第094回国会 決算委員会 第9号
昭和五十六年四月十七日(金曜日)
    午前十時二十五分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 森下 元晴君
   理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君
   理事 原田昇左右君 理事 井上 一成君
   理事 新村 勝雄君 理事 春田 重昭君
   理事 中野 寛成君
      植竹 繁雄君    近藤 元次君
      桜井  新君    竹下  登君
      近岡理一郎君    高田 富之君
      田中 昭二君    和田 一仁君
      辻  第一君    石原健太郎君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 吉村  仁君
        厚生大臣官房審
        議官      吉原 健二君
        厚生大臣官房会
        計課長     小林 功典君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部長 山村 勝美君
        厚生省医務局長 田中 明夫君
        厚生省医務局次
        長       山本 純男君
        厚生省薬務局長 山崎  圭君
        厚生省社会局長 山下 眞臣君
        厚生省児童家庭
        局長      金田 一郎君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
 委員外の出席者
        行政管理庁行政
        監察局監察官  宮地 靖郎君
        大蔵省主計局司
        計課長     岡崎  豊君
        国税庁直税部所
        得税課長    冨尾 一郎君
        文部省初等中等
        教育局地方課長 国分 正明君
        文部省社会教育
        局青少年教育課
        長       佐藤 次郎君
        郵政省人事局保
        健課長     渡辺 民部君
        会計検査院事務
        総局第四局長  高橋  良君
        会計検査院事務
        総局第五局長  丹下  巧君
        日本専売公社管
        理調整本部職員
        部厚生課長   中園 良宏君
        日本国有鉄道職
        員局能力開発課
        長       松田 昌士君
        日本国有鉄道共
        済事務局管理課
        長       長野 倬士君
        日本電信電話公
        社厚生局次長  小川 伸夫君
        医療金融公庫総
        裁       北川 力夫君
        環境衛生金融公
        庫理事長    加藤 威二君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     石原健太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十三年度政府関係機関決算書
 昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (厚生省所管、医療金融公庫、環境衛生金融公
 庫)
     ――――◇―――――
○森下委員長代理 これより会議を開きます。
 昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、厚生省所管、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫について審査を行います。
 まず、厚生大臣から概要の説明を求めます。園田厚生大臣。
○園田国務大臣 昭和五十三年度厚生省所管一般会計及び特別会計の決算につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算額につきましては、歳出予算現額六兆八千六百七十六億二千百四十六万円余に対して、支出済み歳出額六兆七千百九十一億九千四百二十四万円余、翌年度繰越額三百十七億二千二百二十万円余、不用額一千百六十七億五百二万円余で決算を結了いたしました。
 以上が一般会計歳出決算の大要であります。
 次に、特別会計の大要について申し上げます。
 第一に、厚生保険特別会計につきましては、健康、日雇健康、年金、児童手当及び業務の五勘定を合わせ、一般会計から九千百四十九億八千六百七十九万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済み歳入額九兆七百二十二億八千百三十六万円余、支出済み歳出額五兆九千二百六十三億四千二百三十九万円余、翌年度繰越額十六億八千七百五十九万円余でありまして、差し引き三兆一千四百四十二億五千百三十七万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 第二に、国民年金特別会計につきましては、国民年金、福祉年金及び業務の三勘定を合わせ、一般会計から一兆三千五百十五億四千五百三十七万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済み歳入額三兆二千六百七十七億九千百二十二万円余、支出済み歳出額二兆八千六百八十九億二千二百九十六万円余、翌年度繰越額一千五百五十五億六千百七十七万円でありまして、差し引き二千四百三十三億六百四十九万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 第三に、船員保険特別会計につきましては、一般会計から二百十四億三千三百八十二万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済み歳入額一千八百九十二億六千百五十一万円余、支出済み歳出額一千六百二十二億一千百八十五万円余、翌年度繰越額一億五千八百六十万円でありまして、差し引き二百六十八億九千百七万円余については、この会計の積立金として積み立てたほか、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 第四に、国立病院特別会計につきましては、病院及び療養所の二勘定を合わせ、一般会計から六百八十九億二百八十六万円余を繰り入れました。
 その決算額は、収納済み歳入額四千六百二十六億四千百一万円余、支出済み歳出額四千四百六十億六千五百四十九万円余、翌年度繰越額二十六億二千百六十八万円余でありまして、差し引き百三十九億五千三百八十三万円余については、この会計の積立金として積み立てることとして、決算を結了いたしました。
 第五に、あへん特別会計につきましては、収納済み歳入額十一億三千四百五十三万円余、支出済み歳出額六億七千二百六十三万円余でありまして、差し引き四億六千百八十九万円余については、この会計の翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。
 以上が厚生省所管に属する昭和五十三年度一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の大要であります。
 最後に、昭和五十三年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾にたえないところであります。
 指摘を受けました件につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後なお一層厳正な態度をもって事務の執行の適正を期する所存であります。
 以上をもちまして、厚生省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の御説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○森下委員長代理 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第四局長。
○高橋会計検査院説明員 昭和五十三年度厚生省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十件であります。
 検査報告番号一八号及び一九号の二件は、健康保険及び厚生年金保険並びに船員保険の保険料の徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる報酬月額の把握が的確に行われなかったことなどのため、保険料の徴収が不足しているものであります。
 検査報告番号二〇号から二四号までの五件は、保育所措置費補助金の経理が不当と認められるもので、いずれも事業主体において、補助対象事業費の算定の基礎となる保育単価及び徴収金について基準の適用を誤ったため、補助の対象事業費を過大に精算しているものであります。
 検査報告番号二五号から二七号までの三件は、職員の不正行為により損害を生じたものであります。
 これらの事態は、支出負担行為担当官及び支出官の補助者が医療用消耗品等の購入に関する事務に従事中、販売業者等と共謀の上、医療用消耗品の納入の事実がないのに架空の見積書、納品書及び請求書を作成させるなどして、国庫金を販売業者等の預金口座に振り込ませ、これを領得したことによって生じたものであります。なお、これらの損害額は五十四年五月、全額同人らから応納されているものであります。
 以上、簡単でございますが説明を終わります。
○森下委員長代理 次に、丹下会計検査院第五局長。
○丹下会計検査院説明員 昭和五十三年度医療金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。
 これは、業務委託手数料の算定に関するものであります。
 医療金融公庫は、私立病院等に対し、新築資金等四種類の資金を貸し付けておりますが、総合病院、大学病院等の特定病院等に対し直接貸し付けるもの以外の貸付業務は都市銀行、地方銀行等の市中金融機関を代理店として委託しております。この委託業務の内容は、借入申し込みの受理及び審査、貸付決定を除く資金の貸し付け、貸付金の管理回収とこれらの付帯業務でありまして、この委託業務に関して代理店に支払う手数料は、当該代理店に係る償還完了までの実収利息に、一件の貸付金額が二千万円以下の場合は一六%、二千万円を超え五千万円以下の場合は一二%、五千万円を超える場合は九%の料率をそれぞれ乗じて得た額を支払うこととしておりまして、同一の借入申込者に対し二種類以上の資金の資し付けをする場合には、資金の種類一件ごとに貸付契約書を作成しておりますところから、それぞれの貸付金額をもとに先ほどの手数料率を適用して算定していたものであります。
 しかしながら、同一人に二種類以上の資金を貸し付ける場合の代理店における委託業務の処理の実態を調査しましたところ、貸付契約書の作成、担保の設定等一部の業務につきましては資金の種類ごとに事務を処理しておりますが、事業計画の当否、申込者の資産、信用等の審査、融資事業の完成確認等の委託業務の大部分とこの結果作成されます意見書等の書類は各資金ごとに行っているのではなく一括処理しておりまして、資金の種類が単数または複数であっても代理店の業務の内容についてはほとんど差異はない状況でございます。
 したがいまして、このような委託業務の処理の実態から見まして、同一人に二種類以上の資金を貸し付ける場合の手数料の算定は、各資金の合計額に対応する手数料率により算定すれば、より低率の手数料率により手数料が算定されまして経費の節減が図られることとなりますので是正改善の処置を要求したものであります。
 以上が昭和五十三年度医療金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要であります。
 次に、昭和五十三年度環境衛生金融公庫につきまして検査いたしました結果を説明いたします。
 検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが説明を終わります。
○森下委員長代理 次に、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫当局から、資金計画、事業計画について説明を求めます。北川医療金融公庫総裁。
○北川説明員 医療金融公庫の昭和五十三年度の業務の概況について御説明申し上げます。
 昭和五十三年度の貸付計画額は、当初貸付契約額九百八十五億円、貸付資金交付額九百五十七億円を予定し、その原資としては、資金運用部資金の借入金八百六十二億円、貸付回収金のうち九十五億円、計九百五十七億円を充てることとしておりましたが、年度途中において貸付契約額、貸付資金交付額ともそれぞれ百億円を追加いたしましたので、最終計画額は、貸付契約額千八十五億円、貸付資金交付額千五十七億円となりました。
 この計画額に対する実績は、貸付契約額千八十四億九千万円余、貸付資金交付額千五十六億九千万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、貸付契約額で二七・六%、貸付資金交付額で二七・八%の増となりました。
 なお、この原資として、資金運用部資金の借入金七百二億円、貸付回収金のうち三百五十四億九千万円余、計千五十六億九千万円余を充てました。
 貸付契約額の内訳は、設備資金千八十二億二千万円余、長期運転資金二億七千万円余であります。
 また、貸付残高につきましては、前年度末四千百四十四億八千万円余でありましたが、昭和五十三年度中に千八十四億九千万円余の貸し付けを行い六百四十七億九千万円余を回収いたしましたので、当期末においては、四千五百八十一億八千万円余となっております。
 なお、貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十三年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額はありませんでした。
 次に昭和五十二年度の収入支出決算について申し上げますと、収入の部におきましては、収入済み額三百十四億七千万円余でありまして、これを収入予算額三百二十八億六千万円余に比較いたしますと、十三億八千万円余の減少となりました。
 この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入が予定より少なかったためであります。
 支出の部におきましては、支出予算現額三百三十億九千万円余に対し、支出済み額は三百十六億二千万円余でありまして、差し引き十四億七千万円余の差額を生じましたが、これは借入金利息等が予定より減少したためであります。
 また、昭和五十三年度の損益計算につきましては、貸付金利息等の総利益は、三百五十七億五千万円余借入金利息、業務委託費等の総損失は、三百五十七億五千万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。
 最後に、昭和五十三年度決算検査に際し、会計検査院から指摘を受ける事項がありましたが、御指摘の事項につきましては、その趣旨に沿い、昭和五十五年度より是正措置を講じたところでありまして、今後ともなお一層業務運営の適正化に努める所存であります。
 以上で昭和五十三年度の業務の概況につきましての説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○森下委員長代理 次に、加藤環境衛生金融公庫理事長。
○加藤説明員 環境衛生金融公庫の昭和五十三年度の概況につきまして御説明申し上げます。
 昭和五十三年度の貸付計画額は、二千五百七十億円を予定いたしました。
 その原資としては、資金運用部資金の借入金二千二百五十五億円、貸付回収金等三百十五億円、計二千五百七十億円を充てることといたしました。
 これに対しまして、貸付実績は二千三百三十四億円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、七・六%の増となっております。
 次に貸付残高について、御説明申し上げます。
 昭和五十二年度末における貸付残高は、五千百七十六億二千万円余でありましたが、昭和五十三年度中に二千三百三十四億八千万円余の貸し付けを行い、一千六百四十三億二千万円余を回収いたしましたので、南和五十三年度末においては五千八百六十五億二千万円余となっております。
 次に貸付金の延滞状況について御説明申し上げます。
 昭和五十三年度末におきまして延滞後六カ月以上経過したものが八十五億四千万円余でありまして、このうち一年以上のものは、六十億五千万円余で総貸付金残高の一%となっております。
 次に昭和五十三年度の収入支出決算について御説明いたします。
 昭和五十三年度における収入済み額は四百八十三億三千万円余、支出済み額は四百九十一億九千万円余となりました。
 まず、収入の部におきましては、本年度の収入済み額は四百八十三億三千万円余でありまして、これを収入予算額五百一億円余に比較いたしますと、十七億七千万円余の減少となっております。
 この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入が予定より少なかったためであります。
 次に、支出の部におきましては、本年度の支出予算現額五百十三億町千万円余に対し、支出済み額は四百九十一億九千万円余でありまして、差し引き二十一億五千万円余の差額を生じましたが、これは借入金利息等が予定より減少したためであります。
 最後に昭和五十三年度における損益について申し上げますと、本年度の貸付金利息収入等の総利益は五百七十六億八千万円余、借入金利息、事務費、業務委託費、滞貨償却引当金繰り入れ等の総損失は五百七十六億八千万円余となりました。
 この結果、利益金は生じなかったので国庫納付はありませんでした。
 以上が昭和五十三年度における環境衛生金融公庫の業務の概況であります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○森下委員長代理 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○森下委員長代理 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
○新村委員 大臣がお忙しいようでありますので、大臣にお伺いすることをまとめて先にお願いをしたいと思います。
 最初に、医師の国家試験の問題が漏れた、あるいは一部の大学の問題と重複をしておるというふうな件が報道されております。前に山口大学の卒業試験と国家試験がダブっておるという問題、さらに滋賀医大の教授が前日に自分の教え子の合宿先を訪問して云々というようなこともありまして、医師の国家試験に対する疑惑が幾つか指摘をされておるわけでありますけれども、これはきわめて重大な問題であります。それからさらに最近は、文部省の問題でありますけれども、私立大学において一連の不祥事が指摘をされております。
 いやしくも国家試験でありますから、国家の威信と権威において行われるわけでありますが、こういうことが今後さらに万一にも拡大をするということになると、これは大変な問題になるわけでありますが、この問題についての大臣の現在のお考えと、それからまた今後の対処の御決意、これをまず伺いたいと思います。
○園田国務大臣 残念ながら各所に医療機関の不正事件やその他が出てまいりまして、医療に対する国民の信頼を大きく損なっておるやさきに、医師の出発点である国家試験で問題が起こったことは、疑惑からさらに国民の不安を招くおそれになってまいりました。非常に残念至極に考えております。
 そこで、まず山口の問題でありますが、早速教授に電話をして、教授みずから昨日厚生省に出頭しまして、事情聴取を行ったところであります。滋賀の方は、本日十一時から本人に出頭してもらって、ただいま事情聴取をしているところでございます。
 そこで、これは御発言のとおり、きわめて厳正にこれに対応し、かつまた将来の国家試験に向かっても慎重に検討しなければならぬ問題でありまして、そうでなければ国民の不安は除去できない、こう考えまして、一方には山口の教授の事実究明と相まって、国家試験の採点の結果等についても依頼をしております。たとえば、山口の教授が出された問題、これについて山口の大学の出身の受験生の点数が特別いいか、あるいは平均点を上回っているか、これは調べてコンピューターにかければわかることでございますから、これを調べ、もしその点がことさらに山口大学出身の受験生が点数が多いとなれば、これはどのように処置するか、たとえばこの問題だけは国家試験の採点から除外するとか、あるいはその他の方法を、いま委員会に事実を究明すると同時に検討を願っておるところであります。
 一方、滋賀の方は、また山口の方とはやや趣を異にしておりまして、この間に学生等も介在しておるわけであります。したがって、問題はどのようなことになるかわかりませんけれども、これも事実を究明し、厳正な対応の処分を行っていきたいと考えております。かつまた、それについて国家試験というもののあり方も今後慎重にしかも速やかに検討したい、こう考えておるわけであります。まことに申しわけないと存じます。
○新村委員 ことし、一つの国家試験に関連して二つも、疑惑でありますけれども出たということ、これは非常に重大だと思うのです。さらに全部の試験にわたってこういうことが、もちろんないことを望むわけですけれども、試験の全容にわたって徹底的に調査をされるお考えがあるのかどうか。それからまた、こういうふうに最も厳正なるべき国家試験に汚点を残したということで、この試験をやり直すというような、そういうお考えがあるかどうか伺います。
○園田国務大臣 きわめて大事な問題でありますから、このほかにまたそういうことがあってはならぬことではありますけれども、御指摘のとおり厚生省は全般にわたって検討するように命じております。
 なお、試験については、大多数の受験をした者はまじめに勉強して、そして必死の思いで試験を受けたわけでありますから、今後の各受験生の採点その他にも影響することでありますから、私は、できれば国家試験をやり直さないで、その疑惑を持たれる部分だけ何とか切り離すということにできれば幸いであると考えておりますが、これも今後の進展次第でありまして、ここではっきり御答弁するわけではございません。
○新村委員 次の問題でありますが、いま日本における医療の荒廃ということが叫ばれております。これは国民にとっても大変不幸なことでありまして、一日も早く医療に対する、あるいは医療行政に対する、あるいは医師に対する患者、国民の信頼を回復しなければいけないと思うわけであります。その原因にはいろいろあると思いますけれども、その一つの問題として、やはり医療制度にその原因があると思います。もちろんそのほかに医師の倫理観の確立であるとかいろいろありますけれども、一つの問題としては、医療制度を最も適正なものに再建をしていくということが必要だと思うのですが、これについて最近、社会保障制度審議会から答申が出されたようでありますが、その答申の中でも、基本となるべき国の医療に関する政策が明確さに欠けておる、こういうような指摘もあるわけでありますが、大臣のお考えとして、国の医療に関する基本的な方針をまず伺いたいわけであります。特にその中でもその中核をなすものは、支払い制度、医療費をどう合理的に審査をして適正に支払っていくかという支払い制度の問題が中核をなすと思いますけれども、医療に関する基本方針についてまずお伺いいたします。
○園田国務大臣 各所に起こっております医療の不正事件、これは国民の疑惑を招く大変なことでありますが、静かに反省をいたしますと、その原因の大半は私たち厚生省にあったということをまず第一に反省をしなければならぬと思います。
 その第一は、薬価の改定、医療費の改定を三年半ぐらいほうってあります。事情の経緯は別にして、毎年やるべき薬価改定を三年もほうっておいた。医療費の改定も、これだけ経済変動の激しい時期に三年間もほうっておいた。そこで当然、医療としては薬価をたたいて医療経営をやる。一方、薬価の方は過当競争でたたかれるに従って値段を下げていくということで、薬価の実際の値段と公示の値段と非常な開きがある。これが一つの医療経営の手段になってきている。こういうところから一つのこういう事件を誘発したのではなかろうかと反省をいたしております。
 第二番目には、いまおっしゃいました支払い方式、この支払い方式が薬、技術料、その他のことも考えまして、必ずしも適正ではなかった。何かいい方法をやらなければ、医療保険の財政の面からいっても、あるいは医療機関に従事する人からいっても、まじめに苦労しながら働く大多数のお医者さんと抜け穴を考えるお医者さんとの差が出てくる。こういうことで鋭意苦労しているところでございます。
 そこで、いま老人保険の医療の改正と医療法改正の二つの法律案を鋭意準備しておりまして、提出がだんだんおくれております。できれば連休前にと思いますが、あるいは連休後になるかもわかりませんが、その老人医療の問題については、こういう問題について一つの方向を何とか出してみたい。これは御承知のとおりに、いまの支払い方式というものがいろいろ欠点があることは十分わかっておりますが、さりとてこれくらい広大な組織になり、そしてこれくらい広くなってまいりますと、その間の資源その他から一遍に切りかえることはなかなか困難であります。しかし、いまの支払い方式の欠点を何とか補いつつ新しい方向を生み出したい、こういう考え方で、老人保健医療の法律で一つの新しい道を探せないか、こういうことで、いま審議をお願いしておるところでございます。
○新村委員 大臣、ほかにおいでになるそうでありますから、一つお願いしておきたいのですが、これは医師に対する課税の問題であります。従来は七二%経費ということで大分優遇されておった、これは事実であると思いますけれども、その後それが手直しをされた。その手直しをされたことに対していろいろと抜け道を考えてきたというのが事実だと思います。もちろん、医師は利潤を追求してはならぬということ、これは医師の倫理の基本だと思いますけれども、同時にまた、一つの経営でありますから、必要な経費については認めてやらなければ、これは必ず、無理があればどこかで抜け道を考えるということになりますから、ほかの営利会社とはもちろん違いますけれども医師も一つの経営であるという立場に立って、適正な税務の処理をしてやる必要があるのではないかと思うのです。そういう意味から言いまして、一定率で医師の収入を推定するということは無理があるわけでありまして、現在はそれがかなり改善をされておりますけれども、やはり一定率で一応は医師の、利益じゃないのですけれども収入を推定する、認めてやるという方針をとっておりますが、やはり必要な経費は認める、そしてその残余については、ほかの営業と同じように厳正に課税をするというルールを確立をしなければいけないと思うのです。それで現在のような一定率で剰余を推定するということではなくて、他の経営と同じように、必要な経費は認める、そのかわりその残りに対してはきちっと課税をするという、そういうルールをやはり確立をしていった方がいいと思うのです。そうでないと、無用に、国民あるいは患者から医師優遇税制というようなことで依然としてまだ批判があるわけでありますから、現在の制度をやはりそういう線に沿って合理的な課税という点から改善をする必要があると思うのでありますが、その点についてもひとつ大臣に、今後の改善、是正をお願いしてまいりたいと思います。ほかにおいでだそうでありますから、どうぞひとつ……。
○園田国務大臣 ただいまの御意見は、全く私も同意見でありまして、ただ不正事件を厳重に取り締まるだけでは、これは間違いである。かつまた、大多数のお医者さんは非常にまじめに苦労してやっておられるわけであります。第三には、何といっても医療というのは、専門の医療機関に従事する方々の御協力がなければできません。そのためには、やはり必要なものは何とか無理をしても適正なる報酬なり税制等を考える、だがそのかわりに不正はやっていただかぬように、こういう二本立てでいかなければならぬと思いますので、ただいまの御発言の趣旨に従って、今後の制度その他の問題については全力を挙げて努力をいたします。
○新村委員 あとは局長あるいは課長さんにお願いをいたしたいと思います。
 まず、医療法の改正の問題ですが、最近、社会保障制度審議会から答申がありましたが、その中で要点は二つあると思うのです。医療計画の件が一つ、それから医療法人の指導監督ということが一つ、この二つの点があると思うのですけれども、都道府県の医療計画、この点についての厚生省の構想をひとつ伺いたいと思います。
○田中(明)政府委員 都道府県の医療計画について、厚生省といたしましては、医療法を改正いたしまして、都道府県知事に医療計画を定めていただくということを考えておるわけでございます。
 その医療計画におきましては、医療の確保の基本方針に関する事項、医療圏に関する事項、それから必要病床数の設定、その他医療圏における医療施設の整備の目標に関する事項、医療施設相互の機能連携に関する事項、それから医療従事者の確保に関する事項等を定めることを考えておりまして、医療の性質上、その進歩におくれないように、また社会環境の変化に対応するように、少なくとも五年ごとに再検討を加えるというふうに考えておるわけでございます。
○新村委員 ちょっと順序が狂いますけれども、国税庁の方が御都合があるそうでございますから、いま問題になっております医療会社ですね。医者が株式会社のような会社をつくって税金の節約を図っておるというようなことが指摘をされておりますけれども、この問題について厚生省はどういうふうに把握をされていらっしゃいますか。
○田中(明)政府委員 いわゆる医療会社というものにつきまして、厚生省といたしましては、これは医療法上の届け出並びに健康保険法上の保険医療機関の指定、さらには支払基金に対する診療報酬の請求等、すべて医師個人の名前で行われておりますことから、当該医療機関の実質的な開設、運営の主体は個人である、しかしながら税務対策上有限会社というものを設定した、いわゆるペーパーカンパニーであるというふうに厚生省は考えております。
○新村委員 現在の医師法あるいは医療法ではそういうことはできないことになっているわけでしょうから、これはそういう点では違法だと思います。
 そうしますと、そういう違法が一定の期間まかり通っていたというのはどこに問題があるのでしょうか。
○田中(明)政府委員 厚生省のサイドといたしましては、先ほど申しましたように、医療法上あるいは健康保険法上の医療機関の届け出あるいは保険医療機関としての指定等は医師個人で行われておるわけでございまして、したがいまして、われわれは個人立の医療機関というふうに判断いたしておるわけでございます。
 これが、税の関係といたしまして有限会社というような形をとっているという点につきましては、これは税サイドのことでございますので、われわれといたしましてはあくまでもこれは個人立の医療機関であるというふうに考えておるわけでございます。
○新村委員 そうすると、厚生省ではそういう事実があったということは御存じはなかったということですか。
 それから、国税庁にお伺いしますけれども、いつからこういうことが行われていたのか。それからまた、現在の実態として、数でどのくらいこういう違法事態があるのか、御説明を願います。
○冨尾説明員 お答えをいたします。
 医師が有限会社など法人を設立いたしまして、その医療事業を分散して所得の軽減を図っているという例は、いま御指摘の医療会社など、私どもあることは承知をしております。
 このような医療会社につきましては、現在私どもの方で把握をいたしておりますところは、必ずしも実態が不明なものも幾つかございますので大体の数を申し上げさせていただきますと、二百十社を少し超える程度ではないかというふうに私どもとしては理解をいたしております。
 これらの設立時期につきましては、大部分が昭和五十四年の医師税制の改正以降に設立されたものが多いと理解しておりますが、中にはそれ以前に設立されたかなり古いものもあるというふうに理解いたしております。
○新村委員 これは税金対策ということでしょうけれども、そうしますと、医師が本来の制度に従って納税をする場合と、それからこの会社をつくって納税する場合ではどのくらいの、もちろん所得段階によるでしょうけれども、どのくらいの相違があるものですか。
○冨尾説明員 お答えいたします。
 私どもといたしましては、医師がそのような会社をつくったかどうかということにかかわらずに、税務上といたしましては、形式のいかんにかかわらず、だれの所得として医業が営まれているかという帰属の主体を実質的に判断をいたします、いわゆる実質所得者課税の原則に従いまして課税をして適正に対処してまいるというのが基本でございます。
 お尋ねの、では会社として申告したらどうかということでございますけれども、それも第一には、まず、いま申し上げました実質所得者課税の原則で判断をしてまいるということでございます。
 仮に、これは仮定の話でございますが、どういう程度のいわゆる節税というか税金の軽減になるかということにつきましては、医師の収入の程度それから経営の内容その他によりまして一概に申し上げられませんので、その辺のところはケース・バイ・ケースで計算をせざるを得ないという実情でございますので御了解いただきたいと思います。
○新村委員 そうしますと、そういう事態に対して税務当局としては、発見されたその都度更正決定をして納税をさせる、こういう処置をとられたわけですか。
○冨尾説明員 医療会社の税務上の取り扱いにつきましては、私どもとしては、先ほど厚生省の方から御答弁のありましたように、診療所の開設名義であるとかそれから社会保険診療報酬の請求の名義その他のことによって判断をいたすという厚生省の御答弁を参考にいたしまして、実態を判断した上で、実態に応じて所得税ないしは法人税としての課税をしていく、実態に応じた課税をするというのが基本で、今後そういうふうな形で実態を判断して適正に対処してまいりたい、かように考えております。
○新村委員 そうしますと、厚生省としては、これは医師の会社が存在するということは違法なわけですね。ですから、そういう事態に対してこれからどう対処していかれるのか。
○田中(明)政府委員 厚生省といたしましては、従来から有限会社等の営利法人が病院、診療所の開設をするということは認められないという態度を終始とっておりまして、その旨各都道府県に対して何回か指導をしてまいっておるわけでございまして、現在でも、あるいは将来にわたっても、その線に沿って行政を行っていきたいというふうに考えております。
○新村委員 しかし、それは実際に登記をされておるわけですね。ですから、そういう違法な事態が存在しているということについて、それをすぐに正すという手を打たれなければいけないと思うのです。それから、そういう違法な事態が登記されるということについて、登記の段階でチェックできないのかどうか、その点はいかがですか。
○田中(明)政府委員 先ほども申し上げましたように、厚生省といたしましては、医療法上あるいは社会保険上の開設者あるいは指定医療機関という観点から考えまして、そういう医療機関は、税務対策上単に有限会社というような形をとっておるのでありまして、実質的には個人であるという判断をしておるわけでございますが、もし実質的にも開設、運営の主体が有限会社であるというようなものがございますれば、法に照らしまして厳正に対処したいというふうに考えております。一
○新村委員 そういう場合には登記を抹消するとかさせるとか、そういう適正なことをさせる、適正な状態に戻すということですか。それから、そういう違法な事態が登記されるということを登記の段階でチェックできないかどうか。
○田中(明)政府委員 登記の問題は私どもの所管の問題ではございませんので、ちょっと私からはお答えいたしかねます。
○新村委員 国税庁の方、これでお帰りになって結構です。
 次の問題に移ります。
 医療費の問題、先ほど大臣にお伺いしましたが、あと技術的な点について伺いたいのですが、今後の医療の新しい体制をこれからつくっていくわけでしょうけれども、その場合に、医療費の支払いの制度についてはどういう基本的な方向を持っていらっしゃるか。現在、日本は出来高払い、このために財政膨張とかあるいは乱診乱療とかいうことがしきりに言われておるわけです。一方先進各国ではいろいろな方法をとっておるようでありまして、登録制であるとかあるいは総額請負制であるとかいろいろの形があるようでありますが、今後日本の医療制度を改革していく場合にどういう方向に持っていこうとするのか、その基本的な方向をまず伺いたいと思います。
○大和田政府委員 診療報酬の支払い方式、これは非常にむずかしい問題でございまして、現在、出来高払い方式をとっておるわけでございます。出来高払い方式はそれなりのメリットもございます。また、いろいろと問題もあるというふうに言われておるわけでございますが、これを、一体どういうふうな制度を考えていくかということにつきましては、登録人頭払いであるとか件数払いであるとか、諸外国の診療報酬の支払い方式というものにつきましてはいろいろあるわけでございますが、当面診療報酬の支払い方式につきましては、老人保健制度の実施を私どもといたしましては推進するということで、先ほども大臣からお答えしておるわけでございますが、この老人保健制度の法律を制定するということで進んでおるわけでございますが、この老人保健制度におきまして何かいい支払い方式がないだろうか、老人の心身の特性を十分考慮したそういった支払い方式というものにつきましてこの制度の発足に先立って十分に検討をいたしまして、最も適切なものにしたいというふうに考えておるわけでございますが、こういった老人保健制度の実施というものの一環として現在の診療報酬支払い方式に何か老人にぴったりしたものがないかということを検討するということでございまして、私どもそれらを見ました上で今後それでは将来にわたってさらに一般の医療保険につきましてどういう支払い方式というものを考えていったらいいかということの検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。当面老人保健制度における診療報酬支払い方式につきまして検討してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○新村委員 老人保健の中で新しい支払い方式をその中から考えていきたいということでありますが、そうしますと、老人保健の支払い方式は少なくとも現在の出来高払いだけということではないと思うのですが、その目指す方向はどういう方向を現在考えていらっしゃるのか、登録制であるのかあるいは総額請負であるのか、あるいはまた他のもっといい方法を考えていらっしゃるのか、その方向だけで結構ですから、伺いたいと思います。
○吉原政府委員 ただいま保険局長から御答弁させていただきましたように、新しい老人保健医療制度につきましては、老人の心身の特性、具体的に申し上げますと、いろいろな疾病をあわせ持っている、あるいは病気というものが長期あるいは慢性化しやすい、そういったような特性があるわけでございますので、そういったものを踏まえまして、老人にとって最もふさわしいといいますか、適切な診療報酬というものを検討したいというふうに思っているわけでございます。したがいまして、現在の健康保険制度で採用しております出来高払い制度というものをそのまま老人について適用するということは考えておりませんで、やはり現行の出来高払いというものの欠陥といいますか、いろいろ指摘されております問題点というものを、この老人医療制度においては最小限改善をしなければならないというふうに思っているわけでございます。同時に、その他の諸外国で採用されております各種の方式というものもあわせ検討をしたいというふうに思っているわけでございます。
○新村委員 検討ということは結構なわけですけれども、少なくとも現在の出来高払いオンリーではいけないということはわかるのですが、そうしますと、この出来高払いを踏まえてどういう方向で検討されるのか、その方向をもう少し伺いたいと思います。
○吉原政府委員 具体的にどういった方式をとるかにつきましてはいろいろな考え方があろうかと思います。そういったことで老人医療制度の発足というものを厚生省といたしましては五十七年度中のできるだけ早い時期から発足をいたしたい、そういったことでこの国会に法案を提出させていただきたいと思っているわけでございますけれども、実施に先立ちまして老人保健審議会というものを設置をいたし、そこでいま御質問のございました診療報酬の具体的なあり方というものを十分検討していただく、その上で制度を実施に移したいというふうに思っているわけでございます。
○新村委員 そうしますと、老人保健法案は今国会に出せる見込みがありますか。
○吉原政府委員 ぜひともいまの国会に提出をさせていただいて成立をお願いしたいというふうに思っております。
○新村委員 次に、これもまた先ほどの節税の問題に関連するわけですが、いま問題になっているもう一つの問題にいわゆる第二薬局という問題があるわけです。これもやはり医師の節税ということからこういうことが考えられたのだと思うのですけれども、この第二薬局についての厚生省としての考え方を伺います。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。
 第二薬局と通称されておるものがいろいろと世の中の批判を浴びているということでございますが、これは事実上ちょうど病院内の薬局と同じような場合があるわけでございまして、そういう意味で医療機関から独立したものでなければならないという、薬局本来の公共的なあり方から見てそういうことが要請されていると思うのでございますが、そういう意味からいって、一つは医薬分業の本来の趣旨というものをどうもねじ曲げてしまうおそれがありはしないか、こういうことが指摘されますし、他面また保険薬局のあり方から見ましても問題がある、かように考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして今後これをどう扱っていくか。一つは、薬局の許可という問題、入り口の問題でございますが、これがあるわけでございますし、もう一つは、許可された薬局を保険薬局として指定するかどうか、こういう問題があろうかと思います。これらの問題につきまして、先ほど申しましたように医療機関からの独立性、こういうことが保障されるような、そういうことを十分配慮いたしまして早急に対応策を関係局とも相談しつついま練っているところでございます。
○新村委員 この問題については、すでに大臣からも医薬分業の趣旨に沿って適正に対処をするというような意思表示もあったわけでありますが、営業の自由あるいは現在の薬事法との関係、そういった点でいろいろむずかしい点もあると思うのですけれども、許可に当たって独立性の実態等を考えるというわけでありますが、具体的にどういうふうにその基準を設けるのかということが実は問題なわけです。病院内に、同じ建物の中にあってはいけないのか、あるいは同じ敷地の中にあってはいけないのか、敷地を別にして隣へつくればいいのか、それらの点、やはり明確な態度、方針が望まれるわけでありまして、具体的な点をもう少し伺いたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 御指摘の点ごもっともなところが多いと思っております。ただ、薬事法という、これは衛生法規でございますので、ある一定の構造設備基準を満足し、しかもそこにちゃんとした薬剤師がいる、そういう条件がある限りにおきましては衛生という目から見ますると、第二薬局といえども衛生の目からは支障がないという考え方も十分成り立つわけでありまして、それが同時に憲法上保障された営業の自由とも関連をするわけであります。そういう意味で大変むずかしい点はございまするけれども、さればといって、薬局というものの独立性といいますか、公共的な性格というものを帯びておるのでございまして、そういう意味で、たとえば特定の医療機関からの処方せんだけを受ける、ほかの医療機関からの処方せんが事実上回っていかない、こういうようなものにつきましては、いわば患者さんが処方せんをいただいてどこの薬局で調剤していただくことも自由でございますが、そういう自由が束縛されたり拘束されたりという点につきまして、まさしくそれが公共的な使命から外れるのではないか、こういう意味合いにおきまして、すでに五十年当時から行政指導としてその点を各都道府県を通じましてやってまいったつもりなのでございますが、なおそれがなかなかうまくいっていないというような面もございますので、そういう根っこを踏まえつつ、何か有効な策がないかどうか、その辺をいま詰めているところでございます。
○新村委員 現在の医療全体の中で医薬分業ということがいわれておりますけれども、この医薬分業は実態としてはほとんど進んでいないわけですね。この第二薬局は別ですけれども、それ以外には医薬分業はほとんど進んでいないわけです。現在の状況のもとに厳密にというか、医薬分業を直ちにやるとしたら、これは患者が非常に困る。一番困るのは患者だと思うのです。そういった点で医薬分業ということは現状のもとでいろいろな問題点がほかにもあるのじゃないかと思うのですが、それらとあわせ考えた場合に第二薬局というものは、これは医師の節税ということに問題があるわけです。これ自体が問題なわけですけれども、それらについて、医薬分業ということ自体をもう少し原点に返って検討する必要があるのではないかと思うのです。現在、第二薬局というような、そういう疑いがある形ではなくて、正常な形のもとにおける医薬分業がさっぱり進まないというのはどこに原因があると思いますか。
○山崎(圭)政府委員 医薬分業、私どもも大変大事なことだと思っておりまして、少なくとも私どもサイドとしましては努力してきたつもりでございます。ちなみに四十九年、つまり処方せん料を大幅に引き上げたということもその一つの、医薬分業を促進させるというような意味があったわけでございますが、四十九年当時から見ますると処方せんの発行枚数も現時点において九倍近くになっている、こういう実情はあります。しかしながら、全体の中に占める医薬分業率といいますか、そういうものがまだ六%台にとどまっているということで、御指摘のとおりな点はあると思います。この中で一番私ども考えておりますことの一つには、お医者さんサイドの問題もさることながら、開局薬剤師サイドにおいてその受け入れ体制が十分にいっていない。もしそれがあるとすれば患者さんに迷惑がかかるという問題もあるわけでございますので、少なくともその辺に焦点を合わせまして、私どもの業務行政におきましては薬剤師さんの研修でございますとか、それから検査センター、調剤センターというものを地区の医薬分業のケルンといいますか、核としてそれを普及させていこうというようなこともあわせやっておりますし、あるいは根っこといたしましては、国民に対する啓蒙というようなことも欠かせないことである、こういうようなことで多方面の施策を推進はしております。しかし、御案内のように、進んではおりますが、全体の目から見るといまだし、こういう感じでございます。
○新村委員 処方せんの数がふえたというのは、第二薬局がかなり推進力になっているのではないかと思うのですね。第二薬局の分を除いたらその率はかなり下がるのではないでしょうか。そういった点で現在の医薬分業はそのほかに大きな問題点を持っているような気がするわけです。
 それと、第二薬局に戻るわけですが、厚生省みずからも疑問を表明しておられるようでありますし、それからまた、これをやっておる人たちも後ろめたい気持ちでやっておるのではないかというような考えもあります。ですから、こういう疑いのある事態については一日も早く明確な態度を出していただいて、これがいいのか悪いのか、悪いとすればどうすればいいのかということをはっきりしなければ、これは医療行政あるいは医師に対する無用な不信、あるいは医療体系全体の中における患者あるいは国民の医療に対する不信というものをこういうところから助長していくことになるわけでありますから、一日も早く第二薬局というものに対する当局の明確な態度を表明される、そしてまた指導されることが必要であると思うのですね。そういった点で、もう少し適正な措置をということではなくて、いつごろまでにどういう形でこの問題に明確な態度を示されるのか、伺いたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 いまお話しの線に沿いまして、せっかく関係局とも調整をとりつつ努力をしているところでございます。もうしばらくお時間をかしていただきたい、かように考えております。
○新村委員 次の問題に移ります。
 これもやはり医療の問題、特に医師の節税の一つのやり方だと思うのですけれども、いわゆるトンネル卸ということがよく言われております。架空のあるいは架空に近い会社をつくって、そこを通して薬を買うというようなことがよく言われておるわけでありますが、この問題に対する厚生省の対処の仕方、今後どうしていかれるか、これを伺います。
○山崎(圭)政府委員 トンネル卸につきましても、実際上医薬品を取り扱わない、こういう実質を持っているというようなことで、衛生法規の上から見ましても、責任のある医薬品の適切な保管、管理という面から問題がある、こういう認識をしております。
 そこで、これについて私ども衛生の面から見まして、一つは先般の薬事法改正に伴います政省令の改正を私ども手がけたわけでありますが、その中におきまして、卸売一般販売業の規制というものを共通して強化いたしました。
 医薬品を常日ごろ試験、検査を実施させる、これが一つでありますが、それを遵守基準という形で省令に新設いたしました。そういうことが一つと、さらには構造設備基準につきましてもその基準のレベルを引き上げたわけであります。そういうことによりまして、少なくとも今後トンネル卸につきましては、こういう基準を満たしていかなければなりませんので、都道府県を通じましてそれを適切に運用することによりましていままでのようなものは抑えていける、かようなことを考えております。
○新村委員 そこで、いままでいろいろお伺いしたのですが、第二薬局あるいは医師の会社あるいはトンネル卸、こういう税金逃れと言うべきいろいろの事態が出てくるというのは、そこにはやはり医師の倫理観という問題もありますけれども、医師も一つの経営でありますから、他の営利会社と同じような扱いにはできないにしても、一定の基準を与えて、必要な経費については認める、そのかわり剰余については厳正な課税をするというルールを確立していかなければ、これからいろいろな形での、ある意味からすれば脱税的なことが行われるのではないかと思うわけです。
 そこで、医師のいわゆる不公平税制ですね。あの問題がやかましかった当時、経費率七二%を廃止するかわりに一人法人というものを認める、あるいはみなし法人というものを認めて、そうして医の倫理に反しない限度において経営倫理というものをそこに導入していくことも一つの方法だ、こういうことが言われたわけですね。当時厚生省でも、一人法人を認める方向で検討したいというような答弁も国会の中であったわけです。ところがそれがそのままになっておりまして、そのうちにいろいろな脱法というか脱税的な事態が出てきたということでありまして、こういう不明朗なことが出てくる反面には、厚生省の医療行政あるいは開業医に対する基本的な方針のあいまいさ、こういうものがあるのじゃないかと思うのですね。ですから、この際、こういう不明朗なことを一掃するという立場からも、医者としての倫理に反しない限りにおいては他の経営と同じような経営原理をその中に認めることが必要ではないかと思うのですけれども、その基本的な方針についてまず伺いたいと思います。
○田中(明)政府委員 先ほど大臣から基本的な考え方につきましてはお答えいたしましたが、私も先生の御高説まことにごもっともであると思います。
 一人法人のことにつきましては、従来から相当多くの賛成的な御意見が国会においても出されております。また、少数の反対意見もあるわけでございますが、現在関係団体がむしろこれに否定的な考えを持っているというようなこともございまして、今後十分検討させていただきたいというふうに思っております。
 税の問題は主として大蔵省の問題でございますが、私どもといたしましては、医業が公共性を確保し、また永続性を確保するというような観点から、適正な医業を確保するという意味合いにおきまして大蔵省の方にもいろいろとお願いいたしてまいりたいというふうに思っております。
○新村委員 税制については、これは大蔵省の問題でしょうけれども、医者の倫理を確立をする、あるいはまた、医師の適正な経営を保障するということも、これは健全な医療行政の重要な一環だと思うのですね。そういった意味において、こういう脱法的なあるいは脱税的な現象が出てこないような基本的な方策が必要だと思うのです。そういった意味で、今後ともひとつ一人法人に限らずそういった医師の経営をいかに明朗なものにしていくか、そして患者や国民から信頼される医療体系をつくることができるかという点で特に御努力をいただきたいと思います。
 次の問題ですけれども、これはすでに長く問題になっておるスモンの件です。この件については、厚生省の御努力によってほとんど解決に近いところまで行っていると思いますけれども、依然として投薬証明のない患者についてはまだ和解が成立をしていない、あるいは補償もされていないという残された問題があるわけです。こういった問題について、最近製薬会社の方から大臣へいろいろ意思表示があったというような話がありますし、またその問題について患者の団体の方で心配をされて、厚生省にやはりこれも強い運動があったというようなことも聞いておりますけれども、この問題についてやはりまだ画竜点睛を欠く点があると思うのです。前にも答弁を伺っておりますけれども、すべてのスモン患者に対して全く同じように国が責任を持って最終的には処理をする、こういう答弁もはっきり伺っておるわけなんでありますが、まだその段階に至っておりません。その点についてのその後の状況と、それから今後の決意についてひとつ伺いたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 御指摘の状況になっておりまして、現在提訴されております患者さんが五千九百九十四名、ほぼ六千名に上るわけでございますが、その方々のうちで現時点で四千六百三十名の方と和解が進んでおります。その意味で七割七分の方々と和解が進んでおりまして、とりわけてお医者様の鑑定を経た方に対しましては、九四%の方ともすでに和解が下しているわけであります。ただ、残された問題の一つといたしまして、いま先生御指摘のように、投薬証明書のない患者さんの問題があるわけであります。これについては、製薬三社もいろいろなことを言っておりますけれども、少なくとも昨年の十一月七日に東京地裁の考え方を会社側もそれは基本として受け入れる、こういう態度表明がありましたことによりまして、解決へ向けて大きく前進した、こういうふうに考えております。ただ、それが具体的な患者さんとの和解に結びつくためには、なお裁判所におきましてその具体的な詰めが残されておる、こういうことであります。私どもといたしましては、裁判所がこの訴訟指揮といいますか、和解の実現に向けて一段と御努力をされておるわけでありますので、その線に沿いまして、この早急な和解が一日でも早く実現するように私どもは全力を挙げたい、かように考えております。
○新村委員 国の、厚生省の大変な御努力はよくわかるのですけれども、このスモンに対する基本的な認識においてまだ製薬三社、原告、被告の間にまだ若干の隔たりがあるようです。ですから、こういった点については、やはり厚生省ができる限り原告の立場に立って完全な和解、完全な補償に努力をしていただきたいと思うわけでありますが、投薬証明のない患者についての問題は、これは文句をつければつけられる余地はあると思うのです。あると思うのですけれども、この問題のいままでの経過あるいは疫学的な定説からいいましても、スモンの患者については全面的にキノホルムの中毒と認定をして完全な補償をするというのが、これはもう国民的な常識でもあるし、法の命ずるところでもあると思うのです。そういった点で今後どういう見通しであるのか。同じ補償をされるにしても、時間的に余り遷延をされたのでは原告の方も患者の方も非常に困るわけでありますから、もう少し確たる御決意を伺いたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 おっしゃるとおり投薬証明のないということにつきましては、会社側の主張によりますればいろいろな法律上の問題はあると思います。法律上の問題いろいろあると思いますが、私どもとしましては患者救済の立場に立ちまして、会社に対しても強く本件解決に努力するように要請しているところでもございます。そういう意味におきまして一段とその努力を傾注してまいりたい、かように考えております。
○新村委員 次の問題に移りまして、診療報酬の値上げの問題ですけれども、現在の行政改革あるいは財政の窮迫した中で診療報酬の値上げということは非常に問題はあろうと思うのです。しかし、診療報酬はすでに三年据え置きになっている、こういうようなことを医療関係者は言っておるわけです。そしてこういう医療費が据え置かれておる中で、その抜け道として水増し請求であるとかあるいは不明朗な事態が起こる、こういう事態もあるわけです。ですから、診療報酬の値上げについてはやはり適正な値上げをする、そのかわり水増しとかあるいは乱診乱療等については絶対に許さぬという筋の通った確固たる行政方針がないといけないと思うのです。そういった点で、財政窮迫の時期ではありますけれども診療報酬の引き上げはやむを得ないと思うのですが、その引き上げについての方針、それからいままでいろいろ問題になっておりました技術料をどう評価をするのか、あるいはまた医療労働者について、これは現在の産業の間ではいわば給与水準が低い部類に入っておるようでありますけれども、こういう医療労働者の賃金の水準をどう考えるのか、それらの点を、基本的な考え方を伺いたいと思います。
○大和田政府委員 診療報酬の改定につきましては、先ほど大臣が申しましたように、すでに三年間据え置かれておるということで、やはり診療報酬の改定の時期に来たという判断をいたしまして、昨日中医協にいわゆる包括諮問、診療報酬改定につきまして御検討をお願いするという包括諮問をいたしました。今後、中医協におきまする御審議をいただきまして、その結果を踏まえまして対処をしたいというふうに考えておるわけでございます。
 今回の諮問は、診療報酬に関しまして先ほど申しました検討依頼、いわゆる包括諮問でございまして、具体的な診療報酬点数表の改正内容につきましては追って諮問することになっておるわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたいろいろの技術料をどう評価するかといったようなこと等につきましては、中医協におきまする審議を踏まえまして、具体的な点数表の諮問というものに持ってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○新村委員 その内容として、医療労働者の賃金の適正な確保、あるいはそれをやった場合に、長く問題になっておる差額料、差額ベッドあるいは差額室料、差額を完全に解消することができるのかどうか、こういった点はどうなんでしょうか。もし値上げをするとすれば、差額徴収を一方において厳禁をする、禁止をするという措置も必要だと思いますが、それらの配慮はいかがでしょう。
○大和田政府委員 中医協におきまする審議を踏まえて医療費改定の具体的な具体案を作成するわけでございますが、当然その過程におきましては、先生おっしゃいましたいわゆる医業経営の実態というものが論議されることは当然のことでございます。
 それからもう一つは差額徴収でございますが、これは昨年の健康保険法を御審議いただきました国会におきましても差額ベッドの解消あるいは付添看護の解消というようなことにつきまして強い御意見をちょうだいしておるわけでございます。したがいまして、今回の診療報酬の改定に当たりまして何とかこれらの問題の解決もあわせて図ってまいりたいというふうに私どもも考えておるところでございまして、この問題につきましては、中医協の御審議におきましても強い論議として登場してまいることは当然だと考えております。
○新村委員 従来は公立病院、国立病院等においても差額を徴収しておったわけですね。こういう事態はきわめて遺憾なことであって、少なくとも国民皆保険のもとにおいて差額が徴収されておる、しかも国立病院においても差額が徴収されておるということでありますから、これは国みずからが保険体制、保険体系を乱しておると言われてもやむを得ない事態が一部、一部でありますけれどもあるわけですね。ですから、診療報酬の値上げに当たっては、その部分は重点的に考えていただかないと困ると思うのですね。差額を徴収しなくても済む医療費を確保する、そのかわり乱診乱療等は絶対に許さないという監視体制あるいはチェック体制を整備することが必要だと思うのですが、いままでどうも両方ともにちょっと緩かったような気がするわけですね。そういった点についてのもう少し具体的なお考えをひとつ伺いたいと思います。
○大和田政府委員 お説ごもっともだと思います。
 それで、私どもといたしましても、たとえば差額ベッドにつきまして三人部屋以上というものについてはもう差額徴収してはいかぬ、三年以内にこれを廃止するということについて強い指導をいままでも行ってきておりますが、これからも強い指導を行っていきたい、特に私立医大の付属病院等につきましては非常に差額徴収を行っておる部分が多いわけでありまして、これに対しましては強い指導を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、医者の不正であるとか、そういったことに対する厳正な態度と指導監査ということによって厳正に臨んでまいりまして不正をやめさせる、不正を減らす、全廃させるという強い姿勢でこれらに対して臨んでまいりたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
○新村委員 乱診乱療の抑制は急務だと思いますが、新聞報道等によりますと一件当たり全く常識外の請求をしておる、それがまかり通っておるということでありますけれども、そういうことについては、たとえばいろいろな省令、標準をつくって、その省令ごとに標準の医療費を設定するとか、これは一概にはできないと思いますけれども、そういったことも一つの工夫にはなろうかと思いますが、そういうことによって請求額を総額においてチェックしていくという方法も考えるべきであろうし、また支払基金における審査をもっと適正にあるいは厳正に行うというようなことも方法でありましょうし、いろいろの乱診乱療を抑える方法があると思うのですね。大多数の医師はきわめて良心的にやっているはずでありますけれども、きわめて少数の不心得な人たちがそういうことをやるわけであって、そのために医療体制全般に患者や国民の不信を招くということでは大変残念でありますので、そういった点についての工夫をひとつお願いをしたいわけであります。
 それから最後にもう一つ、丸山ワクチンについてですけれども、丸山ワクチンについてはすでに長い間論議をされ、これができたのは昭和十九年だそうでありますからかなり長い歴史を持っておるわけでありますが、これについてまだ国の方針が決定していないわけです。賛否両論あるし、また中には信仰に近いような薬効を信じておる人もいるというようなことで、むずかしい面はあろうと思いますけれども、厚生省としてはどういうお考えで、いつこの結論を出されるのか伺いたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 丸山ワクチンにつきましては、五十一年の十一月にセリア新薬工業から医薬品としての製造承認申請が出されました。その提出された資料をもとに中央薬事審議会におきまして五十二年あるいは五十三年、前後五回にわたり調査、審議が行われたわけでありますが、総合的評価においてその時点におきましてはその有効性を確認するには資料が不十分だ、こういう結論でございまして、さらに追加的な資料を求めておったわけであります。そして申請者サイドにおきましてその必要資料の作成を行いまして、本年の二月でございますが追加資料の提出がございました。これに基づきまして、去る三月十三日、中央薬事審議会におきます抗悪性腫瘍剤調査会というのがございますが、そこを開催いたしまして審議が行われておりまして、今後引き続き審議が行われることであります。
 その見通しということでありますが、次の調査会の開催期日は四月二十日、来週の月曜日ということでございまして、さらにはまた申請者から、追加資料がまだ不足しております部分がございまして、これは五月中にも出せる、こう言っておりますので、これらの資料も含めまして引き続き審議が行われる、こういうことであります。今後とも私どもはそういう審議の促進を図ってまいりたい、かように考えております。
○新村委員 終わります。
○森下委員長代理 井上一成君。
○井上(一)委員 私はまず、厚生省が常に社会福祉のかかわりの中で、大臣を中心に一生懸命御苦労いただいておる、そのことについては心から多とするものであります。
 戦前は、御承知のように富国強兵、強い軍隊を持つことが国が富むことである、そういう発想の中から厚生省というものがつくり出された。しかし、戦後はそういう認識でなく、福祉国家の建設、社会福祉の充実、そういう中で常に恵まれない人々への温かい配慮あるいは社会的な公正の確保に一生懸命に取り組んでいく、こういうことがその基本的な柱である。大臣もみずからその所信の中で、激動する今日の社会の中にあっていま忘れてはならないことは何なのか、あるいは国政の基盤というものを何に置くのか、あくまでも人間尊重の精神に裏づけされたそういう行政を基本に置いていかなければいけない、全く私も考えを一にして、常々大臣のその取り組みには心から敬意を表しておるわけであります。さらにその第一番目に、ことしは何としても取り組んでいかなければいけないという一番大きな柱に「障害者等の福祉の充実であります。」ということを言われているわけです。恵まれない、ハンディを持つ人々がひとしく活力ある福祉社会の建設に参加していくことだ、そのことに力を入れたい、こういうことを表明されております。「完全参加と平等」、時、本年は国際障害者年でもあります。
 私はせんだって、障害者に対する厚生省の取り組むその姿勢の中で、とりわけ障害者についての不適当な用語の見直しを行って改正の方向に踏み出すべきであると指摘をしたところが、早速園田大臣は、厚生省が中心になって政府の取り組みを改めてくれました。このことについては心からお礼を申し上げると同時に高く評価をする次第であります。
 しかし、問題は単に用語の改正で解決をされるものではありません。言葉だけを正したからその精神が生かされるとは考えられませんし、まさにそこから始まったのだと私は受けとめております。私は、具体的なその職業の名称をもって指摘をしたわけであります。しかしながら、いま一歩突き進んで考えてもらわなければいけないことがあるわけであります。そのことは、それらの障害者に対する言葉だけの差別にとどまらずに、もう一歩進めた実質的な差別をなくしていかなければいけない。そのために、厚生大臣としては、障害者の社会への完全参加と平等を目指すことしの国際障害者年を契機に、勇断をもって現在の厚生省の中にある諸法令、たとえば薬剤師法だとか保健婦、助産婦、看護婦等の絶対的な欠格条項の規定を見直すべきだと私は思うのです。非常に障害を持つ人々もみずからの努力も必要であります。そして、いろいろな人々のかかわり、協力もそこには必要になります。しかし、絶対的に障害を持つということだけで社会参加が閉ざされている、門戸を絶対的に閉ざしてしまっているという今日の仕組みを見直すべきであると私は思うわけであります。もちろんいろいろな厳しい条件もあるでしょうけれども、相対的な欠格条項に改める方向で取り組むべきではないか、私はこういうことを指摘したいわけであります。
 大臣、このことは一歩進んだ厚生省のいわゆる「完全参加と平等」という立場に立ったことしのその取り組みの第一番目に、障害を持つ人々に広く完全参加と平等の機会をぜひ与えてほしいと私は心からお願いをするわけであります。大臣からの配慮あるお考え、そして厚生省の取り組みをまずはお聞きをしたいと思います。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 井上さんから御発言のありました不適当な用語の削除、これはただいまお許しを得て参議院の本会議で議決終了したところでございます。御礼申し上げます。
 問題は、その用語を変えろとおっしゃったのは、言葉を変えろということではなくて、完全に健常人と障害者の方が肩を並べていかれるような方向に持っていく最初の出発点としてこの言葉を変えろ、こういう御発言で、その趣旨は私もよく心得ております。現状では、たとえば薬剤師の試験であるとかその他いろいろ欠格事項になっておるわけであります。同じ障害者の方々でも、障害によって、車いすに乗りながらでも薬剤師の仕事ができることもあるし、あるいは耳その他の欠陥がありましても、その持ち場次第では健常人よりかえって神経が発達しているところもあるわけでありますから、一遍にどうこうはできませんけれども、完全欠格者から逐次門戸をあけてだんだん身体障害者の方が健常人と比べてかえって成績がいいぞ、こう言われるような努力をするつもりでございます。
○井上(一)委員 いまの大臣からのお答え、私は非常に感謝を申し上げます。
 それぞれの障害者が地域社会で自立して生活をしていく、そういう機会をやはりみんなの力でつくり出していく、そういうことが福祉だとぼくは思うのです。そういう中から連帯の社会、福祉国家というものはみんなの力でつくり出されると思うのです。いま財政再建、行政改革ということで、もう財源がないからあるいは福祉を切り捨てることにおいて国のいわゆる健全財政が保障されるような誤った考えが政治の中にも流れているのです。そういうことを考えれば、厚生大臣、今後さらに一歩進んで、いまのお答えを大きな希望として、より広く社会への障害者に対する十分な施策をとっていただくことを私はお願いをし、期待をし、まずは次の質問に移ります。
 さらに大臣は、老人福祉対策につきましても所信表明の中で述べられております。私は、このこともまた厚生省が、いや国が取り組む一つの大切な大きな柱だと思うのです。とりわけ老人対策については、医療の問題もあるでしょうし、あるいは寝たきり老人の現状に対する対応策も生まれできます。そこで、老人対策、とりわけ寝たきり老人に対するいまの厚生省の対応、このことも一定の評価はできますけれども、まだまだ十分とは言い切れません。先日大阪の宮崎さんというお医者さんが新聞にアピールとして、寝たきり老人に対する在宅看護を促進する目的で特別な減税措置の導入を提唱する、こういうことが報道されておりました。本来は巡回医療班の整備やホームヘルパーの充実が必要であることはもう言を待たないわけであります。私は常にそういうことは申し述べてきましたし、厚生省も取り組んでいらっしゃるわけです。ただお金を与えたりお金を控除したり、そういうことだけが目的でないと私は思うのです。やはり行政の中で行き届かない不十分な点をボランティアなりあるいは家族の中で何らかの形の中でみんながかかわって老人に対する思いやりの介護あるいはそういうお世話をしている、そういう人たちに政治としての気持ちを表明する、そのことがこの減免という形の中でアピールされたと思うのです。それは、よい面での家族制度というのでしょうか、親子関係というのでしょうか、そういうものにつながっていくし、地域での取り組みがより充足をしていく。施設なんというのは十分ありませんし、施設だと、何ぼつくったって、そこには温かさというものが本当に完全に保障されていくのかと言えば、一生懸命施設で働いていらっしゃる方も努力はしていただいておりますけれども、肉親という一つの血のつながりというものはまた別な意味で温かみがあるわけでありますから、そういうことでまずは寝たきり老人に対しての減免をしなさいと言ったって、所管は国税庁でございます。だから、ホームヘルパーに対して、ボランティアの人たちに対して、あるいは第一線で取り組んでいる地方自治体に対して、補助金を出しなさい、助成をしてあげなさい、もっともっとお金を出しなさい、そういうことではないわけは、もちろんそういうことも十分保障しなければいけないけれども、そのことよりも、かかわる人たちに対して、もっと厚生省外の、大蔵省も含めて、国税は大蔵省の所管でありますから、少なくとも一定所得を限度として減免の対象にする。何かにつけて経済的にも負担がかかりますし、そういうことの思いやりが必要である。そういうことで優先して助成をしなさい、減免をしなさいということではなく、まずはそういう取り組みに敬意を表して、その取り組みに対してできるだけ配慮をしていくという政治の温かさを示すべきではないだろうか、その具体的な事例として、結果論として減免措置だとか助成措置が生まれてくる、こういうことでございますが、大臣からのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまの御発言は私も全く同様に考えております。近ごろ日本型福祉という言葉がはやっており、一方には国家財政が非常に苦しいわけでありますが、ややもすると日本型福祉というのは、たとえば高齢者の問題では、年とった親は子供が養え、国がつらいからだんだん切り捨てるぞ、こういう切り捨ては断じて私は守らなければならぬ。ただし、むだを切り詰めることは大事だと思います。そこで、日本型福祉とは、いまおっしゃいましたように、親は子を思い子は親を思う、こういう日本型のよい習慣と気持ちを助長していくことが必要であると考えております。そこで、いまもいろいろ御努力願っておりますが、たとえば一例を挙げると、年とった老人、寝たきり老人、これが子供が別居している場合にはいいが一緒に住むと控除されるということは、非常に苦労しながら親を養っている者は余り優遇されないで親をほったらかした者が優遇されるという悪い方向へ持っていくおそれがあると考えておりますので、その点については、苦しい中ではありますが、ほかのむだを省くことには血しぶきを出しても私は協力をするつもりでありますから、いまおっしゃいましたようなひとつ日本のよき愛情、よき感情、こういうものを育てていくためには財政当局にも心を込めてお願いをしてそういう方向に努力をするつもりでございます。
○井上(一)委員 非常に前向きに取り組む決意をお答えいただいてありがとうございます。
 さらに、現在、老人健康診査事業が厚生省で取り組まれておりますし、このこともまた予防医学の面から大事なことであります。これは老人福祉法の定めるところによって老人の健康管理と早期発見あるいは早期治療の目的ということで行われているわけですけれども、その助成制度が、この制度それ自身は国、府、市がそれぞれ三分の一ずつ負担することになっているわけですけれども、実態は、五十二年から五十五年まで補助基準が千三百円、そういうことの結果、最終の自治体、それを直接行っている自治体では二千円前後の負担になるわけでありますし、受診率も二割程度低いわけであります。このことは、また反面、考えてみると、こういう制度に十分な実態に即したことを国も地方自治体も協力して行っていく、そのことはどういうことにはね返るのか。老人医療が受診率が高い、いわゆる健康診断即治療だという、そういうつながりに流れているということからも、病気になる前の歯どめというのでしょうか、事前の手だてというのでしょうか、そういうことに対する負担というものは、結果から後のことを考えれば軽いものなんですよ。軽いと言ったらえらいなんですが、負担額としては低いものなんです。病気になってそしてその医療費を負担していくことよりも、病気になる前のこういう健康診断的なものは、多分厚生省の方は一定の基準があってその診療報酬の何らかの積算基礎があるわけですけれども、五十二年から五十五年まで変わらない、そして三分の一とは言いながら実質的にはもう四分の一前後になっている、こういうことについても実態に即応できるように努力をすべきだと思うわけです。このことは、反面、地方自治体に超過負担という形で負担を押しつけていく、こういうことになろうかと思うのです。診療報酬の改正が今日論じられておりますけれども、それはそれとして、だからそれが改正されたら上げるのだということじゃなく、やっぱり実態というものは、予防的なこういう健康診断に費用をどんと出しても、病気になってから出すことを考えればまだまだ低いのじゃないだろうか、ここで食いとめていく、そのことが老人の医療費の負担を抑えることにもなるのじゃないだろうか、こう思うのです。受診率をうんと上げていく、二割程度であるということ、そして早目に治療をしていく、そういう行政指導が必要ではないだろうか。しかし、いまだと、仮に受診率がどんどん上がれば上がるほど地方自治体の超過負担が大きくなっていく、こういうことなんです。このことについての取り組みをひとつ、これはどなたか担当の方で結構ですからお聞かせをいただけませんか。
○山下政府委員 先生ただいま御指摘をいただきましたように、現在の健康診査の費用、実は社会保険診療報酬の点数表の乙表に基づいて積算をいたしまして補助をいたしておりますために、五十二年以来その単価が変わっておらないという実情でございます。自治体におかれて非常な御努力をいただいておるというのは私どもよく承知いたしておりますし、またこの事業の重要性は先生の御指摘のとおりでございます。御趣旨に従いまして今後努力をいたしてまいりたいと存じます。
○井上(一)委員 さらに私は、老人保健制度についてここで少し触れておきたいと思います。
 いまも申し上げたように、予防医学を重視していくのだということがまずは老人医療費の高騰を抑制していく最初の手段である、こういうふうに思うのです。今回老人保健制度について諮問がなされているわけであります。このことは、いずれ国会の中でそれぞれの見地から議論があろうかと思います。ただ、老人医療というものは、本来、今日までの国づくりに対する御苦労、あるいは年金だとか恩給だとか限られた所得で老後を過ごされている方々に対して、医療それ自体が金によって左右されていくという物の考え方に立つべきじゃない、このことは園田大臣も私と全く同じ考えだと思いますし、老人の個人負担というものは、乱雑に受診をするということの、できれば一つの歯どめぐらいに、あるいは自制的な意味合いから、私から言えば思いつきの発想になるのですけれども、ただ単にそういうことで老人の乱診なんというものは食いとめられないわけで、基本的な問題を忘れて老人負担を考えてはいけない。むしろ、健康な若者が老人を自分たちの手で支えていくのだというような意識が定着しなければいけないし、その健康な若者は三十年先、四十年先には老人になるのですから、後輩の若者に支えていただく、こういうことがいわゆる世代間の連帯につながっていくし、福祉国家の実現なんでありますから、それは別に私の理念を申し上げるまでもありませんが、老人保健制度についての厚生省の基本的な考え方をこの際聞かしていただきたい。そして、老人の方々に一部負担をしていただくというようなことが、これは決まっておりませんが、そういうことが報道をされている。これはやはり基本的な物の考え方として決してよくない。方向づけとしてはむしろ間違いであると私は思うのですけれども、その一部負担の問題についても、考え方としてひとつここでただしておきたいと思います。
 過日も報道されておった、ある大手の病院が、予約をするたびに二百円をもらうのだと、五年間で一億の金が入っていた。まさに発想としては、老人医療に対して、かかる人に二百円もらおう、百円もらおう、全く同じ発想じゃないかと思うのです。そういう予約をした人たちに二百円ずつをもらっていると、厚生省は行政指導をなさるわけです。片方でやっていることと自分がやろうとしていることの整合性というのでしょうか、矛盾、そういうことを考えたら、厚生省は、やはり筋というものは一本通してもらわなければいけない。少なくともそういう物の考え方であるということをはっきりしなければいけない。審議会の中でどういう御意見が出、あるいは全体の国家財政の中でどういう取り組みががなされるかは別であります。少なくとも厚生省の老人医療に対する基本的な物の考え方というものを私はここできっちり聞いておきたいと、こういうふうに思います。
○園田国務大臣 老人医療、老人保健の問題を一言にして言えば、老人対策を高齢者対策に変えていきたい、こういうのが私の一貫した願いでございます。おっしゃるとおり、病気された方にはもちろん手厚い看護が大事でありますが、病気されないでいつまでも元気で、七十になった高齢者が五十の子供をつかまえて、おまえのやり方は心もとない、おれによこせ、というような高齢者の方々をつくりたい。そのために、ただいま準備をしておりまする改正法の主眼は、健康な高齢者をつくる、健康を推進する、早期診断、予防、こういうことに重点を置いていくように考えておるわけであります。
 なお、一部負担の問題でありますが、これは私は、筋としては、老人の無料の原則は、これは何とか残すべきであると考えております。筋はそうであります。そこで、この一部負担というのは、いま考えておりますのは、初診三百、それから百、入院三百円ということで、これは私が考えた案でありますけれども、これは、これによって財源というものはそう変わりはいたしません。財源的な措置ではありません。かつまた、逐次こういうことによって老人の無料負担をなし崩しにしていきたいということであっては絶対ならぬ。いわゆる無料化をいたしまして以来、まじめな老人の方は、働きながら病院などには関係ないわけでありますが、中には一部の老人の方々が朝から晩まで病院に行っておられるというような投書、弊害もあるわけでありますから、ひとつただで通したいと思うが御注意は願いたいという、白制心に訴えるためのお金でありますから、この額は高くあってはならぬ。三百、百、三百というお金も、私は一応の案は出しましたが、これは審議会あるいは国会等でも適正なものにやっていただく方がよろしい。かつまたこれは、私が言ったようなことが踏みつぶされぬように、政令でやることにしておりましたが法律の中に書き入れて、勝手にこれをふやすことはできないようにしたい、こう思っております。
 なお、いまの予防、健康の増進に金をかければ病人は減るじゃないか、これはおっしゃるとおりでありまして、地方の市町村でそれを実施をして医療保険の支払いがうんと減っている市町村が二カ所か三カ所あるわけであります。これはそのように全力を挙げるつもりでございます。かつまた、ちょっとお言葉にありました地方公共団体の財政圧迫ということは注意しなければならぬ、これはおっしゃるとおりでありまして、井上さんがしばしば言っておられる保育所の助成の問題からその他の医療の問題で、地方公共団体やあるいはその実施をしている団体がなかなか私の方で十分にいかないもので無理をしているところが非常にあるということは承知をしておりますので、この点については十分努力をするつもりでございます。
○井上(一)委員 基本的には老人医療というものはやはり無料である、自制の一つの当面の手段だというお答えがあったわけです。できればその歯どめとして政令で定めるのじゃなく法律、ということは、なし崩し的に三百円がいつの間にやら五百円になり、七百円になってしまうことのないように十分な配慮をいただいた、こういうことでありますけれども、逆に受診率がたとえば八〇〇なら八〇〇になればただにするのだとか、あるいは五〇〇になればただにするのだということではなかろうと思います。やはり目指すべき方向は無料であるという基本的なものをここで確認したかったわけです。大臣、いまの物の考え方それ自身がどうも金が左右するというのでしょうか、価値観が金に偏っている。役所の中でもやはりそんな考え方があるのですよ。大蔵省なんか優位に立っている、主導権は常に大蔵省が持っているのだ、そうじゃないのですよ。むしろ主導権は生きている国民であり、その生きている国民の幸せを願う厚生省が主導権を持たなければいけないと思う。
 これは参考までにちょっと申し上げておきたいのですけれども、たとえば厚生省で一生懸命仕事をやっていただいたたくさんの方がいらっしゃいますけれども、天下るわけですね。天下る場合でも福祉関係に天下ったら給料は下がるのですよ。大蔵のいわゆる金融機関、そういうところへ行けばぐんと給料が上がるのです。これは一つの物の考え方としてこういうことが示されている。環境衛生金融公庫、ここの理事長になったら給与が百五万円、あるいは医療金融公庫、ここへ事務次官で天下ったら百五万円、ほかの理事等についても相当な額であります。厚生省関係の特殊法人に福祉事業団あるいは社会福祉事業振興会というのがある。さっき私が言った百五万円も事務次官です。そして、社会福祉事業振興会も事務次官です。これは会長さんが六十九万円です。前職の次官をやめられるときの給料の方が高いのですよ。何を意味しているか。やはり福祉事業なんて切り捨てていいのだという物の考え方がここにもあらわれているということなんです。園田大臣、いわゆる金を握っている者が思うようになる世の中をつくっちゃいけないということです。金によって世の中を左右しようという物の考え方を変えなければいかぬ。一に天下ること自体でもそういうことを証明している、これはいかがですか、厚生大臣。少なくとも厚生省の所管についてはこんなことしないでもらいたい。こんなことやめようじゃありませんか。天下ることの是非、そういうことについてはここでは論じません。財政再建、行革だ、いろいろなことを言っているけれども、そんなもの口先だけで、何が本当に取り組んでいるのだということがはっきりわかるわけです。これだけ厚生省の、いわゆる福祉関係は切り捨てられているということを私は一つの事例として、天下りの事例として申し上げ、老人を切り捨ててはいかぬ、子供たちを切り捨ててはいかぬ、障害者を切り捨ててはいかぬ、そういうことの一つの具体例として申し上げたわけです。厚生大臣に、むしろ老人医療の個人負担についてはいずれかの近い将来にまた無料化に戻しますというぐらいのお考えをできれば披瀝してほしい。持ってほしいし、まあ持っていただいていると思いますが、そういうことで金によって左右される社会のつくり方というものに強い憤りを私は感じますので、この外郭団体への取り組みも含めて、もう一度基本的に厚生省の考え方を大臣から聞かしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 福祉行政を金と品物だけによって解決しようとしたら、当然これは権利と義務のピンポンになって、やる方はやった、もらう方はもらった、こういうことで福祉行政の目的はなくなってしまうわけでありますから、おっしゃるとおり親の心、子の心を込めてやる方も受ける方もやるという制度や施設に努力したいと思います。
 天下り、その他の問題についてはよく承っておきます。
○井上(一)委員 さらに私は、医療法の問題についてここで尋ねておきます。
 御承知のように、医療法の改正を現在厚生省では検討しているわけでありますが、さきに私自身が富士見病院事件の問題を取り上げて、関連して医療法人が事実上の営利行為の事業主体となっていた、こういうことを防止しなければいけないということも指摘しました。医療法人の理事長は少なくとも医療内容が明確にわかる人でなければいけない、あるいはそれに対する責任が十分にみずからとれる立場の人でなければいけない、いろいろな立場、条件から考えても医師でなければならないという規定をこの際設けるべきである、それほどの厳しい枠を設けることが必要である、そういう点についての厚生省の具体的な考え方、そして検討している医療法改正の中身、内容についてもここで尋ねておきたいと思います。
○田中(明)政府委員 医療法人の理事長につきましては、先生ただいま御指摘のような趣旨にかんがみまして、原則として医師に限るという方向で法の改正を検討いたしております。
 また、今回の医療法改正では、御指摘の事項を含めました医療法人の指導監督規定の整理を図ること、また一方におきましては都道府県におきまして地域の実情に応じた医療計画を策定するという、この二点につきまして法の改正を検討しているところでございます。
○井上(一)委員 原則として医師に限るということですね。例外はどういう場合にお認めになるのですか、いまお考えになっているのですか。
○田中(明)政府委員 例外といたしましてわれわれが現在考えておりますのは、医師である理事長が突然死んだ、その場合、息子がまだ医科大学に行っておるけれども一人前になっておらぬという場合に、現在でもかなりの数の亡くなられたお医者さんの奥さんが一時的に理事長を務めているというケースもございますので、また非常に篤志家で医療について見識を持っておられる方がきょうだいのお医者さんを院長にして医療法人を経営しているという例もございますので、そういうものにつきましては都道府県の知事の認可を得て今後とも認めてまいりたいと思います。
○井上(一)委員 突然の死ということで、あとの家族に対する配慮、これは必要だろうと思いますし、営利を目的とするような事業主体に組み立てないようにも、格段の配慮を願いたいと思います。
 次に、私は地域医療について少し質問をしたいと思うのですけれども、救急休日診療所等がそれぞれの自治体で建設をされ、あるいはそういう役割りが地域の国民に大変受けているというのでしょうか、安心感を与えているわけです。また、保健所で予防接種をしたり、あるいは学校等で子供たちの保健等に従事をしていただいて、いろいろと地域医療に貢献をしていただいているお医者さんがたくさんいらっしゃるわけですね。こういうお医者さんが、本当に縁の下の力持ちというのでしょうか、陰で一生懸命に支えてくれるから、地域医療というものは成り立っていくわけであります。
 そこで一つの問題になるのは、そういうお医者さんに対してそれぞれの自治体が報酬をお渡しをするわけです。地域医療報酬は市が、それぞれの自治体が払うわけでありますから、決して多額ではないわけですけれども、回数等、あるいはいろいろな意味で額もふえるわわけです。私は、地域医療の公共性の見地から、その報酬に対しては特別な措置が必要ではないだろうか。いままでは自費診療扱いであったのが、五十五年の十二月二十六日付の国税庁の通達で給与扱いとなったわけです。そのことはどういう結果になるのか。いまも申し上げたように、たとえば自治体がお支払いをしたその四割程度が、所得税だとか府民税として国や府県に流れていく、いわゆる地方自治体が国や府にお医者さんの地域医療に貢献していただいた報酬として支払っていくことに結果はなるわけですね。これはちょっと考えてもらわなければいけないのではないだろうか。具体的に大阪府の場合、事業税というものがあって、自費診療収入が二百五十万円以下の場合は無税となるわけなんですね。私は、やはり二百五十万程度までは特別措置として無税扱いに取り扱ってもらうことがいいのではないか。結果的には、さっきも言ったように、自治体が国や府に税金を納めたことになるのですから、自治体が払うものですから、そういうことになれば、お医者さんに対する地域医療に対する支払いの額についても、自治体と医師会との間にいろいろと相談ができる。そんなことを考えると、地域医療に貢献をしていただいているお医者さん、このようにどんなことがあっても支えてくれているお医者さん、学校の校医さん、こういう人に対する配慮をこの際考えていただけないであろうか、こういうことであります。
○田中(明)政府委員 救急医療等の地域医療の確保に協力していただいているお医者さんにつきましての課税の取り扱いにつきましては、税制上の問題であるわけでございますが、厚生省としても従来から、御指摘のような趣旨に沿って税制の改正の要望を行っておるところでございます。救急医療等の業務に従事した場合について特別の控除制度を新設するということにつきましては、現行の税制の体系上種々困難な問題があるというふうに聞いておりますが、こういうような業務の公共性を評価するというような考えに立ちまして、そういう評価をするような税制となるように、今後ともできるだけの努力をいたしてまいりたいというふうに思っております。
○井上(一)委員 もう一点、税制の問題についてお尋ねをしておきたいのですけれども、医療の公共性というこの性格を十分認めているのかどうか、そしてそれに対してどういう対応をしているのか、こういうことなんです。一人法人の問題にいたしましても、きっちりとこれは確立すべきではないだろうか。あるいはさっきお話がありましたけれども、医療法人の改正の問題で、奥さんもあるいは家族も含めて全部が働いている、そういう中でもやはりすべて院長一人の所得になっていく、お医者さん一人の所得になっていく。やはり実態と違うわけですね。だから私は、青色申告をしてそれで解決ができるのだという単純なものではないと思うのですよ。そういう点についても、地域医療で、とりわけ僻地も含めて一生懸命がんばっていただいているそれぞれの医師に対しての配慮をこの際検討すべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。
○田中(明)政府委員 税のことでございますので、私どもといたしましては、先生いろいろ御指摘のように、医療の公共性というものを評価するという立場に立ったような税制をつくっていただくように、関係当局といろいろ協力いたしまして、そのような趣旨を生かすように努力してまいりたいというふうに思っております。
○井上(一)委員 午前中の時間が一応参りましたので、とりあえず午前中での私の質問はこれで終えて、午後再開と同時に続いて質問をいたします。
○森下委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十八分開議
○森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井上一成君。
○井上(一)委員 午前中に引き続いて質問を続けるわけですけれども、午前中わが党の新村委員からも指摘があった医師国家試験の漏洩問題、このことについて、けさ十一時から厚生省は事情聴取をなさっておられるわけなんですけれども、何かまだ事情聴取が続いているということなのです。私の質問の時間の範囲内で、午後の事情聴取も含め、厚生省がその事情聴取を踏まえての対応、そのことも踏まえて、私の与えられた時間の最後に厚生省の方から御報告を願いたい。
 それでは、続いて私の方からフェニックス計画について質問をいたしたいと思います。
 このことについては、すでに今国会に広域臨海環境整備センター法案として上程され審議中であります。もともとこの法案の背景には、昨年の十一月の生活環境審議会の厚生大臣に対する答申にありますように、大都市における廃棄物処理対策の困難性あるいは最終処分地の確保難等がこの計画の必要性をもたらした。で、この問題については、関係自治体を中心に政府に対して強い施策の要望が出されてきたわけであります。そういう意味から、地方公共団体が廃棄物問題の解決に大変苦労をしてきた、その廃棄物の最終処分地の確保の問題も非常にむずかしいという現実的な意味合いからもセンター法案、今回審議中のこの法案が問題解決に寄与する方向に進まなければいけないわけです。そういう、何から始まったのかという基本的なことですけれども、その問題を忘れてこの法案の審議というものは成り立っていかないと思うのです。
 こういう点について厚生大臣は認識を十分持っていただいているとは思いますけれども、いまも申し上げましたように、地方自治体の廃棄物の処理、そのことから、いわゆる厚生行政から生まれてきた法案である。そういう経過から現在はたまたま結果的に港湾整備にかかわってきたということで、廃棄物対策であるという、清掃行政の対策からこのフェニックス計画というものが生まれてきたのだということを何か忘れているのではないか、それぐらいに実は私は心配をするわけです。この法案それ自身があくまでも厚生行政の中の廃棄物対策である、それに寄与するための法案であるという強い認識で取り組んでもらいたいと思うわけですけれども、その点も含めてひとつ大臣にここで確認をしておきたい、こういうふうに思います。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 そのとおりでございまして、廃棄物が逐次増加をしてくる、単独の自治体では処理できない、そこで広地域になってくる、しかもそれは特に都会周辺では内陸が空間がなくなってきたということで出発したものであります。これは、今後運営についても地方自治体の利害、要望等を中心にしてやっていくべきだということは終始忘れないでやるべきだと考えております。
○井上(一)委員 廃棄物問題からこれが取り組まれてきたということを強く認識をしていただいているわけです。
 廃棄物の問題については、ただ単に最終処分地だけが論じられていいということではないわけでありまして、当然その過程で収集だとか焼却だとか、あるいは産業廃棄物もありますし、そのことについては現実的には業者委託、そういう実情である。その廃棄物の中に有害物質が含まれているとか、またフェニックス計画における環境アセスの問題だとか、あるいは積み出しの基地だとか中継地だとか、あるいは搬送だとか、それによる沿道対策だとか、この事業が成功するかしないかというその過程においていろいろな課題が残されているわけであります。それには、大臣も御承知のように、それぞれの利害問題等も多くかかわってくる。その中で地方自治体、そして関係の団体が関与していくわけでありますから、事業開始自体、あるいはその周辺問題の解決は大変困難性がある、容易な問題ではないと思うわけです。そういう点についての認識も尋ねておきたいと思います。
○山村政府委員 御指摘のとおり、フェニックス計画はたくさんの地方公共団体にまたがる問題でございますし、港湾という地域につくるということで、交通問題あるいは環境問題、漁業問題等、いろいろ問題がございます。そういう問題につきまして、関係地方公共団体と協力しながら、厚生省といたしましても円滑に事業が推進されますよう、できるだけのことをやっていきたいというふうに考えております。
○井上(一)委員 私が指摘したように、多くの問題がある。そういう意味からも、いま審議がなされておりますけれども、センター法が成立すればすべて万全であるのだということではないわけですね。これはそういう認識に立っていただいておりますね。ちょっとこの点も確認をしておきます。
○山村政府委員 現在の廃棄物処理行政の実態を見ますと、収集、運搬、処理処分といういろいろな過程があるわけでありますが、このセンター法に基づく広域処分場の設置は、最後の段階の最終処分という課題についてそれぞれ個々の自治体が対応できないという実態を踏まえまして、その最後の部分の一部を救済しようということでございまして、それ以前の収集、運搬、処理さらに自己処分の問題は従来どおりの廃棄物処理行政の体系の中で各市町村が努力していく課題でありまして、先ほど御指摘のように、現状なおいろいろな問題を抱えております。これは廃棄物処理行政の立場から、なお十分施策を充実しまして健全な体系に持っていかなければならないというふうに認識をいたしております。
○井上(一)委員 私は、ここで多くを論ずる時間がありませんけれども、やはり抱える問題を解決する、あるいはその見通しがある、そういう中でこそ今度のセンター法も生かされていくものですから、いわば問題が解決しない段階においてはむしろこのセンター法が成立しても欠陥を有している、こういう理解に立たなければいけないと思うのです。たまたま海洋にその最終処分地を求めたということで、この問題がいわば港湾整備の形の中で位置づけられたと思うのです。内陸部であれば港湾整備とはかかわってこないわけであります。これは今回、内陸部にその適地があるのかどうかということになれば、また論議の対象にもなります。強いて私の指摘をしておきたいことは、いままで厚生省がこの廃棄物対策、いわゆるごみ行政について一生懸命取り組んできていただいたし、それも自治体固有の業務であるという立場にあって、それぞれの地方自治体が一生懸命取り組んでいる。そして、個々の自治体で解決のでき得ない問題あるいは共通の抱える問題を、何とか国も協力をしてもらい、自分たちも協力をして処理をしていこう、そういう発想なんですね。それで厚生省も一生懸命に努力をしてきていただいた。そういう経過があるわけです。今日も厚生省の方では地方自治体に協力、指導という立場に立って十分な協力をしていただいているということも、私は認めたいと思うのです。そういうことの中で、港湾整備が前面に出て、厚生行政、いわゆる清掃行政、そういうものが何か後発になっている、そういう視点でこれをとらえると間違いである、こういうふうに私は思うのです。むしろ厚生行政が先発でなければいけないし、たまたま結果として港湾整備にかかわったということでありますから、そこらは原点をきっちり確認もしましたし、そしてそのスタートがお互いに確認し合うと、進むべき方向の、いわゆる走る中にいろいろな問題があるから、その問題も一つずつ協力をし合って解決をしなければ、ゴールは、今度の法案ではゴールだけは何とかここですよということになったので、終点に立つものがいわゆる始点、あるいはその経路、経過、そこまで全部支配していくというのでしょうか、左右していくというのでしょうか、そういうことをしてはいけないと思うのです。そういう意味で、せっかく御苦労いただいているのですから、さらに強く、厚生行政の立場に立ってごみ処理問題としての認識を忘れずにこれに取り組んでいただきたい。そういう意味では、関係自治体や関係者との協力関係をさらに深めていくという立場をこれからもとってほしい。さらには、困難ないろいろな問題があるでしょうけれども、その問題についても厚生省としての最善の努力を払っていただく、こういうことを私は強くお願いをしたいと思うのです。
 恐縮ですが、もう一度大臣から。原点は確認をし合いました。行政の分野でもいろいろの方々の御協力をいただかなければいけません。運輸の関係の方々、環境の関係の方々から御協力をいただかなければいけませんが、この問題は一に厚生大臣が、全体をとらえて、全体を承知して取り組んでほしいと私は思うのです。聞き及ぶところによれば、運輸大臣が云々とか、あるいはフィフティー・フィフティーのそういうような取り組みをなさる考えを、園田大臣じゃございませんが運輸大臣はそういうお考えを持っていらっしゃる。運輸大臣は、大変失礼だけれども、こんな廃棄物処理なんというものは、原点も知らなければ経過もよくわからないですよ。そしてまた、運輸行政の中でそんなことはかかわっておりませんよ。厚生省が一にかかわってき、そして私どもも厚生省に対して強くこのフェニックス計画というものをお願いをしてきた経緯、そういうことを踏まえますと、完全な問題認識、そしてその問題解決に正しい対応、そして関係自治体なりあるいは関係団体等の協力の中で推進をしてもらいたいと、こういうふうに思うのです。大臣からもう一度所信を聞かしていただきます。
○園田国務大臣 出発は先ほど申し上げたとおりでありますが、当然これの設立、運営等に当たっては、あくまで廃棄物というのが主であって、その廃棄物というものを利用して港湾の整備をなさる、こういう本筋だけはたがえてはならぬ、こう思っております。
○山村政府委員 大臣から申し上げましたとおり、廃棄物の最終処分場の確保、廃棄物の適正処理という観点から取り組んでまいりたいと考えております。手
○井上(一)委員 そこで、次に、厚生大臣は所信表明の中でも「保育対策の充実、児童館の増設」等「長期的視点に立って児童の健全育成と資質の向上を図っていくことがきわめて重要」であると。まさにそのとおりなんです。そこで、ひとつ保育所問題、さらには就学後の児童に対する現況を踏まえた保育の実態について意見を聞いておきたいと思います。
 御承知のように、共働きの増加というのでしょうか、いまの社会構造の中で、保育に欠ける児童が増加しつつあるわけであります。そのことによって、市町村長は、措置児として、保育所を建設し、そしてその運営に当たっているわけです。このことについては、私は従前から、社会の宝は子供たちだという、そういう視点に立っても保育所行政の充実を強く訴えてまいったわけでありますけれども、そのことについては後刻具体的に指摘をしてまいりますが、いま保育所は五歳までですね、就学前年齢までは保育所で預かり、一応その保育が保障されている。ところが、その子供が小学校に入学をいたしますと、もうその児童に対する対応というものが十分でないわけであります。そこで共働き家庭のお母さんの強い要望というものがどういうふうに変化していくか。それぞれの地方自治体で、いわゆる留守家庭児童会、あるいは学童保育、こういう取り組みを国に先駆けて、先行的な措置を実施しているのが現状であります。私は、まさに直接行政、市民と直結した現実的な、進めていかなければいけない具体的施策の一つであると思います。ところが実際は、施設といたしましても小学校の校内にその施設を、むしろ既存のプレハブだとかあるいは何らかの空き教室を利用している。指導員については、非常勤の特別職とかあるいはパートタイマー、これは制度化されておりませんから、それぞれの自治体が取り組む対応もまた変わるわけであります。もちろん、保育内容についても取り組む自治体において変わってまいります。当初母親がわり的な保育内容も、時代の流れというのでしょうか、あるいは取り組む自治体の対応というのでしょうか、指導員の質の向上というのでしょうか、教員免許を持っているけれども実際に教員としての就職の機会がない、こういう人たちが指導員となって子供たちの保育に当たっている。考え方によれば、いわば課外授業的色彩もあるし、あるいは地方自治体が独自の形での塾的要素も部分的にはそこにあるわけであります。そのことは子供たちにとって一体どう作用していくのか、こういうことですね。このことを考えると、共働き家庭の子供たちがいま現実に就学前と就学後の受ける対応の違い、このことについてやはり私は問題として指摘をしなければいけないわけであります。
 厚生省は、地域児童館構想というものを持っていらっしゃいますし、子供の地域共同体の中での形成というのでしょうか、子供自身の自立的秩序、そういう方向を目指しているわけです。しかし、前段で申し上げたように、現実的には小学校自体が地域のセンターのような役割りを、まあ限られた予算でありますから、児童館はすべてに設置されておりませんから、あるいはそういうことに対する対応策、財政的な対応というものも十分でありませんから、そういうことになると、勢い既存の小学校を利用している。小学校の施設というものは文部省所管であります。ここで私は文部省にも、学童保育の位置づけというものを文部省はどういうふうに考えているのか、あるいは小学校の施設利用をどう位置づけているのか、あるいは地域での子供との連帯関係を深めるためにどのような対応を文部省は考えているのか、あるいは場所、指導員等の確保についてはどのような対応を文部省は持っているのか、学童保育に対する位置づけという論理的なものが全く不明確である。これはまことにもって一貫性がない。児童を健全育成するのだという厚生大臣の御所信と実態というものは、少し食い違っているというのでしょうか、かけ離れているというのでしょうか、そういうことで、いまは何か自治体任せのような、それも何ら制度上に乗らない、そして財政的な対応の仕組みについても非常に薄いというのでしょうか、少ないというのでしょうか、そういうことについて厚生省の見解、取り組み、さらには文部省の考え方、取り組み、そういう点を聞いておきたいと思います。
○金田(一)政府委員 ただいま先生お尋ねの、学童の放課後における学童保育等の留守家庭児童に対する対策につきましては種々の対策があるわけでございますが、たとえば児童の生活圏に見合った児童館等の整備、ただいま先生おっしゃった点でございますが、また母親クラブ、子供会等、地域組織の育成、さらには社会教育分野における学校体育施設開放事業、これは文部省関係でございますが、こういった各分野の施策の適切な組み合わせによりまして、この推進が図られるべきものと考えておるわけでございます。
 厚生省といたしましては、児童の健全な育成を図るという観点から、児童館の整備の促進、母親クラブ活動の充実等を図るとともに、昭和五十一年度から都市児童健全育成事業を行い、この対策の充実を図ってまいったところでございます。今後ともこれら施策の推進に努力してまいりたいと存じます。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 文部省といたしましては、少年の健全育成を図るため、少年団体活動の奨励、あるいは運動場等の学校施設の開放事業を通じまして、留守家庭児童を含む少年の学校外における仲間づくりや遊び場の確保に努めてまいっておる次第でございます。
○井上(一)委員 文部省、あなた方の答弁というのは決まり切っているのだよ。私はさっき、実際にこうなんですよということを少し時間をかけて話をしたわけです。それに対してどう文部省は考えているのだろうか、そしてどうこれから対応するのだろう、どういうふうに自治体に対して協力をしていくのだ。二元化行政というのがあるわけですね。いま行革が言われておりますよ。本当に行革を推進しなければいかぬわけです。小学校へ行くまでは保育所で預かり、完全に保育に取り組んでもらっている。小学校へ行ったら、では小学校へ入学してからの学童保育については、文部省はどういうふうに考えているのか。いま学校の中でやっているわけだ。指導員もいらっしゃるわけだ。どのように位置づけているのか。学童保育、留守家庭児童の問題についての位置づけはどうなんですか。もうちょっときっちりした答弁をしてもらいたい。やはり物というものは、きっちりと認識をしない限り、中途半端な対応になるわけだ。文部省はそういうことには関係しないのだとか、あるいはかかわりないとか、そういうことは考えておりません、これから考えますというならそれでいいと思う、遅いけれども。現実的には地方自治体がやっているのですから、そういう点について。
 厚生省は、いまさっき言われたように、確かに都市児童健全育成事業実施要綱というものが五十一年七月三十日に出されて、補助制度があるわけです。家庭児童対策民間指導者養成事業等についての補助が主であります。しかしこれまたきわめて低い。実態からかけ離れた、まことにもって実情を認識していない対応なんです。だから私は、厚生省はさらに力を入れてもらわなければいけないし、むしろ学校教育の中での起こり得る問題ですから、文部省がもっとこの問題についての位置づけを明確にすべきではないだろうか。
 さらには、いま私が言ったように、学校内における共働き家庭の子供たちに対する保育、教育、このことはどのような影響を持つのかという認識は文部省はどうなんでしょうか。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 私は社会教育の立場から先ほど申し上げたわけでございますが、文部省の学童保育に対する考え方につきましては、私ども、社会教育、体育の立場から申しますと、すべての青少年を対象にした社会教育、体育の諸施策を実施することによりまして、先ほど申し上げましたように留守家庭児童を含めましての健全育成を図ってまいりたい、かように考えております。
○井上(一)委員 これは質問の答弁にはなってませんね。私はこんな答弁では納得ができません。だから、私の質問に対して答弁のできる人が出てきてもらってお答えをいただきたい。それまで私は暫時質問を留保します。
○森下委員長代理 文部省の方に申し上げます。
 社会教育局でこの問題を扱っておるのか、ほかの局で扱っておられるのか、わかれば答弁を願いたいと思います。
○国分説明員 お答え申し上げます。
 御指摘の学童保育につきましては、主として児童福祉の観点から、厚生省が中心になって行っているわけでございます。文部省の立場におきます留守家庭児童に対する教育活動というのは、学校教育というよりも、社会教育面あるいは社会体育面において行われているわけでございまして、そういう側面において厚生省で行っております。そういう保育活動にも御協力申し上げる、こういう立場で取り組んでおります。
 なおまた、先ほど御指摘ございました小学校等の学校施設の利用の面でございますが、現在、御案内のとおり、学校は学校教育に支障のない限り社会教育その他公共のためにその施設を利用させることができるというふうになっておりまして、最終的には、それを設置しております教育委員会が判断するわけでございますが、現実の対応といたしましては、それぞれ地域の実情に応じまして学童保育その他に利用させておるというのが実情でございます。
○井上(一)委員 実情はもう私から言ったわけです。それで、学童保育の実態、いま言ったように、共働きの子供たちだけをそういう学校のプレハブ等の中で教育をしていく、そのことの実態はどういうふうに認識をしていらっしゃるのか、それはどう影響するのか、どういうような位置づけでそれを認識しておるのか、これが一点まだ答えられていないわけです。
 さらには、学童保育の位置づけは、いや児童保育という位置づけで厚生省の分野でありますといういまのお答えですね。それで文部省が済まされるだろうか。それはもう厚生省だ、実際は学校でそういうことがある。それに対して、あいている部屋があれば、あるいは教育委員会の判断で、部屋がなくても、校庭が狭くても、プレハブをつくってそういう処置をしなければいけないほど国民のニーズが高まっているということでしょう、現実的に。それに対してのあなた方の考え、どうなさるのですか。そして、そういうことをやっていくことは、厚生省の考える地域での連帯、地域児童会での育成、そういうこととどうかかわっていくか、同じ方向を進むと考えていらっしゃるのですかと、こういうことなんです。それらに対してのやはり筋の通った文部省としての方針というか、位置づけを私は問うているわけなんですから、それに答えてください。
○国分説明員 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁で、多少言葉が足りなかった面もあろうかと思います。現実に、それぞれの地域におきましては、学校が中心になり、あるいは協力して、たとえばPTA、青少年団体あるいは婦人会等々、青少年教育活動あるいは地域活動の一環としてさまざまな活動を行っていることは御案内のとおりであります。
 その一環として、たとえば留守家庭児童、俗に言うかぎっ子等に対する対策等も行われているわけでございますが、私が申し上げましたのは、児童保育という立場、あるいは学校内にそういう施設を設けて行うということについては、児童福祉の観点から現在行われている、もちろんその点について文部省として厚生行政と協力し、あるいは連携を保ってこれらの仕事を進めていくことは当然でございますけれども、そういう実情にあるということを申し上げたわけでございます。
○井上(一)委員 私が重ねて質問をしたことについての答弁になっていませんよ。
 もう一度申し上げましょう。学校の中でいま現実にそういうプレハブをつくって、そしてプレハブの中で、指導員を置いて指導している、教育をしている。文部省はそれをお認めになっていらっしゃるし、そのことにいわゆる児童福祉の観点から厚生省に協力しますと、そんなたてまえ論ではなく、本音で、実際にそういうことをやっているのだ、これについての認識というか位置づけはどうなんですか、これをいいと考えられるのか、もう一時的な処置なんだ、対応策なんだ、あるいはそのことはどう子供たちに影響していくのか、そんなことはひとつも答えていらっしゃらないわけです。厚生省は地域児童館という一つの構想を立ててやっています。しかし、それはそれなりに制度上の財政的な対応策はもっと底上げをしていかなければいけないというぼくは指摘をしているわけです。だから今度は文部省に、学童保育はどうなんだ、まずは位置づけ、それからいまの現状がどのように作用していくのか、この点について二点だけ――じゃ答弁できなければ答弁のできる人を、あるいはあなただけの個人的見解という立場に立ってでもいいですから、この学童保育というものは非常に大事な問題なんですよ、そういう点について答えてください。
○国分説明員 お答え申し上げます。
 学童保育ということ、先ど来繰り返して恐縮でございますが、これ自体は厚生省が中心になって行っておるということは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
 ただ、学校教育あるいは社会教育と申しますか、文部省の立場から申しますと、この保育活動というのは学校教育自体ではございません、あるいはまた社会教育自体ではないわけでございます。
 そういう観点から、文部省が取り組む立場というのは、学校教育の一環あるいは社会教育の一環としての立場で文部省としてはこれに対処しているわけでございまして、その限りにおいて、たとえば学校内においてそれぞれ工夫して、子供たちを放課後も学校施設のいろいろな利用という形で預かって、放課後のいろいろな活動に先生等が一緒になって当たっているという例もございますし、あるいはまた青少年活動の一環として、さまざまなスポーツ活動あるいは青少年のグループ活動という形で当たっている場合もあるわけでございます。
 ただ、学童保育ということになりますと、これ自体は私どもが直接所管してないということを申し上げているわけでございます。
○井上(一)委員 少し物の考え方というか、文部省がそういうとらえ方をしているということは不幸だと思います。あなたは、社会教育だとかあるいは学校教育だとか家庭教育だとか、いわゆる文部省が所管するのはその分野である。私はさっきから言っているでしょう、学童保育、あるいはかぎっ子という言葉が使われるか、あるいは留守家庭児という言葉が使われるか。実際はそうではなくて、いまは先生方が時間をとって学校の中でそういう人たちを――あなたが言っているのは継続してやっていないわけですね。私が言っているのは継続して留守家庭児を保育している。それは保育と名前がつけば厚生省のように思っておったらいかぬわけですよね。児童の健全な育成というのは文部省だってその柱にあるわけでしょう。社会教育ということ、あるいは子供会の育成とか児童会の育成ということは、厚生省だって児童館の建設をもって地域での育成、連帯、そういうものを求めている、望んでいる。これはこれなりにいいわけなんです。そうあるべきだと思うのですよ。そういうことが社会教育の一環に入っていくわけです。あなたは何を言っているのですか。文部省の所管じゃありませんなんて言うのは役人的発想だし、少し考えを変えてもらわなければいけない。現実に、小学校でそういうことがなされている。これはゆがめることのできない事実なんですね。そして、地方自治体が一生懸命やったって財政的な裏づけの制度がないものだから、位置づけが明確にされていないから、いわゆる地方自治体がそれぞれ独自の財源をそれに充てていく、これが非常に莫大な額になります。こういうことも配慮しなければいけない。しかし、その前に、学童保育あるいは留守家庭児保育、あるいは学習でもいいのですよ。中身は宿題をやったり、時によったら予習も含め復習を繰り返していく。私の少し指摘をして決めつけた考え方というのは押しつけたくありませんが、地方自治体がそういう形で、学校の中での広い意味での学習塾的なもの、共働きの家庭の子供たちだけがそういうものを受けるということは、一見十分な施策であるように見受けられるけれども、その子たちだけという形になってくると、何かそこへ入れない子供たちとのつながり、そういうものは生まれてきませんね。留守家庭の子供と家にお母さんがおる子供とは、地域で、あるいは学校の校庭を使ってもいいのですよ、公園、広場を使ってもいいわけです。地域で仲よくお互いが連帯をして、友だちとして仲間として遊んでいく、そういうことが望ましい、厚生省もそうしたい。そして一年生低学年の保育所から入ってきた子、それに、お母さんはおらないけれども、小学校六年生の子供が力をかして、子供たちのグループとして一緒に仲よく、五時なら五時まで遊んでいく、それは雨が降っても、どんな寒い日でも対応できる、そういう児童館というものが起点でないといかぬ。それが望ましい。そこに指導員がある、こういうことが理想なんですよ。いわば学校だけで、二親が働いている、お母さんが働きにいっている子供たちだけがそこへ隔離されたような形の中でこういう形態を持続さすということは本当はよくないのじゃないか。そういう意見もあるということです。私の意見とかだれの意見とかいうことじゃない。
 きょうは文部省に問題を提起して、次の委員会に文部省所管がありますから、それまであなた方に学童保育は宿題として与えて行きます。もっとしっかりと位置づけをして、そして学童保育に対する認識、どう取り組んでいくか、財政的な面も制度的なものも含めて対応する、考えていくということを約束していただけますか。
○国分説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の点については十分検討してまいりたいと考えております。
○井上(一)委員 余り時間がないので、もっとしっかりとした、きっちりとした認識を持っていただくように、特に私からも要望しておきます。
 さらに、保育所にかかわる問題について私から厚生省にお尋ねをしておきます。
 御承知のように、保育所については、先ほども申し上げたように、保育にかける児童に対する定数が法律できっちりと市町村長に義務づけられているわけでありまして、自治体が努力をして、国が協力をしていく、そして国なりの負担をきっちりと明確に果たしてもらう。非常に手前みそな話ですけれども、建設については私が市長時代にいわゆる超過負担という形の中で問題提起をいたしました。そのことは厚生省のお骨折りもあり、それなりに前進をいたしました。まだまだ十分とは言えませんけれども、建設費についての超過負担は大きく軽減をされていった。きょうは運営費について指摘をして、保母の配置基準について私から指摘をします。
 いま三歳児未満については六対一の配置基準なんですね。三歳児は二十対一、四歳児は三十対一。実際はそういう六対一で済まされない、また、それぞれの地方自治体の実態はそうじゃない。だから実際の措置費に占める人件費の算定に当たって、実態と比べると非常に隔たりがあるものですから、配置基準を適正に検討をしていただかなければいけないのじゃないか。もちろん養護的な機能、教育的な機能、それぞれを一体として保育していく、そういうことになりますと、ゼロ歳児を六対一で措置ができるのかどうか。そういうことを考えますと、とりわけ三歳児未満については最も安全な保育が必要でありますし、その人間形成の上においてもまさに保母さんの六対一という定数は少し実態に合わないのじゃないだろうか。ちなみに大阪府の保育所の運営費、五十四年度で超過負担二百十一億、府下全体でこれだけの超過負担が計上されておるわけです。現実的にゼロ歳児について六対一で取り組んでいる保育所は、昭和五十五年度の実績で大阪府にはありません。あるいは一歳児においてもやはり五対一あるいは四対一あるいは三対一、三歳児未満についての看護婦あるいは保母のプラスアルファがある。厚生省では十分認識をしていらっしゃると思うので、この点について、運営費について、ひとつ今後の問題としてどう取り組んでいただけるか、この点を聞いておきたいと思います。
○金田(一)政府委員 保育所の運営問題については非常にお詳しく種々私どもも意見をちょうだいいたしております先生にいまさらこういうことを申し上げるのもどうかとは存じますけれども、保育所措置費の改善につきましては、従来から私どもも特に意を用いているつもりでございます。五十六年度におきましては、財政的にも非常に苦しい時期ではございましたが、御承知のとおり乳児保育の対象拡大、D2からD4でございますとか、あるいは職員の勤務時間の短縮を目的とする業務省力化等勤務条件改善費の新設等を行ったところでございます。これらは実質的に地方財政負担の軽減効果を果たすものと私ども考えております。
 しかしながら、なお改善すべきであるという御意見も承知いたしております。今後とも保育所措置費の改善につきましては努力してまいりたいと存じます。
○井上(一)委員 努力をしていただいているわけですけれども、これはひとつ中央児童審議会にでもかけて検討していただけないでしょうか。
○園田国務大臣 ベビーホテルその他当面緊急の問題もありますので、審議会に御検討願おうとしておるところでありますが、いまの問題もそれと一緒にいろいろ研究していただきます。
○井上(一)委員 さらに局長に、いま年齢区分を、措置がとられた日の属する月になっているわけですけれども、措置のとられた日の属する年度当初に改正していくべきであろう、こういうことも私は考えているわけなんです。長時間保育の問題については時間がないから、いま言った、措置をとられた日の属する月という年齢区分をとられた日の属する年度当初に置いて区分すべきだ、こういうふうに思っているのです。この点についてもひとつ検討していただけるかどうか、その点だけ承っておきます。
○金田(一)政府委員 ただいまの御質問の点検討してみたいと存じます。
○井上(一)委員 もう余り時間がありませんし、医師国家試験問題について答弁をいただけるというメモが入りましたので一点だけ、私から、厚生省がいままでに取り組んできている大規模年金保養基地について強く指摘をしておきたいのです。
 べらぼうな土地を日本全国各地にまたがって年金保養基地をつくるんやということで多額の資金を投入して計画だけがなされたわけです。まだすべてが、計画案が策定されたわけじゃありませんけれども、一部報道では二百億を七十億、八十億に縮小していく。
 さらにこんな保養基地が必要なのかどうか、あるいは保養基地をつくったって、そこにつながる道路等については、周辺整備についてはそれぞれの地方自治体に賄わしていく、いささか勝手な厚生省の考えであって、施設はつくるけれどもそれの関連の事業は地方自治体がやりなさい、そうして計画だけを策定して、いまだにでき上がったのは、十二、三カ所あるわけですけれども二カ所である。この際、こんなむだなことを年金福祉事業団はやらぬで、障害者年であるということであればもっともっと急を要する、そしてつくらなければいけないそういうものに思い切って、事業規模を縮小するというだけでなく、目的変更も含めて検討すべきである、こういうふうに私は思うわけなんです。そのことがむだのない効率な資金投入でもある。年金の金がうんとある、そしてその金の使い道をどうしようか、よからぬ発想でよからぬ人間が介在をして土地を買い占めて、いま私が指摘したように、その土地に保養地をつくるんや、ところが実際は何らなされてない、そういう実態、これについては時間がありませんから指摘をしておきますし、取り組みをどうしていくかということもできれば聞かしていただきたい、こう思います。
 さらには、冒頭に御質問いたしました医師国家試験問題についての答弁をここで求めて、私の質問をとりあえず終えたいと思います。
○田中(明)政府委員 厚生省におきまして本日実施いたしました滋賀医科大学の細田教授からの事情聴取の結果を要点を簡略に申し上げたいと存じます。
 同教授は、本年四月三日、すなわち国家試験の前日の夕方七時ごろから四十分間ぐらい京阪ホテルに赴きまして、同ホテルのロビーにおいて同大学の学生若干名と雑談を交わし、激励をしたということを認められました。しかし、その際、本人が作成に携わった国家試験問題を漏洩したということは全くないと、疑いを全面的に否定されました。同時に、試験の前日にそのような疑いを招くような行動をしたということについては、深く反省の意思を表明されました。
 今後、厚生省といたしましては、同大学関連の受験生につきまして紙上漏洩されたと報道されております項目につきまして成績等を検討いたしてまいりたいと思っております。また、もし仮にも漏洩の事実が明らかになりますれば、厳正に対処いたしたいと存じております。
○井上(一)委員 厳正に対処するということはどれくらいの範囲までを考えていらっしゃるのでしょうか。
○田中(明)政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、疑いを持たれている試験の項目について滋賀医科大学の学生の成績等を検討いたしまして、ほかの受験生と著しい差があるというようなことが認められた場合には、学生等についてもいろいろな調査をしなければなりませんので、関係省庁の御協力も得ましていろいろと調査を進め、その結果漏洩というようなことが明らかになった場合には、その実態についていろいろ対処の仕方があろうかと思いますけれども、場合によっては医師法違反というようなことになるのではないかと考えております。
○井上(一)委員 この問題は、いまの段階で厚生省だけでの事情聴取なのか、関係省庁との連絡の上での事情聴取なんでしょうか。
○田中(明)政府委員 現段階におきましては、国家試験に関連いたしまして問題の事前漏洩というような疑いが新聞紙上報ぜられましたので、私どもといたしましては、これに関連いたします国家試験の委員の方に来ていただきまして、厚生省として事情聴取を行ったところでございます。
○井上(一)委員 これは司法の段階での取り組みというのか、あるいはそういう厚生省だけの事情聴取で終えるものなのかどうか。いま学生にも時によっては事情聴取だという取り組みを持っておるということはわかったのですけれども、医師法違反だということだけなのか。大学の教授という立場の今度はまた教授の倫理観というものが論じられるのですけれども、きょう午後からの事情聴取というのは、さっきの報告では余り前進をしてないように思うのですけれども、どうなんですか。午後からの続けられた事情聴取で新しいことがあったのでしょうか。
○山本(純)政府委員 本日は局長は国会に来ておりまして、事情聴取は私、次長が立ち会ったわけでございます。ただいま申し上げましたとおり、細田教授は、たまたま教務委員という立場で学生を指導監督する職位におられるというところから、受験生の士気を鼓舞するためにホテルに立ち寄って激励をした、したがって、二、三名の学生と立ち話程度の激励の言葉を交わしたもので、全部集めても十数名か二十名くらいしか会っていない、ましてや漏洩などは全くないと非常にきっぱりと否定をなさったわけでございまして、これを新聞報道その他から考えられます疑いを全部究明しようと思いますと、先生御指摘のとおり、学生の側についての調査なりあるいはだれか第三者の方の意見なりというものがないと本当のところはわかりかねるわけでございますが、私ども医師法を預かる立場といたしましては、先生から事情を聴取することはできるのでございますが、学生の方なり第三者の方から伺うことはむずかしい状況がございます。一方、万一漏洩ということにでもなりますとこれは法律違反という非常に重大な問題でございますので、私どもも非常に綿密な検討と慎重なこれからの対応が必要だろうというふうに考えております。
○井上(一)委員 余り時間がありませんが、そこらをきっちりとしておかなければいけませんよ。さっき学生からの事情聴取云々という答弁があったものですから、学生から事情聴取をするということは非常に事は重大なわけなんですよ。だから、そういうことになれば厚生省が厚生省のサイドを外れての法の形の中で取り組んでいく、しかし、時によってはそれは人権問題に絡みますよ、こういうことなんです。やはり教授自身の正直な供述というものを期待というか、事実がどうなのかわれわれは求めたいわけなんです。そして、事実を究明することが、事実を正しく明らかにすることが大事であって、さっきの局長の答弁だと、時によれば学生からの事情聴取ということがあったので、それは厚生省だけでやれるのかどうかという質問を私はしたわけです。もう一度厚生省の感触というか、そういうものを踏まえて、ひとつできれば大臣、私の認識は、よくないことをしたらきっちりとやはり処分をしなければいけない、しかし、そうだからといって予断の中での取り組みもこれは慎まなければいけない、せっかく事情聴取しているのだから、十分にその辺はもうなされただろうという私の方の期待もあって尋ねたわけですけれども、学生の事情聴取ということが出たものですから、あえて私が再度質問をしたわけです。
○園田国務大臣 これは御趣旨のとおりでありまして、まず本人から事情聴取をして、本人はきっぱりと漏洩の事実を否定しているわけであります。しかし、私の方から言えば、国家試験の出題をする人がその前日学生と会うということは、これは軽率ということは免れないと思います。よほど注意しなければならぬ。そこで、大学の先生という身分も考えながら、私の方でやることは、まず試験の採点を一々点検する必要があると思います。そしてこの先生の出された題について、その会われた学生の点数がほかの者よりもなべてはるかに高いということになれば、これはやっぱり疑いを持たざるを得ない。そうなってくればこれはいろいろ真相を究明しなければならぬが、その場合には厚生省ではできないことでありますから、慎重にその点を配慮しながら、国民の不安をなくするという目的のために厚生省自体の努力を重ねて、その結果でどう進展していくか、こういうように、御趣旨のとおりだと考えております。
○井上(一)委員 具体的な判断資料を明確にして、そしてその上に立って、法に触れる疑いがあればそういう手段をとる、こういうことですね。
○園田国務大臣 そのとおりでございます。
○井上(一)委員 そうあるべきだと思います。
 それじゃ私の質問はこれで終えます。
○森下委員長代理 春田重昭君。
○春田委員 最初に、医療費の値上げの問題についてお伺いしたいと思います。
 昨日、中央社会保険医療協議会に意見を求めるという形で包括諮問されたわけでございますけれども、結局大臣が御出席がなかったということで何ら審議がないままに散会した、こう報道されておりますけれども、この点につきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 そのとおりでありますが、昨日の中医協は総会にはなっておりません。これは諮問をする場合には総会というのが恒例でございます。私、実は昨日、国会で朝から夜まで続いて出席をしておりましたので、そこで圓城寺会長と前日お願いしてお会いをして、こういう事情でありますから、諮問はいたしますが、私が直接行くべきところ行けませんからよろしくというあいさつで包括諮問をやったわけであります。そこで中医協の方では、それはやっぱり総会ということでやるべきである、かつまた、国会も忙しいだろうが、大臣が短時間でもいいから出てきてちゃんと説明をし、あるいはわれわれの質問に対して答えるべきであるというのがきのうの御意見でございます。したがいまして、次は伺いますと二十四日、来週の金曜でございますか、総会ということになるそうでありますから、国会の皆さん方にもお願いをして短期間でも出席をして、正式に私があいさつをして、それから御審議を願う、こういうことになると思います。
○春田委員 当初は、この四月十六日に意見を求めて、各委員の意見を聴取して、その後具体的な医療費の値上げの問題を諮問する、こういうスケジュールでお考えになっていたみたいでございますけれども、こういう形でずれたわけですね。ということで、厚生省が考えている医療費の値上げ、この意図している大体の時期、こういう点については変化はないと見られるのですか、どうでしょうか。
○園田国務大臣 非常に無理なお願いをしているわけでありますが、これは三カ年半も医療費の改定をほっておいたということから出てきた無理がいま出てきているわけでありますから、二十四日に出席しましたら実情を正直に申し上げて、ひとつなるべく早く御答申を願うようにやりたいと考えております。
○春田委員 報道等では、五月初めぐらいに具体的な諮問をして大体六月ごろから実施したいという厚生省の意向が掲載されておりますけれども、どうでしょうか。
○大和田政府委員 これは中医協の御審議の経過を踏まえて私ども具体的な点数表の御諮問を申し上げるわけでございまして、新聞報道につきましては、実は私ども申し上げたこともございません。これはただいま大臣申し上げましたように、できるだけ早くということは考えておるわけでございますけれども、新聞報道のような具体的なことにつきましては、私ども申し上げてはいないわけでございます。
○春田委員 現在、薬価基準の見直し作業が進められています。薬剤の値下げと医療費の値上げ、これは連動すると思うのですけれども、大臣はどう見ていますか。
○園田国務大臣 薬価の改定と医療費の改定は関係はありますが、本筋では関連をしてつなぐべきものではない。しかしながら、三カ年間半ほうっておいたことによって、今日の状態になればその間はなるべく詰めざるを得ない、これが本音でございまして、そういうことでいま各方面にいろいろ御相談をしなければならぬと考えております。
○春田委員 たまたま一致した、こういうことだと思うのですけれども、いずれにいたしましても、大体五月ないし六月ぐらいにこの薬剤費の値下げ、医療費の値上げが出てくるのじゃないかと思うのです。これはどちらの方が先になるのか、厚生省はどう考えているのか。
○園田国務大臣 まず薬価の改定が先で、なるべく早く医療費の改定をお願いしたい、こう思っております。
○春田委員 ところで、この問題につきましては、支払い側それから診療側との意見が違うわけでございます。特に支払い側の意見としまして差額ベッド、付添看護婦等の保険外負担の解消、また一部悪質な医療機関等に対しての国民の信頼回復、こういうことが挙げられています。こうした批判に対して大臣はどうとらえて考えておられるのかお答えいただきたいと思います。
○園田国務大臣 医療費の改定をお願いするのにいろいろ問題がございます。第一は財源でございまして、今日の状態では新たなる財源を生み出すことは非常に困難、現在の状態で何とかやりくりをしなければならぬということが一つ。それからもう一つは、いま言われました保険外負担の問題であるとかその他この前中医協からも御注意を受けておる、国会からも御注意を受けておる、これをどのように処理していくかという一つの条件というものは、医療費改定の前に考えなければならぬ問題。もう一つは、残念ながら一部でありますが、医療機関の不正事件等起きているところでありますから、これに対する医療機関側の自粛ということ。この三つを考えながらお願いをしなければならぬと考えております。
○春田委員 値上げの幅でございますけれども、まだ具体的な諮問をなさっていないのでありますが、大体想定なさっていると思うのですね。伝えられるところによりますと、薬価基準の引き下げ分が大体一八%前後、この一八%前後は医療費にして六%、したがって、六%を技術料にアップして、それに大体一ないし二%をプラスして医療費を改定したい、こういう意向が伝わってきております。具体的にはまだ諮問はされておりませんけれども、厚生省としては大体お考えになっていると思うのですね。この点どうでしょうか。
○園田国務大臣 いまの医療の実態が薬価を土台にして長い間できてきておるわけでありますから、医療費の改定が基準になる薬価の改定が基準になる、これに改定分だけ値上げするか、プラスアルファにするか、ここは今後の中医協の方々の御意見も承らなければなりませんけれども、新聞等で言われているように、一か二かという簡単にはまいらぬ状態でございます。
○春田委員 薬価基準の見直しというのは国民の強い声があるわけでございます。そういうことで大体一八%前後引き下げになると思うのですけれども、その見返りとして、技術料の六%その他プラスアルファされて医療費そのものが上がったら何のための薬価基準の見直しか、国民はこう見ると思うのですね。五十六年度予算でも、大体十二兆九千億医療費全体で出てきている。そういう観点から考えてみても、いわゆる薬剤費の値下げが国民医療の方に全然反映されない、国民負担の方がかえって高くなる、これはもう何のための薬価の値下げかと、こういう国民の声があると思うのですね。その辺も十分お考えになって慎重に進めていただきたい、こういう要望をしておきます。
 それでは、続いて丸山ワクチンの問題についてお尋ねしたいと思います。
 この丸山ワクチンの問題は、いまや医学、薬学の域を超えて社会的な関心になっているわけでございます。この丸山ワクチンについてはいろいろな問題があると聞いておりますので、数点にわたってお尋ねしてまいりたいと思いますが、まず最初に、この丸山ワクチンの製造承認の申請はいつ出されたのか、また今日まで中央薬事審議会で何回審査されてきたのか、これを御説明いただきたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 丸山ワクチン、SSM注射液と呼んでおりますが、これにつきましては昭和五十一年十一月二十七日、ゼリア新薬工業から製造承認の申請が出されております。これに基づきまして、中央薬事審議会におきまして昭和五十二年四月十五日以降、現在まで六回にわたりますが、調査審議されたところでありますが、現時点ではいまだ結論を得るに至っておりません。引き続き調査審議をしている過程にあるわけであります。とりあえず次回の審議は来週の四月二十日を予定しておるわけであります。
○春田委員 第五回の審議会は五十三年九月二十一日に行われているわけでございます。そして第六回目が五十六年三月十三日で、この間二年半あいているわけですね。第五回までは大体年二、三回行われてきているわけでございますけれども、なぜこの第六回の審議を開くまでに二年半の空白があったのか、お伺いしたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 御指摘のように、五十三年九月まで五回にわたりまして調査審議されたわけであります。その結果、総合的に評価してみますと、その時点におきましてその有効性が確認できない、そして資料が不十分である、いわばこういう中間的な御結論がありまして、そこでさらにこういう追加資料が整えばいいという意味で追加資料の提出を求めていたわけであります。以来、申請者におきましてはその追加資料を作成するということで約二年半の時日が必要であった、そういうことで二年半たった本年の二月六日にその追加資料の提出が行われ、三月にその審議を再開した、これが実態でございます。
○春田委員 丸山ワクチンと同じ免疫療法剤としてすでに医薬品となっておりますクレスチンまたピシバニール、この申請及び審査期間及び審査回数を同じく御説明いただきたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 まずクレスチンにつきましては、昭和五十年八月一日に承認申請が行われました。これに基づきまして、中央薬事審議会におきましては三回にわたって審議されました。その結果、提出された資料に基づきまして総合的に評価した結果、有効性が認められるという御判断でございまして、五十一年八月二十日に製造承認がなされております。
 ピシバニールにつきましては、これより前の昭和四十七年七月三日に申請が行われまして、薬事審議会におきまして八回にわたり審議が行われました。これも総合的に評価した結果、有効性が認められるという御判断でございまして、五十年一月二十日に製造承認が行われております。
○春田委員 ただいま御説明があったように丸山ワクチンは申請されて四年有半かかっているわけです。まだ結論が出てない。同じ免疫療法剤の大手企業から申請されたクレスチンやピシバニールは、大体一年ないし二年でもう結論が出て医薬品として市場に出回っているわけですね。なぜこのように差があるのかと疑いを持つわけでございますが、先ほど局長答弁では、安全性の確認がなかった、資料不足であった、こういう御答弁でございます。しかし、クレスチンやピシバニールと同じ基準で丸山ワクチンが審査されたかどうか、基準を変えたがゆえに資料が足らなかったのじゃないか、こういうことが巷間言われているわけですね。したがって、丸山ワクチンについては、大きな政治圧力といいますか、そういうものがありまして、公平な審査が薬事審議会で行われていないのじゃないか、こういう声があるわけでございますけれども、厚生省としてはこの問題についてはどうお考えになっていますか。
○山崎(圭)政府委員 クレスチン、ピシバニール、それぞれひとしく免疫療法剤と言われますけれども、必ずしもそうでないという見方もございまして、それぞれについて結局私どもはといいますか薬事審議会におきましては、実証されたデータで物を考えていく、こういったてまえでございます。そういう意味におきましてクレスチン、ピシバニールにつきましては提出されたデータを審議した結果、十分有効性が認められる、こういうことで承認されたわけでございまして、丸山ワクチンにつきましては、いまだそういう目から見ますると資料が足りない、こういうことで二年半の空白も生じたということであります。そういう意味におきましては、クレスチン、ピシバニールと丸山ワクチンにおいてその取り扱いに差を設けている、こういうようなことは全くないわけであります。
○春田委員 新薬というのは通常一年ないし二年で結論が出るわけですね。ところが丸山ワクチンにつきましては四年半、これは申請の段階で手続上の不備があったということでございますが、厚生省として十分そういう細かい御指導をいただいたのかどうか、その点が問題じゃないかと思うのですね。ともに、追加資料の要求も、当初書類で行わず口頭で行った、そうしたことがあっていいのかどうか。厚生省としては丸山ワクチンにつきましては、先ほどのものは大手企業、丸山ワクチンはゼリア、その辺の違いもあるのじゃないかという疑いを持つ人もあるわけですよ。そういう点どうですか。
○山崎(圭)政府委員 そういうお疑いを持たれるということにつきましては、私ども全くそういうことはないのでございまして、むしろこれは、特に園田大臣御就任以来、ゼリア新薬に対しましてはとりわけて好意的に資料の指導その他も行うべきであるということで、これこれこういう手順でこういうことをというようなことも含めましていろいろと、まあ御指導というのも変ですが、そういう意味の指導はやってきたつもりでございます。幸いに、二月になりましてそういう意味で追加資料が整った、まだ残念ながら全部じゃないのでございますが、整ったということもあり、まあ本来なら全部整うまで審議を再開するのもどうかというようなこともあったのでございますけれども、その部分だけでも早くにその審議を再開していただこう、こういうようなことで配慮しているというようなこともございまして、むしろ私どもは好意的にこの問題を早く審議を促進させたい、こういうような気持ちで対処してきているつもりでございます。
○春田委員 私もいろいろな会議録を読ましていただきまして、園田厚生大臣につきましては非常に御関心があり、御努力なさっておるのは本当に認めるわけでございまして、評価しているわけでございますが、それ以前が問題だったと私は思うのですね。
 そこで、今後の薬事審議会の審査のスケジュール、これはどういう形で進んでいくのか、御答弁いただきたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 先ほども御答弁申しましたように、再開の第一回が三月十三日ということでございまして、中央薬事審議会の抗悪性腫瘍剤調査会において審議が再開され、引き続き審議が行われることになっております。
 当面、次の審議スケジュールは来週の二十日、四月の二十日を予定しておりますが、先ほどもちょっと触れましたように、申請者から五月中にさらに臨床試験に関する追加資料の提出が予定されておりますので、これらの資料の提出を待ちまして引き続き審議を行う必要があると考えられるわけであります。なお、抗悪性腫瘍剤調査会での調査、審議が終わりますと、医薬品特別部会、またその上の常任部会でそれぞれ審議が進められる、かような段取りになっておるわけでございます。
○春田委員 三月十三日、抗悪性腫瘍剤調査会が開かれているわけですね。ここで全員の意見を徴することができなかったということで、四月二十日再度行われるみたいでございますが、さらに追加資料がまだ二カ所、東北と神奈川の臨床データが出ていないということで、大体これは五月中に出てくる、これを受けて調査会がもう一回行われるわけですね。この五月の追加資料、二カ所が出てきて大体調査会の一定の意見というのはまとまるのでしょうか。
○山崎(圭)政府委員 私どもはまとまることを期待しております。
○春田委員 その調査会の意見をもとに、その後、医薬品特別部会、そして常任部会が開かれるわけでございますけれども、この両部会のメンバー数はどれくらいなんですか。何名なんですか。
○山崎(圭)政府委員 抗悪性腫瘍剤調査会の委員は十四名でございますが、実は三月十四日にお一人死亡されておりますので、現時点では十三名でございます。それから医薬品特別部会が二十八名、常任部会が十八名、こういう人数でございます。
○春田委員 この両部会での結論といいますか、意見といいますか、賛否両論があった場合、たとえば医薬品としてはまだ認めがたい、いや認めようじゃないか、こういう賛否両論があった場合、いかなる形で上の方に報告されていくのですか。
○山崎(圭)政府委員 いままでの慣例を申し上げれば、賛否が分かれるというのはきわめてレアケースだと承知しております。そういうことではございますけれども、場合によればそういうことも考えられ得るかもしれません。いずれにしましても、これは審議会御自身の決めていただくことでございますので、私どもから、こうしろとかああしろとか言うことはちょっと差し控えたい、かように考えております。
○春田委員 全会一致が原則だ、いままでそういう賛否論、分かれたことはなかった、こういうことでございますけれども、いわゆる過半数以上の賛成で意見が出てくることもあり得る、こう考えでいいですか。
○山崎(圭)政府委員 審議会御自身の取り決めその他では、過半数の多数決というのが一般的な原則になっております。
○春田委員 一部では、五月の追加資料で調査会を開いて、順調にいけば医薬品特別部会が六月ごろ、そして常任部会が夏ごろ、秋には何らかの形で大臣の方に中央薬事審議会としての答申が行われるのじゃないか、こういう見方がされておりますけれども、この点、どうでしょうか。
○山崎(圭)政府委員 いまからその見通しを言うのは、不確定要素が多過ぎますので何ともお答えしかねるのでございますけれども、私どもはこの丸山ワクチンに対する国民のいろいろな意味での声があることも承知しておりますので、いずれにしましても、この審議は促進して、早く審議の御結論がいただけることを期待しておるわけでございます。
○春田委員 大臣は、この薬事審の答申を全面的に尊重されますか。
○園田国務大臣 どういう答申が出てくるかわかりませんが、答申を尊重して、それを踏まえて最後の決裁は私がいたします。
○春田委員 ところで、現在全国でがん患者は何名ぐらいいると推定されておりますか、おわかりになればお示しいただきたいと思うのです。
○山崎(圭)政府委員 わが国におけるがん患者につきましては、その実数は把握されていないようでありますが、厚生省の統計情報部の昭和五十三年の患者調査により試算いたしますと、五十三年七月の時点でございますが、約三十万人弱と推定されております。
○春田委員 現在市場に出回っている制がん剤は大体何種類ぐらいあるのですか。
○山崎(圭)政府委員 現在医薬品として承認されております抗悪性腫瘍剤の数でございますが、成分数ということで申し上げますと三十二成分でございます。そのうち数成分はほとんど使われておりませんが、現在使用されている抗悪性腫瘍剤は約二十数成分、かように考えておるわけでありまして、たとえばフトラフールというようなものがその例でございますし、また抗生物質の一部も悪性腫瘍に作用する、こういうような意味でそういうものもございます。
 以上でございます。
○春田委員 この丸山ワクチンを現在使用している人は何名ぐらいおるのか、また、過去使用した人は何名ぐらいおるのか、厚生省としては御掌握なさっておりますか。
○山崎(圭)政府委員 例の丸山先生の研究施設でございますが、日本医科大学ワクチン療法研究施設から事情を承ったところによりますと、五十五年九月時点におきまして丸山ワクチンを現に使用している患者さんが約二万五千人、また過去において投与を受けました患者さんの数が約十二万人に及ぶ、かように承知しております。
○春田委員 現在、日本医科大学には毎朝全国ないし全世界からも五、六百名の方が行列をつくって丸山ワクチンを持ち帰っているということでございますけれども、大臣はこの実態を御存じですか。
○園田国務大臣 よく知っております。
○春田委員 現場へ行ったことはございますか。
○園田国務大臣 事務当局でも見たそうでありますが、私は現実にそれを見ております。
○春田委員 大臣は行ってみたいという気は起こりませんか。
○園田国務大臣 お答えいたします。
 私、現場を実際に見ておりますから、改めて視察に行く必要はないと思っております。
○春田委員 この丸山ワクチンにつきましては、先ほどもお話がありましたように、過去十数年間に十二万人の方が使用している、現在でも二万数千名の方が使用しておるわけでございます。この数字でいきますと、先ほどのがん患者が大体推定として三十万人弱ということでございますから、いわゆる制がん剤が二十数成分ということになれば、約一割以上の方が使っているわけですね。しかも医薬品としてはいまだに認められていないこの丸山ワクチンを現在使っている。医学、薬学の科学的データは私は当然必要と思いますけれども、しかしこうして現実に使っているこの現象、姿というものは、こうしたデータよりもより以上大きいものではないか、こう思うわけでございます。私も丸山ワクチンを使用した方の意見を聞いたわけでございますけれども、非常に体調がよくなったとか、また従来使っていた薬と違って非常に元気になってきたとかいう声を聞くわけでございます。しかし残念ながら今日までこの丸山ワクチンの置かれてきた立場というのは他の制がん剤と違ってきわめて冷たい措置がなされてきたと言わざるを得ないわけです。園田厚生大臣は過去の国会答弁では、自分もそうした人を知っているということで、何とか丸山ワクチンを日の目を見せてあげたいという気持ちを御披露なさっておりますけれども、非常に人情の機微がわかる大臣でございます。どうか公平なそして公正な審議が行われ、一日千秋の思いで待っているがん患者の期待にこたえていただきたい、このように私はお願いするわけでございます。大臣の御決意をお伺いしたいと思うのです。
○園田国務大臣 私のところでも選挙区から月に何十人かがもらいに来るわけでありまして、そういう事実も知っております。しかし大臣として最後の腹を決める場合には、そういう単なる感情で判断するわけにはまいりません。きわめて冷静に、峻厳に、学問的な審議を土台にして、そして現実のたくさんの人々が待ち望んでいるということも参考にはいたしますが、この点は十分冷静にやるべきで、賛否両論ある中でありますから、それはきわめて冷静にやりたいと考えております。
○春田委員 それは感情で結論を出していっては困ります。しかしこうした現実の姿というものはやはり見逃すことができない。この点を大臣の脳裏にたたき込んでいただきたいと思うのです。大臣はいま選挙区のお話をなさいましたけれども、私は大阪の出身でございますが、生まれは九州熊本でございまして、大臣は天草、私は熊本市内でございます。そういう点で、どうかひとつこの丸山ワクチンに力を入れるわが党に御援助いただきたいし、よろしくお願いしたい、こう思うわけでございます。
 それから、厚生省の行政改革でございますけれども、この点についてお尋ねしていきたいと思うのです。
 鈴木総理は行政改革に政治生命をかけると断言なさっておるわけですね。まず最初に、園田厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
○園田国務大臣 行政改革、むだな費用を削減するということ、これは内閣の一致した意見であります。私も閣僚の一人でありますから、これに協力する義務もあるし、また協力しなければならぬと考えております。御承知のとおり、いま第二臨調でやっておるわけでありますが、この審議の結果どのような中間答申がなされるかわかりませんが、その答申を受けた内閣が政府の方針を決めたら、その方針に従って私もむだを極力圧縮する覚悟をいたしております。ただ、私が預かっておりますものの中には、どのように無理なときであっても断じて守らなければならぬ個所もあるわけでありますから、むだを省くということについては全力を挙げて協力をする所存でございます。
○春田委員 その点の問題につきましては後で質問していきたいと思います。
 まず、行政改革と言ったら第二臨調、こう思われがちでございまして、まさに第二臨調フィーバーという形になっておるわけでございますが、しかしこのことも、なぜ第二臨調がそういう焦点になってきたかと言えば、過去にも行政改革は再三行革の方針が出ておるわけです。しかしそれはみんな中途半端で、また腰砕けで終わっているゆえに、こうした第二臨調が出てきたわけでございます。そこで、私は第二臨調も大事でございますけれども、過去の閣議方針も大事である、過去の方針が貫けず何で第二臨調が実行できるか、こういう点から、五十四年の十二月十八日、また五十四年の十二月二十八日、二十九日、行政改革の閣議方針が出ておりますけれども、これを再度見直していきたいと私は思っているわけでございます。
 まず厚生省所管では、地方支分局のいわゆる整理合理化というものが与えられているわけでございますけれども、この中でいわゆる医務局、中国と四国の医務局の整理合理化、これはどういう形で進んでいったのでございますか、お答えいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 本年三月三十一日付をもちまして、四国の地方医務局につきまして局長並びに次長を廃止いたしまして支局長を置いたわけでございます。定員につきまして一名の減ということになるわけでございます。
○春田委員 この整理統合でどういう効果があったのですか。具体的にお答えいただきたいと思うのです。
○田中(明)政府委員 ただいま申し上げましたように、地方医務局長、次長の職を廃止、支局長を設けたということで一等級の職が一つ減じたわけでございます。
 また、仕事の内容につきましては、したがいまして今後四国地方医務支局に関連いたします病院、療養所につきまして、重要な事項については中国四国地方医務局に語るということになるわけでございます。
 ただし、支局の管内の国立療養所の状況を常に把握して的確な指導監督を行って、国民に対する医療サービスの低下を来さないように努力いたしてまいりたいというふうに思っております。
○春田委員 私は、行政改革というのはいわゆる人減らし、そして機構減らし、これがいわゆる金減らしにつながっていくのじゃないかと思うのです。今回のこの医務局の整理統合につきましては、いままで中国と四国があったわけです。それを整理合理化されまして、いわゆる中国の方の医務局を中国四国地方医務局という形で名称が変わりまして、四国が四国地方医務支局となったわけです。一応名前だけそう変わった。中身を見ますと、いわゆる中国の地方医務局は人員は従来三十一名、これは全然変わりません。合理化されても三十一名、そのまま。四国の方は二十一名だったわけでございますが、これが合理化されて二十名、しかも局長が支局長となって待遇は全然変わらない。次長が一名おったわけでございますが、次長の名前が変わって業務指導室長、これもいわゆる給料等の待遇は変わらない。そして係員五名が四名になりまして、一名減ったという形で、厚生省は私のところは行政改革やりました、地方支分局の整理合理化やりましたという形になっているわけでございますけれども、これで果たして本当の行政改革と言えるかどうか、これは大臣の方に御所見を賜りたいと思うのです。
○園田国務大臣 じくじたるものがございます。
○春田委員 それから、厚生省所管には特殊法人が七つ現在あるわけでございますけれども、これも閣議方針の中では、特殊法人の役員数は国家公務員及びこれに準ずる人を半数以内にとどめるように作業を進めていく、こうなっているわけでございますけれども、この実態はどうでございましょう。
○吉村(仁)政府委員 厚生省所管の特殊法人の常勤役員の総数は二十六人でございまして、うち国家公務員あるいはそれに準ずるものの出身者が二十四人、したがいまして、民間の登用というのは二名でございます。
○春田委員 五十四年の十二月に閣議方針が決まったわけでございますけれども、この五十四年十二月以降五十六年の四月まで、任期満了で何名かの方が入れかえされているわけでございますけれども、この人員は何名ですか。
○吉村(仁)政府委員 五十四年十二月十八日の閣議了解以降十一人人事異動がございまして、うち二人が民間出身者でございます。
○春田委員 現在この二十六名の方が役員として特殊法人七法人の中におられるわけですね。この二十六名の、いわゆる民間人とそれから国家公務員ないしそれに準ずる人、この比率は大体どうなるのですか。
○吉村(仁)政府委員 二十六人のうち二人が民間でございますから、一割弱ということに相なります。
○春田委員 閣議方針では「半数以内にとどめる」、こうなっているわけですね。一割とは書いてないわけです。したがって、五十四年十二月の時点でもそういう民間人は二名だった。そしてその後二年間の間に入れかえが十一名あったわけでございますけれども、依然として民間人は二名、いわゆる天下りが残り十二名、こうなっているわけですね。トータルとして現在二十六名の役員の構成は二十四対二、こういう形で、せっかく閣議方針が決まりながら全然実行されてないという実態が出てきているわけです。こういう点を私は指摘しておきたいと思うのです。
 さらに補助件数の問題でございますが、これは五十五年から五十八年の四年間で四分の一を減らす、こうなっているわけです。これはどういう形で進んでおりますか。
○小林政府委員 ただいまお話しございましたように、五十四年十二月二十九日の閣議決定におきましては、補助金の「件数の少なくとも四分の一」を五十五年度以降四年間で整理せよ、こういうことでございます。それで厚生省の場合に当てはめてみますと、ベースになります五十四年度の補助金の総件数が五百四件でございまして、したがってその二五%で百二十六件が整理目標数でございます。それで五十五年度予算におきまして二十件を整理いたしました。さらに本年度予算で三十七件、合計五十七件を整理し終わっております。さらにあと六十九件残っておりますが、これは五十七、五十八年両年度で整理をぜひしたいと考えております。
○春田委員 補助件数は確かに現実に削減されていっているわけでございますけれども、それと並行して新規の補助金が上がってきておりますね。これは五十五年、五十六年で何件出てきているのですか。
○小林政府委員 五十五年度の新規の補助金の件数は二十八件でございます。五十六年度は三十四件でございます。
○春田委員 五十五年が二十件、五十六年が三十七件の補助金のいわゆる削減がされているわけです。合計五十七件。しかし、並行して新規の補助金が五十五年が二十八件、五十六年が三十四件ということでございますから六十二件。減っているものよりもふえているものの方が多いわけですね。厚生省に言わせればそれなりの理由がある、こういうことでございましょう。確かに厚生省関係はいわゆる法律補助、予算補助また社会保障関係のそうした補助金が多いわけでございます。しかし閣議方針の中には、いわゆる四分の一減らしていくという形になっているわけですね。で、新規補助金については厳に抑制するとなっているのです。これも閣議方針に逆行しているのじゃないか、こう私は思っているわけでございます。
 そういうことで、何点か挙げましたけれども、いずれにいたしましても、過去のいわゆる行政改革の方針というものが形だけで、中身が本当に真の行政改革になっていないという実態があるわけで、私は、今回の第二臨調を含んだ行政改革を心配するわけでございます。
 そこで鈴木総理大臣は、今回の行政改革の目玉といいますか、トップは補助金の削減である、カットであるということで、補助金の一〇%ないし八%をカットする。これは各省にノルマを与えて一律カットではない、各省内でいわゆる選択権を与えるから考えよ、こういうことだと思うのですけれども、率直に大臣、この八%ないし一〇%の補助金のカットというものが厚生省内でできるかどうか、これから検討ですから即答はできないと思いますけれども、感じとしてどのようにお感じになっておりますか。
○園田国務大臣 大変な問題でありますが、できるだけ努力をしたいと考えております。
○春田委員 先ほど、いみじくも大臣から、カットできるものもあるけれども、どうしても守らなければならないものがあるという御答弁があったわけでございます。厚生省所管は、先ほど言ったように、福祉関係の補助金が非常に多いわけでございますが、こうした社会保障関係のカットについては大臣としてはどういう御所見が、もう少し具体的にお答えいただければありがたいと思います。
○園田国務大臣 努力目標は持っておりますが、これは非常に慎重にやらなければならぬ問題で、事務当局とも具体的にしさいに検討しなければならぬことだと考えております。
○春田委員 これから検討されるわけでございますけれども、先ほどから言っているように、社会保障関係の補助金が非常に多いだけやはり慎重に行うべきであると思うのです。真の行政改革、補助金のカットというのは、むだな補助金をカットして残すべきものは残す、要するに国民の合意が得られるような補助金のカットをしなかったらいけないと私は思うわけでございます。大臣がひとつそうしたいわゆる国民のサイド、立場に立った補助金の整理合理化にいどんでいただきたい、このように要望しておきます。
 最後に、母子保健法の改正でございます。
 母子保健法は昭和四十年に制定されまして以来今日まで来ているわけでございますけれども、どうもこの母子保健法は現行の実態に沿わないということで、一部改正の動きが昭和四十四年から起こってきているわけでございまして、いまからさかのぼること十二年前に母子保健法の改正案が第六十二国会に出されております。しかし今日まで何ら改正されないまま来ているわけでございますけれども、この点、まず母子保健法に対する大臣の基本的な御見解をお伺いしたいと思うのです。
○金田(一)政府委員 母子保健法の経緯につきましては、ただいま先生お話しいただいたとおりでございますが、二十一世紀を展望いたしまして、より新たな、次元の高い母子保健対策を樹立することを目的といたしまして、五十四年六月に家庭保健基本問題検討委員会が設けられたわけでございます。現在精力的に、多角的観点から母子保健の新しい制度、施策の検討を行っていただいておりますが、本年夏ごろには検討結果がまとまる予定でございます。この検討結果を踏まえまして、今後の処理につきまして検討を行うことといたしているわけでございます。
○春田委員 この母子保健法の改正につきましては、過去、国民の多くから請願書が国会へ提出されているわけです。
    〔森下委員長代理退席、越智(通)委員長代理着席〕
五十四年の九月に百七十万名、そして昨年、五十五年の五月三百二万名出ております。これは、多くの国民の声をどうとらえていくのかというのは厚生省のこれからの作業だと思うのです。
 そこで、先ほど局長からは、家庭保健基本問題検討委員会で大体夏ごろに意見書が出てくるのじゃないか、こういうことでございましたけれども、昨年の四月十六日、衆議院の社労委員会の中で当時の竹内局長がこういう答弁をしております。五十六年の六月にこの委員会の意見書が出てくる、それから改善案をつくり、中央児童福祉審議会等に諮問し、答申を得次第国会へ提出したいということでございます。六月も夏に入るかどうかわかりませんけれども、六月と竹内局長ははっきりと国会で答弁しているわけでございます。この点を確認しておきたいと思うのです。
○金田(一)政府委員 ただいま申し上げたとおりでございまして、ただいま精力的に御検討いただいているわけでございます。私どもといたしましては、そういうことで委員会にお願いはいたしておりますが、この時期につきましては、若干のずれはあることも予想されるわけでございます。
○春田委員 いずれにいたしましても、この意見書が出てくれば早急に中央児童福祉審議会に諮問すべきであると私は主張しておきます。
 なお、社会保障制度審議会の答申の中でも今後引き続き改善するよう指摘されているわけでございまして、その改正はだれが見てもそうした声が出ているわけでございますので、早急にやっていただきたい。
 大体概算要求が五十七年度予算では八月三十一日まででございますけれども、この五十七年度予算に反映ができるかどうか、この点、見通しはどうでございましょう。
○金田(一)政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、検討委員会の結果が出まして、それから中央児童福祉審議会に御検討をお願いするわけでございますが、非常に広範多岐な問題でございますので、審議会でどの程度の期間がかかるかについてはただいまのところはわかりませんが、一方におきましてこの検討委員会でかなりの審議も行われているわけでございますので、できるだけ早くお願いいたしたいと存じております。
○春田委員 この母子保健法の改正につきましては、歴代の厚生大臣の中には非常に前向きに検討する向きの姿勢もあったわけでございますけれども、残念ながら今日まで何ら手をつけ得ないで推移してきたわけでございます。どうか、少なくとも園田厚生大臣のときに決着をつけていただきたい、こう要望するわけでございますけれども、最後に厚生大臣の決意を聞いて、この問題については終わりたいと思うのです。
○園田国務大臣 御発言の趣旨はよく承って、努力をいたします。
○春田委員 大臣もお疲れになっているのか、非常に寡黙になっておられますけれども、いずれにいたしましても、どこかの大臣みたいにべらべらしゃべるのでなくして、園田厚生大臣は不言実行、言わないでもやるということを聞いておるわけでございます。そういう点で、ひとつ前向きな取り組みを要望しておきます。
 きょうは、あと薬価基準の見直しの点についても質問する予定でございましたけれども、時間が参りましたので、薬価基準の見直しは次回に譲って、私の質問はこれで終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○越智(通)委員長代理 次に、和田一仁君。
○和田(一)委員 初めに、医療行政について大臣に御質問したいと思いますけれども、医療は、当然われわれ国民の健康と命に直接関係のある、大変重要な問題であると思います。ところが、この医療の問題について、最近非常に医療全体が荒廃というか、国民的な信頼が薄らいでいるというような傾向があるわけでございまして、昔はお医者さんというのは、庶民にとっては大変信頼され、尊敬されていた、そういう社会的にも非常に重要な立場にある方々であったわけです。そういった、昔は医は仁術であると言われていたのに比べますと、どうも最近の現状は非常に荒廃の度合いがある、こういう感じがするわけでございますけれども、医療行政の最高の責任の立場にある大臣として、この現状についてどんなふうなお考えを持っておるか、まずお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 医療が国民からの信頼を失うような事件が次々に起きておりますことはまことに残念至極でございます。医療そのものがやはり信頼から出てきてこれは治療の部面まで入っていくわけでございます。そこで、何としてもこの信頼を回復することが大事であって、私は、不正事件等の摘発、不正な医療機関に対する厳正なる処分を行ってきたところでありますが、これはごくわずかな手段でありまして、やはり問題は、医療に従事なさる方々の良識、良心、自制心によってやらなければとうていこれはなし遂げるところではございません。
 そこで、私の所管でありませんが、まず医科大学、お医者さんの養成機関の過程において医師としての本分、医師としての心構え、対人間関係、医師の置かれたる地位等を教育をしてもらうことは大事でありますが、厚生大臣としては、まじめなお医者さんがまじめにやっていかれるような制度、環境をつくることが大事であると考え、そういう点で逐次医療に従事なさる方々の御理解も求めながら進めていくべきであると考えております。そのために、医療相談所であるとかあるいは厚生省内に信頼回復のプロジェクトチームをつくるとか、いろいろやっているところでありまして、近ごろ医療に従事なさる方々からみずからの発意によって、われわれお互い同士が監視をし、われわれお互い同士が助け合って医の倫理を回復しようという動きが各所に出てまいったことは非常にありがたいと考えております。
○和田(一)委員 そういう一番大事な立場にあるお医者さんの国家試験の問題について先ほども質疑があったわけでございますけれども、最近こうした重要な国家試験についていろいろな疑念を持たせるような報道がされておるわけです。この間も、この春の国家試験の中で山口大学の医学部の卒業試験と同じ問題が出たとか、それからまた今回は、試験委員である先生が試験の前日、受験生のところへ激励に寄った、こういう事実が報道されて、これは国民にとって一つの、またこういうことがあったのかという、不安の材料になっていると思いますので、先ほどの御答弁で、いま事態の解明を急いでいるようでございますけれども、こういうことを一日も早くはっきりしていただきたい、こう思うわけでございますが、大臣いかがでしょうか。
○園田国務大臣 御発言のとおりと考え、いま御発言のとおりに迅速に事を処理していきたいと考えております。
○和田(一)委員 いま国家試験というのは春と秋と、年に二回実施されておるということでございますけれども、この国家試験を年一回にしたらどうかというような意見もあるやに伺っているのですが、そういう点についてはいかがお考えですか。
○園田国務大臣 御発言のとおりでございまして、すでにことしから試験を春一回に決めたところでございます。――違うそうでございますので……。
○田中(明)政府委員 実は、医師国家試験につきましては、従来からこれを改善すべきであるという強い意見がございまして、昭和五十四年の十月に医療関係者審議会医師部会におきまして、小委員会をつくって、医師国家試験の実施回数あるいは受験回数の制限あるいは試験問題数の増加というような点について取り上げて検討していくということが決まりました。その後、小委員会が設置されまして、昭和五十五年の三月からこの春まで検討が行われまして、その結果この小委員会におきましては、おおむね次に申し上げますような結果がまとめられたわけでございます。第一が、医師国家試験の実施回数については春の一回とすることが適当である、受験回数の制限についてはなお慎重に検討する必要がある、第三といたしましては、試験問題数の増加につきましては、試験回数を年一回に改めると同時に実施するのが適当である、というような意見がまとめられたわけでございます。今後、この小委員会で得られました結果を、文部省の医学視学委員会等の意見を聞き、また全国医学部長病院長会議にも諮り、最終的に医療関係者審議会医師部会において結論を得た上で適切な改善措置を講じたいというふうに考えております。
 医師国家試験の回数を一回に減らすということは、現在の二回ではなかなか国家試験に携わっておられる先生方の、時間的にこれを改善する余裕が得られないという強い御意見がございまして、そういう観点から一回が適当であるという御意見が出ておるわけでございます。
○和田(一)委員 小委員会の方向が出たようでございますが、大臣は、それを希望しておられる余りにもう実施しているというふうに勘違いをされたようでございますが、私もぜひ、そういった方がより厳正に、また的確な試験になるというのであれば、そういう方向でやっていただいた方がいいのではないかと、こういうふうに考えるわけです。ただ、これはまさに一つの免許をちょうだいするわけですね、合格すれば。終身資格を与えられるというのがいまのたてまえでございますが、そういった委員会等にあっても、いろいろなことを、試験制度や内容なんかを含めての御相談以外にも、この終身免許制度そのものについての検討もされたのではないかと思うのです。というのは、ある一定の期間が来たら、この免許についてもやはりもう一回、更新という意味か、あるいは試験をやり直したらどうだというような学者の意見もあるやに聞いておるわけなので、そういう、更新するというか、再試験をするというか、そういうことはどういうふうに大臣はお考えになっておられるか。あるいは、そういった試験ではなくても、とにかく日々医療技術というものは非常に進歩、向上していると思うのですけれども、そういうものに見合う技術を常に修得して、国民の医療の一番現場にいていただくという意味からも、何か研修というのはやっておられるのだろうと思うのですが、そういった研修を定期的にやる、そのときの何か一つの目安を出すとか、何かその辺を、再試験をするというようなことまでいかなくても、そういう一遍付与した資格は永久不変で、全然チェックする必要はないというふうにお考えになっているかどうか、大臣ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 国家試験の回数の問題は、審議会の答申も見て、一回が正しい、一同でやってもらいたいという意思を事務当局にお願いしておりましたので、できたものと勘違いをして軽率な答弁をいたしまして、おわびを申し上げます。
 いまの御発言、試験を改めてやるということはこれはなかなか大変で、うかつには答弁できませんけれども、今度は慎重にいたしますが、いわゆる生涯教育というのは非常に大事である。それからもう一つは、医学の進歩と、お医者さんといえどもいろいろ病気とか身体の障害が出てくるわけでありますから、これに対する一つのチェックの制度は、御発言のとおり考えなければならぬのじゃないか、こう思っております。
○和田(一)委員 国民の健康と命を預かっていただくお医者さんでございますので、ぜひひとつ最新の医療技術をもってやっていただきたい、こう思います。
 さらに、信頼を高める意味でも、この試験制度は厳正にやっていただきたい。先ほど大臣、もう実施しているように御答弁ございましたけれども、これは年一回、こういう方向になる、そういうふうに考えてよろしいですね。
○田中(明)政府委員 厚生省といたしましては、そういう方向でもって関係者の合意を得て進んでまいりたいと思っております。
○和田(一)委員 いつごろというふうに考えたらよろしいでしょうか。
○田中(明)政府委員 実施する場合にも、かなり大きな制度の変革でございますので、実施に賛成の先生につきましても、二年ないし四年の猶予期間を設けるということが条件として要望されておりますので、実際に実施されますのは、一番早い場合でも五十八年か九年、さらに少し遅くなるのではないかというふうに思っております。
○和田(一)委員 それでは、ちょっと病院の問題について伺いたいと思うのですが、いま各省庁あるいは公社、こういった現業を持っておられるところを中心に、いわゆる役所の関係する職域病院というのですか、直営の病院というのがあるわけです。私が承知しているところでは、その数が約七十九ばかりあるわけでございますけれども、これがいずれも大変な赤字になっているということでございまして、これがさらには職域病院といったてまえからか、この七十九もあるうちで、一般に開放をしている病院はわずかに四つしかないということでございます。
 こういう点について一つ一つ伺ってみたいなと思うわけなんですが、まずこんなに赤字になっているというのはどういうことか。こういうところは一点単価も非常に安いというふうに聞いておるわけなんです。そしてまた、お医者さんも設備も、民間の病院から比べると、患者当たりのお医者さんの数、看護婦さんの数、そういうものも大変多い、そして一点単価も安い、病院としての稼働率は大変低い、こういうようなことで、そういうことが主な原因で赤字になっているのではないかと想像されるわけでございますけれども、この赤字が大変大きいだけに、どういうぐあいかをひとつお聞かせいただきたいのです。これは鉄道、電電、郵政、専売、それから大蔵省関係、農林、それぞれ病院をお持ちですから、できましたらそういう関係でひとつお知らせをいただきたいわけです。
○松田説明員 国鉄の関係についてお答えをいたします。
 確かに国鉄の病院は大幅な赤字をいま出しておりまして、昨年度でおよそ二百四十四億円の赤字になっております。私どもの方といたしましては、これは鉄道病院開設以来非常に長い歴史を持っておりますが、ごく最近においてこういう現象が出てきておりまして、一般の鉄道病院以外の民間の病院が非常に普及をし、かつ高水準の医療を提供できるようになったということによりまして、鉄道の職員、家族の鉄道病院を利用する人が大幅に減ってきたということによって、この赤字が生じているというふうに理解をしております。したがいまして、現在抜本的に、病院の統廃合を含めまして抜本策をつくり、鋭意その改良に努力を続けているところでございます。
 なお、先ほど御指摘の単価につきましては、昨年まで一点単価七円相当ということでやっておりましたが、この単価の問題、いろいろと研究せねばいかぬ面が多いのでございますが、とりあえず今年の二月に一円単価をアップいたしまして、八円にしてございます。
 以上でございます。
○小川説明員 お答えいたします。
 公社の病院の収支に関しましては、五十四年度のデータで百七十四億というマイナスを計上しております。このマイナスになっております。辺状況といいますのは、ただいま国鉄さんの方からお話しになったようなことと大体相似ていることかと思いますが、われわれといたしましても、この収支改善に鋭意努力して、いわゆる地域への利用を図るということで、保険医療機関への指定を受けるとか、その他増収施策並びに支出の削減施策等につきまして鋭意取り組んでおるところでございます。
○渡辺説明員 郵政省でございます。
 郵政省の逓信病院の昭和五十四年度の収支差額は百二億円でございます。こういうような形になった背景等につきましては、先ほど国鉄さんの方からお話があった状況と大体似ているわけでございますが、私どもこの改善につきましては、その重要性は十分認識しておりまして、収支改善のために昨年の四月一日から診療単価を八円から一円上げまして九円にしたところでございます。
 それから、地域医療に協力するという観点、それとまた利用者増を図るという観点から、都道府県知事というか県知事の保険医療機関としての指定を受けまして、いわゆる一般開放を進めているわけでございますが、昨年の十二月一日から広島逓信病院、ことしの二月一日から仙台の逓信病院でいわゆる一般開放を進めてきたわけであります。今後とも、地域の皆さんの御協力を得ながら、こういう形で一般開放を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。(和田(一)委員「簡単な御答弁をお願いします」と呼ぶ)
○越智(通)委員長代理 答弁を簡潔にお願いいたします。
○中園説明員 専売公社でございます。
 赤字の原因につきましては、ほかの病院と大同小異でございますので省略させていただきますが、専売公社は東京と京都と二つの病院を経営いたしております。
 何と申しましても、赤字の解消策は診療対象の拡大ということでございまして、まず一般開放が先決というふうに考えております。私ども専売公社は、八年前から地元医師会といろいろ折衝を重ねまして、一般開放に努めておりますが、まず京都病院につきましては、最近地元医師会との話し合いがつきまして、七月オープンというふうにこぎつけております。東京病院につきましては、二月十三日に医療保険の申請を出しておりますが、いまだ東京都から御返事をいただいておりません。私どもとしても、一日も早く指定の申請がおりるように期待しております。
 以上でございます。
○和田(一)委員 いろいろそれぞれの立場でのお話を伺いましたけれども、一般開放については、皆さんやはり積極的に取り組もうというお考えがあるように私伺ったのですが、大臣、こういった方向に対して、いろいろと地域で医師会が一般開放に対して余り賛成でないというような場合には、厚生省としてはどういうふうにこれを指導されますか。
○田中(明)政府委員 職域病院は、そもそもが当該職員の福利厚生施設として設けられたものでございますので、これを一般に開放することについて、厚生省としては一概に論ずることは適当でないと思っております。
 しかし、医療機関が不足している地域におきまして、関係者の円満な話し合いのもとに一般に開放されることは望ましいことでございますので、厚生省といたしましてもこれに協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○和田(一)委員 現実に、たとえば逓信病院、大変設備もりっぱだし、医療水準も非常に高いということを聞いておるわけです。ところが、やはりその周辺の一般庶民にとっては、ここは診てもらう場所ではない、こういうことで行けないわけですね。こういうことは、非常に周りの国民から見れば残念なわけですし、これは一日も早くそういった職域病院から一般に開放してもらいたい。まあ逓信病院の場合は、赤字は全体の中でカバーするのかもしれませんけれども、国鉄の鉄道病院というようなことになりますと、これは大変な赤字なんですよ。私は鉄道病院についてはもう少しお聞きしたいのですが、鉄道病院の方は保険の方の財政はどうなっているのですか。
○長野説明員 共済事務局の短期経理の状況でございますが、実は五十三年度におきまして二十五億の赤字、これは医療費の単価改定があったわけでございますが、二十五億円の赤字を計上いたしておりますが、そのために五十四年度におきまして、財源率を対俸給千分の八十四から千分の九十六、掛金率はその半分になるわけでございますが、に引き上げを行いまして、その結果、五十四年度におきましては六十四億円の黒字になっております。収入が八百八十一億、支出が八百十七億ということで六十四億円の黒字でございましたが、その後また医療費の増高によりまして黒字幅が縮小しておりまして、今年度は予算的にも二十六億円ほどの黒字しか見込めないというような状況に立ち至っております。
○和田(一)委員 そういうふうになりますと、やはり国民感情から言うと、一般には開放されていない病院で赤字が出ている、そうしてそれは主として単価が安い、さっきこの二月から八円にしたと、そういうことでございますけれども、八円であるということで、ベッドは年じゅうあいている。五〇%ぐらい、半分近くあいているのではないかということです。そういうような非常に効率の悪いことをやっていて、周辺の人にはあいているベッドも利用できない。そうしてそこで二百四十四億からの赤字が出ている。それが国鉄全体の中でカバーされているということは、結局国民の税金でこういう病院の赤字まで抱え込んでいる、こういうことになるわけなんで、これはやはり一般開放をして稼働率を高めて、そうして一般の人にも喜んでもらい、黒字にして少しでも国民の負担を少なくするというような努力がなければおかしいのであって、職場の健康管理のため、医療のためだけというような、こういう非常に閉鎖的な考えは私は早く改めていった方がいい、こう思うわけなんです。
 そういう一般開放への方向があるならば、やはり厚生省としてもそういう方向ができるような積極的な努力をしていくのが当然ではないか、こういうふうに思うわけなんです。これはやはり地域でいろいろな競合が出てきたときに、きちっとした指導があるかないか、これはやはり官庁の方も厚生省の姿勢をいろいろ見ているのではないかと思うのです。だからその辺を大臣がきちっとやるという方向でもここでお約束できれば、一般開放を皆さん望んでおるようだから、恐らくずいぶん違うのだろうと思うわけです。いかがでしょう。
○園田国務大臣 御承知のとおりに、各病院というのはその職域に従事する職員の福利施設としてできたものであります。その経緯及び治療費等のこともありますので、なかなかむずかしいと存じますけれども、しかしおっしゃるとおりに、特に地域で病床の足りないようなところは、一般地域の人から言えばぜひ開放してほしいということはよくわかるところでありますので、ひとつ適当な場所で各関係閣僚には一般開放していただくように御相談をいたします。
○和田(一)委員 各省庁の方は、むしろもう一般開放してもいい、このまま赤字を続けていくよりは、少しでもそれを解消する意味でも一般開放がいい、こう思っているわけなんですから、それにこたえて、いろいろ一般開放に障害があるようなときには厚生省が責任を持って推進すると、その辺の決意が伺いたいのですよ。
○園田国務大臣 これは御承知のとおり私の所管でございませんので、私が、一般開放いたしますというお約束をしたいところではございますが、できませんので、関係閣僚によく相談をいたします。
○和田(一)委員 ですから、さっき言ったように、皆さん一般開放の希望があるのですね。もう申請もしているとさっき報告してくださったところもあるわけなんです。だけれどもまだできない。そのできない理由の中に、地域のお医者さんとのいろいろな問題があったりする、その辺が大きな障害になっているということなのですから、そういう場合にはその指導的立場にある厚生省の方でそういう障害は取り除きましょう、そういう決意があればこれはずいぶん違う、私はこういうふうに見ているわけです。その点を大臣がどういうふうにお考えか。
○園田国務大臣 いまの御発言の方針で努力をいたします。
○和田(一)委員 そうして少なくも赤字解消をしていただきたいのですが、それでもだめな場合には、いつまでも抱え込んでいないで、やはりこういうものはむしろ民業に移管するというか、これを売却してしまったらどうか、私はこういうふうにすら考えるわけです。これは大変一等地のいいところに相当りっぱな資産として持っている病院等もあるわけなので相当のものじゃないかと思うのですけれども、こういうことについて、いま行政改革がしきりに言われておるだけに真剣に考えていただかないといかぬな、こう思うわけなのです。
 ちょっと行管庁の方にお尋ねしたいのですが、国立医療機関の業務運営に関しての調査をもうされていると聞いておりますけれども、こういうことと関連して、行管庁の立場からこうした病院の実態がどういうふうにつかめていて、どういうふうにお考えか、お伺いしたいわけです。
○宮地説明員 御説明申し上げます。
 三公社四現業等いわゆる職域病院の病院経理が赤字であるという実態を踏まえまして、行政管理庁におきましては、こういった病院の経営の合理化、効率化ということをねらいといたしまして、本年の一月から三月にかけまして職域病院を含む国立医療機関全般につきまして調査をしているところでございます。現在、私どもの行政管理庁の出先でございます管区行政監察局及び地方行政監察局を動員いたしまして実地に調査いたしました結果が上がってまいりまして、取りまとめに入ったところでございますので、まだその結果についてはこれから分析をするというところでございます。
○和田(一)委員 国民の目から見ますと、大変なそういう赤字でなく、こういうものからも行政改革の実を上げてほしい、こう考えるのも当然だと思うのです。
 それともう一つ、やはりそれがすぐできるできないは別にして、私はちょっとこれだけは聞いておきたいのですけれども、一般開放ができなくても、医療機関であることには間違いないのだから、目の前で何かあったときには、やはり積極的に民間の職域外の医療にも協力するのがあたりまえじゃないかと私は思うのですね。救急医療体制に対してこうした病院が全然協力していないような感じがするのです。
 これはひとつ伺いたいのですけれども、中央鉄道病院というのが新宿にあるのですが、去年ですか、そのすぐそばでバスが放火事件で燃えてしまって、たくさんの被害者が出て四名の方が亡くなったわけです。そのときに目の前にあったこの中央鉄道病院に一体何人めんどうを見てもらったか、お伺いしたいのです。
○松田説明員 鉄道病院は緊急の場合に御協力をする体制をとっております。しかし、あの件につきましては私どもの方へその御連絡がなかったということで、近くにありましたけれどもそのまま患者の方が私どものところに運び込まれるということはなかったわけであります。その後罹災された方が一人私どもの方に入院をいたしまして、現在お預かりしておりますし、全く別の件でございますが、今月に入りましてからもう三人ほどそういう緊急の場合にお入りになったということでございます。ただ、保険医療機関の指定をまだ受けてございませんものですから、御利用しにくい面がそこにあるということでございます。
○和田(一)委員 ですから、先ほど言ったように、やはり一般開放をして、要するに保険の適用でさらにその救急体制の中でも協力していただく、これが私は官公庁につながる病院として当然の姿勢ではないか、こういうふうに思うわけなので、ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。救急医療体制というのを見ますと、いまのお話では、来なかった、来れば診たというようなお答えのようですけれども、これは救急医療体制というのも消防庁の方でやっておるわけですね。そして同時に厚生省もこういうものに対しては気を配っているわけなのです。そういうところが連れていこうという気をまず起こさないわけですよ、似たような同じ仲間の病院で。その仲間がそういう近くにあっても連れていこうという気を起こさない。ここにやはりこういう医療体制に対する片ちんばなところがあるのではないか、そういうふうな感じを強く持つわけなのです。これが官側ではない民間から見ていると、いかにも一つの特殊なものでやっているという印象をどうしても持つので、こういうことは早く改めていただきたい。むしろ積極的にそういう救急医療なんかの体制の中でも組み込んでやっていく、こういうことが必要ではないか、こういうふうに感ずるわけです。
 これに関連しまして一つだけお伺いしたいのは、救急医療体制を整備したいというお考えでございますが、これの実態はいまどんなふうになっていますか、各府県単位ですか、計画をされているようですが。
○田中(明)政府委員 救急医療体制につきましては、最も緊急を要する医療体策といたしまして、昭和五十二年度から年次計画をもって体制の整備を進めているところでございまして、昭和五十六年度を年次計画の最終年度として考えておるわけでございます。救急医療体制にはいわゆる初期医療、第二次の医療、第三次の救急医療体制というものと、さらに広域の救急医療情報システムというのが必要でございまして、現在一次、二次、三次につきましては相当程度整備が進捗しておりまして、五十六年度中に、一〇〇%とはもちろんまいりませんが、九〇%ぐらいの計画の実現をいたしたいということで努力しております。ただ、医療情報システムの整備だけが若干システムの開発がおくれたこともございまして、まだ半数以上の県がこれを実施いたしていないというような状態になっております。
○和田(一)委員 ぜひこれは急いで整備をしていただきたい。御要望しておきます。
 それから、いまちょっと大臣いらっしゃらないようですけれども、国民の所得の中でいま医療費というのはどのくらい占めておるのでしょうか。
○大和田政府委員 十二兆九千億ということでございます。おおむね十三兆を占めております。
○和田(一)委員 国民的な感覚から言うと、一世帯でもいいし、一人でも結構でございますけれども、収入のどれぐらい医療費というものを考えておったらいいのか、あるいは実際に負担をしているのか、それが一〇%なのかそれ以下なのか、見当を教えていただきたいのです。
○大和田政府委員 医療費として一人当たり十万円という負担ということになるわけでございます。
○和田(一)委員 最近国民の医療費の負担がだんだん大きくなってきている、こういう感じなんです。これは確かにそういう傾向にあるようなんですが、そういう中で、この医療費が非常に地域によって違っているような感じがするのですね。それからまた、医療機関によってもずいぶん違うのじゃないか。国民としては、何かあったときにはそういうことも考えて、最善の、一番いい医療行為を受けたい。しかし同時に、そういう負担がどんどんふえていくのではたまらないわけなんで、まず地域的あるいは医療機関などによってこういう違いが生じているというのをどういうふうにお考えでしょうか。
○大和田政府委員 先生おっしゃいますように、地域的にもよく西高東低などと言われたりしております。大阪と東京と比べますと大阪の方が相当高いといったようなことがあるわけでございまして、そういった地域格差というものがなぜ起こっているのかという問題につきまして、実は私どももいろいろと研究しているわけでございますけれども、正鵠を得た結論というのはなかなか出ない。たとえば、地域における老人の被保険者が多いとか、その他いろいろな指標というものは出ておるわけでございますが、まだなかなかこれはという的確なお答えができないわけでございます。
 また、医療機関におきましても、おっしゃいますように、医療機関におけるたとえば一件当たり点数がどれくらいか、かなりばらつきもある。かなり点数の高いところもありますし、低いところもあるといったようなことでございます。これにつきましては、もちろんはなはだしく高いところにつきましては、私どもこれは不当な医療費の請求ではないかということで、指導監査の対象とするわけでございますけれども、ただ、しからばどれ以上が不当のものであるか、なかなかむずかしいという点がございますが、この点につきましては、私どもこれから十分監視していかなければならぬというふうに考えておるところでございます。
○和田(一)委員 確かに地域的には西高東低という傾向、これは本当に不思議だなと思うのですけれども、医療機関によっても大分違うのじゃないか。傾向としては、いわゆる国立の病院も含めて普通の病院と大学の付属病院とでの違いというのが非常に目立つような気がするのですね。これはどういうふうに御理解なさっていますか。
○大和田政府委員 よく高額医療費につきまして、たとえば健保連あたりから発表されておりますデータがございますけれども、たとえば月の医療費一レセプト当たり何百万というようなものが出ております中に、付属病院の請求というものが多く出ておる。これを見ますと、本当に生きるか死ぬかといったような者に対しまして最高の医療をしているといったようなものが高いというケースが多いわけでありまして、たとえば医大の付属病院などにおきましてはかなり高度の医療が行われているといったようなことが高い結果になっているということが言えるわけでございます。そういったようなことでありますけれども、それ以外にそういった格差があるかどうかについては、なおまた私ども把握しておりません。いまのところは、そういったようなことで理解をしているわけであります。
○和田(一)委員 なかなか断定的な原因というのはわからないかもしれませんけれども、地域においてもはっきり違いがあり、医療機関においても違いがある。何かがそこにあるのだと思うのです。私は、一つには診療の自由裁量というか、診療する側でどうにもなる部分が非常に多い、これが一つの傾向として差をつくってきているのじゃないかという気がするのですね。実はそういうことが、先ほどもちょっとお触れになっておられたのですけれども、不当な診療、過当と言う方がいいのですか、過剰な、必要以上の診療行為になっている。しかし、それが過剰であるかどうかその裁量はお医者さんにあるわけなんで、ここから先は必要なかったという線を引くことはなかなかむずかしいのかもしれません。しかし、それが余りにもはっきりしている場合には、これは何かでチェックしていかなければいかぬのじゃないかと思うのですね。そういう点で明らかに行き過ぎであるというような場合にはこれは当然どこかでチェックされるわけですけれども、裁量の幅というのはあるのかないのか、ちょっとお聞かせいただきたいのです。
○大和田政府委員 裁量の幅というのはなかなかむずかしいと私思います。ただ、これはすでに五十四年の一月に私ども保険局長通知で都道府県知事に出しているわけでございますが、医学常識から極端に外れた診療であってはならない。そういったものにつきましてはいわゆる不当な診療として指導監査の対象にするということで私どもはやってまいるという姿勢を示しておるわけでございまして、先般も大変高額な検査等を行っております病院につきまして、これは不当な診療であるという裁判所の判決も出ておるとごろでございまして、私どもは、そういったところからただいま先生のおっしゃいましたようなことにつきましてアプローチをしてまいりたいというふうに強く考えているところでございます。
○和田(一)委員 大臣も三月十九日の社労で、常識的に見ておかしい場合は指導しなければならないという答弁をされているのですね。常識的というのは医療の常識だろうと思うのですが、線が指導に値する線を越えたかどうかという常識的な範囲がどこかにないと、常識的に見ておかしい場合という言葉は生きてこないのですよ。それがあるのかないのか、その辺全然野放しになっているような感じがしてしようがないのですが、いかがですか。
○大和田政府委員 一律にどうというとなかなかむずかしいと思います。先ほど申しましたように高額医療というようなこともありますし、いろいろな疾病に対してどう治療するか、一律に線を引くことはむずかしいのでありますが、支払基金におきまして、御承知のように医療費の審査をしておるお医者さんの審査員、専任審査員等もおりまして、これが医学的常識から見て妥当であるかどうか、そういった一つの医学常識というものに沿って審査をしておるわけでございます。こういったところから適正な医療というものを確保してまいりたいと、さらに私どもは考えておるわけであります。
○和田(一)委員 チェックする審査の機関というものの構成が支払い側と医療側、それから学者、有識者、そういう申立的な人、そういう三者、四者で構成されているにしても、実際にやれるのはお医者さんなんですね。見ておると全部お医者さんです。ですから、お医者さんでないとそういうチェックはできないのかもしれないけれども、そこでチェックをされるというのは、これはもう大変な異常な状態でないと私はチェックにならないのじゃないかと思うのです。たとえば頭が痛い、かぜで行った。ところが二日間通院させられた。その二日間何をやったかというと、ここに私一つあるのですけれども、点数で六千点か、とにかく金額にしたら、二日間の通院で投薬してもらって、注射してもらって、検査してもらって六十何万という請求が出ているのです。こういうのは目につくのじゃないかと思うのです。こういうのだけを言うのかどうか。こういうのなら、これは医者でなくたって変だと思いますよ。たった二日間通って、そして静脈注射八回やったとか、それから検査、頭が痛いと言って行ったのに血液検査をやって、検査三万六千七百一点というのですね。それからそのほかの検査で一万一千三百七十九点。これは症病名というのは薬剤アレルギー、過喫煙症候群、たばこの吸い過ぎですね。それから糖代謝異常、肝障害目まい症、免疫異常といった、要するにたばこの吸い過ぎと何か酒の飲み過ぎだったのかもしれない。それで二日間でこれはよくなったのでしょうけれども、こういうのに対して全部で六万二千四百三十三点、こういうのならわかりますよ、素人が見たって変だというのは。私はこういうのでなくて、もっと基本的なところに何かあるのじゃないかと思うのです。さっき大臣は、良識と良心とそういうものが一番大事だとおっしゃったけれども、確かにそういう感じが強いのです。これが国民のやはり医療に対する信頼をかちとる上では一番大事な点じゃないかと思うのです。
 これはあるお医者さんの団体の偉い人のインタビューの記事なんです。載っていたのは、これは日経メディカルというこの方面ではわりと権威のある雑誌のようですけれども、その中でこの審査が「昔は、無茶苦茶審査減点が厳しかったので、それに抵抗し活動し、ようやく制限診療をやめさせ、」「全国的にそれが緩んできた。」云々と、そしてさらに「京都や大阪のように制限診療がなくなってきたものの、大勢として、おこぼれ頂戴したところはいまだに一件当たりの点数は低い。」点数を上げようじゃないか、こういうことをおっしゃっている。ここに記事があるのですが、上げて、自由裁量なんだから、そしてその幅ははっきり役所の方もどこからどこまでとは言い切れない。いまの制度から言えば、上げようと思えば上げられるし、上げたらばよほどでないとこれは大丈夫だ、こういうようなシステムのような気がしてしようがないのです。それが私最初に申し上げたように、昔はお医者さんというのは仁術であり、大変な信頼と尊敬を得ていた。いまでも大部分の先生方はそうだと私は思いますよ。しかし、中に一部医療行為を企業のように考えておるそういう人たちのために日本の医療全体の信頼が失われているというのは私は非常に残念なので、そういうものだけでもやはり厳正に正す方法はないのか。これをぜひやっていただかないといかぬと思うのです。このまま放置していたら、これはもう本当に日本の医療は国民の信頼がなくなっちゃうのじゃないかと思うのです。私は、その点をこうするから皆さん安心してお医者さんにかかってください、ぐあいが悪いときには行きなさいよと言えるようなそういう指導というか、そういうことを国民にはっきりしていくのが私はお役所の一番大事な使命じゃないかと思うのです。非常に抽象的な言い方になりましたけれども、そういった気持ちが非常に強いわけなので、ぜひそれを大臣にやっていただきたいと思います。
 時間がなくなってきてしまいましたので、簡単に一つ、最後御答弁願いたいのですけれども、かつて二月の予算の質問で、同僚の中野寛成代議士からお聞きしたのですけれども、ベビーホテルの実態についていろいろ御質問しまして、それを踏まえていま全国一斉に指示をしていただいてこの実態調査をやっていただいているわけなんですが、厚生省の方から都道府県に指示されているのには、これは期限切っていついつまでに調査せいというふうな指導をされているのかどうか、いつごろこの調査が完了するか、それが一つと、実態はどんなぐあいかをお聞きしたいと思うのです。
○金田(一)政府委員 ただいまお尋ねのベビーホテルの一斉点検でございますが、私どもが各県にお願いいたしましたのは、ことしの三月七日から二週間程度でお願いしたいということで各県に調査依頼をしたわけでございます。
 この一斉点検でございますが、ベビーホテルの安全衛生面に重点を置きまして、避難路や防火設備の設置、避難訓練の実施状況、採光、換気、衛生状況、児童の処遇等十項目にわたって行ったわけでございます。この結果につきましては、ただいまのところ実は大都市を抱えております府県では来週あたり私どもの方へ調査結果が届くという連絡が参っております。したがいまして、ただいまのところはそのうちの一部でございますが、もし御要望ございましたら概略御説明してもよろしいかと存じます。
○越智(通)委員長代理 時間が来ておりますので……。
○和田(一)委員 それはぜひひとつ、また後でお教えいただきたいと思いますが、それでは最後に一言だけ。
 前回その実態を大臣も認識されて、これは大変緊急な課題として取り組む、こうおっしゃっていただきまして、それも法制化の方向でこの問題は緊急課題として取り組む、こういうような御答弁だったのですが、調査を待ってこれを法制化される御予定でしょうか、その見通しについてお聞きして、終わります。
○金田(一)政府委員 ベビーホテルを含みます無認可の児童福祉施設につきましては、児童福祉法工事業の停止または施設の閉鎖を命ずることができることになっているわけでございますけれども、しかし立ち入り調査権限等が現に法定されておりません。そのため、問題としては、規制を行うには不十分でございますので、法律の整備をただいま私どもも検討いたしているところでございます。しかし一方におきまして、法律改正につきましては現在各党におかれましても検討あるいは協議等が行われているというふうに承っておりますので、私ども何らかの形で規定の整備が行われるものと期待いたしているわけでございます。
○和田(一)委員 終わります。
○越智(通)委員長代理 次に、辻第一君。
○辻(第)委員 私は、国立病院と国立療養所の問題について質問をいたしたいと思います。
 まず、国立療養所並びに国立病院の職員の数をお聞かせいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 昭和五十六年度の国立病院並びに国立療養所の職員数を申し上げます。
 国立病院二万三千四百六十人、国立療養所二万六千三百九十六人、そのほか国立らい療養所の職員が二千九百人おりまして、合計で五万二千七百五十六人となっております。
 このほかに看護体制の強化等で措置された賃金職員が相当数ございまして、国立病院が千三百八十八人、国立療養所が四千四百二十九人、国立らい療養所が八百四十四人、合計六千六百六十一人となっております。
○辻(第)委員 いまおっしゃられた賃金職員というのは、定員見合い賃金職員というのと一緒ですか。まずそのことと、それからこの賃金職員というのはいわゆる定員の職員の方と同じ仕事を恒常的にやっておられる方、私は大体大まかにおいでそういうことだと理解しておるわけですが、いかがでしょう。
○田中(明)政府委員 賃金職員の中にはいわゆる定員見合いの者とそうではない者がございますが、前者の数が相当多くなっております。したがいまして、先生御指摘のように、正規の職員と同じように恒常的な仕事をしている賃金職員の数が相当多数に上っております。
○辻(第)委員 そういうふうに定員職員と同じような恒常的な仕事をなさっている方が賃金職員ということで、身分は昭和三十六年閣議決定があったのですね。「定員外職員の常勤化の防止について」、このような閣議決定に基づいて、身分は非常勤職員、任用で言えば日々雇用、勤続は年度を越えない、こういうような立場の職員であるということになっているわけですね。そして、その勤続は年度を越えないということで、毎年三月三十一日か四月一日に一日だけ任用中断ということでその日はやめられるわけです。そしてまたもう一度翌日採用される。こういう扱いになっておるのですね。この常勤職員と同じような仕事をしている人が、本来定員であるべき人が総定員法などの枠づけの中でこういう不当な低賃金や劣悪な労働条件の中におられる、しかも任用中断という、これも本当にひどい話であると私は思うわけでありますが、そういう状態におられること。
 この任用中断で言えば、もし三月三十一日あるいは四月一日でもいいですが、この六千五百人の方が本当に仕事をやめてしまえば、国立病院や療養所の機能は非常な障害を受ける、私はそう思うのですよ。国民の命や健康を守っていく重要な仕事をしていらっしゃる厚生省の直轄しておる病院や療養所の中で、こういう医療軽視やあるいは労働者をこういう状態に追い込むということは私は許せない、こういうふうに思うのですが、その点についての御見解をひとつ厚生大臣にお伺いをしたいと思います。
○園田国務大臣 お答えをいたします。
 いろいろ問題がありまして大臣としては頭を痛めるところでありますが、一番苦しいのはいまの問題でございます。
 賃金職員の方は、御指摘のとおりに恒久職員と同じ、場所によってはそれ以上の仕事をやっていらっしゃる、かつまた、そういう定員と財源に縛られながら、追い込まれたとは言いながら、これは全く無理な話でございます。その中にあって強く不当は訴えられますけれども、自分たちが患者の命を預かっておるということの一点で一生懸命にやっておられて休まれることをしない。今度の週休二日制でもこれは実施できないのですが、それでも自分たちは仕事はやる、命だけは守る、こう言われれば言われるだけ私としては頭痛を通り越して心を苦しめている問題で、しかもこれは御承知のとおりに数年ずっと続いて同じことを訴えられてきておるわけであります。私は、これに対して逐次定員をふやすとかなんとか考えますが、これは微々たる問題でありまして、現実としてはなかなかはかどらない。そこで何とかの方法でやりくりをしてでも、あるいは何か名目さえつけばこういう方々に対する何らかの、対応といったら言葉は悪うございますが、このお気持ちに報いるだけのことでもできないか、具体的に頼むから検討してくれ、こういうのが正直に言った実情でございます。
○辻(第)委員 大臣がそのような御努力をいただいたということもよく存じております。これはやはり本質は、いろいろと知恵をというようなことで解決しない、やはり総定員法の枠を外さない限り根本的には解決しないということであろうと私は思うのです。
 それと、朝からいろいろ言われておるわけでありますが、医療が荒廃し、医療に対する国民の信頼が失われてきておる、このような状態の中で本当に信頼をされるような医療に取り戻していくためには、無論、医師や医療機関の関係者、医療に従事する者が本当に真剣にやらなくちゃならないと思いますけれども、行政上の責任は厚生大臣にあると思うのですね。その厚生大臣が直轄してやっておられる病院や診療所の中にこういうような労働者の軽視や医療の軽視、人命の軽視ですね、任用中断なんということは、私はどんなことがあっても許されない問題だ、こういうふうに思うのですね。そういう点もありますので、私はどうしてもこれは本当に御決断をいただいて御努力をいただきたい。定員法を撤廃するというわけにはなかなかいかぬでしょうけれども、さしあたってこのような国立病院や国立療養所では総定員法の枠を外してやっていただける、その道はないものか、そのような御決意はないのかどうかお尋ねしたいと思います。
○園田国務大臣 当面は、不当であって申しわけないという気持ちで、何かないかということを速やかに検討してもらっておるわけでありますが、これは橋本龍太郎君が厚生大臣をやっているときから彼の持論と私の持論は同じでありまして、やはり賃金職員それから私の所管する国立病院の職員というのがきわめて手不足でございます。これは定員外の特別枠として、おっしゃるようにする以外には道はない。ほかに方法はございません。そういうことで何とか努力をしてみたいと考えております。
○辻(第)委員 どうかぜひ御努力をいただきたい。
 いまもおっしゃいましたように、私はこの問題で次へ移るわけでありますが、国立病院や国立療養所というのは大変人手不足であるということですね。私もせんだって奈良の国立病院やあるいは松籟荘という精神療養所にお邪魔をしていろいろお話を聞いたのですが、やはり深刻な状態でございます。そのことは五十四年に「国立病院、療養所における第五次定員削減に関する要望書」というのが全国国立病院長協議会だとかあるいは国立療養所所長連盟だとか、全国国立病院副院長会だとか、全国国立療養所副所長医務課長会だとかあるいは全国国立病院療養所事務長会あるいは全国国立病院療養所総看護婦長協議会、国立病院療養所薬剤科長協議会、厚生省放射線技師会、厚生省臨床検査技師協会、国立病院療養所栄養士協議会、こういうような国立関係のかなりの団体から第五次定員削減をやめよということで出ているのは御存じでしょうか。それから五十三年の、これも厚生省から出されているものだと思うのですが、医療施設調査及び病院報告、これを見てみましても、国立病院や国立療養所の職員の数が非常に少ないですね。その点はお認めになるのでしょうか。どうでしょうか。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおり、医療施設調査の結果を見ましても、厚生省が所管いたします国立病院、療養所の定員といいますか、入院患者百人当たりの職員数というのは他の開設者のものに比べて少なくなっておるわけでございます。
○辻(第)委員 いまお認めになりましたように、非常に職員が少ない。そんなに少ない職員で、国立病院や国立療養所だけが特別の手だてで合理化をしてうまくやっていけるはずがないのですね。きょうも大臣いろいろおっしゃったようですけれども、医療というのは、医療を受けられる側と医療を供給する側との信頼関係というのでしょうか、人間と人間の本当の結びつきがなければそれはやれないものだと私は思うのですね。それがこんなに少ない人員ですと、とんでもない、本当にまともなことがやれる状態ではないと思います。
 そういう状態をさらに述べさせていただきたいと思うのですが、そういう意味で、まず総定員法を撤廃をしていただく、その次には、それができないなれば、先ほども申しましたように、国立病院や療養所、国立関係の人手の少ないところはその枠を撤廃をして増員をしていただく、それから第五次の定員削減もやめていただく、このことを強く要望するわけでございますが、その点についてお答えをいただきたいと思うのです。
○園田国務大臣 総定員法の枠を外すことは現実としては困難だと思います。
 そこで医療従事者の問題は、その総定員の枠外に何とか特別枠を設けてもらいたいということが、わずかではあるが可能性のある問題であると思いますので、そういう点も考えております。
 なお、現場の事情をよく知っておりまして、先ほどの賃金職員については、現場の病院長は全部残らず賃金職員の言い分はもっともであるという、これに署名捺印をして私のところに届いております。
○辻(第)委員 それで、次に看護婦さんの問題にかわっていきたいと思うのですが、医療の本当に中心的な働きをしておられるのがやはり看護婦さんであるというふうに私は思うわけであります。
 これまで看護婦さんが全国的に不足だというようなことの中で、私なんかもいろいろ苦労してきた経験があるわけであります。
 国立も夜勤を複数、月八日以内、いわゆる二・八制ですね、これに規制するために大幅な増員をしていただきたい、こういうふうに要望するわけでございます。そのためには厚生省は、五十六年度中に国立病院は一〇〇%、療養所は七五%を目標にやってこられたというふうに聞いているわけですが、そうでしょうか。
○田中(明)政府委員 先生がいまお述べになりましたような目標でやってまいったわけでございますが、最近の国家公務員の定員事情の厳しさによりまして、なかなか予定どおりには参らないような情勢になってまいっております。
○辻(第)委員 現在の状況をもう少し具体的にお答えいただけませんか。
○田中(明)政府委員 五十六年度の見込みといたしまして、国立病院におきましては二人夜勤の割合が七八%ぐらい、国立療養所につきましては結核あるいは筋ジス等の施設を合わせまして六四%ぐらいになるように推定いたしております。
○辻(第)委員 まだ目標にはかなり差があるというふうに思うわけです。
 国立奈良病院では大病棟あるのですが、そのうち三病棟は一人準夜勤、深夜は二人夜勤になっているようです。大病棟のうち三病棟は一人準夜勤ですね。たとえば三階の病棟で現在整形外科が中心のところは定床四十九床のうち四十七人の入院患者がある。そのうち担送者十名。担送者というのは排泄、体位変換、洗髪、清拭、こういうような全介助を要する人ですね。それから護送者、車いす、松葉づえ等を利用し自分で一定の行動はできるが生活面での介助が必要、こういう方が十八名。四十七人の入院のうちでこのように二十八名の人が担送者あるいは護送者という状態ですね。現在一人準夜であるわけでありますが、一人ですと、本当に重い人が出ればその方にかかり切らなくちゃなりませんね。そうするとあとの四十六人はもう本当に目が届かぬですね。せいぜいあと二人ぐらいのところへちょっちょっと行っても、それからあとは本当に手が届かない、こういうことになりますね。それから、そんなことがなくても、四十七人の人に一人で準夜をやっていくなどというようなことはまともなことができるはずがないですね。ですから、このようになりますと患者さんが協力し合って、自分の隣の人がちょっとぐあいが悪くなったら看護婦さんを探しに行って、重い病棟のところにかかりきりならそこへ探しに行ってやるというようなことも起こってくるわけですね。こういう状態はどうしても本当に即刻増員をしていただいて、解決するために一層の御努力をいただきたい、こういうふうにお願いをするわけでございます。
 それからもう一つ、松籟荘では精神療養所の病棟が四棟、それから重心が二病棟あるというように聞いておるわけでありますが、この精神療養所に当たる四病棟は深夜は一人なんですね。ところが、もともと結核療養所だったわけでありますから、それが精神療養所にかわった、当時は二人以上の夜勤体制というのは全国的にまだほとんどなかったような時代だったので、結核から精神にかわるということで看護婦さんも不安があった、そのあたりから生み出されてきた体制のようですが、それが現在まで続いているのですね。これは朝の八時半に出勤をいたします。日勤が五時に終わります。それから五時から晩の九時半まで準夜をやるわけですね。それから九時半から五時まで仮眠をする。そして五時からまた九時まで勤務をする。九時半から五時までの仮眠を含めますと二十四時間になるわけですね。この仮眠は、私は現場を見せてもらったのですが、看護婦さんの詰め所のもうすぐ隣のところで、廊下を改造したようなところで、どちらかと言えば倉庫のような物をいっぱい置いてあるところにベッドがあってそこに休んでおられる。実際は起こされることは月に一回か二回だけれども、一人ではいろいろな事態が起こったときに不安で十分な処置ができないのですぐ隣のところで仮眠をして待機してもらっているようなかっこうになる。しかし、実際問題として起こされるというのは月に一回か二回。それから少々のことでは同僚というのはそんなに起こさぬでおこうということで済ませてしまいますから、現実はそういうこんなんですが、しかし、そういうところでは本当の仮眠で十分寝られないですね。ですから二十四時間の仕事というのは非常に疲れるわけですね。もちろん健康上にもよくありませんし、精神上にもよくありませんし、いろいろな矛盾が起こってくるわけですね。こういう体制というのは、人手が足りないから、そして二人にできないからやむを得ず考え出されて、しかも現在まで続けられてきておる。そこの管理者の方も大変御苦労されているというふうに思うのですが、こういう不当なひどい体制というのは一日も早く改善をしていただく、そのためには人員をふやしていただく以外にないと思うのですね。そのような御努力をぜひ早急にやっていただきたい、こういうふうに考えるわけでありますが、さきの国立奈良病院の状態、それからこの松籟荘の状態について御見解をいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 国立病院、療養所の職員数が他の病院に比べまして少ないという実態がございまして、私、医務局長として就任いたしましてからも、この問題は何とか解決して、職員の方が異常な勤務状態から脱却し、患者さんに対していいサービスができるような人員の確保をいたしたいということで努力を続けてまいっておるわけでございますが、御案内のように国の定員事情等非常に厳しいところでございまして、毎年相当数の増員はいただいているわけでございますが、一方におきましては医療の高度化等がございまして必要数の増というようなこともございまして、なかなかこうありたいというような状態に達しないわけでございますが、今後とも定員の増には引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○辻(第)委員 いま私は主に二・八体制を何とか早く達成していただきたいという言い方でお話をしておったわけでありますけれども、二・八が完成したからそれて十分だというようなものじゃとてもないですね。看護婦さんの仕事というのは、本当に温かい愛情といいましょうか、深い理解といいましょうか、そうものの上に成り立って、患者さんの悩みや訴えを十分聞く、そしてそれを少しでもやわらげる、また、患者さんが何としても生き抜いていくそのような力を与えていく、そういう一番大事な役割りのところにおられる人であるわけですね。しかも勤務の状態が、今日の日本ではごく一部の人を除いてはそれぞれお仕事が大変な状態だと思います。しかし、看護婦さんの仕事というのは私は特に大変な仕事だと思うのですね。さらに、結婚して子供でもできれば、準夜だとか深夜だとか――準夜というのは夜中の十二時に仕事を終わって帰るのですね。深夜というのは夜中の十二時に行って職場に入るわけです。こんなものは、もし女房がそういう仕事をすると言ったらぼくはやめとけと言うだろうと思うのです。そんなことを言うと怒られますけれども、家族も含めて肉体的にも精神的にも健康上も生活上も本当に大変な仕事であります。こういう仕事が、いまの状態では、薬を飲ませて熱をはかったり、脈を診たり、薬を飲んでもらったり、検査を受けてもらったりというような、そういうところで済まされてしまって、本当に看護婦さんにしてもらわなければならない患者さんが心から望んでいるところまでとても行き届いていないというのが現状であります。そういう点も含めて、本当にもっと看護婦さんをふやすための御努力をぜひいただきたい。それから、国立病院だけではないのですね。まだまだ日本の医療機関というのは看護婦さんが非常に足りないということでございますので、厚生大臣、大変きょうはお疲れだと思いますけれども、どうか看護婦さんを国立病院や療養所に増員するために一層の御努力をいただきたい。重ねて要望をする次第でございます。
 それから、医療監視というのがございますね。奈良の国立病院は、五十四年度ですか、このときの県の衛生部からの医療監視では、医師が三人足りない、それから薬剤師さんが二人足りないということでありまして、それが昨年は医師が二人足りない。薬剤師さんが三人足りない。医師の分は一人減ったわけでありますが、これは厚生省がやっておられる医療機関が、厚生省の指示のもとに県の衛生部がやっている医療監視で医師も薬剤師も少ないという指摘を受けた、こういうことなんですね。もう一カ所、松籟荘も調べてみたのですけれども、松籟荘もやはり医者が三人足りない。薬剤師も足りない。五十五年度ですが、こういう結果が出ておるわけであります。この点についてどのようにお考えなのか。
○田中(明)政府委員 国立奈良病院におきましては、先生御指摘のとおり、医師、薬剤師の定員が法令に定める基準を満たしていないという事実がございまして、松籟荘の方は、私ちょっといま数字を持ちませんが、恐らく先生御指摘のとおりではないかと考えております。このように国立病院、療養所の定員が法令に定める標準に達していないということはまことにお恥ずかしいことでございまして、今後そういうことのないように増員を図ってまいりたいというふうに考えております。
○辻(第)委員 ところが、この医師も薬剤師も足りないということは、私は無論、総定員法との関係で不足をしておるということだと思うのですが、しかし、ある反面、医療法もつくられた時点が非常に古いということなんですね。現実にマッチしていないという面がいろいろとある。ですから、非常にあいまいな、古い医療法で現在指導をされておるわけでありますが、その点あたりも、医療法というのを本当に現実にマッチした、納得できるものにちゃんとしていただきたいということもつけ加えておきたいと思います。
 それから、国立奈良病院にはリハビリセンターと言われているリハビリの施設があるわけであります。これはもう六、七年前にできたのでしょうか、当時は大きく新聞に載りまして、近畿でも一、二、の有数の施設というふうに載った施設であります。私も見せてもらいましたけれども、かなりの施設でございます。現在になりますともっとすばらしいのがあちこちにできていると思うのですが、その当時は相当なものだった。いまでも奈良県ではかなりのものなんですが、ところが理学療法士さんが不足をしておる。たしかこの四月一日から一人採用になったようですけれども、理学療法士さんその他の職員の方が十分そろわないということで、一〇〇%の能力を発揮できない。私の勘で申しますと、六〇%ぐらいの能力の仕事しかやってないのじゃないか、こういうふうに感じておるわけであります。そこで、人が足りませんので、本来は職員が指導すべきものを、古い患者さんが新しく来た患者さんに、これはこないしてつけるねんとか、これはこうやってやるねんとか言って教え合ってやっておられる、こういう現状も聞いておるのですね。こういうことが一つ。
 それから、これは十年ぐらい前ですか、救急医療センターというのが国立奈良病院につくられたのですね。これは一定の建物と一定の設備がされたということでありますが、現在はほとんど十分に使われていないのではないか。それはもう時代が変わってきたということもあります。そして、現在では二次輪番の当直制で、月二回国立奈良病院は受け持っておられるということです。奈良市内は十一カ所の病院が輪番制でやっておるというふうに聞いておるわけでありますが、国立奈良病院は奈良市で恐らく三番ぐらいに位置する大きい病院である。二百七、八十床ですけれども、それぐらいの病院で月二回輪番を受け持っていただいているわけでありますが、去年の一月から六月までの半年間の医療機関へ救急車で運ばれた患者さんの数というのが発表されているのですが、それを見てみますと、一段少なく、二十五だった。これは後で見ていただいたらと思うのですが、県立奈良病院というのは、これは最近非常に大きくなっているのですが、四百二十七人ですね。それから私的な医療機関である学園前診療所が百五十七件、岡谷病院百五十三件、それから吉田病院百十九件、松倉病院が百八十件、桜井病院が百六十八件、沢井病院が八十五件と、こういうふうに十一の病院が扱っておるようですが、大変少ないということですね。現在の医師や看護婦やその他の体制では無理もないと私は思うのですよ、その点は。このたった二日の輪番でも、医師や婦長さんは大変な御苦労をいただいているというふうに聞いております。基本的には、もっと十分な定員を配置して、病院が生き生きとやっていける、そして本当に国立として――国立というのは、こんなに私的な医療機関がいろいろな問題が出ますと、国立というものは物すごく信頼感があるんですよね。それと、やはり先ほど申しますように、国立として、本当に模範になるようなことをやっていただきたいと私は思うわけでありますが、そういう意味で、一層の人員増をやっていただきたい。それから、国立奈良病院の院長さんというのは脳外科の権威でもありまして、非常に意欲的な、積極的なお方でございます。こういう方でございますので、体制さえ十分つくっていただけば、私は、地域医療の上で、そして救急医療やあるいはリハビリやその他の点で本当に大きな役割りを果たしていただく、国民の命や健康を守る最前線で大きな仕事をやっていただけるところだ、このように思いますので、どうか一層御努力をいただきたい。このリハビリの問題あるいは救急の問題での御見解をお聞きしたいと思います。
○田中(明)政府委員 リハビリにつきましては、先生も御指摘のとおり、幸いにして四月に理学療法士を採用することができる予定でございますので、理学療法士の着任とともに機能訓練等の機能が十分に発揮できるように努力してまいりたいというふうに思っております。
 救急医療につきましては、私どもといたしましては国立奈良病院が救急医療を受け持つ病院として機能できるように整備を図ったわけでございますが、先生も御指摘のとおり、現在、当直医二人が当番日以外の救急医療を受けているわけですが、何分にも医師が二十人、看護婦が八十九人という定員で、地域の医療になかなか十分に対応し切れない面があるわけでございます。医師、看護婦等の増員に今後とも努力いたしてまいりたいというふうに存じております。
    〔越智(通)委員長代理退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○辻(第)委員 一番最初に申し上げました賃金職員の問題あるいは非常勤職員が非常にふえております。国立奈良病院では四十人以上、それから松籟荘では十八名、もう一カ所国立西奈良病院というのがあるわけですが、ここもかなりの方が賃金職員あるいは非常勤職員ということになっておるわけでございますが、賃金職員は定員化の方向へ、それから現在の医療というのは本当に組織的なチームワークでやっていかなくちゃならない側面がございますので、ぜひいまのような劣悪な労働条件の人をなくしていくという方向で御努力をいただきたい、こういうふうにお願いするわけでございます。
 もう一つ、国立奈良病院に保育所がございます。これは国立奈良病院そのものの保育所ではないようで、一定の補助をいただいて、二人の保母さんの賃金ですか月々のそのような補助のように聞いております、そして、もとの病院の非常に古い官舎を改造――とにかく改造までできてないですね、ちょっと素人細工をしたようなところで子供さんを預かっていらっしゃるということですね。厚生省は、保育所の問題がことにいまいろいろ問題になっていると思うのですが、先ほど来申しましたように、医療機関の職員、ことに看護婦さんというのは保育所が十分機能をしていないと安心して仕事ができませんね、どうしても夜間の保育や、二十四時間保育、こういう体制をぜひつくっていただくためにも、いまの事情はよくわかりますけれども、御努力をいただきたい。その点については、厚生大臣、この病院の本当に深刻な状態とも言える保育所について、それを改善するための御努力をいただきたいと思うわけでございますが、一言お願いをいたします。
○園田国務大臣 御発言の国立病院その他の職員、施設等について非常に深刻であることは私自身も承知をしておりますので、なかなか厳しい環境ではありますが、これを何とか改善する方向で努力をいたします。
○辻(第)委員 それでは最後に、いまの国立病院、療養所の人員や体制は国民の期待に本当に十分にこたえるような状態ではございません。何度も申し上げますけれども、国立でございます、厚生省が直轄でやっていただいておる病院や療養所というのが、あれは本当に国立だな、すばらしいんだなと言えるような、模範になるようなものにつくりかえる、そのような人員配置をぜひしていただいて、国民もそこに勤めている労働者も安心して医療がやれるし、医療が受けられるような体制をつくるために一層の御努力をいただくように心から要望いたしまして、私の質問を終わります。
○原田(昇)委員長代理 石原健太郎君。
○石原(健)委員 初めに、会計検査院の方にお尋ねをしたいのであります。
 この五十三年度の決算検査報告などを拝見いたしますとき、健康保険であるとか船員保険、そういったものの徴収額不足の指摘はなされておるようであります。また、雇用保険の失業給付金の支給の不適正なども指摘されておるのでありますけれども、健康保険等の支出については何の指摘もなされておりません。ところが、世間では一般に水増し請求であるとか架空請求といったような不正請求が大変まかり通っておるように聞いておるのでありますけれども、五十三年にはこういった不正な請求はなかったのか、あるいはまた、そうしたことは検査をされておらないのかをお聞きをしたいと思います。
○高橋会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 政府管掌健康保険あるいは国民健康保険にかかわる診療報酬の支払いの検査ということだろうと思いますが、この問題につきましては御承知のように非常にむずかしい問題がございます。一つは、会計検査院の権限といたしまして審査内容について当たる場合に、直接医療担当者、つまりお医者さんでございます、あるいは被保険者、これは患者さんでございますが、それらを検査する権限はございません。また、本院の検査権限の範囲内で支払基金あるいは国民健康保険の団体連合会から社会保険事務所等に返還されたレセプトによって診療内容をチェックするというようなことをやるにいたしましても、非常に高度の医学的な知識を必要とするものでございますし、かつ、この件数は非常に膨大なものでございまして、相当の人員が必要なわけでございます。しかし、本院におきましては、医師の資格を有する職員というのは皆無でございますし、また厚生省全体を検査しております担当官も二十数名ということで実際には非常にむずかしい問題でございますが、いままで全然やらなかったかとおっしゃれば、それはそうではございませんで、若干手をつけたことはございます。ただし、御期待に沿うようなことは、いまのような状況でございますので非常にむずかしい状況でございます。ただ、われわれといたしましても、この問題、会計検査院の権限あるいは能力の範囲内で何か有効な検査ができないかどうか、こういった点につきましては今後とも検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
○石原(健)委員 そうしますと、やっていなかったというふうに理解いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 近いうちに薬価基準が改定されるというふうにも聞いておりますが、薬価基準と実際取引されている価格とがずいぶん乖離しておりまして、二〇%引きあるいは三〇%引きの取引は普通であった、中には五十円で実際薬を買っていながら保険からは百円を支払いを受ける、そういった例もあったようでありますけれども、五十三年度においてこういう点に関しましては検査されたのかどうか。国立病院等も検査されるのでしょうから、そういった機会はあったかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○高橋会計検査院説明員 私ども、国立病院の薬品の購入価格等についてはもちろん検査をいたしております。しかしながら、薬価基準との関係につきましては、薬価基準そのものがどうであるかというようなことにつきましては、これは国民の健康保持、こういった広い観点から判断さるべきものでございますので、私どもといたしましては、この点は検査院のいわば検査に一般的にはなじまない問題である、かように考えております。
○石原(健)委員 検査院の方ではなじまないというふうにおっしゃいますと、やはりこれは厚生省の方で、五十三年度で十兆円、ことしあたりは十三兆円と言われるほどの巨額なものは、厳正、適正に運営されるように全責任を持ってがんばっていただかなくてはならないわけであります。そしてまた、この十三兆円の内訳の大半は、税金であるとか、先ほどお話に出ました深夜労働で働いている方たちが納付した保険金、あるいは農家の方が出かせぎして納めていられる保険金もあるかと思います。大変貴重な保険金であるわけでありますけれども、そういった十数兆に及ぶ保険料のうちの三〇%近くのものは薬品代に使われているというふうに聞いておるのでありますが、そういたしますと、十兆円の三割近くといいますと三兆円が薬品代であって、またその実際価格と薬価基準との格差は三割近くある。そうなりますと、一兆円というものが不必要に支払われておったわけであります。しかも、それだけ二割も三割も値引きをして売っていながら、製薬会社が上げている利益というものは大変膨大なものであるそうでありますけれども、厚生省では、保険薬を製造している薬品会社の利益はどのくらいというふうに把握しておられるでしょうか。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。
 全医薬品製造業で申し上げますと、これはまだ五十四年度が出ておりませんので五十三年度の数字になりますが、経常利益が五・〇でございます。そのうち私どもよく大手大手と呼んでおりますが、主要大手十二社の経常利益率を見ますと、五十三年度で一二・一%、五十四年度で一二・六%、このように相なっております。
○石原(健)委員 いまは利益率の御説明であったわけですけれども、私がお聞きしたところでは、主要大手十社で一千七百億円の利益を上げている。全部では、保険医薬品の製造メーカーは三百社ぐらいあるのですか、それ以上になるわけですね。そのうちの十社で千七百億の利益。まあ薬価基準の決め方そのものがおかしいとも思えるわけであります。園田厚生大臣は児童手当の存続に大分熱意を持っておられるようでありますけれども、いつも孤立しているというようなこともおっしゃっていますが、私なんかの知る範囲では、あしたの米に困る人は今日はいないかと思いますけれども一週間先の子供の給食費をどうしようかと悩むお母さんは相当いらっしゃる、こう考えるのであります。そうした点から、私はぜひ児童手当のようなものは存続していただきたい、こう考えておりますけれども、五十三年度でその児童手当に使ったのは、この十社で上げた千七百億の半分にも満たないと百七十億円で済んでいるわけであります。なぜこういった膨大な利益を厚生省では製薬会社に許しているのか、不思議でならないのでありますけれども、この辺の御説明をいただきたいと思います。
○山崎(圭)政府委員 あるいは適切なお答えになるかどうか自信がありませんが、製薬メーカーそれ自身のあり方というものは、言うまでもなくいまの自由経済社会の中にありましては、製薬企業というものは国民の衛生にとって必要な医薬品を製造し、それを提供することにある、かように私どもは考えておるわけでございまして、その間には当然、たとえば新薬の開発というようなものには非常に大きな負担と危険を伴いながらも、国民の衛生の向上のために新薬の開発に取り組んでいる、こういうことが一面で言えるわけでございますし、あるいはまたその新薬開発に伴う負担なり何なりを、その投資を維持していく、こういう必要性も一方で認めなければならないと思います。そのようなこともありまして、わが国の製薬企業だけが高い利益率を維持しているとも言えないわけでありまして、先進諸外国におきましても一般的に製薬企業は利益率が他産業に比べて高い、かように言われておるわけであります。と申しますのも、非常に付加価値の高い産業でありますし、知識集約型産業のいわば一つの典型産業であろう、かように考えておるわけであります。そのことと、保険経済上におけるあり方というものは、これはまた別の問題として私どもは認識し理解しておるところでございます。
○石原(健)委員 各国とも利益率は高いとおっしゃいましたけれども、日本の自動車産業の売り上げ利益率でさえ五%にすぎないのですね。それが、製薬会社は売り上げに対して一二・一%の、自動車の倍の利益を上げておるわけでありまして、どう考えても私は納得いきません。
 それで、先ほど人事の天下りのお話などありましたが、ことしも厚生省から五、六人の方が製薬会社に転職をされる。過去毎年数名ずつの方が製薬会社に再就職されておるわけであります。私は、薬事に関する法律とか行政に詳しい方が、そういった能力を生かすために製薬会社に再就職される、あるいは薬理に詳しい方が研究所に再就職される、そういうことは社会にとっても貢献する面も大いにあると思うのでありますけれども、世間一般の常識では、このような膨大な利益を許しているのは、やはり厚生省と製薬会社に人事的なつながりがあるからじゃないか、そういった誤解を持つ方もありまして、厚生省の権威とか信頼を大きく傷つけている面もあると考えるのです。そういったことがあるからこそ、そういった弊害を取り除くためにこそ、厚生省はここで毅然として、薬価のあり方そのものの見直し等を含めて、今回基準が改定された後にも相変わらず製薬会社がこうした大きな利益を上げるのであれば、来年はまたぜひもう一度見直していただきたい、こう約束していただきたいのですけれども、厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 児童手当についての御理解あるお言葉をいただいて感謝をいたしております。
 薬のメーカーの方へ厚生省から転職をしておられる方が確かにおられます。これはいま御注意のとおりに、一般の役所と違ってメーカーに対する利権というのは厚生省にないわけでありますけれども、いい面は活用されるが癒着などということで薬価の決定とか収載とかに悪い影響を与えないように十分注意をしなければならぬと考えております。
 薬価の改定の問題については、三年半もほうってあったところに今日の問題があるわけでありますから、今後は当然、いまおっしゃいましたとおり、一年に一回は必ず薬価の改定は行うという原則は実行しなければ、いまのような非常な無理が出てくると考えておりますので、これについては御発言のとおり、かたい決意でその実行をやるよう考えております。
○石原(健)委員 それからまた、診療報酬、医療費の改定の諮問書をきのう中医協の方に出されたようでありますけれども、いままでの国会の審議等を通じまして大臣、局長はいつも、現在の出来高払い制度の欠陥が噴出して医療の荒廃をもたらした、これからは予防とか保健を重視し、またお医者さんの技術を重視する方向で考えていかなければならない、在宅ケアのようなことも大切にしていきたい、そういった御趣旨のことを述べておられたわけでありますけれども、今度のこの医療費の改定に当たりましては、そういった御趣旨が盛られていく、こう理解していてよろしいものでしょうか。
    〔原田(昇)委員長代理退席、越智(通)委員長代理着席〕
○大和田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、医療費につきまして効率化、適正化、そういったものを図っていくということは、確かに一番大きな課題であるというふうに考えるわけでございます。それで、そういったようなことの推進をいたしますために、やはり診療報酬の面におきましても技術料の適正評価であるとか、あるいは物と技術の分離といったようなものを行いまして、やはり適正な診療報酬体系というものを確立していくような方向で私どもは努力をしていかなければならないというふうにかたく考えておるところでございます。
○石原(健)委員 それじゃ、そのような趣旨が盛り込まれるものと信じまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○越智(通)委員長代理 次回は、来る二十日月曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四分散会