第091回国会 外務委員会 第20号
昭和五十五年五月八日(木曜日)
    午後二時三十二分開議
 出席委員
   委員長 中尾 栄一君
   理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君
   理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君
      石原慎太郎君    鯨岡 兵輔君
      小坂善太郎君    佐藤 一郎君
      岡田 利春君    勝間田清一君
      浅井 美幸君    玉城 栄一君
      金子 満広君    榊  利夫君
      林  保夫君    田島  衞君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房審議官   高岡 敬展君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  宮本 二郎君
        外務政務次官  松本 十郎君
        外務大臣官房審
        議官      三宅 和助君
        外務大臣官房審
        議官      山田 中正君
        外務大臣官房領
        事移住部長   塚本 政雄君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省中南米局
        長       大鷹  正君
        外務省経済局長 手島れい志君
        外務省経済局次
        長       羽澄 光彦君
        外務省経済協力
        局長      梁井 新一君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
        外務省国際連合
        局長      賀陽 治憲君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力局動力炉開発
        課長      塚田 真一君
        外務大臣官房審
        議官      矢田部厚彦君
        外務大臣官房審
        議官      井口 武夫君
        外務大臣官房審
        議官      関  栄次君
        水産庁研究部長 山内 静夫君
        資源エネルギー
        庁長官官房原子
        力産業課長   熊野 英昭君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  西中真二郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     向 準一郎君
        運輸大臣官房環
        境課長     高島  等君
        運輸省海運局総
        務課長     川口 順啓君
        海上保安庁警備
        救難監     村田 光吉君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月八日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     田島  衞君
同日
 辞任         補欠選任
  田島  衞君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
五月六日
 日本国平和宣言決議に関する請願(天野光晴君
 紹介)(第五三七九号)
 同(粟山明君紹介)(第五三八〇号)
同月七日
 日本国平和宣言決議に関する請願(伊東正義君
 紹介)(第五四五七号)
 同(西村英一君紹介)(第五四五八号)
 同(渡部行雄君紹介)(第五四五九号)
 同(塩谷一夫君紹介)(第五五三三号)
は本委員会に付託された。
     ――――◇―――――
本日の会議に付した案件
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議
 定書の締結について承認を求めるの件(条約第
 一三号)(参議院送付)
 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第一四号)(参議院送付)
 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止
 に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾
 について承認を求めるの件(条約第一五号)(
 参議院送付)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○中尾委員長 これより会議を開きます。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件及び廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件、三件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 私は、日加原子力協定の改正議定書について御質問をいたしたいと思います。
 まず、わが国は核防条約によって、国際原子力機関から原子力発電に関するいろいろなことの査察を受ける立場にあるわけですが、今回のこの日加原子力協定によりましてまたカナダから規制を受ける、こういう関係になりますが、この核防条約の規制と二国間条約のカナダとの関係における規制の相互関係、重複する面もありましょうし相互補完の面もありましょうし、その関係について最初に御説明をお願いしたいと思います。
○矢田部説明員 ただいま先生御指摘のように、わが国は核不拡散条約の締約国である非核兵器国といたしまして、わが国が持っておりますすべての原子力活動に対して国際原子力機関からの保障措置を受諾いたしております。ところで、日加協定におきましては、カナダから受領する物質、施設その他を同様平和目的にのみ使用するということを確保するための保障措置を受諾することになっておりますが、しかしながら、この保障措置は、わが国が核不拡散条約の締約国であるということから、核不拡散条約上、義務として国際原子力機関から受ける保障措置をもってカバーされることになります。したがいまして、査察その他の保障措置に関する限り、核不拡散条約上の義務と日加条約上の義務とは重複することはございません。
 これは保障措置に関してでございますが、さらに日加協定におきまして、供給国が協定の対象物質に対して一定の規制権を持つことが認められております。これは再処理でございますとか濃縮でございますとかいうものに対する事前の同意権でございますが、原子力平和利用を進めていきます上に、保障措置の適用だけでは核不拡散を確保する上で十分でないという認識が近来の一般的な国際的な趨勢となっておりますので、この点は確かに御指摘の核不拡散条約上の義務を若干補足することになっておる、このような関係になっております。
○高沢委員 もう一つ、今度は日米と日加の関係になりますが、わが国がカナダから輸入する天然ウランは、アメリカで濃縮されてわが国へ来るわけであります。したがいまして、日加の協定で規制を受ける、同時に今度は日米の協定でも規制を受ける、こういう関係になるかと思いますが、この日加と日米の関係の、あるいは重複とかあるいは補完関係とかということはどういうふうになるか、ひとつお聞きしたいと思います。
○矢田部説明員 カナダからわが国が購入いたします天然ウランは、ほとんどの場合米国で濃縮されまして、その上でわが国に輸入されることになります。したがいまして、先生の御指摘のございましたように、天然ウランに対する日加協定上のカナダの規制権と濃縮役務に関する日米協定上のアメリカの規制権というものは理論上競合することになり得るわけでございます。したがいまして、そのような二重の規制を受けるということを避ける必要がございますので、日加協定の交渉に当たりまして種々検討をいたしました結果、昭和五十二年十一月にアメリカとカナダとの間で取り決めが結ばれまして、日本がカナダ産天然ウランを米国で濃縮して輸入する場合には、日米原子力協定に基づく米国の事前同意をわが国が求めることで足りるということにいたしました。その場合、アメリカはカナダの事前同意を取りつけた上で日本に対してアメリカの同意を与える、このような手続となることになっております。
○高沢委員 次にお尋ねしたいことですが、アメリカのカーター大統領が、核保有国のふえることを防がなければいかぬ、こういう非常に強い意欲を持たれて、そこで核燃料の再処理に対して制限措置を強く主張された、それを受けて国際核燃料サイクル評価が行われた、こうなっておりますが、このサイクル評価の結論、またその過程で出てきたいろいろな問題点、またそれに対するわが国としての対応、こういう関係を御説明いただきたいと思います。
○矢田部説明員 国際核燃料サイクル評価作業は、カーター大統領の提唱によって行われたものでございますが、その最終報告書だけでも全部で千七百ページという膨大な報告書でございます。したがいまして、その結論を簡単に申し上げることは非常にむずかしいことでございます。そういう意味で、若干舌足らずのところがあるいはあり得るかとも思いますけれども、ハイライトだけを非常に簡単に申し上げますと、これからのエネルギー事情を踏まえまして、本質的に原子力が担っていかなければならない役割りというものが世界的に見て増大していくという認識が、報告書の基本になっております。この点が、報告書の基本的な性格としては第一に申し上げておかなければならない点ではないかと存じます。
 それから、やや各論に入りまして、第一には、将来のウラン資源の需要供給の推移でございますが、この見通しにつきましては、仮に世界の原子力発電計画が、言われておりますところのハイケースで進む場合には、紀元二〇〇〇年で約十二億キロワットの規模に達するということが予想されております。そのような場合を仮定いたしますと、現在の在来の型の原子炉だけを使っておったのではウランの需給はタイトになってくる。必要に応じるだけの天然ウランの供給が足りなくなってくるおそれがあるということ。言いかえますれば、二〇〇〇年前後にかなりの数の高速増殖炉が導入されなければ、二〇〇〇年の時点におきまして、原子力発電の需要に応ずるだけのウラン供給ができなくなるおそれがあるということを言っております。と申しますことは、高速増殖炉の必要性ということを認めたことになるという点が、INFCEの結論としては非常に大きな重要な点であろうかと存じます。
 それから、濃縮につきましても、現在運転中及び建設中の能力を加えれば、一九九〇年代の半ばぐらいまでは一応の需要を満たすだけの供給があるという見通しを立てております。しかしながら、大規模な原子力発電計画を持つ国におきましては、経済性の面で十分な理由があれば、濃縮計画をさらに進める必要ということも認めております。
 以上、各論といたしましては、高速増殖炉の必要、したがってプルトニウムの必要ということと濃縮の必要ということについて、INFCEが前向きな結論を出しておるということを申し上げてよいのではないかと存じます。
 このような結果は、わが国といたしましては、わが国の政策にほぼ合致した方向の結論であると評価いたしておる次第でございます。
○高沢委員 一昨年、一九七八年二月二十五日付のロンドンエコノミストに出ていた記事をいまから申し上げながらお尋ねしたいわけです。
 そのエコノミストの記事によると、ヨーロッパ諸国、ECは最近まで濃縮ウランの九五%まではアメリカから買っていた。しかしいまでは、このいまというのは七八年のことですが、いまでは約半分はソ連から濃縮ウランを買うようになった。それは要するに、ソ連はアメリカほど規制の条件がうるさくないというふうなことがある。それから同時に、EC諸国はみずからのウラン濃縮能力を高める努力をしておる。そこで、アングロ・ダッチ・ジャーマン・ウレンコ・コンソーシアム、これがいまオランダとイギリスに一つずつウランの濃縮プラントを建設中である。また、フレンチ・イタリアン・スパニッシュ・ベルジュアン・イラニアン・ユーロディフ・コンソーシアム、これがいまフランスにウラン濃縮プラントを建設中である。それで来年、来年というのは七九年のことですが、来年までにはこれらのプラントがECの必要とする濃縮ウランの二五%を供給できるようになる。
 こういう記事が、七八年二月二十五日の記事であるわけですが、その後、二年たった現在、こういうふうなヨーロッパの実情がそういうふうになっているかどうかということが一つ。
 それからあわせて、このことに関連して、日本が将来、たとえばソ連から濃縮ウランを買うというふうな可能性は一体どうなのか。あるいはまた日本が他国と共同でコンソーシアムをつくって、それで濃縮ウランをつくるというふうなことをやる可能性はどうなのか。こういう点についてお尋ねいたしたいと思います。
○矢田部説明員 まず第一の御質問につきましては、御承知のように、数年前までは濃縮役務の供給能力を有する国は世界じゅうで事実上米国に限られておったわけでございます。したがいまして、EC諸国の場合にも、九五%、ほとんどすべてが米国からの供給によって占められておったということは事実であったと存じます。その後、先生の御指摘のように、ウレンコとユーロディフというものが発足いたしまして、私どもの持っております資料でございますと、ウレンコは一九七七年から生産を開始いたしまして、昨年、七九年中にはその生産能力は約四百トンSWUに達したということが言われております。それからユーロディフの方につきましても、一昨年末から生産を開始いたしまして、昨年中には約二千二百トンSWUの生産能力を達成したと伝えられております。したがいまして、EC全体をとりますと、現在アメリカに対する濃縮役務の依存の程度が何%になるか、正確な数字はございませんが、相当の自給能力をEC全体として高めておるということは確かであろうと思います。フランスにつきましては恐らくほとんど全部をユーロディフの生産で賄うことができると思いますし、ドイツにつきましても三〇%近くの供給をウレンコによって賄うことができるということになっておろうかと思います。
 第二、第三の御質問につきましては、通産省から御答弁いただきたいと思います。
○熊野説明員 ただいま御質問の第二、第三の点に入ります前に、ただいまの外務省の御説明を若干補足しておきますと、ウレンコは先ほど御説明ございましたように四百トンの生産能力を持っておりますけれども、八五年ごろ一応二千五百トンの生産目標を持っております。それからユーロディフにつきましては、今年度中に六千三百トンSWU、来年、八一年になりますと八千四百トンSWU、それから八二年に一万八百トンSWUという計画で現在着々と進めております。これは最終的生産能力が一万八百トンSWUでございますので、八二年にはフル生産に達するということでございます。
 したがいまして、御質問にございましたソ連への依存度の問題でございますけれども、漸次低下する方向にあるというふうに推定されておりまして、私どもの推算によりますと、八〇年代の終わりにはヨーロッパ全体で見まして大体一〇%前後のものがソ連から供給される契約になっておるのではないかと推定をしております。
 次に、わが国の状況でございますけれども、わが国の電力会社は、濃縮役務につきましてはアメリカのエネルギー省とそれからフランスのいまお話の出ましたユーロディフとの間に長期契約を持っております。これによって手当てをしておりますものは、一九九〇年代初頭に予定をしております、計画されております原子力発電所の発電規模に見合うものに必要な濃縮役務に大体対応しておるわけでございます。
 したがいまして、それ以降どうするかということが次の問題になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、安定供給の確保を図るという観点から、これにつきましては国産化を進めていきたい、こういうふうに考えておりまして、新たに外国から濃縮役務を買うというよりは国産化によって対処してまいりたいというのが基本方針でございます。
 したがいまして、そういう過程におきましてコンソーシアムがどうかということでございますけれども、現時点におきましては、あくまでも九〇年代初頭以降の増分需要に対しては国産化で対処していきたいと考えておりますので、現在のところコンソーシアムといったようなことは具体的に検討はしておりません。
○高沢委員 時間があれなんで次へ進みます。
 カナダの重水炉、CANDU炉を導入する問題。科学技術庁の方では導入はしない、こういう結論をお出しになった。科学技術庁というよりは原子力委員会ですね。それから、通産省の方はその結論に対して異論を持っておられる。また、今度大平総理がカナダを訪問された。カナダとの話し合いの中でこのことも出ておるようでありますが、そういうことも含めながら、科学技術庁側の御見解あるいは通産省側の御見解を、それぞれお尋ねしたいと思います。その中で、今度の大平総理の訪問によってどうなるかというふうなことも含めて、ひとつ御説明を願いたいと思います。
○塚田説明員 お答え申し上げます。
 CANDU炉につきましては、カナダにおいて実用炉として建設、運転されておりまして、また、ウラン資源の有効利用等の面からわが国におきましても関心が持たれておるものでございまして、電源開発株式会社で調査研究が進められてまいっております。
 しかし、わが国への導入に当たりましては、炉の安全性及び信頼性とともに、新型炉の自主開発、核燃料サイクル上の関連性及び経済性など、評価検討を要する問題も多い。このようなために、昭和五十三年四月に原子力委員会に新型動力炉開発懇談会が設置されまして、これらの諸点について検討が行われました。原子力委員会としては、昭和五十四年三月、同懇談会の報告を受けた後、さらに関係行政機関及び原子力関係者等から意見を聞くなどいたしまして慎重に審議した結果、昨年八月に「原子炉開発の基本路線における中間炉について」と題する原子力委員会決定を行っております。そこで、軽水炉から高速増殖炉に移行する基本路線の中間炉としてCANDU炉を導入することについての積極的な理由を、現段階において見出すことはむずかしいと判断せざるを得ない、こういう趣旨の結論を出しております。
 なお、原子力委員会は、原子炉開発の今後の展開をめぐる内外の情勢にもしも変化があり、わが国の路線の見直しが必要とされれば、CANDU炉の問題も含めて改めて検討するということになっております。
 科学技術庁といたしましては、・今後の原子力政策を進めるに当たりましてこの原子力委員会決定を尊重してまいりたい、こういう考え方でございます。
○西中説明員 ただいまの御質問に対しまして、通産省としての立場を御説明申し上げます。
 経緯は、先ほど科学技術庁の方からお答え申し.上げた、おおむねそのとおりでございます。通産省といたしましては、CANDU炉と申しますのは、先生御承知のようにいろいろすぐれた特色も持っておりまして、日本のエネルギーセキュリティーの向上に寄与するという面がいろいろあるというふうなことも考えておりまして、さまざまなすぐれた特色を持っておる原子炉であるというふうに評価いたしておるわけでございます。当面、そういった意味におきまして、私ども通産省といたしましては、導入問題自体とは一応別個の問題ということにいたしまして、内外の諸情勢の変化に即応しまして、将来必要に応じて適切な方途が講じられますように、CANDU炉に関する勉強を引き続き続けてまいりたいというのが私どもの現在の立場でございます。
 なお、今回の日加の会談の関連でございますけれども、まだ詳細、私どもわかっておりませんので、いまそれによって具体的にどうこうということを申し上げることは、ちょっとまだ私ども確信がございませんので、控えさせていただきたいと存じます。
○高沢委員 もう時間のあれで一問しかできないと思いますので、それでは最後に、原子力利用のいわゆる安全性の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 アメリカのスリーマイルアイランドの原子炉の大事故というようなことから、改めて私たちも原子力発電所の危険性については警戒はし過ぎてもし過ぎることはない、こう思っておるわけですが、その関係で、いままでわが国の原子力発電所の関係でたびたびいろいろな事故なりミスがあった、こう伝えられておりますが、それを政府としてどういうふうに全体を評価されているかということが一つ。
 それからもう一つは、定期の検査というものは安全性の確保で大変重要だと思いますが、その定期検査の何か時間的短縮をして稼働率を上げようというようなことを考えておられる、あるいは定期検査を第三者機関に委託しょうということも考えておられるということも伝えられておりますが、そういうことが果たしてあるのかどうか。
 それからもう一つ重ねて。結局いま稼働している原子力発電所は、いずれは償却期間が終わって、そして発電所としての機能が終わる時期が来るわけですが、そうなったときに、膨大ないわば放射能のかたまりというべき原子力発電所の残った施設を一体どういうふうに処理すべきなのか、大変な大問題だと思いますが、そういう点をどのようにお考えか。
 幾つか一遍に言いましたけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○向説明員 お尋ねの初めの二点についてお答えさせていただきます。
 まず、いままで起こりました事故につきましてどういうようなとらえ方をしているかということでございますが、スリーマイルアイランドの事故以降、昭和五十四年度におきまして電気事業法及び原子炉等規制法に基づきまして報告されましたわが国の原子力発電所におきます事故、故障の件数というのは、二十六件でございます。このうち運転中に発生いたしましたものが十四件、それから定期検査等で発見されましたものが十二件でございます。
 これらの事故、故障は、いずれも外部への放射能の影響はなかったわけでございますが、しかし、昨年七月に発生いたしました関西電力大飯発電所一号機のECCS作動事故、それから昨年の十一月に発生いたしました関西電力高浜二号機の一次冷却材漏洩事故、これはいずれも材料ミスというような品質保証活動の不適切さが原因でございました。
    〔委員長退席、佐野委員長代理着席〕
そういうことで、通産省といたしましては、関西電力はもとより、他の電気事業者に対しましても品質保証活動の徹底を指示したところでございます。
 さらに、原子力発電所の品質保証活動につきましては、原子力発電所の機器、装置の設計の段階から運転段階にわたる品質保証活動のあり方ということにつきまして総合的に検討するということで、本年一月でございますが、原子力発電所品質保証検討委員会というのを設けまして、現在鋭意検討を進めている段階でございます。
 通産省といたしましては、その成果を踏まえまして所要の措置を講ずることはもとよりでございますが、今後ともわが国の原子力発電所で発生しました事故等を安全規制に的確に反映させる、そういうことで原子力発電所の安全確保には万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一点の、定期検査の第三者機関の問題でございますが、原子力発電所におきます定期検査といいますのは、電気事業法に基づきまして毎年一回行うことになっております。それで、この定期検査につきましては、いまお話がございましたように米国のスリーマイルアイランドの事故を教訓といたしまして、さらにいままでの原子力発電所の運転実績あるいは定期検査実績を踏まえまして、検査項目あるいは検査の方法を見直しております。さらに、検査体制というものを充実整備するという観点から、定期検査を一部通産局に権限委任をしたというところでございます。さらに、定期検査の強化あるいは基数の増加というようなことに対処するために、電力会社が定期検査中に実施いたします自主検査、こういうことに第三者の専門家が立ち会うということは望ましいことでございますので、こういうような観点から第三者検査機関が活用されるということは望ましいというふうに考えております。
○西中説明員 御質問の原子炉の廃止の話でございますけれども、私どもは通常これを廃炉と呼んでおるわけでございますが、耐用年数の過ぎた原子炉につきましては当然そういう廃炉という処分が必要になってくるわけでございます。やり方自体はいろいろございまして、密閉管理というような形で大体そのまま残しておくというふうなやり方もございますし、あるいは完全に解体してしまうという方法もございます。その中間的な方法もいろいろあるわけでございます。いままで諸外国で、まだ大きなものは余りございませんけれども、小規模なものの廃炉の例は、完全な解体も含めまして若干の例がございまして、技術的な蓄積はかなりできつつあるという状況でございます。
 わが国の場合、実際に原子炉の廃炉ということが生じてまいりますのはまだ十年以上先というふうに私ども考えておるわけでございますけれども、確かに御指摘のとおり、廃炉というのは非常に重要な問題でございますので、いまから長期的に取り組んでいく必要があるというふうに考えておりまして、通産省の方でもいろいろいま勉強を続けておる、実際に廃炉の必要が生じるときまでに私どもとしましても十分な技術を確立いたしまして、適切な措置が講ぜられますように十分勉強してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○高沢委員 質問時間を多少超過しましたが、以上で土井委員に交代をいたします。
○佐野委員長代理 土井たか子君。
○土井委員 まず、ただいまの日加原子力協定改正議定書について若干のお尋ねをさらに進めます。
 核技術がすでに全世界にどんどんただいま広がっていっているわけですが、さらにこれからどういうふうな速度で広がっていくかということは、明確に認識している人というのは少ないであろうと私思うわけなんですが、そういうふうな考えも念頭に置きまして、まず基本的なことからお尋ねを進めてまいります。
 現在、原子力発電炉、これにもいろいろございますから、出力二万キロワット以上といたしましょう。こういう原子力発電炉についていま何カ国が持っているか、合計何万キロワットの発電を行っているか、この点についての数字を、掌握されている限りでお答えをいただきたいと思います。
○矢田部説明員 ただいま先生、二万キロワット以上の発電炉というお話でございましたが、いま私どもの手元にございます資料は実は三万キロワット以上の資料でございますので、その点御容赦をいただきたいと思います。
 三万キロワットの能力以上の発電炉につきましては、一九七九年末現在で運転中のものが合計二百二十八基でございまして、これは二十二カ国にわたっております。その発電容量の総計は約一億三千万キロワットでございます。
○土井委員 それは出典などについても確かめられておっしゃってくださることができれば、ひとつ知らしておいてくださいませんか。
○矢田部説明員 これは日本原子力産業会議の調べた資料でございます。
○土井委員 原子力発電がふえてまいりますと、ここで避けがたい副産物がございます。申し上げるまでもなくプルトニウムなんですが、毎年大量のプルトニウムが生産されてまいります。世界の原子炉から毎年何トンかのプルトニウムが生産されていくのですが、一体どれくらいのプルトニウムが蓄積されているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○矢田部説明員 核燃料サイクル再評価作業の第四グループ、これは再処理に関する作業を行ったグループでございますが、このグループが行いました作業の結果は次のようなことになっております。
 すなわち、全世界の使用済みの核燃料中に含まれておるプルトニウムの蓄積は、一九七七年現在で六十七トンでございます。しかし、これは必ずしもプルトニウムが分離されておるという意味ではございません。使用済み燃料の中に含まれておるプルトニウムでございます。
 それから今後の見通しといたしましては、一九八五年に二百二十七トン、九〇年に五百十七トンというような推定が、先ほど申し上げましたINFCE第四グループのレポートの中に出ております。
○土井委員 ただいまのお答えを承っていて、ちょっとやばい話ですが、気にかかる問題が実は出てまいります。十キログラムのプルトニウムがあれば標準型の核兵器一発が十分つくり出されるという事実でございます。昨年の十月二十五日にアメリカの国務省は、南アフリカ共和国が核実験に成功した可能性があるということを公表いたしました。それよりも古い話になりますが、七四年五月にインドが地下核実験に成功したということでありまして、私たちも非常に衝撃を受けたわけでありますが、いつかどこかでだれかが第二のインドとして登場するのではないかという危惧と不安というのが世界の人々の胸中にあるということも事実だと言わざるを得ません。
 こういうふうな中で南アフリカの核実験成功が事実だといたしますならば、国際政治、軍事面への衝撃というのははかり知れないものがあるということは否めない事実だと思うのです。南アフリカの核実験の事実関係について掌握をなすっていらっしゃいますか。いかがですか。
○矢田部説明員 米国政府は、昨年十月に、米国の宇宙衛星が九月二十二日に南極地域を含む南大西洋地域において核爆発が生じた可能性を示唆する情報をキャッチしたということを発表いたしました。その後、米国は大統領府科学顧問のフランク・プレス博士を委員長とする検討委員会をつくりまして、このデータをさらに確認するための作業をいろいろ行いました。この技術的な作業の結果がたしかことしの初めごろに発表されましたが、その結果は、あらゆる手段を尽くして調査したけれども、先ほど申し上げた宇宙衛星のキャッチした情報が現実に核爆発が生じたことを示すものであるか否かを確認することはついにできなかったということが、この報告書の結論でございました。
○土井委員 しかし、いずれにいたしましても、ここ数年核兵器についていろいろこれを取りざたする雑誌のたぐいというのがずいぶんふえてまいっておりまして、実はこの核兵器の製造についての手引きが雑誌のたぐいで発表されるに至っております。中身は、私も専門的知識を持ち合わせてはおりませんけれども、平易な表現で言えば、オートバイをつくる程度の知識と費用、それに材料さえあれば簡単につくれるというふうなことが一般的には言えるようであります。もはや核兵器を持つということが大国の仲間入りをする、いわば会員証になるというふうな時代はすでに終わりを告げているのではないか。
 さらに、七五年のアメリカCIA報告を見てまいりますと、スペインであるとかエジプトであるとかイランであるとかパキスタンであるとかブラジル、そして先ほどの南ア、台湾、韓国、そして事もあろうにわが日本も加えまして、大体八五年までに核兵器を保有する国が二十四カ国くらいになるであろうということを述べております。
 今後核兵器が地域紛争の政治的な、そしてまた心理的な道具として使用されていく。むしろ八〇年代というのは中国家による核拡散の年代に入るのではなかろうかと言う人があるわけでありますが、政府としてはこの核拡散の趨勢について、これは先ほどの高沢委員の方からのお尋ねに関連をするわけでありますが、どのような感想を持っていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○矢田部説明員 原子力の平和目的への利用ということは、先生の御指摘のように、原子力の持っております性質上、常に核兵器に利用される可能性というものを伴うものでございます。したがいまして、原子力平和利用を進めていく以上は、核兵器の拡散につながらないように万全の措置をとっていくという必要があることは、これはもう全く先生の御指摘のとおりでございまして、わが国も原子力の平和利用をわが国のエネルギー上の必要として推進していくかたわら、核不拡散の政策はわが国の外交政策の基本の一つとして各国と協力いたしてまいることといたしております。
 したがいまして、いま御審議をいただいております日加原子力協定におきましても、そのようなわが国の核不拡散政策への協力の基本的な方針というものは貫かれておると申し上げて差し支えないと存じます。
○土井委員 NPTを当委員会において審議する節にもその点がまことに大事な問題であり、むしろポイントであったために、私どもは再三再四、審議の場においてはこの意を含めて質問戦を展開したというのをきのうのように覚えているわけでありますが、先ほど申し上げました七五年のCIA報告などからいたしましても、この核拡散ということを禁止するために作成されたNPTの本来の趣旨からいたしまして、この条約というものはもはや形骸化していっているというふうに見るべきなのか、どうなのか。この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○矢田部説明員 核兵器不拡散条約は、現在世界に現存する核不拡散のための国際的な法律的枠組みとして唯一のものでございます。この条約に参加するということによって核兵器を持たないという政策をわが国は国際的な義務として受諾いたしたわけでございまして、その意義はきわめて大きなものがあると存じます。
 しかしながら、先ほど先生から御指摘もございましたように、七四年にインドの核爆発というようなものもございました。これはインドがまさに核兵器不拡散条約の締約国でないというところから条約義務の違反を問われるようなことではなかったわけでございますけれども、今後さらに国際的な協力を進めることによってNPTを補完しつつ、核拡散が生じる危険というものを防止していく努力を続ける必要がある、このように考えておる次第でございます。
○土井委員 いまの御答弁からして、それならば具体的にさらにその御答弁に対して敷衍するような形でお尋ねをいたしますが、そのNPTをわが国が批准するとき、つまり私どもが国会の場において審議をして承認をするという際に、当外務委員会で決議が採択されたことを御承知になっていらっしゃるだろうと思うのです。
 その第一項に、非核三原則をいかなる場合においても忠実に履行するということがはっきりと述べられておるのですが、政府はこれを忠実に履行しているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○矢田部説明員 非核三原則を忠実に遵守しておるということは、これは当然のことでございます。
○土井委員 国内において、特に当外務委員会における御答弁では、これを遵守することは当然のことだというふうにきっぱりはっきりおっしゃるわけでありますが、いわばこれは歴代の外務大臣の御答弁の席で非核三原則はわが国の国是であるということを明言されているわけなんですね。国是である以上守るのは当然なんでありますけれども、これは世界に通用するものであるというふうにも確信をされているはずだと思いますが、この点、どうですか。
○矢田部説明員 わが国が核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずといういわゆる非核三原則を堅持しているということは、国の内外に周知徹底されておると存じます。この問題につきましては国会における諸決議もございまして、国会の意思としても明確に表明せられておるわけでございますので、このことを含めましてわが国の非核三原則について国際的にも十分な認識が徹底しておる、かように考えております。
○土井委員 この点、だめ押しのようなかっこうになりますけれども、政務次官、そのとおりにお考えになっていらっしゃるのでしょうね。
○松本(十)政府委員 そのとおりでございます。
○土井委員 それでは次にちょっと話題を変えます。
 がらりと変わるのですが、海洋投棄規制条約、この条約の作成交渉に当たりまして、その場で大きな問題となったものの一つに、管轄権の問題があったということを承知いたしております。しかし、その後、管轄権問題それ自身について申し上げますならば、海洋法会議において種々議論がさらに進展をいたしまして、大方のコンセンサスができたということも私どもは仄聞しているわけでございます。
 そこで、お尋ねをするのですけれども、新海洋法が制定をされる、そしてわが国が締約国となった場合に、二百海里の経済水域に他国の船が廃棄物を投棄した場合はわが国がこれを取り締まるということになるわけでありますか、わが国がこれを取り締まることができることになるわけでありますか、いかがですか。
○井口説明員 お答え申し上げます。
 土井先生のおっしゃるとおり、海洋法条約が成立いたしましたならば、二百海里の経済水域というものも成立するわけでございまして、そこにおいて海洋投棄を外国船が行った場合にはこれを規制し、取り締まることが沿岸国としてできるわけでございます。
○土井委員 これを取り締まることが沿岸国としてできるとおっしゃるのですが、それはできて当然だと私には思われるのですが、それはなぜできるということになるのですか。日本としてこれが決まったときに、二百海里の経済水域についてそれができるという根拠、それはなぜできるというわけでございますか。
○井口説明員 二百海里の経済水域というのは、沿岸国が海洋環境の保護に対して特別な利害関係を有するということでございますし、さらに、二百海里の生物及び鉱物資源に関する排他的な主権的権利を行使するということでございまして、環境保護、資源保護、双方の立場から、投棄というものは沿岸国が事前に許可をしない限りは外国船は投棄してはならないということになるわけでございます。
○土井委員 いま主権的権利ということをおっしゃいましたが、これは特に海洋資源を保全するとか、環境を保護するとかいうふうな問題も含めまして、大体総じて言うならば、この二百海里の経済水域に対して主権的権利が及ぶということがそのもとになっているのじゃないか。つまり、そこについて日本の国の管轄権が及ぶということがそのもとに考えられなければならないのではないか、このように思いますが、これはこのようにお考えになりますか。
○井口説明員 経済水域二百海里に関しまして、資源に関しては主権的権利が及ぶということでございますが、実は主権的権利というのは主権とは違いまして、定義でもこれは排他的な権利というふうに解されておるわけでございまして、必ずしも主権そのものではないわけでございます。
 なお、汚染防止、海洋環境保護に関する沿岸国の管轄権と申しますのは、船の排出あるいは船からの投棄に関しましては、外国船はやはり旗国の管轄権もあるわけでございまして、実は汚染防止に関しましては、沿岸国と旗国の管轄権は競合しているという立場でございまして、新しい海洋法条約におきましてはその調整がなされているということでございます。
 たとえば国際的基準に従って規制が行われるということでございますし、それから旗国が最初の六カ月は優先的な裁判管轄権を行使し得るというような規定もございまして、沿岸国の事前許可ということがかぶっておりますけれども、裁判管轄権は旗国と沿岸国と双方にあるというたてまえでございます。
○土井委員 これは当初の六カ月については相互に裁判権という問題について認められるという時限的な問題ということがあるかもしれませんが、ただ総じて言うならば、基本的には沿岸国に対して主権的権利というものが認識されていなければならないんでしょう、二百海里の経済的水域については。いかがなんですか。
○井口説明員 二百海里の経済水域の法的性格でございますが、公海であるという立場に立って資源及び環境保護に関する沿岸国の権利を認めるという立場に立った場合には、必ずしも沿岸国がそこに主権を持っているということではございませんし、主権的権利ということが資源に関して使われている場合にも、その定義で、これは排他的な権利である、たとえば大陸棚に関しては名目的あるいは実効的な占有、そういうものに依存しないということでございまして、わが国の立場は、二百海里の経済水域というのは法的な性格は強いて言えば公海であろう、しかしながら、汚染防止に関して条約上与えられた権限が今後行使されるというふうに解しております。
○土井委員 しかし、汚染防止上にしろ、資源を保護するという上にしろ、沿岸国に対してそういう新たなる従来にない権限が及ぶ範囲というのが条約上初めて問題にされるというかっこうになるわけでしょう。いかがですか。
○井口説明員 そのとおりでございます。
○土井委員 そうすると、公海とは言えないですね。やはり公海と経済水域というのは峻別すべきである、こういうことがはっきり認識の上でなければならない、このように思われますが、その点いかがですか。
○井口説明員 海洋法会議の方向といたしましては、土井先生の言われるような方向で収斂しつつあるというふうに申し上げられます。
○土井委員 そういたしますと、これは先ほどの話にここでまた戻ります。
 領海内には当然非核三原則は日本の場合及ぶ、これは理の当然で言うまでもない話ですが、新海洋法が成立した暁には、設置されるであろうエコノミックゾーンにも当然日本の非核三原則というのは及ぶということをこれは確認をいたします。そのとおりですね。
○山田(中)政府委員 いま土井先生御指摘になりました二百海里は、先ほど井口審議官から申しましたように、従来の公海が新しい海洋法の立法によりましてある程度制限されてくるということは事実であろうと思います。ただ反面、全く公海ではなくなって沿岸国の領海になるわけでもございません。海洋法でいま二百海里の問題として議論されておりますのは、そこの資源の問題でございますとか汚染の問題についての沿岸国の管轄権の問題でございますので、いま土井先生御指摘になりました非核三原則との関係は直接出てこないと思います。
 ただ、どのような態度をとるかというのは、日本自身の問題だろうと思います。
○土井委員 したがって、沿岸国である日本からすると、日本のいわゆるエコノミックゾーンに対しても、これは当然のことながら、先ほどの大変な決意を承った上での話でございます。非核三原則についてこれを適用する、これをもとにして考えるというふうなことでなければならないと思われますが、政務次官、せっかくであります、いかがでございますか。
○松本(十)政府委員 わが国としてはエコノミックゾーンにつきましても非核三原則を適用したいのでございます。それが国際的に必ずしも認められておるということは、先生、恐らく御認識のとおりだと思います。
○土井委員 時間ですから終わります。あと残余の質問は、続行を、あとの私に与えられました時間でさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○佐野委員長代理 玉城栄一君。
○玉城委員 私は、海洋投棄規制条約並びに海洋投棄規制条約改正、二つの条約についてお伺いをいたしたいのであります。
 海に物を捨てないで海洋汚染の防止をしようということで、大変結構な条約だと思うわけでありますが、しかし、開発と公害、なかなかマッチしにくい問題等があるわけですが、大変心配されております海がどんどん汚染されていくということに対して、非常に憂慮するわけであります。
 そこで、まず最初に外務省の方に伺いたいのですが、こういう環境問題に関する条約というのは大体どれぐらいあるのか、そして従来の外務省の取り組み方と申しますか、あるいはこれからどういう取り組み方をしていきたいという考え方を基本的に持っておられるのか、その辺からお伺いします。
○関説明員 お答え申し上げます。
 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約のほかに、海洋汚染を防止するためのいろいろな条約がございますが、これらのほかに、たとえば今国会ですでに御承認をいただきましたワシントン条約とか、それから水鳥の生息地を保存するための条約とか、移動性動物の保護に関します条約等幾多の条約がございます。海洋関係の汚染防止の条約につきましては現在六つばかりございますが、そのうちでわが国は四つにすでに締約国になっておりまして、残りの二つにつきましても、これはいずれもまだ発効いたしておりませんので、今後わが国も前向きに加入のための検討をいたしたい、このように考えております。
○玉城委員 いろいろなそういう環境問題、海に関する条約等があるわけで、それにも加盟されているのですが、これは後でもちょっとお伺いしていきたいわけです。いろいろな条約にも加盟もされているわけですが、実態としてはどんどん海洋汚染がされているということなんです。
 そこで、海上保安庁の方に伺っておきたいわけですが、わが国を取り巻くそういう海洋汚染の状況は大体どういうふうな状態にあるのか、お伺いします。
○村田説明員 お答え申し上げます。
 海上保安庁が確認いたしました海洋汚染の件数は、昭和四十八年の二千四百六十件をピークにいたしまして、その後減少傾向を示しております。昨年、五十四年においては、千七百三十三件という数字になっております。
 なお、種類別に見ますと、その大半は油によるものでございまして千二百五十七件と、全体の約七三%を占めております。油以外は二百二十件、約一二%、なお、赤潮は二百五十六件、一五%となっております。
 なお、これを海域別に見ますと、全体の約五九%に当たる千二十八件が、東京湾、伊勢湾、大阪湾及び瀬戸内海において発生しております。
 これをまた排出源別に見ますと、船舶からのものが最も多く、八百三件と、全体の約五四%を占めております。
 なおさらに、原因別に見ますと、原因の判明しているものの中では、取り扱い不注意及び故意排出によるものが多く、これらで、原因の判明しているものの約八一%を占めている現状でございます。
○玉城委員 全体、わが国を取り巻くそういう海洋汚染の状況について、南西諸島地域、いわゆる沖繩地域はどういう状況にあるのですか。こういう油濁汚染と申しますか、非常にたくさんあるわけですけれども、その辺ちょっと御説明いただきたいと思います。
○村田説明員 南西海域につきましては百件、全体の約六%という数字になっております。
 なおこれは、廃油ボール等はまた後ほどの機会にお答えいたしたいと思います。
○玉城委員 いまおっしゃっている数字には廃油ボール等は入っていないわけですか、入った数字ですか。
○村田説明員 これは入っておりません。
○玉城委員 私が伺いたいのは、この廃油ボールが問題なんです。じゃ、よろしいです。
 水産庁の方にちょっと伺っておきたいわけですが、先月の二十一日に、これは沖繩の与那城村照間ビーチというのがあるわけですが、そこを中心として具志川市、その境界約四キロにわたって、いま話の出ました廃油ボールが大量に海岸に漂着しまして一養殖モズクが壊滅状態になっているわけです。これは同じ先月十二日にもそういう廃油ボールが大量にあの一帯に流れてきて、漁民の方々に深刻な打撃を与えているわけですが、その辺、水産庁としてどのように掌握をしておられるのか、そしてどういう対応をされておるのか、その辺を水産庁の方に伺います。
○山内説明員 去る四月二十一日に沖繩県与那城村照間ビーチにこぶし大のやわらかいオイルボールが流れモとともに漂着した、こういう報告を受けているわけでございます。
 この被害につきましては、原因者不明の油濁被害といたしまして、すでに与那城村漁協から沖繩県漁連を通じまして、財団法人漁場油濁被害救済基金に対しまして被害報告が出されております。現在県漁連を通しまして救済申請の手続中である、こういうことを聞いているわけでございます。したがいまして、近く当該基金から救済金が支払われる、こういう見込みだと思います。
○玉城委員 南西諸島地域海岸に廃油ボールが非常に大量に漂着しまして、こういう漁場あるいは漁場以外のところにも大きな問題を起こしているわけです。
 それで、この機会にちょっと水産庁の方に伺っておきたいわけですが、いま御説明のありました漁場油濁被害救済基金ですか、これまで、この二、三年どういう状況でどういう地域にそれが支給といいますか、されているのか、概略で結構ですから、その辺を伺っておきたいわけです。
○山内説明員 油濁による漁業被害につきまして、沖繩県におきましては、年次別に見ますと、県の報告によりますと、昭和五十一年度におきましては、被害件数六件、金額にして千五百三十九万円、昭和五十二年度におきましては、被害件数十二件、被害金額二千六百三万円、昭和五十三年度におきましては、被害件数二十五件、被害金額四千六百五十七万円、昭和五十四年度におきましては、被害件数十八件、被害金額三千九百六十二万円、こういう数字になっているわけでございます。漁場油濁被害救済基金は五十年度に発足したわけでございますが、五十四年度までの五カ年間で約十二億円の金額が被害漁業者に支払われているわけでございます。このうち、沖繩県に係る油濁被害につきまして払われた額は、約一億三千万で、全体に占める割合は一〇・七%、こういう数字になっております。
○玉城委員 海上保安庁の方に伺いたいのですが、廃油ボールのこういう汚染が沖繩近海に非常に多いというのはどういう理由なんですか。その辺ちょっと御説明いただきたいのです。
○村田説明員 まず、海上保安庁で調査いたしました沖繩周辺の廃油ボールの状況について御報告いたしますと、沖繩周辺海域においては相変わらず漂流及び漂着する廃油ボールが、実は海上保安庁では四十六年六月から継続して実施しておりますが、開始当時からずっと横ばい状態、むしろそれを上回っておりまして、かなり多い状態でございます。また、経年的には、傾向として漂流廃油ボールは減少の傾向にありますけれども、沖繩周辺に漂着する廃油ボールについては、近年やや増加しておるという状況でございます。
 これの原因といたしましては、やはり中近東に油を積載に参る大型タンカーが、積み地に参る途中にビルジまたはダーティーバラスト、そういうものを主として八重山諸島南方海域、台湾東方海域ですか、その辺において不法投棄しているのではなかろうかと推定しているわけでございまして、海上保安庁といたしましても、その辺の海域に先般来増強整備していただきました巡視船、航空機を投入いたしまして、今後とも監視を強化してまいりたい、このように考えております。
○玉城委員 そこで、次に、これは運輸省の方に伺っておきたいのですが、御存じのとおり、わが国唯一の貴重な亜熱帯地域として、沖繩の海というものは非常に貴重な資源と申しますか、財産であるわけですね。それがこのように年々沖繩地域に関してはむしろふえているといういまのお話もあったわけでありますけれども、いま特に沖繩の海というものは観光資源として絶対に汚されたら全然――先ほど漁場の被害の問題がありましたけれども、それ以外に一般の海岸地域がこういう廃油ボールによって汚染されまして、とにかく非常に深刻な状況にあるわけですね。
 そこで伺っておきたいことは、この廃油ボール、いま沖繩地域に多いという話を伺ったのですが、運輸省の方、廃油ボールが大体こぶし大とがあるいは卵ぐらいの大きさでだっと海岸に流れついてくるわけですね。足なんかにべたっとついて観光どころじゃないわけですね。ですから、その廃油ボールがどういう原因によってでき上がるのか、その辺ちょっと御説明いただきたいのです。
○村田説明員 先ほど御報告申し上げましたように、廃油ボールの生成原因としましては、主として外航タンカーから排出されるバラスト水、ダーティーバラストでございますが、あるいはタンク洗浄水中に含まれる油分が海水中で凝固してできるものと推定しておるわけでございます。
    〔佐野委員長代理退席、委員長着席〕
 海上保安庁でも専門委員会を設けまして、海上における油の長期変性過程についての研究を、この廃油ボールが生成される過程を究明しようということで、実は昭和五十三年度から三カ年計画で目下実施している過程にございます。現在わかっているものは、その素因は、原料と申しますか、そういうものは原油であるというのが判明している程度でございます。
○玉城委員 そこで今度は外務省の方に伺っておきたいわけですが、七十六回国会で成立した油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約あるいは補償のための国際基金設立条約では、汚染損害の被害者に対し適正な賠償が行われる内容になっておるわけですが、今回のような廃油ボールによる損害について、この条約は補償の対象としているのかいないのか、漁場の問題については先ほどありましたけれども、一般的にですね、いかがでしょうか。
○関説明員 先生がただいまお挙げになりましたいずれの条約におきましても、原因者が特定できる場合にのみ補償が行われるということでございまして、先生御承知のとおり廃油ボールの原因者を究明するということは非常にむずかしいわけでございまして、通常の場合にはこの条約による補償を求めるということは非常に困難があろうかと思います。
○玉城委員 そうしますと、この条約に関係する国内法として油濁損害賠償保障法が成立しているわけですが、この国内法の法律でいまの廃油ボールによる損害についての補償の問題はどのようになるのか、あるいはこの法律でだめなのか、あるいは別にそういう何らかの法律があるのか、その辺お伺いしたいと思います。
○川口説明員 ただいま先生御質問の油濁損害賠償保障法でございますが、これは御存じのとおり一九六九年の油濁民事責任条約と、それから一九七一年の国際基金条約、この二つの国際条約に基づきまして制定された国内法でございます。したがいまして、先ほど外務省の方から御答弁がありましたように、特定されない場合はこの法律の対象とすることはできないということになっておるわけでございます。
○玉城委員 そうしますと、さっきからずっと申し上げております廃油ボールの問題について、実際にあの沖繩のきれいな海、海岸が廃油ボールによって汚染されて、さっきも申し上げましたように、非常に貴重な資源がそういう状況にあるわけですね。これについてはどのように対応されようとしておられるのか。その辺いかがでしょうか。これはいまの法律に関係して、どうぞ、運輸省の方。
○川口説明員 油濁損害賠償保障法は、先ほど御答弁いたしましたように、二つの国際条約に基づいて国内法として制定されておりますので、こういう問題につきましては、やはり国際間の話し合いの場で全世界できるだけ多くの国が話し合いまして、同じような考え方で進む場合に最も実効が上がるということでございまして、目下そういった面の国際条約、いろいろな廃油ボールのような原因者が特定できない場合に備えての損害賠償をどうするかという国際条約はいまのところございませんので、それに基づきましての国内法というものもないわけでございます。
 そういった点につきまして、今後の問題かと存じますけれども、なかなか責任者を特定できない場合にどういうふうに対処するかということにつきましては、かなり法的にむずかしい点もございますし、それらの点の検討を必要とするということと、また外務省等関係省の方々ともよく相談し、どういうふうにしていくかということを考えなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○玉城委員 そこを私はどうしてもこの機会に、この条約に関係しまして伺っておきたいわけですが、先ほどの海上保安庁の御説明にもありましたとおり、現実にこの廃油ボールというものが、漁業関係につきましては先ほどの基金によっての救済等が行われているわけですが、それも非常に大切なんですが、それ以外の一般のそういうビーチ、海岸、あるいは八重山諸島等におきましては国立公園等が含まれておるわけですけれども、この廃油ボールが非常に問題になっているわけです。ですから、これを何とかしてもらいたい。地元は、観光も何もあったものじゃないわけですね。ですから、これから国際間でどうのこうのということでは、もうとにかくそんな悠長に言っておれないわけです。ですからその辺について――きょう運輸省の方では、外航海運会社二十七社について、海洋汚染の原因になる廃油の不法投棄について警告を発するというようなことが報道されていたわけですが、その辺の事情をちょっと御説明いただきたいのですが……。
○川口説明員 先生いまおっしゃいましたとおり、きょう午前中に、運輸大臣が国内の主なタンカー会社の代表者を集めまして、海洋の不法投棄についての厳重な通達を発し、警告をいたしたということでございます。
 これは運輸省内におきましては、海洋汚染防止の関係につきましては、実は海運局の所掌ではございませんで、官房の環境課の所掌になっておりまして、私は、本日の午前中の大臣がタンカー会社の関係を呼び集めましたことにつきまして承知はしておりますけれども、それを主宰したということでは海運局はございませんでして、ちょっとそういう立場で直接お答えすることは困難なんでございます。
○玉城委員 そこで結局、運輸省の先ほどの御説明等からしましても、この廃油ボールによる汚染に関する限りどうにもならないというようなことになっているわけですね。それじゃ非常に困るわけです。ですから、それを何とかしてくれというのを私は強く申し上げているわけですが、これから国際間でどうのこうのというようなことになりますと、これはいつできるかわからぬわけですね。だから、何らかのそういうことについての対策をとられるのか。運輸省にしましても、これはもう法律にも関係しないから、原因者がはっきりしないからというようなことで、幾らこういう条約をつくりましても、実際はそういう状況でもう汚染されているわけですね。
 ですから、その辺は、これはやはり政務次官のお答えになるんでしょうね。いかがでしょうか。
○松本(十)政府委員 原因者のわからない廃油ボール等の汚染は文字どおり大変なことでもあり、漁業を営んでおられる方々にとっては本当にお気の毒な限りでございまして、何とかしなければならないという気持ちはやまやまあるわけですが、さてどうするかとなると、さらに関係省庁が協議しなければ、ここではっきりこうしますとも言えないということだと思います。
○玉城委員 これは実際に申し上げますと、たとえばそういうビーチ、海岸の方々は総出でその廃油ボールを取る作業で大変なんですね。それで、それぞれの市町村におきましては、何らかのそういう費用でも国が考えてもらえれば、自分らの力でそういうものを掃除といいますか、撤去するようなこともやってもいいというようなことまで言っているわけですね。
 ですから、そういう点につきましても、次官からいまお答えがありましたので、やはりもっと真剣に取り組んでいただきまして、幾らこういうりっぱな条約が締結されても、いろいろな関係するこういう環境問題に関する条約等はありますけれども、実際はそういう状況で、廃油ボールにつきましては、その原因者がはっきりしないというようなことから、そのまま放置されているわけですね。これでは済まされない、こういうことなんです。いかがでしょうか、次官のお考えは。
○松本(十)政府委員 おっしゃるとおりその窮状はよくわかりますから、何とかしなければならぬという気持ちで、これからさらに検討したいと考えます。
○玉城委員 終わります。
○中尾委員長 榊利夫君。
○榊委員 私は、日加原子力協定の問題で質問いたします。
 まず初めに、私どもは、核兵器開発に断固反対することはもちろんでありますけれども、いわゆる核オール否定、あるいは反原発主義ではありません。
 同時に、けさの新聞報道でも、東海村の再処理工場で、原発で燃やした核燃料集合体を輪切りにするいわゆる剪断装置、これが故障したという報道がございます。最近これだけではなくて、いわゆる原発での故障が続発しております。このことはやはり、抜本的な見直し、点検、場合によっては、さらに被害を及ぼしそうなところについては、その炉の問題についても抜本的な見直しを行う、こういうことが必要になっているということを示しているのではないかと思いますけれども、この点についてどういうふうな御判断をお持ちなのか、まずこのことをお伺いいたします。
○宮本(二)政府委員 お答え申し上げます。
 昨年来、米国のスリーマイルアイランドの原子力発電所の事故がございまして、わが国としてもこの事故を教訓として謙虚に受けとめる必要がある、こういうことから、原子力安全委員会におきまして、米国原子力発電所事故調査特別委員会を設けまして、学者、研究者を集めまして鋭意この調査を行いました。その調査結果を踏まえまして、わが国の原子力の安全問題につきまして、今後、反省といいますか、教訓といいますか、どういうことを織り込んでいくべきか検討いたしまして、五十二項目の提言を安全委員会として出したわけでございます。それを現在原子炉安全基準専門部会その他原子炉安全専門審査会等いろいろ検討いたしまして、逐次これを今後の原子力発電所の安全審査に反映していく、こういう方向で対処いたそう、こういうことでやっておる最中でございます。
○榊委員 その五十二項目の点検、これについてはまた後で質問申し上げますけれども、その前に、いまのお話でも なおかつこれから詰めていかなければならない問題を多く抱えておる、このことが明らかになったんじゃないかと思いますけれども、私どもはやはり原子力政策の基本というのは先ほども話がございましたが、原子力を軍事利用しないこと、それから研究開発を民主的、総合的に発展させていくこと、何よりもまた、安全、有効な平和利用を進めることにあるというふうに思います。
 そのことを踏まえてまず第一点をお尋ねいたしますけれども、世界唯一の被爆国としてのいわゆる非核三原則、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず、これを旨としているという先ほどの同僚議員への答弁がございましたけれども、かつまた原子力基本法の第二条、民主、自主、公開、この三原則をしっかりと踏まえるということがわが国における原子力の平和利用の大前提であると考えます。非核三原則についても、むしろこれは国際化してもしかるべきものだというふうに私ども考えるわけでありますけれども、この二つの原則、これは政府としてはもちろん踏まえる問題とされていると思いますけれども、重ねて質問しておきたいと思います。
○高岡政府委員 科学技術庁から原子力基本法の民主、自主、公開の三原則につきましてお答えを申し上げます。
 第一の民主的に行うという原則でございますが、わが国におきましては原子力の研究でありますとか開発、利用ということを民主的な運営のもとに進めるということを旨としておるのは当然でございますが、具体的な方策といたしましては、衆議院、参議院両院の同意を得まして任命されます委員により構成されております原子力委員会並びに原子力安全委員会というものが設けられておりまして、原子力のこういった開発の基本路線につきましての中核的な方策の検討に当たっておるということでございます。
 それから第二点の、自主的に行うということでございますが、これにつきましてはいまさらいろいろ申し上げるまでもないかと思いますけれども、私どもが進めております研究、開発あるいは利用ということがほかの特定の国の干渉などを受けないということでございますが、具体的には核燃料サイクルと申しますか、若干専門的にわたりますけれども、原子力の場合に御存じのように石炭あるいは石油の火力発電と違いまして燃料を燃せばいいというものではございませんで、一度燃したものをまた再利用するということがございます。そういうことの面、あるいは動力炉そのものの開発ということにつきまして日本みずから自主的な開発を進めるということで進めておることは、十分御承知おきいただいておるものと思っております。
 それから第三点の、公開の原則でございますけれども、これにつきましてもこういった研究、開発、利用の成果を公開するということになっておりまして、原子力研究所を初めとします原子力関係の特殊法人でありますとかあるいは国立の試験研究機関でありますとか、こういったところで開発されたもの、あるいは政府から民間その他に委託をいたしました研究、開発の成果、こういったものをできる限り一般に公開をするということで実施をしておるわけでございます。
 ただ、この場合に当然すべてを公開すればいいというものではないことは御理解いただけると思いますけれども、政府の機関その他といえどもコマーシャルシークレットと申しますか商業機密ということは当然あるわけでございますし、一般公衆の秩序維持その他の面で制約を受けるということはあろうかと思いますけれども、原則としてこういった成果の公開を積極的に進めるという方針で施策を行っておるということでございます。
○榊委員 私、非核三原則であたりまえのことを質問したのは、実はおととしの国連総会で核持ち込み禁止決議が採択されております。ところが、非核三原則の日本政府としては当然賛成してしかるべきなのに、それに反対したといういきさつがございます。その理由は、小木曽国連大使によりますと、ここに持ってきておりますが、「核兵器の展開に一定の制限を加えることとなる如き措置をとることは、」「平和の維持強化に資さない」、こういうふうに述べられておるのであります。
 どうもおかしいですね。理屈にならない。政府は非核三原則を言葉だけでなしに厳守をする、そういう立場に変わりはないのかどうなのか、いかがでしょう。
○矢田部説明員 非核三原則はあくまでもわが国にとっての基本的な原則でございますが、これを拡張してほかの国にまで強制する立場にはわが国としてはないと言わざるを得ないかと存じます。そのような観点から、先ほど御指摘の決議には日本政府として賛成いたしかねたものでございます。
○榊委員 わが国は非核三原則を一種の国是としております。いいことだから国是としておるわけでございまして、それがたとえば国連決議などで核持ち込み禁止決議をやられるとするならば、そういう立場から大いに胸を張って賛成してよさそうなものなんです。他国のことをおもんぱかってそれに反対をするというのは、いわゆる自主性を欠くものだと見られてもいたし方ないと思います。そういう点では文字どおり非核三原則を厳守するということを国内だけでなくて国際的にも貫いていく、このことをあえて希望したいと思うのであります。
 さて、協定そのものでありますが、この協定の第三条の改定によりまして、二〇%以上のウランの濃縮や再処理に当たってはカナダの同意が必要で、日本独自では実施できなくなったというふうに解されます。このように事前同意が拡大されたのはどのような理由からでありましょうか。
○矢田部説明員 先生御承知のように、原子力発電炉で通常利用されます濃縮ウランはいわゆる低濃縮ウランでございまして、そのままでは核兵器に使用することはできないものでございます。しかしながら、このウランを二〇%以上に濃縮した場合には核兵器に利用が可能になるということが言われております。そのために、核兵器不拡散の見地から、低濃縮ウランが無用に高濃縮されないことを事前に確保するために、供給国の権利を規定しておるわけでございます。
○榊委員 核兵器の拡散を防ぐ、これはもう当然のことであります。同時に、原理論といたしまして、核兵器の不拡散ということと核の不拡散ということは、これはもう峻別されるものでありまして、核兵器の製造など原子力の軍事利用を警戒するのは当然といたしましても、問題は、この非核保有国が核兵器を持つことを防ぐためという名目で、非核保有国での原子力の自主的な平和利用あるいは研究に、外から枠がはめられることにこの規定はなりはしないか、その点いかがでしょうか。
○矢田部説明員 全く御指摘のとおりに、核兵器及びその他の核爆発装置が拡散するということは、世界の平和と安定にとって大変危険なことでございますので、これはどうしても防止しなければならないということは、核兵器不拡散条約でも定められておるとおりでございます。他方、先生御指摘のとおり、原子力の平和利用はいかなる国にも認められるべき奪い得ない権利であるということも、これまた核兵器不拡散条約上認められておるところでございまして、問題は、この二つの命題をいかに調和させていくかという点にあろうかと存じます。したがいまして、今回の御審議をお願いしております改正議定書に含まれる規制権と申しますものも、そのような観点から、平和利用を進めつつ、かつ核不拡散を確保するということを補完する手段として規定されておるものでございまして、われわれといたしましても、当然のことながら核の平和利用についてはその権利を十分に確保してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○榊委員 やはり原子力の軍事利用を避ける、あるいは防ぐという保障というのはあくまでも非核三原則だと思うのです。それを厳守するということ。それを別の方からたがをはめるというのは一種の邪道でございまして、その非核三原則をしっかりと守りながら、同時に国際的にも核兵器の全面禁止を達成する、そして核エネルギーの軍事利用に終止符を打っていく、これが大局的な方向としてはやはり努力の方向であると思うのであります。政府としてはその点はいかがお考えでしょうか。
○矢田部説明員 私どもといたしましては、核軍縮の達成とそれから核兵器の不拡散の確保ということは、盾の両面のような関係にある問題であると考えておりまして、その双方を実現させるということを一つの主要な外交的な目標として努力しておる次第でございます。
○榊委員 そのことは、本当にこれからも、国際的な舞台でも、また国内的にも大いに目指して努力していかなくてはならない問題だと思うのです。
 そのことは一応さておきまして、原子力の平和的かつ自主的な研究という場合に、いまさっき言われましたように、二〇%以上の高濃縮ウランを燃料とするということについては、これが転用される危険性もあるから歯どめがかかっている、こういう話でございましたけれども、しかし、一方平和的な利用という点から考えてみましても、確かにいまの軽水型原子炉、これは濃度約三%の低濃縮ウランを燃料としているというふうに、私玄人ではありませんけれども、解しているのですが、将来二〇%以上の高濃縮ウランを燃料とした高温ガス炉のような、そういう新しい原子炉を開発するということもあり得るわけですね。あり得ないとは言えないだろうと思うのですよ。その点どうでしょうか。
○矢田部説明員 今回の日加原子力協定改正議定書の先生御指摘の条項は、ウランを二〇%以上に濃縮することを禁止しておるものではございません。二〇%以上に濃縮する場合に供給国と受領国が事前に協議するという条項でございますので、受領国がただいま先生のおっしゃいましたような正当な理由によって濃縮を必要とする場合、そのような場合にまで供給国側がその同意権を行使して高濃縮化に反対するということは、協定の趣旨から申し上げて、ないものと存じます。
○榊委員 しかし、実際問題として考えてみますと、日本の原子力発電の場合は、私どもは天然ウランの大半はカナダから供給を受けていることは承知しておりますけれども、このウランの濃縮というのはアメリカの手で行われているわけですね。しかも、カナダとアメリカの交換書簡によりますと、その事前同意権がアメリカにあるということになっております。アメリカから濃縮ウランの供給が停止されれば日本の原子力発電はどうなりますか。
○矢田部説明員 米国が日本に対する濃縮役務の提供を停止するというようなことはちょっと考えられないことでございますが、仮にそういうことが起こった場合協定上どういうことになるかということでございますれば、そのような場合には、アメリカが濃縮役務を日本に提供することによって日米協定上有するところの事前同意権というものは消滅するわけでございますので、日米関係の問題はなくなる、カナダの事前同意権のみが残るということになるわけでございます。
○榊委員 少し違うんじゃないでしょうか。たとえば、現在アメリカは高濃縮ウランの供給停止政策をとっております。東海村の研究炉第五号、この設計変更がそのために検討されたり、あるいは京都大学では高中性子束炉の設計変更が余儀なくされたというふうに聞いておりますけれども、こういう事実はないのでしょうか。
○高岡政府委員 いま御指摘の点でございますが、確かに、アメリカ側の意向を受けまして、二〇%以上の濃縮度のウランを使っております研究炉につきまして低濃縮ウランを使うように転換をするという意味での検討が進められております。でございますけれども、その検討の基本的な考え方は、あくまで燃料の低濃縮化は図りますけれども、研究炉としての性能といいますか、目的といいますか、そういうものに支障を与えない範囲で検討して、いまのところ大体そういう支障が出ない形で低濃縮化が図れるというふうな結論に向かっておるというふうに承知をいたしております。
○榊委員 さっきの東海村と京大の例はどうですか。
○高岡政府委員 それにつきましては、東海村の原研の研究炉だと承知いたしますが、その原子炉、それから京都大学の原子炉についてそういった検討が行われておるということを承知いたしております。
○榊委員 東海村の第五号と京大の例は、アメリカの高濃縮ウランの供給停止政策とは無関係なのですか。
○矢田部説明員 米国といたしましては、核不拡散の確保の見地から、高濃縮ウランが使用される炉の数をできる限り少なくすべきであるという政策をとっておるようであります。そのような政策の一環として、わが国にも、先ほど科学技術庁から御答弁のあったようなアプローチがあったわけでございまして、同じようなことは米国はほかの国に対しても行っておるようでございます。したがいまして、そういう意味では米国の政策の一環ではございますが、これは供給停止ということでは必ずしもないと御理解いただきたいと思います。
○榊委員 としますと、やはりアメリカの政策との関係があるということになるわけでありまして、したがって、先ほどの御答弁で、事前同意権についてもこれはアメリカにある、しかしアメリカが濃縮ウランの供給を停止することは考えられないというのは甘い。これはもう少しリアルに事態を見ていく必要があると思うのです。それは切られる可能性はあるのです。だから、そういう点ではこの問題もいろいろな角度から考えなくてはいけない。
 それから、そういうこととの関連で、事前同意権の設置というのはもともとカナダ側から出たのじゃなくて、私どもの理解ではアメリカ側から出ているというように解しております。事前同意権の設置というのは日米原子力協定の改定交渉の中でも出ているのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
○矢田部説明員 事前同意権につきましては、もちろんカナダが初めて言い出したものではございません。そういう性質の条項はすでに現行の日米協定の中にもございますし、そういう意味では全く新しいものでないということは申し上げられるかと存じます。
 二〇%以上の濃縮についての事前同意権につきましては、一九七六年ごろに国際的な一つの考え方として起こってきたものでございまして、必ずしもどこの国がイニシアチブをとったかといったような性質のものではない。自然発生的に、そういうことが必要であるという認識が高まってきたものでございます。
 最後の点でございますが、現在の日米協定の改定の問題につきましては、交渉中の問題でございますので、内容については差し控えさせていただきたいと思います。
○榊委員 この事前同意権というものは、いまの答弁からも間接に答弁されているように思いますけれども、もともとアメリカ側から要求があって、それがこういうふうな国際的な条約で取り込まれるというふうになってきているのじゃないかと思うのです。それで、この日加原子力協定で強化されております天然ウラン輸出国のカナダの同意権ということも、結局はそういうアメリカの要求ないしはアメリカの国内法と言った方がいいかもしれませんけれども、それに沿ったものではないかと思うのです。その点では、日加原子力協定は、改定交渉が進められているはずの日米原子力協定の下敷きになっていく性質のものだというふうに私は解しているのですけれども、その点はどういうものでしょうか。
○矢田部説明員 カナダ政府は、昭和四十九年五月のインドのいわゆる平和目的核実験、この出来事に非常に大きな衝撃を受けまして、その年の十二月に自国の原子力関係資材等の輸出に関し規制措置を強化するという政策を早速に表明いたしております。これは米国における核不拡散政策強化の動きに先立つものでございまして、必ずしもアメリカに追随した政策ということは言えないのではないかと思います。カナダはカナダ独自の核不拡散政策というものを推進しておるわけでございまして、日加交渉がそのまま日米交渉の下敷きになるということは言えないのではないかと存じます。
○榊委員 いずれにいたしましても、日本が天然ウランをカナダから供給を受ける、それも濃縮はアメリカを通じて行われる。このことによって、いわばのど元を押さえられているという関係にあるということは、これは疑問の余地がないと思うのですね。したがって、そういう状況を踏まえながら事前同意権の問題も考える必要があるわけでありまして、結論的に申しまして、これはやはり自主性というものにおいて多くの疑念を持たないわけにいかないということでございます。
 その点私のそういう考え方は違うというふうに言われるのか、あるいはその可能性もなきにしもあらずというふうにでもお考えなのか、もう一度お聞かせください。
○矢田部説明員 天然ウランなり濃縮役務なりの供給先につきましては、エネルギーセキュリティーと申しますか、そういったような観点から多角化されることが望ましいことは申し上げるまでもないと存じます。そのような観点から、先ほど通産省から御答弁もありましたように、日本独自の濃縮能力の確立ということも政策として進められておるわけでございます。
 他方、事前同意権につきましては、これはそういう観点とは全く離れて、あくまでも核不拡散の確保ということから出てきた問題でございまして、わが国が必要とする天燃ウランなり濃縮役務なりというものを入手するためにそれに相応した規制権を認めることは、もちろんわが国の自主的な原子力開発計画の推進を妨げてはならないという範囲内の問題でございますが、その範囲内であれば核不拡散という目的上当然のことではなかろうかと存じます。
○榊委員 そこは見解を異にしておりますけれども、ちょうどカナダの炉のことが出ておりますので、一言お尋ねいたします。
 けさの新聞によりますと、今度の首相のカナダ訪問の際、これはコミュニケの中にもそのことがうたわれておりますけれども、カナダ側はウラン供給とともにカナダ型重水炉、いわゆるCANDU炉、これの買い入れを強く要望したというふうに報道されております。これについては、日本は従来アメリカの軽水炉、これに従っているわけでありますけれども、天然ウランをすぐに使う、濃縮が要らない、こういう点ではそれなりの特徴を持った重水炉だと思うのでありますけれども、あれこれの問題があると思います。安全性の問題とか地震との関係とかいろいろありますけれども、一部には、一方だけに偏らないで、入れて研究してみたらいいんじゃないか、こういう声があることも事実のようでございます。日本の原子力委員会ないしは科学技術庁でもいいですけれども、この問題ではどういう御見解でございましょうか。
○高岡政府委員 ただいまの御指摘のCANDU炉の導入でございますが、CANDU炉はいまさら申し上げるまでもございませんけれども、カナダが長年にわたりまして開発いたしました、カナダの技術の結集として非常に誇りに思っておるものでございまして、われわれの目から見ましても、燃料の使用効率のすぐれたりっぱな原子炉であるというふうに思います。
 ただ、わが国といたしましては、軽水炉を実用炉として利用しておるということでございますが、あわせて新型転換炉、重水で減速し、普通の水、軽水と称しておりますが、それで冷却をするという、ややCANDU炉の変形というような日本の国情に合った新型転換炉を開発をしております。その先には高速増殖炉を開発して利用しようという開発路線を持っておるわけでございまして、そういう観点からいたしまして、いまの段階でカナダのCANDU炉を導入するということにつきましては、人材でありますとか資金の面での問題、またCANDU炉がカナダにおきましては、あるいはその輸出先におきましては十分な実用に耐える原子炉であるということは実証されておりますけれども、地震国であります日本においてどうであるかということについての実証のための研究開発というような問題がございまして、いまの時点で、いまの国内あるいは海外の原子力の技術あるいは核燃料の事情から申し上げまして判断する限り、積極的に導入をする必要性は認められないというのが、昨年度の原子力委員会の見解でございます。したがいまして、われわれといたしましてはこの方針に沿って対処をしておるわけでございます。
○榊委員 私は、日本における原子力の平和的利用という点で、とりわけいわゆる原発問題という点では自主性という点で非常に多くの問題があるというふうに思っております。同時に、そのことと安全性あるいは公開性といった問題でも非常に深刻な問題があるというふうに解しております。
 そこで、協定第三条の5では、今度特定物質に対する防護措置を新たに定めておりますけれども、これはどういう理由でしょうか。
○矢田部説明員 先生御承知のように、最近テロリズムあるいはハイジャックといったような不法行為が横行いたしておりますが、核物質がそのような不法な行為の対象となるということは、これは申し上げるまでもなく非常に危険なことになるわけでございます。したがいまして、核物質が盗難等の不法な奪取に遭遇するということ、あるいは原子力施設または核物質の輸送に対して妨害、破壊行為が行われるというようなことを未然に防止するということ、そういった必要が近年特に強く感じられておるわけでございまして、そのような観点から、この協定では核物質についての防護の措置について特に規定をいたしたわけでございます。
○榊委員 核兵器の拡散あるいはまた核ジャック等々、これを防ぐことは当然であります。しかし、いわゆる核物質の防護、フィジカルプロテクションという名目で原子力の平和利用あるいは公開の原則が侵されるようなことは防がなくちゃいけないと思うのです。
 ところで、質問でありますけれども、昨年九月、岡山県人形峠にわが国初の濃縮ウラン生産工場が運転を開始しております。しかしここでは、肝心の濃縮現場や遠心分離機室、これは非公開になっているというふうに言われておりますけれども、どうでしょう。
○高岡政府委員 人形峠で御指摘のようにウラン濃縮のパイロットプラントの建設を進めておりまして、第一段階の施設が完成を見て運転を行っております。
 いま御質問の点でございますけれども、ウラン濃縮の技術というのは、核の拡散防止という観点からきわめてセンシティブといいますか、問題の技術でございますので、日本のウラン濃縮の研究開発に関連いたしまして、海外における核の拡散の誘因あるいは原因になるということはできるだけ避けるべきであるという方針をとっておりまして、施設の公開ということはいたしておりません。
○榊委員 それは商業上の秘密からですか、それとも別の理由でしょうか。
 それからもう一つ、国政調査権を持つ国会議員もここは立入禁止でしょうか。
○高岡政府委員 公開をしておらないといいますか、制限をしておるという理由につきましては、先ほど申し上げましたように、核の拡散を防止するという観点からでございます。
 それから、具体的のお尋ねの国政調査権をお持ちの国会議員についてどうかと、こういう御質問でございますが、この点につきましては、具体的な事例をいま思い浮かべませんけれども、私の記憶によりますと、制限はありますけれども、御視察願ったケースがあるんではないかという気がいたします。
○榊委員 国際原子力機関、これは原爆に転用される高濃縮ウランをつくっているかどうか査察するためいろいろ動いております。査察をやっておりますけれども、その立ち入りもこの現場だけは拒否しているというように聞いておりますけれども、どうなんですか。
○高岡政府委員 お答え申し上げます。
 国際原子力機関でのウラン濃縮施設の査察の問題でございますが、まず、原則的な点から申し上げますと、人形峠などに設置しておりますウラン濃縮施設は、NPTの加盟国でございますので、IAEA、国際原子力機関の査察の対象でございます。これにつきましては、ただし、具体的なウラン濃縮施設の査察をどういうふうにやるかということについてはIAEAもその方法を検討中でございまして、まだ実際に査察はいたしておらないというふうに承知をいたしております。
 どういう点が問題かと申し上げますと、先ほど申し上げましたように、ウラン濃縮の技術が拡散をするということを防止するため、あるいはその企業機密を守るために、ブラックボックスと称しておりますが、その施設から核物質は外には出ておらないということは確認しなければいけないけれども、技術の中身、施設の内容については直接見たりチェックしたりしないというシステムを確立すべきである、またそうしなければいけないという方向でIAEAが検討しておりまして、そういうシステムがまだ確立をしておらないというふうに考えております。
○榊委員 いずれにいたしましても、非常に秘密主義と申しますか、それが進んでいるということであります。自主的な平和利用という点と、それから必要な公開の原則、民主の原則、これが秘密主義のために骨抜きにされていくということは厳重に警戒もしなければいけないし、防がなければいけないことだと思うわけです。そういう点では国民的な討論が必要だ、私はそう思うのであります。この公開や民主の原則をあいまいにしていきますと、それこそ何がやられているのかわからなくなっていく、核の軍事利用の危険さえ結果的に隠していくということにもなりかねないわけであります。そうなっていきますと原子力基本法のたてまえにも反していくわけでございますので、そのあたりについては、極度の秘密主義が広がっていくということ、これについては重ねて三原則の立場を強調して、それがたてまえではなくて実際に実行されていく、努力の目標をそこに置かなくてはいけないと思うのです。その点、いかがでしょうか。
○宮本(二)政府委員 ただいま原子力基本法の成果の公開の原則につきまして、いろいろ保障措置、それから核物質防護に関連しての先生の御質問がございましたわけでございますが、これらの核物質防護あるいは保障措置につきまして、核兵器の不拡散あるいはそういう情報の漏洩というものを防止する、こういう点から公開にある程度の制約を加えておるわけでございますが、元来公開の原則というものは平和利用の担保という観点から原子力基本法の原則として入っておるということをわれわれ考えておるわけでございまして、むしろその原則を守るという点から考えますと、こういう保障措置あるいはフィジカルプロテクションにつきまして、ある程度そういう非常に機微に属するものは公開を抑制せざるを得ない、そういう観点はむしろその原則にのっとるような内容を持っておるのではないだろうか。もちろん、これを不当に広げまして公開をどんどん狭める、こういう趣旨でないことはもちろんでございます。われわれとしてはあくまでもそういう観点でこれを要請しておるということを御理解いただきたい、このように考えております。
○榊委員 必要だと言われますけれども、実態をいろいろ見てみますと、やはり大変な問題をはらんでおる。最近、日本原子力産業会議の場合も公開の原則を見直そうという文章を中間報告の形で発表しておりますけれども、後ろ向きの見直しの傾向が目立っております。
 そこでお尋ねいたしますが、この議定書附属書A、ここに「合意された防護の水準」というのがありまして、第一群の物質プルトニウム二キログラム以上、ウラン235五キログラム以上、いわゆる二〇%濃縮以上のもの、これを取り扱う場所へは信頼性が確認された者に出入りが限られる、こういうふうにありますけれども、信頼性が確認されるというのはどういう基準でしょう。何をもって信頼性が確認されるというのか。どうでしょうか。
○宮本(二)政府委員 先生からこの協定につきましての御質問がございましたわけですが、現在、この日加協定の議定書のフィジカルプロテクションの考え方と申しますのは、IAEAの勧告及びロンドンガイドラインの線に沿いました基準内容、これがこの前提にあるわけでございますが、わが国としては、その内容の防護措置を現在とっております。そういう観点で出入管理につきまして規制などを重要な施設についてはやっておるわけでございますが、この信頼性という点につきましては、いわゆる職員としての身分証明書、こういうようなものを提示すれば、それで出入を認める、そういう規制を現在やっておるところでございます。
○榊委員 それでは、職員であればという話でございますけれども、それは後でちょっとお尋ねいたしますが、日本原子力研究所などで警備に当たっているのは警察官ですか、それとも特別の警備員ですか。
○宮本(二)政府委員 外部に一部委託いたしております警備員が警備をいたしております。
○榊委員 いわゆるPP対策、これは核物質の盗難、どろぼうを主としているわけでしょう。そう解していいですか。
○宮本(二)政府委員 核物質の盗難なり破壊なり、そういう問題がないように警備をいたさせているわけでございます。
○榊委員 そういう盗難とか破壊防止なら、なぜここの警備はもっぱら昼間だけしかやっていませんか。夜はほとんどやっていないじゃないですか。
○宮本(二)政府委員 この出入の規制につきましては、重要なカテゴリーIのところにつきましては昼も夜もやっておるように私どもは承知いたしております。
○榊委員 それはやはり管理不十分だな。私どもがいろいろ調べたところでは、警備というのはほとんど昼間。夜三人だけいるのが材料試験炉のところだけであります。ほかの九カ所はみんな昼間であります。本当に盗難防止をやる気ならば、夜こそどろぼうの入る一番いいチャンスでしょう。
 それとの関連でもう一つお尋ねいたしますけれども、先ほどは信頼性の問題で、職員であれば云々、こういう話がございました。しかし、実際はそうではないのじゃないか、こういう疑問なんです。PP対策というのはアメリカで開発されてアメリカで実行されたいわゆるアメリカ式のものなんですけれども、それはアメリカの場合、核兵器の防護あるいは核兵器の不拡散を前提にしているわけですね。この核兵器を前提にしたアメリカンステム、これはサボタージュ防止などの名目で、そこで働いている職員までいわば軍事的な管理下に置く、そういう方式なんです。それが平和研究を旨としている日本の原研その他の研究施設にそのまま持ち込まれるならば、これは大変なものになるわけです。これは筋道違いであります。しかし、そういうふうに実際はなっているのではないかというのがいまのところから出てくる問題なんですよ。時間が参りましたから、また後でお尋ねいたしますけれども、その点だけ答弁願います。
○宮本(二)政府委員 お答え申し上げますが、わが国におきましては原子力は平和利用一本やりでございます。この核物質防護というのは、日本におきましては核兵器の不拡散という観点よりは、むしろ国際原子力機関の、平和利用を前提といたしましたこういう核物質防護の勧告もございます。いわば平和利用を前提として一つの国際的な勧告が出ておるわけでございまして、これをもとにいたしまして当時の原子力委員会がいろいろ研究者を集めまして、専門家を集めましてできました報告書、こういうものをもとにいたしまして、現在核物質防護措置をとっておるわけでございます。したがいまして、この核物質防護措置はいわばそういう核物質の盗取、盗まれると申しますか、そういう点を中心に全部検討した手段になっておる、そういうことで私どもは理解しておるわけでございます。
○榊委員 いま言いましたように、アメリカのもともとのPP対策というものは核兵器、つまり軍事的なそれを前提にしている。したがいまして、そういうものが日本に入ってきてはいけないと思うのですよ。まさにそこで、自主的にこの問題を考えなければいけない。
 ところが、その核物質の供給国が輸出条件としてそのPP対策を相手国に自分流のそれを要求していく、こういうことがあるし、広く言われているわけでございます。科学技術庁にしても、そういう外国からの要求、良し悪しは別といたしまして外国でやつでいるもの、それを日本に持ち込んでくる。そして何か原子炉等の管理規制法、ある意味合いでは日本になじまないような軍事的な規制法、アメリカの場合は、あれはもうすごいのですからね、武装装甲車なんかが配置されておるわけですから、武装ガードつきの特殊車両だとか、あるいは人間の資格監視、ちゃんとしょっちゅう監視しているわけですから。そういうものが日本に持ってこられれば、これは本当に政府の民主的な研究機関ではなくて、一種の軍需工場みたいになってしまうわけですね。そうはなっていけない。だから、その点はぜひひとつ軍事的な管理方式の導入、これは防ぐということ。それが実際に入ってきているということが現場の働いている人たちの中からも出ているわけであります。この点についてはどうでしょうか。ぜひそういうことは改めていく、少しでもそういう色があるならば改めていく、こういうふうにしてほしいと思うのであります。
○宮本(二)政府委員 先生から非常に軍事上の色彩があるという仰せでございますが、私どもは先ほど申し上げましたように、国際原子力機関で平和利用を前提としたこの核物質防護ということにつきましての一つの勧告が出ております。これをもとにいたしまして、わが国におきまして独自にまたそれを参考にいたしまして、専門家に検討していただいた第一次報告書、これをもとにいたしましていま原子力規制法の運用により実施しているわけでございます。
 ただ、この核物質防護につきましては、現在同じく国際原子力機関を舞台にいたしまして、核物質防護に係る多国間条約というのができておるようでございます。これの今後の批准問題もございましょうし、現在の核物質防護措置で十分なのかどうか、もう一度基本的なあり方について検討いたしたい、こういうことで、原子力安全委員会におきましてさらにこの核物質防護専門部会ということで、わが国におけるこの核物質防護措置はどのようにあるべきか、現在検討しておる次第でございます。決して先生のそういうような御懸念のないように十分に配慮を払い、これの検討をいたしていきたい、このように考えております。
○榊委員 質問ではなくて、一言だけ。
 勧告に従ってと言われますけれども、勧告はアメリカの方式とは違いますよ。その点はしかと調べてみてください。
○中尾委員長 野間友一君。
○野間委員 海洋汚染防止条約に関して少し質問をしたいと思います。
 まず、本条約の批准と国内法の改正問題ですが、外務省が出しております説明書によりますと、国内措置として海洋汚染防止法等の改正が予定されておるというふうに記載されておりますけれども、これは国内措置として条約の批准に伴って改正すべき法律の中身がかなりあるのかどうか、その点についてまずお伺いしたい。
○井口説明員 実は運輸省及び科学技術庁の法律が改正されましたので、その点についてはそれぞれの省庁から御説明申し上げるものだと思いますけれども、私どもといたしまして、その点、関係省庁との国内法の改正問題についていろいろ打ち合わせた結果、若干手間どったということでございますが、今回すでに両院を運輸省、科学技術庁の法律が通りまして、その他関係省庁は厚生省、通産省、環境庁とございましたが、これは全部現行法令の運用によってこの条約の実施に差し支えないということでございます。
○野間委員 そうしますと、この説明書の中にある、いま私が指摘した個所については、改正前の記載だというふうになるわけですか。
○井口説明員 ちょっと言葉が足りませんでしたが、この三つの法律については今国会で両院で審議していただいて、現在それがちょうど通ったということになっておりますので、この部分については確かに先生御指摘のとおりここ二週間ぐらいの間に訂正が必要であったということでございます。
○野間委員 そうしますと、改正はもう済んだんだ、だからこの個所については訂正すべきだというような話だと思います。
 そこで、海洋汚染防止法に関して特に保安庁あるいは運輸省等について少しお聞きしたいと思います。
 いわゆる徳山丸事件、世上をにぎわした事件ですが、端的に、油濁防止管理者あるいは船舶の所有者、これらが処罰されたかどうか。これは簡単に、されたら、されておりますとか、処罰というのは起訴ですね、起訴したかどうか、しなければ、しておりません、それだけお答えいただきたいと思います。
○村田説明員 油濁防止管理者である徳山丸一等航海士については、油記録簿の不記載で送致いたしております。スラッジを投棄したそのことについては目下捜査中でございまして、まだ出光企業の方にまで及んでおりません。
○野間委員 そうしますと、これは八条の二項ですね、これで不記載の事実になったということでいま送致しておる。そうすると、事件そのものはいま検察庁にかかっておる、こういうふうになるわけですね。
○村田説明員 徳山丸事件につきましては、三月二十一日捜査に着手いたしまして、徳山丸を初め、関係先の検証、捜索、差し押え等証拠品の押収、関係者の取り調べ及び事情聴取等の捜査を行った結果……(野間委員「そんなことは聞いてないですよ」と呼ぶ)スラッジを投げました内外産業社員、柿田静男ほか一名を三月三十日神戸地方検察庁に身柄をつけて送致いたしました。また、四月八日……
○野間委員 時間がありませんので聞いたことがけに答えてほしいと思います。いまは油記録簿の不記載について検察庁に送致したかということを私は聞いたのです。その点、検察庁にいま送致されて捜査を継続しておるのかということを聞いておるわけですが。
○村田説明員 いや、この件につきましては送致して、それで油記録簿不記載については一応捜査が完了いたしております。
○野間委員 だから、完了していま検察庁に送致され、検察庁が続けて調べるわけでしょう。
○村田説明員 検察庁の方で取り調べております。
○野間委員 だからそういうふうに答えてもらったらいいですよ。聞いたことだけに答えてください。
 この件は、これから検察庁も捜査を続けましてどうなるかはわかりませんけれども、法のたてまえからすれば、この不記載の事実があった場合には、五十八条二号あるいは五十九条によって両罰規定が一般的にはかかり得る、そういうたぐいのものになるわけですね。
○村田説明員 条文の構成上は先生おっしゃるとおりでございますけれども、事業主等の監督責任等について両罰規定が適用されるべき従業者の業務は、事業主の監督等の及ぶ範囲のものでなければならないと考えられておりますので、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に規定されている船長または油濁防止管理者の油記録簿等の記載義務は、本来船長または油濁防止管理者の固有の業務であると考えられておりますので、一応法務省とも打ち合わせした上でございますが、事業主に両罰規定を適用することは現在いたしておりません。
○野間委員 私は捜査の結果どうなるかの結論を聞いておるのじゃない。時間がたってしようがないので、聞いたことだけをお答えください。法のたてまえからしますと、八条の二項違反は、処罰規定の五十八条二号あるいは五十九条、これがかかって両罰の対象になり得る規定かどうかということを聞いておるわけですね。これは一般的にはそうなるわけでしょう、この件がそうかどうかは別にして。そういうふうに答えてくださいよ。もう時間ばかりとってしようがないです。
 それから、その点についてはいま首を縦に振りましたのでそのとおりだと思いますが、油濁防止管理者の義務違反と船舶所有者の責任について、法のたてまえからお聞きしたいと思います。
 まず、油濁防止管理者の義務ですが、この管理義務というのは一体どういうことになるのかということ、これまた長々としゃべられるのでちょっとこっちから言いますと、「船舶からの油の不適正な排出の防止に関する業務」というのが六条にありますね。そして、恐らくこれを受けましてさらに七条で、この具体的な管理者の管理義務というか責任は、油濁防止規程、これの定めるところによると私は思うのですけれども、この点はいかがですか。
○高島説明員 おっしゃるとおりでございます。
○野間委員 そうしますと、私はこの汚染防止法にちょっと目を通したのですが、この中には管理者選任の義務規定がありますね。それから規程作成の義務、これもありますね。これに違反した場合は処罰規定がありますね。ところが、管理者の管理義務の違反については、行政上の制裁も処罰も本法には、本法と申しますのは汚染防止法ですが、この中にはないというふうに私は読んだのですけれども、それは間違いないのかどうか。
○高島説明員 行政上特に義務づけはございません。管理違反に問われることはございません。
○野間委員 刑事罰の点でも、先ほど申し上げた油記録簿の違反を除いてはないということになるわけですね、管理義務違反に対する制裁は。
○高島説明員 ございません。
○野間委員 そうしますと、これは徳山丸やあるいは明原丸というのがありますが、いままでのケースからしても、法で一たん油濁防止管理者なる者を定め、しかも定めなければ処罰の対象、あるいはこの規程も作成する義務を課し、これもつくらなければ処罰の対象になるということで、かなり厳格に汚染を防止する手だてをしながら、実際には管理者が管理義務に違反しても何らの制裁がないというところに、実効性の担保という点からしてこの法律の一つの盲点があるのじゃないかというふうに私は考えるわけです。
 特にこの徳山丸の場合、海上保安庁では、これは後でまた申し上げますが、内外産業の現場の監督と申しますか、一人を起訴して、これから公判が始まるようですけれども、それだけに終わっている。いわばトカゲのしっぽ切りというようなことになっておると私は思うのです。不作為犯の成立が管理者に実際にどうなのか。これは具体的な事実認定に対する評価の問題が絡んできますので、私は何ともわかりません。ただ、ルポライターの話によりますと、ライトをつけてあったので知らないはずがないというような証言もありますけれども、いずれにしても、もし不作為犯の成立が無理だとするならば、これは別個の措置を検討する必要があるのじゃないかというふうに思うのです。この中身については繰り返しはいたしませんが、要するに管理者を置きながら、この管理者に非常に重要な任務を与えながら、後はタンククリーニング、あんなものをちょこちょことやって全部事を済ましてしまうというようなことで、せっかくこういう規定を置きながらしり抜けになっているという感じを私は免れないのです。
 保安庁はこの点についてどういうふうにお考えでしょう。
○村田説明員 いま先生がおっしゃったようなことも含めまして、目下乗組員の責任について捜査を引き続き続行中でございます。
○野間委員 ですから、もし不作為犯の成立がないとするならば、共謀共同正犯は別ですけれども、要するに排出したことについての直接の責任が問えない場合には、この管理者は何ら処罰の対象にならぬわけでしょう。ですから、こういうケースの場合には非常に不備じゃないかと思うのですね。保安庁はどうお考えになるかということです。
○村田説明員 管理者のそういいました状況証拠と申しますか、そういうことも含めまして、目下捜査中でございます。
○野間委員 だから、捜査はいいのですけれども、不作為の場合には立証は大変でしょう。まあ共謀共同正犯の場合には、実行行為を共同でやっていれば別ですけれども、その場合以外にはこれ自体が非常に立証がむずかしい。その上に、もし共犯として成立しない場合には管理義務違反としての責任追及はできない。そうなれば、これは明原丸とか徳山丸のようにトカゲのしっぽを切ってちょんになる、こういうような結果になりやせぬかということを私は懸念しているのです。
○村田説明員 ただいま明原丸のことも出ましたけれども、明原丸、徳山丸につきましても、乗組員の刑事責任につきまして、先生のおっしゃったことをひっくるめまして目下捜査を引き続き続行中でございます。
○野間委員 どうも答えにならないが、こんなやりとりをしていると日が暮れますので、運輸省、これはどうですか。
○高島説明員 お答えいたします。
 先生御承知のように、油濁防止規程、これは油の不適正な排出を防止するために船主に油の取り扱い作業の要領等を定めさせる、こういうことにしておりまして、いわば海運事業者の内部的な自己規制に期待する、こういう制度になっております。そういうことでございますので、仮に油濁防止管理者が油濁防止規程に違反をしても現行法上は法的な責任を問われない、こういう仕組みになっておりまして、確かに先生御指摘のような問題点があろうかと思いますので、運輸省におきましても、現在、関係の海運事業者に対しまして強く指導監督をするということにしておりますが、それとあわせまして、実態をよく調査いたしまして、今後どういうふうな措置をとるべきか、検討を進めたいというふうに考えております。
○野間委員 保安庁、せめていまの運輸省程度のものを答えていただかないと、あなたの方で一生懸命捜査したって、本当に盲点になっていますので、もっとまじめに、慎重に考えて、お答えいただきたいと私は思うのです。かなり時間を食ってしまいまして大変なんですが、ぜひその点については運輸省も十分検討してほしい。保安庁も検討してほしい。
 さらに、この山水商事、内外産業、これは明原丸も徳山丸も同じようにタンクを清掃した業者なのですが、これらは廃油処理業者としての許可を得たクリーニング業者なのかあるいはそうでないのか、恐らくそうでないというふうに思うのです。この点について運輸省にお聞きしたいと思います。
 ついでに聞きますと、いま申し上げたように、これは累犯なんですね。明原丸と徳山丸、両方やっておるわけです。これは清掃業者についても、単なるビルの清掃等々と違いますので、汚染防止という観点からすれば、処理業者だけではなしに清掃会社そのものも非常に重要な仕事をするわけなんですね。
 したがって、私はいろいろ検討したのですが、やはり清掃業者に対しても何らかの制裁なり措置、こういうものを検討する必要があるのではなかろうか。大変重要なこういう犯罪行為が重ねて起こっておりますので、その点についてひとつ見解を伺いたい。
○高島説明員 お答えいたします。
 最初に御指摘のございました点でございますが、山水商事あるいは内外産業はいずれも廃油処理事業者としての許可は受けておりません。
 それからタンククリーニング業に対する法的規制の問題でございますけれども、現在のところ特に事業としての規制は行われていないというのが実情でございます。
 運輸省といたしましては、事件が発生いたしましてから二回にわたりまして依命通達を出しまして、海運事業者に対しまして船内作業の適正な実施を図るように、特にタンククリーニング作業に関する下請事業者との契約の適正化及び下請作業の監督体制の強化につきまして強く指導監督を行っているところでございまして、今後その進展状況を見ましてタンククリーニング事業者の監督についてさらにどのような措置をとる必要があるか、検討を進めてまいりたいと考えております。
○野間委員 たしか三月二十七日付の次官通達ときょう付、審議官の通達ですね。これを私も拝見したのですが、中身については非常にきめ細かい行政指導の指針が書かれているという点については私も否定はしないわけです。ただ、これが果たして実効性が担保できるかどうか、行政指導だけで済むのかどうかということになりますと、後でまたお話し申し上げますけれども、いま船舶による油の汚染が非常にふえておるという点で私は非常に疑問に思うわけで、いま運輸省の答弁がありましたけれども、ぜひともこの点についても、たとえば処理業者の場合にも一定の基準がありまして、この基準に合致しないものにはこれは許可しない、そういうことになっていますね。私はやはりこういうような一つの処理業者と同じような取り扱いをする必要があるのじゃないか。特に審議官の通達の中にも書いてありますように、いまほとんど船会社が独自で清掃するというのはなくて、ほとんどが独立した清掃業者がクリーニングをやっているわけでしょう。だからなおさらだというふうに私は思うのです。
 いま運輸省も答弁ありましたけれども、その点も踏まえてぜひとも検討をしなければ、徳山丸のケースのように船舶所有者も責任がない、それから管理者も全く責任がない。処理業者というか清掃会社、クリーニング会社はどうかといいますと、現場の末端の人をつかまえて、そして起訴だけしてそれで事済みということでは、これは後を絶たないのは当然だと思うのです。その点について重ねて強く要望をしておきたいと思います。
 それから、これは立証が大変にむずかしいわけですが、保安庁に聞きますが、スラッジについて不法な排出、これをどうやってどこで認定するかということです。よく言われておりますように、原油の積載量からスラッジの発生量の推定、それから陸上での油記録簿あるいは処理の記録簿、これらを照合して検討して、技術的にむずかしい面もあろうかと思いますけれども、そこで一定のスラッジの発生量と申しますか、それは出てくるのじゃないか、こう思うのです。そういう点から実際に不法投棄の実態がある程度明らかになるのじゃないかと思うのですけれども、それは技術的に可能かどうか、そういうことをいま検討しているかどうか、それについてもあわせてお伺いしたいと思います。
○村田説明員 先生おっしゃるとおり、スラッジの排出量は、船の型、あるいはCOWといいまして原油洗浄方式を使うとかそういうことによりまして、その発生量がそれぞれ違うわけでございますが、一定の方式に従いますと各タンカーについてのスラッジの排出量が大体決まってまいります。それを陸上に揚げた排出量を追跡調査いたしましてある程度の解明が可能かと思いますので、われわれの方もいまその検討をいたしておる最中でございます。
○野間委員 なお、この条約の批准に当たりまして、こういうケースについて後を絶たないわけで、これは通達で行政指導するのは大事なことだとは思うのですけれども、その四十八条に、報告の徴収等、いろいろ運輸省のできる規定、こういうものがありますが、こういうこともこの際、検討する必要があるのじゃないか。
 時間が参りましたのであわせてあと一、二お聞きしておきますけれども、この白書によりましても、船舶による汚染が大変ふえている。運輸省の資料をもらったのですが、五十三年度で船舶による油の汚染が七百一件、五十四年度は七百六十九件ですね。ところが、保安庁の体制をいろいろ見てみますと、体制が非常に貧弱でありまして、神戸の海上保安本部では港湾担当官三名、保安部については専任がほとんどいないというような現状です。これではせっかく条約をつくり、これから具体的に取り締まっていくという点から考えて大変な問題が残ってくると私は思うのです。この点についての見解を伺いたい。
 もう一つ、最後に、便宜置籍船の問題についても白書の九十八ページあるいは百二ページにも書いてありますけれども、パナマとかリベリア船籍、いわゆる便宜置籍船が大変に多いわけです。しかも船舶による汚染のうちで外国船によるものが約八二%、これも白書にあります。そしてその船籍、国籍を見ますと、いま申し上げた便宜置籍船が非常に多い。これは便宜置籍船そのものについて、こういうものをやめさせる、無法まかり通るということが衆議院の運輸委員会で田尻氏の参考人としての供述の中にもありますし、白書の中でもこれは問題だという指摘も百二ページにもあるわけです。これらの点について運輸省並びに保安庁に見解や答弁を求めて、ひとまずこれで私の質問を終わって、また後の機会に続けたいと思います。
○村田説明員 私どもの取り締まりの手足となるのは巡視船と航空機でございますが、御承知のように五十二年から新海洋秩序の対応体制ということで急速に巡視船、航空機を整備していただいております。先ほど御承認願いました五十五年度予算においても、ヘリコプター搭載型巡視船を含む巡視船、大小合わせて二十二隻、航空機で十二機、これを五十五年度予算でお認めいただいたので、これらを合わせまして、三百四十三隻の巡視船艇、五十三機の航空機、これらをもちまして監視を強化するということとあわせまして、先ほども申し上げましたように、タンカーのタンククリーニングを頻発する海域である高知沖、その辺の海域を、これまた本年度三月に就役いたしましたヘリコプター搭載型の巡視船を投入いたしまして、監視を強化する。あわせて職員の教養訓練も考えております。そういうことで体制を強化してまいりたい、このように考えております。
○高島説明員 お答えいたします。
 先生御指摘の便宜置籍船の問題でございます。大変むずかしい問題でございますが、安全上の問題あるいは海洋汚染防止という観点、さらには労働上の問題だとか、いろいろな観点で、これはやはり国際的に解決を図るべき問題だと考えておりますけれども、私どもとしては、日本の船社が支配し得る船については積極的に行政指導の形で問題の解消、解決を図っていきたいというふうに考えております。
○野間委員 ひとまず終わります。
○中尾委員長 林保夫君。
○林(保)委員 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約並びにその紛争の解決に関する改正について、少し広い視野から伺いまして、率直にお答えいただきたいと思います。
 申すまでもありませんが、海をめぐる国際法秩序は、御承知のようにかつての少数の海洋先進国が世界を支配した時代に比べますと、大きな変質を迫られておると思います。と同時に、海洋国の日本としましては大変大事な問題であろう、このようにも考えます。
 その一つとして、海洋汚染問題が今日取り上げられておりますが、具体的に言いますと、大型タンカーの出現などによって海洋汚染問題は世界の関心事となり、国連のIMCOなどで専門的な検討が行われております。その結果、幾つかの国際条約が成立している、このように承知しておりますが、具体的にどのくらいの条約が作成されておるのか、その名前を挙げていただき、わが国がその条約を締結しているかどうか、未締結の条約があれば、それを明らかにしていただきたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。
 現在、海洋汚染防止の見地から締結されております条約は六つございます。まず第一に、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約、第二に、油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約、第三、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約、第四といたしまして、油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約、それから第五といたしまして、千九百七十三年の船舶からの汚染の防止のための国際条約、最後に、千九百七十三年の船舶からの汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年議定書、この六つの国際条約がございまして、このうち最後の二つの条約につきましては、いずれもまだ未発効でございますし、また日本も締約国になっておりません。
○林(保)委員 ただいまの最後の二つでございますが、未締結になっておる、未発効でもある、こういうことでございます。日本は言うまでもなく海洋国でございますが、なぜ未締結になっているか、その事情、未発効の事情、これを明らかにしていただきたい。
○関説明員 この二つの条約につきましては、締約国になるに当たりましては廃油を受け入れるための施設の整備、それからその他の関係国内法令上いろいろな問題が出てまいりますので、国内法令を整備するということが必要になっておりまして、現在このための検討を行っているわけでございますが、外務省といたしましては、これにできるだけ早期に加入するという方向で前向きに取り組んでいる次第でございます。
○林(保)委員 具体的に海洋投棄規制条約につきまして四十八年に署名してから五年余りを経ております。いろいろ事情があったと思いますが、どういう事情があっておくれたのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○井口説明員 確かにわが国で関係国内法の改正というものに若干時間がかかったことは事実でございますが、それは結局新しい海洋投棄を全面的に規制するという条約でございますから、この関係省庁も、すでに改正法をつくりました科学技術庁、運輸省のほかに厚生省、通産省、環境庁等多数に上りまして、また特別許可の制度というものもわが国の国内法とどのように調整するかという問題がございましたし、航空機を新しく投棄の規制の対象にするという問題もあったわけでございます。その他いろいろな観点から国内法制がどれだけ必要かということでございまして、現行法の枠内で運用できるという結論が出た場合もございますし、ともかくIMCOの事務局やあるいはその他の国にも、厳密な国内法を担保する上でいろいろな調査をして時間がかかったということでございます。
○林(保)委員 海洋はごみ捨て場であってはならぬというのは当然のことでございますが、海洋汚染の原因が単に廃棄物の投棄に限定されるわけではなくて、いろいろな要因が絡んでいると思います。どういうのが今日考えられておるのか、そしてまた、その中で廃棄物の投棄は全体の海洋汚染の中でどういう割合になっておるのか、わかれば御説明いただきたいと思います。
○高島説明員 お答えいたします。
 海洋汚染の原因といたしましては、陸上にあります工場、事業場からの産業排水あるいは生活排水、それから陸上発生廃棄物を船舶に積みかえまして海洋に投入するという、今回の条約の対象になっております海洋投棄の問題、それから船舶の通常活動に伴って生ずる廃棄物等いろいろございます。このうち、先ほど申し上げましたように、本条約の対象になっておりますのは、陸上で発生する廃棄物を船舶に積みかえて海洋投入処分をする、そういう場合でございまして、これは全体の何%に当たるか、実はそういう統計的なデータは十分ございませんので、はっきりしたことを申し上げられませんが、全体といたしまして陸上でどの程度廃棄物が発生しているかということから申し上げますと、一般廃棄物といたしましては、いわゆるごみが約四千二百万トン、屎尿が約四千万キロリットルというふうになっております。それから、産業廃棄物につきましては全体で約二億四千万トン、こういうふうに推計されております。このうち海洋にどの程度投入処分されたかという数量を申し上げますと、廃酸、廃アルカリといったいわゆる産業廃棄物が約三百六十万トン、屎尿等の一般廃棄物が約四百九十万トン、こういうふうになっております。
○林(保)委員 大体一割前後のように感じますが、いずれにいたしましても、このような原因による海洋汚染は、どうしても日本としても、また世界的な課題といたしましても避けるのは当然でございますが、政府といたしまして、国際的な規制の面、そしてまた国内法による規制の面で今日までどのような御努力をなさってこられたか、マクロ的にちょっとスケッチしていただきたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。
 現在国連環境計画等におきまして、国際的な海洋汚染に関しますいろいろな検討作業が行われておりまして、外務省といたしましても、これらの検討作業には積極的に参加する一方、国内的には関係省庁とも緊密に協議、連絡を保ちつつ対処いたしておるわけでございまして、今後ともこのような積極的な協力の姿勢を維持してまいりたいというふうに考えております。
○林(保)委員 現在こういった国際的な規制及び国内法による規制で穴のあいておるところがあるんじゃないだろうか、このように思いますが、どういうところがそうなっておるか、伺いたいと思います。
○井口説明員 海洋法会議におきまして、実は海洋汚染防止というのは非常に大きな課題でございますが、その場合に、国際的に非常にむずかしいのは陸上汚染源でございまして、これを国際的にどういう協力体制をつくって規制するかというようなことは、かなりまだ国際法上も実は習熟していない面がございます。
○林(保)委員 その一例かもしれませんけれども、今度の条約でも、船舶の通常運航に伴って生ずる廃棄物の投棄は条約の規制の対象になっていないと理解しておりますが、そのとおりかどうか。
 そしてまた、新聞紙上その他漁民の皆さん方のお訴えなどによりますと、日本近海でソ連船の投棄が、かん詰めを捨てたり、食べ物を捨てたり、大変目立つ、このようにも聞いております。この条約ではどのような扱いになるのか、お伺いしたいと思います。
○高島説明員 お答えいたします。
 海洋投棄規制条約は、先ほど来申し上げておりますように、陸上で発生いたしました廃棄物を海洋に投入する場合の投入の仕方につきまして規制する、こういうことになっておりまして、いわゆる船舶の通常活動に伴って生ずる廃棄物は対象になっていないということでございますが、これを規制する条約といたしましては、七三年の海洋汚染防止条約と同条約に関する七八年の議定書、こういうものがございます。
 ただ、現在海洋汚染防止法上、船内から発生いたします通常のごみ等につきましては、比較的その量も少なく、また海洋還元性のものがほとんどでございますので、一定の海域以外については特に規制していないという状況でございますけれども、特に大型の客船等から大量に発生するような廃棄物の排出については、これは搭載人員百人以上を対象にいたしまして、港則法上の港の区域等一定の区域について排出する場合には、一定の排出基準に従わなければいけない、こういうふうな規制はいたしております。
 ソ連船等いわゆる外国船が領海内でこういうごみなんかを捨てる、こういうような場合につきましては、一応領海内であれば海洋汚染防止法上一定の規制が行えるわけでございますけれども、運輸省といたしましては、今後ともわが国の周辺の海域におきます汚染状況ということを十分考えながら、船舶の日常生活廃棄物というふうなものの規制の強化についてもさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
○林(保)委員 ソ連船ばかりでなくて日本船の問題もありますし、これから船の航行隻数が減るわけでもございません。先ほど百人以上の人たちの乗り組みの船について取り締まるということを言われましたけれども、国内的に行政指導そのほかの面でどのように具体的に強化していこうとしておられるのか、あるいはまた、これを規制するような国際条約について何か考えられないものか、展望をちょっと承っておきたいと思います。
○高島説明員 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、現在の海洋汚染防止法上も、最大搭載人員百人以上の船舶につきましては、一定の海域につきまして一定の排出基準を守らせる、こういうふうなことをいたしております。今後、先ほど申し上げました一九七三年の海洋汚染防止条約というものも踏まえまして、その早期批准のためにいろいろ検討中でございまして、こういったものとあわせまして、必要な規制の強化を進めてまいりたいというふうに考えております。
○林(保)委員 具体的に海上保安庁ではこういうものについての取り締まりをやったことがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○高島説明員 ちょっと海上保安庁の方がおられませんので、はっきりしたことを申し上げられませんけれども、海洋汚染防止法に基づきまして必要な取り締まりをしているということでございます。
○林(保)委員 どうも余りやっておられないような印象を受けるのでございますが、しっかりやっていただきたい、これを御注文を申し上げておきたいと思います。
 本条約第五条2項の緊急条項というものがございますが、これはアメリカの主張によって挿入されたと聞いております。これは明らかに第四条の一般禁止原則のエスケープクローズとなるような感じがいたしますが、会議においてアメリカ側がどのような主張をしたのか、論議の模様をお聞きしたいと思います。
○井口説明員 お答え申し上げます。
 実はこの点、会議で米国が主張し、それに対してまた一部の国がかなり反対した、カナダ等が反対したということでございますが、米国自身がその理由について具体的に詳しい説明をしたわけではないというふうに報告されておりまして、要するに、こういう例外的な規定というものがなければやはりこういう新しい条約で海洋投棄を原則としては全面的に禁止する、例外的に特別許可もしくは一般許可によって認めるということについてのエスケープクローズが必要であるということでございまして、実は具体的に何を考えていたかということについてはまだはっきりわかっておりません。米国自身がこの手続を援用したという報告はまだ受けてないわけでございます。
 ただ、五条の1項では、これはまさに海難とかそういう場合の船舶、航空機等による緊急の投棄ということでございまして、これは非常にわかりやすい。
 五条2項の場合に「人の健康に対して容認し難い危険をもたらし、かつ、他のいかなる実行可能な解決策をも講ずることができない緊急の場合」というふうに定義されておりまして、やはりあいまいですから締約国の協議においてその基準を定めるということになっておりまして、第一回の締約国協議会議において暫定的な手続と緊急事態の決定に関する基準というものについて合意がなされました。
 その場合の緊急事態であるかいなかを決定するための特別許可を与えようとする国の調査すべき事項として、人の健康に対する危険性、コストの問題を含めて陸上処理の代替手段、さらに海洋投棄の海域の設定及びモニタリングに関する問題というのを詳しく調査するということになっておりまして、現にこれを援用した国が報告している場合には、やはり陸上処理の施設あるいは陸上において無害化するという方策が全くないという場合であり、そういうことが小さな国においてはあるということでございます。
○林(保)委員 わが国では具体的に起こり得るのでしょうか、いかがでしょうか。
○高島説明員 お答えいたします。
 わが国におきましてこのような場合が起きるかどうかという御質問でございますけれども、ほとんどこういうようなケースは考えられないと考えておりまして、今後条約に言っておりますような緊急の場合というものが出てまいりますれば、この条項に従いましてIMCO等と協議をして所要の措置をとってまいる、こういうことにしております。
○林(保)委員 いろいろとわが国の場合も問題があろうやに思いますが、しっかりこれを詰めていただきたい、このことをお願いいたしたいと思います。たとえばイペリット爆弾が依然漁船の網にかかるような状況もあろうかと思います。
 続きまして、条約第八条に、「この条約に適合する地域的取極を締結するように努める。」このようにありますが、現に締結されている条約は幾つありますか、名前をお答えいただきたいと思います。
○井口説明員 従来締結されているのは、どちらかと言えばヨーロッパの地域の閉鎖海、半閉鎖海でございまして、大西洋、北極海におけるオスロ条約というのが周辺の欧州諸国が締結しております。それからバルト海沿岸国によるヘルシンキ条約、地中海の汚染防止のためのバルセロナ条約、アラビア湾の、ペルシャ湾と言っておりますが、クウェート地域条約というのがございます。
 今後アジアの近隣諸国との間でも海洋環境保護のための地域的な協力の枠組みというものを考えることは前向きに検討していくべきだろうと考えております。
○林(保)委員 まさにアジア的なアジアの地域についても取り決めが大変大事であろう、このように考えます。海洋をめぐる国際法秩序についてやはりアジアでは日本がイニシアチブをとってやらなければならぬと思います。環境外交といいますか海洋外交といいますか、松本政務次官の御決意をひとつ承っておきたいと思います。
○松本(十)政府委員 先生御指摘のとおり、アジアにつきましても当然このような地域的な取り決めを締結すべく、わが国がイニシアチブをとってやるべきだと考えております。
○林(保)委員 時間もございませんので、日加原子力協定の方に入りたいと思いますが、先ほど来の質問でも明らかなように、本協定の改正は必ずしも平等であるとは言えないと思います。供給国の規制権というものが厳然としてあるやに思いますが、供給国の規制権、これはどのように理解したらいいのか、御説明いただきたいと思います。
○矢田部説明員 原子力の平和利用は核兵器の拡散につながるものであることは否定できないと思います。と申しますのは、同じ核物質を使うものであるからでございます。したがいまして、平和目的のための協力であってもそれが軍事目的に転用されないための手段を講ずるということはどうしても必要になってくる、そのために供給国側にある程度の規制権を持たせることはやむを得ないということでございます。
○林(保)委員 供給国が平和的な国であり被供給国が平和的でない、好戦的である、それで危ない、こういう理屈は成り立たないと思いますが、それはそれといたしまして、今回の改正に当たりまして対比されるのは、日加と日米の原子力協定だと思います。日米原子力協定と日加の原子力協定の特に今回改正された内容について、相違点を列挙していただきたいとお願いいたします。
○矢田部説明員 改正点の主な点が基本的に現行の日米協定と違っておる点でございますが、第一は、第三国移転に関する供給国の事前同意権の範囲が拡大されているということ、第二に、供給国から提供された核物質を二〇%以上濃縮する場合の事前同意権が規定されているということ、それから高濃縮ウラン及びプルトニウムの貯蔵に関して供給国の事前同意権が規定されていること等でございます。ちなみに、これは供給国の権利でございまして、カナダの権利ではございません。双務協定でございますので、供給国側が持つ権利でございます。
○林(保)委員 昭和五十二年の日加原子力交渉で中心的な問題になったのは、いわゆる日本が国内あるいは外国で委託して再処理を行うときに、ウラン産出国であるカナダ、濃縮国であるアメリカ、双方から規制を受けるといういわゆる二重規制問題があった、これはもう周知の事実でございますが、この問題について両国の主張点と交渉経過、あるいは妥結点だけでも時間がございませんので結構ですが、御説明いただき、もう一つは、二重規制は交換公文によって事実上回避されている、こういう説明を聞いておりますが、交換公文の上でどのような取り決めとなっておりますか。
 先ほど申し上げました日加両国の主張点を一つと、それから交換公文上どのような取り決めになっているか、具体的な手続をどうするのか、この点御説明いただきたいと思います。
○矢田部説明員 カナダの規制権を持ちたいということでございます。これに対する日本の主張は、カナダの原産ウランであってもたとえば米国で濃縮された上で日本に入ってくる場合には、直接入ってくる相手であるところの米国の規制権だけで足りるではないかということでございました。協議の結果、その重複を避けるために米国がカナダの同意を取りつけた上で日本に対して事前の同意を与えるということに妥結したわけでございます。
 具体的には、交換公文の一でこの問題を取り扱っておりますが、そのうちの特に第1項をごらんいただきますと、この条項に従って米加間の取り決めを利用して二重規制を防ぐということになっております。
○林(保)委員 再処理に関する規制権の行使について日本とカナダとの今度の協定、それと比較いたしまして、カナダはユーラトムとの協定をやっておりますが、その差異はございませんでしょうか。日本が不公平になっているんじゃないだろうかという危惧を持つのでございますが。
○矢田部説明員 カナダとユーラトムとの協定改定交渉は完全には妥結いたしておりません。まさに御指摘の再処理事前同意の部分につきましては暫定的な合意のままになっております。したがいまして、この条項が将来カナダとユーラトムとの間でどのようなふうに合意されるかということを待ちませんと、先生のただいまの御指摘については直接にお答えできない次第でございます。
○林(保)委員 本協定を承認締結いたしました結果として、当然すでに問題になっております日米原子力協定に影響すると思います。と同時に、また英国、フランス、オーストラリアとの原子力協定へも影響が出るのじゃないかと思いますが、この点についての確信を政府側はどのようにお持ちでございましょうか。
○矢田部説明員 先ほど来申し上げておりますように、供給国の規制権をある程度強化するということが核不拡散の確保上必要であるということが国際的な一般的認識となっております。そのような意味におきましては、今回の日加協定の改正の方向は、将来改正されることあり得べき他の協定の改正の方向と恐らくほぼ似たようなものになるだろうかと思われますが、しかしながら、それぞれの交渉はそれぞれ独立に行いますので、今回の日加協定が直接他の協定に何らかの影響を及ぼす、そういう因果関係はございません。
○林(保)委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、どうか影響のないようにひとつ国益を踏まえてがんばってくださいますよう、これまた期待いたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
     ――――◇―――――
○中尾委員長 この際、ただいま審査中の条約三件に対する質疑は後刻に譲ることとし、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 外務大臣から発言の申し出がありますので、これを許します。外務大臣大来佐武郎君。
○大来国務大臣 今回、大平総理大臣は四月三十日から五月七日まで米国、メキシコ及びカナダを訪問いたしまして、私も御一緒に参ったわけでございます。
 米国におきましては、四月三十日から五月一日まで、主として五月一日カーター大統領と会談したほか、米国議会の指導層との懇談もいたしたわけでございます。
 カーター大統領との会談におきましては、イラン、アフガン問題を中心とする国際情勢、ベニスサミット及び二国間問題についての意見交換を行いましたが、イラン、アフガン問題につきましては、大統領より、これらの問題がもたらす状況に対して国際社会が断固たる態度で臨むことが重要であるという指摘がありました。総理からは、わが国としては国際社会の一員として、また米国の友邦としてこれらの問題に対処していくことが重要であるという基本的な認識のもとで努力をしておるというお話をいたしたわけでございまして、特にイランの人質問題につきましては、総理から、米国が本件に対処するに当たり引き続き忍耐と理性を示し、平和的に解決していくことが重要であるということを発言されました。
 また、難民問題につきましては、国際社会全体にとって共通な深刻な問題であり、引き続き援助をしていく必要がある、これの両者の認識は一致したわけでございます。
 ベニスのサミットにつきましては、エネルギー節約、代替エネルギー開発、その他の面で有効な方途を探るという話が出ておりました。
 防衛力増大の問題につきましては、大統領より、日本が防衛力増強に努力していることを多としており、また日本の国内的制約については十分理解しているところであるが、今後とも新しい状態に対処するために、日本政府の内部にすでにある計画を早目に達成されるならば、アジアの平和と安定のために有意義と考えるという趣旨をカーター大統領が述べたわけでございます。総理からは、第一に、わが国としても今後とも自主的に努力を続けていくということ、それから第二に、日本側の制約について米側の理解を評価する、第三に、わが国としても同盟国として何をしていくべきかを真剣に検討していくという趣旨の発言をされたわけでございます。
 さらに、アジア地域の政治的経済的安定に資するために、広い意味での安全保障の確保のために、日本として経済技術協力をさらに一層努力をしていく考えだということも総理から述べられたわけでございます。
 それから、自動車問題及び政府調達問題につきまして米側から言及がございましたけれども、この問題については、アスキュー通商代表が来週早々来日いたしますので、この話し合いをさらに将来にわたって継続して解決を目指すということでございました。
 今回の米国訪問は短期間でございましたけれども、両首脳が国際情勢の厳しい中での率直な意見交換をしたということと、日米両国の問の信頼関係を強めるという意味での意義が大きかったと考えております。
 さらに、大平総理は、五月一日から四日までメキシコを公式訪問し、ポルチーヨ大統領と二度にわたって会談いたしました。
 この会談では、メキシコの重要性にかんがみ、政治、経済等の幅広い分野で協力を行っていかなければならないという認識のもとに、国際情勢についての両国の考え方の意見交換、それからまた、両国間の相互理解を一層促進するために、日墨友好基金に対して百万ドルの提供を日本が行うというごとも、この際に発表されたわけでございます。
 さらに、メキシコは自国の近代化、工業化の促進を非常に重視しておりまして、そういう分野に対して日本が協力していく、特に鉄鋼プロジェクトについて誠意を持って協力するということ、他方、メキシコに対して、八二年までに原油の対日輸出を一日当たり三十万バレルまでに増加してもらいたいということを総理の側から申し入れいたしまして、これに対してメキシコの大統領からは、これに配慮するという政治的決意と善意を示されたわけであります。
 今次の訪問を通じまして、政治的、経済的に成長しつつあるメキシコの活力に印象を受けるとともに、相互の理解を深める意味で大きな意義があったと考えるわけでございます。
 さらに、総理は、四日から七日までカナダを公式訪問し、トルドー首相と二回にわたる会談をいたしましたほか、カナダ連邦議会において、日加関係の展望について、これは上院、下院合同の席上で、総理から演説をいたしたわけでございます。
 トルドー首相との会談では、主要な国際問題及び二国間の問題につきまして、友好的な雰囲気の中で話し合いを行ったわけでございます。
 イラン、アフガン問題についても共通の認識でございまして、国際社会の秩序に対する脅威という認識のもとで、その解決に努力する、協力するという意見の一致を見たわけでございます。
 二国間問題につきましては、経済面では日加貿易経済関係などを一層強化することについての意見の一致を見ました。このため、民間レベルでの接触の強化と相まって、政府ベースの日加経済協力委員会の場などを活用して、今後も話し合いを続けてまいる。それから、二国間のエネルギー協力のあり方についても相当内容に入った意見交換を行ったわけでございます。
 日加両国間の幅広い関係の進展を反映し、新たに両国外務大臣間の年次定期協議を開始することが一応合意されたわけでございまして、今回のオタワでの私と先方の外務大臣の間の会談がその第一回になったわけでございます。
 今次訪問を通じまして、経済関係はもとより、政治、文化、学術交流、科学技術協力等、日加関係をより多様かつ立体的なものにするということについての展望を開く機会になったと存じます。
 なお、私は、総理訪加中、ニューヨークに赴きまして、五月六日ワルトハイム国連事務総長と会談いたしました。
 一時間半余りにわたって、イラン問題、アフガン問題、グローバルネゴシエーション、これから国連の特別総会で取り上げる問題でございますが、あるいは国際開発の戦略の問題、その他国連に関連した主要な問題について意見交換を行ったわけでございます。
 ワルトハイム事務総長からも、イラン問題については引き続き国連が仲介の労をとりつつある、今後もそれを続けていくつもりであるという意向の表明がございました。
 駆け足でございますけれども、以上今回の米州訪問の概要を御報告申し上げた次第でございます。
    ―――――――――――――
○中尾委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。
○奥田委員 成田から直行のハードスケジュールで、大変御苦労さまでございます。思ったより元気ですから、きょうは深夜審議になりますけれども、がんばってください。
 大臣と私の質問がセットみたいになっておって、十五分という制約を受けておるのですが、もうほとんど時間がありませんから、質問は一問のみにとどめますけれども、率直な感想、所見をお伺いいたしたいと思います。
 アメリカはいま政治、経済、軍事、そういった体制において少し自信喪失ぎみなような感じがいたします。私たちは、この自由世界を維持するためにアメリカ側としては日本に対し、こういう時期ですから、特に応分の責任分担を、求めてくるのは、むしろパートナー国として当然だと思っております。したがって、今回の日米首脳会談で、わが国の防衛力増強の要求があったわけですけれども、大平総理は、同盟国として真剣に努力したいときわめて前向きに対応することを表明されたと承っております。これは五十六年度予算にも絡んでくるわけですが、中期業務見積もりの早期達成を実質的に前向きに約束したと私たちは受け取っていいのか。アメリカ側はむしろそういった形で理解しているのではないかと推測するわけですけれども、バンクーバーの大臣の記者会見の内容が各紙とも紙面を飾っているわけです。防衛費GNP一%三年で達成要求等々具体的な数字まで挙げられておるわけですけれども、どうか官僚作文でない、大臣、あなたの率直な、今回の首脳会談の中での防衛問題に関するアメリカ側の感触をお伺いいたしたいと思います。
○大来国務大臣 会談におきましてカーター大統領の方から、日本政府の中にある計画の早期達成をしてもらえればアジアの安定等に有効だと思われるという趣旨の発言がございましたことは事実であります。特に中期業務計画ということを名指しで発言があったわけではございませんが、大体これを指しておるんだろうということは想像されるわけであります。これに対しては、総理は一般的な答弁をされたわけでございまして、ただいま奥田委員からのお話のように、同盟国として真剣に検討したい、しかし具体的な内容についての約束をされたわけではございません。
 ただ、アメリカ側のブリーフの中に、多少今度の会談におきまして着実かつ顕著なというような意味での合意があったようなアメリカ側の発言が、記者団に対するブリーフィングの中にあるわけでございますが、ブリーフィング全体をまた読んでみますと、その内容の具体的な話し合いがあったわけではない、それからその具体的な進め方というような問題はむしろ日本側に聞いてもらいたいというようなことを、アメリカの報道官が発言をいたしておるわけでございます。
 これは従来の立場と余り変わっておらないので、日本の立場から自主的な努力を行うという意味で総理が発言されたわけでございます。
 きょうの新聞をまだ私もよく読んでおりませんが、昨日のバンクーバーで最後の記者会見をやれということで申したことでございます。どういうふうに伝わっておるのか私もまだ詳しく承知しておりませんけれども、私の述べました趣旨は、その前に三月に訪米いたしましたときにブラウン長官からも要請があった、これは中期業務計画の一年繰り上げというようなことで、五年を一年で四年という意味になると思うのでございますが、過去の一年がすでに経過したという意味であるいは新聞等三年と言っておるかもしれませんが、趣旨はあくまでも一年繰り上げという要請がある。これは事実そういう要請があるわけでございますが、しかし、それに対して日本が自主的に対応するということは、その対応の仕方、いろいろの立場があるわけでございまして、たとえば財政当局の立場から言えば、そういう中期業務計画達成そのもの、これは一応五年の目標になっておるわけでございますが、それも非常に困難だという見方があり得ると思いますし、また防衛庁自体の立場からすれば、防衛上の必要ということで繰り上げ達成をできればしたいという立場もあるだろうし、これはいろいろ日本の国内の財政事情、国民のコンセンサス等々の兼ね合いで、来年度予算編成の過程で具体的な問題が煮詰まっていくことになるだろうと思うという趣旨のことを記者会見で申したわけでございまして、表題はかなり大きく出ておるように思いますが、中をごらん願うと従来とそう変わったことにはなっていないと私は承知しておるわけでございます。
○奥田委員 時間ですから終わります。
○中尾委員長 土井たか子君。
○土井委員 お帰りになって早々、大臣はお疲れだと思います。
 いろいろ基本的なことをお伺いしたいということで私は質問戦に臨む予定でございましたが、いま奥田委員の方からすでに中期業務計画についての話が出ましたから、それについてのお尋ねから先に少し進めてみたいと思うのです。
 先ほど外務省から「日米首脳会談の概要」という会談後の記者ブリーフィングの概要をいただいたのですが、政府部内にすでにある計画ということをアメリカ側が言う場合に、カーター大統領の念頭には、またアメリカ側の考えの中には、中期業務計画というのが意識されていたやにいまの大臣の御答弁でございました。しかし、これはそういうことであるなら、国会で予算委員会を初めとして一貫して政府としてこの問題に対処なさってきたことに大きく矛盾することになっていくだろうと思うのです。
 そもそも中期業務計画というのは防衛庁の一つの考えでございまして、閣議決定も得ておりませんし、国防会議の決定も得ておりません。したがって、形式的にはこれはまだ認知をされていないものであるということになっていることを、われわれはよく承知しておるわけです。したがって、アメリカがそういうことを持ち出すということになってくると、米国には理解の上で認識に間違いがあるというふうに言わなければならないと思いますが、外務大臣この点はどのようにお考えになりますか。
○大来国務大臣 そういう理解もあって、政府の内部にある計画という発言をカーター大統領が行ったのではないかと想像しております。先ほど申しましたように具体的な名前ということでの話はなかったわけでございます。私どもも、中期防衛計画というのは防衛庁内部の、防衛庁限りの計画ということで承知しておるわけです。
○土井委員 そういうことになってまいりますと、今回大変微妙な問題は、その点でアメリカ側がどう受けとめたかったかという点であります。日本側が別に約束はしなかった、積極的に何もそのことについては合意をし、しかも日本としてこれに対してこうするということを述べたわけではないと幾ら抗弁されても、アメリカ側の受けとめ方というのは、非常に積極的であったというふうな受けとめ方がおおよその報道を通じてわれわれの耳には入ってまいっております。
 したがいまして、そういうことからすると、一つお尋ねをしたいのは、われわれとしても同盟国として何をしていくべきかを真剣に検討していきたいという中身として、来年度予算の中でたとえこの問題に対しての中身を含めた増額ということができなくても、アメリカ側に対しては約束違反にならないということがはっきりここで言えますね、どうですか。これはイエス、ノーで答えてください。
○大来国務大臣 努力するということで増額がないということになると、やはり問題かと思います。
○土井委員 そうすると、早々と、閣議決定もなく、そうしてまた国防会議での決定も得ていないこの問題に対して、アメリカ側との間で約束があったというふうにとられてもいたし方がない、大変ゆゆしい問題だと思います。これは大問題ですよ。国民のコンセンサスを得るなんておっしゃるけれども、こういう問題をアメリカに対して言う以前のコンセンサスこそコンセンサスだと言わなければならない。まことに一足飛びと言おうか、これは八そう跳びどころの騒ぎじゃないんです。いままでの予算委員会を初め国会に対して持ってこられた政府の見解なり姿勢なりが全然これで狂っちゃった。まずアメリカと約束をした上で日本のあり方というものをひっくり返していこうという態度でありますから逆さまもはなはだしい、このように考えられます。
 外務大臣、こういうことについて必ず批判が出てまいりますが、どういうふうにお答えになりますか。
○大来国務大臣 真剣に検討するということには、具体的な中身になりますといろいろな幅があり得ると思います。ブラウン長官の前回の発言から見れば、中業一年繰り上げというようなことをアメリカ側が希望しておるということが推定されるわけでございますけれども、日本側の対応というのは、そういうことの中でのいろいろな段階があり得るわけで、米側から要求されたからそのとおりやるという性質のものではないと思いますし、またいずれにせよ、五十一年の国防会議の決定を外れる、それを覆すものでも全然ないわけでございまして、依然としていまはGNPの一%以下でございますし、そういう点で、いままでの政府の態度がここで大きく変わったということは必ずしもそう言えないのじゃないか。従来と大きな方針において変わっていない、それから五十一年の国防会議の決定の方針を踏み越えてはいないということは言えると思います。
○土井委員 五十一年のといま言われましたね。そうすると、五十一年の例の防衛計画の大綱ということになってまいりますと、これには御承知のとおり枠がございます。GNPの一%を超えてはならないという枠があるはずであります。いま外務大臣はそういう認識で御答弁なさったわけでありますか。
○大来国務大臣 当面ということで国防会議はあの当時決めておるわけでございまして、その枠を一つのよりどころにするということでは従来の方針といまでも変わっていないと言えると思います。
○土井委員 しかし、それにしても中期業務見積もりの問題につきましては国内的手続を経ていないのです。現段階はまだ防衛庁の一つの考えにしかすぎないのです。そうなってまいりますと、国民的コンセンサスなんというのは、とてもそんな段階ではない。にもかかわらず、アメリカ側は日本について、「政府部内にすでにある計画」という中でそれを意識して言っているというふうにおっしゃること自身が非常に矛盾していると私は言わざるを得ない。これを早めることについて国内の手続もまだ経ていない、国民的コンセンサスもないという前提に立って考えて、来年はできなくとも必ずしもアメリカに対しての約束違反にはならないということになるのじゃないかと思われますが、再度このことについてお答えをお願いしたいと思います。
○大来国務大臣 何も明確な形で総理が約束されたわけでございませんので、どの程度の努力をしなければ約束違反で、どの程度の努力をすれば約束違反でないという線を引くことはなかなかむずかしいと思うのでございますけれども、努力の方向ということでは、たとえば先ほど御質問ありましたように全然増額しないというような形になりますと、やはり日米間の信頼関係には影響がある。しかし、それはどの程度やるのかということは、これから日本政府、日本国民自身が決める問題だと了解しているわけでございます。
○土井委員 そうすると、それは中期業務見積もりとは別にその問題に対して臨むということもあり得るわけでありまして、必ずしも中期業務見積もりを意識してその上で考えるということではないようにもいまの御答弁は受けとめられるのですが、いかがでございますか。
○大来国務大臣 この問題になりますと防衛庁自体の防衛計画の問題であろうかと思いますので、私の立場から余り内容に入ってのことは申し上げにくいわけでございますけれども、防衛庁自体もいろいろな情勢に対応するあり方について目下検討中と聞いておりますので、中期業務計画を金科玉条といいますか、絶対不変のものと考えることは実情に合わない点もあるのじゃないかと思います。
○土井委員 先ほど外務省から出ました「日米首脳会談の概要」という文書の中にも、従来日米間でいろいろ話し合いをされる節、私たちの目に触れ得なかった文言が実はございます。恐らくこの文言に当てはまるような表現は従来ならば友邦国とかパートナーシップというふうな言葉を用いられたのではないかと思われる部分であります。それはどういう表現であるかというと、「同盟国」という表現なんであります。この同盟国というのは、一体何の同盟を指して同盟国というふうにわれわれとしたら考えればいいのでありますか。英語ではアライドということになると思うのでありますが、いかがでございますか。
○大来国務大臣 英語では確かにアライドでございますが、これは日米安保条約を結んでいるという立場から出てまいるわけでございます。
○土井委員 そうすると、日米安保条約それ自身は軍事同盟でございますか。――委員長、条約解釈を問題にはいたしておりません。外務大臣にお答えをお願いいたします。
○大来国務大臣 私は、軍事同盟というものの内容を正確な意味で、こういう場合ですと正確な意味で申し上げなければならないかと思いますので、この点は条約局長から答弁する方が適当かと考えたわけであります。
○土井委員 いまこの同眼とは何の同盟でございますかということをお尋ねすれば、日米間において日米安保条約があるということを大臣は御指摘になったわけでございます。したがいまして、そういうことから言うと、日米安保条約は軍事同盟条約ということに論理的帰結としてなる。したがって、私はこのことを再度確認の意味で大臣にお尋ねをしているわけでありますから、大臣がお答えになって至当かと思います。大臣、いかがでございますか。――いや、いいですよ。大臣に私はお尋ねしている。
○大来国務大臣 いまの会談記録といいますか会談概要にも同盟ということはございますけれども、軍事同盟ということはどこにも触れていないわけでございまして、同盟関係の一つの面で日米安保があるということでございまして、それ以外にも経済関係、政治的な関係、いろいろな意味での内容があり得ると思います。そういう意味で、軍事同盟というふうに解釈されるのは一段飛躍といいますか、そういうことになるのではないかと思います。
○土井委員 そうすると、外務大臣は安保条約を軍事同盟的条約であるということを否定されるのですか。いかがですか。
○大来国務大臣 御承知のように日米安保というのは日本の防衛に対して米国が協力するということになっておるわけでございまして、その限りにおきましては、外からの侵害に対して軍事面でアメリカが日本を防衛するという内容は入っておるわけでございます。ただ、そういうものも入っておるということで全部ではないということだと思います。
○土井委員 いろいろと外務大臣は御答弁の中で苦労なすっていらっしゃるようではあります。しかし要は、今回は明確に「同盟国」という表現を日米間に対してとっております。同盟とは何ぞやということを聞けば日米安保条約というものがある関係だということをおっしゃった。したがって、同盟の意味にはほかの意味もあるかもしれないけれども、安保条約というのは同盟国であるという相互間の関係を明確に物語る非常に大切ないわばメルクマールと言ってもいい中身だろうと私は思うのですね。だから、そういうことからすれば大臣、矛盾しないじゃないですか。大臣の御答弁からいけば安保条約というのは軍事同盟的条約ですよ。いかがです。いろいろ説明に苦労してなんとかかんとかとおっしゃるけれども、いまの大臣の御答弁からすれば端的にこのことについて言えるのじゃないですか。
○大来国務大臣 その辺の御質問についてはなるべく正確を期した方がいいと思いますので、私の解釈はいままで申し上げたとおりで、安保条約というものが含まれている、それは日本の防衛に対して米国が協力するということであるということを申し上げたわけでございます。
○土井委員 外国の場合、たとえばNATOにおきましても、それからそれぞれの防衛の問題を認識しながら相互間に結んでいる条約については、軍事同盟条約というふうに一般的には認識されているのです。いま大臣が御答弁になったことを端的に考えてみると、軍事同盟条約というふうに考えることは何も矛盾しない、大臣の御答弁からすれば矛盾しない、そのように思われるのですが、どうなんですか。
○大来国務大臣 再々申し上げますように、日米安全保障条約というものがあるわけでございますから、それも同盟という言葉の中に含まれているということは言えると思いますが、それを軍事同盟というふうに呼びますと、いろいろな意味での誤解といいますか、受け取り方にいろいろ問題が出てくるように思いますので、安保関係を含む広い日米間の密接な関係というふうに御解釈願いたいと思います。
○土井委員 大臣の御説明を承っているといろいろ誤解が生ずるのです。これは端的に考えていった方が誤解を生じない。軍事同盟と言ってしまうと誤解が生ずるとおっしゃるけれども、それでは軍事同盟的条約というふうに考えることはいかがですか。
○大来国務大臣 軍事同盟と一般に言われますと、たとえばその相手方が攻撃を受けた場合に他の相手がそれを助ける、いわゆる集団安全保障という考え方が連想される可能性があるわけでございますが、日米の関係は、日本が攻撃されたときだけアメリカがこれを防衛するということでございまして、アメリカに対して日本側がそういう形での協力を行うということは、御承知のように安保条約に含まれていないわけでございますので、軍事同盟と言うと、その言葉の響きから言うと集団安全保障、相互に助け合うという印象が強く出てまいるのではないか。そういう意味で先ほどから、より広い意味で考えるべきであるし、軍事同盟という言葉をこの場合に使うことは事態をかえって誤解せしめるおそれがあるということを申し上げておるわけでございます。
○土井委員 軍事同盟というのには一つの定形があるわけじゃないのですよ。いま外務大臣が種々苦労しながら御答弁になったようなタイプの軍事同盟条約もある、このように言えると思うのです。したがって、これを言うことによって誤解を生ずるとおっしゃるなら、どういう意味での誤解でございますか、それをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○大来国務大臣 先ほど申し上げましたように、相互に相手の防衛に協力するという意味にとられる誤解のおそれがあるという意味で申し上げたわけでございます。
○土井委員 福田前総理は、御存じのとおり全方位外交というのを政策として掲げられたわけです。この全方位外交というのは、一口で言うならば、日本はあえて敵をつくらないというふうな基本姿勢で外交に臨みたい、こういうことであったのであろうと思います。ところが、今回の大平総理並びに大来外務大臣の訪米について申しますと、どうもこの点が変わってきたのではないかと思われるような節があれこれあるようでありますが、一つを申し上げれば、表現の上で、米国と共存共苦の姿勢でいくということを大平総理はおっしゃっているようであります。これは従来とってこられました外交政策と基本的に異なったというふうに見るべきなんでしょうか、いかがでしょうか。
○大来国務大臣 従来から、政府の立場といたしまして、対米外交が日本の外交の基軸であるということは繰り返し発言されておると存じます。全方位という点についても、たしか以前に申し上げたことがあると思いますけれども、友好関係の中でおのずから濃淡の差はある。無原則的にどこの国とも同じように友好ということには必ずしもならない。程度の差があり得ると考えるわけでございますが、同時に、日本の外交の基本的な考え方として深刻な敵をつくらないようにしていくということ、そういう意味では全方位という考え方が成り立つだろうと思っております。
○土井委員 いま外務大臣は、おのずと濃淡があるというふうなことも答弁の中でおっしゃいました。共存共苦というのはどうも哲学的用語のようでございまして、よくわからないのですが、共存共著の上に立って、そのためには犠牲を辞さないとまで大平総理は言われておるわけです。犠牲を辞さないとおっしゃいますけれども、共存共苦の苦の犠牲というのは、大平総理個人が負われるのじゃなくて、日本の国民が負うというかっこうになるわけです。それぞれ中身としてはどういう犠牲が考えられるというふうに外務大臣としてはいまお思いになりますか。
○大来国務大臣 大平総理はことしの一月の施政方針演説の中で、場合によっては犠牲も必要だということに触れているわけでございますが、これは、アフガン問題に関連したココムの申し合わせに従って高度技術の物の輸出を行わない、あるいは新しい長期的な信用供与等について慎重な態度で臨むというような点がこの犠牲に該当するかと思います。
○土井委員 いまおっしゃった以外にも具体的にいろいろ考えられるのに、オリンピックへの不参加の問題を政府としてはアメリカに意思表示をされているとか、それから、何といってもいま問題になりますアメリカとの同盟関係に日本があるために、防衛費の増について、考えてみれば、これは国民の生活からすると福祉予算が切り捨てられるという可能性も出てくる、この問題ですね。それから、沖繩のいろいろな基地からの自由発進などということも、今後問題になってくるであろう、非常に気にかかる具体的な内容であります。
 さらに問題となるのは、第三世界との友好性が損なわれるのではないか。このことによってアラブ諸国の心というのが日本から離反するという可能性がある。これは日本としては失うところが非常に大きいです。外交政策全般から見れば、第三世界が日本に対してそっぽを向く、この持っている意味は非常に大きい。平和外交という点から考えても、今後に及ぼす影響は非常に大きいと言わざるを得ないのですが、この点は外務大臣はどのようにお考えになっているのですか。
○大来国務大臣 日本の外交にとって第三世界との関係は非常に重要だと、私どもも常々考えておるわけでございます。第三世界におきましては超大国に対する反発というものがかなり強くあるわけでございますが、日本の立場から言えば、一つには、ヨーロッパ諸国、あるいは今回もカナダでの話し合いでもございましたけれども、超大国でない自由諸国と申しますか、こういう立場の国がいろいろあるわけでございまして、またそういう国々の立場は第三世界とも比較的相互の理解が可能である面がある。そういう意味での日本の外交の立場というものは失ってはならないと私は考えておるわけでございます。
 他面におきまして、米国との関係において、いわゆる自由社会と申しますか、日本やアメリカやヨーロッパが共通にして持っております議会制民主主義というものを相互に守っていかなければならないという面とが双方ございまして、そういう形での考慮の上に日本の立場を考えていくことが必要ではないかと思っております。
○土井委員 どうも御答弁ではその辺がはっきりしないのですが、今後その点についてはさらに質問を通じて具体的なことでお尋ねを進めなければならないと思います。
 さて、安全保障のために日本としては政治的、経済的な援助というのをアメリカといろいろ協議の上、今回は重点を置く問題として約束をされているようでありますが、これはいわばアメリカとの問での役割り分担というものをそういう意味で日本としては以前に比してさらに強化しながら担っていくということのお約束ができたのだということになるのですか、いかがなんですか。
○大来国務大臣 従来から日本は軍事力の面における協力ということは、憲法のたてまえから申しましても、国民の考えから言っても、できないことでございます。経済面におきましては、従来から開発途上国の援助をいろいろな形で進めてきておるわけでございまして、特にアフガニスタンに対するソ連の軍事介入ということが起こりました情勢のもとで、経済援助ということを通じて情勢の安定を図るということは可能な限りやっていくというたてまえでございまして、そういう趣旨のことで、たとえばパキスタンに対する援助あるいはトルコに対する援助等も行っておるわけだと思います。
○土井委員 さらに、中近東の紛争周辺の国に対する援助については、御出発前の外務委員会では外務大臣は非常に消極的な御答弁をされたわけでありますが、その点は外務大臣の御見解は変わらないのですか、いかがです。
○大来国務大臣 これは、ここの委員会で私がこの前申し上げましたとおりでございまして、一部調査団等を派遣しておりますけれども、あくまでも日本の一般的な援助方針の中で考えるという趣旨でございます。
○土井委員 このいただきました「日米首脳会談の概要」の中で「朝鮮問題に関し、大統領より、今後も朝鮮半島の情勢につき相互に意見を交換したい旨」云々というくだりがあるのですが、これは報道によりますと、アメリカ政府は事前に情報交換のくだりを公表することに大変強い難色を示されたという情報があるのですが、これは事実でありますか、どうなんですか。
○大来国務大臣 そういうことは、私、承知しておりません。
○土井委員 外務大臣御存じのとおりに、大臣がアメリカを初め外国にいらっしゃっている間にも、韓国情勢はただいま揺れ動いているわけでございます。したがいまして、カーター大統領が、KCIA部長代理を兼任されている全斗喚韓国軍保安司令官に対して、非常に民主化の妨げになるということでその動向を批判されている。これに対して非常に関係するところが大きいので、その点などもいろいろな公表に対しての配慮があったようでありますけれども、しかし外務大臣自身、こういうアメリカ大統領が、名前こそ具体的には出ておりませんが、だれが見てもはっきりわかるような、ある意味では名指しで批判をしているということが言えるようなこの指摘に対して、どういうふうにお思いになりますか。
○大来国務大臣 この大統領との会談の内容の詳細を公表するということは、国際間の関係でそういうことはいたしがたいわけでございます。韓国の情勢については米国も日本も深い関心を持っておるということは事実でございますし、米国側としては特に軍部関係の動きに注目しておるという趣旨のことはございましたが、この点についてはこれ以上のコメントは避けたいと思います。
○土井委員 この点は、内容についていろいろコメントを言われるということに対しては支障を来すかもしれない。ただ、外務大臣がどうお考えになるかということを私は承っているわけでありまして、米大統領がどう言われたかということをここで逐一御報告をお願いするとは言っていないわけであります。したがって、大来外務大臣がどのようにお考えになるかをまず御答弁いただきたいわけであります。
○大来国務大臣 政府といたしましても、韓国の動きには大きな関心を持っておるわけでございます。ただ、何分にも相手国の内政に関する問題でございますと、これは日本政府の立場でとやかく申すことは差し控えた方がいいと考えておるわけでございます。
○土井委員 最後に、これは御出発前には、イランの人質解放の問題について、アメリカの武力行使によるあの人質救出作戦といいますか、ああいうやり方というのが非常に不安を醸し出すことはあっても決して建設的ではないというふうな意味で、アメリカに対して国民が不安を持っているという意味も含めてきっぱり、はっきり伝達をしていただきたいということをこの席で申しました。大臣は、意のあるところを大統領にも伝えたいというふうな御答弁の向きでございましたが、一向にその点について何をどのようにおっしゃったかが伝わってこないのであります。アメリカ側に対して日本側のそういうふうな意味の意思ははっきりおっしゃったのでありますか、いかがでありますか。
○大来国務大臣 総理と大統領の会見の中で、イラン問題についてあくまでも平和的な解決を日本としては望む、そのための一層の自重をお願いしたいという趣旨を申したわけでございます。
○土井委員 それは抽象的でありまして、具体的に武力行使が好ましくないということはきっぱりと言うところが非常に大事な私は物の言い方だと思うのですが、その点についてはさらに積極的な発言はなかったというふうに理解していいのですね。
○大来国務大臣 その前後の文脈といいますか、言葉のつながりから言えば、その問題を含めて日本政府の立場を申したということになると思います。
○土井委員 今回の訪米の成果ということに対しては、私たちは非常に残念だというふうに思っている立場であります。このことによって大きく日本のこれからの行き方というものが右寄り旋回ということを急テンポで進めていくだろう、こういう憂慮も含めながら、今回の訪米に当たっては、最近のカーター大統領の言動そのものが外国から見れば、特に日本の国民から見れば大変な不安を醸し出すもとになっているということも率直に意を伝えて、カーター大統領からしたら、満面笑みをたたえるような話し合いじゃなくて、ときに渋い顔になるような対談でなければ今回行かれるような意味はないのじゃないか、自主的な訪米ということの意味はないのじゃないか、このようにも思っているわけであります。
 今回の訪米成果について、ひとつ最後に外務大臣、いいことずくめをおっしゃるに違いないと私は思いますけれども、そこのところは率直にいろいろな反省も込めて言っていただきたい、このように思います。いかがですか。
○大来国務大臣 いまの世界情勢の現実に対処して、いかにして日本国民の安全と経済的な発展を確保していくか、そういう基本的な立場、それから日本の外交というのがあくまでも平和的、建設的なものでなければならないという立場は、今回の訪米に当たっても貫かれていると思いますし、また友好国の間からの意見、いまのあくまでも平和的な手段によって解決すべきだというような意見はそれなりに重みを持つ。これはEC諸国も同様な発言を行いつつあると理解いたしておりまして、それは現在の世界がより危険な状態に陥ることを防ぐための、とにかく日本としてもできる限りの努力をやっておる一環であるというふうに考えるわけでございまして、これが今回の訪米を通じてどの程度現実に効果を持つかどうか、これはさらに今後の推移を見なければならないと思いますけれども、私どもとしては少なくともそういう努力に大きなウエートをかけておるわけでございますので、このいまのような日本の意向を伝えたということにそれなりの意味がある。それは、そういう意味では何から何まで米国の要望に従うということでは決してなかったと私どもは考えております。
○土井委員 終わります。
○中尾委員長 高沢寅男君。
○高沢委員 やはり、大臣大変御苦労様でございました。以上のことを申し上げて、続いて質問いたしたいと思います。
 もう時間も余りありませんので、いまの土井委員の質問を多少だめ押しするような形で、最初に一、二聞きたいと思います。
 大臣が前回訪米されたとき、ブラウン長官の着実かつ顕著に、こういう防衛費増強の希望があったのに対して、あなたは、着実はいいけれども顕著に、は断ってきた、こういうこの委員会における御報告であったと思います。その顕著に、というのが入るかどうかの違いはどこにあるか、こう聞いたところが、顕著に、を受ければ、要するに中期業務計画を一年繰り上げて一%を達成する、こういう意味を相手も持たせたし、こちらの方もそういう意味を持たせて、顕著に、は断った、こういうお答えがあったのですが、今度のカーター大統領と大平総理の会談では、この言葉を使えば、着実と顕著の二つについてわが方では一体どういう態度をとられたか、それを端的にお聞きしたいと思います。
○大来国務大臣 今度の会談におきましては、着実、顕著にという表現は会談の中では出てまいらなかったわけでございまして、先ほど来申し上げましたように、日本政府の中にある計画を早く達成することが望ましいと希望するという表現になっておりまして、ですから今回の会談を通じては、どこまでが着実でどこまでが顕著かということは余り明確にはならないわけでございます。それに対して総理が真剣に取り組むという答弁をされたわけでございますので、その具体的な内容は今後の、当面はさしあたり五十六年度予算編成の過程で日本政府の考え方が明らかにされるということになるのではないかと考えております。
○高沢委員 私はこういう外交関係というのは当然継続性があるし、またあるべきであって、つい先日あなたがブラウン長官との間で着実と顕著という言葉をお互いに使い分ける形の中でやりとりをされた。それが今度の場合にはそんなものはすっかり別なことになったということでは大変理解できない。私はむしろ、これはちゃんと、顕著に、を断ったというならば、今度もはっきり、顕著に、を断るというような形で政府としての一貫性を示すべきであったと思うわけですが、これはこれ以上やっても恐らく余りはっきりしたあなたのお答えにはならぬと思いますので、次へ進みます。
 それから、わが方はイラン問題でアメリカがあくまでも忍耐強く自制して平和的解決を図ることを望む旨強調した。これはさっきあなたが御説明になって、土井委員の質問に対する答えがあったのですが、この要望に対してカーター大統領はまだどういう態度であったのか、それをお聞きしたいと思います。
○大来国務大臣 大体の趣旨は、自分も大平総理の意向に同意である、さらに同盟あるいは友好諸国の協力を得て平和的な解決の道を発見したいということでございました。
○高沢委員 その平和的な解決の一つの努力として大臣は国連のワルトハイム事務総長にお会いになったわけですが、そのときのお話の中で、事務総長はその平和解決の努力を進めていく、こういうことを言われた。伝えられるところによれば、その努力の一環としてイランの政府とは事務総長はすでにそういう意味の接触をされておる、しかしアメリカの政府との関係ではまだ何らの答えが来ていないというような、そういうやりとりが大臣との問であったと伝えられておりますが、その辺の経過はどうでしょうか、御説明いただきたいと思います。
○大来国務大臣 私の会談したその際におきまして、いまのようなイランとの接触があるということ、それについてさらに米国政府の方とも話し合いをしておる、いまの段階ではまだ必ずしもはっきりしたアメリカ側の立場についての連絡は受けていない、しかし自分としては今後も継続的にこの両者の間の仲介の努力を続けたいし、調査委員会も存続したままにしてあるんだということを申しておったわけでございます。
○高沢委員 いまお話の出た国際調査委員会ですね、前にテヘランへ行って調査委員会としての努力をされたわけですが、そのときにこの国際調査委員会とイランの政府当局との間の話は一体どこまで詰まったのか、その国際調査委員会と一方アメリカの政府の間の話はどこまで詰まったのかというようなそういう過去の経過を踏まえて、ワルトハイム事務総長の今後の努力というものは出てくると思いますが、その辺のところは事務総長とのお話し合いでは具体的なものがあったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○大来国務大臣 当時ワルトハイム事務総長自体がイランに参りまして、場合によると相当危険な場面まであったように承知しておりますけれども、そのワルトハイム事務総長の感触から言えば、忍耐強い話し合いが必要だ、一つにはイランの政府の内部と申しますか、イラン側における決定ということのプロセスにいろいろむずかしい点もあるので忍耐強い話し合いが必要だと考えておるという趣旨でございました。
○高沢委員 先般大臣はヨーロッパへ行ってECの外相会議にいろいろな働きかけをされてこられたわけですが、そのときのEC諸国の申し合わせでは、対イラン制裁を二段階に構えて第二段階の構えは五月十七日の時点でこれを発動する、こうなっております。この五月十七日はまたナポリでECの外相理事会があるわけですが、これも一部の報道ですけれども、ああいうふうなアメリカの人質救出作戦のいろいろなやり方があった。これはヨーロッパ諸国にしてみれば、いわばアメリカが信義を裏切ったという見方もあるわけで、この五月十七日については予定どおりやるのか、あるいは延期になるのじゃないか、その間にヨーロッパ諸国にはいろいろな動きもあるのじゃないかというような観測もありますが、大臣、もう一度ナポリの会議へ行って、そういうふうなヨーロッパ諸国の動きに対して十分日本の立場を表明する、そしてイラン問題の正しい解決の道を開くというお考えはおありですか、お尋ねしたいと思います。
○大来国務大臣 EC諸国で今度の五月十七日に会議がございますが、その会議はEC諸国の会議でございまして、この前ルクセンブルグの会議もそうでございましたが、日本は会議に出席する立場にはないわけでございまして、会議の時間以外のときに個別的に主要な外相と会談をいたしたわけでございます。ナポリで同じことをするのがいいのかどうか、ルクセンブルグの場合には確かにこれは有効であったと私、感じておりますが、相互の了解を深めるという意味で役立ったと思っておりますけれども、ナポリで同じやり方をすることは、実はいまの段階では考えておらないのでございます。
 ただ、五月の二十日前後にパリでIEA、エネルギーの閣僚会議がございます。その前後に主要国の首都を訪ねて直接意見を交換する機会を持ちたいということで、現在、先方と日程の調整を行いつつある段階でございます。
○高沢委員 私ももちろん日本の外務大臣がECの外相会議へ出席できるなどとは考えていないわけで、そういう意味の働きかけをまた今度もおやりになったらと、こう申し上げたわけですが、同じ形ではなくて、また別な、より効果的な形があれば、これは大いにひとつ追求していただきたい、こう思います。もし第二段階の制裁措置を発動となれば、例の貿易管理令の発動とか等々になってくる、これはわれわれ日本の経済に大きなマイナスを招くということになってくるわけですから、そういう事態を避けるためにもできる限りのあり得る努力をひとつやっていただきたい、こう考えるわけです。
 次に、今回訪問されましたメキシコの関係でひとつお尋ねしたいと思います。
 大平総理大臣から、メキシコのロペス大統領に三十万バレルまで対日石油の供給をふやしてほしいという要望が出された。また、ロペス大統領の方からは、今後のメキシコ全体の経済計画なりというようなことも配慮しながら、あるいは日本・メキシコ間の経済協力の進行も見つつ、しかし、また政治的な方向で努力するということも表明された、こういうことでありますが、そのことのもう少し具体的な中身といいますか、これを御説明いただきたいと思います。
○大来国務大臣 メキシコは開発途上国の一つでございまして、同時に産油国、石油輸出国という立場にもなってまいったわけでございますが、その限られた石油の輸出をするに当たりましてはメキシコ自体が求めていることに有効にこたえてくれる相手を選びたいと申しますか、そういう意味では日本が有効にこたえてくれ得る国の一つだということを先方で申しておったわけでございます。
 いまのメキシコの要請というのは結局経済の近代化、特に工業化の発展ということを今後効果的に進めていきたい、そういう面でも協力が期待できる場合に石油の供給を優先的に考えていきたいんだという基本的な考え方があるように受け取られたわけでございます。ただ、協力というものについてはいろいろな面の協力がある、政府資金がございますし、それから民間の融資あるいは直接投資あるいは技術協力、こういうものの全体をひっくるめての協力ということで考えていく必要があるのじゃないかというようなことは、私どもの方からも申したわけでございます。今後引き続き両国間でその面についての詰めが行われることになるものと了解しております。
○高沢委員 その辺はひとつ大いに前向きに進めて成果をあらしめていただきたい、こう思います。
 最後に一つ、カナダの関係ですが、いま本委員会で審議しております日加原子力協定の関係もありますが、カナダ側から例のCANDU炉の日本側に対する導入についてまた要望が出された、こう聞いておりますが、そのやりとりはどうだったか、またそれに対してわが国政府としてどういう方針をとられるか、これをお尋ねをいたしたいと思います。
○大来国務大臣 この問題につきましては、大平総理とトルドー首相の会談のときにも出てまいりましたし、両外務大臣の間の会談にも先方から出てまいったわけでございます。
 これに対しての日本側の回答としては、昨年の八月にわが国の原子力委員会がCANDU炉の導入について積極的な理由を現段階において見出すのはむずかしいという決定を行ったということを先方にも伝えまして、同時に、このCANDU炉導入に関心を有するわが国の関係者は、当面導入問題自体とは切り離して同炉に関する研究を続けていく方針をとっているということも先方に伝えたわけでございます。
 そういう趣旨をもとにいたしまして日加共同コミュニケの中では、この問題について「両国首相は、CANDU炉の日本への販売の可能性をも含め、両国間のエネルギー分野における協力拡大の可能性を検討し、かつ討議した。トルドー首相は、CANDU・システムの販売が両国間の貿易経済関係の強化に貢献しうることにつき留意した。」検討の問題を討議したということと、トルドー首相が先方の希望を表明した、こういう二段階に声明の中では整理して述べられておるわけでございます。
○高沢委員 この点、余りはっきりどうなのかよくわからぬのですが、しかし時間が参りましたので、以上で終わります。
○中尾委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 お疲れのところ大変恐縮でありますが、単純明快に質問いたしますから、単純にお答えいただきますように。それからアメリカ局長、大変お疲れのようですから、大臣の御答弁の問、横で休憩していてくだすって結構ですから、顔色が真っ宵ですから、委員長、適当な御配慮をお願いします。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
 第一番目に、大平総理は、カーター大統領との会談において、困難な状況への困難な対応に連日直面している米国と共存共苦しなければならないと思っている旨述べられたと伝えられておりますが、共苦、ともに苦しむ、どういうふうにともに苦しんでいくのか、共存共苦の姿勢を今後どういうふうに示そうとしてこれを述べられたのか、お示しをいただきたいと存じます。
○大来国務大臣 これはイラン問題、アフガニスタン問題と、当面の問題としてはこの二つの場面があると思いますけれども、先ほども土井委員の御質問にお答えいたしましたが、イラン問題につきましては従来から新しいクレジットの設定を控えるという政策もとられてまいりましたが、最近はさらにEC外相会議のルクセンブルグの決定に日本も協力する、そのことはある程度の苦しみを日本側も受ける、あるいはこれはヨーロッパEC諸国もその点同様だろうと思います。
 それからアフガニスタン問題につきましては、先ほど御指摘もありましたけれども、オリンピックの問題あるいはココムの問題等がございまして、この意味での苦しみということは日本も避けられないといいますか、そういうことになるのじゃないかと考えております。
○渡部(一)委員 これから一週間ないし二週間ぐらいにわたって何回も開かれると思われますが、まずお伺いします。
 カーター大統領が日本の防衛計画の中期業務見積もり繰り上げ達成を要請したのに対して、大平総理は、同盟国はどうあらねばならぬか真剣に検討し、できるだけの努力をする旨述べたと書かれておりまするけれども、これは中期業務見積もりの繰り上げ達成の努力を約束したという報道は、もうすでに日本で各種行われております。
 これは中期業務見積もりを実際的に繰り上げるための検討を命じられたのか命じられていないのか、そういうニュアンスを出されたのか出されていないのか、この辺のところは後々の国会答弁でも出てくるとは存じますが、この辺の事実関係をお示しいただきたいと存じます。
○大来国務大臣 カーター大統領の側からは、日本政府の中にある計画を早期に達成することを希望するという趣旨の発言がございまして、先ほども申し上げましたが、今回は中期業務見積もりというものそのものについての発言はなかったわけでございます。それに対して大平首相が、ただいまお話がございましたような趣旨での返答をしたということになるわけでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、大臣お疲れですからそういう答弁をなすったのでしょうけれども、いまの答弁は逆さでなくてそのとおりでいいのですね。というのは、中期業務見積もりと向こうは言われなかった、日本政府部内の計画を早期達成するという表現で言われておるのだ、こういうようにまず最初に言われましたね。それは必ずしも中期業務見積もりという表現を使われなかったとしましても、事実上中期業務見積もりを指しているとしか思えませんですね。そうじゃございませんか。ほかに何か別の計画が政府部内におありなんですか。どういうふうに受け取られましたか。
○大来国務大臣 前後の関係からは大体そう推定されるわけでございますけれども、中期業務計画というのは防衛庁自体で従来作成しておるわけでございますし、いま三年ごとには改定をいたすと聞いておりますし、また毎年予算編成に当たって内容に検討を加えておるかなり流動的な内容を持つものだと考えておりますので、そういう意味から申しますと、中業繰り上げということと、政府部内にある計画の早期達成ということとは多少ニュアンスが違うのではないかと考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 ただいま非常に正直にお答えいただきましたので、次に質問を移します。
 大平総理は、アメリカの議員との朝食会の席上で、アフガニスタン問題につきまして、ソ連の軍事介入により生じた挑戦には、たとえ、それが犠牲を伴うものであっても、厳然として対処して行くつもりだと述べられましたけれども、どういう対ソ制裁措置をいまとっていると思われて述べられたのか。また今後どういうふうにさらに一層姿勢を強めて対ソ制裁をやるぞと約束されたのか。ここのところはきわめて微妙なポイントであります。日ソ事務レベル協議につきましては、本年五月にモスクワで開かれる分が開催のめどがついていない。これについて外務大臣はどうお考えになっておるか、あわせてお答えいただきたい。
○大来国務大臣 オリンピックにつきましては、二月一日と四月二十五日でございましたか、重ねて政府の意向の表明がございまして、四月二十五日の意向表明の中でも、現状においては参加は望ましくない、もとより決定はJOCのやるべきものだという意向表明をやっておるわけでございまして、アメリカの議会における総理の発言ということは、いまのような趣旨を踏まえてのことだったと存じます。
○渡部(一)委員 そうすると大臣は、対ソ制裁措置としてもっと厳格なものが考え得られるかもしれないけれども、現在述べられるのは、オリンピックに対して、JOCに対して要望したあたりが対ソ制裁措置の白眉であって、他に述べるものはない、こういう御答弁ですか。
○大来国務大臣 ココムで西側諸国と共同歩調をとるということもその一つでございます。それから新規の大規模な借款というものを当面見合わせておるということもそういうカテゴリーの中に入ると存じます。
○渡部(一)委員 これもきょうはこのくらいにしまして、メキシコ合衆国大統領との共同コミュニケを先ほどから拝見しておりまして、幾つかのポイントを大変心配して見ておるわけでございますが、一つは、メキシコというある意味では日本人と非常によく似ているプライドの高い民族に対して、ちょっと交渉それ自体をしくじったのではないかという憂いを私どもは抱いているわけであります。
 それは端的に申しまして、一九八〇年の日量十万バレル輸入を八二年までに三十万バレルに増加されるようにと日本側が希望した、こういうように述べられておりますが、それに対してロペス大統領は、メキシコ経済の総合的開発政策の枠内で日本の要請に配慮するとの政治的決意と善意を表明したと述べられておりますが、このような巨大な数量を交渉するに当たって、大統領と総理大臣がいきなり話し合うということは考えられない。当然両者の交渉部隊が事前にほとんどの根回しを行い、打ち合わせを完了したものと思われるのに、この数量でかくももめたのか。そしてもう一回会議をやったときには、その会議の席上でもなおそれが詰まらず、こちら側の要望を述べるにとどまったのはなぜだったのか。
 逆に言えば、少なくとも日量三十万バレルという要請ではなくて、当初メキシコ側に通報し打ち合わせをしていたのは、もっと少ない数量、たとえば十万バレルとか十五万バレルとか二十万バレルという程度であらあらの交渉ができていたのではないのか。またメキシコ原油については、メキシコ側において原油が発見されてからイラン革命までにメキシコ側が対日供給を申し出たにもかかわらず、OPEC価格より高いということでいままで断ったにもかかわらず、それに対する謝罪なりおわびなりをすることもなしに高圧的に要求したのではないかという疑い。また、今回のメキシコ訪問というものが公式訪問であったにもかかわらず、非公式訪問国であるアメリカを先にして後から回ったということに対するメキシコの反発があったのではないか。こういうようないろいろなポイントが考えられるわけでございます。
 遠くの方から見ておりまして、事情は明快でないにもかかわらずメキシコ側の不協和音がしばしばいろいろな言説となり報道となりニュアンスとなって漏れてくるのを感じますと、この交渉のポイントは、大きな数量を掲げて共同声明に書かれているにもかかわらず、内部においてメキシコとの不協和音はかなりひどいものではなかったかと想像するのにかたくないのでありますが、この点大臣はどう見ておられるのか、実際はどうであったのか、どう評価されておるのか、伺いたいと存じます。
○大来国務大臣 メキシコ側も、最近の世界の石.油情勢からいって非常に多数の国からの新たな供給あるいは増量の要請を受けていて、それの処理に苦慮しておるんだという話もございました。数量についてのただいまの渡部委員のお話のような中間の数字というのは、私どもの承知している限りでは出ていなかったと思います。オテイサ国有財産及び工業担当大臣が日本に参りまして、関係各省、民間等との話し合いをした、その後日本からも政府のミッションが参りまして事務的な話し合いをいたしたわけでございますが、総理の訪墨までに事務的に煮詰まるところまでいかなかったという点がございます。
 一つの大きな点といたしましては、先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、メキシコとしては自国の求めるもの、それは近代化と工業化が中心でございますが、それに最も効果的にこたえ得る国に対して優先的に石油の供給を考えたい、単に売れれば売るということではいきたくないんだという意向が強くございまして、その対応の仕方について今回の予備交渉で必ずしも十分合意に達し得なかった。
 そのことが残っておるわけでございますけれども、しかし、声明にございますように、三十万バレルの大平総理の発言に対して、政治的な決断と善意をもってこたえると発言をしたということは、大統領の立場としては、いまのような情勢のもとできわめて思い切った発言であったと私どもも評価しておるわけでございまして、そういう両国政府の最高首脳の間での話し合いに基づいてさらに事務的な交渉を詰めるということになってまいったわけで、できれば今回の訪墨の際に事務的な細目まで合意に達すれば、それが一番よろしかったと思うのでございますが、時日の関係と双方の詰めがもう一つ十分に詰まらなかった、時間的な制約もあったということで、この共同声明に盛られたような趣旨になっておるわけでございますが、日本がメキシコの基本的な要請にこたえ得る重要な国の一つであるということは向こう側も言明をしておりましたし、また日本の石油供給の要請に対して政治的な決意、善意をもって処するということも声明に書かれたわけでございまして、大きな筋では合意に達したと言ってよろしいと思っております。
○渡部(一)委員 確かにペーパーは苦心惨たんまとまっているわけでありますが、これを非常に素直にぼくは読んでみまして、「大統領は、石油生産及び輸出の増大はこれがもたらすべき外貨の追加的収入を生産的に吸収する経済能力に応じて決められるとのメキシコの政策を説明した。」となっています。確かにメキシコ側はたくさん掘り出した分についての代金を持ってきて生産的にこれを吸収する経済能力に応じてと言っているわけですね。ところが、わが方の交渉部隊が最初に乗り込んでの話は、聞くところによれば、メキシコはいま経済的に赤字が多いじゃありませんか、大変じゃありませんか、だからわが方にたくさんくれればその赤字がすぐ解消するじゃありませんか。言ってみれば向こうに渡したお金で借金払いから始めろと言わんばかりの論説を組み立てて取り組んだところにまず大きな食い違いが一つあったのではないか。こういうポイントは簡単に見えますけれども、プライドの高いメキシコ国民に対しては非常に大きな打撃を与えたのではないかという心配が一つある。
 第二は、これは一般紙に報道されているところでありますが、首相随行の政府関係者の表現として、日本がメキシコ側に鉄鋼三プロジェクトの申し入れをした際、日本側としてはこれからの増量へのプレゼントと思っていたのに対し、メキシコ当局側は、すでに江崎、園田特使との会談で日量十万バレルを輸出すると約束した、それに対する見返りと見ておって、これ以上の原油が欲しいならそれ相応の見返りを持ってこい、こう思っておった、非常に食い違いがあった、日本側はギブ・アンド・テークと言いながらテーク・アンド・テークではないか、援助は何も約束してないではないか、そんなことを言うなら金額のもっと高いのを持ってきたらどうだと言われたという旨の報道が行われております。私はこれは真相にある程度迫るものではないかと思うのですね。これは言いにくいことかもしれませんが、この点の見誤りがあったのではないか。
 また、同大統領は個人的にはいろいろな問題について話し合う用意があったにもかかわらず、日本側はいきなり全体会議に持ち込んで、油が足りない理由を個々ばらばらに演説し、両方で不満を述べ合う会合になり、会合はきわめて白けたものになったというふうに述べられておりますが、こういう点でもいかがであったか、私はこれらがまことに心配なので、お尋ねいたします。
○大来国務大臣 一つは、御指摘のメキシコの経済建設についての熱意といいますか、執念といいますか、こういうものについて、やはり日本側としても十分な考慮を払う必要がある。それは払っていなかったわけではございませんし、また協力の態様についてもいろいろな態様、形があり得るわけでございますから、全体としての協力ということを民間分野を含めて、技術協力等も含めてメキシコ側に評価してもらってもいいのじゃないかという点のことについても触れたわけでざいます。
 会議の雰囲気というのは、確かに担当閣僚の間での話し合いについてはかなり双方率直に意見も述べましたし、そういう意味では、白けたということではなかったと思うのですが、相互に双方の立場を述べるという場面もあったわけでございますけれども、大統領、総理の会談は終始友好的であった。で、メキシコ側の日本に対する期待と好意というものも十分にうかがわれる場面がしばしばあったわけでございますし、事務的に詰める段階では多少の問題があった。しかし、それは今後の交渉を通じて乗り越えるという合意に達したわけでございますので、全体としてはきわめて友好的な雰囲気であったと思います。
○渡部(一)委員 私の言った問題についてイエス、ノーを言うことは、交渉内容を明かすもので、余り的確にお答えにくいのは百も承知で申し上げているわけでありますが、だからあえてそれをその先申し上げませんが、間接的にそういう場面に近いものが存在してきたことはお認めになっておられるのだろうと私は思います。
 私は、この場合に明らかに、メキシコとの交渉において、アメリカ交渉の後のお疲れかもしれませんけれども、ある意味で油断があったということが非常にまずかったのではないかと思いますし、今後の大きな反省の糧になすった方がいいだろうと私は思います。外交というのは、物と物、金額と金額あるいはバレルとバレルの数字を調整することではなくて、両国民の心と心を最終的につなぐものでなければ、バレルの数字が幾ら合ったとしても、長いおつき合いと安定した国家間のおつき合いはできないと考えるからでありまして、この点、今後におきましても十分の御配慮をお願いしたいと思っているわけであります。また困難な交渉をされたことに対しては、このペーパーの上に十分あらわれておりますし、それを私は高く評価しているとともに、このポイントから見る不協和音を見る限り、もっともっと私どもはメキシコ外交においては洗練された友好的な立場でなければならぬと考えるからであります。
 では、話をもう一つ移しまして、難民の問題を申し上げたいと思います。
 大臣お留守中に、難民条約について今国会見送ろうという旨、厚生省側が見解をまとめた旨、報道されまして、まことに恐縮でありますが、はなはだ不快の念を禁じ得ないものがあります。すでに当委員会におきまして人権規約審議の際、難民条約の締結については外務省及び総理から何度かにわたって、早急にこれを検討する、あるいは早急にこれを通過せしめることにつき意見の御表明があったわけであり、私どもも期待しておったわけでございます。しかし、現在五百名の難民をさらに人数をかさ上げしようというので総理大臣が訪米して演説をしている真っ最中に、難民条約に伴う難民、日本に流入されてきた難民に対して、国民健康保険を初め、国民年金を初め、日本のこうした福祉関係の幾つかの諸手当てについて、これを業務的に多忙だとか、金額的にどうこうとか、制度的にいまいい知恵がないとか、さまざまな理由で厚生省と外務省の交渉がまとまらなかったと伺っているわけであります。
 当委員会はすでに今日まで三十九条約を今国会において審議し、自分で言うのも何ですけれども、ここ数年の新記録を樹立し、およそ三会期分ないし四会期分の条約審査を行い、本省の条約審査に協力もいたしているわけであります。
 ところが、難民条約という、公然要求されている条約に対してこういうまとまり方をするというのは背信行為と言ってもいいのではないかとまで、私たちはきわめて不快感を強く持っているわけであり、これは与野党一致してこの不快感を抱いているものと、私は同僚議員の心中を思いやり、申し上げるのであります。こういう本委員会の一致した見解、一致したコンセンサスに対して、外務大臣はどうお考えになっておられるか、お伺いいたします。
○大来国務大臣 私も、留守中の政府内部の難民条約に関する検討の状況をまだ詳しく承知いたしておりませんけれども、新聞等の報道も出先で見たわけでございますが、この問題については私から従来厚生大臣に何回か申し入れをいたしておりますし、何とかして話し合いにこぎつけたいという努力を外務省としては続けてまいったわけでございますが、厚生省としては、国内の法規上適用困難なものについて留保してはどうか。しかし、余り留保したのでは難民条約を批准する値打ちがなくなってしまうといいますか、大幅に減殺されるわけでございまして、外務省としてはできるだけその立場で交渉するということでまいったわけでございますけれども、なかなかこの点についての政府内部の合意が得られなかった。
 私としましても、この点は今後もそれこそ粘り強く話し合いを続けてまいるということで、ある段階におきましてはやはり内閣全体、総理大臣というレベルでの判断を求めなければならないことになるかもしれない。しかし、あくまでも外務省としては努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 これは総理に御質問をするチャンスが当委員会でも得られるというお約束ですから、その際に申し上げたいと思いますし、代表質問の際にもわが党議員から申し述べなければならぬと思っておりますが、これは金額にすれば数十億円程度の、厚生省の全体の予算から見れば微々たるものであります。そしてしかも、この予算を削り、留保を多くする、そして結局は話し合いがまとまらないので難民条約に参加しないと表明したことは、日米間でこのようなしゃれたステートメントを出した効果を減殺するものであります。
 このような、終始一貫統制のとれない、厚生省の内乱と言ってもいいような行動に対して、二省間の意見が合わないというだけの問題では済まないのでありまして、私はこの際、閣僚間の意見の調整を早急に行い、速やかな決断、御英断を特に要望いたす次第でございます。大臣におかれましても、どうかもう一歩前進されて、国際間の多忙な折ではございますけれども、この国内の法制整備のため御尽力をいただきたいと、特にお願いする次第であります。
○大来国務大臣 ただいまのお話の趣旨の線で、今後もできるだけの努力をしてまいりたいと存じます。
○渡部(一)委員 ありがとうございました。
○奥田委員長代理 金子満広君。
○金子(満)委員 大臣、帰国早々お疲れのところと思いますが、日米会談の問題について若干の質問をしたいと思います。時間がたくさんありませんので、主としてイラン問題についてお尋ねしたいと思います。
 言うまでもないことですが、今度の日米会談は、イランに対するアメリカの武力によるいわゆる人質奪還作戦の大失敗の後、またアメリカではバンス国務長官の辞任という直後に行われた会談であることはもう御承知のとおりだと思うのです。
 そこで、多くの委員が質問の中で引用されたところでありますが、この日米会談の終わりのところで総理が言われた点です。イラン問題についての対応についてですが、この中で総理は、日本のイラン問題に対する対応の基本的な考え方を次のように述べています。日本としては、共存共苦の立場から、ECとはかりながら米国支持のためできる限りのことをしたいと思う、こういうように言っているわけです。つまり、これはイラン制裁同盟ともいうべき内容を持ったものだと私は考えますが、このできる限りのことという意味は、四月二十五日の事件が起こった後にやっているわけですから、そのことをも含めて、具体的にどのようなことを想定して言われたのか、その点をまず最初にお伺いしたいと思うのです。
○大来国務大臣 イランの問題につきまして、特に人質救出作戦がございまして、これは新しい事態であったことも事実でございますが、これはあくまでも人質を取り戻すことに限定された行動であるという米国側の説明が重ねて従来からなされておるわけでございまして、これに対してEC諸国も日本も特別に批判的な発言は現段階で差し控える、基本的にはこの問題についてEC、日本等が非軍事的な面での協力を示すことによって米国側の自制を求めるという大きな政策、考え方の方向の一環でございまして、先般のルクセンブルグにおけるECの外相会議における決定、五月十七日までに人質解放問題について顕著な前進が見られない場合には、この一月でございましたか、国連の安保理事会における、ソ連の拒否権によって否決されましたが、多数は賛成した決議がございますので、その線に沿った措置をとる。これはやはり日本に対する影響が非常に大きい問題でございますけれども、日本としてできる限りの措置をとるんだということが、この発言の中身の一つになるかと思います。
○金子(満)委員 米国支持のためできる限りという中には、米国が主体ですから、軍事行動をとった場合もできる限りの支持ということになるのですか、軍事行動は別なんですか。
○大来国務大臣 日本の立場としては、軍事行動をやってもらいたくないから非軍事的な面で協力するという考え方でございます。
○金子(満)委員 言われた限りではわかるのですが、そうすると、軍事行動をとった場合には、日本政府は、それはできる限りの支持の外であるから支持しない、こういうことをはっきり言えるのですか。
○大来国務大臣 そういうことがないことを期待しておるわけでございます。
○金子(満)委員 ないことの期待じゃなくて、あったとき――現実に軍用機が出て軍人が出て軍艦が出ていって行動すれば、軍事行動ですよ。これがもっと大きな規模になったら、これは一触即発というところまで論評されているのですから、ないことを希望するのじゃなくて、あっては困るので、だからそういうときに、軍事行動といった場合には、日本政府は、できる限りの支持の外だから、その点はやりませんとはっきり言うことはできないのですか。
○大来国務大臣 これは日米安保条約の考え方が両国間の関係に基本的にあるわけでございまして、その条約の趣旨に従ってまいるということかと思います。
○金子(満)委員 それではアメリカが軍事行動をした場合には支持することもあり得るし、日本の基地を使わせることもあり得る、それはこういうことになるのじゃないですか。
○大来国務大臣 この問題については従来から政府側が答弁もいたしておるわけでございますけれども、基地の使用につきましては、直接の戦闘行為に発進の基地として使われる場合に事前協議の対象になる、その他の場合につきましては、移動とか補給とかいう軍の属性に従った行動として考えていくということになるかと存じます。
○金子(満)委員 それではもう少し具体的に質問したいと思うのです。
 米国支持のためできる限りというのを表明されたのは五月一日です。そうしますと、五月一日以前に起こったことは、恐らくまた必ずやらなければいけないと思うのですが、アメリカにいろいろの事実を確かめたか確かめないかの問題です。たとえば会談が行われた五月一日のニューヨーク・タイムズには次のような報道がされています。つまりこの人質奪還作戦で、アメリカの作戦部隊がイラン側の激しい抵抗に出会い困難になった場合、アラビア海上の米空母二隻からA7、F4戦闘爆撃機が出動し、テヘラン及び周辺のイラン軍事基地に爆撃を加えるというものだ、そのために戦闘機が空母からイランへ向けて発進訓練を繰り返していたと言い、同計画を実践に移す決定権はカーター大統領が持っていた、こういうような報道があるわけです。
 ニューヨーク・タイムズですから、大臣もその他も、総理はもちろんのことですが、こういう点を全然知らない、意に介さないということであったら、これは重大な問題だと思うのです。しかもこれはアメリカの政府の権威筋の話として出ているのですから、こういう点は確かめたのですか、確かめないのですか。
○大来国務大臣 私もワシントンでいま御指摘のニューヨーク・タイムズの記事を読みましたが、特に政府からその記事に関連して確かめるということはやっておらないわけでございます。
○金子(満)委員 私は実に無責任だと思うのです。現実にあれだけの航空母艦や輸送機やヘリコプターや軍人が出動して、言葉は悪いですけれども、できの悪い西部劇みたいなものをやったのです。そういう中で、しかもこういう背景が記事に出ていて、それもかなり読まれている新聞ですね。それを外務大臣は自分でも読んでいて、会談に出て一言も聞かないというのは、私はこれは無責任だと思うのですね。これは外務省のほかの随行者でも何か問題にしなかったのですか。
○淺尾政府委員 ただいま御質問の点につきまして、これはまだ新聞報道でございますし、かつ、首脳会談の性格から、首脳会談の場でその問題を提起するということは今回いたしておりません。
 また、一般論として申し上げれば、米軍がいろんな場合を想定して演習ということをしているかと思います。ただ、一つの特定の艦あるいは特定の飛行機がどういう態様で発進しているかということについて、仮に照会いたしましても、その一つ一つの点についてアメリカ側が回答するということは、これはオペレーショナルな部分に属するということで、従来から一機一艦の一々の行動については回答しかねるというのがアメリカ側の態度でございます。
○金子(満)委員 毎日起こっている一つの飛行機が行ったり来たり何時何分ということではなくて、アメリカのこの特殊作戦の部隊がもし失敗をしてイラン側の抵抗に遭ったときは、とにかくテヘランやその周辺のイランの基地を爆撃するという計画なんですね。しかもその決定権をほかならぬ交渉の相手のカーター大統領が握っておる、こういうように言われているときに、公式、非公式は別として、それでは食事をしながらでも、あるいは事務レベルの会談でも、どこかで一回ぐらいはだれかが聞いてしかるべきだ。新聞を読まないでいたら別ですよ。しかし、大臣はその新聞を自分でごらんになったと言うのだから、それを話題にもしないで聞きもしないというのは、これは本当に無責任のそしりを免れないと思うのです。
 もう一つ聞きたいのです。それは現実にわれわれが指摘もし、政府側としても調査も約束をしていることですけれども、いわゆるMC130Eの問題です。これは先月の二十六日に安保特別委員会でわが党の東中委員が質問した。そしてこれについては細田長官もびっくりするようなことだというぐらい驚きを示されたのですから、びっくりするというのは聞いてもいなかったし思ってもいなかったということがあると思うのですね。その点について、沖繩に四機MC130Eがいる、これが二十五日からいなくなっている、少なくとも沖繩の嘉手納にはいないという質問をしたわけです。それに対する回答は、細田長官は「ただいまの件に関しましては、情報を集めまして確かめた上で報告いたします。」
 これは委員会が違うからと言うけれども、この委員会には大来外務大臣も出席をしているわけだし、そして情報を確かめるということであれば当然外務省としても負うべき責任があると思うのですね。そういう中で、しかもアメリカとの会談がその後にあったわけですから、確かめる機会なんかは幾らでもあるのですね。こういうことを考えて、いまどのようなところまで情報が確かめられているのか。
 これは外務大臣はいろいろそういう点では実務的なことですから答弁を願わなくとも、外務省の関係者、ひとつこの点がどこまでいっているか、もう日は大分たっているのですから、報告していただきたいと思うのです。
○淺尾政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、安全保障特別委員会で質問が出まして、防衛庁長官の方から情報を収集してわかり次第報告するということになっているのはそのとおりでございます。外務省といたしましても、この件につきまして事態にかんがみまして情報を収集しております。
 現在のその結果を御説明いたしますと、まず第一点として、先ほど申し上げましたように、C130の動静につきまして、特定のC130がどういう態様で行動しているかということについては、軍隊の属性上その点について一つ一つ答弁しかねるというのがアメリカ側の立場でございます。この点については軍隊の属性からわれわれとしても理解し得るところでございます。
 ただし、今回の救出活動との関連についてC130がどこから飛来したかということについては、救出活動に従事したC130のすべては米国本土から来たものと理解しております。
○金子(満)委員 沖繩に四機配備されているということは防衛庁も政府側も認知しているわけですから、いまその四機がいるのですかいないのですか。どうなんです。これは沖繩ですから日本の領土です。
○淺尾政府委員 C130が一般的に四機配置されているということは私たちも承知しております。ただ、今日現在その四機がいるかどうかということについては、私ここで承知しておりません。
○金子(満)委員 アメリカ側に聞いたことはあるのですか、ないのですか。
○淺尾政府委員 何機配備されているかということについては、米側に照会して、その結果四機配属されているということは承知しておりますけれども、特定の時点においてそれが嘉手納にいるのかどうかということについては、われわれの方も現在のところその四機すべてがいるかということについては承知しておりません。
○金子(満)委員 つまり確かめていないということだと私は思うのです。四月の二十五日に四機いなくなったことは事実ですよ。現地の新聞報道もあります。そして二十六日、七日、八日、そして二十九日にこのMC130Eが三機帰ってきた。これも、一般新聞も時間までちゃんと出して琉球新報が書いていますよ。一機だけ帰ってこない、こういうことになっています。きょう確かめてみました。
 四機そろっていないのです。これだけのことがあるのに、承知していないのじゃない。承知していないから聞くのですよ。その聞く勇気を持たなかったら自主性が全然ないのですね。一般新聞でも見ていればわかるのですから、そしてまた、この前の安保特別委員会、そのときに写真まで提供しているのですから、だれが見てもわかるのです。そういうようなことをやらぬというのは、これは委員会の答弁はそのまますうっと過ぎてしまって終わらせる、そしてあとは人が忘れてくれるのを待つというようなことでもしあれば、私は大変なことだと思うのです。
 今回の日米会談でも、総理はあくまでも平和的解決ということを前には言っていました。しかし、今度は、そういう希望は述べたけれども、結果としては、さっき外務大臣の答弁にもありますように、軍事行動になったら支持するのかしないのかと言うと、そうならないことを希望するで終わるわけですけれども、私は改めてイラン問題でいま日本政府がとるべき態度というのは次の三つの点だと思うのです。
 一つは、絶対に平和解決をすべきである、これを主張するだけでなくて、軍事行動はとるべきでない、こういう点をまず明確にすること、それから同時に、アメリカ側からアメリカの軍事行動を含めた行動に同調とか強要があってもこれを拒否すること、それから三番目は、米側の軍事行動に日本の基地、日本の領土を使わせない、こういう点をひとつ明確にここのところで私は政府の見解として述べてもらいたいと思うのです。そうでないと、いろいろのステートメントを見ますと、カーター大統領の言ったことが大体通っているのです。大体というより積極的に通っているのです。それに調子を合わせたところだけが高く評価されるのです。そういうような関係で今度の会談が報道されているわけですけれども、いま言った三つの点について、これは政治的な問題ですから、大臣に答えていただきたいと思うのです。
○大来国務大臣 平和的手段で解決してくれということ、すべきだということは、先ほど来申し上げましたように、総理からも直接表明いたしておるわけでございます。
 後の具体的な点につきましては、先ほど来申し.上げましたような基地の使用に関する考え方、日本の基地に一たん入った米側の艦船等は、入ったことでその行動が縛られるということについては、先ほど来申しましたように、直接発進の基地に使うという場合は、これは安保条約からしましても事前協議の対象になるわけでございますけれども、一般的な移動につきまして一々これを縛るということは、条約のたてまえからいってもむずかしいように考えております。
○金子(満)委員 その三点は、私どもの主張でもあり、道理のある道筋だと思いますが、そういう中で、もう一度確かめておきたいのですが、MC130Eの沖繩四機配備、そして一機帰ってこない、これはどんどん報道もされているし、きょう現在も四つそろっていないのですから、これについて米側に聞く用意があるかないか、端的にひとつ、これは聞く聞かないの問題ですから、大臣に答えていただきたいと思うのです。
○大来国務大臣 この点につきましては、先ほど北米局長からもお答えしたわけでございますが、日本側から問い合わせたわけでございます。それに対してのお答えは、人質作戦の四機は全部アメリカ本土から出ているという答えがあったわけでございます。
○金子(満)委員 なかなか事は重大な問題だと私は思います。そういう中で、先月の二十八日にイランのバニサドル大統領が、アメリカの今回のいわゆる人質救出作戦とか言われるものについて、国連に調査団の派遣を求めました。同時に、ECと日本に対しても同様の調査団を派遣するよう要請しているという報道が国際的にも広く流れているわけですが、そこで、アメリカ本土から来た、沖繩のものは、問い合わせたけれども、いま言われたようにはっきりしないわけですから、そういう点で日本の基地から飛び立ったという可能性もあるので、政府はイランに調査団を派遣するという用意がありますか、ないですか、一言で答えてください。
○大来国務大臣 日本政府にはそういう申し入れば来ておらないわけでございます。
○金子(満)委員 それでは、政府として、いま調査団を出す用意はないということですね。
○大来国務大臣 現在その用意はございません。
○金子(満)委員 いろいろの深い疑惑が持たれている、そういう問題も含めて、イラン問題というのは川向こうの火事ではないということはもう明らかであります。このことはわが国の安全や世界の平和にとっても重大な問題だ。
 そこで委員長、私はこの外務委員会に一つの提案をしたいと思うのです。それは、この外務委員会の責任を果たすために、政府もやらない、アメリカも口を濁して答えないのであれば、いわゆるアメリカの人質救出作戦、人質奪還作戦がどういうものであったか、これを自主的に正確に把握するために、外務委員会として現地へ調査団を派遣すべきである、その提案をするわけです。委員長、この点を理事会で検討して、この調査団を超党派で派遣できるようにひとつ努力していただきたいと思うのです。その点を委員長……。
○奥田委員長代理 金子委員のただいまの御提案に対しては、理事会において前向きに検討することといたします。
 林保夫君。
○林(保)委員 外務大臣、このたびは御苦労さまでございました。
 イラン、アフガンなど緊迫した情勢、しかも変化しつつあります。さらにはエネルギー問題、経済摩擦、これは言ってみれば外圧という形かもしれません。こういった多くの課題を抱えて、日本はこれでいいんだろうかと国民みんながやはり心配しております。こういう視点に立って、今回総理と御一緒に三カ国を回られて御努力されたわけでございますが、新しい時点に際しまして、わが国の国際的な対応が従来のままでいいのかどうか、この点を中心に、これからわが国外交を担当される外務大臣としての御印象と御決意を、まず承りたいと思います。
○大来国務大臣 日本の外交というものはやはり基本的に日本国民の安全を守り、国民の生活を守らなければならないということがございまして、安全ということから申しますと、ある程度の防衛力、自分で自分の国土を守る力というものを従来から自衛隊という形で保持してきておるわけでございますが、それと日米安保条約による抑止力に期待しておる、基本的にそういう日本の安全という問題のためにとるべき外交という点から個々の場合の対応を考えていかなければならないわけでございまして、そういう立場から日米関係も日本とEC諸国との関係も考えていく。全体としてこの自由社会の力といいますか、活力を強めるという形で、われわれがいま住んでいるような社会制度、自由社会というものが維持されておるという中で個々の問題に対応していくべきだろうというふうに考えておりまして、そういう基本的な線からいって、今度の総理の訪米あるいは訪墨、訪加という面では一応の成果があったと考えておるわけでございます。
○林(保)委員 まず御苦労さまでしたと重ねて申し上げておきたいと思いますが、とりあえず日米関係、対米関係でございますが、このたびの総理並びに大臣の御訪米の前と後とでどのような変化が外交上あるか。一言で言えば、日米新時代、これはいい意味と悪い意味と二つあると思いますけれども、どうお考えになっておられるか、承りたいと思います。
○大来国務大臣 この点につきましては、たとえばいまから二十年ぐらい前の状況に比べますと、経済力の面で言えば、日本の経済力が、これは共産圏も含めた場合の数字でございますが、三%から八%、同時にその間にアメリカのシェアは三分の一から四分の一弱に低下しておるという、相対的な経済力から見た比重の変化があったことは事実でございます。そういう点も現実の問題として起こっておるわけでございますから、日米関係を考えます場合に、日本としての果たすべき役割りというものを、先ほどの日本の安全という面からとらえて考えていくということが一つの大きな課題だと考えたわけでございます。
○林(保)委員 ただいまは経済的な側面から日本とアメリカとの大きな変わりようをおっしゃられたわけですが、日本の安全を考えようということ自体まさに日米新時代に入ったんだな、こういうことになろうかと思いますが、この点でそういう経済問題ばかりでなくて、やはり実質的に大きな変わりようがしていると思います。それは先ほど来も議論がございましたように、ここにあるわけですが、同盟国として何をしていくべきか、これは安全の問題について総理がおっしゃっている言葉の中でございますが、こういった点で考え方の上でも非常に大きな変わりようをしていると思いますが、どうお考えになるのでございましょうか。
○大来国務大臣 従来でございますと、日本の安全ということは最小限の自衛力と安保条約、そういうかさと申しますか、特に米国が持っております抑止力というものが有効に働くという状況で、まあどちらかというと一方的に米国の力に依存することによって日本の安全を保つということで済んでまいったと思うのでございますが、先ほど申しました経済関係なども含めて、やはり自由社会を守っていくためには日本、アメリカ、ヨーロッパというようなそういう社会制度を共通にしておる国々の努力を合わせていかなければならない、そういう時代に入ってきた段階での日米関係ということが言えるのではないかと思います。
○林(保)委員 改めて同盟国と言う。従来はパートナーシップとか日米対等とか、あるいはまた友好国、そういう範囲でしがなかったのを、同盟国と規定した。何を背景にどういう根拠でみずからこれを称するようになったのか、こういう点を伺いたいと思います。
○大来国務大臣 一つには、このイランの人質問題が約半年たちまして、その人質が依然として返ってこないということに対する米国民の焦燥感、それからフラストレーションといいますか、屈辱感、そういうものは想像に余るものがある。そういう点についてやはり友好国としてのある程度の理解というものがありませんと、情勢はいつ、より危険な状態になるかわからないという現実問題があるわけでございまして、その状況のもとで、日本あるいはヨーロッパ諸国が対米協力の基本的な姿勢を示すことがそのより大きな危険を防ぐ上に有効ではないか、そういう考え方から恐らく総理は同盟という表現も使ったのではないかと考えております。
○林(保)委員 まさに日米新時代だと言わざるを得ないと思うのでございますが、友好国から一歩踏み出してアメリカと運命をともにしようという決意の表明かもしれないと思います。
 条約局長、ひとつこの辺につきまして、同盟国と言う以上、友好国と違ってどういう義務を負い、どういう責任があるのか、法的な立場からの御解釈をお願いしたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 同盟国というのは共通な理念を持って共通の目的にお互いに歩調をそろえていくというような意味で、普通通常のアライという言葉を使っているのだと思います。
 恐らく、大平総理が言われたのも、特に日米安保条約というものを基礎として同盟と言われたのではなくて、やはり日本の自由民主主義社会を堅持しなければならない、それのためには国際的な協調によってアメリカその他EC諸国とも緊密な連携をとりつつ自由民主主義体制を守っていかなければならないということから、同盟国という言葉を使われたものだと私は承知していますので、この点を法律的にどうのという御説明を申し上げるのはちょっとむずかしいことだと思うのでございます。
○林(保)委員 やはり名は体をあらわすと申しますので、ひとつそういう問題を、これからいろいろと質問でも出ましょうし、御研究いただきまして、同盟とはこういうものだ、こういうことをひとつしっかり明らかにしていただきたいことを御要望しておきます。
 時間がございませんので引き続きまして、大臣は先ほど、自由諸国あるいはECとの関係、日本とアメリカだけでなくて、世界への広がりを強調されました。これこそまさにまた新しい外交の対応だと思います。
 したがいまして、承りたいのは、第一点といたしまして、日本とアメリカとの協力の中核をなしております安保体制でございますが、従来は二国間の視点で考えられていた。なおもう一つつけ加えれば、日本は受け身だった。これが大変変わったように思われます。現に三月四日の新聞報道、これは朝日でございますが、「安保政策に新視点」ということででかでかと外務省がこういうことを意図しているということが出ております。読み上げてもよろしゅうございますが、時間がございませんので一口に申しますと、世界戦略の中に入っていったのだ、こういうことでございますが、大臣の御見解はいかがでございましょう。
○大来国務大臣 戦略という言葉は英語のストラテジーということでかなり広い意味で言われておるように思いますので、狭い意味での戦略、軍事的な面を主にした戦略ということについては、日本は自国のたてまえ上参加できない、また参加すべきでないということだと思いますので、そういう問題以外の分野において、やはり自由世界の連帯性というものが弱まって、日本もヨーロッパもアメリカもばらばらに行動する、それらの国々の間に相互に不信感が強まっていくという状態になりますと、これは自由な社会制度自体も場合によると守っていけないことになるかもしれない、そういうことではないかと思います。
○林(保)委員 大臣の言われること、よくわかります。まさに日本だけであるいはアメリカとだけ向き合って話していても問題は解決しないと思います。今回メキシコとカナダを回られまして、アメリカへも行かれたわけでありますが、いわゆる環太平洋構想、これについてどのような変化があるのか、あるいはまた御帰国になってどのような新構想を打ち出されるのか、承りたいと思います。
○大来国務大臣 これは総理からもたびたび、海外で質問を受けた場合に答えておられるわけですけれども、あくまでも文化的、経済的な面での協力だ、それから開放された、オープンな地域協力だ、そういうことで申しておるわけでございます。
 今回、メキシコはほかの問題が中心になりまして、余りこの構想についての話は出ませんでしたが、カナダではトルドー首相を初め関係者は非常に強い関心を持っておりまして、日本なりその他の国々で言われておるアイデア、考えについて自分たちも十分検討していきたい、特にカナダは太平洋国として今後発展しなければならない運命にあるということをトルドー首相も演説をしたわけでございますが、さしあたりカナダとしては太平洋諸国との協議を考える。これは太平洋地域の全般的な、多角的な協力というよりも、カナダと日本、カナダとASEAN、カナダとオーストラリアというように、カナダの立場から見た太平洋の結びつきをまず検討してみたいという意向がございまして、長期的に二十一世紀をにらんだ場合に、太平洋地域の協力というのは不可欠な構想だという意向が強く表明されたわけでございます。
○林(保)委員 いずれにしましても、日本とアメリカ、さらには御訪問のメキシコ、カナダとの紐帯が深まり、自由世界間の結束といいますか、何か新紀元を画したような印象を禁じ得ません。その中でまた、環太平洋構想の問題、そしていま議論になっております防衛の問題で日本も自主的な努力をするという約束を、率は幾らかわかりませんが、やはりやっておられる、こういうことでございます。
 時間がなくてあれでございますが、「ホワイト・ハウス南庭における総理発言」の中で、大変大事な問題が出ておると思います。「これまでかつて文化、歴史、言語の異なる二国間に、われわれの間に見られるように緊密で強固な絆が存在したことはありません。」「大統領閣下、本日私に示された心暖まるご歓待に対し、」という中で、「われわれは、真の友人がそうであるように、われわれの間にある特別の結びつきが壊れることを怖れる必要なく、お互いの胸にあることを明らかにしていくでしょう。」これは当然だろうと思います。「われわれは、必要とされる場合に、また、危機にあたって、お互いが必要とする支援を必ず差しのべるでしょう。」
 総理大臣の言明、しかも一国の大統領に対しての言明だけに、この一項はやはり見逃し得ないポイントだと思います。危機とは、外務大臣として一体何をお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。
○大来国務大臣 危機につきましては、いろいろな情勢が考えられると思いますが、当面の問題としては、イラン問題、アフガニスタン問題、あるいは経済的なインフレ問題を含む自由社会における問題等も含まれるかと思います。
○林(保)委員 それでは、「お互いが必要とする支援を必ず差しのべるでしょう。」という大変かたい大統領に対する総理の約束でございますが、支援とは一体何を指すのでございますか。
○大来国務大臣 これは人質問題に対する米国民の心情に対しての理解ということも心理的な支援になるのではないかと思いますし、また、EC諸国と協力して非軍事的な方法による人質問題の解決に努力するということも支援になるのかと思います。
○林(保)委員 どうも釈然といたしませんけれども、なおやらなければならぬ約束がここにできているように思います。
 先ほど大臣は、イラン、アフガン、これらについて、いまおっしゃるように、経済的な、あるいはまた精神的な支援、非軍事的なということを指されたんだと思いますが、果たしてそうであろうか、こういう問題が一つあります。
 時間がございませんので、最後に一つだけ承りたいのは、大臣がまだメキシコかカナダにおられました間に、新聞報道で大きく出ましたのは、現在の韓国首脳部に対するカーター大統領の非難でございました。どのように大臣はお答えになったのかという点をひとつお聞きしたいのと、と同時にまた、総理も、アメリカばかりでなくてメキシコそしてカナダでも、朝鮮半島の問題、韓国の問題を取り上げられていることが共同声明の中に出ておりますが、韓国、朝鮮半島に対しましてどういう御認識をお持ちなのでございましょうか。危ないと見ておられるのでしょうか、日本はほっておいていい、アメリカはほっちゃおけぬ、こういうふうに見ておられるのでございましょうか、御報告いただきたい。
○大来国務大臣 この問題は総理が発言してまいったわけでございますが、朝鮮半島における南北会談というのが始まっておりまして、これは一つの緊張緩和の可能性を示すものだ、現在までの進展は必ずしも十分と言えないけれども、とにかくこの成り行きを注目したいということ。それから、韓国の情勢につきましては、前朴大統領の事件の以後比較的平静な推移が見られる、ただ、いろいろと未確定な要素もあるので、今後も一層注意を持って見守っていきたい、大体そういう趣旨だったと思います。
○林(保)委員 承りたいことはいろいろございますが、いずれにいたしましても、多くの新しい問題が提起されていると思います。この成果につきまして、大臣は大変大きな成果を得た、こういうことでございましたが、いろいろとこう、防衛問題に対する依然受け身の姿勢、さらにはまた、余りにも多くの約束をさせられていることもございまして、対米交渉を主とした今回の御訪米につきまして、政府としてやはり反省すべきところもあるんじゃないだろうか、このようなことも考えられてなりません。
 この質問はまた後に回しまして、本日はこれで終わりたいと思います。本当に遅くまでありがとうございました。
○奥田委員長代理 これにて国際情勢に関する質疑を終わります。
     ――――◇―――――
○奥田委員長代理 引き続き、条約三件に対する質疑を続行いたします。渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書につき御質問いたします。
 大変お疲れのところ恐縮でございますので、一番大問題のところだけねらい撃ちで申し上げたいと存じます。大変やさしい質問でございますので……。
 まず、この協定第七条でございますが、協定第四条で「1 協定第七条(a)を次のように改める。」となっておりまして、その(a)の項の(a)でありますが、「設備であってこの協定に基づいて入手した機微な情報を利用して設計され、建設され又は運転されていると受領当事国政府によって又は受領当事国政府との協議の後に供給当事国政府によって指定されたものは、この協定に基づいて入手した設備とみなす。」その(ii)「核物質の濃縮若しくは再処理、重水の生産又は重水減速炉に関連する設備であって、その設計、建設又は運転過程がこの協定に基づいて入手した設備の設計、建設又は運転過程と本質的に同一であると受領当事国政府によって又は受領当事国政府との協議の後に供給当事国政府によって指定されたものは、この協定に基づいて入手した設備とみなす。」こうなっております。またその世のところにも類似した表現があるわけでございますが、問題は、受領当事国政府、つまりカナダから原子力に関する機微なる情報を日本側が受け取る場合、受領当事国政府は日本側になり、そして供給当事国政府はカナダ側になるわけでありますが、その受領当事国政府、日本政府とカナダ政府の協議の後指定したものに関しては「この協定に基づいて入手した設備とみなす。」という項が当てはまるものと思われるわけであります。
 私が大変心配いたしておりまするのは、そういうことになりますと、現在カナダからCANDU炉が日本に導入されようといたしているわけであります。この話は今回の総理とピエール・エリオット・トルドー首相との間の五十五年五月六日の共同声明によりますと、その十七項目に「両国首相は、CANDU炉の日本への販売の可能性をも含め、両国間のエネルギー分野における協力拡大の可能性を検討し、かつ討議した。トルドー首相は、CANDU・システムの販売が両国間の貿易経済関係の強化に貢献しうることにつき留意した。」このように公然と書かれているわけであります。
 そういたしますと、日本の原研がかねてより研究中であるATRに関しまして、CANDU炉と同じ考え方、理念に基づいて目下研究試作等の段階にあると承っているのでありますが、このような協定を結ぶことによってCANDU炉を日本に導入いたしますならば、ATRの研究あるいはATRに関するさまざまな情報の蓄積が協定の対象として指定され、CANDU炉の情報と混線し、わが国の原子力研究に対して一大障害になることが憂慮されるわけであります。この点につきその憂慮が危険なものかどうか、私の憂慮が憂慮でないものかどうか、いまからしつこくお尋ねをいたしますから、お答えいただきたいと存じます。
○矢田部説明員 ただいまCANDU炉が導入されようとしておると先生おっしゃいましたが、その点は必ずしも正確ではないと存じます。現状におきましては、CANDU炉が導入されようとしているということはないというのが現実の姿であろうかと存じます。
○渡部(一)委員 まずあなたはそういうふうにお答えになりますから、CANDU炉の論戦は細かくちょん切ってやりましょう。
 それではCANDU炉が導入されないということについては、私も導入できないだろうと思います。それは昭和五十四年八月十日原子力委員会におきまして、「原子炉開発の基本路線における中間炉について」と題しまして、CANDU炉の導入はしないと表明された。ところが、通産省は九月十一日、これに対する異議申し立てに等しい質問書を提出された。ところが、原子力委員会は五十四年十月十二日、「「原子炉開発の基本路線における中間炉について」(昭和五十四年八月十日原子力委員会決定)の補足説明」と副題された「CANDU炉導入問題について」と称される文書を表明された。これは御承知のとおりです。この三つの文書が本物でありますと、原子炉の導入について最高の権限を持っている原子力委員会ではCANDU炉を導入しないはずですね。いまあなたもそうおっしゃった。
 それならどうしてカナダのトルドー首相との間の共同声明に、両国首脳が「CANDU炉の日本への販売の可能性をも含め、」というような、さもさもCANDU炉を買うかのごときポーズをされたのか、これは外務大臣にお答えいただいた方がいいと思います。なぜそんなカナダが非常にプライドを持って世界に誇っているCANDU炉を買うポーズをしたか。こういうポーズをすることは非常にけしからぬことです。日本の原子力委員会が買わないと言っているのにもかかわらず買うなどということ、「販売の可能性をも含め、」可能性は原子力委員会がノーと言っているからないはずじゃありませんか。日本の首相は、原子力委員会の決定をそのように簡単に覆すやり方をいつからされるようになったのか。これは一悶着あらねばならぬところであります。
 さて、この問題は重大問題でありますから外務大臣に何としてもお答えをいただかなければならない。どうぞ。
○大来国務大臣 今回カナダ訪問の際に、トルドー首相その他カナダ政府関係の方から再三CANDU炉についての要望が出たことは事実でございます。それに対して総理からは、原子力委員会はその必要を認めないという決定になっている。しかし一方において、導入するかしないかという問題は別にして、カナダのCANDU炉の研究はしなければいかぬという考え方があるので、そういう見地の検討はしていくつもりだということがその共同声明の中にも盛られておるわけでございますし、一方トルドー首相の一方的な希望の表明もそれに並んで盛り込まれておるわけでございます。
 御承知のように、CANDU炉は非常に複雑な問題、複雑な経緯を経ております。しかし同時に、それではその検討もやらないかということになりますと、それはやはり行き過ぎではないか。さらに原子力委員会の決定が、たしか当面でしたか当分の間でしたか、状況の変化があったときには再検討する趣旨も加わっておったと思うわけでございまして、当面どうという動きはないと思いますが、将来にわたって検討、研究は続けていくものだという趣旨で、そういう共同声明になったと承知しております。
○渡部(一)委員 大臣に早く休憩していただこうと思っていたのですが、御答弁はちょっといただけないようです。
 日本に対するCANDU炉の導入は別としてといま言われたが、原子力委員会での決定を考えれば、日本への導入は現在のところあり得ないわけです。それを正直に述べるのが外交でございましょうが、ここにはCANDU炉の日本への販売の可能性を含め、両国間の協力拡大の可能性を検討したとなっておりますね。これはちょっと言い過ぎでございますね。カナダ側はいま共同声明をふところに抱いて、泣いて喜んでいるでしょう。そして日本の総理大臣は、うまくだましたと思ってにっこり笑っているのでしょう。そういう漫画的な状況が生まれてきてしまう。そういうふうにあの純朴なカナダ人をだまし討ちにしてはいかぬと私は思うのです。
 全然検討しないのは行き過ぎだといま言われましたけれども、調査団の派遣を検討したことは、オタワ六日発の同行記者団の記事の中で明らかであります。そうしますと、首相同行筋がカナダで明らかにしたところによると、導入問題について政府は調査団の派遣を検討しておる、このような方針は原子力委員会と御相談の上で決められたものではないだろうと思うのです、カナダでやったのですから。明らかにカナダ側に対してあるポーズを示すために行われたものでございましょう。
 この問題に対するお決めになり方というのは、少し日本の本当の立場、本当の気持ち、あり方というものを十分に述べてなかったのではないかという疑いを私は感じて仕方がないのでございます。その点いかがでございますか。
○大来国務大臣 日本側から、総理から、原子力委員会の決定についてははっきり述べたわけでございます。
○渡部(一)委員 ではその話は歴史の証明するところにゆだねましょうか。だけれども、今後はこんな交渉をなさいますと、当外務委員会は通りませんぞ。
 それでは、その話は次にしまして、第四条にいきましょうか。第四条で、CANDU炉をもし導入した場合、これはそういう場合がいまや起こり得ることを先ほどからの御答弁は示しておりますから、その仮定の議論をいましなければなりません。そうしますと、「設備であってこの協定に基づいて入手した機微な情報を利用して設計され、」つまりCANDU炉導入に当たってカナダ側の機微な情報を利用して設計され、建設され、運転されているとカナダ側が日本国政府との協議の後でカナダ政府が指定したものについては、「この協定に基づいて入手した設備とみなす。」つまり日本国の諸設備であったとしても、カナダ政府が日本と協議の後、「協議の後」というのがついておりますが、協議の後にこれはカナダ側の情報によってできたものだと言ったらそれはそうなるということをこれは示しております。
 一つずつ伺いますが、私の解釈はこれでよろしゅうございますか。
○矢田部説明員 両締約国が協議の上決定されるということは、全く先生の御指摘のとおりでございます。
○渡部(一)委員 協議の上決定、決定されるという言葉はここに書いてないのだな、「協議の後」ですね。
○矢田部説明員 協議の後指定されるというふうに訂正させていただきます。
○渡部(一)委員 そうすると、私の心配はますますでかくなってくるわけであります。この協議という言葉は、英文によりますと「アフターコンサルテーションウイズザレシピアントコントラクティングパーティー」こうなっております。「アフターコンサルテーション」という文字が使われている以上は、コンサルテーションという言葉の中に合意したという意味合いが余りないのではないかど私は心配をしております。
 両国政府が合意した後にカナダ政府がそういう判断を下すというのではなくて、カナダ政府は形式的に日本にコンサルタントすればいいのではないかという疑いが残りますが、どうですか。お答えになれますか。
○矢田部説明員 確かにコンサルテーションということは、厳密に申せばアグリーメント、合意ということでないことは全くそのとおりでございます。しかしながら、もともとこの協定は日加間の原子力に関する協力関係の推進の基礎をつくるということに目的があるわけでございますから、したがいまして、その当事国政府間の協議と申しますものは、そのような協力関係に基づいて技術的な議論を積み上げていくということを当然予想しておるわけでございまして、そのような協議が調わないにもかかわらず、一たんコンサルテーションは行ったからカナダが一方的に指定するというようなことは、この協定の性質からいってもあり得ないと申し上げてよいのではないかと存じます。
○渡部(一)委員 いまの御答弁者は非常に善意あふれる答弁をなさいましたが、条約の持つ本質的な意味は、改めてここで申すまでもなく、両者の利害が対立しふくそうする状況を事前に阻止することにあります。ところが、こうした将来紛糾性を含む条約を結ぶ場合には、言語、用語についても十分の検討が必要であります。コンサルテーションという言葉のもとにおいてはこういう問題が当然起こることが予想される以上、これをなぜ合意という言葉に切りかえなかったのか。コンサルテーションという言葉がいまのような善意ある解釈で行われるのは、この協定すらも要らないような日加間に非常に友好関係が樹立している場合のみでありましょう。
 したがって、私はこの協定のこのような表現では、このいま述べた部分は、(i)、(ii)、(iii)と三項目にわたって同一表現があるのでありますが、三項目とも日本の原子力発電の原子炉開発にとって重大なマイナスを惹起する可能性があるのではないかと心配いたしまして、もう一回御質問いたします。
○矢田部説明員 御指摘のコンサルテーションズ、協議という言葉は、実はこの日加協定改正議定書四条(a)(i)、(ii)、(iii)がロンドンガイドラインからとったものでございまして、そのロンドンガイドライン上使われておる言葉、ロンドンガイドラインで要求されておることがコンサルテーションということになっておりますので、その例に従っておるわけでございます。
 重ねて申し上げますが、カナダ側に一方的に指定する権利というものをこの協定上認めていくことはないと存じます。
 つけ加えさせていただければ、この議定書と同時に「合同作業委員会に関する交換公文」というのがございます。交換公文の二でございますが、この合同作業委員会においてこの協定の実施についてのもろもろの事項を両国政府代表者間で協議することが決められております。そのような協議のシステムというものも整っておるわけでございますので、御心配のようなことは万々一起こらないというふうに確信しております。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
○渡部(一)委員 矢田部さん、その交換公文、ここへ提出してください。あなたはそうやって自分の方だけで持っている資料で議論するのはずるいですよ。そんなの議論にならないじゃありませんか。私の方には何にもなくてあなただけ本をたくさん見て、私の方の持っているこれによるとこう書いてありますなんて言っても信じられません。そんなのは答弁にならない。
 それから、何ですかロンドンガイドライン、ロンドンガイドラインなんというのは、私は認めておりません。なぜかと言えば、ここは日本の政府であり、日本の議会であり、日本の法律に基づかなければいけなくて、われわれは日本の用語によらなければいけない。少なくともコンサルテーションという言葉についての解釈は、私は公的な規定がない限りは、ウェブスターの辞書か何か持ってきて言うのでなければ信じられない。それ以外の説明がコンサルテーションという言葉にあるならいい。だけれども、この協議というのは両者が完璧に合意した後とは読めないじゃありませんか。相談したらぐらいにしか読めないようになっているじゃありませんか。だから、私は問題が起こったらカナダ政府を代表して、断固これでカナダ側を代表してがんばりますよ。そうしたら、日本のATRは全部開発不能になる。いま秘密裏に全部が公開されていない日本の原子力のさまざまな開発は、全部この一日のためにとめられてしまうじゃないですか。そんな恐ろしい状況をそのままにしておいて、カナダに調査団を出すとかCANDUのことも検討するとか、よく言えたものだ。こんなでたらめな条約は通せますか、あなた。
 とてもじゃないけれども、困難を起こしたのは何かというと、このコンサルテーションという言葉ですよ。だからコンサルテーションという言葉をもっと厳格に解釈するのか、そうでなければ私のようにがみがみ言うとこういうようになるのだけれども、それだったらカナダ政府側にコンサルテーションの言葉の解釈はこういたしますというのを、なぜこの文章の後ろにつけないのですか。それこそもう一つ交換公文書いてきたらいいじゃありませんか。私は拙速をもって、この協定が本委員会を通過するのを望まないですね。
○矢田部説明員 先ほど私が引用いたしました合同作業委員会に関する交換公文は、参考資料としてお手元に配付されておるはずでございます。
 それから、コンサルテーションという言葉につきましては、確かに御指摘のとおりに合意ということと全く同様ではないと存じますが、外交的には、やはり協議が調わないにもかかわらず、友好国間で一方的に行動を押しつけるということは、その結果がもたらすことは非常に重大でございますので、仮に合意と書いてなくても、この場合御心配のようなことが生ずることはないというふうに存じております。
○渡部(一)委員 「協議の後」と書いてあって、あなたはいま日本政府とカナダ政府を代表されて心配ない、こう力説されているわけです。私もあなたの実力に敬意を表しますからその言葉を信じたいが、残念ながら信じるわけにはいかないのです、それは。だってカナダ政府側の保証がないのだもの。あなたが幾らそう弁解されても、合意という言葉と協議という言葉は違うじゃありませんか。
 そして、いまあなたは作業委員会に関する交換公文を配付されたと言われましたけれども、私めくってみてやっとわかりましたが、この合同作業委員会はりっぱなのができているといったって、この合同作業委員会のペーパーの中には、この協議が、先ほどあなたが申し述べられたように仲よしムードでできるなどということについては何も書いてない。作業委員会ができると書いてあるだけじゃないですか。作業委員会で相談しましたと言えば、一方がそう宣言したらそれで終わりです。両者が必ず協議した後、両者の言う協議とは必ず最終的に両者が合意しなければならぬという一言が書いてあるなら信じます。だけれども、この作業委員会のペーパー、交換公文、だめじゃないですか。私のおそれていたことは、いよいよ明らかになりつつある。さあ、私をうまく論破してごらんなさいよ。論破しなければ、あなたは大変なことになりますよ。
○矢田部説明員 作業委員会が設置されて、そこで、両国間の協議の場が設けられておるということを私申し上げましたのは、協議のメカニズムがそういうことで整っておるということを御説明いたしたかりたからでございます。
 仮に、この合同委員会での協議が調わないというような場合には、この協定には仲裁条項がございます。この仲裁条項の手続に従いまして、仲裁に付することができるわけでございまして、その手続に従うことができる以上、供給国側が受領国政府の意に反して一方的な指定を行うということは条約上もできないということは、確保されていると存じます。
○渡部(一)委員 仲裁されるということは、わが方の言い分が通過する場合もあるけれども、通過しない場合もあり得るということになるではありませんか。それでは心もとないということは明らかでしょう。わが方のATRに対する開発技術が、CANDUを持ち込んだというために仲裁委員会にかけられたり、一時的な仮処分が行われたりするような事態になったら問題は深刻です。ですからCANDU導入はこの際やめなければならぬという結論になってくるじゃありませんか。
 だから、この問題について、どうやらお話し合いが十分研究されてないように見えますので、私はこの部分の質問を留保したいと存じます。遺憾ながら採決を速やかに認めるわけにいかない。これについて十分御研究いただいて、明日も討議が行われるそうですから明日までの間十分御研究をいただいて、しかるべき御回答をいただくようにお願いをしたい。
 ついでに申し上げておきますと、私もこの条約が通ることを望んでいる一人です。だけれども、いまのような御説明で危なっかしいコンサルテーションの後で本条約が通過するとしたら、そしてカナダ側の保証のないまま通過するとしたら、まだCANDUというのを簡単に調査するとか検討するとかいってわが国がこの導入を検討するとしたら、その被害というのは余りにもひど過ぎる。
 参議院におけるわが党議員の質疑あるいは各議員の質疑は非常に簡明に行われました。しかし、こうした問題については簡明に行われていいという問題ではないでしょう。しかも政府委員の御答弁は、明らかにコンサルテーションという言葉が合意という言葉でないというところまで示されました。そうしたら、どうしてそのコンサルテーションという言葉の内容をもう一段階交渉の途中で詰めることができなかったか、まことに遺憾に存じます。
 私は、いまからでも遅くない、その言葉の内容を日本国内で適切な判断、適切な処理をなさるか、それでなければカナダ政府と緊急会議を行い、両者間に交換レターなどを交わしてこの条約が危険性のないものであるということを保証していただきたい、どちらかにしていただきたい。これぜひお願いいたします。
 以上申し述べて、この問題に対する質疑をこれ以上詰めるとちょっと変なことになるおそれがあるから、私、留保させていただきたい。
 以上で……。
○中尾委員長 榊利夫君。
○榊委員 先ほどの質問で、私、原子力研究所におけるいわゆる信頼性の確認という問題を質問いたしまして、職員であればという答弁を得ました。それについて、しかし実際には、日加原子力協定その他の原子力協定による原子力の平和利用が、核兵器を前提にしたアメリカの軍事的な管理、そういうシステムの中に、あるいは軌道の中に乗せられていく危険がある、実際にそういうふうになりつつあるということを申し述べました。これはある意味で不幸なことでありまして、たとえば日本原研における昼間だけの警備という問題も、むしろ盗難を防ぐためのものというよりも職員向けになっているのではないか、職員であれば信頼性があるのだというふうに実態はなっていないのじゃないかということを疑念として持っているわけであります。
 たとえば、先ほどの答弁に言葉を返すようでありますけれども、日本原子力研究所においては、労使協定を無視した身分証明書の様式変更が行われております。それから有刺鉄線つきのフェンスが居室を囲む形で設置されております。それからテレビカメラの一方的な設置も行われております。こういうふうに見ますと、やはり一つの学術研究所における管理、これが非常に異常なものになっているということで、労働組合側からも不当労働行為だという訴えが出ているのもわかるわけであります。
 こういうことが横行いたしますと、明らかにこれは関係者の人権、思想信条の自由までチェックするということで、憲法上の問題にもなるわけでありますけれども、政府はこれをどういうふうに御認識なさっておられるでしょうか。
○宮本(二)政府委員 ただいま先生から原研においてとられている措置についてのお話がございましたわけですが、原研におきまして現在とっております核物質防護措置と申しますのは、核物質防護区域を設定いたしましてフェンス等の障壁で囲うこと。それから区域への人、物、車等の出入の管理。この内容といたしましては身分証明書の確認とか出入管理カード、専用バッジ、出入者名簿の記入。それから三番目といたしまして、警備人の配置、構内巡視、侵入警報装置の設置。それから四番目といたしまして、核物質の使用場所の限定等の管理でございます。それから五番目といたしまして、警察との連絡通報体制を整備する。大体こういうような措置をやっておるというように私ども承知しておるわけでございます。
 それで、いまちょっと確認した次第でございますが、原研のこれらの核物質防護区域につきまして夜昼とも職員なり部外の警備陣なりで一応警備はやっておる、こういうような状況のようでございます。
 私どもといたしましては、核物質防護と申しますのは、先ほど来外務省の方からも御説明ございましたように、あくまでも平和利用の一つの基礎的な条件である、こういう考え方でこれをやっておるわけでございまして、そういうような誤解を与えることがありましたらまことに残念だと思うわけでございますが、私どもとしては決してそういうつもりでやっておるものでない、こういう認識で、いままでもそういうつもりでやってきておる次第でございます。
○榊委員 そういうつもりでないとおっしゃるならば、どこから見ましても有刺鉄線つきのそれが居室を囲むような形でつくられているとか、あるいはテレビカメラまで据えつけられて、いわばアメリカ流の一種の監視的管理ですね。これは軍需工場の場合しばしばあり得るわけですけれども、そういうものが平和的な民主的な学術研究機関であるべき原研にまで導入されてきているということ、これは一般世論という点から見ても、どうもと首をかしげる人が私は大部分だと思いますよ。だから、そういうことがないと思っていると言われるのでしたら、もしもそれに反していることがあるとすればここで見直して、そこで働いている人たちも、それからまた世論も納得できるようなそういう状況というものを所内につくり出していく必要がある、こう思うわけであります。
 核物質のいわゆる本当の防護、文字どおりのPP対策、これは研究者とかあるいは職員を初め、実際そこで働いている人の協力なしにはあり得ないわけであります。これは常識であります。そういう点でも民主の原則や公開の原則といったことの必要性というものが強調されなければならない、こう思うわけであります。この点しつこいようでございますけれども、積極的な見解を承りたいと思います。
○宮本(二)政府委員 先生からいろいろ御質問ございます。私どもは、核物質防護措置というのは人間が対象じゃございませんで、物を中心としての監視であり、管理である、こういう体制で指導しておるつもりでございます。先生からもいろいろそういう御質問がございますので、現実にどういうぐあいになっておるのか、実情を調べましてまた検討いたさせていただきたいと存じます。
○榊委員 次の問題ですが、議定書の付表でございます。これで言いますと、二十、二十一、二十二ページですが、この付表でプルトニウム五百グラム以下のうち、「放射線医学上意味のある量に満たない量は、除外される。」こういうふうになっておりますけれども、医学上意味のない量というのはどのくらいでしょうか。
○宮本(二)政府委員 ごく微量のものはPP措置を講ずる必要がない、こういうことで除外になっておるようでございますが、その具体的な量についてはまだ決まっておらないようでございます。
○榊委員 つまり未確定。そうするとあれですね、五百グラム以下というのも、しかしここでは少なくともこの段階での判断であるわけですね。将来変わり得る、こういうことですか。
○宮本(二)政府委員 現在多国間の協議に基づきます核物質防護の国際条約のテキストが確定いたしておりますが、それではすそ切りが十五グラムという案になっておるようでございます。いわばその辺の数字が今後のめどになるのではなかろうか、こういうぐあいに想像される状況でございます。
○榊委員 最近、二、三日前の新聞に載ったことですけれども、アメリカのカリフォルニア州厚生局が、同州で核兵器の研究開発などを行っている研究所の職員が全国平均の五倍という高い割合で皮膚がんにかかっているということを明らかにし、大変衝撃を受けた、そういうニュースがありますけれども、これに類したことは核物質を扱っておるわが国の施設には起こっていないでしょうか。
○宮本(二)政府委員 先生のおっしゃいます話は、アメリカ、カリフォルニア州のローレンス・リバモア研究所の職員が全国平均に比べて五倍の割合で皮膚がんにかかっていることを州当局が発表した、こういう新聞記事ではないかと存じますが、現在この内容につきまして詳細に調査中でございます。
 わが国の原子力施設におきましてはこれに類するような事例が発生したとは全く聞いておりません。
○榊委員 原発で働いておる人の被曝が実際にはたびたび問題になっておるわけです。
 たとえば昨年十二月二十日の衆議院物特でも、藤原ひろ子議員が関西電力の社員伊藤清さんの事例について質問いたしました。伊藤さんは御存じの福井県の美浜原発に勤めておられて。昨年十月に死亡されております。国立敦賀病院に入院されたとき急性骨髄性白血病、こういう診断が出ておるわけでございます。診断書をここに持ってきております。
 伊藤さんの死は被曝によるものじゃないか、こういう疑いを持たれ、科学技術庁も調査をするというお約束をなさっておられたはずでありますけれども、その後調査結果はどういうふうになりましたか。
○向説明員 その後調査いたしました結果、次のとおりでございました。
 まず、お話のございました病名でございますが、これは当初敦賀の病院で肺炎の疑いということで入院されたわけでございますが、診断の結果急性骨髄性白血病ということであったわけでございます。
 それで、われわれ調査いたしましたのは、この方の美浜発電所におきます業務がどういう業務であったかということでございます。昭和五十年の六月から約一年間でございますが、発電所の放射線管理課の化学班長として化学分析試験、放射線化学分析試験、プラントの水質管理等の業務の統括に当たっておられたということでございます。それで、この期間中におきます被曝線量というのは十ミリレムでございました。それから、内部被曝につきまして、美浜発電所におきます従事者の指定のとき、それから指定期間中二回、それから従事者指定解除のとき、計四回でございますが、ホール・ボデー・カウンターを用いて内部被曝を測定しておりますが、特に認められておりません。
 それから、この方が美浜発電所以外の事業所として日本原子力研究所へ研修出向しておられるということでございますが、この際の被曝につきましても特に認められておらないということでございました。
 以上でございます。
○榊委員 伊藤さんの解剖は関西病院が行っているわけでしょう。その資料を取り寄せて分析されましたか。その際、臓器だとか骨髄に放射能が蓄積あるいは沈着していなかったかどうか、その点調べられましたか。
○向説明員 われわれ調査いたしましたのは、いろいろいまお話ししました業務の内容、それから病院等で治療を受けておられるときの診断書の関係を調べたわけでございまして、いま先生のお尋ねの解剖の結果ということについては調査いたしておりません。
○榊委員 それはやはりずさんだと思うのですね。ちゃんと解剖しているのですから、解剖結果を取り寄せて調べるとか、その際に放射能の側面から見ていく、これは当然やるべきだと思うのですよ。ただ診断書だけ取り寄せてというのはやはりおざなり、そういうことをやると結局はお役所仕事、こういうふうに言われるわけであります。せっかくきちっとした解剖をやっておられるわけでありますから、それを取り寄せるということを含めて、やはり突っ込んだ分析をやるべきだと思うのです。
 それはいまからでも遅くありませんからやってください。いいですね。それぐらいのことはやってください。
○向説明員 いまの先生の件でございますが、関西電力に話しまして調査してみたいと思っております。
○榊委員 つまり、先ほどの付表の「医学上意味のある量」云々、こういうことを質問いたしましたのは、非常に微量でありましてもそれが繰り返されていきますと発がんにつながっていく、その危険性が高い、こういうことが研究者の中でも出ているわけであります。最近のアメリカの研究でもそうですし、低線量の被曝を繰り返すと発がんの危険性が高い、こういうデータが出ております。したがって、許容量それ自体もやはり見直すということ、新たに研究していくという必要性が起こっていると思うわけであります。その用意はございませんか。
○宮本(二)政府委員 現在の原子力施設におきます許容被曝線量と申しますのは、すべて国際放射線防護委員会、ICRPと言っておりますが、この勧告に基づきまして放射線審議会の議を経て法令化いたしておるわけでございます。ここに各国が集まりまして、大体数年ごとに勧告が出ておるわけでございますが、これを受けまして各国が並行的にこれをそれぞれの法令基準に取り入れていく、こういう形でなされているのが現在の姿でございます。
 もちろん低線量域におきます被曝の影響についての研究と申しますのは、現在放射線医学総合研究所においてなされておりますけれども、これはやはりなかなか時間のかかる研究ではないかと思っております。
 現在の法令の基準といたしましては、そういうかっこうで、放射線審議会の場におきまして国際勧告を受けたものを審議をし、取り入れていく、こういう形でございます。
○榊委員 国際的なそれももちろん重要でしょうが、それぞれ民族によりましても、生活環境、骨格あるいは体質等々によりましてもいろいろ違いがありますので、日本は日本でやはり調査に基づいてしかるべき許容量も確定していく必要があるし、見直しも、さまざまな実践を通じて実際状況にマッチした見直しをやる必要があるだろうと思うわけであります。だから、外待ちというのではなくて、日本の現実を踏まえた見直しをやってもらいたいと思うのです。それは要望です。
 もう一つ要望を出しておきますけれども、伊藤さんの遺族への補償です。これは聞いているところによりますと、わずか年収二年分相当の退職金が渡っただけだということであります。危険な原発で働いてこういうことでは、本人にとりましてもまた家族にとりましてもこれは使い捨て同然、こういうことではやはり気の毒でございます。したがって、関電に対しましてこういう点でもしかるべき措置をとるよう、政府としても通産省としても指導すべきではないかと思うのです。だから、この点も先ほどのとあわせまして要望したいと思います。
 これはどうですか、前向きで指導のことを考えてくれますか。
○向説明員 いまのお尋ねの件でございますが、関西電力の規程でそういうふうになっておるというふうに聞いておりますので、われわれの方はそういうふうに理解しております。
○榊委員 いや、そういうしゃくし定規ではなくて――考えてもそうでしょう、年収の二年分相当の退職金で終わりだ、こういうことは余りにも情けないですよ。しかもこれは職場、職業との関係、引き続いて疑いが非常に強いわけであります。だからそれは死人の立場に立つだけではなくて、現在残されている遺族の苦しみということもちゃんと入れて、それにしかるべき対応をするというのが血も涙もある政治だと思うし、血も涙もある経営でもなくちゃいけないと思うのであります。そういう点では、規程だからそれを承ってということでは余りにも冷たい。だから実情を調べて、お困りならば前向きな措置をとってくれというくらいの指導というものがあってしかるべきだと思うのですよ。
 だって原発にしろあるいは原子力研究所にしろ、被曝というのは量の大小にかかわらずあるのですから。それが不幸にして病気につながっていく、あるいは幸いにして病気にならなかったといういろいろなケースはあるでしょう。だけれども、少なくとも危険なもとで仕事をしておられるということは冷厳なる事実です。だから、そこでこういう不幸な事態が起こった場合には、特別の温かい措置をとっていくということはあたりまえじゃありませんか。だから規程は規程としましても、その規程そのものの見直しを含めてその内容――事後措置をとっていく、そういう点で努力しますというぐらいは言うべきではないでしょうか、どうですか。
○向説明員 先生のお話の内容、関西電力に伝うたいと思います。
○榊委員 それはぜひひとつそういうことでお願いいたします。
 最後にお尋ねいたしたいのは一まだ幾つか問題はありますけれども、このブロックとして最後ですが、原子力発電の安全性の問題であります。
 日加原子力協定では、原子力の平和的利用における協力を主目的にしておりますが、やはり平和的利用の壁というのは安全性だと思うのです。スリーマイル島の原発事故というのは、この原発というのが技術上まだ未完成であるということを改めて示したと思うのです。これは一種の人類的な警告だと言うことができると思います。
 そこで質問でありますけれども、アメリカでは、昨年一年間に六基の原発の新設計画がみんなキャンセルされて、新規の建設認可は一件もないというふうに言われていますけれども、本当でしょうか。
○高岡政府委員 結論的に申し上げますと、先生のおっしゃるとおりでございまして、新規の着工はございません。ただし、TMIの事故の後、米国のNRC、と称しておりますが、規制委員会でございますけれども、原子力発電所の建設並びに運転の許可の発給を停止をしたということでございます。
 しかしながら、昨年十二月には米国のカーター大統領の命令によりまして、今年の六月までに規制委員会の許認可業務を再開するように要請を出しております。それから第二点といたしまして、名前などは省略いたしますけれども、二つの発電所につきまして出力の上昇試験の認可を出しております。こういった状況でございますので、次第に許認可の面での業務の正常化が進んでおるというふうに判断いたしております。
○榊委員 要するに、非常にあの事件はショックを与え、またその教訓を生かして深い意味合いでの抜本的な再検討がなされている、またそれが求められているということだろうと思うのです。
 それで、先ほどの質問のときにも出ましたが、例の事故調査特別委員会の第二次報告書が設定いたしました五十二項目のチェック事項ですね、そのうち原子炉安全基準専門部会が行った十四項目についての検討結果が昨日でしたか発表されていましたね。それについてはいろいろ、腰砕けであるとかあるいは精神訓話に終わっているとかいう論評があるようでございますけれども、そのことはともかくといたしまして、この五十二項目の中で、設置許可の基準はどういうふうになっているのでしょうか。もうちょっと具体的に言いますと、資材の施工や品質管理、これはどういうふうになっているか、また、見直しがやられているのかやられていないのかということです。
○宮本(二)政府委員 五十二項目は、非常に多岐にわたっておるものでございます。その中で、基準関係、審査関係、その他設計、運転管理関係等非常に多うございますが、このたび安全委員会におきまして発表いたしました十四項目と申しますものは、原子炉の安全審査に当たって考慮すべき事項及び基本的な考え方ということで、それ自体、さらにもう少し詳細な、具体的な基準に直す必要があろうかと思いますが、現段階ではそういうものを発表したわけでございます。この十四項目の性格と申しますか、これは、原子炉の安全審査に当たっての考慮すべき事項ということで、先生のおっしゃいます設置許可基準、日本の場合でございますと原子炉規制法第二十三条に基づきます設置許可でございますが、これに基づきます審査の基準に取り入れる事項といいますのはちょうどこの十四項目になるわけでございます。
○榊委員 ちょっと質問の答えにはなっていないと思うのです。十四項目云々ということじゃなくて、その中で資材の施工だとか品質管理はどうなっているのかということなんですよ。
 もうちょっと言いますと、なぜ私がこういうことを質問するかといいますと、アメリカの例がきのうの新聞でも出ておりますけれども、場合によっては、品質基準違反で、たとえばパイプ溶接が不備であった、そういう企業がありますね、あるいはそういう工事請負人。そうした場合に、原子力規制委員会が十万ドルの罰金を言い渡すとか、それくらい厳しい管理をやっているわけですね、少なくともそういう。ミスを防ぐために。これは人命にかかわってきますから。実はそういう具体的な基準違反の問題は、わが国にはないのかという問題なんですよ。
○宮本(二)政府委員 御趣旨をちょっと取り違えて申しわけございません。先生のおっしゃいますような、そういう施工上に当たっての具体的な部品の検査とか管理とか、こういう問題につきましては、五十二項目のうちの設計、運転管理関係十一項目で、これは十四項目とは別のカテゴリーとして処理いたしておりますが、別にいたしております理由は、御承知かと思いますが、二十三条で設置許可をいたしました後、具体的な詳細設計をいたしまして、その部品ごとに設計の審査、工事方法、こういうことについて、今度は二十七条に基づきます認可がございます。先生のおっしゃいますような基準と申しますのは、この際の設計、工事の認可の方の基準になるわけでございまして、これは現段階におきましては、すでにこのうちの運転管理関係等につきましてはもう具体的に取り入れつつあるわけでございますが、これは行政庁の方において行われておるわけでございます。したがいまして、これにつきましては、現在案を固めて、原子炉安全専門審査会なり原子力安全委員会なり、これを取りまとめて上がってくる、こういうような状況になっておろうかと思います。
 それから、後の方で申されました、アメリカはそういうことを罰金という形でやっておるということでございますが、わが国におきましては、こういう工事の施工の問題で罰金という例はまだないのではないかと思っております。こういう設計、工事の認可をいたしましたものを合格させます際に検査をいたすわけでございますが、この検査につきましては、これは通産省の方から御説明した方がいいのかもわかりませんが、わが国と米国とは大分違っておるように聞いております。米国におきましてはかなり自主検査的な要素が強い、あと原子力規制委員会がその内容をチェックをしていく、監督をするという立場であるのに対しまして、わが国におきましては通産省なり、研究開発炉でございますと科学技術庁でございますが、事細かに検査をいたしておるようでございます。ここに私どもの研究開発炉でございます「ふげん」などの例をとりますと、数百回にわたり個別に立ち会いまして、その上で合否を決めてその後に工事を進ませていく、そういうかっこうでございますので、後で手直し工事の問題でそういう罰金をかけるというような例はいままでなかったのではないだろうか、このような感じを持っておる次第でございます。
○榊委員 事故が続発している、そういうこともありますし、かりそめにも企業癒着で甘いとかそういうことが言われないようにしてもらいたい。それから、設置許可基準とともにもう一つの基準で重要なのは立地基準だと思います。これはどういうふうに位置づけられているでしょうか。それから見直しが行われていれば、それも。
○宮本(二)政府委員 わが国の立地基準と申しますか、わが国におきましては立地審査指針ということで、原子力の発電所が始まりまして以来大体こういう立地審査指針でやっているわけでございますが、これにつきまして、原子力安全委員会が発足いたしましてすぐに、これは旧原子力委員会当時において決めた内容でございますので、安全委員会におきまして原子炉安全基準専門部会を設けまして、その中で審査する体制、見直しをする体制をとっております。現在検討中の状況でございます。
○榊委員 いつまでに新立地基準を明らかにされる見通しですか。
○宮本(二)政府委員 この審議はかなり進捗しておると聞いておりますが、なかなかむずかしい問題でございます。先生方の御判断にまたなければならない問題でもございますものですから、内容はかなり審議は進んでおると聞いておりますが、この段階でいつと申し上げるような状況には遺憾ながらない、このような次第でございます。
○榊委員 大体ことしいっぱいぐらいはかかりそうですか。年内ぐらいには出そうですか。
○宮本(二)政府委員 担当の者の話でございますと、まあ年内というのはちょっと無理かもしれない、こういう感触のようでございます。
○榊委員 なかなか込み入った問題ではありますけれども、なるべく早く見直しをやって新しい基準を出すということが必要だろうと思います。と申しますのは、アメリカの例のスリーマイル事故の教訓をまとめたいろいろな報告やあるいは見直しが進んでいるというふうに聞いておりますけれども、アメリカの場合には御承知のように人口密集地から少なくとも十六キロ以上離すということになっておりますね。この問題はこの前の予算委員会でもわが党の不破書記局長が質問したわけでありますけれども、日本の場合はこの点については余り積極的じゃないのじゃないですか。どうですか。
○宮本(二)政府委員 先生のおっしゃいましたアメリカの立地基準で十六キロ、十マイルという意味だと思いますが、先生が言われました基準と申しますのは、私どもの承知しております点から申し上げますと、これはこの間のスリーマイルアイランド事故の発生以前、一九七五年、昭和五十年ごろから原子力発電所の立地政策の見直し作業が進められておりまして、一つのタスクフォースを設けて検討しております。そのタスクフォースの見直し案ではないか、このように存ずるわけでございますが、これの案として、原子炉の周囲に緊急時計画をつくる範囲として十マイルの区域を設定する、こういうものを提案しておるわけでございます。現段階におきましては、まだこれがアメリカの基準、規則、こういうことにはなっておらぬようでございますが、そういう提案が出ておるわけでございます。
 わが国におきましては、先ほどの五十二項目の中に十項目ほど、防災対策の検討をいたします専門部会で検討しておる項目がございまして、その中でいろいろ緊急時のモニタリングとか防災活動の指標線量とか検討いたしておりますが、その中で防災計画を策定しておくべき範囲ということで検討いたしておるわけでございます。若干法律なり制度なりの考え方としての差はございますが、考え方としては一つの似た考え方ではないかと思っております。これにつきましては昨年来鋭意検討いたしておりまして、来月かそこらぐらいには何とか検討を終了できるのではなかろうか、こういう段階に来つつある、こういうように考えております。
○榊委員 施設が多重防護されているから安心だ、こういうのは、スリーマイル島のあの事故以来、そんなものは本当に慰めだということがわかっているわけであります。ところが、わが国の場合をとってみますと、平地面積当たりの出力密度という点では御存じのように世界最高です。アメリカの十四・四倍、フランスの七・七倍、西ドイツの二・三倍。物すごい密度です。とりわけ福井県は世界一の原発密集地、こうなっております。
 この集中立地を避けるという点では、国会で一九六一年六月八日に成立をいたしました原子力損害賠償法、それから原子力損害補償契約法の附帯決議があります。この附帯決議では、安全基準を速やかに設定し、原子炉の過度集中を避け、周辺環境を整備する等原子力損害の予防措置を講ずること、こうなっているのです。ところが、六一年からもうかれこれ十九年たっております。その間にずっと進んでいるわけでありますけれども、それが国会の附帯決議に違反する形で進んできている、こういう現象があるわけです。この点はどういうようにお考えですか。
○宮本(二)政府委員 先生は福井県の例を挙げられまして、集中立地、このように申されたわけでございますが、どういう場合にそれを集中と言うかというところに問題があろうかと存じます。大体わが国の安全審査におきましては、設置されている原子炉の基数にかかわりなく、敷地境界での被曝線量の評価値が許容線量を超えない、これは当然のことでございますが、さらに国際放射線防護委員会のアズ・ロー・アズ・プラクチカブル、できるだけ低く、こういう考え方でございますが、この考え方を取り入れまして、実際の運用といたしましては、年間、サイトとして五ミリレムを超えない、こういう非常に厳しい基準でいたしておるわけでございます。
 さらに、近傍に既設の原子炉施設等があります場合に、必要に応じこれらの影響の重畳につきまして評価を行っておる状況でございます。同一サイトに二基以上の原子炉が設置されております場合、それぞれが独立して安全を確保する。設計段階から運転段階に至るまでそういう厳しい評価と管理をやらせておるわけでございますが、万一、一方の炉に事故が発生いたしましても他の炉に影響を及ぼさないということについても、安全審査で確認する、こういうことをやっておるわけでございます。
 したがいまして、私ども、いわば集中という意味ではないかと思いますが、私どもは一つのサイトの中でこういう問題についてこういう配慮をしておるわけでございます。そういう点で現在処理されておる、こういうことでございます。
○榊委員 避難の問題であと一、二問質問がありますけれども、外務大臣、お疲れでしょうから、外務大臣に一つだけお尋ねしたいのがありますので、それをやってお帰りください。いずれにしましてもあと十分ぐらいで終わりますけれども、これは人道問題ですから。先ほどから見ていまして、ちょっとお気の毒なので。
 実は、大臣もお読みになったと思いますけれども、ことしの二月、ペルシャ湾でアメリカが戦術核兵器使用も考慮しているという報道がございました。これは一回ではなくて、私はここにメモを持ってまいりましたけれども、何回もあるんですね。こういうことは何としても避けなければならないし、もしも核兵器を使うようなことがあったらとんでもないことになるわけであります。しかも、ニューヨーク・タイムズは、国防総省がまとめたペルシャ湾岸での軍事作戦についての極秘報告書で、このこと、つまり戦術核兵器の使用を検討している、こういうようなことを重ねて報道しております。テレビでも言っております。こういう情報を知っておられるかどうか。それからまた、知っておられるとすればどうお考えなのか。そういうことはやらないようにということをアメリカ政府に申し入れるとか、そういうことだって事と次第では考える必要があると思うのです、事は核兵器の問題ですから。そのことだけお尋ねしておきます。
○大来国務大臣 ただいま御指摘の報道は、二月二日付のニューヨーク・タイムズの報道と存じますけれども、二月五日、在米大使館を通じて本件に関して照会をいたしました。翌日、米側より、本報道に述べられている米国防省部内研究報告書の中の戦術核使用の検討というのは、全く理論的な可能性として戦術核オプションもあり得るということを述べたにすぎないものが報道されたのであって、実際に使用の計画があるわけではないという回答がございました。
 また、二月二日付のニューヨーク・タイムズに報道されている米国防省部内研究報告書とは、米当局がペルシャ湾地域におけるあらゆる事態を想定した部内における分析研究の資料であり、具体的な政策決定のための資料ではないという旨の回答がございました。
 大体以上のようなことでございます。
○榊委員 それでは、次に、原発立地の問題で、二、三問質問させていただきます。
 用地の取得の際には、政府、つまり国は関与されておられますか、どうですか。
○宮本(二)政府委員 私ども安全委員会事務局がお答えするのはどうかとは思いますが、私どもの知る限りにおきましては、余り深くはタッチしておらぬように思っております。
○榊委員 そうなんです。電力会社にほとんど任せられているわけであります。そのためにいろいろな問題が起こってくる。つまり、言うなれば、火力発電所や水力発電所並みの用地取得法なんですよ。
 ですから、まだ国として安全かどうかの判断がないときに、すでにそのまま住民に同意が求められる、こうなるわけですね。放射能による環境への影響とかそういうことが、用地決定後の原子炉設置許可申請の段階まで保留される。だから、住民が立地を判断する際に、やはり国の安全審査の結果がもうあって、それで判断を求める、こういうのが筋だと思うのです。そういうことがやはり必要だと思われませんか。電気会社に任しておけばいい、後になっていろいろな問題が起こっても、それは知りませんよということですか。実際にそうなっているわけでありますけれども。
○宮本(二)政府委員 いまのわが国の原子炉の安全審査というものの考え方といたしましては、一つの敷地を前提といたしまして、この敷地に入り得るか否かいろいろ工学的な安全施設を評価いたしまして、そういうかっこうでの審査をやる、こういう形になっておるわけでございます。原子炉の施設につきましても、いろいろ出力の差もございますし、出力が同じでございましても、いろいろ炉の型式の差あるいは工学的な安全施設に対するいろいろな細かい点では差もございます。そういう点で、やはり一つの敷地というものを前提として考えざるを得ないのではないか。私どもとしてはどうしても現在安全委員会の立場でございますので、そういうように考えざるを得ないのではないか、このように考えておるわけでございます。
○榊委員 最後ですけれども、立地問題というのは、そういう点では非常に深刻性を持っているのです、安全性という点でも、それから防災という点でも。地域防災計画なんかにいたしましても、これはどうしてもなくてはならないものであるにもかかわらず、住民がそれを検討するそういう余裕がないままもう立地が進められている、そういうことになるわけであります。それからその地域の防災対策関係の部会、たとえば御存じの原子力発電所等周辺防災対策専門部会、こういったところにも原発が設置されている自治体の関係者が一人も入っていない。まさにそういう点では住民不在、住民無視と言わざるを得ないわけであります。
 そういうことでは、避難計画なんかでもやはり驚いたのですけれども、現存する市町村の避難計画の中で、原発からわずか一・三キロのところに避難する、こういう例さえあるのです。一・三キロ、これは避難したって何にもなりませんよ、本当に事故が起こったら。これは島根県鹿島町の例です。しかしこれは、昨年四月政府がつくった当面とるべき措置、これを受けた後の非難計画です。
 そういう点ではずさんと申しますか、非現実的と申しますか、この部会そのものの改組も考えなければいけないし、防災及び安全、このことについては、やはりいままでの延長線上ではなくて、抜本的に見直していく、検討していく、そして安全第一にこの問題に対処していくようにしないと、スリーマイル島の教訓とかなんとか言いましても結局言葉倒れになるわけです。そして大事故が起こって、そして取り返しがつかない、これでは遅いわけあります。ぜひこの点、立地の問題、それから防災の問題、この点では、言葉の前向きではなくて、本当に積極的な検討を前向きにお願いしたいと思うのです。その点についての積極的な答弁を求めたいと思います。
○宮本(二)政府委員 ただいまの先生のお気持ち、私どももよくわかる次第でございます。
 防災対策につきましては、災害対策基本法に基づきます地域防災計画があるわけでございますが、TMIの事故が起こりまして、もう少しワーカブルと申しますか、実際に実務的な計画に直していく必要があるのではないかということで、当面直ちに緊急にとるべき措置をまず押さえました後、この専門部会で、モニタリングの指針でございますとか、それから実際に活動する際の指標となるべき線量とか、もっぱらそういう実務的なワーカブルな内容にいたしましょう、こういうことで検討をいたしておるわけでございます。その中で防災計画をつくるべき範囲もあらかじめ設定しておこう、こういうことで検討を鋭意急いでおるところでございます。これは、先ほど申し上げましたようにかなり進んで、そう遠くない時期に結論を得ようかと思っております。
 この専門部会の中には、先生の仰せではございますが、全部の自治体を入れるわけにもまいりませんので、全国の原子力発電所所在市町村の代表メンバーと、それから、原子力発電所の所在の県の団体を組織いたしておりますが、その代表を入れまして、絶えず自分たちのそういう原発の所在の県及び市の行政当局と連絡をとりながら、そこで発言をいたしておるという状況でございます。これができました際には、各自治体でつくっております防災計画を逐次見直しまして、これをワーカブルなものに見直していく、こういう体制を至急とりたいというように考えておるところでございます。
○榊委員 御努力をお願いします。
○中尾委員長 次回は、明九日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後九時五十二分散会