第091回国会 文教委員会 第13号
昭和五十五年四月二十五日(金曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 谷川 和穗君
   理事 石橋 一弥君 理事 中村喜四郎君
   理事 深谷 隆司君 理事 森  喜朗君
   理事 木島喜兵衞君 理事 嶋崎  譲君
   理事 池田 克也君 理事 山原健二郎君
   理事 和田 耕作君
      浦野 烋興君    狩野 明男君
      坂本三十次君    田村 良平君
      長谷川 峻君    船田  元君
      宮下 創平君    中西 積介君
      湯山  勇君    有島 重武君
      鍛冶  清君    高橋  繁君
      栗田  翠君    藤田 スミ君
      三浦  隆君    西岡 武夫君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 谷垣 專一君
 出席政府委員
        文部政務次官  三塚  博君
        文部大臣官房長 宮地 貫一君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省管理局長 三角 哲生君
 委員外の出席者
        法務省刑事局刑
        事課長     根來 泰周君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
四月二十三日
 父母負担軽減のため私学の助成に関する請願
 (池田克也君紹介)(第四五五二号)
 私学助成に関する請願(柴田弘君紹介)(第四
 五五三号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第四六六六号)
 学級編制基準改善等に関する請願(柴田弘君紹
 介)(第四五五四号)
 同(有島重武君紹介)(第四六六三号)
 重度重複身体障害者に対する学校教育改善に関
 する請願(小野信一君紹介)(第四六六四号)
 学校給食の改善に関する請願(木原実君紹介)
 (第四六六五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律等の
 一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)
 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第八五号)
 放送大学学園法案(内閣提出第二九号)
     ――――◇―――――
○谷川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、第六四号、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び内閣提出、第八五号、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
○湯山委員 ただいま議題になりました二法案につきまして御質問申し上げたいと思いますが、こういうふうに同じ国会へ前後して二つ法案が出るというようなことはまことに異例なことだというように考えます。御説明をおととい承りまして、はなはだ不勉強で十分検討する余地もございませんでしたので、最初に、きょう審議する二法案と他の法律との関係で、実際にはいろいろな準用の条項もあるかと思います。そこで、他の法律によって措置されて、それが私学年金に準用されるというようなことについてはどういう事項があるか、まずお聞きしたいと思います。
○谷垣国務大臣 これはもう先生の方がお詳しいと思いますが、私も二つ同じような法案が一遍に出るのは大変おかしいと思っておったわけでありますが、いままでのあれから申しますと、恩給の改善に伴いました関係で出したことが一つと、それから厚生年金のやはり年金額の問題がございましてやりました、この二つのことの結びつきがなかなかうまくいかなくてそうなったようでありますし、共済関係のほかの法案も、並びの法案と普通称しておりますものも同様のようでございます。どうも私もちょっとわかりかねるところもありますので、局長の方から答えさせていただきたいと思います。
○三角政府委員 ただいま大臣から申されたわけでございますが、従前から毎年お願いしております通常の恩給関連の年金額の改善の部分を先に提出させていただいたわけでございます。厚生年金関連の内容をそれに盛り込みますことは時間的にちょっと無理であったという状況がございまして、追って別途の法案を厚生年金改正のために出されましたことによりまして、私学共済法は、給付関係規定につきましては御承知のとおり国共済法の規定を準用しておりますことから、国共済法の取り扱いと同じような同一の歩調の取り扱いをするというようなことが必要でございまして、ただいま委員御指摘のようなこういう形になった次第でございます。
○湯山委員 法律の今後の扱いもいろいろむずかしい問題もあるかと思いますけれども、ただいま理事会で適切な御結論が出たようですから、この方の質問はもうしないことにいたしまして、結局厚生年金との絡み合いという問題で大きい問題は年金の経理ですね。将来非常に高齢化社会を迎えて年金の受給者が多くなってくる。現状ではこれの将来がはなはだ心配だというようなところから、いろいろ厚生年金は問題になっておったと思いますが、今回この私学年金につきましても谷垣文部大臣から社会保障制度審議会に諮問をしておられる。その諮問に対して社会保障制度審議会は余り他のことには触れないで、今国会で先般成立した年金の受給年齢の引き上げ、つまり六十歳からにするということについて厚生年金との関係を考慮し、あるいは国家公務員の定年が六十歳になるということを見越してこの年齢の繰り上げを早くやれということが答申の趣旨になっておるように見受けますが、この点はそのとおりかどうか、こういうことが一つです。
 それから、そういうことになった、あるいはそういう答申があったといういま一つは、先ほどちょっと申し上げましたように、厚生年金では支給年齢を六十五歳にするということが今回の法律案ではどうなっておるか別として、大きな課題であったということも周知の事実でございます。それらから考えて、結局この答申も同じように、年金財政を主として配慮した答申であるというように私は理解しておりますが、その点はいかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 御指摘のとおりであろうと思います。これは各年金それぞれの性格なり沿歴が違いまして、これを一本にすることはなかなかできないわけでございます。したがいまして、各年金の構成それから状況によりまして将来の見通しがいろいろと違うわけでございますけれども、どちらにいたしましても、長期にわたります年金財政の基礎をどういうふうに固めていきたいかということが先般の厚生年金の問題等にも出てきておると思いますし、この答申のこともやはりそこを主な見方にしておるのではないかと思っております。
○湯山委員 私もいま大臣に御答弁いただいたのと同じように理解をしております。
 そこで、私学年金がそういう高齢化社会に対応していくのについては、長期展望に立てば非常に心配な点が多々あるということだろうと思いますけれども、果たしてそうなのかどうなのかということをここで私学年金として検討しておく必要があるのじゃないか。そこで、年金の健全性を知る一つの方法は成熟率、つまり組合員数対年金受給者数が一つの指標になるかと思いますが、この私学年金の成熟率はどうなっておりますか。
○三角政府委員 五十三年度末におきます組合員数が三十万二千四百二十九人、退職年金受給者の数が七千五百二十六人でございまして、この割合は二・五%となっておりますが、この割合が五十五年度になりますと二・八%、さらに五年後の六十年度には四・四%、十年後の六十五年度には七・三%というぐあいになる見通しでございますが、私学共済は、ほかの共済に比べますとなおこれの進みぐあいは遅いと申しますか、状況はわりといいぐあいであるというふうに見られると存じます。
○湯山委員 現状では大体二・五%ですから四十人ぐらいで一人の年金受給者、つまり組合員四十人で一人。しかし、六十五年には七・三ですから十四、五人で一人というように相当成長率は大きい。ただ、現状においては他の年金に比べると非常にその点は堅実である。一番悪いのはどこでどれぐらいになっておりますか。
○三角政府委員 どうもよそのことを申し上げるのもちょっと恐縮でございますが、私どもの手元の資料では、国鉄共済が五十三年度末六四%、六十年度に一一四%、六十五年度には一二六%、その後はまた何か下がるような推計をなさっておるようでございます。
○湯山委員 いまの局長の御答弁で国鉄が現状で六四%と言えば、二人で一人よりももっと窮屈だ。もうこれでは完全にパンクですね。厚生年金は一五、六%と聞いております。それにしても七人くらいで一人の年金受給者を見なければならない。私学も同様に六十五年には七・三というような状態ですから、この点では現状においては他の年金に比べれば堅実だけれども、いつまでもいまの状態が続くのではなくて、だんだん窮屈になっていくというように理解いたします。
 それから今度はもっと単純に掛金収入と給付額との比率、これはどういうふうになっておりますか。
○三角政府委員 昭和五十五年度で計算いたしますと、収入の方が千百三十二億円、支出の方が二百四十一億円でございまして、その収支差が八百九十二億円ということでございます。
 これの今後の見通しでございますが、組合員数を六十五年度以降一定に若干仮定を置きませんと計算できません。給与の改定率並びに年金の改定率をいずれも八%、これは現在もっと低いわけでございますが、私学共済の二十二年間の平均実績でとってみた次第でございます。それから資産運用利回りを七%、これは現在はちょっと高くなっております。それから掛金率を据え置くということで計算いたしまして、単年度収支では二十四年後の昭和七十九年度に赤字に転じるというような計算をいたしております。
○湯山委員 七十九年度と言えばかなり将来のことですから比較的健全ですが、農林年金あたりは四年ぐらいでもう赤字に変わるようです。ですからこの際、これだけ厚生年金初め年金が見直されておるときに、将来を見通した健全化を図っておくということは、私は重要な課題だろうというように考えますが、なお将来の年金支払いのために必要な責任準備金、これの充足状況はどうなっておりますか。
○三角政府委員 責任準備金は五十三年度の金額が九千九百二億円でございます。これに対しまして責任準備金引当金が五千三百五十四億円、それから保有資産が三千八十二億円でございます。したがいまして、責任準備金に対します不足額は千四百六十六億円という数値でございまして、率にいたしまして一四・八%でございます。これが五十四年度には不足額が七百六十六億、率で六.六%、五十五年度では六百七十八億、率にいたしまして五・〇%というぐあいに不足金を減らし、改善していくという推計のもとに現在の運営をいたしておるという実情でございます。
○湯山委員 五十一年に審議したときには不足が三千二百五十億ということで相当大きくて、しかも漸増の傾向にあったというように理解しております。いまお聞きしますとずいぶん改善されているが、あの当時五十三年と五十四年の二カ年で、五十三年度は千分の十、五十四年度は千分の六と千分の十六掛金を上げるということが言われておりました。これが少なくなった原因というのは、それが主な原因でしょうか。
○三角政府委員 湯山委員の御指摘のとおりでございます。
○湯山委員 掛金は結局組合員の負担ですから、組合員の負担によって健全になりつつあるというようなことでして、ここに一つ問題があるのじゃないかというような気がいたします。年金財政を健全化するためには三通りくらい方法があるが、一つは掛金を引き上げることで、これはいままでやっておったとおりです。しかも、その掛金の引き上げは五十三年と五十四年で千分の十六引き上げたということはよく承っておりましたが、今回また千分の六上げる。こう健全化しつつあるのに上げなければならないという理由がのみ込みかねるのですが、その御説明はまた後で聞きます。とにかく掛金を上げればそれは確かに健全化することは間違いありません。それが一つです。
 それから、今度は給付を悪くすればこれも健全になるのはあたりまえです。現に給付の方は改善じゃなくて五十五歳支給を六十歳からというように給付条件は悪くなってきております。
 もう一つの道は補助を多くすることです。掛金依存でもなく給付も悪くしないで補助金をふやしていけば、やはり年金財政は健全化する。そこで、この点を中心にしてきょうはお尋ねいたしたいと思うわけです。
 いまの質問でちょっと留保したのに絡んで、今度千分の六上げるという理由はどこにあるのでしょう。さっきおっしゃったように、健全化してきてだんだん責任準備金の充足状況もよくなってきている。もうあとは百億台ですからね。一千億台をはるかに割っている。三千億もあったものがそうなってきている。それから成熟度にしてもそんなに悪い状態ではない。掛金収入と給付との単年度の比較も七十九年度くらいまでは大丈夫だということであれば、私学年金でまた今年度も千分の六上げるというのはちょっと安易に過ぎるのじゃないかという感じがいたしますが、その点はいかがでしょうか。
○三角政府委員 長期給付の財源率につきましては、先ほど御指摘のございましたような支給開始年齢の引き上げなどの制度改正を踏まえまして五十五年の一月に再計算を行った次第でございますが、その結果、所要財源率が千分の百三十四・四五という数値になりまして、前回の計算よりも千分の八・五〇の増となったのでございます。この所要財源率と現在の実行財源率でございます千分の百二十四・六七、これの差が千分の九・七八あるわけでございますが、そのうち国庫負担分の千分の一・五三を差し引きますと千分の八・二五という数字が財源率計算上の不足分ということにたるわけでございます。ですから、これを埋めていく必要があるわけでございますが、私立学校教職員共済組合といたしましては、いろいろと検討されまして、先ほど御指摘のございましたように五十三年と五十四年の二年間に合わせてすでに千分の十六引き上げたということもございますし、それから他の共済組合の実情といったようなものもにらみ合わせまして、その結果として今年七月から千分の六引き上げるということに決めた次第でございまして、御指摘のようなわりあいに健全であるというような実情もありますが、これはやはり平素引き締めて努力をしていかなければならぬ、維持するのにもぐあいが悪くなってはならないというような、どちらかと申しますと、私立学校教職員共済組合は従来からそういう事柄に対して非常に誠実に正直に対応していこうという姿勢でこういうような結論を出されたというふうに理解しておるのでございます。
○湯山委員 そこで、いまのように安易に掛金依存じゃなくて、政府がもし忠実に約束を守っておれば千分の五以上、六近いものは出てくるはずなんです。それは何かといいますと、私学振興財団の補助なんです。私学振興財団の補助は、私学恩給から私学年金に引き継いだときの整理資源として長期給付の補助をする、それは年金の組合と私学振興財団と文部省、三者で千分の六を負担するということを申し合わせておった。それは間違いありませんね。
○三角政府委員 三十七年四月十八日という日付になっておりますが、当時は私立学校振興会それから共済組合とが協議をいたしまして申し合わせた事項になっておりまして、もちろん文部省の担当部局も立ち会っておると思います。
○湯山委員 この協定はもう破棄したのですか。文部省が仲介して両者でそういう話し合いが三十七年に協議成立しておる。破棄したというのは聞いておりませんが、破棄したのなら、いつやったか。
○三角政府委員 この協議決定事項を積極的に破棄したということではございません。
○湯山委員 それでは、千分の六補助するというのが現在では千分の幾らになっておりますか。
○三角政府委員 これはここ数年来いつも聞かれて私ども困るのでございますが、五十五年度は三千万円という金額になっておりまして、率で言わせていただきますと千分の〇・〇四相当でございます。
○湯山委員 これはまことに簡単な数字ですから、政務次官、千分の六と千分の〇・〇四です。ですから、これはわかりやすく言えば千分の六あるべきものが十万分の四ですね。一けたじゃないのです。千分の六あるべきものが十万分の四になっている。これはお話しのようにいまの協定を破棄してないのでしょう。破棄してない協定を守ってないのです。さっき局長が言われたように、千分の八程度の掛金の増額が必要だというので千分の六やっておるのですけれども、千分の〇・〇四なんというのはないと同じですから、千分の六はあるわけですから、この協定がきちっと守られておれば上げなくて済むわけですね。よろしいでしょうか。これは一体どうするつもりですか。いまの逆ざやとかなんとかいうのは理由にならないので、そういう状態にしたのは政府の政策でそうなったわけですから、これを政府が守って何らかの形で負担しないと――初めは一千万であったのが何回も言って二千万になり、やっと今度三千万。ですけれども、三千万になったって十万分の四ぐらいにしかなってないのですから、これを何とかしなければ、健全化のためにはますます組合員の負担ばかりふやさなければならぬということになりはしないか。この点についてはどうお考えでしょうか。
○三角政府委員 これも毎年御質疑がございまして同様の説明を申し上げておりますので湯山委員もすでに御承知のことと思うのですけれども、私学振興財団、これは政府の責任だというふうに仰せになりましたが、いろいろな助成をいたしておりますが、これはあくまで私学の方に資金を貸し付けまして、そして貸し付けを受けた私学は利息を払っていただくということでございまして、利益金の一つの活用の仕方として、先ほど御指摘のような申し合わせの事項があったわけでございます。そしてこの千分の六の問題のほかに、御承知のように旧私学恩給財団の既年金者増額分に対する助成金というのもございまして、これは金額そのものが直ちに必要になるという趣旨の助成金でございます。これは金額で申しますと、五十五年度では三億三千九百万円といったような額になっていまして、まだ現在のところでは年々ふやしていかなければならないということでございます。
 そういったことがありまして、その方は確保させていただいておりますが、一方におきましてここ数年来私学振興財団の収支状況というものが以前に比べますとぐあいがよくなくなっておりますので減少してきておるということで、ないそではなかなか振りにくいというような、俗な言葉になりますが、そのような状況下に置かれておりますので、申し合わせ事項は別に破棄したわけではございませんけれども、これを額面どおりになかなかやっていかれないという状況に置かれているということでございます。
○湯山委員 それにしても、いまのようにたまたま千分の六というのが一つここで出てきた数字なんで、今度の掛金の値上げが千分の六、振興財団からの補助というのが千分の六で、これとこれとが合うわけですから、これさえ出しておれば上げなくて済むわけです。私学恩給の分が三億あったにしても、それと合わせても一万分の四くらいにしかならない。どちらにしてもこれは何とかしないと、いまのような状態だとますます掛金ばかりふやしていくということしかないので、せめてもう一けたぐらい政府が責任を持って十万分の四というのを一万分の四ぐらいにしても決して出し過ぎじゃないのです。政務次官、そうすべきだとお考えになりませんか。余りにひどいでしょう。
○三塚政府委員 いま局長が答弁されましたとおり約束は約束でありますが、私学振興財団は御案内のように私学の充実のために精いっぱいの努力をしておるわけであります。そのことが収支状況悪化の最たる原因だとは言いませんけれども、兄たりがたく弟たりがたしという言葉がありますが、そういう形の中でこのことが進められているわけであります。しからば、出資金を多くしてその辺をきちっとやったらどうだという御意見もあろうかと思います。そういう点については本年度予算編成の際にそれなりに努力をいたしましたが、国家財政の枠組みの中では精いっぱいのところでありますということで、御案内のようなことに落ちついたわけであります。五十三年度は二千万でありましたが、ことしは三千万。それでも一千万程度ふえた。これは誠意を示す、この約束事を履行するあかしとしてやらさしていただいておるというふうに御理解をいただきながら、来年度におきまして、湯山委員御指摘のような方向の中でこの改善のために努力をしてまいるつもりであります。
○湯山委員 まあ千分の六でなければならないものが十万分の六にも足りないということをしつかりひとつ頭に入れていただいて、言われた誠意だけは理解いたしますけれども、誠意だけで一千万ふえたからというのではちょっと誠意も足りないような感じがいたします。やはりこんなふうに何かあるとすぐ掛金へいくのは悪いことですから、これはひとつぜひさらに一段の御努力を御要望申し上げたいと思います。
○三塚政府委員 お説のとおり誠実に御趣旨に従いまして今後とも努力をさしていただきます。
○湯山委員 それでは次にもう一つ、これも掛金の引き上げをしないで済む材料は都道府県からの補助なんです。これは大体法律で決めたとか規則で決めたんじゃないけれども、掛金の千分の八が補助される、しかも高校以下については財政計画に盛られて、しかも交付税で見るようになっている、こう承っておりますが、それは間違いないかどうかということと、それから高専以上大学については、いまのような措置が全然なされていないのかどうなのか、この二つを伺いたいと思います。
○三角政府委員 都道府県の掛金に対する補助金に係る地方交付税上の財源措置でございますが、これはやはり都道府県の所轄する高等学校以下の学校について措置がなされておるものでございます。
○湯山委員 そこで、高校以下についてはほとんどの府県から財源措置どおりの補助が出されておりまして、いただいた資料によれば、完全にできておるのが四十都道府県ばかりで、それから若干それに届いていないのが数府県という状態ですからまあまあいいといたしまして、問題は高専以上です。これはもし高校並みに補助が出されれば、五十五年度は幾らぐらいになって、その中でどれくらいが実際に入るか。五十五年度はわかりませんか――五十三年度の実績のあるのでも結構です。
○三角政府委員 高専、短大、大学の千分の八相当額と申しますと二千三百七十七億八千五百万円でございますが、これは五十三年度について申し上げておりますが、実際に交付された金額は千百六十九億五千九百万円でございまして四九・二%ですから約半分という数字になります。
○湯山委員 いまのけたはそれでいいですか。
○三角政府委員 大変申しわけございません。ちょっと読み違えました。二十三億七千七百八十五万円です。これは万円というふだん使わない単位で書いてございましたので、どうも申しわけございません。
○湯山委員 年金ではとにかくふだん使わない単位がたくさんありまして、さっきの千分の六が十万分の四であったり、いまの二十三億が二千三百億になったり……。
 そこで、いまお話しのとおり当然二十三億あってしかるべきものが十一億余りしかなく、半分にも足りないわけです。これがもし完全に入っておれば、これもまた千分の六は上げなくて済むわけです。どうして一体それができないのか。すでに私学助成法によりまして高等専門学校、大学にも助成はなされている。その助成は決して高校以下と、比較はいろいろあろうけれども遜色のない助成が行われている。それは地域住民の教育にそれぞれ地域で役立っている。そういう意味からこういう補助を出しておったのだと思うのですが、これもたびたび指摘申し上げて、そして努力して出せるようにするというような御答弁もいただいておりますし、あるときには強く勧奨すればある程度できる自信もあるという御答弁もあったのですが、これは一向に改善されていない。こういうことをこのままほっておくというのもいかにも権威にかかわる問題でもあるし、年金財政の健全化にも重大な影響がございますが、これをどうするおつもりですか。
○三角政府委員 御指摘のように昭和五十二、三年ごろから若干の都道府県におきまして、大学、短大に対します掛金の補助につきまして期間を短縮いたしましたり、あるいはこれをやめるといったようなことがあるわけでございまして、御指摘のように最近におきます都道府県の財政事情の悪化と申しますか、そういったことに伴いましてこういう状況が生じております。私どもも、ただいま湯山委員仰せのような立場から都道府県に対して私学担当者の会議の際などを通じまして要請をいたしてまいりましたし、それから私学のそれぞれの都道府県ごとの団体からも、それぞれの当局に対して要請、陳情等を重ねておるようでございます。私どもとしては、できる限りこれまでと同様の方針、方向で都道府県に対して要請を行っていきたいと思っておりますけれども、何と申しましても相手側の事情もあることでございますので、実情はいま委員御指摘のとおりでさしたる改善を見ておりませんけれども、今後とも努力を続けたいと思っております。
○湯山委員 努力をお続けになっても一向に改まらないというのははなはだ残念なことで、それが今度はまた本人の負担にはね返ってくるわけでしょう。つまり千分の八のうち千分の四が使用者側の方へいき、千分の四が組合員の方へいって、それだけ組合員の掛金は少なくて済んでいる。ところが、いまのようにやる県とやらない県とがありますと、やらない県の分はそれだけ本人が掛金を千分の四よけい持たなければならない。つまり本来言えば法のもとには平等であるべきで、同じ給付を受けるのに千分の四だけこの県の人はよけいに持つというその現象自体年金の性質上いいことではない。私はこのように考えます。
 そこで、言い続けても余り効果はないのだが、委員会ではこう答弁するしかないだろうということだと、これは済まぬと思うのです。局長も珍しく何回も続いて年金の審議に出られたのでもうおわかりなので、こちらもわかっておって聞くようですけれども、何とかなりませんか。本当にどうかして何とかするという方法はないのでしょうか。
○三角政府委員 これはやはり都道府県という地方自治体がなさっていただくことでございますので、私どもとしてはできる限り該当都道府県に理解を深めていただくという努力をするしかないのではないか。もちろん大学、短大は都道府県の所轄ではないとは申しましても、当該地域での教育研究のみならず全体の文化の普及と申しますか、そういうことにも寄与をしていかなければならないし、それが期待されるものでありますので、そういう地方の公共団体においてもできる限り援助をしていただきますように重ねて要請をし、相談もしてまいりたいというふうに思う次第でございます。
○湯山委員 政務次官、局長の御答弁はまことに自信なさそうでしょう。政務次官はどうお考えになりますか。
○三塚政府委員 管理局長の答弁がありましたとおり、私学担当課長会議等を通じまして本問題に対する積極的な取り組み方をその都度お願いをし、進めてまいってきておるわけですが、今日の答弁にありましたとおり、財政状況等、都道府県の実態等、そういう観点から、なかなか湯山先生御指摘のとおりの千分の八までのことが到達でき得ないという苦しい答弁でありますが、これの打開につきましては、特に高校以下は都道府県知事の権限に属することでありますし、厳格に申し上げますならば、この共済についても、国と都道府県がそういう意味で折半の形の中でも、こういう福祉社会実現の今日でありますから取り進めていかれるべき性格のものだと思います。そういう意味におきまして、大臣とも協議しつつ知事会等に対しましても、この辺の事情については、教育国家としての国家目標実現のためにもぜひ私学の現状に深い御理解をいただくことにつきまして強くお願いを申し上げながら、そういう方向づけをしていきたい、こういうふうに考えます。
○湯山委員 非常にむずかしい問題だと思いますけれども、そうだからといって管理局長は助成を皆握っていますから、おまえのところは出さなければ学校の建築補助を出さぬぞというようなわけにはいかぬと思うのですね、やったらいかぬことですから。ですから、困難さは理解できますけれども、とにかく半分も出していないという状態はほっておけない状態だと思いますから、一層の御尽力を御期待申し上げたいと思います。
 次に、同じく補助の中で国の補助、これももう四十七年以来一八%を二〇%にするような決議が本院でもなされてきておりますが、まだ実現いたしません。ただ、この前の法律審議の過程において政府といろいろ折衝がなされてまいりました。その中で厚生年金にいろいろなものを合わせていく、厚年の国の補助は二〇%ですからそれに将来は合わせていくのだというようなことが話し合われて、その手始めとして前回のときに国家公務員共済、これは国の補助は一五%でしたが、それを一%上げて一六%に増額しています。そのときに、いまのような話があって将来二〇にするんだという含みがあったと聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
○三角政府委員 ただいま湯山委員のお述べになりましたような経緯でございましたが、国共済の方を上げましたことに伴いまして私学共済、農林年金等は、御承知のように財源調整費の金額をアップいたしまして、一・七七でございましたものを一・八二ということにしていただいておるわけでございます。ただ、これから先のことについて、これを二〇まで持っていくかどうかということについてはまだ今後の問題になっているわけでございます。
○湯山委員 ただいまのような御答弁があるだろうと思ったのですが、それは違うのであって、財源調整というのはあくまでも財源調整で、給付に要する費用の一八%、二〇%と、財源調整の一・七七が一・八二になってこれで一九・八二だから二〇だ、それは通じないのです。よく答弁でそう言われるから、初めそれじゃないというのを申し上げようと思ったのですが、後先になったのですけれども、そうじゃないのですね。それが多くなるか少なくなるかは別として、二〇になっても財源調整は要るわけです。これはたびたびの本院の附帯決議ですから尊重して、いまのような経緯がありますからさらに粘り強く御尽力を願いたい。
 それから時間が参りましたので、最後に掛金率で、短期長期を通じて、短期では事務財源として千分の二、それから長期では事務財源で千分の一、福祉財源で千分の一、こういう負担をさせておるというか、しておるというか、これは私は異例なやり方じゃないかというふうに感じますが、ほかの年金にそういう例があるでしょうか。
○三角政府委員 ほかの例はございません。
○湯山委員 ないですね。掛金というのは本来事務費にそのまま充てるために幾ら持つとかいう性格のものではない。それから福祉財源というのも、事業運営の中で今度も松山に保養所をおつくりいただいたのですが、そういうものはこうして千分の一ずつ出してやるといったようなものではないはずなので、これは異例なことでもあるし、今度千分の六ふやしたというような経緯もありまして、やはり掛金というのはできるだけすっきりさせておくというのが私は正しいと思う。どうしても千分の一あるいは千分の二の事務財源が要るというのであれば、これもむしろ――事務費は国が補助することになっておりますね。今度も若干増額になったはずです。それをふやしてこれを賄って、こういう形での負担はさせるべきではないと私は考えますが、局長はどうお考えですか。
○三角政府委員 御指摘のように、事務費は組合員と学校法人の掛金千分の三折半負担で負担をしていただきまして、さらにそれに国庫補助金も加えまして賄ってきておるのでございますが、これについて直ちにいままでのやり方を大幅に変えるというようなことはなかなか困難なことではないかと存じます。ただ、国庫補助金につきましては、ただいまおっしゃっていただきましたように、若干の増額を図りまして二億四千三百九十七万円、それからさらに利息などもございますが、補助金の事務費総額に対する割合はただいまのところ八・八八%ということになっております。前年に比べまして千六百六十八万円、七・三%の増額の計上でございます。これらの事務費の補助につきましても、やはり共済制度全体の中で国家公務員共済や農林共済とも実質的に同一の内容のような取り扱いになっておりますので、これについて私学共済だけ異なる扱いというのもなかなか困難ではないかと存じますが、極力事務費に対する国庫補助の充実ということについても努力していかなければならないというふうに考えております。
○湯山委員 時間が参りましたので、あといろいろあるのですが、最後に、五十四年度の物価上昇は四・七以内にどうにかおさまりそうだということですが、これによる年金のベースアップは三・四プラス三千二百円、三・五%ですね。物価の四・七よりもベースアップは低いわけです。物価上昇に追いついていかない。そうなりますね。物価が四・七上がる。それから年金は三・四プラス三千二百円、俗に三・五%と言っております。だから物価よりも一・二%だけ低いのです。それだけ生活を切り下げなければならないという状態ですから、できるだけそれらを是正するための方途を考えていただく。今後の問題なんですけれども、物価上昇分だけはいまのように公務員のベースアップ云々ではなくて見ていく。年金は一年おくれるわけですから、そのことについて御配慮を煩わしたい。
 それからいま申し上げたように、私学年金が比較的健全であるという大きな原因は掛金の増にある。しかし、掛金の増でいつまでも続けられるものではありません。それには当然約束しておった補助、もっと努力して当然ふやせる分の補助、そして余分なものをいまのような形で取ることを改めていくということについては、私は、責任官庁としてあるいは責任大臣として、十分ひとつそれをわきまえた御努力をお願いいたしたいと思います。困難な事情もあると思いますけれども、それができなければ生涯教育、年をとって勉強せいと言ったって、生活できないのにそんなことはできない。これは教育の基本にもつながる問題ですから善処を強く要望して、質問を終わります。
○谷川委員長 高橋繁君。
○高橋(繁)委員 本日議題になりました件について質問いたします。
 この私学共済につきましては、いま湯山委員が質問されましたように大体同じような問題に尽きるかと思いますが、毎回従来国の補助を百分の二十以上に引き上げるとか、あるいは私学振興財団の補助金あるいは都道府県の補助金について附帯決議を付されてきておりますし、また当局の答弁は大体同じような答弁を繰り返してきておるというふうに私は認識しております。
 そこで、都道府県の補助率はいまも問題になりまして、ここ二、三年後退的な現象が見られると先ほども答弁しておりましたが、後退的な現象の見られる都道府県というのを二三挙げてみてくれませんか。
○三角政府委員 全学種全期間、補助千分の八をやっていただいておりますところが三十七都道府県でございます。そのほかでございますが、大学、短大、高専等について補助をしていないところが岩手、京都。それから五十年から岡山、五十一年から福島、五十三年から東京といったようなところが補助なしでございます。
 それから、財政事情等によりまして補助の月数あるいは比率のいずれかを従来から若干減らしたところが北海道、宮城、奈良、福岡、大阪、そういった道府県でございます。
○高橋(繁)委員 それらの都道府県についてはだんだんと期間短縮をしたり比率を下げたりしておるわけでありますが、何か原因がございますか。
○三角政府委員 都道府県によりまして若干その理由は相違があるかと存じますが、全体的には地方公共団体としての財政の状況が従来より苦しくなっておるというようなこととか、それから他方におきまして高等学校以下の諸学校に対します都道府県の助成の方をここのところわりあい大幅に充実強化してきておる、そちらとの財源上のやりくりといったようなことも根底の中にあるのではないかというふうな感じも持っております。
○高橋(繁)委員 地方財政の厳しさということが最たる原因であろうと思うのです。そこで、前回もそういう都道府県に対して必要な措置を講ずるというようになってきているわけですが、先ほどの答弁の中でもいろいろ言っておられましたが、必要な措置をどのように図ってこられたのか、この点についてお伺いします。
○三角政府委員 これは先ほども申し上げたところでございますが、都道府県が自主的に努めていただくという性質の事柄でございますので、私どもとしては、いろいろな種類の会議等を通じまして、あるいは都道府県の方々とじかに接触する機会をとらまえまして、ぜひとも改善してほしいという要請を重ねてまいるということにいたしたいと思っておるのでございます。
○高橋(繁)委員 そのように私学担当の課長、係長等に話をしたり、あるいは都道府県に対してもいろいろの努力を重ねてきた。にもかかわらず、ますます地方財政が逼迫をしてくる、将来にわたってこういう後退的な減少傾向というものは続いていくのじゃないかというふうに私は予想しますが、そういうことは心配ないですか。
○三角政府委員 本委員会でも前からの御指摘であったわけでございますが、私どもも極力努力をしたつもりでございます。そういうことで、五十三年と五十四年で比較いたしますとほぼ現状維持ということで、この五十一、二、三年来少しずつ後退してきたその傾向はとまってきているというふうに見ておりますが、ただ委員御指摘のように、これを積極的により充実するというところまではまだいっておらない、そういう状況でございます。
○高橋(繁)委員 その中で一番問題なのは東京都だと私は思うのです。物すごく大学数が多いし集中しておりますので、東京都に対する必要な措置というものは講じなければならないと私は考えますけれども、その辺の心配やらお考えはないですか。
○三角政府委員 東京都は五十三年にこの補助をやめております。これの復活の問題を御指摘になっておられるわけでございますが、東京都も御存じのように大変な財政困難な状況下にあります。しかし、その中で一般の私学助成についてはいろいろと充実を図っていただいておるようでございますが、この共済のところまで手を伸ばしていただくことにつきましてはやはり東京都のそれなりの事情もあるかと存じますが、私どもよく東京都の学事部の方々とも御協議を申し上げて、いろいろな事情も聞きながらこちらの要請も行ってまいりたいと思います。
○高橋(繁)委員 過去に東京都と特別にそういう協議を持たれたことがあるのですか。
○三角政府委員 私学の行財政一般につきまして、全国の都道府県私学担当の部課長会議というような、そういう仕組みを持っておりますけれども、この会議をそうたびたびやることも全体の能率の関係から無理な面がありますので、そのほかに主として私学がたくさんあります都道府県に一種の幹事県といいますか、そういったような意味合いで十二の都道府県とはわりと頻繁にいろいろな協議をいたしておりますので、そういうときには必ず東京都も入ってくるのでございます。それからまた近間でございますので、何か私学の問題について、取り扱い等について相談をしたりあるいは実情について聞く必要があるときは、東京都とは連絡をよくとりながら事務を取り進めておりまして、そういう機会にいろいろ議題にしていくわけでございます。
○高橋(繁)委員 全国の私学担当の課長を集めてやるということはなかなか容易なことじゃないと思うのです。その中で一番大変なのは東京都だと思います。だから、東京都について積極的にもっと話し合いなり協議を重ねて、これが円滑にいくようにしなければますます問題を大きくするだけであると私は考えます。今後特別に東京都とおやりになるお考えはありませんか。
○三角政府委員 相手方は地方自治体でございますので、私どもの方からこれにつきましてどうこうせいと言うような、そういう間柄ではないので、冒頭申し上げましたようにあくまで自主的に努めていただく事柄でございますが、こういった当委員会でのいろいろな御議論につきましては、できるだけ的確に東京都の方にも申し上げまして、そして東京都の財政再建のプロセスの中でこういった事柄についてもだんだんに力が及んでいくように、できるだけ早く当委員会での御指摘のようなことが改善されるように東京都の方にも申し上げてまいりたいと思います。
○高橋(繁)委員 必要な措置を講ずるということはそういうことであって、都道府県の自主性に任せる、もちろんそうでありますが、ただ担当課長会議で一連の型どおりだけのそういう話をしておったのでは進まない。もう一歩進めた積極的な必要な措置を講じないと、この都道府県の補助の期間が短縮されたりあるいは率が下がったりして、私学振興という大きな中での職員の福利厚生を含めた私学共済の発展というものはあり得ないと私は思うのです。そういう意味で、都道府県のそうした補助については、せっかく格段の決議を毎回されておりますので、とにかく毎回同じようなことを言っているだけでは前進はあり得ない。特に東京都については、そうしたことを私は強く要望しておきます。
 それから、これもいま問題になっておりましたが、財政調整の私学振興財団の補助でございますが、これも先ほど指摘されておりましたように三十七年四月十八日に協議がなされて、一応の約束ができているわけであります。ところが、その補助金が余り約束どおりやられていない。その理由は一体どこにあるのですか。
○三角政府委員 私学振興財団はいろいろな種類の助成をいたしておりますが、いま御指摘の私学共済組合に対します助成もその中の一環でございます。申すまでもなく私学に対する貸し付けの事業を通じて利益金が生じた場合に、その利益金をもって各種の助成を行っておるのでございますが、昨今利益金の出方が少しずつ少なくなってきたという状況下におかれております。一方御指摘の私学共済組合に対します助成も、先ほど申し上げましたように二本柱がございまして、旧私学恩給財団の方の既年金の増額分に対する助成というのは直ちに給付として使用しなければならない金額でございますので、これが年々増加しておりまして、先ほど申し上げましたように三億を上回る金額になっておる。これは必ず毎年確保しておるのでございますが、もう一つの方のいわゆる整理資源の方が金額的に非常に小さくなってこざるを得ない。そういう状況でございます。
○高橋(繁)委員 そうしますと、何年かたちますと徐々にふえていくという可能性はおありですか。
○三角政府委員 私学振興財団の方でいろいろな形で仮定の数値を置きまして将来の収支見通しをいたしておりますけれども、これは必ずしも明るいとは申せませんで、そのままにしておきますとだんだん事務費等がふえますので、どうしても利益金の方が少なくならざるを得ないわけです。
    〔委員長退席、深谷委員長代理着席〕
そういう意味合いで、先ほど政務次官もちょっと申されましたが、政府からの出資金の確保といった努力を私どもは続ける必要があると思っております。
○高橋(繁)委員 ですから、いまおっしゃったように財団に対する政府の出資金の増額を図る以外にないと私も思いますが、そういう努力は今後続けてまいりますね。
○三角政府委員 本年度も、政府全体の財政状況が非常に窮屈な中で出資金につきまして前年同額の二十億円を確保したわけでございますが、私どもはそういう状況を十分認識して努力をしていきたいと思います。
○高橋(繁)委員 それから標準給与の上下限の引き上げをいたしました。下限の六万七千円を六万九千円にしましたね。そこまではいいのですけれども、六万九千円以下というのが幼稚園とかにまだ残ると思いますが、どれくらい残るといま積算しておりますか。
○三角政府委員 下限六万九千円以下の者が、私どもの計算ではただいま六千九百五十人ばかりでございまして、組合員数全体の中の二・〇九%でございます。これは御指摘のように主として幼稚園にお勤めの先生方が多いだろうと思っております。
    〔深谷委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(繁)委員 そういうふうに下限が引き上げられまして、全体三十何万の教職員から見れば六千九百五十人ですから確かにわずかな先生方でありますが、こういう先生方に対する負担増についての御心配はありませんか。
○三角政府委員 負担は給付の算定の基礎となります標準給与ということで決めておりますので、全体の改善に関連してこれも上げていきませんといろいろな意味のバランスがとれないということで例年やらしていただいております。金額も二千円ということでございますので、一方において給与の改善もそれなりに行われておることとの見合いで、従来も何とか吸収していただいておりますので問題はないのじゃないかと思っております。
 なお、この改正に伴う月々の負担増は百七十四円という数字になっております。
○高橋(繁)委員 そういった負担が余りなければいいと思うのですが、六万九千円以下のわずかな数ですけれども、そうした配慮は共済の方でも当然考えていると思いますが、せひともお願いをいたしたいと思います。
 それから確認をしておきたい事項がありますので二、三質問しますが、短期給付の事業で、付加給付は公立学校共済との差が前は大分ありました。その後大分改善されているようでありますが、現状はどうなっておりますか。進んでおりますか。国公立の共済の職員と大体同じような程度にまでいっているのかどうか。
○三角政府委員 付加給付につきましては、個々の給付については若干でこぼこがあって相違がございますが、全体として見ますると遜色はないところまでいっておると考えております。たとえば療養の給付といたしましては、入院一日につき三百円というような点は公立共済と同じでございます。国共済である文部共済の方には実はないのでございます。それから家族療養費は、私学共済は自己負担額から二千円を引いた部分に対して八割、公立共済の方は自己負担から千円を引いたものについて十割で、公立共済の方が少し進んでおります。国共済の文部関係は私学共済とほぼ同じです。それから出産費はほぼ同じでございます。ただ、私学共済は最低保障十二万円、公立共済が十三万円。それから配偶者出産費は、いま申し上げましたのと同じでございます。育児手当金というのは、いずれも六千円。それから埋葬料につきましては、私学共済一万五千円、最低保障十四万円、公立共済が一万五千円、最低保障十四万円。傷病手当金は、法定期間満了後六カ月、法定給付と同額でございますが、公立共済の方はこれと同じでございます。それから弔慰金というものがございます。それと家族弔慰金、いずれも十四万円と弔慰金ないしは家族弔慰金との差額としておりますが、公立共済にはこの弔慰金というものはございません。それから災害見舞い金は、特定の大災害のときその都度決定というような扱いをしておりましたが、現在は公立共済と同様に法定給付の六割というような扱いでございます。結婚手当金は、私学共済の方は四万五千円で公立共済の方も四万五千円となっております。
 大体以上でございます。
○高橋(繁)委員 了解しました。若干まだ差があるようでありますが、それはひとつ努力方を要望しておきます。二それから、公立学校の教職員には都道府県ごとは互助制度というのがありますね。私学共済につきましてもいろいろ検討はされているようでありますが、都道府県といっても私学の多いところと少ないところとがありますので、せめてブロック制度ぐらいにしてそういう互助制度というものを将来進めたらどうか、私はそういう意見を持っておりますが、どのようにお考えですか。
○三角政府委員 御指摘の互助制度につきましては、ただいま私立学校教職員共済組合の内部におきまして研究検討中でございまして、目下私学に対しましていろいろアンケート等によりましてこういったものについての希望なり要請がどの程度あるかというのを調査しておるようでございまして、かなりの私学が賛成の方向であるように承っております。
 なお、やり方とか範囲とか、そういった具体的な細かい検討はこれからになると存じますが、いま御提案のありましたブロックごとにそういうことに取り組むようなシステムがより実質的ではないかというような点もあろうかと思いますので、そういった御意見につきましては、私学共済組合の方に私どもの方から十分に申し伝えまして、検討の一つの課題としてもらうようにいたしたいと存じます。
○高橋(繁)委員 これは局長から私学共済の方へ要望しておいていただきたいのですが、私の区の熱川に私学共済の保養所があります。これはこの前の地震でつぶれているのです。破壊されて、そのままになっている。たまたま通りましたので、あれはどこの建物かと調べたら私学共済のものである。一体いつまで放置しておくのか。ほとんどほかの建物は修復したのですから、ほっておかないで早く改修するなり、その処置方をひとつ共済の方へ強く要求をしておいてください。
 最後に、ちょっと共済と離れますが、私学に関する問題で退職手当制度、この団体を設立いたしまして全私学が加入するような制度をつくりたい、こういうことも文部省の方にもお話があったと思いますが、その見通しと、そういうものが民法三十四条の規定によってつくられた場合に、掛金に対する国庫補助とか、事務職員あるいは保険料への国庫補助というものが将来なされていく見通しが一体あるのかどうか、その点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○三角政府委員 まず熱川の保養所の問題につきましては、よく私学共済の方に取り次ぎたいと思っております。何かあそこは非常に地層がよくない場所であったようでございまして、現在周囲の整理をいたしておるようでございますが、その上で建物について措置をするというふうに聞いておりますが、なおよくただいま御指摘の点をお伝えしたいと思います。
 それから退職手当の問題でございます。これは大学などにありましては、従来はそれぞれの大学独自でそれなりの制度をつくりまして支給しておるわけでございますが、高校以下の学校につきましては、高橋委員御承知のとおり、退職手当金の支給を目的とする団体が都道府県ごとに設けられておるわけでございまして、加入会員の出資金と都道府県補助金を主な財源として運営されておるわけでございます。そして国としては、都道府県に対しまして地方交付税によります財源措置を行っておるという形でございます。
 あとの大学、短大、高専等の教職員の問題でございますが、これはさきに申し上げましたように、各学校法人が独自に雇用者として退職金を支給しているということでございますが、高校以下の教職員について行われておりますようなやり方、これともにらみ合わせまして、私学団体側でもいろいろな検討が進められておるようでございますので、そちら側の検討の状況なり御意見を聞きながら、これを制度的にどういうぐあいに持っていくのがよろしいか、私どもも今後十分検討を進めたいと思っておる次第でございます。
○高橋(繁)委員 以上で終わります。
○谷川委員長 山原健二郎君。
○山原委員 いまお尋ねのありました付加給付のことについて、いまいろいろでこぼこがあるというお話でございましたが、一番肝心な問題、たとえば家族医療費の問題につきまして、公立学校共済と私学共済とは確かに格差があるということです。それからもう一つは住宅貸し付けです。この点につきましても、利率は公立と一緒でございますけれども限度額が違っております。公立が一千万円で私立が八百万円、こういう格差です。しかも、医療と住宅というものが今日の勤労者にとりまして一番重大な問題ですが、その重大なところにこういう格差があることに対して、なぜこうなつておるのか、これは改善すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○三角政府委員 私学共済組合におきましても、付加給付につきましては、他の共済組合の給付内容を勘案いたしまして、これまで逐次その改善に努めてきたわけでございます。五十五年度におきましても、ただいま御指摘がありました家族療養費付加金を初めといたしましてこれらの改善について検討がなされたのでございますが、家族療養費付加金につきましては、いろいろな理由がございまして五十五年度は改善を見送ったものでございます。私学共済組合の家族療養費付加金は、自己負担金から二千円を減じた額の八〇%ということにいたしております。公立学校共済組合の自己負担額から千円を減じた額を給付しておるのと比べまして、仮に公立共済組合並みの給付内容とした場合に、現行制度と比較しまして十七億八千万余りの給付増になるということになりまして、昭和五十五年度の収支見込みでは四千百万円程度の剰余金となるのでございますが、当年度に積み立てるべき支払い準備金など十三億八千万円といったようなものの財源に支障を来すということになりますために、組合員や学校法人に新たな掛金の負担の増を必要とするという事態になってしまうのでございます。
 それからもう一つは、現行制度における給付件数が約三十四万件見込まれるのでございますが、改善によりますと約百十二万件というようなことになりまして、事務処理上もなおもう少し体制を整えてからでないといたしにくいというようなことがございまして見送ったということでございます。
○山原委員 比較だけでは、項目によってはいろいろでこぼこもありますから、たとえば出産費にしても公立十三万、私立が十四万程度の差ですし、災害弔慰金にしましても、これはめったにあることではないわけですね。そういった一番肝心な部分についての私学共済のバランスというものをとっていく必要があるのじゃないか、これは今後ぜひ努力をしていただきたいと思います。
 二つ目は、運営審議会の問題、これはもう何遍もいままで取り上げてまいりましたが、なかなか解決しない。運営審議会に組合員代表が入っておりますけれども、教職員の福利厚生について相当部分の責任を持ついわゆる労働組合がこれに参加していくべきじゃないかということで、あなたの方と絶えず意見が食い違ってくるわけですが、これはぜひ努力をしてほしいと思います。
 それから、たとえば共済財政の問題につきましても、納得がいけばそれについての運営その他の問題もわかりますけれども、肝心のものが入っておりませんから、いわゆる法人側の力が圧倒的に強いというのが実態です。だから、本当に組合員の切実な要求が反映しないという面がありますから、運営審議会の構成については当然考えていただきたい。
 それからもう一つは、共済組合法第七章の審査会でございますが、これは組合員の資格あるいは給付の決定、掛金などについて不服がありました場合に審査会が役割りを果たす、いわば救済機関であります。しかし、これもいわゆる労働組合の代表が入っておりませんから、そういう点ではこれはほとんど用をなしていない。たとえば首切りなどがありました場合には、地労委あるいは裁判所などでの審議が先行してしまいまして、結局審査会は何にもしないで終わってしまうというような結果になっているのじゃないかということを考えますと、当然これは入れるべきだと私は考えますので、これは毎年のことながら強く強調しておきたいのであります。その点を簡単に答えてください。
○三角政府委員 その前にちょっと訂正させていただきます。
 先ほど高橋委員の御質問で出産費の最低保障を十二万円と申し上げましたが、これは五十四年四月に改正になっておりまして十四万円で、それをもとに山原委員がさっき御引用になりましたけれども、大変恐縮でございますが、その点では公立共済より一万円よくなっておりますので、ちょっと訂正させていただきます。
 ただいま御指摘の運営審議会の構成それからことし新たに審査会についてただいま御主張がございましたが、例年山原委員の御意見を承っているわけでございます。これまでにもお答えいたしておりますように、私どもとしては、私学の教育関係の団体を包括した形の団体の方に、学校法人の役員だけでなく教職員の関係につきましてもご推薦を求めまして、できるだけ組合員の意向が反映するような人選をしていただくようにお願いをしてきておりまして、こういったやり方が従来ともいわば定着しておりまして、そして運営上も支障がないと考えておる次第でございます。
 審査会の委員につきましては、これは総数九名で構成いたしまして、これも運営審議会と同じような観点で、組合員を代表する者それから学校法人等設置者を代表する者それから公益を代表する者の三者構成になっております。それぞれ文部大臣より委嘱しておりますが、公益代表以外の審査会委員につきましては私学団体の推薦によって委嘱をしておりまして、今後もこれでやらしていただきたいと考えておるのでございます。
○山原委員 いま組合員代表、学校法人それから公益代表ということですけれども、実態としては、何といっても労働組合というのは、校長会とかその他と性格を異にしていまして、実際に管理的な立場でなくて勤労者の生活実態を一番よく知り、よくつかみ、またその要求を一番体現をしている組織であることは間違いないと思います。そういう者が構成員の中に入れられることによって運営はより民主的になりますし、また組合員の声も反映できるという立場で、これはきょうここで決着をつけるわけにはいきませんが、私としてはこれは毎年要求していきたいと考えております。
 それから、これは一例としての話でございますが、福岡の飯塚商業で三名の教員の首切りが行われております。その中の一人は、奥さんが妊娠中で体も丈夫でなく病院へ通っておるという状態ですが、首切りと同時に学校側からは保険証を返せ――ところが本人は組合員として認めてもらいたいということを盛んに言っておるわけです。国家公務員共済組合法の百二十六条の五の任意継続についての規定を私学共済法二十五条で準用することになっておりますが、それに基づいて手続をとりまして組合員として認めてくれ、こういうことを要請しておりますけれども、学校はそんな手続はしない、とにかく保険証を返せ、こういうトラブルがあると聞いております。こういうのは解決できない問題でないと私は思うのですが、この点について、この国家公務員共済組合法の準用規定によってこの先生が資格の継続をしようとするならばどういう手続をとればよろしいのでしょうか。
○三角政府委員 解雇によりまして組合員資格を喪失した者でありましても、一年以上組合員であった者であれば、ただいま御指摘のように任意継続組合員になることができるわけでございます。この申し出の手続は、退職の日から二十日以内に氏名、住所その他の所要事項を記載した書面を直接組合に提出すればよいので、学校法人を経由する必要はないというふうに理解しております。そして任意継続掛金を教職員共済組合の方に払い込んでいただければ足りるということになっているようでございます。
○山原委員 学校法人を経由しなくてもいいということをいま初めてお聞きするわけですが、ただ一つ二十日の問題があるのです。その二十日の間に、組合員であるこの先生方がそういうことを十分知らない場合に、とにかくもうちょっと続けてくださいということが行われておるうちに二十日間というのが過ぎてしまう。本当にそういうことすら知らされていないというのが実態ですから、そういう意味で労働組合の果たす役割は大きいと私は思うのです。ところが、いま三角局長がおっしゃいましたけれども、実は「私学共済事務の手引き」第七部、「任意継続制度」第一節、第二節がありますが、時間がございませんからこれを読み上げることはやめますが、その二節の中に、学校法人を経由して組合に提出してくださいという指導がなされているのです。いまの局長のおっしゃったことでございますと、法人を経由しなくてもいいというんですから、それならばこの「手引き」によってやられておるんだろうと思います。また組合員に対しても、こういうことだからあなたは法人を通じなさいよと言われたら法人は書かない。とにかく保険証を返せと言われるとここであきらめが出てくるわけです。これはいまおっしゃるようなことであれば、この「手引き」のここのところは改正をすべきではないかと思いますが、撤回をされるか書き直すか、どういうふうにされますか。
○三角政府委員 ただいま御指摘のようなことであれば、私は私立学校共済組合に申しまして、その改善について検討してもらいたいと思います。
○山原委員 次に、今回の改正で遺族年金の寡婦加算について、遺族の子供一人がいままで六万円が十二万円に、二人の場合八万円が二十一万円に改善をされております。ところで、妻が退職年金をもらってさらに遺族年金をもらう場合、寡婦加算が打ち切りとなっております。しかし同時に、政令に定める金額に満たない場合は寡婦加算を出すと改正法第五条に書いておりますが、政令の定める金額とは大体幾らでございましょうか。その点について明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○三角政府委員 ただいま私どもが予定として聞いておりますのは、厚生年金の遺族年金の最低保障額の金額が考えられておりまして、とりあえずのただいまここで申し上げられる金額としては五十万一千六百円という数字でございます。
○山原委員 ちょっと実例を挙げてみますと、退職年金が六十四万一千八百円、遺族年金が四十七万六千円、これは御主人が昭和四十九年十一月に亡くなった方でございますが、こういうのはこの適用になるのでしょうか。
○三角政府委員 大変実務的な問題でございまして、ただいまの調整の時点が厚生年金施行の日ということで八月一日が予定になっているようでございます。ですから、これの以前の問題についてはこれが働かないということのようでございますが、なお具体の嘉例でございますので、もし必要でございましたら、山原委員のもとに資料なり何なりで御説明申し上げたいと存じますが、いかがでございましょうか。
○山原委員 個別の具体的な問題を出しましたのでちょっとわかりにくいと思いますが、政令の定める金額ということについてかなり弾力性といいますか、農林年金の場合は合わせて五十一万円を限度とするというような話も聞くのです。だから具体例に応じて参酌がなされたり、いろいろなかっこうになるのか。きょうはこれ以上尋ねませんが、後ででも結構ですから、大体どういうふうになるんだということをお知らせいただきたいと思います。
 次に、これはいままで私が問題にしてまいりまして、私にも責任のある問題でございますが、松木歯科大学の問題です。御承知のようにこれは旧幹部五人が業務上横領、背任あるいは私文書偽造、同行使、公正証書原本等不実記載、同行使、統計法違反という問題が出てまいりまして、しかもそれだけでなくて大変な問題が起こったわけです。入学試験において巨額の寄付金を取っていたという事実を隠しまして、大学の資産を偽って文部省に報告しておるとか、学生数も再三偽りの報告をしてきたとか、あるいは私事のために大学の財産を流用した事実など、内藤前文部大臣に言わせますと、全くこれが大学なのかとびっくりするほどの事態が起こりまして、しかも暴力団の介入、暴力行為なども発生をするということでありまして、これは地検の松本支部が二年間にわたって捜査をし、そして昨年九月十七日に起訴猶予、しかしその中でこれらの案件についてはすべて犯罪を構成する違法行為であるということでございますが、そういう判定が下された事実がございます。
 ところで、この前理事長がもう学校から手を引く、一切学校には関与しないということがこの裁判のこういう起訴猶予の最大の要因となっておると聞いておるわけでございますが、きょうは法務省も来ていただいておりますので、後で法務省の方にお伺いしたいと思うのですが、この前理事長である矢ヶ崎氏は昭和五十二年十一月三十日に退職をいたしておりまして、教授、職員でもございません。ところが、この矢ヶ崎氏の共済組合員としての資格はどうなっているかということが東京第一弁護士会から問われておりますけれども、これはその後明らかにならないままでございます。
 そこでお尋ねしますが、この矢ヶ崎氏は現在共済組合員の資格を持っておられるのかどうか。
○三角政府委員 昨日調査をいたしたのでございますが、御指摘の矢ヶ崎康氏は、現在私立学校教職員共済組合の組合員となっております。
○山原委員 それは松本歯科大学におけるどういう資格、あるいは教授あるいは役職、そういうものは何の名目でしょうか。
○三角政府委員 私学共済の組合員でございますけれども、私学共済といたしましては、松木歯科大学における同人の役職及び職種は不明でございます。
○山原委員 これは御調査をいただかないと、いま私は福岡の飯塚商業高校の問題を出しましたけれども、これほど裁判事件になり、本委員会におきましてそんなことがあり得るのかとびっくりするような大変な事態まで起こりまして、しかも大学はおやめになっておる、そして大学にはもう関係しませんということで裁判の起訴猶予というものも出ておりますし、また文部省に対しましても、しばしばもう大学とは関係ないということを言っておられるわけです。共済組合法の第十六条によれば、組合員の資格の喪失は「死亡したとき。」「退職したとき。」と明確になっているわけですね。共済組合員としての掛金はどうなっておるか、給付はどうなっておるかわかりませんが、とにかく依然として組合員であるという資格を確保しておるということは私は納得いかないのですが、そんなことはあり得ることなのでしょうか。
○三角政府委員 御指摘のようにいろいろな事件がございまして、経緯といたしましては、五十三年の十二月に文部省が八項目について指導を行いました中で、すでに辞任しておる矢ケ崎理事長がなお事実上学校運営に関与し、これに伴い報酬を支給しているというような事実については早急に是正することという指導もいたしまして、そして翌年一月にこれは是正をしたという報告を学校側から実は受けているところでございます。でございますから、私どもとしては、やはり元理事長が学校運営を支配するような何らかの役職を有しているということは好ましくないし、そしてただいまのような報告も受けております。ただ、組合員であるというような事実は、昨日照会によって初めて承知したところでございますので、一体矢ヶ崎元理事長の職務が現在の松本歯科大学の中でどのようなことになっておって、どの程度の待遇を受けておるかつまびらかでないのでございますが、私どもとしては、これまでの経緯もございますし、そしてすでにほかのこともございまして、当該大学の現状について学校から文部省に来てもらってさらに説明をしてほしいというふうに求めておりますが、実はまだいろいろの先方の事情がございまして実現を見ておらないのでございます。私どもとしては、直接説明を聴取した上で矢ヶ崎理事長が学校の管理運営の中枢に関与しているような事実がもしあれば、先ほど来申し上げましたように過去の経緯に照らしてみて不適切であると思いますので、その是正方を指導したいと思いますが、そういった状況でございます。
○山原委員 共済組合との関係でお尋ねしましかけれども、これはもう新聞にも出ておりますが、去年の十月二十八日、名古屋におきまして、矢ヶ崎前理事長はおやめになっておるにもかかわらず、この松本歯科大学の三重地域の父母五十名を集めまして演説をやっております。おれは悪いことをしていないから起訴猶予になったのだということが第一点。もう一つは、文部省の管理には大学の理念など全くわかっていない、それから学内のことを何にも知らないH氏が理事になるのはけしからぬというようなことを言っておられるわけです。しかし、それまでは文部省に対しましても五十一年の七月以来大学とは縁を切ったと公言をし続けてきておるわけでございます。地検の松本支部の斎藤支部長の言によりますと、新聞に出ておりますが、この人物はいまなお実権を握っている、そして公印すら彼が持っている情報すら入っておりますと言い切っております。こうなりますと、私はこの大学に介入せよというのではありませんが、幾ら大学の自治だって公文書偽造、横領その他のそういうものがあって、そして文部省に対してもやめたという報告があるにもかかわらず、依然として共済組合員であり、そして今回四月の学生に配られましたパンフレット、印刷物を見ますと、水曜日の第一時間目の四年生の医学史講義に教授として復帰しております。これは全く裁判所をも偽る口述をしてきたのではないかとさえ思われますが、こんな無謀なことが次々と許されていいものであろうか、少なくとも真の大学の自治を確立するためにもこういうことについては大学らしい決着がつけられなければならぬと思うのでありますが、大学局長お見えになっておりますけれども、私のいま申し上げましたことにつきましてどういうお考えを持っておるか、伺いたいのであります。
○佐野政府委員 矢ヶ崎氏がことしの四月から学生に対して週一回医学史の講義を担当しているということは私たちも大学から確認をいたしております。恐らくは非常勤講師の形で授業を担当していると思われるわけでございますけれども、このことはよく調べてみないとわかりませんが、いずれにしても、先ほど管理局長からお答え申し上げておりますように、この大学は創設以来いろいろな問題を起こし、その間文部省の指導のもとに再建を目指して努力をしてきているが、本当にこれまでの反省の上に立って現実に再建の方向に動いているのかどうか、御指摘のような点を含めて私どもも一つの疑念を持っております。管理局とともに、さらに大学側の事情を聞きまして、正しい方向で大学が再建をされていくような指導をさらに行っていかなければならないと考えております。
○山原委員 もうこれ以上申し上げませんけれども、私も、大学の自治というもの自体大変貴重なものであるということを前提にしまして、大学教授会の意向が本当に反映できるような松本歯科大を再建をしてほしいという立場で、三年前でございましたか、何回かにわたってこの問題を取り上げてきたわけでございますが、事実上はいま局長もお認めになっておるように必ずしも正常な姿ではないと私は思います。また、六年間にわたりまして文部省に対して水増しのいわば虚偽の報告をし続けてまいりまして、統計法上の違反の問題なんかに問われておりますところの方が学長にその後就任をされるというようなことを考えましても、やっぱり問題はきれいに処理されていないというような感じもいたします。そういう点で、今後なおこのままでいきますとまた不測の事態が起こりかねないという危惧を私は持っているわけです。そんな意味で、今後の動きにつきましても、本当に松本歯科大学のよき民主的な前進のために文部省は努力をすべきであるということを申し上げまして、できるならばもう少し御調査をいただいて、その経過などをつぶさに知っていただきたいというふうに考えます。それによりまして、場合によりましてはまた折を見て質問を申し上げることになると思いますが、きょうは以上で私の質問を終わります。
○谷川委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 私学の先生も非常に大事な仕事をなさっておられるわけで、わが国の教育の大部分と言ってもいいような分担をしておると思うのですけれども、心配になるのはやはり年金の問題の今後の見通しです。非常に急速に高齢化が進んでおるという状況の中ですから、いまの私学共済の成熟度といいますか、どういう傾向になっておりますか。
○三角政府委員 昭和五十三年度末での組合員数が三十万二千四百二十九人でございます。退職年金受給者の数が七千五百二十六人でございまして、したがいまして、おっしゃいました成熟度というものは二・五%でございます。この割合のこれからの見込み、推移でございますが、五十五年度が二・八%、六十年度に四・四%、六十五年度には七・三%となるというふうな見通しがございまして、私学共済もこれらの見通しを踏まえて財源の計算等を行っておる次第でございます。
○和田(耕)委員 この傾向から見ますと、これは共済組合全体の中から言うとどの程度になりますか。
○三角政府委員 全体で申しますと、私学共済はまだわりあいと成熟度というものについては健全な状況下に置かれていると申しますか、そういったことが言えると存じます。たとえば、五十五年度で、地方職員共済組合全体では一八、それから国共済が二三・四、私学が二・八、農林共済が一四・二、厚生年金が八・一、こういうような状況でございまして、さっき申しました十年後の状況下に置かれましても、私学共済は一番成熟度というものが低い、そういう状態でございます。
○和田(耕)委員 今回の改正で、財源の措置はどういうふうにしておりますか。
○三角政府委員 まず、今回の改正の中での主なものの第一点でございます既裁定年金の年金額の引き上げでございますが、これにつきましては、国公立学校の教職員の年金額の引き上げにならいまして、五十四年三月三十一日以前の退職者につきまして、年金額の算定の基礎となった標準給与の年額を平均三・五%増額することによりまして五十五年四月分から年金額を引き上げるということにしておるわけでございます。
 そしてそのほか、既裁定年金の最低保障額の引き上げ、寡婦加算額の引き上げ、それから標準給与の上限及び下限の引き上げ、そういったことが内容でございますし、それからもう一方、この十八日に提出いたしました法案の方では、厚生年金保険法の一部改正法案によります年金額の引き上げに伴いまして、既裁定の通算退職年金と通算遺族年金の額を改善するということにいたしておりますが、これらの改善事項によりまして、昭和五十五年度におきまして六億八千二百六十六万円、平年度化いたしました時点で九億千二百六十七万円という経費が増額になるわけでございます。
 以上でございます。
○和田(耕)委員 この共済制度の五十五歳支給というのを六十歳にするというあれがありましたね。あの問題はどうなっていますか。
○三角政府委員 御指摘の問題は、昨年度の年金改定の法案の中で改正が行われまして、これは昨年十二月に御審議いただいた次第でございますが、それに基づきまして十五年ないし二十年の経過期間を設けまして、御指摘のように年金支給開始年齢を従来の五十五歳から六十歳に引き上げる、こういう措置をとらせていただくことになっておるのでございます。
○和田(耕)委員 その六十歳への引き上げという問題といまの財源措置との関係はどういう関係になりますか。
○三角政府委員 ただいまの引き上げ以前の財源率というものが千分の百二十六という数値であったわけでございます。これを五十五歳という支給開始年齢をそのままにして五十三年度末で計算してみますと、それが本来必要な財源率は千分の百四十二、こういう数値を得ておりますが、これ々六十歳として当時試算してみると百四十二というのが千分の百三十四というふうに財源率が低くなる、こういう計算を持っておったわけでございます。
○和田(耕)委員 これは今年度の予算修正のところで消えたのですけれども、今度厚生年金の六十五歳というのを厚生省から出していましたね。あれと、この十五年、二十年の経過措置を置いての六十歳ということと、大臣、閣議なんかではどういうふうにかみ合わせておったのですか。
○谷垣国務大臣 閣議で特にかみ合わせという、おっしゃるような議論が出た記憶はございませんが、厚生年金のこういう長期の計算をしました場合に、やはり六十五歳という延長が財源その他の長期の見通しとして必要だという結論になったんだということを厚生大臣は漏らしておりました。
 問題は、要するに共済その他が五十五歳を六十歳にした、そのときは官民格差の問題とかいろいろな問題も言われておりましたけれども、これはやはりそれぞれの年金制度の財源の形を強くするという長期経理の観点からのあれだったと思いますが、それと、いままで六十歳になっておった厚生年金が六十五歳というふうになったこと、そういういろいろな問題が生じておったと思います。閣議で特にそこで激しい議論あるいは比較検討しての議論が多くの時間を費やしてやられたというふうには記憶がございません。
○和田(耕)委員 この問題は、いま厚生省の人は来てもらっていないのですけれども、厚生省としては、また来年あるいは再来年に何か理由があるからそういう考えが出てくるわけで、やはり年金制度そのものについての根本的な一つの問題点を示しておるのが六十五歳案だと思うのです。この問題は、私学だけでなくて共済組合の問題でも、もっと真剣に検討する必要があると思うのですね。したがって、いまの御質問申し上げた五十五歳から六十歳までの一応の見通しは立てておりますけれども、実際のこの収支がどういうふうになるかという問題はそう楽観を許す問題ではないという感じがするのです。
 それで、国庫補助の問題ですけれども、現在の状態は百分の二十でしたか、(三角政府委員「十八です」と呼ぶ)この国庫補助を今後ふやしていかなければならぬと思うけれども、どういうふうな見通しを立てておりますか。
○三角政府委員 今年度は総額五十一億千九百八十八万一千円という国庫補助金額になっておりまして、昨年の金額に対しまして四・九%の増額にいたしてございます。そのうち長期給付の補助金が一番主な内容でございまして、五十一億何がしのうち四十八億七千五百九十一万円が長期給付に対します補助金でございます。
 この内訳は、給付費の百分の十八というのがございまして、これが四十四億二千七百九十一万円。それからそのほかに財源調整費として百分の一・八二というものを計上いたしておりまして、これが四億四千八百万円でございまして、かねがね当委員会での御意見といいますか御主張がございまして、百分の十八を百分の二十に引き上げるべきであるというふうに附帯決議もいただいております。そういう状況にかんがみまして、五十五年度につきましても、百分の二十の引き上げについて要求をし検討したわけでございますが、実現を見るに至らなかったというのが実情でございます。引き続き私どもとしては、私学振興という観点から十分に検討して必要な努力をしてまいりたいと思っております。
○和田(耕)委員 最後の質問にいたしますけれども、国公立の教職員の給与と私学の教職員の給与との全体を比較しますと、どういうふうになりますか。
○三角政府委員 ただいま手元に詳しい資料がございませんのですが、なお、このたぐいのことはなかなか精密な全体の調査というものが簡単ではございませんものですから、私どもは以前にサンプルでもって調べていただいたものが若干ございます。
 それに基づきまして全体の傾向について申し上げますと、大学関係の教員につきましては、昭和四十四、五年のいまから約十年前ぐらいの時点では、国立学校の教官とほぼ同一の学歴、経験の時点で、たとえば助手なら助手、助教授なら助教授ということで比較いたしますと、大まかでございますが一割ないし一割五分私学の方が給与が低かったようでございますが、現在ではその関係が逆になって、むしろ私学の方が全体の平均でございますけれども国立の関係よりはよくなっておるというふうに私どもは見ております。どこでよくなっておるかと申しますと、傾向値としては賞与のようなところで差等がある程度生じてきておるという結果になっておるようでございます。
○和田(耕)委員 今度は国公立の教職員と私学の教職員との差がないようにするというのが一つの方針なんでしょうけれども、やはり差ができるようなことにさせないようにというのが文部省の一つの指導の基準になっておるわけですか。
○三角政府委員 私は和田委員の御質問を取り違えたかもしれませんが、共済組合の給付の内容ということで申し上げますと、これは共済組合の設立以来の目標といたしまして、いま御指摘のように国公立の教員と等しい取り扱いに持っていくというのがこれの根本的な目標でございまして、それは年々そのように改善を図ってまいりまして、先ほど来付加給付の点での若干のでこぼこの御指摘がございましたけれども、法定給付の面では、これは例年準用で改正をしていただいておりますこともございまして、ほとんど同一水準というふうに申し上げて間違いないであろうと思っております。
○和田(耕)委員 今後私学財団等の母体になる組織等についてもやはり適当な配慮が必要だと思いますけれども、国庫補助の適当な増額とそのような指導の強化を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○谷川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○谷川委員長 この際、内閣提出、第六四号、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党提案に係る修正案が中村喜四郎君外二名より提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。中村喜四郎君。
○中村(喜)委員 ただいま議題となっております法律案に対する修正案について、提出者を代表し御説明申し上げます。
 修正案の趣旨は、本法律案の施行期日はすでに経過しておりますので、これを公布の日から施行することとし、これに伴う所要の経過措置を講じようとするものであります。
 何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
○谷川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○谷川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 初めに、内閣提出、第六四号、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 まず、中村喜四郎君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○谷川委員長 起立総員。よって、中村喜四郎君外二名提出の修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○谷川委員長 起立総員。よって、修正部分を除いた原案は可決し、本案は修正議決いたしました。
 次に、内閣提出、第八五号、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○谷川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
○谷川委員長 ただいま議決いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同、民社党・国民連合及び西岡武夫君共同提案に係る附帯決議が深谷隆司君外五名より提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。深谷隆司君。
○深谷委員 私は、提出者を代表して、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について検討し、速やかにその実現を図るべきである。
 一 長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げるように努めること。
 二 長期給付に対する日本私学振興財団の助成金について、必要な強化措置を講ずるよう努めること。
 三 地方財政の実情にかんがみ、長期給付掛金に対する都道府県の補助を充実するため、必要な措置を講ずるよう努めること。
  右決議する。
以上でございます。
 その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通して明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○谷川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 本動議のごとく本案に対し附帯決議を付するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 この際、附帯決議に対し政府の所見を求めます。谷垣文部大臣。
○谷垣国務大臣 ただいま御決議がありました事項につきましては、御趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じております。
    ―――――――――――――
○谷川委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○谷川委員長 これより内閣提出、放送大学学園法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。狩野明男君。
○狩野委員 放送大学学園法案につきましては、昨年の八十七通常国会に提出され、本委員会は、逓信委員会との連合審査を含め七回にわたって審議が行われ、本委員会においては、もうほとんど審議がし尽くされていると考えます。しかし、三たびこの法案が国会に提出されておりますので、国民の放送大学に対する強い要請を考え、その速やかな成立を願いつつ質問をさせていただきます。
 最初に、わが国の高等教育についてでありますが、戦後新しい学校制度のもとで急速な発展を遂げ、高等教育機関への進学率は、昭和五十四年度には同一年齢層の人口の約三八%に達していると言われております。この間にあって、高等教育の機会の拡大とともに、地域間格差や教育研究条件における国公私間の格差など種々の問題が生じていると思いますが、高等教育の整備充実についてどのように取り組んでおられるか、御質問したいと思います。
○谷垣国務大臣 御指摘のとおり、わが国の高等教育は四十年代におきまして著しい量的発展を見ておるわけでありますが、その間に大学の大都市への過度集中その他多くの問題を生ずるに至っております。
 そこで、政府といたしましては、この問題に長期的な展望で対処いたしまするために、計画的な整備をいたしますために二期に分けまして、五十一年から五十五年までを前期の計画期間、五十六年度からは後期の計画期間というふうな形で、長期の見通しを立てた整備をいたしたい、かように考えておるわけでありますが、前期の計画としては、その整備の基本になります人材の計画的養成あるいは全国的に均衡のとれた配置整備、こういうところに問題の重点を置きまして、また私学助成の拡充等の質的充実を考えてまいったわけでございます。なお、大都市におきます高等教育機関の新増設につきましてはこれを抑制いたし、地方におけるこれらの設備は拡充整備をしていくというような対策をとってまいりました。
 おおむねこれらの目的が達せられつつあると思うわけでありますが、さらに、長期の見通しを立ててどういうふうに持っていくかということにつきましては、大学設置審議会等におきましての審議もお願いをいたしまして、これからの取り組み方に対しまして検討をいたし、実施を考えておるところでございます。
○狩野委員 次に、その高等教育の整備を進めていく上で、高等教育の弾力化、それから相互の交流などを進めていくことは大変必要なことと考えておりますが、そういったことについて具体的にどのような施策を講じているか、特に大学における単位互換の実施状況などについてお尋ねをしたいと思います。
○佐野政府委員 御指摘のとおり、ただいま大臣からお答えを申し上げました今後の五年間、いわゆる後期の計画期間中の高等教育の整備に当たりましても、高等教育全体のあり方をよりソフトな柔軟なものにしていくということが一つの大きな柱として掲げられているわけでございます。
 こうした観点から、これまでも文部省といたしましては、高等教育の弾力化、柔軟化のための制度的な枠組みの改正にまず取り組んできております。御案内のように、すでにこれまで大学設置基準の改正等によりまして大学における一般教育等に係る教育課程の編成を弾力化したり、あるいはいま御指摘の単位互換等の大学間の交流推進のための方途を講じたり、あるいは大学院の設置基準につきましても、学術研究の進展なり社会の発展に対応し縛るような制度の弾力化等を考慮しているわけでございます。さらに、短期大学につきましても、社会の多様な要請に対応できるような短大の設置基準を制定する、そのような制度的な対応を考えてきているわけでございますが、それらのほかに、技術科学大学を設置して高等専門学校あるいは短期大学からの進学の道をさらに考えたり、あるいは公開講座の拡充を行ったり、昼夜開講制のような新しい弾力的な就学形態というものを取り進めたり、そうしたことについて努力をしてきているところでございます。
 なお、いま御指摘の単位互換の状況でございますが、制度的には四十七年度からその道を開きまして、以来国公私立の各大学で逐次制度が採用されつつございますけれども、特に大学院の段階と海外の大学との交流がかなり活発に行われるようになっております。
 文部省が把握をいたしているところで申し上げますと、現段階で国公私合わせて、学部段階で国内の大学とは百四大学、海外の大学とは百十四大学が交流を行い、また大学院段階では、国内の大学院とは百三大学院、海外の大学院とは百四の大学院がこの制度による互換が行えるような学内諸規定の整備を行っております。ただ、学内の諸規定が整備されているということと、現実に単位の互換によって単位を取得した者とが必ずしもイコールではない。このような学内諸規定の整備の上に立って、実際に大学間の交流がより積極的に進められるように関係者の努力を促してまいりたいと考えております。
○狩野委員 最近国民の高等教育の機会に対する要請が非常に高まりつつあります。そしてまた、そういった多様化しつつある状況において放送を効果的に活用する新しい教育形態の大学を設置することは、国民に広く開かれた大学として現在進められている大学の改革や生涯教育の観点からも重要な意義を持つものと私は考えるわけでありますが、これについてどのようにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
○佐野政府委員 放送大学は、もとより正規の大学として構想し、正規の大学として設置しようとするものでございますけれども、その趣旨は、先ほど先生御指摘の三八%にも達している高等教育の普及の状況の上にさらに量的に大学の規模を重ねるというような趣旨のものではないわけであります。放送大学は、一つには、生涯教育の中心的な機関として社会人なりあるいは家庭の婦人に大学教育の機会を新しい形で広く提供するということ、さらに今後の高等学校の卒業生に対しましても、新しいしかも柔軟な大学進学の機会を保障する、そういう意味におきまして生涯教育の見地なりあるいは高等教育のあり方の柔軟化に非常に大きな役割りを果たすことを期待しているわけでございます。
 それとあわせて、この大学が広く既設の大学関係者の協力を得て、その連携協力のもとに最新の研究の成果あるいは教育技術というものを活用して大学教育を展開し、それによって既設の大学との間の単位の互換を推進したり、あるいは教員の交流を促進したり、さらにこの大学の放送教材が活用されることを通じてわが国の大学教育のあり方そのものの改善に大きく寄与することを期待しているわけでございます。御指摘のように、大学の改革あるいは生涯教育の観点から非常に重要な意義を持つものだと考えております。
○狩野委員 放送大学の構想については、昭和四十四年以来十年余りにわたって文部省それから郵政省などで調査、研究、検討を積み重ねられてこられ、そしてまた、わが自由民主党においても種々の検討を行ってきておりますが、ほかの新高等教育機関の設置と比較すると放送大学の創設が長期間を要しているということはなぜでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○佐野政府委員 御案内のように、わが国には三十年を超える大学通信教育の実績があるわけでございます。そういう実績を持ってはおりますけれども、放送を最大限に活用して新しい形の大学を設置するというのは、これまでになかった試みでございます。それだけに教育の内容、方法をどのようにするか、あるいは大学の運営のあり方をどのように考えていくか、さらにはこの大学の設置形態をどうするかというような点についてきわめて慎重な検討を必要としたわけであります。そしてこの大学が、いわゆる既設の大学によって大学として十分評価をされ、既設の大学の連携協力を得ることができますように、その検討に当たっては大学人の参加を求めて、大学人によるそうしたもろもろの問題点の検討をお願いすると同時に、NHK等の御協力を得て実験番組等も行ってきたわけであります。そういったことを通じてこの大学の構想の策定に日時を要したということが一つございます。
 さらに、そうした検討を経て構想が固まってきた段階で出てきた問題としては、この大学のあり方として、大学と放送局とを一つの設置者が同時に開設をする、いわば大学と放送局の両方の設置主体を同一のものとしたいということがございました。そのために特殊法人をもって設置をするということを構想したわけでありますが、特殊法人による設置ということがいわゆる特殊法人の新設を抑制するという全体の方針との関係もございまして、実際問題としてかなり難航してきたということがございます。
 さらに、放送を最大限活用いたしますので、放送法制との間の調整の問題もあったわけでございます。そういったことによって、これまで御指摘のように非常に長期の準備期間を必要としたわけでございますけれども、これまでの準備の過程を通じまして、現在お願いしているような形で大学をつくるということについての準備作業が終わっているわけでございますので、できる限り早期にこれをスタートさせたいと考えているわけでございます。
○狩野委員 情報化時代においては、テレビ、ラジオの放送を高等教育に活用することは時代の要請であると考えます。昨年団長が前文教委員長の坂本先生、副団長が木島先生という本委員会の委員による各国教育制度調査議員団が派遣されて、その報告書がここにありますけれども、この報告書の中で、イギリスのオープンユニバーシティーについて、大学の設置後十年を経過して一応成功との評価を受けていると述べられておりますが、このオープンユニバーシティーについてお聞かせいただきたい。
○佐野政府委員 御指摘の本委員会の調査議員団の先生方がおまとめになりました報告書でオープンユニバーシティーの実情は紹介されておりますが、この大学は一九六九年、昭和四十四年度に設立されまして、四十六年から学生を受け入れております。現在約二千五百人の教職員と約七万五千人の学生をもって、すでに約三万三千人の学生が学位を取得して卒業しております。昭和五十三年では、入学志願者が四万四千八百二十九人、二万人の定員に対して二万八百八十二人が入学者として登録されたと承知しております。この大学は、人文、数学、理学、社会科学、工学、教育研究の六つの学部を置きまして、百以上のコースが開設されております。これらのほかに、コースの開発研究をしたり、あるいは教育効果の評価を行う教育工学研究所と出版印刷通信等を行う部門が併設されております。さらに、学生の指導、カウンセリングのための十三の地区センター、二百六十の学習センターが設けられております。放送は、BBCの電波を使って行われておりまして、一週間当たりテレビで三十五時間二十五分、ラジオで二十六時間の放送が行われて、テレビ、ラジオを使っての学習の占めるウエートは全学習時間の一〇ないし一五%程度、印刷教材による学習の比重がかなり高くなっておるようでございます。なお、オープンユニバーシティーの主要な財源は、国からの直接補助金で総経費の八九%を占めていると承知しております。
○狩野委員 オープンユニバーシティーにおいて、その学習方法の中で、ただいまの御説明にありましたように、放送による利用の占める割合が一〇%から一五%と非常に少ないようでありますが、放送大学の学生の学習方法は、「放送大学について」という文部省大学局で出しておりますパンフレットによりますと、テレビ、ラジオの放送による授業を視聴するとともに、教科書それから参考書での自学自習、レポートの提出などが主体になっておりますが、実験や実習などについて学習センターでの授業にも参加することになる、そのようにこの中に述べられておりますが、放送大学の授業の中における放送のウエートはどのくらいになっておりますか。
○佐野政府委員 放送大学の構想におきましては、大学の学生はいわば普通の大学の場合の教室の授業にかわるものとして放送を聞くわけでございます。放送を視聴する時間と単位の計算との関係でございますが、この大学のこれまでの構想の検討の過程におきまして、一科目について一回四十五分の番組を毎週二回、十五週にわたって延べ三十回、時間数にして二十二・五時間を視聴することによって四単位を取得することができる、そのような構成になっております。したがって、四年間で卒業するとした場合には、毎学期放送の視聴によって八ないし十単位の取得が必要でございますから、毎週四十五分番組を四回から五回視聴する必要がございます。したがって、毎日にすれば四十五分番組を一回程度視聴する必要があるということになります。
 放送大学の教育は、いま御指摘のようにこうした放送による授業のほか、教科書による自学自習、学習センターにおける実習、演習等の各種の教育方法の組み合わせによって行われるわけでございますから、こうした放送の視聴のほかに、毎日一時間程度は教科書によって自学自習をする必要がございますし、さらに毎週一回程度学習センターに出席をして、いわゆるスクーリングを受ける必要があるわけでございます。
 このような状況でございますから、通常の大学の教室の授業に相当する学習のウエートにつきましては、放送の視聴が約三分の一、スクーリングへの出席が約三分の一、教科書による学習が約三分の一といった割合の学習量になるものと推定をされているわけでございます。なお、このほかに準備学習を行うことになるのは通常の大学の場合と同様でございます。
○狩野委員 放送大学構想については、本委員会の放送教育小委員会は、昭和五十三年十二月二十一日の嶋崎譲小委員長の報告の中で、放送の設置形態として三方式が考えられるが、大学と放送局を一体のものとして設置する特殊法人方式によらざるを符ないものとされておりますが、イギリスのオープンユニバーシティーの場合は、放送はBBC放送が担当しているというふうに聞いておりますが、わが国の場合なぜ放送大学の放送をNHKが担当しないのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
○佐野政府委員 放送大学の構想が検討される過程で、NHKが放送部門を担当するということについて積極的な御意向をお持ちになった時期があったことは事実でございます。ただ、この大学は放送をもって大学教育を行うわけでございますので、大学の教育研究の自由の問題と放送専業者の番組編集の自由の問題がきわめてむずかしい問題になり、その調和を図りながら教育を進めなければならないという問題がございます。したがって、放送大学の教育内容をNHKの電波を利用して放送するということにつきましては、そうした大学の方の教育研究の自由の問題とNHKの方の番組編集の自由との調和を図るという観点からするとやはり無理がある。一つの設置主体が大学と放送局をあわせ有する、その形態のもとで両者の調和をできるだけ図っていくということが望ましいということから、特殊法人を設置主体としていこうということになっているわけでございます。
 なお、オープンユニバーシティーの場合にはBBCが放送をしているわけでございますが、BBCの場合におきましても、実態上の問題として、やはり大学側の学問の自由、大学の自治と放送事業者側の番組編集の自由との間の調整に問題なしとしない事態が生じているようでございます。
○狩野委員 放送大学の学生は社会人やそれから家庭婦人などが大体対象になるようでありますが、放送時間帯がおおむね朝六時から夜の十二時まで十八時間という時間になっているそうでありますけれども、仕事の都合その他の理由で放送の継続視聴が困難な場合が考えられると思います。そういった場合、その対策について何かお考えがおありでしょうか。
○佐野政府委員 放送大学の構想について検討いたしました調査研究会議が取りまとめたいわゆる基本計画におきましては、いま御指摘のようないろいろな都合で所定の放送時間に放送を視聴できなかった人のために、それを補う手段としてビデオセンターを設置するということを提案をいたしております。放送大学の実際の準備をこれから進めていくわけでございますが、この際にも、各都道府県に学習センターを設置するわけでございますが、その学習センターにビデオを置いていわゆる再視聴が可能になるようにする、あるいは必要に応じてさらに各地の公民館等にビデオセンターを併設する、それによって大学の学生に再視聴のための便宜供与を図るということが検討されております。
 さらに、放送大学の放送時間は、御指摘のように一日十八時間を予定しているわけでございますが、その時間の中で時間割りを編成する際に、特にお昼の時間等を活用いたしまして、朝早くあるいは前の日の夜に放送した番組を再放送するというようなことも考えているわけでございます。
○狩野委員 時間的、経済的、地理的理由によって通常の大学教育を受けられない方の中には、すでに大学の通信教育を受講している人がたくさんいると思います。放送大学の設置について、そういった大学通信教育の関係者などといろいろ検討をなされたと思いますけれども、この放送大学設置についてどのような意見を述べておられるか、教えていただきたいと思います。
○佐野政府委員 大学局で放送大学設置に関する調査研究会議を設けて検討に入った四十七年の初めのころには、卒直に申しまして、私大の通信教育の関係の方々からは、放送大学の構想に対して消極的な御見解が述べられた時期がございます。その後、この調査研究会議にも私大通信教育の関係の方々に御参加をいただく等をいたしまして、十分に意見を伺ってまいったわけでございます。そうしたことを通じて、現在では、基本的には私大通信教育の方も放送大学構想の意義を評価する、そういう立場に立って個別の問題について放送大学の構想を進めるに際して検討してほしい、考えてほしいという御意見が出ているわけであります。
 具体的に申しますと、一つは、放送大学の運営に協会側の意見が反映されるようにしてほしい、さらに、放送大学の放送事業について利用を放送大学で独占しないで、通信教育を実施する大学の利用もできるようにしてほしい、それから放送大学の施設、特に学習センターについて通信教育を行っている大学でも利用できるようにしてほしいということがございます。さらに、私大通信教育の振興策の改善充実を図ってほしい、放送大学についてだけ力を入れるということではなくて、同じように私大通信教育も機能しているのであるからそれについて十分な振興策を考えてほしいということと、もう一つ、放送大学の設置基準を考えていくわけでありますが、その際に通信教育との関連にも留意をして、放送大学、通信教育を通じて適正な基準を決めてほしいというような御意見があったわけでございます。文部省としては、放送大学の運営に当たりましても、また私大通信教育の今後の振興につきましても、こうした私大通信教育協会の御意見というものを十分に尊重して取り進めてまいりたいと考えております。
○狩野委員 従来果たしてきた大学の通信教育の役割りを考えれば、既存の大学通信教育にも放送大学の放送を利用させるなど、ただいま御説明があったように両者の協力を図るべきだと考えております。
 次に、今国会には別途放送法の一部改正案が提出されておりますけれども、放送大学学園法案の提出に際していままでどのような検討が行われてきたか、お聞かせ願いたいと思います。
○佐野政府委員 放送大学は放送をもって教育を実施するわけでございますので、放送法について所要の手当てをする必要があることは当然でございますが、その放送法の改正をどのような形で行うかということにつきまして前国会でも御論議のあったところでございます。したがって、法案をこの通常国会に提出するに当たりましても、放送法の改正の取り扱いにつきましては、放送法の所管省である郵政当局と事前に相談をしたわけでございますが、やはり学園が行う放送の位置づけなどの規律に関する放送法の改正につきましては、放送大学学園の目的業務と密接不可分な関係にあるということで、従来どおり放送大学学園法案の附則によって放送法上の必要な改正を行うことが適切であるという判断に達しました。そのことから前通常国会に提出をいたしました法案と同じ法案で提出をいたしたところでございます。
○狩野委員 放送大学の放送については、この法案の附則の放送法の改正によって放送法の第四十四条第三項の適用を受けることと思われますが、放送大学の学問の自由と放送法の第四十四条第三項との調整はどのようになりますか。
○佐野政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、その点が一つ非常にむずかしい問題になるわけでございます。これに対する考え方としては、一つは先ほど来申し上げておりますように、同一の法人が大学と放送局とをあわせて設置をする、この構成のもとで大学と放送局が密接な連携を保つ、そして放送番組の制作に際しましても、放送大学の側と放送局とが十分に協力をして放送大学の側において放送の中立、公平の趣旨に十分留意をして取り進める、それによって学問の自由あるいは教授の自由の本質を損なうことなく、また放送事業者の側の番組の自主編成の立場をも十分に貫きながら対処できるものと考えているわけでございます。
 具体的には、四十四条三項で問題となりますのは「政治的に公平であること。」という二号の規定と、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という四号の規定でございます。四号の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という規定につきましては前国会でも非常に御議論がございましたが、意見が対立している問題について論点を明らかにする方策、これについて特に法律に規定があるという点におきましては、講義の方法に対する一つの制約ではあるわけでございますが、本来意見が対立する問題についてできるだけ多くの角度から論点を明らかにするということは、一般の大学における講義にあっても十分留意されてしかるべきことでございますから、問題は、それから進んでそのことが講師の学問的な見解を述べることまでも禁止しているかどうかというところにあったわけでございます。このことにつきましては、私どももまた郵政当局も、さらに前国会に御出席になった参考人の先生方も、この規定はそこまで禁止しているものではないと解するというようにおっしゃっておいででございました。したがって、この規定によって学問の自由が損なわれるということはなかろうと思います。
 その次の「政治的に公平であること。」これは講師が自分の学問的な見解を述べることと抵触しないかどうかという点が問題になります。この点については、やはり放送大学の側において教育内容に適切な自制をする、大学の教育の内容の問題としてみずから自制をするという対応をしなければなりませんし、そのことは大学自体の問題として大学によって行われることでございますから、学問の自由を損なうことなく対応できることと考えているわけであります。
○狩野委員 この放送大学学園法案が成立して放送大学の設置が認められたときに、この放送大学の第一期計画として関東地域の一部、つまりおおむね平塚、青梅、館林、土浦、木更津といったほんの一部の地域のみが対象になるということでありますけれども、これはどういうことでしょうか、伺いたい。
○佐野政府委員 放送大学の構想は最初にも申し上げましたように、何分にも初めての試みであり、影響するところのきわめて大きな事業でございます。したがって、その取り進め方については十分慎重を期する必要があるわけでございますが、「放送大学の基本構想」、基本計画を取りまとめた調査研究会議が、まず放送大学のスタートに当たってどのような地域を対象とすべきかについて意見を述べております。それによりますと、学習希望者の実際の就学状況が明らかになり、将来の拡充方針を決定するに足る一切の資料が得られるような内容、規模の事業を実施することを目標として、その目標を達成することができる範囲内で、電波網の整備に要する経費が過大とならず、しかも各種の資料ができるだけ豊富に得られるような地域を対象とする、そういう考え方を述べておられるわけであります。文部省といたしましてはこのような基本計画の考え方に沿いまして、送信所として東京タワーが利用できるということも考え、まず、いま御指摘のような関東地区を第一期の計画の対象地域とすることといたしているわけでございます。
○狩野委員 この放送大学に対する国民の要望は非常に大きなものだと思います。そういうことを考えた場合に、大学教育の機会に恵まれない東北や四国などこそ速やかにこれを拡大して、全国的な整備を急ぐべきだと考えております。そこで、放送大学の第二期以降の拡大計画などについてお聞かせいただきたいと思います。
○佐野政府委員 この点は前通常会におきましても各先生方から非常に厳しくお尋ねのあった点でございます。率直に申しまして、第二期以降の拡大計画をどのように策定するかという点につきましては、これは高等教育の計画的整備の問題とも深くかかわりますは、また、放送衛星をどのように活用するかというような点ともかかわってまいるわけであります。したがって、現時点で具体的な将来計画を示すことがきわめて困難な事情にあるということを御理解いただきたいわけでございます。
 なお、前国会におきましては、そういう事情のもとにあることを御理解願いたいということをお願いしながら、第二期以降の拡充計画については、いわゆる後期の計画に引き続いて六十一年からさらに十年程度のスパンで次の高等教育の計画的な整備を行わなければならないわけであるから、その次の高等教育の整備期間中には放送大学の教育網、放送網の完成を期したいということをお答え申し上げたわけでございます。このことについては、それでは余りに期間が長過ぎるというおしかりをちょうだいいたしているわけでございますが、現時点ではそれ以上に具体的な計画を申し上げることがきわめて困難だということを重ねて御理解をいただきたいと思います。
○狩野委員 ただいまのお答えの中で放送衛星の問題が出ましたけれども、放送大学の放送網を整備する場合の放送衛星の利用についてお答えいただきたいと思います。
○佐野政府委員 第一期の計画ができるだけ早くスタートすることを願っているわけでございますが、いま私どもが考えております五十八年学生受け入れという段階で、放送衛星をその第一期の計画に組み込むということは実際問題としてむずかしかろうと私は思います。したがって、放送衛星の活用の問題は第二期以降の拡大計画の場合の課題になるわけで、その段階になりますと、放送衛星を利用するということについてはもちろん積極的に検討する必要があると考えております。
 ただ、その場合に放送大学のプログラムの中に放送衛星をどのような形で取り入れていくのか、つまり衛星と地上局との組み合わせをどのようなものとして取り進めていくかにつきましては、今後郵政省その他関係省庁と十分に検討しなければならない課題でございますけれども、方向としては、第二期以降の拡充計画の際には衛星の活用について十分配慮をする必要があると考えているわけであります。
○狩野委員 この放送大学設置は、時間的、地理的、経済的理由によって既存の大学に学ぶことのできない高校新卒者を初めとして、広く社会人、家庭の主婦の再教育の機会として、老人の生きがい対策の一環としてもその役割りは非常に重要であろうかと思います。実は私の地元の茨城においては、茨城大学の工業短期大学部に大正六年生まれの当時六十歳の方が入学しているような例もありまして、生涯教育の場としてこういった放送大学で広く学ぶ機会を持ってもらうということが大変必要ではなかろうかと思います。それだけに広範囲にわたって高等教育を受けることができるように、全国各地においても国民平等に高等教育を受けられるように関係各位の方々の努力をお願いいたしまして、まだ時間は短いのですが、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○谷川委員長 次回は、来たる五月七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五分散会