第096回国会 地方行政委員会 第13号
昭和五十七年四月十六日(金曜日)
    午前九時三十七分開議
 出席委員
   委員長 中山 利生君
   理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君
   理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松本 幸男君
   理事 大橋 敏雄君 理事 青山  丘君
      池田  淳君    臼井日出男君
      小澤  潔君    片岡 清一君
      北川 石松君    左藤  恵君
      塩谷 一夫君    竹中 修一君
      地崎宇三郎君    中村 弘海君
      五十嵐広三君    小川 省吾君
      加藤 万吉君    細谷 治嘉君
      武田 一夫君    部谷 孝之君
      岩佐 恵美君    三谷 秀治君
      田島  衞君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本ホテル協
        会会長)    大谷 米一君
        参  考  人
        (国際観光旅館
        連盟会長)   福田  彰君
        参  考  人
        (ホテル・ニュー
        ジャパン取締役
        社長)     横井 英樹君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 消防に関する件(ホテル・旅館の防災施設、体
 制等に関する問題)
     ――――◇―――――
○中山委員長 これより会議を開きます。
 消防に関する件について調査を進めます。
 本日は、特にホテル・旅館の防災施設、体制等に関する問題について、参考人から意見を聴取することにいたしております。
 本日御出席を願っております参考人の方々は、日本ホテル協会会長大谷米一君、国際観光旅館連盟会長福田彰君及びホテル・ニュージャパン取締役社長横井英樹君の各位であります。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本件につきまして忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。
 なお、議事の順序は、初めに参考人の方々から御意見を十分程度お述べいただき、次に委員諸君からの質疑に対して御答弁をお願いしたいと存じます。
 それでは、まず、大谷参考人にお願いいたします。
○大谷参考人 私は、日本ホテル協会会長の大谷でございます。
 このたびは、私どもの会員ホテルであるホテル・ニュージャパンにおきまして重大なる事故が発生いたしましたことは、まことに遺憾なことだと存じます。おわび申し上げます。
 当協会は、明治三十九年以来七十六年の歴史を持っておりますが、古いことはわかりませんが、私の知っている限り、今回のような火災による死傷者を出したことは、いまだかつてございません。会員一同はこれを誇りといたし、心を合わせて防災対策に努力してまいりましたところでありますが、このような意味におきまして、今回の事故はまことに痛恨にたえないところでございます。この上は、二度と再びこのような事故を起こさないよう、全会員決意を新たにして防災対策に一層努力を傾注する所存でございます。よろしくお願いいたします。
 次に、私どもの協会の概要について申し上げます。
 私どもの協会は、運輸大臣から認可された社団法人でございます。会員数は三百四十でありますが、私どもの場合は、加入するのは会社単位でなく、個々のホテル単位になっております。したがって、会員数は三百四十でありますが、会社の数で言いますと二百九十くらいでございます。会員ホテルは、いずれも国際観光ホテル整備法による政府登録ホテルばかりでございます。
 次に、私どもの協会の防災対策の取り組み方について申し上げます。
 何分にも、今回会員ホテルから重大な事故が発生いたしましたので、大きなことは申し上げられませんが、防災対策につきましては、これまでも積極的に取り組んでまいったつもりでございます。消防、建設両省には絶えず緊密な連絡をとっていただき、全面的な御指導を受けるとともに、その御趣旨に沿って会員ホテルを指導してまいったのでございます。法改正の都度解説書をつくったり、お役所からの通達類を全会員に流して周知徹底を図るなど、極力努力してまいったのであります。
 しかし、私どもにできますのはこのような一般的指導でございまして、個々のホテルの具体的な指導につきましては、ホテルによっては規模、構造が違う上、私どもには専門的知識も強制権もございませんので、これらはもっぱら所轄の消防署とか特定行政庁にお願いすることにいたしております。
 なお、今回の事故発生後の措置といたしましては、急遽会長名で会員ホテル全員に対し、二度と再びこのような事故を起こさぬよう、施設と訓練の両面にわたって防災対策の強化を呼びかけていくとともに、防災対策専門委員会を設置して、防災マニュアルの作成に取りかかっておりまして、それら防災対策の徹底を期しておるつもりでございます。
 次に、マル適マークについて申し上げます。
 今回の事故以来、マル適マークに対する利用者の関心が非常に高まってきております。会員ホテルも従来に増して真剣に取り組んでおります。マル適マークにつきましては、地方によってはまだ交付されてないところもございますので、確かな数字はわかりませんが、当協会の会員ホテルにつきましては、大部分のものがマル適マークをもらっている現状であります。また、近々もらえるものも多々あります。
 しかしながら、ホテルのごく少数のものは、まだマル適をもらってないのが現状でございます。これらマル適マークをもらえないものにつきましては、関係御当局の御指導を得て、できるだけ早い時期にマル適をもらうよう努力してまいりたいと思っております。
 つきましては、マル適マークについて三点ほど陳情申し上げます。
 その一点は、複合建物についてであります。ホテルが建物の一部を借りて営業している場合、ホテルが自分のところの防火体制をいかに完璧にしても他の部分が完璧でない場合に、マル適マークをもらえない事例が出てきております。建物のオーナーがホテルであれば当然手を打ちますが、オーナーが別な場合は幾ら頼んでもなかなか応じてもらえないのが現状でございます。こういう気の毒な事例に対しては何らかの救済措置を講じられるよう、お願いを申し上げる次第でございます。
 第二点は、二階建てのホテルについてでございます。都市ホテルには二階建てはございませんが、リゾートホテルになりますと二階建てのホテルがございます。二階建てのホテルは、御承知のようにマル適マークの対象外でございますが、利用者からの問い合わせに対しては、幾らこの点を説明してもなかなかわかってもらえないのが現状でございます。マル適マークがないことの言いわけのようにとられてしまいます。そこで、こういった二階建てホテルにつきましても、基準に適合しているホテルにつきましてはマル適マークを交付されるよう、格段の御高配をお願いいたします。
 第三点は、マル適マークをとるべく現在努力中のホテルの融資についてでございます。マル適マークをとるために大工事を要し、多額の資金を必要とするものもありますので、これらのホテルに対しましては、国及び地方の公共団体の必要資金のあっせんその他について、格別の御高配をお願いする次第でございます。
 以上をもちまして、私のごあいさつにかえます。ありがとうございました。
○中山委員長 ありがとうございました。
 次に、福田参考人にお願いいたします。
○福田参考人 御指名をいただきました社団法人国際観光旅館連盟会長の福田彰でございます。
 過去において旅館火災が数回ございまして、皆様に大変御迷惑をかけた事例もございますけれども、この席をおかりして深くおわび申し上げたいと思います。
 私、きょうは旅館の代表ということでお伺いしたわけでございますが、御承知のように全国には八万軒以上の旅館と言われるものがございます。もちろん、この中には簡易宿泊所あるいはペンション、民宿等の宿泊設備も含まれておりますが、私どもで把握しております旅館としては、全国三万六千軒余りでございます。
 この中で特に運輸省の指導下にあります日観連、日本観光旅館連盟、それから私どもの関係しております国際観光旅館連盟、これは同じ運輸省の管轄ということで、防災関係等につきましても、日ごろ共同の委員会あるいは合同の委員会を開催する等、いろいろと過去に事故もございましたので、その対応には共同でやってまいっておりますが、これから三つの団体、つまり三万六千軒を対象とした団体を主体とした防災対策を真剣に考えていきたいというふうな方向で現在動いております。
 先ほどお話の出ましたマル適対象の旅館は、推定でございますが全国で八千軒ほどございます。私どもの日観連といいますか運輸省管轄にございます軒数は五千八百軒ほどでございます。
 私ども旅館としましては、まず安全と快適を売ることが最大の目的でございまして、過去にも事故がございましたので、常々そういった折をつかまえて、消防関係の整備あるいは施設の点検あるいは誘導等の問題については従来ともやってまいっております。
 私ども、過去においてそういった委員会等を通じて、現在まである程度の成果をおさめた結果がございますので御報告申し上げますと、まず第一が、保険会社とタイアップをいたしまして旅館の賠償責任制度というものを確立をいたしました。昭和四十年、四十一年ごろには、まだこの賠償責任制度というものがございませんでしたが、事故を契機として私どもでその基本をつくりまして、現在多少様子は変わっておりますけれども、当時の基本的な考え方が現在まで参っておりまして、これが団体加入の一つの条件というふうなことにまで成長をしております。
 それから二番目が、夜間における避難対策の一つの考え方として、日本乾電池工業会と協力いたしまして、皆様すでに御承知の柱などにかけて取り外しのできる懐中電灯がございますが、あれなどもできた結果を見ますと大変簡単でございますが、当初はああいうものもなかなか考えつかなかったということでございます。あれを開発をいたしまして、現在ではほとんど全国的に普及をしておるという状況でございます。
 また、スプリンクラー等の問題が起きましたときに防火区画ということ、これは直接の問題ではございませんけれども、建築構造上の防火認識というものを会員の皆さんに非常に深く印象づけたということでございます。
 また、国観連、日観連、全旅連、この三つの団体が一体となりまして、避難経路の案内だとか寝たばこの禁止というようなものについてのポスターあるいはステッカーなどを作成して、過去に四回ほど全国的に配布をしてございます。
 また、事故が起きましたとき、どうしても連絡がとりにくいというような問題がございましたので、各支部ごとに連絡体制を作成いたしまして、最終的には運輸省にまで直通するという組織づくりをしてまいりました。
 ただ、現実の問題として感ぜられましたことは、こういった事故が起きましたときに、電話局がパンクをして全部通信不可能になるというケースもございますので、この点も今後の問題として一応御検討いただきたい、こう思うわけでございます。
 いずれにしましても、私ども団体としては、各会員に対してそういった意味でのPRをしておるのでございますが、最終的には経営者の自覚による自主点検ということが主体でございまして、これについては運輸省から特に厳しく毎年八月と暮れに向かう十一月下旬ないし十二月の上旬に防災上の各項目についての点検を求めておるのでございますけれども、この回答は必ずしも一〇〇%ではございません。
 また、私どもの会員では、五年に一回、全体の設備を含め経営状況その他を含めて再調査を行っております。そのときには、加入の際にも厳密な防災上の調書をつくって、それに合格するかどうかということで加入を認めるわけでございますが、それと同じような方法で再検討をしてまいっております。五年に一回ということは、会員数が多うございますので、一度にはできないということもございまして、全会員を五等分して五年に一回ずつ見て回るということでございます。
 今後の対策としまして、旅館全体、先ほど申し上げました三団体が一体となって旅館の防災対策委員会を結成いたしまして、すでに会合を持ちまして今後の指導方向について検討をしてまいりました。
 それはまず第一が、従来は各支部ごとでございましたけれども、各県ごとに安全対策委員会あるいは防災委員会等を設置して、地方の防災組織を確立したいということが一つございます。
 それから、先ほど大谷会長からもお話がございましたけれども、自主点検のマニュアル、これを実行できるマニュアルをつくって、各会員に実施してもらう。
 それからもう一つは、非常にお客様のモラルの問題がございますので、このためのPRをどうするか。ポスター、ステッカー等は従来もやっておりましたけれども、これからは防火意識を深める意味を含めて、とりあえずは安全標語のようなものを公募してみたらどうだろうか。すでに業界紙に対して公募する方法をお願いしてございます。こういった点でこれを早急に実行してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
 過去、数十回にわたって防災関係の検討委員会をやってまいったわけでございますが、その総括的な結論としましては、まず、施設の面については、地元の消防その他の関係機関で十分チェックをしていただける面がございますけれども、ソフトの面における自主管理という点が手薄になっていることがどうしても事故の一番大きな要因ではなかろうかということで、この点をどうしていくかということでございます。これらに主力を注いで今後の指導をしていきたい。
 それから第二番目が、過去の旅館の火災、今回のニュージャパンでもそうでございますけれども、旅客の失火という場面が大変多うございます。したがって、この旅客に対するモラルの向上というものをどうすべきか。これは、単にわれわれ一業者としてはなかなかむずかしい問題がございますので、この点についての強力なる御指導をお願いしたい、このように思っております。過去の旅館における火災の実態を調べましても、旅館だけの責任による失火というのは半数以下でございまして、何らかの外的な理由だということでございます。
 それから三つ目が、火災の場合に起きる人災の一番大きな原因は煙でございます。炎で焼け死ぬというケースよりも煙によって窒息あるいは身体不随になるというケースの方が多うございますので、これから特に内装材についての防炎性の研究を強力に進めていただきたい、こんなふうに思います。
 また、大変問題が多うございますけれども、設備投資についての融資については、すでに政府関係金融機関の特別融資の窓口は開かれておりますけれども、御承知のように第一次オイルショック以降低成長の中にあって、業界としては大変苦しい経営を続けておりますが、その中にあって規制が非常に多くなっております。御承知のように、汚水防止法で設備を自分のところでしなければならぬ、あるいは消防法が数回にわたって改正になったことに対する対応もしなければならないというようなことで、過去五十四年までに一応の特別融資をお図りいただいたわけでございますが、こういった実例、やるつもりでいてもなかなかできないという現状を見ていただいて、何とか低利、長期の金融措置を講じていただければ大変ありがたい。
 また、岐阜県、石川県、京都府、奈良県、岩手県などでは、すでに低額の場合には無担保で防災資金を貸す。これは地方で行っておるようでございますが、そのほか東京都、群馬県、栃木県、神奈川県、静岡県、長野県あるいは山口県といったようなところでは五%ないし六%の低利で、しかも山口県のような場合には、市町村の財政事情によってさらにその上一ないし一・五%の利子補給をするというような方向も打ち出されておりますが、これが各県に行われますようにひとつ御配慮をお願いしたい、こんなふうに思っております。
 次に、これはかねてから問題になっておったのでございますが、火災保険料の問題でございます。
 これは日本損保協会で一応の基準ができておりまして、その基準に適合した場合には火災保険料が大幅に低額に割引を受けるわけでございますが、消防署の確認といいますか、いまで言うならばマル適をいただいても保険料の割引がいただけない、つまり、消防規定よりも損保協会の規定の方がはるかに高度であるという、この矛盾をひとつ今後の研究課題としてぜひお力をおかりして、これは特に大蔵省とも関係ございましょうと思いますので、ぜひこの点もよろしくお願い申し上げたいと思います。
 マル適問題については、すでに大谷会長からもお話がございました。ただ、私として申し上げたいのは、マル適は百点満点の百点である。しからば、不適は六十点以下かということになりますと必ずしもそうではないので、九十点でも八十五点でも不適だということは営業上の問題に大変大きな影響を及ぼすことでございまして、二階以下の問題については申告をすればマル適をもらえるというふうに消防庁でも通達を出していただく方向で検討していただいておりますが、そうでなく、いろいろな面でもう一歩でマル適がもらえないというものが営業上においてはまず不適と、公表に準ずるような扱いを受けるということについての方法を今後の問題として御検討願いたい、こう思います。
 最後に、私、団体をリードする立場として会員に申し上げておることでございますけれども、御承知のように旅館という宿泊施設は世界各国どこにもございません。この国固有の宿泊施設でございまして、世界情勢の非常に緊迫した中に、こういうものこそ私は大事に育てていきたい、また、それを育てるだけの自覚を持っていただきたいということを申し上げておるわけでございますが、こういった面も十分御認識をいただいて何らかの御指導をいただくようにお願い申し上げまして、私の御報告を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
○中山委員長 速記をちょっととめておいてください。
    〔速記中止〕
○中山委員長 速記を始めてください。
 次に、横井参考人にお願いいたします。
○横井参考人 横井英樹でございます。
 初めに、このお席をおかりいたしまして皆様におわびを申し上げます。
 去る二月八日未明、私どもの経営いたしておりますホテル・ニュージャパンにおきまして、あのような大事が発生し、三十三名ものお客様方のとうといとうといお命が失われ、また、多くの方々に多大な御迷惑をおかけいたしてしまいました。まことに申しわけありません。亡くなられました方々や御遺族の皆様方に対し、またおけがをなされた方々、貴重な財産及びお店、事務所、アパートなどの御使用ができなくなった方々に対しまして、深く深くおわびを申し上げます。ここに事業を経営する者といたしましては、まことに無念、残念でなりません。
 私どもがニュージャパンの経営に当たりましたのは、昭和五十四年六月からでございまして、約二年余りでございます。当時、ホテルの親会社であり、藤山愛一郎先生の率いる藤山コンツェルンの総本山でもある大日本製糖株式会社は、構造不況と長い間の業績悪化で、約二百数十億円余りの債務超過を解消することができず、実に七十年の長きにわたりわが国産業界に君臨いたしておりました歴史のある大会社でありましたが、ついに経営悪化と長い間の無配当の株式のため、東京証券取引所第一部上場廃止という惨状を呈するに至りました。
 このため、各取引先、債権者、一般株主等々に対する甚大なる損害を防ぐとともに、同会社の回復を図るべく、大日本製糖株式会社の二十年来の大株主でございました私が、大日本製糖社長藤山覚一郎さん及び三菱商事株式会社の懇請により、やむを得ずホテル・ニュージャパンを引き受けた次第でございます。
 しかしながら、私どもが経営を引き継いだ後、麹町消防署を窓口として数々の御指導をいただいてまいりました。このときニュージャパンは、資本金七億二千百万円、その五倍に相当いたします実に三十数億円もの累積赤字を抱えておりましたが、お客様の安全確保ということはホテル業にとりまして何よりも大事なことでありますから、何としてでも消防署の御指導に適合する防災設備を備えようと決意いたしました。
 そこで、早速政府機関でございます開発銀行等に強力にお願いいたしましたが、まことに残念ながら、私が社長に就任する三カ月前、すなわち昭和五十四年三月末、消防法の改正による新防災・防火設備の設置義務の五カ年間の猶予期間が経過してしまっておりました。その結果、日本開発銀行よりの防火工事のための特別融資を受けるという道が完全に閉ざされてしまい、ニュージャパンの営業成績、財務内容が余りにも悪いということで、一般の銀行その他の金融機関の融資も思うように任せず、悪戦苦闘の連続でございました。
 ホテル営業を続けながら、すべての設備を一度にやりますということは、資金、営業、工事期間等の面からとうてい不可能なことでありましたので、消防署の御指導を酌み、順次工事を進めさせていただきました。
 五十四年にスプリンクラー用の本管設置、四階、七階の隔壁工事、五十五年度、同スプリンクラー一部設置、一階及び二階、五十六年度、二階大宴会場の防火設備完備、二階西側廊下防災工事完備、これらの工事を終わりまして、本年に入りまして、消防署の御指導に沿って、防災工事のために業者との契約も完了し、この二月十日から地下一階にスプリンクラーを中心とした全面的な防災工事に着手する予定でございました。昨年の九月にいただきました消防署の御指導の意図を酌み、本年の九月までにはできる限りの防災工事をやり終える予定でありました。
 防災体制につきましては、日ごろより部下に対し、諸設備が完了するまでは、管理職諸君の努力と責任で補ってもらいたい、全力を挙げてお客様の安全に十分気を配り、いつでも対応できるよう訓練を積んでおくようにと指示しておりましたが、その点につきましては、なお不行き届きな面が多々ございまして、わが身の至らなさをしみじみ痛感いたしております。
 社長就任以来二年有余にわたり、防火・防災に対する私どもの思いと行動は以上のとおりでございますが、力及ばず、あのような大事の発生を見てしまい、まことに遺憾、痛恨のきわみでございます。
 御遺族の補償につきましては、本日までに全体の七割以上になっております。その内訳は、台湾の方々十二名全員、韓国の方々八名全員、日本の御遺族のうち約三分の一の方々との補償が終わっております。
 なお、御入院中の方々、現在御一名のみでございます。なお、おけがをなされました方々の補償は、御入院中のお一人様を除き、全部完了いたしております。
 テナントの方々及びアパート、事務所の御利用の方々のうち約半数以上の約五十四軒余りの方々と、補償金その他の件も解決いたしております。
 今後は、残る御遺族の皆様方及び被害をこうむられました方々との補償の問題に全力を傾け、私のでき得る限り、誠心誠意を持って速やかに解決してまいりたい所存でございます。このことが、せめてもの償いと存じております。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、御遺族の皆様方、被害者の方々に衷心よりおわびを申し上げます。
 これで終わらせていただきます。
○中山委員長 ありがとうございました。
 これにて参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
 なお、参考人各位に申し上げますが、答弁は簡潔にお願いいたします。
 染谷誠君。
○染谷委員 去る二月八日の早朝、東京都内の国際観光ホテルであるニュージャパンにおきまして火災が発生しまして、宿泊者の中から外国人を含めた多数の死傷者が出るという未曽有の大惨事になりましたことはまことに遺憾であります。
 本日は、お三方のおいでをいただきまして、今後のホテル火災の再発を防止するためにも御意見を伺いたい、かようなことでおいでをいただいたわけでありますが、早速おいでいただきましてありがとうございます。
 ただ、時間がございませんので、質問の予定を若干変更させていただきまして、ホテル・ニュージャパン社長である横井英樹君より質問をさせていただきたい、かように思っております。
 ただいま横井参考人からは、今回の災害はまことに残念であり、申しわけないというおわびの言葉がございました。しかも、その中において、消防庁の指導に適合すべく努力をしたけれども資金が不足であったとか、あるいはこういうふうなことから設備ができなかった、こういうふうな御発言があり、さらには一部設備の工事等につきましては工事中である、こういうようなお話があり、あわせて補償問題等につきましても全力を挙げて誠心誠意努力している、こういうお話があったわけであります。
 しかしながら、私ども考えますと、消防庁に適合すべく努力したことについて、資金難であったと言いますけれども、この資金の問題を調べてみますると、近くにあります都市センターホテルにおきましては、防災施設に約四億円をかけて工事をしておるという実例があります。また反面、横浜のシルクホテルにおきましては、スプリンクラーの設備を設置する資金がないので廃業したという一つの例もございます。
 伴って、資金難だからといって設置しないで、しかも多くの方々の人命を犠牲にするということは、経営者として絶対許されることではないのではないか、このように思うわけであります。さらに、前経営者である藤山さんのお話が出てまいりましたけれども、いずれにしても、新しい経営者として事業を引き受けた以上はその責任はある、かように考えます。
 そこで、今回の事件を振り返ってみますると、この大惨事というものは、スプリンクラー等消防施設が不備であったこと、あるいは避難誘導等が不適切であったことなどが大きな原因ではないか、かように思います。防火対策の設備面、さらに防火体制という人の面の両面にわたりまして、欠陥だらけであったと言うことができると思います。
 去る四月十三日、東京理科大学におきましてこれらについて実験をされたところの発表によりますと、これは十四日の朝日新聞でありますが、警視庁麹町署の捜査本部に鑑定を依頼された東京理科大学がこれを鑑定いたしております。その結果としては、たばこの火で燃え上がった炎で自動火災報知機が作動、さらに炎はスプリンクラーの水ですぐに消えることが確認された。そこで捜査本部としては、この実験によって、スプリンクラーが設置されていれば火災はぼやで消えたのではないか、そして犠牲者は出なかったのではないか、さらには、自動火災報知機の配管が外れていなかったならばごく初期のうちに火災が発見できたのではないか、こういうようなことが確認されまして、横井社長らホテル側の過失責任というものが裏づけられておるわけであります。
 また、防火体制という人の面におきましても、極端な人員の不足、自衛消防訓練の不足など、その体制不備は明白であります。
 ただいまのお話によりますと、今回の災害はまことに残念であるというお話がありましたが、少なくともホテル経営者と言えば、宿泊客の生命、身体、財産を預かる重大な責任があるわけであります。伴って、お客の安全を考えることは当然でありますが、これらの安全を考えないで、会社の方の経費節減というか経営合理化というか、こういう利益追求にのみ走った結果が今回の大惨事を引き起こした原因ではないか、このように思うわけであります。
 横井参考人はニュージャパンの社長であり、絶対的な最高権力者であります。経営は社長の意思のとおり行われており、会計も一万円以上の支出は社長の決裁が必要であったとのことでありますから、今回の大惨事は管理権原者であります社長みずからが招いたところの人災ではないか、かように私は申し上げたいと思います。
 さらに、この防火管理につきましては、消防法施行令第四条第一項によりますと、「防火管理者は、防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。」と規定しております。伴って、防火管理者は設定されておりましても、現実には権原者である社長の任務、責務というものはまことに大きなものがあるわけであります。
 これらに対して、この防火管理者である総務部長の幡野某という者の談話を調べてみますと、二月十五日の東京新聞の夕刊でありますが「防火区画やスプリンクラーの改善について、横井社長に進言したが、横井社長は「考えておく」と返事をしたまま、放置していた。」このように言っておるわけであります。
 さらに、二月十六日のサンケイによりますと、「横井社長のワンマン経営は、ホテル経営のすみずみにまで及び、東京消防庁からの防火設備の改善命令の無視など人命無視の防火体制は、すべて同社長の判断で決められていたことがわかった」と報道されております。
 ホテル・ニュージャパンの火事につきましては、このように多くの問題があるわけでありますが、昭和五十六年九月十一日にスプリンクラーを設置すべく措置命令を受けた際におきましては、複数の幹部社員が設置すべきではないかという意見を述べたところが、社長は「(設置のための)金はない。やるまねごとをして引き延ばしておけ」と指示していたと、四月二日の朝日新聞は報道しております。事実だとすれば、まことに遺憾であります。このような態度で、設備の設置を放置したり消防訓練を実施しないとしたならば、宿泊客の安全を守らなければならないホテルの管理権原者として許されるものではないのではないか、このように思うわけであります。
 そこで、時間がありませんので質問に入りますが、一つに、防火設備の設置について、これらのいまの状況から見ますと故意に怠ったと思うのでありますが、この故意に怠った理由について御発言をいただきたい。
 さらに、避難訓練、防火訓練等、安全対策についても全く怠っておるわけでありますが、これらについての理由。
 さらに三つ目としては、夜間におきます自衛消防隊、すなわち夜間宿直者が、提出されました計画によりますと四十五人となっておりますが、火災当日はテナント関係八人、警備会社五人を含めて三十三人、従業員わずか二十名であった。このような手薄な状況の理由。
 さらにこの四番目として、いま補償の問題につきましては御意見がありましたが、いずれにしても欠陥ホテルであるということをつゆ知らずに宿泊して、煙の中で命を落とさなければならなかったという外国人を含む多くの被災者の心中、その苦しみ、無念さ、いかばかりであったかと思うわけであります。残された御遺族に対する償いについては誠心誠意努力をすると言いますけれども、いままでのホテル経営の経緯からいたしまして、いま一度御回答いただきたいと思います。
○横井参考人 人間の問題で、非常に人が減ったからという先生のお話でございますが、実は足りない人はそれぞれビルサービス会社及びガードマン、アルバイトその他を使いまして、減った方々の補充はそれで十分いたしてまいりました。
 いま先生がおっしゃったように、十分の設備ができていなかったのじゃないか、あるいはその他の件につきまして、いろいろ御意見がございました。実はその消防署等の御指導は、まず火の出るところのキッチン、たとえば地下のキッチン、二階、三階のキッチンをまず真っ先にやってもらいたい、その後は逐次、部屋の方は隔壁を将来やるようにという御指導がございまして、二月から地下の大キッチンの工事にかかっておりました。それが完了いたしますと、三階に約三カ所のキッチンがございますが、その方をやる、そういうような方法でやってまいってきたようなわけでございます。
 それから、さらに御遺族のことにつきましては、現在ホテル・ニュージャパンは、二階以上は全部使用禁止になっております。一階は、消防庁、捜査当局等の事務所がまだございまして、立入禁止になっておりますから、現在ほとんど利用しておりません。しかし、あらゆる努力をいたしまして、私どもの私財とか関係会社から借りてまいりまして、そして御遺族の約七割以上、それからあと、あそこにアパート、事務所あるいはその他テナントの方々のあれをやってまいりました。
 以上でございます。
○染谷委員 さらにお聞きしたいのですが、時間がありませんので省略します。
 いずれにしても、私はきょうここへ参りますときに、友達から、きょうは金魚さんとの対決ですか、こう言われた。何ですかと聞いたところが、煮ても焼いても食えないのが金魚というのだそうでありますが、いまの答弁を聞きましても全然核心には触れていない。また、後からの質問者において質問されると思うのでありますが、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと思いますし、さらに遺族の問題等につきましては、これはもう言葉どおり誠心誠意努力をいただかなければならない、このように思うわけでありまして、よろしくお願いしたいと思います。終わります。
○中山委員長 佐藤敬治君。
○佐藤(敬)委員 最初にお願いしておきます。時間が非常に足りないので、長たらしい御答弁じゃなくて、私の質問したことだけに直截明快に答えてください。
 横井さんに質問いたします。いまあなたは、こういう事件を起こしてまことに無念残念だ、こう言っております。しかし、あなたが起こした火災によって死んだ人はもっと無念残念なんです。いま聞いておりますと、あなたは白々しくも、私は全部一生懸命守ってやった、こう言っています。しかし、私どもが調べたところによりますと、あなたは全然やる意思がないと私どもは断定せざるを得ない。
 あなたはいま、開発銀行から断られたからやれなかったと言っている。しかし、金だけではないのです。幾ら設備をやっても、それを扱うところの訓練がしっかりしていないと何の役にも立たない。そうでしょう。ところが訓練をあなたはやりましたか。部分的なものをたった一遍しかやっていない。何もやっていないのです。
 しかも、やらないどころか、私はこの間某テレビの、あなたが従業員に訓示しているのを聞きました。その録音を聞きました。大変なことを言っている。従業員を全部あなたは赤だと思っている。赤は大嫌いだ、徹底的に赤狩りをやる、赤のやつは出てこい、ぶん殴ってやる、こういう発言を大きな声でやっている。さらに、裁判でも何でもやってやる、最高裁までいけば二十年もかかる、あるいは労働基準法を全部守って会社なんかやっていけるか、こういうような、私どもから聞くと暴言というようなことを大きな声で話しておるのです。
 いいですか。従業員というのは、ホテルにおいてはお客様に直接接触するところの一番大切な人たちなんです。しかも、今回のような事件があれば、火災があれば、従業員こそが、実際に客を避難させる最も重大な役目を担う人です。そういう人を、赤だとか、ぶん殴ってやるとか、出てこいとか、こういうようなことをやって、訓練も何もできるはずはないじゃないですか。
 訓練を何もやっていない、従業員を全然信頼していない、そういうことが、今度の事件が発生し、誘導もしなければ、水道の操作も知らなければ何もわからない、そうしていたずらに死ぬのを待っている、こういう大惨事につながったのであります。あなたが誠心誠意、消防から言われたことを全部やろうなどと言ったことは、真っ赤なうそであると私は断定せざるを得ない。
 さらに、スプリンクラーを一生懸命やった、あれもやったこれもやったと言っております。しかし、消防の調べによりますと、二階のスプリンクラーの大部分は、やったように見せかけておいて水道管につながっていない。スプリンクラーは水を出すものだ。水を出すスプリンクラーが水道につながっていないで、どうして役に立ちますか。それでもあなたは誠心誠意やる、残念無念だ、そう言うことができるのですか。所信を述べてください。
○横井参考人 いまの先生の件にお答えいたします。
 従業員のいまの問題でございますが、実は私が就任しまして間もなく、今後こういうような方法でやっていかなければならぬ、そのお話をしようと思いまして、約五十名の従業員の方々を集めましてお話をしようと思ったところが、いきなり鉢巻きをしてシュプレヒコールをした。団体交渉の場所にしろということで、約一時間以上、私の近くまで来て、マイクを持ってテーブルをたたき、この私の両耳のそばへ来てどなり上げて、そして大変な暴行を私に加えました。その当時のテーブルもございますからおわかりと思いますが、しかしそれで私もこれではとても勤まらないということで、警視庁に告訴いたしまして、刑事問題といたしまして、現在検察庁に送られております。
 そこで、私が、いま先生がおっしゃった、従業員に対してかなり厳しいことを申し上げましたのは、そういうような労働組合の幹部の方々が、そういうことを私にやってまいりましたために、つい私も、いま先生がおっしゃるようなことについて多少言葉が強過ぎたことをおわび申し上げます。しかし、決して私は、いま先生がおっしゃるように、従業員に給料を払って、それを信頼しないで、ホテル経営はできません。それはもうよくわかってやっております。
 それから、私は、開発銀行に参りましてもすでにだめでございましたけれども、何回も何回もやりまして、さらにだめだから、かくなる上は私どもの関係会社なり、あるいはその他銀行からお借りしましたものを転用いたしまして、私の力の及ぶ限りはやってまいりましたけれども、残念ながらああいう大事に至りましたことは、社長の私として本当に申しわけないと思っています。
 それからスプリンクラーの件でございますが、二階は私どもがやりましたが、これはちゃんとパイプに直結しております。一階の「サンタマリア」という家具屋があります。あれは近江絹糸さんの子会社で、あちら様がテナントでおやりになって、今後いま先生の御指摘の水道に直結する工事をやるという予定でございましたが、向こうの御都合で昨年お引っ越しになったものですから、そのままになって申しわけございません。
○佐藤(敬)委員 そのことは、後でもう一遍精密に調べてみましょう。
 あなたはいま従業員との間に、決してしんからそう思っているのではない、こう言っております。それでは、これから従業員との間に、この事後の処理について誠実にお互いに話し合っていく意思はございますか。イエスかノーで結構です。
○横井参考人 中労委からお話がございまして、その解雇いたしました、私に暴行を加えました委員長以下七人のことにつきまして、今後話をしていこうということを申し入れてございます。
○佐藤(敬)委員 それでは、中労委に回答書をあなたが出して、そして和解の勧告を受け入れて、中労委の仲介によって会社と組合との協議を行いたい、そういう申し入れをしているのですが、それに対してあなた自身が出て、お互いに誠意をぶつけ合って協議するという御意思がありますか。
○横井参考人 それはございます。そのために、中労委の方に私の名前で申し入れをいたしました。
○佐藤(敬)委員 あなたはさらに従業員の出向の問題でいま組合とトラブルを起こしておりますね。あなたが持っておられるところの伊豆の船原ホテル及びパシフィックホテル茅ケ崎、これに対して従業員四十三名を四月八日付で出向させようとしております。私はこの二つのホテルを調べてみました。ところが、二つとも大変な欠陥ホテルであることが判明し、さらに再三消防署から警告を受けていることがわかりました。
 この船原ホテルについては、あなたは週刊文春でこの間「こちらは絶対に大丈夫。ほれ、三階建てですから、万が一火が出たばあいは、下のプールに飛びこめば無事ですよ」というようなことを言ったと書いてある。この船原ホテルはいま、私どもが調べたところによりますと、防炎物品が全然使ってない。スプリンクラー設備が全館全然ない、さらに誘導灯も一つもない、こういうような欠陥ホテルであります。あなたは、下にプールがあるから火事があったら窓から飛び込め、こういうことをいやしくも経営者としてお客に向かって言うことができますか。あなたは誠心誠意、一生懸命お客のことを考えてやっているとさっき言いました。しかし、自分が設備をしないで、窓からプールに飛び込めというようなことを堂々と言うことは、それがあなたの誠意なんですか、どうです。
○横井参考人 お答えします。
 船原ホテルは、実はお客さんのほとんど半分以上がお年寄りの方が多うございますから、各階に万一に備えてお滑り台のようなものをつくって下の方におりていただくようにしたら一番楽だ。非常袋を使って外へ御避難になるということが、老人の方々おなれになっておりませんからなかなかむずかしいもので、そういう方法をいまやっております。だからその面につきまして、なお下にプールがあるということは私が冗談で言ったことが、それが本になりまして、あの週刊誌の記事も私の申し上げたのと少し違ったように書かれておりますが、しかし、いずれにいたしましても御老人の方が多いから、お滑り台のようなら滑っていかれる。三階建てでございますから、これが一番楽じゃないか。非常ばしごその他の使い方は非常にむずかしゅうございますから、それを現在やっております。
 それからパシフィックホテルにつきましては、部屋は四十四でございます。現在消防庁の御指導を得て、約二億五千万の予算で、四十四部屋及び廊下その他をいま工事に着工いたしております。
○佐藤(敬)委員 私はいまこれを申し述べたのは、あなたはニュージャパンについて誠心誠意一生懸命やったと言っているけれども、あなたの系列のこういう会社がやはり大変な欠陥のあれでもって、消防署も大変困っておる、こういう状況にあるのです。あなたが先ほどから、誠心誠意一生懸命何でもやっておると言うけれども、決して誠心誠意でないということを事実をもって私は証明しようとしたのですよ。ここのこういうような欠陥のホテルに、いまの従業員の約半分を出向させようとしておる。従業員がこれを拒否するのはあたりまえなんです。ニュージャパンであれほど大きな災害を受け、また同じような災害を受ける、それに行けと言っても行かれますか。この問題についても従業員とよく話し合って、早急に誠意ある解決方法を見つけるように、御意思はございませんか。
○横井参考人 それにつきましては、すでに一カ月ぐらい前から一部の従業員はパシフィックホテルの方に派遣いたしておりまして、大変好評でございます。それで、なお百五十人おります従業員は現在仕事も何もございません。掃除だけやっています。だから、どこかホテルに働きたいというような御希望がございまして、それでとりあえず四十五人だけ六カ月間、これからパシフィックホテルもそれから船原ホテルもシーズンになりますから、派遣しようかと思って申し上げたのでありますが、しかし本人たちがそこへ行くのは嫌だということでございましたら、それはなお相談いたしまして先生のおっしゃるようにやりたいと思います。
○佐藤(敬)委員 さらに、先ほどあなたはスプリンクラーについて、一部自分のところでないのがそういうようなことになったのだ、そのほかみんなやったのだ、こういうようなことを言っておりますけれども、いま私どもが調べたところで、東京消防庁の管内でスプリンクラーを設置してないところはホテル・ニュージャパンだけなんです。遡及適用分でやってないところはやりなさいと言って、やらなかったのはあなたのところだけなんですよ。あとは全部やっている。四十三なかった。ところが、この勧告を受けてから四十二が完了して、あなたのニュージャパンだけやってない。そうして、そこだけがこういう大惨事を引き起こしている。こういう面からも、あなたは誠心誠意やったと言うけれども、ほかの方こそ誠心誠意であるけれども、あなたは誠心誠意じゃないじゃないですか。どうです。
○横井参考人 お答えいたします。
 消防庁の御指導は、地下、一階、二階、三階までの特に火の出るところ、廊下回りをスプリンクラーで、その他は区画及び隔壁にするようにという御指導でございまして、その御指導にのっとりまして逐次やってまいりました。
○佐藤(敬)委員 逐次やってまいりましたのじゃなくて、同じように命令を出されて、四十三のうち四十二がすでにやっているのに、あなたのところだけやっていない。それが誠意というものかと、私はそう申し上げておるのです。
 時間がありませんから、次に移ります。
 あなたは、ホテル・ニュージャパンの火災による被災者の遺族等に対して、補償の確認を出しております。いまあなたの冒頭の陳述をお聞きしますと、一生懸命誠意を持って交渉している、こういうことを言っております。そして、その大半はもうすでに済んだ、七割が済んだ、こう言っておりますが、それは事実ですか。簡単に。
○横井参考人 先ほど冒頭に先生方に御説明申し上げたとおり、日本人の方々が約三分の一、台湾の方々十二名、それから韓国の方々八名、合計二十数名の方々の補償は全部終了いたしております。ただ、日本の御遺族のみは、しばらく発表を避けていただきたい、なぜなれば、遺族会がありまして、私どもが抜け駆けをしたというような指弾を受けるといけない、だからしばらく発表を避けていただきたい、こういうような御遺族の懇請もございますし、そういうことで御遺族の御要求のとおり、まだお名前その他を発表を避けているようなわけでございます。
○佐藤(敬)委員 あなたは私財をなげうって補償する、こういうふうに言明しておりますが、それは本当であるか。
 それからもう一つは、遺族会はかなり高額のというか、遺族にとっては当然のことですが、あなたがけちけちしていると、こういう感じを受けておるのですけれども、この遺族会に告訴されている問題については、あなたはどういう心境でありますか。
○横井参考人 私の力及ばずして告訴をされましたことは、まことに私の不徳のいたすところでございます。
 それから、先ほどの三分の一の日本の御遺族の方片からは、取り下げ書をちょうだいいたしております。中には、告訴に参加をなさらなかった方もあるように聞いております。
○佐藤(敬)委員 あなたも残念無念と言っておりますが、亡くなった人はますます残念無念なんです。あなたの残念無念と遺族の残念無念、これは質が違う。あなたの誠心誠意私財をなげうってまでもやるという、それを私どもは信じてよろしいのですね。
○横井参考人 はい。もうすでに箱根、それから持っております有価証券その他を投入いたしまして、あるいは関係会社から借りたり、あるいは関係会社の銀行借り入れを活用させていただいたり、そんな方向で今日まで約七割の御遺族の方々の補償を完了し、さらにそのほかにテナントの方々、従業員の方々の給料、現在ほとんど収入はゼロに等しいものでございます。それらは全部挙げて、私の私財及び私の関係会社から全部出しております。先生おっしゃったように、こんなことは金で解決できるものじゃない、御遺族の心情も本当に察するに余りがあると思います。だから私は、もし御遺族の中で相当若い、小さなお子さんがあれば、その方のことも考えてやらせていただいております。
○佐藤(敬)委員 時間がありませんので、締めくくりをいたしたいと思います。
 この前に川治プリンスの火事がありました。そのときの火事の最大の原因も、消防署から訓練、施設等においていろいろな指示を受けておったにもかかわらず、その経営のトップが全然それを無視してやらなかった、その間にああいうような大変な大惨事になったのです。今回のあなたのニュージャパンの惨事も、同じように訓練もやらなければ、消防の指示も聞かないで設備を整えない。あなたはいろいろなことを言っているけれども、それは言い逃れにすぎないと私は思う。やらなかったから、だからこそこういう大惨事が起きてきたのです。
 私はそういう意味で、この防災、災害を防ぐためには、もう経営のトップ、あなたのような社長が、これに対して一生懸命、誠心誠意取り組んでいかなければ、災害がなくならないと思う。そういう意味で、私は今回のニュージャパンの火災について、同じような業種の経営のトップがこの災害に対してもっと熱心になって、絶対に二度と再びどこでも起こさない、こういう他山の石として警告をいたしておきたいと思います。どうか、いまあなたが申されたようなことを誠心誠意遂行していただくことを強く求めて、終わります。
○中山委員長 大橋敏雄君。
○大橋委員 私は、横井さんが企業の経営者という立場で今日までいろいろと世間の方々から非難を受けたり、あるいは世評言われているわけですが、あなたのとってこられた営業方針がまず人命軽視だ、そして経営第一、こういう姿勢、また企業経営者の社会的責任の欠如、こういうところに由来しているように思えるのです。私は、あなたの責任意識を問いたい。
 それからもう一つは、防災設備の設置義務違反であったということをあなたはいつ承知していたか、これは非常に重要なことでございますので、この点についてまずお尋ねしていきたいと思います。
 実は五十七年、ことし四月六日、おたくのホテル・ニュージャパンで記者会見が行われておりますが、その記者会見に出席した記者の方から聞いた話ですけれども、その記者会見の席上であなたは、スプリンクラー等の設備の義務違反を犯していることを知ったのは五十六年の七月ごろでございましたと、このような発言をしたと聞いたわけでございますが、もしこれが事実ならば、私は訂正をしてもらわねばならぬと思うのです。なぜならば、そうでない、いわゆる経営者、社長の立場で知らなかったと言えない事実がたくさんあるからです。
 その一つは、まずあなたがホテル・ニュージャパンの社長になられたのが五十四年の五月でございます。それ以来東京消防庁から立ち入り検査が五回、それから指導書交付、この指導書というのは、スプリンクラー等が設備されていませんよ、早く設備なさいという指導書が二回、そしてついに五十六年九月十一日には改善命令、正確には措置命令といいますが、これが交付されております。あなたはこれでも、私は知りませんでしたで通されるのでしょうか、それとも正直にそういう設置義務違反をいつごろ知っていたということを明確に答えていただきたいと思います。――横井さん、あなた自身のことでしょうが。聞く必要はないじゃないですか。
○横井参考人 私が就任しましてから二年半の間に、何回ぐらいそういうことが来たかということを先生からおっしゃっていただいて、現在書類につきましては全部消防庁に押収されておりますから、その点について回数はわかりません。ただ、私が消防署長さんにお目にかかったのは、昨年の八月二十日でございます。それで、先ほど申し上げたようにそのときのお話は、とりあえずおたくは上の方に火が出るところはないから、まず地下の一番大きなキッチン、それから漸次二階、三階のキッチンのスプリンクラーの工事をやるように……
○大橋委員 結構です。私が聞いているのはそういうことじゃないのです。いつ知ったかと聞いているのです。
○横井参考人 それは昨年の八月二十日に消防庁の署長さんとお目にかかって、ぜひこういうような方法をやっていただきたいという御指導がございまして、そのとき聞きまして、早速ことしの九月までに全部やろうというようにお話をいたしました。
○大橋委員 それじゃまず、先ほど申し上げました五十六年七月ごろに知ったということは訂正なさいましたですね。(横井参考人「はい」と呼ぶ)そして、五十六年の八月二十日ごろだということでございますが、あなたが社長になられたのは五十四年五月ですね、ニュージャパンの社長になられたのは。それを確認したいと思います。
○横井参考人 五十四年五月二十八日と存じます。
○大橋委員 そこで、あなたは先ほど意見開陳をなさった中で、企業経営者というものはその社会的責任を負うものだ、こうおっしゃいましたですね。あなたは社長になられてから、自分の会社内で起こる事故とか事件とか、そういう一切のものについては最終的には社長の責任にかかってくるんだということは御存じですね。
 そこで、五十四年の五月に社長になられて、立入検査を次々と受けているわけですね。それを知らなかったというのは社長の大きな責任問題になりますよ。これは認めますね。あなたの社会的責任の欠如云々と言われるのはここにあるのです。いかがですか。
○横井参考人 いずれにいたしましても十数社の社長をやっておりますが、しかしいま先生のおっしゃるとおり代表取締役でございますから、先生のおっしゃるような考え方を持ってやっていく決意でございます。
○大橋委員 あなたは知ったのはいつだとおっしゃるけれども、社長になったときに当然申し継ぎを受けなければならぬ責任が実はあるんですよ。
 時間が非常に限られておりますので、次の問題に移っていきます。
 きのうの朝日新聞だったと思うのですが、九百三十八号室の宿泊客であるイギリス人の遺族等を相手取って、あなたは訴訟を起こすことをお決めになったという報道が出ております。この真意を聞きたいのですけれども、まあ時間が非常に短いので、私の方でこういう気持ちですかと聞きますから、イエスかノーかを答えてください。まあ一口で言えば、あの英国人がたばこの不始末さえしなければこんなことにならなかったのに、むしろ自分が被害者だ、こういう気持ちでの訴訟ですか。
○横井参考人 そのことにつきましては、私どもの弁護団が始終考えておりまして、とにかくそういう問題は後にしても、とりあえず御遺族のことだけを全力を挙げてやっていかなくちゃならぬ、そういうことだけで私は頭いっぱいでございますから、その件につきましてまだ直ちに火元の英国の方をどうしようという考えは――また先生方とよく御相談の上、何しろ外国の方でございますし、法律的になかなかむずかしいこともあるやに聞いております。だから、その件につきましては、まだここでどうしようというようなことは固めておりませんが、先生方の中では、本件につきましてはいろいろお話があるやに聞いております。
○大橋委員 要するに、あなたを取り巻く弁護士の方々がいろいろと思索なさっておることだ。それにしても、被害者意識に立たなければできないことですよ。しかし、訴訟するかしないかは自由です。これにとやかく言うものではございませんが、あなた自身の不法行為責任あるいは賠償問題は一体どうするのだ。いまあなたは、一生懸命なさっているとは言うけれども、世間は物すごい批判の目で見ております。第一、あなたがどういう態度をとられようとも、防災不備、欠陥ホテルの経営者としての責任は、いかなることがあっても免れることはできないと思うのです。その考えを片時も忘れないで、誠意を持ってそういう問題に取り組んでいただきたい。
 次に移ります。
 あなたは、五十七年三月十八日の週刊文春のインタビューに答えて、いろいろその記事が出ていたわけです。先ほどもその一端が話されておりましたけれども、私はその週刊文春の写しを持ってまいりました。一、二カ所読ませていただきますが、「ホテルニュージャパンの他に、船原ホテルとパシフィックホテル茅ケ崎を持ってますがね。」こういう言葉があります。そのほかたくさん人命軽視、経営優先の発言といいますか、あるいはそれを証言した言葉がいっぱいここに連ねられておりますけれども、それは時間の関係で省略するといたしまして、一番最後に、「インタビューを終えると、横井社長、船原ホテルのパンフレットを持ってきて開き、さっそく営業をはじめた。「ぜひこちらのホテルにおいで下さい。このように長寿の純金風呂もあります。安全?こちらは絶対に大丈夫。ほれ、三階建てですから、万が一火が出たばあいは、下のプールに飛びこめば無事ですよ」」こういう記事があるわけでございます。私はこれを見て、あきれて本当に口がふさがらない思いでございました。
 私は私なりに、いまおっしゃった二つのホテルを調べてみました。船原ホテルの所有者は東洋郵船株式会社、すなわちあなたがオーナーですね。正確に言えば、地下二階、地上四階ですね。スプリンクラー、誘導灯とも全館未設置ですよ。パシフィックホテル茅ケ崎、この所有者は日本産業株式会社、つまりあなたの子会社だということになっているようでございますが、これは地下一階、地上十一階。スプリンクラーの設備はこれまた未設置、避難器具の設置状況はきわめて不良、避難訓練も未実施と言われるほどにほとんどなされていない。たった一回、初めて二月二十六日に行っただけ。両ホテルともスプリンクラー未設置などで、消防庁からマル適マークがもらえていない欠陥ホテルと言っても言い過ぎではないと私は思うのです。
 そこで、そんな欠陥ホテルに、先ほどの記事が本当ならば、ぜひこのホテルにおいでください、そうして純金ぶろもあります、絶対大丈夫、万一火が出てもプールに飛び込めば無事です。あなたがあのホテル・ニュージャパンの火災事故に本当に責任を感じているのならば、こういう言葉は出ないと思うのですね。
 まず、船原ホテル等はあなたの直接のホテルじゃないですか。ならば、それこそ一時的にも営業を停止してでもそれを改善していかなければうそじゃないですか。これが事実自分のホテルであの大災害を起こした責任のあらわれじゃないですか。そのままやっているじゃないですか。しかも、プールに飛び込めば無事ですとは何事ですか。先ほどの話では、いや、お年寄りばかりだから、そのプールにエレベーターをつけるんだというような話、全く何を考えているんですかと言いたくなりますよ。そして、長寿に効く純金ぶろがありますということですが、これは事実ですね。その純金ぶろをあなたもしお売りになったらば、スプリンクラーなどは一発で完備できるじゃないですか。なぜやらないのですかと私は思うのですけれども、いかがですか。
○横井参考人 この前の先生から同じような御質問がございましたから、もう一遍重ねて申し上げますが、現在、船原ホテルも約一億円、それからパシフィックホテルは二億五千万の金で工事を続行いたしております。
 それから、ちょっと週刊文書のことにつきまして申し上げますが、これはある新聞社の方から……(大橋委員「委員長、聞いていることに答えていません」と呼ぶ)ですから、その私の姿勢ということでおしかりを受けておりますが、船原ホテルは、そういうような要するに非常ばしごよりもっと便利なものをいま開発しておることをちょっと御報告申し上げておきます。
 それから、船原ホテルでございますが、ここは消防庁は区画、隔壁だけ、スプリンクラーはよろしいということでございます。パシフィックホテルは全面的にスプリンクラーをつけろ、こういうような御指示でございますから、両方とも御指示どおりに現在やっておりますことを御報告申し上げます。
○大橋委員 これは問題発言ですけれども、もう時間がないから次に移ります。
 もう一つ、どうしても確認したいことがあります。横井さんは昭和五十七年三月十日、ホテル・ニュージャパンの火災による被災者の遺族と損害賠償の約束の確認書を交わしておられます。私はその写しを持ってきております。読みますので聞いておってください。事実なら事実だとおっしゃってください。「確認書 ホテルニュージャパンの火災により被災した方の遺族に対し、右火災及び被災の原因が株式会社ホテルニュージャパンにあり其の社長として責任を感じ私、横井英樹は、私、個人の財産を処分しても、右被災による損害を賠償することを約束します。
 昭和五七年三月一〇日」あなたのサインがあって、拇印が押されております。いかがですか。
○横井参考人 この書類は、そこの全共連で遺族の会議がございましたときに、遺族の方々の先生方がお書きになったものにサインをしたのであります。もちろん現在でも、私財をなげうって遺族の補償はもう大優先でやっております。先ほど何回も申し上げたとおり、現在ホテル・ニュージャパンはあそこ一カ所しかございません。収入の道は閉ざされております。だから私の私財をなげうたなければ、あるいは関係会社から借りなければ、とうてい大ぜいの御遺族の方々の補償もできません。テナントの方々の補償もできません。従業員の給料も払えません。それは一切先生がおっしゃったその中に書いていると同じようなことをただいまやっております。
○大橋委員 もう時間が参りましたので、あなたの不動産の資産だけでも四百十億円以上あることがもう調べがついております。それを申し述べて、終わります。
○中山委員長 青山丘君。
○青山委員 他の参考人にも質問を申し上げたいと思いましたけれども、まず、横井参考人にお尋ねをいたします。
 あれから数カ月たっておりますが、今回の火災を静かに振り返ってみますと、残念ながら人災であったと言わなければならないと思います。一つは、消防法の義務であったスプリンクラーが設置されておらなかった。それから防火区画の不備があった。また、非常放送設備の整備がされておらなかった。人災の色彩が非常に濃い。また、自動火災警報機が不備であった、機能していなかった。あるいは避難誘導が非常に不適切であった。幾つかの理由から人災の色彩が濃い、残念ながらそう言わざるを得ないと思います。横井社長の御見解はいかがでしょうか。
○横井参考人 ああした大火災になってまいりますと、全く先生のおっしゃるようなところをもっともっと十分やっておけばよかったというようなことで悔やまれるところはございますが、しかし、私どもといたしましては、私なりにいろいろやってまいったのでありますが、結果においてああいう惨事になりましたことを本当に申しわけなく思って、先生のお問いに対してこれ以上申し上げられません。
○青山委員 今回の火災の原因は、なるほど宿泊客から出火が起きておる。しかし、残念ながらホテル側の責任は放置されたままであった、そのことが残念ながら三十三名の命を奪ってしまった、こう言わざるを得ないと思います。そうして、いま五つ私が指摘した点から見てまいりますと、人災と言わざるを得ない重大な責任がホテル側にあると言わざるを得ないと思うのですが、いかがでしょうか。
○横井参考人 先ほどから何回となく申し上げておりますとおり、私どもといたしましては、わずかな期間でございますが、全力を挙げて消防署の御指導のとおりにやってまいりましたが、しかし、火事になってまいりますと、いろいろのことでいま先生の御指摘もあるかと存じますが、現在消防庁、警視庁、運輸省その他の関係官庁で御調査中でございまして、まだ現在立ち入り禁止になっております。そういうことでございますから、私どもといたしましては、関係御当局の御調査を待って私どものいろいろのこともその後考えていかなくちゃならぬ、こう思っております。
○青山委員 横井社長、きょう社長の誠意ある態度を、国民の皆さん方は注目しておられます。そういう意味で反省すべきは反省する、補償すべきは補償する、そして今後再びこういうことがないようにしていくという社長の誠意ある態度を見たい、こう思っているんです。そういう意味で、今回の火災は残念ながら人災であったと私ども思っておるのです。参考人の御見解はいかがでしょう。
○横井参考人 いま先生の御指摘のとおり、火事になってみますと本当にいろいろなことが出てまいりました。まことに残念でございます。しかし、補償その他につきましても、私財をなげうって本当に皆様にできるだけのことをしたいという信念には変わりはございません。その点につきまして、重ねてお断りいたしておきます。
○青山委員 先ほどの御答弁でも、また最初の意見の陳述におきましても、何としても消防署の指導に沿いたい、こう言っておられますし、消防署の指導に対して誠意を持って取り組んでこられたかのような発言でございました。
 しかし、社長に就任されたのが五十四年五月二十八日、実際は六月からでしょう。その後、立入検査が五十五年六月二十三日、五十五年十二月九日、五十六年五月七日、五十六年八月二十八日、四回立入検査があります。また、消防署からは指導書が二回交付されております。これは五十五年二月十六日、五十五年八月二十六日、二回指導書が交付されております。そして、ようやく昨年の九月に措置命令書なるものが交付されました。こういう一連の動き、消防署からの働きかけを見てまいりますと、会社が消防署の意向に誠意を持って取り組んでこられたかというと、残念ながらそうではなかった。新聞報道にありますように、金がない、できるだけ引き延ばしておけ、こういうのが社長の本音であったのではないか、それが残念ながらあの三十三名の命を奪う大火災になってしまった、こういう見方が一般的のようです。
 さて、社長はその間消防署の意向に対して十分こたえてきたと言えるかどうか。どうでしょうか。
○横井参考人 消防署の御指導に沿って、私が就任いたしましてからやってまいりましたのをもう一回復習させていただきます。
 五十四年にスプリンクラー用の本管設置、四階――七階の隔壁工事、五十五年に同スプリンクラー一部設置、一階及び二階、五十六年二階大宴会場の防火設備完備、二階西側廊下防災工事完備、これだけやっております。さらに消防庁からは、五十六年十月三十一日に第七百十八号でその工事を完了したという書類もちょうだいいたしております。
 以上、お答えいたします。
○青山委員 私、社長が消防署の指示に従って、誠意を持って対処してこられたかどうかということを聞いておるのです。どうでしょう。
○横井参考人 ニュージャパン以外の資金も動員いたしまして、全力を挙げて二年有余にわたりまして私は私なりにやってまいりました。先生が先ほど新聞等をごらんになって、適当にやっておけというようなことは、私の性格上できないのであります。たとえば一例を挙げますと、御遺族の方々の問題でも、お話がつくまでは十分御遺族の御意図を体して全力を挙げてやりなさい。私は中途半端が嫌いでございますが、こういう大事に至りましたことになりますと、本当に先生の御指摘につきまして大いに反省をいたしております。
○青山委員 実は五十六年度の有価証券報告書というものが、本日朝ホテル・ニュージャパン側から大蔵省に提出をされております。これは一つの証券情報だということかもしれませんが、昨年の一月一日から十二月三十一日までの事業報告書ですから、本当なら三月三十一日までに出さなければならなかったものです。それが遅延をして督促をし、本日提出されたものです。この有価証券報告書の中には、第一に「会社の概況」第二が「事業の概況」等々ありまして、第四に「設備の状況」というのがあります。「1. 設備」「2. 設備の新設・拡充若しくは改修等の計画」これに「該当事項はありません。」と書いてあるのです。ホテル・ニュージャパンはスプリンクラー等の設備を改修する、新設する計画がなかったということになるわけですね。「該当事項はありません。」と書いてあるのです。社長がどのように私は中途半端なことは嫌いですとおっしゃっても、会社の本音は、社長の本音というのは、設備の新設をしていこうという決意があったとは見受けられない。どうでしょうか。
○横井参考人 いまの報告書は、二月八日に火災と同時に一件書類を全部押収されておりまして、仮決算をしたのを大蔵省に出したと思います。実は三月三十一日が定時株主総会でございましたが、そういうわけでございまして株主の御同意を得まして、その決算は六カ月延ばして九月末日、三十日に決算をやる予定でございますから、その辺につきましてどんな書類が出ましたか、仮決算を会社の当局が大蔵省に出したと思います。それは恐らく、そういうことを申し上げて出したのじゃないかと思いますが、とにかく一件書類全部押収されまして三月の決算ができなかったのであります。その点につきまして、いま先生の御不審の点について、この九月末には本決算をいたしますし株主総会にかけますから、しばらく御猶予を賜りたいと思います。
○青山委員 社長に就任されてから約二年、昨年度の有価証券報告書がいまお見せしたものです。前々年の有価証券報告書も「設備の新設・拡充若しくは改修等の計画 該当事項はありません。」と出ているのです。ところが、御承知だと思いますけれども、すでに四回消防署から立入検査を受けております。それから、指導書も二回交付されております。そして、一年間の猶予つきで昨年の九月十一日には措置命令書なるものが交付されております。その意向に沿って改修計画がなされたのでしょう、なされておるはずなんです。
 しかし、残念ながら昨年の十二月三十一日までは設備の新設の計画が全くなかったということになりますと、社長みずからスプリンクラー等の設備を設置する意思があったとは見受けられない。そういう意味で、これまでの責任はきわめて重大でありますけれども、いま持ち上がっております補償等の問題について、社長がさてどんな誠意をお見せになるのかということについては相当な疑問が出てくる。残念です。
 そこで、この機会にぜひ社長から、いまの有価証券報告書の「設備の新設・拡充若しくは改修等の計画該当事項はありません。」ということ、この件についてのお答えをもう一回と、今後の取り組みについての姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
○横井参考人 その仮決算の出し方につきまして、公認会計士とよく御相談いたしまして、先生の方に御報告申し上げたいと思います。
 なお、先生の御不審の点について、ここにいろいろ工事の経過がございますが、ちょっと御報告申し上げます。先生の、決算に入っていないということでございますが、五十六年度の防災工事経過を御報告申し上げます。
 七月二十三日、現場事務所開設、アパート棟三百七十七号室。これはこの防災工事屋のことでございます。七月二十五日、二階宴会場部分建物調査、設計開始。八月二日、内部構造調査のため解体工事着工。八月四日、趨町消防署立ち会い、現場打ち合わせ。八月二十日、工事着工届趨町消防署に提出。九月末、大宴会場工事完了、防火区画、煙感知器、誘導灯、非常照明設備。九月中立会検査、指導二回。十月十日、二階廊下防災工事着工。同じく二十日、完了。十月末日、趨町消防署立会検査、合格。十月末、一階階段下防火区画、煙感連動シャッター工事着工。十月中立会検査三回。十一月十日、上記シャッター工事完了。十一月十五日、二階大宴会場と二階廊下部分の空調用ダクトに煙感連動防火ダンパー取りつけ工事着工。十一月中消防署立会検査、指導二回。十二月二十二日、上記ダンパー工事完了。十二月中立会検査一回。一月九日、地下一階防災工事成約。契約内容、スプリンクラー設置、防火区画、非常照明、誘導灯設備、一階既設スプリンクラー接続。二月十日、上記地下一階防災工事着工予定。
 こういうふうに、これは専門の民間建設会社のものでございますから、こういうようなことでやっておりましたことを先生に御報告申し上げます。
○青山委員 時間がありませんが、これは虚偽の記載ですか。後で報告があるということですから、後で報告を受けたいと思います。
 質疑時間が終了いたしましたので、これで終わります。
○中山委員長 三谷秀治君。
○三谷委員 横井参考人に端的な質問を幾つかしたいと思います。
 あなたの御見解を聞いておりますと、私財をなげうって誠心誠意事後処理に当たるということをおっしゃっておりますが、遺族の補償にしましても、あるいはホテルの再建にしましても、何といいましても資金が焦点になるわけであります。あなたが真にそのようなことを実行される意思があるのであれば、まず資産の公開をやるべきだと思いますが、あなたは資産を公開する意思があるかないか、お尋ねしたいと思います。
○横井参考人 アメリカの大統領とかアメリカの閣僚になりますと資産を公開するようでございますけれども、残念ながら、横井英樹名義の不動産はことごとく担保に入っておりまして、もしこれを公開いたしますと――新聞紙上で、大きな家が残っている、これは幾ら幾らであるというようなことで値踏みまでつけていただいておりますが、その件につきまして、一回もこの建物に幾ら借金がくっついているのだというようなことはございません。
 もうすでに先生御承知かと思いますが、ヘリコプターを使い、あるいはその他の写真などをお使いになりまして私どもの……(三谷委員「結論だけで結構です」と呼ぶ)その他全部やっておりますから、もうほとんど私以外の家族の者からあるいは嫁に行ったきょうだいから娘からその他のところまで全部出ております。だから、改めて資産を公開するということもどうかと思いまして、そういうことはちょっとはばからせていただきます。
○三谷委員 資産はないということでしょうか。
○横井参考人 表に出ている不動産は、先生ございます。
 たとえば田園調布四丁目五十六番地に、私どもが約四十年前に買いました約四百坪の建物がございます。盛んにヘリコプターでテレビなんかで写していただいておりますが、あれなんかも借金が十数億円ついております。新聞紙上等の評価によりますと十億円になっていますが、借金の方が余分になっております。だから、もしこれを処分いたしますとどういうことになりますか、大体十億円以上の不動産ですと八割五分ぐらいの税金がかかります。だから売りますと、その瞬間一億五千万残ります。しかし、十億円払わなくちゃなりませんから、結局私の手元には一つも残らない。だからどうしたらいいか。現在、私どもの家族とかあるいはファミリーとかあるいはその他を動員して……(三谷委員「結論で結構でございます」と呼ぶ)はい、そういうことでございます。
○三谷委員 資産を売りなさいと言っているわけじゃないのだ。
 資産を公開をして、その処分の方法等については、被害者等とも話し合いをして妥当な結論を出すというのが私は誠意のある態度だという意味でお尋ねしたのでありまして、必要以上のことをいろいろおっしゃっていただく必要はありませんが、あなたは資産を公開する意思はない、しかし誠心誠意資産をなげうってこの処理に当たる、こう言っていらっしゃる。つまり、そこに言葉の矛盾が非常に強く出ているわけです。あなたの語録をいろいろ拝見しますと、その言動と言葉とがはなはだしく乖離しておって、その点におきまして私どもは大変あなたに対する信頼性を失っておるわけでございます。
 もう一つは、火災保険は幾ら支払われますか。そして、これは受け取りの期日はいつでしょうか。休業補償はどの程度入るのでしょうか。これをちょっとお尋ねしたいと思います。
○横井参考人 あれだけの大事でございますから、火災保険会社もまだ相当時間がかかるようでございまして、幾らいただけるかということはまだ確定いたしておりませんから申し上げられません。
 それから、従業員諸君のことにつきましては、きのうかおとといのテレビを見ますと、先月まではいただきましたけれども今月はいただけるかどうかわからないというようなことが出ていました。もちろん、従業員は一生懸命働いてくれておりますから、どんなことがあっても、借金を質に置いても払わなくてはなりません。その面におきましては全力を挙げてやりますし、今月も何とかいたします。
 私は、ばか正直でございますから言い方が下手なのです。皆さんがおっしゃるのには、君はもう少し上手にオブラートに包んで申し上げなさい、こうおっしゃっていただいておりますけれども、六十有年たちました私の性格上、これはもう直りません。国会の先生方は、波乱万丈ずいぶん御苦労になっている方でございますから、どうか先生、私の言葉の足りないところは御了承賜りたいのです。
○三谷委員 あなたの御説明は蛇足が多くていかぬ。必要以上のことで大変時間をおとりになっている。参考人としての役割りを果たしてもらいますためには、むだなことはおっしゃらぬでよろしい。
 そこで火災保険ですけれども、幾らお入りになっているのですか、契約額は幾らですか。
○横井参考人 お答えいたします。
 建物、機械、それから設備、什器、備品その他もろもろの十数品目でございまして、たしか総トータル八十数億だと記憶いたしております。
○三谷委員 ニュージャパンの買収費は幾らでしたか。
○横井参考人 ニュージャパンの買収費につきましては、銀行の借り入れとか保証とか、それから従業員の皆さんの退職金とか支払い手形とかその他もろもろございまして、買収費ということになりますと土地、建物、設備ということになりますけれども、会社の株式を七割収得いたしましたから、株式の買収その他も全部一切合財、ニュージャパンの借金その他もついておりますから、いま総トータル幾らということはちょっと記憶しておりません。
○三谷委員 あなたはニュージャパンの買い取りの際に、その資金の一部を大阪銀行から借入されておると思います。この際、名前は控えますが、自民党の派閥の領袖の方の名刺を持って大阪銀行に行かれておるという証言をする人がおりますけれども、その点はどうなのでしょうか。
○横井参考人 そういう事実は一切ございません。政治家の皆様がお入りになったとか、あるいはただいまの、特定な自民党の領袖の方の名刺を持って行ったとか、そういうことは一切ございません。銀行というのはなかなか厳しくなりました。
○三谷委員 きょうは参考人としてのお尋ねですから、重ねてその事実関係の確認を証明するような時間はないのでお答えを聞いておきますが、そこで、消防署が改善を求めました設備の設置にどれぐらいの金が要る予定でしょうか。
○横井参考人 約十億でございました。
○三谷委員 ニュージャパンの買収費は約百億と聞いておりますが、そういう防災基準、消防基準を完備しますために十億の金が要るということだそうですけれども、あなたは金繰りに非常に困っておるということをおっしゃっております。しかし、私が申し上げたいのは、企業というものは当然社会的な公共的な責任があるものであります。その責任を法令的に課したものが消防基準であり、建築基準になっている。ですから、企業を経営なさろうとすれば、当然社会的な公共的な責任を果たすということが前提になっているわけです。あなたはホテルだけは買ってきたけれども、そういう社会的責任については金がないからどうにも間尺に合わぬ、こうおっしゃっている。それは少し考え方が間違っているのではないでしょうか。
○横井参考人 株式の買収の値段と一切合財の借金その他たくさんございまして、先生のおっしゃる数字のように少なくはございません。しかし、これは二年半ぐらい前のことでございますから、その当時幾ら、いま幾らということはわかりませんから申し上げません。
 それから、先生御指摘のとおり、もちろんホテルを経営いたします以上、先生の御指摘のことを十分考えましてやっていくのは当然でございまして、まだほかに二つ残っておりますホテルもございますから、御指摘をありがたくちょうだいして、今後その点を十分考慮してやっていきたいと思っております。
○三谷委員 事実関係で冷酷に問題を見ていかなければいけませんが、先ほども言われましたように、警視庁から鑑定を依頼された大学の実物大の燃焼実験で見ますと、スプリンクラーが設置されておれば火災はぼやで消えた、犠牲者は出なかった、こういう結果が出ております。それから、自動火災警報機の配管が外れていなければごく初期のうちに火災が発見されておる、こういうことも実験の結果出ております。そして、火災が出て間もなく自動火災報知機が鳴って天井のスプリンクラーが作動して水が噴き出し、火はシーツを焦がしただけで消えた、これが同じ条件で同じ部屋をつくってやった実験の結果でありますが、この結果についてあなたはどのようなお答えをお持ちでしょうか。
○横井参考人 消防署の御指導をもう一遍繰り返しますと、地下から三階までの火の一番出るところはスプリンクラーをつける、四階以上の部屋につきましては隔壁及び区画をやれというような御指示でございました。
 いま先生は、新しいテストの結果をおっしゃっていただいたようでございますが、私どもはまだそういうお話を聞いておりませんが、今後、われわれ経営者として十分参考にさせていただかなくてはならない、こう考えております。
○三谷委員 まだ聞いていないとおっしゃっておるけれども、各新聞に全部大きく報道されているわけだから、あなたが少なくともこの問題について重大な関心をお持ちになっておれば、それを全く知らないというようなことは言えるものじゃありません。そこにあなたの無責任さがあるんだ。
 あなたは先ほど、人が減ったけれどもガードマンやアルバイトで補てんしてきた、こうおっしゃっている。しかし、あなたは昨年十一月十五日の経済春秋でどうおっしゃっておりますか。私がやり始めてから従業員は三百五十人から百五十人になった、ニュージャパンはこれからも少数精鋭でいきます、こう述べていらっしゃる。この結果が、今次の重大な災害になって出てきたんだというふうに私は思うわけであります。
 従業員側が夜間の避難訓練をするように要求しても、あなたは、そういうことをしておればホテルは商売にならない、こういうことをおっしゃっている。そのほか、あなたの語録はいろいろな報道機関から世間に公表されておりますけれども、こういうあなたの考え方にこの問題の一番基本があると私は思うのです。
 あなたは一体、この問題について真剣に解決をする、そして社会的な責任を果たすという意思がおありなのか、私は疑問を持たざるを得ません。あなたの覚悟を一度しっかりとお聞きしておきたい。
○横井参考人 従業員が減ったことについてお答えいたします。
 先生がおっしゃるように、現在百五十名でございます。しかし、パーとかクラブあるいは特別食堂その他を全部テナントにいたしました。客室のサービス等につきましては清掃会社の下請にし、あと、三越その他のデパートが二、三カ所出店をいたしておりましたが、全部それも閉鎖をいたしました。それから、地下にあります従業員の食堂とかすし屋さんその他も全部テナントにいたしましたから……(三谷委員「あなたはそんなことをおっしゃっているが、どうかと聞いているわけだ」と呼ぶ)ですから、正社員は減りましたけれども、テナントを総動員し、アルバイトを動員し、バンケットとかあるいはその他配膳会なんかを動員しておりますし、従業員が減りましても十分やっていかれました。
○三谷委員 それは、あなたのところで実際に作業に従事されておる従業員の皆さんの見解とはまるきり違うということだ。
 そこで、一つだけ私は大谷参考人にお聞きします。
 ホテルニューオータニを経営されておるわけでありますが、あなたのホテルは、客室が二千室と大変大型なホテルであります。そこで、夜間におけるパニック、火災のみでなく地震発生のことも考えておられると思いますが、夜間における非常時の客の避難誘導に当たるのは大変なことであります。この仕事に直接携わるのは客室係だと思いますが、この客室係は夜間に何名配置していらっしゃいますか。
 私が直接調べましたところ、客室係は十一名ないし十五名ということをナイトマネジャーがおっしゃっております。フロントその他のセクションを合計しまして、夜間の職員配置は百十八名だそうであります。十五名としましても、一従業員当たり百三十三の客室を担当することになりますが、これでパニックに対応できるとは思いません。これは業界としても検討された方がいいのではないかと私は思うものでありますが、いかがでしょう。
○大谷参考人 私の会社の夜間の人員は、正社員が百三名、パートが七十六名、委託が九十二名、二百七十一名でございます。
○三谷委員 客室係は。
○大谷参考人 客室係は三十八名でございます。
○三谷委員 つい一昨日、ナイトマネジャーにお尋ねしました内容とはかなり差があります。しかし、時間が来ましたからこれで終わっておきますが、安全確保のために他山の石として、御精励を心から期待するものであります。
○中山委員長 午後零時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十三分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。田島衞君。
○田島委員 せっかくお三名の方が見えておりますけれども、時間が大変短い関係上、一番当面の責任者である横井さんにお伺いをしたいと思います。
 まず端的にお伺いをいたしますが、今回のホテル・ニュージャパンの火災に伴うところの災害というものは、いろいろおっしゃる理由はあるでしょうけれども、理由のいかんを問わず、ホテル側の責任はまことに重大だと考えますけれども、そのような御認識を持たれておるかどうかをまず伺います。
○横井参考人 ああいう大事を起こしまして、ホテル経営の重大さというものを身をもって体験いたしまして、しみじみ先生のおっしゃるお気持ちを勘案いたしますと、身の引き締まるような思いがいたします。
○田島委員 横井さんには横井さん独特の哲学もあるでしょうし、それからあなたなりの独特の強い誇りもあるだろうと思うのですけれども、その哲学というのは、やはりあなた以外の者に重大な損害を与えるようなものであってはいけないし、あなたの抱く誇りというのは、だれもが模範にするような立場に立つことをもって誇りとしなければいけないと思うのですけれども、そういう意味で、今回のニュージャパンの火災についてその責任をどのようにとられるか、もう一回はっきりとお聞かせをいただきたいと思います。
○横井参考人 先ほども申し上げたとおり、ホテルの経営というものがいかに重大であるかということ、それからさらに、大事なお客様のことを考えますと、今後われわれホテル経営者というものは、あらゆる面に即応する体制、すなわち非常の場合とか災害の場合とか、火災、震災その他の場合も十分考えて、お客様の安全を守っていかなければならぬということを今回の火事を通じましてしみじみ考えております。私の哲学というものは別にございませんが、新聞、雑誌等でいろいろ大きく評価されておりますが、全く私といたしましては、いろいろ御指弾を受けたことにつきまして大いに反省をいたしております。
○田島委員 本来ならば、先般のニュージャパンの火災で、よくもまああれだけ被害を最小限度に食いとめたなという、江湖の称賛の中であなたを迎えて、こうやってがんばった、そんな話をむしろ聞きたかったところでありますが、それでこそ横井さんらしいなとも言えるのじゃないかと思いますけれども、もうきのうはきょうに返りません。
 そこで、きょう以後、あなたにどうしても過去の事実に対する責任感の上で、がんばっていただきたいと思うことの一つは、やはり補償問題だと思います。先ほど来の横井さんの話を聞いておりますと、大分その補償問題は、円満に、しかも相当の部分が片がついているようなお話ですけれども、私どもが伺うところは、そうでない。しかし、そういうことについては食い違いがあってはまずいと思うわけでありまして、本当のところ、どの程度の割合が解決がついたのか、それは具体的に示されるのか示されないのか、その点ちょっとお伺いをします。
○横井参考人 特に日本人の御遺族の方々からの特別の申し出がございまして、先生がおっしゃる補償の問題につきまして、詳細に御報告を申し上げたいのです、私は。しかし、その件は御遺族のいろいろの御家庭の事情もございます。だから、お名前その他につきましてはちょっと詳細に申し上げられないことをお許しいただきたい。ただ、台湾の方十二名、それから韓国の方八名、日本人の方は、あえて三分の一と申し上げさせていただきたい。まだ御遺族の方には、そういうことで名前を伏せておいてくれ、ここにも遺族会の方もいらっしゃるようでございますが、遺族会等がございまして、われわれが抜け駆けをしたというような印象を持たれたくない、しかし誠心誠意会社側及び横井がやっているから、この辺でやりましょうということで、日本人の御遺族にも補償その他の問題につきまして、あえて三分の一ということを申し上げることをお許しいただきたい。
 それから、御遺族の方以外に、あの中に約百軒のアパート及びテナントがあります。あるいは、事務所をお使いいただいた大事なお客様がいらっしゃいまして、その方々も約半数以上の五十五軒ぐらいを本日ただいままでに完了いたしました。その他支払い手形などは、どうしても払えないものは多少延ばしていただいておりますが、きょうまでにほとんど全部落としてまいりました。あと、当社にいろいろ債権をお持ちになっている出入りの業者の方々がございます。
 それは、まず御遺族様を第一として、その次にテナントの方及びアパート、事務所の方は第二、第三番目ぐらいにさせていただく。そのために、いま全力を挙げて御遺族様の補償のみに集中しておるために、新聞紙上にニュージャパンに国際電電で差し押さえがついたとか何かございますが、これは後で必ず解決をさせていただきますのでしばらく御猶予を賜りたいことを重ねて申し上げておきます。
○田島委員 入れかわり立ちかわりの質問に答えて、横井さんはまことに責任を感ずる、大変心の痛む思いだ、こうたびたびおっしゃっておるわけですけれども、その横井さんの真情というか、横井さんの責任感、誠意というものは、当面あらわす対象は補償だろうと思うのです。私は、別に補償問題だけ言うのではなくて、むしろ当委員会として重要な問題は、二度と再びこのような災害を起こさないようにするためには何を学びとったらいいかということではありますけれども、今度の火災に対するあなたの大変大きな責任というものを果たされる対象は、当面一番身近な問題として補償問題があるだろう、この補償問題をどう解決されるかによってあなたの誠意、責任感というものを私たちは感ずることができる、こういうふうに思うがゆえに伺っておるわけであります。
 たとえば、日本人の遺族の方三分の一はもう話がついたというお話ですけれども、それは話がついたという段階なのか、もうすでにお金が払われた、何らかの救済措置、補償措置がとられたのか。それからまた、三分の一の全員の方がそれぞれ御事情があって、名前を言われては因るという状況なのか一部なのか、その点はどうでしょうか。
○横井参考人 日本の御遺族の方々の三分の一には全部現金で支払われておりまして、なおそのほかに遺族会で私を告訴されたようですが、告訴の取り下げもちょうだいいたしております。この中には、まだ正確ではございませんが、告訴の中に入ってない方もいらっしゃるようでございます。ですから、それは三分の一の方々につきましては現金で全額払っております。それを申し上げておきます。
○田島委員 いずれにしても、どのような理由があろうとも、いつまでも伏せたままというわけにはいかないと思いますし、ほかに残された方だってそれなりの真剣な思いがあるでしょうから、いつかは明らかにしなければならぬと思います。幾ら対象になられる三分の一の方々が、それぞれの事情があって伏せておいてくれと言われても、もし、それは本当じゃないんじゃないか、現実には三分の一なんかいっていないんじゃないかということを言われれば、あなたの責任もまた果たさなければならぬ、あなたの立場も明らかにしなければならぬとすれば、いつの日かはその白黒をつけなければならぬと思いますけれども、いつごろになりますか。
○横井参考人 御遺族様と私どもと極秘に話をしております。中には、弁護士の先生のお入りになったのもございまして、多少漏れているのもあるかもしれませんが、私どもといたしましては御遺族となお緊密に連絡をとりまして、なるべく早い機会に発表させていただきたい、私はそういう気持ちでございます。なお、御遺族の中には、お一方でなく五人も十人もいらっしゃる方もあるようでございまして、その割り振りその他が決まりましても多少トラブルがあるようなものがあったために、伏せておいたようなわけでございます。だから、先生のおっしゃる気持ちはよくわかりますし、私も本当はここで申し上げたいのです。だけれども、しばらく御遺族と御相談しまして、なるべく早い機会に発表させていただくことをここにお約束いたします。
○田島委員 三分の一というのは具体的に言うと何名さん――要するに遺族の数はいろいろあるでしょうけれども、亡くなられた方何名のことか、それが一つ。
 それから、三分の一とおっしゃる皆さんが、それぞれ事情があって発表は困るということはなかろうと思うのです。もしそうだとすると、では事情があって発表しては困るという人だけ済ましたということになってまことにおかしな話だと思うので、せめてその三分の一の中で、別に発表差し支えないという人たちがいるはずだとすればその人の名前、一人、二人でもお話しいただけるかどうか。
○横井参考人 私も、直接発表を差し控えてくれという御遺族もございますし、それから私以外に御遺族と折衝いたしました方々からも、まずしばらく待ってくれというような御要望がございますために、なおできるだけ早く御遺族と折衝いたしまして、その中の何人でも、よろしいというような方があれば、できるだけ早く発表させていただきたいと思います。私もそれを望んでおりますが、現在は御遺族の心中を察しまして、とにかく伏せさせていただくことを、まことに申しわけございませんけれども、お許しを願いたいのであります。
○田島委員 私は、余りきつい物の言い方をしませんけれども、きつくは言いませんが、いまのお話では本当は納得できませんぜ。三分の一全員が発表しては困るという人ばかりだとは絶対言えないはずだと思うのです。だとすれば、発表してもいい人がいる、いたら発表してもいいはずのことだと思うのです。
 時間の関係で、なかなか思うようにお考えを聞き出すことができません。そこでちょっとまた立場を変えて、あなたの誠意のほどを知るためにお伺いしてみたいと思いますが、火災保険会社は一体どこなのか、聞かしていただければ聞かしていただきたい。
 それから、保険金に質権が設定されているということでありますけれども、その質権設定をしているところの金融機関はどこどこか、これは別に隠す必要がないと思いますから、お聞かせいただければ、これで終わりたいと思います。
○横井参考人 御承知のように、資本金の五倍も赤字がございまして、ニュージャパンも再建いたしたし、あるいはいろいろ防災工事その他をやりますためには、銀行関係から格別の御融資をいただいておりますから、もちろん保険金につきましては全部質権が設定してございます。
 それから、保険会社の名前でございますが、これは東亜保険株式会社の再保険で、恐らくは日本はおろか英国のロイズあたりまで再保険が出ておると思いますから、特定の保険会社というよりも、たくさんの保険会社で持ち合っておられるようでございます。だから現在も調査中でございまして、なかなか各保険会社の足並みそれから調査その他が時間がかかるようです。そのことを御報告申し上げておきます。
○田島委員 横井さんの誠意とこの場における御発言の真実であることを心から期待をして、質問を終わります。
○中山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、御多用中のところ御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十二分散会