第096回国会 外務委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十六年十二月二十一日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
   委員長 奥田 敬和君
   理事 稲垣 実男君 理事 川田 正則君
   理事 松本 十郎君 理事 高沢 寅男君
   理事 土井たか子君 理事 玉城 栄一君
   理事 渡辺  朗君
      愛知 和男君    麻生 太郎君
      石井  一君    石原慎太郎君
      木村 俊夫君    北村 義和君
      小坂善太郎君    佐藤 一郎君
      坂本三十次君    竹内 黎一君
      中山 正暉君    浜田卓二郎君
      古井 喜實君    飛鳥田一雄君
      井上  泉君    勝間田清一君
      河上 民雄君    大久保直彦君
      林  保夫君    野間 友一君
      東中 光雄君    伊藤 公介君
    ―――――――――――――
十二月二十一日
 奥田敬和君委員長辞任につき、その補欠として
 中山正暉君が議院において、委員長に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和五十六年十二月二十一日(月曜日)
    午後零時三十一分開議
 出席委員
   委員長 中山 正暉君
   理事 愛知 和男君 理事 稲垣 実男君
   理事 奥田 敬和君 理事 川田 正則君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
   理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君
      麻生 太郎君    石原慎太郎君
      北村 義和君    小坂善太郎君
      佐藤 一郎君    竹内 黎一君
      浜田卓二郎君    堀内 光雄君
      井上  泉君    岩垂寿喜男君
      上田 卓三君    岡田 利春君
      河上 民雄君    林  保夫君
      金子 満広君    野間 友一君
      伊藤 公介君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 櫻内 義雄君
        農林水産大臣  田澤 吉郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  辻  英雄君
        外務省アジア局
        長       木内 昭胤君
        外務省欧亜局長 加藤 吉弥君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      門田 省三君
        水産庁長官   松浦  昭君
 委員外の出席者
        外務大臣官房審
        議官      松田 慶文君
        外務大臣官房外
        務参事官    都甲 岳洋君
        外務委員会調査
        室長      伊藤 政雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月二十一日
 辞任         補欠選任
  石井  一君     山下 元利君
  坂本三十次君     堀内 光雄君
  飛鳥田一雄君     岩垂寿喜男君
  勝間田清一君     岡田 利春君
  東中 光雄君     金子 満広君
同日
 辞任         補欠選任
  堀内 光雄君     坂本三十次君
  岩垂寿喜男君     飛鳥田一雄君
  岡田 利春君     上田 卓三君
  金子 満広君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  上田 卓三君     勝間田清一君
同日
 理事青木正久君同月十八日委員辞任につき、そ
 の補欠として愛知和男君が理事に当選した。
同日
 理事松本十郎君同日理事辞任につき、その補欠
 として奥田敬和君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月二十一日
 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の
 地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す
 る日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦
 政府との間の協定の有効期間の延長に関する議
 定書の締結について承認を求めるの件(条約第
 一号)
 日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁
 業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共
 和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に
 関する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の
 地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す
 る日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦
 政府との間の協定の有効期間の延長に関する議
 定書の締結について承認を求めるの件(条約第
 一号)
 日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁
 業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共
 和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に
 関する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第二号)
     ――――◇―――――
○中山委員長 これより会議を開きます。
 この際、二百ごあいさつを申し上げます。
 このたび、私が外務委員長の指名を受けました中山正暉として、この席を画時汚させていただくことになりました。
 御承知のように、今日、国際問題はいろいろな問題が山積をいたしておる時期であります。東欧におきましても戒厳令がしかれるという国家が出現をするというそのときに当たりまして、外務委員長の重大さについて認識を強め、ここに幸い委員各位、外交問題に練達の士がそろっておられますので、委員各位の御協力を得ながら委員会の運営に当たりたいと存じます。
 御協力をお願いをいたしまして、委員長としての就任のごあいさつにかえます。(拍手)
     ――――◇―――――
○中山委員長 理事の辞任についてお諮りいたします。
 理事松本十郎君から、理事を辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴う理事の欠員が一名並びにただいまお諮りいたしました理事辞任により、現在二名の理事が欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。よって、委員長は理事に
      奥田 敬和君    愛知 和男君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
○中山委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際情勢に関する事項について研究調査し、わが国外交政策の樹立に資するため、関係方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
     ――――◇―――――
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○中山委員長 この際、櫻内外務大臣及び辻外務政務次官より発言の申し出がありますので、順次これを許します。外務大臣櫻内義雄君。
○櫻内国務大臣 先般の鈴木内閣改造に伴いまして、外務大臣を仰せつけられた櫻内義雄でございます。この上ともどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 厳しい国際情勢の中で、わが国の外交に課せられた任務は非常に重いものがあると思います。日本の平和と繁栄を期する上に、世界情勢の平和と安定が強く望まれる次第でございますが、そういう際に重責を担わしていただいたわけでありますが、本委員会の皆様方には、多年にわたりわが国外交問題に真摯にお取り組みいただいておる方々でございまして、不肖私に対しましてこの上とも御指導、御鞭撻を賜り、この職責を無事務めさしていただきたいと思います。
 くれぐれもよろしくお願い申し上げて、就任のごあいさつといたします。(拍手)
○中山委員長 次に、外務政務次官辻英雄君。
○辻政府委員 このたび外務政務次官を仰せつかりました辻英雄でございます。
 大変大切な時期に大切な仕事を仰せつかりまして、誠心誠意努力いたす覚悟でございます。
 委員長初め委員各位の格段の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○中山委員長 本日付託になりました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣櫻内義雄君。
    ―――――――――――――
北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件
 日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件
   〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○櫻内国務大臣 ただいま議題となりました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件ではありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、一括して御説明いたします。
 昭和五十二年五月二十七日にモスクワで署名されました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び昭和五十二年八月四日に東京で署名されました日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間は、昭和五十二年末、昭和五十三年末及び昭和五十四年末に署名された議定書によって延長されましたが、さらに昭和五十五年末に東京で署名された二つの議定書によって一年間延長されました。したがって、両協定の有効期間は、ともに本年十二月三十一日に満了しますので、政府は、ソ連邦政府との間にこの有効期間をさらに延長する議定書を締結するため、本年十一月十九日以来モスクワにおいて交渉を行いました。その結果、本年十二月十六日にモスクワにおいて、わが方魚本駐ソ連邦大使と先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの二つの議定書の署名を行った次第であります。
 この二つの議定書は、いずれも二カ条から成っており、それぞれ右に述べました協定の有効期間を明年十二月三十一日まで延長すること、両政府の代表者は明後年以降の漁獲の問題に関して明年十一月二十四日までに会合し協議すること等を定めております。
 この二つの議定書の締結によりまして、一方では、わが国漁船がソ連邦の沖合い水域において引き続き明年末まで操業することが確保されることとなり、他方では、わが国は、ソ連邦の漁船が明年においてもわが国の漁業水域においてわが国の法令に従って操業することを認めることとなります。漁獲割り当て等の実体的事項につきましては、両国の水産当局間の書簡にその詳細が掲げられておりますが、今回の交渉の結果、明年のわが方漁獲割り当て総量として本年と同じく七十五万トンを確保し、他方、ソ連邦に対する明年の漁獲割り当て量につきましても、本年と同じく六十五万トンを定め、また、操業水域については、日ソ相互に従来の水域に加えて新たに水域を設定することを定めた次第であります。
 この二つの議定書の締結は、互いに相まって、日ソ両国の二百海里水域における円滑な漁業秩序を確保するものであると考えております。
 よって、ここに、これらの議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○中山委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○中山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川田正則君。
○川田委員 先般来、日ソ漁業交渉が行われておりまして、約一月にわたって無事円満に妥結をしたことに対しまして、外務省、水産庁両方に対しまして心から敬意を表する次第であります。
 私は、松浦水産庁長官にお伺いしたいわけでございます。
 ここ数年、ソ連の漁獲割り当ての消化率が年々減ってきているわけでございますけれども、先般の私どもの部会でも問題になりましたが、年々減ってきているというのは何か原因があるのかどうか。実際魚がとれないということは、技術が下手なのか、意欲がないのか、そこら辺が非常に私どもはっきりしない点でございますけれども、ソ連の漁獲量の消化率が年々低下していることについて御答弁をお願いいたします。
○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。
 日本の二百海里の水域の中でソ連船が操業いたしておるわけでございますが、特にその主要目的魚種はイワシ及びサバでございます。ソ連側の船の操業の状況でございますけれども、消化率は、昭和五十四年にはかなり高い消化率、約七〇%程度を維持しておりましたが、昨年に至りまして、これが約半分程度に落ちました。さらには、本年一月から十月まででございますが、その消化率が二三%という状態になってきております。
 その原因についてのお尋ねでございますけれども、私どもは、ソ連の船がわが方の水域に参りまして、漁獲努力をもっと傾注すればイワシはもっととれると思っておりますし、現在の操業の規制のもとにおきましても、その努力が必要であるというふうに考えている次第でございます。
 特にことしにつきましては、日本海におきまして、ソ連の二百海里の水域でございますが、ソ連がかなりたくさんのイワシをとったということもございまして、日本の方への漁獲努力が低下したということが大きな原因ではないかと考えている次第でございます。
○川田委員 長官御自身も、漁獲努力をもっとすればとれるのではなかろうかという御答弁でございますが、五十四年のときは、イワシ、サバじゃなくてトータルでいきましても六、七〇%しか消化してない。それから五十五年のときは五〇%前後、こういうことから、日本海側、ベルキナ沖でなくて奥尻島のところに食い込んできているわけですが、この辺が非常にこの間部会でも問題になりました。ソ連が意図的にあの海域を望んだのか、ソ連側が自主的にあそこの海域を割り当ててくれということにしたのか、あるいは日本側があの案を示したのか、その辺をちょっと聞かせてください。
○松浦(昭)政府委員 ソ側が日本海の入域に固執いたしました理由でございますけれども、ただいま申し上げましたように、日ソ、ソ日の両協定が締結されて以来四年間、ソ側はわが水域の中において操業を行ってきたわけでございます。しかし、最近二年は非常にクォータの消化率が悪いということをただいま御答弁申し上げた次第でございます。このために、今次交渉におきましては、ソ側は、日本海を含みまして操業条件の緩和ということを非常に強く打ち出してまいっておりまして、特にソ連側は、かん詰めとかあるいはボウチカ漬けといったようなイワシの利用をしておりますけれども、これには大形のイワシが必要でございまして、本年の初めに日本の太平洋岸のマイワシが春先やや小形だったということから、夏からは自国の二百海里に参りまして大形のイワシをとっていた。これが日本海であったものでございますから、恐らく日本海には相当マイワシの大形があるだろうということから、日本海の開放に固執してまいったわけでございます。
 ただいまのお尋ねの点でございますが、当初は相当広大な水域をソ側としては日本海におきまして入域をしたいという考えを持っていた模様でございますけれども、私どもといたしましては、できるだけこの水域を縮めて、かつ日ソの二百海里の中間線の水域、つまり日本の沿岸からできるだけ遠い水域においてこれを認めるという考え方に立ちまして最終交渉に臨んだということから、このような水域となったという次第でございます。
○川田委員 それでは、重ねてお伺いしますけれども、日本側が案を示したのでなくて、ソ連側が大きなイワシ、サバがあそこでとれるだろうということで固執をした、そういうことでございますね。
○松浦(昭)政府委員 日本海の一部入域を強く主張したのはソ連側でございまして、私どもではございません。その水域をむしろできるだけ縮小し、わが方の損害をできるだけ少なくするという形で日本側としては交渉に臨んだ次第でございます。
○川田委員 そこで、お尋ねをいたしますけれども、将来こういったことが、ソ連側の方から日ソ中間線に入ってきたわけですから、さらにこういった傾向ヘエスカレートして、だんだん日本に食い込んでくるのではなかろうか、こういう懸念も話としてずいぶん出ておりましたし、それからもう一つは、わが方の漁民の受ける損害といいますか、その点についてお話を承りたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 ただいま申し上げましたように、ソ側はクォータの消化率が非常に悪いために、下からの突き上げもあったようでございますし、上からの要求もあったようでございまして、日本の周辺水域におきますところの操業条件の緩和ということを最後まで固執した次第でございまして、最終的な結果といたしましては、日本海の一部に入域を認め、わが方はベルキナ岬から北の部分の水域の開放をイカ釣り船について求めまして、北緯四十七度までの開放をさせたわけでございます。また、樺太の東の水域におきましても、四十九度から五十度までの間、これは従来まではカニとツブしかとれません水域になっておりましたが、これをほかの魚もとれるということで埋め合わせをしてきたという状況でございます。
 そこで、このような非常に強い相手方の要求がございましたが、ただいま申しましたようなことで妥結をいたしたわけでございますけれども、将来このようなことが引き続き要求されて、これが拡大しないかという御懸念であろうかというふうに思うわけでございます。ことしの固執ぶりから見まして、将来イワシがとれれば問題ないわけでございますけれども、引き続きソ側のイワシの不漁といったようなことがございますると、さらに水域の拡大等を要求してくるというおそれは私は否定いたさないわけでございます。
 しかしながら、特に日本海につきましては、交渉の途上におきまして、私どもは、日本漁船がいかに棚密にこの水域を利用しているかということにつきまして繰り返し繰り返しソ側に説明をいたした次第でございますし、また、今回設定いたしました水域も、きわめて稠密に漁場を利用しておるところはこれを外すというかっこうで交渉したわけでございます。
 それからまた、交渉が終わります際に、私から特に相手方のクドリャフツェフ第一次官に対しまして、日本海は非常に稠密な漁場の利用を日本側はしているから、これ以上水域を拡大することは不可能であるということをはっきり向こう側に申してまいりました。そのような状況でございますので、もし拡大の要求がございましても、今後とも粘り強く交渉してこれに対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 なお、日本海の一部入域を認めましたことにつきましてのわが方の影響と申しますか、その点につきまして若干申し上げますと、この水域を利用している日本漁船は、主としてサケ・マスの流し網、それからはえなわ漁業、それとイカ釣り漁業でございます。この水域は日ソの二百海里の中間線に沿っておりますので、わが国の沿岸からはかなり遠うございます。
 また第二に、サケ・マスの漁業の最盛期でございます四月から六月は、ソ連側の操業を外してございます。つまり、七月以降にしてございます。
 それから第三は、イカ釣り漁業についてでございますが、この水域では主として七月から十月、スルメイカの漁場が形成されておりますので、わが国のイカ釣り漁船とソ連のまき網漁船とが同一漁場を利用するということは事実でございますけれども、今次交渉におきまして、イカ釣り漁業にとりまして非常に好漁場であると言われておりますところの沿海州沖の水域、つまり先ほど申しました北緯四十七度までを開放するという措置をとってまいりまして、この時期にこの拡大された水域で操業することが可能になりましたので、イカ釣りには大きな影響はないというふうに考えたわけでございます。
 このようなことで、総体的に見まして、関係漁業への大きな影響はないというふうに考えておりますが、万一漁具の競合等問題が出るという場合にも、ソ連側には、そのような競合が起こらないようにということを十分申し入れてありますし、また、不幸にして万々が一損害賠償等の必要が起こりました場合にも、日ソの損害賠償委員会を用いまして、これが対応策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○川田委員 ただいまお話を聞いて了解できるわけでありますが、先ほどになりまして漁業団体の方から、実はこのソ連の方に譲ったといいますか、拡大水域の中に、北海道の奥尻局のちょうど西、奥尻堆というところがありまして、そこは北海道、東北の沿岸漁民の人がよく魚をとりに行くところだ。それで、大型の船はいま長官が言われましたベルキナ沖あるいは東樺太の方に行けるけれども、小型の漁船の場合はこの奥尻堆を中心にいまやっているということになると、これはなかなか大変ではなかろうか。具体的にどうするこうするということは、きのうのことのようでございまして、水産庁にどうしてくれ、ああしてくれという具体的なものは何もありませんけれども、しかし、沿岸漁民にとってみますと、相当の痛手である。日にちを決めて、あるいは具体的に水産庁の方に陳情に行くのかもしれませんけれども、この奥尻堆の重要性ということは私どもよく知らなかったわけでありますが、この点について長官はどのようにお考えになっておられますでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 奥尻堆という水域が、今回一部入域を認めました水域の中に若干かかっているということは事実でございますし、顧問さん方とのお話し合いの中でも私も承知していたわけでございます。
 ただ、私どもこの水域につきまして入域を認めました際に判断をいたしましたことは、当然この水域の中で多く操業しているほかのイカ釣り船、つまり北に上がれるイカ釣り船がこの水域に出かけていくことができますので、したがいまして、この水域しか使えない船も漁場がかなりあくというふうに考えられましたので、もちろん若干の影響はあろうかと思いましたけれども、大局的な見地に立ちまして、これは何とか処置ができるのではないかというふうに考えた次第でございます。
 それからまた、同時に、ソ連船の操業は、同時操業二十五杯でございますので、イカ釣りとの競合の状態も、調整をうまくいたしますればできるのではないかというふうに判断をいたした次第でございます。
 しかしながら、もとよりこの水域を利用しておられる零細な沿岸漁民の方々の御心配はよくわかりますので、水産庁においでをいただきまして、私も十分御説明もいたしますし、またお話も承りまして、今後の御相談をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
○川田委員 それからもう一つでございますけれども、いまの日本海側のソ連に対する拡大水域、この海域と、それから先ほど来お話がありました、わが方が受ける恩恵といいますか、ベルキナ沖、それから東樺太、この両方を対比してみた場合に、漁場の価値といいますか、あるいは漁業価値と言った方がいいのか、この面については、魚のことですからじっとしているわけではありませんので、なかなか予測はしがたいのかもしれませんけれども、その辺についてお話をしていただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 まず、わが方が譲った方の水域についてでございますけれども、この水域につきましては、ソ側は二十五隻のまき網船を入れまして同時操業をいたしまして、約七万トンのイワシをとるということでございます。そのクォータを果たして消化できるかどうかということにつきましては、わが方も日本海のイワシについては必ずしも十分な漁場の調査ができておりませんし、明確なことは申し上げにくいわけでございます。しかし、ある程度までは漁獲できるだろうというふうに思います。
 これに対しまして、私どもがソ連の方から譲歩を受けた水域でございますが、この水域はイカ釣り船の水域でございまして、約五百杯のイカ釣り船が入れるはずでございます。それからまた漁獲量も、過去の経験から推定いたしますと、八千トンから一万トンのイカが操業度の相当よい条件のもとにとれるのではないかというふうに言われている水域でございまして、これは非常によい水域であるというふうに言えると思います。
 それからまた、東樺太の四十九度から五十度までの水域でございますが、ここは底魚を中心にいたしまして約五百トン程度はとれるのではないかというふうに考えられますので、イカも底魚もいずれも価値の高い魚でございますから、したがいまして、私といたしましては、双方を比較いたしました際に、ソ側に譲りましたものに対して日本側は埋め合わせができていると考えている次第でございます。
○川田委員 あとは要望でございますけれども、いま特に北辺の漁師の人たちは、二百海里以降、本当に切実な問題を抱えておりまして、死ぬか生きるかというところまでいっているのが実情でございますけれども、長官も御存じのように、領土か魚かということが国内でも論議されております。したがって、そんなことから、魚をとりたいということのために日ソ友好会館を北海道の各地につくったり、あるいは共同事業をどうしてもやらせてもらいたいというような要望が出てくるわけでありまして、率直に言いますと、根室周辺の良識のある漁業者でさえも、北方領土返還のことと関連しまして、特にあそこの周辺は根室周辺地域特別対策事業ということで公共事業費などをずいぶん投下しているのですけれども、そんな橋や道路をつくることよりも魚をとらせてくれというような非常な願いがあって、それが日ソ友好会館の建設になったりしているわけでありまして、全くそういうところに行きますと、思うつぼに入ってしまうという感もなきにしもあらずということでございますので、土に生きる農家の人たちとは違って、海の中の魚をとる漁民の人たちでありますから、どうかできるだけ水産庁としましても北の方の漁民の人たちに対しまして温かい手を差し伸べていただきたい。
 要望を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 次に、高沢寅男君。
○高沢委員 きょうは、新しい外務委員長のもとに、また新しい外務大臣をここにお迎えして初めて開かれる外務委員会でありますので、日ソ、ソ日の漁業協定に関連をしながら、やや総論的な形で私から御質問をいたしたいと思います。またその後、漁業協定の具体的な御質問についてはわが党の岡田委員からお尋ねをする、このように進めてまいりたいと思います。
 大臣、大変御苦労さまでございます。また、大いに新任務に邁進をしていただきたいと思います。それにつきましても、最初に大臣にお尋ねしたいことは、ことしの五月に伊東前外務大臣が辞任をされるというような事態があったわけでありますが、こうした事態はもちろん二度とあってはならぬ、こういうことではないかと思います。そこで、そうした前車の轍を踏まないというような意味において、二つほど大臣の御見解をお尋ねしたいと思うのであります。
 一つは、外務大臣として、いわゆる外務省の官僚諸氏に対する指導統括という問題であります。
 この五月の伊東外務大臣が辞任をされるときのいきさつを振り返ってみますと、当時の日米首脳会談、発表された日米共同声明、その結果が、主として鈴木総理が自分の意図ではなかったというようないろいろないきさつがあって、外務大臣の辞任につながったわけでありますが、私は、総理あるいは外務大臣というものが外務官僚の提供するおぜん立ての上でただ動くというだけではなくて、積極的なリーダーシップを示して、そして日本外交の方向を示しながら外務官僚がその方向で仕事をされる、こういうふうな指導統括の姿勢が非常に重要ではないかと思うわけでありますが、大臣の御所見をお尋ねいたしたいと思います。
○櫻内国務大臣 高沢委員から、いわゆるリーダーシップの必要、指導統括をよくせよという御趣旨の御発言でございました。私は、外務省の多年にわたる豊富な資料あるいは外務官僚の皆さんの識見、そういうものがあって初めて私のような大臣が就任して働き得るものだ、こう思うのであります。その豊富な資料や識見というものをいかにうまくそのときどきの情勢に対応して取捨選択をしていくか、そういう点で、そこに高沢委員のおっしゃるようなリーダーシップなり抱負なりが必要ではないか、こういうことでありますと、まさにそのとおりであると思うのであります。私は、外務省は初めてのことでもありますので、省内の皆さんの意見を十分聞き、そしゃくしながらこの職責を果たしてまいりたいと思います。
○高沢委員 その御決意に加えて、もう一つお尋ねしたい問題があります。
 それは、伊東外務大臣の辞任につながった一つの大きな要因として、いわゆる二元外交の問題があったということが、最近報道を通じて明らかになっているわけであります。この二元外交のあり方も、常識ではちょっと考えられないほどの二元外交であった、私はこう見ざるを得ないわけであります。外務省当局も、あるいはまた総理も知らない間に、前通産大臣の外国に対する親書が出されていた事態というものは、二元外交の中でもまたはなはだしい例ではないかと私は思うのでありますが、この種のことが一体なぜ起きたのか、また、今後こういうことを防ぐための処置あるいは御所信を大臣はどのようにお持ちであるか、お尋ねしたいと思います。
○櫻内国務大臣 一般論として申し上げますと、今日のこのような厳しい国際情勢の中でわが国の国益を総合的に確保していくためには、一貫性のある、また整合性ある外交を一元的に進めることが不可欠であることは言うまでもないのであります。いま御指摘のございました田中元通産大臣の親書ということについては、新聞の報道で承知したようなことで、それらの事実については通産大臣はお調べになるということをお答えになっておるわけでございまして、現在外務省の私の立場からいたしますと、外交上の重要な問題でございますので、いまここでいろいろ申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○高沢委員 私はこのニュースを見て非常に驚いた一人であるわけですが、こうしたことは、その意図のいかんを問わず、結果としては日本の外交の権威を著しく落としめる性格のものであったと考えざるを得ないわけでありまして、外務省の部内の処理あるいはまた内閣、政府としての部内の処理はそれぞれありましょうけれども、こうしたことが二度とあってはならぬということについては、もちろん外務大臣もその決意をいまお述べになったわけでありますが、重ねてそのことを御要望申し上げる次第であります。
 それで、こうした二元外交ということに関連いたしまして、考えようによりますと、自民党の政府のいままでの外交のあり方では、こうした二元外交はある程度意図的に使われてきたという面もあるのじゃないかと、実は私自身は思っております。それは、たとえば一例で申し上げますと、あの佐藤内閣の時代でありましたが、当時アメリカのニクソン大統領との繊維交渉とか、沖繩返還交渉とか、こういう課題が進められていたときに、表の外交ルートの交渉、やりとりとまた別に、裏のルートから、何々大学教授という人が先方のニクソンの周辺の有力者との間に特別のコネクションを持って、裏の外交を進められた、こういうふうなこともいまでは歴史的な事実として明らかになっているわけであります。私は、これはある意味においては二元外交を意識的に使われたというふうに見ざるを得ないと思うのであります。
 あるいはまた、田中内閣とニクソン大統領との協議の段階においても、田中総理の友人という実業家の方が会談に同行される、そして、表の外交ルートとはまた別の次元の役割りを果たされる、こういうようなこともまた現にあったわけであります。あるいは日韓の外交を見ても、これも同様であります。表の外交ルートとはまた別な、特別の人的コネクションを持ったそういうことが行われて、そこで事が決しられている、表の外交ルートは、その裏で決まったことをただ後で追認するにすぎないというようなあり方が進められてきた、こういうふうに思うわけでありますが、こういうあり方の是非善悪について大臣はどのような御認識を持っておられるかへお尋ねをいたしたいと思います。
○櫻内国務大臣 わが国の外交を遂行していく上に、先ほども申し上げましたように、外務省を中心といたしまして、あらゆる資料あるいは外務省内の意見を総合して私が判断をしていく、あるいは総理に大所高所から御判断を願う、一貫性のある、整合性のあることが不可欠であるわけでございます。
 しかし、その間に情報の収集のために、あるいは客観的にどう判断をしていいのかというようなことで参考に意見を求めるとかいうような、いわゆる外交ということの前の前提的なことは、やはり全然否定するというわけにいかない、私はこう思うのであります。したがいまして、いま私が御質問を判断するのに、特に何か御批判があるようなそういう形の裏外交的なものがあったのではいけない、こういうふうな御批判であったのじゃないかと思うのでありまして、そういうようなことについては、もちろんさような事態のないことが好ましいことでございます。
 ただ、いま議員外交というような表現が使われておりますが、いろいろな形で議員間で意見の交換をされる、それがまた私どもの判断の上に非常に役立っ、こういうようなこともございますから、高沢委員のおっしゃることについては、非常に欠陥のあるような問題については冷静にまた反省し、判断していかなければならないと思いますが、一概に外務省以外のことは全くいけないのだと、そう厳正に考えるのがいいのかどうかということについては、ちょっと私は、いい場合もあるような気がいたしますので、その辺は留保させていただきます。しかし、一元外交でなければならぬということについては、はっきりそのとおりだと申し上げておきます。
○高沢委員 大臣のいまのお答えの中で、たとえば日本何々友好議員連盟というふうな、相手の国によってたくさんのそうした議員連盟ができております。私自身も日本ベトナム友好議員連盟の代表幹事をお引き受けして、いままで櫻内先生の会長のもとでお務めしてきたという経過がありますから、そういう活動を高く評価する点においては、いまの大臣のお答えと私は全く同じ立場であります。
 しかし、先ほど言いましたいわゆる裏ルートというものは、この種のものが往々にしていわゆるスキャンダルと結びつくというふうなことがいままでの例でも現実にあるわけでありまして、そうした国民の目に見えない裏ルートの外交、そしてそれがスキャンダルに結びつくというようなことは厳にあってはならぬ、こういう意味でお尋ねをしたわけであります。もちろん、大臣もそういうものがあってはならぬというお立場だと思いますが、重ねてその点についての大臣の御見解をお尋ねいたします。
○櫻内国務大臣 ただいまスキャンダル云々というお言葉も出ましたが、かりそめにもそのようなことがあるとか、疑われるとかいうようなことがあってはならないと思います。
○高沢委員 次に、外交のあり方として、大変口偏ったい言い方でありますが、外交にはバランスというものが非常に重要だ、こう実は私は思うわけであります。そのバランス論との関係で、過去の日本外交を振り返ってみますと、何といっても世界政治の中におけるアメリカという一つの極、それからソ連という一つの極、この大きな二つの極がある中での日本外交が展開をされてきたわけであります。
 それで、昭和二十六年にサンフランシスコ講和条約ができました。日米安保条約が結ばれました。こうして日米という関係における大きな外交の機軸というものがつくられた。こういう段階があったわけでありますが、その後、昭和三十一年になりますと、いわゆる日ソ国交回復が行われる。こういう形で、そこに当時どれだけ意図的なものがあったかどうかは別として、現実に、日本外交の一定のバランスを保つ、こういうふうなことがなされてきたのじゃないのか。したがって、三十一年の日ソ国交回復については、私ども社会党も、これを全面的に支持、協力するという立場をとったわけであります。そういうふうに考えてまいりますと、その後の日ソ関係というものを見ると、現段階においてはややそうしたバランスの欠けた状態にあるのじゃないのか、こう思うのが私の意見であります。
 ついこの間も、昭和五十三年に、日中平和友好条約が結ばれたわけであります。この条約は、もちろん日中の戦後処理の問題として結ばれた条約ではありますが、しかしまたそこに米中などの関係が絡んでまいりますと、これは事実上ソ連に対する日米中の三国の同盟が進んでおるという見方もあるし、特に相手側のソ連の方はそういう見方をしておる、こういう現状であります。そういう中において、これもまた一つのバランスを回復するには、私はこの段階において日ソ関係というものをやはり一歩二歩前へ踏み出す必要があるというふうに実は思うわけであります。
 そういう立場から見ますと、明年の一月二十日、二十一日と、日ソ間の高級事務レベル会議も開かれるという段階に来ておりますが、この事務レベル会議を一つのスタートにして、私は、この日ソ関係というものを一歩二歩前へ進める、こういうお立場をぜひ大臣からお示しをいただきたいと思うわけであります。今回の漁業協定も、実務的なものではあっても、そうした前へ進めるための大きな一つのステップだと思います。明年一月のそうした高級事務レベル会議の発展、展望というものについて、相手がある問題ではありますけれども、ひとつ大臣の御見解や御所信をお尋ねしたいと思います。
○櫻内国務大臣 サンフランシスコ平和条約の締結、そしてその後、日ソの共同宣言による国交回復、これはこれで私はある程度のバランスはとれておるかと思います。しかし、御承知のように、日ソ間は、共同宣言による国交回復ということで、遺憾ながら平和条約の締結には至っておらない。その点、欠くるところがあるわけでございます。
 それから、日中の関係におきましては、まず国交回復、それから日中の平和条約を結んだ、こういうことですから、ソ連についてはややウエートが低くなっておる、そういうふうに率直に認めていいのではないか。しかし、それは那辺に原因があるかと申し上げますと、これは領土問題が未解決であるということは明白なことだと私は思うのであります。
 そこで、高沢委員から、明年一月に日ソ事務レベル協議が行われることを出発にしてもう一つバランスのとれる外交をという御意見でございました。これは本年九月、園田・グロムイコ両外相の問で、相互に対話の必要性を痛感して、そして事務レベル、続いては外相レベルの協議をしたならばどうか、こういうことであったわけでございますから、これを現実に実行してまいろうということで一月の事務レベル協議を合意しておるわけでございます。しかし、私としては、何としてもやはり領土問題の解決なくしては両国の真の平和を確立するわけにはいかないのじゃないかということで、その点は強調もし、粘り強く交渉もしながら、なお所要のことにつきまして事務レベル協議、またその後、必要が生じますならば外相レベルの協議をしたらどうか、このように見ておるわけでございます。
○高沢委員 これは他山の石の問題でありますが、つい先日、十一月二十二日から二十五日まで西ドイツとソビエトの間の首脳の会談があったわけであります。これはブレジネフ書記長が西ドイツを訪問した、逆に言えば西ドイツのシュミット首相がブレジネフ書記長を招待されて、そして首脳会談があったわけですが、この首脳会談も、ヨーロッパにおけるあり方として、西ドイツはNATOの中の有力な一員であります。したがいまして、もし万一ソビエトの陣営とNATOの間に戦端を開くというふうな場合には、西ドイツとソ連は戦場で相まみえる、そういう両者の関係にあるわけであります。そして、特にいまはヨーロッパにおけるいわゆる戦域核の配備の問題で、その緊張状態といいますか、極限状態になっておるというふうにも私たちは見ているわけであります。
 そういう情勢の中であるだけになおさら、このソ連と西ドイツ首脳の間における非常に率直な会談が行われた、こういうふうに伝えられるわけでありますが、私は、そういう外交努力がジュネーブで始まった米ソ間の戦域核制限交渉というようなものにも必ずやプラスの大きな影響を与えてくるだろうと思うわけであります。こういう西ドイツとソ連の間の外交のやりとり、対立がある、だからなおさら話し合う、これも一つのバランス外交の姿ではないかと私は思いますが、そういうふうな姿勢が日本の外交でもあっていいのではないか、またぜひあってほしい、こういうふうに実は思うわけであります。こういう西ドイツの例等も踏まえながら、外務大臣の先ほどのお答えに重ねて御所信をお尋ねしたい、こう思うわけであります。
○櫻内国務大臣 ブレジネフ書記長、シュミット首相の会談が行われたということは、それなりに価値のあることだと思います。ドイツが西側陣営の一員としての立場をとりながらも、なおソ連との対話を継続する、これは高沢委員も御指摘になられましたが、ドイツの置かれておるソ連との間の関係からしますと、地理的や歴史的の要因を背景として、ドイツの首相としてはそういう考えを持たれることはよくわかるところであります。
 また、西欧陣営全体としても、先般オタワ・サミットの折に、相互に低いレベルの軍備、そういう努力をしよう、それとともにまた対話をしよう、こういうことを言っておるわけでありまして、私は常に対話というものは大事だと思うのですね。そういう見地からいたしますと、今回対話が行われた、またレーガン大統領も戦域核制限についてひとつ話し合おうじゃないかということも言われた、こういうわけでございますから、これがやはり国際的な外交のあり方でございまして、日本でも、ソ連との間に領土問題のような大きな暗礁がありましてもなお対話をしようというのも、同じ見地の上に立っておると申し上げておきたいと思います。
○高沢委員 ソ連との関係において、いま大変注目され、憂慮されているポーランド問題について若干お尋ねをしたいと思います。
 まず、ポーランドにおける現状は、外務省、わが国政府としてどういうふうに認識をされているか、あわせてこれからの見通し、展望、そのことも含めて、この際御見解をお尋ねしたいと思います。
○加藤(吉)政府委員 先生御案内のとおり、昨年の夏、自主労働組合である「連帯」が組織されて以来、ポーランドにおきましては、政府と労働組合の対立という状況が発生したわけでございます。その間に立って、教会がこの両者を融和しようという努力を重ねてきたことも御案内のとおりでございます。その間、ポーランドの経済情勢は一向改善の徴候を見せず、労働者の困難は非常に高まってきておる。そういうことで、全般的にポーランドを取り巻く内外の情勢は緊張の度を高めてきたというふうに申せると思います。
 去る十三日に非常事態宣言及び軍政の施行が決定されて以来今日までの状況は、実は必ずしも全般的に正確に把握されているわけではございませんが、伝えられるところ、軍政府当局の労働組合鎮圧がある程度功を奏してきておるというふうにも考えられます。しかし、これで事態がおさまるとは必ずしも思われませんで、今後労働組合側がさらに強硬なストライキ等に訴えるという事態も予想されないわけではございません。したがって、非常にあいまいな表現ではございますが、ポーランドの情勢はいまなお非常に流動的であり、将来の推移については予断を許さないと申す以外仕方がないのではないかというふうに思っております。
 なお、ポーランドと日本との連絡は一時途絶しておりましたけれども、十九日以来、これは一般の回線を通じてでございますが、大使館と東京との連絡が確保される状況に至っております。
○高沢委員 先般の軍政移行が出てきた段階で、もしポーランドに対するソ連の介入というような事態になった場合には、これに対する制裁措置を考えなければならぬという意味の外務大臣の御見解を、私は新聞で小さく拝見いたしました。
 そこで、これに関連してお尋ねしたいわけですが、一つは、いわゆる軍事介入というふうなだれが見てもはっきりとわかる事態、こういう介入、それから、そういう事態ではないが実質上介入と判定する事態とか、その介入の認定にはまたいろいろあろうかと思いますが、そのことをどういうふうにお考えになっているかということ。
 それからもう一つは、私はそういう介入はない、こういう判断に実は立っているわけでありますが、万一そういう事態があったときに、かってのアフガン問題のときも日本政府として対ソ連の制裁措置をとられたわけでありますが、今度の場合も、そういう事態があったときにおとりになる制裁措置というものは、一体どういう措置をお考えになっておるのかという、二点についてお尋ねをしたいと思うのです。
○加藤(吉)政府委員 ソ連の軍事介入という言葉で何を理解するかということでございますが、ソ連が実力行使でその軍隊を動員してポーランドに侵入する、こういう事態を想定して私どもはソ連の直接介入と理解しております。こういうソ連の直接介入が行われるか否かにつきましては、現在まで私どもが把握している情報では、そのような徴候がないということでございます。
 ただいま先生がおとりになる介入とおっしゃいました意味、私、実はちょっと聞き漏らしたのでございますが、あるいは間接介入と申しますか、ソ連が後ろで糸を引いていまの軍政当局に労働者弾圧をやらせておる、そういう間接的な介入という意味でございますれば、幾つかの外国、アメリカを含めて、そういう事態が発生しているというふうに述べている政府がございます。ただ、私ども日本といたしましては、そういう間接介入と申しますか、ソ連が後ろで糸を引いているということについて、それを立証する確たる証拠を握っているわけではございません。そういう間接介入があったともあるいはなかったとも言えないというのが、残念ながら現在の状況でございます。
○高沢委員 それからもう一つ、もう一度お尋ねしますが、もしそういう介入が、私もないと思うのですが、あった場合、政府が制裁措置としてとる、それは一体どういう内容の措置になるのか、これをお尋ねしたい。
○加藤(吉)政府委員 すでにアフガンの問題が起きましたときに、西欧諸国あるいはアメリカ等と相談をいたしまして、歩調を合わせるということでいろいろな措置をとったことは御記憶のとおりでございます。万一ソ連の実力行使というような事態になれば、当然日本としては欧米の友好諸国といろいろ意見交換をして、足並みをそろえてやるということになると考えます。しかしながら、冒頭に申し述べましたとおり、現在まではそのような徴候がないので、まだそういう相談をしている状況ではございません。
○高沢委員 それでは、私の後、土井委員から若干の時間関連質問を申し上げますので、よろしくお願いします。
○中山委員長 土井たか子君。
○土井委員 一つ、事重大なことでございますことを新しい外務大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、アメリカの対ソ戦略に非常に関係する部分であります。
 昨日、十二月二十日付の新聞報道を見まして、これはあっとかたずをのんだ国民が非常に多いだろうと思うのですが、中身はもう外務大臣御案内だと思いますけれども、権威あるアメリカ政府当局者が日本の新聞記者からの質問に答えまして、核兵器積載の米艦船の日本寄港や航空機の日本立ち寄りが行われる場合でも、それを日本の政府に通告しないというのがアメリカの一貫した政策であるということを明らかにしたという事実であります。
 こうなってまいりますと、日本への一切の核持ち込みというのは、従来日本の政府がこの外務委員会の席においても答弁を繰り返し繰り返しなされてまいりましたとおりで、日米安保条約とその関連取り決めによって事前協議制度の対象となるとおっしゃってきたことと真っ向から対立するというかっこうに相なってまいります。
 この点について、きょうは外務大臣にしかとお答えをいただきたいと思うのですが、この問題のそもそもの発端というのは、これもまたよく御存じのとおりだと思いますけれども、アメリカの上院の外交委員会が中南米の非核地帯条約批准について公聴会を催しました、その記録の中に記載された核つき寄港について、アメリカの権威ある政府当局者に対して日本の新聞記者が質問した中身に対して匿名を条件に答えたということで明らかにされている、こういう経過があるわけなんですね。
 そこで、外務大臣、こういう問題についていままでラロック元提督の証言であるとかあるいはライシャワー元大使の発言であるとか等々のいろいろないきさつがございましたけれども、ラロック提督のときには特に政府に対しまして、これは大変ゆゆしい問題であるということを当外務委員会においても質疑をいたしました結果、日本国民の疑惑を解きほぐすために米政府の真意をただしたいというふうなことが答弁としてはっきり出されまして、その後、公式ルートを通じて外務省筋はアメリカ政府に対して事実を照会されました。一九七四年十月のことであります。インガソル国務長官代理から安川在米大使に対して米国政府の見解が出されたのですが、今回も国民はこれに対して大変な疑惑を持っております。一体何だろうか、いままで日本の政府は国民に対してうそをついてきたのじゃないか、いまのままでまいりますとそういうかっこうになりますよ。
 外務大臣、ひとつこの問題に対して、日本の公式ルートを通じてアメリカの立場に対して米国政府にはっきり照会をすることが必要だと思われますけれども、これはやっていただけますね。いかがですか。
○松田説明員 お答え申し上げます。
 御指摘の新聞報道は私どもも報道にて承知しておりますが、米当局者ということで匿名で、所属官庁、職務その他一切わからないままのコメントというものに対しましては、私ども政府として公式にこれにコメントするのは実はいかがかと思っております。
 そういう前提でとりあえず内容を見てみますと、二つ内容がございますが、一つは、核の存在については個別にその存否を明らかにしないという点は、先生も十分御案内のとおり従来から米政府がとっております政策でございまして、何ら目新しいものではございません。
 また、その後、共同の記者の方がいろいろと言われている、あるいは尋ねられている中で事前協議制との関係がございますけれども、これまた政府が一貫して申し上げてきておりますとおり、事前協議制度が日米間に現存すること、この制度を米国政府として尊重するものであることについては、私ども何ら疑いは持っておりません。
 このような状況のもとで、いま後段で御指摘のとおり正式に米側に物を申し入れる必要があるとは理解しておりませんが、このような報道がなされたこと自体にかんがみ、また上院の証言との関連もございますので、状況の把握には努めるべく、いま調査を行いつつございます。
○土井委員 さて、外務大臣にお尋ねしますが、−公式に照会する必要はないと思うけれども、が事情だからいま照会を一生懸命やっている最中だという事務当局のただいまの御答弁でした。大臣にお尋ねしますが、これは大臣に聞くまでもない話だと思いますけれども、新外務大臣も非核三原則は遵守するという確としたお立場で事に臨まれますね。いかがですか。
○櫻内国務大臣 非核三原則を厳守してまいることは言うまでもございません。
○土井委員 いままで歴代の外務大臣、順を追って言えば園田外務大臣、大来外務大臣、伊東外務大臣、また園田外務大臣、一貫して、当外務委員会の席で憲法上核は持てないということに対しての質問を展開いたしましたら、それに対して、そのとおりだという御答弁をいままでいただいてきているわけでありますが、新大臣も同様でございますね。
○櫻内国務大臣 私、残念ながら、歴代大臣が憲法上、核は持てないというふうにはっきり言われておるということを承知をしておらないのであります。これは憲法の上からは、自衛力の範囲であれば、私は、それがいかなる兵器であっても憲法解釈上どうこうと言うことではない、そういうふうに認識をしておるわけでございます。ですから、いまおっしゃった歴代大臣がそういうふうに言われたということについては、よく調べさせていただきます。
○土井委員 これについては時間をさらにとって私は新外務大臣に詰めますけれども、いまおっしゃった御答弁は何が何だかさっぱりわからない。どういうことをお答えになったか、私にはさっぱり意味がわかりません。
 実は、大臣となされれば、外国との間で締結する条約、それは多国間であろうと二国間であろうと、条約を遵守する義務が日本においてはある。憲法九十八条がそのことを明記いたしておりますが、NPTを日本が締結しているわけであります。核兵器不拡散条約です。日本は核を持たない国だという意味でこの条約を締結し、これを遵守する義務がある。憲法九十八条はそれを明記しておる。核は持てませんね。いかがですか、もう一度尋ねます。
○櫻内国務大臣 ただいまNPTについての関連でお尋ねでございますが、それは土井委員のおっしゃるとおりでございます。
○土井委員 そこで、先ほど非核三原則については遵守する、きっぱりとした御答弁ですから、再度このことを一問だけ申し上げさせていただいて私は終わりますが、この新聞記者が権威ある米政府当局者に対して、日本政府の非核三原則は、少なくともそういうアメリカの政策からすると部分的には機能しないということになるのではないかという、国民のだれしもが考える不安と疑問を投げかけたわけであります。
 そうしたら、その問いに対して、日本政府がこの米政策をどう受けとめるか、日本政府の立場が論理的であるかどうかは、アメリカは論評するわけにいかぬ、これは当然のことだと思うのです。日本自身が判断すべきことだ、これも当然のことだと思うのですけれども、このように向こうでは答えて、さあ、えたいが知れない、これはだれがどういうふうに権威ある米政府当局者であるのかわかりませんが、球が投げられたようなかっこうになったままなんです。事実についてひとついろいろと探索してみたいというふうな事務当局からのきょうのお答えでありましたけれども、外務大臣、これについてはやはりきちんとしておく必要がありますよ。アメリカに対して問いただしを、これはやはり外務大臣というお立場でそれなりの努力をなさる必要があると思う。
 権威ある米当局筋というのは一体だれであるのか、政府当局者というのは一体だれであるのかという問題も含めて、今回出されましたこの中身について、しかるべく正式ルートを通じて問いただしをするということは大変大切なことだと思われますけれども、事務当局の御答弁は要りません、ひとつこの点についての外務大臣のお考えを聞かせていただいて、私は終わります。
○櫻内国務大臣 新聞も匿名高官というように報道しておるのでございまして、それを私がまともに取り上げてどうこうと言うことはできないということを、どうぞ御了承いただきたいと思うのであります。
 なお、大変御懸念のようでございますけれども、米国政府は、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する約束を誠実に遵守してきている旨、繰り返し申しておることでございまして、先ほど事務当局から言われたように、そういうようなことがいろいろ言われておることを調べておくことはいいと思うのでありますが、私が外務大臣としてこれを取り上げる、そして云々するということについては控えさせていただきたいと思います。
○土井委員 終わります。
○中山委員長 次に、岡田利春君。
○岡田(利)委員 いまも日ソ関係の問題について質問がありましたけれども、冒頭に、これからの日ソの関係についてお伺いをいたしたいと思います。
 日ソ国交回復以来、ちょうど二十五周年を経過いたしたわけであります。七九年のアフガン侵攻以来、非常にジグザグとした冷たい状況にありましたけれども、今年の六月十日に南ヤクート原料炭開発、また第三次の極東森林資源の開発、いずれも二千百億円に上るバンクローンがソ連側に供与されて契約ができたわけであります。また八月には、民間の貝殻島のコンブ漁業協定の妥結がありましたし、九月二十二日には、西シベリア天然ガスパイプライン計画に対する日本の輸銀の融資の契約がなされておるわけであります。いわば経済的には漸次軌道修正が行われてまいりましたし、しかも先ほど触れられておる九月のグロムイコ・園田ニューヨーク会談における高級事務レベルの協議が近く再開をされる。こういう状況の中で、来年度の最大の課題として対ソの関係をどう調整をするか、このことはわが国の外交にとってきわめて重要である、私はかように考えます。
 しかし、かつてグロムイコ・園田外相の定期協議の中で、日本側は平和条約案を示し、ソ連側は善隣友好条約案を示して、実はこれは外務省の金庫に入っておることになっておるわけであります。ですから、その次元でいま日ソ関係を修復しようとしても、私はなかなか前進しないだろうと判断せざるを得ません。したがって、もちろん平和条約の締結を前提としながら、一つのステップをやはり踏まなければならないのではないか、こう私は考えるのであります。
 また、これに関しては一九七一年にソ連とフランス、カナダ、いわば西側の先進諸国家の間に一定の基本的な合意がなされておりますし、七二年には、ニクソン・ブレジネフの米ソ国家関係における基本原則について合意ができ上がっておるわけであります。いわばソ連とわが国の間の国家間の基本的な原則というものを改めて双方が確認をする、これをステップにして日ソ関係の前進を図っていく、問題の解決を図っていくという視点が重要でなかろうか、私はこう考えざるを得ないわけであります。
 もちろん今日、日ソ共同直言についても、一九六〇年の安保以降、ソ連側の見解が変わっておることも、外務省は御承知のとおりであります。なるがゆえに、いま日ソ関係は少なくとも日ソ共同宣言を締結したその時点の原点に素直に返るべきではなかろうか。あるいはまた、その後、田中・ブレジネフ共同声明があるわけであります。そういうステップを築き上げるということが、まず私は日ソ間にとってきわめて重要だと考えるわけであります。
 そういう意味で、新外務大臣は特に来年度の最大の課題である日ソの関係の調整について一体どのような姿勢で臨まれようとしておるのか、その所信をまず伺っておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 岡田委員がおっしゃるとおりに、両国間で原則が確立されておる、あるいは出発点がしっかりしておる必要が当然あると思うのであります。そういう見地から考えますと、日本としては、何としても日ソ共同宣言が両国間を律する基本原則ではないか。そして、さらに一九七三年の首脳会談、これも非常に重要な会談であった、こう思います。私どもが日ソの間を打開する上におきましては、この二つを出発点として、そして腹蔵のない、粘り強い外交交渉を持ってまいりたい、このように思います。
○岡田(利)委員 私は、去る十二月九日に、外務省フィリュービン第一次官と二時間半程度いろいろ意見の交換をする機会がありました。いわばこの高級事務レベル協議を通じて、日本側がまず積極的にどう一体対応するのか、このことが一番重要ではなかろうかという感じを実は受けておるわけです。外務大臣のこれ以上の具体的なお話はなかろうかと思いますけれども、そういう意味で積極的な対ソの関係の調整を図っていただきたいと思います。
 同時にまた、ポリャンスキー大使は一月に帰国するわけであります。日本の駐ソ大使についてもずいぶん新聞辞令は出ておるのでありますけれども、魚本大使も大変苦労されておるのではないでしょうか。この人事はもうごく近く発令なのでしょうか、差し支えなければ承っておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいまの、ソ連側においてはポリャンスキー大使がお帰りになって、今度かわられる、ソ連側からはアグレマンを求めておるという状況でございまして、いまここでどなたということを申し上げることは控えさせていただきます。
○岡田(利)委員 魚本大使もいろいろな行事がございますから大変苦労されておりますので、私は、人事は慎重に、しかも果敢に行うべきだということを申し上げておきたいと思います。
 早速漁業関係の問題に入りますけれども、私は第一点として、まず今年の、まだ十二月三十一日まで若干時間がありますけれども、日ソのそれぞれの七十五万トン、六十五万トンのクォータに対して一体どういう実績の見通しになるのか、承っておきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。
 まだ最新の情報が入っておりませんので、一年間の全体をしかと申し上げるわけにはまいりませんが、ソ側のクォータの消化は、いままでの報告によりますと、十月末までで総体のクォータ六十五万トンに対して二三%でございます。
 また一方、日本側のクォータの消化でございますが、これはかなりの達成率が見込み得るというふうに考えております。
○岡田(利)委員 松浦長官、今度の交渉、大変御苦労さまでございました。
 そこで、私も長官が会う前にクズネツォフ外務次官と会ったわけでございますが、いわばソ連側のクォータに対する実績が非常に低いということ、したがって、それぞれの漁船はノルマを達成できないということ、したがって、それぞれの船団からの突き上げが激しいということ。しかし、ことしは海況的にも漁況的にもノーマルな状態ではなかったということは私は言えるのだと思うのです。したがって、今回の交渉に当たって、特にソ連側が海域の拡大を求めたということは、余りにもクォータと実績の差があり過ぎる、三分の一にも到達できるかどうか、このことが全体的に、国内的な内部事情も含めて強かったのではないか、こう私は感じを受けとめておるわけです。交渉に当たられた長官として、どのように今回の海域の拡大についての提案を認められましたか。
○松浦(昭)政府委員 ソ側がクォータの消化状況が非常に悪いために、現場の船団あるいは上層部の方から、漁業相が相当クォータの消化率を上げるようにという指示を受けていたのではないかという感じは、私も交渉しながら受けとめた次第でございます。
 特に問題は、ことしにつきましては春先、ソ側がその主要の魚種でございますイワシを、太平洋側に参りましてわが方の地先でとったわけでございますが、これが小形であったということもございまして、資源に与える影響といったようなことも考慮いたしまして、日本海側に参りましてここでかなりの漁獲を得ていた。これはもちろんソ連の二百海里内、特に樺太の西南の方であるというふうに考えておりますが、そこでかなりの漁獲が上がりましたために、日本海においては相当大羽のいいイワシがとれるのではないかということを考えまして、特に日本海の水域への入域というものを強く要求してきたというふうに考える次第でございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、ソ側がこのようなことで消化率が悪いという点につきましては、私どもももう少しソ側が漁獲努力を傾注すればいいじゃないかという考えはもちろん持っておったわけでございまして、ソ側に対しましても、海況、漁況の通報といったようなことでソ側の操業度を向上させるということのために協力しようということも言ったわけでございますが、やはり操業の条件というものが非常にきついということをソ側も最後まで固執いたしまして、このような交渉の一妥結の様式をとったということでございます。
○岡田(利)委員 今年の妥結に当たって、日本海の漁場については今年限りだ、こう松浦さんは向こうにも述べられて、条件として付されたと伺っておるわけであります。しかし、果たしてこれが妥結の真の条件かどうか、そう述べたということだけであって、双方が確認した条件ではなかろうと思うわけであります。
 そうしますと、いずれにしてもクォータと実績の差が依然として縮まらない、来年一年間もそういう実績が出ると、やはりまた漁場問題が提供される可能性があると思うのです。したがって、長官は、一応今年限りですよと、この日本海の漁場について条件をつけられたようでありますけれども、今年の実績の推移と、来年一年間またクォータと実績の差が余りにも広がっておると、この条件どころか、海域の問題について再びソ連側から求められるのではないか、こういう感じを私は持つのでありますけれども、そういう心配は要りませんか。
○松浦(昭)政府委員 今回の交渉の途上におきまして、日本側は繰り返し繰り返し、日本海の水域の中においては日本側の多くの漁船がきわめて稠密にこの水域を利用しているということは述べてまいりました。そのことはソ側もわかっていると思います。それからまた、交渉をまとめる際に、私から、これ以上の拡大はできないということをはっきりクドリャフツェフ次官に申してきたことも事実でございますが、何分にもこの協定は一年一年の協定でございますので、向こう側はテークノートをするということを言う以上には向こう側も出られないということであったと思います。
 しかしながら、先生御懸念のように、もしも将来クォータの消化状況が非常に向上すれば問題はないわけでございますが、そのような状態がなかなか実現できないということになりますと、場合によりましてはソ側が再び操業条件の問題を持ち出してくるということを否定するわけにはいかないというふうに思うわけでございます。しかしながら、わが方といたしましては、次の交渉に臨みます前に、どういう対応策を考えるかということを十分検討してみたいというふうに思っておりますし、また、交渉に臨んでは、万が一そのようなことが起こりましても、粘り強く交渉していくというつもりでございます。
○岡田(利)委員 農林水産大臣にお伺いしますけれども、一応クォータについて、あるいはまた双方の主要魚種について、昨年同様の実績で妥結ができた。海域については、日本海のかわりに、さらに日本側は日本海第七区のイカ釣り漁場の拡大、東樺太の第六海域における沖合い底びき、サンマ棒受け漁業の拡大、こういう形で最終的に妥結をしたわけであります。相当長官もしんぼう強くがんばって、最終結果としてこの妥結ができたと私は判断をいたしておるのであります。
 私は、そういう意味で、一応今年のクォータと実績の度合いを見れば、今回の妥結の内容は評価できる、こう思うのでありますけれども、大臣の今度の妥結についての評価について承っておきたいと思います。
○田澤国務大臣 今回の交渉についての経過は、ただいま水産庁長官からお話ししたとおりでございます。そういう点から考えますと、いろいろな見方もございましょうけれども、この交渉は私はよろしかった、こう申し上げてよろしいと思うのでございます。内容につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますので、省略さしていただきます。
○岡田(利)委員 ここで一つ私は伺っておきたいのですけれども、北海道と国後の間の野付水道海域の問題についてであります。
 ここは、戦後ずっと国後側三海里までわが国の漁船は自由操業できた地域であります。二百海里時代になって、その後、わが国は十二海里の領海線を引いた。したがって、その後も中間線になって制約をされる状態になっておるわけであります。いわばコンブの場合にも、一応ソ連が支配する領海内であります。したがって、こういう水域において、もし日本側の民間とソ連側の間にコンブ協定と全く同様の内容で漁獲の協定ができるとするならば、これは何ら差し支えないのではないかと私は思うのでありますけれども、この点について見解を承っておきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 ただいま先生の御指摘のございました野付水道の海域の問題、特に羅臼の沖であると思いますけれども、この水域においては、先生御指摘のような事態があったことは事実でございます。
 ただ、ただいま先生が貝殻島のコンブ漁との比較をなさったわけでございますが、この貝殻島のコンブ漁につきましては、幸いことし民間協定で妥結をいたしたわけでございますけれども、この協定は昭和三十八年、いわゆる高碕協定が締結されまして、この協定に基づきまして操業が続けられてきたところでございますし、途中ソ連の二百海里の設定によりまして中断をいたしたものの、本年高碕協定に準じましてこの民間協定が締結されまして、再び操業が行われるようになったということでございます。
 このような経緯を踏まえて考えてみますと、ただいまお話のございました野付水道の海域は、かなりその様相は違っているのではないかというふうに思います。つまり、同じような民間協定のベースでこれを処置することが適当かどうかということについては、なおも慎重な検討を要するというふうに考える次第でございます。
○岡田(利)委員 この点は非常にむずかしい問題があるということは事実でありまして、しかも、ソ連側もそれは認めておるわけであります。しかし、もし日本の漁民がそういう強い希望があるならば、われわれとして検討するについてやぶさかではない、こういうクドリャフツェフ次官の返答も私はいただいてきておりますので、この点について今後検討を願いたい、こう申し上げておきたいと思います。
 時間がありませんので、最後に二つの他の外国との漁業問題について質問をいたします。
 一つは、日米の漁業協定の関係でありますが、まだ最終的に決定が出ていないわけであります。特に心配される点は、スケトウが昨年よりも外国の割り当てが減らされておる。九万トン弱のうち、恐らく六万トンぐらいになるのではなかろうか。逆にアメリカ国内では六万トン程度ふえて、倍以上の割り当てという量が決定をいたしておるわけでありますから、そういう心配が一つ出てまいります。同時に、ジョイントベンチャーが非常に強く日本に要請されてくるだろうと思われるわけであります。
 いずれにしても、この日米関係はいつごろ解決できる見通しなのか。さらにまた、日米間の漁業問題は日ソ関係と違いますから、国内的にはずいぶん法律案の改正の動きもあるわけであります。どう秩序ある安定的な日米間の体制を築こうというお考えがあるのか、この点が第一点であります。
 第二点は、韓国との関係であります。これは政府間の話し合いの中で、一部の漁場に韓国漁船は集中しない、あくまでも分散操業するということが決まっておるわけであります。ところが、実際は、最近は日本海の武蔵堆に集中して、しかもわが国の漁船の漁獲量が、がくんがくんと三段跳びのように減っておるわけであります。非常に資源が枯渇の状況にある。ところが、韓国側の状況を見ますと、韓国漁船はかつて十五万トン程度北海道周辺で漁獲をしていた。ところが、最近は、ことしは五万トン程度に落ちるのではないか、こういう推測があるわけであります。韓国国内では経営の採算割れがあるので、韓国側としても日本との協定の見直しをすべきだという動きもあるわけであります。
 私は、第二次の日韓の漁業関係の問題が来年度は新しく出てくる、こうにらんでおるわけでありますが、まず資源を保護するということが大前提でなければなりません。したがって、この韓国との間の関係をどうするのか。この二つの、アメリカ、韓国の関係についての水産庁の方針を承っておきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 明年の米国の対日漁獲割り当て量につきましては、目下水産庁から斉藤審議官を派遣いたしまして、鋭意政府間交渉を行っているところでございますが、漁獲割り当て量そのものにつきましては、今年の当初割り当て量、大体百二十万トン見当でございますが、この水準に近いところまで確保できるのではないかという見通しになっております。
 ただ、個別の魚種の割り当てにつきましてはやはりきついものもございますし、それからまた割り当て方式につきましては、米側が当初割り当てを大幅に減少させまして、分割して割り当てるというような方式もとってきておりますので、なお問題点がございます。したがいまして、これを改善すべく現在最大の努力を尽くしている次第でございます。
 なお、いま一つの大きな問題は入漁料でございますが、入漁料につきましては、当初の米国原案はわが国の支払い総額で見まして本年の約三倍という相当大きな引き上げ額が提示されたわけでございますけれども、わが方から強くこれに対しまして引き下げの要求を行いまして、現在の案ではわが国の支払い総額の約一・五倍ないし六倍というところまで提示されてきているわけでございます。しかしながら、なおこの減額を図るべく現在交渉中という状況でございます。
 なお、日米の関係につきましては、ブロー法案が提出されている等、将来この水域における安定的な操業が確保できるかどうかということについてはわが方も重大な関心がございますので、今後ともなお粘り強い交渉をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、第二のお尋ねの韓国との関係でございますが、昨年の両国政府間の話し合いの結果、北海道の周辺におきまして、韓国の漁船操業につきましては、隻数、規模、操業水域、期間等につきまして、十一月一日以降はかなり大幅な規制が行われてきている状況になっております。特に武蔵堆周辺の海域につきましては、韓国漁船の操業は、規制以前あるいは規制後も、カキを中心とする操業でございますけれども、その隻数は減少しているというのが現状でございます。
 なお、先生お尋ねの資源の問題でございますが、北海道の日本海沿岸におきますところのスケソウダラの漁獲は、十一月ごろから翌年三月にかけましての産卵魚を対象に、沖合い底引き網あるいは刺し網等によって漁獲されておりますが、現在の沿岸の漁獲の状態は総体といたしましては大体例年並みという状況でございます。
 また、当該海域におけるスケソウダラ資源の評価も、一九七五年級群の生き残りが高率でございますので、良好な資源状態であると学者は言っておるわけでございます。ただ、恐らく先生の御指摘は、武蔵堆周辺におきますところのスケソウダラの刺し網とはえなわ漁業、これが非常に苦しくなっておりまして、五十二年以降漁獲量が落ち込んでいるという点であろうと思います。これは資源の減少によるものか、あるいは漁場、資源の競合によるかということは現在の段階では必ずしも明確ではございませんが、今後とも引き続き武蔵堆につきましては資源動同等につきまして十分調査をいたしまして、その結果によりましては韓国側とも話し合いを持つ、あるいはその影響を受けている漁業についての対策を立てるといったようなことを検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
○岡田(利)委員 終わります。
○中山委員長 次に、玉城栄一君。
○玉城委員 日ソ、ソ日暫定漁業協定につきましては、大変難航の末、妥結をされたということでございまして、外務省並びに水産庁のその労を心から多とするわけでありますが、同時にまた、その経過からしまして、評価をするにやぶさかでもないわけであります。
 しかし、先ほど来諸先生方から質疑、御懸念もあったわけでありますが、私も印象として、これは日本側が大きな譲歩を強いられたのではないか、そういう印象はぬぐえないわけであります。したがいまして、今後これからわが国の日本海での操業水域拡大をソ連側は要求してくる可能性も否定はしておられない、そういうことからして、譲歩しているということについてはどのようにお考えになっておられますか。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
○松浦(昭)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、日本海へのソ連船の入域は、今回初めて認めたわけでございまして、そのような意味であるいは一方的な譲歩というふうな御印象をお持ちになったかもしれないわけでございますが、この海域は日本の沿岸からはきわめて遠い水域でございまして、日ソの中間線に沿った一部細長い水域に限りまして、しかもまき網船だけにつきましてイワシをとるということでこの水域の入域を認めたわけでございます。
 この水域の入域に対しまして、決してわが方は一方的にこれを認めたというわけではございません。先ほどから申し上げておりますように、従来までは日本海のイカ釣り漁業、このイカ釣り漁業が最もこの水域と関連を持つ漁業でございますが、このイカ釣り漁船に対しましては、従来までは日本海ではベルキナ岬からほぼ東に引いた線までが限界線でございましたけれども、これを北緯四十七度まで拡大して、その中で操業できる、またその漁船の数も五百隻ぐらいは入れると思いますし、また同時に、恐らくこの水域で八千トンから一万トンの漁獲ができるというふうに考えておる次第でございます。
 また、樺太東部水域につきましても、漁船の操業区域をツブ、カニに限られておりましたものをほかの底魚にも広げるということをいたしてまいりましたので、わが方はわが方の譲歩に対しまして向こうからも譲歩をかち取ってまいったわけでございまして、さような意味では埋め合わせがついたというふうに考えておる次第でございます。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
○玉城委員 いろいろお互いに譲歩し合ったということでありますが、やはりソ連側の粘り強い交渉に一歩わが国側としては譲ったというような感じがするわけで、問題は今後の問題なんですね。こういう同じ交渉の手法と申しますか、要求を聞かない場合にはスケトウダラについてはこれだけ削減しますよということで、じりじり後退していった場合には大変なことになるなという感じが、今回の妥結の結果からするわけでありますので、その点、そういうことが決してないように強く要望しておきます。
 同時に、関係する漁民の方々について、先ほどの水産長官のお答えでは、大きな影響はないというお話でありますが、決してそうではないと思います。やはりいろんな影響というものは当然ありますし、その救済策については当然水産庁としてもやっていただかなくてはならない、そのようにこれも要望しておきます。
 もう一点、暫定ということで毎年なんですが、長期的に安定した協定の可能性は全くむずかしいのか、その点、お伺いします。
○都甲説明員 お答え申し上げます。
 政府といたしましては、日ソ双方の漁業水域における漁業関係が安定的なものになるということが望ましいことは当然でございますので、従来とも本協定をより長期的なものにするということが必要だと考えまして、今回もこれを、数年間の有効期間を与えるようにということ、あるいは少なくとも一年の自動延長方式にするということを主張いたしましたけれども、残念ながらそれは入れられることになりませんでした。
 ソ連側の主張は二つの主たるものがございまして、一つは、昭和五十一年の最高会議幹部会で、これはソ連側の漁業水域を二百海里の漁業水域について定めたものでございますが、これが暫定措置というふうに決めているということ、それから第三次国連海洋法会議の帰趨がまだ定かでないということ、その二つを主たる理由といたしまして、この協定の長期化には応じ得ないということを申しております。もちろん政府といたしましては、今回も最後まで粘り強く長期化の問題を提起いたしまして、全体としての協定枠の安定化に努めたわけでございますけれども、結局本年中に協定を妥結するということが来年度においてこの水域における操業を確保するために不可決であるということを考えまして、妥結せざるを得ない状況でございましたので、この点は御了承いただきたいと思います。
 今後ソ連側といたしましては、やはり第三次国連海洋法会議の帰趨というものを見きわめた上での対応をしてくると思いますので、必ずしも今後において長期化の見通しが立つというわけではないと思いますけれども、来年においても、先ほど申し上げましたような基本的な立場に立ち返って、強くこの点は主張してまいる所存でございます。
○玉城委員 双方粘り強く、日本側もさらに上回って粘り強くやっていただきたいと思います。
 この漁業協定に関連しまして、この機会にちょっとお伺いしておきたいのですが、本年四月に出されました漁業白露を見ますと、消費者の魚離れが顕著に進行して、いることがよくわかるわけであります。日本人がとる動物性たん白質は、従来水産物が主であったわけでありますが、現在、特に若い人たちの食生活の変化と申しますか、そういうことなどから、動物性たん白質は畜産物に取ってかわろうとしているわけであります。現在ではたん白質の摂取量の水産物の割合は四五・四%であります。このことは、昭和五十二年ごろから商社等が魚隠し、魚転がし等で魚価をつり上げ、いわゆる価格操作をして非常に魚が高くなり、消費者を怒らせた。そういうこと等もあって魚離れをしたのではないかとも思うわけであります。
 したがって、わが国は四面海に恵まれているわけですから、動物性たん白質は魚からとるのが自然であり、それがまた当然国益にもつながると思うわけであります。そう考えますと、水産庁とされても、ただ魚が高くなったという、そういうことだけで済まされない問題だと思うわけであります。消費者の魚離れをどう防ぐかということを真剣に考えていただきたいと思います。そこで、いま申し上げました点について長官としてどのようにお考えになっておられるか、お答えをいただきたい。
○松浦(昭)政府委員 ただいま先生が御懸念の点を申されました消費者の魚離れ、これにつきましては、水産庁としてもそのような事態が起こってはいけないということで最善の努力を尽くしたいと思っておるわけでございます。
 ただいま先生が御指摘なさいましたように、一つは魚価の問題、一つは消費者のニーズが変化してきたという、この二つがあろうかと思います。
 まず第一に、魚価の点でございますが、御案内のように、燃油の高騰によりまして、過去十カ年の間に燃油は七倍程度に上がっております。これに対しまして、第一次のオイルショックの折には魚価が燃油の高騰に追いついてまいったという事態がございましたが、第二回目のオイルショックではもはや魚価は低迷している。したがいまして、もうこれ以上魚価は上げられないという事態が来ていることは事実でございます。
 そこで、第一に、魚価をできるだけ上げずに安定した形に持っていくためには、漁業の生産の構造を変えていくということが非常に重要であろうというふうに思います。このためには、何と申しましてもコストを下げるという努力が非常に重要でございまして、特に省エネのための対策をとっていく、また経営の安定のための諸般の施策を講じていく、それによりまして魚価をできるだけ安定的に推移させるということが必要だろうというふうに思います。
 また第二に、魚価につきましては、特に流通あるいは加工の段階ということにも対策を講じていく必要があろうかというふうに思います。
 それから第三に、遠洋においての漁獲活動がなかなかむずかしくなった時代でございますので、沿岸の振興を図る、特にとる漁業からつくる漁業へというふうに変えてまいりまして、できるだけ安い形で大量の魚を日本の周辺水域において供給できる体制をつくっていくということが必要であろうと思います。
 それから第四点といたしましては、先ほど申しましたような消費者のニーズに合った形で加工し、また流通をしていくということであろうと思います。
 この四点につきまして、私どもとしては今後全力を尽くしまして、魚離れといったような事態が生じないように努力をしてまいる次第でございます。
○玉城委員 ただいま長官から四点についてお話がありましたけれども、その中で三点目にポイントをちょっと置いてお伺いしておきたいのですが、四点目も関係してくると思います。
 わが国は二百海里になりました。わが国は、陸地だけでは世界第五十位の小国であります。海の二百海里というものを計算すると、世界で第六位の広さであります。海と陸を合計すると、世界第十位の大国にはね上がります。日本の国土の十二倍もある広大なる経済水域を持っていることになるわけですね。国土開発のための予算はいろいろたくさんございますが、やはりわれわれは今後、海面、海底等、その資源に対して徹底的に調査する能力を持たなくてはならないと思います。それについて政府は一体どういうお考えを持っているのか。
 もう一点。五十七年度予算にはどういう形でいま申し上げました予算が検討されておるのか。
 ついでに、食肉一トンを得るためにその六ないし七倍の飼料を必要とするという状況から、国民の栄養の動物性たん白質はやはり魚、いわゆる水産物でなければならないと思います。これから各国は、自国の二百海里の中で資源をとらせないような方向に向かっていくことは間違いない。わが国も、二百海里水域を活用すればまだまだ増産の余地はあり、あらゆる面で今後海洋への投資を積極的にしていくべきではないかと思います。それが二十一世紀に向けてわが国が生きていく一つの道でもあると思うわけでありますが、以上の点、お答えをいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 海洋法の時代が参りまして、特に各国が漁業専管水域を一方的につくっていくという時代が参ったわけでございます。その中におきまして、遠洋でなかなか水産物を確保できない、漁獲活動が制約されるという状況でございまするならば、一方におきましてやはり日本周辺の二百海里というものを見直していかなければならないということは御指摘のとおりであろうと思います。
 このために、私どもも、二百海里時代に入りました中におきまして、国、都道府県協力いたしまして、現在、五十二年度からこの二百海里内の漁業の資源調査というものを実施してきておりまして、主要漁業種類あるいは魚種についての漁場別の漁獲情報あるいは生物情報、それから卵とか稚仔の情報というものを収集して、科学的な資源評価を行っているという状況にございます。このような調査をもとにいたしまして、先ほど私が申しましたような、単にとる漁業からつくる漁業へということを考えつつ、日本の二百海里内での漁獲量を上げていくということが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
 そこで、明年度の予算の要求といたしましては非常に重要な事項を幾つか要求しておりまして、まず第一は、魚のすみよい環境をつくるということで非常に重要な沿岸漁場の整備開発事業というのがございます。これにつきましては、第二次の沿整計画というものを発足させるということで、ただいま財政当局と鋭意交渉を行っているところでございます。
 また、栽培漁業につきましては、これも予算内容の充実を図るつもりでおりますが、すでに九カ所の全国のベースにおきますところの栽培センターをつくってまいりました。さらにこれを拡充いたすための予算を出しております。
 また、都道府県の段階におきましては、ここ一両年のうちに、私どもといたしましては、大阪と東京を除く海を持っている県全部に栽培センターをつくりまして、今後、つくる漁業を推進していくという考えのもとに、来年度予算を要求いたしておる次第でございます。
 さらに、先ほどの資源調査でございますが、これにつきましても、国だけではなくて、国と民間と共同でやっておりますところの開発センターという組織がございます。このセンターの事業内容として、特に日本周辺の二百海里内の漁場あるいは魚種の調査に力点を置いて、目下予算を要求しているという状況でございます。
○玉城委員 いま長官のおっしゃいました海洋関係投資予算について、時間がありましたら他の投資予算額との比較を伺いたいのですが、これはできませんので、また次の機会にさせていただきたいと思うわけでありますが、ぜひ御努力をお願いしたいと思います。
 そこで、今度は外務省の方にお伺いしたいわけであります。
 この日ソ、ソ日漁業協定に関係しまして、先ほどから御質疑のございました、来年一月二十日、二十一日の二日間にわたって日ソ高級事務レベル協議が行われるということでありますが、具体的に議題としてどういう御予定があるのか、お伺いいたします。
○加藤(吉)政府委員 明年一月に行われます日ソ事務レベル協議の議題といたしましては、国際情勢一般、それから日ソ二国間、この二つの大きな議題が予定されております。
○玉城委員 ちょっと聞き漏らしましたが、何か二つおっしゃっていましたね。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますが、これも先ほど高沢先生からもお話があったのですけれども、私も御要望を兼ねてちょっとお伺いしたいのです。
 日米友好関係を基軸にするということは重要なわが国外交の方針でありますし、同時にまた、日ソ関係も友好状態に持っていく努力も必要であると思うわけであります。わが国がソ連と未来永劫と申しますか、そういう敵対関係を続けるということであっては大変でありますし、対ソ関係の修復を望み、真に北方領土の返還を願うのであれば、今後いかなる対ソ姿勢で臨むべきかを真剣に模索せねばならない重要な時期でもあろうと思うわけであります。そこで、いま申し上げました来年一月行われますそこにおいても、肩ひじを張ったけんか腰の交渉、対決型ではなくて、やはり対話という姿勢が必要ではないかと思うわけであります。
 そこで、お伺いいたしますが、この協議で北方領土問題をいきなりぶつけることが果たしていいことかどうか。これは重要な問題でありますから当然しなくてはならないのでありますけれども、特に事務レベル協議でありますから、やはりもっとお互いに理解し合うということを前提にした対話をまずやるのが先決ではないか。姿勢の問題ですね、そういう点、いかがでしょうか。
○櫻内国務大臣 対話が必要であることは言うまでもございません。そういうことから、園田、グロムイコ両外相のお話し合いで、今度の事務レベル協議あるいは外相間の協議を持とう、こういうことになった次第でございます。
 ただいま、議題はというお尋ねで、国際情勢一般あるいは日ソ二国間関係、こういう大枠のお話を申し上げましたが、こういう大枠の話で対話をしていく、そのことによって両国の相互理解を深めて、安定的な関係をつくることが好もしいと思うのであります。
 しかし、そういう場合にありましても、日ソ間の現状がこのように、ぎくしゃくという言葉が適切かどうかは別として、円滑にいっておらないことは、第一には北方領土問題が未解決である、それからソ連のアフガニスタン侵攻などによる東西関係がうまくない、こういうことでございます。特に、日本としては領土問題については機会あるごとにやはりこれは真剣に主張すべきことを主張し、速やかな解決を求めるということが、基本的な姿勢として必要だと思うのであります。
 御質問のように、対話を深めるということについてはもとより賛成でございますが、基本的な問題についても常に念頭に置くという必要があると思います。
○玉城委員 そこで、先ほどの具体的な議題の問題ですが、日ソ間の種々の問題ということでありますから、やはり経済協力問題とか、あるいはシベリア開発の問題とか、そういう問題も当然話し合いの中に入ってくることになるわけですね。
○櫻内国務大臣 これは二国間の問題が話題になるのでありますから、経済協力の問題にも当然触れてくると思います。
○玉城委員 そこで、現在深刻な例のポーランドの事態についてなんですが、この問題もソ連との関係が非常に深いわけであります。
 そこで、お伺いしておきたいのですが、ああいう深刻なポーランド情勢に対して、わが国としてポーランド政府に対して何らかの外交的措置をとられたのか、あるいはとろうとしておられるのか、いかがでしょうか。
○加藤(吉)政府委員 ポーランドの問題につきましては、まず第一に、この問題に非常に重大な関心と利害関係を持っている西欧諸国及びアメリカの動向を察知するということ、それを的確につかむということが大切であろうかと思っております。
 御案内のとおり、アメリカは、この情勢の推移に対して非常な懸念を持っております。と同時に、あくまでもポーランドの国内問題であり、ポーランド人自身によって解決すべき問題であるということを述べております。
 また、一方のソ連でございますが、これもポーランドの国内問題である、そこで、特に西側を指して言っているのだと思いますけれども、西側から不当な干渉をしてはいけない、こういうようなことを申しております。
 情勢の推移は非常に予断を許さないものがございますが、当面私どもとしては、事態の推移を注意深く見守る、それから欧米諸国の出方を注意深く見守るということで、現在のところ、どういう措置をとるというようなことは具体的には決めておりません。ただ、民生の安定につながる食糧援助、そういう人道的な問題につきましては、すでに契約されていたところに従い、既契約分については食糧援助を続行するという方針を固めております。
○玉城委員 ポーランドの事態に対して、ソ連の直接的な軍事介入があったらこれは大変なことになるということで、世界じゅうがいま非常に重大な懸念を持って見守っているわけです。それにつきましては、先ほど来の御答弁で、いまのところそういう心配はないというようなお答えがあったわけでありますが、もし仮に不幸にしてそういう事態が起きた場合は、世界情勢、特にヨーロッパ、東西関係、米ソ関係あるいはわが国に非常に重大な影響が出てくるわけでありますから、そういうことがもし仮にあった場合について、外務省としてはどのような認識を持っておられるのか。
 したがって、そういうソ連の直接的な軍事介入が決してないようにということをどのように外交的に――わが国としてただ傍観する、成り行きに任せる、こういうことであってはいけないと思うわけですね。それで、来月行われるそういう場においても何らかのそういうことについて話をされるのか、もしそういうことがあった場合の世界情勢の認識、そうさせないための対応をどうしておられるか、お伺いしたいと思います。
○加藤(吉)政府委員 ソ連の直接的な軍事介入がない、そういう心配がないということを申し上げているのではなくて、そういう徴候を私どもはつかんでないというふうにいま申し上げておったつもりなので、その点はそういうふうに御理解願いたいと思います。
 そこで、万一そういう事態になったらどうするかという御質問でございますが、これは先ほど高沢先生に対してもお答えしたとおり、そういう事態が起きないことを望むわけでございますが、万一起きた場合には、欧米の友好国とよく協調しながら、日本としてできること、できないことをわきまえつつ適切な処置をとってまいりたいと考えている次第でございます。
 また、来るべき日ソ事務レベル協議でこういう問題を議論したらどうかというお話のように私、理解いたしましたが、もちろん国際情勢一般というのが大きな議題の一つとなっておりますので、こういう場をとらえて、日本としての憂慮とか考え方を正確にソ連に理解してもらうために発言することは、当然予定しております。
○玉城委員 時間が参りましたが、最後に、大臣にお伺いしておきたいのです。この委員会でも前大臣並びに前々大臣にもお伺いしたわけでありますが、来年軍縮国連総会が行われます。これに臨むわが国としての決意というものについても、大変前向きのお考えを示してこられたわけであります。
 そこで、櫻内新大臣にもお伺いしたいわけでありますが、わが国は世界で唯一の被爆国家でもありますし、非核三原則を国是としておるわけであります。大臣も先ほど、これは厳守するということも言明されたわけであります。したがって、その軍縮国連総会の場におきまして、こういう非核三原則というものを世界的に認知あるいは評価させ、同時にまた、この非核三原則というものを世界的な形で確立されるという努力を来然していただく絶好の機会でもあると私は思うわけでありますが、お考えをお聞きしたいと思います。
○櫻内国務大臣 わが国が平和憲法のもとで軍事大国にはならないということを決意しておることは、十分御承知のところであります。そこで、今回の軍縮総会に際しましては、非核三原則を堅持するとともに、平和外交の一環として軍縮外交を積極的に推進してまいりたい、そのような方針で臨みたいと思いますし、また、総理みずから同特別総会への出席の意向を明らかにしておる次第でございます。
○玉城委員 終わります。
○中山委員長 次に、林保夫君。
○林(保)委員 中山新委員長、さらにはまた、櫻内新大臣の御就任に敬意を表しながら、本日は、日ソ・ソ日漁業協定の問題及びそれに関連する問題につきまして御質問したいと思います。
 まず、先般、国民としては新聞でぱっと見たわけですが、あの地図入りで、日本海がはからずも、本当に目の覚める思いだったという人の電話も私のところへ参りましたが、漁業水域として向こうに提供されることになった、これが四年間にわたる交渉の中で今回の新しい特徴だろうと思います。これを踏まえまして大臣は、今回の協定の妥結は私も評価いたしたいと思いますけれども、どのように外務大臣としてお考えになっておられますか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 今回の漁業交渉は、日ソ両国がこれまで築き上げてまいりました二百海里漁業体制を維持することが双方の漁業関係者の利益に合致するのみならず、日ソ関係全体の維持発展にも貢献する、そのように評価夢しておるわけであります。純粋に漁業分野の問題をめぐっての応酬が行われたものであって、それ以上のことではない、そういうふうに受けとめておるわけでございます。
○林(保)委員 松浦水産庁長官の交渉の御努力をこれまた評価しながらも、なぜこうなったのかという問題が先ほど同僚委員の質問の中でいろいろと出たような感じがいたします。もう一度はっきりと、どれとどれとどれなんだと、このことをひとつ承りたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 まず、ソ側が日本海に入域を固執してまいりました理由から申し上げますが、先ほどから申し上げておりますように、過去四年間にわたりましてソ連はその船団を日本の太平洋沿岸部に出しまして、その結果、イワシ、サバをとってきたわけでございますが、そのクォータの消化率が最近二年非常に悪かった、これが第一でございます。このために、今回の交渉におきましては、日本海のみならず、太平洋につきましても非常に強く操業条件の緩和を要求してきた、これが大きな理由でございます。
 それと、もう一つは、日本海に対して特に今回入域を認めてほしいということを言ってまいりました理由は、ソ側はかん詰めとかあるいはボウチカ漬けと申します塩水漬けをつくるためにイワシをとるわけでございますけれども、これは大きな形のイワシでなければ無理でございます。そこで、ことしの春にソ連船は太平洋岸で漁獲をいたしましたが、小さな形のイワシしかとれませんでしたので、日本海へ回りまして、樺太の南西方向と思いますが、そこでかなりの漁獲量を上げた模様であります。このために、日本海は操業条件として非常にいいところだという印象を持ったのではないかというふうに思われます。このために日本海の開放に固執したということが言えると思います。
 そこで、なぜこれにつきましてわが方が入域を認めたかという点でございますが、交渉も最終段階になりまして、このままの状態でまいりますと交渉が決裂する、その場合には明年一月から双方とも入域ができなくなりまして、そのために大変な漁業上の損害が出てくるということがございましたために、わが方としましては日本海の一部水域、特に沿津から遠い日ソ中間線に沿った一部水域をソ側に入域を認めるということにいたしましたけれども、その代償といたしまして、その埋め合わせをいたしますために、先ほど申しましたベルキナ岬から北の水域四十七度までと、四十九度−五十度の間の東樺太の水域における漁獲を認めさせまして、そして交渉を妥結したということでございます。
○林(保)委員 ソ連側が固執したということ、現場におられましたので、それなりにわかるわけでございますが、もう一つ、先ほど同僚委員から、何かソ連、内で大変な突き上げがあったようなお話がございました。それはどういうことなんでございますか。
 それと同時に、もう一つ承りたいのでございますが、ソ連側として、これをのめということのための条件は、何と何と何が日本側に要求されたのでございますか。
○松浦(昭)政府委員 まず第一の点でございますが、日本海についてのみならず太平洋洋も含めまして、ソ側といたしましては、クォータの消化状況が悪いために操業の条件を変えてくれということを強く言ったわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、実際に漁船団がわが国の周辺水域で操業いたしまして、ノルマがございます。そのノルマがなかなか達成できないという状況に陥っておりまして、船団長を初めかなり下部からの突き上げが強かったのではないかということが、向こうの発言の端々からわが方は推定できる状態でございます。また、そのような状況のもとにおきまして、ソ側といたしましては、ああいう国でございますから当然計画に基づきまして漁業を行っておりますので、その計画が達成できないという意味で、上からの要求も非常に強かったということが推定されるところでございます。
 それから第二に、何と何と何とが要求があったかということでございますが、これは六点ございました。それは、日本海への操業を認めてほしいという要求のほか、太平洋岸におきましても、漁期あるいは海区等につきまして細かな要求をしてまいりました。全部で六点ございましたが、太平洋岸につきましては、操業の条件、これはいままで確立されてまいりました積み上げに基づく実績がございますので、とてもだめだということを申し上げましたところが、向こう側もそれはわかったようでございます。そうして、最後に残りました問題が日本海の問題であったということが実態でございます。
○林(保)委員 日本海をのまなければ決裂する状態にあったやに聞きますけれども、もしあれをのまなかったら、どういう向こう側の漁業上の制裁といいますか、制約があったかという点を、ひとつはっきりさせていただきたい。
○松浦(昭)政府委員 これはもちろん、もしという条件でございますから明確なお答えができるわけではございませんが、仮にこの協定が決裂をするという状態になりますと、この協定は一年間限りの協定でございますから、明年一月一日からは操業ができないということになります。その場合にはソ側も操業ができませんし、わが方も操業できないわけでございますけれども、ソ側はクォータが未消化の状態でございますので、場合によっては日本側のクォータを大幅に切る、つまり痛手といたしましては日本側の方が非常に痛いという状況が起こってまいるわけでございます。さような意味で、一月一日からの操業がストップされた場合には、わが方としては非常に大きな損害を受けるという状況に相なっているわけでございます。
○林(保)委員 それで、こういう結果になったわけでございますが、向こうもやはり船団の下部からの突き上げが大きかったという。日本側は、現地で交渉しておられまして、日本海の漁業水域をのめという意見が多かったのですか、あるいはのむなという意見があったのですか、それとものむなということで突き上げがあったのでございましょうか、御説明いただきたい。
○松浦(昭)政府委員 日本海の入域につきましては、率直に申し上げましてこれを開放することはいかがなものかという意見が日本の国内にもあったということは事実でございます。漁業の観点から申しましても、やはり沿津の漁民の方々は、日本海の開放はできるならば避けてほしいという意見を申しておられたことは事実でございます。
 しかしながら、大局的な見地に立ちまして、この交渉を妥結させるためには日本海の入域を認めるという方法しかないというふうに私ども判断いたしまして、また同時に、現地の顧問団もおられます、その方とも十分御相談の上、特にそれを埋め合わせる海域をとるということ、それからわが方の沿岸漁民等に対します被害を極小に食いとめるということを交渉方針といたしまして最後の交渉に臨んだというのが実態でございます。
○林(保)委員 参考までに、まあ現地でそういうふうないろいろな協議を重ねられて、この方が国益にかなうという御判断をされたのだと思いますが、その決定は一体だれがやるのでしょうか、そうしてまた、どういう手続でこれを決められたのか、承りたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 本件につきましては、決して代表団限りで決定をいたしたわけではございません。もちろん請訓をいたしまして、政府の最高のレベルまでお諮りをいたしました。特に他省庁との関係でも十分に協議を重ねました結果、御回訓をいただきまして、その結果、この交渉を妥結したという状態でございます。
○林(保)委員 やはり政府の決定ということで訓電が出て、それで調印された、こういうことでございます。
 櫻内大臣に承りたいのでございますが、漁業上の問題は水産庁長官のおっしゃられるとおりかもしれないと思います。これがわが国の外交あるいはまた防衛上の問題につきまして、大臣はどのような御判断をしておられますか、その辺をしっかりと承りたい。
○櫻内国務大臣 ソ連側の日本海水域の漁業区域の拡大については、政府としても慎重に検討しなければならない、こういうことで、請訓に基づきまして防衛庁、外務省、農林水産省ともに検討の結果、今後の日本の漁業の関係からして、またそれが防衛上大きな影響があるかどうかというようなことをもすべて検討した結果、まず心配するような事態はないであろう、この際は、漁業の関係で円滑に操業できることが好もしいのではないか、こういう判断に立って認めたような次第でございます。
○林(保)委員 水産庁長官に承りたいのでございますが、これを認めて、七月から十二月でございますか、漁期を限定してソ連の漁船が出てくる。大体どういう大きさの船がどのくらいこちらへ来るというふうに御想定なさっておられるのでござ
 いましょうか。
○松浦(昭)政府委員 今回入域を認めます船でございますが、これは同時操業隻数二十五杯に限っております。その船の形は、まき網船でございます。トロール船は認めません。ソ連のまき網船はいろいろな型がございますが、大きなものは千トンぐらいのものがあろうかと思います。いろいろ大小取りまぜて参るだろうというふうに思います。
○林(保)委員 事情をよく知らない人たちから見ますと、私もそうでございますけれども、やはり金華山沖の事件そのほかで、そしてまた、ときには上陸用強襲艦がそばを遊よくしながら魚をとるという事態があったことも聞いております。その辺で水産庁長官に、朝日新聞にも報道されており、社説の中にも出ておりましたけれども、その事件はどういうことだったのか御説明いただきたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 多分お尋ねは、かつてソ日の協定をつくります前に起こった事件であろうと思いますけれども、当時、私は海洋漁業部長をいたしておりました、その記憶だけでございますが、金華山沖あるいは北海道の襟裳岬の周辺水域、それから房総の沖にかなりのソ連船が参りまして、その結果、非常に海岸から近いところで操業を認めておったものでございますから、沿岸漁民との間で相当のトラブルがあったことは事実でございます。
 当時はまだ領海も十二海里の前でございましたし、また二百海里の水域を設定する前でございましたので、非常に沿岸近くまで参って問題が起こったわけでございますが、その後、太平洋岸におきましては、ソ日の協定をつくりまして、もちろん十二海里の中には一歩も入れない、それから二百海里の中におきましても非常に規制を強化いたしました結果、現在ほとんど日本漁民との間のトラブルは太平洋岸においては聞かなくなっておるわけでございます。
 今回の日本海の操業につきましても、先ほどから申し上げておりますように、この水域は日ソの二百海里中間線に沿った細長い水域でございますので、かなり沿岸からは違うございます。したがいまして、もちろん今後私どもも十分注意をいたしまして、この海域にわが方の監視船等を回す等、十分紛争の防止、予防に努めていくというつもりではございますが、恐らく、こういうような遠い水域でございますので、かつてのような事件は起こらないものというふうに考えておる次第でございます。
○林(保)委員 もう時間がなくなってしまったのでございますが、この交渉開始に先立ちまして日ソ漁業委員会が開かれ、いろいろと私も報道を読んでおりますと、そこで二つ問題があったように思います。
 まずその一つとして、日ソ、ソ日協定の違反の問題が大きく取り上げられたという報道もあったかと思います。私自身もここに件数を持っておりますが、日ソあるいはソ日協定違反百一件、二億五千二百万円ですか、大変大きな金額が五十五年。五十六年はどうなっておりますか。そして、四島周辺拿捕十七件、これは乗組員八十人ですか。それからソ日協定の違反がわずか十件、五百五十万円。この五十六年がどうなっておるか、なぜこんなに日ソの開きがあるかの御説明をひとつ要領よくお願いしたい。
○松浦(昭)政府委員 違反の事件でございますが、水産庁において把握しております十一月末日までの漁業者からの報告がありましたソ連による罰金徴収事件の件数は、本年一月以降百九十四件ということになっております。金額はちょっと手元にございませんので、お許しをいただきます。この中でも、特に区域外操業といったような重要な違反事件がかなりまざっているということで、私どももこの違反の件数の増加につきましては非常に心を痛めている次第でございます。わが方といたしましては、今後このようなことがございますと、日ソの交渉にわが方の態度そのものが非常に弱みになりますので、ぜひこのような違反がないように十分指導してまいりたいと思っている次第でございます。
 なお、お尋ねのソ連との関係でございますが、ソ連は隻数が非常に少のうございまして、日本は中小漁船がソ連水域にたくさん入っておりますので、どうしてもその件数の差が大きくなるというふうに考える次第でございます。
○林(保)委員 いまお話しの隻数が違うという点もあるのですけれども、なぜこんなに十倍もあるのでございましょうか。
○松浦(昭)政府委員 ソ連の方の意見を聞いてみますと、ソ連の船団の中でかなり厳罰に処しているようでございます。特に船長は、違反事件を起こしますと直ちに降格で、船長の資格を奪われるといったような非常にきつい処置をとっておりまして、その意味でソ連側の件数が少ないということはうなずけるわけでございます。
 わが方ももちろん十分指導をしておりますけれども、しかしながらやはり二百海里の中に入っている漁船の数が非常に多いものでございますから、そこでときどき不心得な者がございまして、そのような違反を起こすという事態があるということでございます。
○林(保)委員 やはりこれはこれからの問題としても大変大きな問題だと思うのです。水産庁の指導あるいは監督が足りないのじゃないでしょうか。また、これは日本人自身の遵法精神が足りないのかもしれませんね。こんなことで国際的な漁業協定を結んできっちりやろうとすること自体がまたおかしな話で、逆に言うと、そのことなどのためにいまの日本海を認めなければならぬようなことにもなると思うのですが、その辺、いかがでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 私ども水産庁といたしましては、決して甘くやっているつもりはございませんで、事前に漁民に対して十分に趣旨を徹底いたしますし、漁期前にもまた漁民に遵法方を十分指導しておりますし、また、現場に臨みましては、わが方の監視船を出しまして指導の態勢もとっておるわけでございます。しかしながら、何分にも数多い漁業者でございますので、やはり国際的な規制を遵守するということについてやや欠くる点があるということは事実でございます。したがいまして、今後とも水産庁といたしましては一層指導について強力に推進をしてまいる所存でございます。
○林(保)委員 それからさらに、資源評価の問題もあったやに聞いておりますが、これは大変大きな相違点があったとも聞いております。どういう点でございましたでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 大きく申しまして二つでございまして、一つは、今回の日ソ、ソ日交渉に非常に影響が出てまいりましたスケソウダラの評価でございました。わが方の科学者の評価は、スケソウの資源は比較的新しい年級群も入ってきていることなので、さほど悪化していないという見解でありましたが、ソ側の見解は、スケソウダラは非常に資源状態が悪いということを言っておりました。特に日本の漁船が操業する海域においてこの悪化が著しいというのが、ソ側の見解でございました。
 それから、いま一つはサケ・マスについての議論もございまして、一部のサケ・マス類につきましては日本側とソ側の見解がかなり開きがあったということは事実でございます。
○林(保)委員 こういう状況で、先ほど来、これから長期協定に持っていくべきだとかどうとかいう話もございましたが、これはいま聞いておるとなかなかむずかしいですね。長官、本当にやれるのですか。やる意思があるのでしょうか。
○加藤(吉)政府委員 日ソ双方の漁業関係を安定化していくという観点からいたしますと、協定は長期であるほど望ましい、また、延長議定書の有効期間も長ければ長いほどいいということは、先ほど申し上げたとおりでございます。先ほどの説明の繰り返しになりますが、ソ連側は、二百海里を定めた最高幹部会令が暫定措置法であるということ、それから第三次国連海洋法会議がまだ進行中である、こういう二つの理由を理由といたしまして、いままで五回、私どもは長期化を向こうに要請しておりますけれども、がんとして応じないという情勢でございます。しかしながら、来年、再来年、この交渉が続くたびごとに、長期化ということは粘り強く私どもとしては交渉していくという方針でございます。
○林(保)委員 大臣にお聞きしたいのでございますが、いま私も質問いたしましたし、同僚委員も大変いろいろと質問されました。やはり何といっても、繰り返すようですけれども、日本海を譲ったといいますか、新聞の社説には、譲歩した日ソ漁業交渉というふうに出ております。大臣、私は岡山でございますが、大臣は島根でございまして、岡山みたいにああいう特に関係のない、漁民の人がおらないところでも、かなりワイワイ言っております。大臣の地元はいかがでございましょうか。そういうものを踏まえられまして、これからの対ソ漁業関係あるいは対ソ関係をどのように大臣はおやりになっていく御意思がございましょうか、承っておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、今後の円滑な漁業の遂行ということを念頭に置きまして、純粋の漁業交渉として進めてまいったわけであります。しかしながら、日本海水域が一部拡大されるということにつきまして関係省庁の間でよく検討をいたしました結果が、御質問の中にもございましたが、防衛上どうかということについてはそれほど問題はない、この際ここを譲って、新たなる水域を確保するということで漁業が円滑に遂行のできることは好もしい、こういう判断に立ったわけでございまして、何か日本海の水域が一部ソ連によって拡大されたということだけを取り上げてまいりますと、御質問のようなそういう感じが出てまいるかと思いますが、しかしまた、日本は譲るべきものは譲ったが、取るものは取って今後の漁業を円滑にやるということで決着をした次第でございます。
○林(保)委員 慎重に審議されたということ自体が、やはり問題があったのだろうと思いますが、時間がございませんので、本日はこれで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○中山委員長 次に、金子満広君。
○金子(満)委員 私は、本来ならば、来年の一月に御承知の日米安保協議委員会が開かれますし、当然これに関連して核兵器の持ち込み問題とか日韓問題について質問したいのですが、きょうはいわゆるソ日、日ソの漁業協定に関連して重要と思われる若干の問題について質問したいと思うのです。
 いまお話にありましたが、長期協定の問題です。現在のままでは、悪い言葉で言えばその日暮らしなんですね。そして、来年どうなるかさっぱりわからぬ。その繰り返しを毎年やってくるわけです。
 いまの説明によりますと、一つはソ連の幹部会の決定がある、もう一つは海洋法会議に関連している、こういうことを言われますが、はい、そうですが、では、長期でなくて短期で、毎年で結構でございます、こういうように聞こえてしまうのです。ソ連側がそういう理由を出したら、日本側はそれに対してどういう理由を挙げて反論をして、長期協定でなければいけないのかという主張をしたのか、論陣を張ったのか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
○加藤(吉)政府委員 わが方は毎回、日ソ漁業の安定化という議論を正面に立てて、ぎりぎりまで粘って交渉しております。途中であきらめているのじゃないかという御質問でございますが、交渉を開始するのは大体十二月、そして一月一日から操業を開始する、これを実現しなければならないということで、私どもは交渉の時間を後ろの方で切られている、そういう状況にあって、最後まで粘り通すことができないという遺憾な情勢にございます。ただ、私どもは単にソ連の言い分をそのまま聞いて引き下がっているのでないことだけは御承知願いたいと思います。
○金子(満)委員 私が聞いているのは、そうじゃなくて、粘ったとか粘らないとかいうのじゃないのです。十二月にやるというのは毎年わかっていることなんです。だから、ひょっと思い出したように十二月に交渉するのではなくて、長期間の協定を結ぶということであれば、長い間かかって総力を挙げてやらなければいけない、そういう意味で、ソ連側が出した二つの理由というのをおっしゃったから、これに対して日本側はどんな反論をして、なぜ長期でなければいけないかということについてどんな理由を出したかという、その説明を聞きたいわけです。粘った、粘らないじゃないのです。
○都甲説明員 お答え申し上げます。
 今回の交渉におきましても、日本側はこの点について当初からずいぶん粘ったわけでございますけれども、当方が主張いたしましたものは、先ほど御説明申し上げましたように、日ソ双方の漁業水域における操業の安定ということが必要であるということ以外に、この漁業協定というのは日ソ間の関係にとって非常に重要な枠組みをなしているのであるから、これを安定化させていくことは日ソ関係そのものに対して大きな意義があるのではないかというようなことを中心の論点として、ソ連側の説得に努めた次第でございます。
○金子(満)委員 押し問答しても仕方ありませんが、粘った粘ったで、外交交渉ですから内容を全部出せと言っても無理なところもあるかもしれませんけれども、日本側の主張の筋がここでもはっきりしないのですから、関係漁民や国民全体から見ても長期であればいいという一般的な願望だけのようにしか受けとめられていないと思うのです。そういう点では、日本側の主張というのをもっと明確にやるべきだと思うのです。なぜかと言えば、これは漁民にとっても計画が立たないわけです。来年どうなるかわからない。それから日本経済にとっても、漁業問題を考えたときに、再来年、その次、どうなるかわかりません、では漁船をつくろうかつくるまいか、みんなこういうことになると思うのです。そして、政府がやるのではなくて、漁民自身の計画、それから水産界、そういうものから見れば大変なことですから、その点を今後とも明確にして交渉に臨むように希望しておきます。
 そこで、その次にお尋ねしたいのは、漁業資源の問題です。
 この資源問題については先ほどもいろいろ説明がありますが、ソ連側の数字と日本側の数字との食い違いがあるわけです。どんなに食い違っても魚に聞くわけにはいかぬのです。そうしますと、両方で、おれの方はこうですと紙に書いて出す、向こうも書いて出す、それで繰り返しが行われてきたのだと私は思うのですね。こういう場合に、双方がそれぞれ違った数字を出すのですから、これをどこかで一致させなければならないと思うのです。漁業水域というのは一定なんですから、その場合に、共同調査を日ソでやるということ、この点についてどう考えますか。
○松浦(昭)政府委員 お尋ねのとおり、交渉に臨みます前に、実は日ソ漁業委員会というのがございまして、そこで資源の評価をお互いにするわけでございますが、その評価につきましては往々にしてこれが分かれるというのが実態でございます。そこで、私どもといたしましては、日ソ漁業協力協定の枠内で共同の調査をやろうということを持ちかけておりまして、これは魚種はまだ一部でございますが、この調査を開始しようというところまで来ております。
○金子(満)委員 やはり私は共同の調査機関をつくるべきだと思うのですね。こういうのは大いに積極的に、意欲的に提示をしてやらなければ、千日手みたいに毎年同じことを繰り返してごたごたする。こういう意味では、日本の側からも明確に、共同の調査機関を設置する、これは何も十二月に限って言うことはないので、ふだんから言えるのだから、たとえば来月、一月に行われると言われる日ソの事務レベルの会談にそういうような問題を出したって決して差し支えないことだ、こういうように思うのですね。そういう点でやってほしいと思うのです。
 それからもう一つは、これもお話しになっておりますが、いわゆる積丹半島沖合いの日本海にある一定の水域にソ連の漁船を入れる、入漁水域にしたわけですけれども、それと引きかえと言ってはおかしいですが、そういう中で日本側は樺太沖に一定の水域を、今度はそこへ入漁する、こういうことになったわけですね。大体バランスがとれているというお話です。これは再質問はもちろんしませんが、そうしますと、バランスはとれているのだが、日本側とすれば、樺太沖合いの方でどのくらいの収益と、どれくらいの漁民が新しく操業できるか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 今回拡大をいたしましたベルキナ岬からほぼ東に延ばしました線と北緯四十七度の間の水域でございますが、この水域につきましては、イカ釣り船が約五百杯入れると思いますし、それからそこの漁獲トン数は、従来の経験から考えますと八千トンから一万トンというふうな状態になると思います。
○金子(満)委員 では、その次に、今度は積丹沖の水域ですが、関係の漁民が心配するだけでなくて、水産界でもまたかなりの人たちが一定の懸念を持っていることは事実だと思うのですね、新しくソ連の船が入ってくるということについて。
 そこで、たとえばこの水域というのは、いわれるところの回遊魚の魚道というのですか、その道に当たるというのは、多くの新聞が指摘されているとおりなんですが、そこにソ連の大型漁船が入ってくるということになるわけですね。そうしますと、そのことによって漁業資源というものが損害を受けるとか、あるいは新たな障害がそこで発生するとか、こういう点はうんと心配されていることだと思うのです。これは具体的な問題ですから、水産庁としてどういうような見通しを持っているか、また、損害が生じた場合どうするか、この点も伺っておきたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 今回ソ側に認めました水域でございますが、この水域は、先ほどから繰り返して御答弁を申し上げているとおり、イワシを主たる目的といたしましたまき網船二十五杯だけを認めたわけでございます。したがいまして、この水域に主として日本側が入っておりますサケ・マスの流し網漁業及びはえなわ漁業は、時期をずらしてございますから、これは影響がない。それから第二に、イカにつきましても、これはまき網でイカはとれませんので、影響はないというふうに考えられます。そうしますと、結論は、イワシがどの程度まで影響があるか、イワシヘの影響ということになろうかと思います。
 そこで、日本海におけるマイワシの漁獲量でございますが、昭和四十七年以降増加傾向にございまして、五十五年には二十一万トン漁獲をいたしております。それからまた、韓国あるいはソ連の沿海州、樺太西岸といったようなところにおきましては、近年マイワシの漁獲量がかなり増加傾向にあるということは一般的な知見として知られております。したがいまして、このような漁獲状況から見ますと、現在日本海におけるマイワシの資源はかなり高水準ではないかというふうに考えられます。そこに今回割り当て量七万トン、これは全部消化できるかどうかわかりませんけれども、七万トンのクォータということを設定いたしまして、そこでソ連漁船の操業を認めることにいたしたわけでございますが、この程度のクォータであれば資源の保全上は問題はないというふうに考えた次第でございます。
 なお、もしも被害が起きた場合はということでございますが、もちろんその場合には日ソ双方で資源の評価をし、そしてまた、将来の規制問題について毎年話し合いをするわけでございますから、そこで当然話し合われるべきでございます。しかしながら、私は、むしろそのような問題よりも、漁具の競合と申しますか、漁船同士の競合問題という方がわれわれとしては現在より注意深く見守らなければならぬと思いますので、さような点につきましては、十分ソ側にも漁具の競合等が起こらないように申し入れてありますし、また、今後わが方も十分にその調整を図るようにソ側と話をし、また、万が一被害が起こりました場合には、日ソの損害賠償委員会でこれに対処するという方針で臨んでいる次第でございます。
○金子(満)委員 ソ連の漁獲方式といいますか、混獲方式というのですか、そうしますとイワシだけをとるといってもいろいろのものが入ってくると思うのですね。そうしたときに、混獲ですから、たとえばサンマが入る、いまイカは入らないというお話ですけれども、たとえばホッケが入るとか、そういうようなことのチェックはどうするかという問題が一つ。
 それから、いまお話に出ましたけれども、日ソ両国の漁船のトラブルの可能性、危険性の問題がもう一つある。
 それからもう一つ、危険性は現実化したのでありますけれども、ことしの五月に、アメリカの艦隊がここで演習中にはえなわを切ったという問題がある。これはちょうどことしの五月に、衆議院の本会議で私はそういう危険を指摘したら、総理はそういう心配はございませんと言ったが、その日にそれがあったわけですよ。こういう問題を今後考えて、いまの三点について、時間がないので恐縮ですが、端的にお答え願いたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 この水域に回遊してまいります魚につきましては、われわれの知見に基づきますと、大体イワシ、それにイカ、それとマスの類でございますから、ただいま申しましたようなことで、イワシについての資源状態に問題がなければ、さほど大きな資源上の問題は起こらないというのが私どもの見解でございます。これが第一点。
 それから、第二点の漁具の競合の問題でございますが、この問題はもちろんイカ釣り船とまき網船との間の漁具競合になりますが、これは双方漁具の形が違いますので、さほど大きなトラブルが起きるとは思っておりませんけれども、しかし万一トラブルが起こりました場合には大変でございますので、漁船同士のトラブルを避けるように、ソ側にも交渉中十分申し入れてございます。それからまた、今後実際に操業するに当たりましても、ソ側に対して十分注意を喚起してまいりたいというふうに思います。
 それから、万が一処理を必要としました場合には、先ほど申しましたように、日ソの損害賠償委員会で損害の賠償の請求ができるということになっております。
 三点目の、先ほどおっしゃられました米艦のサケ・マスのはえなわ切断事故との関係でございますが、私どももさようなことがあっては絶対いけないということで、実はこの漁期につきましても七月以降ということにしてございます。つまり、はえなわの時期は四月から六月でございます。六月の二十五日をもってはえなわは操業を打ち切っておりますので、したがいまして、全く競合の起こらない時期にのみ限定いたしましてソ側の入漁を認めたということでございます。
○金子(満)委員 では、次に、先ほどちょっとお話に出しましたが、来年一月の日ソの事務レベルの会談でどういう問題が討議されるのかと言ったら、さっきの話では国際情勢について、あるいは日ソ関係についてという、そういうように言われればそうなんですが、それでは正確な答えにならないと思うので、私は、この事務レベルの会談では、当然千島の問題、それから日ソ平和条約の問題は日本の側から提起をすべきだと思うのです。これは日ソ関係及び北洋漁業にとっても不可欠の問題だと思うのですね。われわれは千島全島の返還を要求しています。千島全島の返還が実現すれば、二百海里問題がどうなるかというのははっきりしているのですから、そういう点で、国際情勢でお互いに関心のある問題とか、日ソ関係ですというような抽象化でなくて、具体的には私は、千島の問題、平和条約の問題は、今度の日ソの事務レベルの会議でも最大、最重要の問題として日本側から提起する、そういうことを当然やらなければいけないと思うのですね。そういう点は触れるつもりですか、どうですか。
○加藤(吉)政府委員 来るべき事務レベル協議の議題は、大きく分けて二つ、国際情勢一般と日ソ二国間問題、これは将来さらに詰めて、細かい議題に分ける作業が必要であろうかと思っております。この話し合いはまだ進めておりませんが、いずれ進めなければいけないと思っております。
 そこで、二国間の関係につきまして真っ先に出てくる問題は、言うまでもなく北方領土の問題でございます。この問題を抜きにして日ソ二国間の話はできないと考えております。ただいま先生御指摘のとおり、これは当然のこと、われわれとしてはまず真っ先に領土問題を持ち出して話題にする所存でございます。
○金子(満)委員 いまもう一つ伺ったのですが、その四島はいいですけれども、私どもは全千島なんですが、平和条約の問題も同時に出すべきだ、やはり平和条約を議題にのせるということも日本の側から提起すべきだと私は思いますが、いかがですか。
○加藤(吉)政府委員 平和条約の問題につきましては、一九五六年の日ソ共同宣言以降、平和条約交渉を続けるという合意が日ソ間に存在しております。この合意を受けまして、現在まで数回にわたり、平和条約交渉を外務大臣レベルで続けております。事務レベルにおいては、当然領土問題と同時に平和条約交渉の話も出るでございましょうけれども、平和条約交渉それ自身は、その後に来る事務レベル協議とあわせて、あるいはそれとは別個に外務大臣のレベルで続けるもの、かように考えております。
○金子(満)委員 では、大臣レベルの話でやるということですが、事務レベルでもそれは当然出ればやる、また、待っていて出ればやるのじゃなくて、こういうものは積極的に私は出すべきだ、こういうように思います。
 それから、一遍に伺いますが、貝殻島のコンブの問題と、それから樺太の南及び歯舞、色丹、択捉、国後四島に対する墓参の問題について伺いたいと思うのです。
 コンブの問題については、ことしは民間協定によってこれが再開されたということは、関係漁民、関係者にとって非常にいいことだったと思います。しかし、これもまた単年度協定といいますか、一年限定で、来年どうなるかということはわかっていないわけです。
 そこで、二つこの点でお伺いしたいのですが、再開してどのくらいのコンブの採取があったのか、再開前との比較、それからまた、来年の見通しはどうか、こういう問題です。ことしのレベルを下げないように、これはもちろん民間の話し合いですけれども、政府当局関係者もその実現のために努力すべきだと思いますので、その二点。
 もう一点あります。私ども、これは貝殻島方式、貝殻方式とでも言いますか、そういう方法でコンブの採取はできることになった。そうしますと、その貝殻方式をたとえばカニをとる場合に応用できないものかどうかというのが関係の漁民の中では大変話題になり、こういう点でひとつどうかという話もありますので、この辺にも答えていただきたいと思うのです。
 それから墓参の問題ですが、やはり昨年のこの時期、この協定の審議のときに私は申し上げましたが、そのときに、この墓参の実現ということでは、政府側はソ連側と強力に交渉するというお話がありましたが、この一年間どんな進展があったか。そして、だんだん年とともに引き揚げてきた方々が亡くなってしまうわけですね。四島の関係でいきますと、一万六千名が当時引き揚げてきたと言われますが、すでに去年の段階で、政府も認めておるように、五千人は亡くなっておるわけですね。これは年とともにふえるはずはないので、どんどん減るのですから、その墓参をできるなら来年のお盆の時期までに実現するように、これは事務レベルの来月の話でもできると私は思いますので、その点を伺いたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 貝殻島のコンブ漁につきましてお答えをいたします。
 幸い民間協定ができ上がりました。歯舞、根室、落石の所属漁船三百三十隻がこの水域に出漁いたしまして、九月一日から九月三十日までの漁期終了まで十六日間操業いたしまして、五百七トン、これは製品の重量でございますが、コンブが採取できました。これは従来まではゼロトンでございますから、非常によい状態で採取ができたわけでございます。水揚げの金額は恐らく五、六億円になったというふうに思っております。
 それから、将来これがどうなるかということでございますが、北海道水産会とソ連漁業省との間で締結されました協定は、第六条で一九八一年の操業期間について締結されたということになっておりますが、同じ六条におきまして、「双方の代表者は、この協定の実施状況を審議し今後の措置に関する問題を解決するために、千九百八十二年五月十五日までに会合するものとする。」という規定がございます。したがいまして、来年もまた話し合いが行われるということは保証されておるわけでございますから、私どもは、民間協定でございますので、政府としてとかくのことを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、明年への円滑な操業ができるように希望いたしておる次第でございます。
 それからなお、これをカニに適用してはどうかというお話でございますが、現在のところ、カニにつきましては共同事業という形で操業を行っております。もちろん政府間で決めておりますカニの漁獲量もございますが、このほかに、日本の漁船が一定の入漁料を払いまして、あるいは技術料等を払いまして、ソ連海域でカニを採取しているということがございます。これはやや問題のある事例もございますので、ケース・バイ・ケースで考えなければならないというように考えておりますが、漁民の希望を十分聞きまして、また、漁業界全体の希望も十分聞きました上で対処してまいりたいというふうに思う次第でございます。
○加藤(吉)政府委員 墓参の問題についてお答えいたします。
 政府ベースの墓参につきましては、北方四島のほかにソ連本土、それから樺太とあるわけでございますが、北方四島の墓参につきましては、先生御案内のとおり、昭和五十一年以来、従来の身分証明書方式にかえて、ソ連側から有効な旅券と入国査証を取ってこいという新しい要請が出たために、残念ながら実現しないで現在に至っております。私どもといたしましては、人道的考慮からソ連側にあくまで再考してもらいたいということで、機会あるごとにこの問題を提起しております。たとえば、本年の三月十五日に当時の伊東外務大臣がポリャンスキー大使と会談いたしておりますが、この際にも、これはちょうどコンブ協定締結の前でございましたので、コンブ協定の問題とあわせて、墓参の実現方につき強い要望を出しておられます。
 来るべき事務協議でこの話題を出したらどうかというお話でございますが、単に事務レベル協議ということに限らず、あらゆる適切な機会をとらえてこの問題をソ連側に訴えてまいりたいと私どもは考えております。
○金子(満)委員 終わります。
○中山委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 新委員長、大変御苦労さんでございます。また、今回の日ソ、ソ日の協定交渉に当たられた外務省、水産庁当局の皆様にも、その努力に心から敬意を表するものであります。
 すでに質疑の中に経過が述べられてまいりまして、今度のこの交渉は、過去四回の交渉と若干内容的に、また質的に違っているというところが大変大事なところだというふうに思います。
 これは、イワシやサバのソ連の漁獲量五十万トンという枠に対しまして、十月現在で二三%というお答えがありました。恐らくこのままですと三〇%前後になるのではないかと想像されるのでありますが、実はソ連側が要求をしてきた理由の中に、わずか三〇%ぐらいしかとれなかったということが非常に大きな理由の一つになっているわけでありますが、このままですと、長官の先ほどのお答えを伺っておりますと、今度の交渉は今回限りだ、こういう御見解がございました。しかし、今度また来年もとれない、ことしと同じような漁獲量だということになりますと、当然ソ連はさらに日本海側にその水域を広げてくるという可能性も当然想像できるわけでございますけれども、こうした点について、まず政府の御見解を伺いたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 今回の日ソ、ソ日の交渉が非常に難航いたしました理由は、ただいま先生御指摘のとおり、ソ連船が日本の二百海里の中におきましてクォータを、特にイワシのクォータでございますが、これをなかなか消化できない、非常に消化率が低いという点にございまして、このために船団からの突き上げあるいは上層部からの非常に強い要請といったようなことがございまして、交渉が難航した。特に、操業の条件を緩和してくれということを最後までソ側が非常に固執した点に問題が起こったわけでございます。
 もちろん、今回の操業条件の緩和、あるいはことしはイワシの形が非常に小さかったものでございますから、ソ連船が七月以降ほとんどわが海域に来なかったということもございまして、操業に対する意欲と申しますか、あるいは漁獲努力がソ側が非常に足らなかったという点がございまして、かつては七〇%ぐらいまでとれた時期もございましたので、さようなことで、明年におきましては、ソ連の方が努力をしてくれれば問題も好転する方向に向かうのじゃないかという希望もございますけれども、また一面、先生がお尋ねのように、このような事態がさらに継続いたしますと、明年以降におきましても、なおかつ操業条件の緩和をさらに求めてくるということは予想される事実であるというふうに思うわけでございます。
 これに対しましては、私どもといたしましては、いかに日本海の操業というものが日本漁船によって棚密に行われているかということを十分説明し、また、私が帰ります際に、妥結を目前にいたしまして、私はソ連のクドリャフツェフ次官に、もうこれ以上の拡大は不可能であるということをはっきり申してまいった次第でございます。もちろん、一年間の操業の協定でございますから、向こうの方もそれに結構でございますと言うわけにいかぬというふうに思いますが、わが方としては強く向こう側にわが方の意思は伝達したつもりでございます。しかしながら、万一将来さらにそのような要求がありましても、わが方としては粘り強くこれに対してできないということを申しまして対応するつもりでございます。
○伊藤(公)委員 私は漁業の専門的な技術的なことはわかりませんけれども、現地漁民の皆さんのお話を伺いますと、どうもソ連は技術的に日本よりも劣っているのだ、網で魚をとってもその網から魚が逃げてしまうとか、あるいはどこにたくさん魚がいるかとかいう情報についても、ソ連はどうも技術的な点あるいは情報の点で非常に劣っているのではないか、こういうお話も伺っているわけでありますが、先ほど申し上げた将来のことを私ども危惧いたしますので、やはりソ連にそうした協力もして、逆に言えば五十万トン確保してもらうという必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 私どもも、さような点につきましてソ側に話をした事実がございます。
 と申しますのは、もちろん技術の優劣につきましては、これは比較の問題でございますので、ここで断定的なことは申し上げかねますが、漁況、海況等について十分な情報を持っていないのじゃないかということは否めない事実じゃないかというふうに考えます。そこで、わが方としましても、資源は十分あるわけでございますから、これをある程度までソ側に利用してもらっても差し支えない状態でございますので、漁況、海況等の通報を行うという協力をしようということは申し入れたわけでございまして、このような意味での協力関係というものは今後考えてもよろしいのではないかというふうに思っておるわけでございますが、今回の交渉では、そのような協力関係を申し入れたにもかかわらず、むしろ操業水域、操業条件という問題にソ側が非常に固執したというところに、今回の解決点を見出すのにむずかしかった事態が起こったわけでございます。
○伊藤(公)委員 協定の一条によりますと、漁獲問題に対して八二年十一月二十四日までに会合をし、協議をする、こう書いてあるわけでありますが、第一回、第二回はたしか十一月十五日、昨年は十一月十九日、ことしは十一月二十四日ということでありますから、日にちがだんだん延びているわけでありますね。これは、先ほども御指摘がありましたけれども、もっと早くから交渉の協議に入れないのかどうか。
 これは、実はかつて私も当委員会で、長期協定をできないかという指摘をしたこともございますけれども、ソ連側の主張は、これは海洋法条約が成立するまでは応じないということでありますから、それならば、国連で審議をされている海洋法条約の見通しについては一体どうなっているのか。また、海洋法会議は、私どもお話を伺ってきた経過の中では、ほぼ九〇%まで合意をしてきたのではないかというふうに受けとめてきたわけでありますが、特にレーガン政権になってアメリカの交渉姿勢が非常に変わってきた、そのほかの交渉国に対しては若干反感を抱かれているというようなお話も伺っているわけでありますが、深海海底の問題でアメリカはどのような態度をとろうとしているのか、それに対して発展途上国の国々はどのような態度をとっていられるのか、状況をお伺いしたいと思います。
○都甲説明員 お答え申し上げます。
 漁獲に関する来年の打ち合わせが十一月二十四日からということに議定書の中に定められておりますけれども、これは来年の十一月十五日から日ソ漁業委員会が開会されることに合意されておりますので、その審議の後を受けまして、十一月二十四日から開始するということに合意を見たわけでございます。昨年はことしの十一月十九日から開会ということで合意を見たわけでございますが、一昨年は同じように十一月二十四日から協議に入るということを取り決めておりますので、そういう意味で、この時期につきましてはそれほど大幅に通常の時期から離れているわけではないというふうに私どもは考えて、これに同意したわけでございます。
 それから、御照会のございました海洋法会議の見通しでございますけれども、先生御指摘のように、ことしの会期におきまして、レーガン政権が誕生いたしましてからアメリカが、特に深海海底の問題につきまして米国の利益を十分に反映されてない草案には直ちに同意しかねるという立場を出してまいりまして、本件につきましては米国の立場を再度十分に協議する必要があるということで、海洋法草案そのものにつきまして政策レビューを行うという立場を打ち出しましたために、今年の海洋法会議は、春会期におきましては実質的な審議が行われなかったというのは事実でございます。
 夏の会期におきまして再開いたしました際に、アメリカ側は、まだ政策レビューは終わっていないけれども、この問題についてG77と言われております開発途上国との間で十分に意見交換をするという姿勢を打ち出しまして、かなり実質的な意見交換を行いました結果、ある程度の進展は見ております。
 それで、米国政府といたしましては、今年いっぱいぐらいにこの政策の再検討を完成いたしまして、来年の春三月八日から始まります会期におきましては、これを基礎にしてできるだけ協定の交渉を成功させたいという気持ちで臨むようでございますので、その政策の再検討の結果がどういうふうに出るか、私どもも確たる情報を得ておりませんけれども、早急にその結果が出て、来年の春の会期にはこれに基づいての交渉の進展が見られることを私どもとしても強く期待している次第でござ、います。
○伊藤(公)委員 いずれにいたしましても、海洋国日本にとっては海洋の秩序という問題は大変大事な問題でございますので、来年度は何としてもこの問題をまとめていくという強い姿勢でぜひ臨んでいただきたいと思います。
 きょうは新大臣に御出席をいただいておりますので、若干枠を広げて、あと五分しかありませんが、お伺いしたいと思っております。
 ポーランド情勢について御議論がございました。今度のポーランドの非常事態宣言について、実はお話を伺いますと、通信連絡網がとだえていて、外務省はワルシャワの日本大使館と約九時間も連絡をすることができなかったというふうに伺っております。これはもちろんポーランドの情勢だけではありません。日本の石油の大半を依存している政局の非常に不安定な中東を初め、いずれの国にいたしましても、こうした事態に速やかに対処できる体制というものは欠かせないというように私は思うわけであります。
 そこで、在外大使館には無線の設備が設置されているのかどうか。電話やテレックスがとだえた場合に、無線によって連絡をするということは大変重要だと思っておりますが、どういう状況になっているのか。
 伺いますと、どうも電波法の第五条に、外国の政府、法人には無線局の免許を与えないということになっております。私も条文を読ませていただきましたが、確かにそうなっておるのであります。不測の事態に備えるために、在外大使館に無線の設備を置くべきだというふうに私は思いますけれども、外相の御見解を伺いたいと思います。
○加藤(吉)政府委員 最初に、ポーランドとの通信連絡の件でございますが、御指摘のとおり戒厳令施行以来、直接国外との通信はすべて断絶していたわけでございますが、実は十九日から、これは専用路線ではございませんが、ポーランドの中央郵便局を通ずる電報が可能になりまして、第一報が十九日にワルシャワから届いております。これに対して、日本側からもポーランド中央郵便局を通じての電報を二十日に出しております。細々とではございますが、一応連絡の態勢はできたというふうに申せるかと思います。
 次に、緊急事態における無電連絡のことでございますが、ただいま伊藤先生御指摘のとおり、わが方には、特に日本の事情でございますが、法的な困難というのが一つございます。しかし、それと同時に、立地条件の問題というのもございますので、この席で御紹介しておきたいと思います。
 無電機を設置するには、大体十五メートルの高さのアンテナを二十メートルないし三十メートルの間隔で設置しなければならないということのようでございますが、残念ながら、現在わが国の在ワルシャワ大使館、これは事務所も公邸も含めてでございますが、こういう施設を設けるだけの余裕がないというふうに聞いております。
 第二の法的な点では、御指摘のとおり電波法五条という障害がございます。ポーランド側はあくまでも相互主義ということに固執しておりますので、わが方が無電を設置する場合には、当然東京にありますポーランド大使館にも同様の便宜を供与しなければならない、ところがその国内法のためにできない、こういう情勢になっているわけでございます。この問題につきましては、すでに従前から、できろことであれば法を改正するなりそういう措置をとって、相互主義の枠のもとでも何とかお互いに無電連絡ができるようにしたいと鋭意努力しでおりますし、今回の事例にもかんがみ、今後こういう努力を国内関係官庁と進めてまいりたいと考えております。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたので、最後に、もう一つの問題点を櫻内外務大臣に御見解を伺って、終わりたいと思います。
 先ほど同僚議員からも御指摘をいただきました、私ども新聞を見まして大変ショックを受けたわけでありますが、これはアメリカの権威ある政府当局ということでありますから政府当局だと思うわけでありますが、日本への核つき寄港は事前協議の対象外だ、こういう記事であります。改めて、新大臣きょうは初めての御出席でありますから、この日本への寄港あるいは通過という問題を含めて、一切これは事前協議の対象になるのかどうかということを、大臣の明確な御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。どうも先ほどから御議論を伺っておりますと、前もって用意をされた答弁以外は少しも思い切った答弁がないようでありますが、櫻内新大臣の御見解を明確に伺いたいと思います。
○櫻内国務大臣 今回の某高官による見解というものにつきましては、従来アメリカのとっておる見解と別に変わったことのないという認識に私どもは立っております。
 核の有無については、これは肯定も否定もしない、そういう姿勢でアメリカは参っておると思います。また、事前協議のことにつきましては、アメリカ政府はその約束を忠実に履行しておるということを言っておるわけでございまして、今回の某高官のそういう話があったからといって、従来のアメリカ側の方針というものが変わるものと、そのようには受けとめておらない次第でございます。
○伊藤(公)委員 時間が経過いたしましたから、質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
○中山委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○中山委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。
 まず、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○中山委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会
     ――――◇―――――