第087回国会 交通安全対策特別委員会 第5号
昭和五十四年四月二十六日(木曜日)
   午前十時三分開議
 出席委員
  委員長 有島 重武君
   理事 左藤  恵君 理事 佐藤 守良君
   理事 中村 弘海君 理事 前田治一郎君
   理事 太田 一夫君 理事 後藤  茂君
   理事 青山  丘君
      玉生 孝久君    丹羽 久章君
      野中 英二君    水平 豊彦君
      沢田  広君    山本 政弘君
      吉原 米治君    寺前  巖君
      伊藤 公介君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      三島  孟君
        警察庁交通局長 杉原  正君
        運輸省自動車局
        長       梶原  清君
        運輸省自動車局
        整備部長    小林 育夫君
        運輸省航空局長 松本  操君
        海上保安庁長官 高橋 壽夫君
 委員外の出席者
        大蔵省銀行局保
        険部長     貝塚敬次郎君
        運輸省海運局定
        期船課長    浅見 喜紀君
        運輸省鉄道監督
        局民営鉄道部土
        木電気課長   原   慧君
        海上保安庁警備
        救難部長    野呂  隆君
        気象庁予報部予
        報課長     立平 良三君
        労働省労働基準
        局監督課長   小粥 義朗君
        建設省道路局道
        路交通管理課長 浪岡 洋一君
        建設省道路局企
        画課長     渡辺 修自君
        日本国有鉄道運
        転局保安課長 山之内秀一郎君
        日本国有鉄道施
        設局建築課長  鈴木  尚君
        特別委員会第一
        調査室長    綿貫 敏行君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 交通安全対策に関する件
     ────◇─────
○有島委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂君。
○後藤委員 まず最初に、昨年大型車の死角に原因をいたします事故が連日のように発生をしたわけですけれども、その後運輸省としては、新車に対してはバックミラーあるいは側面方向指示器、さらにはサイドガード等々の対策を強化をしていく、あるいはまた、ことしの三月道路運送車両法の保安基準を改正をして、使用過程車五十五万台に対しても新車と同じような内容の改善対策を実施する、こういうようなことがとられたようでございますけれども、こういう対策を講じても私はまだ若干心配をするのですが、この程度の車両の改善対策で、これまで発生をしておりました左折事故が撲滅できるとお考えになっていらっしゃるかどうか、まずお伺いをしたいと思うわけです。
○梶原政府委員 大型トラックの左折時の事故、まことに痛ましい事故でございまして、これを各般の措置によりまして防止をしていかなければならないところでございます。私どもとしましては、構造上の観点から先生いま御指摘のとおりの措置を講じてまいっておるわけでございまして、この措置によりまして車の安全性は格段に向上するものと考えておるわけでございます。
 なお、私どもといたしましては、従来問題になっておりました低運転席車両の試作をことしの八月を目途に進めておりまして、今後、この完成を待ちまして、試験運行等の実車テストを通じて具体的な問題を摘出し、検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 なおつけ加えますと、対策車につきましては、現在のところ左折事故の発生を見ていない状況でございます。
○後藤委員 三項目の構造対策を決める過程で、構造上特に問題点として指摘されたこのほかの面はなかったかどうか。それから、ミラーだとかこういう三つの構造を従来の車両につけ加えていくわけですから、大分過重というか、十五キロとかいうふうにも聞いております。大分重い物が装着されるわけですけれども、その構造上の問題はないのでしょうか。
○小林(育)政府委員 お答えいたします。
 まず第一の、その三つの点で実施するまでに指摘がなかったか、こういうことでございますけれども、私ども、この対策をいたしますまでにいろいろ検討したわけでございます。先生も御承知のとおり、これは緊急対策として当初やったわけでございまして、現在考えられます、しかもすぐにできます技術としてはこれ以外にないということで、いままでの実験の結果とかそういうものを踏まえまして一番いいと思うものを採用したということでございまして、そういう意味ではそういった苦情なり何なりということはございません。
 それから二番目の、主として鏡でございますけれども、いま先生も御指摘になりましたように十五キロもあるような鏡をつけて、それが構造上問題がないのかということでございます。これは、新車の場合にはそれ相応の措置をいたしまして取りつけますので問題はございませんけれども、もうすでに市中に出回っております車につきましては、やはり相当の補強なり措置をいたしませんと問題になります。そういうことで、現在出回っております各社の三百数十型式に及びます車のそれぞれについて各メーカーで標準的な改造の要領というものをつくらせまして、これを全部公表いたしまして、そうして末端の整備工場に至るまでそういう標準的な仕様で改造いたすようにということで準備をいたさせました。そういうことの準備期間が要りましたので三月十五日ということで、大分時間がずれましたけれども、そういうことの検討の結果、今回の省令改正に踏み切ったわけでございまして、そういう点におきましてはその標準的な改造要領でやっていただければ問題はないもの、私どももそのように考えておる次第でございます。
○後藤委員 いままでのバックミラーだとか運転手の操作に加えて、さらにバックミラーがついていくとか、神経を相当集中をしていかないと左折の場合は危険だと思うわけですが、西ドイツの心理学者ですか、ヘンケルという人が、「一九六二年に「ドイツ連邦鉄道労組」が主催した公開討論会で、人間のノーマルな注意力は「三秒乃至八秒程度持続するものであって、注意力がコンスタントに持続すると考えるのは間違いである。われわれが意識的に精神を集中し、注意力を高める場合でさえも一七分間以上にわたって高度に精神を集中することはできない」」こういうような報告をしているわけです。左折がしょっちゅう行われているわけじゃないですから、そのときに集中すればいいじゃないかという意見もあるでしょうけれども、こういった非常にたくさんのミラーを見ていかなければならない、さらにミラーを見るだけじゃなしにその周囲を見ていかなければならない。間接視界線図をいただいておりますけれども、ここに図示されているようには人間の注意力というものはいかないだろうと私は思うのですよ。そういう意味でできるだけ少ないミラーで対策が講じられるようにすべきではないかと私は思うわけですけれども、どうも運転手の注意力だけに頼らせる構造にしていはしないかと考えますが、いかがでしょうか。
○小林(育)政府委員 先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、できる限り少ない鏡でカバーをするということが理想的なわけでございます。ただ問題は、大型トラックという自動車の構造上の問題がございまして、後ろに大きな荷物を積んでまいります。そういたしますと、どうしても、人間ば御承知のとおり約百八十度、実際にはもうちょっと見えますけれども、ほとんど真横以外の横、後ろの視野というものがございません、人間の目そのものが。そういたしますと、後ろの視野というものがどうしても直接の目で見るのではなくて、間接的な視野に頼らざるを得ないということになるわけでございます。
 そうした場合にそれを何で見るか、いろいろ方法があろうかと思います。鏡を使う方法とか、あるいはレンズ、たとえばテレビみたいなもの、そういうものを使って見る方法等があるわけでございます。そうした場合に一番目で見るのに近い方法がよろしい。それには大きな鏡をつける。平面鏡で大きな鏡をつけるのが一番いいわけでございますけれども、自動車の構造上、なかなか一畳敷というような鏡をつけて歩くというわけにはまいりませんし、またその後ろ側が今度死角になってくる、こういうことでございます。ですから、できるだけ小さい鏡でなおかつ後ろが見えなければならない。鏡を今度は小さくしてまいりますと、どうしても曲率の大きな鏡を使いませんと広い範囲が見えない、こういうことになるわけでございます。曲率の大きな鏡を使いますと、今度は像の方がはっきりしなくなります。これはレンズでいいますと魚眼レンズというのがございますけれども、魚眼レンズで撮った写真というの艦すみっこの方がぼけて何が写っているのかわからない、ああいうふうなことになるわけでございます。そういたしますと、どうしてもはっきりした像が得られて、なおかつ広い範囲を見るということになりますと、どうしても鏡を組み合わせて使わないとならない、こういうことになるわけでございます。
 今回一番苦労いたしましたのはその点でございまして、従来二つの鏡の組み合わせでやっていたものをどうしても三つでないといけないということで三つにしたわけでございます。ただ、実際現物をごらんになっていただけるとおわかりになると思いますけれども、今回のものは三つにしたということだけでございませんで、鏡そのものの曲率とか大きさを非常に大きくしてございます。ですから、バックミラーも従来のものよりも倍くらいの大きさになっております。したかいまして、アンダーミラーそれからバックミラー、それからサイドアンダーミラー、これの像がオーバーラップといいますか、ダブって見える部分が非常に多くなっております。したがいまして、バックミラーだけを見ていただければほとんどの場合見えます。特に発進の場合とか、左折する場合のごく一部の場合だけちらりとほかの鏡を見ていただくということで十分カバーしていただける、視野を確保していただける。そういうふうに配慮したつもりでございます。ですから、運転中、四六時中三つの鏡を交互に見ていただく必要は恐らくないのじゃないか、そういうふうに私ども考えておる次第でございます。
○後藤委員 いまの御説明の中で、人の目に近いということを言われたわけですが、人の目に近いじゃなしに、人の目の方が確実だろうと思うのです。私どもが普通、車を運転しておりましても、助手席で側面、みぞがあるかどうか、あるいは人なり自転車、特に自転車の場合というのはとまっておるときにはいなくてもずっと寄ってくるわけですから、そういうものにはよくひやりとすることがあるわけです。助手席に乗っておる人の注意で気がつくということがあるわけです。そういたしますと、ミラー、ミラーとおっしゃいますが、私は、そういう大型貨物等はどうしても死角は生まれてくる危険性があるわけですから、二人の乗務ということがある方がいいだろうと思うのです。
 そこで、警察庁の方にお伺いしたいのですけれども、いままでの左折事故で二人仮に乗務していた。もちろん一人が仮眠している場合は別ですけれども、二人乗務している場合の事故はないんじゃないかと思うのです。あるいはあったとしてもごくわずかだろうと思うので、もしその資料がありましたらお聞きしたいと思いますし、それからすべての大型車両、ここで言われております八トン以上ですか、こういうような大型車両を全部二人乗務ということは大変だろうと思うのです。たとえば国鉄の場合の長距離あるいは夜間、バス等においてもある特定の地域等では二人乗務させているわけです。私は人命を考えていけば、これは当然必要経費だろうと思うのです。そういう意味で二人乗務ということを指導していく。場合によれば道交法の改正等もしていくという必要があるのではないかと思うわけですけれども、局長の御答弁をいただきたい。
○杉原政府委員 お答えをいたします。
 ことしになりましてから、一月から三月の末まで三カ月間で左折の死亡事故四十五件発生しておりますが、そのうちの四十四件は助手がおりません。それでこれは運輸省で非常に御努力をいただいて、この死角の問題御検討いただいておりまして、これはそれなりに大変効果のあるものだと思いますが、運転手についても、特に左折をいたしますときには左だけ見ておればいいのじゃなくて、向うから右折してくる車もございます。大変周囲に気を配らなければいかぬという問題があるわけでございます。そういう意味では企業の問題、人件費の問題、いろいろな問題があると思いますけれども、従来の事故分析の結果等を精密に見た上でいろいろ基本的な問題も検討してみたいというふうに考えております。
○後藤委員 直ちに二人乗務ということは大変でしょうけれども、基準を設けて、たとえば三軸以上とか十トン車以上とかあるいは構造的に、いま言われましたように左折ばかりじゃなくて、右折でもそれこそ周囲に目を配らなければならぬわけですから、そういう場合に車の構造からいってミラー程度では大変だろうというものがあるだろうと思うのです、特装車とか。こういうものについては二人乗務の義務づけは必要ではないかと思うのです。これから仮に――こういう対策で、あるいは周囲がいま問題にしておりますから、左折ということについては運転手の方も気をつけておると思うのです。旧来の、いまの新しい型をつけなくても。しかし、またふっと忘れてしまう、常に人間緊張しているわけではないですから。そういう意味で二人乗務というものが段階的に考えられないか、これは要望としてぜひお願いをしておきたいと思います。
 それから、使用過程車への適用が一年八カ月ぐらいの猶予が持たれている。いろいろな部品が間に合わぬとかということもあるのでしょうけれども、やはり左折事故というものがこれだけ重要な社会問題になっているわけですから、これが必要だということでその保安基準が決められた以上、早急にこれが着装できるようにしていくべきだと思うのです。一年八カ月というような長い期間、猶予期間が置かれるという根拠といいますか、理由はどうでしょうか。
○梶原政府委員 御承知のとおり、去る三月、道路運送車両の保安基準を改正いたしまして、左折事故対策を実施することにしたわけでございますが、御指摘のとおり、その適用時期を五十五年十一月といたしましたので、十月までは猶予期間があるわけでございます。これにつきまして御質問がありましたが、全国には五十六万台ぐらいの大型トラックがあるわけでございまして、この対象車両のユーザーに対して周知徹底をする期間というのが必要でございます。また、車両の改造方法を全国六万数千軒の整備工場に周知徹底をさせるマニュアルを現在もつくっておりまして、すでにその措置を講じつつありますが、整備工場に習得をさせるという必要がございます。
 また、先生いま御指摘もございましたが、対策部品を確保しなければいけませんし、−検査時等におきます対策実施の指導期間、こういうことを考えまして一年八カ月、こういう経過措置をとったわけでございます。御承知のように、大型トラックは原則として一年に一回検査を受けることになっておりますが、その検査時に改造して検査を受けてもらうという考え方で、基本的にそういう考え方でございますので、全国五十六万台の車が逐次検査受けの際に改造を実施して検査を受けていく、こういうことになろうかと思うわけでございます。
 私ども、この左折事故の緊急性、重大性にかんがみまして、この適用時期を極力早めたい。しかしながら、一方においてこれを適確に確実に実施をしなければいけない、こういう両面を考えまして、この一年八カ月前後の猶予期間を設けた次第でございます。
○後藤委員 これも要望になるかと思いますけれども、こういう対策を見ておりますと、交通安全、人の命ということが選択肢としては最重点に置かれていかなければならないのに、運転手のことと、その対象になります人間の命、安全というものよりも、経費の問題だとか、その他の経済的要件ばかりがどうも頭にあり過ぎるのではないか、こういうように思います。もちろん車両改造とか道路環境とかの整備というものも進めていかなければなりませんけれども、運転手あるいはその人々が常に車というものを意識しているわけではないですから、通常の人間が無意識に歩くということを前提にして、人間の方が注意をしながら歩いているということじゃないのだ、そういうことを前提にした左折事故対策というものをもう少し考えていただきたいということを最後に申し上げておきたい。この点はそういう要望にさせておいていただきたいと思います。
 次に、過積みの問題につきましては、この前も自重計等を中心にして私は御質問を申し上げたわけですけれども、きのういただいた「人と車」三月号ですか、これを見て私は実はびっくりしたのです。
 島根県の邑智郡の国道二百六十一号線の桜江大橋の上で、甲運転者三十八歳は、十・七五トン積みの大型ダンプカーに川土を十トン過積み、九三%の超過ですが、乙運転者二十二歳は、十トン積みの大型ダンプカーに山上を三・六トン過積み、三六%の超過、そして、それぞれがその橋の上に接近した。そうして橋の上ですれ違うときに、国道の大橋と言われている構造がどうかわかりませんけれども、これが通過中にすれ違った瞬間に橋げたが突然折損して、その二つの車両が落ちた。そうしてその後続のライトバンですか、これも落ちた。幸い死亡事故はないようですが、一人が重傷、二人が軽傷、五十二年の一月の二十日というのがこれに紹介されておるのを見まして実はびっくりした。こういうものは実はざらだったわけですね。一〇〇%過積みなんというようなことがざらである。過積みの危険性ということは、しょっちゅうこの委員会でも恐らく指摘をされたと思うのです。あるいは先般の水戸のダンプ事故等でも、過積みをしている場合はやはり停止しにくいのですね。停止してからまた、特に踏切なんかの場合は少し坂になっておりますから、そのスロープを上るということはめんどうだし、どうしても一時停止を怠って進んでいってしまう。あるいはまた、過積みをしているがゆえに今度急ブレーキがかけられない、こういう事故が大変多いわけです。
 昨年の道交法の改正で過積み規制というものが大変強化されてきた。そして、それぞれの取り締まりも相当厳しく行われるようになってきたために、若干減少しているようでございますけれども、この現状を、昨年の道交法の改正から恐らく三月くらいでしょうけれども、あの道交法の改正によってよかった点、それからなお、非常に短い期間でございますけれども、まだこの点が若干不十分、あるいはこの点は問題ということがありましたら、局長から簡単にお願いしたいと思います。
○杉原政府委員 お答えをいたします。
 昨年の道交法の改正で過積載の防止の根源対策ということで、従来やっておりました過積みの取り締まりに並行いたしまして、使用者が運転手に過積載を下命したり容認したりした場合には、処罰とともに当該車の使用禁止をするという規定が新設をされたわけでございます。これによりまして関係の業界が大変に自粛をされたわけでございます。
 従来、どうも過積ではないかということでとめて、そのうち過積載であるということで検挙されたいわゆる違反率というものが二一・四%、従来は百台をとめますと二十一台が過積であったということでありますが、それが十二月になりまして七%の違反率になった。それだけ自粛された、こういうことでございます。昨年の十二月から三月末までの四カ月間の一月平均と十二月以前の一月平均というものを比べてみますと、われわれがとめて調べます中で、いわゆる過積ということで検挙されている件数が一月平均で五千四百件、これは十二月までは一月大体一万件やっておりましたから、大体二分の一ぐらいに減っておるということでございます。
 それからもう一つは、同じ過積をやっておりましても、先ほどお話がありましたように、最大積載量の倍以上を積んでいるというふうなものが全体の違反の中に占める割合が、従来は一七・二%ぐらいがそう、う十割以上積んでおった車で、それが改正後は九・四%程度ということになっておりまして、同じ違反をやりましても、十割以上の違反というのは非常に少なくなったということでございます。
 なお、過積がそういうことで自粛をされました結果、過積に絡む死亡事故も非常に減っておりまして、従来は月平均過積に絡む死亡事故というのが一六・五件ぐらいありましたのが、この改正道交法施行後は十一件ぐらいに減っております。特に営業車の方の減り方が著しくて、従来月平均七・一件ぐらいの死亡事故の発生を見ておりましたのが三件程度に減っておるというふうなことでありますから、今度の道交法の改正はそういう意味では非常に意味があったというふうに思っております。
 ただ、この過積の問題は、他の道交法の違反と違いまして、大変に、車のドライバーの立場から見まして、使用者の問題、それから荷主の問題、そういう基本的には構造的な違反が従来あった。やはりこの事故を見ますとどうしてもそういうものがありますので、そこにメスを入れないとこの問題は解決しないということでの道交法の改正でございました。これで十二月から施行されておりますものにつきまして、具体的に自動車の使用禁止というふうな対策が現実に講じられております。ただこれも、期間を経過しますとまた少し緩むというふうなこともありますから、これの道交法の新設の規定が定着をするように、一層第一線の指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
○後藤委員 昨年の暮れから、景気が回復過程に入ってきている、あるいは公共事業投資等が年度末に相当集中してくるというようなことで、物価への悪影響があるだとかないだとかというようなことが出てきたり、荷主団体からの規制緩和の問題が出てきたりということで、いろいろな緩和してほしいという動きがあるようですけれども……。
 総理府の方、安全室長にお伺いしたいのですが、関係省庁の過積載防上対策連絡会議をお持ちだそうですけれども、これまでに何回お持ちになられて、そして、いま申し上げたような声がやはりそこの中でも出てきていると思うのですが、そういうような出てきた問題点をお伺いしたいと思います。
○三島政府委員 この過積載の問題は、実はもう過去長い間の大きな懸案でございまして、国会でも何回となく論議される問題でございます。
 幸い、先ほど来お話がございましたとおり、昨年の道交法改正以降、自粛ムードといいますか、これがかなり浸透いたしまして、かなりいい方向には動いておると思います。したがいまして、今後この自粛ムードを十分定着させていくためにいろいろ努力していかなければいけないと思うのですけれども、一つには、警察の適正な指導取り締まりと、それから関係業界に対する指導、こういった面を今後とも十分やっていく必要があろうと思いますが、何といいましても、やはり根本的にこの問題を考えます場合には、流通輸送の合理化、適正化、こういった問題までも含めて検討していく必要があろうということで、私ども関係省庁と課長レベルの連絡会議を設けまして、これまで必要に応じまして全省庁が集まってみたり、あるいは問題によりまして関係省庁だけの集まりを持ちましていろいろ検討してまいっております。
 ただいまもお話がございましたように、一時、物価に影響してきたんじゃないかというお話もいろいろございまして、またそういう問題が取りざたされまして、そういった面での関係省庁のいろいろな御検討もお願いした時期もございます。私ども、今後やはりそれぞれの省庁で、たとえば先ほど申し上げました、一番根源的な輸送物流の合理化、適正化といった問題につきましても御検討いただきたいと思いますし、また、当面の問題といたしましては、やはり関係業界に対する自粛のさらに十分なる御指導、こういった点に重点を置いて、いまそれぞれ御措置をお願いしておる、こういう段階でございます。
○後藤委員 先ほど杉原交通局長は構造的な問題ということでして、私は、やはり最近は特に荷主の要請というものは非常に強いわけです。いまは自粛しておりますけれども、これまた崩れる危険性が大変強いと思う。そういう意味で、関係の担当者だけの内々的なそういう連絡会議ではなくて、もう少し常設的なそれぞれの関係業界あるいはトラック運転手等々の団体、労働者の代表、さらには特に、荷主協会ということではないでしょうけれども、経済界の方の代表等も加えた中で、いつもやはり過積みというものがいかに交通安全の観点からあるいは流通秩序確立の観点からいって問題かということを常時協議するような機関を総理府の中に持つべきじゃないかというように考えるわけですけれども、この点が一つ。
 それから警察庁と両方にお伺いしたいのですけれども、こういうやはり緩和を求めていく声というものは陰に陽に上がってくるだろうと思うのです。この体制というものは特に強めて、厳しくひとつ過積載については対処していただきたい。不退転と言ったら言葉がちょっとオーバーですけれども、そういう決意を、一言で結構ですから、述べていただきたいと思うのです。
○三島政府委員 最初の問題でございますけれども、先生御指摘のとおり、この問題、非常に広範囲にわたる問題でございますし、労使団体といいますか、あるいは荷主等を含めたいろいろな方々の御意見、御意向は十分やはりお聞きするということは必要だろうと思います。
 実は、これまでも各省庁とも、私ども含めまして、そうした観点に立って御意見、御意向をお聞きしておる一わけでございます。それを踏まえつつ今後の対策を検討してまいりたいと考えておりますが、ただいまお話ございましたとおり、常設的な形でのそういう協議会というものはいまのところ考えておりませんけれども、今後ともやはり十分労使、荷主団体その他の関係団体の御意見はお聞きしながら今後の対策に反映させていきたいというふうに考えております。
 それから過積載対策につきましては、これはいま自粛ムードがかなり徹底しておりますが、絶好の機会だと思いますので、ひとつ気を緩めることなく今後とも十分その対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
○杉原政府委員 今度の道交法の改正をやる過程でも、当然そういうことが基礎にありましてああいう改正案をおつくりになられたわけでございますけれども、やはり今度適用してみまして、どちらかというと、運送業界というのは弱い立場にあります。だから、そういうことで、いわゆる過積載を前提にした日本の物流体系が成り立っておったのではないか。やはり年間十二、三万件の、毎年取り締まりをやってきても過積がなくならない理由はそこにあったのではないかということを今度の道交法の改正の適用を通じて痛感したわけでございます。いろいろな声はございましたけれども、やはり適正な運賃を収受して業界が物を運ばれるというのがあたりまえのことであります。ですから、人命の尊重というのは何物にもかえがたいということを基本に据えて、これからもそういう悪質なものにつきましては、荷主、使用者の背後責任の追及を徹底してまいりたいというふうに考えております。
○後藤委員 大変いい御答弁をいただきました。まさに過積載を前提とした流通がノーマルであるということをいままでやっておった、実はここに構造的な問題があるわけですが、先ほどの一人でトラックを運転するというのがノーマルであって二人というのは異常だということが物の判断が逆であるということを私は申し上げたかったわけでございまして、いまの御答弁でひとつやっていただきたいと思います。
 これと関連いたしまして、労働省いらっしゃるかと思いますが、過積と過労というものはやはり構造的な違反になるのではないかと思うのです。特に過労運転というものは、過積と裏表になっております。二・九通達で作業時間十一時間というようなことが一応通達をされておるようですが、聞くところによりますと、ILOで昨年から運転手のハンドル持ち時間なり運転時間等を何時間にしていくかということが論議をされているようです。昨年の六月に第一次の討議が行われ、ことしも行われて、ほぼ条約になっていくというような話を聞いておりますが、握りっぱなしが四時間で一日の運転時間が九時間くらいにすべきだ、こうなってまいりますと、当然これに対応する労働省の対応策というものがとられていかなければならぬと思いますが、この過労運転に対するILOでの論議を踏まえてどのような対応策を考えておられるか、時間がございませんので、簡単に一言で結構です。
○小粥説明員 先生御指摘のように、ILOで路面運送の労働時間等の条約の改正について昨年第一次討議が行われ、ことし六月に第二次討議が行われて、恐らく条約または勧告の国際文書が採択されるであろう、こういうことになっております。
 日本政府としましては、そうした国際条約についての審議を行い、国際文書を採択することは基本的には賛成であるということで昨年の審議にも臨んだわけでございまして、その後の審議の材料となりますテキストがまた新しく事務局等から送られてきておりますので、どう対応するかはこれから関係省庁とも協議をした上で固めることになっていくと思いますが、そうした国際的な動きを踏まえまして、私ども労働省としては、四十二年につくられました二・九通達自体が前の国際条約の考え方に基づいてつくられておりまして、いわゆる実作業時間というものを中心に置いて決めておりましたものですから、新しい審議内容等も踏まえて、それに合ったものに二・九通達自体を見直しをして、それに即して自動車運転者の労働時間のあり方というものが改善されるように今後行政を進めていきたいと考えております。
○後藤委員 次に、きのう・きょうも、瀬戸内海あるいは大島で大きな海難事故が起こっておりますが、そのことはもちろん後でまた委員会の方で対処していただけるのだと思いますが、航空とか海難の場合にはそれぞれ事故調査委員会とか海難審判とかいうのがあるが、陸上の交通の場合には、この大型事故に対してはこれがないわけです。飛騨川とか戸隠、青木湖、三河島、さらにはあのトンネル火災等々大変大きな問題があるのですが、私は特に運転手なり労働者の観点から申し上げたいのです。
 軌道や道路を職場としております労働者というのは、先ほどの過積載あるいは過労運転等々ありますが、大変神経をすり減らして、普通の労働勤務と違う条件に置かれている。予測することのできない突発事故災害に常に神経をすり減らしておらなければならない。そして一度起こしますと、警察庁いらっしゃいますけれども、これはすぐに逮捕、そして運転手の怠慢ではないか、不注意ではないかという部分からの指摘が、これまでの例を見ますと非常に多い。そして刑事罰、行政罰、さらには社内罰等を受けていくわけです。
 私は、こういう陸上交通関係の大きな事故等に対しても、もっと適切に直ちに対応できるような、経験のある専門家等の事故調査委員会等、権威ある公的な委員会というものを持っておく必要があると考えるわけです。この点について、これは総理府になるのでしょうか、警察庁でしょうか、見解をお伺いしたいと思います。
○三島政府委員 確かに一たび大きな交通事故が起きた場合、その事故原因ということになりますといろいろな問題があろうと思いますので、警察は刑事責任という観点から事故原因を捜査されますし、運輸省関係では恐らく構造上の問題があるかないかという観点からお調べになると思います。また建設省関係でも、道路構造上の問題に原因があるかないかの観点からそれぞれ原因を調査なされておるのが実情であるわけであります。
 私ども、実はそういういろいろな角度からする事故原因の調査というのをこれまでやっておりますけれども、やはり何か全体的にといいますか、総合的にそうした事故の原因調査をどういう手順で進めるべきか、ひとつ研究する必要があるのではないかということで、実は部外の権威ある機関に事故原因の総合的な調査手法ということについて御研究はお願いしておりますけれども、ただいまのところ、そういう常設的な事故原因調査機関を設けるということはちょっと考えていないわけでございます。
○後藤委員 これはひとつ十分に検討していただいて、この問題についてはまた次の機会にお伺いをしたいと思います。
 時間もございませんので、次に、これは小さいことのようで実は大変――親切運動というわけじゃないですが、これまた歩行者の安全ということでお伺いをしたいのです。
 私のところにお年寄りの方から手紙が参りまして、特に駅舎の階段が、交通にかかわる階段がどうも統一がとれていない、そのために足がふらつくというのですね。私ども手紙をいただいてから見てみますと、けあげ高と踏み幅がいろいろ違うのです。資料をいただきますと、国鉄はけあげ高が十六・五センチ、踏み幅が三十三センチになっております。私鉄の方を見ますと、けあげ高が標準で十五、踏み面の奥行きが三十、やむを得ない場合は十八以下、二十六以上、こういうようになっております。それから建設省から先ほどいただいたのですが、歩道橋等は十五、三十、私鉄と同じになっているわけです。
 私鉄から国鉄、あるいは国鉄から地下街というかターミナルビル等々という階段がもし全部ばらばらであるとすると、やはり子供だとかお年寄りはふらつくだろうと思うのですね。つまり一つのテンポがそこで崩れるということになりますと、どうしても危険につながっていくことになるので、これは恐らく統一的な御指導を新しい施設等についてはつくるのでしょうけども、少なくとも交通にかかわる歩道橋だとか駅につながるピル、そして商店街、こういうようなところの階段というものは、三十三と十六・五がいいのか、それとも十五と三十がいいのか。これは見ますと、ちょうど一対二にはなっているのですけれども、この点はそれぞれの担当局、ひとつ御見解をお伺いしたい。そして、お年寄りだけではなしに、歩行者が足のふらつきを起こさないような対応策をとっていきたい。また、それがまちまちのところは改善をさせていくという努力が必要ではないかと思いますので、この点お伺いをしたいと思います。
○鈴木説明員 国鉄の状況をいま先生からお話がございましたけれども、実は国鉄の施設も明治時代から非常に古いもの、最近のものといろいろございます。いまお手元に資料で差し上げましたのは、最近、十五年くらい前に、今後新たにつくる場合、それから改善する場合にはこういうふうにした方がよかろうという指針として全国に指導しているものでございます。したがいまして、現実に存在いたしますたくさんの駅がございまして階段がたくさんあるわけでございますから、その中にはいろいろな寸法がございます。私どもの十年ほど前の調べによりますと、いろいろな寸法があった中で、一般の学者、研究者の資料がある、その中からこの十六・五センチと三十三センチというものが、まずまず経験工学的にも十分ではないかということでしてあります。
 そこで、御指摘の問題でございますが、二つあるかと思います。
 実態は、私どもの体験しております何十年かの体験では、一連の階段の中で、一つの階段と次の階段とのリズムもございますが、一つの階段の中で、一段ごとで高さが違うとか最後の段で違うとか、これの方が実は非常に問題が多うございまして、この方面には十分な注意を注いでいるところでございます。
 なお、御指摘のありました点につきましてば、運輸省の方の御指導も建設省の方の御指導もございましょうが、私どもの目下のあれでは、この程度の差、現実には幾つか存在するわけでございますが、階段から階段に至るまでに、他施設に至るまでに水平歩行区間がかなりあるものですから、むしろ角度としての二対一というリズムとしてこの程度の差は現実に大きなあれはないだろうと思います。しかし、御老人の方もございます。今後とも関係各省と慎重に検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○渡辺説明員 お答えいたします。
 ただいま先生がお話しになりましたとおりの寸法でやっておるわけでございますが、階段につきましては、これは昔からいわゆる建築等で長い間の経験があるわけでございまして、建築基準法では、ただいまお話のありましたように、若干きつい階段というのが普通のようでございます。ただ、私ども四十年と五十三年に歩道橋等の基準を決めました際に、鉄道等の実例等も調べまして、それから一般の建築と違って若干人が集中する場合もあり縛るということで、少し緩い方がいいかということで決めたわけでございまして、ただいま国鉄の方からお話ありましたとおり、この一対二というものを守っております限りでは、水平区間もございましょうし、リズムは保てるのではないか。ただ、小学校の子供などが通ります歩道橋、こういったものは若干けあげを低くする場合もございます。その辺は、ケース・バイ・ケースで考えてまいりたいと考えております。(「国鉄と私鉄と違うじゃないか」と呼ぶ者あり)
○原説明員 民鉄についてお答えをいたします。
 いま先生も御指摘ございましたように、民鉄につきましては十五センチ、三十センチということで新設のもの、それから改良のものについて指導をしております。この階段のけあげ及び踏み面の奥行きでございますけれども、いま国鉄の方から話がございましたが、均等割りつけ、同じ高さに割りつけていくのが原則でございます。したがいまして、階段の始端と終端の高低差、それから階段を取りつける水平の長さでございますけれども、それの多少の違いによって、それを均等に割りますと、設置場所によってはどうしても寸法の違いが出てきてしまうわけでございます。したが・いまして、運輸省の方では、標準としては十五センチ、三十センチでございますけれども、やむを得ない場合は、先ほど建設省の方からお話がございましたように、建築基準法の範囲内でございますとけあげの高さ十八センチ以下、奥行き二十六センチ以上ということで、それもやむを得ない場合は認めているというのが実情でございまして、いま国鉄と民鉄と多少違うではないかというお話がございましたのですけれども、これにつきましては、民鉄については民鉄の既設の階段の寸法の状況を調べ、それからまた交通弱者の利用状況等を配慮いたしまして、いまお話のございましたような数字に決めたわけでございまして、ただ勾配そのものは民鉄と国鉄は同じ勾配にしております。多少の寸法の違いというのは、いま国鉄の方からお話がございましたようにやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。
○後藤委員 時間が来ましたのでこれは要望しておきたいのですが、どうも先ほどから過積載にいたしましても、左折事故の問題にいたしましても、いまのこの問題にいたしましても、やむを得ないものばかりを前提にされている。やむを得ないものはやむを得ないのです。非常に狭いところとか急なところをこの規格どおりにやれということを申し上げているのではなしに、標準はどちらか、三十三対十六・五がいいのか、それから三十対十五がいいのか。いずれにしても交通機関の連続性というものはなされておくべきだろう。そして、最近はエスカレーター等もそれに付設されております。エスカレーターの歩幅がどうなっているのか。それから傾斜角度、こういうようなものについても標準は一応統一されてしかるべきではないか。どうもやむを得ないものばかりを前提にされるということになりますと、これはもう議論する必要はないのです。みんなやむを得ないもの、混合交通になっておりますし、それぞれの人間の歩幅も違いますし、足の長さも違いますし、お年寄りから子供までいるわけですから、そのこと全部に合うようなものはできっこないのですけれども、少なくとも公共交通機関の階段等については、いま私が御指摘申し上げたのですけれども、それが、いやいまのままでいいのだというように思われてないと思います。したがって、これからの指導としてはこれをひとつどちらかの方に統一される方がよろしいのではないか。
 そしてまた、人が通らないところをお年寄りの方が一人でえっちらおっちら階段を上るということじゃないでしょう。たくさんの通勤者だとか人の流れの中でお年寄りも子供も動くのです。その場合にリズムが狂うということは足元がふらつく、ふらつけば当然これはけがをする、あるいはお年寄りの方々は死亡事故だって起こるでしょう。これは警察庁でもし次の機会がございましたら、そういう歩行中の事故等ももしあれば後でまたお知らせをいただきたいと思う。私は実はそのことを申し上げておる。
 きょう国鉄の方には大変申しわけございませんでしたが、線区別の事故の問題等について、あるいは公共交通バスのこれからの安全運行といいますか、特に公共交通バスは定時制を尊重しなければならぬ、これが渋滞等で動きがとれない、このことにつきましても、また次回に時間をいただいて質問さしていただきたい。きょうは出席していただいておいて大変恐縮でございますけれども、私の時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。
○有島委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 飛行機関係がいまストライキに入っているようです。テレビや新聞を見ていますと、客室乗務員の諸君がストライキをやるのに対して、地上の管理職の諸君がグループを組んでその客室乗務員のかわりの仕事をやっているというのがかなりクローズアップされて報道されておりました。もちろん労働者の権利としてストライキがあり団体交渉権があり、そしてそれに基づいて要求を解決していくという権利上のあり方、そういうものを保障するという立場からも、私はこういうあり方というのはよくないなと思います。それはさておいても、乗客の側から言っても、臨時にああいう人たちを配置して果たして保安の任務につけるものなんだろうかどうか。私はむしろそちらを不安に思うわけです。
 大体、サービスの分野から見ても、これは余りサービスがいいようには思わぬのです。それは、現実に女性が機内のサービスをやっているという事実なりあるいは乗客に対して日常的に安心感を持たしているという面なり、あるいは緊急事態の場合だって冷静さを機内に保たせるという役割りが、ハイジャックの場合でもそれからそうでない事故の場合でも、果たした役割りは常に大きかったと思うのです。こういう諸関係から見て、臨時の措置だとは言い条、ああいうことをやらしておって果たしていいものなんだろうかどうか。運輸省としてはこの問題に対してどういう見解で臨んでおられるのかをまず聞かせていただきたいと思います。
○松本(操)政府委員 先生いまお話しのございましたように、今次の春闘に係るストライキ関係で、男性の、臨時と呼ぶのか代行と言うのかよく存じませんが、通常のスチュワーデスの勤務にかえて男子管理職職員が乗っているのは事実でございます。それで非常に報道されているのも私、承知しておりますが、客室乗務員というものにつきましての私どもの考え方は、いま先生のお話の中にサービスのお話もございました。もちろんそれも含まれるものと考えますが、航空法的な見地から申しますと、ともかく航空機の安全な運航ということに寄与すべき立場のいろいろな乗組員その他いろいろな職務があるわけでございますが、その中で客室乗務員というものをとらえておるわけでございまして、客室乗務員というものは、やはり緊急事態における措置についての相当の訓練と、それから実務上の力を持っている必要がある。これは航空法施行規則の中に「客室乗務員」という言葉が出てまいるわけでございまして、したがって客室乗務員のありよう等につきましては、運航規程及び運航規程の実施細目というふうなところで具体的な面を各会社ごと決めさせ、それを認可あるいは承認にかけるという形で実務的な面の確保を図っておるわけでございます。
 したがって、いまお話しのございましたような点について、通常そういう形で行われるというのは別といたしましても、少なくとも乗務させるからには、しかるべき訓練を経て安全の確保のためには支障のない程度にまで練度があるという状態で乗務するということでありますれば、サービス面はさておき、安全の確保については一応最低限が担保されているというふうに私どもは考えるわけでございますが、問題の基本であるそういったような形が常時行われるとかということにつきましては、おのずからまた別途の議論もあろうかと考えております。
○寺前委員 それで、今次とられている措置は保安の分野から考えて適切な措置として見られますか。その点は検討されましたか、全然知りませんか。
○松本(操)政府委員 今回の男子地上勤務員の乗務につきましては、実は日本航空の場合でございますが、昭和五十年ごろからそういったような訓練が断続的に行われているわけでございまして、訓練の内容等につきましては、それぞれ先ほど申し上げました実施細目によって何時間という訓練の時間の規定がございます。その規定に従って訓練を受け、さらにその後、少なくとも一年に一回はリフレッシュの訓練を受け、あるいは年齢的な面あるいはその時点における健康状態等をも勘案して乗務さしておるというふうに私どもは承知しておりますので、現時点における限り直接的に安全上大いに問題があるというふうには必ずしも考えておりません。
○寺前委員 そうすると、長期にわたって訓練をしてきた人たちであるから、訓練の面からもそれから実務上の力の面からも十分果たし得る人たちであるという判定を下すことはできる、こういう意味ですか。それが一つと、それから現実にはどういう飛行機にどういう形でどれだけの人を乗せているのか、ちょっと報告してくれますか。
○松本(操)政府委員 訓練につきましては、先ほど来申し上げておりますように、一定の定められた期間の座学及び実技の訓練をして、さらに古い人たちについてはその後、年に一回のチェックを行い、さらに乗務せしめる時点においてその人の健康状態等を確認した上で、乗務にたえる者を乗せておるというふうに私どもは理解をいたしております。
 それから、現実に乗っておりますのは国内線用の747SRそれからDC10の国内線用だと思います。この両機種についていま話題に出ておりますようなの、が乗っておりますが、そのクルーの編成、チームの編成に当たりましては専門のチーフを一人置きまして、その下にいま話題に供されておりますような人員による編成のものを乗務さしておる、こういう状況でございます。
○寺前委員 私がちょっと調べたところでは、今回の諸君たちは三十八時間の訓練をやった、それでいまおっしゃったような機種に乗せた、おっしゃったようにチーフないしは責任者一人のほかはグループを組んでそれらの諸君たちが乗ったというふうに聞いている。これは間違いございませんね。
 それで、その訓練を受けて乗る諸君たち、いわゆる地上管理職者というのですか、こういう諸君たちというのは課長以上の諸君たちであって部長までを含めてやっておるようですけれども、そうすると、かなりの年配者になるのではないだろうか。四十歳以上の者がほとんどこれらの任務についたというふうに見てよろしいですか。
○松本(操)政府委員 管理職の職員でございますので、私の承知しておりますところでは大体四十二、三から四十四、五くらいのところが一番多い。それよりやや若い方に山があるというか、すそ野が大きい。四十四、五歳以上のところは急速に減っておるようでございます。
○寺前委員 いずれにしたって、四十歳前後の諸君たちが三十八時間の訓練をやって、そしてあとサービスの訓練などもやって任務についたというのが主たる今日の、乗った諸君たちがグループを編成して参加している姿だろうと思うのです。そうすると、私、若い諸君と年配者の諸君が時間数が同じだからといって能力が果たしてそういうことになるだろうか。たとえば自動車の免許の場合だって、若い諸君たちがとる時間数と年配者のとる時間数というのは、運動神経の度合いというのはうんと違うと思うのです。私ら自身考えてもそうだと思う。これは非常事態の保安ですから、機敏な作動をすることが常時求められているし、非常事態の場合にも求められるという性格だと思うのです。そうすると、同じような訓練程度では実務能力を十分備えられるというふうに、単に時間数だけでは決められない性格を持っている。私は、そういう意味で、これは時間数さえやっておったらよろしいというふうには言えない段階にあると思う。現に、この訓練中にシュートからおりてきて下で足を折ったという人も出ているという報告を私は聞いたのですよ。それはそうだろうと思うのですよ。緊急に訓練をやって、すぐに間に合わそうと思ってやってみたところが逆に事故が起こるというのが、それが帰結だろうと私は思うのですよ。柔道だって、若いときにやる柔道と年いってからやる柔道というのは全然違いますよ。だから、年輩の諸君たちをこの任務につけて、時間数を見てそれで十分能力があるというふうに判定するというのは、私は、保安という重大な任務につけている諸君たちに対するあり方としては問題があるのじゃないか、そういうふうにレッテルを張るというのは。骨折事故があったということを聞いているけれども、そういうことがあったということは知ってますか。
○松本(操)政府委員 訓練の過程で骨折事故を起こした方が一人いたということは承知をしております。これは、脱出シュートをおりますときに、心もち足を上げておりるのが常識だろうと思いますが、どういうわけか突っ張ったままおりてきて激しくぶつけたのが原因のようでございますが、この人は初めてではなかったようです。前にも経験のある方のようでございましたが、そういう点で、もちろん人によっていろいろと差がございますし、年齢によって差があるというのも先生おっしゃるとおりかと思います。私が申し上げたのも、一定の期間の訓練というその訓練の、特に実技につきましては、そばでインストラクターがちゃんと見ておりまして、ぐあいの悪い者は何回もやり直しをした上で、これで十分満足すべき技量に達したというところで終わり、こういうことになるわけでございますので、ただ漫然と五時間やったから終わりとか、六時間やったから終わりというふうな訓練をしているというふうには私どもは理解をしていないわけでございます。
○寺前委員 理解していないと言ったって、実際問題としてはそういうカリキュラムで訓練をやっておったんだから、だから、そういうカリキュラムで一通りやりましたということだけではちょっと無理が起こっているんではないか。私は、やはり監督官庁としては、会社じゃないんだから、こういうやり方について十分に慎重に、きちんと見てもらう必要があると思う。現に勤務についた人たちを見てもわかる。どういうことなのか知らぬけれども、ともかく、機内で飲み物を配る場合でも、熱いものを配って人にぶっかけたりしたら、あと損害の補償もあるし、保安要員どころか危険分子になってしまいますから、だから冷たいものを配らしておる。これは、やはり管理者としては、あんな諸君をすぐに任務につけても大変やぞと心配したんだろうと私は思う。配るもの自身も気にせんならぬくらいまで年輩者が任務についているという問題については、長年の経験者じゃないんだから、無理があるということを知っておったんだろうと私は思う。そう簡単にいかない。
 それからまた、飛行機に乗っている最中でも、いよいよ着地になってくると、全部ベルトがちゃんとついているかどうか、ふだんはずっと回って点検してくれます一わな。そして、しかるべきときに自分も席について安全ベルトをしてちゃんとやるでしょう。ところが、今度は現に乗っている人から聞いてみたら、その人たち自身を、早く座りなさいとかちゃんとベルトを締めてとめんどうを見なければならぬ事態がこの中で発生してきているでしょう。これも私は乗っている人から聞いたんです。こんなものを保安要員の任務につけたという方が、これがかえって乗客に対する不安を増している。私は、そう簡単にこの職責の人たちが臨時の訓練でそういうものにつけるというふうに見るのは甘いと、そういうふうにこの事態から思うわけです。しかも、ジャンボの場合、747SRですか、この場合二階がありますよね、二階の脱出口というのは、操縦席の中へ入って脱出と、こうなるでしょう。だから、機敏性と指導性というものは非常にむずかしい問題があるんですよ。だから、従来からもあの二階席はやめいという声があったわけでしょう、関係者の間から。だから、そのことがあったのかどうか知らぬけれども、今回はこの席については販売はしていないということを見ても、やっぱり管理者の方が危険だなということを知っているわけですよ。
 ですから、私は、この臨時につけた任務というものについて、ちょっと航空局について、それで訓練が終わってますよというふうに簡単に早計に言い切るというのは無理がある。何か、私よく知りませんが、ドアから一分三十秒で全部出るように脱出訓練というものはちゃんとやっているわけですか。そういうものを考えてみたときに、これではちょっとこわい。
 そこでちょっと聞きますけれども、今度の任務については、さっきちょっと言いましたが、チーフなり。八一サーが一名おって、あとは全部このグループで任務につくという乗り方を、ジャンボやDC10ですか、やっているわけでしょう。これは間違いないですね。これは間違いないとするならば、たとえばジャンボの場合だったら二階を含めて五室ありますよね、それからDC10だったら四室ということになるのですか、そして、従来その部屋単位にちゃんとアシスタントパーサーがおって、全体の指揮と、各部屋別に責任を負う人たちがおるというやり方をやっておったと思うのです。そしてそれにスチュワーデスがついておったと思う。ところが全体の経験者は一人だけである。全体指揮者は一人だけである。アシスタントパーサーの部署というものをやる人たちがみんなこういう人たちで編成をしている。さてそんなことで各室の責任を持たすことができるのかどうか。全体指揮者だけで何百人という人が乗っているんですよ。全体の指揮者だけでそれがいけるものだったら、アシスタントパーサーなんていうものは要らぬということになるのですよ。アシスタントパーサーが要るという制度になっているということ自身は、各部屋ごとにちゃんと各部屋ごと指揮者というものが要るんだぞということを意味しているんじゃないですか。それが各室ごと指揮者はこういう人たちで編成されているとするならば、このこと自身問題を感じませんか。どうです、そこは。
○松本(操)政府委員 いま先生からるる御指摘がございましたが、実務上の問題として、冒頭私お答え申し上げましたように、サービスの面においてはやはり一種の異常事態であろうかと思います。通常の場合と異なるというのは御指摘のとおりであろうかと思います。したがって、たとえばアシスタントパーサーというものの職務等も、もちろん非常の場合、脱出等についてそれぞれのコンパートメントごとにスチュワーデスを指揮して旅客の誘導に当たるというふうなこともございましょうが、通常の乗務中の相当の部分については、ギャレサービスあるいはその他のいろいろなサービス面に十分に細かに気を配るというふうなことがアシスタントパーサーの大きな仕事の内容の一つになっているだろうと思います。それがすべてとは決して申しません。したがって、現在の乗務の状態で総括的な指揮をとるのは経験を十分に積んだチーフが一人おる、その下に訓練を受けた管理職という形で編成されているのがきわめて望ましい形かあるいは常道的な形であるかということであれば、まさに先生おっしゃるように通常のスタイルとしてあるべき形ではなかろうかと思います。
 ただ、非常事態において必要最低限の安全の確保ということができるのかできないのかという点につきましては、細かな点についての御指摘もございましたし、今後、私どもといたしましても十分に監督してまいるべきであろうというふうにいまさらながら思っておりますけれども、しかし、いまの時点において最低限の安全の確保に欠けるところがあるというふうには私ども実は考えていないわけでございます。ただ、最低限の安全というのは、さらに安全度を向上させていくという点は当然のことでございますので、いろいろ御指摘の点をも踏まえ、今後の指導の材料にしてまいりたい、このように考えております。
○寺前委員 私はサービス面をいま指摘したのじゃなくして、非常事態の場合にこそ各部屋ごとの指揮者というものが重要な位置を占めてくると思うのですよ。サービスの場合は大したことないと思うのですよ。それは、少々ぶこつであってもがまんしてくださいということになるかもしらんけれども。異常事態の場合にみんなが神経が高ぶるのだから、そのときに冷静に指揮する。実戦的にも能力を持たなんだら、この指揮はできないということになると思う。その場合に、何百人という人が乗っているのに、たった一人の経験者でもって全体を指揮するということは不可能なことなのです。それでちゃんと各室別にそういう能力を持った人を配置する。これは欠かしてはならない重要な要件だろうと私は思うのです。だから、このアシスタント。八一サーになる人たちは、三年間のスチュワーデスの訓練を、実戦をやった人の中から受験資格を与えてこの任務につけるやり方を現にやってきているわけでしょう。やはり一定の経験というのを、三年というのを持たして、それを受験資格にしているでしょう。私はこれは意味があると思う。ここの任務は違うのだぞということの重要な位置づけがある。これを軽々しく見たらいかぬ。
 それからもう一つ、私は専門家ではないからよく知らないけれども、ジャンボの場合に、あの翼のところのドア、L3ドアというのですか、あそこのドアのところの開閉問題というのは違うのだそうであります。これまた能力が要るそうです。海の場合と陸上の場合は、使い方は全然違うのだ。下手なボタンの押し方をやったら大変なことになる。使い物にならなくなる。一番心配する、一番最大のむずかしい問題はそれだというのだ。ところが、それを全く関係ない諸君たちを、経験のない諸君たちをその任務につかしている。これは大変な問題だと私は思う。これはみんなが知らぬから、事故も起こってないから、ああ乗れたなということで済むかもしらぬ。だが、知ってきたら、こんなひどいことでいいのかいな、ぶこつな者にサービスなんといって新聞やテレビに載ったくらいのものとは違う問題をこの問題は含んでおると思う。客室乗務員の果たしている役割りというのをもっと見直してもらわなくてはいけないと私は思う。
 それからさらに日航に聞いてみたら、こういうことになっている。ジャンボの747は、十二名の中で新人は四人以上乗せないということに社内の運用基準でちゃんと書いてある。それからDC10の場合は、八名の中で三人以上は新人は乗せないということを書いている。それほど慎重にやってきているのに、社内の運用基準はもう完全に踏みにじっている。というのは、いまの諸君たちを臨時でグループごとばっと乗せているのだから。これは経験からつくり出したところの社内の運用基準だ。実戦的にも問題だし、つくられてきた基準から考えても問題だ。
 さらに、従来会社の表彰の中に、スチュワーデスやパーサーなどが飛行機のエンジンの音を聞いて異常さを発見する、燃料漏れを発見するということによって航空機の安全に貢献をしているということで表彰されている例というのがたくさんあるという。そういう積極的な役割りを果たしておる。さて、これらの諸君たちにそういう積極的な役割りを求めたって無理ですよ。ともかく飛行機のフライトをする前にみんな集まって打合会をやる。その打合会で何をパーサーが言うか、チーフが言うか。何でもあったら全部言うてくれ、こういうことを言わにゃならぬほど、ともかく程度が悪い事態にあるのだから、だから積極的な役割りを果たす事態。客室乗務員が任務についていない。チーフ自身が不安なんだから。しかもほとんど老眼鏡をかけなければならぬ年齢になってきているから、その打合会のときに黒板に書いてある、どこにどういうものが置いてある、どこが脱出口かという字が見えないので、近くで見なかったら説明ができないというほどの事態になっているというのですよ。それはハンディがものすごくある諸君でもって編成しているのだから、これは細かく判断しなければいかぬですよ。私のいま言った社内基準でジャンボの場合だと四人以上、DC10の場合だったら三人以上はそうしてはいかぬとかなっているのは、事実と違うていますか。あるいはまた、その果たしている役割り、エンジン異常とか燃料漏れ、そういうものを通知して、そして輸送上大きな役割りを果たしたということの事実、間違いがありますか、そんなことは絶対ないと言われますか。それが果たしている役割りは大きいのでしょうが、その点どうですか。
○松本(操)政府委員 いま非常に細かい御指摘がございましたが、一クルーについて何人以上の新人、フレッシュマンを乗せる、乗せないというような話について、ちょっと私はいま手元に資料を持っておりませんので確認できないわけでございますが、ただこの点は御理解いただきたいと思うのでございます。
 つまり、スチュワーデスの場合には高卒、短大卒等を一定期間かかって訓練をして、一応これなら飛行機に乗せてもまず仕事ができるだろう、つまり作法、行儀から全部教え込んで一応のスチュワーデスにするという状態のフレッシュマンという考え方であろうかと思いますが、先ほど来お話しになっておりますものはまさに管理職の人間でございますが、会社に入ってともかく相当期間の職務経歴というものは持っておりますし、あるいは何人かの直接、間接の部下を持っている人もおるわけでございましょうから、したがって二十そこそこ、二十三、四歳という女性のスチュワーデスあるいはアシスタントパーサー等に比べて、やはり四十歳前後あるいはそれ以上という年齢の持つ社会的な経験といったようなものはそれなりに生かされているというふうに理解してよろしいのではないかと私は思うのです。ですから、一律にこれらをただチェックアウトしたての新人であるというふうな考え方で律するのはいささか当たらないのではないかと思います。
 ただ、いまお話の中にありましたたとえばエンジンの異常音ですが、最近のジェット機の場合、エンジンの異常音というのはどういうふうなものか私もよくわかりませんけれども、そういう例があるいはあったかも存じません。油漏れ等を発見したというふうな例もあるいはあったのかも存じません。これも私、逐一具体的な例を承知しているわけではございませんが、あったかも存じませんが、本来的な客室乗務員の任務外にそういうことをよくやってくれたというのではないかと思うのでございまして、通常の客室乗務員のデューティーの中にそういうものを含ましめるのはいささか酷であろうかと思います。ましてやいま申し上げたように二十幾つのお嬢さん方にそういうふうなことまでやれというふうな訓練もしておりませんし、要求もしていない。だからこそそういうふうな才のきいた措置をとってくれた人があった場合に何がしかの表彰というふうなことをしているのではないかと思うわけでございます。
 それは別といたしまして、いまるる御指摘のありましたような点で、たとえばドアのあけ方とかいうふうな点は、これはまさに訓練の一番の主眼でございます。こういうふうな点をなおざりにしたまま乗務せしめておるというふうなことであるとすれば、これは問題があろうかと思います。ただ、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、現在会社の行っております訓練のありようというものから見て、御指摘のような極端な例は私はないのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、いろいろと細かな点についての御注意もあったわけでございますので、今後の問題として私どもも十分に勉強はしてまいりたい、このように考えます。
○寺前委員 それで問題はどこからこういうことが起こったかというと、ストライキ中に飛ばしたいというところから起こっているわけでしょう。だからおまえらストライキやったって飛行機は飛ばすんだ、ストライキなんて効果ないようにしちゃうんだぞというところから起こっている発想なんだから、大体そうでなくても前から組合を分裂するような状況をつくらしたとしたら、そうしたらそれ自身が安全輸送に重大な影響を及ぼすから、組合対策についてはそういうふうに会社側はしなさんな。この委員会でも何回か問題になっているし、運輸委員会でも問題になっていますよ。そこに一つの問題点がある。ちゃんと労働者の権利として団結権があるし、団体交渉権があるし、ストライキ権があるんだ、ちゃんと尊重するんだという立場から物を見ておったら、こんなむちゃな、無理なやり方をしなくたって、ちゃんと乗客に責任あるやり方をとることができると思う。問題は、スト権をつぶしたろ、ストライキをやるやつをつぶしたろというところから乗客を逆に危険な段階に巻き込んでいるというのが事の真相じゃありませんか。私はそういうやり方をやらしておったら大変だと思う。そんな軽々しく飛行機の乗客を巻き込んで、そしてストライキなんてやったってだめなんだぞというようなことに使おうという、そういう根性自身を直さにゃいかぬと思う。もっと乗客に責任を負うという立場であったならば、私はむしろそういう点を航空局は考えて、運輸省はよく考えて、そういう無理な、客室乗務員をそういう形でつくって乗せさすというのは問題があるぞと指摘をして私はしかるべきだと思う、もっと積極的に。そんな、各部屋ごとに全然未経験者同士が集まって経験者は何百人の中でたった一人だというようなことで、さあ万一が起こった場合には右往左往になってしまいますよ。右往左往で済まぬかもしれぬ。どないするんだろう。きわめて簡単な話だと私は思うのですよ。こんな重大なことを、私はテレビや新聞でばっと載ったときに私はすぐに感じたのは、おもしろいという事態で載ったか知らないけれども、異常な事態をやるのだなというふうに、私は直観的にまずそっちの方を心配したのですよ。それで私もちょっと聞いてみたのです。
 ですから、今後の対処という問題よりも、現実に危険な事態のままでこういう非常事態が発生した場合に任務につけぬようなことをやっている、こういうようなことは直ちにやめよ、そういうふうにむしろ注意を喚起してしかるべきじゃないか、現にいまやられているのだから。だから、緊急に調べていただいて、こんなやり方でいいのかどうか直ちに検討して措置をとるべきだ。それを最後に局長にちょっと聞きたい。
○松本(操)政府委員 いろいろ委細の点について御指摘を承ったわけでございますが、現時点において私は御指摘のような危険が満ち満ちた状態であるというふうには必ずしも考えておりません。それなりの訓練を行い、それなりの人選を行って乗務せしめておるというふうに理解をしておるわけでございます。
 しかし、御指摘のことでもございますので、先ほど来お答え申し上げておりますように、こういうふうな形にならないようにということはもちろんのこと、これはまたおのずから別の議論でございますが、それを別といたしましても、この状態においていささかたりとも航空機の運航の安全に支障のないようにという点については、私どもも十分の配慮をしてまいりたい、このように考えます。
○寺前委員 直ちにこういうやり方を改めさせるように指導してもらいたいということを言いまして、残された時間、二つほど最近気づいた点について御説明をいただきたいというふうに思います。
 一つは、自賠責の強制保険の問題です。予算委員会で自賠責の特別会計運用益の使途についてということで、自動車事故対策センターに対する助成、自動車事故対策費補助金、こういうものに使っていますというのをいただきました。しかし、考えてみたら、自賠責は強制的に入っているわけですが、この運用益というのは六割が国家の方に還流をするようになっておるので、その六割分についての説明をこうやって聞かしていただいているということになっていると思うのです。そうすると、あと四割分については、これは個人と会社との契約で保険というのは存在しているのだから、会社のものだと言えばそれきりか知らぬけれども、これは強制的にどこかの会社に入っての関係で保険が成り立っているものですから、したがって、考えてみたらあと四割の問題についても、どういうふうにそれが使われているのかということは、国民の前にしてもいい性格のものではないのか。これについてわれわれは寡聞にして聞かしていただいたこともないし、それからまた、広く世間の人もどういうものに使われているかは知らない。ですから、前は何か保険会社の社長さんらで御相談になって、適当にお使いになっておったのかどうか知りませんけれども、最近は別途に検討されて計画的におやりになっているようにも聞いておるので、それじゃ別に隠しておくことはなかろう、隠しておるとすれば何かまたおかしなことでもあるのか、こういうふうに言わざるを得ぬと思うのです。そこで、所管は聞いてみたら大蔵省だとおっしゃるのだから、それじゃこの際に、一体その益金をどういうふうに使われているのか明らかにしていただきたいというふうに聞きたいと思うのです。
○貝塚説明員 お答えいたします。
 御指摘のように、自賠責の運用益と称するものは、収入がありましてから支出までの時間のずれから生ずるものでございまして、御指摘のように強制保険でございますから、保険会社が私すべきものでございません。この使途につきましては、自動車損害賠償責任保険審議会がございまして、その答申がございまして、その答申は四十四年、四十八年、最近では五十三年と三回ほど大きい答申が出ておりますが、その使途につきましては、まず保険収支の改善に充てなさい、あとは収支の動向を勘案しながら、救急医療体制の整備、それから交通事故の防止対策その他被害者救済に充てろというふうになっております。四十六年からこれは発足しているわけでございまして、最初は日赤とか消防庁とか、ごく限られたところに約三億ほどいっておりましたが、大体毎年毎年発生額が百億ちょっと超えます。それからいろいろな使途に使いまして、将来のために留保しておくということで残高が大体二百七、八十億毎年あると思います。一番最近といいますか、五十三年度がまだ出ておりませんので、五十二年度の数字で申し上げますと、日赤に約二十六億、済生会に約十五億、それから消防庁に二億、警察庁に十二億、それから交通遺児育英会の進学資金に二億五千万、それから脳外科医の育成に約十八億、それから冒頭に申し上げました収支の赤字補てんに五十六億、その他合わせて百三十七億が五十二年度に支出した状況でございます。
 それから冒頭に御指摘がございましたなぜ黙っているのかというお話でございますが、実はこれはこの委員会でもずいぶん長いこと問題になりまして、損保の方も非常に神経質になっております。そこでしかし、先生がおっしゃったように発表しないと何かかえって疑われるということがございまして、昨年日銀の記者クラブで発表したらどうかということを私申しまして、日銀記者クラブでは協会長の方から発表をいたしましたけれども、残念ながら記事に取り上げられなかったという経緯がございます。
 以上でございます。
○寺前委員 それは何に何ぼぐらいという大まかな話だけですけれども、そこでずいぶんたくさんの運用益金も出るようになってきているということになってくると、強制保険で、自動車を持つ者もふえておるから、ずいぶんになっておるから、国民の側から言えば保険金はもっと下げられぬのかという話が一方では出てくるのです。それから一方ではそうやって益金が出てきているのであったら、益金がもっと目に見えるようにわかりやすく、こういうふうにして皆さんのお役に立てるようにしておりますというふうにもつとわかりやすい――郵便貯金の場合だって、わかりやすくこういうふうに使っていますとかいってちゃんと説明しております。そういうふうにわかりやすいような説明を、発表するんだったら発表するようにやったらどうなんだ。国民の側から言ったら二つの疑問がそこで出てくると私は思うのです。第一点の保険の掛金の方は安くなるという方向は検討されているのかどうか。それからもう一つの方は、わかりやすくこういうふうに使っています、それで益金がこれだけ出て、こうやってお役に立っていますというのを、ちゃんとこれから、いま言われた数字だけでは何も国民がわかりやすいということは一つもないので、わかりやすいように、たとえば救急自動車を何台買って、それで各県に一台ずつ贈りましたとか、わかりやすくしたらなるほどそういうものに使っておるのかな、こうなってくると思うのです。そういうものをもっとわかりやすく至急発表する、今後系統的にそういうようにやっていく、この二点について御質問したいと思います。
○貝塚説明員 お答えいたします。
 第一の保険料を下げるという話でございますが、実は収支の検討は毎年必ずやっております。御記憶に新ただと思いますが、昨年の七月一日付で自賠責の限度額を千五百万から二千万に上げましたときも保険料は据え置きました。これはいろいろ問題がございまして、限度額をそのままにして保険料を下げるか、保険料をそのままにして限度額を上げるかはいろいろ意見の分かれるところでございますが、大方の意見は保険料はそのままにしておいて限度を上げろというような御意見がずいぶん強かったように思いまして、私ども先ほど申しました自賠責の審議会に諮りまして、保険料を据え置いて保険金額、その給付の方を上げるという道をとったわけでございます。毎年毎年私たち検証しております。その結果をこの委員会あるいはほかの委員会でも発表しておりますので、保険料を引き下げるか、保険金を上げるか、そのときまた十分御議論をしていただきたいと思います。
 それから第二点の公表の問題でございますが、実は突然の御質問で、私自身の感じといたしましては大変貴重な御意見でむしろありがたいわけでございます。実はこそこそやっているという印象をどうしてもお持ちになって、私としては何もやましいところはないのでございまして、オープンにやるべきだと思いますが、やはり先生御承知のように、これは損保の金ということと、もう一つはこの運営は運営委員会というのに全く委託しておりまして、私たちは顧問という変な形でございますが、そこに出ております。いまの先生の貴重な御意見を近く開かれます運営委員会に十分に諮りまして、具体的にどうするか、われわれがやるとついわかりにくくなるからということもございますので、わかりやすいためにはどうするかということで、そういう具体的方策をぜひ検討いたすことをこの席でお約束いたします。
○寺前委員 最近私の手元に相反する意見の二つの要望、陳情が出てきているわけです。一つは日本自動車会議所というところから自動車検査登録書士制度の創設に関する要望書、もう一つは立法化反対陳情書、これは行政書士会というところからです。それぞれ相反する意見が出てきておるのですけれども、これは一体どういうふうな見解をお持ちなのか。検査登録というのはそもそも本人がするんだろうけれども、本人がするに当たってややこしいものだから、ややこしければサービスするのはしかるべき当該の行政機関が大体サービスする性格だ。行政機関に協力してサービスする人があるならば、商売上サービスした方がいいんだというのだったらそれはサービスとしてやっておったらいい話だ。それでいろいろなサービスがある。不安だという人が、それでは商売にしておられる行政専門の人にいろいろわからぬから頼みます、大体これが常識的な物の見方だと思うのですよ。ところが、これまた別の専門の、この分野だけの行政のあれができてくる。こういうものが制度化されてくると、行政機関の方も仕事がいっぱいあってややこしいものだから、あそこへ行って頼んでやってもらいな、こんなことになってくると、行政機関としてもやり方としては正しくないだろうというふうに私は思うわけです。何といってもそもそも行政手続をするのは本人の側ですから、本人の側がやるに当たって、ともかく金がかからずにうまいことやれるのが一番本人にとっては助かるのですから、その立場から見て相反する意見が出てきていることに対して、当局としては一体どういうふうに考えておられるのか、説明をしていただきたい。
○梶原政府委員 自動車の検査登録関係の申請手続につきましては、ユーザー自身が行うことが原則でございますが、年間約三千七百万件に上る申請件数の大部分は、ディーラーとか整備事業者がユーザーの委任を受けてその手続の代行をやっているのが実情でございます。これらの申請手続の代行業務のうち、申請書の作成事務についてかねてから、先生ただいま御指摘のございました行政書士と自動車関係諸団体との間で調整が必要とされまして、運輸省におきましても代行業務の円滑な実施の確保を図るため、先般来関係者に対する指導等を行ってまいったところでございます。御質問のとおり、自動車検査登録書士法案につきまして議員立法の検討が進められておるように承っておるわけでございますが、運輸省といたしましては、関係当事者間の円滑、協調のもとに当該業務の的確な遂行が確保できることを希望しておるわけでございます。
○寺前委員 時間もないからあれですが、要するに行政書士会の諸君たちというのは、長年自分がやってきている職域をつぶすなよということを含んでいるんだろうと私は思うのです。必ずいろいろな問題が起こってくる過程はそういうことになると思うのです。したがって、そういう人たちの意見を無視するようなやり方をさせては困るというのが一つの問題点だろうと私は思うのです。その点は十分に配慮してこういう問題に対処していくということを考えておられるのかどうかをもう一度聞いておきたいと思うのです。
○梶原政府委員 実態から申しますと、先ほども御答弁申し上げましたように、自動車検査登録関係の申請手続につきましては、ディーラーなり整備事業者、全国に約二十万ほどいらっしゃるわけでございますが、その方が担当してこられたわけでございます。
 その際問題になりますのは、報酬を得てやるということにつきましては行政書士法との関連が出てまいるわけでございまして、私どもといたしましては、この検査登録関係の申請手続の中で、車庫法に関するものにつきまして両関係団体の間に立ちまして円満な話し合いを慫慂してまいった、こういう実情にございます。今後におきましても、両当事者間が円満、協調して的確な業務が行われることを期待をしておることは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○寺前委員 それでは終わります。
○有島委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 私は、東京を初め大都市におきます会社勤めをされている勤労者の深夜の足の問題について、幾つかの御質問をさせていただきたいと思います。
 いま大きな都市は、都心で勤務をされて効外に住むという傾向が非常に強くなっているわけでございまして、深夜、仕事を終えて遅い電車で帰りますと、電車も途中で切れてしまうというケースが非常に多いわけでありますし、バスも遅くまで走っていないという地域もございます。そうした、終電を受けてバスが走らないという地域に関しましては、あとはタクシーが勤労者の足になっているわけでありますけれども、都内でも、途中で電車が切れてしまうとそこから今度はタクシーが走る、あるいは終電を受けてバスのないところはそこからタクシーが走る。それを利用しなければ帰れないわけでありますけれども、終電を私ども利用して実際に帰ってみますと、そこでは呼び込みをされて、そうして何々方面という形で同じ方向の方々を四人なり五人一緒に乗車させているという光景が非常に多いわけであります。
 私はこの生活の知恵、必要悪という言い方がいいかどうかわかりませんけれども、それは街角でそうした市民と車を運転する人たちの合意があって、そうしてそう大したトラブルもなくて事が進んでいれば、それは法的にどうするかという問題も一つ大変重要な問題でありますけれども、それはそれとして、もう少し法的な面では考えていく必要があるというふうに思っていますけれども、問題は、どちらの側に立っても、利用する方も、また乗ってもらう方も、何となく法的には許されていないことをやっているわけでありまして、そういう実態をどのように把握をして、今後どういう方針で、現実に連日そうした光景が繰り広げられている実態をどのように今後お考えになっていらっしゃるか、基本的なお考えをまず伺いたいと思います。
○梶原政府委員 いま御指摘をいただきました夜間の鉄道駅からの足の確保の問題でございますが、基本的には終バスを延長することが最も望ましいと思うわけでございます。しかしながら、お客さんが少なくなった時期に大きいバスを遅くまで走らせるということは非常に実情としてむずかしゅうございますので、私どもとしましては四十八年から乗り合いタクシー制度というものを実施をいたしております。それの根拠としましては、道路運送法の貸し切りバスの免許を与えて、それに特定の系統を運行させるというものでございまして、現在全国で四十七系統において乗り合いタクシーが実施されておるわけでございまして、一日平均約四千人程度が利用されているものと考えておるわけでございます。
 今後ともこの乗り合いタクシー制度を積極的に拡充します方向で、各地区の実情に応じて、輸送需要、また実施上の体制等につきまして、検討いたしまして適切に対応してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○伊藤(公)委員 ぜひいろいろ実態を具体的に把握をされて、できるだけ効果的に乗り合いタクシーというものを一これは営業にならないということになりますとなかなかできないわけでございますけれども、そうした制度を少し広げていただきたいと思います。
 終バスを延長するという問題がいまございましたけれども、地域によっては遅い終バスがなかなかなくて、地域住民の住民運動にもなっている地域も実はあるわけでございますけれども、深夜バスを大きいものを走らせる必要はなくて、たとえば深夜バスをマイクロくらいにかえて、そうして、深夜になりますと運転手さんの賃金という問題もございますし、そういう負担があろうかと思いますが、たとえばニューヨーク市などでは、もともと深夜は必ず赤字になるということを前提にして、それを市が受け持つというようなケースももちろんあるわけでございまして、深夜と言っても、私の把握している限りでは、電車を利用してもバスがなくて乗れない人がずいぶんいるわけです。また十一時前後の帰宅というのは非常に多いわけでありますし、しかもそういう方々はまさに中堅の、一方では子供の教育を抱え新しい住宅を確保するあるいはローンの返済をという、そういう一線で働いている勤労者の方たちが非常に多いわけでありますから、そうした毎日の通勤の足に関してはそうしたもう少し形を変えた対策というものが立てられないだろうかというふうに思っておるわけでありますが、深夜バスの延長を含めて少し積極的にそうした問題を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
    〔委員長退席、前田委員長代理着席〕
○梶原政府委員 私どもとしましては、御指摘の方向で深夜における旅客の十分なサービスの提供ということに努力をしてまいりたいと思います。東京都内では花小金井から滝山団地、この一系統でございまして、三両でもちましてたしか一日に四十人ぐらいのお客さんを運んでおるわけでございます。この近くでは千葉県と神奈川県に乗り合いタクシーが相当ございますが、その前提としてやはりある程度のお客さんが必要であるという状況でございます。いま御指摘のように、今後深夜における鉄道駅からの旅客の足を確保するという考え方から、深夜においてはマイクロバスを使ってやってはどうか。これもできればバス会社の系列会社で一体的に運営させるということも一つの考え方ではないかというふうにも思うわけでございます。何せ、これには関係業界等と十分協議をして、採算とかまた輸送の実態とか、これに合うようにいたさなければいけませんので、今後前向きに検討してまいりたい、かよう考える次第でございます。
○伊藤(公)委員 先ほど申し上げた乗り合いタクシーをいろんな形で工夫をしていただきたいということと同時に、いま相乗りをしている現状の中で、実は私も何と言うのかよくわからなかったわけですけれども、呼び込みをしている人、これは手配師と言うそうであります。これはどこに行ってもそういう光景があるわけですけれども、何々方面と言って人集めをしている人がある。たとえば運転手さんがそこで市民との合意で、どうですか、こっちの方へ行きますから同じ方面の方はどうぞ乗ってくださいと言ってきちっと料金を決められて皆さんが合意でやっているという現状はそれはそれとして、しかしその手配師という人がそこにいて、これを見ておりますと、運転手さんは四人乗せれば一人当たり千円ずつ四千円を手配師に渡している。その手配師というのはどういうのかというと、これは私運転手さんに全部聞きましたけれども、全部これは暴力団ですね。この暴力団も恐らく上の方の人じゃない。そういうことを収入源にしてやっている。これは、この問題を取り上げるということで、実は私終電に乗っていろいろな切れるところを何カ所か歩きました。そうすると、中には交番が目の前にあって毎日そのことが行われていながらまさに黙認をしている。これはタクシーの運転手さんがみんなそう言っていますね、いや、私たちだってやっているんですから、お客さんにも少し安くやってあげられるし、私たちもそんな手配師にお金をやるのはいいと思っているんじゃないんですよ。そして、その手配師が入る車だけはちゃんと車の運転手さんとは顔なじみで、そういう人しかそこに入れないわけですね。マークをつけているタクシーはみんな一流の会社のマークで走っている人たち。さらに、実態を私もまだ十分把握しておりませんけれども、中には車をリースするというか、深夜だけ運転手さんがかわって暴力団まがいの人に車を貸しているというケースもある。一体そういう実態を警察庁はどう把握をしてどういう対策をされているのかお尋ねをしたいと思います。
○杉原政府委員 先ほどのお話の点でございますが、実態がいろいろ区々でございまして、必ずしも全部が全部そういう手配師みたいなものがいるということでもないと思いますが、中にそういうふうなものが見受けられる。そういう暴力団のようなものが介在をしているのではないかと思われるようなものを重点にしていま取り締まりをやっておるわけであります。
 一つの例で申し上げますと、この間都内であった事案でございますが、暴力団の関与の疑いがどうも濃いということで取り締まりをやったのでありますが、何さま運転手の方々のそれとの関係での供述が実際には得られないのでございます。仕事がそういう形で動いているものですから、運転手さんに聞きましても、金をたとえばどういうふうな形でどうしているのだと言いますと、それから先は切れてしまうというふうなことでございまして、これは一つのケースでございますけれども、別件逮捕をやりまして、そっちの方からやっといわゆる手配師と金がどのくらいの形で入っているかということがはっきりわかってきたというふうなことでございまして、現場でやりましてもなかなかそれがむずかしいということであります。むずかしくても、やっぱりこういうことで一般の人に直接間接に害悪を流しているようなことではまずいのでございますので、そういういろんな取り締まり上の工夫をしながらこういうことについては徹底した措置を講じていくようにしなければいかぬというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 都内でそういう取り締まりをされたというお話、私も実は伺っているわけでありますけれども、一体どの程度実際に取り締まりをやっていられるのか。いまのお話の一件は私も伺っておりますけれども、その一件だけでございまして、恐らく経堂ではないでしょうか。この問題は私関心を持ち始めてからそういうことも申し上げてきたわけでございまして、先ほど申し上げたとおり、非常にむずかしい点は、法改正して、いろいろな先ほど申し上げた乗り合いタクシーというものをきちっともう少し輪を広げて、実用化というか、実際にそういう心配のないように、できるだけ生活の中にそういうものを広げていただいて活用できるような状況を法的にできればいいわけですけれども、現状の中ではなかなか必要悪というような形で置き去りにされていますし、じゃそれを徹底的にやれということになりますと、それで毎日通勤をしている方たちはずいぶん助かっている人たちもいるわけですね。途中で電車が切れて後から五千円か六千円出さなければ行けないところを三千円ぐらいで行ける。千円ですけれども、毎日のことですから、一カ月に何回もそういうことがあればやっぱりサラリーマンにとっては非常に痛いということですから、それをいまただその面だけで徹底的にということになりますとなかなかむずかしい点があるわけです。しかし、その手配師等に運転手さんがお金を渡してやっているという実態は、私は徹底的にやってほしいと思うのですね。そういう実態は、お金をみんな渡しているわけですから、行ってみればみんなわかるわけです。しかも客はみんな乗りながらその実態を見ているわけでして、だれだって何かの関係でお金が流れているのだわいと思うわけで、そういうことを警察の方は黙認をしているのだということは、私は警察に対する市民の信頼というものもひいては失うということになりかねないと思います。通勤をしている人たちの大半は、その実態はみんなもう経験をしているわけでありまして、そういう形で暴力団に日常毎日お金が流れていて、それで生活をしている人たちがいるということは断固許せないと思うのですよ。少なくともいま申し上げた点に関する取り締まりだけは徹してやってほしいと思いますけれども、いかがですか。
○杉原政府委員 お話はよくわかるのでございますけれども、実態がそういうことで、いまの実態はすべて道路運送法違反なのでございます。そのこと自身、実は私はどうして黙認をしなければいかぬのか、もっと基本的に相乗り料金の認可をやっていただきたいのだ、そうでないと、警察がそこにおって、現実に道路運送法の違反を黙認をしているのじゃないかというのが一つ基本にあるわけです。しかもその上で、今度はそういう黙認をしている状態というのは、どうしてもそこに手配師というのが生まれてくる土壌がそこにあるわけで、暴力団がつけ入るような土壌をそのままにしておいてそれだけをやれということは、これは非常に取り締まり当局にとってはきつい話でございまして、これが本当に暴力団ということがわかって、しかもこういう金の流れがはっきりしているのだ、これは幾らでもやれますけれども、なかなか今度はそういう土壌があるものですから、そういうものがないとまた営業が成り立たないという、片方そういう問題が出てきますので、その辺のところが非常に実態的にはむずかしい。やはり運輸当局の方とよくその辺のところを相談しながら、客の利便もあり、そういう変なものが介在しないような浄化された、秩序のある輸送体系というものが深夜において行われるということが基本になければいかぬと思います。さらにそういう点について検討をさせてもらいたいというふうに思います。
○伊藤(公)委員 お話しのようでむずかしさが確かにあると私も実は思っているわけですけれども、そうしますと、最初申し上げた乗り合いタクシーを何らかの形で徹底的に取り締まりができる体制を早急にやる必要があると思うのですね。たとえば小田急線で行けば、いま申し上げた経堂ですね。それから京王は桜上水ですか、最後切れるところは。これは各線みんなあるわけですよね。ですから、電車が少なくとも途中までしか行かないところからの乗り合いというものを少し制度化できないか。行き先がみんな違いますから、とてもむずかしい点が私はあると思いますけれども、あるところまではきちっと制度化して、たとえば駅がみんなあるわけですから、どこの駅まではという何か工夫はできるのじゃないかと思いますし、実際にはみんな運転手さんとお客さんとの話はきちっとできてうまくやっているわけですから、そういうものを少しフリーハンドを持たせながら、何か制度を少し広げることができないだろうかと思うのです。先ほどから西武新宿線の花小金井駅と滝山団地の例があります。私はここの乗っている状況、利用されている状況よりは、もしそういう枠が広げられたら、はるかに利用価値のある地域はもう東京都内にはたくさんあると思うのですよ。それで、それほどむずかしくない。たとえば桜ヶ丘の駅からニュータウンとかね。ニュータウン全部団地ですから、もう間違いなくやがてはニュータウンは四十万近い都市になる。新しい団地だけで四十万ですし、駅と団地というのではっきりしているわけです。ですからそういうところの見直しをされる。もちろんいまニュータウンがありまして、滝山団地以上のところが都内ではありますよ。駅から住宅へという問題ももちろんありますが、いま一番手配師なんかが入っているところは電車が切れたところですね。いま申し上げた駅から団地、そういうところは手配師が比較的少ないのじゃないかと思うのですよ。電車が途中で切れて、そこからというところがずいぶんやっていますね。ですから、そういうところの解決策を少し優先的に急いで進めていただきたいと思います。先ほど少しお話がありましたけれども、そういつまでもほっておくわけにいかないでしょうから、方法は少し考えられないものでしょうか。どうでしょうか。
○梶原政府委員 この問題に対する取り組み方といたしまして、一つは指導、取り締まり、二つには適切な輸送体制の整備、この二つが考えられなければならないわけでございますが、この輸送体制の整備ということに関連いたしまして、団地と鉄道駅との間の輸送、これは先ほど私申し上げました乗り合いタクシー制度あるいは終バスの延長、こういうことが言えるかと思います。先ほど来先生が御指摘になっております、たとえば運賃が五千円とか六千円というような区間、それからまた鉄道の終わったところからの輸送ということになりますと、これはまた別の問題があるように思うわけでございまして、私ども先生から御指摘のありましたそういう実態を踏まえて、今後よく検討をしてまいりたいと思います。タクシーといいますのは一般乗用旅客自動車運送事業ということになっておりまして、一個の契約により十人以下の車を利用して運送する自動車運送事業となっておりますが、これがうまくそれになじむかどうか、また適切に運営できるかどうか等につきまして、今後よく検討いたしたいと存じます。現在のところ妙案というものはございませんけれども、検討することだけはいたしたいと思っております。
    〔前田委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤(公)委員 それ以上のことを申し上げるつもりはありませんけれども、警察当局が市民生活の中における暴力行為、暴力団等々の全滅に向かっていろいろな努力をされていることも私たち承知をしているわけでございますが、そうした暴力団の資金源が市民の目の前で現実に行われているのに、それを取り締まることができないでいることに対する市民の目というものをわれわれは無視することはできないと思います。いずれにしても、繰り返しになりますけれども、何とかひとつそうした市民の要求にもこたえ、ひいては警察に対する信頼ということにもつながると思いますので、できるだけ具体的に対策をお進めをいただいて、手配師等に関しての取り締まりは徹底的に厳しくやっていただきたいと思います。
 さて、運輸省は昨年の八月に、各陸運局に対して「タクシーサービスの改善について」という通達を出されているわけでありまして、タクシー業界にタクシーサービスの改善計画の提出あるいは実施後の定期報告というものを指導されているわけでありますけれども、その中でも、いま申し上げてきた乗り合いタクシー制度の導入の可能地域の実態調査を行うということが書かれているわけでありますが、その実態調査の結果、おわかりになるところを御報告いただきたいと思います。
○梶原政府委員 昨年八月、タクシーサービスの改善につきまして各陸運局長に通達をいたしたわけでございますが、その中で先生御指摘の乗り合いタクシーの推進につきましての項目でございますが、東京都内におきまして、社団法人の東京乗用旅客自動車協会で調査をいたしました個所が二カ所ございます。京王線の聖蹟桜ヶ丘駅と同線の高幡不動駅、この二カ所でございます。
 本年二月十四日の調査結果によりますと、聖蹟桜ケ丘駅は、八系統の終バスが夜の九時十一分から十時五十三分、終電が二十四時五十二分となっております。この終電時の状況でございますが、乗車人員が四十名、車両数が三十七両、最大待ち時間が十八分、こういうような状況でございます。
 高幡不動駅につきましては、四系統の終バスが九時四分から十時五十五分、終電が二十四時五十六分。その終電時の状況でございますが、乗車人員が五十九名、車両数が三十九両、お客さんの最大の待ち時間は十五分、こういう状況でございます。
 このような状況でございますので、いまのタクシー輸送によりまして、一応輸送需要に対応できるような状況ではないだろうか、こういう判断をいたしているところでございます。
○伊藤(公)委員 実は乗り合いタクシーと言うのかどうかよくわかりませんけれども、たとえばアメリカでも、まずわれ一われがタクシーに乗って走っていきますと、途中で手を挙げていて、その人にどっちの方向ですかと聞いて、同じ方向に行く人は同じ車に乗せていく、州によっていろいろあるわけですけれどもそういう地域もあるわけです。タクシーは自分ひとりで乗りたいという人ももちろんいるわけですし、見も知らない人と一緒に乗ることはとてもできないということもあるわけですから、非常にむずかしい点があると思いますけれども、ことしの三月、政府は省エネルギーの資源対策の推進会議においても石油の消費節減対策を決定をした、その中にも実は乗り合いタクシー制度の推進を挙げているわけでございまして、政府の方針にもあるわけですから、運輸省でも――一つの新しい制度をつくっていく、その制度を広げていくときには、かなりいろいろなむずかしい問題がありますけれども、現実に先ほどから申し上げているとおり毎日、実際にはそういうことが市民と業者の中で行われているわけでありますから、あとは制度的にそれをどうしていくか。しかし、どんなに制度をつくっても、法律をつくっても網の目はあるわけでして、市民の方もできるだけそういうものを悪用しないという形で進めていかなければならないと思いますけれども、運輸省として今後どういう方針で進められるかということをもう一度お聞きして終わりたいと思います。
○梶原政府委員 昨年十二月末のわが国の自動車保有台数は三千五百万台に上りました。そのうち九七・三%が自家用車でございまして、残りのわずか二・七%がバス、タクシー、トラックという営業車でございます。この営業車の自動車総数に占める割合は、昭和三十年には一二%、四十年には六%、今日二・七%という状況になっておるわけでございます。
 先生いま御指摘のございました省エネルギーという見地から見ましても、公共輸送、とりわけ効率的な公共輸送を整備強化していくことが非常に大切であろうと思うわけでございます。その一環としまして、先生御指摘のとおり、乗り合いタクシーというのは深夜におけるお客さんの足を確保することが主たる目的で生まれた制度でございますが、省エネルギーという見地からも必要な適切な措置でございますので、今後ともその拡充強化に努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
○伊藤(公)委員 先ほど申し上げた「タクシーサービスの改善について」の通達を出されているわけですが、タクシーというのは、乗る人はみんな別々ですけれども、意外と市民の交流の隠れた面を私は持っていると思うのです。よく選挙のときにタクシーに乗って運転手さんと話をして、何となく、いまの状況はどうかなんということで意外と生の声があったり、あるいはわれわれが外国を旅行したときに拾ったタクシーの運転手さんの態度、言葉遣い、ちょっとした好意というものが、旅をする人たちにとっては、それがいい印象を生んだり非常に悪い印象を残したりということがあるわけでございまして、外国の人たちが日本に来ても、われわれが向こうに行っても、必ず旅行者はタクシーを利用するわけですから、そういう意味で見えないところのタクシー業界に対するそうした指導、これはそれぞれの会社の経営にもかかわるわけですが、ひとつ今後ぜひタクシー業界に対してもそうした適確な指導をしていただきたいということを、これは要望でありますけれどもお願いを申し上げて質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
    ─────────────
○有島委員長 この際、海上保安庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。
○高橋(壽)政府委員 四月二十五日、昨日でございますが、未明から夜にかけまして東海道沿岸沿いにあるいは山陽道沿岸沿いに濃霧が発生いたしまして、これが原因と思われます海難事故が多数発生いたしましたので、御報告を申し上げます。
 海域別に申し上げますと、この霧は西の方から当然東へ向かって進んできますので、西の方から申し上げますと、時間的に一番早いのが、四月二十五日の午前二時五十五分、松山沖で貨物船とLPGタンカーとが衝突をいたしております。
 同じく四時四十分、来島海峡西口におきまして、やはり貨物船とLPGタンカーが衝突をいたしております。
 それから、同じく七時四十一分、明石海峡航路内におきまして、カーフェリー「さんふらわあ号」と貨物船明幸丸が衝突いたしております。
 それから次に、駿河湾でございますが、ここで十六時三十五分、漁船同士の衝突がございました。
 それから三番目は、伊豆大島と伊豆半島の大体間に囲まれた海域でございますが、三件発生いたしておりまして、二十時二十分、伊豆大島西方におきましてタンカー拓洋丸と貨物船第十五大黒丸、これが衝突をいたしております。
 それから、同じく二十時四十五分、伊豆大島西方におきましてタンカーと韓国籍の貨物船が衝突いたしております。
 それから最後に、二十一時、伊豆大島西方におきまして貨物船神長丸と漁船第八海正丸、これが衝突いたしました。
 合計七件の海難があったわけでございます。
 いずれも原因は濃霧によりまして非常に視界が狭かったということであると思われます。場所により、またそれぞれ事故を起こしました当事者の言い分により多少食い違っておりますが、一番狭い場合で百メーターの視界しかなかったという場所もありますし、さらに数百メーターあったという場所もあるようでございますが、いずれにしましても百メーターないし数百メーターという視界は、特に夜間、船の運航にとりましては一般的にかなり危険な状態であるわけでございます。もちろんそういう状態になったら必ず衝突するわけでありませんで、直接の原因といたしましては、恐らく両方の船舶の相互間におきまする何らかの手違いがあったと思われますが、原因等につきましては海難審判等によっていずれ明らかになると思います。
 この七件のうちやはり一番問題でございますのは、最後に申し上げました貨物船と漁船の衝突でございまして、これは伊豆大島西方で発生いたしたものでございます。昨晩の九時ごろでございますが、大島の測候所から濃霧注意報が発令されておったそうでございます。現場は雨、視界は百メーター以下であったというふうに言われておりますが、東京から大阪に向かって航行中の貨物船神長丸、九百九十九トン、乗組員十二名、鋼材千トンを積んでおります。船舶所有者は東京都千代田区の栗林近海汽船であります。この船と第八海正丸、これは冷凍運搬船、漁船でございます。冷凍運搬船、四百九十九トン、焼津からアリューシャン向けに航行中でございました。これは空船でございます。積んでおりません。乗組員八名、東京都港区の開成海運通商所属の漁船でございます。これが伊豆大島の西の海域で衝突いたしまして、十二名乗っております方の貨物船神長丸の方が転覆、沈没いたした模様であります。衝突後、漁船の方が一生懸命近所を捜しましたけれども、その被害船舶の救命いかだあるいは浮き輪などを発見しただけでありまして、現在まで乗組員十二名が行方不明になっております。
 海上保安庁といたしましては、下田保安部等を中心として巡視船艇、航空機を動員し、また海上自衛隊の航空機も応援を頼みまして目下捜索を続けておりますが、ただいままでのところ手がかりはつかめておりません。
 なお、その他の事故につきましてはいずれも貨物船が多かったわけでありますが、タンカー等で若干の油の流出があったもの以外はそう大きな被害はなかったと思われますが、事によっては被害が出たかもしれないというものにこのカーフェリー「さんふらわあ号」の事故がございます。これはカーフェリーでございますから、当然お客さんがたくさん乗っております。約千人のお客さんが乗っております。乗組員だけでも四十四名ということでございまして、船も一万一千トンを超える船でございますが、これは明石海峡の航路の外れの辺だと思いますけれども、明幸丸という貨物船、千百トンが濃霧のためにしばらく走るのをやめて漂泊をしておった、エンジンをとめまして。そういう状況のところへ西の方から来た「さんふらわあ号」、これは九州の苅田港から大阪向けに走っておったわけでありますが、それが衝突いたしました。
 衝突の状況は、千トンの貨物船の横腹に一万トンのカーフェリーが突っ込んで貨物船の横腹がへこんだという事故でございますが、へこみ方が小さかったために沈没には至りません。サルベージボートによりましてこの貨物船は曳航されて神戸港に入りました。また、「さんふらわあ号」も人員その他に全然支障はなく、多少時間がおくれまして大阪港に入港いたしまして落着いたしましたけれども、何せ一万トンのカーフェリー、千人を超える人命を乗せている船でございますので、大事故になる可能性があるいはあったかもしれないということで、原因等を十分調べまして対処をするつもりでございます。
 以上、昨日未明から起きました海難七件につきまして概略御報告いたしました。
    ─────────────
○有島委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。太田一夫君。
○太田委員 最初に気象庁にお尋ねしますが、濃、霧に関する注意報とか警報というのの発令は、この場合非常に適切であったのかどうか。先ほどちょっとその濃霧注意報が発令されていたというようなお話もありましたが、時期等に適切を欠いた点はなかったかどうか、お答えをいただきたい。
○立平説明員 二十五日の気象状況を簡単に申し上げますと、日本の南岸沿いに前線がございまして、その上を小さな低気圧が通っていく、そういう状況でございました。この小さな低気圧は、朝は近畿地方にあり、夜になりまして関東地方に達しております。こういう状況のときにはいわゆる前線霧というものが発生しやすいということはよく知られていることでございますので、名地の気象台では、濃霧について厳重に監視体制をとっておりました。神戸の気象台では視程が悪くなってくる兆しを見まして、朝の五町三十五分に濃霧注意報を発表し、警戒を呼びかけております。これは「さんふらわあ号」事故の約二時間以上前になっております。
 それから夜になりまして、大島近海で視程が悪化してきましたので、大島の測候所では十八時五分に濃霧注意報を発表しております。これはやはり大島近海で事故が続発しました時間に比べますと約二時間以上前でございまして、大体適切な発表であったんではないかというふうに考えております。
○太田委員 そういたしますと、運輸省の方にお尋ねしますが、「さんふらわあ」は旅客船ですから、カーフェリーにたくさんのお客さんを乗せているわけですから、よほど気をつけなければならないのに、そういうとまっておる船にぶつけたなんというのは何とも情けない話だと思うのですよ。だから、それはカ−フェリーのフェリー事業者の方の運航管理体制に何か緩みがあったのではないかという気がしますが、その点はいかがなものでしょうか。
○高橋(壽)政府委員 まだ原因を調査中でございますので、私がこの場で述べますことは本当は適当でないかもしれません。一般論として申し上げますと、最近の船舶は、昔に比べますと想像だにしなかったほどいろんな設備がついております。航行安全の設備あるいはオートパイロットといいまして、御承知のように一々かじをとらなくても真っすぐ走るようなもの等、いろいろついております。こういったものが非常に完備されてきた。また各種のレーダーとか、あるいは航行援助施設、デッカとかロランとかいうものも航海する船をめぐる環境として整備されつつあるということで、昔に比べますと、人間の注意力に頼って船の安全が左右されたという事態は一般論としてはかなりよくなっているわけでございますが、しかし事故がなくならないということでございます。
 やはり一つ問題があると思われますのは、そういうふうに日進月歩の航海技術あるいは航行援助施設、そういったものと、それから船の操船をしている船長あるいは担当の船舶職員の技術あるいは操船の方法との間にやはり何か不整合があり得るんじゃないかという気がいたしております。よく漁船なんかで、オートパイロットに入れて真っすぐ走ると思って安心して寝てしまったらぶつかったというようなことがときどきございますが、機械に頼り過ぎて機械の限界というものを知らずに、機械は人間のかわりになるという考え方でいるという、そういう誤解がありはしないかと思います。私、かつて航空局長をしているときも盛んにそれを強調したわけでありますが、機械が発達すればするほど、人間の注意力というものはより研ぎ澄まされなければならないという感じがいたします。
 機械をつけるのは、たとえば船でいいますと、ブリッジに立ってかじを握っている人の労力を幾らかでもやわらげてあげよう、労働をやわらげてあげようということでつけるわけでありまして、労働面で楽になったかわりに精神的にはむしろ昔以上に緊張してもらわなければならないというふうな感じがいたしております。断定はできませんが、一般論としてそういう傾向が否定できないのじゃないかというふうに考えますので、今後そういう日進月歩の機械技術と人間の行動というものの間のギャップがなくならないように、関係の部局とも十分相談いたしまして指導を強化していかなければならぬと考えております。
○太田委員 定期船課長、見解どうですか。
○浅見説明員 ただいま先生お尋ねのように、フェリー事業というのは旅客船事業であるわけでございますが、旅客船というのは、申すまでもなく多数の旅客の人命を預かっているわけでありまして、海運局といたしましては、従来から海上運送法に基づいて、各旅客船事業者に運航管理の責任者としての運航管理者を選任させる。さらに運航管理規程という運航の安全の基本的なルールを定めさせております。それからさらに、運航管理のための研修等を実施するといったようなことで、運航管理に万全を期するように監督指導をしてきているわけでございます。
 ただ、不幸にして「さんふらわあ」が濃霧の中で衝突した。その原因につきましては、先ほど海上保安庁長官からも御説明がありましたし、さらに海上保安庁、それから近畿の海運局等で詳細な調査をしておりますが、いずれにしても事故が発生したということは非常に遺憾なことでございますので、ただいまの海上保安庁長官の御意見等も参考にいたしまして、特に運航管理面について厳重に調査した上で、さらに指導を徹底していきたいというふうに考えております。
○太田委員 御調査中でしょうから、的確な話はお聞きすることはできないとは思いますけれども、海上保安庁の事故の報告書を見れば、二十五日の朝、「さんふらわあ」が衝突したときは視程一千メートル以下という程度になっておりますから、一千メートル以下というのはゼロも含むでしょうけれども、まさかそんなに離れておるわけではないでしょうから、ある程度視界は明らかであったと見る。その中でとまっておる船にぶつけるというのは、カーフェリーの運航責任者としてこれほどの恥辱はないと思うのです。速やかに原因を探求して除去されることを望みます。
 そこで海上保安庁長官、あなたの方は、伊豆大島と伊豆半島の間で連続して起きた衝突事件は、神長丸の沈没、十二名の船員も亡くなったように思いますが、これらを含めて、先ほど気象庁のおっしゃった十八時五分に発表しておる濃霧注意報、それから二時間もたっておるわけだから船が知らぬということはないと思うが、知らなかったのであろうか。知っておったとしても、目の前には百メートル以下のほとんど見えない状態の濃霧がきておるのですから、霧中航法に、双方かどちらかに重大な過失があったのか、なれっこになったためにそうなったのであろうか、何でしょう。海上保安庁長官のお答えをいただきたい。
○高橋(壽)政府委員 これも調査中でございますから、私としては何とも申し上げられないわけでございますが、濃霧の中の操船ということの問題であると思います。これもさっきちょっと申し上げた機械と人間の技術とのギャップということに起因するのかとも思います。たとえば昔でしたら、濃霧が発生して、視程がたとえば百メートル前後になった場合にはエンジンをとめてじっと待っていたと思うのです。ところが最近は、航海計器、レーダー等も完備しているものですから、とめずに走るということがあるいはあるんじゃないか。その場合には当然のことながら船長以下責任者がブリッジに立って、危ないときにはいつでも後進をかけられるような体制をとって微速前進するということであってほしいわけですが、そこら辺のところに何か油断といいますか、あるいはなれによるミスがあったかどうか。この点は今後十分調べたいと思います。もしそういうことが多少でもあるといたしますればこれは大変ゆゆしいことでありまして、さっき申し上げたような機械技術と人間の行動とのギャップの問題でありますので、十分指導する必要があると思います。
○太田委員 船長だとか航海士とかいうのはあだやおろそかでなれるものではないと思うし、資格を取って任についた以上、徹頭徹尾、必死の構えの真剣さがなければならないと思うのに、視界百メートル以下、ゼロに等しい夜において無謀航行をしたなどということは、もってのほかだと思います。これは厳重にお調べの上、対策を講ぜられることが必要だと思います。
 さらに海上保安庁にお尋しますが、その際、下田海上保安部は巡視船十一隻、飛行機一機を出動させたとありますが、下田にそんなに持っておるはずないでしょう。だからどこから飛んでいったのか、間に合ったのですか。
○高橋(壽)政府委員 数字の点でございますが、巡視船が出動しましたのは五隻でございます。これはいずれも下田保安部の所管の巡視船でございまして、直ちに出動させたということでございます。
 そのほかに、当方の航空機、YS11でございますが、これを一機、ほかにさらに海上自衛隊から二機の応援を頼んでいるわけであります。
○太田委員 長官、下田海上保安部というのは、巡視船は三隻持っているだけではありませんか、「しきね」、「まつうら」、「あわじ」、そのほかに何かあるのですか。
○野呂説明員 海上保安庁の警備救難部長ですか、お答えいたします。
 ただいまの大島西方海上の神長丸初め、三件の海難に出動いたしました船艇は、下田海上保安部並びに横須賀、横浜各海上保安部の所属巡視船五隻でございます。訂正させていただきます。
○太田委員 この問題については幾多の疑問点がありますし、当委員会といたしましてもさらに検討を要する問題もあろうと思いますから、質疑は一応これで終わりますが、何かしらなれによって思いがけないときに集団的なこんな事故が発生することがないように、海上保安庁としては速やかに何らかの対策を講ぜられる必要があると思う。手おくれのないようにお願いしておきまして、関連質問、一人ありますから、私の質問はこれで終わります。
○有島委員長 次に、前田治一郎君。
○前田委員 関連質問をいたします。
 私は、この「さんふらわあ」の件に注目しているのですけれども、これは事故発生時刻が午前七時四十一分と言えば、夜が明けてしまって明るい状態だと思います、霧があったから視界が非常に狭かったのかもしれませんが。
 まずお聞きしたいのは、呉から清水へ明幸丸が進航しておったそうですが、その場合、船の航路としては明石海峡から大阪湾を通って紀淡海峡へ出ていくのでしょうが、それが常道の航路なんでしょうか、ちょっとお聞きしたい。
○野呂説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、明石航路を通って西航いたします。
○前田委員 明幸丸は那覇の船ですけれども、「さんふらわあ」は絶えず大阪から苅田まで、この航路を通航している定期船であるということは、両船を比較してみると非常に航路に明るい船と航路に暗い船だったというふうに考えられるのですけれども、先ほど保安庁長官の報告によりますと、明幸丸の方は霧が深かったから停船をしておったということをおっしゃった。明石海峡と言えば船の通れる区域というのは非常に幅の狭い区域でありまして、ことに潮流というのですか、海流というのですか、潮の流れの速いところであると聞いております。したがって、普通の状態で航行する船でもずいぶんと注意をして通航しておるそうでありますが、そういう狭い航域において、霧の中で明幸丸が停船したということ、これは大変な危険を冒しているというふうに、私は素人だけれども考えますが、その点はいかがでしょうか。
○高橋(壽)政府委員 御指摘のように、明石海峡は海上交通安全法による特定水域でございます。したがいまして、非常に霧が深くて航行の自信がないからエンジンをとめて漂泊するという場合には、当然これは航路外に出て漂泊すべきものだと私は思います。そこにやはり問題があるのじゃないかという気がいたしますが、その点も今後の調査のテーマの一つでございます。
○前田委員 もう一点聞きますが、私ら子供のときに習った話では、霧の場合は霧笛ですか、盛んにサイレンを鳴らすのだということを聞いていますが、これ四件も五件も連続して発生している場合に、お互いに霧笛の確認というものはできないのですか、どうなんですか。
○野呂説明員 霧中信号というのがございまして、視界が悪くなったときには必ずその信号を発しながら、停泊船は停泊船の信号、航行船は航行船の信号を発することになっております。そして、そこを航行する船は適度な速度に落としまして、その音も確認しながら航行する、あるいは停泊する、こういうことになっております。
○前田委員 もう一点だけ。「さんふらわあ」というと一万一千五百六十七トン、大変大きな船でありますが、こういう船は非常に設備が完備しているという長官の説明でありましたけれども、この船はレーダーを持っているのでしょうか。
 それからもう一つ、私は素人ですからきわめて常識的にしか判断できませんが、大阪へ入港を目指している「さんふらわあ」が七時四十一分ごろに明石海峡に差しかかっておるということは、あと一時間も走れば大阪湾へ入港するわけでございますから、夜も明けておるし、恐らく入港体制をとっておったと思います。ということは、もう仮眠とか睡眠とかとる者は全部なくして、全員が勤務についているといいますか、常態に復している時間帯である、こう思うのですが、そこまではまだお調べになっておられないとは思いますけれども、そう判断した場合に、そのレーダーというものをどういうふうに活用したのかなという疑問が起こるのですが、この船はレーダーがついておるのかおらぬのか、それだけお答えください。
○野呂説明員 この船に直接確認したわけではございませんが、大体こういう船はレーダーは二つ持っております。そして、当直の航海士等がそのレーダーをずっと見ながら航行をしておるのが現状でございます。
○前田委員 また後日、いろいろと御報告もあるかと思いますし、太田先生同様に、私もこの点についてはまた質問したいとも考えますが、本日はこれで終わります。
○有島委員長 次回は、五月九日水曜日午後一零時五十分理事会、一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十九分散会