第088回国会 本会議 第4号
昭和五十四年九月六日(木曜日)
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 議事日程 第四号
  昭和五十四年九月六日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の
   続)
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の
 続)
    午後二時九分開議
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
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○議長(灘尾弘吉君) 昨五日の国務大臣の演説に対する質疑における木野晴夫君の発言中、穏当を欠く部分については、議長において措置いたしました。御了承願います。
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 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
○議長(灘尾弘吉君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表して、大平総理に対し質問をいたします。
 いま国会に対する国民の期待は、第一に、石油危機が深刻化する中で、庶民生活、中小企業、農林漁業者などはきわめて前途に不安を感じているが、石油の供給不足と価格値上がりに政府はどう対処してくれるか。また、今後のエネルギー政策について政府の計画は原子力エネルギーを石油代替の中心に据えているが、安全性の確保と国民合意をどのように取りつけるのか。
 第二に、石油の値上がりがあらゆる物価値上がりに連動してくるに違いないが、物価の上昇の中で国民生活をどう守ってくれるか。
 第三に、物価の値上がりによってインフレが激しくなるのではないか。また、強力な総需要抑制政策をとるならば、再びあの陰うつな不景気風が吹き荒れるのではないか。
 第四に、その結果、中小企業の倒産、大企業の減量経営の激化、そして失業者の激増、国民生活の不安等、最も好ましくないスタグフレーション、すなわち不況下の物価高の時代を招き寄せることになる危険が多いが、これにどう対処しようとしているのか。
 第五に、政府は財政再建に名をかりて一般消費税の導入、中堅所得層への所得税増税をもって国民の負担を増大させようとしているが、国民の大きな反対の中でどうするのか。
 第六に、現在、雇用不安は一向に解消されないのみかますます拡大される傾向にあるが、定年制と年金受給開始をドッキングさせて、高年者の老後生活の安定を図るための施策、すなわち年齢による雇用差別禁止法、または定年延長法などは果たして進むのか。
 第七に、福祉後退の政府の方針に強い不安を持っている社会的に弱い立場の人たちにその不安を取り除く具体的な方策はあるのか。
 第八に、国民は、政治がみずからの姿勢を正し、政治に対する信頼の回復を求めている。すなわち、一連の航空機輸入に関する疑惑を解明し、これらの汚職の再発防止と政治の浄化、倫理化を進めることに国会がいかに真剣に取り組むか。
 以上の点は、いずれも切実な国民の要求であり、国会が果たさねばならない責任の重大さをついたものであります。
 私は、ここに順を追って、これらの問題について、わが党の主張と意見を交えて、総理にその所信をただすものであります。(拍手)
 さて、まず、このような重大かつ切実な国民の要求を果たすべき本臨時国会でありますから、そのためにはこれらの問題を予算委員会、航空機調査特別委員会を初め、関係各委員会を開会し、積極的に論議を交わし、国民の期待にこたえなければならないのであります。しかるに大平総理、あなたはこの臨時国会の第一目的を衆議院解散に置いているのはきわめて遺憾という以外ありません。
 加うるに、いま衆議院を解散すべき必然的な客観情勢は存在いたしませんし、その解散すべき大義名分が明確でないのでありますから、これはまさに解散権の私物化であり、党利党略の最たるものと言わなければならないのであります。(拍手)
 総理は、本院を解散するというならば、有権者の意思を問うにいかなる大義名分をもってするか、明確に承りたいのであります。(拍手)
 さて、第二次石油危機のわが国経済、国民生活に及ぼす影響は日を追うて顕著になってきております。石油は、政府が認識する価格、供給面の小康状態とはうらはらに、わが公明党が八月初めに実施した全国的一万標本の石油製品末端需給実態調査によると、石油製品の値上がりや供給不足は拡大しつつあるという結果が浮き彫りにされました。
 調査結果によると、価格の上昇は、一般家庭の灯油は十八リットル当たり九百円から千円以上に値上がりをし、民間企業、農林漁業、地方自治体の全国平均では軽油が三四%から四〇%、A重油は三四%から五五%を初め、全油種が大幅な上昇を示しております。これらの現状に政府はどう対処されるか。
 特に、過日の所信表明の中で総理は、「物価への波及は、公正なものである限りやむを得ない」としておりますが、何をもって公正なものとするか、この基準を明示されたいのであります。(拍手)
 また、供給状況は、わが党の調査によれば、一般家庭の灯油はすでに北海道、東北地方は約六〇%から八〇%の世帯が供給悪化を訴え、積雪地帯では供給不足が始まっていることを示しております。さらに、軽油、A重油ともに運輸業、建設業、製造業、農林漁業が供給状況の深刻な悪化に見舞われている実態が明らかにされております。
 総理、この現状にどう対処されるのか。便乗値上げ、買い占め、売り惜しみについても断じて許されないとの言葉の強さだけで解決するものではございません。(拍手)政府は速やかに原油価格値上げに伴うコスト上昇を計算し、その結果を公表して、価格の抑制と安定のために全力を挙げることを要求するものでありますが、御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 今日、燃料不足の状況に切実な訴えが寄せられている中で、全般的に見て大きな混乱に至らずにいることはわが党の実態調査の上にもあらわれていますが、これはひとえに消費者の忍耐と節約によるものであります。その国民の良識にこたえるためにも、これからの灯油需要の最盛期に向かい、政府が今後の供給見通しの明確化を図り、先行き不安の解消に努めることでありますが、その決意のほどを承りたいのであります。
 また、総理は、所信表明演説の中でエネルギーの中長期対策について触れられました。その対策の中心的課題は、十年後の石油依存率を五〇%程度に引き下げ、代替エネルギーを原子力エネルギーの増強に向けておりますが、原子力エネルギーの安全性を初め核燃料の入手、使用済み燃料の処理など、いまだ解決を見ない課題が山積し、国民的合意もなされていない現状であります。石炭、天然ガスの受け入れ体制の充実と、特に太陽、地熱、波力に次いで、風力、石炭液化、水素核融合などの新エネルギーの開発もきわめて重要な課題でありますが、その開発経費の捻出を初め、実用化に至る見通しはまことに困難が控えているのであります。安全性、特に原子力エネルギーの安全性に懸念を示す国民の合意形成をどのように進めていくのか、技術開発の費用調達をどのように考えているのか、総理の所信を具体的に述べられたいのであります。(拍手)
 総理は、所信表明において、「きめ細かい物価対策を講じ、景気の動向に配慮しながら慎重な経済運営をしている」と言われるが、その実際は総需要抑制の方向にあると言わなければなりません。
 ここで指摘しておきたいのは、第一次石油危機後の長期不況の原因は、特に五十一年度における政府の政策の失敗であります。インフレを必要以上に恐れる余り、消極的な政策運営によって民間需要の自律回復力の芽を摘み、財政の国債依存度を高める背景をつくり、輸出主導型の景気を誘導し、経常収支の黒字を累増させる結果となったのであります。もしこのままさらに政府が強力な総需要抑制政策をとるならば、長い不況からようやく芽を出し、伸び始めた民間需要の自律回復力を萎縮させ、やがてわが国経済が最も避けなければならないスタグフレーションに陥ることになります。したがって、本年度、来年度ともにインフレ抑制に十分配慮しつつ、六%程度の実質成長を確保する必要があると思いますが、総理のお考えはどうか、お答えを願いたいのであります。(拍手)
 また、それらと不可分の五十五年度予算編成方針を速やかに提出し、論議すべきでありますが、総理にその考えがおありかどうか、あわせて伺いたいのであります。
 さて、物価はすでに八月上旬から卸売物価上昇率が昨年同月比で一〇%を超え、また前月比では年率換算二五%台となり、二十ドル原油の入着とともに、今後の物価騰勢は、石油関連製品のみならず、広範囲の生活必需物資に波及することが憂慮されているのであります。
 一方では、たばこ、ハス料金、国鉄運賃・料金、また郵便、電気、ガス料金等、一連の公共料金の値上げが準備されております。したがって、便乗値上げ、売り惜しみの徹底排除など、政府は特に生産、流通の円滑化のための行政措置や独禁政策の機動的運用の強化をすべきであり、公共料金の値上げを抑制すべきであります。
 特に、消費者物価については、当初見通しによる上昇率四・九%に抑えるために全力を挙げるべきでありますが、いかなる物価抑制策をとられるか、明確にお答えを願いたいのであります。(拍手)
 また、卸売物価をどの程度の水準に抑えようとしておられるのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 なお、ここで伺っておきたいことは、政府の不用意な住宅政策の推進で高騰している地価の対策についてであります。
 特に、東京、大阪、名古屋の三大都市圏の宅地価格は、最近三カ月間に政府の発表でも四%も上昇し、実際の売買価格はこれをはるかに上回り、今後の財政経済、社会資本の整備、国民の福祉充実の上からも憂慮すべき状態になっております。国土利用計画法による価格抑制機能の運用、土地税制の強化を基本に地価の安定、宅地供給対策の強化が緊要でありますが、政府はいかなる対策をとられるのか、具体的にお答えを願いたいのであります。
 次いで、財政運営について政府の考え方を明確にしていただきたい。
 総理が強調する財政再建は、財政再建それ自体、私は決して反対ではありません。むしろ、これに真剣に取り組む責任は、われわれ政党に課せられた責任であると思っております。しかし、財政再建に臨む時期、その手法については、私は総理と大きく意見を異にするのであります。
 総理は、財政再建を五十五年度より始め、そのために一般消費税の導入、または中堅所得層の所得税の増税をもって充てようとされておりますけれども、われわれは、この時期と増税による手法には全く反対であります。
 もちろん、増税を断行する前提として、いわゆる三K、すなわち国鉄、お米、健康保険の三大赤字対策、行政機構、定員の抑制を含む歳出予算の見直し、租税特別措置の見直しなどを述べているのでありますけれども、これらのことは、いままで歴代自民党内閣が何遍も国民に約束をしながら、いまだに実行されていないものばかりであります。(拍手)大平内閣がいかに口にそれを唱えても、その実現を信ずる国民は一人もいないと言っても過言ではありますまい。(拍手)したがって、国民は、前提である歳入歳出の洗い直しや行政改革が実行されないまま、増税だけが実行されるおそれのあることを敏感に感じ取っているのであります。
 まず、ここで、特に所信表明で示された行政改革について、その具体的な内容をぜひとも承っておきたいのであります。(拍手)
 わが党は、財政再建策の基本的な考え方を、昨年提案した「改定福祉社会トータルプラン」の中で示しました。直面している経済情勢や財政の持つ役割りから考えて、財政再建それ自体だけが目的であってはならないのであります。その骨子は、緊急経済再建政策の実施によって経済を安定成長軌道に乗せ、財政再建は中期的展望と政策の優先順位を明確にした中期財政計画を策定することが必要であり、財政の帳じり合わせだけであってはならないとするものであります。つまり、景気の着実な回復、雇用の確保、福祉水準の向上を図りながら、総合的な観点から着実かつ計画的に赤字財政からの脱却を図ろうとするものであります。
 わが党の計画では、五十五年度までを緊急経済再建期間として、民間経済主導型の安定成長軌道に乗せ、五十七年度までの年平均名目成長率を一一%、税収の弾性値を一・二に回復することにより、税の自然増収を五十三年度に比べ、五十七年度には十二兆九千三百五十三億円にすることができるのであります。着実な経済成長による自然増収は、現に民間需要が回復してきた五十三年度で七千七百億円となり、本年度は、民間経済研究機関の予測では約二兆円になるとされているのであります。
 また、利子・配当所得の総合課税、高額所得に対する給与所得控除の頭打ちの復活、有価証券取引税と有価証券譲渡益の課税の強化、法人税関係の租税特別措置の改廃、企業会計による退職給与引当金など各種引当金の縮小、また大企業の法人税率の引き上げ、法人税の課税原則の実在説への移行等の現行税制の公平化の徹底などを実施すれば、五十四年度から五十七年度の四年間に約二兆六千億円もの増収が得られるのであります。
 このように経済安定成長と不公正税制の是正により、四年間に約十五兆五千億円の増収が得られるのであります。そして、この計画の考え方で五十九年度まで名目成長一一%、税収弾性値一・二で延長して試算をいたしますと、税収額は約四十六兆一千億円となり、政府が一般消費税を導入して得られる税収額四十七兆九千九百億円と比べると、政府計画や試算による九兆円もの大増税は全く必要がないということになるのであります。(拍手)
 また、わが党の計画による税収と政府計画、試算による税収の差、約一兆九千億円は、行政改革と毎年一〇%も伸びる補助金の整理合理化、今後五年間で倍増すると予測される総合医療費の四〇形を占める薬剤費の縮小、国鉄、食管、健保会計の効率化を計画的に進めていけば、容易に調達できるのであります。
 公明党は、反対のための反対ではなく、このように実現可能で、かつ、よりよき具体的対案を示し、政府に財政再建の手法の転換を求めるものでありますけれども、総理の所見を明らかにされたいのであります。(拍手)
 一般消費税の問題点を要約すれば、第一は、低所得者、年金で生活する人を問わず、課税負担を受け、所得の低い人ほど負担率が高くなる逆累進性を持つこと。
 二つには、消費者物価を確実に押し上げ、家計を圧迫し、また中小零細企業の経営を圧迫すること。
 それらを通じ、第三には、雇用不安を増大し、個人消費を抑え、経済成長が低下する、その結果として税収が減少し、財政再建の足場を失うことになることであります。
 これらの問題点は、いまや国民周知の事実であります。
 総理は、所信表明で、あえてこれまで口にしてきた一般消費税の導入などを隠し、不足財源は、国民の理解を得て新たな負担を求めざるを得ないと述べられましたが、それは、選挙に勝てば、国民の理解を得たと称して一般消費税導入等を強行するつもりでありましょう。総理の言う新たな負担の具体的な税目の内容と国民負担の内容をここで明確に示されたいのであります。(拍手)
 私は、総理に、一般消費税等の大衆増税を断念するよう、強く、心から要求するものでありますが、総理の確たる答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、速やかに中期財政計画を策定し、国会に財政再建特別委員会を設け、着実な財政再建を図ることを提案するものでありますが、総理の所見を承りたいのであります。
 なお、総理は、しきりに「日本型福祉社会」の建設を提唱しておられます。財政との関係においては、福祉関係予算の優先確保がその基調となるべきであります。
 ところで、五十五年度予算においては、老人の医療、児童手当、教科書無償配付などについて後退が図られているようでありますが、その事実はどうか。
 また、さきの国会で要求した定年延長については、すでに雇用審議会の答申が出されたわけでありますが、その法制化を進めるのかどうか、あわせて総理の明確な御答弁を求めるものであります。(拍手)
 主権在民の議会制民主主義は、有権者の参政権の行使がその根本であります。この点について、私は、現行公選法について、その矛盾をただしたい。
 もし仮に、巷間伝えられるように解散、総選挙となり、十月七日の投票となるとすれば、現行公選法、同施行法では、昭和三十四年九月三日より十月八日までに生まれ、新しく成人に達する人々約十五万人は、当然投票権がありながら、投票ができないことになります。これは言うまでもなく、この人たちが憲法上参政権を認められながら、公選法、同施行法の手続的な問題でその権利が行使できないということであり、重大な問題であります。
 現に公明党に対し、多くの該当者である若い人たちからの強い要望があります。したがって、ぜひこの際特例法を制定して、新有権者が投票できるようにすべきでありますが、政府は今国会に特例法案を提出する用意があるかどうか、答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、政治倫理の確立と選挙制度について質問をいたします。
 航空機輸人に関する疑惑が国民の大きな政治不信を生みました。そして、その疑惑解明と政治家の政治的、道義的責任の追及が政府並びに自民党の消極的態度から、国民の政治不信にさらに拍車をかけました。いまこそ国民の政治的信頼の回復のために、政党や政治家がえりを正し、厳しくみずからを律しなければなりません。そのためには、疑惑はあくまでも徹底的に解明し、同時に、政治資金規正法の改正など、法律の整備を初め政治倫理綱領の制定など、一連の汚職再発防止のための施策を急がなければならないのであります。
 総理が所信表明で挙げられた政治倫理確立のための重点項目は、政府の首班として、また自民党の総裁として、必ず実現することをいまここで明確に約束をしていただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 わが党が主張するように、政治資金の提供者は一定年額の制限つきで個人に限る、政治家個人の受け取った政治資金も、政治資金規正法による収支公開を義務づけ、法による調査権等を設けるという案を採用すべきであると思うが、どうか。
 さらに、総理は、公正で金のかからない選挙のために、選挙制度の基本的あり方を初め選挙運動の規制等について検討すると言及されましたが、従来の自民党の提言の例からいって、金のかからないための選挙制度とは、衆議院における小選挙区制、参議院における全国区廃止論ないしは全国区比例代表制導入を意味するものと受け取れますが、総理は選挙制度の改定をどのように考えておられるのか、所信を承りたいのであります。
 次に、日中問題についてであります。
 大平総理は、年内訪中の意思を明らかにいたしました。この総理の訪中を実態的に実りあるものにするため、少なくとも八〇年代の日中関係のあり方、アジア、世界の中での日中関係はどうあるべきか、さらに、中国の最も求めている日中経済協力を長期的にどのように進めていくのかということを率直に話し合い、日中関係の基盤をさらに強化するものでなくてはならないと思うのでありますが、総理はどう考えておられるか。八〇年代の日中関係のあり方並びに今回の訪中の目的を明確に示していただきたいと思うのであります。
 さきにモンデール米副大統領が中国を訪問し、華国鋒主席の訪米、カーター大統領の訪中、米国の中国に対する二十億ドルの融資約束など、積極的な米中外交が示されたのであります。
 われわれは、かねてから大平総理の訪中を促し、日中経済協力のための日本側の資金、技術の提供について積極的に推進すべしと申してまいりましたが、実現は遅々として進まず、米国の対中外交の具体化、積極化の実現を見て重い腰を上げたとしか思われない今回の訪中は、まことに時期的におくれをとったとしか言いようがありませんが、どうか日中両国首脳の会談においては、先ほど申し上げたように、実りある成果を上げていただきたいのであります。
 そこで、政府の日中経済協力に取り組む基本的な態度を伺いたいのであります。また、当面、中国の要請している八大プロジェクトヘの円借款にどうこたえるつもりか。近い将来の大きな課題となる石油の共同開発に対し、どのような考え方を持っておられるのかもあわせて明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 質問の最後に、特に総理に申し上げたい。
 あなたは、率直に真実を国民に語り、意見に謙虚に耳を傾け、その信頼と合意を得たいとしておられますが、清潔な政治を確立しない限り、公平な政治も議会制民主主義もなく、信頼も成り立ち得ません。
 政府・自民党の猛省を求め、私の質問と提案に対する率直な答弁を求めて質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 竹入さんの第一の御質問は、いわゆる解散の名分に関連したことでございました。
 わが国の経済もようやく回復の軌道に乗りまして、第一次の石油危機の後遺症の治療もようやく終わることができたように思いますけれども、エネルギーの制約、財政事情等は依然として厳しい状況にございます。一方におきまして、前の総選挙から三年近くの時日を経過いたしております。この際政局を一新して新しい体制で新しい課題に対応すべきではないかという見解も、国民の間にようやく理解が深まりつつあるように思うのであります。こういった事情を踏まえまして、私は政局の問題に真剣に対処したいと考えております。
 第二の御質問は、石油、エネルギー問題でございます。
 竹入さんは、まず第一に、石油危機による物価への波及は公正なものはやむを得ないと言ったが、その公正なものの基準は何かということでお尋ねでございましたが、これは、海外の原油高に相当分の値上げが転嫁されてまいる限りにおきましては理解できるけれども、それを超えるようなものにつきましては、これを許すわけにいかないという趣旨のものと御理解をいただきたいと思います。
 石油製品の八月末現在における政府の調査を見てみますと、昨年末比四五%ないし五〇%の値上げを見ております。また、その間円為替の低落が一二、三%ございますることを考慮に入れますと、今日の価格は不当なものとは政府として考えていないのであります。
 石油経済に対処する第一の問題は、この需給の安定を図り、それを通じて価格の安定を招来することでございます。上半期も予定以上の入荷が可能でございました。下半期の入荷もわれわれは予想どおり確保できるものと思いますけれども、万一、何らかの事情で多少の減少がございましても、八月末現在八十六日の民間備蓄を持っておる状況でございまするので、当面の石油の製品の需給には支障がないわけでございます。したがいまして、私どもは、石油の需給に安定が保たれる以上は、価格の面におきましても不当な値上げが起こるものとは思っていないのでございます。したがいまして、石油三法その他強制力の発動というような事態は考えていないのであります。
 その次の問題は、代替エネルギーに関連した問題でございまして、竹入さんは二つの問題を挙げられたのであります。
 たとえば原子力の発電等につきましては安全性を確保しなければならない、そのためにはどういう措置を講ずるつもりかという点が第一でございました。
 この点につきましては、原子力発電所の建設に当たりましては、設計の段階から建設の段階、運転の段階にかけまして周到な配慮を加えるばかりでなく、管理の段階におきましても、政府は係官を派遣いたしまして、安全性の確保に万全の措置を講じてまいるつもりでございますし、地元の公開ゼミナール、それから広報活動等につきましても精力的に対処いたしまして、御理解を深めてまいるつもりでございまするし、災害対策等につきましても、災害対策基本法にのっとりまして、周到な配慮をいたしておるところでございます。
 第二の点は、エネルギー開発に伴う資金の確保についてのお尋ねでございました。
 この点につきましては、主としてこれは大部分が民間セクターの資金の調達になると思いますけれども、研究開発等につきましては相当思い切った政府資金を投入しなければならぬと考えております。そういう意味で、官民の分担のあり方、受益者負担のあり方等を総合的に考えまして、検討を進めたいと考えております。
 その次の御質問は、経済の運営についてでございました。
 経済の運営に当たりまして、再び失敗を繰り返すようなことがあってはいけない、スタグフレーションに陥るような事態を招来しては困るということでございまして、もちろん、私どももそういうことのないように、慎重、周到な経済の運営に努めておるつもりでございまして、ようやく民間の設備投資、在庫投資も増加の機運に乗ってまいりましたし、最終消費需要はきわめて堅調でございます。雇用の状態も御案内のように、逐次改善を記録いたしておるわけでございます。輸出も順調でございます。輸入はより以上順調な状況でございまして、あなたは六%程度の経済の成長が必要であるとの御判断のようでございますけれども、私はそういった状況を招来することができると考えております。
 五十五年度の予算編成方針を示せということでございますが、年度半ばにいたしまして明年度の予算編成方針を示す材料をただいままだ手元に持っておりません。ただ、財政再建というわれわれが当面した課題にこたえるためには、財政再建の大綱ということにつきましては先般の私の所信表明が明らかにしたところでございまして、五十五年度を起点といたしまして本格的な財政再建にかからせていただきたいということをつけ加えて、御理解をいただきたいと思います。
 地価対策を含む物価対策についてのお尋ねでございました。
 あなたが御指摘のように、生産、流通の円滑化のための行政措置をやらなければならぬ、独禁法の賢明な運用を図らなければならぬ、公共料金の値上げは極力抑制せねばならぬというようなことは、政府も当然心得て処置いたしておるところでございます。
 しかしながら、海外の物価高はいかんともすることができないわけでございまして、石油でございますとか木材でございますとか皮革でございますとか、そういったものには相当な値上がりが見られておりますので、卸売物価につきましては相当大幅の改定をせざるを得ないと思っております。しかし、これが消費者物価に影響する部面も確かにございまするけれども、われわれは慎重な物価政策を通じまして、当初の見込みである消費者物価四・九%という目標は、ただいま変えるつもりはございませんし、これは堅持できる見通しを持っておりますことを御理解いただきたいと思います。
 地価の高騰について御心配がございました。
 地価は、現に調べてみますと、確かに都市周辺の地価に顕著な値上がりの傾向が見られるわけでございます。しかし、これをよく分析しますと、必ずしもこれは投機的な値上がりというよりは、実需を反映した値上がりのように私どもは理解いたしておるわけでございます。したがいまして、政府としては、土地利用計画法の運用、土地関連融資の抑制、それから都市再開発によるところの土地有効利用の促進、都市計画法の線引きの見直し等、当面の措置に遺憾なきを期して対処したいと考えております。第五番目に、財政再建についてのお尋ねでございました。財政再建の時期と方法について、竹入さんは私と若干見解を異にすると言われたわけでございますが、財政再建は、第一次の石油危機にあって、財政の力で衝撃をせきとめた経緯がございますし、財政はそのために相当後遺症を残しておるわけでございますが、経済がよくなりますると財政再建に手を染めなければならぬと考えておりましたが、まさに経済が回復してまいりましたので、財政再建に取り組むべき時期が到来したと私は考えておるわけでございまして、その点につきまして御理解をいただきたいと思います。
 手法の問題でございますが、手法につきましては、別段、お話を伺っておりますと、考え方の違いはないように思うのであります。まず歳出、歳入全般にわたりまして見直しをやらなければならぬことは当然のことでございまして、それから経済回復に伴うところの自然増収というものも相当期待できるという観測につきましては、竹入さんも私も同意見に存ずるのでございます。そういったものによって浮いてきた財源を投入いたしまして赤字国債の絶対額を減額できるかどうかというところが問題の焦点でございまして、それでなお足らないということになった場合に、初めて新たな負担をお願いしなければならぬ、こう私は申し上げておるわけでございまして、その新たな負担というものは、どういう時期に、どういう税目で、どれだけ期待するつもりかということでございますが、それはまさに、五十五年度の予算案をつくってみないと幾らの不足が出てくるかわからないのでございまするから、その時期に具体的な答案を出したいと思うのであります。(拍手)
 きのうも申し上げましたように、自由民主党は相当長く日本の政権を担当しなければならぬ立場におります。いま政局は緊張を見つつあるようでございますけれども、来年の夏になりますと、またわれわれは参議院選挙を構えておるわけでございます。われわれは終始国民監視の中で政治をやってまいらなければなりませんので、真実は真実として正直に訴え、困難は困難として正直に国民に訴えるところがなければ政治にならぬと考えておるわけでございます。(拍手)私が財政再建につきまして技術上いろいろ細工をしておるというようなことは毛頭ないことだけは御理解をいただきたいと思うのであります。(拍手)
 それから、一般福祉予算をどのように考えておるかということでございますが、私は、現在の日本の福祉水準というものは、欧米先進国に比肩しても見劣りのするものとは思っておりませんけれども、しかし高齢化が急速に進んでおる事情を考えますと、現在の水準を実のある姿で維持していくことも財政の大変大きな責任であろうと思うのでありますが、後退をしないように、何としてもこの水準を維持していかなければならぬという考えのもとに七カ年の計画も作案してあるつもりでございます。
 財政再建に当たりましては、竹入さんも、計画的にやらなければならぬじゃないか、財政計画を導入すべきでないかという御意見でございますが、これは財政審議会におきましても、中間報告としてあなたと同様の見解が示されておるわけでございますので、そういう線に沿いまして、政府としても計画的に進めるための最善の努力を傾けてまいるつもりでございます。
 定年制延長の問題につきましては、雇用審議会に、これは六月二十五日でございますけれども、法制化を含めまして諮問をいたしたことにつきましては御承知のとおりだと考えております。
 それから、今度の新有権者の選挙権行使の問題でございますが、公職選挙法によりますと、定時登録直後の一定期間は選挙時登録を行わないことになっております。これは選挙事務のふくそうを避けて選挙人名簿の正確を期するために、かたがた、選挙の適正な運営、執行を保障するための規定でございまするので、やむを得ない仕儀でないかと考えております。
 それから、政治倫理についてのお尋ねでございました。
 第一に、政府のお願いいたしました協議会の提言は、直ちに実行に移すべきものは実行に移し、国会等に要請すべきものは要請いたす所存でございます。
 あなたは、第二に、政治資金は個人に限るべきであるというお考えでの御提示がございました。私は、法人といえども社会的実在である以上、法人の政治資金を拒む理由はないと考えております。しかしながら、できるだけ個人に移行するような努力はしなければなりませんし、法人であろうと個人であろうと、その選挙資金を公明に処理する仕組みは考えていかなければならぬと考えております。
 それから、選挙制度の問題についてのお尋ねでございました。この点につきましては、事選挙のルール、土俵づくりにかかわることでございますので、政府がイニシアチブをとることは必ずしも適当でないと考えまして、国会及び各党との緊密な連携のもとで、この問題は真剣に討議を進めていかなければならぬと考えております。
 最後に、日中外交についてのお尋ねでございました。
 第一に、日中経済協力についての考え方でございます。私は、お隣の中国の経済建設につきましては、三つの原則を構えて対応いたしたいと存じております。
 一つは、ひとりわが国ばかりでなく、欧米先進国とも協力して当たりたいということが第一でございます。第二は、ASEANその他アジアの諸国とのバランスも考えさしてもらいたいということ。第三は、軍事協力はできません。そういう三大原則に沿って、いま御提示がございまする経済協力の案件につきまして検討をさしていただいて、近く結論を見出したいということを申し上げておるところでございます。
 それから、石油開発の問題でございますが、渤海湾等につきましてはすでに検討が進んでいるわけでございますが、その他の地域におきましても、こういう問題が出てまいりましたならば積極的に検討を進めて、その実現をできたら図るようにいたしたいものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(灘尾弘吉君) 佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
○佐々木良作君 私は、民社党を代表いたしまして、先日の総理の所信表明に対して若干の質問を行います。
 この国会は、第一に、石油危機に対応する諸施策を協議し、第二に、航空機疑惑を究明し、第三に、前国会で成立を目前に流産した数本の生活関連法案の成立を急ぐために、臨時に召集されたものであります。
 しかるに、大平総理は、予防策を協議すべき国会の場を、逆に解散によって政治空白化することを意図されているようであります。
 国民の不安に目を覆い、党利閥略を優先して権力者の地位を確保ぜんとするこの総理の姿勢は、民主主義の名において糾弾されなければなりません。(拍手)
 さらに加えて、国民の政治不信が高まる中で、航空機疑惑の解明のチャンスを封じ、疑惑究明を覆い隠すために解散、総選挙が急がれるとすれば、まさに言語道断と言わざるを得ません。(拍手)
 まず私は、総理が今臨時国会に対し、上述の三つの国民的要望にこたえる姿勢で臨まれるや否や、総理の基本姿勢を伺うものであります。
 以下、ともかく総理が所信表明演説において具体的に明らかにされました問題について、その所信表明の項目に従って順次質問を進めます。
 総理は、当面する緊急課題への対策として、第一にエネルギー問題を取り上げられました。この位置づけには私も賛成であります。しかし、まず短期的対策の中で述べられた情勢判断は、先ほど竹入委員長の御指摘もありましたごとく、余りにも楽観に過ぎると存じます。
 夏以来、漁船用、農機具用、トラック用及び中小工場など需要末端においては、軽油、A重油、ナフサなどの入手難が強く訴えられておりますし、また、灯油のごときは最近一かん千円を上回るものも出回っているありさまでありまして、明らかに便乗値上げの傾向も出始めました。先ほどの指摘のとおりでございます。北海道だけでなく、全国的に家庭の主婦の皆さんも冬に備えて灯油の確保に重大な関心を寄せられつつあります。
 このような需要末端における先行き不安感に対応して、的確な対策が用意されなければなりません。
 民社党は、石油製品などの個別物価対策を重視し、灯油、軽油、A重油などを買占め売惜しみ防止法の指定品目とすること及び改正独禁法の機動的運用によりまして、違法な値上げカルテルや便乗同調値上げに対しては厳しく事前取り締まりを行うよう要望してまいりました。政府は万全の予防策を準備すべきであります。先ほどの総理の御答弁は、まことに役所的なマクロ論に立った立場のみの御答弁でございまして、末端需要の実情について、はなはだ認識不足と言わざるを得ません。総理の反省を求め、改めて重ねて御所見を求めます。(拍手)
 中長期対策としては、省エネルギー構造への産業改革と代替エネルギー開発であり、八〇年代の代替エネルギーの主座が原子力と石炭であることは衆目の見るところであります。しかし、そのおのおのに公害、安全性など未解決の問題不安材料も多く、その解消と解明に積極的な努力が続けられなければなりません。
 これらの問題について民社党は、あくまでも国民的課題として超党派的に、かつ最も積極的に取り組む用意があります。うわさされる総合対策のための特別立法にも協力を惜しむものではございません。
 しかし、この問題の焦点は、資金手当ての一点に尽きます。
 従来、幾たびか繰り返されましたエネルギー計画は、必要エネルギー量の算定と、それに見合う開発計画と、これに要する資金量の算出でありました。残念ながら総理演説も、この種の計画を背景とした平板な対策の羅列を一歩も出るものではございません。必要なのは、諸計画の実現のかぎを握っている開発資金手当てであり、その調達の方法であります。石油新税などについても検討が行われたはずであります。わが党は、開発資金についての特別会計の新設も検討を開始いたしております。総理に、エネルギー開発の核心ともいうべき資金対策について抜本的総合的な対策を樹立する決意ありや、重ねて誠意ある答弁を求めます。(拍手)
 総理は、緊急課題の第二として財政再建を取り上げられました。
 公債残高六十兆円、公債依存率四〇%という現状において、財政再建が急務であることは何人も疑いません。しかし、総理演説は、この項の冒頭において、今日の財政破綻の原因を唯一、第一次石油危機以降の財政主導による景気対策に求め、それが見るべき成果を上げた結果だと断定されました。
 私は、これがその主な原因であることを否定するものではありません。しかし、長期にわたる自民党政権が、自己の政権基盤を支えるために、膨大な補助金及び租税特別措置という名の利益供与を設定し、これがばらまき行政を深めていったこともその重要な原因の一つであることを指摘するものであります。(拍手)
 この問題についての歴代自民党内閣の責任は重大であります。この意味からも、行政改革や三K赤字問題について国民の納得いく対策をとらない前に、大衆負担による増税によって財政再建を行おうとする態度は断じて許されません。(拍手)総理の御所見を改めて伺います。
 次に、総理演説は、財政再建について、第一に、いかなる新たな負担を国民に求めようとしているのか、そして第二に強調されておる、その前提としての実行を約束している行政改革案、現行税制の見直し、これらにどう取り組もうとしておられるのか、その内容は完全にベールに包まれたままであります。したがって、この点について、まず第一に、一般消費税導入問題について重ねて申し上げます。
 この問題について、新経済計画も五十五年度中に実施すると明記しております。これを了解する閣議決定も行われたと伝えられております。しかるに総理は、昨日の西宮質問に対しましても、また先ほどの竹入質問に対しましても、きわめてあいまいな答弁に終始されました。総理は、いまの質問に対する答弁を承りましても、どうしても一般消費税か所得増税かの増税路線を捨て切ってはおられないように拝見をいたします。
 総理は、国民の理解を得て新たな負担をお願いしなければならぬことがある、こう繰り返されるのみでありますが、総選挙のときを除いて国民の理解を求める手段はございません。一方、この増税路線をあいまいに隠したままで、総選挙によって白紙委任を受けようとするやり方こそは、まさに民主政治の名において私どもは糾弾せざるを得ないものであります。(拍手)あくまでも国民の理解を得た上で行うべきでありまするから、今回の総選挙のときを逸するならば、次の選挙まで国民の選択を求める手段はありませんので、その場合は、そのときまで増税を見送ることに決断されたと理解してよろしいか、私は民主政治の名において総理の確答を重ねて求めるものであります。(拍手)
 第二に、行政改革について、少なくともわが党行政改革案の中で、地方財務局など中二階と称せられます国の出先機関の廃止問題について、あるときは積極的、あるときは消極的な態度をとられておるようであります。この問題について総理は積極的に取り組む方針を持っておられるか否か、この一点のみ明確にされたいと思います。
 次に、財政再建問題についての民社党の考え方を申し述べます。
 わが党は、大衆負担の増加が国民生活を圧迫し、経済活力を減殺しては元も子も失う結果になることを恐れるものであります。財政再建の出発点は、民間の場合と同じように、徹底した経費節減であり、増税の前提は常に税負担の公平化であります。その意味から、政府はまず徹底した行政費削減を行い、親方日の丸、役人天国の汚名返上に値する実を示すこと、現行の不公平税制に対して国民の納得のいく改革を実行して国民不満の解消を図ること、この二点こそ財政再建の出発点であることを強調します。
 一般消費税は国民の購買力を奪い、中小企業者、小売業者などに多大の負担を強要し、インフレを促進するまさに悪税でありますし、さらに所得税は本来累進税の構造的体系から、減税を行わなければ自然に増税となるものでありまして、この際、中低所得者層の増税などもってのほかと言うべきであります。
 五十四年度税収の自然増は政府予想をはるかに上回り、二兆円にも達せんとしております。これは減量経営などによる大衆犠牲や勤勉な国民努力の上に築かれた財とも言うべきものでありますから、福祉の形で庶民、経済弱者に還元し、また、新たなる購買力を呼び起こす財に充当すべきものであります。これこそ経済の原理というものであります。しかし私は、この際でございますから、この財源をまず健全財政のための財源に充てようとされる総理の考えにあえて反対するものではありません。しかしながら、今年度のこのような税の自然増見込みは、同じ時期に試算された来年度予算の二兆円の穴埋め財源たらしめようとする増税説の根拠を根本的に奪うに十分であったはずであります。
 かくて民社党は、財政再建について、政府案に言う来年度からの増税はこれを行わず、まず徹底的な行政費の節減を行い、不公平税制の是正による相当額の税収増を見込み、同時に、経済活力を失わせないよう慎重な配慮を行う経済運営に取り組み、さらに事態によっては、富裕税などの新設の検討も行いながら、徐々に財政体質の改善を図っていくべきことを主張するものであります。総理の再考を促し、御所見を求めます。
 総理は、緊急課題の第三として政治倫理の確立について述べられました。この問題について私はまず申し上げたいことは、前国会に引き続き設置されております航空機特別委員会の活動について、まず総理の猛省を促したいことであります。
 前国会同様同委員会は、事実上自民党の妨害によって、必要な証人喚問や偽証告発及び再発防止措置など、当然に行われるべき委員会の活動は全く進みそうにありません。自民党の態度が改善されない限り、この委員会の活動自身が封ぜられているのであります。したがって、総理が期待される航空機疑惑問題等防止対策協議会の提言を入れて、その出発点ともなるべき倫理委員会を設置したとしても、自民党の従来の態度が変わらない限り、事態は一歩も前進しないのであります。倫理委員会の設置自身が新たな疑惑隠しの片棒をかつがせられるのではないかとの疑問さえ関係者間にささやかれていると承ります。
 総理が政治倫理の確立に本気で取り組もうとされるならば、まず総裁としてのリーダーシップを発揮して、今国会の航特委活動に対して、自民党をして同委員会設置の目的に沿うよう積極的かつ活発な活動を展開させることであります。その用意ありや、総理の誠意ある答弁を求めます。
 第二に、民社党は、防止対策としてオンブズマン制度の導入と情報公開法の制定をも主張するものでありますが、そのほかはおおむね対策協議会の提言を可とするものであります。しかし、総理がすでに提示されている対策も、また協議会の提言も、その大部分は法的措置を必要とするものでありますが、総理はこれをいつの国会に提案し、成立を期そうと考えられておるのか、国民に対する公約の意味を含めて、ここに言明されんことを望みます。
 これからの経済運営について伺います。
 今後予想される第二次石油危機の困難な情勢に対しても、民社党は、物価安定、雇用拡大、適正な経済成長の維持という三つの経済目標を同時達成する考えを堅持して、個別政策の総合調整を図らんとするものであります。エネルギー対策で申し述べましたごとく、個別物価対策を重視するのも、週休二日制、定年延長、新たな雇用創出など雇用対策の充実を主張するのも、年金、住宅など福祉向上を要求するのも、それら諸制度の目的達成効果とともに、内需購買力を高めながら経済活力の維持発展を図り、あわせて税の増収をも期待しようとするものであります。
 今後、経済社会の安定性を高めるためには、従来の財政主導一本やりの経済運営から、きめ細かな個別政策の積み上げと調整に重点を移すべきだと思うのでありますが、総理の御所見を承ります。(拍手)
 なお、特に中小企業問題について、繊維、ゴム、雑貨などの業種の中で、最近特に中進国の急激な輸出攻勢を受け、経営逼迫の訴えが高まりつつあります。わが国の中小企業は、今後一層生産性の向上、高付加価値化を図らねばなりませんが、政府としても、第一に秩序ある輸入体制の確立、第二に技術開発の積極的助成、第三に人材の育成などに特段の指導を行うべきことを要望いたします。
 次に、農政について、私は、最近の国際資源危機説の中で、石油の次は食糧だとの説を重視するものであります。
 わが国の主食の自給率はわずかに三五、六%と言われます。農家収入の中で、本当の農業収入はわずかに二、三〇%という、農家にとっても完全に破産している日本農業の現状は、国民への食糧提供者としてもまた完全に破産状態に陥っているものであります。まさに自民党農政の責任は重大であります。八〇年代の日本農業のあり方を検討している農政審議会の中間報告も、国際的観点に立って国民の食糧を確保すべき農政のあり方については何らの展望も示しておりません。
 総理の田園都市構想はまことに結構ではありますが、そうのんきな理想をのみ追っているわけにはまいりません。食糧危機説にこたえる意味も含めて、この際、総理の日本農業再構築についての基本的考え方を承りたいと思います。一般国民並びに農家に納得のいく答弁を求めます。
 総理は、これからの社会の進路の項において、特に家庭基盤の充実について触れられました。
 わが党は、かねてよりヨーロッパ型の個人社会的福祉に対しまして、わが国の家族社会にふさわしい福祉のあり方を日本型福祉と称して政策追求を行ってまいりました。しかし、いずれにしても、わが国の福祉政策のおくれは覆うべくもございません。「ウサギ小屋に住む働き中毒」という日本人評が象徴するように、経済大国日本にふさわしからざる福祉の実態であることは否定できません。このときに当たって、大平内閣の福祉後退の姿勢が話題を生みつつあります。
 民社党は、福祉国家を目指す政党でありますがゆえに、このことを一層重視するものであります。総理が福祉後退を否定されようとされるならば、次の私の質問に積極的にお答えをいただきたいと存じます。
 第一、今回の経済七カ年計画の中には、社会保障長期計画は含まれておりません。社会保障長期計画の立案は、二度にわたって政府の経済計画の中で公約されたものであります。私もこの壇上から二回にわたっての質問を行いました。大平内閣の福祉軽視のあらわれと言っても過言でございますまい。長期計画の発表を見合わされた理由を明確に承ります。
 第二に、民社党は、基礎年金構想の実現によって、年金のナショナルミニマムとして、定期給与の三〇%を五カ年計画によって保障すべきことを主張し続けてまいりました。
 高齢化社会の入り口に立って年金の制度確立は急を要します。大平内閣は基礎年金構想を実現する意思ありや否や、明確な答弁を求めます。
 第三、医療について、長期療養による生活不安の解消、差額ベッド及び付添看護料などの保険外負担の解消について、政府の考え方を明らかにされたいと思います。
 前国会に提案されました健保改正案は、この点についてきわめて不十分であり、改悪でさえありました。右の改正を加えて再改正案を改めて提案すべきだと考えますが、その意思ありや、承ります。
 第四、住宅問題について、大平内閣は最近の地価高騰に対し新たな対策を講ずる意思ありや。先ほどの竹入質問に対する答弁に対しまして、私ははなはだ不十分な感じを持つわけであります。効果的な対策につき再検討を求めたいと思います。
 さらに、民社党は民間住宅ローンに対する二%の利子補給制度の導入を要望し続けておるのでありますが、これにこたえる用意ありや、総理の明確な答弁を求めます。
 第五、一般家庭における主婦の切なる願いは子供の健やかな成長であり、同時に、最大の悩みは高騰する教育費が家計を圧迫することであります。
 民社党は、所得税における教育費控除や私学に対する国庫補助の引き上げなど、主張を繰り返しているのでありますが、大平総理は教育費の軽減策について本気で取り組む意思はお持ちではございませんか。一般家庭の主婦に対して、この壇上からはっきりとお答えをいただきたいと存じます。(拍手)
 最後に、外交、防衛について伺います。
 今日、わが国を取り巻く国際情勢は一段と厳しさを増しております。しかるに、政府のこれに対する姿勢は、常に場当たり的であり、受け身であり、きれいごとでさえありまして、今後、激動する国際社会の変化に対応し、国益を守り抜いていくことに国民は多くの不安を感じておるわけであります。
 まず、エネルギー外交について伺います。
 第二次石油危機が進行する中で、エネルギー、特に石油の安全確保が今後最大の外交課題となってまいりましょう。私は、この際、従来の経済協力のあり方を抜本的に見直し、各産油国及びこれと関係の深い周辺途上国に対し、それぞれ特殊性を生かした新たな経済協力関係を設定し、わが国の石油の安全確保と結びつけた密度の高い相互関係をつくり出すべきだと考えるのであります。
 いまや全く予断を許さぬ中東産油国を初め、インドネシア、中国、メキシコなど、産油国との関係を今後どのように進めようとされるのか、総理の基本的な考え方を伺います。
 なお、尖閣諸島の石油開発の問題がいま俎上に上ろうとしておるようであります。この進め方、中国との共同開発についての基本的な考え方、あわせて御説明をいただきたいと思います。
 第二に、ソ連との関係について伺います。
 ソ連の軍事力拡大問題について、山下防衛庁長官とブラウン米国防長官との定期協議において認識が一致したと伝えられております。日米間においてソ連の軍拡につき、いかなる認識が一致したのでありましょうか。
 政府は、特に、最近国民の間に不安が高まりつつある北方領土内におけるソ連の軍事基地建設について、どのような認識を持っておられるのか、ソ連の意図が何であり、それが日本にとって脅威となるものならば、今後防衛計画の見直しをも考慮しようとしておられるのか、あるいは直接侵略の脅威とは全然別の意味を感じ取っておられるのか、その辺に対して国民は大きな不安と疑問を抱いております。この国民の不安と疑問に対し、総理は率直に答える義務があると存じます。明確なる答弁を求めます。(拍手)
 さらに、大平総理は訪中計画とともに訪ソの計画も検討中と聞きますが、その真相及び目的を承りたいと存じます。
 以上、私は、平常の国会の例にならいまして、まじめに政策を中心に質問を展開いたしました。したがって、総理からも質問に忠実な答弁を要求するものであります。
 しかし、この国会が解散国会であることは周知の事実であります。大平総理、それならば、総理は、解散を行わねばならぬ理由について率直に国民に語りかけ、理解を求めるべきであります。竹入委員長に対する答弁は、人心一新がその理由のようでありますが、それはやるべきことをやった後に言い得ることであります。やらなければならない問題の山積の中で、いまこれを求める意味はございません。いまなら勝てそうだから選挙をやろうという、ただそれだけの理由であるならば、それはどん欲な政権亡者の妄執でしかあり得ません。(拍手)必ず国民の熾烈なる審判が戻ってくるに違いありません。
 私は、民主主義の名において、解散、総選挙を行わなければならない理由について、重ねて国民の納得のいく説明を求めます。
 総理の誠意ある答弁を期待して質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 佐々木さんの御質問でございますが、現時の政局に対する基本姿勢について、まずお尋ねがございました。
 私ども、今日厳しい内外の状況のもとで新しい挑戦を受けておりますことはよく承知いたしておるわけでございます。これに対しまして、どのような態勢で、どのような決意で責任を果たさなければならぬかということにつきましては、日夜考え抜いてきておるところでございまして、石油危機の深まる中で、財政事情の厳しい中で、新たな決意をもって新たな挑戦にこたえる基本姿勢を貫いていくということでありますことに御理解をいただきたいと思います。
 第二に、エネルギーの問題についてのお尋ねでございました。
 短期的な対策として私が述べておりますことは楽観に過ぎはしないかという御指摘でございます。楽観的であるということと行政の介入を避けるということとは、これはまた別のことでございます。
 私は、石油の危機に対処する第一の道は、何をおきましても需給の安定を図ることであると、そのことの基本に思いをいたして鋭意努力いたしておることでございまして、需給の安定が図られますならば価格の安定もしたがってまた保障されるわけでございまして、行政の過剰な介入というものは必ずしも賢明な手段ではないと考えておるわけでございます。もし行政の介入を必要とするということになれば、われわれはちゅうちょするものではございませんけれども、いまの状況はそういう状況とは判断していないことを御理解いただきたいと思うのであります。
 第三に、代替エネルギーの問題につきましては、佐々木さんも仰せのとおり、原子力と石炭に重点を置いて考えておるわけでございます。しかし、それは、あなたがおっしゃるように、あくまでも資金対策を確立しなければ実効を上げ得ないじゃないかということでございまして、これに対して抜本的な対策を立てる用意があるかということでございます。
 先ほどもお答え申し上げましたように、この問題は、民間セクターと政府の方でどのように分担してまいるか、受益者負担をどう考えていくか、全体を総合的に見て考えていかなければならぬわけでございまして、資金対策が最大の問題であり、それについて抜本的な対策を用意せねばならぬことはよく承知いたして、鋭意検討を進めておるわけでございます。
 それから個々の市場の実際におきましては、もとより石油製品につきまして取引上若干のトラブルがあることは承知いたしておりますが、これはケース・バイ・ケース、苦情処理の形で政府の役所も関与いたしまして打開をいたしておるところでございまして、ただいまのところ、私が報告を受けておるところでは、支障なくいっておると承知いたしておるわけでございます。
 もし新たな事情が起こりますならば、それに即時対応してまいる用意があることを御承知願いたいと思います。
 それから、次の問題は財政再建の問題でございます。
 この原因は財政主導型の景気対策にあるという見方はわからぬわけではないけれども、自民党が長期の政権の上に立って、膨大な補助金、租税特別措置等をしつらえてまいった結果もそれに影響していないと言えないじゃないかということでございます。
 われわれも人間でございまするから、やることに過ちがないとは保しがたいのでございまするし、高度経済成長に支えられた財政運営の過程におきましては、あなたが御指摘のような事情が皆無であるとは私は思いません。
 したがいまして、今度の財政再建に当たりましては、えりを正して抜本的な歳入歳出にわたりましての見直しを鋭意やっておるところでございまして、これをやらないで大衆の負担に甘えるというようなことは毛頭考えていないのでございます。
 それから、いかなる新たな負担をいよいよの段階において求めようとしておるのかということでございます。どれだけの金額をどれだけの税目でお願いするかということでございますが、これは残念ながら、まだそういう金額を捕捉するまでに至っていないわけでございまするので、いまそれについて具体的な答案を出せと言うても無理でございます。五十五年度の予算編成の段階におきまして責任ある答案を出しますということを申し上げておるわけでございまして、それをごらんいただいて御批判をいただいても差し支えはないのではないかと思います。
 ただ、ただいま政局が緊張を見ておるわけでございますけれども、この問題につきまして、私はたびたび申し上げておるように、われわれは政権の座にあって、相当政治の責任を持たなければならぬ立場におけるわけでございまして、四六時中、政治責任というものを痛いほど感じながらやっておるということは御理解いただかなければならぬと思います。きょうはAと言っておいて、あすはまたBと言いかえるというような手軽なことは、とても自由民主党とその政府にはできない相談でございます。
 それから、行政整理の問題に積極的に取り組まなければならぬじゃないか、税制の再検討、それから歳出の再検討は真剣に取り組まなければならぬではないかということでございますが、仰せのとおりでございまして、私ども、これをいいかげんにいたしまして、新たな負担に走ろうなどという横着なことは毛頭考えていないし、そういうことではとても国民の理解を得られるはずはないのでございまして、行政機構の縮減、行政費の節減、それから歳入歳出全般にわたりましての厳しい見直しをぎりぎりの限度までやった後で、私どもは必要な金額を国民の理解できる方法で御負担を願うということがあり得ようかと考えておることは、かねがね申し上げておるとおりでございます。
 それから、航特委の審議について積極的に協力をしなければならぬのではないかという御指摘でございました。
 かねがね申し上げておりますように、国会の国政調査権の発動に対しまして政府はできる限りの協力をいたしておるわけでございまするし、正当な理由がなくてこれを拒んだことは一つもないことは、あなたもよく御承知願っておると思うのでございます。もし、どこがどう足らないのだということでございますならば、具体的に御提示をいただきながら、国会と政府の間でございますから、十分力を合わせまして真相の究明に今後とも当たりたいものと考えております。
 それから、再発防止協議会の提言につきましては、法的処置ももちろん含んでおるわけでございますけれども、時を移さず実施に移すように努力いたしまして、立法を必要とするものにつきましては、最寄りの国会に出せるような用意を急ぎたいと考えております。現に今国会に出してある罰則の強化等も、その実現を早めたいと考えておるわけでございます。
 それから、経済運営についてのお尋ねでございました。
 経済社会の安定性を保障するために、財政主導型の経済運営からきめ細かな個別対策に移らなければならぬのじゃないかということは、仰せのとおり私どもも考えております。また、生産中心から生活中心へというぐあいに経済運営の重心を漸次移していくという方向は、すでに政府も申し上げておるとおりでございます。
 中小企業につきましては、御指摘のように、技術力が弱い、経営力が弱いわけでございまするので、私どもとしては、そういう技術力の向上、経営力の向上に力をかしていきたいと考えております。
 地域産業の育成に当たりましても、中小企業的視点を忘れないでいかなければならぬと考えております。
 農業の再構築の問題でございますが、私は、日本の農業が高い生産性を持ちながら、需給の実勢をよく見きわめながら、生産性の高い農家を軸といたしまして再編成ができるように最善の努力を図っていきたいと考えております。一億一千万の非常に濃密な、活力のある安定した市場を控えた農業でございまして、私は、無限の可能性が日本の農業には残されておると確信をいたしておるわけでございます。
 家庭の問題、福祉政策につきましての御提言がございました。私も同感ができるわけでございます。社会保障のあり方につきまして、新経済社会七カ年計画におきましては、基本的には、現在までに達成したところで、制度的には欧米諸国に遜色のない水準を維持しながら、人口高齢化の進行等に即応いたしまして、一層適確にその役割りを果たしてまいることができますように、年金、それから保健・医療、社会福祉の各分野にわたりまして、体系的に整備を進めまして、国民生活の安定に資するつもりでございます。
 現在、このように本格的な高齢化社会の到来を控えまして、また財政等一般に厳しい状況にある中で、将来の社会保障のあり方について国民の合意を得るためには、その長期的な展望を明らかにすることが必要であると考えております。そのため、現在厚生省におきまして、社会保障の中核である年金と医療の問題を中心に、将来の給付と負担のあり方等について検討を重ねておるところでございます。
 住宅の問題でございますが、最近、都心に近い住宅地におきまして、かねがね申し上げておりまするように地価の上昇が見られますが、これは旺盛な住宅地需要に対しまして供給が相対的に不足しておることが主要な原因でなかろうかと考えておるわけでございまして、必ずしもこれは投機的なものとは考えていないことは先ほども申し上げたとおりでございます。したがって、政府といたしましては、先ほども申しましたように、国土利用計画法の適確な運用、それから投機的な土地取引の抑制、宅地開発の推進、それから都市再開発による土地の有効利用の推進、それから線引きの見直し等、総合的に対策を講じておるところでございます。
 それから、父兄の教育費の負担についてのお尋ねでございますが、教育に対しましては、父兄の教育費の負担軽減の観点から、すでに歳出面でいろいろな政策を講じておりますが、昭和五十四年度予算におきましても育英奨学事業の大幅な改善をいたしております。また、私立大学、私立高校等に対する経常費の補助を格段に拡充いたしておることは御案内のとおりでございまして、今後も鋭意財政の許す限り配慮してまいりたいと考えております。
 エネルギー外交についてのお尋ねでございました。
 わが国のエネルギーの安定供給を確保する見地から、わが国と産油国及びその周辺途上国との友好関係を維持発展させることはきわめて重要であります。相手国それぞれの事情とニーズに即しまして、仰せのように、真にその国の経済社会開発に寄与できる経済技術協力を実施してまいりたいと考えております。わが国としては、人づくりの見地から、技術協力に重点を置いて民間ベースの協力を側面的に支援してまいりますとともに、政府ベースの協力につきましても十分配慮してまいりたいと考えております。
 次に、尖閣諸島の石油開発の進め方についての方針についてのお尋ねでございました。
 尖閣諸島付近の大陸棚の開発につきましては、その尖閣諸島周辺を含む日中間の大陸棚の境界を画定する必要があると考えております。このためわが国は、従来から中国との話い合いに応ずる用意があるとの考えを中国側に繰り返し申し入れてございます。中国側も、かかるわが方の考え方は承知いたしておるものと推察いたします。
 それから、ソ連との関係でございますが、極東ソ連軍が近年逐次増強されておるという情報は耳にいたしております。山下・ブラウン会談におきましても、このようなソ連の軍事力の増強ぶりにつきまして、日米両国とも深い関心を持って注視しておるということを私は報告を受けたのでございます。わが国の固有の領土の回復を念願いたしておるやさき、国後、択捉両島における軍備の強化ということは、私ども大変遺憾に存じておるわけでございまして、引き続き重大な関心を持って事態を見守っておるところでございます。
 私に訪ソの計画があるかということでございますが、私は、ソ連ばかりでなく、多くの国々から御招待を受けておるわけでございますので、外交日程等を考えながら、訪ソというものも検討してみなければならぬと思いますけれども、まだ具体的な日程を編むまでには至っておりません。
 最後に、いわゆる解散についてのお尋ねでございまして、先ほども、この点につきましては、竹入委員長にお答えしたとおりの心境でおりますととを御承知願いたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(灘尾弘吉君) 不破哲三君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔不破哲三君登壇〕
○不破哲三君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、大平総理に質問いたします。
 まず、日本経済と国民生活の問題です。総理は、所信表明で「確かな八〇年代の構築」への決意なるものを表明されましたが、内閣成立以来の足取りを見ると、総理が構築を目指す八〇年代とは、自民党政治が生み出した危機や矛盾の重荷を、国民大衆に転嫁する時代だということをまず指摘しなければなりません。
 その第一のあらわれは、総理の増税宣言であります。総理は、国民の「新たな負担」について述べただけで、増税の規模や内容は明言しませんでしたが、大蔵省が発表した財政収支試算によれば、赤字国債への依存を五十九年度までになくすためには、五年間に九兆円一千百億円の増税が必要だとされています。しかし、この数字は毎年度の新規増税分だけの合計にすぎず、実際の増税額の五年間の累積は二十八兆二千六百億円、これは実に国民一人当たりにして約二十五万円、四人家族で百万円という新しい負担を要求されることであって、まさに三十年前、占領下のシャウプ勧告以来の大増税であります。
 ところが、総理は、この大増税計画の内容を国民に明示しないまま、解散、総選挙に突き進もうとしております。私は、これは増税について国民から白紙委任状を取りつけようということであり、民主政治のもとでは許されるものでないことを重ねて指摘しなければならないのであります。(拍手)総理が国民に新たな負担を求めるのなら、ごまかしの術策を弄せず、この国会の会期中に増税構想の内容を含む財政再建の具体策について、堂々と方針を発表すべきではありませんか。答弁を求めるものであります。
 総理が増税の理由としている財政危機は、外部から突然降ってきた災害ではありません。これは、政府が、一九七三年の石油ショック後、不況下の税収落ち込みにもかかわらず、大型公共投資重点の景気対策、軍備増強策に固執して、予算規模の大膨張を繰り返し、財源不足はすべて赤字国債に頼るという無責任きわまる政策を強行してきた結果であります。総理の言う「負債が負債を生む」という今日の財政状態の危機的性格は明白であります。しかし、総理、このことは、四年前、あなたが三木内閣の大蔵大臣として赤字国債の大量発行に踏み切ったときからすでに予見されていたことではありませんか。
 わが党は、当時から一貫してその危険を警告し、赤字国債によらず、財政と税制の民主的改革に取り組むことを主張し続けてきましたが、あなた方はこれに耳をかさず、昨年は、みずから唱えていた三〇%の危機ラインさえ、一部野党の支持も得てあっさり放棄し、ついに今日の事態を招いたのではありませんか。自分の失政に無責任で無反省で、失政のツケだけを国民に押しつけることは、言語道断の暴挙であります。(拍手)私は、赤字国債の大量発行に特別の歴史的責任を負っている大平総理が、今日の財政危機を引き起こした政治的責任をどう考えておられるのか、率直な見解を伺いたいのであります。(拍手)
 今日の不公平税制の最大のものが、大企業への特権的な優遇措置にあることは、衆目の認めるととろであります。わが党が、わが国のトップ企業二十社の五十二年度決算について調査したところ、優遇措置による減免額は一社平均約百億円という巨額に上りました。こうした仕組みにも支えられて、日本の大企業が今日、経済的繁栄を謳歌していることは、三月期の経常利益が前期比二四・四%の増、史上空前の高利潤となっている事実や、フォーチュン誌の調査で、アメリカを除く世界五百大企業の四分の一を日本が占めている事実などに端的に示されております。
 ところが、政府の増税計画は、この大企業、財界にではなく、主に国民生活を直撃するところに矛先が向けられております。第一の計画である一般消費税は、税率五%でも四人家族の負担額十万四千円、特に低所得者に負担の重い大衆課税である上、物価へのはね返り、貯金の目減り、中小企業の営業への圧迫など、国民生活に対する影響の重大さは、算術的な予測を超えるものがあります。
 さらに、総理の第二の計画である中低所得者への所得税増税は、今日、さまざまな重荷を担わされている都市と農村の勤労者の生活をまさに直撃するものであります。
 総理、わが党がすでに数字を挙げて明らかにしてきたように、不要不急の経費の削減、大企業、大資産家への不公平税制の抜本的な見直しを断行するなら、このような最悪の大衆課税によらないでも四兆円以上の新財源を生み出し、国民本位の財政再建に足を踏み出すことは可能であります。国民生活と日本経済の現実は、大企業奉仕の財政政策からの脱却と転換をこそ求めているのであります。総理の見解を問うものであります。
 第二は、物価問題ですが、最大の問題は、総理は物価安定の努力を強調するが、政府の実際の行動はそれを裏切っているというところにあります。石油値上げの問題にしても、総理は便乗値上げなどの排除について述べましたが、二カ月前、財界首脳部との会談で、価格問題に政府は介入しないと言明し、石油製品価格のつり上げを事実上野放しにするような態度をいち早く明らかにしたのは総理自身ではありませんか。
 公共料金についても、大平内閣がこれまでに行った国鉄運賃、消費者米価などの引き上げは、すでに平年度の国民負担一兆一千億円にも達しております。特に重大なことは、政府・自民党が、国会の議決なしに政府の権限で値上げができるという悪名高い法定制緩和措置を、たばこ、健康保険料、郵便料金にまで広げようとしていることであります。一昨年十二月に成立した国鉄運賃の自由化法が一年半に連続四回、早くも値上げの年中行事化を招いたように、法定制緩和が公共料金値上げを恒常化することは疑いないところであります。
 総理、物価安定に最大の努力をというあなたの言葉に少しでも真実性があるとしたら、石油値上げによる物価の不当な高騰を防止するために、買占め売惜しみ防止法などを機を失することなしに活用し、国民が必要とする石油製品、建築資材などの物資の確保、価格の安定を図るべきであります。また、いま計画されている各種公共料金の法定制緩和の提案を撤回し、少なくとも物価高騰のおそれの大きい期間は、大型公共料金の凍結と抑制に取り組むべきであります。(拍手)
 第三に、エネルギー問題ですが、今日のエネルギー危機は、何よりも二十年来の自民党政治の所産であります。この点では、まずエネルギー革命論に流されて国内の石炭をほとんど放棄し、日本のエネルギー源をアメリカなど石油資本の支配にゆだねてしまった責任、さらに、安い石油の無制限な輸入を当てにして日本の産業や交通をエネルギー大量消費型につくり変えてしまった責任、この二重の政治責任が問われなければなりません。
 総理は、対策の一つに石炭利用の拡大を挙げておりますが、これもまた輸入に頼るというのでは、解決にならないのであります。伺いたいのは、総理は過去の石炭放棄の誤りを反省しているのかどうか、埋蔵量二百億トン、採掘可能量三十億円トンと言われるわが国の石炭資源を全面的に利用する構想と計画をお持ちかどうか、この点であります。
 エネルギーの節約についても、政府はこれまでもっぱら民生用の節約を強調してきました。しかし、わが国では、欧米諸国と違って、産業用の消費は民生用の三倍に上り、運輸の面でも鉄道、船舶の八倍のエネルギーを使う自動車に大きく傾斜をしています。この産業と運輸の大量石油消費型の構造を切りかえることなしに効果的な省エネルギー対策はあり得ませんが、この問題について総理の見解を伺たいのであります。
 さらに重大なのは原子力の問題であります。原子力発電については賛否の両論がありますが、いずれにしても、国民の安全を保障する万全の措置をとるべきことは、人類の生存のための絶対的要請であります。それは原子力の平和利用がまだ全面的に試されてはいない未完成の技術だからであります。だからこそ、アメリカにおいても原子炉規制局だけでも五百九十四名の安全審査スタッフを置いて、建設と運転の二段階にわたる公開審査を行い、建設後も、住民の避難など、事故発生を予想しての防災対策を公然と進めております。ところが、日本では、原子力発電所の大量増設の計画を進めながら、安全審査は基本設計の書面審査だけ、そのスタッフもアメリカの十分の一の五十一名、さらに事故は起こり得ないという独断をもとに、緊急時の防災対策も形だけという無責任な体制に終始しているのであります。もし民族の将来を真剣に考えてエネルギー問題に取り組もうというのなら、現状を大胆に改革して、国民が信頼できる安全体制を確立することこそ第一義の責務だと考えますが、総理の見解を問いたいのであります。(拍手)
 第四に震災対策の問題であります。
 わが国は世界有数の地震国であり、特に人口の密集した大都市地域の危険は重大です。昨年は震災対策の特別立法も行われましたが、これまでの対策は、震災時の応急対策や復旧に重点が置かれ、震災の予防、特に大地震に備えての都市づくり、国土づくりは著しくおくれております。多くの自治体がこの問題に取り組んでいますが、これは本来国家的規模の事業であり、昨年十一月の全国知事会の要望にもあるように、震災予防事業に対する国の財源措置が制度化されていないことは決定的な制約となっております。今年度の予算を見ても、震災予防の経費は、厳密に言えば、研究費を含めてわずかに一千三百五億円にすぎません。わが党は、この八月二十七日、多数の学者や首都圏三十七の自治体代表の参加を得て、大都市震災対策についてのシンポジウムを開きましたが、国の対策の本格化を求める声は関係者の一致した要望でした。
 わが党は、以前から生活基盤重点への公共投資の転換を強調してきました。その一つの柱として、震災予防事業をナショナルプロジェクトとして進め、そのために国の財源措置を早急に制度化することを提案するものでありますが、総理の見解を求めたいと思います。(拍手)
 次に、安保、外交の問題について伺います。
 その第一は、この八月、沖繩県民の怒りと抗議を踏みにじって行われた米軍の大規模な上陸演習、フォートレスゲールについてであります。これが日本を守るためのものではなく、中東や朝鮮半島あるいは極東のソ連領域への侵攻を想定しての予行演習であったことは、防衛庁当局者も認めているところと伝えれらます。総理は所信表明で、安保条約の誠実かつ効果的な運用について語りましたが、今回の大演習のように、外国の領域へ大兵力を投入して一大侵攻作戦を行うなどのことも、総理の言う誠実で効果的な運用に含まれるのかどうか、明確に伺いたいのであります。(拍手)
 特に、防衛庁首脳がこの演習の作戦想定地域の一つにペルシャ湾を挙げているのは重大であります。アメリカの政府首脳部が石油確保のため中東への軍事干渉を唱えていることについては、六月の党首会談の際にも指摘をいたしましたが、そり後も、死活的な国益を守るためにペルシャ湾などで軍事力を行使することはあり得る、こういう物騒な発言が繰り返されております。そのさなかに行われたのが今度の上陸演習であり、それだけに事は重大であります。私は、政府が中東に対する外部からのいかなる軍事的介入にも反対する態度を明示するとともに、在日米軍基地をそのような軍事干渉の基地として利用することは許さないという態度を明らかにすることを強く要望するものであります。(拍手)
 さらに、日本国民に衝撃を与えたのは、沖繩大演習に派遣された自衛隊幹部が海兵隊の隊列に加わり、渡河作戦などにも参加していた事実であります。自衛隊の陸幕長はもっと進んで、陸上自衛隊と海兵隊との合同演習の構想まで発表しています。アメリカの海兵隊と言えば、ベトナムでそうであったように、侵略戦争の火つけ部隊としてこれぐらい世界で有名な部隊はないのであります。
 この事実は、政府が昨年来問題にしてきた有事とは、日本の有事ではなく、中東有事、朝鮮有事のことであり、ガイドラインで決められた日米共同作戦とは、アメリカが起こす軍事干渉に自衛隊を引き込むものでしかなかったことを雄弁に裏書きするものであります。(拍手)
 こういう侵略戦争のための日米共同作戦の準備や訓練は直ちに取りやめるべきではないか。総理の明確な答弁を要求するものであります。(拍手)
 アジアの平和にとってもう一つの重大な問題は、中国のベトナム再侵略の危険であります。
 報道によれば、先日訪中した米国のモンデール副大統領が、帰途、中国のそうした意図について総理に伝えたとされています。自分の主張を他国に押しつけるために武力を行使することは国際法の許さない侵略行為であり、それが公然と予告されているときに、それを防止する断固とした態度をとるのは、ともにアジアに生きる国として当然の責務であります。中国が日米軍事同盟を支持してくれるから日本側も中国の再侵略の企てを黙認するというようなことがあれば、これは覇権主義の相互支援にほかなりません。みずから覇権を求めず、覇権確立のいかなる試みにも反対するというのは、日中平和友好条約で日中両国が負った厳粛な義務だったはずであります。
 私は、年内の訪中をも日程に上せている大平総理が、ベトナム再侵略の企てに対して、この際、きっぱりとした反対と抗議の意思を表明することを要望し、総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 最後に、大平内閣の政治姿勢について伺います。
 総理は、政治倫理の確立や企業倫理の確保を問題にしましたが、これらの言葉は国民の耳にきわめて空虚な響きしか与えませんでした。それは、ダグラス、グラマン疑獄の究明に背を向けて続けた内閣の行動の反倫理性が余りにも明白だったからであり、さらには、総理が金権政治の最大の温床である企業献金禁止の問題に全く手を触れようとしないからであります。自民党の財政の六二%を企業献金で賄い、大企業寄りの国政を実行することで事実上それのお返しをする、こういう政治の構造が一掃されない限り、国民本位の民主政治もあり得ないし、ロッキードやグラマン事件の再発も、その根を絶つととはできないのであります。(拍手)
 私は政治倫理や企業倫理の確立を言うなら、何よりもまず企業の政治献金の禁止にこそ手をつけるべきだということを総理に強く要求するものであります。(拍手)
 以上、国政上の諸問題について質問してまいりましたが、これらの問題はこの国会で審議を尽くし、国民の前で十分な解明を行う必要のある緊急かつ重大な問題ばかりであります。その審議を勝手に中断し、衆院解散を強行するようなことは、自民党の私の利益、私利党略のために国政を犠牲にすることにほかなりません。
 私は、このような党略的な解散の企てを断固として糾弾し、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 第一の御質問は増税問題についてでございます。
 財政再建の具体策が明らかでないじゃないかということでございますが、これは私の演説でも申し上げましたとおり、現在の赤字公債を五十九年度までにはなくするということを目安にいたしまして、五十五年度を起点として財政再建に取り組ましていただきたいというのが基本の方針でございます。
 それから、赤字公債は本来、自民党政府の政治的な責任でできたものではないかということでございますが、不破さんも御承知のように、四十八年以後の石油危機に際会いたしまして、大きな歳入欠陥を生じた場合、しばらくこれを財政で受けとめまして、国民の経済と国民の生活の安定を財政の責任で図るという選択をいたしたわけでございます。それは確かに自民党政府の責任でいたした選択でございます。私はその選択は決して誤っていなかったと考えておりまして、これによりまして経済が危機を脱却いたしまして今日のように安定の軌道に乗ったわけでございますので、この措置は間違っていなかったと思いますが、しかし、財政に大きな後遺症を残しておるわけでございます。したがって、経済が回復の緒につきますると、財政再建の仕事もこの際さしていただこうということでございまするので、私どものとっておる政策は間違いはないと考えております。
 それから、財政再建に当たりまして大企業、大所得者の所得に対する課税重課を考えるべきであって、大衆課税は考えてはいけないということでございます。
 私ども政府といたしましては、世界のどの国にも類例を見ないだけの大変高い累進税率を持った所得税を持っておりますことは不破さんも御承知のとおりでございまするし、大口所得者につきまして、どのように税を重課してまいるかということにつきましても年々歳々努力をいたしておりまして、不公平税制の是正等を通じまして鋭意やっておるわけでございます。そういった努力を皆いたしまして、なお足らないものをどうするかということが今日の財政再建の問題であることもまた御理解をいただかなければならぬと考えております。
 次に、物価問題でございます。
 物価問題につきましては、私が行政権の介入を怠っておるということでございますが、私は、物価問題に対する基本的な見解は、いかなる物資であれ、基本的には需給の安定を図ることが第一だということでございまして、これが安定を図っておれば、価格の安定もまた自然招来されるものであると考えておるわけでございまして、必要があれば行政権の介入をいたしますけれども、そう必要でない場合の行政権の過剰な介入はいたすべきでないと考えております。そういうことをいたしますと、かえって市場の混乱を招くおそれがあると考えるからでございます。
 それから、公共料金の法定制緩和提案の撤回と、大型公共料金の凍結と抑制に取り組むべきであるという御主張でございます。
 私どもは公共料金を政府の管理下に置いておるわけでございますから、一般の物価が上がりましても、人件費の高騰がございましても、できるだけこれを抑えていくことに努力を重ねておりますことは御理解いただいておると思うのでございますが、経済政策は機動的に運営することを必要といたしますので、できるだけ政府にその機動的な運用を保障するような法制にしていただきたいと望んでおりますることは、物価の安定を願うからでございまして、この権利の上に立って、われわれが高物価を招来するという愚なることをやろうとするものでないことはよく御理解をいただきたいと思うのでございます。(拍手)
 それからエネルギー問題についてでございます。
 第一は、日本の国内の石炭資源を荒らしてしまったではないかということでございます。
 この問題につきましては、この二十年来政府が苦しみに苦しんでまいりました石炭対策で御理解いただきますように、この安価に安定した、低廉なエネルギー源が入る姿の中におきまして、日本の石炭をどの程度、どのように維持してまいるかということに政府は苦心いたしたわけでございまして、ただいま二千万トンベースというものを維持しておりますが、それが日本としては経済的に見て限界でなかろうかと考えておるわけでございます。
 それから、節約に当たりまして民生用の節約ばかりでなく産業用の節約もやらなければならぬということでございますが、仰せのとおりでございまして、私は、民生用の節約もよく御協力をいただいておるわけでございますけれども、日本の産業界における熱資源の節約はどの国にも劣らないだけの協力をいただいておることは実績が示しておると思うのでございまして、今後とも、産業界の省エネルギーにつきましては、一層の御勉強を願うことにいたしたいと考えております。
 原子力の安全対策につきましては、仰せの趣旨もございますが、政府としても周到な対策を講じてまいるつもりでございます。
 災害対策でございますが、政府としてはいろいろな部面に施策をいたしておりまして、千三百五億という御指摘でございましたけれども、私の計算によると七千億ぐらいの国債がこの方面に充当されておるように思うわけでございまして、災害基本法に基づきまして、できるだけ周到な用意をしていかなければならぬと考えております。
 それから、沖繩における米軍の演習と安保条約との関連においての御質問でございましたが、沖繩での米軍演習は、アジアの平和と安定のために、アメリカとしてこれに即応する能力を維持向上させるためのもので、安保条約上も認められてしかるべき性格のものであると考えております。このようにして抑止力が維持されることは、とりもなおさず安保条約の効果的な運用に資するものであると私は考えております。
 米国が、中東地域での軍事的活動との関連で、在日米軍施設、区域を戦闘作戦行動の基地として使用するなどということは、保安条約の予想するところではございませんし、また、実態上も考えられないことでございます。
 いずれにいたしましても、日米安保条約の運用に当たりましては、この点は、こんなことは実態上考えられないと思いますけれども、十分気をつけて対処してまいるつもりでございます。
 それから、先日沖繩で行われました米軍演習へ自衛隊員が参加しておるとの御指摘でございますけれども、これは米側からの招待を受けて単に演習を見学したにすぎませんし、また陸上自衛隊と米海兵隊との共同訓練につきまして、条件が整えば実施したいという希望を防衛庁は持っておりますが、現在そのような計画があるわけではございません。
 それから、ベトナムの中国による再侵略のおそれがないかというお尋ねでございますけれども、アジアの平和を念願するわが国といたしましては、中越間に再び武力衝突が起こるようなことがあってはならないと考えております。中越両国が両国間の諸問題を忍耐強く話し合いによって解決され、平和的に解決されていくことをわが国としては強く望んでおるわけでございます。
 最後に、政治献金について、企業からの政治献金を受けることはやめるべきでないかということでございます。
 企業も社会的実在である以上、政治活動の自由を持ち、政治献金をいたしても別段支障はないものと思いますけれども、私は、これが過度にわたることは確かに問題があると思っておりまして、現在の政治資金規正法もこのような立場を踏まえて、寄付の量的制限、質的制限の措置を講じておると思うのでございます。自由民主党といたしましても、できるだけ企業献金を個人献金に振り向けるような努力を鋭意いたしておるところでございます。(拍手)
○副議長(三宅正一君) 河野洋平君。
    〔河野洋平君登壇〕
○河野洋平君 私は、新自由クラブを代表して、大平総理に若干の質問をいたします。
 けさの新聞を見ますと、七日解散、そしてあなたの私的諮問機関、航空機疑惑防止対策協は政治倫理の確立など十四項目の提言をした、そう大見出しが出ております。これらの提言のうちで、たとえば、すでに国会に出されて継続審議になっている賄賂罪の刑の加重などを含む刑法改正案の成立は、今国会行おうとすれば十分可能であります。あなたはなぜこれを急いで行おうとしないのでしょうか。今国会の会期は三十日間であります。もし総理が本当に真剣に政界の疑惑解明に取り組むおつもりであるならば、この改正案を成立させること、それをまずやるべきではないでしょうか。
 総理、議会制民主主義の危機は、議会の形式化、形骸化、なれ合いによって始まると私は思います。国権の最高機関であるこの場所で、あれほど新聞に明確に書かれている解散について、なぜもっとまじめに議論をなさらないのでしょうか。
 国民の政治に対する目は、たび重なる不祥事件で、怒りを通り越し、あきらめとさげすみの色に変わりつつあるように見えます。信頼され、国民とともに汗を流して国づくりに邁進した多くの先輩を思い、日本の将来を考えたとき、私たちは今日の政治に対してみずからを戒め、より重い責任を痛感せずにはおられないのでございます。
 八〇年代を目前にし、まさに日本の将来の指針を定めなければならない今日の政治に国民は強い不信感を持っています。その不信感は、政治がその責任を十分果たしていないためであります。そして、それにもかかわらず、その大きな責任のゆえに与えられている議員の特権を勝手に拡大してきたところにも、その原因があるのではないでしょうか。
 総理、まず最初にお伺いをいたします。
 総理は、所信演説で政治倫理の確立に触れ、航空機疑惑のような事件の再発を防止しなければならないとして、政治家個人の政治資金の明朗化、企業倫理の確保などを検討すると述べられました。しかし、航空機疑惑などの一連の事件は、明らかに権力を手中にしている政府高官による事件であります。
 私は、政治家一人一人がえりを正すことは当然なことと考えながらも、この種の問題のポイントは、政府高官の倫理の確立が最大のものである、そう考えるのであります。ここはぜひ間違えていただきたくないのでございます。
 繰り返して、政治への信頼回復は、政治に携わる者一人一人の反省が大切なことは当然でありますが、この種の権力を背景とした事件の責任を、あたかも一億総ざんげのごとき論法で説かれても、私たちはそれを納得するわけにはいかないのであります。
 まず、政府みずからの倫理確立についての総理の御所信を承りたいと思います。
 私は、政府の倫理確立の第一歩として、他人任せの宣言立法のような法律ではなくて、高級公務員、政治家の資産開示の義務づけを初め、政府倫理局の設置、特別検察官の任命、退職公務員のビジネス活動の規制などを盛り込んだアメリカの政府倫理法に匹敵するような立法をお考えになる意思はありませんか、お尋ねをいたします。
 次に、私は、高潔な政治の確立を目指すための施策として、政府の持つ情報の公開について、もっと真剣な検討が行われるべきではないかということを御提案を申し上げます。
 秘密は腐敗の温床であるという言葉があります。政府の持つ情報を、一部の例外を除き、国民の求めに応じ提供することが、国民の知る権利に合致するものと信じます。
 わが国でも、外交文書の公開など、わずかながら前進が見られますけれども、さらにこれを広げることによって、民主主義のより健全な発展の契機とすべきだと考えるのであります。腐敗の根絶を目指すという趣旨からも、情報公開法の制定に総理は直ちに着手すべきではないか。明快な御答弁をお願いをいたします。
 私がこうした提案をする理由は、総理の言われる、国会に新たな委員会を設けて云々という手法が、この種の疑惑解明に有効ではないと思うからであります。これまでも、航空機特別委員会などにおける解明のための議論は、与党の前例や慣例を持ち出しての拒否に遭い、進みませんでした。これまでにも政府・与党の疑惑は、前例と多数決の壁の前にいつも解明し切れなかったではありませんか。
 ところで総理、今日の政治に対する不信を解消していくために、政治家がみずからの姿勢を正していくこともまた重要だと思います。私たち新自由クラブは、予算委員会の運営方法や国会議員の定数削減など国会の改革を立党以来主張し続けてまいりました。私たちは、国会運営の改善と同時に、拡大解釈されてしまっている国会議員の持つ特典の見直しを提案したいと考えます。
 たとえば国会法は、議員の持っている国鉄無料パスについて「会期中及び公務のため自由に日本国有鉄道の交通機関に乗車することができる。」そう規定をしています。私たちは本日、国会議員に与えられている国鉄の無料パスを、わが党全員が返上いたしました。つまらぬことだとおっしゃるかもしれません。しかし、こうしたことが、美辞麗句を百万言連ねるよりも大切なことだというふうにお考えになるのなら、総理も国会議員の特典の行き過ぎ是正について、国民に新たな負担を求めるという前に、みずからえりを正すのは当然ではないでしょうか。国会法の改正などを真剣に考慮されるつもりはないかどうか、お尋ねをいたします。
 次に、疑惑解明と並ぶ当面の最大課題である財政の再建についてお伺いいたします。
 総理は所信表明演説で、間接的ながら増税路線を明らかにされました。私たちは立党以来、増税の前に行政改革を断行すべきだ、不公平税制の是正が必要だと一貫して主張してまいりました。ところがあなたは、政治家が軽々に改革なんかに乗り出して、これで勝負がつくはずはありません、役人の方が強いのです、そう予算委員会で述べ、行政改革に手を染めるつもりはないとの考えを明らかにしてこられました。
 今度の演説でも、財政再建は焦眉の急務と言いながらも、行政の簡素化、行政費の節約という表現で、行政改革には消極的な姿勢を少しも変えておられないように思えます。
 私たちは、現在執行中の五十四年度予算審議の際に、すでに補助金二千億円を含む三千億円の減額修正を提案しておりました。ところが、鳴り物入りで実施されたサマーレビューの結果は、当の財政当局がきわめて不満足とその内容の発表を取りやめたほど、お粗末なものであったと聞き及んでおります。サマーレビューの結果、何をどれくらい節約できるようになったのか、少なくとも予算編成の前にサマーレビューの結果だけでもこの議場で具体的にお示しになる義務があると存じます。
 蛮勇をふるわずして財政の危機は突破できないと思います。たとえば、一般会計予算の三分の一を占め、財政硬直化の元凶と言われ続けてきた十二兆八千百五十一億円の補助金についてお尋ねをいたします。
 総理が「地方の時代」、すなわち自主性に富んだ地域社会をつくることを本当に演説のとおり目指しておられるなら、まず補助金の制度に思い切ったメスを加えるべきではありませんか。中央集権的な仕組みのもとで配分される補助金の獲得のために費やされる地方の経費は一八%にも上った例があると全国知事会は言っております。補助金の大部分を第二交付税に切りかえれば、中央、地方を通ずる行政費の節約となり、また「地方の時代」の本旨にも合致するはずであります。補助金制度を抜本的に改革するお考えが大平総理におありになるかどうか、お尋ねを申し上げます。
 いずれにせよ、財政再建は、たとえば一般会計の一律一割削減など徹底的に切り詰めた五十五年度予算を編成するところからまずスタートを切るべきであります。総理の見解をお示し願いたいと存じます。
 これからの福祉のかなめである年金制度の改革についてお尋ねをいたします。
 現在の公的年金制度の基礎的部分を統合し、全国民を対象とし得る均一給付の基礎年金制度を創設するのが望ましいと私たちは考えております。もちろん厚生年金、共済組合などの被用者年金や国民年金は付加的年金制度へと改編し、基礎年金に上乗せすべきだと考えておりますが、すでにこうした構想は、昭和五十二年度末に厚生大臣の諮問機関である年金制度基本構想懇談会の答申をきっかけに、政府部内でも議論をされていると伺っております。総理が年金制度の改革に着手する御決意があるかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、外交問題について、ベトナム難民、いわゆるボートピープルの問題についてお伺いをいたします。
 ある外交専門家は、日本の外交は、東京サミットに典型的に明らかなように、お祭りのときにはお隣並みに金は出すが、ふだんは進んで寄付を申し出ることは絶対にしない、これでは諸外国から批判されるのはあたりまえだと酷評しています。ベトナム難民の受け入れについて、政府は当初全く聞く耳を持たず、国全体の受け入れ人数がパプア・ニューギニアより少ないのは一体どういうわけかという国際的な非難が高まって初めて、五百人までの受け入れを決めると、いう醜態を演じました。しかも、他国に比べ受け入れ条件がきわめて厳しく、定住者はアメリカの九万人、フランスの五万人、オーストラリアの二万人に比べて、日本は九百三十七人でしかないそうではありませんか。しかも、予算はほとんど民間の善意によるものであります。希望者がないと言うなら、その理由が物価が高くて住みにくいというためなのか、日本という国がよく知られていないためなのか、いずれにしても、その理由を知る必要があるのではないでしょうか。
 総理は所信表明の際、わが国はその国際的地位にふさわしい責任と役割りを分担していかねばならない、そう言われたではありませんか。口では国際社会への貢献を言いながら、難民問題への取り組み一つとってみても、わが国の態度は日本への不信を高めるだけではありませんか。
 私たちは立党以来、教育立国を主張してきましたが、新しい国際化時代に対応するため、生涯教育の充実、学校教育の見直しとともに、留学生制度の拡充が必要と考えております。中学、高校の一貫教育の実施、日本独特の学歴社会をいわば実力社会とでも言うべきものに直すための教育、国民の間に高まっている文化への欲求にこたえる対策、さらには海外にいる子女の教育の実態調査を大至急にやらなければなりません。
 こうした中で、今日まで日米間には、アメリカ側のフルブライト基金による日米両国学生の相互留学が進められてまいりました。この事業は、すでに過去二十四年間で六千人の相互留学を実現させ、日米関係に大きな貢献をしてきたものであります。政府が前国会で承認を求めていた日米教育交流協定は、これまで一方的にアメリカの資金に頼っていた留学生の交換を、日本側も負担して対等なものにしようというものであったのですが、政府。自民党の疑惑隠しのために前国会見送られてしまいました。そして今国会もまた、きょう現在承認の見込みが立っておりません。アメリカ側はこうした事態に不信の念をつのらせております。このようなことの積み重ねが国際的な信用を損ねることを私たちは恐れるのであります。総理の見解を明確にお示し願いたいと存じます。
 さらに、エネルギー問題についてお尋ねをしておきます。
 エネルギーの節約や代替エネルギーの開発は、国民の協力なくして実効を上げることが不可能なことは言うまでもありません。ところが、総理は、この問題について官僚、財界人の意見は聞いても、直接国民の声を聞いたことが一度でもあるのでしょうか。もっともっと直接的に、エネルギー問題に直面をしている国民と対話を繰り返すべきではありませんか。
 あなたが考えている以上に、地方の農漁村ではすでに重油や軽油の品不足が深刻化しております。これらの現象は絶対的な品不足によるものではなく、あなたが断じて許さないとしている心ない一部の中間業者の売り惜しみ、買い占めに原因があるということは、石油業界の指摘を待つまでもなく私どもも承知をしています。北海道、東北を初めとする地域における灯油も、近づく冬に向かって品不足、価格の高騰が問題化しつつあります。総理は、石油製品の需給はおおむね安定に向かいつつあると述べておられますが、これほど実態を知らない発言には、正直、怒りをさえ覚えるものであります。農業や漁業に従事している人々や主婦の方々のあの不安を解消するために、総理はどんな措置をとるおつもりか、もう一度明確に具体策を御説明願いたいと存じます。
 原子力発電にしても、あなたが本当にその安全性に確信を持つなら、スリーマイル島の事故以来不安を強くしている原発所在地に出向いて、住民の声に耳を傾け、またよく説明をして、不安を解く努力をするべきではありませんか。総理のお考えをお聞きしておきます。
 さて、総理、私は、マスコミが伝えるあなたの解散論に何らの正当性も見出すことができません。よく思い出してください。あなたは昨年七月二十一日、時の福田総理が解散をねらっていることを牽制して、次のように述べられました。「いまごろ解散を考えるのはアウト・オブ・コモンセンスだ。いまは政府と国会の間に解散を必要とするほどの衝突は何もないし、解散して国民の声をどうしても聞かねばならないほどの新しい問題はない。ふざけた解散はするべきでない。」こうあなたは公式の場で発言しているのです。
 また、あなたは、ことし三月に亡くなられた保利前議長がその遺稿の中で、「いわゆる七条解散は内閣の恣意によるべきものではなく、あくまで国会が混乱し、国政に重大な支障を与える場合に、立法府と行政府の関係を正常化するためのものでなければならない。七条解散の乱用は許されるべきではない」と書き残されていたことについても、傾聴に値する意見と思うと、その主張の正しさを認めていたではありませんか。
 総理、こうした発言をあなたがなさっていたころの国会の状況と、今日の国会の状況と、一体どこが違うとおっしゃるのでしょうか。
 通常国会の幕切れの混乱は、その責任は自由民主党にあるのであって、(拍手)行政府と野党の間に衝突があったとは思えません。それにもかかわらず解散、総選挙へと総理自身の独断によって進まれるのなら、少なくとも選挙にかかわる幾つかの点を解決しなくてはならないと思います。
 その第一点は、一票の重さの違いの是正であり、第二は、金のかからぬ選挙のための選挙法の改正であり、第三は、ことしじゅうにやらなければ来年の選挙には間に合わないと思われる参議院の全国区制その他の改正であります。いずれも長い時間をかけ論議が行われているものでありますが、総理から、こうした点を解決してから国民に判断を仰ぐまじめさがあるかどうかお尋ねをいたします。
 総理、あなたはかつて、権力に容易に頼るのは横着な政治だと言われました。そのあなたが、多くの国民の支持によって生まれた新しい政党を公の席で誹謗しておられます。これは民を恐れない暴言と言わなければなりません。数カ月にわたって事実上の政治的空白を招くことを承知の上で、派利派略、自己延命のみをねらった総理の解散、総選挙に、心ある国民は必ずや厳しい鉄槌を下すでありましょう。総理のこのような権勢欲に満ちた意図を弾劾するとともに、私たち新自由クラブは総力を挙げて一党支配体制の打破のために闘い抜くことを宣言して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 第一の河野さんの御質問、刑法の一部改正の取り扱いでございますが、政府といたしましては、八月三十一日に再提出いたしておるわけでございまして、早期の成立を期待いたしております。
 それから、第二の政治倫理についてのお尋ねでございます。
 政府は、政府の立場におきまして、この航空機疑惑の問題の反省に立ちまして、やるべきことをやらなければならぬと考えておるわけでございまして、きのうの協議会の提案のうちで、政府の立場でやらなければならぬことは早急に手をつけるつもりでございます。
 ただ、政治家個人の資産の公開でございますとか、あるいは選挙制度の改正というような問題は、政府がイニシアチブをとるにはなじまない問題だと思いますので、国会の御審議をいただくようにしたいものと考えておるわけでございます。
 政治家自体の自粛自戒が大事だということは、河野さんと全く私も同感でございます。このたび新自由クラブにおかれまして、新たな決断を特権返上の意味でやられましたことに敬意を表します。
 国会法の修正につきましては、国会において御審議を願いたいものと思っております。
 それから、政府の情報の公開について触れられたわけでございまして、われわれは政府の持っておる豊富な情報を差し支えのない限り公開をいたすことは、行政の公正を期する上から申しましても必要だと思いまするし、また、これに関連いたしまして、企業の持っておる情報の公開というようなものを通じてガラス張りの経営を期待することも、民主政治の運営上必要であろうと思うのでございまして、きのうの協議会の提言の中でもこういった趣旨が盛り込まれておるわけでございます。こういった点につきましては検討を進めまして、できるものから具体化をしてまいりたいものと考えております。
 それから、財政再建についてのお尋ねでございます。
 行政改革について私が大変消極的であるという御批判がございました。私は、行政改革は大変むずかしいと思っておるのです。しかく簡単なものではない。官僚勢力は非常に強いものがある。だから、よほどの決意を持って当たらなければならぬということを予算委員会で述べたつもりでございまして、これが消極的な姿勢であると受け取られたとすれば、これは非常に残念なことだと思っております。財政再建の前提といたしまして、行政改革には精いっぱいの努力を傾けなければならぬと考えておることを御理解いただきたいと思います。
 それから第二に、補助金の整理でございます。
 サマーレビューの結果、どこまでひとつたたき出してきたか、ここへ示せということでございますが、まだいま進行中であるわけでございます。中間報告はちょうだいいたしましたが、まだ私ども満足するところにはなりませんので、なおまだ検討進行中であることを御了承いただきたいと思います。五十五年度の予算には、あなたがいま言われますように、こういった点につきましても具体的な答案を出していくつもりでございます。
 補助金の一部を第二交付税にするということも一つの着想かと考えるわけでございますけれども、一律にやってまいるということにつきましては、せっかくの御提言でございますが、なお吟味の余地があるのではないかと考えております。
 それから、高齢化社会に向けての国民の不安解消のために年金制度の一元化を図る考えはないかということでございますが、高齢化社会の到来を控えまして、年金制度全般にわたりまして総合的な観点から見直しを行わねばならぬと私も考えております。しかし、各公的年金制度を一元化するということにはなかなか問題が多いのでございまして、政府といたしましては、現行の個別制度の分立を前提としながら、今後とも年金制度が全体として整合性のとれる姿になるよう改革を進めていきたいものと考えております。
 日米教育交流計画協定の問題についてのお尋ねがございました。
 本協定につきましては、本年二月に署名を了し、政府としてこれを速やかに発効させるために国会に御承認を求めておりましたが、審議未了になっておりますことは残念で、いま再提出をいたしておりますが、これも速やかな成立を期待いたしております。予算的措置はすでに講じておるわけでございます。
 それから、難民問題についての批判とお尋ねがございました。
 なるほど河野さんの御指摘のように、わが国が受け入れのケースが非常に少ないということでございますが、これは主たる原因は、わが国に関係者と申しますか、身寄りの方がいないためにベトナムからの希望者が少ないということでございますし、また日本の社会というものはなかなか閉鎖的な、目に見えない障壁がございまして、外国の方々が入りにくい社会であることも、あなたよく御承知のとおりでございます。こういうことではなかなか世間の期待にこたえられませんので、せめて難民対策としての財政的な負担だけは思い切ってしないと申しわけないということにいたしまして、国連の難民委員会の経費につきましては、大口の負担に応じておるわけでございまするし、インドネシアの一時収容所の建設費の半分は負担して差し上げるというように鋭意努めておるわけでございます。また、国内におきましても、条件の緩和等を図りながら、各省を督励いたしまして、収容人数をふやすようにいま努力をいたしておるところでございます。
 それから、エネルギー問題でございますが、これは非常に私の考え方が甘いということでございます。エネルギー問題につきまして、短期、長期の計画を持ちまして臨んでおることはかねがね申し上げておるところでございます。さしあたっての問題としては、何としても端境期を控えまして需給の安定を図らなければいかぬと考えておるわけでございまして、それについては政府は自信を持って当たっておると申し上げておるわけでございまして、それに御不満を持たれては困ると思うのでございます。政府といたしましては、需給の安定を通じまして石油の価格の安定も図って御期待にこたえたいと言っておるわけでございまして、公権力を振り回すだけが芸ではないと考えておるわけでございます。(拍手)
 政局転換の問題につきましては、かねがね竹入委員長にも申し上げたとおりでございまして、河野さんと若干所見を異にいたします。(拍手)
○副議長(三宅正一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 古井 喜實君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        文 部 大 臣 内藤誉三郎君
        農林水産大臣  渡辺美智雄君
        通商産業大臣  江崎 真澄君
        運 輸 大 臣 森山 欽司君
        郵 政 大 臣 白浜 仁吉君
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
        建 設 大 臣 渡海元三郎君
        自 治 大 臣 澁谷 直藏君
        国 務 大 臣 上村千一郎君
        国 務 大 臣 金井 元彦君
        国 務 大 臣 金子 岩三君
        国 務 大 臣 小坂徳三郎君
        国 務 大 臣 田中 六助君
        国 務 大 臣 中野 四郎君
        国 務 大 臣 三原 朝雄君
        国 務 大 臣 山下 元利君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
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