第093回国会 科学技術委員会 第5号
昭和五十五年十一月十三日(木曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 中村 弘海君
  理事 小沢 一郎君 理事 小宮山重四郎君
   理事 椎名 素夫君 理事 塚原 俊平君
   理事 日野 市朗君 理事 八木  昇君
   理事 草野  威君 理事 吉田 之久君
      金子 岩三君    佐々木義武君
      登坂重次郎君    前田 正男君
      村上  勇君    与謝野 馨君
      上坂  昇君    村山 喜一君
      吉浦 忠治君    和田 一仁君
      瀬崎 博義君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中川 一郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     下邨 昭三君
        科学技術庁長官
        官房審議官   高岡 敬展君
        科学技術庁計画
        局長      園山 重道君
        科学技術庁研究
        調整局長    勝谷  保君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   赤羽 信久君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  後藤  宏君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    小森 清美君
        法務省人権擁護
        局調査課長   水流 正彦君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  西中真二郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     逢坂 国一君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団副
        理事長)    金岩 芳郎君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      中島健太郎君
        科学技術委員会
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月四日
 辞任         補欠選任
  上坂  昇君     上原 康助君
同日
 辞任         補欠選任
  上原 康助君     上坂  昇君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○中村委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する件について、本日、参考人として、動力炉・核燃料開発事業団副理事長金岩芳郎君及び同理事中島健太郎君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
○上坂委員 初めてですが、海洋開発についてちょっと伺ってみたいと思うのです。
 海洋を人類に役立つように利用するということが海洋開発の定義だとする人がおりますが、科学技術庁としてはどういう定義をつけておられるか、お伺いをいたします。
○勝谷政府委員 お答えいたします。
 私ども、海洋開発については、以下のような定義で一応海洋開発科学技術を進めておるわけでございます。
 海洋というこの広い空間自体及びこの空間に包蔵されておりますマンガンノジュール等の鉱物資源、さらに水産資源、海水資源、さらにエネルギー資源などの各種の資源を、近年における科学技術の進歩発展を基礎といたしまして、全体としてより合理的に利用するための活動ということにいたしております。
 海洋開発はきわめて広範多岐な内容を含むものでございますが、主として次の二つに分類することができると考えております。
 第一は、革新的な利用の領域でございます。これは、近年の海洋に関する科学技術が進みましたその成果を駆使することによりまして、従来の利用形態とは全く異なった新しい利用の分野を開くものでございます。先ほど申しましたマンガンノジュールは数千メートル下の海底にございますので、従来は採掘が不可能でございましたが、近年の技術でこれが採掘できるようになる。さらに海水の淡水化も、最近の技術で淡水化ができるようになる。その他潮流、波浪発電などの海洋エネルギーの利用とか、海洋空間を生活活動とか流通活動の場として利用する。海底の水深五十メートルぐらいのところの海を陸地の延長として利用することも、従来の技術では不可能でございましたけれども、最近の技術では、海上空港ができるようになったというようなことが新しい領域でございます。
 第二の領域は、拡大的利用の領域ということでございまして、これは従来も利用しておりましたけれども、科学技術の進歩発展、経済社会の要請に応じまして、従来から行われていた伝統的な利用形態を改良いたしまして、これを拡大するものでございます。これには、従来、天然の魚をとっておりましたものを、最近では栽培漁業などで、新たに人間がリサイクルをして魚をわがものにするという領域でございます。
 以上のような海洋開発の総合的な推進を図るために、科学技術庁といたしましては、海洋開発審議会の事務局としての立場、さらに政府全体の海洋科学技術開発の総合調整とか、海洋科学技術センターを中心としました各種のプロジェクトの実施によりまして、このような方面での海洋開発のための共通技術、基盤技術の開発を進めているところでございます。
○上坂委員 一つは、従来のいろいろな経験とか技術、発展をしてきたいろいろな要素に基づいて、それをより利用して発展をさせていくという形で、いま言われました四つの分野におけるところの開発を図っていくということでありますが、海洋開発というのは、いまの鉱物資源あるいは水産資源、海産、そしてエネルギー、あるいは海洋空間の利用、そうしたものを進めていく場合に、これが産業として成り立つものかどうか、この点について御説明をいただきたいと思うのです。
 海洋開発産業という言葉がときどき本に出てきます。産業という形で成り立つとするならば、そこには当然経済性というようなものが加わってくるし、また人間の社会発展のためにどういうふうに利用され、どういうふうに役に立っていくかというような問題が出てくるのではないかというふうに思います。
 そこで、いまお話があったようなものが産業として成り立つとするならば、そういうものを産業的に分類をすると、またいま言われたような形に分類できるのかどうか、この辺も含めて御回答いただきたい。
○勝谷政府委員 まず第一点の、海洋開発は産業として成り立つかということでございますが、海洋開発につきましては、従来から漁業とか海運という大きな面がございます。これは伝統的な面でございますが、こういう伝統的な分野におきましては、産業としてすでに発展してまいっておりますし、それぞれの分野において企業が相当活躍しております。日本は、漁業の分野、海運の分野では、世界にある種の地位を占めているということでございます。
 一方、先ほど申しました革新的な分野におきましては、実は昭和四十年代に入りまして、革新的第一カテゴリーの分野におきましては、海底資源の採取とか海洋の構造物についての新たな技術の芽生えが見られたことから、海洋開発に対する意識が高揚を見ました。当時、各資本系列が、それぞれの海洋開発の会社を次々につくっていったことは、先生御存じのとおりでございます。
 こうした海洋開発に対します大きな期待感のもとで、海洋開発に関連します民間企業が多く誕生したわけでございますが、海洋開発につきましては、御存じのとおりに、海中におきましては電磁波の到達が困難でございます。これは通信手段が非常に厳しいということでございます。さらに、海水によります材料の腐食とか生物の付着、さらには、海中は基本的に下がれば下がるほど温度が下がっていきますし、真っ暗でございますし、非常に高水圧の条件に耐えなくてはならないというような、陸域では考えられませんような、経験されないような条件が各種存在しますので、これに十分に対処し得るまでには至らない分野が多くございまして、志半ばで挫折した企業が次々に出たわけでございます。さらに、昭和四十八年のオイルショック以降、実は四十八年までにそういう状態が次々に進んだのでございますけれども、この四十八年のオイルショックでさらに拍車をかけて、海洋開発活動が沈滞するという状況が続きました。
 ところが、近年になりまして、資源有限という意識が高揚してまいりましたし、海洋開発に対します期待が国際的にも高まってまいりました。これは、国連の海洋開発会議がいよいよ最後の結論を見ようとしております。
 こういうふうな状態で、一方、海洋開発技術も逐次進んでまいりましたし、大陸棚におきます石油資源の開発とか海上空港の利用等、新たな分野においても何かやらなければいかぬということで、こういうプロジェクトの進展とともに、産業としても逐次そういうものが出始めておるというのが実情でございます。
 第二の御指摘の点をお答え申し上げますと、実は海水海底資源の利用でも、海洋開発審議会で答申がなされておりますが、海水の中に溶けておりますウランの回収問題につきましても、現状では実験室規模での実験段階でございますけれども、これが一九九〇年代には実用化プラントによる生産を開始する、さらに二〇〇〇年代になれば実用化に向くのではないか。さらに、四千メートル以上の深さのところにございますマンガン団塊につきましても、現在はやっと試験的な採取に成功している段階でございますけれども、二〇〇〇年にはこれから年に千三百万トンの採取が可能になりまして、この中に含まれておりますニッケルにつきましては、わが国のニッケル消費の四〇%を占めるというような状態でございますので、場合によりましては、こういう分野での産業に与える影響はきわめて大きいということが考えられますし、採算性もとれる分野が出てくるわけでございます。
 後ほど、海洋エネルギーその他御質問に応じてお答えいたしますが、とりあえずお答えをこれで終わらせていただきたいと思います。
○上坂委員 海洋開発は、いわゆる企業的な採算ベースになかなか乗らないという形が、過去ずっと出てきたと思うのです。したがって、これからもお金がずいぶんかかるし、開発してそれを利用するまでの間は、たくさんの解決しなければならない問題を含んでいると思うのですね。これは宇宙開発なんかとも関係がありますし、また海洋のいろいろな悪条件等、それを克服するいわゆる材質、そういうものが新しく考え出されていかなければならないような状況であると思うのです。したがって、簡単に言って、やはり従来どおり一般的な企業としての成立といいますか、そういうものが非常に困難ではないかというふうな感じがします。そこで、どうしても国家的なスケジュールの中でこの研究開発というものが進められていかなければならない。
 そこで、企業が、いまおっしゃったようなマンガン団塊等の開発あるいはその他のウランの回収であるとかなんとかに乗り出すにしても、国がそれをどういうふうに助長していくかということが非常に重要なファクターを示してくるのではないかというふうに思うのですね。そういう点でどういうふうな考えを持っておられるか、お答えをいただきたいと思うのです。
○勝谷政府委員 まず、一般的に申しまして、先ほども触れたのでございますけれども、伝統的な海運とが漁業等につきましては、従来も共通的、基盤的な技術は、国の試験研究機関なり国の行政機関からの補助金、試験の結果の技術の付与等々を基盤として、あの海運とあの漁業が進んでまいりましたし、現在もそのような状態で進んでおりますので、一般企業があるとともに、その基礎には国の強力な助成があるから日本は海運並びに漁業で世界に冠たるものの地位を築いていると私どもは考えております。
 一方、新しい革新的分野につきましては、それぞれの分野で企業の出方によるわけでございますけれども、たとえば大陸棚における石油の開発等につきましては国が全面的にやるというよりも、それに必要な基盤的な調査、共通技術、そういうようなものは私どもの方で開発をし、計器等も共通のものをつくるための努力をしなければいかぬと思いますけれども、やはりそういうものにつきましては各企業がすでに進出をしておりますし、今後もそういう面で進んでくるのではないかという気がいたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、新しい海洋開発技術の開発とか海洋調査、こういう共通的、基盤的なものは国がやるべきであるという立場に立っております。従来もそういう方向を進めておりましたが、今後もそれを進めてまいる予定でございます。
 一例を申し上げますと、五十五年度のそういう数字につきましても、実は四百二十三億の予算がすでに各省で計上されておりまして、これは前年度に比べまして二六%の伸びでございました。ことしも予算要求を目下いたしておりますが、予算要求は、全体の伸びが低いこと、先生御存じでございますか、この分野については六十数%の伸びが各省から出されているということで、基盤的、共通的な海洋開発技術の開発については各省非常に熱意を持ってやっておる、科学技術庁が総合調整をいたしておる問題でございます。
 そういう状態であることを御披露いたしたいと思います。
○上坂委員 予算的にも非常に多くなって、ことしの予算要求でもまた六〇%以上要求をしているということを聞いておりますが、研究開発に大きな資金を投じていくということがこれからの状態において非常に必要だと思います。
 とにかく海洋というのは、日本だけのものではないということは申すまでもありません。これは全人類のものでありますから、いまおっしゃられたような調査、共通的な技術の開発というものについてやっていくのはいいのですが、海洋開発審議会の答申にこんなふうに指摘されておりますね。
 それは、「このように重要な海洋開発の役割を実現するためには、明確な目標設定の下に、組織的かつ計画的に施策が積み重ねられなければならない。」こう出ています。
 そして、開発利用というものと環境保全というものが一体化されたものとしてとらえられていかなければならない、こういう指摘があるわけでありますが、この海洋開発の内容と申しますか、どういう具体的な目標設定をしているか、これについて御説明をいただきたい。
○勝谷政府委員 海洋開発の内容でございますが、たびたび申して恐縮でございますけれども、昔から海洋は交通輸送の場としての海洋、さらに食糧としての海洋生物資源を確保する場としての海洋、これがございまして、これは昔から日本としては最大の活用をしてまいったところでございます。しかし、くどいようでございますが、近年に至りまして人類の社会経済活動は急激に増大いたしまして、陸域の空間とか資源のみではこれが不足するということが予測されるようになりました。
 さらに一方では、海洋に関する技術の開発も進展いたしまして、従来われわれの手に及ばなかったものを人類のものとすることができる状態になってまいりましたので、海洋に賦存いたします豊富な資源とかエネルギー及び広大な空間の開発利用が期待されるに至ったわけでございます。
 また、このような開発利用を進めるに当たりましては、いかに海洋の自然環境との調和を図っていくかという海洋環境保全も海洋開発の一環をなすものでございます。
 海洋開発審議会の第一次答申を見ていただきますとわかりますように、海洋保全との調整を図った上での海洋開発ということが当然の前提であるということが言われておりまして、政府としては、そのような前提でこの答申を出しているわけでございます。
 具体的には、海洋環境の保全を図りつつも、海域の総合利用、海洋調査研究の充実、共通技術開発、基盤整備、国際調和を図りながら、四つの分野、第一は海洋生物資源の開発、第二は海水海底資源の開発、第三が海洋エネルギーの開発、第四が海洋空間の開発利用、この四つの分野で開発を進めるということになっておりまして、それぞれについて、現状に対して一九九〇年代、二〇〇〇年代はかくあるべしという数字を挙げているわけでございます。
 これに向かっての施策としていかにあるべきかということを、さらに施策として展開していることは御存じのとおりでございます。
○上坂委員 そこで、わが国の海洋開発というのは、世界の先進諸国に比べてどの程度に進んでいるのか、どんなふうな位置にあるのか、御説明をいただきたい。
○勝谷政府委員 わが国は四方海に囲まれまして、昔から海に親しんだところでございますので、伝統的な海運とか造船、さらに漁業の分野につきましては、世界的に高い評価を受けております。
 近年の科学技術の発展あるいは海洋調査の進展に伴いまして、新たな大陸棚の天然資源の開発とか深海底の鉱物資源開発、さらには栽培漁業というような新分野の海洋開発が可能になりましたこの現状におきまして、これをどのように開発していくかという新たな問題についても、先ほどから申し上げますような審議会の答申の線を受けまして、海洋科学技術センターを中心としてわれわれは鋭意進めているところでございますが、残念ながら世界的な水準と申しますと、アメリカがわれわれよりも最も進んだ状態で海洋開発に手をつけていると言わざるを得ないわけでございます。
 一九七〇年にアメリカにおきましては、商務省に海洋大気局、NOAAと申しますが、これを設立いたしまして、総合的に海洋開発に取り組んでおりまして、現在のところ海洋開発の面で世界を最もリードしております。
 次はフランスでございまして、フランスは一九六七年に国立海洋開発センター、CNEXOというのを設立いたしまして、積極的に研究開発に取り組んでおります。
 わが国におきましても、先ほどから申し上げるような線で進めておりますが、われわれはまあ常識的に言って第三位ぐらいで、いま一生懸命やっているというところでございます。
 ちなみに若干の数字を申し上げますと、一九七九年の予算額でございますが、NOAAが千七百九十九億円という数字に対しまして、フランスが約百億円、わが方が、先ほど申しました全省庁の大きな数字で五百億でございますけれども、われわれ狭義の海洋科学技術センターの予算規模から言いますと、残念ながら百億に満たないわけでございますので、フランスと同等、または若干下回るという状態でございます。
 人員につきましても、米国は一万三千人程度、フランスが三百三十人前後、わが方がそれに対して百人をちょっと上回っているというのが実情でございます。
○上坂委員 まあそれでも三位ですから、大したものだと思いますかね。
 そこで、いままでの分野、海運とか漁業とか、これは世界的であって、世界一を自負しても一向差し支えないような状況だろうと思いますが、いわゆる革新的分野における問題としては、アメリカやフランスに追いつき追い越せという形でいま努力をしている段階である、こういうふうに受け取ってみたいと思います。
 そこで、鉱物資源の開発利用あるいは海洋の汚染防止、またいまいろいろ言われました環境保全等、そういうもののデータを整備するためにいろいろな方法を使われておるわけでありますが、まず石油の分布状態にしてもマンガン鉱の問題にしても、海底状況の調査、特に深海底の調査が不可欠であると思います。
 そこで、調査をするための潜水調査船の建造ということが、これからの大きな課題にならなければならない。いま二千トン級の潜水調査船を建造中である、来年度あたりにこれを就航できるような状況になっているというふうには聞いておりますが、その辺、日本の状況というのはどんなになっているか。そしてまた、これからなお四千メートルあるいは六千メートル以上の深海底に対する調査を進めるための潜水調査船の建造、非常に大きなお金がかかると思いますが、一体どのくらいの建造費になるのか、そういうことを含めて、日本の状況をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
 それからもう一つは、世界ではかなりいま進んでおりまして、聞くところによりますと、六千メートル級の潜水船あるいは一万一千メートル以上の海溝についての調査もできるような船ができているというふうに言われておりますが、この辺の世界的な動きといいますか発展状況、これらについて御説明をいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 潜水調査船につきましては、まず世界史上で最初に一九六〇年代に、フランスにおきまして一万一千メートルの深海まで潜水可能な潜水調査船が製作されました。これは海溝、海の一番深いところでございますが、海溝の調査等に活用されまして、現在は廃船になっております。
 しかし、その後、科学技術の発展及び深海の調査に対する需要が増大いたしまして、より調査性能がよくて行動範囲の広いものが求められるところとなりまして、フランスと米国において、調査性能、行動範囲において従来のものよりすぐれた、六千メートル級の新型潜水調査船が開発されておるわけでございます。
 これに対しまして、日本は、現在最新の技術を駆使しまして、しかも国産技術を中心といたしました、二千メートルまで潜水可能な潜水調査船システムを開発中でございまして、これは先ほど先生御指摘のように、五十八年に就航をいたすわけでございます。将来は、計画といたしましては、この製作経験の上に立ちまして、さらに調査活動の経験を踏まえまして、六千メートルまで調査が可能なものを開発しようかという計画を持っているところでございます。
 わが国で従来から使いました船は、最初「しんかい」という船を昭和四十四年から五十二年まで、六百メートルまでもぐれる船で海底の生物探査を中心として進めてまいりましたし、民間では「はくよう」という船が四十六年から運航しております。これは三百メートル級でございます。さらに「くろしお二号」というのは、北海道大学が三十五年から使って、いまは退役いたしておりますが、これは二百メートル級でございました。日本の海溝調査をいたしましたものとしては、フランス海軍のバチスカーフ、四千メートル級でございますが、これが昭和三十三年に日本海溝を調査いたしておりますし、さらに、アルキメデスというフランス海軍の一万一千メートル級のものが昭和三十七年に日本海溝で九千五百メートルまで潜航調査をいたしております。
 したがいまして、私ども、とりあえずは日本の国産技術で二千メートルのものを完成いたしまして調査をいたしますが、あわせて、必要な調査は、従来もこのようにやってまいりましたし、世界的にもこの種の船はいままでつくられましたのが十八隻でございますので、これにはソ連とかその他の国のものも含まれております。したがいまして、私どもとしては、必要な船を相互に利用し合って、国際協調のもとに世界の海底調査を進めていくということになるのではないかと思っております。
 建造費はマル債で七十五億円でございますが、大体これぐらいの予算で仕上がるものと思っております。六千メートル級になりますと、これを相当上回るという見通しでございます。
○上坂委員 いまのバチスカーフの調査とかそれからアルキメデスの調査の資料というものは、フランスからもらってこちらで十分利用できるわけですか。
○勝谷政府委員 当時、共同調査をいたしました大学等の資料として残っていると考えていますが、はっきりしたことをここでお答えするだけの資料を持ち合わせておりません。後ほどよく調査いたしまして、先生の方に御報告いたしたいと思います。
○上坂委員 もう一つは、いま日本でつくっている二千メートル級は大体何型と言うのですか。いわゆるアルビン型とかバチスカーフ型とかと言われておりますが、これからつくるのはどういう方向に進むのですか。
○勝谷政府委員 御指摘のアルビンタイプでございまして、今後のものもアルビンタイプだそうでございます。
○上坂委員 二千メートル級のわが国の潜水調査船が動くと、答申には、二百海里水域の約三〇%しかカバーできないと書いてあるのですね。しかし、水深六千メートルでいくと、大変な領域にわたって調査ができると書いてあるわけですが、六千メートル級については何年ぐらいの目標で考えておられるのですか。
○勝谷政府委員 関係者は、二千メートルが就航すれば、能力としてはありますので、直ちにいたしたいということでございますが、何せ予算との関係もございますし、海洋開発に関するプロジェクトは次々に申し出がございますので、そこらの均衡を図りながら進めていくことになろうと思います。三年ぐらいの間に大体着工をしなければならぬと思っておりますが、そこらが、いま申しましたような他との関連がございますので、はっきり申し上げる状態にないことをお許しいただきたいと思います。
○上坂委員 もう一つ、海洋開発の問題についてお聞きしますが、昭和五十三年から海洋牧場計画というのがスタートしていると聞いておるわけであります。この内容について御説明いただきたいと思います。
○勝谷政府委員 この計画を説明いたします前に、恐縮でございますが、この計画が出ました前提の数字を、海洋審の答申でちょっと申し上げます。
 海洋生物資源に対しましてわが国の現状は、総需要として約一千万トンをいま海洋生物からとっているわけでございます。これが、二〇〇〇年には千三百万トンないし千六百万トンが、国民の生活水準維持のために必要ではないかという推定でございます。この中で、今後のことを考えますと、従来外国の二百海里水域で三百五十万トンとっておりましたものを、今後はそこからとるわけにいかなくて、逆に二百万トンに落とさざるを得ない状態でございます。外国からの純輸入はいま十万トンでございますが、これを百万トンの十倍にふやすけれども、足らない分野はすべてわが国の二百海里水域と公海からふやす。特に二百海里水域の中で、いま六百万トンであるものを九百万トンないし千二百万トン、約倍にしなければならぬという前提の数字がございます。
 このような背景を踏まえまして海の環境を制御いたしますとともに、魚介類を高度に管理する、そしてわが国の周辺海域の水産資源の飛躍的増大を図る技術、いわゆる海洋牧場技術の開発が必要ということになってまいりました。
 この海洋牧場は、人間の目的にかなった生物を、生産性の高い漁場のもとにこれをつくっていく。かつ、生産性を維持していくための施設といたしましては、漁場利用のルールの整った海域をつくり上げまして、この中では、魚介類がなるべく死なない、生き残る魚介類の高いものをつくるような管理技術をここでつくり上げる。さらに、水の環境を、魚介類に最も適したものとするための制御技術、さらに魚介類そのものを多く生産するための技術、さらには魚介類の病気を除去するための技術、このような各種の技術を、それぞれの研究機関で研究しました成果をこの海域に集中いたしまして、海洋牧場をつくり上げるということのようでございます。
 現在、海洋牧場を目指しましたプロジェクトといたしましては、農林水産省において、先生御指摘の、マリーンランチング計画、近海漁業資源の家魚化システムの開発に関する総合研究が進められておりまして、海洋生物資源開発の観点からも最も重要なプロジェクトでございまして、その成果が期待されておるところでございます。五十四年から六十三年の研究期間で、五十五年度の予算額は二億八千四百万円でございますが、これを逐次進めてまいっておるようでございます。
 研究参加機関は、水産庁の各水産研究所の総力を挙げ、さらに各県の水産試験場がこれに参画するという形のものでございます。たとえば九州では鹿児島県の鹿児島湾、有明海、筑前の海等の海域が想定されている模様でございます。
 上記のプロジェクトによりまして、中高級魚介類が五十ないし百万トン増産ができるという目標を置いているようでございます。
 以上でございます。
○上坂委員 よくハマチの養殖なんかの問題かありまして、イワシをいっぱい食べさせるよりは、ハマチをつくるよりは、そっちの方を人間が食べた方がよっぽどいいのじゃないか、何も高いものをつくってやる必要はないだろうなんということもありますが、こういうものもそういう中に入るわけですか。こういうものはすでに技術ができているから、これは入らない、こういうことですか。
○勝谷政府委員 先ほど申しました、大きな意味の栽培漁業の中には入ってまいります。したがいまして、瀬戸内海で従来からやっております栽培漁業、先生御指摘のようなものも進めることによって二百海里内の魚介類の生産をふやすわけでございますけれども、いま申しますのは、それよりももうちょっと進んだ、一つの海を完全に人間のものとして制御する、そういう形の新しい近代技術を駆使した、農林省としても意欲的な海洋開発システムのようでございます。
○上坂委員 カツオの養殖技術とかというふうなことも聞いておりますが、いまいわゆる低レベルの放射性廃棄物を捨てようとしている海域等には、マグロ、カツオの非常に大きな産地といいますか漁場ですね、そういうものをもっと日本の方に近づけて、そしてそこでカツオを養殖するというようなことを考えていると言われる。そんなのもやはり含まれるのですか。どういうものなんですか。
 それからもう一つは、いま湾内で栽培の技術を研究する、それからこれは外洋といいますか、湾内じゃなくて外洋でやる場合には、そういうものが一体可能なのかどうか。その辺についても御説明願いたい。
○勝谷政府委員 技術として開発されますれば、それが応用されることは、いかなる技術も普遍性があるわけでございますが、ここに申します海洋牧場システムというのは、先ほども例を挙げましたように、二百海里の中の、しかも日本の近海の湾等を利用してのものでございます。したがいまして、ただいま御指摘のような広海域、さらに相当の水深のところのものでこういうふうな海洋牧場のシステムが適用されるとは、いまの技術ではちょっと考えられないという気がいたすわけでございます。
○上坂委員 わかりました。
 そこで、次の問題に移りますが、大臣、十月の二十五日九時に、八木治郎ショーというのがあったのです。ごらんにならなかったでしょうか。これは池上本門寺にお祭りしている、合祀している韓国人のBC級戦犯に対する問題なんです。
 というのは、戦犯で巣鴨につかまっているうちは日本人扱いだったのですね。ところが、出てきたらもう日本人扱いにしなくて、韓国人扱いにしちゃった。そして、いまだに本国にも帰れないし、宙ぶらりんになって、仏様はみんな困っているわけですね。そういう報告があったのですよ。
 これを見ていて私は考えたのですが、日本人というのはどうも、日本の政府もそうですが、相手の国のことを余り構わないでやる傾向が非常に強い。過去においても、いわゆるエコノミックアニマルなどと言われる傾向というのは、やはりそういうものだと思うのですね。ですから、他人に迷惑がかからないようにしなければならぬわけです。ところが、一向差し支えない、自分さえよければいいという考え方があるのは非常に問題だと思う。私は、そういうものの一つのあらわれとして、この放射性廃棄物の海洋投棄なるものが出てくるのじゃないかという感じがするのですよ。これはやはり非常に重要な問題だと思っているのです。
 ことしの八月の十四、十五日に、グアム島で南太平洋地域の首脳会議が行われて、そのときに、日本の発表した放射性物質の海洋投棄についてやはり非常に問題になった。これについて科学技術庁の方から説明に行ったというふうに聞いています。それから最近では十一月の八日にも、サイパンで南太平洋地域の各国の首脳あるいは指導者に対して説明をしているということでありますが、これらについての反響ですね、あるいはそういうところへ説明に行ってどういう印象を受けられたか、こういうことについてひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
 私は、先ほども申し上げましたように、放射性廃棄物については、海洋環境の保全という意味からも、やはりこれは再検討していかなければいけないのじゃないかという感じがしているわけです。そういうことについて、大臣、どんなふうにお考えになっておられるか、答弁をしていただきたい。
○中川国務大臣 最近、海洋投棄物についてのいろいろな御意見がありますが、私どもとしては、まず第一番目には安全であるということ。これについては、従来のようにドラムかんの中に現物をそのまま入れるんじゃない、焼却いたしまして灰にしたものをコンクリートの中に埋め込んでしまうということですから、外に出る量も全然違うということ。それじゃ、なぜそんな安全なものを人の国へ行って投げるかという単純な質問や意見が出るわけですが、これは決して外国へ投げたという性格のものではないのです。距離からいっても日本からは九百キロですし、一番近いマリアナ諸島からも千百キロということで、中間地点よりはむしろわが国に近いということ。それからもう一つは、そんな安全なら日本海に投げたらいいんじゃないか、あるいは陸上投棄したらいいじゃないか、こういう意見もありますが、これについては、わが国はわが国勝手にあそこを選んだのではなくて、国際基準というものがありまして、安全ではあるけれどもより安全な地帯に投棄すべきだということで、海ならば四千メートル以上とか、火山活動がないとか、海流がどうだとかいうような、一番安全なところに投げるべきだ、こういうところから、わが国の近くに投げようとしても、国際ルールあるいは監視機構がありましてできないことであって、決して外国の迷惑は一切知らぬのだとわが国だけが勝手にやっているものではない。このことについては世界じゅうの、特にヨーロッパの国々では大西洋のしかるべきところに、過去も現在も相当投棄して、害もありませんし批判も受けておらないということでございます。ひとつ、安全であるということ、決して南太平洋諸国に近いところに投げているのではない、中間地点であるということ、もう一つは、国際基準によって投げているのであって、わが国が勝手にエゴでやっているものではない、こういうところから、ぜひとも国内の皆さんの理解、協力、そしてまた国際的にも諸外国に御理解いただきたい、関係国には特に理解いただきたいということで、いま実情の御説明に上がっている。国内の水産業者にも御説明して、協力を得られるように努力をしているというところでございます。(上坂委員「説明状況については」と呼ぶ)
○赤羽政府委員 御指摘のような説明を以前から個別には要望に応じて行っておったのでございますけれども、八月の十四日にグアム島におきまして太平洋地域の首脳会議、それも拡大会議という形で会議が行われましたのを機会に、まさに首脳の方々が一堂にお集まりになったところで、わが国の考え方を御説明申し上げました。
 その御説明の内容としましては、海へ捨てようという単純な考え方ではなくて、深く安定した太平洋の海底に人間生活と隔離する意味を持っている。これは従来の研究調査から、その可能性が十分わかってきたわけでございます。それから、ただいまお話しありましたように、国際条約、国際基準に基づいて、しかもNEAの国際的な監視のもとで行われるものである。それから、安全評価した場合、非常に厳しい条件で評価をしても人類に悪影響がない、そういったことを主にして御説明申し上げたわけでございます。
 首脳の方々でございますから、科学的な詳しいことを直ちに御理解いただくというのは困難かと思われますけれども、そのときの一般的な評価としてございましたのは、非常にまとまったわかりやすい説明をされた、説明がよかったということに対する評価は異口同音にあったようでございます。しかし、こういう方々ですので、さらに個別に自分の政府あるいは専門家に説明に来てくれという要望がずいぶん席上ございました。
 しかしながら、やはりいままでアメリカやフランスに核実験をされた経験を持つ国、それから原子力については特にまだ恩恵を受けていない国というような背景がございますので、すぐに賛成とかわかったというところまではまいりませんで、安全性を完全に実証しなさい、それまでは計画を停止すべきである、そういう決議がなされたようでございます。
 さらに、この後、関係の国を回って説明しております。そして、第二次と申しますか、その具体的な説明としまして、この十一月の初めからチームを派遣しております。まず第一に、十一月八日にサイパン、これは北マリアナ連邦の首都でございますが、ここに説明をしております。それに次ぎまして、ただいまちょうどグアム島でやっておりますし、次いでミクロネシア連邦に回る予定にしております。ただいま入っておりますのはサイパンとグアムの状況でございますが、サイパンにおきましては、例の話題になっておりますカリフォルニア大学のデービス教授が向こう側の政府の顧問という形で参画しておりまして、議論に参加したようでございます。深い説明が行われた結果、話はかなり具体的に議論されたようでございますが、ここでも基本的な反対というのを賛成に変えるという結論を出す状況にはないようでございます。グアム島におきましては、より友好的な雰囲気での説明が深くなされて、政府の関係者を中心に理解を深めているという報告を受けております。
○上坂委員 答申によりますと、「海洋汚染防止、除去のための技術」という項があります。「陸域起源負荷の削減技術」という項があるわけです。そこに、「現在の我が国周辺海域の海洋環境の悪化は、大部分は陸域に起因するものと思われる。したがって、海洋環境保全のためには、陸域からの汚染物質の海域への流入を防止することが先決であり、この面での技術開発とその実施は極めて重要である。」こう指摘しているわけですね。
 やはり油にしても工場からの排水にしても、みんなこれは、本当のことを言うと陸から流れているわけですね。そして富栄養化のいわゆる有機化合物あるいはカドミ等の重金属、みんなそうですね。
 そこで、放射性廃棄物というのも、やっぱり陸の方で使って海へ持ってくる。海洋を人間のために利用して将来の人類の幸せのために、こう言いながら、どんどんそっちの方へ流していく、そして汚染をしてしまうというのがどうも従来の、特に工業化された近代国家の特徴のような気がするわけですね。気がするんじゃなくて、これは本当だと思うのです。そういう意味で、やっぱり放射性廃棄物については、特にこれは問題にしなければならぬと思うのです。
 私は、いま廃棄物という言葉を使いましたが、実は廃棄物という言葉を使わない人がいるわけですね。核廃物というふうに言っているのです。なぜかというと、捨てるところが実際にはないからだというのですね、ここから出てくるものについては。本当は捨てると間違いなんで、これは捨てるものじゃない。捨てるということは人間のいわゆる管理の中から永久にほかへやってしまうものであって、人間が管理したりなんかするものじゃない。ところが放射性の物質というものは、これはやっぱりちゃんと管理していかないと子孫に対して大変な悪影響を及ぼす、こういうふうに言われておるわけです。そこで廃棄物の棄を抜いて廃物、こう言っている人もいるわけであります。
 もう一つ指摘したいのは、「海洋投棄に関する技術」という項が答申にありまして、ここでは放射性の廃棄物についてはこう言っていますね。これは御承知だと思いますが、「処分固化体の品質管理、強度試験、投棄方法、投棄船の設備等について検討が進められ、更に投棄予定海域における海洋環境の調査等が実施されている。しかし、容器の諸材料について、その強度や寿命がたかだか百年程度しかわかっていないのに、長半減期の放射性物質については数千・数万年の長年月のスケールで考えねばならないこと、更に外洋・深海における海洋環境の理解の不十分さと、モニタリング技術やアセスメント技術の未熟さを考慮したとき、実施は極めて慎重であるべきであり、開発すべき技術は極めて多い。」したがって、ここでも指摘されているように、私は、安全だ安全だと言うんだけれども、安全でない安全でないと言って実施する人はいないんで、安全だ、安全だと言って実施するのがあたりまえで、何回聞いても、いま大臣がお答えになったような答弁しか出てこないと思うのですがね。しかし、実際やれば、これはいま実験しようとしているのは五百キューリー程度のものだから心配ないと言っているけれども、これが何十万本、何百万本というかっこうになってくれば、これはえらいことになってしまうと私は思うのです。
 そういう点で、この答申にも指摘されているように、いまの技術の段階においては、これはもっと慎重を期していかなければならない。来年度からすぐ実施するなどということを言わないで、やっぱりもっともっと大きな研究をしてからこれに取りかかるかどうかということを決めていくというぐらいの構えでないと、なかなか日本に対する信頼というものが出てこないのではないか、こういう感じがしますが、いかがでしょう。
○赤羽政府委員 お答えします。
 まず、捨てるということは人間の管理から外すことであるという御指摘がございました。われわれも、まさにそこで区別をして考えなければいけないと考えておるわけでございます。
 御指摘のように、放射性物質、特に高レベルのものにつきましては人間の管理から外す方法というのはどうしたらいいかということが世界的に研究されておりまして、まだ最終的な案を得ていない状況でございます。しかしながら、低レベルのものにつきましては、長年の調査結果等に基づきまして、一定の条件すなわち国際機関IAEA等で決めている条件に従えば人間環境から切り離せる、したがって管理の必要がなくなるということがわかったわけでございます。御承知のように、ロンドン条約は、御指摘のような海洋汚染を進めるのに歯どめをかけなければいけない、そのためにできた条約でございまして、これを守ることによって、いままで進んでおった汚染を防ぐ、しかし人間の管理から外せる範囲のものについては、政府のコントロールのもとでやってよろしいという仕分けがなされたわけでございます。これにのっとってやるわけでございます。
 さらに、審議会の方で御指摘がありましたように、海洋についてもっと詳しいことがわからなければ捨てられない、これももっともでございまして、高レベルの廃棄物あるいは非常に有害な核種、そういうものを捨てることはロンドン条約でも厳しく規制されておりまして、薄い一定濃度のものだけが、しかも政府の厳重なコントロールのもとで認められるという条約になっております。
 わが国で予定しておりますのは、このロンドン条約で決められました低レベルの水準を、またさらにはるかに下回る低い濃度のものでまず実験を行い、いろいろなデータをとった上で、安全評価を行ったとおりであるかどうかを確認し、本投棄へ進もうというステップを慎重に踏んでまいる計画になっております。
○上坂委員 この前の質問のときも、投棄したものに対するいわゆる調査のやり方ですね。カメラを据えつけたり何かするとかいろいろ聞いたわけですが、いまのところ二千メートル級の船しか実際問題としてはできてないので、なかなかむずかしい問題があるだろう。そういうものを必要としないという技術的なこともできるのかどうか、それはわかりませんが、とにかくいまいろいろお答えがありましたけれども、非常に不安に感じているということは、これは私たちばかりじゃなくて、その地域に住んでおられる人はよけい心配をされるというのはあたりまえだというふうに思うのです。
 そこで、房総の館山沖のいわゆる海洋投棄の問題であるとか、あるいは相模湾なり駿河湾なりの海洋投棄の実態、そういうものをもっと報告をしてもらって、そういう中からまた意見を申し上げたいと思ったのですが、時間が参りましたので、きょうはこれで終わっておきます。
 またいずれ質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○中村委員長 吉浦忠治君。
○吉浦委員 午後の最初のときに局長の方から説明があるそうでございますけれども、きょうの新聞を見ますと、原研の幹部が収賄ということで、年間六百億も予算を使いながら、やはり気の緩みがある証拠であろうというふうに思うわけでございます。「むつ」の問題以来大変注目を沿びているときにこういう収賄事件が起こるということは、どちらにしてもこれは問題だと思うわけでございまして、やはり綱紀の粛正ということが、これだけの緊縮財政ということで予算の問題が大変叫ばれているときに、ささいなことであれ、こういう問題が起こるということは大変遺憾である、こういうように思うわけでございます。大臣、ひとつしっかりこういうものの監督をよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
 さて、私は、最初に原子力船による損害の補償措置についてお尋ねをいたしたいと思います。
 原子力損害の賠償については、原子力損害賠償法によって無過失損害賠償責任の制度が設けられておりますが、事業者は過失の有無にかかわらず損害額の制限なしに全額を補償することになっているわけであります。仮の話で申しわけありませんが、仮に原子力船による損害が発生した場合、被害者は多数の漁民になることが想定されるわけでありますけれども、賠償金の支払いは速やかに行われる必要があります。速やかに賠償が行われるために政府はどのような措置をお考えなのか、まず最初にお尋ねをいたします。
○石渡政府委員 お答え申し上げます。先生御指摘のように、原子力関係、原子力船のケースも含めまして、原子力損害の賠償に関する法律によりまして、その損害に対して必要な処置が講ぜられるという制度になっているわけでございます。
 このために、原子力船はわが国は「むつ」しかないわけでございますが、その事業者すなわち原船事業団でございますが、原船事業団が民間の保険会社との間に責任保険契約を締結しております。また、保険になじまないようなケースも想定いたしまして、一方、政府との間の補償契約の締結も行われているわけでございます。何らかの事故につきまして、一応百億円までめ損害賠償が直ちに可能になるという制度でございます。
 なお、先生御指摘のように、考え方といたしましては、損害に対する補償は全額ということでございまして、青天井という考え方をとっているわけでございます。この百億円を超えました場合には政府が援助を行うということによりまして、制限なしの損害賠償が行われるという制度でございます。
 速やかにということでございますか、すでに先生御指摘のように、無過失責任ということでございまして、まず過失があったのかなかったのかというような議論はもう最初から省いておるということで、速やかに対応ができるということになっているわけでございますが、さらに、紛争が生じた場合も考えまして、原子力損害賠償紛争審査会といった制度を考えておりまして、こういう審査会の活用によりまして、被害者の迅速な救済が図られるように処置してまいるという方針を考えているわけでございます。
○吉浦委員 原子力の損害賠償法に紛争和解の仲介というのがありまして、原子力損害の調査及び評価を行うための原子力損害賠償紛争審査会の規定があるわけです。
 この原子力船による損害が仮に発生した場合に、賠償を速やかに行わせるために、この審査会は特に遅滞なく設置すべきであると思うのですが、これをどういうふうにとらえておられますか。いま原子力紛争が起こっているわけではございませんので、その審査会はいまはなかろうと思いますが、これから賠償を速やかに行わせるためには遅滞なく設置すべきである、こういうように私ども考えているわけですけれども、こういう点についてお答え願いたいと思います。
○石渡政府委員 先生御指摘のように、現在までのところ、原賠法の対象になった事例は発生しておりません。したがいまして、紛争審査会は設置されていないわけでございますが、仮にという話で、もしそういう事態が起こった場合には、その審査会を設けるということだけでも時間がかかるではないかという御指摘もございまして、昨年でございますが、原賠法の一部を改正したわけでございます。そのときのそういう御指摘を踏まえまして、先般、紛争審査会の組織、運営あるいは和解の仲介の申し立てあるいは処理手続等に関する政令を整備いたしました。そういうことによりまして、万々が一でございますが、紛争審査会の設置が必要になった場合には、速やかに対応することができるというふうに考えているわけでございます。
 なお、参考までに申し上げさせていただきますが、この審査会の設置の手続といたしましては、すでに政令を整備してございますので、この紛争審査会を科学技術庁の付属機関として臨時に設置する旨の政令を定めるということと、委員を任命するという手続だけが残されているわけでございまして、この手続につきましては、恐らく半月程度でもって急遽やれるというふうに考えておるわけでございます。
○吉浦委員 原子力船の直接の被害というだけではなくて、やはり大変関心を持たれております風評による影響が出た場合、特に魚価に急速に反映してくると思うわけでございまして、このように風評による魚価の低落対策というもの、いまですらも漁民の方々は魚価の低落に大変悩んでおるわけでありまして、原子力となるとまたいろいろな補償の問題等も含めて、騒がれるかどうか、それは別といたしましても、風評によって大変低落した場合の対策として、どういうような具体的な措置をお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
○石渡政府委員 風評による魚価の低落という問題でございますが、この問題は理屈を超えた一つの現象でございます。
 過去、私どもが承知しております例といたしましては、かつて昭和四十三年に佐世保湾に米国の原子力潜水艦が入港した際、また四十八年に第三水俣病として騒がれました水銀汚染の場合に、それぞれ風評によって魚価が低落して、漁業者が非常な損害をこうむったという実例があるわけでございます。
 そういうことと原子力あるいは原子力船のケースと結びつけることにつきましては、私どもはいろいろ意見は申し上げたいわけでございますが、とにかく風評による魚価の低落ということが現実の問題としてあるわけでございますので、そういうことを想定しての魚価の安定対策は講ずる必要が現実の問題としてあるということでございます。
 原子力船の場合に例をとりますと、まだ一隻でございますので、そう一般的なルールということはないわけでございますが、現実の問題といたしまして、原子力船「むつ」を佐世保港での修理をお願いする際に、地元の漁業者の方々の魚価低落に対する強い危惧の念を考えまして、そういうケースが起こった場合に、魚価が下がった時点での魚価の低落を防ぐために魚介類を買い支える、その費用を賄う資金といたしまして二十億円の基金を積み立てているという現実の姿があるわけでございます。
 また、買い支えのために買い込んだ魚介類を貯蔵するための冷蔵あるいは冷凍施設等の買い支え関連施設といたしまして、別途五億円を支出してこういう設備の増強も図ったということで一応対応しているわけでございます。
 また、発電所の場合にも同じケースが考えられるわけでございますが、それぞれのケースにおきまして、電力会社と地元の漁業者との間のお話し合いで対策が講ぜられているというのが実情でございまして、まだケースがそう多くございませんが、現実にはそういうような対応がなされているということでございます。
○吉浦委員 次の問題に移りますが、新聞で読んだのを取り上げるのはどうかというふうに思いますけれども、これはアメリカの原発、ほぼ完成、運転を待つばかりというふうな状態のところで、その原発の近くに活断層があるということが発見されたために運転を見合わせたという例が出ておりました。大変皆さん方神経を使っていらっしゃるのに、御苦労なさっているのに、またそういうことかというふうに言われても申しわけないのですけれども、心配だからお尋ねをいたすわけです。
 今月の初めのころに、能登の原発予定地のところに、これは用地も買収済みのところでございますけれども、その近くに活断層があるということが報ぜられておりました。どのように対処なさろうとなさっておられるのか。活断層というものは日本国じゅうあると思いますけれども、その総点検はこれからおやりになるのか、どのような取り組みをなさるおつもりなのか、お尋ねをいたします。
○逢坂説明員 御説明いたします。
 地震などの自然力に対しまして原子力発電所を守るというのは、非常に重要だということは言うまでもないことでございますが、現在、原子力発電所の安全審査に当たりましては原子力安全委員会が決めました基準がございまして、具体的に申し上げますれば、原子炉立地審査指針でありますとか安全設計審査指針あるいは耐震関係の審査指針というものがございます。
 御指摘の活断層の話は、地震の原因となるような活断層がもしあるとすればどういうふうに対処するのかということかと思います。私どもは、この指針に基づきまして、敷地及び周辺地域におきます、これまで起こりました地震はもちろんでございますが、活断層につきましてもずっと調べまして、それでその活動度を評価いたします。そして、その評価した地震の大きさに基づきまして、ある距離が離れますので、その距離の離れたところに起こります地震動、具体的には地震の揺れでございますが、それに対して十分な耐力があるか、そういう耐震設計がなされるかどうかということを審査するわけでございます。
 地震動の設定のときに、御指摘の活断層というのがまた問題になるわけでございますが、これも指針で詳細に決まっておりまして、その活動度に応じました評価をするということになります。私ども、実際の場面に当たりましては、そこの、日本の活断層図というそういう学問的な調査の文献ももちろん参考にするわけでございますが、それに加えまして、実際に専門家に現地を見てもらいまして、その断層の活動状況を判断するということをしております。
 先生御指摘の能登の活断層、先日新聞なりテレビなりに出たわけでございますが、これにつきましては実はまだ申請が出ておりませんので、私どもは直接その現地を見るというところまできておりません。もし設置許可の申請がございますれば、私ども、先ほど申しましたように、指針に基づき、それから現地の調査を綿密に行いましてその評価をしたい、そのように思っております。
○吉浦委員 それでは、次に参ります。
 これは大臣にお尋ねをいたしますけれども、前に私ども公明党で、放射性同位元素の紛失とか被曝とか汚染等の事故防止について、ちょうど大臣が就任なさって間もないころ、七月二十四日に申し入れを行っておりますので、長官もよく御存じのことと思います。
 今年に入っていろいろ報告をされております放射性同位元素の紛失でありますとか、被曝でありますとか、汚染等の事故が相次いで起こっているわけであります。三月に通産省工業技術院の電子技術総合研究所の田無分室で、約二十年前に放射性同位元素のラジウム郷十ミリキュリーを紛失していたことが報告されましたが、七月三十一日に、これは誤報であるということで訂正がなされ、そしてそれはちゃんとあったんだ、記録ミスであるというふうなことでございました。
 こういう重大なミスを犯されるようでは、これからお尋ねをいたしますけれども、職員の態度というものが大変なれっこになっていやしないかという点で、私は心配をいたしているわけでございます。この点、まず最初に、誤報であるという点で説明をいただきたい。
○赤羽政府委員 工業技術院の電子技術総合研究所でのラジウムの紛失事故というものの経過を御報告申し上げます。
 私どもが最初に受けました報告では、ラジウム郷十ミリグラムという線源一本がなくなったという報告がまずあったわけでございます。これは向こうも詳しい事情がわからないまま、とりあえず報告してきたわけでございます。さらに、研究所の自主的な調査、それから私どもの方も捜すように指示を出したわけでございますけれども、その結果を追っていきましたら、田無から筑波へ移転するのに伴いまして、ここは非常にたくさんの線源を持っておりますが、線源の一部を日本アイソトープ協会に返した事実がございまして、その中にラジウム226があったということでございまして、これはそのとき、実は購入したことのないコバルト60五百ミリキュリーと途中で錯覚を起こして保管しておったのをそのまま返したために、返したときにコバルト60であるとして返した。したがって、ラジウムは返してないという勘違いがあったわけでございますが、よく調べてみたら、アイソトープ協会にあったものは中身はラジウムである、したがってコバルトというような記録上もないものを、途中で表示を勘違いしていたということでございまして、発見といいますか、結局表示の間違いであるということが結論であったわけでございます。
 したがって、実害はないわけでございますけれども、言うなれば電子技術総合研究所は、日本でも非常に高度のアイソトープの研究あるいは標準の維持をやっている機関でございまして、われわれとしてみましても、よその研究所や施設の模範となってほしいようなところでございます。そこでこういう手違いがあるということは、全体に何か問題があってはいけないということで、研究所あてに厳重に注意をしたところでございます。
○吉浦委員 一つだけならいいのでございますけれども、次に、ことしの三月十三日、茨城県筑波研究学園都市にある文部省の高エネルギー物理学研究所で、測定器校正用線源のストロンチウム90一ミリキュリーが紛失していることが判明いたしました。報告があったが、その翌日に捜査した結果、町の粗大ごみ捨て場から発見された、こうなっている。
 そしてまた、日立造船非破壊検査株式会社桜島作業所では、コバルト60ガンマ線により二十二名が被曝をして、うち一名は十二ラドと推定される被曝を受けて、一時的に精子が減少するという事故が起こっており、今年の四月、十五日間の営業停止の行政処分を受けておるわけです。
 さらに五月十日、田無の東京大学原子核研究所のカリホルニウム252による汚染事故があります。また七月三日には、京都大学工学部における汚染事故が相次いでいるわけでございます。
 このように汚染事故が次々と発生する原因はどこにあるのか、政府としてはどのような対策を講じておられるのか、お尋ねをいたしたい。
○赤羽政府委員 御指摘のようなトラブルが相次いで起きまして、規制をいたしておりますわれわれとしてははなはだ遺憾に存じております。
 原因はそれぞれでございますので、なかなか一口には申し上げかねるのでございますけれども、この場合やや象徴的に感じられますのが、一つは、非破壊検査というグループの問題でございます。非破壊検査は、現場で作業を行う等そのケースによって取り扱い方が異なっている。したがって、その都度しっかりした管理が行われないと間違いを起こしやすい。しかも、線源の大きさが大きいということがありまして、従来から非破壊検査業界を対象にしましてグループをつくっていただいて、強力な指導をしてきたわけでございますが、まだこういう事故があるということは、今後とも一層厳しく規制をし、かつ自主的な勉強と管理の徹底を促す指導をしていかなければならないと思っております。
 さらに、東大あるいは筑波、京大、こういったところのトラブル、それから先ほどの電総研もそうでございました、これに共通しておりますのは、研究所でのトラブルということでございます。いろいろ詳しい事情を調べてまいりましたが、ややそれを横断的にながめてみますと、次のようなことが思い当たりました。
 研究におきましては、必ずしもRIの取り扱いの仕事が定型的でない、その都度異なっているということが一つございます。それから研究者が、場合によりますとRIのことについて知識が不十分というケースもございますが、普通にはむしろ知り過ぎているために、なれからいいかげんになるといいますか、緊張感が少なくなるといいますか、それに加えて、さらに、被害者が自分であるという、これも研究者特有の気持ちかもしれませんが、そういったことでややいいかげんになりがちであるということが感じられました。いずれの施設におきましても、こういうものを管理するための責任者、主任者というのを指定して、権限を与えてしっかりやっているわけでございますが、だんだんなれてきますと、そういう人たちの管理をうるさがるといいますか、権限が弱まっていくような傾向さえ場合によっては見られる、こういうことが、率直に申しまして一つの背景かと存じます。
 したがいまして、これを徹底的に改善しない限り、研究所でのトラブルというのが絶えないのではないかということで、その都度、問題を起こした研究所に対しては厳重に注意を促し、かつ指導を行い、それから管理のあり方について具体的な検討をしてもらって、その結果を求めております。
 こういうことで意識は高まりつつあると思いますが、さらに共通的な問題がございますので、大学につきましては文部省、それから国公立の研究所につきましては私ども科学技術庁で、共通的な安全管理のあり方について現在検討を進めておるところでございまして、一つの指針を出してさらに注意を喚起したいと思っております。
○吉浦委員 放射性物質の安全管理並びにその取扱管理者に不備があったと私は思いますけれども、この安全管理の万全を期すために、放射線検査官または国の安全管理体制というものをどのように強化されようとなさるのか、特に放射線検査官等の強化、この点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
○赤羽政府委員 放射性同位元素の取り締まりにつきましては、放射線障害防止法が基本でございまして、これによって使用前に許可を与える制度、それから立入検査等の制度がございまして厳重にやっているところでございますけれども、事業所が全体で約四千事業所ございます。これに対して、個別に立入検査等で対応して取り締まっていくというだけではなかなか手が回りませんし、また完璧を期するのはむずかしいかと存じます。もちろん個別の立入検査は一層充実したいと思っておりますけれども、やはり政府の方針としまして職員の数を無限にふやすことができない状況で、これには限度があるという感じがいたします。
 しかも重要なことは、先ほど御説明申し上げましたように、使用しておる形あるいは事業の業種等によって共通性があり、かつ共通の問題を抱えておるわけでございますので、そこを通じての共通の指針、それから実施、そういう指導をしていくことが、網羅的な強化をするために重要ではないかと考えておりまして、すでに私どもの指導によりまして放射線障害防止中央協議会、これは使用者の団体を集めました協議会でございますが、これを結成してもらいまして、ここで個別の指導を図っているという現状がございます。
 なお、九十一国会で御承認いただきました障害防止法の改正によりまして規制がさらに厳しくなりまして、この趣旨を体しまして一層厳重に監督していきたいと思いますが、その改正に当たりまして同時に指定代行機関の制度が設けられまして、財団法人としての放射線安全技術センターというのがつくられまして、ここで、ある範囲でございますが、検査の仕事あるいは輸送の確認というような仕事を行う、それから国家試験を行う、そういうことでございまして、結果的には、私どもの現在抱えております監督のための職員の能力が大幅に増加した結果になりまして、御趣旨のような監督の強化を図りやすい状態になってまいりますので、今後強力に進めていく覚悟でございます。
○吉浦委員 中央官庁の研究所や国立大学における事故については、研究者のなれからくる緊張感の不足が指摘されるのではないかと私は思います。研究者に対して、安全管理に関して意識の高揚を図るために、科学技術庁は、私ども長官に申し入れをいたしましたように、指導監督を厳重に行っていかなければならない。それは事故が起こったときに行うのではなくて、定期的にきちっとやらなければ安全性は保てない、こういうふうに思いますので、これは長官に最後にひとつ指導監督の決意のほどをお尋ねをいたします。
○中川国務大臣 放射性同位元素の取り扱いに対しては、従来からもいろいろと規制を行ってきたところでございますが、最近、大学あるいは研究所等で幾つかのトラブルが発生したことはまことに遺憾でございます。
 この点につきましては、発生したものについては、事業所に対し使用停止の行政処分を講じる等の措置もいたしておりますが、今後のものにつきましては、さらに一層審査あるいは立入検査の充実を図る等、公明党さん御指摘のこの問題については真剣に取り組んでいきたい、こう思っております。
○吉浦委員 それでは次に移りますが、新しい提案を私は申し上げたいと思うわけでございます。
 愛媛県の伊方町の企画財政課長さんは、お名前は控えますけれども、伊方町の原子力発電所の主管課長としての使命感から、通信教育で、いわゆる独学で第一種の放射線取扱主任者免状を取るほど熱心に勉強なさったそうでございます。そのために、原発の故障や事故のときに、町民にわかりやすく説明ができるようになったという事例がございます。国の原子力行政に対するいわゆる誤解や無用なトラブルや不毛の対決を避けるために、国民の理解を深めるためにも、ぜひ県や市町村における原子力行政の専門家を養成する必要があるのではないか、このように考えるわけであります。
 強いて申しますならば、原子力に関して何かあったときに、住民が苦情や要求をまず最初に持っていくところは市町村や県でありまして、それは国に持っていくわけじゃございませんので、そういう真っ正面からぶつけてくるところの自治体、これは国と住民との間に立って大変つらい思いをしているだろうと思います。
    〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕
そういうわけで、最初の住民からの問題提起の段階で、すなわち自治体で適切な対応が行われていれば無用なトラブルも増幅されることなくて、これは相当減るのじゃないか、また本当の問題点は何であったかということがはっきりするのではないか。こういう点でどのようにお考えになっておられますか、お尋ねをいたします。
○石渡政府委員 先生御指摘のように、原子力の利用の普及拡大に伴いまして、自治体での原子力関係の行政需要というのが確実にふえていると思います。そして、その自治体の職員の方の中に、原子力についての特に技術的あるいは法律的な問題についてのエキスパートがおられれば、より行政が円滑にいくであろうという点はよく理解できるところでございます。また、そういうふうになっていってほしいという気持ちもあるわけでございます。
 そういう意味で、地方公共団体、自治体の職員の方が、原子力について熱心に勉強していただくということについてはぜひお願いしたいと思っておりますし、また私どもも、そういう面でのお手伝いはぜひさせていただきたいと考えているわけでございます。
○吉浦委員 この原子力行政は、科学技術庁あるいは運輸省あるいは通産省などの国の専管事項となっておりますし、県や市町村などの自治体には法的な権限は全くないわけでありますから、原子力行政の中で地方自治体に権限を移譲し、任せられる部分はないかどうか、お尋ねをいたします。
○赤羽政府委員 御指摘のように、原子力の行政、特に安全規制に関しましては非常に幅広い仕事がございます。その中で自治体にもやれる仕事がないかということは、われわれも検討しておるわけでございますが、ただいままでの状況を御説明申し上げますと、まず、いわゆる審査とか検査というようなことに関しましては、専門技術的な知識を有する相当のスタッフが必要でございまして、これはまた専門別とかいう分担もありまして、一つの単位になる数がないとやっていけないわけでございます。
 それから、安全審査のような高度な段階になりますと、国の職員あるいは関連機関の職員だけでは専門的事項を十分にカバーし得ない場合がございまして、科学技術庁でもあるいは通産省でも顧問会を置きまして、専門の方々に非常勤で参加していただいております。また、ダブルチェックをする原子力安全委員会におきましても、専門部会等に非常に多くの専門家の御参加をいただいております。こういう段階で見ますと、専門家の数自身が日本では限られておりまして、やはり国として一括して扱わないととうてい成り立たないような、幾つにも分散して扱えない、限度があるということでございます。要するに、質的な高さ、それから専門家の量、この両方の面からなかなか分散しにくいという面がございます。
 それでは、そういう高度なものでなくてもう少し楽なものがないか。たとえば放射性同位元素につきましての審査、検査等についてどうか。これは、すでに、たとえば高圧ガスの取り締まりのような権限が地方におろされていることと同じに考えまして、われわれとしても数年前から検討をいたしているところでございます。しかし、ただいまのところでは、全部の都道府県につきまして、関係の高いところ、薄いところ、特に放射性同位原素の使用個所が大きい都市に偏っているということもございまして、全国的にこれからアイソトープの専門技術的スタッフを確保するということがすぐには困難であるということ、それから県によっては、と申しますか、大部分の県でございますが、最低一人の仕事量も確保しにくいというようなことが検討の結果出てまいりまして、すぐには法的権限を移譲しにくい、あるいは移譲される方からも、すぐは移譲されたくないというような結論がただいまのところ出ております。
 なお、以上申し上げましたのは法律的な権限でございますが、法律的な権限以外で、たとえば原子力施設周辺のモニタリングあるいは原子力防災対策、そういった地域の実情を重視しなければならないような仕事につきましては、政府が指針を詳しく示すというようなことはいたしますが、その先のことは、むしろ県、市町村等でやっていただくのが適当でございまして、従来から地方の自治体の御協力を得てやってきているわけでございますし、今後ますますその度合いを深めてまいる傾向にございます。今後とも一層、地方公共団体との協力関係を密にしてやっていきたいと考えておるところでございます。
○吉浦委員 東海村の再処理工場の操業の問題を中心にきょうはお尋ねしたかったのでございますけれども、一点だけお尋ねして、次の機会に譲りたいと思います。
 大臣、十一月四日の米大統領選挙で、カーター大統領からレーガン大統領へ政権交代することになるわけでございますが、これによって日本の原子力行政には影響があるのか、あるとすればどのような影響であるというふうにとらえていらっしゃるのか。いま情報をお集めだとは思いますけれども、この一点だけ、重大でございますので、政府委員にお答え願った後に長官の方からもお答え願いたい、こう思います。
○石渡政府委員 原子力問題につきましては、日米間非常に密接、また入り組んだ関係を有しているわけでございまして、政権の交代ということで新しい米政府がどういう原子力政策を考えているのかという点については、御指摘のように、私どもも非常に強い関心を持って情報を収集しているところでございます。
 ただ、前例を考えますと、大統領選挙の過程におきまして各候補者が、原子力問題に対する考え方を公にするということであったわけでございますが、今回は原子力の問題が争点になっていなかったというためでございましょうか、特にレーガン候補の原子力政策についての御発言はきわめて少なかったということでございまして、結論的に申し上げますと、いまの段階では、確としたレーガン次期大統領の原子力に対する考え方ははっきりつかめていないというのが現状でございます。
 ただ、ごくわずかな情報でございますけれども、米国の新聞情報で伝えられるところによりますと、原子力の位置づけあるいは原子力発電所の新しい建設についてのレーガン氏の意見といたしまして、原子力発電所は安全に運転されるべきであり、かつ放射性廃棄物は安全に処理、処分されるべきであることは認めるが、新規の発電所の建設許可を中止したり、あるいは建設をとめるというようなことには反対であるということ、また、在来のエネルギーに対する不必要な連邦政府の規制を緩める必要があるといったような御発言をされているというふうに伺っているわけでございます。
 いずれにしましても、これから新しい政府がつくられていくわけでございますし、特にエネルギー問題、また原子力問題を担当するどういうスタッフの方がそのレーガン新大統領を補佐し、そして政策をつくっていくかという、新政権を支えるスタッフの顔ぶれと申しますか、どういう方がなるかということによって大きく左右されるでありましょうし、また、そういう方々の議論を経て新しいアメリカの原子力政策がつくられていくということであろうと想像されますので、そういう動向を把握しまして、その過程でアメリカの新政策を把握する。また、いずれにしろ、わが国の原子力の研究、開発、利用の推進ということが主体でございますから、そこに、わが国の立場に支障がないように対処していくというのが基本であろうと考えておるわけでございます。
 まだ情報収集の段階であるということで、きょうのところは御容赦賜りたいと存じます。
○中川国務大臣 いま原子力局長から答弁申し上げましたように、大統領選挙の主要課題が原子力問題というわけではございませんで、原子力政策についてどういう考え方を持っておるか、まだキャッチいたしておりませんけれども、私どもの見るところでは、原子力行政に積極的である、こういうことであります。
 そこで、東海村は来年の四月までという日米間の話し合いがございますので、これがうまくいきませんと大変なことになりますので、新政権になりましても、この点はわれわれとしては重大な関心を持って対米折衝をやっていきたい。
 ただ、私の観測では、国際的にも平和利用というものが、核不拡散との関係の問題でございますけれども、それも大事だが、やはり平和利用も大事だという国際的な流れもありますし、カーターにかわってレーガンになりましても、アメリカもそう大きく変化はないと思っておりますが、大事な点でございますから、十分関心を持って、支障のないようにやっていきたい、こう思っております。
○吉浦委員 アメリカの方は、大統領がかわりますと局長クラスまで全部かわるような慣例のようでございますから、やはり慎重に、東海村の再処理問題等がございますので、私、先ほど申し上げましたように、次の機会に細かくまた尋ねてまいりますので、きょうは控えさせていただいて、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
○椎名委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十九分開議
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、政府当局から発言を求められておりますので、これを許します。石渡原子力局長。
○石渡政府委員 日本原子力研究所職員の収賄容疑の件について御報告申し上げます。
 昨夜、日本原子力研究所東海研究所安全性試験研究センター実用燃料試験室長松本徳太郎が、試験装置納入などに関し、業者の選定や検査に便宜を図った謝礼として、東京都内の業者、新東商事株式会社代表取締役汲田富郎より現金を受け取ったという収賄容疑で警視庁に逮捕されました。
 事実関係の詳細につきましては、今後警察当局の取り調べによって明らかにされることと思いますが、これが事実とすればきわめて遺憾な事態であると言わざるを得ません。科学技術庁といたしましても、当局の取り調べ結果を待って厳正に対処する所存であります。
 いずれにいたしましても、わが国の原子力開発利用の推進に当たって、国民の皆様方の信頼を最も必要としているいまの時期に、原子力研究開発の現場でこのような不祥事を引き起こしましたことはまことに残念であり、申しわけなく思っております。
     ――――◇―――――
○中村委員長 科学技術振興の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。村山喜一君。
○村山(喜)委員 私は、中川長官に科学技術庁のあり方の問題について、若干の意見を交えながら質問をしてまいりたいと思うのであります。
 五十六年度の予算編成を前にいたしましてまずお伺いをいたしたいのは、総理府総務長官を中心にいたしまして、科学技術関係閣僚連絡会議というのがつくられた。これはいろいろな見方があるわけですが、科学技術庁長官中川さんのPTAみたいなものだというような話がありまして、これから八〇年代の科学技術振興を目指して予算を獲得するための応援部隊じゃなかろうかという話もあるわけですね。
 これを提唱されたのはたしか長官自身だったような気がするわけでございますが、この科学技術関係閣僚連絡会議というのは一体どういう目的でつくられたものか。そしてその性格は、何か私的機関だとかいうように承っているのですが、科学技術の重要性について、関係の閣僚が集まってお互いに認識を深め合いながら連携を密にして、そして科学技術の分野というのが単に科学技術庁だけでなくして、文部省や通産省、総理府、いろいろな分野にかかわっているから、これについての調整的な機能を持っていくのだ、こういうような意味で設けられたものなのか。設置された、しかもそのメンバーの重要な一人である中川長官から、この科学技術関係閣僚連絡会議の性格なり今後の運営の方針というものについて承りたいのが第一点でございます。
○中川国務大臣 科学技術関係閣僚連絡会議は、閣議決定によってできたものではありませんので、関係する閣僚が自己の意思によってやろうという性格のものでありまして、公的ではないという意味はそういう意味でございます。
 それから、私が提唱したという御認識ですが、私も言わなかったわけじゃないのですが、むしろ文部大臣あるいは総理府総務長官、さらには企画庁長官、通産大臣、こういった方々が自発的というか、たまたま偶然やろうじゃないか、期せずして一致してこの連絡会議ができたものでございます。
 資源の乏しい、領土の狭い日本は科学技術によって生きてきたし、これからも科学技術によって生きていかなければ、今日の日本の暮らしあるいは経済を守っていけないという基本認識、そのためにはこの科学技術を推進する必要があるし、また各省間の連絡調整も十分図った方がよかろう、合理的な研究体制というものも必要じゃなかろうか、こういうことで会が持たれたわけでございます。
 そして、いままでに三度やっておりますが、第一回目は顔合わせでございますし、二回目は、科学技術庁としての科学技術に取り組む姿勢というものを報告申し上げ、閣僚の皆さんからもいろいろの意見を承った。次いで三回目は、文部大臣から大学を中心とする研究体制、取り組み姿勢等について御報告があり、これを中心にして議論をした。――先ほど失礼いたしました。実務的に六人の閣僚で会議を持つことにいたしましたが、後に農林大臣からもぜひということで、二回目から農林大臣にも御参加願っておるわけでございます。次は通産大臣、農林大臣からの意見等を承りまして、年内には一つのまた全体的な意見を取りまとめてみようか、こういうスケジュールで動いておるわけでございます。
 私は、今日非常に厳しくなってきたエネルギー事情あるいは世界の情勢等からいって、防衛の問題も大事であるが、やはり並んで科学技術というものについて真剣に取り組む姿勢が必要であろう、こういう認識でこの閣僚連絡会議においていい方向の結論を得てお役に立ちたいな、こう思っておるところでございます。
○村山(喜)委員 六人の閣僚が集まって、その中で長官がコンセンサスを得られんとする方向のものの中には、八〇年代の日本における科学技術振興のあり方をめぐりまして、自分としてはこういうような方向でいきたいというものをお持ちになりながらやっていらっしゃるだろうと思うのだけれども、そういうようなのはだんだんに、お互いに所管の事項について話を詰めていく中から一つの結論を見出していこうということで、おれはこういうような主張を持っているけれども、その場にいま出そうとしているものではない、こういうふうなものでございますか。それとも、これから申し上げますが、たとえば通産省の通商産業政策の重点、五十六年度の予算に対する一つの考え方というものが予算要求書の中に出ているわけですね。そういうような一つの認識とその目標を持って、一つのプログラムを持って推進をしていきたいという産業政策が提示されている。それに対して科学技術庁も、八〇年代の科学技術の振興についての方向性というものを持っていらっしゃるだろうと思うのだけれども、予算編成の問題にも関連をするでありましょうが、そういうようなものをそこで出しながら一つの結論をを得たいということでありましょうか。科学技術閣僚会議に臨んでおられる長官の気持ちというものはどういうものなんですか。あなたは主導的に呼びかけなかったんだとおっしゃるから、期せずしてひとつやろうじゃないかということになったという話を聞くものだから、それに対処してどういう取り組みをされるのですか。
○中川国務大臣 私の科学技術に取り組む当面の姿勢は、研究投資を増大させたい。国際的にもいばれるほどではない。アメリカ、ソビエト等に比べても見劣りがする。わけても国家投資の比率が非常に低い。アメリカあるいはその他の国々では約五対五であるのに対し、わが国は国が三、三対七という比率になっておりますこと、それから自主技術というものを積極的に開発していかないと、かつてのように外国から技術を導入することが非常にむずかしくなってきた、こういう点に取り組んでいきたいということ、あるいはいままで言われておりましてなかなか実現しなかった官、学、民の連携、分離した研究体制では能率が上がらない、こういう問題がありますので、新しいシステムによる研究体制によって創造科学を確立していく、第四番目には、そういう中であっても国際協力ということがこれから科学技術の分野の面で大事である、これを促進したい、こういうことを基本方針として取り組んでいきたいということをこの連絡会でも申したところであります。
 私は、そういう意見を持っておりますが、また他の閣僚からも、通産省としてはこういう考え方だ、文部省からはという、それぞれの意見を出し合って、さて研究を推進する方法あるいはまた連絡調整といいますか、横のつながりを改善していく点はどうだというようなことは、これから全体として話し合って決められることであって、こういう方向でということをいままだ申し上げられる段階にありませんで、皆さんの意見を聞いた上で、私の考え方はそういうことでございますから、関係閣僚の皆さんの理解、協力を得られるように私としては努力をしていきたい、こう思っておるところでございます。
○村山(喜)委員 そこで、長官の一つのお考えの方向、抱負というのですか、一つのビジョンみたいなものになるのだろうと思うのですが、大体輪郭がわかってまいりました。
 そこで、私は、科学技術庁というのは何をやるところだろうというので設置法を調べてみますと、これは「科学技術に関する行政」をつかさどるところだと書いてあるわけですね。ところが、サイエンスとテクノロジーの担当の役所なんだということなんでしょうが、予算で見てまいりますと、実際は科学的な技術をやっているところだ、しかも内容はビッグサイエンスの問題を取り扱っている、そういうようにしか見えないのです。
 たとえば一般会計で、原子力関係の予算で見てまいりますと科学技術庁全体の五七・六四%を占めている。宇宙で二九・三%。それから国庫債務負担行為はそのほかにあります。なお、原子力の場合には特会分まで入れてまいりますと六三・六八%を占めておる、こういう数字になっておるようでございます。
 そうなってくると、科学技術庁というのは巨大な技術開発、なかんずく原子力と宇宙というもので運用をされて、あとは、それはいろいろ書いてありますけれども、中身的には、海洋科学の問題にいたしましても金額的にも非常に小さいわけですし、ライフサイエンスの問題にいたしましても小さい。とするならば、科学技術庁という役所は、後から生まれてきた関係もあるけれども、しかし、その設置法の上にうたわれているものの中身において、実際やっていることは原子力と宇宙だけじゃないか、そういうような印象を受けるのでございます。
 そういうふうに設置法に定める目的に従って、いまおっしゃっていた大臣の、これから向かわなければならないという八〇年代の課題に向かっての方向性というものが、いまの現実の姿からどういうふうにして生まれてくるのだろうかという気がしてならないのであります。現状のあり方について、いまのままの姿を拡大延長させていくんだという方向の中では問題があり過ぎるのじゃなかろうかという気がするのですが、大臣は、いまの科学技術庁の予算のあり方、現在の進め方についてはどういうような認識を持っておいでですか。
○中川国務大臣 科学技術庁には二つの大きな使命というか、分けられると思うのです。一つは、科学技術全般に対する調整役をすることになっておりますし、もう一つは、直接みずからが研究を行うというふうに分かれておりまして、科学技術全部について現業を持ち、科学技術庁がやるものではない。ただし、連絡調整に当たっても、大学における研究は科学技術庁の所掌の外になっております。そういう意味で、科学技術庁は、全般的な科学技術のあり方というようなことについて調整をする、予算要求の前にも各省庁の研究事項について横の調整を行う、こういう機能を持っておりますし、現業部門においては、御指摘のように、原子力を中心にしたエネルギー問題、さらに宇宙開発、もう一つ海洋開発が三大柱になっております。
 その中で原子力が一番大きな柱であることは、予算の面から見ても、また研究の内容からいきましても、たくさん予算を食うものであるという性格からいっても、大きくなってくるのはやむを得ないのではないか、こう見ております。そのほかライフサイエンス等、各省が扱っておらないようなものを重点的に科学技術庁が穴埋めをする、こういうことで科学技術庁の機能を果たしておる、こう見ておるわけでございます。
○村山(喜)委員 事務局、調整費は何ぼですか。
○園山政府委員 お答えいたします。
 先生の御質問は、特別研究促進調整費ということかと思います。そういった特別研究促進調整費ということで計上されております、これは緊急な研究あるいは二省庁以上にまたがるような研究でございますが、この金額としては大体十五億円程度が計上されております。
○村山(喜)委員 各省庁にまたがる科学技術の調整を科学技術庁がやっていらっしゃると言うものですから調整費のあり方について承ったんですが、ことしの予算の総額は国庫債務負担行為を除きまして三千三百八十六億六千万円ですよね。いま局長の説明では、特別調整費十五億。そのほかにあるんですか。
○園山政府委員 お答えいたします。
 調整費という名前がついております予算という御質問と思いまして、十五億ということをお答えしたわけでございますが、先ほど大臣の申されました各省庁の総合調整というものにつきましては、いわゆる予算を伴ってということではなくて、先ほど大臣もお触れになりましたように、予算要求前におきまして各省庁から見積もり方針を全部聞きまして、そこでお互いにダブりあるいは欠落がないかというようなことの調整もいたしますし、そういう中で、これは単独省庁がやるよりも二省庁以上協力した方がいいというようなテーマにつきましていまの調整費が出されるわけでございます。そのほか、原子力委員会あるいは宇宙委員会といったような場もございますし、こういったところの事務局を務めておりますけれども、こういう場におきまして、各省庁の原子力関係、宇宙関係等の予算あるいは研究の仕事の調整等も行っておるところでございます。
 また、御承知のように、筑波研究学園都市というのが、昨年度で四十三機関の移転が終わったわけでございますけれども、私ども、そこに研究交流センターというのを持っておりまして、各省庁の研究所が横の連絡をとりながら、お互いに研究協力をしていくというようなことのお世話役もいたしておるわけでございまして、必ずしもこの予算の額だけがその調整の仕事の中身をあらわすものではない、このように考えておるところでございます。
○村山(喜)委員 それは、調整の言葉の中にはそういうものもあるでしょう。
    〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕
しかし、やはりどれだけ科学技術庁の影響力があるかと言えば、調整費を幾ら持っているかということも大きな要素である。そういう意味においては、科学技術庁は、なかなか他の省庁にまたがる問題についての事実上の調整役の役割りを、予算の上ではしていらっしゃらないんじゃないか、私はそう見ているのですよ。というのは、さっき長官の答弁の中には、二つの大きな目標があるという第一に調整費の問題を取り上げて発言をされたから、その点を申し上げておるのです。
 それから原子力局長、ちょっとお伺いしますが、昭和二十九年からことしまで、原子力の研究開発費として政府が支出をしたのは、トータルで何ぼになるのですか。大まかな数字でもいい。
○石渡政府委員 大まかな数字ということで御容赦願いたいと思いますが、二兆五千億程度と考えております。
○村山(喜)委員 それは、われわれが計算をしたのでは二兆二百七十七億というふうになっておるようでございますが、いずれにいたしましても、大変な開発研究費を投入をされた。
 ところが、これからさらに原子力の問題、原子力発電を中心にしてやっていかれるわけでしょうが、原子炉の廃止の際の、原子炉の寿命が来て、そしてそれを取り除いていく、撤去する、そういうものに対する経費などについて、あるいはどういうふうにしたら無害な存在になり、そこで生活ができるような条件が整備されるかということについての見積もりはされておりますか。方法は確立していますか。
○石渡政府委員 民間の調査機関に依頼いたしまして調査したこともございますが、やはり金額的な、どのくらいかかるかということについては、必ずしもはっきりした数字がつかめておりません。それで、これは非常に大きな問題だと考えておりまして、今年度原子力委員会に専門部会を設けまして、そういう方法はもちろん、コストも含めて至急検討したいと計画しているところでございます。
○村山(喜)委員 だから、そういう意味において、さっき長官は、研究投資の割合は余り高くないとおっしゃる。それはなるほどそうです。科学技術全体の予算を見てみますと、確かに外国に比べて、国民所得に対する比率は二・一%から二・一五%程度で、必ずしも高くないですね。だから、これを三%程度に引き上げたいという気持ちをお持ちになることはよくわかります。理解ができます。
 しかしながら、原子力は、平和利用という名において、もう二兆円余りの金をつぎ込んできているという客観的な事実。しかもサイクルの問題は、高レベル、低レベルの廃棄の問題まで含めて、まだ完結を見ていないわけでしょう。そして、あと原子炉のそういう廃止をした際の技術、あるいは経費というようなもの等の積算もできていない。こういう意味では、科学技術庁のあり方の問題から考えまして、どうもビッグサイエンスに偏り過ぎているんじゃないか、もっと国民に身近な役所として存在をしてもらうためには、ここら辺で現在のシステムというものを見直しをする段階に来ているんじゃないだろうか、私は予算をながめながら、また、最近の国民のニーズにこたえるために科学技術はどうあるべきかという点を考えてまいりますと、そういう気がしてなりません。
 そこで、私は、さっき長官がいみじくも言われました四つの目標というものについて、さらにただしてまいりたいと思うんですが、通産省が五十六年度に対する技術の問題を取り上げたのがございます。要約して申し上げますと、技術立国の道を目指してわれわれはがんばるんだ、そして次の世代の産業を創造する基盤的な技術、それからエネルギー制約を克服するエネルギー技術を中心にして、創造的な自主技術開発を行って世界最先端の独自技術を確立するんだ、こういう大変雄大な一つの目標を持ちながら予算要求を行い、政策を進めていこうとしているわけですね。それはそれなりに、一つの方向として価値あるものだと思うんです。
 そこで、私がお尋ねをいたしたいのは、科学技術庁の場合は科学技術白書――私も科学技術の委員になりましたけれども、なかなかもらえませんでしたので、持ってきてくれないかということでもらいまして、これを見てみたんです。そうしたら、まあいろいろ書いてございます。
 「科学技術の革新的な飛躍を図るためには、」基礎科学の振興や創造的な人材の育成などで「自主技術開発力を高める必要があろう。」「ある」じゃなくて、「あろう」です。「自主技術開発によって、我が国の特性に適合し国際協調にも資する独創的な技術を開発し、経済発展の原動力とするとともに国際的なバーゲニングパワーとする「科学技術立国」の推進が八〇年代には特に要請される。」――「要請される」です。
 ここで取り上げていくのは、五十二年の科学技術会議第六号答申「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本について」というのと、五十五年の通産省の「八〇年代の通産政策ビジョン」、それから五十四年に行った科学技術庁の「民間企業の研究活動に関する調査」を取り上げてみることにする、こういうふうに書いてあるわけですね。
 だから、非常に客観的にと言えば客観的にしか書いてないわけですが、五十二年の科学技術会議の第六号答申というもの、これは科学技術の最高の諮問機関だそうですから、それを受け継いで、いまの時点においても、これからやっていくのだというとらえ方だろうと推測をするよりほかにないような記述の仕方ですね。
 そうなりますと、これから「期待される科学技術の進展」は、八つほど挙げてあるその中で、一体科学技術庁としては、さっき大臣がおっしゃったそういうようなものの要求をこの白書の中からくみ取って、そして来年度の予算に対する要求の柱というものを科学技術庁自身としても持っていらっしゃらなければおかしいと思うのですが、そういうようなことで、八〇年代における科学技術庁としてのビジョン、方向性は一体どういうことをお考えになっていらっしゃるのだろうかということが読み取れないものですから、科学技術庁の八〇年代の方向性というものは、この委員会等を通じて、どういうような方向で進めていこうとお考えになっていらっしゃるのですか。さっき大臣が要約されたそれでいいのですか。再度お尋ねします。
○園山政府委員 お答えいたします。
 先生が引用されました科学技術白書あるいは昭和五十二年度の科学技術会議の六号答申というのがございますけれども、まず科学技術白書につきましては、これは白書本来の性格からいたしまして、科学技術の現状を国民一般に御報告するということを主たる任務といたしておりますので、全般的にいわゆる客観的な表現になっておるところでございます。
 もちろんその中には、御指摘のように、私どもも、八〇年代においてどういう科学技術分野というものが重要になってくるかという認識は持っておるわけでございます。
 また、科学技術会議の六号答申でございますけれども、これは昭和五十二年度に諮問に対して答申されたものでございますけれども、その前に実は五号答申というのがあったわけでございますが、この五号答申が出ました直後に御承知のような石油ショックが始まりまして、世の中の情勢、国際情勢、国内情勢等も非常に緊迫いたしてまいりましたので、新たに長期的展望に立った科学技術政策の基本という諮問を出したわけでございまして、この諮問に対しまして、科学技術会議におかれましては、少なくとも十年間というものを見通して、日本の科学技術政策の基本になるべき線ということで御答申をいただいたわけでございます。したがいまして、先生、御指摘でございますが、私どもも、この科学技術会議の第六号答申というのは、いま申し上げましたような国の科学技術政策の基本ということで御答申をいただいておりますので、それを一つの基本としていま持っておることは確かでございます。
 翻りまして、いま御質問の、しからば八〇年代、いかなる考え方を持ってやっていくかという御質問でございますけれども、これは、科学技術庁といたしましても、科学技術庁全体の予算要求そのものが一つの重要な方針を示したものでございまして、先ほど大臣がお述べになりました四つの基本方針、研究投資の拡大、自主技術の確立、官、学、民の連携及び国際協力の推進といったことを基本方針といたしまして、それぞれ当面の予算を伴いますところの具体的な研究開発、つまり先ほど大臣が申し上げました、科学技術庁がみずから予算措置をいたしまして、傘下の法人、研究所等において推進いたしますもの、これはもちろん当面のエネルギー対策、石油代替エネルギーの中核での原子力ということが非常に大きな位置を占めておりますけれども、そのほかに、先ほど申し上げましたような、宇宙、海洋、航空技術、地震予知、ライフサイエンス等々にわたっての予算措置をいたしておるところでございます。
 これらにつきましては、それぞれの進展段階に応じましての予算でございますので、原子力、宇宙に比べて少ないことは確かでございますけれども、それぞれに力を入れておるということでございまして、これは日本の科学技術を推進いたしますのに、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、科学技術庁が全部をやっていくということではございませんので、国全体の科学技術の政策の総合調整という中で、全体の姿が将来に向かっての日本に必要な科学技術を確立できるという形で推進していくということであろうかと思っております。
    〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕
○村山(喜)委員 私が端的にお尋ねしたいのは、アメリカの場合には、軍事科学技術というものをてこにして国家投資を行って、そういうような戦略産業というものを今日まで育ててきたわけですね。そうして、今日、もう重化学工業じゃ日本に太刀打ちができないように生産性も落ちてきましたけれども、しかしながら、航空宇宙産業ブロックというようなものや、あるいは原子力産業というようなものや、あるいはコンピューター、エレクトロニクスの分野においては、依然としてまだ第三の産業群として一つの大きな力を持っている。
 日本の場合、科学技術庁の予算を私は見ながら、自主技術の開発というようなことなどを盛んに言われている点から見てまいりますると、航空宇宙科学あるいは原子力科学、これがいま自主技術まで持った一つのテクノロジーの段階にまだ達していない、テクニックの部分的な技術の段階にとどまっているから、この巨大科学の原子力と航空宇宙の分野については科学技術庁が自主技術を目指して、そしてテクノロジーの分野まで確立をする、そういうような目標に向かってしゃにむに、原子力については二兆円を超える巨額な国家資金を投入して推進をしていくのだ、こういうふうにしか思われないのですが、そうなってまいりますと、「我が国の特性に適合し国際協調にも資する独創的な技術を開発」していくのだという科学技術庁の白書の中に見られる考え方というものは、今日国民の要望する科学技術に対応していくのには余りふさわしくないのじゃないかという気がしてならないのですが、やはり今後の八〇年代の科学技術庁のあるべき姿については、いまのままでよろしいとお考えになるのか、それとも、新しい一つの科学技術の分野を目指していかれようとしていらっしゃるのか。具体的に申し上げますと、それは通産省なども絡んでくるのでしょうが、情報通信産業やあるいはコンピューター、エレクトロニクス産業やあるいは社会開発、都市開発、そういうような開発関連の産業、そうしてエンジニアリング産業というようなものがある。それに従来の原子力産業もあるわけです。その中において、いわゆる科学技術のわが国の自主的な技術開発を、どこを中心にして進めながらやっていくのであろうかということの方向性を、八〇年代に入って新しい資源やエネルギーの制約下の中で日本の蓄積をした科学技術の力をこれから発揮して、そういうような一つの国際的なバーゲニングパワーとするような、そういうようなものを持ち得るためには、いまのままで果たしていいのだろうかという気がしてならないものですから、再度大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
○中川国務大臣 科学技術庁のあり方について、あるいは日本の科学技術のあり方については、いろいろな意見もあろうかと思います。たとえば、もっと科学技術庁は現業部門を持って、あるいは調整機能についてももっともっと力強い権限を持って総合調整をやるべきだ、あるいは現業部門を外したらどうかというような意見もあると思いますが、私は、現在の総合調整機能をもっと強化するという面の努力は必要だと思います。今度関係閣僚会議を持ったのも、そういった根っこの問題について議論をしていただきたいと思っておりますし、あるいは今後どういう形になってくるか、前向きのことがあるかもしれませんが、現在の体制でも、そう八〇年代について支障があるとは見ておりませんで、今後総合調整について一歩一歩前向きに進んでいくことは必要だろうと思います。
 また、現業部門についても、やはり原子力を中心としたエネルギーは科学技術庁が担当する、石炭その他については通産省が工業技術院その他の力を利用してやっていく、そういうことで支障がないのではないかと思います。また、宇宙開発については、これは運輸省とかあるいは郵政省、各省にまたがるものでもありますから、これまた科学技術庁が責任を持って現業部門までやっていくという仕組み。海洋開発も同じことが言えると思いますし、さらにライフサイエンスということも、最近の新しい科学技術の分野でございますから科学技術庁が担当する、こういうことでいいのではないかと思っております。
 それから、村山委員が、どうも原子力の方ばかりたくさんだと言いますけれども、やはり原子力の利用というのは、いま世界が一番緊急に必要な、火のついた問題として国際的な問題になって登場してきているという現実は無視できませんし、火力にかわってコストが半分だという経済性の問題からいっても、仮に二兆円かけても国民的には十分償える投資であって、しかもこれからまた、この研究をベースにして高速増殖炉とか、あるいは核燃料の再処理問題だとか、あるいはウランの濃縮とか、さらには廃棄物の処理、こういった核サイクルを確立するのには、今後また相当の研究投資が必要でありますけれども、いまの二兆円が相当大きな働きをしておるというか、相当の効果をおさめておりまして、今後実用化する上にまだまだ大きな効果をあらわしてくる意味ある研究投資だと思います。金額面では大きいのでありますけれども、事の性質上、研究の内容でございますね、それと将来の国民への寄与ということから考えれば、そう大きな投資ではないのではないか、こう思っておるわけでございます。
○村山(喜)委員 次の問題に移りたいと思うのですが、原子力の広報体制で、総理府、通産省、科学技術庁等が中心になって広報活動をやっているわけですね。
 そこで、数字の問題について初めに、総理府の広報費は百三十三億というふうにも承っているのですが、そのうち原子力に幾ら使っているのか。
 それから通産省、エネルギー庁を中心にですね、それから科学技術庁、その数字をちょっと教えてもらいたいと思います。
○小森説明員 お答えさせていただきます。
 いま先生御指摘のとおり、私ども総理府の広報室の予算の総額は百三十三億、これは五十五年度でございますが、そうなっておりまして、現在、五十五年度につきましては進行中でございますので、いままでの、本年度行いました実績について申し上げますと、原子力に関係いたします広報費、これはいろいろな問題に関連して、どこに分類するかという問題がございまして分類がむずかしゅうございますが、一応私ども試算いたしましたところによりますと、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の主要媒体で見ますと、現在まで約一億五百万円ということになっております。
○西中説明員 通産省関係につきまして御説明申し上げます。
 通産省の方は、電源立地の促進というふうな観点から予算を持っておりまして、その中に原子力も入ってまいるわけでございますが、電源開発促進対策特別会計という特別会計がございまして、その中に電源立地勘定というのがございまして、その中に広報関係の予算があるわけでございますけれども、五十五年度トータルいたしまして、約十七億六千万程度の予算が計上されております。
 なお、この中には、冒頭申し上げましたように、原子力以外の火力、水力等のものも入っておりますので、原子力だけを抜き出しますと約十五億五千万程度ということになろうかと思います。
 なお、この中には、都道府県等に対して、あるいは市町村に対しまして交付いたします広報安全等対策交付金というようなものもございまして、その中には科技庁関係のものが約一億数千万入っているかと思いますので、通産省関係だけの原子力ということに限定いたしますと、約十四億円程度ということになろうかと思います。
○石渡政府委員 科学技術庁関係の予算でございますが、一般会計と電源の特別会計に分かれておりまして、一般会計が一億三千百万円、それから電源特会の分が一億二千六百万円、五十五年度の予算でございます。合計二億五千七百万円でございます。
○村山(喜)委員 いまおっしゃった科学技術庁の二億五千七百万円というのは、これは原子力関係の広報費ですか。
○石渡政府委員 さようでございます。
○村山(喜)委員 全体の広報費の総額は幾らですか。
○石渡政府委員 合計を申し上げましたが、一般会計で一億三千百万円でございまして、それから特別会計、電源特会から一億二千六百万円でございますが、この大部分は県あるいは市町村への交付金でございまして、県並びに市町村が行う広報あるいは安全等の対策のための交付金ということでございます。したがいまして、その県ないし市町村に行く交付金全額が広報かということは言い切れないわけでございますが、この広報自体にどのぐらいかということにつきましては、まだ正確な数字がつかめておりません。
○村山(喜)委員 膨大な原子力広報体制というのですか、それをやりながら、これでも足らない、今度は電源開発特定地域については、電気料金まで普通の人たちもまけてあげますよというところまでやらなければ、電源立地ができないのです。それで、電調審の答申を経たのでも新しい開発は遅々として進まない。これは、やはり原子力発電に対する安全性というものが、これだけ金を投げ込んで、これだけは税金の方からのつぎ込み分でありますから、それに電気事業連合会やそれぞれの九つの電力会社がやるPR費は別ですよね、そういうふうにしてもなお成果が上がらない。やはり安全性の確認というものに対して国民が同意を与えていない、納得をしない、こういうようなところに問題があるだろうと思うのです。
 何か私が見た記事では、社会経済国民会議というのがある。今日の立地ができないネックというのは、漁協や地権者が拒絶反応を示していることにある。だから、漁協といえども地域住民の一員であるから、三分の二以上の住民が原子力設置に賛成だということになったらこの拒否権を取り上げてしまって、そしてやろうじゃないかというような提唱をしているやの動きも報道をされておる。そういうふうになってくると、まさに大変なファシズム的な体制をつくっていくのじゃなかろうかというような気がしてならないのですが、本当に広報費は生きて使われて、そしてそれだけの成果が上がったというふうに――大臣、いまお話をお聞きになっておれば、これをトータルしていきますと二十億近くなりますね。お考えはどうですか。
○中川国務大臣 原子力行政が進まない理由には幾つかあると思うのですが、基本的には、やはりわが国が原子爆弾を受けたということによる特殊な拒否反応といいますかアレルギー体質があるということだろうと存じます。しかし、最近は、原子力の必要性ということについては、国民の皆さんも相当認識をしてきたのではないか。特にイラン・イラクの戦争、あるいは第一次、第二次のオイルショック、特にことしの夏の第二次ショックによる電力料金の値上げで、火力等では非常に大きなコスト高になった。それに比べて、原子力発電というものは非常に安いものだ。コストの面、消費者といいますか台所を預かる人にとっても、原子力発電というものは必要だということの認識は出てきたのではないか、こう私は思っております。
 ただ、安全性については、まだいささか不安を持っておる方も多いわけですが、この点についてもかなり以前とは違って、すでにわが国では二十一基、そして千五百万キロワット、八県に一県が原子力発電を利用している、こういう実態。しかも、これらの発電所において、若干のトラブルはあっても、事故として人身事故というようなものがなかったという実績もかなり高く買われておるということですから、PRというのは相当効いてきているのではないか。まだそれでも足りないと言う人もあるぐらいでして、もっとPRをやって安全性について努力をしろという意見はありましても、PR費用が多いという御指摘はむしろ少ないのではないか、こう思っております。
 もう一つは、電源立地はしたけれども、地元にメリットがないものだからいやだ、安全ではあろうけれども、メリットがないものを引き受けても、東京はよくなっても福島県がよくならないという議論もかなり有力にあるわけでございます。これらに対しては、電源特会の今度の改正によりまして、やはり地元にもメリットが残る、こういう仕組みを入れて促進をするということも必要ではないか。
 いずれにいたしましても、八〇年代に向かって国際的なエネルギー事情を考えるときに、原子力にアレルギーを持ったり、イデオロギーでこれに対処したりする時代ではなくて、本当に国民の暮らし、経済を考えるならば、もっともっと積極的に取り組んでいくべきであろう、私はこう思っておりまして、どうか当委員会におきましても、そういった点で御理解、御協力をいただけるように私からもお願い申し上げる次第でございます。
○村山(喜)委員 次は、原子力の施設の管理体制の問題をめぐりまして、ちょっと注意を喚起しておきたいと思うのですが、いま原子力局長から、日本原子力研究所の松本室長の収賄事件が報告をされました。きわめて遺憾な出来事ですね。これは幹部ですね。その幹部がそういうような状態の中にありながら、この前、原研の労働組合の諸君がやって参りまして、原子力施設の管理、警備が異常な状態になっている、おりの中の原子力センターじゃないかという話を口々にするわけでございます。私は現地を見ておりませんので、近いうちに見に参りたいと思っているのですが、有刺鉄さくをつくりまして、二重、三重の鉄条網を張りめぐらして、そして核ジャックから核物質の防護をやるんだ、こういうようなことでガードマンを配置して、写真つき身分証明書がないと職員も中に入れないような体制をつくり上げている、そういうようなことを聞いたわけです。
 それで、そこだけであろうか。東海の再処理施設のところは一体どうなっているのだろう、あるいは動燃の人形峠のウラン濃縮のパイロット工場あたりはどういうふうになっているのだろうか。ロベルト・ユンクの「原子力帝国」という本を読んでみますと、原子力に支えられた社会というのは高度に管理された警察国家になる、そういう宿命があるのだということが書いてあるけれども、一体そのような状況、さくに囲まれて、その中で一々チェックをされながら、自主、民主、公開の三原則を堅持しておりますということが言えるだろうか。そして、片一方においては、管理職はこういうような収賄行為を行う。そういうような民主的な管理体制というものが原研のあたりにはないのじゃなかろうかとさえ思われるのでありますが、これに対する局長の見解を聞いておきたいと思うのです。
 それから、時間がありませんので、この際あわせてお答えをいただきたいのですが、「原子力発電所等周辺の防災対策について」という、ことし六月の原子力安全委員会専門部会からの答申をゆうべ見ておりましたら、これは一体どうしたことだろうか。核種は希ガス系のクリプトンとキセノンが一つの核種として取り上げられている、それと沃素から出るガンマ線が考えられているわけです。防災計画上考慮するものはその二つの核種についてだけ取り上げられておりまして、スリーマイルアイランドのときに後でわかった事件として、排水溝の付近のどろを採取して分析をしてみると、セシウム134とかコバルト58の核種が発見をされたというようなデータがあるわけですが、そういうような点から見ますと、溶融状態に達しておったせいもあるのでしょうが、そのようなほかの核種について、防災計画上は考慮の外に置かれてつくられているのじゃなかろうか。
 それから、範囲も半径八キロから十キロ程度を目安にしているわけですが、果たしてこれでいいのだろうか、風向きによってはもっと大きな影響が出てくるのではないだろうか。
 それで、応急対策を見てみますと、防護としては、屋内に退避をしなさい、そして十レム以上の場合には大人もコンクリートの屋内に退避しなさい、そして出入り口のところは立ち入りを規制するわけですから、外から入ってくるのはだめですよということで規制をする。そうなると、そこの屋内へ退避してそれでおさまってしまえばいいのですが、それがまた水素爆発みたいな事故が発生した場合には一体どうなるのだろうかということを見てみると、それは書いてない。したがって、立ち入りを禁止するのはいいのですが、事実上は、被曝をした、被曝のおそれがさらに大きくなろうというそこの中に住民は閉じ込められてしまって、結局閉鎖されてしまうのではなかろうかというのがこの答申の結論みたいに見受けるわけでございますが、一体そういうような防災対策というのがあるのだろうかということを疑問に思いますので、これについてのお答えを、これは安全局長ですか、いただきたい。
 以上二点をお尋ねいたしまして、お答えをいただいたら、私の時間が来ましたので、終わりたいと思います。
○石渡政府委員 まず、原研におきます核物質防護のためのいろいろな施設につきまして報告いたします。
 核物質防護の必要性等につきましては云々申し上げませんが、それに対応いたすために、国のレベルでは、原子力委員会の核物質防護専門部会の報告書に基づきまして、国の指導のもとに原研当局が所内の専門家により組織されました委員会を設けまして、その具体策を十分検討を行った上で実施したものと聞いているわけでございます。
 それで、その委員会におきまして、それぞれ防護すべき建屋の構造あるいは出入管理、作業性等の問題を勘案いたしまして、十分検討を行った上で、原研として最適であるという方法で実施しているものと理解しております。核物質防護に名をかりまして、必要な範囲を逸脱してまで職員の自由な行動を阻害するというような意図は毛頭持っていないというふうに聞いているわけでございます。
○赤羽政府委員 災害対策について簡単に御報告申し上げます。
 まず、害と申しますか、放射性物質の代表としまして希ガスをとりましたのは、燃料体が破損いたしましたときが一番周辺に放射性物質が出てくるケースなわけでございますが、その際、ガス状のもの、元来ガス状のものが大量に出てまいります。それに比べまして、ガス状にならないものは非常にわずかですので、ガス状のもので評価をし、対策を考えればいいと考えたわけでございます。スリーマイルの場合に、水にセシウム、コバルト等が発見されたという話がございますが、それ以前の汚染であったというデータもございますし、量的に見ましても、その避難等を考える指標としては低いものでございまして、後でゆっくり対策を考えればいいようなレベルのものでございました。したがって、やはりガス廃棄物を第一に考えるべきだという考え方でございます。
 対策を講じておく距離としまして、八ないし十キロメートルを一応目安にとっておりますが、大量の放射性物質の排出があった場合に、被曝を考えますと、八ないし十キロメートル以上のところには大きな被曝がいかないという一つの評価がございます。退避等の大きい対策を講じるための事前の用意をする地域として、この八ないし十キロメートルをとっておけばよろしいという一つの評価があるわけでございます。
 ただし、これ以上について問題に全然しないかと申しますと、わが国はいろんな意味の災害がございまして、防災対策が練られておりますので、その一般的な防災対策に従って、もし必要が生じた場合でも、避難なり住民の保護なり、そういう対策は打てるわけでございまして、原子力対策として特別に力を入れる、事前に準備をする地域としての八ないし十キロ、そういう意味でございます。
 退避でございますけれども、これは三段階に分けて、それぞれ、被曝量あるいは予想される被曝量に従って手を打つことになっておりますが、その三段階と申しますのが、最初は、おのおのの建物の中にそのままいなさいという、これは、気体の廃棄物を余り入ってこない程度なら防護できるという水準の場合に考えるわけでございます。
 その次の段階としまして、コンクリートの建物、これはコンクリートの遮蔽性と密閉性と両方を期待した避難の形でございます。
 それで、立入禁止をいたしまして、中にいる者がそのままくぎづけになってしまうかというお話でございましたが、さらに大きい可能性が考えられましたときには、今度は距離の遠いところへ避難するという、第三段階も用意してございます。
 この段階では、先ほども申しましたように、一般的な災害対策と一緒にした用意、たとえば寝具とか備蓄の食糧とか、そういうものも一緒にして用意されておりますので、事故原因に対しまして対策を講じ、できるだけ長引かせないような努力は当然いたすのでありますけれども、そしてそのための用意もこの答申にいろいろ書かれてございますけれども、それでもなお長引くような場合には、そういった一般防災対策が発動されるという手順になっております。
○村山(喜)委員 時間が来ておりますが、大臣、さっきの原研のおりの中に入れられたようなかっこう、そして幹部の方は汚職をやっているのでしょう。それで逮捕されている。とにかく、ガードマンが来て、もう職員はたまらぬと言うのですよ。そういうようなところで研究をしている職員のことを考えてみた場合には、私は、本当にたまらぬという気がしてならないと思うのです。
 それで、どうですか、そういうようなところを、監督官がおるわけでしょう、ちょっと実態を調査して、さっき局長の方からの御答弁では、必要最小限度のものをやっているのだとおっしゃるけれども、中に入っている人たちがそう言うわけですから、まあ、あなたやあるいは国会議員の皆さんが行かれた場合にはそんなことはないのでしょうが、ちょっと規制が厳し過ぎて、そういうような管理体制の中に組み込まれて、自由にできる権利が失われていくんじゃないかということになってきますと、これは原研の活動自体が、研究活動をやっていくこと自体が侵されることに私はなると思うので、そういうような点については、必要な指示をあなたはされるお気持ちはございませんか。大臣、それだけをお伺いしておきます。
○中川国務大臣 核物質の不法移転ということは、これは本当に気をつけなきゃいかぬことであり、国際的にも非常に厳しく言われておるところでございますから、この点は厳に尊重してまいらなければならぬと思います。ただ、そのことによって、過剰で、労働基本権というのですか、人権を無視する過剰なことがあれば、これは改めなければならぬと思いますが、もう少し現状を勉強してみまして、もしそういう点があれば改めることには一向差し支えありません。問題は、不法移転がなされるような状況にあるということは、これは厳に慎まなければいけない大事な基本的な問題だとは思っております。
○中村委員長 瀬崎博義君。
○瀬崎委員 本日は、動燃事業団の問題について質問いたします。
 動燃の再処理工場においてこの一年間、去年の九月からことしの九月までの間に何回の事故、トラブルが起こっているか、お答えをいただきたいと思います。
○赤羽政府委員 直ちに公表したものあるいは後から公表したもの、あるいは事の大小、いろいろございますけれども、そういう公表をした件として十四件ございます。昨年の九月一日からことしの十一月十三日まで勘定いたしまして十四件でございます。
○瀬崎委員 そのうちで人身被曝の事故は何回ありますか。
○中島参考人 お答えいたします。
 人身被曝としまして、法令値を超えたものはございません。
○瀬崎委員 人身被曝を伴った事故は何件ですか。――いま十四件と言ったでしょう。そのうちに人身被曝を伴っているものは何件あるかということです。
○中島参考人 いま調べております。
○瀬崎委員 十四件というのは科技庁が答えたのですから、科技庁が答えればいいでしょう。――こんなことで時間をとられてはこちらもたまりませんから、いいです。
 この動燃の再処理工場での事故多発については、本委員会でもしばしば論議をされてきたわけでありますが、依然として多くの事故が起こっているわけなんですね。これは他の原子力発電施設などとは比較にならない頻度で起こっているわけです。
 中でもことしの五月二十二日に発生した再処理施設除染保守セル内のフィルター交換作業での事故なのですが、これは作業員の手の部分に三十分で八・五七レムもの人身被曝があったのではないですか。
○赤羽政府委員 その五月二十二日に起きましたトラブルの場合に、作業員の全身に対して四十ミリレム、手だけに対しまして八・五七レムの被曝があったと報告されております。
○瀬崎委員 この事故の科学技術庁に対する報告はいつ行われましたか。
○赤羽政府委員 ことしの六月二十四日に動燃事業団から報告がございました。
○瀬崎委員 これの公表はいつ行われておりますか。
○赤羽政府委員 ことしの九月二十二日にプレス発表の形でいたしております。
○瀬崎委員 結局九月二十二日の発表というのは、赤旗に報道されたためにやむなく公表した、これが真相ではないのですか。
○赤羽政府委員 赤旗の記事に基づきまして記者団から状況の説明を求められまして、発表したわけでございます。
○瀬崎委員 大臣、お聞きのとおりなんですね。大体事故が五月二十二日に起こって、科技庁が報告を受け取ったのがすでに一カ月後、さらに公表に至っては事故発生四カ月後、これもいまのとおり赤旗に報道され、そして記者諸君から追及を受けてようやく発表した、こういう経過である。
 実はかつて動燃事業団が、みずから軽微だと判断した事故については公表しない、こういうふうな方針を勝手に決めたことがありました。そこで、五十三年二月十六日の本委員会におきまして、特別委員会の当時ですが、私どもも追及した。どんな小さな事故、トラブルでもすぐ科技庁に報告するよう動燃を強力に指導すべきではないか。これに対して当時の牧村安全局長は、「今後はこういうような発表をしないということをしないように指導し、動燃も了承した次第でございます。」と明確に回答しているわけです。また、当時の熊谷長官も、私どものそういう質問の趣旨を、承知しましたと明確に言っておるわけであります。ところが、その委員会の三カ月後に再び再処理工場で事故が発生して、やはり科技庁への報告がなかった、こういうことがあったわけです。
 これに関連して五十三年六月八日の本委員会で、牧村安全局長はこう答えた。「動燃との間には、ささいなことも報告せい、そしてそれを発表するということで合意をしておったわけでございますが、そのルールが今回は破られたわけでございます。」動燃がルール違反をした、こう答弁し、熊谷長官も、再び動燃が報告義務を怠れば、今度こそ厳重な措置をとる――厳重な措置、こう言っております。
 今回に至っては、いまお聞きのとおりです。科技庁への報告が一カ月おくれ、公表に至っては四カ月後、このようなありさまですね。科学技術庁が国会で二度も、どんなささいな事故でも、今回はささいではありませんが、報告をすぐするように、公表もするように、こういう約束がしてあるのだ、そういう義務を事業団に課してあるのだと言いながら、今回またそれが守られていない。なぜ一体こんなことになるのですか、はっきりしていただきたいと思います。
○赤羽政府委員 御指摘のように動燃事業団、その他の機関でも同じでございますけれども、細かいトラブルでも報告をするようにという指導はしてまいっております。
 本件につきましては、ややその認識についてボーダーラインにあったのかとも思われます。と申しますのは、作業を計画するにつきまして、被曝を予想しながら行った作業であった、ただし、御指摘のように、手につきましては予想を大分超える被曝があった。ですから、これを、ささいにしてもトラブルと考えるか考えないかということのちょうど境目に当たったのではないかと考えます。しかし、動燃事業団に対しましては、この程度のことであっても、やはり一部見込み違いがあったからには連絡をよこすように、今後指導してまいりたいと思います。
○瀬崎委員 それでは尋ねますけれども、この保安規定では、動燃の場合、人身被曝の要警戒勧告レベルは幾らに定めているのですか。
○中島参考人 お答え申し上げます。
 動燃東海再処理工場の保安規定に定める原因調査レベル、それから勧告レベルでございますが、これは従事者と従事者以外の者とに分けております。
 それで、従事者について申し上げますと、これまた被曝する位置が三つございます。全身、それから皮膚のみ、それから手、前脚、足または足関節のみでございますが、調査レベル、これは全身に対しまして〇・三レム・パー・三カ月、それから皮膚に対しましては〇・三レム・パー・三カ月、手、前膊などにつきましては二レム・パー・三カ月でございます。
 それから要警戒レベル、これが全身に対しまして一・三レム・パー・三カ月、それから皮膚のみに対する被曝が二・五レム・パー・月、それから手、前膊、足などが六レム・パー・月でございます。
 それからもう一つ……
○瀬崎委員 それでいいです、従事者で。
 今回のこの除染保守セル内の特殊放射線作業計画に基づく作業なんですが、これはその保安規定の適用を受けているのですか、受けていない、つまり適用外の作業なのですか。
○中島参考人 受けております。
○瀬崎委員 保安規定は受けているんですね。そして、たった三十分で八・五七レムの被曝だと言われましたね。いま中島さんが説明した保安規定の要警戒勧告レベル、これは一月で六レムですよ。たった三十分でこの六レムをはるかに超えているわけでしょう。まことに大きな人身被曝と考えなければならない、これが正しい認識だと思うんですよ。これだけ要警戒勧告レベルをオーバーしているのだから、直ちに科技庁へも報告が行われ、対策が講じられる、これが私は正しい措置だと思うのですが、いかがでしょうか。
○中島参考人 お答えいたします。
 先ほど、これは保安規定に基づいた作業だと申し上げました。
 それから、なお一つ、これは定常的な作業ではございませんで、年に一回か二回行う非定常の作業でございます。
 それから、これが高放射線下の作業である場合には、あらかじめ特殊放射線作業計画というのを立てまして、そして非常に細かく作業の内容を事前に検討をいたします。
 具体的には、どういう保護具をつけるか、それから線量はどの程度のものであろうか、それからどういう線量計をつけるか、それから作業手順、そういったものにつきまして計画を立てまして、そして所定の職制でのチェックを得てやるという非常に特殊な作業でございまして、これが三十分だから非常に大量であるかのごとくお受け取りでございますけれども、先ほど申しましたように、非定常で年に一、二回というような作業につきましては、この程度のことはあり得るというふうに考えております。
 それから、なお申し上げますが、先ほど申しましたレベルの中で六レム・パー・マンスでございますが、法令値は二十レムでございます。
○瀬崎委員 先ほど来の話を聞いておりますと、被曝は当初から予想された作業であったというようなことを言ってみたり、それから定常的な作業ではないと言いながら、一方では保安規定が適用されていることはあなたも認めているわけでしょう。そう言いながら、一時的に保安レベルの被曝はあり得る、その言葉からいけば、今後だってこういうことは覚悟の上だ、こういうことではないかと思うのですね。それじゃ、何のために保安規定がここに適用されているのか、私は意味がなくなると思うのですね。もし、あらかじめ被曝が予想されているのなら、それを防護する措置が当然とられるのが正しい考え方ではないかと思うのですが、動燃としてはそういう考え方はとらない、今後とも被曝は前提だ、こういうことで作業をやっていこうというのですか。
○中島参考人 われわれ再処理を担当しておる者といたしましては、従業員の不必要な被曝は努めて避けるようにしたいということを前提にしております。しかしながら、御存じのとおり、再処理工場は放射能を大量に扱うところでございますので、もちろん工場はそれなりの遮蔽あるいは区域分けあるいはベンチレーションなどで十分に管理しております。
 それで、先ほどもおっしゃった中で、保安規定というのは、定常だけではなくて非定常作業も全部カバーした保安規定でございます。
 それから、先ほど申しましたように、従業員に不必要な被曝は避けるというのが前提でやっておりますので、特殊放射線作業計画におきまして、非常に綿密な検討を経てあの作業を計画し、実施し、その後をチェックしておるわけでございます。その結果としまして、こういういろいろなレベルを決めておりますのも、法令値をどんなことがあっても守るということのためにやっておるということで御理解いただきたいと思います。
○瀬崎委員 これは科技庁の方に聞きたいのですが、そうすると結局、動燃事業団の方針でいけば、こういう特殊放射線作業計画に基づくような作業では、今後とも保安規定の規定値を超える場合だってあり得る、法令値以下ではいいんだというふうに理解できるのですね。またあるいは、被曝は当初から予想されているのだから、それは起こってもやむを得ないんだ、こういうふうにとれる発言なんです。科技庁はそれでよいという立場に立っているのですか。
○赤羽政府委員 この場合のハレムと六レムの関係でございますが、六レムは法令に定めます線量を超えないための警戒レベルという意味の設定でございます。しかしながら、被曝は幾らあってもいいということはございません。できる限り減らさなければいけないわけでございまして、本件につきましても、作業の仕方を変え、道具を上手に使うことによって、はるかに低減できるということがわかりましたので、その方向を指導しておるところでございます。
○瀬崎委員 その指導はいつ行ったのですか。
○赤羽政府委員 途中にも行っておりますが、最終的には九月三十日に行っております。
○瀬崎委員 大臣に伺いたいのですが、人身被曝は予想されたこととか、しかし、そもそも保安規定の要警戒勧告レベルというのは相当高いわけですね、要注意だというレベルなんですわ、それを超えてもこういう特殊な計画は仕方がないんだとか、あるいは過去国会で科技庁長官が二度にわたって、速やかな報告あるいは公表、こういうことを約束している、これも破られてきている。しかも科技庁の指導が最終的には九月三十日だった。事故が起こってから約半年おくれですね。
 こういう状況を見ておると、改めて、原子力基本法の基本方針がこの動燃の運営の中で意識されているのかどうか、こういうことを私たちは危惧するわけですよ。あの基本方針には、御承知のとおり明確に、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と明言されておるわけですね。これがもう事実上形骸化されていっている、こう言わざるを得ないと思うのですよ。
 安全の確保、民主的な運営、そして公開、こういう原点に立って一遍政府は、動燃事業団の運営全般に対して厳重な点検、ただ単に公表がおくれたとか、あるいは報告の義務がおくれておった、これだけではなく、全般にわたってこういう三原則が貫かれているのかどうか、こういうチェックをされてみる必要があると思うのですが、いかがでしょう。――いや、大臣。
○赤羽政府委員 先ほどの動燃に対する指示でございますけれども、最終的に文書をもって九月三十日に行いましたが、報告のありました六月の時点で、原因の調査等状況の報告を受けましたときに、先ほど申し上げましたように、方法によっては被曝をずっと低減できるということが見当がつきましたので、口頭でその措置をとるよう指示し、それからすぐ実施態勢に入ったと聞いております。
 動燃のトラブルの報告でございますが、発表するしないはまた別といたしまして、動燃事業団の中での安全管理意識を高め、わずかなことでも幹部が知り、かつ科学技術庁へ報告し、必要な処置を立てるという姿勢はきわめて必要なことと思います。その方向でさらに一層注意してまいりたいと思います。
○瀬崎委員 大臣、おかしいと思いませんか。放射線被曝をもっと低くする方法、できる方法があることがわかったから注意したというのでしょう。
 そうすると、動燃がこれまで綿密な検討のもとに特殊計画を立ててやった、専門の動燃が綿密な計画を立てておれば、そういうふうなできる方法は当然採用されていなければいかぬわけです。それが被曝事故が起こって初めて手をつけたという、こういうふうないいかげんなことではいけないと思うのですね。なぜ、いままででもできる方法があるのならそれをやっておかなかったか、こうわれわれは問わざるを得ません。
 やはり、これは一遍現在の動燃そのものについては――かつて宇野長官か、意味するところはわれわれと多少違うかもわからぬけれども、動燃たるんどる、こういう言葉を国会で使ったことがあるのです。現在、私は、そういう意味でのたるみとかいうのじゃなくて、本当に原子力三原則に基づく開発、研究の運営になっているかどうか、ここが問題だと思うのですね。こういう点では、一度点検が必要だと思うのですが、いかがでしょう。
○中川国務大臣 原子力基本法に基づく安全、自主、民主、公開の原則は基本的に大事なことでございますから、今後とも一層徹底するように指導してまいりたいと思います。
 過去についていろいろ御指摘がありましたが、御指摘も踏まえて善処してまいりたいと存じます。
○瀬崎委員 私は、先ほどからの動燃の態度を見ていると、作業が作業だから被曝もやむなし、やかましく言われたから仕方なしに何らかの処置をとったのだという印象を強く受けているわけですが、そういう態度の根底には、憲法が国民に保障している最も大事な問題、基本的人権とかあるいは個人の生命、自由の尊重、こういうものに対する軽視があるのではないか、こういうふうな気持ちすら私は持つんですよ。
 そこで次に、最近、動燃事業団の中で起こったきわめて遺憾な事件を報告したいと思うんです。
 去る十月二十六日、動燃事業団大洗工学センターのFMS室、これは照射燃料集合体試験室です、この職場で働く市毛秋雄君という二十七歳の青年が職場結婚をされたわけであります。この結婚をめぐって、管理職の立場にある人々から市毛君やさらにその同僚に対して、本当に人間性を疑うような圧迫というか、一種のいやがらせというか攻撃、こういうものがあったんですね。結婚式の妨害ではなかったかと、ぼくは思う。
 まず、この市毛君は、どこの職場でもそうだと思うのですけれども、結婚式を挙げるに当たっては、やはり世間の常識に従って上司にその媒酌人を頼んだわけですね。これは九月一日のことである。人生で最も輝かしい行事でありますし、自分たちの思想信条は別として、上司は喜んで引き受けてくれるものなりと心をはずませて本人は頼んでいるわけですよ。これはやはり世間の慣例も尊重しているわけですね。私どもの常識からいけば、まあまあ世間一般の上司なら、当然のこととして喜んで快く引き受ける、これがあたりまえのことではないかと思うんです。
 ところが、このFMSの室長はこう言ったというんですね。「君も結婚するのだから、これを節としておとなしくしていた方がいいのではないか」、水を差したわけですよ。それだけではなかった。すぐその後引き続いて、同じく上司の一人でありますFMS室長代理から「余り目立たない方がいい、労務からいろいろ情報が入ってくる」、「若いうちは正義感が旺盛だが、年とともにずるくならないと損だ」、あげくの果てには「現在の警察も結局戦前の特高の延長で、思想チェックがメーンだ」と、一種のおどかしに似た話までされたというんですよ。
 市毛君にしてみれば、自分の信念は別として、できるだけそういう世間の慣例、慣習を重んじて上司に頼み、気持ちよくできるものと思っていたのに、これは大変なショックを受けたわけですね。
 ところが、そういう攻撃は本人市毛青年に対するものだけにとどまらなかった。九月十九日に至りまして、超勤中でありましたこの市毛君と同じ職場のグループで働いている同僚、ここで仮にA君としたいと思います。このA君がMMS室、これは照射材料試験室です、その室長代理、つまり自分の所属している室とは違う、よその室の上司から呼び出された。そして「市毛の結婚式に出ると、君の将来は保証しかねる」、「あいつとは一線を引け」とまで言われた。仕事中に自分の所属していない、よその室の上司がこういう示唆を与え、そのために呼び出す。たまたま、そのMMS室の室長代理という人は、A君が前に所属していた室の上司であったという関係があるのですね。だから、A君のことはよく知っているわけなんです。
 こうなりますと、ただ単にうっかりFMSの室長、媒酌人を引き受けた人が注意したというのではなくて、計画的、組織的にこの干渉が行われた、こう考えざるを得なくなってきますね。
 さらに、その後の九月二十九日には、このA君の元の職場のグループのリーダーから、「あいつ」つまり市毛君のことですが、「あいつの結婚式に出ても、受付とかカメラマンとか目立つことはおまえにとってよくない」、こういう圧力が加わってきた。困り果てたA君は、いまのグループのリーダーに相談した。すると、このリーダーもまた、「私も君のために出ない方がよいと思う」、こう忠告したというのです。友達の結婚を祝福するために結婚式に出ようと思っていたA君も、余りあちこちから圧力がかけられたので一時は途方に暮れて、出席を取りやめようと思ったりして、市毛君にそのことを伝えたというわけです。
 ところが、こういう圧力はA君だけにとどまらなかった。同じく市毛君が招待をしておった他の同僚のところにも来ていたんですね。それは十月六日です。市毛青年と同じFMS室に所属するB君に対しても、一番最初市毛君にいろいろと忠告がましいことをしたFMS室長代理が、またしても「君は市毛の結婚式に出るのかね、出ると君の将来によくないよ」、こういう圧力をかけたらしい。こういうことを聞いた市毛君は、たまりかねまして、その翌日、FMS室長代理に抗議をしているわけなんです。これは調べられればすぐわかると思います。しかも、このB君に対しては、同じ職場の先輩からも「市毛の結婚式には出ない方がよい」、こういう圧力もかかっているのです。
 そして十月の十八日、市毛君が、最終的に結婚式に招待した人々の出席を確認するため電話をかけた。この中で今度は同僚のC君からも、「市毛の結婚式に出るなと言われているので残念なから出席できない」、「おれ以外にも同じようないやがらせがあるようだ」、こういう欠席の返事をしたというのですね。
 これが市毛青年の結婚式にまつわる大まかな事件の概要なんです。
 私は、ここで改めて憲法を引用しなければならないなんということは大変残念なんですが、まあしかし、念のために引用しておきたいと思います。「基本的人権は、侵すことができない永久の権利」であり、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」こういうことをうたっていますね。個人の尊厳もうたっています。「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」こう明言、宣言をしているわけです。周知のとおりです。
 ですから、その青年の思想、信条を理由に、結婚式を妨害するとかあるいはまた結婚式へ出席してやるかわりにその青年の思想、信条を曲げさせよう、こういう干渉を行う、こんなことがいまどき許されていいのかどうか。最初聞いたときは、いささか快然としましたよ。現在の動燃事業団でこういう憲法じゅうりん、江戸時代を思わせるような結婚妨害事件が発生した。これは偶然じゃないように思う。結局、技術者などを思想、信条によって差別する、こういうことが事業団運営の基本方針にあるからではないか、こういうように私には思えてならないのですが、その点はひとつ副理事長、いかがですか。
○金岩参考人 お答えしますが、いま先生のお話を伺って、私自身も意外なところがございますが、正直申して、先生から社内結婚について御質問がありそうだということでありましたので調べてまいりましたけれども、基本的には、動燃事業団では結婚については全く個人の自由ということでありますので、そういうことを重んじて、干渉するとかなんとかするような方針はとっておりませんし、そういうことは全然ないと思っております。実際には社内結婚も、調べてみますと三〇%か四〇%ぐらいございまして、社内結婚はかなり多いのでございます。
 しかし、何かあったんじゃなかろうかということで本社の人事で調べましたところ、大洗のある職員の結婚式について干渉があったという本人の訴えが労組の支部にあった。で、支部からこの件について問い合わせがあったことに対して調べたところ、そういう干渉したような事実はないということを聞いて、事業所から組合の方にそういうふうに説明したということを聞いているだけでございまして、いま先生のおっしゃったようなことについての詳細な話は私ども聞いておりませんので、もしもそういうようなことがあれば、念のためよく調べてみたいというふうに思いますが……。
○瀬崎委員 確かに市毛青年は、私どもに問題を持ち込む以前に、できれば、そのために組合もあることだから、自主的に解決することを望んで組合に相談かけているわけですが、それに対する回答がいまのとおりですね。そんな事実はなかったという全く機械的な回答だけだ。もしそうだとすれば、市毛青年がうそを言っていることになりますね。しかし、こういう問題で、まあ常識的に判断して副理事長、本人がうそを言っていると思いますか。
○金岩参考人 これは、聞きましたところは、本人が組合へ訴えて、組合から事務所へ聞いたということでございますので、その辺の心情その他のところは、ちょっと憶測いたしかねますのですけれども。
○瀬崎委員 大臣に聞いてほしいのですが、そういうわけで組合が、事実無根、こういう当局側の回答をそのまま本人に伝えたことから、本人としても、これではとてもたまらぬということが訴え出てきた根本動機なんですよ。これはもうわれわれ皆、一生に一度は経験のあることですね。青年にとっては結婚ですから、一生一代の大ごとですよ。だから、何とか無事結婚式を済ませられるものなら、少々のことはがまんしようということが常識だろうと思います。だから、普通なら、私が報告したような事実が仮にあったとしても、まあそれは隠しておこう、胸の中におさめておこう、これが常ではないかと思うのですよ。結婚式さえ丸くおさまるならばということでですね。それを国会でまで、ぜひ追及してほしいんだ、こう訴え出てきたということは、まさによくよくのことだったと考えるのが普通の人間の常識であろう、私はこう思っているわけなんです。
 決してそういう青年がいいとか悪いとかいうことではなくて、こういうことがあれば、一般的には上司の言葉に従って、みずからの信念を一時的に曲げるあるいは曲げるようなふりをするとか、あるいは曲げないまでも、こういういやな事実は自分の胸にしまい込んで、自分たちだけの幸せを守ればよいという考えに走りやすいですよ。市毛君自身も、ずいぶんその点では思い悩んだようであります。しかし、職場の多くの青年や仲間のためにも、人権侵害、思想信条の自由に対する干渉、これを自分たちだけの幸せと引きかえにしてほうっておくことはできない、こういうことに結論は到達したようですね。私は、察すると、非常に何といいますか、こちらまでちょっと胸が熱くなるような思いなんですね。そういう点で、私は、市毛青年に直接会ってこの話を聞きました。その上できょうこの質問をしているわけなんです。
 私は、率直に言って、この青年は真実を訴えていると確信を持ってきょう質問しています。事は人道問題でもあるわけなんです。だから、何はともあれ、青年の訴えに耳を傾ける、ここから問題の解決は出発すると思うのです。
 中川長官に私は要望したいのですが、恐らく大臣が会うと言えば、この青年は大臣にでも直接訴えるという気持ちは持っていると思います。一度、こういう重大な問題が起こったのですから、そういうことも大臣としてお考えいただけないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○中川国務大臣 いま初めて聞くことでございますが、人権の尊重、思想信条の自由というのは守られなければならぬ、これは当然のことでありますし、しかもそれが職制を通じて圧力を加えたということだとすれば、なおさらいけないことだと思いますが、いま先生の話を聞いた範囲内では、仲間が上から言われた、仲間が言われた、こういうことでございますが、仲間が上を利用する場合もあるかもしれません。本人は確かに聞いたのかもしれませんし、本人はうそを言っておらないかもしれませんが、そういうこともあるんじゃないかと思いますので、もう少し事業団の方で調べてみた上でひとつ考えてみたいとは思いますが、思想信条の自由は保障されなければなりませんし、人権は尊重されなければならぬ、この立場は守るように指導してまいりたいと存じます。
○瀬崎委員 しかし、中川長官らしくない発言だと私は思うのですね。仲間が上司を利用した、一体これはどういうことですか。(中川国務大臣「あるかもしれない、わからないです」と呼ぶ)だから、そういうことは、結婚した本人としては全く言いにくい、言いたくないことをあえて申し出ているぐらいなんですから、よほどのことと見るのが至当だと思うのです。だから、一たん動燃の内部では、そういうことはなかったなどという、そんなことで済まそうとした事件なんですよ。事は思想信条に関する、しかも結婚にまつわる問題ですから、これは政府みずから乗り出して事実を一遍調べてみよう、そのくらいの気があっていいんじゃないかと思うのです。再度答弁を求めたいと思います。
○中川国務大臣 先ほどお話しの中には、A君、B君ということで、その人の名前も出ておらないわけでして、その人の人権の問題もあるんじゃないかと思いますから、やはりもう少し、大臣みずから出て調査するという性格のものであるか、慎重でなければ、らしくあるかないかわかりませんけれども、もう少し事態を見た上で考えたいということであって、A君、B君という人は名前が明かされないということを見ただけでも、ひょっとしたらという気持ちも持ちますし、いずれにしてももう少し事業団の方が、直接責任を持っているところですから、私がみずから出るという性格のものではないと思います。
○瀬崎委員 確かに市毛君は、かつて労働組合の青年婦人部の役員をしておったこともあって、献身的に活動した経歴は持っているようです。同時にまた、仲間の信望も大変厚かったようです。ですから、市毛君への信頼の厚さは、そういういろいろな妨害があったにかかわらず、結婚式には百人以上の方々が出席されて、非常に盛大に本人の門出を祝福されているわけです。そして、出席を断った人々も、祝電を打つなどしてみずからの祝意を表した。また職場では、それぞれ大きな声では言えないけれども、耳打ちかたがたおめでとうと、すれ違いざまに言っている人の姿も多いということも、私もこれだけ質問するのですから、何人かの人に状況を聞いてみた中で出ておるわけであります。そういうわけですから、特にこれは国会としても大事な問題として考えてみなければいかぬと私は思うのですよ。いま大臣は、AとかBとか言っていましたけれども、私どもは、話が煮詰まってくればそういう人々の名前を出すことにやぶさかではないのです。現在、市毛青年本人もあるいはまた妨害を受けた人の何人かも、もしも国会で自分たちの証言を聞いてくれるというのならいつでも呼んでいただきたい、こういう申し出も受けているぐらいなんです。
 そういうわけですから、事は憲法問題にもかかわる大事なことゆえ、これは委員長においても、ひとつこういう青年たちを国会に参考人として招いてでも、一度よく調査しようということを検討いただきたいと思うのです。委員長の答弁を求めます。
○中村委員長 ちょっとそれは、ひとつ後で理事会でお話し申し上げて、御返事申し上げます。
○瀬崎委員 それから同時に、法務省人権擁護局も来ていると思います。
 大体いま話を聞かれたとおりです。一番人権擁護の担当課ということになるわけなんだけれども、まずこういう事件についての見解を聞いておきたいことと、これだけの事実が明確に出てきた以上、当然必要な調査をきちっと行って、人権の回復に努めるべきだと思うのですが、いかがですか。
○水流説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、ここで初めて承った事柄でございまして、私どもも事実関係をはっきり承知いたしておりません。それに、人権侵犯に当たるか否かということは、微妙な事実関係の差異が結論を大きく左右するということになりますので、いまの時点でどうかという点については遠慮させていただきたいと思います。
 もちろん、被害者の方から人権侵犯であるということで法務局等に訴えがありまして、われわれが見まして、人権侵犯の疑いがあるということであれば、事案に応じました適切な調査とか処分はしなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
○瀬崎委員 その可能性も十分あり得る事件なので、慎重な対処を要望しておきたいと思うのです。
 なお、この件について重ねて、どうしても第一義的には動燃の方で、こういう大臣の発言もあります。とにかく事態は、国会に出してもらっても、あるいはわれわれが国会に出ていってでもいろいろと証言したいんだ、こういうところまで来ているのですから、副理事長がいろいろ事情を聞かれる場合には、十分それなりの配慮をもって、偏見なしにお話を聞かれるように特に要望しておきたい。
○金岩参考人 いま先生おっしゃいましたように、よく調べてみたいと思います。ことに、先生おっしゃったように、媒酌人を室長がやっておるようですから、本人の結婚については関係者みんな祝福していると思うのです。ですから、その辺にどういういきさつがあったのか、さっぱりわかりませんので、よく聞いた上で対処したいと思います。
○瀬崎委員 さらに、動燃の大洗工学センターでことしの七月、約三日間の監督者研修を行っているようなんですね。その中では、監督者としてのあるべき姿などがテーマになっているようなんです。
 ところで、その研修会に参加した人の感想文だろうと思うのですが、ちょっとこの一部を読んでみますが、大変な問題なんです。「この研修を受けての今後の心構え」として「今回の研修の目的は、突き詰めれば、日共の労組支配を完全に排除することにあると思う。そのため、職場で問題のある人の影響力をできるだけ小さくするよう、まず「仕事がよくできるりっぱな人だ」というイメージを特に若年層に与えない方向に持っていこうと考えている。」こういうことが書いてあるのです。
 こういうところから察せられることは、この研修会が普通の研修会ではなかったのではないか、明らかに思想信条で従業員を差別する、あるいはまた当局が好ましくないと判断した、あるいは思想信条の持ち主を排除する、こういうふうなことをテーマにしておったのではないかというふうにわれわれは疑義を持たざるを得ないわけです。もしこういうことが事実であったとしたら、いまどきこんな研修会が許されるのかどうか、この点からまず伺っていきたいと思うのです。
○金岩参考人 お答えします。
 私は、この研修会の詳細を直接聞いておりませんので人事に聞きましたのですが、この研修は幹部の研修でして、幹部としての心構え、そういうものを研修し、またディスカッションし合うということでございまして、いまおっしゃったようなそういう意図は別にもちろんないと考えております。
○瀬崎委員 あなた方はないと言っても、講習に参加した人の感想にこういうことが書かれている。大体これで内容は推察できますね。こういうものが出ているにかかわらず、いやそんな目的はないなんて言えますか。
○金岩参考人 本人の意見その他でありましょうけれども、どういうふうにその研修の話を聞き、そして受け取ったか、あるいはこれは直接話した者と両方聞いてみないと、ちょっとお答えできませんが、もしも先生が言われたようであれば、そういうふうに本人は感じたのかもしれませんけれども、どういうふうにやったのか、ちょっと詳細聞いてみないとわかりませんので、調べてみます。
○瀬崎委員 ここで「職場で問題のある人の影響力」というのは、つまり当局側が好ましくないと思う思想信条の持ち主という意味でしょう。その「影響力をできるだけ小さくするよう、まず「仕事がよくできるりっぱな人だ」というイメージ」が周囲に与えられないようにする必要がある、ここが差別の点でありますが、逆に言えば、そういう思想は当局にとって好ましくないかもしれない、しかし、その人が仕事をよくやっているということの反証でもあるので、これはわれわれにとって大変貴重な感想文だと思っているのですよ。
 しかし、事が事だけに、こんな研修会がこのまま放置されるということは絶対許せないと思うのですよ。そういう意味では、この研修会の全貌について、つまり、だれがどんな講義をしているのか、講義録等も含めて、われわれに資料提出するようにお願いしたいのです。いかがですか。
○金岩参考人 いま申したように、調べてみないと、その点は何ともわかりませんですけれども、いま先生の言われているようなことは、今後の方針としても十分注意してやりますし、われわれの方も、どういうことだったかよく調べた上で御返答したいと思います。
○瀬崎委員 私が言っているのは、われわれにこの研修会の全貌がわかるような資料を出しなさい、こう言っているのです。そのことに対する答弁をしてもらいます。
○金岩参考人 それは、そういうことで調べてみますが、どういう程度の集まりか、御満足いくかわかりませんけれども、できるだけのあれを調べるようにいたします。
○瀬崎委員 これは一遍理事会で協議の上、委員長からも要求してほしいと思うのです、委員会の意思において。つまり、どの程度のものが出せるかわからぬではいかぬのであって、少なくもこういうものか全くなかったとは言えないはずなんですよ。大体、特定の政党の排除を目指すとか、思想信条を侵す、あるいは仕事上その人の思想信条において差別をつける、こんなことが、しかも幹部の研修会でやられるというようなことは見過ごせないですね。だから、きちっとその内容がすみずみまでわかる資料を要求するようにしていただきたいと思うのです。これも委員長の御回答をいただきたい。
○中村委員長 これはやはり理事会で検討しましょう。
○瀬崎委員 最後に、私は先ほど大臣に申し上げたでしょう、現在の動燃事業団の運営というのは、ただ単にたまたま事故隠しをやったとか、たまたま大きな被曝が出たという問題だけじゃない。運営全般が民主の精神に反しているのではないか、公開の精神に反しているのではないか、これは、こういう一連の事件を見た上での私の大臣に対する要求であったわけであります。この動燃事業団は科学技術庁所管の研究機関として、本来最も近代的、民主的でなければならないところで、最も暗黒的な事件が起こっているわけですから、改めて、三原則の基本に立って運営が行われているかどうかの総合的な点検を一遍されてみる必要があると思うのですね。お答えをいただいて、終わりたいと思います。
○中川国務大臣 せっかくの御指摘ではありますけれども、実態が暗黒的という表現であるのかどうか、事情を調べた上でまた対処いたしたいと存じます。
○中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十四分散会