常にむずかしいんですよ、正直に言って。いまおっしゃるような場合は無償ですけれども、一般の大学で、国立大学でも無償にするにはまだ無理なんですよね。
○木島委員 大臣のお答えよくわかりました。
 局長、ちょっと……。
○佐野政府委員 御指摘のとおり、現職の教員が研修として給与を得て大学院で勉学をするわけでございますが、これらの学生からももちろん授業料は徴収をするわけでございます。そういう意味では新しい教育大学の場合も無償で行われているわけではございません。
○木島委員 そこで、無償というのは授業料を取らないということに限定するのか、あるいは今度私学に入れば私学の助成をするということはそれだけ授業料が安くなるということですね。もし助成がなければ授業料は高くなるわけです。さっき大臣おっしゃったように、経常費の二分の一の助成をということであれば、政府は目標にしていますね。ということは、もしそれがなければ二倍の授業料になるということですね。無償に漸進的にやっていますね、なおこれから進めるわけですね、そうでしょう。漸進的に無償の方向にいっているじゃないですか。国立の場合だって授業料だけで俸給をやる。普通の学校は収入なくて授業料を払っているのです。これは、収入はそのままもらって、生活もできるわ授業料も払えるわでしょう、国立のいまの教員大学の場合。私立の場合も助成やっておるでしょう。漸進的に拡大されているでしょう。漸進的に助成が拡大しているということは、漸進的に授業料は安くなって無償の方向にいっているんですよ。どう思う。
○三角政府委員 これは木島委員に申し上げるまでもないことと思いますが、私学はその経費の負担の責任を自分自身が負っているわけでございますし、現状におきましても、制度上においても学生の納める納付金というものがその収入の最も主要な基幹的部分であるわけでございます。いま木島委員おっしゃいましたように、いろいろな助成も推進してまいっておりまして、特に近年経常費助成を中心にやっておるわけでございますが、これは私学振興助成法にも言っておりますとおり、私学の教育条件の充実、向上と、あわせて経済的負担の軽減ということを目的としているわけでございまして、これを無償につなげるという考え方ではないわけでございます。あくまで経済的負担、授業料等の修学上の経済的負担を前提として、できるだけこれの軽減を図ってまいろうということであるわけでございます。
○木島委員 だから、それはもっとさかのぼれば、私学というのはよく言われる建学の精神、こういう教育をしょう、こういう学校をつくろう、そのことと、無償であるか有償であるかということは本来関係ないのです。できればだんだんと安く、国民全部が、行きたい者がみんな行けるためには、すなわち憲法二十六条の機会均等のためには、二割という国立の少ないものよりも私立、そこにはおのおの建学の精神があり、おれはそういう学校に行きたい、それが私立の特徴ですね。しかしそれが授業料が高いからそれをだんだん安くしていこう。私学を尊重するということと私学がよけいあるということは、無償ではいけないということの根拠にはならない。無償でもいい。ただ今日、政策的にそうしようという決定はないでしょう。けれども、徐々に私学助成なら私学助成はふえておる。ふえておることは、さっきから繰り返しますけれども、授業料は安くなっているわけです。たとえば、二分の一にまだいかない。二分の一にいたしましょうか。二分の一にいって二分の一でもって助成を打ち切りますと、年々物価、人件費は上がりますから、二分の一の助成が終わったらそれ以後あとは学校の経常費はふえるわけでしょう。そうすると、あとふえた分の半分は授業料で賄わなければならなくなりますから、授業料は物価スライド制、人件費スライド制にならざるを得ないでしょう。そうでしょう。二分の一ということになれば、あと二分の一は授業料で主に賄うのだから、それが物価が上がり人件費が上がればそのまま授業料はふえていくでしょう。だから二分の一を目標にやっているけれども、しかし二分の一になったときに永久にそれでもってとどめておこうということにはならないと思う。それではその次どうなるか。それは三分の二になるか四分の三になるかせざるを得ないでしょう。そういう方向をたどるだろうと思う。だからみんな批准している中で、大臣がおっしゃる世界に誇る日本の教育で、今後ともそう思っていきたい、その中でもって、ちょいちょい見て恐縮ですが名前まで覚えられないのですが、ルワンダという国一つだけが批准していない。誇るべき日本の教育制度、なぜ批准できないのか。しかも現に漸進的にやっているじゃありませんか。これは大臣の政治的な判断ですよ。あなたいま一番誇ると言ったって、内藤文部大臣のときにみんなどの国もやったことをあなたはやらなかったといって、世界の教育界から物笑いになるのじゃないですか。これはあなたの政治的判断です。どうです。
○内藤国務大臣 要するにこれを批准しますと、その方向に大きく前進しないと、またこれは物笑いになると私は思うのです。ただ、いまの現状を見て、そこまで行くのは日本の財政事情等を考えて無理じゃなかろうかというのが私の考え方です。
○木島委員 この批准した国は、それはいま日本も財政事情は苦しいけれども、もっともっと経済的には苦しい国々が批准しているのですよ、無償教育を志向して批准しているのだ。あなたの、これからも世界に誇るところの日本の教育をつくると言う中で、経済的に小さい、私がさっきから言っているルワンダという国がどこにあるか、小さい国なのか大きい国なのか知らない、そういう点じゃ全く無知だといって笑われるかもしれませんけれども、しかしそういう国々がみんなやっているわけですよ。なぜ日本ができないのですか。それは今日財政が苦しいかもしれない、しかしもっともっと苦しい国々がやっている、もっともっと教育の理想を求めている。しかも、私が言っているのは、(b)と(c)に分けて、(b)の中等教育は前期はもういい、なっている、後期も憲法ではそういう方向をたどろうとしている、(c)の大学を私立と国立に分けている。国立では、いま一つの例を出したのだけれども、そういうものをだんだんと拡大しようという前提になってきつつある。私立の場合は助成をだんだんと高めていっているわけです。二分の一になったときに二分の一でいいということにならぬと私は思う。やらぬといかぬですよ、そういうものを漸進的に進めるのです。世界の国がやっているときになぜできないのか、日本の教育というのはそんな消極的なことで進めていていいのですか。みんな世界の国はやっている、批准しているのですよ。なぜできないのか。
○内藤国務大臣 それはお説のように日本だけやってないというのはまことにおかしいことで、私もよく諸外国の事情も勉強したいし、これをやった場合に今後日本の財政にどのくらいの金がかかるかということも検討してみないといかぬと思うのです。それはあなたのおっしゃるように、よその国がやっているのだから私もやりたいですよ。やりたいけれども、諸外国の事情もつまびらかにしていないし、それをよく学び、そしてかつ、日本の場合にどのくらいの負担ができるのか。ある程度の見通しなしに批准したら、また物笑いになるのではなかろうかと私は思う。
○三角政府委員 先ほど学術国際局長からもちょっと申し上げたわけでございますが、外国の事例につきましても、やはり日本と異なりまして、進学率のぐあいでございますとか、あるいは私立学校の占める比率が多くの国で一〇%未満、やや多い国でも二〇%未満といったような、そういう社会的な条件の相違があるわけでございます。したがいまして、ただいま大臣から申し上げましたような財政上のいろいろな見通しといったものが大切になってまいりますが、一方は、先ほど木島委員が申されました無償の私学があってもいいではないかということでございます。もちろん特定の私学が、当該の理事者等の経営努力によりましていろいろな財政上の手当てができますれば、非常に低廉な授業料あるいは無償に近いようなことをやることはあってもしかるべきことかと存じますが、実際問題としては、日本の場合にそれが非常に困難ではないかということでございます。これにつきまして、国または地方公共団体がその政策ないしはその政策上の措置としてそういう方向をとるということは、やはり私学の制度の根本にかかわってまいるかと存じますので、これについては非常に慎重な検討が必要であろうというふうに思います。それから、いまの助成もこれはあくまでも経常費についての助成でございまして、施設費その他についてはやはり設置者が責任を持ってこれを手当てする、そういった私学制度の構え方があるわけでございまして、そういったことの根本的な問題についての十分な検討と、それから、言いますれば国民的な合意といったようなことも必要になってくるであろうというふうに考えておるわけでございます。
○木島委員 もう終わりますが、いま提案をしておりながらこれから世界を勉強しなければいかぬ。世界を勉強してから提案すべきことなんだ。順序が逆ですな。それで日本だけが取り残された。しかも、いま管理局長がおっしゃったけれども、低いところがあったと言えども、しかし進学率の上昇は世界的傾向ですね。先進国は先進国並みに後進国は後進国並みに教育爆発をするのが世界の趨勢だと言われる。この日本だけじゃないでしょう。そういう方向を持ちながら経済的に恵まれない国々もこれを批准しておる。委員長、私これを言っても時間も切れちゃったから、どう考えられますか。私はちょっとも納得できないんですよ。しかし、できないからといって終わったって、どうもそれでいいのかどうかという疑問を私は持ちます。だから、これは委員会で御修正いただけるのかどうか、理事会等で諮って処理をしていただければ大変ありがたいということを委員長にお願いいたしまして、終わります。
○塩谷委員長 次回は、来る五月七日月曜日午後零時三十分理事会、一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十六分散会