第098回国会 農林水産委員会 第2号
昭和五十八年二月二十三日(水曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 山崎平八郎君
   理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君
   理事 北口  博君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君
   理事 武田 一夫君
      上草 義輝君    小里 貞利君
      太田 誠一君    川田 正則君
      岸田 文武君    北村 義和君
      志賀  節君    田名部匡省君
      保利 耕輔君    松野 幸泰君
     三ツ林弥太郎君    串原 義直君
      新盛 辰雄君    田中 恒利君
      竹内  猛君    前川  旦君
      松沢 俊昭君    神田  厚君
      寺前  巖君    藤田 スミ君
      阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  金子 岩三君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
        農林水産省経済
        局長      佐野 宏哉君
        農林水産省構造
        改善局長    森実 孝郎君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    小島 和義君
        農林水産省畜産
        局長      石川  弘君
        農林水産省食品
        流通局長    渡邉 文雄君
        食糧庁長官   渡邊 五郎君
        林野庁長官   秋山 智英君
        水産庁長官   松浦  昭君
 委員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局乳肉衛生課長 瓜谷 龍一君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 藤井 正美君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
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委員の異動
二月十九日
 辞任         補欠選任
  上草 義輝君     田中 龍夫君
  小里 貞利君     藤尾 正行君
  太田 誠一君     藤本 孝雄君
  川田 正則君     武藤 嘉文君
  岸田 文武君     村山 達雄君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 龍夫君     上草 義輝君
  藤尾 正行君     小里 貞利君
  藤本 孝雄君     太田 誠一君
  武藤 嘉文君     川田 正則君
  村山 達雄君     岸田 文武君
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二月十日
 農業改良助長法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)
 森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
 漁船損害等補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
 原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)
同月二十二日
 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)(予)
同月十六日
 農林水産関係の学校給食補助金削減反対に関する請願(小沢一郎君紹介)(第五七三号)
 漁業権侵害等に対する罰則強化に関する請願(小沢一郎君紹介)(第五七四号)
 農業改良普及事業の縮小反対等に関する請願(五十嵐広三君紹介)(第六三七号)
 同(塚田庄平君紹介)(第六三八号)
 同(塚田庄平君紹介)(第六八〇号)
 農業の拡充、発展等に関する請願(岡田利春君紹介)(第六三九号)
 日本農業の自主的発展等に関する請願(井上普方君紹介)(第六四〇号)
 同(串原義直君紹介)(第六四一号)
 同(関晴正君紹介)(第六四二号)
 同(山口鶴男君紹介)(第六四三号)
 同(山花貞夫君紹介)(第六四四号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第六四五号)
 同(川本敏美君紹介)(第六八一号)
 同(関晴正君紹介)(第六八二号)
 同(水田稔君紹介)(第六八三号)
 農畜産物輸入自由化・枠拡大反対等に関する請願(松沢俊昭君紹介)(第六四六号)
同月十八日
 蚕糸業の振興に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七六〇号)
 同(小川平二君紹介)(第七六一号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第七六二号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七六三号)
 同(串原義直君紹介)(第七六四号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第七六五号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第七六六号)
 同(清水勇君紹介)(第七六七号)
 同(下平正一君紹介)(第七六八号)
 同(中村茂君紹介)(第七六九号)
 同(羽田孜君紹介)(第七七〇号)
 同(宮下創平君紹介)(第七七一号)
 牛の生産事故に対する共済制度化に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七七二号)
 同(小川平二君紹介)(第七七三号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第七七四号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七七五号)
 同(串原義直君紹介)(第七七六号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第七七七号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第七七八号)
 同(清水勇君紹介)(第七七九号)
 同(下平正一君紹介)(第七八〇号)
 同(中村茂君紹介)(第七八一号)
 同(羽田孜君紹介)(第七八二号)
 同(宮下創平君紹介)(第七八三号)
 森林造成維持費用応益分担制度の確立に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七八四号)
 同(小川平二君紹介)(第七八五号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第七八六号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七八七号)
 同(串原義直君紹介)(第七八八号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第七八九号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第七九〇号)
 同(清水勇君紹介)(第七九一号)
 同(下平正一君紹介)(第七九二号)
 同(中村茂君紹介)(第七九三号)
 同(羽田孜君紹介)(第七九四号)
 同(宮下創平君紹介)(第七九五号)
 農家経営の安定、協同普及事業の拡充強化に関
する請願(竹内猛君紹介)(第八四一号)
 日本農業の自主的発展等に関する請願(稲富稜人君紹介)(第八四二号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第八四三号)
 同(前川旦君紹介)(第八四四号)
同月二十一日
 農業改良普及事業の縮小反対等に関する請願(島田琢郎君紹介)(第八八三号)
 同(池端清一君紹介)(第九一四号)
 農業の拡充、発展等に関する請願(島田琢郎君紹介)(第八八四号)
 日本農業の自主的発展等に関する請願(稲葉誠一君紹介)(第八八五号)
 同(神田厚君紹介)(第八八六号)
 同(楯兼次郎君紹介)(第八八七号)
 同外一件(栂野泰二君紹介)(第八八八号)
 同(阿部昭吾君紹介)(第九一五号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第九一六号)
 同(大島弘君紹介)(第九一七号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第九一八号)
 同(藤田スミ君紹介)(第九一九号)
 同(武藤山治君紹介)(第九二〇号)
 同(矢山有作君紹介)(第九二一号)
 同(田口一男紹介)(第九五六号)
 同(大島弘君紹介)(第九七二号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第九七三号)
 同(新盛辰雄君紹介)(第九七四号)
 同(武部文君紹介)(第九七五号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第九九六号)
 同(竹内猛君紹介)(第九九七号)
 蚕糸業の振興に関する請願(林百郎君紹介)(第八八九号)
 牛の生産事故に対する共済制度化に関する請願(林百郎君紹介)(第八九〇号)
 森林造成維持費用応益分担制度の確立に関する請願(林百郎君紹介)(第八九一号)
 地域農業の再建、食糧自給率向上等に関する請願(武部文君紹介)(第九一三号)
 農家経営の安定、協同普及事業の拡充強化に関する請願(竹内猛君紹介)(第九二二号)
 同(竹内猛君紹介)(第九九八号)
は本委員会に付託された。
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二月十七日
 農業委員会予算拡充に関する陳情書外二件(南国市大嚶b二三〇一田村英実外二名)(第五四号)
 農林年金制度補助額確保等に関する陳情書(唐津市半田二五六五山浦俊郎)(第五五号)
 国有林野事業の振興に関する陳情書(北海道斜里郡清里町議会議長原田治市)(第五六号)
 肉用牛生産振興施策の充実強化に関する陳情書(兵庫県議会議長清元功章)(第五七号)
 協同農業普及事業の充実強化に関する陳情書(長崎県議会議長初村誠一)(第五八号)
 北海道四営林支局の存続に関する陳情書外四件(岩見沢市議会議長田中友一郎外四名)(第五九号)
 農林水産省函館統計情報事務所の存続に関する陳情書(函館市議会議長越前達郎)(第六〇号)
 農業構造政策の強化推進に関する陳情書(福岡市博多区千代四の一の二七藤本巧)(第六一号)
 農産物輸入自由化・枠拡大阻止に関する陳情書外七件(小浜市議会議長木橋正昭外七名)(第六二号)
 韓国漁船の操業規制に関する陳情書外一件(稚内市議会議長山本周市外一名)(第六三号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基本施策)
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○山崎委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文武君。
○岸田委員 まず、大臣に御所見を承りたいと思います。
 世界の食糧需給の展望ということにつきましては、すでにいろいろな調査が行われておるわけでございますが、それを拝見をいたしますと、共通しまして、世界の人口がこれからどんどん伸びていく、ところが耕地面積というのはそれに追いつかない、そのことのために中長期で見ると食糧需給というものがだんだん窮屈になってくるということが述べられておるように思うわけでございます。
 その中で特に日本について見ますと、日本の場合にはもうすでに現在の段階から、食糧の自給度というものを見てみますと欧米諸国に対してかなり低い水準にある。このことはもうすでに御承知のとおりであります。こういう中で、日本の食糧の安定供給についてどのように基本的にお考えになっておられるのか。食糧の安全保障という問題について責任のある立場におられる大臣から、基本方針をお伺いしておきたいと思います。
○金子国務大臣 岸田先生の御質問のとおり、世界の人口のこれからの趨勢をいろいろ考えたりしますと、当然、食糧は将来大変な危機時代を迎えることがあることを予測してわが国の農政の基本も確立しなければならないと思います。特にわが国は、風土に合う米こそ生産過剰を見るほどに大変生産性が高くなっていますけれども、他の穀物は、大豆にしても麦にしましても、もちろんトウモロコシにしても、大量のものをアメリカを主体とした国から輸入を続けておるわけでございます。このようなことを考えますと、何か異変があって海上を封鎖でもされるような事態が起こった場合は、この二千八百万トンの輸入穀物の食糧をどのようにして自分の国で補てんするのかなというような大変な心配もあるわけでございます。
 このように考えますと、必要でないものとこれから必要とするものの農産物の作付面積の合理化を図ることが第一に必要であると考えております。それがためには、いまいろいろやっております農地のいわゆる拡大を図って、農地を利用する、流動性をもっと高めていくことが何よりも肝心ではなかろうかと思います。
 それで、いろいろ国の安全を保障するのも、まず食糧が基本でございます。したがって、農政はわが国の、国家の政策の基本である、このように考えまして、より以上に真剣に、わが国の食糧の今後の自給度をどのようにして高め、確立していくかということに全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
○岸田委員 いま私が食糧の安定供給という問題を持ち出しましたのは、いまの御答弁にも関係があるわけでございますが、われわれの食糧の供給のいわば大黒柱である米の供給に不安はないかということについて実はお尋ねをしたかったからでございます。
 御承知のとおり、ここ三年間不作が続いております。作況指数をとってみましても、五十五年が八七でございましたか、それから五十六年が九六、五十七年が恐らく九六程度であろう。こういう事実に加えまして、実は先般来、私くにが広島でございますが、広島の農協の方々とお話をしております際に、農協の倉庫が米の在庫が非常に少なくなっておるという話を聞いておったわけでございます。
 そこで、農林省の方に資料を提出をしていただきました。五十八米穀年度の需給はどうであるかということ。数字を拝見いたしますと、供給については、まず前年の持ち越しのお米が四十万トン、それに五十七年産米が一千二十七万トン、その他が八万トン、合計で供給が一千七十五万トン見込まれておる。ところが、これに対応する需要の方が一千六十五万トンでございますから、結果としまして五十八年十月における前年度産米の持ち越し量がわずか十万トンにすぎないということの御報告を受けたわけでございます。
 この十万トンという数字は、実は私大変問題があるのではないかと思うわけでございます。前年の四十万トン、さらにその前の年の九十万トンと比べても非常に低い水準である。いわば、かつてない低い水準だと言ってもいいような状況なのではないだろうか。私は、ここのところをどう考えるべきかということをひとつお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。
 すでに、昨日の新聞でもこの問題について問題を提起いたしておりましたし、それから、昨日の夜のテレビジョンで「米がない!」という大変刺激的な題で一時間の報道番組が提供されまして、いろいろ関心を巻き起こしたのではないかなと思っておるわけでございます。果たして米の供給ということについて本当に不安はないのだろうか、この点について国民の疑惑あるいは疑念を解くようなお答えがいただけるかどうか、この辺をひとつお答えをいただきたいと思うわけでございます。
○渡邊(五)政府委員 五十八米穀年度の需給関係につきましては、ただいま御指摘のように、五十六年産の持ち越し、五十七年産米を中心にいたしますとそのようになるわけでございますが、御承知のように、本年の十月末までといたしますと、この間に五十八年産の新米も大量に集荷されます。従来の例でございますと、政府米で二百万トン、自主流通米で百五十万トン以上が集荷されますので、この五十八米穀年度に関する限りは需給上の心配はないと存じますし、先般も食糧庁におきまして各都道府県の需給の担当者と五十八米穀年度の需給につきまして協議をいたしましたが、特段の問題はございませんで、平穏に終了しております。したがって、私ども五十八米穀年度については需給上の不安は全くないと考えております。
 御懸念があるとすればそれは五十九米穀年度、ことしの十一月から始まります五十九米穀年度でございまして、これは当然五十八年産米が主体になるわけでございますが、やはり御指摘のような在庫水準になったということにもかんがみまして、在庫水準の引き上げを図るという趣旨からも、先般生産調整の転作等の目標面積を軽減いたしまして、六十万ヘクタールにいたしまして、来年の秋には五、六十万トン程度の持ち越しができるように私どもは操作をいたしたい。このようにして主食でございます米の需給上の心配はないように措置いたしたい、このように考えております。
○岸田委員 きのうのテレビでも出ておったわけでございますが、都会の市民の方々は何とはなしにお米というものは余っているのだということが頭の中にこびりついておられるようでございまして、お米が少ないことについてどう思いますかと言うと、ええっというような顔をして画面に出ておられた。あの姿を見ながら感じたことでございますが、いまの御答弁を伺いますと、どうもいままではお米が余っておる、余っておるということが一般的認識でございましたし、それを前提としていろいろな物事が考えられておった。ところが、五十八年あるいは五十九年産米の動きを考えてみますと、どうもこの余っているという認識をこの際改めることが必要なのではないかという気がいたすわけでございます。
 この辺について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 五十五年産米以降三年連続の不作になったことは事実でございますが、御承知のように、米の潜在生産力は依然高い水準にございます。一方、米の消費は減退傾向が続いていくという需給上のギャップが存在することも事実で、こうした過剰基調にあるということは考えてまいらなければならない。かつて、第一次の過剰米の処理といたしましてコストベースで一兆円、現在六百五十万トンの第二次の過剰処理でも、コストベースで二兆円の国費を使っておるわけでございます。
 やはり需給につきましては、過剰を招来することも問題の多い点でございますし、また、私ども需給の責任者として不足の生ずるようなことはしたくないというふうに当然考えてまいります。そうした趣旨で、単年度需給を中心にこれまでも操作してきておるわけでございますが、今後ともそうした方向で進めてまいりたい、このように考えております。
○岸田委員 そうなりますと、私はやはり減反政策をこれからどう持っていくのかということが大変大きな問題になってくるように思うわけでございます。昨今の需給状況を前提として、五十九年から始まる水田利用再編の第三期対策、これを基本的にどういう方向でお考えになるのか、ひとつお聞かせをいただく必要があるのではないかと思うわけでございます。
 と申しますのも、第二期対策六十七万七千ヘクタールの調整をしようということでスタートいたしましたが、結果として振り返ってみますと、各年度ともそのような計画どおりに実施されたことはなくて、いわば不作に対応して調整し、それをもっと低いレベルで減反を遂行しながら第二期を終わった。そうだとすると、第三期というものは第二期の延長ではあり得ないのだという気がするわけでございます。むしろ新しい発想に立って、基本的にどう考えるのかということをこの際じっくりとお考えをいただき、その方向を示していただく、このことが大切なことになってくるのではないか、私はそう感ずるわけでございます。特に、米作農家にとりましてはこれからの経営の基本にかかわる問題でございますし、この辺についてどう考えておるのかということについて非常に心配があるのではないかと思いますので、ひとついまの段階で、お漏らしいただける範囲で大臣からお答えいただければありがたいと思うわけでございます。
○小島(和)政府委員 第三期の問題は五十九年度からの問題と考えておりますが、ただいま第一期、第二期を通じましてやってまいりました対策の評価と申しますか、それから、これからの米の需給展望をどう考えるかというふうな問題を内部的に検討をいたしておるわけでございます。また、これまでやってまいりました転作の定着化の動きといったものも当然加えて検討しなければならないのではないか。それらの問題を総合的に勘案いたしまして、五十九年度の予算編成期をめどにいたしまして新しい対策の骨格を定めてまいりたい、かような段階でございまして、ただいまお話がありましたような諸点も十分念頭に置きましてこれから検討いたしたいと思っております。
○岸田委員 大臣、お答えになりますか。
○金子国務大臣 もっと小さく数字を説明してもらいたいと思って局長に立ってもらったのですが、いろいろ米の生産調整から流通調整にかけて、かつて三、四年前までは六百五十万トンの古米を持ち越しておったのが、来年の三月には全部これが解消するという。これによって相当莫大な財源が浮いてくるわけでございますが、これからやはり、先ほど言った十万トンしか持ち越しがないのが、世間でいろいろ米不足と言われるようになっておるのですが、これは早場米が八月から出てきますし、八、九、十月で三百万トンぐらいは供給できますので、食糧の食いつなぎに不安はないと私は自信を持っておるのでございます。
 いずれにしても、この減反をどのように将来するか、第三次水田再編の場合も、特に米作地帯では毎年毎年減反を、大きな変化をさせてもらうことは農家にとっては大変苦痛ではないかと思うわけです。したがって、もう大概めどがついて、どの程度の作付をやり、仮にどのような凶作が続いたとしてもといういわゆる生産計画とそれから流通関係、米の需要がどのようになるのか、これからふえるのかあるいは減るのか、こういうことももう大体見きわめがつくと思います。そういうことから、生産から消費までの一貫した合理化を図ったやや結論に近いものを出して、ひとつ減反も第三次には取り組むべきだ、このように考えております。役所でいろいろ一生懸命調整をしてまいっておりますので、私はこの調整を見守っておるのでございますが、政治家として物を考える場合は、またいろいろ変わった考え方があるわけでございます。こういう点も五十九年度の予算編成時期までには一応のめどをつけまして、第三次の水田再編の問題でも結論を出したい、このように考えております。
○岸田委員 昨今の米の需給の問題の一つの大きな要因が三年続きの不作にある、このことについてもう少し詳しくお尋ねをしてみたいと思うわけでございます。
 どうも不作と言われておるものの原因を見ておりますと、確かに気象条件というような自然的な条件は大きな要素であろうと思うわけでありますが、そのほかに人為的な要因というものがあるのではないかということを感ずるわけなのでございます。この辺、ひとつお尋ねしたいと思うのです。
 まず、気象条件に関連をしてお答えをいただきたいと思いますのは、このごろ報道を見ておりますと、去年の三月メキシコで火山が爆発した、そのことの影響が天候異変というかっこうで各地にいろいろの影響を及ぼしておるし、日本にも近く影響が及んでくる、こういうことが言われておるわけで、いろいろ話題になっておるわけでございます。この問題について、御承知の範囲で簡単に御報告いただきたいと思います。
○角道政府委員 お答え申し上げます。
 二月十八日に気象庁が発表いたしましたところでは、昨年の秋以来大気の混濁度が例年を大幅に上回って推移している。そのために、日射量のうちの大半を占める直達日射量が例年に比べまして約二〇%減っているということが指摘されております。しかし、反面、通例ですと日射量の約二割を占めます散乱日射量、これは大気中で散乱をして反射するものでございますが、これが例年に比べますと約七割以上ふえているということが指摘されておりまして、そうしますと、全体としての日射量は例年と比べて余り変わりはないというふうに言われております。
 この直達日射量の減少というのは、御指摘のとおり、大きな原因といたしましては、昨年の三、四月に起こりましたメキシコのエルチチョン火山の噴火によるものというように考えております反面、日本では昨年秋から冬にかけまして非常に記録的な高温であったということがございまして、これによりまして水蒸気等の夾雑物等も例年に比べて多かったので大気の混濁度がふえているのではないかという見方もございます。過去にセントヘレンズその他の例もございますけれども、火山噴火の影響を見ますには大体噴火後一年以上経過してからでないと実態がなかなかつかめないというようなこともございますので、むしろ今後の気象状況について十分注意しなければいかぬ、こう考えております。
 また、農作物の生育につきましては、この日射量が影響することは無論でございますけれども、このほか気温であるとか降雨量であるとかその他の各種の気象条件が複合してまいりますので、これらも十分注意する必要があるというふうに考えております。
 来月十日ごろに気象庁が春から秋にかけましての長期予報を出すことになっております。その状況を私どもよく注目しながら、また、気象庁あるいは県の農事担当者等と連絡をとりながら、その状況によりまして営農指導等を十分注意してまいりたいと思っております。
○岸田委員 そこで、先ほど申し上げました人為的要因の問題に入るわけでございますが、これは、せんじ詰めてみますと、作付品種の問題とそれから作付管理の問題、こういうふうに分けて考えることができるかと思います。
 作付品種の問題につきましては、要するによい米をつくろう、高く売れる米をつくろうということに皆さんの目が向いた結果、気温の変化に対して抵抗力の弱いお米をつくるような結果になっていたのではないか。このことについてのいろいろ反省があるように私聞いておるわけでございますが、この辺をまず第一にお伺いしたい。
 同時に、作付管理の問題について申し上げますと、土づくりであるとか、水の管理であるとか、病害虫の駆除であるとか、こういったいわば米づくりの基本にかかわることについて多少なれができてきた、そのことが不作のとがめにあらわれている面があるのではないか、こういうことを心配をするわけでございます。
 以上のような諸点について、御所見をお伺いしたいと思います。
○小島(和)政府委員 お答えいたします。
 まず、栽培品種の問題でございますが、農林水産省といたしましては、かねてから適地適品種という原則にのっとりまして品種選定の指導をしてまいったわけでございますが、最近の動向を見ますと、良質米品種の山登り現象と申しますか、適性に若干問題があるような地域にまで良質米品種が作付される動きがある、こういうふうなことのとがめも出てまいっておりまして、五十五年、五十六年の経験に即しまして指導いたしました結果、改善の跡もうかがわれておるわけでございます。しかしながら、また、一部の地域におきましてはどうしても特定の品種に作付が集中するという傾向がございまして、いかに耐冷性の品種でございましても、稲作の生育の一番大事な時期に低温等に見舞われますと減収を免れないという、生物としての宿命もございますものですから、災害に対する危険分散あるいは労力配分という観点から見ましても、ある程度の危険分散ということも考えていかなければならないということから、適品種の組み合わせ等につきましても指導をいたしておるところでございます。
 それから栽培管理の問題でございますが、確かに同じような気象条件に見舞われました地域におきましても、御指摘がありましたような土づくりとかあるいは水管理、病害虫防除ということを徹底して行いました結果、気象災害による影響を最低限にとどめ得たというふうな事例も耳にいたしておるわけでございまして、その意味での栽培管理の適正を確保する指導も徹底いたしたいと思っております。
 ただ、御指摘がありますように、最近の農村におきます労働力事情あるいは兼業化の伸展ということから、知識、技術としては農家も十分わかっておるわけでございますが、どうしても農作業が週末に集中をするというふうに、適時作業が徹底を欠くうらみもあるわけでございまして、こういう問題につきましては、従来からございました稲作の集団に対しまして再度てこ入れをいたしまして、地域的な共同の対応ということを進めてまいる必要があろうと思っております。その意味におきましても、五十八年度予算におきまして稲作集団の再編成と申しますか、そういう指導体制並びに組織的な対応の強化ということも取り上げてまいりまして、気象的な変動による影響を極力食いとめる努力をいたすつもりでございます。
○岸田委員 いまの話を伺いながら、米をつくるときには米づくりの原点に返って、しっかりとした指導を行うことが大切のように思うわけでございます。
 ここでひとつ大臣に御報告をしておきたいと思うわけでございますが、実は私の郷里の広島で、県と農協等関係団体が力を合わせまして、「広島米づくり一、二、三運動」というものをいま進めておるわけでございます。その中身を御紹介いたしますと、その一と申しますのは、一等米の比率を七〇%以上にしようではないか。それから一、二、三の運動の二と申しますのは、二〇%の生産費の引き下げをわれわれがんばってやろうじゃないかということ。そして三に挙げておりますのが、三つの基本技術というものを励行しようではないか。すなわち、先ほども出ておりました土づくり、水管理、そして病害虫の駆除、この基本技術の励行をスローガンに掲げていま一生懸命がんばってやっておるわけでございます。いわば良質な米を低廉に、しかも安定して供給する体制をしっかりとみんなの力でつくっていこうということでございまして、私は評価をしていい運動であろうと思っておるわけでございます。御報告をさせていただきたいと思うわけでございます。
 大分時間も迫ってまいりました。ここで話題を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 実は、従来見ておりますと、消費者は安いものが入るのなら安ければ安いほどいいというような気持ちで、輸入の自由化という場合にも大体賛成賛成というのが普通であったように私は印象を持っておるわけでございますが、つい最近、私、新聞の報道を見ておりましてあっと思ったことがございました。それは、牛肉、オレンジの自由化の問題について世論調査が行われておった、その結果でございます。
 その結果を見ますと、完全自由化をすべしという人が一三%、それから自由化は無理でも輸入枠の拡大を行えというような答えが二八%、合わせて四一%、これがどちらかというと自由化推進論の立場であろうかと思います。ところが、これに対しまして、枠はもういま程度でいいじゃないかという答えが三四%、さらにむしろ枠は縮小すべきであるという意見が七%出ておりまして、これを合計しますとやはり同じ四一%という数字が報道されておったわけでございます。消費者の意識もだんだん変わりつつあるということを物語っておるように私は思うわけでございます。
 こういう際に、牛肉、オレンジの自由化をどう考えるべきか。実はそれをお尋ねいたしますのも、先般中曽根総理がアメリカへ行かれましていろいろ討議をされた際に、牛肉と柑橘の問題については事務的なレベルで専門家が討議するということが示唆されたように報道されておるわけでございます。一体これをどう進められるおつもりであるか、この際ちょっとお伺いしておきたいと思うわけでございます。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。
 総理が訪米なさいましたときに、レーガン大統領との間で自由化のできないゆえんを御説明になった後、頭を冷やして専門家レベルでというお話を総理からなさったのは、ただいま先生から御指摘のとおりでございます。
 それで、その後段取りめいた話は別に現在までのところ煮詰まってきておりませんが、これは、先般、昨年の十月ホノルルで協議が行われましたときに、今後の段取りは外交ルートを通じて協議をしていこうという話になっておりますので、いずれ外交ルートを通じてしかるべき打ち合わせが行われていくものと思っております。
○岸田委員 アメリカとの貿易で、結果としてアメリカが二百二十億ドルの赤字である、こういう大きな問題に比べてみますと、牛肉、柑橘の問題はどちらかというとマイナーな問題でございます。しかも、非常に厄介な問題でございます。それだけに、いわばこの問題を真っ正面に立てて身動きならないようなことになってくるということはアメリカのためにも日本のためにもならない。むしろアメリカに期待したいのは、日本は貿易摩擦の解消のために誠心誠意やれることから一歩一歩着実に前進しておる、こういう姿勢を長い目で見てもらうことが必要なんじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。その意味におきまして、たとえばいま基準あるいは認証制度の見直しなどもいろいろ進んでおるようでございます。そういったことについて日本側も一歩一歩やれることをやっていくということが大事ではないか、こう感じておりますことを最後に申し上げまして、質問を終わります。
○山崎委員長 松沢俊昭君。
○松沢委員 大臣の所信表明全般にわたりまして質問をいたしたいと思いますけれども、時間がございませんので、米関係、それから減反関係にしぼって御質問を申し上げたいと思います。いまも岸田さんの方から米の問題につきまして御質問がございましたが、私もゆうべ、「この夏日本に米が一粒もなくなるのうわさは本当か?」というショッキングなテレビ放送を実は見ておったわけであります。
 そこでお伺い申し上げたいのは、米の需給計画でございますが、これはどうなっているんでしょうか。いろんなものが出ておりますのでちょっとわからぬわけなんでありますが、当初、五十七年の生産量というのが千三十五万トンと見込まれておったときもあります。それから、その前は千八十万トンという数字も出ておるわけですね。最近は千二十七万トンというふうに出ているわけなんでありますが、これは一体どっちが本当なのか。
 それから、需給計画というのはこうぽんぽんと勝手に変更することができるのかどうかという問題、私、非常に疑問に思っているわけなんです。きちっと決めたら簡単に変更はできないものだという受けとめ方をしておるのですが、権威のないものかどうか、これもあわせてお伺いしたいと思うのです。
○渡邊(五)政府委員 ただいま御指摘になりました点につきまして御説明いたしますと、千八十万トンは年初の生産計画、平年作ベースで出したものでございます。その後、御承知のように統計情報部におきまして生産量調査をしてまいる段階で、十月十五日現在の見込みといたしまして千三十五万トンという御指摘のような数字が統計情報部の方から報告がございまして、最終的には、御存じのように十二月に推定実収高というので、これが統計情報部におきます生産量の最終の報告になります。これが千二十七万トンと相なったわけでございます。
 私ども、この千二十七万トンを基礎にいたしまして、先ほどの御質問にお答えしましたような持ち越し米あるいはその他の五十三年産低温なりを含めまして供給量全体を千七十五万トンと押さえたわけでございまして、これは、その年々の実収の確定する段階で私どもとしては五十八米穀年度の需給計画を立てたわけでございます。
○松沢委員 そうすると、食管法で定められておりますところの基本計画、それから供給計画、こういうものをちゃんと三月に決めるとかあるいはまた十月に決めるとかというふうになっておりますが、五十八年の計画というものはまだ決まってない。三月に決めるのですか。
○渡邊(五)政府委員 三月に基本計画を定めますが、これは改正食管法によりまして毎年基本計画を定めるということで、昨年も三月に決めました。本年も三月に決める予定でございます。五十八米穀年度、さらに五十九米穀年度にわたります見通しを立てるわけでございます。
○松沢委員 そこで、一番最終的には五十七年産米が千二十七万トン、これは動かないわけですね。そこで、千二十七万トンというのは、農家とそれから農林省では計算の方法が違っているのですね。食糧庁の方では坪刈り、要するに作況指数というのは坪刈りから出ていると思いますね。その坪刈りの場合においては、米選機のふるいというのは一・七ということになっているわけですね。ところが、いま政府やあるいは自主流通米に売り渡すところの農家の玄米のつくり方というのは、一・八ミリのふるいの升目にかけまして、それでやっているわけですね。それで、千二十七万トンというのは俵数を勝手なやつを積み上げてきて出した数字ではないんですね。ですから、統計情報部の作況指数によって千二十七万、こう出ていると私は思っているわけです。いまテレビなんかで米が一粒もなくなるんじゃないかというのは、その辺のところをついていると思うのですね。政府の方では、とにかく統計からいくと千二十七万あるんだ、こう言っているわけでありますけれども、要するに、その統計というのは一・七ミリのふるいにかけたところの米という想定であります。農家の場合においては一・八で玄米生産をやっておるわけでありますから、当然そこに一%や二%、もっとあると思いますけれども、そういう誤差というものは出てくると思います。仮に一%違っても十万トン以上違うのですよ。二%違えば二十万トン違うわけでありますから、八月には米がなくなる、こういう想定ができるんじゃないか。
 それほどに深刻になっているからこそ、皆さんはちゃんと手を打っておられるじゃないですか。十二月二十日付で食糧事務所長に集荷の督促をやっておられるでしょう。それから、集荷団体でありますところの全農にも依頼をしておられますし、全農はまた単協に対して、単協は農家に対して、一俵でもいいから、半俵でいいから出してくれ、白米でもいいから出してくれ、こういうことをやっておるわけなんですよ、おわかりだと思いますが。それでも米というのは心配ないんだと言われる。心配がなかったならばそんなことをする必要もないんじゃないですか。心配があるからこういうことになるんじゃないですか。
 もちろん、政府の方としては九月になると新米がとれるんだ、だからそんな戦後のような状況は出てこないんだ、こう言われるわけでありますが、確かにもう九月に入りますと新米が出ますから、ことし一億一千万の国民が米が食えなくて困るなんという事態は起きてこないと思います。起きてこないけれども、それじゃ五十九年の需給計画がどうなるんだ、こうなれば、これはめちゃめちゃになってしまうんじゃないかと思うのですよ。そういう点をどうお考えになっているのか、具体的に私が申し上げましたこの指摘、これは当たらないのか当たるのか、はっきりしてもらいたいと思うのです。
○渡邊(五)政府委員 最初に、御指摘のふるい目の件だと存じます。
 統計情報部におきましては、たしか私どもも一・七ミリでいまの推定実収高なりを算定していると思いますが、実際に私ども見ておりまして、最近自主流通米等の増加の傾向の中で従来から一・八ミリなり一・八五ミリといったふるい目が使われていることがありまして、最近全般的に私どもから見ますとやや行き過ぎではないかというような現象も出ております。
 これによりまして、どれほどそのふるい目によりましてふるい下に落ちるかというのは、その年の登熟の度合い等によりまして異なるので一般的には申せませんが、最近のような不作の年には多少多くなる傾向があろうかと思います。それで、ふるい下のものは改正食管法におきましても特定米穀、いわゆるくず米と言われておりましたのを特定米穀といたしまして、特定米穀業者がこれを集荷いたしまして流通いたします。総量といたしましては、したがいまして需給上実質的にそれほど大きな差はないのではないか。ただ、いわゆる商品化して流通するという農家段階の意識とのずれがそうした面であることは事実であろうかと存じます。
 それから、私も昨日のテレビなりの報道も見ましたけれども、集荷について特に今年強力な督励を行っているというふうな報道でございますが、これは、先生御承知のように、昨年の一月改正食管法が実施されまして、特に本院におきましても附帯決議で不正規流通の取り締まりということが大きな眼目になっております。したがいまして、これは昨年来販売、集荷、両面につきまして不正規流通の取り締まりの強化をいたしております。
 販売面の方におきましては、いわゆる不正規流通の小売が約一万五千ぐらいございましたが、現在では千以下になるというふうに徹底いたしまして、流通もかなり従来と変わってまいっております。
 集荷につきましても、昨年もそうした意味で年を越しましても集荷の督励をいたしまして、いやしくも生産者の段階からそうした不正規の流通が生じないよう、不正規流通の根源となりがちな農家が保有する過剰な米穀の出荷指導や農家の通年出荷に対応できるように、私ども検査なり買い入れの体制もしいております。こうした意味で私どもいたしておるわけでございまして、食管制度を堅持していくためには、米穀の適正な集荷を確保していくというのがやはり根幹だと考えておるわけでございます。そうした状況で、私どもとしては集荷に力を入れておるわけでございます。
 全体的な需給は先ほどもお答え申しましたし、私どもも一月、二月、各都道府県の担当者と五十八米穀年度につきましての需給の打ち合わせをいたしましたが、特段の問題はなく、これは、私どもとしては五十八米穀年度に関する限り需給上の不安は一切ないと確信いたしております。
 懸念の点は、この十一月からの五十九米穀年度になろうかと思います。この点は、減反の緩和なりをいたしましてゆとりを持たせるように措置したところでございます。
○松沢委員 いまお話を聞きますと、心配ない心配ないと言われるわけでありますが、きちっと答えてもらってはいないと思うのです。一・七と一・八、要するにこの誤差というのはある、間違いなくあるはずだ。一%誤差があっても十万トン違ってくる。二%誤差があれば二十万トン違うのですよ。これは、だから倉庫の中に入っているか入っていないか、はっきりしてないのじゃないですか、下から積み上げてきた数字じゃないのですから。この点、やはりはっきりしてもらわなければならない。
 それから、いま皆さんが出されたところの計画によりますと、不安定要素がたくさんあるのですよ。前年度の繰り越し四十万トンと言っても、要するに、この四十万トンは一体どういう米なのかということなのです。三等米だなんということになれば、いまの国民は口に合わぬということでなかなか売れない米ということになっているのですよ。うわさによりますと、大体四〇%ぐらいはそんな米なのじゃないかという話なんですよ。この点もはっきりしてもらいたいと思うのです。
 それから、本当は需給計画の中には工業用の米というのが普通は入っているのです。過剰処理をやっていますからそこから二十七万トンを工業用として利用しますよということですが、これが入っていないのです。本当の需給計画からするならば二十七万トン足りないわけです。
 それから、主食用にいたしましても五十三年産米を使っているのです。それを十万トンぐらい、五万トンということを言っていますけれども、十万トンぐらいになるのじゃないかというお話でありまして、これなんかも本当は足りないのですよ。五十三年の米をいま食べるなんというのはおかしな話なんで、つじつまを合わせるためにやむを得ないのだ、こういうことなんじゃないですか。
 それから二百万トンの備蓄というのは、去年食管制度の問題をめぐりましていろいろ議論をやったときにおきまして、私どもの方としては三百万トンの備蓄というものが必要なのではないか、こういうことでありましたが、あなた方の方では大体二百万トンぐらいの備蓄ということを想定しておられる。それは回転備蓄なのか、棚上げ備蓄なのかという議論までやったわけですが、双方併用でやっていこうということなのです。
 そういうふうにして考えていきますと、大体需給見通しの見直しということをやらなければならぬところに来ているのじゃないですか。それを何回質問しても心配ございません、心配ございませんということで、国民にその真相を明らかにしないということは大変なことだと私は思っているのです。だから、国民に対してこれは心配な状態に入っているのですよということを明らかにすべきだと思うのですよ。しかも、いま金子農林大臣も、行政改革、財政再建というようなことで、臨調なんかで大分農政、農林省攻撃というものが行われているわけであって、大変苦しんでおられるのでありますが、そんな安易な状況ではないんだ、大変なんだぞという開き直りのためにも、農林省の方では、米はこういう状態であって決して不安でないということは言い切れないのだ、需給の見直しもやっていかなければならない状況に入っているのですよということを明らかにすべきだと私は思うのですが、どうですか。
○渡邊(五)政府委員 数字の点もございますから、私の方から申し上げます。
 まず、四十万トンの昨年の持ち越しの内訳でございますが、概数で申し上げますと一、二類で十万トン、三類で十万トン、四、五類で五万トン、三等が十五万トンとなっております。この三等米につきましては、御承知のように本年も特例標準価格米という制度を各県にも設けられるようにいたしまして、これは需給会議等で調整して消化できるという見通しはつけております。
 それから加工用の問題は、二十七万トン程度ございますが、これは昨年もそうでございますが、現在の過剰米の方から処理するということでいたしておるわけでございまして、先ほど申しました需給計画の中に入ってないことは事実でございます。過剰米の中の処理が五十八年度まで、いまの計画では五十九年度分まで五十八年度に処理するといたしますと、それ以降をどうするかというのは、やはり第三期の対策なりに関連いたしまして私ども基本的に考えなければならない課題と考えております。
 それから五十三年低温米の点でございますが、確かに現在の過剰米の処理六百五十万トンを当初スタートいたします際には、当時の需給事情からしてこれらは輸出用あるいは加工原料用ないしはえさ用に振り向けられるべきものと考えておりまして、そのような方針でしてまいりましたが、最近、東北等の主産地におきますこの五十三年産の低温の保管状況が品質の劣化が非常に少ないということで評判がよくて、価格条件も合いまして、外食産業等の業務用につきましてかなり強い需要が出てまいりました。そういう需要に見合わせまして、およそ三年で大体二十万トンぐらいこの分で処理せらるべきものということで、私どもといたしましては、生産農家がせっかく苦労されたお米がこうした点で品質的にも問題がなくて評価されるものであれば業務用の主食なりに回しても差し支えない、こういう観点からしたところでございます。
 基本的な問題につきましては、私ども単年度需給で現在の生産調整を進めてまいりますとこうした事態は予想されるわけでございます。今後第三期の対策をどのようなことで考えていくか。御指摘の備蓄の問題もございます。先ほど申しました加工原料用の手当ての問題もございます。農民の方々にも相当の御努力も得ながら、こうした問題にどう対処するか、基本的な問題として、私ども官房を中心に現在検討をしておる段階でございます。
○松沢委員 いま長官の答弁されたのは、こういうわけでこれはこういうふうにして利用しているのだという話なんでありまして、私はその話を聞いているわけではないのであります。問題は、いま私ここでずっと並べましたように、すでに皆さんの需給計画は非常に不安な要素がたくさんあるのだ、したがって米の需給見通しの見直しが必要になってきている、こういうふうに判断する時期なんじゃないか、これをはっきりしてくれということなんです。
 長官がずっと答弁しておられますので、大臣の方から、いま私が指摘しましたような状況でありますので、米の需給というのは大変逼迫している、したがって、需給見通しの見直しなんかも当然やらなければならぬじゃないかというお考えを持っておられるのかどうか、お答え願いたいと思います。
○金子国務大臣 松沢さんの御意見を聞いておりますと、お米の需給関係が大変逼迫しているように申されておるようでございますが、私に隠しているものがあれば別ですけれども、食糧庁から事務的に詳細に時々説明を受けておりますが、余り心配しなくてもいいのではないかというような見解を持っております。松沢先生も余り御心配なさらぬ方がいいのじゃないでしょうか。
○松沢委員 それは、しかし、大変な発言じゃないですか。先ほど私指摘しましたが、工業用米というのも本当は単年度需給計画の中に入ってなければならないのですよ。それを二十七万トンも外しているのでしょう。そして古米処理のところから出しているのですよ。それから、主食用も五十三年の米を使っているのですよ。こんなことはあり得ることではないじゃないですか。単年度計画を立てる場合、そんなばかな話はないわけなんです。それから備蓄の問題にしましても、これは食管の改正のときにおきましてもいろいろな議論をやったのですよ。その結果、二百万トン程度という話なのです。われわれは三百万トンと言っているわけですよ。だから、二百万トン程度の回転備蓄と棚上げ備蓄を併用してやります、こう言っているわけなんですよ。そういうのが単年度需給計画にちゃんと盛り込まれていなければならぬわけでしょう。それがみんな外されて、見込まれていないわけなんですよね。
 それで、私はことしは心配ないと言っているのですよ、新米がとれるのですから。だけれども、五十九年の需給計画となりますと、これは計画が立たなくなってしまうじゃないかということですよ。だから見直しの必要が起きたんではないか、こう言っているのでありまして、決してやぼなことを言っているわけではないのです。これは別に社会党とか自民党の問題ではないと思うのです。やはり日本の国民の食生活を安定的に維持していくためには、供給するわれわれの側としては十分心していかなければならぬじゃないか。しかも、臨調等におきましては、食管問題についてもくちばしを入れていることは御承知のとおりなんであります。厳しいのです。知らぬからそんなばかなことを言っていると思うのですよね。だから、知っているところの農林大臣がそれは心配しなくてもいいというようなことはおかしな話なんであって、これは大変なことだ、だから長官もちゃんと計画をもう一回練り直せというぐらいの命令を出さなければならぬという立場にいま立っているのではないかと私は思うのですが、どうですか。
○金子国務大臣 先ほどからお話の中に臨調の話がちょこちょこ出よりますが、臨調はいろいろなことを部会から言われておりますけれども、私の方は出かけて行って内容を説明して、やはり臨調の方々の認識不足な点もあって、向こうから言っておることをずいぶん引っ込めて、私どもの方の考え方を理解していただいておるようでございます。必ずしも臨調が言われていることをうのみにして農政をこれから進めようという考え方はございません。その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
 それから、米の需給の問題で、いろいろ、いま心配ないが五十九年云々と、こう申されておりますけれども、五十九年の計画はこれから五十九年の予算を立てるときに、第三次水田再編の問題から需給の動向を見てひとつ検討しよう、こうしておるのでございまして、大体米の生産過剰が長い間続いて、そしてたくさんの米を持ち越して大きな財政負担を背負ったというのが、今日ようやく軌道に乗りかかってきた、いわゆる計画生産ができ、消費量がほぼ見当がついたので、生産から流通まで計画的に、米に限っては動いていると私は見ておるわけでございます。こういう場合ですから、また大きな金を食うような備蓄をいま云々することは私は考えていません。(「国会決議があるんですよ」と呼ぶ者あり)いや、いま直ちに備蓄を百万トン、二百万トンということは必要ではない、このように私は考えております。
○松沢委員 どうもおかしいですね。大臣がかわると、備蓄の計画まで変わってしまうのですか。これは一体どういうことなんですか。備蓄は備蓄として、ただ三年続きの不作であるからやむを得ないという状態になっているだけであって、計画としては二百万トンの備蓄というこの方針は変わっていないはずなんですが、いつ変わったのですか、これは。食糧庁。
○渡邊(五)政府委員 御説明いたします。
 御質問の中にもおっしゃっていただきましたように、米穀年度で申し上げますが、五十八米穀年度におきましては需給上の不安はございません。五十九米穀年度につきまして御懸念される向きがあるということは事実であろうと思います。そうした意味も込めまして、先般生産調整について六十万ヘクタールまで目標面積を下げて五十八年度の生産調整を実施することによりまして、五十九米穀年度、ことしの十一月から来年の十月末までにわたります五十九米穀年度におきましては、五、六十万トンの持ち越し在庫を持ち得るようにいたしたい、こういう考え方で五十八、五十九米穀年度については需給上の不安のないように、当面私どもは措置するつもりでございます。
 お話のございました二百万トンの備蓄なり、さらに加工原料用の問題なり御指摘がございました。そうした問題は、今後のまさに第三期、具体的に実施いたしますのは五十九年度の生産調整の段階になろうかと思います。したがいまして、五十九年度の生産調整となりますと、ことしの秋の五十九年の予算編成の方針が決まるまでに、そうした備蓄なり他用途の問題、これには農民のかなりの御努力もいただく。私どもとしてはこれを輸入なりに仰ぐつもりはございませんが、そうした全体的な需給につきまして基本的に見直して五十九年度以降の第三期対策に備えていきたい。まだ成案を得ているわけではございませんが、目下官房を中心にしましてそうした基本的な問題を検討いたしておる段階でございます。
○松沢委員 そうすると、三年間の不作があって、そして工業用の米も過剰米のところから引き出すというようなことをやったり、それから持ち越しにしましても、四十万トンしか持ち越しができなかったということでありますが、食管の議論をやった当時のあの備蓄というのは、回転と棚上げ備蓄方式によって二百万トン程度の備蓄を考えるように、順次回復させる、こういうことなんでしょうね。どうですか。
○渡邊(五)政府委員 まさにその点を私どもいまの検討の重要な課題として考えておるわけでございます。ただ単純にこれまでのような回転備蓄をいたしますと、仮に二百万トンの回転備蓄をいたしますには、やはりそれ相当の金利、倉敷き等の保管経費がかかりますが、問題は、特に二百万トンの前年産の古米を供給いたしますと、かなり梅雨どきまでもこれを供給していかなくちゃならないということで、現在の消費者の動向とそぐわない問題がございます。
 そうした意味で、この二百万トンの回転備蓄をどういうふうに扱うか。一方では棚上げ備蓄というような考え方もあることは事実でございますが、この際におきます棚上げ備蓄というのは、加工原料用等の米との関係を考えますと、相当の財政負担をこれだけに持たすべきか、やはり生産者自体の方でもどう対応するかというような問題も、生産者団体におきましても非常に深刻に考えておられます。私ども、そうした問題点を逐一詰めながら、これからの適正な在庫水準なりを決めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○松沢委員 何かはっきりしないのですがね。どういうふうにしてやっていくのかというのは五十九年の生産調整にすべては任されているような、そういう御答弁でありますが、米は心配ないのだという状態をつくり出して維持をしていくためには、二百万トンという、あなた方が言ったんですよ、二百万トンは。われわれが言ったんじゃないんだよ。それを今度、いまごろになって変更した、話も聞かせないうちに、答弁の中であいまいな答弁をされては困ると思うんですよ。二百万トンというのは、それは変更したのですか。いまは不作だから二百万トンが維持できない、しかし、二百万トンというものは安定供給のために必要なんだ、ただ政府がその二百万トンというものを確保していくか、あるいはまた、民間にもさせるかというようなことは、財政事情の問題もあるわけだから、この点は検討するということであれば、それは答弁としては話はわかるわけなんですが、その辺はどういうことなんですか。
○渡邊(五)政府委員 私どもは、二百万トンを実際に仕組む場合の仕組み方、そうした問題点についてはやはり相当真剣に考えてまいらなければならないということで申し上げたわけでございます。
 確かに第二期、この三カ年間は非常に生産の方が、作況が悪かったことは事実でございますが、逆に、第一期におきましては、非常に生産が増大して非常な過剰を生じた状況もあるわけでございます。そうした状況と需給の状況の見通しとあわせながら、備蓄の問題なりも考え、仕組みの仕方について真剣に検討しておるということでございます。
○松沢委員 それじゃ、長官、仕組みはいろいろ検討するけれども、要するに二百万トンの備蓄そのものは変更はないのですね。
○渡邊(五)政府委員 私ども、前にも御説明いたしたと思いますが、通常の備蓄水準としては七十万トンないし百万トンの回転ということが非常に理想的な、単年度の回転としてはそういうふうにいくわけでございます。ただ、二、三年の不作ということを考えればやはり二百万トン程度が必要だということも、私どもが申し上げたことは事実でございます。ただ、そういう二、三年ぐらいの不作に備える、さらに積み増しの二百万トンまでいきますと、どういう仕組みでどういう負担関係とか、そうしたものが明確になりませんと、これはやはり具体的なお約束ができる点じゃないと思いますので、いまその点について真剣に検討しておるということが実情でございます。
○松沢委員 わかりましたが、やはり二、三年の不作というのを想定した場合においては二百万トンぐらいの備蓄、理想的には七十万トン程度の備蓄、これは単年度の話だと思いますけれども、とにかくあなた方が理想とされるところのそういう備蓄さえ今日の段階においてはできないという状態に入っておるわけなんですね。これは、やはり心配がないということにはならぬと私は思うのですよ。非常に逼迫している、こういうふうにして判断をつけるのが常識なんではないですか。しかも、五十八年の作柄というものが、今度は大豊作になるなんという保証はないわけでしょう。さっきの御質問にもありましたように、気象条件等におきましても、メキシコの火山の爆発などによって影響が出ているんじゃないかというような話もありますし、また、いまの米をつくっているところの農家の実態からいたしましても、新卒の後継者というものがほとんど定着していないという面もありますし、それから、米をつくっているところの大半の農家というものが二種兼業に転落をしているというようなことからいたしまして、そこへもってまいりまして減反政策でありますから、生産意欲が衰えているという面等がございまして、私は、はっきり申し上げますが、天災もあると思いますけれども、人災の度合いというものが非常に深いと思うわけなんですよ。そういう点からすると、これは深刻な状態に入っているんじゃないか。それを何でいつになってもはっきりとお答えができないのか、ちょっと理解に苦しむのですよ。どうですか。
○渡邊(五)政府委員 再々御答弁申し上げますけれども、五十八米穀年度につきましては、先ほど数字を申し上げましたが、私ども、需給上の心配はない、五十九米穀年度につきましても生産調整の緩和なりの措置をいたしております。問題は、ではこの五十八年産がどうなるかということ。自然条件について私ども確定的な予測はできませんが、確かにその中に先生御指摘のような、生産面において必ずしも従来のように意欲的であるかどうか、農家層によってはいろいろの違いがあるんではないかという点は私どもも心配しております。この点につきましては、先ほども農蚕園芸局長が申しましたように、やはり米づくりといいますか、栽培管理面について検討をすべき課題は多いかと存じます。
 私も先般東北何県か回りましたけれども、やはり各県庁におきましても、自然的な条件もありますけれども、人為的と申しますか、そうした点について各県指導者層におきましてもかなり反省も出ております。私どもも、そうした面を加えて、予約限度数量に達するように、ぜひ五十八年の米づくりについては特に各県にも要請いたして心配ないように措置いたしたい。私ども、これは全く心配がないということを申し上げておるんではなくて、やはり生産の側におきましてもしっかりした努力をしていただき、自然条件の問題はありますけれども、私どもとしては需給上心配ないような方向へぜひとも持っていきたい、こういうふうに考えております。
○松沢委員 これは幾らやっても切りがございませんからやめますけれども、とにかく五十八年は、私も言っているように、それはやはり新米がとれるのですから、五十八年に日本の国民が食べられなくて困るなんというところの状態は出ないと思うんですよ。問題は、要するに五十九年以降どうするのかというのが私は大変大きな問題だと思うのですよ。それを大変大きな問題だというふうにして認識をしなければならないほどに、あるいはまた考え直さなければならないほどに深刻になっているんじゃないかと私は申し上げているのであって、五十八年が深刻だと私は言っているんじゃないのですよ。この点は、長官、大臣、私と一致しているんじゃないですか、どうですか。
○金子国務大臣 米どころの松沢先生が米について大変関心が高くて御心配があるということは、私はよく理解しております。
 ただ、先ほどからずっと長官とのやりとりを聞いておりますと、二百万トンとか備蓄とかいう話が飛び出ていますけれども、私はそういうことは全然聞いてないんですからね。ただ、私が大臣に就任してから私の責任で考えてみて、ことしは十万トンしか一応持ち越しがない、そこで、いま松沢先生も心配になるというのは五十九年からだ、こうおっしゃっておりますので、五十九年の水田再編の場合、これはやはり検討して、いまの六十万へクタールを、五十万トンにするのか三十万トンにするのか、そこで調整ができるのじゃないかと思うのですね。
 それから、備蓄ということよりも、私は、常時持ち越し米を幾ら持っていくかということの方が、安定した米の供給を持続するということであれば――備蓄ということになりますと、やはり大変予算を食うので、農林水産省全体の予算に大きな響きが来て、これに膨大な予算を食われると、他の基盤の整備等の予算を減額せねばならないようになる。いわゆるこの厳しい財政時代ですから、私は、やはり豊作で持ち越しが百万トンあったとか、不作で持ち越しは十万トンしかなかったとかいうような仕組みで続けていくことが賢明ではなかろうか。これは、予算獲得の上からもそういう行き方の方がいいのではないか。これは私の見解でございます。
○松沢委員 委員長、これは理事会でひとつ取り上げていただきたいと思いますけれどもね。大臣がかわったことによって、私はそれを聞いてない、こう言われるわけですよ。それはやはり大変な問題だと思うのですよ。農林水産省の米政策なら米政策の一貫性というものがなければならぬと思うのですよ。ところが、新しい大臣になられてから、それは聞いてないということで、いままでの要するに経過というものが断絶してしまうということでは私は困ると思いますね。その点を理事会の方でやはり整理をしてもらわなければ、これは困ると思うのです。委員長にこれをひとつぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
○山崎委員長 理事会で取り計らいます。
○松沢委員 それじゃ、それはそれで終わりまして、水田再編の問題がすでに出てきておりますが、これは米が余るから、足りないところの麦やあるいは大豆というものに転換をして、そして日本の農業生産の再編というのをやっていこう。こういう目的でなされ、すでに五十三年からことしで第二期の最終の年というふうに六カ年間やってまいったわけでございますが、要するにその目的がいま達成され、定着しつつあるというふうに農林省の方では御理解を持っておられるのかどうか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
○小島(和)政府委員 御指摘がございましたように、水田利用再編対策は単純な米の需給均衡というだけではなくて、今後の需要の動向に即しました作物に地域の農業生産を再編成していこう、こういう意図を持って進めておるわけでございます。
 定着化の見通しはどうかというお尋ねでございますが、これは定着の姿がさまざまにあるわけでございまして、単純に、奨励金がなくても他の作物が十分栽培できておるというふうな見方からいたしますと、果樹を初めとする永年作物につきましてすでに奨励金を打ち切って生産が続けられておるもの、これは毎年千数百町歩ぐらいずつ出ているわけでございます。
 それから、奨励金は続けておりますけれども、すでに転作物及び転作物の組み合わせによりまして米作に劣らない収益を上げておる、こういうものもかなり出てきております。
 それから、収益性という面から見れば、米に比べてまだ収益性は低い。したがって、奨励金の継ぎ足しはどうしても必要なわけでありますが、地域の工夫によりましてブロックローテーションと申しますか、場所を決めて循環的に転作をやっていく。その間に耕作の委託でありますとかあるいは交換耕作というふうなことによりまして、稲作はもちろん転作物につきましても、ある程度の規模と技術をもちましてりっぱな転作をやっておる、こういう地域も芽生えてきておるわけでございます。
 したがいまして、直ちに奨励金を外せるという意味で申し上げるわけではございませんが、転作の将来の姿につきまして、それらに希望を持って努力をいたしておるわけでございます。
○松沢委員 これはまことに恐縮ですけれども、私、新潟県ですから、新潟県の達成率は一〇四%。しかし、未達成の町村も大分あるわけなのであります。そこで、減反は二万一千百五十ヘクタール、その中で青刈り転作、これが八千百ヘクタールです。青刈りというのは刈りっぱなしなのでありまして、農林省のお考えになっているように、これはえさになっておりません。われわれ農業者の立場からすれば、まことにもったいないやり方を農林省が強要している、こう言っても過言でないと思います。こういうのは私は定着はしていないと思うのですね。これは一体どういうふうにされるのか。もう五十九年。さっきの御答弁のように、これは大変な年ですね。
 それから、麦と大豆というものは大変自給率が低下しているから引き上げろ、戦略作目という定義づけでやってこられたわけですね。たとえば麦のいまの価格と国際価格、これを比較した場合、いろいろの計算の方法はあると思いますけれども、たとえば十アール当たり仮に六百とれるという計算ではじいてみますと、奨励金が十六万七千円ですね。基本価格が十八万四千幾らとなりますから、結局トン当たり三十五万円くらいの価格になっているのじゃないでしょうか。国際価格というのは大体トン五万円ぐらいじゃないですか。そうすると、七倍ぐらいな価格で日本の農民に麦をつくらせている。これを、今度臨調の言っているように、奨励金から脱却ということを言ったらどうなるのでしょうか。私は、こんなばかげた麦作というものはないと思うのです。無理なんじゃないですか。これで戦略作目なんですよ。わが新潟県なんかの場合におきましては、そんなことはできませんけれども、もう青刈りです、刈り捨てだ。それが六年間続いているわけなんですね。この辺でやはり減反というものはやめなければならないという、それぐらいの反省があっていいのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。これは大臣に聞きます。要するにこういう状態ですから、簡単な数字だけしか出していないのですから、どうぞ大臣。
○小島(和)政府委員 湿田地帯におきます転作をどう進めるかということが、五十三年に水田利用再編対策を始めましたとき以来の私どもの悩みの種でございまして、当初配分の際におきましても、都道府県別の水田の状態というものを目標配分におきまして十分加味いたしますとともに、できるだけ早く地下水位を下げる、そのための排水等を中心とする基盤整備を進めて対応をしてきておるわけでございます。しかしながら、現実に地域によりましてなかなかかわるべき作物が作付け得ない、こういう場所があることも事実でございまして、場所によって多少対応は違いますが、地下水位が相当高くても栽培できるある種の作物をつくる、こういうことでやっておるところもございますし、また御承知のように、水田養魚というふうなことを通じまして、これも転作にカウントいたしておりますから、そういう対応をしていただいておるところもあるわけでございます。
 何と申しましても、こういう地域に仮に目標を軽くするにいたしましても、県内あるいは市町村内のいろいろな公平感というものもございまして、そういう地域に全く目標を割り当てないということが現実にできないという事態のもとにおきまして、一部の飼料作物、これは青刈り稲も畜産飼料として有効に活用されている場所もあるわけでございますけれども、今後ともそういったものができるだけ少ない転作になりますように努力をしてまいるつもりでございます。
 それから、後段にお尋ねのございました麦の収益性という問題でございますが、これは麦に限りませず、わが国のような非常に国土の狭い国におきまして、穀物類の生産コストということになりますと、どうしても国際的に見て割り高になるわけでございまして、麦に限りませず、米も単なる価格という点だけから言えば、国際的に見てかなり高い水準にあるわけでございます。しかしながら、国民の必要とする主要食糧については、米は当然自給いたしますが、麦につきましても一〇〇%外国産に依存するということではなく、わが国でつくり得るようなものは少々割り高になってもつくっていく、こういう政策から麦、大豆等を戦略作物にいたしておるわけでございまして、御指摘がございましたように、現在まだ単収の水準というのが余り高くはございませんが、場所によりましては相当な水準まで来ているところもあるわけでございます。そういうものに対しまして、今後麦、大豆がもちろん中心でございますが、ほかの作物が組み合わせ得るようなところについては、当然組み合わせてまいりますし、先ほど申し上げましたようなローテーションを通じましてできるだけこれらの作物もそれなりの高い収益を上げられますように努力をして、何とか定着させていきたいと考えております。
○松沢委員 もう時間がありませんでどうしようもないのだけれども、ただ、言えるわけであります。麦の場合、三十五万円もかかると言ったのです。そうすると、あなたの方では、いや、これは麦だけじゃないんだ、米も国際価格と比較した場合高いのだ、こう言われるわけだけれども、米と麦の単収からするならば、日本は米の方がよけいとれるわけですね。それで、結局いまの状況からいくと、トン当たりで米の場合は麦よりは安いのですよ。そういうことであれば、生産調整なんてやらないで、そしていま農林省の方でも超多収穫米の研究なんかやっておられますけれども、水田は水田として米をどんどんつくって、そうして仕分けをして、この分はえさでございますと言った方がよっぽど財政的にもむだのないところの農政ができるのじゃないですか。そういう意味からすると、この日本列島というのはヨーロッパと気象条件が違うのですから、温湿地帯であって、多湿多雨の地帯なんでありますから、そこのところで無理な、要するに麦づくりをやるよりは、米をつくって、その米を他用途の方向へ向かせていく、そういう日本独特の農政をやっていく必要があるのじゃないか。六年間やってさっぱり定着しないという反省の上に立って、今度五十九年からはそういう発想のもとに対処されたらどうかということですね。これは一体どうお考えになるかということなんです。
 それから、時間がありませんから全部やりますが、ペナルティーはやらぬということになっているんだよね。これは五十三年の予算委員会でいろいろ議論がありまして、ペナルティーはやらないということになって再通達なんか出していたのですけれども、やはりペナルティーはあるのですよ。それは、五十三年四月六日の通達ですか、これは次官通達ですね。それから、たしか四月二十七日ですかの構造改善局長通達なんかございまして、成績の悪いところには補助金は出さない、制度資金は貸さぬ、こういうおどしをかけてきているわけでしょう。
 大体、生産調整というのは、当初の政府の言い分からしますと、これは強制的なものではない、あくまでもお願いの筋なんだ、こういう話なんです。お願いする者が貸さないなんて開き直るなんというむちゃくちゃな話はないのじゃないかと思うのです。この通達なんというものはやはり撤回してもらわなければならぬと思うのですよ。そういうことをやることによって生産意欲を停滞させているのですよ。その点は一体どうお考えになるか。
 それからもう一つ、その当時、生産調整をやらなければならぬということで、こんなものを各府県でみんなつくったのですよ。「水田利用再編のための技術指針」、これは新潟県のものですが、これを見ますと、根雪が九十日以上あるところだとか、あるいはまた地下水が六十センチよりもさらに下がっていなければ実際転作は不可能であるということを言っているんです。そういう地帯はたくさんあるんですよ、成績の上がらないというところは。ところが、そこへどんどん割り当てをやっているわけでしょう。だから、さっきのように三分の一は青刈りということになってしまっているわけなんですよ。こういうのはやぼなやり方だと思うのですよ、めちゃくちゃな。暴政という以外にないと思うのですよ。それでもできるというふうにしてお考えになっているんですか。できるんだということになれば、要するにこの指針というのはうそ八百まとめて書いていた、こういうことになるわけで、権威のないものです。どうですか、それは。
○小島(和)政府委員 第一点の他用途米の問題につきましては、先ほど食糧庁長官がお答えいたしましたような備蓄のあり方の問題とも関係をいたしてくるわけでございますが、第三期におけるところの一つの検討課題として、ただいま省内で詰めておるわけであります。ただ、単に食糧庁が通常の米穀として買い入れましたものを最終的に他用途に振り向けるというだけでは、備蓄の場合と同様に相当な財政負担を余儀なくされるという問題があるわけで、考えようによりますと、人為的な過剰米をつくったというふうなことと同じようなことになるわけでございます。それからまた、食糧庁が買い入れをしないで一種の自主流通のような形でこれを流通させるということになりますと、当然のことながら横流れの問題をどうするかという問題がございまして、これまでもしばしば省内的に議論の俎上に上っておるわけでございますが、決定的な方策が見出せないままに今日に至っているわけでございます。現在におきましても、地域によりましてはそういう御希望が非常にあるということを私ども承知いたしておりますので、第三期における検討課題の中でも一つの重要な問題といたしまして、できるだけこれを詰めてまいりたいと考えております。
 それから、ペナルティーの問題とおっしゃいましたが、これは多分ただいまの水田利用再編対策におきまして未達成の場合の公平確保措置ということで定めていることであろうかと存じます。これにつきましては、五十三年の予算委員会におきましても再々政府からお答え申し上げておりますように、未達成分を翌年に実行してもらうという最低限の公平確保措置ということでございまして、いわゆる罰則というふうな趣旨のものではないことは御承知いただけると思います。
 また、その際におきまして、農林省で講じております各種の補助金あるいは制度融資につきまして、これを転作の達成市町村あるいはこの予算をつけることによって転作の達成が可能になるというところについてはできるだけ優先的に予算をつけていく、こういう方針を次官通達をもってお示しをしておるわけでございます。これは、御指摘のように、そうでないところについては予算を一切やらない、こういう意味では決してございませんで、予算の効率的な実施という意味におきます政策の優先順位という意味に私どもは理解をいたしておるわけでございます。また、そういうことを通じまして、ただいま御指摘がございましたような転作の定着度を高めていくということにつきましても、国の予算がより有効に使われていくということを期待いたしておるわけでございまして、御指摘ございましたような各種通達は、いずれもいま申し上げましたような線に沿って実施されておるわけでございます。
○松沢委員 これで終わりますが、最後に大臣に一言。
 米の需給問題をさっき言いましたが、要するに、米の需給がだんだん逼迫してきますと、外国から輸入するというところの動きが出る可能性というものがあるのじゃないかという心配がございますが、大臣、これは絶対にそういうことはしないという約束はできるでしょうね。
○金子国務大臣 私は、米を外国から輸入するような時代は恐らくないと思います。
○松沢委員 これで終わります。
○山崎委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十九分休憩
     ────◇─────
    午後零時三十九分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。竹内猛君。
○竹内(猛)委員 私は、過般の金子農林水産大臣の所信並びに先般減反の奨励金が議員立法として衆議院を通ったときに要望事項がありました。これに関連をして質問をします。
 これは、これからの農政の基調とも言うべきものになると思いますが、最初に、減反のときには四項目の要請があったはずですが、その中で本委員会に関係するものとしては、減反というものはどういう効果があったのかという問題がありました。それから、農政の長期展望というものを明らかにしろ、こういうこともありました。
 そこで、農業基本法には、社会党が欠席のままで通った法律でありますから、いまの農業基本法に対しては残念ながら対案を出して闘った経過がありますから、基本的にこれにはきわめて批判的であります。今日でもそうです。そういう経過もありますが、現実にはこの農業基本法のもとで二十四年間日本の農政が進められてきた。しかし、農業基本法が当時志向していた状況は、本委員会でもしばしば議論になっておりますが、現実とはかなり離れているのじゃないかと思う。大臣の所信の中にもいろいろありますけれども、基調をどこに置いてこれからの農政を進められようとするのか、まず第一点は農政の基調についてお伺いしたい。
○角道政府委員 まず第一点といたしまして、基本法が目指した目標は現実どうなっているかという点でございますが、この点、事務的にお答え申し上げます。
 農業基本法は、その大きな政策目標といたしまして、農業の生産性向上と他産業との生産性格差の是正、農業従事者の所得の増大による他産業従事者との生活の均衡という点を掲げていたわけでございます。
 その後の推移を見ますと、生産性の向上につきましては、昭和三十五年から五十五年の間に農業就業人口は……(竹内(猛)委員「いまは基調だから、大臣、大臣」と呼ぶ)
○金子国務大臣 今日まで約二十年、基本法を制定してからの流れをずっと考えますと、この基本法に基づいて執行されてきました農政は相当業績を上げておる。農業従事者は半分になっておりますけれども、生産は三割拡大されておる。したがって、生産性を言うならば、かつて基本法制定当時の三倍の生産拡大ができておる。これは労働者一人当たりの生産性ですね。そういうことで、他の産業と均衡のとれた農家の所得水準を見るように、いろいろな前提に立って基本法が制定されてまいっておるのでございます。
 しかし、どんなりっぱな法律も、大体十年たつと社会経済情勢は大きく変わっているわけでございます。特に農業のごときは、現在のように米ができ過ぎて半強制的に減反をやるとか、このように大きな変化が起こっております。かつての、二十年前の基本法も大いに日本の農業振興に役立ちましたけれども、ここらで見直す必要があるのではないかというのが私の持論でございます。
 それじゃこれからどのように見直すかと申しますと、これは皆さん方の意見を十分お聞きして、少なくともこれから十年、二十年はこれでいけるというような的確な見通しをつけて政策を樹立しなければならないと考えておりますので、ここで明らかにこのようにしてということは申し上げかねるわけでございます。
○竹内(猛)委員 金子大臣から農業基本法をこの辺で見直す時期に来たというお言葉が出ましたが、これは大変重要なことだと思うのです。確かに農地の問題にしても農家の状況にしてもあるいは農業人口、農業所得の問題にしても、農業基本法があのときに目標としたものがほとんど実現をしていない状況でありますから、当然のこととしてこの農業基本法は見直すべきであり、再検討すべきである、こういうふうに私は思いますし、こういう新しい政治経済の状況の中では、食糧問題を日本の安全保障として考える、そして農業を国の重要な産業として位置づけをし、国土の保全あるいは空気の浄化、こういう立場から農林水産業の位置づけを再検討する時期に来ておる、こういうぐあいに私も考えるわけですが、その辺についても、もう一度大臣の決意をお聞きしたい。
○金子国務大臣 いまの米の生産調整だけをとらえてみても、大変なさま変わりなのですよ。二十年前には想像もつかなかったような事態が発生しておるわけでございますから、この時点では、この経済社会それから農業の実態に対応した発想を持って抜本的に基本法の修正をやるべきではないか、竹内先生の御意見に私も全く同感でございます。
○竹内(猛)委員 そこで、臨時行政調査会が農業問題についていろいろ取りざたをしてきました。私の感ずるところ、臨時行政調査会の皆さんは、外国に安い食糧があるからそれを輸入すればいいではないか、国内において農業に出している補助金などというものは過保護だ、やめてしまえ、こういうような、言ってみれば強い傾向が見られる。また、これに同調する財界もあります。しかし、私は、食糧が日本の安全保障であるという立場に立ったときに、あるいはまた農林水産業が国土の保全という重要な役割りを果たしている、こういうような状況のときに、ただ価格の問題だけで、あるいは物だけが外国にあるからそれを入れてくればいいのだというこの考え方にはどうしても賛成できない。農林水産省はこの臨時行政調査会に対してかなり厳しい抵抗をしたと感じてはいるのですけれども、これに対してどのようにしてきたのか、また、これからどう対応しようとするのか、この点について。
○角道政府委員 先ほど松沢さんにも触れましたが、臨調はいろいろの部会から持ってきておりますけれども、その都度担当局長、長官が出かけていって部会に説明をするとよく理解していただいて、ずいぶん強いことを言ったのが修正されてまいりました。そういうことで、農業は過保護ではないかということはよく言われることであります。しかし、これは発展途上国ばかりではなくして、欧米の先進国でも、農業経営を安定させるためにいかに政府がてこ入れをしているかということは、洋の東西を問わずどこでもやっている、そうでなければ百姓はもたないという原則があるのでございますから、過保護にならない、過保護にならなくて理想的な農業経営をやらせようとしてその基盤をまず整備するとかいうような、いわゆる生産コストを下げて諸外国からの輸入農産物と競争ができるような、いろいろな面を考えまして、農政は国の存亡の基本をなす問題ですから、これからももっと積極的に国が力を入れて農業を守るべきである、このように考えております。
○竹内(猛)委員 本来ならば、こういう意見は農林水産委員会でやりとりするよりも、大蔵省なりもっと多くの大臣に言うべきものかもしれませんが、この問題については農林水産大臣の方から過保護論というものについて強く反省をさせてもらわなければ困ると思うのです。
 というのは、たとえば空気の浄化という問題、作物が酸素を出す、それによって空気が浄化され、人間の健康が保たれる。あるいは水田に水をためることによって被害が防止されるという問題がある。山に木を植えることによって治山治水の役割りをする。こういう役割りは金銭では計算できないと思うのですが、恐らく農林水産省はこの辺のことについての計算はされているはずです。日本の農業というものが物だけの面でなしに社会的に果たしている役割り、こういうものを金銭に計算したら一体どうなるのかという計算をしているはずだが、これはどうですか。
○角道政府委員 お答え申し上げます。
 いま言われました農林水産業の持っております公益的な効果、意味というものを金銭に評価するというのは非常にむずかしい問題でございますが、仮にいろいろな前提を置きまして、私ども農業あるいは森林につきましてどういう公益的な機能を持っておるかというのを試算したものがございます。農業につきましては約十二兆、森林につきましては二十四兆、合わせて三十八兆ぐらいのものが五十五年ぐらいの価額においてあるのではないかというように考えております。
 その主なものは、たとえば洪水調節等の水資源涵養であるとか、水田、森林によります土砂流出防止等の治山機能、土壌による浄化作用、保健休養、野性鳥獣保護あるいは酸素供給、一応大ざっぱにつかまえてみるとそういう種々の公益的機能があるのではないか。これは年間の効果であります。
○竹内(猛)委員 そういう点も、農産物の生産よりも社会的に果たしている金額の方がむしろ多い、こういうことになると思います。
 そこで、工業は廃液を流し、ばい煙を流し、公害を大いにもたらしているわけなんですね。そういう公害に対して農業はこれを防止するということでありますから、農工両全、一体となっていくためには、農業過保護論というものに対しては、余りそれを横行させることはよろしくない、こういうふうに申し上げておきたいと思う。
 そこで次の問題は、現在の日本の農業が二つの圧力の前にある。
 その一つは、外国からの農畜産物の輸入自由化の問題です。アメリカからの要請、ECからの要請もあります。これは大問題になっているところですが、過般、中曽根総理大臣もアメリカに行かれ、また、それぞれの関係者も交渉されたわけですけれども、金子大臣は自由化の問題についてかなり明確にこれを拒否するという強い意思表示をされましたけれども、これからの見通しは一体どうなっていますか。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。
 アメリカとの間では、一月の十八日に総理が訪米されました際、総理御自身からレーガン大統領に対して、牛肉、柑橘の自由化はとうていできないという事情をきっぱりと御説明になりました。その上で、この問題は頭を冷やして専門家レベルで協議をするがよかろう、そういうことをレーガン大統領におっしゃったというふうに承知をいたしております。私どものレベルでの日米間の協議は、昨年の十月ホノルルで行って、それ以来それっきりになっておるわけでございますが、ホノルルの協議の際、いずれ次の協議の時期及び場所は外交ルートを通じて合意することにしようということになっておりますので、そのうちに何らかの話が起こってくるものというふうに思っております。それから後、昨年の十二月に日米貿易小委員会がございまして、その席上、アメリカ側は、実質的進展の期待し得る状況であれば協議を再開したいというふうな言い方をいたしておりましたが、そこら辺についての考え方がまとまった段階で次の段取りということになるのではないかと思っております。
○竹内(猛)委員 私が心配するのは、当面は自由化に対しては抑えをするけれども、やがて枠の拡大というような表現によって牛肉、オレンジ、トマト等々が排除される、こういうことになって枠拡大そのものが自由化への道を開いてくるのではないか、そして、やがて米の自由化に手をつけやしないか、こういう心配があります。この点についてはどうです。
○佐野(宏)政府委員 先生の御懸念は大変ごもっともでございますが、少なくとも私どもが従来アメリカ側と折衝してきましたときの私どもの対処ぶりにつきましては、これは恐らく信用してやってもいいと思っていただけておるものというふうに思っております。私どもは、今回総理訪米の際も、今後とも引き続き私どものレベルで処理さしていただくということで総理からお話があったわけでございますから、私どもがやらせていただいておる限りは、先生ただいま御指摘のような御懸念には及ばないというふうに思っていただきたいと思っております。
○竹内(猛)委員 この点については、また私たちの仲間がなお詳しく引き続いて自由化の問題について触れていくと思いますから、先に進みます。
 もう一つの圧力というのは、減反の問題だと思うのです。
 先ほど松沢委員から食糧問題についてもいろいろなやりとりがあったと思いますが、私は、減反というのは何といっても生産農民の心を打ち砕いている、あるいは農業に対する農民の意欲を著しく失わせている、こういう大事なものだと思うのです。というのは、土地改良をやり、米の品種改良をやり、多収穫の方向に努力をしている。一昨日も筑波の研究所へ行きました。確かに研究所では稲の多目的利用、この方向に向かっての多収穫米、あるいは倒伏しない稲、こういうものを中心に研究に入ってはおりますけれども、しかし、現実、現在までの研究というのはすべて多収穫の米をつくり、そしてそれを生産する、そのための土地改良を進めてきた。現在、農家は土地改良の負担金をまだ支払っている最中。そういうところに減反がどんどんのしかかってくるし、減反のために米価は上がらない。こういう状態が積み重なっているから、農業から離れて他産業に移る若い農村の青年が多くなってきた。
 この減反の問題を、すでに二期目の減反が終わっていよいよ三期に入ろうとしているときに、この減反に対する総括というものは、この辺でどのような総括をされているのか、まずそれをかいつまんで説明をしていただきたい。
○小島(和)政府委員 水田利用再編対策は、五十八年度をもちまして六年になるわけでございます。計画期間だけで見れば五年になるわけでございますが、この期間を通じまして各地域それぞれ大変な御苦心をいただいて、一応目標の達成に努力していただいたわけでございますが、これによりまして、潜在的な生産力で計算をいたしますと単年度三百万トン前後の過剰が出てくるものを、一応需給均衡を果たし、また麦、大豆等、日本にとりまして非常に自給率の低い作物の生産を増加させ、またそれ以外にも、それぞれの地域の特性に応じました作物の導入によりまして、新しい地域農業の樹立というものを果たし得た地域も出ておるわけでございます。
 そうは申しながら、長年にわたりまして灌漑農業を基調として進めてまいりましたわが国農業の特質からいたしますと、これが短期間の間ににわかに他の作物を中心とする農業に変質をするということは、なかなか言うべくして容易でないことでございます。
 ただ、端緒的な動きとして申し上げますならば、この五カ年の間を通じまして、収益性比較だけで言えば、仮に奨励金を外して計算をいたしましても米に匹敵するような収入を上げておる、こういう農業も各地に芽生えてきておりますし、また、収益性という点から言えばまだ米には遜色がございますけれども、水田を地域の話し合いをベースといたしましてブロックに仕切りまして、転作と稲作とを交互に組み合わせて作物をつくっていく、こういうシステムができ上がってきているという地域もあるわけでございますので、その意味では、この五カ年の対策というものが、いろいろ問題はございますけれども、明るい徴候も見えてきている、かように評価をいたしておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 それでは、さらにお尋ねいたしますが、この五カ年間に減反のために使った直接の費用、それから、それと関連をして支出をした費用というものはどれぐらいになっているのか、それを知らせてもらいたい。
○小島(和)政府委員 五十三年度以来五十七年度までの水田利用再編奨励補助金の総額は一兆六千億余になっております。このほかに、転作に必要な諸条件の整備を進めるために、転作促進特別対策事業という、転作を直接の対象といたしました事業がございますし、それらの総額が九百十八億円ということになっておるわけでございます。またさらに、もっと広く圃場整備でございますとか新地域農業生産総合対策とか、転作それ自体を必ずしも目的といたしたわけではございませんが、転作関連経費ということで幅広くとらえますと、さらにこの金額がもっとふくらんでくるわけでございます。
○竹内(猛)委員 農業基本法に対する私どもの態度というのは当初説明したとおりですが、あの前文によりますと、これは自民党が強行した農業基本法ですが、それによると、農業者の自由な意志と創意工夫によって農業を大いに発展させる、こういうふうになっている。ところが、まさに米の減反というのはそれと逆なんです。土地改良を進め、品種改良をやり、お金をたくさん使い、その上に今度は生産を制限する、こういうわけです。だから、減反はもうぼつぼつこの辺で再検討すべきだと思うのですが、大臣、これはどうですか。減反に対する大臣の所見を承りたい。
○小島(和)政府委員 基本法と米の生産調整という問題について前座的に申し上げますと、農業基本法の中におきましても、生産の選択的拡大ということで需要に見合った生産を進めていくということが一つの大きな柱としてうたわれておるわけでございます。したがいまして、米の潜在生産力が需要をはるかにオーバーして高まりました現時点におきまして、その生産調整をし、さらに国内でもっと必要な作物の生産に水田を振り向けていく、その対策自体が基本法の路線を踏み外しているものとは私どもは考えていないわけでございます。
○竹内(猛)委員 大臣からも答弁を後でもらうわけだけれども、その前にもう一つ局長に質問をしますが、それならば、この五年間に一兆数千億という金を出して減反をして、どういう作目がどこで転作として定着したのか、それをまず教えてもらいたい。
 いま農家がいやいやながら転作あるいは休耕をしているのは、補助金、奨励金があるからなんだね。それからもう一つは、後で、もう一緒に言ってもいいけれども、ペナルティーをかけてはならないということを、あのときは予算委員会で社会党の川俣健二郎委員の発言に対してたしか約束しているはずだ。これは昭和五十三年だと思いましたね。ところが、現地では、土地改良の許可、認可、補助金、こういうものも減反をやらなければ一切認めないということなんです。まさにこれはペナルティーだ。しかも、減反というのは通達ですね、行政なんです。行政が法律を上回ることを現にやっている。いままでやってきた。その辺も含めて、減反というものが本当に日本の農業の前進のために役に立ったのか立たなかったのかということについて、やはり農林省の、行政の当局に責任があるのではないか、私はこう思っている。だから、その点も含めてまず局長から答えてもらって、大臣からそれに所見を述べてもらいたい。
○小島(和)政府委員 転作の定着化の問題でございますが、具体的に何村のこういう事例ということはちょっと控えさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、奨励金がなくても転作物がひとり歩きできる、こういう意味で申し上げるならば、果樹その他の永年性作物は転作を始めましてから累計いたしますと四万ヘクタール余になっておりますけれども、奨励金なしで他作物ができておるという意味では、完全定着というふうに一応見てよろしい例であろうかと思います。
 また、奨励金は続けて支給をいたしておりますが、収益性の計算だけからいいますと、米作を続けるよりは現につくっております野菜その他の作物で稲作の収益性は十分カバーできる、こういう生産形態が現にでき上がっている地域はいろいろあるわけでございます。
 また、土地の収益性という点からいきますと残念ながら米には匹敵しないわけでございますが、麦、大豆あるいはほかの地域の作物を組み合わせてその地域全体として土地を有効に利用するためのシステムが現にでき上がりつつあるという地域もあるわけでございまして、その意味では、転作の定着化が、地域によって濃淡はございますが、進んできておると見ておるわけでございます。
 それから、ペナルティーの問題でございますが、これは五十三年の通常国会の予算委員会におきまして、一部地域において、転作未達成の場合ペナルティーが科せられるというふうなことが広まりまして、そのことの真偽をただされたわけでございますが、当時の大臣その他から、この未達成の場合の公平確保措置、これは未達成分を翌年に上置きでやっていただくという仕組みでございますが、これはあくまで協力をしていただいた地域とそうでないところとの公平を確保するという意味で必要最小限の措置でございまして、決して罰則というふうな意味のものではないことをよく申し上げて、御理解いただいたはずというふうに承知をいたしております。
 また、いまお話ございました土地改良などとの関係でございますが、これは、土地改良自体、転作を進めやすくするための条件整備というふうな意味も持っておるわけでございますから、そういう地域におきましても応分の転作をしていただくということは、国の施策の全体的な方針として見て当然でございますし、また、土地改良以外の補助金あるいは融資制度におきましても、転作に協力していただいた地域なり農民、あるいはこの予算措置を講ずることによって転作の達成が可能になる、そういう地域につきまして優先的に振り向ける、こういう指導をいたしておるわけでございまして、決して未達成の場合に懲戒的な意味において何らかの手段を講ずる、こういうものではないことを御理解いただきたいと思います。
○竹内(猛)委員 中央の霞が関ではそういう御説明をされるけれども、現場の集落へ行くとそういうふうにはなっていない。まさに部落長、農協の組合長、班長、こういう者を寄せ集めて、割り当ての表を持ってきて、推進委員会というものをつくって、それに協力しなければ道路ができない、土地改良の補助金が来ない、何もできません、こう言う。公平を保つということはわからないことはないけれども、そうなれば一体、私のところでは霞ケ浦というようなああいう低湿地地帯、川を埋めて水田をつくった。それは土地改良でやった。新潟県もそういうところがありますね。信濃川とか阿賀野川の流域というのは、確かに低湿地帯で大豆も麦も何も植わらない。こういうようなところに何としても減反が押しつけられてくる。ここではいつまでも、今日まで一〇〇%達したところはないです。茨城県全体としては一一〇%のときもあるし、一〇五%のときもある、県全体は。ところが、九十二の町村の中で全部が一〇〇%達したとしているのは今日までありません。県が達しておるわけです。そういう操作をしておるのだけれども、それにもかかわらず、やはり末端には強い強制力が働いている。これはあえて強制力と言いますがね。見えざる手ですね。強制力だ。そういうものが働いておる。これを、いまのこういう説明と部落のやり方との間のこのギャップをどうしたら埋めることができるのか、この辺はどうです。
○小島(和)政府委員 転作目標面積の配分にわたりましては、私どもやっておりますのは都道府県別でございますが、それぞれの都道府県別の水田の状況、転作の難易度と申しますか、そういう要素も織り込みまして目標自体を決定、配分いたしておるわけでございます。現実にその都道府県の中におきまして、そういう要素も十分加味して市町村別にかなり傾斜をつけておるというところもございますけれども、市町村間のいろんな均衡感というものからなかなか思い切った傾斜がつけられないという府県もございますし、また、市町村の中におきましても、部落別あるいは農家別と申しますか、そういう段階においてやや悪平等といいますか、そういうことにならざるを得ないというような実態はあるようでございます。この五十八年度におきまして、御承知のように目標面積の軽減をいたしたわけでございますが、その軽減面積の市町村間の配分ということになりましても、ただいまお話がございましたように、なかなか転作ができなくて困っておるという地域だけにその軽減面積を配るということが市町村間の均衡というふうな意味からなかなかできにくいということで、都道府県としても非常に頭を痛めている問題でございます。
 そういうことから、実施段階におきまして、ただいま社会的な強制というふうなことをおっしゃいましたが、それぞれの市町村が苦労してやっていただいておるという事実があるものでございますから、そういう横並び論からぜひお願いをしたい、こういうふうな動きが地域において行われまして、それが極端に行き過ぎになりますと、お話ありましたように一つの社会問題になっているということがありますので、その辺は都道府県におきましても実態に応じて硬軟自在に使い分けていただきまして、それぞれの地域がうまく転作ができますように御指導をお願いいたしておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 ゆうべテレビを見ていると、米がなくなったというショッキングな放送が行われました。いまここに朝日新聞の夕刊がありますが、これを見ると「減反・不作でコメ不足の恐れ
 需給見通し見直しも」ということで、農林省が「農協に集荷を督促」ということの裏には、かなり秘密裏に事が動いているというふうに聞いている。この問題は重大な問題だと思うのですね。このことで消費者が米を若干買いだめをするようなことになったら、これは大問題が起こりかねない。一体、こういうときに土地改良をやり、品種改良をやり、米をつくるようにできている水田を、いま現在三年続きの冷害のために若干緩和をしているけれども、六十万ヘクタールというような形になっているが、これをさらに大幅に改めて、そしてやはり米をつくるところには米をつくらせる。どうしても転作が可能なところ――もうとにかく五年間やっているのですから、最初の年じゃないのだから、やはり地域農政ということを言っているのですから、地域農政という立場からするならば、画一的じゃなしにその地域に即応した農政をつくっていくためには、指導の方向を変えるべきではないか。この点については大臣の御判断を待ちたいと思いますが、その前に、食糧庁長官、何か言うことがありますか。
○渡邊(五)政府委員 集荷の促進のことにつきましていろいろ報道された点はございますが、この点は先ほどもお答えいたしましたように、昨年、本年と年越ししましても集荷の促進をいたしておりますのは、一つには改正食管法によります不正規の取り締まりという観点からでございます。また同時に、最近作況指数と限度数量との関係を見ましても、限度数量に達しない地域もございます。こうした点については、私どもとしてはなお集荷し得るものということで思量いたしておるわけでございます。そのこと自体が格別不安を醸成するとかいうつもりは毛頭ございません。国民食糧の安定供給という立場から集荷の促進を図っておりまして、集荷のテンポといたしましても、昨年よりは二十万トン以上、率にいたしまして三%くらい前年同期よりも進んでいるという状況でございます。
○竹内(猛)委員 先ほど来の私の質問の中から大臣いろいろお気づきの点があろうと思いますが、この減反の問題、これは現在のものをそのまま踏襲するのではなしに、五年間の集積の上にやはり減反に対しては一定の配慮をするべきものだ、こういうふうに思いますけれども、その点はいかがでしょう。
○金子国務大臣 減反の問題につきまして先ほども予算委員会でいろいろお話をしてきましたが、やはりこの第三次水田再編に当たっては、少し時間が足りないようですけれども、ひとつもっときめ細かく検討をして見直す必要がある、このように考えております。
○竹内(猛)委員 この大臣の御発言は大変大事なことだと思うが、きょうは時間がありませんから、そのことをこれからとやかく言うことはできませんが、私の仲間がこれからまだ質問をしますが、大臣としては今期の中で見直しをされる、こういうお考えですか。いつからやるか、こういうことですね。
○小島(和)政府委員 水田利用再編対策は、御承知のように期を分けまして実施をいたしておりまして、五十八年度、第二期目の最終年を迎えるわけでございます。したがいまして、第三期対策は五十九年度から発足する予定にいたしておりまして、それまでの間に需給のフレームの問題、転作奨励金のあり方の問題、さらには、先ほど来御意見が出ておりますような備蓄の問題でございますとか他用途米の問題をどうするのかといったさまざまな問題につきまして、ただいま省内で鋭意検討をいたしておるわけでございます。五十九年度予算編成期までには骨格を明らかにいたしまして、各方面の意見も十分ただしまして、その上で五十九年度に向けて発足いたしたいと思っておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 現に朝日新聞がこういうふうに出していて、すでに農林省は見直しをする、こういうふうに出ている。ゆうべも全国に向かって放送がされている。農協を訪ねてみると、農協の倉庫には米がない。もうあらゆる点から見て国内に食糧が不足をしているという事実というものは、これはゆるがせにできない。そういうときに、緊急にでもこの見直しをして、やはり水田に米をつくらせるということをしなければ間に合わないだろう。現在はまだ二月ですからね、田植えのかなり前だから。それはもう早場地帯などには早急に手を打たなければ間に合わない、こういうふうに思うのです。その点について、一刻もゆるがせにできない状況ではないか、こういうふうに思いますが、どうです、この点は。
○渡邊(五)政府委員 倉庫の状況についてお話がございましたが、私ども現在一月時点でとらえております倉庫の状況は、新米ベースでは前年とほぼ同量でございます。
 問題は、過剰米と言われました六百五十万トンの処理が非常に進んでおりまして、最近では一月時点で百九十万トン程度まで六百五十万トンございましたのが落ちております。したがいまして、各地の、特に産地の農業倉庫等におきましては、従来に比べまして米が少なくなっていることは当然でございますし、これから端境期を迎えれば、なお新米といえども流動的に扱われるものでございますから減るわけでございます。そうしたこと自体が需給の不安を生ずることはないと考えておりますし、また、五十八米穀年度につきましては、先ほど来お答えしておりますように、持ち越し米の四十万トン、生産量千二十七万トン、五十三年の低温等を加えまして約千七十五万トンの供給ができるわけでございまして、この五十八米穀年度につきましては、八月以降の新米等の出回りなりも考えれば、全く私どもは問題がない、心配がない。
 次の五十九米穀年度につきましては、先ほども申し上げましたが、御懸念をされる向きがあるという意味で在庫積み増しをするということで減反緩和しまして、六十万ヘクタールの目標面積に達したわけでございまして、五十九年度末というのは、来年の秋、十月末になりますが、五、六十万トンの在庫復元を図りたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
 先生御指摘の先々のことというのは、まさに第三期対策という問題といたしまして、先ほど農蚕園芸局長が答えたとおり、広範な分野にわたって検討をしなければならない、御指摘のような課題だろう、こう考えております。
○竹内(猛)委員 万が一にもアメリカから米を輸入するということは絶対ないですね。そのことだけは念を押しておきます。これはどうです、大臣。アメリカから米を一切輸入しないと。
○渡邊(五)政府委員 少なくとも五十八米穀年度において、そういうことは全くあり得ません。
○竹内(猛)委員 その五十八年でなくて、将来にわたってもこれはやられていかないと、五十九年からは危ないんだ。
○渡邊(五)政府委員 私どもは、先生御存じのように、国内で生産できるものは国内で生産するという基本的な態度でございますので、私ども米について輸入する考えはございません。
○竹内(猛)委員 今度は土地改良の問題について触れますが、土地改良の十カ年計画が、今度は新しく長期見通しが予算化されたという。その土地改良はやはりまた基盤整備をして、機械を入れて、それから米の生産をする。あるいはその他になるかもしれませんが、私のところで見る限りはやはり米に集中していますね。それで、非常にこれは費用がかかります。そうすると、専業農家ほどいまの土地改良のやり方に疑問を持ってきている。兼業農家は土地改良に対して直ちに調印し、判を押すが、専業農家の大きな面積を持っている者ほどこの土地改良の負担に耐えかねているというのが現状です。そういうことについて、何か気がついたことがありますか。
○森実政府委員 まず第一の土地改良長期計画の内容で、米に重点を置いているのではないかという御指摘でございますが、確かに圃場整備事業というものを長期的な視点に立って推進するという考え方で計上していることは事実でございます。しかし、そのことは用排水の分離、大型機械化の導入を可能にする条件をつくるということでございまして、むしろ水田利用の汎用化というものに直結しているというふうに御理解を賜っていいのではなかろうかと思うわけでございます。
 そこで、専業農家の負担金の問題で御指摘がございました。最近の状況を見ておりますと、土地改良事業に消極的なグループが一、二指摘されていることは事実でございます。しかし、その中心はやはり後継者のいない比較的規模の小さい農家、それからもう一つは、これは都市化の進んでいる地域における用水補給事業に対する第二種兼業農家の対応については比較的消極的な話を聞いております。
 問題は、やはり圃場整備事業を進める場合の負担をめぐって、非常に負担が高いのではないか、償還できないのではないかという懸念が一般にあるのではないかという御指摘が、一つの問題ではないかと思います。
 全体として申し上げますと、平場の整備率が進んで中山間部がふえておりますので、全体としては事業単価が一般の賃金、物価の動向と相乗効果をもって若干上がってきているということは私も否定できないところだろうと思います。問題は、どうやって地域の自然条件とか経済条件に応じた安上がりの圃場整備事業を考えていくかという問題がこれからの重要な課題だと私は思っております。現在部内で鋭意検討しておりますが、すでに昨年、生産者米価決定の後におきましても通達を出しまして、地域の自然条件とか経済条件に応じて、区画の大きさ等につきましては、必ずしもたとえば一律に三十アールの区画にこだわらないでも、地域の実情に応じて実施していいという通達を出したのはそういう趣旨でございますが、この点についてはこれからも詰めてまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 私のところに国営事業で霞ケ浦事業があるのです。これは、当初十年計画でやるという話になったものが、今度は十五年に延長され、さらに現段階では、どうやらなお延びなければこれは満たされないというような感じをしている。当初の計画というのは、確かにこれは畑地に灌漑をして、そして田畑両用の非常に夢多いものであったと思います。ところが、最近は水利源だけ確保するからという形で水利源に重点が置かれて、何をつくれば負担に耐えられるかという問題は明らかにされない。だから、末端の農家が集まれば、これは悩んでいますね。いままでの土地改良の負担の上にさらに用水費がかかる。非常に悩んでおります。
 これは一つの例ですけれども、やはり農業というものが米以外の作目に魅力がない、収益性が乏しい、所得が明らかにされない、ここに問題があるのではないかと思うのですね。
 そこで、最近中核農家ということを盛んに言われるようになったが、この中核農家の形成という問題といまの基盤整備という問題は結びつきがあるのかないのか、中核農家とこれからの営農との関係は、土地改良を含めてどういうことになっておりますか。
○森実政府委員 それぞれの施策をどういうふうに連携を持たせて長期的な展望に即した事業の展開を図るかということが、まさに御指摘のように私どもの課題だろうかと思っているわけでございます。そこで、私ども実は中核農家の育成と申しますか、端的に言うと規模拡大ということに焦点を合わせまして、今年度から地域農業集団の育成ということを本格的に進めようという準備をしているところでございます。この考え方は、地権者の話し合いを通じて地域社会で規模拡大を進める、このための利用権の設定なりあるいは作業受委託による協業組織の育成という問題、生産組織の育成という問題を図ろうとする考え方でございます。この場合、現実の経験から見ましても、また理論的に見ましても、そういった規模拡大というものが面的集積につながる、それから大型機械化の導入につながるということでなければ、やはり借り手なり受託者の方に本格的なメリットは生じてこないわけでございます。
 そのような意味合いにおきまして、私どもは、いま申し上げました集団生産組織の育成という考え方につきましても、やはり土地改良事業がある程度進展した地域から重点を置いてやっていくということが現実的であり、また、広がりを持つゆえんであろうと思っているわけでございます。そういう意味で、それぞれの施策を一つの目的に向かって合理的な展開を図っていくことは、今後とも御指摘のように留意していかなければなりませんが、そのこと自体が私は矛盾する契機ではなくて、むしろ促進する契機として働く面の方が大きいのではないだろうかと思っているわけでございます。
○竹内(猛)委員 規模拡大と言うけれども、規模というのは一体どれくらいの規模でやれるのか、そして利用権設定の場合の所有権と耕作権、この問題については農用地利用の促進の法律もありますが、この辺はどういうふうにされるのかという問題と、地域農政ということはだれがどこで何をどういうようにするのかという問題がある。言葉の方が先にあって実態がないような感じもしてしようがないから、その実態についてひとつ明らかにしてもらいたい。
○森実政府委員 まず、規模拡大の一つの目標でございます。これは、農政の長期展望でも示されておりますように、たとえば内地の水田経営であるならば六ヘクタールないし八ヘクタールぐらいの規模というものが一つの目安になるだろうと思います。また、作目によってはそれぞれ違うわけでございますが、問題は、段階的にこういった規模拡大をどう進めるかというふうに考えるのがやはり私は現実的だろうと思っております。それは、利用権の設定なり作業の受委託等を考える場合においても、後継ぎがいないとかあるいは兼業機会が安定してきて逐次農業から離脱していくというサプライの事情もやはり段階的でございますし、規模拡大を図っていく農家の意欲というものも負担との関係においては段階的にならざるを得ない面がありますので、段階的に進めていくということだろうと思っております。
 そこで、地域農業集団というものをどう考えるかという問題でございますが、その前に、先ほど申し上げましたように、地域農業集団がねらっておりますのは利用権の設定と作業受委託でございます。所有権の移転による規模拡大は、今日の資産的保有傾向の高まりなり地価の水準から考えますと、北海道以外の地域では一般的に大幅に期待することはできないし、事実実績も下がっている。これに対して、利用権の設定なり作業受委託は、先ほど申し上げましたようにサプライの事情としてはやはり後継ぎのない老齢農家の離脱とかあるいは安定兼業農家の段階的離脱という事情がありますし、それからまた作物によってははっきり規模による格差というもの、つまり収益力の格差というものが出ておりまして、規模拡大への意欲が相当高まってきているという事情もあります。さらに、農用地利用増進法の制定や賃貸奨励措置を講ずることによって、現に利用権の設定面積が十万ヘクタールまで実績が上がっているという機運の醸成もございます。私どもの考えております地域農業集団の育成というのは、現段階において段階的に規模拡大を図るとしても、それは地権者相互の話し合いを地域社会で促進して、これによって中核となる農家を自主的に地域によって選定させながら、その中で利用権の設定なりあるいは作業受委託を考えていくという考え方でございます。
 ただ、地域と申しましても、その広がりが地形とかその農業地域の経済条件によってかなり変わってくるし、また、作目によっては地域を超えた問題もかなり考えなければならないということは事実だろうと私は思います。そういう意味で、いわば今日の状況における現実的な規模拡大の確実な施策としてわれわれとしてはその展開を図っていきたいという意味であるというふうに御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○竹内(猛)委員 もう時間が来ましたから、最後に整理をしたいと思いますが、先ほど大臣は、農業基本法の再検討の時期に来ている、それからまた減反問題についても見直しをしなければならないと言われた。こうなってくると、これから新しい農政の基調というものが当然生まれていいかと思うのです。日本的食生活の定着というような八〇年の展望というものが出ておりますけれども、そういうものも含めて、全体として考えなければならないという時期だろうと思うのです。これに対してどういう手順で進められるのか、まずお伺いいたします。
 それと同時に、もう一つの問題は、この中央の考え方、行政の考え方が末端では必ずしも親切に理解をされていない。先般も畜産の問題で、豚コレラの問題が生じました。去年の四月の段階でこの委員会で私はずいぶん質問した。六千頭の豚が薬殺をされている。こういう事態の中に獣医が告発をされて、三年の執行猶予がついておりますが、二年六カ月の懲役の判決があり、かなりの罰金を取られた。その獣医に対して、県の家畜指導協会、こういうものがその被害を与えた獣医から金を五百七十万円も取って、示談をしたという形で金を取っている。本来ならば当然被害を受けた地域の生産農民に渡すべき金を、その協会が召し上げている。これは、その協会は法律には関係のない勝手につくった協会だ。そういうような状況というものを見るにつけて、中央で、霞が関で皆さんが非常に苦労してりっぱな農政をつくっても、末端では全く逆なことが行われている。この行政の下部に対する親切な指導というものがなければこれはだめだ、こういうふうに思います。
 この二点、つまり、中央における方針の大転換ということと末端における親切な農林行政をいかに確立するか、この二点についてひとつお答えをいただいて、終わります。
○角道政府委員 農政の転換の問題でございますが、最近の情勢を踏まえまして、私ども昭和五十五年に農政審議会を開きまして、農政審議会から今後の八〇年代の農政の方向につきまして答申をいただいております。また、その具体化のために、昨年の八月でございますが、農政審議会からその具体化につきまして推進についての報告をいただいたわけでございます。これに基づきまして、現在、日本型食生活のあり方、これをどのように末端に、また一般消費者に理解をしていただくかというような手順も進めておりますし、また、先ほど来いろいろ御議論のございました水田利用再編対策あるいは広く食糧需給均衡化問題ということで部内に検討会を設けまして、この秋までには、来年産米の作付前には明確な方針を出す必要がございますので、現在、部内において鋭意検討を進めておる次第でございます。
 また、地方への伝達につきましては、農政局を通じまして、また食糧事務所あるいは統計情報事務所等、末端に出先機関もございますので、こういうものを通じまして農政の展開をよく関係の方に御理解いただくとともに、直接市町村長に向かいまして、現在の農政のあり方あるいは農政の方向というものを毎月配付をいたしております。そういうことで、現実の農政のあり方というものができるだけ地方の方々、農家の方々に直接行くように努力しているところでございます。
○竹内(猛)委員 終わります。
○山崎委員長 新盛辰雄君。
○新盛委員 主として水産振興の諸問題について、大臣の所信表明を受けての総括的な質問をしてみたいと思います。
 御承知のように、漁業経営というのは、もうすでに六年目に入りました二百海里の厳しい規制が諸外国で行われておるわけでありますが、同時に、最近の燃油の価格が高水準のまま推移しております現状から見て、きわめて厳しい状況にあります。さらに、諸外国における規制の厳しさの中で、入漁料の問題は相も変わらず高騰こそすれ、現実的な具体的な解決もない。さらには水産物の低迷は相変わらず続いているという状況で、この危機的状況をいかに打開をするか、この基本的な問題について、局面打開についての大臣の決意をひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
○金子国務大臣 二百海里の問題を申し上げます。
 御承知のとおり、日本の場合は二百海里をしくことが国益になるかどうかという観点から考えますと、漁業はもちろんのこと、国際交流上も、二百海里をしきまして厳しい規制をやることは余り得策じゃないというような考え方で、私は、日本が二百海里をしくことはやはりしばらく検討を続けていくべきだ、拙速はよくない、このように考えております。周辺が全部相手国に囲まれておりますので、日本の場合はどちらかと申しますと相手国に出かけていって操業をやっておりますので、自分の国が厳しい規制をやって相手の国の二百海里の中で操業させてもらうとかというようなことは少し筋が通らぬような感じもします。
 それでは自分の沿岸二百海里内はほとんど開放的でいいのかという議論もありますけれども、ただ、日本の沿岸を侵すのは主として韓国でございます。ソ連の場合は、これは協定がありまして、向こうへ行くのもこっちへ来るのも、ソ日も日ソも厳しい規制で守られております。その他の地区はほとんど日本から出かけていって相手に厄介になっておるというようなのが日本の漁業の実情でございますので、これを踏まえて、わが国が二百海里をしくということはよほど慎重でなければならない、このように考えております。
 それから魚価の問題でございますが、これは、大漁貧乏を防止するためにいろいろ安定基金を六、七年前から創設したりしておりますけれども、季節的に少し漁があると非常に暴落を見る、いわゆる大漁貧乏が起こる。まして、昭和四十八年以来二次にわたる燃油の高騰によって、特に漁船漁業は大変不安定な漁業を続けてまいっておるのでございます。最近、多少原油が値下がり傾向でありますけれども、とてもあの程度の値下がりでいまの漁業経営に大きなプラスになるような期待は持たれません。
 したがって、やはり流通を改革することが一番先決じゃなかろうか。もちろん加工も含めて、水産物の流通は、産地で百円のものが東京では六百円で売られておるのが現状でございます。これはアジ一匹の話です。私はしょっちゅうアジばかり買って食べておりますが、自分のものは博多で百円で売って、私は産地の六倍になった六百円のものを買って食べるのが現実です。
 私は、私がもし間違ってでも農林水産大臣になれば、何もやらぬでも流通革命だけはやるということを四、五年前によく皆さんに話しておったことがございます。これは農産物も含めてでございます。生産者と消費地の価格が非常に格差があるわけですから、これを何とかして改革をする。いまの低迷魚価、あの豊作貧乏と言われている年末からの白菜とかキャベツとか、こんなものも含めて、無論そういう場合には価格の調整あるいは基金、いろいろやっていますけれども、もっと根本的な流通改革をやるべきである。
 それでは具体的にどういうことをやるかということは、私どもはかねがね構想は抱いておりますけれども、それを実行することは、その中間で働いておる人方をどこに収容していくか、職を失わせるようなことはやれないというような配慮等も含めまして、大変むずかしい問題ですけれども、農林水産省は流通革命、流通改革に取り組んでみたい、このように考えております。
○新盛委員 さすがに水産業界に長い間タッチされておりますだけに、具体的な問題も出ましたが、今回の五十八年度の予算案を見て、水産庁、何が目玉で、未来の水産業はこうあるべきだ、その絵を描いておられるのか、そのことを説明してみてください。
○松浦政府委員 五十八年度予算、ただいま御審議をお願いしているわけでございますが、ただいま委員御指摘のように、わが国水産業をめぐる情勢は、諸外国の二百海里の規制の強化あるいは燃油価格の高水準での推移あるいは水産需要の低迷といったような、非常に厳しい状況にございます。
 このような状況に対処いたしまして、財政事情非常に厳しい折ではございますが、スクラップ・アンド・ビルドというような観点から、五十八年度水産予算についても、特に重点的な項目を中心にいたしまして予算の編成を行った次第でございます。
 その第一は、何と申しましても水産業の経営対策の充実でございます。このためには、五十七年度予算から実施しておりますところの漁業生産構造の再編整備を進めるための漁業経営負債整理資金の融資枠の拡大ということで、この資金を六百五十億の枠にするということでお願いをいたしているわけでございます。また同時に、経営の安定を図りますためには、ただいま大臣もおっしゃられました省エネ、省コストということが非常に重要であると思います。かような観点から、漁業技術の再開発ということで三億一千万の予算を組んでいるわけでございます。
 第二は、わが国周辺水域の漁業の振興でございまして、特に最近注目を浴びてまいりました栽培漁業の推進体制の整備あるいは遊漁と漁業者との調整対策の強化といったところに力点を置いておりますし、また、沿岸漁場の整備開発ということも非常に重要であると考えまして、沿整事業には二百十二億の予算を計上し、お願いをいたしているところでございます。伸び率としては公共の最高の伸び率でお願いをしたわけでございます。
 第三は、ただいま大臣もおっしゃられました水産物の流通加工、消費、価格対策でございます。この点につきましては、水産加工施設資金の融通期限の延長、これは法案をもってお願いをいたすつもりでございます。また、新製品開発等を促進するための水産加工経営改善強化資金、これを新設したい。あるいは、価格安定対策の充実と消費、流通の改善を図るための諸般の予算を盛り込んでおります。
 第四は、海洋水産資源の開発と海外漁場の確保でございまして、海洋水産資源開発センターへの助成あるいは水産無償援助の増枠等を行っております。
 第五は、漁業生産基盤の整備でございまして、漁港の計画的整備ということで、先般当委員会でもその計画を御審議いただきました漁港の計画に基づきまして、漁港予算一千六百五十五億を計上いたしている次第でございます。
 このほか、漁船積み荷保険の本格実施のための制度化のための予算ということもお願いをいたしております。
 以上の予算を効率的に活用することによりまして、困難に直面いたしております水産業の再活性化というものを図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○新盛委員 農林水産省の五十八年度の予算総額は三兆六千六十七億、実際は非公その他公共の関係もありましょうから三兆二千三百九十億、こういうふうに理解をしているのですが、その中でわずか十分の一の水産関係の予算です。約三千六百億。これであれもしたい、これもしたいと、なかなかいいことをおっしゃるのですが、実際にこの水産振興ということについて、これほど激しく諸外国、沿岸国の二百海里規制を受け、そして先ほど大臣がおっしゃるように、こちらから出かけていく外延的な漁業を、構造再編成というふうな表現で昨年漁特を決めたわけですね。ところが、漁業経営というのは少ない予算の中でどうしたら活路を見出すかということで四苦八苦されているのはよくわかります。
 たとえば、漁業経営の中で一番大きな問題になっております負債整理の今日までの処置は一体どうだったか。昨年三百五十億融資枠を決めたんです。しかし、私は現実どの地域を回ってみましても、それが効果的に出てきているとは思われないのです。十数項目にわたる要綱や通達が入り組んでおりますから、負債整理をせっかく三百五十億もつくったものをいまだに配分してないでしょう。さらに今度六百五十億ですね。これは約三百億ふえたのです。だから、こういうことについて期待外れじゃないかという声もあるのですよ。延滞債務がどんどんふえていく。だから、こうした処置について念を入れてやっておるのかどうか、こうなってくるわけです。
 それは自主自助により、業界は泣く泣く二割減船をやりました。これはカツオ・マグロの関係でありますが、二〇%減船となりますと、当然共補償とか、いろいろ出てきますよ。借金はどんどん重なるばかりです。一体これをだれが整理してくれるんだ。現実にいま全国で経営者が持っている負債整理の対象となる総額は幾らだと思っておられますか。それもひとつ明らかにしてほしい。そして、今度六百五十億ということになっておりますが、前年度分を入れますと約一千億ですよ。この融資枠の消化状況をこの五十八年度中に明確にできるのかどうか、きちっと整理することができるのか、これから活路を見出すことができるのか、このところをぜひひとつ具体的に聞かしていただきたい。
○松浦政府委員 先ほど先生御指摘のように水産庁予算が農林水産省予算の中の十分の一であるということで、予算的に非常に不足ではないかということにつきましては、実は金子大臣からも毎回おっしゃられておるところでございまして、私どもはゼロシーリングあるいはマイナスシーリングという枠の中で最も効率的に予算を活用するにはどうしたらよいかということで実は五十八年度予算の編成に臨んだわけでございます。
 特にその中でも重要視いたしておりますところの経営構造の再編のための予算、これは、御案内のように負債整理資金三百五十億あるいは公庫による共補償資金百二十億というものを中心にしてこれを組んでおるわけでございますけれども、実際にこれを活用いたすということになりますと、御案内のように、何と申しましてもこの生産構造の再編成は、まず自主的な計画を立てていただくということが前提でございます。ところが、一体どの方が減船をし、どの方が残っていかれるかということになりますと、業界の中での意見の一致というものがなかなかむずかしいという状況がございます。したがいまして、現在のところ、特にこれに乗り出しておる業界としては、カツオ・マグロ業界がこれに乗っかっているという状況でございまして、なかなか他の業界ではこの負債整理資金に乗って再編成を進めるというところまでいっていないというのが実情でございます。
 しかしながら、水産庁といたしましては、業界と緊密な連絡をとりながら、この負債整理資金が必要とされる生産構造の再編成事業を進めてほしいということを申しておるわけでございまして、特にこの負債整理資金につきましては、その実施方法が非常に多岐にわたる、また複雑にわたっておる点から、要綱を決める段階で約半年を経過したということもございまして、おくれておって大変申しわけないわけでございますが、幸い要綱等も全部整備いたしましたので、これから五十七年度の分につきましてもできる限り消化していく。そしてまた、五十八年度の六百五十億はすでに軌道に乗った状態で、新しく要綱をつくるということはないわけでございますから、そのような作業が要らずにこの仕事を進めていけると思いますので、これから大いに努力をいたしまして円滑な事業の実施を進めてまいりたいというふうに考えております。
○新盛委員 省エネ対策というのは今度の水産庁予算の目玉だと私は思うのですが、新技術システム開発事業二億八千七百万、あるいは型式認定事業二千五百万で三億一千百万、これは新しいシステムをつくり上げていこうという努力は認めます。ただ、これが具体的に実行に移されるという段階でないとその結果はわからないですね。現に十カ統のいわゆるカツオ・マグロなどの減船によって海まきへ転換した。すでに三十数隻の海まきがいるわけですね。そうすると、一網打尽の、これは資源も何もかも枯渇するんじゃないかという心配を昨年私は申し上げたのですが、現実にカツオなどの一本釣りというのは、テレビで放映されておりましたいわゆる「黒潮の狩人」などというあの編集の中でお気づきのように、これからこういう一本釣りなどの伝統的な漁法も、入漁料はどんどん高くなる、燃油は一応下降状態ではありますけれども、沿岸国で入れる場合の政治的情勢によって価格の面でもいろいろ変遷があるわけです。だから、そういうものを経営コストの中へ割り込んでいけばどうしても浜値は上がらなければいけないのに、これが低迷をしておる。だから、経営はピンチに立っておる。漁獲量総体の利益より逆に負債の方が上回っているというここ二、三年の現状です。だから、それだけにもっと念を入れて省エネ対策をやってほしい、そういうことを前から要望しておるのですが、ことし省エネ対策に力を入れるということでありますから、それもいいでしょう。
 ただ、生産構造の再編整備、いまやそういう危機的な状況だから減船もしなければならないし、負債整理もしなければいけない。そこから漁業経営の安定策を見出そうというこの努力も認めますが、ではこれから漁業というものは一体どういうふうに変わるのか。従来、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋へと外延的な発展をしてまいりましたが、これが逆になりましたね。だから、この際、つくる漁業だ、わが国周辺水域の積極的な利用で漁業の振興を図りたいということで、後日本委員会に提案されます沿岸整備法の改正等でいわゆる栽培漁業の新しい方途を見出そうとするわけでしょう。スポーツフィッシングの遊漁者とこの漁業の調整というのもなかなか大変だと思うのです。そういう中で海の畑をつくる、あるいはまた海の種づくりだ、一生懸命これからお取り組みになるというのですが、それをこれまで放置していた。もちろんこれは水産庁が先を見通し得なかったこと等もあったのでしょうが、これからこうした対策をきめ細かく、沿岸の漁民の生活を保障するために一体どうするのか。
 現実にこの生産構造再編成によって――四十年段階では約六十数万の漁業労働者がいたのですよ。それから十五年たったいま、幾らだと思いますか。もうすでに十五万人は減っておりますね。さらにこれから減り続けるでしょう。もっとも近代化されているし、経営のシステムも変わってきておりますから、それだけ漁業労働者を救済するという道もだんだん厳しくはなるでしょうが、このように現実の経営形態も変わってきているけれども、借金がふえていく、この現実はどうしても解決しなければいけないと思うのです。
 第二は、流通革命だ、これをやらなければどうしようもない、これは同感です。しかし、その流通革命をやるためにはいかにすればいいか。結局、魚は無尽蔵にとれるわけではないですから、これから画期的な方向へ向かおうとするならば、やはりつくって育てて、そしてとろうという、それなりの方針がなければいけないと私は思うのです。そのことを含めて、新資源、新漁場の開発あるいは漁業外交という面が大きなウエートを持ってくると思うのです。さらには、漁業の海外との協力、相互扶助というのですか、そういう役割りを推進していかなければいけないだろうと思います。また、いまのこの生産基盤の整備を、あるいは流通の舞台を速やかにつくっていくために、やはり合理化も必要でしょう。しかし、実際には漁港というものも、これはいま第七次の漁港整備長期計画が明らかにされておりますけれども、こうしたものを総合的な解決としてやれば、結果的には漁業基本法なるものをつくっていくべき時期に来たのではないかと私は思うのです。これは、前から社会党は提案しているのですから。だけれども、現実の問題としてそういう総合的な対策はないですね。ただ、つけ焼き刃的にそのときその場所に応じてやる。いま大目流しが非常に進行していれば、これは大臣の許可制にするかどうか現在調整中ですが、いろいろな問題がありますが、そういうふうないわゆる行き当たりばったりの政策ではどうにもならぬのではないか。
 大臣も長年やってきておられるのですから、これから本当にどうしたら魚離れを防ぐことができるか、この動物性たん白質源を確保して、消費構造の形をどうやって供給と需要をしていくか、こういうことについてもやはり一定の方向を持っていなければいけないと思うのですよ。その点どうですか、大臣。
○松浦政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま先生、水産業につきましての大きな問題に次々とお触れになったわけでございますが、まことにおっしゃられるとおりの問題がございます。先ほど私申しましたように、大きく申しまして現在の水産を取り巻いております問題は三つあろうかと思います。その第一は、二百海里の規制の強化。その第二は、燃油コストが非常に上がっておりまして、このために経営が非常に苦しくなっている。それから第三は、国民の魚に対する需要が停滞ぎみである。この三点になるというふうに考えております。私どもとしましては、このような問題に一つ一つ対処していく、それを総合して水産の政策を考えていくということが最も重要な解決方策ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、まず第一の問題に対応いたしますためには、何と申しましても漁業外交を強力に展開いたしまして、また、この外交に携わる組織というものもできるだけ強化いたしまして、粘り強く海外の漁場を確保していく。そしてまた、特に発展途上国等に対しましては、経済協力、技術協力といったような面も加味いたしまして漁場を確保していく。さらには、相当耕し尽くされましたけれども、まだ公海等に残っている海外の漁場も確保していくといったようなことが必要であろうというふうに考えるわけでございます。
 また、第二の点でございますところの経営の問題でございますが、この点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、何と申しましてもやはり適正な規模の漁業をつくり上げていく、資源に見合いあるいは需要に見合った形での漁業の生産基盤というものをつくっていくことが必要でございまして、かような面から生産構造の再編対策を、負債整理資金あるいは共補償資金等も活用いたしまして、業界の自主的な努力によってこれをつくっていく、これに対して政府は助成していくという考え方を持っておるわけでございます。
 また、個々の企業体の経営を改善するのは、何と申しましても省エネ、省コストというふうに考えております。ただいま先生も言及なさいましたが、ことしは口先だけではなくて、現実に省エネルギーを中心といたしました技術の再開発ということを予算の裏づけをもってやってまいりまして、現在の段階でも、業界によりましては新しい船で三〇%ぐらいのコストの低減ということができ上がっている分野もございますが、さらにこれを、たとえば五〇%を目標にして省エネを図っていく。現在の燃油価格がやや安定化した状況とあわせまして、これが経営の抜本的な改善を図っていく基礎であるというふうに考えるわけでございます。これによりまして負債も返していくことができるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから、第三点の需要の増進でございますが、これにつきましては、何と申しましても基本は、魚価を上げることによって消費が減退するというようなことがないようにしたいという気持ちがいたします。さような点から、経営のコストを下げていくということもこの大きな一環になっていくと思うわけでございますが、それに加えまして、加工、流通の対策というものが非常に重要になってまいると思います。さような意味で、今回の加工資金といったようなことも、多獲性大衆魚をより高度に利用するような形での予算の編成というものを考えている次第であり、また、特にお魚のたん白というものは非常に良質なたん白でありまして、国民の皆さん方の健康のためにもいいということは私ども確信いたしておりますので、さような分野におきましても、これから大いに消費の宣伝に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 さらに、先生お触れになりましたように、二百海里がこのように非常に厳しい状況になってまいりますと、何と申しましても日本の二百海里を耕すということが必要でございます。このための栽培漁業につきましても、全国のネットワークも完成してまいりましたし、その技術も次第に整ってまいりました。これを契機にいたしまして、魚礁の設置、海洋牧場といったような構想もあわせまして、日本の二百海里の中でつくり育てる漁業というものもつくってまいりたい、このための法案等も準備をいたしているという段階でございます。
○新盛委員 具体的な問題に少し触れていきます。
 漁業外交という点ですが、いままさに二百海里の新時代というよりは、もはや定着している。沿岸国九十数カ国がすでに決定をしているわけですから、それに伴う交渉は、国内の状況ももちろんでありますが、もっと各国との友好関係が保たれなければならないということになります。
 きのうお帰りになったはずですが、ソ連のカメンツェフ漁業大臣と金子大臣がお会いになって、これまで精力的なお話し合いをしておられたようであります。日ソ友好の関係からいっても非常にいいことであったと評価はしますが、私ども新聞で知る限りでございますけれども、実はその内容について、一、二気になることがあります。
 ソ連側が提案をしております漁業に関する合弁会社の設立問題、これは日本側としては慎重に対処したい。それは、各業界等のいろいろな状況もあるのでしょうが、この日ソ間における水産物の販売だとか、漁船の資材あるいは漁具、船の修理、こうした業務形態を持つもの、そういう合弁会社ということになるのですが、これは外資法の改正もやらなければならないだろうし、あるいはソ連側の方だって外資制度というのがありますから、こうした問題については条件整備が必要にはなってくると思うのですが、日ソ、ソ日、いずれにしても各漁業協定がございますね。そうすると、長期にわたる漁業協力協定ということで意見の一致は見ておられるようでありますけれども、サケ・マスの漁獲期になりますと、必ず両者にらみ合いということがこれまでよくありました。これから先、そうした海外での日ソの漁業協力、サケ・マスをとるかわりに、日本の方も四十億ぐらいの金を、遡河性的サケ・マスのことでありますから、沿岸の整備ということでいま協力をしておりますね。だから、そう言ってみれば入漁料にかわるものだと、こういうふうにわれわれは見るわけであります。
 そうした反面、今度は、二十四日に来日されるIWCのコミッショナーだと言われるバーンさんですね、このアメリカの商務省海洋大気庁の長官一行がいらっしゃいますが、これもまた、うらはらに考えていかなければならないと思うのです。このことについては、また後ほど捕鯨の問題で触れますけれども、この日ソ交渉じゃありませんが、ソ連の漁業大臣が来られてお話をされた中で、特筆して、これはいい話し合いだったというものがあったのかどうか、合弁会社の問題についてはなぜ慎重なのか、それを少しお聞かせをいただきたい。これは大臣。
○金子国務大臣 十六日に訪日されまして、昨日帰ったのでございますが、その間、私もたびたび接触をいたしまして、公式の会見は二日だけでしたけれども、大変友好的でした。
 私の基本的な考え方も、いま日ソ間は大変ぎくしゃくしておりますので、ただ漁業問題だけが日ソの交流があっているので、ほかはほとんど交流がないような状態であります。昨日、永野さんの大型のミッションが出かけていきましたけれども、そういう相手のソ連はやはり日本と同じ世界の二大漁業国でございまして、相当広範な海域を持ち、豊かな資源を持った相手国でありますので、やはり漁業だけから考えた場合でも、この日ソ間は大変友好を深くして、よりよき両国の漁業の発展を期すべきだというのが基本的な考え方であります。
 それとともに、やはりいろいろソ連に対して日本が未解決の問題があるということで、絶えず国会内でも毎日のように意見が闘わされておるわけでございますので、せめて漁業問題だけでも、閣僚の一人が出かけてきておるのでございますから、ひとつ最大のサービスをして、心から温かい友情を覚えていただくことが何よりも日ソ友好の基本的な、私ども国民の当然心しなければならない義務だと考えまして、最大限の応対をいたしました。
 カメンツェフも、きのうの朝別れるときに、大変喜んでお帰りになりました。私は、こういうことをやることが、日ソ間の長い間の戦後の未解決の処理等あって交流を閉ざしておるような――一衣帯水の国でございますから、そういうことを念頭に置きながら交渉をいたしました。
 具体的な内容、その結果等については長官に説明させますけれども、大変有意義だったということを御報告申し上げておきます。
○松浦政府委員 ただいま大臣から御答弁のございましたとおり、二月十七日から一週間行われました金子大臣とカメンツェフ大臣とのお話し合いは、大変有意義なものであったと思います。
 特にその中でも、漁業の協力関係の発展というものをお互いに確認し合ったということは、私ども今後の日ソの関係というものを考えますと、特に漁業の関係の面で大きな意義を持っていたというふうに判断をいたす次第でございます。
 とりわけ、個別の問題につきましては、このような短期間のお話し合いでございましたから、今後さらに事務当局で詰めなければならない問題もございますが、大別いたしますと、金子大臣から御提案をいただきましたのは、日ソ、ソ日の漁業協力の長期化、それから日ソ漁業協力協定の長期安定化、さらに日ソ漁業損害賠償請求処理の促進、日ソ漁業技術協力の推進。さらに、カメンツェフ大臣の方から提案がございましたのは、日本水域におけるソ連漁船の操業条件の改善、漁業に関する日ソ合弁会社の設立、ソ連漁船の修理のための寄港等でございました。
 このようなお話し合いの中で、具体的には、たとえば日ソの損害賠償請求の処理の問題あるいは日ソ漁業技術の協力をさらに推進しようといったようなことにつきましては、かなり話の進展が見られたというふうに考えられますし、また、安定的操業を期待いたしまして諸般の協定につきましての長期化の問題も大臣から持ち出していただいたわけでございますが、これは最終的にぴしゃりとした合意にはなりませんけれども、そのような方向というものは十分に両大臣の中でお話をしていただきまして、今後さらに事務当局間で詰めるということに相なっておる次第でございます。しかしながら、一方におきまして、日本水域におけるソ連漁船の操業条件の改善、これは先般の日ソ、ソ日の交渉においても非常に問題になった点でございますが、かかる点につきましては、大臣から明確に、このような条件の改善というものはむずかしいのだということも十分に御説明をいただいたつもりでございます。
 なお、お尋ねの日ソの漁業の合弁企業の設立の点でございますが、この点につきまして先方の大臣が触れてまいりましたことは事実でございますが、水産庁といたしましては、何分にも本件につきましては、外国為替及び外国貿易管理法に基づきまして、わが国からの投資が自由に行い得ない国からの資本投資を認めないという方針が基本的にございます。ソ連邦の国内法令から見ましてかかるわが国の投資が認められないという以上は、このような合弁企業に関しまして先方の投資を認めることはなかなか困難であるということでございまして、この点につきましては大臣からもお話をいただきました。しかしながら、せっかくこのような御提案もございましたので、大臣からは、関係各省にも伝えまして検討してみますという御回答をしていただいた次第でございます。
 総じまして、このような個別の問題もございましたが、全体として非常にいい雰囲気で両方の大臣が将来の漁業の協力関係の発展を確認し合ったという点が、今回の話し合いの一番の成果であったというふうに考える次第でございます。
○新盛委員 国際捕鯨委員会、IWCに日本は昨年の十一月四日に異議申し立てをしているわけでありますが、日米漁業関係はこのことで非常に緊張をしている。十二月十日には新たに日米漁業協定が上下院の中では承認されて、続いてまた十二月二十三日には、ことしの割り当てとして全期間の半年分、五十七万四千トン、前年並みの割り当てを通告してきている。これは、IWCへの異議申し立てに米国が強く反発をして報復措置をするんじゃなかろうかとわれわれも危惧していたのですが、そうでない、商業捕鯨の全面禁漁を日本に強く求めてくるんじゃなかろうか。今度バーン長官が来られる際に、そのことも一つの問題として出るんじゃなかろうか。日本人の食生活に鯨肉は定着をしていることですし、資源の問題あるいはまた動物愛護という面、宗教的なものもあるとかなんとかございますが、それよりも、この伝統漁業である捕鯨漁業というのは、これはある意味では日本の漁業者にとっては死活問題であります。だから、この点、双方の対立点はあるのですが、この間の海洋法会議等あるいはその後のIWCの中では、日本、ソ連、ノルウェー、ペルーなど、これは異議申し立てをする側になっています。この際もう脱退したらどうか、IWCを脱退して拘束力を受けないでもいいじゃないかという極論まであるのです。
 これについて水産庁としてどういう態度を今後堅持するのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
○松浦政府委員 ただいま先生おっしゃられましたように、実はきょうの夕方、バーン米国海洋大気庁長官が参ります。それからまたクロンミラー国務次官補代理、これは大使でございますが、この二人、つまりアメリカの漁業関係のヘッドになる人が参りまして、私との間であしたとあさっての両日、捕鯨問題、漁業問題全般について、特に捕鯨問題でございますが、非公式的な事務レベルでの意見交換を行うつもりでございます。
 この意見交換は、実は昨年の十二月に、アメリカにおきますところのわが国の異議申し立てに対する反発の動きを緩和するために米国側の理解を求めて行われました意見交換があったわけでございますが、また、このような意見交換をするということも当委員会でお話を申し上げた次第でございますが、この一回では済みませんで、引き続き今回わが国の捕鯨の現状あるいは捕鯨に対するわが国の立場というものを説明したいということで、先方に来てもらうということにいたしているわけでございます。
 特にこの点につきましては、幸いにして一月の割り当ては五〇%の割り当てをフルに確保したわけでございますけれども、あの際も、御案内のように日米漁業協定が果たして発効するかどうか、成立するかどうかというような非常に危ない状況のもとでようやくこの関門を通過したわけでございます。しかしながら、四月以降の漁獲割り当ても決まっていないという状況でございますから、この捕鯨の問題の取り扱いいかんによっては、四月以降の割り当てにも影響があるといったようなことになると大変でございますので、われわれとしては順当な割り当てが出ますように先方に強く要請をするつもりでございます。
 そこで、われわれの捕鯨についての考え方でございますが、何と申しましても、先般、三年間の猶予期間ということがございましたが、商業捕鯨の禁止ということが七月のIWCで決まったわけでございます。しかし、この点につきましては、われわれとしては、このような決定がありましても、関係国の理解と協力を得まして、商業捕鯨が禁止される一九八五年以前においても資源の包括的評価をしてほしいということをアメリカ側にもあるいは非捕鯨国側にも話をいたしまして、禁止の実際の実効が上がる時期の前にこのような科学的な評価をしてもらう。それによって安全な資源はこれは取らしてもらうということを実現できないかということで、最大の努力をこれから払ってまいりたい、さようなことから捕鯨の存続が図れるように努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。特に米国は、先ほども問題になりましたように、いわゆる報復措置という法体系も持っておるわけでございますから、この捕鯨の問題が他の漁業にも波及しないように、最善の努力を尽くしてまいりたいと思うわけでございます。
 特にアメリカ側との関係で問題がございますことは、特にアメリカが申しておりますのは、鯨資源の評価が非常に不確実である、まだ科学的にきちんとできていないということと、もしもそのような不確実性のあるもとで捕鯨を存続することを許すとリスクが出てしまうということを問題にしておるようでございますので、私どもは、このような不確実性の問題あるいはリスクの問題というものは、一律にそんな不確実性があるわけじゃないんだ、特定の資源については、たとえばわれわれが取っております南氷洋のミンクの資源、あるいは沿岸、沖合いのニタリ、ミンク、マッコウ資源といったようなものについては、相当各種の調査も行われて、不確実性は少ない、また、リスクも少ないということを先方に十分に説明していくということが根本であろうかと思っておる次第でございます。
 なお、IWCの脱退の問題にもお触れになりましたが、現在の国際世論を考えてまいりますと、このような非常にドラスチックな方法をとりました場合には、非常に大きな報復の問題が出てまいりますので、私どもとしては、いまのような態度で国際機関としてのIWCを尊重しながら、その中でわが国の捕鯨の存続を図っていくという方向で進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○新盛委員 沿岸国の動向、わが日本の周辺でありますが、中国、韓国は該当しないのですけれども、世界の動向が新しい段階に入った。第三次国連海洋法会議でもそういうふうに方向が出てきておりますが、これから考えられるのはフェーズアウト方式で、アメリカに見られる余剰原則の立て方ですね。あるいは自国漁業への貢献度によって漁業割り当てをやる、外国船の排除をしていくというのがアメリカのこれからの方向だろう。そしてまた、日ソ漁業交渉でも見られますように、相手国二百海里で漁業をする、いわゆる相互入り会い等量主義、こういうような方向が一つ考えられますね、いま現実。また、南太平洋諸国のように入漁料をどんどん上げまして、ある意味では外貨獲得型で、もう漁業経営者の方はたまったものではありませんね。こういうことに対して、ニュージーランドが特徴的なものでありますが、ソロモンとかあるいは関係地域では、入漁料という問題ではそう厳しくないというところもあります。だから、こういう状況が総括的に漁業外交の中で出てくるのでありまして、入漁料などは、特に前から言うことでありますが、太平洋振興基金とかというのをつくったりして、いろいろ手だてをしましたよ。しかし、何一つ実効は上がっていないんですね。これは、経営者が経営の中のコストとして生産コストの中にぶち入れてしまえば、それだけまた魚価は高くなるわけですから、こういうところの、ただ単にいわゆる入漁料の手だてをするために南太平洋基金か、これを活用しなさいとか言ったって、手続がうるさいものですから、みんなやめちまって、だから金は積んであるわ、実効はないわというようなことでもいけないので、これから以降、この点のことについては、要望ですが、いずれにしてもこれからの魚族資源管轄権というのは、いまは九十数カ国が二百海里宣言をやっておるのですから、さらに強化されるだろう、漁獲量も厳しくなるだろう、こういうことなんで、ぜひひとつ漁業外交という面で十分な力を発揮でき得るように、あらゆる総合的な、日本の漁業を守るためにという面でひとつ配慮いただきたいと思うのです。
 それと関連をして、いま国会でも問題になっておるのでありますが、海峡封鎖だとか物騒な話が出ておりまして、あるいは一千海里シーレーン、一つも漁業者のことを考えていないですね。戦時中に瀬戸内海沖等では魚雷を沈めていたものですから、漁船が相当被害を受けたことがあるのですね。その際でも、当時のいわゆる法律によって一応漁民に通告をしてという条項があるのですが、いまは何もないですよ。こういう海峡封鎖などという話は、有事であろうと有事でなかろうと、その議論をこっちに置いて、現実にそうなった時点では漁業者は一体どうなるか、そのことについて水産庁はどう考えているのですか。
○松浦政府委員 そもそも漁業と申しますのは、国際的な紛争がないという状態のもとにおいて、最も効率的で、かつ、安全に操業が成り立つものであるというふうに私ども考えております。御指摘のような海峡封鎖という御議論があるようでございますが、いかなる事態でどのような形で海峡封鎖が行われるかということも私ども定かではないわけでございますけれども、いずれにしても、このような海峡封鎖が実施されるといったような事態はきわめて情勢が緊迫した事態であるというふうに考えられるわけでございますので、このような事態のもとで想定いたしますと、封鎖された海域での沿岸漁業あるいは当該海峡を頻繁に利用いたしますところの沖合いあるいは遠洋漁船にも影響が及ぶということを私ども想定できるわけでございます。私どもといたしましては、このような事態が生ずることがないように、内外にわたっていろいろな努力が傾注されるように期待をいたすわけでございます。
○新盛委員 だから、そういう抽象的なことでなくて、現実的にどう対処するか。これは、動物性たん白資源をいわゆる日本食型というふうに最近言われているのですから、米と魚はそういう意味で非常に大事になってきましたから、ぜひ現実的な対処として、そういう場合にならないようにと願っておっしゃっているのでしょうが、なったらどうするかということについても、われわれも深刻に考えなければならない問題であります。だから、物騒な発言があったりして非常に内外を沸かせているわけですから、これは水産庁としてもしっかりと中身の面で具体策を国民の前にひとつ示していただきたいと思うのです。
 さらに、日朝間の問題あるいは韓国の北海道周辺海域漁業の問題が非常に違法行為があり、不法行為があり、漁貝の被害があり、いろいろと物議を醸しているわけでありますが、これらに対する、今日までの韓国船のこうした不法行為に対してどういう対処をされたのか、また現実にそういう被害補償とかそういう問題についてどの程度把握をしておられるのか、ぜひお知らせをいただきたい。
 さらに、非常に憂慮すべきことでありますが、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮との間における漁業は、これまで非常に友好的に進められた民間の漁業がいま完全にストップしているわけです。ゆゆしきことであります。水産庁として、農林水産大臣としてどうしたらいいか。外交上の問題もあります。玄峻極氏の入国問題もいろいろございます。だけれども、それよりどう考えておられるのか。これは、特に大臣の近くの皆さん方は非常に気にしておられるはずですね。ぜひひとつ大臣のお考えも聞きたいと思っています。日韓、日朝、そうした関係についてお願いします。
○金子国務大臣 北朝鮮の問題は、御意見のとおりでございます。昨年六月以来途絶してしまっております。この関係漁業者は大変大きな損害をこうむっているわけでございますが、日本海一円の漁業者でございます。これは外交ルートがないのでありまして、いままでの民間のルートを通して最近はやや小康を見出したという状況でございます。詳しいことは長官にお答えさせます。
 韓国の問題も、北だけではなしに南朝鮮も大変漁業が発展して、北海道初め西日本一帯沿岸に底びきが押し寄せて、大変トラブルを起こしております。これには政府間の日韓漁業協定もありますし、いろいろなそういう協定をお互いの国がひとつ遵守してもらうように、相互の国でそれぞれ取り締まりをしていただくように、韓国の方も本気で取り締まりをやっていただいておるようでございます。それにしても、余り違反船は減っていないようですね。これは大変な問題と思いますが、これからもっと強硬な外交ルートでひとつ厳しく韓国に対しては対応していかなければならない、このように考えております。
○松浦政府委員 それでは、まず韓国との関係から申し上げますが、韓国につきましては、御案内のように、昭和五十五年に両国の政府間で合意を見ましたいわゆる自主的に操業を規制するという協定と申しますか、合意があるわけでございます。
 一方におきまして、西日本の水域につきましては、日韓の漁業条約に基づく合意書によりまして、底びき禁止区域においては韓国漁船は操業しないということが約束されているわけでございますが、残念なことに、特に昨年の暮れからことしの一月にかけまして、禁止区域に入っていくとか、あるいはあるべきはずの通報がないとか、それからまたこちらからの通報を受信しないといったようなことが起こりまして、非常に問題が起こったわけでございますけれども、私どもも韓国の水産庁に対しましてこのようなことを強く申し入れまして、正常化を申し入れるとともに、また、わが方の監視船も派遣いたしまして、現在も相当数派遣しておりますが、このトラブルの防止に当たった次第でございます。若干まだ問題が残っておるようでございますが、おおむね平穏になりつつあるという状況でございます。また、西日本の水域につきましても、特に長崎県の北部を中心にしまして侵犯が続いておりまして、そのたびに韓国の監視船に来てもらうという措置までとりまして、実は正常化を図っているという状況でございます。
 基本的には、私どもやはり韓国の政府との間で十分に話し合いを行いまして、特にこの十一月からは北海道沖の協定が切れるわけでございますから、かなり早目に両方の政府が準備のための協議に入るといったようなことも行うと同時に、また、現実の問題につきましても、紛争が起こらないように処理するということで、早急に話し合いを始めたいというふうに考えておる次第でございます。
 なお、損害賠償の請求につきましては、特に北海道沖における韓国船の損害につきましては、基本的には民事の損害でございますので、民間レベルで解決してほしいということでやっておりますが、もちろん政府の側も韓国政府に対しまして、早急に民間側でこれが処理を行うようにということでお願いをしておるところでございます。
 また、日韓漁業協定の関係におきまして発生いたしております事故件数でございますが、これは三百四十五件でございまして、このうち日本の被害が五十三件、うち五十一件が示談によりまして被害補償が行われて解決済みということでございます。
○新盛委員 時間が参りましたので、最後にこれは要望しておきますが、これからの漁業秩序のあり方について、幸いに栽培漁業、管理型漁業ということで、新しく法律はできませんけれども、沿整法の改正等が提案されます。特に、最近日本の沿岸周辺の漁業調整機能というのは一体どうなっているのか。調整委員会がございますが、海区調整委員会等で論議をされている。これは県が一応の定めをして、それによる調整機能を果たすわけでありますが、沿岸で非常に紛争が絶えません。漁業単協が持っておりますのは、沖合い約三キロから五キロなんです。これじゃどうもならぬ。八キロか十キロぐらいに延長してほしいという声があちらこちらから出ていまして、ところがこれはなかなかそういうふうに一挙にできません。幸い今度管理漁業ができるわけですから、そういうことも含めて全体的な見直しをする必要があるんじゃないかと思うので、ぜひこれは検討していただきたい。
 以上申し上げて、質問を終わります。
○山崎委員長 この際、先ほどの松沢委員の質疑に対する答弁に関し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子農林水産大臣。
○金子国務大臣 本日の松沢委員の米の備蓄に関する御質問に対し、私の答弁に若干言葉足らずの点がございましたので、補足をさせていただきます。
 米の備蓄に関しては、農林水産省として、昭和五十年の総合食糧政策の展開において二百万トン備蓄の考え方を打ち出したことは御指摘のとおりでありますが、備蓄のあり方につきましては種々の問題も指摘されておりますので、昭和五十九年以降のいわゆる第三期水田再編対策の検討とも関連させつつ、現在鋭意検討を進めているところであります。
○山崎委員長 神田厚君。
○神田委員 金子農林水産大臣の所信表明に対しまして、御質問を申し上げたいと思っております。
 まず、大変厳しい農政の状況の中で大臣が待望の農林水産大臣に就任をなさったわけでありますが、ひとつこれに取り組む基本的な姿勢といいますか、決意といいますか、考え方についてお話を伺いたいと思っております。
○金子国務大臣 私は、農業がいかに大事な、産業になるかならぬかといろいろ質問が出たりしておりますけれども、私は産業として物を考えていくべきだと思いますが、国の安全をとらえても、まず食糧から自給度を高めて国の安全に資さなければならない。これは大砲とか、そんな鉄砲とかいうものよりも先に食糧からまず確保して、いかなる場合でも国家の安全を食糧によって保障していく、こういう基本的な考え方からしますと、やはり日本の政治の中で私は大変重要な部門であろうかと受けとめています。
 したがって、今日までもいろいろ、特に戦後、先ほどから質疑をされました農業基本法問題が周東さんの時代に制定されましてからこの方二十年、その基本に従っていろんな戦後の日本の農業の基盤強化、生産性の拡大というものは、やはり見るべきものがあったと考えております。しかし、二十年たちますと、やはり世界の農業を見ましても、アメリカが農産物が生産過剰で、どんどん日本に押し寄せて売り込もうとしておる。こういう事態も、かつての二十年前にはこういう現象はなかったわけでございますから、それを一つとらえても、大変ないわゆる変わり方である。こういうことを踏まえて、やはり日本の農業が自立するためには、いかにして基盤を強化して生産コストを安くするか、いわゆる規模拡大をやることがまず先決でございます。もう長くせぬで、ECとは仮に畜産でもいわゆる競争ができるというようなところまでいっておるようでございます。柑橘は、これは日本の場合は生産過剰でございますから減反をしておるような状態ですから、余り手をかけぬでも、このままいってもいいと思うのでございます。
 ただ、足りない物、いわゆる不足しておる物、大豆とか小麦あるいは飼料用のいわゆるトウモロコシ、こういうものは年間二千八百万トンも輸入しておるのでございますから、やはり自給率を確立しようとするならば、こうした足りない物、不足する物の穀物の生産の拡大も図らなければならないということは最近特に痛切に感じておるわけでございますので、やはり時代が移り変わった今日で、いままでの農政をそのまま続けていくことよりも、もっと根本的に見直す必要があるのではなかろうか、このように考えております。
○神田委員 そうしますと、基本法農政にかわる新しいものをつくり出すというようなお考え方に立っておられるわけでございますが、抜本的に改正するという方向で考えておられるのでしょうか。
○金子国務大臣 これは大変大事な問題でございますから、やはり相当な期間を置いて検討を続けなければならないと思いますので、しばらく時間がかかる。どのようにいたしますか、基本法をいわゆる改正するわけでございますから、どこに重点を置いて改めていくのか、そういうものをひとつ十分検討して結論を出す、それがためには相当な期間を要する、このように考えております。
○神田委員 それでは、臨調関係でちょっと御質問を申し上げたいのでありますが、臨調は三月七日の答申を目指しまして、現在各政党とかあるいは団体とかの最終的な意見の聴取を行っているようでありますが、農業団体につきましては特にそういう要請もないということで、過日、農林漁業団体の代表が土光臨調会長に面会を求めまして、農林水産関係行革問題検討委員会という形で面会をし、それぞれ要望したというふうに報道されております。この農林漁業団体の代表の臨調に対する要望に沿いまして、農林大臣といたしましてはこれらについてどういうふうなお考え方を持っておられますのか、その辺の御意見をお聞かせをいただきたいと思っているわけでございます。
 まず最初に、臨調の第三部会報告におきまして、学校給食等の問題につきまして、臨調部会がこれについての見直しを、つまり米穀、牛乳、果樹にかかわる助成については食糧政策上の配慮をしつつ縮減をするというふうな提案をしているわけでありますが、これに対しまして農林漁業団体の代表は、この学校給食助成はきわめて有意義であるから縮減すべきではない、今後も継続実施すべきであるというふうに要望したようでありますが、この点につきましてどのようにお考えでございましょうか。
○渡邊(五)政府委員 私どもの方の食糧関係では、米食、米飯給食に関して助成を行っております。
 御存じのように、最近におきます日本人の食生活の方向としまして、日本型食生活ということが提唱されておりますが、米飯給食に対します助成は、単に当面の米の消費拡大にとどまらず、学童期の食習慣が将来のわが国の食生活に大きな影響を及ぼすという観点から、文部省と協議してこれまで進めてきておりまして、現在その普及段階にあるわけでございます。今後とも改善すべき点があれば改善しつつ、必要な助成措置はこれを継続していきたい、このように考えております。
○石川(弘)政府委員 牛乳につきまして申し上げます。
 学校給食の牛乳は全消費量の一五%もございますし、幼児からの体位向上とかあるいは食生活に定着させるという意味で非常に大事でございますので、私どももこの事業は今後とも継続実施したいわけでございます。
 助成のあり方につきましては、過去におきましてもいろいろな形で合理化を図ってきておりまして、単価を若干下げるとか、そのかわり量をふやすとか、いろいろなことをやってきておりますので、極力合理的なものになるようにということを今後も心がけていきたいと考えております。
○小島(和)政府委員 果汁関係でございますが、ただいまミカンの需給調整は果汁の消費増に負うところが非常に多いということと、わが国における果汁の消費の歴史がまだ浅くて食生活に十分根づいていないという問題がございますので、これは継続すべきものと考えておりますが、ただいま畜産局長がお答えになりましたように、制度として改善すべき点があればこれを改めながら充実を図ってまいりたい、かように考えております。
○神田委員 次に、転作奨励金、自主流通米奨励金等々の問題について、臨調は非常に厳しい見解を出しております。水田利用再編奨励補助金については「奨励金依存からの脱却を図るため、第三期対策においては、米と転作作物との収益性格差の動向を見極めつつ、奨励金の単価を引き下げるとともに、転作の定着化が一層進むよう奨励金の体系を改善する。」さらに、良質米奨励金等自主流通助成についても、特に「流通促進奨励金については、早期にこれを廃止する。」良質米奨励金についても引き下げの問題が提起をされているわけでありますが、これらにつきまして農林漁業団体では、農家手取りの問題等もこれあることでありますから、廃止あるいは引き下げすべきではないという見解を表明したようでありますが、この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
○小島(和)政府委員 私の方からは転作奨励補助金の問題をお答え申し上げたいと存じますが、従来からもこの奨励補助金の水準及び体系につきましては、米と他作物との収益性の格差をベースにいたしまして転作の定着化を促進する、かような観点に立って定めてきておるわけでございます。時あたかも第三期対策を近々に迎えておりますので、第三期対策に移行いたします際においては、いま申し上げましたような観点から奨励金のあり方につきましても必要な見直しを行いまして、適正に定めてまいりたいと考えております。
○渡邊(五)政府委員 自主流通の関係の奨励金は、流通促進奨励金と御指摘の良質米奨励金とございます。流通促進奨励金につきましては、御案内のとおり、政府米の売買逆ざやの存在というハンディキャップに対抗いたしまして、自主流通米の円滑な流通を確保するための奨励金ということでこれがスタートしたわけでございます。臨調の基本答申でも述べておりますように、政府米の売買逆ざやが早期に解消されれば、それに合わせて廃止されるという性格のものでありまして、今後具体的な措置につきましては、売買逆ざやの推移を見ながらこれは検討していかなければならない、このように考えております。
 良質米奨励金の単価引き下げの問題につきましては、臨調の第三部会の報告におきましても、この措置が良質米の作付拡大を通じて米の需給均衡化に寄与しているという効果は、これを認めておるところでございます。ただ、その具体的なあり方については、すでにかなり普及しておるのではないかとか、いろいろな問題点も言われておりますが、その趣旨を損なわないようにすることを基本にして、今後も良質米の供給とか価格の動向、これらを見ながら検討していく必要があろう、このように考えております。
○神田委員 さらに、土地改良の問題につきましては、これも灌漑排水事業費の補助、圃場整備事業費の補助、農道整備事業費の補助等につきまして、それぞれ採択基準の見直しなど補助対象についての注文がついております。また、整備されました農地については、公共性ということを考慮してその活用、保全のため転用制限等の担保措置を強化せよというふうなことで行われておりますが、こういう問題につきましても、すでに農林省におきましては第三次土地改良長期計画の推進を図るということを言っております関係上、臨調の方の方向と少し違うようなニュアンスになってきておりますが、これらについては、この農業基盤の整備について非常に大事なことでありますから、どんなお考えをお持ちになっておりますか。農用地開発公団等の問題も含めまして御答弁をお願いしたいと思います。
○森実政府委員 まず、御指摘のございました土地改良事業全般の問題でございます。
 論議の当初におきましては、土地改良事業の役割り等についてもかなり厳しい御批判があったわけでございますが、農業の近代化、構造改善に果たす役割り、さらに農村地域社会の環境整備における役割り等については十分御理解を得られまして、土地改良事業全体のあり方については、具体的に採択基準の問題その他についてはさらに検討を要するという指摘もありますが、私はそう大きな御指摘はなかったものと思っております。
 問題は、一つは、土地改良の投資が行われた際に、現在八年以内に転用をいたしましたときは補助金の還付ということが制度化されているわけでございますが、この担保措置が少し弱過ぎるのではないかという議論があったことは事実でございます。この点は、これから少し検討してみたいと思っております。
 それから、農用地開発公団の事業につきましては、当初は新規を一切見送るというふうな厳しい議論もあったわけでございますが、やはりこれからの畜産の基地づくりの農政上の重要な役割り、それからさらに地域振興における役割り等について御理解を賜ることによりまして、全体としては抑制というトーンの報告が中間的に行われたというわけでございます。私どもといたしましては、やはり今日の状況なり地域の選定の条件等を考えますと、指摘にもありますように、ある程度入植を伴う農用地造成は抑制していかなければならないのではないか。それからまた、モデル性とか先駆性というものに着目して、全体の農用地造成の中でのシェアというか、ウエートというものはある程度の限度を確保していく必要があるのではないか、こんな方向で検討しているわけでございますが、土地改良自体については、ただいまの公団事業も含めまして、基本的な制度の改正なり見送りというふうな御指摘は私どもはなかったように考えております。論議の過程を十分踏まえて、今後とも制度の運用改善には努めてまいりたいと思っております。
○神田委員 次に、新農業構造改善事業にかかわる補助金等の問題につきまして、これは農業用機械施設が補助対象でありますが、今後この補助対象を高能率な生産組織により効率的に利用される場合に限定をして、原則として融資制度に切りかえていくということが言われております。また、補助対象を生産性向上に直結する事業に重点化して、集会施設等の生活環境施設の整備に対する補助は農村地域の共同活動の助長等のために必要最小限度のものに限定して、総額を縮減するというふうなことで出されておりますが、これらの問題につきましても、農村の生活環境の整備という大変重要な問題にかかわる部分でありまして、これらにつきましては、依然としてまだ大変必要な問題も多いし、当然補助も欠かせないということになっておるわけでありますが、この辺のところをどういうふうにお考えでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○森実政府委員 お答え申し上げます。
 機械施設の助成につきましては、すでに中間報告が出されました事態におきまして論議があったことを受けまして、われわれといたしましては汎用機械等の個別経営になじむ機械は補助対象としない。また、畜舎やサイロや果樹棚等の個別経営になじむ施設は補助対象としない。あくまでも技術的に特段の先駆性を持ったものとか高能率の生産組織に直結したものに補助は限定していくということで融資事業の活用という方針を打ち出しております。したがって、今回の答申が出た場合においてもそう大きくこの問題については変更をするような状況ではなかろうというふうに理解しておりますが、なお検討したいと思っております。
 そこで、生活環境施設の助成の問題でございます。
 これにつきましては、事業費割合の抑制とか規模、単価の基準の設定とか、それから内部設備をある程度必要最小限度のものにとどめてぜいたくなものは抑えていくという方針はすでに打ち出しております。ただいま委員御指摘のように、農村地域における生活環境整備の立ちおくれ、さらに専業農家と兼業農家、あるいは農家と非農家との話し合いの中で、やはり地域社会を整備し、構造政策を推進するためには、私どもはこの種の助成は必要であろうと思っております。
 当初、凍結論等が厳しくございましたが、私どももその主義主張をもっていろいろ話を聞いていただきまして、総額の縮減という形で調整された経緯もございます。私どもといたしましては、やはりそういった経過も頭に置きながら、できるだけ抑制的な運用が必要だろうと思っておりますが、なお、その内容については検討中でございます。ただ、いずれにいたしましても、やはり地域の実情に応じた運用ということが非常に大事だろうと思っておりますので、その点につきましては十分配慮してまいりたいと思っております。
○神田委員 次に、価格問題でありますが、牛肉あるいは野菜、蚕糸、砂糖等の価格政策についても非常に厳しい方向の指摘があるわけでありますが、これらにつきまして、時間の関係もありますので簡単で結構でございますから、農林省の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
○石川(弘)政府委員 牛肉につきましては、速やかにEC水準を目標にという形で見直しをすることというような形が書かれておりますが、これは、御承知のように私どもも極力国内の生産性を上げましてECに近づこうということをやっておりまして、ここ数年急速にその価格差は縮まってまいりまして、現在二割から三割ぐらいの格差まで縮まっておるわけでございます。ここで言われておりますことは、私ども臨調にも申し上げたわけでございますが、何か定規でこちらのものを下げるということを意図しているわけではございませんで、こちらの生産性を上げながら極力早くその格差を縮減するような価格政策をとるようにということでございまして、私どもがかねがね主張しておりますような線と同じと考えております。
○渡邉(文)政府委員 私からは、野菜と砂糖についてお答え申し上げたいと思います。
 野菜につきましては、臨調の御指摘は、物価政策上の必要性は十分認識しながらも、他の制度に比べて非常に補助率が高いということを問題にしておるようでございます。ただ、私どもといたしましては、現在の価格安定制度が十分に機能を発揮するためには十分な加入率が必要である、まだその緒についたばかりであって、加入率が十分な水準に達していない、そこで十分な水準に達したところでその問題につきましては検討いたしましょうという対応をしておったわけでございますが、答申の方もその点の御理解はいただいたようでございまして、事業の成熟度を勘案しつつ、時期が来たら負担のあり方について検討せいということでございます。私どもも、そのような実態になった段階で種々検討してみたいというふうに考えております。
 砂糖につきましてですが、砂糖につきましては、沖縄あるいは南西諸島、北海道におきます甘味資源作物の振興の必要性は、これも十分認識はしながらも、特に沖縄、南方の砂糖が輸入糖に比べまして六、七倍もするという非常に高いという現実に対して、何らかの手が打てないのかというのが答申の御趣旨だろうと思います。私どもの方も、それにつきましては、やはり生産段階におきます生産性の向上というものを政策の基本に据えまして、できるだけその格差を縮めるような方向での努力はいたしたい、従来もやっておりましたが、さらにその面での努力を続けてみたいというふうに考えるわけでございます。
○小島(和)政府委員 蚕糸関係でございますが、御承知のように蚕糸関係については当初価格安定制度の廃止というふうなニュースが流れまして、関係者に大変ショックを与えたわけでありますが、臨調方面にいろいろ御説明申し上げまして、委員御承知のような部会の報告原案になっております。
 生糸につきましては、その商品的な特性からいいまして、わずかな経済事情の変動によりましても価格が非常に動くという性格を持っておりますし、また、養蚕業の実態から見ましても価格安定制度は必要であると考えておりますけれども、もしただいまの部会原案の形で臨調報告が出されましたならば、その線に沿いましてできるだけ幅広い見地から検討をしてみたいと思っております。その際、農業団体等から出されております意見につきましても十分念頭に置いて検討させていただきたいと思っております。
○神田委員 この問題につきましては最後でありますが、一つは、やはり政策金融の縮小がうたわれております。「政策金融関係」の記述の中で政策金融の縮小というふうな形で問題が出され、農林中金等もこの範囲に入るわけでありますが、これらについて、農林中金等の役割り等を考えましてどういうふうな考え方をお持ちなのか。
 さらには、統合問題に関しまして、農業信用保険協会、林業信用基金、中央漁業信用基金等を統合しようというような御意見もあるようでありますが、これらにつきましてどういうふうにお考えでありますか。
○佐野(宏)政府委員 最初に農林中金の方についてでございますが、これは先生御承知のように、現在金庫法によりますと政府出資の規定がございまして、現実にはもう政府出資がなくなりましてから何年もたって事実上空文になっておるのでございますけれども、ともかくそういう規定が残っておることは残っております。そこで、農林中金をこの際明確に民営の金融機関であるという位置づけにするために、しょせん使っていないのならこの政府出資の規定を削除することによってその点をはっきりさせたらどうかという御指摘がございますので、私どももその点は確かにごもっともな御指摘であると思っておりまして、これは前向きに検討させていただくつもりでおります。
 それから、公庫資金につきまして融資分野の重点化と貸付条件の再検討というお話がございますが、農林漁業金融公庫が農林水産行政の上で果たしております重大な役割りから見て、多少その補給金がかさむからといって、そういうことのために農林漁業金融公庫の使命に疑問が投げかけられる、そういう筋合いのものではないというふうに思っておりますが、農林漁業をめぐる客観情勢の変化に対応して、それぞれ果たして現状にうまく適しておるかどうかということを絶えず再点検をしながらやっていくということは、これは当然やるべきことではないかと思っております。
○角道政府委員 信用保証関係三法人の統合問題についてお答え申し上げます。
 この臨調の部会におきましては、農林漁業関係の信用保証のものは、小規模の法人よりもむしろ一つになって大きい信用力を持ったらどうかというところからそういう考え方が出たわけでございますが、確かに一つの考え方でございますけれども、農業林業漁業それぞれ違う系統組織の上で、相互扶助という精神でいままでの信用保証事業は成り立っております。また、その運営にしましても、総会によるものあるいは理事会によるもの等いろいろ運営も違っていますし、また特に中央漁業信用基金は昨年漁業共済協会、漁業共済基金と合併したばかりでございまして、また、それに伴いまして運営上相当な借入金を持っておるというようなこともございますので、いま直ちにこれらを統合するということについては非常にむずかしい問題がある。特に、関係者の合意を得る上にも問題があるのではないかということを臨調の方にも申し上げております。これから調査会の方で御審議があるようでございますので、その結果を待ちましてよく検討したいと考えております。
○神田委員 最後に、農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、米の問題が非常に減反、不作で米が不足になっている、こういうことであります。いよいよ第三期対策の計画の策定が始まるわけでありますが、これらについて現在こういう状況でありますと、第三期対策を果たして従来の考え方で発足してよいものかどうか。つまり、これは天候不順という問題ばかりでなくて、農民が米づくりについてどうも従来のような熱意を持って取り組まなくなったということもありまして、減反政策そのものが持っている悪い面が出てきたのではないか、こういうことを非常に心配をしているわけでありますが、第三期対策の策定の見通しにつきまして、最後にお答えをいただきたいと思います。
○金子国務大臣 先ほどからもお答え申し上げておりますとおり、第三期水田再編成を機会に――朝日新聞の夕刊をちょっといま見ましたが、あんなことを書かれたら本当に国民は大変心配するのではないかと思います。この実態も、新聞の内容を見ると、本当にああいうことを食糧庁がやっておるのかなと思って、私はいささか認識不足でおるのでございます。もっと深刻に受けとめて、ひとつ検討をいたしたいと思います。
○神田委員 第三期対策は。
○金子国務大臣 第三期対策は、この五十九年の予算編成に並行してやってまいります。
○神田委員 終わります。
○山崎委員長 寺前巖君。
○寺前委員 約一時間近くの時間でございますが、いろいろ聞きたいことがいっぱいあるものですから、せっかく役所の皆さんにおいでをいただいておって、最後は切れてしまうということになるかもわかりませんが、ひとつその節はお許しをいただきたいと思います。
 私、まず最初に、大臣のこの間の所信表明をお伺いをいたしておりまして、昨年ずいぶん話題になりましたが、自由化をめぐる問題で、残念ながら大臣の所信表明の中では、自由化は出てくるのだけれども、枠の拡大という問題について何のお話もなかった。一体これはわざとお抜きになったのか、どういうことなのかをちょっとお聞きをしたいと思います。
○金子国務大臣 私は役人がつくったのを棒読みをしたわけでありまして、御了承願います。
○寺前委員 これはまた、大臣が所信表明を読まされたということでは、ちょっとかっこうのつかぬ話だ。率直な点はお聞きをいたしますけれども、ちょっと受け取れない話だと思いますので、これはぜひ姿勢を改めていただきたいということを、嫌らしい意味で言うのじゃなくして、御指摘を申し上げたいと思います。
 そこで、輸入の枠の拡大の問題については、昨年当委員会で委員長発議によるところの決議をやりました。そのときに大臣が、「自由化へ移行する方針とかあるいは枠の拡大等についてはこれまで以上に強い姿勢で反対を押し切っていく、」というふうにおっしゃった。役人がお書きになったものから抜けているということでは、さぞ省内においては意識的に外さしたかなという疑いも持つわけですけれども、私は大臣が当委員会で言われた態度というのは非常に大事だと思うのですが、改めて異存ございませんねということを確認したいと思うのです。
○金子国務大臣 自由化はよく皆さん理解できるけれども、枠拡大まで私がまかりならぬと、こう言っておることにいろいろ疑問をお持ちのようでございますが、いまの時点で枠の拡大は考えてもいいようなものは私は言いたくない。それは枠を拡大しなければならない時点が来れば、その時点で皆様の御了解も得てひとつ最善を尽くしたいと思いますけれども、アメリカがいまいろいろ日本に言われておることを、言わんとしておることを想像しますと、担当大臣が自由化まかりならぬが枠は少し弾力を持つような発言をすることは国益に反する、このような見地から、枠の拡大もこの時期は困る、私は反対する、こういうことを申し上げておるのは、あの十二月もいまも変わりはございません。
○寺前委員 そういうふうに大臣は皆さんにいつも言い切られるのですが、事態の発展というのはそうならないことが不思議なんです。たとえば去年の五月に田澤前農水大臣は、残存輸入制限品目については、自由化もこの枠拡大もいたしません、そういう態度でアメリカとの会談にも臨みましたし、今後も臨んでまいります、こう言っているのです。その直後に、市場開放第二弾といって三品目の枠の拡大に応じるということがなされたんです。今度も、大臣が本委員会で言われたあくる日、六品目の枠の拡大を、現実には日本側から言い出したじゃありませんか。そしてそれについて、それじゃアメリカの諸君はどう言っているのか。先月の日米首脳会談を前にして、共同通信のインタビューにブロック農務長官は答えてこう言っている。六品目の枠拡大は全く意味のない措置だ、強い不満を表明し、ガット提訴の方針に変化がないことを改めて強調した。今回来日したブロック通商代表も、六品目の輸入枠拡大は感謝するが、この際一層の枠拡大を求めたいと言っている。
 私は、事態の動きは何を示しているのか。大臣が枠の拡大はしないんだ、強く反対するんだとおっしゃっていながら、現実に交渉をやっている諸君たちは、枠の拡大をその直後から始めているじゃないですか。
 だから、私は所信表明で自由化の問題だけが出てきて、枠の拡大が書かれていないということを重視するのです。前の大臣のときだけじゃなくて、おたくのときもこうやって明くる日にこういうこともなされた。さあ今度は牛肉、オレンジ、次々に向こうは要求してきていますぞ。こんなことでは無責任のそしりを免れない。断じてそういうことのないように省内徹底して指導し、やりますと明確に示していただきたい。
○金子国務大臣 私は、終始一貫、先ほどから繰り返して申し上げておるような考え方で臨んでおります。
 ただ、よく言われておりますね、専門家が事務的にと言って。専門家が事務的に翌日に何をやったか、私はうかつでそれは知らなかったのですね。
 それで、私は政治的な物の発想、考え方で、日米がこの問題の交渉において、何と言われようが、頑迷と言われようが、不明と言われようが、やはり自由化はもちろんのこと、枠の拡大も困るということを終始一貫主張を続ける、それが国益だ、このように考えておりますので、専門家が事務的に何か少しアメリカに色よい顔をしたりすることは、外交折衝、交渉上それも一つのテクニックじゃないでしょうか、そのようにひとつ御理解をいただきたいと思います。
○寺前委員 私は、事はちょっと重大だと思うのですがね。
 大臣の知らないことがアメリカとの間に交渉がされていた、そうしてテクニック上こうなったんだ、私はこんなことで日本の政治の責任を大臣が持っているということは言えないと思いますよ。大臣の知らないことをやっていいのですか、そういうことは。だれが所管ですか。大臣の知らぬことをやっていいのか。大臣は知らないと言った。さあ、はっきりしてください。
○佐野(宏)政府委員 そもそも輸入枠の問題につきましては、一昨年の経済対策閣僚会議の十二月十六日に決めました対策というものがございまして、その中で「輸入制限の緩和」という一項目がございまして、「諸外国の関心品目に留意しつつ、残存輸入制限について、適宜、レビューを行い、」云々ということがございます。したがいまして、残存輸入制限について、国内の農業に悪影響を及ぼさずに拡大し得るものがあれば、それは諸外国の関心に応じて処理をしていくということは一昨年すでに経済対策閣僚会議で決定を見ておる方針でございます。
 そういうことでございますので、これは田澤大臣当時のことでございますが、田澤大臣当時にすでにそういう方針になっておりまして、それで、今回の六品目につきましてとりました措置というのも、実は昨年十月のホノルル協議の際用意をしておったものでございます。その当時そういう方針を決めるにつきましては、当時田澤大臣の御指示も仰いで決めたものでございます。それで、それを今回昨年の暮れの段階になりまして実施をすることにしたわけでございますが、その実施に移す段階では、こういうことをそういう手順を踏んでやったわけでございます。
○寺前委員 私は具体的に聞いているのです。大臣は知らないと言っている、あなたは決まっている、こうおっしゃる。それじゃ、大臣が知らないというのはお忘れになっているということなんですか、どうなんです。大臣はそんなことはわしは知らぬと言っている。えらいことですよ。大臣の知らぬことがやれるのですか。はっきりしてください。
○金子国務大臣 大体、大臣は小さいことは知らない方がいいんじゃないでしょうか。私は、基本的に日本はどのような方向でどのような態度を農林水産大臣はとっておった方が国益だろうかという考え方で私のこの問題に対する姿勢は終始一貫貫いておるわけでございまして、その間、やはり専門家が事務的にいろいろと向こうの事務屋とお話をしておる中で、何か色よい顔をしたりしなければならぬような場合があるでしょう。私は、それはやはりそうすることが、大きい問題を小さいもので片をつけるような考え方で専門家がやっておるわけでございますから、私が知らないうちにそういうことをやっておったからといって、別にそう僕の責任がどうこうというほど大きな問題ではない。その六品目も非常に小さい問題なんですよ。日本の生産者に打撃を与えるほどの問題ではない。そういうことでひとつよく御理解をいただきたいと思います。
○寺前委員 輸入枠の拡大は小さい問題で、そんなもの、専門家がやっておったらいい、わしは知らぬ。そうですか。それなら、オレンジの問題も牛肉の問題もいま話題になっておるのだが、そんなもの、小さい問題ですか。相手にしませんか。事務的に適当にやっておけ、そういう話ですかいな、これは。そんな話というのやったら、何で国会でここでわざわざ委員会決議を上げるのです。そんな小さいことをおまえらやっておったんやなと、国会のこの当該委員会自身がなめられた話です。おまえら、よう小さいことばかり何を相談してごちょごちょやっておるのやということでしょうが。そんな話じゃないですよ。やはり事は日本の食糧に関係する問題なんだ。日本の農業に関する問題なんだ。大きいんだよ。だから、委員会で決議案が上がってくるという性格になるのです。これは理解を変えていただく必要がある。これが一つ。
 それで、ちょっと局長さんに聞きますけれども、大臣の決裁なしにそういうことができるのですか。大臣は、小さい問題だから適当にやっておけと。それは全然決裁なかったのですな。
○佐野(宏)政府委員 まず最初に、事柄の性格の大小ということでございますが、たとえば落花生の場合で申し上げますと、今回やることにいたしましたのは枠を五万トンの水準を維持するということでございますが、これは従来の実績に比べますと、たとえば五十六年度の割り当て実績が四万九千八百トンでございます。でございますから、五十六年度対比二百トンという増加でございます。それから、非柑橘果汁の場合で申し上げますと、たとえばブドウの果汁でございますが、従来の実績が大体二千三百トン見当でございますが、これにつきまして今度提示いたしましたのが二千五百トンということでございますから、二百トン増加ということでございまして、ちょっとそこら辺はどういう常識で判断をするか存じませんが、大臣がいまたまたま披瀝されました事柄の性質の大きさについての御見解というのは、私はそう間違っているわけではないのではないかというふうに思います。ただ、これは先方もあることでございますから、小さいんだ小さいんだと言うことがいいことかどうかということは、ちょっと問題があると思います。
 それから、これはいずれも決裁なしに決められることではございませんので、もちろん決裁はいただいた上で決めることでございます。
○寺前委員 それは、わしは知らぬという態度が間違うておる。だから、大臣、それはあなた、局長さんにとってはえらいことを言われたのです。報告しているものを、決裁を求めていっているのに、決裁をもらっておきながら、わしは知らぬというようなことをこんなところで言われて、たまったものじゃないですよ、局長さんは。だから、あなたは委員会についても、委員会で上げられた決議に対する答弁については責任を持ってもらう。局長が決裁を求めてきた問題については責任を持ちますということを私は明確にしていただきたい。異議ございませんなら異議ございませんと。
○金子国務大臣 余り興奮しないようにしてください。私は別に何も他意はないのですよ。ただ、経済局長がいろいろ話をしてやっているなということは知っておるわけでございますから、何か少し色をつけて向こうと話をしたかのようなことも承知するわけですよ。私は、寺前さんが心配になるように、大きい問題、牛肉あるいは柑橘の自由化とかという問題について、そういう無責任なことを申し上げたりそういう態度をとったりはいたしません。ただ、枠の拡大というのはずっと前から、田澤さんの時代から六品目については大体話を続けておった問題でして、私の時代に始まった問題じゃないのですね。したがって、私も、前からやっていることだから大した問題でなくてそれを続けておるな、こういうふうに見ておったので、全く知らないということじゃなくして、薄々知っておったということでございます。
○寺前委員 私の提起した問題には異議ございませんな。
○金子国務大臣 それはもう御意見のとおり、拳々服膺いたします。
○寺前委員 それを言うといてもらわぬとぐあいが悪い。お互いみんなそう思うておられるやろうさかいに、私ははっきりさせておきます。
 それで、その六品目の問題に入っていくと聞きたいことが全部飛んでしまいますので、横へ置きます。
 せっかく厚生省からもおいでをいただいておりますので、気になる問題からちょっと順番に聞かせてもらいます。
 まず最初に、LL牛乳の問題です。最近ある通信社の情報を読んでおりましたら、LL牛乳について「常温での流通OK ロングライフ牛乳、近く法改正で」という情報が流れておったのです。この問題については長年懸案でございまして、小売業者からもこれをやられたら大変なんだという問題が出ておりましたし、生協の側からも安全性の問題とか新鮮な生乳という問題とか、いろいろ言われておりました。それから酪農民の間からも、積極的にやってくれという意見もあれば、あるいはこんなことをやられたらえらいことになるという意見もある。ともかく世間で非常に大きな騒ぎを含んでおった内容であったわけです。
 そこで、厚生省にお聞きいたしますけれども、現状は、ニュースに流れているように、もう今年度内に結論を出して要冷蔵を撤廃するんだという事態になっているのかどうかをまず御説明をいただきたいと思います。
○瓜谷説明員 お答え申し上げます。
 いわゆるロングライフミルクにつきましては牛乳の保存基準の適用を除外しまして、常温流通を認めよというような御意見がございます。ただ、この問題につきましては、先生御指摘のとおり、現在乳業関係業界を初めといたしまして、各界でこれに対する賛否両論がございます。そこで、私ども牛乳の保存方法、これは一般論でございますが、殺菌後直ちに十度以下に冷却して保存するということは基本的には必要であるというふうに考えておる次第でございます。しかし、新しい技術が開発されまして、いわゆるロングライフミルクというものが現実に少量であるとはいえ要冷蔵というかっこうで現在流通しております。したがいまして、このロングライフの特性をよく勘案しまして、常温流通時におきます食品衛生上の諸問題を調査しております。
 その一つといたしまして、国立衛生試験所におきまして、室温における保存試験その他を行っております。それで、これらの調査結果の報告というものが来る三月末までに一応全部そろう予定になっております。その時点で、これらの結果を踏まえまして結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
○寺前委員 厚生省は、参議院の予算委員会の第三分科会で、昭和五十五年四月二日、要冷蔵の撤廃の問題については酪農行政に非常に大きな関係があるから、したがって農林水産省の意向も十分に踏んまえるという態度を表明しておりました。農水省としてはこの件に関してそれではどうかということですが、五十六年二月二十八日の衆議院の予算委員会の第四分科会で、亀岡農水大臣のときです、「やはり条件の違う酪農業者に対しまして、片っ方の酪農経営がLL牛乳の攻勢に遭えばもろくも酪農を放棄しなければならぬというような実態をみすみす見逃すわけにはまいらない」そういう答弁もなされております。
 現状において、こういう一定の結論、方向が研究機関においてなされてくるという段階において、農水省としては現状においてこれが受け入れられる条件下にあると見ておられるのかどうかをお聞きしたいと思います。
○石川(弘)政府委員 LL問題につきましては、御指摘のように賛否の意見がございますが、その意見を大ざっぱに申しますと、LLの持っております長所と申しますか、比較的保存性が高い、したがって、現在牛乳が他の飲料分野において、たとえば自動販売機等の場合には若干劣勢にあるとか、そういうものがもっと競争力があるのではないかという積極面の評価の方もございます。それから、現在の飲用牛乳の市場の混乱に着目いたしまして、この混乱が新しいLLが大量に流れることによってよりふえるのではないかという御心配の方もございます。それから専売店のように、たとえば自分たちがいま扱っている商品がその他の小売商に取られるのではないかという御心配、いろいろあるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、LLの問題は、いま厚生省から御説明いたしましたような食品衛生上の問題ではございますけれども、やはり新たな商品が参入いたします場合、現在これは要冷蔵ということでもう認められておるわけでございますが、これが冷蔵要件を解かれました場合にさらに競争力が強くなるという意味で、そういう場合にやはり関係者の意向の調整というものの上になだらかに事柄が行われませんと混乱を招くというのが基本でございまして、各関係者の意向を十分調整しながら、現在その対応に努めているところでございます。
○寺前委員 それで、大体調整が調う段階にいま来ているのですか、来ていないのですか。
○石川(弘)政府委員 現段階では、調整がついた段階とは思っておりません。
○寺前委員 時間の都合で次に行きますが、さきの輸入の問題と直接関係があるのかないのか知りませんが、最近BHAの使用禁止の延期という問題が出されてまいりました。これは、ことしの一月三十一日に――昨年の八月にすでに発がん性があるとしてBHAの使用については二月一日以降待ったをかけるぞということを厚生省で明らかにされたと思うのです。国内ではその八月の段階から、それじゃということで二月に向かってずっといろいろ準備が始まってきました。干し魚の分野なんかでは、もう積極的にそういう態勢の中に入ってしまった。ところが、二月一日の前日になってそれが延期をする。理由は、日、米、英、カナダ四カ国の専門家による科学的な検討が行われることになっていて、そして四月にFAOとWHOの専門家会議がなされるから、その会議の結論を待つようにしたいのだ、それまで規制の施行を一時延期するということにしたと思うのです。
 そこで、厚生省お見えですか。私は厚生省にまずお伺いをしたいのです。
 日本の専門機関において結論を出して、そしてそれを受け入れた厚生省として告示をやったと思うのです。外国の方で必ずしもそれを受け入れないからといって延期をするというのは、日本のしかるべき専門の機関が権威がないから外国の意見を待とうということになったのか、日本の機関の権威はもちろんあるけれども、外国との諸関係があって暫時待った方がいいだろうという意味なのか、一体どういう意味でこの延期という措置がなされたのかをお聞きしたいと思うのです。
○藤井説明員 わが国で実験が行われましたBHAの発がん性の問題の提起に関しましては、先生御質問のとおり、四カ国の会議において純専門学者における科学的な検討が行われてきたところでございます。また一方におきまして、EC諸国におきましてもがん専門学者が西独に集まり、純粋な科学的検討が行われてきたところでございます。こうした専門学者の評価から、日本を除く諸外国におきましては、BHAについて規制する必要はないという当面の意見を出してきたわけでございます。しかし、さらに国際的に検討をするために、四月に行われるWHO並びにFAOの合同専門学者会議に全科学的資料を提出し、もう一度さらに検討を行うということを約束されたわけでございます。これはあくまで科学的評価という問題でございまして、わが国におきましてもその評価の時点、国際的な評価の時点を待つことにいたしまして一時延期したものでございます。
○寺前委員 だから、私は聞くのだけれども、日本の専門家の会議の到達した意見が権威がないとでもおっしゃるのですか。ないから国際会議にゆだねて、したがって、国際会議が結論を得るまで待とう、こういうことですか。それとも、日本の到達点に基づいてやった、暫定的にちょっとしばらく、国際的な意見もその間に調整をしてみたい、したがって、その会議で結論がどうなろうとこの会議はもう最終でして、私の方のいままで決めた点はあくまで貫くというのか。そこはちっともはっきりしない。日本の独自において到達した、その内容に基づいて執行しているものを一時延期するというのは、そちらの結論に従うのであって日本の結論には従わないんだという意思表示なんですか、どっちなんですか。
○藤井説明員 わが国の食品衛生調査会の毒性部会におきましてBHAを審議したときの結論がございますが、この結論は、直ちに禁止すべしという見解を申し述べておりません。適当な期間を置いて徐々にやめていく、行政指導をもって中止していくようにという見解になっております。したがいまして、国際的に科学的評価を基本からさらに広くやるというような情勢になりましたときに、必ずしも食品衛生調査会の見解に対して行政が異なった行為をとっておるとは考えておりません。
○寺前委員 そうすると、どういうことなの。一定の到達点に基づいてあなたのところで告示したわけでしょう。そうすると、その告示が、内容が貧弱だから国際的な意見を聞くために延ばしましたというのだったら、それなりに筋がある。しかし、自分のところで到達して自分で告示しておいて、ちょっとよそでいろいろ意見がありますさかいということで待ってくれというのだったら、自分のところに権威がないということを明らかにしないことには延ばす理由にならないのじゃないの。これはいつまで延ばすつもりですか。結論が出るまで延ばすということなんでしょう。その関係がちっともはっきりしない。自分の国の自主性においてやるのかやらないのかという問題なんです。他国との関係においてやるというふうに方針を変えたのですか、どっちですか。はっきりしてください。
○藤井説明員 他国との関係で方針を変えたわけではございません。これはあくまで純粋な科学的な論争と受けとめているわけでございます。したがいまして、四月に行われるこの国際的な会議の資料を十分に検討いたしまして、必要があれば再び食品衛生調査会の議に諮りたいと考えております。
○寺前委員 そうすると、もう一回かけ直すというのは、国際的にいろいろ意見があるからもう一回かけ直すということだな、そういうことになるな。日本の食品衛生調査会ですか、そこはもうちゃんと結論を出してあなたのところに意見を言うてきているのだから、それ以外の意見が国際的に出てきているからもう一回かけるで、おまえのところのいままでの態度ではあかんのやでということなんだな、わかりやすく言ったら。
 こういう問題については、自国の自主性を尊重しなかったら、貿易の自由化の問題との関連で、日本の検査のあり方がどうのこうの言われるたびにぐらぐらさせられると僕は思う。現にあなたのところがこの告示をやったために、たとえば農水省が所管しているところの加工業者の間ではそれで進行させられてきているわけでしょう。二月一日実施を一月三十一日に延期すると言われたって、一月三十一日までそういうふうに準備してきているわけでしょう。そうすると、そういう権威のない運営の仕方をしてもらったら迷惑を受けるのは、農水省、指導する側がこれから指導しにくくなるでしょう。前日になったらどんなふうに態度が変わるかわからぬで政府の言うことなんて、というふうになったらぐあい悪いでしょう。
 だから、私はあえて農水の関係する部門、これはあなた、畜産振興事業団だったらバターを輸入する、そうしたらバターの輸入に関してこういう方向で準備をさせなければいかぬことになるでしょうが。これはいろいろな分野で関係してくる。だから、私はこの事態についてもう一度確認をしておきたいけれども、四月になされる、四月になっての結論があいまいであったら、四月まで延期ということじゃなくてもっと先まで延期になりますな、そういう結果になりますな、そういうふうに確認してよろしいのか。
○藤井説明員 発がん性問題をめぐる科学的な評価という点では、日進月歩が非常に激しいわけでございます。また、わずか半年であってもいろいろな実験結果が提出される予定にもなっているわけでございます。こういった点から、四月の会議においてどのような科学的な事実が出てくるか、現在予測しかねているわけでございます。そういった点から、四月の会議までという形で一時延期の措置をとったという段階だけでございます。
○寺前委員 変化が激しいさかいに変わるんだ。そうすると、あなた、いままで日本の国内でやってきたことがあすになったらまた変化するかわからぬさかいというなら、一回一回信用ならぬということになりますのかいな。そんなことだったらますますもって、業界はそのために、添加物を違うものにかえるために物すごい苦労をしておるのだ。そんな無責任なことをやられた日にはたまったものではない。これはもう一度、あなたのところできちんと自主性のある方針を確立してくださることを私はこの際要望して、次の話に移っていきたいと思うのです。
 大臣は漁業についての専門家ですから、むしろお教えをいただきたいということで質問に入りたいと思うのですが、大臣の所信表明の中に「「つくり育てる漁業」の振興、」ということで、栽培漁業の推進の体制の整備をうたっておられます。積極的に栽培漁業をやっていこうということだろうと思うのです。
 ところが、その話が出ましてから、新聞で、釣り人の間でいろいろ話題が出てきたのです。どういう話題が出てきたかというと、「平たくいえば「この地区には魚が放流してあるから、釣り人はとってはいけませんよ。」」とるときにはお金を出しなさい、そういうことが俗っぽい言葉で新聞にだあっと書かれたわけです。さあ、釣り人の側からいったら、待てよ、釣るところが、ここは放流してある、放流してあるとずっと制限を受けてくるのと違うやるか、あの海の魚を釣るのにどこかの釣り堀に行くみたいにして金を払わにゃならぬのかいな、どこに払うのだ、こういう話が出てきたわけです。こんな栽培漁業ってあったものだろうか。また、漁業協同組合の側から、釣り人から一人一人金を取るってどんなにしてとるんやろか、こういう話。あれをまともに金を払わせるようになったら権利が生まれてきて、漁業補償のときにどんなことになるやろか、こんな話も出てきたわけです。
 ですから、これは釣り人の間でも話題になっているし、漁業者の間でも話題になっている。法案はこれから出されてくるのだから、どんな法案を出されるのだろうかなと思うのですが、いずれにしても、私がお聞きをしたいと思うのは、いまあちらこちらで栽培漁業をやっておられます。放流をやっておられる。だけれども、あの海の魚があの栽培の結果でこんなにとれるようになっているのだとか、目に見えてそういう姿になっているのだろうか。私は、お金を取る話というのは、放流効果がだれの目にも明らかになって初めてお金を取るという話が話題になるものだと思う。現状の栽培漁業の段階で、放流効果もないのに金を取るということを話題にする、そういうような法律をつくるということはちょっと行き過ぎじゃないだろうか、私はそういうふうに思うのです。また、釣り人個々からも取るというようなところも、こんなことは考えられる話じゃないと思うのです。いかがなものでしょう。
○松浦政府委員 今回、水産庁内部で検討いたしまして今通常国会に御提案申し上げたいと思いまして準備している法案は、栽培漁業をさらに一層推進し、また同時に、釣り人とそれから漁業者との間が共存共栄するようにということを考えまして、さような角度からの法制の整備をいたしたいという考え方をいたしておるわけでございます。現実にまた、栽培漁業におきましては、相当の地区において効果が発現されているという状況でございます。
 ただいま先生のお尋ねのありました点につきまして、率直に申し上げますと、この法案のもとになりました報告は、漁場管理制度研究会の報告でございます。その報告の中においてはっきりと「協力金の徴収は放流すれば直ちに行われるのでなく、放流をくりかえし放流効果が発現した段階で行われる。」ということを述べておりまして、この報告書の考え方に基づきまして、人工的に生産された種苗が放流された海域での管理のあり方について制度化したいというふうに考えておりますので、さように御理解をいただきたいと思います。
 また、協力金についても、この報告書によりますと、決して強制的に徴収するといったような気持ちはございませんで、やはり自発的に拠出していただくということで協力金という名前をつけているわけでございます。さような意味で、これも強制的なものではないということで御理解をいただきたいと思います。
 また、釣り人個人から協力金を徴収するのかというお尋ねでございますが、この点も報告書で明確にしておりまして、個々の採捕者からではなく「漁協、遊漁案内業者等ごとに一括徴収する方式をとることが現実的である。」ということを述べておられるわけでございまして、この線に沿って制度化も考えているということでございますので、さような誤解は解いていただきたいというふうに考える次第でございます。
○寺前委員 まだ効果がある段階に、だれの目にもあれのおかげでこうなっているという段階に海の魚はないですよ。やはり海の魚は海の魚ですよ。だから、行き過ぎないように十分に配慮をしていただきたいということを私は御提起申し上げたい。
 同時に、私は沿岸をりっぱに守ることも考えなければいかぬと思うのです。たとえば、まきえでもって海岸線が、私の方なんかでもひどく詰まっているところがありますのや。舞鶴湾なんて有名なんですよ。そこでは海草が生えないという事態まで生まれてくる。あるいは、釣りの糸をつり下げているが、何かにひっかかるとぴゅうっとちぎって、いまの腐らないところの釣りの糸が針をつけたままでいっぱいある。だから、海岸線というのはひどいことになっているところがあるわけですね。
 こういうことを考えると、釣り人の側もそういうところを大切にするというマナーが求められるようになってくる。マナーを確立しようと思ったら、それは一人一人にマナーを言うておったってそう簡単にいかないので、そうすると、団体に入っていろいろ話し合ってくれるとマナーというものは高めることができると思うのです。ところが、そう簡単に団体に入ってくるものではないのですよね。圧倒的に入っていませんよ。そうすると、そういう団体が海岸線を大切にする、そのために宣伝活動、啓蒙活動などをやってくれたら、海を守る上で非常にいいことなんです。だから、そういう団体を援助してやる、そういう活動を援助してやる。あるいはまた、釣りの業者にえさを売るわけでしょう。そのときに適当でないやり方をしてもらったら困るのだから、そういうところに協力してもらう。私は、そういう対策を積極的に組まないと、海岸線がずいぶん荒らされるという問題があると思うのです。
 水産庁は、こういう問題について特別な体制と特別な助成というものを一体どういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
○松浦政府委員 まず、まきえでございますが、確かにまきえはこれを非常に多く使用いたしますと漁業者に非常に迷惑がかかるということがございます。したがいまして、現在二十四都道府県におきまして、都道府県の漁業調整規則によりましてまきえの使用をする釣りを禁止しております。それからまた、海区漁業調整委員会の指示によりまして禁止しているところもございます。今後とも、まきえの使用が禁止されているところでは、その遵守につきまして指導、取り締まりを徹底するということが必要であると思いますし、また、まきえの使用が禁止されていない場所でありましても、特に問題が生じているようなところについては、問題の性質に応じまして適切な措置をとるよう関係業界を指導していきたいというふうに考えております。
 なお、先生第二に御指摘になりました、テグスその他が海岸線に非常に漂着して、そのために漁業者にも影響がある、釣り人のマナーの問題であるということをおっしゃられましたが、そのとおりでございまして、実は私ども水産庁の中に釣りの係がございます。この係を通じまして釣り団体に補助をいたしまして、現実に補助金もございますが、マナーの指導をいたしております。しかしながら、さらに今後の徹底を図りますために、現在ございます釣りの団体に対しまして、この制度改正を機会にさらに一層マナーの向上のための指導を行いますと同時に、また、今回の法律の準備をいたしている段階におきまして、私ども、遊漁案内業者あるいは遊漁案内船というものにつきましての一定の制度、たとえば届け出制というようなことを考えておる次第でございまして、このような案内業者というものを把握いたしまして、そこを通じて釣りのマナーの向上を図るということをやってまいりたいと思っている次第でございます。
○寺前委員 同時に、漁業者にとって頭にくるのは密漁なんですよ。専門的な密漁者がおるのですね。私などもよく知っております。駅前のある安い食堂がありまして、そこの大将が船を持っている。漁業者と一緒ですよ。それで、いかりをおろして底へもぐっていってサザエをとってくる。つかまえに行ったら、いや、御苦労さんと言われてね。それで、下へもぐったらボンベがあり、ちゃんととってあるやつが入れてある。いや、だれか落としていかはりましたな、てなもんですよ。それで、落とし物だから拾って帰って売り先をずっと調べてきたらそいつやということがわかっても、現行犯じゃないから、だれか盗んでやっとるのやということになりますね。県の水産のこういう分野の人は、少数の人間でもう往生しておるわけです。
 これは一番頭にきているのだけれども、本当に何かいい方法がないのですか。一体これからこういう問題についてどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお聞きをしたいと思う。
○松浦政府委員 確かに御指摘のように、沿岸域におきましてアワビでありますとかウニでありますとか、あるいはモジャコといったものの密漁が多発しているのは現実でございます。その違反内容につきましては、あるいは体長制限違反とかあるいは禁止期間違反といったようなことが起こりまして、しかも悪質化、組織化しているといった状況がございます。
 水産庁といたしましても、このような密漁につきましては非常に重要な問題であると考えておりまして、法令違反に対する取り締まりといったことで従来から鋭意取り組んでおるわけでございますが、もちろん海上保安庁あるいは警察、県当局とも緊密な連絡を図って取り締まりをいたしてまいりたいと思うわけでございます。
 特に今回考えておりますことは、これも御提出申し上げたいと思っております法律の内容でございますけれども、何分にも密漁に対する罰金が非常に低いという問題がございます。したがいまして、漁業法制定当時の刑法その他の罰則体系とのバランスによってこれは定められていると思うわけでございますが、このように密漁の被害額が多額に上るという現状におきましては、やはり漁業法上の罰則を強化するということが必要であると考えておりまして、現在の漁業法等の改正法案の中において、この罰金の強化ということを考えておる次第でございます。
 このような対策とあわせまして、法制上の整備を図るとともに、密漁の防止を図るために、さらに今後漁協系統の組織を通じまして漁業者等の法令遵守の意識の醸成強化、あるいは漁業者、遊漁案内業者に対して規則内容を周知徹底させる、さらに取り締まりを強化するといったようなことによりまして密漁の防止を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○寺前委員 いろいろ言われるけれども、現場の人はどうにもならぬと言うておるのです。これはちょっと特別に研究してもらわなければあかぬと思う。
 それで、海の話はまたの機会にしますけれども、要するに、栽培漁業というのは、稚魚を放して育ててまたとってという考えなんでしょう。その稚魚をとるようなことをしたら、何をやっているかわからない。これは、釣り人というよりも漁業者自身もちょっと考えなければならぬ問題がある。
 ちょっと済みません。これを渡してくれますか。――これは、日本海のある港で取引をやっているところの「販売品仕切書」です。あるところの資料です。去年の六月の資料で、ちょっとぐあいが悪いところだけ消してありますけれども、見てもらったらわかりますわ。
 ここで「青子」と一番上に書いてあるのは、ブリの一番小さいもの、ハマチの稚魚です。これをこれだけ取引していますのや。全然味のないものです。その次は「ツバス」、これは食えるようになります。その次には「マイカ」と書いてあるでしょう。これはヤリイカのことで、五十センチぐらいになるのを四、五センチでとってしもうておるのです。その次に「イワシ」と書いて「(海産)」と上に書いてあるのは、アユのことです。海にまだアユがおりますな。それから今度川に上っていく。そんなのをとってしまうのです。「ズワイ」、六月と言ったら禁漁のときです。それから「メンカ」はカスゴ、小ダイの天然稚魚です。「甘海老」、これも禁漁。「小アジ」、上に「(仁丹)」と書いてあるのは、仁丹のように小さい小アジです。
 こんなものを取引しておって、片一方で稚魚を育てて栽培や言うたって、いかぬものはいかぬのでっせ。こういうものが現に取引の場まで出てきているということになると、これは漁業者の中におけるマナーも改善するように全体として考えていくことがいま何よりも重要なのではないだろうか。だから、罰則を強めるのもよろしいよ、それから法律になるのもいいけれども、本当に海岸を全体として守っていくという態度を強めてもらうことが大切なのじゃないだろうかということを意見として申し上げておきたいと思うのです。
 もう時間が参りましたので、最後に一言だけ大臣にお聞きしておきたいのですが、先ほども出たお米の話です。十万トンがやっと年越しの目標になっているというのは、さっきもあったように従来二百万トンを備蓄しようかという話があった、あるいは百万トンでええじゃないかという話があったのに、十万トンというのは大変なぎりぎりの事態を示している数字だと私は思うのです。だから、事態を甘く見たらいけないということを私は率直に大臣に省内に徹底さしてほしいと思うのです。そういうことからいったら、規律どおりにお米を消費地にぱっと届けるということの体制にぴちっと入る、あるいはまた農協にお願いをしてできるだけ保有米も出荷に協力してくれということを要請するとか、それから転作一〇〇%以上、ずっと波の中でなっていくわけでしょう。事態が事態だから、ことしは一〇〇%とまで言わなくてもひとつ協力してくれ。来年はどうなるのか、わからぬのや。米が余っているという一つの流れがあったけれども、来年はひょっとするとえらいことになるかもわからぬ。事態はただごとでないから、もう一度いままでの減反政策や米の需給計画や――あるいは米に対するところの魅力を失って、研究機関も離れていこうという気分になっておるわけでしょう。全面的にいままでの延長線上で来年度も見ておったらいかぬということを僕は省内に徹底してほしいと思う。大丈夫です、大丈夫です、そんなことを言うておったら事態は大変だということをあえて大臣に申し上げたいと思うのですが、いかがですか。
○金子国務大臣 先ほどちょっと申し上げたとおり、新聞の内容を見ると本当にああいうことをやっているのかなと私でも思うくらいですから、いまの寺前さんの御意見は貴重な意見と思います。ひとつ真剣にこれから取り組んでまいりたい。国民に不安のないような対策を立てていきたいと思います。
○寺前委員 終わります。ありがとうございました。
○山崎委員長 次回は、明二十四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十分散会