第098回国会 文教委員会商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する法律案審査小委員会 第1号
本小委員会は昭年五十八年五月十一日(水曜日)
委員会において、設置することに決した。
五月十一日
 本小委員は委員会において、次のとおり選任さ
 れた。
      青木 正久君    石橋 一弥君
      浦野 烋興君    奥田 敬和君
      狩野 明男君    坂田 道太君
      西岡 武夫君    野上  徹君
      三塚  博君    中西 績介君
      馬場  昇君    湯山  勇君
      有島 重武君    三浦  隆君
      山原健二郎君    河野 洋平君
五月十一日
 青木正久君が委員会において、小委員長に選任
 された。
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昭和五十八年五月十一日(水曜日)
    午後三時二十五分開議
 出席小委員
   小委員長 青木 正久君
      石橋 一弥君    浦野 烋興君
      狩野 明男君    野上  徹君
      中西 績介君    馬場  昇君
      湯山  勇君    三浦  隆君
      山原健二郎君
 出席政府委員
        文化庁長官   佐野文一郎君
 小委員外の出席者
        議     員 石橋 一弥君
        文 教 委 員 鍛冶  清君
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五月十一日
 小委員有島重武君同日委員辞任につき、その補
 欠として有島重武君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
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本日の会議に付した案件
 商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する法律案(石橋一弥君外三名提出、第九十六回国会衆法第三七号)
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○青木小委員長 これより商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する法律案審査小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 先刻、私が当小委員会の小委員長に選任されました。
 商業用レコードを公衆に有償で貸与する行為につきましては、種々の問題が指摘されておりますことを考えますと、当小委員会の使命はまことに重大なものと存じます。
 小委員会の運営につきましては、小委員各位の御指導、御協力を得まして、円満かつ適正に運営を行いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 この際、小委員各位に申し上げます。
 本日の理事会におきまして、当小委員会の審査方針が次のように確認されましたので御報告いたします。
    小委員会の当面の審査方針
 一、原則として、小委員会は速記をつけず、懇談会形式で行うものとする。
 二、当面、小委員会の審査は、政府当局等からの説明聴取及び小委員間の意見交換で行うものとする。
 三、小委員会は、原則として、報道関係者も含めて傍聴は許可しないものとする。
以上でございます。
 本日の当小委員会の審査日程は、一、法案の提出者石橋一弥君から法案の提出経緯等について説明聴取。二、文化庁から補足説明聴取。三、小委員間における意見交換。以上でございます。
 なお、今後の当小委員会の審査日程につきましては、後刻御相談いたしたいと存じます。
 商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
 まず、提出者石橋一弥君から説明を聴取いたします。石橋一弥君。
○石橋(一)議員 商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する法律案でありますが、先般提案理由の説明はいたしたわけでありますので、この法案の提出に至るまでの経緯あるいは問題点等、きわめて率直に申し上げ、御参考に供したいと思います。
 まず第一点は、貸しレコードの実態とその影響でありますが、商業用レコードを販売価格の大体七%前後で公衆に貸与することを業としているもの、いわゆる貸しレコード業でありますけれども、昭和五十五年の六月ごろ東京三鷹で出現をしまして以来、全国的に急速な普及を見まして、日本レコード協会の調査によりますと、五十六年六月で全国で約五百店、同年の十二月で約九百三十店、現在は千七百店舗あると言われております。
 日本レコード協会が昭和五十六月九月に実施した実態調査によりますと、貸しレコード利用経験者のうち、貸しレコードからテープで録音をしたことがある者は九七・四%にも達しております。また、通産省が昭和五十六年度に実施した実態調査、あるいは日本レコード協会の調査によりますと、貸しレコード店の近所の小売屋さんの売り上げは、平均二割から三割ぐらいの減少を来しております。
 もう一つは、すでに訴訟が提起をされております。その動向でありますが、一つは昭和五十六年の十月三十日に、日本コロムビア、ビクター音楽産業などレコードメーカー十三社及び補助参加人として日本レコード協会等は、いわゆる黎紅堂、これは一番先にできた店でありますが、黎紅堂など貸しレコード四社を相手取りまして、原告の製作に係るレコードを有償で貸与してはならないとの訴えを東京地裁に提起して、現在係争中であります。
 それからもう一つ、五十七年の七月一日に、音楽の著作権を管理しております日本音楽著作権協会が黎紅堂を相手取りまして、被告のレコード貸与行為差しとめの訴えを東京地裁に提起し、この訴訟も現在係属中でございます。
 どのようなことで今度この問題について検討を行ったかということについても触れてみたいと思います。
 このようなことがあって、わが党は昨年の二月に文教部会の中に著作権問題等プロジェクトチーム、森喜朗主査、前の文教部会長でありますが、これを設置いたしまして、貸しレコード問題を含む著作権問題の検討を行うことといたしました。同プロジェクトチームは三月四日以来十回の会合を開きまして、関係団体、学識経験者の意見を聴取するなどいたしまして慎重に審議を進めました。
 この際、貸しレコード問題に対する関係団体の意見は、このような意見の開陳があります。
 日本音楽著作権協会でありますが、貸しレコードについて権利者に何らかの権利を認めることにより権利者の保護を図りなさいということです。
 それから日本レコード協会は、貸しレコードは音楽創造のサイクルを破壊するものであり容認できませんということであります。特例法の制定または著作権の一部改正によって、商業用レコードの著作者の権利にはレコードを業として賃貸の用に供する行為を禁止する権利が含まれていることを明文化してくれ、こう言っております。
 それから日本芸能実演家国体協議会でありますが、これは貸しレコード業を規制をしてくださいと言っております。
 それから全国レコード小売商組合連合会でございますが、使用料を徴収して貸しレコードを公認することは音楽文化の衰退につながります、有償、無償を問わずレコードを公衆に貸与する行為を禁止をしてくれと言っております。
 それから日本レコードレンタル協会でありますが、これは、貸しレコード業は音楽産業の底辺を拡大し、その発展に貢献するものであるので、その保護育成を図ってください、さらに協会としては、コピー文化に携わるすべての業者との協議の上で権利者に利益を還元する考えも持ち合わせております、こういうことを言っております。
 そこで、提案の理由でありますけれども、著作権問題等プロジェクトチームにおきましては、このような慎重な検討を進めた結果、第一は、著作者、実演家、レコード製作者の保護の観点から、貸しレコードが及ぼす影響をそのまま放置することはできないという判断をまずしました。
 その根拠でありますが、一つは、貸しレコード店近隣の小売レコード店の売り上げは、先ほど申し上げましたとおり二、三割減となっております。それから第二番目は、貸しレコードの存在がどの程度影響しているか、判断は非常にむずかしいわけでありますけれども、貸しレコード業に使用されているディスクの生産枚数、生産金額が、貸しレコード業出現以来、昭和五十五年度、昭和五十六年度、昭和五十七年度と、三年間連続して減少を来しております。第三点は、このことはレコード印税として著作権使用料を受け取っている作詞家、作曲家に影響を当然しております。日本音楽著作権協会のディスクに係る録音使用料の徴収額も昭和五十六年度、昭和五十七年度と連続して減少をいたしております。
 第二番目でありますが、文化庁において、著作権法を改正して貸しレコードについて関係権利者に新たに権利を認める場合、少なくとも貸しビデオとの調整を考慮し映画の頒布権の見直しを行う必要があり、また貸し本、それから図書館における貸し出しについても検討を行う必要があるとしておりますところから相当の日時を要するものと考えられますので、著作権法の改正より以前に現在の貸しレコードをめぐる状態に緊急に対処する必要があります。なお、現在文化庁においては、貸しレコードの問題を含めた著作権法の改正のための準備を次期通常国会へ提出を目途に作業を進めてきております。
 第三点でありますが、この法案は第一条にも規定しておりますように、商業用レコードの公衆への有償貸与行為に関し著作者、実演家、レコード製作者に権利を認め、これらの者の複製権または録音権の保護に資することを日的といたしておるものでございます。貸しレコードの場合、利用者の多くが私的録音を行い、そのためにレコードの売り上げが減るという実態があるので、貸与行為によって経済的損害を受ける著作者、実演家及びレコード製作者に新たな権利を認めることによりその保護を図ろうとするものであります。
 貸しレコード法案に関しまして関係団体が問題点として指摘している点は先ほども申し上げまたが、これを要約いたしますと、権利者側は、一つには発売後一年内のレコードに限って権利者に権利を認めており、この一年の期間は短過ぎる、原則どおり著作者については死後五十年、実演家、レコード製作者については実演を行ったときから二十年の保護を認めるべきである。それかもう一点は、外国からのものでありますが、洋盤についても実演家、レコード製作者に権利を認めるべきである。もう一点は、法案において権利者に認められている許諾権は、場合によっては貸しレコードを禁止する権利として考えなければ困りますよということ。これらが権利者側の主張でございます。
 貸しレコード業者側は、一つは、関係権利者と貸し業者との間で話し合いがまとまらない場合の措置がこの法案にはありませんよということを言っております。さらには、権利者に許諾権、特に隣接権者に許諾権を認めるのは行き過ぎですよ、こういうことを言っております。
 そのようないろいろな問題点をきわめて具体的に述べたわけでありますが、先般申し上げましたところの趣旨説明、さらにいま申し上げましたその経緯、権利者側の主張、貸しレコード業者の考え方、いろいろな意味において大変複雑な問題を含んでおりますので、どうぞ委員各位のいろんな意味における御検討、そして最終的にはこの点で御了解を得るようによろしくお願いを申し上げたい、こう考えます。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○青木小委員長 次に、文化庁から説明を聴取いたします。佐野文化庁長官。
○佐野(文)政府委員 ただいま石橋先生から御説明のありました点を補足して、貸しレコード業、レコード業の概況並びに文化庁で現在進めております著作権法改正作業の状況等につきまして簡単に御説明を申し上げます。
 まず、貸しレコード業の概況でございますが、貸しレコード店の数は、いまの御説明にありましたように昭和五十五年以来急速に増加をしておりまして、レコード協会の調査によりますと、五十七年の十二月末現在で千六百八十二店に達しております。なお、黎紅堂等の大手貸しレコード店のチェーン化も進んでおりまして、黎紅堂について申しますと、系列店は約百五十店となっているようであります。また貸しレコード店の全国的な分布状況を見ますと、全国に貸しレコード店はございますが、東京を中心とする関東地区、関西、九州この三地域に特に多いようでございます。
 貸しレコード店における貸し出しの状況でございますが、日本レコードレンタル協会から聴取したところによりますと、まずレンタルの料金は各店によって一律ではございませんけれども、借りたレコードを、これはLPでございますが、翌日に返して一枚について二百五十円というのが一番多いようでございます。利用者が借りているレコードのジャンル別の内訳は、いわゆる邦盤の歌謡曲が五二%、ニューミュージックを含むポピュラー、これは洋盤でございますが四六%、そしてクラシックその他が二%ということになっております。それからレコードが発売された時期をとらえまして、それからどのくらいたったものが貸し出しされているかということを調べてみますと、これもレコードレンタル協会から聞きますと、発売後三カ月以内のものが全部の売り上げの三〇%、発売後一年以内のものが全売り上げの八〇%ということになっております。それから貸しレコード店の利用状況でございますが、これはレコード協会の調査によりますと、一人当たり月平均二・四回貸しレコード店を利用し、LP盤を一人当たり月平均三・二枚借りている。これが約千人を対象としたレコード協会の利用状況調査から出てきた結果でございます。
 次に、レコード業界の状況でございますが、レコードメーカーの数について申し上げますと、大手のレコードメーカーは社団法人日本レコード協会を組織しておりまして、レコード協会には日本コロムビアあるいはビクター音楽産業等の大手のメーカー二十三社が加入をいたしております。ほかに多くのメーカーがございますが、これらの中小の業者の多くは音楽テープの制作を中心として事業を行っているもののごとくでありまして、事業者の数は私どもではつかむことができません。
 次に、全国のレコード販売店の数でございますが、全国のレコード販売店の数は、レコード協会の統計によりますと、書店やあるいは電気店の店頭等に設置されているレコード売り場を含めまして全国で約八千店、そのうちレコード会社としコードの直接供給契約を結んでおりますいわゆる特約店が約三千店でございます。
 ディスクいわゆる円盤でございますが、レコードのうちのディスクの生産枚数は、ただいまの御説明にありましたように五十五年、五十六年、五十七年と連続して減少いたしております。対前年比で申しますと、五十五年が九八・一%、五十六年が八六・五%、五十七年が九〇・一%というのが対前年比でございます。テープの方は、この三年間対前年比で申しますと、一三〇・四%、一〇八・五%、一一二・五%と三年間いずれも増加をしておりますが、ディスクとテープを合わせた生産高について見ますと、五十六年が対前年比九二・一%、五十七年が対前年比九八・五%と減少をいたしております。生産の金額について見ましても、ディスク、テープ合わせた年産金額は、五十六年度で対前年四十二億円の減、五十七年では対前年七十六億円の減となっております。なお、昭和五十七年の一月から十二月までの生産枚数、これはディスクの場合の枚数とテープの場合の巻数を含みますが、ディスク、テープ合わせて約二億五千万枚でございます。大体の内訳は、ディスクが一億五千、テープが一億ということかと存じます。生産金額が約二千八百億円でございます。
 なお、これらの数字はレコード協会に加入している二十三社の数字をレコード協会が集計をしたものでございまして、レコード協会のアウトサイダーのものはこの中に入っておりません。
 それから音楽の著作物の録音使用料の推移でございますが、日本音楽著作権協会が徴収した作詞、作曲の録音使用料は、いま申しましたようなディスク、テープの生産状況に対応いたしまして、ディスクに関しては五十六年度で対前年比が九七・八%、五十七年度では対前年比が九二%と減少をいたしております。それからテープを含めた録音使用料も五十六年度対前年比九九%、五十七年度対前年比九八・三%と、若干ではございますけれども減少をいたしております。なお、五十七年度のディスク、テープ合わせた録音使用料の徴収総額は約百五十二億円であり、対前年度二億六千万円の減でございます。なお、ディスクだけを取り上げますと、対前年度七億一千七百万円の減となっております。
 このようなレコードの生産枚数やあるいは使用料の減少傾向が直接貸しレコードの影響を受けているものであるかどうかにつきましては、ただいまの石橋先生の御説明にありましたように、にわかには断定をしがたいわけでありますけれども、少なくとも近年のこうした傾向は注目すべき現象であるように思われます。
 次に、著作権法の改正作業の状況でございます。
 現行の著作権法が昭和四十六年一月一日に施行されましてから、すでに十二年を経過をいたしております。制度改正当時から懸案となっている幾つかの課題がございますが、これに加えまして、この十二年間における著作物の利用手段の急速な開発、普及に伴い、貸しレコードの問題にとどまらず、新しい課題が生じてきております。こうした著作権制度上のさまざまな課題に対応するために、ことしの一月の著作権審議会で論議をいただきまして、著作権法の改正作業のための審議を開始することといたしました。
 作業を進めるに当たりましては、問題の緊急性等の諸般の事情を勘案いたしまして、順次課題を選択して、それについて作業を進めるという方法をとることとし、当面は、第一に、貸しレコードの問題のような著作物の複製物を貸与することについて著作者の権利をどのように取り扱うか、それと関連して映画の頒布権の見直しの問題。第二に、貸しレコードについての実演家、レコード製作者、つまり隣接権者の権利をどのように取り扱うかという問題。第三には、著作権法第三十条、これは私的使用のための複製の自由を認めた規定でございますが、この規定の明確化。第四に、隣接権条約への加入。この四つの課題を取り上げまして検討を進めることとなりました。そして、さらにコンピューターソフトの保護に関しましては、別途調査研究を並行して進めるということとなったのでございます。
 現在、著作権審議会の第一小委員会におきまして、ただいま申しました第一から第三までの課題につきまして一括して検討を鋭意進めております。文化庁といたしましては、この点については次期の通常会に改正法案を提出することを目途に作業を急いでいるところでございます。
 それから、隣接権条約への加入の問題につきまては、ただいまの三つの課題に引き続いて第一小委員会で審議を進めていただく予定となっておます。
 なお、コンピューターソフトの保護の問題につましては、著作権審議会の中に新たに第六小委会を設けまして、著作権制度でコンピューターソフトを保護することとした場合の問題点を中心として現在鋭意御審議を進めていただいております。
 最後に、貸しレコードに関する訴訟の状況でございますが、御説明にございましたように、二つの訴訟が提起されております。レコード製作者を原告とする訴訟につきましては、本日までに口頭弁論が八回開かれております。また、日本音楽著作権協会を原告とする訴訟につきましては、口頭弁論が五回開かれているわけでありますが、いずれも原告、被告から準備書面等の提出が行われておりまして、現在の段階では今後の具体的な見通しはなお明らかではない、そのような状況でございます。
○青木小委員長 これにて説明は終わりました。
 これより懇談に入ることとし、この際、休憩いたします。
    午後三時五十二分休憩
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    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕