第087回国会 交通安全対策特別委員会 第6号
昭和五十四年五月九日(水曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員
  委員長 有島 重武君
   理事 左藤  恵君 理事 佐藤 守良君
   理事 中村 弘海君 理事 前田治一郎君
   理事 太田 一夫君 理事 後藤  茂君
   理事 青山  丘君
      玉生 孝久君    丹羽 久章君
      野中 英二君    水平 豊彦君
      沢田  広君    野坂 浩賢君
      山本 政弘君    吉原 米治君
      石田幸四郎君    寺前  巖君
      伊藤 公介君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   澁谷 直藏君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      三島  孟君
        警察庁交通局長 杉原  正君
        運輸省自動車局
        整備部長    小林 育夫君
 委員外の出席者
        警察庁交通局参
        事官      太田 寿郎君
        警察庁交通局交
        通指導課長   矢部 昭治君
        警察庁交通局交
        通規制課長   広谷 干城君
        通商産業省機械
        情報産業局車両
        課長      堀田 俊彦君
        運輸省自動車局
        保障課長    伊藤 嘉之君
        海上保安庁警備
        救難監     村田 光吉君
        建設省都市局街
        路課長     並木 昭夫君
        建設省道路局道
        路交通管理課長 浪岡 洋一君
        特別委員会第一
        調査室長    綿貫 敏行君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 交通安全対策に関する件
     ────◇─────
○有島委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
○沢田委員 公安委員長、きわめて短い時間でありまして恐縮でありますが、平素わが国の交通安全のために日夜御苦労いただいていることに敬意を表しますとともに、委員長が期待しているような結果が現実にはあらわれていないということはきわめて遺憾なことだと存じておるところでありまして、今後もそれぞれ国民が交通に対して不安感を持たずに、みずからの道路を走りあるいは歩くということが可能なように実現のためにお骨折りをいただきたい、このようにまずもってお願いを申し上げておきたいと思います。
 公安委員会は、警察法に基づけば、警察の運営を図ることが一つである。そのほか細かいことがありますが、わが委員会との関連性からいきますと、諸制度の企画と調査、全国的な交通の規制をつかさどるあるいは職員の任用、勤務、活動について云々ということで、十数項目が公安委員会の任務として与えられているようであります。一当委員会として関連いたします事項だけを考えますと、諸制度の企画と調査ということになっておりますので、この面から一つ、二つ拾い出しながらお聞きをし、同時に、この管理に当たって公安委員長がどういう基本的な立場で臨んでおられるのかということをまずお聞きをしたいと思っております。
 あえて申し上げますと、道路があり、車があり、あるいは人がありという形になって、道路は建設省である、走っているものの取り締まりは警察である、自動車の管理は運輸省である、こういう状況が果たして日本の交通整備を図っていく上において正しい姿だとお思いになっておられるのかどうか、そのことだけ簡単にひとつ所見を伺いたいと思います。
○澁谷国務大臣 これは従来長い歴史を持った制度で行われておるわけでございまして、この制度で適当ではないかと考えております。
○沢田委員 通り一遍の御返事のようですが、気持ちの中では、この形は日本の政治の一つのひずみであって、この問題が解決しなければ日本の交通体系は改善できない、それが抜本的な対策の一つであろうと思っていると思いますが、いま委員長がここで答弁をするわけにはいかない、腹の中と言うこととは違っているというのが実態であろうと思いますから、その辺はしんしゃくをいたしまして、これ以上追及することはやめたいと思います。
 もう一つは、この前の委員会でも質問したのですが、公安委員長はこの前は聞いておられなかったど思いますが、免許証というものは澁谷公安委員長なら澁谷公安委員長個人の能力に対して資格が与えられたので、それを三年に限定するということはどうも理屈に合わない。調理師もそうですし、弁護士もそうですし、これは特別の事情がある場合を除いては、税理士であろうと何であろうと剥奪されることはないのですね。交通だけについては、うっかりしていると三年間で切れてしまって取り直さなければならぬ。これは個人に与えているものとは違う。なぜ三年間で切らなければならないのか、その辺の御説明をいただきたいのです。
○太田説明員 ただいまの三年ごとの更新の制度の問題でございますけれども、御案内のように自動車等の運転につきましては、非常に一般的な一定水準以上の運転能力とか視力とか聴力というような、いわゆる運転適性というものが必要でございまして、これについて変化がないかどうかということをチェックする必要性が非常に大きいわけでございます。それから、最近のように交通情勢というものが非常に大きく動いてまいりますと、法の改正等もかなり大幅に頻繁に行われるというようなことでございますので、更新の機会等を利用いたしまして、その改正点というか、そういう点についても十分知っていただく機会をつくるというような面もございますけれども、まず何よりも第一点といたしましては、自動車の運転が人命に直接深いかかわり合いを持つということでございます。したがいまして、世界の各国をとりましても、更新の期間等についてはいろいろございますけれども、ほとんどの国でこの種の更新の手続を運転者に課するという制度を設けているのが実情でございます。
○沢田委員 弁護士であろうと法律はどんどん変わっているのですよ。これまた人命に関することでもあるわけです、死刑になるかならないかということにもなるのですから。税理士にしてみたってそのとおりだと私は思いますね。法律が変わる条件というものにはちっとも変わりがないのです。なぜ運転免許証を取得する人間だけに差別をするのか。もし講習が必要であるとすれば講習をしていったらいいと思う。免許証は免許証です。それに応じなければ、それは減点をすればいいし、ペナルティーをつければいいのであって、免許証を書きかえるということの論理にはつながらないのではないかと思うのですね。だから、せっかく三年にされたものを永久にとは私も言いませんけれども、せめて十年ぐらいにはして、その間に講習なら講習の義務を負わせる。そしてそれに応じなかった場合はどう、あるいは目の方に障害なり足の方に障害が生じたという場合は届け出制を義務づけるということでやっていく。免許証そのものは個人の能力によって与えられたものなのですから、それはやはり大切に保護してやるというのが筋道ではないでしょうか。その点、あえて重複する答弁は結構ですから、そういう方向で検討されるかどうかお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○太田説明員 いま申し上げましたようなことで、聴力とか視力とか、そういうものは非常に大きく変化する可能性もございますものですから、諸外国におきましても、そういう形での更新の手続を全体的に課しているわけでございます。ただ、いま申し上げましたような具体的な更新の期間等の問題につきましては、ただいまの御意見等も十分参考にさせていただきながら、免許制度全般につきまして現在いろいろ見直しの作業を行っておりますものですから、その中で検討してまいりたい。ただ、視力、聴力、それから運動適性能力というものについては、三年の期間を経ますとかなり変化も生じてくるということで、国によりましては、たとえば年齢を限りまして、ある程度高年齢の人には相当頻繁にやるとか、そういうことを義務化しておるところもございますが、そういう方向で検討してまいりたいと思っております。
○沢田委員 大変恐縮でありますけれども、運輸省の方にもおいでいただいておりますから、若干その方の問題を先に聞かせていただきたいと思います。
 これは公安委員長にも若干関係してくることでありますが、車検の期間が依然として従前と変わらず一年、二年ということであります。テレビの放送によれば、アフリカを横断したとかアメリカを横断したとかいって、車の強度は世界に誇れるような車であると言われております。道路の舗装率も、昭和四十年代から比べればえらい舗装率の向上であります。タイヤの耐久力についても、これまたきわめて高い水準に達しているわけであります。特に、昭和四十年の千四百六十二万台が昭和五十一年には三千九百九万台、まあ四千万台であります。ですから車検の期間も、車の強度あるいは近代化によって当然延びていいはずだと思うのです。これが依然として従前どおり据え置かれているということは、車それ自体の耐久力はちっともふえていないという判定以外の何物でもない。しかし実態は耐久力はふえている。しかも車の台数も倍になったのですから、営業する人の立場に立ってみれば−当局はそのことを考えているのでしょうけれども、千四百六十二万台が四千万台ですから、車は倍以上にふえているわけです。ですから、車検は何もいまのような一年なり二年なりでなくて、その倍ぐらいに延ばしていいのではないか。これがまず一つ。
 それから、もし最悪の場合だったらば、まず走行キロで考えてみたらどうかということです。十万なら十万で切る。日曜日しか乗らないようなマイカーの人などには二年で車検ということではなしに、十万キロなら十万キロで区切るということは考えられないかどうか。それから、もう一つそこにつけ加えて答えていただきたいのは、耐用年数というものを法律的にどういうふうに位置づけているのか。大蔵省で定めている耐用年数とは何ぞやということですね。家屋にも耐用年数があり、そのテーブルにも耐用年数があります。その耐用年数は、自然の状態において使っていればその年限だけもちますということで大蔵省が査定した耐用年数であります。だとすれば、車検がその間で行われるのには何らかの理由がなければならぬと思うのであります。そういう意味において、車検というものがどのような位置づけをされておるのか、また延ばす意思はないかどうか、お答えいただきたいと思います。
○小林(育)政府委員 お答えします。
 まず第一点は、車検の時期を倍に延ばす意思がないか、こういう御質問でございます。私ども車両検査というものをやっておりますけれども、これは車両検査の意義といいますか、そういうものをちょっと申し述べないと御理解いただけないと思いますが、車両検査というのは、車両検査をやって次の車両検査までの保証をするという制度ではございません。もちろん車両を検査して保安的なチェックはいたしますけれども、それと同時に、私ども定期点検整備というものを法律で別に義務づけております。それで車険の際に、そういう定期点検整備が確実に励行されているかどうかということのチェックもあわせてやっておるわけでございます。そして、こういう定期点検整備が完全に励行されておれば次の車検期間まで十分安全に走行できるであろうという期間が車検の有効期間というふうに私どもは解釈しておるわけでございます。その定期点検整備が現在どの程度やられておるかといいますと、車によって違いますけれども、四〇から六〇%の励行率である、こういうことでございます。したがいまして、これが一〇〇%やられているということでありますれば、先生御指摘のように、車検期間を考え直すということもあるいはあるかと思うわけでございます。
 それともう一つは、実は諸外国におきましては、車検をやっている国とやっていない国がございますが、世界的な傾向といたしましては、やっていない国も車検を新たに始める国がふえております。そしてその国も、車検の期間はおおむね一年ないし二年ということでございます。したがいまして、一年ないし二年という期間は適当ではないかと私ども思っております。
 次に、走行キロでやったらどうかという御質問でございますけれども、走行キロの把握というのが非常に困難でございます。自動車といいますのは九七%までが自家用車ということで、十分な管理と申しますか、私どもが把握できない性質のものでございます。したがいまして、やむなく期間でやっておるということでございますので、走行キロを十分に管理できるようなシステムがございますれば、先生おっしゃるとおり走行キロでやるということが理論的には合理的なわけでございますけれども、封印をするとか、そういう方法もないわけではございませんが、実行上なかなかむずかしい、担保することができないという問題がございます。
 それから、法定六年という耐用年数は何だ、こういうことでございます。実際に大蔵省で決めておる耐用年数以上に、実は車は使われております。恐らく平均の車齢というものは七年から八年でありますが、それが年々ふえる方向にいっております。車自体は十数年使えるはずでございます。私どもの車検でも、乗用車は二年になっておりますが、十年以上の車はそこから一年に削っております。これは、その辺から安全度が落ちてくるということで削っておるわけで、十年という区切りがいいかどうかという議論はありますけれども、そういう保安的な面は一応考慮して、耐用年数と車検との絡み合いというものを考えておるつもりでございます。
○沢田委員 ちっとも答弁なんかになっていません。要するに、警察の方の反則その他の調査では、四千万台ある中で整備不良車両――未発見がたくさんあるということを想定するかどうかは別問題ですが、十四万台ですよね。四十九年十三万台、五十年が十六万台、五十一年度十四万台ですよ。整備が不良であるということで指摘をされている状況は、こういう数字なんです。さっき言われたように、自動車の近代化あるいは構造の強化、タイヤの強化、それに対応した答弁はちっともなされてないじゃないですか。車の台数も倍以上にふえているのですから、少なくとも、車検が延びたって、あなたの方は特別支障はないんじゃないですか。何にも支障がないのに、無理にやつているんじゃないですか。それをもし三年に延ばしたらどういう支障が生じますか、あるいは四年に延ばしたら――定期検査をやっていれば十年までも大丈夫だ、こう言うんでしょう。車検のときにどれだけ金が取られるか、莫大な経費が取られることをあなた知っていますか。そういう状態から見て、この車検をもし十万キロにできるのならばと言うんだから、法律を十万キロに決めればいいのですよ。九万キロから十一万キロの間になったならば車検を受けなさい、九万キロになったら準備期間に入りましたよ、九万キロから十一万キロの間には受けなければなりませんよ、そう法律を決めればいいのだから、できないことはないと思うのです。もしそれを過ぎたならば、車検のない車は法律違反になる。いまだって車検がなければ、やはり交通の方で取り締まりを受けるのですから、ちっとも変わりないでしょう。あなたが言ったとおり、もし十万キロにできるんだったらそうすべきじゃないんですか、どうですか。何も、現状に固執する必要はないと思うのです。
○小林(育)政府委員 いま三千五百万台の車が町を走っています。先生御承知のとおり、これにはステッカーというものが張ってございます。これは、何年の何月にこれの車検が切れますということが表示してあるわけでございます。したがいまして、車両検査が切れて違反している車両であるかどうかということが、外から一見してはっきりとわかるわけでございます。ところが、十万キロあるいは五万キロということになりますと、外から見た姿では、これが違反しているかどうかということは発見できませんし、発見したにいたしましても、何万キロ走ったということを証明する手段というものがございません。積算計というものは、逆転すればいつでも戻ってしまいます。したがって、それを証明する手段というものが、少なくとも現在の方法ではございません。ですから、それを担保することが非常に困難であるということを申し上げておるわけでございます。
○沢田委員 大体それは国民を信用しない姿勢だよね。違反車か違反車でないかが外からわからなければ車は走らせないということは、国民を信頼してないということなんだ。逆転させるかどうかの機械の問題は別問題です。要するに外に見えるか見えないかの問題で、だから九万から十一万までの間で申告する。現在だってそうでしょう、書きかえは皆申告しているんですよ。それは申告しなければ損だから。申告しなければ損だから申告しているんであって、あなたのようにこだわる理由はないのですよ。何も外から見えようが見えまいが、自分が期間が切れたら取り直さなくちゃならなくなるのですから、いやおうなしに本人は、自分から進んで車検を受けざるを得ないのですよ。車検証をもらわなければならないのですから。それがもし合理的であるというふうに認められるならば、やっぱりそういうことが望ましい。いまのままでいいと私は思わない。それでは、あれだけ宣伝しているテレビの宣伝はうそだということになる。アフリカ横断何キロとかいって、ものすごく突っ走っている車が出るでしょう。あるいはアメリカ横断何キロって、あれだけの耐久力を持っていることを示しているわけでしょう。それでなければ、あれはにせの広告だということですよ。あなた方の論からいったら、にせの広告なんだ。
 だから、そういうことでは論理が通らないのでありまして、台数もふえたことだし、整備されている車両の状況から見て、車検の期間はもう少し任意性を持たせるか、倍に延ばすか、あるいは五割増しにする、免許証と同じように、せめて三年ぐらいに延ばしてやるという方法を検討してください。もし構造上どうしてもだめだというならば話は別ですが、そうでなかったならば、そうすべきだと私は思いますから、この後の答弁でお願いをいたします。
 次に、反則金の問題でこの前もちょっとお伺いをいたしましたが、どうも納得ができない。これは、裁判所の判事の言をかりれば、刑罰的なものの意味も含めている。答弁では、反則金は納めなければそのまま送検という形になる。そうすると、これは裁判所の委託を受けて徴収しているということになるわけですか。
 これは財政法も見ました。会計法も見ました。けれども、財政法にも会計法にも、この租税法律主義をとっているわが国の体系の中で、徴収分任官の任命はされてない。どこに分任の徴収官としての規定づけをしているのか。分任歳入徴収官、法律用語ではそういっておりますけれども、それはだれが、だれに一これには都道府県本部長となっています。しかし、都道府県本部長は会計法の中にはありません。また、反則金の取り扱いも規定されておりません。どういうふうに解明をされるのか、お答えをいただきたいと思います。
○太田説明員 反則金の性格論については、いま先生がお話しされたようなことで、いろいろ判事等の御意見等もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、反則金は任意納付されるものでありまして、刑罰である罰金とかあるいは科料、そういうものとは違う。また、いわゆる強制徴収されます過料などの行政上の秩序罰とも違うものという性格づけをいたしております。したがいまして反則金は、国税犯則取締法等におきまして通告される金額と類似の性質を持つものであるというような、法律的な性格を持っているというふうに解釈をいたしております。したがいまして、先ほど御指摘がございましたような、裁判所の委託を受けて云々というくだりが、実はそこで直接切れるわけでございます。それで反則金につきましては、道路交通法に基づきまして、警察本部長が告知をするという形になるわけでございます。
 それで、反則金の徴収機関はだれであるか。いま歳入徴収官ということでございますけれども、これは各都道府県警察会計担当官というものでございます。これは昭和二十九年の七月一日付で国家公安委員会規程第一号というものがございまして、「会計担当官に関する規程」というものが定められております。これによりまして、「国庫が支弁する経費に関する会計事務を行わせるため、当分の間、警視庁総務部長、道府県警察本部長及び方面本部長は、別段の辞令を発しないで併せて警察庁長官官房付に任命されるものとし、この者は、当該都道府県警察又は同警察方面会計担当官とする」というふうに定められておるわけでございます。それを受けまして、警察庁会計事務取扱細則というものが昭和三十六年に出ておりますが、この第四条におきましてこれらの各都道府県警察本部における歳入徴収に関する事務を官職指定により委任している、そういう手続をとっているわけでございます。したがいまして、ただいま会計法のお話もございましたけれども、会計法の第四条の二第一項によりますと「当該各省各庁所属の職員にその所掌の歳入の徴収に関する事務を委任することができる。」という規定がございます。さらに同条第四項によりますと、「官職を指定することにより、その官職にある者に当該事務を委任」することができるという規定もあるわけでございます。したがいまして、御質問の会計法上の資格につきましては、以上のような措置をとりまして、歳入徴収事務を取り扱っているものでございます。
○沢田委員 いまの第四条の二の分任歳入徴収官、それから会計法第四十六条の三、会計事務の代理等、予決令第三十条の歳入徴収の職務と現金出納の職務とを兼ねることができる場合、それぞれ規定されております。とにかくこの附則の中で、昭和四十三年七月二十九日の政令二百六十二号、昭和三十五年の道交法の第百二十八条第一項の反則金に係る条項だけしか取り扱うことのできないようなことにこの会計法によればなっております。
 あなたがいまおっしゃった分任歳入徴収官が警察官であるのかどうか、いわゆる告知書を発行する者は分任歳入徴収官となるのかどうか。警察法にもない。警察法も拝見させていただきましたけれども、そのことの規定づけはありません。とすると、この反則金の通知によって代行できるというところは――私はここで抗弁しようと思っていません。これは無理な法律論議ですから。やはり整合性を必要とする。しかも反則金の例示によると、これは判事の説明ですけれども、刑罰主義とあわせて一あなたは刑罰主義ではないのだと言うが、そのまま送検をすることができるということは、裁判所の徴収の委任を受けて行っているということにもなるわけですね、納めない人にとっては。だからあなたの答弁でいけば、行政府があくまで徴収義務を負わなければならぬのですよ。送検をするということは裁判所の徴収権に委任することなんです。裁判所の徴収権というものに移管をすることなんです。だからその辺にも若干問題がありますが、どうもきょうは時間がないようですから、もう一回御検討をいただきながら、私も勉強いたしますけれども、反則金の扱いというものについては、租税法律主義をとっているわが国の体制から見ると、若干間にはさまれて、ちょっとでこぼこしているという印象を受けます。
 最後の問題に入らしていただきたいと思います。
 これはこの前もやはり若干触れましたけれども、道路構造と車両制限と道路管理者の義務、こういうことに関係してであります。
 国道には国道の道路構造があります。道路構造令ということでこの前は質問をいたしたわけでありますが、現在まで、時間がなくなりましたから簡単に申し上げますと、交通の道路管理上の責任の、大阪の地方裁判所の判事さんの見解によれば、警察の方では最低の車道幅員は五・五メートルというふうに規定づけをされているようであります。このことはまず否定されないんだろうと思うのでありますが、その点は、これは交通上の五・五メートルとして規定したことについてお答えをいただきたいと思います。
○広谷説明員 お答えいたします。
 警察におきましては特に道路の規格、いまお話ございましたような、五・五メートル以下は道路であるとかないとか、そういうふうな規定のいたし方はいたしておりません。道交法上はあくまでも一般の通行の用に供せられるものが道路である、こういうふうに決めておるわけでございます。
○沢田委員 わが国の道路の整備状況で、車道幅員が十三メートル以上のものは三・三%、総延長の〇・八%、四五%以上は二車線道路の、最低車道幅員五・五メートルに満たない状況である、こういうことで表現しております。最低車道幅員というのは現在二・五、二・五というふうな、車幅から計算された一つの計算の根拠、一メートルの歩道を含めて計算をされたのが五・五メートルの根拠だと思うのでありまして、これは道路管理上の瑕疵として問われている事件の判例から拾い出した問題であります。ですから、少なくとも路面あるいはのり敷、沿道区域それから構造、こういうものが道路管理者としては当然担わなければならない管理者の義務である。今日まで穴ぼこだとか段差だとかスリップだとか道路の崩壊だとか落石だとかあるいは安全施設の不備であるとか、そういう道路の崩壊、特に十五件ありますけれども、これはいまの構造が悪いという形でありますが、そういうことによって訴訟なり起こされ、あるいは今日までいろいろの問題が起きてきた実例を示しております。
 そういうような状況でありますので、最後に答弁は、さっきの残された答弁が一つと、いわゆる道路構造に応じた重量の車の通行、こういうことをやはりもう少し徹底していかなければならないのじゃないか。そのことに対して最後に御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
 もう一回念を押すと、道路の構造の弱いところへ重量のものが通れば、それは振動も多くするし、破損率も高い。だから道路の能力に応じた車を通さしていくというその車両規制というものが必要になってきているのではないかということを、この道路管理上の責任の範囲内において管理者がやるのか、警察がやるのか、その辺明確にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
 それからさっきの質問に対してはもう一回お聞かせいただきたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。
○太田説明員 道路の交通規制の問題でございますけれども、これはもちろん先生が御指摘のように、道路の構造が非常に悪いところに重たい車を通すというようなことになりますと、通行自体が非常に危険になるという面もございます。それから、特に問題は、やはり周辺の住民に対する振動あるいは騒音というようなことも道路構造とも非常に絡んで影響するところが大きいわけでございます。したがって警察といたしましては、これまでも警察の方のいわゆる交通規制の権限といいますか、そういうものによりまして生活ゾーンとかスクールゾーンとかいろいろな形で、いわゆる裏道対策といいますか、そういう面についても大型車等を締め出すというような形での規制を現在も行っているところでございます。今後もそういう方針で進めてまいりたいというふうに考えております。
○小林(育)政府委員 先ほど先生の御指摘のとおり、車が非常に格段によくなったということは事実でございます。しかしながら、車検期間を大幅に延長するかどうかという問題につきましては、事が安全に関することでございますので、先生の御意見も踏まえながら慎重に検討させていただきたい、そのように考えております。
○沢田委員 どうもありがとうございました。
○有島委員長 次に、石田幸四郎君。
○石田(幸)委員 まず最初に、運転免許の制度にかかわる問題から若干質疑をいたしたいと思うわけでございます。
 実は、この間、私とほぼ同年配の方の娘さんが、年齢に達して免許を取られたそうでございます。この連休の間ドライブをしたいということをおっしゃっておったようでございまして、親御さんとしては大変心配をしまして、とにかく免許を取ったばかりなんだからドライブなんというのはやめろ、こう言ってもなかなか娘さんが聞かない。本当に弱ったんですというお話をしておられました。
 一体これは何に起因するかというと、最近高速道路があちこちに設置をされておりますから、かなり高速で走る機会が多くなっておるわけですね。ところが、実際の運転免許を取る教習所というのはそういう施設がない。特に都会周辺の場合はそういうような施設がないわけでございますから、実際に運転免許を取りましても現在の車社会の実態に合わないわけです。親御さんの心配するのは無理もない。ここら辺の欠陥をどういうふうに今後是正をされるおつもりか、この点が第一点であります。
 それから、いろいろなケースがあると思いますけれども、最近のトラック等は大型化になっておりますし、あるいはまた二輪車の場合なんかもかなり強力な機能になっておりますから、特に自動車を改良して都会の広いところを大きな音を立てて走るとかいうようなことで大変ひんしゅくを買っているようなケースもいままであったわけでございます。これらはいろいろな改正がございましたから、ある程度取り締まることができるようになったにしましても、いわゆるドライバーとしての性格的な問題、ここら辺はチェックをする必要が全くないのか。大変心配になるドライバー、そういう人たちもあるわけでございます。そこら辺の問題、まずお伺いいたします。
○太田説明員 まず初めの免許証を取って間のない方が高速道路を運転するということで、その辺についての手当てが必ずしも十分ではないんではないかという御指摘でございますけれども、御指摘のとおり、高速道路がかなり整備されて全国的にできてまいるということになりますと、免許を取得するということはいずれ高速道路を走行するというようなことも予想される、当然予想していかなければならないということになろうかと思います。これにつきましては、御案内のように、高速道路におきます交通事故を見ますと、発生率は一般道路よりはかなり低いものでございますけれども、一たび事故が起きますと重大な事故が起こるという割合が非常に高うございます。また、いまお話しのように高速道路で起きた事故につきまして見ますと、免許を取得して三年未満の者が三分の一も占めるというようなことで、運転経験の浅い者による率がきわめて高いというような実情がございます。
 したがいまして、一つの方策といたしまして、昨年の四月から高速道路のインターチェンジから車でおおむね三十分以内の距離にあります指定自動車教習所で体制的に可能なところにおきましては、教習所を卒業してすでに普通免許を取得した者、あるいは免許試験に合格をいたしまして免許証の交付を受ける直前の段階にあるというような者の中から、自発的に希望するという者を対象にいたしまして、一時限の付加的な学課教習と一時限の技能教習等を事故防止に十二分に配慮しつつ実施するように指導しているところでございます。しかしながら、これにつきましては、必ずしもいま申し上げましたような条件の教習所というのがたくさんあるわけではございませんので、高速道路における運転についてのシミュレーター、そんなようなものについても今後開発してまいりまして、そういうものを活用して高速道路における運転の安全というものを期していくような方向で検討してまいりたいということで、目下そういうものについての開発にも着手しているところでございます。
 それから、もう一点の適性検査的なものでございますけれども、御案内のように現在も科学警察研究所等で開発いたしましたものを教習所等におきまして実際やっておりますけれども、これを免許の条件にするというところまではなかなかまだ十分開発されてないという実情にございます。
 ただ、そういう性格検査といいますか、適性検査にあらわれてきた性格の判断といいますか、そういうものはその人にとって運転をしていく上に非常に参考になる事項であるということで、なるべくこういう制度が広く行われるようにするという方向でいまやってはおりますけれども、制度自体に結びつけるところまでは、科学的な面からまだ必ずしも十分な自信がないということで推移しておるところでございます。
○石田(幸)委員 きょうの質疑の中心はこの問題ではありませんのでたくさんのことは申し上げませんけれども、先ほどの適性検査的なことは多分に人間教育の範疇に属する問題でございますから、これはやはり教習所における監督者の十分な指導というものが必要だろうと思いますね。実際に教習所の実態等を見ておりますと、いわゆる技能研修ですか、そういうものが多いわけでありまして、やはり交通事故という問題に対する認識というものが、教習所の段階で十二分にドライバーに周知徹底させるようなそういうシステムというものがどうしても必要だろうと私は思うのです。全くやってないというわけではありませんけれども、ここら辺のところを、いわゆる制度的に結びつけることは不可能であっても、やはり学校に義務づけるということはできるんじゃないかと私は思うのですね。面接テスト――面接テストというよりも、面接の上でいろいろ実情を説得するとか、仮に事故の問題が発生した場合大変な事態になるとか、そういった面の心理的な教育を十二分にする必要があると思うんですよ。もう一遍ここら辺の御答弁をお願いしたい。
 それから、さっきの高速道路対策のシミュレーターの開発の問題にしましても、これはのんびりしているわけにいきません。連休なんということになりますと、高速道路に入ることすら一時間も一時間半も並ばなければならぬというような実情を見ますと、やはり取得して一年ぐらいの、あのマークをつけた人たちが相当走っておる。しかも、ひどい場合、私たちも経験がありますけれども、いわゆる高速になじまない速度で走っておられる人たちも実際におる。それがかえって他のドライバーにも危険を及ぼしている実態もあるわけですから、この開発はある程度目標をはっきりさして、このぐらいまではどうしても開発をしたいというくらいの決意がなければいかぬのじゃないかというふうに思いますので、いま一度二つの問題について御答弁いただきたい。
○太田説明員 初めの高速道路におきます問題でございますけれども、これにつきましては、シミュレーターの方の開発については本年度の予算で一部すでに入っておりますので、今後もできるだけ予算獲得をいたしまして、早急にその開発を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、適性検査といいますか、運転適性、心理的な適性の問題につきましては、教習所等におきまして、先ほど申し上げましたように科学警察研究所等で開発いたしましたものをすでに受けさせるようにいたしておりますけれども、これにつきましてもやはりまだいろいろ開発する余地もあると思いますので、さらに科学警察研究所等において継続的にこれも研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
○石田(幸)委員 じゃ、この問題についてはこの後さらにまたこちらも研究いたしますし、さらに御努力を願うことにいたしまして本題に入りたいと思うわけでございます。
 国家公安委員長に実はお伺いをしたいわけなんでございますが、これは公安委員長の職務というので安全に関する問題についての責務を負っていらっしゃるわけでございますが、いま非常に問題なのは、車社会の中におきましていわゆる交通事故によります被害が、後遺症が残って、簡単に言えばとても自活できないような症状になっている人がかなり出てきているわけですね。このことを考えてみますと、いま車社会はここまで発達をしてきますと、いろいろな努力によってこれを防ぎ得るということはなかなかむずかしい。車がこれだけ現存する社会においては、そういう事故の発生は基本的にわれわれは考えていかなければならぬ、当然あるべきものと思わなければならぬわけですね。いわゆる他人の過失によってそういうような事故を起こされた人、いわゆる普通人としての生活能力を奪われるような障害を得ている人、こういう人たちに対しては、十分ではないにしてもそれなりの自賠責の補償等が出るわけですね。あるいは任意保険等によっても出ておるわけでございますが、この中で一番問題なのは、みずからの過失によってそれを招いた場合に、現在の法律体系が他人の過失による損害に対する補償というような民法上の性格から出ているわけで、自損事故についてはみずから責任を持つべきだということから、自損事故に対する保険制度が自賠責の場合はないわけですね。そこで考えていただきたいのは、しかし現実的にそういうことが起こった場合に十分な保険といいますか、損害に対するいろいろの補償を得られない人、そういうところは国家的にどこかで救済をしなければならぬのではないか、こういうふうに私は考えるわけなんですが、これについて国家公安委員長殿はどのようにお考えになりますか。
○太田説明員 ただいま先生御指摘のように、運転者が自動車を運行いたしまして、その運行によって自分が死亡または負傷したという事故につきましては、いまお話しのとおり自賠責の適用を受けないことになっておるわけでございます。
 この問題につきましては、自賠責の制度自体が元来損害賠償を補完するというものでありますので、法制上いろいろ困難な問題があると予想されますので、関係省庁によります慎重な検討が行われる必要があろうというふうに考えておるところでございます。
○石田(幸)委員 確かに慎重な検討が必要であることは論を待たないところだと思うのですけれども、私が国家公安委員長にこの点について期待申し上げることは、そういう認識はいずれにしてもあると私は思うのです。これから運輸省にも見解をお伺いするわけでありますが、だれかが先鞭をつけてこれらの人たちを救済する制度をどこかにつくろうとしない限りは、いつまでたってもこれらの人たちは社会の片隅に泣いていなければならぬ、これらの家族は大変な経済的な苦痛の中で泣いていかなければならないということが続くわけでございますね。しかも、この問題が提起されてからもう二、三年の問題じゃないでしょう。かなり長期にわたっての問題提起がなされているわけですから、これはもう国全体としてどこかで提起をして何らかの制度に乗せなければならぬ、こういうふうに思うのですが、国家公安委員長として派生的に出てくる事故についても何らかの御発言があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○澁谷国務大臣 ただいま御指摘の点は、所管の問題から言うと恐らく私の所管ではないように考えられますけれども、問題自体としては確かに放置できない性格のものだと思います。とにかく四千万人に近いドライバーが毎日自動車で走っておるわけでございますから、いろいろな形の事故が起きる、自分が運転してその運転の結果自分が傷つくあるいは自分が死亡する、こういった事故も現実に起きているわけでございますから、それに対する対策が全くないということは私どもとしても十分考えていかなければならぬ問題だと思います。これは私、いま御質問を受けてとっさに考えたわけでございますけれども、一つの対策としては共済的な性格の制度が適当ではないかという、私の感じですね、そんな感じがまず直観的にしたわけでございますが、いずれにしても問題自体は現実に起きておる問題でございますので、これは政治全般の問題としてひとつ検討してまいりたいと思います。
○石田(幸)委員 それでは運輸省にお伺いします。
 いま私の質疑を聞いておられたと思いますが、現在の自賠責の体系からいきますと自損事故に対する保険はかなりむずかしいわけでございますけれども、自分の生命を担保するという考え方に立てばあるいは何らかの制度が生まれ得るのではないだろうかという感じもするわけですね。いま国家公安委員長の御意見を承りましたら、いろいろな案はあるにいたしましても共済的な制度ということもあるいは考えられるかもしれない、こういうようなお話があったわけでございます。先ほど来申し上げておりますようにこの問題は決してきのうきょう起こった問題じゃないわけでございますので、何とかこの対策を軌道に乗せなければならぬ。そのためには運輸省としても具体的な、自賠責の見直しの中でやるのかあるいはその他の方法でやるのかは別といたしましても、自損事故対策の研究を進めてもらわなければならぬ、私はこういうふうに思うのです。しかもそういうものがかなり公的な形で行われていかなければ進まない。たとえば向こう二年なら二年を目標にして一つの結論を何とか得たいという努力をすべきではないのか。二年なんという悠長なことを言っておられない性格の問題なんですけれども、いままでの質疑を踏まえた上で、自損事故の実態またそれに対する考え方をぜひ運輸省に伺っておきたい、こう思います。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。
 自損事故の実態についてというお尋ねでございますが、自損事故がどれくらいあるかということにつきましては残念ながら現在正確な数字を把握することはできません。一番近い数字ではないかと思われますのが警察庁の交通統計によります事故類型別交通事故統計でございますが、その車両単独と踏切事故を加えたもの、これがある程度自損事故に近いものではないかと考えられます。それを昭和五十二年について見ますと約三万二千件ほどございまして、全交通事故四十六万件の七%弱という数字になっております。もっともこれを死亡事故について見ますと、この数字はかなり高くなりまして、同じく昭和五十二年について見ますと二千三百三件、全死亡事故件数約八千五百件の二七%という割合を占めておるわけでございます。
 こうした自損事故によります被害者が現在どういう救済を受けているかというお尋ねでございますが、私ども運輸省といたしましては、自賠責保険を柱といたします自動車損害賠償保障制度というものを通じまして自動車事故の被害者の救済を図っているところでありますが、先生御案内のとおりにこの制度は自動車事故の加害者が被害者に対して負うところの損害賠償責任を担保するためのものであります。したがいまして、現在の法制度のもとにおきましては、自損事故に自賠責保険を適用するということはできないわけでございます。したがいまして、自損事故につきましても保険の対象とするためには、現在の損害賠償責任保険制度というものを根本的に改めまして、自損事故も含め、加害者の責任の有無ということを問うことなく保険金の給付を行うという、いわゆる災害保険制度というふうに改める必要があるわけでございます。
 その場合に一番大きな基本的な問題といたしましては、一般の不法行為責任体系との関係をどういうふうに調整するかということが大きな問題であろうかと思いますが、その問題を別にいたしましても、そもそも自己の責めにのみ帰する事故によって生じた自分自身の損害に備える保険の締結を、法律で強制するということまでする必要があるのかどうかという問題があろうかと思います。現在、たとえば任意のいろいろな生命保険、あるいは自動車保険につきましても、任意の自動車保険におきましては自損事故に備えるための保険というものは備えてあるわけでございまして、それを法律で強制しなければいけないかどうかという必要性の判断がまずあろうかと思います。また、そういう必要があるのだということでやる場合におきましても、そのために必要となる財源というものは結局自動車の使用者の負担にゆだねることになるわけでございますが、そういう財源といった観点からいきますと、自損事故に対する救済保険給付をやるということは、現在の一般の他人の加害行為によって損害をこうむった被害者の救済と一種のトレードオフの関係に立つわけでございまして、どちらの救済を優先させるべきかという問題は、政策的な判断がそこに必要になろうと考えるわけでございます。私どもの現在の判断としては、現在の自賠責責任保険の充実ということが優先的に処理されるべき問題ではなかろうかという判断に立っているわけでございます。
 それからまた、相手の加害者というものが自損事故の場合にはございません。したがいまして、そういうものを保険の対象にいたします場合には、自動車事故による損害であるということを確認する業務がかなりの量のものにならざるを得ないといったような、実際に実施する場合の問題というようなものもあろうかと考えるわけでございます。
 しかしながら、こういった問題はあるわけでございますけれども、先生御指摘のとおりに、自損事故の被害者の救済という問題は、特に遺族の生活保障あるいは先生御指摘の重度の後遺障害を受けた被害者本人の生活保障といったような観点から考えますと、一つの重要な課題であるということは間違いないというふうに考えております。しかしながら、ただいま申し上げましたように自損事故に対して現行の自賠責保険の責任保険というものの制度を根本的に改めて適用していくということにつきましては、現行の自賠責制度の根幹にも触れる大きな問題であるわけでございまして、私どもとしては従来に引き続きまして今後とも慎重に検討を重ねていかなくちゃいけないというふうに考えております。
○石田(幸)委員 ある程度前向きの答弁でございますので大変結構と思うのですが、いわゆる自損事故という問題は確かにそれの正しい認識というのはかなり困難な面が多いわけですね。しかし死亡とかあるいは重度の交通事故というようなことに限定をすれば、これはまた救済制度的な考え方で十分対応できる。これは前々から意見もあったわけでございますから、そういうことも考えられると思うのです。ここら辺のところをぜひ検討をしてもらいたい。特に、早い機会に結論を得ていただかないと、これらの人たちが大変気の毒だというふうに思いますので、この点要望を申し上げておくわけでございます。
 もう時間がありませんから改めてやることにいたしまして、重度の意識障害被害者の看護料という問題が運輸省の方から要求されておるわけでございます。職業的な看護料、そういうものがあるわけでございますけれども、しかしこれは家族を含むというふうに看護料の問題を広げていかなければいかぬと私は思うのです。たとえば御主人がそういった重度の障害者になられた場合、近親者の心理的な状況からいっても、ぜひ奥さんなら奥さんが、あるいは子供さんなら子供さんが御主人に付き添って云々というようなことが当然出てくるわけでございまして、そういうことになりますと、たとえば奥さんなんかの場合は、当然御主人がそれだけの障害を得て働けない、生活費をかせがなければならぬというような状況もあります。そういうようなこともいろいろな公的な機関で審査をすれば、当然職業的な看護婦さんあるいは付添婦さんというような人々と同じ扱いをしてあげることができるのではないのか、こういうふうに思うのですが、家族を含む看護料まで広げるというような方向を検討できないかどうか、この点をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○伊藤説明員 お答えいたします。
 自動車事故によりまして重度の意識障害に陥った方に対します介護料の支給につきましては、昭和五十四年度から新たに自動車事故対策センターにおいて実施することとしておりまして、それに必要な経費といたしまして自賠特会で三億三千七、百万円の予算を計上しているところでございます。現在、その介護料の支給の仕方につきまして、先生もただいま御指摘のございました家族による介護をも対象にするかどうかといったような問題も含めまして、その実施細目について事故対策センターにおいて目下鋭意検討を進めているところでございます。
○石田(幸)委員 終わります。
○有島委員長 次に、青山丘君。
○青山委員 昭和四十五年に交通事故死者数が一万六千七百六十五名、過去最高でありました。翌年四十六年から昭和五十五年まで、この十年間に死者数をおよそ半分以下にしたい、こういう目標を立てられて今日まで努力をしてこられたわけですが、八年間については、現実的に死者数を連続して減少することができたことはきわめて大きな成果だと私は評価しております。昨年、五十三年度ですか、死者数が八千七百八十三人、対前年度比百六十二名の減、一・八%減少、こういうことですが、ただ問題は、最近になって死者数の減少幅が減っている。したがって、現在の時点で、過去にさかのぼって増加をするという見通しは立てたくない。けれども、しかし、目標達成というのはなかなか困難であろうと思うのです。公安委員長、具体的にその決意と見通しについて、御見解をまず伺っておきたいと思います。
○澁谷国務大臣 御指摘のように、八年間連続死者数の減少をとにかく実現をしてまいったわけです。それで、昨年あたりはどうも減少というところまではいかないのじゃないかというような非常に憂慮すべき状態であったわけでございますが、必死な努力をしましてどうやら八年間連続減少という成果を上げることができました。しかし、御案内のように車の台数はふえる一方です。交通量は増加の一途をたどっておるわけでございますから、そして最近の一つの憂慮すべき傾向として交通事故件数が前年より少しふえてきておるわけです。そういったような点もあわせて考えますと、ことし果たして九年連続して死亡者の数を減少させ得るかどうかということは、これはかなりむずかしいというふうに私は率直に感じておるわけでございます。しかし、何とかしてことしもまた前年に比べては死亡事故が減った、こういう成果をどうしても上げたいということで、これはもちろん総合的な対策が必要であるわけでございますので、私どもとしては全力を傾けてこの目標の達成に努力したいと考えております。
○青山委員 目標を達成してほしいというのは私どもの願いでもありますし、実際に車を利用し、交通の便を受けている国民にとっても大切な課題になってきているわけです。さりとて、しかし、状況が交通需要はふえているでしょうし、そういう環境の中で具体的に事故件数はふえていつつも死者数を減らしてきていることはなかなか大変なことであろうと私は思っています。これは大きな成果です。率直に認めているのです。とはいえ、しかし、これからなかなか容易ならざる事態だ。そうなってくると具体的に、抽象論の決意ではなくて、道路の対策、後にちょっと触れていきたいと思うのですが、安全施設の整備、これだけでは十分な成果は上がっていかないでしょう。それから、やはり基本的にはこれはドライバーの教育ということになってくるのでしょうから、そうなってくると短期間で成果を上げるということもむずかしくなってきている。しかし、私どものいま抱えておる課題というのは、できるだけ近い将来、あの最高時の半分以下に死者数を減らしていきたいというのが願いでありますから、それには具体的な努力、具体的な施策を持って、そしてこういうような成果を上げていきたいという決意が私は必要であろうと思うのです。その辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○太田説明員 最近におきます交通事故の死者数の状況でございますけれども、ただいまお話しのように昭和四十六年以来連続八年減少いたしまして、本年に入りましてからも現在のところ一応順調に推移しているところでございます。具体的に申し上げますと、四月末現在で死者数が二千五百五十七名、これは対前年で百三十九人の減、五・二%の減ということになっております。しかし負傷者の方は十八万六百六十三人ということで、これは対前年で一・八%、三千二百三十八名の増という結果になっております。しかしながらおかげさまで死者につきましては、一応対前年五%内外で現在推移しているという状況でございます。
 それで、これの原因等につきましてはいろいろございますけれども、一つは、やはり昨年の改正道交法、これがいろんな面で交通事故の死者数を特に減少させるとか、悪質なドライバーといいますか、そういう面について非常に効果を発揮しているということもございますので、これはすでに五カ月目に入ってきているわけでございますけれども、さらにその定着化を図ってまいるということで現在いろいろ施策を考えているところでございます。ただいまお話しもございましたように、やはりこの状況を定着化させるためには、優良な運転者の育成と、それから特に企業におきますいわゆる安全運転管理の推進といいますか、それから安全で走りやすい交通環境の整備というようなことの総合的な対策が必要になろうかというふうに考えております。
○青山委員 ちょっと事故件数がふえてきていますね。その辺が憂慮するところですが、死者数をできるだけ減らしていきたい。これは改正道交法が果たした役割りもまた大きかった。そして力で抑えていくというやり方をとられてきたわけですが、さて、ドライバーの責任は、これから少しずつ触れていきますけれども、警察の方にも将来に対して十分展望を持った取り締まりの仕方がある。いま御回答いただきました優良運転者に対する優遇措置みたいなもの、あるいは悪質運転者に対して断じて取り締まっていくという、一つ一つの問題に血の通った対策がないといけないと思います。後でちょっとこの問題、触れさせていただきます。
 その前に、それなりに成果を上げてきていますが、暴走族の問題について触れさせていただきますが、昨年の十二月になりますと、その暴走族が出た、数で一応つかんでおられるのが回数として二十七、前の月が二百四十八回数、次の月、つまり改正道交法が実施されてから急に二十七、ぐんと減っているわけですね。ことしの五十四年の一月を見ますと二十三回、一年前の五十三年の一月は百五回、二月になってきますと二十一回、その前の年の二月が八十九回、回数だけでかなり減少しております。恐らく、参加人員を見てみますとやはり相当減っていますね。もっともこれは冬場ですから、冬の季節は若干鳴りをひそめているのでしょう。春先から夏へ、夏から秋へかけてはかなり活発に活動するということですから、いま私の持っている資料では、改正道交法が実施されてこれから夏の段階でどうなっていくのかまだわからない問題がありますが、しかしこの数字だけから見ますと、検挙状況を見ましても、昨年に比較してといいますか、改正道交法前に比較して違反がかなり少なくなってきております。もっとも逮捕者はうんとふえていますけれども。そういうように具体的に成果を上げてきてそれなりに私は――かって土曜の夜から日曜日の明け方にかけて道路上をわがもの顔にのさばり回っていたオートバイ、乗用車、そういう姿がかなり少なくなってきているとはいえ、現実にはまだ時期が来たらまたやると公言している人たちがあると聞くのです。その人たちに対する対策というものを考えておられるのか、やはりあくまでも改正道交法で力でぐんぐん抑え込んでいくのか、そういう問題があります。
 それからもう一つは、暴走族と一般のドライバー、中にはいろいろな事情があってスピードを出しているのもあるでしょう。この辺との区別を現場の警察官の人たちが対処し切れるような体制が十分できているものかどうか、いかがでしょうか。
○太田説明員 まず暴走族の最近の動向でございますけれども、ただいま先生からいろいろ数字を挙げられました。そのとおりでございますが、一応まとめて、五十二年の十二月から五十三年の三月、それから改正道交法が施行になりました五十三年の十二月からことしの三月までの同じ四カ月間をとってちょっと申し上げますと、いわゆる蝟集回数でございますが、改正前は四カ月間で四百三十二回、改正後は四カ月間で百六十四回。それから参加人員でございますが、改正前は四万一千七百人、改正後は九千二百七十九人。それから車両台数でございますが、改正前の四カ月間で一万九千四百四十八台、改正後は四千二百七十二台ということになっておりまして、いずれも大幅な減、七八%程度の減ということになっております。
 しかしながら、これはいまお話しのように、やはり警察の出方待ちといいますか様子を見ているという点もかなりございまして、これまでも、冬季でございましたけれども、土曜日の夜から日曜日の未明にかけまして全国で平均大体一万五、六千人の警察官が暴走族の取り締まりのために出動しているということで、これは昨年に比べましてもかえって人数的にはやや多くなっているくらいの体制で臨んでおります。それで、これからはいまもお話しございましたように暴走族のシーズンということにもなりますので、いままでの体制でさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、一般のドライバーの方でいわゆる暴走行為というようなことを行う者もあるのではないか、その辺の見きわめをどういうふうにつけているのかという御指摘でございますけれども、これにつきましては、いわゆる暴走族だからということで道交法の暴走行為の規定ができておるわけではございませんので、要するに道交法の六十八条に規定されております暴走行為という構成要件に該当するということがございますればそれを適正に運用していくというのが警察の基本的立場になるわけでございますけれども、いわゆる暴走行為というものを集団で反復して行うというような形で、いわゆるグループ的な形で暴走族ということでとらえられている、そういうグループにつきましては、これまでも特別にその解散といいますか、そういう面についても力を尽くしてきておるわけでございまして、その辺の見きわめにつきましては十分慎重に指導してまいりたいということで考えております。
○青山委員 現場ではその場その場違った事例が多いのでしょうから一つずつ取り上げるのはどうかと思いますけれども、やはり一般のドライバーに対しての配慮と、それから明らかに他人に被害と危害を及ぼす暴走行為とは基本的に違うわけですから、もっともその辺は現場において間違いのないようにひとつ管理、監督、指導を進めていただかなければならないと考えます。
 それから、基本的に暴走族を解散させるという立場に、これは他にいろいろな道を求める方法もやはり必要でしょうから、その指導というのはなかなかなまやさしいことではないと思います。ただ、いま現在は力で抑え込んである、こういうことですから、基本的に暴走行為に対する、何といいますか、みずから進んでやめるという決意をしている暴走族ではない、折あらばまたやるのだ、こういうことを公言している人もあるというのですから、その辺をひとつ十分配慮しながら取り組んでいただきたいと思います。
 暴走族についてもう一つ尋ねしますが、「警察庁は新兵器として「暴走族取締車」を開発した。」という報道がなされております。改正道交法では共同危険行為の条項が新設されて暴走行為そのものを取り締まることになってきた、その証拠固めのために開発されたものであり、二十六人乗りのマイクロバスを改造して屋根の上に小型のビデオカメラと高速度カメラをそれぞれ一台ずつ置いてある、六灯式のハロゲン投光器も備えていると新聞では報道しているのですが、聞くところによりますと、五十メートル先くらいならば夜間でもナンバーや運転者の顔も識別できるほどの投光器が設置してあるというのですね。私は、これは後の証拠固めあるいは事後捜査の立場でそれなりの効果を持つものであろうと思っています。この成果といいますか、またこの車のこれまでの活動経過といいますか、いかがなものでしょう。
○太田説明員 ただいま暴走族の取り締まり用車両の問題についてお話がございましたけれども、確かに暴走行為につきましては他の車両に著しく迷惑をかけたというようなところを立証しなければならないわけでございまして、これについては被害を受けた車両の運転者の供述はもちろんでございますけれども、やはり客観的な証拠というものがどうしても必要になるわけでございます。したがいまして、ただいまお話しのような形でのいろいろな性能を持った器材を搭載した車を準備いたしまして、これは現在二十一車両準備いたしまして、警視庁に三台とかあと大阪に二台とか、そういうような形で二十一車両をそれぞれ各県に配分して現在活用をしているところでございます。
○青山委員 その成果はどうですか。
○太田説明員 これまでも相当の件数すでに暴走行為について具体的に取り上げましてこれによって立証をするというようなことも、ぼつぼつと結果としてはあらわれてきております。
○青山委員 一度ぜひその成果というものを、後で結構ですから知らしてほしいと思います。
 それから改正道交法第六十八条、「共同危険行為等の禁止規定は、いわゆる暴走族の不法行為を排除するために設けられた規定であって、いやしくも正当な政治活動、労働運動等に乱用されることのないよう慎重に配慮すること。」という道交法の一部改正のときに附帯決議がなされておるのですね。それで、その後若干の動きで、暴走族が政治結社の届け出をしているとも聞いているのですが、もし仮に政治結社の届け出をしておったとすれば、暴走行為は宣伝活動とみなされていくものかどうか、その辺の御見解はいかがでしょうか。
○太田説明員 ただいまお話しのように、暴走族グループのうちで「ゼロ」とかそういう一部特定のものがいわゆる右翼団体を結成した、あるいは既存の右翼団体に加盟するというような動きがあることは私どもも承知をいたしております。また警察といたしましては、これらの暴走族グループが政治活動に籍口いたしまして共同危険行為等の禁止規定に抵触するような暴走行為を行った場合には、それが正当な政治活動かどうか十分見きわめました上で取り締まりを行うという方針で現在考えておるところでございます。
○青山委員 十分見きわめると言っても、具体的にはなかなか困難だろうと私は思うのですよ。憲法で政治結社の自由が保障されているのですから。とはいえ、そこまで暴走行為を許す必要はないと私は思っていますよ。ただ、そういうことが悪用されてくるとなかなか取り締まりの現場の人たちは御苦労なさるであろう、そしてそのことによって一番被害を受けるのはドライバーなんですけれども、他のドライバーにも迷惑がかかってくるし、せっかくここまで成果を上げてきた取り締まりの努力というものが、妙な取り扱い方で片手落ちになっていくのもなかなか心配だと私は思って申し上げているわけです。
 一番大事なことは、ちょっとこれからもう時間がありませんので続けさせていただこうと思っておりますが、何でも力でがんがん押していけばそれでいいか、それだけの成果を上げることができるかというと――私はこれまで警察はそれなりに努力してきた、率直に認めています。とはいえ、それでは警察が完全であったかといいますと必ずしもそうではないのです。そのことは、たとえばネズミ取り方式による交通違反の取り締まりですね。これに対して実は私自身もかつて二度、三度取り締まりを受けたことがありますけれども、こんなところでどうして取り締まりをするのかしらと思うようなところもあります。一体なぜネズミ取り方式で取り締まりをするのか私自身はまだわからない。それだけの努力をしてくれるのなら、実はかって私もあるところで指導だけ受けたときに、ああいけなかったと思って、これからはこんなにスピード出さないように努力しようと思ったこともあります。そういう指導の仕方がドライバーに対して警察に対する信頼感も植えつけていくのです。しかし、やみ討ちでとるようなネズミ取り方式なんというものがあること自体、私はどうしても理解できない。一体なぜあるのかひとつ聞かしてほしい、それはいいですか。そう申し上げるのは、酔っぱらいとか無免許だとかあるいは人身事故があったというような重大な違反者を除いてきますと、交通違反で検挙された人たちの多くは、ネズミ取りを実施されたことによって一番感じることは、これは新聞ですよ、運が悪かった、取り締まりの方法が汚い、そういう反省よりもむしろ警察に対する逆恨みが先に立っているというのです。その辺の御見解はいかがでしょうか。
○太田説明員 私どもはスピード違反の取り締まりだけでございませんで、すべての交通違反の指導、取り締まり活動は、とにかく交通事故を防止するというのを目的にいたしておりまして、国民の理解と協力がなければその目的が達せられないということを基本に据えまして、適正な取り締まりの実施に常々努力しているところでございます。とりわけスピード違反につきましては、交通事故の発生状況とか沿道環境の問題あるいは交通実態等を見きわめました上で、取り締まりの場所とか時間それから取り締まりの対象、そういうものを選定する。特にその場合に、幹部によります十分その辺の問題を検討するということを踏まえまして、それで取り締まりを行うということでこれまでも指導してきておりますが、今後もその点についてさらに徹底をしてまいりたいというふうに思っております。特に、スピードの取り締まり等に当たりましては、その取り締まりを行っているかなり前の時点で、適正なスピードを守れとかそういうたぐいの看板等を出しまして、一応運転者についてスピードについての認識というか思い出してもらう、適正なスピードを守ってもらうという自覚を促しておきまして、その上でさらに取り締まりを行うというようなことを、これはかなり徹底してきているのではないかというふうに思っておりますけれども、そういう方向で、国民の共感に支えられた交通警察の運営ということを基本に置いて今後もやってまいりたいというふうに思っております。
○青山委員 実態に即して取り締まりに当たっていただくということは、それなりに私は前進だと思っています。ただ画一的に何キロオーバーだからがしゃんというようなやり方、しかもそれが運が悪かったとか警察のやり方が汚いと言われるようなことでは、ドライバーの信頼を得ることができない。特にそれは道路のいわゆる交通環境をよくしていかなければいけないし、あるいは交通安全施設の整備をしていってドライバー環境をよくしていく。このこととあわせて、これからもっと基本的にはドライバーの教育が一番大切なんですから、これがなければいろいろな目標を立てても達成することはできない。したがって、そのドライバーの教育に力を入れようとしておるいまの段階で、ドライバーから不信感を買うような取り締まりの態度というものは、警察自身もやはり考えていかなければいけないのではないか。ドライバーに信頼される取り締まり方法、もとより悪質なドライバーに対しては断じて処罰していいと私は思います。とはいえ、しかし、中には過失もあります。いろいろな事例があるでしょう。そのときそのときに対する取り組み方、血の通った取り締まりがなければ、本当のドライバー教育にはならない。その辺のドライバー教育に対する御見解をお聞かせいただいて質問を終わりたいと思います。
○太田説明員 ただいま先生のお話のとおりでございまして、私どもさっき申し上げましたように、国民の共感に支えられた交通警察の運営ということを根本に据えて諸施策を遂行してまいりたいというふうに考えておりますので、ドライバー教育につきましてもいま申し上げましたように、取り締まりを受けた方が、なるほどこれではやむを得なかったというふうな形での共感を得るというようなところまで持っていければ非常にいいわけでございますが、そういうところに目標を置きまして、適正な取り締まりということにさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○青山委員 終わります。
○有島委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 国家公安委員長に基本姿勢をまず最初にお聞きをしたいと思います。
 いまも青山委員から発言がございましたが、確かにいよいよ十一日から春の交通安全運動をやろうというわけですが、死傷者の数は減ったとはいっても去年も一年間で八千七百八十三人の人が亡くなられているし、六十万人余りの人が交通事故に遭っておられる。減少傾向を示してきているとはいっても警察庁の資料を見ましても増加の兆しが出ているし、第二次交通安全基本計画の目標の達成については予断を許さない状況にあると指摘をしておられます。私は交通事故の問題についてすべてを警察に求めて云々ということは、これは筋の通らない話だと思います。そもそも社会の動向が都市へ集中させていくというところの問題とか、あるいは自動車の無秩序の販売、いわゆるモータリゼーションとか、あるいは車そのもの、道路そのものの整備という問題もあるでしょう。それからまた交通安全施設の整備という問題もあるでしょう。ですから、そういう意味では事故対策というのは総合的に見るべき性格のものであるということはもうきわめて当然だと思います。しかし同時に、ドライバーの問題というものもこれまた軽視することのできない問題だと思います。ところで、このドライバーの問題の中にもいろいろあります。社会道徳というものを頭から無視するようないわゆる暴走族という問題もあれば、自分さえよければいいという社会的非難を受けるような諸君たちの姿もあります。いずれにしても、ドライバーも歩行者も道路周辺の住民も総合的に社会的ルールをどのように確立していくのか、そのための予防対策を行政機関としてもどうやっていくのか、関係者に対するところの指導をどうするのか、行政機関としても総合的にそういう対策を練っていくということもまた当然だと思うわけです。私は、そこで国家公安委員長にお聞きをしたいのは、そういう全体の中の一つの分野であるこの交通安全に対する一つの措置をしなければならない警察庁、それがどういう姿勢でこの問題に取り組んでいくのかという姿勢問題というのが基本問題として問われると思います。
 昨年の国会で道交法の審議がなされましたときに附帯決議にこう書いてあります。「交通の指導取締りの適正を期するため、警察官の資質の向上に努め、いやしくも「取締りのための取締り」とならぬよう周到な配慮を行うこと。」という指摘がわざわざついております。この点は従来も警察庁自身も通達という形で出しておられると思いますが、「ことさらに身を隠して取締りを行ったり、予防または制止すべきにもかかわらず、これを黙認してのち検挙したりすることのないよう留意する」とか「交通指導取締りにあたっては、いわゆる点数主義に堕した検挙のための検挙、あるいはは取締りやすいものだけを取締る安易な取締りに陥ることを避けるとともに、危険性の少い軽微な違反に対しては、警告による指導を積極的に行うこととし、」などという文章が通達の中にあると思うのです。ところが現実はそういうふうになっていないところに警察に対するドライバーの側の批判というのもあることもまた事実だと思うのです。私は、新しく本年初めて国家公安委員長が当委員会にお見えになったのですから、従来とってきたこの態度を堅持されるのか、それともさらに堅持の内容を充実させる方向なのか、それとももっと取り締まりを厳しくやれ、いわゆる取り締まりのための取り締まりという方向を強めようとおっしゃるのか、その基本的姿勢について大臣から聞きたいと思います。
○澁谷国務大臣 取り締まり、交通規制にどういう姿勢で臨むかという点についてお答えしますが、私は一言で言うと適正な取り締まり、こういうことになるだろうと思うのです。それで、それでは適正というものの具体的な内容はどうだ、こういうことになるわけでございますが、これは一々具体的に申し上げるということになると困難なわけでございますけれども、ただいま寺前さん御指摘になったようないわゆる取り締まりのための取り締まりというようなことは、これは断じて適正な取り締まりの範疇には入らないわけでありますから、私としてはそういった姿勢というものはこれは断じて改めなければならぬ、私もときどき交通規制に自分でもぶつかっておりますので、どうもこういった取り締まりは警察は少し行き過ぎだというような感じを受けることもたびたびあるわけであります。ただ私は、警察というものは言うまでもなく非常に強大な権限を持っておるわけでございますから、この強大な権限の行使に当たってはあくまでもやはり節度というものを持たなければならぬ、こういうふうに考えます。
 先ほど参事官が答弁申し上げたようにとにかく国民それからなかんずくドライバー、こういった方々の共感、支持がなければ取り締まりの成果というものも上げることはできないのは当然でございますので、取り締まりのための取り締まりというようなことに堕することなく、あくまでも事故の防止、安全の確保、こういった目標達成のために節度ある適正な取り締まりを進めてまいりたいと考えております。
○寺前委員 そこで私は、最近問題になっておりますオービスVと言われるようないわゆる無人速度測定機、こういうものが果たして適正な予防や指導に値する役割りをすることになるのかどうか幾つかの疑問を感じますので、その点についてお聞きをしたいと思います。
 まず、この種の測定器が現在全国でどのように設置されているのか、これをさらに強める方向で計画をしておられるのか、本年の計画はどうなっているのかを最初に説明をしていただきたいと思います。
○太田説明員 ただいま御指摘の無人速度違反自動監視装置、これは本年四月末現在全国で十基が運用されております。このうち高速道路につきましては首都高速が二基、東名が一基、計三基でございます。
 今後の方針といいますかその問題でございますけれども、このオービスIII、無人速度違反自動監視装置というものをどうして設置しているかということからちょっと申し上げませんとあれですが、これにつきましては無謀な高速運転というのは御案内のように非常に重大な交通事故に直結するだけでなくて、振動とかあるいは騒音というような交通公害の大きな原因になっているところでございます。
 これの取り締まりにつきましては、従来からもパトカーだとかあるいは白バイ、レーダースピードメーター、いろいろなことでやってきているところでございますけれども、特に高速道路等におきましては、あるいは非常に交通量の多い道路等におきましては、そういう器材を使っての取り締まりということが警察官の事故防止とか、そういう観点から非常に困難であるという場所もあるわけでございます。あるいは時間的に深夜とか早朝というような場合、あるいは天候が非常に悪いというような場合、いろいろな制約もあるわけでございまして、しかしそういうところで非常に極端なスピード違反というものがそのまま放置されるということでは重大な事故が起こるという可能性がありますものですから、やはりそういうところを選んで、そういうところにはいま申し上げましたような無人の自動監視装置というものを設置いたしまして、全体としての適正な交通の安全のための対策の一つとして手を打っていく必要があるのではないかということで、基本的に今後も、いま申し上げましたような観点から個所を選んで設置をしてまいりたいというふうに考えております。(寺前委員「ことしの計画は」と呼ぶ)これは、これからさらに具体的な場所につきまして、いま申し上げましたような観点から幾つか候補地がございますけれども、それを検討した上で決定してまいりたいというふうに考えております。
○寺前委員 そもそもオービスIIIの器械というのは、外国から輸入をされたものじゃないんでしょうか。どこの製品ですか。どこの製品か説明していただけますか。
○矢部説明員 御指摘のとおり輸入をされたものでございます。アメリカから輸入されたものでございます。
○寺前委員 それでは、外国で使っておられたことだと思うので、外国の使用状況について説明をしていただきたいと思います。当該のアメリカではどうなっていますか。それから警察庁も大使館に人を派遣しています。フランスではどうなっていますか、イギリスではどうなっていますか、御説明いただきたいと思います。
○矢部説明員 詳細については現在調査をいたしておる段階でございますけれども、アメリカにおきましては、オービスIIIにつきまして現在使用はしておるところがあるということでございますが、なお費用対効果の問題とか、こういった面で検討しておるところもあるやに聞いております。なお、フランスにつきましては、これはやはり採用はされておりまして、これにつきまして格別の問題があるようには聞いておりません。イギリスについては、なお調査しておる段階でございます。これが現在、まだ調査中でございますが、把握しておる状況でございます。
○寺前委員 私は関係者に、こういう新しい品物を外国から輸入されてまで使われる以上は、外国での状況について問題になってから調査をするようでは、これはちょっと慎重さを欠いているんではないだろうかと指摘をせざるを得ないと思うのです。これはすでに、私が言うまでもなく裁判問題にもなっている課題であります。当該の裁判にかかわっておられるところの弁護士さんが現地に直接行ったり、あるいはフランスなりイギリスなりに状況についての問い合わせを出しておられます。ちゃんと当該の警察庁なりから手紙を受け取っておられるわけですが、そういう手紙を見ると、たとえば英国の場合、逆に日本では問題にならないのかという返事まで来ています。あるいはフランスの場合について言うならば、日本のオービスV方式とは違うが、レーダーに通常のカメラをセットして車の背後からナンバーだけを撮るという形で、人権問題その他を考えて非常に配慮しています、これについては。全面的な使用の仕方については、やはり疑問を持っているということがその返事の中から出ています。アメリカについても一時使っておったけれども、これも裁判問題になって、そうして中止をするという事態になっているということを直接見てきておられます。
 こういうふうに日本が外国から輸入してそれがいいなと思って取り組んでみたところが、やはり問題が出てきて、これはこのままで果たしていいのかどうかということが疑問になったということが現実の海外のそれらの国々の実情であるということを私は十分に踏んまえられる必要があると思うのです。
 そういう意味では、私は改めて外国で一体何が問題になっているのかということについて日本自身においても検討をすべき性格のものである、これを第一点指摘をしておきたいと思うのです。
 その指摘の上に立って、私は、日本自身においてどういうような見解を持っておられるのかについてお聞きをしたいと思います。
 まず第一に、これを使われた結果のドライバーの側からのこういう意見があります。こっそりと人の顔の写真を撮るなら、プライバシーの権利を守る上からも問題だ。同乗者が女性の場合には、明らかにそこにはスピードその他の問題とは関係のない、違うものにそれが使われてしまうという問題が当然の問題として出てくるではないか、そういうことを考えてみるときに、これはプライバシーの問題として適切である、構わないということが言い切れるのかどうか。これについての見解を聞きたいと思います。
○矢部説明員 ただいま御質問の件でございますが、いわゆるプライバシーの問題あるいは肖像権の問題ということであろうかと思いますけれども、オービスVによる写真撮影につきましては、これは走行しております車のすべてを対象にいたしておるものではございません。これは現に車の運転者がいわゆる速度違反という違反行為を行っておるという場合、しかもその違反行為によりまして、その速度違反によりまして、これはかなりのスピードの場合が多うございますが、交通上非常に危険がある。かつ、そういうことで証拠保全上も必要であるということ、あるいは撮影の方法につきましても、これは運転者を幻惑するとか、そういった危険を及ぼさない方法で機械的には配慮して行っておる、こういうことでございまして、これは適法な方法であろう、かように思っております。
○寺前委員 それは答弁にはなりません。同乗者のプライバシーまで写真に写ってしまうではないか。片一方の人がスピード違反をやっておったら、そこに、横に乗っている人の写真が写ってもよろしいということには、イコールならないじゃありませんか。それはプライバシーの問題の解明にはなりません。私は、いまの問題については疑問を持ったままです。
 次に質問を移します。
 オービスVなどについて、先ほどもここでも問題になりました暴走族が使用しているところの二輪車、これに焦点を合わして写すということになるのかならないのか、その点はいかがなものでしょう。
○太田説明員 二輪車につきましては、御案内のように前部にナンバープレートを備えておりませんものですから、現在はその対象にならないということで処理をいたしております。
○寺前委員 これは一定の角度から写真を写すのですから、前から写したならば当然ナンバープレートがありませんから御指摘のようなことになると思います。それから今度は、また一定の角度がありますから、すべての普通車を対象にしてセットをしたら大型の車がすべて写るということにもならないということになってくる。そういうことで、外国でも、法の前において平等な扱い方になっていないではないかという批判があります。
 それはさておいて、対象が社会的に問題になっている、そういうものに対する積極的な役割りでないということはこの事実からも明らかではないか。また、乗っている人の写真が写るということになりますから、そうすると、前の太陽よけのあれをおろすとかあるいはめがねをかけるというようなことをやっていたら、車の所有主とドライバーとは必ずしも一致するものではありません。何時にだれが運転しておったかということは、タクシー会社とか特別に雇われている車については明確になるでしょう。それ以外の人の車のナンバーがわかったからといって、イコール運転者がだれだと指定することにはならないということになってくると、これの対象というのはきわめて限定的なものになってくるではないか、この疑問に対してはどういうふうにお答えになりますか。
○矢部説明員 御質問の件でございますが、特定の車と申しますけれども、いわゆる車種によって特に区別してやるという性格のものではございません。したがいまして、大型車、二輪車も当然対象に入ってくるということでございまして、特別に取り扱い上の差を設けておるということはございません。
○寺前委員 それは私の質問には全然合わない話です。さっきも言ったように、参事官自身も認められたように、二輪車はそういうような状況になるからだめだということに結果としてなる。それから普通車といっても、普通車の中のドライバーと車とは一致するものではない。一致することで摘発ができるというのは、何時にだれが乗っているのかということが明確になる場合だけ、そのときはこれは有効な役割をするかもしれないということに限定されてくるではないかというのが私の質問なんです。それに対する答弁にはいまのはならないということは、それは否定することができない事実だからだろうと私は思います。
 次にいきます。
 国会の審議の過程で杉原交通局長がこういう答弁をしておられます。「これは十キロとか二十キロとかというスピードオーバーではなくて、四十キロとか五十キロ、オーバーの部分がそれ以上というふうな、だれが見ても暴走というものしかやっておりません」という答弁をなさっておりました。セットは明確に四十キロとか五十キロとかそれ以上の場合だけにセットをしてこられましたか。
○矢部説明員 お答えいたします。
 まず先ほどの関係でございますが、二輪車等についてはナンバープレートの関係で確認が困難だという面は確かにございます。ございますけれども、こういったものにつきましても全然取り締まりの対象にしないということではなくて、ナンバーの確認はなるほど困難ではございますけれども、これにつきましては事後捜査という形で運転者を特定して検挙するということで、現にそういう形でもいたしております。
 それから、オーバーの問題でございますけれども、これにつきましては、やはり著しく無謀な運転、スピードを出して無謀な走行をやっておる、そういうことで現実にはセットをいたしてその取り締まりをいたしておる、こういうことでございます。
○寺前委員 答弁にならない。セットは何キロでやっていますか。四十キロとか五十キロとかいうふうに指摘された以上は、そういうふうになっていますかと聞いているのです。
○杉原政府委員 オービスIIIのセットは、当該道路あるいは当該道路の時間帯、ここではこれ以上のものは重大事故に直結するということでありますから、個々の道路によってセットの仕方が違うのは当然でありますが、少なくとも十キロ、二十キロというものではなくて、特定の道路について三十キロ以上とか四十キロ以上ということでセットして運用しているというのが実態でございます。
○寺前委員 私は四十キロ、五十キロという議事録を見たものだから、それじゃそうなっているのかなと思って聞いてみたら、二十五キロで挙げられているという実情が出てくる、三十五キロで挙げられているという実情が出てくる、それじゃ適当な言葉の使い方になっているのではないか、この点では取り締まりのための取り締まりということにこの機械は使われていっているのではないかということを憂慮したからあえて聞いてみたわけです。
 その次に、これはこのフィルムの人権の問題と関係をするわけですが、フィルムが写される、これで後から捜査材料として使用されるということになってくると、さっきも指摘をしたように営業車の、何時にはだれが運転しているかということが明確になりますから、それを当該の会社に持っていって、あなたのところ、この時間に乗っておった人はこの人ですね、これスピード違反にかかっていますよ、困ったやつだな、会社側との間でそういう話になっていく。こういうものに使われていったならばこれは大変なことになると思うのです。運転者を確認しようと思ったらそういう使い方になりませんか。そういう使い方でよろしいという見解ですか。そこはどうですか。
○太田説明員 営業車ばかりでございませんで、いろいろな形の場合があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、写真に写りました番号によりましてその車両の持ち主というものを刑事訴訟法の手続によって照会をいたしまして、それでそれを確認する、その上で、果たしてその車を所有者が運転していたか、あるいはその所有者が他の者に貸して、それを借りた者が運転していたかという一般的な捜査の過程に入るわけでございます。
○寺前委員 ですから私は心配をするわけです。違う目的に結果として使われてしまうということです。たとえば営業車であるならば、会社に確認をしに行ったら、それは、会社の側で、どこで何をしておったのかということを調べられる材料になってしまう。たとえば、これは「カーグラフィック」という本の五十三年二月一日発行の中に書かれていますが、フランスの一部で使用されたことがある。つかまったドライバーが、たまたま勤務時間中に走るはずのない地区を私用で走っていて違反をしたため会社を首になったという事件が出てきた。もとは何かといったら、これを使われて持っていかれて、そこから違うところで走っておったということになって、おまえはとんでもないことをやった、こういうものに使われてしまったという事実があって、これが裁判になって、プライバシーの侵害であるということになって当局が告訴を受けて、そして負けるという事件も起こったわけです。こういう性格をこの機械自身は持っている。現にわが国においても、私昨日聞いた話でありますが、こういう形でやられた人がおるわけです。国際都市交通というタクシー会社に勤めておられる宮脇さんという人が、昭和五十三年六月二日午前一時五十五分ごろスピード違反でこれに写って、このコピーが会社に持っていかれた。そこの上にはだれだれ警部とか巡査とか名前が五人出てきます。四課十一班何とかと出てきます。そうすると、これを見たら会社の側は、何だおまえ、こんなしてやられておったのか、こんなして会社の名誉にかかわることをやっておるじゃないか。逆にこれが理由で、スピードの問題、指導の問題とは関係なしに、今度はこれが実際に雇用関係の問題に発展していくというふうに結果として使われていっているという事態があって、本人は会社におれなくなって、いたたまれなくなってやめてしまったという事件も起こっている。こういうものを持っている性格がこの機械の特徴なんです。使い方によってはそうなるのだ。
 しかも、一番最初に大臣自身も確認されたように、予防、指導するというのが基本である。ところが、実際にはそこには人がおらない。指導じゃない。何日間かたって後に、これはおまえはというて、それこそ取り締まりのための取り締まりとして後から調べ上げるというだけのことじゃありませんか。何で急速にそこのところでスピードを出さなければならなかったかという理由も、それこそ本人の側の予防もできないじゃありませんか。なぜかというと、見ておったのは機械だけであって人間同士の話ではなくなるから。本人のそういう意味における発言も認めないということに結果としてこれはなってくる。すなわち防御権を否定することにもなるじゃないか。そういう重大な問題を含んでいるというふうに、これは日本自身の問題においても検討すべきものだというふうに言わざるを得ないと私は思います。少なくともこの種の機械を使うときには、まず人が立っておらなければいかぬということがあるでしょう。それから、予防、指導という角度から交通安全を見るならば、これをやっておりますということと、一定の期間を明確にして、やっていますという場所指定も明確にしなければいけないでしょう。そういうものを含めなければいかぬ。しかも、プライバシー侵害やいま言ったようなことに使われることがあってはだめだ。とすると、これの使い方についてももう一度全面的に洗い直してみる必要があるのではないか。
 もう時間が来ましたのでこれを最後の質問にしたいと思います。私は大臣に率直に申し上げます。私はすべての機械を否定しているのではないのです。警察官の諸君が交通安全のために積極的な努力をしておられる点は高く――国民のために真剣に指導と予防をやっていただきたいと願うものです。願うからこそ私はあえて言うのです。これが国民のプライバシーの侵害や他の分野に使われるようなことになってはならない。機械がもっと有効なものであるために再検討されるべきだ。外国での経験ももう一度見直すべきだ。国内におけるところの経験も、現実の疑問にこたえられるようなものをもう一度整理してみる。一たんやり出したから引くわけにいかないということではだめなんではないだろうかと思います。そういう点で私は、関係の所管の人からもう一度私が言ったような点についての見解を聞きたいのと、大臣の見解を聞いて終わりたいと思います。
○杉原政府委員 このオービスVというのは、警察官の配置にも限界がある、しかも暴走されると事故が多発をする、沿道の住民が騒音とか振動等で大変にお困りになっている地域がある、しかも夜間、二十四時間体制でそういう体制をとらなければいかぬという要請がございまして、そういう要請の上に立ってこれの設置をやっておるわけでございますし、また、オービスVが設置されたところについてはすべて、オービスVの無人速度側定機の設置路線であるということは明示をいたしております。そういうことで交通の安全を何とか確保したいという願望からそういう装置を入れておりますが、御指摘のようなこれの運用については十分な配意をしていくことが当然であると思っております。そういうことを調和させながら遺憾のないように措置をしてまいりたいと考えております。
○澁谷国務大臣 この機械の使用について警察があくまでも純粋な善意に立ってやっているということは寺前さんもお認めになるだろうと思うのです。ただ、とにかく相手は機械ですから、それを使用した結果、実際問題として全然関係のないようなところに妙な結果が出てくるというようなこともあり得るかもしれません。諸外国でも実施したという実験の例もあるようでありますから、そういった点もさらに調査をして、運用にはあくまでも慎重な態度で臨んでいくように努力をしたいと考えます。
○寺前委員 終わります。
○有島委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 最近、自転車で通学をしている子供たちあるいは自転車に乗って買い物をされるという方々が交通事故に遭うというケースが非常に多くなりました。地方自治体の中にはできるだけ自転車通学を自粛するように、こういう指導をしているところもあるように伺っております。
 一ころはバイコロジー運動の大変な普及があって、日本の自転車業界あるいは自転車タイヤ業界は非常に好況の時期がございました。グラフで見ましても昭和四十八年はまさにブームの絶頂になったわけでございますけれども、その後ずっと停滞をしてまいりまして、四十八年当時には九百八十万台の生産をしていたわけですけれども、現在では、五十二年には六百三十四万台と生産状況も非常に低くなっているわけであります。自転車業界の今後の見通しについて非常に暗い見通ししかないというお話を伺っておりますし、いまの業界の状況がどのようになっているのか。また、どうも道路行政にも一方では非常に大きな問題があって、自転車で買い物ができたらあるいは近距離でせっかく自転車があるんだから自転車で通学できたらという希望があっても、自転車で通学するのをやめなさい、こう言って親御さんからとめられているという実態がかなりあるわけでありまして、いま自転車業界の状況がどのようになっているのかをまずお尋ねを申し上げたいと思います。
○堀田説明員 自転車の生産でございますけれども、ただいま御指摘のございましたとおり昭和四十八年がピークでございまして、その後低水準で推移しております。特に、昨年のケースでございますが、急激な円高を反映しまして輸出がヒットされたということでございます。その結果、完成車の生産台数で見ますと前年の六百三十三万台――前年と申しますのは御指摘のございました昭和五十二年でございます。五十二年の六百三十三万台から、五十三年には五百八十七万台に減少いたしております。これは比率で見ますと七・三%の減少ということになります。こういう状況にございますので、私どもといたしましては、まず、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法に基づきまして円高不況業種に指定をしてもらいました。それから、ことしの二月になりまして、雇用保険法に基づきます雇用調整給付金の業種に指定を受けて不況対策にあててきたところでございます。自転車工業の今後の問題でございますけれども、ほぼ横ばいでこのところ推移しております内需、この内需を一層喚起するということがまず必要でございます。それから、製品を高度化し、新しい海外市場を開拓いたしまして輸出を回復していくということは、これもまた重要であると考えております。
○伊藤(公)委員 特にアメリカの国内の、需給体制というものがかなり整備をされてきている、あるいは発展途上国の進出等によって、業界そのものが先行き非常に不安を持たれているようでありますけれども、先ほど申し上げたとおり、私は、一つの点は、自転車が安全に利用できる道路の整備をもう少ししなければいけないのではないかというふうに思っておるわけですが、一例で、非常に顕著な例で、いますでに住宅公団が街づくりをしている多摩ニュータウン、これは全く新しいニュータウンづくりがされているわけですから、そのニュータウンづくりの中で自転車道路の整備状況というものは一体どの程度進んでいるのか、これはもう新しい街づくりでありますから、そういう御配慮をぜひしていただきたいと思っておるわけでありますけれども、どんな状況になっているかをお尋ねしたいと思います。
○並木説明員 お答えいたします。
 多摩ニュータウンでは、歩行者及び自転車交通の安全性あるいは快適性といったものを確保いたしますために、歩行者自転車専用道路というものを計画いたしまして、自動車交通とは立体的に分離するというようにいたしております。
 で、歩行者自転車算用道路のルートでございますが、地区内におきましては、駅であるとかあるいはバス停であるとか学校、公園、ショッピングセンター、こういった主要な施設を結ぶように計画されておりまして、その沿道につきましては十分緑化するというようなことを考えております。この歩行者自転車専用道路の通路でございますが、体の悪い方あるいは老人、乳母車、ショッピングカーというようなもの、あるいは自転車、そういったものの通行を考慮いたしまして、階段が必要な場合にはあわせて斜路をつくるというようなことを計画いたしております。御指摘の、多摩ニュータウン内の歩行者自転車専用道路の整備状況でございますが、全体計画で約百八キロメートルのうち、現在十八キロメートル、パーセンテージにいたしまして約一七%でございますが、この整備を終えているという状況でございます。
○伊藤(公)委員 関連をしておりますから私ちょっとお伺いしたいのでありますけれども、ニュータウンの中の整備状況はいろいろ御配慮いただいているところかと思いますけれども、御承知のとおり、多摩二ータウンは当初の計画よりは多少人口を、当初四十万から四十五万と言われていたわけですけれども、大体三十八万ぐらいで抑える、いずれにしても周辺を集めて五十万近い都市になるわけでありますから、そこに五十万の人口が集中をしたときに、やはりニュータウンの中だけの問題では片づかない問題が当然出てくるわけであります。道路も、尾根幹線の問題は非常に重要な問題でありますけれども、すぐ多摩ニュータウンに隣接をしております、東京を二分して流れる多摩川ですね、多摩川は、かつてから、有力建設大臣なんかよくそういう御発言がございまして、多摩川の両サイドをグリーンベルトでスポーツのベルト地帯にしたらどうだ、あるいはもちろん住宅建設用地にしたらどうかという意見もかつてありましたし、また道路とサイクリングロードですね、河川敷の中にというのでなしに、堤防を利用して道路とサイクリングロードを並行してやっていけばいいじゃないか、それは細切れにはかなりできているわけでありますし、ちょうど登戸から川崎の方にはもう一直線ですでに完成をしているわけであります。やがて将来は、東京の一番奥地になるわけですけれども、東京の都心から自転車でもうまさに自動車とは遮断をされてあの奥多摩の自然の中まで行かれる、こういう道が開かれる必要があると私は思っておりますけれども、いまちょうどニュータウン計画をされているときでありますから、この多摩ニュータウンと多摩川はもう本当に隣接をしておりますので、多摩川まで少なくとも子供たちが自転車で事故に遭わないで出られるという道をいまお考えをいただいておけば、私は、あのニュータウンが完成をしたときには、そういう意味で、非常に自転車を活用した、自転車で歩ける街づくりというようなことも当然できるわけでありまして、いまのうちにその土台をつくっておいていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○並木説明員 御指摘の多摩川におきます自転車道の整備につきましては、現在各地方公共団体によりまして、これが河川管理者と協議をしながら部分的に整備が進められているという実情でございます。多摩ニュータウンとこういった多摩川の自転車道との接続につきましては、いま多摩市で整備をしております、多摩ニュータウンの中を流れております乞田川というのがございますが、この乞田川の堤防を利用いたしまして、おおむね完成をいたしておりますが、一部の区間河川改修の未了なところがございまして、約四百メーターでございますが、そこがまだできていないわけでございますが、その部分は一般道路を利用するということによりまして一応多摩川の自転車道路に出ることが可能というような状態になっております。なお、この多摩川上流への延伸の問題などを含む多摩川自転車道の系統的な整備ということにつきましては、今後さらに東京都等と協議してまいりたいというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 新しい街づくりの中で、ぜひそうした御配慮を今後ともしていただきたいことを強く要望をして、次の問題をお聞きをしたいと思いますが、最近、全国で四千七百万台と言われる自転車のうち、整備不良の自転車が七四%もある、こう言われておりまして、そうした整備不良車を点検整備をするということ、あるいは従来の安全教育ですね、こういうことを強化するというために、警察庁が自転車安全整備士の制度の新設ということを公示された、また通産省の方からは組立・整備士という制度を公示をされたわけでありますけれども、両方同時に出発をする制度、技能認定制度の内容がどうなっているのか、どう違っているのかということを明確にしていただきたい。
○杉原政府委員 後ほど通産省の方からもお話があると思いますが、通産省の今度の技能審査の方の事業は、一応自転車の品質の向上等を目的にして自転車の組み立て、整備を対象にされると承っておるわけでございます。今度私どもが自転車安全整備士ということで考えましたねらいというのは、昨年の道交法の改正によりまして、自転車の道路交通法上の地位を明確化したいということで、一つは自転車に、たとえば自転車の横断帯等を設けるような自転車の通行方法というものをかなり詳細に規定をいたしました。他方、自転車が道路を走る場合の当該自転車の構造装置はブレーキとか、反射器材とか、前照灯、尾灯とか、いろいろございますけれども、そういうものについてこういう基準を確保していなきゃならないというぐあいにいたしたわけでございます。
 昨年の道交法の改正後、自転車の構造装置について街頭で指導、警告をいたしております件数が、全国で月平均約十一万件、それから通行方法の違反について指導、警告をやっておりますのが大体十一万件というふうなことで、かなりの数になっているわけでございますが、問題は、これだけの大量の自転車なものですから、特に自転車の安全装置の点検整備ということの受けざらが一つどうしても欲しい。もう一つは、自転車の点検整備の際に、自転車の安全な乗り方の指導といいますか、これをぜひやっていただきたい。その受けざらをどういうぐあいにしていったらいいのかということにつきまして、自転車業界等からもいろいろな協力のお申し出がございまして、単に自転車を売ったり点検整備をしたりするだけじゃなくて、もっと社会的な責任を果たしたいのだという御意向も承りました。そこで、自転車の安全整備士というものの資格認定といいますか、そういう審査事業をやりまして、その方々につきまして道交法上の点検整備、それから道交法の中に書いてあります正しい自転車の乗り方というものの指導、普及に努めてもらおうということでございまして、通産省の組立・整備士の関係とは、一元化するというのは観点が非常に違いますのでむずかしいのですが、具体的な取り扱いは一元的な処理をしていこうというふうなことで御相談を申し上げているわけでございます。
○堀田説明員 通産省で考えております制度は、その基礎がございまして、昭和二十九年にスタートした日本車両検査協会が行っております自転車技術検定制度がございます。これの内容を拡充強化いたしまして、通産大臣認定の格づけを行いまして公式なものにいたしたいというものでございます。警察庁の方で考えておられます制度と私どもの制度は、いま警察庁の方からお話がございましたように観点をやや異にしておるわけでございます。ただ、両方とも一部審査内容に重複するところがあると予想されますし、また両方の制度とも、受験者は同じ自転車の小売業者が主体になるわけでございますので、すでに警察庁とも前々から御相談をしているところでございますが、具体的な実施段階におきましては、両省庁が協力、協議して受験者の迷惑にならないように取り計らいたい、そう考えております。
○伊藤(公)委員 警察庁及び通産省は覚書を交わして、試験も同時に行うなど協力体制を確立する、こう言われておるわけですけれども、その試験の内容と実施時期ですね。
 それから通産省の組立・整備士は、これまでの民間の日本車両検査協会の組立検定技能試験制度の格上げ、こう言われているわけですけれども、この制度で、すでにこの試験を通っている方々がいらっしゃるのですね。そういう方々の扱いをどうしていくのか、その内容と実施時期、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○杉原政府委員 審査の問題につきましては、同一の日時、場所において共同実施をする、受験者に負担をかけないように協力をしてやりましょうということになっております。今後、その日時、場所、具体的な問題につきましては、公益法人からの申請を待ちまして、通産省と協議をしてできるだけ早く実施に移したいと考えておるわけでございます。
 なお、現在もうすでに検定をお持ちの方等につきましては、経過措置として過剰な負担にならないような措置を考えておるわけでございます。
○伊藤(公)委員 その実施時期はいつごろになるのですか。
○杉原政府委員 ちょっと公益法人からの申請の問題がまた一つございますものですから、いつということは言えないと思いますが、今年の半ばには実施ができるような段取りで進めていきたいというふうには考えております。
○伊藤(公)委員 安全整備士と組立・整備士ですが、私もこれは読ましていただいてそのねらいが多少違うということはよくわかりますけれども、二重行政といいますか、わざわざそう分けなくてもいいじゃないかという声も実際にあるわけであります。これは当然自転車業界の方々のいろいろな御意見もあったのでしょうけれども、どういう関係者との話し合いを積み重ねてこられたのか。自転車屋さんというのは、出先で御主人が一人でやっていらっしゃるか、二人くらいでやっていらっしゃるか、まさに零細というか非常に小さいところでやっていらっしゃるのですけれども、大規模自転車商の方ももちろんいらっしゃるわけで、どういう話し合いをずっと進めてこられてここにこぎつけたのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○杉原政府委員 昨年の道路交通法の改正、またその後の経過の中で、自転車商、特に中央では日本自転車軽自動車商協同組合連合会というのがあるわけでございますが、こちらの方からも、単に自転車を売ったりあれしたりということだけではなくて、その点検整備その他の方が、整備された自転車で安全に運転ができるようなことについての社会的な責任というものを自分らも十分自覚をしてやっていきたいというふうなことで、積極的に協力をしたいというお話もございました。今回の制度の内容等につきましても事前に話し合いを詰めて了解をいただいているところでございます。
 なお、この試験の場所、期日、科目、実施の細部等につきましても、関係団体と意見調整を図って、通産省とも十分に協議をして円滑な実施に移っていきたいというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 自転車屋さんで点検整備をした自転車がその後その店の点検整備の手抜かりというようなことが原因で故障をしたというような場合、大体想像はできるわけですけれども、責任はどこになるのか、これは念のためお聞きしておきたいと思います。
○杉原政府委員 今度のこの制度と直接かかわるかどうかというあれでございますけれども、やはり点検整備をした直後に点検整備の手抜かりといいますか、不備に基づいて何かがあったというふうな場合について、これはかなり個々のケースを考えませんと何とも言えませんので、それはケース・バイ・ケースで物を処理をしていくということになると思います。
○伊藤(公)委員 最後に、総理府にお尋ねをしたいわけですけれども、これらの告示の内容を承知していらっしゃるのかどうか。告示をされる前に警察庁あるいは通産省からどういう御相談を受けていらっしゃるのか、お尋ねします。
○三島政府委員 私ども実はこのお話、まだ全然お話をお聞きしていないわけでございます。
○伊藤(公)委員 本来、私はこういう内容でございますと、総理府がむしろ調整役をされるとか、あるいは前もってそういう連絡がとられている必要が私はあると思いますけれども、どうなんでしょうか。全くそういう相談がすでに告示をされているのにないというのは、これはちょっと腑に落ちないのですけれども、いかがですか。
○三島政府委員 もし両省庁におきまして調整を要するような問題がございましたら、恐らくお話があったと思いますけれども、実はこれまで全然まだお聞きしていないわけでございます。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、よく各省庁が連絡をとって、新しいこうした制度がスタートするわけですから、その制度がつくられたら、その制度が生かされて、ひいては新しい自転車の利用者あるいは自転車の時代というものをぜひそうした制度を十分生かして、市民の人たちが快適に利用できるようなそういう形を行政の中でもよく連絡をとっていただいてお進めをいただきたいということをお願い申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
○有島委員長 次に、太田一夫君。
○太田委員 最初にちょっと警察庁と建設省と両方にお尋ねをしますが、この間、四月三十日、岐阜県根尾村におきまして県道のカーブで西濃観光バス一台が転落いたしまして全員が負傷したという事故がございました。これは異常な山道で、しかも夜であったのですが、結果的に運がよかったと思いますけれども、どういう条件下に発生をした事故であったのか、最初に御説明をいただきたい。
○太田説明員 五十四年の四月三十日の夜でございますが、岐阜県本巣郡の根尾村で日帰り旅行の婦人会員を乗せました観光バスががけから転落いたしまして、約五メートル下の杉の木に支えられてとまったわけでございます。それで乗客ら四十人が重軽傷を負ったわけでございますが、この発生時刻はいま申し上げましたように四月三十日の午後七時五十分ごろでございます。バスは西濃観光株式会社のものでございまして、運転手は堀田茂信三十八歳、これが運転いたします大型観光バスでございます。
 それで、この事故によりまして、団体旅行中の乗客三十八名、これは乗務員は含みませんが、乗客の方は三十八名全員が頭部、胸部あるいはひざ等に二日ないし十日の負傷をしたということでございます。
 事故が起こりまして直ちに通行車両からの事故の速報がございまして、管轄の北方署が消防あるいは地元民らとともに救援活動を行いまして、あわせて県警本部からも応援が駆けつけまして、救助並びに実況見分等を行っております。
 現在までに一応判明しております事故の原因でございますが、目下捜査中でございますけれども、運転手が幅四・九メートルの道路の左急カーブでハンドルを早目に左に切り過ぎたということで、左後輪を脱輪させまして、道路の左端からずり落ちて横転して、さっき申し上げましたような下の木のところにかかった、ハンドル操作不適切ということによるものと思われるわけでございます。
○太田委員 建設省に伺いますが、バスはどういう条件の道なら通っていいことになっていますか。
○浪岡説明員 お答えいたします。
 当該バスは幅二・五メートル程度のものと考えられまして、現在車両制限令によりまして、指定された道路につきましては、道路の幅員によって通れるバスと通れないバスがあるわけでございます。当該県道につきましては、昭和三十七年に、極少指定道路と申しまして、通行量が一日三百台以下の道路で幅員の狭い場合そういう極少道路の指定というものを車両制限令に基づいて県が行ったわけでございますが、当該道路につきましては、バスの幅が二・五メートル、それで最低の道路幅員は三・五メートルあれば通行できる、こういうことになっております。
○太田委員 そうすると、三・五メートルですから、二・五メートルのバスの幅に両方に〇・五メートルの幅があればいいというわけですね。
 そこで伺いますが、この道はどれぐらいのきついカーブになっていましたか。
○浪岡説明員 お答えいたします。
 回転半径十二メートルでございます。
○太田委員 現地では十メートルと言っておりますが、急カーブであるということには変わりありませんね。急カーブであって、しかもそれが連続しておる。道の幅の広いところもあれば狭いところもある。いまおっしゃった転落したところは四・九メートルあるけれども、すぐそばには三メートル少々のところもあるという道でありますから、バスが通行する場合には条件として非常に厳しいと思うのです。しかし、それは通ってもいいという道だ。
 それで、公安委員長、あなたはどう思いますか。その狭い道をバスが通ることが許されておる、落ちればいま警察庁としては調べなければなりませんね。運転手が寄り過ぎた、ハンドルの切り誤りだと運転手の責任に帰するということは、それが一つの原因であることには間違いないが、道路の状態から見て、そこを切り誤らずに通り抜けるにはよほどの熟練度がなければいけないということですね。そうしたら、熟練度どれ以上の者でなければこの道を通ってはいけないという制限をすべきじゃないですか。公安委員長、そういう狭い道のときにはどうしますか。このバス転落事故の一つの例から、そういう道の安全対策はどこが手抜かりだとお考えになりますか。公安委員長がお答えできなければ警察庁の交通局長でもいい。
○杉原政府委員 基本的には、こういう山道といいますか県道でありましても、全国的には狭い道がまだかなりたくさんございます。今回の観光バスのケースを見ますと、徳山村という一番外れの部落、そこまで行く道になっておるようでございまして、この道路を使うのは村に用件のある者に限られておるというのが実態、そういう意味でほとんど通過交通がない。それから、道にかなり数多く待避所が設けられておるということで、交通の現状は大体一時間に十台程度という道路のようでございまして、定期バスが一日七往復しておるということでございます。そういう道路の利用者が地域に関係ある車両に限られておるという地域の特殊事情等を考えますと、いろいろな手だては考えられると思いますが、バスだけが唯一の大量交通機関のようになっておる状況でありますだけに、これを通行どうのこうのというわけになかなかいかない。基本的には、だんだんにこの道路が整備をされたり、防護さくが設けられたり、必要な待避個所が整備されたりということを徐々に進めていくということになるのではなかろうか、現状からいいますとそういう感じがいたすわけでございます。
○太田委員 ガードレールはつけていない、徐々につけるとおっしゃったが、だれの責任になるのですか。局長は大分事故が減ってきて大変交通安全対策が進んできたとおっしゃいますが、まだそのような道にガードレールがない。県道ですが、どこがつけるのですか。
○浪岡説明員 道路管理者は岐阜県でございますので、岐阜県がつけるべきでございます。
○太田委員 岐阜県はいままで交通安全対策基本法ができてからいまだに何回も交通安全対策長期計画を重ねてもつけませんでしたね。それで警察の方はそれを一向に権限が違うから仕方がないと見ていらっしゃる。事故が起きれば引き受けなければなりませんね。公安委員会としては通行の制限なり何かをおやりになるとか、何かこういうものに手を打たれるべきだと思います。必要があるところ、カーブの危ないところには早急にガードレールを設置してくださるよう望みますが、運転手が疲れていたとかハンドル操作を誤ったとか、すべて運転手の責任にしてしまうというのは、今日になって残酷な話でしょう。これはぜひ考えてください。
 そこで、公安委員長にお尋ねします。
 あなたはこの間の二月八日の当委員会で所信表明をなさいましたが、あのときには、交通事故の死傷の多いということも問題だが、「また、自動車交通による騒音、振動、大気汚染等が生活環境に及ぼす影響も見逃すことのできない大きな問題であります。」と問題点を指摘されていますね。私はこれは非常にいいことであると思って聞きましたが、一体その次には何を意味しておるのですか。それによって公安委員長としては何をなさろうとするおつもりでおっしゃったのでしょうか、これをお答えいただきたい。
○澁谷国務大臣 これはもう言うまでもなく、最近の車時代と言われるような状態になって、車の出す排気ガスによる大気汚染、これは大きな公害問題だ。それから振動、大変な振動を起こして車が疾走する、その周辺に居住する人々にとっては大変な問題であります。それから騒音も同様でございまして、そういった問題についても、もちろんこれは国家公安委員会だけの所管でもございませんし、私どもの手で解決できる問題ではございませんけれども、現在のような道路交通状態の日本においては無視することのできない、否むしろ重視しなければならない大きな問題である、こういう点を指摘申し上げたわけであります。
○太田委員 そうするとその後に続くのは、大型車両の製造禁止とか通行禁止とか積載重量、いま二十トンまで許容されておる道路であるがこれを十五トンに引き下げるとか、そういう何か具体的な展望をお持ちになっておやりになったのか。あるいはもう一つ、通産省に自動車の構造について排気ガスを出さないような自動車をつくれということを求めておっしゃったのか。その次に続くもうちょっと具体的なものを聞かしてもらいたいと思います、ありましたら。
○澁谷国務大臣 排気ガスの問題については、太田さん御承知のように通産省においてはかねてそういった指導をして、それからまた自動車メーカーにおきましてもそういった努力を大変真剣に取り組んでおられるわけでありますが、騒音あるいは振動といったような問題について、しからば具体的にただいま御指摘になったような点も含めてどうするかというそこまで私は具体的には考えておりません。一般的な問題として指摘を申し上げた、こういうことであります。
○太田委員 では今後はそういう問題について政策を確立していく中心となって何か発言をしてくださる、こういうことを期待しておってよろしいですね。
○澁谷国務大臣 中心になるかどうかは私も確信を持って申し上げられませんけれども、関係閣僚の一人としてこういった問題の対策には真剣な努力を重ねてまいりたいと考えております。
○太田委員 まじめな話ですからそれで結構です。それは大臣、そういうことですね。あなたも自動車の事故の問題に目を注いでみたときに、これは単に死んだ、生きた、けがしたというだけのことでなくて、騒音だ、振動だという問題もあるなとお考えになったということ、卓見ですよ。だから国道一号線の岡崎市内の問題があって、私が二年も三年も前から言っておったわけですけれども、これは何ともならないところまで来ておるのじゃありませんか、実際上沿道に住んでおる者から見ますると。
 国道一号線岡崎市内というのは、東名高速の岡崎インターから名四国道を通じ、そして名阪バイパスに出まして、大阪に出るのに非常に便利のいい通りですから、町の真ん中を深夜になりますと上り下りの大型トラックが群集して疾走するわけです。
 そこで建設省に聞きますが、建設省は、今度高速道路公団が高速道路の通行料金を三割も上げようというのに対してあなたの方も同意見で非常にそれに固執し、そしてほかの方面から運輸政策、交通政策として若干問題があるじゃないかという指摘を受けていながらも、あくまで原案の約三割値上げを通そうということにこだわっていらっしゃるというニュースが流れている。いまの大気汚染とか振動等の公害を少しでも軽減しようとするならば、自動車はなるべく人のおらないところを通ってほしいわけですね。それなら高速道路はうってつけじゃありませんか。私の方にいらっしゃいと言ったらどうですか。値上げすれば、トラックは、そういういわゆる加害者の方はただの一号線とか一般地方道に皆逃げていくじゃありませんか。建設省どうですか。
○浪岡説明員 私は料金の直接の担当ではございませんが、確かに現在高速道路の料金の値上げにつきまして各方面に働きかけをやっていることは事実でございます。
 確かに先生おっしゃいますように、料金が道路の通行量を左右するということも重々考えられまして、例の岡崎地区につきましては料金が抵抗になって平面道路の通行量がふえるということも危惧されるわけでございますが、高速道路の料金体系は、今後新しくつくります高速道路全体の財源ということで、ちょっと当面の岡崎問題の解決には余り期待できない、むしろ岡崎問題とは結びつかない、こういうふうにお答えいたさざるを得ないと思います。
○太田委員 岡崎問題と結びつかないということは、いままで何年か住民が何とかして深夜睡眠時間の交通量を減らしてください、大型トラックの通過交通を減らしてくれと雷っていることと結びつかぬということは、そういう願望とは反対の方向にいく、深夜いよいよふえるという案が出ておるというわけですね。なぜそんなに高速道路の料金を上げて、そしてなるべく一般の無料の道路に追いやるような政策を道路公団はとらんとするのか。道路政策から言ったら、道路は無料の原則の方が本当じゃありませんか。高速道路というのはあくまでも例外だ。もしも採算のとれない道路だったら、直営で一級国道でおつくりになったらいかがですか。だから、よその通らないところに高速道路を公団でつくるから、そちらの方の財源として東名高速の料金を上げますとかなんとかいうことは、ちょっと安易に過ぎる話であるし、大局を見誤っておると言いたいのでありますが、いかがですか。
○浪岡説明員 お答え申し上げます。
 高速道路の料金の問題、確かに東名、名神の交通量の多いところから増加分をいただいて地方の道路のない地域に高速道路をつくろうという思想でございまして、いわゆる料金プール制という原則に立ちまして財源を確保いたしまして全国のネットワークをつくろう、こういう思想に現在なっておりますので、また同時に、高速道路の財源といたしましては、一般財源あるいは特定財源をつぎ込んで非常に長期間をかけてつくるよりは、有料ででも早く全国ネットワークを完成しようという二つの観点から出ておりますので、確かに東名、名神には負担をかけることになりますが、全国ネットの形成のためにはやむを得ないことではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○太田委員 公安委員長に所見を伺いたいのですが、高速道路の利用料金三割大幅値上げという案は、運輸省筋などからは路面交通の政策上やはりまずいのではないかということで、非常にクレームがついておると聞いておりますが、騒音、振動、大気汚染等の生活圏への影響被害については、あなたの先ほどの所信の中からうかがわれます方向から見ますと、これは慎重に考えなくてはならぬ問題だということになるのではないでしょうか。いかがですか。
○澁谷国務大臣 私も数年前、国道一号線を自動車で走ったことがございます。岡崎までは行っておりませんで、静岡まで行ったわけでございますが、とにかく国道一号線は古い道路ですから道幅が非常に狭い。それで、道路いっぱいに両側に住宅が密策しておる。そこを間断なく車が通っておるわけです。私はそこを自分で車で走ってみまして、この道の両わきに住んでおる住民は、これで一体本当に夜眠れるのだろうかということを痛感した記憶がございます。
 でありますから、今度の高速道路の値上げの問題は、建設省は建設省の立場でお考えになっていることだと思いますけれども、そういったことよりも、いま私がみずからの体験に基づいてお答えしましたように、国道一号線というその道路問題をどう解決するかという、本格的な解決に向かって政府は取り組むべきだ。これは私は痛感いたしております。
○太田委員 交通局長にちょっと所感を承ります。
 深夜の交通をとめてくれという声が地方にあちらこちらに非常に多うございますが、四六時中道路の上を物の通行を許すというのは、道路の使命として別に間違ったことではない。でも、道路でも休んでいいときがあるのではないか。道路に休息を与えろという妙な話ですけれども、それは沿道の住民に休息を与えることですから、もっときめ細かに不自然な夜間の過密交通というものに対してはこれを解剖して処理するという積極的な取り組みが、先ほど来の公安委員長の発言の中から出てこなければうそだと思う。どうするかというのは難問題ですけれども、ひとつ考えてほしいと思いますが、どんなものでしょう。
○杉原政府委員 先ほど公安委員長からお話がありましたように、やはり交通環境といいますか生活環境というものを十分考えた対策をこれから立てていかなければいかぬという基本的な認識を持っておるわけでございます。
 同時に、この幹線道路につきましては、いわゆる日本の経済活動の基盤を占めているような自動車交通の路線になっておるということでありますので、これの規制が非常にむずかしいわけでございますが、いろいろやれる範囲で、たとえばスピード規制、過積載、整備不良車両の取り締まり、あるいは本当にこそくな手段でありますけれども、深夜はトラックを真ん中の車線に寄せて沿道側を走らせないとか、いまの所与の条件でやれることを全部手を尽くしているつもりでございますが、それでもいまおっしゃいますようにまだまだ大きな問題があるわけでございます。いろいろとトラック協会等に対しまして、夜間のトラックの走行の自主規制を要請したり、それからいまトラック等の起終点調査といいますか、どんな荷物を、いつ、どこから持ってきてどこへ行くのかというふうな調査をやって、それが深夜この騒音地区を通らないで済むようなことができないのかどうか、そこのところまで手を伸ばし、そして関係機関、団体と協議をしながら、できるだけそこの深夜の通行が回避できるような措置が促進されるというふうな方向で手を尽くしていかなければならないというふうに考えております。
○太田委員 これは建設省と公安委員長両方にお願いしておきますが、この大問題、単に岡崎だけの例を言っておるわけでないわけでありまして、たまたま公安委員長いいことをおっしゃった、道路の周りに住んでいる者は皆同じことを考えているのです。だから、それをおっしゃったが、その次に何をやるかということをこれから先明確に打ち出してほしい。困難でありましょうが、関係閣僚会議等の席においてはひとつ強力な案を出していただきたいことを望んでおきます。
 さて、そこで時間がだんだん減ってまいりましたから「さんふらわあ丸」に移ります。この間ちょっと報告を聞きましたが、「さんふらわあ丸」の航海日誌にはうそが書いてあって、霧中航行であるにかかわらず船首に見張りを立てなかったけれども航海日誌には立てたと書いてあったという報告がございますが、これは海上保安庁、いかがでございますか。
○村田説明員 いま先生のおっしゃいますように、本件の衝突原因につきましては「さんふらわあ」が船首に見張りを立てていなかったということも衝突の一つの原因でございます。ただ、通常海上における船舶の衝突という場合にはいろいろな原因が複合して発生するものでございまして、特に濃霧のような場合には、たとえば両船の船長があらかじめ濃霧警報を知っておったか、あるいは実際濃霧の中を航海するのに速力を低減しておったか、あるいはレーダー等も併用して見張りを強化しておったか、いろんな角度から取り調べるわけでございます。そういう点につきまして目下両船について捜査中でございます。
○太田委員 そんななまぬるい話を聞いておるんじゃないですよ。もっと具体的に、船首に見張り員を立てていたと航海日誌に書いてあったそうだがそれはうそだったということで、そこは確認されておるのですか。
○村田説明員 船首に見張りを立てていなかったのは事実でございます。航海日誌に見張りを立てておったと書いておったのかどうかということは、ちょっと私いま確認してまいっておりません。
○太田委員 見張りを立てておらなかったということが事実とするならば、海上衝突予防法上の手続というものは、「さんふらわあ丸」は霧中航行視界百メーターか百五十メーターというときにおいてほとんどやっておらなかったということになりますが、そういう感じがありますか。
○村田説明員 本件の場合には、先ほども申し上げましたように確かに船首に見張りを立てていなかったのが海難の大きな原因の一つであろうということでございますが、海上衝突予防法は、一般的に申し上げますれば見張りを強化しろということになっておりますけれども、どういう方法で強化しろということは一概に具体的に書いておりません。たとえば海上における濃霧の発生状況といいますのは非常に局部的でございまして、上部船橋には霧がかかっておるけれども下の方にはかかっていないとか、あるいは船橋あるいは船首に見張りを立てたくとも船舶の構造上立てられないとかいろいろな事情もございますので、そのときそのときの最適の方法で見張りを強化しろということでございます。したがいまして、一般的には船首に見張りを立てなかったから即海上衝突予防法に違反しておるということではございませんけれども、本件の場合にはそのような容疑で目下捜査を続行しておる最中でございます。
○太田委員 どこかで立っておればいいですよ。マストの上に立っていた、よく見えたんだ、それはいいですよ。しかし、マストの上に立っていたという報告もない、船首にも立っていなかった。しかも相手の船はとまっていて、潮の流れに流されて航路の中に入り込んできておった。その千百トンの船が一万一千トンの船の前に立ちはだかっておるのがわかるのに、見てもわかる、レーダーでもわかるはずなのになぜわざとぶつけたか。人をいっぱい何百人と乗せておったじゃないか、その「さんふらわあ丸」というのは。その会社の調査では運航管理者は何と言っておるのですか。何か大きな手抜きをしてやけくそでその船を操縦をしておったのでしょうか。何ですか。大事なときになって何一つ手続をとっていませんね。海上衝突予防法には、おっしゃるとおりに船首に見張りを立てよとは書いてないが、視覚、聴覚、その他すべての手段により常時適切な見張りをしなければならないというのは見張りの原則義務、原則でさえもそうなっておるでしょう。ましてや霧中航行の際においては特にいつでもとまり得る速度をもって進航する。それは即危ないときには危ないと言う者がおらなかったらそういうことになりませんね。これは怠けておるというのですか、手を抜いているというのですか、安全を無視しているというのですか、無謀な航行じゃありませんか。その点どうですか。
○村田説明員 まことに先生のおっしゃるとおりで、乗客、乗員合わせて千二十八名も乗船させておりまして、本件の場合幸いにして両船とも船体の沈没あるいは人身の死傷事故等もございませんでしたけれども、本当に大きな事故に直結するうらはらの事件でございますので、いま先生のおっしゃいましたようなあらゆる角度から捜査をいたしております。もうすぐ捜査、原因究明も完了いたしますので、その暁には会社に対して必要な措置をとりたい、このように考えております。
○太田委員 それではその当時の船長はいまどうしていますか。
○村田説明員 「さんふらわあ」の船長は、目下、会社の措置といたしまして、事故当時から二カ月間乗船勤務はさせない、それから相手船の船長も、一ないし二カ月間は船長としての業務はさせない、そういうことでいま会社の処置をとっておるように聞いております。その間われわれの取り調べに応ずるというふうなことにただいまなっておる現状でございます。
○太田委員 会社の運航管理者は責任上どういうことを言っておりますか。会社の方の運航管理体制、安全管理体制、それに何かのミスはなかったか。
○村田説明員 これは、先生のおっしゃるように、海上運送法に基づきまして、会社に運航管理規程をつくりなさい、そういう義務を設けております。海運局でこの事故の直後直ちにその会社の社内監査をいたしまして、現在それを取りまとめ中と聞いております。それに基づきまして適当な勧告命令を出す、それに従わなければ業務停止命令を出す、そういうふうな段取りになろうかと思います。
○太田委員 その法体系上から見て、こういう事故を起こした場合の船長の責任というのは、行政上の処分と刑事上の処分とは最高どれぐらいになりますか。
○村田説明員 刑事事件としましては、われわれが捜査してこれを検察庁に送致して検察処分にまつわけでございます。
 それから行政処分としましては、海上事件の特殊性から海難審判庁がこれを取り上げまして、処分の段階といたしましては、戒告、それから海技免状でございますがこれを一定期間停止する、あるいはその海技免状を取り上げる、こういうふうな処分の段階になっておりますが、どれを適用いたしますかはこれから審判が開廷されましてその結果を待つということになろうかと思います。
○太田委員 あなたにお答え願うのはいささか無理かもしれませんが、判例として、船を衝突せしめて沈没をさせたり死傷者を出した場合には、当該船長は禁錮、懲役等の刑に及ぶことがあり得るでしょうね。行政上じゃないですよ、刑事上罰として禁錮、懲役等の刑を受けることはあり得るでしょうね。どうですか。
○村田説明員 先ほども申し上げましたように、幸いにして死傷者を出しておらないことから見まして、またこれは過失犯でもございますので、当然の判決はされると思いますが、あるいは私の個人的な考え方では執行猶予が伴うのではなかろうか、このように思うわけでございます。(太田委員「懲役のですか」と呼ぶ)はい。
○太田委員 人の命を預かっている者の責任は大きいわけですね。警察庁とか公安委員会というのは、あなたの方とは違ってきついですよね。一人の人をはねて、殺さなくても千葉県の方へ持っていっちゃうじゃないですか。そういうことがあるのにあなたのところはどうですか。千人もの人たちを乗せた船をぶつけておいて閉門を仰せつける程度で、それも暫定閉門で済む。ちょっとすべて何か軽くありませんか。罰するところは罰する、賞するところは賞する、秩序は正していかなければいけないと私は思うのですが、どうなのですか。
○村田説明員 先生のおっしゃるとおりでございますけれども、海上のこの種の海難事故と申しますのは、海上衝突予防法一つとりましても、これは国際条約から国内法に取り入れたものでございまして、非常に国際的に関連性を持っておるわけでございます。したがいまして、道路交通法のように、即決とかそういうことによって処置するというふうな法体系にはなっておりませんので、われわれの方ではせめて捜査を急ぐ、そして早く教訓を見出してこういう事故の再発防止に役立たせる、そのような構えでやっております。
○太田委員 時間がなくなりましたから終わりますが、海上衝突予防法では、あなたのおっしゃったように見張りを立てなければいけないということになるようだが、必ずしも船首に立てなければならないじゃなくて、どこに立っておってもいいということになる。まさかそれは部屋の中に立っておっていいということじゃないでしょうが、そういうあやふやな規定、しかも船員法から見てもどちらからながめてみても、的確な信賞必罰というようなことはなかなか出てこないような気がするわね。まあ二、三年前にできたばかりの海上衝突予防法にとやかくけちをつける気持ちはありませんけれども、いろいろな原因を究明して、あなたの方で現在持っていらっしゃる監督権だけでも将来の禍根を断つことはできる力はあろうと思いますから、適切な処理をされることを望んでやみません。
 終わります。
○有島委員長 次回は、明十日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十三分散会