第087回国会 決算委員会 第13号
昭和五十四年六月四日(月曜日)
   午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 加藤 清二君
   理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君
   理事 津島 雄二君 理事 森  美秀君
   理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君
   理事 林  孝矩君
      玉生 孝久君    玉沢徳一郎君
      西田  司君    野田 卯一君
      羽田  孜君    高田 富之君
      楯 兼次郎君    春田 重昭君
      玉置 一弥君    安藤  巖君
      永原  稔君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 古井 喜實君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        文 部 大 臣 内藤誉三郎君
        厚 生 大 臣 橋本龍太郎君
        農林水産大臣  渡辺美智雄君
        通商産業大臣  江崎 真澄君
        運 輸 大 臣 森山 欽司君
        郵 政 大 臣 白浜 仁吉君
        建 設 大 臣 渡海元三郎君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       澁谷 直藏君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)田中 六助君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      三原 朝雄君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      金井 元彦君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 山下 元利君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      小坂徳三郎君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      金子 岩三君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 上村千一郎君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 中野 四郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        行政管理庁長官
        官房審議官   中  庄二君
        防衛施設庁長官 玉木 清司君
        防衛施設庁施設
        部長      多田 欣二君
        国土庁長官官房
        審議官     四柳  修君
        国土庁地方振興
        局長      佐藤 順一君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   千葉 一夫君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
        大蔵大臣官房審
        議官      伊豫田敏雄君
        大蔵省主計局次
        長       吉野 良彦君
        大蔵省理財局次
        長       吉本  宏君
        大蔵省理財局次
        長       迫田 泰章君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        国税庁次長   米山 武政君
        農林水産省構造
        改善局長    大場 敏彦君
        農林水産省畜産
        局長      杉山 克己君
        食糧庁長官   澤邊  守君
        資源エネルギー
        庁長官     天谷 直弘君
        資源エネルギー
        庁石油部長   神谷 和男君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 豊島  格君
        運輸省鉄道監督
        局長      山上 孝史君
        郵政省人事局長 守住 有信君
        労働政務次官  瓦   力君
        労働省労働基準
        局長      岩崎 隆造君
        建設省道路局長 山根  孟君
        自治省行政局長 柳沢 長治君
        自治省財政局長 森岡  敞君
        自治省税務局長 土屋 佳照君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局司
        計課長     石井 直一君
        会計検査院長  知野 虎雄君
        参  考  人
        (日本道路公団
        副総裁)    高橋 弘篤君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  安藤  巖君     安田 純治君
同日
 辞任         補欠選任
  安田 純治君     安藤  巖君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  西田  司君     前尾繁三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  前尾繁三郎君     西田  司君
同月二十九日
 辞任         補欠選任
  春田 重昭君     長田 武士君
同日
 辞任         補欠選任
  長田 武士君     春田 重昭君
六月四日
 辞任         補欠選任
  天野 光晴君     玉沢徳一郎君
  早川  崇君     羽田  孜君
  塚本 三郎君     玉置 一弥君
  田川 誠一君     永原  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  玉沢徳一郎君     天野 光晴君
  羽田  孜君     早川  崇君
  玉置 一弥君     塚本 三郎君
  永原  稔君     田川 誠一君
同日
 理事塚本三郎君五月九日委員辞任につき、その
 補欠として塚本三郎君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
五月二十九日
 昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十二年度政府関係機関決算書
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十一年度政府関係機関決算書
 昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
     ――――◇―――――
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。
 御承知のごとく、これら各件は第八十四回国会に提出され、本委員会に付託されました。
 自来、第八十七回国会の今日まで、長時間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうか等を中心として、各省庁別所管の審査を行ってまいりました。
 本日は、今日までの経過に基づき、各件について締めくくり総括質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、参考人として日本道路公団副総裁高橋弘篤君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○加藤委員長 これより関係大臣に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
○原(茂)委員 きょうは締めくくりの意味で、今日までの各大臣に対して質問を申し上げたりある意味ではお願いをしてまいりました件を、わずかずつ締めくくり的にお伺いをしたいと思います。
 最初に、官房長官の御都合があるそうですから官房長官、次いで郵政大臣、次に外務大臣、それから国土庁長官、次いで自治大臣、次いで大蔵大臣、それから防衛庁長官、農林水産大臣は休憩に入った時間にしてほしいという申し出がありますからそのようにしたいと思います。
 最初に、官房長官にお伺いいたしますが、かつて政府専用機の問題を、園田外務大臣が当時官房長官でおいでになりまして、国際的な諸般の状況から判断して、ぜひ至急に整備すべきであるという提言をいたしました。それをぜひやりたいとおっしゃったままその後聞いておりませんが、今日どういう状況になっているのか。
 もし整備すると決めているなら台数、予備機を含めるのか、並びに管理保管はどこがやるようになるのか、予算はどの程度を見ているのかを、三つに分けてお話をいただきたい。
 次いで二つ目にお伺いしたいのは、会計検査院法の改正についてでございますが、検査院からは改正案要綱なるものが試案として物されまして、私どももそれを見た上で、非常に不満なところはありますが、まあまあ最小限度実現した方がよろしいと考えましてこれの推進を考えているのですが、会計検査院は必要な各方面への折衝を終わりまして、検査院としてはこれ以上どこへ動くこともできない、現在官房長官の手元に預けて政府部内において早期に決定してもらうようにということを恐らく申し入れているだろうと思うのですが、これが今後どのように処置されるのか、あわせてお答えをいただきたい。
○田中国務大臣 お答え申し上げます。
 第一点の政府専用の航空機の購入問題でございますが、前内閣のときに一応購入したらどうかということで閣議で話題になったと聞いております。具体的な話は完了してなかったわけでございまして、大平内閣になりまして一応そういうことを引き継いだような形になったわけでございますが、御承知のように政府が専用機を持つということの理由は、総理を含めまして政府関係の国際的な交流が非常に頻繁となっておりますので、外遊をする場合あるいは外から人が来る場合、そういう場合に使うということ、それから、いろいろな問題が国際的にあり、トラブル、紛争があったときに在留邦人を運ぶのに民間の航空機あるいは自衛隊航空機を使うことが困難な場合に、そういう専用機を使ったらどうかというような理由で購入を問題にしておったわけでございます。
 しかし、御承知のような予算関係で、財源の乏しい中、航空機の購入、いろいろ機種によってあるでしょうが、一機百億ぐらいするかもわからない。それを二機としますと、その倍かかる。それからメンテナンスの方、つまり維持管理費で年間に二十億はかかるだろうと言われております。しかも、これは日航に任せるのかあるいは自衛隊でするのかという問題もありますが、いずれにしても年間二、三十億はかかるのではないかということになります。いままで専用機を持っておりませんで何とか過ごしてきておりますので、そういう諸情勢を勘案しますと、これはまあ節約ということだけで、たとえば海外の紛争があったときに在留邦人を運ぶのに、金目ではかるわけにはいきませんが、いままで何とか間に合わせてきておりますので、そういう観点から見合わせたらどうかということで、大平内閣になりまして航空機の購入問題は、実はギブアップしておる段階でございます。
 第二点の会計検査院の問題でございますが、これも会計検査院の立場からしますと、それからまた、いまいろいろと政府の調達関係を含めまして問題がありますので、会計検査院の権限強化ということは方向としては私どもももちろん不賛成ではございません。
 しかしながら、私契約、たとえば具体的に申しますと開銀と民間企業、そういうものの契約をした場合に、開銀の方でチェックする、それからまた会計検査院の方でチェックするというようなこと、それからまた、私企業でございますのでその下請の企業にまで会計検査院の手が伸びるということになりますと、二重のチェック、これはチェックをする限りはいいことかもわかりませんが、政府としては、政策金融ともなりますので、民間企業の人々がヘジテート、ちゅうちょしていきますとどうしても政策面でもそごを来しますし、また下請、孫請というような段階になっていきますと、もう政府関係金融機関から借りなくてもいいというようなことになっていくと、いろいろな点で損なわれる面も出てまいりますので、その点の配慮も考えて、会計検査院の方と各省庁との調整もございますが、私どもも会計検査院だけに任せているわけじゃなくて、この調整が何とかうまくいけばというようなことを考えております。
 しかし、先ほど申し上げましたような懸念もございますので、その点も配慮して、結論を出すことよりもその運営、運用がどうなるかということも非常に大切でございますので、うまい調整はあるまいかというふうに苦慮しておるのが現段階でございます。
○原(茂)委員 第一の専用機の問題ですが、大分後退した感じになっております。当時の園田さん、いまは外務大臣をやってこの必要性を痛感していると思うので、これも次の委員会のときに時間をかけてもう少し追及しますが、私はもっと積極的に推進すべきだと思う。そういう私の意向も踏まえて、外務大臣などともよく話しながら、いまのように引っ込んでいくことは私は非常に許せないというふうに野党でも考えているということを申し上げておきます。
 それから第二の会計検査院の問題は、前段の官房長官の言いわけなんかは論外だと私は思う。しかし、同僚の馬場委員からこれは専門的にまた後で審議をしていただきますが、一日も早く会計検査院法の改正を通じて、いま起きているような汚職への大きなチェック機関という役目を十分に果たさせる意味の権限の拡大強化は絶対必要だというふうに私は考えていることだけ申し上げておきます。官房長官、結構です。
 次いで、郵政大臣にお伺いしますが、昨年の年末年始、反マル生闘争と称する全逓の闘争がございました。かつて見ないほどの大量処分なるものがその後発表されて現在に至っていることは御承知のとおりです。しかしながら、この問題で、本会議なり委員会を通じて非常に数多くの私どもの同僚が郵政大臣あるいは担当局長等に質問をいたしました。その質問の中で、当局の方に責任はないか、ございます、それに対して適当な処分をしないか、いずれ考えます、随所にそういった記録がある。にもかかわらず、いわゆる組合側と言われる者の処分は大量に発表しておいて、当局の側の責任がどうとられたのか。一々挙げたら切りがないほどに、当局側のこの部署の人間、この局長、この課長等の処分が当然あってしかるべき場合がずいぶんある。にもかかわらず、それには全然触れていない。
 およそどこだって、問題が起きて、しかも長い闘争が起きたときに、一方的に片一方だけが悪いのだと処分をする、そしてこちら側は全然処分がないというような締めくくりがあっていいはずはない。特に郵政の場合、いわゆる当局者と言われる政府の側で十分にその点を配慮しなければ、まともな郵政事業に従事するようにと全逓職員に言ったからといって、それが通るわけがない。やはりおのれを正すべきはまず正すという意味では、最小限度で結構ですが、ぴしっと処分すべきはするという当局側の姿勢が全然示されていないことが不思議でございますから、きょうそれを大臣からお伺いして、至急にその方針があるならある、いまからでも検討をして処分すべきは処分してもらうということが私は必要だと思うので、あえて質問をしているわけです。この一点だけ。
○白浜国務大臣 ただいま原委員から御質問の点については、御質問の中にもありましたとおり、私どもは正すべきは正すということで進んでおりますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、御指摘されたそうした管理者の問題については、何とかしていろいろと資料を出してもらいたい。いま公労委に提訴されているものについては、御承知のとおり、その立場の方々にお任せする以外にないので、当分は見守っている以外にないわけでありますが、組合側から出されました、また各委員会で皆様方から御要望がありました六千件、七千件というそうした多量の問題につきましては、できるだけ組合との話し合いの中でそうした問題を提出してもらいたい、私どものところでも当然調査すべきものは調査をして対処したいからというようなことも申し入れておるわけでありますが、なかなかそうしたことが出てこないというのがいままでの状況だと私は承っておるわけでありまして、決して責任を回避するということで、今日までじんぜんと日を送っているということではございません。その点についてはどうぞ理解をしていただきたい、時間をかしていただきたいということを申し上げて、御質問に答える次第であります。
○原(茂)委員 そうすると、処分すべきものは処分するという方針はできている、その調査なり答申を得るのに時間がかかるから、もうちょっと時間をかせ、待ってくれ、こう解釈してよろしいのですね。
○白浜国務大臣 いま組合との間にも公式、非公式に話し合いを進めておりまして、御指摘の問題についてもこちら側の方から、省側の方からも、そうした問題についていろいろ御指摘のあるところを十分挙げてくれるようにということをむしろお願いしているところでございますので、先ほど申し上げましたように時間をかしていただきたい、そのように申し上げているわけであります。これは、正すべきものは当然正して、対処しなければならぬものについては私どももそのつもりで進んでおります。
○原(茂)委員 もう一度確認しておきますが、当然当局の側においても処分をする、いまその調査をしている、組合にも調査対象になるものを挙げてくるように頼んである、それを待っているのだという面もあるというふうな御答弁でしたが、わかりました。必ず当局の側に何らのきずがないことはあり得ないのですから処分をしていただく、そうして公平に行っていただくことを私から特に要望して終わります。
 それから、次いで外務大臣にお伺いしますが、最初にというよりは一つだけで結構ですが、前回もお伺いしましたマンガン団塊の問題ですが、海洋法会議第一委員会がすでに持たれて今日に至っております。その後の進展を新聞で散見する程度しか知っていませんが、わが国にとって非常に重要な問題だと思いますので、早くこれに対する国の必要な法制その他を行って――国際的に占有権をとれとかいうようなことを私は主張しているのではないのであります。いわゆる開発途上国と言われる数多くの国々の要望というものも十分海洋法会議などを通じてわかっているわけでございますから、それにもぴしっとマッチするようにしながら、しかし彼らの利益のためにも、国際的な利益のためにも、資力のあるもの、技術のあるものが進んでいわゆる先発的な試掘なりあるいはその商用化なりを技術的にも開発しておくということは非常に大事だと思いますし、わが国にとっても何といっても欠くことのできない仕事だと思いますので、本年の海洋法会議の開発途上国並びに先進国と言われる諸国との間のやりとりの詳細はわかりませんが、簡潔に外務大臣からその会議の内容をお話をいただきまして、なお私が前から、きょうも申し上げているように、やはり国内法の整備等を行い、出すべきは出しながら、一日も早くやはりこの深海底探査というものに積極的に乗り出すように、これが国際的な占有権を得るための手段ではないということを十分に世界にわからせながら、これだけは大至急にやるべきだと思いますが、いかがでございますか。この一点だけお伺いします。
○園田国務大臣 海洋法会議、特に深海海底開発については原先生よく御承知でありますから、その経過は詳しく申し上げません。やはりこの前申し上げましたとおり、依然として先進国と開発途上国との間の歩み寄りがなかなかできなくて、まだ合意を得るに至りません。
 そこで、米国、ドイツ等においては、これを待たずして国内立法によって仕事を進めていきたいという傾向がいまなおあるわけでありますが、わが国としては、やはり筋道は国際合意のもとにこの開発を進めていくべきである、そして先進国と途上国との間の意見を調整していくことがわが国の置かれた立場から必要であると考えて、合意に至るよう努力をいたしておりますが、しかし、この前から御注意がありますとおりに、これは非常に大事な問題であって、先進諸国におくれをとってはなりませんので、ここで前もって立法の準備をしておるということを申し上げることは、機微な状況でございますから答えられませんけれども、再三御注意のあるおくれをとらざるよう諸準備をやれということはひそかに検討しているということでお答えにさせていただきたいと思います。
○原(茂)委員 前回から余り日がたっていませんからやむを得ないと思いますし、いまの大臣の言葉の裏にある誠意はよくわかりますので、積極的にその意味の推進を私からも要望して終わりたいと思います。
 それから、国土庁長官に二つお伺いしておきます。
 一つは大規模地震対策に関してですが、さきに御存じのような地域の発表がございました。あの当時も一部変更があるかもしれないというお話がございましたが、現在に至って、この地域指定をされましたその範囲を削るとか、あるいは新たにどこかをふやすとかいう作業がいま進んでいるのか、そういう見通しがついたか、もしそれをやるとしたら一体どことどこに対していつごろお考えになるのかということを知りたいのが一点であります。
 二つ目は、この五月十日に長官らが天竜川、矢作川の流域をヘリコプターで飛んで、そうして一番上流の平谷村、下伊那郡ですが、ここへ着陸して昼飯を食べながら奥地の非常に困難な状態の視察もしていただいたそうでありまして、大変結構だと思うのですが、その結果一体、この奥地の非常におくれている矢作川上流の開発等を中心に何をお考えになり何をおやりになろうとしているのかを、視察の結果で長官が考えていることをお伺いするという二つをお答えいただいて、終わりたいと思います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
 地震防災対策の強化地域の指定につきましては、御承知のとおり中央防災会議の専門委員の方方が先日一部新聞に発表になりましたような強化地域を御指定になりました。しかし、これはあくまでも地方都道府県知事並びに市町村の意向を十二分に参酌しまして、そうして今後どういうような防災的な対策を練るかということを中心にいたしまして、国土庁といたしましてはただいませっかく都道府県知事並びに市町村長に諮問を発しております。これが出てまいりましで、そこで初めていま先生の御質問のような、いや、おれのところは指定されては困ると言うかもしれません、しかし、ほかは指定されておるのに静岡県のようにわずか四カ町村だけ指定されないこともまた困るという意見があるかもしれない。その辺のところは十分地方、知事の意向をそんたくいたしまして……。
 それから、国土庁といたしましても、たとえば岐阜県で言いますと中津川だとか、愛知県で言うと新城、学術的な研究の結果はそうでありましょうけれども、その周辺に関連なしとは言えないのでありまするから、計画を策定するに当たりましては、やはり一般常識をもって防災上の連帯感を持たせるようなラインを決める必要があるのではないか、そのラインの周辺は、近い将来において地震発生の場合においては十分警戒を要すのではなかろうかというような発表の方法がわりかたなじみやすいではないかという点については、今後それぞれの会議の席上で検討を加える考えでおります。
 それから、後段のお尋ねの平谷村の件でございますが、これはすでに御承知のとおり、水の問題はいまの日本にとっては非常に重要な問題であります。そこで、なるべく早い機会に水源地と流域の受益者との間の関係を調整する必要がありまするからと考えまして、五月十日に、手近でありまする天竜、それから矢作川流域から水源地、現地へ参りました。長野県は、何と申し上げましても天竜流域二百万の人口、矢作川流域百十万の人口に対して大きな利益を与えていただいておりまする水源地であります。したがって、飯田、諏訪湖、各所を回りたいと思いましたが、時間の関係がございましたので、矢作川の一番の水源地である平谷村に着きました。
 その当時の状況をつぶさに申し上げる時間はございませんから簡単にひとつ私の感想をお聞き願いたいと思いますが、平谷は、初めて参りましたが、三十五年以降五十年の間に約三五%の過疎状態になっておる村であります。従来は炭を本業としておりましたが、いまはなかなかそういうわけにはまいりません。林業と申し上げてもなかなかそう簡単にはまいっておりません。したがって、ここには過疎債を多く発行いたしまして、できるだけ住民の方々の利益をば保護するように努めてまいりました。
 ただ、私がこの際痛切に感じましたものは、愛知県の流域の末端でありまする碧南方面から見ますると、約百三十七キロぐらい上の平谷というところから受けます恩恵、非常に大きなものであります。ところが、末端の方々は上流のその苦心というものを少しも理解いたしません。ダムを建設いたしますのでも反対の多い最大の原因は何かと言えば、受益者とそれがために被害をこうむる人人の間の理解が深まっていないことであります。そこで、愛知県では水源の基金をつくりまして、五億ばかり金をつくりまして、それを流域の上流の村々に相当金を与えておるのです。
 ところが、残念ながら、行政区域が違いまする長野県の平谷の方に対しましては、区域が違うために金がいっていない、これは間違ったことだと思いまして、今回行きました過程におきましては、国土庁が十分その中に入って、そうして利益を受ける県と水源のために非常に大きな被害を受けておられる市町村との間を調整いたしまして、でき得るだけの調整金を今後差し上げるようにして、そして森林を守ってもらい、山林を守っていただく、ひいては末流の流域の皆さん方の利益を守り得るようにしたい、かように考えまして、今後ともにひとつ水源地の方々と流域の方々の理解を深める、連帯感を深めるための施策を行っていきたい。
 幸い、この間は根羽の方々を、子供さん約三十人ばかりを私らの末端の者がアサリとりに招きまして、二晩ばかり泊めたのです。これが非常にいい感じを与えまして、今度はひとつ川の下の海の者は山へ遊びに来てくれ、こういうような交流をたびたび重ねることが、将来の国民の水を守る上においての大きな利益になるのではなかろうか、かように考えまして、今後とも過疎地でありまする平谷村に対しまして私は最善の措置をいたす考えでおります。
 以上であります。
○原(茂)委員 第一の問題は、御説明のとおりで結構です。
 第二の問題は、非常に私の意を得たりといいますか、ぜひ上流に対する下流の恩恵とのバランスをと考えましたが、大臣から切々といま説明がありまして大変ありがたいと思いますので、ぜひそれが推進、実現できるように、大臣にお骨折りをいた、だきたい。
 次いで、自治大臣にお伺いいたします。
 自治大臣には二つお伺いいたしますが、一つは北富士演習場の問題であり、それからもう一つは、新しい広域市町村圏計画に対してお伺いをする、二つお答えをいただきたい。
 その第一の、北富士の伏魔殿とも言われておりますような一部事務組合につきまして自治大臣にお尋ねをするわけですが、あるときは入会団体であるといい、また一方では一部事務組合であるという富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合についてですが、法制上かかる二面性ある一部事務組合というものが存在し得るかどうかという点について、さきの委員会で検討していただくことになっておりますので、その点をまず明らかにしていただきたい。
 前回は入り会いの内容が不明確なので答えかねるということでありましたが、それでは一体どのような内容の入り会いだったら一部事務組合たり得るのか、それとも私権である入会権の管理団体は、やはりどのような内容であっても一部事務組合にはなり得ないというべきなのか、お答えをいただきたいのであります。
 二つ目に、一部事務組合として監査委員を設置していないということにつきまして、再三再四、何回も私は指摘をしてお尋ねをしてまいりました。これまでのところ、自治省としてはどのような指導をしてきたのか、そしてそれは現在どうなっているのか、明らかにしていただきたい。これが北冨士問題に関する一つであります。
 それから次に、大きな二つ目に、新広域市町村計画についてお伺いするのですが、この計画は、現行計画を見直す立場で、全国三百三十四広域市町村圏のうち近く百四十五圏域を決定し、この計画づくりが本格的に動き出すと聞いておりますが、長野県の場合十のいわゆる圏域に分かれておりますけれども、長野、松本、上小、それから上伊那、飯伊の五つの広域市町村圏が新広域市町村圏の指定を目ざして名のりを上げまして、県もこれをバックアップして一生懸命にいまやっているようですが、聞くところによりますと、この長野県の五つの圏域の指定はいま行うというふうに聞いておりますが、一体残りの五つのいわゆる圏域に対しての指定はどうなのか。いつごろこの指定をいただけるのかをお伺いをする。
 大きな意味でこの二つをお答えをいただいて終わりたいと思います。
○澁谷国務大臣 お答えいたします。
 最初の御質問でございますが、先般原委員からこの点について詳細な質問がございまして、私もこれはなかなか奥の深い厄介な問題だなという認識を持ちましたが、このままにしておくということはどう考えても許されない、そういう認識のもとに早速山梨県の方と、地方課長も出てきてもらいまして県の考え方、それから私どもの考え方、いろいろと話し合いをいたしました。
 それで、その中で一つの大きな問題として御指摘のあった監査委員ですね、これが設置されていないというのは、これは法律のたてまえからいってどうしてもおかしいわけでありますから、こういう点は法治国としての立場から、ぜひとも早急に是正をしてもらいたいと強く要請をいたしまして、県の方でもその監査委員の設置されておらないという事実は認めたわけでございまして、当省の指示に従いまして早急に監査委員を設置するように組合を指導いたします、こういうことに約束をいたしました。(原(茂)委員「それはいつごろです」と呼ぶ)もうかなりたっております。(原(茂)委員「あれからですか」と呼ぶ)あの後です。
 それから、入会権の問題については、これが非常に複雑で、原さん御承知のとおり、山梨県はそもそも入会権を管理する組合と認めておらないわけですね。そういう点で組合との間に基本的な見解の相違、対立がございます。しかし、自治省としては、この問題についてもなお一層組合の実態を私どももう少し知りたいという希望を強く申し入れまして、県の方もそういった実態をさらに調査をして自治省に報告いたします、こういう回答をいただいておりまするし、先般知事選が行われて新しい知事があいさつに参ったわけでございますが、その際も行政局長からこの問題を指摘いたしまして、新知事としてぜひ適正な指導をしてもらいたいということを強く要望しておきました。
 それから、第二問の新市町村圏の指定の問題でございますが、御案内のように、今回百四十五を予定しておるわけでございますが、百四十の指定を大体決めたわけでございます。それで、長野県については、御指摘のように十の圏域がございますが、そのうちで半分の五圏域を今回指定いたします。残りの五圏域につきましては来年度全部指定する予定にいたしております。
○原(茂)委員 第二の問題は結構です。
 第一の、北富士の問題の中の一部事務組合に関して、これは山梨県に聞いたとか入会権のふくそうした今日までの歴史的な経過がどうあるかを検討するという自治省の逃げ口上。自治省が自分のあるべき立場から法律に照らして、この一部事務組合というものが、いわゆる私権を追求する入会団体という仕事ができるのか。今日ある一部事務組合は両方の性格を持っておりますが、一体それが許されるのかどうかという点は、自治省が法文に照らしてイエスかノーかをはっきりと決め得るものなんです。山梨県に聞く必要はないということを承知の上でまだ山梨県に籍口していろいろと日を送っているというふうにしか思えません。
 きょう自治大臣にこれを追及しても、時間がありませんしやむを得ませんから、後刻この北富士の問題は徹底的に、解決のつくまで私は今後生きとし生きる限りやるつもりでございますから、この不正を知っていながらほおかむりをする政府の態度を徹底的に追及していこうという私の決意を次回またお示しをいたします。したがって、大変不満です。いまの答弁はそのままちょうだいしかねるということだけ申し上げておきます。きょうは結構です。
 次いで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、これも北富士問題を先にお伺いいたしまして、後は中小企業の問題について少しくお伺いをしたいと思う。それが終わりました後、会計検査院長にお尋ねしたいと思いますので、御準備を願いたいと思う。
 まず大蔵大臣にお伺いしたいのは、北富士返還国有地二百十四ヘクタール、前々から口が酸っぱくなるほど言っている問題ですが、その山梨県への払い下げに伴う地元との混乱と紛擾についてお尋ねしたいのです。
 この混乱と紛擾は、第一年次事業実施区域の大半にかかる忍草入会組合約百三十ヘクタールの牧草地をめぐる利害関係人の衝突であることは御承知のとおりです。この当事者である造林業者で事業者でもある山梨県と忍草入会組合に対して、林業目的で払い下げた大蔵省として行政的、政治的立場から何らかの指導をすると先日の委員会で答弁がございました。事は急を要します。大蔵大臣の責任ある行政指導を早急に望みたいと思うのですが、そもそもかかる紛争が生ずるであろうことがわかっていながら払い下げた大蔵大臣の責任でもあると言えます。忍草農民と山梨県との不毛の争いの拡大化を防ぐべきだという立場から、大蔵大臣として何らかの形でこの行政指導を早急にやっていただく必要があると思いますが、いかがかというのが第一点であります。
 それから、中小企業の問題に関してはいろいろ資料をいただきましたので、次回、大蔵省のときに詳しくこの問題を掘り下げていきたいと思いますが、きょうは一つだけお伺いしておきたいのです。
 大企業と言われるものあるいは一部などに上場している会社、これに準ずる会社等が、たとえば銀行等から借り入れを行おうとするときには会社の借り入れ保証で済んでいる。ところが、中小企業の場合には例外なしに社長個人の保証、それが非常に多いのですが、もっと悪いのは役員と言われる取締役全体の連帯個人保証までとっているのです。大企業からは社長といえども個人保証はない。中小企業は社長個人の個人保証、そのほかに取締役の個人保証までとっている。私はこれは非常に不公平だと思いますので、やめるなら大企業並みに中小企業も会社の保証で済ますべきだ。中小企業だからというので社長個人なり取締役全体の保証ということはあってはいけない。もしやるんなら、大企業を中小企業並みにやるべきではないか、そういう指導があってしかるべきだ。
 たとえば日商岩井の問題もそうですが、海部さんが云々あるいは島田さんが云々と言われています。これらの人々の非常に気が楽なのは、海部何がしの個人保証はないのです。したがって、会社の経営に対する責任もその意味から非常に希薄になる。したがって、ああいった間違いを起こすような素地がそこにできている。したがって、ああいう航空機疑惑等を防止する立場から言っても、大企業といえども個人保証をさせるということになりますと、むやみにああいった金の使い方はできなくなってくるということも含めて、このバランスをとるべきだ、大企業といえども個人保証を求めるべきだというふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
 この二つ。
○金子(一)国務大臣 先般の委員会での御指摘がございましたので、早速山梨県の方へ何らかの円満な話し合いができないかということでこちらも連絡をとり、早急に結論を出すように話をいたしたのでございますが、これはあなたも十分御承知のとおり大変こじれておる問題でございます。しかも忍草の組合が払い下げの少し前に国有地上に牧草地の開墾なり種まきをやったというような問題に起因しておるものですから、簡単になかなかその結論が出せないでおります。
 それでこの問題につきましては、入会権の存否の問題を絡めて現在司法手続が進行しているものですから、県としては司法判断の下されるまで結論を出すのを留保してほしいという考え方でございます。しかし、基本的には何らかの打開策がとれないもあかということで話をしておることを申し上げておきたいと思うのでございます。
 それから第二段の問題でございますが、これは債権の保全を金融機関がどういう形で求めるかということでございます。
 御承知のとおり大企業の場合は相当の担保があるのが通例でございますので、個人保証なり役員の連帯保証というようなことを求めないのが普通のやり方でございます。しかし、中小企業の場合には、これも担保がある場合には役員の保証を出せというようなことは普通やっておりません。
 結局問題は、債権保全をどういうような形で行うかということでございまして、これはあくまで金融機関の自主的な判断によって決まることでございまして、行政当局がどういう措置をとれと指導する問題とはおのずから別ではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
 以上でございます。
○原(茂)委員 第一の北富士の問題ですが、入会権云々あるいはまた山梨県との話というのが答弁されました。これも必要だと思いますが、私は裁判が進行中だからといって行政の指導をしないでいいという盾にはならないと思うのです。裁判の進行のいかんを問わず、特に入会権の裁判なんというのは百年裁判と言われるくらいですね。いまおっしゃった裁判というのは立入禁止の問題に関する裁判ですから、仮処分に対する判決が出るのは七月の十幾日に延びたそうです。それまでに、前から指摘していますように、せっかく植林をしたものが去年と同じようにまた引っこ抜かれるという不毛の争いになっている。しかもその間にややもすると放火事件が起きたり、暴行傷害事件となったりということがすでに経験済み、またそれがいま予測されるという事態のときに、緊急にそれができないようにするために、これは大蔵省が払い下げるときに付した払い下げの条件どおりに山梨県がやっていないということを十分にそんたくした上で、県として、国として、やはりこれに対する行政的な指導の仕方があると私は前から指摘していますが、いまもそう信じているので、したがって、その点を至急にもう少し突っ込んだ検討をして、私の意思に沿うような大蔵省としてのあるべき行政指導をやっていただくことを強くきょうのところは要望しておくだけにとどめます。
 それから、第二の中小企業の問題ですが、大企業の場合には担保があるから云々って、冗談じゃありません。大企業があれだけの借り入れをする担保なんか実はないのです。なくてやっているのです。中小企業は担保をとった上にまだ個人保証をやっているのですよ。それは大蔵省が銀行を指導するような問題ではないといういまの答弁ですが、とんでもない。
 この種の金融に関して、少なくとも大蔵省としては各銀行、金融機関を監督指導する責務を負っている以上は、ここに公平という原則を常に置いていただいて、中小企業だから非常に歩の悪いこともやむを得ない、大企業だから、というようなことを、いわゆる金融を行おうとする金融機関の判断に任せるべきだというようなことは、大臣がおっしゃったら私は大変だと思うのです。そうじゃないのです。その間に公平の原則に沿って不公平がないかどうか、不公平という過ちがないかどうかということを、金融という監督指導の面に当たる大蔵省としては十分に考えてやることが国民のための大蔵省なんです。
 金融機関が勝手に判断して、大企業はあそこは大丈夫だろう、ごく親しい知人がある、天下った偉い人が来ている、だからあそこへは無条件で融資してもいいのだと勝手にどんどんやる。その結果があかのように日商岩井のような事件になったり、いろいろな過去の汚職になったという面もあるわけですから、したがって、この際はえりを正して、大蔵省はこの問題に対しては公平の原則に沿って中小企業と大企業の差がどこにあるか、これは不公平ではないかというものの洗い出しを行って、検討していただく、そして善処をするということぐらいは大蔵省としては当然だと思うのですが、大臣、もう一度この件に関してだけお答えいただきたい。
○金子(一)国務大臣 お話しの点は、大企業と中小企業の区別は全然いたすつもりはございません。あくまで金融機関の金融の健全性の立場から、公平に扱うように指導しておることを重ねて申し上げておきます。
○原(茂)委員 公平に扱っているから間違いないのだという言いっ放しじゃなかったように思うのです。やはり検討はすべきだと思いますから、十分私の言ったことと大臣の言ったことの違いを含めて検討していただくように強く要望しておきます。改めてまた大蔵省には聞きます。
 ここで会計検査院長にお伺いをいたしますが、実は私どもの立場からは、いまの航空機汚職等を防止する、現在までの過去を摘発してこれをえぐり出すことも非常に大事ですが、今後に備えることも非常に大事だ。その今後に備える航空機汚職等を防止する一環としては、せっかくある会計検査院という非常に充実した機能が十分に権限を拡大強化して働いていただくということが非常に大事だという立場をとっているわけであります。したがって、さきに会計検査院から案の出されました会計検査院法改正要綱なるものを見ましても、非常に不満足な点があります。こんなことではだめだ、もっとこうしなければという点が多々あります。ありますが、やはり一歩一歩前進しなければいけないという立場から、私はこれを一応推進しようというふうな立場を公的にとることにいたしました。推進をいたします。
 しかし、推進をしてきたつもりなんですが、いつの日かどこかで突っかかってしまった。どうもこの国会に提案がされない。議員立法にしょうか、いや自民党から出してもらう方がいい、政府提案にさせようというようなことを論議して、できる限り政府提案で、満場一致、推進をしたいものだと考えていましたが、どうも今日この国会中にこれが提案されてくる様子がないどころか、先ほどここで官房長官の答弁がありましたように、とんでもない言いわけで、したがって云々という答弁がありました。大変理解ができないところです。
 そこで、検査院長にお伺いいたしたいと思いますのは、時間がありませんので一遍にお伺いいたしますが、今回の会計検査院法の改正要綱に関しまして、今日までの経過を伺いたいのですが、さきに本会議における大平総理の答弁では、各省と検査院とが折衝中とありましたが、事実は一体どうなのか、内閣官房の方で預かり、政府がこれをどうするかをいま会計検査院としては待っている、もう検査院のやるべきことは終わったというのかどうか。
 なお、われわれの聞くところでは、政府・自民党が挙げている反対理由は三つありまして、その一つは法律上の権限に基づき云々というようなことを言っておりますが、いままで大蔵省その他と折衝をいたしましたその経過は一体どんなところに問題があったのかを、これは会計検査院長からもひとつお述べをいただきまして、私どもがこれからなすべきことをまた新たに考えていきたいと思いますので、この経過、どこに問題があるか、その問題に対する検査院長としての見解があるならばそれも述べていただくというふうに、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
○知野会計検査院長 会計検査院の権限を拡大強化すべしという過去三回の両院の御決議並びに昨年会計検査院の対応を待って対処したいという福田総理大臣の御答弁の趣旨に基づきまして、昨年来会計検査院といたしましてはこの改正作業を進めてまいりました。各省庁との折衝、調整を図りながらきたわけでございますが、先般会計検査院としての最終の法改正要綱というものをまとめました。その内容は、両議院の御決議の趣旨と、会計検査院が憲法上国の収入、支出の決算を検査する機関であるという性格の調整を考慮しながら、国家資金の使途の検査を徹底するという趣旨におきまして、主として公庫等の融資業務を検査するに当たりまして、必要最小限度の調査を融資先にまで及ぼそうという内容でございまして、一方におきまして融資先の立場を極力尊重するという意味でのいろいろな配慮を加えたものでございます。
 会計検査院といたしましては、国家資金の使途の検査を徹底するというたてまえから、最小限度の調査権が融資先に及ぶことは、検査の上で必要であると考えておるわけでございますけれども、国家資金の使途の検査を徹底させるということと、融資先の立場を尊重するということとの間にどういう調整を図るかという問題は、立法政策上の重要な問題であることは、私どもも十分理解をいたしております。また、この問題に対しまして融資先にまで調査を及ぼすということになりますと、政策金融の推進に支障があるのではないかという意見があるわけでございますが、もともと会計検査院は政策論議をする立場にはございません。政策論争にまで立ち入って調整を図るというのは検査院の立場を超えるのではないかと考えたわけでございまして、先般官房長官にお目にかかりましてただいまのような経緯あるいは事情を御説明をいたしまして、より高い見地から内閣におかれまして御判断、御調整をいただきたいということをお願い申した次第でございます。
 今日までの各省庁との折衝、調整並びに私ども自身の検討の段階におきまして特に大きい問題であると考えられます点が二つございます。
 その一つは、法律によりまして調査権を融資先にまで及ぼすということになりますと、貸付契約という私契約に対しまして公権力の過剰な介入になるのではないか、この点は十分に慎重でなければならぬという点でございます。
 この問題につきましては、法律論の面と立法政策の面と両方あるわけでございますが、法律論といたしましては、現在の立法例におきましても私契約でありましても公権力が介入をすることができるというのが幾つかございます。これは、高い公益上の理由があります場合には私契約といえども公権力が最小限度介入することが認められるという立場に立っておると思うのでございまして、現に検査院の検査権限を定めております会計検査院法の二十三条一項七号では、国または公社の工事の請負人あるいは物品の納入者の会計につきまして、これは純粋の私契約でございますけれども、検査の対象として規定されておるというわけでございます。
 もう一つ、立法政策の面でございますけれども、法律をもちまして融資先にまで調査権を及ぼすということになりますと、これは国家権力が過剰に私契約に介入するということになるのではないか、この点は十分に慎重でなければならぬという点でございます。
 これは当然の議論でございまして、私どもも私人の利益というものを十分に尊重し、私契約に対する公権力の介入というものは最小限度でなければならぬと考えておる点は同じなのでございます。しかしながら、公庫等の融資資金の原資は、私が申し上げるまでもございませんけれども、税金あるいは郵便貯金等国民から広く集められました国家資金でございまして、この公庫等を通じて貸し付けられます国家資金の額が非常に膨大なものになっております現在におきまして、この使途の適正を確保し、使途につきまして十分な検査をするということは、二分の一以上の出資法人に対する検査が検査院の法律上の職責とされております立場から言いまして、最小限度の調査権が及ぶことはやむを得ないのではないか、必要ではないかと考えたわけでございまして、さきの両院の三回にわたりまする決議の御趣旨もそういうことにあったのではないかと私は理解したわけでございます。
 しかしながら、この問題は、先ほども申し上げましたように検査の徹底を期するという立場と融資先の立場を尊重することとの調整それからどういう機関にどういう権限を付与するか、これが立法政策の上で確かに大きな問題であることは私どもも十分認識をしておりまして、この点につきましては、より高い見地からの御判断を賜りたいと考えておるところでございます。
 第二の問題は、調査権が融資先に及ぶということになりますると、これは私企業に対する圧迫となりまして政策金融に支障を来すのではないかという問題でございます。
 私どもは、私企業という立場を十分尊重するという考え方から、仮にこの法律で調査権が認められました場合でも、融資先に対する検査は、従来どおり肩越し検査といいまして従来やってまいりましたものを原則としてやりまして、やむを得ず融資先を調査しなければならぬ場合におきまして公庫等の協力が得られない場合に限ってこれを行使しようと考えておるわけでございます。
 さらに、政策金融に支障があるとする私企業に対する圧迫を、できるだけそういうことのないように、そしてまたいま申しましたことを法律的にも保障するために、いろいろ法律上の配慮をいたしたわけでございまして、それは公庫等の融資先を――実地検査をまず最初にやります。実地検査をやって、融資先の検査がどうしても必要であると認めた場合だけに限ろう。それから、その融資先の調査につきましても融資にかかる会計に限定すべきであろう。それから、調査を及ぼします場合には必らず関係者に通知する。さらに関係機関、公庫等の職員の立ち会いを求める。その上に、どうしてもこれをやるときには検査官会議の議決をしようということで、できるだけそういう結果にならないような配慮を私どもとしましては考えたつもりでおります。
 ただ、この問題につきまして政策金融に支障があるかどうかさらに論議を詰めていきますと、先ほどもちょっと触れましたように、これはどうしても政策論議になってまいります。政策論争をするということはこれも検査院としては慎むべきであるというのが私の考えでございまして、そういう意味におきまして、この点につきましても高い見地と広い視野から御判断を賜りたいと考えておるわけでございます。
 ほかにもいろいろ問題点がございますが、集約すればそういうところになろうかと考えておる次第でございます。
○原(茂)委員 結構です。いままでの経過と問題点、それからお考えも大体わかりました。あと同僚の馬場委員が専門的にこの問題をまたお伺いをいたします。日を改めまして私もまた院法の改正の問題には掘り下げた質問をしたいと考えていますので、検査院長はこれで終わりたいと思います。
 最後に、防衛庁長官にお伺いいたします。
 御承知のように、北富士演習場にかかわる林野雑産物損失補償、これは昭和四十二年度分以降今日に至るまでいまもって忍草入会組合には支給されていない。この点については、すでに故池田総理の答弁書においても明らかなごとく、政府の行っている入会慣行に対する補償は、一定地域の住民が一定の山林原野で事実上収益してきた行為が、その林野を駐留軍に提供することにより阻害されたことから現実にこうむる損害をてん補する必要があることを認めて実施しているものであると。そうである以上、忍草入会組合もまた、当然のあるいは唯一のと言ってもよいが、受給資格者なのでございます。それにもかかわらず、防衛庁は、昭和四十八年二月十七日、みずからが作成した林雑補償に係る処理要領なるものに従いまして、演習場協力団体としての北富士演習場対策協議会――演対協と言っておりますが、この会長に白紙一任しなければ支払いはしないということで、以後忍草入会組合への支払いを拒絶して今日に至っています。
 理由とするところは、林野雑産物補償金は基地の安定使用のために支出するものであるから、この演対協を通さなければならない、こう言っているのである。だが、これは林雑補償制度の目的、すなわち損害てん補目的と全く異なる目的、すなわち演習場の安定使用に協力する者に謝金として支払う目的ということで、支払うことを拒絶しているのである。行政の恣意性が明らかである。
 しかも、これにはきわめて重大な問題がある。忍草入会組合は、旧来の入会慣習をいわゆる法的にも承認せよと強く主張いたしているのがその態度であります。どうして忍草入会組合に支払うことが基地の安定使用に反するのか。
 次には、演対協加入の入会組合員には全員に支払われ続けておりますが、そのすべてが、実損のないにもかかわらず実損があるかのごとく装って提出されている資料に基づいて払われています。その書類はすべて真っ赤なうそで固められているのを承知の上で支払いを続けているのが現状であります。
 このうその申請書を資料として出してもらうように今日まで何回となく要求してきました。施設庁は言を左右にして絶対に公表しなかったが、ようやくこの四月二十七日に文書による回答をよこしましたが、私の数次にわたる実損がないとの指摘には何ら触れることができないで、地元の総意に基づき設置された演対協――こんなことはでたらめである。――と書いたり、いわゆる地元間の調整はほぼ円満な関係を維持し得ているなどと、地元の総意でと言っておきながら、一部問題のあることを認めるほぼ円満な関係などと、これはぼろを出したと同じ書き方をしているのであります。演対協及び関係入会組合は資料を公にすることを望んでいないからこの演対協の意思を尊重していると書いてある。資料の公開が施設庁のでたらめや演対協組合員間の大混乱を起こすことを恐れている実態を暴露していると言っても間違いありません。しかも、基地の安定使用を損なうおそれがあるなどと方向違いに論旨を運んでいるという、こういう回答文書になっていることは御承知のとおりであります。
 私の要求したのは、こんな政治論をしているのではなくて、法律論として、いわゆる憲法で保障された国会議員の質問権に対してそれを拒否する法的根拠を求めているのである。それを示してもらいたい。
 新屋に関しては、その上に正式に私に対して代理委任をして資料の提出を求めているのだ。その資料の公開を求めているのにもかかわらず、代理権を持っている私に対しても提出を拒否している。その法的根拠をこれも法律論的に示していただきたいのであります。
 もう一度、政治論でごまかすのではなくて、法律論に基づいて質問したのですから、拒否する法的な根拠を二つに分けて、いま答弁をいただくか、書類で後日出していただくかを求めて、質問を終わります。
○山下国務大臣 林野雑産物補償は、自衛隊等によりますところの演習によりまして雑産物採取が阻害されている場合、その阻害の程度に応じて行うものではございます。いま御指摘のとおりでございますが、ただ、北富士演習場におきますこの補償につきましては、長年にわたる地元の経緯、またその特殊事情にかんがみまして、いまも御指摘もございましたけれども、北富士演習場対策協議会というものが県民の総意により設立されたと私ども承知いたしておりますけれども、その協議会と協議の上定めた手続により行うこととなっておるわけでございまして、そうした趣旨でございますので、われわれとしてはその協議会を通じて処理するということをお願いいたしておる次第でございます。また、そのことがひいては演習場の安定的使用にかかわりを持ってまいるわけでございますけれども、とにかく私どもとしては、地元の総意によりますところの協議会というものによりましてその協議の上定めた手続により進めていただきたい、このように思っておる次第でございます。
 なお、ただいま御指摘のございました四月二十七日、私どもといたしましては資料の問題につきましては文書をもってお答え申し上げております次第でございまして、その内容につきましてはいま御指摘のとおりでございますから私はあえて繰り返すことを避けたいと思いますけれども、しかしながら、ただいまも申しましたように協議会を通じて円滑に処理されるというたてまえでございますので、そうしたときにその資料を公にするということにつきましては、望んでおられませんので、政府といたしましてはそうした御意思を尊重し、そしてまたその信頼関係を維持することは肝要なことであると考えておる次第でございますので、そうした中において資料を提出することは、ただいま文書でもお答え申し上げているとおり混乱を生じさせることになるのではないか、このように思う次第でございます。
 なお、それはあくまで政治論ではないか、法的にはどうか、こういうことでございますけれども、その法的な問題につきましては政府委員から補足して説明いたさせます。
○原(茂)委員 時間がないから、それは政府委員とよく話して、法的にひとつ反論ができるなら反論をしていただく。また、二十七日と同じように文書で出していただく。それだけお願いして終わります。いいですね。政府委員は時間がないから。
 それじゃ終わります。
○加藤委員長 山下防衛庁長官にお尋ねいたします。書類で答弁はいつまでにできますか。
○山下国務大臣 しばらく御猶予を賜りたいと思いますが、できるだけ二、三週間程度でお答えしたいと思っております。
○加藤委員長 お尋ねします。本日中に答弁できるように御努力をお願いいたします。本日中に答弁だけ。答弁というのは、書類で出すか出さないか、その書類を出す時期はいつであるかということ。時期無期限ではきょう締めくくりになりませんから、ひとつ。
○山下国務大臣 ただいま申しましたのですが、書面をもちまして二、三週間のうちにはお答えさせていただきたいと思っております。
○加藤委員長 結構です。
 馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 検査院法の改正の問題について先ほど御論議がありましたので、引き続いてこの件からお伺いをいたしたいと思います。
 院長に確認をいたしておきたいと思いますが、五十三年の七月二十五日に検査官会議で検査院法改正の方針を決定をなさった。ということは、先ほども御答弁がありましたように、衆議院における二回の決議、そして参議院の経過、それらを受けて、そしてまた前院長もこの決議を非常に重く見ておるという御発言があったように記憶いたしておりますが、それらを受けて、さらに五十三年六月七日福田前総理の答弁を受けて、直接的にはその影響でこういう検査官会議での改正ということをお決めになったわけでございましょうか。
○知野会計検査院長 先ほどもお答え申し上げましたが、大体ただいまのお尋ねのような趣旨に承っていただいて結構でございます。
○馬場(猪)委員 そうしますと、大体五十三年六月からですから、一年以上経過いたしております。その間、各省庁との意見調整などずっと繰り返してこられて、さらにことしの四月八日最終案として検査官会議で再度決定されたわけですね。これは検査院としては非常に異常な決意でもって臨んでいらっしゃると思うのですが、せっかく二回にわたる検査官会議で方針をお決めになったことをもし内閣が全然お取り上げにならなかったとしたら、これはどうなるのですか。
○知野会計検査院長 先ほども申し上げましたように、両議院の御決議、それから当時の検査院の対応を待って対処したいという御発言によりまして、まず検査院がこの問題に取り組むというのが筋道といいますか、そういうことであろうということで作業を開始いたしたわけでございます。そして、この間われわれとしての最終要綱というのをまとめたわけでございますが、先ほどいろいろ問題点につきましても御説明をいたしましたように、私どもは内閣提出法案としてお願いしておる立場でございまして、これにはやはり高い見地、広い視野から御検討いただかなければ、御判断いただかなければならぬ問題があることは私どもも承知しておるわけでございまして、そういう意味で内閣の御判断をお願いしたい、こういう立場に立っております。
○馬場(猪)委員 検査官会議の決定というのは非常に重要なものだと思うのです。それが事務的には決断を下したけれども、政策論議がおくれておるためにちっとも進まないとしたならば、検査官会議で決定したことが無意味になってしまいますね。何のために検査官会議で重要な決定をしたかということが無意味になると思うのですが、その場合、俗な言葉で言えば、検査院というものは全く存在を認められなかったような、極端な言い方をすればそういう形になると思うのですが、いかがでしょう。
○知野会計検査院長 検査官会議というのは、先ほど御指摘のようにたった二回ではございませんで、その間しょっちゅう開きまして、この問題については検査官会議自身でいろいろな検討を重ねたわけでございます。私どもは、検査官会議でそういうものを決めて、御検討、御判断をお願いをして、そのとおり提出にならない――あれですが、そのために検査官会議というものが何にもならぬじゃないかというふうには考えてないのでございまして、そういう検査院の最終要綱をひとつ内閣提出案としてぜひお願いしたいということをお願いしているということでございます。
○馬場(猪)委員 官房長官にお伺いしたいと思います。
 福田総理が、検査院の立場というものがあるから、その権限強化については、独立機関である検査院の立場を考えて必要ならば検査院自体で早く検討して早く出してください、こういう意味の御答弁を昨年の三月六日と、さらには六月七日にもお答えになっているのですね。そして、いま確認いたしましたように、そういう意向を受けて事務的に取り組んでちょうど一年になるわけです。ですから、事務的には行くところまで行き着いたわけですから、あとは政策論議は検査院でなじまないということで、その政策論議をひとつ内閣として早く取り上げていただきたいということで、官房長官の手元にそれが提出されましたのは、いつだったでしょうか。
○田中国務大臣 お答え申し上げます。
 私の手元に来たのはいつかという質問でございますが、内閣の継続性と言えばそれまででございますが、引き継ぎのような形でございまして、正式にどうとかこうとかということはなかったと思います。
 ただ、知野会計検査院長が、一カ月半になりますか、そのときに参りまして、会計検査院が中心となって各省庁との調整をやっておるのだが非常に困難だ、こういうことで内閣の協力を求めに参りましたので、私は事務次官も含めまして秘書官たちと知野さんの言うことを聞いて、御協力申し上げますということを申し上げたことをはっきり覚えております。
○馬場(猪)委員 具体的な日は覚えていらっしゃらないわけですか。私の聞くところによりますと、正式においでになったのは五月二日だということを聞いております。それまでに、先ほど検査院の方からお話がありましたように、各省庁間の詰めというものは何遍も行われているわけですね。そして最終的に詰まりましたのは――結局去年の六月ごろも同じように私契約の問題について公権力が介入することがいかぬという問題と、もう一つは政策金融に影響がある、これはもう去年の六月ごろからずっと言われていることなんですね。その間問題となったというこの二つについて内閣の中で、その当時、去年の六月ごろには官房長官じゃなかったですけれども、少なくとも前長官のもとでもそういう御論議があったはずでありますし、そしてこの五月二日に正式に来られるまでにも、ことしの予算委員会の中でも総理は二回も三回もお答えになっているわけですから、当然その御論議があってしかるべきだと思いますが、そういう政策論議はなさったのでしょうか。
○田中国務大臣 正式にそういう会合を私の手元で開いたことはございません。しかし、知野会計検査院長のところとかあるいは私のところの事務の関係の翁副長官のところには、その後どうなっておるかということは問い合わせたことはございます。
○馬場(猪)委員 ことしに入りましてから二月五日以後、四回か五回改正問題が出ております。その都度、積極的な検討をしたいという意味の御答弁があるわけですが、いまの長官のお答えといいますと、正式な課題になっている問題についての御論議が全くなされていないということになります。言っていることと実際やっていることと、食い違いはないのでしょうか。
○田中国務大臣 御質問の、言っていることとしていることと食い違いはないかということでございますが、私のもとに関係省庁を集めてやるという慣例につきましては、非常に恐縮でございますが、私自身経験がございません。ただ事務当局の調整をやっておるということ、その調整をよろしくということだけでございまして、ただ、これは原委員にもお答え申し上げたのでございますが、たびたび同じことじゃないかということになるわけでございますけれども、私どもといたしましては、法のひとり歩きといいますか、第四の権力、三権分立になっておりますが、そういう点から自由企業、オープンマーケット、そういうような経済の体制から勘案しますと、やはり私契約に公権力が入るということと、政府の政策金融ということ、それからもう一つは、第一に申し上げました私企業へのチェックのやり方というようなことがどうしても私自身、個人といたしましても割り切れない部分がございまして、その間の調整に時間をとることは必ずしも悪いことではない、もう少しプロセスというものが大事じゃないかという気持ちでずっとまいっておりますので、衆参両院の議運の答弁でもその点を申し上げて、何とか調整の方向に行ってもらいたいが、そういう三点は非常に重大であるということから、言いわけめいたことではございますが、そういうことを言ってまいっておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 三月七日の予算委員会でも、防衛庁長官は比較的率直に、やるべきだという意見だったと思います。通産大臣は制度金融に影響があると言われた。あるいは経企庁長官も積極的に協力と言われています。大蔵大臣は慎重論。こういうふうに予算委員会だけ見ても現閣僚が皆意見が違うんですから、調整の任は官房長官のもとでおやりになるのが当然なんじゃないですか。その作業をこの三月の時点から今日まで全然おやりにならないということは、官房長官もそういうお気持ちがないんでしょうか。あるいはまた、それは総理の意向を受けてもっと慎重にやれということでおやりになっているんでしょうか。
○田中国務大臣 別に総理の意向を受けているわけではございませんで、私もどちらかといいますと素人でございます。しかし、政治的責めは逃げるわけではございませんが、事務当局同士で長年、これは専門家でございますし、そこの盲点とかあるいは意見の合わないところがある限りは、やはり私もちゅうちょせざるを得ない点がございます。
 したがって、促進方は強調しましても、やはり大事なところが調整という段階のもとでますます浮き彫りにされるならばそれだけに問題点があるわけでございまして、私は国会の会期の期限とか皆様の要求ということも十分考えてはおりますが、やはり事が重大だという認識がどうしても私には離れませず、そこら辺の浮き彫りになった点にますますメスを入れてみることは、早く結論を出せということと案外矛盾しないじゃないかという気持ちでおるわけでございます。
○馬場(猪)委員 先ほど検査院長から御答弁がありました。改めて、私契約に公権力の介入も問題にならない、あるいは政策金融についても、ある程度はやむを得ないけれども、いまの段階では法律的な改正が必要だ、いままで政府が答弁していらっしゃることとは反対の角度の考え方が述べられたんですが、それについて官房長官、現在どういう認識ですか。
○田中国務大臣 私も会計検査院の権限強化という点では、原委員にもお答えいたしましたように、方向としては現在の情勢上やむを得ないし、むしろそうすべきが国民の納得する点だとは思っております。それから、知野会計検査院長がおっしゃっておりますことも十分理解もできますし、私も肯定いたします。その方向については私はとやかく言っているわけではなくて、やはり事がいろいろ重大で、しかも知野院長の言うことあるいは立場、これはわかってもそれをそのままのめない各省庁が中にあるわけでございまして、しかもその省庁の言い分というものも、これが全く否定し得るという段階あるいはそういう決断になりませんので、時間をかけてでもよく調整してくれ、調整に時間がかかることは御不満でしょうが、かければかけるほど問題がしぼられてくる点もございますので、そういう点を私は多としているわけでございます。
○馬場(猪)委員 それじゃ、のめないという省庁はどことどこですか。
○田中国務大臣 私が聞いているところの主な省庁は、大蔵省、通産省だというふうに聞いております。
○馬場(猪)委員 それじゃちょっと大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵大臣も三月七日に御答弁になっていらっしゃる。真剣に検討してみたいということを御答弁になっているのですが、あれから大体三カ月近くたっておりますが、御検討いただいて、その結果はどういうふうに感じていらっしゃいますか。そしてまたいま、検査院長の、公権力の介入についても前例があるじゃないかという意見の開陳もありました。それらもあわせて考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 先般の予算委員会で御答弁を申しましてからも引き続き部内におきまして検討させておりますが、今日は、先ほど御答弁されました官房長官に政府部内の調整をお願いしておる段階でございます。
 ただ、私ども大蔵省の立場をはっきり申し上げますならば、会計検査院としていまのような広範な権限を持っている立法例は世界各国に余りないのです。しかし同時に、これは憲法上の機関でございますから、その権限をどうするか、これはやはり立法政策の問題として相当慎重に検討すべきであるということは、総理の答弁を待つまでもなく、私どももそう考えておる次第でございます。
 事務的に申し上げますと、先ほど院長もいろいろおっしゃっておりましたように、融資の場合でございまして、政策金融について相手先に直接乗り込むという場合にやはり融資離れというような問題が一番心配されるわけでございまして、特に物品納入者等が融資先へ品物を入れる、その先も検査できるわけですから、果たしてそういうところまで一々やることが適当か。これは、法律上の権限として与えればひとり歩きすることをまず前提に考えるべきでございましょうから、十分そこら辺は慎重に検討しなければいかぬし、それから現在、開発銀行にいたしましても輸出入銀行にいたしましても、融資基準は相当厳しくなっておりまして、民間の金融機関よりも融資に当たっては相当厳正な審査をやっております。そこへ持ってきてさらに、いま言ったようなことを第三の取引先までやる必要があるかどうかという点が一つ。
 だからと言って、検査院に融資を見てもらうのは適切でないなんと決してわれわれは考えておりません。必要な場合にはどんどんやっていただいたらいいと思います。そのやり方としては、現在もこういう問題について調べたいとおっしゃる場合におきましては、開銀の方なり輸銀の方に連絡をいたしまして、こういう件について極力調査に協力してやってくれというような事実上の指導をしておるのが現状でございますので、各省それぞれお考えがございましょうが、私どもとしてはいまのところそういう立場をとっておる次第でございます。
○馬場(猪)委員 終始一貫、前大蔵大臣も金子大蔵大臣も同じように、行政指導で、いまのままでできるじゃないかという御立論のようですが、いま院長がわざわざ、とは言ってもやはり法律的な裏づけがなければどうにもならない、だからこそ検査官会議というものをたびたびやって最終案をこの四月八日に決めて、そして官房長官のもとまでお願いに上がっているのだ。ところが官房長官の方は、調整会議もまだおやりにならない。そしてまた、一番問題になさっておるのは、影響も大きいでしょうから、大蔵省とか通産省ですが、そこらも依然として感じが変わっておらない。そういう空気があるものだから、調整会議もまだおやりにならない。ということは、内閣全体としては非常にこの改正については消極的だと判断せざるを得ないのですが、この大蔵大臣の三月七日の答弁は「総理も先般御答弁いただいております」というふうに言われた。その「先般」というのは三月五日の大出委員に対する答弁のことを指して言われておるのでしょうか。
○金子(一)国務大臣 ちょっといまここに記録を手持ちしておりませんので……。恐らくそういうことかもしれません。予算委員会における総理の御答弁を指しておるつもりでございます。
○馬場(猪)委員 そのときの総理の御答弁を読み上げますと、「会計検査院が民主的な制度の中でその任務を十分果たすことができるように期待をいたしております。」ということは、現行制度でいいじゃないかということ、そして、いま大蔵大臣が言われた、それは、具体的に現在の行政指導で十分だというふうに解釈してよろしゅうございますか。
○金子(一)国務大臣 ただいまの大蔵省の立場というのは、そういう物の考え方に立っておることを申し上げてあります。しかし、この問題はとにかく大きな立法政策上の問題でございまして、私ども政府部内におきましていろいろ御意見のあるところでございますので、官房長官を中心にこれからも真剣に何らかの結論を早く出すように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○馬場(猪)委員 言葉じりをとらえるわけじゃありませんけれども、その中で「いきなり」というふうにおっしゃっているのですね。いきなり検査に入るのはふさわしくないという御答弁なんですね、大蔵大臣は。ところが、この検査院法の改正要綱、各省事務的に詰めました要綱なんかを見ますと、そんなことはちっとも書いていないのですよ。全部この内容をお読みになりましたか。
○金子(一)国務大臣 読んでおりますが、そのときどういうあれで「いきなり」と言ったのか知りませんが、先ほど申し上げました、法律はひとり歩きしますから、法律になりますと。つまり、法律上の権限として相手先の調査をされるということを指したのだろうと思うのであります。しかし、私どもはいつでも必要があれば調査についての協力をさせますと前々から言っておりますから、あるいはそれとの対照でそういうことを言ったかもしれません。
○馬場(猪)委員 いままでから、そういういきなりやるようなやり方は検査院としてしておりませんわね。現に民間へ権限のないのに行くわけですから、当然監督の官庁、省庁なりと連絡をして、十分相手の理解を得てからしか、権限のないところはなかなか検査できないわけでしょう。だからこそ、今日まで肩越し検査ということである程度のところまでいけたのですが、しかし、それでもなおかつ入れないところがあって、いろいろ支障を来しておるからこそ、やはり検査官会議で法律的な裏づけが欲しいということで改正案を出されたわけなんでしょう。
 ですから、一定の肩越し検査でできるのなら、あえて二遍も三遍もこういう検査官会議をやって、そして国会でも積極的に取り組むというお約束をなさっていて、そういうことをなさらないわけですから、そこに支障があったと思うのですが、検査院長、やはりあえて法的な裏づけがなければどうにもならないという具体的な事実というのはございましょうか。
○知野会計検査院長 先ほどお話がございました肩越し検査というのは、従来、そういう権限を持っておりませんので、公庫等が契約に基づきまして融資先に持っておりまする調査権というものに依存をして、そういう協力のもとに相手方の同意を得てやるということでございます。
 ただ、法律上の権限を持っておりませんので、相手方の協力が十分に得られないという場合には、どうしても検査院自身の自主的な検査といいますか、そういう面に期待をかける面もあろうかと思います。また、検査に当たる者にとりましても、そういう根拠に基づいておりませんものですから、どうしても遠慮がちになって、検査の徹底が期せられないというふうな点もあるわけでございますけれども、これは先ほどからたびたび御説明しておりますように、そういう調整というのが非常に大きな問題だということは私どもよくわかっておるのでございます。そういう意味で、そういう判断をお願いして決めていただきたいと思っておるわけでございますが、検査院というのは独立機関としての立場を持って検査をするものでございますので、多少時間がかかるのは、これはむずかしい問題でございますからやむを得ませんと思っております。思っておりますが、できればひとつ各党といいますか、大方の御賛同を得てやっていきたいというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 それじゃ具体的に、いま問題になっております日商岩井あたりも、七八年四月一日現在で八百十七億ですか、七七年四月には七百十七億というふうに、七四年からずっと五百億台、日本輸出入銀行が日商岩井に融資をいたしております。そしてまた、全日空も過去五年間にわたってずっと二百億台から七八年四月には三百五十八億、ロッキード機、ボーイング機等購入資金。また全日空の場合は、日本開発銀行からも二百億前後の借り入れをずっといたしております。
 こういうふうな問題になったときに――大蔵省から行政指導もあり、そしてまた理解と協力のもとに検査に入るような時期は、これは余りいわゆる疑惑とかなんとかないときですね。ところが、それらしきようなことが、これはまた世論が非常に高まっているとき、そして世論のバックというのがない時期に、タイミングというものも非常に大事だと思うのですが、そういうときにもスムーズに入れるような状態であったでしょうか。ひとつ検査院の方からもそういう事実があればお答えをいただきたいと思います。
○知野会計検査院長 いま御指摘になりました日商岩井に対する融資という問題でございますが、融資につきまして特に問題として日商岩井に対して調査を及ぼそうとしたことはございません。ただ、日商岩井が物品の納入者であるという立場でやろうとしたことはあるわけでございまして、現に代理店契約の提出を求めておりますとか、そういうことはやっております。
○馬場(猪)委員 全日空が問題になったときにも、検査院はスムーズに検査がいわゆる肩越しというような形で進みましたでしょうか。
○知野会計検査院長 全日空が問題になりましたときには、私どもは輸出入銀行につきまして、従来わが方も審査体制がしっかりしておる銀行であるということから、肩越し検査を控えた面もありまするし、また融資先に対する権限を検査院というのは持っていないわけですから、そういうところに対して余り積極的に検査をするということに対しまして、輸銀自身もそれほど積極的でなかったというふうなこともございまして、一般的には肩越し検査というのは余りやっていないわけでございます。
 ただ、この前のときには、初めから非常に積極的に協力してもらったということではございませんけれども、問題が問題ということで協力をしようということで、全日空に対しましていろいろ事情を調査をいたしたということでございます。
○馬場(猪)委員 いま院長お答えになりましたように、当初全日空に入ろうと思ってもなかなか入れるような状態ではなかった。ただ、入れるようになったというのは、非常に大きな問題になって、世論の力というものが、もしこれをオープンに民間企業だからといって入れないような状態ならば、それこそその面から全日空が袋だたきに遭うという感覚からやむを得ず入れた。どうしても臭い物にはふたをしたいというのはどこでも一緒だと思うけれども、そういう意味では肝心なときには法律的な裏づけがないとどうしても入れない、これが壁なんじゃないか。だからこそ検査院としてもたびたびの会議を開いて、そしてまた衆参両院の決議や福田総理の積極的な発言を受けて改正案を出しておられるのですから、その間の事情というものは御理解になれるわけなんですが、まだ理解がいかないのでしょうか。
○金子(一)国務大臣 必要ということで融資先についての調査を現在の制度のままでおやりになれなかった場合があるのかどうか、どういう点に不合理があったのか、そういう点を率直にいろいろ詰めていただいて、不備があれば直したらいいと私どもは思っておるのですが、たてまえ上現在でも御協力によってできることになっておりますから、そこら辺の事実関係、もう少し両者で詰めて、通産省もこういった問題にはいろいろ意見がございますので、よく詰めて現実的な解決策を講ずべきだというふうに私は考えておる次第でございます。いつまでも問題を避けて通るとかほおかぶりするとか、そういう気持ちは私どもは毛頭持っておりません。
○馬場(猪)委員 依然として行政指導で何とかこれはできるじゃないかというお考えのようですが、まだ検査院としては壁があると言っておるわけですから、官房長官、早急に意見調整の場をお持ちになって、結論がどうなろうと、この会議をお持ちになるという御意思はありませんか。
○田中国務大臣 先ほどからたびたび申し上げておりますように、これを法改正する、つまり立法上については根本的に大きな問題があるということを私も申し上げておりますし、大蔵大臣も申し上げておるわけでございまして、現在の法律のもとでも開銀融資の問題などにおいても十分運用面でやっておるということ、これがやはり関係各省としても頭から離れない問題だ。つまり、問題の重要性、それから現在の法律で十分運用できるという二つの観点があると思います。
 したがって、私も先ほど率直に申し上げましたように、私契約の問題から発展いたしましていろいろな問題に波及してくる。法律のひとり歩きということを大蔵大臣も強調しておりましたが、そういう点が割り切れませず、調整をおまえのもとですぐやれという、タイムリミットを与えられて云々ということにつきましては、全く正直に申しまして自信がございませんし、その努力はしていこうとは思いますが、そういう点を十分お考えいただきたいというふうに思います。
○馬場(猪)委員 問題のむずかしさはいまに始まったことではなしに、問題提起されたときからずっと来ているわけなんです。問題の重要性を認識して、いますぐ調整会議を持つような段階ではない、こういう答弁なんですが、一遍で調整がつかなかったとしても、やはり何回かその調整会議を持つことによってお互いの知恵が働くのではないのでしょうか。個別にやるのは、事務的にはいままでやってきたことなんでしょう。ですから、政策的な課題ですからいろいろ見方があるのは当然ですよ。そのいろいろな見方を調整するのが閣議なりあるいは経済閣僚会議なりというような形で、そのときそのときの重要な問題を審議されるわけでしょう。
 いまのように、エネルギーの問題、石油の輸入の問題等をめぐって直ちに経済閣僚会議をお持ちになって対策を練られるわけですから、機動的にそういうことに対応しようと思えば、やはり今度の日商岩井の問題を通じてでも、政治に対してその自浄能力を求めるという声は強いわけですから、そのために検査院法の改正もまじめに論議しているという姿勢があってこそ、初めて大平内閣も国民の声を聞いているんだということなのですが、その調整会議もおやりにならない。
 先ほど大蔵大臣から、諸外国の例をと言われたけれども、確かに院法の中にはそういう例は少ないかもわかりませんけれども、アメリカのようにSECなど別の機関でもってやるところがあるわけです。日本の場合はそれがないわけですから、いまのところ現行法の中でやるとすれば、この検査院法の改正が一番近道ではないだろうかということからこの院法改正が非常に問題になっているのですが、調整会議をやるという見通しもないということは、いかにも大平内閣が自浄能力を高めるということについて熱心じゃないというふうに受け取られてもいいのですか。
○田中国務大臣 大平内閣が、いろいろな疑惑をめぐる諸問題で自浄作用に熱心でないというふうに見られてもいいかということでございますが、私どもは御承知のように、航空機疑惑問題等の協議会も発足いたしまして、ここで全くの民間の有識者をメンバーにいたしまして、自由な討議でしかも自由な結論を出すようにお願いしておるわけでございまして、こういう問題に対する態度というものは国民の前にも展開しておるわけでございます。
 といって、会計検査院法の改正について何らやらないことはおかしいと言いますが、たびたび申し上げておりますように、何らやらないということではなくて、それぞれ各省が専門家でございますし、それぞれの立場から会計検査院を中心に調整をしている段階でございまして、私どもがそれを邪魔しているということはさらさらございませず、それぞれ各省が、長い間の私どもの標榜する私企業あるいは私契約を唯一の根本原理として尊重する経済体制の中で、やはり十分考えなくちゃいかぬことでございますし、それぞれの事務当局で調整しておりますので、私が中心になってみんなを集めてどうだこうだというようなこともさることながら、会計検査院の事務当局が、それぞれの各省との事務で問題点を抽出し摘出し、そして浮き彫りにしておる段階でございますので、私はそれに任せた方が、時間的にもあるいはその他の問題でもうまくいくんではないかというふうに考えております。
○馬場(猪)委員 どうも納得いきませんね。各個に、各省庁とこの一年にわたって詰めてきたわけでしょう。事務的にどうしてもこれ以上詰まらない、最終案としてこの要綱が示されて、そして官房長官のもとに調整をお願いしたいと言ってきているのでしょう。ですから、事務的には詰まるところまで来て、そして後はなじまない政策論議は検査院としてはこれ以上進めようがありませんから、ひとつ長官の方で調整していただきたいと言っておるのですよ。そうしたら、いまの御答弁では、いままでどおりもう一遍検査院と各省庁ともっと詰めろと言う。詰まらぬと持ってきているのでしょう。それをもう一遍詰めろというのは、どうも納得いきませんね。ということは、もう官房長官自身がおやりになるという意思がないということでしょうか。それとも、そういうことについて総理とも十分御相談をなさったのでしょうか。
○田中国務大臣 この法案の改正に全く意思がないのかということと、総理の立場でございますが、私どもはやはり会計検査院長が指摘しておりますように、この問題につきましては重大な関心を持っておりますし、先ほどからたびたび申し上げますように、事務で詰めるということは、私が、あなたのおっしゃるのは、私の目の前でその会議を開いてそれぞれ調整しろというようなことのようでございますが、私は、私がいないところで十分フリートーキングをして、そして抽出された問題、つまり解決された問題の方がよりそれぞれの立場を表明した形になるというふうに考えておりまして、いまその考えを私は変える意思はございません。
 それからもう一つは、総理大臣がこの問題をおまえにどうしているかという問題でございますが、一応私が任せられておりますし、会計検査院とお会いしたときも、私は、私どもも協力するが、もう一度会計検査院を中心にやってくれないかということを申し上げておるわけでございまして、これがすぐ私どもが何ら関心を持たないとか、あるいは責任を持たないということではないということも、会計検査院長に申し上げております。
○馬場(猪)委員 官房長官に任せられているけれども、その任せられている官房長官が、いままでどおり各省庁の折衝をやってくれと言っても、これはもう進まないということがはっきりわかります。それではせっかくの世論の高まりである院法改正についてはどうも進まないと思うのですが、これ以上幾ら押し問答してみても、官房長官なかなかお変えになるような意思がございません。そういう様子がうかがえませんが、ひとつ官房長官の頭一つで考えるのでなしに、賛成をなさっている省庁、そして反対をなさっている省庁、それぞれの利害関係の衆知を集めて、それではどうしたらいいかということ、そしてまた現在主張していらっしゃるような行政指導だけで果たしてどの程度までいけるのかというような問題を掘り下げて、これは検査院からだけではなしに、内閣自体として、そういう議論の中身まで国民にわかるような形でひとつ議論を展開していただきたいということを御要望を申し上げておきたいと思います。
 時間がなくなってしまいましたので、最後に一つ、ついででございますので大蔵大臣にお尋ねしたいと思うのですが、せんだっての本会議でも、今回の医師優遇税制については、当面見直しをやったのだから当分はそういう計画がないというふうに私は受け取ったのです。改正をなさったということは、やはり現に不公平があるということは十分お認めになったからこそ不公平是正に乗り出されたと思うのですが、検査院の五十二年の一月から六月までやりました千六百九十六人ですか、この方々の計算書等に基づく調査について、これは大蔵省として正しいというふうに認識していらっしゃるのでしょうか、それともあれはまだ間違っているのだというふうに思っていらっしゃるのでしょうか。
○金子(一)国務大臣 例の会計検査院でやっていただきました数字の結果は、大体大蔵省が従来何回か、断片的だと思うのでございますが、やった調査と結果的に一致しているということで、全面的に私どもとしては信頼をしておる数字というふうにお受け取りいただきまして結構でございます。
○馬場(猪)委員 全面的に会計検査院の検査と大蔵省とが一致しているということになれば、それだけ不公平がいまもずっと続いているということですね。そうすると、一般論として言うならば、こういう不公平是正というものは当然早くやらなければならないのですが、いまの手直し程度では本当に微々たるものだと国民は皆思っていますよ。ですから、ずっと将来は別として、先にわたっていつかは改正しなければならないという気持ちは、第二次の改正、第三次の改正、いつかはしなければならぬというふうには思っていらっしゃるのでしょうか。
○金子(一)国務大臣 これはとにかく二十五年間手をつけないできました医師税制の大改正でございまして、やり方がなまぬるいのではないかという御批判があることは事実でございますけれども、実額調査で得た数字の五二%でございますか、上の方五二%を実現しながら、法定しながら、同時に健康保険医の今日における昼夜を分かたず地域の診療に従事してもらっているそういう点での特別控除を加味した現在の改正案がきわめて現実的な解決策というふうに私どもは考えておるのでございまして、激変緩和の意味も込めて当分これでやってみる。それでなおこういう点、こういう点はまだ不合理だという問題があれば、それはそのとき見直してしかるべきでございまして、未来永劫見直さぬなんということはちっとも考えていないのでございますが、これは相当大きな切りかえでございますので、当分様子を見ながら将来の問題は考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
○馬場(猪)委員 もう時間が参りましたので、最後に、健康保険法の改正というものは、いままでの歴史的な経過がありますからそう簡単にいかないと思いますけれども、これと歩調を合わせて変えていくというふうに受け取っていいわけですか。直ちにというわけにはいかぬでしょうから、三年から五年の間に、制度的な改正があれば当然税法上は税の公正の意味から改正すべきなのですから、これはもう健康保険法の改正と両々相まってという意味なのでしょうか。
○金子(一)国務大臣 これはお医者様の収入を基準として課税をいたしますから、それはそれで別にお考えいただきまして結構でございます。
○馬場(猪)委員 終わりになりましたので、ひとつこういう不公平是正、これは一つの例でございまするけれども、その他の不公平是正というものをさらに積極的に大蔵省としても進めていただきますように要望しまして、終わりたいと思います。
○加藤委員長 春田重昭君。
○春田委員 本日は、サラ金の規制法の問題とそれから高速道路の諸問題について、この二点につきまして御質問を展開してまいりたいと思っております。
 最初に、サラ金の規制法の問題でございますが、立法化の動きあるやに聞きますけれども、今日までの経緯、これにつきまして具体的に御説明いただきたいと思います。
○徳田政府委員 お答えいたします。
 サラ金問題につきましては非常に社会的な問題になっているわけでございますが、これにつきましては問題点が三つほどございます。
 一つは高金利の問題でございまして、現在出資等の取締等に関する法律によりまして、一〇九・五%までは一応認められているわけでございます。それを超しますと罰則の適用があるわけでございますが、このような高い金利で貸し出しが行われているというところにいろいろな問題が派生してくるわけでございまして、この高金利をどのように規制するかという問題がございます。
 それから二番目の問題は、行為規制でございまして、これも非常に社会的に問題になっておりますのは、暴力による取り立てであるとか、あるいは金利を明示しないとか、あるいは金を受け取っても領収書を交付しないというような貸金業者の行為に関する不正なあるいは不当な問題があるわけでございまして、これをどのように規制するかという問題があるわけでございます。
 それから三番目の問題は、現在貸金業は届け出制になっているわけでございます。これは貸金業者の能力その他に関連なく、届け出さえあれば営業ができる体制になっているわけでございまして、事実上野放しに近いわけでございます。これについてどのように規制するかという問題があるわけでございます。
 このような問題に対しまして政府といたしましても長く検討を続けているわけでございまして、これは大蔵省だけの問題ではございません。総理府、自治省あるいは法務省、警察等に関連する問題でございますので、六省庁の連絡会議を開きまして検討を重ねてきておりまして、その内容はかなり煮詰まっているわけでございます。
 特に一つの行為規制の問題につきましてはかなり方向としていろいろな手段が考えられまして、形としては大分固まってきているわけでございます。
 それから、二番目の現在の届け出制の是正の問題でございますが、これも登録制という形で、一定の資格を欠くものについては営業を認めない、それからまた営業を認めた後でも不当、不正な行為があった場合には登録を取り消すという形で営業をさせないというような形で考え方はまとまっております。
 ただ、三番目の高金利の是正の問題につきましては、これはどの程度まで現在の高金利の出資等の取締法の最高限度を下げるべきかという問題が一つございますし、それからもう一つ、利息制限法との関連でいわゆるグレーゾーンの問題があるわけでございますが、これをどのように解決するかという問題がございまして、その点につきまして検討が進められている段階でございます。
 なお、この間におきまして、各政党におきましてもいろいろ案をおつくりになって発表されておられるわけでございまして、一昨年の五月中旬には公明党の議員の先生方から案が提出されております。それから、昨年十二月下旬には共産党の議員の先生方から案が提出されております。それから、ことしの五月下旬には社会党、自民党の議員先生方からそれぞれ法案が国会に提出されているような段階でございまして、いずれにいたしましても今回の国会におきまして何らかの形で法案が成立し、貸金業に対して厳しい規制が行われるということをわれわれは期待しているわけでございます。
○春田委員 各党から出されているということでございますけれども、これは議員立法なのか、それとも政府提案なのか、どちらを主としてお考えなのですか。
○徳田政府委員 各党からお出しいただいてある案は議員立法でございます。それから、別途政府としてもいろいろ案を検討中でございます。
○春田委員 確かに各政党とも意見調整が必要だと思うのですけれども、今日までの経緯を見ますと、大蔵省としては、語弊があるかもしれませんが、右へ出たり左へ出たりして非常に一貫性がないように思うわけでございます。早急に立法化したいという局長の答弁でございますが、大臣としては、この国会会期末が非常に近くなってきたわけでございますけれども、何としても通す、そういう腹があるのかどうか、この点どうでしょうか。
○金子(一)国務大臣 サラ金問題は今日の大きな社会問題でございますので、でき得べくんば政府提案の形で関係各省庁の意見をまとめてという気持ちでおったのでございますが、特に金利の問題は、これは法務省所管の関係もございまして、なかなか政府としての最終結論を出すまでに至っておりません。その他の問題は結論は出ておるわけです。
 そこで、たまたま各政党から御提案をいただきました上に、特に最近自民党で御提案いただきました案は、何というか、当面の措置としては私どもとしてはきわめて適切ではないかと考えるのでございますが、金利の規制につきましてもいろいろ御議論のあることは十分承知いたしておりますけれども、当面の問題の解決策としては大きな前進でないかと思っております。幸いと、いま大蔵委員会において各理事の間で話が進められておりますので、ぜひこれがまとまるように期待をいたしております。
○春田委員 客観的に見て、この国会は今月の十四日まででしょう、きょうが六月の四日ですから、あと十日間しかないのですけれども、衆議院を通してさらに参議院を通そうと思ったら、あと十日間ですね、これで可能かどうか、どうでしょうか。
○金子(一)国務大臣 これはある程度各党の御理解、御支援をいただかなければなかなかできないことでございますけれども、いま大蔵委員会で扱っておりますいろいろな法案は、各党の合意を得ていまどんどん、たとえば外為法にいたしましても、税理士法にいたしましても、どんどんいま参議院へ送られておるような状況でございますから、サラ金の規制法につきましても同様に多数の御賛同を得て、何とかこの国会におきまして成立させてもらいたいと私どもは期待しておる次第でございます。
○春田委員 その何とかという意気込みはわかりますけれども、大蔵委員会の意向を聞いてみますれば、外為法が近々上がる、あと税理士法がサラ金の前に来るみたいでございますので、あと十日間、期間的に見て非常にむずかしいのではないか、こういう動きを聞いておるわけでございます。いわゆる再延長がない限りこの国会の成立は断念せざるを得ないと私は思っておりますが、正直に見て、大臣どうですか、あと十日間しか期間がないわけです。どんなにがんばってみても、確かに各党の意見調整がありますよ、ありますけれども、客観的に見て私は不可能なように思いますけれども、大臣としての率直な意見を聞かしていただきたいと思います。
○金子(一)国務大臣 これは期間は非常に短うございますけれども、問題は、各党の御支援によって、大蔵委員会におきまして自民党の案ということになっておりますから、その案の御賛同がどの程度得られるかにかかっておる、私どもとしてはぜひ成立させていただきたいと、願望を込めて期待をしておる最中でございます。
○春田委員 期待をしていると言っても、客観的には不可能に近いと私は見ておるわけでございます。
 そこで、従来のサラ金の取り締まりというのは出資法と利息制限法があるわけでございますけれども、この関係で大蔵、法務両省が共管事項として扱っていたわけでございますが、このサラ金規制法がたとえば通った場合、この監督官庁はどこになるのですか。
○徳田政府委員 問題は登録制に関連するわけでございますが、現在登録制に関しまして考えられている案といたしましては、一の都道府県内に店舗を有する貸金業者につきましては、登録は当該都道府県が行う。それから二以上の都道府県にまたがって店舗を持つ場合には大蔵大臣に対して登録を行う、このようなことを考えております。
○春田委員 そこで、具体的な問題を何点かにわたって御質問を展開するわけでございますけれども、従来の届け出制をいわゆる登録制に切りかえた場合、違法な業者、悪質な業者を締め出すにはまだこの登録制では弱いのではないかという声もあるわけです。そこで、サラ金というのを本当に正しい業者を育て、悪質な業者を取り締まるためにはこの登録制をなくして許可制にすべきであるという声が非常に強いわけでございますが、大蔵省としてはこの許可制の問題についてどのようにお考えになりますか。
○徳田政府委員 登録制と許可制の問題でございますが、現在考えております登録制につきましては一定の無資格者を排除することを考えておりまして、これはかなり厳しい措置を考えておるわけでございます。実質的にかなり許可制に近いものが考えられているわけでございまして、許可制と登録制の範囲と申しますか、境界というのもかなりいろいろ問題がありまして明確には分けがたいと思いますが、その意味ではかなり許可制に近い登録制ではないかと考えております。
 なお、この登録につきましても期限を置きまして、三年ごとに更新するという形でスクリーンすることを考えておりますし、それから一定の不法行為があった場合には登録を取り消すことによって営業ができなくなるということも考えておりますので、現在の都道府県あるいは財務局等の事務能力から勘案いたしまして、現在考えているような登録制が一番適当な措置ではないか、このように考えておるわけであります。
○春田委員 一都道府県で営業を行う場合にはその都道府県知事に委託して行うわけでございますけれども、いま局長がおっしゃったように、いわゆる二都道府県で行う場合にはこれは大蔵省でやるわけですね。そこで都道府県の負担というものが非常にそれ以上強くなっていくのではないかと思いますけれども、その地方自治体に対する何らかの対処といいますか、事務的経費等の補助等は政府として考えているのか、この点どうでしょうか。
○徳田政府委員 御指摘のとおり登録制を実施いたしますと都道府県の事務量は増大するわけでございますが、これにつきましては予算上その円滑な施行ができるよう今後検討してまいりたい、このように考えております。
○春田委員 地方自治体はいまでも非常に財政的に厳しいわけでございますので、ぜひともそれなりの処置をとっていただきたい、このように要望しておきます。
 さらに、金利の問題でございますけれども、大臣の御答弁では自民党案が非常に私たちの思っている考えに近いという御答弁がございました。この自民党案では現在の日歩三十銭を日歩二十銭、年にして七三%ですか、施行後三年経過して日歩十五銭にして年利五四・七五%に引き下げる、こういう案が出されているわけでございますけれども、小口庶民金融協会、この案では年利四八%という案が出ているのですね。さらに外資系のサラ金では実際に四八%以下で取り扱っているわけでございまして、これらの点から比べたら七三%は非常に高いという声があるわけでございますが、この点との関連をどのようにお考えになりますか。
○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、自民党の御提出になった案では最初の三年間が日歩二十銭、それから後は日歩十五銭となっているわけでございますけれども、これは御承知のとおり罰則の適用になる最高限でございまして、当然のことながらこれはそれより低い金利で実質的には貸し出されることが望ましいわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、罰則の適用になるような限度を数年の間に一挙に二分の一に下げてしまうということは、これはそれなりにかなり厳しい措置ではないかと考えているわけでございます。
○春田委員 大蔵省が昨年六月、実態調査をやったと聞いております。その実態調査をやりますと、十万円以下の小口金融では実際貸し出されている金利は平均八四・五%だ、このように聞いたわけでございますけれども、この調査では実際に動いているのが八四・五%でございますから、金利からしたら七三%というのはわずか一〇%しか下がっていないわけですね。こういう点から言ったら七三%というのは、現実貸し出されているのが八四・五%ですから、そう引き下がったという感がしないわけでございまして、もっと引き下げるべきだという声がありますけれども、再度御答弁をいただきたいと思います。
○徳田政府委員 先生御指摘のとおり昨年の実態調査によりますと、小口のいわゆる本当のサラ金業者の貸し出し金利は八五%程度でございます。今度罰則の適用限度が七三%になるわけでございまして、十数%引き下げられるわけでございます。これは貸金業者の実際の純益率がどのくらいかということにも関連すると思いますが、それを超えますと罰則の適用になるということは、かなり厳しい規制ではないかと考えられるわけでございます。
 それからまた、さらに三年先には二分の一になってしまうわけでございまして、恐らく五三%程度になりますと、現在の貸金業者の相当程度は営業が立ち行かなくなるということも考えられるわけでございまして、その間に転業あるいは廃業ということも必要になってくることが予想されるわけでございます。そのための猶予期間として三年程度はやむを得ないのではないか、このように考えております。
○春田委員 局長は罰則を非常に強調されておりますけれども、しかし七三%まではかけてもいいわけでございまして、罰則がかからないわけですから、そういう点から言ったらやはり非常に高いという感じはいたします。また経過措置が三年ということでございますが、これも非常に長い、私個人的に考えてもそう思うわけでございまして、この点も今後大蔵委員会で詰めていかれると思いますけれども、もっと短くすべきじゃないかと要望しておきます。
 さらに、グレーゾーンの問題ですね。いわゆる利息制限法では二〇%を超えた場合においてはだめだとなっているわけでございまして、ところが今回の場合においては最高裁の判例、過去三十九年と四十三年に判決が下っているわけでございますけれども、年二〇%を超えた場合においては元金に繰り入れるかまた返還要求ができるというそういう判例が出ているわけでございますけれども、今回の自民党案から考えればこのいわゆる最高裁の判例を真っ向から否定するといいますか、覆しているわけでございまして、この二〇%を超えた場合の任意ゾーンといいますか、この点につきまして大蔵省としてはいかなる御見解をお持ちなのか、お尋ねいたします。
○徳田政府委員 利息制限法並びに貸金業等の取締法の金利に関する規定は法務省の所管でございますので、本来なら法務省が申し上げることかもしれませんが、大蔵省としての立場を一応申し上げますと、確かに出資法と利息制限法との間のグレーゾーンをどのようにするかということは非常に大きな問題でございます。特に現在のように出資法の金利が非常に高くかつ借り手を保護する規定がほとんどないという現状では、それなりに意味を持っていると考えられます。
 ただ、今後規制を強化いたしまして登録制を採用し、また金利を二分の一に下げ、そして店頭にも金利の明細を掲示するとともに、金を貸した場合には計算書を交付することになっておりますし、また利息を受け取ったときにはその受取書を交付することになっておりまして、これらはいずれも罰則で強制することになっております。このように取り締まりを強化した場合に、なおかつ、しかも利息制限法の二〇%を超えて、最高限の方は二分の一に下がってしまうわけでございますからそれ以下の金額になるわけでございますが、それについて任意に――と申しますのは、いままではそのような規制がございませんからどのような金利で払ったかということを借り手が確認できない場合もあったわけでございますが、今度は借り手が確認できるわけでございますので、そのような場合に、任意に払ったものまで一々返還請求権を認めるということは、政府として登録を認めた業者について片方で経営が不安定になるようなことを認めることになりますので、そのバランスからいっていかがかと思われるわけでございます。
 なお、自民党の案によりましても、利息制限法つまり二〇%を超えた金利を支払うことの強制は裁判上はされないわけでございまして、御自分で二〇%を超えた金利だからもう払わないと言って払わなければ、それは裁判上強制されることはないわけでございます。したがって、任意に払った分につきましてはそれは有効と認めるのは、バランスからいって一つの見方ではないか、このように考えております。
○春田委員 任意で払った場合と言いますけれども、これはやはり対象者が主婦の方とか一般のサラリーマンの方が非常に多いわけでございまして、本当に具体的に詳しく知って借りている人は非常に少ないと思うのです。そういう面では、いわゆる利息が安い方がいいわけでございまして、後でいろいろ御相談して弁護士等から、これはいわゆる裁判で返還請求できますよと言われた場合、そういう措置を本人がとった場合は、従来の最高裁の判例があるわけですから、これはやはり生かすべきじゃないかと私は思うのです。そういう点では、この最高裁の判例というのは一般的にも高く評価されておりますので、これは生かすべきだと主張だけしておきます。
 最後に、もう一つの質問項目がございまして、時間がございませんのでもう一点だけお尋ねしてこれについては終わりたいと思いますが、いわゆる一般の市中金融機関が小口消費者金融を扱っているわけでございますけれども、その実績といいますか状況、こういうものにつきまして簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思うのです。
○徳田政府委員 民間の金融機関は、個人の消費者ローンあるいは住宅ローンについて非常に前向きに取り組んでいるわけでございまして、これにつきましてはいろいろな制度ができているわけでございます。一般にフリーローンと言われております、使途を特に明確にしないで、一定の金額だけ貸し出す制度もございますし、あるいは教育ローンのように一定の目的のもとに、一定の条件で制度的な金融を設けているのもございます。それから、最近特にこういうサラ金問題と関連いたしまして各金融機関で行っておりますのは、応急ローンという仕組みでございまして、これは現在五万円から三十万円ぐらいの金額につきまして一定の使途の場合に、いままでの貸し出しに比べてはるかに簡易な手続をもって貸し出すという制度を設けたわけでございます。
 このような結果、個人に対する貸し出しは非常に伸びておりまして、五十三年度だけで全国銀行ベースで申しますと、総貸し出しの伸びは九%台でございますが、個人に対する貸し出しの伸びは二〇%程度に達しているわけでございます。
○春田委員 いま局長から御説明あった応急ローンの問題でございますが、この実績を資料としていただきましたけれども、五十三年の十月ごろから発足して今日までの件数が出ておりますけれども、非常に少ないという感が私はするわけでございます。都銀と地銀で三月末の累計では八百十五件ですか出ております。相互銀行関係で三十五件、信用金庫で千三百件という実績があるわけでございますけれども、この都市銀行、地方銀行合わせて七十六行あるわけですから、それから言ったら、一行当たり大体十件ないし十一件。相互銀行は七十一行ありますから、相互銀行ではいわゆる二行に一件という感じですね。信用金庫は四百六十三行あるのですか、したがって、一行当たり大体三件の実績が上がっているわけでございますけれども、いずれにしてもこれは半年間の実績ですから、これは月々当たりにしたらほとんど実績はないに等しい形になっておるわけでございまして、こうした応急ローンというのが、要するに新聞にも大々的に発表されて、しかし実績等は必ずしもその意向どおりいっていないという現況から、私は大蔵省としてこの点はもっと指導して推進をすべきではないかと思いますけれども、どうお考えになりますか。
○徳田政府委員 一般の個人が簡便に借りられる制度として応急ローンを民間の金融機関で始めたわけでございますけれども、御指摘のように、これは発足間もないこともありましょうけれども、実績においてまだ不十分であると考えられます。この点につきましては、制度をもう一度検討いたしまして、どういう点に問題があるか必要な手直しを行いますとともに、特に金融機関としてのPRの不足ということもあると思いますので、その点では今後指導してまいりたいと思います。
○春田委員 以上でサラ金問題につきましては終わりたいと思います。
 それでは第二点の高速道路の問題につきまして、建設省ないし公団の方にお尋ねしてまいりたいと思っております。
 まず、建設省にお尋ねいたしますけれども、高速自動車道路というのがございますけれども、この意義につきまして簡単に御説明いただきたいと思うのです。
○山根政府委員 お答え申し上げます。
 高速自動車国道でございますが、私ども国土の発展基盤として、交通を円滑にいたしまして生活、産業などの行動圏を広げることによりまして、国土の有効利用、国民の生活改善、流通の合理化、安全性の向上といったことに資する、こういうぐあいに考えております。
 昭和三十二年に国土開発縦貫自動車道建設法が成立をし、昭和四十一年に国土開発幹線自動車道建設法に抜本的に改正をされまして、七千六百キロの全体構想が定められているものというぐあいに考えております。
○春田委員 この高速道路の整備状況と将来構想といいますか、これも簡単に御説明いただきたいと思うのです。
○山根政府委員 現在、法の手続によりまして基本計画として定められております区間が七千六百キロの中の七千一キロメートル。整備計画として決定をされて、日本道路公団におきまして供用し管理しあるいは建設中のものが五千四百十五キロメートルでございます。供用区間がこのうち二千四百二十九キロメートルでございます。
 今後の高速自動車国道の建設の考え方でありますが、五十三年度から発足をいたしました第八次道路整備五カ年計画、これの五十七年度、計画期間でございます五十七年度までに約三千五百キロメートルの供用を図る。さらに昭和六十年代の半ばごろまでにおおむね五千七百キロ程度。七千六百キロ全線が完成するという時期はやはり昭和七十年代の後半になろうかと、一応の目標を立てておるところでございます。
○春田委員 建設省は、日本道路公団から五月十五日ですか、申請されております高速道路の通行料金の値上げについて今日までどのようにお考えになっているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
○山根政府委員 高速自動車国道の料金につきましては、日本道路公団から平均約三〇%の料金改定を五月十五日より実施したいという認可申請が参っておるところでございます。現在運輸省、経済企画庁等と協議を行っておる段階でありまして、最終的な詰めの段階にあるわけでありますが、どのような決定になるかにつきましてはいまお答えできる段階にないわけであります。
 なお、実施時期につきましては、五月十五日はもうすでに過ぎておるわけでございまして、延期をせざるを得ない事情になっておるところでございます。
○春田委員 一部の新聞報道では八月一日より実施、こういう報道もされたわけでございますけれども、この点真実なのかどうか。その時期等まだ明確になっていないのかどうか。それから上げ幅の問題ですね、この点どうお考えになっているのか。
○山根政府委員 実施時期、上げ幅等につきましては現在最終的な詰めを行っている段階でございますが、実施時期等につきましては、やはり料金徴収所におきまして料金等のコンピューターのいろいろなプログラムの改正等が必要でございますので、そういった時間も必要であろうか、こういうぐあいに考えておるところでございます。
○春田委員 一部の新聞報道では八月一日ということが報道されましたけれども、この点どうですか。
○山根政府委員 現段階ではお答え申し上げるのは控えさせていただきたいと存じます。
○春田委員 きょうは日本道路公団の副総裁が参考人としておいでになっておりますので、副総裁にお尋ねいたしますが、この値上げの理由、これはいかなる理由なのか。簡単で結構でございますから、御説明いただきたいと思うのです。
○高橋参考人 ただいま道路局長からも御説明がございましたように、ただいまの料金は昭和五十年四月一日からでございます。その後建設費だとか管理費だとかいうものが上昇してまいりましたし、また最近のわが国の経済の状況からしまして、推定しました交通量についてやはり変動がございまして、これが減ってくるというような状況でございます。さらに昨年後半に私ども五百九十九キロの整備計画の追加をいただき、施行命令を政府からいただいておる次第でございまして、そういう状況からいたしまして、この際償還できるかどうかということ、五十年度の償還計画でこれをできるかどうかということをいろいろ計算してまいりましたところ、どうも現行の水準では償還ができないということになりましたので、先ほど道路局長から申し上げました内容の認可申請をいたした次第でございます。
○春田委員 ただいまの参考人の御答弁では、人件費、建設費の高騰、交通量の低下、それから新規路線の建設費、おおむねこの三つが今回料金値上げの理由だと思います。
 そこで、第二番目の交通量の激減、低下ということの理由でございますけれども、この交通量の低下という問題は、最近の石油資源の先行き不安、また現実問題としてのガソリンの節約、また六月からはガソリン税が二五%アップされる、こういう問題を考えていきますと、これから先ますます交通量の低下は防げない、こう私は思うわけでございます。さらに今回の高速道路の料金の値上げという問題は二重三重の負担となりまして、さらに高速道路における車離れというのが激しくなるのではないかと思うわけでございますけれども、この点、現在の状況、先行き不安等を考えて、今回の値上げの問題を絡ませて、今後の交通量の低下はさらに激しくなっていくのではないかと私は思いますけれども、この点どのように思っておられるか、その御見解をお聞かせいただきたいと思うのです。
○山根政府委員 お答え申し上げます。
 実は今回の料金改定に当たりまして、将来の交通需要をどのように考えるかいろいろ検討いたしまして、石油ショック以前に考えておりました交通需要に対して今回見直しました結果は、いままでの交通需要を見込むことはむずかしかろうということで、六十年におきましておおむね一五%程度ダウンをいたした見込みをいたしております。
 ただ、高速自動車国道は他の一般道路あるいは他の輸送機関に比べまして、輸送量でありますとか一回に送ります荷物の量でございますとか輸送距離、こういったことに比較的弾力的に輸送ができるといった点でむしろエネルギー的には有利な輸送機関ではないか、こういうぐあいに考えております。石油不足が交通需要に与える影響については、自動車交通全体から見ますとむしろ少な目でありまして、私どもの見込みによりますと六十二年度でおおむね八%程度、先ほどの一五%の約半分程度のダウンにとどまるのではないか、このように考えておるところでございます。
○春田委員 さらに、石油五%の節約達成の問題でございますけれども、これは昨日から高速道路上におけるガソリンスタンドを休日祝日閉鎖をする、こういう施策をとっておられるわけでございますけれども、これは昨日から実施に移されたわけでございますが、どういう状況なのか、またそれによって事故等がなかったのかどうか、御説明いただきたいと思うのです。
○山根政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、高速道路のガソリンスタンドにつきましては、ガス欠等の故障、路肩事故の発生件数が従来多かったという点、それからガス欠の場合には高速走行といった特殊性から重大事故につながる危険性がある、こういった観点が一方ではございます。ただ、省エネルギーというものと道路交通の安全、円滑の確保ということをどう調和させるか、こういうことがまさに課題であるわけでありまして、通産省との協議の上、六月から日曜祝日の休業を実施しておるわけでございます。
 東名、名神につきましてはおおむね百五十キロに一カ所の割合でオープンをする、営業を行う。供用延長が二百キロ未満といった高速道路につきましては全面休業とする。北陸、関越、新空港、中央、東名阪等々の自動車道でございます。なおこれ以外の高速自動車国道についてはおおむね二百キロメートルに一カ所の割合で営業を行う。中国、東北、九州の各自動車道であります。このために故障車が増加をいたすことのないよう、日本道路公団におきましては、日曜祝日の休業状況について、インターチェンジの入り口料金所及びサービスエリア、パーキングエリアの給油所等に看板で表示をいたすとともに、日本道路交通情報センターを通じまして利用者への周知徹底を図ることといたしておるわけであります。現在のところこのための事故については聞いておりません。
○春田委員 スタンドは高速道路に何カ所あって、昨日そのうち何カ所開業したのか、この点わかりますか。
○山根政府委員 九十八カ所が高速道路上の全ガソリンスタンドでありますが、昨日このうち八十四カ所が休業をいたしておりまして、十四カ所営業をいたしておるという実績でございます。
○春田委員 九十八カ所のうち十四カ所営業したということですが、この措置は今後ともずっと変わらないのですか。
○山根政府委員 向こう半年はこの体制で臨みたい、かように考えております。
○春田委員 となれば、半年後にはこの体制は変わるということですか。いわゆる営業数も変わるしまたその場所も変わる、こういう意味ですか。
○山根政府委員 先ほどの答弁で若干舌足らずの点がございました。十四カ所開業をいたしておるわけでありますが、半年後には十四カ所を逐次ローテーションをいたしまして、これまで休業したものと営業したものとの調整を図ってまいるという形で、九十八カ所のうち十四カ所を何らかの形で営業をする、他の八十四カ所については休業をする、こういう考え方でございます。
○春田委員 その場合、長距離のトラックやパトカーなど緊急性の必要なものはガソリンを入れるけれども一般のマイカー等にはガソリンは規制するんだという話も聞いたことがあるんですけれども、この点はどうなんですか。そういう選別はやらないのですか。
○山根政府委員 ただいまの御指摘の点については特に考慮いたしておりません。
○春田委員 さらに、スタンドの休日祝日の休業とともに、通産省からは高速道路における速度、経済速度で走ってほしい、こういう通達が出ていると聞いております。これによって年間約二百五、六十万キロリットルのガソリンが節約できるんじゃないかという通産省の計算でございますけれども、この点につきまして建設省はどのように考えているか。
○山根政府委員 経済速度がどうであるか、これはフィジカルには一般道路、高速道路、それぞれ車種その他によっても違うわけでありますが、一応の経済速度と称せられるものがあるわけでありまして、たとえば交差点等のないところでの経済速度ということになりますれば、おおむね八十キロから五十キロくらいまでのところが燃料消費量が少ない。それから一般道路の場合には交差点等がありますので、平均的な走行速度というものが若干一般道路の場合にはダウンをいたしてまいります。こういったことから、経済速度そのものも下がってまいるわけであります。そういう事情がありますが、これにつきましては四十八年十二月二十四日の交通対策本部決定におきまして、高速道路におきましては時速八十キロ以下、一般道路においては時速四十キロ以下というぐあいにされておりまして、この内容が省エネルギー・省資源対策推進会議決定に引き継がれておるわけでありまして、先ほど冒頭申し上げましたように、燃費の効率、安全性等を総合的に勘案したいわば推奨速度というぐあいに考えておるわけでございます。
○春田委員 公団の副総裁に一点だけ確認しておきますけれども、こうしたいわゆる石油事情によりまして、スタンドが休業したり経済速度で走ったり、こういうことで制約があるわけでございますけれども、いわゆる料金収入を頼りとする公団としては、こうした措置が一段と先ほど言ったように車離れといいますか、高速道路における交通量の低下につながっていくんじゃないかということを私は思っておるわけでございますけれども、副総裁としてはどういう御見解なのか。
○高橋参考人 交通量が将来どういうふうになるのかという問題、非常にむずかしい問題でございます。道路局長からいろいろ御説明がございました。石油不足の問題に関連してどういうふうに考えるか、確かに先生のおっしゃるように非常に関心を払わなければいけないわれわれの問題でございます。
 しかしながら、高速道路利用による輸送形態というものは相当定着化したということも考えられます。また省エネルギー時代となりましても、道路局長から話がございましたように、高速道路を利用することによる便益というのがむしろ非常に多くなるわけでございます。そういうこともございますので、交通量の変動は私どもが見込みました六十二年度におきます八%の減少というところでおさまるんじゃないか、比較的変動は少ないんじゃないかというふうに私どもも考えております。
 しかし、先生おっしゃったように、高速道路を使わなくなる回数が多くなっても私どもは収入問題が困りますので、今後サービスの向上ということは十分に考えながら高速道路の需要が多くなるということも私どもも大いに考慮しなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
 結局、問題はそういう収入と見込み、それから将来建設していく、そういうバランスの問題も出てきますので、そういう建設につきましては将来十分事業の効率化、経費の節約を図るような措置を考えながらやっていきたいというふうに考えます。そうして先ほど道路局長が申し上げましたような、将来の高速道路の建設計画に支障のないようにいたしたいというように考えておる次第でございます。
○春田委員 それから値上げの要因として新規着工路線十二路線五百九十九キロがあるわけでございますが、この建設費が非常に高騰してきたということで料金を改定する、こういうことでございますが、今回の路線は非常に従来の路線の縦貫道路と違いまして横断道路になっていますね。そうした場合、単独で見た場合、採算が非常に厳しいのじゃないか、赤字になってくるのじゃないか、こういう見方もあるわけでございます。今回の路線は法律で決められた七千六百キロの中で五百九十九キロ決定したわけでございますけれども、そういう点からいったら従来と違った路線だと思うのですね。プール制をとっておりますけれども、単独で見た場合採算性が十分あるかどうか、この点どうでしょうか。
○山根政府委員 ただいま御指摘のように縦貫道等と比較をいたしますと必ずしも採算は良好でありません。なお、これまで供用をいたしております路線が建設をされた当時のいろいろの物価情勢等と比べて、現在事業を進めております区間の同じ規格、同じような場所の高速道路であっても、かなりの建設費がアップをいたしておるというような事情があるわけでありまして、そういった観点からいたしますと、これまでのものに比べて償還はかなりむずかしいというのが実情でございます。
 ただ、この高速自動車国道は全体としての、ネットワークとしての効果があるわけでございますので、昨年審議会で御決定をいただきました約六百キロ、実はこの六百キロの高速自動車国道の計画そのものは、それ以前に出されておりました計画のネットワークをいわば補完をいたすあるいは効果を高めるためにエクステンションをしていくというようなネットワークが中心でございますので、問題はあるにしても全体としての採算性を極端に悪化させるというネットワークであるというような理解はいたしていないわけでございます。
○春田委員 それから、高速道路の道路建設はいわゆる償還原則でございまして、将来この道路は無料開放するという原則が生きているわけでございますけれども、この無料開放原則というのは現在プール制になりましても生きているわけですか。
○山根政府委員 仰せのとおり償還をし終わった暁には無料とするという方針は、現在も変わっておりません。
○春田委員 高速道路が最初に建設されたのは昭和三十八年の名神高速道路でございますけれども、これですら償還が三十年ですから昭和六十八年には無料開放される、こういうわけでございます。この点とプール制との関係はどのように考えたらいいんですか。
○山根政府委員 お答えを申し上げます。
 名神高速道路の開通時には個別採算制をとっておりまして、名神高速道路ないし東名高速道路そのものだけで採算をとる、こういう考え方であったわけであります。ところが、わが国の高速自動車国道のネットワークを形成していくために一体どのような有料道路制度を採用すべきか、こういう点について、昭和四十二年八月から合理的な料金制度は一体どうであるかということにつきまして道路審議会に諮問がなされました。大変長い期間検討を行いまして、四十七年三月に高速自動車国道の料金制度についての答申がなされました。そこで、プール制の採用が提案され必要な法制上の整備をいたしまして、四十七年の十月からプール制に移行をいたしておるということでございます。
 プール制を採用いたしました理由といたしまして、第一点は、先ほども申し上げたところでございますが、高速自動車国道は各路線が連結をして全国的な交通網を形成するものであるから、料金はなるべく一貫性、一体性を持たせることが適当である、これが第一点であります。
 第二点は、建設時期の違いによります用地費、工事費等の単価の違いによる料金の差を回避すべきであるという点であります。これがプール制によって回避できることになるわけであります。
 それから第三点は、高速道路の主たる資金になっております財投等の借入金でございますが、この借入金を円滑に行うためには、一群の路線の収支を併合して算定をいたしまして償還をしていくということによりまして、維持管理、建設を計画的に行うことができる。
 以上の三つの点からプール制が導入されたものでありまして、したがいまして、このプールに組み込まれました路線全体が償還をいたすということになった場合に、その時点で無料となる、こういう考え方でございます。
○春田委員 ということは、最初の単独採算制からプール制になることによって、今後建設費が相当高騰する、交通量が低下していくとなれば、三十年後無料開放というこの原則は生きているけれども、名のみあって実体はないということであって、私は半永久性の有料道路制になっていくのではないかという懸念を持っているのでありますけれども、この点はどうですか。
○山根政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、当初開通をいたしました区間のみを単独に取り出しました償還期間というものに対して、プール制を導入したことによります全体の償還期間が終わるまでの期間ということになりますと、相当の長い期間が必要になってまいる、こういうことになろうかと思います。
○春田委員 ということは、三十年後は無料開放だということで最初は高速道路は建設されたわけでございますけれども、確かにプール制を導入することによっていろいろないい面もあります。しかし、無料開放の原則が死んでしまうのではないかということによって、国民がだまされたことになるのではないかという懸念があるわけでございます。時間がございませんので、この点は後日またするとしまして、いずれにいたしましても、この法律で規定された七千六百キロの建設は、今回の整備計画でも非常に山村地域、僻地地帯が建設の対象になっているわけですね。そういう点から言ったら、交通量が非常に減ってくる、従来と違って大幅に減ってくる。また、石油事情等によっても交通量が減ってくるという点を考えたら、この高速道路は経営が今後非常に不安定になってくるのではないか、このように私は考えるわけでございまして、そういう点から言ったら、この七千六百キロが果たして本当に必要なのかどうか。法律では七千六百キロ建設する、これは昭和四十一年にできたわけですから、こういう点から言ったら社会経済事情も相当変わってきておりますから、この七千六百キロの高速道路が本当に必要かどうか、私は見直す時期に来ているのではないかと思いますけれども、この点どうでしょうか。
○山根政府委員 お答え申し上げます。
 高速自動車国道のネットワークをどのように考えていくか、こういうことになるわけで、二つの問題点がありまして、先ほど決定をされました第三次全国総合開発計画は、この七千六百キロメートルを含む一万キロのネットワークというものを、高規格の道路を含めてでありますが、そういうネットワークを提案されておるわけであります。高速自動車国道さらには一般道路も含めた全体の道路ネットワークをどう形成をしていくか、大変重要な問題でありまして、とりわけ高速自動車国道につきましては有料道路制度として今日までやってまいっておるわけであります。したがいまして、利用者負担の問題資金をどのように考えていくか、こういったことも実は相関連をいたすわけでございますので、このネットワークのあり方の問題、利用者負担、資金問題、こういった広い観点からの検討を進めながら、やはりネットワークの形成は図ってまいらなければならぬ、このように考えておるわけでございまして、今後十分検討をしてまいりたい、かように考えているものでございます。
○春田委員 時間が参りましたので、最後に大臣にいまの問題で再度お尋ねしますけれども、いま言ったような事情からして、この七千六百キロの高速道路全体計画ですね、ところが、最近の交通量が昭和四十八年以降ぐっと下がってきている、また、石油事情等によって今後車の流れが少なくなっていく、こういう点からしたら本当に高速道路が七千六百キロ必要なのかどうか。本来道路というのは国が国民の税金から建設して無料で開放するのが本当ですけれども、一定期間、三十年間だけは利用者負担で有料とするけれども、その後は無料開放するのが原則なんですね。ところが、いわゆるプール制を昭和四十七年からとることによって、その無料開放原則も名のみあって実体がないような形になってきている。半永久性の有料道路になっていくのじゃないかという懸念もされているわけですね。だから、高速道路としては収入は料金収入以外にないわけですから、あとは全部政府の出資金――出資金と言ってもこれは返さなければいけないわけです。それから民間の借り入れですね、これも返さなければならない。こういう点からいったら採算面でも赤字になっていくのは間違いない。それを返すには料金の値上げ以外にないわけですから、一部では第二の国鉄になっていくのじゃないか、こういうことも言われ続けてきているわけでございますので、私は、この全体計画、七千六百キロの高速道路の建設につきましては早急に見直す必要があるのじゃないか、このように考えますけれども、最後に大臣の御見解を聞いて、質問を終わりたいと思います。
○渡海国務大臣 七千六百キロの法律で決められました路線、これを見直すべきであるかどうかという点は、いま局長が答えましたように、むしろ高規格のものを含めて一万キロにしろという要求もございます。結局、非常に距離の長いわが国の国土をながめまして、高速道路網を国でやるべきものはどれだけかということが一番の問題であろうと思います。七千六百キロのうち供用しておりますのが二千四百キロ、整備計画が五千キロ余り、七千六百キロができました場合、これからできていくところはいま言いました採算性に乗りにくいところであり、しかも建設費は高くつくということは事実であろうと思いますので、私は、いまの償還のあり方、建設費を全部三十年間で償還していくんだというこのあり方、出資金のあり方、利子補給のあり方を根本的に見直すべき時期に来ておる、このように考えております。いまそれを距離の方からとられましたのですが、私は償還の方法そのものを財政的に見直すべき時期に来ておるのじゃないか、こう考えておりますので、来年度予算等につきまして、今年度は値上げをしてもらいますけれども、今後はとてもそういったものにはたえられない、この際、私は抜本的な償還のあり方を打ち立てていかなければならない、そう考えおります。
○春田委員 以上で終わります。
○加藤委員長 次に、原茂君。
○原(茂)委員 貴重な時間ですから、きょう質問したい三点を先に申し上げます。三点を一つ一つお答えいただくように。
 一つは、北富士演習場にかかわる問題です。
 大変古い問題を、大臣になられてから初めてですが、十分レクチュアを受けておられると思いますので、簡潔にお伺いをいたします。例の二百十四ヘクタール国有地払い下げをいたしました地上には、忍草農民のいま問題になっております牧草地問題以外、戦前から国の積極的な承認のもとに農地として同地を使用、収益している新屋農民の小作地問題というのがあります。これも古くから取り上げて今日に至りました。
 すなわち、本件地上に三十八年にも及ぶ開懇永小作権を主張する農民が存在していることは御存じだと思います。現在山梨県は、この畑になっている土地を林地にしようといたしておりますが、この土地は長い年月をかけてようやく上畑、つまり富士吉田市における唯一の蔬菜団地にいたしたも一ので、これを一方的に農民の権利を否定して、実力をもって忍草の牧草地と同じく破壊するというようなことは断じて許すことができませんし、そうして新たな暴力行為その他を含む問題を起こしてはいけないと思います。大蔵当局はこの点について、県当局と新屋農民との話し合いによる林業経営の円満実施ということを言っていますが、畑地を林地にする場合には、当然のことながら農林水産大臣の農地転用許可が必要であります。その許可なくして林地にすることはできないはずであります。
 昨年十月十三日の本委員会におきましても、当時の中川農林水産大臣は「当該土地内における農地に対して林地への転用願いが山梨県から出た場合」「こういった問題もありますし、出たからといって早急に認めるというようなことではなく、十分慎重に対処してみたい」という答弁をされております。この点について、現在転用許可申請が出ているのかどうか。また、現在出ているかいないかは別といたしまして、それが出された場合には、その転用に伴う必要条件として、県当局と新屋農民との間に円満な合意が成立しているのかどうか。あるいはその転用に伴って地元農民の収益は十分に尊重さるべきものとする国会決議が遵守されているのかどうか等々を十分に調査、検討をされた上でその許可をすべきであると考えますが、農林水産大臣の許可についての対処方を明らかにしていただきたいというのが第一点であります。
 このことを申し上げるのは、紛争に新たに火をつけるがごとき許可というものは絶対に避けるべきだ、今日まで起きている紛争の解決が先、また新たな紛争の火種をおこすようなことのないようにという私の念願からの質問であります。
 第二にお伺いしたいのは、鶏卵の生産についてであります。
 鶏卵の生産者価格が長期低迷いたしておりますが、この鶏卵の生産過剰は四十七年ごろから表面化し、四十九年からの農林水産省通達で羽数の凍結が求められてまいりましたが、現状では商社系列の大手企業が百万羽、十万羽の単位でやみ増羽を行うなど、完全に需給バランスが崩れております。このため価格も急激な落ち込みを見せて現在に至っています。
 長野県などは、全国規模で行われる削減計画を受けまして、養鶏農家を対象にして飼育規模に応じて一%から一〇%の削減を行うことにいたしまして、四十九年当時の羽数に戻す計画を実施することにいたしましたが、今日までの状況を見ましても、需給バランスを完全に回復するには、大規模産地、特にやみ増羽が指摘されている大手企業の削減計画への非協力の現状を放置したままではこの達成は不可能だと思いますが、もっと積極的に、出しました通達を実施できるように思い切った行政指導を急速に行っていただきたい。これが第二問であります。
 最後に、いよいよ米価の時期がやってまいりました。米価闘争、毎年同じパターンでこれが行われております。わが国が開聞以来、農民の立場というものは常に為政者の道具として生かされている。今日でも自作、自分でつくった主要な農産物に対してみずからの意思でその値段を決定する自由なり権限をも持たされていない。昔と変わらない。農業基本政策の見直しも大事でございますが、この基本政策の最たるものとして、私は大臣なら厚生大臣当時の実績を見ましてもできると思うのですが、ぜひやってほしいのは、真の農民の代表と大臣があるいは農林省が、定期的に直接話し合うテーブルを用意していただきたい。そうしていわゆる新たな農政への糸口というものを、しかも基本的な大きな問題点を、その問題に携わっている人間の問題を直接吸収するディスカッシングが農林大臣との間に行われた上で、主要農作物の値段が決まるというような新たな方式をつくっていくことが、新しい農政、新しい近代的な農業に対する政治のあり方ではないかと思いますので、旧来の、ただ同じようなパターンで、時が来た、また米価闘争、それに対して米審がサル芝居のように農林省の意向を受けて値段を打ち出す、これに従う、従わない、じゃ条件をつける、おまけをつけるという形で常に今日まで米価が決定されているようなことを依然としてやっていくことのないよう、農林大臣が在任中に、私は渡辺さんならできるのじゃないかと思うのですが、新たなテーブル、新たな意思疎通の機関ができて、それがもとで農民の主要農産物の単価が決定できるような糸口をつくっていく、こういうことがぜひ必要だと思いますが、こういった新しい考え方を農林大臣が取り入れて実施していただくようにぜひ要望したいと考えたのが三点目であります。以上三つに対して、時間がないようですから簡潔に、わかりやすく、お答えをいただきたい。
○渡辺国務大臣 簡潔にお答えをいたします。
 まず第一点の、富士演習場の土丸尾地区の農地の問題でございますが、これについてはまだ転用の許可申請はありません。許可の申請がありましたときには、中川大臣が答弁いたしましたように、慎重に対処をしてまいりたい。われわれとしては、極力現地で話し合いを詰めて円満に解決されることを望んでおるものであります。
 第二番目といたしましては、鶏卵の生産調整のことでございますが、御承知のように、これは四十七年から生産調整を実施をいたしております。四十九年からさらに強化をしておることでありまして、制度融資とか補助事業、卵価安定基金制度からの除外措置というようなものをとっておりますが、一部にまだ徹底しないといううらみも言われておるわけでございます。したがって、無断増羽者に対しては、行政指導を一層強化をして、今年度からは生産者団体によって新たに自主的な減羽運動が進められておりますので、農林省もその成果が上がるように後押しをして、それで所期の目的を達成するようにしたい、かように考えております。
 最後に、米価の問題でございますが、これは御承知のとおり、米価の決め方のルールは一応定着をいたしておりまして、その一定の方式がありますから、それによって決めてまいります。
 しかし、その決まった結果について余り不満があるということはお互いに困るわけでございますので、なぜそういうようなことになるのかというようなことなどを含め、また現在置かれておる米の事情というものについては、生産者団体の最大の統一団体と言ってもいい農協等におきましてもかなり認識を深めてくださっておって、ことしなどは生産調整も自主的にひとつ政府の割り当てに追加しようというぐらいな気持ちでやってくれておるわけであります。
 したがって、私といたしましては、客観的な事実は一つしかないわけですから、そこで、今後米作なり農政をどういうように持っていくかということも含めてひとつ話し合いをしていこうじゃないか、政府が直接米をつくるわけでもありませんし、政府の考えていることと農業団体の考えていることが右と左みたいな話では、これはどうしようもない、効果がないことでありますから、少なくとも事態の認識について一致をする。立場が違いますから、多少意見の違いがあってもそれは仕方がないと私は思います。しかし、そういうことで話し合いを詰めていけば、現実に照らしてどうすることがいいかという結論がおのずから出てきますので、米価決定前に四回くらい私は話し合いを持ちたいと思っておりまして、もうすでに第一回の話し合いは、お互いに意見の開陳ですが、非公式にやっておるところであります。
 今後とも御趣旨の線に沿って、団体と言ってもいろいろな団体がございますが、何と言ったって圧倒的シェアを占めておるものはやはり農協でありますから、これらの農業者の団体とは継続をして、お互いが理解できるような結論を得られるよう話し合いは続けてまいりたい、かように考えております。
○原(茂)委員 農林大臣のおっしゃった三点、おおむね了解できます。少し疑問もありますが、また後の委員会の機会にお尋ねをいたします。
 どうもありがとうございました。
○加藤委員長 午後二時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十三分開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 関係大臣に対する質疑を続行いたします。玉置一弥君。
○玉置委員 自治省にまずお伺いしたいと思います。
 高度成長の波に乗って地方財政も非常に拡大されて、そして御存じのように四十九年以降の不況、そういう中で現在非常に大きな打撃をこうむっているわけでございます。そういうところで地方財源の不足というものが昭和五十年以降生じてまいりまして、年々ふえ続け、五十四年度におきましては四兆一千億という非常に大きな数字が見込まれているわけでございます。こういう情勢の中で自治体独自でいろいろ歳出の切り詰めをやっておりますけれども、これは一概に歳出を切り詰めるだけではやっていけないわけでございます。現在の行政サービスというものをある程度続けて、その中で合理的に運営していくためには、事務あるいは歳出の切り詰め、そしてその中身の見直しというものを行っていくということが必要だと思いますけれども、こういうことに関しまして、まず自治省としてどういうふうにお考えになっているかという、基本でございますけれども、お伺いいたします。
○澁谷国務大臣 御指摘のように地方自治体の財政は危機的な状態にあると言っても過言ではない、そういう非常に窮迫した状態にあるわけでございます。したがって、この地方の財政をどう立て直すかということがこれからの私どもの最大の課題になっておるわけでございます。
 そこで、財政の再建ということになりますると、大きく言って二つしかないわけでございまして、一つは出る方をとにかく抑制する、減らすということと、それでもなお足りない分については何らかの形で収入をふやすという、この二つしかないわけでございます。
 それで、御指摘のように何といっても高度経済成長が非常に長期間にわたって続いたわけでございますから、この間に地方自治体の部局の量も非常にふえたわけです。同時にまた、行政サービスの面も非常に大きくなりました。この両面から地方自治体の支出が非常に増大をしてきたというのがもう偽らざる実態でございます。
 したがって、私どもはこの異常な財政危機というものを立て直すためには、肥大化しておる地方自治体の行政というものに対してどうしてもメスを入れなくちゃならない、この点は御指摘のとおりでございまして、私どもはそういう方針で地方自治体のぜい肉の切り落とし、歳出の抑制に懸命な努力をしてまいりたいと考えております。
○玉置委員 行政改革という言葉が数年前から叫ばれておるわけでございますけれども、具体的に考えれば、まず一番大きな要素というのはやはり人件費だと思うわけでございます。そういう中で現在特に行われておりますのは、国におきましては各省庁の範囲内で増分を認めないという方針でございますけれども、具体的に進めていくためには思い切った定員削減、あるいは省庁、出先機関を含めた部局の見直しというものが必要だと思います。ここ数年来の動きを見てみましても、進度が非常に遅いといいますか、極端なことを言えば定員も実際のところはふえておる。サービスに対してふえているということではなくて、全体でふえているということだと思います。そういう中で自治省として各地方自治体に合ったモデル、たとえば五万都市であればこのぐらい、十万都市であればこのぐらいというような指標、あるいは地方自治体の都道府県としてはこういう部局とか、行政面での指針を示す、そういうお考えがないかどうか、お伺いしたいと思うのです。
○澁谷国務大臣 御承知のように都道府県の部局は法律で定めておりまして、その定められた枠以上に新設をする場合は自治大臣の認可が必要、こういうことで規制をしておるわけでございますが、市町村についてはそういった規制がございません。そういう関係で、この十年間見てまいりますと、市町村における部局の増大が非常に目立っております。それから人員の増加も目立っておるわけでございます。こういった実態に対して、いま御指摘のように一つのモデルといいますか、ひな形をつくって指導をするということも一つの方法だと私は考えております。現に都市センターではいろいろな角度から調査をした結果一つのモデルをつくりまして、これは公にしておるわけでございますが、そういったようなものも十分参考にして、どういう指導をすることが一番適切であるか、適当であるか、十分検討してまいりたいと考えております。
○玉置委員 ちょっと具体的な例になりますけれども、たとえば国庫補助の負担事業に関して、非常に事務量の増大、それから事務処理の複雑化というものがあるということをいままでいろいろ聞いてきたわけでございます。そういう中で、非常に時期的にも遅いし、そしてヒヤリングという非常に厄介なものがある。ヒヤリングというのは大変必要なんですけれども、こういう中で、国自体でやはり行政手続なりそういうものを軽減していけば、地方自治体としてもそれに該当する人が減ってくるんじゃないかと思うわけでございます。その辺で、いまの国庫補助負担事業に関して、事務量あるいは事務処理の手続、そういうものを具体的に合理化していく意思があるかないかということを、ちょっとお聞かせ願います。
○澁谷国務大臣 これは政府全般のことでございますけれども、私どもは、国庫補助金、補助事業ですね、これについての、その内容、それからあり方、それからそれの事務手続、大きく言ってこの三つになると思うのでございますが、この全般に対して補助金の見直し、特にいま御指摘のあった補助をとるためのいろいろな手続が非常に煩瑣になっておるわけです。極端なことを言いますと、一千万の補助金をもらうために東京に二度も三度も往復して、そして数十枚の膨大な補助申請の書類をつくらなくちゃならぬということも見受けられるわけでございますから、そういった点についても徹底したメスを入れなければならぬ時期に来ておる、私はこのように認識をいたしております。
○玉置委員 ちょっと時間がございませんのでまとめてお願いしたいと思うのですけれども、補助金、特に建設関係につきましては、個々に、下水道であるとかあるいは上水道、そして道路、いろいろ分かれて出ているわけでございます。こういうところで、いま補助金の制度の見直しというお話がございましたけれども、大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、たとえばわれわれ第二交付金というふうに考えて、いろいろ、ある程度の地方自治体の自主的な財源にしたいという考えがあるわけなんですけれども、その前に、まず一本化できぬのかということと、それから第二交付税的な考えで、地方自治体の自主性を尊重した、そういう使い方ができるような交付金として出せないかどうか、その辺についてお伺いしたいと思うのです。
○金子(一)国務大臣 いまお話しの補助金一本化の問題ですが、これはそれぞれ補助金の制度、目的が違っておるものですから、必ずしも全部一本化しろというわけにはまいりますまいと思います。道路建設に使うもの、下水道や公園整備に使うものを一本というわけには、これはなかなかいくまい。
 ただ、非常に同じような目的を持っておるいろいろな補助金があります。これは統合メニュー化で一本にして渡す方が、もらう方としても大変好都合でございますので、そういうものにつきましては極力一本化を進めております。現にことしもある程度やっておりますが、今後、特に零細補助金といわれるようなものにつきましては、数をふやすばかりが能じゃございませんので、極力合理的に使ってもらえるように、一本化をさらに検討させていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○玉置委員 ちょっとそれますけれども、この前から地方の時代というお話がございまして、それに対して、やはり地方自治体の財源というものの、権限の移譲といいますか、そういうものを含めて考えていきたいというお話を前々からいただいているわけでございますけれども、大蔵省あるいは自治省として具体的にどの辺までお考えなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○澁谷国務大臣 地方の時代ということが日本じゅうで言われるようになってまいったわけでございますが、この地方の時代という内容はいろいろあるわけでございますけれども、何といっても中心になるのは地方の自治体の行政、それからその行政を執行する裏づけとなる財源、この二つをお実するということが基本であるわけでございます。したがいまして、御指摘の国の持っておる行政事務を地方に移譲していくということは、地方自治体を充実させるための基本的な方策になってくるわけであります。したがって、私としては、基本的には現在やっておる国の事務と地方の事務というものをやはりこの際根本的に洗い直す時期に来ておるのではないか、このように考えておりまして、現在地方制度調査会で全面的な洗い直しをお願いしておるわけでございます。九月ごろにはその結論が答申という形で出てまいりますので、そういった答申の趣旨を体して、私は、国の行政事務を地方に移した方がいいというものがたくさんあるわけでございますから、政府全般の責任において極力そういう方向で推進をしてまいりたいと考えております。
○金子(一)国務大臣 いま、国も地方も同様でございますが、やはり高度成長時代の惰性で相当ぜい肉がついております。そういう点を、国に関しては、今度の予算編成を三月早めることによって、ひとつこの際徹底的に歳出を見直して効率的な国の行政ができるようにやってみようじゃないかということを、いま準備を進めておる最中でございます。やはり自治体につきましても同じようなことを、自治省が中心になっていろいろ御指導いただいております。そういうことによって、従来とかく二重になったりむだが多いと言われるそれぞれのむだを極力省いて、そして国としても地方に譲っていい仕事があればどんどんそれは譲って、両々相まって住民のニーズにこたえるように持っていかなければいかぬと思います。
 その際やはり問題は財源の問題でございますけれども、これはなかなか簡単にはまいりませんけれども、両方がそういうことで見直せば、私は、おのずからこれはこうした方がいいじゃないかというような議論が出ると思います。これはやはり私は半年、一年で、あるいは一年、二年で簡単に片づく問題ではございませんので、時間をかけて、お互いに努力しながらやっていく必要があると考えておる次第でございます。
○玉置委員 この件に関しましてはいろいろな地方からの要請というものもあると思いますけれども、特にいままで問題になっていました、たとえば道路を掘り起こして水道、下水管を入れる、その後にまたほかの工事をやる、そういう二度手間、三度手間という費用が発生しているわけでございますけれども、やはり少しでも一般国民から見て本当にむだだと目につくものについてはできるだけ一本化していただく、あるいは時期を統一していただくというふうなことをお願いしたいと思います。
 続きまして、一般消費税の関係でちょっとお伺いしたいと思います。
 これは大蔵省だったと思いますけれども、昭和五十九年度において赤字国債から脱却するということで財政収支試算を発表されましたけれども、その試算によりますと、五十五年度から五十九年度まで約九兆一千億円と、非常に数字の大きい新規増税が必要であるということでございます。現在非常に景気が上向いてきているといういろいろな傾向が出ていまして、そういう中身から、現時点の基準として、いままでの試算と国税収入の実態というものの確認をしたいと思います。
 まず、五十三年度全体の税収の自然増というものがすでにある程度把握されていると思いますけれども、それがどれぐらいになるのか。それと、五十三年度予算の歳出不用額というものもある程度把握されていると思いますので、これがどのぐらいになるのか。また、それぞれある数字が出てくると思いますけれども、これをどういうふうにお使いになるのかということをお聞きしたいと思います。
○伊豫田政府委員 お答え申し上げます。
 五十三年度の一般会計税収につきましては、現在まで判明しておりますのは、五十四年、本年の三月までの税収でございまして、これによりますと、累計で十八兆五千五百七十六億円となっておりまして、これは補正後、これは取り込み前と申しておりますが、御承知のように五十三年については五月分を取り込んでおりますので、その分を外しました予算額に対しまして進捗割合を計算いたしますと、九七%になっております。この九七%という数字は、前年同月の対決算進捗割合九四・九%を二・一%上回っている、こういう状況にございます。
 本年度の税収が最終的にどのようになりますかにつきましては、今後企業収益等二月決算、三月決算それぞれ順調に推移するものと見込まれておりますので、税収全体では補正後予算額をかなり上回るものになるものと期待しております。
 ただ、具体的にどういう数字かということになりますと、御承知のとおり、五月分の法人税収、これは三月決算でございまして、非常に大きなたまりがございます。したがいまして、そのたまりの推計というものが現段階における各調査機関の推計等にもいろいろとぶれがございまして、ただいまのところわれわれとしてはこれをはっきりつかむことができません。したがいまして、きわめて大ざっぱに申し上げますと、五千億円から六千億円程度の自然増収が出るのではないかと考えております。なお、強気に見ればもっと出るかもしれませんが、先ほど申しましたとおり、五月分税収につきましてただいまのような状況なので、これ以上申し上げることは困難かと考えております。
 以上でございます。
○吉野政府委員 歳出の方の不用額の見込みについてのお尋ねについて、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 申し上げるまでもなく、現在いわゆる出納整理期間が終わった直後でございまして、歳出面の不用額もまだ確実に手元で集計をするというような状況になってございません。ですから、的確に計数を申し上げる状況にないわけでございますが、私ども従来の実務上の経験等も交えましていわば勘と申しますか、その辺の要素も織り込みましてきわめて大ざっぱに申し上げさせていただきますならば、約三千億円程度の不用額が出るのではないかというふうに考えております。
 それから、税収の増加なりあるいは歳出の不用が出た場合に一体どうするつもりかというお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく、私ども非常にたくさんの公債、なかんずく特例公債からできるだけ早く脱却をしたいという念願を持っておりますので、仮に五十三年度決算を締めまして、歳入の面なり歳出の面から剰余金が出るというような状況になりますれば、幸いにして五十三年度の公債として国会から御承認をいただいております公債の発行額のうち約六千億円を現在まだ未発行のままにして保留をしてございますので、今後税収の固まりぐあいあるいは歳出の不用のぐあいを見ながら、できますれば留保してございます六千億の公債の発行を全額発行しないで済むというふうな形にいたしたいものだというふうに考えております。
○玉置委員 いまお聞きしましたように、約九千億という非常な余剰分といいますか当初見込みに対して上回った収入があるわけでございます。
 五十四年度税収の伸び率の予測ということで、一応大蔵省の方では八・三%増という見込みがされているわけでございます。五十三年度の累計税収額というのは、いまお聞きしました数字の前に、うちで予想したのが五千億ぐらいだということでやっておりまして、それが一・八%増ということで、これを上回るということになるわけでございます。当初予定されました八・三%というものが五十三年度の実績では非常に低いということでございます。自然増によるかさ上げ分ということで、これは将来の不安も若干あるので一二%ぐらいというふうに見た場合に、五十四年度の税収というものは約二十三兆円ぐらいになるんじゃないかと思うわけでございます。ところが、政府の見込みとしましては二十一兆五千億、この修正が若干あるわけでございますけれども、一応二十一兆五千億という数字をそのまま当てはめてみても一、約一兆五千億近くの収入増というふうになるわけでございます。こういうふうに考えますと、試算が出てから約二年経過しているわけでございますけれども、基礎の数字よりはこの時点で約二兆円近くが政府見込み額より増収となるということが考えられるわけでございます。
 こういうふうに考えますと、九兆円という必要増税額といいますか、そういうものがかなり減少しているんじゃないか、あるいはこのままある程度景気回復が進んでいって横ばいでいけばかなりのいいところまで現状の税制のままでいけるんじゃないかと考えるわけでございます。
 そういうところから、いまの一般消費税というものの導入の見直し、そういうものについて大蔵省としてはどういうふうにお考えになっているのか、大臣にお聞きしたいと思います。
○伊豫田政府委員 お答えいたします。
 ただいま八・三%という数字をおっしゃいましたのですが、これは五十三年度税収の見積もりが当年度の税制改正前、五十四年度の税制改正前でございますが、五十四年度見積もりました数字に対してどのくらい伸びているかという数字でございまして、これは八・三%、おっしゃったとおりの数字でございます。
 ただ、昭和五十四年度分の税収の問題につきましては、ただいま御承知のとおり五十四年度に入りまして、五月分まで取り込んでおりますので、六月一日を数日経たただいまの段階におきまして五十四年度税収全体の姿をあれこれ申し上げることは、われわれといたしましてはちょっと残念ながらいたしかねますので、もうしばらく相当の期間を置いてその推移を見守ってまいりたい、このように考えております。
 したがいまして、ただいまお尋ねのございました一般消費税の問題につきましても、従来の考え方というものにつきましてはいささかも変わりないものと、このように考えております。
○玉置委員 現時点での予測でございますけれども、五十三年度と五十四年度、まあ景気というものを五十三年度より五十四年度の方が上回るだろうとわれわれ見ているわけでございますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
○金子(一)国務大臣 経済七カ年計画でも財政収支試算でも、若干の自然増収を見込んでおることは事実でございます。これは経済の成長率を基礎にして税収をはじき出しますとそういうことになるわけでございますが、今後の、特にことしの下半期以降世界経済全体が、同時にまた日本経済が
OPECの値上げ等によってどういうふうに動くか、これは大変不確定な要素でございますから、いまからすぐこうなるという簡単な予測をするのは早計だと考えております。したがいまして、いろんな事態に対処できるだけの私どもとしては対応策を考えておかなければいけませんので、あなたがおっしゃるようにもう消費税はやらぬでもいいんだ、自然増収でカバーできるんだというわけには、私は簡単にはいかぬと思っております。特に今年度の年度末には六十兆という国債の累積赤が出ます。これの消化だけでも大変なことでございまして、御承知のとおり今日発行しておる国債は必ずしも消化がかんばしいというわけにいきません。そこら辺のことを考えながら、財政当局としては一生懸命にいろんな方策を講じながら努力しておるというふうに御了承いただきたいと思います。
○玉置委員 時間がございませんので、最後の質問にしたいと思いますけれども、われわれとしては一般消費税の導入に際しては、製品自体に力のない業界といいますかそういうもの、あるいは消費者、非常に相反するものがあるわけでございますけれども、お互いの利益というものがいまのところ非常に考えられないということから反対という態度をとっているわけでございますけれども、いま申し上げましたように、やはり景気の動向いかんによっては大分考え直す余地があるのではないかと考えるわけでございます。先行きというより、そんな数年先までなかなか見通せないということもありますけれども、その辺でぜひ考え直していただきたい。要するに基礎の数字が変われば考え直すんだということで考え直していただきたいと思うわけでございますが、その辺について、要するに試算に使われた数字が変わってきた場合に考え直す余地があるのかないのか、それだけ最後にお聞きしたいと思います。
○金子(一)国務大臣 石油ショック以来、世界を含めて日本経済も大きく経済の流れが変わってきたんです。このことをまず前提にお考えおきいただきたいのです。
 それで、従来は所得税中心の直接税体系が非常に公平だということで、それはそれなりの効果をおさめてきたと思うのですけれども、石油ショック以来経済が世界各国とも下向きになってきまして、もう所得税だけの公正では課税の公正は期せられない。やはり消費の大きさによってある程度―消費の大きさだけでは決められませんけれども、所得の大きさと消費の大きさと両方相まって課税の公正が期せられるんだという考え方が世界的になってきております。同時に、それをやらぬと国の財政収支のバランスが上げられぬようになってきておりますものですからいまのような消費税の問題が出てきたわけでございますけれども、特に日本の場合は消費課税になれておりませんし、一体大蔵省はどんな課税のやり方をやるんだというような点に対しての国民の皆さんの間に疑問のあるいは不安の感もございますので、そこら辺は十分私どもも具体的な内容が詰まり次第、皆様におわかりいただけるようにお訴えしていきたい、こういう気持ちでおります。極力国民の皆さんの理解と納得を得てやらぬと特に新しい税というのはうまく施行できませんので、そういうつもりでおることを申し上げておきます。
 だから、基本的にいまの数字が変わってきたから、もうそれは要らないんだというふうにいまお決めつけいただくのは、全くこれは私どもは早計としか考えられません。情勢としては世界の経済が、日本の経済がそういうふうに変わってきておる点をひとつ御認識いただきたいと思います。
○吉野政府委員 先ほどの五十三年度の税収あるいは歳出の不用に関連しましてでございますが、先生よく御承知のとおりかと存じますが、念のために補足させていただきます。
 仮に税収の面で約六千億、歳出の面で三千億不用が出たといたしましても、いわゆる財政法第六条に言います純剰余金ということになりますと、この六千億と三千億を単純に足しまして九千億ということになるわけでは必ずしもないわけでございます。と申しますのは、税収の増加の中身によりまして、その中にたとえば所得税、法人税等のいわゆる三税が入っております場合、あるいは道路財源になっております揮発油税等がございます場合には、それぞれ翌年度以降において精算をいたすことになっておりますので、その精算分を差し引きましたものがいわゆる純剰余金になるわけでございますので、純剰余金が九千億円になろうかというような見込みまで私ども持っているわけではございませんので、念のため補足させていただきます。
○玉置委員 大体考えはわかりましたので、ぜひ不公正税制と言われているいまの税制、そして景気に与える影響、そういうものを含めて、なるべく多くの方々が納得できるように、これからいろんな面でお願いしたいと思います。
 私の質問を終わらせていただきます。
○加藤委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、労働大臣がお見えになりませんので、労働省に対しましてベリリウム及びその化合物の製造または取扱業務に従事した労働者に対する健康管理手帳の交付問題について、二、三お尋ねをいたします。
 健康管理手帳の交付につきましては、申し上げるまでもなく労働安全衛生法それから施行令、そして労働省の省令であります労働安全衛生規則、ここに要件が定められているわけでございますが、ベリリウム従事者に対する健康管理について現在の健康管理手帳交付制度で十分であるというふうに考えておられるかどうか、まず最初にお尋ねします。
○岩崎政府委員 先生いまおっしゃいましたとおり、ベリリウムを取り扱う労働者についての健康管理手帳制度は、昭和五十一年から安全衛生法の施行規則五十三条の健康管理手帳の交付対象労働者の中に追加をいたしたわけでございまして、その当時の専門家の意見を聞きまして私ども交付要件を定めたところでございまして、現在のところそういうところが最新の医学的知見によるものだ、このように考えております。
○安藤委員 交付要件の中身は、ベリリウムに関するものですが、「両肺野にベリリウムによるび慢性の結節性陰影があること。」これが要件になっておるわけなんです。
 ところで、こういう陰影が生ずるというようなことになりますと、自覚症状としてはどういうようなものが出てきておると理解しておりますか。
○岩崎政府委員 私ども、ベリリウムの場合に健康管理手帳の対象となりますのは慢性ベリリウム肺であるというふうに考えておりまして、慢性ベリリウム肺は早期には自覚症に乏しいわけでございます。したがいまして、むしろ早期発見の手がかりは胸部エックス線の所見による、このように考えておりますので、両肺野にベリリウムによるびまん性の結節性陰影がありますと、自覚症状あるいは体の異常がなくてもその段階で健康管理手帳を交付する、こういうように考えておるわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、自覚症状の有無にかかわらずという趣旨だと思います。このエックス線撮影により両肺野にいまお話しをしておるような陰影ができるということは、人体に異常が生じているというようなことになるのでしょうか。
○岩崎政府委員 それは、そのような所見が認められることになりますと、人体に何らかの異常が生じているという観点から、健康管理手帳をその時点で交付する、このようにしているわけでございます。
○安藤委員 異常ということは、もうちょっと進めてみますと、もちろん私は医学的には素人ですからよくわかりませんが、ベリリウムによる中毒症状が出てきたということになるのか、あるいは慢性ベリリウム肺がもう発病したというようなことになるのかという点はどうでしょうか。
○岩崎政府委員 ベリリウム肺がすでに発症していると必ずしも言えないのかもしれませんが、少なくともごく早期の症状としてそのようなことがエックス線上認められるという時点で考えているわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、この健康管理手帳の交付制度といいますのは、昭和四十七年四月二十五日の当院の社会労働委員会、ここで当時の塚原労働大臣がこういうふうに答弁をしておられるわけです。「健康管理手帳制度は、離職後の労働者について、その従事した業務に起因して発生する疾病でありまして、発病まで長期の潜伏期間があり、しかも発病した場合重篤な結果を引き起こすものの予防ないし早期発見のために創設するものであります。」 労働省の通達もほとんど同じ文言で出されているわけです。
 いまおっしゃったのは、健康管理手帳交付の要件は、人体に異常が生じている段階だ、それから、早期の症状が出てきている状況だ、こういうことですね。となりますと、健康管理手帳交付の趣旨としていま私が読み上げましたような労働省、政府の見解からいたしますと、そういうような症状が出てきて初めて、いつ発病するかもしれない潜伏期間にあるから健康管理をする必要がある、そういう症状、異常が出てきて初めて、これは潜伏期間の状況にあるということになってしまいはせぬだろうか。それから、そういうような状態になって陰影が認められて初めて、ベリリウムが体内に入っていて潜伏期間の後これは発病するおそれがあるということで、予防ないし早期発見のために健康管理手帳を交付するということになってしまうわけですね。
 もうすでに体に異常が出てくる、早期の症状が出てくる、そうでないと、予防あるいは早期発見のための健康管理手帳は交付しないという制度になっておるのですよ。だから、その辺のところがおかしいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○岩崎政府委員 安全衛生規則五十三条で健康管理手帳を交付しておりますのは、先生おっしゃるとおり、離職後にそれ以前に従事しておった労働に関して何らかの健康障害というものがある者に対して自後のアフターケアをするという趣旨でございます。特にじん肺の場合とベリリウムの場合、これは肺に何らかの症状が出てくるということに対するものでございます。これにつきましては、ごく初期の段階で早く捕捉をしてその後の手を打とう、こういうことでございます。肺の場合には、いろいろな形でいろいろな病源で出てくる場合があり得るわけでございますが、少なくとも自覚症状が出てきたのでは遅い。したがって、エックス線での所見が見られたときに早く手を打とう、こういう観点から健康管理手帳を交付する、こういうことにしておるわけでございます。
○安藤委員 いまの答弁は全く答弁になっていないと思うのですよ。早期の症状が出てこなければいかぬわけでしょう。いまのお話からすれば、健康管理手帳は交付されないのですよ。体に異常が発生して初めて管理手帳が交付されるということでは、管理手帳は予防ないし早期発見のためなんですよ。そういう病気にならないようにするためのものなんです。たとえそれが軽い早期のものであったとしても、そういう症状が出てこないと交付しないというのでは全く意味をなさないと思います。
 そこで、慢性ベリリウム肺になるのは、ベリリウムに対する体の暴露期間が一番短いのでどのくらいというデータをお持ちですか。
○岩崎政府委員 いまの時点までの専門家によるいろいろな報告で私ども承知している限りでは、短いものでは六カ月ぐらいから六年の期間という非常に幅が広い形で、それぞれ個人の素質等との関係あるいはその他の問題もあると思いますが、そのようだというふうに聞いております。
○安藤委員 先ほどの陰影が出てきている段階、いわゆる管理手帳交付の要件の当時は自覚症状はないというようなお話だったのですが、私が労働省の安全衛生部の方の専門家の話を聞いたところによりますと、息苦しさを訴えている状態だという話も聞いているのです。だから、いまおっしゃったのは全くおかしな答弁になると思うのです。
 具体的な話を一つ申し上げたいと思います。
 名古屋にある日本碍子株式会社、ここは昭和三十年にベリリウムの研究開発をやって、たしか中南米の方から原石を輸入して酸化ベリリウムをつくって、そして化合物をつくって製品化するという一貫作業をやっておったのですが、いろいろな被害者が出てくるというようなことで、五十一年に打ち切って、現在は酸化ベリリウムになったものを輸入して加工しているということになっておるのです。
 私がこれから申し上げるのは「慢性ベリリウム肺症例に関する報告書 昭和四十八年十月二十日 日本碍子株式会社 人事部長小原敏人」、中身は「日本碍子株式会社における慢性ベリリウム肺症例に関する意見書」として、名古屋保健衛生大学医学部の島正吾教授の手になるものですが、この島教授という人は、このベリリウム問題についてはいま日本では第一人者とされている人のようです。先ほど学者の人たちの意見を聞いて云々とおっしゃったその中には、この島正吾先生も入っているという話も聞いております。
 これは女の人で、名前はあえて伏せますけれども、この昭和四十八年当時三十一歳、三十五年に入社をしまして、昭和三十六年四月から昭和三十八年二月までベリリウム作業場所属ボックス、ここで伝票処理等の事務作業を行い、その作業現場との連絡のために一日一時間以内ベリリウム取り扱い作業場へ出入りをしておっただけの人です。直接ベリリウムに接触したり、あるいはベリリウム作業にも従事しなかった。三十八年の二月に結婚するために退職したのですが、それ以後昭和四十年から四十八年までの間に、これはベリリウム化合物の一つなんですが、ベリリヤ磁器放熱板をプラスチックの枠にはめ込む仕事を内職としてやっておった、こういう人なんです。この人は退職のときには、先ほどの要件に合致していなかったということで健康管理手帳は交付されておらなかったわけです。現在は労災の方で手当てを受けておられるという話です。
 この人は、この島教授の報告によりますと、先ほどの勤務年限で一日に一時間暴露するということで試算をすると、空気中にベリリウムの濃度二ミクロングラムパー立方メートル、これはWHOの定めている許容限度量です。そしてアメリカの原子力委員会でも定めている許容濃度です。この職場で一日八時間ずつ働いたとすると、この暴露期間は約八十四・三日、約三カ月ですね。そういう状態であったのですが、そして先ほどの内職の部分は先ほどのような計算をすると暴露期間は約二十日。ところが、この人が昭和四十四年の十二月に初めて不明の肺野びまん性陰影が出現をして、呼吸器系愁訴の発現を見ている、こういうことになっている。この人は酸素テントにも入るという危篤の状態にもなったし、現在は入退院を繰り返している人なんですね。
 だから、こうなりますと、先ほどおっしゃったような最低期間六カ月、それから六年というのよりも、相当これは短期間の暴露期間でなっている人だというのがこの島教授の意見書にちゃんと出ているわけです。これは一つのデータですね。
 こういうことからしますと、問題は、比較的微量であっても持続的にベリリウムに暴露するというようなことになると、これは発病するということ。それから陰影出現、呼吸器系統の愁訴となって、もうそのときには慢性ベリリウム肺として診断をされておるわけです。
 ということは、ベリリウムの陰影を生ずる以前からこれは健康管理をちゃんとやって、そして予防ないし早期発見をすることがどうしても必要だと思うのですね。だから、その前にすでに健康管理手帳は交付すべきだと思うのです。そして先ほど言いましたように、微量でも暴露期間が持続的に行われる場合はこれは必ず健康管理をする必要があるということと、それから陰影が生ずる場合はすでにベリリウム肺に冒されて発病しているんだということがこれでわかると思うのですよ。先ほども早期の症例だ、症状だというふうにおっしゃったのですけれども、この人の場合はそういう状態になって発病しているというふうに認定されているのです。やはり健康管理手帳の趣旨から言っても、この要件はベリリウム従事者の健康管理上全く不当だと思う。この交付要件は、こういう事例からいたしましても役に立っていないと思うのです。ほかにも日本碍子をやめた人で管理手帳を交付されないままで死んだ人もいるのです。しかし、それはかぜを引いたとか疲労したとか、何かはかの病気で慢性ベリリウム肺が出てきたのじゃないかと思うのですが、その辺のところをはっきりされないままで死んだ人もいるという状況もあります。
 先ほどから問題にしております健康管理手帳の交付要件にこういう陰影があることというような要件があるのは、粉じん作業の場合とベリリウムの場合と二つですね。ほかの有害物質を扱う職場で働いた人たちの場合は、みんな暴露期間でいっているわけなんですよ。
 だから、これは私は一つの提言として申し上げるのですが、ほかの有害物質と同じようにベリリウムの場合も暴露期間によって手帳を交付するように省令を変更すべきじゃないかと思うのです。これは労働省の省令ですから、そうあれこれやらなくても、労働基本問題審議会ですかそこに諮問をされて、これは暴露期間によって交付すると訂正をさるべきではないかと思うのです。
 あるいはさらには、これも専門家に聞いた話ですが、ツベルクリン反応のように皮内反応をやってみて、ベリリウムが体内に入っているかどうかという反応を見て交付するとか何かそういうようなことをやって、本当の意味の労働者の健康管理、慢性ベリリウム肺の予防、早期発見をすべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○岩崎政府委員 いま先生から具体的な事例もお話しいただきましたが、私ども伺っていますと、実は私も本当に専門的なことになりますとあるいは間違いがあると恐縮でございますけれども、ただいま私どもがやっておりますエックス線で所見が出たときにそれを要件とするということは、先ほど申し上げましたとおり自覚症状があらわれた時点ではすでに遅きに失するということから、それ以前に手を打とうということなんでございます。先ほどお話しのように息切れが出たとかということになりますと、これはもう自覚症状でございます。ですから、それ以前にエックス線で発見ができたはずのものでございますが、私ども実はこれを五十一年に先ほど申し上げましたとおり健康管理手帳の交付要件に加えたわけでございまして、いま先生お話しの具体的事例があるいはそれ以前の問題ですと、そういうようなことがあり得たかもしれぬと思います。そのエックス線の発見がないままに自覚症状が出てきてしまった、あるいはもっと重い症状になってしまったということがあり得るのではないかと思っております。
 ただ、私ども現在はベリリウム等によります健康障害、これは先ほど四十七年の労働安全衛生法制定当時だと思いますが大臣の答弁を先生御指摘いただきましたが、何と申しましてもまず予防が大切であるということから、現在は労働安全衛生法によりましてたとえばその物質は製造許可物質としておりますし、またその製造に当たって製造設備、作業方法等をあらかじめ労働大臣が審査して、労働大臣が定める許可基準に適合した厳しい管理ということで行わせておるわけでございます。また、その早期発見につきましては特定化学物質等障害予防規則におきまして、特定の項目によります特殊健康診断の実施等、適切な健康管理というものを義務づけているわけでございます。
 それで私どもは、昭和五十一年当時、むしろ早期に、自覚症状が出る前にそういった発見をしようということで、これは先ほど先生もお話しのように現在じん肺とこのベリリウムの関係だけについてその従事期間ということでなしにやっておりますのも、やはりじん肺の場合ですとあの要件では管理区分三となっておりますが、これもある意味ではすでに自覚症状と申しますかそういう発症が出てきてからのことのように考えられます。
 ただ、私どもも現在、五十一年当時にそれまでの最新の医学的知見に基づいてこのような要件を定めておるわけでございます。その後の医学的な知見の集積等も私ども常にキャッチし、そしてそれに基づく検討はしていかなければならないことだというように考えております。
○安藤委員 そういうベリリウムも健康管理手帳が交付される対象にされた、これは結構なことだと思うのです。私が言っているのは、せっかくそういう制度が設けられたにもかかわらず、先ほどの答弁の内容によっても、体に異常が発見される、あるいは早期の症状が出てきたというのがX線撮影の結果わかったということでないと健康管理手帳が交付されないということでは、もうすでに体が異常になってからなんですから、異常になる前、あるいは早期にしろ何にしろとにかく症状が出てくる前に――やはり予防、早期発見のために健康管理手帳は交付されていると思うのです。だから、健康管理手帳をもらった人は年二回きちんと定期健診を受けることができる。ところが、症状が出てから健康管理手帳を交付して、これから健康管理をしましょうということでは、何の役にも立たないではないかと私は言っているのですよ。わかるでしょう。
 そこで、最近の医学的な知見を大いに取り入れておられるということですが、お医者さんのそういう最新の研究あるいは私が申し上げましたようなデータも含めて、労働基準局あるいは安全衛生部の方で、先ほど私が申し上げましたような方向で省令を改正するというようなことは、考えていただけるのかどうか、あるいは改めてお医者さんあるいは専門家の意見を聞いてやってみようということはおありになるのかどうか、こういう点はどうですか。
○岩崎政府委員 健康管理手帳の交付は、離職の際ないし離職後交付をするということになっているわけです。それは、離職後も従前従事した職場、仕事のいかんによっては健康障害があるのではなかろうか、それに対してはさらに自後管理、アフターケアをしていこうという趣旨でやっておるわけでございまして、在職中の労働者がそのような危険のある業務に従事している場合には、先ほども申し上げましたとおり予防措置、いろいろな環境整備その他のことは当然義務づけておりますし、また特殊健康診断ですから、半年に一遍ずつは健康診断を、特殊ないろいろな手法のものをやるわけです。そういうことで、あらかじめ予防措置を講じていこう、こういう趣旨でございます。
 そういうことでございますので、先ほども申し上げましたが、私どもも五十一年当時の専門家の意見を集めたものでいまやっておるわけでございますが、その後の医学的知見の集積等もあろうかと存じますので、その点は私ども常々検討いたし、必要によりましてはまた専門家の御意見等も伺って、その結果一つの結論が出ればそれに基づいてやるということは常々努力しているところでございます。
○安藤委員 ちょっとその辺のところはあれですが、申し上げたいこともありますので、そういうふうに検討していただきたいということを要望いたしまして、次に進みます。
 そこで、いま日本碍子株式会社の名前を挙げたのですが、ここだけでも千人近くの人たちがベリリウムのその仕事に従事しているわけです。そして、現在いる人たちも、その職場と関係のある人は健康管理をやってもらっています。しかし、先ほど言ったような要件が満たされないと健康管理手帳ももらえないでほうり出されるわけなんですよ、退職していくときに。あるいはそういう状態になったときに初めてもらえるのですよ。それまでの健康管理は一体どうなるのだというので心配しておるのです、現在おる人もやめたばかりの人も。
 これは昨年の十月にやめた女の人ですが、非常に心配しているのです。それで会社に交渉したのですが、あなたは法律の要件に合致してないから、幾らあなたが心配しておって過去にそういうベリリウムの作業場と関係があったにしても上げるわけにはいきませんと言われてしまって、非常な不安を持ってやめていっているという事実もあるのです。
 そして、これは日本碍子ばかりではなくて、先ほど私が言いました島教授の論文が労働科学研究所発行の「新労働安全衛生ハンドブック」の中にもありますけれども、その中にA化学工業、C電機工業、D窯業等々の会社の名前も、これは発症例として挙げられているわけですね。そうすると、これはまだまだ相当たくさんの人たち――私が最初に言いました女の人の場合も内職をしているわけです。だから、そういうベリリウムの化合物を扱う内職をしている人たちもたくさんいるのじゃないかと思うのです。そしてまた、その会社の下請をやっている労働者も相当いるのじゃないかと思うのです。
 そうなると、これは相当範囲が広がると思います。労働安全衛生法百八条の二という規定もあるわけです。だから、これは実態を把握して一遍追跡調査をやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
○岩崎政府委員 いま具体的なお話がありましたうちで一つ、何らかの症状が出たという人の中に、これは慢性ベリリウム肺でなしに急性の肺炎症状を呈する方はおられるわけです。それはその都度よくなってしまったというふうに私ども聞いておるのです。
 それからもう一つ、ベリリウム障害というのは粉状のベリリウムに暴露することが原因で発症するものでございます。いま御指摘のような、製品になってしまった、たとえばベリリウムが混合されたような金属とかそういうものを電子機器などの部品に使われるということは聞いております。そういうものを内職でやっておるものは、現在電子業界ではすでにないと私ども聞いておりますが、そのようなベリリウム磁器等をプラスチックに取りつけて作業をやるというような場合のものは、粉状のベリリウムの取り扱いとかベリリウムの溶融というような粉状のベリリウムに暴露するおそれのある作業ではないわけでございます。したがって、そういうところから発症はしないのではないかと私ども一般的には考えております。
 ただ、いま御指摘の点で実際に作業をやっている者の中で具体的に発症事例が出ているのかどうかということを私ども必ずしもつかんでおりません。そういうものが出たというようなことであれば、それに基づいて調査については検討すべきだ、このようには考えております。
○安藤委員 時間が来ましたので、一言だけ要望しておきます。
 このベリリウムの関係で健康管理手帳をもらった人は、まだ日本にたった一人しかいないのですよ。それはこういう要件が厳しいものですから、ちっとも対象にならないのですよ。その辺のところも含めて、それから先ほど私が島教授の報告書を言いましたが、この中にも、内職でやっている人の場合も暴露期間というふうにちゃんと規定して、そして時間が計算されているのですよ。いいですか。だから、化合物になったものは絶対安全だ、粉末でなければ大丈夫だというような固定観念をなしにして、その辺も一遍積極的にやっていただきたい。そして、先ほどもお聞きしましたように、最新の科学の知見を得て改正するという方向でやっていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。
○加藤委員長 永原稔君。
○永原委員 私は原子力発電所の問題を中心にしながら、数点伺ってみたいと思います。
 この前の日米首脳会議で原子力問題がいろいろ論議され、共同声明に発表されておりますが、その中でも特に「両者は、原子炉の安全性及び信頼性を高めるため共同研究を拡大することにつき意見の一致をみた。」こう述べられております。意義のあることだと思います。総理大臣はさらに、「日本にとって原子力が石油に代わるエネルギーとして、短期的及び中期的には最も信頼性のあるものであることを強調した。」こういうふうに言われておりますが、これも私ども納得できることなのです。
 しかし、こういう会談の中において、スリーマイルアイランドのあの原子力発電所の事故について、両者の間に何か意見の交換があったのだろうか。国土の広狭の相違また人口密度の相違、いろいろ条件の違いはありますけれども、ああいう事故に当たって得た一つの教訓というものが日本の対策の中にも取り入れられてしかるべきではないかと思いますけれども、これをどういうふうに施策に反映しようとなさるのか、通産大臣は何かお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
○江崎国務大臣 お答え申し上げます。
 カーター・総理会談ではもとよりこの問題が取り上げられたことは、いま御質問のとおりでございます。そしてその両者の間で、日米協力はもとよりだが、国際エネルギー機関においてその安全性の確立を十分確かめ、そしてまた民心に与えた不安感、これに真相をはっきり説明することによって理解を求める努力をしていきたい、簡単に申せばこういう結論になったものというふうに聞いております。
 それから、先ごろ行われましたパリのIEAの閣僚理事会におきましても、私、アメリカのシュレジンジャーエネルギー庁長官とこの問題について話し合いをいたしました。彼は、非常に初歩的なミスでまことに残念なことをしたということを言いながら、このハリスバーグの事故というようなことは日本においてはちょっと考えられないことだと思う、という意味は、最も資本力の小さい会社が操業を急ぎ過ぎたというような意味もあったように思う、そういった真相についてはなお五カ月間を要するということを言っておりました。この真相がわかり次第、アメリカの原子炉を使っておっていただく日本に対しては、もう直ちに大平首相に約束をしたように資料提供をしたいと思う。ついては、貴国においてはこの原子炉の今後の計画に変更を加えるとか、何らかの政策的な変化はあるのかという私の質問に対しては、それはない、むしろ石油の代替エネルギーとしては最も効率的な原子力であるのでぜひひとつこれは計画どおり進めていきたいと考えておる。そのためにはIEAはもとより国際的なレベルで安全を一層確立をしていきたい。しかも自分のところで事故を起こしてそういう言い方は恐縮だが、少なくとも原子炉そのものの安全性というものは当初われわれはあらゆる対策をとり、どんな被害が起きた場合にどう対応するかということでいろんな対策をしたところであるが、結果においては被害は最小限で、また放射能等についても人畜に被害を与えるということはなかった、これは二重三重のごく初歩的なミスが重なったにもかかわらず、結果的には安全であったということも言えるんだ。しかしミスはミスだ。したがってこのことを重要に考え、ぜひひとつ深刻に受けとめて検討をして、世界の原子力開発計画にこういう支障を来したことの償いをどうするか、今後精神的な面に与えた影響というものを重視しながら十分お互いに研究しようじゃないか、よろしく頼む、こういった意見表明がシュレジンジャーから直接なされたこともございまするので、つけ加えお答え申し上げておきます。
○永原委員 いろいろ経緯をお話しいただきましてありがとうございました。
 ただ、政府のいろいろな方針あるいは総理大臣の所信表明、こういうことで中央では済んでしまいますけれども、現実に原子力発電所をつくろうということになりますと、その仕事は全部自治体にかかってまいります。住民を説得し納得させる、こういうようなのが町村長の双肩にかかってきているわけです。結局、企業努力はもちろんのことですけれども、町村長の使命は非常に重い。しかし、スリーマイルアイランドのようなああいう事故というのが、情報過多の時代に非常に不安感を国民に与える、これは避けられない事実であろうと思います。しかも大規模地震発生地域として指定されようとしている静岡県のような場合には、このスリーマイルアイランドのミスが単なる初歩的なミスであったにもせよ、地震とは直接関係のない問題ではあるにせよ、非常に不安感を持つわけです。こういうものについて、やはりこれは町村長の守備範囲を超えるような問題になりますので、ぜひ政府としてこういうものについての毅然とした方針というものを明確に示すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○江崎国務大臣 御指摘の点は私もきわめて重大であるというふうに思います。しかも現にああいう事故が起こりました以上は、今後ともやはり地元側との理解が一番大切である。今日までも原子力発電の開発に当たりましてはまず地元関係者の理解と協力を得る、これが大前提でありました。そうなるといま御質問のように、現にある地域においても非常な不安感が出てきたわけですね。したがって、従来から地方公共団体と深い連携をとりつつありますが、やはり個々の立地点の実情に応じたきめの細かい対応策が必要であるというふうに考えますし、また閣議において大平首相からも、災害緊急対策の中にもちろん織り込まれておるものの、いま一歩掘り下げて、ああいう具体的な事故にかんがみて、この対策を至急樹立するようにということで、現在総理府において各省庁の意見を徴しながらその対策の結論を急いでおられます。事務的にはだんだん煮詰まっておるというふうに私どもも中間報告を聞いたことはあるわけでございますが、大いに促進をしまして、やはりあの事故にかんがみまして、十分われわれも安全第一、特に関係地方自治体との連携強化、それから実際に即して、この原子力発電所は、この原子力発電所はというような地理的な対応策等についても具体的に掘り下げていくことが望ましいというふうに考えております。
○永原委員 ぜひ原子力発電所ごとの対応策というようなことについては指導を強化していただきたいと思います。
 いま大臣がお話しになりましたように、やはりきめの細かい対応策が必要だという認識でございますけれども、これに関連しまして電源三法がいま地域のためにいろいろ役立っておるのは事実でございますが、まだ問題を含んでおると思うのです。電力需要の増加に対応して電源開発促進税収はふえてまいります。しかし、現実に電源立地促進対策交付金というのは、これはいろいろな原因がありましょう。立地計画の推進がなかなか思うようにいかないということもありましょうし、整備計画の事業の採択についての議論もありましょうし、いろいろ問題のおくれを見ておるわけですけれども、繰越金はかなりふえてきておるような状況でございます。
 そういう中でこの電源立地促進対策交付金、これはいまメニュー方式でやっていらっしゃいますが、整備計画の対象は公共用施設に限定されているところに問題があるのではないか。施設をつくれば維持管理費が必要なんです。その財源というのをどこに求めたらいいだろうか。これは後ほどまた自治省にも伺いますけれども、資源エネルギー庁はただこういうような施設をつくるということだけで対応ができているとお考えになるでしょうか。やはりこれを受けとめて運営していくようなのが自治体の使命ですから、そういうものの財源手当てについて何か別途お考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
○豊島(格)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、現在の交付金の対象といたしましてはいわゆる公共施設が中心といいますか、それが対象になっておるわけでございますが、これにつきましては中身として他のいろいろな制度、必ずしも直接比較するのはいかがかと思いますが、いろいろな制度がございますが、それに比べれば非常に幅の広いものが対象になっておるということが言えましょうし、またこのような公共施設のみを対象にしている理由としては、それが長期的に地域住民の福祉の向上に役立つ、こういうことがそもそも設立の趣旨であった、こういうふうに考えております。
 ただ、実際問題といたしまして、いろいろとそれだけでは不十分ではないかという声もございますし、今後、そのような実情を十分踏まえ、検討をしていきたい、こう思っておりますが、それを電源開発促進法の中でできるのか、あるいはその他でいくのか、その辺のところにつきましてはまだ検討の段階でございますが、いずれにいたしましても、実情に応じ、いろいろと検討していかなければならないものだということは私どもも十分認識しておるところでございます。
○永原委員 いまほかと比べて非常に幅広くお考えになっているようなお話がございました。しかし、まだこれでは十分でないと思うのです。特にスリーマイルアイランドのああいう事故、こういうものに対応して考えますと、防災避難施設というようなものも必要ではないだろうか、こういう気がいたします。
 また、これは福島県の大熊町だったと思いますけれども、町政の中で、こういう原子力発電所の問題というのは一時的な問題ではなくて恒久的に尾を引く問題ですので、そういう中で人員もふやしていかなければならない、庁舎も拡大しなければならない、庁舎をぜひつくってほしいというような話が出ていたようですけれども、こういうようなものについての考えが通っておりません。こういう点についてのお考えはどうでしょうか。
 また、いろいろな事業についての補助裏の財源にこれを使うわけにいかない。一部は、これは使ってもいいようには規定されておりますけれども、原則として公共事業の対象にはこれを使ってはいけないように制限されております。余りにも使途を限定させ過ぎているのではないだろうか。それでは民生安定のための施策の財源にはなりませんし、町村長にもう少し裁量の余地を拡大して与えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○豊島(格)政府委員 防災施設につきましては、現在の制度でございましても道路とかあるいは有線放送設備等については一応整備できることになっておるわけでございますが、これだけで十分かどうかという点については、今回のいろいろなアメリカの例を、事件をも踏まえまして制度の改善について検討してまいりたいと思います。その中で、地方公共団体のやる市町村その他の事務というものが相当大きな負担になるというような点も十分われわれとしても認識しておるところでございます。そういう観点からの検討というのは今後とも早急に進めていかなくてはいけない、このように考えております。
 なお、公共事業、公共施設につきましていろいろ補助裏の問題を御指摘になりましたが、実質上予算で補助が出ておるものにつきましては二分の一まではよろしい、こういうことで、補助裏の問題も実質的にはかなり解決しておるわけでございまして、これが問題となって本当にできない事業はどのくらいあるかという点につきましては、制度の改善によってかなり目的を達しておるのではないかとわれわれ認識しております。
 ただ、この問題につきましては、かねがね市町村としてもっと使いやすいようにしてほしいという希望もわれわれとして十分わかるわけでございまして、電源立地の推進に当たりまして、この制度の趣旨というものが地元市町村の協力を得るという大前提があるわけでございますから、どのような方法でそれをやるかということは今後の検討を待たなければいけませんし、他の諸制度との関連もあると思いますが、前向きで取り組んでいきたい、このように考えております。
○永原委員 今度のこの交付金は、原子力発電所については五十四年度までに電調審で決定したものの建設期間中、こういうようになっていこうと思いますけれども、五十五年度以降についてもこれを延ばすようなお気持ちがおありになるかどうか、その点が一点。
 それから、お気持ちとしては町村長のお気持ちはよくわかるというふうに理解をしていらっしゃいますけれども、こういう維持管理のようなことまで考えるとすると法改正を必要とすると思うのです。法改正についての態度はどういうようにとっていらっしゃるのか、その点を伺いたいと思います。
○豊島(格)政府委員 二つ御質問があったかと存じます。
 一つの点につきましては、いわゆる五十三年度に電調審が通って五十四年度中着工のものにつきましては倍額の交付金という特例を設ける、この点についての御質問かと存じますが、この特例を設けました趣旨は、いわゆる五十三年度の電調審、五十四年度着工というものを非常に急がなければ五十年代の後半における電力需給につきまして非常に困難になるということで、非常に急ぐ。まあ原子力はもう少しかかるものもあるかと思いますが、そういう特別な事態で、特に千七百五十万キロという膨大な目標を掲げまして是が非でもその目標を達成するといいますか、そういう特別な目的でやられた制度でございます。
 したがいまして、一般的な制度として今後ともこのような制度を続けていくかということになりますと、やや当初の趣旨からいいまして必ずしも妥当ではない。一生懸命やらなくてはいけないのは毎年でございますが、特に五十三年度から五十四年度にかけましてのそういう客観情勢に応じた制度でございますので、その趣旨からいえば必ずしも続けていくわけにいかない。
 それから、それだけのことをいたしますと一応財源問題というのもさらに大きな問題で、恒久措置とするには関係各省、財政当局との話し合いも十分しなくてはいけないということで、私どもとしては一応今回限りの措置、このように考えております。
 それから、第二の点でございますが、防災その他含めて維持管理費ということでございまして、現在の法律ではそういうことは非常にむずかしいとわれわれ考えております。しかし、これをどうするかという問題につきましては、いろいろと考えなくてはいけない問題もあろうかと思いまして、法律改正につきまして、私いまここで法律改正をどうこうということはなかなか申し上げにくいわけでございますが、関係各省とも十分連携をとり協議をいたしましてこの問題を検討してまいりたい、このように考えております。
○永原委員 原子力発電所の問題は、五十三年度だけでは済まないと思うのです。やはり今後もこういうような事態に対応して特例措置を設けていくべきだと思いますが、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 時間が詰まってまいりましたので先を急ぎますが、基礎的な自治体の町村長の悩みを一番理解してこれを指導していくのが自治省だと思いますけれども、こういう原子力発電所の存在している市町村の財政需要というのは、これは基準財政需要額には算入されないようなものが多く見受けられます。いま言いました維持管理の問題なども特にその一例になるわけですが、こういうものに対してどういうように指導なさろうとするのか、そのお考え。
 それから、たとえば一号機、二号機、三号機とだんだんふえてまいります。一号機、二号機についてすでに整備計画は終わった、しかし三号機はさらに建設にかかろうとするときに、整備計画を立てて交付金の対象になっていくわけですけれども、施設だけでは意味がないと思うのです。やはり民生安定のために、後発地域であるだけに工場の誘致も必要でしょう、雇用の場を拡大しなければならないと思うのです。農業振興あるいは漁業の振興、そういうことを考えますと、この促進交付金の内容を変えるべきだ、こういうことで町村長は強く訴えていると思いますが、これに対応して自治大臣はどういうようにお考えになるでしょうか、そういう点について伺いたいと思います。
 それから、もう一度通産省に戻りますけれども、企業誘導のために、原子力発電所の周辺地域の電力料金をまけてでも地域の発展を図るように企業誘致をしたいのだ、こういう町村長の声が非常に強うございます。これに対してどういうように対応なさるのか。それから促進交付金というのは着工から運転開始年度までということになりますけれども、運転を開始した後であってもやはり特別な財政需要はあると思うのです。こういうものについて交付金の利用を考えていくべきではないかというように思いますが、そういう点についてのお考えはどうでしょうか。
○澁谷国務大臣 この電源立地に関する交付金制度は、御承知のように逐年その額も増額をされてきておりまして、関係市町村にとってはかなりの便益を与えてきておることはもう事実でございます。ただ、御指摘のように、関係市町村としては、この交付金の使い道が当初非常に厳しく限定されておりました。したがって、せっかく金をもらっても市町村が希望するような用途にこれを使用することができないという、そういう陳情が非常に多かったわけでございます。私どもとしては通産省とこの点について逐年交渉を重ねてきておりまして、ただいま答弁がありましたように、その点では大幅な改善を見てきておると存じます。
 ただ、御指摘の維持管理費、この問題は確かに現行制度では解決されません。施設はどんどんできていく、施設が動いていくためには当然維持管理費が必要なわけでございますから、どういう形でこの問題に対応するか、これは政府全般として当然考えなければならない問題だと私は考えております。先ほど通産省でも、この点については、法改正の問題にも一触れるわけでございますから、そういう点も含めて十分検討をしてまいりたいという答弁がございましたので、自治省といたしましても通産省と十分その点を、関係市町村の要望を踏まえて協議をしてまいりたいと考えます。
○江崎国務大臣 第二点の、電気料金の割引制度を導入してはどうかという点でございますが、御承知のように電気料金というのは現在原則的には原価主義、これでやっておるわけであります。そこで電力会社が供給地域ごとに統一してちゃんと値段を決めておるわけでございますね。これを電源立地の市町村の料金を割り安にする、地域別料金制度を導入するということになりますと、いろいろ波及するところも大きいわけでありますし、問題も出てまいります。したがって、政策的に発電地域に限って料金を安くするということは、従来とっております原価主義に全く反したことにもなりますし、そうかといって、御質問の趣旨はわからぬわけではありませんが、いますぐどうするということはこれはちょっとできませんが、長期的な視野に立っていろいろ御趣旨の点などを配慮しながら、今後の問題として検討はいたしてみたいというふうに考えます。
○永原委員 いま通産省も自治省もお答えいただきましたように、この電源三法について検討を加えるようなお答えでございました。
 大蔵大臣に特にお願いしておきたいのですけれども、通産省も自治省もやっぱりこの問題について真剣に取り組もうとしているのです。町村長が悲痛な声を上げているのです。現実に所在市町村あるいは所在県というところでは法定外普通税、核燃料税まで設けてこれに対応しようというような努力をしているわけです。財源調達についても自治体自体はそういうような努力を続けているわけですが、ぜひこの交付金の内容がもう少し弾力的に運用できるように法改正をしていただきたい。原子力発電所の所在市町村は、これはケースは違いますけれども、防衛施設の周辺地域の生活環境、この整備についての法律に含まれたああいう事業内容を考えてほしい、補助事業を考えてほしいとまで訴えております。こういうようなものもお考えいただきたいし、五十五年度予算編成が急がれている中で、問題点としてこれはぜひ早急にお考えいただきたい、こういうように思いますが、最後に大蔵大臣の御所見を伺って、質問を終わらせていただきます。
○金子(一)国務大臣 きわめてむずかしい問題でございます。従来からこの問題は相当厄介な点もはらんでおるものですから、しかし、お話にございますような点もございますので、十分検討さしていただきます。
○永原委員 終わります。
○加藤委員長 お約束の時間が参りました。
 これより、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 この際、申し上げます。質疑時間につきましては、理事会で協議、決定いたしました時間を厳守されるようお願いします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
○原(茂)委員 総理に、大きく三点お伺いいたしたいと思います。
 最初に、三年来やってまいりました大変大きな課題だと私は信じております北富士演習場周辺の問題について、総理にまず二点だけお伺いをいたしたいと思います。
 いま申し上げましたように、ちょうどもう三年にわたって、この問題に関して、いわゆる通称梨ケ原の一部の二百十四ヘクタールが山梨県に払い下げられました前後の問題と、その周辺の諸問題について執拗に議論をしてまいりました。これは私には何の私的利益をもたらすものではございません。私は社会主義者として、また社会党員として、この北富士農民の入会権に基づく余りにも長い報いなき闘争に、いにしえの荘園以来の虐げられた農民の、特に封建制社会の桎梏のもとに、常に時の権力によって自由と権利を、否、生命、生活、財産を奪われ続けてきた、それが戦後の現代においてもいまだに残っているのを見まして、わが国全農民の生活に大なり小なりこれと同じ姿を見つめ、口に社会主義を唱えるよりは、身をもってこの農民を多数の意思によるという名目の圧制から脱却させようと決意いたしまして、今日まで追及をいたしてまいりました。
 特に大平総理は、かつて内閣官房長官の当時これに関与して、当時の藤枝防衛庁長官と農民代表との間に、忍草農民が従来の慣習に従い将来にわたって牧草地として使用収益することを認める覚書が確認されて以来、十七年八カ月の時がいま流れたわけであります。今日まで熾烈な闘いが展開されてきたわけですから、総理も関心を持たれているものと思い、本日は午前中各大臣にこれに関連しての質問をいたしましたし、総理への質問も、多分一昨日だと思いましたが、私の質問原稿をそのままお渡ししてありますので、詳細は省かせていただき、以下二つの点にだけ御答弁をお願いいたしたいと存じます。
 第一は、五十二年の九月国有地二百十四ヘクタールの払い下げについてであります。
 この払い下げに当たっては利用権者の意見を十分に尊重すべきである旨の本委員会の決議や、これに対する大蔵大臣や総理の答弁をも無視して、忍草農民との話し合いをするどころか、力で強引にブルドーザーによる農地破壊を行い、放火、暴行傷害事件を相次いで起こすなど、払い下げ目的たる山梨県による植林もほとんど実施を見ずに、本年もまた再度この紛争が目の前で起きようとしているのであります。
 私は、忍草農民が入会権を有するか否かは司法機関の最終判断に任せるといたしまして、ともかくこの梨ケ原入会地に命と生活を託してこれまで何百年にもわたっての生活をいたしてきております事実を尊重して、まさしく政治的、行政的解決を急速に図るべきであると考えますがどうか、これが第一点。
 第二の点は、この北富士梨ケ原入会地が演習場として使用されることによりまして、入り会い農民が入り会いかせぎのできない実際の損害を政府は補てんいたしてきております。林野雑産物損失補償というのがその名称です。これも忍草農民が体を張って確立されたものですが、現在、政府、防衛施設庁はこれを見舞金と称し払っているのですが、その手続、内容が問題なのであります。ある時期にいきなり演対協なるものをつくり、これに加盟し会長に白紙一任した者のみに払われるという仕組みに問題があります。演対協に加入し白紙一任しない者には払われていないのであります。
 これに加えて、支払い内容に至っては言語道断であります。実際の損害が何一つないことを百も承知の上で支払われている事実があるからであります。莫大な額の国民の税金が毎年こんなうその上で支払われていいものかどうかという点であります。
 以上、北富士の入り会い問題につき、国有地払い下げにまつわる問題と、林雑補償との二つの問題に分けてお尋ねをいたしましたが、政府が一日も早く何らかの積極的な措置を行い、善処されるように切望しているのが私の真意であります。総理の責任ある、これに対処する御答弁をお願いしたい、これが第一の問題でありますので、まず御答弁をいただきます。
○大平内閣総理大臣 北富士演習場の一部が林業用地として山梨県に払い下げられたが、この土地は、忍野村忍草の農民が入会地として立ち入り使用、収益しているかけがえのない土地である。払い下げを受けた山梨県とその造林者は実力でこの牧草地を壊滅させている。このような払い下げが、ちょうど私が官房長官でございましたときの政府が確約した、忍草農民が入会地の立ち入り使用、収益する慣行を尊重していると言えるかどうか。政府はこの払い下げによって生ずるトラブルを回避する責任を果たして、裁判の結果を待つというのでなく、政治的、行政的解決を図るべきでなかろうかという御趣旨の御質問であったと承知します。
 梨ケ原地区における忍草入会組合の牧草地は、同組合が五十一年四月に至って初めて開墾し、牧草の種をまいたものでありまして、このような行為が同組合の持っておる入会慣行の内容、言いかえれば、燃料、芝、草、カヤ、石等の採取に含まれるとはとうてい認められないと思います。したがって、植林のためこの牧草地を整地したことは、入会慣行を尊重するという方針と矛盾するものではないと考えております。
 御指摘のトラブルは、忍草入会組合が行った不法行為に起因するものでありまして、この問題については、現在御指摘のように司法手続が進められておることでもあり、結局のところ司法判断の下されるのを待つ以外にないと考えております。
 それから第二の御質問は、入会地が演習場として使用されることにより入り会いかせぎができぬ実損害を政府は補償しておるが、政府はこれを見舞金と称し、演習場の使用に協力する団体に加入する等の農民に対してのみ、場合によっては実損のない者に対しても支払っておるようである。ところが、入会権を主張する農民に対しては、支払いを拒否している。このような現状は速やかに改むべきでないかという御趣旨の御質問と承知します。
 政府としては、自衛隊等による円滑な演習と関係住民の民生安定を図るため、従来から演習場内におきまして野草等、林野雑産物を採取して農業を営む者が、演習により採取が阻害されている場合に、その阻害の程度に応じまして補償を行ってきております。北富士演習場にかかる林野雑産物補償につきましては、地元間の権益をめぐる長年にわたる争いの歴史的経緯にかんがみまして、その円満な処理を図るため、関係地方公共団体、入会組合等をもって構成されておる北富士演習場対策協議会と協議の上定めた方式により、処理いたしております。同協議会を通じて処理することは県民の総意によるものと承知しており、政府としては右の処理の方式を改める考えはございません。
○原(茂)委員 私の質問の主意もどなたかが書き間違えたのか、意識的に違ったことを言っています。総理の答弁は私が今日まで主張してまいりましたことを十分に御存じないための大変遺憾な見当違いな答弁、第一の問題なんかは全然反論する気にもなれません。
 第二の問題の一番の中心は、何といっても実損のない者に支払われているという事実を、国民の貴重な税金をそのような使い方をされていてそれを見逃していいかというところに中心があるわけですが、その点に対してもぴしっとした御答弁がない。せめて総理からは、総理が官房長官時代に農民と大臣との間の覚書をつくるあっせんもされた経緯がありますから、もう少しましなというか、当を得た答弁があると思ったのですが、まことに遺憾です。いまの総理の答弁は答弁にもなっていないし、私のお聞きしょうとした問題点をことさらに避けているという点で、そのまま返上をいたします。次回に機会を見てから、改めてまた申し上げる以外にないようです。
 問題の解決は早急にしなければと考えて、きょうの機会に総理からもう少し具体的な答弁をと考えましたし、正鵠を射た問題の把握をと考えていましたが、期待に反しました。これはやむを得ないと思います。したがって、きょうは時間の関係で、この問題を余り深く御存じない総理を相手にやりとりをしましても時間のむだですから、そのまま返上をする。一切私の納得のいく答弁ではないということだけ申し上げて、終わりにしたいと思います。
 それから次にお伺いしたいのは、航空機疑惑に関してでございます。
 この間、航空機疑惑問題等防止対策協議会なるものを総理の私的機関としておつくりになりました。この問題について、約七点に分けて順次お伺いをしてまいります。
 その前に、申し上げるまでもありませんが、一昨年、福田前総理と灘尾現議長、大平総理などとともに私も二十五年表彰を受けるというその意味の親しみを込めて今日まで総理をずっと見てまいりました。相対してもまいりました。きょうはその気持ちを前提にしながらこれからお伺いをしてまいりますが、現在国民の政治家に対する不信感が大変増大をされております。特にロッキードに次ぐ今回のグラマン汚職に関しまして、そういうことがあればあるほど、議会で古いと言われる総理も私どもも、院の表彰を受ければ受けるほどに、責任を持って、一日も早く国民の政治に対する信頼を回復する。せめてわれわれ政治の場にある者の当然の義務でなければいけないと自覚いたしております。したがって、当面するこの問題、この不信というものに対して可能な限りの防止対策としての献策や、また総理の意向などをお伺いして、何とかして国民の不信を薄らげるように努力したいという趣旨で、いま私のこれが緊急の義務だという前提に立ってお伺いしてまいります。
 その第一は、いま申し上げました私的諮問機関の航空機疑惑防止協といっておるものをつくりまして、一日に初会合を行ったようであります。そこで総理が一番中心的に言われておりますのは、私も同感でございますが、政治倫理の確立、これを主眼として提唱をされました。また、政治家には一般民間人以上の義務、責任といったものがあるとの見解も同時に述べられております。これは各紙が一斉に報道しているから間違いありません。
 そこで、お伺いしたい第一は、今後の政治倫理の確立を考えるときに、過去、今日までのいわゆる疑惑に関して徹底的な解明がなされなければと思うのですが、どうでしょう。いままではそれでいい、これからが問題なのです、これから政治の倫理を確立するのだというのでは、国民の不信にこたえる道ではありません。過去にあったもの、現在のもの、これに対する疑惑をできる限り私たちの力で一掃をするという前提に立った上で、これからの政治倫理をこう持っていこうではないか、これが当然であります。
 こういう前提に立ちますと、少なくともいま問題になっておりますグラマン、日商岩井の疑惑に対しまして、まず総理が率先、厳正なる態度で政治倫理の確立のために垂範すべきであると信じます。それには、過去の問題としては、ロッキードに関連したと言われ、みずから証人として出席を望んでいる福永一臣氏の委員会出席に関して、自民党内の反対でいまだにこれが実現できておりませんが、総裁として、また政治家には一般民間人以上に義務、責任があるとの見解からも、進んで福永氏のいわゆる政治家としての義務、責任を果たさせてあげるために、当院における証人喚問にみずから進んで出ようというのですからこれを抑えることなく、党の総裁としてこれが出られるようにしてあげることが、まず過去に対する総理としての一つの義務だというふうに私は考えますが、いかがでしょう。直ちに出席できるように自民党内をまとめていただきたいと思うのが一点であります。
 第二点は、現在の最大の問題点である岸信介氏の証人喚問についてでございますが、東京地検特捜部がなぜか松野氏だけの事情聴取にとどめたのを受けまして、岸氏は、自分は刑事上無関係であったではないか、マスコミは自分に謝罪しろという抗議文を発表いたしました。御存じだと思います。政治家のゼスチュアとしてはわかりますが、こういう一片の抗議文を出すよりは、福永氏のようにみずから進んで証人として出席するようにして、政治倫理、義務、責任のあり方を国会議員に範をたれてしかるべき大先輩の岸さんなのですから、証人として正々堂々と御自分の政治上、道徳上の身のあかしを立てるのが筋であり、政治に対する国民の不信を取り除く最高の機会でもあると信じますが、いかがでしょう。私なら当然そうしますが、大平さんだったら一体どう対処をされるでしょうか。岸さんに進んで証人として喚問に応じられるように進言していただきたいと思うが、いかがでしょう。これが二つであります。
 三つ目には、この疑惑防止には、いわゆる企業献金を厳禁して、党員の党費と同調者のカンパによることを明確にする何らかの法的措置を講じなければいけないのではないかと私は思う。現在のざるのような政治資金規正法に頼るなどということでは、実効は何も上がっていません。るる指摘をされているとおりです。ここらで本気で防止をしようという対策をおつくりになるなら、まず選挙と金、政治資金、この資金問題に対して企業献金は一切厳禁をする、党費あるいは同調者のカンパ、これ以外は絶対いけないという、取ることのできないような、金が流れることのないような法的措置を確立するということが必要だと私は思いますが、いかがでしょうか。
 第四に、総理は選挙制度そのものを何かお考えになっておりませんか。この種の疑惑を防止しようと考えるときに、ただ金の面だけでなくて、選挙制度そのものにも何らかの新しい工夫が必要なのではないかというふうに言われておりますが、総理がこの防止協に対して諮問をなさる心境の裏に、選挙制度に対して何かお考えになっているのではないか。たとえば小選挙区制でございますとかあるいはまた名簿式の比例代表制というようなもの、何かそういったものをお考えになっているかどうか、これを第四にお伺いしたい。
 第五に、この際、政治倫理や政治家の義務、責任のあり方を国民に問う意味で、いまこそあるべき本来の政治家を選び直してもらうという意味で、国会の解散、総選挙をやるべきだと私は思う。ややもすると、いま総選挙が云々されておりますが、秋ではないかというようなことが言われていますが、いずれも大平総理個人の党内における地位を倍増していきたいという派利派略といった感じの前提で解散、総選挙が言われているようにしかとれません。現在のところ大義名分はない。もしあるとすれば、社会党の私どもが松野偽証による告発あるいは岸喚問等に対して不信任を出すということがあれば、それを受けて解散の機会もあるかもしれません。しかし、仄聞してわかるのですが、このような問題で解散をするということは、自民党にとって有利ではないと思う。自民党に有利でない時期に、有利でないテーマで解散ということは、どうもむずかしいのじゃないかというふうに私は考えますから、したがって、不信任案等の問題もにわかに決定されるかどうかは疑問だと思います。
 しかし、政治家のあるべき自覚、責任あるいは政治倫理の確立という点で、いまこそ、大きく網を広げて国民に信を問うていまの政界の浄化というものを考えていくというための解散、総選挙はあってしかるべきだと思いますし、保利さんの意向はございますが、それにしてもこのようないわゆるテーマがある限り、日本の政治全体の基本的な問い直しという意味での解散をあえて総理がおやりになるということも、いわゆる疑惑防止協に諮問をされる心境の一つにあってしかるべきだと私は思います。いまこの機会に、これをテーマに解散、総選挙を行って、わが国の政治そのものの基本的な倫理を確立し、政治家一人一人に負うべき自覚と責任を選挙を通じてきちっと銘記させるというようなことをおやりになったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 私がこのようなことをお伺いしておりますその心境というのは、先ほども申し上げましたように、いまもいま思うのですが、大平さん、私ども議会の古いと言われる君たちが、いまこそ、ただ糊塗をしてその日を暮らすのではなくて、しっかりとして、国民に対する政治の信頼性というものを回復する義務があるという点で、何でやるのか、どうしたらそれができるのかが毎日毎日考えている問題でございますために、いまのことをお伺いしております。
 第六番目には、会計検査院法の改正について、後にまた同僚馬場委員から総理にも質問がありますが、疑惑を防止しようという対策を立てるなら、当然会計検査院の現在の機能、練熟した技術というものをもう少し権限を拡大強化してこれを利用することが、疑惑の防止をする対策上の第一に挙げるべき問題だと私は思う。われわれはせっかく会計検査院という世界にまれな優秀な機能を持っているわけですから、この機能をもう少し一歩、二歩突っ込んで十二分に発揮させて、総理の言う、いわゆる疑惑を防止しようというなら、これをひとつ使っていくという思い切った決意をなさるべきだと思いますが、これに対するお考えをお聞きいたしたいと思います。
 第七に、米国の七七年の政府倫理法案、もう御存じだと思いますが、二年たちます。このように、徹底した汚職あるいは天下りの一掃を考えるという意味で、政府の公務員すべての個人所得の公開義務、退職後、在任中の地位を利用して私企業に奉仕する行為の規制、業界との癒着や不明瞭な天下りの一掃を目指しまして、退職後二年間は、政府機関と取引のある企業の代弁者として在任時代の政府機関に出入り禁止、退職後一年間は、在任時代の政府機関との接触は公用、私用を問わず禁止するといった七七年のアメリカにおける倫理規定というようなものを参考にして、わが国でもこの種の思い切った考えを実施に移しておきませんと、この面からも残念ながら汚職、疑獄というものに道を通ずる穴があいていると思うのであります。
 あと一問ございますがこれは別の問題でございますので、とりあえずその七点に関して総理の確たる信念をお聞かせいただきたいと思うのです。
○大平内閣総理大臣 政治不信の解消、政治倫理の確立に関連いたしまして七つの事項についてお尋ねがございました。
 前提として私は、わが国の民主主義は腐敗の防止につきまして相当活力のある活動を保障いたしておるように思うのであります。原さんも御承知のように、わが国のマスメディアには取材、報道の自由が保障されております。政府は有能な捜査陣容を持っておりまして、鋭意真相の究明に当たっておるわけでございます。国会は国会で、鋭意国政調査権の発動を通じましてこの問題と精力的に取り組んでおられるわけでございます。開かれた選挙制度のもとで、有権者の厳正な審判も期待できる制度になっておりまして、私は、日本の民主制度というものはそんなにお粗末なものではないと考えております。この民主制度の強さというもので、わが国の政治倫理というものが相当程度腐敗から守られておるというように存ずるのでございます。
 しかし、人間のつくりました制度でございまするから決して完全無欠ではございませんで、いろいろな点についてもっとこうあれかしと願うことがあることは当然でございますし、いまあなたから七つの項目につきましてお尋ねをいただきましたことも、長い国会生活のとうとい御経験を持たれた同僚原さんといたしましては当然のことと思うのであります。
 そこで、第一、第二の福永さん、岸さんの喚問問題でございます。
 これにつきましては、私もかねがねお答え申し上げておりまするように、国会の国政調査権の問題である、国会の国政調査権の発動に対しましては政府は最大限の協力をしなければならぬ、そういうことを申し上げておるわけでございまして、いまもその態度に変わりはございません。国会がどういう御決定をされますか、慎重に御検討いただいて、この問題について国会としての意思をお決めいただくことだろうと思うのでございます。
 しかし、私も自民党総裁といたしまして、人ごとのように言っておれないことも御指摘のとおりでございます。自由民主党の総裁としての立場でお答え申し上げますならば、自民党も、与党の立場でございますけれども国会における第一党という立場で、各委員会にそれぞれの代表を送り込んでおります。そして野党の皆さんと国会運営に参加いたしておるわけでございます。この問題は、いまそういう場面におきまして与野党の間で鋭意検討が進められておるわけでございまして、総裁である私のところへまだ持ち上がってきておりません。私の信頼する代表が各委員会におきまして理事会、委員会等を通じまして野党との間で国政調査権の発動につきまして御相談をいただいていることと思うのでございまして、第一、第二に対する私の答弁はそういう趣旨でお聞き取りをいただきたいと思うのでございます。第三の政治資金規正法の改正問題、とりわけ企業献金の禁止問題でございます。
 政治資金規正法は三年前に改正になりました。そしてそれは方向としては、できるだけ企業献金を薄めて個人献金の方に振り向けるという問題意識を持って規正法の改正が行われたと私も承知いたしておるわけでございます。この法律では、五年たちますとこれを見直していくということに規定されておるわけでございます。過去三年経過いたしましたので、そろそろ材料も出てまいりましたので、規正法の改正問題、このままであってよろしいか、改正すべきかどうか、改正するとすればどういう点に改正のメスを入れるか、そういう点について見直しを始めなければならぬ時期が来たのではないかと存じまして、わが党におきましてもそのようにいま準備をお願いいたしておるところでございます。
 もとよりこれは自由民主党だけの問題でなくて、各政党を通じての問題でございますので、国会を通じていろいろな御意見が各党から出されることでございましょう。われわれといたしましても十分検討を遂げていかなければならぬと存じておりまして、そういう検討の結果を踏まえまして、どういう点に改正を施すべきかどうか、そういうような点を明らかにしていかなければならぬと考えております。
 特に原さんの強調される企業献金でございますけれども、企業献金自体は禁止されておりませんし、また最高裁の判決等におきましても、企業が社会的存在としてある以上、その企業献金、政治献金もまた認容されるものであるという趣旨の判決もありますので、企業献金自体が悪いというわけのものではございませんが、ただ、これに過剰に依存するということはいけないことと思うのでありまして、そこに節度がなければならぬ。政治資金規正法はまさにそれに一つの節度を設けたものと思うのであります。問題は、いま設けられておる規制で十分かどうかという点は、先ほど前段で申しました見直しで真剣に検討すべき問題と心得ております。
 第四点の選挙制度でございます。
 選挙制度はすべての政治制度の基本にある重大な問題でございますし、各党各派にとりまして共通の土俵でございますので、政府としての立場から選挙制度をどうするこうするということを論ずるには余りに重い問題と心得ております。したがいまして、衆参両院に置かれました公職選挙法特別委員会という場におきまして、各党が真剣に御討議をいただきまして、公正な結論が出ることを私どもは期待いたしておるわけでございます。政府があらかじめ特別の考えを持って選挙制度に臨むというようなことは慎まなければいかぬと考えておるわけでございます。
 五番目の、政治倫理確立のために、この際思い切って解散をする考えはないかということでございますが、そういう考えは持っておりません。政治倫理の究明、確立はそれ自体として鋭意追求しなければならぬものでございまして、解散をその方便とするというようなつもりは私にはございません。
 六番目の、会計検査院法の改正問題でございます。
 これにつきましては、会計検査院が持つ機能を十分発揮してもらわなければならぬことは私どももとより賛成でございまして、政府といたしましても会計検査院の持っておる権能を行使するにつきまして、全幅の協力をして、その機能の十全な発揮を保障しなければならぬことと考えております。
 問題は、いま会計検査院に与えられておる権能では十分でない、これに対して新たな権能を付与しなければならないのではないかということが、国会の論議を通じて出ておりますことを私もよく承知いたしておりまするし、会計検査院自体もみずからの御経験に照らして、また今日の状況にかんがみて改正案なるものの草案をおつくりいただいて、政府の方にも御提示があったと承知いたしております。
 ただ、私もこの国会を通じ、衆参両院においてお答えをいたしておるわけでございますけれども、会計検査院は行政から一応独立した機関といたしまして、あなたの御指摘のとおり、重要な憲法上の機関でございます。この会計検査院にどういう権能を付与すべきかということは重大な立法政策の問題と私は思うのであります。したがって、いま政府は各省の意見も伺っておりますけれども、そういう次元の問題ではなくて、これはやはり政府、国会全体を通じまして、大きな立法政策上の配慮から、日本の憲法制度にかかわる問題といたしまして大いに検討に値する、また検討しなければならぬ問題ではないか、私はそういうように考えておるわけでございまして、この問題につきましては、政府といたしましても慎重に対処していきたいと考えております。
 それから、第七の個人所得の公開問題アメリカの倫理規定にあるようなことが考えられないかということでございます。
 私も、国会議員とかその他公職にある者、それから公務員というものは、一般の国民よりも高い倫理が要請されておるように思うのです。国民の知る権利は、こういう役目を持った者に対しましては特に鋭いものであるべきだと存ずるのでございます。
 したがって、国家公務員法というものもそれを受けて、在職中あるいは退職後の規制につきまして若干の配慮が行われておりますことは原さんも御承知のとおりでございまして、いまの制度でいいか悪いかという問題は確かにあると思いますけれども、あなたの御指摘されたこういう問題に全然いまの日本の制度がこたえていないわけではないと思うのでございます。これをどのように見直していくかということは、確かに政治倫理確立の上から申しまして、また行政の公正を確保する上から申しまして、検討しなければならぬ問題であることは私もわかりますが、いま、にわかに、それではアメリカのような倫理規定について即答を申し上げるというまでの余裕はございませんで、御指摘の点につきましては、なお十分の検討をさしていただきたいと考えます。
○原(茂)委員 総理が時間があれば、一問一答で十分お聞きしなければいけないのですが、私は、航空機疑惑防止協に対する総理のいわゆる諮問をされたそのたてまえに立ちまして、こういった点を防止対策としては考えるべきではないかと言ったのと、そうでないのと混同した答弁がございましたが、時間がありませんからきょうはこれで終わりたいと思います。
○加藤委員長 馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 きょうのニュースによりますと、金大中事件の見直しがいま国の内外を問わず言われておるときに、金大中さんが最近ソウルにおける日本大使館に接触があり、そしてお会いしたいと、う趣旨のことがあったと聞いておりますが、総理は御存じでしょうか。
○園田国務大臣 いまのあれはまだ正式のあれでございませずに、内々筋の話でありますから、私からお答えいたしますが、金大中氏が釈放されて以来、時期があったら会いたい、こういう話でありましたが、その話し合いをしないうちに、金大中氏がまたこう何か自由が、余り勝手なことができないような事情で、それはそのまま立ち消えになっておる状態でございます。
○馬場(猪)委員 それはいつごろであり、そしてどういう内容であり、そしてまた、公使にお会いしたいと言われたけれども、公使だったら困るということでお断りになったというようなことも聞いておりますが、そういう事実はございませんか。
○園田国務大臣 時期は近ごろのものではなくて、はっきり覚えておりませんけれども、二、三週間前だと思います。
 そこで、私の方でも金大中氏に会えば事情等も聞けますので、公使という話がありましたけれども、やはりお会いするなら大使の方がいいのじゃないかと考えておったわけでありますが、その意思の疎通ができないうちにいま立ち消えになっているわけでございます。
○馬場(猪)委員 たまたまタイミングが悪くて、公使ではいけないということでお断りになった。しかし、そういう申し出があって、いま外務大臣言われたように、こちらからもお会いしたいと言われておるのですから、もしチャンスがあって金大中さんがお会いしたいと言われた場合には、総理は当時の外務大臣として、なおこの金大中事件についての政治決着についてまだ国民は明らかにオープンな気持ちになっておりませんから、その霧を晴らすという意味でもお会いになるという御意思はございますか。
○大平内閣総理大臣 この問題は在ソウルの大使がどのように処理いたしますか、金大中氏との接触問題は大使の判断にまちたいと思っております。
○馬場(猪)委員 公使だったら会わないけれども大使の方は――公使だったら会うけれども大使の方はお断りになったということらしいのですが、そういう事実はございましょうか。
○園田国務大臣 それは誤解でございまして、向こうの方からできれば大使、できなければ次席の公使、こういうことでございまして、公使なら会わぬとか大使なら会うとか、そういうことではございません。
○馬場(猪)委員 園田外務大臣は、こういう時期だから真相を明らかにするためにも一遍こちらからもお会いしたいくらいだといまおっしゃったのですが、総理も当時の外務大臣として真相を明らかにするということがあるわけですから、そういう機会があればお会いになるような意思はございますか、もし総理にお会いしたいということであれば。
○大平内閣総理大臣 先ほど申しましたように、金大中氏との接触は、日本を代表してソウルに大使がおるわけでございますから、大使がどのように判断いたしますか、その判断を尊重しなければならぬと思っております。
○馬場(猪)委員 大使の行政的な判断ではなしに総理の政治姿勢として、もし総理にお会いしたいということであればお会いになりますかという、総理の姿勢をお聞きしているのです。
○大平内閣総理大臣 だから、在ソウルの大使の判断をよく聞いてみないと判断がつきませんので、私は駐韓大使を信頼いたしておりますから、まずその判断を伺うべきだと思います。
○馬場(猪)委員 外務大臣の方は真相究明のためにこちらからお会いしたいくらいだとおっしゃっているくらいですから、積極的に解明したいという意図があるわけですね。総理の場合は、出先の大使の意見を聞いてから決める。御自身の御意思はございませんかと聞いているわけです。
○大平内閣総理大臣 いや、私は非常に大切な立場を持っておるわけでございますから、軽々に動くわけにまいりませんで、慎重に手順を踏んでいかなければならぬと思っております。
○馬場(猪)委員 この決着を国民の前で明らかにしたいという意思はございますね。いまのところはどうもやはり韓国国民も日本国民もこの政治決着に対して何ら割り切れないものを持っておると思うのです。ですから明らかにしてほしいというのはみんなの願いだと思いますが、そういう気持ちはお持ちなんですね。
○大平内閣総理大臣 御案内のように日韓両政府の間ではこの問題について一応の政治決着をつけたわけでございます。この政治決着はその当時の政府がよくよく考えていたしたことでございますから、たびたび本院でもお答えを申し上げておるとおり、軽々にこれを見直すというわけにいかぬと思います。
 しかし、この政治決着の際にも、われわれは、新たな事実が出てまいりまして韓国の公権力がわが国の主権を侵したという証拠が出てまいりますならば見直すことあるべしということになっておるのでございますけれども、いままでいろいろな資料が出てまいっておりまするけれども、まだこれを見直すに足るものとわれわれは評価していないので、そういう段階にいまあるということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
○馬場(猪)委員 先ほど言われたように当時の政治決着以後に出てきたごく最近の新しい情勢ですから、解明に積極的な姿勢をひとつお示しをいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、会計検査院の問題についてお伺いしたいと思うのですが、大平総理は福田前総理と会計検査院法の改正については全く同じような考え方を持っておられるのか、若干違うところがあるのか、その点はいかがでしょうか。
○大平内閣総理大臣 それはどういう内容のものでしょうか。私、それを伺わないとちょっと答えようがないわけでございますが……。
○馬場(猪)委員 予算委員会を通じて何回か総理に会計検査院法改正について御質問がありますね。ですから当然そういうことは御存じになっているのじゃないかと思うのですが……。それじゃ申し上げます。
 五十三年の三月六日に福田総理は、一つはやはり会計検査院は独立機関であるからその独立機関の立場を尊重するということと、検査院において検討していただくことが妥当であるということをまず申されました。そしてその後で五十三年の六月七日には、「検査院が速やかにその検討を了して見解を求めるということを期待しておると、このようなところでございます。」こういう御答弁がございます。
 ですから、院の立場を尊重すると同時に、早く検討して内閣の方に検討を求めてこい、こういうふうにおっしゃっているわけです。
○大平内閣総理大臣 そうでございましょう。会計検査院の方でお考えになられて内閣に御提示があったわけでございますから、恐らく福田前総理が目指されておる手続は踏まれておると思います。
○馬場(猪)委員 だから、この福田前総理の御答弁とこの二月五日に大平総理がお答えになった内容とは違うのでしょうか、一緒でしょうか。
○大平内閣総理大臣 いままで伺ったことによりますと、福田前総理は、会計検査院の方から案を提示されたいということを言われたということでございますから、私がいまお答えしたように、会計検査院は政府に対してその案の提示があったようでございます。だからそれはそれで一件落着だと思いますが、問題は、その提示された案をどのように評価し判断していくかということがこれからの課題であろうと思いまして、これは先ほども申しましたように、各省でもいろいろ検討していただかなければならぬけれども、憲法制度の一環でございますから、国会、政府を通じてよほど慎重にやらなければならぬという考えは、先ほど原さんにも申し上げたとおりです。
○馬場(猪)委員 総理の御発言はこうですね。「国の会計経理また国の会計経理に関係ある機関の会計処理の公正を期するために、現行の制度が不十分であるという点が明らかになりますれば、その改正はどうしても検討する必要があると思います。」こういうふうに御答弁になっております。
 そうすると、流れとしては前総理と大平総理と、私どもの解釈では大体において同じような考え方を持っていらっしゃるのじゃないかと思うのですが、そのとおりとして理解してよろしゅうございましょうか。
○大平内閣総理大臣 現行の制度でいけないところが出てまいりますならばそれは改正するのが当然だと思うのでございますが、それをいまから十分検討さしていただかなければならぬと思っています。
○馬場(猪)委員 現行の制度で不十分であるならばと言われました。それについて昨年の七月二十五日に検査院の方では、現行の制度ではどうもやはり不十分だということで検査官会議をお開きになって改正の方針をお決めになったということは御承知のとおりだと思うのです。それから以降各省庁と話をずっと煮詰めてこられました。そしてほぼお互いの言い分というものを認め合えるところまで事務的には済んだのですが、あとは政治的な問題、政治的判断を要する問題、高度なと言われましたが、そういう政治的な判断ということで、まず内閣官房長官のもとに、その政治的判断の調整をお願いするということで上がってきておりますが、いまのところ総理のところまで、その調整の過程の議論についてはまだ上がっておりませんか。
○大平内閣総理大臣 まだ私は聞いておりません。
○馬場(猪)委員 そうすると、結局官房長官のもとでいま預かりになっておって、その調整の事務が全くこの半年間進んでないことになります。それは、総理がそういうふうに官房長官に言われたものか、あるいはまた、官房長官が預かっておるから、自分の独断でいま進めずに調整の最中であると言っておられるのでしょうか。総理はお聞きになっておられませんか。
○大平内閣総理大臣 官房長官がいろいろ配慮しておると思いますけれども、私はまだ報告を受けておりません。
○馬場(猪)委員 御答弁をお聞きしますと、不審な点があったり、また不十分なところがあったら検討しましょうということで検討をお約束されているのですが、不十分だと会計検査院が判断をされたから、ひとつ改正をお願いしたいということで各省庁に折衝をなさっているわけでしょう。そして、その段で、どうしても各省庁と院との間で十分煮詰まらない。それはそうだと思います、検査する立場と検査される立場というのは正反対の立場ですから、お互いに不利な点についてはいろいろと支障も来すでしょうから、調整がどうしてもつかない点があるだろうと思うのですが、それを調整するということで官房長官まで上げてきておっても、ちっとも進まないということは、内閣全体として非常に消極的な印象を受けておるのですが、そういうふうにお思いになりませんか。
○大平内閣総理大臣 私は、検討しないとか改正に反対であるとか、そんなことを言っておるわけではないのです。問題は、現行制度で不十分な点があれば直さなければならぬことは当然でございますが、この問題は憲法上の制度としての会計検査院の権能に属することでございますので、事柄が重大だと思うのでございます。したがって、会計検査院の御意見が提示されるならば、政府部内、各方面の意見を聴取するのはもちろんでございますけれども、広く方々から意見を聴取して、これを国として誤りない判断をせなければならぬと思うのであります。その辺は、手軽に片づけられるような問題と私は承知していないのでございます。したがって、これからどのように内閣官房の方で処置してまいりますか、これを進めてはならぬぞとか、改正には反対であるという指示はしていないわけでございますから、その点は御心配なく。
○馬場(猪)委員 総理としては、検査院が改正の意図がおありになるということは、それだけ不十分だというふうに意思表示をしているわけですから、その不十分な点、これは検査院から見て不十分な点と内閣から見て不十分な点と相違がありますけれども、その間の不十分の内容の認識について御討議になったりお聞きになったということはございますか。
○大平内閣総理大臣 これは、まだそういう段階に来ていないのです。
○馬場(猪)委員 特にいま問題になっております日商岩井の疑惑の問題だとか、前から続いておりますロッキードの問題等について、それぞれの商社も、開発銀行であるとか輸出入銀行であるとか、あるいは海外経済協力基金であるとか、それぞれの政府金融機関を利用しておるわけですから、これの真実を探るためには、どうしてもやはり調べなければならないところがあるけれども、なかなかそれがスムーズに進まないという現実、これにぶつかって、これが壁として検査院としての十分な調査、検査ができない。だからこそ検査官会議をたびたびやって改正をお願いしたいということを申し上げておるわけでしょう。
 そうすると、一日も早く結論をお出しになるための調整会議でもおやりになったのかと思えば、官房長官のもとでは一回もその各省庁の問題点を照らし合わせての調整会議もおやりになっておらない。調整会議をおやりになった結果、これはいろいろあるけれども政策的に無理だということでは、それはそれなりの効果はあると思うのですが、そういうこともおやりになっておらないということは非常に消極的な印象を受けますが、総理としては、その点についてもっと積極的にやるおつもりはございますでしょうか。もしやるお気持ちがございましたならば、調整会議ぐらい持つべきではないかということを官房長官に言われるのが妥当じゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○大平内閣総理大臣 せっかく会計検査院がお出しになった案でございますし、みずからのとうとい経験から割り出された御見解でございますから、十分それは承り、真剣な検討をしなければならぬと思っておりますが、それはそんなに遠くない、最近承ったことと承知いたしておりますので、十分検討を遂げる時間的な余裕はいままでなかったと思います。官房の方では、仰せのような検討の手順は今後踏んでいくものと期待しますし、おくれるようでございますれば私から注意します。
○馬場(猪)委員 午前中に官房長官にお聞きいたしました。それだけ意思表示がはっきり出ておるにもかかわらず、そして問題点もこれとこれ、たとえば公権力の民間金融に対する介入の問題であるとか、あるいはまた、政府の制度金融に支障があるというような問題が浮き彫りにされたけれども、それぞれについての調整会議をおやりになるつもりはございませんか、予定はございませんかということを申し上げたのですが、個々に折衝すべきで、そういう気持ちはないと官房長官はお答えになったのです。こんな消極的なことで前に進むでしょうか。
 それに対して総理は、やはり進めるべきだとお考えになるでしょうか、それとも依然としていままでどおり、官房長官に任しておいていいとお考えになるでしょうか。
○大平内閣総理大臣 会議を開いてやるか、個々に御意見を承りますか、そういう方法論はお任せいただきたいと思います。政府の方でも、せっかく出された案につきましては、十分な検討を遂げさしていただきます。
○馬場(猪)委員 個々の折衝というものが前へ進まないのです。ですから、ほかの省庁等の意見、賛成なさっている省庁もあるでしょうし、反対なさっている省庁も一あるでしょうし、そうして、会計検査院という独立の機関としての立場もあるでしょうし、そういうものを、賛成論、反対論を含めて、多くの知恵を集めて、一歩でも前進しようという気持ちはございませんでしょうか。
○大平内閣総理大臣 先ほど出された案につきまして、またこれほど国会でも問題になっている問題でございますので、政府としても真剣に検討さしていただかなければならぬ問題だと思いますが、どういう手順で検討してまいりますかというようなことは、政府にお任せをいただきたいと思います。
○馬場(猪)委員 政府にお任せしておりますと、ちっとも会議が進んでおらない。午前中の官房長官のお答えを聞いておりますと、全く積極性がない。これは与党の方々もそういう印象を受けておられるのです。ですから申し上げておるのですが、やはり会議をもっと前向きに進めて、その結果がどうなろうと、われわれが納得すれば、なるほどそれも当然だ、改正できないならできないでいいですけれども、それが事務的にちっとも進んでおらない。その点について不信を持っているのです。ですから、いままでおくれておったけれども、これからやりますかと言ったら、なかなかできない、むずかしいからできないというふうな御答弁なんですが、前へ進めるという努力がなされておらない、そういうことを私も感じておったわけですから総理に直接お伺いしているのですが、ひとつその点は官房長官からよく事情をお聞きいただいて、さらに進めていただくということをお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから、三月五日に総理はこういう答弁をなさっております。「会計検査院が民主的な制度の中でその任務を十分果たすことができるように期待をいたしております。」これはどういう意味になるのでしょうか。
○大平内閣総理大臣 私は先ほど原先生の御質問に答えたように、日本の民主主義はいろいろな制度によって支えられてその効能を発揮いたしておるわけでございまして、会計検査院という、行政から一応独立した機関が活発にその権能を発揮されまして、わが国の活力ある民主制度の効能を十分生かしてもらうということを期待するのは当然と思います。
○馬場(猪)委員 この御発言の内容は一般論ではなしに、院だけの問題ですから、その民主的な制度の中でその任務を十分果たすことができるということが、現行のままでいけるじゃないか、こういう意味ですかということをお聞きしているのです。
○大平内閣総理大臣 それこそがまさに検討を要する問題だ、会計検査院はこういう改正の御見解を持っておられるようでございますから、それについては真剣な検討をしていかなければならぬと思っております。
○加藤委員長 時間ですが……。
○馬場(猪)委員 それでは最後に、念のために――私の手元は五分前になっております。五分前ですね。まだいいですね。五分前になっておりますが、委員長。
○加藤委員長 三分ちょっとです。
○馬場(猪)委員 午前中に、念のために、この三月五日の大平総理の御答弁は、大蔵大臣としてはどういうふうに考えていらっしゃるかということを確かめてみました。そうすると、大蔵大臣は、総理も先般御答弁いただいておりますように、現行の行政指導でどこまでいけるか、そこらの点も十分見きわめて、現行の指導体制でいけるのじゃないかというような疑問を持っていらっしゃる、こういうふうなことが大蔵大臣の方から答えられたのですが、大蔵大臣のこの解説といいますか、補足といいましょうか、この御意見と総理とは違うのですか。
○大平内閣総理大臣 これは、会計検査院の御意見を承りまして、政府部内でもいろいろの御意見があるでしょう。あるでしょうが、それは内閣の方で受けとめて検討させていただきたいと思うので、それを承った上でないと観念論の論議になりますので、恐縮でございますが、御勘弁をいただきたいと思います。
○馬場(猪)委員 あと二分ですから……。
 いまのは、しかし、大蔵大臣のお考えになった考え方と総理のお考えと違うのですか、こう申し上げているのです。同じなら同じ、違うなら違うとおっしゃってください。
○大平内閣総理大臣 いま、大蔵大臣も仰せになりましたように、現行制度でとことんまで検討いたしまして、やれるかやれないかは検討すべき問題だと思いますが、いま私はそれで十分だと考えておるわけではございません。
○馬場(猪)委員 しかし、大蔵大臣の注釈によれば、現行制度でいけるじゃないかと、午前中のやりとりではそういうふうな意見が出ておったのです。では改めて、大蔵大臣の考え方と違うわけですね、現行制度でいけるかいけぬかもわからないのだと。
 ですから、総理のいまの認識は、五十三年七月二十五日ごろの認識であって、その後の各省庁と検査院とのやりとりや、そしてまた、それから以後の国会でのやりとりというのは全く総理の頭の中にないのでしょうか、進んでいないのでしょうか。相当内部は詰めた話、だからこそ最終案として検査院がお出しになったのは、いままで各大臣から御答弁になっていたような御心配のないようないろいろな配慮をして、各省庁の御意見も聞いて、手続的にも、出す時期においても、あるいはまた進め方においても、皆提案しておるのですから。そうしたら、その内容を御検討いただいておらないのですか。
○大平内閣総理大臣 先ほど申しましたように、私はまだ報告を受けておりません。
○馬場(猪)委員 いよいよ時間がないようですが、これはいまだにそういう論議の内容も総理に御報告にもなっていないということは、外から見ますと、少なくとも大平内閣全体としては、院法改正について非常に消極的な印象を受けるわけですが、そうでないならそうでない、やはり積極的な考えはお持ちだというなら、そういうことを何らかの形であらわしていただきたいということを要望申し上げたいと思うのですが、これを最後にいたしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 今後どのように内閣が調整いたしますか、ごらんをいただきたいと思います。
○加藤委員長 林孝矩君。
○林(孝)委員 いまの会計検査院の議論、それから午前中の会計検査院法改正の議論というものを聞いておりまして、大平内閣に手続上の問題、姿勢の問題も含めて、非常に重大な問題があると私は思うのです。
 といいますのは、この院法改正については、先ほどるる述べられましたように、一年以上の経緯が、国会の議論を通してもあるわけですね。それで総理は、先ほど来答弁の中で、会計検査院の方で案をつくられて、それでその案をお受けしたならば慎重に検討するということ、しかしその案はまだ報告を受けていない、こういうこと、最近承ったという答弁、それから、せっかく出された案ですので真剣に検討する、いろいろなことをいま総理は答弁されたわけです。
 これを整理をしてみますと、非常に大きな問題があるといいますのは、会計検査院が内閣に対して提案をしたということは、会計検査院独自が各省庁と折衝してきた。ところが、官房長官が午前中に答弁されたように、大蔵省と通産省は反対である、明確になっておる。それで会計検査院としては、もうこれ以上の調整ができない、ギブアップですね。それでこの要綱案というものをつくって、これは最終案です、こういうものをまとめて内閣に検討をお願いしたい、午前中の会計検査院長の答弁では、いまはもう調整をやっていない、内閣の判断を待っているというのが現在の会計検査院の状態なのです。内閣の判断を会計検査院はいま待っておる。
 ですから、この案を最終的に政府に預けたのはいつかといいますと、五月二日なのです。五月二日に官房長官に、その最終的な申し入れ、要請というものがありました。それはどういう要請かというと、会計検査院が各省庁と調整してきたけれども、もうこれ以上は調整できない、結論が出ないということで、これから先は内閣に、検討してください、調整してください、内閣でこの後の仕事をお願いいたしますという要望をしたわけですね。これは五月二日なのです。
 そういう時点で、内閣はそれを受けて、それからどうしたかということが問題なのです。したがいまして、総理が答弁されております、最近承りましたということであるならば、総理の耳に入れたのが遅かったわけですね。五月二日から今日まで、総理はその事実を知らなかった。総理は、その会計検査院の要綱案というものをいまだに報告を受けていないという話がありましたり、最近受けましたという話があっていろいろ話されているので、どうも交通整理をしなければいかぬ。その点はどうなんでしょう。
○大平内閣総理大臣 ちょうどそのころ、会計検査院から案が提示されたということは承りました。しかし、私はそれ以後大変忙しかったものでございますので、その問題についてまだ報告は聞いておりませんで、官房長官の手元においてその案があることと思います。しかし、政府もそのことばかりやっているわけじゃございませんので、ほかにいろいろ仕事があるわけでございますので、その点まだ、いままで私が報告を受けていないからと言って、この問題を投げやりにしているわけでは決してございません。
○林(孝)委員 その報告を受けた、しかしその内容については存じておらぬ、その報告の受け方、どういう内容の報告を総理は受けましたか。
○大平内閣総理大臣 会計検査院から一つの案が示されたというような報告であったと記憶します。
○林(孝)委員 そうしますと、会計検査院がどういう意味でその要綱案を提示したかというその理由については、総理は御存じない。官房長官……。
○田中国務大臣 お答えいたしますが、ちょっと多少の誤解があるようでございますので、大もとのことを簡単に御説明申し上げます。
 私は、実は五月二日ということを定かには覚えていなかったわけでございますが、五月二日に会計検査院長が参りまして、非常に調整が難航しておる、何とかならぬかというお話でございましたので、もちろん政府としてもこれを促進すべく横合いから努力はするが、会計検査院の方でより一層各省との調整をやってくれないかということをお願いして別れたわけでございます。したがって、よし、私の方は引き受けた、これから内閣が中心になって調整をやろうというような断定ではなかったわけでございまして、どうか院長さん、非常に御苦労であろうが、再度調整に一生懸命努めてくれないかということでお別れしたわけでございます。
 といって、私ども逃げるわけじゃございませんし、午前中質問の方に御答弁いたしましたように、私契約に対する公権力の介入ということはどうしても大蔵省、通産省あたりでも大きな抵抗を感じておりますし、すでにいまの法律で、たとえば輸銀から私企業に対して融資するというような場合、輸銀は十分なチェックをしているという判断に立っておりますので、そういう点の調整というものは、考えようによっては非常に簡単なようでございますが、やはりこれは私企業の根幹に触れる問題でもございますし、やはりこれは、その部分では、何が民主的かと言いますと、会計検査院の調査するということも一つの民主的な段階の過程でしょう。しかし、私契約、私企業に対する公権力の介入ということも、やはり民主主義の一つの大きな論理上から言うと問題が起こるわけでございまして、総理が民主的にこれを取り扱うということは、そういう点では少しも矛盾しないわけでございます。
 私どもも、私自身が中心になって各省を集め、会計検査院を含めて協議することも、これは一つの方法でしょう。しかし、従前どおりそれぞれの専門家、各省の人たちが集まって論議するということは、ますます問題を浮き彫りにしているわけでございまして、これは、私は少しも後退ではないと思うのです。より以上問題が浮き彫りにされていることは前進の一つにも考えられますし、これからも私どももそういう調整を見守っていって、政府でできることはどんどん、どういう部分がどうだということは援助してまいりたいと思います。
○林(孝)委員 午前中の審議の中で会計検査院長が内閣提出法案として判断をお願いしている、このお願いしたのはその五月二日の時点の話だと私は思うのですけれども、内容的には内閣提出法案として判断をお願いしておる、このような答弁が午前中ありました。いま官房長官はそうではない。これは意見が違うわけですけれども、会計検査院長、いらっしゃいますか。
○知野会計検査院長 今日までの経過につきましては、午前中、原先生にお答え申し上げたとおりでございます。
○林(孝)委員 そうしますと、官房長官の受けとめ方というものは会計検査院長の話と食い違ってくるわけです。
 もう一つは、この五月二日に、たとえば百歩譲って、内閣でも調整作業はするけれども会計検査院でも従前どおりやってもらいたいといういまの官房長官の話を前提とした場合でも、そういう内閣でもやるということが半分入っておりますね。そうしましたら当然内閣としてそういうふうにやるという行動、あるいは総理に対して、これだけの大きな問題ですから、憲法上の問題です、会計検査院長からこういう要請があった、要請そのものは内閣提出法案として判断をお願いしたい、こういう要望があったということを総理に報告しなければいかぬ、あるいは総理の方から聞くか、どっちかでなければいかぬわけですね。
 それがないからどういうことが起こっておるかと言いますと、五月二日以降の総理の本会議の答弁。五月二十二日の答弁は、「会計検査院の権限強化の問題につきましては、会計検査院自体において関係方面との調整に努めておられるようでございますが、まだ十分な調整がついた段階とは聞いておりません。」
 五月二十九日、「会計検査院の権限強化の問題につきましては、会計検査院自体が関係方面との調整に努めておると承知しておりますが、まだ十分な調整がついておる段階とは考えていないのであります。」
 五月二十九日、同じく「この問題につきましては、会計検査院が関係方面といま調整に当たっておるところでございまして、まだ調整がついたとは言えないわけでございます。」
 ところが、二日以降は会計検査院は、内閣の提出法案としてお願いしたい、内閣の判断を待つということで、内閣に要請してから以降というものは、調整作業は会計検査院は進めておらないというのが実態なんです。ところが、総理は本会議の答弁で、まだそういう状態が続いているという認識の上に立った答弁をされておるわけです。これはどういうことになるのですか。いま官房長官と総理の関係、連携というものが有機的に機能しておればそういう問題は起こらないと思いますし、この院法改正に対して先ほど来総理が非常にいろいろなことを言いましたけれども、基本的な認識、取り組む姿勢というものが疑われてもしようがない。これをどういうふうに判断しますか。
○加藤委員長 答弁要求者を言ってください。官房長官が委員長、委員長と言っているから、どっちです、あなたの要求者は。
○林(孝)委員 では官房長官。
○田中国務大臣 少しも実は矛盾していないことでございまして、私の方は、会計検査院長にいままでどおり一生懸命やってくれ、私の方もそれを促進するような努力をするということを言ったのですが、私としては、それは会計検査院長も当然そっちの方を従前どおり進めておるということが一つでございます。
 他方、私の方はどうしておったかと申しますと、実は会計検査院長がおいでのときに、翁副長官を一緒に立ち会わせまして、翁副長官は、御承知のように事務次官を相手に次官会議を主宰しているわけでございますので、翁副長官にそれぞれの事務当局と会議を重ねるように指示しております。したがって、私の方がじんぜん何もしていないかというと、会計検査院の方の側のことは、私は従前どおりやっていただいておるものといままで思っておりましたし、それから私の方はいま申しましたように、翁副長官を中心に事務当局と会議をやっておりますし、総理には私は、会計検査院長が参りました、こういうことを言ってきましたので、向こうの方でも従前どおりやっていただきたいということを申し上げると同時に、私の方も側面から促進することをいたしましょうといっただけの報告でございまして、それが一回の報告で、その後何にも総理に報告しておりませんので、総理は当然そういう答弁になるでしょうし、私の方はそういうことでやってきたわけでございます。
○林(孝)委員 従前どおりやってもらうということではなしに、私が指摘したのは、総理の答弁は十分な調整がついた段階とは聞いていない、いまだ会計検査院がその調整に当たっておると言う。実態というものは、内閣に判断をお願いしたいということで、調整か十分ついていないというよりも、もうつきませんという認識なんですよ、会計検査院の方は。それをまだ従前の、調整に当たっているという答弁をされたということは、どこかから総理がそういう報告を聞かれて答弁されたのですね。これは実態的にも非常に矛盾しますし、基本的な認識、この院法改正に対する取り組みということも含めて大きな問題だと私は思うのです。総理いかがお考えですか、これは。
○加藤委員長 大平総理大臣。(田中国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、総理と指定しているから、質問者の指定どおり指名しておる。
○大平内閣総理大臣 多少いきさつについて誤認があったように私も思います。つまり会計検査院は自分の手による調整は断念して、内閣の方でこれから先はやってもらいたいということであったというところを私聞いていなかったわけでございます。そういうことであればそういうこととして、こちらとしては進めてまいらなければならぬわけでございますので、もう一度会計検査院の方へ確かめまして、そういうことでございますならば、問題は政府の方へ移ったわけでございますから、政府の方で適当にこれを処理するように努力してみます。
○加藤委員長 質問者にお尋ねをします。
 田中官房長官がさきの質問に対して答弁を要求しておりますが、質問者は要求いたしますか。
○林(孝)委員 しません。いま総理が認められたですから。
 いま総理が、会計検査院が申し上げるとおりであれば、当然内閣の手に渡ったということだから、やる。それで、会計検査院に確認するということですけれども、きょうの午前中の議事録を見ていただければそれは明白になっておりますし、必要であれば、ここに会計検査院長おられますから、確認されても結構だと思いますが、いかがでしょう。
○大平内閣総理大臣 それでも結構です。
○林(孝)委員 どれでも結構ですか。
○大平内閣総理大臣 それでも結構です。だからここでもよし、後でもよし。会計検査院の答弁を求めてもいいし……。
○林(孝)委員 それでは会計検査院長、この席で明確にしていただきたいと思います。
○知野会計検査院長 けさほど申し上げたとおりでございますが、ただいま総理大臣が、そういう提示があれば今後検討してやろうということでございますので、私の方はそれで結構でございます。
○林(孝)委員 総理にお伺いしますが、いま会計検査院長が何を申されたか、御理解していただけましたですか。
○大平内閣総理大臣 検査院の方で各省との間で個別にいろいろ調整をいたしたけれども、それがなかなかうまくいかない、今後は内閣の方に処理をお願いしたいという趣旨のものと承りましたので、そのようなことを踏まえて、どういうふうにいたしますか、政府とよく検討してみます。
○林(孝)委員 それから後は、これは先ほど来、同僚委員の指摘があったとおりでございます。積極的に、もちろん慎重にこの問題を取り上げて、内容はもう総理御存じのとおり、二度にわたって国会で決議された院法改正でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、最近の急騰する卸売物価、これはすでに本委員会においても、経済企画庁所管の折にも議論いたしました。これは四月ですけれども、先月比一・七%、年率ベース換算で二二・四%に相当する異常な上げ幅を示しておるわけです。石油ショック以後の、四十九年二月以来の大幅な急騰ぶりである、このように憂慮されているわけでありますが、このままの状態でいきますと、五月の卸売物価も大幅な上昇になることは間違いない、こういうふうに見られる情勢でございます。特に、いまここでインフレを招くというようなことになりますと、景気回復という状況を考えた場合に非常に懸念される点が多いわけです。
 このような卸売物価の急騰という問題に対して、総理の現状に対する見解はどういうものであるか、お伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 原因は国の内外にあると思うのでございますけれども、とりわけ、ことしに入りまして以来の円安傾向、それから石油等の急激な値上がりというものを反映いたしまして、卸売物価は、仰せのように異常な速度で騰勢を示したわけでございますが、最近になりましてやや落ちつきを取り戻しつつあると承知いたしておりまするけれども、しかし、十分警戒して対処しないといけないと考えております。
○林(孝)委員 そこで、いま答弁の中にもありました油の値上がりという問題、これも卸売物価高騰の大きな原因になっているわけですけれども、その油の問題に関しまして、時間の許す範囲でちょっとお伺いしたいと思うわけです。
 一つは、消費者物価へのはね返りという問題です。卸売物価の上昇が消費者物価にはね返るのではないかという心配がすでに行われておる。特に油の流通過程におきまして、灯油、軽油あるいは重油、A重油、こうした品種がその中心をなすわけでありますけれども、品不足あるいは値上がりという問題が現実に起こっております。それからナフサであるとかというものの値上がりによって、プラスチック製品といったものへの影響が非常に起こっておる。これも現実の問題であります。
 こういう問題が一方にあるわけでありますけれども、その問題に対する総理の見解、対応策をどのようにお考えになっているかという点。
 それから、日銀が四月十七日から公定歩合引き上げを実施しましたけれども、それに対しての現時点での総理の評価というものはどのような評価をされているか。物価に対する係数的な効果というものがこの〇・七五%の引き上げによって及んでいないという批判もこれあり、総理はどのようにお考えになっておるか、この二点をお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 第一の、石油製品の小売というか、値段への卸売物価の値上がりの波及をどのようにとめるかという問題でございますが、元来政府は、石油製品ばかりではございませんで、こういった場合の便乗値上げを抑制していくことにつきましては、あらゆる行政手段を講じて対処してきておるわけでございまして、その点につきましては、今後一層厳重に通産当局を中心に対処されていかれることと思います。
 日銀の公定歩合の引き上げでございますけれども、これは国際的な金利差が異常に出てまいりましたこと、国内の物価高の気配も出てまいりましたので、警戒態勢をしかれたものと思うのであります。しかし、これが直ちに経済政策の基本に触れて、景気の順調な回復を断念してしまうというようなそういうことではなくて、全体として警戒的な金融政策を実行に移されたものと思うのでございまして、その措置自体は適時適切な措置であったと思っておりまするし、いまその効果が余りなかったのではないかという御指摘でございますけれども、それはそれなりに奏功いたしておるものと私は評価しております。
○林(孝)委員 今回東京で行われる予定の東京サミットに関してお伺いいたしますけれども、アメリカ大統領が、東京サミットでは参加各国に対して、石油輸入を削減すること、それから、消費者に石油不足についての真実を直視させる、こうした国際的努力に参加するよう要請するということを発表しておるわけであります。これは、燃料価格の上昇がインフレに及ぼす影響を含めての話としてアメリカ大統領がそういう話をした。また、ジスカールデスタン・フランス大統領の親書の中身も、そういうエネルギー問題に関しての東京サミット、こういう見方で取り組むということであったというふうに伺っておるわけでありますけれども、昨日ですか、総理が、東京サミットについては、主催国の総理として、こうした石油の問題、エネルギーの問題に関して、ホスト的な役割り、あるいはこの問題を共通の問題として解決する、たとえばいま欧州、アメリカとの間において意見の食い違いがあるとかというようなことも報道されているわけでありますけれども、そういう中に入っても、日本の総理、主催国の総理としてこのサミットの中で役割りを果たしたい、こういう見解を述べられた、このように伺っておるわけであります。
 それでは、このサミットで、フランスの立場、アメリカの立場――また西ドイツの総理は、本日の報道なんかによりますと、戦争が起こるかもしれないという心配、起こったら武力行使をするかという質問に対しては、武力行使は私はきらいというふうに答えたということでありますけれども、そういう心配までしてこのサミットに参加する、こういうわけでありますから、大平総理の立場といいますか、主催国としての立場も非常に大変ではないかと思うのですが、これに対して具体的に総理としてどういう取り組みをされるのか、お伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 林さんも御承知のように、このサミットの議題、それから議事の運営という問題は、各国首脳の代表が集まりまして準備会議を持っております。過去、東京において一回、ワシントンにおいて二回行われておりまして、三回目が今月の中旬パリで行われることになっております。
 そこで、どういう議題をどういう順序で議論をしてまいるかという打ち合わせが行われておるわけでございまして、今度の三回目の準備会議でほぼ固まってくるのではないかと思うのでございます。そういう運営要領に従いましてこの議事を進めてまいらなければいかぬわけでございますので、私として、いまどうこうするというようなことを申し上げるのは時期が早いと思います。
 ただ、フランスの大統領もアメリカの大統領も仰せになっておりますように、まさにいまエネルギー問題というのは世界の当面いたしておりまする重大な問題であるということでございまして、この問題を回避して通れるわけじゃない。したがいまして、東京サミットにおきましてはこの問題が最も緊張を呼ぶ議題になるのではないかということと、またこれに対しまして、先進主要国といたしましてどういう共通の認識を持ち、共通の対応ができるかということは、やはり東京サミットの成否を決める大きな問題点であろうと思うのでございまして、そういうことは十分念頭に置いて対処せなければならないものと考えております。
○加藤委員長 林孝矩君、往復で三十秒ございます。
○林(孝)委員 質問時間が来ましたので、終わります。
○加藤委員長 玉置一弥君。
○玉置委員 航空機の輸入に関します問題で、時間が十六分しかございませんので、簡潔に要点だけをお聞きしたいと思います。
 まず、航空機輸入に関する問題、まあロッキード、グラマンと二件続いてきたわけでございますけれども、こういうふうに国民の政治不信をあおるような事件が続いて起きてくる、こういうこと自体非常に問題になるかと思います。いままでいろいろな委員会で検討されているわけでございますけれども、一言で言えば、こういう事件が後を絶たないのはどういう理由があるかということを、大平総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 こういう事件を通じまして国民の政治不信を招いたということは、われわれ政治に携わっている者にとりましては深刻な衝撃でございまして、深く公私にわたって反省をしていかなければならぬものと思います。
 こういう事件がなぜ起こったかということでございますが、これには究明しなければならぬもろもろの問題があろうかと思うのでございまして、ロッキード事件の後も、政府におきましてはそれを踏まえていろいろの条約、法律あるいは行政措置等について再発防止策を考えましたことは御案内のとおりでございまして、現在それは進行中でございますが、私どもといたしましても、これに絡む問題点を各方面から拾い出しまして検討を重ねてまいって再発防止の道を開いていかなければいかぬと考えて、協議会も発足させた次第でございます。
 ただ、ロッキード事件後、最近四、五年の間、この間の捜査を通じまして、幸いにいたしましてこういった事件がなかったことは、大変ありがたいことであると考えております。
○玉置委員 先ほどの答弁の中で、いまの政治は民主制度によってかなり腐敗から守られているというお話でございます。ところが、韓国の地下鉄の問題でありますとか、ロッキード、グラマンといろいろ続いてくるわけでございます。これはたまたま氷山の一角じゃないかというように感ずるわけでございます。こういうことで、国民が望んでいるのは、解明してほしいということもありますけれども、やはり再発の防止ということを明らかにしていただきたいということだと思うわけでございます。
 そういうことで、再発の防止というためには、ロッキードのときにはロッキード問題閣僚連絡協議会というものが昭和五十一年につくられまして、今回また航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というものができたわけでございます。これを、三年前につくられました連絡協議会の反省等を含めてどういうふうにいまの協議会、今回の航空機疑惑の協議会を運営なさっていくのか。協議会はこういうふうにできたが、そこからいろいろな意見をまとめていただきたい、たぶんそういうお答えになると思うので、方向、考え方、総理の考え方としてどうなのか、それをお聞きしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 再発防止策と申しますけれども、再発防止策の第一は、先ほど原さんも御指摘になりましたけれども、現在までに起こりました事件の究明を徹底的にやってまいることが再発防止の最大の手段であると思うのでございます。したがいまして、捜査当局は法的責任と刑事責任を問うために全力を尽くすわけでございますし、国会は国会で精力的に国政調査を進めてまいるということ、日本の民主主義の持っておるいろいろな機能は活発に働いてまいって、そして再発防止に一番有力にこれが機能してまいることと思うのでありまして、私どもはその一環として、一体政府としてここでなお考えなければならぬことはありはしないか、それはどういうことであろうかということを真剣に検討することは、われわれの責任であろうと思ったわけでございます。
 三木内閣のときも、ロッキード事件にかんがみまして再発防止策を閣議で了解いたしまして、条約の改正でございますとか協定の改正でございますとか、あるいは刑法の改正案でございますとかやってまいりましたし、また国連におきましても多国籍企業の問題の討議の委員会に参加いたしまして、鋭意その行動コードの検討に日本も積極的に参加しているわけでございます。
 しかし、それだけでいいかというと、もっとほかにありはしないか。しかも、それは何年もたって結論を出すというようなことではなくて、国民が求めておる疑問にもっと手っ取り早くこたえる道がないものだろうか、視点を変えてひとつやってみようということを決意いたしまして、この間協議会を発足させたわけでございます。
 これから夏にかけまして自由に有識者の御議論、閣僚の意見を徴しまして、九月ごろまでには何か実効性のある案ができはしないかということで精いっぱいやってみようと思っておるわけでございます。これから始めるわけでございますので、具体的にまだお答え申し上げるようなことはございませんけれども、それが成案を得るに至りましたら、御報告を申し上げて御審議もいただかなければならぬことがあろうと考えております。
○玉置委員 さきのロッキードの場合にも約三年間たっておりますけれども、協議会としての役目を余り果たしてない、また内容が公開されてないと思いますけれども、またいつまでに今回の航空機疑惑の協議会は結論を出すつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 この間もみんなで集まりまして、九月にはひとつ結論を出そうじゃないかというように申し合わせておる次第でございます。
○玉置委員 それは、ロッキードもまだ結論が出てませんけれども、それも両方含めてというお話ですか。
○大平内閣総理大臣 大きく政治の倫理の確立、行政の公正を確保するというような見地から、いまわれわれは何を考えなければいかぬか、何をやらなければいかぬか、何をやめなければならないか、そういった立法の問題もございましょうが、行政の問題もいろいろあるのではないかと思いますけれども、そういった点の活発な御意見をひとつ伺ってみようと思っておるわけです。
○玉置委員 いままでの捜査の中で職務権限あるいは時効、その二つが今回の場合ネックになっているわけでございますけれども、その辺から見ても、たとえば大臣経験者のおられたその省庁あるいは時効の年数、その辺もかなり問題になると思うわけでございます。
 それと、いままでのロッキードの場合は民間の機種ということでございましたけれども、今回の場合には軍用機の機種選定ということで、国防会議といういわゆる密室の中の会議といいますか、そういう中で決められたのが一つの原因じゃないかと思うわけでございます。そういうことで、公開とまではいきませんけれども、やはりいろいろなメンバーが入ったそういう委員会なるものを考えていくべきだと思いますけれども、その辺についていかがでしょう。
○大平内閣総理大臣 機種の選定という問題は大変高度の技術的判断が要る問題だと思うのでございまして、私は、これの判断、選定というのはやはり専門家に信頼してお任せをするのが順序じゃないかと考えておりまして、機種選定の委員会を特別に設けるというような考えは持っておりません。
○玉置委員 新聞等、いままでの情報によりますと、今回の場合、途中で機種が変わったということでございますけれども、こういうふうに簡単に人から頼まれたら機種が変わる、われわれはいままで非常に防衛に対しては協力的にやってきたつもりでございますけれども、機種選定は、専門家が選んだのだからというつもりでいままで予算なりあるいはいろいろな会議でそういう発言をしてまいりました。しかし、今回のようにお金でといいますか、人に頼まれて機種が変わるということ自体が非常に問題だと思っているわけでございます。そういう意味で、なるべく専門家も入って、役所も入って、そして国民の代表たる政治家も入った、いろいろな方面の方々が入ったような委員会を望んでいるわけでございますけれども、いま申し上げたようにほかの力によって機種が変えられるというその辺に問題があると感じているわけです。そういう意味で、われわれは防衛委員会なり、そういう名称で呼んでおりますけれども、そういうものの設立をぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。
 時間が残り三分ということで……。
 現在、総合商社というものが非常にいろんな問題点を醸し出しているわけでございます。商社の社会的責任、企業が大きくなるとどうしても社会的に大きな影響力を与えるということで、現在の法律では、営利企業ということで特にそんなに締めつけがないわけでございますが、締めつけるとかそういうことじゃなくて、何らかの政府の方針に沿ったようなそういうやり方はないかという点で、政府はどのようにお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
○大平内閣総理大臣 企業倫理の問題でございますが、いま日本の経済制度は、自由企業の自己責任において事柄が決断され、選択されるという仕組み、しかも、責任もまた選択いたした者が負うという筋道で行われておるわけでございまして、政府は経済にできるだけ干渉しないというたてまえを堅持しておるわけでございます。経済倫理の問題は、経済界自体がみずからの責任において処理するという筋合いでやってきていると思うのでございます。
 しかし、政府も購買者として経済の世界に入らざるを得ない立場にあるわけでございまして、それにはそれなりの法令がございます。それを厳守いたしまして非違のないようにやってまいることでございますが、それ以上にさらに刑事責任を問わなければならぬということになりますと、今度の航空機疑惑におけるように、それぞれの機関がそれぞれの権能に従いまして、その権能を行使して対処するということになるわけでございまして、特にいま政府は、企業倫理の問題について特別の措置を考え、制度を考えるということは考えておりません。
○玉置委員 時間でございますので終わりたいと思いますが、なるべく早く明確に航空機疑惑の解決をいたしていただきますように、心からお願い申し上げます。
○加藤委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私も、まず航空機疑惑解明問題についてお尋ねをしたいと思います。
 総理は、ことしの一月の七日に京都で、ダグラス、グラマン疑惑問題につきまして、疑惑は解明されなくてはいけないという趣旨のことをおっしゃいましたが、御記憶しておられると思います。これは当然のことだと思いますが、国民はそのとき半信半疑ながら、相当やってもらえるんだろうというふうに期待をかけていたというふうに思うのですが、その後の経過を見ますと、これはまさに日商岩井の汚職に限定をされてしまっておって、国民の方としては、これは国民の税金の中から賄賂に使われているんだということで、非常に憤激をしております。そして、疑惑が解明されたとは全く考えておりません。これでは国民に対して、疑惑解明についての総理の政治責任は果たされていないと思うのですが、どういうふうにお考えですか、そして、どのようにして総理としての政治責任を果たしていくお考えなのか、まず最初にお尋ねいたします。
○大平内閣総理大臣 これはたびたび本院でも御答弁申し上げておりますように、疑惑の解明につきましては、まず捜査当局が、真実の解明を通じて刑事責任を明らかにしてまいるということで、そのことはいたしたわけで、一段落つけたわけでございまして、また関係当局は、それぞれみずからの部内に疑惑があるかないか、この点につきましても綿密な検討を遂げてまいってきたわけでございます。政府に関する限り、そういった疑惑はないという報告を私は受けておるわけでございます。
 国会におきましては、国政調査権を発動されて、政治責任、道義責任という問題の解明に、いま精力的に当たられておるわけでございます。政府がそれに協力を申し上げておりますことは御承知のとおりでございます。そういうことでございますので、私が国民にお約束を申し上げましたとおり、この解明につきましては全力を挙げて当たっており、それなりの成果を国民の前に示しておるわけでございます。
○安藤委員 これからの政治責任、道義的な責任の追及について国会がやっていくについて、いろいろ協力をしてきておるというふうにおっしゃってみえるんですが、先ほども他の委員からも話がありましたけれども、松野氏の告発の問題、それから岸元総理大臣の証人喚問の問題、これは五野党が一致して要求しているにもかかわらず、自民党が反対して実現できないんですよ。総裁として、そして総理として、その辺について協力をしているという形には決してなってないと思うんです。たとえば捜査資料の公開の問題にいたしましても、松野氏が受け取った五億円の金の行方の問題にいたしましても、全く実現していない、解明されていないんです。その辺について総理は、その金の使途の問題についても、国会が国政調査権を発動してやるということについても、協力をしていくお考えなのか、どうですか。
○大平内閣総理大臣 いま申し上げましたように、政府は、国会の国政調査権の行使に最大限の協力を申し上げておるという認識に立っておりますけれども、捜査資料の公表は、訴訟関係人の人権の保護、捜査、裁判に対する不当な影響の防止への配慮から、これは許されるべきものでないと考えております。捜査の内容について法務当局は、許される限りの範囲内で誠実に答弁いたしておるものと私は考えております。
○安藤委員 いまの後段の、松野氏の五億円の金の使い道については、どういうような態度をおとりになるつもりですか。
○大平内閣総理大臣 法令の許す範囲内におきまして、最大限の協力をいたしておるつもりでございます。
○安藤委員 おるつもりだということは、引き続き要請があれば、その方面についても協力をしていくお考えだというふうに伺っておきます。
 そこで、このダグラス、グラマン問題は、法務省の国会答弁におきましても、松野氏の衆参両院における証言によりましても、岸元総理の秘書らが登場してきております。御承知のとおりです。チータム氏を松野氏に紹介するとか、あるいは海部を松野氏に紹介するとか、航空機について松野氏と数回にわたっていろいろ会談をするとかいうようなことをしているわけです。そしてさらには、岸氏がアメリカでダグラス社の副社長のフォーサイス氏、海部氏と一緒に会談をしているという事実も出てきてまいっております。そうなりますと、これはまさに岸氏をめぐる疑惑が非常に深まっていると思うのです。
 そして一方、松野氏の五億円の、先ほどから私が問題にしております使途の問題につきましては、まさにこれは佐藤内閣を維持するための派閥資金として使われたに間違いないというふうに私は思っております。これも公然の秘密ではないかと思っております。そうなりますと、まさにこれは自民党の政権を維持する金に使われたのだと言わざるを得ぬのです。となると、まさにこの疑惑が日本の政治の中枢、根幹にかかわるものだと言うことができると思います。
 総理、この辺のところをはっきりとさせないことには、国民は本当に疑惑は解明された、だから今後こういうことはないだろうというような気持ちにはなれないと思うのですよ。いまのままでは総理は何にもやってないというような国民の声が相当強いのです。その辺についてどういうふうに考えておられるのか、そんなことは必要ないと考えておられるのでしょうか。
○大平内閣総理大臣 捜査当局は権力を駆使して周到緻密な捜査をいたして、結果、先般発表がされたとおりでございますので、捜査当局を御信頼いただきたいと思うのであります。捜査当局の捜査の結果、刑事責任を問うべき者が国会議員にはなかったということが明らかになりましたし、その事件は古い事件であったということもまた明らかになって、最近においてそういうことはなかったということも明らかになったわけでございまして、私はそれなりの国民の知る権利に対して政府はこたえておると承知いたしております。
 それから第二に、その内容、金額の使途等につきまして云々とございましたけれども、政府のできる範囲内におきまして、先ほどもお答え申し上げましたように、法務当局においては誠実に可能な限り精いっぱいのところをこたえておるわけでございますので、それなりに国民は評価し理解をしていただけておるのではないかと私は考えております。
○安藤委員 総理の考え方と私の考え方と大分違います。国民は考えてもらっているのじゃないかというふうに総理は思っておられるのですが、そこが大きな間違いじゃないかということを申し上げ、国民は納得しないということを申し上げて、あと二つお尋ねします。
 これは再発防止でやはりお尋ねがあった件ですが、政治資金規正法の関係です。自民党の中でもこれから検討する、そして準備をしておるところだ、それから政府としても検討していくんだというお考えですが、総理の頭の中に企業献金を禁止するということも含めて検討するということが考えられているのかどうか、これが一つ。
 それから、政治家個人に対する献金について、これも現在御承知のように全くチェックされておりません。所得税法でもこれは一緒です。これがまさに政治資金規正法の抜け穴というふうに言われておることも御存じのとおりだと思うのですが、この個人に対する献金の公表、あるいは所得税法上も届け出させるとかというようなことまでお考えになっているのかどうか。やはりこれをやらないということになれば、再発防止問題について総理が真剣に考えているというふうに国民は思わないと思うのですが、そういうことも踏まえてこれを二つお答えいただいて、質問を終わります。
○大平内閣総理大臣 企業献金を禁止するというつもりはあるかということでございますけれども、私は節度ある企業献金はあって差し支えないのではないかと思いまして、現行の政治資金規正法上の規制が果たして十分かどうか、節度性を持っておるかどうかというような点につきましては検討する必要があろうかと思いますけれども、根っこから企業献金なるがゆえにこれは禁止するのだというような考えは持っておりません。
 それから、個人の問題でございますが、政治資金規正法には確かにそういった点の規制がないわけでございますが、これはどういう立法の趣旨において行われたか、これも十分考えてみる必要がございますが、実施後三年たちましたので、これまでの運営の実態を踏まえて研究すべきテーマではないかと思っておりますけれども、どのようにするかということは十分な検討を遂げてでないと御答弁いたしかねます。
○安藤委員 時間が来ましたので、終わります。
○加藤委員長 永原稔君。
○永原委員 私は、予算編成のあり方について総理大臣のお考えを伺いたい。
 これは議論の時間がございませんのでお考えを伺うにとどまると思いますけれども、財政危機に対応して五十五年度の予算編成につき早期に検討を指示された総理の姿勢は評価いたします。ただ、私、翌年度の政策の優先順位とかあるいは財源の確保等について、立法府としての基本方針というものをまとめて、これを政府に申し入れる機会が必要ではないだろうか、予算編成にそれを反映していただくというようなことを当然立法府としてはやるべきだと思いますけれども、総理はこの点についてどうお考えになるでしょうか。
 と申しますのも、国権の最高機関として議会が行政府の提案になるその内容をただ審議するというだけでは、可否を審議するだけでは意味がないと思うのです。しかし、いまの国会の内容を見ていきますと、政府の提案した予算あるいは法案についてただ各党と政府との質疑が行われるだけ、立法府としての意見がそこに交わされるような機会が全然ございません。しかし、やはり私は、国会というものが翌年度の予算編成について一つの定見を持ち、基本方針を持ち、それを政府にぶつけるということは必要だろうと思うのですが、そういう考えに立って御質問をしているわけです。
 これは結局政府の予算の提案権を侵害すると私は思いませんし、行政の聖域に立ち入るものでもない、こういうように思いますけれども、その点についての総理のお考えを伺いたいと思います。
 また、いま予算編成に当たって毎年概算要求枠というのが示されますけれども、それがそのまま増分主義につながってしまう。各省の大臣は執行権をお持ちになっております。そういう中で重畳的な予算がいまだに見られる、これは縦割り行政の弊だと思います。水平的に思考していくならばもっと補助事業などについて簡素化、統合が行われるのではないか。ぜひゼロ・ベース・バジェット方式というようなものを徹底させる必要があると思いますけれども、まずその二点について総理のお考えを伺いたいと思います。
○大平内閣総理大臣 予算の編成権は憲法上政府にありますが、この趣旨は、政府が国会に対して責任を持っておる立場で全力を挙げて国民のための予算をつくって、それに対して、国会に対して責任を負えということでございますので、国会が編成の段階におきましてこれに参加するという筋道は、憲法が期待しておるところではないのではないかと私は考えております。
 しかしながら、永原さんが言われたように、政府はいま最善の予算をつくる上から申しまして、国会の論議、国会の考え、国会で議論されたこと、そういったことが予算案に反映されないようなことではいけないと存ずるわけでございます。この国会で論議された知識、情報は、余すところなく政府がよく消化し活用いたしまして、みずからの予算編成その他の施策に生かしていかなければならぬ思うのでありまして、私は、厳密に見ていただきますとおわかりいただけると思いますけれども、ことし議論されたことはその年以後の予算案の編成には相当大きな影響を持っておると思うのでございまして、それあるがゆえに、政府に国会の論議を通じて堆積せられておる知識というものは、各省庁非常に丹念に整理いたしまして予算編成の素材にいたしておることと思うのでありまして、そういう制度で十分対応できるのではないかと考えておる次第でございます。
 第二点は……
○永原委員 予算編成の最終段階で各党の意見をお聞きになりますけれども、もうあの段階になりますと聞きっ放しになってしまって本当のコンセンサスが得られないのではないか、だからそういう意味で基本方針というようなものは国会としてある程度意見を言ってもしかるべきではないか、こういう気がするから申し上げておるわけです。
 第二点とおっしゃったのは、もっと補助金などの整理統合ということです。これは次の問題に絡みますので、あわせてお伺いいたしますが、補助事業の統合など、これをずっと掘り下げていきますと、機構改革に結びついていかなければならないと思います。いま申し上げましたのは、縦割りでずっとこう行っていますので、各省の執行権が独立していますから、そこで予算が執行されていきますけれども、実際に水平的に考えてみれば非常に重複している予算が多いので、そういうものを水平的な思考に立って整理してほしい、そうすべきではないかという意見を申し上げたわけです。それはすでに行政機構の改革に結びつきます。この点については、うちの西岡幹事長が質問いたしまして総理の御答弁はいただいております。困難だということは承知しておるのです。
 しかし、困難だといって避けて通れない問題、本当に財政が窮迫して、悲壮な決意で取り組もうとしていらっしゃる総理、こういうような中で、やはり国有鉄道がこの前値上げをいたしました。五月二十日です。国有鉄道の運賃の方が、私鉄よりははるかに高くなっている。こういうような現実を見ると、やはりこういうものについて考え直す必要があるのではないか。専売公社も問題があろうと思うのです。こういうものを民営に移してもいいのではないだろうか。チープガバメントというような観点に立つときに、ぜひこういう機構について厳しく取り組む姿勢が必要だと思いますけれども、その御決意。
 また、私どもは、公務員だけに無理を強いるのではなくて、政治家みずからが姿勢を正すというような意味において、地方においては議員を減らしている。本当に必死でやるのだったら国会議員の数も減らすべきではないか。自民党の総裁として、総理として、こういうものについてどういうようにお考えになっていらっしゃいますか、伺います。
○大平内閣総理大臣 後段の御質問の趣旨は、私も全幅的に賛成でございまして、またそういうことをやらなければ、とても財政再建というようなものが実るはずはないと考えておりまして、ゼロベース予算のベースを堅持しながら、中央、地方を通じまして相当徹底的な見直しを通じて再建の実を上げていかなければならぬということを御指摘のとおり心得ておりまして、そういう決意で当たらなければならぬと思っております。
 と同時に、これは仰せのように直ちに行政改革に触れるわけでございまして、行政改革に触れないようなことでとても財政再建ができるとは思わないのであります。それは、行政改革につきましては中央だけでなくて地方にもお願いせねばならぬし、行政府だけでなくて立法府にもお願いせねばならぬし、司法部にもお願いせねばならぬという真剣な対応を考えなければならぬわけでございまして、この予算委員会におきまして西岡幹事長から国会はまず範をたれるべきじゃないかという非常に勇気のある御提言をいただいたことは大変ありがたいと思っておるわけでございまして、私どもそういう意味で行政府だけでなく立法府、司法部、各方面の全幅の協力をとりつけながら真剣な対応にいまかかったわけでございまして、かかったばかりでございまして、まだ大きなことを申し上げる段階ではございませんで、精いっぱいやってまいりまして、いろいろ御指導をいただきながらこの難問に取り組んでまいりますので、よろしく御支援を願いたいと思います。
○加藤委員長 永原君、時間でございます。
○永原委員 終わります。
○加藤委員長 お約束でございますから、内閣総理大臣には退席を願うことといたします。
 これにて昭和五十一年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。
○加藤委員長 昭和五十一年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付をいたしております。
 これより議決案を朗読いたします。
    議 決 案
 昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。
 本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実が上がっていない点があるのはまことに遺憾である。
 一 昭和五十一年度決算審査の結果、予算の効率的使用等、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。
   左の事項は、その主な事例であるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。
  1 会計検査院の検査機能の充実強化については、再度議決を行ってきたが、未だに十分な措置がとられていないのは遺憾である。
    会計検査業務の適正化のために、引き続き検討すべきである。
  2 昨今の厳しい財政事情より見て、行政改革並びにその一環としての行政機構の簡素・合理化及び特殊法人の整理統廃合を適正かつ積極的に推進すべきである。
    特に補助金等については、従来から整理合理化が進められてきていることは認められるが、現下の財政事情等にかんがみ、全体について補助効果等を絶えず見直し、一層の整理合理化に努めるべきである。
  3 国内産米について、再度過剰在庫を生じたことはきわめて遺憾である。
    生産面での対策、消費の拡大、食糧管理制度の運用の改善等、今後、過剰米を出さないようにすべきである。
  4 雇用改善事業等の給付金については、年年多額の不用額を生じているが、雇用条件や支給手続き等改善措置を再検討して、適切な活用に努め、雇用安定に実効が上がるようにすべきである。
  5 水道料金には、かなりの地域別格差が認められる。
    過疎地住民の生活安定のため、適正料金の確保に努めるべきである。
  6 東京大学附属病院精神神経科病棟の管理運営については、なお解決を図るべき問題が残されている。
    政府は、これを含め国立大学の施設の管理に係る問題解決のため、さらに一層の努力をすべきである。
  7 大規模地震対策特別措置法の施行に伴い、地震予知に力を注ぐとともに、警戒宣言発令前後及び災害時において統一した行政指導を行い得るよう、体制を整備すべきである。
  8 工業団地の造成、企業誘致等に関する各地域の開発計画の中には、経済情勢の変動に伴い、当初の予定どおり進行していない例が多い。
    長期的な視点を踏まえ、実態に即して、計画の見直しも検討すべきである。
  9 動物保護のための収容施設は、全国的に整備されるよう、鋭意努力すべきである。また、ニホンカモシカによる食害やペット猛獣による被害も跡を絶たない。早急に対策を講ずべきである。
 二 昭和五十一年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、行政管理庁の勧告等を尊重して制度、機構の改正整備を図り、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
 四 決算審査の重要性にかんがみ、委員会における審査又は調査のための必要不可欠な報告又は記録の提出要求に対しては、政府は、議院における審議権及び国政調査権の適正な行使を妨げることのないよう最大限の協力をなすべきである。
  政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分に考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上であります。
    ―――――――――――――
○加藤委員長 これより昭和五十一年度決算外二件を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。宇野亨君。
○宇野(亨)委員 私は、自由民主党を代表しまして、昭和五十一年度決算につき、ただいま委員長より御提案の議決案のとおり議決することに賛成の意を表するものであります。
 昭和五十一年度の予算がいかに執行されたかを各省各庁別に順次審査を続け、その間、是正改善を要するものと思われる事項については、その都度関係当局に注意を喚起してまいりましたが、ただいま委員長御提案の議決案に示されましたとおり、予算の効率的使用等所期の成果が十分に達成されていないと思われる事項、及び国有財産、物品の管理等が適正を欠いている事項が改めて指摘されたことは、はなはだ遺憾であります。
 これらの指摘事項につきましては、政府は誠意をもって改善に努力されたいのであります。
 わが党は、その改善を期待しつつ本議決案に賛成いたすものでありますが、ただ、この際、予算の執行に関して政府に一言希望を申し上げておきたいと存じます。
 すなわち、昭和五十一年度決算の歳入関係の収納未済歳入額は、一般会計、各特別会計、国税収納金整理資金の合計で八千三百八十八億余円になっており、このほかに既往年度の収納未済額で本年度にもなお収納されなかった額は二千八百十五億余円になっております。
 一般会計の歳出関係で、用地の買収交渉や補償処理の難航等のため二千二百十三億余円が昭和五十二年度に繰り越されており、また、諸般の事情により不用となった金額は二千二百五億余円となっております。
 国の財政施策に基づく事業投資が最大限の効果を発揮するよう執行機関が努めるべきは言うまでもないが、公団、事業団等で必ずしも投資効果が上がっていない実例が見受けられます。
 このような実情にかんがみ、政府は、予算の執行に当たっては、国の財政事情の厳しい折から、さらに格段の配慮をされ、もって、所期の目的を達成し、国民の信託にこたえられることを希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 次は、馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま委員長から提案された議決案に対し、反対の意を表するものであります。
 議決案は、大要次の四項目から成っておりますが、
 その第一は、委員会における決算審査の結果に基づき、政府に対し、特に留意して適切な措置をとるべきことを求めた指摘事項が挙げてあり、この各項については、わが党も賛成であります。
 第二は、会計検査院が指摘した不当事項については、当委員会も不当と認めるというものであって、この点も賛成であります。
 第四の、委員会における審査または調査のための資料要求に対して、政府は最大限の協力をなすべき事項については、賛成であります。
 しかしながら、第三において、「前記以外の事項については異議がない。」として、この決算を総体として是認することとなっているのは、わが党としては賛成いたしかねるものであります。政府に対して警告すべき事項は、前記の各項に尽きるものではないからであります。
 たとえば、わが党委員の指摘した事項で、行政改革並びにその一環としての行政機構の簡素・合理化及び特殊法人の整理統廃合を適正かつ積極的に推進すべきであり、また、補助金等の合理化についても、現下の財政事情等にかんがみ、全体について補助効果等を絶えず見直し、一層の整理合理化に努めるべきと思われます。
 北富士演習場の問題に関する入会権、並びに林雑補償に関する資料の提出については、政府は、国会の国政調査権を尊重し、積極的に協力すべきであり、また、国有財産の処分については、売買契約前後における行政指導の公正、適正なる推進を図るべきであります。
 雇用改善事業等の給付金については、年々多額の不用額を生じているが、雇用条件や支給手続等改善措置を再検討して、適切な活用に努め、雇用安定に実効が上がるようにすべきと思われます。
 最後に、財政の膨大化は、会計検査機能の格段の強化が必要でありますが、現状では必ずしも十分適応できない面があります。したがって、会計検査院の権限の拡大、定員の増加、給与など職員の処遇の改善、検査活動経費の増額、その他各般の制度面での改善を図るべきと思われます。
 以上のように、わが党委員の指摘した事項を拾ってみただけでも警告に値する事項が少なくないのでありまして、これを無視して、本決算を異議なしとすることは妥当ではないと認められるのでありまして、わが党は残念ながら、本議決案に反対の立場をとらざるを得ないものであります。
 以上をもちまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 次は、林孝矩君。
○林(孝)委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま委員長から提案されました議決案件に対し、反対の意を表明するものであります。
 議決案第一項におきましては、本委員会での決算審査の際、各委員から政府に対して問題が指摘され、政府の速やかにして厳正な措置が強く望まれた事項が挙げられており、この各項についてはわが党も賛成であります。したがって、政府は本委員会の意図するところを十分にくみとり、国民の負託にこたえるべきであります。
 第二項におきまして、「会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。」としていることについては、私も同意するにやぶさかではありませんが、会計検査院の実施検査はあくまでも抽出検査であり、これら不当事項は氷山の一角にすぎません。したがって、こうした現実を直視して、会計検査院の検査体制の整備を図るとともに、政府においても内部監査の強化を図り、みずからのえりを正すべきであります。
 第三項におきまして、「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」として、この決算を総体として是認することになっているのは、承服できないものであります。政府に対して警告すべき事項は、前記の各項にとどまらないからであります。
 たとえば、会計検査院の検査権限の充実強化につきましては本委員会でも繰り返し議論され、再度議決の行われてきたところでありますが、いまだ十分な措置がとられていないのであります。政府は速やかに院法改正を提案するとともに、検査体制の整備を図るべきであります。
 また、国立大学の施設管理運営につきまして問題が指摘されております。政府は、問題解決のため一層の努力をなすべきであります。
 さらに、国内産米の過剰在庫問題につきましては、生産面での対策、消費拡大、食管制度運用の改善等、あらゆる面からの対策を講ずべきであります。
 工業団地造成、企業誘致などの地域開発計画につきましても、当初予定どおりの進行が見られない例が多く、適切な対策の講ぜられる必要があります。
 これらのことを初めとして、審議の中で明らかになった決算の実態からして、幾多の警告すべき事項が指摘されているわけであります。このことを無視して、本決算を「異議がない。」とすることは、とうてい妥当とは認められないのであり、かつ異議を表明しなければならないのであります。
 第四項につきましては、政府は国会の審議権、国政調査権を尊重し、その行使を妨げることのないよう協力すべきであります。
 以上、反対の理由を明らかにし、私の討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 次は、安藤巖君。
○安藤委員 私は、日本共産党革新共同を代表し、昭和五十一年度決算を議決案のとおり決するに反対の意を表明いたします。
 政府は、昭和五十一年度予算の編成に当たり景気回復を第一の目標に掲げたのでありますが、国民の購買力向上策には耳をかさず、すでに破綻が明瞭な従来型高度成長路線を踏襲した同年度の予算執行の結果、経済成長率は大幅に落ち込み、五十二年二月には鉱工業生産指数が前月比でマイナスになるなど、政府の景気浮揚策は完全に失敗したのであります。倒産件数は史上最悪の記録を更新し、他方、公共料金主導の物価値上がりも狂乱物価以来の急上昇を示し、五十一年度の勤労者消費支出は前年比マイナスとなるなど、国民生活は一層苦しめられるとともに、景気回復をおくらせる原因ともなったのであります。
 軍事費についてみれば、第四次防計画を主要部分でほぼ達成し、軍事力強化を進めるとともに、日米防衛協力小委員会を設置し、日米共同作戦体制の新しい危険な段階を踏み出したのであります。
 また、財政の健全な運営、財政民主主義の確保という面でも重大な問題があります。戦後初めて当初予算に計上した特別公債を含め、公債金は歳入の二八・七%に達し、財政の均衡を著しく損なうとともに、今日の財政危機を一層深刻なものとしたのであります。さらに、予算議決主義の原則を逸脱する公共事業等予備費を新設し、しかもその使い方を見ると、予算委員会での説明と全く違うなど、国会審議軽視もはなはだしいものであります。ロッキード事件の疑惑隠し、天皇在位五十年記念行事など、制度の趣旨に逸脱する予備費使用、前年度を大幅に上回って会計検査院から指摘された不当な予算執行など、政府の不当な財政運営はきわめて遺憾であります。
 このような内容を持つ本決算について、「異議がない。」とする本議決案には、とうてい賛成することはできません。
 なお、本議決案第一項のうち会計検査院に関する事項は、昨年の本院の議決よりも後退したものであり、検査権限の強化を明記していない点はきわめて不満であります。
 また、行政改革については、国民へのサービスの低下や職員の過重な労働、官僚統制の強化が進められようとしている中で合理化、整理統廃合のみを強調することには反対であり、従来の慣行を破って、わが党の反対にもかかわらず議決案に盛り込むことは、きわめて不当であります。
 国有財産の増減及び現在額総計算書は、広大な米軍、自衛隊基地使用が含まれており、政府出資ももっぱら大企業向けの機関等への出資が大幅にふやされており、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。
 国有財産無償貸付状況総計算書については、その用途が地方公共団体の公園、緑地等であり、その目的の限りにおいて賛成でありますが、その実態を示す資料は提出されておらず、その管理運営のすべてにわたってこれを正当なものと是認するわけではないことを申し添えまして、私の討論を終わります。(拍手)
○加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○加藤委員長 これより順次採決いたします。
 昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書及び昭和五十一年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。
 次に、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書は、これを是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。
 次に、昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書は、これを是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○加藤委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。
 なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○加藤委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。田中内閣官房長官。
○田中国務大臣 ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして十分これを尊重し、行政の適切な執行に努めてまいる所存であります。
 御指摘のありました会計検査院の検査機能の充実強化につきましては、政府といたしましては、会計検査の実が上がるよう今後とも協力してまいります。
○加藤委員長 次に、金子大蔵大臣。
○金子(一)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして十分これを尊重し、関係各省とも連絡を密にして、遺憾なきを期してまいりたいと思います。
 また、補助金等につきましては、従来から整理合理化に努めてまいりましたが、今後ともそのときどきの経済情勢、社会情勢の変化に即応して補助金等の全体について絶えず見直しを行い、整理合理化に努めてまいりたいと思います。
○加藤委員長 次に、金井行政管理庁長官。
○金井国務大臣 ただいま御指摘のありました行政改革の推進並びにその一環としての行政機構の簡素合理化、特殊法人の整理統配合及び補助金等の整理合理化につきましては、昭和五十二年末及び本年一月の二次にわたる行政改革方針に基づ勇その着実な実施に努めておるところであります。
 もとよりこれで十分でありとすることなく、当面する厳しい内外環境にかんがみ、行政の簡素化、効率化をより一層推進するため、ただいまの御決議の趣旨を尊重して、引き続き行政機構、特殊法人、補助金等の見直しを進め、行政改革の積極的な推進を図ってまいる所存であります。
○加藤委員長 次に、渡辺農林水産大臣。
○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました国内産米の過剰の問題につきましては、十分その趣旨を体し、米需給の均衡回復を最重点として、米の消費拡大策及び水田利用再編対策を推進するとともに、食糧管理制度の運営改善を図るなど、最善の努力を傾けてまいる所存であります。何分よろしくお願い申し上げます。
○加藤委員長 次に、栗原労働大臣から発言を求めるのでありますが、出張中で本日は欠席とのことでありますので、理事会の協議により、今回は特に瓦政務次官に発言を許します。瓦労働政務次官。
○瓦政府委員 ただいま御決議のありました雇用改善事業等の給付金に関する問題につきましては、すでに所要の改善措置を講じているところでありますが、今後とも御決議の趣旨に沿って鋭意検討し、努力する所存でございます。
○加藤委員長 次に、橋本厚生大臣。
○橋本国務大臣 ただいま御決議のありました過疎地域における水道の適正料金の設定につきましては、従来より国庫補助の導入等により対処してきたところでありますが、今後とも御決議の趣旨に沿ってその改善に努めてまいりたいと考えております。
○加藤委員長 次に、澁谷自治大臣。
○澁谷国務大臣 ただいま御決議のありました水道料金の格差是正につきましては、当省としては、地方財政計画及び特別交付税による措置を講じているところでありますが、なお御決議の趣旨を尊重し、適正な運営を図るよう努力してまいりたいと存じます。
 また、工業団地の造成等につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後関係各省庁と密接な連絡をとりながら、地方公共団体を指導してまいりたいと存じます。
○加藤委員長 次に、内藤文部大臣。
○内藤国務大臣 ただいま御決議のありました国立大学の施設の管理等に関する問題につきましては、御決議の趣旨に沿って速やかに事態の解決を図るよう、なお一層の努力をいたす所存であります。
 また、同じく御決議のありましたニホンカモシカによる食害問題につきましては、御決議の趣旨に沿って関係各省庁との連絡を密にし、その対策についてなお一層の努力をいたす所存であります。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤委員長 次に、中野国土庁長官。
○中野国務大臣 ただいま御決議のありました地震予知の強化につきましては、地震予知関係機関相互の連携を図り、その一層の強化充実に努めてまいります。
 また、大規模地震にかかわる防災体制の整備につきましては、警戒宣言が発せられた段階における対応措置の円滑な実施を図るため、地震災害警戒本部を中心とする体制を迅速に整備するとともに、災害発生後につきましても、緊急災害対策本部を中心とする体制の整備を図り、御決議の趣旨に沿うよう努力してまいる所存であります。
 さらに、地域の開発計画の問題につきましては、今後の経済情勢の動向等を勘案いたしまして、関係省庁とも連絡調整を図りつつ、円滑な推進に努めてまいる所存であります。
○加藤委員長 次に、江崎通商産業大臣。
○江崎国務大臣 第一項8において指摘された工業団地等の問題につきましては、今後とも工業再配置政策を強化し、工業の地方分散を促進するとともに、地方公共団体等の工業団地造成につきましても、経済情勢を踏まえ、需給適正化のための指導をしてまいる考えであります。
○加藤委員長 次に、澁谷北海道開発庁長官。
○澁谷国務大臣 ただいま御決議がありました事項のうち北海道開発庁関係の工業団地の造成等にかかる事項につきましては、この種の事業が長期、かつ巨額の投資を要する事業であることにかんがみ、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも計画の効果的な推進に努めてまいる所存であります。
○加藤委員長 次に、三原総理府総務長官。
○三原国務大臣 ただいま御指摘のありました動物収容施設の整備の件、並びにペット猛獣による被害問題につきましては、御決議の趣旨に沿って今後とも鋭意努力してまいりたいと存じます。
○加藤委員長 次に、上村環境庁長官。
○上村国務大臣 ただいま御決議のありましたニホンカモシカによる食害問題につきましては、森林の保全に当たる農林水産省、特別天然記念物を所管する文部省とも連携を密にし、環境庁といたしましても御決議の趣旨に沿うようその対策について一層の努力をいたす所存でございます。
○加藤委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
 次に、知野会計検査院長から発言を求めます。知野会計検査院長。
○知野会計検査院長 ただいま御決議のありました会計検査院の検査機能の充実強化につきましては、会計検査院といたしましてもなお一層努力いたしてまいりたいと存じます。
     ――――◇―――――
○加藤委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、塚本三郎君を理事に指名いたします。
 次回は、明後六日水曜日正午理事会、午後零時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時一分散会