第087回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和五十四年三月十五日(木曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 古川 喜一君
   理事 山崎平八郎君 理事 山下 徳夫君
   理事 岡田 利春君 理事 中西 積介君
   理事 野村 光雄君
      倉成  正君    篠田 弘作君
      藤田 義光君    三池  信君
      中村 重光君    鍛冶  清君
      西田 八郎君    安田 純治君
      中川 秀直君
 出席政府委員
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高瀬 郁彌君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本石炭協会
        会長)     有吉 新吾君
        参  考  人
        (日本炭鉱労働
        組合中央執行委
        員長)     森田 久雄君
        参  考  人
        (全国石炭鉱業
        労働組合中央執
        行委員長)   岡  新一君
        参  考  人
        (全国炭鉱職員
        労働組合協議会
        議長)     鈴木 照生君
        参  考  人
        (日本エネルギ
        ー経済研究所理
        事長)     向坂 正男君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十五日
 辞任         補欠選任
  稲富 稜人君     西田 八郎君
同日
 辞任         補欠選任
  西田 八郎君     稲富 稜人君
同日
 理事稲富稜人君同日委員辞任につき、その補欠
 として稲富稜人君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 石炭対策に関する件
     ――――◇―――――
○古川委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本石炭協会会長有吉新吾君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長森田久雄君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長岡新一君、全国炭鉱職員労働組合協議会議長鈴木照生君及び日本エネルギー経済研究所理事長向坂正男君の御出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 また、向坂参考人は、都合により多少出席がおくれますので、御了承願います。
 なお、次回の委員会において、電力業界、鉄鋼業界、ガス業界などのユーザー関係者の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○古川委員長 この際、参考人各位に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の各位には、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 御高承のとおり、目下、国内炭の生産維持等を柱とする第六次石炭政策が推進されておりますが、本日御出席いただきました参考人各位を初めとする関係者の御努力により、石炭の生産は本年度の目標をほぼ達成できる見通しが立ちましたことは、まことに喜ばしいことでございます。
 しかしながら、昨年来の経済の不況に加えて、急上昇した円高による輸入炭との大幅な価格差などが要因となって、国内炭の引き取りは減退し、貯炭は適正在庫を大幅に上回り、これが企業経理の脆弱化に拍車をかけているというのがわが国石炭産業の実情でございます。
 かかる事態が、官民一体となって努力を積み重ね、石炭産業の自立にやっと曙光を見出した矢先に現出したことは、われわれ関係者にとりましてもまことに残念なことであります。
 第一次エネルギーの大方を海外の石油に依存しているわが国にとって、今後のエネルギー情勢が非常に厳しいことを考えますと、石油にかわるべき石炭を初めとする代替エネルギーの開発を促進するとともに、その自給率を高めることは喫緊の課題であります。したがいまして、わが国の石炭産業が当面している貯炭を含む需給問題を初めとする諸問題については、なお一層真摯な態度で取り組み、適切な対策を講ずる必要があると考えます。
 つきましては、参考人各位の方々には、総合エネルギー政策の一環としての石炭政策全般について忌憚のない御提言を御披瀝いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 なお、参考人各位からの御意見の開陳は、議事の都合上、まず十五分以内にお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、まず有吉参考人にお願いをいたします。
○有吉参考人 私、日本石炭協会の会長をいたしております有吉でございます。
 石炭政策につきましては、かねてから本委員会の諸先生並びに関係御当局には格別の御配慮をいただいておりますが、本日はまた、石炭業界の立場から発言する機会を与えてくださいましたことを心から御礼申し上げる次第でございます。
 初めに、石炭鉱業の現状を簡単に述べさせていただきます。
 協会傘下の稼働炭鉱数は十五炭鉱でございまして、ほかに十二炭鉱ございますので、全部で二十七炭鉱となっております。炭鉱に従事する労務者数は、職員その他を含めまして昨年十二月末で約三万三千人、生産能率は実働労務者一人当たり月七十トン前後となっております。採掘深度は、坑口水準下、五十三年三月現在におきましてマイナス五百七十メートルでございます。この十年間に百二十メートル深部に移行しているのでございます。一方、採掘の進展に伴いまして、坑内の運搬距離も増加し続けております。五十三年三月現在、全国平均で五千八百六十メートルに達しておりまして、この十年間に二千四百十メートルの増加となっております。これらのことは、そのまま運搬経費及び通気経費等の増加、すなわち生産費の上昇を示しているのでございます。このように、年々悪化してまいります自然条件のもとで、組合の協力を得ながら保安の確保を最大の目標として石炭の生産に努力しておるところでございます。
 御承知のとおり、石炭業界はここ二十余年にわたるエネルギー革命のもとにありまして、大幅な値下げとスクラップ・アンド・ビルドというきわめて厳しい合理化政策の中で、総力を挙げて経営の健全化に努めてまいりましたが、四十八年秋から始まりました石油危機を契機に、資源エネルギーの安定供給の一環として、貴重な国内資源の一つである国内炭につきましても可能な限り活用すべきであるとの世論を背景に、五十年七月に、一、国内炭二千万トン以上の生産維持、二、海外炭の開発輸入によるエネルギーの多様化、三、石炭利用技術の開発を柱として、石炭企業収支をできるだけ早い機会に黒字となるよう、ユーザーの協力と政府の適切な助成、指導を求めた第六次石炭政策が決められました。石炭鉱業はこの路線に沿って、石炭の安定供給と、そのための経営の改善、自立に向かって鋭意努力してきたところでございます。
 しかるに、昨年来、打ち続く経済の不況に加えて、急上昇いたしました円高による輸入炭との大幅な価格差のため、国内炭の引き取りは減退し、五十三年度末の業者貯炭は三百七十万トン、これは正常貯炭の約六倍に当たるわけでありますが、に達する見通しでございます。五十四年度がこのまま推移するならば、貯炭はますます増加し、特に原料炭は価格面から需要が確保されていない現在、貯炭に対する市中銀行からの金融は受けがたい状態に置かれているのでございます。
 石炭企業といたしましては、不本意ながら赤字は増加いたしますが、資金繰りの点からできるだけその流出を防止しなければなりませんので、五十四年度一年間に限り、緊急避難措置といたしまして、企業みずから減産及び資金削減対策をとらざるを得ないものと決意しているところでございます。すなわち、生産量におきまして各社の五十四年度計画数量を集計いたしてみますと、五十三年度に対し約五%減の生産水準となっております。
 このことは、御高承のとおり、石炭鉱業は労働集約型の産業でございますし、かつ、固定費の占める割合が八〇%強でございますため、私どもの試算では、直ちにトン当たり約七百五十円のコストの高騰をもたらすものでございます。これをできる限り抑制いたしますために、保安の確保に十分配慮しつつ、生産維持のための設備投資の大幅削減、退職者の減耗補充の抑制、その他物品費、修繕費等の支出を抑えることにより、トン当たり約四百円のコスト低減を図りますとともに、資金支出の徹底的削減に努力をいたしますが、なおトン当たり三百五十円のコスト高騰は避けられず、かつ資金の不足を未払い等にしわ寄せしてしのがざるを得ない状況にあるのでございます。
 このような状態が長期化することは、そしてまたこれ以上生産水準を引き下げるというようなことは、雇用面の不安を招くと同時に、ますますコストの高騰を来し、いまだ収支相償うに至らぬ経理にさらに大きな重圧となるばかりでなく、将来の生産構造を根本的に破壊することとなり、炭鉱の存続問題にまで発展して、貴重な国内資源の喪失、地域社会の崩壊にもつながることにもなり、深く憂慮するところでございます。
 一方、石油資源の開発、増産には限界があり、今後増大する需要に対し供給が不足することは、先ごろ開かれましたIEA理事会の経過を見ても明らかでございまして、石油依存度の低減、エネルギー源の多様化のための石炭利用の促進は、世界各国とも真剣に取り組んでおるところでございます。
 わが国におきましても、総合エネルギー対策閣僚会議を初めとして、総合エネルギー調査会、エネルギー総合推進委員会等におきまして、この基本理念に立脚した政策がとられており、石炭鉱業としても、この線に沿って努力を重ねているところでございます。
 西ドイツを初めEC諸国では、輸入炭との競合に対して各種の措置がとられ、自国炭優先使用の原則が確立されております。わが国におきましても、自国経済の安全保障を図るためにも、また国際協調、資源外交の観点からも、海外炭が割り安であるという現象のみにとらわれ、かつての安価な輸入石油のみにエネルギーの供給を求めたように、輸入炭のみに目を向けることは問題であり、国内炭の優先使用を第一として、内外石炭全体の需給を考えるという基本原則を、この際はっきりと決めることが急務と考えております。
 諸先生を初め、政府並びに需要業界におかれましては、国内資源の活用の意義と石炭鉱業の置かれている実情を御賢察願い、以下申し上げます諸点について、特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。
 第一は、需要の確保についてでございますが、国内炭優先使用の原則のもとに、需要業界の協力と財政援助の拡充と相まって、現状の出炭規模が維持できますようにしていただきたいとと思います。原料炭につきましては、輸入炭との価格差について増加引き取り交付金の大幅増額等の抜本的措置を講じていただきたいと存じております。また一般炭につきましては、石炭火力発電所の建設を促進していただき、国内炭の使用割合を極力高め、長期的需要確保の具体的措置を検討していただきたいと存じます。
 第二に、炭価については、需要業界の協力と財政援助の拡充と相まって、経常損益で相償い得る炭価を速やかに樹立していただきたいと存じます。
 第三に、財源確保についてでございますが、さきに申し上げました需要確保並びに現状の出炭規模を維持していくのに必要な財源を捻出、確保していただきたい、かように存じます。
 第四番目は、貯炭融資についてでございますが、需給が安定し、貯炭が減少するまでの数年間、今後の貯炭に対して経営改善資金の大幅増大等、資金対策についてお願いをいたしたいと存じます。
 以上の諸対策をぜひ確立していただきまして、遅くとも五十五年以降は正常な操業に戻ることができますようお願い申し上げる次第でございます。
 これで私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○古川委員長 続いて、森田参考人にお願いいたします。
○森田参考人 日本炭鉱労働組合の中央執行委員長をやっております森田久雄でございます。
 石炭対策特別委員会の委員長、委員の諸先生を初めとする皆さん方、大変厳しい困難な石炭政策推進に当たりましてお取り組みをいただいていることについて、この場をかりて深く感謝を申し上げたいと思います。なお、本日は、参考人として私どもが日ごろ考えておりますことについて申し述べる機会を与えていただいたことについても感謝を申し上げる次第であります。
 御承知のように、わが国では必要エネルギーの大部分を海外からの輸入に依存してきています。五十二年度における一次エネルギー供給量に占める輸入エネルギーの比率は八八%となっております。国産エネルギーは一二%にすぎないのが現状であります。
 石炭について見ても、五十二年度における石炭需要量は七千七百八十六万トンに達していますが、その大部分は輸入炭であります。もっとも五千八百二十九万トンの輸入炭は、炭種的に見て国内では産出のできない強粘結炭、無煙炭が主なものであります。それでも国内炭と競合する弱粘結炭、一般炭が合わせて一千万トンを超えているのが現状であります。しかも、一般炭については、石炭火力の大幅な増設によって今後需要が急激に伸びるとの見方をしております。現時点における政府の長期エネルギー需給暫定見通しとしては、六十年ごろにおいて一千五百万トン、六十五年度においては四千万トンの一般炭需要が見込まれております。したがって、一般炭についても今後海外依存の度合いが非常に強まってくるということが避けられないと考えております。
 しかし、他方国内には、いまなお相当量の石炭資源が賦存しております。その量については、政府が第五次石炭政策策定の際算出したところによりますと、実収炭量において十億トンとされております。われわれの試算によれば、未開発鉱区あるいは一度は閉山したが再開発が十分可能な鉱区において、いまなお二十億トン、実収炭量を優に超える石炭が賦存するものと判断しております。いずれにいたしましても、これらの石炭はエネルギー資源、原料として十分利用していけるものであります。その開発を促進することは、国民全体の利益に沿う道であると確信されるものであります。したがって、さきに触れた海外炭依存の傾向が今後さらに深まる中で、この国内炭の開発利用という課題をどう関連づけていくのかは大きな問題となろうと考えられます。
 この場合、当組合としては次の考え方に立って対応していくべきだと考えます。
 石炭開発を考える場合、考慮すべき基本的な問題点として、その第一は、長期エネルギー需給計画のあり方とその中における国内炭の位置づけ問題であります。この点についてわれわれは、わが国のエネルギー自給率を可能な限り引き上げるという方向を踏まえて、長期エネルギー需給計画を確立すべきであると考えます。そしてその中に、国内炭については現状生産規模の維持にとどまらず、明確に拡大生産の方向で位置づけていくことが重要であると考えます。
 その第二は、海外炭の開発、輸入問題と国内炭開発との関連についてであります。われわれは、この点について、何よりもまず国内炭の開発利用を図ることを第一義とし、不足分について輸入炭により賄うという考え方に立つべきであると思います。このことは、いまや石炭輸出国に対する国際信義にもなっていると考えるのであります。
 その第三は、国内炭の稼行価値に関する判断あるいは国内炭を使うのか輸入炭を使うのかという選択に関する問題でありますが、われわれは、この場合、目先の価格差だけを基準とした価値判断あるいは選択は厳に避けていくべきであると考えます。これはエネルギー革命という口実のもとに、実は価格差だけを基準として石炭から石油への転換を行い、高度成長を遂げてきたわが国がオイルショックにより経済政策の大転換を迫られたという事態一つ見ても明らかなところであります。
 その第四は、これからの石炭開発を進める事業主体の問題であります。それは一方で国内炭の開発利用の必要性、重要性が増大するという状況の中で、現有炭鉱の生産体制の拡充はもちろん、未開発鉱区における新規炭鉱の開設についても十分対応していける条件が要求されるわけであります。他方、わが国の炭鉱における稼行条件を見ると、年々悪化の一途をたどることになりますが、石炭開発に当たっては、このような条件悪化を十分克服していくことが要求されるわけであります。これからの石炭開発を進める事業主体は、このような二つの条件を二つながら満たしていくことが求められるものと判断されますが、われわれは今後石炭開発を営利事業の対象としていける余地はなくなっているのではないかと判断せざるを得ないのであります。したがって、この時点でいわゆる体制問題についても一定の解決を図っていくことが必要であると考えます。
 二つ目は、国内炭開発を促進する上で、考慮すべき具体的な問題点についてであります。
 これからの国内炭生産は、当然のことながら現有炭鉱がその中核となるべきであり、このため、各炭鉱において長期の視点に立った保安、生産体制を確立することがまず必要であります。このほか、石炭産業においては解決すべき多くの問題点を抱えており、これらの解決を可能な限り石炭政策の課題として取り組んでいくことが重要であろうと思います。
 以下、その具体的内容について何点か問題点を提起していきたいと思います。
 一つ目、長期エネルギー政策の見直しと国内炭の位置づけについてであります。現在、長期エネルギー需給計画の見直しが進められていますが、その中で、今後、国内炭の生産規模を拡大していくこと。しかも、その方向を長期にわたって維持していくことを明確に位置づけることが重要であります。わが国の石炭生産規模は、現在、二千万トン以上の生産規模の維持という政策目標をよそに、一千八百万トンから一千九百万トンに落ち込んでいるのであります。しかし、現有炭鉱における生産体制に対する政策的なてこ入れを図るとともに、幾つかの新規炭鉱を開設することにより、数年間で二千五百万トン体制まで拡大すること。そしてその後、この生産規模をさらに拡大していくことが十分可能であると判断をいたします。
 二つ目、現有炭鉱における保安、生産体制の整備拡充についてであります。このような、国内炭の生産規模の維持、拡大のためには、その中核となる現有炭鉱において保安、生産体制を整備拡充することが不可欠の条件となります。この場合、今後予想される稼行条件の悪化その他の要因を十分吸収していける長期の視点に立った体制を確立する。このため、いまからそれに計画的に取り組むことが必要であります。
 この点に関して、われわれは、次項に述べる新技術問題とも関連がありますが、保安面ではガス突出、山はねを含めあらゆる災害に対して有効的な予防対策を確立するとともに、災害の発生しづらい坑内の構造、たとえ災害が発生しても被害が他に波及しない坑内構造を確立することを目指して骨格づくりを進めるべきであります。また生産面では、急傾斜炭層における機械化採炭の実用化、深部移行に伴う盤圧の増大に対応していける坑道維持技術の開発、導入に特に力点を置くべきだと考えます。
 三つ目は、保安、生産新技術の研究開発の促進についてであります。深部保安、生産対策の万全を期するため、保安、生産新技術の研究開発を促進することは、現在重要な課題となっています。その成否は、今後のわが国石炭産業の存亡を決する問題であると言っても過言ではありません。今日まで政府においても、既存の研究機関の拡充強化という方向では一応の努力を払い、それなりに成果を上げているものと判断をいたします。しかし、それとても先進諸国における研究開発体制のレベルから見ますと、まだまだ不十分さを残すものであり、しかも、すべての研究機関が絶えず横の連携をとり統一的、集中的に研究開発に取り組んできているわけではありません。つまり今後改善すべき余地を多く残しているのが実態であります。
 このような保安、生産新技術の研究開発体制の立ちおくれを克服し、深部移行等に伴う採掘条件の悪化に対して保安対策、生産技術対策を先取りしていくため、われわれは、早急に国立の総合的な研究機関として、多面的な研究部門と試験炭鉱を持つ鉱山保安新技術開発センターの設立を提起してきたのであります。
 四つ目は、新鉱開発の問題についてでありますが、さきに触れましたように、二千万トン体制を維持するためにも新鉱開発が必要であり、国内炭生産規模をさらにふやすとすれば、これは一層重要な課題となります。ところで、新鉱開発には相当のリードタイムを要するものであります。また開発投資も莫大な額に上るものと思います。さらに新鉱開発の対象となる未開発鉱区は、ほとんど現有石炭企業が鉱業権者となっており、しかも石炭企業は、新鉱開発についての具体的な計画を何ら持たないまま、いたずらに貴重な石炭資源を地下に眠らせてまいってきているのが現状であります。
 新鉱開発には、以上その一端について触れたように、多くの制約条件がありますが、これを克服し、前向きにこの問題と取り組んでいくために、われわれは、一つ、政府において今日まで実施してきた国内炭開発可能性調査その他の調査結果に基づいて、早急に長期的な新鉱開発計画を確立すること。二つ、新鉱開発事業に対する政策助成策を強化すること。三つ、新鉱開発を行う事業体として、特殊法人日本石炭公団を設立すること。四つ、石炭企業が眠らせている遊休鉱区をこの事業体に集約すること等の措置をとることが必要であると考えます。
 五つ目は、海外炭開発、輸入等への対応についてであります。海外炭開発については、相手側である資源保有国において、各国資本との競合、資源ナショナリズムの台頭など、今後多くの困難な問題と直面することが十分予想されます。また、海外炭開発を進める側の姿勢として、これを単なる投資対象と見ていくやり方を改め、真に平等互恵の立場に立って、わが国の必要エネルギーの確保ということを第一義として対応していくことが重要であります。
 このような問題点を解決していくためには、必然的に海外炭の開発体制はどうあるべきかという問題まで掘り下げて検討していくことが必要であり、この検討を通して前向きの方向を確立することが大切であります。われわれはこの点に関して、特殊法人として日本石炭公団を設立し、これを窓口として必要な事業を推進していくべきであると考えます。
 なお、海外炭開発とあわせて輸入炭の流通機構についても、同様な観点から検討を行うべき時期に来ていると判断されますが、この点についてわれわれは、国内炭生産と海外炭輸入を完全に両立させていくという観点に立って、この双方の流通を同公団に一元化していくべきであると考えます。
 六つ目は、必要労働力の確保についてであります。将来にわたって国内炭生産を維持していくためには、労働力を確保していくことが大きな課題となります。それぞれの炭鉱において十分保安を確保し、生産計画を達成していくためには、なお相当数の労働者が不足しておりますが、現在は、これを超過労働によりカバーしているのが実態であります。また在籍労働者の平均年齢が四十二・五歳となっていることにも端的にうかがえるように、労働力の高齢化も進んできています。さらに電気、機械、仕繰りなどの技能労働者の不足も慢性化しているのが実態であります。
 このような中で労働力の確保を図るためには、第一に、石炭産業が今後長期にわたって存立していける政策的な展望を確立することであります。第二に、労働力確保の隘路となっている労働条件問題、生活環境問題を改善していくことであります。これらの措置をとることが不可欠の前提条件となると考えます。
 最後になりましたが、三番目として、当面の対策についてであります。
 一つは、第六次石炭政策を再見直しして、国内石炭産業の自立発展の方向を確立するため、早急に石炭鉱業審議会を開催し、検討を開始していただきたいと思います。
 二つ目は、現在、政府の指導で進められている生産制限政策を撤回し、可及的速やかに二千万トン体制に復元するようにしていただきたいと思います。石炭資本は、政府の指示に基づいて、五十四年度については緊急避難と称して、一千七百四十万トン程度に生産規模を落とす旨の計画を提出しています。しかも政府の説明では、二千万トン体制に復元するのは五十八年度以降とされています。このような生産制限政策が浸透すれば、各炭鉱は復元力を永久に失うことになりかねないものと判断されます。
 三つ目は、当面、国の出資により、国内炭、輸入炭の双方について、一括買い取り、売り渡しする機構を設立するようにしていただきたいと思います。
 四つ目は、国内炭需要を確保していくために、国内炭優先使用の行政指導を強化していただきたいと思います。その方向として、現在特に問題を含んでいる原料炭については、ユーザーによる全量引き取りを達成していただきたいと思います。また一般炭対策としては、石炭専焼火力または混焼火力における石炭使用量の増加を図るほか、現在工事中の石炭火力の稼働時期を早めるよう指導していただきたいと思います。
 五つ目は、北炭再建の達成についてでありますが、皆さんのお力添えによりまして、北炭も再建作業に入りましてから、昨年の十月二日に新会社に独立をしたわけでありますが、その後も夕張新炭鉱の出炭が思うようにいっていないことも事実であります。その中で、再三にわたる緊急対策ということで、会社から労働組合にいろいろな合理化が提案されてまいりましたが、なかなか思うようにまいっておりません。私どもも三月十一日、現地におきまして、会社の提案を含めて相当規模の合理化をやることに協定をいたしました。しかし、これで新炭鉱、北炭全体の再建が大丈夫だという確信は持てない現状でございますので、これからも諸先生の北炭に対する枠を超えての国の助成を含めての御努力をお願いいたしまして、日本炭鉱労働組合の意見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○古川委員長 続いて、岡参考人にお願いいたします。
○岡参考人 私は、全国石炭鉱業労働組合、略称全炭鉱の中央執行委員長をいたしております岡新一でございます。
 冒頭、石炭問題に関しまして日ごろから真摯な御努力を賜っております本委員会の諸先生方並びに政府側関係各位に対しまして、深く感謝の意を表したいと思います。また、本日は、当面する国内石炭産業の危機打開と安定化のために、私どもに提言の機会を与えていただきましたことに対しまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 私どもは、わが国のエネルギー政策に基づくエネルギー源の多様化と安定供給の一翼を担う立場から、昨年の三月、第六次石炭政策補完のための石炭産業安定化に関する要請を行ったのでありますが、石炭見直し路線のもとで順調に滑り出したかに見えた新政策が、三年目を迎えた段階で一転して、国内炭貯炭の累増により政策遂行が危ぶまれるという事態を迎えております。このような事態は、石炭総需要量の減退もさることながら、急激な円高、ドル安に伴うところの内外炭の価格差の拡大が主因となって生じたものと思いますが、根本的には、第六次石炭政策に対応した石炭需要拡大対策のおくれと、国内炭優先使用対策の不足が貯炭を増大させていると考えるのであります。このことは、昭和五十二年度実績で、石炭需要は国内炭生産量の三倍強、原料炭につきましては六倍強にも達していることを見ても御理解いただけるものと思うのであります。
 したがって、このような貯炭増は、国内炭の炭価引き上げを困難にいたしましたし、かつ赤字の累増、資金繰り難等を引き起こしまして、その結果、体力が完全に回復していない石炭産業はきわめて深刻な事態に追い込まれているのであります。そのことが労働諸条件にも波及いたしまして、第六次石炭政策で言われるところのいわゆる「坑内労働者の労働条件については、労働時間、職場環境、生活環境等の要素を総合し、かつ他産業とのバランスを考慮して地下労働の特殊性が十分配慮された適正な水準」という、これにも達していないのが実情であります。
 すなわち、昭和五十二年十月から十二月における規模五百人以上の労働省毎勤統計によりますと、時間当たり賃金では、全産業中坑内労働者で第十位、坑外労働者は二十七位に位置しているのでありますが、五十三年度賃金では、貯炭増、炭価アップ難が厳しく反映いたしまして、本人給で二・九九%、約五千円弱の月収増にとどまり、賃金水準が他産業に比し、さらに低位の方向に位置づけられているのであります。私どもから言わせていただきますと、第六次石炭政策の本旨からするならば、二千万トン体制に基づく国内炭貯炭の消化対策にこそ政府施策の重点が置かれるべきだと思うものでありますが、政府当局は二千万トン体制は堅持すると言いながらも、実態は、ここ二、三年間貯炭増を抑える対策ということで、一時的生産調整という名の事実上の生産制限を示唆しているように見受けられるのであります。
 もちろん政府当局者はこれを否定しておりますが、現実には、政府による各社ごとの生産計画ヒヤリングを経た内容のものがそれぞれの組合に提示されているのであります。すなわち、各企業では、その内容に程度の差はあれ、生産制限計画とこれに基づく定年退職者を含めた退職人員の不補充、常用臨時工及び下請人員の削減並びに福利費の大幅切り下げや起業工事の繰り延べなどが出されているのであります。また生産制限の対策として、これまで生産確保の支えとなっておりました時間外労働がカットされたことにより、大幅な収入減を来し、労働者の家計を圧迫するところとなっております。
 石炭産業は、一度人員を削減し、生産制限を行いますと、その回復はなかなか困難であります。また従来の生産体制のもとで保安体制をとっていたものが、生産減に伴う減量体制ということになりますと、先ほども出ておりましたように、八〇%強という固定費、これが大きいだけに、人員減少にウエートがかかり、その結果が重大災害に結びつきはしないかという不安を覚えるものでございます。さらにこのような生産制限は、関連企業、関係企業、資材機器納入業者及び地域経済にも波及し、事は炭鉱の人員減少にとどまらず、大きな地域社会問題に波及することは必至でございます。
 私どもは、このような事態を憂慮いたしまして、昨年八月における本石炭対策特別委員会の国政調査段階で、国内炭貯炭増対策を中心とした緊急対策を要請いたしました。さらに本年一月末には、石炭産業崩壊の危機感のもとに、「石炭産業の現状と問題点」とともに、「緊急対策としての私達の提言」、すなわちこれでございますが、この小冊子をまとめまして、関係各方面に対し、御理解と御協力を得るべく訴えてまいりました。
 その結果、関係各方面から寄せられました御意見や御要望等の内容を検討し、反映させましたのがお手元の「要請書」、これでございますが、「緊急対策としての私達の提言」に関する具体的内容についてであります。
 発言の時間的制約もございますし、要請書も御理解いただける内容だと思いますので、要点のみにしぼらせていただきたいと思います。
 その第一は、二千万トン体制の堅持とその優先使用のための対策の強化が最大の柱であります。海外炭はあくまでも国内炭を補完するものであって、国内炭が海外炭によって圧迫されることはないと言明された政府発言、これは五十三年三月、当時の宮本石炭部長が言明された内容のものでございますが、これを再確認いたしたいと思うのでございます。また炭層の賦存状況を把握し、安定出炭を図るためには、掘進の強化が必要であり、そのために掘進補助金の大幅な増額が必要かと考えます。もちろん労働力の確保と保安対策の強化が前提であることは申すまでもございません。
 第二に、需要の確保並びに拡大についてであります。一般炭につきましては、省石油の立場からも、石炭火力の一層の建設促進をお願いするものでありますが、同時に、くどいようですけれども、国内炭優先使用の原則を確立していただきたいのであります。特に三池炭の特殊性及び数量、これは五十二年度実績で見ましても、全国出炭量の二八%、約三割を占めております。それから見ましても、その専焼発電所の設置の必要性を痛感するものであります。また現存の油炭混焼火力発電における石炭比率の引き上げや石炭火力の稼働率引き上げ及び産炭地道県市町村における公共施設での石炭利用並びにセメントなど一般産業の石炭利用等の対策を促進していただきたいのであります。
 原料炭につきましては、鉄鋼、ガス、コークスその他の需要家側に増量引き取りを促進していただきたいのであります。そのために、一般炭を含めまして石炭利用設備への切りかえあるいは新設につきましては、助成措置をとっていただくとともに、当該企業の法人税など、課税についてはその石炭引き取り量に応じ一定期間――われわれはまあ三年ぐらいと考えておりますが、における減免措置など、石炭利用についての促進対策を講じていただくようお願いするものでございます。
 第三に、炭価の決定につきましては、炭価決定ルールを確立していただきたいのでありますが、最低限、物価上昇分、労務費上昇分など、コストアップ分については完全に吸収した炭価としていただきたいのであります。厳しい事情にありましても、せめて世間並みの賃金引き上げは必要かと思います。
 第四に、内外炭価格差対策についてでありますが、私どもは内外炭の開発、購入、販売、こういうものにつきましては、大口需要家、国内石炭生産業者及び政府の共同出資による新会社、俗に第三セクターとも第六次答申の中では言っておりますが、その新会社により窓口を一元化すべきだと考えております。
 しかしながら、その体制ができ上がるまでの間、国内炭引き取り対策の強化が必要でありますから、原料炭、一般炭とも許容し得る一定の内外炭価格差を最終目標――これは大体五十一年四月時点の価格差を考えておりますが、最終目標といたしまして、価格差補給金を支給するものとし、現行金額に年次段階的に増額を図っていくよう措置していただきたいのであります。
 また、当面の緊急対策として、正常貯炭を上回る分については、西ドイツに例がございますように、政府がこれを買い上げ、コークス化その他の備蓄方法にて石炭備蓄をお願いするものであります。
 第五として、石炭資源の有効活用のために、その一つは、国内炭開発調査の促進と海上をも含めた調査地域の拡大を図ること。二つには、石炭に対する国民的理解を深めるため、石炭利用技術の進展内容とその研究内容についてPR活動を積極的に進めること。三つには、公害規制基準を地域的状況に見合って再検討すべきではないかということなど、提言の一部として付言し、私の提案を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○古川委員長 続いて鈴木参考人にお願いいたします。
○鈴木参考人 全国炭鉱職員労働組合の議長をしております鈴木でございます。
 衆議院石炭対策特別委員会の諸先生方には、石炭産業の恒久的な安定化のため、常日ごろから特段の御指導と御配慮を賜りまして、厚く御礼申し上げます。また本日は、石炭政策に関しまして炭職協に提言の機会を与えていただきましたことを心から感謝申し上げます。
 石炭産業の現状を見ますと、御高承のとおり、国内炭の引き取り量が極度に落ち込みまして、本年度中の貯炭の増高は二百万トンを超えまして、年度末の貯炭は四百万トンに及ばんというふうな現状になっております。このため、石炭企業の経理及び資金繰りは大きく圧迫されまして、危機に直面しているというふうに判断いたします。五十四年度につきましては、新聞の報道等によりますと、国内炭需要見通しが千七百七十万トン、その程度のため、これ以上の貯炭を避けるために生産を一〇%落とすというような当局の考えが明らかにされております。先ほどから触れておりますように、生産コストの中で固定費が少なからぬウエートを占める石炭企業にとりましては、生産削減はコスト増高に直結しまして、ますます収支悪化及び資金繰り難となることは明白であるわけでございます。
 四十八年秋の石油危機以後策定されました総合エネルギー政策の一環といたしまして、国内炭の二千万トン体制の維持、こういう方策が樹立されたわけでございますが、わが国のエネルギー事情の将来展望に立った上での決定であり、今日のエネルギー需要は、当時の見通しに比べまして厳しくこそあれ決して楽観できるものではないというふうに考えております。したがいまして、二千万トン体制の堅持が不可避であるということは言うまでもないと考えております。
 翻りまして、現在の引き取り量の落ち込みを考えますと、鉄鋼産業の不振による原料炭の引き取り減、それから火力発電所の建設おくれによる電力炭需要の伸び悩み並びに海外炭との価格差から生ずる経済性の理由、こういうものによる引き取り減が主なる要因となっていると考えております。このネックを解消し得る施策の充実と実施が石炭需要の確保、拡大を図ることになりますので、重要な課題であるというふうに考えております。
 具体的には、原料炭につきましては、国内炭使用優先ということの原則に立ちまして、鉄鋼、ガス、コークス等大口需要者の積極的な引き取りを推進すること。二つ目には、国内炭の引き取りを円滑にするため、海外炭に対する割り高分を補てんできるよう助成措置を行うこと。
 また次に、一般炭につきましては、石炭火力の稼働率を引き上げるとともに、非常にむちゃな提言かもしれませんが、石油火力を逐次石炭火力に転換するという方策が必要かと考えます。次に、二点目は、火力発電所の建設につきましては、石炭の可能な限りの活用の立場から、当面石炭火力発電所の建設に限る。さらに現在着工中のものは完工を急ぐほか、計画中のものにつきましては早期着工へ促進させること。三点目といたしましては、以上の措置に関連いたしまして、さらに集じん装置及び排煙脱硫装置の設置につきましては、国が完璧な補助を行うと同時に、あわせてより有効な排煙脱硝装置の開発、導入を促進していただきたいと考えております。
 非常に時間の制約があるようでございますので、非常に簡単でございますが、以上、御提言申し上げたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○古川委員長 向坂参考人からの意見聴取は、再開後の冒頭に行うこととし、この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十九分開議
○古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中に引き続き参考人から意見聴取をいたします。
 向坂参考人にお願いいたします。
○向坂参考人 参考人として御意見を申し上げた
 いと思います。
 第六次の石鉱審の答申の眼目は、国内炭二千万トン体制の維持と海外炭の開発、輸入の拡大にあったと思いますが、これは全く変更する理由はないと思います。
 最近の国際的なエネルギー情勢から見ますと、その眼目を実現するために、エネルギー政策の政策手段を一層強化する必要があるのではないかと考えます。
 イラン革命が起こった後、中東の政治情勢は大変不安定でございます。中東に大量の石油を依存している日本は、アメリカやヨーロッパに比べて一層エネルギー供給を確保する上で不安定性を増したと思いますし、それから長期的に見ましても、恐らく国際的な石油需給の展望は非常にタイトになった、ここで大きく変わったというふうに考えます。過去二、三年の間、国際的なエネルギー専門家の間で石油の長期見通しについて楽観論が一時かなり出てまいりましたけれども、その楽観論は、イラン革命以後の中東情勢を見ますと、一挙に吹き飛ばされたというふうに考えていいかと思います。
 そういう観点から、日本のエネルギー政策をいろいろと強化しなければならない面がありますが、その一つとして石炭利用の拡大という必要性は一層強まったというふうに考えるべきかと思います。
 それから、四十八年秋の石油ショック以降、日本の経済の成長は減速してまいりまして、今後恐らく中長期的に見て五%前後の経済成長ということになりますと、中高年労働力層の雇用問題というものはかなり深刻になるわけでございます。そういう観点から言いますと、産炭地の経済と雇用の維持ということは従前にも増して重要になってくる。もし失業者を大量に出すような事態になると、中高年層の転業というものはむずかしくなっているということに十分留意する必要があると思います。こういう状況と国内資源の活用という見地を含めまして、二千方トン体制を維持するという必要性は強まってきていると考えます。
 ところが、こういう目標を達成するために大きな変化が起こりましたのは、円の為替相場の急激な上昇でございました。現在やや円が弱くなっておりますけれども、大体中期的に見まして一ドル二百円といったような相場を、いろいろな政策を考える上の前提にしていいかと私は考えます。この二百円円レートの実現ということによって、国内炭の経済性というものは非常に悪くなりました。特に原料炭についての内外の格差が大きくなりましたし、それから輸入石油と国内炭との価格差も拡大してまいったわけでございます。現在どの程度の格差があるかは正確にはわかりませんけれども、一般炭については、恐らく北海道の場合で発電コスト差が石油と石炭の間には石炭トン当たりにして二千円前後の格差があると考えられますし、原料炭については、九千円を超える格差があることは御承知のとおりでございます。
 ただ、ここで、今後の政策を考える上で、石油価格がどうなるかということによって油と石炭との格差が変化してまいります。イラン革命、それから今後のサウジアラビアが資源保存政策を強めるということを考えますと、石油の価格上昇率は、恐らく一般的なインフレーションレートよりも、中長期に考えると大きくなるということを考えますと、油炭格差は現在より拡大するよりはむしろ縮小する方向だと考えていいと思います。
 このような状況で、国内鉄鋼業の不況ということもありましたし、それから円高による原料炭の内外格差が非常に大きくなったということから、国内の原料炭の引き取りの減少が起こり、そのために貯炭は累増し、企業の資金難が起こっているわけでございますし、出炭が減少になれば原価がふえ、それだけこれまでの収支難に加えて一層収支状況を悪化させる要因になると思います。現状のようなままで放置すると、なかなか二千万トン体制も維持できないという状況になりはしないかということが懸念されるわけでございます。
 同時に、北海道の一般炭につきましても、電力会社の立場から言いますと、油炭格差があるにもかかわらず重油の消費を抑えなければならないということから、収支、つまり電力会社の立場から言うと、経済的な燃料の選択の幅が縮められることによって、その収支難に拍車がかけられ、それだけ今後電力料金を引き上げる場合に大幅になる可能性があるわけでございます。
 このような状況から考えますと、一体対策の方向をどのように考えたらいいかということについて、二、三私の考えるところを申し述べたいと思うわけでございます。
 これを短期と中期の問題に分けてみますと、短期の問題はここ一、二年、少なくともこの一年でいろいろな施策を早急に強化する必要があるのではないかというように思います。現在のように、貯炭が物理的な限界を超える状況になってきている。要するに、場所がないというようなことの上に、貯炭のための資金があり、それが企業の赤字増大要因になってきているわけでございまして、資金繰りという点から言っても、収支面から言っても大きな負担をかけつつあるのが現状であろうと思います。
 これに対して、もちろん企業努力も必要であって、いろいろな不要不急の原価費用を削減節約するということ以外にも、恐らく企業としては、人員の減耗を補てんしないとか、あるいは維持投資、修繕費などできるだけ繰り延ばせるものを繰り延ばすとか、いろいろな原価コストの引き下げを通じて何とか五十四年の危機を乗り切るという会社の努力が行われていると思われます。
 ただ、しかし、こういったやり方がいつまでも続けられるかというと、私ども経理内容がよくわかりませんから、いつまでとは正確に言えませんけれども、五十五年、五十六年と続けていったのでは、恐らく会社が生存を続けられなくなるのではないか、二千万トン体制の維持という石炭政策の目標を実現していくということがむずかしくなるのではないかということが考えられます。したがって、五十四年度の政府の施策というものは、ある程度予算に盛り込まれたわけでございますが、果たしてこれで十分であるかどうかは、なお論議の余地があろうかと思いますが、いずれにしましても、五十五年度以降についてもう少しめどをつけていかないと、五十四年度の乗り切りもむずかしくなるんじゃないかというふうに思います。したがって、五十五年以降のいわば中期、長期の対策というものをここ早急に考えていく必要があるのではないかと思うわけでございます。
 それで、一体どのような方向が考えられるか。私十分各方面の意見も聞いておりませんし、情報も不足のところがあると思いますが、長期対策の基本的な方向としては、原料炭生産から一般炭増産へ傾斜していくということを考える必要が出てくるのではないか。これまでどちらかと言うと、原料炭重点に二千万トン維持をやってきましたけれども、果たしていつまでも原料炭に傾斜した二千万トン体制を続けるのか。それとも、原料炭はある程度減らしても、一般炭を増産して二千万トン体制維持を続けるのかということになりますと、私は、一般炭増産へ傾斜するという、一つの政策転換ではないかもしれませんが、会社の生産方針としては、そういう転換が好ましいのではないかというふうに考えるわけでございます。
 と言いますのは、原料炭については現在九千円くらいの格差がございます。もちろん円レートが三百円にでもまた下がれば別ですけれども、恐らく二百円前後でしばらく続くということになりますと、原料炭の内外格差というものはなかなか縮まらない。それで、これを何か補給金政策、価格差補給金のようなもので生産を維持しようということは、大変金高もかさむわけでございますし、またこの格差をそのままにして、いつまでも鉄鋼会社に最高の引き取りをというふうに言うのも経済的にかなり無理があるようにも思うわけでございます。
 一般炭については、国際的に見ましても、できるだけ発電用など石油より石炭への転換ということを考えているわけでございます。これは最近IEAでも研究報告がまとまり、これは単に短期、中期の問題だけではなくて、来世紀へかけて長期的に石油ボイラー用の石油を石炭に切りかえるという方向が出ていることもございますし、それから日本の立場を考えましても、石油と石炭との価格差というものは、私は、先ほど申し上げたように当面二千円前後。いまのように、ことし石油が上がっていきますと、もっとそれは千五百円とか千円台になるかもしれません、数字は正確じゃありませんけれども。そういうふうになっていくことも考えられるし、それから将来中期的、長期的に考えて、むしろ一般的なインフレレートよりは、石油価格の上昇率の方が大きいということになると、長期的には油炭格差は縮まるというふうに考えていいのではないか。それだけ一般炭について何らかの補助政策を強化するということを考えた場合でも、私はかえって少ない金額でより効果のある政策が実施できるのではないかというふうに考えますので、一般的に、全体的に見て、原料炭より一般炭増産への傾斜という方向をとるべきではないかと考える次第でございます。
 原料炭については、そうかと言ってすぐ一般炭を増産しましても、十分それをたくだけの石炭火力の能力がございませんから、やはり原料炭の引き取りを、たとえばことしが六百三、四十万トンだとしますと、来年、再来年はもう少しそれをふやすということを考えないと、早急には一般炭への傾斜ということは実現できないので、何らかその原料炭について増加引き取りに対して価格差補給金を出すというような政策を強める必要があるのではないか。そういう政策で、従来のように七百五十万トンとかそれ以上の引き取りが実現できるかどうかは、私どもよくわかりませんけれども、いずれにしましても、七百五十万トン程度引き取りが実現するような方向で、それが維持されるような方向で増加引き取り交付金といったものを考える必要があるのではないかと思うわけでございます。
 一般炭については、現在、最近の状況で大体八百五十万トン程度の引き取りが、電力用だけですけれども実現しているようでございますが、これはぜひ確保しつつ、将来石炭火力の増設に対して何らかの補助政策を強めることによって、だんだん一般炭の発電用燃料としての引き取り量を増加していって、将来一千万トンとかあるいはそれ以上に持っていくということをねらいとすべきではないかというように思うわけでございます。
 いずれにしましても、具体的な政策は、また何らか審議会なり行政方面で考えることでございますけれども、私は、大きな方向として、より少ない資金を効率的に使うということになると、恐らく原料炭より一般炭への傾斜を強めるという方向がとらるべきではないかというように考える次第でございます。
 以上で、私の陳述を終わります。
○古川委員長 以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○古川委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 この際、質疑者各位にお願い申し上げます。質疑の際には、あらかじめ答弁を求める参考人を指名して質疑をお願いします。
 また、参考人各位にもお願い申し上げます。発言の際には、その都度委員長の許可を得て御発言を願います。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承を願います。
 なお、向坂参考人は都合により午後二時三十分に退席いたしたいとの申し出がありますので、まず向坂参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下徳夫君。
○山下(徳)委員 まずもって、参考人各位、お忙しい中をおいでいただきまして、どうもありがとうございました。
 いま委員長からお話がございましたように、向坂参考人、時間の制約があられるようでございますから、二、三お尋ねをいたし、他の参考人各位には後刻質問を申し上げたいと存じます。
 私から申し上げるまでもなく、現在のエネルギー情勢というものは、国際的に見ましていろいろな問題が起きておる。したがって、非常に不安であり、流動的であるということでございましょう。御承知のとおりのイランの情勢の問題あるいは先般発表されましたインドネシアの国営石油プルタミナのミナス原油のカットの問題あるいはメジャーの最大手でございますエクソンの民族系石油会社及び商社に対する順次打ち切りの通告といったように、石油問題も非常にいろいろな問題が最近頻発いたしております。憂慮すべき問題でございますが、こういった情勢を冷静にながめておりますと、やはりこの際、石油への過度の依存度というものを逓減いたしまして、石炭を初め他の代替エネルギーの開発、導入を積極的に推進しなければならぬ。いわゆる脱石油と申しますか、あるいは脱中東戦略、こういうものが必要だろうと思います。
 そこで、この精神はすでに第六次の石炭鉱業審議会の答申でも明らかにされておりますが、同時にまた、昨年の総合エネルギー調査会の基本問題懇談会の報告でも強く指摘されておるところでございまして、この第六次答申の策定の中心となられた向坂先生に、先ほど申し上げましたような、国際的なエネルギーの流動的な情勢の中で、この第六次答申というものをどのように私どもは判断していったらいいのだろうかという点を、まずお尋ねしたいと思います。
○向坂参考人 ただいま陳述の中で申し上げましたように、第六次答申を出したころよりも、私は情勢は一層逼迫しているというふうに考えます。国際機関においても石炭の利用ということを言い出されてからすでに久しいんですけれども、最近一層それが強く言われておりますし、またわれわれ自身、日本を考えましても、アメリカよりもヨーロッパよりも中東に対する石油の依存度は大きいので、それで一般的に石炭の利用の拡大、もちろん原子力その他はやらなければなりませんけれども、石炭利用の拡大に真剣に取り組む必要があるのじゃないか。その中で、輸入炭の開発、輸入と同時に、国内炭の二千万トン維持の目標を達成していくという必要が強まっているように思います。
○山下(徳)委員 次に、総合エネルギー政策の観点から考えてみますと、長期的にはどうしても海外炭の開発、輸入の円滑ということを図ってまいらなければならないと思いますが、そのためには開発体制の整備ということも不可欠であろうと思います。この問題につきましては、最近電力業界も非常に積極的に取り組んでまいっておる姿勢がうかがわれるのでありますけれども、電力業界の体質にも非常に明るい先生の開発、輸入体制の整備についてのお考えを伺いたいと思います。
○向坂参考人 特に、イラン革命など、こういう情勢が起こってから以降、私の感じるところも、電力業界は一層真剣にこの問題に取り組もうという姿勢になっているように思います。同時に、審議会においてもエネルギー調査会においても、石炭火力懇談会というものを円城寺座長のもとに開きまして、私も参加いたしましたが、そこで今後の中期、長期の目標として一体どの程度輸入炭の利用を拡大していくか、そのために石炭火力の増設だけではなくて、排煙脱硝の技術開発とかあるいは灰捨て場の問題その他を十分検討したわけでございます。将来の目標として四千万トン程度の輸入をしていく。これは必ずしも開発が全部ではございませんで、既存の炭鉱からの輸入が多いんですけれども、そういう目標を立てたわけでございます。
 それから、いまお聞きの開発体制の問題については、ここは私直接当事者じゃないのでよくわかりませんけれども、つまり問題は、考え方が二つあって、一つは責任体制をはっきりさせるために、ある炭鉱会社なりあるいは需要者なり商社なりが結びついた、そういう体制を幾つかつくって進むということと、それから電力会社全体が、投資会社でしょうけれども、そういう会社をつくってやるのがいいのかどうか。その点で言いますと、私はどちらかというと、若干のリスクもある仕事でございますから、開発体制の中心の責任の所在を明らかにして、そこに関係の電力会社が出資し、引き取りの長期契約をしていくというふうな体制の方が効率的ではないかというふうに考えます。
○山下(徳)委員 この技術開発の面について、さらにお尋ねしたいのでございますけれども、先ほどから申し上げますように、今後の脱石油という面から見ますと、私どもはもっと積極的に石炭の技術開発に取り組んでいかなければならぬ。これはもちろん民間ベースでもいろいろお考えがあることも承知いたしておりますけれども、政府としても、これは国家的な重要な問題でございますから、さらにいろいろ財政の面でも積極的に取り組んでいかなければならないことは当然でございます。そういう意味から、サンシャイン計画その他、わが国においてもいろいろやっておられますけれども、諸外国の石炭の技術開発に対する取り組み方と申しましょうか、たとえばアメリカなんかはかなり石炭の液化等についても大きな予算で取り組んでおるということでございますが、もし先生御存じでございましたら、海外の、国自体が技術開発にどういう姿勢で取り組まれておるかという点についてお伺いしたいと思います。
○向坂参考人 いま詳しい情報を持っておりませんけれども、まず第一に、アメリカは非常に大きな金を、年間二十億ドルに近い金をエネルギーの研究開発に投じ、その中で相当な部分を石炭の技術開発に投じていることは御承知のとおりであろうと思います。
 それから、西ドイツについてもエネルギーの研究開発の四カ年計画をつくっておりまして、その四カ年計画については、重要な研究アイテムと同時に、四カ年の総額の研究開発費をあらかじめ閣議で決めて実施するという体制をとっております。またドイツの中でも、石炭の研究開発については、高温ガス炉とそれからルール地区、ケルンの周辺にあるビグナイトと結びつけて将来ガス化をするという研究には、相当多くの金額を投じているところであります。
 ただ、日本の石炭関係の技術開発については、アメリカ、ドイツとやはり事情をある程度異にしておると思うのです。つまり国内にこういう大量の均質の石炭を供給する炭田が十分ないという事情が違っておりまして、したがって、石炭の合成技術についても、アメリカやドイツとはまた違った考え方をとる必要があるのではないか。もちろん一般的に技術の研究段階の状況から見まして、石炭合成について液化なりガス化なりいろいろな方法を試みるべきであるし、それについて海外との協力ということも必要だろうと思いますけれども、問題は、日本のエネルギー問題の解決にどういう方法が寄与するのかということになると、アメリカのようにガス化、液化、つまりガスをつくって大量にパイプラインに入れる、都市ガスに入れるというような方法は日本ではなかなか経済性が成り立ちにくいのではないか。むしろ海外の炭田地域において合成しまして、それでたとえば重質部分を灰分とか硫黄分を除いた固型炭素のようなものにして持ってくるというようなことを考えることが、日本のエネルギー問題には寄与が大きいのではないか。軽い部分は現地で売ってくればいいわけです。
 いずれにしましても、石炭は、先ほどもちょっと触れましたように、短期の問題ではなくて、むしろ九〇年代、来世紀に入れば入るほど原子力と並んで石炭を相当使わなければならない、海外から相当な輸入をしなければならない、それでないとエネルギーが満たせない。その場合に、いつまでも石炭をじかだきして灰の捨て場を探して脱硫、脱硝するという方式は続けられなくなるのではないか。恐らく来世紀に入れば、何らかの形でクリーンにした石炭というものを使う方式を考える必要があるのではないかと思いますし、またそれが石油価格との関係でもある程度採算、経済性に近づく時期にもなると思いますので、そういう長期展望を持って、一体日本のエネルギー供給に寄与する石炭合成のやり方は何かという選択をこれからだんだん詰めていく必要があるかと思います。
○山下(徳)委員 次に、利用技術の開発に関する国際協力について先生の御所見を伺いたいと思うのでございます。
 私は、よく機会あるごとに話すのでございますが、たとえばいま人類の共同の敵とでも申しましょうか、病気の中でのがん、これなんか、たとえば日本のがんの研究費を見ますと年間わずかに六、七十億円、これを全国の医科大学であるとか国立病院であるとかその他の試験研究機関に配分して研究を細々とやっていると言った方が正しいかもしれません。
 そこで、WHOを通じて新たな一つの世界的な機構をこしらえて、たとえばアメリカならアメリカががんについて世界じゅうから技術者と予算化しているものを全部持つ、そのかわり日本はまた他の部門でもって専門的にやるとかということをよく私は言うのでございますが、同じようなことがこういうエネルギー開発に言えないものか。しかし、原子力等につきましては、兵器との関連がございますから、これからさらに開発するについてはいろいろと問題があるかと思いますけれども、石炭に関してはそういう問題は起こらない。先ほど申し上げましたように、脱石油という立場からすると、石炭というものは貴重な地球上の全人類の資産でありますから、もっと合理的な方法で技術を開発して大いに利用する。それがガス化であり、液化であり、あるいは公害の除去であり、防止であるとか、いろいろな面があると思うのでございますけれども、そういう全人類の資産ともいうべき石炭のより高度なあるいは経済的な利用について、何かそういう国際的な相互協力というものが今後考えられないものでございましょうか。先生の御所見をひとつ……。
○向坂参考人 大まかに申し上げると、先生の御提案は、むしろ核融合のようなまだ研究の基礎的段階にあり、将来これをパイロットプラントなりあるいはさらにデモンストレーションプラントなりをつくるときに大変巨額なお金がかかり、リスクが多い仕事ですから、まさにそういう性質の研究については国際協力、みんな資金を持ち寄って、頭脳を持ち寄って開発を進めるということが絶対に私は欠かせないのじゃないかと思います。
 ただ、石炭利用のように、比較的実用化段階の近いものにつきましては、企業秘密その他のことがあって、政府間での大きな国際協力というのは成り立ちにくいのではないだろうか。むしろバイラテラルに、たとえばガルフ云々と日本のどこの企業とか、エクソンとどこの企業とかというふうに、アメリカの政府がアメリカ側にかなりの研究資金の援助をしている、そういうアイテムについて、日本にいろいろ誘いが来ているわけですが、それについてバイラテラルにいろいろなケースについて協力を組むという方が実現性があるし、また効率的ではないかというふうに考えます。
○山下(徳)委員 この利用技術の経済性に関する見通しと申しましょうか、それについて一言また御所見を伺いたいと思うのでございますけれども、三井のSRCというのですか、これは石油が二十四ドルになれば太刀打ちできるということを伺っておりますが、だんだん近づいてきたということでございますし、西独におきましては、原子力発電よりも石炭専焼の方が安上がりの時代がやってくるということも伺っております。すでに来たというのでしょうか。こういう点から考えますと、今後の石炭の利用技術の経済性、そういうものに関するお見通しについて一言お考えを……。
○向坂参考人 正確にはわかりませんけれども、石炭の合成技術が実用化する段階では、恐らく二十ドルから二十五ドルの間にあるだろうというのが専門家の多くの集約的な意見だと思います。ただ、よく注意しなければならないのは、それはいつの貨幣価値、いつの時点の物価水準で言っているのかということでありまして、もし七五年だということになりますと、もうすでにその間かなり物価が上がっておりますから、それだけノミナルで言いますと供給コストは上がっていくということになります。それから今後もインフレを考えなければならないということになりますから、石油価格の方は、大体皆さんノミナルで考えてもう三十ドル時代が近いとか、いろいろ言われますけれども、確かに私は、イラン革命以降石油価格の上昇率はテンポを速めるだろう、ですから、それだけこの革命以前に考えていたよりも石炭合成の経済性を獲得する時期は早いのではないかと思います。ですから、それはかつては九〇年代前後と言われていたのがもう少し早まるのかもしれません。そういう変化はあったかと思います。
○山下(徳)委員 どうもありがとうございました。
○古川委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 新しい石油情勢の危機、いろいろいままでそれぞれ受けとめ方がございましたけれども、大体八〇年代の前半には第二の石油危機が来るだろうというのがきわめてシビアな見方であったろうと思うのです。それがイランの革命によってきわめて急速に新しい危機が訪れたという認識に立って、非常に厳しく受けとめておかなければならないだろう、私はこんな感じを持っておるわけです。
 そういう前提に立って、これからのエネルギー政策を考える場合に、もちろんエネ調では答申を出しておりますけれども、これを実行する面を含めて、全般的にもう一度わが国のエネルギー政策というものを洗い直してみる必要があるのではないかなと私は思うわけです。それぞれの油、あるいはまた石炭、あるいは天然ガスという要因については、私はそう大きな変化はないだろうと思うのです。だがしかし、石油から離陸していくことを着実に進めていくという場合には、やはり電力に対する問題もあるでしょうし、あるいは燃料価格のバランスの問題もあるでしょうし、そういう面については、実行的にもう少し再検討する必要があるのじゃないか、こう思うのですが、向坂先生の所見を承っておきたいと思います。
○向坂参考人 先生の御意見に賛成でございます。
 情勢が変わったということは、たとえばいま先生のおっしゃった八〇年代の初期に危機が来るかどうかということは、確かになかなか見通せませんけれども、いずれにしましても、いままでここ数年、イラン革命が起こる前にはわりあいに余裕がある、石油供給に過剰能力があって、恐らく少し楽観的に見る人は、八〇年代の半ばごろまでは余裕があるんだというような見解がかなり大きくなっていたと思います。しかし、もはやそうではなくて、いつ世界の石油需要が満たされないようになるかもしれない、いつ中東で何かが起こって、どこかの国が減産するかもしれない、そういう需給すれすれの状態がもうすでに来てしまった。そういう状況がこれからいつまでも続く。だから、慢性的に不足してしまうという状況にはならないかもしれないし、しかし、そうかといって、いつこういう今度のようなことが起こらないでもないというような、非常にすれすれの状態を続けていくのじゃないかというように思います。いままでは向こう側に余裕があったのですけれども、今度はこちら側でなるべく余裕をつける、そういう危機に対処する力をつけていくということが、これからのエネルギー政策として大事なところであろうかと思うのです。
 それから、エネルギー政策について、たとえば先般、エネ調でやった需給見通しはもうかなり状況が変わってきております。経済成長率あるいはGNPに対するエネルギー弾性値というものも変わってきた。産業構造も変わってきておりますから、そういうことはやはり一つは検討し直してみる必要があるのと同時に、それから供給について、エネ調の基本問題懇談会の答申で出したものは、方向としては間違いないものだと私は思います。ただ、それがいま必要なのは、実行するのに何をしたらいいか、石油の供給源分散について何をしたらいいのか。たとえばメキシコ原油をあるいはアラスカとのスワップで入れたいとか、中国原油の開発、輸入をしたいとか、そういうときにどういう体制で何をしたらいいのか、そのための資金をどうしたらいいのか、そういう具体的な政策の実現のためのシステムとかメカニズムとかいったものを具体的に検討し直す必要があるのではないか。そうしませんと、事態にいつも手おくれになるという可能性があるように思いますので、そういう具体的な政策を検討する意味で、私は基本問題懇談会の答申というものを見直す必要があるかと思うわけでございます。
○岡田(利)委員 そういう観点で、わが国の石炭政策というものをずっと振り返ってみますと、もちろん石油価格に石炭価格というものをできるだけ近寄せる。したがって、千二百円引きから始まって、スクラップ・アンド・ビルドが進められてきた。しかし、それでも石油は買手市場がずっと長く続いた。こういう経過があって、第四次政策になってわが国の石炭政策がさらに大きな転換をしたのだと私は思うのです。言うなれば、一般炭切り捨て、原料炭重点政策、これが第四次政策であったと私は思うわけです。それが第五次政策に受け継がれて、第三次肩がわりが行われた。そして今回の修正策と言われる第六次政策が答申をされて、一年七カ月目に法律の改正とか政策の実行に入っていった、こういう経過があるわけです。だから、第六次の政策も原料炭重点の政策を忠実に受け継いできた、こう言っても差し支えないと私は思うわけです。
 先ほど向坂先生が言われた後半の部分ですけれども、むしろ原料炭から一般炭の方に再び傾斜しかえるという方向が望ましいのではないか、こう述べられたわけです。ただ、これは政策的に考えてみますと、原料炭重点というのは、ある程度投資をしても、カロリーが高くて炭価が高うございますから投資に引き合うわけですね。したがって、一般炭から原料炭に重点をかけていくということはある程度容易にできるんだと思うのです。ところが原料炭から一般炭に重点を置きかえるという意味は、同じ一トンの石炭の炭価が六千円程度違うわけですね。非常に安いわけです。そこに投資をして転換をするということは、いまの石炭産業の企業の体質では非常にむずかしいのではないか。したがって、もう山が少なくなってまいりましたから、個々の炭鉱を診断してもそれが容易にわかるんだと私は思うのです。たとえば日本最大の三池炭鉱の場合も、第四次政策の原料炭重点政策の中で、あれだけの選炭設備をつくって、投資をして、原料炭の得率を高めた。それで大体一般炭、原料炭がフィフティー・フィフティーになっている。そういう点で、結局は第六次政策そのものが方向転換といいますか、再見直しをしなければならないという事態に立ち至ったと言わなければならないのではないか。そして一般炭の方向にある程度重点をかけていくとすれば、再転換をするとすれば、それを進める政策がないと不可能ではないか、私はこういう気がするわけです。
 そういう点では、第六次政策というものは、一応内容を見ますと全部に触れているわけですよ。非常にきれいに、器用に触れているわけですね。そして、引き出してきたのが北炭の事故による法律改正の融資の問題と海外炭の開発。海外炭開発も、これは別に事業団が出資をするということになっていませんから、中途半端な形で法律改正が提案されている。こういう面から考えても、やはり早急にこういう情勢下における石炭政策の見直しということは必要ではないか、早急に取り組むべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○向坂参考人 石炭政策の見直しといいますと、何か政策の大きな方向を変えなければならないというふうに考えれば、そういう意味での見直しの必要はないんじゃないかと私は考えているわけです。むしろ目標達成のための政策的な手段がいままでのものでは不十分なので、それをより一層強める。どういう方向に強めるかということを考えることがこれから必要なのではないかというふうに私は考えた次第でございます。
 原料炭から一般炭への傾斜ということ。確かに御指摘のようないろいろな問題があろうかと思いますし、したがって、その政策をもしとるとすれば、御提案のようないろいろな項目について検討しなければ簡単には結論は出せない問題と思います。
 ただ、私考えましたのは、一つは、原料炭について海外炭と国内炭の格差がこれほど大きいと、今後とも原料炭についての値上げということが非常にむずかしいということ。そうすると、いま原料炭と一般炭とのカロリー当たりの価格はそれほど違わない状態である。今後、どちらかというと、相対的には原料炭より一般炭の方が値上げしやすい。これは石油価格が上がるから値上げしやすいということを考えると、私は企業経営から言っても、徐々にですけれども、一挙にはできませんけれども、一般炭の増産に傾斜しても、会社経営としてはやっていけるのではないかというふうに考えた次第でございます。ただ、一挙にできませんから、ある時期、原料炭のある水準の引き取りを確保するために、たとえば最低限これだけは補給金なしに鉄鋼会社が引き取り、それ以上増加する部分についてはある金額の補給金を出すとかいうことで、原料炭の引き取り水準が余り急激に下がらないように一つの防波堤をやりながら、他方では石炭火力の増設、それから輸入炭の燃焼をやや繰り延べて、それで増産する国内の一般炭を発電用に使うというふうにうまくスイッチできないのかというふうに考えた次第でございます。
○岡田(利)委員 石炭火力発電所をこれからさらに力を入れて建設していく。大体常識的に見て、産炭地であった、またある九州、北海道は比較的容易に受け入れやすいだろうと思うのです。そして北は東北、南の方は中国、四国、こういう南北の関係が恐らく石炭火力を受け入れやすい状況にあるのではないかと思うのです。
 そうしますと、現在の石炭火力電源配置の計画等を見ましても、北海道の苫小牧に六十万できて、道東に九十万できて、留萌に七十万できる。北海道に大体二百二十万の石炭火力をつくるというのが北電の方針で固まったようなわけです。しかし、北電側としては、自己の経営で一億二千万キロワットのうち電源は大体三%ぐらいですね。そこで、石炭だけをたいて、国内炭をたくということになると、経営上なかなかうまくいかない、こういう問題が出てくるわけです。しかし、石炭というのは非常に量的なものですから、北海道の石炭を九州の方まで持っていって、外国炭を北海道に持ってきて、そしてまたこれを、ミックスしてたくということになると、雇用政策上はいいかもしれませんけれども、効率から言えば非常に悪いと思うわけです。極端に言えば、苫小牧で二百万なら二百万つくりますと、六千カロリーで四百八十万トンの石炭をたくわけですから、もうコールセンター一つ分あるわけですね。ふだんは、あとは道内炭をほかの発電所でたいて、いざという場合には、岸壁をつくって外国炭も供給できるということになれば、供給の安定体制はあるのだろうと思うのです。できるだけ近いところでたくというのが原則だと思うのです。
 そうなってきますと、この燃料の、内外の石炭のプール制ということは、これからのエネルギー政策上避けて通れないのではないか。したがって、そういう体制の整備というものを図るべきではないか。言うなれば、いまの外国一般炭の先発の会社は電発でありますから、松島に百万できて、五十七年に竹原に七十万できる、そして北海道に初めて、道内用向けに三十五万の苫小牧火力ができるということですから、電発をも含めて考えなければいかぬのではないか。電発自身油の火力発電所をどんどんつくるわけにはいかぬものですから、自己の電源を伸ばすためには石炭に注目をして、海外一般炭に注目をして、そして自己の電源の開発を進めていく、こういう政策をとっているんだろうと私は思うのですね。したがって、そういう工夫がないとならないのではないか、これは避けられないものではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○向坂参考人 私も長期的には避けられないと思います。
 九州の事情はさておきまして、いま御指摘のように、電力の大消費地とそれから石炭火力の増設可能な地域とが離れているということが大変残念というか不便な状況でありまして、御指摘のように、海外炭、一般炭の輸入を今後ふやしていくと、海外炭と国内炭との格差も恐らく拡大してまいりましょうし、それから油炭格差もある程度はまだ残るかもしれませんし、そういう時期に北海道や九州のように割り高な燃料をたかなければならないところと、それ以外のところとの調整の方法を、私は長期的に見るとやはり考える必要があると思います。それは何もすぐプール制にいかなくても、たとえば東北、東京地域と北海道との間の連系線も今度できますし、何かそこへ北海道をバックアップするやり方があるかもしれませんし、それからあるいは石炭の海外、国内炭を通じての価格調整のようなことをするプール制を考えることも考えられますし、もし油炭調整が長く続けば、油に若干の平衡税をかけて――税といいますか課徴金、それで国内炭をたくさんたくところへ補給するという、何か九電力間の調整の手段を考えておくという必要は、私は長期的には出てくるのじゃないかというように思います。
○岡田(利)委員 現在、国内石炭政策の基本法としては、石炭鉱業合理化臨時措置法という法律があるわけです。大体油の関係とかメタンの関係を見ますとずいぶん整備をされてきまして、油の方は石油公団というところまで来ておりますし、かつての金探事業団は、いまや金属鉱業事業団ということで、広範な仕事ができるように組織が変わっておるわけです。確かに合理化法を考えてみますと、一方において閉山、後始末等が法律的には全部雑居しているものですから、なかなか性格を変えるということにちゅうちょを感ずる傾向があるのですけれども、しかし、ここまで来ると、いずれ四千万トンの一般炭を輸入してたくわけでありますから、そういう計画を持っておるとすれば、いまにしてこの合理化事業団は、むしろ金属鉱業事業団と同じように、自主開発についても出資ができる、あるいはコールセンター等についても当然出資ができる、あるいはまた鉱区をある程度押さえることもできる、いわば最低金属鉱業事業団並みの機能に脱皮をさせなければならない、こう私は思うし、そのことをやはり早くやらなければいかぬではないか。もう石油情勢がこうなっていくと、加速度的に石油メジャーも炭田を押さえるということをやるでしょう。ですから、非常に苦しくなって自主開発がむずかしくなっていくのじゃないか。中国問題もありますけれども、結局はある程度出資をする、あるいはまた融資をするというような方向で石炭を買いあさらなければならないということに追い込まれていくだろうと私は思うわけです。そういう意味では、そういう政策を進めていく母体として、事業団として現在の合理化事業団というものを変える。大体六次政策の前は、石炭鉱業安定事業団にしようか、合理化事業法を石炭鉱業安定法に変えようかとまじめに議論されて、これが六次政策になってパアになって、最終的には余り前進のない六次政策がまとめられた、こういう経緯もあるわけですから、私はそこがちょっと欠落していると思うのですね。いまにしてやらなければならないことではないかな。こういう点は早急に審議会等で検討されてしかるべきものと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○向坂参考人 その点はよく勉強してまいらなかったので、余り結論的に申し上げることができないのは残念でございますけれども、私、先ほど申し上げたように、海外の開発、輸入は無責任体制にしてはいけない。やはり主軸になる企業があって、それを需要者なり商社なり、機能を持つ者がバックアップして開発、輸入してくるというたてまえがいいのであって、公団、事業団が直接そういう事業に手を出すのは必ずしも好ましいことではないので、むしろ事業団が金融機関として、そういう開発、輸入の体制ができたときに、そこに出資なり融資なりができるという機能にとどまっている方がいいのではないかというように私は考えます。
 よく勉強しておりませんので、これ以上……。
○岡田(利)委員 最後に一点。去年ですか、アメリカで原子力発電所の建設中、建設の枠組みが崩れて災害が出たというニュースがあったわけです。写真を見ますと、これはクーリングタワーの建設中の事件であったように私は写真で拝見しておるわけです。これはアメリカの中部で百万キロの原子力発電所建設に当たって、それに見合うクーリングタワーをつくったわけですね。大陸はほとんどクーリングタワーをつくっているわけです。わが国の場合も、何しろ一千万トンのうち六百万トン近海から魚がとれるいわば海洋国家でありますから、この点についても、原子力でも同じなのですけれども、原子力は安全性の問題がありますけれども、温度が七度上がるものを下げて冷却用水を流すということは、どんどん電源が過密化すればもう避け得られないし、いままで余りこういうことを言うとどうかという話があったのですけれども、もう公開的にそういう議論をすべき段階に来たのではないかという気が私はするわけです。たとえば石炭であろうと石油であろうと、もう容量は百万キロぐらいになってきますから、大量の冷却用水を海に流すわけですね。ですから相当莫大な補償をするのであれば、むしろクーリングタワーで温度を下げて、そして漁業と電源が並存する。もちろんそのためのコストは高くなるでしょうが、漁業補償をするという場合にはもう変わらなくなるのではないかと思うのですね。そういう意味では、土地もそれだけ広く使うとかあるいは二次公害等の心配もございますけれども、電源開発上、わが国の場合もクーリングタワーに正面から取り組むべきではないかという気がしてならないのですけれども、いかがでしょうか。
○向坂参考人 余り明確なお答えができませんけれども、ヨーロッパやアメリカの場合に内陸部に立地するときは、必ずクーリングタワーをつくらないと川に放出できないのですけれども、日本の場合のように海に面したときには、その容量が余り大きくない、一カ所に集中していないときには、現クーリングタワーはかなりコストがあれですから、つくらなくても漁業との共存はできるのではないかというように私は思います。ただ、将来一千万キロワットとかそういう大容量の立地をしたときに、一体そのまま水を流せるのか、その場合の海洋に対する影響がどうであるのか、漁業に対する影響はどうであるか、それは十分研究を要する問題ではなかろうか。ただ、その場合も果たしてクーリングタワーがいいのか、ずっと沖合いに放出路を出してやった方がいいのか、そこはいろいろと漁業との科学的な検討との関係で考えるべき問題ではないかというように思います。
○岡田(利)委員 どうもありがとうございました。
○古川委員長 鍛冶清君。
○鍛冶委員 鍛冶でございます。最初にお礼を申し上げたいと思いますが、本日は、大変お忙しい中を貴重な時間を割いて、先ほどから参考人の方々には貴重な御意見をお述べいただきまして本当にありがとうございました。私、石炭関係、特に掘る方、それからエネルギー関係、全く初めてでございまして、勉強しつつはございますが、大変未熟なところもございます。質問にいろいろと足りない点があるかもわかりませんが、率直にお答えをいただくよう最初にお願いを申し上げておきます。
 向坂先生にお伺いいたしますが、第六次の答申がなされて以後三年がたち、二千万トン体制の維持ということで、先ほど先生のお話を伺っておりましても、これは非常に大切である、さらに強化していかなければならぬだろうというふうにおっしゃっていらっしゃいました。ところが残念ながら実績はそれに伴っておりません。この伴っておらないギャップというものは、どういう点で、どういうことでこういう形になっておるのか。その点、一応向坂先生は、直接石炭を掘る側の、きょうの参考人五名の方の中で、比較的第三者的にお考えいただける立場にあると思いますので、率直に、どういうわけで二千万トン体制が維持できなかったのか、この点について、御意見がございましたらお答えをいただければと思います。
○向坂参考人 十分お答えできるかどうかわかりませんが、まず第一には、幌内の事故の問題があると思います。これは、幌内は幸い復旧いたしましたけれども、北炭の新鉱の方は必ずしも計画どおりの出炭に達していないという事実が、二千万トンに達しない一つの理由だと思います。
 それよりさらに大きいのは、先ほども冒頭に申し上げましたとおり、経済不況、特に鉄鋼業界の不況が非常に深刻であって、しかも、その上に輸入炭との格差が非常に大きくなったこと。削減比率としては、国内炭よりも輸入炭の削減比率の方が大きいようですけれども、しかし、いずれにしても、国内炭の引き取りも引き下げるということをやらざるを得なかったという点が、つまり需要面からのそういう要因が大きかったのではないかというように思います。
○鍛冶委員 いまお聞きしました内容によりますと、不測の事故というものがあったということと、それから予測できなかった円高等の問題というものが入ってきておるわけでございますが、これからは、円の問題も大体安定の方向になってまいりましたし、事故の問題も一応片づきつつあるということで、鉄鋼関係も若干不況から脱出しつつあるのではないか、こういう観測がなされておるわけでございます。そういう中で、二千万トン体制というものは、今後どういう形で推すことによって確立ができるのか。またそういうものは具体的にこうこうこういうようなものを気をつけて推していけば大体どれくらいの――昭和何年ころにはその維持ができるのではないだろうかというような予測がつきますものでしたら、えらい率直な御質問ですが、お答えをいただきたいと思います。
○向坂参考人 二千万トンの生産に復するための条件として、需給両面があると思います。供給面では、北海道炭礦の新鉱の生産がもう千トンぐらいふえないとどうしてもそこには達しないという一つの要因があると思います。しかし、むしろ大きな要因は需要面であって、需要面については、恐らく鉄鋼業がことし、五十三年度で六百三十万トンか四十万トンくらいでしょうけれども、その水準の需要にとどまればなかなか二千万トンにならないんじゃないでしょうか。したがって、補給金などで鉄鋼業がもっと引き取りやすい状況をつくっていくということが必要かと思います。
 しかし、先ほど申し上げたように、原料炭はどちらかというと生産を減らして、一般炭の増産を指向するということになりますと、要するに、石炭火力需要がいつどのくらいふえるかということでございますが、現在の石炭火力の建設計画を聞いたところによると、少なくとも五十七、八年ころまでは二千万トンの需要確保は非常にむずかしいように思います。
○鍛冶委員 簡単でございますが、私の質問はこれで終わらしていただきます。大変ありがとうございました。
○古川委員長 以上で向坂参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、向坂参考人に申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。御退席いただきまして結構でございます。
 引き続き参考人に対する質疑を行います。山下徳夫君。
○山下(徳)委員 向坂参考人との質疑で時間をとってしまいましたので、簡単に御質問申し上げますから、答弁もひとつ簡単にお願いをいたしたいと思います。
 まず有吉参考人でございますが、今日まで、激動する石炭政策と申しましょうか、いろいろな問題がありまして、政府もいろいろ努力をしてきたし、また石炭産業界においては労使それぞれの立場からいろいろと努力を重ねてこられたと思うのでございます。昭和三十七年の第一次策定以来三次までの間に政府が行った債務の肩がわりが二千五百五十億円、あるいは今年度の石炭政策の予算は約千三百億円、政府としてはこれが目いっぱいというところまでやってきておるわけでございますが、そこで有吉参考人に一言だけまず冒頭にお尋ねをしておきたい。
 石炭産業の業界自体で今日まで石炭産業自立のために行ってこられました努力と申しましょうか、その姿勢、これを一言お伺いしたい。
○有吉参考人 私ども、いまから約二十年前に石油が入ってまいりまして以来、炭価の千二百円ダウン、スクラップ・アンド・ビルドと、こういう長い苦闘の歴史をたどってきたわけでございます。その間、第一次から第六次にわたりまして大変な手厚い援助を受けておりまして、これに対しましては私ども心底から感謝申し上げますとともに、労使相携えまして、まず第一に保安の問題、これが一番大事でございますので、事故を起こさないように、これを第一の問題といたしまして、あと能率のアップ、いかに安くコストを下げて需要家並びに国の援助に対しておこたえをするか、こういう努力をしてきたわけでございまして、にもかかわらずいままでも重大災害というのを再々起こしておりましてはなはだ申しわけないのでございますけれども、この頻発災害等を見ますと、この四、五年間に大体三分の一くらいに減ってきておるわけでございます。それから能率でございますけれども、先ほど申しましたエネルギー革命の始まりました昭和三十二、三年ごろに比べますと、その当時はたしか一人月当たり十四トンくらいであったかと思うのでございますが、現在におきましては、先ほど陳述申し上げましたように約七十トン、そういうところまで来ておるわけでございます。採掘条件がどんどん深部に移行して非常に不利になっておりますが、これを克服してここまではやっておる、こういうふうな次第でございます。
○山下(徳)委員 先ほどからの各参考人の御意見等承っておりますと、二千万トン出炭の確保という一貫したお答えもあるようでございますが、しかし、現況においては生産水準の引き下げということが残念ながら行われておると見なければならない。そうしますと、出炭を減らすとコストがアップする、そうすると海外炭との価格の差が大きくなる、また海外炭の輸入を促進する、貯炭はまたふえる、こういう一つの悪循環が当然出てくると思うのでございますけれども、これに対してどういうふうに処置なさろうというお考えですか。
○有吉参考人 先ほどの陳述でも申し上げましたように、当五十四年度におきましては、相当の出炭を減らして事態に対応しよう、こういう計画を組んでおります。これは、従来どおりの出炭を続けまして貯炭がどんどんたまっていく、これに対しまして資金をつくるめどがないわけでございます。したがいまして、何としても資金の支出を少なくいたしまして、とにかく損益という問題は二の次にいたしまして、資金的にとにかく五十四年というものを緊急避難せざるを得ない、こういう措置でございます。損益は確かに悪くなるわけでございますけれども、出炭を落としますれば、全体としての資金の支出は減るわけでございます。それではなお追っつかないものですから、先ほど陳述で申し上げましたように、減耗の補充を一時取りやめるとか、あるいは炭鉱にとりましては非常に根幹的な問題でございます坑道掘進を一部犠牲にするとか、あるいは将来の生産維持のために必要とする維持投資を大幅にカットするとか、そういう資金を伴うものを大幅にカットして、この五十四年というものを緊急避難的に切り抜けよう、こういうふうなことでございます。
○山下(徳)委員 時間がございませんので、あと一、二点で終わりにいたしますが、御承知のとおり、石炭対策につきまして国の予算は石特会計という半ば独立採算的な予算の形態をとっておるわけでございます。したがって、もうこれ以上に、現在のところ、他から財源を求めるわけにはいかない。そういう中にあって、需要確保対策につきましていろいろ要望があるわけでございまして、先ほどからの参考人の御意見、特に向坂先生からのお話にも、需要確保のために価格差補給金的なものを考えるべきだというお話があったのでございますが、これは労使双方からそういう御意見がございます。
 そこで、このことは四人の参考人に、一言で結構ですから、それぞれお答えをいただきたいのでございますが、その価格差補給金的な、いわゆる需要確保対策のための助成をいろいろおっしゃっておりますが、これは一体財源はどのようにしたらいいとお考えでございましょうか。たとえば、いま申し上げました独立会計の支出はもう目いっぱいでございます。ですから、この中のどれかやりくりしなければならぬ。鉱害対策費であるとかあるいは産炭地域振興費を削るとか、それが一つなるかもしれませんし、あるいはそうでなければ保安対策とか近代化等の金を幾らかそっちに回すとかという以外には手がないわけでありますが、あるいはまた、皆さん方のお考えは他の何らかの新たな財源を求めるべき、何と申しましょうか、世論の形成と申しましょうか、そういうものに期待を持っておられるか、その点をひとつそれぞれからお尋ねしたいと思います。
○有吉参考人 一言でお答え申し上げますと、私ども、どういう財源があるのかと、こういうことにつきましては、その辺ははなはだ専門外でございまして、よくわからないのでございますが、私どもの望みたいのは、できますれば今回の必要な財源というものをプラスとして何とか用意をお願いできないか、こういうことでございまして、どうしてもできないということであれば、現在の石特会計の中で何が重点であるかという考え方のもとに配分のし直しというものをひとつ考えていただきたい、こういう気持ちでございます。
○森田参考人 一言で申し上げますと、石特会計はぜひ残していただきたい。
 そこで、ちょっと乱暴な言い方になるかもしれませんが、財源に限界があるとすれば、一つは、石特会計の中で一般会計から支出すべきもの、これはいろいろ私ども考えているものがございますけれども、そういうものを一般会計から予算を捻出してもらって、いわゆる枠をふやす、実質的な内容をふやすということ、もしできれば輸入炭に税金をかけるとか、そういう方法をとっていただければ、一挙両立ということになるのではないかと考えております。
○岡参考人 大体考え方については、いまの森田委員長と同じ意見でございますが、さらにもう一点考えられる問題といたしましては、電源開発促進対策特別会計、これからも考慮をお願いできないか、このように考えています。
○鈴木参考人 前三者と全く同じような考えでございますが、やはりいま石炭産業の置かれている立場からいたしますと、いま先生のおっしゃったことが一番緊急かつ重要なことだと思っております。したがいまして、やはり石特会計の中からほかの方の会計に移せるものは移していただいて、その中から財源を生み出していただきたい、かように考えております。
○山下(徳)委員 最後に、有吉参考人に一言お尋ねして終わりたいと思いますが、有吉会長は石炭協会の会長、バイタリティーある経営者としてつとに令名が響いているわけでございまして、私もそのように理解をいたしております。
 そこで、今日のこのむずかしい石炭産業の難局を乗り切るためにいろいろと自主的にお考えになっていると思うのでございます。ただ、エネルギーというのは国全体の重要な施策でございますから、これは皆さん方だけにお任せするということではいけない、国が真っ先にやらなければいけないことも承知いたしております。そのために、先ほどから申し上げるように、いろいろと財政的にも目いっぱいの手は打ちつつ、私どもも微力をささげてきたつもりでございますが、何と申しましても、わが国の経済は自由主義経済である。しかも企業は私企業でございますから、やはり会社の経営の責任者がまずとにかくはっきりした方針を打ち出して、今後難局を乗り切っていただかなければならないと思うのでございます。エネルギーという、これは国家の施策だから国が何とかするだろうというもし甘えがあるとするならば、これは私はいかがなものだろうかと思うわけでございます。
 そこで、現況の石炭産業の乗り切りのために、石炭産業界の牽引車ともいうべき有吉会長の御所信を一言承っておきたいと思います。
○有吉参考人 先ほど申しましたように、五十四年につきましてとりあえず緊急避難をせざるを得ないということで、組合等に対しましても大変な協力をお願いをしておるわけでございます。しかし私は、やはり当面の問題は原料炭の需要確保というそれに尽きると、こう思うのでございます。それで、先々、向坂参考人から話のありましたような大きな方向をどう考えるかということは基本的に考えなければならぬと思うのでございますけれども、当面はやはり一般炭では少し貯炭で抱えてまいりましても、何年かすれば火力発電ができていくわけでございますので、これは貯炭融資でしんぼうしていくしかない、こういう考えでございます。原料炭につきましては根本的にそれだけ買わないと、こういうなにでございますので、そこが一つの根本だ、こういうふうに考えております。それをひとつ、将来どういう方向に持っていくかということと同時に、当面のその対策をお願いしたい、こういうことでございます。
○山下(徳)委員 どうもありがとうございました。
○古川委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 初めに、協会長である有吉参考人にお聞きいたしたいと思います。
 貯炭と、こう一口で言うのですけれども、企業の経営が非常に苦しいから、いわば切り羽で石炭を掘れば、それは石炭を掘っているのではなくして現金を掘っているのだ、こういう状態がずっと続いてきたと私は思うわけです。したがって坑外に搬出した製品はすぐ現金化する。したがって、貯炭に対する概念というのはそのときそのときで変わっているだろうと思うのです。だがしかし、これからは安定供給をするという前提に立って考えた場合に、大体ランニングストックというのはどういう水準であろうか。初めからそういうランニングストックというものを見込んだ収支、政策がないと正常だと言えないのではないかと私は思うのです。そういう観点からいって、六十万トンと言う人もおれば百万トンと言う人もおるし、いろいろ説があるわけです。たとえば三月末で一般炭が百五十万トン程度の貯炭になったとしても、これは一・五カ月分くらいですね。そう大して多いものではないわけですね。問題は、企業の収支が苦しいから貯炭の重荷をさらにひしひしと感ずるというのがいまの実態だろうと思うのです。そういう意味で、いわば正常貯炭といいますか、そういうとらまえ方をどう理解されておるかをお聞きいたしたいと思います。
○有吉参考人 私ども、正常貯炭というのを大体六十万トンぐらいのものじゃないか、こういうふうに考えております。生産現場の山元におきましては、日々生産したものを直ちに内陸の消費者、それから積み出し港に送るわけでございますので、ポケットに一日分ある、これが普通でございまして、あとは全部山元から送り出すわけであります。したがって、積み出し地の港におきましては、大体二週間ぐらいのものを持っておけば、いろいろな船繰りとかその他に差し支えない、これが大体の標準ではなかろうか。ただ、松島のようなところでは、場所が狭うございますので、ぎりぎり七日分ぐらいしか置けない、こういうことでございますが、そういう坑所におきましては一日分、積み出しの港におきましては二週間分、大体そういったものを基準にいたしますと、約六十万トン、こういうふうなことでございまして、現在三百七十万トンになるんじゃないかということでございますので、約三百万トン以上というものが一つの異常貯炭、こうなっております。
 一月半分ぐらい大した資金負担ではない、こういうことでございますが、三百万トンというのは約四百五十億に当たるわけでございまして、これはやはり相当大きな資金圧迫になっているわけでございます。
○岡田(利)委員 原料炭の場合には、七百五十万トンとすれば、百七十万トンの貯炭があれば二・三カ月分、一般炭の場合、百八十万トンあるとすれば、いまのペースで大体一・五カ月分の貯炭。したがって、原料炭の重荷というのは数字ではっきり出てくるわけです。
 そこで、私は経過を振り返ってみますと、ばらつきがあって、幌内がああいう形で再建をしたとか、あるいは有明の炭が鉱害の問題で輸送できなかったとか、いろいろな経過があったんだと思うのです。だから、一歩工夫して、絶対に安定供給できるんだ、こういう意味で一定の、正常といいますか、普通の貯炭は協会が連帯で管理をする、もちろん連帯で管理をするという、一歩出れば、それに対してどう対応するかという問題もいろいろ検討してみなければならぬと思うのですね。やはり外国から一般炭が来る、原料炭が来るとはいえ、国内の場合は、少なくとも安定供給は多少のリスクがあってもできるのだという体制を築くことが望ましいのではないか。
 私は、かつて電炭会社があったのですけれども、これが特殊法人をやめて協会の方と事業団に分離したことは非常に惜しかったと思うのですよ。あれはむしろ事業団が出資して、協会の方も出資をして、一元化したものをつくった方がよかったのではないか、そういう気がするのです。そういう点についても、協会側としては何らかの工夫があってしかるべきじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
○有吉参考人 そういう緊急の問題がありましたときには、六十万トン以上の貯炭を抱えておった方が安定供給に役立つのじゃないか、こういう御趣旨だと思うのでございますが、それはそのとおりだと思うのでございます。そのために、協会といたしまして、共同の責任においてもう少し貯炭を抱えて、そういう緊急事態に備えるような必要はどうかということでございますが、残念ながら四十八年のオイルショックの直後におきまして、原料炭ラッシュというような問題がありまして、あるだけの原料炭を持ってこいと鉄さんがおっしゃるような状況でございましたが、それ以外におきまして、炭がなかったがゆえに非常に問題を起こしたというのは、昔電力さんからはそういう非常な不評をこうむったなにがございますけれども、近年におきましてはそういう事態は起こっておりません。そういうのに備えて特別に多量の貯炭をすべきかどうか、こういうことでございますが、いま申しましたような見当の貯炭を持っておりますれば、業界内での融通と申しますか、こういうことは可能でなかろうか、こういうぐあいに考えております。
○岡田(利)委員 先ほど説明を聞きますと、大体生産調整は五%平均である、こういう説明がございまして、固定費が八〇%強を占めるので、物品費の抑制あるいはまた減員無補充あるいは設備投資の削減でトン四百円程度の節約をしても、なお三百五十円程度が資金不足だ、こういう説明であったと思うのです。
 ずっと各社別に見ますと、たとえば大きい三池炭鉱は五%生産減だ、太平洋は一二%生産減だ、北炭はむしろ新鉱は増産せいとわれわれ言っているのですね。松島さん、三菱さん、住友さんはほぼ横ばい、こうなっているわけですね。そして余ったものは貯炭で抱えるということですから、先ほどの説明ではばらつきがあるのだと思うのです。したがって、これは会社別にどうという話にならぬと思うのですが、この中で一番いいのが現行の炭価で収支が黒字になるのか、悪いところは一体どのくらい落ち込みがあるのか、格差というものが相当出てくるのだと思うのですね。その点いかがでしょうか。
○有吉参考人 先ほどの赤字でございますけれども、五%ぐらい生産制限をいたしますと、七百五十円ぐらい上がるのでございますが、そのうちの四百円ぐらいは努力によって吸収して、三百五十円ぐらいがなおコストアップとして残る、こういうことでございますので、いままでの赤字に加えまして三百五十円が加わる、こういうかっこうになるわけでございます。
 したがいまして、北炭さんはいま非常に特殊な状況にございますので、これを仮に外しましてなにいたしましても、五十三年がトン当たり七百円ぐらいの赤字でございます。炭価アップが百五十円ぐらいありますので五百五十円ぐらいになるのでございましょうが、これにいまの三百五十円ぐらいが加わりますので、九百円近くになるわけでございます。これに対しまして、今度の石特予算による補助金のアップ、それから今度決まりました炭価アップ等で三百円近い収入がありますので、差し引き六百円か六百五十円ぐらいの赤字が五十四年に予想されるのじゃないかと思います。ただし、これはベースアップ等を計算に入れていない数字でございます。これが平均の数字でございますけれども、一番いいところで四百円ぐらい、悪いところで千円近い、大体こういうふうなバランスになっております。
○岡田(利)委員 生産調整の段階に入ってまいりますと、先ほど述べられましたように設備投資を控える。大体近代化資金対象のものが主たるものだと思うわけです。この近代化設備投資は昭和五十三年度に比べて来年度、五十四年度は一体どういう見込みになっているのかという点ですね。
 坑道掘進も恐らく投資の対象になると思いますが、そうすると、坑道掘進は補助金の関係になるわけですね。五十三年度に比べて大体五十四年度はどういう水準が見込まれるか、お聞きしたいと思うのです。
○有吉参考人 先ほど申し上げましたように、五十四年の切り抜け策といたしまして、設備投資というものを大幅にカットいたしております。したがいまして、五十四年度の近代化資金の対象工事というものは、昨年度に比べますと相当低い水準になっておるのではないかと思うのでございます。したがいまして、五十四年度におきまして数字がどのくらいかというのは、どうも私はっきりいたしませんけれども、五十四年度におきましては、いまの予算請求どおりに決まったといたしますと、ある程度の余裕ができるのじゃなかろうか、こういう感じがいたします。ただし、近代化資金は御承知のように融資率が七割、そういうことでございますので、もし私ども余裕というものがございますようであれば、まず第一に、近代化資金融資の対象にいたします工事の範囲でございますか、これをもう少しふやしてもらいたい、こういう気持ちです。それから七〇%の補助率と申しますか、こういったものをもう少し上げていただきまして、その近代化資金を資金不足の対策として有効にひとつ使わしてもらいたい、こういうふうに考えております。
 坑道掘進の方は、これは根幹の根幹でございますので、設備投資のようにはカットをいたしておりませんが、これも補助金でございまして、今年度予算におきましては相当役所の御努力によって補助率も上げてもらっておりますけれども、しかし、実際の坑道掘進の費用に対しましては、たてまえは七〇%となっておりますが、実際は五〇%見当の補助にしか当たっておりません。その方面にも、もし全体として資金の余裕がございますならば振り向けていただきたいというのが私どもの希望でございます。
○岡田(利)委員 原料炭も、わが国は強粘結の炭を生産しているわけではないわけであります、弱粘でありますから。弱粘もこれはIQ品目なんですね。外国一般炭もこれはIQ品目なんですね。したがって、政府の外貨の割り当てがなければ輸入されない仕組みになっておるのに、こういう事態が出ておるわけですね。非常に不思議だと思うわけです。
 私は日本の石炭産業というのは、これは鉱工業、第二次産業ですけれども、大体一次産業に準ずる産業だ。私に言わせると一・五次産業かということを言うのですけれども、そういう点で認識の仕方でずいぶん変わると思うのですよ。すぐわれわれはヨーロッパと比較しますけれども、向こうは中生代の地層の中で生成された石炭だし、こっちはごく新しい、新生代の第三紀層の一番新しい地層条件で生成された石炭ですから、条件も違う。そのかわりいい炭も出るということなんですから。そういう意味から言うと条件は悪いわけですよ。悪い中で悪戦苦闘して、能率はヨーロッパ並みでやってきた。災害も最近はずんずんよくなってきたということですから、そこを踏んまえてふだんからやはりそういう歯どめをしていくというか、何らかの受けざらでコントロールできるようにしていかなければならない。いま弱粘だって野方図のようでしょう。何か自由化しているような感じじゃないですか。もちろん契約はカットしたりしていますけれども。一般炭の場合だって、長期契約したらこれは自動的に承認しなければならぬわけでしょう。だから歯どめにならないわけですよ。だからそこに何らかの歯どめをかうというようなことも考えてみなければならぬじゃないのか。そういう意味で、もう少し議論を皆で巻き起こして議論するということがあっていいんじゃないかと思うんですけれども、なかなかそういう議論が活発に出てこないですね。まして、石炭業界はそういう意味で需要拡大の努力をしているんだろうか、こういう不信感が一般ちまたにもあるわけですね。そういう点について率直な御意見を承りたいと思うんです。
○有吉参考人 外貨割り当ての問題でございますけれども、これは御承知のように、ある一つの規格が原料炭につきましては決まっておりまして、それ以外のものは輸入が自由になっておるわけでございます。外国の原料炭の相当部分はその規制の対象外になるわけでございますので、私どもが外貨割り当てにつきまして、そういう方向での何か運動をやっておるか、こういうことでございますが、それによりまして私どもの需要拡大の目的を達し得るかと申しますと、これは私は非常にむずかしいんじゃないか、こういう気がいたします。
 それから業界は本当に需要家さんに買ってくれと、こういう働きかけをやっているのか、こういうことでございますが、これは私どものもう何といいましても一番の生命線でございますので、おのおの手分けをいたしまして、各社ごとに一番親しい鉄鋼会社というのがあるわけでございます。そういうところでそれぞれやっておりますほかに、私、協会といたしましては、もちろん鉄連並びに鉄連の会長、そういうところにも再々お伺いしてお願いをしてきておるわけでございますが、やはり一番ひっかかりますのは、何といいましても、外国炭も相当カットをいたしておるし、国際的な問題、信義の問題として国内炭もある程度カットせざるを得ない、こういうなにもございますけれども、一番根本は、やはり九千円も違うものを、これをというのが一つのなにでございまして、鉄サイドにおきましては、この九千円をまるまる政府の予算で価格差を見てもらいたい、こういうことを言っているんではないんで、やはりそういう価格差というものについて国も何らかのめんどうを見るんだ、こういう姿勢を示してもらうことによってこの問題は解決するんじゃないかというのが需要家さんの現在の状況でございます。
○岡田(利)委員 原料炭は強粘結だけが自由化されたのであって、弱粘はIQ品目ですから、むしろIQ品目の方が量的に非常に多いわけですね。弱粘が多いわけですから、オーストラリアの弱粘なんか皆IQ品目なんですから。だからそういう点で、何のために一体IQ品目に指定しているのか。強粘結は日本に一トンも出ないのですから、こんなもの自由化したって関係ないわけですよ。一般炭と全く同じようにIQ品目にしているわけですね。そこにやはり国内炭を保護する、優先引き取りをするという六次政策があるわけですから、そこで何か――政府が割り当てしなければ輸入できないのですから、その点がぼくは不可思議でしようがないのです。もちろん価格差があることも知っているんですよ。そういう点ではある程度調整をしなければならぬ面があるけれども、少なくともIQ品目である以上、もうちょっと議論をしていいんじゃないかなという気が私はするわけです。たとえば農産物で、もしIQ品目をこんな調子でやっておったら相当なむしろ旗が立つんじゃないですか。石炭の場合おとなしいからまあまあのところ、こう言っているわけですね。そういう点がどうも意欲がないというのか努力が足りないというのか、非常に不思議に思うわけです。われわれはしばしばそういう点非常に心配しているのですけれども、しかし、余り声が出てこないものですから、満足しているんだろうかという感じを抱かせるのではないか。そう意味ではやはり議論をすべきである。でなかったならば、何らかの装置をつくり上げる。それで不十分なら何らかの装置をつくらなければいかぬわけでしょう。それを要求しなければいかぬじゃないかと思うのですね。でなければ、いままでの石炭政策を捨てて、がらっと変えなければならぬということになるんだと思うのです。その点少し、前段で質問した面を含めて議論してほしいなと思うのです。
 確かに言われているように、原料炭が非常に問題なわけです。したがって、ここまで来てしまうと一遍にはできなくても、たとえば一般炭の場合を見ても、北海道電力がいま大変な状態にあると言われますけれども、普通の貯炭よりも百五十万トンよけい北電は抱えているのです。国内の石炭政策を進める電発の場合はこんなに抱えていないでしょう。これだって見たらおかしいじゃないですか。むしろ貯炭ならそういう点は電発にお願いする。北電さん並みにお願いすればいいんじゃないでしょうか。そういう点で非常に一歩出方が、積極性というのが足りない、こういう感じがしますので、ぜひそういう点、御調査をされればおわかりになるわけですから、そういう対応策をとられて、そして皆さんの御理解を得るという方向性の中で問題の解決をしなければならぬではないか、こう思いますので、この機会に御意見を申し上げておきたいと思います。
 もう一つは海外開発について。電力会社が海外開発をやる、こう言われているわけですね。これに対して石炭協会が黙っておったのではどうなるかという気がするわけですね。そうすると当然一、二のプロジェクトもありますけれども、電力会社は金もあるからあれなんでしょうけれども、技術を持っているのは炭鉱会社です。やはりこれにぴしっと対応する何か方針を出されてしかるべきじゃないか。われわれも石炭会社の方から議論が出てこないと議論しにくいと思うわけです。四月の末には電力会社も参考人として呼んでいるわけですが、この点はどう考えておられるか、承っておきたいと思うのです。
○有吉参考人 いまの海外開発の問題でございますが、電力会社からああいう構想が発表されまして、私ども電力の方と接触いたしまして、どういう内容であるかというようなこともいろいろ確かめております。
    〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
まだそれほどコンクリートに固まった模様でもございません。ただ、国内におきましては、電力、電発を入れまして十社で窓口機関をつくろう、こういうふうなことに大体なっておるようでございまして、現地には電力会社が合同で何か現地会社をつくりまして、現地資本とジョイントベンチャーに入ろう、こういうふうなことのようでございます。これに対して石炭会社が、共同ででもいいし、あるいは個々の会社でも結構だが、現地のジョイント会社に参加するということであれば、これは歓迎をいたします、こういうふうな段階になっておるわけでございます。それで私どもとしましては、何と言いましても技術的な面に関しましては大いに活用していただく余地があるのじゃないか、こう思っておりますので、電力会社にその点は一つ申し入れをいたしておりまして、ぜひ手を組んで活用していただきたい、こういう話をしております。
 ただ、先ほども向坂参考人のときにちょっとお話が出たのでございますが、何か一緒になった機関をつくればすべて問題が解決するかといいますと、私は必ずしもそうではない。石炭会社は現に各社それぞれにいろいろな商社等と結びましてあるいは独自に海外でジョイントに参加をしたりいたしまして、その開発、輸入の仕事をやっておるわけでございまして、それはそれなりに電力の東京の窓口機関と接触を持っていけばいいのじゃないか、こういうふうに思っておりますし、共同でやった方がメリットがある、こういうことであれば、それは石炭業界が共同で電力の方と話し合いをしていく、こういう考えております。もう少し電力サイドの内容をひとつ確かめてこれに順応していきたい、こういうように考えております。
○岡田(利)委員 時間がありませんが、一つは先ほど説明があったように、大体炭鉱労働者といったって三万人ぐらいしかいないわけです。そして依然として多くの問題を抱えているわけです。そして外国炭から国内原料炭、一般炭を守っていかなければならない。この段階に来れば、きょう参考人の方々が出席をしているのですが、労使ともに常によく懇談をして、恒常的に懇談会を設けて、これは月に一遍やるか、どういうふうに運用するか別にして、もう炭労だ、全炭鉱だ、炭職協だなんということでなくして、一丸となって政策を考えていく、こういう方向であってほしいと私は思うわけです。その点について、各参考人の御意見を聞きたいというのが一つです。
 それから、組合関係の三参考人にお聞きいたしたいのは、問題は五十四年度一年間で短期的に終わればいいんですけれども、一般炭見ても原料炭見ても、五十五年から改善されるというのは余り期待材料がいまのままではないと思うのですよ。
    〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
だから、そういう意味では五十四年というのは非常に正念場だと思うのですね。もちろんこのIQ対応策もあって、こういう状況がさらに多少悪化の傾向で下期にいったら下期は大変だと考えられますね。そういういろいろな要因が考えられるのですが、それを含めてことしは大変な議論の場になるのではないかな、こう思うのです。したがって、各組合として、五十四年に対してどういう認識と対応を、先ほども意見述べられましたけれども、当面五十四年に限ってどう対処をされようとしているのか、率直にこの機会に御意見を承っておきたいと思うのです。
○有吉参考人 ただいまおっしゃいましたように、現在置かれております石炭のシリアスな状況につきましての認識は、もう各労使とも同じでございまして、去年から常に組合の方とは十分に話し合いをしながらやってきております。将来の体制問題とかそういうことにつきましては、意見の分かれるところもあるわけでございますが、当面何が問題であるかということに関しましては、これは全然意見の不一致はないわけでございまして、今後もこの問題につきましては、労使協力して打開を図っていきたいとお願いをしていきたい、こう考えております。
 私が再々申し上げますように、当面、一般炭はある程度しんぼうして貯炭を抱えるしかない、こういうふうに考えておりますが、原料炭はことしじゅうに何とかどういう方向をとるかという方向づけをしていただきたい、これが私どもの根本の願いでございます。
○森田参考人 いま二つの端的な御質問があったわけですが、第一点の労使懇談を持って適切にこの難局に対処していけという御説については、私ども全くそのとおりだと思っております。
 ただ、この際申し上げますと、そういうことでいまわれわれ労働三団体とそれから石炭協会の側とたびたび話を進めているのでありますけれども、端的に言いますと、会社の立場ではやはり国から相当な補助金をいただいているというような関係もありましょうし、私ども労働組合の側から言うと非常にゆっくりしている、こういうふうに率直に言わざるを得ないのであります。私どもは、どんな場合でもどんな方法でもいいから、経営者も一緒になってこの問題について立ち向かっていこうという提起をいたしておるのでありまして、これからはそういう問題も含めて積極的に進めてまいりたい、かように考えておりますが、先生方の特段の御援助をお願いいたしたいと思うわけであります。
 なお、生産問題、特に五十四年度の問題でありますが、いま具体的に各社がどういう内容のものが出ているかということについては十分な把握をしておりませんが、先ほど意見の中で述べましたように、やろうとしている、先ほど有吉会長も申し上げておりますように、緊急避難として五十四年は対処する、こういう前提からいきますと、具体的な内容が出ているであろうというふうに思います。
 ただ、私どもは五十四年度であろうが五十五年以降であろうが、生産制限というものについては反対である、こういう立場をとっております。ただ、どうしても緊急避難としてわれわれが理解することができるという場合、あるいは五十五年度以降の展望というものが明らかになる場合は、これはやはり話し合いの余地は全然ないということではないと思うのであります。いまの場合は来年度以降の、五十五年以降の目標といいますか、そういうものが明らかでない中で、五十四年だけがそういうことで済まされない、こういう考え方に立っておりますので、反対をしているというのが現状であります。
○岡参考人 御意見の第一点目につきましては、私ども、この要請書の中の八項に所載しておりますが、全く同意見でございます。
 それから、五十四年度の体制についてでございますが、実は五十三年の八月以降の人員の推移を見てみますと、これは北海道も九州もそれぞれ減員をいたしております。しかも、八月は全国で六十六名、九月が六十名、十月には百四十三名、十一月には三十七名、十二月には五十五名、この傾向は五十四年度に入りますとなお強くなるのじゃないか、こういう点に非常に不安を抱いております。先ほど有吉会長の方からも、五十三年三月末の人員が三万四千四百四十六名という数字が出されました。ところが、十二月末にはこれが三万三千二十六名になっておるわけでございますから、千四百二十人減っておるということになるわけでございます。そして、これが五十四年度の緊急避難であっても、そのような体制がとられるとするならば、さらにもっと人員は減るであろう。もっと心配なのは、起業工事が、たとえばある一社をとってみますと、五十六年に運搬系統の改善をなすというような当初の計画が五十八年に延びております。こういう面から見ますと、私は今度立ち直りのときに果たして立ち直りができるのであろうか、こういう心配を抱いておるわけでございまして、それは過去の増産体制の要請がなされた昭和三十三年、これを見ましても、その要請が達成られたのが三十六年、そして三十六年にはもうすでに今度は石炭は減産体制に入る、こういうような過去の例を見ますと、減産体制を一度とったならばなかなかそれを浮上することができない。こういうことで、五十四年度の減産体制については、緊急避難であっても、下期からでもあるいは一月も早く旧に復していただきたい、こういう考えでございます。
 以上でございます。
○鈴木参考人 二つ御質問がありましたが、一つにつきましては前任者と全く同じでございますので省略させていただきまして、五十四年度の問題でございますが、やはり私たちも、このままの色産体制を続けていきますと、物理的に貯炭ができなくなるのではないかというようなことも考え合わせまして、五十四年度は緊急避難ということでやむを得ないのではないかというふうに考えております。
 がしかし、こういう炭鉱の場合に生産制限というものをやりますと、先生御案内のとおりいろいろな意味でもって、保安面からあるいは今後の二千万トン体制に復帰する場合の問題、いろいろな問題を考えますと、非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、この緊急避難はできるだけ短い期間に終わるように、しかも五十五年度からは従来の二千万トン体制に確実に戻れるような政策あるいはその他の問題につきまして解決していただきたい、かように考えております。
○岡田(利)委員 時間が来ましたから終わります。
 私は再三申し上げますように、昭和四十二年にヨーロッパの炭鉱を、石炭政策をずっと調査に参ったわけです。そのときフランスではすでに十二年前に、フランスとしては将来千五百万トンの生産体制にせざるを得ないだろう、こういう有力な見通しが述べられたわけです。大体フランスは日本と同じ出炭規模を歴史的に続けておるわけです。現在はそれでも大体二千二百万トンの生産をして、国家は公社に対してトン当たり七千円程度のお金を出してやっている。なぜやるのですかと言えば、これはエネルギー確保の国際連帯と国際信義の上からも、フランスとしてはこの程度はやらざるを得ないという明快な答えなわけですよ。ところが日本の場合、二千万トンというのが最近お経のようになってきている。二千万トンだけは言われているのですけれども、中身はなくて千七百万トン段階に落ち込む。これだったら二千万トンなんてとうてい恥ずかしくて言えるものではないわけですよ。たてまえと本音が違いがあるわけですね。この点、政府でも関係者でも何か、しかしやむを得ぬということでずるずる後退をしていくのではなかろうか。要するに、国際的な指弾を受けないために二千万トンの看板だけは出している、こう私は厳しく言わざるを得ないと思うのです。
 そういう点で、せっかくの御意見もきょう拝聴いたしましたけれども、そういう意味ではわれわれは今日の、現下のエネルギー情勢の中にあって、そういう国際的な信義や連帯というものを、やはり約束したものはきちっと守っていくという不断の努力が大事だと思いますので、一層皆さんのまた御研さんを心からお願い申し上げまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
○古川委員長 鍛冶清君。
○鍛冶委員 最初に有吉参考人にお尋ねをいたします。
 いろいろ先ほどからの質疑や参考人の御意見等承っておりまして、経営者の方々もまた働いておる皆さん方も、いわば外に向かっては同じ立場で大変御苦労をされているなというふうなことを実は痛感をいたしております。そういう中で、われわれも御協力できるところはできるだけもっとやりたい、こういうことを私痛感をいたしておるわけでございますが、そういう中からひとつお尋ねをいたしたいのですが、先ほど向坂参考人にお尋ねしましたときに、二千万トン体制というものは、いろいろ条件はあるけれども、五十七年か八年ぐらいまでにはできるのではないかというふうなお話もございました。特に有吉参考人は、経営者という立場で厳しい局面に置かれていろいろ対策は打っておられることは、また先ほどのやりとりの中でお聞きもいたしたわけでございますが、やはり経営者という立場で一番深刻に受けとめられる立場で、ある意味では中期展望、長期展望に立っての経営ということもお考えになっていらっしゃると思いますし、そういう立場であの二千万トン体制というもの、これは大体いつごろできるものか。
 また、先ほど申し上げましたように、鉄鋼関係も若干上向いたとか、いろいろ条件が変わってきつつあるわけでございますが、そういう中で、経営上の見通しですね、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、最初にお伺いをいたしたいと思います。
○有吉参考人 現在の出炭は二千万トンをちょっと切っておりますのですけれども、これは先ほど向坂参考人からも説明のありましたとおりでございまして、幸い幌内の出炭も回復いたしておりますし、北炭さんの新鉱の出炭が軌道に乗ってまいりましたが、なおこの需要がありませんので、大手の各社は中小の炭の買い付け炭と申しますか、こういったものを相当切っておるわけでございます。したがいまして、需要さえあればそういうものも出てくるわけでございますので、私はそういう条件さえそろえば二千万トンというものは維持できる、こういうふうに考えておるわけでございます。
 ただ、ここで申し上げたいのは、五十八年に二千万トンに復帰という一つの考え方は、鉄さんはいまのような粗鋼生産がそう伸びない、外国炭と値段がこんなに違うということで、原料炭の引き取りが非常に悪いわけでございます。だから原料炭の貯炭がどんどんたまっていっているわけでございますけれども、五十八年ごろになりますれば、いま計画されております石炭火力発電所というものが徐々に稼働に移ってくるわけでございます。したがいまして、電力用炭、一般炭の需要というものがふえてくるから、そのときには需要が二千万トンに達するから二千万トン生産してもいいようになる、こういう一つの考え方があるわけでございます。
 それに対して私どもは、それでは現在の石炭産業というものは、五十四年から五十八年まで生産を落としてしんぼうしてその間を渡っていくということは困るのですということを言っておるわけでございます。それで向坂先生もおっしゃったように、一般炭性向を強めるとかそういう一つの方向をどう考えるか、この問題が一つあるわけでございますが、将来の火力発電を考えれば、当然一般炭の需要はふえるわけですから、仮に鉄が国内炭の原料炭を相当引き取らないという状態でも、一般炭がそれにかわって二千万トンの需要というものはある、こういうことがあるわけでございます。その過渡期を生産を制限しながら行くということは、いま置かれている石炭産業の現状から言いますと、できません、困ります、こういうことを言っておるわけでございます。したがいまして、五十四年はやむを得ず緊急避難をいたしますが、五十五年には原料炭を七百五十万トン引き取ってもらえるような何らかの措置を講じていただいて、五十五年から二千万トン体制で五十八年に移行してほしい、こういうことを申し上げておる次第でございます。
○鍛冶委員 先ほどから組合の代表の方々のお話を伺っておりますと、一度生産調整で減産しますと、回復がきわめてむずかしいというようなことで、五十四年度の問題についても大変危惧をされておるようでございますけれども、五十五年から二千万トン体制で準備をしてお進めになるといたしまして、そういった面での危惧というものは、私ども素人ですが、あるのじゃないかなという気もいたしますが、そういった点についてのお考えはいかがでございましょう。
○有吉参考人 私どもがこういう収支相償わない中で出炭を制限いたしまして、あらゆるものをカットして資金的に何とか乗り切ろう、こういう状態を続けていくと、将来の生産構造そのものを破壊することになる、こういうことを言っておるわけでございますが、具体的にどういうことかと申しますと、まず第一に人減らしをしなければいかぬ。減耗した人間を補充しないわけでございまして、これはどこでも同じかもしれませんけれども、ある程度坑内の技術を身につけた人間を急に集める、こういうことは非常に困難でございます。
 それから、一番大きく響きますのは、五十四年度はやむを得ず坑道掘進というようなものもある程度犠牲にしてカットしておりますが、炭鉱の根本は坑道掘進、とにかく坑道を先に掘って準備をするというのが一つの根本でございまして、これを怠っていきますと、採掘の準備ができないわけでございますね。したがって、それは行き詰まりになる、こういう一つの問題。
 それからもう一つは、設備投資を相当大幅に三割ぐらいカットする非常措置を講じておりますが、これは耐用命数の来た設備の更新を今年度取りやめようということが一つでございます。そういたしますと、これが五十四年一年だけのことであればいいのでございますが、五十五年も六年もそういうことをやっていきますと、設備が老朽化して故障が起こり云々というようなことになって事故が起こる、こういうことになっていくわけでございますのと、もう一つは炭鉱というものはだんだん深部に入っていきますから、それの合理化のための近道の坑道をつくったり、そういう設備をしなければならぬわけですが、金がないからそういったものを中断しよう、こういうようなことになる。そういたしますと、数年先には条件が非常に悪くなった姿で、そういった合理化の設備のできないまま仕事をしなければならぬということになりますので、現在の生産体制の維持はいよいよむずかしくなる、要するに、そういうことを続けますとじり貧になっていってしまう、こういうことでございます。
○鍛冶委員 これも私素人で見当違いの御質問になるかもわかりませんが、貯炭の問題ですが、物理的に非常に厳しくなったというふうなお話もございました。私、現地へ行ったこともございませんでさっぱりわかりませんけれども、さっきお話があったような火力発電所の稼働ということからの一般炭の増とか、鉄鋼関係が上向いてきての原料炭の使用の増でしょうか、それから先日、ほんの一週間ぐらい前には北海道電力が苫小牧に現在建設中の三十万キロワットをやっているようですが、その苫小牧にさらに六十万キロワットの石炭火力発電所を新設するというふうなことが発表されているようでございます。六十年完成というふうに新聞発表のようでありますが、そうすると、当然北海道関係を含めて一般炭というものは、むしろ国内炭が非常に不足してくるというような形も、われわれ素人で考えて考え得る問題が実はあるわけです。そういったことを見込んで、先ほどからの有吉参考人のお話の中で、一般炭の貯炭はともかくも、原料炭は早く出す方向をというようなお話もございましたが、そんなに石炭を長く置いておったらいかぬとか、貯炭の方法にもいろいろあるようでございますけれども、いろいろなことを抜きにして、そういった需要の先行きというものを見込んだ上で貯炭というものは、一般炭、原料炭分けて考えまして、どの程度まで積んでおいても大丈夫なんであろうかというふうなことを思うのですが、そこらあたりはいかがなものでしょう。
○有吉参考人 貯炭をいたします場所の問題がございまして、いわゆる港頭の貯炭場というものは二週間ぐらいが普通だ、先ほどこう申しました。それに前後するぐらいの、その程度のヤードしか余りないわけでございます。したがいまして非常貯炭をしようといたしますと、そこから離れた場所で空き地を利用いたしまして、そこまで横持ちをして積まなければならぬ、こういうことで非常に金がかかるという問題があります。
 しかし、現在でもすでにやむを得ずそういう横持ちをして非常貯炭をいたしておりますが、どのくらい物理的に貯炭が可能であるのかというのを調べてみますと、九州、北海道合わせまして大体四百五十万トン、その見当までは一応置けるのではなかろうか、こういうふうな数字が出ております。いまこの三月末で三百七十万トンでございます。先ほど五十四年は相当出炭を制限する緊急避難というようなことを申し上げましたが、それでもなおかつ貯炭は約七十万トンぐらいふえるようでございまして、五十四年度末におきましては、いまのところ四百四十万トンぐらいになるのじゃなかろうか、こういうことが一応予測されておるわけでございます。その半分以上が原料炭、こういうことになるわけでございます。
 それで、貯炭は置いておけるのか、こういう御質問だろうと思うのでございますが、これは炭の性質にもよるのでございますけれども、酸素分の多い炭と固有水分の多い炭はわりに自然発火しやすいわけでございます。これをブルドーザーで転圧と申しますか、押さえつけて、空気が入らぬようなかっこうでなにいたしますと、三池炭のごときは過去三年間非常貯炭をやりまして、大した品質の変化もなかった、こういう実績がございます。釧路の炭あたりは、そういう自然発火の可能性が非常に多い炭でございますけれども、これも金はかかりますが、古いものを出して新しいものを置きかえていく、こういうことをやっていきますれば相当の、生炭のまま貯炭は可能である、こういうふうに考えております。
○鍛冶委員 大変素人的な質問で申しわけでございませんけれども、私が思いますのは、経営的に需要の先行きを見込んで、石炭発火とかいろいろな問題がございましょうから、そういう貯炭の限度というか年数的な問題がございましょうが、そういったことを見込んだ上で資金的なものの、たとえば国にめんどう見てもらうとか、いろいろな形でできた場合に、貯炭というものは、たとえば仮に五%生産調整したとして、いまのところ四百五十万トンぐらいまでは貯炭の場が物理的にもあるというようなお話ですが、それをざらに広げたかっこうで置いておいても、逆に言えば、これは素人の考えですから違っていたら御容赦願いたいのですが、資金調達ができて、そういう置くところがあれば、五%という生産調整をしなくても、先行きの需要のにらみとともに何とかやらずにいけるとかいうふうな考え方はできないものだろうか、これは経営をやっていない者がお尋ねして大変失礼かもわかりませんが、そこらあたりはどういうことでしょう。
○有吉参考人 先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、電力用炭につきましては、来年の暮れあたりから九州の松島火力と北海道の苫東火力が稼働に移りまして、一般炭の引き取りが始まるわけでございますし、続いてまた新しい火力発電の計画が実現をいたします。したがいまして、一般炭は現在でも年間百万トン近くたまっていっておりますけれども、これは貯炭融資を受けて貯炭として抱えていけば先々のめどはある、こういうことでございます。
 ところが、原料炭につきましては、九千円も違うということが主たる原因になりまして、鉄鋼さんは外国炭も合わせますと全体では六千万トン近い炭を使っておられますけれども、その中で国内炭の百二十万トンは取れない、こう言っておられる。したがって、原料炭がふえていくという問題につきましては、その貯炭について市中銀行あたりの貯炭融資という問題を持ちかけましても、先行きどうなるのです、こういう問題になりまして金融の話がつかないわけでございます。つまりめどがつかないのは原料炭である。したがって、それに対して何らかの対策をひとつ五十五年度に実現するようにお願いをしたい、こういうお願いを申し上げている次第でございます。
○鍛冶委員 これは石炭部長、御答弁願うということを言っていなかったので、質問よろしいかどうか。――いまの問題に関連して、貯炭の融資の問題ですけれども、これに対して国としてはどういう考え方でいらっしゃるのか、これだけちょっとお聞きしたいと思います。
○高瀬政府委員 貯炭の融資の問題についてお答えいたします。
 貯炭は、さっき御案内のように、五十二年度末には三百七十万トン程度になる。いまの見通しでは、それを若干下回るのではないかというふうに考えております。
 貯炭の資金はどういう手当てになっているかといいますと、たしか三百六十億が貯炭対策資金ということでついておりまして、そのうちの約八十億が政府系の資金になっております。あと二百八十億が民間系の資金になっておりまして、そういうことで五十三年は一応資金が回っているという形になっております。
 五十四年度の見通しでございますが、いま各社で検討しております生産を見ますと、北炭以外の各社は余り貯炭がふえないという数字になっております。北炭は、これはまた別途対策ということになっております。したがって、今後の貯炭関係の資金はそう大きいものにはならないのではないかということを考えておりまして、現行法の制度でございます経営改善資金というのである程度対処できるのではないかということで、いまいろいろな試算をやっている段階でございます。
 それから、生産制限ということでなくて、ある程度生産水準が下がりますとコストアップになるわけでございまして、そのコストアップ要因を資金的に何らかの形で埋めなければいけないということで、坑道補助金なり保安補助金なり近代化資金の増額をいま予算でお願いをしておるということでございまして、あれやこれやの手段をつなぎ合わせますと、苦しいけれども、資金的にはそう暗い見通しではないというのがいまの現状でございます。
○鍛冶委員 有吉参考人ありがとうございました。いろいろ政府の方も含めて、経営者側としてひとつ組合側ともよくお話し合いをなさりながら、われわれもできる限りはお手伝いをさせていただきますが、御努力をお願いをいたしたいと思います。
 それから、森田参考人にちょっと御質問を申し上げます。
 先ほどのお話の中、またいただいた問題点の中で、この場合、目先の価格差だけを基準とした経済合理性一辺倒のやり方を排除していく、こういうふうなことをおっしゃっておられますが、これは具体的にはどういう形で排除していくという考え方をされていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○森田参考人 先生お尋ねのは、海外炭の輸入問題ではなかろうかと思うのですけれども、これは意見の中では余り具体的に述べておりません。
 いま問題になっておりますように、円高の影響もありますけれども、今日では九千円から一万円の値差がある。こうなりますと、経済性の追求ということになりますと、だれが見たって高い石炭はたきたくない、たくべきではないという意見が起きてくるのは当然であります。しからば、値段が高いから日本の石炭は要らないのだということになりますと、原料炭について一トンも掘る価値がなくなってしまう。これでは大変だという意味で、私どもいろいろ提起しているのですが、これはやはり鉄鋼が、あるいはそういうユーザーが原料炭を六千万トン以上も使う――粗鋼生産がもっとふえていけば、将来は一億トンの石炭を必要とする時期も来ると思うのであります。そうすると、日本の国でたかだか原料炭に換算をすると七百五十万から八百万トンの石炭を使うのに、そんなに値差だけでこの利用が不可能だということになるというふうに、甘い見方、言い方かもしれませんが、私どもはそう思っていないのであります。ただ、その値段を調整する場ということでいろいろ考えていただきたい。それは輸入炭と国内炭の一手買い取り販売というものを具体的に設けていく、そういうことの中でこれは十分消化できる、このように判断をしているわけであります。
 私どもの主張は、経済性だけではなくて、やはり資源論に徹底すべきである、そして国のただ一つのエネルギー資源である石炭を有効的に活用してこれを使うべきである、こういう考え方に基づいているわけであります。
○鍛冶委員 時間が参りましたので、これで終わらしていただきます。関係の方には大変ありがとうございました。
○古川委員長 西田八郎君。
○西田(八)委員 各参考人の方々、御苦労さまです。
 実は私、ほかの委員会の関係で、皆さんの陳述を聞いておりませんでしたので、あるいは陳述の中に含まれておったことまでお伺いすることになるかと思いますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。
 最近、IEA、世界石油会議で、全世界的に各国が五%の石油の消費節減をしようというような申し合わせをいたしまして、それに関連をして、当然石炭というのが見直しをされなければならないということで、おととしでしたか、五十二年から、第六次石炭計画が進められることになっておるわけでありますが、どうもいま伺っておりますと、原料炭で約九千円程度、一般炭で七千五百円程度の海外炭との価格差があるというふうに言われておるわけであります。これには石炭を採掘する条件あるいは炭層の所在する部分、その他いろいろな条件の違いがあるとは思うのですけれども、そうしたことに対して、石炭関係の経営者の団体として、これらの諸問題解決のために今日までどのような努力をなされてきたか、このことについてひとつ有吉参考人からお伺いをいたしたいと存じます。
 端的に言うなら、コストのできるだけ引き下げであるとか、あるいは炭質の悪いやつは、これはどうにもならぬですね、自然のままに炭があるわけですから。しかし、それを少しでも使わせるために一体どうしたらいいかということですね。政府に対して、たとえば輸入を減らしてくれということを言うのか、いろいろ協会として言い分があると思うのです。ですから、ここで、遠慮のないところでひとつ、そうしたいろいろな隘路――輸入炭は順調に入っておる。しかし、国内炭二千万トン体制をとりながら、なかなか二千万トンまではいけないにしても、その中で貯炭量はどんどんどんどんふえていくという傾向。先ほども森田さんおっしゃっておったが、これはエネルギー政策としても、資源政策としても、国内であるものは国内で使って、足りぬ分を入れるということ、これがやはり本質でなければいかぬと思うのですね。たとえば農協あたりでも、非常に強い要求を出されて、グレープフルーツあるいは飼料というようなものについてもかなりやはり抵抗を示しておるわけです。したがって、そういうことが当然私は石炭業界にあってもしかるべきではないか。そういう問題についてどう取り組んでこられたのか。そしてまた政府にこういうことはぜひしてもらいたいのだということがあろうと思うのです。それを開くためにきょうこうして御出席をいただいておるわけですから、ひとつ忌輝のないところを聞かしていただきたいと思います。
○有吉参考人 先ほどから申し上げておりますように、いま一番問題なのは原料炭の引き取りでございまして、一般炭につきましては、これは油との格差とか、外国炭との格差がございますが、主たる、ほとんど電力さんが中心でございますが、電発さん、北電さんにおきましては、ほとんどいっぱいいっぱいの引き取りをしてもらっているわけでございますが、なおかつ甘い。しかし、先ほどから申しますように、これは一、二年していけばどんどん減っていく、そういう趨勢であるから、貯炭で抱えていく、その貯炭資金の問題、こういうことになるわけでございます。
 ところが、その原料炭は、六千万トンを全部鉄さんは使っておられるにかかわらず国内炭の百二十万トンが引き取れない、こういう一つの問題でございます。その根本は、九千円というような、やはり何といいましてもその値段というのが一つの大きな原因でございます。私どもとしましては、さっきの陳述でも申し上げましたように、外国炭との価格差につきまして、何らかの増加引き取り交付金といったような予算措置を講じていただきまして、ある程度国でもめんどうを見る、こういう姿勢をとってくだされば、鉄との話し合いが進むのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
 先ほどの岡田先生のお話の中にもIQの問題が出まして、鉄さんの方、それでは弱粘炭を入らぬようにしたらどうか、こういうこともございますけれども、私どもの、はなはだ弱いのですけれども、立場といたしましては、そういう話を持ち出しますと、これはいよいよ問題をこじらかすなにがございまして、ある程度のやはり予算措置というものをひとつ考えてほしいというのが一つの結論でございます。
○西田(八)委員 当然そういうことになるだろうと私は思うのですが、しかし、経済全般から考えて、鉄鋼もいま不況産業の一つになって、一億四千万トンの設備をさらにダウンさせて、現在のところ八千万トン程度の体制で臨みたいというようなことで、新日鉄あたりもかなりな工場閉鎖等が進んでおる。そういう中で、コストが高ければ、どうしてもやはり安い方へ流れるというのが、これは経済の原則ではないかと思うのです。
 そこで、当然のこととして国にそうした要求をしていかなければならぬわけでありますが、しかし、国があんまり石炭石炭と言いますと、正直な話、私は滋賀県にいま住んでおるわけですが、滋賀県は、石炭のとれるところはどこもないです、昔亜炭が少しとれましたけれども。そういうところで、石炭なんて全然使ってないですね。全部が石油に変わってきておるわけです。いまは、石炭ってあるんですかと言われるぐらい、きわめて認識が低いと思う。したがって、そういう国民的な世論といいますか、そういうものもやはり盛り上げていく必要があるだろうし、どうせ石油はもうあと五十年ほどだと言われておるわけですから、石炭の見直しが非常に重要な問題になる。それに対して協会として、一般的なそういう問題意識を持って、いわゆる世論を盛り上げるというようなことについて御努力なさってきたのかどうか、その辺に若干私は、せっかく来ていただいておってこんなこと言うのは悪いのですが、不満に思うわけでございますね。ですから、その辺のところ、今日までどういう努力をなされてきたのか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
○有吉参考人 いま御指摘のありましたように、そういう一つのPRというのははなはだ不十分でございまして、いままでの石炭の歴史を振り返ってみますと、いわゆる家庭用というようなものは石炭から非常に縁遠くなってしまっておりまして、もう一度そういうものをひとつ石炭に、こういうPRというものも確かに必要じゃないか、こう思うのでございますけれども、その点は確かに協会としましてはPRが不十分でございます。
○西田(八)委員 決して小言を言うておるわけじゃないのですが、そういうふうにして、やはり原子力についても一定の限界がありますし、石油とウランとどっちが資源が早くなくなるか、これも非常にむずかしい問題だと言われ出してきておるわけです。そうすると、やはり昔に返って、石炭、まきというような形になるわけですから、そういう点もうちょっと協会としても努力をしていただきたい。ましてや政府においては、きょうは石炭部長が見えていますが、ひとつそういう面も、政府の広報機関を通じてやはり努力をしていただきたい。決してこれは答弁くれとは私は言いませんが、そんな努力を重ねないと、何か石炭だけにものすごい金を出しているんじゃないか、何でそんなにして石炭石炭と言わなければならぬのだ、おれらの生活の周辺にほとんど石炭なんかないんじゃないかというのが私は国民の偽らざる感情だと思うのです。したがいまして、そういう点については、今後も業界、政府ともどもに御努力をいただきたいと思います。これは御要望をしておきたいと思います。
 次に、岡さんにひとつお伺いしたいのですが、実際、減炭だとかなんとかというふうに言われておるわけですが、生産制限というものはどのような形で進行しておるのかどうか、実際の現場の状況をひとつお聞かせいただきたい。
○岡参考人 先ほども人員減少の動向についてちょっと御答弁申し上げたのですが、昨年の八月からずっと毎月減少を来しております。ことしに入りますと、恐らく四月以降はもっと人員が減るんではないか。それは明らかに出ておるところで、これは退職人員の減耗不補充――減耗不補充ということになりますと、四十二・何歳という平均年齢が高いことが示しておりますように高年齢者、いわゆる定年退職者がかなり多いわけです。そういたしますと、そういう人たちが退職をした後、人員の補充をしないということでございますから、これはかなりな人員の減少になる。それから同じ傘下でございます松島の例をとってみましても、たとえば過去労働力が不足であったときに、季節工という制度を利用いたしまして、船でその日の通勤を往復やっておったわけです。これも経費削減の一つとして、船を廃止する。そしてその人たちは全部一般社員として採用する。しかし、ある一定の人員までは減耗不補充、こういう形のものが出ております。それからまた起業工事、こういうものも延ばすということになってまいりますと、今度は生産体制を復調をさせる場合にやはりこれが大きなネックになる、こういうことで私どもは、生産制限をしないように、そのためには原料炭を引き取っていただく、そのことが先決ではないか、このように申し上げておるわけであります。
○西田(八)委員 どこの場合でもそうでありますけれども、特に炭鉱のような場合は、人が減った場合、さあそれをふやすというときに、そう簡単に人は来てくれぬと私は思うのですね。ところが二千万トン体制は維持していくんだ。先ほど話を聞いていますと、来年あたりはさらに充実させていくんだという話です。片一方では実際に減っていっている、そのギャップはもうますます大きくなっていく、一体どうしたらその問題が解決するのか、ここが私は一番重要なところだと思うのですね。どういう形でそれを維持していくのか。いまやめていかれる方は、通常言う熟練工が多いと思う。その人たちを補充するというのはなかなか困難です。きょうまでも、炭鉱に働きに来てくれということについては、社宅を整備したり労働環境をよくしたり、あるいは坑内の事情をよくしたり、ずいぶんその中で苦労してきておられる。それでも人員を充足させるのはなかなかむずかしかった。ということになりますと、私は一たん崩れた体制というのはそう簡単に戻らないと思うのですね。
 ですからその辺で、労働組合の方々きょうはお三方お見えになっておるわけですが、一体どうしたらいいのか、どのようなことを政府に要求されるのか。幾つか要求書は出されておると思うのですが、その決め手になるようなものは一体何なのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○森田参考人 これは三団体それぞれ内容は違うかもしれませんが、炭労の立場で申し上げますと、やはり石炭に対する将来展望というものを明確にしてやることがまず大事だと思うのです。
 私どもは、昭和三十三年以降だと思いますが、今日まで二十年間、閉山に次ぐ閉山という問題と取り組んでまいりました。先ほども申し上げましたように、炭鉱労働者の平均年齢が四十二・五歳、これは非常に高い年齢であります。ただ私どもは、いま社会的に定年延長問題が起きておっても、炭鉱労働者に五十五歳以上の人を坑内に入れて働かせるということについてものすごく抵抗を感じるわけであります。相当な重労働ですから、五十五歳以上になって、それは入っておる人もおりますけれども、それはなかなか奨励しかねる、こういう問題があります。
 そういう中で、今日の労働者の賃金そのものも、まあ石油ショックの直後、四十九年には一方千四百円という非常に高い賃上げをしてもらった経過があるわけであります。このときは、炭鉱労働者、家族を含めて、石炭の将来展望というものについてものすごく明るく感じたことは事実であります。ところが、その後毎年の賃上げというのは、春闘相場からいくと相当下回る額になるわけであります。
 こういった、炭鉱労働にふさわしい賃金、さらにはその中の生活環境というものを整備する、言ってみれば、この三つが石炭に働く労働者を集めるあるいはそこに残って働いてもらうということになるんではなかろうか、端的な表現ですが、申し上げたわけであります。
○岡参考人 私たちは、三十年以降ですか、いままで合理化問題に取り組んできたわけですが、何段階かの変遷がございました。それは先ほど岡田先生も言っておられましたが、われわれは、一次から三次までの間は、何とかスクラップ・アンド・ビルドという政策が石炭産業を五千五百万トンあるいは五千万トンで守ってくれるであろう、これに明るさを実は見出しておったわけなんです。期待をかけておったわけなんです。ところが、第四次になりますと、ある一定の生産コストを維持し得ないところは自決せよというような方向が出まして、これはいわゆる安楽死の方向だな、このように実は考えたわけです。それで第五次が出されたときには、今度は出炭目標というものは明示されなかった。それがいつの間にか二千万トンという程度になったのですが、四十八年暮れの石油ショックを契機に見直そうということで、五十年に答申が出されて、それが五十一年の四月から実施された。ところが、実施されましたけれども、政策は非常にりっぱなんですが、これを遂行していく対策そのものが不足してはいないかということを実は私どもは言っておるわけなんであります。
 確かに虫がいいと言われるかもわかりません。しかしながら、二千万トン体制というのは国策として決まったし、その中でこうあるべきだという方向も示されておりますから、生産についてはわれわれは一生懸命努力をして、自分たちに与えられたものは出しておるつもりです。
 たとえば、将来はそれだけの人員は要らないんだけれども、いまのところはそういう体制ができていないから、これは残業でひとつ生産を確保してくれ。あるいはまた、松島の例を示しますと、立て坑をおりまして、それから電車に乗りかえて斜坑をおりる、そして今度はまた電車を乗りかえて水平で行く。これは出炭したものを坑外に搬出する場合も同じような系統を通るわけなんです。それでは運搬コストも非常に高くつくから、それは起業工事で端的に縦、横というような二段にしたらどうか。そうすると一回の人車乗りかえで済むではないか。じゃあそれはいつつくるのか。五十六年完成だ。ところがこれが今度は五十八年まで実は延びたわけなんです。そのような生産制限が各所随所に出てまいります。
 したがって、私どもとしては、生産制限をしてほしくない。生産制限をしないで済む方法はどうなのか。これは先ほど有吉会長も言っておられましたように、一般炭についてはしばらく持ちこたえれば何とか維持できるであろう。それからきょうはまた非常に参考になるお話を岡田先生から聞かせていただきましたので、それを早速われわれは検討しようと思っておりますが、そのほかに、やはり原料炭につきましては、少なくとも引き取っていただけるような対策を、今後の補正の時期まで何とかとってもらえないか。少なくとも百万トンを超す原料炭が引き取ってもらえれば、従来どおりの生産体制でいけるんだ。そして、先ほど向坂先生のお話にもございましたように、中長期的にはだんだん一般炭の量をふやしていく。そうなりますと、やはり歩どまりが上がりますから、生産量も、従来と同じような数字であっても実際の生産量はふえてくる、このような方向を持っておるわけでございます。
○鈴木参考人 保安技術職員を含めたところの労働力の確保問題の根本的な問題につきましては、先ほど森田委員長から申し述べましたので省略させていただきますが、現実問題といたしまして、確かに四十九年のオイルショック以降、世の中不況になりまして、石炭産業でも労働力の確保という問題につきましてはわりとスムーズにいってまいりました。ところが、現実問題といたしまして、このように世の中がある程度上向いてまいりますと、これから先、やはり労働力確保という問題につきましては非常にむずかしい問題があろうと思います。したがいまして、われわれといたしましては、生産制限ということにつきましては可急的速やかに排除できるような方法をとっていただきたい、かように考えております。
○西田(八)委員 参考人の方々にはまだまだいろいろお伺いしたいこともありますが、時間が参りました。いずれまた機会を得ていろいろ伺いたいと思いますが、石炭が高いからということで毛ぎらいをされるというような傾向にあるわけですけれども、重要な資源でもありますし、エネルギーを節約しなければならぬ。代替のエネルギーが特別なものが考案されるまで何年かかるかわかりませんが、石炭はエネルギーの重要な資源でありますし、そうした資源の採掘に非常に努力をいただいております皆さんに心から謝意を表し、また、私どもも皆さんとともに今後石炭政策の実現、りっぱな政策と言われましたけれども、実現のために努力させていただくということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○古川委員長 安田純治君。
○安田委員 参考人の方々には朝から長時間いろいろ貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。大分時間も長くなりますので、なるべくはしょって伺いたいと思います。
 最初に、向坂先生が先ほど述べられました一般炭への傾斜をすべきではないかという問題ですが、その点について四参考人の方々に、肯定的にお考えか否定的にお考えか、伺いたいと思います。
○有吉参考人 向坂先生は、一般炭、原料炭というものはカロリー当たりの値段というのは余り変わらないんだから、原料炭を一般炭に振りかえても石炭産業の収支というものは余り影響ないんじゃないか、こういうふうな話があったのでありますが、実際は、炭の性質によりますけれども、一般炭に振りかえても余り変わりのないところもございますが、相当大きく変わるところもあるのでございます。原料炭の方が結論的には有利であります。こういうことは言えるのでありますが、しかし、今後一般炭が大きく火力発電によってふえていくだろうという趨勢は、これはそのとおりだと私思うのです。
 それから、原料炭は、粗鋼生産がどう伸びていくか、これに関連するわけでございますが、さっきも申しましたように、七、八年前には国内の原料炭はもう奪い合いでなにされた、そういうようなこともあるのでございますが、いま鉄さんの言い分によりますと、一九九〇年ごろまでは既契約のもので腹いっぱいだ、中国の炭が入ってくればこれを切らなければならぬ、こういうのが現状である。為替レートの二百円というものが、そうめちゃくちゃに円が安くなるということは考えられないといたしますと、この九千円という格差というものはそう変わらない。そういうことを考えますと、鉄さんに永久に、と申しますか、将来にわたって価格差補給というものをしながら引き取りをしてもらうというのがいいのかどうか、私はその辺もいささか疑問を感ずるわけです。
 ですから、私の考えとしましては、一般炭移行という方向でもいいんじゃないかという感じを持っておりますが、ただ、その移り変わりの、この五十四年から八年まで、その間を生産制限せずにやってもらいたいということなんです。それは、少なくもそういう一般炭の需要増によって二千万トン体制が維持できるというめどのつくまでは、鉄さんに何らかの予算対策等を講じまして引き取りを、プラスの引き取りをやってもらって、そして二千万トン体制を維持しながらそういうものに移り変わっていくという、そういうことは考えられるのではないか、こういうふうに思っております。
○森田参考人 非常にむずかしいことだと思いますが、ただ、私ども考えておりますことは、いま石炭政策は六次政策、五次政策以降だと思いますけれども、原料炭を重点的に考えた今日の政策である、こういうふうに考えておりますし、四次までの石炭政策の中でスクラップ・アンド・ビルド、私どもはスクラップ・アンド・スクラップだと、こう言っておりますが、それが進められてきて、その中でいろいろとやはり世の中の移り変わりに対処するということは、これは否定し切れないと思うのでございますが、ただ、炭鉱によっては一般炭がほんのちょっとしか出せない山があるわけです。特に夕張地区はそういうことが言えると思うのであります。それから一般炭に切りかえてもいいという、いま原料炭を掘っている山でそういうところもあろうかと思います。しかし、石炭はやはり出しやすい方法で出すべきであろう。無理をして、たとえば原料炭を欲しいからうんと下へ下がる、一般炭だから上の方で掘る、こういった使い分けというのはなかなかむずかしいのであります。
 今日までの傾向は、今日というよりは昨年度と言った方がいいと思うのでありますが、特に赤平の場合を例に出しますと、一般炭を掘っておったのではコストが高くなって、いわゆる経済性を追求するという形になるとこれは合わない。だから原料炭を最低でも八〇%掘らなければだめだ、もっとそれ以上必要だ、あと残りのわずかが一般炭である、こういうことで進めてまいりました。今日まだ一般炭がそれほど需要があるわけじゃありませんから、将来一般炭の需要がふえたときに一般炭に切りかえ得る山はそれに対処しても差し支えないと思いますが、原則的には私どもは否定的であります。
○岡参考人 もうほとんど意見としては変わらないわけでありますけれども、やはりいまの二千万トン体制というのは原料炭を中心とした体制である。そしてそのために労働条件あるいはまた作業環境、それから生活環境、そういうものを整えながら企業の健全な体制をつくっていけ、今後の石炭産業のあり方としては三つの方針に基づく、それは先生もすでに御承知のとおりでございますが、その中の一つの柱が国内炭の二千万トン体制、これはわれわれは責任を持って出す、そしてまた国は経営側とあわせてその需要の確保に努める、完全消化をするという方向にある、こう私は思っておるわけなんです。
 したがって、一般炭の需要が生まれてくるまではいまの体制は続けてもらわなければいかぬだろう。そしてまた、原料炭については引き取りやすいような対策を講じてもらわなければわれわれとしては困るんだ。それで仮に発電所が出てまいりますと、それはいわゆる情勢の変化でございますから、したがって、切りかえ得るところは一般炭に切りかえていく。ところがどうしても切りかえられない炭の量がございますから、これがどれくらいか。そしてまたそれが需要業界とどう結びつくのか、それがその時点での判断ではないか、このように考えております。
○鈴木参考人 将来的に考えまして、やはり向坂先生がおっしゃっておられましたように、円の為替レートが二百円前後ということになりますと、今後さらに原料炭の国内炭のコストは上がっていくだろうということを考えますと、値差の関係からやはり原料炭にシフトしている現在をながめますと、私十分勉強しておりませんのでよくわかりませんが、向坂先生の御意見もわかるような気がいたします。したがいまして、長期的に検討する問題ではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、前から言われておりますように、その間の過程におきまして、どういうような過程でもってそれにスムーズに移行できるのか、そういういろいろな問題がございますので、十分検討する価値があるのではないかというふうに考えております。
○安田委員 確かに向坂先生のお話は、もちろん二千万トンという枠を維持する中での傾斜でありましょうから、二千万トンをどんどん減らしていくというたてまえではございませんので、いろいろ意見はあると思うのですが、岡さんの方の組合で出された「これでよいのか!」というパンフレットをよく拝見いたしましたけれども、この中にも大変悲痛なことで、「『海外の安い油で、大量の国内一般炭資源を放棄』させました。」ところが、今度は「『安い海外原料炭で貴重な国内原料炭を放棄しよう』とみられても仕方がないような対応」をされているではないかというお話がございましたけれども、そういう意味では、向坂先生のおっしゃることもそれなりにわからないことはないのですが、移行の問題や、あるいは将来どうしてもそうなっていくのだということを前提にして、それこそそういうふうに傾斜してきますと大変な問題が起きるのじゃないかと心配するものですから、若干伺ってみたわけであります。
 ところで、先ほど森田参考人が労使の話し合いの件をお話しになりましたけれども、その中で、経営者側が政府からいろいろ融資を受けたり手当てを受けているという関係もあってかゆっくりしているようだという微妙な表現がございました。そのゆっくりしている中身については、森田さんから伺うよりもむしろ有吉参考人から、炭労の方からそう言われるようなゆっくりしたところがあるのかどうか、ひとつ述べていただきたいと思います。
○有吉参考人 この前も労働三団体の人たちと話し合いをやりましたら、そういう批判がございまして、実を言いますと、ことしはもう大変だということで、私は何もアベックのなにをやっておるわけじゃございませんけれども、これはわれわれ労使共通の問題でございますので、正月の六日に実はみんな集まりまして、とにかくそれぞれの分野において石炭を守っていくなにをしなければならぬ、こういう話し合いをやったわけであります。確かに組合の方は、その後の行動はわりに早かったわけでございまして、私ども社長会を開きまして、いろいろお手元に配っているかと思うのでございますが、要請書をまとめまして行動を起こしましたのは二月の二十日ごろになりまして、これが非常に遅いのだ、こういうことでございますが、私どもの方は実はいろいろな方面にやはり事前の了解と申しますか、盲めっぽうに走っていくわけにいかぬような立場がございますものですから、その辺の調整に多少の時間をとっておったわけでございまして、実情はそういうことで、その辺はこの前会いましたときにも、組合の諸君にも十分事情を話しまして納得していただいておるわけでございます。
○安田委員 せっかく参考人に来ていただいて貴重な御意見をわれわれの方が勉強させていただくのに文句を言うわけじゃございませんけれども、大変状況が厳しい中で、企業側には相当国費がつぎ込まれているわけでございまして、こういう難局を乗り切るのに、労働者側からゆっくりしておるというふうなことを言われるようでは、まことにわれわれ石炭政策について関与する議員の側としても心細いことになってしまいますので、その辺は十分お考えいただかなければいかぬのじゃないか。
 もう一つ、いまの御発言の中で、ちょっと揚げ足を取るようですが、盲めっぽうに走っておるわけにいかないので、ゆっくりというようなことをおっしゃいますけれども、そうすると、労働組合はやたら盲めっぽうに走ったようなふうにも聞こえますので、大変その点は労使の不信をあおるわけじゃございませんけれども、ひとつそういう点でゆっくりしているなどという非難を受けられないようにがっちりやっていただきたいということを、この機会にお願い申し上げておきたいと思うのです。
 時間が少ないので、もう一つ伺いますが、生産調整が緊急避難的な意味だと、先に長くなっていくと緊急避難の緊急性というよりは恒常性になってしまいますから、恒常ならいいけれども、先細りになるということを先ほどから指摘されましたけれども、そういう緊急避難という面、そういう立場わからないわけでもございませんが、問題は保安の問題ですね。緊急避難といえども、保安は構わないでおくわけにはいかぬだろうと思うのですよ。ですから、将来すぐ即応して回復する体制になかなかなりにくいのがこの減産体制だ、生産調整だということは、先ほどから指摘がありましたけれども、それにしても、緊急避難的に一年間くらいならまあ何とかというお話ございましたね。ただ、この一年の間の保安の問題が心配になるわけですが、その点で森田さん、いかがでしょうか。
○森田参考人 私ども生産制限には反対であります。それはいまお話がありました保安の問題ももちろん関係あります。これは極端なことを言いますと、いま動いておる払いを一本閉じる、採掘しないということでそのままほうっておけないのですね。工場のように、工場の機械をとめればそれで終わりということにならないわけであります。ほうっておきますと、自然発火その他の問題が起きますから、やはり払いが終掘をするときは、最終的には相当以上の密閉その他を完了しないと、今度はその払いだけじゃなくて、炭鉱全体が大きな災害をこうむる、それこそ再起不可能ということになるわけであります。
 ただ、私ども機械的に賛成、反対という論議をする場合、経営者が保安を無視して、保安を全く度外視してそういうことを考えているとは思っていません。思っていませんし、そういうことはできるはずもないのであります。ですから、私ども先ほどから、もし緊急避難ということの理解ができればということで申し上げましたけれども、その理解ができるということは、そういう問題も含めて、保安の問題も、それから払いの将来展望、あるいはその山の将来の稼働、稼行の状況、そういうものを踏まえなければ最終的には判断はできない。しかし、現在で言うとするならばそれは反対である、こういう意味でございまして、内容的には保安の問題は範囲が広うございますから、そういう意味で大きく申し上げると、そういうことです。
○安田委員 ほかの参考人の方にもいまの問題や何かお聞きしたがったのですけれども、ちょうど質疑時間終了という札をいただきましたので、残念でございますけれども、ほかの参考人の方、御了承をいただきたいと思います。
 これで終わります。
○古川委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
     ――――◇―――――
○古川委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 本日、理事稲富稜人君が委員を辞任され、現在、理事が一名欠員になっております。これより、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は理事に稲富稜人君を指名いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時散会