第094回国会 予算委員会第二分科会 第3号
昭和五十六年三月二日(月曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席分科員
   主 査 塩崎  潤君
      愛野興一郎君    越智 伊平君
      金子 一平君    村山 達雄君
      阿部 助哉君    稲葉 誠一君
      金子 みつ君    鈴木  強君
      田口 一男君    中西 績介君
      野口 幸一君    岡本 富夫君
      玉城 栄一君    大内 啓伍君
      永末 英一君    石原健太郎君
   兼務 井上  泉君 兼務 井上 普方君
   兼務 川本 敏美君 兼務 中村 重光君
   兼務 吉浦 忠治君 兼務 中路 雅弘君
   兼務 中島 武敏君 兼務 野間 友一君
   兼務 藤原ひろ子君 兼務 三谷 秀治君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 鈴木  勲君
        文部大臣官房会
        計課長     植木  浩君
        文部省初等中等
        教育局長    三角 哲生君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省学術国際
        局長      松浦泰次郎君
        文部省社会教育
        局長      高石 邦男君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
        文部省管理局長 吉田 壽雄君
        文化庁次長   別府  哲君
 分科員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    山口 周三君
        警察庁刑事局保
        安部少年課長  石瀬  博君
        防衛庁人事教育
        局厚生課長   根本  治君
        外務大臣官房領
        事移住部領事第
        一課長     杉野  明君
        大蔵省主計局主
        計官      篠沢 恭助君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   内海  孚君
        労働大臣官房参
        事官      田代  裕君
        労働省婦人少年
        局年少労働課長 金平 隆弘君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月二日
 辞任         補欠選任
  阿部 助哉君     金子 みつ君
  稲葉 誠一君     田口 一男君
  岡本 富夫君     玉城 栄一君
  大内 啓伍君     永末 英一君
  河野 洋平君     小杉  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 みつ君     中西 績介君
  田口 一男君     稲葉 誠一君
  玉城 栄一君     竹内 勝彦君
  永末 英一君     大内 啓伍君
  小杉  隆君     石原健太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中西 績介君     鈴木  強君
  竹内 勝彦君     岡本 富夫君
  石原健太郎君     河野 洋平君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴木  強君     野口 幸一君
同日
 辞任         補欠選任
  野口 幸一君     阿部 助哉君
同日
 第一分科員井上泉君、中島武敏君、野間友一
 君、藤原ひろ子君、第三分科員吉浦忠治君、第
 四分科員井上普方君、川本敏美君、中路雅弘
 君、三谷秀治君及び第五分科員中村重光君が本
 分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十六年度一般会計予算
 昭和五十六年度特別会計予算
 昭和五十六年度政府関係機関予算
 (文部省所管)
     ――――◇―――――
○塩崎主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算及び昭和五十六年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。田中文部大臣。
○田中(龍)国務大臣 昭和五十六年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 文部省所管の一般会計予算額は、四兆四千六百八十六億七千七百万円、国立学校特別会計の予算額は、一兆三千九百二十九億九千三百万円でありまして、その純計額は四兆八千五百三十九億六千万円となっております。
 この純計額を昭和五十五年度の当初予算額と比較いたしますと、二千四百九十九億三千七百万円の増額となり、その増加率は五・四%となっております。また、文部省所管の一般会計予算額の増加率は四・七%となっております。
 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。
○塩崎主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま田中文部大臣から申し出がありましたとおり、文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔田中(龍)国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、昭和五十六年度予算において取り上げました主要な事項について、御説明申し上げます。
 第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善につきましては、昭和五十五年度から、小中学校における学級編制を四十五人から四十人に引き下げるとともに、複式学級、特殊学級等の改善及び教諭、養護教諭、学校栄養職員、事務職員等の配置率の改善を図ることを内容とする第五次改善計画を発足させたところでありますが、昭和五十六年度におきましては、この改善計画の第二年次分として、いわゆる自然増と合わせて一万一千八百八十二人の増員に係る経費を計上いたしております。
 教員研修の充実につきましては、教員の自発的な教育研究活動の活発化を図るため教員のグループ研究に対する補助を拡充したほか、新規採用教員等研修、免許外教科担当教員研修、教員の海外派遣、教育研究団体への助成等、各種研修を引き続き実施することといたしております。
 また、児童生徒の非行を防止し、その健全な育成を図るため、小中高等学校を通じて生徒指導の充実強化を図ってまいることといたしております。−義務教育教科書の無償給与につきましては、引き続きこれを推進することとし、単価の改訂など所要の経費を計上いたしております。
 幼児教育の普及充実につきましては、特に私立幼稚園園児の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、幼稚園就園奨励費補助について、保育料等の減免限度額を引き上げることとしたほか、引き続き幼稚園の施設整備の促進を図ることといたしております。
 特殊教育の振興につきましては、本年が国際障害者年に当たることから各種の記念事業を実施するとともに、特殊教育の一層の充実を図るため、重度、重複障害児のための介助職員の増員等の措置を講ずることとしたほか、心身障害児の適正就学の推進等を行うことといたしております。
 次に、小学校における新教育課程は、昭和五十五年度からすでに実施され、中学校においては、昭和五十六年度から実施されることとなっておりますが、この新教育課程の実施状況について、昭和五十六年度を初年度として四か年にわたり総合的に調査研究を行い、将来の教育課程や学習指導方法の改善に資することといたしております。
 学校給食につきましては、魅力ある学校給食をめざして、学校給食施設設備の整備充実を図ることといたしております。
 また、児童生徒等の健康の保持増進に資することとするため、日本学校安全会と日本学校給食会とを統合して日本学校健康会を設立するとともに、児童生徒の健康状況に関する調査研究を行うことといたしております。
 次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、必要な事業量の確保と補助単価の引き上げを図るとともに、危険建物改築補助基準の千点緩和措置の継続、高校新増設補助の継続、高校校舎基準面積の改定、児童生徒急増市町村の小中学校用地費補助の継続及び交付率の引き上げ等、公立学校施設の整備の促進を図ることとし、これらに要する経費として、五千八億円を計上いたしております。
 以上のほか、要保護及び準要保護児童生徒援助の充実、同和教育の振興、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の充実、英語教育の振興等、各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。
 第二は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 まず、多年にわたり準備を進めてまいりました放送大学につきましては、昭和五十六年度にその設置主体となる放送大学学園を設立し、広く国公私立大学との連携協力のもとに、放送を効果的に活用した大学教育の実施を推進することといたしております。
 次に、国立大学の整備充実につきましては、現職教員の大学院における研究、研さんの機会の確保と初等教育教員の養成を図るため、鳴門教育大学を徳島県鳴門市に、また、今後振興が期待される体育、スポーツ、レクリエーション等の分野の指導者の養成を主眼として、鹿屋体育大学を鹿児島県鹿屋市に創設するほか、資質の高い医療技術者の養成を図るため、神戸大学に医療技術短期大学部を創設することといたしております。
 また、香川大学に法学部を設置し、千葉大学の人文学部を改組するほか、地方における国立大学を中心に学部、学科等の整備充実を図ることとし、大学学部及び短期大学の学生入学定員を千百三十人増員することといたしております。
 大学院の拡充整備につきましては、滋賀医科大学に新たに大学院を設置するほか、研究科、専攻の新設等により、四百三十三人の入学定員増を行うことといたしております。
 また、附属病院の整備充実につきましては、新たに高知、佐賀、大分の三医科大学に附属病院を創設するほか、既設の附属病院についても救急部の新設等その充実を図ることといたしております。
 なお、国立大学の入学科、検定料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和五十六年度にこれを改訂することといたしております。
 次に、公立大学の助成につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助等について、引き続き充実に努めることといたしております。
 さらに、育英奨学事業につきましては、日本育英会の学資貸与について、大学院及び専修学校の貸与人員を増員することとし、これに必要な経費を含め政府貸付金を八百七十三億円計上し、返還金等と合わせて千三十五億円の学資貸与事業を行うことといたしております。
 第三は、学術の振興に関する経費であります。
 まず、研究体制の整備充実につきましては、東京大学宇宙航空研究所を発展的に解消し、新たに国立大学共同利用機関として宇宙科学研究所を創設するほか、分子科学研究所と生物科学総合研究機構を統合し、岡崎国立共同研究機構を創設することといたしております。また、これまで準備を進めてまいりました国立歴史民俗博物館につきましては、国立大学共同利用機関として創設することといたしております。
 次に、重要基礎研究の推進につきましては、最近におけるエネルギー問題の緊急性、重要性にかんがみ、核融合などエネルギー関連科学の研究の推進を図るほか、人類未知の世界に挑む加速器科学、宇宙科学あるいは生命科学などの研究を計画的に推進するとともに、地震、火山噴火予知研究についても一層の充実を図ることとし、これらに要する経費として、四百八十八億円を計上いたしております。
 また、学術研究の基盤を強化するため、研究設備その他研究条件の整備に努めるとともに、独創的、先駆的な研究を培うための科学研究費についても拡充を図り、三百五十八億円を計上いたしております。
 第四は、私学助成の拡充に関する経費であります。
 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、補助単価の引き上げ等によりその充実を図り、昭和五十五年度に対して二百三十億円増の二千八百三十五億円を計上いたしております。
 また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましては、補助単価の引き上げ等によりその充実を図ることとし、昭和五十五年度に対して八十五億円増の七百八十五億円を計上いたしております。
 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金二十億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金五百十二億円を計上し、自己調達資金と合わせて八百五億円の貸付額を予定いたしております。
 また、専修学校につきましては、先に述べましたように専修学校生徒に対する日本育英会奨学金の貸与人員増を行うとともに、教員の研修事業等に対する補助を充実することとし、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。
 私立学校教職員共済組合に対する補助につきましては、長期給付の改善を図るため、補助の拡充を行うことといたしております。
 第五は、社会教育の振興に関する経費であります。
 まず、地域における社会教育活動展開の拠点となる公立社会教育施設の整備につきましては、補助単価を改善するとともに、図書館、博物館について補助対象館数を増加することとし、これらの施策に要する経費として、百七十億円を計上いたしております。
 また、社会教育において重要な役割を果たしている社会教育指導者の確保につきましては、派遣社会教育主事の給与費及び社会教育指導員の設置費の補助について、これを改善することとし、指導者層の充実に努めることといたしております。
 さらに、社会教育活動の振興につきましては、新たに家庭教育学級の中において、明日の親を対象とした子育てや家庭生活に関する学習事業を実施することとしたほか、民間社会教育関係団体に対する補助を充実するなど、社会教育の幅広い展開を図ることといたしております。
 次に、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきましては、北海道日高町に第六番目の少年自然の家を設置することとしたほか、引き続き所要の経費を計上いたしております。
 第六は、体育、スポーツの振興に関する経費であります。
 国民の体力づくりとスポーツの普及振興につきましては、まず、体育の基礎的、実際的研究を総合的に行う国立総合体育研究研修センターの設置準備を行うほか、広く体育、スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設について、その拡充を図ることとし、これらに要する経費として、二百三十億円を計上いたしております。
 また、学校体育につきましては、格技等の指導者の資質向上、人材の確保などに努め、格技指導推進校に対する補助の拡充を図るほか、学校体育大会の補助についても引き続き所要の経費を計上いたしております。
 さらに、体力つくり推進校や伝統的スポーツの普及推進など家庭、学校、地域における基礎体力つくり推進事業の充実を図り、たくましい青少年の育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。
 以上のほか、日本体育協会への補助を充実し、新たに海外スポーツ技術協力事業、アジア地区ジュニア交流事業を実施するとともに、国民体育大会の助成等各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
 まず、地域社会における文化の振興につきましては、こども芸術劇場において国際障害者年に協賛して盲学校に音楽の巡回公演を行うほか、青少年芸術劇場、移動芸術祭等各般の施策について、引き続き所要の経費を計上してその促進を図ることとしております。
 また、芸術文化創造の援助等につきましては、芸術関係団体の創造活動に対する補助を充実するとともに、芸術家研修、芸術祭についても引き続き所要の経費を計上いたしております。
 次に、文化財保護の充実につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝、重要文化財等の修理、管理、防災等の充実及び史跡、埋蔵文化財等の整備、公有化の促進を図ることとし、また、伝統芸能等の保存伝承の充実を図るほか、歴史民俗資料館等の施設の整備を進めることといたしております。
 また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる文化会館の補助対象館数の増を図るとともに、国立文化施設について、引き続き国立能楽堂、国立文楽劇場の建設工事を進めるほか、第二国立劇場についても、用地購入に要する経費の一部を計上するなど、その設立準備を積極的に推進することといたしております。
 第八は、教育、学術、文化の国際協力の推進に関する経費であります。
 まず、国費留学生の新規受け入れを大幅に増員し、受け入れ体制を整備するとともに、ユネスコを通じた教育協力等を積極的に推進することといたしております。
 さらに、学術の国際協力を推進するため、日本学術振興会が行う研究者交流事業、発展途上国との学術交流事業を充実するとともに、日米科学技術協力事業、国際共同研究事業等の拡充を図ることといたしております。
 次に、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設、派遣教員の増員、教材の整備等を行うとともに、帰国子女受け入れ学級の増設等を行うことといたしております。なお、派遣教員経費のうち、従来外務省に計上されておりました経費につきましても、昭和五十六年度から文部省に計上するとともに、学術国際局に海外子女教育室を設置するなど海外子女教育事業の一層の充実を図ることといたしております。
 以上、昭和五十六年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
○塩崎主査 以上をもちまして文部省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○塩崎主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、金子みつ君。
○金子(み)分科員 私は、本日は時間の関係もございますので、問題をしぼりまして、ことしが国際障害者年であるということが理由ではございませんけれども、障害者、障害を持つ子供たちに対する義務教育が義務化されましてから二年になります、この間にどれほどの進歩があったかということを考えてみる必要があると思うのでございますが、いまだに当初のような混乱あるいはトラブル、問題点というのは解決されておりませんのが実情でございまして、こういうような問題を中心に、障害を持つ子どもたちの教育に関する問題について質問させていただきたいと思います。
 それから、二つ目にお尋ねいたしますのに、国立の筑波大学に関係する問題でございまして、これは後ほどさせていただきます。
 まず、障害のある子どもの教育の問題から入らせていただきます。
 国際障害者年を国連が取り上げ、採択いたしました。ことしがそのように指定されておりますが、もちろんことしだけが指定されたわけではなくて、決議されました文章の中には、ことしから向こう十年、一九九一年の間において障害のある人たちに対する社会への完全参加、そして平等ということが完成されることのために関係各国が努力をするということが決議されておるわけでございます。それはもう申し上げるまでもございませんが、この問題は障害者となっておりますけれども、もちろん子供たちも例外ではないということを当然のこととして私どもは認識しているわけでございます。
 そこで問題は、障害を持っている、これはいろいろな種類の障害、そしてまたいろいろな程度の障害があると思います。一口に障害のある子供と申しましても複雑だとは思いますけれども、とにかく障害のある子供をできるだけ地域の普通学校、一般の小学校、中学校に入学をさせて、そして健康な子供たちと接触をさせ、一緒に平等な教育環境において育成することが非常に重要だということはもうすでに言及されている問題でございます。このことは私は障害のある子供たちに対する教育の原則であろうと思っておりますが、その辺の御認識は文部大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○田中(龍)国務大臣 御質問の点につきまして、障害の種類、程度等につきましては専門的見地から調査審議を行っておりますが、御質問の次の点の、健常児と障害児と同じ教育をする、同じ環境で、学校で教育をするという御質問だと存じますが、その点につきましても、御意見は十分にわかりますが、一方また健常児側の父兄その他の問題もございまして、なかなか簡単でもないのでございます。こういう点につきましては、教育委員会あるいは学校におきまして、ただいま申し上げましたような専門の審議機関とも相談をいたしまして措置をいたしておると存じます。
 なお、より詳細なことは担当から申し上げます。
○金子(み)分科員 そこでお尋ねしたいと思っておりますことは、いま大臣がおっしゃたようなお考えが基本にあるのだろうと想像いたしますけれども、ここのところをどういうふうに理解したらいいか教えていただきたいのです。学校教育法の施行令の二十二条の二で、いずれかの障害児学校に就学させなければならない障害の種類と程度が定められ、これに該当する子女は、たとえば盲児であれば盲学校、聾児であれば聾学校に就学させねばならないように運用している。これはいま大臣がおっしゃったのではないかと思うのですが、そこでその次です。
 したがって、これに反して小学校、中学枝へ就学している場合には、就学義務を履行したことにはならないと文部省はおっしゃるのですが、そうでございましょうか。この施行令の考え方に友して普通の小学校や中学枝に入った場合は、就学義務を履行したことにはならないというふうにおっしゃるのでしょうか。
○三角政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、心身に障害があるために特別な教育上の取り扱いを要する児童生徒については、それなりの教育上の手当てをしたいということが基本にございまして、それは子供の障害の種類、程度等について専門的な見地から各教育委員会に置かれております就学指導委員会という組織で調査、審議を行いまして、それの検討をもとにそれぞれの教育委員会が適切な就学の受け入れの手だてをとりまして、保護者の方へ通知をいたすことになっております。
 そのやり方の基準は、いま御指摘の施行令に基づいてやっておるわけでございますが、この教育委員会の就学通知と無関係にその御本人がどちらかへ行きたいということで、もし仮に就学の受け入れの用意とは別途のようなことが事実上あるとすれば、それは就学義務を履行したことにはならないということは結果的にそうなるわけでございますけれども、事実関係としては、極力そういうことがないように、こういった委員会も設けまして、保護者と十分に意思の疎通を図りながら就学の通知を行うという運用にいたしておるものでございます。
○金子(み)分科員 その問題はちょっとおきまして、いまお話の出ました教育委員会が子供の入学を決めるために意見を求める判別委員会というのが別にございますね。その判別委員会というのはどういうような人たちで構成されているのか、どのような機能を果たしているのかということが知りたいということと、この判別委員会のメンバーの中に現場の教師が入っているか入っていないか、メンバーになっているかどうかというのはいかがでございましょう。
○三角政府委員 いま御指摘の判別委員会でございますが、これは確かにそういう一種の判別の機能をやっております。私どもはこれを就学指導委員会と言っておりまして、先ほどちょっとそれについて言及いたした次第でございますが、御質問の点について申し上げますと、都道府県の教育委員会に置かれます就学指導委員会につきましては、医師五人以上、教育職員七人以上、児童福祉施設の職員三人以上、合計十五人以上をもって、それから市町村の教育委員会に置かれます就学指導委員会につきましては、医師二人以上、教育職員七人以上、児童福祉施設の職員一人以上、合計十人以上をもって構成することが望ましいというふうに指導をいたしております。
 その実際でございますが、昭和五十五年十月一日現在、就学指導委員会の委員数の実態、全国平均で申し上げますと、都道府県の段階にございましては総員二十九人で、うち教育職員が十一人、市町村にありましては総員十五人で、うち教育職員九人という状況になっております。この教育職員でございますが、これは具体的には養護学校などの校長、教員といった専門的経験のある人たちのことでございまして、これらの者を含めまして各就学指導委員会は心身障害児の障害の種類と程度等を専門的にかつ教育上の見地からも適切に判定をしているというふうに考えておるのでございます。
○金子(み)分科員 わかりました、教育職員ですが、いま養護学校の校長あるいは教師というお話ですね。一普通学枝の教師は入らないのですか。
○三角政府委員 やはり専門的な見地がございますので、養護学校の校長、教員が入っておりますし、あるいは過去においてそういう経験のある方で現在普通学校に行っておられる方も入っておりますし、必ずしもすべて養護学校なり特殊教育諸学校の経験者だけということにはなってございません。
○金子(み)分科員 それでしたら少しは救われるのですが、普通学校の教師も参加させる必要があると思うのです。初めから養護学校、要するに特殊特殊という視点で物を見るということは私は間違っておると思うのです。人間の場合でも健康を主体にして病気あるいは障害ということを考えるべきでございますから、健全な状態がわかっていなくて障害だけを主体に物を考えるのはいささか間違っておるというふうに私は考えます。ですから、選ばれます場合には、あるいは参加を要求なさいます場合には、養護学校の教師だけでなく、一般学校の教師が当然入って、健康な子供がどうだということがわかった上での特別の子供、障害のある子供ということが理解できなければ正しい結論は出ないだろうと思いますが、そのようにおはかりいただくことができるでしょうか。
○三角政府委員 金子委員の御意見はよくわかるつもりでございますので、今後も指導の上で御意見を踏まえながら考えてまいりたいと思います。
○金子(み)分科員 そこで、障害のある子供たちの義務教育が義務化されるようになりましてから、最初に申し上げましたように解決しない問題がまだ幾つもございまして、いろいろな訴えがございます。たとえばこういうのがございますので考えていただかなければならないと思います。
 それは福岡県の問題ですが、県内で二百五十名のいわゆる就学免除の子供たちがおりまして、これが義務化の年に改めてもう一遍検討されたわけでございますが、登校可能だと思われる子供たちがいるにもかかわらず、全部訪問教育になってしまったということが一つの問題として提起されております。学齢前、幼稚園や保育園の時代には一般の地域の幼稚園や保育園に在園していたにもかかわらず、小学校に入る段階で在宅訪問に持っていかれてしまった、あるいは遠方の養護学校へ入れることを決められてしまったという問題がございます。
 さらにいま一つは、いままで一般の地域の学校で勉強していた子供たちが、この法律施行に際してもう一遍再検討が加えられて、遠方にある養護学校へ入りなさいということで友達からも別れさせられて、そして宿舎に入らなければならないくらい遠方のところもあるわけです。こんな小さい子供たちが親の手から離れて宿舎に入るということにも問題があると思いますけれども、措置の仕方として、いままで一般学校にいた者を引き離して養護学校に入るようにという指示が出されたというような問題があるわけでございます。こういう問題について考えなければならないのじゃないかと思いますが、こういう事態があるということを文部省の方は御認識でございましたでしょうか。
○三角政府委員 御承知のように都道府県の教育委員会の所管事項でございますし、個別にはそれぞれの市町村の教育委員会の事項でございますので、一々精細には私どもは情報は持っておりませんが、若干のケースについては聞いておるものもございます。
○金子(み)分科員 若干のケースについて聞いておるものもおありになった場合、どうなさるのですか。
○三角政府委員 今回の養護学校の義務化、それからこれまでもやっております普通学枝の中におきます特殊学級という形での運営、これはいずれも心身に障害のある児童生徒に対して最も適切と思われる教育を通常の教育以上に手厚い形でやっていこう、こういうことが基本にございますので、先ほど御説明申し上げました就学指導委員会というような専門的な審議を経まして、それぞれ子供の幸福を考えて措置していくというのが基本でございます。ただその間、保護者の間にはいろいろな希望なり御都合なり、そういったことも出てくるかと思いますが、それらを十分にお聞きした上で、一番妥当な形で運用を図っていくということでございますので、そういう意味で、この制度の本来の趣旨が生かされますように各都道府県の教育委員会を通じて指導を重ねてまいりたいと私どもは考えておるわけでございます。
○金子(み)分科員 そこで、私はいろいろ考えるのですけれども、問題は教育委員会にあるのじゃないかという気がするのです。教育委員会の措置に問題があるのじゃないかと考えるわけです。当然のことだと思うのですが、親の意見やあるいは希望を考えながら進めていかなければいけないのですが、どうも実態はいまなお親の意見や希望は重視しないで、どちらかと申しますと大変に命令的な姿勢で養護学校に入りなさい、あるいは自宅教育にするのだというふうなことが指示されてしまうという訴えが非常に多いわけです。最後には、理由として、これは専門的な医師の意見なんだということで、責任回避のような形で行われてしまっているということがいまなおございます。ここで一つ一つそれを取り上げてどうしろこうしろと言うわけではございませんけれども、そういう問題が残っているということは障害児の教育のためには決して正しい方向ではない、教育行政としてはあるべき姿ではないと考えます。
 ことしになりましてからは、世界の障害児の教育やあるいは障害者の取り扱いが報道機関を通してでも盛んに放映されておりまして、スウェーデンのような国は特別かもしれませんけれども、それ以外の先進国と言われる諸外国では、特別障害を持っている子供たちを、特殊な教育をさせるというのではなくて、普通学枝に入れているケースが非常に多い。そしてその成果が上がっているということも皆さんすでに御存じだと思います。ですから、できるだけその方向へ持っていくように努力してほしいと思います。できるだけ持っていかないように努力するというのが現状ではないだろうか、ひがみではありませんが、そのように思われるくらい、この法律の義務化が決められましてから取り扱いが極端に悪いですね。むしろいままでの方が、普通学校の中に入れて一緒に抱え込んでいくという姿勢があったのに、これができてから逆に子供を選別、区分けして、特別な隔離教育にしてしまうというような実態が見えてきておりますので、これは非常にゆゆしい問題だと思うわけでございます。
 そこで、いろいろ申し上げる時間もございませんので、この問題が方向が違っている、姿勢が違うということを私は申し上げたいので、いままでのことはいままでとしても、国際障害者年であることしを契機にいたしまして、前向きの方向と申しますか、正しい方向へ向けて、できるだけ一般の子供と同じように教育をする姿勢へ向けていってほしい、いままでとは方向を変えてもらいたい、そういう行政を続けていっていただきたいということを私は要望したいのですが、教育行政として、大臣、どのようにお考えいただいていますでしょうか。
○三角政府委員 ただいまの御意見でございますが、現在、特殊教育の養護学校等の諸学校へ行っております者は、児童生徒のほぼ〇・四%でございます。それから、普通の学校に設けられました特殊学級に行っております者がほぼ〇・七%、両方で一・一%、そういう数字になってございます。なお、養護学校の義務化以来、就学猶予、免除者もずいぶん減りまして、一万人近くおりました者が現在二千六百人ぐらいまで減っておりまして、かなり教育の手が伸びてきておるということは言えると思うのでございます。
 ただいまの諸外国の方向と日本の方向の問題でございますが、たとえば米国におきましては一緒に教育するという理念があるわけでございますが、ただ障害児が、障害の性質または程度が通常の学級において補助的サービスが提供されても満足な教育が行われない場合は、やはり特別の学校ということにたてまえもなっております。そして、米国では障害児の概念を非常に広くとらえて、出現率を一一ないし一六%、こういう考え方からいろいろなものがやられておるわけでございます。イギリスにつきましても、障害児、特別の取り扱いを要する児童生徒の比率を六人に一人程度、こういうことでやっております。
 日本の場合も、障害の種類、程度において差し支えない者はかなりの者が普通学級に入っておりますし、また普通の学校の特殊学級で受けとめておりまして、養護学校等は〇・四%ということでございます。私どもは、親の希望や御都合も当然十分に参考にして判断をしていかなければいけないと思いますが、ただそれが非常に無理な場合もございまして、余りに無理なことをするのは長い目で見て決して本人のためにもならない場合もあろうかと思いますので、そのあたりも十分に頭に置きながら、各教育委員会に置かれます就学指導委員会が業務の実を上げていっていただきますように、今後も指導助言を重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。
○田中(龍)国務大臣 ただいま先生の御意見を伺いました。先生のおっしゃるように、この問題は教育委員会の問題であろうと冒頭申されておられましたが、私はまさにそのとおりであろうと存じます。親御さんの気持ちも十分わかりますと同時に、また立場を異にする健常児の父兄の関係もございますし、同時にその問題は判別委員会と申しますか、専門家によります純粋の判定にまつことが一番正しいのではないか。またそれが御本人のためでもあり、父兄、御家庭のためにもなるのじゃないか、かように考えております。
○金子(み)分科員 いまの問題はこれで終わります。いずれまた別の時間にさらに続けさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、方向を少しでも一般教育のできるような子供はそっちへ回すように、特別の者は別でございますけれども、少々無理があってもやる、その考え方をぜひ教育委員会でもしっかりとつかんでいただくように指導していただきたいと思います。
 その次の問題は、大変時間が迫りましたのでゆっくりとお話し申し上げることができないのでございますが、国立筑波大学の教育学部に所属しております桐が丘養護学校の問題でございます。
 細かいことを申し上げる時間がないので要点だけを申し上げますけれども、桐が丘養護学校の教頭職にある教員が、自分の住所を別にして、二つの住所を使い分けて、同時に東京都立の赤坂高等学校に非常勤講師として教鞭をとっているという事実でございます。
 この問題についてこの学校の教員たちが問題にいたしまして、このことについて桐が丘の校長あるいは大学の教育学部長、さらには大学の学長にも陳情いたしております。その問題について解決してほしいということを言っておるわけでございます。そして最終的には、昭和五十三年十二月に文部大臣あてに本校教官一同の名をもって陳情をいたしております。ですから文部省では御存じのはずだと思うのでございますけれども、上司に無届けで内密に他の学校の非常勤講師に出向し、自分の学校の本務を著しくおろそかにしていたという事実、こういう問題をどのように取り扱われなければならないかという問題ですが、当然のことながら国家公務員法の百一条か百四条に該当するかと考えますが、文部省ではどんなふうに御措置なすったのかを伺いたいと思っています。なお、この教師はずっと改めることなく続けられておりました。それで校長に問題を持ち込みましたときに、校長は自分の任期中には何とかするから任せておけというお話であったようでございますが、その校長の任期はこの三月で切れるわけです。そこで、三月で切れますので、先般二月一日付でこの教頭は教諭に降任になっております。ところが、降任になった理由が校長にはわからないというふうに校長はほかの教師に説明したそうでございます。そして、今度はその後任の教頭をこの校長は自分でみずから選んで上申しておりますが、これは桐が丘の学校の内規を無視しているものだということです。この桐が丘の学校では、内規として教頭は選挙によって決めるということになっていうのですね。ところが、それをやらないで校長が勝手にやってしまった。そこで、教員たちは臨時教職員会議を開いて、校長も同席をして新しい教頭に対する信任の投票をいたしました。新しい教頭は、現在ビールス性急性肝炎で入院中の人なんです。それを教頭として新しく校長が任命したわけです。信任投票をしました結果は、四十五名中三十五名が不信任、信任は五名、それから無効四名、白紙一名という結果が出ております。そこで、教師たちは内規を無視して教頭として上申したことを白紙に戻してもらうようにということを要求しているわけであります。
 この問題は学内の問題として片づけていいかと思いますが、二つの学校に、国家公務員、教育公務員が赤坂高枝に同時に勤めていた、そしてそこから、東京都から手当をもらっているわけですね。その手当をいま返している最中であるというふうに書かれておりますが、こういう問題はどのように処理をなさったのでございますか。それから、いまでも問題を起こしておりますが、どのように処理なさる御方針でございますか、御存じだと思いますので、一言、時間内でお答えをいただきたいと思います。
○鈴木(勲)政府委員 ただいまの件でございますが、昭和五十三年の十二月四日付をもちまして、附属養護学校教官一同の名前による教頭の兼業問題についての要望書が提出されております。文部省といたしましては、その時点におきまして要望書に記載されております内容につきまして大学に調査を依頼して、大学から詳細な報告を受けたわけでございます。事実関係は先生の御指摘のように、同人が昭和四十四年四月一日付をもちまして東京教育大学附属桐が丘養護学校教諭に採用されたわけでございますが、四十九年の四月一日、同校の教頭に昇任いたしたものでございます。大学からの報告によりますと、昭和四十四年度から五十二年度まで兼業の承認を得ることなく都立赤坂高校の非常勤講師の職を兼ねていたという事実関係でございます。
 なお、本件につきましては、同人に対しまして、今後かかることのないよう、教育公務員特例法の規定等も参酌いたしまして昭和五十四年の三月十日付をもちまして文書による訓告の措置を講じております。それから本人は、任用されましたときが赤坂高校の非常勤講師でございまして、その間都から報酬を受けていたわけでございますけれども、都議会でも問題になりまして、申告に基づいて支払われました期末手当の合計額の返還を要請され、五十五年度中にこの分は完済いたしております。なお、昭和五十六年の一月二十日付をもちまして本人から降任願いが出まして、学長は文部大臣の承認を得まして同年の二月一日付をもちまして教諭に降任いたしております。
 それから後任の問題でございますが、先生のおっしゃいました内規の規定は、この教育公務員特例法によりますと、当該大学の学長が選考いたしまして、その上申に基づいて文部大臣が任命するということになっておるのでございまして、選挙というのはその従前におきます学校内部における何らかの手続ではないかと思いますが、特例法上はただいま申し上げたようなことでございますので、任命につきましては手続上の瑕疵はないというふうに考えているわけでございます。
 なお、本人の教頭の降任と同時に、二月一日付をもちまして筑波大学の附属桐が丘養護学校の教頭に任用されました新任の教頭につきましては、現在急性の疾患によりまして入院中でございますけれども、近く退院の見込みでございます。現に公務運営上支障がないよう同校の校長が十分配慮いたしておりますので、そのように今後とも指導してまいりたいというふうに考えます。
 以上でございます。
○金子(み)分科員 時間がなくなりましたので、質問はここでやめることにいたしますけれども、いまの後の件の分は、後任を選ぶとかなんとかいう問題は私はこれは学内の問題としてよく指導してくださればいいと思うのですけれども、公務員が二つの兼職をすることの問題につきましては、もう少ししっかりと指導していただきたいと思います。大学の問題は大学の自治だからというので、文部省はよく放任と申しますか、そのままにしておく例が非常に多い、ほかにもあるように私ども記憶していますけれども、こういう問題は大変に秩序を乱す問題でもございますし、私は文部省としてはしっかりとしていただきたいと思います。この大学の中も大変にいいかげんだと思いました。校長にしても、学部長にしてもあるいは学長にしても、一つもちゃんとこの問題について取り扱っていないということを私は教師たちから聞きまして、遺憾に思っています。ですから、そういう点の指導をこれからもしっかりとやっていただきたいと思うわけでございます。その点を強く要望いたしまして、大臣の御決意を伺って終わります。
○田中(龍)国務大臣 教職員の勤務時間等の服務規律の厳正な管理につきましては、今後ともに各機関に対しまして指導を徹底してまいります。
○塩崎主査 これにて金子みつ君の質疑は終わりました。
 次に、中西績介君。
○中西(績)分科員 私は、学校現場での差別事象、もう一つは大学卒業者の就職差別問題、この二点についてお尋ねをしたいと思っています。
 まず第一は、学校現場での問題でありますが、二年前に三年間の法延長を決定をし、附帯決議をつけてまいりましたけれども、その中に明らかにされておりますように、あくまでも差別事件の続発傾向があるためにということでもって三点にわたる附帯決議をしておるわけであります。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕
その後、教育現場におきましては、三年間にわたって差別事象なり事件はどうなっていったのかについてお聞かせをいただきたいと存じます。特に、その件数については、すでに私たちいろいろな中で明らかにされておりますけれども、小中高合計いたしますと、五十五年で百十五件という文部省の調査結果が出ています。少なくなってきておるという傾向があるということが文部省当局からも説明されておりますけれども、都道府県別にはこの点がどうなっておるのか、これをお示しいただきたいということが一つであります。
 さらに、大学あるいは専門学校、PTAの関係などについてはどうなっておるのかが二点目であります。
 そして三点目に、これらの差別事象に対する内容を把握をしておるのかどうか。そして、分析はされておるかどうか。時間が三十分ですから、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○三角政府委員 いろいろな意味の努力にもかかわりませず、教育の現場でいまなお差別事象等のことが見受けられますことは、まことに遺憾に存じております。
 ただいま御発言にありましたような御報告で数を申し上げた次第でございますが、この数の問題につきましては、各県の教育委員会に報告を求めるに当たりましては、実は私どものいろいろな意味の施策、指導の検討のために一つの部内の資料として処理することを前提に報告を求めておりますので、この段階でいまお求めの都道府県別の資料の発表は差し控えさせていただきたいというふうに思う次第でございます。
 それから、差別事件の実態は、現場の具体の展開の仕方がいろいろでございますので、これを正確に的確に把握することは事柄の性質上非常にむずかしいのでございますけれども、小中高等学校におきます事件の種類のようなことで分けて申しますと、やはり児童、生徒にかかわるものが多うございまして、五十五年で申しますと、小中高合計で八十三件、それから教職員にかかわるものが十二件、それから差別落書きにかかわるものが十六件、その他、これはまあいろいろでございますが、やはり就職、進学にかかわるもの等が含まれます、これが四件というような状況でございます。
 それから、大学につきましては、五十五年で申しますと、私どもが把握しております限りの数字は七件でございまして、また、専修学校における差別事件の実態につきましては、現在報告を求めておりますが、学校の数が非常にたくさんあるというようないろいろな事情がございまして、現在のところは精密な調べが結果として必ずしも出ておりませんが、これまでのところ実態についての報告は受けておらないというのが事実でございます。
○中西(績)分科員 いまお答えいただきました内容は、特に第一点目でございますけれども、都道府県別には内部の資料として云々ということでありますが、私たちが絶えずいろいろな資料等について要求する際、文部省からこういう答弁がはね返ってくることを大変遺憾に思います。
 時間がありませんから、特にこの点は後でまた十分時間をかけて明らかにしていきたいと思っていますけれども、いずれにしましても、これらの問題についてわれわれが全体的にどう取り組んでいくかということがこれからの大変重要な課題でありますだけに、文部省で集約をしておる部分と、さらにわれわれが集約をしておる部分、あるいは幾つかの団体が集約する部分、そういうものを十分突き合わせた上で総合的にどう判断をしていくかという立場に立たないと、ただ単に機械的に集めて部内のものであるからということによって処理をされていくということについては、大変な問題を残しておると私は思います。
 この点は後で大臣に所信を述べていただきますけれども、いずれにいたしましても、こういう問題あわせまして、さらに内容把握の問題でありますけれども、一応内容の数については出ています。しかし、この分がどのような事態の中から出てきたのか、条件なりあるいは環境なり、そういうものが十分把握をされておらずに分析をされる場合には、いかにこれを集めても何も資料としては役に立たないものであると私は確信をします。したがって、この点、いま私が申し上げる分析ですね、どうなされたかということをお聞きしたいのはここなんです。この点はどうですか。
○三角政府委員 中西委員に申し上げるまでもなく、これらの問題の解決に直接携わっておりますのはそれぞれの学校あるいは地元の教育委員会でございますので、そういったところから私どもは取り得る限りできるだけ実態に合った報告をいただくということにいたしたいと思いますし、そのためにも、状況によりましては個別の事例について私どもがいただいたものを私どもの方から発表するというようなことを御遠慮しなければならない場合もあるわけでございます。
 分析の問題につきましても、いずれにいたしましても私どもはそういうものを集約する立場でございますので、できるだけ個々の教育委員会なりあるいは都道府県の手元におきまして分類をし判断をしてもらいまして、それをちょうだいするということでいたしたいと思いますが、先ほど御指摘のように、それぞれのお立場お立場でのいろいろな資料あるいは文献その他ございますれば、私どももそういうものも参考にいたさなければならないというふうに考えております。
○中西(績)分科員 文部省がこうしてそれぞれの立場立場によって集められたものをということを言っておるようでありますけれども、私はやはり学校現場でのこういう差別事象というものをどうなくしていくかという立場に立つ文部省としては、一定の方向性というものを明確に持っておく必要があるのではないか、この点が一つ問題だろうと思います。
 そこで、文部省の集計された数はある程度わかりますけれども、これはまだまだ多くの問題がその中にはありますから、こういう調査をする際の文部省の姿勢、考え方、そういうものときわめて関連の深いものになってまいりますけれども、たとえば文部省が集計をする場合には都道府県教委にどういう方向でもって、ただ単に数を出せと言っておるのか、それとも内容的に指導しながらやっておるのか、この点はどうであろうか。あるいは大学あるいは専修学校等に対しましても、ただ単にあったかないかということだけでなしに、件数だけでなしに、そういう方向性というものを明らかにしながらしておるかどうかをお聞きしたいと思う。
○三角政府委員 冒頭お話しのございましたように、同和対策事業特別措置法というものを政府としても実施をいたしまして、こういった差別事件の解消に関係者すべてが鋭意努力しなければならないということで対処してまいっておるのでございますから、こういった調査ももちろんそういう目的のための一つの手だてとしていたしておるわけでございます。
○中西(績)分科員 目的のためと言うけれども、私は先ほどから申し上げますように、分析がどうなされておるかという面とのかかわりからしますと、ただ形式的に数を集める、あるいは各都道府県に任せるということでなくて、少なくとも文部省がそういう指導的な役割りを果たしていくという行政としての主体性を持たなくちゃならぬと思うのです。その場合に、都道府県教委に対して、あるいは大学に対して、専修学校に対して、どういう指導を行っておるかということが問題になるわけです。そのときの主体的な示し方がどういうことで示しておるかということ、同じ資料を集めるにいたしましても、聞くところでは関係の課長会議か何かを開いたようでありますから、そうであればあるほどその点が明確に示されなくちゃならぬと思います。どうでしょう。
○三角政府委員 文部省といたしましては、あくまでも同和教育を推進し、そして差別事件をなくしていくということを基本に置きまして、各都道府県とも協議をし協力をし合っていくというふうに考えておるのでございます。
○中西(績)分科員 お答えが十分ではありませんから、私はこの点大変不満を持つものです。
 時間がありませんので、それではもう一点お答えください。教育現場のこうした差別事件というのは、その原因なり背景があるはずなんですね。文部省ではそういうものが検討されていますか。
○三角政府委員 教育現場のことでございますので、第一義的にはそれぞれまとめますのは都道府県の教育委員会の方にお願いをしております。
 ただ、先ほど来の御質問でございますが、資料をまとめまして事件の分析をする場合には、関係団体の分析等も十分に参考にしながら教育委員会の方で分類をするように指導をいたしておるわけでございます。
○中西(績)分科員 私は関係団体のかかわりを聞いているわけじゃないです。主体的に文部省がどうなのか、そして文部省がどういう立場に立って県教委なりあるいは大学なり専修学校を指導しておるのか、このことがきょうの主題なんです。ですから、現場に起こる差別事象というものをなくしていくためにはどのように対応していくかという文部省の主体的な態勢が必要であるわけですね。ところが、いま言うように全部任せてありますというような言い方になってくると、文部省の中には同和教育に対する指針なり方針なりというものは不明確だということになってくるのです。ですから、私はこの点を言っているのです。こうして出てくる原因あるいは背景というのは、どうしてなのかということを聞いておるわけですよ。このようにしてたくさんの事象がどんどん出てくる、この中身というのは、いままで顕在化し得なかった態勢があったけれども、近来においてはだんだんそれを顕在化しようとする、いわゆる差別を告発、抗議をするという態勢が出始めだということが一つあると思うのです。
 さらにまた、いまのような右傾化の事象だとか、あるいは同和教育面における十分な態勢のない、形骸化が起こっておるとか、そして特にいま私が皆さんに指摘をしたいと思いますのは、先ほど答えた中で、落書きなどといったものをどう分析しているかということを、十分時間があるなら本当は聞きたいのだ。なぜなら、落書きなどの内容を見てみますと、部落民衆の社会的抹殺を図ろうとしておる文章が次々に出てきているわけでしょう。ファシズムの体制の中における、皆さん御存じのとおりのユダヤ人を抹殺しようとする態勢と全く変わらない文章が次々に出てきているじゃありませんか。
 こういうことを考えますと、こうした意識というものが地域でどうあるのか。本来的に生徒の中にそういうことが平気で、あるいは大学の中で特にそういうことが多いわけです。東大においてもそうです。あるいは私たちから言うと一番問題なのは、大学の教授の中でこの差別というものを理解し切らぬ人たちがたくさんおるということです。
 そうした事態を考えてみますと、いまの態勢というのは本当に差別をなくそうという態勢になっておるかどうかということが問われておるのじゃないですか。そしていまそれをなくそうとする場合に、たとえばあなたたち文部省なり県教委の姿勢というのは、そのときだけ事件を解決すればいいという考え方に立って、物取り主義であり、あるいは事件解決主義に陥ってしまっているのです。ですから、いろいろなことを言ってはいけない、恐ろしいものだ、禁句だということだけが先走っているのですよ。だからちっとも差別をなくすという態勢にはなっていない。
 こういう事態を考えてみますと、少なくとも文部省が主体的にどうこれをなくしていくかというその方針、あるいは指導というものがそこに出てこない限り、現場におけるあるいは地方教育委員会におけるものも前進をしないのです。皆さんが先導的な役割りを果たすというのがいま問われているのじゃないでしょうか。大臣、どうですか。
○田中(龍)国務大臣 同和教育の問題は本当に長い歴史的な背景がありますけれども、それを乗り越えて、憲法の精神によりまして基本的人権の尊重、さらにまたそういう教育を徹底させなければならないという教育の機会均等という大きな哲学的な背景があるわけでございます。文部省としましては、所要の事業を実施いたしまするための同和教育の推進につきましては、まじめにこれを取り上げて推進してまいっております。
○中西(績)分科員 まじめに取り上げて同和教育を推進しておるというお答えのようでありますけれども、先ほどから私が指摘をしておりますように、それをしておらないからこういうものが依然として続くし、特に先ほど私が申し上げましたように、昨今大学における差別事件続発等を見てみますと、落書き事件が大部分であります。その中身は先ほど私が指摘したとおりであります。そういうことになってまいりますと、私は本当にこの同和教育というものをちゃんと教育体系の中に位置づけをしてやっておるかどうかということが疑わしいし、文部省は主導的にそういうことを指導しておるかということが大変疑わしくなってくるわけです。この点、どうですか。
○宮地政府委員 先生御指摘のように、一部の大学におきましてその教員が同和問題の理解に欠けるような不適切な発言をした場合でございますとか、あるいはまた御指摘のように、大学における差別事件として不適切な落書きの問題を御指摘いただいたわけでございます。それらの指導については従来とも努力をいたしておるところでございますが、まだ十分効果を上げていないという点については、まことに遺憾に存じております。なお、各大学におかれます取り組みといたしましては、もちろん大学の自主的な判断というものが優先されるべきことではございますが、たとえば全学的な委員会の設置でございますとか、あるいは関係いたします授業科目の開設、あるいは学生や教職員に対する講演会の開催等、各大学それぞれ取り組んでおるところでございます。たとえば同和教育に関する授業科目の開設状況につきましても年々前向きの傾向があらわれている点は先生御承知のとおりでございまして、国公私立を通じまして、昭和五十五年度で申しますと六十八大学、百三十科目が開設されているという現状にございます。
 今後こういういわば恒久的なと申しますか、そういう体制を積極的に進めるよう私どもとしても努力をいたしたい、かように考えております。
○中西(績)分科員 いま言われました、大学におけるあれは前進しておる、こういうことですが、これらの問題についてはもうちょっと具体的に、どういうところで文部省の場合には大学に――大学の自治というのはわかります。そのことを私は否定するものではありませんけれども、その中で落ちておる部分については、少なくともあなたたちの方から要請できる部分があると思うのですね。どういうところでやっているのですか。
○宮地政府委員 御指摘の大学の問題でございますが、私どもとしてはそれぞれ、国立大学で申しますと国立大学協会というような大学自体の団体があるわけでございまして、そういう団体に対して積極的に働きかけをし、大学自身がお互いの協議の場でそういう問題に積極的に取り組んでいくように指導いたしておるところでございます。
○中西(績)分科員 私立大学はどうですか。
○宮地政府委員 私立大学につきましても、私立大学の連盟でございますとか、それぞれ私立大学の関係の団体があるわけでございまして、そういうようなものに対しまして積極的な指導をいたしておるところでございます。
○中西(績)分科員 そういたしますと、先ほどから私が指摘をいたしました、たとえば大学等では非常に落書き等が多いわけでありますけれども、その中身というのは、大部分が部落大衆の社会的抹殺を主張するような文章だということは御存じですか。
○宮地政府委員 先生御指摘の落書きの問題でございますが、確かに御指摘のように、大学にそういうケースがあるということは大変遺憾に存じております。
 ただ、このような落書きが何人が書いたものであるか、その確認がきわめて困難でございまして、大学としても大変対応に苦慮しておるわけでございますが、確認し次第、大学で対応の委員会で検討をするというようなこと、あるいは学内告示で注意を喚起するというような、それぞれ個別の事案に応じて個別の指導をいたしておるわけでございますし、また全体的に、同和教育全体の推進のために、先ほど申しましたようなそれぞれの団体に対して全体の対応として前向きの取り組みをするように指導をするというような、個別の問題、全体の問題それぞれに対応しまして私どもとしては対処いたしておるところでございます。
○中西(績)分科員 それぞれの事象に対して対応しておるということを言っておりますけれども、私は先ほども指摘をいたしましたように、こういう中身というのは、ただ単にトイレでそういう文章があるからという軽い気持ちでとどめたのでは大変ではないか、こう思っています。落書きの意味というのをもう一度内容を検討し直して、このことはどんなことがあっても私はなくさなくちゃならぬと思うのです。それが生徒が書いたのか、あるいは職員が書いたのか、だれが書いたかわからぬということで済ます中身ではありません。この点は何としてもこれから注意をしなくちゃならぬ点だと強く指摘をしておきたいと思います。
 そこで、部落地名総鑑、これを買っておる大学はどことどこですか。
○吉田(壽)政府委員 私立大学関係についてお答えいたします。
 いままで判明しております大学、七大学がございます。学校法人近畿大学、四天王寺学園、城南学園、関西大学、大阪電気通信大学、大阪産業大学、塚本学院、以上の七大学でございます。
○中西(績)分科員 そうしますと、これは何のために買ったか、調査をいたしましたか。
○吉田(壽)政府委員 そういう大学の責任者にいろいろと聞いております。大学ははっきりしたことを申しておりません。特に就職のために買ったとかそういうことも言っておりませんで、この点、私どもも大変不可解に思っておりますが、こういうことにつきまして先ほど大学局長の答弁の中でもございましたけれども、私どもは、こういういわゆる差別図書の購入をするなどということは全く非常識きわまる遺憾なことでございますので、今後こういうことの絶対ないように強く指導を行ったところでございます。
○中西(績)分科員 いまの答弁でけしからぬというのはわかりますけれども、皆さん注意をしてもらわないといけないと思いますのは、私立大学などで、入学の手続書類の中で資産を書けとかいろんなことを全部やっておるのです。そういうことを見落としておる文部省ということになれば、そういう差別の本質的なものを全然追及せずにそのことを認めているということになるのです。ですから、そういう不届きな大学等が平気で出てくるという下地がそこにも一つあるわけなんです。一番生徒とかかわりを持つ入学願書の中にそういうものが平気で書かれておるという事態、こういうことを見落としておるところに私は一つの大きな問題があると思うのです。
 時間がなくなってしまいましたけれども、いずれにしましても、このことが今度は就職差別とかかわり、企業の側がそういうことをしたって文部省はそのことに気がつかないという結果になってしまうのです。いま一応高校卒業生、中学卒業生等についてはそれぞれ労働省との関係の中でこれが大体一体的に行われるようになってまいりましたが、残念ながら大学と企業との関係の中ではまだこの点が落ちています。この点、労働省お気づきですか。
○田代説明員 いま先生御指摘のように、労働省と文部省は従来協力し合って中学、高校等につきましてはそれぞれの所要措置を講じ、それなりの効果を上げてまいったと思いますが、大学につきましては、従来から職業紹介を大学で行うたてまえになっていたこともありまして、現実にはいろいろ問題点があるということは十分承知しております。
○中西(績)分科員 大臣、見ていただきたいと思うのです。文部省は確かにこうして通達等は五十五年から二回にわたって出しています。五十五年の四月二日、十月七日と出していることはお認めになると思います。ところが実際にどうかというと、現場では次々にそういう差別事象というのが、大学関係だけで私が調べただけでもものすごい数がありますね。こうした事態を考えてみますと、これから以降私は特にこの点注意をしなければいかぬと思いますけれども、この差別事象増加あるいは悪質化してくるという状況がある中で、これを解消する、あるいはなくすということのためには、来年になりますと措置法が切れるという状況等もある中におきまして、少なくともこうしたものをなくすためには、人権、労働、教育、福祉、これを中心に据えた行政措置がなされていかなくてはならぬと思うのです。その中の文部省の果たす役割りというのは、いままでの措置法の中の事業中心、環境整備中心のものでなくて、やはり教育なり啓発ということが中心になっていかなくてはならぬと思うのです。それに対応して、この措置法が切れる時期におきまして、これをさらに内容的に高め、延長するという態勢がなければ、決してこの事態はなくなるとは思いません。この点、大臣どうですか。
○田中(龍)国務大臣 御案内のとおり、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、われわれも大変苦慮いたしておるところでございます。いま先生がおっしゃいましたいろんな事象というものは、なかなかこれは大問題であります。同時に困難な問題である。個人的なことを申し上げて済みませんが、先生も福岡の御出身、私は隣りの山口県の出身でございます。ことに亡くなった八木先生あたりと御一緒にずっと今日までやってきたものでございます。先生のお考えになっておられることもよく理解をいたしておる次第でございます。今後の問題につきましてもどうぞひとつ御協力をお願いいたします。
○中西(績)分科員 時間が来ましたけれども、私は努力しますよ。また一生懸命やるが、大臣はいま言うような文教行政の中でこれから問われる問題になってきています。先ほどからずっと質疑をする過程の中で、文部省の主体的なものが余りないということを私は指摘してまいりました。ということであれば、主体性を持つというためには、この法律も切れる時期でありますし、大臣はこれからどうなさるおつもりなのかということをお聞きしたわけですから、それに対して簡潔にお答えいただきたい。
○田中(龍)国務大臣 お話の焦点は、時限立法であります法の延長の問題と、今後におきまする行政の推進の内容であろうと存じます。この点につきましても十分に心得まして善処をいたします。
○愛野主査代理 これにて中西績介君の質疑は終わりました。
 次に、鈴木強君。
○鈴木(強)分科員 一国の教育のよしあしがその国の盛衰興亡を決めると言われるくらい、私は教育は非常に重大なものだと考えております。大臣以下、平素文教行政に対して大変御苦労いただいていることに対しては、感謝をいたします。
 時間が非常に少のうございますから、最初にローカル的なことで恐縮ですが二つ、その後、共通一次試験、それから教科書の検定問題、四十人学級等についてお尋ねをいたします。
 最初に、新設医科大学のうち、福井、山梨、香川の三県の附属病院の開設についてお尋ねいたします。全部聞きたいのでございますけれども、大体共通していると思いますから、ここでは、具体的に山梨医大の附属病院の開設についてお尋ねをします。
 山梨医大を初め、いま申し上げましたような附属病院の開設につきましては、五十六年度予算の段階におきましても大変御苦労いただきまして、苦しい中にも開設準備の要員の確保をしていただきまして、これは感謝をいたしております。
 そこで、五十八年にこれらの附属病院は開院することになっておりますが、その実施計画をここでひとつ示してもらいたい。
○田中(龍)国務大臣 無医大県の解消計画の一環といたしまして、昭和五十三年の十月に設置されました山梨医科大学は、五十五年の四月から学生を受け入れておりますが、附属病院は学生受け入れ四年目に当たりまする昭和五十八年度に創設することを予定いたしております。
 この病院の施設その他今後の計画につきましては、事務当局から詳細にお答えいたします。
○宮地政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、山梨、福井、香川の三医科大学の附属病院につきましては、五十八年度に病院をつくるということで準備を進めておりまして、施設につきましては五十七年度末に完成の目途で、すでに五十五年度から着工いたしておるところでございます。
 また、開院の準備に当たらせるために、五十六年度から新たに総主幹を一人、主幹二人を増員いたしておりますし、また、教官、看護婦等診療要員の確保や医療機器の整備計画等、具体的な諸準備を進めておるところでございます。
 なお、附属病院の規模につきましては、これまでの新設医科大学の附属病院と同様に、全体規模を十七診療科、病床六百床ということで、おおむね三年の年次計画ということで整備をいたしたい、かように考えております。
 国家公務員の定員状況が非常に厳しいときでございますが、私ども五十六年度にも、高知、佐賀、大分の三つの附属病院についても当初計画どおり進めるように努力をいたしておりますが、五十八年度についてもそのような決意で当たりたい、かように考えております。
○鈴木(強)分科員 所要経費は、完成までに大体どのぐらいかかるものでございますか。
○宮地政府委員 全体計画で申しますと、設備につきましてはおおよそ四十四億余り、施設につきましては、附属病院関係では全体計画で約百三十三億程度と試算をいたしておるところでございます。
○鈴木(強)分科員 そうしますと、最終的には病床の数とかそれから要員数というのはどのぐらいになるのでございますか。
○宮地政府委員 病床数につきましては、先ほど御答弁申しましたとおり、六百床ということで予定をいたしておりますし、そのための定員としては、試算といたしましては五百七十五名の試算をいたしておるところでございますが、これらにつきましては、今後の年次計画に沿って順次精微を進めるようにいたしたい、かように考えております。
○鈴木(強)分科員 山梨県は非常に医療がおくれておりまして、まだ無医村等がかなり多くなっております。この開設を非常に期待しておりますので、ぜひひとつ、予定どおり順調に事が運びますように、この上とも御協力をお願いします。
 それからもう一つ、山梨大学ですが、経過はもう省略しますが、教育学部と工学部だけですから、経済学部をぜひ設置していただきたいという強い要望があるのですけれども、これは大臣、どうですか、何とかやってもらいたいと思うのですが、見通しをひとつ。局長でもいいです。
○宮地政府委員 地方の国立大学で、特に人文系統の学部の増設ということについていろいろ各地から御要望は伺っているところでございます。山梨大学についても、そのような大学の全体の整備ということで取り組んでおられるということは承知をいたしておるところでございまして、私ども、それぞれの地方大学の充実ということは基本的には考えておるわけでございますが、教官、組織等についての計画の全体の成熟と申しますか、計画全体が十分練られた段階でそれを取り上げていくというような考え方で対応いたしておるところでございます。
○鈴木(強)分科員 大学局長の方の考え方といいますか、事務的なことはわかりましたが、これは大臣、ひとつ政治的に御配慮いただいて、できるだけ早く、経済学部を特にお願いしているわけですが、ぜひ最大の御配慮をいただきたいと思いますが、所信をちょっと聞かせてください。
○田中(龍)国務大臣 その件につきましては私も伺っておりますので、前向きで善処いたしたいと思っております。
○鈴木(強)分科員 それでは次に、私は、けさの毎日新聞を拝見しました。そうしましたら、ことし一月に行われました国公立の大学の共通一次試験で、筑波大学の第三学群を志望した弱視の高校生A君が、出願に必要な同大との協議を申請いたしましたところ、事前の協議もなしに、修学は無理、こういうように予断しまして門前払いを食わされたという記事を見まして私は憤激をしたものですが、これは明らかに共通一次試験の実施要項を無視したものだと私は思います。大臣はこのことをよく了承しておられますか。
○田中(龍)国務大臣 その件は聞いておりますので、詳細に担当の方から御報告いたします。
○宮地政府委員 筑波大学の共通一次試験、特にけさの新聞で報道された事柄については、私どもも大学側からも十分話は伺っておるところでございます。
 具体的な事柄としては、実は昨年の八月以来の経緯がずっとあるわけでございまして、大学側と盲学校側との間でその協議の段階において若干の手違いがあったことはございますが、その後の対応といたしましては、大学入試センターでは本人からの志願票の受理をいたしておりますし、また、その後大学側と盲学校側との間でも具体的な折衝が続きまして、第二次試験の出願については十分善処をするという対応を大学側としてもいたしておったわけでございます。
 全体的にこういうことで、私ども、身障者の大学進学については積極的な対応でいたしますように、従来からも個々の大学について指導をし、全体的にはふえてきておる傾向にあるわけでございますが、報道されましたような事柄で若干手続的に不十分であった点があることは、私どもとしてはまことに遺憾に存じております。
○鈴木(強)分科員 ことしは国際障害者年にも当たります。特に、これが事実だとすれば、これは筑波大学の附属盲学校ですね、自分の大学の附属高校なんですからね。そこで、却下されたので、技術担当の教諭を大学の方に派遣して、申請をして拒否されたA君の視力の程度や所見などの文書を出して、修学は可能であるという説明をした。ところが、一たん出した公文書は撤回できない、他の学類を志望した方がいいというようなことを言っておられる。これは官僚の一番悪い癖で、一たんだめだと言ったからもう後はだめだというような、そんなばかな話はないですし。もっと親切に、特に障害者の方々は悩みを持っておるのですから、心温まる配慮の上でやるべきではなかったですか。もっとこういう点については文部省が徹底した指導をしておかなければいけませんよ。大臣、これはどうですか。
○田中(龍)国務大臣 ただいま局長が申し上げたように、この件は何かいろいろと手違いが起きました経過もあるようでございます。どうぞもう少し詳しく御質問をいただいて、真相を究明させたらいいと思いますが……。
○鈴木(強)分科員 それは大臣、私も詳しくやりたいのですよ。しかし、限られた時間でございますので、いずれ機会を見てやりますけれども、問題は、基本的な文部省の姿勢として、こういう身体障害者の方々の悩みは尽きないですよ、ですから、もっと親切に、みんなが納得できるような形でお話をすべきじゃないですか。入試の際の要領というものがあるのですよ、その要領に従ってやっているのだ。にもかかわらず、それを血も涙もないような形で却下する。しかも、それに対して担当の教諭が行って話しても、一たん決めたのだからもうだめだ、ほかはやってもよろしいという、こんな冷たい官僚的な態度をとっているから、私はここで問題にしているのです。そういうことのないように絶対今後指導する、こういう大臣の御所信の表明があって初めて私は納得できるのです。
○田中(龍)国務大臣 この点ではあくまでも筑波大学そのものもこの弱視の関係を持っておるわけでございますから、冒頭、先生がおっしゃったとおりでございます。なお、手違いのあった点を改めますと同時に、本当にこういう問題につきましては、特に普通の人より以上に愛情を持って処理しなければいかぬ、かように考えております。
○鈴木(強)分科員 そういう指導をしていただける、こういうことですね。(田中(龍)国務大臣「はい」と呼ぶ)
 それでは次に、教科書の検定問題ですが、世上、小学校、中学校の検定教科書の内容について、公正ではないとか、あるいは偏向しているのではないかとかいった話を私どもも聞きます。文部省は、こういうふうな批判が出ておりますが、本当に公正を欠き、あるいは偏向しているような教科書で日本の小中学校の教育を行われておるのでございましょうか、まずそこから聞きたいのです。
○三角政府委員 私どもは、教科書は学校におきます各教科の指導に当たりましての最も主要な教材でございますので、教科書の内容というものは常にりっぱなものであり、そして関係者の努力によってその改善が図られていかなければならない、こういうふうに思っております。
 ただいまの御質問の、現在の教科書の問題でございますが、私どもは、教科書の検定の一番の基本の条件の一つとして、政治や宗教についてその取り扱いが公正であること、特定の政党や宗派または主義や信条に偏ったり、それらを非難したりしていないこと、こういうようなことを基本に置いております。
 ただ、教科書に対してはいろいろと関心を持たれる向きが非常に広く、多いわけでございますので、それぞれの方々のお立場お立場から見ますれば、教科書についていろいろな御意見なり御批判なりが出るであろう、これはまた事柄の性質上そういうことであろうと思っておりますが、私どもはいま申し上げましたような基本で検定を進めておる立場でございますので、私どもの側から現在の教科書について偏向というような字を用いて何らかのコメントをするということは適当でない、こういうふうに考えております。
○鈴木(強)分科員 日本国には憲法がありますね。この平和憲法に基づいて、知育、徳育、体育の三つを兼ね備えた教育をしていただいて、次代を担う青少年を訓育してもらうのが大筋なんですよ。それで、私が聞いているのは、そういう批判があるが、文部省としては、現在の検定教科書が公正でないとかあるいは偏向しているというような、そういうことがあるのですかないのですかというのです。要するに、偏向しない公正なもので教科書をつくって勉強さしているのでしょう、あなたのその基本的な文部省の考え方を聞いているのですよ。私は、偏向したとかそういうことを言われているけれども、偏向したもので、あるいは不公正な教科書で小学校や中学校の子供を教えているのですか、こう聞いているのです。教えていないならいない、こう言えばいいのです。
○三角政府委員 いま御指摘のような方向で常々私どもは努力をしてまいっておりますので、現在の教科書についてもそういった努力の所産であると思っております。
 なお、教科書はそもそも人がつくり、かつ、私ども検定する側も人間のやることでございますので、いろいろ改善をしようと思えば問題もあり得るのでございまして、そういう問題につきましても、これは教科書を編集する著作者、会社が基本でございますけれども、日進月歩改善を図っていくという、教科書はそういう筋合いのものであるというふうに考えております。
○鈴木(強)分科員 大臣、事務屋さんというのは、やはり何かいろいろなところを考えながら、次のことを考えながら物を言うから、わかりにくいですよ。私はずばり、現在の小学校、中学校の教育はりっぱな教科書によってやられているわけでしょう、偏向しているとかあるいは公正でないとかいうようなことでなくて、ちゃんとその筋によってやられている、こういうふうに大臣は考えていらっしゃるのでしょう。結論だけでいい。
○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、教科書は民間の出版社が依頼をいたしましてつくり、それを審査官の議を経まして、そして審査をいたして検定いたしております。その限りにおきましては、文部省といたしまして正しいと思う結果が今日の教科書と相なっております。
○鈴木(強)分科員 そこで、正しい方針に基づいて、一定の基準に基づいてやっておる、こういうことですから、偏向とかなんとかいうことは当たらない、こうおっしゃるのだろうと思います。
 そこで、大臣には恐縮ですが、これは文部大臣ということで聞いてほしいのですが、参議院の自由民主党の皆さんが、先般、早急に教科書検定制度を抜本的に改革すべきであるというような方針を決められて、安倍政調会長に措置を申し入れだということを私は聞きました。
 そこで、そのねらいというのはどういうところにあるかというと、これは自由民主党の参議院の皆さんが大体まとめた意見ですが、一つは、教科書会社の編集が公正を欠いていることから、執筆者の人選、内容の適正化を図る。二つ目は、文部省は、厳しい検定制度で臨むとともに、検定調査審議会、これは大臣の諮問機関でございますね、この委員、調査員の人選には十分配慮する。三つ目に、内容が適正でない教科書は、三年ごとの改定検定を待たずに、速やかに是正措置を講ずる。四つ目に、新学習指導要領を含め、現行の検定制度について抜本的な改善措置を講ずる。こういうことを申し入れたと聞いておるわけです。これに対して大臣はどういうお考えをお持ちでございますか、これに対する所見を伺いたい。
○田中(龍)国務大臣 私は、ただいま政府の文教行政をお預かりいたしておりまする立場でございます。各党がいろいろな御意見をお考えになりましても、それは政治家としての皆様方、政治家としての党のお考えでございます。
○鈴木(強)分科員 ですから、現在のところ、大臣としてはそういうことについては賛成するとか反対するとかいうことはもちろん言えないでしょうし、現在は現行によってやっていく、こういうふうに理解していいわけですね。
○田中(龍)国務大臣 法律に従いましてそのとおりに実施をいたし、また同時に、われわれの責任を持ってつくった教科書を使用させております。
○鈴木(強)分科員 確かに私ども終戦後からずっと今日までを顧みまして、教科書の内容等についても、とかく平和憲法のもとにやられなければならない教育の基本になる教科書の中に、かつての戦争の被害を受けた実情や再び戦争を繰り返してはいけないというような趣旨がありましたものが、逐年それが削除されていっておるということもこれは事実でございます。特に最近は教育の右傾化というのが言われておりまして、私たちはそういう意味からいたしましても、この自民党の参議院の皆さんがお決めになりました具体的な措置についての内容を拝見すると、非常に心配をするわけでございます。
 もちろん、これは政党のおやりになることでございまして、私どもがこれをいいとか悪いとかと言う気持ちはございませんが、そういう一連の動きの中に今日の文部行政が動いているということを私たちは思うときに、どうしてもこの日本の平和憲法、民主主義に基づく教育というものをあくまでも基本にして日本の教科書、そして教育というものはどこまでも行われるべきであると強く確信をいたしておるわけです。ですから、そういう意味におきまして私たちも十分これに対しては関心を持ってまいりますが、大臣といたしましては、いま申し上げました私の考え方に基づいて当面日本の文教行政をやっていただきたい、こういうふうに重ねてお願いします。いいですね。
○田中(龍)国務大臣 政治をなさいます方々は、国民に先んじて国を憂え、先んじて主張をなさることが本務であろうと存じます。しかし、私ども行政官は受けて立つのが大体の姿勢でございます。ただ、考えますことは、われわれはあくまでもかわいい子供さんの将来のために、また次の世代を担う青少年のりっぱな教育をいたしますために、りっぱな教科書をつくりたいという念願でそれに努めております。
○鈴木(強)分科員 時間が非常に少なくて、もっと詰めた論議もしたいのですが、また他の機会に譲ります。
 それで、時間がありませんので、大臣、これは基本の考え方だけ述べてください。
 実は四十人学級についてはいろいろ御苦労いただいて動き出したわけです。聞くところによりますと、十二年たってやるのだというようなお話も聞いておるのですが、これは実になまぬるい話です。予算その他の問題がありますからむずかしいことだとは思いますが、今日、中学校の校内暴力やあるいは非行がだんだんふえて非常に問題になっているわけで、そこには教師と生徒との心の通った問題が欠けているというようなことも言われておりますし、私たちは、行き届いた教育をするためにはやはり四十人学級というものが適当である、否、もっと三十五人なり三十人にしていくべきだ、こういう考え方を持っておるのでありますが、当面四十人のところに一応ステップを合わせて動き出したわけですから、ぜひひとつこれはもう少し繰り上げて、早急に実施できるように最大の努力をしていただきたい。時間がありませんから、やってくれるということだけ言ってもらえばいいです。経過は全部やめてください。
○三角政府委員 これは御承知のように非常に財政事情の厳しい折からではございますけれども、ただいま御主張のようなことも動機といたしましてあえて踏み切ったわけでございますが、当初三年間は児童生徒の自然増というのが全国的に毎年三十万人ぐらいずつありまして、これに見合う必要な教員の増が毎年九千人から九千五百人、こういう状況のもとでスタートをいたしました関係上、やはり全体の計画を児童生徒の自然増がおさまるところから本式のスタートにせざるを得ない、そういうことで十二年ということでございますが、それにしても最終的には現在の見込みでは約四万三千人の人員増が必要なわけでございまして、私ども国会で御審議をいただきましてこういった形で決めさせていただきましたので、現在はまずこの計画をできるだけ、引き続き財政状況厳しい折からでございますが、毎年毎年円滑な実施を期してまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。
○鈴木(強)分科員 時間がなくなりました。時間で終わりたいと思いますから簡単にお答えいただきたいと思いますが、現在、小中学校生徒一人当たりの年間の父兄負担はどのぐらいになっておりますか、一番最新のところでおわかりでございましたら教えてください。
○三角政府委員 ただいま突然の御質問でございましたので精細な資料がないのでございますが、父兄が支出した教育調査によりますと、学校教育費が小学枝の場合に七万一千二十五円、中学校の場合に十万三千二円、こういう金額になってございます。
○鈴木(強)分科員 これは公立の場合でございますね。
○三角政府委員 さようでございます。
○鈴木(強)分科員 大臣、義務教育は無償であるという憲法のもとに、小学枝では七万一千二十五円、それから中学では十万三千二円、こういう膨大な負担を父兄が年間しておるわけですね。地方自治体でも父兄負担軽減のためにいろいろ措置をとっておるところもございますが、給食等についてもちょっと伺いたかったのですけれども時間がありませんが、何とかもう少し国としてこの父兄負担が減少するような措置をとっていただきたい、こう強く私は前から願って、毎年毎年こういうような質問もしておるわけですけれども、ぜひ来年度あたり思い切った措置をとっていただけませんでしょうか。
 それからこの際、時間がありませんからもう一つ、学校の図書館がございますね、そこの司書の皆さんの身分、待遇の問題です。これは議員立法で法律ができておりますけれども、当分の間というのはもう何十年たったですか、一向にその措置がとられておらない。私もこれは毎年毎年質問しておりますけれども、実際気の毒ですよ、三万円から四万円ぐらいの給料をもらって、しかも臨時みたいな形でPTAが雇ったり、まあ市町村で雇っているところも若干ありますけれども、議員立法ではありますけれども何とかこれは実現をしてもらわないと、法律違反を文部省はいつまでやるのか、そういう批判も出てきていますから、これについても最大の配意を今後していただくようにお願いします。二つ答弁していただいて、終わります。
○三角政府委員 義務教育の無償というのは、私から申すまでもなく授業料の無償ということでやってきております。御指摘のように、父兄の学校教育費支出というものは現実として御説明申し上げたような金額で、そのほかにあるわけでございます。ただ、私どもも公費の支出の確保充実に努力してまいりまして、ちょっと御報告申し上げますと、昭和四十一年度を一〇〇として、小学校の場合に父兄支出は五十二年は四四四、それから公費の方の支出は六〇二、中学校の場合には父兄支出が四〇〇、公費支出が六六四ということで、国ないしは地方公共団体も教育のための経費の充実にはいろいろ相努めてまいったというふうに思っておるのでございます。
 それから、学校図書館の司書でございますが、これはそういう資格を持った人がかなりおるわけでございますので、できるならばそういうものの発令をして、しっかりした図書館運営をしていただきたいという指導をしておりますけれども、御指摘のようになかなかそういう事例が出てないというのが現実でございますので、今後もいろいろと相努めてまいりたいと思います。
○鈴木(強)分科員 どうもありがとうございました。
○愛野主査代理 これにて鈴木強君の質疑は終わりました。
 次に、玉城栄一君。
○玉城分科員 最初に、国立琉球大学のこれまでの整備拡充の状況と将来計画について、概略御説明をいただきたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 担当官から御説明いたさせます。
○吉田(壽)政府委員 琉球大学は、御案内のとおり現在地の首里地区が大変敷地が狭隘でございまして、かつ文化財の埋蔵地であるというようなことからいたしまして、琉球政府時代にすでに西原町の千原に移転することを決定されまして、五十一年度から敷地造成工事に着手いたしまして、年次計画によりまして農学部を初め関係学部の校舎の整備を行っているところでございまして、昭和五十六年度におきましておおむね完了する予定となっております。なお、今後は昭和五十四年度設置の医学部並びに昭和五十六年度設置予定の附属小学校の建物を、学生、児童生徒等の受け入れに支障がないように年次計画によって整備する予定となっております。
○玉城分科員 附属小学校は五十六年度、中学校はどんなふうになりますか。あるいは幼稚園、養護学校等々はどうですか。
○宮地政府委員 附属学校の設置についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり教育学部の附属学校につきましては、四十七年の沖繩復帰の際に大学全体の統合計画との関連からその一環として整備をするという考え方で来ておりまして、今日まで概要、附属学校ということで対応してきたわけでございます。その後、ただいま管理局長からも御答弁申し上げましたとおり統合、移転も進捗しておりまして、教育学部も五十七年度から新キャンパスにおいて教育研究を開始することになったわけでございまして、それに伴いまして附属学校についても五十六年度に附属小学校を設置しまして、施設設備の整備等、受け入れの準備を図った上で、五十七年四月から児童を受け入れるということで考えておるところでございます。
 なお、お尋ねの附属中学校及び養護学校等の整備についても、今後の全体計画に対応しまして検討することにいたしたい、かように考えております。
○玉城分科員 ですから、いつごろをめどにですか。
○宮地政府委員 ただいま申し上げましたとおり、当面五十六年度で小学校の設置に着手し、五十七年から児童を受け入れるということにいたしたわけでございまして、それに引き続きまして附属中学校の問題も処理をする必要があろう、かように考えておるところでございます。
○玉城分科員 小学校はわかりました。中学、幼稚園、養護学校もそういう方針であるというふうに承ってよろしゅうございますか。
○宮地政府委員 当面、それらの附属学校の整備については今後の課題というぐあいに心得ておるわけでございまして、大学全体の整備計画と対応して、今後の検討課題として処理をいたしたい、かように考えております。
○玉城分科員 そこで、この機会にちょっとお伺いしておきたいのですが、先々月鈴木総理がASEAN諸国を訪問されまして、五カ国、人づくりセンターをつくるお約束をしてこられて、東京と沖繩の方にもそれをつくるのだということを発表しておるわけであります。これは沖繩でつくるということで亜熱帯の農業あるいは熱帯の農業、水産業との絡み等もあるわけでございますが、琉球大学との関係性が当然出てくると思うのですが、その辺、外務省とこのことについて協議されているのであれば、どういう方針で文部省としては臨まれるのか、いかがですか。
○宮地政府委員 ただいまのところ、琉球大学側と具体的な協議というような事柄については承知いたしておりません。
○玉城分科員 いや、外務省にその件についてお話は伺っておりますか、まだですか。
○植木政府委員 直接の担当者がおりませんので正確にお答えできませんが、本件につきましては外務省の方と担当の馬とではいろいろと話し合いはしたようでございますが、その後どのようになったか、ちょっと私どもまだ正確に把握しておりません。
○玉城分科員 次に、大臣にお伺いしたいのです。
 沖繩が行政分離されまして、沖繩の人材育成ということで、昭和二十八年から長い間、国費沖繩学生という制度が設けられまして、相当数の人材が育成されてきたわけでありますが、五十六年度に琉球大学に医学部を設立、学生募集ということでこれが打ち切られるということなんです。地元の方では、沖繩はまだ離島、僻地が非常に多い、慢性的な医師不足というようなことから、その制度の存続を強く要請しているのでありますが、大臣、その点についてはいかがでしょうか。
○田中(龍)国務大臣 沖繩の問題につきまして、実は内閣の方といたしましても、総理府の総務長官が中心になりましていろいろな問題について非常に真剣に取り組んでおります。私も総理府の総務長官をいたしまして、不思議に総理府総務長官になりますと、沖繩を何とかしなければならないと、本当に情熱的と申しますか、真剣に取り組むようになりますことは、一つの特色でございます。しかし、いまのお話の南国センターの問題でありますとか、それから沖繩を中心といたしました開発の問題も、他面御承知の電力料金の改定なんかで沖繩が非常に苦しい財政状況下にある、それに対して何とか政府といたしましても万般の諸施設、救済措置を考えたいという本当に真剣な情熱を持って取り組んでおります。
 また、国費の沖繩学生についての今後の問題も、琉球大学の医学部がいよいよスタートする時期でもございますので、当面は同学部の入試の状況を見守りながら、その結果につきまして今後とも関係者と相談してまいりたい、かように考えております。
 なお、沖繩の問題につきましては、あるいは学術方面におきます学界との関係とかその他いろいろな懸案がございますが、みんなが真剣に一生懸命に取り組んでおることだけは申し上げておきます。
 なお、南国センターの問題については、外務省の関係、さらにJICAの関係の方面に予算的にはなるだろうと考えております。
○玉城分科員 そこで、これは局長さんで結構ですが、いまの国費沖繩学生制度の延長の問題について、県の方では内々にお話し合いもされているやに伺っているわけであります。その点、いかがでしょうか。
○宮地政府委員 先ほど大臣が御答弁された点でございますが、お話のように、この国費沖繩学生の問題は関係者が大変熱望しておることは十分承知しておるわけでございますが、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、琉球大学の医学部がいよいよスタートするということで、当面、同学部の入学試験が行われているわけでございます。具体的には、琉球大学に医学部が設置され、教育的に見れま、沖繩県出身の学生ができるだけこの琉球大学の医学部に入学し、そうして沖繩県の医療のために貢献するということが琉球大学の医学部を設置しました大きな本来のねらいでもあるわけでございまして、私どもとしては、基本的にはそういう対応ができることを望んでいるわけでございます。
 したがいまして、当面はその学部の入学試験の結果を踏まえまして、関係者と十分今後の扱いについては遺漏のないように対応したい、かように考えております。その上で具体的な御相談に対応いたしたい、かように考えております。
○玉城分科員 いまの点、重ねて伺っておきたいのですが、従来、国費沖繩学生がなかなか帰還をしない。離島とか僻地とか、特に沖繩の慢性的な医師不足の解消のために、当面というようなことで、眼科だとか耳鼻咽喉科ですか、そういう科目に限定した形で要請をしたい、正式な要請を県側はしたいというような意向のようであります。したがって、そういう要請がありますときには文部省としてはどうされるわけですか。
○宮地政府委員 実は、この問題は五十六年度の予算編成の当時から内々そういう御相談を受けていた点でもございますので、先ほど御答弁申しましたように、医学部の入学試験の結果等を踏まえた上で、具体的に県当局その他関係者からの御意向をその時点で十分伺った上で対応するようにいたしたい、かように考えております。
○玉城分科員 次は、高校の適正規模についてどのように考えていらっしゃるかということを伺いたいわけですが、沖繩の場合、本土と比較をいたしましてどういう状態になっているか、概略で結構ですが、御説明いただきたいと思います。
○吉田(壽)政府委員 沖繩県におきます高校建物の整備の状況でございますけれども、これにつきましては、本土への復帰以来昭和五十六年度までの十年間に、高校の新増改築費といたしまして、事業量で申しますと約三十一万九千平方メートル、補助金額では百九十二億九千四百万円というような予算措置を講じておりますし、昭和五十六年度にはさらに二校の高等学校の開校を予定しているわけでございまして、合計十校の新設校を開設するなど、私どもとしては沖繩の高校の建物の整備に努めてきたところでございます。この結果、高校の建物につきましては、小中学校の建物も同様でございますけれども、本土並み水準が達成されるものと考えているところでございます。
 なお、今後の高等学校の整備計画につきましては、関係省庁並びに沖繩県と十分協議して検討を進めてまいりたいと考えております。
○玉城分科員 いまの高校の問題なんですが、御存じのとおり離島が非常に多いわけでして、公立の高校新設を強く要望しているわけです。そこで、非常に離島が多いわけですから、離島に高校の分校みたいなものを設置するというようなことについてもお考えになるつもりはございませんか。
○吉田(壽)政府委員 沖繩県の教育委員会の方からそういう計画が出てまいりますれば、私どもは最大限それが実現するように努力いたしたい、そういうふうに考えております。
○玉城分科員 そこで、いまの高校の問題と関連して伺っておきたいのですが、沖繩市に私立の中央高校というのがございまして、これは昭和三十二年に創立されたわけでありますが、負債約十億の累積赤字を抱えてまさに廃校寸前にありまして、長年県立に移行してもらいたいという、学園はもとよりでありますが、関係諸団体からもそういう強い要請があるわけであります。そのことについて沖繩県側としてはごく最近その方針を明らかにしているわけですが、そのことについて文部省としてどういう御指導をされるのか、その点を伺います。
○吉田(壽)政府委員 学校法人国際学園中央高等学校の県立移管等に関するそういうことにつきましては、私ども全くまた承っておりません。したがいまして、いま先生の御説のようなそういう事情がございますれば、これから沖繩県並びに沖繩県の教育委員会当局から十分その事情を聴取いたしまして、その上で文部省としてできるだけの対処をいたしたい、こういうふうに考えます。
○玉城分科員 この高校には七百六十名の生徒がいるわけですが、こういう学校の存立に関する問題が出まして大変不安に駆られているのは当然だと思うわけです。したがって、県の意向としては県立の方に引き継ぎをしたいということですが、ただ教職員の身分等についてはそのとおりは引き継げないというようなことなどもありまして、そうなりますと、県立高校がいつできるのやら、それから現在いらっしゃる教職員、事務員、用務員等の方々の身分がはっきりしませんと、この七百六十名の生徒の学習権についても大きな影響を来してくると思うのですが、その点についてはどんなふうにお考えになりますか、そういう状況の場合ですね。
○吉田(壽)政府委員 先ほど申し上げましたように、まだこの報告あるいは情報を私ども得ていないわけでございますが、いまお話しのようなことで、現にそこで学んでいると百六十名の生徒のこと、あるいはそこに奉職しております教職員の将来のことなどを考えまして、そういうような方々が途中で学業を放棄しなければならないというようなことのないように、また現に就職しております教職員につきましても、その将来に不安を生ぜしめないように、この点につきましては十分に沖繩県と御相談してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○玉城分科員 その点について重ねて要望を申し上げておきたいわけでありますが、七百六十名の生徒の学習権を保障する、これは憲法の精神あるいは教育基本法の精神から言いましても、文部省としても重大な関心を持って指導なり対応をしていただかないと大変な問題になると思うわけです。したがって、生徒の学習権を保障するという意味において、現在の教員の方々の身分の保障あるいは事務関係の職員の身分の問題についてきちっとしないと、これは非常に動揺が大きくなってくるのではないかということが憂慮されるわけであります。その点、ぜひきちっと指導していただきたいと思います。
 それからもう一点は、国体、いわゆる国民体育大会のことについてお伺いをしておきたいわけです。
 この国体に関する予算の問題なんですが、国体開催県は、施設整備費、運営費、選手強化費等、きわめて大きな財政的負担を強いられているわけです。また、参加費、役員、選手派遣費等々を捻出するために苦慮しているのが実情です。地域社会や青少年のスポーツ振興に充てる経費がそのために食われているとの批判もあるわけでありますが、文部省としてはこういう批判についてはどのように受けとめておられるのか、お伺いいたします。
○柳川(覺)政府委員 御指摘の国民体育大会につきましては、日本体育協会、国、地方公共団体が共同して開催する責任を持っておりまして、国といたしましては、開催の都道府県の経費一般につきまして開催運営費に対しての補助施策につきまして年々増額の努力を重ねておるところでございます。また、先生御指摘の施設設備の整備費につきましては、学校体育施設はもとより、社会体育施設の整備費補助も対象として取り組んでおります。また、選手強化事業につきましても、わが国のスポーツの水準を国際的にも高めていくということにつながる面でございますので、各都道府県におけるジュニア対策等の選手強化対策につきましても補助施策を講じてきておるという状態でございます。
○玉城分科員 そこで、この問題に関連しまして、六十二年に開催が予定されております、これはまだ正式じゃないでしょうが、沖繩国体とでも申しましょうか、その場合、当然派遣費、それから旅費負担が大きいと考えられます。そういうことについては文部省として何らかの補助を考えておられるのか、いかがでしょうか。
○柳川(覺)政府委員 参加する選手の旅費、滞在費等の経費につきましては、国体は各県から選出した選手によって開催されるスポーツの祭典といたしておりまして、参加する各県の責任において、また競技団体等の責任においてこれを取り扱っていただくということで、参加費等につきましての国庫補助は従来行っておりません。
○玉城分科員 私、それを申し上げますのは、非常に遠距離でありますので、文部省としても何らか考える必要があるのではないか、ひとつ御検討をいただきたいと思います。
 それと、国体での火器使用のスポーツについてですが、スポーツは平和を目的としたものであり、競技種目もそこに限定されるべきであろうと考えるわけであります。火器使用が必ずしも戦争目的であるとは言えないにしましても、現在のところ、国民各層がひとしく練習できるか否かに大きな判断基準が置かれるべきではないかと思うわけでありますが、文部省とされて、申し上げましたこの火器使用の競技についての見解を承っておきたいと思います。
○柳川(覺)政府委員 御指摘の火器使用の種目につきまして、国民体育大会ではライフル射撃競技、ピストル競技を含めましてクレー射撃競技、バイアスロン競技が実施されております。これらの競技種目はいずれもオリンピック大会等の国際競技会の種目となっております。これとも関連いたしまして、国民体育大会の競技種目としては妥当なものであろうという見解を従来ともとってきておるところでございます。もとよりスポーツ大会は平和友好裏に行うということを趣旨としての取り扱いでございまして、その面からも妥当な種目であろう。一部ライフル等につきましては、最近一般の愛好の方も選手に参加してきている状態もございますので、従来の姿勢で臨んでおるところでございます。
○玉城分科員 そのライフル等なんですが、これはいま申し上げましたとおり、国民各層がひとしく練習できるか否かという点からいたしますと問題があるのじゃないかと思うのです。この点もひとつぜひ検討していただきたいと思うのです。
 次に、自衛官と警察官の参加についてなんですが、本来の使命から言いまして好ましくないのではないかという意見もあるわけです。その点についていかがでしょうか。
○柳川(覺)政府委員 御案内のとおり、国民体育大会は国民の各層を対象とする体育、スポーツの祭典でありますので、したがいまして、その参加につきましては政治的理由や社会的身分等によって差別されるということはあってはならないという考え方がとられておるわけでございます。したがいまして、種目によっては、もとより自衛官あるいは警察官の方が選手として参加されるということで取り扱ってきておるという実態でございます。
○玉城分科員 時間が参りましたので、これで終わります。
○愛野主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終わりました。
 次に、永末英一君。
○永末分科員 文部大臣は昔満鉄にお勤めでございましたですね。
○田中(龍)国務大臣 そうです。
○永末分科員 そのときに御子息はおられましたですか。
○田中(龍)国務大臣 私は満鉄に参りましたときは単身赴任で参っておりまして、家族は日本に残っておりました。
○永末分科員 私も満鉄の後輩でございますが、東京に就職しただけでございまして、満州へ行ったことはございません。文部大臣は満州へ単身赴任で行かれました。そうしますと、そのころの満州におる日本人の子供たちの教育については見聞されたことはございますか。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
○田中(龍)国務大臣 私は人事課の人事係に着任しましたので、そんな関係で満鉄の育成学校で教鞭をとっておりました。しかし、教育方法はいまと全く違ったものでございます。
○永末分科員 そうしますと、文部大臣は海外における日本人子女の教育については経験者でございますな。
 そういう意味合いで、教育基本法の第三条は「すべて国民は、ひとしく」真ん中は抜かしますが「教育上差別されない。」と書いてございます。教育の機会均等は、日本国民である以上はどこで生活しておろうと差別されないようにちゃんとやった方がいいという精神が教育基本法に盛られていることは御承知でございましょうね。
○田中(龍)国務大臣 当然その問題についてだたいま取り組んでおる真っ最中でございまして、ことに海外子女教育の問題は非常に重大な問題でございます。
○永末分科員 私どもも海外へ出ることがございまして、そのときに在外の日本人子女の学校の施設や教育の状況等を見せてもらいます。昭和四十八年でございましたか、衆議院の外務委員会で、その当時の在外日本人子女の学校運営が非常にうまくいっておりませんものですから、海外子女教育等に関する件というので決議をいたしました。日本国憲法及び教育基本法の趣旨にかんがみ、本邦の歴史的、文化的伝統を正しく伝える教育の機会を与えることは重要であるから、政府はちゃんとやれ、こういうことでございました。補習授業校並びに全日制日本人学校の教育施設の整備拡充をやれ、教員の増員並びに待遇改善をやれ、教材整備等をちゃんとしなさい、それから帰国子女の本邦学校への受け入れの円滑化を推進するためにこれもちゃんとしなさいというようなことを言うたのですが、文部省はこれを御存じですな。
○松浦(泰)政府委員 承知いたしております。
○永末分科員 その後大分努力の跡が見られることは、まことによいことでございます。
 ところで、海外の日本人子女学校は、わが方の主権の及ぶところではございませんものですから、わが方の法律が届いていない、こういうことでございますから、文部省のやっていること、外務省のやっていることは、なかなか御努力の点があろうかと思います。
 さて、この日本人小学校に日本国から派遣されている教員がおりますが、この派遣されておる教員はどういう法律に基づいて行っておりますか。
○松浦(泰)政府委員 教育公務員特例法という法律がございまして、これは国立学校、公立学校の先生にともに適用のあるものでございますが、その二十条三項という規定がございます。法文を読みますと、「教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。」ということでございまして、研修出張という形で派遣をいたしておるところでございます。
○永末分科員 外務委員会でこれをつくりますころは、長期研修で行っている人もおるし、やめて行っている人もおるし、まちまちでございまして、ひとしく派遣されておる方々なのに、やめて行くようではなかなかいい人は来ない、こういうことで長期研修出張を望んでおりましたが、いまや全員長期研修ということで行っておりますか。
○松浦(泰)政府委員 そうでございます。
○永末分科員 それは結構であります。
 ところで、現地の小学校には、そういう形で行っている教員と、それから現地で滞在している人で、補助職員か名前はよくわかりませんが、要するに現地採用の教職員として教えておる人と、二手あるわけですね。この比率はどうなっていますか。
○松浦(泰)政府委員 日本人学校に正式にこちらから派遣いたしております者が七百十六人ございますが、現地採用教員数は百二十六人でございます。それから、補習授業校と言われておりますものに派遣いたしております正式の派遣教員は二十八人でございまして、補習授業校における現地採用教員数は六百九十五人でございます。合計いたしますと、正式派遣教員数が七百四十四人、現地採用教員数が八百二十一人ということで、現地採用教員の方が派遣教員数を少し上回っておる状況でございます。
○永末分科員 全日制と補習校とは内容が違うのは当然でございますが、文部省としては、全日制における派遣教員と現地採用との比率はどういう比率が望ましいと考えておられるか、それから、同じく補習校における現地採用と派遣教員との比率はどういう比率が望ましいと考えておられるか、御方針があるのかないのか、あればその方針をお述べ願いたい。
○松浦(泰)政府委員 私どもは、先ほど先生から御指摘のございました衆議院の御決議等に基づいていろいろ施策を進めておるところでございますが、日本人学校に対しましては、できるだけ正式の教員を日本から送りましてその充実に努めるという方向で努力いたしております。ただ、残念でございますが、現在では国内基準に照らしまして八二%ということでございまして、五十六年度予算が実現いたしますとこれが八三%に向上するわけでございますが、日本人学校に対しましては、私どもできるだけこの派遣教員数を基準まで充足していきたいという方向で考えておるところでございます。
 ただ、現地におきましては、国によりましていろいろな事情もございます。そういうことで先ほどの足らない部分を現地採用教員で補充する、あるいは現地語とか現地の国の事情等を授業するために、やはり現採の教員がいいということもあるわけでございます。これにつきましては、現地の日本人会等の考えによりまして採用され、外務省の方も見えておりますが、外務省から一定の援助を行っておるところでございます。
 また、補習授業校等につきましては、現地の学校はかなりりっぱなものが備わっておるところが多いのでございますが、現地の学校に行きながら、なお日本人としての教育を定時制的に受けておるというところがございまして、このところにつきましても土曜日、日曜日等行っておりますし、場合によりましては、現地校から帰りまして一、二時間日本の授業を受けておるわけでございますが、そういうところに対しましては、規模の大きいところには、大体、現在のところ百人以上のところに一名、さらに四百人を超えるごとに一名ずつ教員を派遣いたしまして対応いたしておるところでございます。
 そういうことでございますので、全面的に派遣教員でこれを充足するということは実際問題としてなかなかむずかしいのでございますが、今後ともその点につきましても派遣教員の増員に努力していきたいというように考えておる次第でございます。
○永末分科員 先ほど、現状は八十数%でというふうな話がございましたが、できるだけやりたい、しかしそれはなかなか充足されない、こういうお話ですが、方針は全員やりたいのか、全員やらぬ方がいいというのか、あるいは九割何分が望ましくて、たとえば五%とか八%とか一〇%は現地での採用が必要だと考えておるのか、方針はどうなっておるのですか。
○松浦(泰)政府委員 方針としましては、日本人学校につきましては全員派遣教員で必要な授業はカバーできるようにいたしたい、国内基準に対しまして一〇〇%まで持っていくように努力したいと考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、現地語を教えるとか、あるいは現地の国内事情等を教授するためには、これは派遣教員では間に合わないと思いますので、そういう方が理想的にはプラスされて採用されるということになろうかと考えておる次第でございます。
○永末分科員 補習校についてはどういう御方針ですか。
○松浦(泰)政府委員 補習校につきましては、先ほど申し上げましたような基準で考えておるのでございますが、ただ授業時間数等も土、日というように偏るような傾向もございますし、また人数等もいろいろな態様がございますが、その辺で国内基準というものもないわけでございます。ただ、日本の勉強をする限りにつきましては、人数が多いところはだんだん増員をしてやっておるわけでございまして、はっきりした基準はございませんけれども、日本の教育を受ける範囲につきましては、今後ともできるだけ努力しまして教員の派遣数をふやしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○永末分科員 補習校には方針はないということですな。
○松浦(泰)政府委員 いま明確な基準はございませんが、日本の教育を受ける範囲につきましては、できるだけ支障のないように増員を図っていきたいと考える次第でございます。
○永末分科員 全日制は、小学校は何ぼ、中学校は何ぼありますか。
○松浦(泰)政府委員 日本人学校は六十七校ございます。
○永末分科員 文部大臣、日本人小学校の場合、全時間行く補習校でない方は一〇〇%派遣教員でやりたいというような方針である。文部大臣もその御方針ですね。
○田中(龍)国務大臣 海外で非常にそういう点では求められております関係からも、一〇〇%その方がよろしい、かように考えております。
○永末分科員 派遣教員は、やはり国内における教員としての特別の教育を受けて、そして実績も持った方が行く。現地で採用される方はそうではない方でございますから、やはりそういう方々から教育を受ける子供たちにすれば、教育効果という点から見れば派遣教員に教育を受ける方が、本土におきます子供たちと同等の教育を受けるわけでございますから、これは教育の機会均等になっておりますが、現地採用だけだとよくわからぬ点が残るのではないかということを私は心配するわけでございますので、一〇〇%の方針を早く貫くようにひとつ文部省としてはぜひ御努力を願いたいと思います。
 さて、その派遣教員の方は、派遣でございますから、研修ですから、また日本へ帰ってきて日本の学校の教員になるから、退職金であろうと何であろうとこれは心配ないのですが、現地採用というのは一体何ですか、アルバイトですか。
○杉野説明員 御説明申し上げます。
 現地採用教員百二十六名の内訳をちょっと調べてまいりましたのですが、それによりますと、男が二十六名、女が百名。また外国人と日本人との内容につきましては、日本人が百三名、外国人が二十三名。この外国人二十三名は、先ほど御説明のとおり外国語の教育に携わっている者でございますけれども、先ほど申しましたように女性の現地採用教員が大変多うございます。
 その理由は、すなわち現地採用教員として採用されます御婦人方は、大体において派遣されました派遣教員の御夫人とかあるいは在留邦人の御夫人で教員資格を持っておられる方、したがって、そういう方たちの御援助にすがっている、こういうことでございます。それからそのほか、あるいは国際結婚をされて現地人の奥さんとなっておられる日本人の婦人で教員資格をお持ちになっている方、そういった方もおられます。
 このように、現地の生活根拠というものはすでに別にあって、そして生活の足しといいますか、そういう面もございましょうけれども、現地採用教員として日本人学校等に協力しておられる方は、極端に言えばアルバイトということになりましょうけれども、要するに生活の根拠というものは別にあると考えることができるかと思います。
○永末分科員 最後に言われたところが重大であって、生活の根拠は別にある、だから現地採用で来ておるのはアルバイトだから身分保障などは考える必要がない、こういう態度ですか。
○杉野説明員 身分保障の問題につきましては、これは制度の問題でございますので長期的な課題として研究したいと思いますけれども、いま申し上げましたように、実際問題としまして、身分保障の必要というものは、百二十六名の先生につきましてそれぞれ個々に検討してみますと、それほど大きい要求はないというふうに考えております。
 しかしながら、政府としましては、こういった現地採用教員が日本人学校におきまして大変重要な役割りを果たしているという現実は十分認識するものでございます。したがいまして、現地採用教員の給与のために、政府補助という形でできるだけの協力をするという努力は今後とも強化し続けていきたいと考えております。
○永末分科員 文部大臣、教育を自分の生涯の仕事として、どこにおろうと日本人の子供は子供なんですから、生涯を打ち込んでやる人と、アルバイトという言葉は当たるか当たらぬか知りませんが、好意でやっておるという人とは、教育態度に違いが出ると私は思うのですね。そうしますと、それによって教育を受けた子供たちが国内へ帰ったときに、国内で教育を受けた子供たちとの間に非常に開きが出てくる。これは受け入れ体制の問題で後でまた聞きます。
 その前に一つ聞いておきたいのは、外国の日本人学校では、やはり外国でございますから日本国のお祝い、祝祭日というときには君が代を歌っていると聞いたわけでございまして、国内の学校は一体どのようになっておるのか。
 あるところでこんな話を聞いたのです。自分のところの孫が五年生になるが、永末さん、君が代を知らぬのです、一体このごろ小学校は君が代を教えぬのですか、こう聞かれまして往生じました。教えるのか教えぬのか、あした文部大臣に会うから聞いておきましょう、こう言って別れたのでございますが、文部大臣、いまわが国の小学校では君が代を歌うことになっておりますか。
○三角政府委員 国歌であります君が代は、まず小学校の音楽の授業におきまして、各学年を通じてそれぞれの児童の発達段階に即しまして教えることになっております。さらに、小中高等学校を通じまして、特別活動におきまして、国民の祝日あるいは学校の記念日等におきまして儀式などを行う場合には国歌を斉唱するよう指導しておるところでございます。
 また、その他社会科等においても、国旗や国歌は、これは日本国はもとより、外国のものも含めましてこれを尊重していくという態度を育てなければならないということが基本でございます。
○永末分科員 いまお話を伺いますと、国歌である君が代は音楽で、あとは中学校、高等学校等においても国歌は、という話がございました。国歌は君が代ですか。
○三角政府委員 国歌は君が代でございます。
○永末分科員 国歌は君が代というのは、いつ、どこで決めましたか。
○三角政府委員 私どもは、君が代を国歌とする法令上の直接の規定は、永末委員御承知のようにないわけでございますが、明治以来今日まで、これを国歌とするという認識は広く国民の間に定着しているものと考えております。
 そこで、今回の学習指導要領の改定に当たりまして、自国の国歌を尊重し、また外国の国歌も尊重する態度を育てる、こういうことを重視する趣旨から、君が代を学習指導要領の上で国歌という字に改めたものでございまして、国歌は君が代でございます。
○永末分科員 明治二十六年八月十二日に文部省告示第三号別冊に「祝日、大祭日歌詞並楽譜」というので「君が代」が出ておりますが、これはいま生きておりますか、死んでおりますか。
○三角政府委員 現在は、先ほど御説明申し上げました学習指導要領で指導上の基準を定めております。それが生きておりますので、明治二十六年のものはそれにとってかわられておるというふうに考えております。
○永末分科員 この指導要領は、音楽の指導要領には「国歌「君が代」」と書いてある。ところが、ほかのところは「国歌」とだけ書いてあって、君が代は書いてないわけですね。そうしますと、国歌が君が代であると思っている人もあるし、変わることもあり得ると考えている人もある、そう解釈しないとも限らない、これは重大問題でございます。文部大臣は国歌が君が代でないことがあり得ると思いますか。
○田中(龍)国務大臣 私は、当然国民感情としてそのとおりに受けとめております。
○永末分科員 法律で何でも決めなければならないことはないのでございますが、わが国の国民は法律が好きでございまして、国旗の制定はきょうは聞きませんけれども、音楽におきまして「国歌「君が代」」と指導要領に書いたのは何年からですか。
○三角政府委員 同じ指導要領でございますので、今回小学校におきましては昨年の四月から実施になった指導要領の中のことでございまして、音楽の方はやはり音楽でございますから曲の名前をことさらに書いたということでございまして、国歌は君が代に決まっているという前提で、そのようなところは「国歌」とだけしか書いてないわけでございます。
○永末分科員 決まっていると思う人もあるし、国歌だけであれば変わることはあるかもしらぬというように読む人もありますし、なかなか日本語はむずかしいのでございますから、いま文部大臣は当然のことのように考えておられるようでございますが、やはり文部省としては国民だれでも国歌と言えば君が代だとわかるようにしてもらわぬと、国民の慣習でそうなっているだろうでは、なかなか世の中通らぬことが多いのでございます。ちゃんとする必要はあるとお考えでしょうか、する必要はないとお考えですか。
○田中(龍)国務大臣 貴重な御意見として伺っておきます。
○永末分科員 この種の問題はなかなか、一遍三十六年前に戦争に負けたものでございましていろいろ問題を醸しておりまして、小学校のある校長が祝祭日ごとに君が代を歌わせることがニュースになったりしておることがある。そういうように国歌に対する見方が国民の中でまちまちでございますから、やはり指導要領で、ここまでことしから実施せられるようにやられるというのだったら、文部省としては、やはりちゃんとだれでも国民ならわかるようにされるのが至当だと思います。
 君が代というものは、言葉を歌うときの歌はあれですが、自衛隊のラッパは違いますね。海上自衛隊のラッパで吹奏する君が代と、陸上自衛隊の吹奏する君が代のラッパと音が違うのですが、文部省は知っていますか。
○三角政府委員 君が代の節は一つでおると思っておりますが、楽器の音色でございますとか、あるいは曲をアレンジいたしますときにつきます、いろいろなそれに組み合わさる低音部の節でございますとか、あるいはハーモニーでございますとか、そういうものは編曲する方によっていろいろでございまして、その中にはその場合場合にふさわしいものとか、あるいはどっちが優れているとか、そういう創意ないしはそれに対する評価というものは出得るということはあろうかと思います。
○永末分科員 それは君が代といって吹奏される場合もありますし、君が代行進曲で少しアレンジ、編曲したものもございますが、海上自衛隊のラッパ吹奏の君が代は、戦前から帝国海軍が吹奏しておったものと同じ曲譜であります。われわれが君が代と言われて歌う場合の君が代は、この戦争前、つまり明治時代以来われわれの先輩が歌っておった曲と同じものを歌っておる。といたしますと、ラッパの譜とピアノやオルガンで弾く譜とはどうなっているか、素人でよくわかり、ませんが、つまり海上自衛隊でやっておるのは昔と同じだから、昔のあのピアノやオルガンで弾く曲が、ラッパの場合にはそうなっていると思いますね。ところが、陸上自衛隊は帝国陸軍の吹いておったラッパと違うのですね。そうすると、また新曲ができたかと思いますが、そういう解釈を文部大臣はどう思いますか。
○三角政府委員 海上自衛隊、陸上自衛隊のお考えなりお立場なりはよくわかりませんが、またそれから君が代自体、この国歌そのものについて文部省が中心的な所管がどうかについても、私ども必ずしもそうであるかどうかという気がいたします。ただ、御指摘でございますので、ちょっと陸上自衛隊の方にも聞いてみまして、私ども勉強させていただきたいというふうに考えます。
○永末分科員 いま重大なことを言われましたな、国歌、君が代について所管がどうかわからぬと。文部大臣、つまり子供を教えなくちゃならぬというので指導要領に「国歌「君が代」」と明記されておる。これは政府の公式文書に載ったのは戦後初めてと違いますか。それも一遍お調べ願いたい。それで、もし初めて文部省は書かれたとすれば、他の省はいざ知らず、やはり文部省が所管であろうと思われるから、そうやられたと思う。ところが、同じ政府の他のところでこの話を違えてやっているところがあるということは、なるほど、君が代君が代と言うけれども、いろいろと節があるんだな、あるいは文句も違うのかもしれないと考える人もあるかもしれないですね。これはやはり同じものにすることが歴史の統一性を保つために必要だ。やはり調査をされまして、政府としてどうやっていくかということを、私はやはり文部省が責任はないなどと言わないで閣議で十分相談されて、それなら文部省でやりましょう、こう言って文部大臣が受けとめられてやられるべきではないかと思いますが、文部大臣の御所見を承ります。
○三角政府委員 君が代という歌詞も、それからメロディーも、一つの歴史的な所産でございますので、どれが基準であるかということについては、これについてはいろいろな考え方をお持ちの方はあるようでございます、学問的な問題として。文部省といたしましては、学校で指導する場合の歌詞並びにメロディーは一定したものを定めまして、それで指導をするように決めてございますので、申し上げる次第でございます。
○田中(龍)国務大臣 大変に貴重な御意見を承りました。私は陸上自衛隊が違った君が代をやっているとはつゆ知らなかったものでありますから、お答えができなくて恐縮でございます。十分調べまして、また政府の方にも連絡します。
○永末分科員 先ほど読み上げました教育基本法にもあるように、わが国の文化、伝統の継続性というものについて次代を背負う児童あるいは少年がはっきり認識するということは、私は教育の一つの大きな基本だと思いますので、取り上げました問題は君が代でございますけれども、文部大臣としましては十分ひとつ真剣にこれに取り組まられんことを期待をいたしまして、質問を終わります。
○塩崎主査 これにて永末英一君の質疑は終わりました。
 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○塩崎主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文部省所管について質疑を続行いたします。野口幸一君。
○野口分科員 私は、文部省当局並びに大臣にも、指導要領の問題につきまして詳しく現場の先生方の意見とさらに現在置かれている状況について申し上げ、御意見をちょうだいしたいと思っておるわけでございます。非常に細かい質問でありまして、ある意味ではおわかりにくい点が出てくるかもわかりませんが、できるだけわかりやすく、御理解がいただけるように話をいたしたいと思います。
 過日、私のところに非常に詳細にわたりまする現場教師からの手紙をいただきました。逐一読ませていただきましたが、切々と訴えるこの文面を拝見いたしまして、私は本当に現場の先生方が一生懸命汗水を流して、何とかして落ちこぼれのないようにということをまず第一にして教育に当たっておられる、特に小学校の一年生の教育について心を砕いていらっしゃる姿を拝見することができたのであります。
 まず初めにお聞きをいたしたいのは、指導要領というもの、その中身というものはいわゆる到達目標ということでありますが、これは絶対的に到達目標として最低線これだけはやらなければならぬ、こういう考えのもとに存在をしているものでしょうか。
○三角政府委員 指導要領には目標あるいはそれぞれの学年ごとに内容を示しておりますが、これは一つの基準と申しますか、標準でございます。
○野口分科員 標準と申しますと、たとえば十項目あったうちに三項目しかできなかった場合は、標準に到達したとは言えないという判断でございましょう。そうすると、過半数できれば標準に到達したという、数字の中で判断をされるのですか、どういう形でこれが到達をしているということを判断されるのですか。
○三角政府委員 一つの標準でございますので、学習指導を進めるに当たりましては、これをもとにいたしまして教育を展開していただきたい、こういうことでございますが、子供たちがこれらのうちのどの程度まで、そして子供たちのどの程度の人数がこれを完全に身につけ指導が行き届くかどうかというのは、結果としてはいろいろあり得ると思っておりますが、それを数量的に半分とか三分の二とかとらえることは、事柄の性質上困難ではないかと考えます。
○野口分科員 そういたしますと、お話を大体総合いたしますと、この学習指導要領なるものは、最低限これだけはやれ、こういう示唆をしていらっしゃるように受け取ってよろしゅうございますか。
○三角政府委員 学校の指導においては、いまお話しのような考えで取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。
○野口分科員 私、具体的に事例を挙げて申し上げてみたいと思います。果たしてこれが最低到達目標なんだろうかということを疑問視せざるを得ない内容でございます。
 一つは、「第一学年」の「目標」の欄に「具体的な事象の取扱いを通して数の概念や表し方について理解させるとともに、簡単な場合について加法及び減法が用いられるようにする。」実はこういう目標がございます。ところが、これを具体的に実施された先生が、こういうことに疑問を抱いていらっしゃるのであります。さらにその「内容」について「数と計算」「量と測定」「図形」、こういう三つの内容になっておりまして、「用語・記号」では「一のくらい、十のくらい」それから「+ − =」。「内容の取扱い」では「内容のA及びBに関して、操作的な活動をさせる場合には、観点を変えて発展的な思考をさせるような指導を行う必要がある。」これが小学校学習指導要領に書かれてある事項で、この要領にすべて拘束されているのだ、こういう先生の訴えでございます。先生が具体的な事柄について、加法や減法が用いられる場や加法、減法の意味を理解してこれらを式にあらわせるようにするということでありますから、この問題は非常にむずかしい。いわゆる一年生の一番初めでは非常にむずかしいことを目標にしている。いわばいままでのやり方といいますか、この指導要領が最近変更されたようでありますけれども、そのやり方から見れば、計算至上主義というものを改めまして、つまり加法や減法を理解するだけではなくて、「具体的な操作やことばと式をしつかり結びつけて行うことが大切である。」というように改められておりますので、その意味では一定の評価はあるだろう。しかし、それをどのように具体化させるかということについては非常にむずかしい問題だ、こういうことなんであります。
 もうちょっと言わせていただきますが、そこで、教科書会社の指導書によりますと、この問題につきましてはこういうことになっておるわけです。「上記に関連して、」つまりこのプラス、マイナス、イコール、加法と減法が用いられることを式にあらわせるようにするということですが、「上記に関連して、加法・減法の場を式に表すことができ、「たす」「ひく」「しき」の用語が正しく用いられるようにする。」そのためには「aプラスbイコールcaマイナスbイコールcの式にある日常の事象を捉え、話をつくることができるようにする。」ことである。つまり、プラス、マイナスのお話ができるようにしなければならぬのだ、こういう解説をしているというのであります。それは大日本図書、算数教科書、第一学年、ページ三十六からページ三十七にありますように、教科書の数式を見て「おはなしをつくりましょう。」つまり数式からお話ができるようにするというわけでありますから、これは説明するまでもなく、子供にとっては非常に高度なことを要求されているわけでございます。
 長くなりまして申しわけございませんが、そこで、現場の教師はこういうことを言っているわけであります。
 「おはなしと式の問題点」といたしまして、「計算への移行が早すぎる。」また、もう一つの意見としましては、問題の何々「は」何々「と」何々「で」という「助詞の意味を時間内では十分につかむことができなく、指導に困った。」こういうことであります。その次に「表現力(国語的)が備わっていない段階なので、無理だ。」三つ目には、「一学期の算数で、4プラス5イコール9のお話づくりが出てくるが、国語では、その時期に、一つの文章ができる程度の扱いとなっている。そのため算数では、二つの文を作り、その上「全部で九つです。」といった文まで付け加えねばならず、」二と三は五、そしてさらに二と二は四、そして全部で九つだというところまでしなければならぬということでありますが、これは「国語力でまず無理である。」そういったお話というものにつくり上げるには非常に無理がある。そして「おはなしと式の単元が、一学期の終りにあるが、まだ国語でもまとまった文を作るような指導が国語科のなかで充分なされていない段階」なので、とてもじゃないがこの指導要領では算数を理解させることはむずかしいといった最終的な判断を教師連がしているのであります。
 なぜ私がこのような細かいことを申し上げるのかといいますと、指導要領というものは実はいろいろな形でつくってあるのでありましょうけれども、一年生に入ってきた非常に格差がある子供を、落ちこぼれのないように基本的なところを教えるという立場にある現場の教師の具体的な教授方法と申しまするか、そういったものについて、余りにも単純な指導要領であるという最終的な判断を現場の教師が下しているのでございます。こういった指導要領について、これが最終的な到達目標だということで理解していらっしゃる文部省の考えに、現場の教師は非常に困惑しているというような実情でございます。この点についていかがな感想をお持ちでございましょうか。
○三角政府委員 ただいま先生から非常に細部にわたる具体的なお話を承らせていただいたわけでございますが、いまお話にもありましたけれども、指導要領は一つの基準でございますので、筋道だけをかなり抽象的に示してあるような面がございます。これを具体的な教材としてあらわすために教科書というものがございまして、そして教科書の指導の参考資料として、教師用の指導書のようなものを発行会社が事実上つくっておるわけでございます。
 ただいまお話をお聞きして感じましたのは、確かに算数なら算数の指導の進め方、それから国語にせよ、その他の教科にせよ、それぞれが児童の心身の発達段階に即して適切な進めぐあいになっていなければいけません。ですから、教科によりましてその進み方の度合いの出入りが余りあっては、これは一つの学校としての指導の上にも適当でないと思いますが、そのあたりは私どもとしてはいろいろと配慮を重ねまして、今回の指導要領をまとめてきたつもりでございます。
 御指摘の例にございました差し引きの問題にいたしましても、たとえばミカンならミカンが五つあるうちから友達に二つ上げたら後に幾つ残っておるかというように、これは一つの式に立てられることでございますが、それをいま申しましたような形で、具体の事象に即した一つの行為なりあるいは事柄として文にするということではないかと思うのでございまして、おっしゃいますように、そういった面が国語の教育とも関連しているということは事実であろうと思います。
○野口分科員 ちょっと私の質問の仕方が悪かったかもわかりませんが、言いたいのは、いまちょっとおっしゃいましたけれども、つまり現場にそぐわない指導要領というものがまかり通っていて、それが文部省のいわゆる最低到達目標だとおっしゃるがゆえに、現場の先生が非常に悩んで何とかしてそれをやっていきたいと思われるのですが、実際はそれについていけないのが現状だというのが訴えでございます。そこのところを理解していただきたい。
 そこで、いまたまたまおっしゃったように、この問題についてこの先生が個人的に教科書会社へ質問をお出しになったのですね。
 「(質問 1)“おはなしと式”は、週四時間扱いの教科書で、六−七月にこの教材を組み入れること自体に問題がありはしないか。」こういうことでございます。それに対して教科書会社の答えは、どこの教科書を見ていただいてもおわかりのように、どこの教科書にも出ています、うちだけではございません、こういう言い方なのです。
 「(質問 2)一年生で、10までの数の指導しかしていない時期に12時までみなければならない時計の見方が出されているが、これについてはどうか。」こういう質問に対して、「四年程前の全国的な調査では、八〇%の子供が入学前から時計の見方を知っているので、12の文字の読めない子供は少ない。また、テレビが12チャンネルまである」のでよかろう、こういうばかげた返事をしているのであります。これは全く一人よがりもはなはだしいのでございまして、特に最後の「テレビが12チャンネルまである」ということに対しては、11という数字を書かせますと、小学校では10と1、101と書く生徒がいるようであります。それはつまり二けた以上の数字を理解していない、口で言うことと書きあらわすことが違っている、こういうことであります。
 こういうように、学習指導要領、文部省の指導書、あるいはまた教科書会社が指導をしている内容、どれ一つをとってみても、「私は、」この先生のことでありますが、「学習指導要領の内容が多すぎる点が児童の発達段階を無視することに直結するのだと思う。」ここに到達したというのであります。
 私がこのことをなぜこんなに詳しく申し上げるかといいますと、この先生が低学年の落ちこぼれのないようにということで今日まで非常に熱心に教壇に立っておられる姿を拝見いたしますと、何とかしてこの指導要領に対する現場の教師の意見を指導要領の中に生かしてあげたいと思うのでありますが、その方法というものは現在の段階ではないのでしょうか。その点についてのお答えをいただきたいと思います。
○三角政府委員 お聞きしておりまして、大変御熱心な先生のようでございます。そういった御意見は私どもも十分拝聴しながらいろいろな事柄を進めていきたいというふうに考えます。
 ただ、御意見のよって来る現場の状況なりあるいは御意見が、いろいろな状況をどの程度広く見てお書きいただいているか、詳しいことがわかりませんので、私は直接的にコメントしにくいと思っておりますが、ただいま御指摘の学習指導要領の作成のやり方の問題でございますが、これは文部大臣の諮問機関でございますところの教育課程審議会というところで、今回の場合はまる三年ぐらいの時間と努力を重ねまして行ったものでございます。そして、この教育課程審議会の委員六十五名ということでお手を煩わせたわけでございますが、そのうち二十三名は小中高等学校の校長あるいは教員の方に入っていただいたわけでございます。それから、この審議会は答申に先立ちまして中間的にその中間まとめというものを公表いたしまして、最終の段階に近くなりましてからは審議会のまとめというものも公表いたしまして、学校現場を中心に広く意見を聞いてまいったわけでございます。
 この答申を受けましてさらにこれを、先ほど来野口委員が御引用になっておられます小学校の学習指導要領、あるいは中学枝のもの、これを作成する具体的な作業に入ったわけでございますが、その際には小中高等学校、特殊教育諸学校合わせて約七百二十名に及びます学習指導要領作成協力者というものを委嘱して行いましたが、この七百二十名のうち三百八十名はそれぞれの学校現場の教員の方々でございまして、そういった方々の実際の経験あるいはこれからどう持っていくべきかということについての見識というものをここに反映していただいてまとめてきたものでございます。
 したがいまして、ただいま御引用になりましたような御見解も確かに一つの御見解でありますので、私どもそういったものに耳を傾けることにやぶさかではございませんが、この学習指導要領もかなり多数の、しかも権威ありかつ経験も豊かな方々の手を煩わし、目を通してまとめさせていただいたものであるという御説明をさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
○野口分科員 私もその話は聞きました。しかし、それが本当にいまおっしゃった数字というものが生かされてといいますか、内容的に非常に生きた形でそういう作業が行われていたのかということになりますと、これははなはだ疑問でありまして、私からこういうことを申し上げるのもどうかと思いますが、一つの例をいま取り上げました、まだもう一つ申し上げますけれども、一つ一つを取り上げてまいりますと、そういう節が見当たらない。本当に現場の教師が当たっているとは思い切れない節がたくさんあるというのであります。
 私は、現在の教科書検定ということにつきまして賛意を表している立場ではございませんけれども、百歩譲ってこの人が立場を全然無視ということでなくて超えて、そして現在の指導要領の中にあってということでこういう意見を出されるということは、非常に困っておられる実態を本当に赤裸々に出しておられることだと思います。単なる制度上の問題を頭にして物を言っておられるのではなくて、現場の教師が本当にその指導要領によって実際やってみたけれどもどうしようもないというのが実は出てきておるわけでありまして、いまこの先生だけの話かといいますとそうではなくて、この先生は非常に熱心な方でありまして、おれの考えていることがどうだろうかということで近所の小学校の先生方にずいぶん聞いて図られたようでございます。二十八校に及ぶということが書いてございますから、二十八の学校に個人的にいろいろ先生がお聞きになったようでございます。
 もう一つだけ、時間が余りありませんから概要を申し上げますが、たとえば一年生の国語でありますけれども、「内容」の中に「言語事項」というのですか、ア、イ、ウ、エ、オとずっとアからソまであります。これを全部読み上げますと大変なんですがちょっと見ますと、これはどうしても一年生でやってしまえるものでは絶対にない、六年生までかかってもできないということを言われるのです。申し上げてみます。「幼児音を使わないで、はっきりした発言で話すこと。」「はっきりした発言をするために、姿勢、口形などに注意すること。」「平仮名を読み、また、書くこと。」「片仮名の大体を読み、また、書くとともに、片仮名で書く語に注意すること。」「別表の学年別漢字配当表の第一学年に配当されている漢字のうち、七十字ぐらいの漢字を読み、その大体を書くこと。」「文の中で漢字を適切に使うこと。」「長音、拗音、促音、擬音などの表記ができ、また助詞の「は」、「へ」及び「を」を文の中で正しく使うようにすること。」「読点の打ち方に注意し、また、何点を打つこと。」「かぎ(「 」)の使い方に注意すること。」「表現したり理解したりするために必要な語句に関心を持つこと。」等々、たくさんあるわけですが、これがアからソまでありまして、このことは大体六年生でもできない部分をそう書いてある。こんなことをどうして一年生の指導要領に掲げているのだろう。本当にその先生はこのアからソまで、これがいわゆる最低到達目標だということを言われたら私はとうていこの一年生の先生はできないということを最後につけ加えておられるので、これが本当に文部省が考えているいわゆる学習指導内容なのだろうか、こういうことなのであります。きょうは予算の分科会で時間がありませんので、また時間がありましたならば文教委員会の方にも出てまいりましてこの話をもう少し詳しく討論させていただきたいとは思いますけれども、とりあえず私の手元に一月に参りましたこの手紙を読みまして、このお手紙を見ました段階にありまして文部省がこの指導要領の内容について現場の先生の声をもっと慎重に聞くということについて何とかして一つの言葉を、何らかの手がかりをぜひともこの先生にお答えとしてあげたい、こう思いまして私は発言をいたしておるのであります。ひとつ局長の御返事をぜひともお願いいたしたいと思います。
○三角政府委員 まず、ただいま御指摘の国語の第一学年の内容、言語事項についての指導事項でございますが、仰せのようにいろいろ書いてあるわけでございますが、国語はやはり一つの言語学習でございますので、年とともに内容あるいは分量等が進歩していく、こういうことでございます。でございますから、一年生のところでいまお読み上げいただきましたように、たとえば幼児語を使わない問題とか、はっきりした発言をするために姿勢、口形などに注意することとか、敬体の文章になじむとか、いろいろございます。これらは、国語はいま申し上げましたように繰り返し反復してやっていく種類の勉強でございますので、いわばドリルを重ねるという面が非常に、強いので、おっしゃいますようにこれは一年だけで済むということではございませんで、小学校なら六学年に至るまで同じようなことを、程度の差はございますけれども繰り返していく、こういうことで、表現は違っておりますが、事柄によりましては六年のところにも同種の、たとえば敬語の使い方というようなことは書いてあるわけでございます。それぞれの学年に応じてやるということでございます。
 そして、私ども今回の新しい指導要領の改定をしましてからは、これは御承知のように大体十年に一度の改定でございまして、今回の改定は、極力教科の指導事項を基礎的、基本的な事項がしっかり身につくようにという方針で改めましたので、従来のものに比べますとそういう点が非常に集約されておりまして、むしろそれぞれの学校での創意工夫というものの余地を多くしてございます。そういった指導要領の内容及びこれに至るまでの考え方につきましては、十年に一度のことでございますので、移行準備の期間におきまして、私どもかなり丹念に、全国的に新学習指導要領につきましての趣旨の説明会、徹底のための講習会というようなものを何度もやったわけでございますが、その先生に果たしてどこまで今回の指導要領の考えておる基本なりあるいは実際を理解していただいているか、その辺のところがちょっとわかりませんのでなんでございますけれども、そういう努力をし、かつ現場からのいろいろな反響をいただく手だてもやってまいったわけでございます。
 なお、私どもといたしましては、ただいま御提案申し上げております明年度の予算案の中に、新しい教育課程の実施状況に関する総合的調査研究というものをやらせていただきたいということで、これはペーパーテストは小学校の方は高学年、中学校は全学年でございますが、このペーパーテストにあわせて、ペーパーテストになじまない教科でございますとか、あるいはペーパーテストをやる教科でも調査の観点から言ってペーパーテストになじまない部分につきましては、一つの教科ごとに全国で五校ずつ調査研究協力校というのをつくりまして、そこで文部省の教科調査官でございますとか、あるいは県や市の教育委員会の指導主事でございますとか、そういう方々にも協力いただいて、実地に学校現場での新しい指導要領の指導の状況、それからどの程度子供たちがこれをのみ込んでくれているかということを調査しまして、できますれば今後の指導方法の改善や、さらにまたさきの学習指導要領の改善の上に役立てていく資料を得たいということで、今度の指導要領の改定の一種のフォローアップの仕事を考えておりますので、小学校一学年は、これにペーパーテストをやるということは私どももともと考えておりませんのでやらないわけでございますが、調査研究協力校に対します一種のケーススタディー的な作業の場合に、ただいま委員御指摘のような点についても実地に見てまいるような配慮をしていくように、今後この調査計画の検討に当たって考えさせていただきたいと考えます。
○野口分科員 時間が参りましたので、残念ながらもう少し突っ込んで申し上げたいと思いましたが、やめます。
 指導要領が完璧な形でできていないということだけを御指摘申し上げて、それによって現場の小学校の先生、特に指摘されておりまする一年生の先生が、落ちこぼれのない子供たちをつくっていきたいという熱意に燃えてやっておられるにしては、余りにも指導目標というのが高度であって現場になじまないものになっているということだけは間違いがないようでございますので、どうかそういった点にも目を向けていただきますと同時に、こういった現場の先生方の意見が何らかの形で、十年に一回だというようなことで突っぱねないで、時に応じでこのことが変えていかれるような形を採用してあげていただきたいということを最後につけ加えまして、また後の文教委員会等でも少しく討論させていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○塩崎主査 これにて野口幸一君の質疑は終わりました。
 次に、中島武敏君。
○中島(武)分科員 ことしは国際障害者年であります。そしてその目的は、障害を持つすべての人人の社会への全面参加と平等であります。きょうは、私は障害者の大学入試と進学問題についてお聞きしたいと思っております。
 最初に、障害者の入試問題と進学問題についての文部省の基本的な考えについて、大臣からお聞きしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。
 御案内のとおりに障害者年でもあり、また身体に障害のある者も障害の種類なり程度なりいろいろと本人の能力、適性に応じまして社会に出てもらう。そしてそこには本当にわれわれが理想とする社会のために努力してもらうために、身体障害者の各位に対してあらゆる御協力を申し上げる、そういうふうなことを基本にいたしまして特段の配意をしなければならぬ、かように考えております。
○中島(武)分科員 昭和五十二年六月三十日付大学局長通知「大学入学者選抜実施要項」及びこれに基づいてつくられました大学入試センターの「昭和五十六年度大学入学者選抜共通第一次学力試験実施要項」について、特に障害者の入学志願者についての配慮を各大学に徹底させるためにどのようなことをやっていらっしゃるか、これをお聞きしたいと思います。
○宮地政府委員 御指摘のように「大学入学者選抜実施要項」なり「共通第一次学力試験実施要項」につきまして、障害者に対する配慮ということを私どもとしても特に述べておるわけでございます。これらの趣旨の徹底につきましては、会議その他の機会を通じまして、こういう全体の入試の取り扱いそのものにつきましても趣旨の徹底を図っているところでございます。
○中島(武)分科員 ところが筑波大学は視覚障害者に対する入学拒否を行っておるわけでございます。筑波大学附属盲学校の弱視のある学生が筑波大学第三学群基礎工学類を志望し、「共通第一次学力試験実施要項」のIの14の(2)に基づいて五十五年八月二十七日付で文書によって協議依頼をしました。ところが何らの協議なしに、五十五年九月十七日付で突然受け入れ不可能という回答が来たわけでございます。なぜ協議をしなかったのか、この点なんですが、私どもに対する第三学群長の説明によりますと、協議は電話でするものと思い込んでいて、協議依頼者から電話がないので協議をしなかった、こういう理由にならない理由を挙げておるのであります。そこで盲学校の側は大変驚きまして、十月二十日付で、この回答は「共通第一次学力試験実施要項」Iの14の(2)に定める協議を経たものではないこと、それから協議の結果を示す文書でもないことを指摘して、受け入れ不可能という回答文書の無効と取り消しを求めました。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕
これに対して筑波大学第三学群長から、十一月十四日付で、第二次試験の出願書類が当学群へ提出された際には、貴校と当学群との間で十分協議の上善処いたしたい、今後貴校生徒が当学群へ入学を希望する場合は、一層慎重に協議の上取り扱いたいと存じますので御了承ください、こういう回答があったのであります。
 事実の経過は以上のとおりでございまして、私は盲学校と筑波大との間で取り交わされた文書をすべてここに持っております。ここに幾つかの問題がある。そのうちの幾つかについてお聞きしたいと思うのです。
 まず第一は、文部省のいわばモデル校と言われている筑波大学で、しかも筑波大学の附属盲学校からの協議依頼でありながら、以上述べたような事態が生じたわけであります。あたら有為の青年を失意のどん底に陥れたのは、まず大学局長通知と「共通第一次学力試験実施要項」のIの14の(2)に対する理解が全く欠けているのではないか。また障害者の受け入れに対して大変熱意を欠くものと言わなければなりません。
 そこで、私は筑波大学長の責任と、また、いまあらゆる機会を通じて徹底を図っている、こういうふうに答弁されましたが、文部省の指導責任について大臣は一体どう考えられるか、この点をお聞きしたいのです。
 事実の経過につきましては、私が述べたことに間違いかなければ、繰り返されますとだんだん時間がたってまいりますから、肝心なところ、筑波大学の責任、それから文部省の指導責任、こういう問題についてどう考えられるか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 ただいまお話の中にもありましたように、附属の方からの申し出に対して、学群の方といたしましてもいろいろ経過があったようでございます。われわれの方といたしましては、もちろん障害者の問題につきましては、基本的な態度は同様でございます。
 さらに詳細な点を担当から答えさせます。
○宮地政府委員 昨年八月から今日までの経過は先生いまおっしゃったような経過でございます。私ども、当初の八月の協議の段階で、実は具体的な資料を添えての協議でなかったような事情もございまして、御指摘のように、同じ大学の中でありながら大学と附属盲学校との間で十分な連絡、意思疎通を欠いたという点があろうかと思いまして、その点はまことに遺憾に存じております。しかしながら、その後大学側としても、御指摘のように、盲学校側から健康診断書とかその他関係書類を添えて出てまいりまして、その後十一月付で、先ほど御指摘のような対応をいたしておるわけでございます。
 入試の全体につきましては、先ほども御答弁したとおりでございますが、毎年金国六、七カ所で担当者を集めまして説明会を開いて、新しい大学入試とか受験案内というようなものについてのものをつくりまして、趣旨の徹底に努めているわけでございます。
 なお、筑波大学では従来とも身体障害者の受け入れについては前向きな対応をしているというぐあいに承知をしております。たとえば五十四年、五年、六年度それぞれ共通一次の出願時に受験をいたした者も十数名を超えておりますし、また現に筑波大学で勉学をしている者も何名かいるわけでございます。筑波大学としては、そういう意味で積極的に取り組んでいるものと私ども承知をしておりますが、今後ともより積極的な取り組みがなされるように期待をいたしたい、かように考えております。
○中島(武)分科員 いろいろとやりとりがあって、しかも、いまの局長のお話では、当初資料を添えてなかった、こういう話ですけれども、そういう必要なものは全部そろえて持っていくからいついつ協議の日をお願いする、そういう申し入れをしたのに対して、何の協議もなく文書で受け入れ不可能、こういうことを言ってきたわけでありますから、この点ははっきりしておかなければいけない。つまり大学側は協議を経ないで受け入れ拒否の回答を行ったということであります。
 それから、十一月十四日になってから大学側からまた文書で参りましたのは、第二次試験を受けられるんだったらそのときに十分協議をして善処したい、こういうふうに言ってきている。ところが御存じのように、これは共通第一次の願書を提出する締め切りがはるか過ぎた後であります。私はこれは一体どういう意味だということを学群長に聞いてみたのですけれども、その点では非常にはっきりしておりまして、第一次を経なければ第二次の受験はできない、これは法律で決められているのだからということを言っておるわけですね。私はそういう点では筑波大学が一切障害者の人たちに対して熱意を欠くというふうには言いませんけれども、この問題に関しては、最大の責任は大学側にあったということは明瞭じゃないかと思うのです。その点ははっきりお認めになりますか。
○宮地政府委員 私ども大学側にもその点は問い合わせておりますが、大学側からは、当初受けた際に、大学側の方から電話で二、三回連絡をとったという話を伺っております。
 なお、先ほど来の経過のある話でございますが、実は入試センターの方に対しましては共通一次試験の出願の受け付け期間が御案内のとおり十月でございますが、本人からの志願票が事実上出されておりまして、その点は入試センターの方は受け付けをいたしたわけでございます。したがって、一次試験を受けまして、さらに第二次の試験の出願について筑波大学側が昨年十一月に回答いたしておりますように、二次試験を受けるのであれば善処いたしますという対応はいたしたわけでございます。事実上はそういう経過になっておるわけでございますが、御指摘のように、意思疎通が十分でなくてその点で大変御迷惑をかけたということについては大変遺憾に存じております。
○中島(武)分科員 大変遺憾な事件であります。そこで私は入試制度についてもっと改善するべきところがあるのじゃないかということをこの問題を通じて考えるわけであります。その点について、私は次に言いたいのです。共通一次実施要項のIの14の(2)の「協議」についてなんですけれども、さっきからのやりとりでおわかりのように、電話で尋ねたとかあるいは電話で協議の依頼があると思い込んでいたとかという問題が起きてくるのですね。
 それから、これは筑波大学だけじゃないのですけれども、電話で受け入れを断るところがずいぶんとあるわけなんです。その盲学校の受験担当者の方は、何とか受け入れてくれる大学を拡大しようと思って懸命な努力をやっておられるわけです。ところがいま言ったように、電話で断るところがかなりあります。私はどういう大学が電話で断ってきているかということについて聞いて知っております。しかし、その学校の名誉のために、私ここでは名前を伏せようと思いますけれども、そういう学校がかなりある。これは事実であります。
 それでいまの筑波大学の問題を含めて考えるのですけれども、協議という問題ですね。電話では言った言わないとか水かけ論になる場合もあるわけであります。ですから、書面で協議をする。しかし書面だけで協議ということになりますと形式的になって血が通わない、こういう問題が起きてまいります。そこで私は協議は書面でやる。しかし面談を含めて十分理解し合えるようにすることが必要じゃないかというように考えるわけです。その点についてはどうお考えでしょうか。
○宮地政府委員 午前の際にも御質問がございまして、大臣から御答弁申し上げたわけでございますが、要は身障者の受験に対して愛情を持った対応をするということが基本であろうかと思います。そして御指摘の共通一次学力試験のための手続、これは国立について定めておるものでございますが、共通一次試験受験に際しての協議は通常文書でなされ文書で回答するという対応が基本であろうかと思います。なおさらに、必要に応じて面談その他を行いまして、十分行き届いた措置をとることが基本的には大事ではないか、かように考えております。
 実際に身障者を各大学へ受け入れるに当たりましては、障害の程度等によりましていろいろむずかしい面もあることは確かでございますけれども、現実きめ細かい教育的配慮を実践している例も私ども聞いておりますし、また全国的に身障者の大学入学状況というものも、たとえば昭和五十二年は全国で国公私立を合わせますと九百二名でございましたものが、五十三年度には九百九十四名となり、さらに五十四年度では千百人ということで、年を追って順次ふえてきているということも、これは個々の大学において努力をしている結果であろうかと思います。今後一層そういう点について十分努力を重ねてまいりたい、かように考えます。
○中島(武)分科員 基本的には書面でやる、しかし、同時に面談をしてよく理解し合えるようにやることは、必要に応じてそれは必要なことだといういまの答弁だったですね。
 ここでもう一つ言いたいのは、実は国公立だけじゃないのです。受け入れを拒否する大学やあるいは受け入れに不熱心という――熱心な大学もあるのですよ。熱心な大学もあるのですけれども、不熱心な大学、これは私大にもかなりあります。協議依頼を出しても、催促されるまで回答がなかったとか、あるいは回答してきても拒否回答であったとか、そういう大学が幾つもあります。これも私は名前を秘したいと思うのですけれども、私は国公立とあわせて私立大学に対しても指導を徹底していただきたいというように思いますが、どうでしょうか。
○宮地政府委員 私立大学におきましても、御指摘のように障害の種類、程度によりまして、あるいは学問分野の性格によりまして、入学後において履修が不可能なことになるような者についてはなかなか受け入れしにくいという問題もあろうかと思います。事前に大学側と受け入れについて協議をするということが望ましいことでございます。また、国公私立大学を問わず、障害者ということだけで受験を拒否するというようなことがあってはならないのは当然のことでございまして、今後とも入試の説明会等を通じまして、その趣旨の徹底には努力いたしたい、かように考えます。
○中島(武)分科員 視覚障害者の場合ですけれども、大学側が受け入れを拒否する理由として挙げられているのは、大まかに言いますと大体四つぐらいおるのです。それは、入学を許可しても教育を行う自信がない、あるいは施設が不十分である、あるいは就職をあっせんする自信がない、あるいはお金がない、こういうふうな理由を挙げるわけです。ひどいのになりますと、実はうちの大学は建物に階段が多いんだというような理由を挙げられる場合もあるのです。ところがこれは全く違うのですね。と言いますのは、視覚障害者の場合には、階段があった方がむしろ好都合とも言えるわけであります。誤りなく目的地へ届くことができるからであります。そういうところにいわば障害者のことについて大学側の無理解があらわれているのではなかろうかと私は思います。視覚障害者を拒否する理由というのは基本的にはないのじゃないかと私は思うのです。たとえば全盲の方でありましても、特別な施設や設備のないもとでボランティアの協力を得るとか、あるいは家族の協力のもとに、さっきちょっと局長が言われましたような多数の大学でもう本当にたくさんの方がりっぱに卒業しておるわけであります。
 そこで、私三つばかり時間の関係でまとめてお尋ねしたいと思いますのでお答えください。
 第一は、共通一次実施要項のIの14の(2)の協議対象から視覚障害者を除いて、そして協議は共通第一次と第二次の間に行うようにしたらどうかということであります。つまり視覚障害者は無条件に共通一次を受験できるようにするべきではないか、こういう意見であります。なぜなら、共通一次と申しますのは、申し上げるまでもなく第二次試験とは異なっておりまして、入学志願者の高等学校の段階における一般的かつ基礎的な学習の程度を判定することを目的としているわけであります。そして、憲法十四条、法のもとにおける平等、教育基本法三条の教育の機会均等という立場に立つならば、視覚障害者を差別する理由というのはないのではないかと私は考えるわけであります。この点が第一です。
 それから、第二の問題は、さきに述べましたように、視覚障害者は基本的には大学就学は可能でありますので、一番よいのはすべての大学で受け入れるべきでありまして、かつ、就学不可能な学科には受験しないように進路、受験指導も高等学校で行っておりますので、共通一次と二次との間に協議をしたらどうかということを第一に申し上げたのですけれども、それも本当は不必要なんじゃないかというように考えるわけであります。したがって、この協議の対象から視覚障害者を除いたらどうかという点が第二であります。
 それから、第三の点は、しかし、私は受験においても、また大学においても障害者に対して配慮すべきであると思います。視覚障害者の場合で言えば、点字図書とか対面朗読とか、あるいは拡大複写機、点字ブロック、点訳等々いろいろな問題があります。また視覚障害者以外の身体障害者には、それにふさわしい必要な改善がやはり必要であります。さっきからお話が出ておりますように、国公立、私学を問わずこのために努力を行っている大学も決して少ないわけではありません。そこで私は、文部省としてこの指導と助成をもっと強めるべきではないかというように考えるわけです。これが第三です。
 以上についてお答えをいただきたいと思います。
○宮地政府委員 御提案の点でございますが、共通一次は御案内のとおり五十四年から実施をしてまいりまして、順次定着を見ておると私どもは考えております。国立大学の入学試験につきまして入試改善を図っていくという基本的な考え方のもとに、国立大学協会等で十分慎重な検討をなされまして、今日共通一次試験の取り扱いについては細かく定めておるわけでございます。そして身体に障害ある者に対する試験実施上の取り扱いということで、先生御承知のとおり相当細かく決めているわけでございます。御提案の点でございますが、それらの点については、なお検討を要する点もあろうかと思いますが、私どもとしては、現在の取り扱いで十分対応ができるもの、かように考えております。
○中島(武)分科員 そうでしょうか。こういうことが起きてきたこの際に、私はもう一回検討してみる必要があるのじゃないかということを思うのです。特にさっき申し上げたように、基本的には、何と言うのでしょうか、視覚障害者の場合に協議対象から除いてしまうということが私はいいと思うのです。それは大した施設や設備がなくてもりっぱに何百人もの人が、中には大変優秀な成績で卒業しているという例もあるわけでありますから、だからそのことは必要じゃないか、こう思うのですけれども、少なくとも大臣、これは共通第一次の目的から考えましても、高等学校においてどれだけの学力を修めたかというのを判定するということが目的なんです。だから、すでにもうそのときには大学側と協議をして、オーケーかどうかということの協議中あるいは協議の結果というものがなければ受験できないということは、私はこれは目的から言ってもちょっとそぐわないのじゃないか。やはりすべての希望する者がこれの試験を受けられるようにするというのが本当じゃなかろうかなという気がするのです。これは教育の機会均等の立場から言いましても、また障害者の人たちを区別、差別しないという上から言いましても、私はそれが必要なんじゃないかという気がするのですね。それでもなおかつ協議が必要だというふうに言われることが、まるきりわからないというわけじゃ私はないのです。だから、それだったら共通一次とそれから二次試験との間に協議を持っていくというふうにして、共通一次にはすべて受験できるというふうにするのが筋じゃなかろうか、そう考えるのです。どうですか、大臣。
○宮地政府委員 入試の共通一次試験のあり方、その改善につきましては、私どもとしても入試改善会議等にかけまして、年々改善を要する点についてはそれぞれ措置を講じているところでございます。協議の時期を一次と二次との間にしたらどうかという先生の御提案でございますが、その辺につきましても、そういう御指摘のあった点は入試センターにも伝えまして、事務的な検討はさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、入試そのものについては入試センターが行い、また各大学が実施するものでございますので、御指摘の点は、そのような取り扱いで私どもとしても処理をさせていただきたい、かように考えます。
○田中(龍)国務大臣 先生の御意見に対してただいまも局長から詳細お答えを申し上げましたが、御案内のとおりに、身障者の方々には本当にわれわれ愛情を持って何とか救っていかなければならぬという基本的な考え方、同時にまた現実的には、身障者として一つに言われましても、弱視の関係や視聴覚の関係、いろいろ病状の関係やら程度もございましょう。そこでなかなか一律にはいかないというところに私は問題があるのじゃないのかなと、伺っておりながら考えます。
 この問題は、いま局長からもお話ししましたように、非常に貴重な御意見でございます。いま審議会なり何なりとも、局長の方の話によりましても、かけてみよう、かように申しておりますので、私はさようにいたしたらどうか、かように考えております。
○中島(武)分科員 これで私は終わりますが、ことしは国際障害者年です。そして社会に対する全面参加と平等、このことが目的でやられているわけであります。私は、この機会に改善するべきものをぜひ改善してもらいたいという要望を重ねて申しまして、質問を終わります。
○愛野主査代理 これにて、中島武敏君の質疑は終わりました。
 次に、井上普方君。
○井上(普)分科員 いまも第四分科会で医者のモラル低下について話してきたところなんでありますが、私は、いまから十年前にもこの質問をいたしておる。同じ質問を二回やらなければならないのははなはだ残念に思うのであります。医者のモラルがいまほど乱れておると言われ、かつまた世間の糾弾を受けたことはないと思うのでありますが、これは医学教育のどこかに欠陥があるのじゃなかろうか、このように考えるのですが、どのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいのです。
○宮地政府委員 大学の医学教育についてのお尋ねでございますが、もちろん医師として必要最小限の知識、技術を習得させるということはもとよりでございますが、医学に関する豊かな思考力あるいは創造性を養成することはもとよりでございますが、同時に、すぐれた指導者のもとで厳しい訓練を通じまして人間の生命の尊厳というものに対する自覚を培うことが、まず基本的に必要であろうかと思います。
 なお、近年大変医療の水準の高度化でございますとかあるいは医療需要の多様化ということもございまして、そういう社会の要請にこたえる資質の高い医師の養成を目指すということで、私どもとしては、その資質の向上に努力をしてきておりますし、今後も努めたい、かように考えます。
○井上(普)分科員 指導者のもとでモラルを養うんだ、こうおっしゃる、まことに結構な話であります。具体的にどんなことをやっています。
○宮地政府委員 私ども具体的に実施している事柄で申し上げますと、たとえば医学部において医学概論を導入しまして全般的な、単に各科に分かれた知識ということではなくて、全体の医師としての心得をまず修得をすることでございますとか、あるいは直接のことではございませんが、たとえば六年間の一貫した教育を導入するというようなことも、それの一つの試みということが言えるかと思います。また臨床実習におきます小人数教育を実施するとかあるいは卒後の研修で、臨床研修のあり方というようなものについても、私どもガイドラインも出しておるところでございますが、そういう幾つかの事柄を通じまして、先ほど申しましたような資質の高い医師の養成を図っていくということをいたしております。
○井上(普)分科員 具体的にどうもいままでの――私も医者の端くれなんです。いままででございましたならば医局におる、そして封建制のもとで、あれくらい前近代的なものはなかったでしょう、その医局の中で勉強をさせられる。そして指導者からこつこつと医のモラルというものをある程度承って養成せられたのでありますが、これがなくなってきておる。これにかわるものが何かないんだろうかということで、この前も質問いたしたのであります。
 いま、たとえば医学概論ということをやっておるんだ、こうおっしゃいますが、これは単位になっていますか。何やっています。たとえば十四、五年前に大阪の医学部だけでこの医学概論というのを澤瀉さんが講義せられておった、これだけしか私は記憶にない。その後こういうような医学倫理についてやっておるところはほかにどこかございますか。
○宮地政府委員 国公私立の大学の約七割において実施をしているというぐあいに承知をいたしております。
○井上(普)分科員 医学概論というのは何やっているのです。問題は中身なんです。
○宮地政府委員 具体的な内容につきましては、個々の大学においてそれぞれ大学自体の取り組み方がございますので、一律な内容ということではございませんが、基本的には医師としての倫理、心構えと申しますか、たとえば新設の医科大学で申しますと、学長という方がそういう医師としての心構えというようなことを中心に講義をするというようなこともあるように伺っております。
○井上(普)分科員 前よりも進歩したような姿ですが、この医学概論というのは、医師法であるとかあるいは医療法の講義をやっているのがほとんどじゃございませんか。
○宮地政府委員 そういうようなものもございますが、もちろん先生御指摘のような医師としての心構えというようなこともその中に含まれていることかと思います。
○井上(普)分科員 医師法の中にもそのことは含まれておる。しかしながら、本当に生命のとうとさというもの、生命の尊厳さというものを真剣に考える場が必要ではないか、私はこう思うのです。
 そこで、医学概論が七割ぐらいやられておる。恐らく各医学部におきましては、医師法の解説と医療法の解説ぐらいでこの医学概論というのはごまかされているのが実態じゃございませんか。内容まで御存じですか。いや、それは学長の中で医者のあり方というものを講義しておるところもないでもないとは思いますけれども、ほとんどがやってないのじゃないですか。ほとんど医師法、医療法、こういうものの解説、それで過ごしておるのがいまの医学概論の一般ではないかと私は思うのだが、どうです。
○宮地政府委員 内容の詳細については私も十分承知はいたしておりません。しかしながら、そういう取り組みもしているという点を先ほど御説明申し上げたわけでございます。
○井上(普)分科員 まあ恐らくこれはやっておらぬ。七割ぐらいがやっておると言いますけれども、これは私らのときでも、いまから二十年、もっと前でも、医師法の解説あるいは医療法の解説を聞かされたものです。私は、何らいまでも進歩していないのじゃないか、むしろ医局の一でやられた方がかっちりしたものができたのではなかろうか、このように思います。
 そこで、このごろ金権の世の中、金さえあればすべて万能というような考え方が横行しておるというような世の中。ですから、ここで北野の富士見病院ですか、あれらの例を出すまでもなく、これは数少ないのですけれども、医者としてやってはいかぬことを平気でやる医者もあらわれてきておる。こういうのに対して、やはり文部省としては、医学教育が本当にいまの医師のモラルを養成するに足るようなことができておるかどうか、ここを御調査になる必要があると思うのですが、大臣いかがでございますか。
○田中(龍)国務大臣 このような問題がたくさん起こってまいっております現段階におきまして、当然詳細な調査もし、また同時に、厚生省とも相連携いたしまして、その改革を考えていかなければならない、かように考えております。
○井上(普)分科員 この医学概論というのは、恐らく前期の場合にやっておるのではないですか、どうですか。
○宮地政府委員 大体前期の場合が多いと承知しております。
○井上(普)分科員 前期というのは、これは人間一般の教養を深める教養学部のときにやるのです。ですから、恐らく本当に患者に接しあるいは生体に接して、真に生命の尊厳さというものを真剣に考える時間、それはいつだと言えば、やはり後期のなお後半の時期ではなかろうかと思うのであります。でございますので、先ほども申し上げましたように、この医学概論というのが前期において行われておるところに私は問題があると思う。やはり考える時間をつくらず必要がある。これは恐らく単位になっていないと思うのでありますが、どうですか、単位になっておりますか。
○宮地政府委員 単位制という点で単位になっているかというお尋ねでございますが、これは授業時間としてそういうものを取り入れてやっているということで先ほど来御説明したわけでございます。もちろん医師としての必要な資質という点で、いま先生御指摘のような、議論が出ておりますような点が大変重要なことは私どももそのとおりと心得ておりまして、六年間の医学教育の間にそういうようなものを培っていくということが必要であろうかと思います。
 なお、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、医師として、さらにその技術を十分身につけるというような観点から、研修医として医師法にも規定をされているわけでございまして、免許を得た後も二年以上大学の付属病院または指定する臨床病院で臨床研修をするように努めるということが言われているわけでございます。この点は医師としての資質の向上ということになろうかと思いますので、あるいは所管としては厚生省の御所管になるかと思いますが、私どもとしては、全体の医師養成の一環ということで、研修医としての臨床研修というような点についても力を入れるように指導をいたしておる点でございまして、具体的には、大学病院におきます臨床研修のあり方につきまして、昨年九月でございますが、一応のガイドラインをまとめまして、医学部を置きます各国公私立の大学にも通知をして、それの充実にも指導をいたしておる点でございます。医師の資質を高めるためには、そういう学部での教育あるいは免許を取った後の研修、それらを総合的に勘案いたしまして今後とも努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
○井上(普)分科員 およそ臨床研修でそういうところまで手が届くとは私には思えない。私もインターンを一年やった日なんですが、これほどくだらぬときはなかった、およそ二年町まさにブランクであったという感じを私は深くした。恐らく臨床研修と言って、あのインターンのときとは大分違っておりますけれども、このインターンをやらなければ国家試験を受けさせなかったのですから。このごろは医者になって臨床研修を二年以上やらすということになって、大分制度は変わってきております。しかし、それを二年以上やらしておるから能事終われりとするその姿が私は納得いたしかねる。これはもう一工夫あってしかるべきじゃないかと思うのですが、特に今日のように医者のモラルが問われておるとき、文部省としては考えるべきことじゃございませんか。大臣、どうでございます。
○田中(龍)国務大臣 昔から生命を預かるお医者というものがいかに重大なお仕事であるかということは、医は仁術と申される古い言葉にもありますように、今日のような社会、世相を前にいたしましてしみじみと考えさせられるものでございますが、どうしたらよろしいものか、本当に今後ますます検討も加え、心を砕いていかなければならぬ問題だと思います。
○井上(普)分科員 どうしたらよいものか心を痛めるというのでございましたら、ひとつ心を痛めていただきたい。それをやるのが文部省でしょう。文部省で考えることなんでしょう。制度上これを直すにはどうしたらいいか。どうです、真剣にそのことをお考えになり、大臣のお力だけではできぬとするならば、はやりですけれども、これは私、余り言いたくないのですが、諮問機関なり何なりつくってお考えになるお気持ちはありますか。
○田中(龍)国務大臣 制度上の問題は、これはわれわれが、御指摘のようにあるいは審議会を設けたりあるいはさらに医学の研修の内容を分析したり等すべきでございますが、要は心の問題でございますから、習う人がいかにこの医学に対しての勉強の仕方を効果あらしめるか、あるいは社会的に大いに奉仕する気持ちを持つかということは、やはり学生一人一人の心の問題が一番大きな問題のような気がいたします。これは、私はお医者じゃございませんから、その辺の教科内容の詳しいことは存じません。むしろ専門家の先生から教えていただかなければならぬ問題だろうと思っておりますが、しかし、この教育の制度的な問題は別といたしまして、一人一人の習う学生の心構えの問題というものは、これはちょっと別な姿において解決していかなければならないのじゃないのかなという気がするのです。
○井上(普)分科員 大臣、心の問題と言うのだから、それを考えさせる機関を、時期を、あるいは制度をつくる必要があるというので私質問しているのです。文部省に制度をつくらなければならない。制度というのは単位であり、あるいは教科内容なんだ。これをひとつ考える必要がある。これは制度なんですよ。だからこれを考えなさいと私は申しておる。ただ、学生一人一人の心の問題だと言ってほったらかすわけにはまいらない。これは一人一人の心の問題だから、聴診器を頭に当てて聞くわけにはいかぬです。ですから、制度上こういうことを考える時間と、そして指導者を与える必要があるのじゃないか、こう私は申しておる。だから制度を変えなさい、つくりなさい、こう申しておるのです。いかがでございますか。
○宮地政府委員 教育の内容全般につきましては、医学に限らず、大学教育全体について、私どもとしても常々その内容の改善充実には努めなければならぬところでございます。現在の仕組みといたしましては、視学委員というものをそれぞれ各分野ごとに置いておりまして、これは文部省に置いているわけでございますが、医学の視学委員は専門家をそれぞれ委嘱をしてお願いをいたしております。大学の現場へ実地視察に行って、その改善の内容その他を報告してもらいまして、各大学に専門的な見地から改善の報告等をいただいておるわけでございますが、そういう具体的な専門委員の方々の御意見も十分承りまして、さらに医学教育全体のあり方については、なお今後とも私どもその改善に努力をしてまいりたい、かように考えております。
○井上(普)分科員 それじゃお伺いしましょう。
 その専門委員の中から医学教育の医のモラルの問題について制度上どうしろという提案はありましたか。
○宮地政府委員 直接にその提案ではございませんが、先ほどちょっと御説明を申し上げました点は、大学病院における臨床研修のあり方につきまして、これは昨年の七月でございますけれども、医学の視学委員会から全体的な臨床研修の意義、その持ち方、そういうことを通じまして全体的に御議論をいただいてまとめた文書をいただいたわけでございます。
 それで、先ほど申し上げましたように、それらについて大学局長名で医学部を置きます各国公私立の大学長あてに昨年の九月でございますが、それを通知をいたしまして、卒業前卒業後を通じます全体の臨床教育の改善充実にひとつお願いをしたいということで、作業をいたしてもらったことは具体的にございます。
 なお、御趣旨のような、むしろ医の倫理観といいますか倫理観の確立というような観点につきましても、今後私どもとしては、具体的に取り組んでいただくべき課題であろうかと考えます。
○井上(普)分科員 臨床研修といいますと、大学を卒業した後、大学病院であれあるいは他の病院であれ、研修病院というのは大学病院だけではないのですよ。研修病院というのは恐らく大学の病院が三分の一、そんなものでしょう。(宮地政府委員「大学が八割でございます」と呼ぶ)八割になりますか。八割になったのはいいことだけれども、あとの二割はほかですね。臨床研修の研修病院でもおかしげなところを研修病院に指定していることも私は知っている。恐らく十分会病院もこれは研修病院の指定をしているのじゃないですか。かつてはあったのですよ、昔は十分会病院はそうだった。いまはなっていませんか。
○宮地政府委員 研修病院の指定は厚生省がいたしておることかと存じますが、具体的な中身は承知いたしておりません。
○井上(普)分科員 研修病院は厚生省がやるので文部省は知らぬところ。しかも、文部省が臨床研修のあり方について通知を出したところで、抜け穴があるでしょう。だから私は、こういうことじゃなくて、大学の講義あるいは大学の勉強の中で考える時間と機関をつくりなさい、こう申しておるのです。いままで阪大の澤潟さんの医学概論、あるいは言葉が違っておったと思うのですが、そういうことをやっておる病院も昔からあったのです。しかし、これは数が非常に少ないのです。ですから、ここで真剣に生命のとうとさあるいは生命の尊厳さというものを考える時間と機関をつくらなければ、なおなお医者の倫理観というのは衰えていくのじゃなかろうか。ただ、私は、そういうふうな制度をつくったところで、これは直るとは思いません。思いませんけれども、それも一つの方法じゃないか、このように考えるのです。
 このままいきますと、医者に対する国民の信頼はますます失う。これは結局医者にも、かつまた患者にも不幸なことなんです。先ほども申したのですが、医者の治療については基準というのができないのです。医者の良心のもとでこれが治療を行うということなのであって、基準というのはつくれる性格のものじゃないのです。でありますがゆえに、医のモラルというものはなお大切なんです。真剣にひとつこのことをお考え願いたいと思うのであります。
 私は十年前にこのことを申したのですけれども、その後改善の様子が見えぬものですから、一体文部省はどうしているのだ、あのときもひとつ検討してみましょうなんて軽々しくおっしゃった。けれども、その後十年間行われてないので、私はあえてこの二回目の質問に立ったわけでございます。大臣、いかがでございましょうか。
○田中(龍)国務大臣 ありがとうございます。まことにそのとおりと思うのでありまして、ことにモラルの問題ともなりますと、制度も大事、また学問の日進月歩いたしております問題に対しますいろいろな研究も大事、さらにまた、そういう問題に対する医学教育のいろいろな施設も充実しなければならぬといういろいろな問題がございますが、一番問題は、まことに厳粛な生命というものに取り組んでおいでになるお医者さんのモラル、その点については先生と全く感を同じくする次第でございます。十分に戒心いたしまして努力いたします。
○井上(普)分科員 戒心して努力せられると言いますが、私はともかく何らかの時間と制度をつくりなさいということを強く申し上げておきたいのであります。
 と申しますのは、いまから考えてみますと、四十二、三年ころには大学紛争というものがあった。大学紛争が一番先に起こったところは医学部だった。医学部の医局制度の古さに端を発したものだろうと私は思う。しかし、その後、大学は自治を持たなければならないから、政治は介入すべからずというのが私どもの一貫した方針であった。その当時大学制度について、大学制度それ自体を改善しようといういろいろな案が出てまいりました。東京大学案も出てまいりましたし、あるいは自民党案も出てまいるし、社会党案も出てきた。しかし、案は出てきたけれども、本当にこれは大学の自治で解決すべきだというのが世論の風潮でもあるし、私どもは政治がこれに介入すべからずという立場で参りました。しかし、一体何が改善せられたんでございましょうか。東京大学では十余年たって処分方法、すなわち学生の処分について二審制にするとか三審制にするとかいった案が初めて出てきた。退学させるのは教授会で決めても、それは申し立てができる制度にするとかなんとかいうのをこの間の新聞で拝見して、まだこんなことをやっているのか。そして大学は改善せられたか。何ら改善の緒は見えないと思います。明治初年以来同じ制度で来ているのです。およそ時代に合わない面がたくさんあります。ほとんどがそうでしょう。私は、大学人それ自体に対して、そのことを強く要求しなければならないのでございます。特に医のモラル、医の倫理それ自体がいま問題になっておるこの時期に、文部省としては、医学教育のあり方それ自体を根本的に考え、かつまた、それを指示することはできませんでしょうが、指導する必要があると私は考える。これをしなければ日本の医療それ自体が荒廃に陥るであろうということを申し上げておる次第であります。私は、これは何も陳情するのではない。国の医療のあり方それ自体に大きな警鐘を打ち鳴らさなければならないと思うがゆえに、ここに質問に立ったわけであります。十年前と同じことを言わなければならないのをはなはだ遺憾に思いつつ質問を終わります。
○愛野主査代理 これにて井上普方君の質疑は終わりました。
 次に吉浦忠治君。
○吉浦分科員 大学の入学金の問題等もいま世間で騒がれておりますが、私は高等学校の入学金問題等にしぼりまして質問を申し上げたいと思います。
 都立の高等学校の入試も先週の末に終わったようでございますし、あと一週間ぐらいすると発表になろうと思います。私のところの千葉県もきょうとあすが県立同校の試験ということのようであります。ここで同等学校の入学のときのいわゆる入学金の問題でございますけれども、入学金の問題等について都道府県の方からの通達というものが出ているのでございますが、文部省としてはどのように把握をなさっておられますか、またそれに対する御指導等もなさっておられますかを最初にお尋ねをいたしたいと思います。
○吉田(壽)政府委員 私立の高等学校に対します指導なりあるいは助言は、御案内のように所轄庁、これは各都道府県ということになっております。そういうことで、これに対する指導、助言は各都道府県が行っておるわけでございまして、御質問の入学金の取り扱いに関しての通達等につきましては残念ながら私ども把握しておりません。そういう状況でございます。
○吉浦分科員 各都道府県の学事部あたりで各私立高校に対して通達を出しているのが現状でございます。東京都の場合を申し上げますけれども、昨年九月十一日に学事部長名で通達を出しているわけです。その内容はそれでは全く御存じないわけでありますね。
○吉田(壽)政府委員 いま御指摘のありました東京都の昭和五十五年九月十一日付の学事部長通達、これにつきましては、私どもその中身をおおむね承知いたしております。
○吉浦分科員 それでは申し上げますけれども、文部省は、入試の際の入学金とか維持費というようなものについて、学事部の出した通達の内容というものについて、いままで御指導なさったことはないわけでございますね。
○吉田(壽)政府委員 学事部の通達に対しまして、特に私どもの方でそれに対して意見を申し上げるということは従来ございませんでした。
○吉浦分科員 本年度の入試の募集要項というものがございまして、入学手続の要項がございますが、私は都内の私立の高等学校の、名前は挙げられませんけれども、A校とB校と二つ例を出して説明を申し上げますが、このAB両校とも都立高校の合格発表まで入学手続を延期することができる学校であります。つまり都立の発表を待って入学金等は納めればよいというふうになっている。都立の発表前までに入学金を納めなければならぬという学校ではないわけでありまして、この通達を文部省はお知りにならないから内容等についておわかりにならないかと思いますが、そういういわゆる便宜を図っている学校があるわけであります。東京都では二百数十校のうちに約半数の学校が、都立発表後に手続をやってもよろしい、そういう内容のものが出ているわけでございますけれども、御承知でございますか。
○吉田(壽)政府委員 いま先生がおっしゃられたことでございますけれども、都立高校を併願しているものについての入学手続の取り扱い状況でございますが、私立高校の入学手続締め切り日が公立高校、都立高校の合格発表時以降となっておりますのは百三十五校で、全体の六二・五%に相当いたしておりますことを承知いたしております。
○吉浦分科員 いま例に出しましたA、Bの両校の場合は、都立の発表後に納めればよいというふうになっている学校でありますが、ここでA校とB枚とでは違いがありまして、A校は正規の合格者のみが対象で、補欠合格者は除外するとなっておるわけであります。つまり合格発表前に納めないと、入学手続の書類に明示されているとおりに取り消すというふうになっておりますが、B校は正規も補欠も同時の扱いでありまして、A校とB枚との違いがあるわけであります。このようにA校の取り扱いは、正規と補欠合格者に差別を設けておるのは通達に反するというふうに私は思っておりますけれども、これはどういう栄考えをお持ちでございますか。
○吉田(壽)政府委員 先ほどおっしゃられました学事部長の通達の中では、御案内のように公立高校との併願が多い状況から「公立高校入学手続期間後も入学手続ができるよう配慮するとともに、すでに入学金等を納入する等入学手続を完了したものについても公立高校合格者には当該入学金等を返還する措置をとるよう配慮されたい」という趣旨のことがあるわけでございます。いまお伺いいたしましたようにA校とB枚とで取り扱いが違うようでございますが、正規の合格者も補欠の合格者もできれば同様に扱うということで、A校のような取り扱いの方が適当であると私どもは考えております。
○吉浦分科員 そうしますと、正規の合格者と補欠の合格者を、B校の場合には都立の発表後も手続を可能であるとしておりますが、A校の場合、正規の合格者は都立の発表後もいいけれども、補欠の合格者は都立発表前に行わなければならない、こういうふうに明記しておるわけです。このことについてどういうふうにお考えですか。
○吉田(壽)政府委員 間違えました。訂正させていただきます。
 むしろB校のような正規の合格者も補欠の合格者も同じように扱うやり方が望ましいのではないかと思います。
○吉浦分科員 ここで問題があるわけです。文部省は各学校の実情なり内容等について細かいことを御存じはないかもしれませんけれども、重大な指導的な立場にはおありでありますから、お答えを願いたいのですけれども、A校のごときは正規合格者を二割くらいしか出してない。そしてあとの八割は補欠合格というふうに、文書を無視するような形をとっておる学校でございます。こういう点についてはどのようにお考えでございますか。
○吉田(壽)政府委員 通常の場合には、むしろ逆に、正規の合格者が八割くらい、補欠の方が二割くらいということならば理解できるわけでございますが、その逆の状況だとすれば、これは大変疑問とせざるを得ない、そういう合格者の決め方であると思います。
○吉浦分科員 疑問とせざるを得ないということでは答弁になりませんで、私、後で申し上げますけれども、都道府県であろうとも通達を出した以上は、厳守させるようにするべきが教育の現場における最も大事なことだと思うのです。通達は通達で関係がない、学校は独自性だという考え方がもしもあるならば、私はこれは文部省は疑問だけではなくて当然指導しなければならないと思いますが、いかがでございますか。
○吉田(壽)政府委員 実はそういうA校のような実情をいま初めて伺ったわけでございます。しかし、先生御指摘のような学校があるとすれば、大変問題でございますので、東京都の学事部の方と十分連絡をとりまして、もしそういうことが事実であるとすれば、私どもも東京都を通じて指導、助言をいたしたいと思います。
○吉浦分科員 指導、助言の徹底を図りたいわけでございますけれども、入学手続書の中に一たん受理した書類及び納入金は一切お返しいたしませんとちゃんと明記してあるわけであります。
 お尋ねをいたしたいのだけれども、入学金というのはそもそもどういう性格のものを言うのですか。どのようにとらえていらっしゃるのですか。
○吉田(壽)政府委員 入学に際しまして、学校の設置者としていろいろと経費を要するということで、一部はそういう経費に充当するという考え方もあると思いますし、またある要素としては、大学に確実に入るという一種の確約のいわば保証に相当するような性格も持っていると考えているわけでございます。
○吉浦分科員 大学ではございませんで、私はいま高校を取り上げております。それが十八万とか二十万、二十五万という金額、いかがでございますか。
○吉田(壽)政府委員 それは各私立の高等学校のいろいろな考え方あるいは経緯、沿革等があるわけでございますので、それぞれの高等学校が良識に従って判断すべきものと考えております。
○吉浦分科員 東京都の場合、五十五年度の入試に関しまして、このような通達に反した高等学校に対して改善するよう指導がなされ、入学金の返還がなされた学校があるわけです。数多くあるのですよ。ところが十数校だけは依然として返還をしなかった、こう聞いておりますが、文部省はこういう実態を知っていらっしゃいますか。
○吉田(壽)政府委員 そういう実態につきましては承知いたしておりません。
○吉浦分科員 肝心なところになると実態を掌握していらっしゃらぬのではお話になりませんね。このような好ましくない事態に対して学事部が何度か指導あるいは助言をしているにもかかわらず、半数以上の学校は返金などの措置を講じないでいる。半数というのは、その指導を受けた中のでございますが、依然として十数校が無視しているような現状でございます。
 私、まず三つお尋ねをいたしますが、このような学校の措置をどのように考えたらいいのかというのが第一点。第二点目に、五十六年度もこのような通達を無視した学校が依然としてある場合、文部省はどのように対処しようと考えられておりますか。第三点は、このように入学金を前納して都立に合格した人に対して、入学金を返還させるように各学校に改善指導するお考えがあるかどうか。以上お答え願いたい。
○吉田(壽)政府委員 そういう学校が十数校というお話でございますが、これはやはり東京都の先ほど来の学事部長通達に反しているわけでございまして、私どもはこういうことはなるべく速やかに直していただきたいという考え方を持っております。
 次に、もし昭和五十六年度もこういう一部の高校が相変わらず同じようなやり方をしたらどうかということでございますが、この点につきましては、東京都の学事部と十分御相談してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 その前納したものを返還させる考え方の問題でございますが、これはそれぞれの高等学校自体の問題であるわけでございますので、この点について私どもが直接そういう高校に指導、助言を申し上げるというのは、いささか筋の上から問題がございますので、この点につきましては、東京都を通じてそういう私立高校に対して所要の指導、助言を与えていただくように、東京都と十分御相談してまいりたいと思います。
○吉浦分科員 このような事例は各都道府県にあろうと思いますが、こういう点もひとつ文部省は実態を把握していただきたいと思うのです。
 次に、私どうも納得しかねるのは、御承知のとおりいま文部省は私立高校に対して、いわゆる私学振興助成法によって二千六百億円の補助金を出していらっしゃる。少しの差はありますが生徒一人当たり年約十万円程度の補助がなされているわけです。都の私立高校助成審議会で授業料等の値上げが父兄の重い負担になっているということからかんがみて、こういう新方法が出ているわけですけれども、私立においては学費が安くてあるいは教育熱心な学校を最優先するというふうなことで、文部省として国民の血税とも言える私学振興助成金をお出しなさっていらっしゃるわけですから、こういうふうに守らない学校については、当然傾斜配分等の考慮をなされるべきじゃないかというふうに私は思うのです。いかがでございますか。
○吉田(壽)政府委員 お答えいたします前に、私立高校に対して二千六百億余りの補助金を出しておるというふうにおっしゃられましたが、これは私立大学等でございまして、私立高校に対しては、七百億の補助金を昭和五十五年度に出している、こういう実情でございます。
 さて、東京都におきます私立高校に対する補助の仕方でございますが、東京都におきましては補助金配分の際に、都立高校入学併願者の入学時の納付金の還付等の状況を傾斜配分の評価要素に入れまして補助金を算定しているというふうにお聞きしているわけでございます。
 なお、私立高等学校等に対する助成でございますけれども、これは都道府県が第一義的に行うことになっておりまして、したがいまして、その配分に当たりましては、都道府県がそれぞれ地域の実情に即しまして、いわゆる傾斜配分を含めて具体的な配分方法を決めておるといったてまえでございます。国は都道府県の私立高等学校に対する助成に要する経費の一部を補助しているということでございまして、この場合の国の補助金の算定に当たりましては、傾斜配分等を含めた都道府県の行う補助額に応じて行っている、そういうやり方をしているわけでございます。
○吉浦分科員 一部であろうとも国民の血税でございますから、文部省は当然そういう面についての御指導はなされなければならぬと思うわけです。
 そこで最後に、入学金の問題についてお尋ねをいたしますけれども、この改善策として私学の校費補助を再検討なさるお考えはないかどうか。これは私学の補助金が出てもう満五年になるわけです。ですから、学校を対象になさるのか、私は学生への直接補助が本筋ではないかというふうに考えるわけですけれども、この点について学校教育法等の精神からかんがみまして、ゆがめられている実態を今後どのように改善、指導していくかということを含めてお答えを願いたい。
○吉田(壽)政府委員 御案内のように、現行では私立大学等に対しましても、また高等学校等、高等学校以下幼稚園に至るまで、双方とも私学振興助成法に基づきまして、その経常費に対する助成を行っているわけでございます。つまり、これは機関に対する、学校法人に対する補助でございます。これに対しまして、いま御指摘のございました学生なりあるいは児童生徒を対象にして補助をしたらどうかという御意見でございますけれども、それも一つの大変検討すべき課題ではありますけれども、御承知のとおり現在私学振興助成法がございまして、これに基づいて私立学校全体の教育水準を上げる、あわせて父兄負担の軽減に資するということで、私立学校の経営の確立を図るというような趣旨で現在の経常費助成が行われておるわけでございますので、私どもといたしましては、当面この機関に対する、学校法人に対する助成を図るということを第一義的に考えているところでございます。
○吉浦分科員 大臣、いまお聞きのとおりでございまして、入学金の問題等についていわゆる通達を無視しているような学校については、今後十分な指導をしていただきたい。そうしませんと、子供のときからゆがめられた感覚で教育を受けるような形であってはならない、父兄の負担軽減というものがいま叫ばれているときでありますので、こういう点についで、大臣ひとつしっかりした指導をしていただきたいと思うわけでございます。
 時間もございませんので、次に国際障害者年にちなみまして養護教育の問題を一、二点取り上げさせていただきたいと思うわけでございますが、五十四年度からいわゆる養護学校が義務制になりまして、ことして二年目を迎えているわけでありますけれども、この養護学校の義務制というのは、全国民の要望でありまして、わが国の公教育が全体として調和のある体制を整え、新たな時代を迎えているという点が一つと、やはり急激な社会の進歩の中で、物の豊かさから心の豊かさへの重要性に着眼した生涯の社会的処遇のあり方という点について、大変画期的な養護教育が行われているわけでございます。時間もございませんので、この問題を許される限りお尋ねをいたしたいのですけれども、五十四年度以降の学齢にあるすべての精薄児の一人一人が小中学校への就学あるいは養護学校への就学というふうに決定をしなければならないわけでありますけれども、その入学する場合の就学指導委員会というのがございます。この内容はどういう方々によって持たれておりますか。まずその点をお尋ねいたしたい。
○三角政府委員 ただいま御指摘の就学指導委員会というのを教育委員会に設置いたしまして、心身障害児につきましては、障害の種類と程度に応じましてできるだけ的確妥当な判定と申しますか、そういうことを行いまして、いまおっしゃいました特殊学級なりあるいは養護学校なりへこれを就学させて、子供に最も適切で、しかも手厚い教育をしていこう、こういう趣旨でございまして、そういう趣旨を生かしますために、就学指導委員会につきましては、医師それから教員、これはやはり特殊教育の経験のある教員が多うございますが、それから児童福祉施設等の職員、これらをもって構成するようにということで、都道府県の段階では十五人以上、市町村の段階では十人以上をもって構成するように指導いたしまして、実際は都道府県の段階では二十九人平均でございます。市町村では十五人というような委員構成でやっていただいておる状況でございます。
○吉浦分科員 これはいつごろ開かれているのですか。
○三角政府委員 それぞれ市町村で児童の就学について翌年の計画を立てるのが大体前年の秋ごろでございますので、時期的には十一月ごろから取りかかるという状況でございます。
○吉浦分科員 これは私文部省に申し上げたいのは、八月ごろに開いて――予算がいま大体八月ごろからかかっておりますので、特殊学級なり養護学校の人員をどうするかという問題がその付近から検討されているわけです。そうしますと、よく実態を調べていただきたいのですけれども、各市町村と都道府県の指導委員会が二重の手間をかけるわけですね。そうすると、県の方の指導委員会からは、どのくらいの人数が入ってくるのかわからない、早く出せというふうにやんやと言われますけれども、父兄の折衝も何もできていない、指導委員会を開く時間もないということで、実に現場ではいま困っているわけです。
 大体、その養護学校というのは県立の養護学校になっていますね、幾ら義務制でありましょうとも。そうすると、郡市単位ぐらいに学校がありまして、そこへ指導委員会の市町村から行った者が、今度は都道府県に行って、そこで同じことをやるわけですね。そういうことを、やはりもう来年度から三年目を迎えますわけですから、もう少しスムーズにいくような体制をとってもらわなければいかぬ、私はこう思っております。
 時間がなくて、私、申し上げたいのですけれども、現場の先生方が非常に熱意を持って養護学校のその幼児の指導に当たられていらっしゃるわけです。訪問教育というのがございますけれども、この時間等も、五人以上担当なさいますと、やはり相当無理でございます。ですから、できれば三人程度の担当にもしてもらいたいし、その時間等も、広範囲の場合に考慮しなければならぬ問題がたくさんあるわけです。
 時間になってしまって申し上げられませんけれども、どうかそういう面の細かな配慮を、三年目を迎えますので、石の上にも三年でございまして、養護教育の充実を図るために、どうしてもことしは障害者年に当たる面もございまして、十分文部省は力を入れてもらわなければならない。こういう点について、最後に大臣から、いわゆる養護教育その他の特殊教育についての取り組み方の決意のほどをお伺いして、終わりにいたします。
○田中(龍)国務大臣 朝来の本委員会での御質問にもいろいろとありましたように、この制度というのができまして、皆様方もその運用といいますか、執行を非常に期待しておられると思うのですが、それが適正に運用されていないというようなことがございますれば、これはもう申しわけないことでございまして、これにつきましては、さらに十分調べまして、その推進を図らなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
 また、先生の前段の東京都立高校の問題とかあるいは私学の助成の問題、これまた大変貴重な御意見でございますが、およそ制度というものが適法に取り決められました以上は、その秩序を厳正に保つということが、これは私は最大の行政の執行上の問題だと思うのでありまして、決めではあるけれども、その間にうやむやになっておる、また乱れておるというようなことがあったならば最も悪い。この点につきましては、さらに調査をいたしまして、執行の適正を図りたい、かように考えております。
○吉浦分科員 終わります。
○愛野主査代理 これにて吉浦忠治君の質疑は終わりました。
 次に、中路雅弘君。
○中路分科員 私は、文化財や史跡の保護の問題についてきょうは御質問したいと思います。
 鎌倉は京都、奈良とともに日本の代表的な古都であり、特に中世の歴史を物語る多くの建造物や遺跡が残されておるわけですが、これらの文化財と周囲の自然環境が一つに溶け合ったところに、やはりこうした古都としての貴重な都市の風格があるわけで、古都保存法によって保護されているわけですが、最近は、特に多くの学者や専門家の間でも大変貴重だとされているこの少なくない文化財遺産が、開発業者の手でマンションの建設やあるいはアスレチックという形で開発行為にさらされていまして、住民による保存運動が各所に起きてきているわけです。
 最近も文化庁に直接陳情が出されている問題でも、たとえば亀ケ谷坂のマンション計画、これは坂そのものは国の史跡指定になっておりまして、周囲は特別保存地区になっているのですが、最近のやり方は、特別保存地区だとか指定のぎりぎりのところでいろいろ開発がやられるというのが特徴なんですが、この亀ケ谷坂の問題でも、御存じの著名な作家の里見張さんやあるいは画家の那須良輔さん等も名前を連ねて文化庁に要請をされているところです。
 もう一つ、きょう取り上げたいと思います名越の切り通しの周辺の問題ですが、この問題も鎌倉、逗子にまたがっていますので、最近、住民の皆さん約二万人からの署名で、文化庁にもたびたび要請がされているところですが、これも、名越の切り通しそのものは国の史跡指定になっていますが、わずかの範囲でして、周囲が、古都保存法による保存地域にもありますけれども、保存地域外のところもあるのですね。
 しかも、最近非常にはっきりしてきたのは、この名越の切り通しの周辺が、とりでとして非常に重要な遺跡が残っているということで、相当広範に、逗子、鎌倉にまたがって、約東西千メートル、南北五百メートルにわたって、中世の一大城郭の跡だということが明白になってきました。
 ここにいままた開発の行為が行われてきているということで、文化庁も最近は、県、逗子、鎌倉と四者を含めまして十数回会議をやられたり、また、現地にも直接文化庁の皆さんが調査にも入られて、たしか昨年の夏には報告書も出されたと思いますが、最初に、すでに調査も入っておられますから、文化庁として、この名越の周辺のいわゆるとりでと言われている遺跡について、どのように認識をされているのか、またこの史跡がいろいろの開発業者によっていま破壊をされようとしている現状、こうしたものについてどのように認識されているのか、一言お聞きしたいと思います。
○別府政府委員 お答え申し上げます。
 すでに先生が御指摘なさったところでございますが、名越の切り通しは、鎌倉の南東部に横たわっております山並みを越えて、逗子、三浦方面に出る道を切り開いた交通遺跡でございまして、いわゆる鎌倉七口の一つと言われております。鎌倉の地勢とその外部との連絡状況を示す重要な遺跡として、国の史跡に指定をし、保存を図ってきたところでございます。
 ところで、近年この名越の切り通しの周辺地域におきまして、広範囲に人工的な遺構が発見をされまして、昭和五十二年以降、鎌倉市、逗子市並びに神奈川県が、地表観察を主とし、一部発掘をいたします調査を行ってきたところでございます。
 この調査の結果、遺構の広がりはほぼ把握されましたけれども、その遺構がつくられました時代あるいはその果たす役割りといった遺構の性格が必ずしもまだ十分判明いたしておりませんので、文化庁といたしましては、これらの歴史的な位置づけを明らかにするために、さらに調査を行う必要があると考えているところでございます。
○中路分科員 昨年の秋の審議会にも間に合えばということで地元の皆さんは期待もあったわけですが、いずれにしても、史跡の指定ということになれば、指定の基準もありますし、範囲だとかそういうものも画定しなくてはならないと思いますが、先ほどお話をしましたように、開発も大変この地域に進んでいるところですから、追加指定になると思いますけれども、こうした作業を、すでに報告書も出されているわけですから、急いでいただきたい。
 文化庁といつかお話をしたときも、県や市の意向も聞いた上で、追加指定する方向で努力をしたいというお話をされていたのですが、これは、時期だとか範囲ということは、地権者のこともありますから、まだお答えできないだろうと思いますけれども、その検討作業はどういうふうにされるか、大体の見通しですね、簡潔にちょっとお願いしたいと思います。
○別府政府委員 二つに分けてお答えを申し上げたいと思いますが、一つは、先ほど先生が御指摘になりました周辺の遺構の問題が一つでございます。他の一つは、現在指定しております交通遺跡としての名越切り通しにつながる部分の問題でございます。
 そこで、最初の周辺遺構の問題川につきましては、先ほども申し上げましたように、遺構の広がりの範囲はほぼつかめておりますけれども、その性格等が必ずしも明らかでございませんので、さらに文献的調査並びに考古学的な調査をする必要があるということで、鎌倉、逗子市並びに神奈川県とその方向で現在協議をし、準備を進めているところでございまして、早急にその調査を行いたいと考えております。
 第二番目の現在の史跡につながる部分のことでございます。現在指定しておりますのは、名越切り通しの中でも逗子市にかかる部分の一部が指定をされているわけでございまして、さらにそれにつながる部分のところについて地元逗子の方からも追加指定の要請が出ておりますので、これにつきましては、現在その方向で作業を進めているという段階でございまして、できるだけ早急に結論を出したいと考えているところでございます。
○中路分科員 御存じだと思いますけれども、いまこの開発を法蓮興業という余り聞きなれない企業、あるいは前田建設、和光会、さまざまな開発行為がいま行われようとしておりまして、このとりでが破壊される危険性があるわけです。特に私一口お話ししておきたいのは、この法蓮興業という企業ですけれども、これは昭和四十六年に警視庁の組織暴力団取り締まり第二次の頂工作戦で暴力団として解散をさせられました護国団、この幹部がそのまま五十一年に法蓮興業という企業をつくった。この開発のためにだけつくられた企業ですね川そして銀行や政府系の中小企業金融公庫からも最初融資を受けていた。中小企業金融公庫で最初四千万の融資を受けてアスレチックをつくり始めたのですが、住民の皆さんの指摘やあるいはこれが遺跡の破壊と絡むということで、金融公庫もその後の第二次の四千万の融資は中止する、断るということもやってきたわけなのです。政府系の金融機関すら融資を断らざるを得ないこうした無法な開発業者、これがいま進めているわけですから、やはり遺跡は一度破壊されると後から指定といっても取り返しかつかない。そういう面でも史跡の指定の検討を急いでいただきたいということが一つなのです。
 それから、この機会にお聞きしておきたいのですが、いま調査されておる中に防衛庁の共済組合が持っている土地があります。この土地さえ法蓮興業が侵略していたということで私たちが指摘をしました。専守防衛と言う防衛庁が自分の土地を侵されても文句が言えないのかということで問題にしたのですが、防衛庁もやっと、私たちの指摘もあって、自分たちの土地が相当部分侵略されているということで、法蓮興業に指摘をしたけれども、承知をしないということで、たしかいま民事裁判になっていると思うのです、一言、この裁判がいまどういう現状にあるのかということと、あわせて時間もありませんからお聞きしておきますが、この土地は他に転売するというようなことはしないというお約束もありますが、この点をもう一回念を押しておきたいのと、ここがもしそういった地域として認定をされれば、これに協力をしてもらわなければいけない。防衛庁は何か住宅や開発をしたいというお考えですけれども、そういう中に含まれているということがはっきりすれば、やはりその施策には協力をしていただくということが必要だと思いますが、あわせてお答え願いたいと思います。
○根木説明員 御質問の土地は、昭和四十七年に防衛庁共済組合が宅地分譲用に取得した逗子市小坪の土地でございますが、五十四年六月ごろ、わが方の土地に隣接しております法蓮興業が、御質問のように、わが方の土地に越境してフィールドアスレチックの工作物などを設置しているというような情報がございましたので、直ちに調査いたしました結果、それが事実でございましたので、法蓮興業に対しまして強く越境の事実確認と、それから原状回復を申し入れておりましたが、その後数度の話し合いでも全然解決いたしませんので、同五十四年十二月末に横浜地方裁判所に、法蓮興業を相手といたしまして境界の確定並びに所有権の確認を求める訴訟を提起いたしております。その後現在に至るまで約八回の口頭弁論が行われておりまして、明三日にも第九回が行われる予定でございますが、現在のところ結審いたしておりません。当組合といたしましては、勝訴の見込みは十分あると確信いたしております。
 それから、転売のお話でございますが、前の国会でもお答えいたしましたとおり、現在他の民間業者に売り払う、転売するというような考えは持っておりません。
 それから、史跡等の指定でございますけれども、当組合といたしましては、名越切り通し周辺に史跡の追加指定等を検討されているというお話は承っておりますが、具体的に直接まだ御連絡、申し入れ等は受けておりませんので、もしそのような申し入れがございましたら、その内容とか範囲とかを十分承知いたしました上で、よく関係機関とも調整申し上げて対処してまいりたいと思います。
○中路分科員 防衛庁、もう結構です。ぜひ協力していただくということを再度要請しておきたいと思うのです。
 いまもありましたように、この開発企業というのは非常に乱暴な企業でもありますので、そういう意味では、やはり緊急の対策が必要になっている。もちろん追加指定ということは急いでいただく必要があるのですが、先ほどお話しの二番目の切り通しに接した部分は、いずれにしても追加指定の際にも、どういう規模になるにしても含まれてくるわけです。最近このところで、やはり和光会というのが持っている土地が向こうの方からも売りたいという話があるのですが、こういう際には部分的な点でも先に緊急対策をとって抑えていくということが必要ですし、この土地が公有化されるなりすれば、いまの法蓮興業の開発も一つ分断することもできますから、この和光会の土地については部分的な対策としても買い上げて、予算上の処置もあると思いますけれども、部分的にもそうした開発を抑えていくという緊急の対策も必要だろうと思うのですね。この点がどうなっているのかということが一点と、もう一つは、五十四年だったですか、私が文化庁を訪れて当時の吉久次長さんとお会いしたときに、これは県がやる問題ですけれども、もし必要ならば仮指定ということも含んだ緊急対策が必要だということのお話もありました。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
こうしたことを含めて、いま緊急の対策としてどういう点が検討されているのかということもあわせてお尋ねしておきたいと思います。
○別府政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の和光会所有地の件でございますが、これが先ほど私が御説明申し上げました第二番目の点でございまして、現在指定をされております史跡に隣接をする部分でございまして、逗子市の方からも史跡としての指定の要請が参っているところでございまして、手続は現在各種の作業を進めているというところでございます。もしそれが史跡に指定をされました後に、公有化の問題が地元から出てまいりましたならば、その方向で地元と御相談もしてまいるという問題でございますので、できる限り迅速に進めてまいりたいと考えております。
 それから、第二番目の御質問でございますが、仮指定の制度は、文化財保護法の第七十条に仮指定という制度がございます。ただ、この仮指定の制度は、指定を行います者が文部大臣ではなく、地元、県の教育委員会であるということと、仮指定の効果が二年間であるという点が違うだけで、あとの取り扱いは文部大臣が指定をした正式の史跡指定と同様な取り扱いを受けるという制度でございますので、県の教育委員会が仮指定を行います場合には、先ほど来御説明申し上げておりますような内容についての文献的調査あるいは考古学的調査を十分にいたし、史跡の範囲あるいはその性格等を明確にした上でなければこの仮指定が行えないということでございますので、そういった手続はとってまいらなければならないわけであります。この件についていま直ちに仮指定が行えるかどうかという点については、なかなかむずかしい問題があろうかと思っております。
○中路分科員 いずれにしましても、いま和光会の例で挙げましたけれども、こうした部分的なとりあえずの対策を含めて、あるいは県とも相談をされて仮指定が必要だということになれば、そういう点も検討していただきたいということをあわせて要請しておきたいと思います。
 この機会にもう一言お尋ねしておきたいのですが、名越の問題もそうですし、あるいは朝比奈の切り通しもそうですが、いま問題になっておるところは、尾根で市境が多いのですね、鎌倉と逗子とか鎌倉と横浜とか。古都保存法は都市で指定しているわけですから、鎌倉の部分は保護されても、今度は市境で全く変わってくるわけなんで、航空機写真を撮るとよくわかるのですが、いま鎌倉の場合も、映画の撮影のセットスタジオのように表は相当あるのですけれども、裏側に行くと全く開発されているというような状態が多いわけです。そういう意味で、古都保存法の適用なんかについて、そこに史跡があり、そして市境で周辺の風土とも一体になっているところになれば、行政の点でももう少し弾力的な運用ができないかという要請も地元から強く出ているわけです。古都保存法自身が、政令での都市の指定あるいは保存区域の指定ということもできるわけですが、たとえば名越の場合は逗子の方とまたがっているわけです。そういう意味で、これは総理府になりますか、古都保存法の適用の問題なので、こうした市境の場合の保存の問題、どういう対策が有効なのか、一言お聞きしておきたい。
○山口説明員 古都保存法の施行は総理府と建設省で所管いたしておりますので、総理府からお答えいたします。
 古都保存法による歴史的風土の保存は、わが国往時の政治、文化の中心等として歴史上重要な地位を有する都市、これを古都保存法では古都として定義をしております。この古都におきまして歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなしている都市について関係地方公共団体や歴史的風土審議会の意見を聞くなどの手続を経まして行われております。
 古都保存法によります古都の指定の基準といたしましては、従来から、第一に、長期にわたってわが国往時の全国的な政治の中心地または時代を代表する歴史上重要な文化の中心地であった都市であること、第二に、史実に基づいた文化的資産が集積し、かつ当該歴史上重要な文化的資産が広範囲にわたる自然的環境と一体をなして、後代の国民に継承されるべき貴重な歴史的風土を形成している土地を有する都市であること、それから第三に、市街化もしくはその他の開発行為が顕著であって、歴史的風土の侵犯のおそれがあるため、積極的な維持、保存の対策を講ずる必要のある都市であること等の基準によって運用してまいりました。御質問の地域がこれらの指定の要件に該当するかどうか、地元の地方公共団体からもよく実情を聞いてまいりたいと考えております。
○中路分科員 いずれにしましても、今度の場合は相当広い範囲の地域に要請を出されているわけですね。だから、文化財保護法に基づく追加指定というものを急いでいただくとともに、古都保存法のこうした運用についても検討していただきたいのです。これは、皆さんの方もすでに何度か私たちにもおっしゃっておるように、やはりいろいろの法の網をかぶせていかないと、全体の保全がむずかしいだろう。たとえば都市計画法あるいは自然環境保全法、こうしたいろいろの法律を総合的に運用して、法の網をかぶせていく必要があるということはおっしゃっているので、私たちもそのとおりだとは思うのですが、たとえばその地域全部を追加指定するということになれば、恐らく文化庁の文化財保護の予算を一年分全部つぎ込む結果にもなるだろうと私は思うのです。そういう意味では、現実的にはいま言った方策がとられるだろう。その場合には、これらの法律では、たとえば県が権限を持っているというのもありますね。そういう意味で、こうした関係の県や機関と、できれば専門家を含めて文化財保護法に基づく追加指定を急いでいただくとともに、いまどうしてこうした総合的な対策が必要なのか、とっていけるのかということの検討、協議を具体的にぜひ急いでいただきたい、このこともあわせて要請をしておきたいと思いますが、いかがですか。
○別府政府委員 ただいま先生御指摘のように、各種の法律、制度があるわけでございまして、それらの法律の運用は都道府県知事にゆだねられている部分が多いわけでございます。そういう点で私たちも、文化財保護法とあわせて都市計画法なり古都保存法、自然環境保全法等の運用を、地元の関係機関におきまして十分に連携をとり合い総合的な対策をとられるように協議をしてほしいという御要望をいたしておりますし、今後ともそのような連絡を十分にとってまいるつもりでございます。
○中路分科員 私はこれと関連して最後にお尋ねしたいのは、こういう問題に私も関係をしまして痛切に感ずるのは、国の文化財や史跡等の調査や研究が大変立ちおくれているのじゃないかという気もするわけです。いま国立の文化財研究所は東京と、たしか奈良と二カ所ありますが、東京の国立文化財研究所では埋蔵文化財の研究部門はないわけですね。そういう点で国立の場合は奈良にしかないわけですけれども、国として埋蔵文化財の調査、特に関東地方のこうした埋蔵文化財の調査機関、研究機関、研究の体制ですね、これをいまどのように進められておるのか、最初にお尋ねしたいと思います。
○別府政府委員 お答え申し上げます。
 かなり古い推計調査でございますけれども、わが国の埋蔵文化財包蔵地は全国で約三十万カ所あるというふうに言われております。これらの埋蔵文化財が、最近の開発の進捗に伴いまして発掘調査をされる機会が大変ふえてまいっております。
 ちなみに、件数を申し上げますと、昭和五十四年度一年間では約九千件に上る発掘調査が行われておるということでございまして、これらをできるだけ早く的確にこなすために、各県あるいは市町村の体制を十分に整備していただくということで、地方公共団体における各種の組織の整備あるいは発掘調査に従事いたします専門的な知識を持つ職員の配置等、ここ数年の間には大変進んできておるわけでございます。
 国といたしましては、御承知のように奈良国立文化財研究所に埋蔵文化財センターを設置いたしまして、ここで、最近非常にふえてまいっております各地方公共団体の専門職員の専門的な研修を行って、その地方公共団体における体制を充実していくという点について努力いたしているところでございます。
 ちなみに、昭和五十五年度におきましては、十一課程、約二百六十名の職員の研修を行っておるところでございまして、これらについてはさらに今後引き続き充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 また、国といたしまして、これらの地方公共団体が行います発掘調査についての専門的、技術的な指導連絡というものはさらに十分にとってまいりたいと思っているところでございます。
○中路分科員 一、二問で終わりますが、いま鎌倉では個々の研究者、学者が独自に研究しているというだけじゃなくて、これでは間に合わないというので、こうした研究グループがまとまって、私的な形ですけれども、研究所を設けているわけですね。学者、研究者グループが鎌倉考古学研究所というのをつくって研究を重ねているわけです。国立のは奈良一カ所ですから。特に鎌倉といえば世界的にも知られたところですし、中世を中心にして当然のこととしてこうした研究の体制がもっと充実されなければいけないということなわけですけれども、特にきょう御紹介しておきますけれども、独自につくられている鎌倉の考古学研究所の事実上所長役をやっている鶴見大学の大三輪さんという教授ですが、この方は「草燃える」で舞台になったときにも、永井路子さん等と鎌倉の紹介でも大変力をかしていただいた方です。こういう機会に御紹介しておきますが、余りにもいまこうした調査研究の体制が貧弱だ、そういう意味ではぜひこの鎌倉にも先を当ててほしいという要望を大三輪さん自体が強く持っておられるわけです。
 私、ちょっと調べてみましたら、この「国立文化財研究所には、支所を置くことができる。」ということが四十一条にあります。最近出先の行政機関の整理が逆に問題になっているときですからなかなか大変だろうと思いますけれども、四十一条にはこういうこともできるということも明記をしてあるというのは、やはりそういう体制が必要な場合もあるということを含めて出ているわけです。
 時間が限られておりますから、この問題ではいますぐ鎌倉に支所というストレートな要求をするわけじゃありませんけれども、こうしたことも含めて国として調査研究の体制をこの大三輪教授も言っておられるようにもっと強化をしていただきたい、充実をしていただきたいという要請を強く持っているわけです。この問題ではいまお話も聞いていただいておりますので、文化庁の方とあと大臣の方からも一言御意見を伺って質問を終わりたいと思います。
○別府政府委員 地元の研究者が大変熱心に研究をしてくださっていることは、私たちとしては大変ありがたいことだと思っております。
 なお、若干つけ加えますと、各地に公立の埋蔵文化財調査センターがつくられ、文化庁から建設費の助成が行われておりますけれども、ちょうど地元神奈川県におきましては、昭和五十五年度、五十六年度の二カ年間にわたって国の補助を受けて埋蔵文化財調査センターの建設が進められておるということも申し添えさせていただきたいと存じます。
○田中(龍)国務大臣 いろいろと文化財の問題につきまして御意見をいただきました。ただいま別府次長からお答えいたしましたような状態でございまして、いますぐというわけにもまいりません。がしかし、私も子供のときから長谷の観音様のところにずっと住んでおりまして、それからあと大学時代には腰越におりました。あれだけの歴史的な遺跡である鎌倉がどうして一体考古学、歴史学の光が当たらないか、実は残念に思うものでございます。前の市長の正木君もずっと企画院で一緒の同僚でございましてよく話をしたことでございます。鎌倉に対しまする文化方面の研究、本当にありがとうございます。今後ともによろしくお願いいたします。
○中路分科員 終わります。
○塩崎主査 これにて中路雅弘君の質疑は終わりました。
 次に、井上泉君。
○井上(泉)分科員 委員長が非常に張り切っておりますので、私も張り切って質問します。
 いろいろな項目で質問を申し上げたいと思うわけですが、その前に私は大臣の教育に対する考え方、いろいろ持っておると思うわけですけれども、文部大臣になられたことがよかったというのではなしに、おれの任期中には文部大臣でこういうことをしていきたい、文部大臣としての職責にそういう一つのファイトを持ってなられたものだ、こう思うわけです。持ってなられてなければいいですよ。持ってなられたならば、少なくとも日本国民だれしも行かねばならない、行く学校、つまり小学校、中学校、この義務教育というものをどう考えておられるのか、その点まず大臣に。
○田中(龍)国務大臣 何と申しましても教育の基本は義務教育でございます。かわいい自分たちの子弟あるいはまた民族の後輩の養成の源泉でございます義務教育の問題につきましては、本当に大変なことだと、これに対して取り組まなきゃならない、しかもこれをりっぱなものに仕上げていかなきゃならないという気持ちでございます。
○井上(泉)分科員 そういう大臣の決意のもとに昭和五十六年度の文部省関係の予算が組まれておると思うわけですけれども、それが一体どこへ組まれておるか。従前の文部省の予算をそのまま引き継いで、大臣としてこういうことをやらなければいかぬ、義務教育はこういうふうに充実しなければいかぬということで、新しい予算の中に大臣としての政策あるいは自分の日本の教育に対する考え方を生かしたものがあるのかどうか、あればお教え願いたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 教育に対しましての夢ばかり多くて、あり余る夢がありますので、どれということを特筆して申すようなことはむずかしいことでございますが、しかし、本当に愛情に満ちたりっぱな教育をしてまいりたい、かように考えております。
○井上(泉)分科員 いわゆる教育というものはよい日本人をつくるということが最高の目的である。そこで、よい日本人というものを大臣はどういうふうにとらえておるのか、その点まず大臣に。
○田中(龍)国務大臣 よい日本人というのは、心身ともに健康な日本人であり、同時にまた情操豊かな、歴史、伝統の背景のもとに近代科学を本当にマスターしたりっぱな文化国家をつくっていく、かように考えております。
○井上(泉)分科員 そういうよい日本人であるということは、つまりいまの日本の憲法を十分守っていく日本人でなければならぬ、こういうように思うわけですが、どうでしょう。
○田中(龍)国務大臣 結構でございます。
○井上(泉)分科員 結構ではなしに、そうであるかどうかということです。
○田中(龍)国務大臣 さようでございます。
○井上(泉)分科員 そこで、大臣は非常にお若いので、ひょっとしたら大正の終わりじゃないのか、こう思っていま衆議院のなにを見ると、大臣は一九一〇年の生まれ、ですから大正の教育を受けられた。その大正時代の教科書のよい日本人というのが、これは大臣、頭いいですから覚えておられると思うわけですけれども「わが大日本帝国は万世一系の天皇をいただき、」云々と書いてありますが、このよい日本人というものをいま見て大臣はどう。いう心境に一ありますか。
○田中(龍)国務大臣 日本民族の長い歴史、過去においてもまた現在においてもそうして将来においてりっぱな日本国をつくってまいりたい、かように考えております。
○井上(泉)分科員 要領の得ぬ答弁ですね。そのよい日本人、これは読む時間はないですけれども、「われら臣民は数千年来」と、こういうこと、私も大正初期ですから、やはり尋常小学修身書を習ったわけです。これを本当に暗唱するぐらい覚えて、この間その本を見てみましたが……。
 大臣、ことしは紀元何年ですか。
○田中(龍)国務大臣 先生のそういう御質問があるように感じましたので調べてみましたら、何でも二千六百四十一年でございますか、違いますかな。
○井上(泉)分科員 その二千六百四十年の――「数千年」ということは四、五千年のことを指すわけですが、四、五千年あるいはもう少し五、六千年ということで、この本には「われら臣民は数千年来」、こういうことで載っておりますし、そこに紀元二千六百何年というものとの食い違いというものがあるし、いかにその時分、大正時代の教育というものが、このいわゆる戦前の教科書というものがでたらめであったかということが証明されるわけですが、その紀元節の祝賀行事に、大臣も、個人であろうが何であろうが、これはあくまでも文部大臣であることには間違いないわけですが、この建国記念日というのは二月十一日、つまり紀元元年を称しての祝賀会ですが、大臣はやはりそのときから日本が始まったものだという考えにあるのですか。
○田中(龍)国務大臣 これは近代科学というものがだんだんと進んでまいりますと、考古学やいろいろな学問上の議論がございまして、いまの何年が紀元元年であるとかどうこうというようなことにつきましてはいろいろの議論がありますことは存じております。ただ問題は、そういうふうな歴史的な、また科学的な分析や考古学の問題や何がどう違いまして、いやしくも国家というものがあります以上は、どこの国でも建国の日というものをみんな決めるのが普通でありまして、世界、地球上どこの国でも建国記念日というものを持っております。そういう意味で、その日にちがどうこうという科学的な分析の問題よりも政治的、社会的、国際的に建国の日を決めるということは必要であろうと存じます。
○井上(泉)分科員 その議論をこれから続けておれば私の時間もなくなりますので、要するに、それは別にいわゆる紀元二千六百何年という今日の日本の歴史の紀元が制定された日がわが国の始まりであるという考え方でないということ、それは理解できるし、そこで憲法というものを大切にしていくということも大臣自身言われたわけですけれども、私は自分が戦前の教育を受けておるものですから言うわけですけれども、この小学校二年のときの修身の教科書を見てもうびっくりしたのですけれども、「召し使いをいたわれ」こう書いてある。この「召し使いをいたわれ」、というのは、「水をもらおうと思って女中を呼びましたが、すぐに来ませんのでたいそう腹を立てました。そして女中が働いている井戸端へ駆けていって大きな声でしかりました。母がそれを聞きつけて、そんなことで人を使ったり腹を立てたりしてはいかぬ、いたわらなくてはならない」、大臣なんかは御家庭がりっぱですから、この時分では召し使いもおられたんであろう、女中さんもおられたんでありましょうけれども、私どもの姉妹はその女中に行く方ですから。そのときの、そういう戦前の教育というものの中には、これは「召し使いをいたわれ」というようなことで非常な差別の思想というものがこの時分から日本にはあるわけで、こういう「召し使いをいたわれ」とかいうことは、大臣、いま考えて、いま思い出して、あなたも小学校へ行かれたんでしょうから、記憶があろうと思うのですが、こういうのを見て、いま私の言うことを聞いて、これは一体どういうふうにお感じになりますか。
○田中(龍)国務大臣 これは日本の国柄からいたしまして四海平等でございまして、日本も封建制度時代のような、さような士農工商といったような身分上の差別はございません。憲法の定めるところによりまして国民は等しく平等であり、またそれに応じた等しい権利を享受しなければならない、こういうことでございます。
○井上(泉)分科員 戦前はこういうふうな教育の中でずっとわれわれは教育を受けてきて、それからまた戦時中はさらにこれがひどくなってきて、そういうふうな結果、今日のいわゆる新しい憲法のもとにおける日本の国政というものが築かれ、そして主権在民の憲法というものの中で政治が進められておる中で、差別問題というもの、これは大臣前に総理府の長官をやられておったことがありますし、私もそのときにも質問したわけですが、教育現場における差別、それが小学校、中学校で盛んに行われておる、こういう現状というものは認識があるでしょうか。
○田中(龍)国務大臣 御案内のとおり、先ほども申したのでございますが、私は山口県の出身でございまして、この差別問題というのは日本全国の中でどちらかというならば西の方、福岡県、山口県あるいは岡山県とかですね、そういうことでございます。ことに私は終戦後県知事に当選いたしましてからずっと御案内のとおり同和の問題に取り組んでまいりました。亡くなった社会党の八木さんあたりと御一緒にずっと今日までやってまいりました。そういう意味では先生の御質問は十分にわかるつもりでございます。しかしながら、何といいましても、どうもこの問題は西の方にばかり偏在いたしておりまして、東北とか北陸とかそういう北の方にはまだそういう点ではまことに認識と申しますか、気持ちの上でよく理解されない方もおるんじゃないかということを感じております。
○井上(泉)分科員 大臣が前に総務長官のときにも、私この部落問題を取り上げて質問したときに、非常に理解のある見解をいただいたわけですが、最近小学校、中学校の中で差別発言というものが非常に激増しておる。これはお読みになったかどうか知りませんけれども、「全国のあいつぐ差別事件」という中にも、大臣指摘のように、これは西日本に多いわけです。しかし私はこれはいまの憲法の中で基本的人権を守るためにもどうしてもなくさなければいかぬ。なくするためにはどうするのか。これは文部当局も御苦労なさっておると思うわけですけれども、やはりこれをなくしていくための一つの重要な柱として、この同和対策特別措置法というものが生まれたことは、これはもう大臣担当でしたから十分御承知だと思うわけですが、この同和対策特別措置法は現在あなたの所管ではないけれども、やはり教育における差別をなくしていくためにも、この措置法というものがまだ今日必要であるし、これはもう期限が切れたから廃止とかいうようなことではなしに、私は引き続いて抜本的な対策を立てていくために、さらにこれは強化、延長すべきだ、こういうように思うわけですが、この部落問題に理解のある大臣としての御所見を私はこの際承っておきたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに十年間の時限立法、それが三年間延長いたしまして、多分来年でございますか、また期限が来るという問題につきましては、関係者みんながいまこの問題について一生懸命にやっておる次第でございます。またこれは内閣の所掌事項でもございますので、いまの問題は政府といたしましても重大問題として考えてまいらなくちゃなりません。
○井上(泉)分科員 この問題についてもまた何か次の機会に大臣に要請をすることがあろうかと思うわけです。
 そこで、現場教育、つまり前段で申し上げました義務教育の段階における差別あるいは教育格差、そういうようなものをなくするために、いまの塾の状態というもの――この塾の問題については、あれはだれが文部大臣のときだったか、永井文部大臣のときあるいは海部大臣、あるいはまた砂田大臣のとき、ずっとやってきて、調査を進めてこられたわけですが、こういう国会の中で論議になって、それに対して対策を立てなくちゃいかぬということになっておるが、そういう国会で論議をしたことが文部行政の中でどうなされておるかということをお考えになっていただいたら何にもない、こういうことになると思うのですが、そういうふうなことでは、大臣はときどきかわるわけですけれども、文部省で直接行政の衝に当たっておる局長なんかかわるわけないのです。だから局長は、塾は文部の所管でないからだめだとかいうように逃げることはできないと思うのですが、やはり国会で論議をされて問題になって、そして約束をしたことは、対策というものを立てなくちゃいかぬと思うわけです。膨大な経費を使って膨大な全国の塾の調査をしたのでしょう。そのしたことに対してどういう対策を立てたのか、これは私は大臣でなしに事務当局に御答弁願いたいと思います。
○三角政府委員 御指摘のように、昭和五十一年の時点で学習塾に通ったことのある者のサンプル調査をいたしまして、五十二年三月に取りまとめた次第でございますが、その後文部省は、五十二年三月十八日付で各都道府県教育委員会あて「児童生徒の学校外学習活動の適正化について」という通達を出しまして、第一点として学校における教育指導の充実、第二点といたしまして入学試験、特にその問題内容の一層の適切化を図る、第三点といたしまして、教師が塾で働くというような事例も見られましたので、教師の服務の適正化について適切な措置が講じられるよう関係者の努力を求めたということがございます。
 それからまた、私どもといたしましては、五十二年の七月に学習指導要領の改定を行った次第でございますが、その際、この指導要領の改定の基本的な考え方といたしまして、教育内容の精選を図りまして、義務教育の段階では、基礎的事項をしっかりと児童生徒が身につけていくことが重要であるということで改善を図りまして、あわせて年々教師の資質の向上についても、いろいろな多面的な手だてを講じて努力を重ねてきたところでございます。
 なかなかこの塾の問題というのはいろいろな実態もございますし、それからいろいろな要素も入っておりますので、これに取り組むことは必ずしも容易なことではございませんが、私どもとしましては、いま申し上げましたような正面からの施策を進めていくことによりまして、できるだけ公教育である小中学校の教育が、その公教育としての本来の責任を十分に果たすようにいたしまして、その結果として、できるだけ学習塾というものについて、これがそう極端なぐあいに取り上げられるような状況が相進みませんように改善がされますような状況をつくり出していくように、今後とも努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
○井上(泉)分科員 その今後とも努力をするということ、これはいつも努力の連発ですけれども、努力の成果があらわれてないでしょう。どういうふうにあらわれておるとあなたはいま評価をしておりますか。
 あなたがいま答弁されたようなことは歴代の初等中等教育局長はみんな同じようなことを言っていますよ。同じようなことを言っておって、それでこれじゃいかぬということでかなり大規模な塾のサンプル調査をやった。いま小学校の五年、六年になると、中学生になると、もう半数以上は塾に通っておる。そういう現状にあるということは、これはそろばん習うとかお茶習うとかいうこととは違うのですから、少なくとも読み書き、歴史、いろいろなものを習っておるわけですから、こういうように小学校の義務教育の段階から塾に頼らなければいかぬというようないまの教育のあり方に対して、文部省として恥ずかしいと思わぬですか、どうですか。
○三角政府委員 小学校、中学校がそれぞれ、さきにも申し上げましたが、指導要領も新しくいたしまして、一生懸命に努力をして、その教育効果を発揮するということが基本であると思います。塾に対して、これの需要があります面は、小学校、中学校がどうだからということもございましょうけれども、社会全体のいろいろな意味での需要というものもあることも一方において事実でございます。
 それで私どもとしては、所管とか何とか申しませんけれども、塾については一々これを監督をしたり取り締まりをしたり、あるいはこれにつきまして規制をしたり取りつぶしたりということは、事実上も法律上もできることではございませんので、やはり努力ということを申し上げておしかりをこうむったような感じでございますけれども、本来の小中学校の教育を一生懸命充実していく、それから先生も自分の資質を向上して魅力ある学校生活が送れるような指導をしていくということを基本に置いて、そしてそういった角度から私どもとしては、また申し上げますけれども、なおかつ努力を重ねていきたい、こういうふうに申し上げたいと存じます。
○井上(泉)分科員 精神訓話で塾はなくならないわけですから、いま塾を必要とする要素もあるとこう言うが、どういう点に塾を必要とする要素がありますか、説明してください。
○三角政府委員 私どもは塾の問題についてそう公式に申し上げるような分析をして申し上げてはおりませんが、この間の調査の結果については、御案内のことと存じますけれども、それだけの現実があるということは、やはり社会的な一つの需要があるということで申し上げたわけでございます。
 当時の調査の結果といたしましても、予習、復習というようなものもありますが、小学校の高学年、中学校の高学年になりますと進学準備中心の指導というものもあるわけでございます。私どもといたしましては、予習、復習というようなものにつきましては、通常の学校の指導を十分にして、なるべくそういうところへ頼らないで済むようにすることがよろしいであろう。それから進学準備の壁もかなりあるようでございますが、これにつきましては、やはり入学試験のやり方の改善を図っていく。特に先ほどの通達内容でも申し上げました、問題内容を学校で指導しておりますことに即して適切なものにしていくように相努めていくということであろうというふうに思うのでございます。
○井上(泉)分科員 社会的需要がなぜ塾を求めるようになったのかということ、それはやはりいわゆる義務教育に対する文部省の行政の対応が不十分であるということからそういうことが起こってきたわけです。それとまた、塾へ通える子供と通えない子供とがある、そこに勢いまた差別が生ずるわけで、文部省自身が差別を拡大をしていくような教育行政の方針をとっておる。あなたは何年かしておったらあるいは次官になり、あるいはやめていかれるかもしれぬけれども、子供は年々文部省の指導のもとにおける学校教育を受けておる。学校教育で足ると思ったら足らないわけで、だから塾へ行く。こういう差別というものがいろんな形で助長されるようなこの塾のあり方というもの、これに厳しく対処してもらわなければいかぬと私は思うのです。
 それでは、実際高知県の教育委員会にどういう通達を出したのですか。私はそんなことは聞かないのです、問うたけれども。何も具体的にしていないでしょう。それから文部省が塾に対してどうこうできないといいましても、できなければせなければいかぬじゃないですか。一千万以上の子供が塾に通っているというのだから、やれ小学校、中学校のもう大半が塾へ通っているという現状に対して、行政が手を打たなければいかぬじゃないですか。やるべき手がないというようなことで逃げてはだめだ。手がなければ手をつくる、それが行政というものであり、政治というものじゃないですか、大臣、どうですか。
○田中(龍)国務大臣 この塾の問題はよく先生御承知のとおり、結局差別と申しますか、つまり学歴社会というもの、さらにみんなががんばって公教育の責任をりっぱに果たして、学習塾をなくすまでのあれをやれればよろしゅうございますが、現実には試験勉強をする、あるいは予習、復習を両親がさせる、こういうふうな実態であります。しかしながら、こういうふうな塾というものがだんだんと極端な程度を超す段階に至ってしまわないように、われわれは学習指導の問題につきましても十分に気を配っていかなければならない。何とかこれをなくしてまいりたいという気持ちは先生方と同じ気持ちを持っております。
○井上(泉)分科員 大臣もそういう見解を持っておるということならなおさら文部当局としては、――あの塾の調査をしたときから塾は少のうなっていないのでしょう。それから生徒も減っていないでしょう。内容は変わっていないでしょう。むしろどんどん過熱化してきているというのが現状である。あなたはよくなったと思っておるのですか。そういう塾の現在の状況を把握をした場合には、やはり文部省がこれを何とかせにゃならぬという――ただ時が過ぎればそれでいい、時が過ぎればおれは次官にもなる、別の局長にもなるということで、漫然と日本の子供の教育をやられては困る。そういう点から、もっと塾に対する熱意のある見解を聞いて私は質問を終わります。
○三角政府委員 通達を出しまして、そして直接にこの問題に携わっております各都道府県の教育委員会におきましても、管下の市町村の教育委員会あるいは学校に対して、各種の会議等を通じましてこの塾通いが過熱しないように指導の徹底を図ってもらっておるわけでございます。
 ただ、塾と申しましても、これは日本国憲法のもとにおきます一つの活動としての自由な面も持っておるものでございますから、先ほど申し上げましたように、これを対症療法的に規制をしていくということはなかなかむずかしい問題でございます。でございますから、私どもとしましては、本来の小中学校で行われます公教育の内容を魅力あり、かつ充実したものにするということを基本に、その他いろいろな手だてをこちら側から尽くしていきたい。そういうことによりまして過熱化を防止をし、かつ、できることなら、こういうものに対する一般の需要がだんだんに薄れていくように、これは私ども、単にこのポストにいて、次はどこかへ行くということで時間かせぎとか、毛頭考えません。一生懸命に対応してまいりたい、こういうふうに思っております。
○井上(泉)分科員 終わります。
○塩崎主査 これにて井上泉君の質疑は終わりました。
 次に川本敏美君。
○川本分科員 私は文部大臣に国民体育大会の問題についてお聞きをいたしたいと思っております。
 昨年秋行われた第三十五回体育大会の競技種目の中にピストル射撃とかあるいは銃剣道というような競技種目があることを御存じですか。
○田中(龍)国務大臣 御指摘の問題は、日本体育協会、国及び開催地方都道府県が共同して有っております国民体育大会の実施競技の中において、体育協会が体育大会委員会を設けて決定いたしました。それにピストル競技及び銃剣道競技、こういうふうなものが入っておる、こういうことであります。
○川本分科員 文部大臣がそういうお答えをされるのなら私は聞きたいのですが、「国民体育大会開催基準要項」というのは、だれが決めたものですか。
○柳川(覺)政府委員 国民体育大会は、大臣がいま御答弁されましたとおり、日本体育協会、国及び開催都道府県が共同で開催することになっておりまして、開催に当たりまして基準となるべきものを日本体育協会に置かれております国体委員会におきまして協議いたしまして決めておるところでございます。
○川本分科員 スポーツ振興法の中で、第六条で「国民体育大会は、財団法人日本体育協会、国及び開催地の都道府県が共同して開催する。」こうなっておる。法律に基づいてそういう形になっておる。ところが、その中心になる、いま大臣がお答えになった開催要項は、日本体育協会の内部で決めたもので、いま大臣は尊重したお話をしましたが、これはそれならこのスポーツ振興法の政令あるいは省令という役割りを果たしている。それはこの法律に基づいた要項ですか。文部大臣が尊重しなければならないというのは、どういう法的根拠に基づいてその要項に基づいてやらなければいかぬということになるわけですか。
○柳川(覺)政府委員 国、開催都道府県、また日本体育協会、もとよりそれぞれの責任分担があるわけでございますが、国民のスポーツの振興を主眼といたします国民体育大会におきまして、スポーツそれ自体が自主的、自律的なものであるわけでございます。したがいまして、この開催に当たりましての種目その他の諸条件の制定に当たりましては、わが国のアマチュアスポーツの唯一の統轄団体である日本体育協会、そこに置かれる国体委員会におきまして、各競技団体初め各都道府県その他各方面の意見を十分くみ取った形で開催要項を決定いたしまして、それによって実行を図るのが適当であろうという考え方から、現在体育協会に置かれます国体委員会で種々の検討をした上で基準要項が制定されておる。また国もこれを尊重していくという立場をとっておる次第でございます。
○川本分科員 日本は法治国家でしょう。法律に基づかないものを国民に押しつけたり地方自治体に押しつけるということではおかしいのじゃないですか。それが法治国家だと言えるのかどうかということです。
 たとえて言いましたら、いまおっしゃいましたけれども、スポーツ振興法の第一条には「この法律は、スポーツの振興に関する施策の基本を明らかにし、もって国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与することを目的とする。」こう書かれておる。また「国民体育大会開催基準要項」これは去年の九月に制定されたものだと思いますが、ここでは二の目的のところに「大会は、広く国民の間にスポーツを普及し、」と初めに書いてある。大臣、よく聞いてくださいよ。「国民の間にスポーツを普及し、」と書いてある。いま大臣最初に答弁ありましたけれども、ピストル競技とかいう種類のもの、ピストルというものはいま暴力団等に人を殺す目的で使われております。ピストルの所持が公然と許されておるのは一部の警察官と一部の自衛官だけです。広く国民の間にピストルを普及しようという意図は、日本の法律は持っていない。銃剣道というのもそうでしょう。銃剣道というのはスポーツですか。銃剣道というのは、第二次世界大戦が終わるまで、日本の陸軍で、いわゆる白兵戦で鉄砲の先に銃剣をつけて相手を刺し殺すために行われた軍事訓練の中の一つだと私は思っておるのです。国民の間にスポーツの振興をする、あるいは広く国民の間にスポーツを普及するという国民体育大会の目的と、ピストルやあるいは銃剣道というものがこの趣旨に合致していますかどうか、このことを審査した上でこの大会基準要項を承認されたのかどうか、お聞きしたいと思います。
○柳川(覺)政府委員 先生御指摘のとおり、スポーツ振興法は、国民があらゆる機会にあらゆる場所でスポーツに親しめるように種々の施策を講じていく、その振興を図ることを目的として制定されております。国民体育大会につきましても、第六条で、この開催の責任の立場を明らかにする、また開催に当たりましての基本的な性格を明らかにする、また開催に当たりましての経費の負担につきまして国の援助措置を講ずるという基本事項を定めまして、国体のより振興を期することが制定されておるわけでございます。すでに国体は昭和二十一年、終戦の翌年から開催されてまいっておりますが、それをさらにより充実したものにするという趣旨であろうかと存じます。
 いま先生御指摘の問題につきましては、いろいろな意味で御意見があるところでございますが、競技のスポーツにつきましては、世界でもいろいろな形のものが行われて多種多様にわたっております。それらのスポーツにつきまして、国民ができる限り何らかのスポーツに親しめる機会を持たれるということがスポーツ振興の基本の姿勢であろうと思う次第でございます。(川本分科員「おかしいじゃないか、国民がピストルに親しめと言うのですか」と呼ぶ)
○塩崎主査 主査の許可を求めてください。
○柳川(覺)政府委員 できる限り各種のスポーツにつきまして、それぞれ取り組めるような措置をしていくということが基本であろうと思います。
 ピストルにつきましては、先生御指摘のとおり、これの所持につきましては法律上の規制がございますので、この扱いにつきましてはきわめて慎重な措置をした上でいま競技スポーツに入れておるということでございます。
 また、銃剣道につきましても、かつて銃剣術であったものを銃剣道としてこれをスポーツに位置づけていくという努力がなされてまいりまして、四十以上の都道府県におきましてこれに親しむ者がかなりの数に及んできたという実態を踏まえまして、銃剣道が国体の種目に含められたように承知しております。
○川本分科員 銃剣道というのは、三年ほど前の国体からしか種目になっていませんね。ピストルというものを国民に親しませるといまあなたは言った。スポーツに国民を親しませるための国民体育大会だと言うが、ピストルに親しますのですか。日本のいまの法制下では、自衛隊、警察しか所持が許されていない。私はピストル競技を否定するものではない。ピストル競技というのはオリンピック種目の中にあるのだから、そこに選手を送っていこうということになれば、国民体育大会じゃなしに、別個にピストル競技全国大会を開催して、特定のそういう人たちの間で選手を養成すればいい話だと私は思うのです。国民体育大会の中にこれを持ち込むことは、ちょっといまの日本の法律と矛盾しますよ。国民に広くピストルの所持を許していない状況を考えたら、文部大臣はこの基準要項の中にそういうことが入っていても、大臣が良識を持って、これは国民体育大会になじまない種目だということを発言すべきじゃないかと思う。それがいわゆる法定団体かもしれませんけれども、スポーツ振興法に基づいて、この要項に基づいて国民体育大会が行われるということになると大変に大きな問題を提起すると私は思うわけです。
 そこで、私はさらにお聞きしたいのですけれども、この国民体育大会を開催するのは、主催者の各自治体、市町村ですよ。市町村はこれに対してかなり協力しなければいけないわけですけれども、それは市町村の業務として行うのですか、それとも国の委任事務ですか。この点はどうなんでしょう。
○柳川(覺)政府委員 先生先ほど御指摘されましたとおり、国体の開催につきましては日本体育協会、国、開催地都道府県が共同して行うことに最終的な責任を決めております。実際の具体の競技種目は大変な数がございます。それの会場の設営、整備、その他のことにつきまして市町村が積極的にあるいは都道府県の依頼のもとにこれに取り組むという形が具体の問題でございまして、これは市町村の立場から見れば、広く市町村民のスポーツの振興に関することでもございますので、これの実行の事務につきましては、市町村の固有の事務に該当するものであろうと考えておるところでございます。
○川本分科員 私はそこにも一つの問題があると思うのです。この前文部省から通達が出されて、競技種目はこの基準要項の中で定められているけれども、最終的に競技種目を選択することができるのは都道府県において決めて差し支えない。都道府県が弾力的に運用して差し支えないということになされておると思うのですけれども、まず競技種目については都道府県の意向によって、実情に即して弾力的に選定してよいのかどうかをこの際明確にしておいてもらいたい。
 それから、いまおっしゃった、市町村の固有の事務だということですけれども、市町村の固有の事務だというのであれば若干おかしいと私は思うのです。混乱があると思うのです。私の出身は奈良県ですが、奈良県で国体が開催されるのは五十九年です。五十九年に開催される予定になっているわけです。そこで二十六市町村に対して国体をどう考えているかということでアンケート調査をされたのですが、そのうち七市町村の回答がなかったから十九市町村から回答があったわけです。その回答の中で、市町村の固有の事務であると考えておるのが八市町村、委任事務であり、当然国、県、体育協会が財政負担すべきであると考えておるのが九市町村、答えないのが二市町村。市町村の中でも考え方はばらつきがあるわけです。こういう点について、いまのスポーツ振興法の中で明記されておることは、先ほど来言っておるように、国と都道府県と体育協会の三者の主催だと書いてある。市町村は入ってないわけです。その市町村の固有の事務だということについては一つの問題があると私は思うわけです。
 そこで、この開催基準要項を読みますと、市町村ごとに実行委員会を組織しなさいということが、これは体協の規定ですよ。体協が市町村に命令することができるのかどうか。この実行委員会が市町村の職員を指揮、監督、命令して国体業務に従事させることができるのかどうか。この点について文部省はどう考えておりますか。
○柳川(覺)政府委員 国民体育大会の開催基準要項、先生御案内のとおりでございますが、第五項の「主催」のところで、「大会の主催者は、財団法人日本体育協会、文部省及び開催地都道府県とし、各競技会については会場地市町村を含めたものとする。」ということを決めております。
 それから、具体に……(川本委員「いや、これは体育協会の基準要項ですよ。法律じゃないんだよ。質問に、対する答えをしてないですよ」と呼ぶ)
○塩崎主査 川本君、委員長の発言を求めてください。
○柳川(覺)政府委員 具体の事務の執行に当たりましては、開催都道府県、また競技会の会場となります市町村に実行委員会を設けまして、実行委員会は各方面の方々で委員を構成していただきまして、実行委員会で十分に意見を……(川本委員「それはわかっているんだよ」と呼ぶ)拝聴いたしております。
○塩崎主査 答弁は簡潔に願います。
○川本分科員 大臣に聞きたいのですが、この「国民体育大会開催基準要項」というのは、先ほど来の話のように、いわゆる日本体育協会で決めた内規なんですよ。これによって市町村の固有の業務だと言うことはできないと私は思う。文部大臣、どう思いますか。――あなたいいよ。これは大臣から答弁しなさいよ。
○塩崎主査 法制的観点ですから、柳川局長、その前に簡潔に。
○柳川(覺)政府委員 国体の開催につきまして、御指摘のとおり第六条で、その規模等から見て開催の最終的な責任関係を国と開催都道府県、日本体育協会に決めておりますが、この規定は市町村が主催者として加わることを排除しているものではないと考えております。
○川本分科員 排除しておるのではないと言うけれども、それなら法律に市町村も主催者の一員に入れなければ、あるいは政令や省令の中で、都道府県の中で開催地になる市町村は、こういうことの主催者であるということを明記しなければならない。日本体育協会の決めた開催基準要項に、市町村で実行委員会を組織しなさいとしてあるから、市町村の固有の業務だというのはいかなることがあっても私は納得できないわけです。
○塩崎主査 柳川体育局長、簡潔に願います。
○柳川(覺)政府委員 国体の開催につきまして、市町村が会場市町村として引き受け、これに協力するということにつきましては、市町村民のスポーツの振興という観点も踏んまえまして、市町村の固有の事務であり得るという考え方の前提に立ちまして、具体に当たりまして市町村が主催者の一員に加わった形で現在実行されておるということでございます。
○川本分科員 少なくとも、都道府県知事あるいは国が市町村に対してそういう要請をして、そして市町村がこれに協力するという義務があるとか、責任があるとか、そういうことをどこかではっきりしておかなければ、いまのこの法令では不備だと私は思う。その点については不備だと思いませんか。認めなさいよ、そんなことは。
○柳川(覺)政府委員 いま国体は、スポーツ振興法制定以前から実際に行われている実態を踏まえて、その最終責任のところを明確にし、国の助成措置も規定するという立場で立法されておるわけでございまして、その限りにおいて、市町村の規模その他から見まして、市町村の最終責任まで入れることについては、先生いま御指摘のとおり、協力とかそういう関係がございますので、そういう法律の規定にはなっていないというふうに受けとめております。
○川本分科員 それなら、市町村の国体に要する財政支出、このことについては市町村が単独経費で負担をしなければいかぬ、こういうことについても、市町村の固有の事務だから市町村がやるのは当然であるという態度を文部省はとっておられるけれども、スポーツ振興法の中にも第二十条、財政援助の面もあるけれども、スポーツの競技場とか施設、そういうものについては、五十九年にやるのだから前年に全部やったらいい、そんなものじゃないですよ。道路とか施設とか、スポーツ公園とか体育館とか、プールとかいろいろありますね。そういうことについては少なくとも来年度あたりから着工しなければ、五十九年、奈良県の場合だったら間に合わない。こういうものは補助その他については優先的に採択するという方針はとっておるのですかどうですか。
○柳川(覺)政府委員 国体の開催に当たりましての準備段階につきましては、たとえば市町村が会場になる総合体育館の整備、それらにつきましては、優先的な扱いをいたしまして、円滑な実施に資するよう努力しているところでございます。
○川本分科員 先ほど来の答弁を集約しますと、国体の実行委員会というものを市町村に体育協会を中心につくりますけれども、それは市町村の職員に対して指揮命令権がないわけですね。
○柳川(覺)政府委員 実行委員会は、都道府県あるいは市町村の事務をより効率的より共同的な処理という観点の立場に立って設けられた委員会でございまして、その実際の仕事はそれぞれ都道府県あるいは市町村の事務の執行という形で行われるわけでございます。
 それで、具体に当たりまして、その実行委員会の職員に命令されております職員は、実行委員会の責任者の指揮命令を受けてその職務を行う。その職務、仕事そのものは県、市町村の事務そのものを行っておるという性格になろうかと思います。
○川本分科員 そうすると、その期間中は実行委員会は特別公務員で、そういう地方公務員に対する指揮命令権を持つわけですか。その点が法的。に、なぜ持つのか。民間団体の日本体育協会の基準要項に基づいて設置された実行委員会が、地方公務員に対して指揮命令権を持つということは法的におかしいんじゃないですか。その点についてはどうですか。
○柳川(覺)政府委員 実行委員会と市町村の事務とが重なっているわけでございまして、性格的に見ますと、都道府県、市町村の職員が行う事務は、それ自体都道府県、市町村の事務そのものを執行しているという性格になるわけでございます。その際に、実行委員会への所属を命じられた市町村の職員は二枚の看板を持つわけでございますが、その職員は実行委員会の立場で決められたことを守って、その中で職務を執行していく形になります。それをあえて指揮命令というか、指示というか、その辺は言葉のあれはございますが、そういう性格にあろうか。したがいまして、実行委員会の職員を命じられました職員は、実行委員会の決まりによって行動していくということは当然のことであろうと考えております。
○川本分科員 私は、いまの説明でも実行委員会の法的な位置づけというものがどうもはっきりしないと思うのですよ。これも、先ほどからの話じゃないですけれども、明確にしなければ、今後混乱を起こしてくると思うわけです。
 それから、現実の実態としては、国体に当たっては、開催地の市町村、自治体の職員は、町村の小さいところ、二百人しかいないところだって大動員をされて、住民に対するサービスをその間放てきしてその問題に専従をする形になってくる。こういうことになると、これはもう大変な問題だと思うわけです。その点について私は、文部省が基本的にもう一度この法制化というものを見直して体系づけるために再検討すべきでないかと思うわけです。
 そこで、もう時間がありませんので、あと一つだけお聞きしたいわけです。これは競技種別についてですが、現在、競技の種別は青年の部と少年の部に分けられておりますね。教員の部というのはなくなったのですね。ところがいま日本の国は高齢化社会でしょう。老人がだんだんふえてきておる。特に六十歳以上の老人の比率は、いま約一千五十万と言われておりますけれども、十年もたてば二千万あるいは二千六百万とふえていくわけです。五十五歳以上ということになると、これはもう大変な数字ですよね。少なくとも、こういう高齢化社会を見通したならば、国民体育大会のあり方として、青年の部、少年の部のほかに、高齢者の部というような、五十五歳以上の人が参加できるとかいうようなものが検討されてしかるべきではないかと私は思うわけです。それがまた時代の要請だと思う。そういう形の中で初めて体育を国民全般のものとすることができるのじゃないかと私は思うわけです。文部大臣どうでしょう、高齢者の部を設置することについては。
○田中(龍)国務大臣 まことに建設的な御意見でありまして、先生の御意見、いろいろと協議をいたします。
○川本分科員 もう時間がありませんので、問題は十分煮詰まっておりませんけれども、大臣に最後にもう一度。
 ピストル競技とか銃剣道とかいうようなものは、開催地の都道府県の知事が弾力的に選定できるものだから、その点は、この基準要項にある種目は全部その都道府県で開催しなければならぬということにはなっていない、弾力的に都道府県で決めていいのだということをひとつ明確に御答弁をいただきたいと思うのです。
○田中(龍)国務大臣 先生の御意見でございますが、オリンピック種目あるいは国体種目、これは日本だけの問題でもない、国際的な問題でもございます。そういう先生のような御意見がありましたということを拝聴いたしておきます。
○川本分科員 それはおかしいですよ。間違っておるのです。
○塩崎主査 補足説明を、柳川体育局長、簡潔に。
○柳川(覺)政府委員 先生先ほど御指摘されました、開催の実施競技は開催県でそれぞれ選択して決めればいいということでございますが、これにつきましては、五十四年五月に改定がされまして、立地条件等から競技の実施が困難なものにつきましては、最寄りの隣接の都道府県で行うということで、ほとんどの種目につきまして開催するといったてまえに変更いたしましたので、その線に沿っていま各県とも取り組んでいただいておるところでございます。
○川本分科員 終わります。
○塩崎主査 これにて川本敏美君の質疑は終わりました。
 次に、三谷秀治君。
    〔主査退席、愛野主査代理着席〕
○三谷分科員 北里大学が、入学選抜と絡ませた父兄からの寄付金を隠し口座に預金しておりました。同大学は、国の助成金を受けておりましたために、会計検査院の立入検査を実施されました。日本医科大学でも情実入学に絡んで金銭の収受があったと報道されております。その他、最近の大学入試をめぐる不正事件を見ますと、大学理事長などの経営陣の思惑でもって不正常な金品の提供を求めておる事例がきわめて多いようでございます。このような、いわばやみ経費というものは一体何に使われておるのか、国民は多大の疑惑を持っておりますが、これについて文部省では捕捉されておりますでしょうか。
○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。
 いま北里大学のことを御指摘されましたけれども、北里大学は、入学者の父兄名義の預金の形で三十二億円余りの別途経理を行っていたわけでございますが、それは何のためかということで大学当局にただしましたところ、主として新しい第二病院を建設するための資金として積み立てておったということでございます。
 なお、一般的に申し上げますと、医科大学等がこういうことで寄付金等を募集する場合の目的でございますが、最も一般的なものは、施設設備の拡充ということ、それから、大学の創設時に若干の債務を負担しておりまして、その債務償還に充てるためのもの、こういうようなものが多いように私ども承知いたしております。
○三谷分科員 そういう内容のものですと、隠密裏に不公正な会計の隠匿などをする必要はないわけであって、そういう実態でありますならば、私学の経理の公開という制度がどうしても必要になってくる。これは公開をしてもいい性質のものではないかと思いますが、最近の諸事件を見ますと特にその感が強いわけでございます。国から助成を受けております私学の場合は、補助金適正化法などによって国が会計検査を行って、特に不正常な場合は摘発等が行われておりますが、これにも限度があるわけであります。国が私学経営の内部の全貌まで調べる、介入するということは無理だと思いますから、私学経理の公開という制度を実施したらどうであろうかと思われますが、いかがでしょうか。
○吉田(壽)政府委員 私立大学が寄付金等を収受するに当たりましては、それらの寄付金等はすべて公の学校会計に入れるというのがたてまえでございまして、従来から文部省としては厳しく指導してまいったところでございます。ところが、現実にこういったような問題が起こったわけでございますが、学校法人につきましては、私立学校法の趣旨にのっとりまして、学校法人みずからがその公共性を自覚いたしまして健全な運営を図るということが期待されているわけでございます。そのために、制度上も法令上も、学校法人の内部機関として評議員会あるいは監事が置かれているわけでございまして、そういうところで、収受されました寄付金等がチェックされることになっているわけでございます。文部省といたしましては、こういう内部監査の機能が今後とも十分に発揮され、また強化されるように指導していく考え方でございます。
 いわゆる経理の公開ということでございますけれども、これは文部省が一律に公開を指導すべき事柄ではないと考えておりまして、経理の公開につきましてはあくまでも学校法人が自主的に判断すべき事柄であると考えているところでございます。
○三谷分科員 今日のように、入学をめぐります不正常な学校側の行為というものが普遍化してきますと、いまあなたがおっしゃいますような状態で果たして是正ができるのかという疑問をだれしも持つわけでございます。
 私立学校法の四十七条には、「学校法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表及び収支計算書を作り、常にこれを各事務所に備え置かなければならない。」となっておりますが、この規定は一体どのような目的で設けられましたものか、お聞きしたいと思います。
○吉田(壽)政府委員 いま御指摘の私立学校法第四十七条の財産目録の備えつけの規定でございますが、これはいま先生がおっしゃられましたような趣旨で、学校法人は絶えず毎会計年度の財産目録とかあるいは貸借対照表、収支計算書等をつくりまして、そして当該学校法人の経理を明確にしておくという趣旨でこの規定が置かれている、学校法人に義務づけられている、こういうふうに私ども解しておるところでございます。
○三谷分科員 この四十七条の規定といいますのは関係者に公開すべきものと解釈しなければならないのではないだろうか。この場合の関係者とは、当然のこととしまして、大学側に対して債権を有する者、これはもちろんでありますが、経営に対して教学を維持する立場の教職員、さらに学費負担者としての学生や父兄が該当するのではないだろうかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○吉田(壽)政府委員 先ほども申し上げましたように、こういう財産目録等につきましては法律の規定がございまして、私立学校法の第四十二条にも規定がございますが、「予算、借入金及び重要な資産の処分に関する事項」等、これらは「評議員会の意見を聞かなければならない。」ということで、必ず評議員会に諮ることとされております。
 それからなお、先ほども申し上げましたが、学校法人には必ず監事が置かれておるわけでございまして、その監事の監査を経なければならないということで、これらの財産目録等は評議員会並びに監事に必ず諮りあるいは監査を受けなければならないということでございまして、父兄等にそれを公開するかどうか、そこら辺につきましては、それぞれの学校法人の自主的な判断にまつべきものであるというふうに私ども考えているところでございます。
○三谷分科員 いま学校の運営上の不正不当な処置の問題といいますのは、何といいましても一部の理事によります大学の私物化という問題が根底にある。それから、その独断専行というやり方がこれと関連をしておるというような状況を見ますときに、その理事会の自主的な選択に任せるというやり方では、百年河清を待つに等しいものではあるまいかと私は思うのでございます。
 父兄から取りました金品の使い道というものが多くの疑惑を持たれておりますが、先般来問題になっております大阪経済法科大学、私の住まいのつい近くにございますが、ここでは、教授会の教学権をじゅうりんして、理事会が不合格者に合格通知を出すというふうなことが行われております。二つの通知が行っている。教授会は不合格の通知を出す、理事会は合格の通知を出す、そして教授会が理事会の意見を無視したからといって月給の支払いを停止するというふうな異常な状態までありました。この経営陣の金権体質に対して種種の社会的な批判が高まっておりますが、こういうところでは必ず経理は公開されておりません。日本医大、北里大学、東海大学などでも同様に公開されておりません。
 私は、これについて、大阪の四年制の私立大学のすべてに対して照会してみました。四十七条の経理に関する帳簿を関係者に公開しているか否かについて聞き合わせてみましたが、その結果、在阪二十八校のうち、制度として教職員や学生に公開しておりますのは四校でございました。これは大阪音楽大学、大阪体育大学、追手門大学の三校が教職員まで、学生までが大阪経済大学でありました。この四校にすぎません。他はすべて、経営陣側である評議員までしか公開しておりません。
 こういうことで、国民から批判を受けております私学の不正経理の問題というものが有効的に改善されるだろうか。制度的な、まあ制度というわけじゃありませんが、経理の公開についての指導というものをもっと積極的にやる必要がありはしないだろうか、そうしなければ私学の不正、腐敗というものは、とてもこれは容易に解決はできないだろうと思いますが、いかがでございましょうか。大臣、どのようにお考えですか。
○田中(龍)国務大臣 最近の事例を拝見いたしまして、本当にしみじみと残念に思う次第でございます。先生方もわれわれもともどもに、私学の経営が非常に困難であるということで、そして、苦しい財政の中から一生懸命に予算をつけたのでございますが、その貴重な予算がその後の経過のような姿では、実に遺憾を禁じ得ないものがございます。
○三谷分科員 お答えの趣旨がよくわかりませんが、私は、私学の経理の内容を公開をさせるべきではないか。いまやっている学校もあります。やっていない学校もあります。問題になっているところは、やっていない学校において特に顕著な弊害が出ておるわけでありますから、やっている学校があるとしますと、やること自体がそれほど困難ではないことを示しているわけでありますから、それをやるべきではありませんかとお尋ねをしたわけでございます。
 それを一つお尋ねをいたしたいのでございますが、もう一つ具体の例としまして、いま申し上げました大阪経済法科大学の学費でありますが、納付金が五十五年度の場合、年間百五万五千円でございます。一般大学の中では全国一高い学費となっております。たとえば桃山大学で見ますと四十五万円、同志社大学で四十三万円、大阪経済大学で四十万円、立命館大学で二十九万円でありますが、この大阪経済法科大学といいますのは百五万円であります。この大学がいかなる大学であるかということは、ここの教職員の皆さんも文部省に陳情に来られたはずでありますから御承知でありましょうし、予算委員会でも大阪の民社の方が質問されております。ただし、その現状認識には大きな間違いがありましたけれども、問題になってきている。そういうわけですから、これだけの納付金、他の大学と比べまして約二倍以上の納付金というものが一体どのように使われておるのか、これは学生も父兄も重大な関心を持つのは当然でございます。学費が高ければ高いほどその使途が明らかにされなくちゃならぬものだと思います。
 そこで、この学校の教職員組合がこの使途を推定してみましたところが、五十四年度の場合ですと学生一人当たり五十七万五千円の納付金でありましたが、このうち、教職員の人件費や図書費、経常経費、施設費、学会費、学友会費など、教学とこれを支える施設整備に回されておりますのが全体の一九%、十一万二千円であります。あと八一%に相当します四十六万三千円が理事会によって管理されておるとされておるのでございます。どのような形で管理されておりますかは明らかではございません。先ほど申しました百五万五千円というのは五十五年度でありまして、いま申し上げましたのは五十四年度でございますから、そこのところをお間違いないようにお願いしたいと思うのです。
 ですから、こういう状態を見ますと、この大学自体非常に問題を抱えているわけでありますが、経理の非公開ということがそういう問題の一つの要因として考えられます。経理の公開ということにつきましては、文部省は、各大学の自主性にゆだねるという立場でなくて、強く指導する必要があるのではないか。真に大学の運営の正常化を図ろうとしますならば、それぐらいの措置はとらなくちゃならぬではないかと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
○田中(龍)国務大臣 今日までわれわれは、私立大学の立場というものを評価し尊重して、あくまでも自主性にまつという態度で進んでまいりましたことは、御案内のとおりであります。しかしながら、こういうふうな客観的な姿というものを目の前にしまして、これはまた考えていかなければいかぬのだというような気持ちにもなっておりますが、これはなかなか重大な問題でございますので、今後慎重に措置いたします。
○三谷分科員 つまり、経理の公開について前向きに検討するということをおっしゃっているわけでしょうか。
○吉田(壽)政府委員 いま御指摘のありましたように、明らかに当該学校法人、大学の経理が不適正である、あるいは著しく妥当性を欠いているというような大学につきましては、個々具体に私ども厳しく指導をしてまいりたいと思うわけでございます。しかし、経理の公開ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、あくまでもこれは各学校法人、各大学が自主的に判断すべきことであるというふうに考えております。
○三谷分科員 それを強く指導する必要がありはしませんかと言っているんだ。それを法制的な措置とかなんとかいうのでなしに、いまのような現状を見た場合に、百尺竿頭一歩を進めて、指導を強めなくちゃだめだ。それで、問題が起きたところを監査し指導すると言っているけれども、問題が起きないようにすることが肝心なことであって、問題が起きないようにするためには、それは公開という方向に指導するということが大事なことであるということを言っているわけであって、大臣がおっしゃっておるのはそういう意味でございましょうか。
○田中(龍)国務大臣 さようでございます。
○三谷分科員 私学法では、四十七条の経理書類の備えつけ、二十八条の学校法人登記、組合等登記令第二条及び第六条第三項の登記について義務づけられております。違反の場合は私学法六十六条によって罰則の適用まで決められておるのでございます。
 そこで、四十七条の帳簿の備えつけの状況を文部省が把握していらっしゃるかどうか。そして、これについての義務違反はないか。また、組合等登記令二条及び六条についての登記の状況は把握しておられますか、この義務違反はないかどうか、お尋ねしたい。
○吉田(壽)政府委員 私立学校法四十七条に義務づけられております、学校法人が義務づけられておりますが、文部省の方で、私どもの方で把握しておりますのは補助金、私立大学等経常費補助金の出ております学校法人、大学につきましては一一把握しておりますけれども、大阪経済法科大学のように、補助金が出ておりませんそういう大学については把握しておりません。
○三谷分科員 わずかばかりの補助金をちょうだいして国の監査の対象になってあれこれするよりも、経理を非公開にして、そして学生や父兄の負担を過重にして学校経理を賄う方が得策である、こういう考えが一般的にあります。ですから、この経済法科大学が補助金の申請をしておるかどうか私は存じませんが、ここの実態を見ますと、明らかに、わずかばかりの補助金をもらうよりも放任しておいてもらった方がよろしい、こういう状態になっておるのです。だから、そういう場合もあるので、あれこれ選択をして、どこを監査するとかどこを調査するとかといったところで、文部省にも限度があるわけでありますから、制度として経理の公開という措置をとらしておく、だれもがこれを見ることができるようにしていく、だれもが問題点があれば指摘できるようにしていくということが、この大学の不正常を是正するための非常に重要なポイントであるということを申し上げておるわけでございます。
 そして、北里大学などの不正経理は、四十七条との関係でどう処理されておりますでしょうか。違反があれば六十六条を適用されますのかどうか、お尋ねしたい。
○吉田(壽)政府委員 北里大学につきましてあのような別途経理があったことは大変遺憾なことでございまして、私ども、ただいまその精緻な調査をなお続けておりますが、いずれ近いうちに、最終的に、北里大学に対しましてどのような措置を講ずるか判断を下すべきときに来ておるわけでございます。
 そういうことで、なおいま少し最後の、そういうペナルティーを科することにつきましては私ども時間を必要としているという現在の状況でございます。
○三谷分科員 それは一罰百戒と言いますから、迅速に調査をして適正な措置をおとりになる必要があると思います。
 それで、いま大学というものがどのようにゆがんだ状態で運営されておるかという一例でありますが、先ほど申しました大阪経済法科大学で、ここはいま申しましたように非常に多額の納付金を生徒から取っておりますが、そのかわりに、生徒をできるだけこの大学に誘致するために、たとえば理事会が私立高等学校の校長さんに、図書費という名目で三百万から五百万の寄付金を贈る。これは図書費でございます、お使いください、こういうものを贈って、そうしてレストランに集まってもらって受験生の募集推薦に協力を頼むというようなことが行われております。これは本年二月のことでありますが、昨年の暮れにも高等学校に商品券を配って、受験生の推薦を依頼しております。つまり、子供というものは金を背負って大学に来るものであるという考え方、観念というものが徹底している。だから、商品券を配ったり図書券を配ったりしてどんどん生徒を引っ張ってくる。そして、教授会で不合格と言って通知を出せば、理事会が合格の通知を出す。二つの通知をもらって生徒が、一体どっちが本物なんだと学校に押しかけていく、こういう事態がある。
 この大阪経済法科大学については、少しは事情をお調べになったのでしょうか。
 それから、これは多分、紛争が起きました昨年の年末に教職員の代表の方が陳情に来られたと思いますが、これについてどのように対応される御所存でしょうか。
○宮地政府委員 御指摘の大阪経済法科大学につきましては、新聞等にも報道されておるところでございますけれども、理事者側と教学側との間で学校運営上大変不正常な関係にあるということは、まことに遺憾に存じております。昨年来、数回にわたりまして学長、理事者側及び教授会側の関係者を呼びまして十分事情も聞き、それらの点に必要な指導を行っておるところでございますが、関係者が正常化のために真剣に、努力をしていただくということを私どもとしては期待をいたしておるところでございます。
 なお、入試につきまして理事者側及び教学側双方の通知が出て、大変受験生に迷惑をかけた点がございますが、その後の試験の実施につきましては理事者側、教学側で十分相談をいたしまして、そういう手違いのないように実施をいたしておるというぐあいに伺っております。
○三谷分科員 これは手違いとかなんとかいうものとは違う。手違いというのは、お互いの手続上に誤差が出てきて、そこで間違った通知が行ったというわけになるのだけれども、そうじゃない。教学部門におきましてはこれはだめだ、落第だと決めておる、それを試験に携わっていない理事会が合格だという通知を出す。こんな手違いがどこにありますか。これは手違いとかなんとかいうものじゃない。明らかな理事会側の教学権に対する無視というか、それが原因だと思うのです。ですから、これは指導を強めていただいて、そういうことのないようにやっていただきたいと思います。
 こういう問題が頻発しますのは、学校経理というものが一部の理事者などの利益追求という面にのみ偏ってしまってきたところに大きな要因があると思うわけでございます。そこで大臣、初めから申し上げておりますように、私立大学の経理公開について、ひとつ思い切った処置をお願いしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 大学というものが本当に後進の者の啓発と申しますか、教育的な存在というより、むしろ、だんだんと企業経営のような姿に堕していったことが、こういう結果を生む根本の原因だろうと思います。しかしながら、さらにその奥には経営というものの困難性もあると思いますが、この点につきましては、先ほど来のいろいろな事例を挙げての御質問に対しまして、今後あくまでも公明正大な、りっぱな大学を再建しなければならない、かように考えております。
○三谷分科員 では、そのように指導してくださるわけですか。
○田中(龍)国務大臣 具体的な公開云々の問題につきましては、なおいろいろと問題もあると存じます。慎重に考えまして善処いたします。
○三谷分科員 終わります。
○愛野主査代理 これにて三谷秀治君の質疑は終わりました。
 次に、中村重光君。
○中村(重)分科員 大臣は二十七日の文教委員会で、中野区の準公選については準公選拒否の態度に終始する、いわゆるたてまえ論をおとりになったようだけれども、私は、教育の民主化、さらに住民の自治参加、八〇年代の地方の時代といった点からして、弾力的に考えていく必要があるのではないかという気持ちがするのですよ。文教委員会でも、かつての公選のときのように投票率は非常に高かったという点も指摘があったのだろうと思うのですが、恐らく、住民の直接請求というのはどんどん拡大していくのではないだろうか。だから、とめようとしてもとまらない、大きな歴史の流れと受けとめていく必要があるのだろう、また八〇年代はそうあることが好ましいのではないかとすら私は考えております。
 とは言いながら、あなたもつわものぞろいの文部官僚に囲まれているし、また最近の右傾化傾向の中で、あなたの考え方もある程度硬直した態度をとらなければならないようなことになっているのではないかと思うけれども、大臣、あなたの御尊父は、軍人総理としても非常に幅の広い、しかも豪胆な人であったと私は思うのです。その血の流れているあなただから、敢然として対処するところは対処していくことが必要ではないですか。いかがです、見解は。
○田中(龍)国務大臣 公選の問題は、占領直後、占領軍の指示がありまして新教育制度に切りかえたときにそういう事例がありましたことは御案内のとおりでございます。その後、私も県知事もいたしておりまして、この公選の過去の経過も存じております。なおまた、今回におきます中野の問題に当たりましては、われわれ文部省といたしましては、法治主義のルールにかんがみまして、やはり準公選の条例というものは廃止されなければならない、過去のわれわれの行いました事例にもかんがみましてかように考えております。
○中村(重)分科員 いまの段階ではそれ以上前進した答弁は、恐らくやらねばならぬと思いながらも口に出すことはできないのだろうと私は思っているのです。しかし、歴史の流れ、住民の意思に挑戦することは間違いだということをあなたに強く指摘をいたしておきたいと思います。
 それから、校内暴力の問題で、あなたは非常に適切な態度をとっておられたと思う。校内に警察官を導入することはよろしくない、私も共感を覚えていたのだけれども、最近、やむを得ないときは警官導入もあり得るということを言っておられるようだが、本当ですか。どうしてそういうことに変わったのです。
○田中(龍)国務大臣 御案内のとおりに、絶対の問題ではないわけであります。つまり、私どもは教育者として、自分たちが教育をしなければならない大事な子供であります。その子供の非行というものは、学校教育みずからも反省をしなければならぬ点もありましょうし、あるいはまた、家庭教育あるいは社会教育の社会全般の環境の問題もありましょうから、この非行少年の問題については十分に教育者としての態度をとりたい。しかしながら、これが外部勢力との関連で、たとえば番長グループとかあるいは麻薬とか、そういうふうないろいろな外部勢力との関連が摘発されたり、あるいはまた、その学内の行為というものが、これは限度を超した学校の壊滅的な様相を呈したり、管理職の機能喪失といったようなことになったり、こういうことになりました場合には、あくまでも地元の地方教育委員会あるいは学校当局の方々と、それから警察なりなんなりのお話し合いで、そうして導入しなければならぬというような地元の結論が出た場合におきましては、それをしもなお、どんなことがあってもやっちゃいかぬものだというようなものではございません。これは総体的な判断、なかんずく地元の責任者の判断で警察をお願いしなければならぬような事態が起こったときには、まあだれが考えましてもやむを得ない。それからまた、教育者といえどもネコかわいがりというのではいけないので、本当に愛すればこその厳しいむちもなければならない、それでなければ本当の愛ではない、私どもはこういうふうな気持ちでございます。しかし、そういうことはなくてありたいものだと念願をいたしております。
○中村(重)分科員 現状認識ということをお考えになってあなたも口をお開きにならないと、かりそめにも、学校が警察官に門を開くといったようなことを文部大臣がみずから口を開いて、そこまで思い過ごしてそういうことを言われるということは、きわめて影響が大きいというふうに私は考えます。ですから、こういう場合ときわめて限定して、あなたは言葉を整理しておっしゃったのですけれども、かりそめにもそういうようなことを口にするということがないように、今後御注意をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、総括質問のときなんかも盛んに憲法論議が行われてみたり、特に法務大臣なんかはいろいろな場所で愛国心と――教科書に、国を愛するという愛国心の記述がないといったような指摘に対して、あなたは、日本は経済の面では繁栄したが、最も反省しなければならないのは心、精神、愛情の問題であり、その点について最大の関心を持っていると述べておられる。さらに、これは別の場合ですが、教科書に愛国心という記述がないとの指摘が、委員会で自民党の議員からあっているようです。大臣はそれに対して、教科書はすでにでき上がっており、今後のあり方については事務当局と十二分に話し合っていきたい、こう答えているのです。それからまた別の場所で、また今後、具体的な教育実践の場で教師が愛国心高揚教育に力を入れてくれるような方向に文部省として指導していく、こう答えておられる。
 現在の心境も同様ですか。また、具体的にどうしていこう、どう指導していこうとしていらっしゃるのか。それからもう一点は、教科書に愛国心という記述が必要であるとあなたは考えていらっしゃるのか、その見解をひとつお聞かせをいただきたい。
○田中(龍)国務大臣 私は、先生の御質問の三点ばかりに個々にお答えするあれもございませんけれども、しかしながら、教科書に愛国心という言葉がないということ、それについての非常な御批判は、書いてあるからどうこう、ないからどうこうという問題じゃないのです。むしろ、指導要領におきましてもわれわれは、自分の民族を愛し国を愛するということは述べております。具体的な教科書の選定過程において、そのあるなしということは私は申しておりません。むしろ全体の教育の中から、あるいはまた教科書の具体的な事例の中から、自分のりっぱな国というものをたっぷり愛するという気持ちになってもらえれば、それで私は目的を達していると思うのです。
 それからまた、国を愛するということ、これはもうだれとしても異存のないところであろうと思うのです。国際環境が厳しくなればなるほど、本当にわれわれは真剣に、自分の国を愛するという気持ちは持たなければならない。しかし、どういうふうな、国を愛するやり方があるかということは、これはまた、人おのおの見解があるでしょう。ありますけれども、基本的に、自分の国を愛する、そうして本当にりっぱなそれは、親子の関係から、あるいはまた自分の社会の関係から、国を愛するということは当然出てまいるものだ、かように私は信じております。
○中村(重)分科員 あなたが、もうすでに教科書はでき上がっているのでとこう言っているので、三年に一回か教科書はつくるのでしょうから、もうでき上がっているからしようがないのだ、でき上がっていなければあなたの御意見を入れてやるのだけれどもというように受けとめられないこともないけれども、制約された時間の中であえてそれを議論しようとは思いません。いまあなたがおっしゃった、国を愛するということは、忠君愛国の思想だなんという考え方の上に立って言われたのではないということを私は理解をいたします。国際情勢がこうであればということと無理に結びつけようとすれば、そういうような思想でもあるんじゃないかなという懸念もなきにしもあらずだけれども、きょうは、その点にまで入った議論はいたしません。
 そこで、大変心配なことは、最近の子供たちの家庭内暴力、学校暴力のことなんですが、文部省としても大変頭を痛めておられるのだろうと思います。無理からぬことで、お互いにこれは頭を痛めているところなんですが、この原因をどう受けとめていらっしゃるのか。いろいろな原因があるのだろうけれども、主要な原因としてはいかがですか。
○田中(龍)国務大臣 事務当局の方の御質問じゃなくて私に対する御質問だと思いますが、やはり最大の原因は、愛情というものの欠如なりあるいは社会環境における核家庭の親子の断絶だとか、あるいは周囲の環境でありますとか、私は本当に、私のような大人が自分の胸に手を当てて考えてみたときに、果たして私どもの環境でりっぱな子供がすくすくと育つだろうかということを大人が反省し、社会が反省していかなければならぬというような気がするのです。しかし、何といいましても、ひとつ愛情というものに貫かれた心温まる社会をつくっていこう、私はかように考えております。
○中村(重)分科員 いまあなたがおっしゃったことには、私も異論はありません。確かにいまの社会環境というのは、病理現象化しているのですね。これは最近、学内暴力が起こってきたところが、自殺が少なくなったということを口にする人があるのですが、そう言われてみると、このごろはどうも子供の自殺という記事が余り目につかない、暴力暴力ばかりだ、そういうことも無縁なものとしては考えてはいけないんではないか。複雑でしょうから、いろんな点を考えていかなければならないと思うのですね。
 ですから、いま一つ一つあなたがお挙げになった、時間がありませんから繰り返して私から申しませんけれども、本当に愛情、特に、きょうは文部省の関係の質疑でございますから、学校の中の校長と教師との間、教師と教師との間というものも、愛情というものがなければならない。ましてや、教師と子供との間の愛情、その心がつながっている、友達のような気持ち、そういうものがどうもなくなってきているのではないか。私は、最近の学校内の管理社会化している状態、それが権力構造化しているような感じがしてならないのです。だから、これを批判する人も、どうもそういう環境の中に入ってしまうと、学校の先生は、子供の採点をしたりなんかする、ある意味における権力者の立場になる。号令をしたり命令をしたりするという、何か潤いというものがなくなって、ぎすぎすした関係というものが醸し出されておるような感じがしてならないのですね。
 ですから、なぜに学校内が管理体制化してきたのか、権力構造化してきたのか。このことに対してはいろんな意見を口にする人もあります。いわゆる主任制度の問題であるとか、あるいはその他幾つもの事例を挙げて、こういうような管理体制というものを強化してはいけないんだというような指摘、私もこれは当たるような感じがいたします。
 そういう命令系統、権力構造、そういう管理体制というものをなくするような、そういう方向の最大限の努力をする、それでなければ、大臣が先ほどおっしゃったようなお互いの愛情というものは生まれてこないんだと私は考えるのです。その点は、見解はいかがですか。
○田中(龍)国務大臣 いまのお話は、やはり先ほどお答えいたしましたように、人おのおの思うところが違います。そういう点で、私は私なりに社会のあるべき姿を見、先生は先生として見ていらっしゃるので、これはまあ議論といいますか、論争を超えた問題だろうと思います。
○中村(重)分科員 そこで、初中局長からお答えいただいてもいいんだけれども、いま大臣がお答えになったような愛情、いわゆる私が申し上げたように、血の通った、そういうためには、やはり学校の中の学級の生徒数というものが余り大きくてはいけない。ヨーロッパのように、もうあるところでは二十、あるいは三十ということもある。まあ文部省としても、この十二年間で四十名学級にするというようなことになっているんだけれども、これもできるだけ早めていくというような努力が必要であろうと思うのですが、この点に対してはどうお考えになるか。あと時間がありませんので、簡潔にひとつ……。
○愛野主査代理 簡潔に願います。
○三角政府委員 四十人学級に本年度から踏み切ったわけでございます。非常に財政事情の厳しい折からでございますが、あえて踏み切りましたが、やはりここ五十五、六、七の三年間は、中村委員御承知のように、日本全体で児童生徒数が毎年三十万人ぐらいずつふえまして、それに対応する教員の増が九千人ないし九千五百人、連年やっていかなければなりませんので、当初三年間はなだらかに出発をしまして、その三年の物すごい児童生徒急増時期が過ぎましたところから本格的に手がけるということで、学年進行をもっていたしますためにその四年目から九年間ということでございますので、全体計画十二年間、こういうことになるわけでございまして、これはぜひ円滑に進めていきたい、こういうふうに考えております。
○中村(重)分科員 私は、それをできるだけ早めるように最大限努力してほしい。十一年と決めたからその十二年でなければならないということではなくて、やはり重要な問題点についてはできるだけこれを縮小する努力というものがなされなければならないということを指摘しておきたいと思うのです。
 それから、いままで私が申し上げたことと関連することで、通知表の問題ですね。私はこれを何回か取り上げたこともあるんだけれども、五段階の相対評価から到達度評価ということに直していくように。これは一部そういうことに入っていっているんだけれども、何としても、五点の点数の資格がある者を何名、こう決めてしまう、一をつける必要のない子供に無理に一をつけさせるというのは、ひどい話なんですよ。これでは子供を萎縮させてしまう。
 教育というものは子供に励みを与えるためにあるのか、子供を萎縮させるためにあるのか。励みを与えるためにあるならば、五段階の相対評価、そういう枠組みではなくて、やはりもう少し努力をしなさいとか、少し足りないとか、そういうようないわゆる三段階の到達度評価というものが適当なことであろう、現実的なことであろう、私はそのように思うのです。
 この点に対してはどのような見解ですか。
○三角政府委員 通知表は公簿として定められているものではございませんで、私どもが決めております指導要録、これは公簿でございまして、これは今回改定をいたしまして、相対評価のほかに、観点別な子供の観察記録を残す面は絶対評価的な要素も加味してやっております。
 ただ、通知表はこれとは違いまして、それぞれの学校が保護者に、児童生徒の学校生活の実情を知らせてあげるためにつくるものでございますから、この記載内容、評価方法などは、それぞれの学校において、あるいは実際上は数個の学校が御相談になるというようなことも運営上ありましょうけれども、十分検討して決めていただけばいいことでございます。
 ただ、相対評価、絶対評価、いずれもそれぞれ、中村委員に申し上げるまでもなく、いろいろな意味の長短がございまして、その辺のところは十分に各学校で検討して判断していただければいいと思います。
○中村(重)分科員 この問題を国会で取り上げると、文部省の答弁は非常に物わかりのいい答弁なんだな。ところが、都道府県に行ったら、窓口はそんなものじゃない。だから、ここではそういう答弁をしているけれども、相当強い指導をしているんじゃないかなというように判断されるんだね。
 それで、これは長短があります、これを議論しておっても時間に切りがありませんから、ともかく、子供に励みを与えるということを大前提にした方式であること、いまあなたがここで答弁されたような、そういうようなことであるべきであって、余りにも頑強な画一的なそういうやり方をやって校長と教師間の無用な混乱を引き起こさせているという現実に目をつぶらないで対処してほしいということを、私は強く要求いたしておきます。
 それから、私学振興の問題なんですが、御承知のとおり私学振興助成法というのは、私立学校の役割りの評価もありますけれども、公立学校と比較をして私立学校の学生の負担が大きい、こういうことからこの助成法をお互いにつくったわけですね。ところが目に余るでしょう、私学の学生から分捕るのが。だからこれを改めて、奨学資金の方に重点を移していくというようにしたらどうだろうかと私は思うのだけれども、大臣、いかがですか。
○田中(龍)国務大臣 奨学資金まことに結構なことでありまして、われわれも、本当に勉強しようにもできない環境の人にぜひひとつ奨学資金の拡充をしたい、こういう念願でございます。と同時にまた、奨学資金制度というものも、それはそれでしかく簡単なものではございませんで、国の予算の問題あるいはまた寄付行為その他の問題等もございます。なお、細かいことは担当の局長から御説明いたしますが、その点は、奨学資金ならば私大の問題が片づくというほどの奨学資金をいまここでもって急増することは、これは中村先生、一番よく御承知のところでございますが、結構なことでございます。
○中村(重)分科員 大臣も同感ですね。ただ、おっしゃるように、奨学資金でもって私大の問題がすべて片づくというものじゃない。しかし、重点はそういうようなことにでも移していくということで、私学側にも反省を与えるというようなことだってなければいけないだろう。いろいろなことを知恵を出して考えてみてください。そして、本当にもう少しみんなが納得する、そういう方向に対処してほしいと思います。
 それかも、事務職員の完全配置ということと、さらに、給与法の十条の調整額を支給せよという要求は前からあるのですが、この点に対してはどのようにお考えになっているかということと、それから総括質問の際に、私は養護学校のことで大臣からもお答えをいただいたのですけれども、親と子供を引き離すということは大変なのです、障害児というのは。だから、原則として親の同意を得るというように運営をしてほしいということを強く要請をいたしておきます。これに対してのお答えもいただきたいということ。
 時間の関係がありますからついでに申し上げますが、定時制高校が最近、学生が非常に減ってきまして閉鎖する。勤労青年の勉学の機会が失われるというのはまことに残念ですが、これに対しても、閉めないようにあとう限りの努力をしてほしいということ。それから専修学校の助成、これはいわゆる横の教育ですからね。縦と横ですから、専修学校の助成は相当思い切ってやってもらいたいということの要請等について、それぞれお答えをいただきたい。
○田中(龍)国務大臣 ただいま先生のおっしゃいましたことは、非常にたくさん案件がございます。私にかわりまして、担当の者から一言ずつ簡単にお答えいたさせます。
○三角政府委員 まず、学校事務職員の配置の問題でございますが、これは今年度を初年度とする定数改善計画、第五次の改善計画におきまして、四学級以上の小中学校については各校に一人、三学級の小中学校については四校に三人の割合で配置をするように措置してまいっておりまして、先生御承知のように、一、二学級の学校というのは子供の数も三、四人から五、六人というのが大部分でございます。でございますから、こういう配置ができ上がりますと、三学級以上の学校の約九八%に事務職員が配置される、こういうことでこれを進めてまいりたいと思っております。
 それから、事務職員の給与の問題でございますが、私どもは、人確法以前の状態から改善いたしますために四等級に格づけをするということを進めてまいっておりまして、これはずいぶん進んでまいっておりますが、まだ若干残っておる県がございますので、これに対して十分な指導をしてそれをまず実現したい、こういうことで、これはやはり職員でございますので、いろいろな手当の関係で教員に平仄を合わせることは、ほかの一般行政職の職員との均衡上なかなかむずかしい場合が多いわけでございます。したがいまして、現在は、先ほど申し上げましたようなことで努力をさせていただいておる次第でございます。
 それから、養護学校関係の問題でございますが、これは中村委員に申し上げるまでもなく、私どもは障害の種類、程度に応じましてできるだけ適切な学校への配置を考えたいというのが基本でございます。それで、諸外国にもいろいろやり方はあるようでございますけれども、日本の養護学校への、特殊教育学校への就学率というものは〇・四%でございまして、これは非常に限られた者の数でございます。その余の大部分は普通の学校なりあるいは普通の学校の特殊学級、こういうところに通っていただいておるので、この状況はアメリカ、イギリスその他欧米先進諸国等と比べまして、私どものとっておる方法はそう変わってはいないと思っております。そこで、親の希望と、親とできるだけ離さない方がいいということはよくわかります。ただ、親の希望と申しましても、やはり親御さんでございますから、どうしても御自分の御都合なり希望なりというのが非常に強く出る。それを教育委員会が就学指導する場合に十分に聞いて、それを十分に参考にする必要がありますが、これはケースによりましては、状況によって無理である、あるいはお子さん自身のことを考えていろいろ十分な介護の手段を尽くして、手厚い受けとめ方をした方がいいという場合もございます。ですから、すべての場合に親の同意をということにはやはり問題があろうというふうに考えざるを得ないのでございます。
 それから、定時制高校につきましては、昨今、御承知のように、全日制の方への就学率が非常に高まりましたために、定時制高校の生徒数というのが減ってまいりまして、昭和二十八年度は全高等学校生徒数の二三%近くが定時制であったのでございますが、五十五年度では全高校生の三・二%に当たる十四万八千人ということで、二十八年度の五十六万人に、比べますと……
○愛野主査代理 答弁は簡潔に願います。
○三角政府委員 四分の一ぐらいになっている。したがいまして、各県でいろいろやっておりますが、私どもは、できるだけ摩擦が生じないように定時制高校の問題は対処していただきたいと思っております。
○中村(重)分科員 時間でありますから、専修学校の問題は後で御連絡をいただきたい。これは強く要請をすることにとどめます。
 これは調査するならするということでお答えいただけばいいですが、長崎大学の看護婦、助産婦等が原爆で亡くなった。学生に対しましても看護学校の生徒に対しましても、防空法の対象として年金が支給されております。ところがこれだけは積み残されておるようですから、調査をして対処していただきたいということを要請いたします。
 最後恒、意見だけを簡単に申し上げて終わりますが……
○愛野主査代理 中村君に申し上げます。
 質疑時間がすでに経過いたしておりますので、結論をお急ぎください。
○中村(重)分科員 申し上げますが、先ほど、愛国心の問題等について触れたわけでございます。大臣からお答えがありましたが、ともかく、子供に敵視感とか対立感というものをあおるというやり方ではなくて、本当に戦争というものはいけないのだ、原爆というものは恐ろしいものだということ、それから七億の人口が食べる物もなくて餓死しておるということに対する愛情・人類愛、そういったものに重点を置いた指導、教育をやってもらいたいということを強く要請して、私の質問を終わります。
○愛野主査代理 これにて中村重光君の質疑は終わりました。
 次に、岡本富夫君。
○岡本分科員 私は、やはり学内暴力について御質疑をいたしたいと思いますが、何と申しましてもいまこの学内暴力、こういったものをとめてしまわないと、日本の将来はどうなるのかということをつくづく心配をいたしておるわけでございます。
 私は、昨年の十二月九日に、青少年の非行を議題とした、文部省として初の省議を開いた、こういう報道を聞いたわけですが、非常に遅きに失したのじゃないか。それはそれとして、大体その会議の後、昨今の一連の学内暴力についての当局の分析はどうなっているのか、それをひとつお聞きしたい。
○三角政府委員 学校内における暴力事件が大変増加しておりますことは、まことに遺憾なことでございます。文部省といたしましては、校内暴力でございますとか児童生徒の非行の原因としましては、一般的には、経済の高度成長の中で物質的に非常に豊かになったわけでございますが、反面、精神面の重要性についての把握がしっかりとしたものでなくなってきているのではないか。社会的にも、どちらかと申しますと自分本位の考え方とか、あるいは暴力が横で行われておりましてもこれを見て見ぬふりをする、あるいは見逃したりする、こういう傾向があるのではないかということでございます。それから、子供に対して十分なしつけをせずに放任をしているような家庭が見られる。それから第三に、これが最も学校教育として肝心なことでございますが、学校の運営が緊張した適正な状態で行われずに、そして一人一人の児童生徒に対する配慮が十分でない、こういった場合に、これらの要因が複合をいたしまして暴力ないしは非行ということになっていくのではないかと見ておるわけでございます。
○岡本分科員 いろいろ要因があると思います。精神面の教育あるいは学校運営の配慮、これはまた後で論議するといたしまして、警察庁から、昨年一年間に発生した学内暴力をどういうふうに把握されておるのか、これをひとつお聞きしたい。
○石瀬説明員 校内暴力事件のうちで、特に問題の多い教師に対する暴力事件につきましては、昨年一年間で三百九十四件発生いたしておりまして、一昨年に比較しますと六九・八%、約七割の増加になっております。
 なお、校内暴力事件には、教師に対する暴力事件のほかに、集団によるまた集団の威力を背景とする生徒間の暴力事件及び学校施設の損壊事件があるわけでございますが、これらを含めました総数について申し上げますと、昨年は千五百五十八件で、一昨年に比較いたしまして二九%の増加になっております。
○岡本分科員 そこで、新聞を見ますと、警察庁として、この卒業期を迎えて積極的な介入をするんだという報道と、同時に、余り積極的に介入するなというような、二つの報道があるわけです。この点はどっちなのか、ひとつお聞きしておきたい。
○石瀬説明員 校内暴力の問題につきましては、私ども機会あるごとに申し上げておるわけでございますが、本来、学校当局の適切な生徒指導によって未然防止を図るというのが一番望ましいやり方だというふうに考えておりますけれども、不幸にして、先ほど申し上げましたように事件が多発しておるわけでございます。そういった場合に、私どもとしましては、学校や教育委員会士もよく連携をとりながら、事案の内容や規模等を総合的に判断して、ケース・バイ・ケースで、事案の態様に応じた適切な捜査活動その他の措置を講じておるということでございまして、言うなれば、事案の軽重や緩急度に応じて重かるべきものは重く、転がるべきものは軽くというような対応をしているわけでございます。したがいまして、校内暴力問題一般について重くとか軽くとかいうような考えではございません。ケース・バイ・ケースで対処しておる、こういうことでございます。
○岡本分科員 ケース・バイ・ケースというと、このケースがどうと一つずつ言わなければならぬようになってきますから、これは論議をしておると時間がたちますので……。
 そこで文部大臣にひとつ、日本国の憲法が期待する日本国民の人間像、先ほど精神面のお話がありましたが、これをどういうようにお考えになっているのか、所信を承りたい。
○田中(龍)国務大臣 岡本先生のように、憲法が考えておる人間像というふうなことでございますとお答えもなかなかむずかしいのでございます。学校教育というものが、憲法及び教育基本法に示すとおりに、人格の完成を目指して、平和的な国家及び民主的な社会の形成者として、心身ともに健康な国民の育成を目標として行われるべきものであるが、特に、今日の学校教育や社会の状況から見て、豊かな人間性を持った、物事に対し積極的に立ち向かう勇気ある、創造的な人間を育てたい、こういうふうにお答えもしなければならなくなるわけです。しかし、この中を貫く気持ちは、やはり本当に愛情豊かな、そしてまた、親子の関係におきましても、先生との関係におきましても、あるいはまた先輩その他におきましても、本当に情操豊かな人間を私は期待いたします。しかもその中に、日本に新憲法ができましたときに幣原外務大臣が国会で答弁されました有名な言葉に、この新憲法によってわれわれは、日本の歴史と伝統の背景のもとに、近代社会に向かってのりっぱな民主国家をつくらなければならない、われわれの毎日毎日が民主国家の一ページ一ページだ、こういうものがありましたが、その中における青少年、その中における教育ということが、本当にしみじみと胸によみがえってくる気がいたします。
○岡本分科員 いまお話しがありました情操教育、これはまた後で論議したいと思います。
 いま自民党の中では改憲論が大分盛んになっておるようであります。そこで、二月二十六日のサンケイ新聞の朝刊、ここに奥野法務大臣が、現在の校内暴力の遠因となっているのは現在の憲法なんだ、すなわち、自由、平等、人権を重視する余り極端な主張が出てきて校内暴力の遠因となっている、こういうことをおっしゃったことが出ているわけです。文部大臣は、この奥野法務大臣の発言に対してどういうふうにお考えになりますか。
○田中(龍)国務大臣 奥野君は奥野君で何を申したか余り意に介しておりませんが、私は、現行の民主的な憲法、しかも日本が置かれました厳しい国際環境の中であくまでも平和的な民主国家を完成しなければならない、そういう意味で、今日の憲法を守り、同時にまた、内外の情勢に適応した今日の行政、政治、ことに文教政策をやっていかなければならない、かように考えています。
○岡本分科員 そうしますと、文部大臣は、奥野法務大臣か言っておる自由、平等、人権等の現在の憲法が校内暴力の要因になっている、こういうようにはお考えになっていませんね。どうですか。
○田中(龍)国務大臣 それは思考の上で大変な飛躍があるんじゃないですか。私は奥野君が何を言おうとしたか存じませんけれども、しかし、今日の学校内の非行の問題は、青少年の非行というものは、さっきお話を申し上げたように、いまの子供の環境は余り教育的な環境でないということだけは事実だと私は思うのですよ。というのは、あるいはラジオ、テレビなどのいろいろな番組などを見ましても、それは教育的なものもあります、同時にまた、非常に鋭敏な青年には刺激が多過ぎるような内容のものもあります。それからまた、新聞を見ましても毎日毎日出てくる記事が、果たして青少年が、われわれの先輩はこんなりっぱな先輩ばかりだった、おれたちも奮起しなければならないと思うような記事ばかりではないように思うのであります。大人も親も先生もみんな胸に手を置いて反省して、そうしてりっぱな子供をつくっていきたいという、社会全体が子供のために反省しなければならない点が多いのではないですかな。
○岡本分科員 そうしますと、いま文部大臣のおっしゃった、自由やあるいは言論の行き過ぎあるいは報道の行き過ぎ、いま言った子供に見せられないようなテレビが出ているとか、そういうものがやはり校内暴力の遠因をなしている、要因の中にある、ほかにもあるでしょうけれどもね。ということは、法務大臣がおっしゃったことと余り変わりがないのではないか。全然そうではないというようなことをおっしゃるかわかりませんが、ずばり、法務大臣はこうおっしゃっている。あなたは、現憲法が校内暴力の要因になっておる、こういうようにはお考えになっていませんか。
○田中(龍)国務大臣 それはとんでもない話で、憲法がこうだから子供がこんななんだという、そんなことは全然思っておりません。
○岡本分科員 どうも、こうなりますと閣内不統一だというように考えざるを得ないわけですが、これは、きょうは時間がありませんから総括のところでまた確かめていかなきゃならぬと思っておりますから、きょうはこのくらいにしておきます。
 そこで、いま、いみじくも大臣が、精神面の教育、この方が非常に欠けておる、これはどこに原因があるか。一つは、三木内閣当時の永井文部大臣が現在の六・三・三制、この教育に問題があるのではないかというように喝破された。六・三・三、これはアメリカ占領政策のときに押しつけられたといっても過言ではないわけですけれども、私たちも見ておりますと、三年ごとにずっと試験ばかり、受験勉強。それで大学へ入るまでの勉強、要するに試験のための勉強。しかも先生方は、どれだけ中から試験にパスさせたか、中学なら高校に、中学は義務教育でありますからあれですが、それによって先生方の評価、こういうことになりますと知育だけでありまして、人間性の教育が全然できてない。ここに一つの原因がひそんでおるのではないか。文部大臣はどういうようにお考えになりますか。
○田中(龍)国務大臣 永井文部大臣が六・三・三制に対しましての見解を表明されたことは聞いておりますが、その中で、六・三・三制ならば悪いんだ、たとえば六・五・三制とか、発育に応じた年齢になって、また進路指導なんかもできやすいときになるような、そういうふうな制度改正をやったらどうかという意見だとか、あるいは学歴偏重社会、入試制度が余りにシビアで本当に身体を鍛練する機会もない、徳育をするあれもない、試験勉強ばかりに追われてしまう、そういうことはすべて六・三・三制の弊害だとも私は考えてないのです。
 いまの制度改正の問題は、占領行政下において新教育制度が行われ、六・三・三制が施行されましたときに、やはりこれはよかったんだ、こうしたらば教育の理想が達せられるんだといって、ずいぶん喜んだ方々もあるわけです。ですから、その後やってみて、制度改正をこの機会に断行しなきゃならぬという気持ちを私は持っておりません。現行の制度を変えるということは、一面よくなることもありますけれども、むしろ、制度改正によって生ずる混乱というものも、またデメリットもずいぶんあるわけでありまして、それよりも句よりも、現行制度下においてよりよくこれをどう持っていくかということに私は指導してまいりたい、こういう気持ちを持っております。
○岡本分科員 大臣、あなたはお孫さんがいらっしゃると思うのですが、幼稚園から小学校へ入って、小学校の時代からもう塾、とにかく子供さんは、よく遊びよく学べというけれども、よく遊ぶ間は全然ありませんよ。この弊害はどうも――私は六・三・三制をどうせいというような意見は持っておりませんけれども、しかし、少なくともこれだけ校内暴力が、数字を見ますと、田中文部大臣になったときの方がよけい出てきた。そんな話はおかしいですけれどもね。ということは、後の文部大臣がかわるたびにどんどんふえてくる。少なくとも少しずつなくなってくるというなら話はわかりますよ。そうしますと、いまの状態でどうやっていくか。核家族やいろいろなものがありますし、いろいろな問題で、なかなかこの問題は解決しないと思うのですよ。では、ほかにどういう手があるか。したがって、この受験地獄を解消する。一つは、高校を非常に、たくさん建てたですね。高校をふやした。そうすると、そのときに少し校内暴力は減っているのですよ。こういうデータがあるわけです。ということは、受験する期間を三・三というよりも長くした方が、少しそういった人間教育がよけいできるのじゃないか。だから、一つは、永井元文部大臣が言ったことは現内閣も傾聴に値すると私は思うのですよ。これはもうそんなものはだめなんだ、いや、もう現在の制度だけでいいんだというんじゃなくして、やはり一つは傾聴に値して、今後審議会でもつくるとか何かして、あるいは各国のいろいろな状態を見て、一遍新しく再出発する契機を、田中文部大臣のときに何か模索できるようなシンクタンクをつくったらどうか、こういうようにも考えるんですが、いかがでしょうか。
○田中(龍)国務大臣 いま六・三・三制をやめて五年制のものを制度的に加えたからといって、いまの校内暴力が俄然なくなり、非行青年がなくなるとも実は私は思っておらないのでございます。むしろ、貴重な御意見として、制度の改正の問題はやはり真剣に研究もしていかなければならぬと思っております。
 しかしながら、当面の問題等は、何といいましてもやはり児童生徒の急増と申しますか、それに伴って学校施設あるいは先生方というものが、これがたっぷりと申しますか、需給の関係から言いましても、どうしてもやはり厳しい試験ができるような環境になってしまった。そこの中で特に問題になるのは、やはり有名校というところにみんなが集中するというようなことが、さらに父兄といたしましては、塾なんかもできるのもそれでありますけれども、非常に厳しい試験勉強を強いる、こういうことになると思うのであります。私自身も浪人したり何かして、あの当時のことを思いますと、この年になってもやはり夢に試験のことを見るのですね。だから、いかに試験というものがあの当時からひどいものだったかということがしみじみと考えられます。しかしながら、何とかこういうふうな厳しい受験地獄というものを、制度的にも考え、あるいはまた、いろいろな教育内容も考え、あるいは環境づくりもして、もっともっとゆとりのある勉強の環境をつくりたい、かように私は考えております。
○岡本分科員 それはただ、ゆとりのあるものをつくると口で何遍言ってもだめなんですよ。ゆとりのある環境、要するに制度、こういうものを、先ほども一遍検討するとおっしゃったけれども、そのことをひとつ要望しておきます。
 そこで、時間も余りありませんから、この間、保険の外務員が来まして、学校の先生に保険を掛けるのは気をつけなければいかぬ、学校の先生はみな学校へ行って生命が非常に危険なんです、そういうような意見を言った人もいるわけです。だから、女の先生なんかもう学校へ行くのはいやだというのもあるわけですね。だから、もう一つは、校長や教頭に対して、管理能力がないじゃないか、校内で何か起こると、それが校長や教頭の評価になっておる。教頭さんは今度校長にならなければならないから、なるべく校内で起こったことを隠そうとする。ある新聞記者が行っても、黙って全然隠してしまった、こういうような報道もあるわけです。
 したがって、私は一つの方法としては、事件が起こる、こういうことは、やはりPTA、父兄ですね、これと一緒になって解決していこう。ぼくらも、自分の子供に言っても子供は聞かないのです。ところが、隣のおじさんやおばさん、その人たちから言われるとまじめに聞くんですね。ですからPTA、そういった力によって未然に校内暴力をなくしていくというような指導が今後一つ必要ではないか。これも御存じだと思いますけれども……。
 最後に、大臣、この前、われわれ武道議員連盟の大会に大きな花をつけておいでになったときに、武道を中学、高校の体育の科目にしたらどうだという事務局長の決議がありました。それに対して非常な賛意を表されたわけでありますけれども、私は、学校へまたこれをすぐ入れるとしますとなかなかむずかしかろうと思うのです。それだけの先生も養成しなければいかぬ。そこで、いま各町では任意に、私のところもいま剣道の子供たちを集めた、青少年のそういうのをやっているわけですが、これをやりますと非常に礼儀正しくなる。そして非行に行くのが非常に助かっておる。そういうわけで父兄が非常に喜んで、いまたくさん、どんどんできてきております。これを育成と申しますか、あるいは学校もそれを認めていく。ほとんど奉仕活動ですよ。こういうものを認め、また表彰もし、また推進していくというような、いまのところ段階ではないかと思うのです。大臣の所見を伺いたい。
 それからもう一つ、先ほど申しましたように、校長さん、教頭さんの管理能力を徹底的になにするという教育委員会の態度、あるいはまた、先生方の生命財産をどう守るか、この三点についてお聞きして終わりたいと思うのです。
○田中(龍)国務大臣 この間、先生と御一緒に武道議員連盟に出していただきまして、ありがとうございました。
 先生のいろいろとお説もございましょうが、体育としての剣道というもの、これはいろいろと国体やその他の問題も関連いたしまして、スポーツとして大いに振興させていきたい、かように考えておりますが、いま先生がおっしゃった中で、私は特に気持ちの上で、ああそうだと思ったのは、もとはあれだけ言われましたPTAというものが、最近、私が文部大臣になってきましてから、PTAという言葉を余り聞かないんですね。PTAというものは、戦後ずっと、ずいぶんPTAに対する期待をわれわれも持って、そして努力したものなんですが、ところが何か最近は、全然PTAという言葉が消えてなくなったみたいなときに、しばらくぶりで先生がPTAをおっしゃっていただいたので、非常にありがたいと思うのであります。やはり校内暴力とかなんとかというふうなことは、先生も父兄もみんなが一緒になってやらなければならない。そこに新しい意味でPTAに大いに私は期待をいたしたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。
○三角政府委員 先生が生徒から被害を受けるというのは、師弟の関係からいってまさに逆さまのことでございまして、そういうことがないように相努めなければなりませんが、不幸にして、岡本委員御指摘のような状況が起こりました場合には、現在の法制では、一般に教員がその職務を遂行する上で災害をこうむりました場合、御承知のように地方公務員災害補償法等でその災害を補償する制度があるわけでございまして、暴力を受けて負傷した場合にはその制度が適用されるということになっておるわけでございます。
 それからもう一つの、校長、教頭が管理責任を負うためにいろいろな意味で事件を隠したりするという御指摘でございますが、やはり学校教育は心身の未発達な児童生徒の育成を行うところでございますので、児童生徒の校内における非行につきましても、その実態によりまして、具体的に公にすることがその子供たちのために適当ではないという場合もあるものと思われますが、ただ、校長、教頭が、教育委員会等に対する責任でございますとかあるいは体面といったようなものにこだわりまして問題を隠して、その結果として解決の時期を失するというようなことは非常に遺憾なことでございますので、そういうことがないように、学校としてもできる限りの指導を尽くしながら的確な対応をしていくことが必要であると考えますので、そのように指導もしてまいりたいと思っております。
○岡本分科員 大臣、PTAは全国的にあるのですよ。いまごろ知ったようなことを言わずに、このPTAにもっとよく一遍会って、そして、この校内暴力を一緒になって直していくようないい学校ができるようにひとつしてください。
○田中(龍)国務大臣 全国的にございますこともよく存じておりますが、しかし少し元気がないようなので、元気を出してもらいたい。
○愛野主査代理 これにて岡本富夫君の質疑は終わりました。
 次に、野間友一君。
○野間分科員 時間に制限がありますので、幾つかの問題について端的にお伺いをしたいと思います。できるだけ簡潔に御答弁いただきたいと思います。
 まず、いま小中学校の新しい学習指導要領の改定がなされました。小学校は昨年の四月から、中学校はことし四月からということで改定が実施されるわけでありますが、この中でまずお伺いをいたしたいのは、いわゆる単位授業時間についてであります。
 御案内のように、これは従前は四十分、四十五分、五十分という、これは小学校、中学校それぞれあるわけでありますが、いずれも括弧書きがありまして、四十五分ないしは四十分でもよかったし、あるいは五十分ないしは四十五分でもよかった、こういうことでありました。ところが、指導要領が改定されまして、これでは、いま申し上げた括弧が外されたわけですね。この新たにできました要領を見てみましても、この要領の中では四十五分あるいは五十分、画一的、一律的にすべきだというふうには書いていないわけですね。
    〔愛野主査代理退席、主査着席〕
また私も、そのように押しつけるべきではない。要は、どうすれば教育効果が上がるのか、こういう点で学校の自主的な判断で決めるべきだというふうに私は思いますけれども、まず最初にこの点についてお伺いしたいと思います。
○三角政府委員 このたび新たに定めました学習指導要領におきましては、御指摘のように、授業の一単位時間は、小学校は四十五分、中学校は五十分を常例とするというように定めてございます。既往においては、御指摘のように四十分という学校もある程度あったわけでございますけれども、このたび学習指導要領を改めまして、全体として指導事項を基礎、基本にしぼりまして、ゆとりを持たせて、そのゆとりの時間の活用を考えろということが一方にありますために、「四十五分を常例とする」というぐあいに定めました。ただ、四十分とするということも、私どもとしては、そういうことで特に教育上の見地から必要がある場合は学校が適切に定めてよいということにいたしておるのでございます。ただ、四十分として、その残った勤務時間といいますか、授業に必要ない時間をしっかりと活用するということが前提になっておると思います。
○野間分科員 端的にお答えいただいたらいいと思うのですが、私がお聞きしておるのは、この要領の中にも書いてありますけれども、たとえば中学校の場合には「五十分を常例とするが、」「学校や生徒の実態に即して適切に定めること。」、小学校の場合には四十五分、こうなっていますね。要は、どうすれば教育効果を上げることができるかという観点から、これにも書いてありますように、「学校や生徒の実態に即して適切に定める」ということでありますから、画一的に五十分でなければならぬとかあるいは四十五分でなければならぬということを一律に押しつけて決めるべきものではない、これは要領を読んでもそうだというふうに私は理解するわけですけれども、その点がそうかどうかというお答えを端的に……。
○三角政府委員 四十五分、五十分をそれぞれ小中学校について常例とするように定めておりますこれは、常例ということでございますので、特に教育上の必要がある場合などは学校が適切に定めてよいというふうに考えております。
○野間分科員 私もちょっと調べてみたのですけれども、いろいろな弊害が出ておるわけですね、画一的な押しつけの中で。たとえば、休憩時間が以前は十分あったのが五分になった、マンモス校の場合にはなかなかトイレにも行く生徒の時間がないとか、あるいはトイレに行けばすぐ次の時間が始まるとか、さらに昼食時給食時間がずれ込むということ、あるいは冬場の場合には早く日が暮れて暗くなる、帰りが延びる、そのために学校側では大変気を使いまして、生徒を追い立てるようにして帰らさなければならないとか、あるいは朝の会、終りの会、これはいずれにしてもやらなければならない、授業時間の前後にあるわけでありますが、なおさら朝は早くなる、冬場は特に夕方遅くなるということで、大変な問題が起こっております。さらに、ある中学校ではクラブ活動にも支障を来しておるということですね。しかも、教師の立場に立って見ましても、次の教科の準備が非常にできにくいというようなことで、いろいろと問題が残っておる。
 局長はいま、それぞれ学校が自主的に判断して適切にやればいい、四十五分ないし五十分は常態だということも踏まえながら言われましたけれども、私がいま申し上げたようにいろいろな弊害なりそういう形態が出ておりますので、こういうものを踏まえながら適切に学校で自主的に決めていくということでよろしいと思いますけれども、そうですね。
○三角政府委員 学校の運営と申しますか、学校の教育の実施ができるだけ円滑にまいりますように、授業の時間につきましても、あるいは授業時間の間にはさまります休憩時間の長さにしましても、十分にそういった点を考慮して、実態を十分に考えながら良識を持って適切に決めていただければいいと思っております。
○野間分科員 「内外教育」という、時事通信が出しておる書き物がありますが、この去年の四月一日付で、当時の初中局の諸澤局長が、インタビューに応じていろいろと言われております。局長、知っていますね。これはこういうことが書いてあるわけですね。「新学習指導要領では、一単位時間について、小学枝は四十五分、中学校は五十分を「常例」とすることがより強調された。」云々「常例にすると書いてある。常例にするということは、基準とするというのに比べれば、はなはだ拘束性の薄い規定なんですよ。「普通は四十五分なんですよ」ということなんで、それでなきゃあならんということはない。」これはいま局長が答弁されたことと同じだと思います。「現に学校によっては四十五分と四十分を組み合わせてやっているところもあるし、それから先は学校の判断」云々とありますね。また、こういうのもありますね。「現実は、教委の末端にいくほど拘束性が強くなっているのでは……。確かに所管の学校の中であまりバラバラになっていては困るということはあるが、私はそういう点でも教委が学校の意見をよく聞き、地域なり、子供の実情に合わせて主体的に考え、決めるのが大事だと思う」こういうことを言われておりますけれども、これはいま局長が言われた趣旨とほぼ同様ですね。
○三角政府委員 そのとおりでございます。
○野間分科員 それでは次に、ゆとりの時間についてお尋ねをいたしたいと思います。
 これまた指導要領の改定に伴いまして、いわゆる授業時間の総数が減ったわけですね。それに伴いまして、一週間約四時間の時間が出てきた。これがいわゆるゆとりの時間と称せられるものであります。
 このゆとりの時間の運用についてお聞きしたいと思いますが、これをどう生かしていくかということは本来、自主的に各学校によって決めるべきものであって、これまた、文部省が画一的な押しつけ、これをするべきものではないというふうに私は理解をしておりますが、いかがでしょうか。
○三角政府委員 私どもは画一的に何かを押しつけようということは考えておらないのでございます。
○野間分科員 この使い方について、たとえば体づくり、健康ですね、健康の増進あるいは教育相談に関する活動、それから自然や文化に親しむ活動、これは文部省は例に挙げていますね。そのほかにも情操面での活動等々、これはそれなりに必要だと私は思います。
 同時に、こういうことのほかにも、現場の教師はたくさん悩みを持っているわけですね。こういうものに使うべきではないかというのがあります。たとえば、基礎学力を身につけさせるために週に二時間、七時間目を設けて復習の授業をしていた学校がある。そこではその時間を六時間目までに繰り入れることにしたとか、あるいはこれは中学校ですが、英語が四時間が三時間に減った。これは大問題になっておりますが、どうしても必要な教科については一時間、ゆとりの時間にこれをやる。あるいは生徒会や学校の行事などで授業が欠ける、こういう時間数は年間で非常に多いわけですね。授業のおくれが気になりますので、こういう行事で欠けた授業を取り戻す時間、これに使うとか、あるいはその他さまざまな使い方、たとえば、いま申し上げたような休憩時間とか給食時間ですね、これに使うとか、さまざまな使い方があると思いますけれども、要は、このようなゆとりの時間については、それぞれが工夫創意をしながら、いま申し上げたようなことに使っていくということは当然必要だし、これは認められてしかるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○三角政府委員 各学校が創意工夫を生かして、子供たちにとって一番ためになるやり方を考えていただきたいと思っております。ですから、子供たちにゆとりを持たせるということでございます。教員が休憩時間をふやすということではないのでございます。
○野間分科員 いや、教員が休憩時間をふやすことではないって、どういうことですか。
○三角政府委員 ちょっと私、はっきりお聞き取りしなかったかもしれません。休憩というようなことをちょっと委員がおっしゃいましたので、誤解したのかもしれません。
○野間分科員 休憩時間とかあるいは給食時間、これに回すこともゆとりの時間の活用の一つだろうということですね。
○三角政府委員 学校の運営でございますから、児童生徒が休憩時間に何らかの、よく学びよく遊びの遊ぶということでその時間を活用するということも、全体としてあり得ることだと思います。
○野間分科員 端的にひとつ答えてください。
 昨年の十月十二日に、教育課程審議会の五十一年当時の会長、答申をされた責任者でありますが、高村象平氏が、朝日新聞の日曜談話室の中に問答を書いておられます。これは当然、局長も読んでおられると思いますけれども、こういうことを書いておるわけです。
 このゆとりの時間について「小学校高学年では、今度の改定で、週に四時間の学校裁量の時間ができた。その解釈というか、使い方をめぐって学校同士が、変な競争をしてるんだな。何か新機軸を出さなければいけないと考えているみたいだね。だけど、別に新しいことをする必要はない、と私は思いますよ。クラスに四十人の子どもがいれば、顔がみな違うように、理解度も違う。それをいままでは「新幹線授業」と批判されたように、わからない子がどれほど出ようが、ともかく一定の分量を詰め込もうとしてきた。それじゃ困るので、子どもに授業がわかったという感覚を与えてやりたい。それには裁量の四時間を使って、授業がわからなかった子には、わかるように説明し、ドリルを与え、反覆練習させればいいじゃないですか。ゆとりの時間は、わからない子のための補習の時間と受けとってもらって、私はいいと思います。」
 いろいろありますが、「それを学習指導要領が変わったとたん、草むしりを始めたり、花づくりや遠足に精を出したり……。これじゃ先生が忙しくなるばかりでしょうに。要は、基本的なことを、全員とはいわぬが、できるだけ多くの子がわかるように、じっくり教えてもらうことですよ。」
 こういうふうにいろいろ書いておられますけれども、これは要するに、指導要領、これについての答申をされた高村象平氏が書いておられるわけでありますけれども、ゆとりの時間の使い方について、こういう使い方ももちろん大事だし、これは必要だというふうに思いますけれども、これはよろしいわけですね。
○三角政府委員 御指摘のように、児童生徒にはいろいろな能力、適性の異なる子が入っておるわけでございますから、進みが遅いと申しますか、のみ込んでないような場合に、その子たちに対して特別の指導をするというようなことも、その範囲内で学校が考えてよろしいことだと思います。
○野間分科員 やはり聞いてみますと、小学校の高学年の場合には、たとえば算数とか国語、基礎学力、こういうものが時間が減った、これはどうしてもそういうようなおくれた子供が出てくる、それのために補習をしたいとか、あるいは中学校の場合には英語、外国語、これの時間が週四時間から三時間に減った、どうしてもこういうものにも充てたい。
 だから、ゆとりの時間全部をそう充てるのじゃなくて、こういうふうに創意工夫をこらしながら、そうして有効にこれを活用したいと、いま局長も言われましたけれども、それぞれの学校が官主的に判断してこれをやりたいという希望があるわけです。それを、これは繰り返しですけれども、文部省とか教育委員会が画一的に、こうでなければならない、さあ花をつくれ、山へ行け、自然に親しめということで使わなければならぬ、というものでは必ずしもない。これは局長は認められましたけれども、文部大臣に答弁いただきたいと思いますけれども、そういうことですね。
○田中(龍)国務大臣 さようでございます。
○野間分科員 なお、ついでに、先ほど冒頭に申し上げた授業の一単位時間、これについての考え方も局長が答弁しましたけれども、このとおりですね。
○田中(龍)国務大臣 単位時間の問題は、私はいま局長が申したように聞いております。
○野間分科員 それじゃ次に進みますが、和歌山医科大学の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 昨年のたしか十月でしたか、文部省が和歌山医科大学の調査に入られたわけであります。入られて、その結果いろいろ通知をされておりますが、校地と校舎、これについて調査の結果どのような認識をされておるのか、まず、そこから聞きたいと思います。
○宮地政府委員 和歌山県立医大の校地、校舎、付属病院についてでございますが、狭隘であり、かつ老朽化しているという点が指摘をされているところでございます。
○野間分科員 そのために早急にこれらの施設の抜本的整備を進めることが必要だ、そういう評価がされていますね。
○宮地政府委員 そのとおりでございます。
○野間分科員 この県立和歌山医科大学については、県下の医療体制の中枢でもあり、それだけに教育、研究、医療の三要素を兼ね備えた大学としての拡充整備が必要であります。分散しておる大学施設や、特にいま指摘のあった老朽化のひどい付属病院問題を解決して、医療水準の向上に対応できる施設建物の設置が急務でもあります。また同時に、この和歌山医大は県下でただ一つの医師を養成する機関でもあるわけです。
 そこで、このような重要な役割りを果たしている和歌山医科大学ですが、ここへはもっと国の助成をふやすべきだと私は考えるわけであります。この点についてのお答えと同時に、和歌山県は将来構想として国立移管を目指して統合移転を進めたい、こう考えているわけでありますが、これについて文部省はどのような見解を持っておられますか。
○宮地政府委員 先ほど御答弁申しましたとおり、施設が狭隘かつ老朽化しているという点がございまして、文部省といたしましても、教育研究条件の充実という観点から早急に整備が図られるということが望まれるわけでございます。ただ、その具体的な進め方といたしまして、設置者側でございます県当局と大学関係者の間に大変長いいきさつもあって、いろいろ議論があるように伺っておるわけでございます。文部省としてそれをどのように整備するかという具体の問題については、関係者が十分意思疎通等相互理解をいたしまして、大学全体の将来構想の実現に配慮しつつ、抜本的な整備が早い機会に進められるよう希望するわけでございます。
 なお、もっと積極的に国が補助をすべきでないかというような御趣旨のお尋ねでございますが、これは県立医科大学ということで、もちろん公立の大学であるわけでございます。公立大学の施設整備ということにつきましては、本来、設置者において負担すべきものと考えておりまして、私どもとしてはその施設整備について、現時点で補助するという考え方はとっていないわけでございます。
 なお、国立移管のお話が地元であるやに伺ったわけでございますが、公立大学は、これは私から申し上げるまでもないわけでございますが、それぞれ個別の事情があり、基本的には、設置者である地方自治体がその公立大学を置く必要性を認めて設置しておるわけでございまして、設置後の大変長い年月の中で、県民の大学として地域社会に定着しているというようないろいろな事情があろうかと思います。公立大学がそれぞれ特色を持ち、発展するということは私どもとしても望ましいところでございまして、従来、昭和二十年代に、医科大学等について国立移管が行われたケースはございますが、現下の国の直面いたしております大変厳しい行財政の事情から考えましても、また、公立大学そのものが本来果たすべき使命なり特色を生かすということから考えましても、私どもとしてはただいまのところ、国立へ移管するということは考えていないということでございます。
○野間分科員 御案内だと思いますが、現地では、現在地で再開発するべきだという考え方と、いま進学課程と専門課程と分かれていますね、こういうものを含めて全部統合して移転する、そしてさらに、その上で国立に移管というような考え方とがあるわけであります。
 いま局長答えられましたけれども、現地で、再開発をして、そして何とか国立に移管してほしいという要望が非常に強いわけですけれども、これについては、いまの文部省の方針からすれば非常に困難だということになるわけですか。
○宮地政府委員 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、大変長い経緯のあることで、いろいろ議論があることも私ども伺っております。設置者側と、特に大学関係者との間に整備の考え方について意見の相違があることも伺っているわけでございます。最初に御答弁申しましたとおり、十分な意思疎通を図って、大学の将来のために抜本的な整備が早く行われるということを希望するわけでございます。ただ、移管の点その他に関しましては私どもとしては考えていないということは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○野間分科員 この医科大学の問題の最後の質問ですが、公立の医科大学について特別整備費補助というのがありますね。現在、京都府立の医科大学とかあるいは奈良医大、名古屋市立大学の医学部、正確ではありませんけれども、ここに補助が行われているやに聞いておりますが、和歌山医科大学についても、早急に整備を進めることといま調査の結果指摘をされておりますが、今後、整備のための申請があるならこの補助を出すことを十分検討されるべきだと思いますが、この点の方針についてお聞かせ願いたいと思います。
○宮地政府委員 現在、付属病院の施設整備について計画が進行いたしております、御指摘の京都府立医科大学、名古屋市立大学の医学部及び奈良県立医科大学については、施設整備事業の教育研究及び診療活動に対する重要性というところから、そういう観点に着目いたしまして、付属病院施設のうち、直接教育研究の用に供する部分の整備に要する経費の一部を、二カ年間の国庫債務負担行為ということで補助をいたしているわけでございます。先ほども御答弁申しましたとおり、公立大学の施設の整備については、基本的に設置者が負担すべきものというぐあいに私どもは考えているわけでございます。ただいま、そういう病院の中での直接教育研究用というような観点に着目しての特別整備ということをごく限定的に取り上げているケースはあるわけでございますが、一般的な施設の整備についての補助という考え方はとっていないところでございます。
○野間分科員 もしわれわれが申請した場合には十分検討されるかどうかということです。
○宮地政府委員 先ほど申し上げたとおりでございますが、一般的な施設の整備ということについては、私どもはやはり設置者たる県が負担すべきもの、かように考えております。
○野間分科員 これはいろいろまた私は問題を感じますけれども、いずれ、別の機会にさらに続けてお尋ねしたいと思います。
 最後に、今度は国立の和歌山大学の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 御案内のとおり、いま和歌山大学は経済学部と教育学部が、タコの足が一本になって統合、これがいま進められておるわけでありますが、この統合移転についての進捗状況について、まずお聞かせいただきたいと思います。
○宮地政府委員 和歌山大学の整備でございますが、移転統合の課題に現在取り組んでいるわけでございまして、昭和五十三年度におきまして、大学の意思決定がございましたことを受けて不動産購入費の要求があったわけでございます。そして統合予定地についての不動産購入費をまず計上いたし、その後において敷地の造成工事に着手し、施設の整備の着手をしているわけでございます。全体計画としてはおおむね六十年度くらいまでを要するかと思いますが、目下そういうことで、移転統合についてはほぼ七カ年程度の年次計画で整備を進めていくということで取り組んでおるところでございます。
○野間分科員 順調に進んでいますか。
○宮地政府委員 その予定地内に文化財があるというようなことの調査を要することがあることは伺っておりますが、事柄全体は順調に進んでおるものと承知しております。
○野間分科員 ぜひこれは完全に十分なものができるように、今後の検討をひとつお願いしたいと思います。
 それから、次にお聞きしたいのは、統合移転に関連して今度、大学の学部の増設の問題なんです。
 和歌山大学は、いま申し上げたように二つの学部しかない。これを統合するだけの話ですね。そこで、いま県下では、六十万人の学部増設に関する署名が集められております。御案内のとおり、和歌山県下における大学は数が非常に少ない。これは国立和歌山大学、和医大、あとは四年制の私立高野山大学があるだけです。そのために、県内では進学者の学部、学科への希望が満たされないのみならず、いま収容定員が非常に。少ないために、大学へ進学したいという者の自県内大学、つまり和歌山県内の大学への残留率はわずかに七%。これは全国最下位であります。進学者の九三%が他府県の大学へ進学しておるというのが現状であります。
 そこで、移転統合を契機にして何とか学部の増設、私たちは、一つの府県には一つの総合大学をというふうに要求して一緒に運動しておるわけでありますけれども、学部増設に関する六十万にも達しようとする署名が集められております。こういう県民の声は十分尊重して検討されるかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
○宮地政府委員 先ほど御説明いたしたわけでございますが、ただいまのところ、多年の懸案でございました移転統合の課題に取り組むことがまず現実の取り組みの課題でございまして、その移転統合に際しましては、もちろん、跡地の処分問題というようなこともあるわけでございます。そういうことを含めまして、ただいま取り組んでおります移転統合を早期に実現することが、私どもがまずやるべき第一の課題であろうかと思っております。その後の将来の問題としていろいろ議論のある点はあろうかと思いますが、国立大学の、特に地方の大学の整備充実というのは、それぞれの大学の計画が十分練られ、熟したものから順次取り上げていくということでございまして、ただいまのところ、和歌山大学については、まずは移転統合をりっぱに実現することが先決の課題であろうか、かように私ども考えております。
○野間分科員 時間が参りましたので終わりますが、重ねてこの点について私がお願いしておるのは、こういうふうにいろいろな運動が起こりまして、いま大臣に申し上げたとおりに、実態がこういう実態でありますから、みんなの盛り上がりと申しますか、要求を十分尊重して、今後学部増設について検討されたい、こういうお願いなんですけれども、最後に大臣からお答えいただきたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 御意見に対しまして局長がるる御説明申し上げたとおりでございまして、その点につきましては、先生の御希望については十分拝聴いたしました。
○野間分科員 終わります。
○塩崎主査 これにて野間友一君の質疑は終わりました。
 次に、田口一男君。
○田口分科員 図書館の問題について、ちょっと簡単にお伺いしたいと思います。
 公共図書館の数を図書館白書なんかで見ますと、昭和四十一年から昭和五十二年までの十二年間の図書館の内容が質も量も大きく変わってきているということを言っておるのですけれども、しさいに見てみますと、なお公共図書館のない市町村が相当ある。わけですね。
 ちょっと参考までに、これは御存じでしょうけれども申し上げますと、市区の場合に七七・二%、それから町村の場合には一一・三%、これは図書館のある割合ですね。そうしますと、市町村の場合二四・八%しかないということになると思うのですが、一体、生涯教育とか云々ということを盛んに文部省等は言っておるのですが、この図書館の設置状況についてどういうお考えを持っておるのか、簡単にお聞かせ願いたい。
○高石政府委員 御指摘のように、図書館の整備につきましては、年々、各県、市町村の段階で整備が進められてまいっている状況でございます。
 そこで、図書館を設置するに当たりましては、当該市町村の財政事情であるとか地域の実態、そういうことを踏まえて具体的に計画されるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、その計画に対応して適切な補助金が執行できるようにということで予算措置を講じているわけでございますので、今後ともその実態に対応できるような国の施策を進めてまいりたいと思っております。
○田口分科員 そこで、未設置の市町村あたりでこういう意見があるのです。いますぐに図書館というものはなかなかつくりにくい、公民館はどこにもあるわけですが、そういった公民館の中に図書室を設ける、こういったものをいわゆる図書館法で言うものとして認められぬかどうか。その住民の要求にこたえるためには、公民館の中である程度スペースをとって図書室を置きたい、いずれ時期が来れば図書館にしたい、こういう要望をよく私ども聞くのですけれども、あくまで便宜的という意味でこれらは認めていってもいいのじゃないのか、こういう気がするのですが、どうでしょう。
○高石政府委員 公民館の中で、御指摘のように図書室みたいなものを整備しているところが、現在、公民館の約三〇%はそういう機能を持っております。したがいまして、公民館の補助金を出す際に、そういう施設を整備する公民館をつくりたいという場合には、公民館の補助金として、その補助面積を対象にしているわけでございます。したがいまして、いま御指摘のようなことは、現に公民館整備という中で対応しているということでございます。
○田口分科員 いま申し上げたように、まだまだ十分設置をされていない。ただ、県立はほとんどの県にありますから、そういった状態から、いわゆる県立の図書館を中心にネットワークという考え方で管内の市立図書館、町村立図書館、さらには大学の図書館、こういった図書館との相互の図書の貸借、こういったこともやっておる県が一部あるのですが、これはもっと奨励すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○高石政府委員 御指摘のように、各府県単位で、県立の図書館を中心にいたしまして管内の図書館が相互に横の連絡をとり合って、図書とか資料の貸し出しを考えたいということで、まず府県単位でそのネットワークというものを整備される必要があるのではないかということで、そういうことは行政指導として進めておるところであります。
 ただ、全国的な規模になりますと、いろいろな学術を中心とした図書機能を持っているような図書館とか、一般の貸し出しを中心とする図書館とか、図書館の性質、機能が違いますので、その付近は機能別に考えていかなければならないだろう、こう思っております。
○田口分科員 そういう問題もあると思うのです。
 そこで、私は図書館の職員の諸君からよく言われるのですけれども、これだけ公共図書館の存在価値が喧伝されておるにもかかわらず、聞くところによりますと、文部省の中には、こういった公共図書館を一元的に指導するというのですか、主管課というか所管課というか、そういったものがないそうですね。社会教育局にたった一人しかいないという話なんですが、なぜそうなっておるのですか。
○高石政府委員 公立図書館のいろいろな助成とか指導につきましては、社会教育局の社会教育課というところが処理するようになっております。そこで、現在、専任の職員は二人の係がおりまして、課長補佐がおりますし社会教育官がおりまして、数名の関係者が図書館の関係については対応できるということになっているわけでございます。
○田口分科員 私は、課をつくったらもっともっと発展をするという単純な気持ちは持っておりませんが、それぞれ県なり市なり町村の図書館担当職員が、ことしはひとつこういう事業をやりたい、もっと蔵書数をふやしたい、こういう意味で、もう時期は済んでしまいましたが、予算要求をする場合に、これは県市町村が全部そうだというのじゃないのですけれども、受ける側の庶務課、財政課あたりでは、根拠は何だ、一体中央の方から何かそんな話があるのかということですね。どうも図書館というのは横の方に置かれている、こういうケースを間々聞くわけです。そうなると、いま二人いるというお話ですが、その二人の方がどうこうというのじゃなくて、もっと全国一元的に指導をするために、当面、大学の関係は学術国際局に情報図書館課というのもあるわけですから、同じ図書館という名前がついておる以上は、係なり、将来課にしていくという展望を持ちながらこういった内容を充実することが、生涯教育云々と言われておることに照らしてもこれから必要なのじゃないか、そういう気持ちを持っておるのですが、大臣、どうでしょう、いまの話を聞いて。
○田中(龍)国務大臣 元来、図書館業務の行政庁内におきますあり方というものは、執行その他の面においてはでなポストではございません。ただいま局長が申し上げたように、中央におきます員数の問題だけで文部省が図書館業務というものを軽視しておるとかなんとかということではございません。そういう点は誤解がないようにいただきとうございますが、同時にまた、お仕事それ自体が動の職務ではございません、静の職務であります。そういう点から、文部省といたしましても、図書館の振興、また公民館との連携を十分に考えております。
○田口分科員 図書館の方はこれで終わりますけれども、ちょっとさっきからくどいようですが、児童に対する図書館図書の奨励とか、そういういろいろな問題を抱えておるのですから、重ねて言いますが、一元的な指導のできるような体制を速やかにとってもらいたい、これは要望しておきます。
 次に、大学医学部の付属病院についてお伺いをします。
 いま各県に国立大学医学部の付属病院などが相当あるのですけれども、この付属病院のことを大学病院と言いますが、その大学病院における関係職員の配置基準というものは一体あるのかないのか。まあ、あるのでしょうけれども、私は三重大学医学部の付属病院を例にとって申し上げたいと思います。
 全職種を持っておるのですけれども、時間がありませんから、放射線技師いわゆるレントゲン技師に限って、これは数字が一番見やすいものですからお聞きをしたいのですが、放射線技師はどういう基準で各付属病院に、たとえばおまえのところは何人だ、ここは何人だというふうになるのか、その基準をお聞かせいただきたいと思います。
○宮地政府委員 国立大学付属病院の医療技術職員、御指摘ではレントゲン技師の配置基準についてのお尋ねでございますが、原則的には、その病院の診療科の数でございますとか、あるいは病床数というものを基本としながら、学生の臨床実習でございますとか、あるいは医学、医療の研究上の必要性というものを全体的に検討、勘案いたしまして所要数を配置しているというのが基本的なたてまえでございます。ただ、現実には、こういう医療技術職員の配置というのは、大学病院の立地条件でございますとか、あるいは病院全体として整備すべき緊急性の問題でございますとか、大学側の要請を踏まえまして、順次、長年の積み重ねをやってまいった結果が現在の定員配置ということになっておりまして、画一的な定員配置基準というものについては特別設けていないわけでございます。現在の国の置かれております厳しい行財政の事情といいますか、国家公務員の定員抑制ということが大変強く求められている中でございますが、そういう中で私どもは、付属病院の整備ということについては取り組んできておるわけでございます。
 以上のようなことで、具体的には、個々の大学で定員配置の人員に若干の変化があるわけでございますが、それはそれぞれの大学病院の置かれております事情というものを踏まえて検討してみなければならぬ事柄であろうかと思います。
○田口分科員 確かに現在、定員管理とか抑制という方針が出されておりますから、むやみやたらじゃないのですが、ほいきたといって増員をすることがむずかしいことは承知をしております。ただ、それぞれの大学病院の経験、いろいろな立地条件というものが積み重なって現状になっておるのだろうと思うのですが、私が引用する資料は、昭和五十一年度の国立大学病院年表という、おたくの方から出した資料です。これはいまはもう出ていないそうです。
 その五十一年度の年表からずっと拾い出してみますと、大ざっぱに言って三つに分類ができます。いわゆる旧帝大の病院、それからそれ以外の大学医学部の付属病院、これは十四あるのですが、俗に地方大学、十四大学と言います。それから県立から国立に移管をしたり新しくつくったりという病院。そこで、旧帝大とか新設とかいろいろなことを言っていますと切りがありませんから、十四大学のうちで、昭和五十年、五十一年両年度の定数、レントゲン技師の人員を二、三カ所拾い出してみまして、一体何枚レントゲンを撮影したか、エックス線の撮影及び透視、こういった件数を単純に放射線技師の頭数で割ってみますと、いま局長の答弁からいくと解せぬ面が出てくるのです。
 たとえば、いまから言うところは多いとか少ないとかという気持ちで言うのじゃありませんから御承知おきをいただきたいのですが、基準になる三重大学の医学部、昭和五十年十一人、昭和五十一年十一人、プラス・マイナス・ゼロ。そして、五十一年の撮影枚数は一人頭十七万三千八百三十五枚という数字になっておるのです。ところが、山口県にある山口大学附属病院ですが、昭和五十年十二人、昭和五十一年十一人でマイナス一。昭和五十一年の撮影枚数が一人頭十一万六百九十八枚。それから徳島の国立大学附属病院の場合は、昭和五十年十一人、昭和五十一年十二人、プラス一。昭和五十一年の撮影枚数が一人頭十六万五千二十七枚。岐阜の場合は、昭和五十年十二人、昭和五十一年十三人でプラス一。昭和五十一年の撮影枚数が一人頭十二万一千三百十四枚。これは旧帝大その他は除いてですよ。
 この四つの数字を見た場合に、私はこういうふうに見たのですけれども、山口の場合には十一万で、前年度に比べて減っているからマイナス一、一名減員になっておる。徳島の場合には十六万五千で、前年度に比べてプラス一。岐阜の場合も十二万一千で、前年度に比べて撮影枚数がふえてきておる。こういう数字を単純に見ましても、私は我田引水で言うのじゃありませんが、三重大学附属病院の場合には十七万三千、ここは五十年も同じなんですが、プラス・マイナス・ゼロ。多少の差はあると私は思うのですが、ちょっとこれは差がひど過ぎるんじゃないか。となるとオーバーワークといいますか多少の無理があって、とりわけレントゲンですから、放射線を浴びて欠勤日数もふえてくるということも考えられる、こう思っておるのですが、いまのようなやや抽象的な基準でなくて、まあある程度の、お医者さんを何人、看護婦を何人というのはむずかしいでしょうが、こういうわかりやすい職種については最低限の基準ということを置く必要があるんじゃないかと思うのです。どうでしょう。
○宮地政府委員 お示しの数字については、ちょっと詳しく検討させていただかないと何とも申し上げにくいわけでございますが、具体的に三重大学の医学部附属病院につきましては、四十八年当時の県立医科大学附属病院が移管して以来の今日までの整備ということでちょっと申し上げてみますと、診療科の新設について二診療科を整備し、教職員の整備につきましても教官を含めまして百八名の整備というようなことを、具体的に今日まで整備を図ってまいってきておるわけでございます。
 また、五十六年度の予算におきましても、三重大学附属病院に新たに救急部を設置するというようなことで、病院全体の整備ということについては私ども逐年努力をしてきておるつもりでございます。救急部の新設に伴いまして、さらに医療職員についても一名の増というものが図られることになるわけでございます。
 なお、放射線の業務全体につきましては、私ども三十八年度以降、中央診療施設ということで中央放射線部を設けてきておるわけでございます。三重大学についても移管と同時に中央放射線部を設置して、業務量をしんしゃくしながらその定員の措置を行っているわけでございます。
 ただ、多少細かい点の説明にわたって恐縮でございますが、放射線部というのは各診療科と大変密接に関連が深いわけでございまして、もちろん撮影業務をやるわけでございますが、ほかに、たとえばレントゲンフィルムの管理でございますとか記録の整理でございますとかあるいは造影剤の取り扱いというような、そういう仕事については放射線部でやる場合もあり、また各診療科でやるということもあり得るわけでございまして、必ずしもレントゲンの枚数のことだけで労働が過重であるかどうか一概には申せないということも、具体の問題として申せば、あることではないかと思います。
 いずれにいたしましても、私どもとしては病院の整備につきましては、先ほども申しましたように、公務員全体の定員抑制の大変厳しいときでございますが、必要な病院の整備ということについては順次取り組んでいくつもりでございます。
○田口分科員 ただ、私はこう思うのです。そのとった枚数の多寡によってどうこうと単純にそうは言えぬと思うのです。しかし、患者数であるとか撮影枚数、透視件数、それからベッドの数、それからRI使用件数であるとか治療件数、こういったものを見ると、さっき言った伝統なり経験の積み重ねということで旧帝大と比較するのはちょっとなにでしょうけれども、いま言った十四大学と比較をすると、三重大学を一として、患者の数では平均一・三倍、撮影枚数は平均一・四倍、透視人数は〇・五倍、それから治療件数というのが一・四倍、RI使用件数が〇・五倍、ベッド数が一・四倍、こういう数字が、単純にそろばんをはじくと出てくるわけです。
 ですから私は、総体的に抑制ぎみの中でということはわかりますが、やはりそうだからといって、このRIなんかいろいろと問題のあるところなんですけれども、少なくとも平均の人数、数までは置くということがあっていいんじゃないか。いろいろと整備に努力をされておるということは私も認めますけれども、私は、レントゲン技師、放射線技師を一つの例としてここで数字を挙げておるのですが、他の看護婦にしても検査技師の問題にしてもいろいろあると思うのです。しかも、きのうですか文部省からもらった数字によると、私は十一名と言いましたが十二名になっておる。早速調べますと、この中には、行政職給料表の種類で言いますと行政職(二)表が一名、医療職(二)表が十一名、資格を持ってない者まで入れておる。十一と十二でわずか一名ですが、資格のない者まで分母にしているのですから数字が違ってくる、こういうことも言いたいのです。一遍に何人もふやすことはむずかしいでしょうが、こういうところを参考にして各付属病院の職員の配置基準については、むずかしいときですが、余り不公平のないような定数配置をしてもらいたい、このことを申し上げて、それに対する御見解を承って終わりたいと思います。
○宮地政府委員 先ほど来御説明を申し上げた点に尽きるわけでございますが、先生の御意見のございました点も十分踏まえまして、私ども、国立学校全体の定員の整備充実に努力をいたしたい、かように考えております。
○田口分科員 終わります。
○塩崎主査 これにて田口一男君の質疑は終わりました。
 次に、藤原ひろ子君。
○藤原分科員 関係者の皆さん、遅くまで大変御苦労さまでございます。
 ただいま午後の七時を過ぎました。ちょうどこの時間は、春休みでなければ、勤労学生の皆さんは昼間の仕事で疲れました体にみずからむちうって、学問をしたいという意欲を燃やして夜間大学で学んでいる時間でございます。私は、勤労学生の勉学条件の改善を心から願い、特に、働きながら夜間大学あるいは短大などに学ぶ学生の問題について質問をさせていただきたいと思います。
    〔主査退席、阿部(助)主査代理着席〕
 まず、文部省にお尋ねをいたしますが、大学におきます夜間部、夜間大学というのは一体どういう趣旨で設置をされているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 先生のきめの細かい御質問がこれからいろいろと始まると思いますが、事務的な問題につきましては担当の局長からお答えさせます。
○宮地政府委員 勤労学生の勉学の便を図るということを踏まえまして、夜間においても勉学できる体制あるいは通信教育の充実ということも行われておるわけでございます。
 ちなみに、国立大学の夜間学部学科の充実の状況で申し上げますと、昭和三十年度当時せいぜい四校でございましたものが昭和五十五年度では十二校ということでふえておりますし、学部数も六学部から十七学部ということにふやし、在学者数についても約千五百名から八子名に近い数になっているというのが今日までの現状でございます。
○藤原分科員 憲法二十六条そして教育基本法に定められました教育の機会均等、国民はひとしく教育を受ける権利を有する、この精神に基づいて、さまざまの原因で昼に学ぶことのできない人人に教育を受ける権利を保障する、このために夜間学部が設置をされているというふうに思うわけです。この働きながら学ぶという勤労学生のために、政府も幾つかの保護制度や対策を設けられているわけでございます。
 そこで、大蔵省の方にお尋ねをいたしますが、勤労学生に対する所得税控除の制度がありますけれども、これは一体どういう趣旨で始められたのか、お尋ねをしたいと思います。
○内海説明員 勤労学生控除の経緯でございますが、これは昭和二十六年度の税制改正におきまして、当時の学生というのはほとんどの者がみずから働くことを余儀なくされていた戦後の特殊な事情にかんがみまして創設されたものでございます。このような制度は諸外国においてほとんど例がないわけでございますが、そういう趣旨でできたわけです。
○藤原分科員 もう一つ大蔵省にお尋ねをしたいと思いますが、五十四年度、どれだけの勤労学生が控除を受けているのでしょうか。わかりましたらお答えをいただきたいと思います。
 所得税の免税点というのは五十二年度以降、不当にも七十九万円ということで据え置かれたままですけれども、勤労学生控除は引き上げられたのかどうか、その点お答えいただきたいと思います。
○内海説明員 現在、何人の人がこの控除を受けているか、ちょっと手元に資料はございませんが、勤労学生控除は五十二年に二十三万円でございます。以後、一般の基礎控除と同じく、二十三万円が維持されております。
○藤原分科員 控除額は四年間据え置かれたままだということになるわけですね。
○内海説明員 そのとおりでございます。
○藤原分科員 実は私、京都にあります立命館大学に参りまして、大学当局や勤労学生からいろいろと実情を聞いてみたわけでございます。この大学の二部といいますのは一部への転入は認めない、こういう制度をとっております。全国的に見ますと、一部の入試に失敗をしたということでとりあえず二部に入学するいわゆる二部回り、つまり成績により一部へ転入を認めるというやり方をとっているところも少なくありませんが、この立命館大学の場合は最初から、二部は勤労学生のためにあるのだ、こういう姿勢を貫きまして、転部を認めないという二部制の大学でございます。ここで聞いたところ、二部学生の定職者の昭和五十四年度の平均年収、これが百四十六万円で、多くの学生がこの控除制度の適用外になってしまっているという状態でございます。
 また、ここに持ちました、東京、大阪、京都、岐阜、愛知の五都府県の夜間学部学生自治会協議会、これのまとめに「夜学生白書」というのがございます。一九八〇年十一月の資料でございますが、これによりましても、定職者の八割以上がこの勤労学生控除の適用が受けられない、こういうような状況になっているわけであります。
 文部省は、こういう実態を改善して勤労学生の学ぶ権利を保障するために、大蔵省に対して何か働きかけをなさったのでしょうか、いかがでしょうか。
○宮地政府委員 勤労学生控除につきましては、私どもとしても勤労学生の立場に立ちました要望は財政当局にもいたしておるわけでございますが、政府全体の財政再建と申しますか、そういう観点から、本年度は控除の引き上げということが見送られたというような事情を伺っております。
○藤原分科員 最近の物価の高騰は大変なもので、昭和五十五年度は、政府の見通し六・四%をはるかに超えまして、八%になるのではないかとさえ言われているわけです。その中でも教育費の伸び、これが一番大きいと言われております。総理府統計局の発表いたしております物価指数を見ますと、政府が免税点を七十九万円と二十三万円にした昭和五十二年を一〇〇とした場合、総合の指数は五十五年、平均で一一六・二です。こういう中で私立大学の授業料というのは一五一・六にもなっているわけです。
 物価は上がるし授業料はそれよりもっと上がるし、そしてその一方では、実質賃金は対前年度比ではマイナスになっているわけなんです。ですから、所得税減税につきましても当然考えてもらわなければなりませんし、その上この勤労学生に対する控除の額も引き上げてもらわないと、せっかくつくったこの制度も絵にかいたもちになっております。役に立っていないわけなんです。勤労青年に教育を受ける機会を保障するためには、何としても勤労学生に対する控除額の引き上げということを実施すべきだと思うのですけれども、大蔵省の御答弁を求めます。
○内海説明員 税制上、人的控除には一般的な控除、いわゆる基礎控除とか配偶者控除とか扶養控除がございます。これは二十九万円でございます。それから、特殊な人的控除がございます。これはたとえば老年者控除とか寡婦控除、障害者控除、それからこの勤労学生控除がこれに当たるわけでございます。
 この両者のバランスというのは、おのずからいろいろな考え方があるわけですが、たとえば昭和四十二年におきまして、一般的な人的控除、基礎控除等が十五万円だったときに、この勤労学生控除等の特殊な人的控除はたしか七万円でございました。半分以下だったわけでございます。現在、基礎控除が二十九万円に対して勤労学生控除は二十三万円になっております。そういうふうに、四十二年から見ましてもきわめて急速に引き上げられてきております。これはやはり、学ぼうと思っても学べない人もあるわけですし、一般的な納税者とのバランスもおのずから考えなければなりません。また、二十三万円に引き上げということになれば、それとの関係で、たとえば障害者とか老年者を放置して勤労学生だけ特別な配慮というわけにはまいりません。また、一般的な控除の問題にも当然及ぶわけでございまして、これは現在の一般の税負担とのバランス及び財政の状況からいたしまして、そのような勤労学生控除の引き上げというものは御勘弁いただきたいと思うわけでございます。
○藤原分科員 バランス論ですけれども、どうも大蔵省は庶民に対して余り熱心でないと思うのです。大企業のための公共投資とか軍事拡大予算、こういうものとのバランスを考えてみたらとんでもないことになっているわけですよ。ですから、こういうような軍事予算をわずか削れば全く実現可能なことではありませんか。働きながらでも学ぼうという意欲を持っている人たちは、普通の人以上に努力をしているわけです。
 私が話を聞きました女子学生の西川順子さんという人は、京呉服の悉皆屋さんに事務として働いております。大学に入学したときからずっと三年間勤めて、現在、賃金は九万二千円です。昨年の源泉徴収では年収は百三十八万二千円。両親は大阪で毛布を織っておられるわけですが、こういう不況の中でやりくりは大変です。ですから娘さんも、自分の賃金のうちから毎月三万円を両親に仕送りをしております。この西川さんは、あと残ったお金で衣食費を切り詰めて、何とか働きながら学んでいる。本当に涙ぐましい努力をしているわけです。希望としましては二部をりっぱに卒業をして教員の採用試験を受けて、ぜひとも先生になりたいとけなげに語っていたわけです。大蔵省も文部省も、こういうまじめな人たちに対してもっと真剣に考えていただきたいということを切に要望をしておきたいと思います。
 勤労学生は経済的な面だけではなくて、他方、労働条件の面から見ましてもきわめて困難な状況に置かれているわけです。勤労学生の就学保障について労働省はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。また、勤労学生を抱える企業とか事業主、こういうところへどのような指導をしていらっしゃるでしょうか、お尋ねをいたします。
○金平説明員 労働省の所管でございます勤労青少年福祉法というのがございまして、昭和四十五年にできておりますが、その法律の十二条で、事業主に対して通学に伴う時間の配慮をするようにということを要請してございます。それを受けて、毎年労働省では地方の出先へ通達を出し、事業主に対する指導を徹底するようにということをやってまいっております。
 法律ができてから四年後の四十九年の十一月でございますが、その関係の実態調査を改めてやっておりまして、その段階では、時間の配慮を受けておる学生が全体の七一・九%に達しておるという結果が出ております。そういう実績をもとに、さらにそのパーセントを上げるべく毎年努力をしておるわけでございます。
○藤原分科員 就学保障のために努力をしていらっしゃる、通達を出したり実態調査をしたり、その実態調査ではいま七割が配慮を受けているというお答えでしたけれども、実態は実はそうなっていないわけですね。この夜学生白書によりますと、就学時間に優遇制度があると答えた夜学生は四一・四%なんです。そのうち二二・七%が、給料等に影響があると答えているわけです。つまり、この数字は、半数以上の夜学生が配慮を受けていないという事実を示すものだと思うのです。また、そういう配慮があったとしても、減給とか残業などの影響を受けるというのが実態であるわけです。
 実際に学生の声を聞きましても、たとえば看護婦の仕事をしながら学んでいる学生は、三交代勤務になっておりますから準夜勤のときには学校に行けない、こう申しております。看護婦さんというのは、朝八時から夕方五時、それから午後四時から夜中の十二時四十五分、夜中の十二時から朝八時四十五分という勤務になっているわけです。人手が少ないということでどうしても優遇してもらえない、事実こういうふうに言っているわけです。
 また郵政職員の例ですが、立命館大学に通っている正垣さんという学生さんは、勤務形態が五つあって、夜勤になるときはとても行けない。ゼミの時間など週三回程度の出席は一応保証してもらっているが、ほかに欠員が出るとそうもいかない、こういう事情があるわけです。このように、比較的安定をしている郵政省勤務の職員、こういう公務員などでも、人員削減とか残業の増加などの中でまともに通学できる状況にないというのが実は実態なんです。
 これを大学側に聞きますと、立命館大学では、新入生が入ってきますと、職場にぜひ考慮をしてくださいという要望を出しているということだったわけです。しかし、勤労学生の職場の多くが中小企業で、労働条件等も整っていないところが大変多いわけです。婦少室を通じて指導というふうに聞いているのですが、婦少室は大学の窓口と連携をとって指導しておられるのか。また、その際に、労災とか健保、年金、こういうものの加入の問題、労働条件の改善ということをあわせて指導しておられるのかどうか。そういうところでの徹底を図るべきだというふうにも思うのですが、いかがでしょうか。
○金平説明員 婦人少年室を通しましては、主として個別企業の労務関係の担当者、中小企業団体の経営指導員といった勤労青少年福祉員と呼ばれる人たちがございますが、そういう人たちを中心に指導しておるということでございます。
 いまお話しの大学と直接連携をとってやっているかどうかというのはちょっとつまびらかにしておりませんが、なお、労働条件の関係などでも、個々的にお話を聞いたような場合には当然いろいろな指導はやっているはずでございます。ただ、さらに努力を要請するという形になるわけでございまして、直接法律違反というようなことがないような場合は、やはり説得をするということに限られるかと思います。
○藤原分科員 私は、日本の未来を背負う青年の学ぶ権利を保障するという点で重要なお仕事ではないかというふうに考えるわけですから、徹底するためにはあるいは大学と連携をするということも必要でしょうし、いまはやっているはずという御答弁でしたが一度検討していただいて、もしそういうことができていなかったらぜひ改善をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○金平説明員 いろいろな機会に、地方との関係で打ち合わせもございます。そういったときに一度意見を聞いてみたいというふうに思います。その結果、またできるだけ善処をいたしたいと思っております。
○藤原分科員 私は、経済的な面あるいは労働の実態から勉学条件の改善ということを要求しているわけですけれども、ここで最も本質的な問題というのは、やはり国として国民の教育を受ける権利をどう総合的に保障するのか、昼学べない勤労者が困難な経済あるいは労働条件、こういうものを乗り越えて学ぼうとしている意欲にどうこたえていくのか、この点が非常に重要だというふうに私は思うわけです。
 昭和五十五年度の四年制大学の二部学生数で見ますと、九〇・四%が私学であるわけです。昼間学部以上に私学の依存度が非常に高いというのが、今日の日本の実態なんですね。さらに、今日の私学危機という中で、全国の少なからぬ公立、私立大学で二部、夜間部の縮小、廃止化の方向というのが打ち出されてきております。私は、こうした勤労者の学習権を保障していくという問題は、本来もっと国が力を入れるべきだというふうに考えます。
 私ども共産党は、各県に一つの総合大学の設置を主張してまいりましたが、あわせて地方大学にもっと夜間学部を増設すべきではないでしょうか。なぜ国立の夜間大学が少ないのか。先ほど、徐々にはふえてはおります、学部もふえておりますという御答弁でしたけれども、それでもまだまだ、焼け石に水のように少ないわけですね。この点、いかがでしょう。国立のあるいは公立の夜間大学をつくるべきではないでしょうか。御答弁いただきたいと思います。
○宮地政府委員 国立大学におきます夜間の学部の充実ということについては、充実に努めて、今日相当ふやしてきておるということは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。ただ、全体の数から見れば私立に依存している度合いの方がはるかに多いという点も、これまた御指摘のとおりでございまして、私ども、具体的な施策といたしましては、たとえば昼間部、夜間部の区別をしないで昼夜にわたって開校制をするというようなことについても、具体的にそれぞれ大学の提案のあるものについては積極的に取り組んでいくという対応をいたしておりまして、千葉大学の工学部でございますとか、あるいは福島大学の経済学部、愛媛大学の法文学部等では、そういうことも実施をいたしておるわけでございます。もちろん私ども、大学特に地方の国立大学の整備充実ということを積極的に取り組んでおるわけでございますが、この夜間学部の問題につきましても、具体的に大学で対応いたしておるものがございますれば、それに対して私どももまた積極的に対応をしていくという考え方で臨んでおるところでございます。
○藤原分科員 今日でも、勤労者のための夜間大学の存在価値というのは非常に大きい。もっと振興充実すべきだ。いま二部の志願者数は横ばいになってきております、先日も、文部省の方からもお聞きをいたしましたけれども。しかし、国立ても設置数をふやせば、確実に学生数もふえております。一方、大学進学率というのは短大を含めて約四割と、年々高まっているわけです。その中で高卒の就職者の多くが、機会があれば大学へ行きたい、こういう希望を持っているわけですね。また、現在二部へ通っている学生の出身階層、これを調べてみますと、全国の大学生の家計支持者の年収が四百五十万から五百万であるのに対して、たとえば立命館大学の二部の学生は、昭和五十四年で平均が二百九十万、こういう状態になっております。二百万円近い開きがここに出てきているわけです。このように低い所得階層の子弟の教育要求、これを実現していくためには、学費の安い、働きながら学べるという夜間大学の存在意義というのは非常に重要だというふうに思うから要望しているわけなんです。政府といたしまして夜間大学の振興策、これをきちんと持っていただいて、今後とも国立の夜間部を増設していただきたいというふうに強く要望したいと思います。
 同時に、政府が十分夜間大学をつくらないという中で現実に勤労者の学ぶ権利を保障してきたというのが私学の夜間学部であるわけですね。ところが、今日こうした私立大学の中でも、第一に、経営圧迫の要因になるからということで縮小、廃止の方向も、全国的な趨勢になってきております。二つ目には、一部に入れない学生を受け入れるということによって採算を合わせていこうという傾向もございます。こういう状況が多く見られて、その結果、私学の立命館大学における勤労者比率の低下というふうな現象もあらわれてきております。つまり、勤労者が学ぼうとしてもその場がない、その期待にこたえる大学がない、こういう状況になってきているわけなんです。こうした中でも、良心的な私学経営者の中で勤労者のための教育保障、この場を確保していこうと努力されているわけですね。たとえばこの立命館では、入試の改革をするとか、また授業のあり方、時間割りなども検討するとか、あるいは一泊、二泊で教授と学生の人間的な交流、学生と学生のコミュニケーション、こういうものを大切にするのが人格形成のために非常に重要だということでこういうことも取り入れているというふうな、教学内容の改善ということにも取り組んでいるわけです。勤労者の比率を高めるという努力を一生懸命やっている。政府はこうした私学の努力に当然こたえなければならない、そのように私は思うわけです。
 今日、父母や教員あるいは学生、私学関係者、こういう人たちを初め、私学助成の大幅な増額ということはいまや国民的な要求の一つになっているというふうに思います。京都におきましては、御存じかと思いますが、自治体、府に対して経常費の二分の一の補助を義務づけるという条例制定の直接請求、これが取り組まれて、現在、七十万を超えるという有権者の署名が集まっております。これは全有権者の四〇%に当たるわけですね。文部省は、こうした国民的な声をどう聞いていかれるのでしょうか。
 私は、私立大学の経常経費の二分の一助成の実現は急務だというふうに考えます。五十五年度の私学助成でも三一%にとどまっているわけですけれども、文部大臣は、二分の一助成、これを速やかに実現をしていただくという決意を持っていらっしゃるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○田中(龍)国務大臣 大変に詳しいお話をいただきましたが、われわれは、冒頭申し上げたように、勤労学生についての助成の問題は真剣に取り組んでいかなければならぬ、かように考えております。
 具体的なケースにつきましては、ひとつ担当の局長からお答えいたします。
○阿部(助)主査代理 藤原君、時間ですから……。
○藤原分科員 はい。
 最後に、いまの御答弁とあわせて、お尋ねをしておきたいと思うのですが、いまの文部大臣のお話は、私が申しました経常費の二分の一補助、これに対するお考えはなかったわけですから、後で担当の方からお聞きしたいのと、その私学に対する二分の一助成の実現というのと同時に、夜間学部に対する特別補助、これを大幅にアップするということが必要でございます。
 五十五年度の特別助成の総額は五億八千万円となっておりますが、これは学生一人当たりにしますと約四千円。たった四千円ということです。また、七五年にこの特別助成が始まったわけですが、私学助成全体の伸びに対しまして低く抑えられております。私は、二部、夜間学部の持ちます固有の困難さ、光熱費の出費増や勤労者の教育への特別のエネルギーというような問題から考えますれば、当然、私学助成額の増加に見合って大幅に増加すべきだというふうに考えます。
 いま申しました二つと同時に、現在の助成金の配分方式、これも実情に見合って改めるべきだ。もっと改善が必要だ。そのためには、配分基準作成に対してもっと私立大学各層の声を反映できるようにすることが必要だ。そして、特に要望しておきたいのは、いまの配分方式では、授業料の値上げを抑制して経営努力を重ねているという大学を正当に評価している配分方式になっていないという……
○阿部(助)主査代理 藤原君に申し上げます。時間が終わっておりますので、結論を急いでください。
○藤原分科員 わかりました。
 この点はぜひ改めるべきだというふうに考えます。最近、北里大学など、不正乱脈というふうな大学の経営が社会問題になっているわけですから、良心的に努力をし、父母負担の軽減を真剣に考えているという大学にこそ、こういう点を十分評価をして配分をすべきだというふうに思いますが、御見解をお聞きして終わりたいと思います。
○吉田(壽)政府委員 私立大学等経常費助成につきましては、文部省といたしまして従前から、なるべく早い時期に経常費の二分の一助成を達成するように努力してまいっておりますけれども、今後とも私どもはそれに向かいまして努力を続けたいというふうに考えているところでございます。
 夜間学部に対する特別補助でございます。これは学生経費につきまして二五%の増額措置を講じておりますけれども、またそれは金額的にはとても足りないという御指摘でございますが、この特別補助の増額等につきましても、今後とも私ども配慮してまいりたいというふうに思っております。
 なお、最後の第三点の配分方式の問題でございますが、これにつきましても、私ども、その改善方につきまして従来もその努力を続けておりますけれども、ただいまの御趣旨に沿いまして、なおこの改善策について検討してまいりたい、そのように考えております。
○阿部(助)主査代理 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。
 次に、石原健太郎君。
○石原(健)分科員 国の経常費補助を受けている私立大学の入学の選抜方法でありますけれども、医学部については通達が出ているようでありますが、それ以外の学部についてはどのようにされるおつもりか、方針をお示しください。
○田中(龍)国務大臣 私学の問題につきましてとりましたいろいろな処置、また今後とろうといたしております処置につきまして、ただいま具体的な問題が多いとわかりましたので、担当の局長からお答えいたします。
○宮地政府委員 入学者の選抜に当たりまして公正を確保するということはもとよりのことでございまして、これは入学者選抜実施要項を各国公私立大学に配付するに当たりましても、そのことをまず私どもとしては強調いたしておるわけでございます。したがいまして、入学者選抜に当たって、大学教育を受けるにふさわしい能力、適性を備えた者を公正かつ妥当な方法で選抜するということが基本的な原則でございます。
 そこで、御指摘の、一部の私立医科大学についていろいろ社会的な批判を浴びるような問題点が生じたということはまことに遺憾でございますが、それを受けまして私どもとしては、ただいま行われております入学試験、ただいまちょうど大学の入学試験の時期であるわけでございまして、それが一段落した時期に、私立医科大学すべてにつきまして個別の事情を聞き、その上で具体的な指導を行うことにいたしたい、かように考えております。また、その結果を踏まえまして、私立大学全体に対しましても、文書で、こういう事態を防ぐように十分指導を徹底いたしたい、かように考えております。
○石原(健)分科員 最近の新聞で報道されたばかりの問題で何なんですけれども、日体大であるとか帝京大であるとか、入学者のうちの三分の二、あるいは四分の三近くが推薦で入学を許可されている。こういうことに関しましては大臣はどのようにお考えになっているか、お考えをお聞かせください。
○田中(龍)国務大臣 私立大学でございますので国立とは違いますが、推薦の可否の問題は、非常にむずかしい問題と存じます。国の経費でもってやっておるのではない私経営でございまして、それについての問題につきましては、これは慎重に考えなければならぬ。同時に、合否の判定等についてそういうことが影響するということについては、断じて許せないことであります。
 なお、これらの問題につきましては、担当の局長からお答えいたしましょう。
○宮地政府委員 入学者の決定に当たりまして、先ほど申しました基本原則を踏まえて行うのは当然でございますが、具体的に、たとえば推薦入学というような形で行うということは、それが適正に行われる限りは、実際にその大学へ志望する者について単に学力の点数のみで合否を決定するということから見れば、私どもとしては、そういう推薦というような方法も生かしていくということは、むしろ改善のためには十分意義のあることであろうかと思っております。
 国立大学の場合につきましても、共通一次試験を実施し、さらに二次というようなことで、入試の選抜方法については、単に学力の検査ということだけに偏らないいろいろな方法をとるということがむしろ望ましいということは言えるかと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、それが、たとえば一部報道されておりますように、その推薦に当たって受験生の能力、適性というものを十分把握するための客観的評価の材料を得るということが基本でございまして、そういう点で、たとえば同窓生の子弟であるということだけで有利に扱うというような事柄については必ずしも適正でないと私どもは考えております。
○石原(健)分科員 確かに私立学校は私学ですから、それなりの経営方針でやっているとは思うのですけれども、国の助成を何十億と受けているような私学に関しましては、国民が納得できるような選抜というのですか、入学基準ということでなされないといけないと考えるのであります。それで、いろいろ通達、今後検討されて出されると思うのですけれども、そういう通達に反するような事態が起こった場合にどのような処置をおとりになるか、大臣のお考えをお聞かせください。
○田中(龍)国務大臣 それに対するいろいろなパニッシュメントといいますかペナルティーといいますか、そういうことは考えられます。また同時に、場合によりましては大変な結果を起こすこともあり得ますので、こういう学生というものを抱えております学校でございますから、学生を無視してはできない。そういうことで廃校とかなんとかということは、簡単にできることではございません。いろいろな方法も慎重に検討し、また公正な判断を得られるように審議会その他も活用いたしまして対処したい、かように考えております。
○石原(健)分科員 次に、国立大学の学部増設のことなのですけれども、どのような考え方に基づいてなされているのか。それからまた、整備計画のようなものがあればお示しください。
○宮地政府委員 国立大学の整備についてのお尋ねでございますが、昭和五十四年十二月、大学設置審議会の大学設置計画分科会というのがございまして、高等教育の計画的整備ということにつきまして報告をいただいておるわけでございます。私どもとしては、基本的にはその線に沿って国立大学の整備を行っておるわけでございますが、基本的には地方の国立大学の整備充実を図るということに重点を置き、特色を生かしながら、たとえば高等教育の地域間格差を是正いたしますとか、あるいは専門分野構成を勘案しながら、具体的な計画の熟したものについて順次取り上げていくという考え方で対応しておるところでございます。
○石原(健)分科員 四年制の国立大学で学部が二つしかないという大学もあるわけでございますけれども、どことどこであるかをお示しください。
○宮地政府委員 福島大学を含めて全国で五つと存じております。(石原(健)分科員「どことどこ」と呼ぶ)福井大学、滋賀大学、山梨大学、和歌山大学、それと福島大学でございます。
○石原(健)分科員 過去三年間に学部増設が行われた大学はどこどこになりますか。
○宮地政府委員 たとえば、ただいま御提案申し上げております昭和五十六年度から申し上げますと、昭和五十六年度の予算案では香川大学に法学部を創設するということについて、これは予算並びに国立学校設置法改正案を今国会に御提案を申し上げているところでございます。なお、昭和五十五年度におきましては、法文学部の改組ということで、金沢、新潟、岡山の三大学につきまして法文学部の改組を行っておるところでございます。なお、学部の創設ということにもなるわけでございますが、千葉大学の人文学部は五十六年度でその改組を行っているところでございます。
 これらはいずれも従来から、具体的な計画につきまして順次各大学で調査を十分進めていただきまして、それらの調査が十分熟しましたものについて順次取り上げてきておるわけでございます。特に国立大学の人文系統の学部につきましては、教官組織が十分確保できるかどうかというようなところあたりが一番基本的な問題点ということが言えるわけでございまして、学部の設置につきましては大学設置審議会の審査を要するわけでございます。一番大きな点は、ただいま申しました教官の確保という点が非常に大きい点でございまして、それらについて十分な見通しが立つかどうかというようなこと、そういうようなところを十分検討していただいた上で、最初に申しましたとおり、地方の国立大学の整備充実ということに重点を置きながら私どもとしては整備を進めているところでございます。
○石原(健)分科員 地方の国立大の整備充実ということなのですけれども、五十五年度に増設のあった大学は、従前より二つ以上の学部のあった大学だと思うのですよ。一方、福井、滋賀、福島等の大学は二つの学部のまま放置されておる。地方の大学と申しましても、そこの大学の密度というものも勘案されるべきであると思うのですけれども、特にいま二学部しかないような大学の場合は、和歌山、滋賀などは大阪、京都などに近いというようなこともあります。しかし、ほかの大学等につきましては、通学して他府県の学校に行くということも困難である。また、その地方の所得の水準も比較的低い地域であります。そういう地域の子弟が遠くに下宿をして通学するということは大変負担になる。国全体の文化水準、教育水準を高めるといった意味合いから考えまして、福井であるとか福島であるとか、こういったところの学部の増設をこそ急ぐべきではないかと考えるものでありますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○田中(龍)国務大臣 地元のいろいろな関係からいたしますとそういうふうな御意見もありまするし、一方また、国家財政という面からいたしますとなかなか容易なことではないというような関係で、地元の方の御希望にできるだけ沿いたし、一方、国家的な見地から考えましても、大学というものの重要性を十分に認識いたしながら、財政の問題を勘案してその調整をとっておりますのが今日の姿でございます。
 なおまた御質問がございますれば局長からお答えいたします。
○宮地政府委員 地方大学の整備につきまして、たとえば御指摘の二学部というようなものについて積極的に取り上げるべきでないかというような御質問のように伺ったわけでございます。
 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、学部の増設というようなことにつきましては、ただいま大臣御答弁申し上げましたように、昨今、財政状況でございますとか行政改革の方針とか、いろいろ非常にむずかしい問題もあるわけでございますが、私どももそういう点を踏まえながら、個別の大学におきます調査の成熟と申しますか、その具体的な計画が十分練られた段階に至ったものから順次取り上げていくという考え方でございます。
 なお、お示しの福島大学の学部増設問題につきましては、大学内部における御検討は、すでに五十四年度から調査費等も配分いたしまして御検討を願っているところでございます。
○石原(健)分科員 次に、私立高等学校の経常費助成の基準はどのようになっているのか、お示しください。
○吉田(壽)政府委員 私立高等学校へ対します助成につきましては都道府県が行っておりまして、その配分に当たりましては、都道府県がそれぞれの地域の実情に応じまして具体的な配分方法を決めているわけでございます。国はこれらの都道府県の私立高等学校に対する助成に要する経費の一部を補助している、そういう仕組みになっておりまして、その補助金の算定に当たりましては、各都道府県のこの補助額に応じて国の補助も行っている、こういうやり方でございます。
○石原(健)分科員 そうしますと、府県などで出す補助が少なければ国の補助もそれにつれて少ない、そういうことでございますね。
○吉田(壽)政府委員 そのとおりでございます。
○石原(健)分科員 地方の学生、いま申しましたよう恒所得の低い地域などにありましては、学費を高くすれば生徒は私学に集まってこない。非常な努力をいたしまして経費を切り詰めてやっておるわけであります。一方、大都会とか裕福な地方にありましては、地方に比べればかなり多額の学費などを取りまして、それに応じて補助を受ける、こういう矛盾も出てくるんじゃないかと思うのでありますけれども、基準の見直し等についてのお考えはないのかどうか、お尋ねいたします。
○吉田(壽)政府委員 そういう御意見、御指摘でございますけれども、大都市に所在いたします私立高校につきましても、ある意味では似たようなそういう事象、実態もないわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、高等学校につきましては制度的に都道府県知事がこれを所轄しております。所轄庁は都道府県でございますので、私どもはやはり、都道府県がそれぞれの実情に応じましてそれらの高等学校に対して適宜適切な指導なり援助をしていただくということを期待しているわけでございます。
○石原(健)分科員 教育というのは何もその府県のためにやっているものではありませんでして、国家全体の問題であるわけでありますから、国は国なりの助成の仕方を考えるべきであると私は考えるのですけれども、いま一度御検討をお願いしたいものだ、こうお願いする次第であります。
 また、同じく私立の高等学校の問題なんですけれども、老朽校舎の改築に際しまして、私学の経営も容易でないので困難なことが多い、こういう実情があるわけですけれども、これらについてはどのような対策をお持ちでしょうか。
○吉田(壽)政府委員 お答えいたします。
 私立学校の施設につきましては、本来、学校法人自身が資金を調達して整備充実すべきものでございまして、この場合、国は、それに要する経費については、特殊法人の日本私学振興財団を通じまして長期低利の貸付事業を行っている、そういう状況でございます。
 なお、私立の高等学校が高校生の急増に対処するために校舎等を新増設する場合につきましては、特別に補助を行っているところでございます。
○石原(健)分科員 それでは次の質問なんですけれども、体の不自由な幼児が幼稚園の就園適齢期になった場合に、現実には拒否されるといいますか、就園できない場合が非常に多いわけであります。この問題につきまして文部省はどのような対策をなさっているのか、お聞かせください。
○三角政府委員 幼稚園教育が非常に普及してきておりますけれども、これに伴いまして、やはり心身に障害のある幼児も幼稚園に入園してくることが増加する傾向にございます。ただ、ただいま石原委員御指摘のように、幼稚園の教育に、障害のある子供さんたちを取り込んでいくについでは、教育を引き受けた幼稚園としてはかなりいろいろな意味での配慮なり手当てなりが必要になってくる場合があろうかと思います。したがいまして、非常に広範囲に、障害のあるお子さんたちを必ずしもすぐにお引き受けするわけにいかないという現実があると思っております。これはどうしましてもその障害の程度でございますとか種類に応じまして、現実に責任を持ってそういう方々をお預かりすることができる体制のいかんにかかることでございます。
 一方、幼稚園でございませんで特殊教育小学校におきましても、私どもはこれまで幼稚部の設置ということをやってきたわけでございますが、その中でも盲学校などは、幼稚部の設置率は非常に高くなっておりますが、何といたしましても養護学校の方は、小学校、中学校等の義務化がようやく緒についたばかりでございますので、そういった特殊教育小学校における幼稚部の設置はまだこれからの課題であると思っております。
 ただ、幼稚園にいたしましても、障害幼児を受けとめた場合にこれに対する適切な教育内容、方法をどうするかということは、いわば新しい取り組み課題ということになっておりますので、私どもとしましては、従来から幼稚園教育の研究指定校制度の中で、こういった心身障害幼児を引き受けた場合の取り組み方について研究を進めておりますが、さらに幼稚園における心身障害幼児指導法等調査研究協力者会議というものを設けまして、ここに幼稚園の園長さん、幼稚園の教諭の方あるいは大学の先生、それから国立特殊教育総合研究所の所員、東京都の指導主事の方、教育委員会の教育長あるいは教育次長といったような方々に入っていただきまして、これまで、指導法等について具体的、実践的な調査研究を行ってきているところでございます。
 なお、先ほどから私立学校の助成の話も出ておりましたが、私立幼稚園で心身障害児の就学の機会をできるだけ確保して適切な教育の実施を図りますように、心身障害児の教育にかかる経常費についての補助も行うことにしておりまして、これは、先ほど申し上げましたように、こういった子供さんたちを引き受けますと教員の手当てを初めとしていろいろ経費がかさむものでございますからそういうことをいたしております。これは都道府県がやるのでございますが、都道府県が、一定数以上の心身障害児を就園させている幼稚園に対して経常費について助成を行う場合に、その都道府県に対して国がお手伝いをしようということで必要な経費の一部を補助するものでございまして、ちなみに、五十五年度は三億四千三百万円、それから明年度の、いま御提案しております予算案では四億八百万円という金額を計上させていただいておる次第でございます。
○石原(健)分科員 その一定数以上の園児を扱うという一定数というのは、何人になっておりますか。
○三角政府委員 制度を始めましたときには十人ということでやっておりましたが、その後これを改善いたしまして、現在は八人以上ということで措置をさせていただいております。
○石原(健)分科員 ことしから障害者年で、テーマが「完全参加と平等」ということなわけです。一つの幼稚園に八人の障害児を集めるということでありますけれども、就園適齢期の児童のうち八人といいますと、一カ所に相当そういう子供だけを集中させるということになると思うのです。そういう小さい子供のうちから、一般の子供と体の不自由な子供とを分けまして、不自由な子供だけを集めれば補助を出すぞ、そういうような考えは、平等とかなんとかという考えにちょっとそぐわないように思うのでありますけれども、どうでしょうか。
○三角政府委員 御指摘でございますが、私どもはそういう観点は余り考えておらなかったと申しますか、そういう御指摘はちょっと予想外の感じがいたしております。おっしゃいますように、本来、一人でも二人でも、園の能力が可能であればお引き受けしていただくことは大変いいことであると思うのでございますが、この補助の観点は、どうしましても、ある程度の子供を引き受けますと教諭の配置をさらにふやすとか教材につきましても一般の健常の子供たちとは別に用意をするとか、いろいろな意味で経費がかかりますので、それについて国としても都道府県に対してお手伝いをしようということでございますので、人数が少ない面につきましては、これを都道府県の方でお考えいただくなり、園の方で一般の子供たちと同じ扱いでやれるような障害の程度の軽い子供たちの場合にそういうやり方も十分可能であろうと考えるのでございます。
○石原(健)分科員 実際には就園を拒否される場合はきわめて多いということと、そういう障害を持つ子供さんを幼稚園なりで扱った場合、労力的にも経済的にも大変だというようなお答えが局長さんからあったわけでございますけれども、どうか大臣もこういう点にも御配慮をいただきまして、今後なお一層の御検討をお願いしたい、このように思います。よろしく。
 では、これで質問を終わります。
○阿部(助)主査代理 これにて石原健太郎君の質疑は終わりました。
 次回は、明三日午前九時三十分より開会し、引き続き文部省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時十四分散会