第101回国会 本会議 第37号
 昭和五十九年七月二十日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十三号
  昭和五十九年七月二十日
    午後一時開議
 第一 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関す
    る法律の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
 第二 日本電信電話株式会社法案(内閣提出)
 第三 電気通信事業法案(内閣提出)
 第四 日本電信電話株式会社法及び電気通信事
    業法の施行に伴う関係法律の整備等に関
    する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 米の需給安定に関する決議案(小沢一郎君外十
  名提出)
 日程第一 原子爆弾被爆者に対する特別措置に
  関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 日程第二 日本電信電話株式会社法案(内閣提
  出)
 日程第三 電気通信事業法案(内閣提出)
 日程第四 日本電信電話株式会社法及び電気通
  信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関
  する法律案(内閣提出)
    午後一時四分開議
○議長(福永健司君) これより会議を開きます。
     ―――――・―――――
○議長(福永健司君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員佐藤洋之助君は、去る七日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る十七日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもってその功労を表彰され さきに逓信委員
 長海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特
 別委員長の要職にあたられた従三位勲一等佐藤
 洋之助君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をさ
 さげます
     ―――――・―――――
 議員請暇の件
○議長(福永健司君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 上田卓三君から、海外旅行のため、七月二十三日から八月四日まで十三日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ―――――・―――――
○古賀誠君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、小沢一郎君外十名提出、米の需給安定に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 米の需給安定に関する決議案(小沢一郎君外十名提出)
○議長(福永健司君) 米の需給安定に関する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。小沢一郎君。
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 米の需給安定に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小沢一郎君登壇〕
○小沢一郎君 ただいま議題となりました米の需給安定に関する決議案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読いたします。
    米の需給安定に関する決議案
  本院は、第九十一回国会において、国民生活安定のため、食糧自給力の強化を図り、わが国の農業・漁業の発展と生産力の増強に向けて政府が万全の施策を講ずるべきことを決議した。
  これに従い各般の施策が推進されているが、わが国の食糧需給関係は必ずしも安定しているとはいえない現状にある。特に、国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米の需給がひっ迫し、また、韓国産米を加工用に充当するなどの施策は国民の食糧行政に対する不安を招いている。まことに遺憾である。
  よって政府は、その責任を厳しく反省し、このような事態を再び繰り返すことのないよう左記の事項の実現を図り、食糧行政に万全を期すべきである。
 一 五十三年産米について臭素による汚染が問題となったが、今後、米の安全性については、基準を定めるなど万全の措置を講ずること。
 一 国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米については、その供給を外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による自給の方針を堅持すること。
 一 米の需給事情のひっ迫にかんがみ、今後の需給操作の万全を期するとともに、米の需給事情に的確に対応しつつ、需給計画について必要な見直しを行い水田利用再編第三期対策の転作面積の緩和については弾力的に対処すること。
 一 国民の主食の安定供給を確保するため、ゆとりある需給計画のもとに、米については不側の事態に備え適正な在庫の積増しを行い、備蓄体制の確立に努めること。
 一 食管制度を堅持し、農業経済の安定と生産者農家の生活の向上のため適正な措置を講ずること。
  右決議する。
以上であります。
 国民の主食であり、我が国農業の基幹作物である米について、その需給の安定を図ることは、国民生活を安定させるための基本的な施策であります。
 本決議案の提出に当たりましては、関係委員会における審議を外し、議院運営委員会の理事各位の間で鋭意協議を重ね、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五党共同提案として提出いたすことになったものであります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(福永健司君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、農林水産大臣から発言を求められております。これを許します。農林水産大臣山村新治郎君。
    〔国務大臣山村新治郎君登壇〕
○国務大臣(山村新治郎君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。
 政府といたしましては、第九十一回国会におきまして食糧自給力強化に関する御決議もいただいておりますので、この御決議も踏まえ、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分に伏しまして、今後とも米の需給の安定に最大限の努力を払ってまいります。(拍手)
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 日程第一 原子爆弾被爆者に対する特別措置
  に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
○議長(福永健司君) 日程第一、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長有馬元治君。
    ―――――――――――――
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
  の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔有馬元治君登壇〕
○有馬元治君 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、原子爆弾被爆者の福祉の向上を図るため、本年六月から医療特別手当の額を月額十万二千四百円から十万四千四百円に引き上げるとともに、医療特別手当の引き上げに準じて特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当及び保健手当の額をそれぞれ引き上げようとするものであります。
 本案は、去る四月三日付託となり、四月五日渡部厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党・新自由国民連合より、施行期日についての修正案が提出され、採決の結果、本案は修正案のとおり多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(福永健司君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ―――――・―――――
 日程第二 日本電信電話株式会社法案(内閣
  提出)
 日程第三 電気通信事業法案(内閣提出)
 日程第四 日本電信電話株式会社法及び電気
  通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等
  に関する法律案(内閣提出)
○議長(福永健司君) 日程第二、日本電信電話株式会社法案、日程第三、電気通信事業法案、日程第四、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長志賀節君。
    ―――――――――――――
 日本電信電話株式会社法案及び同報告書
 電気通信事業法案及び同報告書
 日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の
  施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
  及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔志賀節君登壇〕
○志賀節君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、日本電信電話株式会社法案について申し上げます。
 本案は、今後における社会経済の進展及び電気通信分野における技術革新等に対処するため、日本電信電話公社を改組して日本電信電話株式会社を設立し、事業の公共性に留意しつつ、その経営の一層の効率化、活性化を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とすることとし、また、会社は、国内電気通信事業を営むほか、郵政大臣の認可を受けて、附帯業務その他目的達成業務を営むことができることといたしております。
 第二に、会社の責務として、電話の役務を適切な条件で提供することにより、あまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与するとともに、電気通信技術に関する研究の推進並びにその成果の普及を通じて我が国電気通信の創意ある向上発展に資するよう努めなければならないことといたしております。
    〔議長退席、副議長着席〕
 第三に、会社の株式については、政府は、常時、会社の発行済み株式総数の三分の一以上の株式を保有していなければならないこととし、政府の保有する会社の株式の処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならないこととしております。なお、外国人及び外国法人等は、会社の株式を保有することができないことといたしております。
 第四に、新株の発行、取締役及び監査役の選任等の決議、定款変更等の決議、事業計画、重要な設備の譲渡については、郵政大臣の認可を受けなければならないものとする等会社の監督について所要の規定を設けることといたしております。
 第五に、政府は、五年以内に、会社のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを定めております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、日本電信電話公社法等の廃止及びこれに伴う経過措置の規定は、昭和六十年四月一日から施行することといたしております。
 次に、電気通信事業法案について申し上げます。
 本案は、今後における社会経済の進展及び電気通信分野における技術革新等に対処するため、電気通信事業に競争原理を導入することによりその効率化、活性化を推進するとともに、電気通信事業の公共性にかんがみ、電気通信役務の円滑な提供を確保し、及びその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、電気通信事業者が取り扱う通信の秘密の保護、検閲の禁止を規定するとともに、利用の公平及び重要通信の確保について定めております。
 第二に、電気通信事業を、みずから電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する第一種電気通信事業と、第一種電気通信事業者から電気通信回線設備の提供を受けて電気通信役務を提供する第二種電気通信事業とに区分しております。
 このうち、第一種事業については、電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと等事業の安定性、確実性を確保するため、事業の開始には郵政大臣の許可を受けなければならないこととし、また、その料金については、利用者にとって適切なものとするため認可に係らしめております。
 また、第二種事業については、原則として届け出で事業を開始できることとしております。ただし、特別第二種事業、すなわち、不特定多数を対象とする全国的、基幹的事業及び外国との間の事業については、その開始を郵政大臣の登録に係らしめております。
 第三に、政府は、この法律の施行の日から三年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、必要な措置を講ずるものとしております。
 なお、この法律の施行期日は、昭和六十年四月一日としております。
 最後に、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の主な内容を申し上げますと、
 第一に、新会社に移行後も共済制度を適用することとするほか、会社の労働関係については労働三法によることとなりますが、労調法の附則において、調停に関する暫定的な特例措置を定めることとしております。
 第二に、有線電気通信法及び電波法等の関係法律中、公衆電気通信業務の一元的運営を前提とする規定について引用部分の削除等所要の改正を行うこととしております。
 第三に、日本電信電話公社及び公衆電気通信役務等の用語を引用している関係法律について、その用語の削除等所要の改正を行うことといたしております。
 なお、この法律は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。
 以上が三法律案の概要であります。
 この法律案は、去る五月十日本委員会に付託されるや、三法律案を一括議題とし、五月十七日奥田郵政大臣から提案理由の説明を聴取した後、六月二十日質疑に入り、七月六日に公聴会を開会して六名の公述人から意見を聴取し、同月十三日には参考人を招致して意見を聴取いたしました。また、同月十七日には内閣委員会、地方行政委員会、商工委員会及び物価問題等に関する特別委員会の四委員会と、翌十八日には大蔵委員会及び社会労働委員会の二委員会とそれぞれ連合審査会を行い、昨十九日は中曽根内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど慎重な審査を進め、同日質疑を終了いたしました。
 三法律案のうち日本電信電話株式会社法案並びに日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対して、それぞれ自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の三党共同提案に係る修正案が提出され、三法律案及び修正案に対して討論を行い、採決を行いましたところ、いずれも賛成多数をもって、日本電信電話株式会社法案は修正案のとおり修正議決、電気通信事業法案は原案のとおり可決、また、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、三法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(勝間田清一君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。中村正男君。
    〔中村正男君登壇〕
○中村正男君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました電電改革三法案に対して、反対の立場から意見を表明するものであります。(拍手)
 私は、討論に先立ち、まずもって、今回の電電改革のために、真に国民のための電気通信事業の確立を目指し全国から寄せられた一千八十万余名の熱い請願署名をいただいたことに対して、心から感謝を申し上げるものであります。(拍手)
 さて、今日の急速な情報化社会の進展は、コンピューターの発展と電気通信の融合を通じ、キャプテンシステムの実現、VAN、データベース、INS構想など多彩なニューメディアが驚くべき速度で進んでいます。このことは、政治、経済、社会、文化、人間生活にさまざまな形で深くかかわり合いを持ち、大きな影響を与えつつあります。私たち日本社会党・護憲共同は、こうした社会的状況から、百十余年の歴史を持つ電電公社の改革、電気通信事業の今後のあり方については、何よりも国民の利益、利用者へのあまねく公平なサービスを向上させることを優先し、いかなる時代を迎えようとも、通信の公共性の確保、情報国際化時代に対して通信主権、国益を守ること、たゆみなき先端技術の開発など具体的な政策を今日まで国民の前に提起してきたことをまず明らかにしておくものであります。
 しかし、今回提案された三法案は、国家的責務を担って日本の電気通信事業をここまで発展させてきた電電公社を一気に民営化し、同時に、全分野に競争原理の導入を強引に推し進めようとするものであります。これは、財界主導の臨調答申に基づく行政改革として拙速に行おうとしているものであり、後世に極めて重大な危惧を残すものと言わねばなりません。私はまずこの誤りを指摘するものであります。
 次に、幾つかの反対理由を申し述べます。
 その第一は、長年にわたって国民がつくり上げてきた国民共有財産である電電公社を株式会社化し、その株式を政府が独占し、それを売却することによって得る莫大な利益を国の財政赤字の補てんに充てようとする国民感情無視の考え方は断じて許されるものではありません。さらに、総理みずからも、いやしくも利権につながるようなことがあってはならないと発言されていることは当然のこととは言え、この異例の発言は、裏を返せば、今回の改革が悪の利権につながる危険性が極めて強いことを総理みずから認めているのではないでしょうか。
 その第二の理由は、日本の通信事業に外国資本の参加を強要する米国の圧力や業界の思惑、通産省対郵政省の対立を初め混乱した状況の中で、この法案が極めて短時日の検討のもとに準備が十分でないまま提起されたため、重要な課題が審議の中でも解明されなかった点が極めて数多くあったことであります。すなわち、光の部分だけが強調され、影の部分を隠ぺいした不透明な法案と言わざるを得ません。
 その第三は、政府は繰り返し、今回の改革は利用者、国民に安くて良質なサービスを提供することにあると強調していますが、競争原理の導入が利益本位の新規参入となり、その結果、全国あまねく公平なサービスが逆に低下をし、市内料金の値上げさえ先行き予想されるなど、国民にとっては競争によるマイナス面のツケのみが押しつけられようとしている改革であります。
 その第四は、新会社発足の前途は厳しいイバラの道が予測されることであります。対外的には巨大なIBM、ATTとの国際競争が、国内的には新規参入企業との熾烈な闘いが待っています。困難を乗り越え、順調な形での新会社の発足を実現し、現公社並びに関連企業の労働者の雇用の確保、労働条件の維持向上が図られなければなりません。そのためには、新会社として自由な企業活動、自主性のある当事者能力の確保が極めて重要であります。審議過程を通じて若干の保証が行われ、政府の規制が緩められたものの、今なお不十分であり、多くの問題が残されていることであります。同時に、これからの高度情報社会の実現には、新会社の蓄積された誇れる技術力が主導的役割を果たさなければならないことは言うまでもありませんが、新会社はいま一つの大きな責務として、関係する産業との協調、共存共栄を基本として、産業社会の発展、新たな雇用の創造が全体として展望される役割を担わなければならないことであります。
 その第五は、憲法で保障する労働基本権の保障が、政府・自民党の近代社会に逆行した感覚から不当に規制されていることであります。新たに民間会社として相互信頼に立った民主的な労使関係の樹立こそ、これからの高度情報社会を切り開いていく新会社の根本的な基盤ではないでしょうか。我が党初め、すべての野党がこぞって強く主張した労調法附則の削除の要求については若干の修正が行われましたが、なお我が党の基本的な主張にはほど遠く、極めて遺憾であると言わざるを得ません。(拍手)
 最後に、来るべき高度情報社会を人間の価値を尊重する社会にしなければならないということであります。個人の情報が売り物になり、個人の生活内容が機械を通して無制限に飛び歩き、プライバシーが侵害されることへのおそれ、また、我が国の通信主権が外国に侵され、情報による支配など断じてあってはなりません。
 我が党は、真に国民のための電気通信事業の確立のため、三法案に関連して十七項目にわたっての修正を政府・与党に求めてきましたが、その一部が修正されたにとどまり、多くの問題を残したことは極めて遺憾であります。同時に、この法案の行方から来る限りない不安を我が日本社会党・護憲共同として持たざるを得ないことを強調し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) 畑英次郎君。
    〔畑英次郎君登壇〕
○畑英次郎君 ただいま議題となりました日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、自由民主党・新自由国民連合を代表して、賛成の意を表明するものであります。
 我が国の電気通信事業は、国内にあっては電電公社、国際にあっては国際電電による一元的運営体制をとってきたところであります。この電電公社による一元的運営によって、戦後の壊滅的な電電事業をいち早く立て直し、加入電話の積滞解消、電話の全国自動ダイヤル化という二大目標の早期達成等を通じて、我が国の経済活動及び国民生活にとって多大な貢献をなしてきたことは疑う余地のないところであります。しかしながら、今日、我が国の電気通信分野においては、著しい技術革新によって、新しい通信メディアが次々と実用化されるとともに、電気通信に対する国民の需要も急速に高度化、多様化しつつあるわけであります。今回の電電改革三法案は、このような状況に的確に対応しようとするものであります。
 すなわち、従来の一元的運営体制に対して競争体制への政策転換を図るとともに、この競争導入の中で、電電公社を民営化して、その事業運営の一層の効率化、活性化を図る等の抜本的改革を行おうとするものであり、この改革によって、国民利用者は低廉な料金で良質かつ多様な電気通信サービスの提供を受けることができるようになるものと大いに期待できるところであります。また、今回の法案におきましては、国民の日常生活に不可欠な電話サービスのあまねく日本全国における提供や、通信の秘密の確保等の電気通信事業の公共性に対しても十分な配慮がなされているところであります。
 今回の電電改革三法案は、電気通信が国民利用者の多様化するニーズにこたえ、二十一世紀に向けて高度情報社会への先導的役割を果たしていくための基盤となるものであり、現時点で考え得る最も適切な法案であると確信をいたしているところであります。
 以上をもちまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) 福岡康夫君。
    〔福岡康夫君登壇〕
○福岡康夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案並びに同二法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、修正及び修正部分を除く原案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 我が国の電気通信事業は、明治二年の電信事業の開始以来、百十余年間にわたり一貫して官営によって行われてきました。その間、技術革新等によって電気通信は飛躍的に発展し、昭和五十三年末に積滞解消、全国自動即時化の二大目標が達成され、ほぼ全国的な通信ネットワークが完成されたのであります。
 しかしながら、一方では、第二臨調等の指摘にもあるように、経営の合理化意識の希薄化など巨大独占性による弊害が顕著になるとともに、二十一世紀の高度情報社会に向けて電気通信の高度化、多様化が要請され、それへの対応を迫られてきているのであります。したがって、これらの課題を解決し、活力ある高度経済社会を実現するため電気通信事業を自由化し、競争原理を導入することは時代的要請であり、これに伴って電電公社を民営化することも避けがたいこととなると考えるのであります。しかしながら、今回の改革は、我が国の電気通信の歴史における一大転換であるとともに、巨大な資本と技術力を持ち、さらに三十二万人の職員を持つ新会社の誕生が各界に激変をもたらすおそれがあることも否定しがたい事実でございます。
 そこで、我が党は、今回の改革に当たって、次の観点から十分かつ慎重な審議を終始求めてきたところであります。
 その第一は、電気通信の持つ公共性、公益性が担保され、国民がこれまで以上に低廉で良質なサービスを公平に受けることができるかどうか。第二は、来るべき高度情報社会における国民のニーズにこたえていくために、円滑に電気通信の高度化が図れる制度かどうか。第三は、臨調等で指摘された公社の経営意識の欠如や非効率性をどう克服していくのか。第四に、電電公社の資産は、長年にわたり蓄積された国民共有の貴重な財産であり、民営化に当たっては国民に還元すべきであります。いやしくも、これを一部の者によって利権化させてはならないという点であります。第五に、新会社の巨大性から民業圧迫とならぬよう公正競争がいかに図れるかであります。
 これらの観点から政府案を見ると、不明確かつ不十分な点が少なからず存在するものであります。したがって、我が党は、国民のための電気通信制度の改革という立場から、具体的な修正点を九項目にまとめて修正要求を行ったのであります。
 すなわち、第一は、新電電の附帯業務及び目的達成業務を認可対象から外すとともに、電気通信機器の製造もしくは製造業への出資を禁止する。第二は、料金決定基準を定め、認可状況を国会に報告する。第三は、政府保有株式の処分は、独立議案として関連委員会の審議を行う。第四は、特別第二種事業の外資規制を行い、その外資比率は二分の一未満とする。第五は、経営の効率化計画を策定し国会に報告する。第六は、当事者能力の確保のため、取締役選任認可は代表取締役に限定する。会社の事業計画は届け出とする。第七は、労調法附則を削除し、ストライキの二重規制を撤廃する。第八は、監査役の選任は、利用者、労働組合の代表等を加え民主的に構成する。第九は、電話の単純再販を禁止するなどであります。
 私たちは、以上九項目をもとに、日本社会党・護憲共同、民社党・国民連合と協力し修正要求を行い、その実現を図るため最大限の努力をしてまいりました。その結果、自由民主党との間に合意が成立し、我々の要求に沿った修正が実現する運びとなったのであります。(拍手)
 その主たる修正部分は、まず新電電会社の行う附帯業務、目的達成業務を認可対象から外すとともに、附帯業務に関し必要な手続は省令で定めることが明記され、また、事業計画のうち収支、資金計画は認可対象から外して添付書類とすることとなったのであります。また、ストの二重規制は三年後に見直す旨明文化することができ、二重規制撤廃の方向性が明らかにされたものであります。さらに、株式の売却益の有効利用と利権の排除を附帯決議として確認させ、株式売却に当たっての基本的な考え方を示すこととなったのであります。
 確かに、政府提案の電電三法案は、私たちが委員会等の論議を通して主張した公正な競争原理の確保、料金決定のあり方等が明らかにされておらず、必ずしも十分な内容と言うことはできないのであります。したがって、今後参議院において、さらに国民の立場に立った実りある改革を目指すものであります。今回、我々の努力により修正を実現し、政府案の欠陥を多少とも是正することができたことによって、このたびの改革が二十一世紀の高度情報社会に向けて電気通信事業の新しい道を開くものと判断し、賛成を表明するものであります。
 最後に、私は、たとえ電電公社が民営化されたとしても、今後とも政府が通信の公共性、公益性に十分配慮し、逓信委員会での附帯決議を忠実に守るとともに、同委員会で私どもが具体的に指摘した問題点に対する政府答弁を誠実に実行するよう強く要望して、賛成の討論を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) 滝沢幸助君。
    〔滝沢幸助君登壇〕
○滝沢幸助君 ただいま議題に供せられましたる日本電信電話株式会社法案、そして電気通信事業法案、さらには両法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、民社党・国民連合を代表し、賛成の意見を申し述べさせていただきます。(拍手)
 本論に入りまする前に、電話と言えば、これは電気を利用したものでありますが、電気の存在というものは古代ギリシャの時代において既に明らかにされております。アメリカのベンジャミン・フランクリンが一七五二年にこれを実験いたしたわけでございます。皆さん御存じのとおりでありますが、しかるに、これを電話に活用いたしました者が、これも皆さん篤と御存じのアメリカのアレキサンダー・ベルでございます。一八七六年のことであります。
 ところが私は、この電気というもの、つまりはエレクトリシティーというものを「電気」と翻訳した者はどこのいずれの学識であるか、寡聞にして知りません。ところが日本に中国に「電」という文字、これは雷から糸を引いた姿になっている。まさに、東西の学識、相一致してこれを指摘しているところに、私は、東洋の学問、漢字文明の高き深さものを知って、敬意を表して自信を持ったところであります。
 ところで、閑話休題といたしまして、この電話が我が国に初めて入ってまいりましたのは明治の十一年六月、皇室において、宮内省と当時ございました工部省において開通をいたしたのでございました。しかるに実用化しましたのは二十三年、このとき皆さん、東京においては百五十五件、横浜においては四十二件、これが我が国に電話が開通した初めでございます。これがたちまちにして、一時は上流階級社会のものであったでしょう、しかし庶民大衆のものになってきたのであります。つまりは、石川啄木があの貧困と病苦の中において「遠くにて電話のベルの鳴るごとし今日も耳鳴るかなしき日かな」と嘆いていることを見ても、あの貧しき者も電話を使うほどに発達をいたしたわけであります。そして、今日実に四千百五十万百台というこの利用の状態、これは人口の三五%、そして世帯別にしますると七五%が既にこの電話を利用しているわけであります。このように急速なる発達でありましたからこそ、電電公社の労使双方の諸君が真剣なる取り組みにもかかわらず、この急速なる発達に対応できなかった事情のあったこともやむを得ないでありましょう。
 そこで、今回のこの三法の提案となったわけでございますが、この法律のよってくるところをつらつら考えますに、これは土光会長を労しまして大いなる方針を打ち出しましたあの第二臨調の精神、皆さん、これは、我が国がこの財政の行き詰まり、しかも新しい世代に対応する行政をいかにして国民に提供するかということになりますれば、行革は、もはやこれは天の声、地の声、これを我々が政治の部面で実現することは当然の我々の責務でございましょう。
 そこで、このたびの提案でありますが、実はこの法律の中で我々が賛成すべき二点を見出すことができました。一つは、電電公社をしてこれを民営化し、そして民間の資本を導入して活力を得し一め、そしてややともすれば官僚化し硬直化しようとしているこの事業に対しまして、これを民主化し近代化し、そして合理化し効率化するというこのことでございます。さらには一つ。皆さん、電電、この電気通信事業におきまするところの民間の企業としての競争の原理を導入しようとされていることであります。(拍手)
 この二つの点におきまして原則的に賛成すべきものと理解をしながらも、四月十日の提案以来実に百日の間にわたりまして慎重審議をいたしましたところ、我々が必ずしも満足のいかない幾つかの点もあったことは事実であります。
 すなわち、新会社これそのものが当事者能力ありやなしや、さらに、従業員の労働者としての労働基本権は果たして約束されているかどうか、このことであります。さらに三つ目といたしまして、企業としての公正競争の条件が不十分だということであります。
 これらに対しましていささかの不安と不満を持ちまするがゆえに、長き審議と折衝の結果、我々はこれを法案の修正、附帯決議をもって補おうとしたわけでございます。そして、おおよそ、おおむね、大体我々の主張は盛られたと信じておりまするが、しかし、なおかつ足らざる点を三年後のこの見直しに期待いたすわけでありまして、大胆に我々はここに賛成をいたそうという決意をいたしたことでございます。しかし大臣、事業は人なり、組織も人なり、ここにおいて、どうぞ真に有能にして有為なる人材をこの新会社に結集されまして、よってもって国民の大きなる期待にこたえていただきまするよう、総理並びに大臣において適切なる指導と手配とをなされんことを要請するものでございます。
 さらに、この席に私は一言申し上げなければならぬことがございます。それは、先ほど事業は人なりと申しました。しかし、これは今日の事業においてはただ一人の社長の指導力ではないのでありまして、実に社長を中心としましたる全従業員の人格と努力の結晶でありましょう。かかる意味におきまして、我々の友人でありまする全電通労働組合の皆さんが、この電電事業の現実どこの苦悩の状態に対してつぶさに懸命なる御検討をいたされまして、苦悩されまして、しかもその選択におきまして恐らくは全民労協路線を志向されるであろうことを私は信じて疑いません。しかしてこの懸命なる選択に対して私は心からの敬意を表し、今後の大きなる飛躍を期待してやまないわけでございます。
 同時に私は、今、国会がこの歴史的決定をいたそうとするこのときに、全国民の皆さんが、どうぞこの国家的選択に対して大きなる御協力と温かき御支援をいただきまして、我が国のこの大きなる公共の仕事に対し、すなわち電電事業に対しまして将来に温かき飛躍を、そして我がこの日本の過ちなき歴史を開くための一助とされんことをこいねがってやみません。
 どうぞ皆さん、今からでも遅くはありません。全会一致の御賛成を要請いたしまして、私の意見の表明を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) これにて討論は終局いたしました。
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○副議長(勝間田清一君) 三案を一括して採決いたします。
 日程第二及び第四の委員長の報告はいずれも修正、第三の委員長の報告は可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○副議長(勝間田清一君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり決しました。
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○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三分散会
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