第096回国会 農林水産委員会 第16号
昭和五十七年四月二十日(火曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 羽田  孜君
   理事 亀井 善之君 理事 戸井田三郎君
   理事 渡辺 省一君 理事 新盛 辰雄君
   理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君
      上草 義輝君    太田 誠一君
      狩野 明男君    川田 正則君
      木村 守男君    岸田 文武君
      北口  博君    北村 義和君
      工藤  巖君    古賀  誠君
      近藤 元次君    佐藤  隆君
      志賀  節君    田名部匡省君
      塚原 俊平君    野上  徹君
      保利 耕輔君   三ツ林弥太郎君
      山崎平八郎君    小川 国彦君
      串原 義直君    島田 琢郎君
      田中 恒利君    竹内  猛君
      日野 市朗君    安井 吉典君
      吉浦 忠治君    神田  厚君
      近藤  豊君    三浦  隆君
      寺前  巖君    藤田 スミ君
      阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  田澤 吉郎君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
        農林水産省経済
        局長      佐野 宏哉君
        農林水産省構造
        改善局長    森実 孝郎君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    小島 和義君
        農林水産省畜産
        局長      石川  弘君
        農林水産技術会
        議事務局長   岸  國平君
 委員外の出席者
        経済企画庁調整
        局経済協力第一
        課長      佐藤 素祥君
        外務省経済協力
        局政策課長   松浦晃一郎君
        外務省経済協力
        局技術協力第一
        課長      内田 勝久君
        大蔵省国際金融
        局投資第二課長 朝比奈秀夫君
        文部省学術国際
        局研究機関課長 勝谷 祐一君
        通商産業省通商
        政策局経済協力
        部経済協力課長 照山 正夫君
        参  考  人
        (国際協力事業
        団理事)    有松  晃君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     古賀  誠君
  菅波  茂君     工藤  巖君
  高橋 辰夫君     野上  徹君
  三池  信君     塚原 俊平君
  神田  厚君     三浦  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  工藤  巖君     菅波  茂君
  古賀  誠君     太田 誠一君
  塚原 俊平君     三池  信君
  野上  徹君     狩野 明男君
  三浦  隆君     神田  厚君
同日
 辞任         補欠選任
  狩野 明男君     高橋 辰夫君
    ―――――――――――――
四月十五日
 飼料米の転作作物として認定に関する請願(小
 沢一郎君紹介)(第二一一九号)
 農畜産物の輸入抑制措置に関する請願(近藤元
 次君紹介)(第二一八七号)
 チチュウカイミバエの侵入阻止に関する請願(
 近藤元次君紹介)(第二一八八号)
同月十六日
 畜産経営の安定強化に関する請願(井出一太郎
 君紹介)(第二三七六号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第二三七七号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二三七八号)
 同(串原義直君紹介)(第二三七九号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二三八〇号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二三八一号)
 同(清水勇君紹介)(第二三八二号)
 同(下平正一君紹介)(第二三八三号)
 同(中村茂君紹介)(第二三八四号)
 同(羽田孜君紹介)(第二三八五号)
 同(宮下創平君紹介)(第二三八六号)
 農産物の輸入規制に関する請願(井出一太郎君
 紹介)(第二三八七号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第二三八八号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二三八九号)
 同(串原義直君紹介)(第二三九〇号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第二三九一号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二三九二号)
 同(清水勇君紹介)(第二三九三号)
 同(下平正一君紹介)(第二三九四号)
 同(中村茂君紹介)(第二三九五号)
 同(羽田孜君紹介)(第二三九六号)
 同(宮下創平君紹介)(第二三九七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 農用地開発公団法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第三二号)
 種苗法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
 一号)
     ――――◇―――――
○羽田委員長 これより会議を開きます。
 農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、国際協力事業団理事有松晃君を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
○田中(恒)委員 公団法の審議に当たりまして、本来の公団業務の基本であります農地の拡大問題につきまして、まずお尋ねをいたしたいと思います。
 わが国は国際的に見ましても大変急峻な地形を持っておりますけれども、農用地に活用されておる国土面積の割合は必ずしも高くございません。特に、昭和三十六年以降日本経済の高度成長の段階で工業化への国土の利用が拡大をいたしまして、農地が多いときには四万ヘクタールから五万ヘクタール近く、今日でも大体二万二、三千ヘクタールずつつぶされておるわけでありまして、農用地の総面積というものが年とともに減ってきておるわけであります。ここが何といったって農政の一番大きなポイントだと思うわけでありますが、農地の造成、特に、公団法制定の背景になっております草地造成も含めて、農用地としてわが国の国土をどのように拡大利用していくかということにつきまして、まず、大臣の所信のほどをお尋ねをしておきたいと思います。
○田澤国務大臣 御承知のように、私たちは、いま内外の非常に厳しい情勢の中でいわゆる食糧の自給率を確保しなければならないと考えているのでございまして、そのためにはやはり中長期的な展望に立って生産性の向上を高めなければいけない。そのためには、一つには技術の開発、普及が必要でございましょう。もう一つは経営規模の拡大をしてまいらなければならない。いま御指摘のように、戦後、高度経済成長によりまして農用地は減少の傾向をたどっているわけでございますが、私たちは、わが国の食糧の自給率の確保のためには、農用地の拡大ということを今後も柱として進めてまいらなければいけない。いま現に、水田利用再編対策を進めておりますのも、転作作物をできるだけ活用して農用地の縮小にならないような手段を進めておるわけでございまして、今後も私たちとしては農用地の拡大のために最大の努力を払っていかなければならない。わが国の国土の現状からして、農用地はともすれば御指摘のような状況になりがちでございます。そういうようなことのないように、常に農用地の確保のために努力をしてまいらなければならないと考えております。
○田中(恒)委員 土地拡大の意思、それに向かっての大臣の御所信はよくわかるのですけれども、事実問題としては、農用地は年とともに縮小をしておるというのが現実でありまして、たくさんむずかしい問題はあるでしょうが、やはり土地の拡大というところに踏み込んでいただかなければいけない。昨年の農業白書――ことしの農業白書を実はまだよく見ておりませんが、農業白書の展開の仕方などを見ましても土地問題、特に、土地の拡大政策、こういう部面の政策なり記述というのはだんだん少なくなってまいりまして、いわゆる農家経済、農産物、流通、こういう視点が非常に強まってきているのじゃないかと私は心配をしておるものであります。土地問題にいたしましても、いま大臣言われましたように、土地の利用率を高めて、いわゆる農地の回転率を高くして実質的な土地利用を深めていく、こういう視点は出てきておるようですけれども、土地そのものを拡大していくということは非常に弱い、そんな気がしてなりません。
 そこで、将来、わが国の国土の中で政府は、農用地の開発について具体的にどの程度までは開発可能であると見ているか。もちろん、金も要るし手間もかかります、期間も相当かかりますが、一体わが国の国土面積の中でどれだけ農用地は造成拡大するんだ、こういう目標を持っておられるのか、具体的にお答えいただきたいと思うのです。
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 昭和五十一年度に実施いたしました農用地開発可能地の調査というのがございまして、ここでは二百八十万ヘクタールという開発可能地を報告しております。ただこれは、傾斜度が三十度以内であるとか生育の限度内であるとか一団地も五ヘクタール以上であるというきわめて大まかな条件の中で総面積を推計しているものでございます。したがって、現実の問題といたしましては、開発コスト、これは主として集落からの距離と傾斜度、特に、十五度以上の傾斜度の場合は非常に問題があると思いますが、そういう関係とか林業生産との調和という問題、自然保護との調和等を頭に置かなければなりませんので、私どもは、やはりこれよりははるかに小さい数字であるというふうに考えざるを得ないと思っております。
 現在、先生御指摘のように、実は農用地の自然壊廃及び人為壊廃、人為壊廃が主力でございますが、これがかつての四十年代の高度成長時代からかなり鈍化いたしまして、七万ヘクタール程度年率であったものが、現在は四万ヘクタール前後というところまで落ち込んできております。しかし、遺憾ながら過去の実績では、農用地の開発面積は最近どうにか完了地区がふえてまいりまして三万ヘクタールの大台を超えるようにはなりましたけれども、まだ、いまのままでいくならば、やはり壊廃が若干とはいえ造成を上回っているという現実があるわけでございます。私ども、長期の農産物の需給の見通しというものを頭に置いて考える限り、おおむね現在の五百四、五十万ヘクタールの農用地の確保は、日本の農業生産の維持を図るためには必要であろうという認識を持っております。
 そういう意味においては、トータルとしての数字もさることながら、一方においては、どうやって農用地の壊廃を合理的によくしていくか、他方においては、農用地の造成についてスピードアップを図っていく、その造成のための投資を確保していくということが重要な課題であろうと思っております。そういう視点で、現在の農用地の面積規模を大体確保するということを現実的な目標として造成に努めてまいりたいと思っております。
○田中(恒)委員 可能面積は二百八十万ヘクタールということを調査の中から出されておるようですが、しかし、実際問題としてはそこまでなかなかいかないということもよくわかるし、私どももかつて、わが国の国土の中で農用地拡大可能面積はどれだけあるかということでいろいろ関係者の御意見をお聞きしたことがありますが、やはり百万から百四、五十万ヘクタールは可能ではないかという大まかな推測を立てております。しかし、いま指摘されたように傾斜度の問題もあって、内容としては草地づくりと畑作だろうという大まかなあれは持っておるわけですが、政府の方では、やはりきちんとした十年目標でこれだけの土地を拡大していくといったようなものはないのですか。
○森実政府委員 本年度で終了いたします土地改良長期計画を来年度から新しい計画に変えていかなければならぬ、そのための準備を進めているわけでございます。この長期計画は、他の公共事業の計画同様ノミナルな予算額というものが計画自体の本体にはなりますが、私どもとしては、そのバックデータとしましては、具体的に、どの程度まで圃場整備をやっていくかとかどうやって農業に必要な水資源を確保していくかということと並んで、先生御指摘の農用地の確保という視点に立っての農用地の造成についての一つのガイドラインをつくっていかなければならないし、また、それを前提としてわれわれも計画を積み上げなければならないだろうと思っているわけでございます。
 なかなか財政事情が厳しい状況もございますし、年々基盤整備事業の関係の予算が伸び悩む中で、一方では工事単価も上昇しているということで、ノミナルにはともかく、リアルベースではかなり伸び悩んでいる点もございますが、そういった点を頭に置きまして、極力必要最小限度の農用地の造成が織り込める計画ということを土地改良長期計画の見直しに当たっても頭に置いてまいりたいと思っております。
○田中(恒)委員 土地改良長期計画ですが、本年度一応終了いたしますものを見ると、圃場整備は、金額じゃなくて実質面積ベースでいくと約半分しかできていない。畑地については二八・七%、造成地についても四二・三%程度の面積にとどまっておる。経済が発展し単価が上がってくるわけですから、結局こういうことになるわけなので、なかなか計画どおり実態は進んでいない。そこへ加えて行革、それからこの四、五年来の基盤整備なり圃場整備なりあるいは公団の予算を見てみると、年とともに実質的な低下の状況がうかがえるわけであります。
 こういう情勢の中で、一方われわれが農政に何を望むかということを個別に聞いてまいりますと、やはり基盤整備というのは非常に強い。土地の基礎条件を整備してほしいという声が非常に強くて、たとえば、町村や県などからも農林省に対しては新しい基盤整備の個所が次から次へとかぶさってきておる。ところが、いま実施しておるものは、三年でやるというのが大体五年ぐらいかからなければできないということになっておるわけでありまして、現実にはこういう現状を一応認めねばならない。そういう中でいかなる行政手法で圃場整備なり基盤整備なりあるいは公団の土地造成事業というものに取り組んでいくのか。いま臨調では、土地に対する国の政策は融資に切りかえるべきだ、基盤整備については融資に切りかえるべきだ、こういう意見がちらほらしているということも聞いておるわけであります。本来、農地に対する国の政策というものは、農地は私有だから個人に補助金を出すのはおかしいという論理のようであります。しかし、われわれは、農地について投下せられた資本は農産物生産の増になって、価格という形になって国民経済にはね返ってくる、こういう観点をとるとやはり従来の補助金というものを軸に取り組まなければいけない、こういう考え方を持っておるわけでありますが、この問題も含めて御答弁いただきたいと思うわけです。
○森実政府委員 ただいま御指摘のように、非常に厳しい財政事情の中で、一方では、単価が上がっていく中でリアルベースで計画の達成を図っていくということは、私どもも率直に言ってなかなかむずかしい状況にあるということは否定できません。しかし、先生御指摘のように、基盤整備事業の適確な実施ということが今後のわが国の農政の推進上その基軸になります構造政策のアルファであり、オメガであろうと私ども思っているわけでございます。そういう意味で、実は本年度の予算におきましても総額八千九百九十七億円ということで、全く若干ではございますが、前年よりふえた予算を計上すると同時に、特に現実的には継続事業の着実な実施を図って事業効果の早期発現を図る、それぞれの地域において構造政策効果が早期に発現できるようにするという視点に立ちまして新規事業の抑制に努めることとしているわけでございます。今日の財政状況等を考えますと、あらゆる機会をとらえて基盤整備事業の予算の確保ということにつきましては私ども農林省としても努力をしなければならない重要課題であろうと思いますが、当面は、工期が年々続伸しつつある現実というものを頭に置きますと、少なくとも現在より工期が延長しないようにということを頭に置き、できれば継続地区を一年でも早く完成させるようにという積極的要素も取り入れて、新規採択枠の抑制は当然持続的に継続をせざるを得ないだろうと私は思っております。
 そこでもう一つ、御指摘の融資への切りかえ問題でございます。臨調の第一次答申では、いわゆる私有財産の形成に非常に密着している圃場整備については、一部融資への切りかえを考えたらどうか、検討したらどうかという御指摘があったことも事実でございます。しかし、今日の農業を取り巻く環境を考えますと、私ども、農家の負担能力ということから考えて補助を融資に切りかえるということはなかなか至難である。たとえば、極端に言うと、無利子資金をつくるとかなんとかという議論であれば話は別でございますが、融資といっても極端な低利資金を考える、長期資金を考えるということは全く補助と同じ財政負担を伴うわけでございまして、また融資制度自体の通常の制約もあることで許されないだろうと思います。そういう意味ではなかなか困難だろうと思っておりますが、しかし、先ほどの御指摘もありますので事業の収益性、公共性、農家の負担能力それから円滑な推進への影響ということも含めて総合的に検討しておりますが、やはり圃場整備事業についても土地改良事業全体についても、現在の補助体系を基本として考えるという大筋は変えることはできないし、また、変えるべきではないという認識を持っております。
○田中(恒)委員 私も、いま局長の御答弁のような方法でしか処理できないのかなと思っておりますし、特に、基盤整備なり圃場整備についての融資への切りかえというものは厳しくそうならないようにしていただきたい、そういう要求を強く申し上げておきたいと思います。
 公団の開発事業が行われておるわけですが、四十四カ所現在でき上がったもの、実施中のものがございますが、これを見ますと、岩手、北海道、福島、大分、熊本、鹿児島、沖繩、七道県で約八二%を占めておるわけです。県によっては全然やれてないところもあるわけです。こういう地域のアンバランスは一体どこに原因があるのか。採択基準の問題なのかあるいはその他の条件があるのか、公団事業の地域的なアンバランスが現在起きておりますが、これはどういう理由なのか、お尋ねをしておきたいと思うのです。
○森実政府委員 現在、農用地開発事業につきましては国営、県営、団体営の事業種類のほかに公団営事業があるわけでございます。この公団営事業は最も規模の大きいものでございまして、大家畜の多頭飼育を中心にしましていわば十分な飼料基盤を持った畜産形態を創設することをねらいとしている事業でございます。したがって、どうしても低、未利用地が広範に存在する地域であり、現実的には大家畜畜産の適地というものに限られてこざるを得ない。そういう意味においては北海道、東北、九州等に偏在しているということは論理の問題ではなくて事実の問題と申しますか、資源の賦存量の問題からなってきているわけでございます。
 ただ、同じ公団事業の中でも規模の大きい広域農業開発は確かに、地域なり県がかなり限定的でございますが、どちらかというと規模の小さい畜産基地建設事業につきましては北海道から沖繩まで十二道県にまたがって相当な広がりを持って実施しているわけでございます。採択基準云々という御議論もあるわけでございますが、私ども採択基準の中で団地要件の問題については実質的な配慮はかなり払ってきたつもりでございます。問題は、農用地開発として適当であるからといってすぐ公団事業として特に採択すべきかどうかということは、ただいま申し上げましたような事業の区分からいっても必ずしもイコールでない事業もございますので、この点は御賢察を賜りたいと思うわけでございます。
○田中(恒)委員 北海道とか九州、阿蘇を中心とした地帯あるいは東北、そういうところに未利用地域がたくさん存在するだろうということはわかりますが、それにしても私どもの中国、四国など全然ありませんが、公団の採択基準に沿う地域がないかといったらないことはないと思うのですね。沖繩ですら二カ所かなんかやっておりますね。私は各県に一つや二つは公団の採択基準に合うものはあると思うのですよ。ところがこれを見ると、北海道は相当広いですけれども、北海道は割合からいったらそれほどたくさんないですよ。むしろ九州とかそれから福島ですか、岩手、そういうところへ何か集中しておるので、これはまだ十分にこの公団の業務が徹底していないということもあるだろうし、あるいはいろいろな政治的な動きも加わっておるのじゃないかという心配もある。具体的にどうこうということは申し上げませんが、国土の中でまんべんなく公団の趣旨に基づく事業が進められるということでないと、部分的になりますと割合の大小は多少ありますけれども、やはりこれはちょっと正常ではないのじゃないか、こういう気がいたします。これはちょっと気をつけておいてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○森実政府委員 先ほど申し上げましたように、広域の公団営の事業地区は北海道、東北、関東、九州に目下のところ限定されておりますが、畜産基地建設事業につきましては北海道、東北、関東、九州のほかに北陸、中、四国、沖繩も実施しているわけでございます。私ども、現実の資源の賦存量とそれからそういった土地資源、未利用の開発可能地があるところで、しかも傾斜度等から見て、あるいは集落化の距離等から見て、開発距離が合理的におさまるものということになるとやはり限定せざるを得ないということなんでございますが、地域的に差を設けて考えるなどという思想はおよそございません。私どもできるだけ前向きに、可能なところは積極的にこれからも取り組んでまいりたいと思っております。ただ、現実には、先ほど申しましたように同じ公団事業でも畜産基地建設事業の方で実施することが適当な団地や自然条件のところは多いのではないだろうかと思います。御指摘の点も十分頭に置きまして今後の公団営事業の展開を考えてまいりたいと思います。
○田中(恒)委員 次に、海外の農業開発援助について二、三お尋ねをしておきたいと思います。
 これから海外の農業開発協力、援助というよりも協力でしょうが、そういうものは先進国を中心にして、特に、わが国の場合は東南アジア、アジア州に対して非常に強く展開をされていくと思うわけでありますが、これについての基本的な考え方を大臣からまずお聞かせをいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 御承知のように、いま中、長期的に見て世界の食糧の需給動向というのは非常に不安定でございます。そういう関係もございまして、開発途上国の最近の動きは、食糧の増産あるいは農業開発というものに大きな関心と課題を抱いていると言って差し支えないと思うのでございます。戦後、田中委員御承知のように開発途上国は近代化のためにずいぶん努力をし、また、そのための施策をずいぶん進めてまいりましたけれども、そのことが結局、開発途上国にとってはむしろ農業開発につながらない近代開発というものはあり得ないという反省も含めて、最近は、食糧増産あるいは農業開発計画に対する、振興というものに対しての要請が非常に強くなってまいりました。したがって、わが国といたしましても海外経済援助に対して、特に、食糧の増産あるいは農業の振興というための技術援助ということをこの方針の中に加えましてこれからの方針を決めていこう、こういうことでございまして、これは、わが国のいわゆる食糧の自給力にもつながりますし、あるいはまた世界のいわゆる食糧の需給問題の解決にも大きな役割りを果たすものであろう、こう考えますので、今回、農用地開発公団法の一部を改正することによって、国際協力事業団の委託によって公的にこの仕事を進めていこうというのがこのねらいでございます。
○田中(恒)委員 そこで、特にわが国の場合は、アジアに対する協力援助が大部分を現在も占めておりますが、将来、さらにそういう傾向を示すのだろうと思いますが、こういう援助をしていく国々はたくさんあるわけですが、そういう国々に対して、総枠としてこの国にはこれだけのものを、この国にはこれだけのものといったような、そういう枠の決定というか、こちらの考え方というようなものは何を一体基準にして決められているのか。たとえば、それぞれの国の貧困の度合いであるとか、あるいはいま大臣御答弁のように国際的な食糧危機の中で食糧を増産していくという視点に立つならば、それぞれの国の食糧自給度の問題とかあるいはわが国とその国との外交、国際経済上の立場のつながりであるとか、あるいはもっと言えばわれわれ国民の気持ちの中にはかつて戦争をやりましていろいろな迷惑をかけておりますので、そういうものに対する私どもの感情もあります。いろいろ要素があると思うのでありますけれども、外務省に来ていただいておると思いますが、海外援助、特に、政府援助の基準になるべきものは一体どういうものなのかお尋ねをしておきたいと思うのです。
○松浦説明員 先生御指摘のように、わが国の政府開発援助はアジアを中心に行っておりますが、私どもが二国間援助の配分の基準としておりますのは相互依存と人道的考慮、この二つでございます。もう少し砕いて申し上げますと、相互依存と申しますのは、わが国とこれらの開発途上国との相互依存の度合い、全般的な関係の度合いということでございます。それからもう一つの人道的考慮と申しますのは、相手国の貧しさの程度、援助需要の大きさ、こういうものを総合したものでございます。
 この二つを基準にして考えておりますが、わが国はアジアに位置しておりまして、アジアの諸国と歴史的にも政治的にも経済的にも文化的にも非常に密接な関係にございますので、アジアの国を中心に援助をしているというのが現状でございます。
○田中(恒)委員 いまの相互依存とか人道的とかいうのは言葉としてはわかりますけれども、少し抽象的でぴんとこないのですね。もう少し具体的に海外協力援助についての一定の基準というものがあってしかるべきじゃないか。それがないと、極端に言えば、ここへ外務省からもいただいているし、農業関係は農林省からもいただいておりますけれども、援助をするそれぞれの国のアンバランス、全然ないところもあるし、非常にちっぽけなところもあるし、物すごくたくさんあるところもある。いま、韓国との問題が日本政府内部でもいろいろ大きな問題になっておりますけれども、どうもわが国の経済協力というものは戦略援助的な性格が非常に強いのではないか、こういう批判も一部にあるわけでありまして、やはり一定の要素を幾つか分けて、そういうもので全体の枠を決めながら相手国の要望に従っていろいろな手続、プロジェクト、計画が出てくるわけでありますから、そういうものを中に入れていく、こういうことが私は必要だと思うのですね。農業の開発援助については農林省としてはどういうふうにお考えになっておるのか。これからいろいろな相手国からの要請もたくさん出てくると思いますが、特に、アジア、ASEANなどに対してはわが国としては何を農業開発援助の中心に据えていくのか、こういうものもわが方としてはあってもいいのじゃないかと思うのです。
 それから、国によっても違いますね。私どももこの間国会から大洋州、ASEANの方をちょっと回らせていただきましたけれども、フィリピンでは灌漑庁ですか、タイでも何か灌漑の役所の機構があるのですね。そういうものがアジアの場合は稲作を中心として米増産、米増産のためにはやはり水の問題が中心だ、こういうふうに言われておりますけれども、少しずつニュアンスが違うわけですね。違いますが、それぞれの国ごとの開発の内容というものもわが方にあって、相手側からの要請と合わせていく、こういうことがあってしかるべきだと思いますが、これらについて農林省の方ではどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お答えをしていただきたいと思うわけです。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。
 従来のやり方は、先生御指摘のとおり、確かに相手国からの要請をベースにして相手国のニーズにこたえるという形で協力の具体的なプログラムをつくっていくということが中心でございました。これは何と申しましても相手国の自助努力を前提にして、それに対して支援をしていくということに由来するものでございまして、ある意味ではやむを得ざる事態であったというふうにも考えられるわけでございます。しかしながら、従来のように単品ごとの相手国側の希望に応じて個別に取り組んでいくというやり方ばかりで果たしていいものであろうかということについては、私どもも考え直している点がないわけではないわけでございまして、むしろ、相手国の自助努力を前提としつつも、相手国のトータルな意味でのニーズをとらえて、それに対してパッケージ的な援助の仕組みを考えていくことができないだろうかということを考え始めているわけであります。
 それで、まずこういう考え方に立って最初に取り組んでおりますのは、現在、インドネシアでございますが、インドネシアは御高承のとおり恒常的な米不足国でございまして、そういう中で人口の増加というのが大きな問題になっておるわけでございますが、インドネシア政府と数次にわたる協議を行いまして、米増産のための総合的な協力の枠組みをまず両国政府間で合意をして、その中で進めていくということで、ごく最近、優良種子の増殖配布、作物保護の強化、技術の地域実証と普及、灌漑、収穫後処理、加工改善、こういうものをパッケージ的に盛り込んだ総体的なプログラムの枠組みについて合意をしたところでございます。
 また、同様の手法をタイについても試みてみたいと思いまして、タイにつきましては第五次五カ年計画、これは八二年から始まるものでございますが、これの中に、東北タイの農村貧困撲滅計画というのがございますが、それに協力するということで、東北タイの農業開発計画についての協力の枠組みを、ちょうど明日から最終的な協議をタイとすることにしております。
 それからさらに、フィリピンにつきましても同様のアプローチができないかということで現在検討を進めておる段階でございまして、先ほど先生から御指摘のございました単品ごとの先方の要請を受けて立って対応するということから、もう少しトータルなアプローチに切りかえていくということを逐次ASEANについては始めておるところでございます。
○田中(恒)委員 いま経済局長の言われたようなこと、相手国の自助努力というものを阻害してもいけないと思うので、国と国との関係でありますからいろいろ微妙複雑な問題があると思いますが、しかしこれからやはり海外協力というものが相当大きな比重を占めていくとすれば、わが国として相手国に対してどういう側面で協力をしていくべきであるか、それがまた、わが国の国益とどのようにつながっていくかということについて、やはり政府、公的な機関としての一定の考え方をまとめておくということは私は必要なことじゃなかろうかと思うわけです。同時に、海外協力については、資金援助量の問題もさることながら、やり方についていろんな意見があるわけであります。特に、先日の当委員会でもいろいろ議論をされましたように、土木関係を中心として灌漑排水工事などをやればそれで済むということではなくて、やはりできたものでどういうふうにそれぞれの国の人々が所得を高め得るかということについての総合的なプランがどうしても求められる、いわゆるコミュニティーづくりの問題が必要になってくる、そこにこの海外援助の内容がきわめて総合化していく、多角化していく側面があると思うわけです。こういうものに対して、わが国の今日の特に、行政機構がたえられるのかどうか。たとえば、技術なり、あるいは資金なり、あるいはその他の人的な交流などを通して、何か縦でわが国の場合は窓口が分けられておるから、縦の行政機構とどう組み合わせられていくかという問題が一つどうもあるように思うのですね。こういう点を外務省は国際協力事業団で一本にするのだとおっしゃるけれども、実態はなかなかそんなものじゃないのですね。この辺を今後十分検討していただいて、窓口をできるだけ総合化をしていく、公団法を改正する一つの意味はそこにもあるような気がいたします。ただ、今度の改正によって六人の職員ができたりあと四、五年して二十人になるというようなことで、それを受け持たれるようなこととは思いませんけれども、しかし、意義としてはそういうねらいもあるのじゃないかと理解をしております。そういう点について、この機会に意見として申し上げておきたいと思います。
 なお、この間の委員会でもいろいろ御意見がありましたが、人づくりの問題で国内に対する受け入れ研修などが非常に活発に行われてまいりましたが、この問題をめぐって今日は政府間ベースのものに限って国が援助しております。民間の交流というものが非常に多いわけですが、これはいわば民間に任しておるという傾向が強いわけです。私自体も中国との間で国交回復前から農業関係の交流の組織をつくっておりますけれども、正直に言いまして非常に苦労しております。いわゆる人づくり、国内研修といったようなものはまさに官民一体で進めなければ効果は上がらないというような気もするわけでありまして、こういう点についてはいわゆる政府間ベースに限るということではなくて、民間に、これは政府でありますからきちんとした実態の把握も必要でしょうし、内容もきちんと調べなければいけないと思いますが、きちんとしたものについてはやはり政府も一緒になって協力していく、こういう姿勢を示していただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 開発途上国の農業開発において、人づくりが重要な要素であるという点は先生の御指摘のとおりでございまして、これは、鈴木総理が、昨年ASEANを訪問された際、あるいはカンクンの南北サミットに出席された際にも強調をされた点でございまして、わが国の援助政策の中での一つのアクセントを置いたところになっておるわけであります。それでASEAN諸国に対する人づくりプロジェクトに対する協力というようなこともやっておりまして、その中でたとえば、フィリピンでは農村工業関係の農村開発センターへの協力を行うというようなことをやっております。
 それで、先生御指摘の民間レベルでの技術交流ないし人づくりという問題につきましても私どももそれなりに手がけておるわけでございまして、現在、アジア農業協同組合振興機関、略称IDACAと言っておりますが、ここがやっております開発途上国の農業協同組合関係者の受け入れ研修、これに対する助成とか、あるいは日中経済協会が行っております日中農業交流事業に対する助成、あるいは本年度から新たに国際農林業協力協会がASEAN諸国の指導的中核農民をわが国に受け入れて研修を行うということについての調査を始める等の手は打っているわけでございます。民間レベルの技術交流とか人づくりという問題につきましてもいま申し上げましたようにいろいろやっておるわけでございますが、先生のせっかくの御指摘もございますので、今後とも一層力を入れてまいりたいと思っております。
○田中(恒)委員 時間が参ったようであります。実はいま一つ公団の業務の問題について何項目か御質問を申し上げたいわけですが、もうありません。一、二だけぜひ申し上げておきたいことを申し上げてお答えいただきたいと思います。
 その一つは、今度の公団と、これまで海外調査に携わっておりました民間コンサルタント、ADCAなどについては農林省も補助を出しておるようですが、こういうものとの関係は今後どういうふうになっていくのか、民間コンサルタントの活用についてはどういう考えで臨まれていくのかということが一つ。
 それからいま一つは、この公団ができましてからもう相当期間がたちます。たしか昭和三十一年ですか、間違っておれば訂正しなければいけませんが、できてからもうすでに二十数年たつわけであります。この間この公団に入ってずっと一貫して業務に携わってきた人々がおられます。いわゆる公団の問題でいま関係者の間で大きな問題はやはり天下り人事の問題であって、この農用地の開発公団も八名の役員ほとんど全部農林省から来ていらっしゃるわけです。もうそろそろ長い間勤めてこられた方が役員になってもいいころになっておるわけでありまして、こういう場合はやはり積極的に登用していくという道をとらないと、六百名ですか、かなりの人が働いておるので、外からだけ責任者が来ていく、役員が外から占められるというのじゃ、働いておる人はやっぱり人間だれだっておもしろくないと思うのですね。そういうことが内部では大きな問題になると思う。そういう意味でもうそろそろ農用地開発公団などについては積極的に内部登用を図るべきである、こういう考えを持っておりますが、この点につきまして二つお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 民間との業務の振り分けでございますが、毎年十件程度の農業開発の協力事務が現在三十件程度までふえてきております。その中で私ども大規模、複雑なものを農用地開発公団に担当させるべきであろうという考えで、件数として大部分のものは従来どおり民間が担当してくる、JICAの委託を受けてやるという場合が多いだろうと思います。また、大規模プロジェクトについても、複雑なプロジェクトについても、民間のノーハウなり人材を活用できるものについてはできるだけ公団と協調する形で活用することを頭に置きたいと思っております。十分民間の活用を生かすように努力したいと思います。
 プロパーの役員を育てられないかという第二の御質問でございます。おかげでかなり経験なり実績も積みまして役付職員についてはプロパー出身者の数もふえてきておりますが、まだ年齢や経験等からいってプロパー職員から理事者を登用するというところまでは来ておりません。しかし、私どもとしては、まことに御指摘のように公団業務を適正に行うことができる知識、経験を有する者については何も国家公務員出身者に限りということではございませんで、公団のプロパー職員も含めまして広く各界から人選をするということについて今後とも十分留意してまいりたいと思うわけでございます。
○戸井田委員長代理 次に、松沢俊昭君。
○松沢委員 私は、まず最初に、せっかく参考人に来ていただいておりますので、国際協力事業団の有松さんにちょっと御質問を申し上げたいと思います。
 この農用地開発公団法の一部改正の法律案でありますが、これを見ますと、開発公団そのものが積極的に海外へ出て開発をやっていくということでなしに、国際協力事業団の委託を受けた場合においては出ていく、こういうことに実はなっておるわけなんでありますから、いままで協力事業団がやってこられましたところの海外の農業開発というものはどんなものであったのであるかということと、どういう地域において行われてきているのであるかというようないままでの経過のあらまし、農業関係に関する限りで結構でございますので承りたいと思います。
○有松参考人 お答えいたします。
 国際協力事業団におきましては、昭和四十九年に設立されたわけでございますが、政府ベースの海外に対する技術協力の実施の一元的な機関ということで活動を行っております。当国際協力事業団の業務の柱の一つといたしまして、発展途上国におきまして公共的な開発計画に関して基礎的な調査を行うこと、こういうことがございます。こういった規定を受けまして、当事業団におきましては、開発途上地域における開発計画の具体的な案件につきまして調査を行っておるわけでございます。この調査につきましては、いわゆる開発調査と申しますが、事業団全体といたしまして、つまり、農林水産関係を含むあるいは社会開発、インフラ等を含めまして全体として五十五年では百二億八千五百万円、五十六年度では百十五億四千二百万円の予算でこの調査を行っております。その中で、農林水産関係の実績を申し上げますと、五十五年度は十八億五千七百万円、五十六年度は二十四億九千百万円、これだけの調査事業を行っておるわけでございます。
 この調査の対象といたしましては、農林水産関係の諸開発計画でございますが、いままで主な地域は、ASEAN諸国を中心といたします東南アジア地域、そのほかにあるいは中近東の地域、アフリカの地域、それからさらに中南米の地域、これらの地域におきまして具体的な案件につきまして調査を行っておるわけでございます。
 その一例を申し上げますと、最近では、昨年から始めておりますが、中国で旧満州の地区でございますが、三江平原の地区の開発計画、これにつきまして三カ年計画で現在調査を進めております。このほかの事例といたしましては、ASEAN諸国におきまして、たとえば、タイで大規模な灌漑計画についての調査を行うとかあるいはインドネシアで同様な灌漑計画について調査を行う、あるいはアジア以外の地域たとえば、中近東ではエジプトの砂漠を緑化する、こういったような案件について調査を行う、ほかにもいろいろ事例がございますが、そういうようなことで調査を行っております。
    〔戸井田委員長代理退席、亀井(善)委員長代理着席〕
○松沢委員 特に、公団が農用地を造成をするというのが委託を受けるところの主な仕事だと私は思っておりますが、いままで農用地はどのくらいそういう調査なんかをおやりになって、全体的に成績が上がっているのですか。
○有松参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました五十六年度二十四億円の農林水産関係の調査の中で半分以上は農用地の開発関係、灌漑排水を主体といたしました農用地の開発の調査でございますが、農用地開発公団の活用につきましては、現在までは農用地開発公団法の方で規定がございませんでしたので、一般的に委託するということではなくて、個別に農用地開発公団の職員のノーハウを生かす意味で調査団に参加をしていただくという形で業務を行っております。
○松沢委員 いま臨調などが発足いたしまして、行政改革、財政再建というような大きな問題にぶつかっているわけなんでありますが、当然公団、公社なんかもその対象になっておるわけであります。
 そこで、これは政府の方にお伺いを申し上げますが、いままでの開発公団の予算なんかを見ますと、昭和五十四年からずっと見ていきますと、大体横ばいになっておりましてそんなに伸びていない、それから個所数におきましてもそんなに伸びてはいない、こういう状態になっておるわけでございまして、今度この法律の改正をやりまして海外にも手を伸ばしていくというようなことになりますと、人の数の面からしましても大変無理という問題が起きてくるのではないか、こんなぐあいに実は考えるわけであります。結局、それが外の方に広がって、内の方がだんだん縮小されていく傾向というものが出るのじゃないか、このような感じを私は持つわけでありますが、この辺はどうなるのですか、お伺い申し上げたいと思います。
○森実政府委員 まず、全体としてどういう農業開発協力に公団が当たってくるかということが問題になるわけでございますが、私ども、いままで十件程度ありました農業開発に関する国際協力、技術協力が年間三十件くらいになってきている。その中で先生にも非常に御尽力いただきました三江平原の開発に代表されるような大規模、複雑なプロジェクトが生まれてきて、なかなかばらばらに民間に委託してはやっていけない、派遣する技術者のチームづくり、継続的なトレースそれから十分なノーハウの整理等やるためにはどうしても公的機関の介入が要るということになっているわけでございます。
 そこで、これを実施するための予算措置でございますが、私ども、基本的にはJICA、国際協力事業団が技術協力の予算から農用地開発公団に委託する。その委託された金で所要の派遣職員の人件費なりあるいは調査旅費なりを賄っていくということを基本に考えております。
 初年度は、実は半年間の予算ということで、これについては約一億強を織り込んだわけでございます。平年ベースでは、大体二地区ぐらいを考えればこの何倍かの予算を、かつ平年ベースであれば計上することになるだろうと思います。農用地開発公団プロパーの予算といたしましては、実はむしろ予備調査の実施とか、継続的な、いわゆる蓄積しました知識の解析とか、いわばそういった情報収集とかあるいは情報整理に関する予算として、これも約一億強を補助金として計上しております。これは、いわば事務的な意味での業務の運営上必要な経費でございまして、これはそう大きく変わることはないだろうと思いますが、そういう意味では農用地開発公団全体の予算の問題とは一応切り離しまして、予算自体は、何と申しましても技術協力のための人間の派遣に要する経費が中心でございますので、そう大きな金額とは考えておりません。
○松沢委員 職員の数というのは六百六十人というふうに承っているわけなんですがね。今度は国際協力事業団が委託をするというものは、民間では手に負えないような大きなもの、こういうことですね。それで三江平原なんかの場合においては十六人もチームを組んでやっている、と。しかし、三江平原そのものというのは、これはもうすでにそういうコンサルタントのようなものができ上がっているわけでしょう。ですから、直接事業団が公団に委託をするということにはならないのじゃないかと思いますが、その点ははっきりしてもらいたいと思うんですがね。
 それと、今度そういう事業団では手に負えないところの大きなものというのを公団が委託を受けてやるということになりますと、六百六十人の職員のある部分というのは海外の方へ出してやらなければならぬということになるわけでしょう。そうすると、いままでは六百六十人で国内の農用地造成というものをやってきたわけだから、したがって、いままでのペースで行くということになりますと、国内の方が手薄になって外の方に広がっていく、こういう傾向になるのじゃないかと思うんですよ。さっきも田中委員の方からも質問がございましたように、結局、国内の方は一体どうなるのかという疑問がやはり出てくると私は思うのです。そういう点は無理はないのかどうかということをお伺いしたいのです。
○森実政府委員 まず、三江平原の扱いでございますが、これはもう先生御案内のように、三カ年の予定で開発調査を実施しております。三年目の実施に当たって、恐らく農用地開発公団がどう協力するかという問題は部分的には生じてくるだろうと思いますし、また、側面的な応援はいろいろやらなければならないと思いますが、直接三江平原について、まとめて農用地開発公団に委託を出すというふうな形は、まさに御指摘のように、ないだろうと思います。むしろ、今後の問題といたしましては、中国、東南アジア、中南米等、大分いろいろな地区で大規模な大型プロジェクトの議論が出ております。中国でも、三江平原以外の地域の議論も出てきております。そういう意味では、そういうところをまとめて受けとめてやっていくということだろうというふうに思っております。
 それから二番目は、職員の使い方の問題でございます。全体として臨調の指摘もあり、特殊法人全体はある程度減員を図ることにしておりますが、これは農用地開発公団もそれ自体受けとめておりますが、国際協力に要する業務は逆に確保するという視点で調整を本年度も図ることにしております。今後ともふやしていきたいと思います。
 ただ、いままでもそうでございましたし、これからも公団の職員で、いわば国際業務に張りつけております六人だけを国際協力のために海外に派遣するというふうに限定して考えるべきではなかろうと思っております。私ども、いままでも農用地開発公団の職員が個人として個別に、いわゆる国際協力のために海外に進出して、調査等の業務を個別に担当してきたわけでございますが、これからは、先ほど申し上げました、いわば海外業務に従事します窓口がオーガナイザーになりまして、そこに配置している職員も軸になりますが、それ以外の業務に従事している職員でも、業務に支障がない範囲では、季節的な繁閑とか、あるいは地域の完了の関係等もありますから、調査団のチームに参加させるということも考えておりますし、それ以外に、いわゆる都道府県とか市町村等の自治体の技術職員やそれから民間の方も一時的に公団の嘱託といたしまして、そういう方の協力も得て強力な、総合的なチームづくりを行い、これを派遣するということを考えているわけでございます。したがって、過去の実績それから将来のそういう運用の仕方から見て、まず、まあ大型地区でございますから、それぞれ、先生も御指摘のように十数名の調査団を派遣しなければならないということも当然あると思いますが、毎年二地区程度であり、しかも他の自治体の職員や民間職員の協力も受けるということであれば、私ども、特に他の業務に現実的に支障を与えることはないものと判断をしております。
    〔亀井(善)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕
○松沢委員 これは大臣に聞いた方がいいと思いますけれども、この国会におきましては、一昨年の春におきましては自給率の引き上げ、そういう決議を実はやっているわけなのです。最近は貿易摩擦で、食糧問題というのがまた大きくクローズアップしてまいりまして、とりわけ日本の農業というのは、貿易の自由化だとかあるいはまた枠の拡大とかいうようなことになると大変なことになるのじゃないかということで、きょうの新聞なんかでも、農業団体が大変な騒ぎを実はやっているわけです。
 しかし世界的に見ますと、決して食糧というものが十分にあり余っているという状態ではないということでありますし、そうしてまた、農林省の官房の方でも、最近では、西暦二〇〇〇年になったら一体食糧というのはどうなるのかというような予測も発表されている。それから一昨年だと思いますけれども、やはりアメリカの国務省の方におきましても、「西暦二〇〇〇年の地球」という予測ですかな、これをまたやっておるわけでありまして、そこで官房の方から最近出されました資料を見ますと、世界的なことは載っておりますけれども、これはわが国がその時期になったらどうなるかという具体的な数字というものは載っておりません。「西暦二〇〇〇年の地球」という、このアメリカの発表によりますと、日本の場合においては四千五百万トンぐらいそのころになると輸入をやらなければならないのじゃないかという予測を実はやっているわけです。だから、この官房の方で出しておられるのは世界全体の数字を出しておられますが、その中で、それでは日本の国というのは二〇〇〇年になったらどうなるのだろうかという内容になっているのか、それを聞かせていただきたい。
 それからもう一つ、農地開発公団の法律をいまここで改正しなければならないというのは、どういうわけで突然こんなことを出してこられたのだろうか。それは、鈴木総理がASEAN訪問をやったときいろいろなことを言ってこられたから、それの延長線上としてこの法案が出てきたのだというような話も聞いておりますけれども、しかし一方におきましては、公団だとか公社というのがやり玉に上がっているさなかでありまして、そういうときにおいて今度はこういう改正案を出してくる、私はどうもその背景がよくわからぬわけなのです。それというのは、結局、開発輸入によって日本の食糧安保を図っていこうという考え方、つまり、言ってみますならば、自給力の向上というものは棚上げしながら、要するに、日本の国内よりは外の方に出ていってそこで開発をやって、いよいよ困った場合においてはそれを輸入して持ってきて安全保障というものを考えていこう、こういう構想からこの公団法の改正が出てきているのじゃないかという感じも実はするわけなのです。
 そこで、大臣の考え方をまずお聞きしまして、さらに、局長が何か答弁したいような顔をしておられますので、御答弁をいただきたいと思うわけなのです。
○田澤国務大臣 この公団法の改正は、先ほど来ずっと御説明申し上げておりますように、やはり食糧の中長期的な展望で国際的に非常に不安定だということもございまして、開発途上国では食糧の増産だとか農業の振興というものが大きな課題になっております。したがいまして、農業開発援助に対する要請が質的にも量的にも非常に増大してまいっております。農業開発というのは、これまでも進めてまいりましたけれども、海外援助の中の要素として大きな要素を占めておったのですけれども、今回は特に、そういう要請にこたえるために公的な機関で組織的に進めていこう、しかも民間の方々と力を合わせて進めていこうということでございますので、そういう点はひとつ御理解をいただきたい。
 ただもう一つは、私たちは日本の食糧の自給率をこれからも一層高めていかなければいけない、維持していかなければならないという考え方はこれまでもとってまいりましたし、今後もそれについては意欲的に取り組んでまいらなければいけない。いま、私たちが日本で自給できるものはお米であり、野菜、果物、畜産物等でございます。大豆、小麦、トウモロコシへいわゆる飼料用穀物がいま足りないのでございますから、これはいま調整をして自給力の維持のために努力をいたしておりますけれども、将来、これだけではやはり独立国としての日本の食糧の安定供給につながらないと思いますので、今後、私たちは長期の展望に立ってこの体質を変えていかなければいかぬ。そのためには、やはり経営規模拡大というものはどうしても必要でございます。これまで農用地開発公団が進めてまいりました事業についても、これからも積極的に進めてまいるということが私たちの基本でございますので、そういう点もひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
○森実政府委員 法律改正を出しました理由でございますが、ただいま大臣が御説明申し上げましたとおりでございます。
 多少具象的に申し上げますと、一つは、農業開発の協力要請がこの数年間に三倍近くになってきている。それから、大型であり複雑なプロジェクトが出てきている。そこで何らかの形で公的な対応を組織的に考えないと、チームづくりとかいわゆる総力のフォローアップがなかなかうまくいかないという経験が政府部内にも生まれてきた。特に先生にも御尽力願いました三江平原の調査のチームづくりや開発方針の決定、そういったことでは大変苦労したこともそういうことに生きているわけでございます。かたがた、政府といたしましては、昨年の総理のASEAN諸国訪問あるいは南北サミット等を背景にいたしまして、いわゆる開発援助の積極的な拡充、特に、農村と農業開発を経済協力の重要な柱とするという方針を打ち出してきたわけでございます。そういう意味で政府部内でしかるべきこういった公的機関による推進を図るのに何が適当であろうかという議論が行われまして、過去の知見なり技術の蓄積、そういったものから見て農用地開発公団を活用することが最も適当であろうというふうに判断したわけでございます。率直に申し上げますと、政府部内でこの意見をまとめますには、先生も御指摘のように臨調の関係や何かでいろいろ議論があったわけでございますが、部内でいわば特殊法人についてスクラップの議論もあるけれども、やはり一つのビルドの側面として臨調の関係なり行政管理庁の方からも評価を受けまして、政府として意見をまとめたということでございます。
 それから開発輸入の問題でございますが、発展途上国が経済的に離陸していくためにも、また当面している食糧問題を片づけるためにも、自助努力による農業開発を軸とした農業振興が重要な課題だと私ども思っております。あくまでもそういった発展途上国の自主性を尊重し、その要請に基づいて開発に関する技術協力を行おうとするものでございまして、これを直接日本の開発輸入に結びつけるような考え方は持っておりません。ただ、結果としてこういった開発途上国の食糧問題が懸念されているわけでございまして、アメリカのたとえば、先生御指摘の二〇〇〇年の予測の中でも、開発途上国の要輸入量が二倍にふえるだろうという予測もあるわけでございます。そういった状況のもとで開発途上国がそれぞれの自助努力を通じて食糧問題を解決していくことが、間接的と申しますか最終的には世界の食糧問題の改善に役立つし、わが国の食糧の確保にも役立つという間接効果は期待しておりますが、直接、わが国への輸入に直結して考えるということをこちらから打ち出すという考え方は全くございません。その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
 なお、長期予測の数字は官房長から御説明申し上げます。
○角道政府委員 長期予測に基づきます穀類の輸入動向についてお答え申し上げます。
 御承知のように、私ども、二〇〇〇年を目標といたしまして世界の農産物の長期需給見通しを立てたわけでございますが、これは主として今後どういう経過であるいはどういう幅で動いていくかということに、もっぱら変動の態様等に重点がございますので、実数そのものについては余り大きな意味はないということで、今回、輸入の実数については公表申し上げてないわけでございます。私ども、現在政策の基本に置いております輸入動向といいますのは、六十五年の長期見通しにございます穀類総体といたしまして二千七百四十六万四千トン、小麦が五百十九万トン、大麦が二百九十万トン、雑穀、これはトウモロコシ、マイロ等でございますが千九百三十七万トン、これが私どもの判断の基準でございまして、今回立てました二〇〇〇年の予測につきましても大体この延長線上と考えております。ただ、アメリカの「西暦2000年の地球」で公表しております四千二百万トンないし四千五百万トンといいますのは、基礎データが主として六〇年代から七〇年代の前半、まだ高度成長期の影響が非常に残っている時期を基礎にいたしましてそこからトレンドをとったということで、相当多目に出ておるというような判断を私どもいたしております。
○松沢委員 時間が参りましたので終わりますが、開発途上国に対しまするところの援助そのものにつきまして、私は決して反対しているわけでもございませんし、また国際的に見ましても必ずしも日本の援助というのがよけいではないじゃないかというところの批判すら実は出ているわけなんでありますから、積極的にやっていくべきであるという考え方であります。ただ、問題は、「西暦2000年の地球」だとかあるいはまた最近本が出ておりまするけれども、それなどを見ましても、今度はアメリカの食糧そのものをいつまでも頼りにするわけにはいかぬというところの状態になってきているんだということをこれまた予見をしているわけなんです。そういう点からいたしますと、外の方に向かって大いに開発に協力してやるということも結構でありますけれども、やはり国内の開発に相当力を注いでもらわないと、二〇〇〇年のそのときになったら大変困るという問題が起きてくるんじゃないか、実はこんなぐあいに考えるわけなんです。もう一つは、行政改革というのは何でも切ればいいというわけではないのでありまして、必要なものは拡大していかなければならない、こういうものもやはり行政改革だと私は思っております。
 そういう意味で大臣にもう一遍お答え願いたいわけなんでありまするが、海外の開発、輸入ということではないのであって、海外開発に協力はするけれども、やはり日本の国内の開発は積極的に進めていくんだ、とりわけ、いま開発公団等におきまして、さっき人の問題等も私指摘しましたけれども、足りなかったならばふやしてもやっていかなければならないんだというくらいの決意のほどを示していただきたい、かようにお願い申し上げるわけです。
○田澤国務大臣 御承知のように、私たちは新しい農業の芽を育てるためにこれまでもいわゆる農業の技術の開発、普及、さらにはまた経営規模拡大ということを柱にしながら中長期的な展望に立って農業の生産性の向上を図ってまいって、そのことが国の食糧の自給力の確保に結びつけてきているわけでございまして、今後もその点については一層努力をしてまいらなければならない、かように考えております。
 ただ、対外経済援助に対しては、日本は御承知のように世界経済、GNPの一割を占めている経済をいま営んでいるわけでございますので、そういう面からやはり国際的な協力をしていくという役割りも果たしてまいらなければならないということをも御理解いただきたいと思うのでございます。
○松沢委員 終わります。
○戸井田委員長代理 次に、武田一夫君。
○武田委員 私は、農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、まず最初に、外務省、通産省、そして大蔵省、経済企画庁、おいでになっていると思いますのでお尋ねをいたします。簡潔にお答えいただきたいと思います。
 これから非常に重要な海外経済協力、この事業に当たりまして各省庁どのような精神で臨むことが大事であるか、そのことにつきましてひとつお答えをいただきたいと思います。
○松浦説明員 外務省といたしましては海外経済協力を積極的に推進してまいっておりますけれども、その基本的な考えといたしましては、日本は先生御承知のように平和国家でございますし、また自由世界第二位の経済力を有する経済大国でございます。それに加えまして、海外依存度が非常に高いわけでございます。したがいまして、政府開発援助を積極的に推進いたしますことが日本の国際的な責任である、こういうふうに私どもは考えております。
 しかしながら同時に、政府開発援助を通じまして世界の平和と安定、さらには世界経済の発展に貢献するということは日本の平和と安定にも資する、こういうふうに考えております。具体的には、政府開発援助は南北問題を根底にいたしまして進めておりまして、南北問題の根底にございます相互依存とそれから人道的な考慮というものを具体的な理念にしております。
 それから、援助の実施に当たりましては、何と申しましてもできるだけ相手国のニーズに合った援助を実施していく、できるだけ効果を上げる援助を実施していくということが重要でございまして、そういう点から申しまして、私どもは、一つは相手国の国民のできるだけ多くの方に裨益する援助、すなわち、基礎生活援助、この中には農村、農業が入ってまいりますが、そのほか医療、保健その他がございます。それからもう一つは、開発途上国におきましてはやはり人づくりが重要であると考えております。したがいまして、具体的な開発ニーズというものを適切に把握することが重要でございますけれども、基本といたしましては、いま申し上げました基礎生活援助と人づくり、こういうものを二つの柱にいたしまして援助を実施してまいりたい、こういうように考えております。
○武田委員 その問題について、経済企画庁、通産省にもひとつ答えていただきたい。
○佐藤説明員 先生御存じのように、最近特に、南北間の依存関係というのが高まってきておるわけでございます。先進国といたしましては、日本もその一つでございますけれども、発展途上国の開発の援助をますます強めていく必要があると考えております。特に、先ほど農水大臣からの御答弁にございましたように、わが国は自由世界の第二位、一〇%のGNPを占めておるわけでございまして、かつ、特にわが国におきましては発展途上国との関係、これは資源の確保あるいは輸出市場ということで非常に緊密な関係にあるわけでございまして、そういう意味からも経済協力を積極的に推進していく必要があると考えております。
 それから、外務省の方からもございましたけれども、経済協力は、その経済協力が直接的に相手国の経済発展、国民生活の向上に寄与するということはございますけれども、そのほかに世界経済の発展、それがひいては世界の平和と安定に寄与し、またわが国の安定的な成長にも寄与するということから、経済協力の重要性はますます高まってきておるということでございまして、先生御承知のとおり昨年の一月、政府開発援助の新中期目標をつくりまして、一九八〇年代前半に一九七〇年代後半の政府開発援助を倍増しようということで、その達成に努めておるわけでございます。
 その経済協力の基本といたしましては、やはり経済発展、民生の安定に効果的に援助していくということが必要であると考えております。そういう意味では今回の議題になっております農業、農村開発というものは、そういう発展途上国の経済発展の基盤になるということで、非常に重要な分野の一つであると考えておるわけでございます。
○照山説明員 ただいま外務省、経済企画庁、両省庁からお答え申し上げたと私ども全く同じ考えで経済協力に携わっているわけでございます。
 若干私どもの立場から補足的に申し上げますと、現在、南北間の相互依存関係というのが非常に深まっている中で、経済協力を通じまして発展途上国の経済社会開発を支援するということは、わが国が国際社会の一員としてこれは当然推進すべきものであると私ども考えるわけでございますが、具体的にはわが国は貿易、特に資源エネルギーの関係で対外依存度が非常に高い国でございます。そこで経済協力を通じまして発展途上国とのつながりを強化していくということは、ひいてはわが国自身の経済あるいは国民生活の安定を確保する上にもつながっていく、そのような観点から重要であると考えるわけでございます。
 今後の方向でございますけれども、ただいま両省庁からお答えがありましたことに帰するわけでございますが、もっと具体的に申しますと、従来、工業化あるいはインフラの整備というところで協力を推進してまいっておりますけれども、今後、さらに発展途上国が抱えております問題に具体的にきめ細かくかつ積極的にこたえていくという観点から、たとえば農村、農業の開発でございますとかエネルギーの開発でございますとかあるいは中小企業の振興あるいはその製品輸出の拡大、さらには人づくりといったような重点的な分野を今後想定いたしましてさらにきめ細かく推進していく。
 さらに、最後に申し上げますと、経済協力を実施してまいる上におきましては、これは政府開発援助につきましてもこれを実際に担ってまいりますのは、具体的には日本の民間の企業であったり人であったりする場合が多いわけでございます。そこでまた民間ベースの経済協力というものも民間諸団体におきまして自主的に行われていることもございますし、あるいはたとえば、中小企業の発展途上国における投資、合弁企業を設立いたしましてその国の中小企業と一緒にやっていくということも、これは民間ベースで相手方の経済開発に協力をしているということになるわけでございますので、こういった民間の活力を十分に活用していくことが経済協力を全体として推進していく上で重要ではないか、そういう点に配慮してまいる必要があると考えておる次第でございます。
○武田委員 そこで農林水産大臣、農業開発援助、これからの一つの大きな目玉として各地、特に東南アジアを中心とした、アフリカの開発途上国にとっては非常に期待されているわけでありますが、その海外援助計画の中の農業開発援助に当たって、大臣としては今後どういう方向でこれに当たっていくかという点のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
○田澤国務大臣 私は代議士になってから大体二十一年になるわけでございますが、その間東南アジア、アフリカあるいは南米等を視察いたしまして、戦後、開発途上国はいろいろな開発を進めて近代化のために努力をしてまいりました。結局、農業に重点を置いてまた、食糧増産というものに基本を置かなければその国の発展につながらないという考え方がいま非常に大きく出てきているのじゃないか。ことにこの開発途上国は、人口の七割以上が農業従事者であるというような関係もございまして、最近、農業あるいは食糧増産が大きな課題になっているわけでございますから、したがいまして、農業開発援助に対する要請というものは質的にも量的にも非常に大きくなってまいっております。私たちはそれにこたえるために、やはり日本の役割りとしては技術援助をすることが一番であろう、こういう考え方で今回この法改正をお願いしているわけでございますが、特に中、長期的に見て世界の食糧事情が非常に不安定でございますから、そういう点を配慮しながら地域を選定すべきだと私は思うのです。それからその国の自主性あるいはまた自助努力にこたえていくこともやはり必要でございます。
 御承知のように、日本は対外経済摩擦問題でいろいろな問題を諸外国から要請があるわけでございますが、それもこれも世界第二位の経済大国としての役割りを本当に果たしていないのじゃないかということも言われておりますので、そういう意味で、対外援助はそれなりに日本のいま置かれている大きな役割りであろう、こういう点も考えながら今後農業開発援助に積極的に取り組んでまいらなければならない、私はかように考えております。
○武田委員 各省庁からいろいろと基本的なお考えをお尋ねしましたが、いずれにしましても、開発途上国の立場に立った相手のニーズを十分に把握した上での経済協力、これは一番大事でありまして、最近地域で、現地人の要望を聞かなかったかどうかわかりませんが、いろいろトラブルがあったというケースもありますね。まして、国内でもいろいろな新しい開発をするときには大変な苦労があるわけでありますから、そういう意味では、特に相手が外国の方々でありますし、低開発地域でございますから、要するに、相手国の民生と産業の発展ということ、そしてそれが国民全体に心から喜びと感謝をもって迎えられて、そこに日本に対する大いなる信頼と友情といいますかそういうものが連動していくような、そういうやり方をしてほしいなと私は思うのであります。
 そこで、農用地開発公団等による農業開発調査をいたして、その結果これは有効に利用、活用するわけでありますが、そのために円借款などに結びつく資金援助、こういうことは当然出てくるわけであります。ただ、現在の有償の資金協力を見ますと、外務省、通産省あるいは経済企画庁、大蔵省という四省体制であって、農林水産省が入っていないというのに私は不満なんであります。今後、農業部門での海外援助のウエートが高まっていくことは明らかでございますし、鈴木総理もバンコクにおけるスピーチの中でも、今後の日本の海外協力の最重点に農業の開発、振興ということを取り上げている、こういうことを考えますと、農林水産省におきましてもそういう場において積極的に発言する場を与えられても当然であろう。いままでそれがなかったとは思いませんが、この四省体制の中に農林水産省を加えながら、お互いの連携をさらに緊密に行いながら、効果ある対応をすべきだ、こう思うのでありますが、この点について、きょうおいでの外務、大蔵、通産、経済企画庁の皆さんはいかがお考えでしょうか。そういうことはやるべきだ、あるいはそうじゃない、むずかしい説明は要りませんので、ひとつ簡潔に答えていただきたい、こう思います。
○松浦説明員 先生御指摘の技術協力につきましては、これは農用地開発公団が直接関係してまいるわけでございますけれども、予算は外務省に一括計上されまして、国際協力事業団が一元的に実施することにしておりますけれども、農水省とも全く二人三脚でやっております
 問題は、先生御指摘のその次の段階の資金協力でございます。私どもは、一般的には先生御指摘のように国際協力事業団で行いましたフィージビリティースタディー、開発調査の結果がよければ、それができるだけ日本の円借に結びついてもらいたい、こう考えております。最近の円借款の動向を見てまいりますと、農業関係だけがかなりふえてきておりまして、私どもこれは非常に好ましい傾向と思っておりますが、農業関係の案件の大体半分ぐらいは国際協力事業団で調査を行ったものでございます。
 したがいまして、四省庁体制ということでございますけれども、そういう法律のたてまえにはなっておりますけれども、実際の運営におきましては、技術協力から出発いたします段階では、さっき申し上げましたように農水省と外務省と全く二人三脚でやっておりまして、農水省の方々に調査の方に入っていただきまして行う、それがいま申し上げましたように円借款に結びついていく。円借に結びつく段階で円借調査団というものを出しますけれども、それにも農水省の関係者に入っていただく。それから、円借ミッションが帰りましていろいろ検討するということの段階でも当然農水省にいろいろ御意見をいただく。したがいまして、法律上のたてまえは四省庁体制でございますけれども、実際の運用面におきましては、農業関係の案件につきましてはいま申し上げたようなことで農水省に実際上入っていただいてやっていただいているということで、私どもとしてはできるだけ運用面で今後も改善してまいりたい、こういうふうに考えております。
○佐藤説明員 お答えいたします。
 経済協力につきましては非常に多面的な政策が関連しております。御存じのとおり、経済政策、外交政策、財政金融政策、通商政策、農業政策、エネルギー政策等非常にたくさんの政策分野と関連しておるわけでございますけれども、特に経済政策、外交政策、財政金融政策、通商政策というのはいわば横割りと申しますか、そういう関係でいろいろな問題にも関与してきているということから、実際にはこの関係の省庁が中心的な役割りを果たしてきておるわけでございますけれども、先生お話しのとおり、最近、農業問題というのは非常に重視されてきております。私どもも、そういうことから農業関連につきましては農水省とよく連携をとってこれまでもやってきておりますけれども、今後ともそういう方向で十分連絡をとっていくようにしたいと考えております。
○朝比奈説明員 大蔵省といたしましても、ただいま経済企画庁から御説明ございましたように、農業案件の重要性を認識しておりまして、今後、農林水産省と十分連絡をとりつつやってまいりたいと思っております。
○照山説明員 先ほど申し上げましたように、通商産業省といたしましても、今後、発展途上国の経済社会開発を支援する中で農業、農村の開発というのは非常に重要であるというふうに考えておりまして、ただいま三省庁からお答えがございましたように、私どもも農林省と十分連絡協議の上推進していくことが必要であるというふうに考えております。
○武田委員 協調体制でやるということは当然のことでありますが、農林水産業の技術協力ということは毎年人の面につきましても大変な増加ぶりです。非常にウエートが高まっている。それだけ要望がふえているということです。しかも、私は、技術協力と資金協力とは一体になっていかないといかぬというふうに思っておりますが、その効果を十分に発揮するためには、農業というのは開発したからそれでよしとするわけではない。それが定着していく、そしてある程度の見通しができるまでのかなり長い期間めんどうを見なくちゃいかぬのじゃないかと思うのです。そうすると、技術面の定着、先ほども話があった人づくりという面の協力、こういうように考えますと相当苦労する部門でございます。それだけに今後の協力援助に当たっての発言というのは、いま以上に重要視をしていかなければならないし、それは法律上はたてまえとして四省庁体制だ。しかし、日本というのは不思議とたてまえというのが大事にされているところでありまして、その中に農林水産省が入っていないとなると、どういうたてまえで外れているのだという、ひがみではないのですが、仕事を一生懸命やる農林水産省としましては不満もあるのじゃないか、こういうふうに思うだけに、一人前としてその中に認めてもらえるということで、この四省庁体制が五省庁体制になっても当然だ、こう思うのです。
 しかも、これを見てみますと、金利とか貸し付けの条件は工業用と比べると農業用の方が悪いわけですね。これでは私はいかぬと思うが、日本の場合は工業と農業と大体同じに見ているのですか。しかしながら、国内の場合でも融資の問題を見てみますと、利子でも、工業についてよりは農業の方がかなり優遇されている。それは自然的条件等々あるいは期間も非常に長い、いろいろな条件もある、そういうことで同じ条件ではないということになりますと、そうした中身のことなども今後改めていかなくてはいかぬ、こういうふうに私は思っております。そこで、今後こうした問題を積極的に進めていく上での重要な有償の資金協力についての発言というものを大きくその場で確保できるような体制というのが私は必要だと思うのであります。
 そこで、時間も来ましたので、大臣、これは各省庁との交渉の中において、農林水産省としてこうした海外援助協力、農用地開発が一層効果的に実りあるものにするための対応として、いま申し上げた体制の問題等を含めまして、十分に農林水産省が対応できるような方向をしかと根回しをしながら進めていってほしい、こう思うのでありますが、その辺についてのお考えと決意をひとつお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○田澤国務大臣 この法律改正法が成立いたしますならば、いわゆる公的な機関による組織的な推進が図られることになるわけでございますので、そういう面から、私たちとしては借款等の問題につきましても現地で現に技術援助に携わった者として積極的な発言をいたしまして、この農業開発援助が促進されるように努力をいたしたい。
    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
 この問題について実は閣内でも話題になりまして、これをどういう機関で扱ったらよろしいだろうかということで、総理からもそれでは経済対策閣僚会議でこの問題は十分話し合うようにしてはどうだということでございますので、そういう機関を通じて十分各省庁と連絡をとりながらただいま御指摘のような点に十分沿うように努力をいたしたい、かように考えます。
○羽田委員長 武田君の質疑は終わりました。
 次に、近藤豊君。
○近藤(豊)委員 大臣にまずお伺いいたしますが、今回の農用地開発公団が開発途上地域に対する経済協力にその人材を生かしていく、私は、これは大変好ましいことだと思います。しかし、一部世評によると、これは農用地開発公団の仕事がだんだん少なくなってきたから、だからその余った人をそちらに使うんだというような言もあります。それはそれで私は結構なことだと思うのですが、経済協力はとかくいま各省庁の権限がいろいろと複雑に分かれておって、その調整に苦労をしている分野でもある。臨調で取り上げられている分野でもありますので、これはすでにもうよく大臣御承知のとおり、今回、この農用地開発公団が行う国際協力の仕事についても、国際協力事業団を通ずる政府ベース技術協力の実施体制の下で、調和を保ちつつ、密接な連携を保ちつつ行われていく、こういうふうに私は了解いたしますが、この了解に誤りなきや否や、一応ここで御確認をいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 そのとおりでございます。
○近藤(豊)委員 さらにこの人材を大いに活用して取り組む場合、たとえば、ペルーのかつてインカが支配をしていたころは緑であったところが砂漠になってしまっておる。あるいは今度中東問題で焦点になっておりますシナイ半島が返還をされたけれども、このシナイ半島の砂漠の緑化という問題も出てきておる。インドにも大型の灌漑農業案件が出てきておる。世界じゅうメジロ押しに灌漑農業あるいは農業協力要請が出ておるわけです。そうしますと、現在の農用地公団の中で少し外に向けられるかなと思っている人材では足りなくなる場合もあるわけですね。その場合には積極的に農林省も本省から農業、土木等の専門家をもっとさらに動員をして、出向させて協力をしなければいけない場面が出てまいると思います。そういうときに、日本の悪い癖で、海外に出かけていきますと、その間に国内の昇進がおくれるというようなことがある。そういうようなことがありますと、出ていく人は非常に元気がなくなるわけでありまして、この点、大臣の御在職中に、海外農業協力に苦労した男は国内に帰ってきてもちゃんと評価をされて、いわば出世するんだというような伝統をつくる先駆けをしていただきたい。これをぜひ大臣にお願いしたいのですが、いかがでしょう。
○田澤国務大臣 実は、私も東南アジアをかつてずっと視察をいたしまして、農業技術のために大変な努力をしている方々を私は現地で見たわけであります。その方々は非常に現住民にも尊敬されておりまして、そういう方が一たん内地へ帰った場合に一体どういうことになるかということ等はかなり不安だと思うのですね。そういう点では、私は、現地に出向いた方々に対しては、積極的にやってください、思い切ってやってください。そのかわり皆様方の将来については私たちは責任を持って今後も考えて差し上げますからという態度でなければ、私は、そういう現地へおいでの方は積極的な努力はしないものと思うのですね。ことに農業は長い目で開発を進めてまいらなければならない。しかも、一人の人ができるだけ長期間定着することが大きな成果をおさめるものと思いますので、そういう点では御指摘のような点を十分配慮しながら技術者その他を派遣させたい、かように考えております。
○近藤(豊)委員 いま大臣のお答えを聞いて私は非常に意を強くするものです。しかし、これもだんだんいろいろな方が大臣になられるわけですから、農林省の中でどういう方法をとるか知りませんけれども、海外協力に献身する人たちが報われるのだということを何らかの形ではっきりした形であらわすことを今後事務局に工夫をさせておいていただきたい。何らか前向きに農林省全体が取り組むのだという姿勢をはっきりさせることを、大臣御在職中に事務当局に完成させておいていただきたい、こうお願いいたしたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
○田澤国務大臣 先ほどもちょっとお話ししましたが、実は前のセイロン、いまのスリランカでございますが、ここに農林省から技師が二名ほど行っておりまして、藤坂五号の作付をやっておりまして、気候、風土が日本と違いますので、スリランカに合うような農法、あるいはスリランカに合うような営農を技師の方々が研究しておられました。みずから水田に入って、そしてみずから作業を指導するものでございますから、その地域の方々の非常な尊敬の的でございました。そういう方がそういう作業をするのも、結局農林水産省が十分働いていらっしゃい、身分については保障するからということがあるからそういうように熱心に農業開発に努力するものと思いますので、私は、これは第一回目でございますので、そういうことを基本にしながら、この法を基本にして農業開発援助を運めてまいりたい、かように考えますので十分努力をいたしたいと思います。
○近藤(豊)委員 大臣はアメリカからお客さんが来ておられるようですから、何でしたらここで御退席いただいても異存はございません。
 農林省の方にお伺いしますが、海外の農業協力はどうしても気候、風土の違ったところがかなり多いわけです。熱帯農業、それから砂漠の農業、さらにこれから非常に重要な問題になってくるのはカーター時代に出た例の「西暦2000年の地球」というレポートがありましたが、それで緑がなくなってしまうのだという警告があって、植林を行わなければいけない。この三つの問題は、日本の国にとっても非常に関係の深いことである。そうしますと、まず熱帯農業あるいは砂漠農業、それからどんどん木材を乱伐している後の植林の方法、そういうようなものについての要員は、公団の枠を越えて農林省の中で養成をされていって初めて協力が可能になるわけですけれども、実は公団のことというよりも、農林省が巻き込まれる海外経済協力の事業の中での重大問題だと思うのですが、この点はどういうふうに対処しておられますか。この点、もしお答えいただけるならば御回答いただきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 熱帯等の農業、これは林業についてもそうでございますが、農林水産省の附属機関として熱帯農業研究センターというのがございまして、そこで技術上の試験研究、調査、資料の収集、整理、提供等の業務を行っております。それで公団の海外業務を実施するに当たりましてもそういうところの研究の成果を十分活用してやってまいりたいというふうに思っております。
○近藤(豊)委員 この際、一つの要望事項を申し上げておくのは、植林関係なんですけれども、非常に乱伐が行われた後、植林をしてもそう簡単に苗が育たないというような熱帯の事情がございます。そういう点まだまだこれから日本は海外の木材を必要としているわけですから、その跡が裸になってしまっているわけですけれども、そういう面での研究あるいは今後専門として取り組む人たちをぜひ農林省としても考えていただきたい、これは私の要望事項です。
 それから、公団の職員の中で、これから海外の協力事業に参加をしていく、つまり、国際協力事業団の方に出向して参加をする人、あるいは公団から直接調査事業に出かける人、あるいはまた収集された資料を分析し、あるいはそれを研究する人たち、そういう人たちはどうしても語学が必要になってまいります。語学だけではなくて、自分が赴任をする可能性のある国の風俗、習慣にも通暁しなければいけない。言うなれば、地域の専門家的な準備をしていかなければ、いかにりっぱな公団の農業土木屋さんも役に立たないわけです。そうした面で、事前研修というようなことについては、公団は今回の法律改正を機にいかなる手段を講じられるおつもりか、この点を答えていただきたい。
○森実政府委員 ただいま先生御指摘のように、私ども、派遣技術者の研修というのは非常に重要な問題だろうと思います。内容は、一つは御指摘の語学の研修、もう一つは相手国の事情に応じた具体的な知識の注入という二つの面があるだろうと思っております。幸い、農業土木関係者の中では英語自体はかなり習熟している者が多くて海外業務にすぐに使えますが、実はほかの語学では必ずしも満足できる状態ではございません。そういう点でいろいろ専門家の御意見も聞きまして、外国語研修のことはこれから考えてみたいと思っていろいろ検討させているところでございます。また、いい知恵があったらお教え願いたいと思います。
 技術知識の注入という問題は、私は非常に大事な問題だろうと思います。同じ人間に継続的に担当させると同時に、やはり予備調査、本格的な開発調査の間で得た知見というものを的確に伝えることが必要だろうと思います。そこで、本年度の予算においてまずそういった技術情報を解析整理するための所要の経費を計上したわけでございまして、最終的にはこれはファイリングシステムの整備ということでつなげていかなければならないと思います。もう一つは、派遣する職員を特定いたしませんで、できるだけ幅広く公団職員の中で適性のある者を随時その相手国の事情に応じて派遣するという形を通じて、そういった開発調査の経験を持った人間の層を厚くするということが必要であろうと思います。
 三番目は、その上に立って、いま申し上げましたような各種の知見、それも、実は農林省だけの、公団だけの知見だけではなくて、ほかの省、ほかの公団から伺った知見等を整理いたしまして、派遣すべき職員あるいは外部から協力を求める場合はその協力をしていただく人も含めて短期の研修をしっかりやることだろうと思います。
 この三つを当面心がけてまいりたいと思っております。そういう意味で実は人事院、農水省、JICA等をそれぞれ実施機関とした各種の研修制度をいま予定しておりまして、さらにその密度を高めようと思っております。
○近藤(豊)委員 いまの御答弁の中のできるだけ幅広く公団職員を動員しようということは、確かに一つ大きなプラスなんですが、反面、今度みんなが薄く経験を持つということにもなるのですね。ですから、中には、たとえばスペイン語屋だとか、あるいはフランス語屋だとか、あるいはインドネシア語屋だとか、語学別にある程度おはこを持った職員をあらかじめ指定をして、おまえさんはこれをやるのだよ、どうだ、この地域好きかいということで、その地域が好きだというような人は必ずいるわけですから、そういうふうにある程度スペシャリストをつくっていかれることを考えないと私は不十分だろうと思います。
 それから、語学研修については、つけ焼き刃の語学研修というのはなかなかうまくいきませんし、大体公団から出向されていく農業土木の専門家あるいはある程度技術者として完成をした人たちは当然年もとってきておる。二十代の青年の方なら語学も早く覚えますけれども、もうわれわれ四十過ぎた年代になりますとなかなか早く語学を覚えるわけにいかない。ということは、ある程度事前研修の時期は長くなくてはいけないし、そうした場合に、実はたとえば、外務省の研修所で第五部の研修などが行われておりますけれども、そういうような中にこの公団の人たちの語学研修員を一部受け入れる可能性というようなものがあるのかどうか、この点をちょっと伺ってみたいと思いますが、外務省はいかがですか。
○内田説明員 ただいま先生から御指摘がございました外務省研修所の活用というのも一つのアイデアかと思いますが、私どもといたしましては国際協力事業団による専門家の養成確保の事業の拡充というものを最近図っておりまして、私どもの考え方といたしましては、この事業団による研修プログラムの一層の活用を図るということを考えていきたいと思っている次第でございます。たとえば、派遣前の研修、これは集合研修、個別語学研修、個別技術研修と三本柱になっておりますが、その集合研修におきましては、年間九回、各回とも約三十日の期間で実施しておりますし、もう一つ別に中期研修というのがございます。年二回、各七十五日のプログラムを組んでおります。公団の専門家の方々にもこういうプログラムに今後より積極的に参加していただくという方途を講じていきたいと考えている次第でございます。
○近藤(豊)委員 その点は了解しました。
 そこでもう一度改めて主管局長にお伺いしますけれども、熱帯農業の研究所を農林省がお持ちであることはよく知っております。しかし、まだまだはなはだ不十分なものである。それから砂漠の緑化についてはいろいろな試みがこれまでも行われておりますけれども、日本の技術はアメリカやイスラエルと比べると非常におくれたものである。それから植林、つまり、伐採した跡地の緑化ということについてはまだ全く対策がこれだというものが見出されていないのが現実じゃないかと思うのです。そうした意味で、新しい技術がたとえば、イスラエルのネゲブ砂漠の研究所で実はいま開発をされたり、あるいはアメリカでまた新しい砂漠の緑化についての技術が開発をされているというようなことがときどきニュースとして飛び込んでまいりますが、公団の予算でもいいし農林省の予算でもいいのですが、そういう新しい技術について、将来の開発協力要員をどんどん出張させて、そして現地で調査をさせる、と同時に、土地カンも持たせるという必要があるのですが、大体、農林省、そういう意味では海外出張あるいは調査予算なんというのは技術屋さんのためのものは少ないですね。この点をひとつぜひがんばってほかのものを犠牲にしてもおふやしになるということが必要だと思いますが、どうですか。
○佐野(宏)政府委員 まさにいま先生御指摘のような問題に対処いたしますために海外派遣技術者の長期研修というのをやっておりまして、これは外国の大学とか試験研究機関に原則として二カ年間留学をさせまして勉強させてくるわけでございまして、テーマとしては、ただいま先生の御指摘のございました熱帯林業の問題でございますとか、乾燥地帯の農業の灌漑の問題というようなことを研究テーマとしてやらせております。最近増員に努めてまいりまして、五十六年度に派遣いたしました者は十二名でございますが、二、三年前に比べますとほぼ倍増いたしておりまして、現在、このプログラムの中で長期研修を受けた者が五十四名に達しておりますが、今後ともさらに拡充を図ってまいりたいと思います。
○近藤(豊)委員 では、今後大いに関係者がこの面で努力をされて、そして海外協力に農用地公団及び農林省の技術者たちが積極的にかつ効果的に参加できることを願いながら、少し時間が早いですけれども、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○羽田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十二分開議
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 農水省がことしの三月に発表しております「世界食料需給モデルによる食料需給予測」というのを見ますと、地域別予測結果というのを出しているわけです。発展途上国の穀物の輸入量は一九七八年に三千四百三十万トン、二〇〇〇年になりますと七千九百四十万トン、二・三倍増ということになります。しかも、これもケース1の場合、つまり、需給が一致しそして平年作であるという最も楽観的なケースのもとで、穀物の価格がインフレ率五%程度、名目で四倍程度という想定に基づいて出されているわけなんですが、ケース3というのを見ますと、ケース1、この楽観的なケースにさらに肥料価格などが二、三%上昇した場合穀物の価格は名目で六倍くらいに上昇するだろう、こういうふうになっております。途上国の外貨不足などで輸入が非常に困難をきわめていることが予想されるわけですが、どうなんでしょうか、ケース3については農水省は計算をしていらっしゃるのでしょうか。
○角道政府委員 お答え申し上げます。
 ケース3につきましては、将来、原油需給の変更等から今後、農業生産資材価格が上昇した場合に需給動向はどうなるかということを予測したものでございますので、私どもとしては、試算なり動向については一応の予測は持っております。
○藤田(ス)委員 そうすると、傾向はどういうふうに見ておられますか。たとえば、ケース3の場合、生産量は途上国はどういう傾向になりますか。
○角道政府委員 ケース1の場合に比べまして生産費が上昇するというところから、生産量につきましてはケース3の場合基本形よりもやはり若干縮小ぎみであるということは言えるかと思います。また、需要につきましても同様のことがございまして、全体といたしましては需給のバランスは、ケース1に比べれば若干縮小する方向になりますが、反面、開発途上国におきましては全体としては輸出入バランス、貿易量から見ますと先進国に依存する度合いが大きい。したがって、貿易量につきましては基本ケースの場合よりも若干増加するというように考えております。
○藤田(ス)委員 途上国の場合に生産量がケース1よりもマイナスの傾向になる、こういうことなんですよね。そうしますと、現在でも非常に栄養不足、人口四億から五億と膨大な数に上っているわけですが、本来、もっと輸入が必要な途上国が買いたくても買えない。しかも名目六倍というような上昇価格になれば、途上国は非常に大きな困難にこれからも突き当たっていくということが考えられるわけなんです。
 そこで、やはり日本の援助というのはどうしても真の国際的連帯の立場で、より貧しい国々の国民の食糧生産に向けて取り組んでいかなければならないということが当然考えられると思いますけれども、同時に、これは大臣のお考えをお聞きしたいのですが、人口は、わが国は世界で見ると二・七%です。ところが、日本の世界の小麦だとか飼料あるいは穀物の貿易量は一四%を占めています。つまり、まさに買いあさっていると言いたくなるほど非常に多くの貿易量を抱えているわけです。これが穀物価格を引き上げる要因になっているという事態はこれからどうしても解消していかなければならないと思いますし、したがって、国際的な食糧問題を考えても、私は、日本の自給率を高めていくというのは重要な課題であると考えますが、大臣はいかがお考えでしょう。
○田澤国務大臣 穀物の日本への輸入によって世界の穀物の価格がそのまま上がったということにはならないと私は思うのでございまして、むしろ、第一次オイルショック以後世界の穀物の過剰時代が終わった、さらに、中国あるいはソ連等の穀物のいわゆる不安定というものが要素になって、穀物の国際価格が高騰していると見てよろしいのじゃないだろうか、私はこう思います。しかしながら私たちとしては、あくまでも自給率の確保には努力をしてまいらなければならないのでございますから、今後とも穀物の自給率の向上のためには最大の努力を払ってまいらなければならない、かように考えております。
○藤田(ス)委員 大臣は、わが国が非常に多くの穀物、飼料だとかそういうものを買い入れていることについて、それは別に価格を引き上げる要因になっていないということですが、私はそうではないというふうに思います。
 次に、食糧増産の援助についてお伺いいたします。
 外務省にお願いしていると思いますが、政府開発援助のうち、無償協力で食糧増産援助が一九七七年から実施されているわけですが、従来、何カ国に何億円相当の援助がなされてきたかお答えいただきたいと思います。
○松浦説明員 先生御指摘のように、食糧増産援助は昭和五十二年度から始められましたが、当初は、予算規模は六十億円でございまして、対象国も八カ国でございましたが、おかげさまでその後毎年予算規模が伸びてまいりまして、昭和五十六年度では二百六十億円、対象国も広がりまして二十六カ国になっております。いままで援助しました国を累積で見ますと、全部で三十二カ国になります。昭和五十七年度の予算は二百九十億円でございまして、いまからこの割り振りを行ってまいります。
○藤田(ス)委員 食糧増産援助は、被援助国の食糧増産計画に対して肥料、農薬、農機具などの無償援助を行うものであって、これによって技術、人、それから生産資材、物、それから資金、これが三位一体となって効率的な援助ができるというふうに説明をされているわけです。この援助については、一つは、技術協力プロジェクトと関連した地域への投入を相手国が日本に約束する、二つ目は、供与資材を農民に売却した代金を相手国政府が積み立て、そして三つ目に、これらをさらに食糧増産計画の措置と経済発展に必要な経費に充当するというような条件になっていると思いますけれども、この条件は正しく遂行されているというふうに考えていらっしゃるかどうか。
○松浦説明員 先生御指摘のように、食糧増産援助は肥料、農薬、農機具を無償で提供いたしまして、発展途上国の食糧増産に対します努力を支援するというのを目的にしております。この援助は、無償資金協力でございますので返済を要求しているものではございませんけれども、先生御指摘のように、考え方といたしましてはできるだけ技術協力と結びつけて有機的な連携を保って行っていくというふうに考えておりますが、必ずしも絶対的な条件にはしておりません。
 それから、二番目の点でございますけれども、肥料、農機具、農薬等を相手国政府に提供いたしまして、相手国政府が適正な価格で農民に売却するということを義務づけておりまして、その売却しました代金を相手国政府は積み立ててファンドをつくる義務を負っております。これは先生御指摘のとおりでございます。
 その次には、そのファンドの使い方でございますけれども、私どもはこのファンドは食糧生産の増大を含みました農業開発の目的のために利用してもらうということにしておりまして、このファンドの使い方に関しましては相手国政府と十分な連絡をとって行っております。いままで私どもが援助をして積み立てましたファンドにつきまして相手国政府といろいろ連絡をとっておりますけれども、適正に使われていると考えております。
○藤田(ス)委員 適正に使われているということなんですが、別に内政干渉せよということではないわけなんですけれども、しかし、従来からこの種の援助については余りいいうわさが流れていないわけです。汚職がつきまとっているというようなことはこの委員会の中でもかねがね指摘をされてきた問題だと思います。せっかくの援助が相手国の国民や農民の生活向上のために役立たないで、相手国政府の高官などの蓄財のために役立っているというようなことがあっては大変な問題だと思うのですね。
 一月の六日でしたけれども、毎日新聞の「政治と倫理」という記事の中に、タイの中で起こっているこういった適正に使われていない、そして農民に適正な価格で援助した物資が渡っていないということが取り上げられております。
 ちょっとここで具体的に言いますけれども、「八〇年度の援助額は三十二億円で最低五万トンの日本製肥料の購入が条件づけられていた。」ところが、タイ農業生産公社、「MOFに届いたのは四万一千トンに過ぎなかった。買い付け交渉の最中にタイ農林省とMOFの幹部が日本の業者から日本への観光旅行に招待された。その見返りに出荷数量をまけるように持ちかけられたため」だとこのMOFの前副理事長ソムチャイ氏が語っているとここに書かれております。この方は「以前に同じ申し出を日本の業者から受け、拒否した経験がある」ということを言っております。「さらにMOF関係者やタイ人の経済消息筋が一致して指摘するのは、援助肥料が条件通り市価の七割で農民の手に届く」というようなことにはまずなっていない。間でたとえば、商人あるいはまた農協の組合長などがリベートや利益をむさぼって、まさに「無償援助も入り口から出口に至るまで汚職の食いものにされ、国民の八割以上を占める肝心のタイの農民にはほとんど恩恵をもたらさないことになる。」こういうふうにこの記事に書かれておりますが、この事実関係は一体どういうことなんでしょうか。
○松浦説明員 私ども、この一月六日の毎日新聞を拝見しまして、早速現地にございます日本大使館に訓令をいたしまして調べましたところ、結論を最初に申し上げますと、この新聞で報道されておりますような事実は全くないということでございます。
 新聞報道の内容は、先生御指摘のように、日本からの五万トンの肥料が、実際に政府が受け取ったのは四万一千トンであるということでありますけれども、タイ政府も日本政府の申し入れを受けまして各段階で全部チェックしております。たとえば、肥料がタイに到着いたしました段階での記録が税関に残っております。この税関にもきちんと五万トンと記録されております。それから、その後の輸送の各段階で全体の量が把握されておりますが、これもきちんと五万トンでございまして、最終的に農民にすべて五万トンが渡っているということでございます。
 それから、先生御指摘の価格についてでございますけれども、価格につきましても日本政府に全部連絡をしてもらうことになっておりまして、タイ政府は、先ほど私が申し上げましたように適正な価格で農民に売却するということになっておりまして、私どもは、適正な価格で売却されたと考えております。
 この記事のもとになりましたのは、いま先生も引用されましたタイの農業協同組合省の一部局でございますMOF、タイ農業生産公社と訳しましょうか、そこの次長のソムチャイという方が情報源になっておりますけれども、この方は全然別なことで解雇されまして、若干その腹いせもあって、こういうことを新聞にしゃべったのではないだろうかということで、タイ政府が非常に怒っておりまして、私いま手元に持っておりますが、タイ政府は毎日新聞に対して厳重に抗議を申したいということで、すでに四月に入りましてタイの農業省のタルーン農業次官の名前で毎日新聞社に対して、この記事は全く事実無根であるという抗議を申し入れたと承知しております。
 一般的に申し上げまして、先生御指摘のように、私どもは、非常に財政状況の厳しい中で援助予算を拡充してまいっておりますので、その援助予算を使いました日本の援助が、本来の目的である相手国の国民の民生の安定、福祉の向上、さらには社会経済開発の発展ということに貢献すべきであって、先生御指摘のような汚職だとかそういうような形になってはならないと考えております。最近では、すでに実施しました援助プロジェクトがきちんと所期の目的を上げておるかどうかということを評価することに力を入れてまいってきており、今後ともこういうことのないようにしたいと思っております。
○藤田(ス)委員 この記事の中には、確かにソムチャイ氏がいろいろ事情があって、そしてこういうことを言ったんだといったことを書いておりますけれども、実際には、外務省、どうなんでしょう、八一年度供与したこの肥料を農民にトン当たり幾らで売却したかということをちゃんとつかんでいらっしゃるわけですか。三割引きでちゃんと渡ったのかどうかということはっかんでいらっしゃるのですか。
○松浦説明員 私どもがタイ政府から報告を受けておりますのは、まさに御指摘のように市価の七割、具体的には、一トン当たり四千七百バーツで農民に渡したというふうに連絡を受けております。
○藤田(ス)委員 調査にも限界があるでしょうけれども、向こうの政府がこう報告をしているからということだけで、こういった問題を適正な価格で売却されていると言い切るのは私はどうかと思うわけです。こういうふうな問題は、公然の秘密というようなこととしていろいろ言われているわけですね。援助物資を横流ししたとか行方不明になったとか積み立てが不明だとかいうようなことはざらにあるんだ。しかし、実際援助が国民の役に立たないで特権階級だけの私腹を肥やすためにあるというようなことは大変困りますので、きょうはもう時間がありませんからこれ以上追及いたしませんが、こういう問題について十分注意をして、本当に援助がその国の国民の役に立つように進めるべきであるということを指摘しておきたいと思います。
 時間が来ましたので、これで終わります。
○羽田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
○寺前委員 農用地開発公団法改正案反対の討論を日本共産党を代表して行います。
 反対の第一の理由は、一九七四年の国際協力事業団の設立に際し、わが党は、これがアメリカの世界戦略に基づく援助肩がわりと、日本の大企業の海外進出の補完という新植民地主義的性格を持つ経済協力を強力に推し進めるためのものであるとして反対したのであります。本改正案は、レーガン政権のもとで、その経済協力の性格がますます強化されている状況の中で、国際協力事業団の下請を効率的に行うために農用地開発公団を活用するものであり、とうてい賛成できるものではありません。
 第二に、農用地開発公団を活用して行う農業協力の主な対象が、ASEAN、ブラジル、中国など、日米両国にとって戦略上重要な国、あるいは日本の大企業の進出国であること、さらに、協力事業のうち、リスクの大きい業務を公団が引き受け、うまみのあるものは従来どおり民間企業が分担するという企業にとって都合のよい分業を行うものになる可能性が強いことであります。
 わが党は、発展途上国の深刻な食糧問題を解決するために、農業協力が正しく進められるべきであること、また、人口わずか二・七%の日本が世界の穀物貿易量の一三%を輸入し、国内の農業を縮小、衰退させているという政策を根本的に転換して自給率の向上に向かうこと、この二つが日本に課せられた国際的責務であると考えます。
 この立場から考えたとき、農用地開発公団の活用は、農業協力にとって一定の寄与をし得る可能性を持つことを否定するものではありませんが、さきに挙げた二つの問題点が解消されぬ限り農業協力は正しく進まないこと、したがって発展途上国に真に役立つものとはならないことを指摘して、討論を終わりたいと思います。
○羽田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 これより採決に入ります。
 農用地開発公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 この際、本案に対し、亀井善之君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合、五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。
○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合を代表して、農用地開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農用地開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、食糧の長期にわたる安定確保を図るため、国内自給力の向上に資する各種施策を整備拡充するとともに、公団の海外農業開発協力にかかる本案の施行等にあたつては、左記事項の実現に留意すべきである。
        記
 一 開発途上国における食糧増産と農業振興の重要性にかんがみ、政府開発援助の推進にあたつては、農業分野における協力を一層拡充するとともに、熱帯地域等の農業に関する試験研究の促進に努めること。
   また、協力の実施は、相手国の要請に即してその自主性を尊重し自助努力を助長する方法で進めること。
 二 公団の海外農業開発協力業務については、国際協力事業団と密接な連携を保ちつつ、その円滑かつ効率的な実施が図られるよう、人材の養成等必要な業務体制の整備に努めるとともに、当該業務に従事する職員の勤務条件等が従来業務に比し不利益となることのないよう配慮すること。
 三 農畜産物濃密生産団地建設事業については、これが食糧自給力の向上と畜産業の健全な発展に寄与している実情にかんがみ、今後とも同事業の促進に努めること。
   右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 亀井善之君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力いたしてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○羽田委員長 種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
○小川(国)委員 今回の種苗法の一部改正案は、新品種保護条約の締結に伴う国内法の整備ということで提案をされてきているわけでありますが、この際、私は、同法が施行されましてから三年を経過してきておりますが、その三年の経過を振り返りながら、この国内法の整備に伴いまして、種苗の現状につきましてもこの法案の審議とあわせて質問をいたしたい、こういうふうに存じます。
 最初に、この種苗法施行後の三年間における法の運用経過につきまして、ひとつ簡潔で結構でございますから、まず御説明を承りたいと思います。
○小島政府委員 種苗法は昭和五十三年に第八十四通常国会におきましてそれまでの農産種苗法をほぼ全面的に改正いたしまして施行いたしたものでございます。法律が公布されましたのは七月でございますが、その後、対象植物あるいは手続等につきまして政省令あるいは告示等を用意をいたしまして、同年の十二月二十八日に施行と相なっております。これに対応いたしまして、法の運用体制につきましても逐年整備をいたしてまいっておりまして、五十四年にそれまで果樹花き課の一部で行っておりました種苗登録関係等の仕事を種苗課という新しい課をつくりましてそこに移しております。出願品種の審査などを行います体制につきましても逐年整備を進めてまいりまして、今日、ただいまでは、種苗課員全員で三十九名、こういうことになっております。
 また、審査をより円滑、効率的に行うために、作物別の審査基準をつくる、あるいは既存品種との比較をいたしますための検索業務をコンピューターを利用して行うシステムを開発するとか、あるいは新しい審査方法の一つといたしましてカラーチャートを作成するというふうな仕事もいたしておるわけでございます。また、今回の種苗法によりまして職務育成品種についての保護規定ができておりますが、これに対応いたしまして、五十四年には農林水産省の職務育成品種規程を作成をいたしております。
 登録の出願状況でございますけれども、昭和五十三年に九件、五十四年に七十六件、五十五年に百三十九件、五十六年には二百四十八件、年々出願も増加をいたしてきております。審査を経まして登録いたしました品種は、五十四年に十九件、五十五年に五十一件、五十六年に百二十四件と毎年増加を見ておりまして、これまでに登録いたしました品種は合計二百三十八品種に達しております。そういったことで、新品種の登録制度につきましては、発足以来三年余りを経過しまして、出願及びその受け入れについての体制はほぼでき上がったというふうに見ておるわけでございますが、これと時を同じくいたしまして昨年十一月に植物新品種保護条約が発効するに至りましたので、わが国もこの条約に加盟するべく別途条約の承認案件を提出しておる次第でございます。
 また、新品種の保護制度と並びまして種苗法の柱でございます指定種苗という制度がございまして、一定の作物につきましては、その種子に適切な品質表示を励行させる、並びに、種苗検査を行いまして、優良な種苗の流通の確保に努めておるわけでございます。前回の法律改正によりまして、種苗業者が遵守すべき生産、流通に関する基準というものを定めることになっておりますので、それらにつきましても、最近、ようやく野菜関係の種子の基準がまとまりまして、近く制定、公表する、こういう運びに相なっております。
○小川(国)委員 種苗法によって事業が非常に滑らかに、しかも登録も比較的順調に推移している、そういうことは大変喜ばしいことでありまして、国際的な条約に基づいてこれからの審査というものもひとつ順調な進展が見られるようにそういう取り組みをお願いしたいわけでありますが、同時に、日本独自のたとえばショウガとかサトイモとかニンニクとか、どうも国際的に共通しないようなこういう種苗についていわゆるマイナークロップスみたいなものの整備がおくれているのではないかと言われているのですが、こういうものについての整備はどのように進められておりますか。
○小島政府委員 わが国の登録対象作物の数は大変多うございまして、お話がございましたように日本独自の作物も多々あるわけでございます。ただいま現在、お話のございましたサトイモなどを含めましてほとんどの実用植物を対象にいたしておる状況でございます。
○小川(国)委員 そうしたものの整備もひとつおくれずに作業を進めていただきたい。これは要望を申し上げておきたいと思います。
 私ども、種苗の問題につきましては、今回の法改正は、相互主義あるいは優先主義、こうしたものを国際条約に基づいてお互いに確保していこう、この法案の趣旨、考え方については、これは、国際法上、あるいはまた種の国際交流、その中での種苗の進展ということを考えてみますと、もうきわめて当然のことであろうかというふうに考えるわけであります。しかし、そうした種苗の国際化時代を迎えた中で、日本の今後の種苗の発展のためにどういう体制をつくっていくことが必要であろうかというふうに考えてみますと、一つは、遺伝資源の収集、保護ということがこれから大きな問題として日本にも要請されてきている問題だというふうに思うわけであります。これについては、欧米各国は非常に優秀な遺伝資源の確保に国費を注いで、相当な力を注いできている。ところが、日本の場合には、遺伝資源の収集とか保護、管理体制というものが非常に個々であって、これが統合的に進められていない。たとえば、これについては、農水省の所管の国立あるいは公立の試験場、こういったところでの保管もございましょうし、収集もございましょう。あるいはまた、文部省所管にある各大学の所管のものもある。たとえば、文部省所管でいえば、稲は北海道大学とか九州大学が遺伝子分析材料というようなものを持っている。あるいは小麦やヒエについては京都大学が相当なコレクションを持って、これが実際に新しい品種の発見に役立つものを持っている。野菜についていえば東北大学の農学部であるとかあるいは農水省の野菜試験場が持っている。そういう中で、キャベツ、白菜、こうしたものの種苗の遺伝資源を持っている。果物については農水省の野菜試験場が持っている。もちろん、果物の場合には、種としての保存はできないわけでありますから、畑に一本一本植えて保存しなければならない、そういう困難さはあろうかと思いますが、しかし、これの保存もやはり重要な問題である。こうしたものについて、文部省の方ではこういった遺伝資源の統括的な保護管理、収集管理というようなものにどういうふうに取り組んでおられるのか。それから、農水省の方としては、こういったものの収集管理にどういうふうに取り組んでおられるのか、その点をそれぞれの担当者から伺いたいと思います。
○岸政府委員 最初に、農林水産省の遺伝資源の収集保存の現状につきましてお答え申し上げたいと思います。
 作物の遺伝資源を改善いたしまして新品種をつくっていくという場合に、先生御指摘のように、その大もとになる遺伝資源をできるだけ多く集めて、それをいつでも使えるように保存しておく、また、それを使わなければいけないところに対して配付をするような体制をつくるということは非常に大事なことだと考えております。農林水産省におきましては、この点を実施するためにいろいろな手だてで外国から遺伝資源の導入を図っております。
 それから国内のすでに一般には余りつくられていないような作物、そういったものの遺伝資源につきましても収集を図っておりまして、それを現在農業技術研究所にあります遺伝資源種子貯蔵庫を主体にいたしまして、そのほか地域農業試験場でありますとか、先ほど先生の御指摘にありましたように、野菜に関しましては野菜試験場でありますとか、果樹の苗に関しまして、あるいは特に果樹の品種の、これは挿し木でありますとかあるいは接ぎ木になりますときの種苗のもとになるものでありますが、そういうものにつきましては果樹試験場におきまして保存をいたしておりまして、このような努力によって、五十七年度現在でわが国の試験研究機関で収集保存いたしております点数が約七万点に上っております。このうち農業技術研究所の遺伝資源種子貯蔵庫に約三万点貯蔵をいたしております。そのほかの約四万点につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ専門といたします試験研究機関において保存をいたしておりまして、これらの遺伝資源につきましては、国あるいは公立の試験研究機関だけではなくて、求めがありましたならば民間にも配付をいたしております。
 以上のような状態でございまして、先生御指摘の点非常に重要だと考えておりますので、今後とも遺伝資源の探索、導入ということとともに、それを十分に保存をして配付できるような体制をしっかりと続けてまいりたいというふうに考えております。
○勝谷説明員 ただいま先生も御指摘になりましたように、研究が行われかつその後もそれを引き継ぐ後継者が育成されておりますところの大学等におきまして、それぞれ研究を行った遺伝資源を保存しておるのでございますが、特に、観点といたしましては、遺伝学研究のために必要な実験生物の重要な系統の保存を図るという観点から、文部省の所轄の研究所でございます国立遺伝学研究所におきまして遺伝実験生物の保存研究施設を設置いたしております。これは植物だけではございませんで、実験動物、ネズミ等もございますが、稲、麦等その他の植物につきまして系統保存を行っておるわけでございます。
 なお、この保存施設におきましていかなる系統を保存すべきか等々の問題につきましては、それぞれ関係いたします大学その他の研究機関等の代表的研究者によります系統保存委員会というものを設けまして、そこでいろいろ御検討の上保存を図るということをいたしておるのでございます。
○小川(国)委員 文部省の研究機関課長さんに伺いますけれども、北海道大学から九州大学、京都大学あるいは東北大学、各大学の貯蔵のもの、こうしたものがまだリストアップされて一覧表にはでき上がっていない、そういうふうに承っておるのですが、その点はいかがでございますか。
○勝谷説明員 ただいま手元に詳細な具体のデータも持っておりませんが、ごく簡単に申し上げますと、系統保存のための経費を措置しておるものが相当な数ございます。それ以外にそれぞれの大学でその後御研究になって開発されたというものが多々あるわけでございますけれども、それらについてどういうふうにするかということはきわめて重要な問題でございます。理想的には、どこかで集めて秩序正しく保存を図るというのが理想だと思いますけれども、具体にその植物について研究上の興味を持っておるという人が現存しておりませんと、どうしてもそれを大事にする度合いと申しますか、扱い方に違いが出てまいりますので、どうしてもそこでおやりになったところに置かれておる、そして通常の経費、配分されております大学に対する経費の範囲の中でそれをめんどう見ておられるというのが多いというのが実情でございます。
 それで、そのリストアップにつきましては、これは事務的に何度も相当な調査をやりましていろいろ工夫はしておるわけでございますけれども、非常に千差万別、たくさんございまして、それを外にお見せするような形にはまだまとまったものはございません。
○小川(国)委員 種苗の保存ということ、特に原種の保存、そういった意味から収集には国際的に世界各国が熱心に取り組んでいる。日本でも、稲の原種を求めて農水省の方でも中国の雲南省にまで日本の米の原産地を訪ねてもみ殻を追って調査隊を派遣する、そこまで国際的な種苗の保存、原種の保存に手を伸ばしていっている。
 ところが、肝心の国内のいろいろなこうした稲や小麦、野菜、果物、そういったものの遺伝資源の保存についてはまだ文部省の方も、どうも各大学のセクショナリズムの中にあって、それぞれがいろいろなものを貯蔵しているんだけれども、どういうものを持っているかというのが集約されてない。それから同時に、農水省も各試験場に持っているけれども、その農水省の試験場で持っているもの、国公立の試験場にあるもの、あるいはまた、そうした各大学が持っているもの、そういったものが各省のセクトの中あるいは各大学のセクトの中に埋蔵されてしまって統一的になされてない。この点がいま日本のこういった遺伝資源の保護という面では立ちおくれている一つの大きな問題点ではなかろうか。こういうことが各大学の先生方がみずから、内部告発ではないのですが、こういうことをなくさなければいけないのじゃないかという意見が出されているわけでありますが、その点について、主管たる農水省としてはこれを今後どういうふうに一元的にまとめていく考え方があるかですね。
○岸政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘いただきましたような種苗の問題、特に、それを導入保存して国家的に一元的な形で使っていくという体制を整えることは非常に大事なことだと考えておりますが、現在の段階では、先生御指摘いただきましたような弱点がまだ残っておろうかと思います。私ども農林水産省といたしましてはそういうことがないようにいたしたいということで、先ほどお答え申し上げましたように、農業技術研究所におきまして中心的にその業務をやっておりまして、それぞれの試験研究機関で複製的にもダブって保存しているものもございますし、農林水産省の試験研究機関で保存しているものにつきましては、すべてリストアップもできております。また、少量でしかも長期間保蔵する体系と、それからすぐにも需要者に出せる体系と、何段階かに分けて保存をし、また配付をする体制を整えているということをやっているわけでございますが、先ほど御指摘もございましたような文部省との関連等につきましても、今後、先ほど御答弁のございました文部省との間でも必要によりまして御相談を申し上げるような機会を持って、できるだけ御指摘をいただきましたような線に近づくような努力をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
○小川(国)委員 その点はぜひそういうようにお願いしたいと思います。特に、いまのように種苗がどんどん改良されて新しい品種ができてまいりますと、ある時点では機械化に対応した品種、そういったものだけがどんどん追随されていく。ある時点では機械化がなくなった場合、もう一遍もとに戻った農法をしようとしても、そのときには今度その種子がないというようなことのおそれもあるので、古い歴史を持った種子を保存していくということは、わが国の農政上もあるいは植物学の上からも重要な問題と考えますので、特に政府としても留意をして取り組んでいただきたいと思います。
 次に、現実的な問題として、種苗の問題をめぐって農民の皆さんの意見を聞きますと、種が高いということを率直に言われるわけであります。米とか麦とか落花生とか、こういうものは大体農家で二年、三年と続けて自分のところでつくった種を使うことができる。古来、日本の農家はほとんど自分のところで種をつくってきたわけでありますけれども、米、麦、落花生のようなものは何年に一遍か国や県の農業試験場で、自分のところばかりで連作を続けた場合には障害が出てきますから、そこでまた、国の機関や県の機関で原種と取りかえてもらう、こういうことをやっているようであります。しかし、野菜や果実の種についてはほとんど種苗会社から買っているというのが実態であって、特に、いまのようにだんだんと市場の要請で、あるいは消費者の要請か市場の要請かわかりませんが、新しい品種をつくっていくということになると、当然種苗会社のペースの中で種を買うようになる。これから出てくるスイカにしても、あるいは冬の白菜、キャベツ、ゴボウ、ニンジン、こういったものから始まって、大根それからスイカ、メロン、野菜、果実はほとんど業者から種を買うようになっている。ところが、たとえば、スイカの種一袋買いましても、中に二百粒くらい入っているもので大体三千円前後する。さらにスイカは接ぎ木のかんぴょうの種も必要でありますから、これも買うと、スイカの苗木が一本でき上がるまでかんぴょうの種とスイカの種と両方でも三十円ぐらい種代にかかってしまう。白菜なども一株一円くらいの種代。白菜が暴落して一株十円なんという安値のときになりますと、種代の一円もばかにならないという農家の訴えがあるわけですね。この種が非常に高いという農民の批判について、政府はこの問題点はどこにあるというふうにお考えになりますか。
○小島政府委員 一般的に申しまして、種苗の価格はその品種の優秀性あるいは種苗としての優良性、さらには種の需給関係などによって決まってまいるわけでございますが、種苗業者も農家に採種を委託するケースが多うございますので、他の農産物と同様に、農産物としての価格の上昇ぐあいというものにも関係してまいるわけでございます。また当然のことながら、そういう作物を採種用につくります場合の生産費、肥料代でありますとかあるいは光熱、動力費でありますとか、そういう農業資材の一般的な動向によっても決まってまいるわけでございます。ただ、概して申しますと、お話しございましたような野菜類の種子というのはかなり競争の激しい世界でもございまして、種苗の生産者あるいは種苗業者の側から言えば、さらにもっと値段が欲しいという場合でも、現実の競争関係の中でそうはまいらないというふうなケースもあるようでございます。
 近年の動きを見てまいりますと、石油ショック以後、農産物あるいは諸資材の値段が一般的に上昇いたしました中で種苗代も大きく上昇したわけでございますが、ここ二、三年の動きを見てまいりますと、多少の上昇はあるものの安定的に推移をいたしておりまして、他の資材に比べて格別高いという上昇率ではないように相なっております。
 また、生産費の中に占めます種代のウエートというものを調べてまいりますと、芋のように種芋自体がまさに芋であるというふうなものは非常に種代のウエートが高いわけでございますが、野菜類になりますと、低いものでは生産費の中で〇・何%というものから高いもので三、四%ということで、増殖率その他によりまして種苗費の占めているウエートはさまざまございますが、時系列的に眺めてみますと、特に、生産費の中での種苗費の割合が高くなっている、こういう傾向はございませんで、物によっては上がっている、物によっては下がっている、その幅もきわめて微細である、こういう状況でございますので、一般的には種代が非常に高くて経営を圧迫しているという感じは持っていないわけでございます。
 ただ、御指摘もございましたように、このように農産物全体の消費が伸び悩んでおる際には、できるだけいいものをつくって市場で高い値段を得たいと思うのは人情でございますから、いいものということになりますと先を争って買うというふうなことから、需給上やや高目の値段が出てくるということもあろうかと思いますが、もちろん、競合関係にありますいろいろな品種がございますので、それが一方的、独占的な値段を維持できるという世界でもないわけでございます。
○小川(国)委員 局長さんが答弁されるように、これによって経営圧迫とは思わない。種代で経営が圧迫されるようになったら農家も大変なことだと思うのです。実際、過去のわが国の農業の歴史を見てみれば、種代というのはただ同然と言ってはなんでございますけれども、あらゆる種が自家生産できた。そういう農業経営の時代はまさにあらゆるものが自分で自家生産できるのですから、購入費としてはゼロに等しい状況。ところが、最近はいろいろな野菜にしても果実にしても市場が新型を追う。自動車が新型を追うのと同じで、いろいろ変わった果物をつくれば売れるのじゃないか、本当の品質とか甘みとか味とかいうものよりも形態にとらわれるとかいうような形で、何でも目先が変わればいい、そういう改良の傾向などもある。それに農家も踊らされると言ってはなんですが、引っ張り込まれていくという傾向も私はやはりあると思うのです。ともかく、そういうような売らんかなの農業形態を推し進めていくと、そういうことの中で種代も引きずられて上がってくるという傾向があると思うのです。
 そういう中で、いま何といっても、わが国農業の中では米麦等については安定した国の価格政策の中で食管の保護も受けているわけでありますが、野菜や果実はやはり自由競争の中にある。そういう形の中では、どうもそのしわ寄せが農民のところに及んできているのじゃないかというふうに思うのです。そういう点で見ると、種苗会社の売上実績というものが戦後非常に急上昇してきているというふうに思うのですが、年間のいまの種苗の売り上げ実績はどのぐらいに押さえていらっしゃいますか。
○小島政府委員 これは、種苗会社が直接小売までいたします場合と卸売の場合とございますので、末端の小売段階で申し上げますと、千七、八百億円、こういう状況であると存じております。
○小川(国)委員 この千七百億円というのは、種苗会社は種苗の種や苗の販売のほかにいろいろな資材の販売も行っているわけでありますが、種苗の販売だけというふうに押さえていらっしゃいますか。
○小島政府委員 これは農家の社会勘定という計算を農林省でいたしておりまして、したがって、農民側の支払い価格で種代が合計それぐらい、こういうことでございまして、種苗会社の売上額のすべてが含まれておるわけではない。お話がございましたように、資材その他は別な経費として、別な支出科目として計上いたしておるわけでございます。
○小川(国)委員 これを種苗会社の側からとらえた数字はお持ちじゃないのですか。
○小島政府委員 種苗会社は非常に数が多うございまして、特に、民間の種苗会社が生産、流通をさせておりますもの、これは野菜とか花などが主でございますけれども、企業の数にいたしまして、種苗協会という団体加入のものだけで、たしか二千数百ぐらいあったと存じます。したがいまして、いわゆる会社の側から見て、積み上げてどうなるのかという計算はいたしたことがございませんし、なかなか調べにくいテーマでもあるわけでございます。
○小川(国)委員 皆さんの方は、社団法人の種苗協会というのがございますが、そういった団体についても種苗課は密接な関連を持って指導をなさっていると思いますが、そういうような面から、この実態については調査されておりませんか。
○小島政府委員 協会の方でも、大変大まかな話としては把握しておると思いますが、個々の会社の売上額が幾らであるかという問題は、協会の内部でございましてもなかなかつまびらかにし得ないものがございます。また、恐らく協会などで調査をいたしましても、必ずしも正確な数字が得にくい分野でもあろうかと思いますので、私どもの方でいろいろな手法を用いまして大胆な推計をいたしたものが、先ほどお答えいたしました数字でございます。
○小川(国)委員 私は、いま局長さんの答弁のとおりだとすると、やはり農水省の方の実態把握がまだきわめて不十分なのじゃないかというふうに思うわけです。私も、この委員会の質疑の前にいろいろな方面から調査をしてみますると、大体種苗会社の売り上げから見ると、現状ではおよそ五百億から六百億ぐらいの種苗の売り上げ、種苗会社の側から見るとそういう売り上げ、いま局長が答弁なさっているのは、いわゆる買う側の農家の側から見ると千七百億、大変実態に開きがあるんですね。こういう差はどういうふうにお思いになりますか。
○小島政府委員 種苗の生産額と申しますか、多くの種苗は、ほとんどと言ってもいいのですが、圃場で生産をされておるわけでございますから、農業生産額としてとらえました場合と末端で売られます場合の額と、当然流通経費それから小売などのマージンが入ってまいりますから、金額的にはギャップがあるわけでございます。
 ただ、お話がございました生産額で五百億ぐらいというのは、私どものつかんでおります種子全体、種苗全体という点から見ればやや少ないのではないかと存じまして、あるいは種苗協会傘下の会社の種子の生産額ということではないかと思います。私ども、先ほど千七、八百億円と申しましたのは、種もみでございますとか、あるいはバレイショの種芋でございますとか、あるいはサトウキビの苗でございますとか、果樹の苗木でございますとか、そういったものを全部入れまして、農家の支出科目としての種苗代、動物の種畜などは入っておりませんが、植物の種苗代全体で申し上げたつもりでございます。それから推して、種としての生産額というのを大変大ざっぱに把握をいたしますと、圃場段階では一千億前後ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○小川(国)委員 おっしゃるように、米麦から芋類から全部含めていけば一千億前後、と。私が種苗の業界の側からこれを追ってみると、大体五、六百億というのは、野菜、果実を中心にして考えていけば、そういう数字が大体推定されるのではなかろうか、こういうふうに思うのです。これは当然皆さんの方も掌握なさっていることだと思うのですが、ただその中で問題なのは、これは米国のスタウファ・ケミカル会社というのが調査した「種苗業界所得ランキング」、これは税金の申告書をもとにしたこういった業界の調査が全体的に行われているのですが、そういうような中から種苗業界の所得ランキングを見ますと、これは一九七九年から一九八〇年の間における売り上げ調査なのですが、たとえば、タキイ種苗が二百二十二億、坂田種苗が百四十三億、雪印種苗が二百十億、協和種苗が六十六億、渡辺採種場が二十一億、カネコ種苗が百十五億、東北種苗が三十五億、横浜植木が三十七億、大和農園が十五億、第一園芸が五十六億、豊橋種苗が四十二億、みかど育種が三十六億と、大変大きな売り上げの種苗会社が目立つわけです。これらの売り上げのカーブも、十年前くらいから比較すると大変な売り上げの伸び、急上昇している。おっしゃるように、この三、四年は横ばいですけれども、歴史的に見ると非常に急上昇してきている。これの数字で見る限り――もちろん、いま私の申し上げた数字は農業資材も含めての売り上げでございますから、仮に、この中の五〇%が種の売り上げであったというふうに推定をしてみますと、大手の十二、三社の種苗の売り上げで約五百億から六百億に達するわけです。大体、上位から十五社までとると、それで野菜、果実の六百億にほぼ見合う売り上げになってくるというふうに推定されるんですね。末端のいろいろな種苗を取り扱っている農協とか団体あるいは取扱店で聞いてみると、大体種の値段というのは一定してしまって、上下の差がなくなってきている。末端から見ると、いわば独占価格、管理価格が設定されているのじゃないかというふうに思えると言うんですね。それで、売り上げから見ていっても、先ほど局長さんが御答弁のように、数千の種苗会社があるけれども、売り上げ実績から見る限りは、もう大手の十社か十五社でほぼ独占しているというふうな感じに見られるわけですね。そうすると、たしか先ほどから、白菜につけ、スイカにつけ、メロンにつけ、農家が買う種が非常に高いというのは、これは私どももまだ突っ込んだ調査をなし得ておりませんけれども、公正取引の面から見て、寡占による支配、独占価格、管理価格が設定されてきているのじゃないかという疑いを持たざるを得ないんですね。それで末端農家の、やはり種が高い、こういう声、批判と、この種苗会社の売り上げ状況とにらんでいくと、やはりその辺に少し大きな問題がひそんでいるのではないかというような感を抱くのですが、農水省としてはいかがですか。
○小島政府委員 野菜、花卉等の種子は、わが国の種子の中におきましても比較的少量多種の生産でございまして、大きな企業が資本力に物を言わせて、大量に低コストで生産をするということになじまない商品でございます。先ほど名前が出ましたような企業は、比較的広い区域にわたりまして事業を行っております企業でございますが、そのほかにいわゆるローカルメーカーと申しますか、それぞれの地域に根をおろした特別な種子を扱っておる業者も多々あるわけでございます。大きな業者に比べまして小さな業者の方が品質的に非常に劣っているということは決してございませんで、一部の野菜につきましては、一社で二割とか三割とかというシェアを持っている企業もあるわけでございます。したがいまして、業界の中において、たとえば、大根の種なら大根の種はこれぐらいの値段にしようというふうな横の話し合いが行われる余地というのは非常に乏しゅうございまして、むしろ、同業者間においてしのぎを削って販売いたしておるという状況なわけでございます。その意味で、お話がございましたように大きな業者の扱い比率が、上位何社かで合計いたしますとかなりなものになるということはございますけれども、そういう体制であることによって不当に種代がつり上げられておるあるいは高いままに維持、固定されておるという状況ではないのではないかと見ております。なかなか調べにくい問題でございますけれども、私どももよく気をつけまして、そういう事態が起こらぬように努力してまいりたいと思っております。
○小川(国)委員 種苗協会というのが一番大きな団体で、大手から中小まで全部含めた一つの大きな業界組織ができているわけです。しかも、種苗課というものが農水省に誕生して三年たつ。当然この種苗行政をやっていく上では、そういった業界団体の動向、実態というものを――先ほど私どもが六百億と申し上げた数字も、本当は皆さんの方から出てこなければならない数字だというふうに私は思うのです。種苗販売の野菜、果実の中では、一般の業界の中では六百億という数字は公然と口に出てきているそれなりの売り上げ実績の数字なんです。それがどうも皆さんの方から素直に出てこないというところに私は一つの問題点を感ずるわけであります。
 いずれにしましても、こういった種の寡占化、市場支配というような状況がある。いまの局長さんの答弁では、たとえて言うなら、北海道の種会社は北海道向きの種をつくっている、九州の種会社は九州向きのものをつくっている、それぞれその地域の産物、気候や風土に合わせた種をつくっているので余り競争はない。そうじゃなくて、私の言うのと逆に、同じ品種で競合しているからそういうことはないと言うのですが、どちらかというとかなり地域支配が行き渡っている感じが私はするわけです。いま言ったように北海道には北海道の、東北には東北のあるいは近畿圏には近畿圏の種苗会社の支配がある。昔の城下町じゃないのですが、現実にその地域にそれぞれ割拠しているという種苗会社の配置から見ますと、地域的な影響力、独占的な支配力を種苗会社が持っているだけに、どうしてもそこに独占価格、管理価格が生まれてきている、こういう感じを深くするのです。ですから、そういう点は、今後のこういった団体の指導のあり方とあわせて十分取り組んでいただきたいと思います。
○小島政府委員 私どもも、このような種苗業者の団体活動を通じまして、これが価格つり上げ的に作用するということは決してあってはならないことだと考えておりますので、今後できるだけ実情をよく調べまして、お話がございましたような業界の不当な動きがないようによく見張ってまいりたいと思っております。
○小川(国)委員 それからもう一つ、たとえば、種の小売価格を一〇〇としますと、種をとっている採種農家から聞くと四分の一か、ひどい場合は十分の一ぐらいで生産していると言うのです。ところが、それが流通機構を全部通って小売店で一般農民にまた売られるところへ来ると四倍から十倍、そういう状況があるということを承っているのですが、そういった実態については把握されておりますか。
○小島政府委員 これも事例的に調べたものではございますけれども、全体おしなべてどうかということになりますと、遺憾ながら全体をつまびらかにすることはむずかしいのでございます。ただ一点申し上げておきたいことは、種苗会社が農家に委託生産をいたします場合に、その品種自体の開発に要しました経費、これは当然商品の販売によって回収しなければならないわけでございますが、農家にお願いをいたしましてそれを受け取る際の価格といいますのは、まさに農業生産の代償といいますか報酬に相当するものを支払っておるわけでございます。それから、売りに出します場合には、もちろん精選とか包装とか保管とかという経費もございますけれども、その品種自体の開発、改良に要しました経費を種の販売を通じて回収していくということがございますので、恐らく農家から受け取りましたときの代金と会社が売り出しますときの価格との間には、通常の農産物以上の開きがあるのではないかと思っております。
 ただ、こういう種苗の開発、改良というのは、非常にじみな、しかも年月を要することであります割りには、物によりましては品種の寿命、つまり、新しい品種に置きかえられてしまうという意味で品種の寿命は大変短うございますので、その意味ではそういった経費も計算に入れて考えてみますと、種苗会社がその間で大変もうけているという結果にはならないのだろうと思っております。そういう問題につきましてもいずれ折を見まして的確な調査をいたしてみたいとは思っておりますが、先ほど申し上げましたようになかなか調べにくいテーマであるということもひとつ御理解をいただきたいと思います。
○小川(国)委員 確かに、おっしゃるように種苗会社の、どんどん新しいいい種をつくっていく、たくさん増産できるようなものをつくっていく、あるいはもっと優良な種子をつくっていきたい、そのための開発研究費というものが大変なウエートを占める、それが当然販売価格の中に転嫁されていく、そういう過程は私どもも理解できるのですが、ただ問題は、そうした中でも、末端農家から見るとなぜ高いのだろうかというそのメカニズム、それをもう少し政府が明らかにしていく必要があるのじゃないか。そういうことでは、かつて農産種苗法の時代には、これはいい種ですよという優秀な種苗についての指定制度があった。いまはない。したがって、農家がどういう種を買ったらいいのだろうかという問題点がある。それから、高いと思うのだけれども、原価構成から渡ってくる過程、流通過程が明らかでない。さらに、本当にそういう研究開発が必要であったのかどうか、この判断も農家にはなかなかむずかしい。では、政府がそこのところをどこでやるかというふうに考えてみますと、やはり国公立の試験場ですね。日本の政府は、国立の試験場においてもあるいはまた都道府県の試験場においても、農業についてはかなり広範な研究機関、試験場を持っておるわけですから、そういうところがもう少しこういった種苗の研究開発に取り組んでいっていいのじゃないかというふうに考えるのです。
 この種苗法ができてから三年間の出願者の出願件数の内訳を見てみますと、総体で六百八十九件出願されておるのですが、個人が三百四十四件、種苗会社が二百八件、食品会社が三十件、農協が二十件、都道府県が五十九件、国が二十八件です。もちろん、個人の中にはいろいろな形での出願があると思いますが、国の出願状況を見ると個人の十分の一、種苗会社から見ると八分の一ですか、種苗会社が二百八件出願しているのに対して国は二十八件。それから野菜などの場合を見ますと、種苗会社が七十件の出願をしているのに対して国は二件というような状況で、どうも国がこういったものの品種の開発、研究というもので独自な品種をつくるというのが少しおくれているんじゃないかというふうな感じがするわけです。昔は、農家が新しい品種をつくっていくという場合においては、やはり一番の相談相手は国や県の農業試験場であって、そしてまた国や県の農業試験場も新しい品種をつくるとそれを農家に持っていって、どうですか、こういう種をつくったからひとつつくってみませんか、それでつくった結果はこうであった、そういうので農民と国公立の試験場の結びつきというものがもっと密接であったと思うのですね。ところがいまはそういう国公立の試験場と農協、農民、農業団体の結びつきを聞くと非常にそこが薄れている。そこに入っているのは何かというと、今度は種苗会社がその間に入って、国公立の研究機関の土台の上に新種をつくってそれを農家に売りに来る、こういうシステムになってしまっておりまして、国公立の試験場あるいは大学の試験場、研究機関、こういったものが本当に日本の農民、農業に直接的に役立っていくという面が希薄になってきているのではなかろうかというふうに感ずるわけなんです。その一例がこの出願件数の中に出てきているのではないかというふうに指摘されると私は思うのですが、この点についてはどのようにお考えになりますか。
○岸政府委員 品種の育成につきましては、ただいま先生の御指摘にございましたような商業ベースに非常に乗りやすい野菜、花卉あるいは果樹、そういったものと、そうでありませんで、稲、麦、大豆、そういったような主要農作物にかかわるものと、両方に大きく分けられると思うわけでございますが、ただいま先生の御指摘にございましたのは前者の方についての特に、そういう点が目立つというお話ではないかと思います。私ども、特に国の試験研究機関におきまして、全般的に見まして品種の育成というものが試験研究機関における最も重要な役割りであるというふうに認識をいたしておりまして、現に、品種の育成のために非常に大きな努力を払ってきております。主要農作物でございます稲でありますとか麦でありますとか大豆でありますとか、そういったものにつきましては、国並びに都道府県の試験研究機関に委託をいたしましてやっております指定試験、そういったようなところで非常に多くの品種がつくられているのが現状でございます。
 一方、御指摘にございましたような野菜あるいは花、一部の果物というようなものにつきましては、これは世界的に見てもそういう傾向が非常に大きいわけでございますが、いずれも非常に商業ベースに乗りやすいものでございます。また、一つ一つの作物の種類は非常に多うございますし、それぞれのものの栽培面積等につきましても非常に細かいものが多いわけでありまして、そういうような関係にありますものにつきましては、国公立の試験研究機関だけで農家の栽培する品種すべてを賄うということは非常に困難な状況にございます。先ほど先生のお話にもございましたように、昔はそういう点についてもかなり自家採種が多かったではないかというお話でございますが、その点については、前の状態ではそういうことがございます。その時代にはいずれも固定された品種がつくられておりまして、そのものにつきましては当然自家採種ができるわけでございますが、最近、野菜等につきましても非常に栽培法の変化がございまして、いろいろな地域でいろいろな条件でつくられなければいけないというようなこともございまして、やはりそれぞれに対して適合する品種というものが必ずしも固定された品種だけではなかなかうまくいかない。どうしても一代雑種を対象に使わなければいけないような状況がございまして、そうなりますと、どうしてもこれは商業ベースのところでつくられることが多くなるわけでございます。私ども国の試験研究機関といたしましては、そういう面に対しましてもやはり国としての責任を果たしてまいらなければいけないと考えておりまして、そのためにはそういう商業ベースで品種がつくられる市販のものの育成に対しまして、それの基礎になりますところを国で実施していく。特に、最近のように非常に野菜等が連作をされるような状況にありますことから、病気の問題などが非常に大きく浮かび上がってくるわけでございますが、そういうときに耐病性の遺伝子を苦労して外国から導入し、野生種から導入し、それを栽培の現地に持ち込むというためには非常に多くの時間と人手とお金をかけなければいかぬわけでございますが、そういう点はなかなか種苗会社だけではやっていけない。それについては、どうしても私ども国公立の試験研究機関でそういうところに力を注いで、農家が実際に種苗会社の種を買った場合においても、病気の被害をできるだけ少なくできるような品種をつくっていかなければいけない、そのための基礎を国としてはしっかりやっていかなければいけない、そんなふうに考えておりまして、限られた人員の中でつくるためには、そういうところを主眼点に置いてやっていくように考えております。
○小川(国)委員 確かに、そういった限られた人員と予算でやるわけでありますから、すべての農家の要求に国の研究機関が応ぜよといってもこれは無理なことは私はわかっておるわけです。ですけれども、たとえば、千葉県の例で申し上げますと、千葉県の農業試験場などではイチゴの麗紅なんという大変すばらしい品種をつくっているわけです。これについては全国から引き合いが来まして、そのおいしいすばらしいイチゴの苗を分けてほしいと全国から殺到する。これは千葉県知事の名前で登録をして、そしてもちろん許諾料、県民には一株たとえば五十円、県民の税金でつくったものだから外は一株千円とか、そういう値段でやっているようでございますけれども、そういった独自な品種をやはり国なり都道府県の研究所がつくり上げていく。国の方ではまた、そういったような意味で指定試験地制度などもやっておられるようでありますが、こういったものをもっと充実して、そうして都道府県の公立の試験場でも農家に対応できるような新品種をつくっていく、それからもちろん国の方でもそういったことをやっていってもらう、それから同時に、いまおっしゃられたように多様な時代の要請に国公立の機関だけでは対応できない、それは当然民間の種苗企業に依存せざるを得ない点はあると思うのです。ですけれども、国公立の試験場と種苗会社の結びつきがどうもすっきりしてない。たとえば、いまおっしゃるように、わかりやすい言葉で言うと、国公立の試験場が苗の中間製品までつくる、中間までの研究をやる、その先を種苗会社がやって、いわば製品にして、生産された種苗になる。ところがその場合に国公立の試験場でした研究料はもちろんいま言った許諾料を取って、これは国庫に入るわけでございますね。当然入るわけです。でありますけれども、それが本当に適正な形できちんと国庫に取られているのかどうか、あるいはまた、半製品までのところを国公立の機関でやっているわけだから、それの上に種苗会社がやっているわけですから、半分は国の税金なり都道府県の税金でやってきているのですから、そこのところでできてくる製品の価格というものも、やはり農家から見て種は高いなということじゃなくて、そういう研究の上に民間の製品、いわゆる種苗ができ上がってくるわけですから、そこのところをやはりけじめをきちっとされて、国公立の研究機関が民間の種苗会社の御用機関、下請機関じゃないかというふうに見られてきているいまの風潮というものは正していかなければならないのじゃないか。直接農民に提供できる独自な品種をつくるということ、もう一つは、自分たちが途中まで研究して渡したものについては、そのものによって不当な過当な値段が出てくることがないようにこれをきちんと指導、監督していく役割りというものがあるのじゃないか、こういうように思うわけです。その点、最後に皆さんの方からと大臣の方から、これからの種苗行政のあり方を本当に農家、農民の立場に立った種苗行政に発展させていくような見地から、その辺の御見解を承りたい。
○田澤国務大臣 今回のこの国際的な協定によりまして、国際的なルールに参加することによってわが国の国際的な信用というのは非常に高まるし、このことによってわが国の農業に対する役割りというのは非常に大きくなってまいるわけでございますので、この法律を基本にいたしまして私たちはいま御指摘がありました点をできるだけ注意深く監視しながら今後進めてまいりたい、かように考えております。
○小川(国)委員 終わります。
○羽田委員長 小川君の質疑はこれにて終わりました。
 島田琢郎君。
○島田委員 今回の改正によりまして国際条約加盟ということになるわけでありますが、率直に言って具体的なメリットというのは一体どんなものがあるのでしょうか。また、国際社会に貢献しなければならぬ、こういう立場も同時に義務的には負わされるわけですが、こういう点について今度の法改正の持つ意義といいますか、まず冒頭にお尋ねをしておきたい。
○小島政府委員 今回の新品種の保護に関する国際条約加盟は、これはいわば多国間の国際条約でありますので、これに加盟することによりましてわが国の種苗の国際的な信用が高まる、これによって具体的にどういう経済的なプラスということではなくて、条約加盟国においてつくられた種苗であるということにおいてわが国の種苗及び種苗業界の国際的な信用が高まる、これがまず第一点であろうと思います。
 第二点は、海外で育成されました優秀な品種あるいは日本国内で育成されました優秀な品種が互いに導入されやすくなるということで、種苗の国際交流が進みましてわが国の農業に裨益するところも大でございますし、逆に、世界の農業のためにわが国の種苗が役に立つ、こういうこともあろうかと存じます。
 第三には、この条約の事務局と申しますか国際条約の同盟におきまして、世界各国の種苗に関するさまざまな情報収集あるいは調査活動というのをやっておりますので、この機構に加盟することによりましてわが国の情報も外国に提供いたしますし、逆に、世界各国の情報も入手しやすくなる、以上三点がこの条約の加盟における大きなメリットではないかと考えております。
○島田委員 国際交流ということになりますれば、これは種苗そのものの物の交流ということと、もう一つは技術的な交流というものと両側面があるのだろうと私は思いますが、その際には、第一点に挙げられました種苗というのは非常に重要な点でありますね。世界から見て、日本の種苗に対します信用度というのは一体どれくらいあるとお考えになっておりますか。
○小島政府委員 これはなかなか計数的に申し上げにくいのでございますが、一つの指標といたしまして、わが国が世界各国にどれくらいの種苗を輸出しているかということによって判定することはできようかと思います。輸出入の全体ということで見ますと、遺憾ながら輸入の方が金額的には多いのでございますけれども、これにはまたそれなりの理由もございます。輸出の総額といたしまして約六十三億円ほどの輸出をしておりまして、農産物の輸出という点ではわが国は大変おくれをとっておりますけれども、優秀な品種、さらには採種の技術を持ちまして、きわめて一部の分野でございますが、世界各国に進出をしておる、この一事をもってみてもわが国の種苗ないしは品種が国際的にも相当高い水準にあるということをお認めいただけるのではないかと思います。
○島田委員 確かに、作物によって外国から種を多く入れているもの、逆に、また日本に対して欲しいということで期待が持たれているものと両方ある。計数的にいろいろ積み上げることはむずかしいというお話でありますが、計数的な問題よりもそういう信用という問題は大変重要なことですから、いま三点お挙げになった国際的な立場に立った日本の種苗というのは、いままでと違って大いにこれから国内で普及されていったときに、宣伝と実際が違うといったようなことは、国内的には一定のフォローはできますけれども、国際的になりますと一遍に国際的な信用を落としていくということになりますから、これは大変注意を要する、こう思うのです。
 私はこの際、若干の経験を申し上げてみます。過般中国に参りましたら、中国ではいま一番作物の増産とかあるいは新たな分野の開発といったような面で日本に向けて期待されている幾つかの品種といいますか作物があることがわかりました。たとえば麦、とりわけ麦の中の小麦、これは品種も期待されておりますが、耕種技術、これについて大変矢継ぎ早な質問が私にありました。私ども代表団の中で、実際に小麦をつくっている経験を持っているのは私しかいなかったものだから、乏しい知識を披露して汗だくで説明をいたしました。しかし、実際だんだん説明していきますと、正直言って冷や汗の出るような思いをする場面もありまして、まだまだそういう期待に対して、それじゃ日本の小麦なんという限定した品種で一〇〇%こたえられるような状況にあるかどうかとなりますと、まだしもの感を私自身はいたしたのであります。それからもう一つは砂糖であります。特に、ビートに対します種と耕種技術に対して、日本に対する大変強い関心を持っていることがよくわかりました。身近なところの国で日本に対してそういう期待があるということの反面、外国に生でそのまま輸出をいたしますと、これはなかなか向こうの期待を実現することが必ずしも可能かどうかには大いに問題があるだろう。ですから今後、こういう期待が中国に限らずよその国からも寄せられてくる可能性は十分ある。
 一昨年私は東欧諸国を回りましたら、やはり日本の種に対して、もう一つは耕種技術に対して大変質問が集中いたしました。私が農民出の国会議員というようなことがあったのでしょうか、何でも聞けばわかると思って私にいろいろな質問がなされまして私も立ち往生するところがあったのでありますが、外国に行って日本の種子に対する期待あるいは耕種技術に対する期待というものが大きいという反面、それではストレートに日本がそれにこたえられるような状況になっているかどうかということを考えましたときに、技術屋の皆さん方は胸を張って、そんなことはございません、十分そういう国際的な信用にたえるだけの日本の種子あるいは種苗の開発技術研究は進んでおりますということになるかもしれないけれども、私自身が不勉強で、農業やっておって、自分でつくっておって、いざ聞かれると、種とかという限定された問題になってくると必ずしも的確に答えられないというまことに私も恥ずかしい思いと反省をいたしたのでありますが、今後、そういう問題というものは非常に多く起こってくる可能性があると思うのですね。
 もう一つ、ついでだから申し上げておきますが、日中農業農民交流協会というのがございます。これは八百板正先生が会長をおやりになっております。一昨年と一昨々年の二カ年、実は稲の技術、これは種も機械も技術員の方も含めて中国で稲作の実際の展示圃を、十ヘクタール向こうの土地を提供してもらって展示した、こういう経験がございます。連日、あぜがなくなるほど全国各地から中国の農家の方々が日本の稲作に対して関心を寄せて大変な数、見学においでになった。これは中国では大々的に人民日報なんかに報道されまして、私もそれにかかわった一人として大変誇りに思ったのでありますけれども、しかし、実際は一年間を通してやっていますといろいろな問題が出てきているようでございます。これは、きょうは時間の関係で余り深く触れることができませんが、しかしこれなんかも日本の品種、種子、それから耕種技術に対する中国の期待が高い、関心が高いという側面をあらわしているものとして、今後の日中の農業交流という面はそういう面でも大変大事な役割りを担わなければならぬなと、こういうふうに思ったのです。ですから、今度は国際条約に加入して堂々と種苗の交流、技術の交流も含めてやるということになりますと、これはなかなか責任が重いという感じを強く持ちながらこの種苗法の中身について若干勉強もさせてもらったのであります。
 前置きが、そんなことでちょっと長くなりましたけれども、そういう意味では、今度の種苗法の改正は文字で言えば幾つでもないような法律の改正であるということではあるのですけれども、実はかなり重い責任と義務を持っているということが言えると思うのですね。ですから、相当の気構えで今後の国際的な対応というものをおやりいただきませんと、恥をかいてしまうというようなことになっては困る、こう思っているのですが、私のこういう認識に対して大臣の御見解があれば冒頭にまず伺っておきたい、こう思います。
○田澤国務大臣 この国際条約に加盟することによって三つないし四つのメリットがあるのはただいま局長から答弁させたとおりでございまして、これに加盟することによって、国際的な統一ルールに参加することによってわが国の国際的な信用が高まる、このことは私は非常に大きいことだと思うのですね。だから、いま御指摘のように信用を高めるための努力を私たちはしていかなければならないということだと思うわけでございますので、そのことによってわが国の農林業の振興に大きな役割りも果たしますし、また、私たちも種苗を通じて国際的な農業への参加もできるわけでございますので、そういう点では一層私たちは信用を高めるということに反省をといいましょうか、決意をいたして今後対処してまいらなければならない、かように考えております。
○島田委員 そこで、国際交流の重要性というのが認識されるわけでございますが、具体的に言いますと、さしあたってどんな国とどんな作物を主体にしてこうした国際交流というものを行おうとお考えになっているのか。いま、大臣おっしゃるように、変なものを輸出しまして、一たんだめだとなると信用ががた落ちになっただけで済まないのですね。これは大変な問題を引き起こしますから、こういう点では慎重におやりいただきたいということを先ほどの問題の中で申し上げたわけでありますが、その方針がおありならこの際伺っておきたい。
○小島政府委員 これは、品種自体の交流という問題と種苗の交流という問題と多少性格を異にするのではないかと思っております。
 品種の交流ということになりますと、日本で育成いたしました品種を外国にも普及をさせる、そのために品種登録をいたしまして、そのいわば育成者の権利を確保しながら広めていく、こういうことになりますので、相互に品種登録を認め合うという体制が必要でございまして、ただいまの条約加盟という問題も、加盟国相互間あるいは加盟はしないけれども同じような法制を持っている国というものの間においてお互いに育成者の権利を認め合う、こういう体制ができることが種苗の国際交流を深める一つの起因になると思うわけでございます。
 法律制定後の動きを見てまいりますと、日本から外国に出願いたしましたもの、これは私どもの把握いたしておるものでは六件ほどございますけれども、逆に、外国で育成されました品種が日本国内において登録出願があるというものもございます。ただ、外国育成の品種につきましては、日本の種苗関係者が特定承継を受けまして、承継を受けた日本の人の名義で申請があるというケースでございますので、外国人の名前は表面上は出てまいりません。そういうことによりまして品種の交流が進み、お互いにいい品種を使い、あるいはさらにそれをもとにいたしましていい品種をつくり出す、こういうことが可能になろうと思いますが、これは何と申しましても品種育成というものについて非常に熱心な、一口で申しますと先進国仲間での条約ということにならざるを得ないわけでございます。
 それから、種苗の交流ということになりますと、通常は輸出入という関係をもって見られるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、わが国もある程度の輸出をいたしておりますし、逆に、輸入もいたしておりますけれども、輸出入の大きなウエートはアメリカとかECでございますけれども、たとえば、東南アジア諸国などに対しましても、わが国でできました種苗で、それらの国々でも十分栽培適性があるというものについては、わが国から種を輸出するというかっこうによってその国の農業に貢献をいたしておるわけでございます。
 さらにまた、先ほど来お話がございましたように、外国に対する広い意味の技術協力の一環として、その国の農業生産力を高めるために、日本の持っております品種育成あるいは採種管理、こういった技術を外国へ持っていきまして、その国の品種ないしは種苗の育成のレベルを高めていくという努力ということになりますと、これは国際協力の分野でございまして、現に、わが国におきまして外国からの研修生を受け入れるないしはわが国の方から指導者を差し向けまして、その国でその国に向いた品種を育成するということについて貢献をしておるわけでございます。
 またさらに、お話がございました中国との交流ということになりますと、先般合意されましたように、日中双方において共同の研究をやるということによりまして、その国にもプラスであり日本にとってもプラスである、こういう国際協力という分野がこれからは種苗の世界において大いに広がる、かように考えておるわけでございまして、国際交流のそれぞれの分野、分野におきまして、力点と申しますか向かう方向というものは多少意味合いを異にして発展していくのではないかと考えておるわけでございます。
○島田委員 ところで、種苗の、物の交流という中で大変気をつけなければならないのは、その種にまじってこっちが望んでないものが一緒になってついてくる。具体的に言いますと、私自身も経路はちょっとよくわかりませんが、北海道のバレイショあるいはてん菜の耕作畑に最近アメリカネナシカズラという雑草が蔓延いたしまして、これは私二十六年前にアメリカに参りましたときに、アメリカの農民の大敵と言われた雑草なんですね。これは日本にはない雑草です。始末が悪うございまして、これがバレイショの茎に絡まるのです。ここのネナシカズラから足を出しまして、バレイショの茎にささり込むのですね。この樹液を吸ってこの雑草は繁茂していくわけです。これがまことに始末が悪くて、取っても取っても取り切れない。これがずっと一面に広がってまいりまして、私のところのバレイショの主産地であるところは大騒ぎをやった。ところがいまの農薬の中ではこれを退治する除草剤が実は認められていない。普通の除草剤では死なない。それで、何日も干しておいても枯れないのです。地べたにつかなくても、どこかの作物の茎について、樹液が十分ある作物だったら、全部それを吸って、そこで生きていくわけです。地べたに何もあれしなくてもどんどん繁茂していく。実に始末の悪い草。どうもこれはある日突然北海道に出たものじゃないのですね。経路としては明らかにアメリカにしかないということは、アメリカネナシカズラというのでありますから、はっきりしているのです。こういうのは一体どこから入ってくるのだろうか。一つ考えられることは、大量に輸入されている牧草の種かあるいは飼料穀物にまじって来まして、非常に種が小さいですから肉眼で確認することがなかなかむずかしいたぐいのものであります。そういう経路を経て入ってくるのではないかということの推測はできるのでありますけれども、定かではありません。しかし、現実には大変大騒ぎ。農林省にもこのことは防疫対策として対応願っているのでありますけれども、なかなかこれを全滅させることはむずかしい。ですから、それは種の交流の中でもよく監視しておりませんと、そんなのが一たん入ってまいりますと退治に大変な手間もかかり、なかなか全滅し切らぬ、こういうことになります。向こうから入ってきたのだけを言っているのでありますが、日本から今後輸出するなんというものの中にも、もしも日本特有の雑草とか病害虫といったようなものがまじっていきますと、これは相手国に大変迷惑をかける、こういうことになります。
 もとに戻ったような話で悪いのでありますが、交流に当たっても非常に神経を使わなければならないという問題はこういう点にもある。これはお答えいただく時間がないから、そういう問題が一つあるということで、後ほど何かついでの際、お立ちのときに、技術会議の事務局長でも御存じならこの点についてお答えいただきます。
 先に進みますと、そういう点考えますと、優良種苗といいますか優秀種苗といいますか、この辺の定義というのは本法律で明確になっているのかどうか、私は多少疑問がございます。確かに米、麦、大豆のような主要農作物については主要農作物種子法という法律に基づきまして、優良種苗というのでしょうか、それとも優秀種苗というのでしょうか、優良と優秀と言葉が違いますけれども、どういう意味の違いがあるのか。精密に言いますと、優良種苗というのは優良種苗で優秀種苗と違う。これは目的意識的に違う、こういうことに理解されると思うのですけれども、これはなかなか判断のむずかしいところかもしれません。特に、先ほど局長が一代雑種ということをお触れになったのですが、最近は物によらずどうもF1、一代雑種中心主義みたいな感じがいたしまして、手っ取り早く一代雑種ですと増収はされるしかなりいいものが出てくるということで、われわれ農家もつくるときには一代雑種に飛びつくのですね。これをもって優秀種苗と言えるのかどうか、あるいは優良種苗という定義づけができるかどうか、この辺のところの価値判断というのはどこに置いたらいいのか、ちょっと見解をお聞かせ願っておきたい、こう思います。
○小島政府委員 優秀と優良との言葉自体の定義というのは私もつまびらかにし得ないのでありますが、通常、品種につきましては優秀品種、種苗につきましては優良な種苗、何か使い分けがあるようでございます。
 品種の優秀性ということにつきましては、なかなかこれは一概に決めにくい問題でございまして、たとえば、米の場合で申しまして耐冷性が非常に強いというものと、非常に食味がよろしいという品種がありました場合に、いずれの品種をもって優秀と判断するかというのはなかなか一概には決めにくい問題でございます。ただ、そういう両方の長所を兼ね備えたようなものができますれば、いままでありましたものとの相対的な関係においてはすぐれておるという意味において、優秀品種というふうな言葉が使われないことではないわけでございますが、一般的には、どういうものとどういうものとの差だということはなかなか決めにくいものでございますから、収量が多いとかあるいは製品の品質がいいとか、栽培が容易であるとか、そういう特性に注目をいたしまして優秀品種というふうに呼んでおるわけであります。ただ、品種登録の要件といたしましては、御存じのように農産種苗法改正の際において、われわれは新品種の登録要件としては優秀性という問題は非常に相対的な概念でもございますし、また、つくる人あるいは農産物を使う人の使う目的によりましても分かれてまいりますので、品種登録の要件としては優秀性というものを要求しない。新しいものであれば登録するということにいたしたわけでございます。
 そのことと、今度は種苗の優良性という問題でございますが、育成されましたいろいろな品種につきまして、最終的には種苗という形で出回るわけでございますけれども、その種苗の優良性というものの定義につきましては、育成された当初の具備しておりました品種の特性をそのまま維持しておるものである。加えて、品種の重要な形質が実用上支障がない程度に十分固定されている。つまり、つくった当初の品種そのままの種である。そのほかに、いままで御指摘がございましたような作物を侵す病菌でありますとか害虫であるとかそういうものが付着してない。さらに、種自体としてきずがなくて健全な種または苗である。それから種は、最終的には芽を出しましてあるいは根を出しまして作物になっていくわけでございますから、発芽力、発根力というものが必要でございますし、お話にございましたような他の作物、他の品種、あるいは雑草などの種子がまじっていないということが優良な種苗ということになろうかと思っております。
 それから、先ほど御指摘がございました問題でございますが、国内において流通する指定種苗制度の対象になっております種苗につきましては、いま申し上げましたような要件を充足しておるかどうかということにつきまして、表示制度それから表示について真実に合っておるかどうかという検査制度などがございまして、その実効性を担保しておりますほか、外国輸入品種につきましては種苗の輸入の際におきまして植物検疫の対象になっておるわけでございまして、病害虫がついてないとか、特に、土はいろいろな病害のもとになるものが含まれておる可能性がございますので、一般的に禁止品にいたしておりますほか、土の付着しているものは一切認めない、こういう検査を水際でやっておるわけでございます。そんなかっこうで種苗の優良性については担保しておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような品種自体の優秀性という問題と別な次元からもう一つ担保する必要があるだろう、かように考えておるわけでございます。
○島田委員 そういたしますと、その価値判断というのが利用者の側に大体ゆだねられているという感じですね。さっき言ったように、一代雑種というのは、同じものを次から次へとつくっていけば退化していきますね。ですから、これは優秀とか優良とかいうような判断ができないわけですね。それは確かに単年度、ことしつくったら一代雑種はすばらしくよかった、しかし、同じものを何年もつくっていくうちに退化していったら、これは優良品種だとは言えない、こういうことになりますね。ですから、そういう点なんかはむしろ一定の尺度があると利用者の側も混乱しないで――要するに、品種を選択する場合に非常に混乱すると思うのですね、その辺何かうまい方法はないのですか。それが一つです。
 それから、後段のところのお話ですが、水際で検疫中心にしていろいろな検査をいたしております、こういうお話ですが、先ほどアメリカネナシカズラを例に挙げました。これはちょっと定かではありませんから断定はできませんが、牧草の種子にそうした雑草の種が一緒になって入ってきているというものも、しっかり監視ができる水際の体制ができ上がっているのでしょうか。どうもその辺、私はちょっと不思議に思えるのですね。仮にそうでなくて、大量に入ってきておりますえさ穀物の中にまじっているのだとすれば、これは牛の腹を通して畑に堆肥としてまかれたときにその種が繁茂していく、こういうことに経路としてはなりますが、私自身も、そのどっちとも断定し切っていないのです。いないのですけれども、仮に種にまじっているというふうな疑いがあるとすれば、その辺のところもきちっと防疫所で監視ができるような仕組みになっていますか。
○小島政府委員 植物検疫の目的は、外国から植物に有害な病害虫の侵入を防止するということにございますので、種の検疫に当たりまして、他の植物の種子がまじっておるということまでを検査するたてまえにはなっておらぬわけでございます。先ほど申し上げましたように、雑草などの種子がまじってくるというケースは、その種子の中に土が付着している、あるいは土がまじっているというふうなケースもあり得るわけでございまして、土は一番病原菌、他の植物、いろいろなものの伝播のもとになるものでございますから、すべての国に向けて土は輸入禁止品、土の付着しているものは全部洗わなければ入れられない、こういうかっこうで検疫は行っておるわけでございます。
 ただ、植物の種子、特に、同じ種類の他の系統のものがまじっておるとか、あるいは他の植物の種子がまじっておるということになりますと、そのこと自体で輸入禁止ということにはなりませんし、また、そういうことを目的に検査もしているわけではないものですから、その意味では植物検疫の目をくぐって他の種子がまじってくることはあり得るわけでございます。
 それから、市販されております指定種苗ということになりますと、流通段階におきまして他の種がまじっておるということは、検査を通じましてチェックをいたしますから、他の品種がまじっておるとか、他の植物の種がまじっておるというふうなことになりますれば、これは発見されるという公算も非常に大きいわけでございます。
○島田委員 チチュウカイミバエは種ではありませんけれども、こういうものも国境を越えて入ってくるわけですね。だから、それと同じぐらいの検査体制を持ってないと、あの草、本当に大変なんですよ。簡単に申し上げていますけれども、小麦だって何だって全滅してしまうのですから。こんなのが入ってくるということを水際できちっと監視ができないというのは不安ですね。これはぜひ御検討いただきたい、こう思います。
 それから、価値判断という問題が一つありますが、その範疇に入る問題でもありますけれども、やはり要求は多様性を持っていますね。それは単に増収とかあるいは大量性があるとかいったものの範囲を超える。たとえば、小麦のお話をいたしますと、昨今はずいぶんたくさんの小麦がつくられるようになってきました。まだまだ目標にはほど遠いのでありますけれども、それにしても、一ころのことを考えますと、国内では大変な小麦が作付をされる。北海道へ行きますと、麦だらけぐらいの、春先の青々とした大地は広がっているわけでありますが、これも秋まき小麦ですと一年がかりでつくって、いざ収穫というときになりまして、われわれが一番心配しているような不順な天候がやってまいりますと、これは一遍に一年間の苦労が流れてしまう、つまり、穂発芽という問題が一つあります。それで小麦をつくっている多くの農家の期待は、少しぐらいの雨にたたかれたからといって、立ったまま発芽するようなこういうものは何とか品種的に改良されてしかるべきではないか。ところが、国内では抗穂発芽性の小麦の品種の開発はおくれている、こういう感じがしております。一つの品種の開発をやり、それを一般に普及させていくということになれば、一年や二年ではなかなか完成しない話でありますが、これは急がれる対策の一つだ、こういうふうに思うのですね。技術会議の事務局長の方で、この対策について具体的に何かおありなら、ぜひこの際聞かしていただきたいと思っております。
 ちなみに、そういう品種の開発に対して、生産者も昨年から一俵当たり五十円という金を拠出いたしまして、そして私のところの北見の北海道立の農業試験場でありますが、ここでは試験場も一部拡張して、小麦のこうした抗穂発芽性の品種開発のために、生産者もひとつ一緒になってやろうじゃないか、こういうことで始まりました。大変私どもこれに期待をかけているのであります。もちろん、こう申し上げましても、私は、技術屋さんと言われる裏方さんでがんばっておられる試験場の技術員の皆さん方の努力は、本当に頭の下がる思いであります。報われないところで一生懸命汗を流して一生の仕事としてこれに取り組んでおられる、こういうことでありますから、生産者の側もこれに十分の理解を示して、われわれからも多少でも金を出して、ひとつ一緒になってやろうじゃないか、これは私自身は大変いいことだ、こう思っておりまして、そのことによって十年かかるものが七年か六年ぐらいで完成して、一般に普及できるようになればわれわれも助かる話ですから、このことについて私は大変この努力を多としているところでありますけれども、こういう問題が一つございますね。
 北海道の話ばかりして悪いのでありますけれども、ビートにつきましても、やはりできるだけ糖分の多い品種を開発していくというのは、砂糖をつくるのが目的でございますから、こういう種の開発についてももっともっと力を入れていかなければならない。この部面は非常に残念ながらおくれているような気がいたします。それから、バレイショにつきましても、先ほどちょっとお話し申し上げた、そうした雑草と一緒になって、困った問題として、ここ数年来から騒ぎになっておりますのが、バレイショ畑を中心にしたシスト線虫の蔓延であります。これも農林省は相当力を入れてくれました。そのことは私は敬意を表しておきたいと思います。これは土壌に薬を灌注方式で注射して、シスト線虫を退治するということでありますけれども、とても北海道の面積は広いですから、これだけでは対応できない。幸い西ドイツにこうしたシスト線虫に強い品種としてツニカというバレイショがあると聞いている。私どもは早くその種芋を輸入しまして、そしてこれを一般化するように努力してほしい、こういうことで農林省にも何回かこの話をしたことがございます。確かに、ツニカの新しい品種としての開発に農林省も力を入れていることはこれも認めるのでありますけれども、なかなかこれも百年河清を待つようなもどかしさがありまして、そのうちにシスト線虫はどんどんどんどん圃場に広がっている。こういうことで思わない大金をここに突っ込んで退治にいま全力を挙げていますが、余り効果が上がっているとは言えない。上がっていないとは言いませんけれども、どうも心配な状態である。また、米につきましては、えさ米の品種開発ということを私どもは言って、アルボリオの問題を取り上げて何回もここでえさ米を認知してほしいというようなお話をすると、これも脱粒性があってどうも品種として定着させこれを一般化させるというのにはもう一つ踏み切れないものがあるというお答えしか返ってこないのでありますけれども、こうやって挙げてまいりますと、新しい要求に対して的確に対応していくという品種の開発というのが大変いま急がれるのではないか、こう考えているのです。
 具体的には、いまの四つか五つだけしか挙げませんけれども、すべてやっぱりそういうふうに要求の多様性に対応してこれに的確に応じていくという技術開発、品種開発というのが大変期待されるし、望まれる、こういうことでございます。私は皆さんの努力を多としながらも、この辺についてもう少し促進するという立場と、それから、試験場では相当の成績を上げておるということは私は承知しています。たとえば、小麦につきましても驚異的な単収を上げるような品種ができ上がっていることも事実であります。しかし、それが残念ながら、一般化されているかとなりますと、なかなかまだ農家では、特別な百人に一人か二百人に一戸の農家はことし十俵を上げたなんというところはありますけれども、大半は統計に載っておりますような低い単収であります。そういたしますと、皆さん方の技術開発のところでは大変な進歩を遂げておるのにそれが一般化しないというのはやっぱり問題があるのではないか、せっかくそれだけの世界に冠たる技術の開発と品種の改良が進んでいるのであれば、それを何としても一般農家にも普及していくような、そこのつながりというところをもう少し力を入れなければいかぬのじゃないか、あわせてそんな感じを私は強く持っていますので、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○岸政府委員 品種の育成も含めまして試験研究に対して大変御理解をいただいておりまして、ありがたく感じております。
 いま御指摘のございました小麦の品種改良、特に耐病性も含めまして耐穂発芽性ということでどんなような努力をしているかというお話でございますが、私ども、小麦の品種改良におきましては、先生御指摘の北海道におきます事情ももちろんそうでございますが、わが国の状況といいますのは、中央アジアから地中海沿岸地帯のような小麦の収穫期が比較的乾燥状態で迎えられるようなところと違いまして、非常に湿度も高く、それから雨も多いということで、雨の害に遭わないような品種の改良ということを小麦の品種の改良の場合の最大の眼目にいたしております。その中には耐穂発芽性もございますし、また、収穫前に雨に遭いますと最も恐ろしい赤カビ病の被害も大きくなるということで、現在進めております品種改良の主眼といたしまして、その耐穂発芽性と赤カビ病に対する耐性ということを大きく取り上げておりまして、先ほど先生からも御理解をいただきましたように、育種の研究者は毎年営々として育成に努力しているわけでございます。何分にも時間がかかることでございますので非常にもどかしいというお話でございますが、現に、その雨害の回避のためにはわせ化を図らなければいけないわけでございますが、九州方面に適応できるアサカゼ小麦のように従来のものに比べて一週間ぐらい早いようなわせ化の達成された品種もできておりますし、それからまた、北海道におきましても穂発芽性の難な育種ぞろえというものが出つつございまして、今後そういうものを材料にいたしまして次々と育種を進めていきたい、そんなふうに考えております。
 それからもう一つ、ビートの点についてでございますが、これにつきましても、含糖量が多いということが最も重要な資料でございまして、その点について特に視点を当てて育種を進めております。幸い現在育成中の系統の中にかなり有望なものがございます。すでに先生も御存じなことでございますけれども、北海四十一号という名前をつけておりますが、これらはいままでの試験成績で申しますとかなりいい成績を上げておりますので、今後できるだけ早く一般に普及できるような手だてを講じていきたい、さらに、それらをもとにしてそのまた上を行く品種の育成に努力していきたい、そんなふうに考えております。
 それから、最後に御指摘のございました試験場ではいろいろ品種なり技術なりができているのに、なかなか現場に結びつかないではないかというお話でございますが、この点は、私ども、試験研究を進めていくもの、あるいはそれを研究管理をいたしておるものといたしまして、最も注意をしなければいけない点でございまして、その点、毎年、下から上への情報の伝達だけではなくて、上から下といいますか、試験研究の成果をつくったところから、実際に農家の段階におろせるようなそういう情報の伝達ということに注意を向けているわけでございまして、その点については、今後とも御指摘のような点を踏まえてさらに努力をしてまいりたい、そういうふうに考えておりますので、この上とも御理解をいただくようにお願いいたしたいと思います。
○島田委員 特に育種技術というのは、私は、わが国の技術水準はきわめて高い、こう思っております。ただ、それでとどまっちゃいけませんで、やっぱりこれからも大いに御研さんいただかなければならない、こういうことでありますが、そのためにはどうしても素材の収集ということが必要だ。特に、牧草とか飼料作物の種というのが私の承知している範囲では相当量外国の種に頼っているという現状にあるのではないか。これはぜひ少なくとも半分くらいは国内で種の確保をする。牧草の種といいますれば、禾本科と豆科と分けて、全国的につくられているものとすれば、禾本科ではオーチャードとかイタリアンライグラスとかチモシーとかいったたぐいでしょう。豆科ということになりますれば、クローバー類、それからアルファルファ、ルーサン、こういうものということになるのでありましょうが、アルファルファに限定して言えば、アメリカでは相当多種多様な種類がルーサンにありまして、ですから向こうから買ってきた方が安いといったような事情があるのかもしれませんが、しかし、アルファルファというのは御存じのとおりたん白の非常に高い優良な牧草でありますし、これをもっと国内でつくっていく方がいい。私のところではその年によって――土壌条件と気候条件がそろってないとルーサンというのはつくりにくい牧草であることは事実ですけれども、西方の方、とりわけ沖繩なんかでは四回や五回は刈れるのでないか。問題は水であります。それからPHが余り高くちゃだめな作物であります。アメリカの西海岸というのはオンリールーサンと言っていいくらいルーサン一色です。採草地も放牧地も含めてルーサンばかりです。これほどルーサンだらけになるのは私はいいとは思いませんけれども、カリフォルニアの南の方へ行きますと、一年に十回刈ると言われます。これはイリゲーション農法でありますから、水さえまいてやればできる。夏は日中四十度を超すような高温でありますから、アルファルファの耕作の条件がすべてそろっているが、わが国の場合は刈り取ったルーサンを天然乾燥をやるというのは非常に困難だ。そういう気候条件のもとに置かれているから、アメリカの西海岸ほどの収穫を上げることを期待することは無理だと思いますけれども、それにしても、私どもが通常つくっておりますオーチャードやあるいはクローバーのたぐいは一年に二回が精いっぱいでありまして、三回刈るなんということはとてもできない。こういうことを考えますと、西型の条件のそろっている、とりわけ沖繩のようなところは、もっとルーサンをつくってもいいではないか。ルーサンミールとかあるいはルーサンペレットとかは結構畜産農家にとってはかけがえのない飼料の一つになっておりますから、国内でもっとこれをつくる。そのためにはまず種を自賄いするということ、これをもっとウエートを高めていっていいではないか、こんな感じがいたします。しかし、その素材はしっかり安心のできるところに求めておかないといけないので、そういう技術がこれから要ると思うのですが、ぜひこの点は採種圃場をもっと広げていくとかいう面で、これは技術会議としてのお仕事ではなくてむしろ小島農蚕園芸局長のところの仕事でしょう。あるいは畜産局長が牧草の場合は関係がありますが、しかし、この技術そのもの、あるいはそれを育てていく仕事はやはり農蚕園芸局がおやりになって、石川局長のところへ、いい種をばっと渡してもらえば問題がないわけでありますから、もう少し牧草とかデントコーン――デントコーンなんかもほとんどアメリカに頼っているのが現状ではないでしょうか。これも最近は八十五日から始まって、百十日、百二十日ぐらいまでの品種がございますかな、これは一代雑種です。これは新たな画期的な飼料作物としての地位をいま北海道あたりを中心にして築き上げつつある。残念ながらその種は外国に依存している。こういうことではいけないと思うので、これもやはり自給率を高めていくということで、今後真剣に取り組んでいただきたいと思っておりますが、御所見を聞いておきたい。
○岸政府委員 適当な答弁ができるかどうかわからないのでございますが、最初に、技術会議の方から試験研究の面でちょっとお答えを申し上げさせていただきたいと思います。
 アルファルファは将来とも非常に重視していかなければいけないではないかというお話でございますが、この点につきましては、現在愛知県にその育種のための指定試験を置いておりまして、四十八年にナツワカバという品種を出しております。さらに、その後も育種を進めておりまして、ことし一品種登録の出願をする予定にいたしております。今後とも日本に適合する品種の開発は続けてまいりたいというふうに考えております。
 それからトウモロコシにつきましても、先生御存じのように北海道に指定試験を置いておりまして、特に北海道方面でつくるのに適合するような品種の育成を図っております。ただ、残念なことに、何分にもアメリカでの一代雑種の育成あるいはそれの販売というものが非常に力が強いものですから、現在のところ私どものところでつくりました品種が必ずしも主体になる状態になっておりませんけれども、試験研究の面で今後とも北海道だけでなくて全国的にも通用できるような品種の育成に努力をしてまいりたい、そういうふうに考えております。
○島田委員 そうした育種体制の強化という面も含めまして、私はやはり人材を確保するということは不断の努力として忘れてならぬことだと思うのでありますが、もう一つ、それに入ります前に、わが国のように石油の不足している、海外にほとんど一〇〇%依存しなければならぬ国としては、新たにソフトエネルギーの開発というようなものがやがて近い将来話題になるだろう、こういうふうに私は見ています。つまり、バイオマスでありますけれども、これを求める資源としては、これはほとんど農作物であります。ですから、こういう面に対する対応をもういまからおやりいただくことが大事である。ここでも先日話題になったようでありますけれども、たとえば、ミカンなんかでもジュースをしぼったあとの皮とか中の袋とか、こういうものはそのまま捨てないでこれをアルコール化していく。つまり、バイオマスでありますけれども、こういう知恵というか、エネルギー資源が不足しているわが国なんかでは、今後この面の開発は大いにやっていかなければならぬだろう。そういうバイオマスに対応する品種の開発というのは非常にむずかしいでしょうけれども、大事な点である。これは言ってみれば、優秀だとか優良だとかは別にして、量をたくさんとればいいわけで、それにコストが安くてということが条件としてもう一つある。私は、ぜひこの面についていまから視点を据えでほしい、こう思います。
○岸政府委員 ただいま御指摘いただきましたバイオマスの関連の研究でございますが、私どもその点についてすでに試験研究を開始いたしておりまして、まだ十分な成果を得るまでには至っておりませんけれども、将来、予想される資源エネルギーの制約というものに対応できるような技術を開発していきたいということで、五十六年からバイオマス変換計画という名前で研究をかなり幅広く実施いたしております。その中には先生いま御指摘ございましたようないろいろな農作物そのもの、あるいはそれの使用されたあとの廃棄物、あるいは現に使われてないもの、木材のたぐいとか、そういったものを有効にエネルギー化するような手段に関する研究でありますとか、また、品種開発についても、その研究の中に直接ではございませんけれども、サツマイモあるいはスイートソルガムといったものの品種開発、あるいはそれのアルコール化のための技術、そういったようなことについて研究を続けているところでございまして、いずれいろいろとデータが出てくるというふうに期待をしているわけでございます。
○島田委員 ところで大臣、私も全国を歩きまして国公立の試験場にお邪魔する機会が多いのでありますが、皆さんの悩みとして、どうもだんだん予算がちびられていくような感じがする。たとえば、沖繩に参りまして熱研センターを見に行きました。そのときにたまたまこんな話が出たのでありますが、世界各国といいますか、近いところでは東南アジアのあの圏域の中でやはりお互い技術交流というものは欠かせない点なんで、学会の集まりがあればそういうところにも積極的に参加をして自分たちの知識や技術の向上を図っていきたい、こういう期待を持ちながらも、なかなかそこに出る旅費とか予算とかが乏しい。それでも熱心な研究者の皆さんはお互いに出し合ったり、自分のふところから出したりして学会に出かけていくということもときにはあり得る。しかし、それも限度がある。私はこういう国際交流の点なんかに金を惜しんじゃいけないと思うのです。
 それから、それは地方自治体も含めて、これだけ財政が窮屈になってくると、一番目に見えないところを削りたがる。そういうことは絶対にあってはいけない。そうでなくても縁の下の力持ちのように本当に日の目を見ることなく一生懸命研究に努力をしておられる人、この労に報いるというのが、それは限度のある話であるかもしれません。たとえば、私は、前の種苗法の改正のときにもここで言ったんですけれども、国公立の試験研究機関で働いておられる人たちが心血注いで新しい一つの品種をつくり上げた。これは税金を使っている話だから、その人の名前を残せと言ったってなかなか残るという仕掛けにはたてまえ上はなりませんけれども、それに報いるような何か、たとえば、田澤という技術員が開発された田澤種であるならば永久にその名前をそのまま残してその労に報いてあげるという、そんな制度ぐらいはそんなにお金のかかる話じゃないから残せないかしらという提案をしたことがありますが、これもたてまえから言えば、税金を使ってやっているんだからそんなわけにはいきません、こういうことになりますけれども、事ほどさように試験研究に努力をされていられる人たちに対しての手当ては必ずしもそう温かくはないばかりか、どうかすると冷たくなりがちだ。私は、ここは絶対に後退してもらっては困る。私がいま申し上げましたような事例というのは全国全部そうなのかどうかと言われれば、あるいはそうでないのかもしれません。たまたまお邪魔したところの話として、私は大変身につまされる思いで聞いてまいりました。これは何も私が個人で行ったのではありませんで、当時の沖繩北方対策特別委員会が調査に行ったときにそういうお話を承って、与野党とも、それはいかぬな、そういうことでないようにしないといかぬぞというお話をしてきたことがございますが、だんだんそういう状況に相なっていくとすれば、これは日本の農業のために大変取り返しのつかぬことでありますから、そういう日の当たらないところでがんばっておられる人たちにはそれなりに努力が報われるような措置というものは、これ以上絶対後退させないばかりか、もっと重厚に予算を盛って試験研究に力を入れてもらう、こういうことが所管大臣としての責任ではないかというふうに思うのですが、私のこうした考えに対しての御意見を承っておきたいと思います。
○田澤国務大臣 五十七年度予算の編成の大きな柱が科学技術の振興にあるわけでございます。したがいまして、科学に対する積極的な姿勢を政府としてとっているということを御理解いただきたい。しかも、今回科学技術会議の中に農林水産大臣も参加することができたということも、将来の農業の技術の振興のために大きな役割りを果たすものじゃないだろうか、かように考えます。
 また、いま国民の農業、農産物に対する需要の動向というのは非常に目まぐるしいほど移り変わっている現状において、その国民の需要の動向に対応する農業をつくるとすれば、技術の開発普及によるものであろうと思うわけでございますので、そういう点では技術の開発こそ新しい農業の芽を育てる大きな役割りを果たすものだろうと思うのでございます。したがいまして、技術者に対して、二国間のいろいろな会議等についてはできるだけ技術者の派遣をしてもらう、あるいはまたシンポジウムだとか外国からの技師の招聘だとかいうようなことによりまして、できるだけ技術者の技術の開発のための、また、その人たちの技術の研究のための場を与えてやろう、こう考えております。
 また、各試験場におけるそれぞれの成果に対しては大きく評価してやらなければいかぬと私は思うのです。私の県に田中稔さんという人がおりまして、稲の冷害品種をつくった人でございますが、この人は青森県においては、品種には藤坂五号になっておりますけれども、名前はこの藤坂五号即田中稔として種苗の歴史の中に大きく残されているということなどを見ても、決してこういう技術者に対しての待遇は冷たいものじゃない、むしろもっと温かいもので眺めてやらなければいかぬと考えます。今後もそういうように進めてまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
○島田委員 終わります。
○羽田委員長 島田君の質疑はこれにて終了しました。
 次に、武田一夫君。
○武田委員 種苗法の一部を改正する法律案につきまして若干お尋ねをいたします。
 この制度は、国内における育種の振興並びに農業生産の向上等に果たす役割りは非常に重いわけでありまして、そういう重要性にかんがみましていろいろとお尋ねをするわけでございます。
 まず最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、いまも答弁にあったのでありますが、いま一番求められているのは育種の振興、技術の開発にもっと力を入れるべきじゃないかという点だと私は思うのであります。農林水産省もことし、今後の農業の課題としましてその面に目を向けているというのは賢明だ、私はこう思っておるわけでありますが、特に、一九八〇年代というのは日本の農業生産にとっては、たとえば、麦、大豆にしましても、あるいは飼料作物あるいは穀物、これはいわゆる土地利用型作物ですね、こういうものの生産性の拡大というのは非常に大事じゃないか。それとあわせて育種、要するに、超多収穫の、あるいはまたこれからの時代に対応できるような新種を開発するというものに力を入れていくのが日本の農業の大きな発展につながっていく。しかもそれは、今度国際条約に加盟することでもありますし、そういうものを通して国際社会においても大きく貢献することにもなる、こういうふうに私は思うわけであります。
 そこで大臣に、こうした問題、育種の振興あるいはまた新しい技術の開発について、どのような方向でどういうふうな考えで取り組んでいくかということについての御見解をまずお聞きをいたしたい、こういうふうに思うわけであります。
○田澤国務大臣 御承知のように、いま対外経済摩擦に見られるように日本の農林水産業の環境というのは非常に厳しいのでございまして、しかし、いま御指摘のように、この厳しい環境を打破するためには何としても生産性の向上を図らなければならない。そのためには何としても技術の開発普及あるいはまた経営規模の拡大ということによって農業の再編成を図る、それも国民の需要の動向に応じて進めていかなければならないということでございますので、そういう点からいいますと技術の開発普及というのは非常に大きい役割りを果たすと思うのでございます。
 たとえば、いま私たちは水田利用再編対策を進めておりますけれども、これを集団化し定着させるためには転作作物をメニューをたくさん用意して、農家、農民に転作のための有利な条件を与えることだと思うのでございますが、特に、えさ米などというものは水田利用の面では非常に大きな役割りを果たす、これが一つできることによって新しい農業がはっきりつくり上げられるもの、また、方向づけられるもの、かように考えますので、私は、これからの日本の新しい農政の目はやはり技術の開発にある、こう申し上げてよろしいと思うのでございます。わが国は資源の全くない国でございますから、それだけに農業技術の開発によってそういうことを補っていく。そうして、将来の国際競争力に対応できるような農業を確立するということが必要でございますから、そのためには何としても技術の開発が必要である。そのためには種苗の役割りというものは非常に大きいと思うのでございます。そういうような考え方に立って私たちは今後種苗の育成あるいはまた技術の開発に努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
○武田委員 そこで一つお尋ねしますけれども、五十三年の法改正のとき以来満三年、四年目に入るわけでありますけれども、その間の成果、どういうふうな成果が出ているかということも聞いておきたいな、こういうふうに思うわけでありますが、その前にそういう技術面あるいはまた、そうした対応というものを重要視していると同時に、それにかかわる人的な配置もまた必要であろうと思います。ところが、ちょっとこれ気になるのですが、昭和五十三年に三百二十四人いた育種関係の方々が、五十七年度には減った。三百二十一人と三人だから大したことないだろうと思うのですが、どうもこれから力を入れていくという場合に、なぜこういうふうな人数が減ったのかという疑問が、予算を見ますとそれなりに多少ふえているようでありますけれども、一人当たり研究費が百二十六万円計上されるということでございますし、そういう行革がらみか何かわからぬけれども、私は、これはちょっと心配でございます。というのは、私も先輩が筑波にちょっと働いておりまして、熱帯性の植物、米の研究をやっているわけです。この間、ちょっと会って聞きましたら、海外に派遣されますと、その人の分はもう国内に残った人だけでやるというのですね。それでてんてこ舞いだと。ですから国内、出張所、がんばってくれ、こういうふうな激励を受けながら、海外に行く人、特に、東南アジアに行く人は気にしながら現地の方の研究に行くというのですね。それでわれわれは何でもしなければいかぬ、その行った分までやらなくてはいけない、こういう話をちらっと聞きまして、やはりこういう長い期間がかかるわけですね。そう一朝一夕にできるものではないようでございますし、一人だけでなく二人、三人というきちっとしたプロジェクトなり協力体制がないと、またいいものができないというようなことも聞いておりますだけに、この人数の減ったこと、非常に気になってしようがなかったのでありますが、これはどういうわけであるか、まず説明していただいて、こういう人間的な配置もひとつ十分に考慮すべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○岸政府委員 先ほど先生から資料の御要求ございまして、その中でいま御指摘ございましたように、昭和五十三年から五十七年に三名の育種関係の研究者の数が減っておるという数字になっております。私もいま御指摘をいただきながら、これは非常に残念だなというふうに思っていたわけでございます。実は、この育種の問題というのは、先ほどからいろいろ御議論をいただきまして、また、大臣からも御答弁をいただきましたように、非常に重要なものだというふうに考えておりまして、そのためにはそれを担っていく研究者というのを非常に大事にいたしております。たまたま五十三年と五十七年のところを物理的に比較をいたしますと三名の減のようになっておりますが、これはこの後もそういうふうにして減っていくというようなことではございませんで、いま三百何名の中の三名ということで、いま時点での数を数えますとそういうふうになるわけでございますが、今後、全体の公務員の数の削減ということが厳しくやってくるわけでございますが、そういう際にもできるだけ育種関係の研究についてはその波を少なくしていくように努力をしていきたい、そういうふうに考えておりますので御理解をいただきたいと思います。
 ただ、いま御指摘の中にもございましたように、今後、育種を発展させていくためには人の力はもちろんでございますが、機械、施設、それから組織体制というものは非常に重要なわけでございまして、そういう面で人の数だけでない力を集中して育種をしっかりやっていくような努力をしていきたい、そういうふうに考えます。
 それから、海外への技術協力その他で出た後が十分に埋められない、そのために非常に苦労しているようではないかというお話もございましたけれども、その点につきましても、派遣職員として海外に技術協力に出た後は、その派遣職員が出ている問は埋めることができますので、試験研究機関全体としてはできるだけそれを弾力的に運用いたしまして、試験研究がその間海外の技術協力のために力が落ちるというようなことがないように全体的な運営を図っておるところでございます。
○武田委員 そういう実情をよくつかまえてしかと手を打っていってほしいなというふうに思います。というのは、これは国と県との関係も出てきますね。国がそういうことであると県の方もそうなんですよ、実際県に行ってみますと、先ほど島田先生も言ったように、わりと技術者というのは冷や飯食っている例が多いわけです。ですから、おれは将来偉くなりたいんだという人いるわけです。そういう人は技術よりも事務系統の方に希望するということなんです。これはいかぬと思うのですな。ですから、そういうことであるならば、これは今後問題だと思いますので、よくそういう点はバックアップしてほしいと思うのです。
 それから研究所ですか、試験研究の体制、これはちょっと古い資料なんですが、ここでは麦類の育種あるいは大豆なんかの育種のことでいろいろとデータを出している研究所がどんどん縮小されていっているような話もあるわけです。それに対して心配しているんですがね。統合していくとかというものはある程度必要だと思うのですが、日本全国弓のように長いところでありますから、その地域地域にあるいはブロック、ブロックによって研究機関というものはしっかとしていかなければならぬのじゃないか、すべて統合していくなんというような考えはいかぬのじゃないかと思いますので、そういう研究、試験の場所、試験所等の充実も私は必要でないか。詳しいことは言いませんが、このデータから言うとずいぶん過去、たとえば、昭和二十二年に麦の指定試験地二十二カ所あったのが、四十年には四カ所に縮小されている、こういう例もあります。あるいはまた、大豆の場合は一品種の適性範囲がきわめて狭く、緯度が二度前後で品種を変えなければならない作物であるが、それの育種を行う組織は昭和四十年の七カ所が五カ所に減らされている。要するに、そういう研究体制が重要なときにこういうふうになっているというのはいかがなものかという疑問を一つのケースとして出しているのだと思うのですね。今後の対応として、こういう点はどうでしょうか。
○岸政府委員 先ほどもお答えの中に申し上げましたように、試験研究を進めていくためには人員が非常に重要な要素になるわけでございまして、私どもも研究に携わる人員につきましては多々ますます弁ずという状況にあることは事実でございます。しかし、何分にももとは限られておりまして、それにもかかわらず対象としなければならない作目というものは次々とふえる傾向にございます。先ほど御指摘いただきました大豆、麦等につきましても、たまたま昭和二十年代の後半から、わが国の農業情勢からいたしまして、野菜でありますとか果樹でありますとかあるいは畜産でありますとか、そういった方面に研究勢力を展開しなければならないような状況がございまして、その当時のほかの麦、大豆その他のものとのバランスの関係から、若干そういう七のものが五になったりというようなことはあったわけでございますが、ただ麦、大豆につきましては、その後、現在のような状況になってまいりました。やはりそこに対しては研究勢力を投入していかなければいけないということで、また別のところから人間を回すということで勢力の拡充を図っております。常に研究の対象がそのときの、あるいは将来五年、十年後の農業情勢を見きわめて、それに新たに対応できるようなことを図っていかなければいけないというふうに考えておりますので、今後も御指摘のようなことで、そういう長期的に見た試験研究がりっぱにできなくならないような努力を重ねていくというふうにいたしたいと存じております。
○武田委員 ことしからでしょうか、新品種適正普及促進事業というのをやる。この中身はどういうことですか。
○小島政府委員 新品種適正普及促進事業と申しますのは、最近品種登録が非常にふえておりまして、その中には栽培適性等についてのデータが品種登録以前において非常に整備されているものもございますけれども、必ずしもそうでないものもあるわけでございます。ただ、世の中におきましては、農林省の登録を受けたものであるからということで即非常に優秀な品種である、現地での適応性も考えないで導入するという心配もあるわけでございます。そこで、その中でも登録件数の非常に多い果樹、その中の柑橘、桃、ブドウでございますが、そういう品種につきましてそれぞれ栽培データ等を集めまして、新しい品種についてのそれぞれの特性というものを情報の形で十分伝達をしまして、その品種の利用者の便宜を図ろう、こういうものでございます。金額はささやかなものでございますが、団体に対する補助というかっこうでこれをやってまいりたいと考えております。さしあたりは果樹だけが対象でございますが、予算の事情等が許せば、おいおいその対象の作物も拡大をいたしたいと思っております。
○武田委員 それでは次の問題としまして、品種の登録制度に対する認識の高まりがありまして、育種振興、農業生産の向上を図ろうという観点からこれは非常に評価されてきているわけでありますけれども、最近の出願品種の審査の問題です。要するに、非常に出願登録品種がふえてくる。調べたら五十三年以来ずいぶんふえていますね。そういうことになりますと、出願品種の審査に当たっては迅速かつ適正な審査を行う必要がある、これは当然のことでありますが、これに対して十分対応し切れるだけの人的な配置とか体制は十分なされているものかという点についてひとつお答えいただきたいと思うのであります。
○小島政府委員 審査体制の問題でございますが、種苗法が施行されて以来、お話しのように出願品種の数も非常にふえてまいりまして、それに応じまして体制を整備してきておるわけでございます。
 組織面で申しますと、この法制定当時におきましては農蚕園芸局の果樹花き課の一部においてこの仕事をやっておったわけでございますが、五十四年の四月に新たに種苗課を新設していただきまして、審査官の定員も年々ふやしてきております。現在で申しますと、審査関係の職員が首席審査官以下十一名、課員総員三十九名ということでやっているわけでございます。ただ、現地調査等の仕事もあるわけでございますので、いわゆる常勤の職員のほかに、大学の先生でありますとかあるいは地方の試験場の職員でありますとか、そういう方々につきまして別途現地調査員として七十一名ほどお願いをいたしておりまして、現地調査に御協力をいただく体制もとっておりますし、また、栽培試験を要するものにつきましては依頼機関を二十二機関指定をいたしておりまして、必要に応じまして種苗課の分室とともに分担をして栽培試験を実施しておるわけでございます。
 そのほか、人をふやして人海戦術でというだけではまいりませんものですから、出願品種の区別性を判断するための審査基準を設定する、あるいはコンピューターを活用いたしまして既存の品種との区別性を判断するために、情報検索をスピーディーに処理するためのシステムを開発する、さらには新しい審査技術の開発、これは色の見分けなどに使いますカラーチャートなどをつくるというような仕事も手がけておるわけでございまして、そういった新しい審査技術というものを開発しながら、ただいまふえております出願をこなしてまいるつもりでございます。これまでのところ、そういった対応策によりまして出願者の方々の御迷惑にならない程度に仕事は進んでおる、かように考えております。
○武田委員 十一名。当初は四人だったわけですね。ですから毎年少しずつふやしもしてきているわけでありますが、その当時九件だったのがいま六百八十九件ですか、ずいぶんふえているということで、この十一名で十分にそれに対応してきているものかという心配があったわけであります。局長から大丈夫だということでありますが、この場合、要するに、現地調査というのもするわけですね。そのとき審査官のほかに、作物分野分野における学識経験者、調査員というのですか、同行するということでありますが、こういう方々が全体ひっくるめて七十一人ですか。こういう方々は、七十一人というとずいぶんいるようですが、収穫時期あるいは開花時期とかある、そのいろいろな時期によって集中してくるわけですね。ですから、一人で二つも三つも持たなくてはならない場合があるのじゃないかと思うのですが、こういう場合の心配は、この人数の中で賄っていけるものかどうか、そういう点はどうなんでしょうか。
○小島政府委員 御指摘のように、現地調査はそれぞれの作物の種類なり特性によりまして、どういう時期に現地調査をしたら最も適当かということが分かれてまいるわけでございます。ある意味から申しますと、そういう作物ごとの現地調査の時期が多少ずれておるということが、審査官の側から見ますとある意味で助かるわけでございまして、逆に、一時期にこれが集中いたしますと、とうていこういう人数では対応し切れないわけでございます。したがいまして、その七十一人の現地調査員をお願いいたしておりますのも、そういう作物別の現地調査の適当な時期、地域的な、調査員のおられる場所の分布、さらには作物別の専門を考慮いたしましてこういう選定をいたしておるわけでございまして、ただいまのところ、特にこの人数で不足という事態ではございませんが、今後、さらに業務量がふえてまいりますれば当然再検討しなければならない、かように考えております。
○武田委員 仕事が過重になりまして、肝心のこの正確、迅速というのが適正を欠くようなことにならぬような対応はしていかなくてはいけない、こういうふうに思います。
 それでは、次に質問しますが、五十三年の六月の法案改正のときに、附帯決議を出しているわけでありますが、その中で「優秀品種の普及奨励のための措置を講ずる」という一項があったはずでありますが、この点については、それ以来どのような対応、取り組みをしてきたか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
○小島政府委員 農林省でただいまやっております優秀品種の普及奨励のためのさまざまな手だてが実はございます。作物によりまして多少趣きを異にするのでございますが、たとえば、いわゆる主要作物、稲、麦、大豆というものになりますと、主要農作物種子法によりまして原原種段階、原種段階、さらにはコマーシャルと申しますか最終段階、それぞれにつきまして、都道府県が中心になりまして種の管理体制がございます。
 それから、野菜あるいは飼料作物等につきましては、食品流通局あるいは畜産局がそれぞれ野菜の優良種苗の生産安定対策、あるいはその飼料作物の優良品種の普及促進事業、そういった補助事業を持っておりまして、都道府県あるいは生産者団体等に対する助成を通じまして、いい品種を普及していく、同時に、いい種としても供給をしていくという仕事を持っておりますので、そういう体制の中に乗せて優秀な品種の普及奨励をやっておるわけでございます。
 そのほか、物によりましては、国がみずから農場を持っております。馬鈴薯原原種農場のような、国がみずから農場を持って原原種段階の生産管理をしておりますものもございますので、そういった種の普及、配給と申しますか、そういう体制も活用いたしまして、いい品種が実際に栽培されるように努めておるわけでございます。
 また、国や県がそういう形で直接管理をいたしておりません野菜でありますとか花卉でありますとかいうものにつきましては、これはいろいろな形でいいものを顕彰していく、これの中には、団体等の行いますコンクールみたいなものもございますし、県の農業祭などの行事の一環として、いいものを広めていく、こういうものもございます。さらに、一部の作物につきましては、都道府県段階におきまして奨励品種というものを選定いたしまして、それを普及のルートに乗せていく、こういった仕事もやっておるわけでございます。
 先ほどお尋ねのございました果樹につきましての新品種適正普及促進事業は、お答え申し上げましたように、従来、登録件数が非常に多い割りにこの種の行政措置としては若干手薄であった点がございますので、それらを補いまして、いい品種を農家に選びやすくしていく、こういう事業として仕組んだものでございます。
○武田委員 また、「良質の種苗の生産、流通を確保するため、種苗検査の厳正な実施に当たるとともに、種苗業者等が遵守すべき基準の適切な運用を図ること。」という一項目もございました。ここで、基準というのはどういうものかということなんであります。
 それからもう一つは、五十三年以降、流通体制の基準をどこに置いて、どういうふうな指導、チェックをしてきたかという問題についてひとつお尋ねをしたいと思います。
○小島政府委員 種苗業者や生産業者が遵守すべき基準は、五十三年の改正において挿入された規定でございまして、それまでも、流通種苗の取り締まりにつきましては、農産種苗法時代から国の検査官の抜き取り検査というものによりまして、表示と内容が一致しないというものについて表示の変更を命じ、あるいは物によりましては、販売しております種苗の販売を禁止する、こういった措置をとっておったわけでございます。ところが、優良な種苗の流通を図るという観点からいたしますと、最終的に商品になって出回った段階で取り締まるというだけでは不徹底ではないか、こういうふうなことから、圃場での生産段階、調整段階、保管あるいは包装、そういったものにつきまして、関係の業者がそれぞれの段階に応じて仕事をいたします場合に守ってもらわなければいかぬ基準を定めて、これを周知徹底を図っていく。この基準どおりに行われていないというものがございました場合には、農林水産大臣の勧告ができることになっておりまして、勧告に従わない場合にはその氏名を公表するという規定もあるわけでございます。そういう意味で、新しい種苗法の中では一つの画期的な制度であるわけでございますが、この法律が改正されましてから以降、いわば品種の登録制度の体制整備並びに実際の登録事務に追われてきておりまして、この基準作成自体は多少おくれておるわけでございますが、最近ようやく、最も流通量の多い野菜の種子につきましての基準の案が作成をされておりまして、現在、農業団体等との意見調整の段階に入っております。近々にこれは公表できる見込みでございます。また、そのほかのたとえば、果樹でございますとかあるいは飼料作物等につきましても、順を追いまして作成をしてまいるつもりでございまして、これらができました場合に、都道府県、関係種苗団体等を通じまして種苗業者あるいはその種苗の生産者に周知徹底をさせまして、優良な品質の種苗の供給を確保してまいりたいと考えております。
○武田委員 最後に、種屋さんから生産農家が種を買うということで、ある種を注文した。輸入業者と今度は種屋さんが契約しているわけですね。そうすると、輸入業者の段階で、入れた種が非常に菌があったということで、輸入業者は、これは入れてもしようがないというので、返しちゃった。ところが、その補給がどうも思わしくない。そのために、生産農家はいま必要であって、時期を逸するとこれはどうしようもなくなるということで、大変泡食ったというケースがあるわけです。そういうふうな場合、種屋さんと農家との間の、お互いに補償といいますか、こういう関係はどうなっているかということですね。輸入業者と種屋さんの間には何かあるらしいんですね。ところが種屋さんと農家との契約、私のところに相談に来たのは物すごい膨大な量でしてね。それは、もし種を植えて品物をつくらぬと破産するというぐらいの大変なそういう量だったわけです。これはかいわれ、いま、すしのネタになっているいわゆる大阪四十日大根ですか、この種。それから菌核菌が多過ぎたというので、輸入業者がもう返しちゃった、補給がつかないということで大変泡食ったという事実がありましてね。それで、あなた方はそういう場合何か補償なんかされるのかと聞いたら、それはないと言うんですな。これは非常に困るのじゃないかと思うんですね、外国から入ってくる場合にそういうことになったら。これは何か考えてやらなくちゃいかぬのじゃないかと思うのですが、どんなものでしょうかね。
○小島政府委員 種苗業者と農業者との間のトラブルは、最近余り目ぼしいものはございませんけれども、多くは品質上のトラブルでございまして、御指摘ございましたように、物が手に入らないというトラブルは比較的少ない事例であろうかと存じます。種苗業者の方も売りたい、農業者の方も買いたいということでございますから、そのことについてのトラブルというのは通常は少ないのでございますが、お話がございましたように、検疫上の問題があって物が手に入らなくなったというケースの場合には、当事者間の単なる期待があったのか、それとも売買の予約があったのかということによって賠償関係が違ってくると思います。通常の品質トラブルの場合には種苗業者も、品質にかかわる問題でございますから、農業者の方の納得がいくような形で補償その他の措置をいたしまして解決をしているのが通常でございますので、ただいまのように、もし予約ないしは売買契約がありながら実際の物が渡せなくなったという場合でございますれば、民法の原則に従って当然何らかの補償をしてしかるべきものであろうと考えております。
○武田委員 時間が来ましたので、これで終わります。
○羽田委員長 武田君の質疑はこれにて終わりました。
 神田厚君。
○神田委員 種苗法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げます。
 最初に、現在の日本の育種、種苗の現況といいますか、状況はどういうふうになっておるでしょうか。
○岸政府委員 お答え申し上げます。
 国におきましては、育種というものの重要性にかんがみまして、稲、麦、大豆、果樹、野菜、花卉、牧草といったようなものの多くの作物を対象にいたしまして、新品種の育成に積極的に取り組んでおります。現在までに育成いたしました品種の数は千十六品種に達しております。また、このほか都道府県や民間でも多くの品種が育成されているわけでございます。
 これをつくり上げますための育種技術についてでございますが、これにつきましては、従来、主に使ってまいりましたのは交雑の手法でございまして、交雑育種と呼んでおりますが、交雑育種の手法が主でございます。また、それに突然変異を加味する突然変異育種というものも進めておりますけれども、そういったものでいままでは進めてきているわけでございまして、それによって、先ほど申し上げましたように多くの優良品種を育成してきたわけでございます。
 しかし、これから将来に向かいましては、その二つの方法だけではなくて、もっと新しい手法を取り入れていかなければいけないということがございまして、いままでにも満培養でありますとか、あるいは単細胞の培養でありますとかそういったような技術を開発してまいりましたし、また、これからは遺伝子の組みかえ、細胞融合、そういったような革新的な技術を育種に応用する。そういうことについての試験研究を積極的に推進していかなければいけないというふうに考えております。これらの技術に関しましては、最後に申し上げました二つにつきましては今後の問題でございますけれども、その前に申し上げましたような点につきましては、欧米諸国と比較いたしましても、わが国の水準が決して低いものではないというふうに考えておるわけでございます。わが国で育成された品種の一部が海外で栽培され、あるいは育種の素材として活用されているというような現実も非常に多いわけでございまして、育種技術に関しましても、諸外国の水準と同様、あるいはそれらの水準の向上にも役に立っているというふうな状況にあると考えております。
○神田委員 今回、わが国は、一九七八年に作成された国際条約に加盟する、こういうことになっているわけでありますが、条約加盟の具体的なメリットはどういうふうなことでございましょうか。
○小島政府委員 条約加盟いたしました場合のメリットといたしましては、種苗に関する国際的な統一ルールに参加いたすわけでございますので、これによりまして、わが国の種苗についての国際的な信用というものが高まるという点が第一点でございます。
 それから、品種とか種苗の交流が高まるということによりまして、わが国におきましても外国からいいものを導入いたしましてこれを利用する、ないしはこれを土台にいたしまして新しい品種をつくり出すということが可能になるわけでございまして、わが国の農業の発展に寄与するところが大であると同時に、また、わが国もわが国内でつくり出しました品種あるいは種苗というものを海外に提供いたしまして、これによって世界全体の農業の振興に貢献できる、こういうメリットがあろうかと思います。
 また第三に、この条約機構におきましては、各国の品種登録ないしはその他種苗に関する情報収集並びに調査活動を行っておりますので、これに加盟することによりまして世界各国の情報を入手できる、あるいは日本もそういうことを通じて日本の制度あるいは品種の状況を海外に紹介できる、こういうメリットがあろうかと存じます。
○神田委員 この条約の加盟の目的の一つであります種苗の国際交流という問題があるわけでありますが、国際交流の問題について現況はどういうふうになっておられますか。
○小島政府委員 国際的な交流は、品種の交流の問題と種苗の交流の問題があるわけでございますが、品種の交流に関して申し上げますならば、わが国で育成されました品種が外国に出願されたケースといたしまして、私ども、全部を承知しているわけではございませんが、六件ほどのものがあるように承知いたしております。また、外国からの導入品種という点になりますと、三十数種類の該当があるようでございますが、実際には外国人名義での出願ではございませんで、育成者から日本人が特定承継を受けまして日本人の名前で出願されておる、そういうものがあるようでございます。
 それから、その種苗の国際交流ということになりますと、これは種苗の輸出入というかっこうで行われておるわけでございますが、わが国が現在輸出しておりますものは、昨年の統計で約六十三億円、逆にわが国が輸入しておりますものが総額で約百二億円、こういう状況でございます。物別に眺めてまいりますと、日本から輸出をいたしておりますものは野菜の種子が約三十億円で、これが圧倒的な比率を占めておりまして、次いで果樹等の苗木、穂木のたぐいが十四億、それからユリ、チューリップ等の球根類が八億、花卉の種子が約八億、その他繁殖用の種子が約三億円となっております。
 逆に輸入について見ますと、最大のものはわが国で採種がなかなかむずかしい飼料作物用の種子が三十六億円、それからトウモロコシ等の作物種子が約二十四億円、野菜の種子が二十三億円、キーウィフルーツ等の苗木、穂木類が約九億円、それから球根類が約五億円、てん菜種子が約四億円ということになっております。
 輸出入先で眺めてまいりますと、アメリカ、EC、さらには東南アジア諸国、こういったものが主なところでございます。
○神田委員 育種問題については、官民一体の育種の振興ということがきわめて大事なことでありますが、大臣にお尋ねいたしますが、育種振興の方策として、官民一体の育種の振興ということについてどういうふうにお考えでございますか。
○田澤国務大臣 優良品種の育成をするための基本としては、作物育種基本計画を国がまず立ててまいりまして、国として育種法の研究、あるいは遺伝資源の収集あるいは保存及び新しい品種の育成を、国の専門試験研究機関あるいはまた地方の農事試験場あるいは都道府県に委託して指定試験を行っていくということが第一でございますし、そのほか野菜だとか花卉だとか果樹等のいわゆる商業ベースでのいろいろなデータ等を、民間に対応して助成を行っているというようなことでございまして、今後とも、やはり国あるいは公共機関と民間と密接な連携をとって、優良品種の育成に努めてまいるということでございます。
○神田委員 続きまして、果樹、野菜等園芸作物の優秀品種の種苗供給体制の確立が非常に大事であるわけでありますが、これらについてはどういうふうな形でこれをなさろうとしているのか。つまり、体系的施策がまだ講じられていないという状況もあるようでありますが、その点はいかがでありますか。
○小島政府委員 御指摘がございました果樹、野菜等の園芸作物の種苗の供給体制ということにつきましては、種苗法の中におきましては指定種苗という制度がございまして、これらのものにつきましては一定の表示を義務づけまして国が随時検査をする。検査の結果によりまして、表示と内容とが不一致のものがございますれば表示を変更させる、あるいはその販売を停止するという措置が講じられております。
 そのほかに、種苗業者、生産者が遵守すべき種苗の生産、流通等に関する基準を政府が定めることになっておりまして、これに違反しているものについては勧告、公表というふうな制度があるわけでございます。
 そういったものが一般的な制度でございますが、そのほかに行政的な施策といたしまして、良質、健全な種苗が流通されますような行政的な施策を幾つか講じておるわけでございます。特に、果樹の場合には永年性作物であるという特徴がございますので、導入段階において病害に冒されているようなものが供給されるということになりますと、なかなかすぐにはわからなくて、いよいよ成木した段階で問題になってくるわけでございますので、特に、導入段階における種苗選定というのが大事であると考えておるわけでございます。その意味で、従来から各県が必要に応じまして母樹園等を設置いたしまして、また、ウイルス検定等も実施いたしまして、種苗の導入を図っておるわけでございます。また、その品種の選定につきましても、地域性、経済性等を配慮いたしまして、奨励品種を決定いたしまして、その奨励品種をできるだけその地域に入れていくというような指導をやっておるわけでございます。そのほかに、五十七年度の新しい仕事といたしまして、新品種適正普及促進事業ということで新しく登録になりました品種の栽培適性等をできるだけ情報を集めまして、その情報を品種情報として利用者に活用を願う、こういう対策も講じてまいるつもりでございます。
 それから、野菜関係につきましては、御承知のように、原原種、原種あるいは販売用の種子の生産、流通というのが主として民間の業者に任せられておるわけでございます。しかしながら、その種苗業者の育種、採種事業に対しまして、試験場等が収集育成した育種素材を提供するなどいたしまして、民間の育種や採種活動に対して便宜を与えておるわけでございますが、そのほかに、食品流通局の方の予算上の措置、野菜の優良種苗の生産安定対策、あるいは作柄安定の総合対策というふうなものの中におきまして、それぞれの産地の立地条件に適応した品種の選定、調査、あるいは都道府県の試験場などで育成されました優良な品種の種苗の供給、栄養繁殖野菜、これはイチゴとかニンニクなどでございますが、そういうものの無菌の苗を生産配布するというふうな仕事をやっておりまして、できるだけいいものが農家の手に渡るようにそれぞれ努めているところでございます。
○神田委員 果樹につきましてちょっと……。
 果樹一般等でウイルス病等が発生した場合に、手当ての問題で民間は体制的に非常におくれているというふうに感じているわけでありますが、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
○小島政府委員 植物のウイルス病対策といたしましては、何といっても健全な母樹を確保いたしまして、それから採取した穂木を用いて繁殖を行うということが基本でございます。植栽後において感染するという種類もございますけれども、大部分のものは穂木の段階で親からウイルスをもらっている、こういうケースが多いわけでございます。そういう意味におきまして、都道府県が育成管理しております母樹につきましては、植物防疫所がウイルス病の検定を行いまして、あわせて都道府県段階におけるウイルスの無毒化施設の整備、それから農業協同組合連合会においてウイルスの汚染防止管理施設――都道府県段階におきます無毒化施設と申しますのは、ある程度高温状態で栽培することによってウイルスを死滅させるという施設でございます。農業団体のやっておりますことは、せっかく健全に育ちました苗が汚染されないようにするための施設でございます。そういったものの設置助成を通じまして、健全な苗木の安定供給に努めておるわけでございます。
 さらに、一般圃場段階になりますと、適切な防除を行いますためには、ウイルスにかかっているかどうかという診断が第一なわけでございまして、全国段階におきまして抗血清の一括作製配布というふうな仕事をやっておりまして、この血清を使いまして、県段階における指導や防除の指導体制が適切に行われるように努めておるところでございます。それから、ウイルスにつきましては海外から輸入されます苗木が問題になるわけでございまして、植物防疫所におきましては輸入苗木について一定期間隔離圃場でウイルス病の検定を実施するということをいたしておりまして、この結果を眺めてみますと、種類によりましては非常にウイルスに罹病している苗木が多いのでございます。そういったものについては抜き取り除去いたしまして、健全なものが出回るように努めておるところでございます。
○神田委員 次に、育種の問題で、育種の場合はやはり大体が国などの公共機関に集中している。そこで、国及び県などの公共機関が行う試験研究については、もっと拡充してこれを利用させてくれというような民間の希望等も多いようですし、全般的に育種体制の整備強化ということについてどういうふうなお考えをお持ちになりますか。
○岸政府委員 農作物の育種は農業の振興上大変重要なものでございまして、御指摘いただきましたように国だけでなくて都道府県の育種の体制というのも非常に重要であるというふうに考えております。先ほど大臣からお答え申し上げましたように、私ども農林水産省におきましては、昭和五十年の九月でございますか、作物育種基本計画というものを策定いたしました。この中で、全国的にどういう体制でもって長期にわたって作物の育種を行っていくかということを定めておりますが、御案内のように育種の場合には最も重要なことは、ある目的に向かって育種を始めたものが必ず目標に達するまで流れを切らすことなく研究を続行するということでございまして、それはあるときに始めたものを途中で何かのことでとぎらせてしまうということがありますと、せっかく始めたものもなかなか成果が上がらない、ほかのところにも波及してしまうというようなことがありますために、この育種に関しましては特にこういう基本計画を定めまして、その中でどこの試験場では何を中心にして育種を進めていくか、またどこの都道府県では主に何を対象にして試験研究を進めていくかというようなことを定めておるわけでございまして、現在もまた、将来ともその基本計画の大きな枠組みに従って進め、また、それに必要な整備を行うように努力をしていくというふうにいたしたいと考えております。将来的に見ますと、先ほども申し上げましたように単にいままで行ってまいりました育種技術を活用するだけではなくて、新しい育種技術も取り入れていかなければいけませんので、今後はその革新的な育種技術を発展させるような、そういう研究体制の整備に大きく目を向けて努力を重ねていきたい、そんなふうに考えておるわけでございます。
○神田委員 最近、研究の進歩が伝えられております細胞融合技術及び遺伝子組みかえ技術について、日本の開発状況とそれに対する政府の対応というものについてお聞かせをいただきたいと思います。
○岸政府委員 御指摘の細胞融合あるいは遺伝子の組みかえといったようなものについての研究の状況でございますが、この両方ともまだ技術としては十分にでき上がったものではございませんで、研究に取りかかった段階のものでございます。これが技術として育種の中に十分に生かされるというのはまだかなりの年月がかかると考えておりますが、ただ、将来を考えました場合に、この両方の技術とも大変重要な意味を持っておるというふうに考えておりまして、私ども、この細胞融合の点につきましては、昭和五十七年度から五カ年計画で「細胞融合核移植による新生物資源の開発」という課題名でプロジェクト研究を組んでおりまして、これからその研究に取りかかろうとしているわけでございます。
 それからもう一方の組みかえDNA、遺伝子組みかえの研究でございますが、これにつきましてはいま申し上げました細胞融合の技術よりもさらに基礎的なものでございまして、現在、科学技術振興調整費によりまして各省庁共同の基礎技術の開発を実施中でございます。
 なお、このDNAの組みかえにつきましては、農水省における組みかえDNA研究の推進に関する研究会というものを設置をいたしまして、その中で農林水産省としての研究推進の基本的な考え方、組織体制、そういったものについて検討を進めているわけでありまして、今後その検討結果を踏まえまして、組織的で、かつ強力な推進体制の確立を図っていきたい、そういうふうに考えております。
○神田委員 わが国におきまして育種技術はかなり進歩していると言われておりますが、その反面、育種素材の不足というものが大変問題になってくるだろう、こういうふうに言われております。そこで、育種素材の収集の現状と今後の対応、さらにこれに対する民間開放の要求についてはどういうふうに考えているか、その点をお聞かせ願います。
○岸政府委員 作物の遺伝的な形質を改善して新しい形質を持った品種をつくるという場合に、そのもとになる遺伝資源が非常に重要だということは御指摘のとおりでございまして、私どもその遺伝資源の収集には従来から非常に大きな精力を注いでまいりました。特に、わが国では国土が狭いとかあるいは気候的な原因等もございまして、十分な遺伝資源に恵まれているとは言えないわけでございます。したがいまして、その遺伝資源の収集のためには外国からの収集、導入というものを図らなければいけないわけでございまして、そのために従来から海外の遺伝資源が豊富にある地域に研究者を短期間駐在させて導入を図る、あるいは海外との技術交流の機会を通じてそういった遺伝資源を導入するといったようなことを講じてきているわけでございます。
 昭和五十七年度からは、新たに世界的にも遺伝資源の宝庫といわれております中国の雲南省との間で共同研究の計画を持っておりまして、この共同研究は単に遺伝資源を導入するということだけではございませんが、双方で共同して研究をいたしまして遺伝資源の探索を図り、また、その探索によって得られたものを両方で共同して研究することによって品種に育て上げるための研究を行っていく。その過程で、わが国が欲しいようなものもいただくこともできるだろうというようなことを考えております。
 これらの国が探索収集いたしました育種素材につきましては、現在農林水産省関係の試験研究機関におきましてしっかりした施設の中で保存をいたし、またその保存したものを必要なところに分ける体制を持っておりますが、民間等の育種機関から配付の依頼があった場合には、その使用目的が育種に利用され、かつ適切な計画に基づくものと判断された場合にはこれを民間にも配付し、育種の発展に役立てるというふうに措置しているところでございます。
○神田委員 終わります。
○羽田委員長 神田君の質疑はこれにて終わります。
 寺前巖君。
○寺前委員 先ほどからいろいろ質問がありまして、私もずいぶん勉強になりました。私も加えて四、五点についてお聞きしたいと思います。
 まず最初に、この種苗法の改正ですが、植物の新品種の保護に関する国際条約への加盟に当たって、条約に合わせた技術的な整備を行うものであって、この改正とさらに条約加盟によって新品種の保護という面での国際的ルールへの対応ができ上がるということになると、優秀な新品種や育種素材の海外からの導入がより円滑に行われ、国内の育種水準の向上に役立つという点では、私は、非常に重要な性格を持つものだというふうに思っております。しかし、問題は、品種開発の権利保護が整備されることにあわせて、種苗の生産、流通体制の整備が行われなかったならば、農民にとってメリットがあるというふうには言えないと思います。
 そこで、私もつけ焼き刃的な勉強でまことに恐縮なんでございますが、この間「食料政策研究」という本のことしの第二号というのですか、それを見ていると前種苗課長の松延さんという方が「種苗に係る産業と貿易の現状と展望」をお書きになっていました。一昨年の十一月にどこかでお話しになったようです。一年余りたってきていますから、内容的にも大いに発展があるだろうと思いますが、非常に参考になるお話をされておりましたので、この中から私が気づいた幾つかの点をその後の発展として聞いてみたいと思ったわけです。
 一つは、種苗の国際貿易を促進させるためにOECDでは種子品種証明制度を、牧草、穀物、林木、てん菜、野菜、トウモロコシなどについて決めておられるようです。ここにはOECDの加盟国に限らず非加盟国も参加して積極的な役割りをしているようなんですが、見てみると、日本の加盟しているのは牧草だけになっているわけです。OECDが種子品種証明制度をつくっている役割りを、世界各国の加盟、非加盟国を問わず、こうやって参加していることを見ると、きわめて重要な意義があるからやっているんだろうと思うのです。ところが、日本は牧草だけしか入っていない。この種子品種証明制度の持っている意義を日本政府としてどういうふうに見ておられるのか、今後、これの問題をどう評価して対応しようとしておられるのかちょっとお聞きしたいと思うのです。
○小島政府委員 OECDがやっております仕事の中に、いま御指摘のございました種子の証明制度がございますが、この証明制度は優良な品質の種子の使用を推進するとともに、国際間の種子の流通を円滑にするという目的を持って行われておるものでございまして、この規則に準拠いたしまして生産され公的機関の検査を受けた種子については、OECDの種子証明書及びラベルを発行いたしましてこの品質を国際的に保証する、こういう性格を持っておるわけでございます。御指摘のように六種類の農林植物の種子について設けられておるわけでございます。
 問題は、こういうふうな種子についての国際証明の機構の中に、日本が入るべきか入らざるべきかということになるわけでございますけれども、この証明制度は、これに加入することによって日本も相手国も輸出入に当たって品質の保証が得られるという意味において、非常に便利であるというものについて加盟をいたしておるわけでございます。そのほかの交流のあります種子、たとえば、野菜なら野菜で申しますと、日本が輸出しております先、これはアメリカとか東南アジアが主でございますが、日本の輸出先の国はいずれもこれに加盟をいたしておりませんし、また、日本が輸入をいたしております国、これもアメリカなどが主でございますが、そういう意味でも輸出国、輸入国ともに加盟の事実がない。そういたしますと、日本だけが加盟することによって格別メリットになるものがない、こういう意味で現時点において加盟が行われていない。牧草種子の場合には日本は大量な輸入をいたしておりますので、また、その輸出国であるアメリカも加盟しておりますので、日米双方ともこれによる利益がある、こういう意味で加盟をいたしているというものでございます。
○寺前委員 相手国が入っているからこっちも入っているんだ、入っていなければ入らないということではどうも積極的に意義を検討しておられないように思えて仕方がないのですが、もうひとつ解しかねると私は思うのです。それでは、まさに局長さんがおっしゃったようなこと自身がこの文章の中にも出てくるのですね。日本の国はこういう問題について余りにもおくれているということが指摘してあるのです。そういう国際的な感覚から非常にずれている、非常におくれているのだ、いまの局長さんの話を聞いているとまさに御指摘どおりのことに聞こえてくるわけなんです。
 先ほどから説明ありましたように、牧草種子はほとんど輸入になっている。若干日本のものがあるけれども、それも二〇%程度が海外へ持っていって契約栽培して持って帰ってくるという形で存在している。こういうふうに考えてみると、日本の牧草というのが全部日本の土地を離れたところで求められているわけですね。そこでこういうふうに、OECDできちんとした種子品種証明制度によって向こうから入ってくるわけですね。ところがいまの話、向こうが入っているからこっちも入っているんだという程度だからかどうか知らないけれども、加盟していることに対して、証明書自身が非常に重要なものだという取り扱いになっていないということで、飼料作物種子協会の幹部の方が批判しているという内容がここに書かれているわけなんです。ですから、そういう点では、私は、日本政府の態度自身にこの問題について再検討が迫られているのではないだろうかと感じられて仕方がないのです。ですから、この文書が出されたのが一昨年の暮れですから、その後、具体的にいろいろ牧草の問題においても対応策を研究されたと思うのです。研究しておられるのか、研究されなかったのか、これは僕はこの文書から見ての話ですから、お伺いしたいと思うのです。
○石川(弘)政府委員 牧草の種子につきましては、先生おっしゃいましたように、私どものいわゆる種畜牧場、これは長野とかあるいは十勝とかあるいは熊本といった種畜牧場で、国内の条件に適しました増殖用の元種をつくりまして、これにつきまして、これ以外にも二つ、三つの民間のがございますが、そういう元種は国内でつくれるわけでございますが、実は、それを相当程度ふやさなければいかぬわけですが、これを採種いたします場合に、どうしても日本の現在置かれております事情、これは特に開花期から収穫期にかけまして雨が大変多くて、なかなか種を効率的にとれないとか、あるいは圃場を隔離してやりますものですから、なかなかそういう効率的な種子採種ができないということで、結果的に申しますと、この種自身は農家にとって生産資材でございますので、極力効率のいい採種をいたしませんと農民に負担が重くなるということがございます。したがいまして、いま申し上げましたようなそういう増殖用の元種を相当程度努力してつくりますが、これを採種いたしますのは、先ほど先生も御指摘のように、OECDの牧草種子の証明制度というものを活用いたしまして、外国の適地で契約採種するというのが約一七、八%、一七%台ぐらいがそれで行われるわけでございます。それ以外のものにつきましては、向こうの方でつくりましたものをそのまま入れているというのが現状でございます。
 したがいまして、牧草種子に関しましては、そういうOECDの証明制度で確実に品種、あるいはその品種の特性が完全にあるかどうかとか、あるいは純度の検定といったような、まじりものがないかどうか、そういうものを確かめておりまして、そういうものが非常に信用されまして、国内で安心して農家の方に使っていただけるということでございますので、このOECDの牧草種子の証明制度というものはかなり円滑に動いているのではなかろうかと思っております。
○寺前委員 ちょっと紹介しましょうか、どういうことを言っておられるか。
  わが国が加盟する唯一の制度「牧草及び油糧種子のOECD品種証明スキーム」については、酪農の生産者団体等の強力な働きかけがあり、わが国は一九六七年に加盟して既に十四年も経過している。この長年にわたる牧草種子に係るOECDスキームの経験等から、日本飼料作物種子協会桜井重平会長は、OECDルールの意義と役割さらにはわが国において、国内の公的証明制度が存在していないこととその影響等と詳細に説いておられる。わが国の牧草種子の消費量は、年間約一万トンだが、大半が外国産であって一割にもみたないものが、日本の公約機関や民間育成機関で育成された品種を海外増殖したものである。特に昭和五十年からこの桜井協会が一元的に種子の海外増殖をおこなうこととなっている。欧米の種子法等の規定、実態からみて「品種の価値を認めると品種保証制度が非常に重要なものになってき、ヨーロッパ、カナダ等では、種子法によって牧草その他定められた種類のものの種子は保証種子でなければ品種名をつけて売買することを禁じられている。わが国は牧草品種についての考え方が後進的であって、法律にもとずく品種保証制度はいまだにない。海外増殖のための必要性から、OECDの牧草品種証明制度には加盟して、かろうじて海外での種子増殖での品種維持が守られているが、国内に入ると法的には野放しであり、販売者の自主にまかされている状態にある」。といわれる。
  そこでこの問題を判断するにあたってはこのような国内流通の牧草種子には欧米と違って法的規整が全く存在しないことの結果が、どのように飼料作物の収量なり土地生産性、畜産経営に影響をもたらしているかが問題である。これについては、わが国の実際のデータが十分にはないようであるが、考え方には、ごく大きく分けて二つあるようである。
以下云々と、こういろいろ指摘をしているのです。
 だから、せっかくここまで加盟しているところの問題においても、われわれの認識の程度が浅いということを外国から学んでいるということを指摘しておられるのですから、私はこういう問題について、種子について国際条約に加盟して新たな段階になってきているだけに、もっと一層具体的に検討してもらう必要があるのじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 これは後で大臣、一括してこのことに対する見解もお聞きするとして、次に、先ほど、相手国との関係でという形で局長さんが説明なさいましたから、OECDのこの問題について関係して、ECの問題について聞きたいと思うのです。
 EC向けの野菜種子の輸出というのをやっているわけです。国際ルールの対応はすでに現実の要請となって、EC向けの輸出についてEC委員会の方から、野菜種子管理制度と同等の種子管理を実施するよう前々から要求してきているということについてもこの文章の中に出てくるわけなんですね。一体、向こうの申し入れに対してどういう対応を今日までとってきておられるのか、これからどういうことになろうとしているのか説明をしていただきたいと思います。
○小島政府委員 最初に、ECの域内で設けられておりますところの野菜の統一的なルールの内容をちょっと申し上げたいと存じますが、これにはEC諸国の域内で販売される野菜種子につきまして、ECの共通品種カタログに記載された品種でなければならぬ、同時に、公的検査を受けた種子のみの流通を認める、こういうのが制度の骨格でございます。域外から輸入される種子についても同様の規制を行っておるわけでございます。
 ただ、その実態を眺めてみますと、こういう種子の管理制度は三段階ございまして、基礎種子、証明種子、標準種子、こう三段階あるわけでございまして、基礎種子は公的機関により栽植場のすべてを検査いたします。それから証明種子については、公的機関によって栽植場の最低二割の抽出検査を行う。それから標準種子につきましては原則として栽植場の検査を行いませんで、一定量の販売種子の保存が義務づけられており、問題が起こった場合にその保存しておりました種子を調べて、種に原因があったかどうかを究明する。こういう制度でございまして、現実には基礎種子、証明種子は、日本で申します原原種ないしは原種に相当するものでございまして、流通しております種子の九九%は標準種子である、こういう制度になっておるわけでございます。
 それで、わが国からEC諸国に輸出をいたしております野菜の種子は、大体品質のよい交配種が中心でございまして、輸入国側からの強い願望もございまして、これまでこの制度の適用除外ということになってきておったわけでございます。ところが、五十二年にこういった例外条項というのは延長できないというふうな意向がECから示されまして、その後二回にわたって延長が認められたのでございますが、ことしの六月以降は従来どおりの例外条項は適用できない、こういうことに相なったわけでございます。
 そこで、私どもも、そのECの扱いをよく調べてみました結果、冒頭に申し上げましたようなことでございますので、それならば、わが国におきましても行政措置によりまして、ECの標準種子と同じようなことを輸出種子については行うことを約束できるということになりまして、標準種子同様に輸出に向けられます野菜種子につきましては、一定量を保存いたしまして、後日もし何らかの問題があった場合には、日本国政府においてそれを調べるということによって、EC諸国と同じような種子の品質保証をする、こういうことによって、今年六月以降もこれまでと同じように輸出が続けられる見込みでございます。
○寺前委員 それで、さっきもOECDの話をしました。また、いまのECの向こう側の要求もあります。これらの事実を全体として見ますときに、種子の国際化という段階に今日なったときに、日本の行政体制の立ちおくれということが国際的にも非常に目立つようです。そのことを指摘もしておられます。
 ヨーロッパやアメリカにおける種苗の生産流通規則の厳格さ、これはいいか悪いかは別にしても、いずれにしてもヨーロッパやアメリカなどでは、品種系統のはっきりした優良な種苗の適正な生産流通の整備を図るという生産流通規則の規定を持っています。その象徴として、種苗業者の圃場や工場等関係施設への立入調査権という問題が国内の法規制として出されているようです。欧米がこの点で日本は全く無規制だという批判をしているのが文章に出てくるわけですね。このことは、単に貿易上の問題というだけではなくして、種苗の利用者たる国内の農家保護という面から見ても非常に重要な問題じゃないか。一方で種をつくっていく側に対する権利保護をやっていく、同時に、それを買わされる農民に対するところの責任という問題が出てくるということを考えたときに、この日本の立入調査権が明確にされていないということが国際的に指摘されているという問題は非常に重要な問題だと思うのですね。これについて一体どういうふうなお考えをお持ちなのか、どういう対応をこれから考えていかれるのか、御説明いただきたいと思います。
○小島政府委員 これはECの野菜の種子の管理制度とわが国の流通種子についての取り締まりの体系といすれが厳しいかということになりますと、ECの統一規則も、実態は九九%が問題が起こった場合の事後検査というのが実情でございます。それに引きかえましてわが国は、現在の種苗法の三条におきまして、指定種苗については一定の事項の表示を義務づけておりまして、また、検査の結果、表示が適当でない、内容と合わないという場合には、表示の改善ないしは販売停止を命ずるという制度があるわけでございます。そのほかに、種苗の生産者あるいは種苗業者が遵守すべき基準を農林大臣が定めることになっておりまして、これに違反しております者については勧告、公表という制度もあるわけでございます。
 したがいまして、EC諸国とわが国と種苗の流通取り締まりについて一概にどちらが厳しいということは言いかねるような状況でございます。向こうの方は問題がありました場合の立入検査、わが方は問題があろうがなかろうが無関係に、流通の種子について一般的な監督権を持っている、こういうことでございますので、厳しさの程度からいえば、必ずしもECに劣るものではないと私どもは思っておるわけでございます。ただ、EC向けの輸出というふうな具体的な事例におきまして、ECがとっておりますのと同じようなことを求められたがゆえに、行政的な手法によりましてECの要求を満足させるような体制をとった、こういうことなわけでございます。
 しかしながら、現在の制度自体が一番いいんだということまで私ども申し上げるつもりはないわけでございまして、農産種苗法以来とってまいりました現在の指定種苗制度、さらには、それに対して五十三年の改正で若干の規定を追加いたしておりますけれども、こういう伝統的な手法を軸にしながら、今後の種苗全体の世界の動静というものに対しましても十分目を開きまして、今後勉強いたしたいと考えております。
○寺前委員 次に、輸出入の状況が先ほど説明がありました。五十六年度の輸出は六十二億九千五百万円で、輸入が百一億五千八百万円ですから、約四十億円の輸入超過だ。特に、輸入では飼料作物の種子が三十六億四千八百万円でトップで、輸入先はアメリカが八割だ。確かに牧草などの場合、通気とか自然条件上の問題はあります。それから、農業生産の最も基本的な資材である種子の海外依存ですから、食糧生産の安定性という点から考えて、海外に採種を依存しておるという場合には、将来にわたって非常に重要な意味を持ってくると思うのです。また、日本が東南アジアなどへ行って種子をまいて逆輸入して採種をやるという問題も起こってくるわけですが、そういうふうにして日本の種子というものが海外に依存していくという役割りをしていったならば、その海外で気象条件の変化が生まれたり、あるいはトラブルが生まれたり、あるいは病虫害が発生した場合に、海外にだけ依存している場合には日本にとっては大変なことになるだろうという問題についても研究する必要がある。そういうことから考えたら、種子の国際化が進んでいく中でやはり国内におけるところの種子の保存、維持というのですか、その分野の研究というものをもっと日本の土壌に合った中でやっていくという積極策を打っていくべきだと思うのですが、この点はどういうことになっているか、御説明をいただきたいと思います。
○小島政府委員 御指摘ございましたように、わが国が海外に依存しております種苗は、飼料作物のように気象条件が採種に不適なために採種効率が非常に低い、したがって、安い種子供給ということになりますと海外に委託し、ないしは海外から輸入せざるを得ないといったものやら、レタス、ホウレンソウ、インゲン豆等の日照時間の長さの関係で国内採種が困難なもの、そういったものが中心であるわけでございます。もちろん、そういったものの中にも今後、育種が進む段階においてわが国でも採種ができるというものができてまいりましょうし、またその採種の技術自体も大いに前進していくべきものであろうと考えておるわけでございます。
 そういったことで、当面必要なものについては海外からの輸入ないしは委託生産という形をとりながら、基本的には日本の農業生産のいわば軸になる資材でございますから、できるだけ国産のものを増強していくという方針で対応してまいるつもりでございます。
○寺前委員 それで、できるだけ日本でと言葉ではそういうことになるのですが、実践的にもやはりいろいろ研究してもらう必要があるだろう。私、先般筑波の農技研の生理遺伝部種子貯蔵管理室というところを見てきました。非常にりっぱなところで、装置そのものは、私は国際的にもひけをとらないものだろうというふうに思うのです。向こうでお話を伺いますと、何人かの人がおられましたけれども、研究員は一人だそうですね。それから何点保存できるんだと聞いてみたら、五万点だということですね。現在、もう三万点保存している。主として稲を中心とするところの穀物ですね、その分野の保存をしてある。施設そのものは非常にりっぱだけれども、国際的に見てどうなんだと、もっとこれが国際化してくるという段階になってきたときに、この施設で量的にどうなんだろうか、あるいは、日本の研究者が全国各地におられる、だからそのセンターとしての役割りを果たそうと思ったら、もっとコンピューター化を強め、研究家自身を向こうにもっと配置して、そしてタイアップするようにやっていかないと、あっちにもおります、こっちにもおります、材料はここにありますというだけでは、やはり機能的にはだめなんじゃないだろうか。アメリカやその他の国はどういうことになっているんだろうかと言うたら、もっと機能的に有効にするように、集中ももっとりっぱにされている。二十万点から保存されているようになっている。だから、そういう点では、考え方としては世界に類のないほどりっぱなものがあるけれども、そういうもう一段と発展させたものにすべきではないかという私の意見に対しまして、向こうの方も、それはそうなんだという話をしておられたわけですが、その点について、これは技術会議の方になるのでしょう。どういうふうにお考えになり、どういうふうに進めておられるのか、お聞きしたいと思います。
○岸政府委員 先生にごらんいただきました農業技術研究所の遺伝資源種子貯蔵庫は、ごらんいただきましたような状態でございます。現に三万点のものを貯蔵いたしておりまして、システムそのもの、あるいは現在貯蔵しておりますものの利用の状況、そういったものにつきましては、世界的に見ましてもそうひけをとるものではないと自信を持っておるわけでございますが、ただ、何分にも遺伝資源の保存しております量ということからいきますと、これはアメリカあるいはソ連等に比べまして、必ずしも十分ではございませんで、アメリカなどに比べますと、まだ半分よりも下というような状況でございますが、今後、この遺伝資源の保存あるいはさらに積極的に外からも導入するというようなことにつきましては、非常に重要なことでございますので、今後も現在の努力をさらに続けていきますとともに、施設の整備あるいは実際にそれを運用するための組織体制、そういったものの整備についても一層進めるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○寺前委員 最後に、先ほどからの質問を総合的に大臣にお答えをいただきたいのと同時に、欧米において植物の品種保護制度というものができ上がったことが一体どういう役割りをしているのかということについて、いろいろな文書を読みますと、積極的に民間の品種改良事業というものを発展させたということが共通してどの文書にも出てくるわけですね。英国の場合は、十五年前は民間の品種改良事業はほとんどなかった。この制度ができたおかげで、公的研究機関だけでなくして、穀物の品種改良を、麦、大豆、飼料作物、園芸など諸分野にわたって民間の品種改良事業が展開されるようになったということが指摘されております。そして、最も活発に品種改良をやっている一つに、有名なシェルという石油会社が出てくるというふうにもなってきておるわけです。アメリカの場合を見ても、品種改良制度の創設以来、穀物、飼料作物、大豆など、従来官庁育種事業しかなかった分野に、農薬とか医薬工業とか石油化学工業とか穀物大商社などが、さらに食品産業が、莫大な資金力をもってこれに参加してくるようになってきた。穀物メジャーのナンバーワンのカーギル社が、交配種の分野で、研究開発に恐るべき力を発揮するようになってくるというふうにして、食用小麦の開発に力を入れ始めておる。こうやって、だんだん食糧戦略の一環として種子産業というものが世界的な規模に発展をしていくという事態が一方で生まれてくるわけです。最近「巨大穀物商社」という本が出ておりますけれども、その中に、世界の農民が穀物商社を必要としているのは、自分たちの穀物を売ってもらうばかりではなくして、自分たちに穀物の種を売ってもらうためでもある、というふうに、国際的にも高度に集中し、握られていくという事態になっていっているということを書いていますけれども、こういう点から考えてくると、私は、非常に積極的な品種改良の役割りをこの保護制度自身は持つようになってきているけれども、しかし、同時に、そのことによって、農業にとって一番基本の種子を握られることによって、今度はそれぞれの国の独立性を奪われていくという問題にまでこれは発展しかねない性格を持ってくるんじゃないか。そういうことも一方で、条約に加盟をするということとあわせて考えておかなければならない問題ではないか。そういう将来展望について、大臣として、一方ではおくれている分野について、一方ではそういう将来の問題について、御検討をどういうようにされておられるのかお伺いして、終わりたいと思います。
○田澤国務大臣 今回の条約加盟によりまして、種苗に関する国際的な統一ルールに参加することによってわが国の国際的な信頼が高まる。このことによって、やはり日本の農業の振興につながり、また、また、わが国の育種の促進が同時に国際農業の振興にも役立つというようなことで、私たちは、この種苗を通じて大きな役割りを果たしてまいることになろうと思うのでございます。ただ、いま御指摘のように、やはり種苗の持つ、いわゆる自主性といいましょうか、独立国としての位置づけというものは、今後私たちは十分考えていかなければならない問題だと思いますので、今後、御指摘のような点は十分配慮しながら、十分検討しながら、この種苗の問題に対して積極的に取り組んでまいりたい、かように考えます。
○寺前委員 どうもありがとうございました。
○羽田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 種苗法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 この際、本案に対し、渡辺省一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。小川国彦君。
○小川(国)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本制度が国内における育種の振興と農業生産の向上等に果たす役割の重要性にかんがみ、本法の施行に当たつては、制度の円滑な運用が図られるよう左記事項の実現に努めること。
        記
 一 植物の新品種の保護に関する国際条約へ加盟するに当たつては、その制度の周知徹底を図る等種苗の国際交流の円滑化に努めること。
 二 登録品種が増加していることにかんがみ、農業者の品種選定が適切に行われるよう必要に応じ優秀な新品種の普及・奨励に努めること。
 三 優秀な新品種の育成を推進するため、育種素材としての遺伝資源の収集・保存等試験研究体制の充実に努めること。
  四 良質な種苗の生産、流通に資するため、指定種苗の生産等に関する基準の適正な運用及び種苗検査の厳正な実施に当たること。
   右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 渡辺省一君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上、善処するよう努力いたしてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
○羽田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○羽田委員長 次回は、明二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十二分散会