第091回国会 外務委員会 第14号
昭和五十五年四月九日(水曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 中尾 栄一君
   理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君
   理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君
   理事 渡辺  朗君
      石原慎太郎君    小坂善太郎君
      高橋 辰夫君    中山 正暉君
      宮澤 喜一君    岡田 利春君
      勝間田清一君    河上 民雄君
      武藤 山治君    谷口 是巨君
      玉城 栄一君    金子 満広君
      林  保夫君    田島  衞君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  松本 十郎君
        外務大臣官房審
        議官      山田 中正君
        外務省アジア局
        長       木内 昭胤君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省中南米局
        長       大鷹  正君
        外務省欧亜局長 武藤 利昭君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   千葉 一夫君
        外務省経済局次
        長       羽澄 光彦君
        外務省経済協力
        局長      梁井 新一君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
        外務省国際連合
        局長      賀陽 治憲君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局原子力
        安全課防災環境
        対策室長    穂波  穰君
        外務大臣官房審
        議官      堂ノ脇光朗君
        外務大臣官房審
        議官      井口 武夫君
        外務大臣官房審
        議官      関  栄次君
        外務大臣官房儀
        典官      荒  義尚君
        大蔵省主税局国
        際租税課長   源氏田重義君
        大蔵省関税局輸
        入課長     中島  潔君
        通商産業省生活
        産業局文化用品
        課長      水野  哲君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月九日
 辞任         補欠選任
  中川 一郎君     高橋 辰夫君
  浅井 美幸君     谷口 是巨君
  山口 敏夫君     田島  衞君
同日
 辞任         補欠選任
  高橋 辰夫君     中川 一郎君
  谷口 是巨君     浅井 美幸君
  田島  衞君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
四月七日
 ILO未批准条約等の批准促進に関する請願(
 沢田広君紹介)(第三五四九号)
 同外一件(松浦利尚君紹介)(第三五五〇号)
 同(山花貞夫君紹介)(第三五五一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とイタリア共和国との間の条約を改
 正する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第二五号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテ
 ン及び北部アイランド連合王国との間の条約を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第二六号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とハンガリー人民共和国との間の条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第二
 七号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とポーランド人民共和国との間の条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第二
 八号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国
 との間の条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第二九号)
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第三七号)
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引
 に関する条約第十一条3(a)の改定の受諾に
 ついて承認を求めるの件(条約第三八号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○中尾委員長 これより会議を開きます。国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 大臣、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
 御承知のとおりの経過でアメリカのカーター大統領からイランに対する政策の発表があったわけであります。これにはもちろんいろいろな経過があったわけですが、ともかくわれわれから見れば非常に突然の政策決定、こういう形でイランに対する外交関係の断絶あるいは経済の断交あるいはまたビザの発給も停止するというような、そういう措置の発表がございました。
 それで、まずこのことについてお尋ねしたいことは、こういうふうな決定がアメリカによってなされるに当たって日本の政府に対して事前の相談とかあるいは通告とかいうふうなことはなかった、こういうふうに私たちはニュースでお聞きをしているわけであります。官房長官の言葉によれば、寝耳に水というふうな表現もされているわけでありますが、こういう通告もなかった、相談もなかった。このこと自体についてどのようにお考えになっているのか、まず大臣の受けとめ方をお聞きをしたいと思います。
○大来国務大臣 ただいまの点、昨日の措置につきましてはあらかじめの相談はございませんでした。ただ、私ワシントンにこの前参りましたときにイランの問題もいろいろ話し合ったわけでございますが、そのときにバンス長官がアメリカ人の忍耐力にも限度があるんだということを申しておりまして、その他のいろいろな連絡の際に、アメリカ側としてはできるだけ人質問題の解決にもちろん平和的に努力をしていくつもりだ、しかし、もしそのいろいろな努力が効果を上げないとなると、もう一つ進んだというか対策を考えなければならないことになるかもしれないという意味のインディケーションといいますか、そういう意味の話は出ておったわけでございます。
○高沢委員 何かそういう、バンス国務長官から、がまんには限度があると言われたというふうな話があったということですが、しかし、これは具体的な制裁の措置について、どうせ日本へも協力してくれとかいうふうなことにもなってくると思うのです。そういうことになるとすると、やはりあらかじめ相談があって、そして両者のある程度の意思疎通に基づいてやった、それに協力してくれという場合と、全くそういうことがなくて、いわば一方的に自分で決めておいて、後これに協力してくれという場合では、全然性格が違うと私は思います。今度の場合はそういう意味においては一方的に決めてそれで協力してくれ、非常に何といいますか押しつけるような性格のものになってきておる、こう思いますが、その点は大臣はいかがお考えですか。
○大来国務大臣 今回の件につきましては一方的にアメリカ側が決定したと考えております。大統領の声明の中には、今後の問題について友好国と協議をしていくということで、一方的に押しつけるというような表現はないわけでございますけれども、確かに今回についてはアメリカがみずから決定をしたということになるかと思います。
○高沢委員 これも新聞の報道で見ているわけですが、このアメリカの措置の発表に対して外務大臣の談話があって、その中でアメリカの事情を理解するというふうなことを言っておられるように伝えておりますが、このアメリカの事情を理解するという言葉の意味を、私はもう少し説明していただきたい。どういうふうに理解をされているか、それをお聞きしたいと思います。
○大来国務大臣 これはその部分だけお読み願っても十分な真意が伝わらないと思うのでございます。全体としてはこの措置は残念であるということをまず言って、その次に「わが国としては、イランが重大な国際法違反を継続し人質解放の見通しが立つていない状況の下でカーター大統領が今回のような措置をとらざるを得なくなつた事情は理解するところである。」という意味で理解と言っておるわけで、最後にはさらにこの「事態の早期解決のために努力していく所存である。」という形で、一応外務大臣談話を発表いたしたわけでございます。
○高沢委員 いま一番頭に言われた、このような事態になったのは遺憾である、残念である、この残念であるという意味は、カーター大統領がこういう措置を決めたことが残念であるという意味なのか、カーター大統領がそういうふうにするに至ったそのもとのイランの人質を解放しないということが残念である、遺憾であるという意味なのか、お尋ねしたいと思います。
○大来国務大臣 これは前後のつながりといたしましては、「在イラン・アメリカ大使館員人質問題が米国がこれまで自制の下にとつてきた多大の努力および国連調査委員会、関係諸国等の協力にも拘わらずこのような事態に立ち至つたことは残念である。」というようになっておるわけでございまして、全体として残念であるということが言えるかと思います。
○高沢委員 どうも焦点が余りはっきり定まらぬような大臣のお話で、まことに理解がむずかしいので、ではもう一歩進んでお尋ねしたいと思うのです。
 アメリカのこういう措置をとらざるを得ない事情を理解するということの裏側には、私は前にもこの外務委員会の国際情勢の審議でお尋ねしたのですが、逆に今度はイランの側のああいう人質をとるというようなやり方、これはウィーン条約に反しておるということになれば確かにそのとおりですし、それはいけませんということになると思うのですが、ただ、そういうふうな措置までとらざるを得ないというイランの側の事情、気持ちというものを理解する、こういう面が日本政府として当然あってしかるべきじゃないのか、私はこう思うわけです。
 大臣はそういう点についてのお考えや認識はないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○大来国務大臣 今度の問題につきましては、ある意味では長い歴史的な背景があるということを承知いたしております。しかし、それだからといって、大使館を占領し、大使館員を人質にとるということを是認するわけにはいかない、これはやはりあくまでも否定しなければいけないという立場でございます。
○高沢委員 ここに、少し古いのですけれども、イランで革命が進行しているころの新聞があります。一昨年の十一月二十九日付の毎日新聞です。これはテヘランに駐在している毎日新聞の特派員から打ってきた通信です。それにはこういうふうなことが書いてあるのです。「イラン王制内部腐敗」というものを伝えているのです。イランの中央銀行の職員が壁新聞を張って、こういうことがあると事実を暴露した。その壁新聞の中にどういうことが書いてあるかというと、パーレビ国王の一族の人たちとかパーレビ国王の政府の中の高官あるいは軍の司令官、こういう立場にある人たちが非合法な形でいろいろ資産を蓄積した。その莫大な財産をイラン中央銀行を通じてアメリカであるとかスイスであるとかいうふうなところへ送金をして、そしていざというときには自分の体一つで出ていく、そうすれば海外には十分な資産が確保されておる、こういうふうなことをやっておるということです。金額にすると一人平均大体三十五億円、こういうふうな莫大な金を当時のパーレビ政府の中の高官たちが海外へ不正に送金しておる、その名前がイラン中央銀行の職員によって壁新聞で暴露されておる、こういうことをテヘラン駐在の特派員が記事として伝えてきておる。
 こういうことは、政府高官だけではなくてパーレビ国王自体がもっともっと大きな規模でやってきたわけであって、イランの民衆から見れば、いわば自分たちの血とあぶらをしぼった結果をこういうふうにやっておる、その長い間の蓄積でもって革命に至った、そしてそういうことをやらせた背景はアメリカじゃないのかということが、イランの政府及び民衆の対アメリカ感情の大きなもとになっておる。
 したがって、パーレビ国王の身柄をどうするかという問題あるいは不正不当に流出したイラン国民の財産を返還する問題というようなことが長い間の対アメリカのイラン側の要求であって、それが一向にこたえられてこないということに対して、結局イラン側の最後のやむにやまれぬということでアメリカ大使館員の人質一こういう事件に発展してきた。これはいま大臣も言われた長い経過の中の作用、反作用ですけれども、明らかにこの作用はアメリカの側からイランに加えられた、それに対するイランの側の反作用として今回のような人質事件が出てきた、こういうふうに見るべきだと私は思うのです。そういたしますと、この人質事件をただ国際法に反するからいかぬというような割り切り方だけで見ていいのかどうか、そうすれば、これに対する解決の仕方もおのずから別なものが必要になるのじゃないかというふうに考えるわけですが、この点について一度大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
○大来国務大臣 ただいまの新聞報道が仮に事実であるといたしましても、それを理由にして外国の大使館を占拠し、人質に大使館員をとるということを正当化することは国際関係の上で問題だ、それは納得できないという点がございます。
 米国側としても、特に国連のワルトハイム事務総長のあっせん等もございましたし、その後、今回の措置に至るまでの間はかなりしんぼう強くいろいろ話し合いに努めてきた努力の跡があるということも言えるのではないか。それに対して御承知のようにある段階では人質の移管が学生の手から革命委員会の方に行われるということが実現もう一歩というところまでいったような模様でございますが、それが一昨日になりますか、ホメイニ師の裁断といいますか、やはり人質は移さない、学生の手元に置いておくというような結果になった。これがどうも今回の措置の直接の動機になったのではないかと想像されるわけでございますが、その辺の経緯、とにかく五カ月にわたって人質がとらえられたままになっておるという背景も同時に考えていかなければなりませんし、それからいまの国際法上の問題も考えていかなければならないということではないかと思います。
○高沢委員 私は、その国連事務総長のあっせんでできた国際調査委員会も、結局イラン側があれに求めたのは、国際調査委員会が過去のイランの歴史を調査してその中でパーレビ国王の責任、その背後にあるアメリカの責任を明確にすることを恐らく求めたのだろう。しかし、その点がはっきりしない段階で、あれでは解決ができないという形になったのじゃないか、こう思いますが、それはそういうことにして、アメリカが今度経済制裁の措置を出してきていますが、これは明らかにことしの一月十三日、国連の安保理事会にアメリカが提起した経済制裁の案、これは安保理事会では否決されております。その内容をやろうということで出てきているものだと思いますが、その点は一体そういうことが国際法上許されるのかという立場で私はお尋ねしたいと思うのです。
 国連憲章の四十一条では、ある国に対する国連としての制裁措置をとる場合の経済的な制裁措置というのが規定されているわけです。しかし、それはこの間の一月の安保理事会では否決されておる。こういうことになりますと、アメリカがなおかつイランに対して経済制裁をやる、それから他の国に対しても、おまえたちも経済制裁をやれと要求する、こういうことは国際法上の根拠は、国連憲章四十一条との関係で一体どこにあるのかということをお尋ねしたいと思います。
○伊達政府委員 お答えいたします。
 国連憲章との関係におきまして、ただいま先生御指摘のように、いわゆる対イラン措置に関するアメリカが提出いたしました安保理事会決議案というものがソ連の拒否権により否決をされたということは事実そのとおりでございまして、したがいまして、手続上の問題といたしましては、安保理事会の決定が、三十九条の平和に対する脅威の存在の問題であるとかあるいは四十一条の具体的に非軍事的措置をとる決定というものがなかったということはそのとおりでございます。
 ただ、アメリカがそれでは何もできないのかという問題になりますと、アメリカが在外における自国民の緊急な事態を救うために何らかの行為をしなければならないということは、国際法上自衛権の法理というものによって正当化され得るものであります。もとよりどういう措置がどの程度まで自衛権の法理によって正当化され得るものであるかというところは議論があり得るところでありましょうけれども、第一義的には在外国民の身体、生命を保全するために当該国がそれをなし得ないような場合には、本国が自衛の手段を講じてそれを救済に当たることはでき得ることである、これは国際法上の通説になっているところでございます。
○高沢委員 アメリカ自体はいわば当事国としてそういうふうな経済制裁という対応措置をとることを仮に認めるとしても、他の国に対して同じような行動をとることを要求する、あるいは要求された他の国が直接的に、たとえば日本はイランに対して何の恨みもあるわけではない、イランから何の被害を受けているわけでもない、こういう他の国がそれではイランに対して経済制裁の措置をとるというようなことは一体国際法上どうなるのか、御説明をお聞きしたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 もとより他の国が、米国の要請あるなしにかかわりませずそれぞれの外交政策の立場から、イランが問題になっておりますのでイランと申し上げますが、イランに対して措置をとるということは、それぞれの国の決定する問題でございます。
 ただ、先ほども先生御指摘のように、私も御答弁申し上げましたように、国連憲章四十一条のいわゆる強制措置として安保理事会の決定に基づいて措置をとるというところとはおのずから根拠を異にするわけでございまして、このようなイランの行為が、安全保障理事会の決議にもございますし、それから国際司法裁判所の指示もございますし、さらにはSG、国連事務総長も、イランのこのような大使館員を人質にとるということは平和に対する侵害であり、かつまた国際秩序の根源に及ぶ重大な問題であるということから、単にアメリカとイランとの二国間の問題ではなくて国際社会全体の問題と認識をして、それぞれの国がそれなりの自国の外交方針を決定して措置をとるということはでき得ることであろうと思います。
 もとよりその場合に、その他の条約でございますとかという関係からおのずから限度があることもありましょうし、あるいは何も条約関係がないために自由にとり得るということもございましょう。しかし、根本的にはその国連憲章四十一条に基づかなくても、他の国も独自の立場から対イランにそれなりの措置ができるものであると考えます。
○高沢委員 条約局長の御説明を聞いていると、できるということからだんだんやるべきだというふうなことまで内容的にはどうも走っていくような感じがするのですが、ここは大臣、そういう条約論、国際法上の問題というものの議論は別といたしまして、私がいま言いましたように、日本とイランの関係では何の相互の敵対関係もないわけです。むしろ逆に、お互いの経済関係ではイランも日本からのいろいろな経済関係の協力を求めている、日本はイランから原油の輸入やその他の点において大きな経済的な利益を期待しておる、こういう相互関係にある場合に、日本がイランに対してそうした制裁に参加することが果たしてあっていいのかどうかということについての政治的な判断としての大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
○大来国務大臣 大使館の占拠と人質ということは、直接には米国とイランの間の問題でございますけれども、一般的に国際的な秩序という意味ではあらゆる国に関係した問題でございますので、人質の解放ということを求める、一刻も早くそれの実現を要求するということは、世界各国そういう国際的な秩序の維持が必要だと思う国々にとってはやはり重大な関心事でございます。具体的な問題になりますと、いまの人質問題を除きますれば、日本とイランの間に特別の敵対関係はない、むしろ友好関係があるわけでございますが、この人質問題が解決しなければ、国際法一般の問題として日本もその点に関心を持たざるを得ない事情があるわけでございまして、具体的な措置につきましては、できるだけ慎重に考慮していかなければならないと思いますけれども、基本的には、いまの人質問題は国際法を破っておるという事態が続いておるわけでございます。
○高沢委員 イランの事態が、アメリカとイランの関係でここでにわかにこういう事態になってきたわけですが、その前ずっとしばらくの間緩和したそういう時間が続いたわけですが、そのときやはり国際情勢の審議の中で、そうした報復措置を日本がはかばかしくとらないといってアメリカの方から見れば不満があったようでありますが、はかばかしく報復措置をとらないということが結果としては大変よかったということを私の見解として申し上げたわけです。いままたこういう事態になってきた段階で、やはり同じ立場で日本政府は対応すべきである、私はこういうふうに考えるわけですが、具体的に、たとえばイラン石油化学の問題であるとか、あるいはいまの通常のベースで入っておる日本へのイランからの原油の輸入、何か一日五十三万バレルくらい入っておると言われておりますけれども、そういう日本とイランとの協力関係というものについて、これからの事態の中で基本的に変化を起こすべきでない、私はこう考えるわけでありますが、一体見解はいかがでしょうか。
○大来国務大臣 この点につきましては、昨日の外務大臣談話の中で申しておりますように、わが国としては今後とも米国及び他の友好諸国と緊密な連絡を保ちつつ人質解放を含めた事態の早期解決のために努力していく所存であるということでございまして、いま御指摘のような点についてどう対応するか、まだ具体的に対策を決める段階にはなっておらないわけでございます。
○高沢委員 そうしますと、ちょっと角度を変えまして、今度アメリカがイランに対してこうした経済的な制裁措置をとる、この制裁措置が一体効果があるとお考えかどうか、これはまた大臣の判断としてお聞きをしたいと思います。
○大来国務大臣 昨日以来現在まで、いろいろ現地からの電報等も入ってきておりますし、また新聞にもいろいろ出ておるわけでございますが、当面の状況におきましては、人質問題に直ちに効果が出るという状況には余りないように思われますけれども、しばらく続いてまいりました場合にどうなるか、特にイランの経済情勢というものにどういう影響が出るか、それが人質問題に何かの影響を持ってくるかどうかという点がございますので、いまの段階で余り効果があるかないか、はっきり申し上げかねることだと思います。
○高沢委員 私は、大臣の本当の腹の中は、こんなことをやっても効果がない、こうお考えになっているのだろうと推察をいたします。確かにアメリカの制裁措置に対して、これも報道によれば、西欧諸国ではほとんどまともにそんなものに協力しようという国はないというふうにも伝えられておるわけでありますし、ましてやいわゆる第三世界諸国あるいは社会主義諸国というようなものが、これまた当然イランとのいろいろな必要な協力関係はやりましょうということもあるわけですから、私は結論的に言えば、こうした経済制裁というものはほとんど効果がない、こう思うわけですが、そういたしますと、そこから次に出てくるのは、経済制裁で効果がなければ次は軍事的な制裁を加える、こういう次の手がアメリカから出てくるのじゃないか、またそういう点も盛んにそれらしい示唆がされておるというように伝えられているわけですが、この点は大臣はどういうふうな判断をなさいますか。アメリカが軍事的な制裁措置というものを果たしてやるかどうか、この点についての御判断をお聞きしたいと思います。
○大来国務大臣 そういう御指摘のような報道が一部にあることは承知いたしておりますけれども、そういう事態にならないことを日本としては非常に強く希望しておるというのが実情でございます。
○高沢委員 私は、これはむしろ日本からアメリカに対して、そういうことをしないようにということを強力に申し入れる、要求するということをいまやなすべきだ、こう思います。
 そこで、その関係でまたこれは条約局長になるかと思いますが、軍事的な措置というものをアメリカがイランに対して加えるとした場合、これは一体国連憲章との関係でどうなるのかということをお尋ねしたいと思うのです。国連憲章では、ある国の武力的な侵略行為があったときに、それに対する制裁措置として安保理事会が軍事的な対応措置をとるということは、国連憲章の四十二条、四十三条、この辺で決められているわけでありますが、そしてまたそういう安保理事会の軍事的な制裁措置というものが決まる以前の緊急なものとしては、その当事国が個別的、集団的な自衛権の発動はやってよろしいと五十一条で規定されておる、こういうことです。しかし、これらの大前提はあくまで、ある国が軍事的な侵略行為をとった場合、こういう大前提があるわけですが、いまのイランの場合にはまさにそういうものには該当していないという場合に、アメリカがもしイランに対して軍事的制裁行為に出るとしたら一体これはどういうふうな国際法上の根拠があるのか、それを条約局長にお尋ねしたいと思います。
○伊達政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、安全保障理事会で第七章四十二条での決定がございます場合には、もちろん法的な根拠というものがむしろ国連自体の措置として正当化されるということでございます。また、これも先生も御指摘のように、五十一条において個別的、集団的自衛権を行使し得るということになっております。
 ただ、問題は五十一条の解釈でございますが、この五十一条と申しますのは、ここでちょっと関係部分を読み上げてみますと、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」と述べておりまして、「武力攻撃が発生した場合には、」というものについてこの五十一条が規定しているわけでございます。これは、この五十一条が第七章という部分にある条項である。第七章と申しますのは、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」という章の中に置かれました関係上、武力攻撃という最も重要な場合について規定しているものと考えられまして、この五十一条が武力攻撃以外の形の侵害に対して自衛権の行使を排除するというものではない。この解釈と申しますかこのような考え方は、従来、五十一条に関連いたしました国会の質疑においてもうしばしば政府側の見解として明らかにしているところでございます。
○高沢委員 あなたのそういう解釈を聞いていると、結局、何をやってもいいというふうなことになってくるんじゃないかと私は思います。
 今回のアメリカの国際法上のあれでも、イランに対して武力的な措置をとることは、これは明らかに国際法上許されない、こう私は思います。ただし、その場合にもう一つの問題は、果たしてアメリカが軍事的な措置をとり得るかどうかということについては、恐らくとり得ないだろう、私は実はこういう見解を持っているのです。もしイランに対してアメリカが軍事的措置をとる場合、そのことがアラブ諸国あるいはイスラム諸国にどういう波及効果を招くかということを考えれば、私は、結局できないだろう、こう思います。
 そういたしますと、経済措置も効果はない、軍事的措置もとれないということになると、アメリカはいまや袋小路じゃないか、私は実はこう思うわけなんです。こぶしは振り上げてみたけれども一向に効果がない、振り上げたこぶしはおろせないというような状態に、いまミスター・カーターはあるんじゃないか、こう私は思うわけです。
 したがいまして、その袋小路を抜け出るための方法は別のやり方を考えるべきだということをアメリカに対して忠告をしてやるというのが、友好国ならば日本政府としてはむしろ本当の友人の態度じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○大来国務大臣 日本の立場でできることは何かということについては、こういう事態のもとでいろいろ考えてみる必要があると思っております。
○高沢委員 もう時間が迫りましたので、最後に、別なことを一つだけお尋ねしたいと思います。
 これは千葉局長にお尋ねをいたしたいと思いますが、前にも私お聞きしました例のリビアとの関係であります。
 これは報道によれば、最近、リビアの最高の指導者であるカダフィ大佐が日本の特派員に会見をした際に、日本との経済協力を最優先に考えておるというふうなことを語ったと、こう伝えられているわけであります。私はいままでもこの問題にこの外務委員会で触れて、リビア側の日本に対する態度はきわめて積極的であるということを重ね重ね申し上げて、それに対して日本の政府として積極的に対応すべきである。その対応する最大の具体的なポイントは、日本とリビアとの間における政府間の何らかのドキュメントをまとめるということではないかとお尋ねをして、前向きに検討しておりますというお答えがあったわけですが、その後、現段階までにどのくらい前向きに進んだのか、ちょっと説明をお聞きしたいと思います。
○千葉政府委員 前回御答弁申し上げましたときに余りはっきり言わなかった点をまず補足させていただきます。
 それは、ただいま高沢委員が御言及なさいました日本・リビア間の何らかのドキュメントというものをつくることが先方の強い希望である、しかし、わが方としてもいろいろ事情があるので、そこに至る最善の道を目下探求中である。実は、そういうことを冒頭に申し上げておいた方がよかったかといま自省いたしております。
 そこで、どの程度前向きかという御質問にお答えいたしますに際しましては、ただいま言及いたしました点をまず踏まえまして、やはりいきなりドキュメントということになりますと、いろいろ内容についても話は聞いておりますけれども、実はなかなか問題が多うございます。日本としても諸外国と――諸外国と申しますのは、いわゆる工業先進国である西ドイツとかそういったような国々を指しておりますが、そういった国々と非常に似ておる面もありますし、また制度上その他非常に違う面もあります。向こうさんの考えておることを一足飛びにいますぐ持っていくというのは、まず日本政府の部内で技術的にもいろんな問題があるわけでございます。しかし、御指摘のとおり、私もそのテレビ番組を拝見いたしましたが、カダフィ元首みずからそういうふうな熱意を示しておられることはわれわれとしても感得されるので、できるだけ早く向こうさんと話をできる場をつくっていく、こういったラインで目下やっております。
 したがいまして、前回御答弁申し上げましたよりもやや――率直にややと申し上げます、具体的に部内でやっておりまして、もうじき大臣の決裁を得ましたら、今度は政府の他の技術的な問題を持っておる諸省庁とじっくり協議をしたいと思っております。別に時間をおくらせるということじゃございませんで、いい結果をもたらすためにはちゃんとしたインフラをつくっておかなければならぬ、そういった観点でございます。先生から見て若干スピードが遅いかと思いますが、その点ほおわびを申し上げるとともに、また御容赦願いたいと思っております。
○高沢委員 いま努力されていることはよくわかりました。
 政府間ドキュメントという到達目標に行くまでに中間的にこういうステップがあるとかこういうステップがある、これは当然理解できます。したがいまして、そういうステップを踏みつつ、しかしまた、先方にも、このステップを踏んでいけば結局たどりつくところはこれだということを十分理解できるような、そういうふうな形の努力をひとつお願いをいたしたい、このことを最後に要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○中尾委員長 河上民雄君。
○河上委員 新聞報道などによりますと、日本の外務省は先般在京アラブ大使館に対しまして、日本政府のパレスチナ政策についてブリーフィングを行ったということでございますけれども、いまこの時期にそうしたブリーフィングを行った理由といいますか、ねらいというものはどういうところにございますか。
○千葉政府委員 ただいま御指摘の、紙と申しますかそういう文書を編さんいたしましたので、それを在京の関係大使、アラブ大使はもちろん含めておりますが、配付しました際に、御質問のある向きはどうぞおいでくださいと申し上げてあったわけでございます。そういう方々が、十四カ国の代表がおいでになりましたので、私どもから御説明申し上げたわけでございまして、特にブリーフィングということではございません。
 次に、その際各国の代表の方に申し上げましたのですが、この時期については特段の意義はないという点を申し上げております。
 なおさらに、私ども追加説明しましたのは、従来からパレスチナ問題についてとってきました日本の政策、態度等は、関係者の間ではよく知られているわけでございます、たとえば国連の関係者その他。しかし、近年この問題についての世界的な関心が非常に高まっておりますことは御承知のとおりでございますが、最近に至りまして日本がこれとどういうふうな取り組み方をしているのかというのが広く大方の関心事項になったわけでございます。そこで、従来関係者だけで一種の専門知識として持っておりました事実をまとめまして、広く内外に御理解いただくために出したわけでございます。
 その際、あるアラブの大使が御指摘なさいまして、もっと早くなぜやらなかったかとおっしゃいましたので、私どもはまことにそのとおりで、もっと早くやるべきだったと思うけれども、とにかくそこまでの御要望が余りなくて、最近急に高まったので今度発表いたした次第であるということを申し上げた次第でございます。
○河上委員 大臣、いま局長からそういうお話でしたけれども、大臣が就任されましてから、実はごく最近に園田特使を中東諸国に派遣をしておられるわけでございまして、本来ならそこで十分日本政府の立場というものは中東諸国に明らかになってしかるべきであると思うのです。あるいは、政府はどうも園田特使の使命が失敗したので改めて説明する必要を感じたのではないかというふうに私ども考えるのですけれども、そういう点はいかがでございますか。
 また、ジスカールデスタン・フランス大統領が園田特使と同じ時期に中東諸国を歴訪されまして、西欧諸国としては一歩踏み出した見解を表明されて反響を呼んでいるわけですけれども、そういうような時期をにらんでこうしたことを行われたのかどうか、その点、大臣いかがですか。
○大来国務大臣 日本の中東政策ということについては次第に内外の関心が強くなってきておるわけでございますが、また非常にわかりにくい面もいろいろあるわけでございますので、何か少しわかりやすい資料が必要じゃないか。ことに過去何年間かにわたって日本政府が国連の場その他の機会に明らかにしてまいりました日本政府の態度がいろいろあるわけでございまして、そういう過去の文書を取りまとめておくということは、日本が従来から中東に対してとってまいりました政策、考え方の証拠と申しますか、そういう意味にもなるのではないか。特に園田特使との関係と申しますより、一般的に日本のそういう政策について、直接会って話をした相手の方々には理解してもらえますけれども、まだ十分にアラブ世界に広く知られていない面もあるという印象もございました。
 また、日本の国内でも、必ずしも系統的に従来のいろいろな文書なり声明なりについての後づけがされていないということで、特にフランスの大統領がどうだということではないわけでございますが、フランスの大統領は余り新しいことは言っておられないわけでございまして、従来日本のこういう文書なり政府の態度に示されているところよりもフランスが先に出ているということでも必ずしもない。いろいろな意味で、この際、日本の国内、対外的にも日本のポジションというもの、中東問題に対する態度というものを正確に認識してもらうことが望ましいのではないかということで、中近東アフリカ局の方で準備したわけでございます。
 これに対する反響は、きょうも私、ジョルダンの大使に朝会いましたけれども、この文書を非常にアプリーシエイトというか評価するということを申しておったわけでございまして、これがそういう内外にいろいろな意味で役に立つことを私どもとしては期待しておるわけでございます。
○河上委員 いま大臣は、日本のパレスチナ政策、パレスチナ問題に対する態度が国連の場あるいは国会その他の機会でいろいろ発表されているが、必ずしも十分理解されておらないということを懸念して今回まとめたということでございますけれども、それは昨日来私ども委員のところへ配られております「パレスチナ問題と日本」と題する文書というふうに理解してよろしいわけでございますね。
 ここで内容を確認する意味で申し上げたいと思うのですけれども、まず第一に、日本政府は国連安保理事会の二四二決議に賛成して、それが一日も早く実行されることを望んでいる。ただし、二四二決議はパレスチナ問題を難民問題として取り扱っておるので、この決議は不備であるという立場、つまりこれは民族自決の問題として取り扱うべきであるということを、例の二階堂官房長官発言で日本政府は述べている。これが一つだと思うのです。
 第二には、PLOの代表を国連に招請する決議が行われた際に、アメリカが反対したにもかかわらず日本政府はこれに賛成した。従来、こういう場合、大体棄権をしているのに、その際ははっきりと賛成した。そのPLO招請決議の中では、PLOをパレスチナ人民の代表であるPLOというふうに位置づけておるわけですが、そのことを含めて日本政府は賛成した。そのPLO招請決議によれば、「ザ レプレゼンタティブ オブ ザ パレスティニアン ピープル」となっておりまして、その代表の中に定冠詞の「ザ」がついておりますから、これは唯一合法という意味合いを込めたパレスチナ人民の代表という意味だと思うのであります、不定冠詞ではないわけですから。
 三番目には、これは今度の文書に出てないのですけれども、大平総理が国会で発言された点ですね。これは非常に重要だと思うのですけれども、昨年十二月の参議院の本会議において、「パレスチナ人の民族自決権につきましては、わが国は独立国家を樹立する権利も含まれておると解釈をいたしております。」というふうに述べておりまして、自決権というのをさらに限定して明確にして、独立国家を樹立する権利を含むというふうに日本政府は理解をしている。私はこれが三番目の日本政府の態度だと思うのです。このことは、今度のアラブ大使館に配った資料の中には入ってないのですけれども、これはどういうわけか、同時にお尋ねしたいのです。そしてその件は、ことしの二月の衆議院予算委員会においてわが党の同僚議員であります川崎委員から質問されたことに対しまして、重ねて大平総理はそれを答弁しておられるわけです。
 四番目に、配られた文書の中に、「わが国とPLOとの関係」という中で「PLOに対する認識」という項がありまして、その中で「わが国のPLOに対するこのような認識は一九七四年十月二十九日のアラブ首脳会議決議(於ラバト)の存在も考慮したものであり、」と述べているのでございますが、このラバト会議における決議では、PLOをパレスチナ人民の唯一合法の代表というふうに明確に規定づけているわけですけれども、このことを含めてその存在を考慮したものだというふうにわれわれは理解をしたいわけです。
 以上のようなことが日本政府のパレスチナ問題に対する態度であるというふうに理解してよろしいかどうか。
○大来国務大臣 詳細については担当局長から補足的に答弁いたしますが、いまおっしゃいました第二点につきまして、「ザ」という定冠詞の意味につきましては、必ずしも河上委員のおっしゃった意味までは明確にはなっていないということだと思います。これはアラブ諸国の間にもいろいろな意見がございまして、PLOがパレスタインを代表する機関であるということは、日本政府としてはっきり認めておるわけでございますが、それ以上の点については、まだ多少いろいろ国際的にも検討の余地が残されておるように私どもは聞いておるわけでございます。
 それから、大平総理の十二月一日の参議院の予算委員会における答弁は、ただいまの資料の中に別添七として入っているわけでございます。
○河上委員 そうすると、大臣は「ザ」という定冠詞、国連のPLO招請決議の中にあるPLOの位置づけに、パレスチナ人民の代表というのを「ザ・レプレゼンタティブ」という点については、私の解釈とはちょっと違う、こういうことでございますけれども、それ以外の点はすべて承認されておるわけでございますか。
 そして、特にアラブ首脳会議決議、ラバト会議の決議の存在も考慮したものである。ラバト決議の中には、唯一合法の代表ということがうたわれておるわけですが、その存在も考慮したという中には、それに対する暗黙の承認が含まれておるのかどうかということも、もう少しはっきりお答えいただきたいと思う。
○賀陽政府委員 国連関係の三点でございますが、第一点の安保理決議二四二の問題でございますが、これは御承知のように、難民問題の公正な解決という域を出ておりません。そういう意味では、それをさらにフォローしていかなければならぬという日本政府の立場でございます。
 第二の、PLOのオブザーバー招請の国連決議の「ザ」の問題でございますが、これは大臣からただいま御答弁されたとおりでございまして、私どもは唯一という解釈をとっておりませんし、また、国連の多くの加盟国が、意見は分かれておりまするけれども、オンリーということで解釈が確定しているわけではないわけでございます。
 それから第三の点でございますが、国連憲章に基づくパレスチナ国家の建設ということについては、日本は国連におきましても賛成の態度を示しておるわけでございまして、具体的には一九七六年のたしか四月の安保理におきまして、国連憲章に基づくパレスタイン国家建設という条項の入った決議案の取りまとめには、当時のわが国の齋藤大使が活躍をされたということに記録でなっておりまするが、この決議案は、御承知のように、アメリカの拒否権を誘発することは当時必至の形勢でございまして、事実誘発したわけでございます。しかし、わが国がこれに賛成票を投じているということでございます。
 ラバト会議につきましては、担当局長から申し上げます。
○千葉政府委員 ラバト決議につきましては、そういうものがあるということはもちろん踏まえておりますけれども、日本はラバト決議の当事者ではもちろんございませんし、全く同じ意見であるという次第ではございません。
○河上委員 それでは大臣、若干の解釈のニュアンスはいろいろあるようですけれども、しかし、私が大体引き出した幾つかのポイントについては、日本政府の態度であるというふうに私ども理解してよいと思うのですが、それはよろしゅうございますね。
○大来国務大臣 いまの国連決議の二百四十二号が不十分であるという点、それから自決の権利を認める、それには国家の建設ということも含まれている、それからPLOがパレスチナ人を代表するものであるということ、そういう点の御指摘の点は、政府の現在の立場でございます。
○河上委員 それでは政府は、いま二百四十二決議の修正、補足、補充というような動きがございますけれども、そうした問題についてイニシアチブをとるお気持ちがありますか。
○賀陽政府委員 国連における安保理決議のその後のフォローアップでございますけれども、幾多の試みがなされておるわけでございます。現在の段階では、五月二十六日の自治交渉、特にヨルダン川西岸とガザ地帯の自治交渉がまとまるか、まとまらないかということが一つの分岐点だというふうに考えておりますが、現在の段階で、すでに国連においては、安保理の決議をどうするかという動きが出ております。
 しかしこれは、セネガルの決議案というのが昨年、たしか春ごろであったと思いまするが準備をされまして、当時のヤング国連大使の辞任という問題が生じたわけでございますが、これは、いわばパレスタインの独立国家の承認という条文が入りますので、現状においては、米国の拒否権を誘発することは必至の情勢であることは変わっておりません。
 ただ、五月二十六日という期日が着々迫ってきておりますし、国連の中におきましては、アメリカの態度も見きわめながら、なおかつひとつ決議案をまとめようという空気が安保理のメンバーの中には出てきておるようでございます。その成否は、どうもにわかに判断しかねますが、端的に申し上げてかなりむずかしいという感じがいたします。
 日本は安保理のメンバーではございませんけれども、終始こういった国とは連絡をとっておるわけでございます。
○河上委員 先ほど大臣は、日本政府の態度と、フランスのジスカールデスタン大統領が今回打ち出された態度と比較されまして、むしろ日本がいままで言ってきたことの域を出ていない、こういう自己評価をされたわけですが、それにもかかわらず、ほぼ同じ時期に中東を訪れた園田特使が受けた歓迎とジスカールデスタン大統領が受けた歓迎との間に、余りにも大きな差があり過ぎると思うのです。これはどこから来ているのか。なるほど論理的には、まさに大臣が言われたことが正しいかもしれませんが、どうもこの問題につきまして、日本政府は一種の行動を伴っていないのではないかということが、やはり今回、園田特使とジスカールデスタン大統領の訪問に対する中東の反応の違いとなってあらわれているというふうに私は思うのでございます。
 そういう意味から、いま、日本がこの問題について本当に中東の心を、信頼をかち得る一つの道として、具体的なケースとして二百四十二決議の修正について、もう少し積極的なイニシアチブをとるべきではないかと考えるわけですが、その点大臣、どういうふうにお考えになりますか。
 また、先般来新聞などにも出ておりますように、問題になっておりますPLOアラファト議長の日本への招請につきましても、日本政府がもう少し積極的な姿勢を示すことによって、もう少し実現へ事態が打開されていくのではないかと思うのでございます。この問題についても、これは日本政府の招待ではなく、PLOの友好議員連盟の招待ということになっておりますけれども、これの成否は日本政府が積極的態度をとるかどうかにかかっている、こう言われているだけに、この問題についても大臣のお考えを承りたいと思います。
○大来国務大臣 国連の決議の問題につきましては、ただいま国連局長から答弁いたしたような情勢がございまして、一つには、安保理事会で米国のビトーが発動されるという状況では成立が困難だという事情もございますし、またタイミングの問題もございましょうし、情勢を考えて動く必要があるかと思うわけでございますが、この問題については、先ほど来のお話のように、日本政府としては前向きの立場をとっておるわけでございます。
 それから、第二の点につきましては、これはア首連、アラブ首長国連邦のオタイバ石油大臣を仲介にいたしまして現地の村田大使とPLOの関係者との対談が何回か行われてきておりまして、従来このパイプを通して話し合いをしてまいっておるわけでございますが、先方に政府からの正式な招待を求める希望があることは承知いたしておりますけれども、現在の段階では日本がそこまでいきかねる状況と一応考えておりますので、この話し合いをまだ根気よく続けまして、さらに今後の前進を期待しておるわけでございます。
○河上委員 いまなかなかそうはいかないという、一方では非常に前進を期して努力をされるということでございますけれども、たとえばオーストリアの首相のクライスキー氏は、必ずしも首相という立場ではなく、いわば友人という立場でアラファト議長を正式に招待をしておるのでございますけれども、何かそういうようないわば中間的な措置というものも十分考えられるのじゃないかと思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
○千葉政府委員 ただいまの御指摘の点につきましてもいろいろと考慮はされるわけでございますが、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、ともかくいま先方と話をしているところでございますので、ここで余り論評を加えるのも差し控えたいと思います。現在は、この国会のパレスチナ友好議員連盟がお出しになりました御招待状というものを中心として向こうさんと話しておる状況でございます。
○河上委員 実は、けさの新聞でございますけれども、韓国が来月中にPLOを承認するという報道が出ているのでございますが、その中に、この点についてはアメリカもすでに了解をしておるし、国家の利益追求のためにはこれ以上ためらうべきではない、こう言明しまして、ECも日本もいずれ承認しようとしている、そうした流れにおくれをとることは国益に反するというような注釈を加えておるわけでございますけれども、大臣、この点につきましてどういうようなお考えを持っておられますか。
○千葉政府委員 御指摘の韓国に関する報道については私どもも拝見いたしておりますが、ただ、具体的ないろいろ細かい点につきましてまだ全然情報を持っていない次第でございます。大ざっぱに言いまして、韓国は日本以上に石油依存度その他から言いまして中近東に対する立場があるわけでございますが、しかしながら、ただいままでのところ、これらの点の詳細についてはまだ聞いておりませんので、ちょっと論評はいたしかねる次第でございます。
○河上委員 PLOの承認というのは具体的にはどういうことを意味するか、局長はどういうようにお考えになりますか。
○千葉政府委員 国会の他の委員会でも御答弁申し上げたことがございますが、御承知のとおりPLOは国際法上国家でも政府でも国際機関でもないわけでございます。したがいまして、国際法上の意味での承認ということは初めからないわけでございます。ただし、政治的に言って無視すべからざる力を持ち影響力を持っている組織でございますので、これはやはりそれなりに扱っていく。そこで、これは法的な意味ではございませんで、政治的に言いますと、恐らくは、承認ということは、パレスチナ人の唯一正統の代表だというラバト決議のあのラインを踏襲し、かつ、PLOの代表というものに完全な外交特権を含む大使館としてあるいは外交機関としての扱いを付与する、こういったことではないかと察せられます。
○河上委員 それじゃ時間がだんだん短くなりましたので、最後に大臣にお伺いいたしますけれども、大臣はパレスチナ問題がやはり中東問題にとって基本的な問題であるという認識をお持ちになっておられますか。
○大来国務大臣 そのとおり、パレスチナ問題がやはり中東問題の総括的、永続的な和平のために最も核心的な問題であるというふうに考えております。
○河上委員 それではPLOの問題はこの程度にいたしまして、あと数分でございますのでちょっと伺いますが、海洋法会議がこの間一応結論が近づいたということでございますけれども、これにつきまして日本政府の態度をこの際伺っておきたいと思うのです。
 新聞等の報道によりますと、国際海底機構の運営問題について先進国と途上国との対立があるということでありますけれども、この問題について日本政府はいわばどちら側の立場に立つのか、日本政府の考え方を伺いたいのでございます。
 第二には、経済水域、大陸棚の線引きの問題で等距離かあるいは衡平の原則かというような対立があるとのことでございますけれども、日本政府としてはどちらの方に加担していくおつもりか、また、深海海底資源開発のための技術的な努力というようなものをすでに日本政府としては始めておられるのかどうか、これらについて簡単で結構ですから伺いたいと思います。
○大来国務大臣 ただいまの第一のお尋ねの点でございますが、海底資源の開発問題につきましては、途上国の立場、先進国の立場がまだ最後的に調整されていないと聞いております。日本としても無資源国というか、の立場で海底資源の開発ということは強い関心を抱いておるわけでございまして、そういう資源開発の可能性を残される形で、特に欧米諸国に非常に立ちおくれた形になることは好ましくないという立場があるわけでございますが、できれば海洋法の会議でこれに話し合いが成立するということが一番望ましいわけでございまして、できるだけ途上国の立場、国連全体の立場も考えながら話し合いの成立に努力するということであろうかと思います。
 他の点につきましては、海洋副本部長からお答えさせたいと思います。
○井口説明員 それでは若干補足させていただきます。
 先生のただいまの御質問の第二の、大陸棚経済水域の境界画定の問題でございますが、わが国は終始一貫中間線という立場で対処しております。会議の現状は、実は今回もその点話し合いがつかなかったわけでございますけれども、衡平の原則ということでむしろ中間線に反対する立場を主張する国がかなりございまして、議長妥協案というものが必ずしもコンセンサスにまだなってないわけでございまして、この点は夏会期に引き続き交渉を続けるということでございますけれども、中間線ということできれいに割り切れるということは実は非常に困難な状況でございます。
 それから第三番目に、国際海底に新しい国際機構をつくるという問題でございますが、国際海底を管理する新しい海底オーソリティーというものにつきましては、現在その意思決定、すなわち常設の理事会でいかなる意思決定をやるかということでございまして、その方法についてわが国は海底開発を急ぐ先進工業国の立場からいろいろセーフガードを要求しております。すなわち、わが国の国益に反するような決定が行われないような表決方式を要求しておりますが、陸上資源国はまた陸上資源を保護する立場から海底開発というものに歯どめをかけたいということでございますし、途上国はまた自分たちの立場から主張しておりまして、わが国としては、この問題については海底開発を行う西側先進工業国というものと共同に行動しております。
 それから、技術的な問題に関しましては、直接国際機関が途上国の立場から開発をするために国際エンタープライズというのをつくることになっておりますが、わが国といたしましては、これが私企業と同じ立場で商業的なベースで開発を進めるということを主張しておりますが、途上国が国際エンタープライズに関してある種の特権を要求しておりまして、この問題についても実は双方の立場がある程度勘案されるような議長妥協案ができまして、問題が煮詰まっております。
 それから政府が直接この国際機関に対して借款の供与をする問題、あるいは技術移転というのを強制的に行えるような条約上の約束をする問題もございまして、これについてもかなり双方の立場が歩み寄っておりまして、もうすぐ妥協ができることを期待しております。
○河上委員 では質問を終わります。
○中尾委員長 この際、条約局長から発言を求められておりますので、これを許します。伊達条約局長。
○伊達政府委員 委員長のお許しを得まして、先ほどの高沢委員の御質問に対します私のお答えに一言補足させていただきます。
 私はあの際に、自衛権の法理ということでお話しした個所があったと思いますが、若干高沢先生の御質問の範囲を出ておりまして、高沢先生の御質問は、席に戻って考えてみましたところ、経済上の措置ということに限られていたように思うわけでございます。その場合には別に自衛権の法理を用いなくても国際法上問題がないものでございまして、これはあのときに御説明申し上げたその他の国々がとり得る措置と同様の御説明で足りることである。アメリカが他の国にそれを要請することはどうであるかということにつきましても、これは国際法上別に問題はございません。外交政策について他の関係国に同調を求めるということにすぎませんので、法律上の問題はないということでございます。
 一言補足させていただきます。
○中尾委員長 石原慎太郎君。
○石原委員 アメリカのイランに対する今回の断交処置は、どうもアメリカの大統領選挙との絡みがあるという印象を非常に避けがたい。先般の、これのもとになりました学生による大使館占拠事件の際、日本は国際法に違反しているイランに対する遺憾の表明とアメリカに対する同情というものの表明が非常におくれたために西側のひんしゅくを買いはしましたが、今回はもともとカーター大統領の外交的な不手際その他で起こった前回の事件を踏まえての出来事でございまして、理解を強く求められたかどうか知りませんが、とにかく日本側の理解も具体的にはほどほどにしておいた方がよろしいのではないか、アメリカの大統領選挙の一翼を日本が血を流してまで担う必要は全くないと私は思うのです。外務省が発明しました等距離外交という奇っ怪な言葉というのは、案外こういうときに隠れみのになるのじゃないかと、一言申し上げる次第でございます。
 アフガニスタンの侵犯事件について質問いたしますけれども、これは日本にも非常にかかわりの深いソビエトの世界戦略のあらわれという認識は西側の共通したものですが、これを裏づける重要なイニシアルというものが一つあります。それは数年前、CIAの、八五年にはソビエトは石油の自給というものができなくなって輸入国に転ずるという論文が載ったときに、ソビエトは非常に躍起になってこれを否定しましたが、つい最近のイズベスチヤにこれと全く同じ趣旨の論文が政府のオーソリティーのもとに載ったということを私たち注目しなければいかぬと思うのです。
 私も私なりに西側の今後のアフガニスタンの推移の分析というものを情報を収集しましたが、日本側の外務省の意見をひとつお聞きしたい。ベトナム化するという意見もありますけれども、しかしなかなかそうはならない事情もあるようで、聞くところ、ソビエトはアフガニスタンの後の戦略展開のために来年までに三十万、昭和五十七年までには四十万の軍隊をアフガニスタンに注ぎ込み、そしていまの頼りないカルマル政権にかえた新政権のもとに親ソ正規軍十五万の再編成をするという意図があるようでありますが、そういった成否を含めて、大体アフガニスタンがどのぐらいもつかという外務省の分析を、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○千葉政府委員 ソ連のアフガニスタン介入の長期目標は何であるかという点につきまして、われわれはいろいろ情報も集め、分析等もいたしておりますが、やはり率直に申し上げましていろいろわからない点が多々あるわけでございます。ただいま委員が御指摘のようなことももとより、それは蓋然性は別として可能性はあり得ると私どもも思っております。しかし具体的にぴたっとこうなるのだ、何年ぐらいもつかということになりますとなかなかむずかしい、こう言えるだろうと思います。
 そこで一つ別の面からこの問題を見てまいりますと、現在アフガニスタンにおいて配置されておるソ連軍の兵力でございますが、俗称十万、そのうち約三万がソ連側の方の国境地帯に戦略的予備として配置されておる、大体七万ぐらいがいまアフガニスタンの中で活動しておると言われております。ただし、これはしょっちゅう出入りがありますので、大ざっぱな数字でございます。この七万をもってすれば一応、あの国は御存じのとおり都会と幹線道路と主要な食糧生産の谷を押さえれば何とかやっていける国でございますので、それはできるし、それから特にゲリラ活動が旺盛な地区、これも結局は谷間でございますけれども、こういうところを掃討する、それは可能であろうと言われております。
 しかしながら、それが完全に成功して全くゲリラ活動が終息する、こういうことはちょっと従来の推移、現在の兵力量その他の動きから見ましてむずかしいのじゃないかと思われます。もちろん御指摘のとおり、ソ連の目標としましてはアフガニスタンの正規軍を育成して、そしてこれらが討伐をし、ソ連が後から支援する、ベトナム戦争時代の初期のアメリカの戦略といったことかと思いますが、その肝心のアフガニスタン軍の再建がなかなかおぼつかないといったようなことで、これは相当時間がかからざるを得ないのではないかと思われるわけでございます。
 そこで、もしこれらのゲリラ活動等をそのままにしておいて、隣国のどこか、あるいはインド洋に到達する大作戦を展開するとなりますと、これは非常に大きな兵力を注がねばならない。そのためにも恐らく現在の平時編成のソ連軍のあり方では足りないのではないかという専門家の意見も耳にしております。ただし、現在そのような動きに向かっての徴候はないというふうにもわれわれは受け取っております。
 というわけで、余りお答えにならないかもしれませんけれども、どのくらいもつかということになりますと、むしろソ連が現在の政策を続行して、そしてその目的に到達するためにどのくらい時間がかかるかということの方がまだ多少は答えやすいかと思いますけれども、大ざっぱに言いまして、最低限あと一年はどうしてもかかるし、一年じゃとても目標に到達はできないのじゃないかと思います。したがってもっと時間はかかるのだろう、これは常識的に言えますが、具体的にいつということになりますと、科学的根拠もございませんのでちょっと申しかねる次第でございます。
 なお、一部情報によりますと、これは新聞にも出ておりましたが、ソ連軍の某指揮官が部下の兵士に訓示をしていわく、二年はここにおるつもりでおれ、こう言ったという報道もございます。これは全く確認いたしておりませんが、そのような考え方もあるやに察せられます。
○石原委員 ちなみにキッシンジャーはいまの政府批判をしまして、アンゴラを担当した経験にこりてか、その後起こったアフリカのドミノ現象を踏まえて、自分ならばとにかく即刻隣のパキスタンに軍隊を派遣し、もっと強力な軍事援助をすると言っているわけですが、大体二年が山だろうというのがほとんどの国の分析のようであります。
 それにしても、私、非常に不思議なのは、一昨年六月にダウドという政権が倒された。これも四千人のソビエトの正規軍が国境を越えて乱入して、たった二晩でダウド政権を倒したとということは公知の事実であるのに、アメリカはそのときにソビエトに対する今日のような対抗処置をとらなかった。日本もとにかく日本なりのイニシアチブでオリンピックの不参加等々ソビエトに対する一種の制裁措置というものに加担しているようですけれども、アメリカが何でおととしにこれをせずに去年急にこういう強い処置に出たのか。日本の外交というのに強い自主性があるなら、ソビエトの政略絡みでこれは日本にかかわりないことじゃないと思います、何で日本の政府は、一昨年たった二日間で四千人の正規軍をつぎ込んでソビエトがダウド政権を倒したときに、いきなりソビエトに抗議しないにしても、アメリカ政府なり西側と連絡をとって、こういったものに対する対抗処置というものを考えなかったのか、そこら辺のことをお聞きしたい。
 結局、余りすぐれたと言えない現アメリカ大統領の大統領選挙絡みということがどうも考えられるわけですけれども、とにかく日本も一昨年全然抗議も何もしなかった。アメリカが動き出して去年改めて日本もこの一種の制裁に参加し、日本もオリンピックに参加しないと言うならば、どうも相変わらず対米追従外交と言わざるを得ないのじゃないかという気がいたしますけれども、この点いかがでございますか。
○千葉政府委員 二年前ソ連軍の正規軍が国境を越えてアフガニスタンに入ったという点は、われわれ全く把握しておりません。当時も聞いておりませんし現在も聞いておりません。当時はわれわれの見るところ、そしてこれは日本だけではなくてアメリカその他多くの国がそうでございましたが、これはやはりアフガニスタンの内部における一つの政治的なプロセス、もちろん超法規的なプロセスではございますが、革命が起きてダウド政権が御指摘のとおり倒れた。すなわちこれはメード・イン・アフガニスタンであるというのが大方の印象でございまして、もちろんソ連の裏からの支援があるいはあったかもしれませんが、明確な形でのソ連の外国に対する軍事的介入ということではなかった次第でございます。したがいまして、当時の新しいタラキ政権を承認した次第でございます。
 今回は全く違いまして、明白に隣国に対するソ連による軍事介入であるということでありますので、これは全く違うわけでございます。この点アメリカとの関係とは全く別でございまして、日本の国益から言いましても、このようなことが行われたのでは国際秩序が保たれない、そういう観点から非常に強く反発した次第でございます。
○石原委員 一昨年ソビエトの正規軍が加担したかしてないかというのは、これはDIA、CIAの情報が明らかにしているところで、その種の情報を日本の外務省が持っていてもこういう席で公表できない、口にできないという事情があるかもしれませんが、私はそういった情報というものもつかんでいるならこういう時期にやはり事実として踏まえた答弁をなさったらいいと思う。
 これは水かけ論で、ないと言えばないのでしょうからそれで終わりますけれども、これは軍事の専門家の常識になっているわけですね、あのときたった二日間で四千人の正規軍がとにかくカブールでダウド政権を倒したということ。
 それはさておきまして、アメリカの議会あるいは軍事の専門家あるいは軍部では、もうすでにポストアフガニスタンの分析というものが始まっている。イランが立ち直り安定をし、アメリカがとにかくカーター・ドクトリンにのっとった戦略を展開、発動したとしても、アフガニスタンを二年あるいは二年半後に完全に基地化したソビエトが、アフガニスタンをステッピングストーンとして南下したときに、結局食いとめられる期間というものは時間的に二十日間であろうというのが、アメリカの専門家の大体の共通した推測ですね。
 それを踏まえてアメリカの上院のジャクソンとかあるいはステニス委員長がブラウン国防長官あるいはジョーンズ統合参謀本部長に対して、アメリカがすでに決めている、つまり日本を含むアジアというものを実質的には切り捨てて二・五戦略構想から一・五戦略構想に転換したアメリカ自身が、海軍を評価せずに空輸に頼った陸軍国の性格を非常に強く帯びるカーター・ドクトリンを発動しても、なお二十日間しかとにかく中近東が支え切れないんじゃ、これは一体何のための戦略プロジェクトかという形での矛盾の指摘を非常に強くしております。
 もともと国防省はカーター・ドクトリンに対して非常にリラクタントだったので、これに答えて、その場合には戦術核兵器を使う、もう一つ非常に注目しなくてはいかぬのは、一種の制裁報復処置として、ソビエトではないがソビエトの友好国であるキューバを攻撃するという発言をしている。キューバを攻撃することは、フロリダと目と鼻の先からすでに十万の正規軍をソビエトの世界政略のために続々とアフリカに送り込んでいる国ですから、それはアメリカ人にすれば留飲は下がるかもしれないけれども、しかしやはり議会なり軍事の専門家の中でそういう軍の回答の後問題になっているのは、キューバを制裁報復攻撃したときにそれに対するソビエトのさらな報復が行われるだろう、つまりアメリカ本土、アメリカそのものではなくても、アメリカの友好国に対する、キューバを守るための報復処置が行われるだろうということが論になっているわけです。
 そのとき、その国がどこかということが問題になったわけですけれども、大臣、もしそういうケースがとられたときにソビエトはどこを報復すると思いますか。これは全くの推測で結構ですけれども。
○大来国務大臣 私、全くの推測も立ちません。
○石原委員 いや、笑い事じゃないのですね。そのとき、やはり日本であろうというのがアメリカの専門家の意見です。しかも、つまり一年しか日本はもたぬだろうというのがアメリカの当事者なり専門家の意見であります。これは笑い事じゃなしに私たち頭にしまって、これからの世界の動きあるいは日米関係なり日ソ関係なりを考えていかなくてはいけないことじゃないかと思いますが、ここでにわかに一つの私たちに身近な問題が浮かび上がってくる。それは、ソビエトが占領したまま返還せずに軍事化が著しく進んでいる北方四島が、こういう国際情勢の中あるいはアメリカの専門家のそういう分析のもとに、新しい光彩で浮かび上がってくるわけです。
 かつてはそれだけは返していいとソビエトも言っていた歯舞、色丹にまで非常に強力な軍事配備をしているソビエトの措置というものが、決して日中友好条約で著しく中国へ傾斜していった日本に対する恫喝であるとか牽制であるということだけではなくて、アメリカが今日の新しい国際情勢の中で分析し出した、先ほど申しましたような日本の危機の可能性をアメリカが云々する前に、実はこの状況そのものをつくり出した当事者のソビエトがもっと以前から予定し、熟知していたということが、私はこの段になって改めて北方四島というものの上で認識されるべきだと思うのです。
 さて、ここで私たち改めで考えなければいけないもう一つの問題があると思いますが、それは五十三年の通常国会の予算委員会で問題になりました、たしかその年の二月でしたか、訪ソした園田外務大臣に向こうが突然突きつけて、向こうのプラウダでしたかイズベスチヤに一方的に発表した、つまり日本にこれをのめと言って迫った日ソ善隣協力条約なるもの、この意味というものを私たちこの段でもう一回考えてみる必要があると思う。今回のアフガニスタンでも同種の条約というものが大きなてこになっている。
 この条約、大臣もよく御存じでしょうけれども、大体同じパターンで幾つかの国と結ばれておりますが、中に「防衛力強化のために両国間に締結される関係諸協定に基づき、軍事分野の協力の発展を促進する」、別の条項に「平和に対する脅威または国際平和の侵害をもたらす事態が発生した場合には、双方は発生した脅威の除去または平和の回復のため、両国の立場を調整する目的で遅滞なく接触するよう努力をする」、今度、アフガニスタンも接触されたわけですね。接触を望んだか望まないか知らないけれども、ソビエト側が一方的に接触した。これは将来集団安全保障体制をしていて、その中にソビエトを入れようなんという寝ぼけたことを言っているどこかの政党には非常に喜ぶべき条約かもしれないが、どうも私たちにははなはだ薄気味の悪い存在感を持つ条約案なわけです。
 大体、ソビエトが善隣協力条約なるものを結んだ国というものを調べてみますと、ほとんどが発展途上国であります。中のエジプトあるいはソマリアは一たん結びましたけれども、これを破棄しました。しかし日本だけが、世界の一流か二流か知りませんが、ともかくも先進産業国である日本だけが、突然一方的にこれを要求された。どういうわけなのか、私いろいろ考えてみたのですけれども、どうしてあの時点でソビエトが突然日本に、こういう善隣協力条約を締結したいという形で一方的に向こうの機関紙に発表してまで迫ったのか、ここら辺大臣はどのように分析されますか。
○大来国務大臣 これは善隣条約の草案というのを突然提案してまいった、日本側はこれを受けつけないということで、検討もしないという立場で現在まで来ておると承知しております。
○石原委員 いや、政府の態度は私よく知っているのですけれども、しかし問題がいまになっていろいろな形で起こってきているときに、もちろん当時の外務大臣ではないことはわかっていますが、しかしあの時点でソビエトが日本を選んで、先進産業国の中で日本だけにああいう非常に一方的な、理不尽な、けしからぬ振る舞いで善隣条約の草案をつくり、彼らの機関紙に発表してまでその締結を迫った、その魂胆といいましょうか、そういう外交的な衝動の原因というのは何だとお考えですか。
 私は、ソビエトがそういう挙に出るということは、彼らは彼らなりに何らかのディプロマティツクなオプションというものを持っていたと思うのです。それが何かということ、どういうわけでソビエトは日本にああいう協力条約というものをあの時点で迫ったんだろうか、大臣いかがお考えですかということをお聞きしているのです。
○大来国務大臣 これは他国の政策の態様でございまして、いろいろな観察もできるかと思いますけれども、私の立場で申し上げることは困難だと思います。
○石原委員 いや、あなたのお立場だからこそ私お聞きしているのでして、困難ということはどうなんでしょうか。つまり、外務大臣がそういう問題について自分の所見を述べるということは非常に大事だと思うし、そのために外務委員会という大事な委員会があるのじゃないでしょうか。そしてまた、そういう所見を述べることで外務委員会というのは非常に権威のある委員会になるけれども、私もずっと外務委員会の委員をしていますけれども、だんだん特にこの衆議院の外務委員会は退屈になってしまった。こういうことでいいのでしょうか。私は、間違ったら間違ったで責任をとられたらいいと思う。しかし、何もその所見が間違ったからといって、大臣に罷免を迫る議員もいなければ国民もいないと私は思いますよ。当然これだけの大事なイッシューですから、外務省は外務省なりに分析されているでしょうし、またそれに対する御意見もあるでしょうし、大臣の所論というのがあると思うのですけれども、私は、それは欠点も長所もあるのはみんな人間の通弊ですから、大臣の所論が全部正しいとは思いませんけれども、やはり日本の外交を現時点で預かる最高責任者が、周囲にこういう状況が起こってきたときに、こういった問題に対して積極的な発言をされるということは、外務委員会だけのためじゃなしに、日本の国民、非常に漠たる不安を強く感じている国民のために非常に必要な処置だと思いますけれども、あえてそう申し上げて、もう一度その御意見を伺いますが、お聞かせ願えませんか。それとも全然所論というものをお持ちになりませんか。
○大来国務大臣 私も大臣をやめて自由な個人になればまた個人の意見として申し上げることもあり得ると思いますけれども、やはり外務大臣としていまお尋ねのような趣旨の問題についてお答えすることは、国の内外に対する影響というものを考えなければなりませんので、お答えいたしかねると存じておるわけでございます。そういうことで御了解をいただきたいと思います。
○石原委員 了解はしませんけれども、そうおっしゃるならば仕方ありませんが、しかし、大臣をおやめになった大来さんに私はこういう問題についてお聞きするつもりはない。外務大臣であられる大来さんにだからこそ私はお聞きしているわけですけれども、次に進みます。
 この善隣協力条約を突きつけられたときにでしょう、訪ソしていた園田外務大臣にコスイギンが、日本とソビエトの関係はソビエトとフィンランドのような関係が望ましいということを言っているわけですね。
 一体日本とソビエトの関係がソビエトとフィンランドの関係に近い、そういう可能性があり得るか、どこにあり得るかということを私も考えてみましたが、これは私の仲間、若い仲間が北海道に行って北方四島問題についてのいろいろな調査を現地でしてまいりました。私はその調査報告を聞きまして、なるほどとにかくコスイギンが期待するようなフィンランド化というものが、非常に部分的ではあるけれども、北方四島というものを目の前に控えたあの地域で進んでいるんだなという感じを非常に強くしたのです。それをフィンランド化と呼ぶか呼ばないかということは主観になるかもしれませんが、たとえば北方四島と非常に近い道東の主要都市、根室あるいは標津、羅臼という町、あるいは北端の稚内というところでそういった非常に強い現象が起こっている。
 たとえば、この間逮捕されましたけれども、例のレポ船ですけれども、これは私も三年ぐらい前からこの問題を国会のいろいろな立場で指摘してきましたが、やっとこの間例の防衛庁の機密漏洩事件が起こって逮捕されました。しかし、現地で聞きますと、レポ船は非常に恥ずかしくて悪いことだけれども仕方がない、生きるためには仕方がない、国が結局何もしてくれないのだから仕方がないということをレポ船というものを熟知している根室の市民がほとんど言っている。
 それからもう一つ、これは要するにちゃんともう御存じかもしれません、多分御存じだと思いますけれども、これに対する反応がないだけのことでしょうが、拿捕された漁船の漁民というものはまず最初に何を調べられるかというと、北方四島返還運動に加担し参加したことがあるかないかという、そういう前歴というものをまず最初に調べられるそうであります。これは拿捕された漁民が全部報告している。しかも、これからも幾つか申し上げますが、そういったことをこの調査に行った青年たちに語る市民というのは、みんな周囲をはばかって声をひそめて物を言うというのがとにかく共通した現象なんです。
 それからまた、根室のコンブ漁民は、北方四島は返ってこなくていいということをはっきり言っている。これは完全に、ソビエトの非常にけしからぬあの四島、私たちの国土の占有という事実に対する敗北主義だと私は思います。
 それから、ソビエト領事館の副領事が羅臼の町長に、この町にはソビエトに対する友好団体が非常に少ないからもっとつくれということを要求している。
 こういった現象というのは、フィンランドで反ソの色の強い大統領候補が大統領選挙に立候補したときに、これを結局いろいろな形で弾圧して、国益のためにその候補が立候補を辞退せざるを得なくなったというところまで追い込んでいったソビエトの、間接だけれども非常に強力な内政干渉と共通するものがあると私は思います。
 それから、これもひとつ外務省の見解を伺いたいけれども、国後島の強力なサーチライトが標津、羅臼という町をときどき照らす。何の目的か知らないけれども、非常に強い光線で照らして、町全体がほのかに明るくなるような現象がたびたびある。しかし、最初のうちはこわかったけれども自分たちはもうなれてしまったということをこの二つの町の市民が言っているわけです。これは国際法的にどういう評価がされるか知りませんけれども、一種の侵犯であり、明らかに心理的な恫喝だと思いますが、こういった問題を外務省がどうとらえるか。
 それからまた、原因不明の沈没船がたくさんある。あそこは低気圧の墓場と言われていまして、私も海をよく知っている人間ですからわかりますけれども、海はしけていても、終末の低気圧というものは非常に予測が簡単で、この程度のミリバールの低気圧なら、大体何日、どれぐらいの風が吹いて消滅するだろうということは、もう漁民の体験でよくわかるのです。そういう漁民の体験の中で、全然救急の信号も送ってこない漁船というのが幾つか沈む。これはソビエトの潜水艦にやられたのだろうというのが、大体彼らの、要するにうわさといいましょうか、根拠がないと言えばないかもしれないけれども、自分の体験に踏まえた、自分たちの操業している網にソビエトの潜水艦をひっかけたり、突然浮上してくる潜水艦をたびたび目にしている漁民のそういった体験から割り出したうわさであるということでありますけれども、こういった問題全体について外務省はどうお考えか。
 特に国後島からのサーチライトが、何の目的か知らないけれども、とにかくときどき標津あるいは羅臼の町を照らし出す、こういった事実、あるいはまた、ソビエト領事館の副領事が地方自治体の首長に、この町には友好団体が少ないからつくれということを要求する。そういった要求が、どういう語気で、どういう言葉で言われたかも知りませんけれども、こういった問題について、国際法というものを踏まえて、外務省がどのようにお考えかということをまずお聞きしたいと思います。
○武藤政府委員 最初のフィンランドとの比較の問題でございますが、ソ連がどういう意図でフィンランドの例を引き合いに出したのか、これも推測するよりほかはないわけでございますけれども、いまもお話のございましたとおり、フィンランドはソ連に対して、いわば領土問題はあるわけでございますけれども、そのような領土問題を表立てて要求するということもせず、静かな友好関係を保っている。片や日本の方は、非常に粘り強く北方領土の返還要求を行っている。その引き合いにおいて、日本の北方領土返還要求に水を差すというような下心があったのではないかと想像するわけでございますが、その点がいまの委員がお触れになりました北海道に対するソ連側のいろいろな動きとも無関係ではないと感じております。
 ともかく北方領土の返還運動、その原点は北海道にあるという認識から、ソ連側が北海道に対しましていろいろな工作を行う。その工作はいろいろな形をとるわけでございますけれども、一方においては、いまもお話がございましたような日ソ友好のムードを盛り上げることに努め、他方におきましては、北方領土における軍備の増強にも見られますように、あくまでも北方領土は返さないのだという強い姿勢を示すことによって、わが国における北方領土返還運動をあきらめさせると申しますか、そのような作戦。そして、片やサーチライトのお話もございましたけれども、そういうケースもございますし、また国後島で砲撃演習を行って、その音が道東の住民の方にも聞こえるというような話も伺っております。そのようにいたしまして、一種の心理的な圧迫と申しますか、そのようなものを加え、それがひいては北方領土返還運動を弱める方向に働くということをソ連側としては期待しているのではなかろうかと推論されるわけでございます。
 したがいまして、外務省といたしましては、そのような状況を踏まえまして、この北方領土返還要求は時間がかかる、きわめて長期的な課題であるということを十分腹にたたき込んだ上で、あきらめず、粘り強く、あくまでも交渉を続けていかなければならないということをまた改めて感じているということでございます。
○石原委員 大臣なり局長にお聞きしますけれども、こういうサーチライト、これは砲声が聞こえてくるのとはまたちょっと本質的に違う措置だと思いますが、こういったものが一方的に行われて、これに対する抗議を日本側がしたということも私は聞かない、これを一方的に甘受するということ。あるいは、友好団体をつくれということは、つまり友好の勧めでありますから、これを内政干渉なり外交の問題における非常な侵害とはにわかに言い切れないかもしれませんが、たとえばそういったもの一連を含めて、あの手この手で北方四島に対する私たちの領有権というものを、日本人が自発的にあきらめざるを得ない状況をつくっていくということ、これは日本という主権国家にとって甘受すべきことなのかどうか、改めてそれを伺いたいのです。
 もっと端的に物をしぼって言えば、つまりサーチライトで何の目的かとにかく一方的に町を照らし出しては恫喝するということ、これは国際法がどうなっているか知りませんけれども、まさか環境問題にはならぬと思いますが、夜照らされて眠れないというようなこと。しかしこれが主権国家である日本にとって好ましいか、好ましくないかということ。わかり切ったことかもしれませんけれども、大臣御自身のお口から答弁願いたいと思います。
○大来国務大臣 私もそのサーチライトがどういう目的か承知いたしておらないわけでございますが、その状況いかんによっては、日本にも問題があるかと思います。まず実情を検討した上で、対処すべきかどうかということも考えてみるべきだと思います。
○石原委員 外務大臣なり担当の大臣が就任しますと、一種のセレモニーで、大名行列をして北方四島をながめて帰ってくる。しかし、それに付随して、こういう北方四島をながめる道東の人たちの置かれた心理状況というものを聴取するということはほとんど行われてないと思う。これはいまからでも結構ですからぜひやっていただきたいと思いますし、それに対する抗議というものが成り立ち得るならば、積極的にそれをやっていただきたいと思う。そういう姿勢があれば、道東の人たちはまだ望みをつなぐかもしれないけれども、国は何にもしてくれないということでだんだん心が逼迫していき、先ほど申しましたように、根室のコンブ漁民のように北方四島はむしろ返ってこない方がいいのだという心理が醸成されているならば、私はきわめて局部的に、パーシャリーかもしれませんけれども、コスイギンが言いましたフィンランド化というものが、現実に私たちの国土という肉体の一部で腐食が始まっているということを認識せざるを得ないと思うのです。
 とにかく、本土に住んでいる人と北海道、北海道でも道東の人と道央の人たちは、こういった問題についてかなり心理的なギャップがあります。しかし、道東で北方領土四島をながめながらおびえている、不安にさらされている、特にこういう国際情勢が進展している中で、ますます強い不安を抱きつつある人たちと一番心理的なギャップが深く隔たっているのは、外務省、つまり、本来この目的に積極的に取り組まなくてはいけない外務省の当事者であり、それを統括する――私も自分自身それに参加した経験もございますけれども、政府の当事者ではないかと私は思う次第でございます。
 私の所見を述べて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中尾委員長 午後一時委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時九分開議
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。玉城栄一君。
○玉城委員 今回のカーター政権による対イラン外交断絶問題についてお伺いいたします前に、この間から本委員会でも私取り上げておりました沖繩のホワイト・ビーチにおける米原子力艦船による放射能漏れ事故についての米側の回答は、先週の本委員会で二、三日うちに来る、催促もしている、このようにお答えがあったわけであります。その後どうなったのか、お伺いしたいと思います。
○淺尾政府委員 お答えいたします。
 当委員会で、玉城委員からも対米申し入れ及びその回答はどうなったかという御質問がございまして、それ以来、外務省としては連日アメリカ側に対して回答はいつごろ来るのかという督促をしております。昨日もアメリカ側に対して回答はいつごろ来るのかという話をして、現在のところ私たちはきょうないし明日中に回答が寄せられるという心証を得ております。
○玉城委員 ただいまの問題で、先日科学技術庁が記者会見で発表されたようでございますけれども、その内容を簡単に御報告いただきたいと思います。
○穂波説明員 お答えいたします。
 一昨日、四月七日に、米原子力巡洋艦ロングビーチの沖繩寄港に伴う放射能調査結果ということで私どもが発表いたしましたその内容は、同日、四月七日に開催いたしました放射能分析評価委員会及び原子力軍艦放射能調査専門家会議が、三月十六日から十七日にかけて、及び三月二十一日から二十二日にかけて、沖繩に寄港しました米原子力巡洋艦ロングビーチにかかわる放射能調査についての審議を行った結果でございます。
 最初に申し上げました放射能分析評価委員会の審議は、三月に二度にわたりまして沖繩ホワイト・ビーチに寄港しましたロングビーチの出港後に採取いたしました海水及び海底土について財団法人日本分析センターで行いました核種分析結果についてでございまして、その結論は、分析センターが行いました分析手法は現在の技術に照らし妥当であり、分析値は信頼の置けるものであるということでございました。この分析値のうち有意な値を出しましたものとして判定されたのは、海水中のセシウム137のみでございました。その値も、核実験による影響と見られます従来測定されておりました値を下回るものでございました。
 原子力軍艦放射能調査専門家会議の審議は、いま申し上げました日本分析センターが行った軍艦出港後の海水及び海底土の分析結果に加えまして、ロングビーチの寄港中に変動がございましたモニタリングポストの測定値及び寄港中に現地調査班が採取いたしました海水及び海底土の核種分析の結果、この三点について検討が行われました。簡単に申し上げますと、専門家会議の総合評価の結果は、当該モニタリングポストの測定値の変動は核種分析の結果からは説明づけることはできなかったわけでございます。しかしながら、周辺の一般的なバックグラウンド放射能の増加が認められていないということから、放射能による環境への影響はないと判断されたわけでございます。
 こういう内容を一昨日発表いたしました。以上でございます。
○玉城委員 米側の回答もまだ来ていないわけですね。いわゆる原因の当事者であるところのアメリカ側の回答も来ていないのに、どういうわけでわざわざいまの時期にそういう結果を発表されたわけですか。その真意は何ですか。
○穂波説明員 お答えいたします。
 私どもが発表しました内容につきましては、あくまでも日本側のデータに基づいたものを評価した結果を発表したわけでございます。米側の回答はいまだ来ておりませんけれども、われわれのデータを評価した結果は、環境に対する影響はないという意味で発表させていただいた次第でございます。
○玉城委員 皆さんは、どういうわけで米側にこの問題についての照会を求めたわけですか。理由は何ですか。
○穂波説明員 お答えいたします。
 私どもが米側に外務省を通じまして事情調査を依頼いたしましたのは、一つは、ロングビーチの付近にございましたモニタリングポストの測定値に変動が認められた事実があるわけでございます。なお、その直後と申しますか、時期的に同じくしてとりました海水及び海底土からは特殊な核種が有意量測定されなかったということから、仮に米側に原因があるとするならばそこの原因をはっきりしたいという意味から、外務省を通じまして米側に調査依頼をした次第でございます。
○玉城委員 外務省の方、ちょっと考え方を承りたいわけであります。
 原因者である米側の正式な回答もまだ来ないのに、科学技術庁は危険はないというようなことをどんどん発表しておられるわけですけれども、それについて外務省がアメリカ側に照会されているわけですし、はっきりその原因が明確になっていないのにこういうふうに発表される。むしろ、危険はないというようなことを米側の回答への事前の呼び水みたいな形でやっていらっしゃるように感じてならないわけですけれども、外務省はどのようにお考えですか。
○淺尾政府委員 原子力水上艦艇の寄港について日米間の取り決めがございますけれども、その中で、安全問題について、モニタリングはアメリカ側もやるし、また日本側もやるということになっておりまして、その日本側の主管官庁であります科学技術庁が、入港時において海水サンプルの調査あるいはモニタリングポストによる調査を行っております。今回、寄港時において、平常値の中でございますけれども、若干、三ないし四高いカウントが検出されたということで、そのフォローアップとして科学技術庁自身が環境に対する影響の調査をやるということは、これまた当然のことではないかと思います。
 同時に、われわれとしては、科学技術庁の要請もございましたのでアメリカ側に照会しておるということで、日米双方がそれぞれの調査を行うということは、安全性を確認する上からも必要ではないかというふうに考えております。
○玉城委員 とにかく当事者の正式な回答がまだ来ないわけですから、危険でないのかどうなのかということははっきりしないわけですね。ですから、早く回答を求めて発表していただきたいと思います。
 次に、午前中も質疑が行われたわけでありますけれども、今回のカーター政権によりますところのイランに対する外交断絶の問題につきまして、大臣は大変歯切れが悪い。時が時だけにそういう感じにならざるを得ないのかなという感じもしているわけであります。
 けさ、この問題について政府首脳が会議を持たれたということを承っておりますけれども、どういうことを決められたのか、会議の内容を御報告いただきたいと思います。
○大来国務大臣 けさ政府首脳の会議はございませんでした。午前中、各省関係官会議をやっておるはずでございます。
○玉城委員 その内容を御説明いただきたいと思います。
○淺尾政府委員 私もずっとこの委員会におりましたのでまだ会議の結果について報告を受けておりませんけれども、趣旨はアメリカのカーター大統領の声明についての解説が主たる眼目であるというふうに私は考えております。
○玉城委員 今回のこういう新たな事態に対して外務省としては対応策としてどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○大来国務大臣 今回の措置につきましては、アメリカ側の発表を検討すること、また他の諸国の反応の検討、それから日本の国内の各方面での対応というようなものを早急に検討いたしまして、その上で判断を下そうということでございまして、また十分な検討を経ずに余りに先走った態度をとることもどうかと考えておるわけでございますが、できるだけ早急に対応策を各省とも相談しながら取りまとめていくということになるかと思います。
○玉城委員 この問題について米側から同盟国として協力要請がございますか、ございませんか。
○大来国務大臣 昨日、マンスフィールド米大使が外務省の高島次官を訪ねまして、一般的に今度の措置の内容の説明と従来の日本側の協力に対する謝意といいますか、それから一般的な要請、これはアメリカの政府がアメリカ自身の対策を公表しておるわけでございまして、その内容に沿っての一般的協力要請がございました。
○玉城委員 一般的な協力要請ということですが、具体的な要請はないわけですね。
○大来国務大臣 具体的な点も多少あるわけでございますけれども、それらについては日本側としても十分検討してみないと、内外に対する影響もいろいろございますので、まだ発表の時期には至っておらないというのが実情でございます。
○玉城委員 近々総理が訪米されるわけですけれども、訪米されたときにこの問題は当然議題になってくると思いますが、いかがでしょうか。
○大来国務大臣 どういう形になりますか、それまでにもいろいろな情勢が出てくるかもしれないわけでございますが、当然問題の一つになると存じます。
○玉城委員 午前中の質疑でも、大臣は、この問題についてわが国としても考えてみたいという趣旨のお答えがあったわけでございますけれども、米国もイランもわが国にとっては友好国であるわけですから、アメリカに一方的に追随した形でこの問題の処理をやっていくと大変重大な問題になると思うわけですが、本当にわが国としてこの問題について何か考えていらっしゃるわけですか。経済制裁措置については効果が上がってない、しかしまた軍事制裁もとれない、こういうことがあったら大変なことになるわけですけれども、そういう中でアメリカとしても振り上げたこぶしの持っていき場がなくなっているような状況にあるのではないかというように考えるわけですけれども、やはりわが国としてもただ拱手傍観するわけにいきませんし、そういう重大な事態にならないように真剣に何かを模索する必要があると思うわけです。午前中も何かを考えてみたいということをおっしゃっておられましたので、その点いかがでしょうか。
○大来国務大臣 いまお話しのような点を踏まえて目下検討中でございますので、まだその結論を最終的に得る段階ではございません。
○玉城委員 これ以上この問題についてお伺いしても、大臣、具体的なお話はされないと思いますので、次の問題に移りたいと思います。
 例のイラン石化の問題は、こういう新しい事態が発生しているわけですけれども、外務省としてはどのように考えていらっしゃいますか。
○大来国務大臣 これも各省間の、政府内部での検討を経なければ、それから各種の情勢も見きわめてでないと、はっきりした態度を決めるには至らないと思いますけれども、外務省としてはできるだけ継続したいという考えでございます。
○玉城委員 大臣、この機会にちょっと……。
 いまのそういう米国のイランに対する外交断絶という措置について、万一にも軍事的な紛争に発展するということはあってはならない、させてはならないということをおっしゃっておられたわけですが、もし仮にそういう事態になった場合に、わが国が米国に協力をするとか、そういうことは絶対ないと思いますが、いかがでしょうか。
○大来国務大臣 軍事的な協力をすることは絶対にないと考えております。
○玉城委員 それで、伝えられるところによりますと、日本は安保理事会に立候補するということを聞いておりますけれども、その辺いかがでしょうか。
○大来国務大臣 日本がもしアジアグループの唯一の候補になる見込みが立てば、これは立候補すべきだろうということで内々のサウンドをある程度やっておるわけでございますが、まだはっきりした見通しが立たない段階でございまして、ただいま立候補するともしないとも決めておらない段階でございます。
○玉城委員 一九七八年の暮れにわが国はバングラデシュに負けたわけです。こういうことで、本当に日本という国が世界的に信用されていないのか、あるいはわが国の外交はそういう感じなのかということで残念な思いをしたわけであります。
 そこでこの問題に関連をしてお伺いしておきたいわけでありますけれども、中央アフリカ共和国の駐日大使館が家賃を滞納して追い出されたというような感じで報道されているわけですね。この事実関係をちょっと御説明いただければと思います。
○荒説明員 お答え申し上げます。
 私どもの承知しているところによりますと、在京中央アフリカ大使館は、昨年の五月末、家主との間に賃貸借契約を結びまして、港区にあります家屋を大使館事務所ということで契約を了したわけでございますけれども、昨年の十一月以降家賃が滞納になっておりまして、そのため家主より家賃の支払い請求を受けておったわけでございますけれども、ことしに入っても送金がないということで、当事者間の話し合いで、ことしの一月末で契約を解除しまして二月末に引っ越しを行いまして、現在別のところに事務所を構えていると承知しております。
○玉城委員 その件で外務省はどういう対応をされたわけですか。
○荒説明員 外務省としましては、この問題は先ほど申し上げましたように家屋の賃貸借契約すなわち私契約の問題である、こういうことで一刻も早く契約の当事者間で円満解決を見ていただきたいというのが一般的な態度でございますけれども、ただそういう事態が放置してあるということは好ましくないとわれわれは考えまして、先方政府に対して早急に善処するよう申し入れを行っております。
○玉城委員 家賃を滞納して追い出されたという事実はそうなっているわけですね。そこで、報道によりますと、大使が本国に窮状を訴えに帰ったというようなことなのですが、ウイーン条約の二十二条二項について内容をちょっと御説明いただきたいのです。
○伊達政府委員 二十二条は、外国公館の不可侵、使節団の公館の不可侵を決めている条項でございまして、第一項で、まず不可侵とするということ、それから第二項で、公館を保護するために接受国は適当なすべての措置をとる特別の責任を持つということ、第三項で、差し押さえその他の強制執行を免除されるということが述べてございます。
○玉城委員 そこで二十二条の二項に基づいて、ただいま申し上げました大使館が家賃を払えないということで退去させられた、そういうことについて外務省としてそれでいいのかどうかという問題があるわけです。
 先ほど申し上げましたように、わが国は安保理に立候補したいという意向もあるわけですね。そういう中でこういうふうな非常に感情を害する形でいった場合に、本当に親日国にしていくために外務省としても相当の努力をすべきであって、ただそういうことで、日本というのは冷たい国だ、しかもこの国はいろいろ問題があることは十分知っていますが、中国と日本だけですよ、この大使館を置いているのは。いろいろな窮状があって家賃が払えなくなった、そして出ていけと追い出された。外務省はただ見ていたということであっては、国連でどんなに立候補したって、やはり日本という国は非常に冷たい国だということになる。困ったときには何らかの手を差し伸べてちゃんとしてあげる、そういう努力の積み重ねがあって、安保理に立候補するにしても当選できると思うわけです。いかがでしょうか。
○荒説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の問題についてでございますけろども、私どもとしては、大使館が送金がないということで困っておられる、片や家主の方もそれでもって生計を立てておられるということでやはり困っておられるという両方の状況、事情をよく聞きまして、家主さんの方としては何でもかんでも力づくでも取りたいというようなことすら言っておったわけでございますけれども、片や先生おっしゃるようにアフリカの独立国でございますので、何かアクションをとるについては慎重にやるようにというアドバイスは家主にいたしました。そういったことで、そこら辺のデリケートなことはよく承知しておるつもりでございます。
○玉城委員 ですから、そういうふうにしてわが国に対する理解をどんどん積み上げていかなければならぬのにもかかわらず、そういう家賃程度のことで大変日本は冷たい国だという非常に悪い感じを与えてしまったら、その取り返しはなかなか大変だということなんですね。大したお金でもないと思うのですがね。どうなんですか、これ。そういう中でどんなところに立候補したってだめなんですよ、皆さん方。
○大来国務大臣 これは事務当局からお答えしましたように私法上の問題でございまして、それでは外務省で家賃を立てかえて払ってやるかということになりますと、やはり相当問題があるのではないか。大使館もたくさんございますし、そういう点で感情を傷つけないということは大事でございますけれども、これはやはり独立国である以上、家賃を払うぐらいのことはやっていただきたいということもあるわけでございます。
○玉城委員 そんなことをおっしゃるなら、さっきの条約にもちゃんとあるのですよ。ちゃんと使節団の公館を保護するとか、あるいはそういう特別の責務をとらなければならぬとか、ちゃんと条約にもあるわけでしょう。普通の民間人の問題とこれは違うのですよ。
○伊達政府委員 第二十二条、御指摘のように特別な措置をとる特別の責務を有するということでございますが、この項は、やはり使節団がおります公館が第三者によって破壊されたり、いろいろな形でもってその公館の安全等が脅かされたり、あるいは公館の平常な執務が妨害されたり、ないしは公館には国旗というものがあるわけでございますけれども、その国旗を損傷されたり、そのような国の威厳に対する侵害というものを防止するために措置をとれということを書いてあるにとどまるわけでございまして、家賃の滞納分についてまでめんどうを見ろというところまでは、この第二十二条の規定は及んでいないものであると考えるわけでございます。
○玉城委員 強制退去させられているわけでしょう、原因は家賃の問題でしょうけれども。ですから、そういうときに外務省としてどういう形にしろきちっと何らかのめんどうを見てあげるということが、すなわちわが国に対する理解、あるいは日本という国はすばらしい、こういう評価も受けると思うわけですね。ですから、そういうようなことであったら、今回安保理に立候補したにしても、また前回のような惨めな結果に終わりかねないということを心配するから申し上げているわけであります。
 関連して、渡部先生から質問があります。
○中尾委員長 関連質疑を許します。渡部一郎君。
○渡部(一)委員 先ごろ中東に派遣されました園田特使が先日パレスチナ問題につきましてプライベートな形で御発言になった問題が、中東諸国において非常に問題になっているようであります。
 すなわち、わが党の公明党・国民会議の衆議院議員草川昭三君がアラブ連盟の三十五周年記念祭典に招かれ、チュニスを訪れた際、その前後、該当地域においてアラブ連盟側の代表と面会した際、この園田特使の発言に予想外の強い批判を受けたということを報告いたしております。
 すなわちPLO側は、従来の日本政府の中近東問題に対する発言というもの、態度というものを高く評価しつつも、園田特使の発言は、日本が軍事的にも経済的にも米国に深く依存していることを冷静に前提としながらも、米国追随が激し過ぎる外交であるということ、特にインドの正式招待、積極的なフランス外交との対比を説明しながら、日本政府の外交の主体的な取り組みのなさというものを強く批判しており、特にアラファトのスポークスマンであるラバディ等の幹部は、園田発言について、アンチパレスチナであり、このようなことを言うならばわれわれはアンチジャパンに直ちになるしかない、こう述べており、さらに、草川氏がこの園田発言の報道は真意を伝えていないと説明したところ、彼は中東問題を全然理解していない、しかもこの問題について日本政府は正式にコメントしていないではないか、正式に否定もしていないではないか、このような強力な発言があったようであります。PLO中央委員のアブ・イヤド氏のように、日本の態度はこのところ一貫性を欠いておる、われわれは対日ボイコットを呼びかけたい、このようにも表明をいたしているようであります。
 したがって、私はこの場をかりまして、園田特使が先日御発言になった内容はどういうものであったか、私の聞いているところでは、パレスチナ問題は中東和平の重要なかぎではなく単なる大義名分の一つであると御発言になったようでありますが、これは一体何を意図してこう言われたのか、前後のいきさつ、御当人の発言につき、まず御報告をしていただきたい。
 第二のポイントとして、政府の特使として出た以上、外務大臣あるいは総理大臣は、この問題について、明らかに特使としての旅行が終わられて後の発言ではありますけれども、政府として責任をとられている以上、アラブ側の批判と大きな攻撃の対象になっているこれら発言について政府は釈明しなければならぬ立場に追い込まれていると思うのでありますが、これについて明快なる御所信を改めて示していただきたい、こう思っておるわけであります。
 かいつまんでもう一回申しますと、園田特使発言が非常に多くのPLO側の批判の対象となり、アラブ諸国の一部批判の対象となり、従来からの日本のアラブ諸国に対する政策あるいは中近東外交に対する姿勢が疑われているということ、このような状況を巻き起こした園田特使発言というのはどういうものであったかということ、それに対して日本政府の立場というものを、この際明快に説明されたい。この場の御発言がアラブ諸国に対して明らかにある種の判断をもたらす最初のコメントとなることでありましょうから、慎重かつ厳正にお答えを願いたい。
○大来国務大臣 この問題につきましては、すでに参議院の予算委員会でございましたか、私からも、日本の政府の態度は、パレスチナ問題が中東問題の核心的な問題である、そういう認識に変わりがないということを答弁いたしたわけでございます。また、けさも河上委員の御質問に答えましてさらにはっきり申し上げたわけでございますが、ただいま御指摘のような反響を呼んでおりますとすれば、それは大変残念なことでございます。
 外務省としても、せんだってこの日本とパレスチナの関係、日本とPLOの関係につきましての事実報告も、けさやはりこの委員会で御議論のありました文書をつくりまして、内外関係方面の理解を深める努力をいたしておるわけでございます。したがって、日本政府の従来のパレスチナあるいはPLO問題に対する態度はいささかも変化がないということで、積極的な対応をとりつつあるということを、もしも誤解があれば、これをこの機会に明らかにいたしたいと存ずるわけでございます。
 なお、事実関係についてさらに補足が必要でございましたら、担当の局長からさらに申し上げたいと思います。
○千葉政府委員 政府の態度といたしましては、ただいま外務大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、なお、園田特使が帰国後発言せられたと報道されておりますことにつきましては、私どもがいろいろと承りました限り、必ずしも報道ぶりが真意を伝えていないということが言えるようでございます。報道をされた発言としてありますのは、ポイントが二つ出ているようでございまして、一つは、このパレスチナ問題が中東和平問題のかぎではないと言われたという報道が一つございます。これにつきましては、私どももいろいろ承りましたところによりますと、決してパレスチナ問題が中東和平問題の核心であるという日本の立場というものを変えているわけでは全くなくて、それは当然の前提としてあった上で、なおこのほかにもいろいろと問題があると、たとえば、シリアはパレスチナではございませんけれども、シリアのゴラン高原などをいまだにイスラエルが占領しておる、御存じの国連安保理決議二四二によりますと一九六七年戦争の占領地から撤退せねばならないわけですが、いまだ撤退していない。そういうようなことやそのほかにも幾つかの問題があるので、いわゆるパレスチナ問題だけを解決すればそれではさっとみんないってしまうという意味でのかぎではない、こういうのが特使の御真意であったとわれわれは聞いております。
 また、もう一つは、これも新聞に出ておったのでございますけれども、報道にも二通りありまして、パレスチナ人という報道とそれからPLOがという報道と両方ございますが、いずれにせよ、これはこわもてであるんだと、こういうお言葉があったと報道されていますが、これも、私どもが承ったところによりますと、それは決してそういうPLOないしパレスチナ人を軽視するという意味じゃございませんでして、もとよりパレスチナ人の正当なる権利というものは尊重をし、実現されねばならないというわれわれの態度と特使のお考え方とは変わっておるわけじゃございません。要するに、政治的に無視すべからざる勢力である、PLOというものはそれだけの力があるんだということを、わかりやすく、平易な言葉で御説明なすったというふうにわれわれは承っております。
○渡部(一)委員 私は、園田特使が中近東を歴訪され、困難な諸問題に細かな対応を変転する情勢の中でみごとになし遂げられた功績というものに対して相当の評価をしている一人でありますが、えてしてこうした問題の背景で言い過ぎたりしゃべり過ぎたりすることというのはしばしばあるものでありますから、バックアップというものは外務省として必要だろうと私は思っておるわけであります。ですから、私はことさらにこれを取り上げているわけではありませんが、いまの御説明ですとちょっとひいきの引き倒しになるのではなかろうか。
 たとえば、パレスチナ問題というのは中東和平問題のかぎではないということについては、それ以外にもいろいろな問題があって、ゴラン高原の軍隊の不撤退の問題もあるのだというふうな意味でこれを述べたというのでございましたら、これはまた別個の問題が発生する御説明になろうかと思いますし、また、パレスチナまたはPLOはこわもてであると言ったのに対して、政治的に無視することのできない存在だということを平易な表現で述べたというふうにこれを正当化しようとしたら、かえってこれは奇妙な事態をもう一つ招くのではないか。
 局長はいま、一応園田特使の真意なるものを感じ取られたまま、材料不足のまま述べられたものと理解したいと私は思います。ですから、これはもう少し正確になさった方がいいだろう、そうでないと、このただいまの局長の事実関係に対する補足はかえってもう一つめんどうな議論を巻き起こす種になり、アラブ側を説得でき得る論理ではなくなってしまうのではないかと私は思います。
 したがって、特使自身の釈明あるいは外務省としての特使問題に対する正式な見解表明なり、この際はもっと厳然たる立場でこの問題に徹底的に取り組まれないとめんどうな事態を惹起するのではないかと私は思っておるわけであります。
 その意味で、この問題について先ほど外務大臣は基礎的な対応を述べられました。基礎的な対応は、外務省の方針はいままでも全く変わっていないというのであるならば、園田特使の発言はその雰囲気からいってちょっと離れたものになる、その雰囲気とは離れた方向にあると思われます。
 また今度は、外務省のいままで設定された中近東問題に対する表明は園田さんの言葉で述べられた部分がたくさんあるわけであります。その日本の外交方針の中近東問題に対する基礎をつくられた園田さんがそんな発言をするなら、外務省自体何を考えているのかわからないというふうにもう一つはね返ってくる面もあるわけであります。こういう点を含まれまして、今後の対応をもう少し厳正にしていただき、これに対しての見解の表明を重ねて求めます。
○大来国務大臣 ただいまの渡部委員の御指摘は非常に重要なことでもございますし、私どもの方といたしましても、この件の扱いについて表現その他も含めて十分に検討いたした上で、何らかの形によって正式に外務省の意見を明らかにするような方策を考え、検討してみたいと考えます。
○渡部(一)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○中尾委員長 野間友一君。
○野間委員 午前中からも質疑がありましたが、私もカーター大統領のとりました今回のイランに対する断交の問題についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
 大来外務大臣は、このような措置をとった後直ちに、アメリカのとった今回の措置は理解するというような趣旨の談話を発表されておりますが、まず初めにお伺いしたいのは、理解するという意味ですね、どういうことなのか、お答えいただきたいと思います。
○大来国務大臣 この点につきましては前後のつながりから御判断をいただきたいわけでございますが、理解するということの文章は、「わが国としては、イランが重大な国際法違反を継続し人質解放の見通しが立っていない状況の下でカーター大統領が今回のような措置をとらざるを得なくなった事情は理解するところである。」そういうつながりになっておるわけでございまして、ことに、最近アメリカ側としても事態の平和的解決と人質の解放ということで国連の協力も得、あるいは各種のルートを通じてイラン側との接触に努力してきたのではないか。それに対してイランの大統領も、人質の学生から革命委員会への移管についてかなり前向きといいますか、可能性のある応答をしておったように見受けられるわけでございますが、それが一昨日のホメイニ師事務局の発表によりまして、人質はやはり学生の管理下に置くんだということになった、その辺の事情について理解するところである、五カ月も五十人の人質がとらえられたままになっておるという意味で、こういう表現にいたしておるわけでございます。
○野間委員 そうしますと、理解するという意味合いですけれども、価値判断からいたしますと肯定するとかあるいは評価するというような趣旨での表現なり発言になるわけでしょう。
○大来国務大臣 ここの意味は、気持ちを理解するということのつもりでございます。
○野間委員 気持ちを理解するという意味は、言ってみればとった措置は否定はしないということになるわけですね。アメリカがとった措置に対する評価としては否定しない、こういうことですか。
○大来国務大臣 この点については、その前のパラグラフで「このような事態に立ち至ったことは残念である。」ということを申しておるわけでございます。
○野間委員 残念であるけれども、しかしとった措置については理解するということは、やむを得ない措置と申しますか、否定はしない、言ってみれば肯定する立場というふうに理解してよろしいですか。
○大来国務大臣 その気持ちは理解するということでございます。
○野間委員 新聞報道とかあるいはテレビ等でしか私の方も情報がないわけですけれども、とにかく非常に早く迅速にこういう公式な談話を発表されたということは、外務大臣のこの談話以外に私は各国で見当たらないわけですけれども、その点はどうなんでしょう。
○大来国務大臣 これは一つは時差の関係がございまして、カーター声明が日本には朝になりまして、それに対応が早かったという点もございましょう。ほかの地域ではちょうど深夜から朝になるまでの時間、それからイースターの休みがあったとか、いろいろな事情がございまして、結果的に日本が早かったわけでございますが、特に日本がほかの国より早くしようという意図があったわけではございません。
○野間委員 いまの時点で公式に各国が見解なりあるいは談話を発表した例があるとすれば、どこがどういう評価、談話をしておるのか、ひとつ発言してください。
○千葉政府委員 いま、在欧州の在外公館に訓令をすでにきのうから出してありまして、情報をとるように求めております。逐次報告が入りつつありますが、まだ私どものところにまで届いておりませんので、もうちょっとお待ちいただきたいと思います。
○野間委員 ですから、とりわけ異常に受け取れるわけです。そういう点からしたら、午前中の質疑の中でも、大臣が、必ずしも事前にそういうような連絡は受けてはいない、官房長官も確かに寝耳に水というような表現をしておられるわけですけれども、どうもやはり事前にそういうような連絡なりあるいは通知があったのではなかろうかというような疑いも持つわけですが、全く寝耳に水であったのかどうか、もう一遍確認を求めたいと思います。
○大来国務大臣 今回の、昨日のカーター大統領の声明は全く予告がなかったわけで、官房長官の申したとおりでございます。ただ、従来からの連絡の中で、平和的な手段によって人質の解放あるいは学生の手から革命委員会への移転、そういうことについて極力努力する、それでうまくいかなかった場合には、次のステップをとらざるを得ないのだという趣旨の連絡は受けておりました。
    〔委員長退席、佐野委員長代理着席〕
○野間委員 こういう措置をとることについて事前に連絡がなかった。しかし、今度の措置を見ますと、協力要請がなされておるわけですけれども、この協力要請に対しまして、たとえば昨日、高島次官がマンスフィールド大使の訪問を受けまして、いろいろ話があったやに報道で知っておるのですが、具体的にどのような要請があったのか。とりわけこの協力の要請について、どういうような話があり、それに対して政府、外務省はどのようにお答えになったのか。この点についてお聞かせいただきたい。
○大来国務大臣 マンスフィールド大使が高島次官を訪問いたしまして、第一には、アメリカ政府の今回の措置についての内容の説明があったわけでございます。第二には、従来の日本側の協力に対する感謝、第三には、今回のアメリカのとった措置について一般的に協力をお願いしたいということになるわけでございます。
 内容的な問題等々は、いろいろ慎重な考慮を必要とする、日本政府としても、態度を決めるには、各般の情勢判断も必要といたしますし、国内各官庁の見方も調整の必要がございますし、いまの段階では公表いたすことは避けた方がよろしいと私ども判断しておるわけでございます。
○野間委員 いま、一般的な協力の要請という表現がありましたけれども、いまの段階では具体的にアメリカのとった措置に対して、日本もこれに協力して何らかの措置をとれという要請はあったのか、なかったのか。
○大来国務大臣 アメリカのとった措置についての説明があり、そういう措置についての協力要請といいますか、そういうことであったわけでございまして、ぜひこういうことをやってくれということではございません。
○野間委員 新聞報道等によりましても、要するに一方的な措置をとり、とった後で協力の要請をするというのは理解に苦しむというのが大方の論評のように思うのです。したがってそのような、まさになめられていると言ったらあれですが、そういうことにどう対応していくのか、私はそのような一方的なやり方に対しては、やはり要請があっても拒否すべきではないかと思うわけであります。
 そこで、このマンスフィールド大使と高島次官との会合の中で、新聞の報道によりますと、高島次官の対応と申しますか答えですけれども、「今後とも米国、他の友好国と緊密に協調しながら、日本としての努力をしていく」、そういう応答をされたということでありますが、これはそのとおりですか。
○大来国務大臣 私も正確にどういう発言だったのか承知いたしておりませんが、多分その高島次官の答えの趣旨は、外務大臣談話の最後のパラグラフにあります「わが国としては今後とも米国および他の友好諸国と緊密な連絡を保ちつつ人質解放を含めた事態の早期解決のために努力していく所存である。」そういう意味の努力と存じます。
○野間委員 外務大臣の談話の中で、「米国および他の友好諸国と緊密な連絡を保ちつつ人質解放を含めた事態の早期解決のために努力していく」というのがたしかありますけれども、具体的にはこの趣旨に基づくアクションと申しますか、もうすでに何かおやりになっているのですか。
○大来国務大臣 目下検討中でございます。
○野間委員 午前中の質問の中にもありましたが、四つの制裁措置、これはほとんど、実際いままでやっていることの事後的な追認ですね。そういうことで、さして効果はないであろうという論評も幾つか出ておるようであります。そこで、最も効果的なのは同盟国の全面的な協力、これがなければならない、アメリカとしてもそれを強く求めておるというふうに言われておりますが、日本政府としてはこういう見方に対してはどうお考えでしょう。
○大来国務大臣 特に経済面における措置につきまして、アメリカが従来からとっております、これからさらに強化してまいる措置に対して、西欧諸国なり日本なりに対しての協力を求めるということは考えられることだと思います。しかし、それにどう対応するかは、日本なり西欧諸国それぞれの立場で判断をしていくということになるのだろうと思います。
○野間委員 これまたきょうの新聞報道によりますと、イランのモインファル石油大臣が、制裁に同調した国とか、あるいは敵対国に対しては石油の供給停止をするということを再確認しておる。「日本がイランの友人でありたいと願うなら、その道は今や開かれている。しかし、もし帝国主義の奴隷になろうというなら、それは自由だ」こういう発言があったようですけれども、これに対してどのようにお考えなのか。
 特に、仮に石油の供給の停止というような事態が万が一起こった場合に、大変な影響を受けるということは当然だろうと思いますが、その点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
○大来国務大臣 いま現在日本が輸入しております石油の一割強がイランから参っておりますので、御指摘のように、万一それがとまるようなことがあれば、日本の経済に大きな影響を及ぼすことになるだろうと思います。そういう情勢も含めまして、イランにおける情勢、アメリカの国内情勢、ヨーロッパ諸国の反応その他を踏まえて、慎重に日本としてとるべきコースを検討していかなければならないと思っております。
○野間委員 そうしますと、一応問題を考える場合の前提としては、日本の国の利益とか、あるいは日本民族、国民の利益という点から、仮に同調を求められたとしても、独自の自主的な立場で判断して対応を考えていくということでしょうか。
○大来国務大臣 それは当然日本政府自身の判断で決めるべきことだと思います。
○野間委員 このカーター大統領の声明に関しまして、アメリカの政府高官が背景説明をやったそうでありますが、この報道によりますと、与国が行動せず、その結果人質解放に結びつかなければ、アメリカが追加の制裁を迫られ、その結果与国が影響を受けるかもしれない、あるいは、イランに対して軍事行動をとらないとしたこれまでの方針は本日で終わった、こういうふうにカーター声明に対して背景説明をしておるという報道が出ておりますけれども、これは事実ですか。
○淺尾政府委員 いま野間委員の言及されました背景説明について、私の方では、その内容を含めましてまだ承知しておりません。
○野間委員 ただ、新聞報道では、各紙こういうことが報道されておることは認めますね。
○淺尾政府委員 一般的な報道については承知しております。
    〔佐野委員長代理退席、委員長着席〕
○野間委員 しかも、この背景説明は、直接に表明したのかどうかよくわかりませんが、海上封鎖もある得るというような見方が広まっておるようであります。
 カーター氏のこの措置を見ましても、「私が本日命令を出した諸措置は現時点では必要なものである。これらの諸措置が人質の早急な解放を生まなければ、今後その他の行動が必要となるかもしれない。」「今後その他の行動が必要となるかもしれない。」つまり、軍事介入も辞さないというようなことがここに含まれているというふうに思うわけですけれども、こういうようなカーター大統領の見解に対しては、外務大臣はこれを理解されるのでしょうか、どういう御見解をお持ちですか。
○大来国務大臣 そういう事態にならないことを、日本政府としては強く希望いたしております。
○野間委員 いや、希望はもちろんですけれども、そういう事態が起こり得る可能性がある、こういうような事態になった場合、これは大変なことになると思うのです。そういう事態にならないように願うのは当然でありますけれども、こういうような一つのおどしと申しますか、そういうのは恫喝に当たると思いますが、こういうことまでカーター大統領の発表の中にはあるわけですね。
 そこで、関連して聞きますが、海上封鎖ですが、アメリカがペルシャ湾等において海上封鎖するということは、果たして国際法上根拠があるのかないのか、この点についてはいかがでしょう。
○伊達政府委員 事態がそこまで行っておりませんので、どのような現実の事態になったときにそのようなおっしゃるような封鎖が行われるのであるか、全く想像もつかないものでございますので、法律論としていまここでちょっと申し上げることはできないと思います。
○野間委員 一般的に法律論でお聞きしておるわけです。人質というか、いまありますね、それに対して、アメリカが一方的に海上封鎖するということが国際法的に根拠があるのかということですよ。
○伊達政府委員 やはり、どのような事態かが現実に起こったときに、そのときの情勢、具体的な事実というものをもとにして、国際法的な考え方というものを整理していくということが必要だろうと思います。したがいまして、いまの段階においては、全く仮定の問題として、一般論としてもなかなか申し上げることは困難なことであると思うわけでございます。
 それで、全くの一般論として申し上げますと、人質にとられている米国が実力を行使してその人質を救う行為に出るということ、これまたもちろん状況によるわけでございますけれども、それが国際法上必ずしも違法にはならない、自衛権の行使として認められる場合もあるということ以上に、お答えできない問題でございます。
○野間委員 大変わかりにくい、あいまいな答弁ですが、要するに、いまの時点でもし海上封鎖しても、これは私は国際法的には全く根拠がない、こう考えるわけであります。
 しかしながら、現実にそういうふうな第二の報復と申しますか、制裁ですね、それすらカーター大統領のこの措置の発表の中には含まれている。大変な事態だと思うのですね。
 しかも、言えることは、報復措置、こういうような措置で、果たしてイランとの問題の解決になり得るのかどうか。私は、これは根本的な解決の方法ではない、したがって、日本政府もただいたずらにこれに追随するということは許されないというように思うのです。
 いつでしたか、二月の時点でしたか、私、当委員会におきまして、カーター・ドクトリンあるいはブラウン氏の報告等に関して質問をしたわけですけれども、あの中には、中近東において特にイラン革命を挙げまして、そしてこのイラン革命は米国に挑戦した要因の一つだというようなことが明確に書かれておるわけですね。したがって、このようにして民族自決の権利あるいは天然資源の恒久主権、こういうふうな基本的な権利に対する敵視、こういうところにアメリカの持つ最大の問題があるのではないかというふうに私は思うのです。特に昨今の情勢を見ましても、公知の事実でありますけれども、一九五三年モサデク政権をアメリカがCIAを使いまして倒した、これ以来パーレビ前政権を中東の憲兵として、このことがイラン国民の反発を招いたというところに問題の本質があると私は思うわけであります。カーターの親書の問題もありましたが、実際にいま率直にアメリカがこれを反省し、民族自決権を認め、二度といままでやったことはやらないというような立場を明らかにして謝罪するということが、問題解決の大前提ではなかろうかというふうに思うのです。
 しかしながら、アメリカはいままでこういうことをやっていない。ここに問題があると思うのですが、先ほど申し上げたイラン革命などに対する敵視、そういうような考え方、あるいはパーレビ前国王に対する扱い、こういうところからアメリカはやはり率直に反省する。同盟国といいますか、そういうような態度、立場であるならば、大来大臣はそういう点からもきちっと言うべきものは言うというような姿勢が必要ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
○大来国務大臣 日本としてはやはり日本の国益を踏まえて、かつ日本の外交の基本的な性格は問題の平和的解決、処理ということにあると思いますし、その方向で可能な限りの努力をするということは当然だろうと考えております。
○野間委員 ですから、そういういま申し上げたようなことから考えまして、具体的にアメリカからのそういう措置に対する要請はいまのところはない、そしてまた西側諸国との間においてもいまのところはまだ話し合いなりあるいは協議をする、そこまでいっていない。先ほどの局長の話では、各在外公館を通じての情報収集というような話でありましたけれども、アメリカに追随はしない、わが国の利益あるいは国民の利益を守る、そういう立場で自主的に対処する、こういう姿勢が何よりも必要だろうと思うし、特に先ほど申し上げたような事前に連絡もなしに一方的に制裁措置をして協力を要請する、それに対してこれに呼応して協力するということはもう絶対に許されない、もしあった場合にはそれを拒否するという態度が正しい立場ではないかというふうに私は思うのです。
 私はそういう点をぜひ外務大臣に要求したいと思いますけれども、具体的な措置の要求があった場合にどう対応されるのか、拒否されるのかどうか、私はそれを要求したいと思いますが、いかがですか。
○大来国務大臣 従来の経緯は、御承知のようにイランに対する経済措置、国連の安保理事会に対する米国の提案がございまして、これは安保理のメンバーのうち十カ国が賛成でございましたけれども、ソ連の拒否権がありまして否決になったわけでございます。その後アメリカは単独でもそういう措置をやりたいという意向があったようでございますが、他面平和的な交渉によって、そういう措置をとらないで人質の解放を実現するためにできる限りの努力をするということで、国連の調査委員会等も設けられ、かなり忍耐強い努力をここ二、三カ月にわたってアメリカ側としてもやってまいったように思うわけでございます。しかしその結果、あるときにはほぼ解決に近づいたと思われ、あるときはそれがひっくり返り、また希望が出る、またひっくり返る。最近では、四月一日のバニサドル大統領の発言をアメリカ側は、これは有望である、前向きな発言であるというように解釈したようでございますが、結局その実現を見ないことになったというような経緯がずっとございました。五十人の大使館員が人質にとられてすでに五カ月でございますが、国内の国民感情もいろいろあることかと思いますけれども、そういう一般的な背景がございます。
 対イランの措置につきましては、いまお話ございましたように、この内容が具体化してまいります段階におきまして、日本としてはその対応を考えていかなければならない。一般的には、すでにカーター大統領の昨日の発表の中にアメリカとしての対策が述べられておるわけでございます。そういう内容をさらに検討してみる必要もある。特に経済面での対応ということについては検討していかなければなりませんし、検討しつつあるわけでございますけれども、いまの段階で一々の内容について申し上げることは差し控えたいと思いますし、また全般として、日本の国益を踏まえて世界の情勢を判断しつつ対応していくということになると思います。
○野間委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、いま大臣の答弁の中にありましたが、新聞の報道では、もうすでに具体的に輸出の抑制等についても検討中である。たとえば、新たな信用供与はしないとか、あるいはイランからの原油輸入は昨年の十一月の事件が発生した時点より上回らない、こういうような点について方針を固めたというような報道もありますけれども、実際具体的に、もうすでにきのうのきょう、こういうようなことまで詰めて話がされておるのかどうか、いかがでしょうか。
○大来国務大臣 それは、先ほど申しました国連の安保理事会における否決の後、当時日本側及びヨーロッパ側にアメリカからいろいろな相談があったわけでございます。さらに、国連の否決された米国案の中に、いま野間委員の言われたような点もある程度具体的に盛り込まれておったわけでございまして、そういう点についてのことだと思いますが、政府としてまだそれらについて具体的な結論に達しているというわけではございません。
○野間委員 それでは終わりますが、とにかく自主的に日本の立場、日本国の利益とかあるいは国民の利益を踏まえて、こういうような同調やあるいは協力の要請があっても、断固としてこれを拒否するというようなことをぜひやっていただきたいということを重ねて要求しまして、質問を終わりたいと思います。
○中尾委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 国際情勢について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 その前に、アメリカがイランに対して国交を断絶する、そして日本側に対してそのようなアメリカの政策を支持してくれるよう外務省の方に要請があったやに聞いております。昨日の時点で外務大臣は総理とはお会いになりましたか。
○大来国務大臣 昨日閣議の前、閣議の後、二回相談いたしました。
○渡辺(朗)委員 ただ、その際にどのようなお話があったのか聞かせていただきたいと思うのでありますけれども、大変国際情勢がこんなに揺れ動いている、国民の一人としての受け取り方は、下手をすると日本という国の命取りにもなりかねない、そういう大事なかじ取りがいま必要なときだ、そういうふうな気持ちでいるところに、ある新聞を読んでおりましたら、きのうマンスフィールド大使からそのような要請があった後、高島外務次官は総理に会っておられる。その総理との会談の中で総理の方からこういう言葉があったやに伝えられております。それを読みましてちょっと私は愕然といましました。大平総理はこう言っておられた。高島次官との協議の中で、国際情勢は大変近ごろ揺れ動いており、いつも大変に不透明な状態だ、曇っているのがあたりまえで、気楽にいこうではないか。気楽にいこうではないかと、こういうふうな言葉が使われたという報道を見まして、実は驚いたわけであります。実際にそういうことを言われたのかどうなのか、まずそこら辺、真偽をただした上でないとちょっといけませんので、そういう言葉が使われたのかどうか、まず聞かしていただきたいと思います。
○大来国務大臣 私もその際はこちらの委員会がございまして、次官と総理の会談には立ち会っておらないものですから、どういう話であったのか承知しておらないわけでございます。
○渡辺(朗)委員 真偽のほどをひとつ最初に確かめておいていただきたいと思いますが、まさか外務大臣は、どのような誤解を受けるかわかりませんが、気楽にいこうなどというような発言は軽々にされないだろうと思いますが、大臣、最近の国際情勢に対してどのような御見解をお持ちでございますか。
○大来国務大臣 仮にその新聞の報道のようなことがございましても、これまた前後の関係で判断しないといけませんので、やはり余りかたくなる、余り力んで、かえってそのことのために判断を誤ってもいけないという意味ではないかというふうに想像されるわけでございますけれども、私の立場から申せば気楽どころではないわけでございます。
○渡辺(朗)委員 先ほども外務大臣は、外務大臣としては大変デリケートな立場にもあり、発言一つ一つにも大変気を使っておられる、心を配っておられることを言っておられました。なぜならば、どこから出てくるかわかりませんけれども、確かに文脈の上での片言隻句をとらえてはならぬと思いますが、そのような言葉だけはぜひ慎んでいかなければならないだろうと思います。そうでないと国民の方は迷ってしまいます。
 たとえば、ある方が、アメリカの方とお話をしていて、SALTIIはもう死んでしまった、いやそうではない、まだ生きているんだ、一体どちらが正しいのですか。このこと一つでも国際情勢を見る上に、私は気楽どころの話ではない、大変正確にとらえておかなければならない問題だと思いますけれども、SALTの問題について、外務大臣、最近の国際情勢との関連で、生きているのか死んでいるのか、死に体なのかまだ呼吸しているのか、そこら辺はどのように御判断になりますか。
○大来国務大臣 この件につきましては早速私どもの方からマンスフィルド大使に確かめたわけでございます。その回答は、アメリカの議会筋にSALTIIに反対の人も従来いたんだが、最近の情勢から言うと今秋の議会のセッションの中で批准されることはむずかしいと思われる、ことしの秋までに批准が受けられるということはむずかしいと思われるという発言をしたというのが、私どもの得た回答でございます。私どもは従来のアメリカ政府の発言等からいたしましてSALTIIは生きているという解釈をいたしているわけでございます。
○渡辺(朗)委員 生きている御解釈であるとするならば、これを積極的に促進し、大いに息をさせるように持っていこうという決意も含めての御判断でございますか。
○大来国務大臣 日本の立場としてはそうあるべきだと思っております。
○渡辺(朗)委員 次に、イランの方にそれでは入らせていただきます。
 イラン問題で私は、イランと日本との関係のみならず、近ごろ新聞を見てみますと心配なことは、周辺諸国との関係、特にイラクとの関係が非常に悪化しているように思えます。ここら辺についてまず現状をお知らせいただけませんでしょうか、そしてまた見通しについてもお願いをいたします。
○千葉政府委員 御指摘のとおり両国関係は相当悪くなっておりまして、すでに御存じかと思いますけれども、それぞれ大使館員の引き揚げあるいは退去といったような事態になっております。なお、これはイラン側の発表でございますけれども、国境地帯においてイラク側から武装集団が越境してあの付近を攻撃しておる、大きな攻撃じゃないようでございますが、そういったような御発表もございました。これは前から実は国境地帯におきましていろいろな小競り合いがあったことはあるいはお耳に入っておるかもしれませんが、それらが最近特に全般的な雰囲気が緊張しているものですから、前よりもさらにそういうふうな心理的な大きな影響を及ぼしているのではないかと察せられます。
 といったような状況でございますので、今後この事態が急速におさまって静かになってくれることを願っておりますけれども、イランの革命以来だんだんとこういう悪い関係が培われてきたわけでございますから、やはり客観的に見ましてもまだこういう事態が続くのではないかと思われます。ただし、これが非常に大きくエスカレートして何か全面的な武力衝突に至るといったようなところまでは完全なる徴候は見られないわけでございます。もちろんそういったような事態に急速になる可能性はもとよりこれは否定できませんが、いままでの段階ではまだそこまで事態はいってないというふうに感ぜられます。
 それからもう一つは、やはりあの付近におきまして、御存じのとおりソ連がアフガニスタンに軍事介入しておりますので、あの付近のパワーバランスと申しましょうか、そういったものが非常に崩れやすいということは、イラン、イラクあるいはその他の国々もみなよく承知しておることだとわれわれも考えております。そういうわけでございますので、もう少し事態を見守ってまいりたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 新聞を見ておりましたら、小さく記事が出ておりました。空母コンステレーションがフィリピン沖にいたのが、オーマン沖にいる、つまりアラビア湾岸入り口のところにいる空母コーラルシーと交代するためにそちらに向かったという記事でしたが、まず、このことは事実でしょうか。情報があったらお教えいただきたい。
○淺尾政府委員 具体的に承知しておりませんが、大体事実のようでございます。アラビア湾岸には二空母部隊配置しておりますので、それの交代ということではないかと思います。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、いま海上封鎖という問題がアメリカとイランとの関係で可能性が出てきているわけでありますけれども、現実に入り口のところに米空母が二隻いるわけなんです。現状はどのような態勢になっているのか、アメリカの極東艦隊あるいは他の艦隊がそちらに振り向けられている状態、アラビア湾岸の入り口のところの情勢をもう少し御説明いただけませんでしょうか。
○淺尾政府委員 私たちは三月二十日現在でインド洋に展開しておりますアメリカの艦艇の数を承知しております。一つはコーラルシー、これは空母でございます。それに四隻の護衛艦がついている。それからニミッツ、これも攻撃型の空母でございますけれども、これに三隻の駆逐艦その他がついている。そのほかに中東地域に展開しておりますのは、中東艦隊と申しまして、大体駆逐艦が四隻。さらにその他艦艇を合わせまして総計二十六隻がインド洋全体に展開しているということでございます。
○渡辺(朗)委員 関連いたしまして、ソ連の極東艦隊、太平洋艦隊あるいは黒海艦隊はそちらの方に展開しているのでございますか。
○淺尾政府委員 私の方では、ソ連の艦隊がインド洋にどの程度展開しているかということについては、ここに資料を持っておりません、現在のところ把握しておりませんけれども、一般的にソ連の艦隊もアメリカの艦隊の動向に対して非常に関心を持っていて、アメリカの艦隊が動くところではソ連の艦隊が、隻数その他わかりませんけれども、やはり展開しているあるいは移動しているという情報はございます。
○渡辺(朗)委員 外務大臣、先ほどから同僚議員の質問の中で、アメリカ側のこれからの政策、情勢の推移によっては海上封鎖もあり得るという問題に対して、こちらとしてはそういうことがないように希望しているというふうにおっしゃいましたけれども、いまの御説明を聞いても、現実にいますぐでも海上封鎖は可能だというふうな布陣は敷いてある。したがって、外務大臣は海上封鎖はないことを希望すると言っておられるけれども、いつ何どきでもその態勢があるとするならば、気楽にいこうどころの話ではない、本当に緊迫した、世界各国が努力しなければならない問題がそこにあるように思いますが、大臣、どのようにお受け取りでいらっしゃいますか。
○大来国務大臣 そういう情勢にならないことを強く期待しておるわけでございます。仮に海上封鎖というようなことになりますと、その範囲とか態様とかいろいろな形がございましょうし、それによって具体的な影響も違うわけでございますが、日本のエネルギー消費全体の七三、四%が石油で、その石油の八〇%が中東地域から輸入されておるという事実がございますので、もしそういう石油供給に支障を生ずるようになれば、日本の経済、国民生活にも大きな影響が出てくるだろうと考えております。
○渡辺(朗)委員 私も本当にそのような事態がないことを期待し、希望しているのですけれども、先ほどから同僚議員の方々の質問を聞いておりまして、外務大臣は、米国及び友好諸国との緊密な協力のもとで人質問題を含めましてイラン問題の解決のために努力するのだ、こういうことを言っておられますが、一体これからどのような努力をしていったら目の前にある海上封鎖も含めてアメリカの次の戦略が展開される前の段階で解決していくことが可能になってくるのか、恐らく具体的な案もお持ちであろうと思いますけれども、その一端だけでも教えていただかないと、国民の方は、この事態になっていてもまだ検討しておりますという外務大臣のお言葉だけではまことに心もとないわけであります。その点、どのような腹案をお持ちか、その片りんでも示していただければ結構でございますが、抱負なりをお持ちでございますね。
○大来国務大臣 基本的に日本の立場から申しますればそういう海上封鎖等を含む武力行動が中東地域で始まらないことを強く期待するわけでございますし、また他方において、イランが自国の将来に対する配慮を含めてできるだけ早い機会に人質問題の解決に踏み切る、この双方が日本の立場のみならず世界全体の将来にとってもぜひとも望ましいことだと考えるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 大臣、いまの時点ではそれはなかなか言いにくいことであろうと思います。ただ、お聞きしていると、一体何を日本はするのだろうか、いま国民として受け取っているのは、日本はアメリカに同調できないのだ、だから別の道を歩むのだという面が強く受け取られる反面、やはりアメリカやらほかの国の出方をじっと見ているのだという大変受け身の姿勢というふうに見られる。日本として早期解決のために主体的な努力として何ができるのか、恐らくたくさんはないと思うけれども、それでもできる何かがあるであろうし、そういうものを日本の国民に早く示していただく、このことが大切であろうと思うのです。いまなかなか言いにくいことであろうと思いますけれども、早急に、別の機会にそこら辺の頭をのぞかせていただきたいと思うのです。これは希望しておきます。
 ただ、これに関連してもう一つだけどうしても確認をとっておきたいことがあります。それは、アメリカ側が日本に対して、このようなアメリカの政策をとりました、国交断絶を含めた措置をとりますということを言ってきたのですが、これは一体アメリカの政策を、そのような措置を日本に対して支持してくれ、こういうことでお話があったのでしょうか。それとも米国の国交断絶をも含む対イラン措置、これに対して日本も全面的に同調してくれるように話があったのでしょうか。そこら辺を確かめておきたいと思います。
○大来国務大臣 一方におきましてアメリカ政府のとった措置が公表されて、カーター声明として出ておるわけでございます。他方におきまして、マンスフィールド大使が高島次官を訪れまして、このアメリカの措置に対する一般的な協力を求めておるというのが現状でございます。
○渡辺(朗)委員 本当にそれは大丈夫ですか、一般的な支持といいますか、そういう形で。私は、たとえば日本に対してイラン断交をも迫ることをもあり得るという懸念があるからお聞きしているわけであります。あるいはまたオーストラリアが、何かこれは独自に判断してやっているのでしょうけれども、対イラン断交をも検討中であるというようなニュースを読むときに、日本もそれが迫られる、あるいはまた、それだけの幅を持ったアメリカの全面的対中東政策なりイラン政策、こういったものにいま支持を求められているのではあるまいかと懸念するので申し上げているわけであります。
○大来国務大臣 先ほど申しましたように、アメリカのとった措置は一応明らかにされておるわけでございまして、それに対して友好国の協力を求めるという立場が表明されておるということでございますので、あらゆる分野の問題について検討してみなければならない。それに協力できるのかできないのか、これは先ほど来申しておりますように、日本が日本の国益と世界の将来に対する日本の判断に基づいて対応を決めていくべきものだと存じます。
○渡辺(朗)委員 外務大臣のお話を聞いていると、外務大臣は紳士でいらっしゃるから大変やわらかいお言葉も使われるし、あらゆる分野でアメリカの政策についての検討をしなければ、こうおっしゃいましたが、たとえばこれをもうちょっとかたい言葉で、漢文まじりで書きますと、アメリカは日本に対して、アメリカの政策に対して全面的な同調を正式に要請してきたという言葉になる場合と、それからまた、アメリカの対イラン政策に対して理解と支持を要請したという場合とは何かずいぶん離れてしまうのです。A案でしょうか、B案でしょうか。
○大来国務大臣 いろいろな可能性があるわけでございますが、A案でもない、B案でもない、その中間であるというような場合とかいろいろあると思いますけれども、いまの段階では、その具体的な内容については申し上げがたいと存じております。
○渡辺(朗)委員 深追いをするのは慎みたいと思います。遠慮したいと思います。デリケートな問題への御配慮もあるからでしょう。ですが、本当に困るのです。国民の側は新聞を見たりテレビを見たりして、アメリカと日本との関係、イランとの関係をやはりいろいろ考えています。いまの時代というのは、この間の委員会でも申し上げましたけれども、一般の市民の方々の方がずっと情報量をたくさん持っている。それだけに論議もしている。
 そうすると、たとえば日本というのはこれからどういうふうにやっていくだろうかと大変な関心を持っているところで、ぼやっとしたようなお話であり、あるいはまた、アメリカ側の方は日本に、イランに対して国交断絶みたいなそんなことは要求しておらぬよというようなニュアンスでお話もされる、理解と支持を得たいという申し込みがあった程度であるということになると、何か国民の心配のレベルの問題ではなくて、政府の方が故意に隠しているか、あるいはそれこそ気楽に行こうということでいいかげんに取り扱っているのではなかろうかというので、よけいに心配をするわけです。それであえてお聞きをいたしました。
 何かそれについてもう一言でも所感のほどでも結構でございます、述べていただければありがたいと思います。
○大来国務大臣 いま渡辺委員からも御指摘がありましたように、いまのような情勢のもとで日本のとるべき選択ということは、私どもも非常に真剣に考えておるわけでございます。しかし、何分にもどのような対応をするにいたしましても、国の内外に対する反響は非常に大きな問題でございますし、政府全体としての意思統一も必要なことでもございますし、きのうの朝早く起こったことでございまして、できるだけ早く対応して国民の不安を少なくするということは政府の責任だと思いますが、また一方、余り早急な判断を下す、決定を下すということで後で取り返しがつかないということになっても、これはまた国民の皆様にいろいろな意味での迷惑をかけることにもなるわけでございまして、慎重に、できるだけ速やかにというようなことになるのではないかと考えるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 私は、次に中ソ条約の問題に入りたいと思うのですけれども、これまたいま外務大臣がおっしゃったように慎重に、かつまた急いで、こういうことで心構えは結構でございますけれども、物事は、少なくとも情勢判断みたいなことは間髪を入れずぱちっと出していただかないと、あしたになればまた違うと思うのです、あさってになればまた違うと思うのです。きょうの時点において情勢はどうだということと、じゃきょうの時点におけるその対策は、大きな失敗では困りますけれども、どのようなマイナーなミスがあろうとも、当然国民としても許される範囲内のことであろうと私は思うのです。それをひとつ明示していただきたい。そういう観点から、中ソ条約の問題について次にお尋ねをいたしたいと思います。
 三十年間に及びましたあの中ソ友好同盟相互援助条約、中ソ条約は、四月十日をもって有効期限が切れることになりました。このことについて、まず外務大臣の御所見をお伺いして次に進みたいと思います。
○大来国務大臣 ただいまお話のように、四月十日をもって中ソ同盟条約が切れることになります。中国側は以前から、すでにこれは形骸化しておるというような見解を発表してまいりまして、しかし同時に、この中ソ間の接触は保っていくのだ、両者の委員会の会合も続けていくという意図も示しておるわけでございまして、当面この条約がなくなるということが、この中ソ間の関係に重大な変化をもたらすというふうには見ておらないわけでございます。
○渡辺(朗)委員 四月十日をもって、中ソ間にはいよいよ三十年ぶりに無条約時代が生じるということでございます。そしていま大臣のおっしゃったのには、当面重要な変化がそれからは出てこないだろうというふうなお見通しでございました。
 そこで、一つお尋ねをいたしたいのですが、いままであったものが、たとえ名存実亡であろうとも、あった条約がなくなった、それからまた、それがついこの間のように、国際情勢全体あるいは極東情勢がデタントというものを基調にしているときならばあるいはそうかもわかりませんけれども、何か情勢自体がおかしくなってきている。イランの問題もまた起こりました。そういうところで無条約の状況に入っていったということですから、そこに心配が出てくるので、重ねて、今日の清勢のもとにおいても、無条約ということからは大きな変化が出てこないであろうということを確信を持てるのかどうなのか、その根拠は一体どこにあるのか、そこら辺をお尋ねいたしたいと思います。
○木内政府委員 先ほど大臣から御答弁になりましたとおり、すでに中ソ関係は条約を必要としないような状態にここ数年来推移しておりました。したがいまして、そういう意味では、四月十日から条約が切れても、事態が急に改まったとかあるいは悪化したということはないと思われるわけです。
 しかしながら、他方におきましては、中ソ関係を規律するこれまでの条約にかわる何らかの了解に双方達したいという希望は、中ソいずれも持っておるようでございます。そのための交渉は昨年にも行われたわけでございます。したがいまして、そういう同意はあるわけですが、ただ、遺憾ながら、昨年の暮れからのアフガニスタン侵攻によりまして、中国側は、こういう交渉を当面継続する事態にない、そういう状況にないというふうに判断しておるわけでございまして、したがいまして、ソ連がアフガニスタンから撤退するような状況が現出されれば、また中ソ関係の話し合いというものが再開されるのではないか、かように判断いたしております。
○渡辺(朗)委員 いまのお話を聞いても、ちょっと私は、逆に不安になります。
 むしろ、中ソ条約がなくなったというのは、中ソ間に、友好の関係ではなくて、情勢が悪くなって関係が悪化して、だから延長するとか更新するとかというような事態でなくなったのであって、むしろ緊張激化の方が基底にあるので、それが無条約になったから野放しになるではないかという心配の方がいま大きくなっている、私はそのことを言っているわけであります。
 たとえば、先般もソ連の軍事関係者が言っておられたそうでありますけれども、日本の新聞社の方が中国に行ったときに、極東に対して一定限の軍事兵力を増強していますとそれは認めている。それはあくまでも中国の反ソ政策のゆえである、だから増強しているんだ、ソ連側の方はそういう理由で増強が行われているとするならば、無条約になればよけいにそのことは強化されていく危険性があるのではないかと、実は心配を持っているわけであります。
 この点についてはどのような見解をお持ちなのか、もう一度お知らせをいただきたい。
○木内政府委員 中ソ間の対立が存在しているということ、そのこと自体によって、これがデタントに逆に作用することは一つの事実でございます。
 それから、その事実に加えまして、この中ソ間の条約というものは、日本を共同の敵であるという、現状に沿わないような条文もありまして、中国側はそのこともあわせまして、この条約はすでに意味がないと判断して、今次廃棄に至らしめたものと判断するわけでございます。
 それから、緊張がふえるかどうか、これはやはり、この条約の存在の有無よりもさらに重大なことは、何と申しましてもソ連のアフガニスタン侵攻ではないか、かように考える次第でございます。
○渡辺(朗)委員 この点については、もう一つだけちょっとお聞きしておきます。
 今後近い将来に、アフガニスタンの問題が解決できればと先ほどおっしゃったのですが、それをも待たずに、それとは関係はあるでしょうけれども、一応それは横に置いておいて、中ソの間で一定の関係の修復ということはあり得るのでしょうか。外務省としては、どのような可能性についての認識をお持ちでございましょうか。
○木内政府委員 アフガニスタンの問題が起こりましてからも、たとえば、技術的な側面もございます中ソ国境河川航行合同委員会というようなものは開かれております。
 しかしながら、基本的には、私ども、中国側の要路者から得ております発言によって判断いたしまするに、当面、中ソが交渉を開始するとか、関係を大きく改善するようなもくろみが展開されるとか、そういうことはないと判断いたしております。
○渡辺(朗)委員 時間がそろそろ参りましたので、あと、本当に一、二の質問で終わらせていただきたいと思います。
 外務省の方からの御説明が先ほどもありましたが、中東の方では、アメリカの第七艦隊初め二十六隻もの艦船がインド洋あるいはオーマンのホルムズ海峡の外側の方にはひしめいている。他方また、ソ連の太平洋艦隊初め、どれだけあるかわかりませんけれども、同じようにその地域には集結しているという、一方において緊張状態がある、他方において無条約の時代というものが中ソ間において始まろうとしている。
 それからまた、日本の一番近所であります朝鮮半島において、話し合いが南北の間で進むのかなと思っていたら、何か近ごろの新聞を見ていると不安になります。ゲリラの撃ち合いがあったとか、あるいはまた相手の艦船を撃沈したとか、にわかに緊張激化というような感じも、三十八度線をはさんでするわけであります。朝鮮半島についての最近の情勢認識、これを大臣はどのようにごらんになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大来国務大臣 南北対話の準備会談は、たしかすでに五回開かれておると思います。その間、いま御指摘のような衝突事件が幾つか発生いたしたわけでございますけれども、それにかかわらず、対話は続けるという状況のようでございます。その背景がどういう理由でそういう衝突が起こったかということについて必ずしもつまびらかではございませんが、その南北対話を続けようという点については、北の方も南の方も同意しておるようでございまして、これからどういう成果が出てくるか、いまの段階ではまだ予断できないのでございますけれども、いずれにしても対話の努力は続けて行われている。
 それから、北の方から南の方に武力的な侵入が行われるということはないということを再三中国側が言明しておるというような事情もございます。当面、そういう小競り合いが大きな武力衝突に発展するということは多分起こらないのではなかろうかと見ておるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 そうすると、外務大臣の基本認識は、そのように部分的な問題がいろいろ起こったり衝突があるけれども、基本的な流れは朝鮮半島においては南北対話であり、と同時にそれは緊張緩和への方向に行くだろうという御認識でいらっしゃいますね。
○大来国務大臣 非常に目覚ましい進展が見られるということは、あるいは望めないかもしれないけれども、ある程度緩和の可能性はあるというふうに考えるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 日韓定期閣僚会議はいつ開かれますか。
○木内政府委員 外務大臣にも御相談して進めたいと思っておりますが、基本的にはできるだけ早く行いたいというふうに事務当局では考えております。実際問題としては国内の政治日程等ございますので、早くても九月以降、かように考えております。
○渡辺(朗)委員 それまでにいかがでございますか、北朝鮮に対する対応といいますか、日本の姿勢は何らかの変更をされますですか。特に外務大臣にお尋ねをしたいのでありますが、ケ小平さんは、中国の副総理は、アメリカに対して再三にわたって北朝鮮と接触するようにというような働きかけがあったやに新聞によって拝見しております。そういったものに対してのお考えは外務大臣としていかがなのか。加えて北朝鮮に対する日本政府としての姿勢はどのようなものになっていくのか、現状においての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○大来国務大臣 現状におきましては、南側におきまして大統領の暗殺というような事件があり、その後の体制づくりについていろいろな動きが見られる状況でございまして、こういう情勢があるところで、北との関係については日本としてもかなり慎重な態度をとっていく必要がある。現状においてはその必要があるのではないか。南と北が微妙なバランスによって衝突を免れる、平和が維持されておるという事情も考えられますので、現状におきましては慎重な態度で臨むのがよろしいかと思っております。
○渡辺(朗)委員 何か御追加のことありますか。
○木内政府委員 先ほど、ケ小平がアメリカと北朝鮮の接触を勧めているというような報道があるという御指摘でございましたけれども、実際問題としましては、中国は北朝鮮のハンドリングにつきましてきわめて慎重であり、それはアメリカが韓国の参加しない北朝鮮との接触はあり得ないということを再三主張していることを中国側も承知いたしておりますことと、北朝鮮は、韓国とアメリカを交えての直取引はやりたがっていないという側面から、恐らく私どもの聞いておることと多少事実は相違しているように思います。
○渡辺(朗)委員 時間が参りましたのでやめますが、外務大臣、どうもいまいろいろお聞きしておりましても、朝鮮半島、中国、ソ連あるいは中東、何か気楽どころではありませんで、いても立ってもおれないような情勢だろうと思うのですが、こういうときに外務大臣、再度私は申し上げるのですけれども、じっとして何か慎重に慎重にとおっしゃるのではなくて、慎重であってもせめて西ドイツくらいまで飛んでいくとかあるいはまたフランスあたりにも飛んでいくとか、そしてそれぞれ向こうの政策責任者、政府首脳ともお話し会いをする、そういうようなお気持ちはお持ちではございませんですか。いまこそすべきだと思うのですよ。
○大来国務大臣 国会の審議にある程度のめどがつきましたら早速飛んでまいりたいということで、いろいろまたお願いをいたすことになるかと思いますが、その節はどうぞよろしくお願いいたします。
○渡辺(朗)委員 どうもありがとうございました。
     ――――◇―――――
○中尾委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とハンガリー人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口是巨君。
○谷口委員 私は、ワシントン条約、すなわち絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約に関して若干質問をいたします。
 近年、動植物に対する愛護の精神、自然保護、こういう考え方が世界的に急激な高まりを見せております。また、自然環境を保護し動植物の生存を図ることは人間の責任であるし、また自然の生態系からいってもきわめて重大なことであり、今回のいわゆるワシントン条約に関しては、私は絶滅のおそれのある動植物の取引について国際的に規制しようということは非常に意義のあることだと認識をいたしております。
 その一面、絶滅のおそれがそんなになくてももしこういうことになっていくとすれば、現在このような仕事に携わって生活を営んでいる多くの中小零細企業の人たちが生活の危険を恐れることもまた一面否定ができない面があると思うのであります。非常に私は重大な問題だと思います。
 そこで、動植物の保護と生活権の調和、これが図られなければならない面があるわけでありますけれども、現在は保護意識という精神面がどちらかというと先行しておるような感じがするわけでございますけれども、その点に関する国際的な認識というものを外務省としてどのように持っておられるか、伺いたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。
 確かに先生のおっしゃいますように、最近におきまして一部動物愛護家などの間に急進的な動きなどが見られまして、そういう報道も私ども見たり聞いたりしているわけでございまして、先生御指摘のようなそういう傾向もあろうかと思うわけでございますが、資源が豊富な場合にはこれを経済的に利用することは何ら問題ないわけでございますが、しかし、また他方、絶滅のおそれがあることがはっきりいたしております動植物につきまして、これが絶滅するということが現実になりますと、これを利用しております業界にとりましても大変困ったことになるわけでございまして、いわば元も子もなくなるということでございますので、結局、自然保護という立場と関係業界の立場は、やはり基本的には、長い目で見た場合、一致しているのではないかというふうに私ども考えるわけでございます。
 ただ、この条約に加わることによりまして直ちに業界の方々の間に生活不安を生ずるというようなことはぜひ避けたいというふうにも考えますし、そういう観点から慎重に検討いたしまして、必要最小限度の留保を付して加盟の御承認をお願いしている次第でございます。
○谷口委員 動植物の保護、それから生活権の調和、国としても非常に重大に考えておられることはもうよく了解いたしますが、その場合に、生息の実態をある程度正確に把握することが非常に大事であろうと私たちは考えるわけであります。というのは、いままで外国とのいろいろなこういう交渉に当たって、その実態についてのそれぞれの認識にかなり差があって交渉が難航しているということも幾つか実例があるわけでありますから、これは非常に大事だと思いますけれども、そういう実態調査に対する認識はどのように考えておられますか。
○関説明員 先生おっしゃいますように、実態調査の必要性につきましては、私どもも十分認識しているつもりでございまして、この条約の規制の対象となっております品目につきましても、ほとんどそれが海外、しかも開発途上国に生息しているものが多いわけでございます。それで、開発途上国におきましては資源の分布状態についての正確な資料とか統計というものが往々にしてない場合がございまして、そういう点からも実態調査というものはぜひ必要なわけでございまして、従来からも、わが国の関係業界を中心といたしまして、政府もこれに協力するという形で、通産省からの補助金あるいは助成金、あるいは外務省もこれに便宜供与をするというような形で、実態調査等に努力いたしております。このため、五十五年度の新予算にも、そういう調査を基礎にいたしましてさらに増養殖を図るという見地からも予算が計上されているわけでございまして、タイマイ等につきましては通産省に一千四百万円、それからトカゲの増養殖の可能性につきましてFAOに研究を委託するための経費といたしまして、外務省に三千七百万円ばかり計上されております。
○谷口委員 わが日本民族も動物愛護ということには非常に深い関心があるわけでございますけれども、世界の動物愛護運動家にとっていま認識を持たれておるのは、どうも私たちが考えている以上に、日本民族というのは野蛮性が強い、あるいは動物をどんどん殺していく、こういうふうな認識があるように映りますけれども、こういう考え方を今後どのように政府として、外務省としては解消していこうとするのか、その辺の外務省の認識を伺っておきたいと思います。
○関説明員 イルカあるいは鯨、スッポンなどの品目につきまして、わが国がこれを無用に乱獲しているとか、そういうような批判が往々にして海外で行われていることは御承知のとおりでございます。これは文化、あるいは物の考え方の相違に起因することのほか、あるいは事実を誤解しているとか、あるいは偏見に基づく場合もありまして、一々のケースについて画一的に議論することはむずかしいわけでございますけれども、外務省といたしましては、本省及び在外公館を通じまして平素からわが国の自然保護分野での施策をPRしておく必要を認識いたしまして、できる限り広報活動の面でもこれを推進しているつもりでございます。
 ちょっと具体的に申し上げますと、電話、手紙による抗議が在外公館あるいは本省に直接参る場合がございますけれども、こういう質問や抗議に対しましてはできるだけ懇切丁寧にわが方の立場や事実を回答するほか、日本の専門家が海外に行くような場合には、その専門家の方にテレビに出ていただいて日本の実情をよく説明していただくとか、情報文化局長の外国人記者との懇談、あるいは報道関係者の日本への招待、あるいは団体、学校等に対します直接工作というような手段を通じまして、PR活動に努めております。
○谷口委員 真剣に取り組まれておると思いますが、要するに結果としてはなかなかそれがうまくいっていない面もあろうかと私は思いますから、今後はますます真剣な取り組み方を要望しておきたいと思います。
 それから、これは個別に入りますけれども、先ほどお話がありました、日本がいま特に言われているのがイルカだとか鯨だとかスッポンだとか、こういうことになるわけでございますが、イルカにつきまして、私たち動物園その他で見るイルカというのは、きわめて人間に愛きょうを振りまき、かわいい姿に映るわけであります。ところが、漁民にとりましては、これはもう反面海のギャング、こういうふうな認識が持たれるぐらい相当ひどいわけであります。
 実例を挙げますと、御承知のようにいま一番批判されております長崎県の壱岐、ここで大きなイルカの問題があるわけでありますけれども、御承知と思いますが、壱岐の漁協というのは古来から非常に資源を大事にしてきまして、一本釣りを主体として資源の枯渇を防いできた。自分たち当代だけではなくて将来にわたる資源であるという認識から、今日まできわめて資源を大事にしてきたわけであります。ところが、そういう精神だけではやっていけない状態が今日来ているわけです。これはもう国もよく御承知のとおりであります。
 この問題について、今度の条約が発効いたしますと、このイルカに対する捕獲だとかあるいはいろいろな問題についてどういうふうになるのか、これを伺いたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 いま先生御指摘ございました壱岐の漁民の方々のイルカの追い込み、捕殺の問題でございますが、対象になりますイルカ、主としてバンドウイルカ、オキゴンドウイルカだと思いますが、これはこの条約の附属書IIに掲げられておるイルカに当たるわけでございます。ただ、漁民の方々が追い込みをされております場所はわが国の海岸から非常に近いところでございまして、明らかにわが国の領海内で行われておることでございまして、この条約上、わが国の管轄のもとにおいて行われる資源の処分は何ら条約の規制の対象になっておりませんので、条約上の規制は何らかからないことになります。
○谷口委員 これ以上この問題について余り触れるといろいろな問題がございますが、非常に長崎県としても重要視している問題であります、したがいまして、御承知のように、捕獲した場合一頭について一万円というお金を県が補助しているわけですね。また、破砕して肥料に充てるというために機械を購入したのを二分の一補助している。こういうふうな問題がありますし、五十三年度には大体二千頭を超える分が捕獲されたし、五十四年度は約三千頭が捕獲されたわけですね。これの被害が、私も現地をよく知っておりますが、とにかくイルカがたくさんおりますともう漁獲はゼロに等しいわけです。たとえば魚をつり上げます、ブリでもつり上げますと、途中で胴体がちぎれて頭だけ上がってくる、こういうことすら再々あるわけですね。したがいまして、大体五、六百隻が操業しておるわけですが、被害額は大体六億か七億くらい見込まれるわけです。こういう問題について国はもう少し真剣にどうすべきなのかということを考え、またその対策を急がねばならぬと思うのですね。
 ごく最近のことでございますけれども、外国の愛護運動家が、捕らえたイルカに対して実力行使に踏み切った。ある夜ゴムボートに乗りまして、その現場に行って網を切った。何百頭かのイルカが逃げたわけでありますけれども、この問題でたしかきょうが初公判じゃないかと思いますが、こういう問題を含んで非常に重大な問題となってまいりますから、今後の取り組みについて根本的な考え方、そういうものを、個別にわたらなくて結構ですが、どういう方向で急ごうとするのか、決意のほどを伺いたいと思います。
○関説明員 関係業界の利益とかあるいは海外におけるこの問題についての報道ぶり等いろいろ問題点があるわけでございますけれども、外務省といたしましては、やはり業界の利益その他いろいろな要素といいますか、そういうものを常に念頭に置きながら、この問題について今後の事態の発展を見詰めつつ適切な対策をその都度真剣に考え、また必要な場合には関係省庁とも十分御相談の上適正な施策をお願いいたしたい、そういうふうに考えております。
○谷口委員 決意を聞きましたが、これは各省にわたる問題でもあり、また非常に国際的な問題であり、将来非常に大きな要素を含みますので、大臣から一言決意を伺っておきたいと思います。
○大来国務大臣 この問題につきましては、やはり一方において野生動植物の保護ということについて国際的なイメージを改善していく必要がございますし、他方、国内の業界等に対する影響をできるだけ低めていく、そういう方向でこの条約の実行に当たっていくということかと思います。
○谷口委員 では次の問題に移りますが、ウミガメ科のタイマイについて伺います。
 これはたしか今度の留保する分に決定がされたと思いますが、どうなっておりますか。
○関説明員 留保されております。
○谷口委員 たとえばこのタイマイにつきまして、いろいろこの数年間、条約が批准されるぞということになりますと、急激に輸入量が増加したり、あるいはやみルートでもどんどん入ってきたとかいうことで、資源が非常に急激に減少しているということを聞くわけであります。
 たとえば長崎で言いますと、三つの組合がございますけれども、相当な人数がこれに従事しているわけです。生産額にしても二十五億円ぐらい減っておりますし、また販売額としても百から百二十億円ぐらい、これは長崎県にとっても非常に大きな影響を与えているわけでございますが、四十八年は七十三トン、それから五十三年、五十四年、四十トンから六十トンですか、こういうふうにだんだん変わってきているわけでございますが、今後の輸入の見通しはどうなっておりますか。どのように見込んでおられますか。
○水野説明員 先生いま御指摘ございましたように、タイマイ、べっこう製品の原料になるカメでございますが、これの輸入の数字は、繰り返しになりますけれども、最近の数量は大体四十トン前後でほぼ安定しております。先生おっしゃられましたように、若干時期によりまして七十トン、あるいは五十四年におきましては六十四トン、こういった数字がございますが、この数年間はほぼ四十数トン、四十一、二トンというところで安定いたしております。
 ただ今後は、まさに御審議いただいておりますワシントン条約、これの関連で、国際的に見ましても資源がきわめてタイトな方向に移っていくことになるのは間違いがないことだと考えております。当然のことながら、批准国が増大いたしますので、その分だけ数量が減ってまいります。そんなことでございますので、私どもとしましては、今後輸入を一層秩序化いたしまして、そういうこととともに、こういった資源、希少な資源ということが言えましょうか、そんなものの有効利用といったことを推進してまいる、こんなふうに考えております。
○谷口委員 この資源の確保というのは非常にむずかしいと思うのですね。要するに輸入を正常化して正規のルートでこれをどんどん輸入してくる、いわゆる正規のルート以外のものは防ぐ、こういうことがやっぱり非常に大事になってくると思うのです。したがいまして、今後十分注意しなければいけないのは、駆け込み輸入、何かあると危ないと思ってどんどん輸入してくる。この駆け込み輸入についての対策、これはもう貿易管理令の整備によって秩序ある輸入をということになりますが、これは十分にやっていかなければならぬと思います。
 また、産地中小企業の対策臨時措置法の業種の指定にこれを入れて保護していかなければならないと思いますが、これに対する考え方はどのようにお持ちでございますか。
○水野説明員 中小企業の産地法でございますが、これは昨年から実は業種指定が行われております。昨年第一回の業種指定が行われまして、それから引き続きまして本年第二回の業種指定がことしの四月の五日に行われたところでございます。
 ただ、現在の産地法、実はその指定要件というのが政令で決まっておりまして、この政令には、こうした輸入原材料の急激な減少といった事態は必ずしもございませんので、その辺を含めまして、現在私どもといたしましては、タイマイを産地法に指定すべく検討中でございます。
 それから、先ほど先生おっしゃられました輸入規制につきましても、先生おっしゃられましたような方向で留保はいたしますものの、輸入数量割り当てといった形で、べっこう原材料の秩序ある輸入を推進したい、こんなふうに考えております。
○谷口委員 この留保につきまして、たとえば一定の年限か何かがあるものか、それとも、いまのままでは期限がなくて、いつまでも留保するものなのか、その基本的なことを伺っておきたいと思います。
○関説明員 期限なしで留保することにいたしております。
○谷口委員 もう一度通産省に伺っておきますが、現在ワシントン条約の国際承認を背景にして、輸入業者が相当買いあさりを行っている。そして、特に零細業者に大きな混乱を与えている様子があるわけですね。この問題について、速やかに貿易管理令を整備して、安定供給あるいは秩序ある輸入を図るべきだという声がありますけれども、通産省として現在どのように考えておられますか。
○水野説明員 私ども産業の立場から、このタイマイの留保というのをお願いしてまいったわけでありますが、留保いたすだけでは当然のことながら、いま先生おっしゃられましたように輸入が無秩序になるおそれがございます。もともとタイマイは附属書Iに掲げられた種でございますので、国際的に絶滅のおそれのあるという認識の中での留保でございますので、私どもといたしましては、御指摘の輸入貿易管理令を活用いたしまして、このタイマイのべっこう製品の原料になるもの、これについて現在輸入規制を行いたいということで検討中でございます。
○谷口委員 このタイマイについて、業者も政府も、これにかわるものがないかということで相当苦労をされたようでございますが、私が聞いている範囲内では、これにかわる代用品がなかなかないということですが、その辺はどうですか。
○水野説明員 ワシントン条約の話が昭和四十八年あるいは四十七年ぐらいからいろいろ議論をされておりますが、その間関係業界でも、いろいろと代用品等を開発すべく研究はいたしておるようでございます。私どもも、そういう場で議論に加わりながら進んでまいったわけでございますが、タイマイ以外のカメが代用になるかということにつきましては、品質の問題等がございまして、現在のところ、これは絶対というような代用品はなかなか見つけることが困難でございます。
○谷口委員 代用品がないというのが定説のようでございますが、それについて過去に、日本たいまい協会が主体となりまして、長崎県、長崎市が出資し、通産省も助成金を出されたと思いますが、現地調査をいたしましたね。このときの報告書の中に、これは通産省が直接やることだけではありませんけれども、いろいろ述べてありますね。第一には輸入量の規制、特に甲長七十センチ以下の剥製の即時輸入禁止、第二に、資源国と共同でタイマイの生態調査、人工ふ化、養殖事業の推進、三番目に、資源国の研究者を日本に受け入れ、指導育成する、こういうことを含めて五年、十年先の長期的視野が必要だと強調しておりますが、このことについてどのように認識されておりますか。
○水野説明員 タイマイの調査団は、実はこれで二度目くらいになるわけでございますが、報告書は当省の方に先週末に送られてまいりましたので、私まだしさいに検討はいたしてございませんが、いま先生が御紹介されましたような形でのポイント、一つは輸入規制の問題、それから剥製につきましては、これはどうしてもぜいたく品的なことになりますし、しかもこれは一番生殖能力といいますか、そういうものの強い段階での捕獲ということになりますので、それの全面的な禁止を含めまして、輸入規制につきましては、私ども先ほど御説明いたしましたとおり考えております。
 それから、いまの養殖の点でございますが、これは代用品がなかなか見つからないということもございまして、増養殖というものが中長期的にこういった地場の貴重な産業を保護していく非常に貴重な対策であろう、私どもこう考えておりますので、この増養殖については大いに重点的に進めてまいりたい。そんな意味で、冒頭外務省の方から御説明ございましたように、私どもの来年度予算で、とりあえずフィージビリティースタディーのための調査費というのを計上いたしたところでございます。
 そんなことで留保をお願いし、かつ産地法とかいろいろな対策も含めながら、全面的に地元の産業が困難に陥らないように対処してまいりたい、こんなふうに考えております。
○谷口委員 タイマイについては、今度批准することは一応留保されました。しかし一方では、これはわが国もワシントン条約の精神を十分に尊重して配慮していかなければならないと思うのです。そのためにはタイマイの養殖を図る、あるいは資源の保護、こういうことで政府としても総合的な政策をやらなければならぬと思います。真剣にやっていただきたいのですが、これをやるにしても、一つの省だけではなかなかいかぬ。外務省は条約のことが主体でありますけれども、条約を結ぶ以上、これを抑制していく以上、外務省も大きな力を関係各省に働きかけてやっていただかなければならぬわけですが、そのことについて大臣の最後のお話を伺って、しかもその具体的な対応策を伺って、私の質問を終わることにしたいと思います。
○大来国務大臣 ただいまの点につきましては、先ほど来お答えしてまいったことでございますが、国内の関係もいろいろございますので、調整を図りつつ対外的な期待にこたえていくという考えでございます。
○谷口委員 終わります。
○中尾委員長 玉城栄一君。
○玉城委員 私は、租税関係の条約につきましてまとめてお伺いをいたしたいと思いますが、まず最初に、日英租税条約改正議定書についてお伺いをいたします。
 イギリスにおきましては、一九七三年四月から配当に対する課税方法を大幅に変更したとのことでありますけれども、いかなる理由によって課税方法を変更したのか、変更の内容についてお伺いをいたします。
 二点目に、条約の対象税目として新たにイギリス側に開発用地税及び石油収入税が加えられておりますけれども、いかなる理由によってこの二つの税目が新たに加えられたのか、課税の対象はどのような内容の所得について行うのか、お伺いをいたします。
○源氏田説明員 お答えいたします。
 まず、日英租税条約におきまして今度改定を行いました理由でございますが、これは、イギリスで一九七二年に税制改正を行ったわけでございます。これに基づいた改正というふうに御理解いただきたいと思います。それで、イギリスで税制改正を行いましたのは、従来イギリスでは法人の所得に対しまして留保分と配当分とを問わず四〇%で課税していたわけでございますが、そういたしますと、配当につきましては、さらに個人、株主が受け取りました段階でまた所得税が課税されるということで、いわば二重に課税されるという意見があったわけでございます。それで、二重に課税されることによりまして、法人に対する投資というか、株式による資金調達というものが阻害されるというような考え方がございましたので、それを調整いたしますために、配当に対する法人税というのは所得税の前払いであるというふうにみなしまして、これを個人段階におきましてその個人が配当に関して払います所得税から税額控除を行うというふうな制度を採用したわけでございます。したがいまして、条約は従前の一律に四〇%で課税するという制度に基づいておりましたので、これを改正しませんと、イギリスが税制改正に伴いまして法人に対する税率を五二%に引き上げたこともございまして、わが国の投資家に対する租税負担が、イギリスの国民及びすでにイギリスと租税条約を結んでおります諸外国、たとえばアメリカであるとかフランスであるとかそういったようなところと比べまして増大しているというふうな事情があったわけでございます。それで、これを調整いたしますために、今度条約改正を行いまして、これらのすでに条約を結んでいる国及びイギリスの国民投資家と同じように、イギリスから税額控除と申しますか、タックスクレジットと言っておりますが、それが日本の一般投資家にももらえるようにした、それが条約改正の主な内容でございます。
 それから、開発用地税及び石油収入税でございますが、これはイギリスが現在ございます条約締結後に導入いたしました新税でございまして、一九七六年に導入したわけでございますけれども、開発用地税と申しますものは譲渡収益税の加重税的な性格を持っているもので、土地の処分によって実現した開発利益に対してキャピタルゲイン税にかえて課税される税であるわけです。これも所得に対する税でございますし、それから、石油収入税といいますのは、イギリスの国内、領海、大陸棚等で、原油生産を行う企業に対して売り上げ総利益を課税標準として課される税でございますが、これも法人税の特別税的な性格を有しているということでございますので、これも所得に対する税というふうに観念できますので、これは新たにイギリスが導入いたしました税も租税条約の対象とするということで、所得に対する税についての二重課税を排除するという趣旨を徹底したものでございます。
○玉城委員 わが国の対英投資家の実情と申しますか、概略御説明いただきたいと思います。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 わが国の対英直接投資額は昭和五十三年度におきまして六千六百万ドル程度になっております。また、同年末累計額は十七億五千六百万ドルでございます。この総額は、アメリカ、インドネシア、それからブラジルに次ぎまして第四位となっております。また、対欧州投資額の約半分を占めております。
○玉城委員 次に、ハンガリーとの租税条約についてお伺いをいたします。
 一九五六年に動乱があって久しいわけでありますが、現下のハンガリーの政治、経済情勢をどのように受けとめておられるのか、ことに対ソ関係はどのような現状になっているのか、御説明いただきたいと思います。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 ハンガリーにおきましては、御存じのとおり一九五六年にハンガリー動乱がございまして、その後成立しましたカダル政権が社会主義国家としての枠組みの中で漸進的に自由化を進めてまいりました。いわゆる市場経済原理をある程度取り入れまして着実な実績を上げております。その結果、全般的に申しましてハンガリーの政治情勢は安定していると考えております。ただ、最近の国際経済情勢の不安定さに伴いまして、特に貿易依存度が高い国柄でもございますので、経済的にはいろいろ困難を抱えているというふうに聞いております。そういう中にありまして、ハンガリーとしましては、できるだけ産業構造の一層の近代化と、それから輸出商品の国際競争力の強化、そういったものに力を置いて諸施策を行っているというふうに聞いております。
 また、対ソ関係につきましては、ハンガリーはコメコンの加盟国でございますし、またワルシャワ条約機構の加盟国でもございまして、対ソ関係を最優先的に考えている、そういう中で、同時に東西間の緊張緩和ということで、特に全欧州安全保障会議でございますか、その成果を確実にするべくいろいろ努力をしているというふうに聞いております。
○玉城委員 条文の中に、事業所得については、相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合、それに帰属する所得に対してのみ相手国で課税できることになっているわけでありますけれども、この恒久的施設に該当するものがハンガリーとわが国と双方それぞれどのくらいあるのか、お伺いいたします。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 現在のところ、この条約に申しますところの恒久的施設が日本側からハンガリー国内に設置されている状況あるいはハンガリー側から日本側に設置されている状況はないと承知しております。
 ただし、駐在員事務所は若干ございまして、ハンガリーにつきましては六社ほどが駐在員事務所を置いているというふうに聞いております。
 また、日本におきましてはハンガリーと日本の合弁事業としまして日本ハンガリー蜂蜜株式会社と称する会社が設けられてございますが、これは先ほど申しました恒久的施設に該当するものではないというふうに了解しております。
○玉城委員 船舶や航空機の運用によって生ずる所得については免税となっているわけでありますが、航空機の乗り入れば現在日本とハンガリーの間にあるのか、また、ハンガリーは内陸国でありますし、船舶についての規定を他の租税条約と同様に設ける必要があったのかどうか、その点をお伺いいたします。
○堂ノ脇説明員 日本とハンガリーの間には航空機の相互乗り入れの状況はまだございません。それから船舶につきましてはハンガリー籍の船舶が日本に、本邦に入港した実績は過去五年間に二隻ございましたというふうに聞いております。
○玉城委員 次に、ポーランドとの租税条約ですが、七六年六月に基礎食糧品価格の値上げ反対で暴動が発生したとのことでありますが、この問題はどのように解決をしたのか、現在のポーランドの政情の現況について概略御説明をいただきたいと思います。
 この条約もう一点。一九七六年から始まっている第五次五カ年計画はどのような成果をおさめたと評価をしておられるのか、特に農業問題、それから対西側累積債務増大の問題、それから消費財需給のアンバランスの問題等につきましてお伺いいたします。
○堂ノ脇説明員 お答え申し上げます。
 ポーランドにおきましては先生御指摘のございましたとおり、一九七六年基礎食糧品の値上げ問題がございまして値上げを試みたのでございますが、ポーランド国民の反対によりまして、これを撤回したことがございました。実はポーランドにおきましては、一九七〇年にも同様な食糧品の値上げに関する暴動がございまして、その結果として現在のギエレク体制が発足したわけでございます。七〇年代を通じまして前半は経済計画の実施状況も非常に成績がよろしゅうございまして、平均しまして五カ年間で九・七%程度の成長を遂げたということでございますが、その後七〇年代の後半に入りましてこのような高度成長政策のひずみが出てまいりまして、またそれに加えましてエネルギー危機とか国際経済情勢の悪化、そういう条件が重なりまして、非常に経済的には困難な状況にある。特に昨年一九七九年には成長がマイナスの結果に終わったというふうに聞いております。
 そういうことから、ことしの二月行われましたポーランドの統一労働者党の大会におきましてやロシェビッチ首相が責任を問われまして退陣するというような状況が起こっております。
 それから、御質問にございました第五次五カ年計画の達成状況は、そういう状況でございましたので達成はほぼ困難であるというふうに見られております。
 それからまた、消費財の需給アンバランスにつきましても、ポーランドではこの状況がかなり厳しいと言われておりまして、積年の農業生産の不振とそれから輸入抑制政策、そういったことからポーランド国内では需要の増大を満たすだけの供給が十分行われてないという状況が存在しておるというふうに聞いております。そういう中にありまして、ポーランド政府としては需要の抑制とそれから産業構造の転換、そういうことを通じて経済の発展に鋭意努力している。そしてまた、今年一九八〇年から始まります新しい五カ年計画におきましては、これまでの五カ年計画の約半分の成長率を見込んだ経済成長を図っていくという政策をとっているように了解しております。
○玉城委員 最後に、現在わが国とポーランドとの貿易の現状、それから今後の展望ないしポーランドと日本との人物の往来の状況、商社とかあるいは長期滞在者あるいはスポーツ、芸能、文化人の交流の現況について概略御説明いただきたいと思います。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。
 わが国とポーランドとの貿易関係でございますが、一九七八年までは東欧でも最大の貿易相手国でございまして、往復三億ドルを超える貿易を行っておりましたが、その後のポーランド経済情勢の逼迫によりまして日本からの輸入を制限しているという状況もございまして、一昨年、昨年と貿易総額は若干減ってきております。総額でたしか二億ドル余りになっておりまして、依然としてわが国の出超が続いているという状況でございます。
 それから人の交流につきましては、ポーランド側の統計によりますと、一九七八年十月から七九年九月までの一年間に日本からポーランドに渡航しました日本人の数は、全部で九千五百名という数字が出ております。それからまた、日本にポーランドから参りましたポーランド人の入国者総数は、七七年の日本側の統計によりますと約千二百名ということになっております。
 それから日本の企業の進出状況でございますが、約十六ないし十八程度の企業が支店もしくは駐在員事務所を置いてございますし、またジェトロも事務所をポーランドに設けております。
 ポーランド側から日本に進出しておりますのはアグロポールと申します貿易会社、これは合弁事業でございますが、このほかポーランド航空、それから海運会社が二つといった程度でございます。
 以上で先生の御質問にお答えしたことになるかと思います。
○玉城委員 スポーツ、芸能、文化人は。
○堂ノ脇説明員 スポーツ関係につきましては詳しい数字を持っておりませんが、日本とポーランドの間で文化取り決めがございまして、それに基づく文化人交流の計画も話し合いが行われております。ただ、具体的な数字は、残念ながら手持ちでございません。
○玉城委員 以上でございます。
○中尾委員長 土井たか子君。
○土井委員 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約について質問を申し上げます。
 パンダはなぜこの条約の対象にならないのですか。
○関説明員 お答え申し上げます。
 パンダは絶滅のおそれのある非常に希少価値のある動物でございまして、当然附属書のIに記載されても不思議はないと思われるわけでございますが、パンダの生息地が中国の特定の地域に限られておりまして、中国政府の保護施策も十分行き届いているようでございますし、他方また、国際取引の対象にもなっていないようでございますので、そういう理由から恐らくこの附属書に掲載されるに至らなかったのじゃなかろうかと思われます。
○土井委員 このことについていろいろ討議なさるという機会がおありになったのか。また、そのことについては国際間に暗黙のうちに了解というものが成り立っているというふうに理解をしておいてよろしゅうございますか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 私、この会議に参加いたしましたので、そのときの記憶でお答え申し上げますが、本来ならばパンダは対象になる動物であろうということが代表団の中で話題になったのは事実でございます。ただ、附属書にどのような種を載せるかという場合に、特に生息しております地が一カ国の場合には、やはりその国の要請と申しますか、申し出がないのに勝手に載せるのもなんであろうという議論がございまして、交渉のときには中国が参加いたしておりませんでしたので、そのような事情で載らなかったわけでございます。
 ただ、そのときにも、パンダのように非常に有名でございまして、ほっておいても密輸出とかそういうものがされるようなものではない、したがって、中国が参加して要請があるまで取り上げなくてもいいのではないかというのが、非公式な各国代表の感触であったと思います。
○土井委員 わが国の場合、一画の地に生息し、しかも絶滅のおそれがあると考えられる動物がありますか、ございませんか。いかがでございますか。
○関説明員 トキとかオオサンショウウオとか、そういうものが現在掲載されております。
○土井委員 トキ、オオサンショウウオなどが代表的なものだという意味でいまおっしゃったのか、それとも、掲載をされているという本条約の付表に従っておっしゃったのか、いずれでございますか。
○山田(中)政府委員 条約を交渉いたしました際に、日本に生息いたしますものにつきましても、このような条約をつくって国際協力を求める以上、やはり日本からも提案した方がいいというのが当時私ども外務省の考えでございまして、少なくとも特別天然記念物に指定されておるようなものは載っけたいということで、トキとかオオサンショウウオをわが方の提案で載せたものでございます。
 ただ、先ほど先生おっしゃいましたように、必ずしも日本のみに生息しておって絶滅のおそれがあるもの全部を網羅した作業を交渉のときにしたわけでございませんので、条約に入りますと、今後とももう少し作業をして、必要なものについては考えていかなくてはならないと思います。
○土井委員 一九七二年にストックホルムで、例の国連環境会議がございましたが、そのときのテーマは「かけがえのない地球」ということで、大変全世界の注目を集めた会議でございました。あれから八年たちますが、その会議の成果というものがどのような形であらわれているというふうに見ていらっしゃいますか。いかがですか。
○関説明員 一九七二年のストックホルム会議におきましては、いろいろな勧告が行われておりまして、その勧告を網羅した行動計画が採択されております。
 たとえば、ただいま御審議いただいておりますこの絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約とか、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、移動性の野生動物の種に関する保存条約というものが、このストックホルム会議におきまして採択が勧告されているわけでございまして、これが現時点におきまして現実のものになっているわけでございます。このうち、ワシントン条約と海洋汚染の防止に関する条約が今国会で御審議をお願いしているわけでございます。
○土井委員 私の記憶に間違いがなければ、大来外務大臣もこの国際会議には関係をされたお一人であり、有力な日本の代表のお一人であったというふうに記憶をいたしておりますが、間違いございませんか。
○大来国務大臣 私も、先方主催者側の方から、民間ベースのフォーラムがありまして、それに呼ばれましたことと、同時に日本政府の代表団にも加わって、大部分の会議に出席した記憶がございます。
○土井委員 その国際会議のことで、これは今後の問題についていささか自分からの反省も込めて問題にしなければならない数点があるように私思われてならないのです。
 それは、当時環境庁長官は大石長官でございまして、演説が非常に格調が高いということで日本への評価がある一定度あったわけでありますけれども、しかし、その大石長官は演説の翌朝帰国をされる、そして、その後を受けた北原大使も会議半ばでジュネーブに帰られる、かわって小木曽大使にバトンタッチされるというぐあいに、わずか二週間の国際会議の間に日本の首席代表が三人もかわるという、これははた目で見てもどうも日本というのは本気になってこの問題に取り組んでいるのかどうか疑わしいような状況というのが繰り広げられたということを、私たちも承知しているのですが、こういうふうなありさまであったことが事実であるかどうかということと、このことは環境問題に取り組む日本の姿勢を示すことにとってはやはり非常にマイナスに働いている面が強いと思うのですが、これに対しての御見解をひとつ改めてお伺いしたいと思います。
○大来国務大臣 環境問題があのストックホルム会議で非常に世界的な注目を引いたわけでございまして、日本の国内でも、このストックホルム会議の前あたりから環境問題が大きくクローズアップされてまいったと思います。それで、その会議におきましては、そういう種類の国際会議にまだ十分になれていない、またいろいろな面での専門家が十分外国語で議論に参加する経験も不十分だったというような点もあったと思いますが、一面、海洋廃棄物の問題などは日本の代表がかなり積極的に参加いたしまして、これがその後の条約にもなっていったわけでございますので、確かに国際的な評価が十分であったかどうかという点は問題があったかと思います。
 ただ、その後の八年間を振り返りまして、一ころ日本は空気や水の汚染の代表的な国だというような国際的な評判も立ちまして、日本は環境保全を怠ることによって産業の競争力をつけているんだというような趣旨の日本についての本などもあらわれたわけでございますが、最近に至りますと、水や空気の汚染について日本が過去に、それ以来達成しました成果について再びかなり評価が出ておるように、私どもいろいろ外国の人たちに接して感じておるわけでございまして、ことに空気の汚染、特に硫黄酸化物の汚染の大幅な引き下げ、その他水質汚濁の改善等、実績においては日本はかなりの成果を上げたと言ってもよろしいのではないかと思います。
○土井委員 大臣、硫黄酸化物の引き下げなどとおっしゃると、これは物議を醸しますよ。
 いまNOxなんかについての基準値を緩和したという問題は大変論議を呼んでおりまして、全国で財界、業界からの圧力に屈したという意味で、学識経験者を初め自治体の中では、〇・〇二PPmから〇・〇四−〇・〇六に緩和をしたといういきさつについても非常に論議を呼んでいるのです。なぜ緩和をしたのか、もとの〇・〇二PPmに戻すことが当然ではないかという住民からの切なる声も出てきているのです。SOxは確かにおっしゃったとおり落ちているのですが、しかしNOxが従来のままの取り扱いの中でずいぶん公害関係の被害者、特に公害病に認定される患者数というのは全国でふえていっているのですよ。だから安易に大臣がそういうふうにおっしゃいますと少し問題がずれますから、それはその点は不用意な御発言はひとつ重々御用心をなすった方が私はいいだろうと思います。いまのその御答弁でよろしいですか。外務委員会でもそういう御答弁をなさるということになると、これは問題ですよ。
○大来国務大臣 それで私はNOxは申さないでSOxの方を申し上げたわけでございますけれども、いろいろな問題があることは承知いたしておりますが、最近多少いろいろ仕事も変わりまして、十分にフォローアップをしておるというわけではございませんが、各国の例等から見まして相当な努力を払っている国の一つだということは言えるように思っておるわけで、決してこれで十分だというつもりではございません。
○土井委員 ストックホルム会議で当時の大石環境庁長官は、先ほど大臣がおっしゃったとおりで、大気汚染や水質汚濁に非常に悩んでいる日本の現状というものを全世界の人にひとつじっくりと見てもらって、そして環境保全のための努力を世界的に払う必要があるのではないかという、そういう切なる認識と要望から、第二回会議を日本で開きたいということをかねがねお考えになっていたようです、そして、そういうことをこの席でひとつ意見として公表したいというふうなお気持ちもおありになったようですが、第二回開催を日本でするということが取りやめられたというふうないきさつについて、かの地、つまりストックホルム会議の席でいろいろ問題になったのは、大石長官の一般演説の前夜になって、そういうことを発言しないようにという訓令が外務省から届いたということが言われておりますが、そういうことが事実あったのかどうか、外務省としてはどういうわけで第二回の開催地を日本にということについて消極的であったのか、その間の事情を御説明いただきたいと思います。
○関説明員 まことに申しわけございませんが、私自身そのあたりの経緯につきまして必ずしも事実を詳細にフォローしておりませんので、はっきりしたことはお答え申し上げかねますが、第二回会議の開催につきましては、当時の首席代表である大石元環境庁長官がはっきりと、わが国は次の環境会議の開催についてあらゆる協力を惜しまないということは確かに言われたわけでございまして、ただ、第二回会議の開催につきましては各国の間にもいろいろ意見がございまして、これを第一回と同じように大々的に開催した方がいいのか、あるいは管理理事会を拡大して――八二年にちょうど十年目に当たりますものですから、この十年間の業績を回顧したような会議を開いた方がいいのじゃないかという意見も非常に強うございまして、現在UNEPの事務局はそういう考え方で八二年に管理理事会を拡大して開催するという方向でやっておりまして、これを国連加盟国とか、そういう特定の国に開催してもらうことを要請することを考えていないようでございます。
○土井委員 特定の国で開催することを要請しないというふうな向きもいまおっしゃいましたが、その後、国際会議は開かれずに今日に至っているんですね。もう十年もたとうとしているのですが、国際的な会議を持って環境保全の実を大いに上げなければならないという、国際的に一つの合意と申しますか、そういう認識があると申し上げなければならないと思いますが、日本としては一体どのように考えていらっしゃるのですか。
○関説明員 先ほどお答え申し上げましたように、八二年の管理理事会を拡大して開催し、国連に加盟している、あるいは加盟していなくてもすべての希望する国が参加できるようにということで、事務局はこの八二年の会議開催に重点を置いているようでございます。
 そういうことでございまして、特にわが国がこれを招聘するということを検討していることはございません。
○土井委員 何だかよくわかったようなわからぬような御答弁なんですね。このストックホルム会議で、当時日本としては国連環境基金に一〇%の拠出をはっきり約束をしてきているのですが、その問題は中身が現状はどうなっていますか、そしてその後どういう努力を日本としては払ってこられていますか。
○関説明員 国連環境基金の年間予算は大体三、四千万ドルでございますが、日本政府はその一割に当たります分を拠出するということで従来やってきておりまして、今後もそういう方針で対処していこうと思っております。五十五年度予算にはそのために三百六十万ドルを計上させていただいております。
○土井委員 事務局を設置するのについて、これはジュネーブというふうな意見が当初あったやに聞いておるのですが、日本としては事務局設置について一体どこに置くことを主張されたんですか。
○関説明員 当初は日本政府といたしましては会議開催の便宜上あるいはジュネーブの方がいいかというような意見が強うございましたけれども、その後の各国の意向とか特に開発途上国の意向等を勘案いたしまして、ナイロビに設置することに賛成いたしました。
○土井委員 そのナイロビ設置に日本としては賛成をされたわけですね、いまのその御意見からすると。そうでしょう。そのナイロビに設置するということからすると、いわゆる第三世界に国連機関の事務局が置かれるという意義から考えて、これはその意義は少なくないと思うのです。そういうことからすると、その後こういうふうな私が申し上げたような意味というのがどのように生かされていますか。これが一つと、日本から何人この事務局に派遣をさせているのですか。
○関説明員 現在環境計画の事務局には邦人職員は三名派遣されております。
 それから第一の御質問の点でございますが、日本政府といたしましては開発途上国の環境問題についての意向を十分尊重して、経済あるいは技術協力の面での施策にそういう意向を強く反映させたいという願望を持ちまして従来から種々の施策を進めてきているわけでございますが、特にASEANとかあるいはESCAP、これは国連のアジア太平洋経済社会委員会でございますが、こういう開発途上国と話し合う場で十分に意見を交換いたしまして、そして日本の外交施策に開発途上国の意向をくみ取った施策が反映されるように努力いたしております。
○土井委員 いま開発途上国の問題に質問の内容が移っていっているのですが、御承知のとおりに、例のストックホルムの国連環境会議の席でも開発途上国側から出された意見の一つとして、開発を今後具体的に促進しようとすると環境保全という問題との接点をどこに求めるかということが大問題になってくる。環境保全というものを考えながら開発に対して取り組むということについては、二者択一的に考えていった場合に、開発途上国からするとやはり開発優先という姿勢が間々先行するという向きもあろう、こういうふうなことが全体の雰囲気としてわれわれの耳にも伝えられてきたわけでありますが、そういう意味で、大きな全世界ということからアジア地域に目を移しまして、このアジア地域の中で特に二国間で環境問題を取り上げて環境外交のあり方を明確にする必要があると実は私は思うのです。開発と環境保全の接点というものをはっきりさせて、環境保全を優先的に考えて、開発途上国に対してもいろいろな援助とか技術的な提携ということを日本としては今後考えていく必要が十分にあるだろうと私は思いますが、この点についてどのようにお考えですか。
○大来国務大臣 この開発と環境の問題について、私も、当時、一九七二年のストックホルム会議の論議を思い出すわけでございます。一面において先進工業国における大気汚染その他の環境破壊の問題が大きな関心になっておりましたが、途上国はむしろ、いま土井さんがおっしゃいましたように開発問題を強く主張いたしまして、私の記憶に残っているのでも、自分たちはクリーンエア、クリーンウォーターを非常に豊富に持っているのだけれども、平均寿命が四十歳にしかならない。先進国は空気と水の汚染があると言うけれども、七十歳以上の平均寿命である。これはわれわれの開発がおくれているからこういうことになるので、もし開発を進めるために必要ならば、これは極端な表現ですが、ウイ・ウォント・ポリューションと言った代表もいたわけでございますが、非常に貧しい国の経済発展、たとえば農業における農薬の使用などと食糧増産の関係がどうなるのかというようなこともその際かなり議論になった記憶がございます。
 確かに、貧しい国の開発と環境の保全とのバランスという点につきましては、それぞれの国の状況に応じた考慮が必要だと思います。工業化を求める声がアジア諸国も非常に強いわけでございまして、一時、日本から工場が進出する、合弁企業などが参りますと、日本は公害を輸出するのではないかという批判も出てまいったわけでございますが、反面、工業化はぜひやりたい、工業製品の輸出もやりたい、それによって所得を上げることが必要なのだという途上国側の強い要望もあるわけでございまして、できれば公害防止の技術を伴った工場の建設というものに協力してまいる。ただ、非常に進んだ国の基準と、いまのように食う物も十分でない国の基準については、貧しい国では開発、生産を高めるということにより大きな重点が置かれるべきではないかと思います。
 そういう点を含めたいまの環境と開発についての考え方、特にアジア地域における考え方については、日本もいろいろな面での経験がございますので、できるだけそういう知識、経験、技術というものを他のアジア諸国にも役立てるように努力すべきではないかと思います。
○土井委員 いまの外務大臣の御答弁から、これは少し具体的になりますけれども、環境問題について、その保全の技術協力の促進、そして環境保全という意味での技術研修生の受け入れ、さらに開発途上国の環境をよくする経済援助の仕組みということなどについても考えていく必要があると思うのです。現にいまいろいろ御努力を願ってお考えをお進めになっているだろうと私は思いますけれども、一体どういうことをやっていらっしゃるのかというあたりを少し御説明を賜りたいと思うのです。
○梁井政府委員 環境問題に関します技術協力でございますが、まず、研修員の受け入れにつきましては、現在JICAで三つの集団コースを持っております。これは環境行政に関するものと、環境技術、さらに水質汚濁の問題、下水道の問題に関する集団研修コースを持っております。それで、研修コースに参加いたします研修員は、大部分が東南アジアから来ておるようでございます。さらに、わが方からの専門家の派遣につきましても、大気汚染、環境行政、環境工学あるいは水質分析等につきまして単発ベースで専門家を派遣しております。それから、私どもは開発調査の段階が非常に大事だと思っておるのでございますが、開発調査をいたしましてプロジェクトのフィージビリティーを一応チェックする、これが日本の将来の円借款あるいは無償協力という形の協力に結びつくわけでございますが、その段階におきまして、私どもといたしましてはなるべく環境問題を考慮に入れた調査をやるべきだろうというふうに考えております。
 先ほど先生の御指摘のとおり、開発途上国側におきましてはやはり生産を重視するという点ももちろんございますけれども、私どもといたしましてはなるべく環境問題を考慮した調査をやりたい。たとえばこのプロジェクトにつきましては、廃棄物処理、大気汚染、排水処理といった問題を考慮に入れた開発調査を行いまして、これが将来のプロジェクトに結びつくようにしたいというふうに考えております。
○土井委員 それほど努力をしていこうという姿勢をいまいろいろ披瀝されているにもかかわらず、この条約の批准がおくれたという理由は一体どこにあるのですか。四十八年につくられて今日までおくれているという事実関係を見ますと、環境外交の取り組みというものは実質的におくれているとしか言いようがないと思うのです。この点のいきさつをひとつ聞かせてください。
○大来国務大臣 環境問題につきましてはいろいろ関係方面が多いわけでございますが、この条約そのものにつきましては、先ほど来議論のございました野生動植物の保護、動物が特に多いようでございますが、それを使っておる中小企業の経済問題等もございまして、そういう面に手当てをするためには、今度は養殖、増殖の可能性を検討しなければならない。いろいろ国内の関係方面、その影響等の検討に手間取ったことがおくれた主な原因だと聞いております。
○土井委員 それに関連する質問を少し後に回しまして、先に大蔵省の方にお尋ねしたいと思います。先日も中島課長に御出席をお願いし、当委員会の条件が満たなかったために、出席をしていただいているにかかわらず質問をしないままお帰りいただくという大変失礼な結果になりました。きょうも御出席をいただいておりますから、先に大蔵省の中島課長に対しての御質問を申し上げて、そのあと、さらに後回しにしている部分についての質問に進みたいと思います。
 この条約の八条の中身を見ますと、「締約国は、この条約を実施するため及びこの条約に違反して行われる標本の取引を防止するため、適当な措置をとる。」こうございまして、「この措置には、次のことを含む。」と書いてございまして、(a)項、(b)項ございます。「違反に係る標本の取引若しくは所持又はこれらの双方について処罰すること。」それが(a)ですね。(b)は「違反に係る標本の没収又はその輸出国への返送に関する規定を設けること。」このようになっておりますが、今回の条約で問題にされます附属書I、IIのそれぞれの動物、植物を見ますと、これは見ただけでも頭が痛くなるような中身でございまして、全部ラテン語の学名で書いてございますから、これはなかなか素人ではわかるはずがないのですね。これはもういろいろな、日ごろ私たちが親しんでいる、動物園に行ったらすぐに子供でもわかっている動物でも、こういうラテン語の学名で書かれてしまいますと何が何だかさっぱりわかりません。税関の皆さん方は大変な御苦労が、この条約が締結されて以後ふえるのではないかと思ったりいたしております。学者でもこれを暗記するなんというのは並み並みならぬことだろうと私は思うのですが、税関体制で、いま申し上げた八条からして一体現状はどうで、そしてこの条約が締結されてから後どのように状況が変わるか、その間をひとつ聞かせてくださいませんか。
○中島説明員 先生おっしゃいますように、確かにまた非常にたくさんの動植物が、しかも耳なれない名前で並んでおりまして、その判定はなかなかむずかしいだろうという御指摘でございますが、私どももそのように考えております。
 問題は、実際に物が入ってきましたときにこの条約で規制の対象となるものかどうかということになるわけでございますが、税関の職員といいましても別に動物学あるいは植物学を専門にやった人間ではございませんのでなかなかむずかしいわけですが、現在この条約の実施体制につきましては関係省庁といろいろ協議をいたしておりますが、その中で大筋として決まっておりますのは、管理当局であります通産省が識別のためのハンドブックというものをつくる。それを各税関に置きまして、そのハンドブックを頼りにまず判定をする。ただ、それによっても、ハンドブックがあればすべてわかるというわけにはいかないだろう、いろいろ疑問が生じてくるものも出てくるだろうというふうに考えておりますので、その場合には科学当局、主として環境庁になろうかと思いますが、あるいは農林水産省の方に協議をして該当するかどうかを鑑定してもらって、その上で決定をするというようなことを考えております。
○土井委員 いまのこの税関の職員の方々の数で十分それがこなせそうでございますか。そして、いまの体制でこなせそうでございますか、いかがですか。
○中島説明員 この問題は、こういう規制の対象となる貨物がどの程度入ってくるかということでございますが、現在の通関統計では必ずしも規制の対象となるものがどれくらい入ってくるかということが確実にはつかめないような仕組みになっておりますので、そこのところでどの程度入ってくるかにもよるのですが、事務量がふえることは事実でございますが、ハンドブックを用意する、あるいは科学当局に相談するということであれば、一応対処できるのではないかというように考えております。
○土井委員 これはいろいろ財政の上から言っても、行政改革が目下問題になっているときですから、人員増というものはなかなかむずかしい問題であるかもしれませんが、税関の皆さん方はこれで仕事が大変むずかしくなるという一面も出てきたりしますから、私は大変だろうと思いますが、条約を締結する以上はこれを遵守しなければならないという国の義務でもございますから、その辺ひとつ精力的に取り扱いを進めていただきますように、そういうことを申し上げて、結構でございます。ありがとうございました。
 先に進みたいと思いますが、先ほど、四十八年につくられた条約であるにもかかわらず日本としては批准がおくれた理由として、この九の種にわたる留保を付すことに対して非常に御苦労をされたということが実はこの批准をおくらせてきた理由であるということも言われました。私はその間の御努力を非常に多としたいと思うのです。これはやはりそれに対しては外務省当局は精力的にいろいろと御努力を払われたに違いないと思いますし、野生動植物の保護をしながら、しかしそれでまた生計を立てている日本の国内の企業との接点で、その御苦労は大変おありになったであろうということはよくわかっております。
 そこでここの絶滅のおそれのある種の中で九つの種について留保をされた中身それぞれを、これから後、外国に対して留保内容について説得性を効かせながら十分納得してもらえるように説明をされていかなければならないということがあると思うのです。留保したから、それで万事、全部納得をしてもらえるというふうになまやさしいように考えたら、甘いと思うのですね。したがいまして、そういうことからすると、今後の御努力も大変なものだろうと私自身も思うのですが、実はここは大変な努力ということを言いながら苦い経験があるものですから、こういうこともひとつ頭の中に置きながら、この御努力方をお願い申し上げたいと思うのです。
 実は国際環境会議のストックホルムのあのときに問題になったクジラの問題なんですが、日本としては当時見通しが非常に甘かったということが、たたかれるような状況をつくり上げることになりました。出発前に外務省は、ワルトハイム事務総長からの勧告として、商業捕鯨の十年間禁止に関する国際取り決め、このことを検討してもらいたいということを受けて、これに対して非常に強気で、捕鯨主要国である日本が絶対反対を唱えればこの勧告案が採択されることはない、必ず何らかの妥協案が出されて日本が不利な状況のまま押し切られるようなことはないだろう、まして採決にまで持ち込まれるようなことは絶対にあり得ないというふうに非常にはっきり言い切って、これには自信満々でこの取り扱いを進められたようでありますが、しかし現実はどうなったかというと、結論はこの採択に対して賛成が五十一、反対がわずか三で、棄権十二という、この結果だったというのは現実の問題です。したがって、大変な惨敗だったということが日本としては言うことができるわけで、こういうふうな状況からすると、甘い読みではなかなかその読みが違ってくるというふうなことも教えられるような苦い経験だということになると思うのですが、いまこの問題について養殖とか生息地の保全確保についてやはりどのような配慮をされているかということを、この留保の問題に関連をして聞かざるを得ません。このことをひとつお答えいただきたいと思うのです。
○関説明員 確かに先生のおっしゃるとおりに、対外的にこの留保を十分納得いくように説明するということにつきましては、非常にむずかしい面もあろうかと思いますけれども、外務省といたしましては、やはり国内業界の利益を十分尊重し、守らなければならないという立場もございますものですから、やはりそういうことでございますので、説得力のある説明を今後展開してまいりたい、今後とも努力していきたいと思うわけでございます。
 ただいま御質問の増養殖の問題につきましては、五十五年度予算につきまして申し上げますと、外務省の予算といたしましてトカゲの養殖について、果たしてトカゲの養殖ができるのかどうか、その可能性についてFAOと協力しまして検討するための予算が計上されておりまして、これが五十五年度予算、これは初年度でございますが、三千七百万円ばかりついております。
 それから、これは他省庁にわたりますけれども、通産省の予算としまして、ウミガメ、特にタイマイでございます。それからワニ、これらの品目の増養殖のための適当な地域の選定、具体的実施方法の検討のための予算が約一千四百万円ばかりついております。
 それから農水産省の予算でございますけれども、小笠原諸島近辺に生息しておりますアオウミガメの増養殖の研究に、これは戦前からも行われているわけでございますけれども、これは都が中心となってやっておりますけれども、これに農水産省が補助金を出す予算を計上いたしております。
○土井委員 そういうことについての御努力方も大変だろうと思いますが、ひとつ進めていただくようにお願いを申し上げたいと思うのです。
 条文でさらに私は少しお尋ねをしたい点が出てまいりますが、それは一条の(e)というところを見ますと、「海からの持込み」という表現がございます。海かちの持ち込みというのは、一体どういうことなんでございますか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 いま先生御指摘ございました「海からの持込み」、むしろなぜこれが入ったかということで御説明いたした方がよろしいかと思いますが、海からの持ち込みを規制するということがこの条文の対象になりましたのには、二つの要素がございます。
 第一の要素は、先ほど先生が御指摘ございました、ストックホルム環境会議での捕鯨に対する非難の高まりがございまして、特にアメリカの民間団体の捕鯨に対する非難が非常に強うございまして、地元のアメリカ政府に強く働きかけておりまして、その規制を「海からの持込み」という形で規制したいというのがアメリカの提案でございました。
 第二の要素は、これはそう大きくないのでございますが、条約の枠組みの問題といたしまして、海産の動物が管轄のもとでとられた場合で附属書に載っております場合には、取引について厳密な規制を受けるわけでございますが、それが泳いで管轄の外に出た場合に条約の規制を全く受けなくなるということでございますと、一つの種についての抜け穴ができる、何とかそれを抑えたいという意味で、海からの持ち込みをも規制の対象にしたいという提案がございました。これに対しまして、先ほど先生も御指摘ございましたようなストックホルムでの捕鯨に関するわが国への批判というものをも考慮いたしまして、これを入れることにいたしました。
 そのときの了解と申しますのは、領海もしくは漁業管轄権の外でとられて、そしてそのままどこかの国に入っていくもの、それを先生御指摘ございました一条の定義のような形で取引としてとらえる、そしてこの条約の規制をかけるということでございます。
 なお、補足でございますが、わが国がこれをのむに当たりましては、特に捕鯨のことが頭にございまして、本来海産の動物の保護というのは別の国際条約の枠組みで行うべきである。したがいまして、それの手当てといたしまして十四条の4項、5項に、ほかの条約で許されておるものについては、この条約上の義務をある程度免除されるという歯どめを入れて受け入れたものでございます。
○土井委員 ほかの条約との関係は十四条の関連でわかるのですが、これは公海でとったものは輸入になるのですね。同じものを領海の中でとった場合は規制の対象にはならないのですね。保護の立場からしたら、一体これはどういうふうに考えたらいいんでしょう。国内法で規制をしていない場合はどうにもならないのですね、領海でとった場合。どのようにお考えですか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 まさに先生御指摘のように、領海内の規制は、領海内での資源を採捕することについての規制は、条約の対象になっておりません。これは陸上の動植物につきましても、その規制自体はこの条約の対象になっておりません
 なぜそのようなことになりましたかと申しますと、この条約を結びますときのそもそもの発端と申しますか、本来、動植物の保護はそれの生息する国が第一義的に責任を持って行うべきことである。しかし、その責任を補完する意味において、取引の面においても制限しようということで、その後者の面をこの条約で規制することを試みたものでございますので、先生御指摘のもとのところについての取り決めは行われていないということでございます。
○土井委員 イルカというのは附属書Iですか、IIですか。
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 一般にイルカと申しますもので、カワイルカの三種と、それからイルカ科の二つの属とネズミイルカ科の二種の属は、附属書のIに上がっております。そのほかのすべてのイルカは、附属書のIIでございます。
○土井委員 日本近海にいるイルカは、どういうイルカになりますか。
○山田(中)政府委員 わが国の近海で見出されますイルカは、バンドウイルカでございますとかオキゴンドウイルカ等でございまして、条約の現在の附属書の分類では、附属書のIIに該当いたします。
○土井委員 学名で言うと、これはソタリアとかソウサとかありますが、これはラテン語で何と読みますか。
○山田(中)政府委員 いま先生お読みになりましたソタリアは、和名ではコガトイルカの属でございます。それからソウサは、ウスイロイルカの属でございます。ただ、これは日本近海にいるイルカではございません。
○土井委員 では日本近海のイルカは、学名で言うとどういう名になるのですか。
○山田(中)政府委員 お答えいたします。
 附属書の立て方が、現在附属書のIに載っておりますものには学名が上がっておりますが、IIにはその附属書Iに上がっておらない、たしかクジラ目だったと思いますが、クジラ目のものすべてが附属書のIIに入りますので、附属書のIIには日本近海のイルカの学名は上がっておりません。
○土井委員 さて、きょうは恐らく長崎の方ではこういう問題の公判が開かれていると思うのですが、もう御案内だと思いますけれども、アメリカ人の動物愛護者が長崎の漁民が捕獲をいたしておりますイルカを逃がしたという問題がございます。動物愛護者の声からすれば、日本はずいぶん残虐なことをする国なんだというふうに目に映るだろうと思いますが、イルカはブリを食べるわけでございますから、そのブリを食べるイルカを捕獲する、そうしてこれを殺すというようなことが、漁民の生活からすると生活権の問題としてございます。
 こういうことからすると、海からの持ち込みになるイルカに、国際的にはどのように日本として話をお進めになるおつもりがおありになるか。そして、いま公判で、裁判で黒白がどういうふうにつけられるかは別として、政府当局として、こういう問題に対しての御見解をいまだかつて私は聞いた覚えがないので、イルカについて取り扱い方はどういうことが適切だというふうにお考えになっていらっしゃるかということも、ひとつこの席でお伺いしておきたいと思うのです。いかがでございますか。
○関説明員 生き物を無用に殺すというのは、本来日本人の性格の中にはないかと思うのでございますけれども、壱岐のイルカの捕獲は、近年非常にイルカがふえてまいりまして、ブリとか、いま先生おっしゃいましたように非常に漁業に被害が出てきておる、そういうことでございまして、漁民がやむを得ず生活防衛のためにやっている面があるわけでございます。その捕獲されておりますイルカの資源状況は、現時点におきましては非常に豊富なようでございまして、現在、私の記憶が正確かどうかわかりませんが、約二千頭ぐらい毎年捕獲されているようでございますけれども、資源保存という点からは、特に問題はないというように聞いているわけでございます。
 ただ、これが海外で、いろいろ偏見あるいは事実の曲解あるいは歪曲等交えまして報道されますと、海外における日本のイメージに与える打撃も非常に大きいわけでございますので、そういうことができるだけないように、外務省といたしましては対外PRの面で従来とも非常に神経を使いまして、各種の対策を講じているわけでございます。
 他方、国内の施策といたしましては、できるだけ捕獲せずに漁業被害を防止するための方法があるかどうかという観点から、昭和五十三年度から予算措置を講じまして、音波等を利用したイルカの行動制御技術に関する特別研究をいたしておるわけでございます。
○土井委員 ただ、イルカの方でも巧妙で、何とか殺さずにイルカを外に追いやるための研究は積んでいらっしゃるらしいのですが、研究が追いつかないのでしょう。やってもやってもだめなんですよ。これはイタチごっこみたいなかっこうになるわけなんですが、基本的には漁業でなりわいを立てていらっしゃる方々からすると、ほかの牛や豚なんかを飼育して、しかもそれを殺して食肉として食している方と同じに、生活が実際としてあるわけですから、イルカだけが特に悪いと言われると、分に合わないという問題も恐らくは反論として出てこようと思うのですよ。
 いま裁判過程にある問題ではありますが、これについて一言外務大臣の方から、外務大臣御自身がどういうお考えを持っていらっしゃるかということもお聞かせいただいて、私は本日の質問を終えたいと思います。
○大来国務大臣 先日、三月の半ばにワシントンに参りましたときに、たまたま下院の外交委員会の委員の方々十人くらいとお会いした、その質問の一つがイルカ問題でございました。それで私もその答えといたしまして、一つは風俗、習慣、社会、歴史、いろいろ違った国で、自分の国の考え方をそのまま他の国に適用することは適当でない場合が多いということが第一。第二に、日本にとってイルカの問題は零細な貧しい漁民の非常に深刻な生活問題である。第三に、日本政府としても電波を使う方法などで殺さないで済む方法の研究はいろいろいたしております、ただ、イルカは非常に賢明な動物なものですから、なかなかうまく電波で駆除できない点もありますというようなことを議会で申したわけでございます。
 イルカは、御承知のようにアメリカでは一種のペットアニマル的な、ことに子供に非常に人気があるテレビ番組などもありまして、非常に広い層の人たちがイルカというものは愛すべき動物だという観念がございますので、アメリカ自身も一ころはたしか二十万頭近く沖で殺していたというお話を記憶いたしておりますが、やはりそういう風俗、習慣の違いを無視して他国に批判を加えるということについては、日本としてもそういう誤解を解くための努力を精力的にやっていかなければいけないのではないかという印象を強く持っておるわけでございまして、単に謝るということだけではなくて、やはり主張すべきことは主張しなければいけないというふうに考えております。
○土井委員 終わります。
○中尾委員長 次回は、来る十一日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会