第101回国会 本会議 第9号
昭和五十九年三月九日(金曜日)
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 議事日程 第九号
  昭和五十九年三月九日
    午後一時開議
    昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算
    昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算
 第一 昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書
    昭和五十五年度政府関係機関決算書
 第二 昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書
 第三 昭和五十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
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○本日の会議に付した案件
      昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算
      昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算
 日程第一
      昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書
      昭和五十五年度政府関係機関決算書
 日程第二 昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第三 昭和五十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後二時十九分開議
○議長(福永健司君) これより会議を開きます。
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      昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算
      昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算
 日程第一 昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書
      昭和五十五年度政府関係機関決算書
 日程第二 昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第三 昭和五十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
○議長(福永健司君) 日程第一、昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十五年度政府関係機関決算書、日程第二、昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書、日程第三、昭和五十五年度国有財産無償貸付状況総計算書、右各件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。決算委員長横山利秋君。
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    〔報告書は本号末尾に掲載〕
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    〔横山利秋君登壇〕
○横山利秋君 ただいま議題となりました昭和五十五年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、各件の概要を申し上げます。
 まず、昭和五十五年度決算でありますが、一般会計の決算額は、歳入四十四兆四百六億六千七百万円余、歳出四十三兆四千五十億二千五百万円余、差し引き六千三百五十六億四千百万円余の剰余金を生じております。
 特別会計の数は三十八で、その決算総額は、歳入九十六兆八千八百九十六億一千六百万円余、歳出八十三兆九千四百六十四億五千九百万円余となっております。
 国税収納金整理資金の収納済額は二十七兆七千二百四億二千万円余、支払命令済額及び歳入への組入額は二十七兆六千八百二十億八百万円余となっております。
 政府関係機関の数は十五で、その決算総額は、収入二十兆九千五百八十一億八千万円余、支出二十兆七千五百三十五億四千三百万円余となっております。
 次に、昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書でありますが、増加額は七兆四千百七十五億八千五百万円余、減少額は二兆四百二億八千九百万円余で、年度末現在額は三十三兆六千八百二十六億四千二百万円余となっております。
 次に、昭和五十五年度国有財産無償貸付状況総計算書でありますが、年度末の現在額は五千九百五十六億八千九百万円余となっております。
 次に、昭和五十五年度決算についての会計検査院の検査報告では、不当事項百八十件、意見を表示しまたは処置を要求したもの七件、検査院の指摘に基づき改善の処置を講じたもの十六件、また、特に掲記を要すると認めたもの五件となっております。
 右各件のうち、決算は昭和五十七年八月十八日、国有財産関係二件は同年一月二十九日に、それぞれ委員会に付託されました。
 委員会におきましては、昭和五十八年三月二十二日各件について大蔵大臣から概要説明を、また、会計検査院長から検査報告の概要説明を聴取した後、質疑に入り、政府の予算執行と行政運営に関する重要な問題を中心に審査を行ったのでありますが、その詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。
 かくして、去る五日締めくくり総括質疑を終了し、決算については、委員会審査の内容をまとめて、委員長より議決案を提出いたしました。
 以下、その内容を申し上げます。
 すなわち、
  昭和五十五年度の一般会計歳入蔵出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。
  本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないのは、まことに遺憾である。
 一 昭和五十王年度決算審査の結果、予算の効率的使用が行われず、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。
  左の事項がその主なものであるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会のはじめに、本院にその結果を報告すべきである。
  1 会計検査院の検査の充実強化については、本院において数回にわたり議決を行ってきたところである。
   政府は、会計検査院の検査の充実強化が行政改革との関連においても重要な課題であることにかんがみ、今後とも会計検査の実施に当たっては、その目的が十分達せられるよう所要の措置を講ずべきである。
  2 登記所については、登記簿等の管理の適正を図るため、管理体制の充実強化等必要な措置を講ずべきである。
  3 政府開発援助(ODA)は、経済協力の中核をなすものであるが、その援助に当たっては、相手国の発展的段階、開発ニーズ、我が国との全般的関係等を総合的に勘案しつつ、効果的な援助を積極的に実施するとともに、その予算の執行状況の概要を総合的に把握するよう努力すべきである。
  4 医療保険制度の問題については、国民が適正な医療を保障されるよう十分配慮すべきである。
  5 我が国の民間航空の運航の安全を確保するため、十分に配慮すべきである。
  6 高齢者雇用対策については、第四次雇用対策基本計画における定年延長の促進を図るとともに、技術革新による産業構造の変化に対応した高齢者の職業訓練制度の充実を図るべきである。
  7 住宅・都市整備公団の未入居住宅や保守管理住宅の問題については、早急にその解決を図るとともに、長期保有土地の適正な有効利用を図るべきである。
  8 現在の財政制度の下では、地方公共団体は国の財政運営の影響を強く受けている。
    政府は、地方公共団体の財政の円滑な運営、特に資金繰りについて十分な配慮をすべきである。
 二 昭和五十五年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それそれ是正の措置を講ずるとともに、風紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
  政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。
 以上が議決案の内容であります。
 次いで、決算外二件を一括して討論に付しましたところ、自由民主党・新自由国民連合は、決算について議決案のとおり議決することに賛成、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同は、議決案のとおり議決することに反対の意見を表明されました。
 次いで、採決の結果、決算は多数をもって議決案のとおり議決すべきものと決し、国有財産関係二件は、いずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(福永健司君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一の各件を一括して採決いたします。
 各件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、各件とも委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第二及び第三の両件を一括して採決いたします。
 両件の委員長の報告はいずれも是認すべきものと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり決しました。
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 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明
○議長(福永健司君) この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣坂本三十次君。
    〔国務大臣坂本三十次君登壇〕
○国務大臣(坂本三十次君) ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 ここ数年、雇用問題をめぐる環境は大きく変わりつつあります。すなわち、高齢化社会の進展に伴い、労働力人口の高齢化が急速に進んでおり、また、婦人の職場進出も着実に増加しております。また、雇用の場が第二次産業よりもサービス業において拡大するなどのいわゆるサービス経済化が進んできております。さらに、マイクロエレクトロニクスを中心とする技術革新、素材産業などに見られるような産業構造の転換等が進みつつあります。しかも、このような構造的な変化は、今後とも一層進展することが見込まれる情勢となってきております。
 政府といたしましては、このような変化に的確に対応し、雇用の安定が図られるよう各般の施策を積極的に推進していくことを基本方針としており、特に雇用保険制度において、その効率的な運営を確保して、失業の未然防止と離職者の再就職の促進を図ることが極めて重要であると考えております。
 ところで、このような情勢の変化を背景として、最近における雇用保険の受給者数は年ごとに大幅な増加傾向を示すとともに、高年齢者を中心として再就職をする受給者の割合も著しく減少しており、これに伴い、雇用保険財政も急速に悪化しつつあります。このような情勢にかんがみ、雇用保険制度が創設されて十年を経た今日において、これらの構造的な変化に的確に対応し得るものとするよう、その見直しが必要となってまいりました。
 このため、中央職業安定審議会の雇用保険部会に検討をお願いしておりましたところ、昨年末に、今後における産業構造や雇用構造の変化に対応しながら、失業者の生活の安定を図り、再就職を促進すると同時に、労使の負担をできる限りふやさないことにも配慮した、現行制度の改善の方向が示されたところであります。
 政府といたしましては、この報告書において示された方向及び中央職業安定審議会における論議を踏まえつつ、この法律案を作成し、関係審議会にお諮りした上、提出した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、雇用保険法の一部改正であります。
 その一は、失業給付の額の算定の基礎を変更することであります。現行の失業給付の額は、受給者が失業する前の毎月の賃金に加えて、いわゆる賞与等をも含んだ総賃金を基礎として算定されております。そのため、給付の額が毎月の手取り賃金や再就職時の賃金に比べて割高になっていること、さらに、賞与等の額は、業種、規模による格差が大きく、また、企業の業績によっても変動があることなどの問題があります。これらの点を総合的に考慮して、賞与等を除いて、毎月の賃金を基礎として失業給付の額を算定するよう改めることといたしております。ただし、賃金の低い受給者層を中心に給付額の最低保障額と給付率の引き上げを図ることにより、この改正による影響を少なくするよう配慮しているところであります。
 その二は、給付日数を変更することであります。現行の失業給付の給付日数は、主として受給者の年齢に応じて定められており、比較的短期間で離職する高年齢者を中心として、給付と負担の不均衡が拡大しております。この点を考慮して、給付日数を年齢に応じて定めるという現行の原則は維持しつつも、離職前の勤続期間にも応じて定めることといたしております。
 その三は、給付制限期間を変更することであります。現在、雇用保険の受給者のうち自分の都合によって離職した人たちがかなりの割合に上っております。これらの人たちに離職を決意する際の慎重な判断を期待し、また、離職後の再就職意欲を高めることにも配慮して、給付制限期間を延長することといたしております。
 その四は、高年齢の被保険者の取り扱いを変更することであります。六十五歳以上の高年齢者は一般に労働市場からの引退過程にあり、その就業希望も多様化しているほか、これらの人たちが通常雇用につく機会も極端に少なくなっております。このような事情にかんがみ、六十五歳以上で離職した人たちに対しては、基本手当を支給するかわりに一時金を支給する制度を創設するとともに、六十五歳以降に新たに就職した人たちは、被保険者としないことといたしております。
 その五は、受給者ができる限り早く就職することを積極的に奨励しようとすることであります。このため、早期に再就職した受給者には、一定の手当を支給する制度を創設することといたしております。
 その六は、日雇い労働者に対する給付の改善を図ることであります。一般被保険者についての失業給付の額を引き上げることに伴い、日雇い労働者の給付金を現行の三段階の上にさらに一段階を設け、四段階制とすることといたしております。
 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。
 日雇い労働者の給付金を四段階制にすることに伴い、印紙保険料の額を現行の三段階制から四段階制とすることといたしております。
 第三は、船員保険法の一部改正であります。
 その一は、船員保険についても、雇用保険と同様の趣旨から、給付日数を離職前の勤続期間にも応じて定めること、六十歳以上で離職した人たちに対して一時金を支給する制度を創設すること、早期に再就職した受給者に一定の手当を支給する制度を創設することなどであります。
 その二は、最近における船員保険財政の状況等にかんがみ、失業部門の保険料率を千分の五引き上げるとともに、千分の二を増減した率の範囲内において、厚生大臣がこれを変更することができることとすることなどであります。
 以上が雇用保険法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(福永健司君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。網岡雄君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔網岡雄君登壇〕
○網岡雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず第一に、雇用保険を考える際の前提であります雇用失業情勢に対する政府の対策についてお伺いいたしたいと存じます。
 総理府の統計によりますと、昨年の完全失業者は一昨年よりも二十万人ふえて百五十六万人にも上り、完全失業率は前年より〇・二%上昇して二・六%となっております。これは、総理府が昭和二十八年にこの統計をとり始めて以来これまでの最高でありました昭和三十年の二・五%を上回る最悪の数字であります。
 失業者の内容を見ますと、二十五歳未満の若年層の失業率は高く、男子四・六%、女千四・五%となっており、また五十五歳以上の高齢者男子の失業率は前年度よりも〇・五%上昇して四・三%となっているのであります。我が国の労働統計では、その月の最後の一週間に一時間でも働いた人たちは完全失業者に含まれていないのでありますから、実際の失業者はもっと多く、問題は発表された数字以上に極めて深刻と言わなければなりません。
 そこで中曽根総理にお伺いいたしますが、総理、この深刻な失業の事態は中曽根内閣の経済政策の失敗によって生まれた不況が原因であります。この責任を一体総理はどう感じられておるのでありましょうか。また、事態の改善のためにどのように施策を講じられるおつもりか、お尋ねをいたします。
 また、政府は、昨年十月策定の第五次雇用対策基本計画の中で、昭和六十五年度の完全失業率の目安を二%程度に置くこととしておりますが、本当にこの目標を達成する自信がおありなのでございましょうか。もしあるとするならば、その根拠についても明らかにしていただきたいのであります。
 次に、ワークシェアリングについて御質問いたします。
 この数年来、産業ロボットを初め、マイクロエレクトロニクス技術を応用した最新の機器、システムが工場、事務所、店頭を問わず、雇用の場に広く、しかも急速に導入されつつあります。この新しい技術は、雇用削減能力が極めて高く、このまま放置をすれば失業者の増大を招くおそれがあります。このため、ワークシェアリング、つまり仕事の分かち合いという観点から、大幅な時間短縮や休日の増加などによって完全雇用を目指すべきなどの考え方が広まりつつあります。賃金水準の低下を伴わない形でワークシェアリングを推進するということについて、総理は一体いかなる御見解をお持ちでございましょうか、お尋ねをする次第であります。
 また、この点に関連して通産大臣にお伺いしたいのでありますが、我が国の労働条件が欧米諸国に比べて劣悪であること、例えば低賃金に対する批判とともに、年間総労働時間が欧米諸国に比べ二、三百時間も長いことが貿易摩擦の一つの要因になっており、この点を厳しく批判されているのであります。我が国の労働条例の向上は、欧米諸国との貿易摩擦を緩和するためにも必要なことではないかと私は考えるのであります。いかがでございましょうか、お尋ねする次第であります。
 さて、次に私は、雇用保険財政に関連をして、政府の財政政策のあり方について御質問を申し上げたいと存じます。
 雇用保険法の改正は、雇用保険財政の単年度収支が赤字になっていることが契機となっております。赤字はもちろん放置はできません。しかし私は、それ以上に大きな問題点があることを指摘せざるを得ません。
 昨年十二月の雇用保険部会報代書によりますと、失業給付に対する国庫負担額は、昭和五十八年度において三千七百九億円、五十九年度においては四千五百十一億円と推定されるのでありますが、政府が実際に予算計上した額はそれをはるかに下回り、それぞれ八百億円、千六百億円も低いものになっているのであります。また、五十九年度の場合、改正案により国庫負担額は現行より約五百億円余り節減されるといたしましても、なお千百億円近くの不足が見込まれるのであります。このように異常に過小な予算計上を行ったのは、雇用保険財政の実態を無視し、無理やりゼロシーリングを押しつけた結果にほかなりません。このような財政の運営は、社会保障制度を軽視し、雇用保険法の精神を無視するものと言わざるを得ません。
 そこで、私は、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 このように当初から不足することがはっきりいたしておるにもかかわらず、無理やりゼロシーリングにつじつまを合わせるため故意に過小な予算計上をすることは、財政法上重大な疑義があると思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いする次第であります。
 さらに、五十九年度の失業給付に対する国庫負担が三たび不足を生じ、予備費から受け入れるような事態はないものと確信しておられるのかどうか。もし、受け入れられる事態が生じた場合は、いかなる政治的責任をとられようとするのか、この際、明らかにしていただきたいと存ずる次第であります。
 また、労働大は、あなたは、これらの問題について、担当大臣としてどうお考えなのか、お尋ねをいたします。ともかく、現状では、財政あって国民なし、大蔵省あって労働省なしと言われてもいたし方ないと思いますが、いかがでございましょうか。お答えをいただきたいものであります。(拍手)
 さて最後に、私は、雇用保険法改正の内容について御質問をいたします。
 まず第一に、改正案は、失業給付額の算定から夏期、年末一時金を除外するなど給付水準を引き下げることにしているのでありますが、これは雇用保険財政の赤字解消の負担を弱者である失業者に押しつけようとするもので、大業保険制度の趣旨に反した本末転倒の措置と言わなければならないと思いますが、この点、いかがお考えなのか、お尋ねする次第であります。(拍手)
 第二に、改正案は、高齢者の扱いを大幅に改悪し、六十五歳以上の新規就職者は保険対象から除外し、六十五歳以上の離職者には、失業給付にかえて一時金を支給することとし、保険料免除年齢も六十歳以上からを六十四歳以上に引き上げることといたしておるのであります。これは、年金等の制度的化活保障がないまま、高齢者を無理やり引退に追い込もうとするもので、憲法二十七条のすべての国民は勤労の権利を有するという勤労権を否定するものだと存じますが、この点について、労働大臣の明確な御答弁を賜りたいものであります。(拍手)
 第三に、改正案は、給付日数について現行法では年齢別に一律に定めているのを改め、被保険者期間を加味することといたしております。
 しかし、この際特に指摘しなければなりませんことは、十年前の雇用保険法制定の際は、政府は、給付日数は再就職の難易度に応じて定めるべきであるとして、旧失業保険法が被保険者期間によって給付日数を定めていたものを取りやめ、中高年齢者に厚い年齢別一律支給の制度を導入したという経緯があります。わずか十年足らずして、しかも今日、中高年齢者の就職難は一層深刻になっているにもかかわらず、これをみずから否定しようとするものであります。これではまさに朝令暮改と言わざるを得ません。(拍手)このような御都合主義の政策変更は、勤労国民に著しい不安と政府への不信を抱かしています。この責任についてどうお考えになるのか、労働大臣の所見をお伺いいたします。
 第四に、本改正案は現行制度を根本的に改革しようとするものであるにもかかわらず、民意反映の一つの機関である中央職業安定審議会雇用保険部会での審議をわずか三カ月で強引に結論を出したことは、世論を無視するものとして見逃すことはできません。これほどの改革をするならば、十分審議検討の時間が必要であったと思うのでありますが、この点についてお尋ねをいたします。
 以上のとおり、本改革案は幾つかの重要な問題点を抱えた雇用保険法改悪案であります。この際、政府は、本改正案を撤回し、制度改革について検討し直すべきであると存じますが、総理、労働大臣の簡明率直な御答弁を賜りたいと存ずる次第であります。
 政府の賢明な措置を心から期待しつつ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 網岡議員にお答えをいたします。
 最初の御質問は、雇用の安定を図るための基本政策についての御質問でございます。
 最近の雇用情勢は厳しい情勢がまだ残っておるものの、景気の回復を機に改善の動きが少しずつ見えつつあります。今後におきましても、財政と一体となった適切な金融政策あるいは経済運営あるいは民間活力の増大等々の政策を巧みに組み合わせまして、現在の事態に対応していくつもりでございます。特に、第五次雇用対策基本計画に基づきまして、失業の予防、再就職のあっせん等の雇用対策を推進し、雇用の安定を図ってまいるつもりでおります。
 次に、第五次雇用対策基本計画の目標達成の見通しいかん、こういう御質問でございますが、最近の雇用失業情勢は、なお厳しさを残しているものの、やや改善の兆しを見せておりますが、この勢いに乗りまして、現在の状態を打開するように全力を尽くしてまいるつもりであります。中長期的には、適度の経済成長を維持するとともに、高齢化の進展や産業構造の転換等の構造変化に対応した雇用対策を積極的に推進いたしまして、昭和六十五年度の完全失業率を二%程度を目安としてできるだけ低くするように努力してまいり、目標達成は努力によって可能であると考えております。
 次に、いわゆるワークシェアリングの御質問でございますが、このワークシェアリングの問題は、仕事の量と所得の分配の問題とから合う問題でもございます。もし一定の仕事量といたしますれば、労働者が多くなれば一人当たりの賃金水準が下がる危険性なしといたしません。もし賃金水準を維持するとするならば、いかなる方法があり得るであろうか、そういう問題がございまして、その具体化に当たりましては、我が国の雇用賃金慣行等も踏まえ、労使のコンセンサスの形成が必要であります。今後の検討課題としていきたいと思っております。
 なお、本案撤回の意思はございません。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) 雇用保険制度を改正しても国庫負担額に不足が生じると思われる、予算計上は不足のないように行うべきである、従来も間々そういうことがある、こういう御指摘でございます。
 雇用保険法では、日雇労働求職者給付金以外の求職者給付に要する費用につきましては原則として四分の一を国庫が負担する。五十九年度においては、被保険者期間を勘案した所定給付日数の設定、そして再就職手当の創設等の制度改正が行われる。そこで五十九年度予算における雇用保険国庫負担金は、このような制度改正の効果を織り込んだ後の求職者給付費を積算いたしまして、その四分の一について計上しているものであります。したがって、御指摘のような不足が化じるような事態にはならない、このように考えます。(拍手)
    〔国務大臣坂本三十次君登壇〕
○国務大臣(坂本三十次君) 失業給付に対する国庫負担金の問題と今回の改正の契機についての御質問に対しましてお答えをいたします。
 最近の就業及び産業両面における情勢の変化を背景として、雇用保険の受給者数は年ごとに大幅な増加傾向を示しておりますとともに、高年齢者を中心として再就職をする受給者の割合も著しく減少しており、これに伴い雇用保険財政も急速に悪化するなど、制度をこれらの構造的な変化に的確に対応するものとするよう、その見直しが必要になってきております。
 そこで、今後における産業構造や雇用構造の変化に対応しながら、失業者の生活の安定を図り、再就職を促進すると同時に、労使の負担をできる限りふやさないことにも配慮しながら現行制度を改善することとしたものであります。この結果、五十九年度予算案においては、国庫負担金は前年度予算とほぼ同額となったものであります。今後とも必要な国庫負担金の確保については努力をいたしてまいります。
 給付日額の算定の基礎から賞与などを除くことについての御質問がありました。
 現行の失業給付は、いわゆる賞与等を含んだ総賃金を基礎として算定されております。そのため、給付額が毎月の手取り賃金や再就職時の賃金の額に比べて割高になっていること、さらに賞与等の額は業種、規模により格差が大きく、また企業実績によっても変動があることなどの問題があります。今回の改正案では、このような事情を考慮して、賞与等を賃金日額の算定基礎から除くことといたしたわけであります。
 次に、六十五歳以上の高年齢者の取り扱いについて御質問がありました。
 高年齢者の雇用対策は、今後ますます重要なものとして取り組んでいくけれども、六十五歳以上の高年齢者となりますと、一般に労働市場からの引退過程にあり、通常の雇用につくことを希望する者も著しく減少をしております。このような事情にかんがみ、六十五歳以上で離職した人たちに対しては、基本手当を支給するかわりに一時金を支給する制度を創設することといたしまして、六十五歳以降に新たに就職した人たちは被保険者としないということにしたものであります。
 雇用保険の給付日数を被保険者期間をも考慮したものにすることについての御質問がございました。
 現行の雇用保険の給付日数は、受給者の年齢等に応じて定められているのでありますが、近年、比較的短期間で離職する高年齢者を中心として、給付と負担の不均衡が拡大をしてきております。この点を考慮して、給付日数を年齢に応じて定めるという現行の原則は維持をしながらも、離職前の勤続期間にも応じて定めるということにいたしたわけであります。
 次に、今回の改正は余りにも短期間で結論を急ぎ過ぎたのではないかというような御質問がございました。
 今回の雇用保険制度の改正に当たっては、公労使の三者で構成される中央職業安定審議会の雇用保険部会において、昨年十月から十二月にかけて九回にわたり慎重に検討を重ねていただいたものであります。その間、主要諸外国の失業保険制度も参考としながら、現行雇用保険運営の問題点の分析と将来のこれに基づく改善の方向について熱心な検討をしていただき、報告書が提出されたところでございますが、またその後、中央職業安定審議会においても、この報告書を踏まえ四回にわたり審議が行われたものでございまして、必要な検討が行われたものだと思っております。
 この改正案は、このようないきさつを経て作成したものであり、私としては、できる限り早期にこの改正案により雇用保険制度の改革を図ることといたしてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣小此木彦三郎君登壇〕
○国務大臣(小此木彦三郎君) 貿易摩擦解消のためにも労働条件の改善が必要と考えるが、通産大臣の見解いかんということでございますが、我が国の労働時間が欧米諸国より長いのは事実であります。賃金水準は、米国の水準に比べ低いが、ほぼヨーロッパ諸国並みとなっております。
 そこで、貿易摩擦の原因にはさまざまな要因があると考えられますが、中でも技術革新の進展、設備の近代化等による我が国産業の国際競争力の優位によるところが大きいと考えております。労働条件の改善につきましては、通産省としてその重要性を認識しているわけでございますが、いずれにせよ、労使の自主的な話し合いに任せられるべきものと考えます。
 以上でございます。(拍手)
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○副議長(勝間田清一君) 橋本文彦君。
    〔橋本文彦君登壇〕
○橋本文彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、内閣総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 一国の経済社会において労働者に職場が確保されているということは極めて重要なことであると同時に、その労働者個人にとっても働き場所のあるなしは大問題であり、職を失うことは場合によってはその人の人生をも左右しかねない問題に発展することも、これは論をまたないところであります。しかし、現実は常に失業という問題が存在しております。
 雇用保険法が制定されて十年が経過しようとしておりますが、失業者に保険金を給付して、その生活の安定を図ることを大きな目的としておりました従来の失業保険法に対しまして、昭和四十九年に制定された雇用保険法は、その目的として、単に失業者の生活を安定させるというだけにとどまらず、積極的に失業の予防を高く掲げました。また、不幸にして失業した場合には、職を求める活動を容易にするため、雇用の機会を増大させ、その就職を促進させるものとし、さらに、雇用構造の改善や労働者の能力の開発向上、そのほか労働者の福祉の増進を図る。また、その目的を達成するために必要な事業を行っていく。こうしたことにより、量的にはもちろんのこと、質的な意味においても完全雇用を達成しようとするものであります。ところが、長引く不況により、失業問題は深刻の度を加えつつあるのが実情であります。
 総理は、先ほど景気はどんどん浮揚していると言いましたけれども、本年一月には失業者数は百六十五万人に上っております。完全失業率は二・七三%を示しております。昨年十二月に比較いたしましても〇・一一ポイント上昇しております。とりわけ女子の完全失業率は何と二・八九%の高率を示し、統計史上最悪の数値を示したことが総理府統計局から発表されております。また一方では、一月度における有効求人倍率は〇・六四倍と依然として低迷を続けており、雇用情勢は甚だ厳しい状況下にあることを物語っております。
 こうした不況の中で、雇用保険財政は失業者の増加に伴い急速に悪化し、昭和五十七年度にはついに二百十七億円の赤字を出し、健全財政から赤字財政に転落しております。これは、何ら有効な景気浮揚対策を講じない政府の無為無策による当然の帰結であると断ぜざるを得ません。(拍手)
 この点について、総理は、雇用情勢の厳しい、しかも深刻な現実に対して、国としていかなる景気浮揚対策を講じようとなさるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
 労働大臣にお尋ねいたします。
 第一点は、さきにも申しましたように、雇用保険法が制定されて十年が経過するわけですが、過去の失業保険法が単なる失業給付金の支給を目的としていたのと異なり、雇用保険法は、失業保険制度の全般的な見直しを図って、労働環境、社会情勢の変化にも対応できるよう、そして失業の予防に力点を移した制度として発足したにもかかわらず、現時点においてこの制度が十分機能しているとはどうしても考えられません。雇用保険受給者が年間七万人も増加するという現実、しかも現在の受給者は八十五万人にも及んでおります。この数値から見る限り、制度本来の失業予防という目的を大きく外れていると考えます。失業の増大、ひいては受給者の増大をもたらしている現状をどのようにお考えでしょうか。
 第二点は、今回の改正の意図がどこにあるかということでございます。
 昭和五十七年度に二百十七億円の赤字が出た、本年度はそれを上回る赤字が出そうなどの理由から、赤字に転落したことに重点を置いた、いわゆる赤字財政立て直しあるいは赤字解消のための改正なのか。法案の中身を見ますと、一時的な財源を得るための小手先の部分改正であるとしか思えません。それとも、労働大臣の先ほどの趣旨説明にもありましたように、人口の高齢化、第三次産業の拡大、女子の職場進出などの雇用失業情勢の構造的変化に対応すべく、制度本来の失業予防という大目的をもう一度見直すための制度的改正なのか、この際明確にしていただきたいと思います。
 なお、この赤字転落に関しまして大蔵大臣にお尋ねいたします。
 この雇用保険制度は、失業給付費負担について、国が原則として給付費の四分の一を負担することになっておりますが、例外として、赤字の場合、三分の一まで負担してもいいことになっております。赤字に転落した現在、国は失業給付費について三分の一まで負担するお考えがございましょうか、お尋ねいたします。
 第三点は、将来の雇用の見通してあります。
 第五次雇用対策基本計画は、将来の雇用の見通しとして、完全失業率を二%にとどめるという位置づけをしております。ところが、オイルショック以降現在まで、年々失業者数が増加しております。その中でも高齢者の失業がとりわけ深刻であります。このまま推移するならばこの雇用基本計画は現状に合わなくなり、見直しが迫られることは必定でございます。失業者の増大はすなわち保険給付の増大に必然的につながってまいります。そこで、将来の雇用の見通しをどのように考えておられるのか、将来の雇用政策をお尋ねいたします。
 第四点は、高齢者問題でございます。
 このたびの改正案では、六十歳前半層の高齢者に対しまして、短時間勤務希望者が増大していることに着目し、この六十歳前半の年齢層の受給者を短時間勤務に雇い入れる事業主に対する助成措置としての高年齢短時間労働者雇用助成金制度は、パート労働者に広い門戸を与えるという点では評価できますが、しかし、六十五歳以上の高齢者の失業について基本手当の支給を打ち切ってしまうこと、さらに六十五歳以降新たに就職する場合には被保険者としないなどの理由はどこにあるのでしょうか。六十五歳はいわゆる就労引退年齢なのでしょうか。近い将来高齢化社会が到来することは周知の事実でございます。にもかかわらず、高齢者の労働を国として必要としないあるいは認めないというのは、時代に逆行する施策ではないでしょうか、お尋ねいたします。
 この点については、厚生大臣にもお尋ねいたします。高齢者の雇用政策につきましては、厚生省としても非常な御関係があろうかと思われます。大臣の率直な御意見をお聞かせ願います。
 第五点は、賞与が給付金の算定から外されるという点です。
 賞与は生活給としての性格が今や固定しておりますが、今回の改正では、賞与は総賃金の基礎として算出される範囲から除外されることになります。これでは保険給付金の重大な低落につながり、ただでさえ苦しい失業者の生活を圧迫することになります。改正案の支給最低限度額引き上げでカバーされるとお考えなのでしょうか。納得できません。そこで、賞与を総賃金基礎に算入しないとする理由及び算入しないことによりどれだけ財政上負担が減少することになるのか、お尋ねします。
 さらに、賞与が支払われるときにはこの保険料がきちっと徴収されるわけですが、このように、一方で保険料が徴収されているにもかかわらず、今回の改正では失業給付金算定の対象外とするということは、制度として矛盾することにならないでしょうか。もし賞与を給付の基礎に算入しないのであるなら、賞与からは保険料を徴収しないことが制度としての整合性にかなうと思いますが、いかがでしょうか。
 終わりに、今後ますますマイクロエレクトロニクスあるいはロボット化等の先端技術の発展が見込まれます。したがって、雇用失業情勢の構造的変化はさらに厳しくなることも十分予想されるところでありますが、今回の改正は失業予防という観点からは余りにも近視眼的であり、将来の展望を欠いていると言わざるを得ません。構造変化に対応できる抜本的な制度改正が必要な時期に来ているのではないでしょうか。この点をお尋ねして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 橋本議員にお答えいたします。
 失業対策、景気浮揚対策いかんという御質問でございます。
 最近の統計における失業者数の増大の一つの原因を見ますと、家庭婦人で職業を持ちたいという希望の方がかなりふえてきておるようです。ローンの返済とか子供の教育費とか、そういうことで働きに出たいという意思を持っておる方が職業がない、これがやっぱり数字に出てきているのでふえているということと、それからもう一つは、高齢化社会に伴いまして、これらに対する対策が必要であるように思われます。
 したがいまして、新しい失業対策につきましては、これらの希望を持っている方々に対するニーズに合った職業、職種を推薦したりあっせんするということが非常に重要に思います。そういう点につきましては、今後ともきめ細かい政策を進めてまいりたいと思っております。一般的に、景気を回復して、それによって雇用を増大させるということは常道であると思いますが、今後とも政府といたしましては、機動的な財政経済政策の一体的運用あるいは物価の安定的基調を維持いたしまして、民間需要を中心にして民間活力を増大させつつ内需中心の経済成長を達成いたしまして雇用対策を充実させてまいりたいと思っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) 雇用保険法では、日雇労働求職者給付金以外の求職者給付に要する費用につきまして、原則として四分の一を国が負担する、しかし、その費用の四分の三相当額が一般保険料徴収額を超える場合には、国庫負担率の限度を三分の一として、その超過額を国庫が負担するいわゆる高率負担制度が御指摘のように設けられております。この高率負担分につきまして、五十七年度末に発生したものについては、五十八年三月八日大蔵大臣決定、予備費使用によって措置をいたしております。(拍手)
    〔国務大臣坂本三十次君登壇〕
○国務大臣(坂本三十次君) 現行雇用保険制度が現下の雇用失業情勢に対応し切れていないのではないかという御趣旨の御質問でございました。
 雇用保険制度は、失業者の生活の安定とその再就職を促進し、あわせて失業の予防を図ることを目的として発足したものであります。しかしながら、その後の高年齢労働者の急速な増加、産業構造の転換、サービス経済化、女子の進出等々雇用失業情勢の構造的な変化を背景として、雇用保険の受給者数は年ごとに大幅な増加を示しておりますとともに、高年齢者を中心として再就職する受給者の割合も著しく減少をいたしております。そのために現行雇用保険制度について見直しが必要となり、今後は、このような雇用情勢の変化に的確に対応して失業者の再就職の促進機能を強化するなどして、その効率的な運営が確保されるよう制度自体を改めることが必要であると考えております。
 次に、失業予防等の観点から、より抜本的な制度改正を行うべきであるという趣旨の御質問がありました。
 今回の改正案は、最近の雇用情勢の構造的変化に的確に対応して、離職者の再就職の促進を図るとともに、制度の効率的な運営を確保することを目的にしたものでありまして、中央職業安定審議会雇用保険部会の検討の結果示された改善の方向や、また同審議会の論議を踏まえつつ、中長期的な観点から作成したものであります。
 なお、雇用失業情勢の構造的変化に対処しつつ、失業の未然防止と離職者の早期再就職を図ることは、雇用保険法の改正のみならず、雇用対策全般の目標であります。このため、中央職業安定審議会に雇用対策基本問題小委員会を設け、具体的な検討を進めることといたしております。
 その次の御質問は、今後の雇用の見通しと将来の雇用対策についてでございました。
 最近の雇用失業情勢は、なお厳しさを残してはおるものの、景気の回復を背景に改善の動きを示しており、昭和五十九年度においては完全失業率は低下に向かうものと見込まれております。中長期的には、適切な経済運営により適度の経済成長を維持するとともに、第五次雇用対策基本計画の趣旨に沿って雇用対策を積極的に推進をし、計画の最終年度である昭和六十五年度の完全失業率を二%程度を目安としてできるだけ低くするよう努めてまいりたいと思います。
 それから、六十五歳以上の高年齢者の取り扱いについてお尋ねがありました。
 高年齢者の雇用対策は、今後ますます重要なものとして取り組んでいきまするが、六十五歳以上の高年齢者となると、一般に労働市場からの引退過程にありまして、その就業希望も多様化しているほか、これらの人たちが通常雇用につく機会も極端に少なくなっております。このような事情にかんがみ、六十五歳以上で離職した人たちに対しては、基本手当を支給するかわりに一時金を支給する制度を創設いたしたものであります。しかしながら、就業を希望する六十五歳以上の人たちに対しては、国としても、公共職業安定所における職業紹介活動に努めるほか、全国主要都市において高年齢者職業相談室を設置運営するなど必要な援助は今後とも一生懸命やっていきたいと思っております。
 それからボーナスを給付の算定基礎に含めないことによる失業給付額の減少についての御質問がございました。
 今回の改正では、ボーナスを給付の算定基礎に含めないこととする一方で、低所得者を中心として給付率及び最低保障額の引き上げを行うこととしております。昭和五十九年度予算案では、差し引き約三百五十億程度の城となると思われます。
 ボーナスからの保険料徴収についての御質問がございました。
 保険料の徴収の基礎にボーナスを含むか否かは、給付財源の調達の問題にかかわることでありまして、仮にボーナスを除外して徴収するとすれば、毎月の賃金から徴収する保険料を相当引き上げなければならないことに相なります。したがって、ボーナスを含めて徴収する現行の取り扱いの方が保険料負担のあり方及び徴収方法としては妥当ではないかと考えております。(拍手)
    〔国務大臣渡部恒三君登壇〕
○国務大臣(渡部恒三君) 働く意思と能力のある高齢者にその能力と経験を生かした職の確保を図ることは、高齢者の生活の安定と生きがいのある生活を保障する上で極めて重要であると考えております。このような考え方に基づき、厚生省としては、老人福祉対策事業の一環として、都道府県社会福祉協議会等に高齢者無料職業紹介所を設置し、六十五歳以上の高齢者について就労のあっせんに努めておるところでありますが、今後ともこれら施策の一層の推進に努めてまいる所存であります。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十四分散会
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