第101回国会 本会議 第29号
昭和五十九年六月十五日(金曜日)
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 議事日程第二十五号
  昭和五十九年六月十五日
    午後一時開議
 第一 湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 中曽根内閣総理大臣の帰国報告についての発言
 日程第一 湖沼水質保全特別措置法案(内閣提
  出)
    午後一時三分開議
○議長(福永健司君) これより会議を開きます。
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 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)
○議長(福永健司君) 内閣総理大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣中曽根康弘君。
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 私は、今般、国会のお許しを得て六月七日から九日まで英国ロンドンにおいて開催された第十回主要国首脳会議に安倍外務大臣及び竹下大蔵大臣とともに出席し、引き続き英国公式訪問の後、六月十三日に帰国いたしました。
 ここに、その概要を御報告申し上げます。
 今次ロンドン・サミットは、米国を中心とする景気回復の本格的な進行もあって基調としては明るいサミットになることが予想されていましたが、他方、米国の財政赤字や高金利問題、累積債務問題、自由貿易体制の維持強化等、全世界が注目している重要な問題についての力強い対応が求められるという背景のもとに開かれたのであります。また、国際政治の面においては冷却化した東西関係、イラン・イラク紛争の激化といった事態に対し、サミット諸国がいかに対応するかが注目されていたところであります。
 私は、今次サミットに臨むに当たり各党党首の方々の御意見を承ったところでありますが、経済分野では、自由貿易体制の強化、開発途上国との関係の緊密化、経済の構造調整を図ることによる市場経済機能の活性化、政治面では、経済繁栄の基礎となる平和の問題、西側諸国の結束強化と東西関係及びイラン・イラク紛争等に重点を置き、我が国の考え、政策を主張し、参加首脳との討議に積極的に参加いたした次第であります。
 サミットの具体的成果は、経済宣言、民主主義の諸価値に関する宣言、東西関係及び軍備管理に関する宣言、国際テロリズムに関する宣言の四つの宣言及びイラン・イラク紛争に関する議長声明という形で取りまとめられたところでありますが、これらを通じ今次サミットに課せられた課題は達成され、世界経済の展望に確信を持つとともに、平和へ向けての西側諸国の結束を一層強固なものにし得たと評価する次第であります。
 まず、ロンドン経済宣言についての所見を申し述べます。
 第一に、経済政策全般の分野においては、我々先進諸国がインフレなき持続的成長を一層確実なものとするため、なお格段の政策努力を重ねなければならないことを合意し、さらにその成果を開発途上国に均てんしていく必要性につき意見の一致を見たのであります。この関連で私は、景気が好転した今こそ、中長期の政策目標として財政赤字の削減を初め産業構造改革等の構造調整問題に取り組むべき旨発言した次第でありますが、経済宣言の中で労働市場の硬直性、構造的財政赤字を是正すべきこと、需要と技術変化に対応した産業とサービスの発展を図るべきことなどが合意されたことは、今後の世界経済にとって画期的な合意であると評価するものであります。(拍手)
 第二に、貿易の分野においては、保護主義に対する巻き返しの決意を再確認するとともに、ニューラウンドの重要性並びにこれがための速やかな準備開始の必要性につき、最高レベルでの合意形成を強調した次第でありますが、貿易の自由化を一層進める上でその必要性が確認され、速やかな準備開始へ努力すべきことが確認されましたことは意義深いものがあると考えております。(拍手)本来ニューラウンドに関する諸般の決定は、ガット全加盟国が行うことでありますが、今次サミットにおいて、でき得る限り速やかにその目的、取り組み方及び開始時期につき決定を行うべく、ガット加盟国において協議を行うとの方針が決定されました。これは、これまでの合意よりさらに一歩進んで、ニューラウンド開始に向けて新しい推進力を与えるものと確信する次第であります。私は、サミット諸国のみならず、開発途上国との対話を一層深め、貿易の自由化に向けて努力してまいりたいと考えておる次第であります。
 第三に、開発途上国との関係の問題であります。私は、南の繁栄なくして北の繁栄はあり得ないと確信するものでありますが、今次サミットにおいては、我々先進諸国と開発途上国との関係につき活発な議論が展開され、善意と協力の精神でこれを促進していくとの共通の政治的意思が再確認されたのであります。なかんずく、累積債務問題については、開発途上国の懸念にも留意し、債務国の政治的、経済的困難にも配慮していることを指摘しつつ、国際通貨基金の役割を評価し、また直接投資等債務国への資金の流れを確保することの重要性につき意見の一致を見たのであります。いずれにしても、累積債務問題について積極的に取り組んでいくとの共通の姿勢が表明され、先進諸国においては開発途上国の輸出に対しその市場を一層開放することが必要であり、また、国際的な高金利の是正が開発途上国経済の健全化に必要であるとの認識で一致いたしました。私は、今次サミット直前に多くの開発途上国から我が国に寄せられた要請をも念頭に置きつつ、開発途上国との関係に関する我が国の見解を表明した次第であります。
 経済問題については、以上の三点が今次サミットにおける重要事項であったと考えておりますが、右のほか、国際通貨問題、湾岸情勢との関連における国際石油情勢、科学技術、環境問題等についての意見交換が行われたことを付言いたします。
 次に、政治問題についての成果を御報告申し上げます。
 サミットは本来経済問題についての意見交換の場であることは申し上げるまでもありませんが、この機会に我々先進諸国が直面する当面の政治問題についての意見交換が行われることは、経済政策の基礎となる政治の役割からして極めて自然なものと考えております。私は、今次サミットにおける政治問題の討議においては、経済繁栄の基礎となる平和の達成という見地から我が国の主張を強く展開した次第であります。今回は十回目のサミットであり、一つの節目を迎えたこともあり、サミット参加国が共有する民主主義的価値を再確認した宣言が採択されたのであります。私は、これらの価値の中で、平和の価値が大きく重視さるべきこと、また、その達成のために単に東西関係のみならず全世界的規模での対話の必要性を発言し、また国際紛争解決のための武力の不行使の宣明、非同盟諸国との関係の重視等の見解を述べたのでありますが、これらはこの宣言の中で生かされることになった次第であります。(拍手)
 東西関係及び軍備管理に関する宣言につきましては、現下の東西関係にかんがみ、この宣言が採択されたことは時宜を得たものであり、これは西側諸国の平和への意欲を強く表明したものであり、ソ連が軍備管理交渉に一日も早く復帰することを呼びかけているものなのであります。私は、西側諸国の真摯なる対話の呼びかけがソ連初め東側諸国により正当に評価されることを期待してやまないものであります。(拍手)
 イラン・イラク紛争の激化については、サミット参加国は一様に憂慮の念を持って見守っているところでありますが、イラン、イラク双方と友好関係にある我が国の特殊な地位とこれまでの外交努力にかんがみ、本問題についての私及び安倍外務大臣の発言には各国とも熱心に耳を傾けたところであります。イラン、イラク両国との対話及び各国との情報交換等を通じ和平実現のための環境づくりに貢献するという我が国の意図を各首脳ともよく理解したと考えております。本件紛争解決のためにサミット諸国が一層の努力を払うことにつき意見の一致を見たことは時宜にかなったことであり、この関連で最近国連事務総長による和平への努力が前進しつつあることをこの機会に評価いたしたいと思います。
 国際テロリズムに関しては、アジアにおいてもラングーン事件といった出来事もあり、かかるテロリズムに対してはサミット諸国が断固として闘わなければならないとの見地から我が国の立場を主張いたしました。本件につき今後ともサミット諸国が一層の協力を図るべきことの合意が達成されたことを評価する次第であります。
 以上、今次サミットの成果の概要につき御報告申し上げました。昨年のウィリアムズバーグ・サミットに引き続き今回のロンドン・サミットに出席し、我が国の地位が一段と高まったことを痛感するとともに、我が国に課せられた責任の重さを改めて認識した次第であります。(拍手)特に我が国の最近の経済力、技術力の急速な強化充実及び太平洋地域の経済力の上昇にかんがみ、西欧及び世界の一部からは多少警戒の懸念も生まれつつある折から、私は全世界との協調と共栄を強く訴えるとともに慎重に対処した次第であります。私は、以上の次第を国会を通じて国民の皆様に御報告申し上げ、我が国独自の立場から世界の平和と繁栄に引き続き貢献していく決意を表明する次第でありますへ(拍手)
 次いで、六月十日から十二日まで、私は英国を公式訪問いたしました。
 英国は、長い歴史を持つ西欧の主要国であり、国際社会において高い地位と影響力を保持しております。我が国との関係については、両国は伝統的な友好関係にありますが、さらに世界の平和と安定を追求し、各国との協調、軍縮及び世界経済の活性化を図るとの両国共通の関心を踏まえ、近年政府、民間両レベルの交流が急激に活発化しております。今次訪問では、サッチャー首相と会談を行い、浩宮殿下が御修学中のオックスフォード大学を訪問し、また、国際戦略問題研究所において講演を行いましたが、このような日英両国間の相互理解を深め、一層の関係強化を図る点で大きな意義を有する訪問であったと思います。
 サッチャー首相との会談では、日英政治経済関係の一層の緊密化に合意し、このため、二〇〇〇年グループ日英対話構想の推進と両国政府間の協議、情報交換の強化に合意いたしました。また、産業協力を一層促進することで意見が一致いたしました。
 国際戦略問題研究所における講演では、私は世界の平和と繁栄を図っていくために日本と自由世界がとるべき選択について所信を述べ、日米欧三極の連携とともにアジア・太平洋地域の一員としての日本の立場を強調し、さらに、自由民主主義世界の協力と核軍縮、対話による紛争の解決、そして世界経済活性化と開発途上国への協力等の必要性を強調いたしました。
 私は、今次訪問を通じ、英国と我が国との相互理解及び友好協力関係を一層促進することを希望しておりましたが、この所期の目的は十分達成できたものと確信いたします。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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 日程第一 湖沼水質保全特別措置法案(内閣
  提出)
○議長(福永健司君) 日程第一、湖沼水質保全特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長竹内黎一君。
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 湖沼水質保全特別措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔竹内黎一君登壇〕
○竹内黎一君 ただいま議題となりました湖沼水質保全特別措置法案につきまして、環境委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年における湖沼の水質汚濁の状況にかんがみ、湖沼の水質の保全を図るため特別の措置を講じようとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 まず第一に、国は、湖沼の水質の保全に関する基本構想等を内容とする湖沼水質保全基本方針を定めることといたしております。
 第二に、内閣総理大臣は、水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要がある湖沼を指定湖沼として、指定湖沼の水質の汚濁に関係のある地域を指定地域として定めることといたしております。
 第三に、都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、指定湖沼ごとに、湖沼の水質の保全に関する方針及び下水道の整備等湖沼の水質の保全に資する事業に関すること等を内容とする湖沼水質保全計画を定めることといたしております。
 第四は、指定湖沼の水質の保全に関する特別措置についてでありますが、まず、指定地域内の工場または事業場について、排出水に関する汚濁負荷量の規制基準を定め、湖沼特定施設の新増設に係る排出水がこの規制基準に適合しないと認めるときは、改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるものといたしております。また、指定施設の構造または使用の方法の基準の遵守及び汚濁負荷量の総量の削減等についても規定を設けております。
 本案は、去る三月二十七日内閣から提出され、四月十九日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 本委員会においては、五月八日に上田環境庁長官から提案理由の説明を聴取し、十一日から審査に入り、十八日質疑を終了いたしましたところ、日本共産党・革新共同から修正案が提出され、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(福永健司君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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○議長(福永健司君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十二分散会
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