第098回国会 商工委員会 第14号
昭和五十八年四月二十八日(木曜日)委員長の指
名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した

 エネルギー、基礎素材及び鉱物資源問題小委員
     稻村佐近四郎君    植竹 繁雄君
      浦野 烋興君    奥田 幹生君
      梶山 静六君    島村 宜伸君
      田原  隆君    宮下 創平君
      粟山  明君    森   清君
      渡部 恒三君    上田  哲君
      後藤  茂君    城地 豊司君
      水田  稔君    長田 武士君
      北側 義一君    中野 寛成君
      渡辺  貢君    石原健太郎君
 エネルギー、基礎素材及び鉱物資源問題小委員
 長              浦野 烋興君
 流通問題小委員
      天野 公義君    小川 平二君
      小沢 一郎君    越智 通雄君
      亀井 静香君    木部 佳昭君
      泰道 三八君    中島源太郎君
      野田  毅君    野中 英二君
      鳩山 邦夫君    原田昇左右君
      上坂  昇君    清水  勇君
      中村 重光君    渡辺 三郎君
      岡本 富夫君    長田 武士君
      横手 文雄君    小林 政子君
 流通問題小委員長       中村 重光君
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昭和五十八年五月十日(火曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 登坂重次郎君
   理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君
   理事 森   清君 理事 渡部 恒三君
   理事 後藤  茂君 理事 水田  稔君
   理事 長田 武士君 理事 中野 寛成君
      天野 公義君   稻村佐近四郎君
      浦野 烋興君    越智 通雄君
      奥田 幹生君    梶山 静六君
      亀井 静香君    高村 正彦君
      桜井  新君    島村 宜伸君
      田原  隆君    泰道 三八君
      野中 英二君    鳩山 邦夫君
      宮下 創平君    粟山  明君
      上田  哲君    小川 国彦君
      上坂  昇君    清水  勇君
      城地 豊司君    吉原 米治君
      渡辺 三郎君    岡本 富夫君
      北側 義一君    横手 文雄君
      小林 政子君    渡辺  貢君
      石原健太郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      塩崎  潤君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長     禿河 徹映君
        経済企画庁長官
        官房長     西垣  昭君
        経済企画庁調整
        局長      田中誠一郎君
        経済企画庁調整
        局審議官
        兼内閣審議官  横溝 雅夫君
        厚生省公衆衛生
        局長      三浦 大助君
        厚生省薬務局長 持永 和見君
        農林水産大臣官
        房審議官    古谷  裕君
        農林水産大臣官
        房審議官    船曳 哲郎君
        農林水産省食品
        流通局長    渡邉 文雄君
        食糧庁次長   山田 岸雄君
        通商産業大臣官
        房審議官    野々内 隆君
        通商産業省貿易
        局長      福川 伸次君
        運輸省自動車局
        長       角田 達郎君
        運輸省自動車局
        整備部長    丹羽 一夫君
        労働省労働基準
        局長      松井 達郎君
 委員外の出席者
        外務省経済局国
        際機関第一課長 沼田 貞昭君
        農林水産省経済
        局国際部長   塚田  実君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ─────────────
委員の異動
五月十日
 辞任         補欠選任
  植竹 繁雄君     高村 正彦君
  小沢 一郎君     中川 秀直君
  中島源太郎君     桜井  新君
  城地 豊司君     小川 国彦君
  中村 重光君     吉原 米治君
同日
 辞任         補欠選任
  高村 正彦君     植竹 繁雄君
  桜井  新君     中島源太郎君
  小川 国彦君     城地 豊司君
  吉原 米治君     中村 重光君
    ─────────────
四月二十八日
 中小企業対策の拡充強化に関する陳情書外十一件(美唄市議会議長田中操外十一名)(第二一〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)
     ────◇─────
○登坂委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
○小川(国)委員 今日、わが国の国際関係における貿易摩擦解消のための方策とも考えられます外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部改正法律案が提出されておるわけでございますが、この法案の持つ意味合い、それからその役割り、そうしたことを中心にして当局に質問をいたしたいと存じます。
 最初にお伺いするわけでございますが、この型式承認のいわゆる基準・認証制度の改正というものは国際的な要求に基づくものか、あるいは国内的な対応策として生まれてきたものか、その要因はどういうところにあるか、お聞きしたいと思います。
○塩崎国務大臣 ただいま小川委員御指摘の基準・認証問題はこの法案の形になったわけでございまするけれども、いかなる理由に基づくものかという御質問だと思います。
 御案内のように、戦後どこの国でも、ことに西側の諸国は貿易の拡大を念願してまいりました。戦前はブロック経済というような形で関税障壁によって張りめぐらされました貿易があったために、毎年毎年の貿易の伸びは一%足らずのような状態でございました。戦後は、御案内のようにもう一〇%近く貿易が伸びたわけでございますが、それはまず第一に、一九六〇年から始まりました例のケネディ・ラウンド、そしてまたこれに引き続きます東京ラウンドで、いわゆる関税障壁はなくしていこう、この運動が非常に盛んになりまして、これが世界の大きな潮流になったことは御案内のとおりでございます。そのせいで世界貿易が順調に伸びてまいったことは御案内のとおりでございます。
 さて、関税障壁はこれで一応の成功をおさめた。しかしながら、よく考えてみますと、まだまだ非関税障壁という問題が残っているではないか、関税障壁という形ではないにしてもいろいろの面において貿易を阻害する面がある、あるいは文化に至るまでの問題を含めて非関税障壁を取り上げて、御案内のようにガットで基準・認証の協定ができ上がるような状態になったわけでございます。
 この法案は、世界各国が非関税障壁についても大いに除去していこう、このような流れに乗って私どもは独自の判断から考えておりますところの内外無差別の原則をとってきた、そうして外国の製造業者にも日本の国内の製造業者と同じような地位を与える、これはひとつ非関税障壁と言われるものを排除しようという考え方に日本独自の判断で乗っていったものである、こういうふうに考えております。
○小川(国)委員 日本独自の考え方で出発をしたわけでありますが、その要因は、いまお話しの中にもありましたように、貿易の自由化という大きな世界の流れの中でのそうした対応措置の一つとしてお考えになったと思うわけでありますが、問題はこれとサミットとの関係が世上伝えられているわけでございます。
 中曽根総理の今月下旬のこのサミットへ臨む方針の中に、対応措置の一つにこれが含められているということを承っているわけでございますが、その点はいかがでございますか。
○塩崎国務大臣 サミット会議では、世界の貿易の中で保護貿易主義の台頭を抑えていく、そして自由貿易主義原理を依然として守っていく、これが大きなテーマになることは言うまでもございません。私はまだ総理とも十分な論議をいたしておりませんけれども、これまでの趨勢から見まして、この基準・認証制度の法律の形によるところの非関税障壁の排除を含めて、これまで何回か日本がやってまいりましたところの市場開放措置、これを背後に世界に対して保護貿易主義の台頭を抑制するような方向で論議を進めていくことがサミットの大きなテーマであろう、私はこういうふうに考えております。
○小川(国)委員 その観点はわかるわけでございますが、問題は、この法案の立法に当たって、昭和五十七年一月三十日に政府部内にOTO、市場開放問題苦情処理推進本部というものが設置されて、この法案の一つの前提の要因とも言うべき苦情問題が出されているということでございますが、苦情問題の処理件数というのはそれ以降何件くらいございまして、その中で農水省関係は何件ぐらいおありになったのでしょうか。
○田中(誠)政府委員 先生御指摘のとおり、昨年OTO、いわゆる市場開放問題苦情処理推進本部が発足したわけでございますが、それ以降本年の四月二十八日までの累計を見ますと百十件ございます。これを申し立て者別に見ますと、国内が三十九件、海外が七十一件でございますが、輸入先別に見ますと、アメリカが五十一件、ECが三十三件というのが大きゅうございます。
 御指摘の省庁別でございますが、厚生省関係が一番多うございまして三十八件でございますが、大蔵省二十九件、通商産業省二十五件、農林水産省九件でございます。
○小川(国)委員 こうしたことが一つ前提で今回の法的措置に進んできたと思うのでございますが、農水省関係で見ますと、肥料、農機具、農薬、飼料、農林物資という各般にわたって、この型式承認の中に法改正が含められてきているわけでありますが、この点において米国及びEC諸国における取り扱いは一体どうなっているか、この改正によってわが国の不利益を招くような点はないのか、それからチェック機能への影響はないのか、その点をお伺いしたいと思います。
○古谷政府委員 私どもの局の関係で、肥料と農薬と農機具についてまず申し上げたいと思います。
 肥料につきましては、わが国におきましては御案内のように登録制度をとっておるわけでございますが、アメリカの場合には連邦政府による統一的な登録制度というのはございませんで、州によりまして登録制度が設けられているものがあるというふうに聞いております。それからECにつきましては、ほとんどの国ではそういう登録的な認証制度はなく、いわゆる規格なりをつくりまして、その規格に対して適合することあるいは表示義務というものが行われているようでございます。ただ、肥料につきましては日本からの米国、ECへの輸出という実績がございません。そういう状況でございます。
 それから農機具につきましては、わが国から輸出されました農業機械について米国、ECでは、いわゆる性能に関するテストを行っておるわけでございまして、これは日本と大体同様でございます。したがいまして、現在ではわが国の業者から直接申請が可能である。それから試験内容につきましてもOECDのテストコードというものがございますので、これは国際的に大体統一されたテストの基準みたいなものがあるというふうに理解しております。
 それから農薬につきましては、アメリカにつきましては連邦政府によります登録制度、これは環境保護庁に直接申請するというふうな形になっておりまして、この場合には今回改正をお願いしておりますわが国における措置と同様に、いわゆる代理人を置いて申請しろというふうなことになっているようでございます。それからECにつきましては、これはいろいろあるわけでございますが、たとえば西ドイツにつきましては州政府の許可を取得しろというふうな形になっております。
 今回の改正によりまして、肥料と農薬につきましては登録申請を外国製造業者が直接できるというふうなことになったわけでございますが、これは先生御承知のように、従来から農薬、肥料につきましては外国からの輸入品、これは輸入業者が登録申請していくというふうなことになっておりまして、この問題については特に問題もございませんでしたし、輸入登録の際の安全性のチェックというのは国内品と全く同様に行っているわけでございます。この点は、今後製造業者に直接申請を認めましても同じようにやっていくということでございますので、いわゆる安全性問題については従来と同様に対処していきたいと思っております。
○小川(国)委員 私は、この型式承認の問題とあわせまして、この際、わが国の大きな問題になっております貿易摩擦、それから農産物輸入問題について各省庁の見解をただしたいと思うわけであります。
 まず、貿易摩擦と言われるものは一体どういうことなのか、その貿易摩擦の原因というものはどこにあるのか、この点について外務省、通産省、経済企画庁、それぞれの担当者からひとつ所見を承りたいと思います。
○田中(誠)政府委員 貿易摩擦ないし経済摩擦の原因でございますけれども、幾つかの要因が複合しているかと考えられます。
 まず第一には、何と申しましても世界経済が、このところ若干明るい傾向が見えておりますが、同時不況の中にございまして景気が大変停滞していたということが大きな背景にあろうかと思います。そうした中で失業率が大変高い状況にございます。現在、先進国でありますOECD諸国の失業者数は三千万人を超えるという状況にございまして、それが貿易面での摩擦の大きな背景をなしているということかと思います。
 加えまして、二回の石油危機がございまして、産業構造の面でもことに先進国の対応がおくれているという状況にございます。これが日本の商品の輸出と競合いたしまして摩擦の大きな原因になっているということかと思います。
 これら幾つかの要因が複合いたしまして現在の貿易摩擦の原因になっているのではないかというふうに考えております。
○福川政府委員 ただいま経済企画庁の方から御答弁ございましたように、経済摩擦あるいは貿易摩擦と申してよろしいかと思いますが、これは輸出あるいは輸入のあり方につきまして、二国間あるいは複数国、多国間の間での見解の相違というようなことで、それにつきましての政策的な対応を求め合うということであろうと思います。
 日本とアメリカあるいはヨーロッパの場合でございますと、大きく言うと二つの局面があろうかと思います。
 一つは、日本がかなり大幅な貿易の黒字を抱えておるという状況のもとで、いま企画庁から御答弁ございましたように、アメリカの非常な不況ということの中で日本の輸出が悪影響を与えているのではないであろうかという一つの見方でございます。これにつきましては、たとえば自動車の例にございますように、日本として輸出自主規制というようなかっこうで相互の話し合いということで解決をしていこう、こういうことであろうかと思います。
 また一方は、日本の輸入のあり方に関してでございますけれども、日本も先生御高承のとおり、累次市場開放策を実施してまいって市場開放に努めておるわけでありますが、依然として日本の輸入がふえない、こういうことから、もっと市場を開放すべきではないか、あるいはまた日本の市場のあり方につきましても、水際のみならずもう少し中の問題、たとえば流通機構とかあるいは今回御審議いただいております検査・認証制度、こういった諸問題も絡めまして、日本はどうしたらもっと輸入がふえるのであろうか、こういった局面があろうかと思うわけであります。
 私どもといたしましては、こういった摩擦の問題というのは、やはり考え方としては拡大均衡という方向で持っていくべきではないであろうかというふうに思っているわけでございまして、そういうわけで、最近石油価格が引き下げになったわけでありますが、世界の経済を活性化していく、こういう方向で努力していくべきであろうと思いますし、世界経済全体の運営という中で先進国が協力をしていって経済の発展を図っていく、こういう方向で吸収できないか、また日本の方もできる限り市場を開放して拡大均衡の方向でこういったあり方を解決していく、こういうことができないかということを基本の考え方としておるわけであります。
 もちろん、それぞれ産業の実態、いろいろな問題がございますから、実情に応じてそれを具体化していくわけでありますが、考え方といたしましては、いま申し上げたような局面で対応すべきではないか、かように考えております。
○沼田説明員 ただいま経企庁、通産省の方からそれぞれ御答弁がありましたとおりでございますけれども、私ども、このような問題に対処をしていくに当たりまして、一方において自由貿易体制を維持していくことが非常に重要であるという認識のもとに、また他方において世界経済の再活性化を図り、経済の拡大を図っていくということも重視しつつ、これに対処していきたいと考えておるわけでございまして、特に前者の自由貿易体制を維持していくという努力を進めていくに当たって、わが国として率先して市場開放努力を続けていくことが重要と考えている次第でございます。
○小川(国)委員 各省のお考えはわかったわけでありますが、その貿易摩擦と、今度は農産物輸入の問題の関連が出てくるわけでございます。
 そういう中で、たとえばわが国の残存輸入制限農産物というものが二十二品目あるわけでありますが、これの開放とか、あるいは牛肉やオレンジの自由化あるいは輸入枠の拡大、こういう要求が出されてきているわけでありますが、この貿易摩擦の中で農産物輸入というものに一体どう対処されるお考えを持っているか、これもひとつ各省庁、順で御答弁いただきたいと思います。
○塚田説明員 お答えいたします。
 ただいま市場開放問題の重要性につきまして関係各省からお話しがあったところでございますが、これと農産物の輸入の問題でございますけれども、私ども農林水産省といたしましては、こうした問題の重要性に留意をしつつも、農産物につきましては国内農産物の需給動向等を踏まえ、食糧の安定供給の上で重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であるというふうに考えておるわけでございます。
 それで、残存輸入制限品目につきましては、当省所管で御指摘のように二十二品目ございます。そこで、この二十二品目でございますけれども、これは御茶内のようにわが国農業の基幹をなす作物であったり、地域的に重要な作物を対象として行われているものでありまして、私ども農林水産省といたしましては、これらの作目につきましては国内の需給事情を考慮しながら、国内生産で不足する分を輸入割り当てするということによって計画的な輸入を図っているところでございます。しかし、確かに二十二品目という数自体は多いではないかというような御指摘もありますけれども、農産物貿易に関しては欧米各国とも相当な国境保護措置を講じており、日本だけが輸入制限を行っているわけではございません。
 そこで、残存輸入制限品目についての自由化問題でございますけれども、御指摘の牛肉、オレンジにつきましては現在日米間で交渉を継続中でございますけれども、私ども農林水産省としては自由化をすることは全く考えておりません。
○小川(国)委員 農水省の考え方としては当然のこととして私もうなずけるわけでございますが、いま特に貿易摩擦の中で農産物をめぐる問題が日米間あるいは日本、EC間でも問題になってきているわけであります。
 そこで、これはきょうは塩崎経済企画庁長官もお見えでございますから、含めまして御答弁をいただければと思うのですが、アメリカの残存輸入制限品目というのは精製糖の一品目ということになっているわけですが、農業調整法に基づきましてガット上の義務免除を獲得して合法的に輸入制限が認められているものは、酪農関連製品では十三品目、それから食肉では食肉輸入法に基づいて二品目について輸入制限措置を行っているわけであります。こういったアメリカのいわばガット上の義務免除を得たこの措置、こういうものについてどういうふうに評価されるか、どういうような見解を持っていらっしゃるか、これをまず通産省、それから経企庁の方に伺いたいと思います。
○福川政府委員 いま先生御指摘のように、アメリカにおきましてウェーバーを取得いたしまして諸措置が講ぜられておるわけでございます。また、それはそれなりにアメリカの国内事情を反映した措置であろうかとは思いますが、私どもといたしましては、もちろん本来貿易は自由貿易体制ということが好ましいということでございますから、できる限り自由化する方向が好ましいというふうに思うわけでありますが、それはそれぞれ、それぞれの国内のいろいろな事情から、できる限りその範囲の中で進めていくということであろうと思うわけであります。
 いま、日本の農産物のあり方、輸入のあり方についていろいろ御指摘ございまして農林水産省の方から御答弁がございましたように、日本としては友好国との関係にも留意しながらも、もちろん需給関係あるいは日本の農業の実情等を踏まえまして適切な対応をしていく、あるいはまた日本の農業の事情を十分アメリカに説明していくということが必要であろうというふうに思うわけでございます。
 もちろんその過程で、私どもとしてはできる限り自由貿易体制ということが本来のたてまえであろうと思うわけでありますが、アメリカのとっておる措置あるいはECのとっております国際的な諸措置、ここらを勘案しながら、いま申し上げたようなかっこうで農業のあり方ということについて十分好ましい方向を見出していくということが必要であろうというふうに思うわけでございまして、いろいろアメリカのとっております諸措置ということについては常に問題も指摘しておるというところでございます。
 いま申し上げましたような関係で、幾つかいろいろな諸事情を考慮しながら、私どもとしては日本の農業の実情を踏まえたあり方を探求していくべきではないか、かように考えておる次第でございます。
○田中(誠)政府委員 ただいま通産省から御答弁があったとおりでございますが、アメリカの農産物のウエーバーの取得は、もう先生御存じのとおり、一九五五年アメリカの農業調整法によりまして特例措置としてとられた措置かと考えております。したがいまして、いわゆる自由貿易という原則から申しますと、アメリカのウエーバーの取得というのは現存する唯一のものでございまして、従来ガットの場におきまして各国から問題ありという提起がなされていることは事実でございます。
 ただ農産物につきましては、食糧の自給と農家の保護という二つの側面がございまして、各国とも特別の事情を持っているということかと思います。ただ、先ほど通産省からも御答弁ございましたように、今後自由貿易の原則にはのっとりながら、そういった点を踏まえて対処してまいりたいというふうに考えております。
○小川(国)委員 これは特に私がこの点を取り上げましたのは、いま対日開放要求の非常に厳しいアメリカが一九五五年、昭和三十年の三月五日、これはアイゼンハワー大統領とかあるいはベンソン農務長官の時代において獲得したガット・ウエーバーであります。しかし、ガット・ウエーバーの獲得以前のアメリカというのは、非常に弱い農業部門である酪農製品の輸入制限を行ってきた。そして、オランダからガットへの提訴を受けて敗れ去っている、こういう歴史を持っているわけです。しかし、このガットに提訴され、敗れたアメリカが、この後においてガット史上前例のない無期限でかつ品目を特定しない、こういうウエーバー条項をかち得たわけであります。当時わが国も、アメリカのウエーバー条項獲得に賛成の一票を投じている、そういう歴史的経過があるわけであります。
 翻って、いまわが国に加えられている牛肉、オレンジの自由化要求、これは大変厳しいものがあるわけでありますが、このアメリカがガット・ウエーバーを獲得してきた歴史、その中において日本の果たしてきた役割り、これから考えますと、これは塩崎長官の地元も愛媛県ということでミカンの産地でございまして、当然畜産もおありでございましょうし、牛肉、オレンジの自由化要求の中でこれが開放できない状況というものは、アメリカにおいてすらこういう酪農なり畜産なりを守らなければならない、自国の農業が維持できない、そういう状況の中でアメリカは昭和三十年にガット・ウエーバーという条項を確保して今日に至っている。それは既得権として今日も厳としてアメリカは持っているわけです。そういう立場のアメリカが対日要求の中では、これの全面開放なり二十二品目の開放なりを求めるような厳しい要求を日本に突きつけている。
 いかに貿易摩擦の問題があろうとしましても、農業という自国の食糧を確保するための施策ということは何物にもかえがたい各国の施策としてあるわけでして、そういう観点からいうなら、食糧確保ということを考える日本農業の立場からこの開放に安易に応ずることはできないという事情は、当然わかってしかるべき問題ではないかというふうに考えるわけですが、この点について長官はどういうような御見解をお持ちであるか、承りたいと思います。
○塩崎国務大臣 私は、ただいま御指摘の小川委員の御意見と全く同意見でございます。
 自由貿易主義の原則、これは最も大事な世界の貿易憲章だと思うのでございますが、その中でもまず第一に、私は、農業だけは特別な扱いが世界的に確立されている、それがいま御指摘のガットの包括的ウエーバー条項だ、そこに農業だけは特別扱いをしてもいいのだという思想があらわれていると思うのでございます。
 第二に、農業の問題は、世界各国の地域的な事情と非常に密接な関係がある、これは尊重すべきであるというふうに考えるわけでございます。わが国にもわが国独自の農産物がございますし、この点については容易に自由貿易主義の原則が適用されない面があって現在のところはしかるべきではないかというふうに考えております。
○塚田説明員 ガットのウエーバーの問題について農林水産省としてお答えいたします。
 先生御指摘のように、アメリカは昭和三十年に酪農品等を含めまして十三品目のガット・ウエーバーを取って、現在輸入制限を行っているところでございます。ここ二十年さかのぼってみましても、かかるガット・ウエーバーを取った国はほかにないわけでございます。アメリカだけがウエーバーを現在取得できて輸入制限を行っている、そういう状況にございます。
 ですから、私どもから見れば、アメリカがガット・ウエーバーを取ったのは歴史的な偶然にすぎないというような考え方を持っておりまして、日米協議の際、米国はわが国の牛肉、オレンジについてガット条約違反であるというような主張をいたしておりますけれども、私どもはそれに対して、アメリカ自体のこのウエーバーが取れたのも歴史的な偶然にすぎないではないか、農業はそれぞれどこの国においてもなかなかむずかしい条件にあって、そうしたものが輸入制限になって反映しているのだということで、いろいろ反論しているわけでございます。
 そこで、国際的に見てもこのウエーバーについてはいろいろ議論がありまして、現在ガットの場において作業部会を設けて、アメリカのウエーバー十三品目について関係各国の間で討議が行われているという実情にございます。
○小川(国)委員 ただいまの私の質問に対する通産省、外務省の見解も、この際承っておきたいと思います。
○福川政府委員 ただいまウエーバーの関連でお尋ねがあったわけでありますが、これまでも農産物の問題というのは、日米間あるいはガット等の場でいろいろ議論が行われているわけでございます。また、米国が取得いたしました沿革等につきましてはいま農林水産省の方からお話があったとおりでございまして、私どもとしても、アメリカのこの問題についての指摘という点についてはそれなりに政府全体として行っているところであるわけでございます。
 日本自身の農業につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように友好国との関係にも留意しながら、需給動向あるいは日本の食糧の自給の必要性といった点を十分考慮しながら、双方で自由貿易という大きな原則の中でどのようなあり方をしていくかということが必要であろう、かように考えている次第でございます。
○沼田説明員 アメリカのガット・ウエーバー取得の経緯はすでに先生から御指摘があり、またいままでの答弁にもあったとおりでございますけれども、ガットの観点から若干補足させていただきますと、昨年のガットの閣僚会議におきまして、農業問題をガットとしてより一層取り上げていこうということの一環としてガットに農産品貿易委員会、農業委員会というものを設けて、これから作業を進めていこうということになっております。
 この農産品質易委員会をつくるに当たりまして、わが国としては、各国がとっているいろいろな農業面の措置について、それがガット上合法的なものであっても非合法的なものであっても、すべて一括して取り上げて検討していくべきであるという立場をとっておりまして、先ほど来御指摘のありますアメリカの農業調整法に基づいてのウエーバーということについても、この農業委員会の検討において今後ガット上の議論がいろいろ行われていくものと考えております。
○小川(国)委員 その中で私はもう一点確認したいわけでありますが、わが国はアメリカのガット・ウエーバーを単にアメリカの僥幸として見逃してよいかという点は依然として問題としてあると思うのです。やはり、アメリカのガット・ウエーバー戦略というのは、わが国の農産物輸入制限の主張と農業保護の本質においてはいささかも変わるものではない、こういうふうに考えるわけであって、その点では、今後長官におかれても各省庁におかれても、この主張をアメリカに向けて堂堂と披瀝すべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。
○塩崎国務大臣 いま御指摘のような方向で考えていくべきだと考えております。
○塚田説明員 お答えいたします。
 アメリカのガット・ウエーバーの問題につきましては先ほど御答弁申し上げましたけれども、現在交渉継続中の日米協議において私ども、その問題点をかなり詳しく、厳しく米国側に指摘しているつもりでございます。
 そこで、米国側の出方いかんにもよりますけれども、今後ともこの点については強く主張していきたいと思っておりますし、それから、先ほど外務省から御答弁がありましたように、ガットで新設されております農産品委員会の中で、ことしの秋から国別に農業保護措置を審査することになっているわけでございますが、そのような場もかりましてこの問題について農林水産省として主張してまいりたい、このように考えております。
○福川政府委員 アメリカのガットのウエーバーの点につきましてはいま先生御指摘のように、あるいはまた農林水産省からも御答弁ございましたように、日米協議あるいはガット等のマルチの場で十分その問題の指摘をし、わが方の立場を説明しなければならないと思っておるわけであります。
 もちろん、今後のこの農産物の輸入の問題につきましては、わが国全体の農業の実情あるいは日本がいろいろとっております市場開放措置、こういったものを十分説明をし、理解を得ながら、適切に対処しなければならないと思いますし、また、農産物につきましては、いろいろ関係国との友好関係に留意しながらも、国内農産物の需給動向等を踏まえながら、食糧の安定供給ということで重要な役割りを果たしております日本の農業の健全な発展と調和のとれた形で行うということが必要でございますので、そういう立場で関係省庁とも十分協議の上適切に対応してまいりたい、かように考えております。
○沼田説明員 お答えいたします。
 アメリカのウエーバーの問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、ガットの場における農業問題全体についての議論において、わが国の立場を踏まえつつ対応していきたいと考えている次第でございます。
 また、農産物の市場開放問題につきましては、先ほど来の各省の答弁にもございますように、わが国の農産物の需給動向等を踏まえて、食糧の安定供給という重要な役割りを果たしているわが国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であると考えておりまして、そのような立場を踏まえて日米間の協議に対処していきたいと思っている次第でございます。
○小川(国)委員 ちょっと、通産と外務にもう一遍ただしたいのですが、わが国の食糧安定供給と調和のとれた形ということですが、これは食糧安定供給の確保を前提としてというふうに私どもは受け取るわけでございますが、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○福川政府委員 あるいは私の答弁が舌足らずだったかもしれませんが、私どもとしては、食糧の安定供給の上で重要な役割りを果たしておりますわが国の農業の健全な発展と調和のとれた形で行われる、かように考えている次第でございます。
○沼田説明員 お答えいたします。
 私どもといたしましても、いま通産省の福川局長から答弁のありましたのと同じ考えに立ってやっている次第でございます。
○小川(国)委員 次に、EC諸国との関係におきましても残存輸入制限品目の問題が、フランスで十九品目、西ドイツで三品目、イギリスで一品目あるわけでございます。そのほか共通農業政策に基づく課徴金制度では、穀物を初めとして乳製品、肉類、果実、野菜、砂糖、主要農産物のほとんどの品目に及んでこの課徴金制度というものが実施されているわけであります。
 このEC諸国の輸入課徴金制度というのは、EC域内の農産物の価格支持のために輸入農産物に対しまして、穀物類で平均一・五倍、牛肉で二倍、バターで四倍、こういう課徴金をかけているわけであります。また、農産物の輸出につきましては、一九八〇年で総額七十九億ドルの補助金の交付をしているわけであります。このためにEC諸国は、課徴金制度で輸入を閉ざす、輸出補助金で第三国の市場を侵す、これがアメリカ初めオーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、アルゼンチン、南米諸国から抗議を受けて、ガット二十三条二項の申し出を受けて日本以上の批判を受けているわけであります。
 このことは、やはりEC諸国も、国内農業の保護政策として食糧の自給確保の手段としてはやむにやまれぬ政策としてこの制度をとりつつある、こういうふうに考えるわけでありますが、各省庁の担当者あるいは長官はこの政策をどういうふうに評価しているか、日本のあり方と対比してその御見解を承りたい。
○塩崎国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、アメリカのガットの包括的ウエーバー条項と同じように、ECがこのような課徴金あるいはいろいろの補助金をとっておりますことは、やはり農業については自由貿易主義の例外である、特殊な扱いをしなければならないことの反映である、全世界でこのようなことがないことが望ましいのですけれども、いまとっておられるやむを得ない措置である、こういうふうに考えております。
○塚田説明員 ECにつきましてただいま御指摘がありましたが、確かにECは穀物、酪農品、食肉等約六十品目に相当いたしますけれども、について御指摘のような高率の課徴金を課して輸入を防遏しているところでございます。残余の品目、産品についてもまた、必要に応じて各加盟国単位で輸入制限を行っている実情にございます。
 このことは、ただいま経済企画庁長官からも御答弁がありましたように、基本的には、米国、カナダ、オーストラリア等の農産物の大輸出国に比べまして、ECの農業が規模の面、経営の実態の面で競争力が弱い、それから農業人口もかなり多く、農業が社会的な重要な役割りを果たしている、そういうようなことも含めてEC農業の実態を反映したものであろうというふうに考えております。そういう意味で、御指摘のように農業はいずれの国でも、土地条件、自然条件等が違うわけでございますから、そういう状況を踏まえた国境保護措置がとられているというふうに考えております。
 わが国は、先ほど御指摘がありましたように残存輸入制限、まあ輸入制限でございますが、これは最も確実かつ有効な保護の手段であるというふうに農林水産省としては考えております。
○福川政府委員 ECの共通農業政策につきましては、いま御指摘がございましたように約六十、課徴金制度をとっておるわけでございます。この点につきましては、いわゆるECの共通農業政策といたしましてそのほか、たとえば統一価格制度を導入するとかあるいは農業指導保証基金を設けるといったような農業政策の一環としてとられておる措置でございます。またECの、国によって若干数字は違いますけれども、残存輸入制限品目も、たとえばフランスを例にとりますと十九、西ドイツで三、あるいはイギリスで一といった残存輸入制限品目が残っているわけでございます。
 これをいかに評価するかという点につきましては、確かにECの農業の実情というものを反映している諸制度でございますが、このようなECの共通農業政策がまた、アメリカあるいはカナダ等からいろいろと問題が指摘されていることも事実でございます。先ほど申しましたように、この保護主義の高まりということの中で、原則としてはできる限り自由貿易という体制が好ましいわけで、アメリカあるいはカナダ等々からECの共通農業政策のあり方についていろいろ問題が投げかけられておるわけでございますが、実態はいま農林水産省の方からお話があったように、ECの農業の競争力あるいは農業の実態、これを反映した政策であるというふうに思うわけでございます。
 もちろん、EC自身も競争力を強化するというようなことで自由貿易の方向へ進んでいくということが好ましいわけでありますが、そういったいまの実情の中で、その全体の農産物の貿易のあり方をどのようにして拡大均衡の方向に持っていけるかということを模索していく必要があるというのが現在の実情でございまして、私どもも、先ほど農林水産省からございましたように、現在の諸制度というのはそれなりにいまのECの農業の実情を反映した制度であるというふうに理解せざるを得ないのではないかと思っております。
○沼田説明員 お答えいたします。
 ECの共通農業政策の内容、またECがそういう政策をとるに至っております沿革、ECの各国の事情というようなものは、すでに農水省から御答弁があったとおりでございますけれども、ガットの場での農業の議論を考えますと、一般的に申しまして、ガットの規則というものが工業分野に比べて農業分野においては必ずしも十分に徹底していないという意識がございます。
 これはもちろん、いままでの答弁にもございましたように、各国それぞれ固有のむずかしい事情が農業についてあるということに起因しているわけでございますけれども、このような状況のもとにガットの締約国全体で、ガット上の農業のあるべき姿をさらに探求していくという観点から、先ほど申し上げましたガット閣僚会議におきまして農産品貿易委員会というものをつくって、今後この分野においてのガットのあるべき姿をさらに探求していこうということになっているわけでございまして、その中で、ただいま先生から御指摘のございましたECの共通農業政策、具体的には輸入品に対する可変課徴金であるとか、あるいは農産品の輸出補助金の問題等も一つの検討対象となって検討が加えられていくこととなると考えております。
 このガットの農業委員会というような場における検討におきまして、わが国としては、先ほど来農水省からも答弁しております、わが国の立場を踏まえつつ農業についてのガットの規則のあるべき姿をいかにしていったらいいかというような観点から、この作業に参画していきたいと考えている次第でございます。
○小川(国)委員 ただいままでの御答弁を通しまして、主要な先進国においてはいずれの国も、農産物貿易の輸入制限について国境保護措置を講じている、こういう実態についてはお認めになっておられるわけでありますが、これについて各省庁とも、わが国の国境保護措置というものを具体的にどのようにお考えであるか。端的に申しますれば、この国境保護措置の必要性の有無、その方策についてもうひとつ所信を述べていただければ、こういうふうに思います。
○塚田説明員 わが国農業を守るという立場からの国境保護措置でございますが、その一つの有力な手段は、先ほど先生も御指摘のように残存輸入制限品目、農林水産省所管で二十二品目あります。そのほか国境保護措置として私ども、関税がございます。関税につきましても、私どもの日本の農業は非常にむずかしい実情にありながらも、これまでガットの場でのケネディ・ラウンド、東京ラウンド交渉等を通じまして引き下げてきたところでございますけれども、しかしながら関税保護も重要な手段でございまして、私どもの農産品をめぐる関税率と申しますのは、先進各国と比べて、確かに米国よりは高いことは事実でございますけれども、日本の農業の実情から見れば妥当な高さであるというふうに考えております。
 そういう意味で、日本の農業を保護するという立場からは自由化は非常に困難でございますし、また関税率も、個別にはいろいろございますけれども、一般的に言えば、現在の関税率を維持することが適当であろうと考えております。
○福川政府委員 まず一般論で申してみますと、いま、戦後世界貿易が発展してまいりました背景には自由貿易体制、ガット・IMF体制というのがあったわけでございまして、国境的な保護措置、これは先ほどお話がございましたように、関税面あるいは輸入割り当てといったような措置がございますけれども、これをできるだけ自由にしていこうということで戦後の世界貿易が発展を遂げてきたわけでございます。
 最近は、世界の不況によりまして保護的な措置というものが蔓延しそうな懸念がございまして、現在も、昨年のガットあるいは今回開かれておりますOECD等でも自由貿易は守ろうということで、各国首脳が政治的な決意を固めて保護主義に対して闘おう、こういうことにいたしておるわけでございまして、私どももいわゆる自由貿易体制ということが望ましい、かつての保護措置、保護競争ということに行った、かつての大恐慌へと導いた教訓にまつまでもなく、できる限り自由なあり方が望ましいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、わが国も非常に不況が深刻な中で、できる限り拡大均衡の方向に持っていきながら自由貿易を守るということが本来であろうというふうに思っておるわけでございます。
 ただ、そこにも、いまいろいろ先生が御指摘になりましたように、アメリカ、ヨーロッパを初めといたしまして、それぞれの国にいろいろ事情があるわけでございます。もちろん日本も大きな経済力を持つに至ったわけでございますから、国際経済に十分なる貢献を果たさなければならないわけでございますけれども、いま、いろいろ個別の産業等に関しましては、それぞれの実情に応じた形でいま申し上げましたような原則を適用していくということでございまして、特に農産物の問題に関しましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○田中(誠)政府委員 ただいま農林水産省、通産省から御答弁のあったとおりかと思いますが、農業につきましては、すでに先生からも御指摘がございましたように、各国とも特殊事情を抱えておりまして、関税なりあるいは輸入制限といった国境的な保護措置をとっているところでございます。原則といたしましては自由貿易を推進するというのが世界経済の拡大的な発展のために必要でございますけれども、各国の持っている事情については十分勘案していく必要があるのではないかというふうに考えております。特に、農産物についての需給状況あるいは農業の健全な発展との調和をいかに考えていくかというのが大きな課題ではないかというふうに考えております。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
○沼田説明員 お答えいたします。
 ただいま農水省、通産省、経企庁からそれぞれ御答弁があったとおりでございますけれども、一方において自由貿易体制をさらに維持強化していくということの必要性を踏まえつつ、他方において、先ほど来お話のありますように、農業について各国固有の事情を抱えているという状況において、そのバランスをどこでとっていくかというような観点から、私どもとして、先ほど来申し上げておりますようなガットの作業等も踏まえてこの問題に対処していきたいと思っております。
○小川(国)委員 いわゆる国境保護措置の問題につきましては、おおむね各省庁とも前向きの姿勢でこれに対処しておられるということがうかがえるわけであります。もちろん通産省においても、わが国の貿易拡大という前提で物をお考えだ、これはもう当然のことと思うわけでありますが、ただその辺で、先ほど来議論になっております農産物貿易におけるアメリカあるいはEC諸国のとっている国境保護措置、こういったものの実態は十分御認識をいただいて対処をしていっていただきたい。これはひとつ要望として申し上げておきたいと思うのです。
 最後に、日米の農産物をめぐる自由化要求、枠拡大の交渉は現在も継続中であるわけで、さらにまたこれからも、これはサミットにも引き継がれていくであろうというふうにも考えられる、そういう前提で私はただいままで質問を申し上げてきたわけであります。
 ただしかし、重ねて重大な問題点として牛肉とオレンジの問題、これについては、先ほどから長官が十分いろいろ御認識され、御理解されているということを私どもも承っているわけであります。ただ問題は、これは国と国とのかなり大きな問題として発展してきているように思うわけであります。それだけに、いまアメリカの要求どおり、数億ドルの牛肉、数億ドルのオレンジ、これは百五十億ドルから二百億ドルという日本の貿易の輸出入の枠から考えてみれば数%にすぎない数字であるわけです。しかし、この数億ドルの牛肉やオレンジが貿易赤字の解消に一体どれだけ役に立つのか、あるいは貿易摩擦の解消にどれだけ役に立つのかという点は、率直に私ども非常に疑問に思っておるわけであります。むしろ、数億ドルのこの数字が日本の畜産あるいは園芸農家に与える影響というものはどれほど大きいか、はかり知れないものがあろうかというふうに思うわけです。仮にこの三分の一の値段の牛肉が輸入されたとしても、日本の肉用牛が二百二十八万頭、この飼育が半分の百万頭になってしまったら、これをもとに戻すということは容易でないというふうに私は思うわけです。牛は一年一産しか産まれないわけでございますから、百万頭仮に減らしてしまった牛を百万頭新たに生産しようといっても、これはやはり十年ぐらいかかる。それからミカンにしましても、桃クリ三年カキ八年ではございませんけれども、ミカンの成熟した木というのはやはり十年、二十年の歳月を経ている。これを減産して半分仮に切ってしまったら、もとに戻そうとしても、やはり二十年、三十年の歳月をかけなければミカンの木は成熟した木にはならないわけであります。
 そういうことから考えてみますと、やはり、いまアメリカがねらってきているのは日本の大家畜であり、それから永年作物としてのミカンである、こういうふうに考えております。これは一遍崩壊したら、もとに戻すのにやはり十年、二十年の歳月を待たなければその回復ができないという問題点を含んでいると思うのです。恐らく長官もサミットの会議に参画されると思うわけでありますが、そういう中ではやはり貿易自由化の中、貿易摩擦の中での障害を取り外していくという今回のいろいろな事務レベルでの御努力は、私はそれなりに評価されると思うわけでありますけれども、こういった日本農業の本質にかかわる問題については、日本の国家百年の大計なり農業百年の大計に立って考えれば、これは決して貿易摩擦の解消にもならなければ、日本としては決して譲ることのできない基本線である、このことは十分踏まえて各国との交渉なりサミットに対処していただきたい、こういうふうに私は考えるわけでありますが、その点についての御所見を承ります。
○塩崎国務大臣 私もたびたびお答え申しましたし、各省からも御意見がございました。いま小川委員が御指摘のとおり、農業問題は、大変重要な自由貿易主義原理の時代でありながらやはり特別に扱いをしなければならない、各国には各国の特殊な農業の事情がある、しかもまた、いま農業の置かれました状態の深刻さ等を考えますと大変むずかしい状況にある、こんなような考え方でございます。そしてまた、そのような考え方でいま農水省を中心といたしましてアメリカとの交渉に当たっているわけでございます。このようなことは、何と申しましても政府の大きな方針でございますから、サミットにおいても引き継がれる、こういうふうに私は確信いたしております。
○小川(国)委員 終わります。
○森(清)委員長代理 吉原米治君。
○吉原委員 私は、今回提案の外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案、この法案の中の道路運送車両法の一部改正について重点的にお尋ねをいたしたいと存じます。
 最初にお尋ねをしたいのは、改善措置の内容、簡単でいいですから御説明を願いたいと存じます。
○角田(達)政府委員 今回の道路運送車両法改正の中身自体は、先生御案内と思いますが、現行法でも外国事業者による型式指定の取得ができるものと解釈しておりますけれども、自動車に関しましては、輸出入の不均衡の拡大に伴いまして、近年、その市場開放措置について欧米諸国からの要請が高まっております。
 こういうような国際経済情勢の環境のもとで、自動車の認証手続が内外無差別であるということをはっきりさせる、これが一つでございます。
 それからもう一つは、型式指定を取得した事業者に対しまして、立入検査や報告徴収、こういうものが拒まれた場合に罰則を適用することが事実上困難でございますので、そういうような場合には型式指定の取り消しの処分をすることができる、こういうことが法律自体の改正の中身でございまして、その法律を改正いたしますという決定のほかに、三月二十六日の基準・認証制度等連絡調整本部で決定しました内容、これは簡素化の内容でございますが、これは大きく分けまして二点ございます。一つは、型式指定の要件、手続の簡素化でございます。もう一つは、安全基準の緩和の問題、大きく分けますとこの二つに区分されるわけでございます。
 まず最初に、型式指定の取得のための要件、手続の簡素化の内容でございます。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
 第一点は、従来、新車とそれから耐久走行車二台を呈示させておったわけでございますが、そのうち新車だけにいたしまして、耐久走行車二台――これは現在は、運輸省の要求する走行方法によって三万キロ走行したもの、安全関係について一合、それから排ガス関係についても、運輸省の要求いたしました走行方法によって走行した耐久走行車一合、こういうものを呈示させておったわけでございますが、耐久性を証明するデータが提示されれば耐久走行車二台の呈示は不要とする、これが第一点でございます。
 第二点は、型式指定を取得するためにいろいろな試験をやりますが、その試験のデータにつきまして、日本とほぼ同等な基準で試験をやった場合にはそのデータをもってかえることができる、これが第二点でございます。
 第三点目は、そのほか諸元表の記載項目等につきまして書類の簡素化を図る、削減等をいたしまして簡素化を図る。
 以上が型式指定の要件、手続の簡素化の中身の概要でございます。
 それから、安全基準につきましては、これはヨーロッパあるいはアメリカ等から従来要求がありました項目につきまして、安全性を損なわないという前提のもとで今回十一項目程度、安全基準の調和を図った、こういうことが今回の決定の中身でございます。
○吉原委員 概略説明を聞いたわけでございますが、私の認識では、欧米との貿易摩擦の解消問題、この大きな原因として指摘をされておるのは、わが国の基準・認証制度そのものが市場の閉鎖性やあるいは不公正さを象徴しておるものである、こういうふうなきめつけがなされているように聞いておるわけでございます。本来、わが国のこれらの制度の持つ目的、趣旨に悪影響をもたらすことになってはならぬ、こう心配をしておる一人でございますが、そういう観点では、欧米諸国も純粋な国内政策として、事故防止あるいは安全の確認あるいは健康問題も排ガス規制等であるわけでございまして、そういう事故防止やら健康あるいは安全の確保を図る基準・認証制度の存在そのものを非難しておるのではない。また、その安全基準を緩和すべきであるということは言ってないというふうに私は理解をしておるのです。そういう理解で間違いございませんか。
○角田(達)政府委員 いま先生お話しの外国からの要求でございますが、これは確かに先生ただいまおっしゃいましたように、安全そのものあるいは公害の防止そのものについてこれを否定する、こういうような態度ではございません。
 ただし、安全につきましてもあるいは公害の防止につきましても、それぞれ日本なりあるいはアメリカなりあるいはヨーロッパ諸国なりそういうところで、それぞれの国情あるいは車社会の発展の度合い、そういったようないろいろな要素によりまして基準自体が異なっております。アメリカはアメリカの公害基準、安全基準を持っておりますし、わが国はわが国なりの基準を持っておる、ヨーロッパはヨーロッパなりの基準を持っている、こういうことでございまして、そういう安全基準等につきましては、これは車というものがいろいろ国際的にも流通いたしますので、基準の緩和を図らなければいけないという空気、これは国際的にもそういう共通の認識がございまして、基準自体の調和といいますか、そういう問題についての努力というものはなされているわけでございます。ECEの会議で、これに日本もアメリカもヨーロッパ諸国も参加いたしまして、基準自体の調和への努力は重ねられているわけでございます。
 先ほど御説明しました安全基準の今回の緩和のための措置、これはやはりアメリカなりヨーロッパなりから、日本もこういう項目についてはこの程度にしていいんじゃないかというようないろいろな要求がございまして、それにつきまして個別に、安全性を損なわない、いまの安全の水準を維持するという観点から検討を加えて三月二十六日の基準・認証制度等連絡調整本部の決定の中身というふうにした次第でございます。
○吉原委員 別に私は自動車局長の言葉じりをつかまえるわけじゃないのですけれども、緩和というのは、一つの制度を緩めるという意味合いでしょう。あるいはそうではなくて、いま微妙なお答えをされておりますが、調整とか調和とかいう――緩和と調整、調和というのは意味合いが違うと思うのですよ。
 そこで私は、諸外国とは環境が違う、道路事情も違う、そういう中で、従来運輸省が省令で決められておる安全基準、このものを一体どのように今後手直しをされていこうとされておるのか。私が聞いている限りでは、最初に使った緩和は従来の規制を緩めるという、そういうふうに理解をしておるんです。したがって、従来の規制を緩和するということは、勢い国内の交通事情に悪影響を及ぼすんじゃなかろうか、こういう懸念を持つのは当然だろうと思います。いま、緩和というのと調整あるいは調和という答弁を局長はされましたが、どう違うのか、ちょっとお答え願いたい。
○角田(達)政府委員 私どもの本心といいますか本意は、緩和という中身ではございませんので、調和という表現を使った方があるいは適切かもしれません。ただ、外国から見た場合には、ある日本独特の基準がありまして、その基準があるために必要な改造をしないと日本に車を輸出できない、こういうような立場にございますので、外国の立場から見た場合には緩和というような感覚でとらえられると思います。しかし、私どもとしては、基準を緩和するのではなくて、ということは安全性を緩和するのではなくて、むしろ正確に言いますなれば、アメリカ、ヨーロッパ並みの基準と安全性を損なわない範囲で調和させていこう、こういうのが本旨でございます。
○吉原委員 続いて局長、それではどういう具体的な安全基準と、あなたの表現をかりますと調和をさしていこうとされておるのか、時間の関係がございますから簡潔にひとつお答え願いたい。
○角田(達)政府委員 これは車体関係、それから乗車装置関係、それから灯火装置関係、それから速度計関係と、大きく分けますと四分類でございますが、車体関係ではまずリアスポイラー、これについての規制の見直し、それから二番目がリアバンパーの端と車体とのすき間の取り扱い、これが車体関係の項目でございます。それから乗車装置関係では、穴あき式へッドレスト。それから灯火装置関係では七項目ございますが、前照灯主光軸調節装置、それから二番目に前照灯の最高光度と配光特性、それから三番目が補助前照灯の追い越し合図、それから四番目が光度の高いコーナリングランプ、それから五番目が異形形状の後部反射器、それから六番目が駐車灯の片側点灯、それから七番目が分割型の灯火器の面積の取り扱い。それから速度計関係では、法定速度超過表示としての速度計計器板の塗色の指定、こういった項目でございます。
○吉原委員 そこで、若干技術的なことで、いま局長から安全基準の見直しをしたいということで数点御説明がございましたが、その中で私は三つの点についてちょっと心配なことがございます。
 一つは、リアスポイラーの問題でございますが、このリアスポイラーの役目というのは、御承知のように、スピードを上げたときに車体が浮上しないような役割りを果たす一つの器具でございます。主としてスポーツカー、われわれの感覚ではちょっと想像のできないといいますか、非常に高速車にいままでつけられておる。従来の国内の安全基準でいきますと、これは改造車の部類に入って取り締まりの対象になってきたものでございますが、このリアスポイラーというのを今度は安全基準の中で認めていくということになりますと、勢い国産車にもそういう傾向が出てくるだろう。そうなってまいりますとスピード感覚に非常に悪影響を及ぼすのではなかろうか。つまり、法定速度以上に実質上スピードを上げておっても、リアスポイラーの作用によってスピード感覚がドライバーに認識をされない。勢いスピードアップ、イコール交通事故、こういうことになっていくのじゃないかという心配が一つございます。
 それから、二つ目はコーナリングランプ、しかも光度の高いコーナリングランプを今後は認めていく、こういうことでございますが、このコーナリングランプは光度の高いものを認めるということになりますと、カーブをする道路上で対向車のドライバーの目に入って安全上非常に問題があるのじゃないか、そういう危惧がございます。これはカーブする方向にランプが作動するわけですからね、しかも光度が高いというのですから、光度が高いランプを認めるということになりますと、曲折しておる道路上では対向車に非常に悪影響を及ぼす、これも交通事故につながるおそれがある。この心配が二つ目です。
 三つ目は、前照灯の主光軸の調整装置を自由化する。外車はヘッドライトをドライバーが上下左右、自由に調整がされるようになっているのです。こういうものを認めるということになりますとこれまた大変なことになる。いま国産車で運輸省が決められておる安全基準の中では、二灯式で一万五千カンデラ、四灯式では一万二千カンデラ以上となっている。ところが外車は、アメリカでは七万五千カンデラ、ヨーロッパでは十一万二千五百カンデラと、比較的高いところに最高制限がしてあるのですね。国内では五万カンデラということになっている。そうすると、外車の光度というものは非常に高いという認識をしなければならない。そこへもってきて、主光軸の調整装置というのがドライバーが自由にできるということになっておりますから、そういう装置を認めるということになりますと、いまの安全基準が崩れてくるのじゃないか。つまり、いま二灯式でも四灯式でも、上向きの場合は百メートル、下向きの場合は四十メートルまで障害物が確認できる。これはもう二段式になって固定されておる。ドライバーがヘッドライトの距離を自由に操作することができないことになっております。そうなってまいりますと、運転席で自由に主光軸の操作ができる、しかも光度が高いとなると、いま日本の国内でやっておる安全基準の方がドライバーとしてもなじんでおるし、その中で外車だけが光度の高い、しかも自由に主光軸が操作できるようなものであっては、安全基準としては適当でない。むしろこういうものは認めないという従来の姿勢の方が正しいのではなかろうか。
 しかも今度、外車をそうするのではなくて国産車もその程度にレベルを上げるのだ、こういうことになってまいりますと、乗用車ではいま、十二ボルトの三十七・五ワットのヘッドライトの球を使っておるのです。大型車などは二十四ボルトの四十ワット、こういう球を使っておるのですが、外車並みに光度を上げるとするなら、これまたいまの各メーカーがつくっておる純正品のヘッドライトの球そのものも変えていかねばならぬ。
 そういう意味では、簡単に前照灯の主光軸の調整装置や最高光度と配光の特性、あるいは光度の高いコーナリングランプなんというものを手直しされるということは、少なくとも日本の交通事情からいって緩和の方向ではなかろうか。緩和というよりも、むしろ交通秩序を乱す大きな原因になるのじゃなかろうか。結果的にはそれが交通事故につながっていく、そういうおそれを持つものですから、リアスポイラーにいたしましてもコーナリングランプにいたしましても前照灯の問題にいたしましても、構造上の三点にわたって私は心配をするのです。
 そういう意味で、ひとつどなたがお答えになりますか、専門家はいらっしゃいますか。
○丹羽政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のありましたような車体関係と灯火類についてでございますが、まず最初にリアスポイラーについての考え方を申し上げます。
 リアスポイラーというのは、近年、特に最近燃費の改善ということが重視されるようになってまいりまして、燃費の向上の対策のために導入されつつあるものでございまして、すなわち、空気抵抗を少なくする、減少させることによって省エネ対策として有効であるという観点から特に開発されてきたものでございます。
 リアスポイラーにつきましては、従来規制また抑制しておりましたのは、取りつけ方によっては走行安定性が増すどころか走行安定性を損なう場合がございますので、そういうようなことを懸念いたしておりましたが、最近のリアスポイラーの傾向でいきますと、いわゆる静止状態と高速走行状態というような八十キロぐらいで走行しているときと比べてみますと、静止状態の荷重の九八%、二%ぐらいいわゆる浮き上がり現象が出てくる。リアスポイラーによって安定性がよくなるのは一%というようなことで、リアスポイラーをつけたからといって走行安定性の効果がきわめて高いというものでは、八十キロないし百キロのところではそういうものではございません。
 しかしながら、リアスポイラーをつければ高速で走れるのだというような気持ちを持たれますときわめて危険でございますので、高速走行時の浮き上がり抑制効果というものはきわめて少なくて、むしろ省エネ的な効果が高いものだというような、いわゆるリアスポイラーの効用だとか適正な使用については十分配慮して指導してまいりたいというふうに考えております。
 次に、灯火類の中でコーナリングランプでございますが、これは先生御承知のように、カーブのときに側方を、回る方を照らすランプでございます。いわゆるコーナーを曲がるときに前照灯は前を向いていますので、側方のところの障害物をなるべく見やすいようにということで、側方の障害物確認のために別に設けられているランプでございます。そういうようなことで、従来はこういうような種類のランプは余り使われておりませんでしたが、最近欧米などでコーナリングランプとして開発されてきたものは、別途に側方照射するようなもの、しかしながら、現行の日本の保安基準ではそういうものに対する特段の定めはございません。したがって、特段の定めがないというのは、その他の灯火類というようなことで規制を受けますので、結果的にはその他の灯火というのは三百カンデラ以下、いわゆる標識に近いような明るさの程度でございますので、三百カンデラであっては側方照射機能といいますか、確認機能を十分に発揮するというわけにはまいらないということから、新しい種類のカテゴリーを定めていく必要があるのではないかということで、前照灯のように何万カンデラというような大きな明るさを持ったものではなしに、数百ないし千から二千ぐらいのところの光度のものが最近開発されてきているものでございます。しかしながら、こういうものにつきましても、他の車への眩惑防止について十分配慮をしながら対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
 それから、最後にございました前照灯がらみの問題でございますが、前照灯の主光軸の調整装置というのは、主光軸の上下方向の調整機能のみを考えております。左右方向の調整は考えておりませんで、いま外国あたりで用いられている前照灯の光軸調整というのは、上向きになるのを下向きにするということで、たとえば自動車が静止状態でありますと真っすぐ前を向いていますが、後ろにお客さんなり荷物を載せますと、後ろが下がって前の軸が上に上がる、軸が上に上がるということはさらに遠いところを照射するような形になって、それで対向車に対する眩惑を助長するということで、そういうようなことのないように、後ろが下がって光軸が上向きになるようなときに光軸を下に向けるというような形での調整装置が最近開発され、また安定した状態で使われるようになってきております。そういうようなことで、さらに上向きにする、また遠いところを照射するというような装置ではございませんので、そういうような光軸調整装置について認めてまいりたい。
 調整装置は、現在のところ自動ではなくて手動でやるようなことになっておるものが多いので、そういうものにつきましては、もしお客さんなり荷物をおろして上にするのを失念していたという場合には、光軸がむしろ下を向く状態になりますので、他の車に対する眩惑というものを逆にふやすということはないだろうというふうに考えております。しかしながら、運転者がそういうことを失念しないように、いま下向きの状態になっているというようなことであれば、実際に車を運転していれば近いところに光軸が向いていますからわかりますが、さらにそれを失念防止するためのインディケーターといいますか、注意喚起というようなものもあわせて考慮していきたいというふうに考えております。
○吉原委員 光度の問題はどうなるのですか。
○丹羽政府委員 お答えいたします。
 前照灯の光度につきましては、二灯式の場合、四灯式の場合につきましては、先ほど御指摘がありましたように、それぞれ一万五千とか一万二千、それ以上というような形でいまの基準ができております。したがって、上の制限というようなものの基準ははっきり明確化してございません。しかしながら、眩惑防止というようなことから見て、片側を五万カンデラ以下にするようにというようなのが従来の行政指導の方向でございました。
 ちなみに、外国では、米国の場合七万五千、それからECの場合は十一万二千五百というようなことになっておりますが、ただ最高光度という明るさだけじゃなしに、配光特性によって対向車に対する眩惑というものもございますので、配光特性を十分勘定に入れて、対向車に眩惑を大きく与えないような範囲で基準の調和を図ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○吉原委員 若干技術的な問題ですから、私の方はあなたから見れば素人かもわからぬ。しかし、この点非常に関心を持っておりますので、私もいささか勉強してきておるつもりです。
 いま最高制限は、国内の場合五万カンデラで行政指導しておるという話を聞いて、私もなるほどと理解をしたのですが、どこを探しても、いわば最高の光度の制限というのは私の調査ではなかった。ところが、五万カンデラで規制をしておるのだ、こうおっしゃればそうかもわからぬ。
 すると、逆に外車の場合は、いま言われたように、七万五千とか十一万二千五百とかいうことで、非常に最高光度が高いわけですね。だから、外車のそういった高い光度に対して国産車、従来安全基準で認めてきておる国産車との調和をどう調整するのか。逆に言いかえますと、国産車も外車並みに光度を上げますと、そうすると上げる方法ですね、上げる方法はどうやって上げるのですか。それは言いかえますと、国産車のコスト高につながっていく可能性があるのじゃないかという懸念もあるのですが、技術的にはどういうお考えですか、光度を上げる、調整をするという場合。
○丹羽政府委員 お答えいたします。
 外車の場合は、たとえばヨーロッパの場合ですと、ヨーロッパの車として生まれたときからそういうような車の目玉、いわゆる前照灯というものが用意されている。日本に持ってくるために前照灯を取りかえるというようなことになりますし、それからアメリカの場合でも、アメリカの基準に合ったような車がつくられて、それで日本のために別の仕様として、日本の光度に合わせたようなランプに取りかえるというのが実態でございます。
 したがって、日本の国産車の場合は、初めからどういう物を用意するかということでございますので、実際には、極端に明るければいいというのじゃなしに、使い勝手のいい範囲、またはコストが極端に上がるようなことのないような状態で推移していくというふうに考えておりまして、明るくてもいいから大きな目玉なり、それからより明るいもので、コストがかかってもいいからそういうものをつくりなさいという主張をするつもりはございません。実際問題としては、従来の形、また配光特性を十分考えた上で、さらに改良されて、安くていいものができれば採用に踏み切っていくということはあるかもしれませんが、国産車の場合に、即コストが上がるような方向に誘導していくというようなことは考えておりませんので、御理解いただきたいと思います。
○吉原委員 いや、私は、コストの問題もさることながら、この際、外車のそういったヘッドライトの光度に国産車も合わせるのですか、どうですかということを聞いているのです。
○丹羽政府委員 お答えいたします。
 最高光度につきましては、先ほど申し上げましたように五万カンデラをめどに行政指導しておりますが、外車との問題で、今度の基準・認証の見直しにつきましても、内外無差別というような原則に立って対応してまいりますので、国産車だけを動かしてはだめだというようなことは無理かと思いますが、実際の運用に当たっては、極端に明るいものを急に持ち出してくるというようなことのないように運用してまいりたいとは思っておりますが、基準上は内外無差別で、外車に認めているけれども国産車に認めないというような差別は、逆差別といいますか、そういうことはむずかしかろうというふうに考えております。
○吉原委員 ちょっと、いまの答弁では納得いかぬので、時間も来ておりますが尋ねたいのです。
 外車のこのヘッドライトの光度はそのままだ、無差別でやりたい。ところが、上下照らす距離は、いままでの安全基準では百メーターと四十メーターに規制してあるのでしょう。ところが、光度の違う国産車と外車と並べて同じ百メートルと四十メートルでは、向こう側を照らす光度が違うわけでしょう。だから、私の言わんとしておるのは――わかりますか、質問の趣旨は。同じ光度ならいいけれども、光度の違うのに、照らす距離は百メーターと四十という規制があるのですが、これはどうするのですか、どうやって外車と国産車との間で交通事故の起こらないように、対向車のドライバーを眩惑しないような技術的なものを考えておるのかということを、いましきりに尋ねておるのです。その点をちょっと。
○丹羽政府委員 お答えいたします。
 百メーターにつきましては、百メーター離れたところの障害物を確認できるようにというような考え方でおりますので、明るい場合は――それは最低基準でございますので、少なくとも百メーター先の障害物が確認できるようにということでございますので、明るくなれば十分その効果を発揮するというふうに考えられます。しかしながら、先生御指摘の対向車に対する眩惑という問題は、単純な明るさだけじゃなしに、その配光特性との関連も出てまいります。したがって、なるべく、左側通行でございますから、右側の方に光が余り行かなくて、真ん中から左を中心に行くような配光特性を持ったランプの形状といいますか、これはレンズのカッティングで相当変わってまいりますが、そういうことで、明るくなったからといって、百メートル先の問題につきましてはさらに確認がしやすくなるというふうには理解できますが、いまの百メートル、四十メートルというのは、最低そういうところが見えるように、障害物が確認できるようにというふうに理解しておりますので、そういうことで、明るくなったからといって障害物が見えなくなるのじゃなしに、むしろそのときの、先生御指摘のように右側の照らす光が漏れていく、そういうようなものの眩惑の問題を十分配光特性でカバーしていきたいというふうに考えております。
○吉原委員 時間が迫ってきますので、もっと尋ねたいのですが、これはひとつ質問が終わっても、あなた、整備部長は専門家ですから、ひとつ考えていただきたい。対向車、対向車と言って、車の対向車はもちろんですけれども、人間もおるわけですよ、歩行者が。あなたは車のことだけを考えて、配光特性を配慮すればいいんだ、こう言っていらっしゃるのですが、歩行者も、人間の目の玉ですからね、だから車だけ考えていまの問題、私はいまのお答えでは少なくとも納得できない。検討をしておいていただきたいと思います。
 それから、今度のこの法案は、外国の自動車製造業、こうなっておりますが、日本資本との合弁会社、または純粋な日本企業で外国に工場を持って自動車を製造するというものも一括含まれておるかどうか。含まれておるとするなら、一度国内で型式認定を取った製品も、もう一回今度は輸入の場合には型式指定の認定を受けなければならぬのかという点を、ひとつ最後にお尋ねしておきたいと思います。
○角田(達)政府委員 今度の御提案申し上げております車両法の改正の直接の目的は、従来必ずしも明らかでなかった型式指定制度の外国自動車メーカー等に対する適用を明確化したものでございます。
 それで、法律案にも書いてございますが、外国において本邦に輸出される自動車を製作することを業とする者またはその者から当該自動車を購入する契約を締結している者であって当該自動車を本邦に輸出することを業とするものも型式指定申請ができることを確認した改正でございます。
 したがいまして、日本の自動車メーカーが外国の資本と合弁をいたしまして、外国の法人がそこにでき上がって車をつくってそれで日本に輸出する場合、この場合には法律上指定外国製作者、こういうことになりまして、そういう法律的な地位を持つわけでございます。
 それから、もう一つ先生のおっしゃいました、日本のメーカーが別法人を外国でつくらないで、外国の工場で日本のメーカーが生産をした車についての型式指定の問題につきましても、これも指定外国製作者、こういう法律的な地位を持ちます。
 それから、もう一つのお尋ねの、日本のメーカーが日本で取得した型式指定と同じ型式の車を外国の工場でつくって日本に輸出する場合、その場合でございましても指定外国製作者、こういう地位に立つわけでございます。
 これはなぜかと申しますと、やはり外国の工場につきましてはわが国の行政権限、管轄権が及びませんので、したがいまして罰則の適用というものが事実上困難になります。そういうようなことから、一番最初にお話しいたしましたように、立入検査あるいは報告徴収等につきまして、そういうことを求めた場合に、日本の国内ですと刑事罰の担保がございまして間接強制ができるわけですが、そういうようなことが外国の工場につきましてはございませんので、今度の改正法によりましては、そういう立場にある者については指定外国製作者というような地位を持ってくる、こういうことでございます。
○吉原委員 それでは、時間が参りましたので終わりますが、いまの手続の簡素化というふうな観点からいいますと、一度型式指定を受けておきながら、たまたまつくった場所が外国であったというだけで、また再度型式指定の認定を受けなければならぬ、これはちょっと矛盾したことではないかという疑問が、いまの答弁では残ります。残りますが、時間が来ておりますので終わりますけれども、この法律は一体いつから実施するかという、最後にその実施時期をお尋ねしたい。特に、実施に当たってはくれぐれも国民の安全あるいは健康、事故防止、こういうものを確保することが大前提でございまして、実施される場合はこのことにひとつ強く留意をされてやっていただきたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。あと、実施時期だけお答え願って、終わりたいと思います。
○角田(達)政府委員 御案内のように、この一括法の施行時期は、公布の日から三カ月以内に政令で定める日、こういうふうになっております。したがいまして、私どもが先ほど来御説明申し上げましたいろいろな簡素化の具体的な中身、これにつきましても、できるだけこの法律の改正の時期に合わせて実施できるようにただいま準備中でございます。そういうような時期におおむねできるようにいろいろと努力している段階でございます。
○吉原委員 終わります。(拍手)
○登坂委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
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○登坂委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○登坂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○登坂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○登坂委員長 次回は、来る十八日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十二分散会