第094回国会 社会労働委員会 第4号
昭和五十六年三月十九日(木曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 山下 徳夫君
   理事 今井  勇君 理事 戸井田三郎君
   理事 戸沢 政方君 理事 湯川  宏君
   理事 田口 一男君 理事 森井 忠良君
  理事 平石磨作太郎君 理事 米沢  隆君
      金子 岩三君    木野 晴夫君
      古賀  誠君    竹内 黎一君
      谷垣 專一君    中野 四郎君
      長野 祐也君    丹羽 雄哉君
      葉梨 信行君    八田 貞義君
      浜田卓二郎君    船田  元君
      牧野 隆守君    箕輪  登君
      池端 清一君    枝村 要作君
      金子 みつ君    川本 敏美君
      佐藤  誼君    栂野 泰二君
      永井 孝信君    草川 昭三君
      浦井  洋君    小沢 和秋君
      石原健太郎君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        厚生政務次官  大石 千八君
        厚生大臣官房審
        議官      吉原 健二君
        厚生省公衆衛生
        局長      大谷 藤郎君
        厚生省環境衛生
        局長      榊  孝悌君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部長 山村 勝美君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省薬務局長 山崎  圭君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省児童家庭
        局長      金田 一郎君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
        厚生省年金局長 松田  正君
        厚生省援護局長 持永 和見君
        社会保険庁医療
        保険部長    吉江 恵昭君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        整課長     厚谷 襄児君
        国税庁直税部法
        人税課長    四元 俊明君
        文部省初等中等
        教育局中学校教
        育課長     垂木 祐三君
        文部省初等中等
        教育局特殊教育
        課長      戸田 成一君
        文部省大学局医
        学教育課長   川村 恒明君
        文部省管理局企
        画調整課長   北橋  徹君
        文部省管理局私
        学振興課長   坂元 弘直君
        厚生大臣官房企
        画室長     長門 保明君
        運輸省港湾局環
        境整備課長   高田 陸朗君
        労働省婦人少年
        局婦人労働課長 佐藤ギン子君
        参  考  人
        (日本赤十字社
        衛生部長)   北村  勇君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     小杉  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  小杉  隆君     石原健太郎君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  大橋 敏雄君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  草川 昭三君     大橋 敏雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一七号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○山下委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
○浜田委員 本日は二点に関しまして御質問申し上げたいと思います。
 最初に、手話についての問題を取り上げたいと思いますが、そのテーマと社会保障の長期展望と二つのテーマを取り上げたいと思うわけでありますが、大変時間が限られております。四十分しか時間をちょうだいしておりませんので、ひとつ御答弁の方は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
 現在全国で約三十二万人という聴覚言語障害者の方がおられると伺っております。聴覚言語障害者、すなわち聾唖者の方々は聞くということと話すという基本的なコミュニケーションの手段を失われているわけでありまして、ともすれば社会の中で孤立感を深める、あるいは各種の分野で差別に悩まれるというようなハンディキャップの非常に大きい状態におられるわけであります。私は完全参加と平等ということを実質的に考えた場合に、この聾唖者の方々の持っておられるハンディキャップをできるだけきめ細かにカバーをして差し上げる、そういう施策が大変重要であると考えるわけであります。そういう観点からきょうは最初の御質問を申し上げたいと思うわけであります。
 最初に、聾唖者のコミュニケーションの手段として使われておられる手話に関しまして、現在どのくらいの手話の数があるのか、お伺いしたいと思います。
○山下政府委員 現在聴覚言語障害者が日常用いております手話の数は、全日本聾唖連盟等関係者の調査によりまして、約二千七百語というふうに理解をいたしております。
○浜田委員 二千七百語ですか。健常者が、われわれが使用している用語というのは通常三万語程度と言われているわけでありまして、これに比べますときわめて数が少ないという現状だということであります。私は、まず基本的にこの手話の数をもっとふやして差し上げなければならない。そしてまた、手話の中でもいわゆる方言というような、いわば標準化が十分行われていない、そういう現状にあると伺っておりますけれども、まず手話の数をふやす、それと同時に標準化を図っていくということが基本的な施策として大事ではないかと私は考えますが、その点について現在どのような具体策をとっておられるか、そしてどのような現状にあるか、伺いたいと思います。
○山下政府委員 全く御指摘のとおりに私ども考える次第でございます。
 厚生省といたしましては、昭和五十四年度から財団法人全日本聾唖連盟に委託費を交付いたしまして、新しい手話用語の研究開発、それから手話用語の標準化、こういった事業を委託事業としてお願いをいたしておるという状況にございます。
○浜田委員 その委託事業の進行状況といいますか、あるいは目指している開発の目途というのはどういうことになりますでしょうか。
○山下政府委員 五十四年度、五十五年度、ちょうど二カ年間委託いたしておりますが、その間におきまして新しく開発をいたしました標準手話が約七百語ということでございまして、それで先ほど申し上げました二千七百語に現在なっておるということでございます。
 この手話用語の用語数につきましては、当面五千語程度には持っていきたいという目途を持っておるわけでございます。
 あと、先ほど申されました方言等を標準化していく問題、あるいは非常に微妙なニュアンスの表現ということについて工夫をしていかなければならぬ点等々がございますので、今後ともこの委託費は継続をいたしまして努力をいたしていきたいと思います。
○浜田委員 手話が現実には聾唖者の方々の重要なコミュニケーションの手段になっている、そういう現状だと思いますけれども、手話については必ずしも正規の教育体系もない。ですから、聾唖者の方々は自然に周りから習得されるということであって、そういう体系的な教育が行われていないという現状にあるというふうに伺っております。
 またさらに、聾唖学校におきましても、口話法によるんだということで教育方針が貫かれているようでありまして、手話がそういう聾唖学校においても教育の体系の中に取り入れられていない、そのような現状であると伺っておりますが、文部省の方、お見えだと思いますけれども、どういうお考えでそういうことになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○戸田説明員 お答えいたします。
 聾唖学校の児童生徒でございますが、現在、聾学校は全国に国公私立百十校、在学しております児童生徒数は幼稚部から小学部、中学部、高等部合わせまして一万一千五百七十七人でございます。これらの聾学校の児童生徒の大部分は何らかの残存聴力を有している実態でございます。このため、現在、聾教育における言語の指導はこの残存する聴力の活用を目指す聴能訓練と音声言語による口話法、すなわち読話、発音、発語ということによる指導が主として行われております。特に近年は、補聴器の著しい進歩に伴いましてこれらの指導が一層その教育効果を上げているような状況でございます。
 一方、わが国で一般に使われている手話はいわゆる身ぶり語が中心でございまして、語彙数も少なく、日本語としての文法、文型に即さず、一般社会の人々との交信に困難性があるなどの欠点が指摘されており、なお今後の研究にまつべき面が多々あろうかと思われます。しかしながら、最近は聾学校においても障害の多様な児童生徒が就学するようになったことに伴い、口話法とともに手話や指文字を併用するなど、児童生徒の実態に即してさまざまの工夫をこらした指導を行う学校がふえつつございます。そういう現状でございます。
○浜田委員 たとえば口話法でありますと、遠くからは見えない、あるいはだれがしゃべっているかを見きわめないとコミュニケーションの手段として生きないわけであります。聾唖者の方々は職場の定着性が一般的に低いというようなことも言われております。私はその原因の大きなものは、職場におけるコミュニケーションが十分でない。たとえば怒られる、だれに怒られているのか、何を怒られているのか、一瞬のうちにわからない。そういうような問題が多々あるというふうに伺っているわけであります。
    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
 いまの御答弁ですと、手話の内容が必ずしも十分でない、したがって教育体系に取り入れるまでに至らない、そういう御趣旨かと思いますけれども、そういうふうに理解してよろしいわけですか。
○戸田説明員 先ほど申し上げましたように、幾つかのいわゆる難点がございます。そのことを申し上げたわけでございまして、したがって今後の研究にまつべき面が多々あるのじゃないかということを申し上げたわけでございます。
○浜田委員 厚生省の御答弁に先ほどありましたように、標準化あるいは数をふやすという委託事業を行っているということでありますが、その手話の内容も多くなり、標準化も進んだ、そういう暁には、現実にコミュニケーションの手段として非常に重要な役割りを占めている手話をそういう教育体系の中にお取り入れになる、そのように考えてよろしいでしょうか。
○戸田説明員 この手話の問題につきましては、私どもが所管しております国立特殊教育総合研究所におきましても、五十五年度から手指法等の評価と適用等に関する研究という特別研究を開始いたしております。そういう意味で研究に取り組んでおります。それから先ほど申し上げましたように、最近では聾学校におきましても口話法とともに手話や指文字を併用するという教育形態がふえつつございますので、先生おっしゃいましたように手話が標準化された暁には、私どもといたしましては、文部省としてこれを前向きに検討し、必要に応じて教育委員会、学校等を指導してまいりたいというふうに考えております。
○浜田委員 現実に手話が重要な手段であるということを踏まえまして、ひとつ厚生省、文部省、よく連絡をとられて、一日も早く手話の体系化、そしてそれを体系的に教育する方式の確立ということにお努めをいただきたいと思います。
 それじゃ次に移りますが、現在厚生省の方で障害者社会参加促進事業というのを行われておりますが、その一環として手話通訳の設置事業ということがあります。これの現状はどうなっておりますでしょうか。
○山下政府委員 現在手話通訳の配置状況は全国で二百八十一名配置されておる状況にございます。主に都道府県の本庁あるいは市役所あるいは福祉事務所、こういったところに配置されているのが実情でございますが、手話通訳の設置の県は、大体都道府県、指定都市に社会参加促進事業、補助しておりますが、五十六都道府県、指定都市のうち四十二県、指定都市に配置されておりまして、約七五%の都道府県、指定都市で配置されておるという状況でございます。
○浜田委員 四十二県で二百八十一名ということですが、これは常勤でしょうか。
○山下政府委員 内訳を申し上げますと、常勤は四十八名、非常勤は二百三十三名、計二百八十一名ということでございます。
○浜田委員 一応数の上では県数にして七五%ということでありますけれども、その配置の実質的な内容というのはまだ非常に不足なものがあるというふうに現状を私は承知しております。
 そこでその予算でありますが、この予算は一県当たり千六百万ということでございますね。ところが、いろいろ現状を聞いてみますと、この千六百万というのは二十あるメニュー事業のトータル予算である。この前参議院の予算委員会でも同じような質問が出たと承知しておりますが、二十のメニューを全部やろうとすれば一件当たりたかだか八十万円になってしまう。ですからいまの配置状況、実質的にまだまだ不足であるという現状に照らしますと、不十分じゃないかという気がするわけであります。
 しかし、さらに私いろいろ現状を聞いてみますと、メニューだから熱心な県はやるけれども熱心じゃない県はやらない。四十二県、つまり七五%が設置をしているというお答えでありますけれども、設置はしているけれども常勤であるか非常勤であるか、そういう意味では非常にばらつきがあるということだろうと思います。
 私は、その予算額をふやすということだけでなくて、手話通訳設置については、メニューの一つじゃない、要するに独立した補助事業である、そういうことで国の積極的姿勢を示していかなければ、地方公共団体の努力だけにまつということでは足らない、そういう気がするわけであります。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山下政府委員 社会参加促進事業の補助単位でございますが、五十五年度千二百五十万から明年度予算案におきましては千六百万ということで、率にいたしますと二六%増ということで、それなりの努力と配慮はいたしておるわけでございますが、御指摘のとおり私どもといたしましてもこれで十分な額というふうに思っておるわけではございませんので、この額の増額ということにつきましては今後とも全力を挙げて努力させていただきたいと思うわけでございます。
 ただ、その中でこの手話通訳設置事業だけを取り出しまして別途の独立補助金にするということにつきましては、社会参加促進事業というのがメニュー事業と申しますか統合予算の代表的なものにもなっておりますし、直ちにはなかなか困難だと存じますので、できるだけまずその額をふやす、同時に、手話通訳の設置事業というものの重要性を十分都道府県に指導をいたすという方針で対処させていただきたいと思うわけでございます。
 なお、手話関係ではそのほかに手話奉仕員の養成事業、これはもう五十六都道府県市一〇〇%実施をいたしております。それから手話奉仕員の派遣事業が四十三県市ということで七七%という状況になっておりますので手話通訳の設置事業未設置の県につきまして必要な配慮をするように指導させていただく、同時に予算の増額に努力をさせていただく、こういうことで対処してまいりたいと思っております。
○浜田委員 繰り返しになりますけれども、要するに、設置している県のパーセントがどれだけだということも一つの目安でありますけれども、設置している内容、そしてメニュー予算の中でどれだけを設置事業のために充てているか、そういう実質的な見方をしていかなければいけないと私は思うわけであります。そういうことで、私のいま御要望申し上げました点を踏まえて、五十七年度の予算要求でも御努力をいただきたいとお願いをいたします。
 次に、手話通訳者と一言で言われておりますけれども、これはいまどういうような資格あるいは身分になっているのか、現状をお聞かせいただきたいと思います。
○山下政府委員 率直に申し上げまして、国の制度なり国家試験なりそういうものはございませんが、全日本聾唖連盟におきまして手話通訳の認定事業というのを行っております。国といたしましては全日本聾唖連盟に、手話通訳の養成をいたします場合の指導員、この指導員の養成事業を委託費として交付するという状況にございますのが現段階の実情でございます。
○浜田委員 いま御説明ありましたように、全日本聾唖連盟では認定試験をやっている、そして都道府県によってもばらつきはあるけれどもやっているところが多い。しかし問題は、先ほどの手話の標準化ということにも絡むわけでありますけれども、その内容というのはかなりまちまちである。したがって、この手話通訳が現実に聾唖者の日常活動に重要な役割りを果たしている以上、この試験制度をたとえば国が行うとか、そういったきっちりした資格要件を明確にすることがまず大事じゃないかというふうに私は考えるわけです。
 いま全日本聾唖連盟の方で五十七年を目途に何とか国の制度として明確にしてほしいという要望が出ております。これに対して、いかがでしょう、大臣。認定制度についてどういう方針で臨まれるか、御決意を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 御指摘の認定制度についてはその必要性を十分認識いたしております。しかしながら、その前提に、先ほど文部省から言われましたとおりに、一つは用語の拡大、もう一つには指導員の養成、こういう前提条件をつくってなければなかなかうまくいかぬわけでありまして、そういうことを目標にしながら検討していきたいと思います。
○浜田委員 ただいま幾つかの問題点を取り上げてきたわけでありますけれども、ことしから始まる国際障害者年、「完全参加と平等」というのがテーマであります。完全参加、平等ということを聾唖者について考える場合には、やはりコミュニケーションの手段の確立が最大の課題であることは私が指摘するまでもないわけでありまして、ただいまいろいろ御答弁を伺いましたけれども、この問題につきまして政府当局、しっかりと前向きで取り組んでいただきますようお願いをいたしまして、この手話に関する質問は終わりたいと思います。
 次に、私は、社会保障の長期的な展望ということでお伺いをしてみたいと思います。
 まず最初に、わが国の社会保障の水準というのは、いろいろ言われるわけでありますけれども、進んでいるのかおくれているのか。特に年金の給付水準、そういうものでは先進諸国との比較というのはよく行われているわけでありますけれども、現状はどういうふうにお考えになっておられるか、それをまずお伺いしたいと思います。
○長門説明員 ただいまのお尋ねでございますが、社会保障給付費をとりまして申し上げますと、わが国の社会保障給付費は近年急速な伸びを示しておりまして、昭和五十三年度におきまして、これはILOが示しました社会保障給付費の基準でございますが、これで決算ベースで計算いたしましたところ、十九兆七千二百億円というふうになっておりまして、国民所得に対する割合は一一・九%という水準でございます。この一一・九%という水準を諸外国と比較いたしますと、主な欧米諸国、たとえばアメリカは昭和四十九年度におきまして一四・一というふうな数字でございます。それから高いところではスウェーデンが三一・〇というふうなことでございまして、形式的に比較いたしますとこれらの諸国に比べまして数字は低うはございますけれども、まだわが国は老齢人口の割合が相対的に少のうございますし、それからまた年金の成熟度も低いというふうなことがございますので、単純に比較するわけにまいらないかと存じます。
    〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
 したがいまして、こういった諸外国と同じような年齢構成になります、あるいは年金の成熟も諸外国並みになる時期というのは昭和七十五年、二十年先でございますけれども、その時点におきまして、日本の現在の制度そのままの仕組みにおきまして、人口増でありますとか人口構成の高齢化というふうな要素だけを考慮に入れまして補正いたしますと、国民所得対比がおよそ二〇%程度になろうかと推計されますので、その意味におきまして、今日のわが国の社会保障制度は、制度的にはすでに欧米諸国と比べまして遜色のないレベルに達している、こういうふうに考えております。
○浜田委員 いろいろ比較の方法はあると思うのですね。私、老齢年金を、わが国の厚生年金の中の老齢年金とそれと似たような各国の制度というものをちょっと見てみたわけでありますけれども、モデル年金で言えば日本は月十四万五千円になる。それに対して、これはいろいろ数字がありますけれども、ただいま出てまいりましたスウェーデンでは九万五千円、西ドイツでは十万八百円ですか、英国でも七万五千円、そういうふうに絶対額におきましてはわが国はかなり高い水準にある。さらにその支給開始年齢を見てまいりますと、厚生年金は御承知のように六十歳からである、諸外国はほとんど六十五歳からになっているわけですね。こういう点から見まして実質的にはかなり高い水準に来ている。
 最初にお答えいただきましたのは社会保障給付費の対国民所得比率、これですとまだ低いようでありますけれども、いまおっしゃられた人口の高齢化あるいは年金制度の成熟化、そういうものを考慮していけばかなりの水準、あるいは欧米以上の水準に達している、そういうふうにも理解されますし、またそういう議論も行われているわけでありますけれども、そういうふうに考えてよろしいでしょうか。
○松田政府委員 年金について申し上げますと、ただいま先生御指摘のように制度的にも実際的にも相当レベルの高い水準に達しておるわけでございます。したがいまして、今後さらに年金の成熟化が進みますれば、世界でも相当最高の水準を行くのではないかというふうに考えております。
○浜田委員 そこで少し観点を変えてみまして、国民の負担ということでひとつお伺いをしてみたいわけであります。
 私は、福祉は高ければ高いほどいい、そしてそれに伴う国民の負担も高くてもやむを得ない、こういう単純な考え方というのはこれからわが国が進むべき方向としては少し考えなければならないのじゃないか。これはいろいろ判断があると思います。たとえばスウェーデンの現状はどうか。ああいう国家をわが国は目指していくのかどうか、そういうことがいま非常に重要な課題になっていると考えるわけですが、現在あるべき国民の負担の限度といいますか、どこまで一体国民に負担をお願いできるのかということで、厚生省当局あるいは厚生大臣はどのようにお考えになっているか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○長門説明員 現在のわが国の負担の関係でございますが、社会保障関係の社会保険料負担につきましては私ども承知しておりますが、租税関係につきましては社会保障関係のみならずその他込みになっておりますので、その点お許しを願いたいのでございますが、先ほど社会保障給付費が国民所得対比で一一・九になっていると申し上げましたが、これに対応する時点におきます租税と社会保障の負担の関係でございますが、租税関係が二一・四、社会保障負担が八・九、合わせまして三〇・三というふうな、これは国民所得対比の数字でございますが、これで社会保障を初めとする国家一般会計の財政を賄っているわけでございます。
 これが、一一・九という社会保障の国民所得対比が将来二十年先に約二〇%程度になるというふうなことになりますと、一般会計の負担、社会保障関係の負担もそれ相応にふえようかと存じますが、その際にどのくらいの割合になるかということは、私ども租税と社会保険料の分担関係その他いろいろむずかしい問題がございますので推計いたしておりませんが、二十年先におきますわが国の高齢化の状況あるいは年金の成熟度等あるいは年金の社会保障制度のシステムが比較的似ていると思われます西ドイツの例をとりますと、現在西ドイツが医療保険、年金合わせまして約千分の三百、三〇%程度というふうな、これは国民所得対比ではございませんで賃金収入に対する比率でございますが、そういう姿になっておりますので、この辺が一つの参考ということに相なろうかと存じます。
○浜田委員 確かに負担ということで伺いますと、なかなか統計のとり方むずかしいと思うのですね。だから私は、保険料であろうと租税であろうとこれは国民負担には変わりはない。そういう点を前提といたしまして、ただいま西ドイツというのが一つの例示として出てまいりました。西ドイツでは現在年金の保険料、それから医療の保険料それぞれどのくらいになっているわけですか。それに対してわが国の水準というのをちょっと対比して御説明いただきたいのですが。
○大和田政府委員 医療保険の保険料でございますが、これは一九七九年で千分の百十三ということになっております。わが国の場合、政府管掌健康保険では、ことしの三月からでございますが、千分の八十四ということに相なっておるわけでございます。
○松田政府委員 年金につきましては、西ドイツは現在一八・五%でございます。日本の場合は一〇・六でございます。
○浜田委員 ただいまお答えいただきましたところでは、西ドイツでは一八・五の一一・三ですと二九・八ですか、日本は一〇・六と八・四、そうすると一九%。西ドイツがすぐれていい目標だと言えるかどうか、これは私もかなり疑問があると思います。最近の情報では、すでに西ドイツ経済も過大な国民負担とかそういったことで疲弊をし始めているという分析も行われているわけでありまして、これがいいかどうかは別にいたしまして、一応の目安としていまの数字をちょうだいしたわけであります。そうすると、保険料だけとりますと、日本の現状で言えば一九%、西ドイツではおよそ三〇%、まだ一〇%すき間があるということになるわけですね。
 それで、問題を進めまして、現在高齢化が恐しいテンポで進みつつあるわけです。これはわかりやすい統計で調べましたところは、現在高齢者一人に対して勤労者七・六人で、それが昭和七十五年に先進国並みの高齢化率に達する、そのときが一人の高齢者に対して四・六人である。ところが、わが国の場合にはさらにその先がある。超高齢化国になっていくんではないか、そういう予測があるわけでありまして、昭和八十五年で同じ数字をとりますと、実に勤労者三・八人で六十五歳以上の高齢者一人を抱えなければならない、そういうところまで達してしまうというふうに言われております。こういう前提を置いて考えてまいりますと、これからの年金の特に負担面、これはどういうふうに変化していくか、そこをひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
○松田政府委員 御承知のように厚生年金保険を例にとりますと、これは五年ごとに料率を引き上げていくという段階方式をとっておるわけでございますが、状況を申し上げますと、二十年後には被保険者数は一・二倍になるわけでございます。給付費は約五倍でございます。それから昭和八十五年、三十年後には被保険者数は一・三倍それから給付費は約八倍になるわけでございます。
 そこで、保険料は一体どうなるかということでございますが、一応の前提を、標準報酬の上限は七%ずつ上がる、積立金の利回りを一応六%、こういう仮定を置きまして試算をいたしてみますと、昭和七十五年の料率につきましては、五年ごとに千分の十八ずつ上げる、こういう前提に立ちました場合には約一八%でございます。それから三十年後の八十五年、この場合には約三〇・六%。これは非常に機械的に計算をいたしますとそういう状況に到達するということでございます。
○浜田委員 それじゃ医療費の方はどうでしょうか。高齢者に対する医療制度の問題もありますけれども、受診率はきわめて高いわけでありまして、そういう要素を加味していった場合に医療給付費はどうなるか、そしてそれをあがなう保険料負担はどういうふうに変化していくか、その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大和田政府委員 医療保険の給付費につきましては、実は長期的な見通しというのは非常にむずかしいわけでございますが、ごく直近のものを申しますと、昭和五十四年度では国民総医療費は約十一兆、五十五年度では約十二兆、五十六年度では約十三兆というふうに一兆ずつふえてきておる。これにつきましては、将来設計はむずかしいのですが、やはり今後の問題としましては増大をしていくということは、これはもう間違いなくそういうことを言わざるを得ないだろうというふうに思います。したがいまして、これに対する負担の面におきましても、やはりふえていかざるを得ないということを申し上げざるを得ないというふうに考えるわけであります。
○浜田委員 いろいろ前提があるでしょうから、数量的には推計はないわけでありますね。しかし、いままでの医療費の増加傾向、それに先ほど話に出ました急速な高齢化ということを加味して考えていけば、年金以上に大きな問題が出てくるんじゃないか。これは非常に直観的な言い方でありますけれども、どうでしょうか、数量じゃなくて、直観といますか実務をやっておられる感じでお考えになって、お聞かせいただきたいと思います。
○大和田政府委員 ただいま数字でなくとおっしゃいましたが、そうでなくて直観ということで申し上げますと、確かに容易ではないという感じ、感想というものを持っておるわけであります。
○浜田委員 先ほど来幾つか数字を出していただいたわけですが、西ドイツの社会保険料、これが現在三〇%ある。一応そこが一つのめどになるだろう、そういうお考えかと思います。わが国の現状は、先ほど出ましたように年金保険料が一〇・六ですか、医療保険が八・四。この年金だけについていま推計の数字を伺ったわけでありますけれども、この一〇・六が三〇・六にならなければいまの水準が維持できない、そういうことでございますね。そうすると、単純に言えば二〇%保険料が上乗せになってくる。それにいま局長の御答弁にありましたように、医療保険の方も相当しんどい状態になってくるのじゃないか。これを足したら一体どれだけになるか。私は、ここにわが国の将来の非常に大きな問題があると思うわけです。
 きょうは大変時間が限られておりましてあと二、三分しかないわけですから、意を尽くせないわけです。私は、具体的にこのような負担の増加が見込まれている、そういうときにおきまして、将来を考えて制度がこのままでいいのか、これをもっと真剣にお考えになっていただかなければならないというふうに思うわけです。そこで具体策についていろいろお伺いをする予定でありましたけれども、きょうはもう時間がありません。
 最後に大臣に御決意をお伺いしたいわけでありますけれども、やはり西欧先進諸国のたどった多くの例があるわけであります。社会、経済が無気力化してはならない。活力を持って生産活動を続けていくという経済を前提にしなければわが国の将来は考え得ないと思うわけであります。そういう場合に、いま年金と医療だけについて大体の感じをお答えいただいたわけでありますけれども、年金の保険料だけで標準報酬の三割を超えてしまう、そういう事態が国民にお願いできるかどうか。また医療につきましても、過大な保険料負担をそれに上乗せをしてお願いしていけるのかどうか。そこを十分見きわめて、これは税金でも保険料でも同じでありますが、どれだけ国民に負担をお願いしていけるか、その許容限度といいますか、そこをしっかり見定めていただいて、それに各制度が上手におさまっていく、そういうことでなければこれからの社会保障の運営というのはうまくいかないんではないか。
 ですから、私、大臣のお考えを伺いたいわけでありますけれども、たとえば本当に社会的弱者とは何か、そういう点を十分よくお考えいただいて、社会的に手を差し伸べてあげなければならない弱者、言ってみればそういう順位、優先度といいますか、そういうものをしっかり見据えて、それに必要な手を差し伸べていくというような整理をしていかなければ、いま私の言ったような形というのは実現し得ない。しかも、高齢化は待ってくれないわけでありまして、急速なテンポで進んでいくわけであります。今後そういった問題を踏まえて、あるべき国民の負担限度を十分見据えた社会保障制度の組み立てということをお考えいただかなければならないと私は思うわけでありますけれども、仮にそうであるとすれば、各種の制度についていまから抜本的な考え方を実現していかなければ追いつかない、私はそういうふうに現状を考えているわけでありますが、大臣のお考えと今後の社会保障に対する運営の御決意をお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 社会保障については、すべての問題がいまのままでいきましてもだんだん給付はふえてくるし、かつまた国民の負担もそう無理にお願いできるものではない。ましていわんや、高齢化社会その他の状態を考えますと、このままで行くと制度そのものが根幹から揺らぐという心配をしておるものでございます。
 そこで、負担にしろ、税金にしろ、問題は国民の負担であります。私は、内閣ももちろんそうでありますが、この事態に将来国民の負担をふやす、税を増加するということには反対でありまして、税はふやさないでどうやって水準を保っていくか、こう考えますと、やはりいまおっしゃいましたように、むだを省くということが非常に大きな問題になってまいります。しかし、そのむだを省くということは、切り捨てになっては大変でございますので、切るが切り捨てにはならぬ。
 こうなってくると、第一には制度についていろいろ検討しなければなりませんが、答弁は容易でありますが、このように根を張った各種の制度を抜本的に改正することは現実としてはなかなか困難であります。そこで、各種の制度をいま御発言のありましたような観点からどのように手直しをしていくか、かつまた各種制度のでこぼこをどう是正していくか。横の有機的連係をどうするか。と同時に、やはり限られた資源の中でありますから、水準を保ちつつこれを切り抜けるのには、何といってもやはり効率化、適正化というのが大事でありますから、本当に困った方にはどんな無理をしても手厚くする。しかし、所得があってがまんのできる方にはなるべく勘弁してもらうという、いろいろな制度の段階式なども考えなければならぬ。
 と同時に、私の扱っております社会保障制度にもまだまだむだはあるわけであります。あるいは医療の不正事件であるとか、その他いっぱいございます。そういうむだを省く、こういうことから、おっしゃるとおりにいまからもう手をつけていかなければならぬと考えております。
○浜田委員 どうもありがとうございました。
 私、これは福祉の切り捨て論ではないと思っております。本当に必要なところに限られた財源の中で手を差し伸べていく、そういういわば本当の福祉の体系というものを、私はいま十分見据えて運営をしていただかなければ、今後二十一世紀に向けて大変な事態になる。あえて失礼を顧みずに言えば、たとえば年金局であのように恐ろしい推計を持っておられる。それを持っておるだけで知らぬ顔をするのは、これは無責任のそしりを免れない。私は、ひとつ重大な事態を直視していただいて、いまの厚生大臣の御答弁にありましたように、厚生大臣はまさに勇気と決断の人でありますから果敢なる運営をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○山下委員長 森井忠良君。
○森井委員 盛りだくさんの質問を抱えておりますが、余り時間のかからないような問題から御質問を申し上げていきたいと思います。
 最初に、原爆被爆者の援護対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 御承知のとおり、昨年の十二月の十一日、原爆基本問題懇談会の答申が出されました。率直に申し上げまして、一年数カ月かかったわけでございますけれども、結論といたしましては残念ながら、あるいはきわめて遺憾なことに、被爆者の皆さんの期待を裏切るものになっておりました。戦後三十数年にわたって吟味し続けてきた被爆者の皆さん、すでに年齢的にも平均年齢恐らく六十歳を超していると思いますが、老齢化が進み、一刻も早く国家補償の精神に基づく被爆者援護法をつくってほしい、そういった願いがほとんどといってもいいほど否定をされた形になりました。そういったときに被爆者の団体や、あるいはまた平和運動をする団体が、厚生省におきまして園田厚生大臣とお会いをいたしまして、その声を伝えたわけでございますが、率直なところ、園田厚生大臣の顔を拝見してお言葉を聞いて、初めてほっと胸をなでおろした。園田大臣なら被爆者の願いはまだ聞いていただける、こういう希望をつないで、そのとき帰っていったわけでございます。
 そこで、まず大臣にお伺いしたいわけでございますが、基本問題懇談会の意見書を大臣としてどのように受けとめていらっしゃるか、さらにまた、今後どうしようとなさるのか、お伺いをしたいと思います。
○園田国務大臣 懇談会では非常に真剣に討議をしていただいて意見を出していただいたことに感謝をいたしております。しかしながら、その内容は必ずしも被爆者あるいは関係団体の要望とは相入れないものもございます。しかしながら、詳細に拝見をいたしますと、とびらを閉ざしてはいない、私はこう思います。ある問題では、自分たちは結論を出せないが、あるいはこれはこういうふうにおかしいと思うけれども、政府や国会がおやりになるならばというような点もございますので、私としてはこの懇談会の結論を尊重しつつ、被爆者の方々の今後の問題を一分一厘ずつでも皆さんと相談をして対応の策を講じていきたい、こう思います。
○森井委員 公衆衛生局長にお伺いをしますが、意見書は本物の意見書とそれから概要というのがありますね。恐らく意見書は、そう長い意見書ではありませんけれども、それにいたしましても少し長いということで圧縮をされたのだと思うのですけれども、死没者に対します弔慰金あるいは遺族に対します遺族年金、そういったことにつきまして、概要ではこう述べていますね。概要の三ページですけれども、「原爆投下によって被爆死した人に対する弔慰金及びその遺族に対する遺族年金等の支給については、数限りない悲惨な戦災者との均衡を無視することは、社会的公正を実現するゆえんとはいい得ず、国民的合意を得ることはむずかしい。」これで終わっています。したがって、端的に申し上げますと、弔慰金や遺族年金はだめだ、こう概要では書いてあるわけです。
 明確にしたいのは、概要というのはどこでおつくりになりましたか。
○大谷政府委員 厚生省事務当局である私ども公衆衛生局の責任において作成したものでございます。
○森井委員 大臣は、先ほど、意見書の答申は出たが、考えようによっては一切を否定するのではなくて、次へつなげるものもあるという意味の御答弁をいただいたわけですけれども、いまの死没者に関するくだりにつきましては、意見書ではこういう表現が使ってあります。「原爆投下により瞬時に又は長い苦しみの末、死没した人々及びその遺族に対し、弔慰の念を今さらに新たにすることは、同胞の心情として、きわめて当然のことであるが、これらの人々に対し、国が特に弔慰金、遺族年金等を支給すべきかどうかは、また、別個の問題である。」と書いてある。否定をしていないのであります。「別個の問題である。」と書いてある。さらに「都市の大空襲で爆撃を受け即死ないし苦しい療養の後に死没した人々、艦砲射撃で一家一族が一瞬にして無に帰した人々並びにそれらの遺家族など、数限りない悲惨な戦災者との均衡を無視することは、社会的公正を実現するゆえんとはいい得ず、国民的合意を得ることはむずかしい。」こうなっておるわけでございます。
 概要ではずばり、これはだめだと書いてある。しかし、ここでは何回読んでみても、まず心情としては同胞として十分わかる、これが第一。その上に立って、弔慰金、遺族年金を支給するかどうかというのは、そうは言うものの、別個の問題である。これが第二。三番目は、したがっていわゆる一般戦災者の方々との均衡を失しないようにしなければならない、こう書いてあるわけでありまして、一言も弔慰金や遺族年金について出してはならないとは書いてない。しかし、いま申し上げましたように厚生省の方でお出しになった概要は、もちろん文字を圧縮しなければならぬという文章上のむずかしさもあるかもしれませんが、文章上のむずかしさだけではなくて、やはりここに官僚一流の抵抗の姿勢が如実にあらわれているのじゃないか、こう私は考えるわけであります。
 そこで厚生大臣、いま私が申し上げましたように、死没者あるいはその遺族に対する弔慰金もしくは遺族年金については、いま私が特に強調させていただきましたけれども、全く否定したものではなくて、一般戦災者等の関係はあるが、これが先ほど大臣がおっしゃいました将来への問題をやはりつなげていきたいというそのことに通じるのでありましようか。
○園田国務大臣 概要の事務当局の気持ちはよくわかります。しかしながら、御指摘の点は懇談会の方でも非常に考えられて出していただいた結論である、こう思います。私は率直に言いますと、この懇談会に出て私の意見を言うことは異例になりあるいは干渉だというそしりを受けるかもわかりませんが、皆さん方の御意見を体してなかなかむずかしい問題はあるがとびらを閉ざさないでくれということのお願いをした点がここに出てきておると思いまして、一般戦災者との均衡、国民の合意、こういうことで非常に困難ではあるということは一縷のとびらをあけていただいたものだ、こう思っております。
○森井委員 一縷のとびらをあけていただいたものだということは、いま申し上げましたように被爆者の願いがもちろんたくさんありますが、中でも亡くなられた方に国が一本のお線香代も出していない、そういった点からいけば死没者に対する扱いは今後も大臣として十分考えていただける、そのためにいま申し上げましたようにとびらをあけたものだ、こういうように理解していらっしゃいますか。
○園田国務大臣 御意見を尊重して私はいろいろ考えました。かつまた現実のいろいろな困難な条件がございます。そこで、私の方では弔慰金それから遺族の年金ということは実現はできませんでした。しかしながら、とびらのあいたことでこれでぷっつり切れたものではないので、国家の財政が変わりいろいろあれば将来は考えるべきである、しかしその実現は当面は困難である、こう考えております。
○森井委員 関係団体が大臣室へ陳情に参りまして、そのときに出た話ですからこの委員会で申し上げるのはいかがなものかと存じますけれども、私も立ち会っておりまして、こういうふうにおっしゃっているのですね。今回の答申については七人の先生方、途中で六人におなりになりましたけれども、先生方の御労苦には感謝するが、内容は皆さんの期待されたものではなくて、被爆者の願いと相入れない点もある。しかし行政を預かる者としては答申を基礎にこれをどう発展されるかだと思う。先ほどの御答弁と類似をいたしておりますけれども、そういうふうにおっしゃっておられました。
 それから国家補償の理念に関しては、広い意味という言葉ではありますけれども、国家補償の理念を取り入れられた。そういう意味では一歩踏み出した点は評価する。そして雑談の中でこういうことも出てまいりました。園田厚生大臣、これは原爆特別措置法の制定のときもまた厚生大臣でいらっしゃいました。そのときは、何か国会で被爆者の問題につきましては社会保障だ、こう答えておったけれども、いまになってみれば自分は反省をしておる、こういう意味のこともおっしゃったわけでございます。
 したがって、そういった一連のことを考えますと、やはり結論的には、もう一点あるわけでございますが、これは大臣の気持ちが端的にあらわれていると思うのでありますが、弔慰金については聞きようによっては厳しいともとれるし、聞きようによっては将来やってもいいというふうにもとれる、こうもおっしゃいました。来年度の予算に何かひっかけられないか、私も含めまして相談をしたい、こうもおっしゃいました。
 これは大臣室で陳情にお伺いして私どもが立ち会ったときの席でございますから、おれはそんなこと言ってないよとおっしゃればそれで結構でございますけれども、しかし大臣のお気持ちを端的にあらわしたものとして私どもとしては評価をしてまいりました。そのことによって、先ほど申し上げましたように答申は暗かったが大臣のお顔を拝見してほっとしたという、そういう表現を皆しておったわけでございます。
 いま申し上げました点につきまして、大変恐縮でございますが、御感想のほどをお伺いしたいと思うのです。
○園田国務大臣 いまおっしゃいましたような要旨の発言をしたことは事実でございます。いまもなおその考え方に変わりはございません。
 私が命ぜられておる社会福祉保障の問題すべてがそうでありますが、この被爆者の問題も、生活から来る手当その他のこともありましょうけれども、もっと大きな問題は、何かこう自分たちがこんな悲惨な思いをしているのに国が全然わかってくれないという胸につかえたもの、そういうものを納得してもらうことも金銭以上の大きな問題であると私はすべての問題について考えておるわけでございます。そこで各議員の方々の非常な御尽力によって、年金、手当等はできませんでしたが、そのほか新しい制度や増額をやったのは、その気持ちを何とかしてということで議員の方々の御協力を得たものだ、こう思っております。
○森井委員 自分の我を押しつけるのではなくて、大臣、冷静に考えてみますと、たとえば暴力団の流れ弾に当たっても最近は国家がある意味で補償するような法律ができているんですね。あるいは公害で苦しんでいらっしゃる方にも国が措置をいたしまして適当な医療や適当な補償という制度ができている。特に補償ができているのですね。こういった点からいたしますと、過去には在外資産等の補償も行ったりいろんな事例があるわけでございますけれども、その意味では法のもとに平等という観点からすれば、このままで果たしていいのだろうか、そういった感じが私はどうしてもするわけでございます。いかがでしょう。
○園田国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、当面の環境、諸条件はなかなかむずかしい、当面これを解決することは無理だと思います。しかしながら、そういう方向で努力することは厚生大臣に与えられた責任の一つであるという考え方は、私は変わりはございません。
○森井委員 公衆衛生局長さん、五十六年度の予算案の中をずっと分析をしてみますと、原爆対策、これは厚生省がつくった予算の説明資料でありますけれども、一番最後に「家庭奉仕員事業等」ということで、およそあさっての方を向いているわけですけれども、「家庭奉仕員事業等」の中に1、2、3、4、5と説明が加えてありまして、そのうちの4に新規として原爆被爆者実態調査費というのが千三百万円組んでありますね。これは従来たとえば五十年調査というふうなことで調査をやってまいりましたけれども、そういったある意味で定期に予測をした調査費でしょうか。性格はどうなっていますか。
○大谷政府委員 この千三百万円の調査費は新規に計上いたしたものでございますが、これは先ほどもお話の出ました基本懇の意見によりまして、被爆者相談事業を充実したらどうかという御指摘に従いまして、実のある相談事業を実施するために、被爆者の被爆の状況、就業状況あるいは傷病の状況等被爆者の置かれておる状況を総合的に把握するという観点から、そういった相談事業の厚みを厚くするという観点から、被爆者実態調査費千三百万円というものを計上した次第でございます。
○森井委員 ずいぶん無理をした答弁ですが、この「家庭奉仕員事業等」の「等」は家庭奉仕員事業にくっつけたわけじゃないのですね。これと関連しているのなら、それじゃほかに原爆死没者慰霊式等開催費というのが入っていますが、これは相談事業ですか。そうじゃないのでしょう。これはたまたま項目の中で、「家庭奉仕員事業等」ということで家庭奉仕員事業も入るが、しかしそれ以外にこれこれがありますということで一緒にお出しになったんじゃないですか。そうでないと、次に五番目にやはり新規で原爆放射線の影響に関する研究体制検討費というのがございます。これも家庭奉仕員事業ですか。これは局長、答弁を訂正なさったらいかがですか。私は、「等」というのは家庭奉仕員事業も入るがそれ以外の事業も入ります、こういうことだと思うのですが、どうですか。
○大谷政府委員 先生のお持ちになっている資料にはいろいろのものが含まれておるわけでございまして、私どもといたしましては、千三百万円の調査費の積算は先ほど申し上げたような考え方で計上させていただいたわけでございます。
○森井委員 具体的にはどんなことをやりますか。
○大谷政府委員 具体的な問題は、地域の相談事業をやっておられる方々と御相談申し上げまして実施したいというふうに考えておりますけれども、先ほどから申し上げておりますように、現実の相談事業の中で被爆者の実態について詳しく調査しなければならない点が多い、その場合いままでのものでは不十分であるから、そういったことについて手厚くやってほしいというふうな要望がございますので、そういった調査費を計上したわけでございまして、その趣旨に沿って現場の相談員の方々と相談してこれを使いたいというふうに考えておるわけでございます。
○森井委員 それはいけませんよ、まじめに答えてください。それでは相談事業で千三百万円も国費を使うのですか。
○大谷政府委員 相談事業を実施するために実態調査を行う、こういうことでございます。
○森井委員 相談事業をするのに実態調査が要りますか。しかもそれで千三百万円という金をお使いになりますか。それは相談事業のためじゃないでしょう。相談事業で調査費を千三百万円もつけなければならぬほど調査項目がございますか。
○大谷政府委員 これは相談事業そのものの調査ではなしに、先ほども申し上げておりますように、相談事業の充実を図るために、そういった被爆者の被爆の状況あるいは就業状況あるいは傷病状況等被爆者の置かれておる状況を、これは相談員だけがやられるわけではなしに、都道府県、市町村の方々に御協力を願って調査をしていただく、こういう考え方に立っているわけでございます。
○森井委員 局長がだめなら大臣にお聞きしなければしようがないのですけれども、大臣、政治家の感覚として、私いまあのような意見を申し上げたわけですけれども、本当は死没者の調査がいま一番望まれているわけですね。相談事業をするために調査をするなんということはとても考えられないわけですけれども、大臣、これはどうでしょう。いま一番問題になっておりますのは、将来の問題だということでおっしゃいましたけれども、亡くなられた方が何をしていらっしゃるか、これがいま一番不足している、一番わからない点なんですね。調査がないわけです。全国的な調査としてはもちろん十分な金額とは言えませんけれども、これだけのお金があるのならいま被爆者が願っておるものの調査をされるのが筋だと私は思いますが、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 言葉遣いはいろいろありますが、この調査費は被爆者の実態調査を明年度行う、こういうことでありまして、それをさらに解明をして、弔慰金その他の裏づけになるような死没者の調査ということは現段階においてはなかなか言い得ないところでありまして、ましていわんや事務当局がそういうことは答弁できないと思いますので、明年度、被爆者の実態調査ということでお許しを願いたいと思います。
○森井委員 そうすると大臣、ここで取引をするわけではありませんけれども、被爆者の実態調査をするなら、被爆者と密接不可分な亡くなられた方も調査をしなければ被爆者の調査になりませんね。私はそういうふうに思うのですが、間違っておりましょうか。
○園田国務大臣 森井さんの解釈は間違いはないと思いますし、関係がないということはございません。
○森井委員 そこで、昨年十二月に先ほど申し上げました意見書が出されまして、予算委員会等では議論が行われていますが、本委員会では初めてなものですから、基本懇の意見書に対します基本的な問題だけをお聞きしたいと思うのです。
 私もあれをざっと読んでみました。とにかく国の戦争責任を否定しているといいますか、正当化をしているわけですね。要するに戦争というのは時の政府の統治行為だ、こういう断定がしてありまして、したがって一億国民は、まあ、その当時一億おったかどうかわかりませんけれども、国民はひとしく受忍の義務があるというようなところまで書いてあるわけですね。したがって、原爆被爆者もその受忍をしなければならない立場の一員だ、こういう書き方になっておるわけですね。
 御承知のとおり、あの太平洋戦争は侵略戦争です。だから国が起こした戦争の責任というのは統治行為論だけでなくて、大臣は外務大臣として御活躍でございましたからよく御存じでありますけれども、あの戦争は、アジア諸国を中心にしてそれこそ世界じゅうの人に迷惑をかけた侵略戦争であったと思うわけですね。そういったところが全然触れられておりません。それから私どもがしばしば言う、原子爆弾というのは国際法違反じゃないかということ、これは昭和二十年の八月十日に、日本政府からも政府の意思表示としてアメリカに抗議をしています。私どもの大原議員の質問主意書等でしばしば触れられておりますから私はこれ以上申し上げませんけれども、具体的にあの原子爆弾が国際法に照らしてどうなのか、これも全然うたってない。
 それからもっとひどいのは、すぐれて被爆者の援護対策というのは、これは税金を出すのだ、したがって、仮に援護対策を行うにしてもやはり国民的な合意が必要である、こううたってあるわけです。まだ幾つか問題はありますが、大要その三つぐらいになるでしょう。
 がまんならないのは、いまになって国民的な合意が必要だというこの認識です。冒頭に申し上げておきますが、先生方の御労苦については感謝をいたしますが、残念ながらこうまでひどい答申が出るとは思わなかった。皆さん御承知のとおり、この基本懇の答申にもうたってありますが、あの広島、長崎の原爆が一つの契機になって終戦になったことは間違いない。だから、その当時日本政府が直ちに被爆者援護法を制定しておれば、恐らく全国民が大賛成をして被爆者援護法はできたのです、もちろん占領軍という障害はありましたけれども。しかし、それにいたしましてもサンフランシスコ平和条約は昭和二十七年、つまり放置をした政府の責任は全くうたってない。
 学習の意味で、公衆衛生局長、いま私が申し上げました基本懇の答申に対して、あなたの感想を述べてください。特に反論があればしてください。
○大谷政府委員 基本懇では、先生御指摘のようなところはございますけれども、原爆被爆者につきましては、いわゆる一般の犠牲と異なりまして、一般の戦争災害とは一線を画すべき特殊性を有する特別の犠牲であるということは認めているわけでございます。したがいまして、大臣もしばしば申しておられますように、広い意味における国家補償の理念に立つということを明快にお述べになっておるわけでございまして、いまの先生のお話、感覚的にちょっと私――こちらの方はそういうことで、広い意味の国家補償の見地に立っているというふうに理解しておるわけでございます。
 しかしながら、そういった広い意味における国家補償の見地に立ってはおりますけれども、こういった特別の犠牲について「原因行為の違法性、故意、過失の有無等にかかわりなく、結果責任として、戦争被害に相応する「相当の補償」を認めるべきだ」こういうことを申しておられるわけでございます。したがって、これはいわゆる国の完全な賠償責任を認める趣旨でないというふうになっておりまして、そこで先ほどから先生御指摘になっておりますところの、一般の犠牲でありますけれども惨たんたる状況におられます戦争被害者の方々との均衡の問題もありまして、「原爆被爆者対策も、国民的合意を得ることのできる公正妥当な範囲に止まらなければならない」
 基本懇としては、気持ちといたしましては先生と同じようなお気持ちを持っておられると思うのでございますけれども、そういった論拠において現在の段階では戦争災害との均衡上、合意を得るのはむずかしいのではなかろうか、こういうふうに御指摘になっていると私どもは理解しておるわけでございます。
○森井委員 私の問いに余り答えてくれていませんが、具体的に申し上げますと、一口で言いますと、基本懇の意見書は、いままでの政府の姿勢よりも後退している部分がずいぶんある。たとえば、わが党の大原議員の昨年十月二十日の「原爆被爆者に対する「国家補償の理念」による援護法制定に関する質問主意書」の答弁書を見ますと、たとえば原子爆弾の評価について、もちろん私どもは不十分だと考えていますけれども、「原子爆弾の投下は、国際法違反であるとはいい切れないが、」ここは政府だから歯切れが悪いのですが、それにしても「国際法の根底にある基本思想の一つたる人道主義に合致しないものであるとの意味において国際法の精神に反すると考えている。」原子爆弾の国際法との関係については、政府はそこまで踏み込んでいる。答申は一切ありません。
 それから、国会の意思等よりも私はかなりおくれていると思うのです。これは昨年の秋の臨時国会でも申し上げましたけれども、去年の四月八日の衆議院社会労働委員会におきます附帯決議でもこういうふうに書いてある。「昭和五十三年三月の最高裁判所判決などにより、国家補償の精神に基づく原爆被爆者援護法の制定を求める声は、とみに高まっている。」これで一行終わっているのです。これは衆議院社会労働委員会の意思ですね。「原爆被爆者援護法の制定を求める声は、とみに高まっている。」こうなっています。具体的に原爆被爆者援護法の制定を求める、われわれはこういう認識に立った上で基本懇の答申を待つということになっているわけですけれども、基本的な認識は、いま申し上げましたような国会の意思です。これと意見書の意思は相入れないものがあると私は思う。いかがですか。
○大谷政府委員 基本懇の答申は、広い意味での国家補償を明快に認めているわけでございます。しかし、国家補償と申しましてもそれにはいろいろある。原爆被爆者というものを特別の犠牲と認めました上で、結果責任として戦争被害に応じた相当の補償を認めるべきである、こういうふうに結論づけておられるわけであります。そこでいわゆる一番重い、つまり国家賠償的なものとは若干ニュアンスの違うというふうな解釈がなされていると理解しておるわけでございます。
○森井委員 大臣を再度煩わせて恐縮でございますが、いま申し上げました政府の答弁書、それから国会の昨年の附帯決議等と比較をしますと、私は意見書の方が後退しておると具体的に指摘を申し上げましたけれども、先ほど公衆衛生局長からは、残念ながら期待をするような、あるいは質問にまともに答弁をするようなことになっていないわけでございます。大変恐縮ですが、大臣から一言。
○園田国務大臣 すべての審議会がそうでございますが、特にこの懇談会というのは、私個人が考えてみますと、国会やその他では法の制定、それから弔慰金等の声がだんだん強くなってくる、これはなかなかできない、やれない、しかしこれを政府が拒否した場合にはこれまた今度は反発が非常に強い、そういうことで懇談会というものをおかりして何かその付近の隠れみのにするという気持ちがあったのではないか、そういうことは今後あってはならぬ、こう第一に思うわけでございます。
 そこで、懇談会でも非常に苦労されまして、社会保障の理念から国家補償の理念ということを打ち出された。その他の問題で結論は好ましき――団体の方々と相入れないことになっておりますが、私は、この懇談会の意見は非常に苦労されて、くぎを打たれなかったということだけで非常にありがたい、こう思っておるわけでございます。
○森井委員 原爆の問題だけに時間をとってもいけませんが、最後に局長さんの腹の中を見せる答弁をひとつしていただきたいのです。
 具体的には審議の際に申し上げますが、特別措置法の改正案をお出しになりました。一部制度の新設もありますけれども、統合したものもある。少なくとも基本懇の意見書を踏まえて出された政府のすべての対応が今回の特別措置法の改正案だとは思っておりません、ことしはとにかく意見書が出たのが十二月ですから無理もないと思うのでありますが。大体あなた方がよく抵抗するのですから、意見書の答えがことしの特別措置法の改正案、これですべて終わりなのか、大臣の趣旨を踏まえてこれからも鋭意研究して被爆者のニーズにこたえていく、そういうお気持ちなのか、あなたの御意見を聞いておきたいと思います。
○大谷政府委員 五十六年度予算案では、私どもとしては基本懇の意見で指摘されました事項についておおむね盛り込むことができたというふうに考えているわけでございますけれども、大臣が申されておりますように、将来に向かっての大臣のお気持ちは私ども十分理解しておりますので、今後とも検討を続けさせていただきたいというふうに考える次第でございます。
○森井委員 たとえば、法の目的ですね、あるいは基本的な性格の中に、広い意味での国家補償ということが基本懇の意見書ではうたわれておりますけれども、それらについては何ら手を触れられていないというふうな問題など、まだ幾つか問題があると思いますが、きょうは一般質問でございますので、原爆の問題についてはこの程度ではしょらせていただきたいと思います。いずれ、法案審議の際に改めて御質問を申し上げます。
 次の問題に入らせていただきますが、ビルクリーニング技士受験のための特別通信講座というのがあるのですね。これは、具体的には労働省が認可をいたしまして、もちろん厚生省と共管の部分もあるのかもしれませんが、財団法人建築物管理訓練センターというところが実施をするわけです。そしてビルメン業者にとりましては、ビルクリーニング技士というのは、どうしても資格を取っておかなければ仕事ができない非常に大事なしろものでございます。御承知のとおり、ビル管法は国会で改正をされまして、いろいろ議論がなされたわけですけれども、法改正のときには、少なくとも大手の業者と中小零細企業の皆さんが共存共栄できるようにという配慮があったことは間違いありません。
 そういった中におきまして、最近、非常にけしからぬ状態が起きてきておるわけでございます。ここに「「ビルクリーニング技士」受験のための特別通信講座開講」というビラがつくられているわけでございます。これを見ますと、要するに、この通信講座を受けなければならない、通信講座を受けるということは資格を取ることにつながるわけですから死活の問題でございますけれども、いわゆるビルメン協会、これは大手業者の方でありますが、そこの推薦がなければ通信講座を受ける資格がない。言うなれば、零細業者を締め出すようなこういうビラがまかれたわけでございます。したがいまして、真っ青になった零細業者の方も非常に多い。
 これは環境衛生局長さん御存じですか。大臣は一服していてください。
○榊政府委員 いまお示しの特別通信講座の実施要領というものについていろいろ御質問があったわけですが、この点については私どもも承知いたしておりまして、いま先生御指摘のように、一部適切でない点があるということについても承知いたしております。
○森井委員 それでは、確認のためにちょっと御質問をしておきたいと思うのであります。
 その一つは、建築物清掃業について、清掃作業の監督者の要件として、厚生大臣の定める資格を有する者というふうにあるわけでございますが、これはどのような資格が必要なんですか。
○榊政府委員 お尋ねの資格を有する者ということにつきましては、先ほどお話がございました、労働省告示によります技能審査認定規程に基づきまして財団法人建築物管理訓練センターが行うビルクリーニングに関します技能審査に合格した者、それからさらに、建築物環境衛生管理技術者免状を有する者につきまして、やはり同法人が行います技能審査のための通信講座の受講者であればこれを対象とするということで考えております。
○森井委員 それでは続いてお伺いいたしますが、建築物管理訓練センターが行っているビルクリーニングに関する通信講座の受講は、ビルメンテナンス協会の推薦を必要としているようでありますけれども、これは登録に関し、協会員以外の者を締め出すことになりかねないと思うわけでありますが、厚生省はその改善をどのように指導されるのか、お伺いしたいと思います。
○榊政府委員 建築物管理訓練センターが行います通信講座、これは技能審査の予備的な教育というふうな意味を持っておるわけでございますが、法に基づきます登録制度におきましてはお尋ねのようなことがあってはならないというふうに私どもは思っておるわけでございます。そういうことで、全国ビルメンテナンス協会あるいは建築物管理訓練センターに対しまして、通信講座の開講に当たって、これは協会員であるかいなかで差別をしてはならない、それからさらに、今後通信講座を受けたい業者に対してはその機会を与える、推薦状につきましてはこれを必要としないというふうな措置をさせた次第でございます。
 なお、このことにつきましては、過日開かれました全国の担当者会議におきましても、厚生省として周知を図ったところでございます。
○森井委員 三つ目の御質問は、清掃作業の従事者に関する研修というのはどのようなものを考えておられるか。零細事業者の負担にならないようにすべきであるという意見があるが、いかがですか。
○榊政府委員 お尋ねの清掃作業の従事者に関する研修の問題でございますが、私どもとしては、これはいわゆる社内研修というふうなもので足りると考えておりまして、ただいま御心配のカリキュラムその他で事業者に過大な負担をかけないというふうに配慮したい、このように思っております。
○森井委員 最後でありますけれども、事業協同組合では登録が非常に受けにくいという声があるのですね。一体事業協同組合というのは登録してはいけないのかどうか。要件はどうなっておりますか、明らかにしてください。
○榊政府委員 事業協同組合につきましては、定款上、この事業またはその共同受注というふうなことを行うことができることになっておるわけでございます。したがって、組合の営業所に設備あるいは資格者が備わっていれば当然登録の対象になるというふうに考えております。
 なお、この場合、設備につきましては組合のものであっても当然よろしいわけでございますが、この同一の設備というものをもって組合員の営業所においても登録の対象にするということにつきましては、いわゆる二重登録というふうな形になるおそれがあるわけでございまして、その点につきましては、今回のこの法律の趣旨からいたしましても、認めることについては非常にむずかしいのではないかというふうに考えております。
 しかし、この点につきましては関係省庁とも十分協議をしてまいりたい、このように思っております。
○森井委員 ビルクリーニング技士については、いま御答弁をいただきましたことで私は納得いたします。
 この際、せっかく環境衛生局長さんがおいででございますから、もう一つ質問をしたいことがあります。
 理容業の中でいま理容士の業務独占を単に名称独占にするとか、国家試験やあるいは実地習練制を廃止するとか、あるいはその理容士の登録制を廃止するとか、養成施設の認可を大臣から知事に移譲するとか、そういった一連の動きがいま出ておりますか。
○榊政府委員 御質問のようなことにつきましては、厚生省としてはもちろんそういった計画も考えておりませんし、承知はいたしておりません。
○森井委員 私はこういう質問はいやなんですけれどもね、ここに「正念場を迎えた理容業界」というこんなパンフレットが出ているのです。一口で言いますと政治資金集めなんですよ。繰り返し申し上げますが、どうも私はこういう質問はいやですけれどもね。ここの中に与党の人の名前もかなり出てまいります、申し上げませんけれども。要するに、いま私が質問をいたしましたように、理容師制度の根幹にかかわるような改革が行われようとしておる、実はその前提として、行政管理庁が理容業の調査をしておる、そういう情報を得たという書き方の上に立って、いま申し上げましたように、理容師制度の根幹を揺るがすような大ごとだ。したがって、各会員は一口千円以上、これは、業界の全部の人数は十四万三千軒ぐらいあるらしいのですけれども、この理容の組合に入っているのは十一万四千軒、最低が一口千円以上、もう金額はおわかりのとおりであります。そしていま申し上げましたように、これは大変なことになるから金を集めてくれ、いままでしばしば政治的な動きをしてきた、成果も上がった、そういうことが具体的に書いてあるわけでございます。その中でたとえば、「環衛法の改正もその一つです。これにより二十年以上も同じ金額であった適正化基準料金を、現状に近い数字に改正できる運びになりましたし、また技術サービス面で根本的に違う低料金店と、我々正常店との違いを、お客様に一目で分って貰うための標準営業約款制度等も生れました。」
 こうなってまいりますと何をか言わんやでございますけれども、これは局長さん持っていらっしゃいますか。何らかの形で入手をしていらっしゃいますか。存じなければそれでいいのですけれども。
○榊政府委員 存じておりませんでした。
○森井委員 存じていないのならそれでいいと思いますが、やはり理容業界と厚生省というのは指導、被指導の関係にあることはもう間違いないわけですね。役所の皆さんや関係の皆さんが圧力に屈するというようなことはもちろんないと思いますけれども、一番心配をいたしますのは、やはりこういったふうな政治資金をかき集めて役所に圧力をかけることがあったら大変だ、私はそれを心配いたします。
 それから現にないものを、理容制度の根幹を揺るがすようなことはないのにあるあると言って、ちょうどオオカミが来るような言い方をしてやるところに、やはり業界の姿勢の問題がある。直接は無理かもしれませんけれども、やはり厚生省当局としては十分念頭に入れてこれからも業界と接触をされ、ぼくは一歩踏み込ましていただけば何らかの形で、講習会等があるときには、厚生省としては少なくとも制度の根幹を揺るがすようなことは毛頭考えておりません、これは何かの折には当然説明をされる必要があると思う。
 大臣、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 詳細な、いまビラ等で言われたことは、私残念ながら存じませんでした。根幹を揺るがすような制度の改正等は厚生省は考えておりません。これは多分行管の調査の中で簡素化、運営その他の改善という調査をしたことから、それに種をつけてやられたものじゃないかと思っておりますが、厚生省としてはその点に十分注意をして対応いたします。
○森井委員 次に、これも一言だけお伺いをしておきたいと思いますが、例のスモン患者の救済の問題でございます。園田大臣もかなり声を荒げられまして、製薬三社に対して指導助言をなさったわけでございますが、依然として投薬証明のない患者の救済がまだできていない。一ころ和解の話し合いには応じるというふうな空気があったと私どもも聞いておりますけれども、その後またさたやみになっている。本当にけしからぬ話だと思うのですけれども、スモン患者の皆さんから、もう天下の園田厚生大臣が言われてもなお言うことを聞かないのなら、国会で喚問してください、国会で徹底的に追及してくださいという強い要求もあるわけです。いまちょうど予算委員会等で大臣お忙しいことはわかるのでございますが、当面のスモン患者の救済について大臣の所見と、これから何をなさろうと思うのか。患者の救済の立場に立ってひとつ対策をお聞かせ願いたいと思うのです。
○園田国務大臣 この問題は遅くとも昨年年末までに目標を置いて解決しますと言ってきたところでありますが、それができなかったことはまことに遺憾であります。今年になってからもなお私は三社の方々とお会いをして、個人的にあるいは公的に話をしております。
 問題は、投薬証明書のない者に対する救済の方法についてはこれは裁判所の勧告に応ずるというところまでは話は来ておりますが、さてその先の具体的な問題についてなかなか話が詰まらない、こういうことでございますが、今後も全力を挙げて努力をいたします。
○森井委員 これは何か行政的な制裁というものはないものでしょうか。具体的に製薬会社と厚生省との関係は非常に密接なわけですね。(「癒着しておる」と呼ぶ者あり一後ろの方で癒着という話がありますけれども、それがたとえば許認可等いっぱいあるわけでしょう。薬務局長どうですか。どういうことでチェックができますか。
○山崎(圭)政府委員 スモンの関係三社というのは、先生もう御案内のとおりいわば大手の会社になっているわけであります。しかし、この問題はこの経過から見ましても、やはり裁判所で和解を通じて解決をしていく。これを私ども基本線に置いておるわけでございまして、そういう意味におきまして御指摘の投薬証明書のない方々に対する和解の迅速な実行、こういうことにつきましては、いろいろと経過もございましたが、昨年の十一月に基本的には三社も和解に参加する、こういう態度を表明したわけでございまして、そこであとは裁判所における詰めの問題が残されているという状況に相なっているわけであります。
 一方私どもはそれなりに和解の迅速な進展を願いまして、それぞれ三社にいろいろと説得を重ねてまいってきましたし今後もしてまいるつもりでございますが、さればといって、許認可権を行使してということには、私ども行政の公平性なりなんなりという問題から見ましても、それは妥当な問題ではないと思っておりまするけれども、いずれにしても、この問題はスモンの患者さんに対する早急な救済、それを和解を通じて救済していく、こういう基本姿勢でやってまいりたいと思っております。
○森井委員 もう事ここまで来ますと、なりふり構わずという気持ちが率直なところ私もあります。丸山ワクチン、あなた方まだもちろん承認をしていないし、これから審査でしょう。あれは最初問題が出てからどれだけかかったのですか。例が悪いから引き合いには出しませんが、これは時間があればいつかの機会に質問をしたいと思っています。
 いまおっしゃったようにこれは大手の会社ですね。新薬の承認その他で慎重におやりになっていいと思うのです。データが必要ならデータを十分提出も願う。ときには、話のとき、スモンの問題もあるからなということくらい言われたっていいと思うのです。認可は認可、それはわかりますよ。わかるが、少なくとも国が判決に従い三分の一を持つという結論を出して、国が悪うございましたという立場になっている、そして皆さんもいかがですかということで――もちろん強制的には言えないかもしれないが、私は厚生省はなめられていると思うのですよ。だから、はっきり言えとは言いませんけれども、いま私が申しましたような趣旨も踏まえて、強力な指導を薬務局長としてもする御意思がありますか。
○山崎(圭)政府委員 私どもも、そういう意味合いにおきましては強力な指導をしてきたつもりでございます。今後ともそうするつもりでございまして、御案内のように現在、提訴の患者の方はほぼ六千名近くになっておりますが、現在のところ、その方々の七六%の方々とは和解が済んでおりまして、四千五百名を超える方々と和解が済んでいる状況になっておりますが、なおこの和解の進展に最善の努力を尽くしたいと思っております。
○森井委員 委員長にお願いをしておきますが、どうしても厚生省の指導に製薬三社が従わない場合は、理事会におきまして、適当な時期に製薬三社の社長を初め関係者を呼びまして、いろいろ問いただしたいことがございます。したがって、そのときには適当な措置をとっていただくようにお願いをしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○山下委員長 理事会に諮って決めたいと思います。
○森井委員 時間の関係でスモンの問題は割愛をさせていただきます。
 次に、保険外負担の解消の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 これは昨年の秋の臨時国会におきまして、健康保険法の改正案が通過をいたしました。附帯決議や確認質疑等が行われたわけでございますが、どうもそれが私どもが期待をするほど進んでいないという認識の上に立って御質問申し上げたいと思うわけでございます。
 まず、簡単でよろしゅうございますが、保険外負担の解消についてあらかたは聞いておりますから、これからどうなさろうとするのか。特に具体的に申し上げますと保険外負担の解消の予算として二千億程度支出をすることになっておるわけですが、それを中心に簡単に説明してください。
○大和田政府委員 保険外負担の解消につきまして、ただいま先生おっしゃいました二千億のうちの八百億、これが付添看護並びに差額ベッドの解消というものにつきまして、このためのいわゆる医療費の必要性、必要額でございますけれども、これにつきまして私ども前国会でも御答弁申しましたように、中医協の御審議を踏まえるということが必要でございますけれども、そのような方向で私ども努力をいたしてまいるというふうに考えておるわけでございます。
○森井委員 いつ開くのですか、中医協は。
○大和田政府委員 この中医協につきましては、先生も御承知のように、非常に医療費の改定の問題の論議ということになるわけでございまして、これにつきましては、なお現段階におきましていつ開くというようなことを申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、この医療費の改定の論議が行われます際にただいまのような議論が行われるというふうになるわけでございます。
○森井委員 二千億の中身は、局長さん、昭和五十六年度で支出をするわけですか。そうすると、予算的には四月の一日から来年の三月三十一日までで二千億を使うのですか。
○大和田政府委員 二千億、この保険外負担としての額、これは予算の額というよりも必要医療費というものの額というふうにお考えいただければいいと思うのです。つまり、国の予算上この額を留保しているあるいは計上しているというようなものではなく、この保険外負担を導入することによって医療費がこれだけかかる。したがって先ほど申しましたように、中医協の御審議というものを待って医療費の論議というものの中にビルトインされていくというような形のものになるわけでございます。
○森井委員 ややこしくなるから確認をしておきますよ。年間の予算じゃないにしても、二千億というのは一年間に支出をする額の総計ですね。
○大和田政府委員 それはおっしゃるとおりでございます。
○森井委員 さて、そうすると、中医協が開かれなければ保険外負担の解消もできない。去年の秋に解消の約束はしたが、いまのところ約束は実行しておりません、中医協はいつ開くのか、いつ開くかわかりません、それじゃ保険外負担はいつなくなるかわかりません、こういうことになるのですか。
○大和田政府委員 中医協で審議しなければならない、こういうことでございますし、また中医協につきましては、ただいまのところいつということは申し上げられるような段階ではないということについて、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○森井委員 その問題についてはまた後で聞きます。
 そこで私とあなたの一番の認識の違いは、これは後でわかったことですけれども、保険外負担の解消については、参議院で、議事録を調べてみますと、三年を目途に解消する、こういう答弁になっているように思うのだ。健保の審議のときに私が認識をしておりますのは、保険外負担は直ちに解消、一つだけ例外があるのです。それは私立医科大学等の付属病院、これは差額ベッド等についてはすぐはできない、三年間ほど待ってくれということで三年を目途にというのがありましたが、それ以外は直ちにと私どもは理解をしておるわけです。その直ちにというのは、いまあなたがおっしゃったように中医協という前提がついておりますから、それはまあ一応理解をするとしても、中医協が開かれれば、たとえば室料やあるいは付添看護の特別加算については直ちに措置できるわけですから、事務的な期間を除けばそれ相応の措置ができる、こういうふうに理解をしていますから、私立医大の付属病院以外は私ども直ちにと理解をしておる。どうも参議院ではそれを三年を目途にというふうに何もかも網がかぶさっているというふうに聞いていますが、これはどっちが本当なんですか。
○大和田政府委員 差額ベッドにつきましては、これは三人部屋以上におけるいわゆる差額ベッド、これは三年を目途に差額の解消に努めるということになっておるわけでございます。その主体は大学付属病院ということになっておるわけでございます。
○森井委員 ちょっと確認しますよ。そうすると、三人部屋は一番新しい調査で厚生省に言わせれば四%切れていますね。四%切れておると思うのです。これも、それじゃ三年を目途ですか。
○大和田政府委員 三人部屋以上の差額ベッドについては、平均的な数値ではなくて、個々の病院についてそれを解消していこう、こういうような趣旨でございますので、平均的な数値が下がっておりましても、これは個々の病院についてその解消を図る、そのためのやはり主体は大学の付属病院である、私大の付属病院である、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○森井委員 どうもうまく乗せられたような感じで、私の誤解かもしれませんが、大体三人部屋が残っているのがおかしいのでしょう。もう完全に消化している県もずいぶんあるのです。いま何県になりましたか。
○大和田政府委員 完全に解消いたしました都道府県は、五十五年では三十一県になっております。
○森井委員 四十七都道府県のうちでもう三十県に余ってできているのです。まじめにやったところとまじめにやらないところと、私はおかしいと思う。それでも三年かかるのですか。少なくとも強力な指導をしてもっとこれを縮める必要がある。
 かつて医療小委員会でもらった資科で申し上げるわけですけれども、まだ差額ベッドの率が一〇%を超える都道府県がありますね、東京、大阪、兵庫。ちょっと資料が古いのですけれども、これはおととしの五十四年七月現在ですね。東京が二一・七%、大阪が一三・七%、兵庫が一二・五%。これはまだいずれも一〇%超していますか。
○大和田政府委員 東京と兵庫の二県は相変わらず一〇%を超えております。大阪は八・四で一〇%を割っております。
○森井委員 しかしこれは、先ほども指摘をいたしましたように、もう三人部屋以上で取るというのはあなたのところの通達に反しているわけですよ。それでもなお厚生省の指導が全然行き渡っていない。反省の意味も含めて、いま言いましたように、どこも無理ならやむを得ませんが、三十県に余ってすでに三人部屋については差額ベッド料を取らないということになっているのに、依然として粘れば粘るだけ取れるということになれば、行政の権威というのは全くなくなりますよ。不公平ですよ。
 ですから、私は健保の審議のときも申し上げましたけれども、少なくとも三人部屋については、直ちにと言いましても、あしたからというわけにいかないかもしれませんが、三年なんて言わないで、一年を目途におやりなさいよ。そして、もし従わないなら、ちゃんと伝家の宝刀があるわけですから、保険医を取り消すというふうな非常に強い姿勢で臨まれるべきだと私は思う。いかがでしょう。
○大和田政府委員 先生おっしゃいましたように、三人部屋以上につきましてはすでに国公立はほとんどゼロ、その他の公的も〇・三、医療法人が三・七、その他の法人が五・四と、非常に少なくなってきておる。ただ、実は先ほど申しました学校法人がまだ三九・一、約四〇%近い差額徴収の状況がございます。
 ただ、文部省といたしましても実は非常に努力していただきまして、五十四年の調査では四四・二%であったのが五十五年七月では三九・一%と、かなり急速な解消の状況を見せておるわけでございますけれども、やはり割合といたしましては非常に大きい。で、ここをできるだけ早く解消していただきたいというふうにお願いしているところでございますし、これについては、来年、一年、二年というのはなかなかむずかしい、これはお約束いたしましても何とかできる限度ということで、三年以内にこの三九%という残りを何とか解消していただきたいというふうに私どもも文部省と協議をいたしまして、文部省も前向きにこの私どもの方針を受けとめていただきまして、大いに努力していただいておるところでございますが、そういったところでやはりどうしても三年という期間をちょうだいいたしておるわけでございます。
○森井委員 そうしますと、先ほど言いました東京とか兵庫とか、まだ一〇%を超えているようなところは、厚生省はやはり具体的にはいわゆる都道府県――都県ですか、とじっくり話を詰めて、特別に解消のための努力をする、これが約束できるかどうかというのが一つ。
 それから二つ目は、やはりこれがどうしても問題になるのですね。昭和五十三年一月二十八日保発第九号というこの通達です。厚生省保険局長から都道府県知事にあてたもの、これが問題になるわけですね。一口で言いますと、国立の医療機関については差額ベッドは一〇%以内、その他の医療機関については二〇%以内。二〇%といいますと、百床あれば二〇床ですからね。この通達はほぼ公然と差額ベッドというのを認めているというふうに解釈できなくもない。この辺に問題がある。先ほど話がありました最近の厚生省の調査からいけば、たしか民間の医療機関の場合でも一五%平均ぐらいでしょう。国はたしかもう五%台でしたか、定かには覚えておりませんけれども、いずれにしても、そういうふうに現実に平均的にも二〇%なんという数字が私はおかしいと思う。現に平均が一五%なんだから。やはり差額ベッドの総枠についても規制をする姿勢がなかったら、これはなくならないと思う。いかがですか。
○大和田政府委員 ちょっとその数字を申し上げますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、差額ベッドの平均、五十五年の七月一日の数字では一三・八%ということで二〇%を割っておるわけでございます。そのうち三人部屋はもう三・四になっておるわけでありますが、これが一三・八。それの内訳を見ますと、国立は一〇%をはるかに割っておりまして四・六、公立も一〇・六ということでございますが、やはり学校法人が五一%、半分が総ベッド中の差額ベッドの占める割合ということになっておるわけでございます。
 したがいまして、私どもはやはり、平均的にはもう二〇%を割っておるわけでございますけれども、個々の医療機関に対して、私大の付属病院を対象にすることになろうと思いますが、主としてそういったようなものを対象にいたしまして、すべての医療機関について二〇%以内ということで指導していくということでございますので、やはりまだこの基準は私どもといたしましては指導方針として必要な基準であるというふうに考えるわけであります。
○森井委員 そういうことを言うから、口では三年以内だ、直ちにだと、いろいろなことがありましたが、差額ベッドの解消を言われながら遅々として進んでいないということになるのですよ。これはちょっと言い過ぎかもわからぬけれども、健保を審議しているとき、あなた方は素直なんですよ。わりといい返事もしてくれるのです。ところが、詰めて点検をしてみるとこういうふうな言い方になってくる。指摘しましたように、この通達を出しましたのは昭和四十九年でしょう。国立一〇%、その他二〇%というのは。あれからもう七年たっているのですよ。その間、あなたがすでに御存じのように、厚生省の努力等もありましたから、年々差額ベッドの数は平均も含めて減っていっておるのです。その中でかたくなにまだ七年も前の二〇%というのを残すことに問題がある。一五が無理なら一八でもいいですよ。一七でもいいですよ。順次下げる姿勢が欲しいと思う。どうですか。
○大和田政府委員 おっしゃることはよくわかりますが、私どもといたしましては、先生の御指摘のとおり、どうもマンマンデーである、行政努力にもかかわらずなかなか実効が上がってないという御叱正は本当にそのまま受けとめておるわけでございます。したがいまして、何とか早くこの当面の二〇%というのは確保していきたいという気持ちで実はいっぱいでございますが、なかなか、先ほど御指摘のように強力な指導をやっていかなければこれも到達できない。これはもう一生懸命やっていく。先生御指摘ありましたように、具体的に指導していくべきではないか、具体的な県、これは私ども当然そう思っております。すでに具体的に対象になっております県をここに呼びまして、これについてはどうするのかというような話につきましては指導を開始しておるところでございます。
○森井委員 私立医科大学の付属病院等については、それはあなたがおっしゃったように実情はむずかしいでしょう、後で文部省にもお聞きしますけれども。だから、それを除外すれば二〇という基準は多過ぎると私は思う。再度答えてください。私立医大を除いてやる方法だってあるじゃないかということですね。
○大和田政府委員 私ども、先生おっしゃいますような実態をさらによく把握いたしまして、ただいまのような御見解につきましてはなお検討していきたい、かように思っております。
○園田国務大臣 いまお答えしましたとおりに、いろいろ問題があると思います。しかし、問題は実態を把握してというところに問題があるので、なるべく厚生省は、官僚統制にならないように注意はしなければなりませんけれども、しかしながら全般的な関係上、ぜひやらなければならぬものは言ったことは必ず通すという慣例をつけなければ、通達は出した、しかしそれは実行されてない、それは努力するということでは、だんだんそれが重なりまして、厚生省の行政指導というものはかっこうだけでだんだん人からないがしろにされるおそれがある。いまの問題はきわめて重大であります。ほかの県が全部やったのに二県だけやってない、あるいはまた、中にはうまくやって二〇%を割っているところがあります。割ったところは後から追っかけて、それに多目で二〇%なんというようなことは、この問題じゃなくてやはり行政指導の根本的な姿勢の問題でありますから、後で局長とも相談していまの二〇%はさらに詰める、それからやらない都道府県に対しては強力にやる、こういうことにいたします。
○森井委員 文部省、おいでですね、お伺いをいたしますが、お聞きのとおりでございます。ちょっと言葉が悪うございますが、差額ベッド解消、もしくはそのほか保険外負担の解消のネックになっているわけですね。事情はわかりますよ、それは教育機関、研究機関を兼ねていますから。わかるけれども、医大の付属病院についても医療保険制度の枠内で処置をしなければならぬことが当然あるわけですから。
 そこで、たしか去年の秋の臨時国会のときであったと思いますが、健保の審議が大詰めにがかったときに、私どもは簡単に引き下がれないということで、文部省の大学局長と厚生省の方とで文書で確認をしていますね。お聞きのように三年以内に努力するということだったと思うのですけれども、一体これらその後どういう指導をなさっていますか。
○川村説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、大学病院というのは一般の医療機関と若干性格を異にするものがございます。通常の診療のほかに教育、研究という機能を持っておるという点で、ただいまの差額ベッドの問題は大変むずかしい部分があると私どもは承知しておるわけでございます。
    〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
 ただいま先生から御指摘がございましたように、昨年の秋に、そういうふうに厚生省とも御協力をしながらこの問題の解消に努力をしてまいりたいということを申しておるわけでございまして、その後厚生省の事務当局とも私ども再三事務的な御連絡も申し上げますし、それから具体的には、私立の医科大学協会等とも密接に連絡をとりながらこの問題の解消に努めてまいりたい。指導もし、個別に話し合いもしておるという状況でございます。
 これは、御承知のように、近年また一部の私立の医科大学で大変不祥事を起こしておりまして申しわけなく存じておりますが、その関連の中で、やはり一方において私立大学の経営の健全化ということがございます。そういうただいま御質問のございましたような事項も踏まえ、また私立大学としての健全な発展も図る、全体的な調整ということも考えなければならないというふうに思っております。私ども正直に言って、これは大変に困難なむずかしい問題であると思っておりますけれども、基本的にはただいま先生御指摘のように、三人部屋以上の大部屋での差額というものはやはり解消すべきものであろう、これはできるだけ早くそのめどをつけたいということで、ただいま申し上げましたように関係者とも相談をしておるというところでございます。
○森井委員 努力の跡は少し出ていますけれども、認識の問題として、ほかの医療機関とあれだけ差額ベッド率が違うのですね。だからこれはそのままでいいというわけには決していかない。特に私、重視をしたのは、三年を目途にとなっていますが、文部省そのとおりですね。そのつもりで具体的に計画をお立てになったり個別指導をしたりなさいますか。
○川村説明員 この点につきましては先ほどお答えいたしましたように、昨年厚生省とも御相談をさせていただいた線で努力をしてまいりたいということでございます。
○森井委員 保険局長、質問として若干穏当を欠くかもしれませんが、一般的に言えば経営は一般診療所が楽なんですよ、どちらかというと。そして公的病院も含めまして病院の経営が非常にむずかしい、たとえば私立なんか割りが合わないというのを私どもよく聞くわけですね。時間の関係で多くは申し上げませんけれども。だから、診療報酬の改定がいずれあるのでしょうけれども、やはりその意味では、私は、いままでの診療報酬の点数あたりの配置についても、私立医大、経営の苦しいことが原因になっているわけですから、私立医大とは限りませんが、病院対一般診療所で診療報酬についても検討を加える必要があるのじゃないか。
 それからこれは大臣、いまの医療保険制度の一番矛盾ですけれども、駆け出しのお医者さんもそれから天下の名医も同じ診療報酬ですね。それから私立医大は、一部の私立医大だと言われましたが、どうも私の頭の中には大部分の私立医大が寄付金その他で何か悪いことをしている、裏口入学とかいろいろなことで悪いことをしているという印象があって困るのですが、それにもかかわらず患者が寄りつくというのは、やはりそれ相当にりっぱな医療が行われているという現実があるのですね。大学病院に入れば、大学の先生に診てもらえば、これは紛れもない事実です。その意味で、これは非常にむずかしいことだけれども、診療報酬についても何か工夫を加えることができないものか。
 保険局長、いかがですか。
○大和田政府委員 大学の問題をちょっと離れまして病院と診療所における診療報酬の観点から申し上げますと、これは先生御承知のとおり、従来の診療報酬の上げ幅等を見ますと、やはり病院、診療所、これは格差がついておるということが言えるわけでございます。しかし、具体的な問題につきましては、私ども中医協の御審議を待ってこれから進めなければならないわけでございますけれども、従来のベースから見ますとそのようになっておるということが言えるわけであります。
○森井委員 ところで、健保の採決の前の確認質疑の中でこういうのがあるのですね。保険外負担の問題に関連をいたしまして、特に差額ベッドが中心になると思いますけれども、差額ベッドだけでなくて付き添い看護もやはり入ると思いますが、調査をするということを約束しているのですね。現行の調査に加えて大病院に対する実地調査、それから利用者に対するアンケート調査を行う、これが健保の採決のときにあなた方が約束された項目なんです。これはおやりになるのですかならないのですか、おやりになるとすれば具体的にどういうふうな計画ですか。
○大和田政府委員 まだ実施はしておりませんが、もちろん実施をいたすつもりでございます。これにつきましては本年七月に差額ベッドにつきます実態調査がございますので、それまでに実施方法等については詰めてまいりたい、このような計画をいま持っております。
○森井委員 本当は、ちょっと手間はかかるかもしれませんが、中医協で診療報酬改定の際、特別加算等いろいろ考えて保険外負担の解消を図る、こういうわけでしょう。そうすると、この調査の方が先なのですよ。これは大病院等となっていますけれども、要するにいままで、保険外負担の調査をされたのは去年の七月ですか、一年置きにやっていらっしゃいますね。おととしも七月、去年も七月、それが一番新しい資料だけれども。
 これは早く言えばアンケート調査でしょう。先ほどの保険外負担については、あなた方は相手の良心に基づいて推計をした。これはあくまでもアンケート調査みたいなもので、調査用紙を送って、そして回答を求めるというやり方ですね。実地は見ていらっしゃらない。これは問題なのですよ。だから、これは個々の医療機関の名前までついているはずですから、あれに加えて、昨年の臨時国会で約束をされた実地調査、あるいは利用者の声も要りましょうから利用者のアンケート調査等もおやりになった上で、実態をしっかり踏まえて、その上で中医協で具体的にこの問題を議論する、これが一番理想的な形なのですけれども、もう少し急いでいまからおやりになれませんか。
○大和田政府委員 先生のおっしゃいますようなことができれば一番理想的でございます。努力をしてみたいと思います。
○森井委員 時間がもう大分なくなりました。
 次は、医薬分業についてお伺いをしたいと思うのです。これも健保のときの附帯決議等についているわけでございますけれども、医薬分業というのは一口に言うとどういうことでしょう。
○山崎(圭)政府委員 医師と薬剤師がそれぞれその専門能力を発揮されまして、お医者さんは診断、治療に専念される、薬剤師さんは調剤に専念される、そういうことを通じまして国民医療の向上に寄与していただく、こういうことだと考えております。
○森井委員 模範的な回答が返ってまいりました。これは法的には医師法と薬剤師法、それぞれあるわけですから、薬剤師とお医者さんについてはそれぞれ法律でちゃんと明確になっていますね。本当はあなた方のいままでの答弁で議論があるのですけれども、これはまたの機会に譲ります、もう時間がなくなりましたから。
 だから、医薬分業というのはいま局長の答弁があったことなのですけれども、やはり私どもの頭の中には、薬づけ医療の解消という気が率直なところあります。局長が答弁なさったことをもうちょっと私突っ込んで申し上げますけれども、薬の有効性と安全性という見地からいけば、これはお医者さんよりもやはり薬剤師さんの方が専門家ですよね。有効性、安全性の向上という点でも医薬分業は必要である。あなたが言われたように、医師と薬剤師の責任分担の明確化ということも当然だろうと思うのです。それから処方の公開というのも必要なのでしょう。患者から見れば、薬局が自由に選択できる、これも必要だと思うのですね。そういった観点から医薬分業を進めるというふうに私ども理解しておりますが、いま申し上げましたことでどれか間違いがありましょうか。
○山崎(圭)政府委員 御指摘の点、お説のとおりだと存じております。
○森井委員 そこで第二薬局、これは厚生省が調査をなさったわけですけれども、私が明確にいたしましたが、第二薬局というのはいまの基本に照らして好ましい姿でしょうか、そうでない姿でしょうか。
○山崎(圭)政府委員 先般第二薬局、仮に私どもはこういうものだという試みの定義を加えた上でございますが、調査をいたしました結果、全国で一千七件という数がまとまったわけであります。
 いまお尋ねの点でございますけれども、私どもは、たとえば先ほど先生が御指摘になりました点との関連で申し上げますと、患者が薬局を自由に選択するというようなことが場合によっては失われることもあるかもしれませんし、あるいは処方の公開という意味から見ますと、第二薬局の中には事実上そういうことになっていないというような欠陥があるかもしれない。こういう意味におきまして、基本的に私ども、薬局というのは医療機関から独立していなければならないというふうに考えておりますので、そういう意味から問題がある、かように考えているわけでございます。
○森井委員 あなた、はっきりおっしゃらないからもうちょっと私はつけ加えますけれども、いろいろなケースがあります。もうあなた方が調査をなさったことは私も理解をしておりますから聞きませんけれども、同じ敷地の中にはぼ経営者が同じで診療所があり薬局があるのです。入り口が違う場合もあるし違わない場合もある。建物を仕切ったりなんかした場合、いろいろなケースがあるようです。
 そうすると、具体的に申し上げますが、お医者さんは処方せん料を五十点、五百円取れるわけですね。あなた知っていて答弁をなさらないからつい時間を食ってしまうわけです。そして今度第二薬局の方は、当然のことですが調剤料が取れる。それから薬価の差益が入る。それらの第二薬局の利益というのは、開設者がほぼ同じ場合でしたら、仮にそれがお医者さんとすればお医者さんのもとに入る。大きな金額ですよ。はっきりした数字を持っておりませんが、恐らく年間五千万枚調剤薬局からの保険請求が来ている、処方せんが来ている。大きな違いはないと思うのだけれども、そのうちのざっと三割でしょう、第二薬局からの請求は。請求をした保険薬局の数からいけば、たったの八%。これはあなた方の調査で明らかなとおり。それが三〇%に余ってちゃんと請求をしている。処方せん、調剤料を取っている。もうけは明らかでしょう。しかもふえてきておるのは、例の医師優遇税制を一部是正をしたとき、この前後が一番大きい。
 もう実態は御存じだからあえて申し上げませんけれども、これを野放しにしたら大変だと思うのです。何らかの規制をお考えではないですか。
○山崎(圭)政府委員 御指摘の点も踏まえまして、私どもはすでに五十年のときからこの独立性ということを各府県に徹底させるべく通牒も出しておりますし、会議の席上その他でも指導してまいっておるわけでございますけれども、今後とも独立性を保障できるようなそういうことに十分配慮の上、薬局の許可あるいは保険薬局の指定という問題もございますけれども、考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
○森井委員 薬務局長、保険薬局の指定はあなたがやるの。いまそういう答弁だった。違うでしょう。保険局長、どうですか。
○大和田政府委員 この問題につきましても、薬務局と十分協力をいたしまして進めるつもりでございます。私どもといたしましては、ただいまの薬務局長の発言の保険薬局の指定でございますが、やはり第二薬局について、事実上院内薬局と同じようなものを保険薬局として指定するということはやはり問題であるというふうに考えておるわけでございまして、指定申請がございました場合には、十分具体的に検討した上で指定の可否を決めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○森井委員 大臣にお聞き取り願いたいのですが、薬務局は要件が整っていれば薬局の開設を許可するわけですね。それは薬務局の権限だから当然だと思う。ところが保険局は、薬務局が薬局と認めれば、申請があれば無条件で保険薬局にそのまま指定をしているのですね。私は、ここが問題だと思う。薬務局の場合は確かに法律上基準にかなっていれば、当然のことですが薬局の開設許可は与えてよろしい。しかし、保険は別だと思うのです。
 もうすでに問題を指摘いたしましたように、いまあれだけ、ある場合には医師の所得の分割、ある場合にはうまい所得隠し、いろんなことをやられて、悪質だということは先ほど答弁があったとおりなのですが、野放しにしないとすれば私はやはり保険局がしゃんとしなければ仕方がないと思うのです。だから、申請が上がってきた場合に、これは具体的には都道府県知事の権限という形になっているわけですけれども、明らかに第二薬局とわかっておるものまで無条件で保険調剤薬局として指定をする必要はない。いままでは、薬務局が薬局開設を許可したのだから無条件で指定をしましょうという形であなた方は認可をしてきた。その結果、保険財政から七十億も八十億も――先ほど私、レセプトを申し上げましたけれども、仮に薬局からの処方せんを通じまして支払基金に請求のあったもの、あるいは国保も含めてですけれども、五千万枚でしょう。そうすると、その三割、ざっと千五百万枚はそこから出てきている。もう多くを申し上げませんが、処方せん料だけで幾らになりますか、七十億から八十億になるのです。こんなむだ遣いをするのですから、もっと保険局は毅然とした態度でなければ困ると思う。
 先ほどもちょっと声が出ておりましたが、健康保険法の四十三条ノ三、三年ごとに更新をするのでしょう。もちろん申し出がなければ自動的にまた継続という形に法律はなっていますけれども、これはちょっと問題でしたけれども、しかし、いずれにしても三年に一回更新ができる。そのときに取り消すことができないか。これは地方の社会保険医療協議会に諮ると法律ではなっていますね。諮った上でなければ開設を拒んだり取り消したりということはできない仕組みになっていますが、場合によっては法律を変えたっていいじゃありませんか。本当にこれはゆゆしい問題だと思うのです。保険局だ薬務局だと言わないで、この際、実態はいま申し上げましたとおりですから、もっと明確にしていただきたいと思う。
○大和田政府委員 基本的に先生のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、私どもといたしましては、現在診療所であれば保険医療機関に指定する、これと同じように薬局であった場合に指定しないということはなかなかむずかしいのでありますが、それはわが方としてはいろいろと行政指導をやらざるを得ないと思います。そういう意味で薬務局行政と十分協力をいたしましてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 また、更新の際におきましても、明らかに独立性がない、つまり保険医療機関との間で同一のものだといったものにつきましては、おっしゃるような行政措置というものも当然考えていかねばならぬと考えております。
 いずれにいたしましても、この問題につきましては、私どもといたしましても十分対処していかなければならぬというふうに考えておるところでございます。
○森井委員 この際、もうちょっと明確にしておきたいと思うのです。あなた方が心配しておるものの一つに、もし第二薬局を保険薬局として指定をしなければたとえば独禁法に触れるとか、営業の自由等ありますから憲法に触れるとかそういったことで、それも理由の一つだという説もあるくらいですから、恐らくあなたの胸の内にもそれが入っているかもしれませんが、この際、公正取引委員会にお伺いいたしたいと思います。
 いまお聞きのような状態で、医療保険制度に基づいて第二薬局等を指定しない場合に独禁法に触れるのか、どうなのか、お考えを承っておきたいと思うのです。
○厚谷説明員 独占禁止法は事業者の行為を規制している法律でございます。都道府県知事が保険薬局の指定を行わないということは、これは事業者の行為ではございませんので、独占禁止法上問題になることはございません。
○森井委員 ありがとうございました。もう結構です。
 大臣、いまお聞きのとおりでございます。中身については率直なところ、九九%と言いたいですが一〇〇%これは反社会的な行為だと断定をしてもいいと思うのです。それがいまなお、このまま続いている。しかも医療費のむだは処方せんの発行その他で出ている。いまこの時期にこれをふさがなかったら、まだどんどんふえてくることは間違いないと思うのです。先ほど言いましたような公取等の心配がないわけでございますから、医療保険行政を充実発展をさせる立場から大臣の御決断をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 第二薬局のむずかしい定義は別といたしまして、医薬分業の趣旨に逆行し、かつまたそれは医薬分業の本旨に基づいてできたものではなくて、所得、経営のためにできたものでありますから、これは許してはいかぬ。もう一つは、ここ二年ぐらいでこれが急速にふえております。こういうことから言えば、きょうは突っ込んでおっしゃいませんでしたが、那辺に問題があるか十分わかるところでございます。
 いま事務当局から薬務局とも相談してということがありましたが、これは薬務局ではなくて保険局自体の責任において、大臣の責任においてやるべきことであって、これは大きく響いてきまして、一方は国の財源を締められる、一方はということになると、負担だけがどんどん伸びておる。その負担を伸ばさない方法は、こういうところを的確に、むだなところを締めることが厚生省の大事な責任でありますから、いろいろ障害があれば法律改正をお願いしてでも早急にやるべきことだ、こう思います。
○森井委員 またこれが、それ相当の理由もあるのです。医務局長、全国医師協同組合連合会というのがあるのですが、これはどういう団体ですか。一言でいいです。
○田中(明)政府委員 全国医師協同組合連合会と申しますのは、全国に四十三組合ばかりあります医師の協同組合の連合会でございまして、その事業は衛生材料等医薬品の共同購入あるいは生命保険の団体協約等によりまして会員の利益を図るということを目的としている組合でございます。
○森井委員 要するにこれは日本医師会とうらはらの関係にあるのです。協同組合ですから組合員と言うべきでしょうが大部分の協同組合員は日本医師会の会員でもある。それがけしからぬ報告を日本医師会に出しているのですよ。
 全医協連というのは先ほど申し上げました全国医師協同組合連合会のことらしいのですが、「全医協連方式による医薬分業案」、これで提出先日本医師会、こうなっていまして、五十四年一月二十五日から五十四年七月十三日まで、一番あの問題が起きたころですが、そのころにこういうのを出しています。
 時間がありませんから私全部申し上げますけれども、「日本医師会は昨年末、診療所を中心とした医療経営の合理化運動に於ける当医師協同組合連合会の位置づけに関する見解を述べられました。当連合会と致しましては、直ちに武見日本医師会会長と直接お会いし、その意図される所を御伺致しましたが、優先的に実現すべきものとして、医薬分業を医師の主導の下に実施することを指摘されました。」こうなっておるわけでございます。これが「綜合調査報告書発行に当って」というくだりでございます。
 「はじめに」の中には、医師優遇税制の改定がもとだということがはっきり書いてございます。そして、「日本医師会が推進されておられる医薬分業方式が、診療所経営にどのような影響を与えるか」これは年収六千万円ですから月収五百万円を例にして具体的に比較がしてあります。結果からいきますと、何といいますか医師優遇税制が一部強化をされましても医薬分業という形、つまり第二薬局のことなんですけれども、これを実施すればどちらにしてももうかる。四〇%ないし二八%もうかる、こう具体的に分析がしてあるわけでございます。
 それから先ほど申し上げましたように、たとえば調剤薬局、第二薬局をつくりますと、これは二ページに書いてあるのですが、「調剤薬局に対する効果」としては、いろいろなことが書いてありますが、調剤薬局としては「薬剤の売上の外次の表に掲げる技術料がコストのかからない収入として加算されることになり確実に利益増になる。」こう書いてありまして、具体的に数字が挙がっております。まあひどいのでありまして、その場合に先ほど私は第二薬局と申し上げましたが、二通り方法を指導しております。
 一つは、いま申し上げました第二薬局の方式でございますが、これはこういうふうに書いてあります。「月収二百万円(年収二千四百万円)の診療所で経営した場合はやっと黒字という形になる。一応企業として独立採算に乗るのは、患者数一日平均五十人以上、即ち月収二百五十万円(年収三千万円)以上の場合となると思われる。」そこで、採算の面から見た場合にはやはり金額がもっと多い、つまり収入が多いところでなければ第二薬局はもうからないとなっております。
 それ以外の方式として、八ページを見ますと、それがだめなら今度は協同薬局方式というのをつくる。もう時間がありませんからはしょらしていただきますけれども、協同薬局は「各医師で雇傭中の薬剤師を活用出来る」という利点がある。
 いろいろなことが挙げれば切りがないくらい書いてありますが、問題点として出てくるのは、やはりその場合に日本薬剤師会が邪魔をするだろう、だからその点に注意をしなければならぬ。それから患者からもいろいろな意味で問題が出てくる。第一、処方せん料を要するにそれで取らすわけですから、そういった点についても問題が出てくる等々いろいろなことが具体的に、第二薬局的なもの、要するに医薬分業という名前でやったらもうかるんだということがこれに全部書いてある。非常にけしからぬ文書だと私は思うのです。
 しかも、それを裏づけるように日本医師会も、たとえば日医雑誌五十四年六月十五日のに五十四年五月二十九日の常任理事会の記事がありまして、やはり医師主導型の医薬分業を進めていく、だからこれは医薬分業じゃなくて医師分業ですね。こういったことが現に行われている。
 ですから申し上げたいことは、法律で、先ほど大臣からきちっとした御答弁をいただきましたけれども、日本医師会に対しても厚生省はこのままではいけませんよ。第二薬局はよろしくありません、先ほど冒頭に確認いたしましたように医薬分業の趣旨からも違っておりますと、これは通達か何か指導文書をお出しになりますか。
○田中(明)政府委員 いま先生お読み上げになりました文書を私不勉強で読んでおりませんが、お話のようなことがあれば適切な処置を講じなければならないと思いますので、十分勉強いたしまして適切な処置を講じたいと思います。
○森井委員 大臣、もう一つ、もう時間が来たのですけれども、トンネル卸もどうしても取り消さなければ、これは実体がないのですから。もう御存じだから申し上げませんけれども、トンネル卸も直ちに取り消す。薬事法によりますと、この四月からの分はチェックができるらしいのです。たとえば床平米で倉庫の場合百平米というような基準がありますが、過去のすでに認可したやつで実体のないもの、これも取り締まらなければならない。その問題とあわせまして、大臣、いま申し上げました日医の医師主導型の医薬分業に対するお考え方と、最後になりましたけれども、トンネル卸の問題についても取り消しも含めて御検討いただけるかどうかを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 なお、たくさん通告しまして質問しなかった方もあるかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 大臣の御答弁に先立ちまして、トンネル卸についてだけ一言申し上げてみたいと思うのでございます。
 先生も御認識のとおり、先般の薬事法改正に伴いまして、一つは構造設備基準をレベルアップいたしましたし、もう一つは試験検査を厳重に行わせる。これも省令化いたしました。こういうことで最近の状況としましては新規の増加はとまったというふうに全国的な状況がなっておるわけでございます。既設のものにつきましても、いま申しました試験検査の実施でございますとか、あるいはまた構造設備基準につきましても昭和六十年を目途に新しいものに合わせていくように指導したいと思います。そしてそういう実体のないものにつきましては都道府県を通じまして強力な行政指導をして改善を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
○園田国務大臣 いろいろな団体が自分の本来の使命を忘れて、税金を逃れる方法だとか金がもうかる方法だとかなどということをなさることはまことに残念で、これが医療の倫理を壊し、国民から信頼を失う一つの大きな原因となっております。
 しかし、他人のことを言うよりもわが厚生省として考えなければならぬことは、正直言って事務当局は局長以下実際の二倍、三倍の苦労をしております。どうしてそういう苦労をしておるか見ておると、どうも野球のゴロを後から追っかけるみたいに、何かあるとまあまあまあまあで済ましておる。それがだんだんひどくなって世間から非難を受ける。そのときに後から追っかけて処理をしようとするから苦労は三倍であって、見物人からはしかられる、相手からはなめられる、こういう点が非常に多い。野球のゴロをとるときには一歩先に行って待っておって球を受ける、これをやれば努力は半分で実効は上がり、応援者からもほめられるし、相手からも、これは注意しなければならぬと。ここに大きな問題があると思います。いまの問題についてもやるべきことはぴしっと今後やらせるようにいたします。
○今井委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十一分開議
○山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。川本敏美君。
○川本委員 私は、去る昭和五十四年の二月二十七日だったと思うのですけれども、園田さんが外務大臣をしておられたときに、予算の分科会でいわゆるベトナム・インドシナ難民の問題について質問いたしました。そのとき大臣から非常に明快な御答弁をいただきました。私は、難民条約の批准の問題だとか難民の受け入れ体制の問題だとかあるいは職業訓練の問題だとか、国際関係についてもいろいろ申し上げたわけですけれども、園田大臣はその後この回答、答弁をそのまま実行に移されて閣議で決定をしたり、あるいは今度はまた難民条約の批准というものが出てきますけれども、答弁がそのまま実行に移されたことについて、私は大変敬意を表しておる次第であります。
 そこで私は、中国の孤児の問題、この間中国から招待したあの四十七人の在中国の日本人孤児の問題について、若干これから質問をしてみたいと思うわけです。
 私は、新聞やテレビ、マスコミの報道でいろいろ関心を持って今日まで読んできたわけですけれども、去る三月二日ですか、招待いたしました四十七人の日本人孤児、これが去る十六日大阪空港から帰国の途につかれましたが、今回のこの親捜しは大変大成功じゃなかったのかと思うわけです。これまでに厚生省を中心にして、あるいは各都道府県の援護関係の方々、あるいは民間団体のボランティアの方々、あるいはテレビや新聞等のマスコミ関係の方々に大変御協力をいただいたのでこういう大きな成果が上がったと私は思うわけですけれども、そこでまた新しい問題がたくさん提起されている。これに対して国民もまた深い関心を寄せていると思うわけです。そういう観点から私は二、三点まず質問をいたしたいと思うのです。
 いままでいわゆる中国等に残された戦争の遺児やあるいは未帰還者ですか、孤児もその中に入ると私は思うのですけれども、そういう方々を受け入れていく日本政府の体制が非常に消極的ではなかったのかと私は思うわけです。このあたりでこれを積極的なものに切りかえていく一つの曲がり角に来ておる、そういう問題点を、今回の日本人孤児問題は大きく世論を喚起したと私は思っておるわけです。
 そこで、まずお聞きいたしたいと思うのですが、現在中国に残っている日本人孤児というのは全体でどのぐらいおられるのか。その人たちのうちで身元が判明しておる人たちはどのぐらいおるのか。日本国籍を持っておるのはどのぐらいで、国籍のない人はどのぐらいか。あるいは帰還した人はどのぐらいおるのか。そういう具体的な数字についてまずお聞きいたしたいと思います。
○持永政府委員 中国に残されております孤児の方々、これがどのぐらいいるかということについての一切の数を具体的には私ども実はつかんでおりません。
 ただ、私どもで持っております未帰還者名簿あるいは肉親から届け出のあった戦時死亡宣告処理済み者、そういったものから、終戦当時にたとえば十三歳未満というような、今日のいわゆる孤児の人たちの数というものを推定いたしますと、大体三千五百人ぐらいじゃないかということが言われております。ただ、この中にはすでに亡くなった方もおられるかと思います。
 それからもう一つ、現実に今回来日をいたしました孤児の方々は、いずれも御本人から肉親の解明の調査依頼があった人たちの中から選んだわけでございますが、日中の国交が回復いたしまして中国からの通信が十分可能になりました後に、向こうの孤児の方から私どもの方に肉親の解明の調査依頼があった人の数は現在千百八十五人おられます。千百八十五人のうち、今回の訪日で二十四人の方々の身元がはっきりいたしましたけれども、そういった人たちを含めて身元が判明した者の数が四百二十五人でございます。それから現在調査中のもの、私どもの援護局でいろいろな資料を当たりまして調査している人の数が七百六十人ということでございます。
○川本委員 いままでに身元の判明した方で、日本国内にすでに帰ってこられた方は全体で何名ぐらいおられますか。
○持永政府委員 これは孤児というわけではございませんが、私どもの方で日中国交正常化後に引き揚げ者あるいは一時帰国者という人たちの数を調べております。それによりますと、現在まで引き揚げ者、いわゆる日本に永住するということで引き揚げた人たちの数が二千七百八十三人おられます。それから一時帰国者の方々がこっちへ帰られたという方が五千百十五人、それから一遍日本に帰られましてまた中国に帰られた方が四千七百人という数字になっております。
○川本委員 そこで、一説によりますと、まだ中国に残されておる孤児たちが一万人おるともあるいは五千人おるとも言われておりますけれども、いま言われたいわゆる千百八十五人、大体調査依頼のあった人の数だけでもそれだけですから、これはわが国の戦後処理の最終段階を迎えた今日の段階で、この問題が片づかなければ戦争が終わったとはやはり言えないのじゃないかと私は思うわけです。そういう意味において、私はこの問題をまず取り上げてみたいと思うわけです。
 そこで大臣にまずお聞きしたいと思うのですが、私はこれらの、日本人でありながら中国に子供にやられたりあるいは捨てられたり、そして向こうの人たちの温かい気持ちで今日まで育てていただいたこの人たちは、やはり戦争犠牲者ではないかと私は思うのです。その点について政府は戦争犠牲者と位置づけておるのか、それとも戦争犠牲者として位置づけていないのか、その点についてまずお聞きいたしたいと思うのです。
○園田国務大臣 事務当局から数を申し上げましたが、これは非常に手がたく踏んだ推計でありまして、実際はもっと数はたくさんおられるのではないかと思っております。こういう方々は戦争の犠牲者の最たるものであると私は考えております。
○川本委員 大臣から戦争犠牲者であると明確な御答弁をいただきました。それなら、私はいろいろ当局にまずお聞きをしてみたいと思う。
 現在のこういう人たちがもし日本に帰りたい――日本人だから日本へ帰りたいのはあたりまえです。それが帰ってくる場合にどの法律が適用されるのかといいますと、未帰還者留守家族等援護法によらざるを得ないんじゃないかと私は思うわけです。この未帰還者留守家族等援護法は昭和二十八年に制定された法律ですけれども、その後幾らか改定はされておりますけれども、しかし、原則的には改定されていない。引き揚げ者が帰ってきた場合あるいは孤児たちが日本へ帰ってこようとした場合、受け入れることができるのかどうか。この間参議院の予算委員会でしたか、園田大臣は、中国側とも十分相談した上で、向こうの養っていただいた養父母が老齢化をしておる、そういう中で向こうの養父母との関係もありますから、それを捨てておいて強引に帰るということも人道的にどうかとは思いますけれども、できるだけ情理を尽くして話をして、そして祖国へ帰りたいというのはこれはやはり本能的なものですから、ぜひこの戦争犠牲者を温かく日本国内に受け入れてやらねばいかぬと思うわけです。園田大臣によると、親や親戚の見つからぬ者は里親制度等を利用してというようなことを言われますけれども、それはあくまでも民間の善意に依存しようというもので、政府みずからの積極的な姿とは言えないと私は思うわけです。こういう人たちを受け入れるためには、必要とあれば法律を改正したりあるいは新たな制度をつくってもいいじゃないですか。そういうことで初めて日本の国が国際的にも信頼されることになるのだ、私はそう思うわけです。
 その点について大臣からそういう基本姿勢だけまずお聞きをしたいと思うのです。
○園田国務大臣 いまの問題、御発言はきわめて大事でありまして、今回このようになりましたのはひとえに皆さん方のお力添え、関係方面の御協力のたまものでありますが、まず中国が非常に理解を示されたこともまた非常に大きな原因でありますから、とりあえず私の方では第一に中国に、まだお願いしてありませんが、総理の親書等を持って御礼と今後の問題についてのお願いに派遣する心組みでおります。その上でだんだん進めてまいります。
 いまの国内の体制でありますが、確かに進んでおりません。そこで早急にやらなければならぬが、第一は、やはり戸籍法やその他の問題があります。無国籍の方もおるわけでありますから御要望に応じて日本の国籍を与える、こういうことになるといろいろ法律的な問題があります。こういうことについては法務省も相当開けた態度で御理解を示されておりますので、これは多分何かの特例か特別措置を講じなければできぬと思いますが、御発言のとおり、そのような処置を講じてやるべきだと考えております。
 第二番目には、家族の方々を持っておられる方でありますから、こちらへ来られて住まわれるのに、生活の安定であるとか職業の問題等々ございますので、これについて関係各省と相談をして早急に準備を進めたいと考えております。
○川本委員 いま大臣が非常に積極的な姿勢を示されました。
 そこで、まず私は当局にお聞きしたいのですが、現在の未帰還者留守家族等援護法、あれでいくと未帰還者が帰ってきたときには帰郷旅費を支給する、あるいは帰還手当を支給する。その帰還手当の金額は現在幾らになっていますか。
○持永政府委員 昭和五十五年度で申し上げますと、大人一人当たり十一万二千円ということでございます。
○川本委員 聞きますと、大人が一人当たり十一万二千円、今度はちょっと上がるようですけれども、それでも十二万円に満たないわけです。そのほか、日本語を勉強するためのカセットテープを支給したり、あるいは職業訓練協力生活指導員だとか生活指導員を月四回家庭に派遣したりというようなことを細かくやっておられますけれども、しかしながら、それで果たして十分なのかという問題があるわけです。
 私も、実は引き揚げ者なんです。私は、蒙古、いわゆる万里の長城の北側の大同というところで終戦を迎えた民間人でして一そして四カ月かかって歩いて北京に出てきたのですけれども、その間五歳児ぐらいから下の子供が毎日死ぬわけです。朝、私たちは、そういう小さないたいけな子供とお年寄りが亡くなったのを荼毘に付して、まくら木を積んで焼いて骨にして、それを持って出発をして夜着いたところで露営をする、そしたらまた明くる日の朝になったら亡くなっておるわけです。そんな状態ですから、小さな子供が亡くなっていくのならせめて中国の人にもらってもろうてでも、預けてでも命だけは長らえさせてやりたいというのは、自分の経験から見てもこれは当然の話だと私は思う。
 特に、あの四十七人のいろいろな経歴等を新聞で拝見しますと、終戦直前に父が応召している、あるいはソ連軍に抑留されている、肝心のお父さんがいない母子家庭になっておるのですから、これは戦争の犠牲者ですよ。そのためにお母さんが死なすよりは預けた方がいい、育ててもらった方がいいということで、今日のこのような状態になってきた。これは全く国の戦争政策の犠牲者、それで一生を台なしにされた人たち、その人たちが故郷へ帰りたいという気持ちは、私は自分の経験から本当に涙が出るようにわかるわけです。そういう意味においてもできるだけ温かくしてやりたいと思うのですけれども、帰還手当が十二万円そこそこじゃ、いわば日本へ帰ってくればやっぱりテレビも買わなければいかぬ、冷蔵庫も買わなければいけませんよ。しかしそういうものが支給されるわけじゃないわけです。
 ところが、これが軍人であれば、外国で戦後三十五年もおれば、帰ってきたら軍人恩給がつく、未帰還者留守家族等援護法にも書いてありますね、戦傷病者戦没者の援護法にも書いてありますね。ところが、この人たちはお父さんが軍人にとられたりソ連軍に抑留されたりした人の子供が大多数ですけれども、それでもこの人たちは軍人でも軍属でもなかった、そのために何の手当も受けられない。十二万円でそれであたりまえ。
 ところが、これだけならまだいいのですけれども、現在日本の国の政策は、国がやってないから自分の親戚や知人に連絡をとって、はっきりした人は自費で帰ってきておるわけです。自費で帰ってきた人にはいままで何の措置もしていないのじゃないですか。私は全く無責任きわまりないと思うわけです。
 そういう点について具体的にお聞きしたいと思うのですけれども、まず帰還手当はもう少し上げなければ、一家族帰ってくれば、四人家族帰ってきても百万円やそこらはなければ生活はできないのじゃないか、その辺のことも一つは考えてみなければいけない。
 次には、これは文部省の所管だと言われればそれまでですけれども、言語教育ですね。まず言葉を教えてやらなければいかぬ。カセットテープと教本だけではこれは不十分。だからやはり教育センター的なものをつくって、そこで六カ月なり、まず日本の国内の状況になじむような教育をして社会に出してやるというようなことが国営で行われてもしかるべきではないかと思う。
 あるいはその後職業につきたい人には職業訓練生として職業訓練を施していくということも必要だと思うわけです。
 あるいは国民年金の問題もあると思う。国民年金の問題は後で申し上げたいと思うわけですけれども、そういう点について抜本的な対策をこの際考えていただきたい。そしてあの人たちが安心して三十五年間の苦労を忘れて、温かく国内に迎え入れられるも体制をつくれないのだろうか。この点についてひとつお聞きいたしたいと思います。
○持永政府委員 先生のお話十分承りまして、私どももできるだけ前向きに対処していきたいと思います。
 申し上げておきますと、帰還手当でございますが、これにつきましては五十五年度一人当たり十一万二千円でございますが、五十六年度はこれを七%程度アップさせまして十一万九千八百円になっております。ただ、これは一人当たりでございまして、引き揚げ者の実態といたしましては大体三・八人ぐらいの家族構成員でございますから、したがいまして四十万程度の手当を受ける。私どもはこれで決して十分とは思っておりません。年々上げてまいりましたし、今後とも上げるよう努力しなければならないと思います。
 それから日本語の問題でございますが、何といっても中国からお帰りになる方の一番大事な問題は言葉の問題でございます。したがいまして、私どももそういった点に重点を置きまして、帰国当初にカセットテープあるいはテープレコーダー、そういったものを差し上げておりますけれども、永続的に日本語教育は大事な問題でございます。厚生省といたしましても、引き揚げ者のOBに生活指導員になってもらいまして、そういう方たちに一年間、月に四回引き揚げ者の世帯を回ってもらうというようなことで言葉の教育などもさせてもらっておりますけれども、なお基本的には教育の問題でございまして、文部省とも十分に相談をしてまいりたいと思っております。
○川本委員 それじゃだめですよ、やるということをはっきりしなくては。文部省と相談するぐらいはだれでも言える。
○持永政府委員 教育の問題言葉の問題は一番大事な問題だと私ども思っておりますので、先生の御意見を十分体して努力してまいります。
○川本委員 その次に、国民年金の問題があろうと思うわけです。今度帰ってこられた四十七人の方の年齢を見ても、大体終戦当時に零歳から三歳、五歳くらいだったわけですから、すべて三十五歳以上、四十歳前後の人たちですよね。そうすると、日本の国に帰ってきても、いまの国民年金法では、三十五歳を過ぎたら加入しても今度は六十五歳になって二十五年にならないから、国民年金も支給されないということになるわけです。こういう人たちに対しては、従来からも引き揚げ者で帰ってきておる方、孤児の方も先ほど御報告あったように四百二十五人ほどおられるわけですけれども、その人たちも全部放置されたままだと私は思うわけです。この人たちに対して、少なくともこの三十五年間というものがその人の人生で空白であったのか、むだなものであったのか、そういうことじゃないと思うわけです。こういう犠牲者の上に立って日本の国が今日ここまで発展をし、生活もよくなってきたのだ、そういうことを考えたら、この人たちに対して、国民年金に加入をして六十五歳になれば一人前の年金がもらえるというようなことを厚生省が考えてしかるべきだと思うのですが、厚生省はいままでそんなことを考えたことはないのですか。
○松田政府委員 外国から帰られた人の中で、特に中国からお帰りになった方、これは自分の意思のいかんにかかわらず今日まで中国で暮らさざるを得なかったという事情の方も数多くおられると思います。現在の国民年金法は、二十五年間以上の拠出を要件といたしまして老齢年金を支給するということでございますので、御指摘のように二十五年掛けられない方につきましてはいわゆる無年金者、こういうことになるわけでございます。
 確かに、中国孤児を初めとする中国からの帰還者につきましては、心情的には私ども何らかの方策を講ずべき対象ではないかというふうな感じを非常に持っておりますけれども、現在の二十五年という仕組みを変えることは現実の問題としてなかなかむずかしゅうございます。たとえば中国在留の期間を免除期間に算入するとか、考え方はいろいろございます。現在の無年金者対策の一環といたしまして、今後積極的にこれをどういうように扱っていくか研究してまいりたいと考えております。
○川本委員 今度国会に提出されます難民条約批准の案件に関しても、御承知のように国民年金法、児童手当法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当法、在宅重度障害者の福祉手当、こういう問題がすべて国籍要件を廃止するということで提案されてきますが、ここでも同じように三十五歳以上の人については問題があろうかと思う。あるいは先天的に重度の障害を持って生まれてきた人で二十歳を超えておる人については一つの問題があると思う。これはその時点でまた改めて十分論議をいたしたいと思いますけれども、今日、日本人であって、最初に大臣から御答弁いただいた戦争犠牲者、この戦争犠牲者を戦争犠牲者だとするならば、国民年金法で救済できなければ、戦傷病者戦没者遺族等援護法とか、あるいはいわゆる軍人、準軍属と同じような満州開拓団員も今度は法改正で適用されることになりましたから、そういうことも踏まえて、援護法の中ででも年金を支給するとか、あるいは国民年金法の特別措置を講じて加入できる措置を講じてあわせて生活を保障してやるとかいうような温かい積極的なことが考えられてあたりまえだと私は思うわけです。
 大臣、どうでしょう、そういうことをやれませんでしょうか。
○松田政府委員 現在の国民年金なりその他の公的年金制度というのは、いわば非常に画一的にできておるわけでございます。したがいまして、個々の個人的な事情なりいろいろな環境を個々的にしんしゃくをいたしまして、年金制度に位置づけるということは、技術的にも非常にむずかしゅうございます。
 ただ、無年金者対策と申しますのは、国民年金をつくりました当初から意識された問題ではございます。したがいまして、今回難民条約の加入に伴いまして国籍要件を取り払いますけれども、そういった無年金者の種々の態様に応じた施策が今後講じられるかどうか、国民年金制度の今後の改善充実の一環として十分検討をしてまいりたい、かように考えております。
○川本委員 いま言っているのは、外国人の国籍要件を撤廃した場合はそういうことで今後やっていく。これは日本人ですよ。戦争犠牲者ですよ。そして長い間帰る方法がなくて帰れなかった。自分は帰りたいと思ったけれども帰れなかった。その人たちが日本に帰ってきた場合、無年金者になる。これじゃ余りにもかわいそうでしょう。
 これは大臣、何とか法を改正してでも、特別措置を講じてでも、国民年金なりに加入をしてそして年金がもらえるようにするということだけははっきりしていただきたいと思う。
○園田国務大臣 先ほど言われました中国の遺児が日本に住まわれるようになった場合、この場合何かの名目で手当てをする方法はないか、これは川本先生だけじゃなくて議員の方全部、国民全部の意見だと私は存じます。したがいまして、引き揚げ者全般の問題にこれが普及してきますとなかなか見通しがむずかしゅうございますけれども、この孤児だけには何とか身の立つようにしてやれということ、これは全くそのとおりだと思いますので、関係方面といろいろ相談してみたいと思います。
 いまの年金の問題は、まず難民条約でかかってくる問題でありますが、難民条約では、無留保で、留保なしに条約に加入することということを急ぎまして、これも大分急いだわけでありますが、国会に提出する時期がなかなかおくれておるわけであります。
 そこで、いまの年齢、あるいは同じ年金でもある年齢向こうで障害者になってからこっちに帰ってきた人だとか、あるいは定年に達してから障害者になった人などの年金、日本の在来の国民自体が非常に気の毒ないろいろな問題があるわけであります。
 したがいまして、日本の国民、それからいますでに住んでおられる韓国の方々、それから中国のこういう方々、これは日本国内の年金の制度として早急に検討しなければならぬと考えております。
○川本委員 時間がかかりますので、帰還手当の問題あるいは教育センター等をつくって言語教育あるいは職業訓練等を行うという問題、国民年金の問題、この三点については厚生省が積極的に措置を講じて改善する、措置を講ずるというふうに理解をしてよろしいか、大臣。
○園田国務大臣 いまの問題は、現行法がこうであるからなかなかむずかしいということなど言わないで、そういうものの将来も考えながら、あるいは場合によっては特別なものをつくるとか、あるいは現行法を少し直すとか、これは簡単に御同意をいただけると思いますので、そういうことも含めて積極的に努力をいたします。
○川本委員 そこで次に、もう少し聞いておきたいのですが、ことしの秋にまた第二陣として六十人の孤児を招待される。ところが、現在千百八十五人おられるとすれば、大体一年間にいまの百十人ほど招待するとしても、十年以上かかるわけです。その間に四十の人は五十歳になってしまうわけです。さらにまた今後ふえるかもわからない。そういうことを考えると、もっと招待者の数もふやし、回数もふやすとか、あるいはそういうために国が特別の予算措置を講ずるというようなことも必要ではないかと思うのですけれども、今後の対策はどうしますか。
○持永政府委員 中国の孤児の訪日による調査は、今回初めて実施したわけでございます。皆さん方の大変な御協力、御理解を得ましてそれなりの成果を上げたわけでございますが、この実績を踏まえまして、これから積極的にやっていきたいと考えております。いま国会審議をお願いしております五十六年度の予算では、一応六十人という数字の予算になっております。できればことしの秋に次の孤児の訪日を予定したいというふうに考えております。
○川本委員 先ほど大臣から御答弁いただきましたが、無国籍の人とか、あるいは日本国籍を持ってない人とか、そういう方で、仮に親もわからない、親戚もわからないけれども、日本人であることは間違いない、こうなった場合、これを受け入れる方法について、大臣は法務省とも相談して特別措置法等をつくってでも受け入れる体制をつくりたい、こういうふうにお答えをいただいたわけでございますが、そういう点についてはやはり厚生省がイニシアをとってやらなければいかぬと思うのです。厚生省がひとつ積極的にこういう措置を講じていただきますように特に要望だけいたしておきたいと思うのです。
 次に、私は健保の問題について若干お聞きしたいのです。実はこの間からの参議院等の国会論議の中で、きのう園田厚生大臣は医療費改定に関連をして薬剤費は大体一八%引き下げるという方針を明らかにされました。これは早くから、二月の八日ですか中医協が開催された席上でも大体一八%程度だということを言っておられますし、その席上で診療報酬の今度の引き上げは年度が変われば行うということを再三繰り返して言っておられますけれども、それが果たして四月に行われるのか、五月に行われるのか、六月に行われるのか、こういうことについてもいろいろ論議をされておるところであります。
 そこで、薬剤費を一八%引き下げると、現在十二兆円と言われる国民総医療費の中で占める比率というのは大体六%前後になる。そうすると、今度の医療費の引き上げが、どれだけ上がるのかということとも関連してくるわけです。大体診療報酬の引き上げについては、薬剤費の引き下げとの関連においていままでいろいろ言われておる。われわれ聞くところによると、やみ協定か知りませんが、薬剤費を引き下げた場合、それを医療の技術料に全額振りかえるというような約束があったかのように日本医師会あたりでは言っておるのですけれども、その点医療費の改定については大体どのくらいの程度になるのか、いつごろ行われるのか、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
○大和田政府委員 大変歯切れの悪い御答弁になって申しわけないわけでございますが、医療費の改定問題につきましては、なお具体的なスケジュールということまで行っておりません。医業経営の状態であるとか、それから賃金等の状況を見ながら慎重に検討していかなければいかぬ、こういうような状況でございます。
○川本委員 薬剤費は三月、年度末までに引き下げる、三月末ということは前の国会で大臣もはっきり言われたところです。それが一八%だということにほぼ確定をしてまいりました。十二兆円のうち、大体薬剤費が三六%、その一八%を引き下げるということになりますと、国民総医療費の中で今度薬価が下がる分は大体七千億から八千億の間ですよ。大体その程度で六%程度だと私は思う。そうすると、今度の医療費の引き上げは六%より上になりますのか、下になりますのか、どうですか。
○大和田政府委員 先ほども御答弁申しましたように、まだ具体的に時期及び幅につきまして申し上げられるような段階には至っていないわけでございます。
○川本委員 そうしたら、もう少しいきますが、国民総医療費は毎年こうふえてきていますね、十兆円から十一兆円、十二兆円。これからの医療費は、ことしのこの五十六年という年の医療費はどのくらい伸びるという見通しを持っておりますか。
○大和田政府委員 総医療費はおおむね十三兆というふうに推定をしておるところでございます。
○川本委員 大体十三兆円になるということになると、伸び率としては大体八%程度ですね。その八%の伸び率の中で自然増というのは――いままで医療費を改定しなくても三年間伸びてきているわけでしょう、据え置きのままでも三年間。そうしたら、自然増はその中で何ぼあるのですか。
○大和田政府委員 先生のおっしゃいました八%というのは事実でございますが、これは従来の傾向値というものをそのまま伸ばしまして、五十六年度予算の基礎ということで十三兆円、正確には十二兆九千億円というものをはじいたわけでございます。したがいまして、この中で自然増は幾らかということになりますと、具体的にこの中の自然増というものは、私どもといたしましては過去からの推定ということになるわけでございます。八%というのは自然増であるというふうに考えておるわけでございます。
○川本委員 そうすると、一兆円という自然増、八%は自然増で伸びる分だと思っておると、今度医療費の改定によってその改定分がもし六%を上回ることになれば、国民総医療費は伸び率がさらに伸びるわけでしょう。そうすると、それは絶対、今度は十三兆円という当初計画どおり。この医療費改定をやっても変更する必要はないですか、ありますか、その点はっきりしてください。
○大和田政府委員 先ほども申し上げておりますように、具体的にまだ幅というのは、いま先生おっしゃいますように、この薬価の下げたものよりも幾らプラスであるとか、あるいは総額幾らの純増を考えておるかといったようなところまでは実は行っておらぬものですから、いま先生のおっしゃられましたような、つまり予算上これでもって足りるのか足らぬのかという、こういうお話だろうと思います、そういったようなところまで実は検討はしていないというのが実情でございます。
○川本委員 そうすると、その比較、検討がきょう今日の段階でできてない。そうしたら、診療報酬の引き上げの時期は、四月じゅうにはできませんね。
○大和田政府委員 全くその辺の日程というものは立っていないわけでございます。
○川本委員 そのような基本的な検討ができてなくて、あと二十日余りで、もし仮に来月じゅうにでも診療報酬の引き上げが決定されるとしたら、全くこの国会というものを侮辱した話ですよ。もういろいろな雑誌とかいろいろな方々の意見の中には、診療報酬が七%上がるのか、八%上がるのか、それとも六%を割るのか、こういうことが大きくいろいろ議論されていますよ。
 五十二年度方式というのがありますね、五十三年度方式ですか。あの、この前の医療費改定のときの計算方法をもってすれば、薬価基準が一八%下げられた場合はどうなるのか、その場合国民総医療費がどのように変わってくるのかというようなことは、もうすでに算定した学者までおるわけですから、その中で今日まだ厚生省が言を左右にしてあいまいにして国民の前に明らかにしようとしないというのは、私は全く国民をばかにしておると思うわけです。そんなことは私たちとして納得するわけにはいかぬと思う。
 だからそこで薬剤費の引き下げ分を医療費に振りかえて、医療費改定というのは人件費の増とかいろいろなことがあるのだから、それよりも若干はふやさなければならぬだろうということぐらいは、もうみんな常識で思っておるわけでしょう。そうしたら、七%になるのか、八%になるのか、どうせその辺でしょう。六・五%か七%、その辺から八%までの間でしょう。それがなぜ言えないの。言ったって、もう知っているじゃないの。それをそこまであなた方が隠す必要がどこにあるのかということです。それは日本医師会の武見さんがこわいから言えないの。いまここで言うと、うまくいかなくなると思うの。
○大和田政府委員 これは先生もよく御承知のとおり、中医協におきまして医療費の問題の審議というものが行われる、そういうことになるわけでございまして、その中医協におきまする審議の途上で幅あるいは審議の時期といったようなもの、それから改定の期時といったようなものが審議されていく、だんだんと明らかになってくるということでございまして、まだそこまで中医協の審議が至っていないというわけでございます。したがって、私どももどうも何度も申し上げられないので大変恐縮なんでございますけれども、実情がそういうようなことでございますので、どうぞひとつ御了承いただきたい、こう思うわけでございます。
○川本委員 それでは時間がありませんから次へ進めたいと思います。
 そこで、日本の国で歴史的に長い間の伝統を持つはりとかきゅうとか柔道整復師、こういう方々のやってこられたことは、西洋医学の薬物療法ではないけれども、やはりこれは物理療法といいますか、そういう意味でこれは日本の古来の伝統ある東洋医学の流れをくむものだと思うわけですが、そういう人たちの位置づけというものが今日まではっきりしていない。
 そこで、まずここでお聞きをしたいのですが、はり、きゅう師あるいは柔道整復師に対する健保の診療報酬は現在どのように算定されていますか。
○大和田政府委員 この人たちにつきましては、先生御承知のように、現物給付というわけではなく療養費払いという方式で医療費の支払いが行われておる。これはなぜかと申しますと、現在の健康保険におきましては、はり、きゅうというものにつきまして、医療を行いましてなおかつその効果が期待できないといったものにつきまして、例外的に療養費払いでもって治療を行うということを健康保険でもって認めているというような形でございますので、いま申しましたような形で医療費の支給が行われておるというのが実態でございます。
○川本委員 具体的に言いますと、療養費払いの金額は一回幾らとかいうことになっておるのではないですか、その点についてまずお聞きしたい。
○大和田政府委員 申し上げます。
 はり、きゅうの整復料金といたしまして、現在はりまたはきゅう単独の場合、初回が千二百円、二回目以降が八百円、このように決められておるわけであります。
○川本委員 そこでお聞きしたいのですが、これから高齢化社会ですから、今度は老人保健医療法も提案される。そういう中で一人でも寝たきり老人をつくらない、一人でも自身で歩ける老人にしていこう、こういうことになると、予防治療、リハビリの中のリハビリというのが大変重視されるところだと思うわけですけれども、現在の健保の取り扱いでは、病院内でリハビリで物療とか理学療法とか作業療法とか機能回復訓練をやったら幾らかの保険の診療報酬があるけれども、院内ではり、きゅうをした場合にこれは全然診療報酬に加算されないというシステムになっておるのじゃないかと思うのです。これを効果がないと思っておるのかどうか、その点についてまずお聞きをいたしたいと思います。
○大和田政府委員 効果がないというわけではございませんが、このはり、きゅう治療につきましては、医学界におきまして実はまだ統一的な評価を受けるに至ってはいないわけでございます。したがいまして、現段階におきましては、これを病院における医療、診療報酬点数表に入れて、病院、診療所における医療というものに組み入れるのは問題があるということで組み入れてないわけでございますが、ただ先ほど申しましたように、医療機関におきまして医療をしてもその治療効果が期待できないというような場合に、医者の判断で、はり、きゅうを行わせるというようなことがあるわけであります。それが現在のはり、きゅう師に対する療養費払いという形で仕組まれておるということになっておるわけであります。
 これは現実問題としては現物給付的な扱いがなされておるわけでございますが、仕組みの上ではそういう形で行われておるということになっておるわけであります。
○川本委員 どうも医学的には評価されていないというような言い方をしたと思うのですけれども、はり、きゅうとか柔道整復というのは、大臣、効果はないと思いますか。これは心の慰めだけで実際的な効能、効果はないと大臣は思いますか、日本人ですからひとつ。
○大和田政府委員 私は、効果がないということを申し上げているわけではございません。もし効果がなければ、ただいま申しましたような療養費払いという方式においても健康保険に取り入れられているはずはないわけでありまして、それはそれなりに医療の効果が期待できないような、そういったような病状というものに対して効果があると思いますので、これが療養費払いという形であるにせよ取り入れられている、こういうことでございまして、決して効果がないということを言っているわけではないわけでございます。
○川本委員 話をすれば長くなりますから私は言いませんが、この間も私は背中の背骨の右側の腰板が肉離れしたみたいな状態で、座ったり立ったりもできなくなった。ところがお医者さんに見てもらわずに、はり師の方が近所におられるので、頼んではりを打ってもらったら、あくる日からすぐ歩けるようになったのです。それでお金は現金で払いましたけれども、現在国民の中に定着をしておるのは、そういういわゆるリューマチとか神経痛とか頸肩腕症候群とか腰痛とか、そういうような場合にはりを打ってもらったら手っ取り早い。そうして非常に早く治るというようなこと、あるいは柔道整復師の場合も同じだと思いますけれども、打ち身とか捻挫あるいは骨折、こういうものもそんなレントゲンを映したり、いろいろなことをしなくても、診てもらっただけで、手でさわっただけでわかって、すぐ手当てをしてもらったらえらい効能、効果が上がっておると私は思うわけです。そういうものを正当に評価をしないで、いまの薬物療法中心のことを考えておる、そういういまの厚生省の考え方は私は根本的に間違いじゃないかと思うわけです。
 そこで、先ほども申し上げたように、これからの機能回復訓練、そういうものでリハビリをやっていく場合に、どんなことがあってもやはり国民のニードがはりとかきゅうとか柔道整復師に対してある以上、これをきちっと位置づけていくということは当面必要じゃないかと思うわけです。
 そのために柔道整復師は、聞きますと、大体初検料が六百円ですか、そうして整復料が三千七百円から九百六十円、後療料が五百十円。はり、きゅうについては、最初一回が千二百円で、あとは一回につき八百円、これは今度の医療費改定で引き上げますのか、どうですか。同時に引き上げられますか。
    〔委員長退席、湯川委員長代理着席〕
○大和田政府委員 はり、きゅうの療養費払いの保険につきましては、従来からも診療報酬を勘案しながら決定しておるわけであります。前回、五十三年の三月に約一四%の引き上げを行ってきたということでございます。今回もまだ引き上げる、引き上げないというようなことは言える段階ではございませんが、診療報酬の改定に当たって十分対応するということを検討してまいりたいというふうに考えております。
○川本委員 はりでもきゅうでも、一回治療を受けたら大体三千円程度なんですよ。その中で八百円じゃ、こんなのは少な過ぎますよ。少なくとも二分の一以上補てんできるような形に積極的に取り組んでもらうべきではないかと思いますし、特に私は、柔道整復師の場合は打ち身と捻挫は医師の同意書がなくてもやれることになっておると思うです。取り扱えることになっておる。リューマチとか頸肩腕症候群とか神経痛とか、そういう特定の疾患に関する限りは医師の同意がなくても、はりやきゅうで効果があるのですから、衆議院の議員会館の地下一階に行ったって、ちゃんとこれの治療室があるのだから、だから、こういうものに対して医師の同意がなくてもはり師やきゅう師が治療できて、それが健康保険で給付されるというような体制をつくってもらわなければ、これからの高齢化社会に対応できないと思うわけです。そのことの方が薬も使わないし、結局は体のためにもいいわけです。
 そういういま持っておる西洋医学の欠陥の中から生まれて、そうして国民的な大きな要求として日増しに拡大してきておるはりとかきゅう、こういうことに対して、もっと社会的な位置づけをし、厚生省が医学的にも位置づけをして、そうして健保の中に取り入れていくべきではないかと思いますが、その点についてお聞きをいたしたいと思うわけです。
○大和田政府委員 お話はよくわかるわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、はり、きゅうの取り扱いは、いまの医療を行ってもなかなか治療効果が見られないというようなところから、療養費払いではり、きゅうの治療を行わせている。それには医者の同意が要る。その医者の同意はやめて、これはもう必要としないんじゃないかと言われますと、やはりそもそものたてまえからいたしまして、この病気はなかなか治療効果が期待できないということを判定する医者というものはどうしても要るわけでございまして、そういう意味で医者の同意が必要でないというふうに踏み切るにはなかなかまだ問題があるのではなかろうか、もう少し慎重に検討していかなければならぬのではないかというふうに考えているわけでございます。
○川本委員 そしたら申しますが、最初に治療を受けるときにお医者さんに同意してもらってはり医者にかかる。そして神経痛なら神経痛、リューマチならリューマチの治療、頸肩腕症候群の治療としてはりにかかりなさいというお医者さんの同意書をもらってそこで診てもらう。ところが、それが一応治癒といいますか、よくなって中止しておって、一年後にもう一回同じのが再発した、その場合でも患者の方はまたお医者さんへ行って診てもらってもう一回同じことを繰り返さなければいけないシステムになっておる。
 それならお医者さんが専門的に十分理解して、後ではりでよくなった、きゅうでよくなったということを確認して、治癒なら治癒という判定を下しておるのか、中止なら中止という判定を下しておるのかというと、現実はそうじゃないと思うのです。現実は同意のしっ放しですよね。だからそういう状態の中で一回一回お医者さんの同意書をもらいに行かなければ再発した病気でもいけないということは、私は患者にとっては大変な負担だと思うわけです。少なくとも最初一回お医者さんがこの人のこの病気についてはこういう治療をしてよろしいという同意書を書いたら、それが途中で中断しても、また再発したときにはできるということでなければ、高齢化社会で老人が多いのですから対応ができないんじゃないかと私は思う。そのことの方がかえって保険財政にとってもプラスなんじゃないかと思うわけです。
 その点どうなんでしょう。
○大和田政府委員 いまのお話はどうも同一疾病とみなすかどうかという問題だろうと私は思います。それは一遍治ったのか、あるいは継続した病気であるのかということだと思います。やはり継続した疾病であるならば特にお医者さんの同意をさらに得る必要はない。しかし一遍治ってまた再発というのであれば、それは別の疾病であるというふうになってくるのではないかと思います。
 したがって、そういうようなことで医師の判定というものはどうしてもそこに介入することになるわけでありまして、この点はやはりそういう取り扱いにせざるを得ないんじゃないかという気がいたすわけでございます。
○川本委員 時間がありませんので、私は次に移っていきたいと思うのですが、最終的にこの問題について大臣にお答えだけいただいておきたい。
 やはり高齢化社会を迎え、老人保健医療法の中でもはりとかきゅうとか、そういう打ち身、捻挫に対する柔道整復師のそういうものをきちっと位置づけて、それをできるだけ活用する方向で、いわゆるひとり歩きのできる老人というものを一人でも多くつくっていくということがたてまえだと思うのです。そういう中で現在のように病院のリハビリ所の中ではりやきゅうをしてもらっても診療報酬も請求できない。お医者さんに言わせるとこれはサービスだ、こう言っておるわけです。
 私もこの間高知市へ行ってきたのですが、高知市の病院でも院内ではり治療をやっておる。ところが、これはサービスでございまして診療報酬はないのです、しかしはりが非常に効果があるので、たとえて言えば薬ぶろ、ヨモギをイオンに分解してなにしたヨモギぶろと海草ですか、そういうもののおふろへ入って温めて出てきた人をはりで治療すると非常に回復が早いので、うちのはサービスだけれども、診療報酬はもらえないけれども医者の良心で一日でも早く患者の方によくなってもらおうということではりをやってもらっています。ところがこれは診療報酬はもらえません、サービスですとはっきり言っておるわけです。
 私は、少なくともそういうことでは今後の高齢化社会にも対応できないと思うのです。そのためにもいまのはり、きゅうの治療のあり方について、診療報酬のあり方についてひとつ大きく見直して、そうしてこれを活用する方向で位置づけていただきたいと思うのですが、大臣のお考えを……。
○園田国務大臣 東洋医学については私は評価をするものであります。明治時代に洋医学を取り入れるために東洋医学というものを根底から切ったというような感じもするのは明治政府の誤りであった。そこで日本では東洋医学というものが伝統で残っているが、体系立った医学の学問として残ってない、こういうことで評価をしております。私農村でありますが、農村、漁村、僻地、こういうところはおっしゃるとおりに体の大部分ははり、きゅうに頼っておる人が多いわけでありまして、言いにくいことでありますが、お医者さんでもこっそりはりやきゅうをしておるお医者さんがいっぱいおるわけであります。その必要性というのはだんだんふえてくると思います。
 そこでなるべく便宜を図ってみんながそのような恩恵を受けられるような方法を検討することは私も必要だと思っております。ただいま直ちに療養費払いから保険の方に繰り入れることは効果じゃなくて、ほかの問題でもいろいろまだ、これは御承知だと思いますが、あるようでありますから、そういうものは十分話し合いをしていきます。
○川本委員 前向きの御答弁をいただきましたが、大体本音は武見日本医師会会長がつむじを曲げたらかなわぬからということで、力の弱いはり、きゅう師は幾ら国民のニードがあっても、それは押しつぶしてでも日本医師会の言うとおりに動いていこうというような意図が厚生省の中にあるからそうなっておるのだと思うのです。その辺はひとつこの際打ち破って、新しい高齢化社会に対応するための措置を期待しておきたいと私は思うわけです。
 最後に、時間がもう余りありませんが、一つだけお聞きしたいのは、最近ベビーホテルで死亡する赤ちゃんが出たり、いろいろ社会的に問題が出てきておるわけです。
 そこでちょっとお聞きしておきたいと思うのは、現在の児童福祉法に関連してであります。現在の児童福祉法というのは昭和二十二年に制定されたものですけれども、その当時には今日ほど御婦人の方、お母さんが働いたり、あるいは夜間働いたり、深夜に働いたりというような状態がなかった。だから昼間さえ保育をすればいい、こういうような発想から児童福祉法そのものが制定をされて、そこで児童福祉施設として保育所を設置するときにはいわゆる知事の認可を経なければいかぬ。ところが認可というのはあくまでも認可ですから、認可したところには土地の固定資産税等社会福祉法人で減免をしたりあるいは措置費を支給したりという形が行われておるわけですけれども、税金も払いますよ、措置費も要りませんというところは無認可保育所というのですか、仮に施設基準が合致しておる、あるいは定数もきちっとそろっておっても認可されてないところも現実にはあるんじゃなかろうかと思うわけです。そういう状態の中で今日まで放置されてきた。
 こういう中で国民のニードが変わるにつれ生活様式が変わるにつれて、いわゆるベビーホテル問題が出てきたと思うわけです。それは、そういう中で厚生省は児童福祉法というものを時代の流れに沿って変えていかなかった、そのままでいいものとして今日までやってきた行政の立ちおくれにある。先ほど大臣は言われましたけれども、野球のゴロじゃないけれども、先へ回って拾うのでなしに後から追いかけておるからこういう問題が出てきておるのだと私は思う。その行政の怠慢のそしりは免れないと私は思うわけです。
 その点について厚生省は反省していますか。
○金田(一)政府委員 まず最初に、先生おっしゃいました施設の内容が基準に達しているにもかかわらず児童福祉施設として、保育所として認められてないものがあるということですが、この点につきましては現在のところ合致しておるものにつきましては、これを認可しないといったことはございません。もしそういった件がございましたらまた私どもの方で調べてみたいと思います。
 それから、確かに昨今婦人が職場に進出いたしましたために、夜間保育とか乳児保育といったようなものがたくさん出てきていることは事実でございます。ただ、私ども一つ申し上げておきたいと思いますのは、従来から乳児保育あるいは夜間保育は乳幼児の心身の発育にとって必ずしも十分ではない、問題があるということが関係審議会の方からも指摘されております。しかしながら、そういったことだけではとうていベビーホテル問題に対応することはできません。したがいまして、私どもといたしましては、保育所におきまして乳児保育あるいは夜間保育、その他保育所の時間延長等の対策をただいまいろいろ検討いたしております。また、必要に応じまして乳児院、養護施設等に収容することも検討いたしておるわけでございます。
 そういったことで、この対策につきましてはあくまでも保育所を中心として対応していきたいと考えておるわけでございますが、なお、ベビーホテルについてはただいま一斉点検をいたしまして、劣悪なものについてはこの改善を指導しているところでございます。
○川本委員 現在の児童福祉法ではベビーホテルに対しても指導監督の条項は入っておるけれども、現実にはなかなかやりにくい。消防法による立ち入り調査しかできないというふうに聞いておるわけです。そういうことから考えますと、根本的に、一つは児童福祉法を改定して、現代の実情に合わしていくためには許可基準、認可基準等をもっと切り下げるとか、あるいは民間保育所に対するいわゆる措置費についても、これは大変少ないと私は思うわけです。そんなことを言うたら切りがないと言うけれども、軍事費の方が福祉予算より上回るような時代ですから、厚生省にもっとがんばってもらわなければいけないと思うわけです。
 たとえて言いますと、乳児保育の特別対策として零歳児には、赤ちゃん三人に対して一人の保母をつけられるようになっている。しかし火事とか地震のときどうですか。一人で三人、首もすわっていないような零歳児の赤ちゃんをどのようにして連れ出しますか。一人背負うてあと前へ抱くとしたら二人一遍に抱かなければいけませんよ。そうしたら一人が窒息死したってこれはやむを得ない。そんなできもせぬことをやっておるわけです。少なくとも零歳児に対する特別対策と言う以上は、一人背負うて一人抱いて二人が限度だと私は思うのです。それができないとしても、そういう零歳児の赤ちゃんあるいは一歳児の赤ちゃんが多いところでは、少なくとも一人の加配を認めるとかいうような措置が講ぜられてしかるべきだと私は思います。
 あるいは保母の措置費の給料についてみても、最高十年ぐらいでもう上がらないシステムになっておる。そうすると民間保育所は、二十年勤続の保母さんがおっても給料は十年から上は据え置き、上がらないというようなことになるわけです。栄養士の設置も認められていない、こういうようなことがある。そしてまた年度途中にはなかなか入れないわけですよ。
 私の住んでおる奈良県の奈良市なんかは、現在千七百人ぐらいの子供が、保育所に入りたいと思っても定数がいっぱいで入れないから、待機をしておるわけです。待機をしておる人はやむを得ずベビーホテルでもどこでも、働かなければ食えないのですから預かってくれるところへ預けなければいけない。こういうようなことがベビーホテル問題を生み出し、そこで赤ちゃんが亡くなるとかいうような痛ましいことがいろいろ起きてきておると思うわけです。
 もう時間がありませんので言いたいことは言えませんけれども、ひとつそういう問題について厚生省が、ただベビーホテルの指導監督をやって、立ち入り調査をやって悪質なものは切り捨てるというだけで国民が納得できるのかどうか、自分たちの至らなかったところは十分反省をしながら、こういうこともあわせて新しい制度の改定あるいは新しい立法化、そういうことも必要ではないかと思うのですが、大臣に最後の御答弁をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 この問題は御指摘のとおりでありまして、ベビーホテル、劣悪、危険、絶えず痛ましい事件が起きておる。これは早急に立ち入り検査等しなければなりませんが、それによって解決するものではありません。こういうところへ預けなきゃならぬような母親の立場というものを考えて、いまある保育所、乳児院、こういうものが規則にとらわれないでとりあえずは融通のきくやり方をして、手続がうるさいとか時間が制限されるとか、あるいはお母さんがどこで働いているとか、あるいは民生委員の協議によって最後は入れる入れぬを決めるとか、こういうことにとらわれないで幅広く、ベビーホテルに預けなくてもいいような処置をつけることが先決問題であり、これに並行して取り締まりをやる、かつまた長期にわたっては、いろいろな制度や法律を変えるものは変えていくべきだと考えております。
○川本委員 終わります。
○湯川委員長代理 次に、草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 私は、老人医療の問題、それから最近の私立医科大学の高額医療の実態と、それから薬価問題、なかんずく抗生物質、抗がん剤の問題を取り上げさせていただきたいと思うわけです。
 まず最初に、いま参議院の方でも老人保健法案の要綱についていろいろと論議がなされておりますし、社会保険審議会に諮問をされておる問題でございますからあれでございますが、実は経緯なり今後の方向ということについて私どもも非常に興味があるところでございますので、お伺いをしたいわけです。
 厚生省はこの審議会のスタートに当たって、関係省庁あるいは関係団体との調整が未決着のまま、いわゆる見切り発車で審議会に諮問をしたと伝えられておりますが、その点の経過はどのようなところが真意でしょうか。
○吉原政府委員 老人保健法案につきましては、昨年九月に厚生省の第一次的な考え方を発表いたしまして、それに基づいて各方面、各団体といろいろ御意見の交換なりをしてまいったわけでございます。今度両審議会に諮問をいたしております法案の考え方は、九月に発表いたしました第一次案をもとにいたしまして、さらに関係省庁との意見の調整をした上でまとめたものでございまして、関係省庁と完全に合意を得たものではございませんけれども、現在の審議会での御審議と並行いたしまして、関係省庁とさらに最終的な意見の調整をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
○草川委員 非常に重要な法案でございますから、そういう形のままこの問題が果たしてうまく流れていくかということについて私は心配があるわけですが、そのことは後でもう一回質問をいたしたいと思うのです。
 そこで、特に関心が払われている支払いの問題とか一部負担の問題とか、いろいろな点がございますが、患者の一部負担について、これは二百円程度の少額なものであるということを参議院の方で御答弁なすっておられるわけでございます。それはそのように理解していいわけですか。
○園田国務大臣 参議院の方で二百円という答弁をした事実はございません。ただ、そういう質問をされかかったことがございます。これは私が二百円と言ったわけでなくて、どういうふうでそういうことを書かれたかというと、一部負担、これは各方面いろいろ承っておりまして、老人の医療が無料というためにいろいろ問題が起きております。あるいはいろいろな風評もございますので、無料であると老人の方が乱雑に病院に行かれるおそれがあるので、それをこの際自制願いたいという意味でやるのだ、したがって事務当局が持ってきた案はちょっと額が高過ぎた、そこで、これは何も医療を負担してもらうという趣旨ではなくて、老人の医療に対する自制心を喚起するという意味であるからちょっと値段が高過ぎる、もっと安くして、まあまあ二百円ぐらいはどうだろうなということを冗談に言ったのがそう新聞に書かれたことだと思います。
○草川委員 冗談で言うとか言わぬとかということでなくて、そこが非常に本質的な問題ですし、もし冗談で医療制限をやられてはこれまたかなわぬ話ですから、そこはひとつ真剣な対応をお願いしたいわけです。やはり原則的には財政対策ではなくて、あるべき老人医療というものを、保健というものをつくり上げていかなければいかぬ、これが原則だと思うのです。
 それから、例の政令事項の問題ですが、重要な点がほとんど法案に盛り込まれなくて政令事項だと言って、私どもも言っておるわけですが、たまたま、これも厚生大臣だと思いますが、参議院の論議の中でおっしゃっておるのではないかと思うのですが、一部負担の金額も審議会の答申を踏まえて法律に明記したいというような御答弁をなすっておられるわけです。この老人保健の法案については、最初にぼうっと出して、いまの審議官の御答弁ではございませんけれども、何かこう、後でどんどん話が出てくるわけですが、そういうあり方で果たして閣議決定まで持ち込めるかどうか、各省庁を説得することができるかどうか。最初にこれですよ、裏づけはこうですよと、そして審議会でも御意見を賜りました、さあ閣議に諮るという形でないと私は問題があると思うのですが、その点はどうでしょう。
○吉原政府委員 おっしゃいますように、この新しい制度の仕組みなり内容につきましてはできるだけ法律の中に明らかにしたいというふうに思っておるわけでございます。現在諮問しております法案要綱におきましても、いまおっしゃいました一部負担なりあるいは費用負担のあり方等につきましては、基本的な考え方は法案要綱の中にはっきりと明記をいたしたいというふうに思っておるわけでございまして、ただ具体的な一部負担の額をどうするか、その具体的な負担の方法をどうするか、そういったものにつきましては、さらに関係者の御意見を踏まえまして、あるいは審議会の御意見等を踏まえまして政令で決めることにしてはどうだろうかということで、現在審議会等に諮問をさせていただいておるわけでございます。
○草川委員 では、これは大臣にお聞きしますが、いまのままの形で推移して、果たしてこの五十七年度実施は見込みがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 先ほど、私答弁で冗談と言ったわけですが、軽く言ったという意味に受け取りをいただいて、私の一部負担の額に対する方針を示したわけであります。しかし、その額はまだはっきり私が言う立場にございませんから、そういう意味でございますから、お許しを願いたい。
 なお、確かに重要な点を全部具体的に示さずに、問題点だけを挙げて審議を願っておる、そして審議を承りながらやっておるわけでありますが、実はこの問題は当初から厚生省で試案、第一次というものを出しまして、それも審議会と連絡しつつやっておるわけであります。
 二番目に、重要な問題で事務当局はなるべく政令という考えがありますが、それはやはり法律案にできるだけ明記するのは当然でありまして、こういうことを参議院で答えましたが、私はそのようにすべきであると考えております。
 次にお尋ねの、これで問に合うか。ややおくれておりますが、十分間に合うように全力を挙げて今国会にお願いできる、こう思っております。
○草川委員 それは国会に出すことはできるでしょうけれども、問題は、了解を得ながら、そして実施ということになると私は大変だと思うのですが、実施についても自信があるかどうか。五十七年度実施、どうですか。
○吉原政府委員 実施に先立ちまして、老人保健審議会におきまして診療報酬のあり方等について御検討をいただくことにしているわけでございますが、おおむね一年程度審議会で御検討いただきました上で、五十七年度の政令で定める時期から制度全体の事業の開始ということにいたしたいと思うわけでございます。この新しい制度、大変大きな事業でございますし、実施までに、中央にいたしましても地方公共団体にいたしましても、実施体制の準備等いろいろな諸準備がございますので、相当の準備期間が必要でございます。そういったことを踏まえまして、私どもとしては五十七年度じゅうにぜひ実施をしたい、そういうことでこの国会に法案を出して成立をさせていただきたいというふうに思っておるわけであります。
○草川委員 さらにもう一つお伺いしますが、昨年の暮れに、診療報酬の支払い方式の見直しについて大蔵省と厚生省との間には大きな約束があるわけです。やはりこれが根本になって今度の問題もできておるのじゃないかと私は思うのですが、本当の本来の目的は財政対策ですか。
○吉原政府委員 この新制度の目的として私ども考えておりますのが、今後の高齢化社会の到来に備えまして、予防を含む老人の健康づくりを目指すということが第一の目的でございます。
 それから同時に、現在各保険制度間で問題になっております費用負担のアンバランスというものを是正したい、国民みんなで老人の医療あるいは保健事業に要する費用というものを公平に負担する仕組みをつくり上げていきたいというのが、もう一つのねらいでございます。
○草川委員 とおっしゃいますけれども、たとえば五十六年度の試算表というのが審議会に出ておるわけでございますが、I、IIがあるわけですが、これを見ても、たとえばIIを見ましても、結局国保の負担が千八百億円減少をし、国庫負担が二千五百三十億、その他の項の中にあるわけですがいわゆる国保の臨時財政調整交付金千九十億、計、国保は別といたしまして、三千六百二十億が減少するというのが非常に目立つわけです。やはり、いま審議官がおっしゃった一番、二番の態度というのは、もちろんそれはそれなりの目的ですけれども、実はこれは本当の本音は、大蔵の方からも強い要望がある財政対策が基本ではないだろうか。思い切って財政対策ということになるとするならば、まあそのほかの理由があるわけですけれども、私どもは、どこかで今日的な問題の解決にならないものがたくさん噴き出してくる、こう思うわけです。
 たとえば、この問題に非常に影響力のあります日本医師会は、これは特に武見会長なんかは与党の医政研究会にも出席をせられたと、これは私ども報道を通じて聞いておるわけでございますが、「医療費は、医療の運営をどうするかという医師の技術的工夫によって安くすべきもので、財政対策をいくらやっても本質的に」は解決しないというような批判をしてみえるやに聞いております。これも私は一つの意見だと思うのです。
 また逆に、日本医師会の方は、各都道府県に対してとりあえずこの老人保健の問題について、一つ、老人保健医療機関の指定はこの際辞退をしようではないか、老人保健法に非協力の態度をとりたい、こんなようなことを言っておみえになるようでございますが、一体この問題についてどのような対応を厚生省としてはするのか。
 もう一つ、医師会は、七十歳以上の老人は、そういうことをするわけですから、自由診療にしよう、そして診療費は患者自身が保険者に請求することをやろうという、従来からは非常に違った立場から鮮明な方針を出しておみえになるわけでございます。
 もしこれがこのまま推移をするとするならば、初頭からこれはつまずくことになるのですが、どういうお考えでしょうか。
○吉原政府委員 老人保健制度につきまして日本医師会からいろいろ御意見を伺っていることは、委員のおっしゃいましたとおりでございます。この制度のあり方につきましてそれぞれの立場、それぞれの団体からいろいろ御意見があるわけでございますけれども、先ほどから申し上げましたように、やはり高齢化社会の到来というものを考えますと、疾病の予防なり健康づくりを目指した新しい制度をつくる、急増する医療費というものを、健康づくりを進めることによって減らしていくという考え方に立って進めていくという制度というものはどうしても必要なのではないか。しかも、緊急にそういった新しい制度というものをつくらなければならないというふうに思っているわけでございまして、私どもとしては新しい老人保健、老人福祉の基本的な理念に立ってこの制度をつくりたいと思っているわけでございます。
 日本医師会からは、老人についての基本的な理念というものがないというような反対御意見をいただいているわけでございますけれども、その点につきましてはさらに私どもの考え方というものを十分御説明をいたしまして、また医師会の御意見も十分伺いながら、御理解が得られるように努めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
○草川委員 老人保健の問題はこれで終わりますので、大臣にお伺いをしたいわけですが、どちらにいたしましても診療機関というのは非常に大きな役割りがあるわけですから、この方々のボイコットという事態があるとするならば成功するわけがないわけです。しかし、当初からこのような意向が表明されたわけですが、大臣としてはいま審議官がおっしゃったように説得する、意見をどの程度取り入れるかわかりませんが、自信がおありかどうか、お伺いします。
○園田国務大臣 この問題については医師会の御意見、印刷物を拝見をしてもっともだと思う点もございます。そこで、聞くべきことは聞き、御理解願う点は御理解を願って、これがうまく実施されるように努力したいと考えております。
○草川委員 いずれにいたしましても、この老人医療の問題は国民的な課題ではあるわけですから、これを出来高払い制の突破口にするとか事前では非常に勇ましい問題が多かったわけでございますが、慎重の上に一つの方向をぜひ出していただきたい、こう思います。
 第二の問題でございますが、私立医科大学の高額医療の実態についてお伺いをしたいわけです。
 その前に、文部省の方もお見えになっておられますので、最近私立北里大学の医学部で発覚しました三十億を超すいわゆる隠し寄付金の問題が出まして、これは社会的にも非常に大きな関心を呼んだわけでございますし、北里大学だけではなくて次から次へといろいろな大学が出てきたわけです。文部省の方も指導基準で、一千万円を超える寄付金や学債を取るなというような指導をしておるわけでございますが、国の方としましても結果として本来の配分基準を超えて多額の補助金を出したことになるわけでございまして、社会労働委員会の場ではございますけれども、医科大学の運営、将来これはお医者さんになって出てくるわけでございますが、一体現状がいいかどうかということを私ども少し論議をしたい、こういう意味でいま申し上げておるわけでございます。
 この指導基準を上回って寄付金を取っておる私立医科大学というのは全国的に何%くらいあるのか、文部省にお伺いします。
○北橋説明員 お答えを申し上げます。
 いま先生から御指摘の指導基準一千万というお話がございましたが、一千万という金額は、従来入学時に学生の父兄から徴収をする金額として、寄付金として、社会常識としておおよそこの程度が一つの歯どめといいますか、目安ではなかろうか、そういうことで実際の行政指導上実は指導してまいったところでございます。必ずしもそういったはっきりした指導基準とかそういうものがあるわけではございません。最初にその点をちょっとお断りを申し上げたいと思いますが、先生そういうことで御了承をいただきたいと思います。
 寄付金につきましては、二十九の学部のうち十六大学学部が寄付金を募集いたしております。これは昭和五十五年度の数字でございますが、十六大学学部でございます。入学者一人当たり平均にいたしますと、大体三百三十九万円、この寄付金に応募をした応募者一人当たりで数字を申し上げますと、一人当たり平均は千百五十七万円、こういうことになっております。
○草川委員 昭和五十二年の数字ですから、文部省の方もぜひ新しい数字を使っていただきたいと私は思うのです。私立大学の協会の方ですか、そんなところから一部のマスコミ等にはかなりの数字が出ておりまして国民もある程度知っておるわけでございますから、新しい数字をぜひ国会に出していただきたい、私はこう思うわけです。
 その中で、結局各大学の理事者にしてみると、いろいろな批判があるけれども、要るものは要るんだから通知を守っていては学校経営は成り立たないという一種の居直りの理事者もいるわけでありますから、私どもも非常に失望したり、ときには怒りを持つわけであります。いま平均して千百五十七万円の寄付金というお話もございましたが、寄付金の中で判明しておる最高額というのは一体幾らでございましたか。
○北橋説明員 お答えを申し上げます。
 先生先ほど新しい数字とおっしゃいましたが、五十五年度でございます。寄付金の最高額は、五十五年度の数字で一人当たり三千五百万円ということになっております。
○草川委員 三千五百万円という最高数字は私も初めて聞いたわけでございますが、これを負担して入るということは並み大抵のことではないわけです。平均的な勤労者の所得は四百万になるかならぬかというところでございますから、これはかなりの人たちでないと負担できません。これは教育においても差別ということになってしまうわけですから、教育基本法にももとることになるんじゃないか、こう思いますし、さらにまた会計検査院の方もこの補助金の問題等についてそれぞれ指摘をしておると思うのですが、会計検査院の指摘は何だったわけですか。
○坂元説明員 会計検査院は二月十日と十二日に北里大学に立入検査をいたしました。その結果につきましては、現在会計検査院の内部で精査、整理中でございまして、まだ私どもの方に文書として指摘はございません。
○草川委員 私どもも、教育の場に検査院が入るということ自身が非常に恥ずかしいことでもあるわけですし、どこか狂っておるわけでございまして、非常に問題があるわけですが、今後文部省としては医科大学の新設についてどのように考えられるのか、新設希望があるならばそれを認めるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○川村説明員 ただいま先生御指摘のございました今後の医科大学の新設の問題でございますけれども、私ども、近年進めてまいりました無医大県解消計画その他の結果、医師の養成の窓口は相当規模に達しておるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、今後特段の事情がない限り、私どもとしては医師養成の窓口をふやす、つまり大学なり学部の新設、増設をしたり、あるいは医学部の入学定員をふやすというようなことについては当面考えていないということでございます。
○草川委員 そこで、新しくふえないということだと思いますが、いろいろなお話を聞いておりますと、いまも触れたように医科大学というのは非常にお金がかかるので多額の負債を抱えているところがあるんだ、また改築をするとかいろいろなことで基金をプールするために寄付金を取ったんだというような報道もあるわけですけれども、いまの私立医科大学の経営というものは本当に赤字の状況なのかどうか、経営状況というのは一体どうなんだろうかということをお伺いしたいわけでございますが、これは私が文部省の方からいただいた資料でございますけれども、「私立医科大学の附属病院の経営状況について」これは言葉が消費収入、消費支出という言い方になっておりまして、トータルの数字が出ております。収支差が二百六十一億あるということでございますが、私立医科大学の収入に対する納付金はどのような割合になるのか、わかっておったらお伺いをしたいと思います。
○坂元説明員 私がいまここで持っておる数字で申し上げますと、学部経常費、それから病院本務教員給与費、それから学部の臨時費に対します学納金の割合しか持ってないわけですが、その割合が約五五%程度になります。
○草川委員 そうすると納付金というのは五五%ですから、あとはいろいろなやりくりをしてやっておるわけでございますが、一体本当にこの私立大学の付属病院の経営状況がどのようなものかということについて、私は診療報酬の点から問題を取り上げてみたいと思うので、少し厚生省から意見を聞きたいわけでございます。
 社会保険の診療報酬の一件当たりの点数及び一日当たりの点数というのを、これは昭和五十五年の六月の診療分で厚生省の社会保険診療報酬支払基金の方の調べを私はいただいたわけでございますが、たとえば入院患者だけで国立病院と国立大学病院あるいは私立大学病院とを比較しますと、入院患者の一日当たりの点数で言いますと、国立病院は千四百十三点です。ところが、国立大学というとむずかしい患者がたくさんお見えになりますから上がるのは当然だと思いますが、千八百六十八点です。ところが私立大学へきますと、千九百七十三点、こういう点数になるわけです。私立大学の方が入院患者の点数は明らかに高いわけです。一日一件当たりの点数にしてもいいのですが、同じことでございますから分けていきます。
 家族の入院で見てまいりますと、国立病院は普通の家族が入院しますと一日千三百十六点、これが私立大学病院になりますと千八百二十八点です。ちなみに国立大学を見ますと千七百二十七点です。入院患者。
 通院なんかを見ても同じですけれども通院で見ますと、かぜをひいて行ったのか腹痛で行ったのか頭が痛いのかわかりませんよ、わかりませんけれども、平均すると国立病院は一人当たりの点数が本人の場合は六百三十六点なんです。今度は国立大学病院の場合は五百六十八点です、国立病院よりちょっと安いのですけれども。私立大学病院にいきますと七百二点というふうにはね上がってくるわけです。
 これがずっと統計で出てくるわけですから、私立大学はとにかく一口で言えば他の病院より高いということは事実この数字で言ったわけですが、厚生省は御存じかどうか、お伺いします。
○大和田政府委員 ただいまの先生のおっしゃいました数字、そのとおりでございます。
○草川委員 やはり私立大学病院はとにかく一つの病名についてほかより診査が高いわけですね。これは個々の例ではなくて平均で言ったわけです。
 今度は個々の例を申し上げますと、大学の名前を挙げて恐縮でございますが、驚くなかれ一カ月一千万円台の診療報酬の請求になってきたわけです。私は去年もおととしも十全会問題を取り上げて一カ月百万円だと言って驚いたわけですよ。百万円ですごい診療報酬が高いじゃないかと言ったら、今度は一カ月一人一千万円台の診療報酬の請求が私立大学ではのべた出てきたわけです。
 これは大変なことだと思うのでずばっと物を言いますと、一つ慶応義塾大学、これはインチキでも何でもないりっぱな大学でございますからもちろん内容で一概に否定はできませんが、九百九十万円の請求があるわけです。ところが支払基金の方でちょっとこれはおかしいだろうというのでチェックになったと思うのですが、八百九十九万円で認められた、これは一つの例でございます。心不全だとかいろいろな病名がありますからそれなりの理屈はあると思うのですが、とにかく一千万円に近くなりました。
 ずばっと一千万円の例を申し上げますと、たまたまここにありますレセプトでありますが、帝京大学医学部附属病院は千百七十八万円の請求になっております。十二指腸潰瘍と血友病ですからそれなりの大変な手当てが要ると思いますけれども、千百七十八万円です。診療報酬基金の方でちょっとおかしいと言ってこれは削られておるわけです。九百九十九万円です。九十九万九千点でこう出るわけです。
 関西の方へ行きますと、関西医科大学附属病院というのがあります。これも千百三十三万円という請求でございまして、これも支払い側の方で少しチェックをされまして、九百五十八万円という支払いが行われておるわけです。
 いま問題になりました北里大学もいろいろなのがあるわけですが、北里大学等で見てまいりますと、これは一千万円台のはちょっと見つからなかったわけでございますが、六百七万円だとか五百八十万円台だとか八百万円台とか九百五十一万円台だというのが出てきたわけです。
 ちょっとこれはまたお聞きしますけれども、たとえば心筋梗塞の方で六百六万円という方を調べてまいりますと、検査が一カ月に千七百十四回やられておるわけです。一カ月に一人の人間ですよ、一人のカルテですから。千七百十四回の検査ということはどういう検査になるのでしょうか。技術的にちょっと技官の方がお見えだったらお伺いしたいのですが、どうでしょう。――見えませんか。では見えなければいいですけれども。
 保険局長にお伺いしますが、一カ月は三十日か三十一日ですね。この場合は五十五年、去年の五月ですから三十一日間の診療日数で入院をしてみえるわけですが、千七百十四回というのは実際考えられる内容でしょうか。
○大和田政府委員 大分多いという感じでございますが、これは私、技官でないものですから明確なことを申し上げられません。たとえばオートアナライザーなどを使いまして一挙に数多くの検査というものはあり得ると思いますけれども、千七百回というのは非常に多いという感じがいたします。
○草川委員 これは同じ北里大学ですけれども、別の人ですが、これも五月の診療報酬の請求で敗血症だとか腹膜炎なんかを起こしてみえる人ですが、この方も千五百十三回の検査をされているわけです。百回とか二百回というのはいまの局長の答弁でいいのですけれども、千五百回、しかも北里大学ですからそれはれっきとしたいろいろな問題があるわけですが、もう一人の方は、これは五十四年十一月のカルテでございますが、千百二十四回です。あるいは六百七十二回とか八百十三回とかという形になってきますと、一体検査というものになるのかならぬのか、私はちょっとそら恐しくなってくるわけですね。科学的な域をオーバーしてしまうのではないかと思いますし、いま申し上げましたように、私大の方も経営がえらいえらいと言っておりますけれども、そのえらいというのを保険の方に向けつつあるのじゃないだろうかと私は思うわけです。
 一番最初に申し上げましたように、こう言っては悪いわけですけれども、一応国立大学の大学病院というのはかなり権威のあるところと言われておるわけですし、むずかしい病気も行くでしょう、そこへ。その次に、そこは大学病院ですから私大の方へも行くと思うのですが、それにしても少し常軌を逸しているような例が多いと思うのですが、その点についての御見解を賜りたいと思います。
○大和田政府委員 私も感じといたしましてはかなり多いと思います。ただ私、こういうケースを聞かされるたびに一つ吹っ切れないのは、たとえば非常に重篤な病気で死ぬというような患者が入院してきた、その患者に対して最高の治療というものを大学付属病院が行った、そのために相当多額の医療費の請求になってきているといったような問題も現実にはあるわけでありまして、ただしかしそうでない場合もあるのではなかろうか、その辺の区分けというものが非常に私自身、こういう高額医療費に接しながら、悩みながらこういうものを見ておるというような現状でございます。
○草川委員 おっしゃったとおりですから、私もこのカルテについては専門のお医者さんに見ていただきまして、どうなんだろうかということでずいぶん聞きました。もちろんこのカルテだけでは判断ができないものがあるわけですから、その付随するいろいろなデータをとらなければいけないというので、たまたま審査をされました支払基金の審査委員の先生にも御相談を申し上げて、私この発言をしておるわけですが、やはりいまおっしゃったように本当に人間の命を救うという意味にありとあらゆる全力を傾注しようというものは、その処置はわかるというのです、先生におっしゃっていただけば、当然だけれども。ただ、少なくともいま申し上げたように、千何百回の検査をするというようなやり方とか、あるいはいまいろいろな意味で高額な薬も出てきておるわけでございますけれども、一千万を超えるというような診療報酬の時代になりますと、これはいま一度いろいろな意味で考え直してみなければいかぬと思うのです。
 本当にそういう高額医療機器が必要なのか、そうではなくて私どもはあくまでも人を治してもらいたいわけですね。もちろん病気を治すことが目的ですけれども、病気を治すためには、後で触れますように高額な薬でいわゆるたたく――最近の医者は薬でたたくと言う。たたいて、たとえばがんならがんがなくなるかもわかりませんけれども、人間の体の母体というものがその瞬間において崩れてしまっては本来の問題ではないわけですから、私どもあくまでも医療というものは人を治してもらいたい、これが原則ですから、このような傾向が出てくることはやむを得ませんというわけではないし、疑いを持つわけではございませんけれども、まあ百万円で驚いておったら、君、一千万円だよと、こういう時代をいかがお考えになるか、大臣から御答弁を願いたいと思います。
○大和田政府委員 先生の御指摘、全く私もそう思います。
 これは大学病院だけでなく、いわゆる一般の診療所も、ややもすればこういうことがある。つまり私ども不正の診療費の請求につきましては監査ということで対処していくわけでありますが、従来ややもすればいま申されました濃厚診療、言うなれば不当ということでございますが、そういった診療に対しまして、医学的な問題がありましてなかなか追及がむずかしかった。しかしこれは、医療確保という意味でもこの問題に適正に対処していかなければいけないということを私ども心にとめまして、すでに一昨年の段階で地方に通達を流しておるわけでございますが、そういった不当な診療につきまする対処というものを、私どもこれからかなり強い姿勢でやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○園田国務大臣 今後、医療費が増高し、一方には財政的な問題があるし、一方には国民の負担をこれ以上上げるのはなかなか困難である、こういう状態においては、効率的に適正に金を使うことを考えなければなりません。そういう意味において、こういう問題が一番大事な問題でありまして、これを適正に厚生省が指導し監督していくならば、予想外の不要な金が出てくると存じます。もちろんいま局長の言いましたとおりに、医療の内容に立ち入ってどうこうするということは現下の制度でできませんけれども、しかし常識から考えておかしいということに対する指導や注意はできるわけでありますから、十分今後注意をいたします。
○草川委員 これは今度は文部省の方も、きょうは課長さんがお見えになっておられますので、きょうは私どもの問題提起ということで、文部省としても私立医科大学という面で、特に保険の立場からあるいは健康を守る立場から、このようなことについて少し考えて対応を立てられることをぜひ要望しておきたいというように思います。じゃ文部省の方、これで結構でございます。
 次に、薬価基準なり抗がん剤の問題に触れていきたいと思うのですが、きのう参議院の方で一八%の見込みというお話が出たようでございますが、これも非常に長い間かかってこういうことが出てきたわけでございますが、いわゆる中身の見込みについてお伺いをしたいわけでございます。
 たとえば薬効群別で見ると、抗生物質等の影響力の強いものは、一八%が平均でございますからかなり大幅な下げになると思うのでございますが、そのウエートの問題というのでしょうか、そこら辺のことについてお伺いしたいと思います。
○大和田政府委員 実はまだ全品目にわたりまして最終の作業を実施中でございまして、いま先生おっしゃいましたような薬効群別で見た薬価引き下げというものについては把握はいたしていないわけでございますが、私ども聞いております調査の過程におきまして、私ども聞きます範囲におきましても、抗生物質のあるものについては実勢価格自身がかなり低くなっておるということも聞いておるわけでございます。したがいまして、そういうようなものにつきましては、平均よりもかなり下回った改定が行われるということになろうかと思うわけでございます。
○草川委員 抗生物質の薬価基準に与える影響というのは非常に大きいわけですから、いままだつかんでないと言うのですが、つかんでないということはないわけでございまして、だからこそ一八%の見込みという数字が出るわけですから、一八%というのがあってから中身を変えるというほどのことでもないでしょうし、いつも申し上げるわけですが、三十一カ月かかっておるわけですから、少なくとも抗生物質というのは五〇%を超す幅になるんじゃないかと思うのですが、そこら辺の見込みについてはどうですか。
○大和田政府委員 申しわけございません。実はそれは私ども先ほど申しましたお答え以上には私自身も把握をしていないわけでございまして、いままとめた薬効群別の数字は、いま作業をしておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○草川委員 じゃ次の方へ移ります。
 今回の調査も非常に長期になりまして、第六次の景気変動調査になっておるわけでございますが、調査方法をもうそろそろ見直す時期が来ておるのじゃないかと思うのです。特に九〇%バルク方式とか二倍の法則ということがあるわけですが、次は修正あるいは改定ということについてお考えになるかどうか。この前もお伺いしましたが、いま一度お伺いします。
○大和田政府委員 調査方法を変えるということは、薬価の算定方式でございます九〇バルクであるとか二倍の法則というものについてどう考えるか、こういうことになります。それによりまして調査方法も変わってくる。これにつきましては前回もお答えいたしたと思いますけれども、この薬価の算定方式につきまして再検討する時期に来たのではないかというふうに考えておるわけでございまして、これにつきましては私ども検討いたします。これはやはり中医協の審議をお願いしなければならぬわけでございますが、そういうようなことで検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 薬価の調査というのは厚生大臣の専権事項ですから中医協で調査方法を諮らなければやれないという問題ではないはずなんです。その点は間違いのないように御答弁願いたいと思うのですが、どうですか。
○大和田政府委員 薬価の調査方法の基礎になる算定方法でございます。先生おっしゃいました九〇バルクラインをどうするか、二倍の法則をどうするかといった、特にそういった算定方式についてはやはり中医協の審議をお願いしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 中医協の方でも薬価の算定方法については以前から、もうそろそろ考え直すべきではないだろうか、だからこそ、実勢価格と薬価との乖離というのがひどいじゃないか、こういう話があるわけでございますので、ぜひその点については御検討願いたいと思うのです。
 そこで、きょうはちょっと変わったことでございますが、薬価の格差があると言って私ずっと批判をしてまいりましたけれども、よく調べてみますと、非常に有効な貴重な薬というのがあるのですけれども、たまたま薬価が非常に低いところで収載をされておる、値段が決まっておるために、メーカーがそれをもうつくらない。いやがるわけですね。そのために品物がないというような例があるので、せっかくの薬価改定ならば、下げることも基本的に必要だけれども、本当に必要なもので、なくなった薬を政策的に配慮をして安定供給をしてもらいたい。
 具体的には、結核の薬で非常によく効くイソニアジド錠という薬があるんだそうです。私は専門でないからわかりませんけれども。これが百ミリ一錠薬価一円五十銭なんですね。一円五十銭ですからもう全然つくらないわけです。これは薬剤師だとか先生も非常に欲しいと言うのです。それからレセルピン錠という薬があるんですが、これも高血圧、血圧に非常に効く薬なんだそうですが、一ミリグラム一錠薬価一円九十銭なんです。ですから、一円台ではとても話にならぬからメーカーはつくらないのです。ところがこれは非常に効くというのです。
 これこそ、私どもも薬価の問題を何もわからない立場で取り上げてきたんで非常に反省の意味を込めて、こういう問題についてはぜひ政策的に配慮をして安定供給ができるようにしていただきたいと思うのですが、その点どうでしょう。
○大和田政府委員 ただいまおっしゃいましたような薬剤、これは、非常に重要な薬剤であっても低い薬価のためになかなか医療機関への安定供給がむずかしいというような問題、そういうような問題がございますれば私どもといたしましてもやはり問題である、こういうふうに考えるわけでございます。
 医療上重要であるというものであって薬価の低い品目につきましては、具体的な品目、たとえば日本薬局方に記載されている品目などのうちに幾つかそういうものもあろうかと思いますし、そういったものにつきましてはなお専門家の意見を聞きながら、先生おっしゃいますように安定供給を確保するために政策的な配慮というものが必要になるんではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○草川委員 こういう話はぼくたちではなくて厚生省の方にもっとダイレクトに入ってこなければいかぬ話なんでございまして、私も不思議でしょうがないんです。これだけ日本というりっぱな国であり、医療は進んでおるわけですから、こういう初歩的な話が厚生省の方にまだ御理解願っていないというところに今日の根本的な問題があるんじゃないか、私はこう思います。
 またきょうも時間がなくなってしまいましたのでゆっくりやれないわけでございますが、がんによる死亡というのはいまトップになったというような報道がなされております。がんに対する抗がん剤の生産というのは、日本とアメリカを比べますと、非常に抗がん剤の生産というのは伸びておるわけです。これも厚生省の方からいただいた数字でございますからちょっと確認をしますと、昭和四十八年の日本の抗がん剤の生産高、薬事工業生産動態統計を見ますと四十四億でございました。これがずっと伸びてまいりまして昭和五十三年、五十四年になりますと、五十三年は九百五十八億に伸びております。二十一倍です。そして五十四年には千七十七億、二十四・三倍にふえてきておるわけです。同じ数字ではありませんけれども、アメリカの方のいろいろな統計があるわけですが、アメリカのブリストル・マイヤーズ社のブルック博士の数字というものを月刊ディテールマンの七九年三月号に出ておるので調べてまいりますと、四十八年に、これは日本円二百二十円て換算をした数字でいきますと四十一億で、ほぼ日本と四十八年は同じ生産高なんです。ところが五十三年を見ますと、アメリカは四十八年を一〇〇としますと六・四倍にふえております。二百六十四億円。日本は九百五十八億です。これを割りまして、日本とアメリカは人口がアメリカの方が多いわけですから、二倍で計算をしますと、日本人は一人当たりアメリカの七・二倍も抗がん剤は恩恵に浴しておるわけです。本当に欲しい丸山ワクチンなんというのはなかなか私どもの方には手に入ってこないわけでございますが、少なくとも現在制がん剤というのは非常にふえておるのです。そんなにふえておって、どうしてがんによる死亡率は高いのでしょうか。薬が効かぬということですか。
○大谷政府委員 がんの死亡率に影響を与える要因は、予防、治療、総合的に考えなければなりませんが、特に抗がん剤だけ取り上げてその点を考えるとなかなかむずかしいことではないかと考えます。
 しかしいずれにいたしましても、わが国のがんの死亡率はアメリカよりは低い、英国よりも低いということにはなっておるわけであります。しかし先生御指摘のように、抗がん剤の使用と逆比例してというほどではありませんが、トータルといたしましては日本の方が死亡率が低いということにはなっております。
○草川委員 そのわりに、とにかく去年一年間、たとえばフトラフールなんというのは五百二十億、クレスチン、例の問題になっておる薬でございますが、これが五百億円、ピシバニール等については年間二百三十億円。抗がん剤の御三家と言われておるわけでございますが、非常に売り上げが顕著になっておるわけです。薬屋さんが抗がん剤をたくさん開発をして日本の医療のために尽くしていただくことは非常に大切ではございますけれども、効く薬、そして本当に患者に欲しいというような薬、打ってもらいたいと希望するようなものは、何回か申し上げておりますけれども、丸山ワクチンの収載の例等もございますが、ぜひ平等に私は扱っていただきたいと思うわけです。
 きょうはもう時間がなくてこれで終わりますが、またこの点については他の同僚議員も指摘をされると思います。がんによる死亡というものは国民的な課題でございますから、このがんに対する対応、そしてただ単にこれが生産性を上げるということだけで薬というものが生産をされないように私はしていただきたいと思うのです。
 これは特に大臣に最後にお願いを申し上げたいわけでございますけれども、いま町に薬というのは非常にオーバーフローしておるわけです。問屋さんはもうからぬといってぴいぴい言っているわけです。それはなぜかというと、薬価が下がるからといって買い控えをいまやっているわけです。メーカーからはどんどん生産されてきますから、問屋さんはそれを消化できない。そしてオーバーフローで現金問屋に流れるわけです。厚生省は現金問屋についてかなり厳もしい対応を立てておられますけれども、しょせん根本は、メーカーが一定の生産を上げるというのですか、これだけつくらないと生産費が回収できないというので押し込み販売が始まっておるというのはこういうところにも出てきておるわけでございまして、私は、医療と薬との関係、ここら辺の問題についてはきわめて重要な問題になってきておると思うので、最後にひとつ厚生大臣の方から御見解を賜って終わりたい、こういうように思います。
○園田国務大臣 まず第一に、抗生物質の値下げの問題でございますが、これは各方面からたくさん承っております。それからなお、抗生物質を乱用することは健康のためにもよくありません。ドイツなどでは非常に注意をしております。したがって、これの値下げは特に注意をして、具体的な指示をしてございます。
 最後に御指摘になった問題については、非常に大事な問題でありますから、十分注意をして、検討をいたします。
○草川委員 以上で終わります。
○湯川委員長代理 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私は、父子家庭の問題にしぼりまして、当局の所信を伺いたいと思います。
 ちょうど三年前、ある新聞に、「神戸市内の女子中学生が自殺をした。母親は一年前交通事故の後遺症で自殺しており、以来母親がわりで父と妹二人の世話をしていたという。両肩にのしかかる生活の重さに耐えるには少女は余りにも若過ぎた。やっと十三歳。家事一切を任された疲れ、学校へも満足に行けないことへの悩み、母親のいないさびしさなどから死を選んだ。」こういう記事が載っておりました。
 ちょうどこのころから父子家庭の悲劇というものがいろいろなところで発生をし、報道されるようになっておりますが、その後も、御承知のとおり、あるときは、離婚後、養育に悩んでお父さんが無理心中で子供さん二人をともに死なせてしまう、また、離婚して母がいないその家庭で、子供の目の前でお父さんが首つり自殺をする、あるいは、妻と別居して子供の養育に自信がない、悩んだ上に経営難まで加わって、中小企業主が四人の子供を道連れにして放火して年の瀬に無理心中をする。このように、親子の心中巻き添え事件、あるいはまた、子供を養護施設に入所させたままお父さんがいなくなる、行方不明になる等々の事件がいろいろなところで頻発いたしております。高度経済成長で財政がちょっと豊かになったころは、ばらまき福祉と言われるほどに福祉の時代を謳歌しておったわけでありますけれども、残念ながらこの父子家庭の子供たちには福祉のふの字もなかった、こう言わざるを得ないのでございます。
 御承知のとおり、場合によっては、よく言われますように、母子家庭以上に父子家庭の場合には深刻な問題に直面をしておることが多いと言われます。しかし、残念ながら、厚生省などはこの父子家庭の福祉についてどうも関心がないように見受けられて仕方がありません。事実、政府は実態調査さえなされていないわけでありますから、その必要性を感じてないというか、する気持ちもない、そういうことで今日まで来たのではないかと私は思うわけでございます。こういう事件は悲劇性を持って語られると何かおかしいではないかという議論があるかもしれませんが、こういう似た事件はいろいろなところで頻発しておるわけであります。しかし、見方によっては、かわいそうだということだけで果たして放置されていいものであろうかという感じがするわけでございます。そういう意味では、この父子家庭にせめて母子家庭並みの福祉があったなら、確かに母子家庭対策も決して十分ではありませんけれども、せめてそれぐらいの対策があったならばどうだったのだろうかと考えますと、このような悲劇を聞くたびに、何か吹っ切れない、割り切れないものを感じるわけでございます。特に、大臣は、児童手当の問題に関しましては大変御検討なさいまして、将来の日本を担う子供の健全育成を図るためにはどうしても児童手当の確保、増額が必要なのだと大変高道な理想を訴えられましたけれども、私はそういう意味では、こういう父子家庭の子供さんの立場というものはそれ以上に緊急を要する問題ではないかという気がしてならぬわけでございます。
 そこで、まず大臣にお伺いをいたしますが、父子家庭の実態につき大臣は一体どういう認識を持っておられるのであろうか、父子家庭に母子家庭並みの福祉対策をという、いろいろ起こっております声をどういうふうに耳で聞いていらっしゃるのか、父子家庭の福祉政策の将来展望を踏まえて、ちょっと所信を聞かしてもらいたいと思うのでございます。
○園田国務大臣 父子家庭の問題では、ただいまおしかりを受けましたように、厚生省としてはこれに対する対応の策及び関心等が確かに母子家庭に対するよりも薄く劣っていることは、私も自覚をいたしております。お母さんだけの家庭は、生活、経済の中心である夫がいないから大変であるが、片一方はお父さんが働いておるので、経済的に母子家庭よりも楽だという簡単な表面上のことからこういう惰性がついてきたのだと思いますが、母子家庭以上に、ふなれの父親が子供の世話、特に乳幼児の世話には非常に心痛をしている。それがひいては子供の健康、親の健康、それから性格にも響いてくる。そのために近ごろでは父親の経済活動というものが手足を縛られて、逆に母子家庭よりもつらいような状態が出てくる。したがいまして、これに対しては応急に対策をしなければならぬ。いまやっておりますのは税の控除を新設したことであります。
○米沢委員 過去の行政の反省も含めての所信でございましたが、たとえば昭和五十四年の厚生白書に初めて父子家庭の問題が掲載されました。これを読みますと、「最近、父子家庭をめぐる問題が注目されるようになっている。これは、父子家庭の発生原因として母親の家出、蒸発が増え、社会的に関心を呼びやすくなったことや、」と書いてあるのですね。どうも、従来からこんな話はいろいろあったけれども、急に騒がれ始めたものだから何かこんな問題になり始めておるのだ、そんな感覚、そんな視点があるような気が私はしてならぬわけであります。
 そして、いま大臣がおっしゃいましたように、「父子家庭については、父親の就労による収入によって所得は母子世帯に比べて高く、経済的に困る世帯も少数であり、特別な所得保障対策は必要でない」と、父子家庭対策の大変重要な課題の一つをばっさり切って捨てられておるわけですね。またそういう感覚でいままでやってこられたわけです。
 引き続きどういうことが書いてあるかと言いますと、「父子家庭の子供の養育に対しては、従来から、乳児院、養護施設、保育所等を中心とした対応がとられているが、今後、父子家庭に対する家庭サービス等の施策の導入に関し、慎重な検討を進める必要があろう。」となっている。
 所得は母子家庭に比べたら大分恵まれておるのだから、結果的には子供の問題少なくとも乳児院、養護施設あるいは保育所等々に優先入所させればすべて父子家庭の問題は片づくという感覚がありありとこの白書に書かれておるわけでございます。何かこう開き直っておるような感じがいたしまして、どうもこの文章を読みますと不愉快でございます。
 父子家庭の子供の養育について、それならば本当に万全の対策が打たれておるのであろうか。たとえば、父子家庭の皆さんあるいは母子家庭の皆さんには、このような保育所とか乳児院とか養護施設等々必要な者は完全に入所できるような措置が本当にとられておるのであろうかという疑問を私は持つわけであります。それを各項目ごとに入所状況等を教えてもらいたいと思うのでありますけれども、たとえばいまベビーホテルのことが非常に大きな問題になっています。結局は、保育所等についてもいろいろと問題がある、あるいは小さな乳児院に入るに至るまでもうめんどうくさい、結果的には民間のベビーホテルを頼る。いわゆる保育所とか乳児院とか養護施設とか、そういう施設あるいは運営のあり方に不満があり数が少ない。それゆえにこういうベビーホテルあたりが繁盛し、結果的にはいろいろな悲劇が起こっているんじゃありませんか。
 そのことを考えたときに、所得はまあ母子家庭に比べたらいい方じゃないか、結局優先入所させればいいだろう、これですべて父子家庭の問題は終わったなんて考えられては困るのでございます。その点はいかがですか。
○金田(一)政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますが、従来の資料によりますと、一般勤労者世帯に比べまして母子世帯は収入が最も低いわけでございますが、父子世帯は大体その五割増しの収入でございます。しかし、一般勤労者世帯の平均に比べますとなお七割ないし八割程度の収入ということでございます。
 私どもが調べたところによりますと、父子世帯の父親が困っておりますのは、第一番目が家事でございまして、これが三一・八%、次が児童の養育問題二九・四%、その次が生計の問題一三・三%という状況でございます。
 私ども、ただいま先生御指摘ございましたように、父子家庭の児童につきましては優先的に保育所、乳児院、養護施設等に入所させております。なにでございましたら数字も申し上げてもよろしいわけでございますが……。
 また、ただいま御指摘ございましたベビーホテルとの関係でございますが、ベビーホテルも母子世帯、父子世帯等が利用しているという向きもあると聞いておりますので、ベビーホテル全体の問題としてただいま検討いたしているところでございます。
○米沢委員 申し上げたいのは、父子家庭のこのようないろいろな悲劇が起こるその背景で、優先入所だけで本当に片づくものかと聞いておるのでございます。
○金田(一)政府委員 父子世帯の問題につきましては、五十六年度の予算要求をいたします際にも私どももいろいろ検討もいたしたわけでございますけれども、また、地方においてどのような対策が行われているかといったこともしんしゃくいたしまして検討したわけでございます。
 地方におきましては、相談事業とか介護人の派遣とか貸付金あるいは父子家庭の集いを設けられたり、あるいは入学、卒業の祝い金を贈られたり、歳末助け合い資金を配分されたり、そういったことがいろいろ行われているようでございます。そういったことが国の施策としてどれが適当であろうかといろいろ検討したわけでございますが、五十六年度予算の際におきましては、残念ながらまだ十分結論が出なかったために、これは見送らざるを得なかったわけでございます。
 ただ、ただいま大臣言われましたように、寡夫の控除二十三万円が税の関係の方と折衝いたしまして実現したということでございます。
○米沢委員 地方でいろいろなことがなされておるそのことを何も聞いてはいないわけです。結局、国がやらないから地方がやらざるを得ないわけで、その分だけ地方自治団体が逆に財政を困難にしておるという、そういう目で見てもらわなければならぬと思います。
 あるいはまた、父子家庭は大体五割くらい母子家庭に比べて所得が高いなんておっしゃいますけれども、五割増しだけを聞いたら相当高いと聞こえるのですよ。ところが、基礎数は十万とか五万とか七万くらいの話でしょう。五万だったら、五割増しでわずか七万五千、十万だったら、わずか十五万じゃありませんか。だから、五割増しなんてだますような、人がびっくりするような話をしたら困るのでございます。同時に、優遇税制なんかもたった二十三万でしょう。大体その方がどれくらいの総所得の中で何%くらいを税金として納めるか、それは収入によって違いますけれども、二十三万の控除だといったら、大体二〇%もし取られる人がおったら月に千円とか二千円とか、それくらいの単位でしょう。そういうことで確かに前進であることは間違いありませんね、そういう制度ができたこと自体。しかし、その金額たるや月に千円か二千円まけてあげたからといって、父子家庭の所得対策の一環になるなんていう、そういうばかな感覚が私はどうもがまんならないのでございます。
 大臣、どんなんでしょうか。
○園田国務大臣 税の控除の新設をしましたことはまあ一つのあれではありますけれども、それによって父子家庭の苦しみや悩みが減ずるものではないと考えております。
○米沢委員 現在母子家庭がふえると同じように、そのうらはらの関係にある父子家庭がふえておりますね。たとえば母子家庭につきましては年々これは増加の傾向をたどっておりまして、母子世帯になった原因は、死別によるものの比率が年々減少して、かわりに離別によるものが次第に増加しておる。これはやはり父子家庭も同じうらはらの関係にあるわけです。
 それから母親の、調査された現在の年齢を見ると、平均年齢は四十二・七歳である。男の方も大体これよりちょっと上くらいですね。それから最近の傾向としては若年化の傾向が顕著で、二十歳代、三十歳代の合計数では、四十八年当時三一・一%であったものが五十三年には三五・三%を占めておる。若い片親がふえてきたという事実ですね。それから母子世帯になった当時の母親の年齢を見ると、三十歳代の階層が最も多く四六・一%で、次いで二十歳代が二五・〇%となっており、三十歳代及び二十歳代で母子世帯になった母親が七割を占めておるというわけです。まあ家事に丹念な経験なある方は別にしまして、男も若い女も若い、そういう母子家庭あるいは父子家庭がふえておるということ自体、それが子供さんに与える影響たるや大変深刻なものがあるという観点を見過ごしてもらっては困るのだと思うのでございます。
 政府がこんな実態調査をなされておりませんから、いろいろな団体がいろいろやっておられます。その分についてはもう皆さんも目を通しておられるからおわかりだろうと思いますが、こういう実態から出てくる父子家庭の像というものを描きますと、そう簡単におっしゃったように割り切って議論ができるような話じゃない。そういうように、もう少し父子対策というものに感覚をまず変えて抜本的な検討をしていただきたい、そのことを私は申し上げたいと思うのでございます。
 そこで、まず所得保障の問題でございますけれども、先ほどから話がありました母子家庭に比べて大体五割増しだ。しかし、たとえば全国社会福祉協議会あたりがなされた実態調査なんというのは、これくらいしかないのです、東京都のやっとあるいは市町村がちょっとやったやつくらいしか。そういうので見ましても、何か所得が安定しておるようなことをおっしゃっておりますけれども、大体この調査された時点において、これは一昨年ですが、五万未満が三・四%、五万から十万が一六・六%、十万から十五万の収入が三三・九%、結局十五万以下が五四%を占めておるわけですね。母子家庭よりも確かに高い収入を得ておる人もおりますよ。しかしながら、低い層も大分ある、十五万以下が五四%もあるという実態は、やはり普通の家庭の収入状況に比べたら確かに下位にあるという認識はもう言わなくてもおわかりいただけるのではないかと思います。
 そこで、現実は御承知のとおりそういうかっこうでありますけれども、実際は父子家庭になって仕事がままならない、子供の養育のための時間がままならない、結果的には離職をする、失職をするあるいは仕事ができなくて収入が減っていく、そういう決して前向きじゃなくて後ろ向きの状況にあるという実態を加味いたしますと、母子家庭に手を差し伸べるという気持ちと同じように、特に所得の低い父子家庭についてはやはり所得対策というものを考えてやることが本当は必要なのじゃないですか。
○金田(一)政府委員 繰り返して申し上げるようで恐縮でございますが、一般的には、母子家庭と異なりまして父子家庭は生計の中心となる父親が健在であることから、経済的に困ることが比較的少ないと思われます。したがいまして、一般的な所得保障施策を父子家庭一般として行うことにつきましては、ただいまのところはその必要性は乏しいのではないかと考えられますが、なお私どもといたしましては、ただいま先生の御指摘もございましたので、その実態につきましてよく検討いたしてみたいと存じます。
○米沢委員 まだそんな話なのですけれども、そう簡単に約束はできないと思いますけれども、たとえばあなたが十万か十五万の収入をもらって、もし小さな子供さんを二、三人抱えて、いまの仕事が本当にやっていけますか。結局時間もそう簡単にいかない、早く帰らねばならぬ、朝はちゃんと用意しなければならぬ、これは大変な疲れですよ。尋常な仕事はできませんよ。そうした中で飯を食うておる連中がたくさんおるのです、ここに。だから、そうおっしゃるように、母子家庭に比べたら少々はいいかもしれないけれども、結果的には、まだ大丈夫だという感覚は一日でも早く払拭してもらわない限りこんな悲劇は何ぼでも続くであろうし、ましてや父子家庭の子供さんなんというのは大変深刻な状況に陥る場面が、いろいろな意味でそういうものに直面することが発生しやすくなるのじゃないかという気が私はしてならぬわけであります。
 同時に、トータルとして平均的な像を考えたら五割増しだ、こんな議論ができますけれども、問題は中身なのでございます。何でもそれは、百点とゼロ点で平均は五十点ですよ。五十一点と四十九点でもやはり五十点ですよ。中身をよく見てもらわなければ困ります。確かに母子家庭は大変だ。大変でも、父子家庭以上にもらっておる人もおりますよ、これは。分布があるわけでして、確かに母子家庭の方が所得の少ない方の分布があり、父子家庭はちょっと上にあってこうなっておるわけでありまして、母子家庭と父子家庭のダブる部分はたくさんあるでしょう。少なくともそこら辺に対しては所得対策を考えるのはあたりまえじゃありませんか。もう一回答弁してください。
○金田(一)政府委員 確かに先生おっしゃいましたように、父子家庭には悲惨なケースもございまして、私も東京都の施設に収容されているような例につきましても聞いたことがございます。ただ、先生おっしゃいましたようにばらつきもあると思いますので、そこらあたり、これから実態もよく調べまして研究してみたいと思います。
○米沢委員 たとえば厚生白書によりますと、母子家庭の所得は五十三年度で百九十二・六万円だ、だから月に割ったらこれは十六万ですね、母子家庭の平均所得は。この所得は働いて得た収入が約七割、あとはいろいろな手当が出ておりますよね。手当の分を引きますと、稼働所得が七〇・二%というから、十六万に七〇・二%を掛けた約十一、二万でしょう。母子家庭のかせぐ力が十一、二万あるわけですよ。
 一方父子家庭は平均したらわずか十五万くらいでしょう。五割だなんという感覚も、どこでそういう数字が出てきたかわかりませんが、昔の話じゃありませんか。実際は、実態調査もしていないんだから、そんな自信を持って話すようなことはないはずだ。どこで政府がこの実態調査をやったのか。人の話を聞いただけじゃないのですか、そんなのは。そういうことで余り偉そうなことを言ってもらっては困ると私は思うのでございます。
 そこで問題は、先ほどから言っておりますように、父親自身が経済力があったり親戚一統に囲まれておったり、じいちゃん、ばあちゃんに預けられるチャンスがあったり、あるいは嫁さんをすぐもらえるような状況にあったら問題にならない。したがって、父子家庭全体に所得対策を考えるというのではなくて、やはりある程度の制限を加えてもいいから、底辺にある――底辺というか、所得が少ないがゆえに逆にいろいろな問題が発生する率も多いわけでして、そこらを少なくとも来年度くらいから何らかの所得対策を考えることがあなた方の仕事ではないかと私は言っておきたいと思うのでございます。
 そこで問題になりますのが、いわゆる所得保障の一環として、これはいろいろな制限を加えても結構です、しかし少なくとも低所得者対策の問題としてとらえるべきは、例の父子年金です。拠出制国民年金における父子年金あるいは準父子年金、無拠出国民年金における父子、準父子福祉年金、何らかの変形でも結構ですから、こういうものを新しく設置される気持ちはないのかどうか、このことを前向きに検討する必要はないのかどうか、そのことから一回聞いておきたいと思います。
○松田政府委員 年金がそもそも一体どういう役割りを果たし、あるいはどういう機能を持つべきかという問題になるわけでございます。所得保障、稼得能力を喪失した者あるいは稼得能力の少ない者、そういった者を補っていくというのが一般的に言われている年金の機能でございます。
 現在、拠出制の年金につきましてもあるいは福祉年金につきましても、父子をベースにした年金がございませんのは、先ほど来いろいろ議論が出ておりますような母子家庭とは異なって、一般的には父というものが稼得能力がある、こういう前提の現在の仕組みだというふうに考えられます。
 ただ、世の中が非常に複雑になり、いろいろな条件が異なってまいっている現状におきまして、仮に母子家庭と同様な状態、こういうようなものが現出をし、かつそれが年金制度の上でどうしても所得保障の一環としてとらえる必要が出てくるということでありますれば、父子年金といったものにつきましても積極的に検討する必要があろうかというふうに考えております。
○米沢委員 将来の問題として検討をされるという話をされましたが、現時点において、少なくとも来年か再来年くらいに創設するということを前提に検討をしてもらいたいと頼んでおるわけですが、その点はどうですか。
○松田政府委員 年金制度の中で、年金によりまして所得保障の機能を補完をしていくあるいはそれで生活をしていくという態様につきましては、現在の年金制度の中でも種々多様にございます。必ずしも父子だけではございませんで、いろいろな職業あるいは業態、そういったものいろいろとバランスを考えながら検討していかなければならないと考えておるわけでございます。今後、公的年金制度、非常にいろいろな面で検討を迫られる事態でございますので、その中でも積極的に検討してまいりたい、かように考えております。
○米沢委員 その検討が、あちらを立てればこちら立たずで大変だという議論ではなくて、できれば早い時期に父子年金が認知されるようなかっこうで御検討をいただくことを切に希望いたしておきたいと思います。
 結局、そのような国民年金における父子年金、準父子年金がないということで、各地方自治団体で、先ほどおっしゃいましたように父子年金とかあるいは父子手当、あるいは子供さんが健全に育成されるように児童福祉健全育成手当とか、名前はいろいろ違いますけれども、そういうかっこうで低所得の父子家庭に対していろいろな措置がなされている。この点、あなた方どう評価をされておるのでしょうか。大体調べてみますと、百三十以上ありますね、市町村で。もうすでに地方自治体ではそんなかっこうで、相当の市町村がその必要性を認めて父子手当なり父子年金とか、言葉は変わっておりますけれども手当てがなされている。その点、私は国の施策は大変立ちおくれだという気がしてなりません。
○金田(一)政府委員 ただいまのところ私ども考えておりますのは、父子世帯につきましては、個々のケースによって、おっしゃいましたように所得の低いケースもございますので、一般的には経済的に困ることは少ないと思われますが、母子福祉貸付金に準じた特別貸付制度というようなことはいまのところは考えておりませんが、世帯更生資金の利用が可能でございますので、世帯更生資金の方を利用していただくというのが、現在における経済的な直接の対策ではないかと考えておるわけでございます。
○米沢委員 いまあることを聞いているのじゃないのです。地方自治団体が国よりも一歩先んじて先導的に手当をつくったりやっておる、その点をどう評価されておるのかと聞いておるのです。更生資金があるなんというのはよく知っております。しかし母子家庭の方は、母子福祉年金もあれば寡婦年金もあれば世帯更生資金もある。これは恵まれていますよ。
○金田(一)政府委員 まだ各地区における実態も個々には私ども存じませんので、これからよく調査いたしまして、五十七年度予算でどのように対処するか、研究してみたいと思います。
○米沢委員 次に、母子相談にならって父子相談の問題ですけれども、いろいろな調査を見ますと、確かに男だからもう少し相談相手があってもおかしくないなと思いながら、調査資料を見ても、やはり頭をひねりますけれども、意外に相談相手がいないということがこの調査結果に出ております。母子家庭におきましては、御承知のとおり母子福祉法によりましてちゃんと相談員が設けられまして、母子世帯の発見だとか、面接、調査、訪問、指導等々が行われておりますね。母子家庭では、五十三年の段階では相談件数が三十五万件もある、それなりに大変有効な役割りを果たしていらっしゃるんだと思います。ところが、この調査結果を見まして、父子家庭にもどうも相談口が本当に必要なんだなという気がしてなりませんでした。そういう意味で、何も母子相談と並んで父子相談の窓口までつくれとまでは言えないかもしれませんが、少なくとも母子相談員が父子相談に応じるとか、少なくとも公式に、結構でございます、相談に応じますよということを言ってもらうとか、あるいはまた福祉事務所あるいは児童相談所等にもお父さんの相談もかなりあると思いますけれども、現実はお父さんが何か相談したいと行っても母子相談と書いてあるから、どうもおれの担当じゃないと言って逃げていく、帰ってくる。どこに行っていいかわからない。実際に父子相談というのはどんなかっこうで行われているのでしょうか。
○金田(一)政府委員 確かに先生おっしゃいますように父子家庭の場合は父親が勤めに出ておりまして、なかなか相談に行く機会もないと思います。私ども児童相談所、福祉事務所だけではなくして、全国十六万人おられます民生委員、児童委員の方々が網の目のように各地区を担当しておられるわけでございますので、これから私どもできるだけ機会を見つけまして、これら相談機関の方々に対しまして積極的に父子世帯の相談に応ずるように働きかけていきたいと思っております。
○米沢委員 できればそういう通達あるいは御指導だけではなくて、やはり隣に「父子相談にも応じます」ぐらいの看板を書いてもらうとかやはり積極的に――母子世帯は母子相談員が巡回されたりしていろいろ知っておられますから、実態はいつでもよく把握されておるわけです。しかし、数は少ないにせよ、父子家庭については、少なくとも母子相談員が、私たちの任務ではないと。実際は広げてやっていただいている方もあるそうでございますけれども、私たちの相談するのは母子家庭だということで認識をされて、父子家庭の問題は相談相手になってあげたいけれども、できないとか、そういうかっこうで実際は父子家庭の実態は何も知らないのですよ。だから、できれば、私は母子相談員を通じても結構ですから、何とか父子家庭の実態をもうちょっと知る努力をしてもらいたい。
 実態調査といいますとかなりの時間もかかりましょうし、大変だと思いますけれども、少なくとも東京都あたりでやるのですから、あるいは市町村でやっておるのですから、政府がやはり、すべて網羅しなくても、ピックアップしてある程度推定できるぐらいの実態調査ぐらいは、せめて来年ぐらいやってもらいたいと思うのですね。それがないから理屈にならないのですよ。それがないから、五割ぐらいもいいのだから結構だ、こんな議論になっておるわけでして、私はもっと調べてもらったら事態は深刻だということを気づいていただけると思うのですね。その意味で、母子相談のみではなくて父子相談も看板にかけてもらって、一つの仕事の範囲にしてもらいたいということと、もう一つは、実態調査を早急にやってもらいたい。そのことを約束してほしいと思うのです。
○金田(一)政府委員 先ほどから申し上げたようなことでございまして、関係の相談機関も当然父子相談も行うのがその職務の中に入っているわけでございますので、よく周知徹底するように、私ども今後考えてまいりたいと思います。
○米沢委員 相談の範囲に入っておるというけれども、実際はあなた方のところへいろいろ実態が本当に入ってきておりますか。父子相談でいろいろ深刻な問題が何か入ってきておりますか。実際は言葉だけなんでございますからね。ですから実のあるものにしてもらいたいと思います。
    〔湯川委員長代理退席、委員長着席〕
 それから先ほど局長もおっしゃいましたように、父子家庭になって一番困るのはやはり家事ですね。家事だとか養育だとかしつけの問題とかいろいろありますけれども、一番困るのは家事だというふうな統計になっております。そこで、たとえば母子家庭については、「乳幼児を抱えた母子家庭の母が一時的な疾病のため、日常生活を営むのに故障がある場合、要請に基づいて介護人を派遣し、必要な介護・乳幼児の保育等を行う母子家庭介護人派遣事業を五十年度から実施している。」こうなっておりますね。私はこれと似たようなものが、やはり父子家庭にも場合によってはあってしかるべきだ、そう思うのですね。昭和五十六年に厚生省はこの家事援助制度を導入しようとして検討されたけれども、財政難と、あるいはすでに実施しておる所沢市などで利用者が少ないということで見送られたと書いてあるが、これは本当なのかどうか。
 それから父子家庭についても、ぜひ家事援助員制度みたいなものを、母子家庭と同じような――苦しみは一緒ですから。母か父かというだけだ、女か男かというだけであって、放置されるあるいは監護を要する子供さんにとっては何にも関係ないんです。そういう意味ではやはりこういう制度を一日でも早く横並びに実施してもらいたい、そういうふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
○金田(一)政府委員 先生、私どもの事情もよく御存じでございますが、確かに昭和五十六年度予算を要求いたします際にいろいろ検討いたしました一つに、この介護人の派遣があったわけでございますが、ただいまおっしゃいましたように、地方の実際行われている例を見ますと、ある市ではわずか数件しかないといったようなことでございまして、父子家庭へ女性の介護人を派遣いたしますと、どうしてもプライバシー問題その他がございまして、どうも大丈夫かどうかとか、国として一律のそういった施策を行うことについてはいろいろ疑問もございましたので、今回は見送ったわけでございますが、なおよく私ども検討してまいりたいと思います。
 また、家事の応援ということではございませんが、各種の施設とか里親の活用とか、そういったことはこれからもどしどし図ってまいりたいと思います。
○米沢委員 その利用率等の問題はあるかもしれませんけれども、あとはそれは使い方、使いやすくしてあげるかどうかということであって、プライバシーがどうだとか、本当に迫られたらプライバシーもどうもないですよ。子供さんを預かるぐらい、何のそんなプライバシーがあるの。そういうふうに使いやすい制度であるかどうか、そのあたりに私は問題があると思いますよ。あるいは緊急にさっと言ったら、さっとやってくれるか。二、三日前から頼まなければいかぬとか、一週間前に申し込まなければいかぬとか、そんなことをしていたら、それは緊急を要する場合には使うはずもないですよ。結果的にはそういうのはベビーホテルに走るのですよ。それで殺されるのですよ。そういうことを考えたとき、私は使いやすい方法というのは何ぼでもあるわけでして、そういう方向でぜひ御検討をいただいて、来年ぐらいからは実施してもらいたいと思います。
 そこで先ほどお話しになりましたように、短期の里親制度の運用だとか、あるいは児童福祉施設あたりで児童の緊急一時預かりとか、そういうことをやれるというふうになっておるのですけれども、実態はどうなのですか。本当にそんなに利用されておるのですか。
○金田(一)政府委員 里親の弾力的な運用につきましては、四十九年から短期里親制度を設けました。これは一カ月ないし一年未満ということでございますが、これも手続を簡便にする等、弾力的な措置をいろいろ考えております。昭和五十六年度におきましては、都市部における短期里親の開拓を重点的に促進することにより、父子家庭援助の一助にいたしたいと存じております。
○米沢委員 だから、短期里親制度とか緊急一時預かり、そういうのは実績としてはどういうのが実際あるのかと聞いておる。
○金田(一)政府委員 実は、短期里親だけの数字はちょっと手元にございませんので、また後ほどお届け申し上げたいと思いますが、児童数といたしましては全国で三千二百七十七名ということでございます。
 なお詳細調査いたしたいと思います。
○米沢委員 まあ母子家庭でも父子家庭でも、一番困るのは先ほど言ったような家事であり、特に小さい子供の養育だと思います。そういうことで、一般的に言いまして、普通の家庭でもそうですけれども、御承知のとおり保育需要が多様化しておると言われていますね。非常に需要が変化してくる動きが赤裸々に統計数字などでも出ています。やはり問題は、そういう乳幼児の保育というものをもっと綿密に、かなりの弾力性を持って保育してくれるような施設をつくってもらいたい、それと連携した要請だと思います。
 その中に、たとえば長時間保育、夜間保育、こういうものに対する要請が強いわけですね。特に父子家庭などの場合には、おやじが仕事を持っておりますと出張だとか残業だとか、ときには飲まなければいけませんし、子供さんをあるところに預けて必ず五時に迎えに行かなければいかぬとなると、かなり仕事を制約されるということになるわけです。
 このいろいろな統計を見ておりましても、大体七時以降に帰ってくる人が意外に多いのですね。たとえば東京で、ここに勤めておっても一時間か一時間半か二時間かかって通勤する人がごろごろしておるわけですから、五時か六時に終わっても大体八時か九時にしか着かないわけですね。皆さんどういうところに住んでおられるかわかりませんが、身にしみてわかっていただいておるのではないかと思うのです。もし本当に父子家庭になった場合に、自分の家庭に帰るのは八時か九時でしょう、そこまで保育所は開いてないわけですよ。結果的には迎えに行けないから、優先入所させてあげますよと幾らこちらの方で手を広げても、実際は使えないのですね。
 そういう意味で、保育所の定員の問題だとか保育にかかわる従業員の皆さんのいろんなこともあるかもしれませんけれども、でき得る限り長時間保育あるいは夜間保育、場合によっては緊急一時的にでも結構ですから、保育時間を延ばしたり縮めたりできる、そういう制度を一般化してもらうことが必要だと思うのですね。その点いかがですか。
○金田(一)政府委員 現在保育所の開いております時間は、先生御承知のとおり原則八時間でございますが、実際はその前後三十分ないし一時間ずつ延長いたしております。しかし、大都市等における通勤時間等を考えますと、どうしてもこれでは間に合わないわけでございますので、今回、ベビーホテル問題等を契機といたしまして、時間延長をできるだけやりたいと考えております。ただいま保育関係団体等にも私どもから話しまして、関係者の協力も求めているわけでございます。
 また、夜間保育につきましては、できればまずテスト的に実施いたしまして、できるだけ大都市等において普及するようにいたしたいと思っております。
○米沢委員 そこで一つ気になりますのは、確かに前向きに御答弁いただいたから結構なんでございますが、厚生白書なんかを読ませてもらいますと、長時間保育、夜間保育への需要が大変多くなっておると書いてありますね。しかし、そのくだりに「長時間保育は、母親の就業時間や通勤時間、送り迎えの時間に基づくものであり、また夜間保育も母親の就業時間の変化に基づくものであるが、長時間の保育は、乳幼児の心身発達上、情緒不安定等の心理的問題や集中力や持久力等の機能低下などを引き起こし、児童の健全育成上問題がある。また夜間保育については、長時間保育以上に児童に与える悪影響が大きく、これらの拡大には慎重な検討が必要である。」と言って、一般的に言いますとこういう感覚ですから、単なる人の問題とかいうもの以上に、本来の、乳幼児にそんなことしたら大変なんだぞというそのあたりが色濃く残っておって、どうも長時間あるいは夜間保育というものに対して消極的にならざるを得ないのではないかという気がするのですが、本当にこういうことなんですか。
○金田(一)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたのは、私どもの中央児童福祉審議会の意見書、答申等に書かれていることは事実でございます。確かに夜間保育を一つ例にとりましても、私ども大人の場合を例にとりましても、毎晩夜中に起こされるということになりますと体の上でも非常に問題でございますので、特に乳幼児が毎晩夜中の十二時、一時に起こされて家庭へ連れて帰られるということは、心身の発育上決してよくないことは事実でございます。
 しかしながら、婦人の職場進出が大量に出てまいりますと、そういったことだけで夜間保育をしないというわけにはまいりません。特にベビーホテルにそういった児童がたくさん預けられていることも事実でございますので、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようにこういった保育需要の多様化に対応する措置を積極的にとってまいりたいと考えておるところでございます。米沢委員 ベビーホテルがこんなに急増していろいろな問題を起こすということは、結局それだけ需要があるということですから、そのような乳幼児に与える影響等も配慮されながら、でき得る限り保育所がそういう父子家庭や母子家庭にとって使いやすい方向になるように、ぜひ慎重な御検討をいただきたいと思うのでございます。
 それから次は教育の問題でございますが、母子家庭の子供だからどうだとか父子家庭の子供だからどうだということを議論するつもりもありませんし、またそんなこともできるはずもありません。しかし、父子家庭のいろいろな実情等聞いたりしておりますと、やはり子供さんに与える影響というのは大変大きい。逆に明るくなって父ちゃんがんばろうと言う子もおるのだそうでございますが、やはり多くは性格が暗くなったり物を言わなくなったり学校に行きたがらなかったり、逆にまた家事の手伝いで学校に行く時間さえない、そういう実態がいろいろ耳に入りますと、やはり父子家庭とか母子家庭における子供さんというのは、それなりの配慮が教育上もなされるべきである。所得の面でも先ほどいろいろ議論しましたけれども、たとえば就学奨励援助事業等々――所得がどうだという議論よりも、少々所得制限にオンしてでもそこらには配慮できるような就学奨励援助事業等が私は確立されるべきであると思うし、その点文部省として一体どう考えておるのかという問題が一つ。
 それからもう一つは、これも数字としてはわかっていないかもしれませんが、父子家庭、母子家庭であるがゆえに先ほど言いましたように就学困難になるあるいはもう就学したくなくなる、あるいは学校で勉強することに意欲を持たなくなる、そういう実態等がもしあれば、どんな事例があるのかちょっと教えてもらいたいと思うのでございます。
○垂木説明員 御説明いたします。
 初めに就学奨励費のことでございますが、これは米沢委員恐らく御承知かと思うのでございます。現在、義務教育の段階におきましては、経済的理由によりまして就学困難が生ずることのないよう、市町村は経済的理由によりまして就学困難な児童生徒の保護者に対しまして必要な援助を与えなければならない、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、市町村が行いますそのような援助に要する経費につきましては、国といたしましては、就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律とかあるいは学校給食だとかというような法律がございまして、学用品費でございますとか、通学費でございますとか、あるいは修学旅行費とか学校給食費、そういうようなものにつきまして国庫補助をいたしておるわけでございます。その際の対象になる保護者の実情につきましては、母子家庭がどのくらいあるのか、父子家庭がどのくらいあるのか、その辺のことにつきましてはつまびらかな実態を十分把握はいたしておらないわけでございますけれども、先ほど来委員がお示しになっておりますように、経済的な事情でかなり問題になる家庭が多いわけでございまして、そのような面につきましては、この就学援助の対象といたしまして配慮をいたしておるところでございます。
 それから学校教育の場におきまして、父子家庭とか母子家庭というものがいろいろ問題になるのではなかろうかというようなことにつきましてお尋ねがあったわけでございます。最近御承知のとおり、児童生徒の非行が非常にふえておるわけでございまして、そのような非行を犯しております家庭の状況を見ますと、最近の非行の状況にかんがみまして、両親が健在で経済的にもかなり恵まれているという家庭が大部分を占めておるわけでございますけれども、いわゆる欠損家庭と申しますか、父親が欠けておる、母親が欠けておるという家庭の子供がかなり見られるわけでございます。相対的に見ますと、そういうような欠損家庭の子供が比較的非行に走っておる。特に暴力行為を起こしますような子供の家庭を見ますと、父親がない、母親がないというような家庭の子供が多いわけでございまして、学校教育の面におきましても、そういう面で子供の家庭の状況などにかんがみながら、それぞれ適切に指導いたしているところでございます。
○米沢委員 その就学援助事業は所得制限があったですよね、ないですか。
○垂木説明員 就学援助をいたします対象といたしましては、先ほど申しましたような法律に一応基準を決めておるわけでございます。生活保護法第六条第二項に規定いたします要保護者あるいはこの要保護者に準じます準要保護者、これが一応保護の対象ということになっておるわけでございます。その際準要保護者につきましては文部省の方の通知である程度範囲を具体的に示しておりまして、たとえば従来生活保護法に基づく保護を受けておりました児童生徒につきまして、その保護の停止や廃止が行われた保護者でございますとか、あるいは地方税法に基づきます市町村民税の非課税の対象になるとかあるいは減免になる対象の家庭、それから保護者の家計が不安定で生活状態が悪いと認められるものというような幾つかの基準を示しておりまして、そのようなことにつきまして保護の就学援助費の対象にいたしておるところでございます。
○米沢委員 あとはその運用でございますから、市町村がある程度の運用によった出したものについては文句を言わずに国が出す、そういうことにしてもらいたいと思います。
 最後になりましたが、いろいろとまだたくさん問題を残しましたけれども、まずは実態調査をしていただいて、一体父子家庭がどういう生活をし、そこの子供さんがどういう生活をしておるかということをわかってもらいますと、少なくとも何らかの対応策をいろいろな面で講じていかなければならぬという結論に達するのは明らかだ、私はこう思うのです。そういう意味で父子福祉法でもつくれという声もたくさんありますけれども、少なくとも母子福祉法等で母子家庭が守られておりますように、でき得る限り父子福祉法等でもつくって、広範な対策をぜひ検討してもらいたい、そう思います。
 最後に一言御答弁いただいて、終わりたいと思います。
○大石政府委員 最初に大臣が答弁したと思いますが、厚生省といたしましても、福祉問題の中でももちろん重要な一つの父子家庭の問題という認識をしておりますので、今後とも、私自身は米沢先生のいろんな御意見とか御質問をきょう初めて承りましたので大変勉強さしていただいているところでございますけれども、厚生省といたしましても、そういう認識の中で、これから施策にあらわしていけるように検討、努力をしていきたいと考えております。
○米沢委員 ありがとうございました。
○山下委員長 次に浦井洋君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本赤十字社衛生部長北村勇君に御出席をいただいております。
 参考人の御意見は質疑応答の形式で承ることといたします。
 浦井洋君。
○浦井委員 北村先生どうも御苦労さんでございます。わざわざ御出席をいただきましてありがとうございます。
 きょうは日赤病院の問題について少し質問をしたいと思うのですが、厚生省の方も、もちろん参考人も御存じのように、日本赤十字社というのは、日本赤十字社法という法律による認可法人で、たくさんの方が社員として社費を納めておられるし、国からも補助金が出ておるというようなかっこうでありますが、日赤の出しておられるパンフレットの中にも、その事業の一つに医療事業があって、「赤十字病院は、地方自治体病院などとともに医療法によって公的医療機関に指定され、地域医療推進の中心となって救急医療、ガン治療など高度の医療によって常に社会的な要請に応じ、先駆的事業を推しすすめています。」ということが書かれておるわけであります。
 明らかに日本赤十字病院というのは公的医療機関であるわけなんですが、公的医療機関である日本赤十字病院に対する国からの指導監督、こういうものはどういう形で行われておるのか、まず政府の方から、ひとつ医務局長でも答えていただきたいと思うのです。
○田中(明)政府委員 赤十字の本社と申しますか、日本赤十字社全体についての指導監督は厚生省は社会局の方でやっておるわけでございますが、日本赤十字社の病院につきましては私ども医務局の方から、先生いま御指摘のありましたように、公的病院の一つといたしまして、がんあるいは小児疾患、難病等の特殊医療、また救急、僻地医療等の不採算医療あるいは看護婦等の医療関係者の養成というようなことを積極的に推進していただくようにお願いいたしておりまして、これらのものにつきましては、それに見合った補助等もいたしておるわけでございます。
 そういう公的医療機関という観点からいろいろお願いいたしておるとともに、そういう性格の病院として十分機能を果たしていただくように、都道府県を通じましていろいろと御指導をしているという立場にあるわけでございます。
○浦井委員 医療法の三十五条ですかに基づいて指導要領がつくられて、それが一つの目安になっておるということですね。
○田中(明)政府委員 そのとおりでございます。
○浦井委員 それを言うてほしかったわけです。
 それから、今度は参考人にお尋ねをしたいのですが、日赤本社とそれから赤十字病院との関係、その指導監督というようなものはどういう形で行われておるのか、ひとつ簡潔にお答えを願いたいと思うのですが。
○北村参考人 北村でございます。
 かぜを引いてちょっと声がかれていますので、その点御了解願いたいと思います。
 最初に、常日ころ赤十字関係、特に病院関係では大変お世話になっております。厚く御礼申し上げます。
 ただいま浦井先生の方からお話がございました件でございますが、赤十字病院は現在全国で九十三病院ございまして、独立採算でやっております。したがって、ある程度の権限は院長に持たせているわけですが、それ以外の大きな方の、次元の高い権限については、本社あるいは支部、支部といっても支部長さんは大体各県の知事さんでございますが、その方にお願いしておる、こういう状態でございます。
 抽象的でございますが、そういうふうにお答えいたします。
○浦井委員 どうもありがとうございました。
 そこで、私きょうここで取り上げたいのは、その日赤傘下の一つの医療機関である姫路日赤、姫路の赤十字病院、この病院の運営がかなり不正常になっているという事実がある。
 そこで、もう時間が余りないので具体的な問題に入りたいと思うのですが、まず第一に研修会の問題なんですね。この病院では、資料もいただいたのですけれども、他の赤十字病院に比べて、一般教養の研修会がかなり頻回に、しかも多額の予算を投入をして行われておる。これは後で明らかにしたいのですけれども、その研修の費用の支払いが特定の人のところに集中しておるという疑いがあるわけなんです。
 北村参考人にお伺いをしたいのですが、姫路日赤の研修会、これは技術研修等を除きまして一般教養の研修会ですが、五十一年度から五十五年度まで何回ぐらい行われて、延べ何人ぐらい参加したのか、もしわかれば簡単にお教え願いたいのですが。
○北村参考人 ただいま御指摘のありましたように、姫路赤十字病院の研修が過度じゃないか、オーバーじゃないかというお話なんですが、実はこの病院は、五十年から五十二年の初めまで、ある問題で大きな争議がございました。もうにっちもさっちもいかないような大きな争議がございまして、それがようやくおさまりかかったのは五十二年の初めでございます。
 それで、よく見ますというと、管理者もそれから従業員もともにやはり自覚が足りない。要するにもう少し勉強してもらいたい、病院勤務者としての勉強が足りないというようなことから、五十二年度に入りましてから、五十二年の四月以降ですが、できるだけいい研修会があったら、病院の経済が許す範囲内において研修を受けるようにということを私自身が口頭で指導したわけでございます。
 その結果と見るかどうかわかりませんけれども、五十二年、五十三年、五十四年というふうに、ある程度金額も張るような、それから人員も多いような研修に参加させたわけであります。五十五年が大体もう限度が来まして、限度というのは、ある程度めどがつきましたので、五十五年度は人員も研修に対する費用も減少してまいりました。五十六年度の予算では、さらにこれが減少する予定でございます。したがって、若干目立つかもしれませんけれども、この病院の体制づくりからは当然あるべき研修ではなかったかというふうに考えられます。
○浦井委員 私は数をちょっとお伺いをしたのです、回数とそれから参加人員と。いただいた資料を私集計してみますから・−…。
○北村参考人 それでは申し上げます。五十二年度の資料しか持ってまいりませんので、五十二年度以降を申し上げます。
 五十二年度は、人員は百六十人でございます。それで金額は百六十八万ほどです。五十三年度が、三百五十九人、金額は六百五十二万。五十四年度は、三百十人、五百九十九万。それから五十五年度は、百二十七人、三百五十八万というふうに、さっき申し上げたように、五十五年度以降少しずつ下がってきています。五十六年度はこれからですから予測は許しませんけれども、病院の観察ではもっと下がるはずだ、こういう報告を受けております。
○浦井委員 そういたしますと、どこでもいいのですけれども、日赤病院、事業所が全国に二百カ所ほどあるわけなんで、私は日赤の方に、たとえば東京の日赤医療センター、それから大阪日赤、名古屋の第一日赤、こういうところの一般教養の研修の状況はどうかというふうにお願いをしておるのですが、簡単にひとつその三病院での状況はどうかということをお答え願いたい。
○北村参考人 先生、はなはだ恐れ入りますが、部内の、部内というのは病院内の研修、それについてははっきりとデータが出ているわけです、姫路じゃなくて、医療センターとか名古屋第一とか大阪とかいまのお話の病院については。ところが、部外の方、外へ行って研修を受ける、それはちょっと資料が間に合いかねまして持ってまいりません。はなはだどうも申しわけないのですが、部外の方はいまのところわかりません。
○浦井委員 日赤本社に調べていただいて私が見たところでは、大体その三病院とも、新入職員のオリエンテーションで年に一回ないし二回ぐらい、一泊ぐらいで、日赤精神とはとか、この病院はどうかとか、いろいろな人間関係の問題とか、そういうことをやっておられる。その費用は、新入社員が全部集まってやっても、場所にもよるでしょうけれども、大体トータルで五万か六万ぐらいだというふうに聞いておるのですが、それで間違いないですか。
○北村参考人 そのとおりでございます。
 ただし、いまのは部内のオリエンテーション、新入生と同じように新入社員のオリエンテーションでございます。そのほかに部内でもいろいろの研修があります。それはこの先生に差し上げたデータの中にはないのでございます。だから、それをまとめたり――外へ行ってどういうふうに研修するか。たとえば医師の場合、御承知のように学会へどんどん出ていきます、それも一つの研修でございます。
○浦井委員 私が言っているのは、医師とかあるいは薬剤師とか看護婦さんとかそういう方の技術研修は除くというふうに言っているわけなんですがね。
 それは大体わかりました。
 そこで、姫路日赤の場合に、先ほど私が言いました大阪や東京や名古屋では、一回の研修がトータルで五万か六万ぐらいになっておるわけです。ところが、先ほど北村参考人が言われたように、姫路日赤では、一人平均をいたしますと費用が一人について約二万円ぐらいかかっておる。いただいた資料を見るど、一泊で一人当たり四万円とかあるいは六万円というような高い費用がかかっておる。これは先ほど北村参考人がいろいろと特殊な事情によるのだと言われたにしては、それにしても他の病院に比べて単価が高過ぎるのではないかというふうに思うのですが、簡単にお答えを願いたいと思うのです。
○北村参考人 お答えになるかどうかわかりませんが、確かに算術計算でやりますと、姫路の場合はそういうふうになります。しかし、その研修の内容等を十分観察してみないと何とも言えないのです。たとえば一泊でやった場合には夜の研修もあるわけでございます。したがって、そういう面の費用がどうなるか、そういうところまで追求しないとわかりません。
 ただ、この研修のことは各病院の院長に任してございます。本社はこれについては余りタッチしておりません。ただ本社主催でやる技術方面の研修は、本社の責任ですから全部本社の方でタッチしている。これは各病院にお任せしておる。病院の方の研修の状態は姫路の場合に取り寄せて今度初めてわかったのですけれども、高い低いの理由はちょっとここで簡単には言えないのじゃないかという気がするのです。私も医者ですから余り計算の方は得意でありません。どうぞよろしく。
○浦井委員 もらった資料が必ずしも正確ではないのですね。私ここに姫路日赤の院内で発行された、看護部婦長会というところが発行した「気づきへの道のり」、研修を三年受けて、その模様とか感想が全部ここに書かれておるわけなのです。その中の研修の概要というところをいただいた資料と比べでみましても、いただいた資料は研修の回数が大分抜けておるわけなのです。これを指摘しておきたいと思うのです。
 それともう一つ、先ほども申し上げましたけれども、重大な問題はやはり金額の問題だろうというふうに私は思うわけなのです。そこでちょっと聞きたいのですが、これもお願いしておったのですが、日赤病院などでは研修会の予算というのはどういう項目から支出をされておるわけなのですか。
○北村参考人 お答えいたします。
 病院費用の医業費用の中で研究研修費という項目がございます。ここから支出をしております。
○浦井委員 五十年度から五十六年の予算まで予算書、決算書をきのう夜遅くいただいたわけなのですが、これをずっと数字をとって調べてみますと、いま言われた研究研修費というのは五十年度の決算で四百五十六万円、五十一年度の決算で五百五十四万円、まあ普通といいますか、それまでと余り変わらないような額なのです。ところが五十二年になると、当初予算が五百八十万円であるけれども、決算の際には予備費が大量に流用されて、決算では千七百九万円になっておる。それからずっとふえまして、五十三年度決算が二千六百二十三万円、五十四年度が二千四百六十一万円、非常に異常なふえ方になっておるわけなのです。
 これは日赤の方から聞いたのですけれども、御承知のように研究研修費というのは、その内容は図書費、旅費、雑費、こういうものから構成されておるそうでありますけれども、このいただいた予算書、決算書から分析をいたしますと、平年度で姫路日赤の場合、図書費と旅費とを合わせますと大体四百万から六百九十万ぐらいでコンスタントであるわけなのですよ。だから二千数百万円というようなかっこうに伸びた原因は、図書費やら旅費が伸びたのではなしに、雑費が非常に大幅に伸びておるというふうに考えざるを得ないわけなのです。
 雑費は一体何に使われたのか、ちょっと簡単に伺います。
○北村参考人 お答えいたします。
 その雑費について追求して調べてくる予定でございましたけれども、まだつかんでおりません。残念ながらきょう先生のところでぱちっとお答えするだけのデータを持っていないので、その後においてまた御報告申し上げたい、お話し申し上げたいと思っています。雑費の内容を詳しく分析したのを持っておりませんので、恐れ入りますが……。
○浦井委員 大体先ほど私がずっとお話ししましたように、研修会の費用というのは研究研修費の項目から出ておる。そうして図書費、旅費というのは大体もう例年同じように使われるわけですから、まず雑費が、しかも五十二年度から急激にふえておるというわけですから、これが研修会の費用に支出をされたのではないかというのは大体予測されるわけなのですが、そう理解してよろしいですか。
○北村参考人 先ほど申し上げたように、姫路では五十年から五十二年の初めまで労使紛争が非常に激しかったというようなことから、職員の研修ということに重きを置こうということで叱咤激励して、いろいろ金もかかったのでございますが、ここまでようやく持ってきたというのが実情でございます。したがって、その雑費が何々がどうしたというところまでこちらがまだ把握しておりませんので、ちょっと何とも申し上げかねますが、少なくともトータルの研修費というものが五十五年度あたりから若干ダウンしてきておるというかっこうをとりつつあるということだけはお答えできると思います。(浦井委員「不規則発言があってわかりにくなったので、もう一遍ちょっと言ってください」と呼ぶ)五十二年の初めまでは争議がありまして、これではいかぬ、管理者も職員も一生懸命になって病院のために働くような研修をやろうじゃないか、これが研修を盛んにした始まりなのです。それがだあっときてある程度よくなってきて、五十五年度になったらば大体飽和状態になって研修費が下がってきておる、人員も下がってきておる、こういう状態でございます。
 だから、そういう意味からいって、この病院の特殊の事情によってこうなったのですから、そう気にされる必要はないのではないかという気が、ただし、その雑費の内容を十分把握してからでないと先生にお話し申し上げてどうだというわけにいかぬので、その点はどうも残念ですが、ひとつ御了解願いたい、こういうことです。
○浦井委員 私はこの雑費というところが研修会の費用として支出をされている、それしか考えようがないわけですね。これは後で御報告いただきたいと思うのです。
 今度はその雑費を一番支出の高い五十二年、五十三年、五十四年合計してみますと、ざっと四千九百万円になるわけですね。五十一年、五十二年の傾向から推計して五十二年、五十三年、五十四年の三年間で、図書費、旅費などは大体いままでのような伸び方として合計三百万円ぐらいだとすれば、四千五百万から四千六百万ぐらいが大体この研修会の費用ではないかというふうに私は推計をしておるわけなのです。
 ところが、日赤本社からいただいた部外研修会参加状況という資料をトータルしてみますと、先ほどちょっと言われたのですけれども、研修会の費用というのはほぼ千七百万円ということです。私たちがいろいろ証拠をつかんでおるのに比べても、人数も少ないし、金額も低い。私は大体四千万ぐらいは五十二年度から五十五年度まで研修会の費用として支出されただろうというふうに推定をしておるわけなんです。だから、この雑費のいま言うた四千五百万とか四千六百万というのはほぼそれに照応すると理解をしておるわけなんです。
 それはそれとして、この研修会、もちろんどこかに頼むわけですから、対価は支払わなければならぬ。その対価、費用は一体どこへ振り込んでおられるわけですか。
○北村参考人 お答えいたします。
 私も実情をよくわかりませんですが、研修会ですから、研修の宣伝ですとか募集が来るわけです。それを病院当局が内容を十分検討した結果、ではだれをどのくらい出そうということになると思います。これは研修会の出し方ですが……(浦井委員「その話はいいですから、どこへ振り込んでおられるか」と呼ぶ)私もこれまた病院から聞いてきただけでお答えするわけですが、近畿カウンセリングセンターというのが一番回数が多いようです。それと、もう一つは経営管理研究所が回数が多いと思います。あるいは行ったあれが多いと思います。それは向こうの指定のところへお送りしてあります。これについては国税局の方で調べられて、赤十字病院も調べられたようですが、全部間違いなしにちゃんとやっておるという返答をいただいております。
○浦井委員 そうすると、その一つの経営管理研究所の住所やら代表者やら電話番号やら業務内容、それはわかりますか、お願いしておったのですが。
○北村参考人 住所は、神戸市灘区桜口町一の二、代表者小林金次郎さんです。
○浦井委員 私がお尋ねしたのは、一体電話番号があるのか、業務内容はどうなのか、こういうことまでお尋ねしたのですが、お調べになっておらないようですから、間に合わなかったようですから、私の方から私が調べたことを申し上げたいと思う。
 私どもが調べたところによりますと、この経営管理研究所というのは、いま言われた住所に確かに小林金次郎という税理士の方が住んでおられる。しかし、近所の人に二、三聞いてみたり、街角にある交番で、経営管理研究所というのがあるのかと聞いても、全然そんなものはない。看板もないし、普通のしもた屋である。経営管理研究所という名前で電話もないわけですね。
 しかも、もう一つ私ここで指摘しておきたい。この小林金次郎という方は、後で出ます清水増三という方が現在常務理事をやっておるところの大阪の暁明館病院の理事をやっておる、こういうつながりであるわけです。そして、この経営管理研究所は、銀行口座として住友銀行三宮支店に普通口座で三四七三二九というのを設けておる、こういうことがわかった。
 それではお尋ねしますけれども、もう一つの近畿カウンセリングセンターは一体どこにありまして、電話があるのかないのか、代表者はどなたで、業務内容はどんなので、そして一体法人なのか個人なのか、それをお答え願いたい。
○北村参考人 近畿カウンセリングセンターは、住所は大阪市北区末広町十七、代表者は小野友弘と書いてございます。(浦井委員「電話は」と呼ぶ)恐れ入ります。電話は調べてこないようでございます。
○浦井委員 ないんですよ。これも私調べてみましたら、北区の末広町というところのこの住所には、さっき言いました清水増三という人が所長をしておる株式会社人事問題研究所というものがあるわけなんです。電話は全くない。代表者であるといま言われた小野友弘という方は、姫路日赤の労務課長心得の堀内という方の義兄であるわけなんです。そして、現在は姫路にあります三輪貨物という運送会社に勤務をしておられるわけなんです。お答えにならなかったですけれども、法人登記もしておらないからもちろん個人だろうというふうに思うのです。しかし、銀行の口座だけは普通口座を太陽神戸銀行の梅田支店に一二四八三六一というものを持っておられる、こういうふうに私どもは調べてきたわけなんです。
 だから、こういうことから言いますと、近畿カウンセリングセンターというのは実体がない。実際は、だれが見ても清水増三氏が主宰をしておる株式会社人事問題研究所、これがそのものであって、その中心に清水という人物が座っておるということはきわめて明らかだと私は思う。さらに言うならば、先ほど言うた経営管理研究所もどうも清水氏のファミリーの一つに違いないという確証を握っておるわけなんです。しかも、先ほどお見せいたしましたが、これは姫路日赤の中で発行されておる看護部婦長会の「気づきへの道のり」、これは言うたら総括文書ですね、三年間の婦長研修の。写真もずっと載っておりまして、巻頭に「研修を終えて」ということで、人間開発研究所所長清水増三、この方が文章を載せておられる。そして、婦長研修の御相談を院長先生から受けたとき私の脳裏を駆けめぐった思いは、できるだろうかの一言に尽きます云々というような文章を書かれておるわけなんです。だから私が言いたいのは、近畿カウンセリングセンターとか経営管理研究所、それからまた、ここに新しく人間開発研究所所長、いろいろな名前が出てきました一連のけったいな組織があるわけなんです。しかし、その元締めとして浮かび上がってくるのは、やはりこの清水増三氏ではないかというふうに私は判断をいたしておるわけなんです。
 そこで、先ほど申し上げましたように、大阪の国税局は調べられたかもわかりませんけれども、そういう実体のない組織の口座に研修会の費用が振り込まれておるということになりますと、これは厚生大臣なり参考人にお聞きしたいのですが、果たして日赤と日赤病院という公的医療機関としてそういうようなことをしてもよろしいのでしょうかという本源的な疑問を私は感ずるわけなんです。
 大臣、途中から入ってこられてお答えになりにくいかもわかりませんが、どうでしょうか。
○園田国務大臣 十分のみ込めないところもありますが、いま聞いただけでも非常に不可解な問題であって、日赤は私どもの指導監督下にありませんけれども、日赤の経緯、それから日赤の費用の出どころ、こういうところから見て、公的機関でありしかも医療の中核になるべきところでありますから、これは十分検討すべきことだと考えます。
○浦井委員 大蔵省国税庁来ておられますか。――いま小野友弘とか小林金次郎という固有名詞が、名前が出てまいりました。この人が姫路日赤から研修会の費用を受け取っておれば当然課税対象になるわけですね。しかし実際は、われわれが調べてみますと、名儀が使われておるだけであって、清水増三という人物が、いま申し上げたようないろいろなからくりを利用して研修会の費用を実際上は受け取って、しかも、こういう実体のない組織の口座ですから脱税の疑いが非常に濃いわけなんであります。国税庁としては早速調査すべきではないかと思うのですが、どうですか。
○四元説明員 お答え申し上げます。
 事柄の性質上、特定の個別事案について税務調査をするとかしないとかをこうした場で事前に申し上げるというのはちょっと御勘弁いただきたいのでございますが、一般的な私どもの税務処理から申し上げますと、各税務署におきまして申告内容を検討いたしまして、何か問題があるという点が見受けられる場合には、緊要度等を勘案いたしまして税務調査の対象を選んでいくということに相なります。先生御指摘の点も今後の申告内容の検討に当たりまして十分参考にさせていただく、かようなことになろうかと考えております。
○浦井委員 大蔵省、これ一問だけですからこれで結構です。
 そこで大臣に、大分資料をお読みいただいたかとも思うのですけれども、要するに清水増三という人が中心になって、そして病院の院長なども一緒になりながら、労使紛争があったりしたことを活用を上手にしながら、そこで研修会をやってほかの病院に比べて多額の研修会費用を受け取って、それを実態のない組織、言うたら隠し口座みたいなものに振り込ませて自分のポッポに入れているというような、公的病院におけるただならぬ状態は、ほうっておけぬというふうに私は思うわけです。
 ところが、いろいろ調べてみますと、それだけではないわけなんです。
 私、ここに姫路日赤の五十二年度の資料を持ってきたわけですが、これによりますと五十三年の六月に日赤本社の監査が姫路日赤に対して行われた。その中で適正な工事契約に必要な対抗見積もり、相見積もりがないということが指摘されて、その工事の内容が列挙された資料がここにあるわけです。これを見ますと、業者の名前も書いてあるわけなんですけれども、下村とかあるいは大島とかいう名前がほとんどなんです。これを調べてみますと、下村というのは名古屋下村商店株式会社でありますが、大島というのは大島電気工事、こういう企業であるわけです。この五十二年度約九カ月間のトータルをしてみますと、名古屋下村商店というのはこの間四千九百七十七万円、二十件の工事を請け負っておる。大島電気工事というのは三件ではありますけれども六百十万という工事を請け負っておるわけなんです。
 ところが、ずっと役員名簿を調べてみますと、この二つの会社に、先ほどから申し上げております清水増三という人物が取締役として名を連ねておるわけなんです。こうなってまいりますと、まさに研修会だけでなしに工事でもそこに食い入って、上手に甘い汁を吸っておるという疑いが非常に強くなってくるわけなんです。いろいろ調べてみますと、この清水増三氏は五十四年に名古屋の下村商店の役員をやめておるわけなんです。だから、その途端に下村商店は姫路日赤に出入り差しとめというような、きわめて信賞必罰といいますか、はっきりした態度がとられておるわけなんです。
 さらにもう一つ資料があるのですけれども、「競争入札参加業者格付計算表」、これはどこでもあるわけなんですが、この内容を見ますと、落札をしておる企業というのは、実態を大きく上回っていろいろな点で水増しをしてそれでランクづけされておるという事実が判明をしておる。先ほど申し上げました大島電気工事というのは、実際は従業員が七人しかおらないのに四十四人に水増ししておる、それから営業年数も十年であるのに十三年というふうにして、資格がないのに仕事を実際上とっておるというようなかっこうであります。
 そういうようなことが、時間がないのでちょっとはしょりますけれども、続々と判明をしてきて、おるわけなんです。名古屋の下村商店というのは、きょういただいた資料を見ましてもわかりますように、確かに建設業者として仕事は請け負っておるけれども、ほとんど全部を下請業者に回しておる、自分のところは何にもしておらぬ。塗装が主な仕事でありますけれども、それは東和通商と富士広告社という二社に全部やらしておる。これは下手をしたら建設業法違反になる、その疑いが非常に強いわけなんです。そういう状態が出てきたわけなんです。
 そこで、おかしいと思いまして清水増三という人物を私ども調べてみました。そうしますと、三年前に同僚の川本委員が当委員会でもこの病院の労使問題を取り上げられたわけなんですけれども、五十二年の姫路日赤の労使紛争のときに、当時の副院長であり現在の院長である人に清水増三氏が取り入って、そして労働組合を分裂させ、その中でいろいろなかっこうで子飼いを育てて、いままで申し上げたような利権をあさる仕組みをつくり上げていったということがだんだんとわかってきたわけであります。
 しかも大臣によく注意していただきたいのは、いま彼を初め彼のファミリーは五十三年から五十四年にかけて、大体姫路日赤はもうとるべきものはとったし、これからもとれるような仕組みをつくったということで漸次手抜きをしていって、そして問題のあるような病院、たとえば彼らはいま大阪市の此花区の社会福祉法人である暁明館病院に行動をずっと移していっておる。そしてすでにこの清水増三という人物はその社会福祉法人暁明館病院の常務理事になって、先ほど申し上げた口座の小林という男はそこの理事になっておるわけです。ここでも同じように利権あさりをやったり組合つぶしをやったりというようなことをやっておるわけであります。
 これで果たして、こんなことをほっといて公的病院の赤十字病院として役割りが果たせるのかということを私は非常に憂うるわけでありますが、この点についてひとつ大臣の方から御意見を承りたいと思う。
○園田国務大臣 いろいろ数々のことを承ったわけでありますが、日赤の院長からの事情聴取によると、これを一々否定してございます。
 そこで、私はいま聞いてどちらがどうかわかりませんので軽率にこれに対する意見を言うわけにはまいりませんが、特に厚生省と日赤の関係は私が取り締まる立場にございませんし、特に日赤が他の第三者とやったことについては、これは日赤の性格上十分疑惑を受けないようにすべきではあるけれども、私が御質問を受けてお答えすべき立場ではないと存じます。
○浦井委員 北村参考人にお尋ねをしたいのですけれども、いままで私が申し上げたような事情は御存じですか。
○北村参考人 はなはだどうも恐れ入りますが、三万五千人の職員を抱えておりますので、なかなかそこまで手が届かない。したがって、これはやはり現地の支部、特に知事さんを支部長とした支部でよくめんどうを見てもらわなくちゃならぬわけですが、ただ、お話がございましたのでいろいろ聞いてみました。ところがどうもまだぱっとしない。ぱっとしないというのはどうも合点のいかないこともあります。したがって、今後は先生の御指導、御援助も幾つも仰ぎますけれども、これは大変なことになりますから厳重にチェックしてやっていきたい、こういうふうに思っております。
○浦井委員 五十三年の六月の監査、これは定期監査で、ここではどんな結果が出たわけですか。
○北村参考人 うちの監査は、九十三ございますので順番でやっていくと何年かかってできるかということになりますので、要所、要所をチェックしていく関係の監査でございます。五十三年は、そろそろある程度病院がこういうふうになってきておるということから、その内容検討という意味で監査をやったわけです。御承知のように、ここで申し上げるのはどうかと思いますが、決算状況では五十年度は二千六百万の赤字、それから五十一年度は一億一千三百万の赤字、五十二年度は一億三千七百万の赤字です。そして五十三年度が三千六百万、五十四年度が二千六百万、ようやく息をついてきております。これはやはり職員が一体になってがんばっておる関係だと思います。したがってそういう点からいくとまあまあやってきているのではないかというふうに思われるわけでございます。
 しかし、いろいろな問題があると思いますので、その点は十分今後本社の立場でいろいろ勉強させていただきたいと思います。
○浦井委員 それは赤字になるより黒字になった方がよいと思いますよ。しかし片一方でこういうような問題をはらみながら帳簿上は黒字になって、それでよいというようなことは私は絶対に言えないと思うわけです。
 だから日赤として、私一つ要望したいのですけれども、これからは厳重にチェックしていきたいということなんですが、特別業務監査というような制度があるそうですが、こういうことも必要ではないかと思うのですが、どうですか。
○北村参考人 特別業務監査というのは必要に応じてその病院にやって、それで必要ならば毎月一回とか半年に一回とかいうこともやれるわけなのでございます。ここで疑問点を先生から投げられたこともありますので十分やってみたいと思います。ただ、やはり病院というのは非常に努力してようやくここに持ってきたわけですから、その点の病院の努力も考えてもらって、ひとつしりをたたくことをやっていただきたいと思います。
○浦井委員 それはいまでも、結局労働組合の方は数も少なくなって非組合員がふえていって、これは総評加盟でありますけれども、非常に差別を受けておられる。そういうかっこうがありながら、一方で赤字が黒字になった、片一方ではその裏ではこういうような数々の疑惑がある。私、やはり特別業務監査をやるべきだと思う。
○北村参考人 帰りまして上司とも相談いたしまして、十分善処いたしたいと思います。
○浦井委員 時間が参りましたからやめますけれども、きょうは公的病院の一つである赤十字病院を取り上げてみたわけなんです。たまたま私の方にいろいろ連絡をする方々がありまして、その方々と一緒に調査をしたらこういう数々の疑惑が浮かんできた。そういう点で大臣としてこういう問題にも重大な関心を払いながら、その病院が地域医療の任務を十分果たしていけるような、そういう指導をやっていただきたいと思うのですが、最後に大臣に聞いておきます。
○園田国務大臣 御意見は十分承りました。
○浦井委員 終わります。
○山下委員長 北村参考人には、大変お忙しい中、御苦労さまでございました。御退席願って結構でございます。
 次に、石原健太郎君。
    〔委員長退席、戸沢委員長代理着席〕
○石原(健)委員 ベビーホテルに関連してお尋ねするのでありますけれども、現行制度のもとで、いま三歳と一歳の子を持つ単身の健康な母親あるいは父親に対しましてはどのような経済的援助措置がとられるか、お聞かせください。
○金田(一)政府委員 ただいま先生のお尋ねの件でございますか、まことに恐縮でございますが、三歳と一歳の児童を抱えた通常の家庭でございますか。
○石原(健)委員 母子とか父子家庭でしかも働く能力のある親の場合です。
○金田(一)政府委員 そういった家庭につきましては、その児童の母親が働いておりますような場合はその児童は福祉に欠けているということで保育所に措置する等の対策を現実にとっているわけでございます。
○石原(健)委員 働いてない場合はどうなりますか。健康で、育児に専念したいから働きたくないというような場合には、どのような方策がとられましょうか。
○金田(一)政府委員 働いてない場合でございますが、その場合その児童がどのような意味において福祉に欠けているかということによりまして、
 一般的に申しますと母親が家庭におります場合保育所等の措置は要らないわけでございますが、その場合におきましても、たとえばその家庭の事情によりまして年金が出る場合、あるいは児童扶養手当が出る場合と、いろいろ所得保障対策も現に行っているわけでございます。
○石原(健)委員 民法の八百二十条では「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」とあるわけなんであります。私もまた、乳幼児を持つような親はこの法の趣旨を尊重して育児を仕事よりも優先すべきではないかと考えますけれども、厚生省としてはその辺どういうふうにお考えでしょうか。
○金田(一)政府委員 理想といたしましては、特に零歳児、乳児の場合におきましては家庭において母親のもとで育てられるのが最もよろしいかと存じます。
○石原(健)委員 最近ベビーホテルがずいぶん増加しているということで厚生省はその実態調査をされているようでありますけれども、なぜ親権者がそういうところに子供を預けるかという理由も調査しておられますか。
○金田(一)政府委員 昨年暮れにベビーホテルの実態調査を初めて実施いたしたわけでございますが、その際におきましては施設の状況、衛生面、安全面等の状況を中心として調査をいたしたわけでございます。また今月七日からベビーホテルの一斉点検を実施いたしております。これは消防関係と共同してやっているわけでございますが、この場合におきましてもやはり衛生面、安全面等を中心にやっております。これはいわば緊急の措置というようなことでございまして、またこの対策が終わりました後におきましてそういった需要等について調査をしてみたいと思っております。
○石原(健)委員 法の趣旨から言いまして、また先ほど局長さんお答えいたしましたとおり、幼児は母親の手元で育つのが一番理想だ、そういうことなんでありますけれども、子供をベビーホテルのようなところに預ける、そういう原因とか理由を調査しなければ、そういう理想の方向に向かっての問題解決をすることはなかなかできないと思うのであります。
 それで一部のそういう経営者だとは思うのですけれども、ベビーホテルということでそういった育児までも営利の対象にしようとしている人もいるようであります。また、もしいまここで厚生省がベビーホテルの基準をつくりあるいは助成等考えますならば、それはオーソライズすることにつながる、ひいては子供をベビーホテルに預けて親は勤めに一生懸命力を入れる、こういう風潮を助長することになりかねない、きっとそうなると思うのでありますけれども、いかがお考えでしょうか。
○金田(一)政府委員 ベビーホテルに預けられております理由につきましてはいろいろあろうかと思いますが、私ども正確に調査したわけではございませんが、関係者等から聞いたところによりますと、どうしても婦人の職場進出に伴いまして、夜間の仕事が多くなり、保育所の育児の時間が八時間労働を中心といたしまして前後三十分ないし一時間程度でございますので、もっとこれを延長してほしいという希望が大都市等にたくさんございます。もう少し延長してもらえば保育所の方へ来られるということもございますので、そういったことを踏まえまして、保育時間の延長なり夜間保育なりあるいは乳児保育の拡大なり、そういったことをただいま検討しているわけでございます。
○石原(健)委員 私はやはりこういった問題の根本解決には、少なくとも乳飲み子、乳幼児を持つ母親に対しては、あるいは父親に対しては、育児に専念できるような社会的体制をつくっていく方向で努力をすべきなのではないか、そう考えるのです。そういった母子家庭とか父子家庭に対しまして、育児ということを理由として生活保護とかあるいは生活扶助を考えてもよいのではないかと思うのであります。その方がベビーホテルを認知してそういったことにお金をかけるということよりは、将来健全な社会を築く上でかえって大きな力を発揮するのじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 いまの問題、大事な問題でありますから、私から一言主意見を申させていただきます。
 ベビーホテルが急増をしたという現象は、アメリカでもニクソンの時代にあったことであります。そこで、当時アメリカの政府はこのベビーホテルの改善、助成等に重点を置いて、その結果は、子供の育て方ということについて逆効果にいって非常に失敗したように私は見ておるわけです。
 そこで、私はこの問題について、いろいろな痛ましい事件がいっぱいございますから、あわてて調査をして、立入検査とか改善をやっておりますが、このただいまのベビーホテルというものを助成して育てていくべきではない。第一には、やはり母乳で母親がそばにおって育てる、こういうことが一番大事でありまして、愛知大学の教授が「母原病」などという本を出しておりますが、これを拝見をすると、母乳じゃない、母親と子供が一緒にいないというわけで、そのひずみが心身形成、人間形成に非常なゆがみを来しておる。子供のぜんそくあるいは神経系統、こういう病気は全部それからきておる。今日の家庭暴力もそういうことからきておるということでありますから、先生のおっしゃるとおり、第一はやはり母親がなるべく子供と一緒におれるような、特に乳児の場合にはそうでありまして、そのためには育児休暇であるとか社会環境をつくることが大事。
 しかし、当面いろいろ問題が起きておりますから、そのとりあえずの問題は、厚生省のいままで持っております育児院、乳児院、こういうものは一方は政府が助成をしてやったものであります、認可してやったものでありますから、かっこうは整っているわけでありますが、それは危険とか設備とかという問題であって、やはり子供さんや乳幼児を品物みたいに扱うという気持ちがあったらこれは大変な問題でありまして、そこまではいかぬけれどもお母さんのかわりにいたします、こういうことが一番大事であると思います。
 もう一つは、手続とか入所の条件等が余りにうるさい。お役所みたいに朝の九時から夜の五時まで、こういうことですから仕方なしに乳幼児をベビーホテルにどんどん預けるわけでありますから、とりあえずは制度の改正よりも何よりも先に、いまあるものを融通をつけて、そして国民の方の要望、議員の方々の御意見に従ってやることは、少し度が過ぎてもこれは許されると思います。幅を広げてとりあえずの問題でやるべきだ、それで長期についてはいろいろ制度を改正して完全なものをつくっていくべきだ、このように考えております。
○石原(健)委員 その方向でのなお一層の御尽力をよろしくお願いいたします。
 次に、関連して労働省の方にお尋ねしたいのでありますけれども、労働基準法で定められている産後の育児休暇というのが現在六週間だったと思うのであります。これではちょっと短過ぎるのではないか。これもまたベビーホテルの繁栄をもたらす原因の一つになっているような気もするのでありますけれども、この延長についての検討というようなことはされておられますか。
○佐藤説明員 申し上げます。
 いまのお尋ねの、女子の雇用労働者の産前産後の休業期間につきましては、母体の保護という観点から、労働基準法によりまして産前産後の六週間というものが認められているわけでございます。
 母性保護のあり方につきましては、労働基準法研究会報告におきまして、産後休業期間を八週間とする方向で検討するようにということと、母子保健法に定める受診時間の確保を労働基準法において規定するというような面で充実を図っていくようにという御提言をいただいているわけでございますが、これにつきましては今後、関係審議会での審議が行われておりますので、その結果を十分に踏まえて婦人労働法制全体のあり方の中で検討してまいりたいというふうに思っております。
○石原(健)委員 看護婦さんであるとか先生、あるいは電電公社の女子の職員の方などは、相当長い育児休暇というものがすでに制度化されているようでありますので、一般にも八週間なんて、たった二週間ばかりのあれではなくて、もう少しこの期間というものが長引くようになお一層御努力いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、私立大学医学部の、成績に余り関係しない縁故入学とか、入学者の七割程度が医者の子弟と言われております。先ほどの御説明にもありましたが、最高三千万円もの多額の寄付金。この寄付金の大半は、結局はお医者さんの子弟が多いわけですから、国民が納付している保険料とか税金で賄われておるわけであります。そのあげく、私立大学の一部の国家試験の合格率というものは、愛知医科大学では五十五年の春が六四・四%、金沢医大が六四・九%、獨協医大では六四・〇%というようなことになっておるわけであります。なおまた、文部省の方からは四百五十三億円にも上る補助金がこれら私立大学の医学部に交付されている。
 医者になるための第一関門は医学部に進学するということなんでありますけれども、とにかく私立の場合は縁故とか寄付金が大きな入学の要件になっているようであります。入学の門戸が大変狭い、医者になるための機会がはなはだ不平等である、このような状況を、将来卒業してから医者になるそのお医者さんをいろいろ試験したりする立場の厚生省としてはどのようにお考えになっておりますか。
○園田国務大臣 いま厚生大臣として一番胸を痛めている問題は医の倫理、国民の方々が医療に対する信頼を失ったということであります。それがお医者さんになる入り口からお金や情実で、はいれるということでは、とうてい国民の信頼をつなぐわけにはまいりません。私の所管ではございますが、文部省にもお願いをして、これは早急に是正してもらいたい。
 もう一つ問題があります。医者としての素質を備えたりっぱな学生や青年が、金がないとかというために、あるいはコネがないために医者になる道をふさがれるということは、これまた非常に大きな問題でありますから、文部省ともよく相談をいたしたいと存じます。
○石原(健)委員 いま大臣も触れられましたけれども、昭和四十二年から四十六年に医学部に入学した人たちは四十八年から五十二年にかけて医師の国家試験を受けたのでありますけれども、この総計との差を見ますと、五年間で二千人の人がふるい落とされているわけなんですね。すると、毎年約四百三十人なんです。この人たちは結局、入って一、二年でやめた方もありましょうが、卒業するまでいた人たちもいるかもしれません。こういう人の努力がふいになっている。またこういう方が入らないで、いまおっしゃられた有能な方が入っておられればお医者さんがそれだけよけいに養成されていたというような結果になるわけなんでありますけれども、お医者さんというものは大変公共性の強い職業であります。
 そういったことから、お医者さんの卵である医学生になる前に、文部省は私立大学の場合は建学の精神を尊重したいとか自主性を尊重したいということでなかなか手がつかないようでありますので、厚生省の方として、卒業する前にやる医師の国家試験とは別個に予備的な試験というものを考えてみるお考えはないかどうか、お尋ねいたします。
○田中(明)政府委員 医科大学に入学するための試験は文部省がおやりになっているわけでございますし、それから卒業するまで学校によっていろいろな形態があるようですが、卒業するまでの試験も文部省の所管になっております。ただ、外国の例を見ますと、先生いま御指摘のように途中で脱落をしていく生徒の数というのは、これはどこの国でもかなり多いんですが、なるべくむだを省くというような観点もございまして、ドイツ等では中間に一回国家試験をやる、また卒業のときに一遍やる、出てからインターンを終わった後でやるというような方法を採用することになっているようでございますので、われわれといたしましても、文部省と検討いたしまして、いい医者がむだのないような形で養成されるような方策を講じてまいりたいというふうに思っております。
○石原(健)委員 続いてやはりお医者さんのことなんですけれども、いま全国的に見ました場合、医師の配置というものは適正になされているとお考えでしょうか。それとも余り適正でないというふうにお考えでしょうか。
○田中(明)政府委員 まことに残念でございますが、これも言いわけになるかと思いますが、わが国だけではなく、やはり都会部に医者は集中しやすい、郡部といいますか、不便な農山村には医者がなかなか得られないというような地域の格差が見られているというふうに考えております。
○石原(健)委員 僻地と都会の比較だけでなくて、特定の県の例を引いて恐縮なんですけれども、福島県の病院の八七%というものが、五十五年度の医療監視結果では、医療法に定める定員を割っているということがわかっておるわけなんです。こういう適正な配置を今後図っていくために、国はどのような施策を講じるお考えか、お聞かせください。
○田中(明)政府委員 福島県は、県全体といたしまして県民単位の医者の数というのが少ない方から十三番目というようなことになっておりまして、県といたしましても医者の数が全体的に低いわけでございますが、先生いま御指摘のような問題がその一環としてあらわれているのではないかと存じておるわけでございます。
 われわれといたしましては、今後、法に定められた数の医師が医療機関に勤務するということはぜひとも守ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますので、医療監視等で発見されました必要な医師数の不足につきましては、十分指導をして個々のケースについて解決を図るとともに、先ほど申しましたような地域の格差というような点につきましても解消するように努力いたしたいと思っております。
○石原(健)委員 指導と申されましたけれども、どこにどのような指導をされるのですか。
○田中(明)政府委員 病院の管理者に対しまして不足の医師数を充足するように、県から指導をしているところでございます。
○園田国務大臣 一言お答えをさせていただきます。
 いま先生の御発言から私の感じますことは、医療に従事する人の数、量と質の問題でございます。量はだんだんふえてきまして、あとしばらくするとヨーロッパ先進国並みに日本でも量が多過ぎるようになるのではないか、こういうことでありますが、これは御承知のとおりに、ふえてきてからあたふたやっても役に立たぬ。私は、そろそろ量についても引き締めていくべきときである、事務当局が考えておるより早く量の多過ぎるということが出てくると考えております。
 そこで偏在ということが問題になりまして、量はそのように必ずしも不足をしてないが、僻地その他にはない。まさに経済のインフレとデフレの現象が一緒に起きておるということで、これはほっておくべき問題でありません。僻地や離島とかあるいは田舎の方にお医者さんが行かない理由は、個々に話しておりますと、待遇やその他よりも、医学というものの技術は日進月歩新しい機械がどんどん出てきておる。そこで田舎に行くとどうもそういうものにおくれていくということが非常に大きな原因のようでございます。
 そこで今般お願いします医療法の改正では、地域医療というものを重点にして、地域ごとにその地域の住民の意向に沿うた医療ができるように、かつまたお医者さんになられた方々が生涯教育でいつでも勉強ができるようにする。それから中核病院をつくってここ外薪しい高い機械を集めて、田舎に行かれても、そこに行って使用する、勉強する、こういう総合的なことが必要であると考えております。
○石原(健)委員 大まかなお話はただいまのことで大体わかったのでありますけれども、現実に山村僻地あるいは豪雪地帯なんかに住んでいるお医者は、技術の習得以外にも薬剤の購入価格等あるいは子弟の教育の問題、いろいろ大きいハンディをしょっておるわけなんですけれども、そういう僻地とか山村のお医者さんに対して現在のところは何か特別な優遇措置といいますか、そういった配慮はなされておりますか。
○田中(明)政府委員 そういうところに行っていただく意思のある学生さんたちに対して奨学金の制度を設けております。
 だだ、先生いま御指摘のとおりに、子弟の教育その他、いま申されたような僻地、離島というようなところでは問題が非常にたくさんございまして、われわれすでに数十年来僻地の対策に取り組んできておりますけれども、なかなか解決のつかないところがあるわけでございまして、これにつきましては、ここ数年来僻地の中核病院というのをつくりまして、お医者さんがなかなか住みにくいような僻地から若干離れておりますけれども、市町村の病院等にお医者さんを確保しまして、そこから、僻地でなかなかお医者さんに住んでいただけないというようなところに一カ月あるいは二カ月の交代でお医者さんを派遣して、順繰りにまたその中核病院に戻ってきて、そこで勉強もできるというようなシステムを考えて現在やっておりますが、これによりましてある程度の効果を上げてきておるところでございます。
○石原(健)委員 先ほどのお医者さんの生涯教育といいますか、再訓練、こういうこともぜひ具体的になるべく早い機会に実行に移っていただくようにということをお願いいたしまして、質問を終わります。
○戸沢委員長代理 次に、菅直人君。
○菅委員 きょうは一つは薬事行政について幾つかお伺いをしたいのと、あと時間があればごみの問題、そういったことについて幾つかお伺いをしたいと思います。
 まず、先般から丸山ワクチンの問題などをめぐって私も質問主意書を出したりしていろいろと政府の見解をただしてきたりしたんですけれども、丸山ワクチンを審査している中央薬事審議会というもののあり方についていろいろと調べてみると、密室性とかいった意味での疑問が幾つか生じてきました。特に丸山ワクチンと同じような種類である免疫療法剤の中ですでにクレスチンという薬とピシバニールという薬が許可をされているわけですけれども、その中でも特にクレスチンの許可の経過をずっと追ってみますと、幾つか非常に不自然な点が感じられるわけです。そういった点を含めて具体的にお伺いをしていきたいと思います。
 まず、薬務局の方にお伺いしたいんですが、呉羽化学から認可申請が出て認可されているクレスチンの認可に至る過程を幾つか確認をしていただきたいと思います。つまりいつ認可申請が出され、どういう形で調査会が開かれ、いつ認可がなされたかということをお伺いしたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のクレスチンにつきましては五十年八月一日に申請がございました。五十年八月十二日に受け付けをしております。これは県庁経由で時間がかかっております。そして五十年の十一月十日に私どもの内部手続としまして中央薬事審議会に諮問をしております。
 その前に、それは形式的な若干のおくれがありますが、五十年十月二十九日に抗悪性腫瘍剤調査会が開かれ、また五十一年三月二日に同じ調査会が開かれて、二回にわたって調査会の審議が行われました。なお、その後五十一年六月十八日に特別部会で審議が行われました。次いで五十一年七月二十三日に常任部会での審議を了し、同日付で答申が大臣あてに行われました。そして八月二十日承認ということになりましたのが事実の経過でございます。
○菅委員 それでは、このクレスチンの認可を実際上調査をした抗悪性腫瘍剤調査会というところに、私が伺った限りでは現在十四名のメンバーがおられるわけですけれども、この中で癌研究所癌化学療法センター基礎研究部長の塚越茂先生という方が現在入っておられるわけですが、この方を同メンバーに委嘱された日時をお伺いしたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 塚越委員の委嘱は五十年十二月十日にしております。なお、これは橋本嘉幸委員という方のいわば後任でございますが、橋本先生が五十年四月一日に東北大学の方へ転出されまして向こうから出席することがいろいろとむずかしい条件にあるというようなことで、その方の御後任として五十年十二月十日に委嘱を申し上げたわけであります。
○菅委員 たしか臨時委員ですね。委員の場合は任期があって、あと追加があった場合はその追加期間ということになっておるようですが、臨時委員の場合は特に任期がなかったのじゃないですか。
○山崎(圭)政府委員 臨時委員でございます。当時の扱いといたしましては任期は決めておりませんでした。臨時的な委員であります。
○菅委員 この塚越茂先生という方、私もいろいろクレスチン関係のものを調べてみたのですけれども、呉羽化学と共同研究をこのクレスチンに関しては大変やられている。たとえばクレスチンに関する文献集がここに二つありますが、これにも昭和四十九年五月、それから四十九年十一月、五十年一月に論文を出されていて、その論文の末尾には呉羽化学の東京研究所に実験を手伝ってもらったことを感謝するとか、資料を提出してもらったことを感謝するということを書かれているわけです。それから、実際に発売されているクレスチンという薬のお医者さん向けのパンフレットを見ますと、やはりこの中にも、この論文と大体同じものですが、何カ所も塚越茂先生のデータがこういうふうに出ているわけです。
 こういうことからしまして私としては、この申請データを出されているはずなんですが、呉羽化学が五十年八月一日に出された申請のデータの中に塚越先生のデータも入っているんじゃないかというふうに思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
○山崎(圭)政府委員 お答えします。
 数多くのデータの中には塚越先生の基礎実験に関するデータも含まれております。
○菅委員 大臣、このことを大臣いかがお考えでしょうか。
 つまり、この薬事審議会というのはよく御存じのように、実際上に薬を調べて、そしてこれは効果があるとなれば実質上はここで許可をする。最終的には大臣の認可になっているわけですけれども、そうする。そういう中に、実際には申請を出した――呉羽化学から申請を出されているわけですけれども、申請を出した日が、もう一度申しますと五十年八月一日。そしてこの塚越先生がその申請を出された中のデータをとられた本人であるにもかかわらず、その後約四カ月たったときにメンバーになる。そしてその後さらに調査会が開かれ、部会が開かれ、認可がされている、答申が出されているということですね。まあ言ってみれば、答案を書いた人が採点の途中に今度は私が採点しますといって採点委員の中に入っていっているようなものなんですね。このことをどういうふうに大臣は思われますか。
○山崎(圭)政府委員 大臣の御答弁に先立ちまして若干お答え申し上げたいと思います。
 先生御案内のように、中央薬事審議会というのは大変数の多いメンバーをそろえておる審議会でございまして、現在でも調査会も六十五の多くを数えておりますし、実人員で五百五十四名、延べ人員で九百三十九名というような大がかりな審議会でございます。そういうことでそれぞれ専門分野におきまして、たとえばがんの問題でありますと、抗悪性腫瘍剤調査会というのが一番下の下部機構にございまして、その上に特別部会があり、さらに常任部会がある、こういうような関係になっておるわけでございますが、その中で、新薬の開発に当たってそれがいいかどうかの判断のためにはどうしても基礎実験なり臨床試験が必須のものと私どもは考えておるわけであります。その基礎実験なり臨床試験というものは、がんの専門家の人たちがみずから研究なさって学会誌等に発表されたものもございましょうし、あるいは製薬メーカーが特定の先生に臨床試験をお願いしてそのデータをつくる、こういうようなこともあるわけでありますけれども、いずれにしましても、そういうものが学会に公表されまして、学会の批判を受けた上で、それが添付資料あるいは新薬の承認のための有力な資料として申請されてくるとか、こういう条件にあるわけであります。
 そこで一つは、私ども審議会の委員としてお願いする立場にある者としましては、その審議会の先生方はできるだけ第一級の先生方を学識経験者としてお願い申し上げるということでございまして、そうなりますと、分野分野におきましてはきわめてその数が限られてまいる、こういう条件に置かれておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、たまたまその研究をなさった方が同時に審議会の委員であるという状況も生まれてくる、こういう関係になっておるわけであります。
 そこで、先ほど先生御指摘の、五十年十月に第一回の調査会が開かれまして、五十一年三月に第二回が開かれた、その間に先生を委嘱したではないかということでございますが、これはそういう作為的なことは全くないわけでございまして、たまたまそういうことになった。人事の都合でございます。
○菅委員 大臣の御答弁の前に、これは裁判においても、たとえば民事訴訟法三十五条には、自分が証人とか鑑定人になった場合は、当然その裁判の裁判官としては除斥を受けて、裁判にはかかわれないわけです。これはもちろん刑事訴訟法にも出ていますし、発明を審査する特許庁の審査官、審判官についてもこういう規定があるわけです。ですから、わざわざやったとか、わざわざやらないとかいうことよりも、つまり、自分が申請を出した、その申請を出した者を、まさにこの抗悪性腫瘍剤調査会で審議されるその審議の途中にその当事者を審議のメンバーに入れている。
 これは園田厚生大臣の時代ではありませんけれども、大臣の任命なんです。つまり大臣御自身の責任なんですね。このことについてぜひ大臣御自身からお考えをお聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 大臣の責任は、大臣がかわろうとも責任の継承はすべきでありますから、十分責任を感じます。
 問題は、そういうおしかりを受けたり国民から疑惑を受ける第一の原因は、この審議会で決めたことがどこでどうやってどう決まったのか国民にわからない、何か密室で勝手にやったような印象を与えておる、ここに第一の問題があると存じます。そこで、今度は調査会を公表し、それから審議会が終わったらその経過を公表するつもりで、社会と国民の方々に疑惑を持たれないようにしたいと思っておりますが、いま御指摘の問題は、事実がどうであろうと、偶然がどうであろうと、李下に冠を正さず、出した者が調査会に入るというようなことは、そこに何らかの条件がなければならぬ。意見は言うが議決には加わらぬとか、あるいは参考人として来てもらうとか、そういうことも考える必要があるのではないか。かつまた、偶然であろうと何であろうと、中途で入られたということは、これもまたおしかりを受けても仕方がないことであると考えております。
 それからもう一つは、これは慣例でありますが、この審議会に対する諮問は、私とすればまことに不本意な諮問がずっとなされておるわけでありまして、この審議会に対してこの薬の製造を許可すべきか許可すべきでないかという諮問をしているわけであります。これは筋違いでありまして、いかに微力でありましょうとも、これを許可するかどうかは大臣が判断する事項であります。その大臣が判断するのに必要な学問的事項を審査願うのが審議会であると考えておりますので、今後そういうようなことで、いまの御注意が生きていきますように対応してまいりたいと思います。
○菅委員 大臣から御答弁をいただきましたけれども、たとえば五十四年五月二十四日の同じ社会労働委員会で草川委員が、中央薬事審議会について、審議会と学会との間を取り持つのがメーカーの政治力だと言われているけれども、そういうことはありませんかということを聞いているわけです。それに対して当時の本橋政府委員が「それを評価するに値する十分なデータが提出されませんと審議会にかからないわけでございまして、そのデータを十分に出すということが製薬メーカーに課されました責務でございますので、中央薬事審議会の審議に当たりましては、特に厳正中立で行っていただくよう常々申し上げておるところでございます。」という答弁をされているわけです。先ほど薬務局長は、こういう事情で仕方がなかったと言わんばかりの御答弁だったのですけれども、まさにこれが厳正中立のことであると言えるわけですか。
 もう一言添えれば、先ほども大臣から御答弁いただきましたけれども、私もずっとこの過程を調べていて、国民がといいますか、ある意味では私たちがいろいろ伺っても、これは圧力がかかるから名前もなるべくだったら出したくないとか、いろいろな形でいわゆる公開をなかなかされない。片方で国民の前には全く非公開であって、片方の一番当事者であるメーカーは、ある意味では自分の代表なり自分と一緒に研究をした人を審議会の中に、発言ができる場所にまで送り込んでいるわけですよ。これで厳正中立と言えるのでしょうかね、薬務局長。
○山崎(圭)政府委員 審議会の先生方の委嘱に当たりましては、私どもは、その専門分野における第一流の方々にお願いしたい、こういう基本線で人選をしておるわけでございます。ただ、その専門分野分野におきまして、先ほど申しましたように非常に限られた研究者しかいないという場面ではそういうような状況も起こる。これはたまたまといいますか、起こるようなこともあると思います。
 ただ、実際の審議会の中におけるその審議のあり方の運用につきましては、関係したデータが御自分の作成にかかるという関係では御自分の意見を通常控える、これが慣例になっているということもございます。
 なおまた、公表問題につきましても、何といっても一番キーポイントである薬の有効性なり安全性の問題につきましては、それが主要な学会誌に原則として公表されている、そういう資料で論議を重ねていくということになっておるわけでありまして、そこのポイントが公正性を保つ、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
○菅委員 運用がそういうふうなことになっていると言われますが、そういう運用を規定した規定は何かありますか。たとえば中央薬事審議会令なり規則なりの中にありますか。
○山崎(圭)政府委員 それはまさしく審議会における審議のいわば慣例的な事柄でございまして、規定の上では規定されておりません。
○菅委員 私もずっと調べたのですけれども、そうするとだれもわからないわけですよ、自分たちでそういうふうに慣例でやっていますと言われても。
 私はやはりせめてそういう規定をちゃんとつくられるべきだと思うのです。先ほど申し上げたように、裁判の場合にもちゃんと除斥規定というものが決まっていて、何親等内の人が関係していた、また本人が鑑定人になった場合は、そういう審議には、いわゆる裁判には携わらないということが規定にちゃんとあるわけです。だから、そういう運用でやっているという言い方で、片方で、先ほども言ったように国民には見せないというふうな全く不公平な、不公正なやり方になっていることはどうしても変えていただかなければならない。
 どうでしょう、大臣、このあたりをぜひ変えていただけるかどうか。
○園田国務大臣 事務当局からお答えしましたけれども、事務当局としては当然であると思いますが、問題は、厳正公平にやっております、これも大事でありますけれども、ほかの方々から厳正公平だと見ていただけるかどうか、疑いを受けないか、こういうことが一番大事でございます。慣例というのは、私は就任以来、慣例にとらわれてはならぬ、惰性でやってはならぬ、よき慣例をつくるということでやってもらいたい、こういうことを言っておりますが、必要であれば省内の規定等でそういうものは一応整理すべきだとは考えております。
○菅委員 大変積極的な御答弁をいただきましたので、この問題に関して最後に一つだけ。
 この問題というのは、実は中央薬事審議会にとどまらず、ほかの審議会でもこういったことがあるのじゃないかと当然思われても仕方がないと思うのですね。食品関係の問題もありますし、そういった点では、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、最低限審議にかかわったメンバーですね、裁判で言えば裁判官の名前、特許庁で言えば審査官とか審判官の名前は、当然公表されるはけです。それから、提出された書類ですね。これはもちろん時点はあると思います。すぐ提出があったら翌日公開ということはないかもしれませんが、少なくともそれが、事前の学会誌に出たから、出ないからというのはわからないわけですから、認可をされるときには、少なくともどういうデータが出されて、それについてこういう答申が出たのだということを公開する。それから、いま申し上げた、たとえば除斥規定を含めてそういうものを取り入れられる。この点について、この中央薬事審議会のみならず、関連の同じような審議会についてぜひ取り入れていただきたい。
 この点、重ねて大臣の御見解をお願いしたいと思います。
○園田国務大臣 近ごろやかましく言われておりまする情報公開の原則というものがありますが、これはもう当然のことでありまして、私は、変わった表現でありますが、ガラス張りとまではいかなくても、ビニール張りのことをいたします。と申しますのは、審議会の言論のやりとりを公表することは、審議委員の方々の言論の自由を拘束するおそれがありますから、そこまではまいりませんけれども、審議の経過、データ、こういうものは必要によってなるべく公開する。これはまた薬事審議会だけではなくて、ほかの審議会の方にもぜひお願いをしてそういう方向に持っていくつもりでございます。
○菅委員 非常に積極的な御答弁をいただきましたので、これで中央薬事審議会に関する御質問は終わりにいたしまして、次に、いわゆるフェニックス計画、広域臨海環境整備センター法案がまだ当委員会にはかかっておりませんけれども、それに関連した質問を幾つかさしていただきたいと思います。
 まず、この案を見ますと、一般のごみがたとえば東京地区で五千百万立米使われるというふうになっているわけですけれども、この点に関して二つお聞きしたいと思うのです。
 一つは、現在一般ごみに関するリサイクルですね、たとえば古新聞を集める、アルミかんを集めるといったリサイクルがどの程度の割合で行われているかということ。それからもう一つは、将来このフェニックス計画の前提となっている時期にリサイクル率というものをどの程度に読んでおられるかということをまずお聞きしたいと思います。
    〔戸沢委員長代理退席、今井委員長代理着席〕
○山村政府委員 五千百万立方メートルというものの根拠でございますが、五十二年の実績、これは関東一都六県を対象にして調査したものでございますが、千二百万トンの発生がございます。それが、実績で見ますと、四四%に相当いたします五百三十万トンが最終的に埋め立て処分されているという実績がございます。これを将来の人口増あるいは一人当たりのごみの増加量を考慮いたしますと、六十五年には五割増しの約千八百万トンになります。
 そこで、中間処理、焼却等による減量及びリサイクル等による減量を見ますと、中間処理によって減少する分は現状五六%、それが中間処理あるいはリサイクルによって六五%まで減少させる、つまり千八百万トンの約三五%に相当する六百三十万トンが最終的に処分されるというような試算をいたしております。この最終処分量のうち、内陸で、既存の埋め立て場で処分される……
○菅委員 あと六分しかありませんから、リサイクルの割合をお願いできますか。現状と将来見込み。
○山村政府委員 現状のリサイクルの割合は、市町村の収集したごみのうち現在は〇・九%がリサイクルされております。それを一%、一〇%ばかりアップしたいというふうに考えております。
○菅委員 時間がないので少しせかせて申しわけないですが、つまり〇・九%を一割上げて一%にする。この法案なりいろいろな要綱を見てみると、たとえばここに厚生省と運輸省で共同で出されたのを見てみると、再利用促進等を極力図るとしても云々と書いてあるわけですね。つまり、極力図るのが、いま〇・九%のリサイクル率を一%に上げる、そういうことになるわけです、これを見ると。
 時間がありませんから多少私の方から申し上げたいと思うのですが、リサイクルについてはいろいろなところで実験があります。これは国レベルよりは自治体レベルでたくさん実験が行われていて、大臣もできたらお聞きいただきたいのですが、たとえば普通の燃えないごみと言われるものの中でも、新聞、それから空きかん、それから生きびん、死にびんですね、ビールのように返していけるもの、またウイスキーびんのように返してもだめな、割ってしまわなければだめなもの、そういう資源にできるものを回収すれば、四〇%近くのごみの量が減るというように言われているわけです。それからさらに、生ごみについてもコンポストという形でいわゆる肥料にしていけばさらに四〇から五〇%がいく、つまり、原理的にはあと残るのは、たとえば陶器ですね、あれは再利用はきかないのです。それから、たとえばプラスチックも、最近はかなり技術が開発されておりますけれども、なかなかききにくいものですね。
 そういう意味では、〇・九を一にするというようなことじゃなくて、三〇%、五〇%にできる原理的な要素はあるわけです。たとえば神奈川県の秦野市というところでは、民間の業者ですけれども、補助金は一切取らないで、年間約五千トンの有価物を回収して、市民には約五千万円のお金を払って、市の方がそれを自分で回収したとなれば多分一億円以上かかるだろうというものを回収してちゃんと資源にしているという例が現実にあるわけですね。ですから、私議員になりましてから厚生省のごみ行政をずっと見てきたのですが、基本的にリサイクルという考え方が抜け落ちているという感じが非常に強くするわけです。そのあたりをひとつ御理解いただきたいのが一つであります。
 それから、時間がありませんので続いて私の方から申し上げますが、この計画の中には、もう一つ産業廃棄物が一般ごみと並んで、場合によっては、大阪の方では一般ごみの倍以上埋め立てられることになっております。この問題も、いま産業廃棄物がどうなっているか、私これをぜひ聞きたいのですが、ほとんど業者がどこかへ持っていって埋めているわけですね。中には、海に持っていってもう一回流しているものがたくさんあるわけです。つまり、煙突から出る煙は確かにきれいになった。工業排水として排水から出る濃度は確かにきれいになった。しかし、それを濃縮した一種のヘドロをトラックに積み込んで海に持っていって捨てているという例が、これは前に厚生省も調査されているはずですが、相当量あるわけです。そういう点では、やはり産業廃棄物も無害化を進めることが一つと、それから、同じようにたとえば水銀なんかでも有効利用、再利用することができるはずなんですね。そういった点をぜひ進めてやっていただきたい。
 時間がありませんからさらに続けて申しますが、最後にもう一つ、この計画のおかしなところは、陸上残土と言われる土ですね、土の量が実は約半分なんですね。ごみの量というのは大体四割ぐらいなんです。あと、いわゆる土砂があるわけです。つまり、これは廃棄物の計画だといいながら、実際は半分以上は土だ。私ごみをかぶせるのに土がこんなに要るのかということを聞いてみたのですが、全然こんなに要りません。ごみの三分の一程度でいいのです。これだとごみと同じぐらいな量なんですね。そういったこともありますので、この委員会にかかるかどうかいま微妙なところですが、この問題はもう一回よく見直していただきたいということをお願いをいたしたいと思います。
 時間がありませんので、最後にこの跡地利用についてお聞きしたいのですが、運輸省の方に来ていただいていると思いますけれども、新関西国際空港の計画の中に、いろいろ見ておりますと、基本的に埋め立てでやるということが決まったようでありますが、その埋め立ての中に廃棄物を使うということが書いてありますけれども、運輸省の方にお聞きしたいのですが、その廃棄物を使った埋め立てということとこのフェニックス計画とは関係があるのですか、ないのですか。
○高田説明員 関西新空港の建設につきましては、私どもが計画しておりますこの広域廃棄物で処理を予定しております土砂はそう大量には流れない、そう基本的に考えております。と申しますのは……(菅委員「関係があるかないかを、もう時間がないものですから、フェニックス計画と関西国際空港」と呼ぶ)関係はございません。
○菅委員 ということは、これは時期的に見ても非常にダブりが激しいわけですが、大阪湾の中でこのフェニックス計画がもし了解をされてつくられる埋立地と、それからいま予定されている関西国際空港の埋立地というのは、いわゆるフェニックス計画で埋め立てられた跡地が関西国際空港に使われる可能性は全くない、そう理解していいわけですか。
○高田説明員 この法律を……(菅委員「いや、質問に答えてください、もう時間が終了していますので」と呼ぶ)ありません。(菅委員「可能性は全くないわけですね」と呼ぶ)はい。
○菅委員 それでは、はっきりしたお答えをいただきましたので、フェニックス計画というのは何かわかったような、よく調べれば調べるほどいろいろな問題が絡んでいて非常に疑問があるわけですけれども、そういった点でぜひもう一度、本会議になるかこの委員会にかかるかわかりませんが、運輸省においても厚生省においてももう一回よく見直していただいて、果たしてこれがごみの、本当の廃棄物を考えるための埋め立てであるのか、また別の意図でもってやられる埋め立てであるのか、そのあたりをもう一回国民の前にはっきりする形で提案をしていただきたいということを最後に申し添えて、私の質問を終わりたいと思います。
○今井委員長代理 速記をとめて。
    〔速記中止〕
○今井委員長代理 速記を起こして。
     ――――◇―――――
○今井委員長代理 内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
○園田国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるほか、準軍属の範囲及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給範囲を拡大するなどの改善を図ることとし、関係の法律を改正しようとするものであります。
 以下この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。
 改正の第一点は、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるものであります。
 改正の第二点は、満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して集団開拓農民となった者により構成された義勇隊開拓団の団員が、軍事に関する業務等による傷病により障害者となり、またはこれにより死亡した場合において、その者またはその者の遺族に、障害年金、遺族給付金等を支給するものであります。
 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金に準じて引き上げるものであります。
 第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正であります。これは、さきに述べました義勇隊開拓団の団員のうち軍事に関する業務等による傷病により現に第五款症以上の障害がある者に、戦傷病者手帳を交付し、療養の給付等を行うものであります。
 第四は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、昭和五十五年の遺族援護法の改正により障害年金等を受けることとなった者のうち、昭和五十四年四月一日において第五款症以上の障害を有した戦傷病者等の妻に特別給付金を支給するものであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○今井委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。
 次回は、来る二十四日火曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十分散会
     ――――◇―――――