第094回国会 予算委員会 第2号
昭和五十六年二月二日(月曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 小山 長規君
   理事 越智 通雄君 理事 金子 一平君
  理事 唐沢俊二郎君 理事 小宮山重四郎君
   理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君
   理事 川俣健二郎君 理事 坂井 弘一君
   理事 大内 啓伍君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      小渕 恵三君    越智 伊平君
      海部 俊樹君    鴨田利太郎君
      工藤  巖君    後藤田正晴君
      近藤 元次君    始関 伊平君
      塩崎  潤君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    砂田 重民君
      瀬戸山三男君    根本龍太郎君
      橋本龍太郎君    原田  憲君
      藤田 義光君    細田 吉蔵君
      宮下 創平君    武藤 嘉文君
      村山 達雄君    阿部 助哉君
      井上 一成君    石橋 政嗣君
      稲葉 誠一君    大原  亨君
      岡田 利春君    中村 重光君
      野坂 浩賢君    武藤 山治君
      山田 耻目君    横路 孝弘君
      草川 昭三君    正木 良明君
      矢野 絢也君    神田  厚君
      林  保夫君    安藤  巖君
      寺前  巖君    正森 成二君
      松本 善明君    河野 洋平君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        法 務 大 臣 奥野 誠亮君
        外 務 大 臣 伊東 正義君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
        厚 生 大 臣 園田  直君
        農林水産大臣  亀岡 高夫君
        通商産業大臣  田中 六助君
        運 輸 大 臣 塩川正十郎君
        郵 政 大 臣 山内 一郎君
        労 働 大 臣 藤尾 正行君
        建 設 大 臣 斉藤滋与史君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     安孫子藤吉君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      宮澤 喜一君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      中山 太郎君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      中曽根康弘君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 大村 襄治君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      中川 一郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 鯨岡 兵輔君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官)
        (北海道開発庁
        長官)     原 健三郎君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  石川  周君
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        内閣法制局第一
        部長      味村  治君
        総理府統計局長 島村 史郎君
        警察庁警備局長 鈴木 貞敏君
        行政管理庁行政
        管理局長    佐倉  尚君
        行政管理庁行政
        監察局長    中  庄二君
        防衛庁参事官  岡崎 久彦君
        防衛庁参事官  上野 隆史君
        防衛庁参事官  番匠 敦彦君
        防衛庁長官官房
        長       夏目 晴雄君
        防衛庁防衛局長 塩田  章君
        防衛庁人事教育
        局長      佐々 淳行君
        防衛庁経理局長 吉野  実君
        防衛庁装備局長 和田  裕君
        防衛施設庁総務
        部長      森山  武君
        経済企画庁調整
        局長      井川  博君
        経済企画庁物価
        局長      廣江 運弘君
        経済企画庁総合
        計画局長    白井 和徳君
        科学技術庁計画
        局長      園山 重道君
        科学技術庁研究
        調整局長    勝谷  保君
        科学技術庁原子
        力局長     石渡 鷹雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   赤羽 信久君
        国土庁長官官房
        長       谷村 昭一君
        国土庁土地局長 山岡 一男君
        法務省刑事局長 前田  宏君
        外務省アジア局
        長       木内 昭胤君
        外務省北米局長 淺尾新一郎君
        外務省欧亜局長 武藤 利昭君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   村田 良平君
        外務省経済局長 深田  宏君
        外務省経済協力
        局長      梁井 新一君
        外務省条約局長 伊達 宗起君
        大蔵省主計局長 松下 康雄君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省理財局長 渡辺 喜一君
        大蔵省銀行局長 米里  恕君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆司君
        国税庁長官   渡部 周治君
        文部大臣官房長 鈴木  勲君
        文部省初等中等
        教育局長    三角 哲生君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省管理局長 吉田 壽雄君
        厚生大臣官房長 吉村  仁君
        厚生省公衆衛生
        局長      大谷 藤郎君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
        厚生省年金局長 松田  正君
        厚生省援護局長 持永 和見君
        農林水産大臣官
        房長      渡邊 五郎君
        農林水産省経済
        局長      松浦  昭君
        農林水産省構造
        改善局長    杉山 克己君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        農林水産省畜産
        局長      森実 孝郎君
        農林水産省食品
        流通局長    渡邉 文雄君
        食糧庁長官   松本 作衞君
        林野庁長官   須藤 徹男君
        通商産業省貿易
        局長      古田 徳昌君
        通商産業省産業
        政策局長    宮本 四郎君
        通商産業省機械
        情報産業局長  栗原 昭平君
        資源エネルギー
        庁長官     森山 信吾君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 石井 賢吾君
        中小企業庁長官 児玉 清隆君
        郵政省貯金局長 鴨 光一郎君
        郵政省電気通信
        政策局長    守住 有信君
        労働省労働基準
        局長      吉本  実君
        労働省職業安定
        局長      関  英夫君
        建設省計画局長 宮繁  護君
        建設省河川局長 小坂  忠君
        建設省道路局長 渡辺 修自君
        建設省住宅局長 豊蔵  一君
        自治省財政局長 土屋 佳照君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本銀行総
        裁)      前川 春雄君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     近藤 元次君
  正示啓次郎君     宮下 創平君
  藤本 孝雄君     工藤  巖君
  渡辺 栄一君     鴨田利太郎君
  中村 重光君     武藤 山治君
  横路 孝弘君     井上 一成君
  不破 哲三君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  鴨田利太郎君     渡辺 栄一君
  工藤  巖君     藤本 孝雄君
  近藤 元次君     江崎 真澄君
  宮下 創平君     正示啓次郎君
  井上 一成君     横路 孝弘君
  武藤 山治君     中村 重光君
  正森 成二君     安藤  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤  巖君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十六年度一般会計予算
 昭和五十六年度特別会計予算
 昭和五十六年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○小山委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
○武藤(山)委員 私は、日本社会党を代表して、鈴木内閣の政治姿勢あるいは外交、防衛、軍事、憲法問題あるいは税制、多くの問題について、これから三時間時間をいただきまして、総理大臣と一問一答を続けたいと思います。
 鈴木総理、総理大臣になられてちょうど七カ月になりますね。もうかなり落ちついたと思いますし、いままでの厚生大臣や農林大臣、官房長官の経験と総理大臣とはかくも違うものであるか、いろいろ御感想があると思うのです。
 まず、総理になられた七カ月間を振り返ってみて、感想のほどを先にお尋ねいたしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 御指摘のように、私、過去におきまして閣僚の職を幾つか経験いたしましたが、総理になりまして内閣の国政の全責任が一身にかかっておるわけでございまして、それだけに、おのれを捨て国家国民のために最善を尽くしたい、このような気持ちでございます。
○武藤(山)委員 後でもっと突っ込んだ御意見を聞きたいのでありますが、今度の総理大臣の施政方針演説の評価を各新聞が社説でいろいろ書いております。どれを読んでみても、どうも余りほめておりません。余りじゃない、全然ほめておりません。官僚作文の寄せ集め、鈴木さんの肉声が聞こえない問題羅列、総理の個性が全く没却された演説、あるいはまた、どうしてこうも平板でつまらないのか、どういう役割りを果たすべきかもあいまい、全方位外交から転換した理由がわからない、基本的なことは平和のために積極的に発言することではないのか、にもかかわらず何も語らない、というような社説を読んでみると、国民は、内閣総理大臣というのはそんなつまらないことばかり国会でやっているのかなという印象を受けるのですね。結局、鈴木総理自身の政治哲学、思想、そういうものが答弁の中に全然にじみ出ていない。なぜでしょうか。大事をとって、言質を与えたら大変だ、ちょっとでも間違ったことを言ったら大変だという配慮の余り、こういう新聞論調のような結果になっているのでしょうか。どこに原因があると思いますか。
○鈴木内閣総理大臣 新聞の論調はいろいろあろうかと存じます。しかし、私は、わが国が平和主義、民主主義、基本的人権という平和憲法の理念の上に立って、外交におきましては、この厳しい国際情勢の中で日本が果たすべき役割り、平和への貢献、そういう点について今後最善を尽くしていきたいということも申し上げております。また、内政におきましては、八〇年代におきましては二十一世紀を展望して足固めをするときである。エネルギーの問題にいたしましても、あるいは財政再建の問題にいたしましても、さらにまた国際間において平和国家として日本が経済協力等を通じて世界の安定、平和に貢献していく、そういうことも日本の果たすべき役割り、また二十一世紀への足固め、そういう点を国民の前に明らかにいたしておるところでございます。
○武藤(山)委員 国民の前に明らかにしてないのですよ。二十一世紀の足固め、しからば八〇年代とはどういう年代なのか、何が最大の課題であり、どう処理しなければならぬのか。あるいはあなたは施政方針の中で「高い理想を実現する」と言っているのですよ。「高い理想」とか何か、一つも答えてないのですよ。
 そこで、私は伺いたいのでありますが、私は、総理大臣というのは、冒頭に質問いたしましたように、各個別の大臣と違う。というのは、単なる調整役では勤まらない任務だと思うのです。総理大臣は一国のすべての最高権力を掌握している地位なのですね。ですから、その機能においても任務においても本質においても、各大臣とおのずから違う。総理大臣はそれだけ重大な重みを持った権力者なのですね。ですから、あらゆる面において総理の具備すべき条件、資質、そういうものが総理大臣には必要なのですよ。たとえば英国におけるチャーチルは、昭和十三年の国会の議事録をちょっと読んでみると、日本はやがて亡国の運命をたどるに違いない、そういうことを喝破していますね。それから七年後、日本はついにあの敗戦、無条件降伏の運命をたどった。その先見性、すばらしいものですね。あるいは西ドイツのアデナウアーは、占領下に憲法をつくらないで国家基本法をつくると、みずから連合軍の指示を拒否して彼はドイツ基本法をつくった。この胆力、この勇気、これが私は、宰相として欠かすことのできない一つの条件だと思うのです。あるいは近くは西ドイツのブラントにおいても、ベルリンからモスクワに乗り込んで、みずからがこの平和共存の政策を具体的なものにした。政治家というものはそういう先見性や勇気や胆力が、そしてそれを裏づける崇高な哲学、思想が総理には求められておると思うのであります。鈴木総理のその求められる哲学は、政治の原理は一体いかなるものと認識されておるのでしょうか、伺いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、この厳しい国際情勢の中で、日本は平和国家として世界の平和を構築するために日本としての最大限の努力、貢献をしていかなければならない、このように考えております。
 また、一面におきまして、石油問題を初め非常に厳しい国際経済の中で、日本の経済の安定成長の定着を図って国民生活を守っていく、こういうことも私に課せられた仕事である、このように考えております。
○武藤(山)委員 時間がいずれにしても制限がありますから先へどんどん進めてまいりますが、総理は、総理に就任したときに、また国会の施政方針演説の中でも、和の政治を説いていますね。一体、和の政治というのは具体的にどういう姿の政治なんですか。ちょっと教えてください。
○鈴木内閣総理大臣 私は、御指摘のように、総理就任以来、和の政治を提唱し、政治に取り組む基本的な理念としておるわけでございますが、これは話し合いの政治でございます。また、真心をもって事に当たる政治である、また、社会的な公正を追求する政治でなければならない、このように考えておるものでございます。これは、先ほども申し上げたように、平和主義、民主主義、基本的人権尊重の憲法の理念に沿うものである、このように考えておるわけでございます。
○武藤(山)委員 和の概念を政治原理とした政治家は聖徳太子ですね。いまから一千四百年前。聖徳太子の憲法十七条第一条「和をもってたっとしとなし、」その和というのは、一体自民党の派閥の和であるのか、それとも世界の平和の和なのか。和にもいろいろある。いまさら千四百年前の聖徳太子の和を原理としようという政治が、まさか千四百年前に戻れというのじゃないのだと思うんですね。違いがなければいけない。
 しかし、聖徳太子は、和を述べたときに、必ずその和の次に言っているんですよ。和の背後には「逆らうことなきを旨とせよ」、争っちゃいかぬ。ということは、人民は権力に逆らっちゃいけない、そういうことを言っているんですよ、聖徳太子は。「人皆党あり、また悟れる者少なし。これをもって、あるいは君父に従わず、また隣里にたがう。」したがって、君父に従うための和なんですよ。その当時、すでに「人皆党あり」だ。人は徒党を組むというんだ。徒党を組むからけしからぬから、和の論理でもってまとめようというのが聖徳太子十七条憲法の一条なんですね。あなたの言う和は、この和とは違うんですか。どういう和なんですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、私の言う和は党内向けだけの和ではないということはしばしば申し上げております。
 国会対策等におきましても、自由民主党は衆議院、参議院ともに安定多数を与えていただきましたけれども、しかしそれにおごることなしに、謙虚に野党との間にも十分国会を通じて論議を尽くし、野党各党の御意見でもとるべきものはこれをとる、そういう民主主義のルールに従って国会の運営をやるというのも、私が常に党のあり方について申し上げておる点でございます。
 また、先ほども平和主義に沿って申し上げましたけれども、これを国際政治、外交の面につきましては、やはり世界の国々はいろいろの主張、立場があるわけでございますけれども、小異を捨てて大同につく、相互依存関係というものを重視して、そうして世界の和、世界の平和を求めていく、これも和の政治である、このように考えております。
○武藤(山)委員 真の和の政治だったら、国の大小を問わず、国の遠近を差別せず、いずれの国とも全方位にやはり外交を展開するというのが基本でなければならぬ。福田さんは、個人的に、国内政治の面においては非常なタカ派的発言や、有事立法の構想などを持ったようですが、事外交の面では全方位外交ということをずっと言い続けてきたですね。あるいは三木さんもそうだ。鈴木さんはそれを全然言わなくなっちゃった。ソ連とは、政経分離、経済は経済、政治は政治と分離できないのだ。一体となって、おまえと余り仲よくしたくないというような意見を言っているんですね。これは和の精神にやはり一つ反する。あるいは総理は就任のとき、なかなかいいことも言っているんですよ。私、大賛成のことも言っているんですよ。足らざるを憂える政治よりも等しからざるを憂える政治を推し進めたい、これはまさに大賛成。ところが、実際の五十六年度予算編成の中身を見ると、本当は、これは等しからざるを憂えるという――足らざるよりも乏しからざるをというのが昔中国の言葉ですが、総理は、足らざるを憂える政治よりもと、どうも予算配分の優先順位などを見ると、足らざるを憂えず、等しからざるを憂えるという公平、平等の観念が欠如している。こういう点で、どう見ても言うこととなすことは一致していない。これは反省せぬといかぬと思うんですね。それは後で指摘しますよ。税の問題やこれからの大型消費税の問題やいろいろ税の問題で論争いたしますが、総理の和という政治と、この足らざるを憂える政治よりも等しからざるを憂えるというこの発想で公正、公平をどう実現するか、それがいまの国内政治の上でも非常に重要な視点だと思うのです。しかし、どうもこれが欠けておる。具体的には、後で論を進めていくときに指摘をいたします。
 さて、いまの答弁の中でも、二十一世紀への足がかりを固める、その年だと。二十一世紀というのは、国民が知りたいいろいろな不安がある、内外ともに。八〇年代の大きな課題、もし列挙を五つばかりしたら、優先的にどんなものが八〇年代の大きな課題と御認識になっていらっしゃいますか。八〇年代の課題についてひとつ意見を述べてください。
○鈴木内閣総理大臣 八〇年代のわが国の政治的な大きな課題といたしましては、やはり一つは財政の再建の問題でございます。
 第二の問題は、エネルギーの政策をはっきりと確立をする、少なくとも石油、現在七五%程度の依存率でございますが、これを五〇%程度の依存率に据える、こういうエネルギー対策をしっかりと足場を固めるということが必要でございましょう。
 それから、先ほど申し上げましたが、日本が世界の中で平和国家として、発展途上国等に対して経済協力あるいは技術協力を積極的に行いまして、そして世界の平和と繁栄に寄与する、そういう足場を固めるということが重要であろうかと思います。
 それから安全保障の問題がございます。国民の関心が非常に高まってきておるわけでございますが、日本は平和憲法のもとに軍事大国にはならない、こういう立場でございますから、日本の平和と安全を確保いたしますためには防衛力だけでこれができるものではない、総合的な安全保障政策、こういうことをわれわれはしっかりとやっていかなければいけない。
 こういう点等につきまして、八〇年代は私どもは腰を据えて足固めをする時代だ、このように考えております。
○武藤(山)委員 四つの課題を総理は述べられました。財政再建、エネルギー政策、国際経済協力、平和と繁栄の問題最後に総合安全保障、軍事大国にならない。私がいまお尋ねしたいのは、先ほど冒頭に言った総理というのは洞察力あるいは勇気、先見性、そういうものを国民はやはり頼もしく期待をしておるわけですね。いまの論理はどっちかというと政策展開の話なのですね。私が聞いているのはもっと原理原則、哲学の話なのですね、いまここでやっているのは。政策はこれからやるのですよ、後でずっと通告のとおり。
 私は、八〇年代は、国民がいろいろ心配しているのは、一つは戦争か平和かだと思うのですよ。一つは地球と人類の破滅か、平和共存の国際連帯かという問題、八〇年代の大問題は。
 第二は、心と体が不健康になっているいま教育の問題、文化の問題、その心と体が不健康になっている八〇年代、これをそうさせないためにはどうするか、暮らしと余暇の充実という問題がある。一人一人の人間が生きていくための暮らしと余暇をどう人間性を発展させるために活用する社会体制に直していくかという問題、これが第二の大きな課題だと思う。
 第三は、国民負担激増か、あるいは格差、不公平をどう克服するか。
 あるいは第四は、上からの人間管理の強化か、企業の中における支配と服従の縦の道徳、上からの人間管理が一層強化される時代なのか、八〇年代は。あるいは参加、連帯で経営と労働が対等になる時代なのか。西ドイツにおける共同決定法のようなものであります。資本権と労働権が対等になる日本をつくろう、それが民主主義なのだという時代じゃないのか、八〇年代は。
 あるいはまた、偏狭なナショナリズムか、国権主義的な民族主義か、それを拒否する均衡ある相互依存の民主主義か。
 私の発想は、大体この五つぐらいが、八〇年代に政治家が十分検討し、考えなければならぬ大きな課題ではないか。
 違うことで、理想でもっとまとめて言うなら、平和共存、軍縮、恒久平和、これが一つの大きなテーマである。これをどう実現するか。二十一世紀はまさにこの平和共存、軍縮、恒久平和の世界をどうしてつくり上げるか、これが政治家に課せられた最大の任務じゃないのか。
 第二は、公平、平等、道理が貫徹をされる社会、無理が通って道理引っ込むようなことはなくなる社会、その道理の貫徹をいかに政治家は条件を整えるか、これが第二の大きな理想でなければならぬと思うのであります。
 第三は、民主主義の徹底であります。人間の疎外をいかになくすかということです。いま、どの工場へ行ってもみんなオートメーション。人間は機械に使われ、全然余暇はない。たばこを吸うこともできない。そういう機械に人間が振り回されておもしろくない、労働がひとつもおもしろくなくなってきた時代。昔のように自分の創意工夫で物を手でつくり出す時代から、機械に振り回される労働になってきた。そのときの人間の心理状態、殺伐とした精神、それをどういやすか。世の中は結局は一人一人の人間が生きていくためにあるのですから、その一人一人の人間が個性を発揮しながら、生まれてきてよかったなと思いながら死んでいける世の中をどうつくるか、それが政治の任務なのです。だとするなら、そういう人間疎外というものをなくしていく、民主主義をより徹底するというのが二十一世紀へ向かっての政治の大きな任務なのであります。
 民主主義は、ただ単なる政治の面における多数決で、投票権を持って政治に参加することが民主主義じゃないと私は思うのであります。民主主義は、政治の面における民主主義、経済の面における民主主義、労使間における民主主義のあり方、社会、文化における民主主義、参加、連帯の民主主義、国際間における民主主義、この四つの民主主義が完全に徹底化したときに、真に社会は民主主義の世の中だと言えると思うのであります。日本はまだ第一段階の政治の面における民主主義しかできていない。経済の民主主義も、社会、文化の民主主義もまだまだ日本は手がついていない。それに手をつけるのが八〇年代ではないのか。私が聞いたいのは、そういうことが問いたいのであります。
 私がいま述べた私の見解について、総理、もし反論がありましたら反論をしていただき、みずから積極的なテーゼを提言できるなら提言をしていただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 武藤さんの御意見、いろいろ表現は哲学的表現を使っておいでになりますが、私が先ほど申し上げた、この激動する国際情勢の中でいかにして平和を確立するか、日本が平和国家としていかに貢献をするか、それに全力を挙げたい、こういうことは、武藤さんがおっしゃっておることと変わりがない。
 また、民主主義の定着の問題につきましても、私は先ほど申し上げております。表現こそ違え、その目指すところは、政治の方向は同じだ、こういうぐあいに私は武藤さんの御意見を拝聴しながら理解をいたしております。
○武藤(山)委員 次に、軍事情勢問題についてお尋ねいたしますが、昨年の九月、アメリカの「ネクスト」という雑誌に、国防原子力局計画作戦部長あるいは国防総省技術兵器輸出政策局長なども参加して、学者等を含め三十二名で研究をした論文が発表になっておりました。それによると、核戦争の可能性を示唆しているわけであります。一九七〇年代は核戦争は一%の確率だったが、八〇年代は五%になるだろう、九〇年代は一〇%の可能性にエスカレートするだろう。そしてその核戦争が起こり得る公算は、イスラエルとアラブの間、第二はインドとパキスタンの間、第三はソ連と中国、そして最後はソ連とアメリカの順となるだろうと予言をしているわけであります。まさに戦慄すべき予想であります。
 総理は、あの大きく出た新聞報道を見て、また私がいまここで申し上げたことを聞いて、第三次米ソ戦争あるいは核戦争が起こり得ると展望しますか、起こり得ないと展望しますか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 確かに現在、米ソの間には従来のデタントの後退というようなことが見受けられます。しかし私は、米ソ両国の最高指導者が、あくまで対決をする、そういうことは回避したいという考えを持っておるものと信じております。今後私は、核軍縮、核を中心とした軍縮問題につきましては、私ども日本としては、特にジュネーブの軍縮委員会あるいは国連の軍縮会議等を通じまして、そのような事態にならぬように日本としての立場に立って最善を尽くしてまいりたい、こう考えております。
○武藤(山)委員外務大臣 現在核保有国は米、ソ、仏、英、中国の五カ国でありますが、一九九〇年までにはインド、イスラエル、南アフリカなど十カ国ぐらいが核保有国になるだろう、二〇〇〇年には約十三カ国ぐらいが核保有国になるのではないか、こういう心配をされた報道も同誌がいたしております。外務大臣の見解ではどうでしょう。
○伊東国務大臣 御質問でございますが、先生おっしゃったように、現在はフランス、中国までの五カ国であることは間違いないのでございますが、そのほかイスラエルの問題、パキスタンの問題インドの問題とか、いろいろ言われていることは確かでございます。日本としましては、核兵器の拡散防止条約に入っておりますし、何とか核兵器の拡散が防止されるように、この条約にたくさん入って、そして核兵器というものが拡散されないように、国連の軍縮特別総会もございますし、そういうところで一生懸命に核兵器の削減ということについて努力するということをやってまいるのが日本の立場だと思うわけでございます。いろいろいま先生おっしゃった国々の名前を挙げてのことでございますが、これは私どもからそれをどうこう言う立場にはございませんので、そういうことにならぬようにひとつ努力してまいりたいというのがわれわれの考えでございます。
○武藤(山)委員 この国会で発言しているような発言を、総理も外務大臣も、レーガン大統領と会ったときに、アメリカのタカ派の諸君と会ったときに、勇気を持って発言できますか。アメリカへ行くとどうも日本の国会でしゃべっていることより腰抜けになってしまうなんということが新聞によく出ている。自信を持って堂々と、世界の平和のために、総理、世界の軍縮のために、外務大臣、いまここで国民の前に約束しているようなことを、アメリカへ行ってレーガンと会ったときにも主張できますね。信頼していいですね。
○鈴木内閣総理大臣 まだ訪米の時期等は固まっておりませんが、もしレーガン大統領並びにレーガン政権の首脳と世界の平和の問題について話し合いをいたします場合には、私がいま申し上げたような立場、信念に基づきまして、日本の主張すべき点は明確に主張したい、こう考えています。
○伊東国務大臣 総理がおっしゃったとおりでございまして、いままでも、先生御承知のように包括的な核実験の停止というようなことを日本は主張しているわけでございます。あれは核兵器の広がらぬことを目的とした、まず第一歩でございまして、これはいままでも主張しておりますし、総理のおっしゃったように当然それは、われわれの考えとして核兵器の削減ということについては意見を申し述べるつもりでございますし、核戦争というようなものがないようにということは、日本の、被爆国は日本だけでございます、経験があるわけでございますので、悲惨さは十分わかっておりますので、これはアメリカに対しても当然、日本はこう考えておるということを申し述べる決意でございます。
○武藤(山)委員 後で防衛費の中身についてはやります。
 アメリカのレーガン政権の軍事戦略とは一体どういうものなのか、これは外務省を通じて恐らくかなり分析をしていると思います。外務大臣、レーガン政権の軍事戦略、中期的な展望でよろしい、明らかにしてください。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。
 レーガン政権の新政策は、まだこうだといって決定的なものは発表になっておりませんので、われわれとしましてはそれを注視しているというところが現状でございますが、アメリカ側は、いままでは力による平和というようなことを言われたことがございます。それから、同盟国とは十分に連絡、協議をしていくというようなことを言われておるわけでございまして、われわれとしましては、いつも日本の外交の基軸は日米友好関係、日米安保を中心にした日米関係ということを言っているわけでございますので、西側の一員としまして、経済あるいは政治に共通の理念を持った国々が共同をして、これは世界の平和、安定、繁栄ということに努力してまいる決意でございますが、いま先生おっしゃったことは、これからいろいろわれわれが向こうと話し合いの中に出てくる問題だろうというふうに思っているわけでございまして、いまアメリカの政策はこうだということをはっきり申し上げる立場にないということでございます。
○武藤(山)委員 正式に内閣としての文書はなくも、すでに新国務長官のヘイグあるいは有力なスタッフである元国防次官のポール・ニッツエ、こういう人たちが、もうことしになってどんどん見解を述べていますね、外交委員会に行って、議会で。そういうことは、外務省はちゃんと刻々情報をつかんで分析、解析しているんじゃないのですか。
 ヘイグ国務長官はこう言っていますね、かいつまんでまとめてみると。八〇年代は危機の十年だ。危機の十年という言葉を使っている。いままで危機なんという言葉は使ってないですね、歴代長官。これは重要な意味がある、この危機の十年という意味は。それから、百五十カ国の力の分散を非難する。三番目は、友好国と非友好国とをはっきりアメリカはこれから区別しておつき合いするぞと言っている。四番目は、ソ連の力の阻止を図る。はっきり言っている、ソ連の力の阻止を図る。五番目は、国際経済秩序の形成。六番目は、開発途上国の安定。そして、アメリカ外交の性格は次の三つに集約できる。一つは一貫性、一つは信頼性、一つはバランス、この三点をアメリカ外交の性格とすると述べている。
 これは新国務長官が述べているんだよ。国務長官というのは、レーガン内閣の最も基本的なそういう外交政策や戦略を知っている人じゃないのですか。
 私はこの中で特に見逃すことのできないのは、外交を武力で裏づける考えがはっきりしたということですね。アメリカの外交が武力を裏づけにした外交ということがはっきりした。しかも、このヘイグの演説の中で、最後の方で、国際社会における最も冷酷なメンバーにだけは、これはソ連を指すんだと思うのですけれど、軍事力行使の権利を放棄するということでは果たせない、こういう姿勢がはっきりしてきた。
 これはひょっとすると、さっき私が総理に質問した、幼稚な質問ではありますが、第三次世界大戦起こり得るや否やに通ずる。一九八五年前後、世界的に非常な緊張の高まりと不安を私は感じる。だからこういう質問をしているのであります。恐らく国民もそういう心配をかなり抱いていると思うのですね。だから、アメリカのこういう外交姿勢の転換ということを日本政府はどう受けとめ――日米安保条約があり、アメリカとは唯一の親密な同盟国家であるから仲よくしなきゃならぬ。わかる、それは。自由民主党の立場はわかりますよ。賛成はできないが理解できますよ。しかし、そういう関係、きずなを強くしなければならぬからといって、アメリカの言いなりに追従し、アメリカのタカ派と日本の自民党のタカ派が手を組んだときに、八〇年代がどういう時代になるか、そら恐ろしい感じが私はしているのであります。
 そういう意味で、アメリカのこの軍事戦略は、世界の冷戦をさらに当分続けさせるか、デタントを速やかに実現するために障害にならないか、外務大臣、総理大臣の見解をまず伺いたい。
○伊東国務大臣 いま御質問でございますが、八〇年代のことをヘイグさんが言ったということは、アフガンに対する軍事侵略、軍事介入がある、あるいはインドシナの問題もある、あるいはポーランドの問題が言われている、あるいは中東でイラン・イラクの紛争、中東和平の問題があるというように、各地に緊張といいますか、そういうことが起こっておりますことは先生も御承知のとおりでございまして、これが全部八〇年代に持ち越されて解決されてないということでございまして、そういう意味で私は、八〇年代というのは国際緊張がなかなか続くときだということを言われたのだろうというふうに思っているわけでございます。
 先生のおっしゃいましたデタントの問題でございますが、実は私も去年、アメリカへ行って当時のブラウン国防長官に会ったときに、米ソが全面的に対決するなんということは本当に世界の平和を覆すことなんだから、そういうことはないことを日本は希望するんだということをまず私が言ったのでございまして、その考えは同じでございます。
 実はこの間ヨーロッパへ行きましたときも、各国の首脳と話しましたときに、新しい政権の対ソ政策等について意見の交換をしたことがございます。そのときにヨーロッパのある首脳が、当時選挙では勝たれましたがまだ大統領についておられなかったレーガンさんと話したときに、SALTの交渉はやはり時間をかけても自分としてはやらなければならぬとレーガンさんも言っていた、よく言われるように対決対決というようなことだけでなくて、自分の見るところではアメリカの新政権も、そういう軍備の管理といいますか、そういう問題については非常に意を用いている、重大な関心を持っているということを私たちにも言ったのでございまして、私は、先生がいまおっしゃるような第三次世界大戦というようなことには、これはなっては世界じゅうが本当に壊滅するような、人類の壊滅というようなことになるのでございますから、何としてもこれを避ける努力を世界のみんなが英知を出してやらなければならぬというふうに思っているわけでございます。ポーランドの問題なんか、ヨーロッパではこれが起きたらデタントの壊滅、軍縮なんというものは飛んでしまうということで本当に心配をしておったわけでございますので、これは超二大国はもちろん、世界じゅうがそういう事態にならぬように努力する、平和の努力をするということが八〇年代の大きな政治家の仕事でなかろうかというふうに私は思っております。
○武藤(山)委員 時間がないので論争をさらに発展させられないのが残念でありますが、次に、この一月十九日にアメリカが国防報告を発表いたしましたね。この国防報告について外務省がどんな分析をしておるかも聞きたいのでありますが、時間がありませんから、私の方から要点だけちょっと質問をしておきたいと思います。
 日本に関する部分で、日本は米国の勧めで、少しずつ、より顕著な防衛体制を展開し始めた、海上自衛隊は米第七艦隊より多くの船と航空機をすでに持った、航空自衛隊は米第五空軍より多くの戦術航空機を装備した、陸上自衛隊は十三個師団と独立旅団となったと、まず日本の防衛努力を評価して、ソ連の脅威に対する認識の高まりが一層高まった。「自衛隊の質と戦争継続能力を向上させる長期的かつ顕著な計画を開始した。」アメリカの国防報告ですよ。日本についての部分ですよ。日本は「長期的かつ顕著な計画を開始した。」「予定を一年間早めるよう勧めた。」どこまで、どれほどの速さで現在の軍事力を増強するかという問題であります。このアメリカの国防報告によると、いわゆる一年間早めるようにというのは、これは中業見積もりでしょうね。中期業務見積もりを一年早めるように多分裏取り決めをしてしまったのでしょうね、防衛庁長官あるいは防衛庁の幹部。そういうことを向こうの国防省が正規の向こうの議会への報告書にちゃんと書いている。そして戦争継続能力を向上させるために「長期的かつ顕著な計画を開始した。」顕著というのは、目に余るように、目に見えるような防衛努力がふえていくということでしょう。このアメリカの国防報告は真実を語っているか、うそであるか、外務大臣、どう認識されますか。
○伊東国務大臣 ソ連の脅威ということがございましたが、前から政府が申しております潜在的な脅威があるということは、それは認めておるのでございますが、これは何も敵視するとかそういうことではないので、この問題については私は冷静に対処しなければならぬと思っておるわけでございます。
 それで、防衛努力の問題でございますが、これはあくまで日本を守るという場合に日本がどこまでやれるかという判断は、まず自主的にこれは日本がして、そして努力するということでございますので、どの国から言われてどうということではない。アメリカに行っても必ず自主的ということを私は言ってきたのでございます。
 長期的ということを言っているということでございますが、防衛努力というのは一年で終わるものではなくて、やはり長い目で物を考えていかなければならぬ。計画をつくりましても、防衛大綱もそうでございますし、一年で終わるものじゃございませんので、そういうことを頭に置いてやるのは当然でございますので、それを長期的と言えばあるいは長期的かもしれませんが、当然長い目で考えなければならぬ問題だと私は思っております。アメリカに対しまして私はいつも、着実に自衛力の整備をしていくということを日本としてはやっていくんだということを述べておるわけでございまして、今度の予算がどういう性格のものかという判断は、これをアメリカがどう判断するかは別でございますが、日本としましては防衛大綱の線に沿って着実にこれはやっていくことだというふうに思っておるわけでございます。
○武藤(山)委員 外務大臣、答えになっていないよ、そんなのは全然。何を言わんとしているのかね。私が聞いているのは、「長期的かつ顕著な計画を開始した。」こう言っている、それから予定を一年間早めるようアメリカが勧めた、これは中期業務見積もりのことだろう、こう聞いているのですよ。中期業務見積もりを一年間繰り上げて早めるということを約束したのか、してないのか、外務大臣の見解をもう一回聞かしてください。
○伊東国務大臣 さっきお答えしましたが、長期的という言葉は……(武藤(山)委員「ちょっと、それはないよ」と呼ぶ)長期的、顕著ということを先生一つ言っておられるわけで……(武藤(山)委員「長期的だけしか答えてないじゃないか」と呼ぶ)いやいや、ですから長期的ということを私は答えたわけでございます。それから、顕著かどうかということは……(武藤(山)委員「顕著の中身」と呼ぶ)私は、着実に防衛大綱を実現していくというのが考え方だと思っておるわけでございますので、その判断の仕方は、これは先生、アメリカがどう見るか、日本がどう見るかという問題で、私は、着実に防衛大綱をやっていくんだ。それから中期業務見積もりを繰り上げたのかどうかということは、私はそういう交渉をアメリカとやっておりませんので、その点につきましては防衛庁長官からお答え願った方が私よりも適当だ、こう思うわけでございます。
○武藤(山)委員 外務大臣、私がいまちょっと興奮したのは、「かつ顕著な計画」という顕著とはどういうことかということを聞きたかったのを、あなたは顕著という言葉は逃げて、着実と言うんだよ。着実と顕著はどう違うのかね。顕著というのは、目に余るような、かなり明らかなことなんだ。著しく目に余るようなことなんでしょう、顕著というのは。着実というのは、具体的に数字は余りないんだ。一歩一歩、危なっかしくなくやるということでしょう。顕著と着実は違うんだよ、中身が、概念が。それをごまかしてはいかぬよ。私は顕著と、いま聞いているんだから。だから、顕著じゃなくて着実にやるという場合は、それじゃどう違うのか。顕著にやった場合はどのくらい防衛費が伸びて、着実の場合は伸びないでこうなんだ。違うんですよ、言葉の意味が。ごまかしてはいかぬのです。着実に逃げちゃいかぬのです。
○伊東国務大臣 ごまかすというつもりじゃございませんで、私がアメリカへ行って、アメリカのいろいろ各方面と話したとき、着実、顕著という言葉が向こうからよく出たわけでございます。私は、着実にはやります、顕著、目をみはるような、先生おっしゃったようなそういうことはなかなか、財政事情もあり、国民のコンセンサスも必要でございますので、それはそこまではということで着実ということを言ったわけでございまして、顕著という言葉は、アメリカでも私は使ったことはないのでございます。
○武藤(山)委員 去年の六月の総選挙以降、自民党が圧倒的多数をとった以降、自民党内部のタカ派とハト派の発言の数は、完全にタカ派が圧倒的な勢いで軍備増強、軍備増強ですね。ハト派の声はほとんどかき消されている状態ですね。ですから、当初、防衛庁関係あるいは国防議員関係の諸君は九・七の伸び率を要求して、初めは大蔵大臣も乗っかってしまうかなどうかなと心配をしていたが、最後は鈴木総理が九・七はいかぬと言って、ちょっとダウンさせる。まさに自民党内のタカ派と良識派の論争が日本を滅ぼすような結果になるのじゃないかという心配すら私は受けるのですよ。今回、鈴木総理のあの予算編成のときの、九・七をちょっとでもおろさせようとした努力は、私は率直に評価いたしますよ。しかし、いままでより見たら伸び率はかなり大きいので、七・六一というのはがまんなりませんけれども、とにかくいま肝心なことは、国内はもう核武装しろという論調が出たり、評論家や学者の中で核武装すべきだ、あるいはきょうの自衛隊の統幕議長なんかどうですか、GNPの三%程度予算を組まなければアメリカとうまくいかなくなるというようなことを言っておるのですよ。日米間に不信感が出てくる、危険だ、三%。あるいはまた、専守防衛なんというのは日本の国内で戦争することなんで、そんなことをやったら、その前に爆弾を落とされて、とてもそれは守れるものじゃありません、専守防衛という方針はおかしいという意味のことを言っているんですよ。徴兵制のことまで言っているんだよ。何が文民統制が行われていますか。こういう制服がどんどんどんどん発言を強化したときに、自民党の諸君も恐らく軍部の権威に恐れて物を言えなくなる。ハト派がみんな物を言えなくなってくる。そのときだ、日本が危ないのは。そういう時代が、このまま推移すると来るね。
 総理大臣は、軍事大国にならぬということをASEANに行っても約束したし、国会でも約束しています。総理の考える軍事大国とはどういうことで、軍事大国でないという歯どめは、一体どこからどこまでが軍事大国でないのですか、国民の前に具体的に明らかにしてください。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、五十六年度予算の中における防衛費の問題をめぐっての御意見がいろいろございましたが、いま政府は「防衛計画の大綱」に基づきましてこれを着実に進めておる段階でございます。
 わが国は、御承知のように平和憲法のもとにあるわけでございます。したがいまして、専守防衛に徹しなければならない。自衛のための防衛力は持ちますけれども、これは近隣諸国に脅威を与えるようなものであってはいけない。そしてシビリアンコントロールに徹していかなければいけない。そして最高のシビリアンコントロールは国会でございます。私は、そういうような枠組みの中でわが国は軍事大国には絶対にならないということを確信をいたしておるわけでございます。
○武藤(山)委員 だから、軍事大国とはどういうことかを聞いているのです。
○鈴木内閣総理大臣 軍事大国と申しますのは、近隣諸国に脅威を与えるような大きな軍事力を持つことでございます。それから、攻撃的な、他国に壊滅的な打撃を与えるような、そういう戦略爆撃機であるとかあるいはICBMであるとかそういうようなものを持つというようなことになれば、これは他国に脅威を与える、まさに軍事大国というふうになるわけでありますが、私が前段で申し上げたのは、これは自衛のための防衛力である、専守防衛に徹したものである、その枠をはみ出すようなことは断じてないということを申し上げております。国会が予算を通じまして、あるいはいろいろな御意見等を通じましてこれを確実にコントロールしておるという日本国の状況においては、そういうことは断じてない。
○武藤(山)委員 近隣諸国に脅威を与えるということは、近隣諸国というのはソ連あるいは韓国、中国。そうすると、韓国から見た場合、日本の軍事力はどのくらいになるかということも入る。ソ連から見たら問題ではない。相手によって見方が違うんですね。だから、そういう抽象論はだめなんですよ。いまの予算がGNPの〇・九。一%以内と、前に三木さんのときに閣議で決めてある。あるいは中業もそうなっておる。その範囲内からはみ出ないのが限界なのか、それをはみ出るようになったときは軍事大国ということになるのか。それともソ連がおっかないと思うようになるまでは、どんどんふやしても軍事大国じゃないんですか。相手が脅威と感じないというのなら、ソ連が脅威と感じないなら軍事大国じゃないんですか。私が具体的にということはそのことを聞いているんですよ。抽象論じゃだめです。
 どんどん取っ払って、中期業務見積もりを四年で実施しようという意見がどんどん出ているんでしょう。あるいは専守防衛なんというのはだめだ、制服を着た軍人がそう言っているんだから。そんなのがどんどん勢力を伸ばしてきたら、歯どめがないじゃないですか。大体、こういう政府の方針と反するようなことを統幕議長が言うに至っては論外だな。直ちに懲戒処分にすべきだよ、こんな統幕議長は。平和憲法の精神を守り、軍事大国にならない、専守防衛に徹するという総理大臣の言明が国会を通じて再三行われている。それに真っ向から挑戦するようなことを文章に書いて一般国民に見せるような統幕議長は、直ちに罷免すべきですよ。懲戒だ。まず、総理大臣の見解を伺いたい。
○大村国務大臣 総理の前に所管大臣から、ただいまのお尋ねの点につきましてまずお答えさせていただきます。
 竹田統合幕僚会議議長の雑誌における発言の内容につきましては、いまだ詳細に承知しておりませんが、報道されるところによりますと、個人的見解である旨述べていると聞いております。(武藤(山)委員「個人的だって。制服を着ていて何だ」と呼ぶ)統幕議長という立場上、意見を外部に発表する場合にはおのずから節度がなければならないということは言うまでもございませんが、基本的には自衛官にも表現の自由が当然認められていることでありますから、個人的見解を自由に述べることまで許されぬものではないとは考えております。
 また、その発言の真意は本人からもよく聞いてみたいと考えておりますが、(「何を言ってもいいのか」と呼ぶ者あり)たとえば徴兵制に関する発言も、政府の方針を否定しようとしたものではなく、自衛隊の崇高な使命を強調したかったものと聞いております。(発言する者あり)
 いずれにいたしましても、自衛隊は政府の、あるいは防衛庁長官の決定した方針に厳格に従い、防衛庁長官たる私の指揮命令に服しており、シビリアンコントロール上問題はないと考えております。(発言する者あり)
 いずれにいたしましても、本人からよくその真意を確かめてみたいと考えるわけでございますが、私といたしましては、現在、基本的にはいま申し上げたように考えておるわけでございます。
○武藤(山)委員 原案も文章も読んでないと言いながら、何でその役人の書いたものを読み上げる。おかしいじゃないですか。これは全文ですよ。直ちにそれは防衛庁長官としたらすぐにでも取り寄せて、さっと精査して、これは処分に当たるか当たらぬかぐらい自分の判断で決めるべきだよ。総理大臣に報告するのが、あんたら連帯責任の責任だよ。
 大体、こういうことで制服がどんどんどんどん意見を述べ、それに押しまくられていったら、日本の平和とか安全とか戦争とかという問題がどうなるのか。私はまことに、いまの文民統制なんというのはなっておらぬと思う。
 もちろん、防衛庁長官にも責任あるよ。防衛庁長官は予算が決まった後、予算七・六一、まことに不満だ、アメリカから再度要求が来ればもう一回何とか再検討してもいいようなことをこっちから言うのですから、こんなことでは防衛大臣、本当に日本を預けておけないですよ。
 私は、今回のこういう統幕議長の発言は即刻――平和憲法を守り、平和主義に徹し、専守防衛で行くんだという鈴木総理の大方針に反する見解だから、総理大臣がこんなのは――あなた、あれでしょう、国防会議議長でしょう。軍備はあなたが全責任を持っているのですよ。日本の軍事力の使い方や方法については、すべて総理大臣の決断なんですよ。責任重いですよ。懲戒免職にすべきじゃありませんか。こんなことまで言っても、よろしいといって退職金をくれてのうのうと、言ったことが正しいなんということを、やめてからまた言いふらしていいのですか。内閣の権威は地に落ちるじゃありませんか。どこに国権の最高機関から出ている総理大臣の権力がありますか、こういうことが平気で行われて。あなたの威令が及ばないことです。総理の見解を聞きたい。
○鈴木内閣総理大臣 私は、その竹田統幕議長の対談というものを承知しまして、そういう事態が起こったということを承知をして、直ちに防衛庁長官にその経緯並びにその真意を調査をするように命じてございます。いま防衛庁長官から答弁がございましたけれども、なお引き続き本人からもよくその真意を聴取し、実態を把握した上で考えたいと思っております。
○武藤(山)委員 時間がいずれにしても限られておるものですから、この問題にこれ以上費すことはできません。しかし、政府の平和憲法を擁護し、専守防衛に徹するという大方針に反することを言っている統幕議長をほっておくということは許せません。私の後、この後まだわが党の石橋委員も発言をいたしますから、わが党の次の時間に、この問題についてはさらに大いに発展をさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、いまの政府の態度は、国民が恐らくいまテレビで見ていて、総理大臣が平和憲法擁護なんと言うのは口先だけだという感じを与えますよ、こんな姿勢では。いずれにしても、次にまたシビリアンコントロール問題については、石橋委員から徹底的に追及をしていただきます。
 次に入りますが、私は、いまの軍備増強の競争が経済に大変なマイナス面を与えて、日本もそれに踏み込んだらえらいことになるという感じを持つのであります。
 政府でひとつ、日本、西ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ソ連のGNPの額を発表してください。同時に、そのGNPの軍事費割合、何%ぐらい軍事費になっておるか、すぐ明らかにしてください。
○井川政府委員 ただいまの前半の、主要国のGNPの額を私の方から申し上げます。
 これはきわめて最近アメリカの大統領経済報告に載りましたので、一番新しいデータということで申し上げるわけでございますが、アメリカがドルで申しまして二兆三千六百九十億ドルでございます。それからソ連、ソ連のGNPは大変むずかしゅうございますが、この報告によりますと一兆二千六百三十億ドル、次ぎましてわが日本でございますが、これが一兆三百億ドル、それから西ドイツが七千六百億ドル、フランスが五千七百億ドル、イギリスが三千九百四十億ドルでございますが、これがすべて一九七九年のGNPということになっております。
 以上でございます。
○武藤(山)委員 軍事費の割合は。それに占める軍事費。
○松下政府委員 英国の国際戦略研究所発行の「ミリタリー・バランス」からとった数字でございますが、GNPに占める防衛費の比率は、一九七九年度で申しましてアメリカ五・二%、ソ連が一一ないし一三%、イギリス四・九%、西ドイツ三・三%、フランス三・九%、日本、これは七九年度の当初予算の比率でございますが、〇・九〇%でございます。
○武藤(山)委員 いま政府側から、国民総生産、世界の比較と軍事費の割合を出していただきました。これによって計算をしてみますと、アメリカの軍事費は千二百三十億ドル、一年間に千二百三十一億ドル、二十四兆円。ソ連が一兆二千六百三十億ドルの二%ないし一三%ですから、一一%と見て大体千二百六十億ドル、そうですね、防衛費がね。一〇%で千二百。だから、多い方で見て千五百、少ない方で見て千三百、ソ連の軍事費が。アメリカと百億ドルばかりの違いがある。しかし、アメリカとやや同じくらいの軍事費、日本の約十倍。一年間、日本の約十倍の軍事費をソ連とアメリカはかけている。西ドイツが約二百五十二億ドル、日本の倍ですね。しかし日本のは、これは軍人恩給が入っていない。ドイツのは軍人恩給が含まれている、二百五十二億ドルの軍事費に。日本のもこれを含めますと、〇・九が一・五になりますからね。だから、かなり高くなることは高くなります。フランスは百九十六億ドル、イギリスが百九十七億ドル、こういう数字が出てきますね。そうすると、日本の軍事費も決してそう少ない少ないという金額じゃないんですね。
 それよりも問題なことは、軍事費の多い国ほど経済がおかしくなっているということの方が重大なんです。軍事費をたくさん出している国ほど経済がおかしい。アメリカもいまもう経済はどうしようもない。(「ソ連も」と呼ぶ者あり)いまソ連もやる。ソ連もやるから黙って聞け。アメリカは、国際競争力はドイツや日本にもかなわぬような状態。生産性はまことに低い。インフレは二けた。失業は七%。問題にならない。ソ連は、中央統計局一月二十三日の発表を見ても、穀物生産は目標の三〇%ダウン、鉱工業生産も四・五の目標が三・六、石炭は目標より三千万トン減、第十次五カ年計画は三〇%目標よりダウン。したがって、第十一次五カ年計画は土台から三〇%前期よりも落とそうという状態。ソ連の経済も大変な状態ですね。対外債務もかなりふえてきた。
 アメリカとソ連がどうして経済がこうおかしくなってきているかという最大の一つの原因は、やはり軍事費ですよ。軍事費というものは消耗経済です。物を再生産しない。国民の生活を豊かにするものに結びつかない。人を殺すために捨てる機械です。こんなものをどんどんつくっていけば国は疲弊する。兵甲強ければ国滅ぶという言葉がある。剣に立つ者は剣に倒れる。その昔のことわざのごとく、軍備によって国を栄えさせようということはできない。いまのGNPと軍事費の比較はそのことをよく物語っていると私は思うのであります。
 ちなみに、労働コストの上昇率を比較してみるとこうです。一九七六年から八〇年の日本の労働コストの上昇率はわずか〇・一、西ドイツは一・八、イギリス一一・九、アメリカは六・八です、労働コストの上昇率が。アメリカは日本の六十八倍。日本がいかに労働コストが低いか。生産性の上昇率は、七〇年から八〇年の十年間、日本の労働生産性は一八七になった。西ドイツは一六六、アメリカはわずか一二九の伸びだ。アメリカと日本の生産性の上昇率を見ても問題にならない。
 日本はなぜ世界で最も冠たる成長率を維持しているのか。失業者も、世界の比較の中では日本が一番いい水準なのか。(「政治がいい」と呼ぶ者あり)政治がいいのではない。これは平和憲法体制、平和産業に徹して日本の産業構造というものを構築してきた今日の体制にあるのであります。これをもし自民党の政治がいいから――自民党政治なんか何にもやっていない。自由に任しているだけだ。みんな民間活力でやっているんだ。問題は、平和憲法を守って、平和憲法を基本にした体制を維持していたところにある。平和憲法を守れ守れと要求した勢力がなくて、防衛庁の言うような形でどんどん軍備増強をやったとしてごらんなさい。今日の日本はありませんよ。したがって、日本の本当のいまの成果を将来にもわたって発展させる道は、軍備増強の道じゃないのであります。それを私は言いたいためにいまのこの数字を列挙してみたのであります。
 こういう軍事力をさらにさらに高めて、GNPの二にしろの三にしろのという議論について総理大臣はどう考えるか、総理大臣の見解のほどを伺います。
○鈴木内閣総理大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、わが国の防衛努力は、五十一年に決定をいたしましたところの「防衛計画の大綱」に基づきまして着実に進めておるところでございます。いま武藤さんから御指摘がありましたように、日本はやはり平和国家として、自分の国は自分で守るというその防衛努力はいたしますけれども、それを超えたところの軍事大国にはならないというのはそういう考え方に基づくものでございます。私は、今後とも日本は平和国家として、国際社会の中における役割りをそういうものを通じて世界の平和と繁栄に努力していきたい、こう思っております。
○武藤(山)委員 防衛庁長官、ソ連が極東に軍備を増強しているということが潜在的脅威になるということを再三言っているのでありますが、ソ連が極東に配備している兵器というのはどんなものなんですか。
○大村国務大臣 ただいまの極東ソ連軍の兵器の配備状況についてお答え申し上げます。
 地上兵力について申し上げますと、全ソ連百七十三個師団約百八十三万人のうち、その四分の一程度に当たる四十六個師団約四十五万人を主として中ソ国境付近に配備し、そのうち極東、おおむねバイカル湖付近以東を意味するわけでございますが、極東地域には三十四個師団約三十五万人が展開しております。特に近年は北方領土に師団規模に近い地上軍を配備し、また、極東、ザバイカル、シベリアの三軍管区及びモンゴル所在の部隊を統轄する統合司令部を設置したと言われるなど、増強が行われております。
 海上兵力について申し上げますと、全ソ連の艦艇約二千六百二十隻、五百一万トンのうち、その三分の一程度に当たる約七百八十五隻、百五十二万トンを保有する太平洋艦隊が展開しております。この中で近年における増強には顕著なものがありまして、七九年から八〇年にかけて総トン数が百三十八万トンから百五十二万トンへと十四万トン増加し、また、隻数が七百七十隻から七百八十五隻へと十五隻増加しており、特に百二十五隻から百三十隻へと増加した潜水艦五隻はすべて原子力潜水艦であるほか、空母ミンスク、カラ級巡洋艦、揚陸強襲艦イワン、ロゴフ等の新鋭、大型の戦闘艦艇の増強が進められております。
 航空兵力につきましては、全ソ連の作戦機約九千三百機のうち、その四分の一程度に当たる約二千六十機が極東に展開しており、その内訳は、爆撃機約四百五十機、戦闘機約千四百五十機及び哨戒機約百六十機であります。中でも戦闘機及び戦闘爆撃機の半ば以上はミグ23、27、SU24等の最新鋭機で、その率はなお着実に増加しつつあり、また、航続距離が長く、すぐれた空対地の攻撃能力を持った新型爆撃機バックファイアがシベリア内陸の遠距離航空部隊に十機以上、また、沿海地方の海軍航空部隊に作戦可能な機数配備さると推定されます。
 また、戦域核戦力も相当数配備されていると見られ、特に最近は、日本及び中国を初めとする東アジアの大部分を射程におさめ得る移動式IRBM、SS20ミサイルが数十基配備されると推定されること及び前述のバックファイアの配備に見られるように、その増強、近代化には顕著なものがございます。
 以上に示されたように、近年の極東ソ連軍の増強には顕著なものがあり、わが国の安全保障に対する潜在的脅威の増大であると考えておる次第でございます。
○武藤(山)委員 防衛庁長官、どこで調べをしたのですか、そういう数字を。ソ連の数字が出ているのはそう簡単にないのですが、どこの調べですか。
 それからあなた、SS20ミサイルが二十基シベリアに設置された。そのSS20ミサイルというのはどんな性能を持っているか、防衛庁長官、ちょっと答えてみてください。
○大村国務大臣 お答え申し上げます。
 資料につきましては、各般の信用できる資料に基づいて作成いたしております。アメリカ以外にも、「ミリタリー・バランス」でありますとか、いろいろ各国の参考にできる資料がございますので、そういったものに基づきまして策定いたしたわけでございます。
 SS20でございますが、これは戦域核戦力に相当するものでして、一番長いIRBMに比べますと短いわけでございますが、距離にしましては、正確な数字は政府委員から申し上げたいと思いますが、私の記憶するところによりますると、数千キロの射程を持っている戦域核戦力に相当する新鋭の兵器であるというように承知しておるわけでございます。
○武藤(山)委員 潜在的脅威があるから日本の自衛力を強くし、軍隊を強くして不時の侵略に備えるのだという発想で専守防衛をやるのだ。統幕議長は、そんなことをやれば国内が戦場になって大変なのだということが、けさの新聞に出ている。もちろん相手を攻撃し、出かけていかない、先手を打つことはしないというのが専守防衛ですから、専守防衛というのは当然日本が戦場になるということが前提なのですよ。
 日本の国内が戦場になったらどういうことになるかということは、もう日本国民はいやというほど沖繩戦争で体験しているのですね。沖繩は、昭和二十年四月十日から六月二十二日のわずか二カ月半で、沖繩人十二万二千二百人が戦死し、死んでしまっているのですよ。本土の兵隊が六万五千九百人。あのひめゆりの塔、あの小学生の子供たちのあの戦争で亡くなった痛々しい姿をわれわれは忘れてはいけませんね。私がいま日本を心配なのは、防衛庁の、自衛隊の制服が、戦争中の戦争体験者がだんだんなくなってきた。戦争の恐ろしさ、こわさ、四面海に囲まれた日本を軍事力で守れるか守れないかぐらいは、あの戦争の体験者は皆知っている。
 あるいはアメリカに宣戦布告し、イギリスに宣戦布告してどういうことになるか、あのでかい中国大陸に侵攻して、とどのつまりどうなるか、そんなことは冷静な理性を持ち、判断力を冷静に持った者なら初めからわかっていることなのだ。そのわかっている間違いをなぜやったのか。それは感情の政治であります。理性を失っている政治なのであります。いま日本はその理性を失いつつある。そこに大変な心配があるのであります。防衛庁長官、防衛庁の官房長をおやりになった竹岡勝美さんあるいは海原治さん、これは防衛庁の元官房長ですね。その人が朝日新聞の論壇の中で、防衛庁長官がSS20というソ連が装備したミサイルのことを知らないのがおる、そんなざまで日本の防衛問題を論じられるか、日本の中期業務見積もりというのは制服の買い物計画にすぎない、欲しい物をただ要求する要求伝票だというのだよ。元防衛庁官房長がこう書いているのだよ。そこには戦略がない。これをどんどんつづめたとどのつまりどうなるかという戦略がない。また、相手の力というものをどう見抜いて、日本がどう対応するかという大きな戦略が日本の防衛には欠落しておる。そういうことをどんどん進めても意味がないよと言っている。これは元官房長だよ。
 SS20というのは、防衛庁長官、約五千キロを飛んでくる多弾頭核ミサイルでしょう。多弾頭核ミサイルというのは、一発でもって東京と大阪と名古屋を攻撃できるのですよ。しかも、これが広島、長崎の原爆の十倍の威力を持っている。そういうものが極東に配備されている情勢の中で、いまの日本の防衛というものが、武力で事を構えて一体解決できるのか。やはり外交によって、全方位外交で、いずれの国とも、国の大小を問わず、遠近を問わず、戦争にならない、相手の意図をいかに変更させるかという努力、それ以外に日本の平和はない、安全はないということを元防衛庁官房長もちゃんと言っている。われわれだけが言っているのじゃないのだよ。もっと冷静に政府は事を処理しないと大変なことになる。
 しかも、このSS20などというのは、専門家は、防御できないと書いている。十分間なんだ。シベリアから東京まで十分間で飛んできて、多弾頭ミサイルで三つに飛んでいかれたら防ぎようがない。一体日本の今日の、武力によって国を守ろうという発想がいかに漫画的であるか、そういうことをやはり知りながらやらなければいかぬ。だから、いまの日本を守るという防衛のあり方は、本当に日本を守るという本気からの気持ちじゃないと思う。アメリカとのおつき合いだ、アメリカとのおつき合いのために渋々、やむを得ず防衛を持っている、それは安保条約があるからだ、これが国民の常識ですよ。言うなれば、だからこれはアメリカとのおつき合いの保険料ですよ。そういうことを冷静に判断しないと、歴史はこれからまだ進むのだから、二年や五年で日本は終わりになるのじゃないのだから、いかに米ソ戦争を起こさせないか、大国のわがままをいかに抑えるか、そういう外交を世界に向かって展開する以外に日本の真の平和はあり得ない、私はかく信ずる。
 いまの元官房長のこういう発言を見ても、結局は米ソの平和共存、デタント、これに徹底的に国の力を注ぐ以外に日本の生きる道はないと結んでいる。元官房長のこういう考え方について、総理はどんな所見を持ちますか。
○大村国務大臣 総理のお答えになります前に、私の名前を引いてのお尋ねもあったようでございますので、まず申し上げさせていただきます。
 まず、SS20の性能でございますが、私、先ほど射程は数千キロと申し上げましたが、資料を取り寄せてみますると、射程は四千四百キロ以上となっております。また、弾頭につきましては、六百ないし八百キロトンの三MIRVですか、三つ弾頭を持っているということでございます。配備数は約百二十基であります。主として欧州に配備されております。最近は極東にも配備されておる、こういうことでございます。
 それにつきまして、防衛庁にかつて勤務したことのある方がいろいろ意見を言われているようでございますが、私どもといたしましては、わが国の防衛の基本方針は、五十一年策定の「防衛計画の大綱」に示されておりますとおり、限定的、小規模の侵略に対しましては、原則としてわが国の自力をもって対応する。それで侵略を撃退できない場合には、粘り強い抗戦を続けて、安保条約に基づくアメリカの協力にまつというのがわが国の防衛の基本方針でございます。また、わが国の防衛は通常戦力を主といたしておるわけでございまして、核戦力に対しましては米国の力にまつというのが基本方針でございます。
 御指摘のSS20につきましては、これは核戦力、核兵器でございますので、わが国の通常兵器の範囲にはもちろん属しないわけでございます。したがいまして、安保条約を堅持し、その信頼性を高め、その効率を高めておくことが必要ではないかと私は考えているわけでございます。
 もとより世界の平和は、先生御指摘のとおり軍事力だけで支えられるものではございません。外交努力も当然必要でございますので、外交面の努力は傾注しながらも、万一の侵略に対してわが国の防衛力をみずからの手で充実する、その必要が今日大であると考えまして、五十六年度の予算編成におきましても、諸般の事情は考慮しながらも、わが国の自主的判断に基づいて二兆四千億円の予算を計上した次第でございますので、直接の担当者である私からその点のこともあわせて申し上げておきたいと思う次第でございます。
○武藤(山)委員 時間がいずれにしてもなくなりますので、防衛問題はもう一点だけで終わります。(「総理大臣の答弁は」と呼ぶ者あり)後でまた憲法のところでやりましょう。
 防衛庁は、兵庫県の三田市にナイキミサイル基地をつくろうということで、地元では大変心配して、市議会は満場一致でこの基地をつくらないでくれという決議をいたしました。あるいはまた住民もこぞって、その近在の皆さんも、困ると言って反対をしておる。この議会の満場一致の反対決議の重みというものは、和の政治を主張する総理としては大変尊重しなければいかぬと思うのですね。この地方議会の満場一致の議決のナイキ基地は困るという決議に対して考慮していただきたい、配慮していただきたい、こう私は思うのですが、総理、いかがでしょうか。
○大村国務大臣 総理に対するお尋ねでございますが、私の所管でございますので、また具体的な経緯についてのお尋ねもございますので、まず私から答えさせていただきます。
 防衛庁といたしましては、かねてから京阪神地域の防空能力を強化するため、同地域西側地区に地対空誘導弾ナイキJを装備する一個高射隊を設置すべく候補地の検討を行ってきましたが、諸般の事情が整わず、その見通しを得るに至っておりません。よって、この際、ナイキJによる今後の部隊整備は控えることといたしました。今後の防空能力の確保充実に関しては改めて検討することにいたしております。
 最近、三田市議会でそういう議決があったということも承知しておりますが、全体としてはいまそういう進め方をしておるということを先生、御了承願いたいと思います。
○武藤(山)委員 午前中、あと三十分になってしまいました。日銀総裁、まことに恐縮ですが、いまごろできると思ったのですが、日銀問題は午後に変わりますので、申しわけありませんが、総裁、午後にしてくれませんか。時間がずれちゃったものですから。
 平和憲法の問題でございますが、宮澤官房長官、一月十三日のプレスセンターでの講演が新聞に大きく報道をされたことは御存じだと思うのですが、この講演の中で、新聞の報ずるところによると、国民の多くは平和憲法のこのコースに疑問を持っていない。現行憲法は第二次世界大戦での敗北の結果できたものであり、生まれた背景がある。第三、現憲法で育った人が国民の半数を占めており、改正は外から見るほど簡単ではないし、もとに戻すこともできない。次、自民党内には、思い切った防衛力の整備をという考えと、国民に根差してきたものをゆっくり育てていこうという二つの考えがあるが、鈴木首相は後者の考え方をとっていると述べたと報じている。
 この宮澤官房長官の憲法観を鈴木総理は追認するのか、少々その考えとは違うと思うのか、総理の見解をまず確認しておきたい。
○鈴木内閣総理大臣 私は、現行憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この理念というものは後世においても貫かれるべきものである、これが国民の中に定着をしておる、私はこう考えております。したがいまして、宮澤官房長官の所見と同じような見方をしております。
○武藤(山)委員 さらに宮澤長官は「人類史上初めての試みであり、」――この平和憲法の精神のことですね。「人類史上初めての試みであり、国民の多くは疑問を持っていない。世界で初めてわが国が歩き始めたコースは、やってみる価値がある」官房長官、いいことを言ったですよ。こういう人が総理大臣になれば日本は心配なくなる、この発想ならば。そして宮澤長官がこういう発言をしたことは本心と国民は受けとめる。なぜか。宮澤長官は自主憲法制定議員同盟に加入していないようですね。だから本物だと国民は受けとめる。(発言する者あり)知っているよ、全部週刊誌に出ているんだもの。鈴木総理はこれに入っているんだよ。自主憲法制定議員同盟に鈴木総理は入っているんだ。片方では、いまの憲法はよろしくないから自主憲法をつくろうというのでしょうから、だから改正論なんですよ、自主憲法議員同盟は。片足は改正の方へ入って、片足は平和主義を守るんだ、平和憲法はいいんだ、りっぱなんだ、宮澤さんと同じ意見なんだというのじゃ、どうもつじつまが合わない。なぜか矛盾があるんだな。これは宮澤さんの方との和の政治にするか、同盟の方と和の政治にするか、どっちかに決めなければ、国民はわけがわからないね。私がちょっと確認をしておきたいのはここのところなんですよ。どうですか。自主憲法制定議員連盟に入っていて、現憲法はいいぞ、おれは守るんだ、憲法を擁護するんだと言っても本物に聞こえないと思いますが、総理の御意見はどうでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 自由民主党の立党の政綱の中にうたわれておるわけでございますが、この政綱の中でも、憲法の三原則、これは堅持する、こういう前提の上に立って憲法の研究や議論をしよう、こういうことでございまして、私は、この立党の綱領に賛成しまして入党をしておるわけでございます。しかし、私は総理になりましてから、この国会の場を通じまして明確に申し上げておりますことは、鈴木内閣においては憲法改正をする考えを持っていないということを申し上げておるわけでございます。この点は御信頼をいただいて結構だ、こう思っております。
○武藤(山)委員 総理、私は揚げ足を取ったり、総理をただやっつけようなんというつまらぬ気持ちはないのです。本当に日本を心配して、国家、国民のためにどの路線が本当に国民のためになるのかをこのテレビを通じて国民に知っていただきたい。だから、自民党の鈴木さんと社会党の武藤と論理の競争をしよう、私はこういう土台でしゃべっているのですよ。だから、決して逃げ答弁なんかしちゃいけないと思うのですよ。やはり本当のことをやろうじゃないですか。官僚の書いた作文でない本音を聞きたいと新聞がみんなそう書いているんだから、本音を少し話してください。
 では、自主憲法連盟に入っていることは何ら矛盾を感じない、そう言っているのですが、この自主憲法制定国民会議なり議員同盟事務局がどういう考え方を持っているかを総理御存じなんでしょうか。
 八月二十一日号の自主憲のこの通達文の中では、こう書いているのですよ。「現憲法には無数の形式的欠陥・成立上の欠陥・内容的欠陥があるがいまそのうちのいくつかの問題点を挙げ、御参考に供したい。」まず、こういう文章になっている。発行所は自主憲法期成議員同盟、自主憲法制定国民会議事務局となっている。議第三八五号だ。その中で、改正点の第一は「独立国の憲法にはすべて、国家の緊急事態に対処する規定があるのに、日本国憲法にはその対処規定が全くない。」「二、同様に、国家の元首についての規定がなく、」「総理大臣、国会、天皇などに見解が分かれている。」ねらいは、元首を決めようということなんですよ。第二は。ずっと飛ばします、時間がありませんから。その次、今度は、この憲法は国際法違反と言えるという点ですよ、三番目は。「過去の国際慣習であったのに、こと日本についてだけ、占領中に新憲法を押し付けたことは、国際儀礼を無視した屈辱であり、この点現憲法は国際法違反といえる。」これが第三点だ。そして次に、「憲法第三章 国民の権利義務の各条項について、それがあまりに「個人の権利」を強調するに急で、反面としての他人・社会・国家に対する協調性・義務観についての規定に乏しい」、したがって「権利義務関係の相対性を憲法上に明示すべきである。」これが四点。その次が「第九条戦争放棄の規定については、憲法学者の数ほど見解が分かれるといわれるほど多義であるが、本来、国家の基本法たる憲法の条項については」素直にわかるように、結局「疑義の多い規定は速かに改正する必要がある。」交戦権と軍隊のところを――陸海空軍はこれを保持しないということ、交戦権はこれを認めないというところですね。これは書き直す必要がある。
 これは鈴木総理が加入している同盟の通達ですよ。こういう考え方を根底にして、この議員同盟に鈴木さんはお入りになっているのですか。こういうことは全然知らずに、惰性で、前に入ったからそのまま入っているんだというお感じですか。
○鈴木内閣総理大臣 自主憲法制定議員同盟というのは自由民主党の議員が相当多数入っております。しかし、この憲法の問題につきましては、現在、自由民主党の憲法調査会におきまして白紙の立場で、現行憲法についてのいろいろの角度から研究を重ね、勉強をし、議論を進めておる、こういうことでございまして、自由民主党の党員が、この党の憲法調査会の結論、そしてそれが政調、政審あるいは総務会、憲法のような基本法でございますから党大会、そういうようなところで決定をしなければ憲法改正に対する党議というものは固まらない、決定をしないわけでございます。したがって、そういうものが固まってないものを議員連盟――議員同盟ですか、そういう事務局があれこれ言っておりましても、それは党員を拘束するものではない、このように御理解を願いたいのでございます。
○武藤(山)委員 党員を拘束するかしないかなんて私は聞いてないのだ。こういう改正点を四つ五つきちっと通達で述べている。同盟の考え方がこれにちゃんと述べられている。この考え方は憲法を変えようというのだ、いまの憲法を。すぐ変えられると言ってないよ、変えようという意思を表明しているんだよ。あなたは議会で、平和憲法はいいものだ、厳守するのだ――厳守するというのは、総理大臣をやっている間だけ、しようがない、やむを得ずそう言っているにすぎないのか、本当に憲法を守ろうというのかということを私は聞いているわけだ。本当に守ろうというのなら、こういう通達を出す同盟には、良心のある者なら良心がとがめて入っていられないね。それが常識じゃないですか。そう思いますよ。
○鈴木内閣総理大臣 いま私が答弁したとおりでございますが、武藤さんから、そういう議員連盟から脱会すべしというアドバイスを受けましたので、よく考えてみたいと思います。
○武藤(山)委員 よく考えてみるという謙虚な意思表明には敬服をいたします。結果をこれから見たいと思っております。
 それから、憲法を守る内閣であり、憲法を評価しようというならば、五月三日の憲法発布の記念日は――三木さんが内閣総理大臣のときは、記念日に政府行事をやったんですよ。その後また、福田さんになったらだめになってしまった。やはり歴代内閣は、憲法記念日は国家的行事としてやるべきだと私は思うのです。平和憲法を遵守する鈴木内閣として、この五月三日の記念日に政府行事を何らか検討する用意があるかどうか、御意見をお聞かせ願いたい。
○宮澤国務大臣 ただいまのところ、まだ具体的に考えておりません。しかし、ただいまの御意見もございますので、少し検討させていただきます。
○武藤(山)委員 突然の質問ですからあるいはそういう答えになると思いますが、ぜひ前向きに、国民の前にそういうことを実現をさせていただきたい、かように思います。
 いずれにしても、午前中が半端になってまいりましたが、総理、昔からいろいろなことわざや教訓がありますが、われわれはやはり政治に参加する者として十分、昔の哲人の言葉をかみしめる時代が来た。どうも日本はこのまま行くと全く違う方向へ行ってしまうという心配な時代になりました。特に、園田元外務大臣のときには非常にすばらしい外交の原理、外交の姿勢というものを貫いていたと思うのであります。ここに当時の国連軍縮総会における園田さんの演説全文を持っているのであります。当時外務大臣は、過去の歴史を見れば、経済的な大国は、常に軍事的大国であった。しかし、日本はかかる道を歩むことなく、その経済力をもって、国際社会の安定と繁栄に貢献する努力を続けてきた。そして日本の平和国家像をとうとうと述べておられます。第二に、この憲法のことを「人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神」、いいですね。「人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神に立脚して」と園田さんは述べている。そして総理は、この間飛鳥田委員長の質問に、軍縮というのは地域でやったってだめなんだ、アメリカがやるでしょう、大国がやらなければというようなことの逃げの答弁をしている、この間本会議で。私、あれを聞いたときにちょっと失望したのです。外務大臣はこう言っているのですね。全面完全軍縮の実現に向かって前進するためには、実現可能な措置を一歩一歩積み重ねていく必要があり、非核武装地帯を設置することは望ましいことであります、地域においてもできることからやろう、それが全面軍縮へつながる道なんだと園田元外相は述べている。そして、いかなる国とも敵対関係をつくらないことを基本政策として、政治体制のいかんを問わず、共産主義国家であろうが社会主義国家であろうが、国の大小を問わず、また地理的遠近のいかんを問わず、意思の疎通を図り、もって相互信頼関係を築くことを目標として努力する、これをもって全方位外交とする。いいですね。どうですか。(「言葉だけに酔っているわけだ」と呼ぶ者あり)言葉だけに酔っている、当時の自民党内閣はいいかげんな内閣か。だれだ。そういう非常識な、感情で日本をやろうとする政治家がふえれば日本は滅びるんだ、もっと理性を持て自民党。こういう外交方針が、どうも最近の鈴木内閣になってからは、この園田演説とはさま変わりの感じをわれわれは受けている。総理の演説の中に全方位外交という言葉もなくなってしまった。ソ連とは政経分離のわけにいきません。政治がぎくしゃくしているから経済も余りやりません。こういうことの転換は、だんだんこれが大きくなっていくと大変なことになるのじゃないか、こういう心配をするのはあにわれ一人のみならんやだと思うのですが、総理いかがですか。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、対ソ外交につきまして、しばしばお話がございました。私は、ソ連は重要な隣国であり、ソ連との真の友好協力関係を発展させるということは両国の相互の利益になるばかりでなしに、アジアの平和と安定、ひいては国際の平和に寄与するものだ、このように基本的に考えております。ただ、今日のぎくしゃくした関係というのは、武藤さんも御承知のように、ソ連のアフガニスタンに対する侵攻でありますとか、あるいは北方領土に対する軍事施設の構築でありますとか、いろいろなことでこういう状態に相なっておるのでありまして、私は、そういう点をソ連側においても誠意を持って具体的に示していただきたい、それが真の日ソ友好を築くゆえんである、こういうことを申し上げておるわけでございます。
 また、軍縮の問題につきましては、園田元外相が国連の軍縮会議で述べたとおり、自由民主党内閣としては一貫してそういう考えを持っておるのでありまして、来年の軍縮会議におきましても、ジュネーブの軍縮委員会におきましてもそういう精神で取り組んでまいります。
○武藤(山)委員 外交の原理というか、外交というのを一体どういう哲学でどういう基本方針で臨むかというのは大変むずかしいことであり、重要なことだと思うのです。いろいろ書物を読むと、イギリスのニコルソンの外交論というのが、いまでも各国の先進国の外交官がみんな読まれる外交書のまず一番尊重される書物だ。ソ連の外交研修所でもニコルソンの外交論を読ませる。あるいはオッペンハイムの国際法上下二巻、大体これが外交官になる卵の最初に読む外交技術論、外交哲学だと聞いております。
 この二つの著書、私はざっとしか読んでみないのでありますが、精査して自分のものにするだけの時間がないのであります。どうもやはり西洋のこの物の考え方はアダム・スミス時代の予定調和論、すなわち自由にみんなが放置してやってもうまく調和がとれていく、神の手によって導かれていってうまく調和がとれるというアダム・スミス当時の発想なんです、考え方が。経済の面では、もう自由主義の原理というもののアダム・スミス的発想は修正をしなければならぬ。たとえば公害の問題にしてもあるいは保健制度の問題にしても、国家が介入する度合いがずっと大きくなってきて、もう物の考え方を変えた。ところが、ひとり外交のみは変わっていない。すなわち国益中心主義なんです。このニコルソンも結局は国益中心主義なんです。だから、この国益中心主義というものをどんどん進めていくと、十七世紀のイギリスのあのホッブスという哲学者が万人の万人による闘争という本を書いていますが、あの万人の万人による闘争の社会しか生まれてこない。いわゆる軍備競争、半信半疑、自分の国を守るだけ、自分の国の利益だけという発想になっていく。西洋文明はそこで崩壊すると私は思うのです。アメリカやソ連もヨーロッパも、もしそういう発想でずっと国益中心主義の外交原理で進めていったときには、世界は悲劇の方向をたどるだろう。さてそこで、日本はどういう外交を新たに構築するかが二十一世紀へ向かっての最大の課題だと私は思う。それはやはり、なんじがわれであり、われがなんじであるという哲学。これは東洋にしかない。一即他、他即一だと教えられているこの東洋の哲学。われがなんじであり、なんじがわれであるという発想。その発想が外交の原理になるように、国連の場で、世界の場で日本はやらなければいけない。和の根底にもそれはあるのです。あるのですから、それを本当に外交原理にする道理の重さというものを世界に訴え続ける。自利が即利他になる。自分の利益はすなわち他人の利益に通ずるという発想、これがとうとい、東洋の哲学の最も太い立場だと思うのであります。そういう外交方針に日本が世界をリードする覚悟がなければ、小国日本は生きていけないのじゃないか、私はそう思いますが、外務大臣、総理大臣の見解はどうでしょうか。
○伊東国務大臣 いまの非常に高い次元の御高説、ありがとうございます。非常に含蓄のある御意見でございまして、国連でそういうことを主張しろということでございますが、国連というのは、やはり第二次大戦の結果、世界の人がみんな血を出してつくった機関だと私は思うわけでございます。国連が世界の平和とあるいは安定、繁栄ということを考えていくことは非常に私は大切だと思いますし、国連の場というものを重要視していくということは御説のとおりでございます。ただ、その中でも例の安保理事会で五大強国が拒否権を持っているというのもまた事実でございまして、非常にむずかしい問題がございますが、日本の平和、繁栄といっても世界の平和、安定がなければできぬことでございますので、平和外交というものを徹底してやっていくということには努力をしてまいります。
○武藤(山)委員 私に割り当てられた時間、午前中十二時で終わりでありますから、あと一時から私の質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○小山委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。武藤山治君。
○武藤(山)委員 午前に引き続きまして、総理初め閣僚に御質問いたしたいと思います。
 最初に、武器輸出問題についてお尋ねしておきますが、新聞報道などでも御承知のように、堀田ハガネあるいはまた日綿実業、この二つの輸出業者が韓国に迫撃砲か榴弾砲か、いずれにしても大きな大砲の半製品を輸出したという問題でありますが、この問題について、武器の部品である、半製品である、そういう認定を通産省はいたしたかどうか、確認をいたしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 御指摘の件でございますけれども、通産省といたしましては、独自の立場からそれぞれ関係者に事情聴取をいたしまして、それが武器であるというはっきりしたことは言えないのでございますけれども、ただ、武器等製造法による武器ではあるまい、輸出貿易管理令に違反するところはあるというようなことで、きょう法務省の方を通じまして神戸地検に通達しておりますし、それと同時に関係武器業者と申しますか、そういう者に対する注意の通告、それから鋳造メーカー、こういう者に対しても政府の従来の方針にのっとる勧告と申しますか、通達を出したばかりでございます。
○武藤(山)委員 武器等製造法によると部品とか半製品は規定に入っていないものですから、武器等製造法には該当しない、しかし輸出貿易管理令には違反する、いまこういう報告がありました。
 そこで問題は、武器になることがはっきりわかっている品物でありながら、武器等製造法には部品とか半製品が含まれていないから武器等製造法に該当しないということで、製造した者は全然罰則を受けない、犯罪にならない。貿易令だと、商社、貿易をした者だけが該当する、そういう答えが出る心配があるわけです。そうすると、小さなダミーをつくって、四人か五人の小さな商社をつくって、半製品をどんどんつくって隠れて輸出しても、製造工場は罰せられないことになる。こうなるとこれは製造法の不備。あるいは輸出三原則なんという、法律でもない方針だけでは取り締まることはできなくなる。そうなりますと、武器輸出禁止法という法律でもつくらないと、どうしてもいろいろな問題が残るような気がいたします。
 これは後でまた、井上一成代議士と大出俊さんが質問をすると思いますが、いずれにしても大変な矛盾が出てくる。法務省刑事局長、もし輸出貿易管理令だけの違反だということになると、実際にこの製品を製造した山陽特殊鋼あるいは関東特殊製鋼、大屋熱処理工場、泉鋼材、こういうようなところは、もし武器の一部だということを認識しておりながらやったとした場合、貿易管理令ではこれらの人たちは一体どういう処罰を受けますか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの問題につきましては、現在、検察当局におきまして犯罪の疑いがあるかどうかということを検討している状態でございます。したがいまして、そういう状態でございますから、その具体的な検討の内容につきましてこの席で申し上げるのは控えさせていただきたいわけでございます。
 そういう状態でございますから、ただいま御指摘のようなもとのメーカーと申しますか、そういう者についてどういう責任が及ぶかということも今後の問題というふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○武藤(山)委員 私は、特別な個別案件で答弁をしてくれというのではなくて、原則的に、いまの貿易管理令違反という場合には、貿易した者以外はなかなか罰せられないという理解を私はしているのですが、その点は、法的解釈は一体どうなるのですか。
○前田(宏)政府委員 輸出貿易管理令の面では輸出をした者が主体でございますから、その者に当たらなければ管理令の問題にはならないということになるわけでございます。
○武藤(山)委員 通産大臣、だから問題なんでございます。わかりますね。貿易管理令は、第一条に、貨物を取り扱った貿易業者が罰せられるのですね。そうすると、その業者から委託を受け、製造した、山陽特殊鋼とか関東特殊鋼というのはなかなか罪にならない。それじゃいまの法律はしり抜けじゃないか。私がさきにちょっと言ったのはここのところなんです。その点通産省は、山陽特殊鋼も関東も、関連業者みんな呼んでかなりいろいろ調べたと思うのですよ。どの会社も、武器の一部であるとか半製品であるとかということを、新聞によると通産省へは白状しないわけでしょう。知らぬ存ぜぬですね。堀田ハガネだけは薄々知っていたようだけれども、あとの人は知らぬ存ぜぬで逃げているわけですよ。そうなると、小さな堀田ハガネだけがとっちめられて、あとの製造した一番大もとが免責では、やはり法律は直さなければなりませんね。どこかに抜け道がありますね。通産大臣どう思いますか。
○田中(六)国務大臣 武藤議員御指摘のような点も十分考えられますし、そういう対処の仕方もどうかという考え方もあります。しかし、現在の法律、外為及び外国貿易管理法によります輸出貿易管理令というもの、それからこれは私の方の権限、申請承認という手続を踏まなければなりませんけれども、その他武器等製造法あるいはもろもろの法律がございますし、そういうものでふるいをかけていけば何とかなるんじゃないかというような気持ちがいたしております。
○武藤(山)委員 田中さん、何とかなるだろうという気持ちじゃだめなんですよ。法律の解釈というのは厳格なんですよ。自白ですら証拠にならない規定ですからね。だから、これは法の不備がありそうだということはもうはっきりしている。私はあると断定している。だから社会党は、いま武器輸出禁止法という法律をつくろうじゃないか、原案を一応いま要綱をつくってこれから法制局と詰めようとしているわけですが、いずれにしても不備がある。刑事局長、もし商社しか罰せられないということだと、いま言った製造メーカーが皆逃れてしまう。今後、後を絶たないで、そういうことで大きな商社がダミーをどんどんつくらして、小さな輸出商社がどんどんやったらどうにもならぬじゃないですか。
 そこで、今回の場合も、堀田ハガネの専務が韓国へ渡って大韓重機工業にも行っておるし、あるいはまた山陽特殊鋼も行っておるし、何がつくられているかは、現地へ行ってみて各業者とも皆知っているはずなんです。しかもクレームがついて、そのクレームにどう対応しようかという会議を開いているんですよ、山特、大屋、日綿、堀田。その会議の内容は大砲向け砲身の性能についてということで、大砲というのはどのくらいかたいものでなければならぬかとか、規格がどうだとかいう議論をやっているのですよ。そうなると、全部このメーカーは共犯になると思うのです。しかし、貿易管理令を忠実に解釈をする範囲内では、共犯というのは成立しないのかするのか。共犯というのもある場合もある、こういう判断になるのか、法務省の見解を聞きたい。
○前田(宏)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、捜査当局といたしましては、現在いろいろな基礎的な事実関係を調査しているわけでございます。したがいまして、この段階で、まず、違反になるかどうかということも明確にはお答えいたしかねるわけでございますし、また、その関係者の責任というものがどこまで及ぶかということも、そういう事実関係がはっきりいたしませんと何とも申しかねるわけでございます。
○武藤(山)委員 この問題については、武器等製造法に違反するという解釈と、管理令しか処罰できないという解釈と、共犯を立証するのが非常にむずかしいとかいろいろな問題があります。しかし、これは韓国との問題だけでなくて、わが党の井上一成議員によるマレーシアとかタイとかフィリピンの調査をしてきた結果もありますので、これは井上代議士あるいはまた大出代議士から詳細に真相を究明してみたいと思います。私の質問は、時間の関係で以上で終わります。
 ・次に、経済の問題に入りたいと思います。
 政府の来年度の経済見通しの中で国民にどういう経済の姿が描き出されるのか、いろいろ議論もしたいのでありますが、一時間で経済と財政となると時間がありませんので、かいつまんで要点だけお尋ねをしておきたいと思います。
 来年はインフレなき均衡成長だという論者と、あるいは盛り上がりの欠けただらだら成長の一年だと見る見方と、民間の調査の実態をいろいろ調べてみますと大きく二つに分かれております。ただ、物価については各機関の調査ともやや一致をして、最高が六%程度、したがって政府の見通しの五・五程度でおさまる可能性ありというのが民間の大方の見方であります。それは、インフレにならないのは、マネーサプライの伸び率が一〇%前後にコントロールをされるという前提で日銀の金融政策が適切に行われている、そういう点からインフレにはならないだろう、こういう実は見通しであります。
 一番問題なのは、政府の見通している名目九・九%、実質四・九%という個人消費の伸びが果たして実現するだろうか。民間調査機関の多くは、政府の見通しは高過ぎるという見通しが大体多いようであります。個人消費が九・九伸びるためには、個人の可処分所得がかなりふえなければならない。その点が一つ問題点であろうと思います。第二は、民間設備投資の伸びを名目でかなりやはり高く見ておりますが、これも国民経済協力協会は八・二という伸びであります。どうも政府の一〇・七、実質七・三というのは、民間設備投資が一体ここまで行くだろうか。この二点がやはりポイントになると思うのであります。もちろん貿易の問題が、どの程度貿易摩擦で伸び率が鈍るかというのも大きな要因でありますが、この個人消費と民間設備投資、政府の見通しが少々甘いような感じがいたすわけであります。
 これは企画庁長官の御見解を聞きたいと思います。
○河本国務大臣 個人消費は、昭和五十三年に六%台に行きました。五十四年は五%、ことしは相当減りまして、およそ二%前後と想定をしております。しかし、五十六年度は物価も安定の方向に進むと思われますので、五十三年、五十四年までは回復しないと思いますが、ほぼそれに近いところまで行くのではないか、こういう判断から実質四・九%、こういう想定をいたしました。
 それから設備投資でありますが、これも五十三年、五十四年は二けた台に乗りましたが、五十五年度は若干伸びが落ち込んでおります。これは実は金利水準が非常に高くなりまして、自己資金を持ったところの投資が中心になった、こういうこともございます。特に、借入金でやらなければならない中小企業関係は伸び悩んでおるという状態でありますが、五十六年度は金利水準も下がる方向に進むと思いますので、そういうことから民間の設備投資は若干伸びまして七%台、こういうような想定をしておるところでございます。
○武藤(山)委員 金利水準も下がると思うというようなこともいま言われておるのでありますが、日銀総裁、時間の都合いろいろおありでしょうから、日銀としての金融政策のあり方で、いまの金利水準をさらに引き下げる、現在の経済動向から見て、引き下げるならば早い方がいい。大体、在庫調整が終わるのが三月いっぱい、四月にちょっとまたがるぐらいかと大方の機関は予想をしておりますね。ですから、いまのリセッションの一番ひどい段階がこの一−三月の状態である。こういう状態のときに金利を下げておく方が環境的にはいいのではないか。したがって、公定歩合の引き下げを決断するならば早い方がいいというのが私の主張でありますが、総裁の御見解はどうだろうか。
 第二の理由は、中小企業の倒産が非常に多くなっており、また、日銀の統計によっても去年の六カ月間、四月からのを見ても手形取引停止処分が個人事業者で二万三千二百五十六人、これを一年に伸ばしてみますと、五十三年が四万八千百七十四、五十四年が四万三千七百五十二。個人の倒産ですね。現在の状況が、いま五十五年の半期が二万三千二百五十六というのは、五十四年よりもはるかに倒産が多い、五十五年の方が。それから資本金百万以上のを見ましても、五十三年が一万五千五百二十六件、五十四年が一万四千九百二十六件、五十五年はもうすでに六カ月間で八千三百二十一件ですから、年間に伸ばすと、このペースでいきますと一万六千件程度の法人の不渡り手形件数ということになりますね。これはいずれも五十三、五十四年よりも上回っている数字なんですよ、趨勢が。ですから、この一、二、三月の倒産件数がこのような状況でふえるということは、業者にとっては大変な苦労であります。
 その原因にはいろいろあるけれども、一つは、やはり金利の負担が非常に大きいということが言えるわけですね。ですから、金利をとにかく引き下げ得る時期を見失わないようにぜひ対策を立てていただきたい。
 もう一点は、総裁、時間がありませんからまとめて三点質問しますが、住宅ローンで苦しんでいる人たちが非常に多い。自殺を見ても家出を見ても、いろいろな犯罪を見ても、結局、住宅ローンがもう払えない、期待所得が得られなくなった、そのために予定した支払いができない、こういう現象が非常に社会問題になっている。いま住宅ローンを借りておる人がどのくらいおるかと思って調べたら、約四十兆円、一千万世帯。大問題ですね。だから非常に大きな社会問題なんです。
 この一千万のローンを借りている人たちの金利負担がかなり大きな負担になっている。四十兆に対し七%金利として、二兆八千億円の金利負担を一千万世帯でやらなければならない。ちなみに、住宅ローンの金利状況を見ましても、下げたとは言っても住宅ローンが年率八・五二というのは、高いときの最高から見れば幾らか安くなりましたが、まだまだ、負担する立場から見れば大変な事態なんであります。でありますから、私は、環境さえ整っておって物価上昇に火をつけないという見通しならば、公定歩合の引き下げはできるだけ速やかにやるべきではないのか、実はこういう主張をいたしたいのであります。総裁の御見解を承りたいと思います。
○前川参考人 経済環境につきましては、景気にかげりが出ておるという状態は、昨年の夏ぐらいからそういう状態になっておるわけでございます。一方、物価の方は、これまた昨年の夏ぐらいから次第に落ちつき傾向をたどっております。また国際収支も、これだけの油の価格の引き上げにもかかわらず、その改善傾向はかなり顕著である。そういう状態を受けまして、円相場につきましてもこのところ比較的落ちついた推移を示しておるというふうに、経済環境につきましては昨年よりもいろいろ変化が出てきておるわけでございます。
 そういう状態の中で、いまかげり現象が出ておるわけでございますが、需要項目から申しますと、個人消費あるいは住宅建設というのは余りよくない。一方、設備投資、輸出というのは総体的にはまだ底がたい状態。景況感というものがこの先どうなるかということが経済政策のうちの一つ大きな要素であろうと思います。企業収益も、業種別に非常に違いがございまするけれども、総体として申しますとまだ比較的余裕のある状態であるということから見ますと、景況感がここで非常に大きく崩れるということはないのではないかという判断をしておるわけです。
 御指摘のございましたように、中小企業あるいは業種別の素材産業等は、余りいい状態ではないという状態でございます。こういう中で、これからの金融政策あるいは経済政策の対応でございまするけれども、基本的には、いまの鎮静傾向をたどっておりまする物価状況、これを何とかして定着させていくということが必要であろうと思います。そういうことによって初めて経済の安定的な成長が実現できるのではないかというふうに私どもは考えております。
 金融政策でございまするけれども、いまのような物価の安定、鎮静傾向というものを何とかして定着させていくということから考えておるわけでございまするが、物価につきまして、金利が高過ぎるのではないかというような御指摘がございました。金利につきましては、金利水準がどういう状態がいいのかということにつきましては、いろいろな要素を入れて考えなければいけないというふうに考えますが、まず物価の問題あるいは海外金利の問題、もちろん企業の収益ということも大きな要素でございます。そういうことを総合して判断するわけでございますが、私どもは、最近の消費者物価状況は非常に落ちついてはまいりましたけれども、いままだここで手放しで安心というわけにはいかない、いま一歩というところであろうかというふうに思います。また、金利水準自体につきましても、市中金利あるいは長期金利等につきましては、世界のインフレ傾向を反映いたしまして海外金利が非常に高いということから、国内の市場金利もその影響が出ておるということがございます。そういう全体の状況を反映いたしますと、私どもは、いまここで金利水準全体を下げ得る環境にあるかどうか、あるいはまた実際にそういう市場金利水準というものが下がるのかどうか、そういう点につきましてはもう少し見きわめる必要があろうかというふうに考えております。
 中小企業にいろいろかげりが強く出ておるということは、御指摘のとおりでございます。そういう点につきまして、もちろん私どもも景気を無視するわけにはまいりません。金融政策の遂行に当たりましては、物価、景気、そういう面を十分に勘案しながら配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
 住宅ローンの金利につきまして、かねがねこれが高過ぎるではないかということが言われております。昨年の夏、公定歩合を下げましたときにも、住宅ローンがもう少し下がらないかという話がございました。これは市中金融機関の問題ではございますけれども、長期のプライムレートが現在八・八%でございまするけれども、それよりも低いところで住宅ローンの金利を決めておるわけでございます。市中金融機関も精いっぱい努力しておるというふうに私どもも判断しておりまするが、この住宅ローンにつきまして、いまの住宅投資が余り大きく伸びないということの一つの原因であるとするならば、これからもこれの引き下げということについては精いっぱい努力するわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、いまの金利水準全般として、いま下がる状態であるかどうか、そういう点につきましては必ずしも環境がそこまでそろってないということもございますので、もう少しその辺は見きわめたいというふうに考えております。
○武藤(山)委員 物価の動向でありますが、これは企画庁長官、政府は、物価上昇は一応見通しとしては六・四%で努力する。ところが、十二月に六・四を七%に改定しましたね、見通しを、もう自信ないと。七%に改定したけれども、二−三月の状況をこれから推測するに、また大変な物価上昇になる情勢ですね。おとといですか、東京都区部が出ましたが、これで大体推察をすると、一月のいまの上昇率がずっと横ばいになったとしても七・四、これがさらに東京都区部ぐらい上がったと計算をしてはじきますとかなりの物価上昇。三月末で七・六、七、これは七・五ぐらいまで行っちゃうんじゃないでしょうか。政府は六・四と言ったのが七・五。それで労働者の賃上げは、物価はとにかく六・四で抑えるのだから賃金もがまんしろ、がまんしろで、実質賃金はマイナス。去年はマイナスですね。こういう状況で、労働者がいま物価問題に最大の寄与をしているのですね。日本の経済がうまくいっている最大の原因は労働者ががまんしているということなんですよ、生産性から見ても、労働者の今日の労働問題のいろいろな指数を見ても。その労働者に、物価がこんなに上がったんじゃ往復びんたくれたようなものですね。これは政府、だれが責任とるのですか。七%をまた超えるような物価上昇。私の見通しでは、これは恐らく七・四、五になりますよ、最低でも。下手すると八になりますよ。いまそういう情勢なんです。これは企画庁長官、だれが責任とるのですか。
○河本国務大臣 政府は、年度当初に六・四%という消費者物価の目標を設定いたしまして努力をしてまいりましたが、年度の途中で中東で戦争などが始まりまして、油が予想外に急上昇をいたしました。また、異常気象がずっと続きました関係もございまして、残念ながら、年末に七%程度と修正をしたわけでございますが、現在の大勢は、野菜以外、生鮮食料品以外の消費者物価は大勢として鎮静化の方向に行っておると思いますし、それから卸売物価は、数カ月前からずっと安定の方向に進んでおりますから、この方から来るところの悪い影響はだんだん少なくなっております。
 一番の焦点は野菜を中心とする生鮮食料品でございますので、これに対しましていま力いっぱい努力をしておるところでございまして、全力を挙げまして、年末に改定をいたしました線に近づけるように努力をしておるところでございます。
○武藤(山)委員 企画庁長官、あなたを責めても仕方ないのか、安倍政調会長を責めるべきなのかわかりませんが、私たちは社公民三党で、正木政審会長と大内政審会長と私の三人で、去年、もう二回も自民党に申し入れをやって、物価対策を怠りないようにしようじゃないか、そして五百億円の一応合意の金額を一、二、三の野菜出荷に万全を期そう、作付計画を拡大しろ、そういうことを強く三党で要求したのですよ。そのときに企画庁は、直接の担当所管庁じゃないから、いろいろ農林省だのそれぞれの関連のところと相談をした結果、前年より五%増が限度ですという回答です。それ以上広げるということはかえって農民に後で支払う金がふえるから、それ以上の作付は無理でしょうということで、とうとうわれわれの大幅に拡大しろということがけられたんだよ。その結果が野菜が上がっているのだよ。もちろん冷冬になっちゃった。冷夏でいじめられて、今度は冷冬の影響で野菜がまた、出荷量がこう減っちゃった。そういうときに、やはり作付計画をもう少し広げておけば、死んだ子供の年を数えるような過去の話で恐縮だけれども、あのときに野党三党の言い分をじっくり聞いて、物価対策をもっときちっとやっておれば、五百億を使うぐらいな覚悟でやっておれば、こんな上昇にならないのですよ。これは私は、政府・自民党は十分反省してもらわないと困ると思いますね。
 これから後二月、三月の物価対策に何を手を打つか。いまの企画庁長官の答弁のようなのんきなことを言ってたって下がりませんよ。だから、ここらをきちっと物価問題についてはしっかりしてもらわぬと困るのです。なぜならば、今度の五十六年度予算の見通しで労働者一人当たりの収入、雇用者所得が幾らふえるか。雇用者所得の伸びは、去年は百三十一兆四千億円、五十六年度は九・二%上昇して百四十三兆五千億円。一人七・五%所得がふえると見ている。絶対額にして十二兆一千億円だ。雇用者のふえる分は十二兆一千億円。政府がふんだくる方は幾らですか。庶民大衆から政府が値上げをして取るもの、四月一日からは米の売り渡し三・一五、さらに麦の五・六、国鉄運賃七・九、国立大学入学料二十九億、塩、電話料、郵便料、政管保険料千六百二十九億、これをずっとトータルすると、私鉄とタクシーの申請一九・六%と二〇%を含めると、われわれの計算では十一兆八千八百八十二億円になる、取られる分が。物価上昇分五・五、所得税自然増収分二兆六百億、個人住民税七千五百九十三億。もし私ども社会党の計算でどこか食い違いがあるかと思って政府機関に問い合わしたら、私鉄の運賃の値上げはこんなにもならないでしょうと、これが約八百億円計算違いがあっただけ。したがって、十一兆八千億円、新規に五十六年度に国民が取られる方だ。雇用者の収入は十二兆一千億円しかふえない。そのうち十一兆八千億円が値上げと税金と公共料金で取られちゃう。これでは労働者の生活、サラリーマンの生活が、ゆとりある豊かな社会なんて言えるか。こんなに取る方ばかり次から次へ安易に取る。したがって、せめて物価だけでも徹底的に安くしてもらわぬことには国民は泣き切れませんよ。
 総理大臣、これは政策じゃない。いまのような実態を私から聞いてどんな感想ですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほど来の武藤さんと経企庁長官の話し合い、質問を通じまして物価問題、消費者物価の問題が、大変経済成長の面からいっても、また国民生活特に勤労者の諸君の生活の面からいっても一番大事な問題である。私は、五十五年度におきましても、この経済運営に当たりまして消費者物価の鎮静化ということに最大限の努力をしてまいりましたが、経企庁長官から申し上げたようないろいろな思わざる事態が生じまして変更せざるを得ない、こういうことになったことはまことに遺憾でございます。しかし、五十六年度におきましては、経済運営にさらに層配意しながらこの五・五%の消費者物価、これはあくまで実現できますように最善の努力をしたい、こう思います。
○武藤(山)委員 総理あるいは各大臣、日本の経済が比較的うまくいっているというのは労働者が貢献をしているということがかなりのパーセントを占めていると私が言った、その証拠には、経営者は生産性の範囲内における賃上げとすぐ言う。労働者の方は、物価上昇率に見合って実質賃金を確保したいと言う。話が一致しない。しかし、労働生産性と賃金の状況を見ても、五十二年は別として、五十三年は生産性九・一で賃金五・九でしょう。五十四年は生産性一二・一について賃金六でしょう。五十五年も恐らくそんな数字ですよ。労働者はいつも生産性よりはるかに低い賃金でがまんしているのですよ。世界で日本の単位労働コスト上昇率を比較すると、西ドイツは日本の十八倍の上昇率です。アメリカは六十八倍、イギリスは百十九倍です。日本の労働コスト上昇率は、七六年から八〇年の四年間で〇・一なんです。アメリカは六・八、イギリスは一一・九なんです。これだけ日本の労働者の労働コストというのは低く抑えられている。そこで物価が上げられ、所得税が自然増収で取り上げられたんじゃたまったもんじゃない。いよいよ労働者は反乱を起こすよ、こういうことが続けば。起こすのが当然だという議論になりますよ。もう少し為政者は心しなければならぬじゃないでしょうか。私は、そういう意味で物価問題についての……(「もっと具体的に」と呼ぶ者あり)時間がないんだよ。時間がないから、とことんこれを追及できないのでありますが、いずれにしても物価問題については、総理、五百億のうち三十七億しか使ってないですから、思い切ってあと四百億、三党でもって協議をしますから、有効にひとつ庶民大衆に報いるために支出をさせてもらいたい。総理みずから、よし、そうしようという潔い答えをひとつ聞かしてください。
○鈴木内閣総理大臣 物価対策費五百億は、四党の話し合いにより、合意のもとにこれを効果的に使うということに相なっておるわけでございます。したがいまして、今後におきましても、四党の間でその有効な支出等につきまして話し合いがまとまった段階におきましては、私は政府としてその方針に従う、尊重する、こういうことにいたしたいと存じます。
○武藤(山)委員 物価問題については、労働四団体からもずいぶん具体的な提議があり、それぞれの大臣もお会いをしていると思います。モニター制度の改善とか、あるいはもっと査察調査ができるような権限とか、輸入物資についての引き下げとか、公共料金の原価公表あるいは生鮮食料品の流通機構の改善、いろいろな提案が出ております。政府は誠意を持って、三月末に七・五%になりましたからまた改定しましたなんというそんな姿勢ではなくて、七%以上上昇したら鈴木内閣は辞職する、そのくらいの腹を決めて物価問題にひとつ真剣に取り組んでいただきたい。時間がないから要望だけで次に進みます。
 大蔵大臣、五十六年度予算の政府歳入見積もりは過小である、こんな大増税をしなくても予算編成はできたはずである、歳入見積もりに過小ありと断定いたします。反論ありますか。
○渡辺国務大臣 自然増収の問題は、非常にいつでも議論になるところでございますが、私どもといたしましては、五十五年度予算が、五十四年度の実績ベースに対して自然増収が約三兆一千億円、一三%の伸びなんです。今回見積もりました五十六年度の自然増収につきましては、五十五年の今回七千億を補正で組むものも土台にして、それに比べまして大体三兆八千億円弱、約一三・八%を見込んでおりますから、私はぎりぎりのところが見込んである、こういうように考えております。
○武藤(山)委員 大蔵省はいつも魔術を使ってごまかしているのですね。野党が物価調整のための措置をとれと言うと、財源がない、財源がないと言っていつも逃げてきた。ところが、昭和五十三年を見ると、財源がないと言いながら、締め切ってみたら、最後に剰余金七千七百五億円。五十四年は、年の途中で一兆九千九十億円、補正財源がぽんと出てきた、税収がね。五十五年度、本年度だ、いまやっている年度は三千二百六十億円増税をしたんだ。ところが、今度の補正で七千三百四十億円、歳入がぽんと出てきた。もしそんなのが初めから予想できるのなら、三千二百六十億の当初の増税は要らなかったはずなんだ。三年間ずっと見ると、増税必要なし以上の余剰金が全部出ているんだよ。これは一体、見積もりがずさんなのか、国が大き過ぎてそういう計数はこのくらい狂いが出るんだというのか。これはけしからぬ話だ。
 五十六年度歳入見積もりが過小であると断定したゆえんは、いま大蔵大臣がおっしゃいましたように、五十四年から五十五年は一三%だった。今度もまた一三・八ぐらいで約三兆八千億円の伸びだ。数字はそんなに違わない。そこで私は実額で比較してみたのですよ。五十四年度と五十五年度の伸び額は三兆七千四百九十億円。自然増でふえた分が三兆七千四百九十億円。あなたがさっきおっしゃった一三%の伸び。今度の予算ではこの三兆七千四百八十億プラス新規の増税を除いて幾らふえるかというと、三兆七千四百九十億か、大体同じなんだよ。そうすると一銭も伸びがないわけなんだ。増税分以外は一銭も税収は伸びないという計算なんだよ、この五十六年度は。これがおかしいんだよ。これはどう見てもおかしい。
 そこで、五十五年度は三兆七千四百九十億円、正確に言うと三兆四千二百三十億円、増税分を引いて。五十六年度は、増税分一兆三千九百億円引くと、五十五年度のいまの補正後のと比較すると三兆七千四百九十億円しかふえない。ということはほとんどふえないんだよ。そんなことはないね。成長率がふえるんだよ。五十五年度は経済成長率は八%でしょう。今度の予想は経済成長率が九・一%でしょう。成長率が一・一%上がるのに税収が前年の実額と変わらないというのはおかしいね。どう見てもこれはおかしいね。
 この過小見積もりが出てくる原因は何かというと、これは主計局長、大蔵省に責任があるんだよ。大蔵省は前に、村上孝太郎事務次官の当時――彼が主計局長のときかな、次官のときかな、総合予算主義ということを非常に熱心に主張したね。私は、なかなかりっぱな次官、だったと思いますよ。補正というのはなるべく組まないことがいいんだ、財政法というのは単年度主義なので、できるだけ補正を組まないように、当初から見込める予算は全部見込んでいこうというのが総合予算主義だ。ところが、それが完全に崩れちゃった。五十六年度も、初めから補正予算を予定している予算なんだよ。だから、精神何とかと、渡辺さんがいみじくも参議院で質問者に同調しちゃった。精神分裂云々というようなことを言っちゃったでしょう。これは本音なんだ。だって、公務員の賃金を一%しか上げないなんということはできるはずがないんだよ、総理大臣。人事院勧告はどんな低いといったって必ず三%、四%の勧告が出ていくんだよ、民間ベースでいくんですから。これは初めから補正が必要だというのは目に見えている。災害予算も、五十六年度ばさっとまた切った。何でそういうことを、みすみすわかっていることを予算に盛らないのか。だから総合予算主義を放棄したんだ。
 それから、あっちこっちにいろいろな問題があるな。調整費なんというのもおかしいね。密室政治の典型だ。われわれが予算の大蔵原案を見たときには、公共事業費の一千億円の調整財源、調整財源の八百億円で一千八百億円しかないんだと思ったら、後でその他事項の中でぽこっと一千四百億円もつまみ的に決めているんだね。全部で三千二百億円だ。これは国民の税金なんだという感覚が大蔵省もないね。新聞を読むと渡辺大蔵大臣も知らなかったようだな。ことしは隠し財源なんかびた一文もない、オオカミ少年だなんていって新聞に出ているんだよ。ところが、ちゃんと一千四百何ぼ、その他経費の中からばんと出てくる。こういう予算編成でいいんだろうか。歳入見積もりもいいかげんだ。したがって、この歳入見積もりがこんなにおかしいんだから、恐らく結果はもっとうんと出ちゃうよ、剰余金が。もうわかっている。
 この際、サラリーマンの実質所得減に対し思いやりのある施策をやってやりなさい、物価調整減税をやってやりなさい、こういうことなんです、私が言いたいのは。恐らく、減税と言うと総理は財源がないと逃げるんだ。福田さんも三木さんもみんな逃げたんだ、予算委員会で当初は。しかし、最後はみんな、福田さんも物価調整減税を三千億円程度やったんです。それでも余剰が出ているんです。だからこの際、富の公平、公正、総理大臣の言う足らざるを憂えず公正、公平を実現するという見地なら、サラリーマンに減税するのは理の当然じゃありませんか。それが道理というものじゃありませんか。
 総理、総理は国際比較して、日本の給与所得者の税負担は国際的に遜色ないから減税はしばらくがまんしてくれ、こう言ったんですよ。ところが、日本の課税最低限も、国際比較して有利じゃないんですよ。所得税はアメリカと日本との比較をすべきなんです。ヨーロッパはみんな間接税、付加価値税、そういう方が非常に多いものですから、個人所得の負担という課税最低限は当然低いんです。所得中心の富の再配分機能を果たそうという税制はアメリカですから、アメリカと比較しなければいけない。日本の、低いといってもわずかいま五万円だ。
 そして、日本の独身は一カ月幾ら以上月給取ると税金がかかると思いますか。賞与を入れて年八十三万一千円ですよ、総理。賞与を入れて八十三万一千円から国税がかかるということは、月給六万五、六千円ですよ。月給五、六万の青年はどんな生活水準ですか。それ以上は国で税金を取るということは、少々考えて、この辺で手直しすべきじゃないでしょうか。これは田中総理大臣のときに、二兆円減税で思い切って八十三万円にしたんだ。それまでは三十五万円なんだよ。もう時間が経過しているんだから、この辺でそろそろ、思い切ってサラリーマンの自然増負担、税負担のウナギ登りを直さなければいけない。総理の見解と大蔵大臣の見解をひとつ聞きたと思います。
○渡辺国務大臣 自然増収の問題はいつでも議論になるところでございます。特に五十四年度は、五十三年の後半から予想外に景気が回復をしたというために大変な自然増収が出たことは事実でございます。それ以後は、今回も七千億円見込んでおるわけですが、全体のなにから見ればそんな大きなものではありません。まあ少しぐらい余分に出ることの方が歳入欠陥になるよりも実は安心なわけです。これはなるべくぴしゃっと一〇〇%合っているのが一番いいのですが、どうしてもそれは当て切れないということも事実でございますので、その点は御了解を賜りたいと思います。
 なお、災害対策の問題については、五十五年度は五千五百億の災害でありますが、五十四年度は七千八百億でずっと大きかったわけですから、したがって、一年おくれの災害対策費は五十六年度は五十五年よりも小さく組んでもこれはあたりまえのことでございます。
 ただ、一%の人件費で本当はやっていけるのか、そうすると一%だけで、あとはもうベースアップ、それ以外やらぬのか。それはそういうことではなくして、どれぐらいに見積もっていいか、われわれはわからない。要するに、人事院の勧告がなされたときに、そのなされたときを尊重して、いままでは極力財政事情や経済事情を考えてやるという方針でやってきております。ただ、今回はいろいろな財源の見通しその他の関係から、ともかく、いままで二%組んでおったものをとりあえず一%計上さしてもらったというだけの意味でございます。
 なお、物価調整減税につきましては、かねて申し上げておりますように、現在のところ、四囲の情勢から見て、物価調整減税だけを先行させてやるというようなことはともかく御容赦をいただきたいということを一貫して申し上げてきておるところでございます。
○武藤(山)委員 先行させてやれじゃなくて、サラリーマンの税金を先行して取っているんだよ。そこなんだよ。だから調整なんですよ、渡辺さん。たとえば昭和五十二年に名目収入、年収三百万だった人が年五%賃金が上がると仮定して計算してみると、五十二年には五万八千二百円の所得税が、三年後の五十五年は十万二百円になっちゃっている。さらにこのまま税調の言う三年間所得税減税をやりませんというと、五十八年は十五万一千六百円。三年間で七二%増になって、その次は二六〇%だから二・六倍になるんだよ、三年間で。そういうように累進課税というのは、所得がふえると税金はそれの三倍か四倍の率でふえていっちゃうのですよ。それを調整しなさいと言うのですよ。
 なぜサラリーマンだけそういう税金を取られるかというと、サラリーマンは全体の八五%が税金を捕捉されてしまう。逃けられないのですよ。営業はどうですか。税金を取られている率が業者の中の五〇%、農業は二〇%です。法人が半分です、法人税を取られているのは。あとはみんな赤字会社だと言っているのです。サラリーマンだけは八五%から八九%の人がみんな税金を取られて、これだけは公平、公正。あとはクロヨン、これはおかしいですよ。だから、どこかで調整をきちっとするのは当然の理論なんです。
 課税最低限を私は私なりに、一九八〇年一月現在の税法に基づいて邦貨に換算をしてみた。五十五年上期の基準で、為替相場を一ドル、当時はちょっと高かったものだから二百二十五円、一ポンド四百九十一円、一マルク百二十四円、一フラン五十三円で私なりに計算してみた。その場合の日本の独身者の課税最低限は八十三万一千円、アメリカは七十四万二千円、イギリスが五十七万二千円、西ドイツが八十八万二千円、日本よりいい。フランスが百九万五千円。だから、課税最低限の比較で日本は税金がうんと安いんだなんという考え方はやめてもらわぬといかぬ。
 それから、ヨーロッパと比較するのはちょっとおかしいんだ。ヨーロッパはかなり付加価値税を取っていて、間接税のウエートが非常に高いのです。そのかわり所得税の方が安くなるわけです。
 そういうことをみそもくそも一緒にして国際比較で有利だからなんて、総理大臣が本会議場で国民に向かってうそを演説するのはけしからぬよ。官僚の書いているこの作文はうそだよ。こういうものは後で徹底的に、もう時間がありませんからできませんけれども、わが党の委員が順次指摘をいたしますから、どうしても所得税の調整措置だけはとっていただきたい。予算委員会が終わる前までに、ひとつ内閣として十分検討していただきたい。
 それから、大蔵省の中期展望なるものは、もう時間がありませんが、税金を増税するための試案である。これはもう断定して間違いない。GNPの伸びを一一・七%、そんなに伸びますか。それで弾性値一・二と低く見ている。そして税収の伸びは前年比一四%ぐらいの伸びだ、こう言うのです。一体GNPが三年間一一・七なんか伸びますか。しかも五十五年、五十六年の弾性値は全部一・六、一・五に近いんだよ。今度の三年間だけは弾性値を一・二にする。一・二にするためには、GNPをうんと大きくしないと一・二の率では税収の数字が合わないからだ。この展望は数字合わせだ。そしてこの差額の展望、五十七年は足りなくなりますよという差額、この差額が全部増税か歳出の切り詰あか、さあどっちだという表ですよ。
 わが党がこれをやるのに、いまの税法の中の不公正、不公平、不合理を前提として直したら、赤字国債を五十九年度にゼロにするためには増税必要なしという試算がわれわれの方ではじけたんだ。きょうはそれを論争する時間がない。しかし、こういうもので安易に増税に突っ走るようなことを閣議で決めるような不見識なことだけはしないでほしい。徹底的にひとつ鈴木内閣は中身を検討してほしいということを注文して、時間がありませんから私の質問を終わりたいと思います。
○小山委員長 これにて武藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、小宮山重四郎君。
○小宮山委員 質問に先立って、昨年来、大豪雪で多くの犠牲者を出しております。また、莫大な被害を出しております。かつ、天気予報等を聞きますとまだまだこれから降雪があるようであります。そのような方々に対し、また多くの犠牲者を出された御遺族の方々に心からお見舞い申し上けます。特に、この豪雪にいろいろな御努力をされた自衛隊あるいは赤十字等々の方々に心から感謝をささけます。
 わが自由民主党は、正月早々から異常豪雪対策本部を設けまして現地調査を進め、具体的な対策を進めております。特にこれから六項目のことについて各大臣にお聞きいたしますので、国民がわかるように簡潔にお答えをいただきたいのであります。
 まず第一に、国土庁でございますけれども、激甚災害指定はどうなっておりますか。災害状況の把握に努めて、可及的速やかに行っていただきたい。また、それが少し時間がかかるようでございましたら、つなぎ融資の措置等をとっていただきたい、これが第一点であります。
 第二点は、いわゆる生活道、市町村道の除雪費について特別交付税と予備費の支出の分担を定めて、具体的な措置を早く定めていただきたいと考えております。
 三番目は、農林省だと思いますけれども、立ち木が大変雪折れいたしております。その除雪費とか、あるいはビニールハウス等が壊されております。そういうことで、そのための制度融資資金とか助成の資金を確保していただきたい。
 四番目は、中小企業者が大変な損害を受けておるようであります。これは中小企業者だけでなくて、一億円以上の中堅企業もほとんど出荷ができない、入荷がない、そういうようなことで困っておりますので、緊急金融措置をぜひお願い申し上けたい。これも具体的な措置を早くやっていただきたいということであります。
 五番目は、災害弔慰金を、もう長いこと決まっておりますので引き上げていただきたい。それから、これは議員立法でございますけれども、いま議員各位で災害援護資金の額を引き上げようということでいろいろ検討しているようでありますので、これが決まったときにはぜひ御支援をいただきたい。これは厚生省かと思います。
 第六番目は、学校、社会福祉施設等の公共施設の除雪に要する費用に対して補助を行うため早く政令公布を行っていただきたいということであります。
 以上、六項目にわたって関係各大臣、非常に苦しんでいる災害地の方々に対してわかりやすいように明確にお答えをしていただきたいのであります。
○原国務大臣 小宮山先生にお答え申し上げます。
 最前いろいろ六点にわたって質疑がございましたが、政府としては一月の九日に私を本部長とする豪雪対策本部を設置し、各省庁の連絡をいたしております。三次にわたってわれわれは政府調査団を現地に派遣して、被害地の情勢をつかんでおります。その後、調査結果を踏まえて本部会議を開催し、いまおっしゃられましたような除雪の推進、道路、鉄道の確保その他等々をいたしております。これまで災害救助法の適用、孤立集落の解消等、生鮮食料品の流通確保、納税の猶予等税務執行上の措置等々をいたしてまいっておるところであります。
 さらに、その他の対策につきましても、当面、明後四日、本部会議を再び開きまして、各省庁とも豪雪対策の推進を図って対策に万遺漏なきを期したいと存じて、いま鋭意努力している最中でございます。
○園田国務大臣 御発言の災害弔慰金及び災害援護資金の額の引き上げ、これは御発言にもありましたし、各方面から要求が強いところでありまして、国会並びに事業主体である団体等と相談をして、御発言のとおり五十三年以降の物価の動向等も考えて、早急に御発言のとおり検討する所存でございます。
 なお、学校、社会施設の除雪費用の補助でございますが、文部大臣とも早急に相談をして、これは政令の指定を必要とするわけでありますから早急にやりたいと思いますけれども、いま雪が降っておりますから、これが一段落つきましたならばなるべく早くやります。その間、それぞれの団体には政令指定の基準を示しながら間違いないようにやってまいります。
○渡辺国務大臣 災害地域につきましては、中小企業者向けあるいは農林漁業者向けの各金融機関、金融制度については、たとえば国民公庫ならば限度額を八百万円上乗せするとか、中小公庫なら四千万円の特別枠を設けるというようなことなど、いろいろやっておるわけでございます。
 なお、市町村道等の除雪に要する費用につきましては、これは交付税でとりあえず対処していただくということでございますが、さらに要すれば、こういうような異常緊急の事態でございますから、予備費の支出というようなものも機動的に考えてまいりたい、かように存じます。
 なお、先ほど除雪費の個人の問題がございましたが、これらにつきましては、いままでは年間の所得の一〇%以上でなければ軽減しないということでございますが、それについては一〇%を超えたかあるいは年額五万円か、いずれか低い方の金額を超えればよいということですから、六万円かかった場合は一万円は経費として見る、こういうように直すように今国会に法案を提案をしておるところでございます。
○田中(六)国務大臣 中小企業対策といたしましては、いま現在一府十二県の災害県におきまして四百九十一件という孤立戸もございますので、そういう点も十分考えて、金融面におきましてはいま大蔵大臣が言いましたように、政府三機関の融資枠あるいは迅速に措置をすることは決まっております。
 そのほか、中小企業体質強化制度、これも県あるいは地方自治体とも相談して十分な措置をすると同時に、あと近代化資金、高度化資金におきましてもこれの返済猶予というものを考えておりますし、その他灯油あるいは揮発油につきましては、孤立地帯はもちろん全体的に入用でございますので、その点の配慮、その点の給油と申しますか、万全の措置を講じておるところでございます。
○斉藤国務大臣 お答えいたします。
 道路関係でございますけれども、一応建設省所管の国道、県道につきましては一部若干トラブルのところはございますけれども、終始、直接担当局長を督励しましていち早く対応いたしましたので、道路利用につきましては支障のないようになっておりますけれども、市町村道におきましてはまだ相当の不通個所もございますので、これは関係省庁とお話をして、五十一年度に特別措置の前例がございますので、それをも活用いたしまして早急になお対策を立てたいと思っております。
 なお、住宅、それから中小企業者の方々もあわせて被害を受けておるわけでありますけれども、これも住宅金融公庫あるいは中小企業金融公庫等の特別措置がございますので、それを活用していただくようにせっかくいま一生懸命でやっておるところであります。
 大体、建設省所管の除雪費関係は本年度百八十六億ございますが、早く百四十一億配分し、なお残りのうちの三十五億につきましてもすでに処置いたしております。なお、それ以上のものにつきましては今後の問題として関係省庁とお話しの上対処したい、このように考えております。
○安孫子国務大臣 申し上げます。
 五十五年度の特交の増額が比較的少のうございまして、前年度に比較いたしますとなかなか苦しいわけでございますが、特交要因が非常に多いわけでございます。冷害の問題もございます。さようなことで、今度の補正増におきまして二百四十四億の特交の増をお諮りをいたしておるわけでございます。大体五千億台の特交財源をもちまして特交要因を片づけてまいりたいと思っております。
 ただ、今後の積雪の状況にもよりますけれども、大体それで希望に沿えるかどうかということになりますと、必ずしも十分じゃない面もあるだろうかと思いますが、さような点については、ただいま建設大臣も申されましたように、予備費支出等によって処置をしてもらわなければならぬ面があるだろう、こう思っております。
○亀岡国務大臣 豪雪災害に対しましては、天災融資法の発動の方針を決定いたしております。ただ、災害も継続中で被害も終息しておりませんので、災害の実態がわかりました時点において天災融資法の発動ということになりますので、その間のつなぎ融資につきましては、ただいま大蔵大臣から御答弁がありましたとおり、農林省といたしましても各金融機関にもうすでに指示をいたしておるところでございます。
 今回の豪雪の特徴は、十年ないし二十年生あるいは場所によっては三十年生のりっぱな杉の林が非常に大きな災害を受けた、こういうことで折損木の被害がまことに激甚である。現在調査中でございまして、山の中は調査できませんので、まだ被害の総実態というものをつかんでおりません。
 当面の措置といたしまして、森林国営保険及び森林災害共済に係る保険金等の早期支払い、この指導を強力にいたしておるところでございますとともに、農林漁業金融公庫の資金の融通措置等も指示をいたしてございます。今後とも豪雪による林業関係被害につきましては、被害状況の的確な把握に努めると同時に、必要があれば激甚災害復旧造林の指定を進めてまいりたい。そうして、とにかく林業者が造林意欲を失わないで今後強力に造林意欲を出していけるような万全の措置を講じたい、こう考えております。
○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。
 学校に関しまする被害は、国立学校十校、大体二千八百万円ほどの豪害被害でございます。また、公立学校は四百五十五校、十四億八千万円ほどの被害額に今日のところ相なっております。
 なお、これに対しまして復旧計画が出てまいりますれば、それに基づきまして調査をいたしまして対処いたしますが、豪雪の基準その他の問題につきましても、法の定むるところによりまして処置をいたします。なお、国立の場合は一〇〇%でございますが、御案内のとおり公立学校の場合は三分の二、それから私立学校の場合は二分の一の補助でございます。幸い、いまのところ、私立学校の被害の申請は出ておりません。
○小宮山委員 ぜひ罹災者と同じような気持ちで、温かい施策を速急にやっていただくことを重ねてお願いいたします。
 さて、本論に入らせていただきたいと思います。
 鈴木総理、鈴木総理は総合安全保障政策を唱えられた。総理の頭の中では総合安全保障政策がどのような形でつくられているのか。私たちもいろいろな新聞等では知っておりますけれども、その後、昨年の十二月に総合安全保障関係閣僚会議が設置されました。その目的とか運営方針、特に国防会議等については防衛は防衛、あとは別だという考え方が出ておるようでありますけれども、その総合安全保障政策なるもの、会議なるものはどういうものであるか、御説明いただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 最近における国際情勢、そしてわが国の立場を考えますと、防衛力の整備だけではわが国の平和と安全を確保することができない、こういう状況にあると思います。そこで、外交努力、また資源、エネルギー、食糧あるいは内政の各般にわたりまして、総合安全保障という目標に向かって、総合的な立場で整合性を持って政策を推進するということが肝要である、このように考えておるわけでございます。
 そこで、総合安全保障閣僚会議を昨年の暮れに設置いたしました。最初の会議におきましては、エネルギーの問題、それから予算編成を前にいたしまして対外経済協力の問題、こういうわが国の平和と安全に関係のある重要な問題についてこの閣僚会議で討議をし、一つの方向を出したわけでございます。一方、国防会議は従前どおり存置いたします。これは直接の防衛力の整備の問題あるいは防衛に関する諸問題を討議する、こういうことにいたしておるわけでございまして、国防会議と総合安全保障閣僚会議、この機能を十分に発揮しまして、両々相まってわが国の平和と安全の確保の政策の万全を期したい、こう考えておるわけでございます。
○小宮山委員 いま総理がおっしゃいますように、国防会議と総合安全保障関係閣僚会議が両々相まって日本の平和と安全、繁栄を確保していくということでありますけれども、国防会議は防衛庁設置法によって設定されております正式な機関であります。片や、こんなことを言っては失礼ですけれども、単に閣僚会議であります。しかし、総理のおっしゃる本当の意味で両々相まつということならば、多分車の両輪のようなものであります。片一方はいわゆるちゃんとした法律で決まっている、片一方は閣議決定だ。やはり両方が相まって進んでいかなければいけない。たとえばエネルギー一つとっても、これが百十日。ランニングストックが入っておりますから、実際は八十日あるかないかの油であります。ですから、外国から言わせれば、日本という国は封鎖すれば一番早く手を上げる国ではないかと言われるゆえんでもある。
 ですから総理、どうでございましょうか、総理のおっしゃる総合安全保障閣僚会議というものを法律的にちゃんと縛った、しっかりしたものにしておく。そして、そういうことにしておいて、日本がこれから日本の安全のために何をするんだということをその中で決めていく、そういうことが大変重要ではないかと私は思います。それがすぐできるとは申し上げません。総理、どうでございましょうか、法律的な、そういう形の会議にする意思がございますでしょうか。
○鈴木内閣総理大臣 小宮山さんも御承知のように、この関係閣僚会議というのは、自由濶達にそこで論議をいたしまして、その煮詰まった議論、結論というものを閣議に諮りまして、そして内閣の方針として実行に移していく、こういうことでございます。私は、先ほど申し上げたような形で、国防会議と総合安全保障閣僚会議の運営の適正を図りながら、両々相まってわが国の平和と安全のための諸政策を推進してまいりたい。これをやってみまして、実績を見た上で、また小宮山さんがおっしゃるような措置を必要とするかどうか研究したい、こう思っております。
○小宮山委員 御趣旨はわかります。しかし、ことしのような予算、昨年の暮れに防衛費が一%云云という討論を聞いておりますと、私、それだけが確保されたから日本が安全であろうという考え方は持っておりません。ですから、私は車の両輪としてのあり方ということを考えておるのであります。しかし、日本は平和憲法の関係もございますので、限られた非軍事面でやはり西側の一員としてやっていかなければいけない。それを別々に分けるのではなくて、多分アメリカやNATOあるいはECから要求されるものというものは、そういう両輪の中で考えていかなければいけない。そこで、その中で経済援助を出す。ASEAN諸国に行って総理が置いてくるのも結構でございますけれども、そういうものの中で、わが国に対して何が一番重要なんだということでお金を出す。あるいは西側に対してそれを出すことが西側にどれだけ利益を与えるのだということを考えて出す。また、お金を出して、いわゆる経済協力金を出したにしても、支援金を出したにしても、援助金を出したにしても、それが現地でどのくらい役立つのだろうということを考える。そういう意味ではやはり車の両輪的な物の考え方がどうしても必要であろう。私は、一%論争というのは大変誤解を招くような気がいたします。私も、ぜひ総理にも発想の転換をそういう場所でしていただきたい。たとえば一%ではなくて、総合安全保障全体が、国防を含めて三%、五%というものの中からどういうふうに使うかということをお考えになった方がよいのではないか。
 それからもう一つ、先ほど言った石油備蓄についても相当の金が年次的にできる。また、それが日本の安全につながるのだという物の考え方がつながって出てくる。私は、そういうことをぜひ総理に考えていただきたい。それがやはり経済大国、総理が持っているリーダーシップ、こういうふうにする、こういうふうにするという経済大国の総理としての責任であろうと思います。ぜひその点について総理にもう一度お伺いをしておきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 小宮山さんの御提言、私もそういう趣旨を踏まえてこの総合安全保障閣僚会議を運営をしてまいりたい、こう考えております。
 先般ASEANに参りました際におきましても、食糧の安定供給ということがあの地域の民衆の民生の安定、向上のために必要である、また食糧問題の将来を考えました場合に農業の振興、農村の建設にわが国が協力することが必要である、こういう観点でASEANの各国の首脳と話し合いをしたわけでございます。また、エネルギーの問題につきましても同様でございます。
 そういうようなことで、私はASEANだけでなしに、発展途上国等に対しましてはそういう産業、経済の振興と安定、民生の安定を図ることがその地域の平和を確保する上から非常に大事だ、そういうことを通じて日本が、経済力を持った日本として世界の平和と繁栄、安定に寄与していこう、そういう立場で私は、今後の総合安全保障閣僚会議の課題等につきましても取り組んでいきたい、こう思っております。
○小宮山委員 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、少なくとも世界戦略も相当変わってまいりました。ただ単に、いままで日米安保を中心として、困ったら助けてくれるという考え方はもう捨てなければならぬ。日本は経済大国である。西側の一員である。昨年の五月に大平総理が、西側の一員という言葉を初めて使い始めました。私は、それがいまアメリカ、ヨーロッパ諸国が日本に求めている、西側の一員として何ができるんだというようなことだろうと思うのです。ですから、今回の防衛費の伸び率というものが、社会福祉切り捨て論だとかいろいろなことを盛んに言っておりますけれども、私、数字を見てみますと、そうではない。はっきり言いまして、五十年のときに社会福祉が防衛費の約三倍、三兆九千億だ、三対一でありました。防衛費関係が一兆三千億だ。五十六年、来年度予算が八兆八千億、防衛関係が二兆四千億で三・七対一。依然として日本は社会福祉の国でありますけれども、そのようなことだけで討論していると間違えられる。ですから、全体の枠の中で安全保障、日本人が生きていく、日本が生きていくためにはどうしてもそういう考え方が必要なんですよということを言いたいのであります。
 そういうことで、伸び率等についても、先ほど申しましたように、社会保障関係費は五十年から五十六年まで二・二倍に上っておるのに防衛関係費は一・八倍、大変少ないのであります。そういうことから考えますと、数値の理論だけで終わってしまう。日本が経済大国であるのに、また防衛費をべらぼうにふやして軍事大国になっているかのような錯覚を国民が持っている。
 つい最近総理が行かれたASEANでも、私はこう思うのです。ASEAN諸国の方々は、歴代総理が東南アジア、ASEAN諸国へ行って軍事大国になりませんと言っておるのですから、それよりもその人たちが一番こわがっているのは、経済大国として襲われるのがこわいんじゃないかというような気がいたします。
 そういうようなことがございますし、日本は今後世界戦略の中でどうあるべきか。たとえば最近、ソ連が北極海で船を動かしているというニュースが入っております。年間三カ月か四カ月走っている。そうしますと、極東とヨーロッパが十日であります。しかし、南回りで行くと四十日かかります。しかも極東におけるソ連軍の艦船というのは、第七艦隊と日本の自衛艦との四倍以上あるのではないかと思います。自衛艦が百四十隻、アメリカ第七艦隊が五十隻であります。ソ連が七百八十隻でありますから四倍以上であります。私は、これらの艦船がすぐ日本を攻めるとは思っておりません。思っておりませんけれども、ちょうど歯舞、色丹、北方四島に基地ができて、バックファイアやミグ25がいわゆる東京エクスプレスといって飛んでくる。それから感じる脅威、あるいは沖繩で事故を起こした原子力潜水艦、それが日本の領海を断りなしに出ていく。これは宮澤長官が心外だとかいろいろな問題がありました。そういう無視をされ、かつそれがやはり軍事大国として私たちがソ連から受ける直接的な脅威ではないけれども、いやな政治的な圧力、心理、そういうものが日本あるいは東南アジア諸国に与えられているんだろうと思うのです。それを大変アメリカが憂慮している。知らず知らずのうちに、こわいからソ連になびこうではないかという考え方であります。
 総理はもう何回もソ連の漁業交渉に携わっていらっしゃいます。ソ連という国は多分、私はこう思います。ある人から聞きました。力のあるやつには対等に話をしますよということです。日本がやはりちゃんとした力を持っているということ、少なくとも、軍事大国になるというのではございません、ある程度のものを持っている。第七艦隊がインド洋あるいはペルシャ湾に行っているときに、その後を守れるだけのある程度の力を持っているということが日ソ間の友好発展にもつながるのであろうと思います。
 ぜひそういうような意味でも、総理どうでございましょうか、われわれ日本としては、日米安保ではなくて、これから西側の一員としてなし得ることは何だろうということをお答え願いたいのであります。
○鈴木内閣総理大臣 こういう国際情勢のもとでございますから、日本が自衛のための最小限度の自衛力を保持する、こういうことで、みずからの国はみずからで守るという国民の意思、気概というものをはっきりと示す必要がございます。ただ、先ほど来申し上げるように、そういう自衛力だけでは日本の平和と安全を確保することができない、また、日本はその経済力をもちまして西側の一員として日本としてなし得る国際社会の責任を果たしていこう、そういうことを通じて世界の平和と安定と繁栄に貢献をしていく、こういうことが日本が今後とっていくべき道である、私はこのように考えておるわけでございます。
○小宮山委員 先ほど社会党の武藤山治君から、竹田統合幕僚会議議長の「宝石」に載った記事について、あるいはけさの朝刊に載った記事についていろいろな話がございました。私、その記事をいま見ておりますと、この中で「国を守るというのは、崇高な使命であり、奴隷的拘束や苦役を禁止した憲法一八条を、徴兵制を認めないという理由にするのは心外だ」と申しております。
 これは昨年の八月十五日に政府見解が出ているはずであります。そのように、憲法第十三条、第十八条によって徴兵制を禁止して、やらないということを法制局はおっしゃったのでしょうか。その点お伺いしておきます。
○角田(禮)政府委員 昨年八月十五日の政府答弁書におきましては、徴兵制度について一定の定義をした上で、
  このような徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと考える。
ということを述べております。
 このような見解は昨年初めて申し上げたわけではございませんで、従来から繰り返し申し上げているところであります。そこでは、このような徴兵制度は十三条、十八条などの規定の趣旨から見て許容されないと言っているだけでありまして、自衛隊の任務に従事することがそれ自体、憲法十八条に言う奴隷的拘束あるいは苦役に該当すると言っているわけでは決してございません。
 なお、若干説明を加えさせていただきますと、憲法第三章では、御承知のようにもろもろの基本的人権の保障を定めておりますが、第十三条、十八条の規定は両者相まって、答弁書でも申し上げているように、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められない役務の提供を強制してはならないという考え方を基本としていると思います。そういう考え方の趣旨に従って言えば、徴兵制度は憲法上許されない、こういうことを述べているだけでございます。
○小宮山委員 国民にはなかなかわかりにくい話であります。もう少しかみ砕いて簡単に、徴兵制度はやらないと総理からはっきり言っていただく方が、これは決意であります、また政策であります、そういうことをはっきりもう一度言っていただいた方が国民にはわかりやすいのだと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
○宮澤国務大臣 私から申し上げます。
 簡単に申しますと、わが国の憲法のもとでは、何人も自己の意に反して苦役を受けたり何かをしろと言われることはない。大原則でございます。しかし、公共の福祉との関係では、一定の場合にこれがあり得るということを十三条で述べております。その次に、わが国の憲法の全体から見て、公共の福祉のために徴兵制を行うというようなことはあり得ないことであろう、それが結論になっております。
 したがいまして、第一に、小宮山議員のお尋ねに対しては、わが国の憲法は徴兵制を必要とするようなたてまえをとっていない。第一点。第二点は、自衛隊の方々のやっておられることは、これは十八条、十三条に言うところに当たらないのであって、御本人方と国との随意の契約のもとに行われていることでございます。それだけのことになります。
○小宮山委員 総理、もう一度はっきり、徴兵制度はわが国ではやりませんと、御明確にしていただきたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 いま法制局長官並びに宮澤官房長官から申し上げましたような憲法の趣旨からいたしまして、政府としては徴兵制はとらない、明確に申し上げておきます。
○小宮山委員 よくわかりました。わかった上に、もう一度こういうことは念を押しておいた方がよろしいかと思います。
 さて、先ほど日銀総裁からいろいろな話がございましたし、五十六年度の経済見通しについてはちまたではいろいろな論争がございます。特に、ことし政府が立てました経済見通し、非常に高いところにセットしてあります。政府は実質五・三%、これは国民経済研究協会の五・七に次ぐ高さでございまして、昨年は、大体政府の見通しというのは民間機関上下一%のところに置いております。日経さんの方は四・二、日本経済研究センターというところは非常に強気で見ておりますけれども、五・一で政府より低い。たとえば下村博士などは一%という見通しをつけております。そういうようなことから見ましても高きに失するのでありますけれども、私は、それは経済目標、いわゆる政策目標であって、民間数値と比較して云々すべきではないかもしれませんけれども、どうも高いのが目立っております。
 昨年の見通しで見ておりますと、なかなか経済見通しはよく当たっております。ほかに富士銀行と朝日生命ですか、朝日生命が当てておりますけれども、これからの経済、端的に経済企画庁長官、どうなのでございましょうか、これだけ景気がちょっと――先ほど日銀総裁は、いま見えましたけれども、悪くないようなお話ですけれども、中小企業などを見ましても、この一月の統計でしたと思います、設備投資の伸び率がゼロだと思いました。大企業よりずっと悪い。そういうことから見ましても、どうなのでございましょうか、この五・三というのは、ちまたではそうはいかないのではないかという声が強うございます。
 経済見通しについて、ぜひ企画庁長官、それから日銀の総裁、いらっしゃったので、ついでで大変失礼ですけれども、あわせてお答えいただければと思っております。
○河本国務大臣 わが国は、昭和五十四年度は六・三%の成長目標を立てまして、六・一%の成長を達成いたしました。五十五年度は、第二次石油危機の悪い影響が相当出てまいりますので、成長目標を若干低く置きまして四・八%に設定をしておりますが、これはおおむね達成できる見込みでございます。
 ただ、現在の景気は、昨年の夏ごろからややかげりが出始めましたので、九月に政府の方では総合経済対策八項目を決めまして、それに従っていま経済運営をしておるわけでございますが、残念ながら、なかなか思うように景気は回復をしておりません。ただ、大企業は減量経営ができまして、減量経営のもとでも相当な利益を上げられる。中小企業はそこまで体質改善ができておりませんから、中小企業の状態は非常に悪い。だから、大企業の統計だけを見ますと比較的いいように見えますけれども、国全体の経済の状態は、私どもは、いまの状態は決していい方ではない、相当警戒すべき状態である、このように考えております。
 ただ、世界全体が非常に悪い状態でございまして、一九八〇年の後半はほとんどもうゼロ成長あるいはマイナス成長というような状態でありましたが、しかし、十二月のOECDの見通しなどを見ますと、世界経済もだんだんと回復過程に入りまして、特に先進工業国では、ことしの上半期が一%台の成長、下半期は二%台、来年の上半期はほぼ三%、こういう水準で回復するのではないか、こういう見通しも立っております。世界全体がよくなりますとわが国の経済運営もしやすくなりますし、それから同時に物価の方もだんだんと安定方向に行っておりますから、個人消費などもある程度期待していいのではないか、こう思います。
 それから、投資の方でございますが、昨年は借入金で投資をするところはほとんど、特に中小企業なんかは延期をしております。これは非常に金利が高い、いまの金利水準では投資ができない、こういうことから、大企業のように自己資金でやれるところは別でありますが、そうでないところは延期が非常に多くなっております。しかし、これも第二次石油危機からの影響がだんだん吸収せられ、物価が安定をし、同時に金利水準も下がってくるということになりますと、技術革新投資、省エネルギー投資はやりたいという計画は非常に多いわけであります。そういう投資も順次具体化してくるであろう、このようにいま考えております。
 そういうことから、五十五年度四・八%という実績の上に立ちまして、五十六年度は五・三%成長は十分達成できますし、また、この見当の成長をいたしませんと、雇用問題の解決にも支障を来しますし、それからわが国経済の国際競争力を維持することもむずかしい、そういうこともございまして、十分達成できる、そういう確信のもとに政府の方ではその目標を設定した、こういうことでございます。
 ただ、何分にも経済はいま激動期でございますので、激動期にはやはり機敏な対策が必要であります。その対策を間違えますとなかなか思うようにはまいりませんので、機動的に政策を進めるということが何よりも必要だ、このように痛感をしております。
○前川参考人 ただいま企画庁長官からお話がございましたとおり、現在の状況はかげりが広がりつつある、これは業種別にも、あるいは大企業、中小企業というふうに分けますと、やはり中小企業の方に影響が出ているということは御指摘のとおりであろうと思います。また、地域的にも非常に跛行性がある。一様にいまかげっておるというわけでは必ずしもないという状況でございます。そういうことから、私ども、もちろん個々のミクロの問題というものを無視するつもりは毛頭ございませんけれども、全体の経済政策、金融政策をやってまいります上に、やはりマクロの判断ということが大事でございますので、マクロの全体としての判断から申しますると、いまの景況感がここでまた非常に大きく崩れるということはまだないのではないかというふうに判断しておるわけでございます。
 これからの見通しでございますが、来年度の成長見通しは政府の方でこの間お決めになったわけでございますが、問題は、個人消費が果たしてああいうふうに伸びていくかどうかということが一つ、設備投資あるいは輸出というものがどういうふうになるかということが第二点であろうかというふうに思います。
 個人消費につきましては、消費者物価が次第に安定してまいりますれば実質所得もふえてくるということになりまするので、そういう点から実質的に見ました個人消費がふえてくるということは十分期待できるであろうというふうに思います。そういう意味で、私どもは、いまの落ちつき、鎮静傾向をたどっております物価を何とかして定着させることがどうしても必要であろうというふうに思います。
 設備投資につきましては、現在大企業の方はかなり強い投資需要が続いておるわけでございます。中小企業につきましては、やはり昨年からかげってきております。いろいろな事情があると思いまするけれども、ただ、中小企業も、これからの低成長に対応して生き残っていくためには、どうしても設備投資をしていかなければいけないという意識もかなり強いわけでございます。そういう意欲が十分実を結ぶような配慮をしてまいる必要があろうと思います。
 輸出につきましては、これは海外の経済環境が非常に影響してくるわけでございますが、海外の経済状況につきましては、先ほどもお話がございましたように、OECD等の見通しから見ましても、この下期には少しずつ回復してくるのではないかというふうな見通しでございます。
 そういう意味で、五・三%という数字は努力を要すると思います。しかし、達成できない目標ではないというふうに考えております。
○小宮山委員 個人消費等も大変落ちておりますし、有効求人倍率も〇・七と非常に低迷をしておりますし、所定外労働時間というのは製造業では非常に減少の傾向を見せている。それからマンションの売れ行きが大変不振である。特に個人消費も、五十五年秋以降、自動車の登録台数を見ておりますとどんどん減っております。それから家電製品の販売も落ちております。それからレジャーなどは、はっきり言いまして高速道路の利用度がどんどんと落ちております。日銀券の発行残高の月中平均なども大変なことで、年末四日間だけ、高かったのはそれだけだったと思います。そういうようなことから見ましても、そういい状態にない。特に中小企業の設備投資が全体の設備投資の半分を占めているところでそういう意欲がいまのところないとなれば、なかなか大変な経済であろう。特に私は、冷害なんかも響いているのだろうと思いますけれども、これからの景気の動向というのは、中小企業の動向がやはりかぎになってくるのではないか。
 先ほど日銀総裁は、金利の引き下げについて何とおっしゃったのですか。当分引き下げについては注視している、各数値が安定しておるので引き下げを注視しているような意味のことをおっしゃいました。しかし、倒産件数も非常に多うございます。昔、高度経済成長のときには千二百件ですと大変だった。警戒警報でしたが、いま千六百件が四カ月ずっと続いております。そういうことから考えますと、どうなんでしょうかね、やはり長期金利あるいは短期金利とも貸付金利を、何としても金利引き下げをやらぬと中小企業は立ち上がれない、そういうふうに感じておりますけれども、日銀総裁、いかがでございましょうか。
○前川参考人 これからの金融政策をどういうふうに運営していくかということにつきましてけさほど申し上げたわけでございまするが、環境は、もちろん景気のかげりが広がっている一方で、物価についてはかなり落ちついた状況にある、国際収支の改善状況もきわめて顕著である、そういうことを映しまして円相場も非常に安定しておるわけでございまするので、そういう経済現象につきましては、いろいろ従来と違った状況が出てきておるわけでございます。
 ただ、これからそういう事態に対応して金融政策をどういうふうにしていくか、ことに金利政策をどういうふうにしていくかということは、私ども、金融政策全体につきましては、主として昨年の十−十二月、第四・四半期、年度から見ますと第三・四半期から、窓口規制、金融の量的な面につきましては緩和政策を打ち出してきております。ことにことしの一−三月の窓口規制につきましては、大部分の地方銀行並びに相互銀行以下につきましては、窓口指導を実質的にはもうなくしたも同様にしておるわけでございます。
 そういう中で金利政策、公定歩合政策をどういうふうにするかということでございますが、公定歩合を動かしましても、金利水準全体がそれに対応して下がっていくということでないと、その効果はないわけでございます。公定歩合は、そういう意味で金利政策を私どもやってまいりますときに、全体の金利水準が下がるか、また下げることが適当であるかどうか、そういうことの総合判断を実はしながら施策をいまとっておるわけでございますが、最近、世界的なインフレがまだかなり残っておりまするので、海外の金利が非常に高い水準にある、公定歩合も大部分はまだ二けたの公定歩合を続けておるという状態でございます。そういうことから、海外の金利高というのが日本の国内の市場金利に影響している分というものがかなりあるわけでございます。また、日本の国内の消費者物価につきましても、かなり落ちついてはまいりましたけれども、現在まだ七とか八とかいうようなことでございまして、これにつきましても手放しでもう安心だというわけには必ずしもいかない。そういう事情をいろいろ勘案いたしまして、ここで市場金利の金利水準一般が果たして下がる環境であるかどうか、また下げ得る環境であるかどうか。ただいまお話のございましたように、金利水準が下がりませんと長期金利というものは下がらないわけでございまするので、公定歩合だけの操作ではそういう事態が必ずしも実現できない、そういう点を全部総合的に判断いたしまして、金利水準全体が下がるような環境であるかどうか、その辺をもうしばらく見きわめたいというのが私どもの考え方でございます。
○小宮山委員 結論が出るまでずいぶん時間がかかって、私の持ち時間がほとんどなくなりました。これは通産大臣にも聞きたいのですけれども、実際言って中小企業が国民経済の活力なんですよ。その困っている中小企業の方々をどうやって救うかということが、これからの日本の経済の中で大変大きな問題になるのです。そういうことで、たとえば最近の中小企業庁の調査によると、中小企業の約四〇%がこの一−三月期に売り上げ、経常利益とも前期に比べて悪化するという悲観的な見方をしているのですよ。非常に悪いのです。中小企業の設備投資がどうなるかというようなこと、それがやはり国民の生活に影響するのです。だから、そういう意味でも金利を下げたらどうですかというのは、私はそういうことを言っておる。中小企業の方々を助けてやっていただきたい。
    〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
 金利を下げても長期の金利が下がらないといろいろな問題があります。ただ、日銀総裁、このままいきますと、三月の年度末に金融が詰まって国債を手放す国債暴落説というのがあるのですよ。だから、そんなようなことになりますといろいろな問題があります。これは大蔵大臣でも総理でもいいですわ。これなど、公社、公団が持っている財投の余りを使って民間、各金融機関にある国債を買い上げてもらいたいと思いますけれども、それはそれとしまして、通産大臣、いま中小企業の方々の代表になって、こういうことでございます、それはどうするんだということをちょっとお答えいただきたいのでございます。
○田中(六)国務大臣 お答えいたします。
 小宮山議員御指摘のように、現在の中小企業の状態というものはきわめて悪い環境にあると私は思うのです。一月から十二月までの暦年の倒産件数は一万七千八百八十四件という史上二番目でございまして、その他在庫の調整などを見ますと、一−三に調整が済むはずなのが四−六になるとか、あらゆる観点から見まして景気は冷え込んでおる。これ以上冷え込んだら、私は、物価と景気の両にらみとか、物価が安定したからどうだというようなことで全体の経済がうまくいくはずがないと思うのです。したがって、このような状態を放置しておくということは、中小企業の担当大臣としてはできないのです。私どもが公定歩合を口にすることはできません。しかし、全体の経済状態というものをよく認識していただいて――国際収支の問題とか円高の問題、こういうのを日銀では心配しておったと思うのです。それが対外的に心配だと言いますけれども、私はそういう点では安心だと思うのです。だだ、日銀総裁が指摘されるように、海外金利と日本の金利との大きな格差がございます。これをどうするか。あるいは長期金利、あるいは短期金利、預金金利、そういうものとの連動、あるいは国債消化の問題、そういう問題がありますので、私もそう大みえを切ることはできませんけれども、中小企業者がこのように倒れていくということは、この予算委員会でも十分検討していただいて、経済全体から、大所高所から判断すべき時期がいま来ているというふうに考えております。
○小宮山委員 総理、いま通産大臣の話をお聞きになっていただきますと、中小企業の苦しみというのは大変なものであります。ぜひ日銀総裁あるいは経済企画庁長官等々の方々といろいろ話し合って、何とか中小企業の方々を救っていただきたい、そういう願いであります。
 もうほとんど時間がございません。ただ一つ、総理、エネルギーの問題でお願いしておきたいのでございます。先ほどちょっと触れましたけれども、日本は百十日分の備蓄を持っております。しかし、百十日といってもそれはランニングストックが入っておりますから、実際は五十旧前後しか備蓄がないと考えております。これで日本の安全が保てるのであろうか。五十日は何とか保てるかもしれません。その辺、少なくとも諸外国は相当量持っております。イギリスは五百八十七日であります。アメリカは輸入ベースで百六十八日。しかし、これはネーバルリザーブとかいろいろなものを持っておりまして、どのぐらい持っているかわからぬと言っております。また、自分のところで石油が出ます。日本はほとんど海外に頼っておるのですけれども、これを百八十日ぐらい、最初に申し上げました総合安全保障閣僚会議で一日も早く確定する。これは金の面でいくと四兆五千億ぐらいのことを言っておりますけれども、一日で要るわけではございませんから、一年でつくれというわけではございませんから、ぜひそのようなことも考えていただきたいと思います。
 少なくとも、油の値段を考えていただきますと、五十三年から五十五年の間に油の値段は、原油は二・八倍上がっております。それで、これは通産大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、どうなんでしょうか。ちまたで言われております、昭和六十年までいかなくて原油がバレル七十ドル時代がすぐ来るのではないかという話がございます。なかなか言いづらいのだろうと思います。これはもうインフレ率プラス先進国の経済成長率に近い価格でどんどん上げてまいりますから、先ほど言いました五十三年から五十五年までの間に二・八倍上がったという事実を考えていただきますと、大変な上がり方をする。そういうことに対して通産大臣は、このままで七十ドル時代が来たらどうなるのだ。原子力発電は用地取得だけでも――建設じゃないですよ、用地の確保だけで十年かかる。そういうことを考えますと、この油の時代というのは二十一世紀の中ごろまで、まだどうしても続くのではないかと思います。どうなんでございましょうか、七十ドル時代が来たときに日本が壊滅的にならないように、金を使ってもやはり備蓄をしていかなければいけないと思います。その辺の見解を通産大臣、述べていただきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 油のことはやはり一番心配になることでございまして、現在、民間備蓄が九十八日分、政府備蓄が九日分ございまして、百七日あるわけでございます。小宮山委員御指摘のように、ランニングストックという、つまり回転の度合いがありますので、実質的にどうかという問題は多少疑問もございますけれども、私ども、民間備蓄九十日分というふうに提示されておりまして、政府備蓄をこれからどんどんふやさなければいかぬということで、備蓄基地を長崎、福岡あるいは福井、北海道、いろいろなところに考えておるわけでございますけれども、その備蓄の度合いを、いまの政府備蓄の一週間とか九日分を少なくとも四十日分くらいをやらなければいけないというふうに考えて、鋭意その対策を講じております。
 それから、石油価格の問題でございますが、御承知のように、バリ島のOPEC会議で最低二十を三十二、三十六、天井を四十一と、バレル四十一ドルにしたわけでございますけれども、対外的にいまOPEC諸国は、石油は有限のものである、必ず枯渇するものであるからという観点からいろいろな対策をとって、長期に掘るかわりに、結局価格でそれをカバーするというような方針をとっているような気がします。したがって、これが小宮山委員御指摘のように、七十ドル近くまでいくということはどうかと思いますけれども、六月にはまたジュネーブでOPECの会議をやるということで、また心配になりますけれども、価格はできるだけ安定してもらうように、また国内では代替エネルギーあるいは省エネルギー対策を、われわれが持っております総合エネルギー暫定需給見通しの中に掲げているような対策を一生懸命とっていきたいと考えます。
○小宮山委員 私の後に財政問題等について唐沢俊二郎君から質問がありますので、時間でありますけれども、質問する事項が大変残りました。エネルギー問題についても、省エネについてもぜひもっと奨励していただいて、たとえば総理、ASEAN諸国に行くときに金で援助するのではなくて、省エネルギーは資源だという考え方で、その技術をどんどん贈るだけでも大変なことだと思うのです。あるいは諸官庁に省エネルギー施設を設置する。たとえばこの国会だって省エネルギーの施設をつけることによってどれだけ経費が削減できるんだというようなことをお考えになっていただく。よくちまたで、自然エネルギーを使えば楽なんだなんという話がございます。一千万キロワットすぐできるような話。そんなものはすぐできません。原子力が二十一基あって千五百万キロワットであります。ですから、そういうようなことを考えますと、日本のエネルギーというものを真剣に考えるように大いに声をかけていただきたいと思います。
 時間でございますので、私の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
○金子(一)委員長代理 この際、唐沢君より関連質疑の申し出があります。小宮山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。唐沢俊二郎君。
○唐沢委員 ただいま小宮山議員が広く一般の問題につきまして質問されましたので、私は財政問題を中心に数点お尋ねをいたしたいと思います。
 まず、総理にお伺いをいたしたいわけでありますが、総理は、就任されてから機会あるごとに、財政再建に対する並み並みならぬ決意を披瀝してこられました。そして今回の施政方針演説でも、「財政の再建は、多くの困難と忍耐を伴うものでありますが、私は、今後とも着実に再建の努力を続けていく決意であります」と強調しておられるわけであります。
 昨年、政府が発表いたしました財政収支試算によりますと、昨年のままでいくと昭和六十五年度の国債費は何と二十二兆円を上回ることになるわけでありまして、大変なことであります。なぜ特例公債をそんなに出したのかというお尋ねがあるわけでありますが、先ほど社会党の武藤政審会長は、わが国は他の先進国に比べ経済の成長率も高く、そして失業も少ない、大変おほめをいただきまして、私も与党の一員として非常に面目を施し、恐縮をいたしておるわけでありますが、これも、これだけ国債を発行して景気を支えてきたらばこそでありまして、やはり特例公債はそれなりの成果があったわけであります。しかし、そのツケが大変なわけであります。
 その意味で、鈴木総理は当初から十字架を背負って登場されたわけであります。政治家ならだれでも、予算はふやしたい、減税はしたい、これが人情であります。したがいまして、昨年の九月ごろ総理が特例公債を二兆円程度減額したいと言われたときも、正直な話、仏の善幸さんだから最後はまあまあ一兆八千億か一兆五千億ぐらいの減額にとどまるのではないかと思っておりましたが、最終的には、予算編成のときに大前提として、二兆円程度の程度を取りまして、二兆円減額を打ち出されたわけであります。そして、これも総理の御決断であると伺いまして、非常に驚いたわけであります。
 私は、昨年、西欧諸国に財政問題、財政再建問題を調査のために行ってまいりました。各国とも苦労をいたしております。特にイギリスなどは日本と比べものにならないくらい苦労しておるわけでありまして、非常に厳しい経済の中で二二%の増収を図って、公共投資は実質一%の減、経済は昨年一年、気の毒でありますが縮小をしている。その中でサッチャーさんは歯を食いしばってがんばっておるわけであります。少々オーバーな表現を使わしていただきますと、西のサッチャー、東の善幸、このお二人は、財政再建に最も真摯に取り組んでおられる首脳として敬服をし、御期待を申し上げるわけであります。
 しかし、財政再建は本年度が元年であります。これから始まるわけで、五十七年度以降どうされるのか。特に二兆円減額したといっても、国債残高はなお八十二兆円、五十六年度末には八十二兆円にも達するわけであります。「財政の中期展望」では、五十九年度には特例公債の発行をゼロにしたいというお話、私もぜひそうしていただかなければならないと思いますが、そのためには毎年度一兆八千億円程度減額していただかなければならないのですが、ここで総理の御決意を承りたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 唐沢さん御指摘のように、わが国の財政は危機的な状態にございます。これを放置いたしますと、財政運営は対応力を失う、また国民生活も大変な危機に追い込まれる、こういうようなことでございまして、われわれは歯を食いしばっても、この際、財政の再建を行わなければならないわけでございます。五十六年度予算編成に当たりましては、まず二兆円の公債発行の減額を方針として決めましてこれに全力を挙げたわけでございますが、幸いにして各方面の協力をいただきまして、特例公債二兆円の減額を達成することができたわけでございます。その際におきまして、私どもは歳入歳出の見直しをともに厳しく行いまして、自然増収が四兆四千九百億あったわけでございますが、まずもってこの自然増収から特例公債の減額に回す、そういうような措置をとりました。また、文教でありますとか、あるいは福祉でありますとか、そういう水準は何とかして保持したい、こういうことで、いろいろ財源の面で苦労したわけでございます。そういうことで、現行税制の枠内ではございますけれども、法人税、酒税その他国民の皆さんにも相当の犠牲をお願いせざるを得ない、こういうことをやったわけでございます。
 しかし、お説のとおり、財政再建は五十六年度単年度で終わるものではございません。今後これを引き続きやっていかなければいけない。私は、高度経済成長時代から肥大化したところの行財政をどうしても縮減し、圧縮し、そして健全な姿に持っていくことがまず一番肝心なことである、このように考えております。
 安易なこれ以上の増税ということはできるだけ避けまして、歳出面その他で、既存のものにつきましても、私ども引き続きその合理化、縮減に努力を払いながら、今後この財政再建の事業を達成したい。六十年から特例公債の本格的な償還が始まりますので、その償還のためにまた特例公債を発行するというようなことではいけないのでありまして、どうしてもこの際、私ども、五十九年までに特例公債依存体質を脱却する、こういう方向で全力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
○唐沢委員 いろいろ配慮するけれども、将来の国民生活のために歯を食いしばってがんばるという御決意をいただきました。
 次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 緊縮予算の責任者として御心労のほどお察しをいたします。もっとも御本人は、こちらで思うほど気にしておられないかもしれないわけであります。このような厳しい財政のもとにありましては、国民にまげてごしんぼうをいただき、また、七重のひざを八重に折って御協力を仰がなければなりません。しかし、そのためには、財政の現状について国民の皆様に正しい理解をいただかなければならないわけであります。もともと国民の中には税の重み、負担感というものがあるわけであります。そこへもってきて、心ない人がわが国の税金は重いんだ、重いんだとけしかけるので、国民の中には本当に重いんじゃないかと思っておる人もおるわけであります。しかしながら、再々の御答弁で明らかになりましたように、所得税の課税最低限は最も低いわけでありまして、標準世帯、三百万円の収入のある人の場合、日本の所得税は六万六千円、アメリカは約三倍、西ドイツは約四倍、イギリスに至っては約九倍の五十六万八千円ということであります。外国に比べて安いから上げてもよいということでは決してない。今後もできるだけ安い税金にするように努力をすべきだと思います。しかし、それだけ国際比較で安いということは、いままで政府・自民党よくがんばってきたな、このことはお認めいただきたい。武藤先生はおっしゃらなかったので私が申し上げるわけであります。
 所得税につきましては、そういうことで大体国民もおわかりいただいたと思いますが、そこで、それでは間接税、特に個人消費に対する間接税、これが外国に比べてどうかということについて簡潔にひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
○渡辺国務大臣 個人消費に対する間接税の割合は、国際的に見ますと、たとえば日本は個人消費支出に対する間接税の割合が五・九%、アメリカが一・七%、イギリスが一七・四%、ドイツが一七・八%、フランスが二〇・九%でございます。アメリカが特に安いのは、これはアメリカが地方税を間接税で取っておるからであります。
○唐沢委員 今回の増税に当たりまして、大蔵省は大変きめの細かな配慮をしておられることはよくわかるわけであります。よく問題になる中小企業の法人税、これは中小法人の軽減税率、また適用範囲を引き上げております。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
そして所得税では、パートタイマーの奥さんのような家計を助ける妻のために、夫が配偶者控除を受けられる妻の所得限度を引き上げております。また、物品税の課税品目として新たに加えられたものを見ますと、私などで手の出ない高価なものが多いわけであります。ただいま小宮山委員からお話のありました今回の雪害、最近はその雪おろしの費用が非常にかかるわけでありまして、これを何とかしてくれという陳情がある。政府視察団が見えまして、その話を聞いて、国土庁の政務次官が、今度は雪おろしの費用等に対する雑損控除が改善されたという説明をされた。そういうふうに税制が変わりましたという説明をされたら、皆さん非常に喜びまして、大蔵大臣はこの正月に大雪が降るということをどうして知っていたのかしら、そのように言っておられるわけであります。しかし、そう言いましても増税は増税、骨身にこたえるわけであります。
 そこで、この血のにじむような増税分一兆三千九百億円がどのように使われたか、これは国民の皆様が一番知りたい、また大蔵大臣も説明したいことだと思いますので、お願いをいたします。
○渡辺国務大臣 一兆三千八百三十億円の増税をいたしましたが、そのうち約一千億近いものは市町村の交付税に回るわけです。したがって、一兆一千億円ぐらいが一般歳出に使われる。それと同時に、それではとても足りないという点から、税外収入といたしまして、電電公社を初めその他から納付金をちょうだいいたしました。それによって、どうしても最小限度、一般歳出の財源として一兆三千百七十二億円というものが要ったわけであります。これはたとえて言うならば、ひとつ御飯にたとえれば、一杯一千億円で十三杯だ。すると、社会保障と恩給の方に約六〇%の八杯分、それから文教、科学技術に二杯分、エネルギーに一・一杯分、防衛関係に一・七杯分、あとその他ということで合計十三杯。したがって、社会保障と恩給と、文教と科学技術と、エネルギーと経済協力、これだけで実に歳出でふえた分の八五・一%、八割五分はそれにとられた。したがって、増税分は大部分がそういうようなものに充当された、こう見てもらって差し支えございません。
○唐沢委員 大蔵大臣のどんぶり勘定というのは余り聞いたことないわけでありますが、非常にわかりいい御説明でございました。
 増税を行う前には歳出をできるだけ切り詰めなければいけない、徹底した行政改革と行政経費の削減を行わなければならないわけであります。会計検査院から多額の経費のむだ遣いや不正使用を指摘されたり、昨年大臣が指摘された医療費の不正請求、最近問題になっている生活保護費の不正受給、こういうものがあると国民は釈然としない、もう協力する気にならないわけであります。
 ところで、大変心強いのは、本会議の質問で飛鳥田委員長もこの行政経費の削減を主張しておられまして、国民の求める財政再建は行政のむだ、不要不急経費の削減だと言って、徹底した行政経費の削減を求めておられる。大変心強い発言であります。できるならば昨年の一そういう意味でしたら、行政経費の削減に一番貢献したと思う、一番とは申しませんが、貢献したと思います地方支分部局の整理統合、これに御賛同いただければよかったと思うわけであります。しかし、委員長がそこまでおっしゃる以上、今度は公務員の退職金是正の法案、また国家公務員の定年制の法案等等経費削減に関係のある法案にはみんな賛成をしていただけるのではないか、私も非常に意を強ういたしております。大蔵大臣も、よく中曽根行政管理庁長官と御連絡をいただき、気の合ったところを見せていただきまして、行政経費の削減をばしばしとやっていただきたいわけであります。
 そこで、ことしの経費の削減についてでございますが、鈴木総理は歴代総理の中で一番コストの安い総理と言われておるわけであります。まあそう言われておる。したがいまして、政府のコストも安くなるであろう。大蔵大臣は青嵐会の闘士であられるから……(「もうやめたよ」と呼ぶ者あり)昔闘士であったから、きっと蛮勇をふるってくれるであろうと思っておりましたところ、ゼロリストまでは勇ましかったけれども、後一体どうしたんだろうか。人員の削減、また補助金の整理等々につきましては、いろいろ大臣から、総理からも御答弁がありましたが、渡辺大臣をもってしてもどうしてそんなに行政経費の切り詰めばむずかしいのか、むずかしい点について一言――一言じゃなくて、ちゃんと御説明をいただきたい。大演説は困りますが、わかりやすくひとつお願いをいたします。
○渡辺国務大臣 官庁の行政経費、経常経費につきましては、極力これは抑制しなければならないということで、実は昭和五十三年以降、三、四、五、六と四カ年間これはふやしておりません。したがって、かなり抑制になっておるわけでございます。やはりどうしても切り詰めで非常にむずかしいというのは人件費です。人件費を下げるということが一番むずかしい。その次には、制度で決まっているものを、大蔵大臣といえども法案を出さなければなかなかできませんわけですから、それを切り詰めるのはむずかしい。たとえて申しますと、ことしは増税をしたと言われますが、昭和四十八年と、ことしの増税分も含めた税収を比べると、ちょうど二・四倍です。八年間で二・四倍。その間に社会保障関係費は四倍になっております。ですから、その差額というものは当然に赤字に食い込んでいる。文教、科学技術も、これは四兆七千億からで、二・九倍、約三倍近くふえております。事ほどさように非常に抑えがたいというものがある。
 これは、ある意味でやむを得ないのです。老齢化社会になりますと年齢が延びる。したがって、老人がふえれば年金がふえる。また、老人がふえれば病気がふえる。こういうものは抑えがたい。したがって、ある程度負担がふえるのはやむを得ないというように私は考えております。ことしなども小学生が二十九万八千人ふえますから、したがって、これもすし詰め学級にしない限りは、むしろ学級改善をしていくということですから、それによって約一万人近い先生がふえます。教室もふえます。こういうものも、抑えようといったってなかなか抑えることができない。
 それから、それらのほとんど大部分が法律によって決まっておるわけでございますので、やはり今後そういうような大きな経費をブレーキをかけていくというからには、まずその中身でむだをなくすることが大事です。それはやはり大蔵省だけではなかなかできないということであって、国民全体の皆様の良識によって、限りある財源でありますから、社会保障なども、恵まれた人にはちょっと御遠慮願って、本当にお気の毒な方に重点的に財源を傾斜配分するというようなことなどやっていかなければなるまい、さように考えております。
 今後とも多くの経費がさらに増大をするということが先ほども御指摘のとおりでございますから、これにつきましては、そのままの状態ではとても国民の負担にたえかねると私は思います。したがって、極力行政改革を初め、これはもう総論は賛成ですけれども、各論になると反対が非常に多いのですが、これも皆さんの御協力を得なければならぬ。
 それから、各種補助金につきましても、これはやはりある程度立法措置を講ずるか、あるいは皆さんの御協力を得て削減を本当に図る。その結果、どうしてもそれはもうそれ以上無理じゃないかということについては、そういう制度を温存し、それを守っていく限りはやむを得ないコストでありますから、国民の理解と協力を得て御負担をいただく、それ以外には方法はないと私は思います。もしあれば、皆様の御知恵をかりて、一緒になって謙虚に勉強してまいりたいと思っております。
 以上であります。
○唐沢委員 ただいまどうしても削減するのはむずかしいという中で、文教予算について、特にその中の義務教育国庫負担金について文部大臣にお伺いいたすわけでございます。
 昭和四十九年に人材確保法を成立させまして、教員の待遇というものを一挙に三〇%改善をしたわけでございます。したがいまして、教員の待遇というものは、ほかの公務員の方に比べてももちろん恵まれておりますが、一挙に世界の最高水準に達したわけであります。私も教育会議に行きまして、よその首脳が非常に驚きまして、それだけ待遇を改善すると質も改善されるのかという質問を受けたわけであります。確かにりっぱな先生も多数おられるわけであります。質もよくなったわけであります。しかし、いまでも政治活動に没頭している教師のあることも間違いのないことであります。
 ところで一方、少年の非行、少年の自殺、また校内暴力等が話題となっておるわけであります。最近十年間の少年の犯罪は何と五割ふえまして、刑法犯に占める少年犯罪の比重は従来は二〇%だった。それが昨年は四二%に達しておるわけでありまして、わが国はボランティアとか保護司とか警察の補導がいいからとは言いますが、将来のことを考えると慄然とするわけであります。したがいまして、最近では教育ママが、もう勉強はしなくともいいから、棒やバットは振り回さないでください、こういうようなことも聞いておるわけであります。そして世の中のお母さん方は、みんな道徳教育の充実を求められております。
 少年の非行は、その責任が社会にあるのか、社会の責任なのか、家庭の責任なのか、また学校に責任があるのか、これは非常にむずかしいと思います。しかし、わが国の教育予算の比率は、他の先進国に比べて圧倒的に高い。大体三%から六%高い。イギリスやソ連やドイツに比べて六%も高い。要するに、よその国で防衛費に使っている分が文教費にわが国は回っておるわけでございます。そして教員の待遇は世界の最高水準、そして少年の非行が五割ふえた、これでは困るわけでありまして、政府・自民党、一体何しておるんだと言われるわけであります。
 そこで文部大臣、道徳教育についてどのように再検討されるか伺いたい。週一時間、何か道徳の時間が初等教育ではあるそうであります。
 もう一つ続けて、それではお伺いをいたします。
 人の子の親になりますと、自分の子供が弟や妹をかわいがる、友達に親切な、心の温かい子供であってほしい。そして小さいときから、みずから調べ、みずから考える習慣のついた子供、そして大きくなったら社会に少しでも貢献したい、そして、できれば東西文化融合の理想を達成するような人物になってもらいたい、このように望んでおられるわけであります。アラブの国には回教のおきてがあります。西欧にはキリスト教の教えがあります。ソ連には何があるかと思いましたら、ソ連にもあるのです。模範生徒規則、こういうのがありまして、大変いいことが書いてある。「父母、兄姉の言うことを聞き、家事を手伝いましょう。友達と仲よくし、小さな子供のめんどうを見ましょう。」北方領土に軍備を強化することはいかがかと思いますが、なかなかこれはいいことが書いてあるわけであります。
 先ほど武藤先生は、哲人の言葉を聞かなければいけないと言われましたが、わが国にはこういう規範がないのですね。ですから、文部大臣どうですか、国際人として、日本人としてあるべき理想像、これはどういうものなんだ。まあ皆さんの方から言いますと徳目でございますか、これをやさしく書いて子供に配付して、本当は教科書と申し上げたいのですが、大臣のお立場もあるでしょうから、資料として配付して、もっと、こういうことがいいんだ、こういうことが悪いんだ、そして親たちが望むような子供にしていただけないか。もちろん、昔の修身の教科書みたいなものでは困ります。しかし、ソ連の模範生徒規則みたいなものなら日教組も余り文句は言わぬのじゃないかと思うわけでございまして、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。
 戦後の日本が最も教育に力を入れて国家の再建を図りましたことは御案内のとおりでございまして、また、わが党が大変推進してまいりました教科書の無償給付等の問題につきましても、今回は各党合わせて御支援を賜りましたことをこの機会に厚く御礼を申し上げます。
 なお、ただいまの道徳教育の問題、青少年の非行の問題、これこそ本当に重大な問題でありまして、そのために文部省といたしましても、特に道徳の問題につきましては、あるいは推進校の指定をいたし、あるいはまた指導書と申しますかの刊行をいたし、同時にまた、特にこれらについての講習会、そういうふうなものをいたしまして、家庭教育、学校教育、社会教育全般を通じましての立て直しの問題に鋭意努力をいたしておる次第でございます。
 先生御案内のとおりに、学習指導要領というものが先生の指導書として出ておりますが、二十八項目にわたります道徳の問題につきましてのきめ細かい指導に専念をいたすように篤と指導してまいります。
 なお、今後ともこの教育の問題につきましては、国を挙げてひとつ御協力のほどをひとえにお願いを申し上げまして、お答えといたします。
○唐沢委員 謹厳な文部大臣が今後強力に道徳教育を推し進めていただくということを御期待申し上げまして、最後に、「財政の中期展望」が出されましたので、これについてお伺いをいたしたい。
 まず、大蔵省が財政運営を考えていく手がかりを提供しようとした努力は評価をいたします。これで日本の財政計画も初めて先進国の仲間入りをいたしたわけでございます。財政が苦しい、だから協力しろと言われれば国民も協力する。しかし、がまんにもほどがある。いつごろが一番苦しいのか、いつまでがまんすればいいのか、これが国民の皆様が一番知りたいところでございますが、中期展望ではこれがよくわからない。結局、これが要調整額のところに集約しておるわけであります。はっきりした政府の考えを打ち出すということはむずかしいでしょうが、大蔵大臣の哲学を伺いたいと思いますが、これは時間がありませんので、大臣、別の機会に、国民が非常に期待しておりますので納得のいく御説明をお願いいたします。
 そこで、この財政計画に関連いたしまして、もろもろの計画につきまして経済企画庁長官にお伺いをいたします。
 この財政計画をつくるに際しまして、大蔵省は非常に苦労をしたと思うのです。後年度負担の積み上げ計算をしたり、推計をしたり、新経済社会七カ年計画を使ったり、公共投資はそれを手直しした百九十兆円を使ったり、非常に苦労をいたしておるわけであります。それもそのはずでありまして、わが国には計画と名のつくものがたくさんある。五カ年計画だけでも十本あるわけでありますが、これにはいろいろ問題がある。
 一つは、各省ばらばら計画ばらばら、始まるとき、終わるとき、要するに計画の期間もばらばらでありまして、たとえば第三次空港整備五カ年計画は五十一年から、治山事業は五十二年から、道路整備五カ年計画は五十三年からと、ばらばらになっておるわけであります。ここに一つ問題がある。
 それからもう一つは、今度の「財政の中期展望」で初めてわが国はローリングプランを採用したわけでありますが、いままでは全部固定計画だった。先進国で固定計画を使っておりますのはフランスだけであります。開発途上国でもローリングプランをとっている国が非常に多いわけでありまして、これはやはりこの「財政の中期展望」を出された、ローリングプランを出されたこれを契機として、あらゆる計画を見直していただいて、できれば年次も合わせて、毎年見直すローリングプランにしていただけないであろうかというのが一点。
 時間がありませんので、もう一点続けて申し上げますと、今回のこの「財政の中期展望」、この元祖が西ドイツの経済安定成長促進法にあることは大臣もよく御存じのとおりであります。そうしてこの西ドイツの経済安定成長促進法と申しますのは、市場メカニズムの中で民間の活力を最高限に生かしまして、物価の安定、国際収支の均衡、雇用の増大、そして大幅な景気変動の回避、こういうものを柱として、中期展望に立って、あらゆる景気局面において政府が非常に機能的に対応できるようにした経済運営の憲法であり、経済の基本法であります。こういうものがあればこそ西ドイツの経済は世界の模範だったと思うわけであります。
 日本は、農業基本法、教育基本法等十一の基本法がありますが、残念ながら、経済に基本法がありません。各党でも研究をされまして、民社党では竹本孫一、河村勝両先生が中心になって、経済安定計画法という名前でこういう法律の原案をつくられて、その制定の推進に努力をしておられるわけであります。私は、昭和五十年に福田赳夫企画庁長官に、経済安定基本法をつくるお考えはないかと質問をしたことがありますが、そのとき福田長官は、この石油ショックが終わってからやらなければいけませんねというようなお話でありました。
 財政再建を進める上から言いますと、増税とかあるいは歳出削減という前に、経済をうまく運営して、そして大幅な自然増収を図って、それで経済再建をするのが私は一番望ましい姿だ。そういうわけで、経済に非常に精通しておられます河本長官に、経済の運営に万全を期するために、その法案の内容をどうこう言うわけではありませんが、何らかの経済の基本法をつくる考えがないか、お伺いを申し上げるわけであります。
○河本国務大臣 まず第一番に、日本の経済計画をローリングプランにしたらどうかということでございますが、現在も毎年、経済計画をフォローアップをして見直しております。したがって、これは厳格な意味でのローリングプランではありませんが、セミローリングプランといいますか、そういう表現はできると思うのでございます。それで一応の成果を上げてきておりますし、それから、いま進めております経済計画というのは、たとえば昭和六十年を一つの目標に置きまして、その間にこういう姿に日本経済を持っていきたいという絵を描きまして、それに対してフォローアップをしながら毎年努力を重ねていく、そういうやり方でございます。しかし、これをローリングプランにしたらどうかというお話がございますので、その点はもう一回、重ねてよく研究さしていただきます。
 それから第二の問題は、ドイツのような法律をつくったらどうかということでございますが、ドイツは十数年前にこの法律をつくりまして相当な成果を上げておることは事実でございます。日本の場合はそういう法律によりませんで、中期の経済社会発展五カ年計画、いまは七カ年計画でありますが、中期計画をつくりまして、それをずっと継続をしながら、それに従っていろんな財政経済運営をしていく、こういう方向で進めてまいりまして、これまた相当な成果を上げてまいりました。法律をつくりまして経済運営をしていった方がいいのか、あるいは、日本はドイツと違って相当な成果も上がっておりますので、いままでのようなやり方で経済運営をしていった方がいいのか、そこはよく検討比較をする必要があろうかと思います。
 福田元総理は、第一次オイルショックのときに唐沢委員から御質問がございまして、石油ショックが終われば検討しましょう、こういう答弁をされたようでありますが、いまは第一次ショックはおさまりましたけれども、再び第二次石油危機が起こりまして、一刻も早く日本経済を安定成長路線に定着させようというのがことしの政策目標でもございますので、やはりいま経済の混乱期でございますから、経済が安定した段階におきましてよく検討さしていただくことにしたいと思います。
○唐沢委員 終わります。
○小宮山委員 先ほどの続きをやらしていただきます。
 いろいろなエネルギーの問題、いまもお話がございました。なかなか大変なことであります。日本はこれからを考えてまいりますと、やはり代替エネルギーをどういうふうにするかということが日本の経済成長に大きく影響する問題だろうと思っております。
 朝日新聞でございましたけれども、ある政党の政審会長が、年間一千万キロワットぐらい自然エネルギーでできるような話でございました。そんなものが簡単にできるのであろうかということになりますと、もう科学技術庁長官、通産大臣、よくおわかりだろうと思うのですけれども、いま私もちょっと調べてみましたら、百万キロワットの発電をするのに、太陽熱では七キロメートル四方の土地が必要である。それから風力では、直径十メートルの風車が四千台も必要である。そういうことでございますから、あるいはよく演説などで聞いておりますと、野党の諸君は核融合がすぐできるようなお話をいたしますけれども、これもまだまだ問題があるのだろうと思うのです。二十一世紀の半ばぐらいまではかかるのではないか。
 そういう代替エネルギーについて、何が一番有効で、これから何に力を入れていくのかということについて、科学技術庁長官、簡単にお答えをいただきたいのであります。
○中川国務大臣 一般的に言われていますことは、長期的には核融合に成功することである。これが解決すれば、当分の間エネルギー問題は大丈夫であろう。それにつなぎます間はサンシャイン、自然エネルギーあるいはソフトエネルギー、いろいろあるけれども、いま実用化して安定的な、量的にもあるいはコストの面からいっても現実性のあるのはまず原子力である。それに引き続いて石炭、LNGですか、ガスの問題等があるが、いま御指摘のように、理想的なソフトエネルギーではあるけれども、面積がかかるとかコストが高いとか量が間に合わないとかということでございます。ただ、原子力の場合は非常に安全性という問題がありますので、この点をしっかりやって国民の理解、協力を得る。特に、私はフランスへ行ったのですが、これは社会党でも共産党でも反対していないのですね。皆さんが賛成していただいている。この辺のところも、世界じゅうで原子力で死んだ人もありませんし、日本で原子力発電所で事故を起こして死傷した人もありませんから、実績を重ねて理解を得てこの八〇年代のエネルギー問題に対処してまいりたい、こう思っております。
○小宮山委員 大量に供給できる代替エネルギーというのは、安いということと大量ということが代替エネルギーの一番の要件だということになれば、原子力と石炭、LNGということになる、そういうことだと思います。しかも原子力では亡くなった方はいない。石炭は二十人ぐらい亡くなっているはずです。いろいろなことがございますけれども、フランスなどは、イデオロギーを超えて原子力発電に精力を費やしていらっしゃる。大変いいことだと思いますので、総理、そういう意味でもぜひ原子力発電を中心として、この二十一世紀に向かって日本のエネルギーの確保に努めていただきたいと思っております。
 それから、もう時間がございませんが、ことしは国際障害者年であります。日本も提案国となっておるわけでありまして、厚生省の調査によれば、わが国は十八歳以上在宅身障者数は百九十八万人、当該年齢の二・四%であります。こうした多くの人たちが普通に生活できる社会をつくることが国際障害者年の趣旨であると思います。政府は五十六年度予算に九億四千万円を計上して、各種セミナー、スポーツ大会、大臣表彰などを計画していますが、身障者対策のかなめは身障者の就業率の向上、いわゆる勤めることができるということだろうと思いますし、昨年の調査によれば身障者の就業者数は六十四万人、三四%であります。つまり三人に一人が働いているにすぎないのであります。
 障害者は気の毒だとか思いやりが必要だとかといった考え方をやめて、ごくあたりまえの市民として雇用されるようになるためには、国際障害者年が一年限りの行事や施設の年に終わらないよう、この際政府は何ができるのかという観点から身障者問題に取り組んでいただきたいと思います。最近注目されているノーマライゼーションの動きなどを踏まえて、完全参加と平等の実施ということはこういうことだと思います。総理に御所見をお伺いいたします。
○鈴木内閣総理大臣 障害者年を迎えまして、私どもはこれを意義あるものにしなければいけない。これを契機としまして平等と完全参加、こういう方向にあらゆる施策を進めてまいらなければいけない、こう考えております。それには国民各階各層の御理解、御協力が必要でございまして、政府としてはそういう点に十分配意いたしまして努力をいたす所存でございます。
○小宮山委員 身障者の方々は、身障者だからということで扱ってくれるな、人間として本当に平等に取り扱っていただきたいという考え方でいっぱいのようであります。ぜひそういうことも国民の各位が御理解いただきますことを心からお願いいたします。
 あと三分ほどでございますけれども、総理、千兆円の十倍というのは何という言葉を使うのか、御存じでございますか。大蔵大臣、千兆の十倍です。京と言うのです。これは実際言って、予算を組んでおりまして、総理も、予算が四十六兆だとか、国民資産総額が二千兆だとかと言っておりますけれども、もう総理、どうでしょうか、デノミはお考えになりませんか。余りに数字が大き過ぎます。こんな数字を使っているのは日本だけではないかと思いますけれども、大蔵大臣どうでしょうか。多分そうだと思います。
 五十三年の正月に、福田総理の伊勢発言に端を発しましてデノミ論争が起こりました。デノミ論争はずいぶん長いこと下火になっておりますけれども、もうぼつぼつ経済も、先ほどの日銀総裁の話ですと非常によくなっているという話でございますから、ぜひ不況脱出としてのデノミをやっていただきたい。デノミ実施の要件は何だというと、景気の回復だそうです。国際収支、通貨情勢の安定、物価の安定、この三つが前提条件でありますけれども、大蔵大臣いかがでございましょうか、そういうお考えをお持ちでありましょうか、お伺いいたしておきます。
○渡辺国務大臣 条件はそうだと思いますが、しかし、デノミというのは本来経済的に中立なものでありますから、単なる呼称の変更だ。しかしながら、それは国民に周知徹底しないと副作用が出る場合もございます。私は、現在の段階では完全にその不安が払拭されておるとは思いません。したがって、現在はデノミを実施するに適当な時期だというようには考えておりません。
○小宮山委員 あと一分残っております。最後の質問で農林大臣にちょっとお伺いいたします。
 私たちはこれだけ経済がよくなって、お米もどこでも買えます。いろんなことがあります。食管法の改正をやるやに話を聞いておりますから、食管法を改正するとすれば、大変長いこと私たちがなじんできたものでありますが、その意思があれば、その内容等について御説明をいただきたい。
 これをもって最後の質問とさしていただきます。
○亀岡国務大臣 食管制度の運営改善につきましては、米の需給均衡時はもちろんのこと、過剰、不足、いかなる需給事情にも対応して米の安定供給が図られるという検討を行っているところでございます。食管法の改正については、その一環として、現状にそぐわない配給及び流通の統制等の点を中心として、今国会への提案を目途に関係方面との調整を含め検討をいたしておるところでございます。
 いままで食管制度は、米の管理につきましては、自主流通米制度の導入でありますとか、あるいは買い入れ予約限度制の実施でありますとか、あるいは販売価格について物価統制令の適用廃止ということをやってまいりまして、米の流通をめぐる諸事情の変化に即応した改善を加えてきておるところでございます。国民食糧の確保と国民経済の安定に重要な役割りを果たしてきておるわけであります。
 しかし、一方で、現行の米の管理制度が主として食糧不足時を想定して現行法ができておるわけでありまするし、また購入券制度に見られるように、制度のたてまえと実態が乖離をしておりまして、このままでは現在の需給事情等に即応し切れず、米の生産、流通、消費の各般の面にわたりいろいろな問題を起こしておるわけであります。
 したがって、今後における食管制度の運営については、米の需給均衡時はもちろんのこと、過剰、不足、いかなる食糧事情にも的確に対応して、国民の主食たる米を政府が責任を持って安定的に供給できるような制度とすることを目指しながら、次の諸点を中心にその改善方策について総合的な検討を行っております。
 まず一番目は、米の過剰の問題の早期解決、二番目には、消費者の需要の動向に対応した品質別の供給と価格の形成及びこのための流通条件の整備、三、購入券制度のような制度のたてまえと実態の乖離を是正すること、四番目は、食管財政の健全化、管理経費の節減、合理化等の検討をいたしておるわけでございます。成案を得次第国会に提案をしたい、こう考えておる次第でございます。
○小宮山委員 ありがとうございました。
○小山委員長 これにて小宮山君、唐沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、石橋政嗣君。
○石橋(政)委員 私は、主として外交問題なり憲法に関連させながら防衛問題に主眼を置いてお尋ねをしたい、このように思っております。
 本論に入ります前に、きょう第一陣に立ちました武藤議員も触れたわけですが、私も、総理の政治姿勢というものについて若干ただしておきたいと思うのです。
 早いもので、鈴木内閣が誕生してから半年以上たったわけでございますけれども、率直に申し上げて、鈴木首相とか鈴木内閣とか言っても、どういうものか、全然イメージがわいてまいりません。これは私だけの見方ではないと思うのです。各紙の社説等を見ましてもいろいろと書いておりますし、一般の共通した受け取り方ではないかというように思います。武藤さんは社説を読むのを控えられたようですが、私ちょっと紹介してみたいと思うのですけれども、ある社はこういうふうに書いております。「何かをやりたい、やろうとしていることは分かる。しかし一つひとつの論点をつめようとしても、内閣の意思や構想がつかめない。おそらく、首相自身がそれを固めていないことからきているのだろう。」、それからもう一つ別の社説ですが、施政方針演説に触れて、「こんどの演説はそうした努力をはじめから放棄したように見える。」これをやりたいんだというようなものを国民の前にあるいは議員の前に提起しようという意思を最初から放棄しているように見える。こういうふうに書かれているところを見ても私だけの主観ではないんじゃないか、こう思えてならないのです。
 それは一体どこから来ているのか。この社説にも触れておりますように、本人に意思がない。どうしようという意思がない。それを和の政治などという言葉で、ごまかしているという言葉を使えば失礼かもしれませんけれども、ごまかしているんじゃないか。やはり一国の総理大臣ともなれば、リーダーシップを発揮するという面が当然、常になくちゃならないんじゃないか。このリーダーシップを発揮するという意思があなたにおありになるのか。前に、自分はそういうリーダーシップを発揮する気はない、コンダクターになるんだ、オーケストラの指揮者になるんだということを答えておられるのを私聞いたことがあるんですが、半年余を経過した現在もそのお気持ちには変わりございませんか。このことを最初にお尋ねしておきたいと思うのです。
○鈴木内閣総理大臣 私が内閣を担当いたしましてからこいねがっておりますのは、日本の国力、国情にふさわしい立場に立ちまして世界の平和と安定に寄与したい。軍事力の面では日本はそういう立場にございませんから、その経済的力を活用いたしまして、発展途上国その他に対する経済協力なりあるいは技術援助なりそういうものを通じて、国際社会の責任ある一員としての平和への貢献、これをぜひやりたい、このように考えております。
 また、国内の政治の面におきましては、私は、国内の対立抗争、そういうところからは日本の安定も進歩もない、こう考えております。和の政治を提唱しておりますのはそういう観点でございまして、経済の運営を間違いなく実行いたしまして、国民生活の安定、雇用の確保、そういう面で国民の生活を安定、向上さしていきたい、こういうことに全力を挙げておるところでございます。
 さらにまた、今後いろいろのむずかしい問題がございます。八〇年代いろんな問題が山積をしておるわけでございますが、その中でも特にエネルギーの問題あるいは財政再建の問題、そういう問題につきましてしっかりとした基盤を固めていかなければいけない、このように私は考えておるわけでございます。
 また、リーダーシップの問題がございましたが、私は、御指摘のようについてこいというようなことでなしに、各指導者、各党員、各界の意見というものに十分耳を傾けて、そしてそこに帰一するものを求めて、そういう方向に国政を運営していきたい、こう考えております。
○石橋(政)委員 冒頭申し上げましたように、防衛問題に主眼を置きながらお尋ねをしたいと思いますので、いまの政治姿勢に関連してもやはりそこにしぼっていきたいと思うのです。
 一体、日本の安全保障というものについて総理はどういうお考えを持っておるのか、どんなふうに導いていこうとしておるのかということをただしたいと思うのですが、かっちりしたものを持っているかどうかということはこの質疑を通ずる中でわかってくるわけですけれども、私には、何にもないんじゃないかという不安がつきまとう。結果的には、大方の声を聞くんです、聞くんですと言いながら、声の大きいものに屈していくんじゃないか。最近、非常に危険な風潮が満ち満ちておるわけです。これをある人は右傾化と言い、ある人は戦前復帰と言い、いろいろな表現を使っておりますが、そういうものに結局乗っかって押し流されていくんじゃなかろうかという不安が私にあるので、最初に申し上げたわけなんですよ。結局、たとえばオーケストラの指揮者になるのだと言われましても、指揮者は楽譜を見てタクトを振っているのです。楽譜があるのでしょうか。皆さんの御意見を聞きます、きれいな言葉です。和の政治、きれいな言葉です。しかし、言葉をかえて言えば楽譜は白紙でございます。こうなれば指揮しているように見えるけれども、これは音の大きなドラムあるいは音の高いトランペットに合わせて振っているだけじゃないか、そういう気がしてくる。そうじゃなかろうかということを私は施政方針演説を聞いておって、一つヒントを得たのですよ。御本人のあなたはリーダーシップを発揮する気はない、みんなの意見を聞きながらやりますと言っておきながら、施政方針演説の中にこういう一節が出てくるのです。「米国がレーガン新政権のもとで強力な指導力を発揮することを強く期待する」これはどういうことですか。自分は主導権なんかとるつもりはない、リーダーシップなんか発揮する必要はない、和の政治でいくべきだ、みんなの意見を聞くべきだと言っておきながら、アメリカの大統領は強力に指導してくれ――これは私を引っ張っていってくださいということじゃないのですか。この矛盾にお気づきにならないというところに鈴木善幸という人のすべてがあらわれていると私は思うのですよ。私の不安というものがわいてくる一番の原因がここにあるのです。だれの言葉でもありません。施政方針演説の中のあなた自身の言葉です。矛盾と思われませんか。いかがです。
○鈴木内閣総理大臣 私は、この世界の平和と安定のためにアメリカのレーガン新政権がしっかりしてもらいたい、指導力を発揮してもらいたい、こういうことを言っておるのでありますが、しかし、それは日本もそれに対して無条件についていくということではない。日本には日本の立場がございます。世界の平和と安定、それを目指して国際政治をやっていく場合におきまして、日本には平和憲法がある。でありますから、経済力を背景としたところの平和的な手段、また経済協力その他の分野で世界の平和と安定に寄与しよう、こういうことがあるわけでございまして、それを全体として世界の平和、繁栄、安定のためにリーダーシップをとってほしい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○石橋(政)委員 そういうところにこの言葉が出てきているわけじゃないのです。いわば政治姿勢として、アメリカのレーガン大統領が強力な指導力を発揮してもらいたいということをばしっと言っているわけですよ。あなたがもし自分の指導力というものを放棄し、自分に何の政治理念も政策も哲学もないとすれば、大統領、私の行く道を教えてください、どっちに行ったらいいんでしょう、こういうふうに聞こえるわけです。それじゃいまからやりとりしますから、あるんだ、アメリカが何と言おうとおれはがんばるんだとおっしゃるならば、あなた、明確にしていただけばいいわけですよ。いまここで私、質問に入る前に決めつけようと思いませんけれども。
 いま必要なのは、レーガン大統領に強力な指導力を発揮させることじゃないと私は思う。世界の平和のために逆じゃないんですか。アメリカのレーガン大統領というものは何で生まれてきたか。一般に言われておりますね、強いアメリカを願っているんだ。いままでのアメリカはだらしない、イランで五十三人も人質にとられているのに何にもできないような弱いアメリカじゃだめだ、もう一度強いアメリカになろうという国民の願望が強いレーガンを生んだんだと言っているんです。これが一般的な見方です。そういうものに指導力を発揮されて、あなた、それに追随して、あなたのおっしゃる平和とどうつながるのですかと私は思う。
 少なくともいままでのアメリカにはベトナムの反省というものがあったわけです。(発言する者あり)黙って聞きなさい。ベトナムの戦争でアメリカの政府も国民も反省したんだと私は思うのです。結局、人民の支持のない政権、独裁政権というものは、何十万の兵を送っても支えることはできない。一千億ドルと言われるような軍費を投入しても支えることはできなかった。結果的には敗北した。そして、支えることができなかっただけではなくて、アメリカの国力がものすごく低下したわけですね。経済力も低下した。ドルの値打ちも下がった。そして、強いアメリカになろうと言ったってなれなくなったのですよ。それだけじゃない。人心も荒廃した。自分の国がやられたわけでもないのに、ただ反共というだけで戦場に赴けと言っても簡単に若者たちが立ち上がらない、マリファナに逃げた、それが国内に持ち帰られた、人心の荒廃も生んだ、そういう反省があったと私は思うのです。レーガン大統領の前に仮に弱いアメリカというものがあるとするならば、私は強い、弱いという基準をそういうところに置くのは間違いだと思いますけれども、私はそういう反省の上に立ったアメリカがあったと思うのです。だから、本来政治となじまない人権外交なんという言葉も生まれたと私は思う。
 それがいけない。やはり強い、世界の憲兵としてのアメリカ、それを望んでレーガン大統領が生まれたと言われるような、もしそれが事実だとするならば、これは危険なんです。指導力を発揮してもらいたいと言うのは危険なんです。どちらかというと冷静に、日本もあるいはECの各国もこのアメリカの今後をしっかりと見据えて、場合によっては、危険と見たらブレーキをかけるぞ、こういう姿勢こそ望まれるのではないかと思うから、いかがなものかと私は申し上げているだけなんです。もしそうだとあなたおっしゃるならば、本当にそうかどうか、いまからのやりとりで明らかにしていただけばいいわけですよ。そうあってもらいたいと思うのです。どう思っても、これは誤解を招く言葉ですよ。少なくとも、いままでリーダーシップを発揮する気はない、ないと言われた方だけに、アメリカの大統領には指導力を発揮してもらいたい、強く期待するというのは誤解される言葉であるということを最初に申し上げておきたいと思うのです。
 とにかく、事実関係から見ても、どうもアメリカの要請、要求といいますか、そういうものに屈しておるんじゃなかろうかという気がするわけです。最初から申し上げているように、防衛問題にしぼってみましても、アメリカが強く要求しているでしょう。その一番きっかけになったのは、確かにあなたの先代の大平さんのときです。忘れもしません、去年のあの連休の前に、大平さんがアメリカに行く前にこの予算委員会で何とおっしゃったか。いまの時点でわれわれの最大の目標は財政再建なんだ、こういう中で防衛費をふやすわけにはいきません、これ以上の防衛費の増額ということをやろうと思えば、三つの選択を迫られます。三つの選択って何だ。国債依存あるいは歳出の削減。私たちは、それは主として福祉の後退につながったり、供給削減につながると見ておりますが、この歳出の削減。そして三つ目には増税。この三つの選択を迫られることになる。国民の理解はなかなか得にくい。だからできないのでございますと言って、ここで答弁したのですよ、予算委員会で。ところが、アメリカに行って、具体的に要求を突きつけられた。さっきから話に出ております着実かつ顕著に防衛費をふやせ、ふやせ。しかも、政府の内部にすでにある計画を一年前倒しでやれ、それが中期業務見積もりのことであろうということは、当時の官房長官であった伊東さんも、当時の外務大臣であった大来さんも、記者会見で明確に認めておる。そのアメリカの要請をのんで、いま五十六年度予算がスタートしたのじゃないのですか。あのとき大平さんも言いましたし、大来さんも言いました。五十六年度予算編成の段階で明らかになるでしょう。明らかになったじゃありませんか。着実かつ顕著な軍事費の増額に踏み込んだではありませんか。これが何よりの事実だと私は申し上げるのです。これはもう本会議でも飛鳥田委員長から指摘されましたとおりです。初めて社会保障関係費の伸び率よりも軍事費、防衛費の伸び率の方が上回ったのです。大蔵大臣はわずか〇・〇一だ、こう言いますけれども、五十六年度は〇・〇一上回っただけにすぎないかもしれぬけれども、だんだん開くわけですよ。五十六年度予算編成に当たっては、上回ったという事実をつくったところに意味があるのでしょう。これは中期業務見積もりが一年短縮ということになれば、もう五十九年度にはGNPの一%に達するわけですからね。急速に伸びていく。間違いない。しかもそれはアメリカの要求に屈する形で。自主的に必要があるというならば、何でこんな形が要るのですか。自主的にどうしておやりにならないのですか。アメリカが言うから、アメリカが言うから。その方が日本の国民を説得しやすいとお考えになっているのですか。いざとなればアメリカの救援を仰がなくちゃいけない。その肝心のアメリカがふやせと言うのだから、ちゃんとするだけのことをしておかぬと、いざというときには間に合いませんから、皆さん納得してください、この方が説得力があると思って、自主的にやらないで、アメリカから言われてやるのだという形をとるのですか。それとも、かつての日本の軍国主義によって被害を受けた国がいっぱいある。絶えず警戒しています、日本に対して。これはアメリカ国内にすらまだあるわけですね。そういう警戒心を持たさないようにするためにも、自主的にやるよりは、アメリカからわんわんわんわん言われるから渋々やるといった方式をとった方がいいとお考えになっているのですか。とにかく結果的には、だれの目にも明らかなように、アメリカから言われてやるという形が出ているのです。ここのところをどういうふうに納得すればいいのでしょう。お尋ねします。
○鈴木内閣総理大臣 予算編成の過程をよく冷静にごらんになっていただきたいと思うのです。私は、この防衛費の予算の配分につきましては自主的に私の判断によってやったものでございます。
○石橋(政)委員 いま私が言ったことは、これは事実が証明しているわけですから、判断は国民の皆さん方にお任せするといたしましょう。結果的にはアメリカの要求どおり中期業務見積もりの一年前倒しがほぼ見通しがついたというように私は判断します。
 私からあえて言う必要はないと思いますが、昭和五十五年度から昭和五十九年度にわたります五カ年計画ですよね、この防衛庁の中期業務見積もりというのは。これが五十九年度においてGNPの一%に達するという大体そういう計画。一年前倒しに成功ということは、完全にではないにしても、ほぼ五十八年度にはGNPの一%に達するということになるのじゃないか。この中期業務見積もりの達成率が大体二年目の五十六年度で四割程度に達したという事実はお認めになりますか。
○大村国務大臣 石橋先生のお尋ねは防衛予算のことでございますので、まず私からお答え申し上げます。
 今回の五十六年度の防衛庁予算でございますが、私どもは、いま御指摘のありました中期業務見積もりの主要装備について一応足がかりを得た、こういうふうに判断しているわけでございます。
 そこで、数字で申し上げますと、主要装備全体、これは先生御承知のとおり五十五年から五十九年の間の見積もりで、年次割りはないわけでございますが、五十四年度の時価で換算しますと総額二兆七千億ないし二兆八千億円の見積もりであったわけでございますが、今回の予算では、五十五の実績と五十六の予算が国会の承認を得られた場合を加算いたしますと、全体では三五%です。四〇%には至っておりません。ただ、先を急ぐ主要装備だけを拾ってみますとまあ四〇%程度、こういう状況でございまして、もちろんまだ二年目でございます。五十七年度以降がございますので、全体がいつ達成できるか、いまの時点で申し上げることはきわめて困難でございますが、いま申し上げたような意味で一応早期達成の足がかりが得られた、今後なお引き続き努力しないと、なかなか全体の達成も困難ではないか、そういう考え方を持っていることを申し上げておきたいと思います。
○石橋(政)委員 私ここに数字を持ってきているわけですけれども、陸上自衛隊が目指しております一番目玉の兵器である七四式戦車について言えば四三・九%の達成率、海上で言いますと、ミサイル護衛艦は五〇%の達成、航空自衛隊についてもF15の場合四四・二%の達成。あなたもそういうニュアンスを出して、足がかりができた、こう言っておるわけですが、ほぼ見通しはついたというのが常識的な見方じゃないかと思うのですよ。結果的には、何とおっしゃろうと、アメリカの大統領が言ったとおりの方向へ歩み出しているわけです。自主的に歩み出したのじゃないのです。特に大蔵省などは、財政再建という使命を帯びておるものですから、非常に抵抗したけれども押し切られた。それを防衛庁がアメリカの力をかりて押し切ったというだけじゃなくて、何とこのごろは外務省までが、いつから外務省が第二防衛庁になったのかと言いたくなるような始末。外交というのは平和外交に徹すべきだ。園田さん先ほどからみんなにほめられていますけれども、園田さんを見習うべきですよ。ところが、あなたは大平さんにひっついて行った。直に折衝を見ておった。あるいは大平さんへの義理か何か知りませんけれども、このごろは本当に第二防衛庁。こういう状態ではいけないのです。
 そこで、この中期業務見積もりですけれども、国防会議にかけるというようなことがさきに問題になっている。国防会議の議長、中期業務見積もりを国防会議におかけになるのですか。
○伊東国務大臣 石橋委員にお答えしますが、私は、大平総理についてはいきませんから、立ち会ってもおりません。それで、カーター大統領との会見のことは、私の方も詳細聞いております。それには政府部内の計画をということがありましたので、先ほどおっしゃったように、私は記者会見で、恐らくそれは中期業務見積もりだろうと言ったことも確かでございます。ただ、顕著ということは、大統領からの言葉じゃなくて、これはブラウン長官に会ったときとかマスキーさんに会ったときに出た言葉なんでございます。これは事実そういうことでございます。
 しかし、いま第二防衛庁になったのかというお話でございますが、私の考え方は、外交は平和外交に徹しろということはわかります。私はそうすべきだと思います。ただ、国際間の信用というものは平和外交をやっていく上にも非常に大切なことでございますので、日本の外交の基調というのは日米関係が基調でございますので、この関係は日米安保というのがありますのは御承知のとおりでございます。日本も自分で自分を守ることの努力をするのだということを相手がやはり信頼をする、それがいざという有事の場合にアメリカも日本に来て助けるという安保体制が円滑に行われるのじゃないかという信念で、実は私は予算のときにいささか御意見を総理に申し上げたことはございます。それは事実でございますが、第二防衛庁というような考えは全然ございませんで、平和外交に徹するようにやります。その点はひとつお含みおきを願います。
○石橋(政)委員 大平首相についていってないと言うのでしたら、大平首相が約束したことだからという、大平さんを思う余りという言葉に直しておきます。そういうことで一生懸命、防衛庁の後押しをしているのじゃなかろうか。
 平和外交とおっしゃるけれども、どうも私は、平和外交に徹しているように見えませんよ、最近の外務省の姿勢は。まさか砲艦外交までいっているとは言いませんけれども、平和外交に徹しているというふうには見えません。
 それから、中期業務見積もりという言葉をカーター大統領が使わなかったということも、大体常識としてみんな知っているのです。彼はどういう言葉を使ったかというと、政府の内部にすでにある計画、こういう言葉を使っている。ブラウンが中期業務見積もりということを言っているわけです。これを結びつけるのは常識だ。これもみんな知っていることなんです、計画はほかにないのだから。だから、防衛庁限りの中期業務見積もりというものを一年早く達成しなさいとカーターが言ったということは、結果的にはこれは常識なんですよ。一生懸命そのカーターの言うとおりにやろうと努力して、ほぼ足がかりがつかめましたというところまで来ている。しかも、その中期業務見積もりを今度は国防会議にかけて、単に防衛庁だけの内輪の計画じゃなしに、政府の計画にしようというお考えがあるようですから、国防会議の議長にそれはおありなんですかとお聞きしているわけで、防衛庁長官のなわ張りじゃないです。あなたは中期業務見積もりだけの範囲でしか責任はないですよ。これを政府のレベルに上げるか上げないかは国防会議議長、内閣総理大臣の鈴木さんの任務なんです。あなた、出しゃばらぬ方がいい。
○鈴木内閣総理大臣 いま、わが国が防衛力の整備を進めておりますものは、「防衛計画の大綱」、昭和五十一年に閣議決定をいたしました大綱に基づいて進めておるわけでございます。この中期業務見積もりというのは、防衛庁が毎年度の予算を要求する一つの手がかりとして作案をしておるものでございますが、これがとかく防衛庁だけの案としてひとり歩きをするというようなことであってはいけない。やはり「防衛計画の大綱」に基づきまして、これは国防会議が報告を受ける、これを議題とする、検討するということが必要である。しかも現在の中期業務見積もりをかけるのではございませんので、五六中業からこれを何らかの形で国防会議の議に付そう、こういう考えでございます。
○石橋(政)委員 それは五十五年度と五十六年度はもう予算計上して、五十五年度はもう実施中、五十六年度もいま審議中。中期業務見積もりの初年度と二年度分はもう片づいているわけですよ。中期業務見積もりは三年目ごとに見直すということにもなっているわけです。だから、中期業務見積もりを国防会議にかけるということも、いまのやつをかけるということにそれは当然ならない。恐らく五十七年からスタートした形のものになるはずでしょう。それが三カ年計画になるのか、五カ年計画になるのか、これもお聞きしておきたい。五十七年度を初年度とするものになることはわかりますよ。じゃ、少なくともそれは三カ年計画ですか、五カ年計画ですか。どういうことになるのですか。
○大村国務大臣 所管でございますからお答えいたしますが、五年でございます。
○石橋(政)委員 五年だそうです。ということは、これは第五次防衛力整備計画と名づけるべきものになるということですね。
○大村国務大臣 五六中業は、五十八年から五年間でございます。(発言する者あり)
○小山委員長 明瞭に。
○大村国務大臣 三年前に次の中業を決めることになっておりますので、五六中業は五十八年からスタートして五年間という見積もりになるわけでございます。
○石橋(政)委員 それは第五次防備力整備計画というべきものなのですかとお尋ねしているわけです。
○小山委員長 明確に願います。
○大村国務大臣 中業を何らかの形で国防会議の審議の議題とするということを、前国会で、この予算委員会の席上私がお答えいたしたわけでございます。その議題とする仕方につきましてはいろいろ方法もございますが、現在検討中でございます。したがいまして、第五次防衛計画、これまで四次防までありました、あれと同じようなものが次に第五次防衛計画として国防会議の議題になるというふうに決まっているわけではございません。
○石橋(政)委員 決まっているわけではございませんと言うけれども、中期業務見積もりを国防会議にかけるということはあなたも認めた。きのうの国会討論会で官房長官も大体認めておる。みんなそう受け取っているのですよ。国防会議にかけるということはどういうものになるのかまだわからないで、そんな無責任なことを国民にあなた方約束するんですか。中期業務見積もりそのものを国防会議にかけるなんという方法はないですよ。私から改めて言うまでもないでしょうけれども、「防衛計画の大綱」に基づいて中期業務見積もりというものはあるのだから、中期業務見積もりというのは武器取得計画と言っていい程度のものですま。本筋は「防衛計画の大綱」なんですよ。これと合わせて一本のものしか国防会議にかける方法はないじゃないですか。合わせて一本となれば、第五次とつけようとつけまいと、実質的には第五回目だから、五次防でしょう。
○大村国務大臣 先ほど申し上げましたように、防衛庁設置法に基づきまして国防会議に付議する仕方にいろいろあるわけでございます。いずれの仕方にするかを現在検討中でございます。
 なお、四次防までは防衛計画はなかったわけでございますので、この防衛計画に基づく現在防衛庁限りである中期業務見積もりを新たに国防会議の議題とする仕方につきましては、現在の法律のもとでどういう仕方が最も適当であるか、これは防衛庁だけでも決定できないわけでございますので、関係省庁とも鋭意協議中でありて、まだ結論が出ていない、なるべく早く結論を出してお答えできるようにしたいものだと願っているわけでございます。
○石橋(政)委員 鈴木さん、さっきからあなた、肝心なところでは主導権を発揮すると言われましたけれども、もう一つここであなたが主導権を発揮しなければならぬ時期が来ているのですよ。中期業務見積もりというのは防衛庁の計画なんです。防衛庁限りの計画です。それがアメリカの後ろ盾でひとり歩きをしだしたのです。これはいかぬ、政府レベルに持ち上げなけりゃいかぬ、そういう政治判断が下されたということなんですよ。それなのに、何でまだ防衛庁にあんな答弁をさせているのですか。国防会議の議長、あなたがどうする、こう言わなければならない問題だということを私は申し上げているのですよ。
 防衛庁限りの計画がひとり歩きしている、閣議の了解もなしに、国防会議の了解もなしに。こんなばかなことはない。シビリアンコントロールを逸脱しているじゃないかという批判から始まったのじゃないですか。それで反省いたします、国防会議にかけます、それで今後どうするか明確にいたしますと鈴木内閣は答えているわけでしょう、われわれに、国会を通じて国民に。ところが、それは一体どういうものなのかわからない。防衛庁がそのうち何とかおれのところに案を持ってくるだろう、これじゃ、シビリアンコントロールを逸脱しているから正しますと言ったことと平仄が合わないんですよ。あなたが指揮しなければいかぬのですよ。どうしようというものもないのに、ひとり歩きをまた始めたのです。
 いいですか、中期業務見積もりだけをかける方法はないのです。「防衛計画の大綱」そのものを直すということになるのですよ。さっきから申し上げているように、いま政府の方針、政府の決定は、この「防衛計画の大綱」なんです。それを受けての中期業務見積もりなんです。合わせて一本なんです、これは。だから、国防会議にかけるとなれば、「防衛計画の大綱」も改めるわけです。私が中期業務見積もりの真っ先に書いてある「趣旨」をここで改めて読むこともないでしょうけれども、中期業務見積もりを国防会議にかけるということは、「防衛計画の大綱」そのものも見直すということにつながるのですよ。そうじゃないのですか。
○鈴木内閣総理大臣 石橋さん、御自分の解釈で論理を展開しておられるようですが、いまるる申し上げたように、現在中業というのがひとり歩きをしておる、こういうことではいけないということで、私がこれは国防会議の議題にしよう、こういうことを決めたわけでございます。そこで、それは五六中業からこれをやる。しかし、この五六中業というのは現在の、五十一年に閣議決定をいたしましたところの「防衛計画の大綱」の枠内のものである、こういうことでございます。
○石橋(政)委員 そうすると、大村長官が日本記者クラブですか、講演しておる「防衛計画の大綱」の再検討ということは絶対にあり得ない、どうですか。
○鈴木内閣総理大臣 大村防衛庁長官が記者クラブで講演をした中でそういうことに触れておるということでありますが、それには幾つかの前提がずっとあるやに私は聞いておるのでございます。でありますから、いまの五六中業を五十一年に決めましたところの「防衛計画の大綱」の枠内ということとこれは別の問題である、こういうぐあいに御理解を願いたい。
○石橋(政)委員 中期業務見積もりは、先ほど読むまでもないでしょうと私申しましたけれども、一番最初に「趣旨」としてこう書いてあるのです。「我が国の防衛力整備の進め方については、「防衛計画の大綱」が決定されて以降、政府としては、それまでのような一定期間を限つた防衛力整備計画を作成する方法は採らず、年々必要な決定を行ういわゆる単年度方式を主体とすることとされている。それは、「防衛計画の大綱」によつて、今後の防衛力整備の目標が明確に示されており、従来と異なって防衛力整備計画により目標を示す必要がなくなったことなどの理由によるものである。」とあるのです。
 いいですか。だから、それじゃ中期業務見積もりというものを国防会議に上げるということが何ほどの意味を持つのだろうかと思うのです。私は、武器の取得計画なんというのは専門家に任した方がいいと、昔から言っているんですよ。そんなもの、あなた方わかりもしない者ががん首並べて幾ら議論したって専門家にかないませんよ。どういう兵器がいいのか、幾ら要るのか。そうでしょう。大綱さえ政府が、政治家が決めれば、その中でどういう兵器を、どういう年次で年次別に取得するかというようなことは、私はユニホームに任していいという主張を一貫してしていますよ。肝心の「防衛計画の大綱」はそのままです、取得計画だけ昇格させます、何でそれがシビリアンコントロールですか。
 だから、あなた方が昇格させると言う以上は昔の形に戻すんだなと思ったんですよ、防衛力整備計画方式に。政府レベルで、国防会議レベルで、閣議レベルでこの「防衛計画の大綱」の部分と兵器取得の部分と合わせた中期計画に、いわゆる四次までやってきた方式にやるんだなと私は勝手に考えた。勝手に考える方が常識じゃないですか、国防会議に上げると言う以上は。そういう疑問を持つ方がまともじゃないんですか。あなた、私におかしいと言うけれども、私に言わせればさっぱりわからないですよ。武器取得計画を国防会議にかけたら、それでシビリアンコントロールが機能する、冗談じゃない。もうすでにアメリカの圧力で予算化もして、そんなものをいまさら国防会議に上げたら逆に醜態をさらすと私は言っていいと思う。ユニホームがつくったものを、防衛庁がつくったものをアメリカの後押しでのんじゃって、その後を政府レベルの計画に昇格、冗談じゃないですよ。何がシビリアンコントロールですかと私は申し上げているわけです。
 しかも、この「防衛計画の大綱」の見直しということは、後で竹田発言との関連もあるのです。一番最初にだれが言ったかというとユニホームなんですよ。栗栖発言以来のもう常套手段になっている。ユニホームがまず先に言う。それをあなた方が後追いする。またそれかという気がするんです。「防衛計画の大綱」の見直し、だれが一番最初に言ったんですか。ユニホームじゃないですか。それを防衛庁長官が後追いして裏づけて、だんだん情勢をつくって――こんなことをいつまでもやっておって何がシビリアンコントロールかと私は思うから申し上げているわけですよ。あなた、本当に「防衛計画の大綱」を見直す気はありませんか。いまのままで当分大丈夫ということですか。
○鈴木内閣総理大臣 五六中業、この計画は現在ございますところの、五十一年閣議で決定をいたしましたところの「防衛計画の大綱」の枠内のものでございます。これを財政その他広い立場から検討する、こういうことが必要であって、防衛庁限りで予算要求をするという従来のやり方、これではいけないという反省の上に立つものでございます。
○石橋(政)委員 結局、後追いにすぎないのですよ。結局、ユニホームがつくった計画、アメリカの後押しを得た計画、それをいまになって政府レベルの決定に昇格させようという後追いなんです。シビリアンコントロールとは全く逆のことをやろうとなさっているのです。自主性が一つもないということです。
 そこで、次に移りますが、とにかく軍事費の増額にしろ、安保体制の強化にしろ、自主的な判断でおやりになっておらない。どんどんアメリカの要求という形で押しつけられている。これが問題なんです。「防衛計画の大綱」を見直そうという背景にも、アメリカが日本の役割りを見直して新たな任務を付与している、それに合わせなくちゃいかぬ、そういう考え方があるんですよ。
 そうじゃないと言うならば、あなたに自主的な判断がおありかどうかお尋ねをしてみたいと思いますが、一つは、さっき武藤さんもちょっと一部引用されたのですけれども、最近の世界情勢なりアジアの情勢をどういうふうに判断されているのか、お尋ねしてみたいと思うのですが、一月十九日ですか、ブラウン国防長官がアメリカの議会に国防報告を送っているわけですね。その中に「最も起こり得ると考えられる地域的緊急事態は、朝鮮民主主義人民共和国が韓国を全面攻撃すること」、こういうことが書かれているのですが、こういう認識がおありなんですか。
○伊東国務大臣 私ども、アジアの情勢をいろいろ分析をしておりますが、いわゆる北朝鮮が韓国を全面的に攻撃するというようなことはわれわれは考えていない。朝鮮半島の平和ということは日本にとって非常に重要でございますので、常に、何とかここで平和な環境ができないかということで環境づくりに努力しているわけでございまして、中国に行きましても必ずこの話は、私は意見を交換をしているわけでございますが、中国も、そういうことはあり得ないということを何回も言っているのでございまして、私どもはそういうことは考えておりません。
○石橋(政)委員 少なくともあなた方が一番頼りにしている同盟国、その同盟国の国防長官がアメリカの議会に報告書として出しているわけですよ。その中に明確にこういう分析がなされているのです。重大とお思いになりませんか。日本に関係ありませんか、このような情勢分析は。違うと言うならば、これはアメリカのことだからほうっておいていいというような事項ですか。
○伊東国務大臣 それは非常に重要な問題だということは私もわかります。ただ、そういう判断、解析は私どもはしてないということを外務省として申し上げたのでございまして、これはいずれ新しい政権とも、アジアの問題、日本の問題、世界の問題を話し合う機会がございますので、そのときに、そういう問題につきましても日本の意見も言い、向こうの意見も聞き、よく話し合いをしてみるつもりでございます。
○石橋(政)委員 ほかにもたくさん重要な事項があるのですが、時間の関係でもう一点だけ指摘しておきます。
 「中国との戦略的関係は、」「防衛面に拡大した。」という項目が国防報告の中にあるのですよ。御承知でしょう。これはどういう意味だろうか、これまた非常に重大だ。どういうふうにごらんになっているのですか、外務省としては。
○伊東国務大臣 ブラウン長官が去年ですか、中国に行って帰られたときに、当時私は官房長官をしていたときでございますが、亡くなりました大平総理と、中国とアメリカの関係をいろいろ話されたことがございます。その際にいろいろ話が出たということを承っておるのでございますが、その問題は、アメリカが中国に対して武器の供給を堂々とやるとかそういうような問題は、話はなかったということを私どもは聞いているわけでございまして、いまの問題につきましても、アメリカの意向を聞いてみないと本当のことはわからぬわけでございますが、そんなに大きな問題が、いわゆる防衛上の問題まで踏み込んだ問題となっているということは、この前の話からは私どもは想像がつかぬわけでございますが、いまの報告は、いずれ会いましたときにアメリカの意見を聞いてみたいというふうに思っております。
○石橋(政)委員 日本の安全保障を論ずる場合に、私にとっては見逃すことのできない情勢分析だと思いますが、そういう気持ちは総理大臣以下閣僚にないのですか、いまの点。
 いいですか。「最も起こり得ると考えられる地域的緊急事態は、朝鮮民主主義人民共和国が韓国を全面攻撃すること」である。「緊急事態」ですよ。そういう基本的なところで見方が全然違うというのを、今度行ったときにお伺いしてみましょうということで済むのですか。今度行くのは、総理大臣が行くのが新聞によると五月であったり、このごろはまたもっと早くしなければいかぬ、三月だったり、そのときにお聞きしてみましょうということで、これは済む程度の問題なんですか。
○伊東国務大臣 お答えしますが、私がお答えしたのは、重大な問題だということを私は申し上げた覚えがあります。朝鮮半島の平和ということは日本の平和、安全にとってもこれは非常に大切なことでございますし、アジアの平和、安全にとってもこれはもちろん大切、場合によっては世界の平和、安全にも関係するというような問題でございますので、先ほど私は重大な問題だということを申し上げたのです。
 それで、中国と会いますときにも、常に朝鮮半島の平和の問題を私は話しています。中国も何度も、北が南に侵攻するということはあり得ないということを、私だけではなくて総理も、前の亡くなった総理も聞いている問題でございまして、非常に重大だということは私もよく知っております。でございますので、先ほど申し上げましたように、今度向こうの新政権と会っても、そういう問題については日本としての考えも述べ、朝鮮半島が平和であるということを本当に望んでいるのだという日本の考えも述べて、また、アメリカがそういう報告を議会にしているのなら、それはどういう考えでそういう報告をしたのかということも話し合いをしてみるということを申し上げたのでございまして、私は、いま先生がおっしゃったようでなくて、非常に重要な問題の一つだというふうに思っております。
○石橋(政)委員 重大な問題だという言葉ばかり先行しましてね、そんなに重大なら、私にここで聞かれたらばっと答えが出てこなければいかぬのじゃないかという意味で申し上げたのですよ、それは多少皮肉も交えましたけれども。
 私は、これを読んだときに非常にびっくりしたのです。そんなに緊迫しているのだろうか。全然そんな感じはありませんからね、日本の国内には。あなたにもないのでしょう。違うと言うのです。見方が違う。そうすれば、どういうことだ、こう聞かなければならないはずです。そして、こういうことだそうですという答えがぱっと返ってこなければいかぬ。予算委員会がきょうから始まることはわかっているんだもの。それを私、申し上げているのです。
 しかも、これは日本の分析とは違うわけですね。去年の防衛白書を読みましても、朝鮮半島に関しては「米中ソとも現在、この地域で紛争が発生することは望んでいないとみられることなどから、この地域で大規模な武力紛争が生起する可能性は当面少ない」というのが、これが日本の分析ですよ。それがわっとこんなになってきた。真っ先に私はただしてしかるべきじゃないかと思うことが一つと、もう一つ、このアメリカの国防報告の私が指摘した二つの点、矛盾しているわけですよ。結局、朝鮮民主主義人民共和国が全面攻撃をかける可能性があると言っておって、片一方では、中国との戦略的関係は防衛面に拡大している、こう言っているのでしょう。中国と朝鮮とは、これは相互援助条約を結んでいるのですよ。一体どういうことなんだろう、これは。これこそ近ごろはやりの精神分裂じゃなかろうか。そうでないと言うなら、明確にここで説明がなされなければいかぬ、少なくとも責任ある閣僚から。いまからお伺いしますという、そういうていたらく。アメリカから言われなければ、こちらからどういうことなんだということすらも積極的に働きかけて聞く姿勢もない、こういうことでは、安全保障などというものを論じても非常に抽象的になるのじゃなかろうか、私はそう思います。
 そこで、もう一つ鈴木総理にお伺いしたいのですけれども、私、何度も申し上げるように、あなた自身が日本の安全保障はかくあるべきだというものを持っておって、そしておやりになっているのじゃないという懸念が、いま言った一つ一つ、私は二、三しかまだ例を挙げていませんけれども、だんだん皆さんにも納得していただけるのではないかと思うのですが、もうちょっと確認する意味でお聞きしたいのです。
 あなたは本会議において、わが国の防衛力は日米安保体制と相まって東アジアにおける平和と安定の維持に貢献し、このことがひいては世界の平和の維持にも貢献することになっているというふうに述べておられます。日本の防衛力というものは、単なる日本の防衛だけではなくて、アジアの平和、ひいては世界の平和に寄与する、貢献するんだ、こういうことをおっしゃっておる。これは大変なことではないんでしょうかね。みんな日本の防衛のためだったら、まあまあ憲法解釈でも軍事力を持つのは可能ということになるのかな、防衛力という枠が限定されておればというふうにあなたたち、いままで一生懸命、思わせるようにしてきたのが、それをどうもはみ出し始めたような気がする。
 そこで、それではどうして平和というものが維持されているとあなたはお考えになっているのか。これはあなた自身の判断ですから。米ソを軸にするいわば東西とずっと言われてきたこの力関係がやや均衡する形の中で世界の平和というものが維持されているんだというあなたのお考えですか。そこからまずお聞きしたいと思います。
○鈴木内閣総理大臣 私は、複雑な国際情勢でございますから、そう簡単に分析することは困難だと思いますけれども、しかし、東西という言葉を使いますが、東西のバランス・オブ・パワーということも、これも世界の平和を維持する一つの要素になっておる、このように私は考えておるわけでございます。しかし、そのほかに第三世界もございます。非同盟諸国もございます。いろいろの国々があるわけでございまして、そういう国際政治の動向、そういうものが全体として私は平和の維持が確保されておると思います。しかし、アフガニスタン等に見られるような局地的ないろんな問題も出てきておる、不安定な状態も存在しておるということも、これも客観的に見て事実であろうかと思います。
○石橋(政)委員 なかなかよくわからないので、それではもう少し聞いてみます。
 ほかにもいろいろな要素はあるけれども、基本的には米ソを軸とする東西の力のバランスがとれておることによって維持されている部分が相当部分ある、こういうお考えなのですね。これはバランスがとれておればいいのですか。それとも平和の維持のためにはアメリカを軸とする西側の方の優位性が保たれなければならぬとお考えなのですか。どちらのお考えなのですか。
○鈴木内閣総理大臣 私は、御承知のようにソ連が近年特に軍事力の増強に努めておるというような状況、そういうような観点からいたしまして、やはり西側もそれにバランスのとれたものがなければならない、こういう認識を持っておるのでありますが、アメリカ並びに西欧諸国、自由主義の同じ価値観の上に立つところの陣営がそういう意味で連帯と協調を強めていくことが必要である、このように考えております。
○石橋(政)委員 私の尋ねておることにストレートに答えてください。
 結局、東西の力のバランスがとれておればいいのですか、平和維持ができるとお考えなのですか。これは日本のあなた方ないしはアメリカの日本に求めておる軍事力の増強の限界というものとも関係があるのですよ。だから慎重にお尋ねいたします。あなたも慎重に答えてください。
 東西の国力、戦力がバランスがとれておれば大体平和維持できるというお考えでおやりになっておるのか、西側の方が優勢でなければ平和が守れないとお考えになっておるのか、その辺、大切な点ですから。
○鈴木内閣総理大臣 先ほどお答えしているように、ソ連の軍事力の増強というものが近年非常に顕著でございます。そこで西側がそれに均衡をとるというのが現状であろうかと私は思います。私は、その東西の防衛力のバランスを大きく変更するということがかえって世界の平和のために一つの不安定要素になりかねない、このようにも考えておるわけでございます。
○石橋(政)委員 去年の防衛白書にも書いておりますし、あなた方は機会あるごとにもう何回も何回も言うから、みんな暗記していますよ。結局、ソ連の脅威、ソ連の脅威、ソ連が非常に軍事力を増強してきている、これは客観的な事実としてだれでも認めることでしょう。一方においては、アメリカの国力、軍事力が相対的に低下している、これも事実なんです。そこで、バランスが崩れてきよるから、経済的にも余力のある日本よ、この穴を埋めるために防衛力の増強に努めてもらいたいというのが、アメリカ初め西側の要求でしょう。そうでしょう。これは防衛白書にも書いてあるじゃないですか。防衛白書の言葉をそのまま読めば、「米国の国力の相対的低下、日本の経済力の一層の拡大、ソ連の軍事力の増強等の国際情勢の変化により、日米関係の中で、防衛問題が重要な問題として、大きく取りあげられるようになった。」これは防衛白書の言葉そのままなんだ。
 だれにでもわかるように言えば、ソ連は軍事力をどんどん増強してきた。アメリカは十年以上もベトナムにかかずらわって莫大な消耗をやって、国力も相対的に低下し、軍事力も相対的に低下してきた。もう世界の憲兵の役割りを果たせないというので、二カ二分の一戦略が一カ二分の一にまで下がったが、これも危なくなってきた、バランスが崩れる、優位性が失われる、だから、西側の同盟国と言うならば日本、もっと強化しろ、こう来ているということは常識でしょう。この文章もそういう意味でしょう。違うのですか。
○鈴木内閣総理大臣 防衛力の整備につきましては、先ほど来申し上げるように、五十一年に閣議決定をいたしました「防衛計画の大綱」、この水準にできるだけ早く近づけるということがわが国の防衛努力の目標でございます。そして、これはもう皆さんがよく言っておられるように、日本は平和憲法を堅持しておる、専守防衛に徹する、非核三原則を堅持する、こういう、日本はいろいろな面からの条件というものがございます。したがって、「防衛計画の大綱」を実現いたしましても、それは日本が軍事的に他に働きかけたりそういうような立場にはない、あくまで専守防衛、これを確保する、こういうことであるわけでございます。
○石橋(政)委員 さっきから私が指摘している、「防衛計画の大綱」を見直すべきだという声が何でユニホームから出てくるか。防衛庁長官もちらちらさせるか。あなたの言っていることと違う方向に行きよるのですよ。
 いまの「防衛計画の大綱」は、あなたのおっしゃるとおりの方向かもしれません。いわゆる基盤整備、いわゆる防衛、本当に日本に攻めてくる国があったときに、最低限これだけのものを、もう非常に小規模の局地的な侵略に対抗できるようなものにしようということでできたものかもしれぬが、それではだめだ。アメリカがあるいは西側の同盟国が日本に期待しているものも、そんな枠の中にとどまっておってはだめだ。いわば、あなたの施政方針演説の際の答弁の中でも示されたように、世界の平和、アジアの平和というものが維持されるにはどうするか、そういう中で日本の安全を考えてもらわなければいけない時期だ、こういうことになってきているのです。あなたはそれを認めて本会議では答弁している。そして全く矛盾した、今度は「防衛計画の大綱」をまた言っているわけです。この矛盾をお気づきになっていないのですよ。日本だけの防衛なんというのじゃ困るとアメリカも言い出しているのですよ。
○鈴木内閣総理大臣 私は、憲法を改正する意思もない、日米安保条約を改正することはしない、こういうことを明確に申し上げておるわけでございます。そういう基本的な考え方の中から石橋さんが指摘するようなことは出てこない、これは明確でございます。
○石橋(政)委員 ちっとも明確でございません。大体、歯車が合わぬ合わぬと言うけれども、こちらの聞くことに答えないじゃないですか。
 世界の平和がどうして維持されているとお考えになるのか。単に東西のバランスがとれておればいいのか。西側が優勢を誇っておらなければ平和維持は困難なのか。大分違うのですよ。しかし、少なくとも日本の当面の役割りという点では、それでは私は譲歩しますよ、前段でも、アメリカの後退している分は日本に補ってもらいたい、カバーしてもらいたいということなんだから。後段ならば無限に、GNPの二%、三%、ほかのNATO加盟国並みにやってもらいたいというところまで一挙にいくわけです。前段でも、アメリカの相対的に後退している分をカバーしてもらいたい、特にアジア地域においては日本にその役割りを果たしてもらいたいということが出てくるのは当然なんです、そこが明確になれば。その役割りを果たすために多少財政再建のスピードはおくれるかもしれませんけれども、福祉の面では御迷惑をおかけするかもしれませんけれども、軍事力の増強をひとつ御理解願いたい、これが政治家総理大臣のあるべき姿なのです。
 あなたはどうも何もわからぬままにずるずる流されていきよるのではないかと私が冒頭に言ったのは、こういうことなんですよ。立場は違い、考え方は違っても、いま私が言っているようなことなら一つの見識なんです。そんなことすらわからないでとんちんかんなことを、もう先のことばかり心配して憲法がどうのこうのと言う。
○鈴木内閣総理大臣 石橋さんは御自分の意見を、これを押しつけようということでございます。私は日本の政治の最高責任者として、憲法改正をしたりあるいは日米安保条約を改定したり、そして自衛のための防衛力を超えたものを持つ考えは持っていない、これは最高責任者である私が責任を持って国会で申し上げているとおりでございます。
○石橋(政)委員 それでは、次に移る前に一つだけ、あなた、いま大みえを切りましたから約束していただきます。
 当面「防衛計画の大綱」をいじる必要はない、これでいく、はっきりおっしゃってください。
○鈴木内閣総理大臣 先ほど来申し上げておるように、「防衛計画の大綱」は未達成でございます。でありますから、五六中業もこの「防衛計画の大綱」の枠内であるということを明確に申し上げておきます。
○石橋(政)委員 次に移りますが、あなたは早々と、憲法を改正する意思もないとか、もうその方に気が行っているようですが、軍事力の必要性を認めて、あなた方がいままで言ってきているような枠の中で一体やれるものだろうか。結局、軍隊は要るけれども、軍隊の力で日本を守ろうという方針はとっておるけれども、あれもしちゃいかぬ、これもしちゃいかぬ、これも持っちゃいかぬ。そんなばかなことがあるだろうか、基本的に私そういう気持ちを持っているのです。
 そこで、最初に確認しておきたいと思うのですが、あなたは憲法を改正する意思はない、ないとおっしゃっている。いまの憲法のもとにおいてはこれだけはできません、絶対にできませんというものをもう一回、ここではっきりおっしゃってください。
○鈴木内閣総理大臣 具体的にお聞きを願いたいのでございます。
○石橋(政)委員 いままであなた方がおっしゃってきたことをここで、それじゃまず確認しましょう。
 一つは、俗に言う攻撃的な兵器、これは憲法上持てない。性能の面から見ても、もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためのみに用いられる兵器、こういうふうに言っておるようですが、そういうものを持ったり使ったりすることは、いまの憲法上許されない。それから徴兵制がだめ、集団的自衛権がだめ、海外派兵がだめ、戒厳令がだめ、これは間違いないですね。
○角田(禮)政府委員 憲法九条の解釈といたしまして、政府が従来から繰り返して申し上げているとおり、憲法九条におきましては、わが国は自衛のため必要最小限度の武力行使しかできない。同時にまた、それに見合うものとして自衛のため必要最小限度の実力しか保有できない、こういうふうに申し上げております。ただいま石橋委員が御指摘になったような海外派兵あるいは他国に壊滅的な打撃を与えるような兵器、そういうものは無論持てない、徴兵制度も先ほど申し上げたように持てない、こういうことでございます。
○石橋(政)委員 具体的に挙げろと言ったから挙げたのだけれども、全部あなたも答えなさいよ、集団的自衛権も戒厳令も。
○鈴木内閣総理大臣 ただいま法制局長官をして答弁さしたとおりでございます。
○角田(禮)政府委員 大変失礼いたしました。集団的自衛権は行使できない、それから戒厳令もできない、こういうふうに考えております。徴兵制は先ほど申しました。
○石橋(政)委員 ほかにもまだあるのですけれども、一応従来の政府の答弁で明確になっている部分について私は質問を進めてみたいと思うのですが、軍事力によって日本の安全を確保することは、いまの憲法のもとにおいても認められている。ただし、それは防衛に限る。専守防衛だ。これも憲法の規定によって揺るがすことのできない原則であることを御確認になりますね。
○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○石橋(政)委員 ところが、こんな手かせ足かせではおれたちは身動きできぬ、ユニホームは聞かないのですよ、結局。守る専門なんというのは成り立たない、栗栖さんも言いました。今度また、問題になっている竹田統幕議長もそういうことを言っている。ユニホームは納得していないのですよ。専守防衛なんて成り立たない、守る専門なんて成り立たない。それから軍事力だって、GNPの一%以内なんて、そんなことはとんでもない。少なくとも同盟国のレベルくらいまではふやすべきだ。具体的な数字を挙げれば、大体NATO加盟国が三%か四%ですね、その辺までは防衛費に支出すべきである。今度新たに徴兵制についてまで、そんなことでは承服できないという意見がまた出てきた。あなた方がどんなに憲法上できません、できませんとおっしゃっても、彼らは納得していない。承服しない。そんなことではおれたちは守れない、その立場を一貫して貫いている。
 いままでは、二年前まではユニホームを脱いでからそのことを言っておったが、栗栖統幕議長の時代からはユニホームを着たまま言うようになった。今度は、やめる寸前に言っている。少なくとも現職。何かあしたの閣議で交代が決まるんだそうですが、ユニホームを脱ぐのは十六日か十七日ですか、とにかくまだ現職の統合幕僚会議議長であることは間違いない。その人物が挑戦しているのですよ。
 しかし、考えてみれば、さっきから申し上げているように、軍事力によって日本の防衛を全うすべしという方針をあなたたちは打ち立てているんだ。そうすると、彼らがあなたたちのこのような手かせ足かせを承服できないと言うのも当然になってくるんじゃないですか。少なくとも軍事力の保持を認めるならば、そんな手かせ足かせを憲法が加えるはずがないですよ。憲法は軍事力の保持を認めていないんだ。その矛盾がはっきり、いよいよどうにもならぬ形で出てき始めているのです。そうするとどうなりますか。一つには、憲法なんかくそ食らえ、既成事実をどんどん積み上げていく、こういう形になるんです。そして、どうしてもいまの憲法解釈の拡大や歪曲ではカバーできなくなったら、憲法改正にいこうという準備も始まるのです。いまがその時期なんですよ。
 第一、考えてみてください、この竹田という人。徴兵制は憲法十八条やそんなもので何で禁止されているということになるんだ。冗談じゃない。去年政府が責任を持って、しかも文書で出したものに対して公然と挑戦しているじゃないですか。しかし、彼らの言い分はこういうことなんでしょう。日本を守るために軍隊が要るというときに自衛隊だけで守れ、そんなばかなことがあるか、こう言いたいんでしょう、ユニホームの諸君は。いまでさえ定員を充足することができないのです。二十六、七万の定員をただの一回だって充足したことはない。陸上自衛隊はいまたしか八六%くらいでしょう。どうしても人が集まらない。何とかしてもらいたい。こんなことじゃ全うできぬ。ましてや、その有事、あなたたちの言う有事に自衛隊だけで守れ、そんなことができますか。二十六、七万のうちの主力になる部分、戦闘部隊というものは全部じゃありませんよ。何割かが決定的な打撃を受けたらどうなるんです。それでおしまいですか。あとの補充は一切なし、そんなことでどうしておれたちだけに戦えと言えるかというのが彼らの論法でしょう。
 シビリアンコントロールというものには、私は少なくとも三つの条件が必要だと言っているのです。一つは政治家の識見、能力。コントロールするに値する識見、能力。一つは制度の確立です。これは人事の掌握なり予算の把握なりというものも含めて私は言います。もう一つは、これはやはり妥当な理論です。理屈なしに従えなんと言ったって聞きますか。ここであなた方は負けているのです、ユニホームとの論争で。徴兵制、これは禁じられておらぬ、何言っているんだという挑戦に対して、絶対に禁じられているというなら、これを放置しない毅然たる態度をおとりになったらどうですか。いかがです。
○大村国務大臣 いろいろ憲法との関係で御指摘がございまして、また、シビリアンコントロールとの関係でお尋ねがございましたので、ただいまお話の出ました竹田統幕議長の雑誌の問題午前中に武藤議員から御質問があり、総理大臣から調査するというお答えがございましたが、その調査しました結果をまず御報告させていただきたいと思います。
 御指摘の統幕議長インタビューにつきましては、関係資料について事務当局に検討させるとともに、早速事務次官をして本人より事情を聴取させました。その結果は次のとおりでございます。
 統幕議長の発言は、徴兵制を行うべしとの意見でもなく、憲法批判でもありません。ただ個人的見解とはっきり断わった上で、政府見解の理由づけだと、あたかも現在の自衛隊の仕事が一般から奴隷的拘束や苦役であるかのように誤解されはしないかとの懸念を表明したものであります。
 専守防衛については、制服としては専守防衛の政策の枠内で最善を尽くすのが当然でありますが、軍事技術上は、万一の場合には国土での戦闘は避けられず、本土にも爆弾が落ちてきたり、一部を占領されることになる可能性があるということを述べ、その点についての国民の理解と協力を求めた趣旨のものであります。
 防衛費については、パーセントについてよりも中身が重要であるという考えを述べ、パーセント偏重の議論が行われるのはおかしいという趣旨のことを述べたものであります。
 以上の事情でありますので、竹田統幕議長の発言は、シビリアンコントロールに反して政府の政策を公的に批判したものとは解されませんので、本人に対し、規律違反として懲戒処分することは考えられないわけでございます。先生よく御存じのとおり、隊員を懲戒処分するためには法的な根拠が必要であり、それは自衛隊法第四十六条に規定されております。三項ほど挙げられておりますが、そのいずれかに該当しなければ懲戒処分はできないのでございます。現在までの調査の結果におきましては、そのいずれにも該当しないと判断するわけでございまして、武藤議員から懲戒処分に処すべしという御発言も午前中にあったわけでございますが、その点につきましては、懲戒処分には該当しないというふうに考えておるわけでございます。
 とりあえず、総理から調査を命ぜられましたので、その点を御報告申し上げる次第であります。
○石橋(政)委員 総理大臣が、このわれわれの質問に答えて、国民に向かって、軍事大国などにはなりませんとおっしゃっておるさなかに、一方ではユニホームのトップが、GNPの三%くらい出さなければだめだと公然と言っているのですよ。GNPの三%出せばどの程度の軍事力になるか、私が言うまでもないでしょう。
 ここに大蔵省の資料がありますけれども、先進国並みのGNP比に近づけるということでGNPの二%を防衛費に充てることとすると、フランス、イギリスをしのぐ世界第五位、三%とすれば、ソ連、アメリカ、中国に次いで第四位の軍事大国となってしまいます。これは主計局の資料です。
 あなたは軍事大国にならないなんて言ったって、GNPの三%ぐらい出さなければだめだと言う軍人がおるわけですよ。ユニホームのしかもトップなんだ。ここで、守る専門でございます、専守防衛でございますと幾ら言っても、何言ってるんだ、素人が、と言う軍人がそこにおるんです。それだけではない。(「軍人はいない」と呼ぶ者あり)軍人ですよ。あなた方がわれわれに向かって、国民に向かって、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨から見て徴兵制はやれぬと答えたら、十三条や十八条で持てぬなんてとんでもない、そう言うユニホームのトップがおって、それをどうにもできないで何がシビリアンコントロールですか。しかも、大村長官は規定がなければだめだと言う。それじゃ栗栖さんは何であなたたちやめさせたんですか。規定も何もなしにやめさせたんですか。それとも今度の発言は栗栖発言よりもまだ罪が軽いとでもおっしゃるのですか。冗談じゃないですよ。私はこのまま辞任を認めるというわけにはいきません。本当にあなた方、シビリアンコントロールというものを本気で考えているならば、決然としてここのところは処分をしていただきたい。しかるべき処分をしていただきたい。こんなことを、注意ぐらいで済みません。このことを要求いたします、総理大臣。(発言する者あり)
○小山委員長 防衛庁長官に許しました。
○大村国務大臣 ただいま先例についてお尋ねがございましたようですが、栗栖元統幕議長の場合には懲戒処分ではなかったというふうに聞いておるわけでございます。今回は懲戒処分に処すべしという御意見が午前中提出されましたので、総理が調査をするとお話しでございましたので、私がその命を受けて調査をした結果、やはり法治国家でございますので、懲戒処分をすると言えば自衛隊法の条文に即して処分しなければならない、それには該当しないと申し上げているわけでございます。
○小山委員長 大出君の関連質問を許します。大出君。
○大出委員 ただいま四十六条を持ち出されましたが、四十六条は三項ございまして、その真ん中は「隊員たるにふさわしくない行為」と、こう書いてある。彼がしゃべった中身。いいですか、GNP一%論。「一パーセントでは何の意味もない。強いて言うなら、三パーセントなら意味がある」こう言っている。これだけで私は竹田統幕議長が――いいですか。全部これはちゃんと載っているじゃないですか。こんな統幕議長がいてくれては困りますよ。一%、国民の金じゃないですか。税金じゃないですか。こんなに懸命に論議してきたのじゃないですか、皆さんだって。その予算をいまここで審議しようというのでしょう、一%論を中心にして。審議しようというやさきに、統幕議長たる人間が「一パーセントでは何の意味もない。」意味のないものをぼくらは何で審議しなければいけないのですか。断じてできない。審議はできない。
○大村国務大臣 いま大出先生から条文を引いてのお尋ねでございます。そこで、私の調査したことも一応お聞き取り願いたいと思います。私も何も調査しないでお答えしているわけではございませんので、私の御説明も聞いていただきたいと思うわけです。
 私が取り集めました資料によりますと、前の方で、今度の予算についてどういう感想をお持ちですか、それに対して、「与えられた予算を効率的に使わせていただくとしか言いようがないですな。しかし、長官がいつも言っておられるように、中期業務見積もりの足がかりができたことは救いですね。」こういうことを述べておられまして、そして、率で議論をするということは余り意味がない、それで中身でひとつ検討することをやはり国民の前にあらわしたい、こういうことを述べて、また終わりごろにパーセンテージ、二%だけを議論することはどうか、それは余り意味がない、こういうふうに答えられた、そういうことでありますので、率で比較するよりは中身で検討するべきであるということでございまして、確かに御指摘のように、三%なら意味があるということは、一が三ならいいということではなくて、やはり相当中身があるだろう、こういう趣旨で言っているわけではないかと思うのです。やはり前後通観して御判断願いたい。
○大出委員 もう一遍だけ申し上げておきます。四カ所も五カ所も問題がありますが、いまの一点だけもう一遍明確にします。
 前で言っていることは、パーセンテージを挙げても余り意味がない。確かにそうは言っているけれども、いずれにしても一%は低過ぎると言っている、前の段階では。いいですか。そこで結論として、「一パーセントでは何の意味もない。」何の意味もない予算を審議できますか。「一パーセントでは何の意味もない。強いて言うなら、三パーセントなら意味がある」つまり一%では意味がない、三%にしなさいというのじゃないですか。政府原案が出ていて審議しようというさなかに、こんなことを制服の統幕議長が言う。そんなことで審議できますか。やめさせてください。審議はできない。
○大村国務大臣 重ねて御質問がございましたので、それに対してお答えさせていただきます。(発言する者あり)
 ただいまの御発言は、重ねて尋ねるという趣旨の御発言であったと思いますので、所管事項でございますのでお答えさせていただきます。(「理事会、理事会」と呼び、その他発言する者多し)
○小山委員長 それでは、これから理事会を開きますので、この際、暫時休憩いたします。
    午後五時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕