第087回国会 外務委員会 第10号
昭和五十四年五月八日(火曜日)
    午前九時四十九分開議
 出席委員
   委員長 塩谷 一夫君
   理事 愛野興一郎君 理事 大坪健一郎君
   理事 奥田 敬和君 理事 毛利 松平君
   理事 井上 一成君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 渡辺  朗君
      川田 正則君    鯨岡 兵輔君
      小坂善太郎君    佐野 嘉吉君
      中山 正暉君    福田 篤泰君
      河上 民雄君    小林  進君
      高沢 寅男君    松本 七郎君
      浅井 美幸君    中川 嘉美君
      寺前  巖君    依田  実君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省経済局長 手島れい志君
        外務省条約局外
        務参事官    山田 中正君
        外務省国際連合
        局長      賀陽 治憲君
        文部省学術国際
        局長      篠澤 公平君
        厚生大臣官房審
        議官      松田  正君
        労働省婦人少年
        局長      森山 真弓君
        建設省住宅局長 救仁郷 斉君
 委員外の出席者
        法務大臣官房参
        事官      藤岡  晋君
        法務省民事局第
        五課長     田中 康久君
        大蔵省銀行局特
        別金融課長   中田 一男君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     寺前  巖君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規
 約の締結について承認を求めるの件(第八十四
 回国会条約第一六号)
 市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結
 について承認を求めるの件(第八十四回国会条
 約第一七号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○塩谷委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。園田外務大臣
○園田国務大臣 今回の総理の米国訪問について御報告を行うとともに、第五回UNCTAD総会に臨むわが国の基本的姿勢について申し述べたいと存じます。
 まず、総理の米国訪問につきましては、カーター大統領との会談のために、夫人とともに四月三十日から昨五月七日まで米国を公式訪問いたしました。総理には私並びに加藤官房副長官等が同行いたしました。
 総理とカーター大統領との会談は、五月二日、ホワイトハウスにおいて二回にわたり行われました。総理は、このほかワシントンではバンス国務長官、米側経済閣僚、米国議会上下院の指導者及び米国言論人等と懇談され、また、ナショナルプレスクラブ主催の午さん会において演説を行われました。さらに、ニューヨークにおいて米財界人及び日本関係者と懇談をされました。
 今次会談は、アジア等における国際情勢の展開を踏まえ、また経済面において日米両国が緊密な協調のもとに一層世界経済全体への寄与を行うことが求められている中で、日米両国首脳が日米関係の現状を検討し、また、両国の地域的及び世界的協力について率直な意見交換を行うことが、日米両国、ひいては世界のためにきわめて重要であるとの認識に基づいて行われたものであります。
 カーター大統領との会談は、現在の強固な日米関係を反映してきわめて友好的な雰囲気のもとに行われました。そして、幅広い分野において両国が直面する重要な諸問題について率直な意見交換が行われ、両者の間に完全な相互理解が図られるとともに、共同声明に見られるとおり、今後の政策の方向づけについて日米両国の間に共通の認識が得られました。総理は、カーター大統領に対し、米国が自由世界のリーダーとして自信と勇気を持って世界的役割りを遂行すべきこと、日本が、その経済力にふさわしい国際的責任を負担すべきことを述べられましたが、これが今回の会談の基調をなすものであると考えます。
 当面の日米間の懸案である経済関係については、日本としては内需拡大や市場開放等を通じて、また、米国としては、インフレ対策や石油輸入の抑制等を通じてそれぞれの国際収支不均衡の是正に努めるという中期的な展望を明確にし、そのような展望のもとでの日米間の話し合いを進めていくことにつき、日米首脳の間で意見の一致を見ました。政府調達問題を中心とする日米間の当面の貿易経済問題につきましては、できる限り早く解決すべく鋭意話し合いを継続することに合意をいたしました。
 今回の訪米、特に米議会訪問等を通じて、改めて日米貿易経済関係についての対日批判の根強さを感じましたが、これら批判に適切に対処していくためにも、カーター大統領訪日までに当面の懸案に解決のめどをつけ、もって日米貿易経済関係を、より安定化しておく必要があります。
 以上のとおり、今次訪米においては、第一に、両国首脳が打ち解けた雰囲気の中に相互の理解と信頼を深めるという訪米の目的は十分に達成され、第二に、経済問題について、先に述べましたとおり合意ができた結果、今後の日米経済関係の安定と発展のための基礎がつくられ、第三に、日米が協力して世界の平和と安定のためにそれぞれの役割りを果たしていくべきことが再確認されましたことは、日米関係を一九八〇年代に向けて実り豊かなパートナーシップとして築き上げていく上で重要であると考える次第でございます。
 次に、第五回国連貿易開発会議に臨むわが国の基本的姿勢について申し述べます。
 第五回国連貿易開発会議は、昨七日マニラにおいて開会をされ、六月一日まで四週間の審議を行うことになっております。わが国からは大平総理が首席代表として出席をし、五月十日に代表演説を行う予定であります。
 わが国としては、今次UNCTADが八〇年代の南北関係の展望を明らかにする機会として格別の政治的意義があるのみならず、わが国と緊密な関係を有するASEANの一国フィリピンで開催されること、及び東京サミットにおける南北問題審議にも大きな影響があると予想されることにもかんがみ、この会議をきわめて重視し、総理自身が出席することに踏み切ったものであります。総理は、代表演説において、わが国の南北問題に対する基本的姿勢を表明しますが、特に開発途上国の国づくりのためには、開発の担い手たる人材の養成、すなわち、人づくりが重要である点を強調されることになりましょう。
 今次会議の議題は前世界経済の相互依存関係、貿易、一次産品、通貨、金融等、南北問題のあらゆる分野にわたっており、開発途上国から出されておるもろもろの要求については、会議における討議を通じて、南北双方がともに裨益するような妥当な解決方法が見出されることが期待されております。わが国としては、わが国の基本的国益は、開発途上国を含む世界全体の政治的、経済的な安定と発展を図ることによって、初めて増進されるとの認識に基づき、開発途上国の開発のための多様な必要にこたえ得る総合的施策をつくり上げるとの基本的姿勢を持って、積極的な態度で今次会議に臨むこととしております。
 先に述べましたように、今次会議の討議事項は多岐にわたっておりますが、そのうち、相互依存関係、貿易、一次産品、通貨、金融等の主要問題に対応するわが国の方針は、次のとおりであります。
 まず、相互依存関係の問題に関しては、政府としては、世界経済の安定的発展のために開発途上国が果たし得る役割りは、ますます増大していると考えておりますので、世界経済の運営へのこれら諸国の一層積極的な参加を促すとともに、八〇年代に向けての南北間の対話と協力をさらに促進してまいりたい所存であります。
 貿易の問題については、保護主義防圧の必要を強調するとともに、東京ラウンド交渉の成果の円滑な実施を確保することの緊要性を強調し、この成果への開発途上国の最大限の参加を強く呼びかけたい考えであります。また、貿易から得られる利益が幅広く均てんされるようにするため、一般特恵制度の枠内で、後発開発途上国に対する特別措置を検討していくこととしたい所存であります。
 一次産品の問題に関しては、今次UNCTAD前に共通基金の基本的要素について合意に達し、これを今後の共通基金協定の作成作業の基礎とすることにつき合意を見たことは喜ばしい次第であります。わが国としては、同基金が各グループの諸国にとり満足のいく形で早期に設立されるよう、さらに努力する所存であり、このようなわが国の積極的な姿勢を表明したい考えであります。
 通貨、金融の問題に関しては、開発途上国からの要望の強い政府開発援助の三年間倍増を確実に達成し、今後とも、その量の拡大及び質の一層の改善に努める所存であります。また、後発開発途上国への援助については、特段の配慮を払いたい考えであります。
 以上申し述べましたとおり、政府としては、今次UNCTAD総会の格別の重要性にかんがみ、当外務委員会においてかねて御指導と御鞭撻をいただいているところを踏まえ、格段の決意と抱負をもってこれに臨む所存であります。
 この総会が実り多き成果を上げられるよう、当委員会各位の御理解と御支援を特にお願い申し上げる次第であります。
     ――――◇―――――
○塩谷委員長 次に、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件及び市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、市民的及び政治的権利に関する国際規約並びに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に関する御質問をいたすに当たりまして、まず、国際人権規約の人権及び基本的自由の尊重に関する基本的な精神は、日本国憲法を支える理念の一つであるという立場から、これを高く評価し、日本の国内法に対するさまざまな影響を考慮して、同規約において認められた諸権利の完全な実現を達成するため、規約の精神にのっとりまして今後必要な国内的措置を講ずることが必要だと存じておるわけでありまして、並びにこうした立場を日本政府がとるということが、人権及び基本的自由の国際的な水準を引き上げ、ひいては日本国の国際社会における地位というものを高め、信用を高めるものになると思うわけであります。
 きわめて基本的な問題でございますが、外務大臣にまとめて御所見を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 いまの御発言のとおりでありまして、本人権規約の批准をいただき締結した暁においては、この中に規定する諸権利の一層の拡充のためにさらに努力をすることは当然であり、かつ締約国の責任であると考えます。したがいまして、各国もそうでありますが、締約いたしまして、その規定を守るために逐次国内法を適切に改正していっておりますので、この中に規定する諸規定を守るために、漸次御相談をしながら国内法も考慮していかなければならぬと考えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 今回の国際人権規約の審議の中で、特に目立った数点の中で男女平等の問題があります。
 この問題に対しては、すでにわが国の労働省を中心として男女差別というものを、古くは保護あるいは保護の対象という立場から職場における特に女性保護という観点の法律が多くあったのに対しまして、この人権規約の方向と国際的な潮流は、労働に対する男女平等、一律的な平等というものを示唆するものであります。私どものこうした問題に対する考え方は大きく転換を迫られていると思います。したがって、これらについて、こういう考え方でいくのか、あるいは旧来の日本のやり方でいくかということは、かなり大幅な考え方の変更を来さなければならない、こう考えておるわけであります。
 労働省にお伺いをいたしますが、こういう男女間の雇用を中心としてさまざまな差別の問題に関し、たくさんの国内法が同規約とは事実上抵触するものと思われますが、どういう国内法が人権規約との関係で調整を要するか。また、基本的にはどういう考え方が調整を要するか。また、それに対してどういう対策をとろうとされているか、一括して御答弁をいただきたいと存じます。
○森山(真)政府委員 職場の男女平等につきましては、まず現在のわが国の法律の中で労働基準法の第四条に、賃金について女子であることを理由に差別してはならないという規定がございまして、これによりまして賃金につきましては男女同一労働同一賃金という原則が法定されているわけでございます。
 さらに賃金以外の労働条件、いろいろございますが、たとえば昇進、昇格であるとか、教育、訓練であるとか、福利、厚生であるとかあるいは労働時間その他、そのほかの労働条件につきましては、労働基準法には男女によって差別をしてはならないという格別の規定がございませんが、実際問題としてそのような問題が起こりましたときには、現実には司法的な救済というものが行われておりまして、その司法的救済の根拠になりますのは、民法の九十条、公序良俗に反することは無効であるということによりまして救済をされているという状態でございます。
 現実には、そのような差別の疑いのある場合に、一人一人の人がすべて司法救済を受けるということは不可能でございますが、行政指導の一つの大きな柱といたしまして、賃金以外の労働条件につきましても男女の差別が発生いたしませんように、発生いたしましたものが救済されますように、いろいろな方法を講じまして行政指導を積極的に行っているところでございます。特に、定年、退職につきましては、女子であるということがそれだけで不利になるということがありませんように、二年前から改善のための五カ年計画を実施しているというところでございます。
 しかし、先生御指摘のように、これだけでは十分ではないという考え方が最近国の内外に大変強まってまいりまして、特に昨年の十一月二十日、労働基準法研究会の報告が出されましたが、その中におきましても、現在の法律制度では不十分であるので、別に職場における男女平等を確保する新しい法律制度が必要であるということを指摘していただいております。これを参考にいたしまして今後関係審議会において十分御審議いただいた上、新しい方向を求めていきたいと考えております。
○渡部(一)委員 私もこうした問題について必ずしも詳しくわかっているわけではございませんので、むしろお伺いする立場でお話を承りたいのですが、さきに当委員会で問題になりました男女の権利、平等の問題で国籍法との関連で討議が行われたことがございました。すなわち憲法二十二条二項に定める国籍自由の原則に基づきまして、また本規約の中にも国籍の取得に関する部分がございますが、新国籍法は、婚姻により夫婦の国籍に変動を及ぼさないとする夫婦国籍独立主義をとっているわけでありますが、子供の出生による国籍の取得については、子供が嫡出子の場合は、父が日本人であるときには日本国籍を認め、非嫡出子の場合に限り補完的に母子関係に基づく日本国籍を認める父系優先血統主義と言われるべきものをとっていることが明らかであります。
 ところが、この点についての各国国籍法の最近の動向を見ますと、父系優先血統主義というのは両性平等原則に反するという考え方がかなり一般化しつつあり、国籍法上は父方と母方を区別し、父方血統を優先させるということは両性の平等、法における平等をうたう国際人権規約に反するおそれが出てくる可能性が考えられ、したがって、わが国籍法も、西独、フランスでとっているような父母平等主義を認めるよう所要の改正を図る必要性が生ずることもあるだろう、こういうふうに思われるわけであります。もちろん二重国籍をたくさん生じてしまって、後の混乱を招くということは避けなければならないとしましても、わが国の場合、日本国内において出生された生地主義をとる国の子供、そして日本人妻の子供というものが無国籍の状態になっているということがすでに指摘されたとおりであります。沖繩県における何百という非嫡出の子供に対して無国籍状態が発生しておる。こうした問題はこの男女差別の問題及び国籍法の問題、それから日本の婚姻に関する諸規定の問題等が絡んでいる問題であり、関係省庁におかれましても今後十分の御討議をされなければならない問題とは存じますけれども、人道的諸問題でありますので早急に解決されることが妥当ではないか、こう思うわけであります。この点どこまで煮詰められましたか、御答弁をいただきたいと存じます。
○藤岡説明員 お答えをいたします。
 国籍法の問題は私ども法務省の中で民事局の所管でございまして、ただいま先生御質問の点につきましては、当委員会のこれまでの審議の過程におきまして民事局長から一応御答弁があったように承知いたしておりますが、本日民事局長あるいは民事局の担当の者が出席いたしておりませんので、先生のいまの御指摘の点を帰りましてお伝えしたいと思います。
○渡部(一)委員 必要な御答弁がいただけないと困りますものですから、私の質問時間もうちょっとございますから、その間に駆けつけてこられまして御答弁していただきますように、本委員会の質疑はほとんど本日の午前中で終わりですから、その間に御答弁いただきますようお願いします。
 それでは具体的な男女差別の問題でありますが、イタリアとかスウェーデン、西ドイツ、フランス、インドネシア等においては、産前産後の休暇と賃金保障についてはかなり高い水準になっているやに伺っておるわけであります。イタリアは産前二カ月、産後三カ月、賃金保障八〇%、スウェーデンでは前後六週間、賃金保障前二カ月、後六カ月の九〇%、西ドイツでは前六週間、後六週間、保障八〇%、フランスではそれが九〇%、インドネシアでは前後一カ月半、保障は一〇〇%、また私が聞くところによりますれば、中国ではこれについてやはり六カ月前後の賃金保障期間を前後に設けているようであります。これらに比べますと、国情の差はございますけれども、休暇期間も賃金保障もわが国は直観的に言いましてかなりレベルの低い水準にあるのではないか。一概にパーセンテージでは比較できない点もあるようには思いますけれども、これを人権規約の批准を機会として見直し作業が必要ではないか、こういうふうに思われるわけであります。わが国の実態はどうなっているか、またそれに対してどういう改良を考えられておられるか、承りたいと存じます。
○森山(真)政府委員 産前産後の休業につきましては、労働基準法によりますと、産前は現在六週間、任意の休暇ということになっております。産後は六週間ですが、そのうち五週間が強制で、最後の一週間につきましては、お医者さんの証明によりまして、また本人の希望によりまして就業することができるというふうになっております。その間の手当につきましては、健康保険の方で見ていただいております。十分ではございません、確か六〇%であったかと存じますが、見ていただいている状態でございます。しかし、先ほど申し上げました労働基準法研究会の報告によりますと、先生御指摘のような国際的な情勢もあり、また特に最近、日本の婦人労働者の中で占めます既婚婦人労働者の割合の高まりということも考慮に入れまして、産前産後の休業を中心といたします母性保護につきましては、特に手厚く改善するべきであるということを強調しておられます。産後休業について特に八週間ということを頭に置いて検討せよという御指摘もございますし、また定期検診のための時間を労働基準法の中で認めるようにするべきである、あるいは妊産婦の時間外労働や深夜業については禁止すべきであるというような考えを示されております。これらにつきましては審議会の御検討をいただいた上で、今後の方向として求めていきたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 わが国では男女平等の原則がまだよく理解されていない点があるのではないかと私は思えて仕方がない点がございます。たとえば、男女両方とも重量クレーン車を運転させて、同じ給料を払うことが男女同じなのかという有名な議論があるわけでありますが、一方、男女は差があるのだということを強調し過ぎる余り、その就職するパーセンテージが違っておる、職種が制限されておる、また取り扱いが違っておる、あるいはつき合い、交際、文化的な配慮というものが全く違っておる。政治、経済、社会、教育、あらゆる分野にわたって女性というものは劣ったものであり、第二の性であり、そして女性というものは本来男女平等になじまぬものだという考え方というものが色濃く存在するわけであります。そうして不当に権利義務の観点からする見直し作業というものがおくらされた考え方があり、これは日本が戦前からとってきた儒教教育がいまや社会体制の中に組み込まれている点があるのではないかと思われる節があります。こうした見直し作業をする際には、労働基準法研究会の婦人労働法制に対する報告というものがよりどころになっていま研究、改良が進められようとはしておりますが、それだけではでき得ない大きな配慮、見直しの分野というものが広がっておるのではないかと思われるわけであります。
 そこで、局長にお伺いしないで、局長は女性でいらっしゃいまして、こういう点についてはむしろ男性側の方が発言した方がいいと思いますから、外務大臣、ひとつこの辺をお答えいただきたい。つまり私の言わんとしているのは、男女差別の問題というものは政治、経済、教育、その他あらゆる分野において日本の社会体制になっているのであり、これを改良するためには、一労働省や一分野の研究、検討だけでは済まないものがある。差別があっていい分野とよくない分野とあるけれども、不必要に男女の体力格差、その他生理的な格差を論ずることによって、男女差別をさらに深化させていこうという雰囲気がきわめて強い。会社で首を切るときは、一番先にパートタイムの女の人を首にしてしまう、既婚者はパートタイムとしてしか採らない、こういう状態の差別がいま産業界で猛然と起こっている。また一方で、均等な試験が行われても女性だけは全然別だ、話のほかだ、会議、打ち合わせその他も全部別だというふうにみなされる。いまの日本の社会の仕組み全体を新たなる観点から、これでよいのかと見直す作業が要るのではないか、こう思っているわけでありまして、その点本日御出席の唯一の国務大臣にこうした件に関して政府の基本的な考え方を概括して述べていただきたいと思うわけであります。
○園田国務大臣 いろいろ問題がありますが、特に男女差別の問題は労働省だけの問題ではなくて、これは内閣自体の問題であるという御発言は私もそのとおりに考えます。いろいろ考えてみますと、男女平等、同権という憲法の規定はあるものの、まだいろいろな問題が残っておりますし、それが社会環境の一つの大きなガンになっておるわけでありますから、政府自体としてこれと取り組み、政府が関係各省と相談するという方向で検討していきたいと考えます。
○渡部(一)委員 人権規約の精神は、国家が管理するところのすべての人々は法の前に平等であり、人種、言語、宗教等によりいかなる差別もしてはならないという原則がこの中には強くうたわれているわけであります。そういたしますと、わが国でもっぱら考えられなければなりませんのは、一つは外国人の取り扱いであろうかと存じます。
 わが国の法制上、外国人の取り扱いについてはいろいろな形で差別が行われてきたわけであります。むしろいままでの考え方では、それは差別でなく当然の日本国の権利であるとみなされてきたわけでありますが、今回はそうした考え方を放棄するわけであります。
 もう一つ政府関係の御説明の資料の中にあって私はぎくっとしてしまって、読み上げようと思ったのですが、資料がいまどこかにもぐってしまいましたから私の記憶するところで申し上げますと、要するにレベルの低い福祉水準の国家とわが国との国内法制を比べると、わが国の法制はかなりレベルが高い、向こうは低い、だから相互に両方ともが等量主義と申しますか、フィフティー・フィフティーであるためには、向こうが水準が低い以上はこっちも水準が低いのだ、向こうで国民健康保険がない以上はわが方も国民健康保険の中には入れないのだ、こういう考え方が存在しておったということは、これは私は今回の人権規約になじまない考えではないかと思います。つまり、相手国政府の福祉水準や行政水準が低いからといって、それに対する報復を日本国内にいる外国人に対して行うということは、国家が人間に対して、個人に対して報復するという立場になるのであって、そうした考え方はとるべきではないのではないか。いまやどこの国の国民であろうとも日本国民の福祉の水準の中に抱き取って、それを大きく抱えていくことが大事なのではないかと思うわけでありますが、言わずもがなのことかもしれませんし、またこういう原則がはっきりしてくれば国内法制をおくらせている一番基礎的な問題が実質上は解決することにもなりますので、こうした考え方に関する基本的な政府の取り組みの姿勢というものをお述べいただきたいと存じます。
○賀陽政府委員 お答えをいたします。
 ただいま御指摘の点でございますが、今回の人権規約の重要な意義は、やはり内外人平等を実現するということでございますので、政府といたしましては御指摘の線に従いまして今後鋭意努力をしてまいるわけでございます。ただ同時に、この人権規約が公共の福祉その他あるいは合理的理由、そういったものを挙げまして制限し得るという規定がございますが、われわれといたしましてはこの規定を過大視いたしませんで、なるべくこれは援用しないという方向で努力をしてまいります。
 ただ、中には公証人とか水先人とか弁理士とかという職業につきましては、これらの職業に伴います特別な性格にかんがみまして外国人に制限を設けておるというのが実情でございます。そういったことがございますけれども、また相互主義の点につきましては、弁理士については相互主義をとっておる、あるいは年金につきましても一部のものにつきましては通算協定を必要とするというような考え方がございますが、これはあくまで非常に個別的な配慮でございまして、全般的には渡部委員の御指摘のような方向で今後さらに努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
○渡部(一)委員 ここにいま述べられた、非常に簡潔にまとめていただいたお話の中に、わが国の人権規約に対する姿勢の中で留保にあらざる留保と言われる部分が存在するわけであります。それは何かと言えば、いま述べられましたように、年金に関する部分で、財政的理由のはなはだ大きな部分があることを私も容易に推察することができるわけでありますし、あるいは弁理士であるとか、国家公務員であるとかあるいは一部弁護士も入るのでしょうか、こうしたものについて相互主義の体系が厳格に組まれており、こうしたものに対して日本の法制の中で差別した扱いをすることが日本国側の権利のような形ですでに表明されているということは余りよい状態ではないのではないか、むしろ、今後これは改良すべきポイントなのではないかと思われるわけであります。
 国連局長はそうおっしゃっていただいたわけでありますが、こうした問題を取り扱う諸官庁に私は多少これからお伺いをしてみたいと思うわけであります。
 たとえば、法務省関係でございますが、在留権の保障の問題につきまして、退去の強制というものが行われているわけでありますが、これは出入国管理特別法を適用して退去強制手続をするということがわが国では可能であり、わが国に生まれ何十年も育っている在日朝鮮半島人に対してこうしたものが適用されるということは、家族とは離散されてしまうし、外国に等しい本国に送還されるということは、その一個の人権というものを考えましても悲惨のきわみである。最近法務省におかれましては、こうした規定の運用をきわめて慎重に扱われている点も現に伺ってはいるわけでありますけれども、実際問題として退去強制手続に関する部分はこの人権規約の批准とともにやはり再検討されるべき内容を数多く含んでいるのではないか。これ以上は余り細かく申し上げませんのは、非常に細かい御配慮がたくさんあるようでございますので、私は言葉を慎んで申し上げているわけでございますが、この点は今後どうなさるおつもりか、前向きの姿勢を出していただきたいと存じます。
○藤岡説明員 お答えをいたします。
 ただいまいわゆる出入国管理特別法に基づく退去強制についての御質問がございましたけれども、実はこの出入国管理特別法による退去強制は、大韓民国の国籍を有する者で同特別法に定める手続によりましていわゆる協定永住の許可を受けている者、非常に限られた人についてのみ適用される法律でございます。一般の外国人の場合は出入国管理令に基づきまして、たとえば実刑で一年を超える刑に処せられた者は国外に追放され得る、こうなっておるのに対しまして、ただいま申します出入国管理特別法によりますと、七年を超えて初めて退去強制が可能である、こういうふうになっておるわけでございまして、しかも、この特別法は、御案内の昭和四十年の日韓基本条約並びに日韓法的地位協定という二国間の国際協定に基づきまして、この国際協定を実施するために定められた法律でございます。そうして、いま申しますように一年に対し七年というきわめて顕著な優遇措置、配慮が払われておるわけでございまして、さような意味におきまして、人権規約につきまして先生が先ほど来御指摘のような基本的な立場は私どもも先生と全く同じでございますけれども、ただいまのところ、いわゆる七年を超える刑に処せられた、非常に重い刑に処せられた者の退去強制につきまして、人権規約との関係において、人権規約が批准されるがゆえに何らか今後特別に運用方針を変えなければならないというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。ただ、先生御指摘のような人権規約の基本的な趣旨、精神は、この在日韓国人の場合に限りませず、すべての外国人を処遇いたします上で常に肝に銘じて運営をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 これが余りいい答弁とは私は思えないのですね。いま私にわかりやすいように非常にやさしい言葉で言われましたが、運用の上で人権規約の精神を生かせるように行政指導を行う旨述べられ、法律の上では、二国間協定の規定もこれあり、これを簡単に直すことがむずかしい旨述べられたと私は理解したわけであります。二国間協約の規定でありましょうとも、ここは立法府の議論でありますので、人権規約の精神にそぐわないものは直す方向で検討していくということが将来の検討課題になるかと存じますし、あなたはただいま、ただの行政官としておいでになったのではなく、政府委員として御来場賜ったわけでありますから、こうしたことも今後は十分検討するべき課題になるのではないかということだけ私は伺っているわけでありまして、その辺の現行法規における困難性は議論するつもりは毛頭ない。今後検討するかどうか、そういう方向で何らかの法律改正措置を含めて検討する用意があるかどうか、その辺のところを、姿勢をお伺いするわけであります。
○藤岡説明員 多少舌足らずであったかと存じます。人権規約は、A規約はもとよりでございますが、B規約におきましても、いわゆる外国人の入国、滞在それからいわゆる国外追放等々の外国人管理に関する措置、取り扱いにつきましては、B規約の中に、十二条において、これは内外人すべてでございますが、いわゆる出国の自由を、第十三条においていわゆる国外追放処分が適正な法定の手続によって行われるべきこと、これだけのことを定めているだけでございます。したがいまして、問題は、A、Bいずれかの規約のいずれかの条項よりして必然的に国内法の措置云々ということではなくて、その意味では、現行の私どもの日本国の外国人管理法制は両規約のいずれの条項に照らしましても不都合はないわけでございますので、そういうレベルではなくて、まさしく先生御指摘のような、両規約を貫いておる、底を流れておるところの普遍的な人権の尊重、人道主義というものを踏まえて見直しをする余地があるのではなかろうかという問題になろうかと思うわけでございます。さような意味におきましては、すべてのものは完全なものは一つとして地上にないわけでございますので、今後とも検討の課題として念頭に置きたい、かように考えております。
○渡部(一)委員 じゃ、この部分はこのぐらいにしておきたいのですが、いま最大限度お答えになったように思いますので、今後の御努力をお願いしたいと思います。
 外国人登録法で、常に外国人の方が登録証というものを身に帯していないと処罰されるという状況がございまして、こういうことの好きな国家もあるのでありますけれども、わが国民の感情からいいますとこれは相当ひどいなという感じもしないではない。また、政治活動の自由の問題について多くの論戦のあるところでありますが、参政権のような極端にわが国国民の資格と結びついているものについては、それは与えられないのが当然かとは存じますけれども、政治的意見の表明等について余り厳格に、これを参政権への参加と同じように制限するということは、本規約の趣旨から申しましてもまずいのではないかと思われます。これについては数々の判決もあることでありますし、今後は御配慮いただく中に入れていただきたいものと存じます。
 また、特に御返事をいただきたいのは、政治的な難民の処遇についてであります。わが国の入管令では、政治難民を主張する者に対しての特別の審査手続がない、受け入れその他処遇の手続がないということについては当委員会におきましても何度か問題になり、論議の対象になったところであります。この辺で一括して政治難民に関する制度の速やかな創設が望ましいことを申し上げ、これに対する基本的なお立場を、簡略で結構でございますが示していただきたいと存じます。
○藤岡説明員 いわゆる政治難民、政治亡命者の処遇に関する国内法制の整備の問題でございますけれども、目下のところ、私どもの入国管理局のつかさどっておりますところの政治難民の法的地位を新しく国内法上創設するということについては、具体的にその方向でやるというところに参っておりません。諸外国の例を見てみましても、さような特別の難民としての法的地位を国内法制において定めております例はむしろきわめて少数でございまして、少数であるからまねしないんだという意味ではございませんけれども、必ずしもそういう国内法制上定めなくとも政治的難民に対して所要の人道的な措置、処遇をすることは可能であると、こういう立場でございます。
○渡部(一)委員 この政治難民の処遇に対して国連局長から、外務省がこれまでおとりになった御答弁もしんしゃくされて、取り扱いの方向につき御答弁いただきたいと存じます。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 政治難民につきましては、ただいま法務省から答弁がございましたけれども、外務省といたしましても、入国その他の部面も含めまして、人権規約が難民に対して全面的に適用されるものでございますので、まずこれを御審議いただきまして御批准を賜り、次いで難民条約につきまして大臣から御答弁ございましたように来国会に御提出申し上げるということで、これはもっぱら難民条約の方は入国いたしました後の話でございますけれども、これにつきましてもさらに完備を期するということでございまして、努力してまいりたいと思っております。
○渡部(一)委員 次に社会保障の面でございますが、人権規約は、国籍による差別の取り扱いをA規約二条二項、B規約二条、同二十六条等において明示しているわけであります。ところが、入管令二十四条の四号のホというのが問題でありまして、公共負担者の退去強制を定めているため、生活保護を受けるようになった外国人は退去強制になるという原則になっております。こうしたことでございますと、人権規約における国籍による差別的取り扱いを禁止する項目と正面からぶつかってくるということになるわけであります。私がいままでにも当委員会において指摘したこともあるかと存じますが、らい病、精神病等の病気の方々に対して、あるいは貧困の理由を持っている方々に対して、これはただいまの入管令の退去強制の項目によりまして退去させられてしまう、これははなはだしくぐあいが悪い規定ではないかと思われます。すなわち、一九五一年の出入国管理令二十四条で、不法入国、不法上陸、不法残留、刑罰法令違反等のほかに、在留外国人で「ハ らい予防法の適用を受けているらい患者」「ニ 精神衛生法に定める精神障害者で同法に定める精神病院又は指定病院に収容されているもの」「ホ 貧困者、放浪者、身体障害者等で生活上国又は地方公共団体の負担になっているもの」こうなっているわけであります。「地方公共団体の負担になっているもの」という規定は言い回しが非常に大まかでありますから、「負担になっているもの」なんというと、それこそ道を歩いていても負担になる形にはなるのでありますけれども、この言い回しというものは、ちょっとめんどうなのは全部追い出せという考え方で、今回の人権規約の諸制度からは、とてもじゃないけれども見直さなければならない部分ではないかと思うわけであります。法務省にばかり八つ当たりするようで、私は法務省に恨みも何もございませんけれども、問題の核心部分がここにありますので、大臣にかわって、ひとつ明快なる御答弁、方向性を出していただきたいと思います。
○藤岡説明員 お答えをいたします。
 先ほどもお答え申しましたように、在留外国人の国外追放処分がいかなる場合に許されるかというような点につきましては、人権規約は何も言及してないわけでございます。ただ、確かにただいま御指摘のように、出入国管理令の二十四条に定められておりますところのいわゆる退去強制事由のうちで、たとえば生活保護を受けたというような外国人を退去強制することができるということになっておる。片や、いわゆるA規約の第九条を見ますと、「この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。」こう定めておるわけでございます。私どもの理解するところでは、A規約の第九条で言うところの「すべての者」の中には外国人が含まれる。しかりとするならば、日本に在留中のある外国人が社会保障措置としての生活保護を受けた、つまりAの九条に定めるところの権利を具体的に享受したことをもって、それを理由として退去強制、国外追放するとは何事か、こういう問題が確かに起ころうかと思うわけでございます。ただし、先生御指摘の出入国管理令の二十四条の四号のハ、つまりらいとか精神衛生でございますが、これは主管の御当局の御意見を聞かなければわかりませんけれども、私どもの理解するところでは、生活保護とは基本的な趣旨がかなり違うであろう。一番問題なのは、生活保護つまり二十四条の四号のホに該当する外国人の国外追放が、A規約の九条と趣旨、精神において矛盾しはしないか、こういう問題が一番顕著な問題であろうかと存じます。
 その点につきまして、さような前提で簡潔にお答えいたしますと、A規約の第九条は、役所別で申しますと私どもの所管でございませんで、よその役所でございますので、ちょっと物の言い方を私もここで少し考えながら言わなければいけないわけでございますが、要するに、たとえば日本を通過する目的で、ちょっと立ち寄っただけの外国人が、不幸にしてたまたま生活保護を受けなければならないような状態に陥った場合、あるいは日本へ観光客としてやってきた外国人、これは滞在期間が六十日でございます。きわめて短期間の滞在しか予定されていない外国人でございます。さような外国人が、何らかのアクシデントでもって生活保護を受けなければならなくなったような場合、さような外国人についてまでも、ここでAの九条でいうところの社会保障についての権利を規定しているのであろうかどうであろうか、さらに、もう一つ申しますと、いわゆる不法に入国して潜在している外国人もございます。これは事実上日本の領域の中におるという点ではやはり広い意味での在日の外国人でございます。さような不法入国潜在中の外国人が生活保護を受けなければならなくなった、さようなものにまでAの九条は社会保障についての権利を保障しているのであろうか、どうもそれは問題ではなかろうか。このAの九条で言うところの権利は、常識的に考えまして、外国人の場合、ある程度の期間以上、十五日とか一カ月というような短い期間でなくて、ある程度の期間以上その国に滞在している外国人に限られるのじゃなかろうか。もし、しからずとすれば、大変あれですけれども、日本の周囲には格段に貧しい国がいっぱいございます。そこからやってきまして、観光客でございますと言って入国しまして、とたんに生活保護を受ける、日本で生活保護を支給している金額は、それらの国の生活レベルの数倍の金額を支給しているはずでございます。それではどうにもこうにもならなくなるわけでございます。要するにAの九条では「すべての者」と書いてある。確かにその中には外国人が含まれるけれども、しかし、外国人の場合にはこれに当たらない外国人もあり得るのではなかろうか。したがいまして、結論を、私どもの国外追放の関係で申し上げますと、生活保護を受けた外国人が、Aの九条で保障するところの権利を認められた外国人である場合には、私ども入国管理当局は、生活保護を受けたことを理由として国外追放措置をとることはいたさない、こういうことになろうかと思うわけでございます。
 以上でございます。
○渡部(一)委員 積み木細工みたいな御答弁をしてくださいまして、もう一つ下の積み木がちゃんとうまくいっていれば、上の積み木は取らないというようなみごとな御答弁であったと私は思います。
 いまの御答弁で私が感じますことは、入管令二十四条四号のホに関して、これは既存のものとしてこれを直さないという立場で御答弁をいただいたものだと思います。そして、しかもなおかつあなたは、日本国憲法九十八条の「日本國が締結した條約及び確立された國際法規は、これを誠實に遵守することを必要とする。」という項目に逆らわないように、最大限の法律に対する柔軟な解釈をされたものと思います。
 私は、これは一つの典型的な国内官庁の対応の仕方だと思います。つまり法律の運用というのを、例の弾力的運用に近いやり方で、いまのは弾力的運用とは申しませんが、弾力的運用に近いやり方で最大限に引き伸ばしてみせる。ところが、法律というのはある程度以上弾力的に運用いたしますと、法律が全く形骸化するというものもございますから、今後はこの御規定の運用に関して、そういう弾力的な御表明でいいかどうかも含めて、入管令の改正も含めて、これまた十分御検討の対象にしてもよろしいテーマではないかと思われますが、その点はいかがでしょうか。この点に前向きな点が出ましたら、あなたに対する御質問はそろそろやめたいと思うのですが……。
○藤岡説明員 出入国管理令の全面的な見直しによりますところの改正は、長年の私どもの宿題であり、悲願でございますので、常時いろいろな角度から検討いたしております。人権規約が批准される動きになっておりますことも念頭に置きまして、その改正のための真摯な作業を続けてまいりたい、かように考えております。
○渡部(一)委員 非常にいい御答弁が出ましたから、これは委員会で一遍きちっとしてしまって、また後に法務委員会かなんかでゆっくりとねちねちと議論させていただきたいと存じております。
 それでは次でございますが、今度は、わが党の草川委員が前回御質問の際に、建設省と大蔵省の方をお招きしながら御質問もしないで通り過ぎ、当人がおわびをしてほしいとの言葉でございましたが、何を質問しようとしておりますかというと、社会保障の重要な関連のある仕事として、現在、公団及び公社等の入居及び住宅金融公庫の融資等について外国人の差別的取り扱いが、まあ当時は差別ではなかったのでございましょうが、外国人と日本国民との間を、別々の取り扱いが規定されている条項がございます。これらに対してはやはり人権規約における国籍による差別的取り扱いを禁じている項目に抵触するものと思われ、今後の運用の上で改良されるべきテーマだと存じます。細目については申しませんが、こうした点について、建設省や大蔵省は十分御検討いただいたものと思いますので、御答弁をこの機会にお述べいただきたいと存じます。
○救仁郷政府委員 従来公団住宅あるいは公庫融資につきましては、国内の住宅事情等もございまして、外国人に対して入居資格あるいは融資を制限していることは事実でございます。しかし、わが国の住宅事情も、まだまだではございますが、相当改善されてまいりましたし、また、現在御審議中の国際人権規約の精神にのっとりまして、在留資格等を勘案しながら前向きに措置してまいりたいというように考えております。
○中田説明員 ただいま建設省の住宅局長から答弁のございましたとおり、国際人権規約が批准されますれば、それも念頭に置きまして、その趣旨を生かしつつ検討してまいりたいと思っております。
○渡部(一)委員 大蔵省のいまの御答弁はきわめて老獪かつ巧みなんですね。それで、趣旨を生かして検討するだけで細かいことは何一つ言われていない、これはまさに官僚答弁の模範だと深く敬意を表します。
 しかし、建設省の方は、少し丁寧に答えられたため、ひっかかる言葉を残されました。これは丁寧過ぎて失敗した部類に入りますから、もう一回御登場いただかなければなりません。
 それは、公団住宅の入居については、日本国民に対してもままならぬ、だけれども、人権規約もあるから、今後は在留資格も勘案しつつこれに対して処理するとおっしゃいました。そういう、在留資格を勘案しつつなんということを言いますと、この人権規約の基礎というのは、要するに日本の国に上陸してきている、上がってきて入っているのは、厳格な法制上からいうと、不法入国者まで含めて取り扱いを一にするという原則があるわけでありますから、精神があるわけでありますから、在留資格を勘案して、十年いるのはこうとか、三十年いるのはこうとか、五十年いるのはこうとか、親の代からいるのはこうとかという線を引くこと自体が問題になってくる。建設省のいまの言い方は、もちろん、わが国に永住資格を持っている者とそうでない者というような規定を考慮してあると言われたのかもしれませんけれども、これについてはきわめて微妙な部分があり過ぎる。間違いとは申しませんが、間違いの部分がある。したがって、これについては言い直しをされておいた方が後で建設大臣にしかられなくても済むのではないかと私は思いますので、その部分、ちょっといまの答弁は捨てて、もう一回言い直しをしていただけませんか。
○救仁郷政府委員 私、公団住宅と公庫融資と一緒に申し上げましたのでそういったあれがございますが、公庫融資は二十五年ないし三十五年というような長期融資でございます。したがいまして、短期間の在留される外国人の方がそういったものを希望されても、果たしてできるかどうか、この辺は少し事務的に検討させていただかなければならないという趣旨で申し上げたわけでございまして、決して人権規約の精神そのものを否定しているものではございませんので、御了承願いたいと思います。
○渡部(一)委員 ではこれは、本日は、この間も御迷惑をかけたことですから、建設省への御質問はこれで終わりたいと存じます。
 次に私が申し上げておきたいのは、わが国の社会保障制度の中には、わが国民に適用の対象を決められているものがございます。国民年金、児童扶養手当、児童手当、戦争犠牲者に対する各種援護法等に国籍条項が設けられておりまして、外国人に対する適用というものを排除しているものがございます。さらに進んで、法律上国籍条項が存在していないにもかかわらず、運用の上で排除している面がいろいろとございます。これに対して御答弁をいただかなければなりません。時間がないものですから、簡明率直に今後の取り扱いについて、方向性について御答弁をいただきたいと存じます。
○松田政府委員 ただいまの問題、御指摘の点がございます。
 これらの制度につきましては、いろいろな実施に伴う技術的問題もございますけれども、また諸外国での状況あるいはILO等の条約等も考慮しながら国際人権規約の趣旨に沿うように前向きで検討をしてまいる所存でございます。
○渡部(一)委員 この問題は、同僚各委員からもうかなり克明に御質疑があったようでございますから、いまの総括的なお話で、それで一応次へ進みたいと存じます。
 次は、外国人の教育についてでございますが、教育の無償について取り決めましたA規約の十三条二項の(a)及び民族教育その他に関することを取り決めましたB規約の二十七条につきましてお尋ねをしたいと存じます。
 これは文部省の御関係かと存じますけれども、外国人学校についても、初等教育については「義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする」というA規約十三条の規定というものは実現されなければいけないことになると存じますし、また、B規約の二十七条で、外国人は「その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。」とありますので、外国人の民族教育あるいは自己の宗教の信仰等についても、これは保障されなければならぬ形になるわけであります。そこで、現在の外国人学校のほとんどというものは、学校設置基準によりますると各種学校として行われておりまするから、この外国人学校を学校教育法一条の学校と認めるかどうかということが、まず最初のネック、最初の問題点になるかと存じます。この辺は日本の教育に対する取り扱いで一番大きな変更になる部分であると存ずるわけであります。
 時間がありませんから、これに足して申しますが、外国人の教授に対する採用、外国人の優秀な研究者を日本の国へ頭脳輸入で持ち込んでくるということに対して、現在の法制というものは人権規約上の問題があり、大きなネックにもなっておるわけであり、今後の再検討をお願いしなければならぬと存じます。以上、三つあわせて一遍にお伺いいたしますが、御答弁をまとめてお願いしたいと存じます。
○篠澤政府委員 お答え申し上げます。
 まさにただいま先生御指摘のとおり、外国人の学校につきましては、学校教育法第一条に定める学校という点について問題のあることは御指摘のとおりでございます。かかる意味におきまして、外国人学校は現在、これも御案内のとおり各種学校ということになっておるわけでございます。
 さらに、申し上げるまでもないと存じますが、各種学校、特に外国人学校につきましては、その設置の目的なり性格なり教育内容、言葉をかえますれば、教育の目標なり教育の課程なり、さらにはその学校の教員養成の態様というものが一条校にはなじまないということでありますので、したがって、各種学校となっておるわけでございます。
 特に問題になりますのは、外国人の子弟に対しては一応小学校から大学まで門戸は開かれておる。御指摘の点はそういう外国人学校から日本の国内の一条校の方に進めるかどうかという点であろうかと思いますが、この点につきましては国内の諸規定、法律その他の諸規定との絡みでございまして、大きな問題点であるわけでございまして、現時点におきましては一条校とは違うという点にかかわりまして入学資格等について問題があるというふうに理解をしておるわけでございます。これにつきましては、先生の御指摘のあったことを一応留意さしていただきたいと思います。
 それからさらに、外国人の教員の問題なり研究者の交流等につきましての問題につきましては、大学におきまして大学の教官として外国人を任用する件について、かねがね検討を進めておるわけでございまして、これにつきましても前向きに検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 それでは、今度は外務大臣にまとめて少しお伺いしたい。
 ただいまの御答弁でもあるわけでありますが、現行法規との接触点というものをなるべく直さないで、弾力的に現行国内法を運用することによって突破しようという御答弁が幾つか見受けられました。また、将来大幅に直そうという形で、厚生省の答弁によく見えるのでありますが、予算措置その他を考えると頭の痛くなるようなたくさんの財政措置が要るので、まあ将来これはひっくるめて直しますよということでとりあえずやっていこうというふうに構えられる官庁があるわけであります。もう一つは、国内法との競合部分というものについて、同僚委員からすでに御質問のあった留保に関する部分でありますが、これをむしろ厳格に理解することによって留保をなるべくたくさんつけて、そして完全に国内法と競合しない部分についてのみ国際協定というのを承認するというふうにやっていこうという、こういう三通りの対応があるやに私は見えるわけであります。
 私は、これはやはりわが国の憲法九十八条の規定からいいますと、「日本國が締結した條約及び確立された國際法規は、これを誠實に遵守する」これが憲法の規定にもかなうと同時に、日本国の将来の信望を高めるゆえんにもなろうかと思います。まず、これについての御意見を承りたい。
 第二は、今度は国際的に同じやり方があるということを申し上げたい。
 社会主義国のある国家においては、この人権規約に対し、自国内の人権侵害の事実を隠蔽するため、ことさらに早くこの人権規約に加盟した徴候を多く見受けるのであります。そして人権規約に入ったことによって自国内の人権抑圧の事実というのを免罪する免罪符にしようという方向性が与えられたというところが明らかに見てとられる点があります。また、ある国家群は、この人権規約の部分が国内法と合う部分をきわめて厳格に理解して多数の留保をつけ、そして留保条項が国内関係諸法と抵触しないように配慮した国家もあるわけであります。また、ただ弾力的運用を山ほどやってのけることによって突破しようという、こういう日本型のところは、他国には余り見えないように私は思っておるわけであります。
 そこで、わが国は人権規約を審査すると同時に、他の国々の人権規約を国内においてどう実施しているかという実施状況についてわが国なりの評価をしなければならぬ時代が来た。つまり、ソルジェニーツィン問題などについては、従来の、前の外務大臣の御答弁等においてはなるべく意見を言わない、それは外国のことなんです、わが国外務省は関係ないんだ、それはよその国でよその国がやっておることだという立場で、一貫して無関係と言わんばかりの御答弁で通り過ぎてきている面がある。人権規約の締結というものは、わが国外務大臣や総理大臣が他国の人権尊重の実態について発言を迫られ、あるいは先方からの発言を実質的に受け入れなければならない時代の幕があけたことを示しているものと私は思うわけであります。したがって、規約にサインすれば済むのではなく、人権問題について十分の審査を今後はし続けなければならないし、情報も集めなければならないし、意見も開陳しなければならぬというお立場にあると私は思うわけであります。
 その意味では、国連局の中に人権規約に関する部局を設けるなり、あるいは人権規約執行に関してさまざまな情報を集めるなり、また、人権の問題について日本の総理大臣の施政方針の演説あるいは外務大臣のごあいさつの中にも表明されるなど、国際会議の席上においても、人権の問題についてむしろ積極的にこれを推進する立場から、わが国外交の有力な武器として、わが国の平和自主中立外交の立場から有力な武器としてこれが用いられなければならないのではないか、こういうふうにも思うわけであります。
 ごちゃごちゃ申しましたから、大臣が御答弁になる前に、まず局長の方から御答弁していただきましょうか。よろしくお願いします。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 わが国の本件人権規約に対する取り組みの問題でございますが、先ほど御指摘がございましたように、非常に綿密に内容を審査して、留保すべきものは、現下の情勢においてやむを得ないと判断されるものは留保いたしまして、その他の問題につきましては、A規約については漸進性の規定がございますので、これで努力を放棄したというのではなくして、今後漸進性の原則に従って努力を継続してまいる、こういう立場でございまして、列国に比して遜色のない審査の態度で従来参ってきておりまして、今回御批准をいただくわけと考えております。
 それから各国の運用状況の把握、これは御指摘のように大変大事なところでございますので、これにつきましてもまたいろいろ工夫をさせていただきたいと思っておりますけれども、先ほど東欧圏のお話も若干ございましたが、これは、東欧圏の国々といえども、批准をいたしますれば国連に対する報告義務を負うことになるわけでございまして、そういう意味では、経済社会理事会あるいはその他の関係機関がこれを審査し、人権規約の中身についてもし仮に不満がございます場合には、これがその国に還流してその矯正を促すという制度があるわけでございます。
 それから、他国について余り文句を言わないようなシステムになっているのではないかというお話でございますが、これにつきましては、A規約につきましてはその固有の人権委員会、B規約についても組織がございまして、日本は御批准をいただきますれば加入資格がございますので、そういった人権委員会に出てまいりたいと考えておるわけでございます。その人権委員会の席上で、活発な審議を通じて遠慮をしないで各国についての議論をしてまいる、これは今回の御批准のタイミングと選挙の関係ですぐに立候補というわけにはまいらないという事情でございますが、可及的速やかに立候補をいたしまして、その場で大いに発言をしてまいる。
 それから、省内の機構の問題でございますけれども、いま国連局の中におきまして、人権担当者は相当な数をそろえておるところでございまして、ひとつまじめに鋭意やってまいりたいと思っております。
○渡部(一)委員 非常にいい御答弁をいただいているわけですが、最後にまとめまして大臣から御答弁をいただきたいと存じます。
○園田国務大臣 御審議を願うについては、留保事項、現在の法律の運用によってやろうというもの、あるいは将来検討しようというもの、いろいろ意見があるわけでありますが、このほかに国家財政というものの現状が社会保障その他の問題にあるわけでございます。いずれにいたしましても、この人権規約を御審議願い締結したいという政府の考え方は、いままでの日本のあり方というものをそのままにして、そして世界から非難を受けないように人権規約を結ぼうというのではなくて、いろいろ個人に経緯があるとおり、国にも沿革があり、経緯がございます。しかし、時勢は急速に変わっておる。国際情勢も変わっておる。物の考え方も変わっておる。ひとり一国が閉鎖的な物の考え方でやっていける時代ではございません。人権についてもそのとおりでありまして、自分を守るためには他国と話し、他国と一緒になって人権を守ろうということが間違いなしに新しい方向であると存じますので、この批准をお願いした以後は、それぞれ速度の問題、困難性の問題等ありましょうけれども、いずれにいたしましても、人権規約の締結、これに盛られた規定が基本の方針であって、これに向かって漸次日本の法体制あるいは国内体制というものも検討し、改善をしていかなければならぬ、これが本筋であると考えております。
○渡部(一)委員 以上です。ありがとうございました。
○塩谷委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 日米首脳会議に出席された外務大臣、大変御苦労さまでございました。お疲れでしょうから、短時間で私なりの質問を終えたいと思います。
 まず、国連で採択されたこの国際人権規約、ちょうど十三年になるわけです。先進国であるわが国が、事人権に関しては非常に後進的であった。いま期せずして閉鎖的な考え方、まさに私はそうであったと思います。再三私は機会あるごとに、どうしてもなくさなければいけないのは核と差別であり、守らなければいけないのは平和と人権であるということを提唱し、訴えてきたわけです。そして、この前の委員会では、逐次条文を追って具体的な事例について質問をいたしました。一定の政府の見解もちょうだいいたしました。きょうは、まとめてという表現はどうかと思いますけれども、どんなときにでもやはり基本的人権を守る、とりわけわが国における基本的人権は言うに及ばない、必ず守るのであるという強い決意を持っていらっしゃるということを、ここでもう一度外務大臣の答弁の中で確認をしたい、こう思うのです。
 私は、この国際人権規約が非常に難産の末やっと生まれ出ようとしているきょう、非常に意義のある日だと思うのです。これはまさに約一年前、五月三十日に外務大臣が国連に出向いて署名をされたということが、政府をして取り組ませたきっかけにもなった、動機にもなった。そういう点については、園田外務大臣に対して私は本当に心から御苦労さまでした、ありがとうございましたという言葉を贈りたい、こう思うのです。ここで確認という意味で大変恐縮なんですけれども、前回も、いわゆる人権を守るための基本的な制度、法律等については整備をしていくという心づもりを披瀝していただきましたが、すべての人権を守る、とりわけ言うには及ばない国内における国民の基本的人権を保障するための十分な手だてをしていくということをもう一度重ねて確認をしておきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいま御発言のとおりでありまして、私としては、人権規約締結を契機に、逐次日本の国内体制を閉鎖的な面から開放的な面に、もろもろの国の政府と力を合わせて、どこの国の人々の人権も守る、そのためにはまず日本に住む人々の人権、これは日本人という意味だけではございません、これからやるべきだという信念はますますかたいものがございます。したがいまして、この方向について努力をしたいと思います。
 蛇足でございますが、今度の日米会談で、私としてはうまくいったと思っておりますが、そのうまくいった一つの理由は、難民問題に対して日本がこの前決めました五百名の総合対策を、正直に言って高く評価しているわけではありませんけれども、日本が前向きに前進し始めたということであって、その根底は人権であります。日本はいままでわずか三名だったそうじゃないかということを大統領の口からじかに聞いたわけであります。こういう点からいっても、やはり外交の基本、国と国との交際は、お互いに人権を守るというところから発足するものと私は考えております。
○井上(一)委員 難民問題については、次回の委員会で改めて取り上げていきたいと思うのです。
 もちろん国際人権規約というのは内外人平等の原則をうたったものでありますから、当然、とりわけアジアにおける人権を守る政策、外交に力を入れていただかなければいけない。あえて私がきょうここで締めくくりの質問をしたいというのは、国民の権利保障からいわゆる人間としての権利保障に、この国際人権規約は明記されつつあるのです。ところが、その国民の権利保障が十分保障されていないという日本の国内的な事情。それはわが国の憲法十四条で、社会的身分その他門地、あるいは思想、信条等によって差別をしてはいけないという明確な条文があるわけですけれども、具体的には総理府総務長官あるいは労働大臣等から、前回の質問の中で同和問題の具体的な事例を出して、わが国における人権侵害の具体的事例が披瀝されたわけです。
 私は外務大臣に、そういう意味でひとつ人権基本法というもの等も考えて、日本の国における現実の差別あるいは人権侵害をなくすための努力をさらに強めていただきたい。もう定義の時代は過ぎたんだということを申し上げております。いわゆる実施の時代だ。もう定義を議論する時代じゃなく、どう取り組んでいくか、そしてそれをなくするために、問題を解決するためにどういう手だてをしていくかという時代に入っているのですから、そういう意味では人権基本法というものもぜひ必要ではないだろうか。ただ単に同和問題は特別措置法ということだけで解決するんだという、そんなものじゃない。もっと人権の基本的なものをちゃんと守るための人権基本法、すでに憲法の十四条では明確にされておるのだけれども、問題が起こっておる、こういうことなんです。そういうことを考え合わすと、やはり何としても平和のために私は永世中立平和宣言をしなさいということを言っておりますけれども、これについては外務大臣と私の見解が違う。
 しかし、人権については私は全く同じだと思うのです。それできょうはあえて私なりの締めくくりの質問として、人権を擁護するためにその基本的な柱になるべき法律あるいは条令、制度、何らかのものをつくっていかなければいけない。それが、仮称ですけれども、人権基本法というものが必要ではないだろうか。そういうものをぜひつくっていかなければいけない、そうでなければ実施に移せない。ただ単なる定義だけに終わってしまう。ただ生んだらいいんだ、生まれたらいいんだ、批准したらいいんだということではなくして、これをどう育てていくか、どういう手だてを加えていくか、これが私はこれからの課題だと思うのです。恐らくきょう本会議でこれが批准される、非常に喜ばしい。生まれたけれども、完全にこれが育つような手だてをするために、私は、やはり何としても人権に対する基本法というものの制定に向かってなお一層の努力をしてほしい、その決意を承っておきたいと思います。
○園田国務大臣 的確なごりっぱな意見だと思って拝聴いたしております。したがいまして、そのようなことをやるのには、ごらんのとおりになかなか広範にわたり各省の意見がいろいろあるわけでありますから、そういう目的のためにここで何か基本法というものをまとめるための審議会とか委員会とか、そういうものも考えてみたらいいじゃないか、こう考えますので、各省とよく相談をして前向きに検討いたします。
○井上(一)委員 各省との交渉、私は、さっき言った定義だけの、あるいはその言葉の持つ意味のただ単なる机の上だけの定義では困ると思うのです。なぜ三十八歳の若い婦人が餓死をしていかなければいけないか、こういう現実があるわけなんです。このことについても私は、さっき厚生省の人がいらっしゃったから、きょうは時間がありませんから質問しませんけれども、いろいろ具体的な事例があるわけです。だから、各省と交渉されあるいはこれから折衝していくその先頭に外務大臣が立ってほしい。あなたが国際人権規約の本当の生みの親であった、そしてそれのきっかけをつくった。十三年ほったらかしにしておったいままでの日本国政府に人権という問題を大きく植えつけた張本人である。だから私は、ぜひ基本法というものをつくるための各省との折衝を、いまおっしゃるように努力をさらにお願いしておきたい。
 それともう一つ、明日からマニラに行かれるわけです。とりわけアジアにおける人権問題、わが国はその先頭に立つべきだ。フィリピンは幸いA規約については批准しております。わが国はきょうA規約、B規約ともに批准されようとしているし、きょうは本当に意義のある日です。そして、あすUNCTADの南北問題の会議に行かれるわけです。こういう折に、それこそまさに国際人権規約を私どもがいろいろな角度から時間をかけて批准をしたその精神というものをくみ取ってもらえれば、いわゆる人権外交があすに生かされるのではないか、そういうことを考えれば、より外へ向けての人権と内に抱える人権問題、とりわけ同和問題、部落差別という問題については、ただ単なる特別措置法というそんな一時的なものでは問題の解決にはならない。基本的な問題に触れて、外務大臣がその先頭に立って努力をしていただけるかどうか、私はいただけると信じておりますが、最後にもう一度、強い決意と取り組みの姿勢を伺って私の質問を終えたいと思います。
○園田国務大臣 あすUNCTADの総会に出発するに先立って、本人権規約を本日会議で採決願うことはまことに意義のあることであると存じます。わが外務省、各省と一緒に努力はいたしましたものの、この人権規約の生みの親は、お世辞でなしに当外務委員会であることはお礼を申し上げておきたいと存じます。
 外交については、やはりその国が信頼を受けることが一番大事であります。国が信頼を受けるということは、その国の中で人権が守られているということであります。これは間違いございません。そこでこれの必要性を一番感ずるのは外務省でありますから、各省の方と相談をいたしますが、間違いなしに、先頭といえばおこがましいことでございますが、中心になって努力をする決意でございます。いまのは国内的な基本法の問題でございます。そういうつもりで努力をいたします。
 人権基本法についても、いま申し上げたように各省と相談をして前向きに検討をいたします。
○井上(一)委員 では終わります。
○塩谷委員長 土井たか子君。
○土井委員 園田外務大臣が国連本部で人権規約に署名をなさるに当たりまして、日本政府が留保と解釈宣言をここで行っているわけであります。したがいまして今回、この審議の途上で幾たびとなく留保と解釈宣言の内容に触れて質疑が繰り返されているわけでありますが、この解釈宣言の問題について、特にこの解釈の内容に変更を生じたあるいは解釈宣言そのものに対して解除するというふうな実情が日本の国として起こってまいりました場合には、これについては新たな国際的な手続が必要だと考えられますが、この点はいかがなんでございますか。
○園田国務大臣 逐次検討されて留保事項が漸次解除された場合、この解除の宣言を行う必要があるのか、あるいは通告によって終わるのか、これは事務的な問題でございますから国連局長からお答えをいたします。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 解釈宣言を将来変更するような事態が生じました場合には、これは仮定の問題でございますが、その段階において国内法の改正が発生をしておることと思いますが、国内法の改正を所要の機関に直ちに端的に通報いたすという手続を考えているわけでございます。
 解釈宣言そのものをどういうふうに処理いたすかという点は条約の問題でございまして、これは土井委員から前回にも御指摘があったわけでございますが、これは将来の問題でございますが、暫時御猶予を賜りまして、もし解釈宣言が変更になった場合には、その事態を国際的に十分受け入れられる手続というものを検討いたしますので、その点は御安心をいただきたいと思っております。
○土井委員 国際的に十分受け入れられる手続とおっしゃるのはどういうことでございますか。
○賀陽政府委員 土井委員の御指摘になっておられます点は、私がそんたくさせていただきますると、解釈宣言そのものを取りやめるということを御指摘かと思うのでございますが、解釈宣言の取り消しが本当に必要なのかどうか、日本がすでにその段階において国内法の改正に踏み切っておった場合には、解釈宣言というものは自動的にどうなりますかという点につきまして、果たして人為的に解釈宣言までいじる必要があるのかどうかという点について、暫時御猶予を賜りまして、条約局とも検討してまた御報告させていただきたいと思います。
○土井委員 これは手続的な問題とはいえ、実は非常に政治的な意味もあるように私は思うのでございます。というのは、一九二九年七月二十四日に日本は不戦条約を締結いたしておりますが、この不戦条約を締結するに当たりまして、政府宣言書というのがございます。政府宣言書によりますと、「千九百二十八年八月二十七日巴里二於テ署名セラレタル戦抛棄ニ関スル条約第一条中ノ「其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ」ナル字句ハ帝国憲法ノ条章ヨリ観テ日本国二限リ適用ナキモノト了解スルコトヲ宣言ス」と書いてある。この宣言実施に対して取り消しの国際的手続をとらない限りは現在も有効だという御答弁を先日、この外務委員会の席において披瀝されました。と同様に、今回の人権規約においても、この解釈宣言に対して国際的手続をとらない限りは国際間においては有効だということがあくまで続くのじゃございませんか。そして現に解釈宣言ということをなさったその手続はやはり国際的手続であります。したがいまして、これを解除する、すなわちこれについてはもう効力がないのですよということの確認も国際的手続を必要としている。だから、自動的にとおっしゃるのはどうも私はいただけないというふうに考えているわけであります。いかがでございますか。
○園田国務大臣 事務当局が盛んに検討しておると申しますのは、解釈宣言変更の宣言とかそういうものをやる必要があるかないかという事務的な研究をしているのだと存じますが、実はそういう問題ではなくて、この解釈宣言が変更になったら、国内は国内法の変更によって消滅するわけでありますが、国際的にはやはり宣言するとか通告するとか、日本がこの解釈はこのように変えましたということをよくわかるようにアピールするつもりで手続をやった方がいいと考えておりますから、もうしばらく研究させます。
○土井委員 それと、これは一たんこの人権規約を締結いたしましたら以後、この締結をしてから後に、一部を勝手に政府の見解でもって留保するということは万ないと私は思いますけれども、こういうことはできませんね。
○山田(中)政府委員 条約に対する留保は、一般国際法上条約を締結するときだけでございますので、一たん締結しました条約につきまして、後に新たに留保するということは国際法上認められておりません。この規約についてもそういうつもりはございません。
○土井委員 国際法上とおっしゃるので、私意地悪なことを言うわけじゃございませんが、条約法に関するウィーン条約あたりを指しておっしゃっているのだろうと思いますが、これはまだ未発効でしょう。したがって、国際法上とおっしゃるのは法的根拠からいうと不確かですよ。国際慣例上ならば、それはそうでしょうとこうなるかもしれませんが、国際法上となると不確かだと私自身は理解をしております。これは大丈夫ですね、日本としては。一たんこれを締結して、それから後政府が勝手に――留保ということは行政行為でございますから、したがいまして、条約を締結することという行政行為を行う政府がいま事前に、あるいは時期によっては事後に、国内的に必要な手続として国会の承認を得るという、こういう段階なのですが、これを通過しますと、もう締結してしまってから後に一部の留保をさらに追加して問題にするというふうなことは、私はでき得ないと思っておりますが、いかがでございますか。
○園田国務大臣 素人でありますけれども、私もでき得ないと存じます。また、やりません。
○土井委員 それでさらに、この人権規約の内容に対して一つだけ、これはもう解釈の上で、技術的なことだけではなくて非常に政治的な意味もありますから、外務大臣に一言御確認を再度お願いをしておきたいと思うのですが、それはB規約の第四条、先日私はこの案件について取り上げたという経過もございます。ここに「国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合」という問題が想定されておりますが、日本の場合には、日本国憲法を見た場合に、直接この第四条に言うような公の緊急事態というものを予定した規定はございません。特に戦争については九条で交戦権を否認をいたしております。したがいまして、特に軍事的な緊急事態については、日本の場合、日本国憲法におきましても、国内法律におきましても全く規定がないわけでありますから、このB規約の中の第四条に言う「公の緊急事態」に対しては、軍事的緊急事態を日本の場合には指さない、このように認識をすべきであろうと思いますが、これはいかがでございますか。
○園田国務大臣 この緊急事態とは、国民の生命、生活全体を脅かされる場合ということが一般的な解釈になっておりますが、それに基づいて今後検討されるべきだと存じます。
○土井委員 それはちょっと外務大臣、不確かですね。やはりこの人権規約というのは、各国の基本法である憲法遵守の立場というのを非常に明確にいたしておりますよ。特に人権に対しての物の考え方は、憲法を超えている部分については人権規約に従うべきなんです。人権規約よりも憲法が超えているときには憲法に従うべきなんです。これが人権尊重の基本問題として今回の人権規約の底流をなしていると私は思います。そういう点からいったら、各国にあるところの基本法である憲法を無視して、公の緊急事態ということに対する認識もあり得ない。こういう立場から考えれば、日本の場合は各国と違うのです。この人権規約をすでに締結している各国と違うのです。どういうふうに違うかというと、日本国憲法には各国にない第九条の交戦権の否定というその条文があるという点が歴然とした違いなんですね。この点を考えた場合に、公の緊急事態を考える場合には、日本は日本の国情がある。日本の国としてはこの憲法の条文というものを無視はできない。これを尊重するということが人権を尊重するゆえんであるということをやはり明確に認識すべきじゃないかと思いますが、外務大臣いかがでございますか。
○園田国務大臣 憲法の条項を遵守することは当然であると存じます。御発言のとおりであります。
○土井委員 それではさらに最後に一点、これはA規約にもB規約にも男女差別に対する禁止の規定が具体的にございます。男女に同等の権利を確保することを約束すると、明確に規定がございます。特に女性の労働権に対しては、母性の保護に対しては具体的に人権尊重という立場で明記の規定がございます。
 さて、ILO関係の婦人に関する条約、母性保護の条約、一連の条約がございますが、実は私は、園田外務大臣という外務大臣には多大の期待をかけている一人なんです。ところが園田外務大臣になられてからILO条約案件は、本外務委員会には一件も提出をされていないんですね。ましてや婦人に関係のあるILO関係の条約というのはいまだ姿を見ておりません。これについては外務大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○園田国務大臣 ILO条約における男女の差別の撤廃、これはもう御発言のとおりであります。全力を尽くして努力をいたします。
○土井委員 全力を尽くして努力をされるという外務大臣の御答弁でございますが、どうもやはり国内的な措置というのが、実情を見た場合に、ILO条約に対して十分に内容を充足していないという事情がある場合は、なかなかこれを締結するのはむずかしいのですね。そういうことからいうと、外務大臣に率直にお尋ねいたしますが、日本の国内的措置をいろいろ考えていく場合、外務大臣がもしILO条約を締結するに当たって一番苦心なさるのは一体どういうところでございますか。
○園田国務大臣 ILO条約の男女の問題解決に当たって、国内法、国籍を初めいろいろな法律に関係があることは私もわかっておりますが、具体的には、専門家でございませんから、どれが一番大きな障害か、これは労働省関係と法務省関係が一番大きな問題だと言っているのでありますが、まことに申しわけありません。
○土井委員 特にILOは国際法規でございますから、そういう点からいったら外務省が何と申しましても主たる省であることは言うまでもございません。したがいまして、いまおっしゃいました関係省庁に対してやはり督励をしていただくということが、当然、この節人権規約を締結するに際してあるであろうと思います。いままでも大変な御努力をいただいているということを私も信じてやまないわけでありますけれども、今後一層、人権規約を締結するに当たりましてそういう点での国内整備というものが急がれるわけでございますので、一層のそういう意味での御努力というものをお願い申し上げたいと思いますが、それはよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 この人権規約の御審議を急いでお願いをする大前提には、ただいま言われた大きな責任があるということを覚悟してお願いしているわけでありますから、国務大臣として各省とよく相談をして進めていくようにいたします。
○土井委員 先日私は、国連局長からは、一九七六年の国連婦人の地位委員会で採択をされております婦人に対する差別撤廃条約については、ワーキンググループをつくって条約草案について審議をしておるところでございますという御答弁をちょうだいいたしております。これはいつごろ作業が終了して、そして恐らくはこの締結に向けて日本としては歩みを始めるという段取りになるかという、そのあたり少しお聞かせをいただいておいて、私は終えたいと思います。
○賀陽政府委員 ただいまの条約関係の審議でございますが、本年九月の国連総会におきまする第三委員会、婦人の問題の委員会でございますが、これで恐らく、大体は審議が終結するのではないかと思っておるわけでございます。
○土井委員 これで終わります。ありがとうございました。
○塩谷委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 外務大臣、お帰りになってお疲れのところだと思いますので、私も簡潔に二、三の点を御質問させていただいて、締めくくりにさせていただきたいと思います。
 このたびの人権規約、この問題は、私は象徴的に、一つは国内では具体的にどういう措置が講じられるのか、こういうことが出てくるのではなかろうかと思います。私は個人的に、国内での人権問題ですぐ目の前にあると言えば同和問題が一つあり、あるいはまた在日韓国人、在日朝鮮人問題、これに対する処遇というものがどういうふうな形で具体的にあらわれてくるのか、ここら辺が注目されるところだろうと思います。第三には、いま問題になっておりますベトナム難民問題、こういったところが当面、この人権規約、これとの関連の中で出てくる問題であろうと思います。
 私、関連いたしまして、そういう立場から在日朝鮮人、在日韓国人の問題につきまして一、二御質問させていただきたいのですが、いままでの質疑応答を見ておりましても、在日韓国人の方々、朝鮮人の方々に対しては差別が依然として残っている、これを何とか、運用か何かで改善しようとするそういう方向、意図は感じられるのですけれども、在日韓国人の方々の方から見ると、税金ばっちり、そして福祉さっぱり、こういう言葉が出てくるような状態だということがあります。B規約の第二条一項を見ましても、この人権規約というものの対象になるのは、領域内にあってその管轄権に服するすべての個人ということになっている。それからまたA規約においては、同九条で、この規約の当事国はすべての者が社会保障を含む権利というものを受けるということが規定されている。たとえばそういう観点から見ましても、在日韓国人、朝鮮人の方々の処遇というものは日本国民と同じでなければならぬ。ところがそういう点では、教育の問題から、あるいは社会保障の問題から、あるいは権利の問題から、行政上ずいぶんさまざまな制約があるということがいまも明らかになってきております。また、改善しようという方向も答弁の中では出てきております。
 私、個々の問題については触れませんけれども、外務大臣として、在日韓国人問題、これをどのような方向で処理すべきか、対処していくべきかという点につきまして、大まかなところをお聞かせをいただければありがたいと思います。
○園田国務大臣 在日韓国人の問題で差別があることは、これは各省ともよく認められているところでありまして、何とかして改善をしていきたい、こういう方向ではあります。
 一番大きな問題は、御承知のとおり財政上の問題でありまして、年金、社会保障、住宅の入居ということは財政上の問題が一番大きな問題であります。これは人権規約ができたからといって急には変更にはならぬと思いますけれども、しかし改善の方向に、法的に財政的に各省と一緒になって努力をしていき、一日も早くこれが撤廃できるように努力する所存でございます。
○渡辺(朗)委員 前向きの御発言をいただきましたが、私が見ておりまして、在日韓国人、在日朝鮮人の方々の立場に立って考えて見ますと、取り締まりばかりがありまして、保護するところは一体どこなんだ。たとえば保護という観点から、外務大臣、どういうところが窓口になり、どういう機関が保護をすべきだとお考えでございましょうか、そこら辺をひとつ聞かしていただきたいと思います。
○賀陽政府委員 渡辺委員の御質問でございますが、保護の実際のやり方の問題と思います。
 これは教育関係、社会保障関係、特に国民健康保険の問題、年金の問題、児童扶養手当の問題があることは御高承のとおりでございますし、労働関係もございますので、それらの各省にまたがる問題でございますが、外務省といたしましても、統一的な判断を、御批准をいただきます条約に基づいて、今後遺漏なきを期したいと思っている次第でございます。
○渡辺(朗)委員 いまの在日韓国人、在日朝鮮人の問題、こういうことで、わが国の総生産に対する納税率を見ましても、一三%が日本国民、在日韓国人だけでも二八%の納税率である、こういうふうなことを言っておりますね。そういう観点からしましても、さきに指摘いたしましたように、取り締まりばかりが強化されるのではなくて、そこに保護されるものがないと、これは本当にフェアでないと思います。また、そういった問題点を、今回の人権規約、これに関連いたしまして、世界各国あるいは国内の人たちが注目しているところであろうと思いますので、やはり個人の保護というところに力を入れていっていただきたいというふうに、これは要望をいたしておきます。
 さらに、私はきのう参考人の方々の御意見をいろいろ聞いておりました。そのときに一つ出てまいりましたのは、この人権規約、これを国会で採択する、承認が与えられる、こういうことは結構なことであるけれども、しかし、これからの実施というものが、国会で採択したから、承認したからそれで終わるのではなくて、これからの問題であって、これを推進していく何らかの機関なり、あるいはまた、いろいろ各省間の調整をやっていくような仕事もあるだろうし、そういうものを調整し、推進する役割りの何か機関というものが必要ではないかという意見がございました。これについては外務大臣、どのようにお考えでございましょうか。
○園田国務大臣 これを推進するについても、あるいは国内法の改正についても非常に範囲が広いわけでありますから、そういう意味において、規約締結を承認願った後、これを逐次進めていくためには、関係各省との連絡の審議会か協議会か、そういうものは必要だと私も考えております。各省と相談して、前向きに検討いたします。
○渡辺(朗)委員 審議会かあるいは協議会というようなものを設置される御意向と承りましたが、ぜひ進めていただきたいと思います。
 さらにまた、きのうの参考人の御意見の中で、これは法制化あるいは国内法の調整も大変大切なことであるけれども、人権というものに対して、広くは、やはり国民の一人一人がどのように認識し、これを非常に貴重なものだというコンセンサスを国民的につくり出すことが大切だという御指摘もございました。これは本外務委員会において採決をするという審議を行ってまいりました経緯からして、外務大臣、これは将来に残るものでございますし、私はここで締めくくりに国民向けに一言、どのようにして人権というものをこれから大事にする、そういうコンセンサスをつくり出すという御意見、御見解のほどを承りたいと思います。
○園田国務大臣 国民の方々に人権の大事なことを説き、かつまた自分自分の持っている人権というものを主張し、これを拡大していくという運動を起こすのはひとり外務省の仕事ではございませんけれども、各省と相談し、国務大臣として努力をし、政府全体としていろいろなことを考えてみたいと存じます。
○渡辺(朗)委員 時間がございませんので、最後にもう一つだけお尋ねいたしておきます。
 それは、先ほども申し上げましたように、人権規約に関連して出てまいります当面の国際関係の中では、インドシナ難民センターの問題がございます。最近、新聞によりますと、この離島難民センターの問題で、近々にも外務省の方も参画されて国際会議も開かれるというふうに聞いておりますが、その進捗状況といったものがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 離島センターは当初インドネシアの方で計画をし、これがASEANの計画となり、インドネシアの島を提供する。ただし、その島の提供はインドネシアが提供するのではなくて、ASEAN全体のものとして提供する。これに施設をつくり、いろいろな仕事をしたい、こういう抽象的な話でありましたが、その後またフィリピンの方からも島を出してみたいという案もあるような話でございまして、どのような島を出してどのような施設をつくるかということはまだ具体的な話になっておりません。わが方としましては、これが具体的になり、具体的な計画ができれば、施設費の大部分はわれわれの方で持ってもよろしいぐらいの意思表示をしているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 外務大臣、これからまたUNCTADの方の会議にもお出かけになるわけでございますが、日本国内で人権規約の問題を今日まで審議してまいりましたその精神は、途上国、先進国はともに平等の世界を目指すのだということを基本の精神にしているものだと思いますし、どうかそういう立場で今回のUNCTADにも臨んでいただき、また同時に、これはASEANの中で開かれる会議でもございますので、その問大いにロビー外交も展開していただきまして、日本の外交に大きく裨益していただきますよう要望させていただいて失礼をいたします。
 ありがとうございました。
○塩谷委員長 寺前巖君。
○寺前委員 それでは、私、四点の補充質問をしたいと思います。
 第一点は、人権保障と平和が表裏の関係にあることをこの規約は歴史的経過として位置づけております。そこで、これは前回も問題提起した点ですが、B規約の二十条に戦争宣伝の国内法制定による禁止という問題があるわけですが、私たちは、戦争宣伝というのは事が起こってしまってから後で気がついたでは遅いと思うわけです。直接好戦的宣伝は現在行われていないかもしれませんが、完全にそういう言動は許さない、断固たる決意を示すという立場に立って、このB規約二十条の戦争宣伝禁止の条項について積極的に検討すべきだというふうに私は思うのですが、これに対する見解を聞きたい。これが一つです。
 それからもう一つは、民族の自決権を尊重し、天然資源の恒久主権をこの前も一般的に認められたわけでありますが、そういう立場に立つならば、一九七四年の諸国家の経済権利義務憲章第二条第二項の(a)、(b)、(c)、すなわち、国有化などをその国家の権利と認める立場にはっきり立つべきではないのだろうか。日本が反対をしたという経過があったわけですが、見直しをすべきではないかと思うのです。この点に関する見解を聞きたいと思います。
 それから第三番に、A規約のいわゆる生存権の保障とその実施の観念がやはり弱いのではないか、三つの留保というのはその端的な表明ではないか。そこで、外務大臣は解除の努力の方向を当委員会で約束しておられるわけですが、それを国内的にも関係省庁に進めさせていくということが今後に残された問題だと思います。外務大臣としては関係各省庁への働きをどういうふうに進めていかれるのか、その点を聞きたい。
 四番目に日本国憲法とA規約との関係の問題ですが、十二条に「すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。」とこの規約は指摘しております。ところが、一方憲法の方では、二十五条で「健康で文化的な最低限度の生活を營む權利」というふうに「最低限度の生活を營む權利」という形で出されております。
    〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
それで、現実に生活保護その他福祉の問題を見ても、これが最低限度かということでいろいろ論議にもなっているわけですが、最低限度の保障からさらに進んで、この規約に導かれるところの「最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利」という方向にこれを発展させなければならないという立場で、今後の日本の国内的な行政指導をかち取っていくという方向を持っておられるのかどうか。この四点についての質問を端的にしたいと思います。
○園田国務大臣 人権規約の規定に従って、国内の体制、法律等を逐次人権規約の規定の方向に持っていくという努力をどのようにやるかということでありますが、非常に大事な問題であり、かつまた広範にわたる問題でありますから、先ほどから申し上げているとおり、各省と相談をし、委員会なり審議会なり協議会というものをつくって推進をしていきたいと考えております。
 その他のことについては国連局の方からお答えいたします。
○賀陽政府委員 お答えいたします。
 寺前委員御指摘の第一点の戦争宣伝の禁止の問題でございますが、わが政府といたしましてはこの検討を非常に慎重に行ったわけでございまして、表現の自由との連関でこの禁止の立法措置等をどの程度研究し得るかということでございましたが、戦争宣伝と申しましても、たとえばある場所である人が三分間戦争宣伝の放送をしておったというような場合に、それで直ちに犯罪の構成要件になるかどうか、こういった点になりますと、かなり機微な関連がございまして、表現の自由との関連で慎重を期さなければならないという考え方が出てまいるわけでございます。
 しかし、同時に、この問題が起きた後で取り返しがつかないのではないかという御指摘は、まことにそのとおりと拝察するわけでございまして、その意味で、今後社会情勢の推移、変転を見まして、現在の戦争放棄という日本の基本的な体系がすでに十分浸透しておるとは存じますけれども、社会情勢の変化によってその必要性が生ずるという場合には、立法措置を将来検討することにためらうべきではないという考え方で対処させていただいておるわけでございます。
 次は、御指摘の国有化の問題でございますが、これは前回にも御説明をさせていただいたわけでございますが、わが国の立場は、この人権規約、A規約の第一条「すべての人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。」この立場をとるものでございまして、その意味では、「国際法上の義務に違反しない限り」ということには着目をせざるを得ないわけでございます。
 権利義務憲章については、わが国といたしましては、これが開発途上国の正当なる要求を代表する一文がございますので、基本的な総会決議には賛成投票をしておるわけでございますが、分割投票においては少し細かい投票ぶりをさせていただいておるわけでございますが、これは国連の場におきましては間々あることでございまして、分割投票ができます場合とできない場合がございます。これも投票の力で決まるものでございますので、そのあたりはそのときどきの情勢に左右されると存じます。しかし、わが国の立場は「国際法上の義務に違反しない限り」このような開発途上国の権利を認めていくということについては一貫した態度をとっておることであると存じます。
 次の御質問は、たしかA規約の第十二条のお話であるというふうに存じておりますけれども、これと憲法二十五条の比較論を仰せられたと私どもは存じますけれども、憲法二十五条の規定と同じく、この十二条の規定はプログラム的な規定であろうと私どもは思っておりますので、単に観念的にこの十二条を尊重するというのではなしに、憲法に対する立場と同じように、この規定についても具体的プログラムというものを考えまして、先生の御指摘のような到達可能な最高水準を目指して努力すべきであるということは疑いを入れないというふうに考えておるわけでございます。
    〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
○寺前委員 この国際人権規約は、何度もここで私も申し上げましたし、大臣からも言われた点ではありますが、第二次世界大戦における侵略者、ナチスや日本軍国主義者が、国内では基本的人権をじゅうりんするということと表裏一体で進めたという歴史的事実から、平和のためにも人権の保障が重要であるとして強調されてきた背景を持っております一それだけに、国際的にも国内的にも、多くの人々がこの規約の批准を強く求めてきたものであり、特に侵略国の一員となっていた日本がこの批准をおくらせているということに対する批判というのは厳しいものがあったと思います。また、国内的にも、苦い暗黒政治の時代から平和憲法の道を求める日本国民の中からも、無条件にこの批准を早くやれという声が強まってきたのも当然であったと思うのです。
 ところが今日日本を振り返って見ておりますと、軍国主義的風潮とか、あるいは政府閣僚自身の中からも教育勅語や軍人勅諭の礼賛あるいは有事立法の策定などの動きが強まってきているということを考えてみたときに、この人権規約の内容が全面的に履行されることが改めて強く求められているというふうに私は思うわけであります。
 当委員会で昨日参考人の意見聴取を行ったわけでありますが、その参考人がこぞって言われている点も、無条件に直ちに批准をせよという内容であったし、同時に、国内的な体制を強く求めたというのがその姿であったと私は思います。日本国内では、経済大国だとかいろいろ言われておりますが、今日では普遍的な原則となっている世界人権宣言を条約化した人権規約の内容が十分に尊重されているというふうには見られないというのがこぞっての発言であったと私は推察しました。
 選挙のたびに、企業ぐるみ選挙という形でもって人権を侵害するという問題もあれば、あるいは大企業の中での労働者の権利の抑圧とかあるいは部落差別とか外国人の差別とか男女差別など、いろいろ基本的人権のじゅうりんは現実に存在しているし、国内法でも必ずしもこれでよいというわけにはいかないものがたくさんあると思います。広く国民の中からも人権規約の批准を、さらに今度は国内法の強化においてという要求が出てくるのは当然であります。ところが日本政府が今回とってきている内容を見ますと、この声を正しく見詰めているというふうに私は端的には言えないと思うのです。その姿がスト権や休日の報酬支払いの問題あるいは中高等教育の無償化に対する留保という形であらわれてきているというふうに言えるのではないかと思います。
 そういう点では、外務大臣が残念だということを言われましたけれども、この残念だという態度を私は本当に尊重してほしい。特にスト権留保は、労働者に固有の権利であって、憲法にも保障され、また世界的大勢とも言うべきスト権を留保するということは、これは否定につながるところのものとして理解に苦しむという声が強くあるのは当然でありますし、政府の人権分野における後進性をこれは示したものであるというふうに言われるのもまた当然であると思うわけであります。一日も早く解除されるように強く要求するものです。また、公の休日の報酬の支払いについても、現在の労働条件を将来引き上げ、労働者の生活と権利を保障する責任が政府にあること、あるいは教育の無償化についても、教育の機会均等を完全に実現する立場から必要であるということはいまさら論ずるまでもないことでありまして、政府のこれらに対する留保というのは、日本国民はもちろん、世界の人々の期待をも踏みにじるものと言わなければならないと私は思うわけです。
 そういう意味では、私は、この三つの留保条件というものは速やかに撤回される、あるいは解除されるということを強く要望するものでもありますし、また、消防職員の団結権を全面的に否定した解釈宣言も、消防に勤務する労働者の権利、あるいは先進国では全面否定した国は全くないと見てもよい状況から考えても、強く非難されるものと言わなければならないと思うのです。こういうような点が速やかに改められるように、また、B規約の履行のための措置としての選択議定書の批准も早急に検討されるべきものだ、私は全体の討議を通じてつくづくそういうことを感ずるものであります。
 国際人権規約批准が世界に向けての人権尊重のポーズにならないように、その完全実施を目指して、これらの課題の解決のために積極的に大臣がお約束された点を進めていかれることを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○塩谷委員長 この際、法務省より先刻の渡部一郎委員に対する答弁を求めます。民事局田中第五課長。
○田中説明員 お答えいたします。
 御質問は、現在社会党から出されております国籍法の一部を改正する法律案のような改正を法務省は考えていないかどうかという御質問のようでございますが、このような法制は、実はすでに土井たか子先生から御指摘がありますように、わが国と同じような血統主義、父系主義をとっておりますドイツ、それからフランスなどでは戦後になってから改正しております。ところが、実はわが国と同じような血統主義、父系主義をとっております国はそのほかにたくさんございまして、そこらの国ではまだこういう改正をしていないわけでございます。それはなぜかと私ども推測しますところでは、仮に今回のような法案が通りますと、わが国の場合には近隣諸国との関係で二重国籍者が多数出るおそれがございます。二重国籍者が多数出ますと、二重国籍の場合には、すでに私どもの局長が答弁しておりますように、国際私法の準拠法には、たとえば婚姻の場合には夫の本国法によって決めるとかいう規定がございまして、その夫が三重国籍になりますと二重国籍のどちらの国を基準にして決めるのかというのが一つ問題がございます。
 それともう一つは、実は二重国籍になりますと、国民は常に国に対して忠誠義務を持っておりますので、国の間に利害が対立した場合には、いわば忠ならんと欲すれば孝ならず孝ならんと欲すれば忠ならずというような事態が生ずるわけでございます。そういう二重国籍の場合をどう処理するのがいいのかというのがまだ世界的に決まっておらないと私どもは理解しておるわけです。そのために、御指摘のようにフランス、ドイツは改正をしておりますけれども、フランス、ドイツの近隣の諸国でもまだ改正をしておりませんし、それから、わが国の近辺の国ではまだ改正をしていないわけでございます。私どもとしてはそういう意味では、こういう二重国籍を生じてもいいのかどうかという点について内部的にはいま検討しておりますけれども、まだそこを踏ん切れない状態でございまして、これから各国の改正の動向を勘案しつつ内部的な検討を続けていきたいと考えております。
○塩谷委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○塩谷委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。
 まず、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○塩谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○塩谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○塩谷委員長 この際、大坪健一郎君、土井たか子君、渡部一郎君、渡辺朗君、寺前巖君、依田実君、楢崎弥之助君より、両件に要望決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。大坪健一郎君。
○大坪委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同、新自由クラブ及び社会民主連合を代表して、ただいま議題となりました動議についてその趣旨の御説明をいたします。
 案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。
    経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件及び市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件に対する要望決議(案)
  国際人権規約を批准するにあたり、人権及び基本的自由の尊重は、日本国憲法を支える理念の一つであることを十分認識し、政府は、左の事項につき誠実に努力すべきである。
 一、国際の平和と人権の尊重が不可分の関係にあるとの立場に立脚し、人権及び基本的自由の国際的保障を確保するために、一層の外交的努力を行うこと。
 一、国際人権規約において認められる諸権利の完全な実現を達成するため、当該規約の規定に従って必要な国内的措置を講ずること。
 一、すべての者は法の前に平等であり、人種、言語、宗教等によるいかなる差別もしてはならないとの原則にのっとり、外国人の基本的人権の保障をさらに充実するよう必要な措置を講ずること。
 一、男女平等の原則に基づき、政治・経済・社会・教育等あらゆる分野における婦人の権利の伸張に一層の努力を行うこと。
 一、国際人権規約の留保事項につき、将来の諸般の動向を見て検討を行うこと。
 一、任意的調停制度の宣言(B規約四十一条宣言)について、その制度の運用の実情を勘案し、積極的に検討すること。
 一、選択議定書の締結については、その運用状況を見守り、積極的に検討すること。
以上であります。
○塩谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○塩谷委員長 起立総員。よって、両件に要望決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの要望決議について政府の所信を求めます。外務大臣園田直君。
○園田国務大臣 ただいま、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結につき本委員会の御承認をいただきましたことにつき、心から厚く御礼を申し上げます。
 両規約は、国連で採択された人権に関する基本的な条約であり、内容が広範多岐にわたるため、国会提出に至るまで検討に多大の時間を要したわけでありますが、かかる大きな案件を、今国会における審議の結果、御承認いただきましたことは、各位の御理解、御努力のたまものでございます。
 ただいま採択されました本決議につきましては、政府としては当然の義務であり、今後ともこの決議の趣旨を踏まえ、最善の努力をいたす所存でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
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○塩谷委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十二分散会