第096回国会 予算委員会第三分科会 第3号
昭和五十七年三月一日(月曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席分科員
   主 査 海部 俊樹君
      上村千一郎君    亀井 善之君
     小宮山重四郎君    橋本龍太郎君
      藤本 孝雄君    大原  亨君
      沢田  広君    野坂 浩賢君
      長田 武士君    草川 昭三君
      木下敬之助君    小渕 正義君
      瀬崎 博義君    辻  第一君
   兼務 井上  泉君 兼務 岡田 利春君
   兼務 小林  進君 兼務 米沢  隆君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 森下 元晴君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      工藤 敦夫君
        厚生大臣官房総
        務審議官    正木  馨君
        厚生大臣官房審
        議官      吉原 健二君
        厚生大臣官房審
        議官      下村  健君
        厚生大臣官房会
        計課長     坂本 龍彦君
        厚生省公衆衛生
        局長      三浦 大助君
        厚生省医務局長 大谷 藤郎君
        厚生省薬務局長 持永 和見君
        厚生省社会局長 金田 一郎君
        厚生省児童家庭
        局長      幸田 正孝君
        厚生省保険局長 大和田 潔君
        厚生省年金局長 山口新一郎君
        厚生省援護局長 北村 和男君
        社会保険庁年金
        保険部長    小林 功典君
 分科員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    造酒亶十郎君
        法務省民事局第
        五課長     田中 康久君
        法務省入国管理
        局入国審査課長 宮崎  孝君
        外務大臣官房外
        務参事官    藤田 公郎君
        大蔵省主計局主
        計官      篠沢 恭助君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       松田 篤之君
        文部省初等中等
        教育局中学校教
        育課長     福田 昭昌君
        文部省初等中等
        教育局特殊教育
        課長      戸田 成一君
        文化庁文化部国
        語課長     室屋  晃君
        運輸省自動車局
        保障課長    黒野 匡彦君
        建設大臣官房政
        策課長     佐藤 和男君
        日本国有鉄道旅
        客局サービス課
        長       佐野  実君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     沢田  広君
  野坂 浩賢君     土井たか子君
  草川 昭三君     長田 武士君
  木下敬之助君     小渕 正義君
  瀬崎 博義君     辻  第一君
同日
 辞任         補欠選任
  沢田  広君     大原  亨君
  土井たか子君     野坂 浩賢君
  長田 武士君     草川 昭三君
  小渕 正義君     部谷 孝之君
  辻  第一君     瀬崎 博義君
同日
 辞任         補欠選任
  部谷 孝之君     木下敬之助君
同日
 第一分科員井上泉君、小林進君、第四分科員岡
 田利春君及び米沢隆君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十七年度一般会計予算
 昭和五十七年度特別会計予算
 昭和五十七年度政府関係機関予算
 (厚生省所管)
     ――――◇―――――
○海部主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算及び昭和五十七年度政府関係機関予算中厚生省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。
○大原(亨)分科員 最初は、一般健康保険法と老人保健法それから被爆者の医療法、この三つの法律関係について質問をいたしたいと思います。
 いま参議院で継続審議中の老人保健法でまだ十分審議されなかった点でありますが、附則に決めてある老人保健法と原爆被爆者医療法との関係について、関係法文を読み上げてその趣旨をお答えいただきたいと思います。
○吉原政府委員 原爆医療法と老人保健法の関係でございますけれども、老人保健法の附則の第三十四条で原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部改正を行っておりまして、そこで両者の調整を図っているわけでございます。
 従来、原爆の医療と健康保険の関係につきましては、原爆被爆者の一般の医療、かぜでありますとか腹痛でありますとか……(大原(亨)分科員「それは法文にどう書いてあるか、文章にどう書いてあるか、その趣旨は」と呼ぶ)法律にはそうは書いておりません。趣旨がいま申し上げようとしていることでございまして、(大原(亨)分科員「法律に書いてない趣旨か。法律に書いてない趣旨を言っちゃだめよ、あなた」と呼ぶ)法律の趣旨を申し上げているわけでございまして、原爆の医療と健康保険の関係につきましては、一般疾病については健康保険が優先をする、そういう関係に従来あったわけでございまして、老人保健におきましては老人保健法が優先をするということがこの法律の中に書いてあるわけでございます。
○大原(亨)分科員 一般国民健康保険とか政府管掌とか共済組合の短期給付ですが、それとの間においては一般保険が優先する、原爆医療法との関係は優先する、従来こういうふうに規定があったことは承知しております。原爆医療法における一般疾病はなぜ特別な措置をとったのか、その立法の趣旨についてお答えください。
○三浦政府委員 原爆医療法につきまして、原爆症のようなものは全額国庫負担にしておりますが、これは広い意味での国家補償という見地に立ったことだということでございます。
○大原(亨)分科員 一般疾病の法律根拠は。
○三浦政府委員 一般疾病につきましては保険制度が優先いたしまして、残りの部分を国で見る、
 こういうことになっておるわけでございます。
○大原(亨)分科員 なぜそうなったかということを聞いておるんだ。そんなことはだれも聞いてな
 い。私の質問の趣旨を略しているんじゃないか。
○三浦政府委員 かなり以前のことではっきり私わかりませんが、恐らく障害の程度という意味が含まれておるんではないかと思います。
○大原(亨)分科員 みんな出てこい。課長やなんか、わかったやつ出てこい、審議官かなんか。新しい局長じゃわからぬでしょう。昔のことわからぬ、そんな答弁あるか。
 つまり一般保険法を、他法を優先して医療費を賄う、そして残りの三割ないし二割については原爆医療法で賄う、こういうふうになったのはどういう趣旨でなったのか、こういうことを言っているんです。
○三浦政府委員 原爆被爆者対策というのは、広い意味におきます国家補償の見地に立って行うべきものと考えておりますけれども、これは一昨年の基本懇の意見にもありますように、放射線によります健康障害の実態に即応した適切妥当な対策を重点的に講ずるという趣旨でございます。
○大原(亨)分科員 どうも私の質問がよくわからぬらしいんだがね。現在の段階においては七人委員会、基本懇の答申は、広い意味の国家補償に基づいて措置をする、こういう答申である。ただ私が質問いたしておりますのは、一般健康保険の自己負担分について、原爆医療法に基づいて費用を負担をしたのはどういう立法の趣旨であるか、そのことを無視して、いまの吉原審議官のお答えになった老人保健法の附則の三十四条ですか、附則の三十四条はいわゆる提案をされてない、法律に出ていないと私は思うのだけれども、その関係をもう一回繰り返して御答弁ください。
○三浦政府委員 同じ趣旨のことで恐縮でございますが、原爆症のような疾患につきましては広い意味の国家補償の見地に立って救済するわけでございますので、これは全額国庫負担ということでございまして、被爆者の一般疾病と申しますのは、直接原爆放射線の影響を受けない別な一般的な疾病につきましては、これはいろいろ程度の差もございますので、保険優先ということになったわけでございます。
○大原(亨)分科員 そういう答弁が違うと言うんだよ。その答弁が違う。立法の趣旨と違う。原爆医療法ができた趣旨とは違うと私は言っているのです。
 原爆症というのは、あなたは技官だから知っていると思う、白内障、原爆白内障のことだが、白血病とかそれから一定のがんとか、そういうふうな放射線の直接の障害でしょう。一般疾病についてなぜそういう措置をとったかということを私は言っているんだ。昭和三十二年原爆医療法制定当時とったか、それ以降の改正においてとったか。なぜやったかということを言っているのです。だれかわかる人でいいよ。今度は局長はひとつ放免するから。放免といっても帰っちゃいかぬですよ。ほかの人が答弁しなさい。
○三浦政府委員 原爆の放射線によらない病気につきましては、これはもう社会保険優先ということでございますけれども、恐らく病気が長引くとかいろいろな不安感があるということを察しましてそういう制度をとったんだろうと思います。ですから、放射線の直接の影響によりますものにつきましては、これはもう国家補償的な見地に立って全額国庫負担ということになっておるわけでございます。
○大原(亨)分科員 半分ぐらいわかったようだけれども、私どもが議論をして政府が法律をつくるときにやったのはどういうことかというと、私がまとめて言うと、つまり熱線とか爆風とかあるいは放射能、瞬間放射能や残留放射能、そういうふうなものの非常に複合的というか多面的な影響による原爆症、原爆の影響、身体に対する、健康に対する影響、こういうものをいろいろと分析をした結果として、いまお話しのように原爆白内障とか、血液のがんと言われておる白血病とか、あるいは直接のがんとか、一定の病気をしてできたがんとか、そういうふうな直接放射線障害に因果関係のあるものについては、いわゆる認定患者として特別手当も支給するし、根こそぎ医療費を全部国が見る。戦傷病者戦没者遺族等援護法による疾病の場合も、あるいは併発病の場合も――あの場合は併発病だって結核だってみんな陸軍病院や海軍病院でやったものだ。国立病院でやっていた。あるいは他の医療機関でもやっている。それ以外の一般疾病であっても、原爆のそういう複合的な汚染、破壊という健康に対する影響を考慮して、直接因果関係がなくても、その人々の治癒能力が劣っている、つまり一般の疾病を受けても、極端に言えばかぜを引いても、結核になっても、他のいろいろな場合であっても、俗に加齢現象とも言うが、老化が早いということも言うが、そういうふうに造血能力とかあるいは増殖能力とか、これは遺伝的な影響があるかないかいまだ検討中であるけれども、放影研、ABCCで検討中であるけれども、そういうふうな非常に大きな影響があるということで、一般疾病についても治癒能力が劣っておるから一般治療についてはそういう特別の措置をとろう、こういうのが原爆医療法における一般疾病の措置の立法の理由である。
 あなたたちは専門家であるけれども、私が言ったことはわかりますか。
○三浦政府委員 先生のおっしゃることはよくわかります。
○大原(亨)分科員 そこで、そのときの議論は、たしか私はその当時、昭和三十三年に出たんですから、私が出た一年前にできておるのですが、その後ずっと法律が検討になったわけであります。毎年出て検討いたしました。私も出てやりまして、国民健康保険とかその他の一般法との関係において特別法優先の原則で措置すべきである、少なくとも医療だけにおいては特別法優先の原則でやるべきだという点を主張した。
 特別法優先の原則というのは、つまりこれは被爆者の受けた医療費については根っこから国が補償すべきものである、見るべきものである。というのは、広島、長崎において原爆を受けて全国に散在しておられる被爆者の皆さんがあるわけですが、そういうことであっても被爆者に対する治療というのは、そういう治癒能力の欠陥を生じておるというふうな人々に対しても全部の国民が負担をすべきである、一部の市民や県民が負担をすべきではない、こういう原則の議論をいたしたことがあるのであります。
 その結果としてはどういうことになったかというと、特に国民健康保険の場合には、これは調整交付金を出しまして、そしてその自治体の、つまり医療費が無料になっておりますから、受診率も高まる、健康状況も一定の不安を含めて非常に多種多様である、加齢現象、老化現象も早い、こういうふうな一般の通説から、その余分にかかる面については調整交付金で見ていこう、こういうふうになったわけであります。
 それでたしか昭和三十五年ごろから調整交付金が始まったわけでありますが、いま原爆医療法を適用しておることに伴うて調整交付金を出しておる全体の金額についてひとつお答えをいただきた
○大和田政府委員 先生おっしゃいました特別調整交付金の額でございますが、五十五年で約百億支出をしております。
○大原(亨)分科員 広島県、広島市、長崎県、長崎市がわかりますか。
○大和田政府委員 その分類は実はまだ私の手元にございません。全体として百億という数字しかないわけでございますので、調べたいと思います。
○大原(亨)分科員 調べた上で後で答弁してください。
 そこで、老人保健法との関係でありますが、本来から言うなれば戦傷病者戦没者遺族等援護法で、これは昭和二十七年かにできたわけですが、そのいわゆる戦争犠牲者に対する年金の制度もあるが、医療についても直接の疾病や関連疾病については保険より外して国が全部見たわけであります。ですからそのようにはなっていないわけでありますが、自己負担分については原爆医療法で、言うなれば特別法優先の原則で見たわけであります。そして受診率の上昇やそれに伴う医療費の増大分に対しましては、関係自治体に対しまして調整交付金を出した。お話しのようにいま約百億円であります。四つの県市を中心に出されておるわけであります。
 そういう経過をたどっておるわけでありますが、今回の老人保健法を適用するに当たりまして、ここに簡単に附則に文章を入れておったわけであります。私が去年の臨時国会における社会労働委員会において、私はレギュラーじゃありませんが出席いたしまして、冒頭二時間余り質問したことがあります。その質問いたしましたときに保険局長は、調整交付金その他従来と変わっておりません、これは老人保健法が出ることによって原爆医療法の適用あるいは自治体への影響等について変わりはないかと言いましたところが、変わっていませんというふうに答弁いたしておりましたから、私はその附則について深く吟味をしなかったわけであります。これはそのときの答弁は、保険局長は出席しておりましたが、私が言うとおりでしょう。
○大和田政府委員 私の記憶といたしましては、当時、老人保健法が施行されました場合に一体国保の特別調整交付金、つまり老人医療費拠出金について、その場合の特別調整交付金、原爆分はどういうふうになるのかというようなお話であったと思いますが、その場合は国保の特別調整交付金の方で特別の措置を講ずる意向であるということをお答えしたと記憶をいたしております。それは現在でも変わっていないわけであります。
○大原(亨)分科員 つまり調整交付金で措置をすることについては従来どおり、変わりありません、こういう答弁をしていますね。
○大和田政府委員 老人医療費拠出金につきまして、その拠出金が他市町村に比較して多額となる市町村につきまして、これは特別調整交付金で措置をいたしたいということを言っておるわけでございます。
○大原(亨)分科員 それでは質問いたしますが、現在の一般疾病は、私が申し上げましたように、原爆医療法で給付しているのでありますが、老人保健法が成立すると、七十歳以上の者は老人保健法の適用を受ける。七十歳以下は受けないんですよ、七十歳以上が老人保健法の適用を受けるのです。七十歳以下は従来どおり。七十歳以上は老人保健法の適用を受けて、原爆の一般医療費は老人保健法で給付されることになる、これが保健法の附則の三十四条の趣旨であるように思われる。
 老人保健法で、県は五%、市町村は五%の公費負担となる。結果として、被爆者を多く抱える四県市を中心として、老人保健法の適用に基づいて他の自治体以上の負担をさせられることになるが、これはいままでの議論の経過から見ておかしいではないか。特に、七十歳以下の人々については、一般疾病も原爆医療法の適用になる、一般保険法の残り分を。七十歳以上の高齢者については、県市の負担がふえてくるという結果になる。その計算は、自治体側の計算によると、広島県が八億五千万円ふえる、長崎県が六億一千万円ふえる、広島市が五億八千万円ふえる、長崎市が四億四千万円ふえる。これは理屈の上からいってもおかしいではないか。また、いままでの経過からいってもおかしいではないか。いかがですか。
○吉原政府委員 先ほどから御質問ございますように、またお答えいたしましたように、原爆医療の中に二種類あるわけでございまして、認定疾病とかぜ引き等のような一般疾病とがある、一般疾病については従来からも健康保険法が優先的に適用されていたわけでございます。今度の老人保健法ができますと、その健康保険に相当するものが全部老人保健法で医療が保障されることになるわけでございまして、法律的に健康保険にかわるものが老人保健法でございますから、七十歳以上の者につきまして全額老人保健法の適用になってくる。
 そういたしますと、その場合の医療費の負担でございますけれども、老人保健法では、保険者の拠出金と、それから国と都道府県と市町村とがそれぞれ定められた割合で持つことになっていまして、当然、その原爆の七十歳以上の一般疾病の分につきましては、国も都道府県も市町村も、それぞれ二〇%、五%、五%持つ。それはその他の一般的な疾病、それから他の市町村と全く負担が同じでございまして、法律的にはそういう仕組みでないと筋が通らない、こういうことでございます。
 ただ、先生がおっしゃいましたように、実際にいままで市町村なり県の負担が事実上なかった分が、この老人保健法の施行によって負担がふえる分がございます。それはおっしゃるとおりでございます。
○大原(亨)分科員 だから私が従来の経過を言ったわけです。つまりこれが本当の意味における、名実ともに国家補償の精神によるものであるならば、特別法優先なんですよ。法制局、そうでしょう。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。
 いま先生おっしゃられました一般法、特別法ということでございますけれども、いまの御質問のケースがいわゆる講学上言われております一般法、特別法の区別、そういうことで明確に分類できるかどうか必ずしも明らかではございません。特に、いま吉原審議官が引用いたしましたような規定の内容から見まして、原爆法が特別法であると断定……(大原(亨)分科員「僕は法律の一般論を言っているんだ」と呼ぶ)法律につきまして、いわゆる特別法優先の原則というのがございます。これは……
○大原(亨)分科員 僕は六〇%くらい内閣の法制局を信用してない、この前の老人保健法の審議でいいかげんなことをやっているから。それは内閣の法制局を通ってつくっているに違いない。つまり僕が言っているのは、一般法と特別法がある、そうすると、特別法が制定されるとそれは一般法の適用を除外される。たとえば戦傷病者戦没者遺族等援護法の例によるようなものです。これは他にもたくさんある。それは間違いないだろうと言ったら、それはそのとおりだといま言っている。特別法優先の原則なんだ。
 そうすると、国家補償ということになれば、本来は根っこから国が負担すべきものである。しかしこの場合は、直接因果関係のある認定被爆者については特別法として扱った、これは根っこから保険を適用しないで治療費全体を国が見たんだ、その精神があるということが最高裁の判決でしばしば指摘をされている。私が言った限りにおいては間違いないでしょう。法制局、どうですか。私が質問するから、先々回って答弁しないようにしなさい。
○工藤政府委員 原爆医療法が広い意味の国家補償の理念に基づく立法であるということにつきましては、最高裁の判決もございますし、私どもそのように考えております。それで、その場合の国家補償がいわゆる被害に相応する相当な補償を行う趣旨である、こういうふうなことも、またそのとおりだろうと思っております。
○大原(亨)分科員 そこで問題は、認定患者については、原爆白内障とか白血病とかいうふうな医学的に直接放射能に関係があるという疾病については国が根っこから見た、このことを指摘をして、まさに国家補償だ、こういうふうに最高裁は言ったわけです。ただし、一般疾病については因果関係が医学的になお解明されていない部分を含めて漠然としておる。しかしながら、申し上げたように、当時医療法をつくったのはなぜつくったかといえば、原爆といういまだかつて経験したことのない複合汚染、複合破壊力によって治癒能力が劣っているから、あるいは加齢現象とも言うが、全体として劣っているから、一般疾病についても、かぜを引いてもいろいろなけがをしても回復能力が遅い、こういうこと等を含めて、一般保険で負担をした残りも政策的に、これはもとから、根っこからやってもいいんだが、政策的に三割とか二割は国が負担をする、こういう制度にしたのである、経過はそういうことである。法制局、よろしいか。
○工藤政府委員 一般疾病と原爆の認定疾病についての関係は、いま先生おっしゃられましたように、認定疾病の場合には確かに原爆法の方が優先的に出すようになっております。一般疾病の方は、現在のところ各保険法が優先してその残りの分について原爆法が出す、こういうことにはなっております。
○大原(亨)分科員 つまり他法優先の原則、特別法優先でなしに他法優先の原則で、これは折衷案で政策的にそういうふうに決めた。そのかわり、いままでの経過の中で、被爆者を抱えておることによって、自治体や自治体に所属している住民が負担をしている国民健康保険、そういうものの負担がふえたのではやはりおかしい。これは統計的には、広島、長崎の人々の受診率や医療費が高い低いという問題は、他の政策上の問題あるいは医師会のモラルの問題、そういうものがあるから一概には言えない、計数的には言えない。と思うが、法律の趣旨から言うなれば、他法を一般法においては優先させて適用するが、財政上の負担についてはきわめて細かに計算をして、保険局の国民健康保険課は調整交付金を綿密に計算して出してきたわけであります。これは個人個人の負担の問題とそれから自治体の負担の問題、住民が税金で負担する税金負担の問題と保険料負担の問題であります。
 したがって、そういう経過をたどって、今度非常に整合性のない老人保健法を出してきたわけですが、きわめて欠陥だらけの老人保健法を出してきたわけですが、その問題は、後でさらにいままでの総括や一般質問の後を受けて分科会質問らしく細かい質問をやりますが、その老人保健法が十月以降は成立するということを想定した場合においても、その法律は老人保健法を他法というふうに見ている。それで他法優先の原則で一律に適用するというふうな措置をとっておるということである。
 しかし、政策的には一般保険法以外に原爆医療法を老人保健法より優先させて適用してもよろしい、法律的にはよろしいのだ。本来は根っこから負担すべきものである、関係あるという問題については。そういう問題であるから、それはどこでやろうがよろしい。政策上の問題。であっても、自治体住民の負担というのは税金です。市民税、税金です。それから国民健康保険で負担するというのは、保険料負担です。そういう問題について、いままでとは違った措置を老人保健法でとっておる結果として、広島や長崎やそういう自治体を含む県市の負担は、老人保健法の適用によって原爆医療法の精神というものが後退をしているではないか。私が読み上げましたような数字を、自治体はたくさん負担をさせられる結果になっておるではないか。これは原爆医療法の精神からいっても、あるいは七人委員会、基本懇でいままで議論になった点について、広い意味における国家補償だ、こういうふうに規定をした点から言っても、これはその答申の線から後退をするものではないかと私は思うのですが、いかがですか。
○三浦政府委員 地方負担の問題というのは、老人保健法の優先適用によりまして発生してくる問題でございます。そうは言いましても、老人保健法の施行に伴いまして広島、長崎の四県市につきましては相当の財政負担が出てくるということが見込まれますので、これらの四県市に対しまして段階的にその負担を解消してあげようということで、五十七年度十月から半年分でございますが、六億円の費用を計上しておるわけでございます。
○大原(亨)分科員 六億円の助成を関係自治体に出すということを今回暫定措置としてやったわけですね。六億円というのは、一体どういう根拠ですか。
○三浦政府委員 六億円の根拠と申しますのは、いままで原爆の一般疾病医療費支給制度の適用によりまして四県市が負担をしないで済んでいる額というのが約十二億円ございます。いままでその額は約三%に相当いたします。ところが、老人保健法の施行に伴いまして今度は五%の負担が出てくるわけでございまして、その中の二%ぐらいは、老人保健法が施行になりますと全国的な問題でございますので、二%ぐらいはひとつお持ちいただきたい。いままで負担を免れてまいりました三%分、つまり十二億円につきましては、これはひとつこちらの方で段階的に解消する措置をとってあげましょうということでございまして、六億円と申しますのは、老人保健法が施行になりますと十月一日からでございますので、十二億円の半年分の六億円、こういうことでございます。
○大原(亨)分科員 老人保健法では、五%ほど県あるいは市町村がそれぞれ負担するわけですね。その中の三%分は見ましょう、こういうことですか。それで二%分は地元が見てください、こういうことで、その三%分が十二億円であるというのですか。そうすると、十二億円を老人保健法で自治体、県市がそれぞれ負担するということになると、今度は国民健康保険法に基づく調整交付金というのは、百億円引くいまの六億円ですか。そういうことになりますか。
○大和田政府委員 先ほど申し上げました百億円というのは、国民健康保険の保険者としての市町村、それの拠出金に対しますところの特別調整交付金を配意をしようということでございまして、ただいまの市町村プロパーに対する六億とは性格が違うというふうに解釈しておるわけでございます。
○大原(亨)分科員 これは後でやろうと思ったのが先に来たのですが、県は百億円の調整交付金をもらっていなかったのです。第一線の自治体、国民健康保険を実施する自治体がいままではもらっていたのです。ただし今度は、老人保健法で県の負担が五%と市町村の負担が五%になって、国の負担の二〇%と合わせて三〇%負担することになった、なろうとしているわけですよ。これは決まっておらぬ、つぶれるだろうと思うけれども、まあなるだろうということだ、政府の案は。そうすると、新しく県の負担が五%あるわけだ。
 問題は、市町村の負担をどうするか、県の負担をどうするかということであるけれども、ともかくも老人保健法の適用によって市町村と県の負担がふえてくるというのは――いままでは国民健康保険における、あるいは一般健康保険において被扶養者、家族、これは八割になりますが、八割の残りは二割ですが、これを原爆医療法で自己負担分を負担をしておったわけですが、もう一回、もとに返りますが、この原爆医療法は、立法の趣旨から言いますと、これは言うなれば原爆に基づく複合汚染によって治癒能力が劣っている、そういう負担に対する地方自治体の負担を少なくする。その制度に伴う、地方自治体の国民健康保険実施に伴う負担を軽くする。そういうことに基づいて調整交付金が百億円出されておるということであります。いままでの経過であります。ですから、治癒能力が劣っておる、あるいは被爆者は加齢現象といって、一般的に老化が早い。生活力が減退する。そういう一般的な趣旨に基づく制度が、老人保健法の施行に伴って一般保険法との関係で後退するということは、これは自己負担であれ、保険料の負担であれあるいは税金の負担であれ、全国民的な視野から是正をされなければならぬはずであるのに、いやに簡単に老人保健法を他法として優先的に適用するということはおかしいではないか。これはいままで議論したことを集約的に言うわけですが、立法の趣旨からいってもおかしいのではないか。
 ですから、見る場合には一般法の残りに対して、自己負担分についてはこう、自治体の負担分についてはこうという点について従来の政策上の措置というものを後退しないようにしなければ、広い意味の国家補償というふうに基本懇は言っておるが、ともかくも国家補償の精神に基づく原爆医療法の言うなれば法律が後退をする結果になるのではないか。法律のバランスからいっても、被爆者を抱えておるということはその自治体だけの責任ではないというたてまえからいままで法律を続けてきたのであるから、その点はおかしいではないか、そういう法律をつくった法制局もおかしいではないか、こういうふうに私は指摘をいたしておるわけであります。
 厚生省、法制局、順次お答えをいただきたいと思います。
○吉原政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますように、原爆症の中に認定疾病と一般疾病があるわけでございまして、認定疾病につきましては先生のおっしゃるとおりだと思います。そういったことで、老人保健法ができました後も全額国庫負担で医療費を賄うということにしているわけでございますけれども、一般疾病については、広い意味の国家補償ではありますけれども、厳密な意味で認定疾病とは区別をしておりまして、従来からも健康保険法を優先をする、その残りを公費で賄う、国費で賄うという仕組みをとってきた。今度は健康保険法にかわるのが老人保健法でございますので、老人保健法が優先をする、こういうことになるわけでございます。
 したがいまして、老人保健法が適用ということになりますと、県、市町村の負担が出てくる。それはほかの一般的な県、市町村の負担と同じでございます。同じ立場で負担が出てくる。ただ、その負担増というものが他の一般の市町村と比べて大きいということに着目をいたしまして、先ほど公衆衛生局長が申し上げましたように、暫定的な措置として県市に一定の援助をするということにしたわけでございます。
○大原(亨)分科員 つまり私が言っておるのはこういうことです。七十歳以下については従来どおり、他法というのは一般健康保険法であって、そして原爆医療法で残りを負担しているのです。原爆症というのは、認定患者という直接の因果関係があるものと、治癒能力が劣っているから、あるいはその結果として加齢現象、老化現象が早い、そういう健康状況にあるという趣旨から原爆医療法をつくっておる。その精神というものは、七人委員会もこれは認めておる。橋本元厚生大臣、ここに座っておるけれども、この人が初め七人懇をやっているんだ。その後はどうかわからぬが、初めにやっているんだ。七人懇を提唱した厚生大臣。その趣旨からも、つまり広い意味の国家補償であることは明確にしたわけです。
 ですから、戦争犠牲者に対するものは根っこからやっているということは特別法優先でやっているのだから、国家補償の精神を貫くならば、一般法優先ということも妥協的な政策上の産物ですよ。ですから、たとえ一般法優先で一般健康保険法を適用するにしても、七十歳以下については原爆医療法で残りを公費で見るわけですから、この以上についても同じように見てもいいではないか。年をとってからの問題であるからいいではないか。その方が七人委員会の精神が貫徹できるということになるのではないか。そのことによって自治体の負担と患者の負担と、それから一般の保険料の負担のバランスがとれるのではないか。私が言っていることはそういうことであります。
 七十歳以下とのバランスをとって七十歳以上についても当然に医療費については同じような原爆医療法との接点を求めるべきではないか。それをなぜ老人保健法優先を附則の第三十四条に設けたのかという点について私は聞いておるのです。もう一回、答弁があればやってください。
○吉原政府委員 同じような答弁になって恐縮でございますけれども、従来の健康保険法優先というたてまえ、考え方を踏襲いたしまして老人保健法を優先さしたということに尽きるわけでございます。
○大原(亨)分科員 だから老人保健法といったって、あれは一般保険法とは、私が議論しているとおり変質しているのですよ。時間がなくなってやめようと思ったけれども、同じことを繰り返しているから、また本質論に返る。変質しているのです。つまり七十歳以上の医療については、皆保険の保険料を支払っている者に拠出金を割り当てる。拠出金の割り当ての仕方と給付の仕方に整合性がないと私は言っている。一般保険法とは違うと言っているのだ。法律の仕組みが間違いなしにそうである。という場合に、老人保健法を適用したために、当該自治体の住民が税金をたくさん負担する。原爆医療法適用のために、保険料をたくさん負担することがあるかないかわからない。これは個人負担分については原爆医療法が最後には適用になると思う。高額医療についても適用になると思う。思うけれども、その自治体の住民が税金で負担することはおかしいということで調整交付金をずっと積んで百億円になっておるわけです。それは関係自治体に対して出しておるわけですから、その趣旨からいっても調整交付金を出して負担の調整をしながら、被爆者の一般的な負担部分については一般保険法の枠の中で考えるということが政策上の一貫した措置ではないかと私は言っているわけです。
 七十歳以下と以上が違うというのはおかしいではないか、老人保健法の税金で負担しようが、保険料で負担しようが、その自治体だけが住民の負担でそれを見るということはおかしいではないか。これは国家補償。全体の国民が見るべきだ。国が見るべきである。国民が負担すべきである。そういう趣旨を七十歳以上についても貫徹すべきではないかということを私は言っている。
 法の趣旨から、従来の措置から考えてそうではないか。法制局、いかがですか。
○工藤政府委員 ただいまの立法の趣旨からとおっしゃいました点につきまして若干補足させていただきますと、私の方としては、その部分につきましては、先生おっしゃるとおりかなり立法政策的な部門があろうかと思います。
○大原(亨)分科員 立法政策的な面がある。あなたは自分でつくったのだから、はっきり自分が悪いとは言えない立場だろうが、しかし、立法政策上の問題である、こういうふうに言っている。それはそのとおり。つまり特別法と他法との、一般法との関係があるわけだ。他法優先ということはないのだが、他法を適用するということをやったときに、調整交付金の制度を設けた。国民健康保険法を適用する主体である市町村がそのために負担が多くなるというのはおかしいということで、非常に配慮のある措置をとった。それは政策である。そのときには、根っこからやはり関係ないとは言えないんだから、あるいは一般疾病であっても、やはり関連ないとは言えないんだ。治癒能力とか健康は一つなんだから、そういうことで私は主張したけれども、結果としては、他法を適用しながら、残りを一般医療法でやって、そして調整交付金はだんだんと実情に合わせながらふやしていって、そして自治体の国民健康保険に対しまして出したわけですから。でも、それを後退させて、老人保健法を適用したから五%のうちの二%分は自治体に負担をしてもらいますというふうなことはおかしいのではないか。そういう原則の適用はおかしいのではないか。
 法制局は政策上の問題だと言うけれども、その政策を決定したのは厚生省である。厚生省の考え方は後退しているのではないか。七人委員会の精神は――七人委員会の答申というのはたくさんの問題があると私は思う。あると思うけれども、広い意味で国家補償の精神を認めたのですから、はっきり再確認したのですから、そういう趣旨においては、被爆者の医療については、自治体を通じての住民の負担も、保険費の負担についても、全国民が負担するような形で措置をすることが妥当である。ましてや、七十歳以下について原爆医療法を適用する、そして七十歳以上については自治体の負担がふえるというふうな形は、これはまさに不均衡である。政策上の問題であるというふうに法制局は言っておるから、まさにそのとおりであると私は思うけれども、政策として一貫性がないのではないか、そういうふうに私は思うわけです。
 これ以上政府委員と議論いたしましても前へ進まないので、そういうところは厚生大臣が答弁をする分野であると私は思いますから、厚生大臣の答弁を求めます。
○森下国務大臣 原爆医療法につきましては、御指摘のように、広い意味におきます国家補償的なものでございまして、法ができて以来そういう趣旨で厚生省としても対処してきております。
 ただ、政府委員とのいまのやりとりの中におきまして、老人保健法との法制上の関係で食い違いがあるわけでございますが、実は老人保健法の基本的な考え方は、一つは、四十歳から健康に注意して、健やかで病気しない老後を送っていただこう。もう一つの問題は、それによって、保険財政をそれだけ少なくすることによって財政を助けよう。したがって、地方の保険に対する負担も将来少なくなるわけでございます。したがって、長い目で見た場合に、非常に心配である保険行政、これについての画期的な法案が老人保健法であるわけでございまして、地方負担、これは一時的に原爆四県市の問題だけじゃなくして、全国的に、老人保健法に対する負担の割合、たとえば県等については負担がかかっていなかったのが五%お願いするというようなこともあるわけでございます。
 そういうことで、審議官並びに局長からも答弁いたしましたように、この問題につきましては、認定疾病につきましては、これは当然適用になるわけでございますけれども、一般疾病につきましてはどうしても区別をさしてもらわなくてはいけない。ただ、激変緩和措置として六億円だけ今回は五十七年度で予算をつけさせていただくということでございます。
 ただ問題は、治癒能力が原爆症のために非常に劣っておる。それが一般疾病に大きく影響するのでないだろうかというような御意見もございましたが、法を執行する場合におきましては、その限界というものが非常にむずかしい点もございます。しかしながら、老人保健法の趣旨も、大きく言えば、やはり保険行政を今後いかに効率的に進めていくか、また地方、個人の負担をいかに少なくしていくか、こういう長期的な、また根本的な考え方を持っております関係で、せっかく御意見また御質問いただきましたけれども、この制度を変えることは考えておりません。
○大原(亨)分科員 あなたの答弁は、私の質問をよくわかっていない。一時間かかってやっているのに何聞いている、厚生大臣。
 つまり財政調整交付金を自治体に出した経過と精神というものは、私は当然老人保健法が適用されても生きておるべきものであると思う。その精神から言うなれば、法制局が政策上の問題だと言ったけれども、老人保健法を優先的に適用して、そうして自治体住民の負担を増加させたということは、原爆医療法の後退である。ましてや七十歳以下と七十歳以上でそういうように違った財政上の措置がされるということは、原爆医療法の適用からいってもおかしいのではないかという点を私が指摘したことについて、十分答えていない。
 また、保険局長が答弁した、調整交付金については差はありません、こう言っておるんだ。私この間見たら、やっている。社会労働委員会で質疑応答したときに、原爆医療法関係についてはいままでと違ったところはないかと言ったら、調整交付金についても差はありませんと答弁をしている。だからそういう点は、いまの六億円というのはちょっとつまみ金のような感じがするけれども、自治体の方で計算をしてもらうと約二十四億円。県市、関係自治体で老人保健法を優先させることによって負担がふえるのが二十四億円、こう言っている。たとえ十月から老人保健法を実施するとしても、そうすると半年間でありますが、それに対しましても六億円というのは、私は計算の根拠としては十分納得ができない。
 ですから、こういう問題を含めて政府はきわめて不勉強であるけれども、この問題については、指摘をした点を十分精査をして、この私の主張が正当であるかどうかという点についてひとつ検討をしておいてもらいたい。私が指摘をした点は、政策上の問題を含めて、政策の一貫性の問題を含めて、七人委員会の答申を含めて、いままでの審議を含めて、質問いたしておるわけですから、時間が来ましたから、その点について十分再検討して、数字上の問題についてもわかるような態度を、政策上についても答弁できるように検討してもらいたい。
 大臣、いかがですか。
○森下国務大臣 大原先生から御質問されました内容の中で、かみ合わない点、十分納得できない点につきまして、私どもとしても十分検討させていただきます。
○大原(亨)分科員 終わります。
○海部主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬崎博義君。
○瀬崎分科員 国際障害者年に当たって、「完全参加と平等」の実現を心から願って質問をいたします。
 御承知の滋賀県にありますびわこ学園は、昭和二十一年に糸賀一雄、田村一二、池田太郎各氏らによって創設され、昭和二十三年に滋賀県立、わが国最初の公立精神薄弱児施設となった、非常に伝統と歴史を持つ学園です。
 このびわこ学園が、びわこ学園の将来構想を知っていただき、御批判、御支援、御指導いただくために作成した「障害をもつ人びとのしあわせを」と題するパンフレットがあるのです。この中に、障害者対策に取り組む理念としてこう述べているのです。「人間の誰が尊くて、誰が価値が低いということはありません。」「障害をもった人が、その能力を発揮し生きがいのある人生をおくれるような状態をつくりあげることこそ、人間の仕事であり人間であることのあかしなのです。」と述べているわけです。
 大臣に伺いたいのですが、人間である限り、この理念を否定する人はないと思うのです。国際障害者年の中で、障害を持つ人がその能力を発揮し、生きがいのある人生を送れるような状態をつくり上げることこそ、政府、とりわけ厚生省の第一の仕事ではないだろうかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
○森下国務大臣 言われるとおりの高い理念を持ってやっておりますし、特に、国際障害者年におきましては「完全参加と平等」というのがまさにいま言われました言葉と同じだと思っておりまして、この高い理想、また理念をいつまでも掲げ続けたい、このように思っております。
○瀬崎分科員 実は、そういう理念に基づいて、このびわこ学園が、今日求められております社会のニーズにこたえるために、将来構想というものをまとめているのです。これは相当長期の検討を経て、第一次、第二次、そして今回第三次の将来構想として発表いたしました。主な点が四つあるわけなんです。
 第一は、びわこ学園は「創立当初の社会事情から」、というのは、全国でも唯一の権威ある精神薄弱児の施設ということもあったので、まさに全国的役割りを持っていた、広域的な施設という役割りを持っていたが、これを変更して、「滋賀県という地域の中での役割、機能に重点をおく」。第二は、「これも発足当初の要請であった、専ら長期−多くの場合終生にわたることを予想した−の収容療育する施設という性格を少し変更し、できるだけ関連の施設への措置変更やもしも可能ならば家庭復帰をも目標とした療育を考えること」。第三に、「かなりの重度、重複、重症の障害児者に対しても、できるだけ在宅、地域における療育が可能になるよう、訪問指導や外来診療、それを少し広げての通園療育、一時入所などの活動を附加する」。広く地域の要請にこたえるということ。第四に、「教育、福祉、医療、リハビリテーションの分野で、障害児者にかかわる県内外、さらに要請があれば国外からの人々をも含めて、共に研修し研究する機能をも加える」。こういう将来構想なんですね。
 一言で言うならば、求められている重度の心身障害児者対策に総合的にこたえられるような機能を持っていこう、こういうことを目指していると思うのです。
 こういうびわこ学園の将来構想に対する厚生省の考えといいますか、どう受けとめていらっしゃるか、お聞きしておきたいと思います。
○幸田政府委員 びわこ学園が重症心身障害児対策に非常に先駆的な役割りを果たされまして、伝統ある学園であるということについて、私どもかねがね敬意を表しているところでございますが、ただいま御指摘のとおり、昭和五十四年以来二年間にわたりまして、いろいろ将来構想を岡崎園長を中心にまとめられたようでございます。
 内容は、お話しのような四点ございますが、第一点の、滋賀県の地域の中での役割り、機能に重点を置くという問題、これは、私どもの施策にも合うわけでございまして、国といたしましても、ベッドの確保の量的な問題は大体終わったわけでございますので、こういった問題につきましては、おっしゃるとおりの感じがいたします。
 それから第二点の、できますならば関連の施設への措置変更といったようなこと、あるいは家庭復帰ということは非常に望ましいと私ども考えております。
 また、第三点の、できる限り在宅、地域における療育といった問題につきましては、私ども、開かれた施設ということを最近特に強調しているわけでございまして、やはり今日のニードに合致をするものと考えております。
 それから第四番目の、ともに研修し研究する機能を含めるべきだということは非常に大切なことでございまして、有意義なものである、かように考えております。
 以上四点が将来構想の中心のようでございますけれども、私ども、いま申し上げましたような点で非常に高く評価をいたしているところでございます。
○瀬崎分科員 実は、びわこ学園は現在非常に手狭な場所なんですが、すでにこの将来構想に向けて、実現できることは実行していこうということで進めているわけで、これも御承知とは思います。しかし、それはやはりびわこ学園の関係者と滋賀県には一定の負担を負わせることになっているのですね。
 五十五年度でありますが、びわこ学園の場合、措置費が特一類甲の場合で四十三万八千二百円。この内訳は、医療費が二十四万七千三百円、重症指導費が十二万八千九百六十円、日用品費が一万一千六百円、看護代替要員費が百円、療育訓練費二百四十円。この合計は三十八万八千二百円で、これについては国が十分の八を負担しているのですが、これでは足りないために、県が特別加算五万円を行って、最初申し上げました四十三万八千二百円になっているわけですね。いろいろの制約がありながらも、真心の通い合うような福祉滋賀をというスローガンのもとに、滋賀県がこういう特別加算を行っているわけであります。
 こういう特別加算について、厚生省は必要だということをお認めになるのか、いや、これは必要以上のことを県が勝手にやるんだとお考えなのか。もし必要だとお考えになるならば、こういう先進的な役割りを果たそうというびわこ学園等に対しては、こういう特別加算の一部を何とか国が援助することも考えるべきではないだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○幸田政府委員 重症心身障害児施設の運営費につきましては、ただいま御指摘のとおりでございますし、びわこ学園につきましては、年度によりまして若干の差がございますけれども、五万円程度、昭和五十五年度の決算で申し上げますと、児童一人当たり四万八千円の県費補助が出ているようでございます。実は、重症心身障害児施設、全国に数がたくさんございまして、私ども年々その運営費の増額に努めてまいりましたので、国全体で見ました場合にはおおよそ必要な分は確保しているもの、かように考えております。
 ただ、施設によりましては、職員の平均年齢が高いとか、あるいは職員の職種の問題でございますとか、そういった問題で国の基準を上回っているという施設もございますけれども、全体的に見ました場合には、私ども、必要な児童の処遇関係の経費は確保されているものと考えております。
○瀬崎分科員 私の質問には的確なお答えにはなってないように思うのですね。といいますのは、確かに若い方々のいろいろな努力も大変大事です。といって、こういう施設でありますから、経験の豊富なベテランの職員の方々も絶対必要だと思うのですね。ですから、そういう点では、県のそういう特別加算を否定はまず私はできないと思うのですね。
 さらに、厚生省も目指していらっしゃるといまおっしゃった開かれた施設、さらに総合的な機能を持った施設にしていこうと思うと、現実にぶつかっている悩みは、何も財政の問題だけではないようですね。それは、この事業に携わる専門家、理学療法士、作業療法士、言語療法士、この養成、確保が非常に困難な事態にぶつかっている。特に、理学療法士の養成が非常におくれている。それから、作業療法士も大幅に不足している。これらを独自に養成、確保する努力はびわこ学園もされているようですが、こうなりますと財源の問題にまた響いてくる。裏づけがない。それから、在宅療育を推進していこうと思いますと、どうしてもホームヘルパーの圧倒的な不足に悩まされる。こういうふうな点について、やはり大臣が先ほど言われた、障害者対策の万全を期することが人間のあかしである、厚生省の第一の仕事だ、完全参加を常に目指す、こう言われるならば、やはりこういう点にきめ細かい配慮がどうしても国の方で必要だろうと思う。
 それからさらに、医療療育体制をそういう総合的に開かれたものにしていこうと思うと、外来の診療、在宅診断診療、それから訪問看護、これは現にびわこ学園も可能な限りいまやっています。それから発達判定の専門医、ケースワーカー、レントゲン技師、看護婦等はどうしても備えなければならない、総合病院ではどうしてもいけない人たちを受け入れるわけですから。こういうところから、理念としてはもちろん厚生省もそういうことは賛成だけれども具体化の段階では二の足を踏むというのでは困るわけですね。
 これは、びわこ学園の方からこういうことができないだろうかという声があったのですが、たとえば児童診療には診療点数の加算という制度がある。こういうものの弾力的な応用でこういう重症心身障害者の診療に幅が持たせられないか。あるいはオープン化を積極的に目指していく場合、その過程が非常に困難なんですね。こういう施設に対する特別の助成が考えられないものだろうか。こういう点について、厚生省においても積極的な検討をぜひやっていただきたい。これはひとつ大臣に伺っておきたいと思うのです。
○森下国務大臣 全国的に、びわこ学園ほか模範的な施設がございます。そういうことも兼ねて考えなければ、びわこ学園ひとりというわけにいきませんので、これは全般的な問題でございます。
 四つ、将来構想の問題についてお話がございましたが、その中で、第三点の在宅福祉の点、これは、今後十年間行動計画をつくりまして、もちろん総理大臣が本部長で私ども副本部長ということで前向きにやるわけでございますが、在宅福祉ということには力を入れさしていただきまして、五十七年度の予算でも、ホームヘルパーの増員という点でもかなり思い切った予算をつけさしていただいております。将来ともこういう面でも努力していきたい。
 詳細につきましては、局長から答弁をさせます。
○瀬崎分科員 一つ一つには答えなくても、全体として検討の必要性があると思うのかどうかということですね。
○金田政府委員 ただいま大臣が言われました行動計画でございますが、政府の国際障害者年対策本部におきましては、ただいま鋭意今後十年間の行動計画、障害者関係の行動計画について検討が行われておりまして、大体三月末ごろにその結論が出ることになっております。
 全体的な方向といたしましては、大臣も言われましたように、障害者問題につきましては、従来は施設に重点がかなり偏っていたわけでございますが、これからは、障害者が自宅であるいはその地域で十分住みやすいような環境づくりをするという、そういった在宅対策を中心に施策を進めていきたい。いわばよく言われておりますノーマライゼーションというような考え方、世界的な傾向でございますが、こういったことをこれから進めていきたいというのがこの行動計画の中心をなす考え方でございます。
○瀬崎分科員 それから、このびわこ学園は重症心身障害者施設ですから、いわゆる生涯の療育が可能なんですね。これは非常にいい特徴でもあるのですが、同時に、もともと児童中心で発足しておった。ところが、年々だんだん年齢が高くなっていくにもかかわらず、それを受け入れる社会の体制や別の専門の施設の体制が整っていないということから、結局居続けざるを得ないということになって、高年齢者に偏ってきた施設と、性格を変えてきているわけですね。そういうところから、たとえば第二びわこ学園の方などですと、動く重症児と言われている高齢の重症者がいて、単純な作業ならできるんだけれども、しかし家庭に帰すことはできないというふうな人が非常に多くなってきている。また、成人施設にと思うのだけれども、びわこ学園の場合は一・一人対一人、全国平均的には一・二人対一人という施設の状況に対して、成人施設の方は平均四人対一人というふうな状況ですね。そういう点では、現在ある成人施設に簡単に移せないというようなこともあるわけですね。こういう点についても、やっぱり事態を率直にお認めいただいて、ひとつ施設間の療育体系の円滑化を図る必要があるのではないかと思うのですね。いかがでしょうか。
○幸田政府委員 お話のとおり、びわこ学園に限りませんで、重症心身障害児施設、いずれも成人化といいますか、そういった問題に現在直面をいたしております。したがいまして、私どもといたしましても、たとえば関係の施設の改築といったようなことで対応を一部いたしておりますけれども、やはり入所児童の状態が変化しました場合に、その変化に応じまして適切な施設へ措置がえをするとか、そういった多様な施策が必要だろうと思いますので、今後とも十分に検討してまいりたいと思っております。
○瀬崎分科員 やはり完全参加のためには、同時に身体障害者やあるいは精神薄弱者の手近な授産施設、世に共同作業所と言われますが、これも充実が必要だろうと思うのですね。厚生省からいただいております資料によりましても、精神薄弱者の通所施設は、五十二年九十カ所、五十三年百九カ所、五十四年百十八カ所、五十五年度百四十六カ所と飛躍的に伸びている。身体障害者の通所授産施設の方も、五十五年度四カ所が五十六年度には一挙に十七カ所になっている、こういう状況ですね。これは、補助の対象になっている分だけで。こうした共同作業所の根強い増加傾向の理由について、厚生省はどうお考えですか。
○幸田政府委員 やはり先ほど来御指摘がございますようなノーマライゼーションといったような、社会参加といいますか、そういうことを社会全体が求めている、かようなことだと思います。
○瀬崎分科員 この問題については、わが党の不破議員が昨年の二月四日、それから参議院の安武洋子議員が三月二十六日に質問しているのですね。これに対して当時の園田厚生大臣は、授産所、共同作業所、こういうものをだんだん完備していって、それで障害者が完全に参加できるような素地をつくることが大事であります。共同作業所については、現実に応じて小規模の手近な共同作業所等を要望する声が非常に強い。こうお認めになっているわけですね。この障害者の「完全参加と平等」を真に実現するためには、障害者の身近なところに、すなわち障害者の生活している地域に手近な共同作業所をつくっていくことが非常に大事だと思うし、当然の成り行きだと思うのですね。これはお認めにもなっていらっしゃいます。問題は、そのために具体的に政府が何をするかで、一番いま求められているのは無認可の共同作業所に国の援助が欲しいということですね。一部親の会等に委託して行われておりますが、せめて自治体が援助している部分に対して国が何らかの応援をするというふうなことに広げるべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○幸田政府委員 精薄者を含めまして、障害者の働く場所としましていろいろな小規模の共同作業所といったようなものが相当数設置をされまして、地方自治体によりましては助成を行っている場合もあるということは承知をいたしております。ただ、これは昨年の予算委員会でもお答え申し上げているところでございますけれども、私どもといたしましては、助成をいたします施設は精神薄弱者福祉法なり身体障害者福祉法に基づく施設として認可をされたものを対象とすべきである、こういう考え方でございます。
○瀬崎分科員 大津市にあるこだま共同作業所、現在無認可であります。もちろん認可を目指しているのですが、これの生い立ちをちょっと見てみますと、五十五年の一月に重度二級と身体障害者五級各一名で出発しているのです。それが五十五年度一年間に三名、五名、六名、七名とふえまして、五十六年度に入りさらに八名になった段階で、とても民家ではということで、善意ある人の土地の提供があったために、それを借りて作業所に踏み切ったわけですね。現在九名になっているのですが、この内訳は、重度一級が五名、二級が二名、五級が一名、重度精薄が一名、こういう状況なんです。ですから、もちろん認可を目指すのだけれども、生い立ちはこういう形になるのです。やはりこういう現実もよく踏まえてほしいし、よく調査をして、何が厚生省にできるか、それを考えてほしいのです。
 それから、いかに最初の段階の経営が苦しいか。たとえば作業所の建設の収支を見ますと、京都新聞の社会福祉事業団からの寄附五十万円、これが基礎にあるのです。それから、借入金が百四十八万四千三百三十三円、これは個人からであります。それから、善意銀行から十五万円、比叡山高校生徒会から三万五千八百五十円、街頭募金四万三千四百五円、その他募金八万八千七百九十二円、カレンダー、タオルなどの販売益金十二万四千百二十円、総計が二百四十二万六千五百円、総工費が二百四十二万六千五百円。これでおわかりのように、決してりっぱな施設とは言えません。プレハブよりちょっとましな程度であります。
 同時に、先ほどのような構成になっておりますので、どうしてもリフトつきワゴン車、送迎車が要るというので、これについては、安田火災記念財団から百万円の寄附を受け、別途、日産ローンで百二十九万一千四百二十六円の借り入れをして車の購入をしている、こういう状況なのです。
 その結果として、一年間の運営でありますが、これがまた大変なのです。
 まず、支出経費の方を見てみますと、通所事業費ですが、ローンの返済が毎月三十六万、ガソリン代が約六十万。それから、人件費が二百九十四万、事務費が十二万、作業所維持費が十二万、その他細かいのは略しますが、年間で四百五十三万。これに対して、県、市からの補助金が一人当たり一カ月三万円で、三百二十四万、それから年間の運営費補助が七十五万、合計三百九十九万。差し引き五十万不足してくる。結局、これがまた親、関係者の負担によってどうにか穴埋めをされている、こういうふうな現状にあるわけです。
 しかし、こういうささやかな共同作業所がいかに障害者に喜ばれているか、生の声で、私も直接お聞きしたのも含めてお伝えしておきたいのですが、たとえば山岸みゆきさんという方、これは重症身体障害者で、在宅中におしりに床ずれができる。「お尻の床づれがひどく、こだまの車で診療所へいくことができ、本当にうれしい」。それから、一生懸命お話しになるのだけれども、言語が私どもでは理解しにくい。それで文書にしてもらった、その文書があるのです。これは横田とめさんという方ですが、「はい横田さん初月給、と私の手に頂きました。すぐに空けたい気持をがまんして、こだまの人達が帰へられた後、すぐに空けて見ました。私の顔は、にたにた。五千円も入っていました。」「亡き父母に月給を供へて喜びをかみしめました。生きていて良かったと、思ふ近頃の私です。外のお金は使っても、こだまの月給だけは使へません。幸福が逃げない様に、ためて行きます。」わずか五千円ですけれども、自分で働いたお金という、これがいかに貴重か。それから、同じく横田とめさんから手紙を寄せていただいているのですが、「私達障害をもっているものは、人様の手をかりることが十回とすれば、八回に少くなることは、自分としては、二回は自分でやれたということは、どれだけうれしいか」、こういう点でも、共同作業所の果たしている役割りは大きいと思うのです。
 いろいろ御紹介したいのですけれども、時間がありません。こういう点から考えて、現在の厚生省の方針は方針としながらも、こういう認可を目指しつつ、しかしいきなりそこに行けない共同作業所に何とか援助ができないものか。自治体は現にやっているのですから、責任は自治体に持ってもらいながら、しかし財政的には若干国が応援していく、こういうことはとれないものか。これは、重ねて大臣に伺っておきたいのです。
○森下国務大臣 自立自助ということで自立自助できた方々、何よりも非常にうれしい、感激的なお手紙の内容をただいまお聞かせ願ったわけであります。園田厚生大臣が、かつて小規模の分についても検討していくというようなお話もあったようでございますが、国際障害者年特別委員会におきましてそういう問題を検討されたわけでございますけれども、まだ具体的な対象設備の規模とか助成範囲の問題まで論議が尽くされておらないわけでございます。
 それから、最後にお尋ねされました問題ですが、厚生省としては、国の事業として助成するには、施設の適切な運営等の観点から、一定の規模、構造等の要件を備える必要があると考えております。したがって、いわゆる小規模な作業所については、助成を受けられる法律上の施設になるよう内容の整備をぜひ図っていただきたい。いまいろいろお話を聞きまして、言われる御趣旨はよくわかりますけれども、現在のところ、私どもとしても、いわゆる法律上の問題もございますので、内容の整備を図って適正規模に合うようにお願いいたしたいということだけを申し上げたいと思います。
○瀬崎分科員 時間が来ておりますので、その他、共同作業所を実際に運営しようとする場合ぶつかる困難を簡単に申し上げて、厚生省の方で十分理解を深めてほしい、また、よく実態上の調査もしてほしいと思うのです。
 それは、施設をつくるには基本財産としての用地の確保が大きな問題になるのですが、ほとんどの場合、まずここでぶつかるわけです。県内のを見ましても、先ほどのは善意ある個人の土地を借りた場合でありますが、八日市市の場合ですと市の建物の提供があった、野洲町の場合は町が土地を貸与した、こういうものがいずれもきっかけになる。この用地について、国の方で何らか手当てができるような助成が、これは認可、無認可を含めて必要だろう。
 二つ目は、通所送迎体制がないと、いかに狭い範囲を対象として共同作業所をつくってみても、実際にはなかなかその利用は困難になってくる。
 三つ目は、仕事、作業の確保の問題です。これは本当に大変なので、事実上、業者が持ち込んでくれる仕事は限られる。週のうちに数時間の仕事があればいいので、あとはいわゆる自主作品です。私もささやかな協力と思って、部屋には滋賀県内の幾つかの作業所がおつくりになった作品を置いて、おいでになる方に多少カンパの意を込めて買っていただくようにお願いしておりますが、こういう点では、つくった製品の販路の確保に何らかの協力が国としてできないものか。
 四つ目は、この持ち込まれる仕事のほとんどが下請けの中小企業の仕事が中心だ。受注が不安定であり、単価も低い。こういう点では、もう少し条件のよい仕事が持ち込まれるような配慮を業界に対して政府側から指導できないものか。
 五つ目は、本来なら訓練等も大いに考えなければいけないのだけれども、障害者の訓練に適切な仕事なんてまるで来ないわけです。そういう点でも、こういうことを兼ね備えた、一部収入にもなり、訓練にもなるような仕事が考えられないものか。
 六つ目は、べらぼうに賃金が安く、先ほどお読みしたように五千円がいい方で、滋賀県の平均は、一カ月の収入が大体三千円。やはり何かそこは多少援助しないと、とてもじゃないが自立には結びつかない。
 それから七番目は、指導員とか職員はほとんど奉仕に近いわけです。定期に給料が払われているのはよい方で、むしろ不定期が多いくらい。それも六、七万円から十万が精いっぱい。
 こういうふうな状況を十分に認識し、実情をよく踏まえて、理念としては完全参加を掲げながら、実際には厚生省自身が政治的に障害をつくっているような状態を早く解消してほしい。その点で、森下厚生大臣ならという気もしますから、ひとつ前向きに取り組むことをお願いして終わります。答弁をお願いします。
○森下国務大臣 経済事情も非常に悪いわけでございますし、ボランタリーばかりに頼るわけにもいきませんし、総論だけではなしに、各論におきましても、障害者年十年行動計画を立てまして、御趣旨にふさわしいような内容にしていきたいということを申し上げます。
○海部主査 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。
 次に、岡田利春君。
○岡田(利)分科員 私は、過般の本会議の代表質問でも触れたわけですが、僻地医療の問題について若干御質問申し上げたいと思うわけです。
 そこで、冒頭に、厚生大臣の出身県は徳島県でありますけれども、徳島県には無医地区はございましょうか。
    〔主査退席、藤本主査代理着席〕
○森下国務大臣 御承知のように、私の徳島県は医師の数が全国平均よりはるかに多い地区でございますが、無医地区はまだございます。集中するところに集中して、そうでないところには不便な無医地区がまだございます。
○岡田(利)分科員 無医地区の解消は、確かにテンポは遅いけれども進んでおると思います。しかし、私はたびたび国会でこの問題を取り上げてはおるのですけれども、医師の充足の環境がよくなってきても、なかなか無医地区の解消というものは実はできないわけであります。
 そういう意味で、まず、厚生省として無医地区の解消について一体どういうテンポで進んでおるという御認識か、承っておきたいと思います。
○大谷政府委員 無医地区対策につきましては、厚生省といたしましても昭和三十一年以来重点施策として進めてまいったところでございます。昭和四十一年には二千九百二十地区という無医地区数でございましたが、昭和五十三年の調査では千七百五十地区になっておりまして、約四〇%減少しておるということでございます。しかし、なおまだ千七百五十地区というのが無医地区の状態にとどまっておるということでございます。
○岡田(利)分科員 この無医地区を上位三位ぐらいまでとりますと、どういう地域になりますか。
○大谷政府委員 四十八年調査では、北海道、広島県、高知県あるいは沖縄県、こういった地域に多うございますし、五十三年調査では、それぞれの地域におきまして減少はいたしております。しかし、たとえば先生の御指摘の北海道では百地区以上減少いたしておりますが、たとえば広島県では減少しておらないというふうに、地区において多少のアンバランスがございますが、いま言ったような地区が無医地区が多いということになっております。
○岡田(利)分科員 北海道では依然として二百九、そして北海道の面積の約四割を占める東北海道、ここには百十四カ所あるわけです。いま大原委員がおりますけれども、広島県は九十八カ所、そして大臣のお隣の高知県は八十九カ所、沖縄でも二十七カ所の無医地区があるわけであります。
 私は、昭和三十五年初めて国政に参加したときに、僻地の三種の神器ということ、この解消がいま政治の課題であるということを実は述べてきたわけです。
 そのころは、まず第一に、道路の整備がまだ僻地はよくなかった。第二は、未点灯部落があちこちに非常に多かったわけですね。第三点に、僻地の医療の問題。これが三種の神器である、こう言ってまいったわけですが、道路はガソリン税を特定財源にして、いま農道でも舗装が進んでいる。一方、未点灯地域についても、たとえば北海道の場合には、国の政策をもって大体他の電力会社の二一六倍の送電線を持ち、それぞれの地域に線を引っ張って、今日では未点灯地域が解消した。これも相当時間がかかっておるわけです。
 ところが、残念ながら医療問題はまだ未解決である。しかも、人間の健康と生命に関する問題であるわけです。いま、日本人の寿命はどんどん延びておるのですけれども、私は、たとえば非常に空気のいいところに住んでいると長生きして寿命が延びるかと思ったら、そうでもないのですね。日本で都道府県別に一番寿命の長いところはどこでしょうか。
○大谷政府委員 都道府県別には平均寿命の計算は行っておりませんので、正確なことは申せませんが、やはりいまでも都市部の方が平均寿命が長いということになっております。
○岡田(利)分科員 大体東京都あたりが一番平均寿命が長いのではないか、こう言われておるわけです。これはやはり医療水準が高いということを意味しているわけですね。ですから、病気になっても医療機関によってその病気が回復をして生命を長らえる、いわば命に関する問題であると、私はそういう統計からも実は見ておるわけです。
 その中でも特に考えなければならぬのは、いま国民皆保険、こう言って、国民健康保険あるいはまたそれぞれの政府管掌健康保険あるいは共済保険、いわば皆保険の体制になって、自分が病にかかった場合なかなか医療機関にかかることができないということは、最も不平等だと思うのですね。やはり不公平あるいはまた不平等を解消するのが政治の目的でありますから、そういう意味で私はこの僻地医療の問題を取り上げてまいらなければならないのではないか、こう思うわけであります。
 そこで、いま厚生省は、昭和六十年度を目標にして、まず一つの計画として、僻地中核病院をそれぞれの地域につくって、そしてネットワークをつくりながら無医地区の面にも医療の手を伸ばしていこうへこういう計画が進められておるわけでありますけれども、この目標と今日のいわば実行数値、実行率でございますね、この点についてどうなっているのか、この機会に承っておきたいと思うのです。
○大谷政府委員 僻地対策につきましては、昭和三十一年以来五カ年計画、第一次、第二次、第三次、第四次、第五次と非常に精力的に続けてまいりましたが、当初はいわゆる僻地診療所というものに重点を置きまして、つまり無医地区に着目いたしまして、そこを点として補強する、こういう考え方でやってまいったのでございますけれども、お金とエネルギーを投入いたしました割りにははかばかしい成果を上げることができなかったわけでございます。
 そこで、昭和五十年度から始まりました第四次計画におきましては、これを抜本的に考え方を新たにいたしまして、無医地区を含む広域市町村圏を面としてとらえる、その中核として僻地中核病院を置きまして、僻地診療所あるいは僻地保健指導所あるいは患者輸送車、巡回診療車、そういったふうな総合的な対策で、無医地区を含む広域市町村圏の面としての医療を手厚くすることによって無医地区の診療を厚くしていこう、その中核として僻地中核病院を設置する、こういう考え方を打ち出しまして、第四次、第五次と僻地中核病院に重点を置いて僻地対策を進めてきたところでございます。もう先生先刻御承知のとおりでございます。
 そこで、昭和五十年度におきまして、第四次計画の発足に当たりまして、全国で二百四十カ所の僻地中核病院の設置ということを計画いたしまして、今年度までに九十九カ所、約百カ所の整備が終わったところでございます。先生もかねがねこれにつきましては大変御関心をお寄せいただいておりますが、私どもといたしましても、今後の僻地対策の中核はこの僻地中核病院にある、こういうふうな考え方で、現在の九十九カ所をさらに目標の計画に対して推進いたしたいというふうに考えている次第でございます。
○岡田(利)分科員 そういたしますと、当初目標二百四十カ所に対して現在の実行率が九十九カ所、残りが百四十一カ所になるわけですね。五十七年から四年間かけても、三十五カ所平均でいわば中核病院を設置しなければ目標は達成をしないということになるわけです。ところが、昭和五十六年は二十一カ所であります。そして、予算が四十五億八千五百万円。今年は四十六億七千六百万円が計上されておるわけでありますけれども、今年は一体何カ所設置をする予定ですか。
○大谷政府委員 五十七年度では、これは一応運営費といたしまして設定いたしておりますが、施設につきましては全体メニューとして考えておりますので、これはできる限り都道府県を指導いたしまして、多数の僻地中核病院を育成していきたいというふうに考えているわけでございます。
○岡田(利)分科員 五十六年度ベースで昭和六十年まで推移をしたと計算をすれば、当初の二百四十カ所の目標に対して二百カ所の設置はむずかしいのではないか、こう言わざるを得ないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○大谷政府委員 確かに先生御指摘のように、この目標病院を直ちに設置するというふうなことは大変むずかしいことでございますけれども、これはやはり国だけではなかなか進みませんで、都道府県あるいは市町村等の地方自治体の御協力を得なければいけないわけでございまして、こういった点につきまして十分相談いたしまして、できるだけ早くこの目標数に到達するように努力いたしたいというふうに考えております。
○岡田(利)分科員 それぞれの市町村、というよりも町村段階では、町立あるいはまた村立の病院あるいは診療所、この医師の確保というのが非常に大変なんですね。
    〔藤本主査代理退席、主査着席〕
したがって、韓国あるいは台湾のかつて日本の教育を受けて資格を持っている医師を確保する、そういうことがごく最近まで行われておったんですが、これらの方々もずんずん老齢化して、韓国及び台湾からの給源は非常にむずかしい。一方において無医大県解消計画が進んで、医師の養成は順調に進みつつあるわけであります。しかし、依然としてやはり町村自治体病院、特に僻地に属する町村では医師の確保が非常に困難をきわめておるという状況なんですけれども、何か厚生省ではこういういわば僻地を抱える町村の町立病院とかあるいはまた診療所、これらの医師の確保について調査をされたことがございますか。
○大谷政府委員 僻地の実態調査につきましては、先ほども申し上げましたように、五十三年度に調査をいたしておりますが、その後いたしておりませんので、いずれこの問題については調査をいたしたいというふうに考えております。
 それから、医師の確保についてでございますけれども、これは、医学部の在学生につきまして修学資金を貸与する、また、医師のあっせん等につきましても厚生省から費用を出しまして自治体病院協議会に委託いたしまして、そういったあっせんの仕事もやっていただいておるわけでございます。
 また、自治医大はそもそもそういった僻地の問題につきまして設立された大学でございますけれども、最近、この大学を卒業いたしました卒業生が非常に各地で活躍をいたしておりまして、ことしも大分県でこういった卒業生が中心になりまして僻地を考える研究会というのを開催いたしまして、私もちょうど土曜日でございましたのでそちらへ参りまして、こういった僻地問題に医師、看護婦の皆さんが積極的に関心を持っていただくように、私どもとしても努力をしているところでございます。
○岡田(利)分科員 中核病院の設置の状況をずっと見ますと、どうも必要なところに遅くなって、いわば比較論で言えば、きわめて環境のいい方が中核病院の設置が早い。もちろん、国の予算に対して自治体も同額を支出しなければならぬという面があるわけです。
 たとえば先ほど申し上げました百十四カ所まだ残っている東北海道なんかでいいますと、三、四年前までは基幹病院はたった一カ所です。しかも、紋別の道立病院だったわけですね。そのときはすでに全道で七カ所の中核病院があったわけです。その後帯広の厚生病院に設置をされ、その後北見市の日赤病院に設置をされて、ようやくいま三カ所設置をされているわけです。いわば市の中に中核病院が設置をされるわけでありますから、むしろ医師の充足の面では比較的恵まれているところに設置をされる。
 特に、北海道は十四支庁あるのですけれども、一番医師の数の少ないのは北方領土に隣接をしている根室支庁管内であります。根室支庁管内の場合には、もう他の府県とは比較にならぬほど実は低いわけであります。沖縄の七十八・八人、最近は埼玉が一番あれなんですけれども、これは東京が近い関係で除きますと、沖縄が七十八・八人に対して根室支庁は四十五・五人であるわけです。
 私は、昨年の予算委員会において、園田厚生大臣に、隣接地域の振興という面を考えるならば、これだけ医療水準の最も落ち込んでいるところに制度のある中核病院が設置をされないということは、政策として逆行しているのではないのかということを指摘し、早急にこの設置について考えるということを答弁として実はいただいているわけであります。問題は、医師の確保ということが最大の問題ではないかと思うのですが、この原因は何なのかということと同時に、昨年の私の質問に対するこの取り扱いについてはどう進めようとされておるのか、伺っておきたいと思います。
○大谷政府委員 確かに先生御指摘のように、真に必要とするところに医師を確保するというのは大変むずかしい問題でございます。しかし、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、多少迂遠な方法でございますけれども、そういった修学資金あるいは学会活動あるいはPRというふうなことで、総合的にこの問題に対処してまいりたいと考えているわけでございます。
 特に北海道につきましては、道庁におきまして、こういう問題については大変困難な条件にもかかわらずいろいろ御努力いただいているところでございまして、漸次いい方向に向かっているというふうに考えているわけでございます。
○岡田(利)分科員 日本の中でも最も医療水準の低い根室支庁の中核病院の設置計画については、いかがでしょう。
○大谷政府委員 根室地区の医療につきましては、先生かねがね三年来私どもに御督励になっておりまして、私どもも、これにつきまして、しばしば国会での先生の御指摘にこたえまして北海道庁と相談してまいったところでございます。ことしの四月に町立中標津病院にお医者さんが確保できるという見通しだという連絡を受けております。したがいまして、北海道庁では四月以降のできる限り早い時期に中標津病院を僻地中核病院に指定して、僻地中核病院としての運営を開始するというふうな計画を持っているということを私どもに連絡してきております。したがいまして、厚生省といたしましては、北海道庁からこの計画どおり僻地中核病院の施設整備費及び運営費補助金等につきまして申請があれば、前向きに対処するという考えでおります。
○岡田(利)分科員 無医大県解消計画が進んで、四国は、県が四つありますから四つの医大がある。北海道は、北海道大学と、そして道立の医大、これは札幌にあるわけですが、先般、旭川に医大ができた。東北海道は、先ほど言ったように百十万の人口があって、面積は四割ある。四国四県プラス山口県プラス何県というぐらいの面積が実はあるわけであります。
 しかし、医師の養成がずんずんふえている。六十年には国際水準になる、医師の過剰時代が来るとも実は言われておるわけであります。私は、日本の貿易立国という立場から考えて、また、無資源国である日本の場合に、これから日本として、昔は柔道の平和使節団なんていうのがあちこちに行っておったわけですが、医療の海外協力ということが相当前向きで取り組んでいかなきゃならない問題ではないか、こう思うわけです。
 きょう、外務省来ていると思うのですけれども、医療の海外協力についてどういう実績があるのか、今後どういう基本的な方針を持っておるのか、伺っておきたいと思います。
 もう十年前になりますけれども、アフリカのザンビアなどに参りますと、日本の鈴木さんという医師がおるのですが、子供が生まれるとスズキという名前をみなつける。そして、非常に大きな信頼感を得ているわけですね。特に、発展途上国の医療状態は非常に悪いわけでありますから、これを八〇年代の戦略として位置づけをするべきだという積極的な意見を私は持っておるのですが、外務省の方から御答弁願いたいと思います。
○藤田説明員 ただいま先生御指摘のとおり、医療及び保健面での協力と申しますのは、現地の住民の生活に密着し、かつ、その生活を直接改善していくということで、相手国からも非常に高い評価を受けております。御承知のように、昭和三十三年に初めてエチオピアにお医者様を一人派遣しまして以来、わが国の医療、保健面の協力というのは非常に発展してきております。
 現在、海外協力という面でとらえますと、一応三種類のものがあるかと思います。第一は、病院、診療所の建設という方面での資金協力。特にこれは無償協力でございますが、こういう資金協力の面。それから第二のカテゴリーが、専門家の派遣、それから先方の研修生の受け入れ及び器材の供与という技術協力の面、これが非常に大きな分野を占めております。それから第三が、WHO等の国際機関に対する拠出。こういう三つのカテゴリーに分かれております。
 現在、技術協力という点で申しますと、海外に三十五カ所の協力を行っておりまして、出ておられるお医者様の数が五十名、看護婦さん等の専門家を入れますと百三十名程度が海外で活躍していただいております。それから、先方からの研修生の受け入れというのは、現在約三百八十名程度を受け入れております。先ほど申し上げましたように、現地側からの要望も非常に強く、高い評価を受けているということもございますので、今後とも医療、保健面の協力というのは一層拡充してまいりたいと思っております。
○岡田(利)分科員 御説明あったのですけれども、まだ序の口に入ったというような感じですね。特に、アジアあるいはまた東南アジアあるいはまたラテンアメリカ、アフリカの場合、中近東でもそうでありましょうけれども、やはり非常に大きな期待があると思うのです。そのことによって人間と人間の関係の蓄積もすることができるのだと思うのです。
 だがしかし、外務省だけで、経済協力の中で進めるというのは非常にむずかしいのであって、もちろん文部省、特に厚生省と密接な連絡をとって、私はぜひこの機会に八〇年代の――五年たつと海外協力費も倍になるわけでありまして、膨大な額になっていくわけでありますから、この面をわが国としてはいまの医師の養成の環境等から考えても戦略的な位置づけをすべきだ、こう思いますので、厚生大臣、この点の感想はいかがでしょうか。
○森下国務大臣 お説ごもっともでございまして、国際協力の面では医療協力、これが最高のものであると私は思っております。
 ただ、お話しのようにまだ日本には無医村もございますし、これからこの僻地中核病院等の整備もございます。それをやりながら、東南アジアまた中近東、アフリカ、こういう地域への医療協力を進めてまいりたい。サウジアラビアあたりからも、がんセンターのようなものをつくってくれ、そして日本の医師を派遣してくれ、スリランカあたりからも、これは病院はつくっておるようでありますけれども、やはりそこに勤める医師がおらぬそうでございまして、こういう面でもかなり需要と申しましょうか、要望が強いわけでございますから、僻地対策をやりながら、海外援助のためにも、お説のとおり、そういう面で強力に進めてまいりたい、このように思っております。
○岡田(利)分科員 時間がありませんから、最後に、いま文部省所管の大学病院がある。厚生省所管の国立病院、厚生病院がある。労災病院がある。また、その他の都道府県には県立、道立の病院がある。市町村にもそれぞれの公立の病院がある。そして、中核病院がそれぞれ計画に従って配置をされていく。そしてまた、その近くには診療所などがある。しかし、医師の場合には、職業の自由選択という面もございますし、生涯教育を続けなければならないわけであります。そういう面から考えますと、中核病院構想をさらに整備をして、一つのネットワークといいますか、その中で文部省との話し合いもしながら、あるいはまた厚生省所管のそれぞれの厚生病院あるいは労災病院、こういう点と密接な連絡がとれて医師が研究もできるような体制、そういう体系的なものをもう一度整備をする必要があるのではないか。そのことがまた僻地あるいはまた無医地区の医師の確保、医療の確保ということにつながっていくような気が実はするわけであります。
 同時にまた、それだけではなくして、僻地医療の問題というのは、ここまで近代国家、経済大国に発展してきた日本として、この解決ができないということは、政治の課題として責任が問われているのだと思うのです。そういう意味で、これの解決に挑戦をするということがこの八〇年代に特に望まれるのではないかと私は思うのです。そういう意味で、できればこれらの体系づけを図る、体系的な政策施行を考えていく。そしてまた一方においては、医師の充足の関係というのは、文部省でも述べられておるように、非常に従来と違った養成が進んでおりますから、そういう環境は、非常にふさわしい環境、条件が整ってきているのではないかと私は思うのです。できれば厚生大臣が私的な諮問機関などをつくって、これらを有識者に検討していただいて、従来の実績を踏まえながら新しい展開をぜひしてほしいなという気持ちを私は持っておるのでありますけれども、厚生大臣の御答弁をお伺いいたしたいと思います。
○森下国務大臣 医師の数の問題は、学校もたくさんできて、卒業生もどんどん出ております。ただ、おっしゃるように、この体系づけが問題でございますし、特に問題になるのは、組織化と申しますか、学校によって、これは文部省との関係もございますけれども、医者がかわるごとに僻地の診療所でかぜ薬を全部取りかえなければいかぬというような問題もございますし、時間がないために元気のある方が死亡しなければいかぬということで、時は金なりと言いますけれども、時こそが、時間的な問題こそが最大の治療である場合もございます。そういうことからして、いまおっしゃいましたように、数だけの時点から、いわゆる体系づけの問題ですね、これはやはり文部省等との連絡調整も必要でございますし、従来と違った形で、そういうような医師、人材をうまく配列していくことも大事である。そこで、厚生大臣の諮問機関として実は医療審議会というものがございまして、僻地医療についてもその活用を十分図ってまいりたい。いまおっしゃっていただきましたような内容についても、重要な問題として取り上げてまいりたい、このように思っております。
○岡田(利)分科員 時間が参りましたから終わりますが、特に、これは文部省の関係になるのでありますけれども、このためにはやはりプライマリーケア、この面についてもう一段力を入れる必要があるのではないか、こう私は思います。そういう点で、またせっかくの御努力をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○海部主査 これにて岡田利春君の質疑は終了いたしました。
 次に、米沢隆君。
○米沢分科員 私は、三郷中央病院問題を中心にしまして、今後の老人医療のあり方について御質問をさせていただきます。
 御承知のとおり、今日ほど医療問題が世間の耳目を集めている時代はかつてなかったのではないかと思います。わが国がいま急ピッチで高齢化社会に突入しつつあることを考えましたときに、特に老人医療問題は今後大きな課題としてクローズアップされてくることは必至であると言わねばなりません。したがって、われわれは、将来厳しい環境が予測されたといたしましても、いまから、本当にお年寄りが長生きしてよかったと言われる社会を、特に医療の面でもつくっていくことがわれわれに与えられた義務であると信じております。
 そのために、私どもは、いま医療を取り巻く問題につきましては、特に老人医療のあり方について、各方面の関係者が知恵をしぼって苦労しながら、その理想を追いつつ最大限の努力をしている最中でありますけれども、最近新聞等に報道されております三郷中央病院の事件、意図的に老人の患者をかき集めて不必要な検査、点滴など、常識外の濃厚診療を行い、法外な診療費を稼いでいるという疑いがかかっておるこの事件がもし事実であるとするならば、これはきわめて遺憾な事件であり、それはいわゆるよりよき医療を求める全国民に対する挑戦でもある。同時に、医療が医師と患者の信頼関係のみに存在することを考えますならば、それは両者の信頼関係を損ない、そして医療に対する不信感を醸成し、また、善良なる医者に対しても最大の侮辱であり、挑戦だ、こう言わねばならないと私は考えます。
 そこで、まず最初に、大臣から、この三郷中央病院問題について、すでに伝え聞いておられるはずでありますから、このような事件につき一体どういう御感想を持っておられるか、聞かせてもらいたい。
○森下国務大臣 三郷中央病院の事件につきましては、私も新聞、週刊誌等で読ましていただきました。
 御指摘のことが事実でございましたら、これは大変遺憾なことでございますので、現在、埼玉県を通じまして事実関係を調査させておりますが、事実が明らかになった場合には、厳正に対処してまいりたいと思っております。
○米沢分科員 いろいろな報道によりますと、この病院は昭和五十五年の十月二十五日にオープンをした。病床数は百七十七床、診療科目は内科、老人科、胃腸科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科、いわゆる総合病院的な体裁を整えておるわけでありますが、実際は外来患者が一日に約二十数人、その他はほとんど百七十七床のベッドを満床にするぐらいにお年寄りの方が入院されておると聞きます。実際は保健所に届け出た百七十七床を超えて二百床以上詰め込まれたり、二百人以上の入院患者がいたということさえ指摘されておるわけでありまして、まさに盛況を誇っておるわけであります。
 しかし、この病院も開院当初は入院患者わずか四人、それが開院してから約二カ月ぐらいで入院患者が九十人ぐらいに急増し、そして半年ぐらいたった五十六年三月には百六十人、それからずっと満床状態になっておる。
 この入院患者がふえてきた秘密は何かというと、伝えられるところ、老人狩りと言われるような病人をスカウトして歩くという事実が判明しておるわけであります。考えてみますと、福祉事務所あたりには、いろいろな老人を扱う関係もありまして、寝たきり老人とか生活保護を受けておる人だとか、あるいは高い付添看護婦のお金が払い切れない、何とかしてくれといういろいろな要望が集まっていることは事実でありますが、そこらを中元を持ったり歳暮を持ったりしてスカウトする。この病院だけかなと思っていろいろと調べてみますと、こんなのは余り驚くに値しないというようなことがよく言われるのですね。こういう状態は医療という観点から一体本当のものだろうか、望ましい姿であろうかと考えるのですが、大臣はどうですか。
○森下国務大臣 寝たきり老人の収容を福祉施設で行うか、また病院で行うかは一応福祉事務所が窓口になっておりまして、その老人の状況に応じまして判断していくことが必要であると思いますけれども、病院が老人狩りと言われるような形で福祉事務所において老人患者を集めるということが事実であれば、これは大変なことでございまして、決して好ましいこととは言えぬわけであります。
○米沢分科員 そういうことで全国的に老人をスカウトして歩くという病院の実態がわかってきますと、いまおっしゃったように確かに老人が医療に困って苦しんでおる、それを救済するために病院に入れるというのはきわめて理想的な形でありながら、中元だとか歳暮を持って、寝ておる人はいないか、おれに世話しろと言う。そして、うちには東大の先生がおる、東京医科歯科大学の先生がおるということを名目にして駆り集める。これはちょっと行き過ぎと言うにしては問題があり過ぎるという気がするのであります。
 ところが、御承知のとおり、高齢化社会を前にいたしまして、老人病院の建設というのがいま全国的にブームなのだそうですね。特にその傾向が強いいま、問題になっておりますこの病院がある埼玉県あたりでは、この五年間で四十四病院ぐらいふえた、大体五十病院が老人専用の病院になっておる、こういうふうに伝えられておるわけであります。
 老人病院の定義というものはないのだそうでありますけれども、入院患者の半数以上を六十五歳以上の老人が占める、こういう病院の数等について、一体厚生省は実態を把握されておるのか、全国的にはどういう実態にあるのか、まず、そのことを教えてもらいたい。同時に、老人病院が急増している背景を厚生省としてはどう見ておるのか。この二点について御説明いただきたい。
○大谷政府委員 老人病院につきましては、制度上の定めがございませんので定義が非常にむずかしいのでございますけれども、一応、老人を受け入れてその病床の大部分を老人が占めている病院というふうに考えております。
 そこで、そういう老人病院の実態を調査するということは大変むずかしいことでございますが、昭和五十三年に医療施設調査で、一応慣行的に老人の方を収容している病床を老人専用病床という名前にいたしまして調べましたときには、全国で四百四十六カ所、ベッド数で二万一千七百七十三床となっております。しかし、いま申し上げましたように、老人病床をどう定義するかというのは非常にむずかしい問題でございまして、たとえ鳳老人の方でも非常に急性の病気で入っておられるときにはやはり老人病床と言うべきではないし、年齢だけでも規制できないということで、非常にむずかしい点がございますので、この数字も一応のめどということになるかと思います。
 そういうわけで、先生のおっしゃっておりますような老人病院、老人病床というのが実際にどういうふうに増加しているかということにつきましては、私どもとしては正確なことを把握いたしておらないわけでございます。しかし、そういうふうに老人病院がふえているということは巷間言われておりまして、その入院の問題につきましては十分留意すべきであるというふうに考えるわけでございます。
○米沢分科員 今後ますます老齢化社会になって老人がふえていく、またそういう意味では、需要と供給の関係では老人病に対する需要はどんどんふえていくであろうと私は思います。しかしながら、そういう需要に応じてこのような病院がふえていくということに関しては問題はありませんけれども、こういうかっこうで、何か老人医療がもうかるという感覚で経営者が老人病院をつくり、それが大量に急増していくということは、医療供給という観点からは、将来大変いびつな形をつくっていくのではないか。そういう意味で、こういう問題は本当に医療法上の問題にならないのか、医療法上の問題にすることはできないのか。そのあたりは、実態がつかめないではなくて、ある程度の物差しをつくって、今後早急に実態をつかんでいただいて、いまからそれなりの対応を示していかない限り、将来的には大変大きな禍根を残すいびつな医療供給体制をつくり上げていくのではないかという気が私はするわけです。その点についてぜひ御検討をいただきたい。一言で結構ですから、答弁ください。
○大谷政府委員 医師が入院させる場合には、医学上の判断に基づいて入院させているわけでございますけれども、先生御指摘のような点がございますので、私どもとしても十分検討させていただきたいというふうに考えるわけでございます。
○米沢分科員 一部の報道によりますと、たとえば埼玉県あたりでは支払基金だとか県の国保団体連合会と協力して、こういう問題のあるであろうと言われる悪質な老人病院等についてはブラックリストをつくって防衛策を講じつつあるというふうに聞いておるのですが、全国的にもこういう傾向にあるのですか。
○大谷政府委員 私ども医務局の方では、こういったブラックリストがあるということにつきましては、承知いたしておりません。
○米沢分科員 しかしながら、国保の財政がおかしくなればなるほど、どこに問題があるか、問題の発端はこの辺にあるということであれば、それは県の当局でも医療当局でも何らかの防衛策みたいなものを考えていかねばならぬ。そういう意味で、自己防衛策として埼玉県がブラックリスト的なものをつくってそれなりに監視を強めていくということはあり得ることだと思うのですね。したがって、全国的にもこういう例が決してないとは言えないと私は思うのでありまして、今後、厚生省としても、そういう問題を医療法上の問題としてチェックができるような体制を早急につくっていただくことがそういうものに対する対応策ではないかという気がするわけです。あわせて御検討方をよろしくお願いしたいと思うのです。
 そこで、問題が表面化しましてから、埼玉県の吉川保健所では、昨年六月以来すでに六回にわたってこの病院の立入検査をしたと言われておりまして、また、去る二月八日には、この疑惑が明るみに出てから初めて同病院の立入検査が実施されているわけでありますけれども、この一連の検査で判明しておる事実関係を明らかにしていただきたい。特に、医療法上の違反事案あるいは臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律等、医療に関する法律はたくさんありますが、この医療に関する法律に違反している案件は一体どういうものがあるのか、あるいは乱診乱療、保険の水増し請求の実態はどうなっておるのか、立入検査をされたいまの時点で判明している分で結構ですから、明らかにしていただきたいと思います。
○大谷政府委員 五十七年の一月二十一日に第一回の立入検査をいたしております。また、一月二十七日に医療監視を行っておりまして、その際には、医師数が二名不足、看護婦数が六名不足ということになっております。それから、五十七年二月八日に再度立入調査をいたしておりまして、病室の面積あるいは超過収容、テレメーター操作あるいは医師数等について調査を行いましたが、この場合は違法について確認ができなかったということでございます。
 二月十七日付で、吉川保健所長から三郷中央病院に対しまして、医療従事者の確保あるいは無資格者による医療機械操作の防止あるいは適正医療の確保ということにつきまして勧告をいたしまして、それにつきまして報告を求めるというふうにしているわけでございます。
○米沢分科員 いまの答弁によりますと、結局、医者が二人足りない、看護婦が六人足りないというだけで、その他の問題については違法性がまだ確認できない、こういうことですね。これは、埼玉県が報告した分だけを発表されておるのかもしれませんが、厚生省当局として、いわゆる国保のレセプト等々、手に入れようとしたら手に入るのですね。現に私は手に入れておりますけれども、それを見ると、その他の案件については違法性が確認できないなんということで簡単に片づけられるほどわからぬという分野じゃないと私は思いますよ。
 医者が二人足りない、看護婦が六人足りないといまおっしゃいましたが、医者の登録等についても、調べていくと問題がありますね。どういう問題があるかといいますと、たとえば開業医が二人常勤医師に登録されているのです。開業医がほかの病院で常勤できるはずがない。しかし、そこまで調べてないのですね。あるいはまた、開業医が常勤医師になっておりますけれども、実際は、その人が昔数年間国立病院に勤務していたことがあることを利用しまして、そこに三十数年間ずっと勤めて、退職してからここに来ておるのですというごまかしの届け出をやっておるのですね。これは事実ですよ。二人そんな人がおりますね。あるいはまた、これは立入検査をしてから――昨年の十一月時点でもう変更しておりますけれども、国立大学の病院の現職の医師を、製薬会社が介在しまして、その国立大学をやめたことにして、常勤するという形をとって登録しておるのですね。登録されておるお医者さんも、実際自分がどういう履歴でそこに登録されているかというのはわからない、知らないのです。ですから、その間に履歴書をうまく書きかえをして、保健所で言いわけが立つような履歴書を、まさに私文書偽造をやって登録しておる。当のお医者さんに聞くと、私は常勤であるか非常勤であるかわかりませんと言うのです。その病院には常勤だったら毎日行くんだから、常勤だと胸を張って言えるはずでしょう。ところが、そんなことは言えないというのは、結局、完全にペーパードクターであるにすぎないのですね。そうでしょう。そして、名前を貸して、ただ月々五万円稼ぐというだけだ。こういうペーパードクターがたくさんおるのですよ。
 ですから、単に登録された人間によって過不足を論ずるのではなくて、こういう問題のある分野については、登録された医師が本当に常勤の状態にあるのかどうか、そのあたりまでチェックして初めて皆さんの義務は果たされるのじゃありませんか。単に形式的に、そろっておりますから結構でございます、その中には、履歴書を改ざんしたり、私文書を偽造したり、あるいは本人が知らないままに常勤に登録されたり、こんなでたらめぶりを放置して、ただ形式的に、登録されておるから結構でございます、二人不足でございます、こういう態度は僕は問題だと思いますね。
 同時に、不足が二人なんて簡単に言いますけれども、本当に不足しておってもいいのですか。何のために、こういう病院は常勤を何人そろえねばならない、看護婦は何人そろえねばならないという基準があるのですか。改善勧告を再々しながらも、一向改善していない。そして、いまだに不足がある。それもただ、一生懸命改善命令を出して、早く常勤をそろえろ、早く看護婦をそろえろと言うだけであなた方の義務は果たせると思うのですか。実際、何のために基準があるのですか。どう思うのですか。
○大谷政府委員 非常勤の医師につきましては、私どもの方で、勤務時間数によりまして算定いたしまして、適正な数字をはじいているわけでございます。
 確かに先生御指摘のように、本年一月の立入検査の折には、退職しているのにかかわらずその届け出がなされていないという者が見出されましたので、それにつきましては、早急に善処をするよう指導したところでございます。
 埼玉県といたしましては、先ほども申し上げましたように、何度も立入検査をいたしまして、医師に面接を実際にいたしておりまして、その事実関係については十分調査をしているという報告を受けているわけでございます。しかし、先生御指摘のように、実際に勤務をしていないのにもかかわらず勤務している旨の届け出がなされているという疑いがありますとすれば、これは厳正に監視を行い、事実を調査いたしまして、この是正を行わせるように指導いたしたいというふうに考えるわけでございます。
○米沢分科員 届け出主義になっておりますから、形式が整えばそれで結構だと言っても表面上は仕方がないかもしれませんけれども、特にこういう、再三再四にわたり改善勧告を示しながらも一向にこの不足が正常な姿にならないというところについては、もっときめの細かい配慮といいましょうか、強力な勧告をしなければなりませんし、実際足らないという状態に置いておきながら、それでただ一生懸命早く充員しなさい、充員しなさいだけで事が終わるというのは、まさに基準を決めたそのものが問われている問題だと私は思いますよ。
 そういう意味では、単に形式が整えばいいのではなくて、もっと実質的に、やはり改善勧告が守れるように、そして、もし基準そのものが何カ月にわたっても満たされないとするならば処置を考えるという、それぐらいの強力なことを考えてくれることがあなた方の仕事だということを言っておきたいと思うのでございます。
 それから、余り時間もありませんが、この医療内容ですね。
 たとえば検査につきましても、いろいろな証言等を聞かせていただきますと、入院してくると、もう病気に関係なく全員に、生化学、血液一般、尿、心電図、胸部エックス線、腹部エックス線、点滴と、これだけの検査があるんだそうでございまして、そしてそれも、検査がルーチン化されておりまして、二週間に一度、生化学、血液、尿、一カ月に一度、胸部エックス線、負荷心電図の検査が全員に行われる。検査というのは、病気があって、その病気が一体どこから来ているかということを検査するのが検査なんであって、何しろ入ってきた人にはあらゆる検査をして、それもまた一定のルーチンワークにしていくなんということは、私は言語道断だと思いますよ。
 こんなのはレセプトを見たらみんなわかるのです。見せましょうか。手に入れようとすればすぐに入るのでしょう。いまさらながら事実が判明できませんとか事実が確認できません、違法性がわかりませんなんと言うのは、職務怠慢だな、局長。
 あるいは、負荷心電図なんかのもみんなこのレセプトに書いてありますよ。そして、寝たきり老人あたりは、ベッドに無理やり座らせてこれが負荷心電図だと言ってみたり、あるいは、これにも載っておりますが、強心剤のセジラニドという薬を投与している患者に負荷心電図をやるとか、これは完全に、病気を本当に調べるためにこういうものがあるんじゃなくて、ただもう全員にやってみなさい、やれる人はみんな負荷心電図をやりましょうという、そういう形でやっているというふうにしかとれないわけですよ、実際。こんなのも、このレセプトを見たらみんなわかりますよ。
 あるいは、テレメーターの問題もよく指摘をされておりますけれども、大体昨年まではここの病院には四台しかなかったのでしょう。ことし二台加えて六台だというのですけれども、六台を二十四時間もうフル回転をしても、これは十八人ぐらいしか診れないのですよ。去年までだったら四台ですから、十二人しか診れませんね。ところが、一日五十三人から五十七人、テレメータしにかかっているようになっておるのです。これは、どこかでごまかしがあるはずでしょう。六時間とか八時間監視しなければならぬものを二分とか三分とか、ひょっとしたら一時間とか、そういう形で保険点数を、一万五千円を請求する。これはまさに水増しじゃありませんか。そういうものは、見たらわかるのですよ。にもかかわらず、事実が判明できないなんというのは、私は、ちょっと職務怠慢だと思いますね。その上、操作そのものも資格のない人がやっておる。病院長自体が、副院長自体が、そんなころもあったかもしれないと証言しておるのでしょう。それでも、やはりまだしらを切るのですか。
 あるいはまた、点滴なんかにいたしましても、Aセット、Bセット、Cセットという、症状に関係なくセットがされておって、それを毎日やっていく、ひどいところは、健保の審査がうるさいところは安いやつで、緩やかなところは高いやつでやるなんて、こんなことも、ここにおった看護婦さんがみんな証明しておるのですね。実際に自分たちがやったというのですよ。
 あるいはまた、入院患者に、点滴に加えて、いろいろな抗生物質をまじえる。ゼオペンというような抗生物質を六・六グラムから八グラム注射する。それも二週間ぶつ続けでやる。このゼオペンという薬は肺炎などを起こす緑膿菌に効く強い抗生物質だ、こう言われるのですけれども、こんなのを全員に二週間もぶつ続けやられたら、必要な菌まで殺してしまうでしょう。体は変調しますよ。バランスを崩しますよ。逆に病気をつくるためにこんな抗生物質を打っておるなんということが言われても仕方がないような状態じゃありませんか。一体、こういうのは本当に医療なんでしょうかね。
 そういう意味では、この実態を見ますと、検査でも点滴なんかでも、その患者の症状に従って必要の範囲内でやるというよりも、どうも検査とか点滴あたりがその患者さんにどういう影響を与えるかなんて全然無視してなされておるということは、もうこのレセプトなんかを見たら明らかなんです。
 同時に、いまでもこの病院に勤めておるある医者は、濃厚診療については、主治医がそれぞれだから何とも言えない、でも実情は報道のとおりだ、私からは何もコメントはないというところでしょうかなと言うて取材に応じておるわけです。ここに勤めているお医者さんでさえ、その濃厚診療の問題は、そして結果的には、テレメーターなんかの不正診療の請求等については認めているわけですね。しかし、そういうものに対してはまだ全然放置されて、現行どおりまだ医療をやっておるのでしょう。
 レセプト等をいろいろと調べましたが、余り時間がありませんからやれませんけれども、これはもうひどいですよ。大体一カ月分、保険を請求して減点される。たとえば、ひどいところは、保険の請求額は百六十三万、そのうち五十六万カットされておるのですね。不必要だ、不正だ、おかしいと言うて。あるいは、百六十九万請求して五十五万がカットされておる。普通ならば、おれの診療は自信を持ってやったんだというならば、こんなにカットされたら文句を言うてくるはずでしょう。再審査してくれと言うはずでしょう。ところが、ここからは再審査の要求なんか何にもないのですね。そして、一カ月に百六十三万も使いながら、結果的にはその方は死んで退院されておるのですよ。この保険請求額と減点された金額との比率を考えますと、減点率は三三%、三五%ですよ。請求額の三五%カットしろと言うて支払基金だとかあるいは国保連合会からカットされて、それにも文句も言わない。
 こんなことを考えますと、これは東京都の分でありますから、わずか二十二、三人の患者ですよ。二十二、三人の患者について、トータルで一カ月三百万ぐらいカットされておるのですよ。あそこは百五十人ぐらいおるのですからね。もし厳重に東京並みに審査がされてカットしたとするならば、大体一カ月に二千二百五十万減点されておるのですよ。一年といったら三億近いでしょう。そうじゃありませんか。そういうものが、ただ出しさえすればいい、カットされたときも文句も言わない。特に問題なのは、いろいろとこういう問題がおかしいと指摘しておるのですよ、支払基金の方から、あるいは国保の方から。ところが、それが全然守られていない。同じ患者について、腎臓が悪い人にこんな薬を使ってはいけませんと指摘がなされておりながら、その次もやはり同じ薬を使って堂々と請求をしておるのですよ。ということは、支払い側が指摘をした問題が全然生きてないわけですね。そんなのとは全然関係なく、ただごっそごっそとやって、カットされたら黙っていけ、カットされた分だけもうしようがないというような調子。医療の側にも、それを受けとめて何か是正しようという傾向が全然見られない。同時に、審査する方も、毎月毎月そんなことをやりながらも、強力に文句が言えてないのですね。
 これは、私は重大な問題だと思いますよ。こういう問題を、皆さんわかりながらまだわかりませんなんという、そんないいかげんな答弁はやめてもらいたいと私は思うのです。いかがですか。
○下村政府委員 三郷中央病院の過去の請求状況を調査いたしましたところ、一件当たりの平均請求金額は県内の平均から見まして相当高いということは、私どもも埼玉県の報告を受けて承知しております。
 現在、県の段階で、調査に必要なレセプトを、過去のものを含めまして、その他の資料も含めまして、収集を行っているところでございまして、ただいま御指摘のございましたような不正あるいは不当な診療の疑いのあるものにつきましては、レセプトだけではなかなか改善できない点もございますので、カルテ等の関係資料等を突合いたしまして、徹底的な解明をいたしたいと考えております。したがいまして、当然立入調査等の必要が生ずるわけでございまして、遠からず私どもとしては必要な措置をとってまいりたいというふうに思っております。
 それからなお、病院側の態度がどうなっているのかという点につきましては、昨年の九月以降の請求が出ていないというふうな問題でございますが、二月になりまして、本年一月の診療分と合わせてレセプトも出ておりますので、それらもあわせて十分に解明をいたしたいと考えております。
○米沢分科員 昨年十月からレセプトを出すのがぐっと減って、かなりの量がストックされておるという報道がありますね。現に、そのストックされた請求書等について、事務所に入ったきりで改ざん作業をやっているというのですよ。いまごろ改ざんされた後のそんなレセプトをもらって解明しても、問題は出てきませんよ。問題が発生した時点で差し押さえてさっと判明するように努力することが本当じゃありませんか。出てきたときには改ざんされておりますよ。いまカルテとレセプトをチェックして書き直し作業をやっているのですよ。
 この問題は別にしまして、余り時間も残っておりませんが、しかし、いま私が水増しだとか不正請求だとか、検査漬け、点滴漬け等々の実態の問題を指摘をし、将来的には、いまの作業が済んでしまえばいろいろなものが判明すると思いますけれども、しかし、考えますのに、われわれがこういうのはけしからぬと言っても、われわれ素人は医療の問題に立ち入れないですね。だから、濃厚診療だって、われわれがいろいろ言ったところで、そんなものじゃない、症状に従ってケース・バイ・ケースで一生懸命その人を助けようとしてやっているのだと逃げられれば、もう全然お手上げだというのがこの問題の大変むずかしいところじゃないか、そう思うのですね。
 そういう意味では、本当にもう一週間もすれば死ぬという人に、どれだけの注射をし、どれだけの医療を施し、どれだけの点滴をすべきかというのは、これはまさに医者の哲学、医者の倫理あるいは医者の良心に待つところが実際は大変多いわけですね。この病院の院長がインタビューで答えておりますように、私は親切で、とことんお年寄りを助けようと思ってやっておるのだが、そういうものが誤解されたのだとか、あるいは関西方式で請求したらちょっと高くなり過ぎて誤解されたのだと堂々とおっしゃっておるように、濃厚診療という問題が、すべて医者の問題である、医者の判断の問題であるというふうに逃げ込まれてしまったら、この問題はお手上げです。また、そこにこういう悪徳医者がはびこる温床があるということを私は考えましたときに、何らかのことを考えていかなければならぬ。御承知のとおり、いま老人保健法が参議院の方で審議されようといたしておりますけれども、もしこの法律が成立しましたならば、御承知のとおり、中医協で老人医療については支払い方式等を検討するということでしょう。検討しようということであれば、まさにそれはこの問題にぶち出たってしまうと思いますね。しかしながら、この濃厚診療というものが医の倫理の問題だということで放置されるならば、こういう事件はいつまでも終わらない、いつかはまた発生するであろう、そういう心配があるわけでございます。
 そこで、ここで提案でありますけれども、ぜひ御検討いただきたいことは、実際老人医療に携わるお医者さん、いわゆる医師会にこの問題をはね返して、特殊な老人病、そういう問題についてどういう医療が適正なのかという、ある程度のガイドラインみたいなものを専門家同士でつくり合ってもらいたい。それは、患者によってはもう少しやらねばならぬ、もう少し下げねばならぬというアローアンスはありましょうけれども、老人性の疾患等については、特殊な老人病等については、やはりどれぐらいの治療が現代の医学上からは必要であるかというような、ある程度のガイドラインというのか、指針というのか、診療基準といいましょうか、そういうものをある程度つくってもらいまして、それに応じて診療してもらうという、何かそういう方法をとらないとこの問題は解決しないと私は思うのです。もし医師会等がこういう問題について積極的に取り組んでもらうということであれば、積極的にそういう問題を厚生省の方からも依頼をして、この問題が解決されない限り、支払い方式をどうのこうのと言っても、必ずこの問題にぶち当たって、みんな医者の判断の問題だという議論で逃げられたら、老人医療を取り巻くあらゆる問題は解決し得ないと私は思うのです。
 同時に、いま国立病院がちゃんとあるのですから、やはり国立病院で少なくとも老人医療について適正な医療はこれぐらいのものだということはある程度勉強したらできるわけで、そういうものをたたき台にして、たとえば中医協等で老人医療の支払い方式を議論するときでも提出するぐらいの心構えがない限り、私はだめだと思うのです。そういう意味で、医師会等にお願いをして、老人医療の専門家の皆さんに、少なくとも特定な老人性疾患等について治療基準みたいなものをまずつくる、もしそれができないならば、国立病院で先生方を動員してでもこういうたたき台をつくり上げる、そのことがいま求められておるのじゃないかと思うのですが、前向きなお答えを大臣いただきたいと思うのです。
○森下国務大臣 老人医療の問題は、医療制度の中でも大変重要な問題でございます。三郷中央病院の問題は、三郷中央病院だけの問題でなしに、全国的に同じようなケースの問題が過去にも起こっておるわけでございます。そういうことで、老人保健法にはある程度御趣旨のような内容のものも織り込んでおりますし、将来、この前大原委員からも御質問いただきましたが、医療法の問題が出てまいります。厚生省としては、医療法の提出によってそういう問題の是正ということも考えておりますが、まだこの国会に出すというお約束はできておりませんけれども、たとえば自民党の部会においてもかなり前向きに検討しておるということも聞いておりますし、武見会長は医の倫理、生命の倫理というふうな論文も発表されておりますし、かなり前からの情勢とは変わってきておるように私は思います。こういう点を根本的に検討すべき時期がもうすでに来ておるということを申し上げまして、御答弁といたしたいと思います。
○米沢分科員 余り答えになっておりませんけれども、時間がありませんのでやめさせていただきます。
○海部主査 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○海部主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生省所管について質疑を続行いたします。沢田広君。
○沢田分科員 最初に厚生大臣、一つ例外なんでありますが、先般の予算委員会においては、いわゆる心身障害児者に対する特別措置法制定に対して意欲的な御発言もいただいたわけでありますが、その前に一つだけ遺族年金の問題で、突然でありますけれども、お伺いをしておきたいと思うのであります。
    〔主査退席、亀井(善)主査代理着席〕
 いまの年金財政はきわめて厳しい。厳しいということと、それからもう一つはどうあるべきかということとは別問題だと思います。現在二分の一ということでありますが、標準報酬をもらっている人を例にとりまして、ボーナスをゼロと考えまして税金を引かれて、どう見ても大体十五万弱というぐあいにならざるを得ない。しかも、いわゆる加算がなくなるのですから、その分だけ下がりますから、その二分の一というと七万五千円ぐらいになってしまう。実際に、いま核家族化が進んでおります。二DKでは住めない。子供が高校に行くなり大学に行くと建て増しをする。家は四DKぐらいに大きくなってしまう。そこで、子供たちは離れてじいさん、ばあさんが残る。じいさんが亡くなると、おばあさんだけ残る。それが二分の一になる。大世帯というか大きな家庭を抱えて、二階は物置かなんかになってしまって、結果的には七万五千円で食わなければならぬ。固定資産税は今度はべらぼうに取られてくる。固定資産税を払ったら、残りはない。こういう状況は想定できると思うのですが、いかがですか。
○森下国務大臣 高齢化社会とかまた核家族という、社会構成または人口構成また家庭構成は、私はかなり変わってまいると思います。過去の体系の上に立って生活保障、所得保障をやっておるわけでございますから、いまおっしゃいましたような変化の態様に対して、生活上困るじゃないかという問題は、私は確かに起こると思います。しかし、起こると思いましても、これは言うばかりではいけませんし、そういう問題につきましては、おっしゃったように、遺族年金は二分の一でございますが、家族の加算額を増額することによって対応は一応しておるわけでございます。
 この加算額で、御要求のとおり、希望どおりいくか、これが一番の問題でございますけれども、そういうお困りの方々が出ないように将来とも対応していきたいということを申し上げたいと思います。
○沢田分科員 まあ努力されていることはよくわかるのですが、実態がだんだんそういう形に、傾向をより深めていっている状況にある。では、地方自治体における固定資産税をある程度緩和する方法ができるか。また、そういう方々は昔から住んでいるところですから、わりあい市街化の真ん中になってしまう。そうすると、どうしても固定資産税は物すごく割り高になる。そういう状況は必然的に起きるわけです。新しい核家族は、やや遠いところへ新しい土地を求めていく。そうすると、古くから住んでいた人たちがより過酷な条件に追い込まれる。きょうは最終的に詰める話は出ないと思います。ただ、そういう傾向がこれからより一層深刻化していく、このことは否定できないだろう。それを厚生省が管轄をして処理をしていくか、あるいは全体的に問題を考えるか、これはあるだろうと思います。
 ただ、一つは遺族年金をいまの年金財政の中で六割にしたり何かすることは、きわめて困難だと思います。思いますけれども、やはり最低のいま言った固定資産税なんか、これから向こう三年後には三割以上上がってしまうだろう。そうすると、年金のほとんど大部分はもう固定資産税と生活だけに追われて、生活保護世帯に落ち込んでしまわなければならなくなってくる。その辺の合理性、調整に進んで積極的に取り組んでもらいたい、こういうことを考えておるわけですが、その点、いかがでしょうか。
○森下国務大臣 この問題は、遺族の方々ばかりでなしに、一般の生活されておる方も、特に大都市なんかで大きな土地、大きな屋敷を持たれておる方も、実は現実的に固定資産税が上がったためにもう土地を売らないといけない、また、全部売っちゃってどこか郊外に出なくちゃいけないという、一つの社会問題化しております。
 そういうことで、固定資産税等の問題についてはこれは自治省の所管でございまして、特に遺族年金の場合、いまおっしゃいましたような、固定資産税のために生活に困窮するという場合につきましては、自治省の御当局ともよく相談をいたしたい。農地なんかの場合は御承知のような優遇をされております、そういうこともございますから、自治省と十分御相談さしていただきたいと思っております。
○沢田分科員 では御検討をお願いいたしまして、次の問題に入ります。
 先般、これは社労なりその他の委員会では十分議論はされていることだと思うのですが、私が提言をして何とかその方向をとっていただきたいと思うことは、この機会に、各省にまたがって包括的な問題である心身障害者に対応するためには、その基本法だけで厚生省がどうこうしようとか、あるいは何とかほかの方法でといっても、とても手に負えないだろう、だからこれは政府全体が一つの特別措置法というようなものをつくって、それぞれの所管も含めながら、年次計画の中からこの対応を考えていかなければならぬのではないか。これに対して厚生大臣から、ひとつ前向きにと、こういうことで御検討いただくという御答弁がこの間あった。
 さて、前向きにということになってみて、厚生省、大変荷物が重いのでありますけれども、いま国有鉄道も来ていますから順にちょっと聞いていってみますから、ひとつお聞き及びの上で厚生省は対応を図っていただきたいと思うのです、まだこれ以外にもたくさん各省にまたがっているわけですが。
 たとえば国有鉄道で、いま大変橋上駅をつくります。橋上駅は、地上から階段で上がって、またホームへ階段でおりる。この橋上駅は請願駅ですから、いまはほとんど全部地元の負担。市町村負担ではいかぬという判決が出てきて、今度は何だかわけのわからない第三者機関をつくって、寄附でつくらしている。ですから、国鉄といってみても、ホームにおりる改札を過ぎてからは国鉄の管轄である、しかし橋上駅のところまでは市町村管轄である。古い駅においてはもちろんこれは国鉄が管轄している。そういう実態にあるのだと思うのですが、その事実関係についてだけ、まずお答えいただきたいと思います。
○佐野説明員 お答えいたします。
 いま先生おっしゃったとおり、駅の用地が地方自治体と国鉄にまたがっている場合には、それぞれの用地によって境目があるということでございます。
○沢田分科員 その土地だけではなくて、今度は橋上駅になります場合も、駅の建設は、逆に言えば改札までの分は、各自治体というと語弊がありますが、地元が建設する、そういう仕組みになっていますね。それも間違いないですか、どうですか。
○佐野説明員 そのとおりだと思います。
○沢田分科員 これは埼玉県の浦和の駅を一つの例に挙げますが、市の方の駅前改造計画では、身体障害者が通れるように立体交差をつくった。ところが、国鉄の用地の方は全然手がかからない。これはいわゆる縦割り行政の一番の標本です。わざわざ格差を象徴しているんです。そこまでは身体障害者の方が車いすでも何でも通行できるようになっている。ところが、その先の国鉄敷地になったら、設備が追いつかないから全然ない。はたから見てもそういう調和のない、不合理な施設ができる。片一方はわざわざ駅前改造でつくった。ところが、国鉄の方は追いつかないので、そのままの状態ですから、片一方はそこまで来るとはたと困ってしまう。また国鉄はストライキかということになってしまって動けないのです。だから、これは冗談だけれども、それと同じようにその先は行けなくなってしまう。それでは整合性がない。
 だから、これは電話線とか水道管、ガス管、下水溝、皆含めて言われることですけれども、共同溝をつくったわけです。前から言われている社会資本の一つなんですが、どうもその辺が整合性を欠くんじゃないか。上りはつくっても下りがないということもある。ですから、国有鉄道としても、市がつくられたから、はいそうですかと言ってつくれない、あるいは上りができたから、じゃ下りがエスカレーターなり何なりができるかと言えば、これもできない。
 国会だけは金があるのかどうかわからぬが、衆参お一人じゃないでしょうけれども、お一人いるためにとにかくできているわけですね。何千人、何万人の人のためのものができないで、一人のためのものができる。これも格差の問題ではないかと思うのです。国会議員だからできて、一般の市民にはできない。これは平等感から見てもおかしいというふうになる。偉くなったらできるのか、偉くないからできないのか、こういう議論じゃないだろうと思うのです。
 ですから、言うならば銀行であろうと、あるいは図書館であろうと、そういう施設の中についてはすべてそういうものの状態がとれるような、いわゆる建築基準法の問題からすべてが整合性のあるものになっていかなくちゃならぬ。それをことしからひとつ始められないかというのが私の提案の一つなんです。
 国鉄だけをいま例にとりましたけれども、むかし内鉄協定というのがあって、踏切をつくるときにはとにかく鉄道省と内務省の協定で、踏切の負担割合を決めているわけです。それと同じように、国鉄の中の利用についても、国鉄自身で障害者向きの計画を立てて、それを厚生省なり自治省なり、それぞれと突き合わせをしていけるという、そういうものができるかどうか、これはきょうは提案の段階です。これは厚生省の方がひとつ窓口になって、各省にそういう具体的なプランを立てさせて、年次計画を立てさせて、そして主要な駅だけでもいいが、国鉄なら国鉄と、文部省もありますし、建設省もありますけれども、それに対応する措置は講じられないかどうか、これが問題の一つなんであります。
 それから、文部省なんかに行ってもそうなんですが、このごろできるものは、身体障害者用のトイレなんかできているのがある。ところが、行ってみると何のことはない、物置になっちゃっている。これは利用者が少ないからだろうと思う。いろいろな施設のときには、たてまえかどうかわからぬが、ちゃんとできるにはできる。ところが、掃除道具の入れ物になっちゃっておる。実際に使おうと思うときには使えなくなっちゃっている。これでまた、片一方から見るとばかにしているという怒りが発散をする、こういう管理の面においても実は問題が諸施設に多い。これもほかの省の関係になりますが、文部省の管轄では図書館とか、そういうものに出てくるわけです。
 建設省もおいでになっていますが、さっきの国有鉄道の方のだけをもう一回まとめていきますと、そういう形でいろいろジグザグがあるから、国鉄は赤字でどうにもならぬかもしれぬけれども、しかしそうだからといって、いま言ったような平等感というものを失わさせたくはないから、それを何とか解決をしていかなくちゃならぬ。そういう解決の方向について、どういう見解を持っているか、ちょっとお聞かせいただきたい。
○佐野説明員 お答えいたします。
 いま先生おっしゃいましたように、国鉄の財政は大変な状態でございまして、財政面からはなかなか御期待におこたえできないような状態でございます。しかしながら、やはり身体障害者の方々が御旅行されるのに、気持ちよく旅行していただけるようにということで、そういう設備を整えていくということが国鉄にとって課せられた課題であるかと考えております。
 そこで、いま先生御指摘のエレベーター、エスカレーター等の問題でございますけれども、これは外側から、いわゆる地方自治体からのアプローチについては、オープンな感じのアプローチができるわけでございますが、駅の構内、いわゆる設備ということで考えますと、実は財政の問題以外に、お客様の流動とか、それから既存の設備の制約というような問題がございまして、そういう問題を一つ一つ解決しながら、できる限り財政の許す範囲でやっていきたいというのが私どもの考え方でございます。
○沢田分科員 答弁にはなっていないのであって、結局対応しなくちゃならぬだろう、財政がないからできないということでは済まされないだろう、だから、それを全体的な国の施策の中の一部としてとらえてやっていく、国鉄ももちろん応分の負担はするだろうけれども、それは国全体としての施策の中でやっていくような方向をとるべきではないかということが私の提言なんです。
 金がないからできませんというのでは、これは能なしになっちゃう。だからそれにどうやったら対応できるかということで、わざわざ厚生大臣はいわゆる特別措置法、これは仮称ですが、そういうようなものをつくって、全体的に取り組んでいかなくちゃならぬだろうということに、一応頭の中で大まかな方針は出てきたわけです。それに各省が対応しなかったら、幾ら厚生大臣が踏んばってみたって、これはどうにもならない。のれんに腕押しになってしまう。だから、あなたの方が一番目がつけられるところが多いから、そういう面において国鉄はどうなんだ、それは考える意思はあるのかということを聞いているんで、金がないからできないといったら話にならないので、それは何とか取り組んでいきますということにならなければしようがないんじゃないか、こう思うので、もう一回お答えいただきたい。
○佐野説明員 金がないからできないというふうに申し上げているわけではないのですが、やるためにはどうしてもお金が要るわけでございまして、その面で大変な問題点を含んでいるということでございます。私どもとしては、もちろん身体障害者の方々がちゃんと旅行していただけるような設備を整えたいということで従来もやってまいりましたし、今後もやってまいりたいというふうに考えております。
○沢田分科員 建設省、おいでになっていただいていますね。いま橋上駅をつくる場合は都市計画でつくるわけです。そのときに、橋上駅の階段までは国鉄も交渉をするでしょうけれども、都市計画をつくるときに、前には自転車置場法案なんかで置場をつくれということまで言ったけれども、言うなら身体障害者用の通路あるいは信号、そういうものはなぜつけられないのですか。建設省の発想の中、都市計画法の中でそういうものは全然考慮されないという仕組みは、どこに欠陥があると思っていますか。
○佐藤説明員 お答えいたします。
 御指摘の浦和駅の具体の例はちょっと私は存じ上げませんが、先生御指摘の道路につきましては、一般的に歩道の段差の切り下げ等の措置を逐次講じているところでございますし、具体的にもう一つ視覚障害者用の誘導ブロックの設置というような形で、一般的な道路の維持管理の中で、身体障害者の方々の交通の利便についての配慮というのはしているところでございます。
 御指摘の具体の、道路と国鉄の庁舎との渡りのところで、道路側が新設のものとしてやるべきことがあれば、それは当然道路の施設として一般的に進めてまいることだと存じております。
○沢田分科員 全然ピント外れなんです。前に済んだことを私は言っているんじゃない。橋上駅ができるとか、駅前改造をやるとか、新しい都市計画をつくるときに階段なんかができるが、なぜ身体障害者用のものがその中で配慮される仕組みがないのかということを言っているのです。チェックするところは何もないのか、どこかでチェックしなければならぬでしょうと、こうやってわれわれが言うのに。これからの問題を言っている。いままでできているものを改造するのはこれからの問題としても、これからつくるものについては、そういうものを付設しなければいかぬのじゃないか。あなたはそう思っているんですか、思ってないんですか。これからつくるものについて、都市計画的に。
○佐藤説明員 当然そのような配慮が施設の構造面で加えらるべきものと思っております。
○沢田分科員 だとすれば、これからできる、たとえば国鉄をいま例にとったわけですが、橋上駅で階段を皆、上がらなくちゃならない、線路をまたぐのですから。そういうところへ身体障害者用のものが併設されない現状はどこに欠陥があるのか。それは都市計画上の欠陥なのか、あなたの方の政策上の欠陥なのか、あるいは厚生省との連絡が悪いのか。どこかに欠陥があるから新しくできるものにもそういうものが全然配慮されないということでしょう。だから、その欠陥についてあなたが気づいているかどうかということを聞きたい。どこに欠陥があるのか。その欠陥は、ではどういうふうに直したらそれはなくなるのか。道路についても同じですよ、道路についても同じですが、そういう点をチェックする機関をあなた方は持ってないのかいるのか、それを聞きたいのです。
○佐藤説明員 当然のことながら、非常に一般の交通の中核となりますような施設について、先生御指摘のような配慮が施設面で払われるべきことは当然だと思いますし、それぞれの施設の構造に着目して、本省の方からも構造上のそういう点についての配慮を設計上加えるべきことは当然指導しているところでございますから、具体の例としていまほど御指摘のような事案については、私ども持ち帰りまして内部的に省内で相談させていただきたいと思っておる次第でございます。
○沢田分科員 これだけで時間がとれないのですが、そうすると橋上駅ばかりでない、図書館もしかりあるいは公会堂もしかり、大きな建物ができるときは皆そうなんですよ。そういうときに建築基準法の中に一項を加えて、今後身体障害者用の、エレベーターのあるところは結構ですが、そういうようなものの施設に配慮しなければいかぬ。とりあえずは事務次官通達であろうとそういうもので、やはり建築許可を与える場合に、設計上の問題あるいは都市計画上の問題で都市計画審議会にも通達を出し、そして当事者にも通達を出して、そういう点に十分配慮した構造になるよう適合性を図りなさい、こういう通達を出すということはどうですか。
○佐藤説明員 お尋ねの民間の建築物一般に関して、基準法という形での公的なきつい規制をかぶせることはなかなか問題も大きいと思いますが、先生御承知のように五十六年度に、公共性のある一般建築物についての設計標準等をつくっておりまして、そういうものについての一般的な広報活動は当然私どもとしてやらせていただきたいと思っております。
○沢田分科員 法をかぶせろとまで言ってないでしょう。事務次官通達なりあるいは政令で出すとか省令で出すとか、通達程度でもいいが、そういう点を十分配慮してその審査に当たりなさい、都市計画にもそういう配慮をしなさい、その程度の通達が出せるのか出せないのか聞いているのです。法でかぶせろなんて僕は言ってないですよ。よけいなことは言わないでください。法律にしろとはまだ言ってない。法律にするなら、われわれ議員立法で出しますよ。けれども、とりあえずはどうなんですか、その程度はと、こう言っているんじゃないですか。
○佐藤説明員 お尋ねの公共的な施設に関しまして、そういう意味での設計上の配慮をすることは、一般の他の心身障害者のための施策と同じように、当然私どもからの各実施部隊への通達というかっこうで担保することは可能だというふうに考えております。
○沢田分科員 可能なんじゃない、出してくれるかどうかを聞いているのであって、可能だが出さないのでは何にもならない。だから、そういう配慮をしなさい、いまは法律じゃないからそういう配慮をして、これからの都市計画なりあるいは新しくつくられるものについては、少なくともそういう点の配慮をした上で審査決定しなさいというぐらいのことは出せるんですか出せないんですかと聞いているのだから、可能性はありますなんてそんなことでは話にならないのだ。もう少しきちっと答えなさいよ。
○佐藤説明員 一般的な他の心身障害者の方々の施策と同じように、当然先生御指摘のような行政措置、行政指導はできると思いますし、させていただきたいと思っております。
○沢田分科員 それだけで時間になりました。
 あと文部省おいでになっておりますが、身体障害児者の教育というのは非常に複雑であり、また問題も多い、ケース・バイ・ケースの場合もたくさんあります。ただ、これは対応する側と本人の希望というものには大分乖離がある。一般義務教育を対象といたしますならば、一般的な教育を受けたいというのが本人なり家族なりの希望である。その原則をかなえていけるような方向がとれることが必要なのではないか。従来の養護学校的に詰め込んで隔離するという方向から、一般に参加させて、その試練の中で成長を見ていく、こういうことが期待されている道だと思っております。ただ、線引きはきわめてむずかしいと思います。他に危害を与えるとか、そういうものは別でありますから。
 あと時間が一分ぐらいでありますから、その意味において、とれに対応する「参加と平等」という中身を具体的にどういうふうにあなたの方ではこれから表現し、実現をしていく考えがあるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○戸田説明員 心身障害児に対する教育は、その心身障害児の能力を最大限に伸ばして可能な限り社会自立の達成を目指す、これがすなわち国連で言う「完全参加と平等」を達成するゆえんだろうと思いますが、そのためには、それぞれの心身障害児は、その障害の種類、程度がきわめて多様でございます。したがいまして、その心身障害児の障害の種類と程度に応じて最も適切な教育を受けさせるのが一番適切だ、本人のためでもありまた保護者のためである、このような考え方で現在の制度ができておりますので、そういう考え方に沿いまして今後とも心身障害児の教育を推進してまいりたい。その場合に、先生御指摘のような本人というよりも保護者の希望といいますか、本人なり保護者の希望や意向も酌み取りながら適切な就学というものを確保してまいりたいというふうに考えております。
○沢田分科員 特に後段の方が大切なことなんです。
 大臣、いままでの質問で大体いろいろな範囲に、各省まだあるのですが、この問題は非常に複雑多岐、多様である。厚生省だけで背負ってやっていくには大変なことだ。だから、政府全体で一つの法律的なものをつくりながら対応していかなければならぬだろう。ぜひこの間のお答えに加えて、これを実現へ向けて一歩前進していただきたいと思いますが、その御回答をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○森下国務大臣 障害者対策の総合的な推進体制が不十分であるということで、しっかりやれという激励も踏まえての御質問でございます。
 そのとおりでございまして、厚生省がやはり心身障害者にわたる福祉のすべての責任を持っておりますから、関係各省庁の機能が十分発揮されるように、趣旨が生かされるように全力を挙げたい。そのために御承知の、過去におきましては心身障害者対策基本法、これでは物足りないのじゃないかという、この前の御質問もございました。そういうことで、これは幸いと申しますか、十年間の行動計画をこの三月末までに大体決定をいたします。これは本部長が内閣総理大臣でございまして、厚生大臣は副本部長でございますけれども、やはりこの中心的な役割りをするのは厚生省である。ただ、この担当室は総理府の中に国際障害者年担当室という室を置いていただきまして、いまおっしゃいましたような方向で、この国際障害者年で打ち上げました大きな花火を現実のものとして実現したいというのが私どもの考え方でございます。
○沢田分科員 それでは終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。
 次に、長田武士君。
○長田分科員 厚生大臣にお尋ねをいたします。
 戦後三十七年を経過いたしました今日、依然として中国残留の日本人孤児の問題が解決を見るに至っておりません。こうした状況を見てまいりますと、戦後の後遺症がいまなお残されていることを改めて強く感ずるわけであります。
 終戦当時、中国には日本人開拓者だけでも約二十七万人おり、引き揚げの際には、そのうち七万人が倒れたと言われておりますが、残留孤児の人数については定かではなく、推定では二千人ともあるいは一万人とも言われておるわけであります。その実態は依然としてつかめてはおらないわけでございます。こうした実情から、中国の養父母を初め、やむなく日本に引き揚げてこられた両親や親族の皆さんの心境を思いますと、心痛のきわみでございます。
 ちょうど現在、肉親を求めまして日本人孤児の方が六十名来日をいたしております。大臣もこれらの方々と直接お会いになったようであります。その席で特にあいさつに立った沙勃然さんの訴えの中で、毎年八月十五日が来ると、東を見詰めて涙がとまらない、あるいは日本人は経済大国になったが、苦労して成長したわれわれのことを忘れないでほしい、さらに、日本政府は親探しの窓口を狭めないでほしいなど、切々たる訴えを私たち目にいたしております。こうした生の声を直接大臣は伺ったわけでありますけれども、その御感想をまずお尋ねをいたします。
○森下国務大臣 いま御発言いただきましたように、二十三日に私もオリンピック総合センターに参りまして、ごあいさっと申しますか、御慰問と申しますか、またいろいろおわびも兼ねて参ったわけであります。
 実は私も、個人的な問題でございますけれども、終戦を大陸で迎えまして、あの旧満州地区のような実情は知りませんけれども、ややそれに近いパニック状況の中で在留邦人の方々が苦労された姿は現実に見ておりまして、一言で言えば感無量の思いがいたしますとともに、まことにお気の毒である、やはり国としてこういう悲劇を繰り返すことはいけないと同時に、そういう方々のできるだけ身近な方々をお探し申し上げますとともに、まだ大ぜいの方が残っておられるわけでございますから、できるだけのことをいたしまして無事に日本にお帰りいただくように、また、仮に身寄りのない方でも、大体もう日本の方であるということがわかっておる方がおいでになっておるわけでございますから、日本で生活できるように厚生省としては全力を挙げていきたいというすでに方針は決めております。そういうことで、私も参りまして本当に涙の出る思いがいたしたわけであります。
○長田分科員 この孤児問題は、戦後日本人が中国から引き揚げる際に、混乱の中で子供を抱えた母親が引き揚げる引き揚げ船に乗りおくれてしまったり、あるいは病気やけがなどの事情によりまして帰国できなかった方が中国に残留孤児として残っておるわけであります。したがって、この問題は政府が全責任を持って解決すべきである、全責任は政府にあるというふうに私は思うのですが、どうでしょう。
○森下国務大臣 戦後処理の中でも、もう終わったものもございますけれども、まだソ連抑留の問題とか、海外引き揚げ者の問題とか、また恩給欠陥者の問題とか、いろいろございますけれども、その中で私は、ただいまおっしゃいました孤児の問題、これは現実的に最も重要で、しかも急を要する、そういうことで国が責任を持ってやるべき問題である、このように思っております。
○長田分科員 中国残留の日本人孤児の実態については、どうも正確には把握ができていないようであります。その点、非常に広い中国でありますからむずかしいとは思いますけれども、現在およそどのぐらいの残留者がおるか、この点、把握はどういう状況でしょうか。
○森下国務大臣 詳細につきましては援護局長から申し上げたいと思いますが、私が常識的に知り得る知識内では、ほとんど旧満州地区に限られておる、他の地区ではほとんどなかったように思います。
 私はちょうど蒙古地区におりまして終戦を迎えたわけでございますけれども、財産、荷物等はほとんど残してまいりましたけれども、人員関係は全部引き揚げてまいった。そういう実例を見ましても、いわゆるソ連が参戦をしまして、そして旧満州になだれ込んできた。いろいろ当時の日本軍の指揮とか、また命令系統に非常に錯誤もあったし、またその収拾も悪かったようでございますけれども、そういう関係で、地域が非常に偏在しておるということが特徴であると思います。
 あと、ちょっと局長から……。
○北村政府委員 中国に残留しております孤児と言われる人の実情を正確に把握するのはなかなか困難でございますが、これは私ども厚生省の方に、孤児である人、あるいは自分は孤児ではなかろうかと思われる人から何らかのかっこうで連絡がございます。その数は、本年二月一日現在で千四百五人に上っております。そのうち、いままでその身元がわかった人が四百九十三人でございますので、その差し引きました九百十二人の人について現在調査を行っているところでございます。
 ただいま大臣からもお話がございましたように、この人たちのうち、ほとんど全部、約八割五分ぐらいまでが、いわゆる旧満州地区に現在住んでいる方々でございます。
○長田分科員 これまで調査の依頼のあった人が千四百五名、そのうち四百九十三名が身元がはっきりした、こういうわけですね。これは推定一万人という数が実は言われておりまして、その数から見ますと非常に微々たる数でございます。したがいまして、こうした点につきましては、私は全国的に調査が行き届くように、中国政府にも働きかけるべきであると思うのです。今後こうした調査についてはどのように進めていかれるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○北村政府委員 今後私どもとしてこの問題に対処する方向としては、できるだけ早く事態を解決したいと思っております。
 とりあえず、いま御審議をいただいております昭和五十七年度予算の中で、援護局関係分といたしまして、今回お招きをしております六十人分の訪日孤児数を百二十人に倍にふやす。それから、何分海を隔てまして向こうの政府といろいろ折衝しておりますのも、なかなかはかがいきませんので、五十七年度には当局の職員を中国に派遣をいたしまして、向こうの政府とも十分に、大使館でもいままでやっていただいておりますけれども、さらに詳細の打ち合わせをし、また今回を含めまして二回の調査におきまして、非常に威力を発揮したと申しますのは、テレビ等で実際にいまの姿が映ってくるということが、けさのケースもそうでございましたが、親子対面のきっかけになるものでございます。現地へ参りましてできるだけ多くの人々のビデオをとってくる、それから顔写真を冊子にいたしまして、全国の都道府県、市町村に配置をしたい、そのような計画を持っているところでございます。
 また、そのほか明年度におきましては、身元のわからない、親がいても引き取れないというような方々のために、一種の身元引受人のような制度を新たに始めたいとも考えております。
○長田分科員 現在、来日されております中国残留孤児の皆さんの調査はどの程度進んでいるのでしょうか。私もテレビ等で劇的な対面を見て、本当に目頭を熱くするわけでありますが、こういう方々が日本に帰国されて、生活の方はどういうふうになるのか、ここらが私非常に心配なんです。この二点を簡単にお答えいただきたいと思います。
○北村政府委員 たったいま一組見つかりまして、六十人中三十人が判明いたしました。
 今後の引き受け、日本に帰ってまいりましてからの措置でございますが、まず帰国をいたします際の諸経費を全部政府が負担をいたし、帰ってまいりましてから生活困窮の度に応じまして、たとえば生活保護法を適用するというのも一つの道でございます。
 それから、日本語習得がやはり大きな壁でございますので、とりあえず語学教材を支給いたしますとともに、やや言葉を覚えてきたときには職業訓練を受講させるというような対策を講じてまいっております。
 また、厚生省だけで済む問題でございませんので、関係各省にもお願いいたしまして、たとえば労働省には職業訓練、就職のあっせんをお願いし、文部省については帰国子弟の教育問題、建設省に対しましては公営住宅の優先的な割り当てなどをお願いし、現在、その措置を講じているところでございます。
○長田分科員 先ほど御答弁がございましたとおり、身元調査の状況を見てまいりますと、調査中の方が九百十二名ですか、いらっしゃるわけであります。しかし、今後調査が進むにつれ数がふえることは当然でございましょう。こうした状況の中で、去年は四十七名、ことしは六十名という方が来日をされておるわけであります。来年百二十名ということでございますが、これは予算措置はされておりますけれども、このような計画でいきますと、年数が相当経過をしてしまう。しかも、孤児の方々の年齢は大体四十歳前後のようであります。さらに御両親の年齢などを考えますと、私はちょっとこの時間帯では相当これから困難が予想されるのではないか。時間がちょっとたち過ぎるのではないか、そういう感じがするのですが、どうでしょうか。
○北村政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私どもできるだけ早く実情をつかみたいと思っております。来年度百二十人にいたしますが、私ども、今後の一つのかぎになりますのが、先ほど申し上げました当方から調査団を派遣して、現地で資料を集めますと、かなり手がかりがつかめると思いますので、この結果を早急に実施に移したい。詳細には五十八年度の事業になりましょうけれども、そのときに大多数が片づくように持っていきたいものだと考えております。
○長田分科員 訪日孤児の方々をふやすために友好の船を出してはどうかという話が出ているようでありますけれども、これが実現できますと、私は計画も一歩前進するのではないか、このように考えております。また、日本側の対応につきましても、通訳などは民間のボランティアの人たちや引き揚げ者の方々に依頼すれば相当規模が広がるのではないか、そういうふうに考えますが、どうでしょうか。
○北村政府委員 関係方面の先生はもちろんでございますが、船などを出してはどうかというお話もございます。私ども傾聴すべき御案だとは思うのでございますが、調査をいたします際に、データを十分そろえないまま突然来日をいたしましても、きっかけがないものですから、親を見つけるという点に関しましてはいかがなものであろうかなという感じがしております。ただ、いろいろボランティアの方々から、せめてそういう苦労をしたんだから、日本のあちこち見せてやるために船などを使ったらどうかという御意見も私ども伺ったことがございます。それも傾聴に値する御案だと思いますが、とりあえず先ほどから申し上げております九百何人につきまして、何とか早く身元の確認のためのデータづくりをまず急ぐべきではないかと考えておるわけでございます。
○長田分科員 私は、友好の船については、単に身元調査の孤児だけではなくて、養父の方や、あるいは孤児の中には身元が判明いたしましても中国で暮らす方もおるわけです。そうした関係者なども日本を訪問できれば日中友好の大きなかけ橋になる。そういうことも含めてでありますが、こうした点も含めて検討されたらどうでしょうか。
○北村政府委員 中国残留孤児の親元探し、それから、これからの長い目で見た福祉施策につきましては、各方面からいろいろ貴重な御意見をいただいております。私どももいままでの新聞論調、それから各界の御意見その他を整理いたしまして、一度ゆっくり御懇談しながら御意見を承って、将来の施策に反映したいという考え方を持っております。
○長田分科員 どうかひとつ前向きに検討していただきたいと思っております。法務省、おりますか。――法務省にお尋ねいたします。
 孤児の方々が一様に要望いたしておりますのは、身元の確認に伴う国籍の回復と、帰国して日本で生活できることであります。この中で特に国籍の問題については、現実に中国では日本人として扱われております。日本では身元が確認されていないために外国人として扱われている場合も多いわけですね。こうした人たちの国籍、また日本への永住についてはどのように処理されるのか、この点をお尋ねをいたします。
○宮崎説明員 お答えいたします。
 まず、入国の問題からまいりたいと思いますが、永住の問題からお答えしまして、それから国籍の問題について民事五課長の方に御答弁願いたいと思います。
 中国残留日本人孤児と思われる方々については、事実関係の確認が困難な場合にも、血統的に日本人である可能性が認められるときには、人道的な見地から、とりあえず外国人として入国を認めるという措置をとっております。それで、これらの人たちが長期残留を希望する場合には、さらに身元を調べまして、身元が確認されたときはもとより、不幸にしてその身元を確認し得ないときでも、本人が血統的に日本人であると認められる限りにおいては、入国後の生活面での手当も確認した上でその入国を認める、そのような考えでおります。
○田中説明員 それでは、国籍の関係についてお答えをいたします。
 私どもは中国残留孤児の方々は、大部分の方は日本国籍もまだ持っていられると思っております。ただ、日本に入られるときには中国のパスポートで入ってこられておりますけれども、仮に中国の国籍を持っておられても、ほとんどの方は日本の国籍も持っておられると思っております。ただ、親御さんが見つからない場合については戸籍がございません。そのためには戸籍をどうやってつくるかというのが次に問題になるわけでございますけれども、これにつきましては、現在のところ就籍の裁判、これが戸籍をつくる手続でございまして、この就籍の裁判を家庭裁判所に申し立てをしていただいて、それでその手続の中で戸籍をつくるという手続をしなければいけないことになります。そのためには少し裁判所の手をかりなければいけないわけでございますけれども、現在の法制上は、親御さんが見つかれば、仮にまだ戸籍に記載されていないという場合でも出生届という形で戸籍に記載ができますけれども、親御さんが見つからない場合については、現在のところ就籍の裁判のものをもらって戸籍をつくる以外にはございません。
○長田分科員 また、孤児の方が帰国される場合には家族が同行することも当然考えられるわけであります。その場合配偶者、子供、養父母などの入国について法律上どのような問題があるのか。法務省答えてください。
○宮崎説明員 これまで長年にわたりまして日本人の孤児を育ててこられた中国人の養親が、孤児とともにわが国で永住を希望される場合には、事案の特殊性にもかんがみまして、関係省庁とも協議の上好意的に取り扱うように配慮してまいっております。特に養親が高齢で中国の方に適当な扶養者がいない場合には、速やかに入国を認める、そのような扱いをしております。
○長田分科員 その点便宜を図っていただきたいと思っております。来年度の予算には、先ほどお話がありましたとおり、中国への調査団の費用が新たに一千百万計上されているわけであります。この調査団はいつごろどの程度の規模をもって派遣されるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○北村政府委員 予算の御審議をいただいている最中でございますのでなんでございますが、四月以降中国政府と十分打ち合わせをいたしまして、できるだけ早く派遣をいたしたいと思っております。まだ何月というところまではちょっと先方の都合もありまして詰め切っておりません。
○長田分科員 引き揚げ者等に対する援護政策でありますけれども、一般にどのようなことが講じられておるのか。特に日本語習得の問題は引き揚げ者にとっては最大の障害となっておるようであります。そうした内容について御説明いただきたいと思います。
○北村政府委員 先ほどちょっとかいつまんでお答えを申し上げましたが、一般的に中国残留孤児を含めまして、現在厚生省におきましては、中国からの引き揚げ者に対して、中国の居住地から日本の中の帰郷地までの旅費等を全部支給いたします。帰還手当、帰郷旅費の支給、それから、帰ってまいりまして、とりあえずのオリエンテーションの実施のための費用、日本語習得のための語学教材の支給、その次に生活指導、職業訓練受講のための便宜、生活保護その他の施策を講じているところでございます。
○長田分科員 中国からの引き揚げ者はすでに一千百三十一所帯、人数にいたしまして三千四百八名となっておるわけであります。今後も増加することが予測されるわけでありますが、こうした人たちが郷里に帰っても、言葉とか仕事の問題などで、東京を中心とする大都市に集まる傾向が非常に強いようなんですね。その例といたしまして、都内に八つありますところの夜間中学校に通う生徒の約半数が中国からの引き揚げ者であると言われておるわけであります。これらの人たちが大都市を中心に集まってくることは当然だろうと私思うわけでありますが、周囲の施設や仲間が多いことも原因しているのじゃないかと思います。文部省はこういうような日本語の習得の実態並びに対策をどのように考えておりますか。
○室屋説明員 いま先生から、成人の中国引き揚げ者の方々に対する日本語教育対策についての御質問でございますが、全般的に申し上げまして、私どもの対応を説明させていただきたいと思います。
 中国引き揚げ者の方々に対する日本語の指導は、引き揚げ援護や生活指導の一環として、主として各都道府県の窓口を中心に直接にあるいは引き揚げ者関係団体に委託されたり、それからまた、生活指導員によって行われているのが実態でございます。また、夜間中学校等でも学習をされているわけでございますが、これは後で中学校教育課長の方から説明があろうと思います。引き揚げ者にとりまして、言葉の面から実際の生活適応にとって非常に御苦労なさっているということは私どももよく認識しております。
 そこで、そのような状況にあるわけでございますが、夜間中学校の先生方や引き揚げ者、関係者の方々から実際生活に即した教材の強い要請がありますので、文部省におきましては、昭和五十七年度予算案に新規事業といたしまして、実際的な生活適応にすぐ役立つ日本語教材、これは日中対訳のカセットテープつきの学習書を予定しておりますが、これを開発作成いたしまして、学習される方々や指導者の方々に広く配付いたしまして、またこれを用いた適切な指導法の研修を行うための経費約一千七百万円を新規に計上いたしまして、実施すべくお願いをいたしておるところでございます。これによりまして、引き揚げ者の方々が帰国後日常生活の場面で支障がないよう、日本語の習得が一層促進されますよう、厚生省担当部局とも連携を密にとりながら協力してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
○福田説明員 中学校夜間学級に在籍しておりすす中国からの引き揚げ者の数は、昭和五十六年五月一日現在の調査によりますと、東京都、大阪府、広島県など五都府県に二十校、三百三十八人というふうになっております。なお、このうちの四校には日本語学級を置いておりまして、百九十人が在籍をいたしております。これらの方々は、いわば学齢超過者でございますが、主に生活に必要な日本語習得を目的としておられる方々でございます。
○長田分科員 これまでとられてきました孤児に対する政府の対応策については、私はまことに不十分だろうと考えます。中国残留孤児の方々は、三十数年間にわたりまして中国で生活された方々ばかりであります。これを日本での生活に切りかえるためには、私は時間的にも相当長くかかるだろうと思います。生活習慣、言葉遣い、あるいは制度上の問題など、相当の違いがあるわけであります。とても一週間や二週間ぐらいのオリエンテーションやカセットテープなどの支給だけでは順応できるものではないと思っております。私が知り得ただけでも、自殺、ノイローゼによる犯罪、また日本に来たが結局中国に帰らなければならないというような家族もおるようであります。こうした点を考えてみますと、引き揚げ者を迎える体制については、生活に不安のない施設、たとえば全国に三十三カ所ありますところの生活保護法による施設に一定の期間入ってもらって、日本での生活習慣や言葉の問題なども十分理解してもらう、そういう期間を十分とって、それからそれぞれの肉親のもとに帰ってもらう、こういう方が親切でもあり、やはり人道上そういうことが必要じゃないか、私はそう思いますが、この点どうでしょうか。
○森下国務大臣 同じ日本人の血が流れておりましても、長い間の御苦労の上に異国での生活があったわけでございまして、やはり風俗、習慣という問題が一つのネックになることは事実でございます。そういう意味で、留学生なんかの問題でも、単一民族と言われる日本に対するいろいろな卸批判等を聞きました場合に、私どもは、異国で生活される、日本に来て永住する場合の対策、これはかなり研究しなければいけないなということは前から感じておりまして、この機会にそういう方々が温かく迎えられて、また温かく生活できるように全力を挙げたい。ただ、こちらにおいでになりまして肉親に会われた方の中でも、いろいろな事情で向こうにお帰りになる方もあるかもわかりません。それは個人の御自由でもございますし、また将来こちらにおいでになりたい方、また日本に来たいけれども最後の生活は大陸で過ごされる方、いろんなケースに分かれると思うわけです。そういう面も配慮して中国政府とも十分相談しながら、やはり個々の幸せということを私どもは考えてあげないと、これはただ日本に帰ってくればいいのだ、また日本ですべて受け入れれば事足りるのだという問題だけでないと思います。だから、きめ細かい行政をやりまして、少しでも喜んでいただけるように、また厚生省の意図が十分達成されますように全力を挙げることをお誓い申し上げます。
○長田分科員 特に三十数年育てていただいたそういう恩も私たち日本人として感じなければいけないと思いますね。私は、政府の対応というのを中国は見ているのではないかという感じがいたします。そういう意味で、経済大国と言われながらこういう手抜かりがあっては相ならぬと思いますので、その点しっかり対応していただきたいと思います。
 以上で終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。
 次に、小渕正義君。
○小渕(正)分科員 私は、原爆被爆者地域の不均衡是正の問題をまず第一に取り上げまして、関係当局の御意見を伺いたいと思うわけであります。
 今日まで原爆被爆者の諸対策がそれなりに政府の取り組みが前進されておることについては、心から敬意を表する次第でありますが、私、昨年の社会労働委員会の中でもこの問題を提起いたしまして関係当局の決断をお願いしたわけでありますが、その後一年間、まだ長崎における原爆被爆地域の不均衡の是正については何ら前進が見られないような感じがするわけであります。この問題について、担当所管大臣である厚生大臣は、この問題がどういうものかということについて十分御理解されておるかどうか、まず大臣のお考えを示していただきたいと思います。
○森下国務大臣 広島、長崎、この両地域に人類史上初めての原子爆弾が落とされました。この悲劇については、私どもは永久に忘れることはできません。原爆被爆者に対するいろいろな施策、これは厚生省としても非常に大事な問題として扱っておりますが、その中で、被爆地域の問題につきまして、広島の方はそうでもないのですが、長崎におきましてはいわゆる被爆地域の問題につきまして、国会ごとに実は小渕議員から質問されるような御心配の質問をいただいております。いつも申しわけないわけでございますけれども、一言で申せば、被爆地域の指定については、従来の行政区域に配慮した面もございますが、基本的には原爆の放射能の大きさを基準として定めておるというようなこともございます。したがって、今後におきましても、原爆基本問題懇談会が指摘しているとおり、被爆地域の指定については「科学的・合理的な根拠のある場合に限定して行うべきである。」非常に回りくどい言葉でございますけれども、そう簡単に変えられないということでございます。
○小渕(正)分科員 被爆地域の不均衡の問題でありますが、これは長崎県民挙げてこの不合理性について何とか是正をしてもらいたいという強い世論であります。いま御答弁がありましたように、本当に科学的、合理的な納得性を得るものであれば、あえてこの問題について異を申し上げることはないと思うわけでありますが、しからば現在の指定された地域が果たして本当にそういう納得性の得られる理由づけによってされたものかどうかということについて、そういったすべての県民が納得し得るようなデータでもお持ちになってお出しになるならばそれなりに結構ですが、当時の混乱した状況の中で、一つの汚染度、放射能の現有値、そういったいろいろな科学的な根拠に基づいて指定されたものではなしに、単なる行政区域の範囲の中でこれが決められていったというところに大きな問題が今日残っているわけでありますから、そういう意味で厚生省当局、本当に県民の皆さん方に十分納得し得る合理的な科学性のある根拠がもしもあるならば示していただければ、われわれは毎年毎年この問題を取り上げることは何もいたしませんが、そういうものがない中において便法的な方法でこの問題を処理されておるからこそ、いつまでたってもより強い世論として上がっているわけでありますので、その点に対してもし行政当局の見解があればお示しいただきたいと思います。
○三浦政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、被爆地域の指定につきましては、従来の行政区画に配意した面もございますけれども、基本的には原爆の放射能の大きさを基準として決めたということでございます。当初の被爆地域の指定に際しましては、日本学術会議の発行いたしました原子爆弾災害調査報告書やあるいはその他の専門家の意見も参考にいたしまして、爆心地から大体五キロメートルの範囲といたしまして、その際に既存の行政区画の範囲も考慮に入れたということでございます。その後の放射線に関します研究を見ますと、一生の間に一度被曝す三場合の最大許容線量というのは、国際放射線防護委員会の勧告によりますと二十五レムでございまして、これは広島におきましては爆心地から一・七キロ以内、長崎では一・九キロメートル以内ということになるわけでございます。また、被曝線量がゼロになる距離というのは、ABCCの調査研究によりますと、爆心地から大体三キロメートル以内ということでございまして、現在の被爆地域の設定というのは、私ども十分な安全性を持ったものではないかというふうに思っておるわけでございます。
○小渕(正)分科員 当初、被爆地域を爆心地二キロ以内とかいうような話で、指定された当時は、あのときの一つの根拠としてそういうものがあったかと思いますが、現在の被爆地域は、これは大臣、地図で見ていただいたら一目瞭然だと思いますが、このピンク色が指定地なんですね。それから、この黄色が四十九年に是正をした地域なんです。そうしますと、長崎の爆心地はちょうどこの港の奥でございますけれども、この五百メートルのところで爆発したと言われております。そのときの風がどういう方向だったか、そのときにどういうものが周辺に出てきたかというのは、いろいろデータはあるのですよ。しかし、明らかに見てもおわかりのように、長崎のような地形の中で、爆心地より南はこれだけ――要するにさっき言われている六キロ範囲、これが大体六キロです。ところが、爆心地から南は約十二キロぐらいあるのですね。これはどなたが見ても、こんな不合理な地域ということは、長崎に住んでいる人自身みんながこれはもう納得を得られない。どんなにいまお話を承っても、わずかにそういう若干の根拠を示されたわけでありますが、このような地図の状態、実際の地形の状態、しかも、被爆したときのいろいろ飛来してきた状況等を考えれば、明らかにこれは不合理だということはどなたが見てもわかると思うのです。
 厚生大臣いかがですか、こういうことになっているのですよ。ここのところが爆心地なんです。二キロ、四キロ、六キロ。大体これが六キロなんです。南の方が十二キロなんです。しかも長崎の一番高い山というと三百メーターより高い山はないのです、五百メートルのところで破裂したと言われているわけですから。しかも長崎の原爆は広島より二〇%くらい強力な新しいタイプだと言われていることは、当時の科学者の人たちも証明しておるわけであります。だからそういう意味で、地域というものはただ一概に広島と比較してどうのこうの言われないという状況にあるということを、これは見ていただければわかると思うのです。これだけの違いがあるわけです、縦横、南北東西。これは単なる地図だけで示しておられるわけですけれども、そういう中で、ここらあたりに落下してきたときのいろいろなものがデータとして前から陳情のときに出しておりますが、そういう者にすると、そういう意味で地域がここだけが枠外にされておるということについて納得しがたいということで、関係市町村の当時の住んでおられる人たちが、まだまだそういう根強い期待を実は持ってこの問題を進めておるわけでありますので、そういう点でひとつ問題の本質を理解いただきたいと思います。
○三浦政府委員 先に私の方からお答えさせていただきます。
 ただいま先生御指摘の問題につきましては、当初行政区画というものを配慮したというところにちょっと問題もあろうかと思います。ただ、そうかといいましても、それじゃこれから見直すという問題になりますと、一昨年の暮れの原爆被爆者対策基本問題懇談会の御報告にもありますように、これからの地域拡大というのは科学的な合理性を持ったものでなければならぬという御意見もいただいておりまして、もしまたこれを見直すとなりますと、また科学的合理性がなしにやりますと新しい不公平感というものを生み出すのじゃないかというふうに私ども思っておるわけでございます。
○小渕(正)分科員 言葉の意味では、科学的合理性が必要だということで言われることはよくわかるわけです。しからば、あの当時の混乱した状況の中で系統的な調査活動をされなくして、そしてもう三十数年たったいま科学的、合理的な根拠を求めようとしても、もうそれはないということははっきりしているのです。ただ、それぞれの関係者がいろいろ出しているデータを、どう受けとめて理解するかどうかということになるだろうと思うのです。これは「長崎およびその隣接地区における原子爆弾による放射能」ということで、これは当時、二十年の十二月二十五日より二十一年の一月二十二日まで、理化学研究所の増田助手を中心にして調査された放射能強度の測定の結果があります。これを読んでみましても、「隣接地区に於ける強度分布」という点では、いろいろありますが、大事なところを読みますが「此の限界は尚不明であるが南の限界は島原半島の南端白頭、北有島を結ぶ線附近に充分にうかがわれる。島原全島の中心部即ち雲仙を中心とする山地帯に強度弱く、以遠の島原でまた強度が強くなっているのは興味あることである。」ということで、当時の放射能強度を調べた一つの記録があるわけです。これでいきますと、そういう意味ではいろいろありますが、「第4図から見れば原子爆弾による影響は有明海を越えて遠く熊本までも伸びていると想像される。」当時の放射能強度を調べられたこの機関は、権威あるかどうかは知りませんが、その中でのこういった測定の結果の報告書も実はあるわけですね。
 したがいまして、そういったことを考えますならば、しかもこれは仁科記念財団の中で「原子爆弾」という一つの記録がまとめられておる中からの抜粋でありますが、これによりますと、一九四五年七月十六日の、アメリカのニューメキシコ州において世界で初めての原子爆弾の実験が行われたときの記録があるのです。これを読んでみましても、約九・二キロメートルのところのコンクリートの援護物の中でカメラで撮影しようとしておったととろが、放射線で黒くかぶって役に立たなかったとか、それから十六キロのところでは、放射線を示すカウンターが三十五レントゲン・毎時を示したとか、これはほんの抜粋でありますが、そういうように世界初の原子爆弾の実験をやったときにおける影響の多い部分が記されている。
 しかも長崎の場合には、先ほど申しましたように広島型より約二〇%強力な破壊力があったということが言われておるわけでありまして、それだけにまたその影響が大きかったということは十分推定できるわけでありますので、そういうこと等も勘案いたしますならば、こういった記録からいきましても、現在被爆地域の是正を求めておることがそう不当なものでないということを大臣もひとつ御理解していただきたいと思うわけでありますが、その点いかがでしょうか。
○森下国務大臣 この平面的な地図で見ますと、いま言われたように非常にいびつなかっこうをしておるわけであります。先ほど申しましたように、従来の行政区画に配慮した面もございますがというような言葉もございます。私がおかしいとか変だとか言うと大変なことになりますし、過去の経緯もございまして、この点非常に歯切れが悪うございますけれども、先ほどの御答弁の範囲内で御了承を願いたいと思うわけでございます。
○小渕(正)分科員 原爆問題基本懇の答申を受けて、新たな科学的な根拠がない限りは被爆地域の問題については指定はいかぬのだということを言われているわけでありますが、昨年のこの七人懇の結論を得た上で、当時の厚生大臣が長崎のこういう関係者の人たちとどのようなやりとりをしているかという記録があるわけでありまして、ちょっと読み上げますけれども、「結論は科学的に言うと、これを是正することによって、不公平が出てこないように慎重にやれとこう書いてあります。しかしやってはならないとは書いてありません。この問題はそういうことでありますから、十分地元に相談して解決します。」このように前園田厚生大臣は、あの七人懇の答申が出た後の関係者とのやりとりの中で言明をされておるわけです七そして「今後は県、市、被爆者団体が一体となり、行政において統一した資料を提出してください。」ということを、実は大臣が厚生省において言われているわけです。したがって、そういう形の中で関係者の人たちは、また新たな希望を持ってこの問題について今日まで取り組んでおるわけでありますので、そういう点からいきまして、いまの厚生大臣は先ほどのことを言われておりますが、その後の経緯としてそういう流れがあるということをひとつ厚生大臣にも御理解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○森下国務大臣 この問題につきましては、地元関係の与野党の先生方全部がそういうお考えのもとで、いろいろと私の方にも陳情があったりまた御意見があるわけでございますし、この点はよく受けとめております。しかしながら、先ほど申し上げましたような内容の御答弁しか現在のところ私としてはできませんので、御了解を願います。
○小渕(正)分科員 前の厚生大臣は、前向きにこの問題に取り組まれようという姿勢を示されておるわけですよ。それに対して、いまの大臣のあれは、またもとに戻ったところから一つも出発してないわけですけれども、行政としては、そういう自分の前の大臣と大臣が違うからということで済まされる問題ではないというような気がするわけです。その点いかがでしょうか。
○森下国務大臣 園田前厚生大臣の発言を否定するものではございません。それはそれで尊重いたしまして対処していきたいということでございますから、その点は御了解を願います。
○小渕(正)分科員 それでは、その点はやはり前任者の意を受けた中で、その延長の中で行政としては考えていくということで受けとめていいわけですね。
○森下国務大臣 そのとおりであります。
○小渕(正)分科員 それでなお申し上げますが、要するにこういう関係者の人たちはどんどん老齢化していく。恐らくそちらにデータがあると思いますが、現在、健康管理手当対象者が約十万名くらいだろうと思うのですが、そのうちの一割以上、千五百名くらいの人たちが毎年お亡くなりになっている。ざっと考えて、恐らくそうでしょう。そういう状況に置かれているわけですね。だから、何年かたてばこれらに対する関係者がだんだんおらなくなっていくということになりますから、行政当局がそれを待っている。期待されているとは私は言いませんが、少なくとも早くこの問題についての決着をつけてほしいというのがわれわれの強い願望なんです。
 しかも、いま私が申し上げたような不均衡の地域是正を手がけることによって何ら財政的負担にはならない。受診証をやって年に二回の健康診断をさせてもらう、そういう地域に入れてくれということですからね。その中で、長与とか時津とか四十九年に一部是正を含めた地域の対象者の中で健康診断によって被爆手帳の対象者になった人たちがどれぐらいおられたかというと大体六割いない。だから、私が申し上げているようなこういう不均衡是正のための地域の中の対象者が、昭和四十九年当時では約一万八千名と県外居住者六千名の二万四千名程度であったと思いますが、昨年の県市の推定によりますれば対象地域の中での該当者としては約一万四千名程度しかおらないのじゃないか。それからなお、県外に移っておられた人たちでも二千名程度しかおらぬのじゃないか。要するに、もう一万六千名ぐらいしか対象者はおらないのじゃないかというような、これは一つの推定ですけれども、そういう数字が一応言えるわけです。だから、四十九年当時調べたところでは約二万四千近くおられたのがもう一万六千名近くに減っておるわけです。年々歳々こういう形で高齢化、老齢化に従ってお亡くなりになっていくというような状況にあります。そういうこと等を考えますならば、現在の原爆医療法の予算の範囲内で、新たにこのことをすることによって財政的負担がまた国に大きくなるということはあり得ない、こういうふうに断言してもいいと思います。
 そういう実情の中で、いま大臣が申されましたように、少なくともそういう問題の認識をしていただいて、ぜひ前向きにこの問題が解決できるようなそういう決断をお願いしたいと思うわけであります。
 老齢者の地域の人たちは本当にいら立ちながら、もうあと余命幾ばくもないという中で、やはりこれだけは何とかしなければいけないということで、実はああいったお年寄りの人たちが毎年毎年足を運ばれておるわけであります。そういうことを考えますならば、先ほどからも申しますように、これで一たんまた是正すると次の不合理を生む、不公正を生む、そういう意味での御懸念があろうかと思いますが、そういう点では地元、地域、県市においてはそこは大体整備されている、こう言っても間違いないと私は思いますので、そういう点に対する御懸念は一応無用にしていただいて、この問題、最終的な決着を早くつけるという形の中で前向きにお考えいただきたい。大臣にお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○森下国務大臣 先ほどからいろいろやりとりございましたが、結論的には慎重に検討をさしていただきます。
○小渕(正)分科員 慎重に検討されることは結構でありますが、慎重に検討されたものが一つも変わりがないということでは行政としてはちょっと私は理解しかねますので、次回この問題であえてまたこういった議論をしなくて済むような少しでも前進したあれをお願いしたいと思います。特に、ことしの八月九日の原爆記念日には鈴木総理大臣も長崎にお見えになるわけです。長崎に内閣総理大臣としてお見えになるのは三木総理大臣以下鈴木総理大臣が二回目でございますから、そういう意味では、一つのおみやげと言っては悪いですが、何らか行政としても前向きに考えておるんだという形をあかしとして示すようなせっかくの機会でございますから、ぜひその点をお願いしておきたいと思います。
 次に、総理府の方おられますね。
 実は、私この原子爆弾被爆者関係の問題でいろいろと調べている中でいつもひっかかるのは、わが国の第二次世界大戦の戦後処理という問題が一貫して行われていない。そういう点でいろいろな問題に実はぶつかるわけでありますが、政府は四十二年でしたかね、もう戦後処理はこれで終わりだという形で引き揚げ者に対する交付金といいますかそういうものをもって一切終わりとするというようなことが記録的にはあるわけであります。政府はもう一切の戦後処理はそういう意味で終わったというふうに御認識のようでありますが、その戦後処理とは一体どういうものを考えられておるのか、まずそこらあたりについての基本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。
○造酒説明員 戦後処理問題について基本的にどういうことを考えているのかというお尋ねでございまして、大変むずかしい問題でございます。戦後処理あるいは戦後処理問題というものについて明確な定義があるわけではございませんが、私の一般的に理解をしておりますところでは、さきの大戦に関しまして生命、身体、財産などにつきまして何らかの損害を余儀なくされた方々が、それに対して補償とか援護とかというそういう措置をお求めになって提起されておられる問題であろう、かように理解をいたしておるわけでございます。
○小渕(正)分科員 そういうふうに問題を理解されることについては別に異論はないですが、そういう形の中で、こういった戦後処理は一切終わったというのがいまの政府の御見解でございますか。
○造酒説明員 さきの大戦に関しましては、すべての国民の方々が何らかの犠牲を余儀なくされたと言ってもよろしいかと思うわけでございます。未曽有の戦争であったわけでございます。したがいまして、これを完全に償うということになりますと、実際問題として不可能でございます。究極的には国民のお一人お一人にそれぞれの立場で受けとめていただかなければならないものではないかというふうに考えているわけでございます。
 政府といたしましては、これまで戦没者の遺族の方や戦傷病者、あるいは生活の基盤を失って海外から引き揚げてこられた方々などにつきまして援護等の措置を講じてまいってきたところでございまして、これまでの一連の措置をもって戦後処理に関する措置は終了したものというふうに考えているわけでございます。これは戦後処理につきましてやるべきことはすべてやり尽くしたという意味ではないわけでございまして、戦後処理につきましてはしょせんはお一人お一人の方々に最終的には受けとめていただかなければならない、政府の措置としては、どこかで一つの区切りをつけなければならないという観点から昭和四十二年、先生おっしゃいましたとおり政府・与党間で、戦後処理に関する措置はこれをもって終結をするという了解を結びまして、今日までその線で考えているわけでございます。
 しかしながら、戦後処理問題に関しましては一部に強い御要望がございますので、民間の有識者によります公正な検討の場を設けまして、戦後処理問題についてどのように考えるべきかということを御検討をお願いしたい、かように考えているわけでございます。
○小渕(正)分科員 大戦によって犠牲を受けられた方に対して、国としていろいろな手を差し伸べていくという形で例を言われたわけでありますが、全体的には全国民ひとしく受忍すべきところは受忍していかなければいけないということが一貫した流れのようでありますが、そういう意味で私は、国民としての受忍の限度というものがバランスの中では考えられるのではないかと思います。私も昨年社労委員会でこの問題をちょっと提起したのでありますが、いまだにわが国では、一般戦災者といいますか、原子爆弾被爆者についてはある程度のものが政府のそういった取り組みによりましてかなり進みましたけれども、一般戦災者の中で重症者といいますか重症身体障害者、たとえば腕をなくしたとか足をなくした、そういうのに匹敵するような戦災者の一般の人たちが戦災者の中にどの程度おられるのかということについて、何らそういう一般戦災者に対しての政府としての統計的な取り組みがされていないということがわかったわけであります。そういう点からいきますならば、特に今日の近代戦争の中においては戦地、内地を問わず戦場になったわけでありますから、そういう点から言って、一般戦災者の中における重症者の障害者の人たちだけに対してでも、国は何らかの措置を講ずる必要があるのではないかということを考えるわけでありますが、それさえも何ら、対象者がどれくらいおるかも全然調べられていないという現状だと私は思います。
 そういう中でありますから、政府のそういった立ちおくれでありますから、国民からのいろいろな指摘が出ているのではないかと思います。いま総理府から、いよいよ民間に委託して何らかの戦後処理問題についてまた一つの御検討をお願いするということでございますので、現在これ以上申し上げませんが、少なくともいま大きな問題とされているものの中には、シベリア抑留者の人たちが現在政府を相手取って賠償責任といいますか、そういう裁判を起こされております。少なくとも政治というものは、そういう裁判やその他の判断の中で、司法の判断の上に立って、それを行政が後から追っかけていくようなことでは私は行政は立ちおくれだと思います。この前の原爆基本懇も、一つはそういった司法に対する行政の立ちおくれからああいった答申というか、ああいう機関をつくっての検討をお願いしたと思いますが、そういう点では、厚生大臣もおられまして、特にこういう戦後処理の方では、大きい意味では総理府でしょうけれども、具体的なことをやる場合はほとんど厚生行政の中に入ってくるような問題ですから、ひとつこれは時間がございませんのでもう御要望しか言えませんが、ぜひひとつ、司法が一つの方向を出してそれを行政が追っかける、そういう後手後手の行政ではなしに、もう少し、国民の皆様方がない金をお互い出し合いながらいろいろと連携をとって一つのデータを出して初めてこういうふうに行政の中に持ち込む、そういう中でようやく問題が浮き彫りにされているのが現状だと思いますので、そういう点でひとつこれからは一歩進んだ方向で、これらの戦後処理でまだ残されているたくさんの問題についてもやはり一つの――国民の皆様方は政府のそういう誠意ある態度を求めておるだけでありまして、何も量的な、物的なものだけに求めておるわけではないわけでありますから、そういうところをぜひ十分頭に置いてこれから取り組んでいただきたいということを特に、きょうは総理府がおられませんので、厚生大臣にお願いしておきたいと思います。
 以上で終わります。
○亀井(善)主査代理 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上泉君。
○井上(泉)分科員 大蔵省、運輸省の方に来てもらっておるわけでありますので、この方に対する質問は先にしたいと思いますが、その前に厚生省の方で、今日、医療行政の中で地方のいわゆる自治体病院、つまり県、市町村立の自治体病院の数と脳外科を設置しておる病院の数とはどの程度の比率になっておるのか、医務局の方から御答弁願いたいと思います。
○大谷政府委員 脳神経外科を標榜しております公的病院数は、昭和五十五年末におきます医療施設調査の結果によりますと二百九十七施設、これは全体の脳神経外科を標榜しております病院が千百三十一でございますので、そのうち二六・三%を占めているということになっております。
○井上(泉)分科員 それだけの低率なパーセンテージしかなにしていないということは、脳神経外科を設置するについては、医師の問題もありますけれども、それに関連した医療設備の問題も多々あるのではないか、そういう点が地域の要望が強いにもかかわらず脳外科を設置できない大きな隘路になっておるのではないか、そういうふうに思うわけですけれども、厚生省当局としてはこれはどういうふうに把握されておるのですか。
○大谷政府委員 二六・三%という数字は確かに少ないように、この数字だけを見ますと見えるかもしれませんが、公立病院の占める割合が全体の病院の中でそう多いわけではございませんので、割合といたしましては公的病院はやはり脳神経外科につきましても力を入れている。これは全く力を入れているというのにはあれでございますけれども、そんなに民間病院に比べてこれをやっておらないということにはならないと考えるわけでございます。
○井上(泉)分科員 医務局長、別に自己弁護する必要はないと思うのです。率直にお気持ちを言われたらどうですか。たとえば高知県の公立病院は幾つかあるわけですけれども、その中で、県立病院には脳外科があるわけですが、その他の市立病院で脳外科を設置しておる病院は一つしかないのですよ。それは決して需要がないからではない。今日、交通事故の多発する状態の中で、地域の中で脳外科の診療を地域住民としては非常に要望しておるのだが、医務局としては少ないとは思わないと言うけれども、現実には少ないのだから、これで事足れりというわけではないでしょう。
○大谷政府委員 私もこれで十分だということを申し上げておるわけではございませんで、できる限り努力すべきものと考えております。
○井上(泉)分科員 そこで、脳外科を地域の住民の要求の中で何とか設置をしたいというようなことで要望があった場合に、これが医師会の抵抗に遭うとか、そういうようなことは厚生省としては考えられないですか。やはり医師会の抵抗があるのですか。
○大谷政府委員 脳外科につきましては医師会の抵抗とかそういうふうなことは私、聞いておりません。脳外科の学問といいますものは、戦後アメリカからこれを修得いたしまして、最近になりまして特にCT、つまり脳の診断装置というのが数年前から画期的な威力を発揮するようになりまして急速に進んできた専門科でございまして、この専門医も、私どもの学生時代にはそれだけの専門医というのは大学にもいなかったわけでございますけれども、そういった点で戦後急激に進んだ学問であるというふうな点でおくれておる。それからまた、脳神経外科は、一人だけの外科医ではなしに、やはり数名の専門医が協力してやらなければいけない。また、それに伴いますいろいろな設備、機器につきましても大変複雑、高度なものでございますから、そういった点で確かに特定の地域ではまだまだおくれているところがございますけれども、最近は特に無医大県解消に伴いまして脳神経外科は非常にふえてきているというふうに考えているわけでございます。
○井上(泉)分科員 確かに脳外科の関係については、いま局長の言われるような状態の中で、国会の中でもずいぶん論議をされてき、私自身も論議をしたこともあるわけで、いま言われるように新しく開発されてきたわけですが、非常に経費が要るというようなことで、自治体としては設置をしたいけれども足踏みをしておる。ところが、一般民間個人病院では、脳外科を設置することによって、そこで救急病院としての使命を果たすというのと、それとこれに要する医療費の関係、こういうのを検討しますと、一説によると、脳外科を設けておる救急病院は大もうけをする、こういうふうな話まで伝わるような中で、あくまでも公立病院にそういうものを設置をしていかなければならない。そのためには今日の地方財政の貧弱な中で非常に苦労するわけですが、そこで大蔵省、運輸省、それぞれこうした脳外科を設置するに当たってのいろいろな援助措置というものが講ぜられておるはずですけれども、その点、大蔵省、運輸省、それぞれ御説明願いたいと思います。
○大谷政府委員 ちょっと大蔵省の御説明になる前に、私どもの方の厚生省の体制について先生に御説明申し上げておきたいのでございますが、脳神経外科と言わず――脳神経外科は非常に大きな部分を占めます救急医療というものにつきまして、厚生省では昭和五十二年度以来、全国的に一次、二次、三次と分けまして、特に二次、三次の医療、特に三次の救命救急医療というものにつきましては、いわゆる脳神経外科を中心といたしまして救命救急的な処置ができるものにつきまして相当予算補助をいたしております。これにつきましては、施設設備あるいは運営費等につきまして補助をいたしておりまして、現在すでに三十一カ所の第三次の救命救急センターの運営を行っているわけでございまして、厚生省では今後とも非常に重点施策として進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○松田説明員 私どもの方は、いわゆる自動車賠償法の自賠責保険という保険がございますけれども、その中で自賠責保険は、御承知のように、六割部分を国に再保険いたしておりますが、四割部分は民間保険会社に保有をしております。この保有しております保険料を、保険金を支払うまでの間、運用をいたします。その運用益を中心に一定のお金がたまるわけでございますけれども、このお金の使い方として、いま先生御指摘のいわゆる救急医療体制の整備であるとかあるいは被害者のお子様、交通遺児の育英のためのお金、そういったものに民間会社分の運用益の中から寄附をする事業をやっております。
 その寄附をする事業の総額が昭和五十六年度ベースで申し上げますと、およそ六十七億円ほど寄附をいたしておりますけれども、そのうち、いわゆる救急医療体制と申しますものには約三十三億円出しておりまして、民間会社の持ち分であるということもございまして、その配賦先というのは日本赤十字並びに済生会病院といったものを中心に行っております。これは、そういった財源に限りがある中でいかに効率的に被害者救済のためにやったらいいかという観点から、国公立病院といったところにつきましては国とか市町村、都道府県といったところがそれぞれの経営に責任を持っておるところでございますけれども、私ども寄附を申し上げております日赤、済生会といった病院は、いわば民間の寄附にその運営を依存している部分が非常に多いということでございます。
○井上(泉)分科員 簡単に言ったら、公立にやっていないということでしょう。まとめて言ってください。
 運輸省……。
○黒野説明員 運輸省におきましては、自賠責の運用益を利用いたしまして、公的病院に対しまして救急医療体制の整備という観点から、医療機器の整備費の一部につきまして昭和四十二年以来助成を行っております。
○井上(泉)分科員 その金額はどれくらいですか。
○黒野説明員 補助率が三分の一、限度額一千万ということにいたしております。
○井上(泉)分科員 それで、厚生省の医務局長の三十一カ所というのは、民間病院でしょう。
○大谷政府委員 失礼いたしました。三十一カ所でなしに七十一カ所でございます。これにつきましては、国立、公立、民間、全部含めまして七十一カ所に対しまして国が補助をいたしておるわけでございます。
○井上(泉)分科員 その国の補助しておる額が、いろいろやっていても、このうちで大蔵省の分が一番多いでしょう。
○大谷政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、厚生省プロパーの補助を行っておるセンターでございます。
○井上(泉)分科員 それで、その金額は、厚生省がプロパーでやっておるのと、それから運輸省がやっておるのと、大蔵省の運用益でやっておるのと、金額としては大蔵省のが一番多いのじゃないですか。
○松田説明員 私どもの方で出しております金額は、先ほど申し上げましたように、五十六年度の例で見ますと三十三億円でございますから、日本赤十字並びに済生会というのは全国に百近くやっておりますけれども、金額にいたしましては、おっしゃるとおりあるいは一番多いかもしれません。
○井上(泉)分科員 それは、毎年そういうふうに赤十字とか何か出しても結構ですが、そういう場合、やはり枠を自治体病院なんかにも広げたらどうですか。そういう恩恵を均等に受けられるように自治体病院にもそれを及ぼすようにしたらどうですか。
○松田説明員 先ほど厚生省の方から御答弁ございましたように、自治体病院と申しますのが、脳外科のあるものだけでも二百余りございますし、いわゆる機関数にいたしますと四千を超す自治体病院がございます。したがいまして、先ほど来お答えいたしております三十億円程度の資金をいかに有効に配賦をするかという観点からいたしますと、私どもとしては、民間の保有しているものであるということにかんがみまして、寄附という形で民間病院に集中的に配賦するのが一番効率的ではないかと思っておるわけでございまして、国とかあるいは地方公共団体のそれぞれの機関がそれぞれの役割りを持って経営を維持していただくのが一番ふさわしいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○井上(泉)分科員 それは望ましいですけれども、あなたのところは、これは大蔵省の分だから大蔵省は大蔵省だけでこうやってやるというのではなしに、そういうものに対する措置というものはやはり厚生省、大蔵省、運輸省、三省が連携をとってそれぞれの診療体制に適切な――それは全部やるなんということはできないですよ、そんなことをしているところはどこにもないです。そういうことについては、どこもやれるような、そういう総合的な運営を図るようなことを考えられてはいかがと思うわけですが、その点、どうですか。
○大谷政府委員 基本的には、厚生省の方で救命救急センター全体計画八十カ所ということを目途にいたしておりまして、それで、厚生省の基本的な考え方でいこう、あとの部分につきましては、大蔵省、運輸省の方から補完的にやっていただく、こういう考え方に立っているわけでございまして、厚生省といたしましては、運営費として四十六億円、また施設設備につきましては、ちょっとほかのものと込みにしておりますので正確な数字はあれでございますが、約二十億円近い金額を毎年投入しているわけでございます。
○井上(泉)分科員 それは、少ない補助で対象数は大きいから、選別をされて融資されるのは当然だと思うわけですけれども、しかし、その選別をして補助するのにも、地域性とかいうようなものを勘案してから、厚生省、運輸省、大蔵省それぞれが、自分の枠だけで考えずに、三省がそれぞれチームワークをとってやるべきではないか、こういうふうに思うわけです。そこは、いわゆる役人、事務当局ではそういうことをお考えになっておるかどうかわかりませんが、やはり閣僚としてそういうような問題については検討すべきじゃないかと思うわけですけれども、大臣、どうですか。
○森下国務大臣 それぞれ役所にはセクト主義というものがございまして、いい点もございますけれども、そういう欠陥もあるようでございます。そういうことで、やはり大臣といたしましては、各省よく連携いたしまして効率的に運営していくように、また効果を上げるようにしていきたいと思います。
○井上(泉)分科員 運輸省、大蔵省の方、もう退席をしていいですから、また交通の委員会等で、なお、きょうの論議を踏まえて突っ込んだ質疑をいたしたいと思います。どうも御苦労さまでございました。
 そこで、これは私、いま毎日新聞をあけるたびに、本当に涙なくしては読めないという、人間としての温かい心、日本人としての心がある限りは涙なくしては見られないという、中国の残留孤児の関係の記事が毎日大きく紙面をなにしておるわけですが、これがもう遼寧省か黒竜江省かの方はあす、あさっては帰るということになっておるわけでありまして、ここで詳しい数字的な説明を聞きますと時間がないので、どうにもならぬわけですが、このたびの遼寧省と黒竜江省というので、これは、いわば第一回の親捜し、こういうふうに位置づけ、次の第二陣、第三陣、第四陣と、計画を持って厚生省の方としては進めておられるのかどうか、その点、承りたい。
○森下国務大臣 中国孤児問題につきましては、私も深刻に受けとめておりますし、まだまだ戦後は終わっていないんだなという、ひとしお感無量の思いがしております。
 ただいま、実は報告がございまして、一名またふえまして三十一名、ちょうど半分以上に達したわけでございます。私は一日も早く中国人の胸のネームが日本人のネームに変わるように願っておるわけでございます。
 そこで、遼寧省の方々は、いわゆる第一陣でおいでになりましたからあと幾ばくもございません。黒竜江省の方はまだ日数がございますけれども、とにかく今回が初めての試みでございます。来年につきましては、厚生省予算といたしましてはことし六十名のところを百二十名にいたしたい。また、同時に調査団も派遣したい。詳細につきましては援護局長より説明いたさせます。(「もう少し置いてやったらどうだ」と呼ぶ者あり)
○井上(泉)分科員 あさって帰るというのですが、肉親に会えなかったそのせつない気持ちというものを考えると、いま小林先輩が言われるように一週間なり十日なりもう少し置いて、そしてもっと温かく肉親捜しをやるようなことがとれないような仕組みになっておるのですか、やろうと思えばできますか。
○北村政府委員 調査期間の設定につきましては、かねて中国政府ともいろいろ打ち合わせをして、二週間前後ということに決めたわけでございます。これだけマスコミその他で大きく報ぜられておりますし、この期間内に情報が寄せられませんと、これを延長してみましてもこれ以上の成果は得られないのではないかと思っております。ですが、調査期間をどの程度にしたらよいかということは、中国政府との協議も含めまして、また、これで二回経験いたしましたので、その経験を踏まえて今後検討を進めたいと考えております。
○井上(泉)分科員 孤児捜しは昨年に一回やったわけですね。昨年からというか、もっと早かったら、もっと早く多くの方が会えるわけだったのですが、非常に遅くなってきて、その遅くなってきたところに三十人とか六十人とかいう人数の中で――推定される、新聞によると二百二十万人のうち二十四万人が不明になっておる。残されている遺児というものは万を下らないのではないか、こういうことが言われておるわけですが、六十人や百人でやっておるというと、そういう遺児も死んでしまうのではないかと思うのです。その辺についてもっとスピードを速めるようなことはできないのですか。
○北村政府委員 そういう観点も十分踏まえまして五十五年度四十七名、今年度五十六年度が六十人、五十七年度は現在予算御審議中でございますが、百二十人ということにふやしております。そのほか、五十七年度におきましては、当局の職員を中国に派遣いたしまして、向こうで直接中国政府と資料の突き合わせをし、本人のビデオも撮ってこれを全国に配りたいと思っておりますので、その成果等を見まして、今後できるだけ早くこの問題を解決すべく人数を増加させていきたいと考えております。
○井上(泉)分科員 肉親捜しの運動に対して、厚生省の方としては地方の自治体に対してはどういうふうな呼びかけをしておるのですか。
○北村政府委員 不断に中国孤児のみならず、引き揚げ者全般について各都道府県の援護当局と密接な協力を求めておるところでございますが、ただいまも申し上げました、向こうへ行ってビデオを撮ってくる、顔写真の本を配るということになりますと、今後一層都道府県の援護課の協力を仰がなければならぬと思っております。
○井上(泉)分科員 五十六年度は肉親捜しの予算というのは一体どのくらい計上しておったのでしょうか。
○北村政府委員 五十六年度予算、約四千三百万でございます。
○井上(泉)分科員 四千三百万で、それは事務費というものもたくさん要るでしょう。これは何も援護局長の責任ではないのですけれども、四千三百万、それで向こうから、中国の黒竜江省、遼寧省から北京へ来、上海へ来て、そして日本へ来る、そういう費用から見ると、これはもう二週間そこそこしかおれないということになりはせぬかと思うのです。やはり親を捜すことはできなかったけれども、自分たちの祖国日本の土を踏んだという孤児の気持ちにこたえるためにも、肉親捜しで張り詰めた気持ちの中で二週間も過ごしたのだから、せめてもうあと一週間ぐらい延ばして日本の祖国を見る、あるいはそれぞれが、たとえば自分の親は高知県なら高知県であったというならその高知県へ行くだけの旅費を与えて行かせるとか、そういうふうな心の込もったやり方、これは厚生大臣もそこへ行かれて直訴されて、その雰囲気に思わず目頭を熱くしておったという新聞報道もあったわけですが、それが孤児たちにどれだけ大きな喜びと、そして親には会えなかったけれども日本の祖国は温かいのだな、戦争であんなに痛めたのにこんなにわれわれについて本当に戦争の被害に対してそれを悔いるような気持ちの中でわれわれを温かく迎えてくれた、だから、われわれは親には会えなかった、祖国では生活はできないけれども、これから中国を第二の祖国として子々孫々が生活をするんだという、喜びと誇りと日本国民に対する感謝の気持ちで中国で生活のできるような状態になるように、せめてあさって帰さずにもう一日なり二日なり、ひとつ厚生大臣の温かいなにで何とかできぬものか、そういうことを切に思うわけですが、大臣、どうですか。どうにもならぬですか。
○森下国務大臣 お説ごもっともでございまして、私としてはもう何十日でも延ばしたい気持ちでございますけれども、やはり外務省との関係、また中国政府との関係、いろいろそういう関係があると思います。ただし、お会いできた方でお母さんのお墓参りをしたいという方、テレビでも私見せていただきましたが、宮城県ですか、向こうへ行けるだけの旅費等はお渡ししておるようでございます。なお、私の徳島県でも一人お会いできまして、非常に涙の対面もあったようでございます。実は私も引き揚げ者の一人でございまして、ああいうパニック状況の中で親子が別れんとした、また荷物を駅に全部捨てて引き揚げてきた、そういう情勢を見ておりましたものですから、つい身につまされたような思いがしたわけでございまして、できる限りのことはいたしたい、これが私の心境であります。
○井上(泉)分科員 本当に心の中にぬくもりの残るような待遇というものをして、日本へ来られた方たちに接していただきたい、こういうことを切に願うわけでありますが、これは終戦当時のあの時代には恐らく大臣自身もみずから体験された。私自身は体験はないけれども、私の肉親、親類、そういうような中にはそういう体験をした者がおるわけです。恐らく一億の日本人それぞれの者が関係したほど、戦争の悲劇というものは大きいわけであります。
 そこで私はまた一つ、朝鮮民主主義人民共和国の羅津だとか清津だとかいうところで終戦当時非常に難渋をきわめて一万人近い人が餓死した、それから帰ってきた遺族の方たちが何とかして自分のお父さんやお母さんやあるいは子供のところの墓参をしたい、墓参をするといっても墓はないけれども、やはりそこで亡くなったところの土を踏んで、そこで供養したい、そういう気持ちを切々と訴えられるわけでありますが、それについて前にもこの委員会で、分科会でも私質問したこともありますし、外務委員会でもやったときに、外務省の方では、向こうの方の赤十字社と朝鮮共和国とは国交がないけれども、日赤を通じ、向こうの赤十字社を通じて、そういう遺族の気持ちにこたえるようなことをできるだけ実現のできる努力をする、こういう話をされたわけであります。それが事務引き継ぎで厚生大臣の方へ来ておるのかどうか知りませんけれども、そういうことについても、私は援護局長としては――これは大臣かわるからちょっと困るのですが、大臣長くおってくれればちゃんとできるけれども、援護局長、そういう話を聞いたことがあるのですか、あればそれについてのお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わります。
○北村政府委員 先生お話しのとおり、現在、外務省と協議をいたしまして、日本赤十字社を通じまして、先方に何度も話をしております。近々また日赤の職員が、世界じゅうの日赤の大会もあるそうでございますので、もう一度私から繰り返しお願いするように取り計らおうと思っております。
○井上(泉)分科員 終わるつもりでありましたけれども、小林さん、次でしょう、小林さんの時間を一分もらって。
 この朝鮮の関係については、いま局長言われたが、そのことを実行してもらわなければ困りますよ。大原先生と一緒に去年私は共和国を訪れ、そしてその地域までも入ったのですから、ひとつそれは必ず実行してくださいよ。お願いします。
○亀井(善)主査代理 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。
 次に、小林進君。
○小林(進)分科員 厚生省にお伺いいたしますが、ことしの二月の十二日にピシバニール、クレスチン、丸山ワクチンの臨床の成績を発表されました。それからこれは昨年の七月十日にもピシバニール、クレスチンの臨床の成績を発表をされました。
 まず、昨年の七月十日のデータはだれが作成をして、いつ発表されたものなのか、まずそこからひとつお伺いをいたしたいと思います。大臣から答えてもらいたい。
○森下国務大臣 私がまず答えるべきでございますけれども、この件につきましては薬務局長より答弁をさせます。
○持永政府委員 昨年の七月に発表いたしましたピシバニール、クレスチンの臨床成績のまとめでございますけれども、これは丸山ワクチンの承認前の段階で発表をしたものでございまして、これはいずれも申請データ、そういったものを中心にしたものでございます。
○小林(進)分科員 その丸山ワクチンは関係なしだよ。七月十日に発表したデータは、だれが作成して、何年の何月に発表したものを昨年の七月十日に発表したのかと聞いているのだ。時間がないからぱっぱっと答えろ。
    〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕
○持永政府委員 薬事審議会でまとめたものでございます。
○小林(進)分科員 厚生省が作成して、薬事審議会がピシバニール、クレスチンをいわゆる認可するための資料として出した。このデータに基づいてピシバニール、クレスチンは認可になったのだろう。そうだとすれば、この資料を作成したのは五十年か五十一年か。
○持永政府委員 そのとおりでございます。
○小林(進)分科員 それを一々おれが言わなければならぬような答えはやめろ、時間がないから。三十分しかないからと先ほどから言っているじゃないか。
 それならば、七月十日に発表をしたこの資料は、これはいわゆる薬事審議会がこれに基づいて両薬をいわゆる保険薬として認めたのだから、これは公文書だろう。
○持永政府委員 公のものでございます。
○小林(進)分科員 公のものと公文書とどう違うんだ。そういうこわっぱ役人みたいな返事をするのをやめろ。今度ことしの二月十二日に発表されたピシバニールとクレスチン、丸山ワクチンの臨床のデータ、去年の七月十日のと同じ品物なんだろう。
○持永政府委員 今回発表いたしましたピシバニールとクレスチンのデータでございますけれども、これは昨年の段階で公表したものと多少数字のとり方その他が違っております。
○小林(進)分科員 どうして違うの。
○持永政府委員 昨年のデータは、ピシバニールでございますけれどもピシバニールにつきましては、単独投与の有効率の数字で申請者が出しました全症例が四百七例ございます。四百七例ございました中で、昨年のデータにつきましては、主な投与経路、いろいろな形での投与がございますけれどもその中で、静脈それから腫瘍それから胸・腹腔、そういった症例について整理をしたものでございます。この症例の中には、筋肉内投与でございますとか皮下投与でございますとかそういったものは含まれておりません。一方、昨年の七月の数字は、実は一人の患者さんに複数の投与をした例が幾つかございます。その複数の投与をした場合には、その複数をそれぞれ一つずつ計算をしたという形になっております。
 今回のことしの二月に新聞に出ましたものは、単独の投与の症例が四百七ございまして、その四百七例についてまとめたものでございます。したがいまして、この中には、先ほど申し上げました昨年の七月の段階で入っておりませんでした筋肉内投与あるいは皮下投与、そういったものも今回の症例の中には入っているということになっております。
○小林(進)分科員 丸山ワクチンは、クレスチンとピシバニールと一緒になって国民は全部興味を持って見ているものなんだ。それを、君たちが去年の七月十日に、かくのごとくピシバニールとクレスチンは効果がありますと発表したその公文書というのを、同じものを、いま聞いてみると、薬事審議会に出したという公文書、その出していたものと全く内容も違えば数字も変えたものを、厚生省が勝手に修正をして加減をしたり乗除をしたりして、そしてこれを世間に発表している。どういう意味なの。これ一向支障ないの。厚生省というのはそういうのを自由にやる省なの。
○持永政府委員 今回の二月の新聞公表は、実は丸山ワクチンについていろいろ御議論がございました、その中で、ピシバニール、クレスチンについて審議概要を公表しろ、こういうような御指摘もございまして、それに基づいてやったものでございます。その中で、ピシバニール、クレスチンにつきましても、当然薬事審議会の御審議を経て公表しております。この場合に、クレスチンの場合につきましては、症例全患者につきまして、全患者を一とした形で整理しましたために、数字の整理の上でピシバニールの従来のやり方が、先ほど申し上げましたように、一部の投与を除いておりますとか、あるいはダブり、重複を計算しているとかいうようなことがございましたために、そういったものを整理してクレスチンと整合性のある形での数字をまとめたということでございます。
 いずれにいたしましても、有効率は、これも先生御承知と思いますが、単独につきまして、ピシバニールを見てみますと、昨年の七月に出したものは三六%になっているということでございます。
○小林(進)分科員 ともかく、もう時間がないのだから僕はこの問題は議論をしないが、いやしくも公文書だ。しかも、きちっとした数字を挙げて出しているものだ。文章ならば、一字一句を違えたとか、あるいは修辞を違えたとか、形容詞を違えたというならばいいけれども、数字だよ。数字を変えるということは、厚生大臣、千字を違うのも一字を違うのも違いには間違いないのだ。こういうような数字を――これはみんなでたらめですよ。ピシバニールなんて一字や二字の修正じゃないですよ。全部と言っていいくらい数字を変えている。しかも効用率だって一体何だ。去年の七月十日、これを薬事審議会に出してその認可をとるときの有効率は三六%じゃないか。それで、ことしの二月十二日かのものになると、有効率は幾らになっている。三四・六だろう。有効率まで変わっているじゃないか。この有効率なんというものは、〇・一%だって患者やこの薬を活用する者にとっては生き死にの問題だ。われわれが、丸山ワクチンは百分の一%の効果があるか、二%の効果があるかといま争っているさなかで、君らは平気で三六%有効率がありますの、三四・何%でございますのと、勝手にみんな修正をしておる。統計と称する数字が君たちの恣意によって左右でたらめやられてたまるかね、一体。こんなことは私は了承できません。時間がないから議論はしないけれども、でたらめです、こんなことは。しかも公文書だ。公文書というものをその後、君たちの手管によって自由に上げたり下げたりしておる。こんなことは悪質も悪質の最たるものです。
 そこで言うけれども、そういうわけで、君たちは薬事審議会に出した公文書というものを、こういう悪意をもって、ピシバニールのみならずクレスチンにおいても一カ所訂正しているから、これは私は了承できない。これはまた改めて議論をする。
 それから、次に言うけれども、一体このデータの作成者はだれかというのは厚生省だな、七月十日のデータの作成者は厚生省だろう。厚生省がつくって薬事審議会に出して、それで認可になったのだろう。それから二月十二日の変更したデータも、これは厚生省だろう。薬務局がつくったんだな。薬務局というものはそのとおりだ。いつでも大衆をごまかすようにやっているんだ。間違いないな。私の言うことがうそだと思ったらうそだと言ってくれ。私の言うことが本当だったら黙っていてよろしい。それは認めたことになる。
 繰り返して言うけれども、厚生大臣、これは人間の命に関することですよ。その効率が何%あるかなんかということは、これを見る人にとっては生死に関する重大問題。それを三六%の効率がありました、今度はこっちに来たら三四%の効率でございました、勝手に効率の比率までみんな変えているというような、そんな数字をわれわれは一体信ずることができますか。
 それから、速記録間違うと悪いから言ってみますが、二月十二日のデータはピシバニールの効率は三四・六%、七月十日の薬事審議会に出した文書では三六%。それからクレスチンの方は両方同じなんです。二一・五%という効率を上げておる。
 そこで、第二問としてお聞きするけれども、この三四・六%なり二一・五%の効率があるという君たちのデータがある、このデータに基づいて使用している認可後の治療において、一体このデータどおりの効果が発揮されたかどうか。どうせ君たちはそれが商売だから追求をしたと思うが、追求の結果をひとつ教えてもらいたい。われわれもやっているんだから。
○持永政府委員 認可後の追求と先生おっしゃいますが、認可後私どもが具体的に症例に当たって、どのくらいの有効率があったという具体的な数字はつかんでおりません。ただ、少なくとも薬事審議会において議論をされた上で両剤とも認可されたわけでございますので、その薬事審議会の認可に当たっての内容どおり有効率があると私どもとしては考えておるところでございます。
○小林(進)分科員 実にずうずうしい答弁を君やるね。実際、薬事審議会のデータが出たから何も追求しないで、それはもうそれだけの効果が出たものと君は考えているわけだ。君はいまそう言ったんだ。それでよろしい。しかしわれわれの方は、これは生き死にの問題だから、あらゆる手を伸ばして、友人、知人からわれわれの仲間に全部手を伸ばして聞いているけれども、ピシバニールあるいはクレスチンが三四%も二一%も効果がありますなんて返事が来たのは、悪いけど一件もない。それは私は病院を通じ、あるいは診療所を通じ、開業医を通じ、聞いているけれども、君が言うように効果があると考えるなんて返事を持ってきた専門家は一人もいない。どっちが一体悪いんだ。われわれはもう緻密に返事を聞いている。また、君が言うように審議会が決めたデータだから間違いないといったら、何で一体その審議会で決めた薬を何百種類も廃棄をしたり、やめたり、取り下げたり勝手にやる必要があるんだ。第一、どの薬を審議会が通しても君らは次から次へと廃棄をしておきながら、ピシバニールに関する限りは、審議会で決めたのだからこれは必ずそのとおりあるものと確信する、君たちが言っていることは朝令暮改もひどいじゃないか。矛盾だらけじゃないか。それほど審議会の言うことが権威があったら、何で一体審議会で認めた薬を何百種類も廃棄したり、取りやめにしたりする必要があるんだ。君たちがわれわれを愚弄しているという証拠を私は挙げて言っている。だから、いまも言うように、たまの一件でもよろしい、ピシバニール、クレスチンを使ってこれくらいの効果はございました――われわれの方は、あんなものは全く効き目がありませんという返事がだっとはね返ってきているんだ。しかしそれを君は必ずデータどおりに効果があると言うのだから、一件でもよろしい、その実績を示してくれ。ないと言うならば、それは返事を求める必要はない。次の質問に進みます。
 追試の件として、君たちはがん集学的治療研究財団というものをつくらされたのかつくったのか、つくったんだろう。自民党の八田代議士が、丸山ワクチンもこのがん集学的治療研究財団のいわゆる研究薬の中に加えてもらえないか、これは厚生大臣を通じ、彼が懇切丁寧な申請書を出したわけでありますが、それをどう取り扱うか、この中に加えてすることにしたのか、それは土足でけって却下したのか、無視したのか。これは厚生大臣にお伺いしましょう。あなただって御返事ができるでしょうから。どうですか。
○持永政府委員 まず、丸山ワクチンの開発問題でございますけれども、医薬品の開発は、先生も御承知と思いますが、従来、医薬品メーカーがみずから開発計画を持って推進しているわけでございます。それで、丸山ワクチンにつきましても、丸山先生とゼリア新薬工業が中心になりまして今日まで開発したわけでございまして……(小林(進)分科員「そんなことは何も聞いてない。人の聞かないことを言うなよ。時間もないんだから」と呼ぶ)
 先ほど要望のございました中に、国が助成してがん集学的治療研究財団に研究を依頼したらどうかという御要望がございましたけれども、これにつきましては、いま申し上げましたように、国が直接助成するというのは、これはなかなかむずかしい問題だというふうに考えております。
○小林(進)分科員 あれ、君はいつの間に変わっちゃったんだ。嫌なのが出てきたな、これは。
 それで、一つ言うのだけれども、君に何も助成しろと言っているのじゃないんだよ。助成はしている。大鵬だの三共だの中外だのというのが金を出し合ってこういう研究財団をつくったことはわかっているのだ。君ら監督官庁、主管官庁として、ピシバニールやクレスチンだけじゃなくて丸山ワクチンもその中に入れることのあっせんをしてくれという申し入れをどう扱ったかと聞いているのだ。ごまかさぬで、時間がかかるのではっきり言え。
○大谷政府委員 この財団は、臨床の場で用いられますところの種々の集学療法の最適効果の組み合わせを研究する財団でありまして、製造承認されたものを用いる旨、財団に設けられた委員会で申し合わせが行われています。また、そういった意味で、規格及び試験方法が未確立な段階で財団が集学的治療研究の一環に組み入れるということはきわめて困難ではないか、こういうことがございます。
 したがいまして、丸山ワクチンをこの財団が使用して研究するかどうかにつきましては、財団の運営の基本にかかわる事柄でありますし、また、すでにこの事業が進行中でもございますので、財団の自主的判断に任せるべき性格のものではないか、このように考えるわけでございます。
○小林(進)分科員 こういうのは官僚答弁と言うのだ。私は、やったかやらないかと聞いているのだよ。じゃ、いまの答弁はやらぬということなんだな、君たちは。われわれ国会議員の仲間が、これを研究の中に加えてくれと言ってあっせんを依頼したことに対して、何らのモーションも起こさなかったということなんだな。それじゃ、そのようにひとつとりましょう。君たちは、自分たちの気に食わないことは、どんなにわれわれが誠実を込めて文書で提出をしても、それを一片の価値も認めないで何もモーションを起こさなかったということだ。わかった。それが厚生官僚の実態だ。また改めてひとつけんかする。
 それから、次に言う。次には、クレスチンだけは、薬事審議会でたったの三回の審議会で許可になっておる。これは一体三回とはどういうことですか。どうしてこんなたった三回ぐらいで許可になったんだ。その理由を、早く。
○持永政府委員 クレスチンにつきましては、五十年の十月二十九日、五十一年の三月二日ということで、抗悪性腫瘍剤調査会で審議が行われています。
○小林(進)分科員 なぜたった三回くらいの審議でこれが許可になったんだ。それを聞いているのじゃないか。
○持永政府委員 この審議の結果、医薬品としての有効性が判断されたということだと思います。
○小林(進)分科員 余り調子のいいことを言うなよ、君。このクレスチンを推進してつくった本人がここで言っている。この本の中にこれは言っている。「クレスチンはたったの三回の審査で認可になっていますが、何故ですか。」という質問に対して、「ピシバニールに較べて副作用が少なかったからです。」、こう答えているのです。副作用が少ない。ないとは言わないのだ。だから、たった三回ぐらいの、さっさっさっと拍手で終わったということなんだ。なぜ一体こういうふうにして、ピシバニールやクレスチンなどはたった三回ぐらいの安易なやり方で――君は、薬事審議会は権威がある、権威があると言うけれども、内容を見れば全く権威も何もないじゃないか。さっさっさっと通過している。余りあっさり通過したから、どうしてこれは通過したのだと言ったら、副作用が少ないから通過したのだと言う。させてもらった塚越本人、彼は自分でつくって自分で審査委員になっているのだから間違いない。こういう回答をしている。ここでも君たちの答弁のインチキがあることは明らかです。いいですか、これ見てください。これまた後日のけんかの種。
 それからまた、次に一つ申し上げましょう。
 悪性腫瘍に対する免疫療法剤の評価法に関する研究という、そういう特別の基準を設けて、いわゆるピシバニールやクレスチンと同等の基準において一体どうして丸山ワクチンの審査をやらなかったのか。いま言うように、ピシバニールやクレスチンは三回とか安易な形で従来の認可方式をたどってきて、丸山ワクチンの場合になったら、途端に、いままでのいわゆる認可方式、審査方式を全部やめて、そして私がいま言った新しい長ったらしい研究の基準を設けて、そうして一々これをつぶしていった。一体どうしてこの審査方法に差別を設けたのか、どうして差別を設ける必要があったのか、お聞かせ願いたい。
○持永政府委員 丸山ワクチンにつきましての一般臨床試験成績の評価につきましては、日本癌治療学会の癌化学療法効果判定基準というものに基づいて判定されたわけでございますが、これはクレスチン、ピシバニールも同様でございます。認可基準は異なっておりません。
 それから丸山ワクチンの場合には、単独使用での有効性が確認されなかったというような経緯がございまして、その有効性の確認のために他剤との併用における試験をさらに行うことが必要であるというふうになったわけでございます。
○小林(進)分科員 それは君の言うとおりで、後の方だけでよろしい、単独使用とかなんとか。みんな変えちゃったじゃないか。クレスチンやピシバニールと全然やり方を変えて、別な基準でやったじゃないか。そのとおりなんだ。――もういいです、時間がないから。それでいいです。君たちがインチキだということが一つ一つみんなわかってきたわけなんだから。
 そこでお伺いしますが、いままでは計算上は抗がん剤が百二十有種類、これが許可になっている。それを申請して許可になるまで、この間にけちをつけられたものは一つもない、私の調査では。効くも効かないもないよ。単に私どもはピシバニールだのクレスチンだのと言っているけれども、これだけじゃない。これに準ずるもの百二十種類だ。厚生省は一つもけちをつけたものはありません。全部さっさっさっと許可をされているが、それを却下したものは一つでもありますか。あったら教えてもらいたい。却下をしていない。したなんと言ったらインチキだ。にもかかわらず、丸山ワクチンだけについて、こうまで、単独投与の場合だなんだ云々だとけちをつけながらも、審査を変えて、基準まで変えて、そうして却下をしている理由は一体どこにあるか、聞かせてもらいたい。
○持永政府委員 丸山ワクチンにつきましては、これも先生すでに御承知のことでございますが、薬事審議会の答申で、現段階では有効性を確認することはできない、こういう答申があったわけでございます。その答申を受けまして、厚生大臣としては、薬事審議会のそういう答申がある以上は、それを尊重するという立場をとらざるを得ないわけでございまして、そういう意味合いで、薬事審議会のそういう答申がありました以上、厚生大臣としてこれを承認するわけにはいかなかった、こういう経緯でございます。
○小林(進)分科員 時間が来ましたから、主査、先を急ぎますけれども、君、百二十種類もけち一つつけないで認可している。却下したものが一つもない中で、君たちは薬事審議会というものを隠れみのにして、こうやって丸山ワクチンだけを却下しているが、それではそのいわゆる審議会の出したデータについて、東北ブロックあるいは東海ブロック、後藤博士その他の教授が、われわれが出したデータをなぜそのまま採用してくれないかと言っている。これに全部けちをつけた。全部けちをつけたのは審議会じゃないよ、厚生省だよ。君たちがけちをつけたんだよ。第二期だの三期だのと言って、後藤教授にはそういうけちのつけ方をしたり、あるいは東海の、東海大学ですか、中部ブロックにおける分には、いわゆる封筒方法でやった、その正確度が、一部開封されたとかという理由で不採用にしているが、その問題も、わずかな、こんなつめのあかほどのことである。問題にならぬものにけちをつけて、これを却下する理由にしている。私が先ほど言うように、今度は、君たちが出したデータはこのとおり、直してはならない数字までもみんな変更し修正をし、そうして問題を出している。これは悪党のやる仕事と言わないでまともな人間のやる仕事と言えるかね。これは、もうそれでいい。
 そこに対して後藤教授も東海の諸君も、厚生省あるいは薬事審議会のやり方は了承できないと言って文書でもって異議の申し立てをしている。これに君たちがどれだけ対応したか。その異議の申し立てさえも軽く受け流しているじゃないですか。そういう失敬なやり方があるか。それは了承できませんよ。
 そこで、もう時間が来ましたから申し上げるのだが、厚生大臣、こういう悪者どもの役人におどされたら、あなたの政治生命は終わりますよ。あなたに申し上げますが、あなたは厚生大臣になる前までは国会における丸山ワクチンを推進し、認可をし、保険薬とする一つの団体、政党を超越した団体の中の有力なメンバーだった。しかも、あなたは大幹部であった。そして、われわれと一緒になってこれを実現しよう、推進しようということで一生懸命おやりになった……
○海部主査 どうぞ、どうぞ。お続けください。最後までどうぞお続けください。小林先生、どうぞ。
○小林(進)分科員 いいですか。
 そういうことをおやりになったので、あなたはまた厚生大臣として――役人がでたらめだ。有効なる資料は全部けちをつけて、そしてみんな効力がないようにしてしまったり、そして今度は資料の数字まで変更してしまった、これをやっているのです。こういう諸君だ。こういう諸君の言に乗せられていまこれをそのままに見逃されていると、あなたの政治生命は終わりになりますよ。野にあれば丸山ワクチン推進論者の第一人者であった。今度は、その地位につけば、たちまち手のひらを返してこれを阻止するような形をとられたならば、本当にあなたの政治生命は終わります。そこはひとつ考えていただいて、これを許可するような方向に持っていっていただきたいと思います。
 そこで私は言うのです。厚生省は、大鵬薬品工業の何とかという薬も非常に危険性があると言ったら再審をするという態度に出ていられるのだね。ならば、この丸山ワクチンについても、状況も変わったのだから、薬事審議会のメンバーもかわったのだから、いま一度調査をするというお考えはあるかないか。たとえば私どもその後全部追跡をしておりますけれども、くどいようだが東北の後藤教授のやっているあのブロック、東海でやっているブロック、その後の経過も、丸山ワクチンを使用した者はみんな生きているのです。千日たってもまだぴんぴんして生きている。他のいわゆる抗がん剤あるいは化学剤を使った者は全滅です。全部死んでいるのです。そういうデータを彼らは努めて追求しようとしないのです。こんな者は大企業の回し者と言っていいです。いかに侮辱されたっていいです、薬務行政が正当の方向に動かないのだから。世間はみんな不思議に思っている。というわけで、いまそういう情勢にあなたも立っておられますし、厚生省自身も丸山ワクチンのその後、治療した者の結果というものをちっとも見ようともしなければ採用しようとしない、これでは百日たったところで問題の解決になりません。どうかひとつ、これを森下厚生大臣の大臣権限でいま一度薬事審議会にかけていただいて新しいデータを集めていただきたい。そのデータの一つとして、いま丸山ワクチンは、おれが注射してやると認可証を取れば、日本大学に行って講習を受けてそれから治療ができることになっておる、その医者を厚生省は治験者として認定をする、こうなっておる。いま治験者が数千人いるか一万人いるかわかりませんけれども、治験者として認定をしたのならば、そのデータは、これは厚生省が認めたお医者さんが上げた資料だから、あなた方が当然データとして採用する資格があるはずだ。その治験者たる医者が丸山ワクチンを使った、その資料をあなた方は集約して再審査のときのデータにしてそれをちゃんと審議会にかけて、そしてこの問題をいま一度審査していただく、これが私の最後の質問の趣旨です。これをやっていただけるかどうか。
○森下国務大臣 丸山ワクチンにつきましては、小林議員おっしゃったとおりでございまして、私も八田先生から以前にいろいろ知識は承っておりますし、そのグループに属したことも事実でございます。
 そこで、ただいま厚生大臣でございますので、その立場を離れまして申し上げなければいけないということも御理解願いたいわけですが、薬事法に基づく治験薬として現在供給継続を図っております。中央薬事審議会の附帯意見に基づいた試験が行われ、新たに得られた資料により改めて審議が行われることを期待しております。
 以上申し上げまして、御答弁にかえさせていただきます。
○小林(進)分科員 終わります。
○海部主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻第一君。
○辻(第)分科員 いま身体障害者の置かれている状況はきわめて厳しいものがございます。昨年は完全参加と平等をテーマとした国際障害者年でございました。ことしはそれを受けての第一年度ということでもございます。どうしても障害者の生活や権利を守る十分な対応をしていただきたい、この立場で質問したいと思います。
 まず、身障者の福祉作業所や授産施設などについて質問をいたします。
 国が福祉作業所や授産施設に対してどのような施策をされているのか、それとこれらの施設の果たす役割りをどのように考えていらっしゃるのか、時間がありませんので簡単にお答えをいただきたいと思います。
○森下国務大臣 福祉作業所の問題について御質問されました。詳しいことは担当官より説明させますが、御承知のように昨年は国際障害者年でございまして、完全参加と平等ということで大きな花火を打ち上げる、ことしから十年計画で障害者福祉のために全力を挙げよう、行動計画を三月末までにつくろうということであります。その中で、障害者に生きがいを感じていただこう、ただ治療とか医療とか施設に入るだけでは障害者の幸せにつながらない、手ごろな仕事をするというところにまた一つの喜びがあるわけでございます。この福祉作業所のあり方については、厚生省としても積極的に取り組んでおります。
 あと、詳細につきましては、担当官より答弁させます。
○幸田政府委員 ただいま大臣から御答弁を申し上げたようなことでございまして、精神薄弱者につきましては精神薄弱者福祉法、身体障害者につきましては身体障害者福祉法あるいは社会福祉事業法等に基づきまして、それぞれ収容あるいは通所の授産施設なり更生施設というものがございます。その目的といたしますところは、障害者の自立更生さらには社会復帰ということを目指したものでございます。
○辻(第)分科員 障害者の雇用の問題というのは非常に重要な問題だと思うわけでございます。心身障害者が仕事がしたい、働きたい、社会に参加をしたい、そして何よりも自立をしたい、このような切実な願いを持っておられるわけであります。しかし、現実はその雇用というのはいろいろな壁があって厳しい。その雇用状況というのは、大まかに言えば横ばいの状況にある、こういうふうに私は思うわけでございます。そういう状況のもとでは、授産施設や作業所の果たす役割りというものは本当に重要なものである、このように思います。
 たとえば一九七九年の東京都立障害児学校高等部専攻科卒業生の進路を見てまいりますと、四百五十六人中、福祉作業所に五十五人、これは一二・一%ですね。それから共同作業所に六十八人、一四・九%。合わせますと百二十三人、二七%が福祉作業所や共同作業所へ進まれたということで、このような作業所の役割りというのは非常に大きいと言わなければならないと思います。また、職業安定所からも、就職できなかった人をこのような作業所に回している、このような状況でもあります。
 このような作業所が全国にどのぐらいあるのか、お尋ねをしたいと思います。
○幸田政府委員 先ほどお答えを申し上げました精神薄弱者福祉法なり身体障害者福祉法等に基づきますいわゆる法定の施設といいますか、そういう認可に基づく施設が全国で三百七十五カ所でございます。これは昭和五十五年の十月現在でございます。それから、そういった認可を受けておらない作業所が、これは私どもが昨年の十月現在で調査をしたものでございますけれども、調査をいたしました限りで六百三十八カ所でございまして、両方合わせまして一千十三カ所でございます。
○辻(第)分科員 それで、そのあとの認可をされていないようなところの精神薄弱者あるいは身体障害者あるいは混合、このようなことでわかりませんか。――もうそれじゃ、時間がありませんので結構です。
 それじゃ、申しわけないのですが……。
○海部主査 質問したんだから、答弁は、ちょっと指名したいのですけれども……。質問者は、委員長の許可を得て質問されておるわけですから、答弁をさせたいのですけれども……。御着席をお願いします。
○幸田政府委員 五十六年十月一日で、認可をしておりません関係で通称授産関係の施設は六百三十八カ所でございます。
○辻(第)分科員 不正常な状態でございます、そういうことでありますので、質問をこれでやめさせていただきます。
○海部主査 先ほど、わが党は別だから質問をすると質問者からの御通告があったので、私は各委員の皆さん、副主査の皆さんにお諮りをして質問に入ってもらったんですから、質問者が質問にお立ちになるときに、そのことは御了承の上と思いますけれども……。(「その後に連絡がありました。そういう状態ですので……」と呼ぶ者あり)
 辻第一君、質問をお続けください。
○辻(第)分科員 やめます。(「終わりということ……」「終わりじゃない。中止をするということです」と呼ぶ者あり)中止をいたします。
○海部主査 重ねて申し上げますが、いま質問者の意向を尊重して、社会党以下の皆さんは御退席になったけれども、わが党は別である、連絡なしで別である、だから質問をするとおっしゃったので、副主査の皆さんの御了解を得て質問を始めてもらったんですから……。(「その後、党に連絡があったから、不正常になっておるから、質問を中止いたします、こういうことです」と呼ぶ者あり)
 ちょっと速記はとめてください。
    〔速記中止〕
○海部主査 速記を起こしてください。
 この際、主査より申し上げます。
 各質疑者に対し、再三出席を求めたのでありますが、いまだに出席がありません。
 本日は、この程度にとどめ、明二日火曜日午前九時三十分より開会することといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四分散会