第101回国会 法務委員会 第8号
昭和五十九年四月十一日(水曜日)
    午前十時三分開議
出席委員
  委員長 宮崎 茂一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 高村 正彦君 理事 森   清君
   理事 天野  等君 理事 稲葉 誠一君
   理事、石田幸四郎君 理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      大西 正男君    加藤 紘一君
      熊川 次男君    高鳥  修君
      綿貫 民輔君    小澤 克介君
      佐藤 観樹君    広瀬 秀吉君
      山花 貞夫君    神崎 武法君
      中村  巖君    伊藤 昌弘君
      野間 友一君    林  百郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 住  栄作君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      前田 正道君
        法務大臣官房長 根岸 重治君
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
        法務省刑事局長 筧  榮一君
        法務省人権擁護
        局長      鈴木  弘君
        法務省入国管理
        局長      田中 常雄君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   上野 浩靖君
        警察庁刑事局鑑
        識課長     岡田 全康君
        警察庁刑事局保
        安部経済調査官 清島 傳生君
        経済企画庁国民
        生活局消費者行
        政第二課長   照井 清司君
        環境庁自然保護
        局計画課長   田村久仁夫君
        環境庁自然保護
        局保護管理課長 味蓼 導哉君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 高島 有終君
        大蔵省証券局企
        業財務課長   中島 公明君
        国税庁調査査察
        部調査課長   木下 信親君
        厚生省公衆衛生
        局精神衛生課長 野村  瞭君
        厚生省医務局指
        導助成課長   柳沢健一郎君
        林野庁指導部計
        画課長     野村  靖君
        通商産業省産業
        政策局消費経済
        課長      牧野  力君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  小笠原臣也君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  山口  繁君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  大西 勝也君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  小野 幹雄君
        法務委員会調査
        室長      藤岡  晋君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十一日
 辞任         補欠選任
  熊川 次男君     綿貫 民輔君
同日
 辞任         補欠選任
  綿貫 民輔君     熊川 次男君
    ―――――――――――――
四月六日
 永住韓国人に対する外国人登録証の指紋押なつ
 廃止等に関する請願(二見伸明君紹介)(第二
 二一八号)
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
 増員に関する請願(広瀬秀吉君紹介)(第二二
 一九号)
 同(山口鶴男君紹介)(第二二二〇号)
 同(山花貞夫君紹介)(第二二二一号)
同月九日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
 増員に関する請願(天野等君紹介)(第二二九
 〇号)
 在日外国人に対する指紋押なつ廃止等に関する
 請願外九件(天野等君紹介)(第二三三二号)
 同(土井たか子君紹介)(第二三三三号)
 永住韓国人に対する外国人登録証の指紋押なつ
 廃止等に関する請願(草川昭三君紹介)(第二
 三三四号)
同月十一日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の
 増員に関する請願(佐藤観樹君紹介)(第二四
 〇六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人
 権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○宮崎委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所山口総務局長、大西人事局長、小野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○宮崎委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
○太田委員 商法の改正の問題でありますが、昭和四十九年の商法改正審議の際に附帯決議で会社法の全面的な見直しの要望がなされておりますし、そして、法制審議会の商法部会が、先日の新聞にもこれは一斉に掲載されたわけでありますけれども、企業の社会的責任、株主総会、取締役・取締役会、株式制度、会社の計算・公開、企業の結合・合併・分割、最低資本金制度、大小会社の区分の七項目について検討を進めている、そして、この七項目について各方面の意見を聴取することになったというふうなことが、四月一日でしたか、新聞に掲載をされておりましたので、この件について御質問をいたしたいと思います。
 まず、前回の改正で積み残された分、つまり企業の社会的責任あるいは企業結合・合併・分割、大小会社の区分、最低資本金制度といった諸問題について、現在法制審議会商法部会で審議中の進捗状況というものをお聞かせをいただきたいわけであります。
○枇杷田政府委員 法制審議会の商法部会におきましては、昭和五十六年の商法改正後の残った会社法の問題につきまして検討を進めてまいりましたが、残された問題の中で最低資本金の問題、それから大小会社の区分の問題、それから合併の問題を中心として研究をしてまいりましたが、大体その関係におきまして問題点の洗い出しが一応できましたので、近くそれを整理、まとめまして公表し、また、関係機関に対しましてその問題点についての意見を伺うという予定になっております。その意見をお伺いしました上で、その御意見を参考にしながらまた問題点を煮詰めて一つの方向づけをしてまいるという予定になっておるところでございます。
○太田委員 法制審議会商法部会は小会社を大会社から区分して規制、保護の適正化を図るための基本方向を固めたということでありますけれども、その内容などについて差し支えない範囲でお聞かせいただきたい。
○枇杷田政府委員 まだ基本的な方向をどう定めるかということを決めておるわけではございませんで、その定めるに当たりましての問題点を整理をして各界の御意見を聞いた上で方向づけをしていく、またその方向に従った具体的な案を取りまとめていくという考えでおるわけでございます。
 基本的な考え方といたしますと、現在の商法が予定しておりますような、会社とは言えないような、小規模と申しますか個人企業に近いような会社が数多く存在をいたしております。そのような会社につきまして現在の商法をそのまま当てはめるということは現実的に無理な面がございますし、また、現実的にも小規模の会社につきましては商法の規定がいわば形骸化しており、形の上だけで株主総会だとか取締役会の決議などが決議書の上でつくられるというふうな形がございます。そういうふうなことでございますので、大小の会社を区分いたしまして、小会社につきましてはある程度実質的に守れるようなそういう法規にまとめて、そしてそのかわり、その決められた法規に従って確実に運用していただく、そういうふうな形にすることが望ましい、そういう観点からいろいろな問題点の洗い出しをして、現在整理をしておるという段階でございます。
○太田委員 これは法曹界、各大学法学部、経済団体、中小企業団体などに対して意見照会をするというふうに報道されておりますけれども、その意見照会した、これはいわばアンケート調査みたいなものだと思いますけれども、それの概要というものは発表するお考えがおありかどうかをお聞かせください。
○枇杷田政府委員 法曹界、すなわち裁判所とか弁護士会とか、その他大学とかあるいは会社関係の団体とかいうようなところに意見照会をする予定でございますが、その照会する意見は、これは公表して、ほかの何といいますか、特別に照会のあて先でない方々についても、御意見のある方は御意見を寄せていただきたいというふうにするつもりでおります。そうしまして、御意見が寄せられました場合には、それを要約いたしまして法制審議会の審議の重要な資料として使うつもりでございますけれども、なおその要約した資料も、関係する雑誌等に発表いたしまして、広くそれを承知していただくというふうなことにいたしたいと考えております。
○太田委員 一つ余計なことをお聞きしますけれども、これは民事局の問題だけではないのですけれども、いろいろな方面に聞くというときに、例えば法務委員会というところがここにあって、ここで審議をするのですけれども、大体いつも結論が出てから我々は審議するのですけれども、こういうことを手続としてやることがあるのであれば、何かもう少し体系的に国会の意見も法制審議会の審議の途中で聞くようにすればいいと思うのですが、どうですか。突然聞いて申しわけありません。
○枇杷田政府委員 国会の関係につきましては、法案を取りまとめました際にもちろん御審議をいただくということになるわけでございますが、その中間段階で国会の方の御意見を伺うというのも若干手続的にどうかなという感じもいたしますが、ただ中間の経過については、もし委員会の方で御要望がございましたならば、これはいつでも資料を提供することはやぶさかでございませんし、また御質問があれば、その都度審議の経過について御説明を申し上げたいと考えております。
○太田委員 新聞で発表されているところでは、小規模株式会社法といったようなものの制定に向けて取締役会の書面決議を認める、監査役を置かずに済ませるなど機構を簡素化する、大小会社という区分をつくって小規模会社について機構を簡素化する、外部監査制を導入し、税理士も監査できるようにする、あるいは最低資本金を定める、少数派株主保護のため株式の買い取り請求権を認めるといったようなこと、これはいいことだろうと思うのですけれども、こういうふうな基本方針を決めたと報道をされているわけであります。
 そこで、問題点といいますか、これをざっと見ただけでもいろいろ論議の出てくるところがあるなという感じがするのですけれども、その一つとして、最低資本金制度を導入した場合に、それは新たな資金調達を各小規模会社がしなければならないわけです。今は三十五万円くらいですか、株式会社をつくれるわけですから、報道をされているところでは、それが例えば五百万とか一千万とかという数字になった場合にはその分だけ資本金を増額しなければいけない。これは一時的には大変な負担であるというふうに言う経営者も当然出てくるわけでありますから、これにどういうふうに対処をしていくかということであります。
 それから債権者保護のためには経理の明確化が必要である。したがって、今言いましたように、外部監査人による監査が強制されなければならない、監査役は置かなくてもいいけれども、いわゆる監査人による監査が強制されるためにその費用が必要になるということになるわけです。ここも一つ論議が出てくる余地がある。そして、これは全く別の次元の問題でありますけれども、そういった外部監査人というものが、従来の考え方でいきますと公認会計士だけなのですけれども、税理士もなれるものかどうか、なれるとすると、公認会計士と税理士との職域調整という前からある問題がまたここで起こってくるということになりますが、この辺はどのように考えておられる、のか。
 今基本方針すらまだ定めていないのだと言うから余り今の段階で答えられないかもしれませんけれども、これは検討項目としてみんなに問いかけたわけですから、そういう疑問も当然返ってくる。そこで、一応法務省としてお答えらしきものは用意されていると思いますので、そこをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○枇杷田政府委員 まず第一点の最低資本金の問題でございますけれども、御指摘のように、現在三十五万円で株式会社ができるということでございますけれども、現在の貨幣価値からいたしますと、一つの独立の企業体としての資本金が三十五万円というのでは、有限責任を原則とする会社としてはちょっとおかしいではないかということが当然言えるわけでございます。したがいまして、ある程度の最低資本金制度というものを定めたらどうかということが今度の意見を照会する際にも大きな点になるわけでございます。その場合でも幾らが適当かということも、これは各界の御意見を伺いたいと思っておりますけれども、その意見を取りまとめる際の考え方としては、株式会社については二千万円とか一千万円ぐらいが最低必要ではないかというような意見も出ておりますけれども、皆さん方がどういうふうなお考えを持つかということは、御意見が返ってくるのを私どもも大変注目をしておるところでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、最低資本金をかなり高額なものにするということになりますと、ただいまおっしゃいましたような増資をしなければならないというふうな問題が出てまいります。そういう場合に、既存の小会社についてどういうふうな措置で臨んだらいいかということも次の問題点になるわけでございまして、その点についても意見照会をする問題点の一つとして考えております。
 その問題の提起といたしましては、一つの考え方として、ある一定の猶予期間を設けまして、その猶予期間内に決まった最低資本金の額までに増額しない場合、あるいは組織の変更をいたしまして、資本金の問題が出てまいりません合名、合資の会社にするとか、そういうふうな措置をとらなかった場合には解散するものとみなすというふうな強い措置をとるという意見もあるけれども、そういうことは実際問題としてはどうなんだろうかというような形での問題提起をする予定にしております。私どもといたしましては、そういう御意見を伺った上で法制審議会の方でどういうふうな措置をとるかということを具体的に考えていただくべきではないかというふうに思っておりますので、今解散とみなすという方向でいくべきだというふうに私どもが腹を決めているわけではございません。
 それから、第二点の外部監査の問題でございますけれども、会社の経理内容を明確化するということは、株主にとりましても、また債権者にとりましても非常に重要なことでございます。小規模会社でございますと、ややともしますと経理内容があいまいだというようなこともあるわけでございますので、これを外部監査を導入することによってきちんとしたものにしていきたいということは、一つの理想といいますか、あるべき姿としては考えられるわけでございます。そこで、小会社全部ではなくて、一定規模以上の会社については外部監査を導入することにしてはどうだろうかという問題提起をすることにいたしております。その場合の外部監査というのは、ただいまおっしゃいましたような公認会計士ばかりではなくて、監査法人ももちろん含まれますけれども、そのほかに税理士だとか、あるいは公認会計士の一歩手前におられる会計士補とか、そういう範囲の人にまで広げて外部監査を導入することはどうだろうかという問題点を提起することにいたしております。
 ただ、そういたしました場合に、職域の問題と申しましょうか、公認会計士と税理士との職務の問題が生ずるということも出てくる可能性はあろうかと思います。しかし、それは外部監査を導入して、その実効を上がらせるためには、実は公認会計士の人数だけではかなりの数の外部監査をするということは実際上できないという面もございますので、どういう方に外部監査の役を引き受けていただくことにするかということが決まりまして、方向づけができるという段階で具体的な問題になるわけでございますが、その際には大蔵省、それから公認会計士協会、あるいは税理士会だとかとも十分意見調整をして、具体的妥当な結論を得るということに努めることに相なろうかと思います。
○太田委員 今の最低資本金制度を導入した場合の話でありますけれども、資本金が最低五百万とか一千万とかいうふうにした場合に、それが債権者に対する何らかの裏づけといいますか、その会社自身が何か新たな資金調達面での基盤が確かなものになるということをお考えになっておるわけでしょう。それは、三十五万円を五百万円にして実質的にそんなに意味のあることなんですか。三十五万円を五百万円にするということが、その会社の対社会的な基盤というものがこういうふうになったのだとはっきり言えるほど実質的に何かしっかりしたものになったということになるのですか。
○枇杷田政府委員 一先ほど来申し上げておりますように、最低資本金額を幾らにするかということについてはこれからの問題でございますが、むしろ今御質問のあったのとは逆に、一つの企業として取引をする上で、一つの独立した企業体としての基盤を有する企業としては資本金は最低幾らぐらいあるべきものかという、逆の発想で幾らくらいの金額が適当かということを考えておるわけでございます。したがって、五百万円とか一千万円とかというものが先に来るのではなくて、むしろ逆に、ただいま御指摘ありましたような観点から、最低資本金というのはどのくらいに決めるのが適当かということになろうかと思います。
○太田委員 それは具体化してからまた取り上げることといたします。
 もう一つの、少数株主の保護のために買い取り請求権を認めるということがこれまた何らか問題を生ずるかと思うのですけれども、この辺はどうですか。どういう問題があるでしょうか。
○枇杷田政府委員 実は、非公開会社につきまして株主による株式の買い取り請求権を認めたらどうかということも今度提起されます問題点の一つとして考えておるわけでございますが、これはいわば小規模会社につきましては取締役を一人でもいいということにしてはどうかという考え方も同時に提起されておるものでございますから、そういうことで、非公開の会社におきましては、利益が出ても利益の配当をしないとか、いろいろなことで一方では株主の保護が図られないという側面が出てくる可能性がある。
 そういう場合に、株主に対して何かの保護を与えるべきではないか。普通の大きな会社でございますと株式が自由に譲渡できます。自由にというのは、法律的な意味ばかりではなくて経済取引としても取引ができるということでございますので、会社の経営方針について不満のある株主は、そうやって売却してそこから外れていけばいいわけでございますが、小規模の非公開会社と言われているようなものにつきましては、そういうこともできない。しかも会社の経営方針については非常に不満があるという場合に、何らかの保護措置をとる必要があるのではないかという観点から買い取り請求権の行使を認めてはどうかという問題点が出てまいるわけで、それについての可否の御意見を伺うということになっております。仮にそういうふうなことができたとしても、それほど会社側の方で大混乱を起こすということではないので、ただ株主にそのような権利を認めることが妥当であるかどうかという観点で御意見が寄せられるのではなかろうかと思っておるところでございます。
○太田委員 最初に聞いた二番目の点ですけれども、ここで一定規模以上の会社に外部監査人による監査が強制されなければいけないということで、一定規模以上と言ってしまうと、今三十五万円ではなくて五百万円とか一千万円、二千万円とか言っているわけですから、そういういわゆる会社らしい会社というのは、こういう考え方で首尾一貫すれば外部監査人による監査が強制されなければいけないということになるわけで、ここでまた一定規模以上とかいうふうに言うと、何かそもそも最初に考えたほどの意義がなくなってしまうような気がするのですけれども、どうでしょうか。
○枇杷田政府委員 そういう面は多分にあろうかと思います。現在でも商法特例法で会社の区分をやっております。それをまたさらに中小会社について区分をするということになりますと非常に複雑にもなりますし、考え方のポイントがどこにあるのかということが疑問になる面があろうかと思いますけれども、ただ、現実面といたしまして、現在存在しております会社の資本金ということもにらみ合わせながら考えますと、最低資本金を決める場合でも、余り理想に近い方に持っていくこともできない面もあろうかと思います。
 それからまた、仮にある程度資本金の額を上げましたところで、現在上場されているような大きな会社との間には、いろいろな階層というとおかしいですけれども、規模のものがその中に出てくることになるわけでありまして、それをまた全く一つの形で処理をすることが適当かという問題はやはり残るわけでございます。
 また、さらに一定規模のものについては外部監査を導入するとか、その他いろいろなことを一つ区切って考えるという余地があるのかないのか、そういうことが適当かどうかということもあるわけでございまして、そこら辺も実は今度の問題点の中に考えて、そういう考え方の是非もあわせて御意見を伺いたいというふうにしておるところでございます。
○太田委員 今の段階で急に質問をして申しわけないことがいろいろあるのですけれども、一人会社をここで認めるということになりますと、例えばお医者さんなんかは一人法人を認めろと前から要求されている。法人と個人というものは、そもそも法人というからには複数の個人が集まってできたものではないかという何か法人と個人を分ける考え方がもともとあるわけですから、一人法人であるならば、例えば税金で言えば個人が青色申告すればいいじゃないかということにもなるかと思うのです。そうしますと、及ぶ範囲が株式会社の問題だけではなくて、あるいは有限会社の問題だけではなくて、ほかの公益法人とかいったものにも及んでくるのではないか、非常に革命的なことになるのではないかという気がするのですけれども、いかがでしょう。
○枇杷田政府委員 今、一人会社というお話がございましたけれども、現在でも株主が一人という意味での一人会社というのは、これは理論的にはあり得るというふうに説明をされております。そういうことが望ましいかどうかは別問題といたしまして、それを禁止する規定はございません。株式を一人が買い集めまして、結果的に一人会社になることはあるわけでございます。今度考えておりますのは、極めて限られた小規模の会社におきまして、現行法では取締役は最低三人と決められておるわけでございますが、その取締役の三人という制限を外して、そして取締役は一人でもいいということにすることの可否について御意見を伺うことにしておるわけでございます。そういうことでは、今度は一人取締役会社といいますか、そういう意味での一人会社というものが一つの考え方の中に出てくるわけでございます。それが適当であるかどうかについては、これまたいろいろ御意見が出てこようかと思います。
 また、おっしゃるとおり、ほかのところにも影響する面があるのかもしれませんが、現在の非常に小さな個人商店的な会社におきましては、実質は一人でやっておられる、ただ名前だけ奥さんとか弟さんとかが取締役になっておるというような形もあるものでございますので、それをむしろ責任の所在をはっきりさせる意味で、一人の取締役ということですっきりさせたらどうか、そういう意見があるわけで、これについては是非についてのいろいろな御意見が出てまいろうかと思います。今の段階で一人取締役会社をつくることに決めたというわけではございませんので、そういう御意見を伺いながら、ただいま御指摘のありましたような問題点もまた指摘されることもあろうかと思いますので、十分に審議会において検討されることになろうと思います。
○太田委員 最後に、これもまた新聞報道でありますけれども、最近株主総会に非常に長時間を要するものが出てきたとされておりまして、しかもその理由は、特殊株主と言われているいわゆる総会屋によるものである。総会屋対策を講じた五十六年の商法改正時における総会屋の総数は六千五百人と推定されていたけれども、現在における総会屋の実態をどのように把握しておられるか。
○枇杷田政府委員 総会屋の実態は、私どもの方では直接に把握はいたしておりませんけれども、先日の委員会におきます警察庁からのお話によりますと、かなり減少しておるというようなことは聞いておるところでございます。
○太田委員 ありがとうございました。
○宮崎委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。綿貫民輔君。
○綿貫委員 そろそろ桜の花がちらほら咲いてくるわけでございますが、この桜の花の散ったころに一斉に開催されますのが株主総会でございます。ただいま太田委員からもちょっとお触れになりましたが、一昨年改正商法が施行されましてから各方面でいろいろと新しい事態が起こっておるようであります。これに関しまして昨年この法務委員会におきまして自民党の熊川委員からも質問がございました。また、先般四月四日には公明党の神崎委員からもこれに関連しての御質問があったようでございます。そこで、私は、この改正商法の施行に当たりましてのいろいろの事態に対して若干の質問を試みたいと考える次第でございます。
 この改正商法の目的は、形骸化した株主総会を投資家の保護と企業情報の公開の場として活性化を図るということで行われたと聞いておりますが、昨年の熊川委員の質問に対しまして当時の中島民事局長は、従来から十五分とか十分で終わった株主総会が実質的な審議が行われて活性化してきたことは非常にいいことだというようなことを述べておるわけでございますが、若干一部に行き過ぎもあるということも認められておるようでございます。
 最近の事例をとりましても、五十八年三月のサッポロビールの株主総会は七時間にわたる株主総会でございましたが、その後、五十八年五月の松屋の株主総会は八時間四十五分、そして十月の新阪急ホテルの株主総会は九時間三十分、そしてことしの一月三十日のソニーの株主総会が十三時間三十分と、だんだんエスカレートしていっておるような感じがするわけでございます。こういう問題について、これは活性化してすばらしいことだと法務省はお考えになっておるのかどうか、こういうことについてお答えを願いたいと思います。
○枇杷田政府委員 五十六年の改正商法によりまして、株主総会が従来の十分とか十五分とかというふうな全く形式的な株主総会からは脱皮いたしまして、若干実のある株主総会の方に移っているのではないかという評価をいたしております。ただ、総会屋であるかどうか必ずしもはっきりしませんけれども、一部の特殊な株主の方がいろいろな質問権の乱用等をされることがありまして、いわゆるマラソン総会という現象が起きているようにも聞いております。そういう面では、適正な運用がなされるということが株主総会の上で定着しているということはまだ必ずしも言えないかと思いますけれども、全体といたしますと、商法の改正がねらったような方向には動いているだろうと思います。
 したがいまして、行き過ぎのあるようなものにつきましては、今後いろいろな面からの努力が行われまして、だんだんと正常な運営がなされることになるのではないかと期待しているところでございます。
○綿貫委員 これは、単に議長の判断で運用を適正にやればいいじゃないかというようなお答えでございますけれども、質問権というものが全部に開放されておるにもかかわらず、一部の人によって独占されて、あたかも人民裁判的な質問権に変わっておるのじゃないかという観さえ呈しておるわけでございます。これについて法務省として、当初この法律をつくられるときに想像されたときと違うような事態が起こっておるのじゃないかと思うのでございますが、そういう件についてさらに再検討される気持ちがあるかどうか、これをひとつお尋ねしてみたいと思います。
○枇杷田政府委員 商法改正の時点におきましても、質問権が乱用されるといいますか、そういうふうな事態が起こるかもしれないという危惧の念はなかったわけではございません。それが一部の会社におきまして現実の問題となっているように見受けられるわけでございます。しかし、そうだからといいまして、私どもとしては、これに商法改正によって対処しようということは考えてはおりません。むしろ会社側の方でもなれない面もございますので、会社内部で議事規則のようなものを制定して、株主総会の運営がルール化されていく方向に行くことが一つ。それからもう一つは、議長の的確な判断によりまして、答弁なども各取締役に割り振ってやるとかというふうな措置をとることによって具体的には処理ができるのではないかという考えを持っておりますので、今後の株主総会の実際のあり方については関心を持って見てまいりたいと思っております。
○綿貫委員 昨年の中島局長のお話の中でも、一部の行き過ぎもあるように思うけれども、その点については将来の問題であろうかと考える、まあ先送りしていこうというお考えのようでございますが、やはり効率的な株主総会の運営というものが望ましいのでございまして、そういう面について、もちろん運営に当たる方々の今後の創意工夫も大切だと思いますが、これを立法された時点の考え方をもとにして、さらにこういうきめ細かい問題についてもいろいろと今後配慮をするということをぜひ要望しておきたいと思います。
 次に、これも昨年の熊川委員の質問、さらに神崎委員の質問にもございましたが、いわゆる二百九十四条ノ二の推定規定によりまして、またいろいろの事態が起こっているということでございます。その中で、特に健全なミニコミ誌の糧道まで断つという事態が起き、言論の自由まで脅かされておるのではないかということが憂慮されておるわけでございます。現在、全国には約二千五百社と言われるミニコミ誌がこの商法の改正のあおりを食って休刊、廃止あるいは倒産というような死活の問題に結びついておるというふうにも言われておるわけでございまして、これについて昨年の質問あるいは先般の質問で法務省、警察庁の御答弁もございますが、こういう問題についてどのようにお考えになっておるのか、もう一度念を押しておきたいと思いますので、御質問申し上げたいと思います。
○枇杷田政府委員 ミニコミ誌等につきまして若干神経過敏になったような傾向が見受けられたというふうに私どもも考えておりますけれども、あくまでも商法といたしますと株主権の行使に関する利益供与が禁止されているのでありまして、そういう株主権の行使に関係しないものについては商法の禁止しているところではないわけでございます。
 ただ、その点、ただいまもお話がございましたけれども、それを誤解したか、あるいは言葉は悪いですけれども、それに便乗したかわかりませんけれども、株主権の行使とは関係しないものにつきましては、この際、経費の節減等も考えてのことかもしれませんけれども、広くやってしまったというような傾向があるようでございます。私どもといたしましては、会社の経営の考え方として、経費の節減としておやりになるということまでとやかく言える立場ではございませんけれども、少なくとも商法の禁止されているところによってやめるんだということの誤解は避けなければいけないという考えで、機会があることにその点については私どもの方でも言明をしてまいりましたし、また法律雑誌等でもその関係について誤解のないように説明を繰り返してきているところでございます。したがいまして、少なくとも商法の関係についての誤解は各会社ともほとんどなくなってきたのではないかというふうに考えております。
○綿貫委員 昨年の熊川委員の質問に対する民事局長のお答えの中にも「当初立法段階におきましては、そういう全く株主権の行使に関係のない出捐と申しましょうか、そういうものが出されなくなるということは予想していなかったということでございます。」こういうことを申されまして、その後、周知徹底をある程度しておる、そして今後ももっとやったらどうかという熊川委員の質問に対しまして、「機会がありますれば、いろいろとこの趣旨をさらに徹底させるための努力はいたしますけれども、もうその必要がそれほど多いとは考えておりません」、こういう答弁になっておるわけでございます。
 しかし、私が先ほど申し上げましたように、いろいろと実害と申しましょうか、これによる波及は各方面に出ておるというふうに聞いておるわけでございまして、そのうちになし崩しに何とかなるわいというようなお考えのようでございますが、改正商法の趣旨の統一的解釈が徹底していないところにこの問題が派生じておるというふうに考えますので、成り行きに任せるということではなしに、さらに一段とこれを徹底させるという気持ちがあるのかどうか、これをお尋ね申し上げたいと思います。
○枇杷田政府委員 私どもは、直接会社に対しまして指導とか監督をするとかという立場にございませんので、いわば、早く申しますと通達等で明らかにするというふうな手段はとり得ないのでございますけれども、いろいろな機会に担当官などが雑誌とか講演会等で繰り返し繰り返し述べておりますが、今後もそういう面につきましては積極的に趣旨の徹底が図られるようにやってまいりたいと思います。
○綿貫委員 警察にお尋ねいたします。
 実際に第一線でこういうことに当たられます警察の方として、やはり二百九十四条ノ二の推定規定というものについて明確な線をきちっとしていただかなければならぬということが先般からもいろいろ質問の中で出ておるわけでございます。これについて、さらに一段とこのことを整備し、確実にやっていただけるのかどうか、このことをちょっとお尋ね申し上げたいと思います。
○上野説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の件につきまして私どもとしてもいろいろと考えておるわけでございますが、ただ、やはり企業それぞれいろいろな立場あるいは考え方がございますので、一概にガイドライン的なものをつくることは難しいと考えております。
 ただ、先生御指摘のように、また、ただいま法務省の方からも御答弁がございましたように、ミニコミ誌の関係につきましては、警察といたしまして、改正商法の趣旨の正しい理解が得られるよう企業と一層連絡を密にいたしまして、そのようなことがないように、また総会屋の排除に実効が上がるよう努力していきたいというふうに考えているところでございます。
○綿貫委員 先ほどから改正商法の施行に関しましていろいろ御質問を申し上げたわけでございます。改正商法の目的でございます株主総会の活性化、もちろんこういうことは必要だと思いますが、先ほども申し上げましたように、延々とした株主総会のために、もしもその途中で健康を損なって倒れるというふうな事態になれば人権問題にもなるわけでございますし、やはり、いろいろな問題が想定されるわけでございます。所期の目的である活性化と同時に、その逆現象であるいろいろな問題についてもさらに法務当局においては今後十分考慮されなければならないという点を指摘しておきたいと思います。
 また、一方におきましては、まじめに働いております報道あるいは文化、福祉の関係者の方々に、改正商法の意味が鮮明でないためにいろいろと弊害を及ぼしていくということになれば、総会屋を追い出すという目的は達せられたとしても、その逆現象としてのいろいろな人権侵害ということにもなるわけでございますから、その点については特に法務省、警察庁は十分この意味を酌んでいただきたい。何回も繰り返され、昨年熊川氏から、先般神崎氏からお話がございましたが、私も重ねて本日ここで御質問を申し上げましたのは、そういう点につきまして十分配慮してもらいたいという警鐘をここに申し上げたつもりでございます。そういう点で、十分意のあるところをお酌み取りいただきまして、今後行政上配慮していただきますように強く要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○宮崎委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 きょうは、時間も余りありませんし、私が常日ごろ疑問に思っておりますこと、そのことに関連をしてお尋ねいたしたいというふうに考えるわけでございます。これは大臣も聞いていていただきたいと思います。ある程度まとまったところで大臣に質問ということになると思います。
 私が第一に疑問に思いますのは、ロッキード事件に関連をして三十ユニットの問題になるわけですが、丸紅伊藤宏から二階堂進さんが五百万円を受け取ったということ、これを法務省当局は国会に対して、秘密会であったということではありますけれども、秘密会であったとしても、そのことを報告されたことがあるわけですね。まず、こういう事実があるかないか、報告の事実ですよ。
○筧政府委員 五十一年と思いますが、たしか十一月二日のロ特の委員会におきまして、秘密会ということで当時問題になっておりましたいわゆる灰色高官の内容について政府側から御報告をいたしております。
○稲葉(誠)委員 いや、私の聞いているのは、灰色高官のことを聞いているのじゃなくて、二階堂進さんが五百万円もらったということを報告いたしましたか、こういうことを聞いているのですよ。
○筧政府委員 その点につきましては、前々から稲葉委員から御指摘を受けてお答えしているとおりでございますが、その御報告の内容につきましては、当時は秘密会でございまして、秘密会で政府側から御説明をいたし、その後、その内容につきまして公の場で御報告といいますか、公にしてはおらない。したがいまして、あくまで秘密会に対して御報告をしたというそのままの状態で現在に至っているわけでございます。
 もちろんその内容につきましては議事録等がその後出されていることは十分承知いたしておりますけれども、当該秘密会において何を報告したかという点は、秘密会の報告そのままでございますので、そのことについては差し控えさせていただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 では、その議事録をちょっと読んでくれませんか、そこのところ。
○筧政府委員 今ちょっと手元に持ってございませんので、取り寄せまして……。
○稲葉(誠)委員 手元にございませんじゃなくて、手元に持ってきて読んでごらんなさいよ。そこにあるんでしょう。ないわけないじゃないですか。秘密会だから、いいかげんなことを報告した、こういう意味ですか。
○筧政府委員 委員会でございますので、政府側から責任を持った御報告をいたしたと思っております。
○稲葉(誠)委員 これはちょっと意地の悪い質問ですな。五百万円をもらったということ、これは議事録があるわけですから、公知の事実ですね。そういうふうに発表になって、その後の国会の中で出て、あなた方も認めているわけですから。
 私が疑問に思いますのは、そのときに官房長官としての職務権限はなかったということを報告していますね。そこに問題があるというふうに私は見ているわけですよ。官房長官の職務権限というのは一体何なんですか。どういうふうに理解をされているわけですか。
○筧政府委員 ただいまの前提といたしまして、官房長官としての職務権限がないということではなくて、その後、その秘密会の内容としてではなくて申し上げておりますことは、その五百万円が官房長官の職務の対価であったと認定するには至らなかったということでございます。
 それから、官房長官の職務権限でございますが、これも一般論として申し上げることになろうと思いますが、内閣法によりまして官房が置かれておる。「内閣官房は、閣議事項の整理その他内閣の庶務、閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整及び内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務を掌る。」ものとされております。そのほか、「政令の定めるところにより、内閣の事務を助ける。」とされているところでございます。ところで、「内閣官房長官は、内閣官房の事務を統轄し、所部の職員の服務につき、これを統督する。」というふうにされております。
 以上が内閣官房長官の職務の内容であろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 私がそこで疑問に思いますことの一つは、内閣官房長官の職務の対価として受け取ったのではないということを今言われましたね。それは受け取ったということを前提としての話だと思うのですが、私が質問したいのは、内閣官房長官というよりもそのもう一つ前の段階で、国務大臣になっているはずですね。
 これは佐藤内閣のときからだと思いますが、辞令としては、大臣、どういうふうな辞令が出るのですか。あなたの辞令はどういうふうに出るのですか。国務大臣の方が先なんですか、法務大臣の方が後になるのですか、どういう辞令が出るのですか。僕もよくわからない。公報を見ればわかりますけれども、国務大臣を命ずるというのですか任ずる、それで法務大臣を命ずるという形になるのですか、どういう形で辞令が出てくるわけですか。
○住国務大臣 国務大臣の辞令が先でございまして、後で総理大臣から法務大臣という辞令をいただきます。
○稲葉(誠)委員 だから、言葉としては国務大臣を命ずる、あるいは国務大臣を補するとか何かよく知りませんけれども、国務大臣が先であることは間違いないわけですね。そうすると、今言った官房長官の職務に対する対価としてもらったのではないということは報告の中に出ていますね。これはもう公知の事実です。あなたも今暗黙のうちに認められたことですから。
 問題は、国務大臣でもあるわけですね。国務大臣として閣議に参画をしているわけですよ。そういうわけでしょう。それで、私は内閣総理大臣の職務権限のことについてはここで質問するわけではありません。これは今裁判で争いになっているところですし、恐らく控訴審での一番大きな争いの中の一つになってくる問題ですね。ですから、そのことを私はここで聞くつもりではございませんが、国務大臣としてがまず最初であって、それから官房長官ということになっているわけですね。そうすると、国務大臣であるということはもう公知の事実なはずですよ。そういうわけでしょう。ずっと前は、官房長官は国務大臣でなかったときがもちろんあります。たしか私の記憶では佐藤内閣以来だと思っていますけれども、そうすると、なぜそこで官房長官の職務に対する対価としてもらったのではないという認定をしただけで済んでしまって、国務大臣としての職務権限ということとの関連でどうして捜査をしなかったのですか。どうしてそこで報告がないのですか。これは私の疑問なんですよ。恐らく国民の中でも多くの方はその点についての疑問を持っているのではなかろうかと私は思うのですが、その点はどうして国務大臣の職務についてこの報告は触れてないわけですか。
○筧政府委員 その当時のこと、私もつまびらかにいたしませんが、国務大臣としての職務に関しても、疑いがあれば、あればといいますか、当然捜査をしたものと考えております。
○稲葉(誠)委員 そんなことないですよ。報告に入ってないじゃないですか。どういうわけですか。
○筧政府委員 私は当然国務大臣に関しましても捜査し検討したものと考えております。
○稲葉(誠)委員 いや、国務大臣に関して当然捜査し云々したというふうに考えていますと言ったって、報告の中に入ってないでしょうが。私はどういうわけで入ってないのですかと聞いているのですよ。私はずっと前からそれは疑問に思っているのですよ。一部私のところに来た人に私は言ったことがあるのですけれども、私は最初からその疑問を持っているわけですよ。
 だって、国務大臣として閣議を左右し得る権限を持っているわけですからね。それに関して金銭を受理したということも当然考慮の中に入らなければいけないのですよ。その方がむしろ中心なわけですよ。それをあなた方は官房長官の職務という形に歪曲しちゃったというか、それだけを取り上げちゃって、そこで権限なしというふうにはねちゃっているのですよ。はねちゃっているというか、事件にしなかったのだから、立件してないんだから、はねたと言えるかどうか、ちょっと別ですけれどもね。これは非常に難しい質問ですよ。難しいし、あなた方にとっては嫌な質問なんですよ。それは私もわかっているんだけれども聞くわけですけれどもね。
 だから、国務大臣としての職務権限についてなぜ報告は触れてないのですか。私はそれも触れているなら納得するのですよ。国務大臣としての職務権限についてあなた方捜査したと思いますと言ったって――そのときあなたは何をやっておられたのかな、筧さんは。岐阜の検事正かな、秘書課長で本省にいたのかどうか忘れちゃったけれども、とにかく、いずれにしてもそれに触れてないのはおかしいですよ。私はそう思いますよ。これは意識的に手を抜いているのですよ。そうとしか私には考えられないのです。
○筧政府委員 その当時のことを、私、どこにおりましたかは別として、詳しく承知しておりませんので、後日、調べましてお答えいたしたいと思いますが、ただ国務大臣に関しましても、先生御案内のように、古くは昭電以来国務大臣の職務権限がどうであるとか、あるいは閣議にどのようなことを言えるとか、他の所管大臣のことにも及ぶかどうかとか、非常に論議の約になってまだ定説がないと言っても過言ではないかと思います。そういうこともございますので、当然頭に置いて捜査をし、その必要がないという判断でされていないというふうに私は理解しておりますが、確定的なことは調べましてお答えをいたしたいと思います。
○稲葉(誠)委員 昭電疑獄の場合は芦田均さんの国務大臣としての権限の問題が問題になりましたよ。私の記憶では、たしか一審と二審で権限が違っていると思いました。だけれども、二階堂さんが五百万円もらった件については、国務大臣の問題については全然触れてないのですよ。これは非常に大きな問題なんです。だから、やった方の人は二階堂進さんにやったのでしょうけれども、それは官房長官としての二階堂進にやったとしかあなた方は考えてない。国務大臣である二階堂進さんにそれはやったかもわからないのですよ。それは外国からいろいろなものを輸入して外貨減らしというようなことが閣議で決定されたということに起因するわけですから、これは余り言うと総理大臣の職務権限との関連になってきますから、私としてもこれ以上のことはここでは言いませんけれども、確かに裁判に影響があってはいけませんから私も言いませんけれども、これは問題なわけですよ。だから、国務大臣の職務権限というものをもう少ししっかり考えていかないといけませんよ。それはまた後よく研究してください。非常に難しい問題ですから。
 私がもう一つ難しい問題だと思っているのは国会議員の職務権限の問題です。私は質問主意書を書いたのだけれども、余り出しても悪いと思って出さなかったのですけれども、これはいろんな形でやっていくと実に難しいのだ。これは恐らく大きな論文ができるくらい難しい問題を含んでいるのですよ。それはまた後の問題にいたします。
 そこで、大臣にお尋ねをいたしますけれども、田中元首相の影響力排除、こういうようなのが出ました。これはどうなんでしょうかね。国民には関係ないのですか。意味わかりますか。私の質問の意味をよく考えて理解して答えてくださいよ。そうでないと、後でとんでもないことになっちゃうといけないから、よく考えてください。意味がわかりますか。だから、それは自民党内部だけの問題なのか、政治倫理に関連して国民にも関係がある、日本の政治全体に関係がある問題なのかという意味にとっていいでしょう。それはそういうふうにとっていけば無難だと思います。だから、それはどうなんでしょうか。
○住国務大臣 大変難しい質問だと思うのですけれども、その影響排除の問題というのは、やはり一つは党内の党運営の点について触れておるのじゃないか。自民党という政党をどうやって運営していくか、世の中いろいろ言われておるわけでございますが、そういうようなことを考えて今までの経緯等も踏まえて公正な運営をやっていこう。その一つとして、田中という固有名詞を出してその影響力を排除する。中身はそうですね。
 そのこと自体はすぐれて党運営の問題だろうと思うのですけれども、総裁声明でございますから、しかも政権政党でございますから、どの程度国民に向けてあるかどうかは別問題として、公党の声明でございますから、国民に対しては無関係だ、こういうことは言い切れないんじゃないか。それをどう受け取るかということは、それぞれの立場によって私は違ってくると思うのでございますけれども。
○稲葉(誠)委員 さあ、ここから質問なわけです。そうすると、党内の問題ではあるけれども、国民にとっても非常に関心のある政治倫理の問題だ、田中元首相の影響力排除というようなことを言われておるとなると、田中元首相に非常に近い人を党の運営のかなめに据えるということは、一体田中元首相の影響力排除と無関係だというふうにあなたとしてはお考えになるのでしょうかね。さあ、そこのところが大事なところですね。答えはなかなか難しいですよ。よく考えて答えていただかないと難しいですよ。総裁選挙にも関連するのかもわからぬから難しいと思いますけれども、私は納得できないのですよ。
 しかし、党内の運営の問題であるから、よその党のことをかれこれ言うべき筋合いのものではありませんから、その点は私も遠慮いたしますけれども、しかし国民は納得しないのじゃないでしょうかね。あなたはどういうふうにお考えでしょうか。田中元首相の影響力排除と言いながら、そういうような声明をしておきながら田中元首相に最も近い人を副総裁という党の中央のかなめに据えるということについては国民は納得しないんじゃないか、こう私は思うのですけれども、あなたはどういうふうにお考えでしょうか。
○住国務大臣 私もその影響力がどの程度あるかということは詳しく知りません、派閥がいいかどうか別問題として。そういうことでございますので、そこらあたり本当にどれだけ影響があるのかよくわかりません。ただ、一人は無所属でございますし、木曜クラブというグループもあるわけでございますから、そういう木曜クラブがクラブに属していない人からのコントロールをどれだけ受けているかどうか、これは私自身もよくわからぬですよ。いろいろなことが言われておりますけれども、本当にそんな強いコントロール力があるのかどうかということ、断定する材料も何も持っていないわけでございます。それから、私は、二年間幹事長としてお仕え申し上げましたけれども、直接お仕えしたわけですが、少なくとも私の見ておる限りそういう印象は受けたことはございませんでした。
○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたとしてはそういうふうに――二階堂さんがロッキードの事件に関連して五百万円もらった、こういうふうに法務省は報告しているわけです、秘密会がどうか別として。秘密会だって議事録は残っているのですから。そのこと自身は私かれこれ言うのじゃないのですよ。というのは、あなたの方は証拠があってそういうことを出したわけでしょう。それから一審の判決――一審の判決は事実の認定と言えるかどうか私はわからないと思うのです。直接の罪体ではありませんからね。まだ未確定の事件ですから、一審の判決をとって僕はここでかれこれそのことを言わないのですよ。そうでしょう。罪体ではないでしょう。派生じていることで事実の認定と言えるかどうか、これはわからないですね。三十ユニットの解説の中に出てくるのだけれども、これを目して事実の認定と言えるかどうか私は疑問だと思うから、そのことを私はここでは言わないのです。しかも事件は未確定でしょう。だから、まだ言わないのですけれども、あなたの方もそれなりの証拠があって国会に報告しているわけですから、そのこと自身よりも、むしろそれをそうではないんだといって頑張っておられて、そして民事の一億円の訴えを起こしたでしょう。一億円の印紙を張るのはもったいないからといって、そのうち一部の一千万円ということで印紙を張ってやったらしい。それはどうでもいいけれども、途中で取り下げてしまったでしょう。それから上申書を出したり何かしている。そういうのは政治家としてはどうも私は納得できない、こういうことなんです。
 そうすると、法務大臣としては中曽根内閣の一員として、そういうような金をもらっているという、あなたの部下の言うことを信用するのでしょう。信用しないなら別ですよ。ここでまた意地の悪い質問をしても悪いからここら辺であれしますけれども、意地の悪い質問をすれば、あなたは部下が報告していることを信頼するという答えになってくるでしょう。信頼しますと答えざるを得ないでしょう、あなたとしては。それじゃ二階堂さんが五百万円もらっていることをあなたは認めるのか、法務大臣、こう聞かれれば、あなたとしてもそうですと言わざるを得ないでしょう。それは違いますと言えないでしょう、あなたとしては。部下に対する信頼を裏切ることだから。そこまで聞いても悪いから、私も聞かないのですけれども。だから、それはわかるのですが、ちょっとこっちも良識的に判断し過ぎているのかもわからぬです。そこまで聞いては悪いと思っているのですけれども、そういううそを言うのがよくない、私はこういうことを言うのです。
 そうすると、あなたとしては、二階堂さんが副総裁になるということについて、中曽根内閣の一員である以上はもうそれはしょうがない、こういうことですか。あるいは歓迎をするということなんですか。どういうことになるのですか。お答え願えるのなら願いたいじ、そこまでは答えられないというならこれはしょうがないですな。どっちでもいいですよ。どうですか。
○住国務大臣 私は法務大臣という立場でございますので、党の方を離れての立場でございますから、それはいろいろな経緯もあることでしょうしね、ここでいいとか悪いとか、法務大臣として委員会でお答えする立場にはないと思うのです。
○稲葉(誠)委員 今の問題はいろいろまだ聞きたい点があるのですけれども、あなた方の立場もあるでしょうし、この程度にしておきますけれども、私が今質問した点については、納得ができない点があるのです。
 そこで、またちょっと別なことなんですけれども、これは内閣法制局の方からおいで願っておりますので、今の問題は今の問題として、別のことをお聞きしたいのですけれども、私のもう一つの疑問は、政党法というふうなものがドイツを中心としてできているわけですね。何回となく改正されているわけなんですが、それがどういうような政党法になったときに日本の憲法と抵触するか、あるいは抵触するおそれがあるのか、こういう問題ですよ、私の疑問は。その点についてお答えを願いたい、こういうふうに思うわけです。
○前田(正)政府委員 日本国憲法は、御承知のように政党について特に規定をしておりませんし、これについて特別の地位を与えてはおりません。しかしながら、憲法二十一条第一項が結社の自由を保障しておりますし、政党が結社の一つであることは申すまでもございません。この点、最高裁も、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は政党の存在を当然に予定しているものというべきであると判示しております。
 ところで、ただいまのお尋ねでございますけれども、法制局といたしまして、政党法につきまして特別研究しておりませんものですから、せっかくのお尋ねに対しまして意見を申し上げるほどの持ち合わせはないのでございますけれども、仮に政党法が制定されるといたしました場合、ただいま申し上げましたように、政党は結社の一つでございますから、結社の自由を保障しております憲法二十一条第一項の規定に抵触するものであってはならないということはもう当然のことでございます。さらに、その他その政党法の内容が憲法上の諸原則に適合したものでなければならないということも言うまでもないと存じます。
 いずれにいたしましても、政党法が制定されるのかどうか、また制定されるといたしまして、その内容がどういうものになるのかということが必ずしもはっぎりいたしておりません現段階におきましては、あれこれ問題点を申し上げるということもなかなか困難ではないかと存じます。
○稲葉(誠)委員 今の段階で確かにそのとおりですね。政党法の内容が明らかでない段階で、こういう点がどうだ、こういう点がどうだということを私の方から聞いてもいいんです。聞いてもいいんですが、内閣法制局としては、それはなかなか答えにくい点だろうと私も思います。それはよくわかります。
 ただ、こういうことは言えると思うのですね。いろいろな形で公的資金がどんどん政党に対して出てくる、こういう形になってくると、仮に政党法ができたときには、内容にもよるのですけれども、政党の性格というものが公的な性質を帯びてくるというようなことからして、そのことがいいか悪いかは別ですよ、そういうようなことからして、政党の総裁なりあるいは執行委員長なり、そういうようなものの選挙についても公職選挙法の適用が考えられるという余地がその政党法の内容いかんによっては出てくるのではないでしょうか。その点はどうでしょうかね。
○前田(正)政府委員 申し上げるまでもなく、政党は私的な自由団体でありますと同時に、憲法政治に密接な関連を有します公的な団体でもあるわけです。そういった点から申しまして、一般の結社とは異なる性格を有しているものだと思います。
 ところで、今お尋ねがございました点につきましては、その内容いかんによってそのような定めもでき上うかと思います。
○稲葉(誠)委員 今の点は、これはドイツの政党法ばかりじゃありませんけれども、ほかの政党法もありますけれども、ドイツの政党法というのは何回も何回もよく変わりますからね。ドイツは法律が非常に変わる。ことしになって、また、たしか一月一日から変わったか何かですね。補助金も変わりましたからね。一人当たり五マルクになったのかな、変わりましたね。
 そういう点なんかも含めていろいろ問題となると思うのですが、私の今感じております疑問は、政権政党である自由民主党がその総裁選挙で非常に金が飛ぶということ、これは秦野さんが雑誌で言っているわけです。それで、当たった、当たったなんて言っているそうですね。何が当たったかというと、弾が当たったと言っている、どういう意味がわからぬけれども。秦野章さんが文芸春秋か何かで言っているんだけれども、そういうような形になってきたときに、それが公職選挙法の適用にならないということは、これは政党法の規定の内容によるかもわかりませんけれども、どうもおかしいように考えられてくる、日本の現在ではあそこで決まっちゃうわけですから。そこら辺のところが問題だというふうに私は考えておるわけです。
 もう一つ私が常日ごろ感じております疑問は、こういうことなんですね。例えば、よく県会だとか市町村会で議長や副議長になるために金が動くわけですね。そうすると、それは普通の贈収賄でいくわけです。公職選挙法の適用が現在の段階ではないわけですね。そして、どういうふうに言ったらいいでしょうかね、まず一つの疑問は、一般の国民がみんな見るのは、議長、副議長選挙で金が飛んで議長になった、副議長になったといって贈収賄で捕まるわけでしょう。そうすると、その人は公民権停止になるというふうに常識的に考えている人が多いわけです。ところが、それは公民権停止にならないわけですよ。関係ないわけですよ。まあ関係ないと言うとおかしいが、現行法では関係ないわけでしょう。だから、非常に不思議だな、こう思うのですね。あれが公民権停止にならないのは変だな、失格しないのはおかしいじゃないか、こういうふうに思う一般の人が非常に多いと私は思うのです。
 そこで問題の一つは、自治省がおいでになっていますからお聞きいたしたいのは、議長、副議長選挙なんかで贈収賄になって確定したときに、これは被選挙権というか、そういうようなものを失わせるためには、どこをどういうふうに改正したらいいということになるのでしょうか。そこはどうなんですかね。
 それからもう一つは、同時に、なぜ選挙権や被選挙権の問題に議長、副議長選挙でお金が動いたりなんかしたときに触れないのですか。これは法務省の方かな自治省の方かな、どうなんですかね。どっちでもいい。国民は皆不思議に思っているのですよ。当然、被選挙権がなくなる、失格すると思っている、そういう人が多いのですから。そこら辺は、今の二つの点はどうでしょうか。
○小笠原説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございましたように、地方公共団体の議会の議長あるいは副議長選挙に絡んで買収等が行われました場合には、公職選挙法の買収罪の適用はございませんで、刑法の贈収賄の規定が適用になっておるわけでございます。それで、選挙権及び被選挙権の欠格事由として禁治産者とかあるいは禁錮以上の刑に処せられた者というふうに列挙がされてございますけれども、贈収賄で執行猶予がつかないで禁錮以上の刑に処せられた人は選挙権及び被選挙権を失うということになっております。ただ、執行猶予になった場合には、あるいはそれ以下の刑の場合には公民権が停止されない、選挙権、被選挙権を失わないということになっているわけでございます。(稲葉(誠)委員「今はね」と呼ぶ)今の規定はそういうふうになっているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 だから、どちらにお尋ねしていいかわかりませんけれども、その理由は一体どこにあるんでしょうかということをお聞きしているわけですよ。だから、おかしいと言うのですよ。仮に執行猶予の場合でも公職選挙法ならやるでしょう。被選挙権がなくなっちゃったりなんかするわけですからね。罰金だって普通の場合は黙っていれば五年間でしょう。そういう形ですから、その場合、議長、副議長選挙その他のような買収であれした場合には、当然被選挙権がなくなってもいいんじゃないかと理論的に考えられるのですけれども、それはどうしてそういうふうな被選挙権なりなんなりがなくなるような形にならないんだろうか、そこの理論的な根拠は一体どこにあるのでしょうか。現実にはわかりましたよ。今の法律はわかっているのだけれども、理論的な根拠は一体どうなんでしょうか、そこは。また、それを改正するためにはどうしたらいいのですか。
○小笠原説明員 この公民権停止あるいは選挙権及び被選挙権の欠格事由につきましては変遷がございまして、戦前は非常に厳しかったのでございます。戦前は例えば六年以上の懲役あるいは禁錮以上の刑に処せられた者は一生涯、終身、公民権が停止されるということになっておったわけでございます。それは一般の犯罪すべて含んで、六年以上の刑に処せられたら一生涯選挙権がなかった、こういう形になっておったわけであります。
 戦後になりまして、昭和二十二年の衆議院議員の選挙法の改正によりまして、戦前のような規定は非常に厳し過ぎるということで、国民の選挙権を拡大するということの一環といたしまして、いわゆるそういうふうに刑を終えた者、刑余者については欠格者の範囲から除外したわけでございます。しかし、その場合でも、昭和二十二年の衆議院議員の選挙法の改正の段階では執行猶予がついておっても選挙権、被選挙権を失うという形になっておったわけです。ところが、その後も執行猶予がついておる者については、刑そのものを、実刑を科せられた者と罪の程度が違うのではないか、したがって参政権を剥奪する必要はないんではないかということで、昭和二十五年、現在の公職選挙法ができます段階で、一般の犯罪による刑の執行猶予中の者については選挙権、被選挙権は失われないということに拡大されてきたわけでございます。
 そういう経緯で、申し上げましたように、参政権を拡大するといいますか、できるだけ認めようという趣旨で今のような形になったと理解しております。
○稲葉(誠)委員 私が質問していることは、議長、副議長選挙というふうなものにおいて金が動いて贈収賄になるということは、これはもう本質的に公職選挙法の違反と同じなんですよ。だから、それが被選挙権がなくならないというのはどうもよくわからないのですよ。これは拡大するのはいいですよ。いいのだけれども、私はよくわからないというふうに考えているわけですけれども、これは別の機会に、よく研究してまた質問させていただきたい、こう思っております。
 今ここで質問するのじゃないのですが、もう一つ私の考えている疑問は、こういうことですよ。自治省の方、法定費用があるでしょう。選挙違反なしで必要な合法的な費用を積み重ねていって法定費用までいくのですか。――質問の意味がわかりますか。例えば労務者の費用とかなんとか、法律で決まった日当とか報酬その他ありますね、それを積み重ねていったときに法定費用までいくのかいかないのかということです。これはよく研究しておいてください。それは事務所の借り賃をうんと高くすれば別ですけれども、その点についてはまだ別の機会にやりますので、研究しておいてください。
 法務省にお聞きしたいのは、今言った中で議長、副議長の選挙や何かのときに問題になってくるのは、議長や副議長になりたいといって金を贈る方がむしろ悪質なんですよ。もらう方よりもそっちの方が悪質だということになる。両方とも悪いことは悪いけれども。ところが、日本の場合は贈の方が非常に刑が軽いわけですね。法定刑も軽いですね。収の方が重いわけでしょう。これは公務員の廉潔性の維持ということがプラスされるから法定刑としてはそういうことになるのかもわかりませんけれども、今言った点では、贈の方がむしろ悪質な場合が非常に多いのですよね。ですから、この法定刑というふうなものについても、贈と収との間の法定刑、片っ方は三年以下、片っ方は五年ですか、こういうふうになっておるのですけれども、そこら辺の点についても十分考える必要があるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけですけれども、今ここでそのことについて答弁ということじゃなくて問題提起、こういうことだけにしておきます。
 きょうは、そういうようなことで私の常日ごろ疑問に思っておることだけをお聞きしたわけです。また別の機会にいろいろ質問させていただきたい、こういうふうに考えております。
 終わります。
○宮崎委員長 石田幸四郎君。
○石田委員 私は、外国人登録に伴う指紋押捺の問題についてこれから若干の質疑をいたしたいと思います。
 まず最初に法務大臣にお伺いをいたすわけでございますが、この外国人登録に伴う指紋押捺の問題、基本的な人権にもかかわる問題でございますので、去年からいろいろと新聞等もにぎわわしておるわけであります。また、ことしですか、三月十四日に韓民団の方で百八十万の署名を集めて衆参両議長に請願をされた、こういう経過もあるわけでございます。この指紋押捺の問題は、出発がいわゆる犯罪にかかわる問題であっただけにややこしい問題だと私は思うのですけれども、非常に多くの人が屈辱感を感じておる、こういう状態でまたそれだけの署名も集まったのではないかと思うわけでございます。この百八十万の署名の重さに対して、大臣どんなお考えをお持ちなのか、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。
○住国務大臣 百八十万の署名が集まったということについては、それなりにこの事の重大性と申しますか重要性と申しますか、そういう背景があってそういう署名もでき上がったと思っております。
 ただ、この問題は、一昨年でございますか外国人登録法改正の際に、そして一昨年十月からこれは施行になったわけでございますから、その登録法の改正のときにも国会で真剣な議論が行われた、私はこういうようにも聞いておるわけでございます。その当時はいろいろな要件の緩和等も行われておりますけれども、そういうような国会審議の直後のことでもあるし、私自身大変戸惑っておるわけでございます。
 それから、私は犯罪と必ずしも関係があるとは思っておりませんので、これは日本においでになる外国人の身分関係なり居住関係なり、そういうものをできるだけはっきりさせておいて、万一のことがあったらいけないわけでございまして、そういう配慮をいろいろな関係者がやっていく場合において指紋制度も必要でしょうし、あるいは登録証明書の常時携帯等も必要だ、それによって不測の間違いも防止していく、こういうようないろいろなことがございまして現在のような制度になっておると思っておるわけでございます。指紋の問題は何も日本ばかりのことではございません。諸外国にもそういう指紋をとっているところもあるようでございますから、そういういろいろなことを考えてこの問題を冷静に考えていかなければならぬのじゃないかなと思っております。
○石田委員 指紋押捺の性格の問題についてはこれから議論をしていきたいと思うのですけれども、法務省のお考えの中に、一昨年改正が行われたじゃないか、その直後だけに今その問題を検討すべき状況にない、三年から五年の切りかえの問題もあって、経過をしていないからというようなことも言われておるわけなんでございますが、しかし、事の性質上、あるいは外国人登録法の改正が二年連続して行われておるというような状況から見ても、その事の本質がより重大であればなおまた検討の余地があろうと私は思うのです。
 それで、今署名の問題を申し上げたのですけれども、四月二日の毎日新聞の夕刊によると「外国人の指紋押捺問題 地方議会で攻防」ということで、自民党さんから何か御要望の通達みたいのがいろいろと出ているらしいのですけれども、御存じないかもしれませんが、そういったことで各地方議会にはかなり締めつけが出ているということです。それだけ地方議会でも請願の問題が話題になっておるわけで、地方議会においては決議をするわけです。毎日新聞の報道によりますと、この指紋押捺に対する反対決議というのが実に四百十九議会に及ぶというような状況が報道されておるわけなんですが、党は党としましても、これだけ地方議会の要望が強いということについては、大臣はどんな御所見をお持ちでしょうか。
    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○住国務大臣 地方議会からこの問題に関連して意見なり決議等がされている、約一二、三%の団体でそういうことが行われておるということも承知いたしておりますし、私どももいただいております。この業務は、御承知のとおり機関委任事務で市町村長にお願いしておるわけでございます。それだけ関心も非常に高いと思っております。そういう意味で、百八十万人の署名と同じように、地方の議会等においてこういうことを深刻に考えておられるわけでございますから、私はそれは十分頭に入れておかなければならないことだと思っております。
○石田委員 それでは、少しこの指紋押捺の基本的な問題にかかわりますので、若干御質問を申し上げたいと思います。
 刑事訴訟法の二百十八条、ここには身体の拘束を受けている被疑者は指紋採取に令状を要しない、となっております。この解釈の問題で、この処分では被疑者を特定する上で必要とされるのではなく、被疑者を裸にして行うのでない限り人権侵害の程度も比較的小さい。既に身体の拘束という強制力が加えられている以上、この程度の強制は許されるんじゃないか、こういうふうに解釈が行われているようなんです。私の強調したいのは、人権侵害の程度は比較的小さいという一つの解釈の仕方があるんですけれども、これについて御異議はありますか、法務省の人。
    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(常)政府委員 お答えいたします。
 我々は、外国人の同一人性を確認するため指紋押捺制度を採用しておりますが、指紋押捺をさせるということは、いかなる意味においても人権には違反していないと考えておる次第でございます。
○石田委員 それをいきなり私は今聞いているわけじゃなくて、このような配慮が行われているというふうに解釈をされていることについてどうお考えですか、ということを聞いているわけですよ。
○田中(常)政府委員 私、刑事訴訟法の方は主管しておりませんけれども、しかし、この指紋問題ということについてはいろいろその考え方が寄せられておりますけれども、指紋をとるということは、各機関によってそれぞれ目的を異にしていると考えております。
 指紋をとる目的の一つには、外国人にしろ同一人性を確認するというものが一つございますけれども、これは法務省がとっている見解でございます。それから警察は、恐らく犯罪捜査ということを目的として、そういうような制度をとっていると思います。国によりましては、自国人のパスポートを発給するに当たって指紋をとっている国もございますし、また自国民の指紋をとるということもございまして、指紋をとるということは非常に多岐の目的を持っている。だから、指紋をとったから、直ちにこれが犯罪人扱いとかいうものに結びつくとは考えていない次第でございます。
○石田委員 これは入国管理局長にお伺いすることではないと思うのですけれども、担当がおられないようでございますから大臣にお伺いしますかね。指紋を採用した動機というのは、私はやはり犯罪にかかわる問題からこの指紋制度というものが採用されるようになったというふうに理解をしておるのでございますけれども、これは違うのでしょうか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。
 昭和二十年代におきましては、登録行政が非常に乱れた次第でございます。当時は二年ごとに切りかえ申請ということをしていたわけでございますが、その切りかえ申請のたびに数万人の在留外国人の数が変わるというような事態がございました。それで、当時の制度におきましては、外国人登録は写真だけを貼付して、それで同一人性の確認をしようと試みたわけでございますが、これではどうしてもいかぬという事態になりまして、昭和二十七年の法改正によりまして指紋制度を採用し、昭和三十年からこれを実施したわけでございます。そして、その後、要するに切りかえを行う際に大幅に外国人の在留数が変わるというような事態もなくなり、外国人の同一人性を確認するとともに、外国人の身分事項、居住関係を把握するということが確実になされるような情勢になったと考えております。
○石田委員 私は経過報告を聞いておるわけではないのですけれども、では、もう少し議論を進めてみまして、指紋等取扱規則第三条第三項によりますと、身体の拘束を受けていない被疑者の指紋採取には承諾が必要である、こういうふうになっているわけですけれども、これは指紋の現代社会一般に受け取られている感覚と申しますか、そういうものは間々犯罪に関係があるというような受けとめ方をされているのじゃないかと思うのですけれども、そういうところから警察当局等もそこら辺を十分配慮してそういうような規則を決めているのだと思うのですね。そういう問題の重さについては、入国管理局の方では全く御検討されたことはないわけですか。
○田中(常)政府委員 主権国家が併存しております現代の国際社会というものを前提にいたしますと、内国人と外国人という間には基本的な地位の差異がございます。この地位の差異に基づく合理的な取り扱いの差異というものは、これは国際慣行においても許されております。外国人を入国させるかさせないか、入国させた場合にいかなる合理的ないろいろな義務を課するかということは、これは国際慣行上国家の裁量に属することということで許されております。そして、入管といたしましては、その基本的な考えに従いまして、どうしても外国人の同一人性を確認するためには指紋を採用していなければならないということを考え、現在そういうことを執行しているわけでございます。
○石田委員 それは必ずしも答えになっていないわけで、私は外国人と日本人との差異を撤廃せよなんということを頭から言っているわけではないわけでして、現在の仕組みについては是認をいたしておるわけであります。しかし、その上でなおかつそういった人権に対する配慮というものが必要である、こういうことを申し上げておるわけでして、お考え違いのないようにお願いをいたしたいと思うわけでございます。
 ですから、私が申し上げているこの指紋押捺に対する司法当局のいろいろな配慮というものがなされている、それは国内で生活をする人々のすべての人権を守るためにこのような配慮がなされているということであろうと思うのです。ここら辺の観点からの検討が必要ではないかというふうに私は申し上げておるわけです。
 もう少しそこら辺の問題で私は関連があると思いますのでお尋ねをするわけでございますが、愛知県にかつて県民指紋登録という制度があったわけですね。その目的、経緯について若干御説明をお願いいたしたいと思います。
○岡田説明員 警察庁鑑識課長の岡田でございます。
 私どもは愛知県警察からの報告によりまして、ただいまおただしの件について、次のように承知をいたしております。
 まず、このいわゆる県民指紋登録を行うようになった経緯の概略でございますが、愛知県では昭和二十六年ごろから、あくまでも本人の利益に資するという目的から、例えば災害にあった場合や行き倒れになった場合といった場合の身元確認という行政目的上の資料として活用するために、当初青年団、消防団等の団体からの依頼で、その団体の中で自発的に希望する人々を対象にしましてその指紋登録に技術的な援助を行ったというのがそもそもの初めでございますが、その際これら団体の要望によって採取した指紋票を警察が保管しまして、いわゆる県民指紋として運用されるというふうになったようでございます。その後、他県へ出る人があるなどの理由から、中学校の卒業時にまとめて指紋登録してはどうかという希望がございまして、学校の方からの要請のもとに行うという前提で、昭和二十九年から中学卒業時に指紋を採取するようになったようでございます。しかし、その後の状況の変化がございまして、その後県民指紋の新規登録者がなくなってくるという状況でありまして、また同時にこの制度を廃止してもらいたいという声が多くなってきたということがございました。
 また、警察といたしましても、この制度を活用する事例がほとんどなくなりました。また、運用するための人手や資料を保管する場所もない、こういう理由から、事実上昭和四十五年から中学卒業時の指紋登録をやめております。また、昭和五十二年ごろからは一般の人々の指紋登録も取り扱わなくなっております。そういうことで、実態的に五十二年ごろからこういうものがなくなったわけでございますが、さらに形式的にもといいますかこの制度の効果的運用が図れなくなってきてしまいましたので、昭和五十七年の七月一日をもちまして県民指紋制度を廃止し、保管資料も廃棄処分するということにいたしたものでございます。
 経過は以上でございます。
○石田委員 これは愛知県で採用した一つの制度のようでございますけれども、問題はいろいろあります。しかし、既にこの制度が廃止をされておるわけですから、私は今さらというような感じもないわけではありませんけれども、中学生の採取について学校側の要望があったからというようなことで簡単に実施するというような姿勢は非常に問題だと思うのです。中学生というとまだ保護者の管理下にあるわけで、そういった人々が学校の先生から言われたから指紋を全部押さなければならないというようなことが安易に行われていること自体非常に問題である、こういうふうに思うわけでございます。
 ただ、これは廃棄処分にされたということでございますけれども、その記録は現在あるのですか、ないのですか。
○岡田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、昭和五十七年七月一日の通達をもって運用及び保管を廃止するということにいたしまして、直ちにその措置をとっておるわけでございますので、廃棄されたものと承知しております。
○石田委員 私は、このような重要問題でございますから、廃棄された証拠記録というものが本来なければならない、こういうふうに思うのですけれども、それはどうもないようなんですね。これは本庁としては廃棄処分にされたということを確認されましたか。廃棄処分というのは焼却処分か何かにしたのですか。そこのところを明確にお答えいただきたいと思います。
○岡田説明員 特別の確認はいたしておりませんが、愛知県警からの報告でそのようになされたと承知をいたしております。
○石田委員 それ以上の資料はないようでございますから、それはやむを得ないとしまして、この制度が廃止になった過程の議論というものはどんな議論が行われておりましたか。
○岡田説明員 その過程の議論につきましては、私つまびらかにいたしませんが、先ほど申し上げましたように、希望する人も少なくなった、廃止を求める声も強くなった、一方、警察の方でもそれを運用するにいろいろ困難が生じてきた、またその利用目的に照らす事案もほとんどなくなってきた、こういう状況から廃止をするという判断に至ったものだというふうに考えております。
○石田委員 詳しい状況は御存じないようでございますから、これ以上申し上げませんけれども、いずれにしても、廃止をされた経過というのは、中学生に至るまで、確かに行政上非常に便利ではあっても、いわゆる犯罪関係における指紋押捺の問題。との関連もあってやはり本質的にまずいのではないかというお考えもあったのではないかと思うのですね。そこら辺のことについてはどういう御見解をお持ちですか。
○岡田説明員 もともと私どもが指紋を管理、運用するのはあくまで犯罪捜査上の目的でございます。ただいまの愛知県の場合はそれ以外の行政目的上の制度であったというふうに思いますが、そういうことでございますので、私ども、その目的上の必要がなくなれば廃止されて当然ということで、先生の御質問の趣旨がよくわからなかったのでございますが。
○石田委員 まあいいでしょう。ただ、法律運用の上だけでこの議論をいたしますと議論になじまない、私はこう思うのですね。先ほど申し上げたように、身柄を拘束されないような人であっても、警察署長の方針としては指紋を押捺させる場合には本人の承諾が必要だということで非常な配慮がされているわけですね。この問題は、それをただ行政上の目的の必要がなくなったから廃止をするという意味合いだけではないはずなんですね。それを追及してみてもしょうがないからいたしませんけれども、管理局長さんの方にも御承知いただきたいのは、行政上の問題であってもそういうような配慮がなされつつ今まで採用されておった制度を廃止しておる、こういう経過もあるということをひとつ御認識いただきたい、こういうことで私は申し上げておるわけでございます。
 それから、特にこの中で再々管理局長さんもおっしゃっておりますように、行政上の指紋押捺というものが、必要があればどんどん採用していいんだというようなお考えに立っているようでございますけれども、そういうことと司法上におきますところのいろいろな配慮という問題を全く関連がないというふうにお考えでございますか。
○田中(常)政府委員 御指摘の問題でございますけれども、我々、在留外国人の公正な管理をしなければならないという立場にございますが、この管理をするということは非常にきつく響きますけれども、これは規制的な面と、それから行政サービスの面もございます。したがいまして、我々としてはやはり一方において規制しなければならない、また同時においてサービスをしなければならない、そういうような気持ちで外国人に接しているわけでございます。我々としては、いかなる国籍の外国人であろうとも差別する意図などは毛頭なくて、外国人は一人の人間として取り扱っているものでございます。しかしながら、我々は日本国に在留する外国人が適法に在留しているということを管理する仕事を持っている、そういうふうに考えております。
○石田委員 どうも議論がかみ合わないようですけれども、例えばこの指紋押捺の問題で、これは市町村で委任事務の関係でそれぞれやっておるわけですけれども、例えば、窓口において切りかえるときに指紋押捺をする、それすら若い人たちには非常な抵抗がある、こういうようなことが言われておるわけですよ。そういうような訴えがある。そういうお訴えを聞いたことはありませんか。
○田中(常)政府委員 委員が御指摘のような訴えは私も聞いたことがございます。また、裁判においてもそういうような訴えをした人もございます。しかしながら、我々は指紋押捺をとっておりますが、何も日本国だけにおいてユニークな、特異な事象ではございませんでして、世界二十四カ国において全面的に指紋を採用しておりまして、それらの国においてこれが人権を侵すとかあるいは差別意識であるという声は全然上がっていない、今日まで私、聞いていないということでございます。
○石田委員 ですから、私冒頭申し上げたわけで、その百八十万からの署名の問題あるいは地方議会におきますところの四百十九議会の決議というものがなされている。そういう問題について入国管理局長として全くそういうものは考える余地がないというか一顧もする必要はない、そういうような御答弁のような気がするのですけれども、そこら辺との関連はどうお考えになりますか。
○田中(常)政府委員 百八十万人の署名が集まったということは一つの大きな事実として私も十分に承知しておりますし、また法務省といたしましてもこの問題については慎重に検討いたしました。しかしながら、冒頭に法務大臣から御答弁いただきましたように、既に一年有余前に慎重に国会において御審議をいただいた、そしてそれに基づいて現行の諸制度は行っている。したがいまして、我々としては百八十万人の署名ということを前提に考えても、なおかつ現行制度を変える必要はないというふうに考えている次第でございます。
○石田委員 それではちょっと角度を変えてお伺いしますが、一つ、例えばこの指紋押捺の登録については十六歳になっておりますね。十六歳時点で登録するわけでしょう。そうですね。十六歳といえば普通まだ親の保護のもとにあるわけでございまして、社会生活の上から考えれば、高校生時代の年齢になるわけですね。ここら辺はもう少し緩和してもいいんじゃないかなというような感じもするわけですよ。
 例えば国籍法の改正問題で今当委員会で議論をされておるわけでございますが、国籍を取得するに当たって、二十歳で、それから期限を二年、その間認めておるわけですかね。そういうような形で、いろいろと各国の事例も考えていわゆる成人に達した時点が至当であろう。また、この国籍法に対するいろいろな御注文が、ある団体の人たちに聞くと、二十歳ではとても将来の生活設計が確定をしないから、少なくとももう少し、もう三年ぐらい延ばしてくれぬかというような話もあったわけですね。そういうような考え方一つをとらえてみても、それぞれの基本的な人権を配慮した上での御要求だと思います。
 反面、二十歳に決めるということは、成人に達したから一応の判断ができるであろう、こういうような法務省のお考えがあって原案が提出をされておるわけで、そういった意味では十六歳というのはちょっと過酷に過ぎるのじゃないか、私はこういう気もしますけれども、いかがですか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。
 前回の法改正によりまして十四歳から十六歳に年齢が引き上げになった次第は、委員もよく御存じのことと思いますが、我々、十六歳にしましたのは、基本的には十六歳をもって単独で社会行動、社会活動ができ得る年と考えたわけでございます。十六歳になぜ選んだかということについては、単に社会行動をなし得るいろいろのあれが成熟してきたということのみならず 例えばICAOでございますか、国際民間航空機関のレコメンデーションによりますと、要するに外国へ旅行する者は、十六歳以上の者は単独のパスポートを持つように、十六歳以下の者は両親のパスポートの中に併記するようにというような一つのめどが示されておりまして、そういうことも判断の基準になった次第でございます。
 それで、各国の事例でございますけれども、例えば米国は十四歳を基準としております。国によりましては、十六歳の場合も十八歳の場合もありますが、我が国といたしましては、十四歳から十六歳に引き上げたというのが前回の改正の次第でございます。
○石田委員 前回改正されたから今考える必要がないんだという議論は、私ちょっとおかしいと思うのですよ。前回改正された、それでなおかつ百八十万からの署名があり、四百十九の地方議会の反対決議というものがなされている。そういう状況を見ると、やはり改正をしてもらいたいという希望者が非常に多いということですね。
 十六歳、確かに外国の事例もあるかもしれませんけれども、我が国が先例をつくっても構わないわけでございますので、そういった意味でも――十六歳と言えば、確かに社会生活全般に対するある一定の常識が得られる年齢だとは私は思います。しかし、逆に言えば、まだまだ保護者の監督下にある年齢である。我々の子供たちの生活実態を見ても、十六歳ですべての問題を律するだけの経験を持つものとは言えない、こういうふうに思うのです。こういう意見に対して、どういう感じを持っていらっしゃいますか。
○田中(常)政府委員 前回の改正において十四歳から十六歳にしたから十六歳を墨守しろという意味ではございませんで、現段階においていろいろ問題を考えても、やはり十六歳というのが一人の人間として単独で社会行動をでき得る年、大体高校一年生でございますか、高校一年生から二年生にかけては一人でいろいろな社会生活の場に出ていくことができるというふうに考えておる次第でございます。
○石田委員 もう少し具体的な問題として、これはいろいろな意見が今まであるわけですね。例えば同一性の識別の万全な方法としては、確かに指紋というものは有効な手段ではあるけれども、例えば自動車免許証の場合を見ても、書きかえはもちろんあるわけでございますが、今そう簡単に張りかえができるような状況にないわけですよね。ビニールを上がらかぶせた、そういうようになっていますね。そういったことで十分確認できるのじゃないか。何でもかんでも指紋を必要としないのではないか。もし犯罪に関係がある、あるいは出入国の問題について疑問があるというならば、改めて指紋を要求して、そしてその上で調査をすれば済むのじゃないか、こういう議論が一つありますね。そこら辺についてはどういうお考えですか。
○田中(常)政府委員 委員御指摘の問題でございますけれども、すべての外国人が自動車免許証を持っているわけでもございませんし、また、少なくともドライブしているときだけに自動車免許証を持っていることが求められていると思います。その上、外国人登録法の目的と交通安全法の目的というのは、当然のことながら全然趣旨が違うわけでございます。それから、自動車免許証と外国人登録証明書の中の記載事項も全然違いまして、ちなみに、当然のことでございますが、自動車免許証の中には外国人の在留期間、在留資格、職業等は書いてないわけでございます。したがって、自動車免許証をもって在留資格の管理の目的にはならないわけでございます。
○石田委員 それはお答えの趣旨が全然違うのじゃないですか。自動車免許証のようなそういう形態でも、同一性のものが確認できるのじゃないか。私は、免許証で同一性を確認せいなんということは一言も言っているわけじゃないですよ。指紋押捺との絡み、それから外人登録については写真等も必要なわけでしょう。一方において、交通事故問題等に必要だから自動車免許証が出ている。そこには写真で同一性というものが確認されているのじゃないか。だから、外国人登録法の上においてもいわゆる指紋は必要なときに改めて提示を求めればいいわけであって、それは写真でも同一性は確認できるのではないのですかと聞いておるわけですよ。全然お答えが違いますがね。
○田中(常)政府委員 御質問の趣旨を取り違えまして失礼いたしました。
 自動車免許証のようなものということでございますが、問題は、結局写真だけで同一人性を確認でき得るのか否かということに絞られてくるのじゃないかと思います。我々の考えとしましては、写真というものは髪型により、また年齢により非常に違うものでございますし、また、いかなる状況においてその写真が撮られたか、その明暗等によって人のイメージというのは非常に違ったものどなってきておりますもので、なかなか写真だけで同一人性を確認することはできないわけでございます。そして、そのために我々は指紋制度を採用したわけでございます。
 では、指紋制度以外に同一人性を確認する手段はあるのかということになりますが、諸外国の事例なんかを見ますと、サインをもって同一人性の確認の手段としているところがございます。しかし、我が国においては、サインで同一人性を確認するということは社会慣習化されておりません。それから、我が国に在留する外国人の大半はアジア人であって、これもひとしくサインをもって同一人性を確認する習慣は持っておりません。米国社会などは、サインが完全に同一人性を確認するために社会慣習化されておりますが、なおかつ十指の指紋をとることによって外国人の同一人性を確認しているということを申し添えたいと考えております。
○石田委員 それとても、ちょっとお答えの趣旨も違うのじゃないかと思うのですね。
 では、指紋というものは提示を求めた瞬間、例えば警察の係官がたまたま自動車事故があった人に対して、あなたは外国人ですから外国人登録書をお見せください、どうも写真が違うようだ、じゃすぐその場で指紋を押させることができるのか。こう比較して対照することができますか。そういうことは現実問題としてできないでしょう。やってないのでしょう。やはり指紋を確認するのであれば、それなりに拡大をして同一指紋であるかどうか確認するというのが一般的に行われていることではないですか。どうなんですか。
○田中(常)政府委員 御指摘の問題は警察官の活動の問題なもので、警察から御答弁があった方がいいかと思いますが、担当の方が今来ていないようなので、とりあえず私からお答えさせていただきます。
 外国人登録証明書には左手人さし指一指の指紋が押捺されてございます。それで、直ちに指紋で全部確認しているのかと言えばそうではございませんで、第一義的には写真をもって確認する。我々が警察から聞いたところによりますと、それでいろいろ疑念がある場合においては、さらにそこに貼付されている指紋で最終的には確認する。そのためには、警察の派出所に任意に来てもらってその場において確認するということでございます。そこで確認できる手段がそのようについておりません場合というのは、例えば東京で起きた事件について、その人が鹿児島で登録したといったら鹿児島に問い合わせをしなければならない、そういうようなことで、直ちにその人の確認をすることが困難となるというような場合だと聞いております。
○石田委員 それは違うじゃないですか。違いますね。先ほど申し上げたように、指紋等取扱規則によりますと、「警察署長等は、身体の拘束を受けていない被疑者について必要があると認めるときは、その承諾を得て」採取をしなければならぬということになっていますよね。嫌だと言ったらどうするのですか。そういうケースもあり得るわけでしょう。
 だから、私は、指紋というのは、本当にそういうような大きな犯罪にかかわりがあるということになれば、これはまだその面のいわゆる拘束というものが行われてくるわけであって、拘束の必要のない人に指紋の常時携帯をしなければならぬという、そういうような必要性がどうも余り感じられないんですないかがですか。
○岡田説明員 ただいまのケースはあくまで本人の任意によるものでございますので、承諾が得られなければ当然できないことだというふうに思います。
○石田委員 そういうことなんですよ。ですから、要するに軽い問題、言い方はおかしいかもしれませんけれども、そういう問題であれば、まさに改め、て指紋を提出させるというような手続が通常必要なわけですよ。その場で指紋を確認しなければならないというようなことは、かなり大きな犯罪、重要な犯罪、例えば傷害にかかわる犯罪でなければ、それの疑いがある場合でなければできないわけですよ。そうすると、常時携帯の中にどうしても指紋を持っていなければならないという必要性というものは私は余りないように思うのですけれども、そこら辺はどう思いますか。
○田中(常)政府委員 我々といたしましては、いかなる外国人がどこに住んでいかなる職業を持っているかということを確実に把握する義務がございます。そこで外国人は社会活動をしているわけでございますから、その生活の場においてしかるべき公務員が提示を要求した場合においては提示してもらって、そこで間違いなく外国人登録証明書とその所持人とが同じ人であるということを確認する必要がございます。
 ただいま任意性の問題というのが出ましたけれども、これはおっしゃるように、任意である場合においては相手の意向の確認を求める必要があろうかとそれは考えております。しかしながら、外国人登録証明書というのは、指紋を押してあることによってこの偽造、変造ということを防ぐということの非常に確実な方法でございますので、登録証明書には指紋を一指置いておくことが必要だと考えております。
○石田委員 時間も来ましたし、平行論ですからやめますけれども、また次の機会に譲りたいと思います。管理局長さんとしては、現在の法律体系を立証すべき、それを遵守しなければならない立場におられるわけですから、当然そういうことを強弁されるのだと思いますけれども、しかし、それを子細に検討してみれば、なお多くの疑問点があるということについては、今は明確なお答えがななかったわけですよ。そういうことを考えてみますと、その時代時代によって社会の生活も全般的に変わってまいりますから、法律そのものもやはり変えなければいけない、そういうものであろうと思うのですよ。とにかくこれだけの、百八十万人からの署名もあり、あるいは四百十九議会の御要望もあるということを十分踏まえて、今後の法律に対する見直しのときには十分な配慮が必要ではないか、これだけ申し上げまして、私の質問は終わりにしたいと思います。
○宮崎委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。天野等君。
○天野(等)委員 最初に法務省にちょっとお尋ねをいたしたいのですが、埼玉の所沢の富士見病院事件、これは昭和五十五年の事件でございますけれども、事件数としては幾つかあったと思いますが、その中でも一番中心的な医師に対します傷害についての告訴、告発の事件でございますが、これの事件につきまして現在どういうふうな状況になっておりますか、その点をお聞きしたい。
○筧政府委員 お尋ねの富士見産婦人科病院関係事件でございますが、先生御指摘の傷害事件以外の公判請求いたしました事件、簡単に申し上げますと、北野早苗に対します医師法違反、それから北野千賀子に対します保健婦助産婦看護婦法違反事件、これが公判請求をいたしまして、現在公判が係属中でございます。
 それからお尋ねの傷害関係でございますが、北野早苗、北野千賀子らに対します合計二百三十三件に上る傷害事件がございます。これにつきましては、昭和五十六年八月二十七日から五十八年八月十三日までの間に何回かに分けましていずれも不起訴処分に付されております。
○天野(等)委員 検察庁の不起訴処分後にこの事件につきまして検察審査会に対する申し立てがあったかと思うのですが、その点について。
○筧政府委員 ただいま申し上げました傷害関係事件の不起訴処分のその後でございますが、まず昭和五十七年十月十六日の不起訴処分の事件のうち三名の告訴人の事件、三つでございますが、これが同年十一月二十五日に検察審査会に審査の申し立てがなされております。
 これに対しましては、昭和五十八年の一月十二日、このうち二名、二件につきまして不起訴相当、一名につきましては不起訴不相当という議決がなされまして、その不起訴不相当と議決がなされました事件につきましては、検察庁におきまして再起の上再度取り調べを行い、同月十九日に不起訴処分にいたしております。それから、その後、昭和五十八年九月二十六日、十三名の告訴人から検察審査会に審査申し立てがなされまして、この十三名の事件のうち二名につきましては本年三月二十六日に不起訴相当の議決がなされ、残りの十一名分につきましては現在検察審査会において審査中でございます。
○天野(等)委員 そうしますと、現在検察審査会にかかっているのは十一名ということでございますか。
○筧政府委員 さようでございます。
○天野(等)委員 現在までに検察審査会で不起訴不相当になったのは一名だけでございますか。
○筧政府委員 一名が不起訴不相当でございます。
○天野(等)委員 今局長お話しになりました不起訴相当の部分につきましても公訴時効の完成ということを理由にしての不起訴相当の判断があったと思うのですが、この点についていかがでございますか。
○筧政府委員 そのうち何件か時効の関係もあったかと思います。
○天野(等)委員 この点は、当然警察あるいは検察庁が事件を認知しました時点で公訴が提起されていれば時効にはならなかったケースでございますね。
○筧政府委員 時効の完成前に公訴がなされれば時効完成にはならなかったこと、御指摘のとおりでございます。
○天野(等)委員 この富士見病院事件の告訴事件について、起訴すべきであるかどうかということはおきまして、検察審査会で不起訴不相当だというような議決がなされて、それが検事正に送付されますね。そうした場合の検察庁の対応はどういうふうになっておりますか。
○筧政府委員 そのような場合には、検事正はその内容をよく見るわけでございますが、その場合に、前の不起訴処分をいたしました検事とは別の検察官を指名いたしまして、その新たに指名された主任検察官において従来の記録をよく精査し、さらに検察審査会の御指摘等もいろいろ踏まえて新たな捜査を行い、証拠の収集あるいは関係人の取り調べ等を行いまして、捜査を尽くした上で改めて検事正のところまで行って判断をして起訴、不起訴を決するということになろうかと思います。
○天野(等)委員 この検察審査会の制度というのは、検察官の起訴便宜主義に対する国民の意見を公訴権の行使について反映させるという点で非常に重要な制度ではないかと考えるわけでございますが、一応この制度の運用の実態について最初にお聞きしておきたいと思うのですが、検察審査会に対して不起訴事件に対する不服申し立てといいますかそういう申し立てがなされ、その中で不起訴不相当というような議決がされた件数、それからまた、その中でその検察審査会の意向を受けて検察庁の方で再度見直しをいたした結果起訴に至ったというようなケース、この件数等、おわかりでございましたら裁判所の方から……。
○小野最高裁判所長官代理者 最近の十年間で見ますと、不起訴不当、これは起訴相当を含む数でございますが、合計いたしまして千百十三件ございます。今申しました起訴相当というのはまさに文字どおり起訴すべきであるという意見でございまして、不起訴不当というのは、ただいまの証拠関係からいいますと起訴が相当であるとまでは言えないけれども、少なくとも今の段階でこれだけの証拠関係のもとで不起訴にしたのは相当でない、こういうのを不起訴不当と言うわけでございまして、今のは両方の数で格別の数字は出ておりません。そのうち起訴された件数は十年間で二百二十五件となっております。
 年度別に申し上げますか。
○天野(等)委員 全体で結構です。
 千百十三件というのは起訴相当あるいは不起訴不相当ということだと思いますが、これは全体の申し立て件数はどのくらいあるのでございますか。
○小野最高裁判所長官代理者 申し立て件数と申しますのは、いわゆる申し立てによるものと検察審査会で職権で立件するものとございまして、両方を申し上げますと、二万二千百七件、これは四十九年から五十八年までの十年間ということでございます。
○天野(等)委員 この検察審査会の制度というのは、立法当時の委員会の記録等を読んでみますと、原則として審査会制度が無意味にならないように尊重をしていくべきじゃないかというような意見も出ておるわけでございますけれども、この審査会によって起訴相当あるいは不起訴不相当というふうな議決がなされた場合に、検察官としてはその意見を加味しながら考えていくものなのか、あるいは全く当初事件を受け取ったのと同じような状況で考えていくものなのか、この点はいかがですか。
○筧政府委員 申し上げるまでもございませんが、検察審査会の目的が公訴権の実行といいますか検察権の運営に民意を反映するという趣旨でございますので、検察庁の方でも、そういう審査会の御意見をいただきました場合にはそういう精神を外しまして十分その意見を尊重し、改めてその点も、その点といいますか指摘された点についての捜査を尽くす、あるいは最初からもう一回その事件を見直すということで再捜査をした上で処分を決定しておると考えております。
○天野(等)委員 そこで、また富士見病院の件でございますけれども、この元医師二人に対します傷害容疑についての不起訴処分が決まりましたときの浦和地検の次席検事あるいは刑事部長の記者会見の様子が当時の新聞等に出ておるわけでございますけれども、この事件については限りなくクロに近い灰色なのだが、立証の点で医師の協力がなかなか得られないということを記者会見で述べておるようなのでございますけれども、これについて検察審査会というようなところで不起訴不相当という処分が出たとすれば、シロかクロかを決めるのは検察官の役割ではなく裁判所の役割ですから、検察官としては――検察官自身もはっきりとこれは容疑なしと考えている事件ならばともかく、容疑についてかなり疑いがあるというような事件についてはやはり裁判所に起訴をし、そこでの判断を仰ぐのが検察審査会法というものを踏まえた検察官の態度じゃないかと考えるのですが、いかがでございましょうか。
○筧政府委員 確かに、この事件について見ますと、非常に難しい医学そのものの問題でございますので、立証が非常に困難であったということは先生御指摘のとおりかと思います。そのために検察庁におきましてもお医者さんあるいは鑑定人を多数お願いする、あるいは医学関係者からいろいろな専門知識の助言を受けるという方法を講じまして捜査に当たったわけでございます。その結果、例えば当該内臓の摘出等の事案でございますが、手術の必要性があったかどうかあるいはその手術の方法が適当であったかというような点になりますと、極めて医学的なことになるわけでございます。そこらを検討いたしました結果、犯罪を認め公訴を維持するだけの証拠はないという最終的判断に立ち至ったと思います。
 その点につきまして、民意を反映する検察審査会で起訴相当あるいは不起訴不相当という御意見をいただいておるわけでございますが、やはり最終的には公訴権を独占しております検察官の責任であるということで、検察審査会の御意見は十分尊重しつつも、最終的にはシロかクロかわからぬといいますか、検察官の判断がそうでありますれば、それをあえて公訴を提起するということ、は検察官の職責から考えて適当ではないように私ども考えておる次第でございます。
○天野(等)委員 検察官の不起訴にしている理由がどうも納得がいかない。確かに公訴の維持が立証の問題でなかなか難しいということが言われてはおりますけれども、公訴の維持だけを絶対的なものと考える必要はないと思いますし、証拠についてどういう判断をするかというのは裁判所の問題もあるわけでございますから、その点で 犯罪事実について、特にこの富士見病院事件のように非常に多くの被害者の要求があるといいますか、そういう事件でございますから、これについてやはりもう少し検察としてもいわゆる被害者の気持ちを酌む必要があったのではないだろうか。
 この事件について過日社会労働委員会でも質問があったようでございますけれども、それによりますと、この事件の発覚当時に埼玉県の衛生部に被害という形で訴えた人が千百四十人近くおるというようなことなのでございますが、この点については法務省としてはつかんでおりますか。
○筧政府委員 その事実は承知いたしておりません。
○天野(等)委員 人数はともかくとしましても、かなり多数のといいますか、非常に多数の方の訴えがあったというようなことがあって恐らくこの事件が立件をされたんだと思いますけれども、そういう点については、一人一人の告訴人だけの問題というふうにお考えになっておられたのか、あるいはこれが一つの大きな社会的な背景を持った事件というふうに検察官としてもお考えになっておられたのか、その点はいかがでしょうか。
○筧政府委員 刑事事件としては個々の一つ一つの事件ということになりますけれども、この事件の性質上、今天野委員御指摘のように、社会問題となり、告訴するにしろしないにしろ多くの被害者あるいはその家族等もおられるわけでございます。そういう背景を持った社会的な事件であるということを十分認識して捜査に当たったものと考えております。
○天野(等)委員 そう考えれば、こういう事件こそまさに検察審査会の意見というものが起訴、不起訴についても大きく物を言うといいますか、考慮に入れなければならない、そういう事件じゃないかと私は思うのです。起訴は確かに検察官の責任であるというものの、現実に起訴の権限は検察官に独占されておるわけですから、この事件について検察官が起訴をしない以上、被害者にとってはこれのシロ、クロを明らかにすることができないということになってしまいます。これだけ大きな社会的な関心を呼び、また関係する被害者の数も多いというようなことについて不起訴ということ、検察審査会からの不起訴不相当という処分があったにもかかわらずまた不起訴処分をあえてしているということについては、これからまだ、今十一人かかっているところでございますけれども、今後の問題についても十分考えていただける余地があるのかどうか、その点。
○筧政府委員 先生御指摘のように、公訴権を独占しておりますということになりますと、それなりにやはり慎重に、あるいはいろいろな御意見とか十分尊重してその行使に当たらなければならないということは御指摘のとおりかと思います。今後の検察審査会で決定があろうかと思いますけれども、仮にその場合また起訴相当あるいは不起訴不相当ということになりました場合にも、先ほど来申し上げておりますように、改めてその事件を見直して適正な処理を図りたいと考えております。
○天野(等)委員 検察審査会の議決が出されます時期の問題なんですけれども、実はここにございますのは昭和五十八年一月十二日の議決の分でございます。三名の方についての議決でございますけれども、その中で二名の方については、容疑は濃厚なんだけれども公訴時効が完成されている、一名の方については、公訴時効が完成されていないので速やかに起訴をせよというような意見が出されておるわけですけれども、検察審査会に申し立てがなされましてから議決までの期間は通常どのくらいの期間を要しているものなのか、裁判所の方にお聞きしたいと思います。
○小野最高裁判所長官代理者 事件によりけりと申し上げるほかはございませんで、私ども審理期間の平均というようなものは、ただいまのところ統計をとっておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
○天野(等)委員 法によりますと年に四回開くという形になっておりますけれども、実際の運用の面では年に四回の開会というのが通常なんでございますか。それとも臨時の開会というのもしばしば行われていることなんでしょうか。
○小野最高裁判所長官代理者 全国で会議が開かれております回数は、大体一年間に三千回を超える会議でございます。今検察審査会の数が二百七ございますので、平均いたしますと一つの会議が大体十四、五回ということになっておるわけでございます。その中には事件が全くないようなところもございまして、本当に定例の会議しか開かないようなところもございますし、事件のありますところは毎週開いているというようなところもおるわけでございまして、事件があって、必要であれば皆さんやりくりして何回も開いているというのが実情でございます。
○天野(等)委員 この富士見病院事件につきましても、何回かに分けまして議決がなされておるわけで、これも当事者から見ますと、時効切れを待たされているのじゃないかというような懸念を持っておるようなんでございますが、これは同種の事件でもございますので、できるだけ一括した議決というようなことができないものなのかどうか。この点いかがでございましょうか。
○小野最高裁判所長官代理者 具体的に、この事件がどういうものであってどれぐらいの資料があってどうなのかということを私ども全然つかんでおりませんで、何とも申し上げかねるのでございますが、私どもがこの結果をちょっと見ますところでは、記録等もかなりたくさんあって、何回かに分けたと申しますのは、ただいま仰せの時効の完成というような問題がありまして、時効の切迫しているようなものから順次それを急いでやっているのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 この問題については、今もありましたように、時効の問題がどうしてもありますので、検察審査会あるいはその議決を受けました検察庁においても速やかな対応をお願いしたいと考えるわけでございますが、ただこの不起訴理由、また申し上げますけれども、医療問題は難しいんだ、それてどうしても検察官はそういう点で専門的な知識も乏しいのでというようなことが多少言いわけ的に記者会見等でも語られているところがあるのでございますが、私は、現代の犯罪というのはいろいろな知識を必要とするわけですから、検察庁としてもこういう医療問題等について専門的な勉強の体制といいますか、そういうようなものをとる必要もあるのではないかというふうに考えるのですが、この点いかがでございましょう。
○筧政府委員 社会の複雑化に伴いまして、医療問題その他土木工学の問題とか非常に専門的な知識を要する事件といいますか、そういうものがいろいろ出てきておることは御指摘のとおりでございます。
 医療過誤の問題をとってみましても、それぞれいろいろな複雑な問題があり、専門的な知識を要するわけでございます。個々の捜査に当たります検察官が必ずしも十分な知識を持っているとはとても言えないわけでございますが、事件の処理に当たりましては、みずから参考書を買ってきて日夜読んでおる者もおりますし、それにあわせてその専門家からいろいろな専門的知識の教授を受ける、あるいは事柄によっては専門家の鑑定を活用するといういろいろな方策を用いて適正な処理に努めておるわけでございます。
 さらに、これを一般の検察官の知識とすることが必要なわけでございますけれども、今一、二やっております例を申し上げますと、例えば医療過誤にいたしましても、特異な事件を扱った検事にその後報告書を書かせまして、それを研究資料、部内資料として、大部のものでありますが、印刷してこれを各人に配付するということが一つございます。
 それからさらに、いろいろな研修の機会がございますが、例えば若手、中堅の検事をブロックに集めまして、事例研究と申しておりますが、具体的な事件を参考にして討議をする機会がございます。その場合にも、過失の一番難しい医療過誤を取り上げまして、やはり経験を有する者の報告をもとにして、一週間ぐらいの会期でございますけれども、その間みんなで討議をするというような機会も何回か設けておるところでございます。
 今後もそれぞれの専門知識を一般に普及して、難しい事件が起こった場合に直ちに対応できるよう、まあ十分な知識をみんなが持つということはこれは不可能かもしれませんが、広くみんなに持たせるようにさらに努力をいたしたいと考えております。
○天野(等)委員 検察官の若い方を大学の医学部だとか工学部だとかそういうようなところに国内留学的に研修をさせるというようなことも、将来というよりももうかなり必要な時期に来ているのじゃないかというふうに私は考えますけれども、こういう御予定はございませんか。
○筧政府委員 まだ御指摘の国内留学までは考えておりませんが、いずれにいたしましても、医療に限りませずコンピューターの問題もございますし、いろいろな新しい分野が出ておりますので、それぞれの専門分野の専門知識を、全部にはいきませんが何人かの者に持たせるような機会を持ちたいということは考えておるところでございます。
○天野(等)委員 この富士見病院の事件につきまして、実は証拠の収集の問題でございますけれども、医院のカルテ等を刑事事件の証拠ということで検察庁の方で押さえておられるし、また証拠保全ということでカルテを押さえておるというところもあるわけですが、この事件については実はもう一方で民事事件がございます。これも国も相手にしておりますので法務省の方でもおわかりかと思いますけれども、この告訴事件が不起訴ということで終わりますと、カルテ等が病院の方に返されてしまう。そうしますと、それについてその後改ざんあるいは隠匿されたとしましても、被害者側としてはどうにも手のつけようがないというようなことで、ぜひこれを病院の方に返さないでほしいというような要求があるいは浦和の検察庁の方に行っておるかと思うのですが、この点についておわかりでございましょうか。
○筧政府委員 その点については、私ども現在のところ承知いたしておりません。
○天野(等)委員 そういう点について、一方で民事事件の証拠というような面もありますので、少なくとも返すか返さないかということについて告訴人側に教示していただくというようなことはできますでしょうか。
○筧政府委員 あくまで押収いたしましたのは刑事事件の関係でございますので、押収したものを事件が終結した場合にどうするかということは刑事訴訟法等で定められております。そういうことで、返すとなれば当然その所有者あるいは提出者でございますか、その事情に応じて返すことになろうかと思います。今、先生の御要望は、御要望としては承りましたが、そういうふうにできるかどうかはちょっと難しいのじゃないかというふうに考えております。
○天野(等)委員 被害者側としましては、民事事件は相手方が同じ法務省を相手にしておるものでございますから、逆に隠されてしまうんじゃないかということを大変懸念をしておるのですけれども、この点につきましてもひとつフェアなやり方でお願いをしたいというふうに考えております。
 また、まだ十一件の検察審査会に残っている事件もございますので、この機会にぜひとも、この検察審査会の結論というものについて原則的に尊重をしていただくというような態度をとっていただけるものかどうか、この点いかがでございましょうか。
○筧政府委員 先ほども申し上げましたように、民意の反映という制度の趣旨にかんがみまして、できるだけ尊重するという方針は将来守ってまいりたいと思っております。
○天野(等)委員 どうもありがとうございました。
○宮崎委員長 三浦隆君。
○三浦(隆)委員 初めに、法務大臣にお尋ねをいたします。
 宇都宮病院で起こりました精神障害者へのリンチ事件等に関連しまして、精神障害者をめぐる人権問題について大臣の所見をお尋ねしてまいりたいと思います。
 初めに、四月四日、先週の水曜日でございますが、精神病院報徳会宇都宮病院で起こりました入院患者に対するリンチ死亡事件をこの委員会で取り上げたわけです。それからわずかに一週間しかたっておりませんが、しかし、この間に宇都宮病院にかかわる事件が幾つも起こっております。一つは、三十九歳になります元患者が、病棟内で院長にゴルフのアイアンで殴られたり、看護職員に木刀で乱打され大けがを負わされたとして、院長と職員二人を東京地検に特別公務員暴行陵虐罪で告訴、六日受理された事件。一つは、同病院雑役作業員の五十二歳になります元患者が、無資格で入院患者に対し脳波検査を行い、保健婦助産婦看護婦法等違反の疑いで八日栃木県警に逮捕された事件。一つは、同じく同病院の五十六歳になります元患者が、無資格で入院患者に対し心電計検査を行い、保健婦助産婦看護婦法違反の疑いで九日栃木県警に逮捕された事件。さらに、栃木県が宇都宮病院の患者家族を対象に行いました医療コーナーでは、受け付けを開始した九日の日に、元入院患者の家族から新たに二件不審死ではなかったかとの相談がなされたことです。
 一方、リンチ事件発覚後、同病院が患者の退院を進めたのに伴いまして、退院したばかりの三十六歳になります元患者が、不正乗車を見つけられたことから国鉄駅職員をなたで切りつけ、けがをさせ、九日、宇都宮駅鉄道公安室職員に現行犯で逮捕された事件。同じく九日に、同病院を退院した三十四歳になります元患者が、退院したその日に、女性をおどかして無免許で乗用車を運転し、交通事故を起こし、そのまま逃げていたところ、十日、群馬県警桐生署に脅迫と道交法違反の疑いで逮捕された事件などが起こったわけです。
 そこで、法相にお尋ねしたいのは、このような精神病院内で起こった精神障害者に対する人権侵害と精神障害者あるいはその疑いある者によって引き起こされる人権侵害を考えたとき、人権擁護の立場からこれらの問題をどうとらえていられるのか、お尋ねしたいと思います。
○住国務大臣 人権の問題、これは広く一般国民に保障をされておるわけでございまして、身体障害者、精神障害者といえども、もちろん例外ではない。ひとしく人権を尊重していかなければならない。たまたま今宇都宮病院関連でいろいろな御指摘がございましたけれども、それは捜査当局等の手によって今捜査が進められておるわけでございます。私ども、人権擁護の立場からもこれは大変重大な問題でございまして、関係機関等とも連絡をとりながら情報の収集なり調査を進めておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、精神病院内で起きた事件でございますし、そういうことも考えまして、私どもは今までもそこらあたりの問題になりますとなかなか思う存分人権の立場から調査等もできなかったかと思うのでございますが、こういう病院の事件、これは今に始まったわけではございません、過去にも何回かございましたけれども、そういうものを十分頭に入れながら、一層精神障害者の人権について考慮を払っていかなければならない。それから逆に、精神障害者からのいわゆる一般国民に対する人権、これをどう考えていくかということになりますと、いろいろ難しい問題等もございまして、先生御承知のように既に刑法の改正の大きなポイントとしまして治療処分等々の問題も上がっておるわけでございますけれども、これは各界からもいろいろ意見がございます。
 しかし、それをどうやって守っていくかということになりますと、私ども、町を歩いている人が精神に障害があるのかどうなのかということを、一般の人もわからぬ場合も多いでしょうし、取り締まりに当たるというか、捜査というか、国民の生活の安全を守る立場にある機関の者もわからないわけでございまして、ここらあたりの問題については単に治療処分の問題ばかりじゃなくて非常に難しい問題があるのじゃないか、こういうように思っております。
○三浦(隆)委員 今大臣からも後段お話がございましたが、この法務委員会でも、刑法の全面改正の問題なり刑事施設法案の問題なり、今後の大きな争点の一つになるところだと思います。そこで、この刑法改正の中でも特に焦点とされております犯罪性精神障害者対策としての保安処分に対して、法務省はこれに積極的ですし、日弁連はこれに消極的でございます。この際、この保安処分に対して法務大臣として日弁連の見解に対してなど、どのようにお考えでしょうか。
○住国務大臣 刑法改正の一環として保安処分、治療処分の問題が考えられておるわけでございます。現在考えている治療処分について、これはほんの一部分、要するに罪に当たる事実を犯した心神喪失者、これは耗弱者も入れるかどうか等意見があるようでございますけれども、そういう事態に対して、ある意味では今御指摘のように今後また同じような事件を起こすおそれのある者、罪を犯した上でさらに犯すおそれのある者について一定の対応策をとろう、こういう考え方のようでございます。私はこれで全部障害者からその他の者の安全を守るということはできない、ほんの一部分だけのことだろうと思っております。それを刑法の改正の中に入れておるわけでございますけれども、いろいろ法制審議会でも議論されたことでございますし、審議会のメンバーは長年かけてそういう結論を出されたわけでございますから、一つの考え方として私どもその線で考えておるわけでございます。
 ところが、日弁連その他から反対意見があるということも十分承知をいたしております。日弁連の代表の方も法制審議会の中に入っておられたわけでございますから、そういう皆さんも法制審議会ではどういう意見を述べられたかというようなことについても私なりに見ておるわけでございます。日弁連としてのお考え方も一つの考え方で、実はそういうような考え方があるのも一つの大きな原因となって刑法の改正作業が進んでいない、こういうこともまた事実でございます。そういう経過から考えて、やはり日弁連の考え方は無視することができないから、そういう作業も進んでいない、こういうことも事実でございますから、日弁連の考え方がいいとか悪いとか、こういうことじゃなくて、経過としてそういうものがあるから大変大きな問題になっておるということだと考えております。
○三浦(隆)委員 事前の打ち合わせはここまでなんでございますが、ついでにと言ってはなんですが、この種の法案をいつごろ大臣としてはお出しになるお考えでしょうか。あるいは、いつごろお出しになりたいと一応の目途を設定されていますか。
○住国務大臣 私は、この法曹の世界に詳しくないのでございますが、私もいろいろ行政の経験もあるのでございます。過去の経過を考えてみますと、諮問を申し上げたのはもう二十年以上前でございます。答申をいただいてから十年もたっておる。そしてまた改正案、政府案として提案できてない、こういうような経過については、こういうこともあるのかなと若干驚きを持って見ておるということも事実でございます。
 しかし、刑法の改正というのは、考えてみますと、戦後世の中もいろいろ大きく変わった、そういう時代に片仮名の刑法がいいのかどうなのかというようなことだって率直な疑問でございますし、果たしてそういう変化した社会に対応し得る刑法になっているかどうか、こういうことも問題かと思うのです。しかし、それを考えてからもうすでに二十年以上たっているわけですから、この二十年の変化もまた大変だろうと思うのです。
 ただ、私は、基本的な法典で極めて大事な法律でございます刑法です。本当にいろいろな議論が尽くされておるわけでございますから、できるだけ政府の考え方をまとめて、本当に国会の場で議論していただく、そういうことも必要なんじゃないかなと思っておるわけでございまして、いろいろ今私なりに考えておるわけでございますが、いつ出すか出さぬかということになりますと、これは今までの経緯もございますし、なかなか容易なことではない。慎重に考えていかなければいかぬ点も非常に多いのではないか、こういうことも考えたりしまして、ほうっておくわけにはいかぬと思いますけれども、時期はいつだ、しかし、できれば適当な機会に考えてもいいんじゃないだろうか、こういうようにも思っておるわけでございます。
○三浦(隆)委員 結論的には、いつごろであるか全然わからなかったような気がいたしますけれども、いずれにしましても、この論議はこれからのことでありますので、先に進みたいと思います。
 関連しまして、次に厚生省の方にお尋ねをしたいと思います。
 現在、精神障害者をめぐる精神衛生法あるいはそのほか一般の医師法、医療法等、現行法だけで果たしていいものかどうかといったようなことでは大きな議論のあるところだと思います。とりあえず医療法の問題からお尋ねをいたします。
 初めに、精神病院、結核病院、伝染病院などの医療施設が、昭和四十五年以後どのような推移をたどっているのか。例えば昭和四十五年と最近の年度とではどのような違いがあるのか、これが第一点です。
 次に、精神病院を国立あるいは医療法人、個人等の種類別に分けた場合、その施設数の状況は現在どのようになっているのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○柳沢説明員 医療施設の推移でございますけれども、現在病院の数は全国でもって九千四百三病院ということになっております。今、現在と申しましたのは昭和五十七年の年末の数字でございます。これを昭和四十五年の年末と比較いたしますと、昭和四十五年の年末では病院の総数が七千九百七十四でございましたので、昭和四十五年を一〇〇といたしますと、病院の数といたしましては一一八ということになっているわけでございます。
 その他、病院の種類別に見た場合に、これは厚生省の統計情報部の医療施設調査という調査でございますので、ここでの定義といたしましては、精神病院ということになりますと病床数すべてが精神病床という定義になっておるわけでありますけれども、精神病院の数は九百九十七でございます。昭和四十五年は八百九十六でございましたので、昭和四十五年を一〇〇といたしますと一一一ということに相なっているわけでございます。
 それから、さらにまたベッド数の観点から見ますと、現在五十七年末で病院の病床数というのは百四十万一千九百九十九という数になっております。これは昭和四十五年を一〇〇といたしますと一三一・九というようなベッド数の伸びになっているわけでございます。
 一方、これを病院の病床の種類別に見ますと、精神病院は、昭和四十五年からの伸びが一二六・七ということになっておりますし、先ほど先生ちょっとお触れになりました結核等につきましては、結核病院の病床数は、昭和四十五年が一〇〇といたしましたのに対しまして一三・六というふうに病床数が激減いたしております。一般病床の数は、昭和四十五年が一〇〇といたしますと一三七・六というような状況になっているわけでございます。
 それから、さらにまた精神病院をいろいろの経営主体別に見た数はどうであるかというお尋ねでございますけれども、先ほどの九百九十七の精神病院につきまして見ますると、医療法人とかあるいは個人立の精神病院が大多数でございますので、約八七%は医療法人あるいは個人立の精神病院というような状況になっているところでございます。
○三浦(隆)委員 今の御報告を聞いておりますと、精神病院の方が、あるいは精神病に係るベッド数というのがふえておるのに対しまして、そのほかの結核なり伝染病というのは大変に減ってきているということですね。かつて不治の病だと言われておったそうした病気も、医療対策が充実してくれば大変によくなってくるんだということを示していると思うのです。という点では、今まだ精神障害者に対しては行き届いていないかもしれませんが、これまた医療の進歩ということがあれば、将来また違った角度から問題をとらえるようになるのではないか、こんなような感じがいたします。
 次に医療法の改正で、昭和五十八年、九十八回国会提出の医療法改正案によりますと、新規に第六十三条第一項後段に「当該吏員に、その事務所に立ち入り、業務若しくは会計の状況を検査させることができる。」とありますし、第六十四条第二項の最後に「役員の解任を勧告することができる。」旨を加えています。また、これに伴い第七十六条四の二では「第六十三条第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。」という規定を加え、これに該当する場合においては医療法人等は二十万円以下の罰金等に処せられるようになったと承っていますが、これらの改正の趣意あるいは改正による効果の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
○柳沢説明員 先生今御指摘の医療法の改正案でございますけれども、この案につきましては、このまま今国会にも四月四日に御提案申し上げているところでございます。
 この中身につきましては、医療に対します国民の信頼を確保していくために、医療法人の運営の適正化を図るための指導等の体制を整備することが大きな目的の一つになっているわけでございます。そして、内容につきましては、ただいま先生御指摘くださいましたように、医療法人の業務または会計が法令に違背している疑いがあると認める等の場合に事務所に対する立入検査ができるようにする、あるいは六十四条の改正では問題のある場合に改善命令や役員の解任の勧告ができるようにするといったようなこと、さらには科料に対する規定を整備するといったようなことがその中身になっているわけでございます。
 これら改正によりまして、私どもといたしましては、医療法人に対する適切な指導監督が行われ、ひいては適正な医療が国民の間に普及するということが期待されるものとして考えております。
○三浦(隆)委員 この改正によりまして、多くの病院は立派な病院だろうと思うのですが、たまたま宇都宮病院のようなことが起こり得るわけでありますから、そういう意味においてはこうした法を整備することはよいことだと思います。ただ、法を整備するだけで終わってこれを現実に活用しなければ何にもならないだろうというふうな気がいたします。
 そこで、次に、この医療法第二十五条の一項には報告の徴収あるいは立入検査の規定がありまして、これによりますと、厚生大臣等は、必要があると認めるときは、病院等の管理者に対し、必要な報告を命じ、または当該官吏等に病院等に立ち入り、その清潔保持の状況、構造設備もしくは診療録等の帳簿書類を検査させることができる、このようにございます。しかし、実際には宇都宮病院のような場合には、この構造設備について消防法違反の事実がある、あるいはまたその清潔保持については極めて不潔な状況であるというふうなことが新聞なり週刊誌によく書かれてきているわけであります。ということを考えますと、この規定がただあるだけでなくて、規定を生かさないところに問題があったように思うのです。
 そこで、質問としましては、厚生省は、一般病院等はともかく、精神病院に対し報告の徴収及び立入検査をこれまでいっどのようにして行ってきたのか、いわゆる年間に何回ぐらい、あるいはどのようにして行ってきたのかということ。次に、今回起きた宇都宮病院の不祥事件と類似の事例はこれまで幾回となくあったわけです。しかも事前告知の立入検査ではほとんど何の成果も上がっておりませんでした。そして法規にも事前告知の記載はないわけです。にもかかわらずこれまで事前告知してやってきて、成果を上げ得ないできたわけですから、今後の立入検査では、むしろ事前告知なしに、こうした法規のとおりやっていただけるものかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○柳沢説明員 御質問の立入検査につきましては、私ども通称医療監視と称しまして、都道府県知事あるいは保健所法の規定に基づく政令で定める市の市長が行うように指導いたしておるところでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、全国の九千四百三ほどの病院があるわけでございますけれども、これらの病院に対しまして年一回この医療監視が行えるようにという指導をいたしておりまして、都道府県あるいは保健所におきましては年一回病院の立入検査ができるように鋭意努力をしているところでございます。これにつきまして厚生省といたしましては、医療監視の重点項目を定めるとか、あるいは医療監視に従事する職員に対します講習会を開く、そして医療監視員の資質の向上を図るといったようなことにつきまして現在までその強化徹底に努めてまいったところでございますけれども、御指摘のような宇都宮病院事件というようなことが生じたことにつきましては、まことに遺憾であると考えております。
 さらに、御指摘の事前告知の件でございますけれども、現在通常の医療監視におきましては事前通告を行っておるわけでございますけれども、それは、その病院に立ち入って、患者に迷惑をかけたり、あるいは医療機関の業務に支障を生じさせないこと等の理由によるものでございますけれども、現在におきましても、火災が発生したとか、その他緊急に行う必要がある場合には事前通告なしで行っている例もございます。そのようなことから、今後とも厳正な医療監視を行いまして、二度とこのような事件を起こさないように徹底をさせたいと思います。
○三浦(隆)委員 次に、第二十六条の医療監視員の規定がございます。医療監視制度によって精神病院における不祥事を未然に防止し得なかったのはなぜなのだろうか。あるいはどのようにすればよりよくこの制度が機能するのでしょうか。その点についてお尋ねしたいと思います。
○柳沢説明員 結果的に先生御指摘のようなことになったわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、厚生省といたしましては医療監視員の質的向上あるいは医療監視の年一回の励行あるいは医療監視の際のきめの細かい監視指導等を通じてさような事件が起こらないように努力いたしたいと存じます。
○三浦(隆)委員 これまでの答弁で、病院全体の数が仮に約九千だといいますけれども、精神病院に限って言えば千にも満たない数でありまして、それを都道府県全般で割ってみれば全国的には一つの県で有している精神病院なんというものは大した数ではないわけです。そういうことからは、現在の法規でも、あるいは改正の法案が通っていけばなおのこと、県内にはほんのわずかしか精神病院はございませんから、回ってみようと思えば、一回でも二回でも三回でも回ることはさほど困難なことではなかろうと思います。と同時に、年一回でも、正確に本当によく見ていれば、かなり見抜けたはずのものが見抜け得ないできたというのは、今度は回数だけの問題ではないのでありまして、本当によく立入検査などが行い得たのかどうか、正しい報告を聞き得てきたものか、それが大変に疑わしいんだというふうに思っております。
 時間の都合もありますし、深くは触れませんが、例えば国会の議事録の昭和四十五年四月の記録なんかでも、大阪の粟岡病院、こうしたことはこうした今の法規によってわかったわけではなくて、患者が、自分は人権侵害を受けているということを書いたメモを窓から飛ばしたようなことでわかった。あるいは似たように、安田病院では退院患者から、碧水荘では新聞記者から、相模湖病院では退院患者から、小林病院では患者の家族から、あるいは青梅の精神病院ではというふうな幾つかの記録があります。あるいは同じ年の七月の記録を読みますと、佐野市の病院の例が載っております。あるいは四十八年六月では、烏山病院、吉田病院、アヤメ病院、あるいは佐藤病院、あるいは富士山麓病院等の記録が載っております。あるいは五十五年二月、五十六年二月等では十分会病院等の記録があり、こうしたような一連の精神病院に通じた不祥事件は、すべてこの法規による立入検査等でわかったわけでは何にもないんだということなんです。ですから、これまでと同じような発想でやれば、これからだって全然役には立たないんだというふうなことでございますので、今までと同じ答弁だけで済ますのではなくて、確実に実効性のあるような、言うなら法規を法規どおり的確に行使していただきたいとお願いするのですが、その気持ちだけでも答弁していただけますか。
○柳沢説明員 先生御指摘の御趣旨が十分生かせるような、そういう医療監視を行ってまいりたいと思っております。
○三浦(隆)委員 ぜひそのようであってほしいと思います。そうでないと国会の質疑というのは何の意味もないし、国会の権威なんというのも全く意味のないものになってしまうと思います。そうではなくて、国会の質疑を通じながら少しでもよりよい法制度になるように、あるいは少しでもよりよく法制度が運営されていくように、そういうことが人権擁護にもつながっていくことだと思っております。
 次には、精神衛生法に関連してお尋ねをしたいと思います。
 第一点は、第二十九条の措置入院あるいは第三十三条の保護義務者の同意による入院等についてでございます。宇都宮病院における入院患者の集め方には幾つかの行き過ぎがあったようでございます。例えばある週刊誌によれば、元職員の談話として、「一時は院長の命令一下、浮浪者狩りというのをやりました。市内の浮浪者を片端から車に連れこんで、病院に入れてしまうのです。」また別の週刊誌によりますと、県内の精神科医の談話として、「東京オリンピックのころには、患者集めに山谷のドヤ街に行って、飲みつぶれているのをかき集めてトラックに乗せて連れてきたという話です。」こんなようなことも載っているわけでございます。そうしたこともありまして、現在、同病院入院患者全員に対して入院の要否を鑑定する実地審査が行われております。
 さて質問は、初めに措置入院に関連してでありますが、管理者との共謀によるような鑑定医の故意及び過失、いわゆる誤診によるような不法入院の疑いを除去するためにも、鑑定医所属の病院と入院先の病院とを明確に分離したらどうかという意見がありますが、これについてどうお考えになりますか。
 続けまして、時間の都合がありますので、先へ進みます。
 その次には、またけさの新聞によりますと、きのうから宇都宮病院の精神病院入院患者約七百名に対して――実は三月十四日現在では九百四十四人おりました。問題が発生しました時点では、三月十四日九百四十四名、三月二十四日には八百八十九名、そして実地審査を行いましたときには約七百人でございました。さて、この七百人全員の入院の要否を鑑定するため実地審査が行われているわけですが、審査を行った初日二十一人を診療した結果、うち十四人は措置入院は不要であると鑑定されたと言われております。二十一人のうち十四人が措置入院不要だというのは大変な数だと思います。にもかかわらず、これらの人々は現在まで措置入院患者とされていたわけです。しかも、これらの人々はみずからの意思ではなかなか同意入院への切りかえも退院もなし得ない状況にあったわけです。
 そこで、現行法上は特に入院期間の定めもございませんが、これを法定し、例えば三月とか半年とか一応法定し、治療上必要に応じてこれを更新するようにしたらどうかという意見もありますが、これについての御見解はどうでしょうか。
○野村(瞭)説明員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど精神病院の数に関する柳沢課長の答弁について補足をさせていただきたいと思います。
 先ほど精神病院の数につきまして九百九十七と五十七年末の数を申し上げましたが、これは精神病床が一〇〇%の精神病院ということでございます。一部精神病床を持つ精神病院まで含めますと、五十七年六月末現在で全国で千五百七十ございます。
 ただいまの御質問についてでございますが、まず措置入院制度についてのお話でございますが、先生御案内のように、措置入院制度におきましては精神衛生鑑定医による診察が極めて重要な手続となっておるところでございます。私どもといたしましては、適正な鑑定を担保するためには、鑑定医の所属する病院と入院先とを分離するということが望ましいと考えておりまして、従来よりこのような指導を行ってきたところでございます。今後ともこの指導を徹底してまいりたいと存じておるところでございます。なお、このようなレベルの指導の措置で十分であるかどうかにつきましては、今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、第二の入院期間の法定についての御質問でございますけれども、確かに現行制度におきましては入院期間につきましては法定されておりませんが、指導によりまして六カ月ごとに病状報告を病院から徴するようにしておりますし、また必要に応じまして第三者である精神衛生鑑定医による実地審査を実施をいたしておりまして、措置入院患者の病状把握に努めておるところでございます。今後ともこれらの措置を徹底させることによりまして患者の病状把握に遺漏のないように努めたいと考えておるところでございます。また、この問題につきましても、このような運用面での努力で足りるかどうかにつきまして今後とも検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 次に同意入院の場合についてお尋ねをいたします。
 法の三十三条によりますと、「精神病院の管理者は、診察の結果精神障害者であると診断した者につき、医療及び保護のため入院の必要があると認め係る場合において保護義務者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる。」このように規定してありますが、入院させるか否かを決する診察を行う者がだれであるのか不明確でございます。この場合の診察を行う者はだれで、また何人が診察を行っているのか。適正かつ信頼度の高い同意入院であるためにはどのようにしたらよいのであろうかという点が一つです。
 次に、管理者が保護者の同意により本人の同意がなく入院させるということは、時として重大な人権侵害につながるおそれがあると思います。この同意入院に重大な役割を果たします保護義務者の概念が大変にあいまいです。そこで保護者の範囲、選任手続、責任といったものを明確にしたらどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○野村(瞭)説明員 お答え申し上げます。
 先生今御指摘になりましたように、精神病院の管理者は、診察の結果入院の必要がある精神障害者であると診断した者について、その保護義務者の同意を得て入院させることができるようになっているわけでございます。これは患者の人権保護の観点から精神病院の管理者に入院の要否に関する最終的な判断責任を負わしたものと考えておるところでございます。通常は担当医の診断を踏まえまして病院管理者が再診断をするという形をとっておりますので、いわばダブルチェックというような形をとっておるわけでございます。
    〔委員長退席、亀井委員長代理着席〕
 なお、入院した事後のことにつきましては、精神衛生法の三十七条によりまして、必要があらば都道府県知事が精神衛生鑑定医を派遣いたしまして実地審査ができることとなっておりまして、今後ともこの制度を積極的に活用いたしまして同意入院の適正運用に努めたいと考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 精神障害者にしてみれば、入院させられる前まではいろいろ自由がありますが、一度入れられてしまいますというと、特に伝えられる宇都宮病院のような場合には大変なことになってしまうわけです。そのとき、問題の宇都宮病院の場合で言えば、管理者たる院長先生ともう一人の先生、これだけでは本当にその患者の側に立った診察というものができ得るのかどうか、あいまいであるどころか極めて怖いという感じがするわけです。
 そこで、現行法規にはございませんけれども、人権上の配慮として例えば患者本人からの知事等への苦情の申し出あるいは所轄庁の長たる厚生大臣への審査の請求などの手続というのは現在どのように扱われるものなのか。入院に際してだけでなく、一般に病院に入院している患者の人権を守る見地からこのような苦情処理の手続というものを法規上整備した方がよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○野村(瞭)説明員 先ほど保護義務者の範囲、選任手続等について答弁漏れがございましたので、まずそれからお答え申し上げたいと存じます。
 保護義務者の範囲及び手続等につきましては精神衛生法で規定しておりまして、保護義務者の範囲につきましては、「後見人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者」という定めがございまして、その順位につきましては、今申し上げたような順位になっているところでございます。
 保護義務者の保護義務の内容につきましても規定がございまして、「精神障害者に治療を受けさせるとともに、精神障害者が自身を傷つけ又は他人に害を及ぼさないように監督」をする。また、その「精神障害者の財産上の利益を保護しなければならない。」というような規定があるところでございます。そのほか通院医療費の公費負担の申請、それから先ほどお話し申し上げましたが、同意入院の際の同意、それから措置入院した者が退院または仮退院した場合の引き取り義務の規定があるところでございます。
 それから、患者本人等からの苦情の処理という御質問でございますけれども、現行の精神衛生法におきましては規定はございませんけれども、現実問題といたしましては、入院患者さんからさまざまな相談がありました場合につきましては、地域にございます精神衛生センターまたは保健所等におきまして相談に応じているところでございまして、今後ともこれらの相談機能の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○三浦(隆)委員 宇都宮病院のような場合に、宇都宮病院の院長さんのあり方、そこでの看護人のあり方、医師のあり方がその病院に入っている患者にとって決してよくない、何とか是正してほしい、どうにもならないものならば病院から出ていきたい、仮にそう思っても、新聞雑誌等で伝えるところによれば、それはもう不可能に近い状態にあるわけであります。もしかしてそういうふうなことを言えば、それこそリンチで袋たたきに遭ってしまうかもしれないというふうなことなのです。
 そうすると、何事も問題が起きない病院であるならば患者の訴えをそのままむしろ受けとめる力を持っていますけれども、だめな病院ほど受けとめるどころか大変な不利益的な取り扱いをすることだろう。ですから、これはそれぞれ病院の管理者の善意、自由裁量に任せることではなくて、はっきりと法規によってそういう手続を認めることが大切なんだということであります。ですから、今ないからで済ますのではなくて、これから検討してつくるという方向性を示すものかどうか、その答弁をお尋ねしたいと思います。
○野村(瞭)説明員 先生が今御指摘になりました問題点も含めまして、今後検討してまいりたいと考えております。
    〔亀井委員長代理退席、委員長着席〕
○三浦(隆)委員 まだまだいっぱいお尋ねしたい点があるのですが、時間に追われております。仕方がないので質問事項を一つ一つ切り離しませんで一括続けて質問をいたしますので、ひとつ一括お答えをいただきたい、このように思います。
 初めに、第三十九条の「無断退去者に対する措置」についてでありますが、これによりますと、「入院中の者で自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのあるもの」については、警察がその探索をすることになっています。ということは、この場合の探索には病院の看護人等は携わらないということなのかどうか、これが一つ。
 次は、入院患者で「自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのある」というこの規定に該当しない者が、言うならもっと軽い者が無断退去した場合、いわゆる脱走した場合にはどうなるのだろうか。だれが連れ戻しをするものなのだろうか。ひどい人の場合には警察がやるわけであります。軽い人の場合にはそのまま済ますものなのかどうかであります。現実にはその病院の看護人が連れ戻しを図って、病院外でもって乱闘騒ぎでまた患者を痛めつけて、また病院に引っ張ってきてリンチを加えたというようなことが載っておるわけであります。そんなことができるものかどうか。この法規ではできないように解されるからであります。
 少なくとも犯罪を犯した人であっても、監獄に入れられる人であっても、それにはそれ相応の二十三条なりの規定があります。監獄官吏の逮捕権についての規定。あるいは、話題となっております刑事施設法案の四十四条でもそれなりの規定があります。あるいは少年院法にも十四条に、婦人補導院法でも十六条に規定があるわけであります。しかも、そうした精神障害者は別に犯罪者でないのに現実の犯罪者よりもそれ以下に扱われている。そのことについての法規上の対策をお考えいただきたいということであります。
 その次の問題は、法第三十八条の行動の制限についてであります。三十八条の条文は「精神病院の管理者は、入院中の者につき、その医療又は保護に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行うことができる。」とあります。この場合の「管理者」も極めて善意の人であればまだしものこと、今回の宇都宮病院の院長さんのようなケースが起こる可能性があり得るわけであります。とすると、「医療又は保護に欠くことのできない限度」及び「その行動について必要な制限」というのはいずれも抽象的です。だれがどういう基準で判断するものか、これが一つです。次に、管理者に歯どめなき自由裁量的解釈を任せることは、宇都宮病院の管理者に見られるように危険ではないのか。同条規定に対して何らかの基準及び限界を設けた方がよいと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。
 その次の質問、災害時の避難及び解放についての規定が現行法上ございません。しかし、実際には地震、火災その他の災害は起こり得ることでありまして、そういうときに際してだれが患者を施設の外の適当な場所に護送するのか、護送できない状況のときにはどうするものか、仮に患者を解放してその後避難を必要とする状況がなくなった後はどうするのか、法規上どうなっているか――ないわけですが、このような場合のために法を整備した方がよいのではないかと思うのですが、これについてのお考えをお尋ねしたい。
 その次には、作業療法についてであります。これも現行法上ございません。本来、精神病院で患者が行う作業は患者本人の治療効果を高めるために行われるものと思います。現在、作業の指導、作業時間、作業を行う患者の安全及び衛生を確保するための必要処置、作業収入等はどのように。行われているのか。宇都宮病院の作業療法につきましては、報徳会関連の冷蔵会社に毎朝十人以上マイクロバスで運ばれて仕事をさせられたとか、会社の社員寮壊しに使われたとか、院長のゴルフ練習の球拾いに使われたとか、さまざまなことが言われているわけですが、こうした点、やはり法規の定めが必要であるというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
 その次は、面会及び信書の発受についてでございます。これも規定がないのですが、精神病院に入院している患者は犯罪者ではなく、現に治療を受けている者です。面会等、患者が希望するものであるならば、患者の治療を妨げない限りできる限り開放的に認めてもよいものと思うのですが、どうでしょうか。
 その次には、特に婚姻及び親子関係の調整、訴訟の追行、家計の維持その他身分上、法律上または業務上の重大な利益に係る用務の処理のため面談をすることが必要な者の面会は患者の治療の妨げとならない限り認めるべきものじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
 マスコミの伝えるところによりますと、面会する本館の部屋はとてもきれいであった、しかし、閉鎖病棟の塀は実に汚い、また面会に来たときには薬によって酔っぱらったような症状にしてしまっておかしくなってしまうのだというふうに書いていることもございます。こうした使い分けをするようなことを隠すために管理者の恣意的な発想で面会等が妨げられるような場合にはどのように対処したらよいものでしょうか。そのようなことの起こらないように法規を整備した方が、今はございませんから、よいのではないか。その点が次の質問です。
 そして、関連しまして、立入検査ではなくて単に視察及び参観について原則として認める方向で法を整備した方がよいと思うのですが、いかがでしょうか。
 それからもう一つは、保護室についてであります。保護室における収容とその期間及びその期間更新の手続に関し必要な事項並びに保護室の構造及び保護室の設備の基準などは現在どうなっているのか。規定がないわけです。新聞で伝えられますような宇都宮病院のごとき保護室では、患者の人権侵害を行うような場所そのものでありまして、そうしたこととならないように法規を整備した方がよいと思うのです。
 まだ質問したいことがありますが、もう時間のようでございますから、以上の点についてお答えをいただきたいと思います。
○野村(瞭)説明員 盛りだくさんの御質問でございますが、順番にお答え申し上げたいと存じます。
 まず、無断退去者の問題でございます。
 先生御指摘のように、無断退去者が自傷他害のおそれのある者の場合につきましては、警察署に通報いたしまして捜索等が行われる手続が規定されておるわけでございますが、自傷他害のおそれのない入院患者の場合につきましては明文の規定がないわけでございますけれども、そのような場合にまで警察の援助を求める必要性は乏しいと考えているわけでございます。しかしながら、そのような状況が生じました場合におきましては、当然に病院職員及び家族等によってその患者の医療、保護のために探索が行われておるわけでございます。
 それから、二番目の御質問でございますけれども、行動の制限に関した御質問でございます。
 精神衛生法の第三十八条によりまして、行動の制限につきましては、精神病院の管理者が本人の症状に照らしまして医学的な観点から個別具体的にその必要性を判断して行うものと考えております。したがいまして、基本的には、専門家である医者が当該患者の症状を見まして判断をいたすものでございます。いかなる場合にどの程度の行動の制限が許されるかについて、今後何らかの指針的なものを設ける必要があるかどうかにつきまして検討いたしたいと考えているところでございます。
 それから三番目に、災害時の措置についての御質問があったわけでございます。
 確かに現行の精神衛生法におきましては規定が設けられておりませんが、災害時の入院患者の避難誘導につきましては、病院管理者が責任を持って職員にその任に当たらせるべきであると考えているところでございます。避難を必要とする状況がなくなった後におきましては、当然ではございますが、患者を再収容して入院を継続させることとなるわけでございます。また、避難後行方不明となった者につきましては、先ほど申し上げました無断退去者の措置に準じて対処いたしておるところでございます。
 それから、作業療法についての御質問がございましたが、作業療法は、作業あるいは労働によって精神障害者の精神症状の改善及び社会復帰を図る精神科治療の一つでございます。今回の宇都宮病院の事案におきまして、作業療法と称して患者を使役しているのではないかという問題が提起されておるところでございますが、十分にその事実関係を究明するとともに、今後患者を不当に使役することがないように、作業療法につきまして何らかの指針のようなものを作成することも検討いたしたいと思っておるところでございます。
 通信、面会の自由についての御質問でございますが、入院患者につきましては、その医療、保護のため、必要最小限度の措置といたしまして面会を制限する場合もあるわけでございますが、面会をすること自体、社会復帰の一環でもございますので、原則的には自由に扱っておるわけでございます。なお、限度を超えまして面会制限が行われることのないよう、私ども、都道府県を通じまして必要な指導をこれまで行ってきたところでございますが、今後ともきめの細かい指導を徹底させてまいりたいと考えているところでございます。
 また、第三者による視察及び参観についての御質問がございましたが、これにつきましては、基本的には施設管理権を持っております病院管理者側が判断すべき問題であるというように理解をいたしているところでございます。
 最後に、保護室についての御質問がございましたが、保護室への収容につきましては、精神障害者の医療、保護のため必要最小限度の措置といたしまして、行動の自由を制約する必要がある場合に保護室に収容を行うわけでございますが、患者さんをどのような場合に保護室に収容し、また、どのように処遇するかということにつきましては現場の主治医の判断に基づくわけでございますけれども、今後、これにつきましても、その判断のもととなる指針的なものが必要かどうかにつきましては検討いたしてまいりたいと考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 これで時間でございますが、いわゆる宇都宮病院事件という個々の病院なりあるいは院長さんという個人にこの問題を帰せることではなくて、一般的な精神病院の問題あるいは一般的な精神障害者の問題としてとらえていただきたいと思うのです。今質問しましたことは、すべて精神衛生法の不備な面だけでございます。全くないわけです。これに対して、犯罪を犯した人が入っている監獄にいる人の方が、監獄法なりあるいは刑事施設法案においてもっともっと手厚い保護の中にいる。少なくとも、今質問したようなことは全部そこに書かれているわけです。そうでない人の方がそれ以下の取り扱いを受けているところに、私は大きな問題があると思います。
 今検討されるというお答えがございましたから、ここだけのお答えではなくて、本当に検討をした実を上げていただきたい。言うならば、これまでも国会答弁で、同じような質問をして何にもしてこなかったわけですから、今度は確実にしていただきたい、そういうことを心から期待いたしまして、質問を終わることにいたします。
○宮崎委員長 野間友一君。
○野間委員 最初に最高裁判所にお伺いしたいと思います。
 過日、私がこの委員会で取り上げた問題の一つとして、異なった地方裁判所の二つの支部の裁判官の兼任の問題についてであります。この間の私の質問の結果、適切に対処するというお答えがありましたが、若干敷衍して現状を申し上げます。
 新宮支部と熊野支部の問題でありますが、開廷状況は新宮支部が火、金、水、それから熊野支部が月、木、これは民事、刑事、家事、いろいろなものがあります。月、火、水、木、金が新宮、熊野、いずれの日も開廷日ということですね。この開廷日以外にも少年事件あるいは家事事件、これが随時入ってくる。その上に法廷外の裁判官の活動として常置委員会、これは地方裁判所管内ですが、和歌山と津の各地方裁判所、これに出なければならぬ。それから裁判官会同、これは高裁管内ということで、大阪と名古屋の各高裁にそれぞれ出なければならない。それから、少年事件も随分やっておりますから、この調査のために鑑別所、これも和歌山と津の鑑別所、ここにも行かなきゃならない、こういう事態ですね。
 もともと兼任の始期は、約九年前に吉川裁判官当時、これは臨時ということでやったそうであります。これは私の同期でありますけれども。この兼任の弊害については私から申し上げるまでもなく、保全処分を申請するのに裁判官の在庁の有無を気にしなければならぬとか、あるいは仮処分の審尋を入れるについても他の事件の間に割り込んで入れなければならぬとか、刑事ですが、保釈の申請、裁判所職員が裁判官のもとに車で走らなければならぬ、しかも新宮と熊野の間は車で約四十分から一時間かかる、こういう状況です。裁判官としても、宅調日さえとれない。判決を書く暇もほとんどない。いろいろな弊害が我々の調査の結果明らかになっておりますけれども、こういう異なった地方裁判所の各支部、この二つの支部を兼任する、今私が申し上げた実情を踏まえて、ぜひともこういうものはやめさせるというふうにひとつ司法行政の上で取り上げていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
○山口最高裁判所長官代理者 せっかくの御指摘でございましたので、私どもの手元にある資料に基づきまして事件数等の再確認をいたしました上、大阪高等裁判所等を通じまして現地の実情を伺ったわけでございます。
 その結果でございますが、まず五十八年度の事務処理状況は、野間委員御指摘のとおり、新宮支部では火、金を民事事件、それから水曜日を刑事及び家事事件の処理日といたしておりまして、少年事件は随時行うことにしているようであります。それから熊野支部は月曜を刑事、家事、少年、それから木曜を民事の処理日に当てているようであります。これは原則でございまして、事件の繁閑、当事者の都合等によりまして多少の融通はあるようでございます。一期日当たりの事件数を見てみますと、例えば新宮では民事は五、六件程度、それから刑事は四件、家事審判一件程度ということでありまして、いずれもそう負担の高い件数ではないわけであります。五十七年度の事件を見てみますと、新宮では民訴が四十九件ぐらい、それから保全は十七件、刑事訴訟は四十八件ということでございますし、熊野の方は民事訴訟は八十二件、保全は二十八件、刑事訴訟は六十三件、こういう程度の事件でございます。
 先ほど御指摘のございましたように、新宮支部と熊野支部とが兼任になりましたのは昭和五十年末からでございまして、それ以前は熊野へは津地家裁の松阪支部の裁判官が填補して事件処理に当たっていたわけです。ところが、松阪−熊野間が御承知のとおり百二十キロ、国鉄で四時間かかる。これに対しまして新宮−熊野間はわずか二十二キロ、国鉄で四十分、バスで三十五分、こういうふうに非常に近うございますので、例外的に和歌山地裁と津地家裁という管制区域を超えまして兼務の発令をすることになったわけでございます。
 先ほど御指摘の司法行政事務の負担でございますけれども、やはり司法行政上の事務処理に要する負担は無視できないものもあることは事実でございます。和歌山地裁関係では年数回の裁判官会議と常置委員会、これも新宮に関係する事項がない場合には常置委員会にはお呼びしていないようでございますが、それの出席。それから津地裁の関係では年三回の裁判官会議と年五回の常置委員会がございますけれども、おおむね年間十回ぐらいでございます。それから裁判官会同につきましては、御承知のとおり裁判官が交代で出ていくものですから、三年勤務の間に大阪の会同に一回出たという程度の御負担のようでございます。
 こういうふうな負担状況でございますので、熊野にいたしましても新宮にいたしましても、いずれの支部におきましても裁判官一人を配置するだけの事務量がないわけでございますので、全国的な見地から裁判官の適正な配置を考える場合には、やはりこういうふうな事務量の庁でございますと、両支部に総合いたしまして一人の裁判官を配置するということもやむを得ないのではないかというように考えております。
 いずれにいたしましても、基本的には事件数いかんにかかわるわけでございますから、私どもといたしましては今後とも事件数の動きを慎重に見守っていきたいというように考えております。
○野間委員 残念ながら時間がありませんので、私、これはもっと中身について聞きたいと思っておったのですが、別の機会を設けまして、さらにまたこの点について詰めて議論してみたいと思います。最高裁判所、結構です。
 それでは本題に入りますが、法務大臣もよくお聞きいただきたいと思いますが、北海道の消費者協会が発行しております「北のくらし」というのがある。これの五十八年十一月三十日発行のものですが、これに「恐ろしや「霊感商法」「買わぬと先祖のタタリが…」 高額な壷、多宝塔など密室で不安あおり契約」こういうタイトルで出しておるわけです。これを見ますと、稲葉委員の方からもかつて指摘がありましたけれども、売り方が大変巧妙だ。まず「「いまサービス月間で手相を無料でみているのですが…」と玄関のドアがひらく。気が滅入っている時など、「無料」という言葉に思わず手が出ます。」そこで「おや、生命線が見事ですこと…」こういう褒め言葉から始まりまして、「ちょっと運命線が気になりますね…。何かお困りのことでも」、それで印鑑を見せると言って「「ここがすこしゆがんでるでしょう」とか何とか、結局一本一〇ないし二〇万円の印鑑を買わされる」。これが第一幕です。
 「第二幕は一転、恐怖劇です。」これはそのまま読んでいるのです。「A子さんの場合は、印鑑契約の数日後、印鑑で顔なじみの誠実そうな女性セールスから「あなたのことを大先生にお話ししたら、とても心配しておられる。一度相談したら」」、こういうことで大先生の待つホテルヘ行った。そこで待たされておるときに「ご利益があるという韓国産の大理石壷や多宝塔のビデオを見せられた。」そして大先生いわく「あなたのご先祖は地位の高い武士だった。戦場でたくさんの男を殺している。女性もたくさん泣かした。」「父上、お姉さん、妹さんが早死したのも、あなたの男運が悪いのも、実は大罪を犯したご先祖があなたに怨念を気づかせ、あなたにそれを断ち切ってもらいたいから―。」そして別室で祈祷して「ご先祖は緑色の多宝塔をすすめている」、これは何と千三百万。こんな金はないと言うと「ご先祖はあなたのことを考えて白い方(六百万円)を指定された」、こういうことで、「これも断ると「弟の家庭を見殺しにするのか」と一喝。」催眠術にかかってこのつぼを買うことを同意させられた。こういう記事が実はあるわけですね。後からまたたくさん触れますけれども、これは経済企画庁の関係で調査しております。
 法務大臣、こういう商法を御存じなのかどうかということと、一体どういうふうにお感じなのか、まずその点を聞かせていただきたいと思います。
○住国務大臣 私はよく知っておりません。初めてお伺いいたします。そのやり方が詐欺になるのかあるいはまたほかの罪名に当たるのかどうか直ちに私わかりませんけれども、今お聞きしておりますと、これはちょっとというか、行き過ぎも相当なものではないかな、こういうように考えております。
○野間委員 さあ、そこで経企庁に聞きますが、五十七年の十一月に印鑑、大理石のつぼ及び多宝塔に関する調査をされたと思いますが、この調査の目的、理由ですね。それから中身、特徴について説明をしていただきたいと思います。
○照井説明員 お答えいたします。
 この調査は五十七年の十一月に実は国民生活センター、私どもの所管の法人でございますが、国民生活センターが実施したものでございます。
 この調査の目的は、実は先生あるいは御存じだと思いますが、訪問販売の場合に、私どもの把握しておる消費者苦情の中で件数の多いものは、実は学習教材とか消火器とか寝具というようなものが件数としては非常に多うございます。ただ印鑑、大理石のつぼあるいは多宝塔に関しましては、非常に商売の仕方が悪質である、あるいは消費者の被害の金額が非常に大きいということがございます。実はこれは各地に地方自治体が設立しておるわけですが、地方の消費生活センターがございまして、そこに非常に多く苦情が寄せられるということもありまして、五十七年十一月に国民生活センターが、全国に約二百五十消費生活センターがございますけれども、そこに調査票を配りましてその調査をまとめまして五十八年三月に公表したものでございます。
 その調査結果の概要をちょっと申し上げますと、こういう相談が一体全体どのくらいあったかということにつきましては、これは実は五十一年の十一月から五十七年ですから、約七年間でございますけれども、その間に印鑑が千七百十九件、大理石のつぼが八百五十一件、多宝塔が六十三件ということで、全体で二千六百三十三件でございます。七年間でございますから、件数としてそう多いということではあるいはないのかもしれませんが、購入価格と申しますか、そのときの被害金額は合計で約十七億円でございまして、印鑑の平均金額はそれほど大きくはないのですけれども、大理石のつぼですと、平均価格が百二十五万円でございますとか、多宝塔になりますと七百十八万円ということで、非常に大きい金額であったということが実はわかったわけでございます。
 この調査をいたしまして、結局これからの苦情の処理でございますとか、あるいは消費者がそういう被害に遭わないようにもっと気をつけなさいということもございますので、そういう販売の手口を分析したり、あるいはその処理結果、実際どういうふうに解決しなかったかあるいは解決したかということをまとめまして、それを当然、アンケートと申しますか、調査でございますから各地の消費生活センターにフィードバックするとともに、訪問販売法を所管されております通産省とか、この販売の手口の中には暴力的行為ということもございますので、警察庁ないしは各県の県警の方に五十八年三月にその調査結果を送付いたしまして、対応をよろしくお願いしたいということでやっておるわけです。
 また企画庁におきましても、昨年の十二月に、店舗外の販売についての適正化ということで国民生活審議会の消費者政策部会から御報告をいただいておりますけれども、消費者保護という観点から今後もそういう被害に遭わないようなことをいろいろやってまいらなければいけない。例えば企画庁でできますことは消費者啓発の部分でございますけれども、国民生活センター等を使うあるいは地方の消費生活センターにお願いするという形で啓発を進めていきたいというふうに考えております。
○野間委員 その調査の中で販売の手口を幾つかの類型に分けて整理をされておりますが、類型の特徴、中身、手口、そういうものをひとつ端的に説明していただきたいと思います。
○照井説明員 二千六百件でございますので、割と似たものを類型として七つに分類してございます。
 分類のAというのは、病人の弱みにつけ込む、つまり、ふだん病弱であるというようなことに対して、それならばこういう印鑑にすれば治りますよ、あるいは大理石のつぼを買えば治りますよ、これが一つのタイプでございます。
 二つ目は、弱みという点では似ておるわけですけれども、何らかの不幸があった場合あるいは今不幸がある場合、例えば交通事故でございますとか長い病をした後であるとかいうようなことに対して、その不幸がよくなりますよというような売り方をしたものが第二の類型でございます。それはそれほど多いパターンではございません。
 三番目の類型は、実は先ほど野間委員もおっしゃられましたように、宗教的な不安感をかき立てる、つまりこの商品を買わなければ非常にたたりがあるとかあるいは不幸になるとか、病気をするというような言い方で売っておりますのが第三のパターンでございます。これが二千六百件中八百件ちょっとでございまして、一番多い類型と言ってよろしいかと思います。
 第四番目は、今の第三番目の類型にやや似ておるわけですけれども、古来からの言い伝えとか迷信を強調して販売したというものでございます。
 第五番目の類型は、これも今まで言いましたものの総合的なものですけれども、購入すれば病気にならない、幸せになる、余り根拠のないことを強調したというものでございます。これも五百件強でございまして、かなり多い類型でございます。
 第六番目は、非常に長時間にわたって勧誘をした、あるいは場合によっては暴力的行為、暴力的行為までいかなくても何かそういう物すごいそぶりをして、本人が怖くなってしまったというようなことでございます。あるいは喫茶店に閉じ込めると言うのは変ですけれども、喫茶店の中に長時間おらせるというようなものが第六番目の類型でございます。これも五百件強でございまして、非常に多いということでございます。
 それから、これはそれ以外でもよく見られるケースでございますけれども、非常に悪質な言葉を吐いて巧妙に売ったというケースが第七番目でございます。
○野間委員 これは法務大臣、刑事局長もお聞きのとおり、大変なことなんですね。しかもこれは調査の結果、消費生活センターの関係だけで出てきた数なんです。一部なんです。今まで個別のケースが議論になったり議題になったりしたことはありましたけれども、こういうふうに全国的に調査をして、その結果をまとめたというのは今回が初めてなんですね。これによってこういうような悪質な詐欺とかあるいは脅迫を含めた手口によって、しかも高額なものを買わせるというような商法は根絶しなければならぬ、これは当然のことだと思うのです。
 経企庁にもう一つ、今物件の平均額を言われましたが、高いのになりますと、例えば印鑑の場合百六十万、大理石のつぼの場合には八百五十万、多宝塔は二千三百万、こういうのがこの調査結果に出ておりますね、どうでしょうか。
○照井説明員 おっしゃるとおりでございます。そのとおりの調査結果であります。
○野間委員 そして問題は、これは後で幾つか問題点として指摘もされておりますし、処理結果というところにも整理がされておりますが、例えば「クーリングオフにより解約できたもの及びクーリングオフによる解約手続をアドバイスしたもの」が二六・五%、それから「クーリングオフ期間経過後の相談で無条件解約できたもの」が一八%、「上記以外」、今言った二つのケー入以外で「合意解約したもの」は一四・八%。これ自体も異常ですし、「何等の解決もみなかったもの」というのが一二・六%、それから「自主交渉にあたって必要な情報を提供したもの」が一二・三%、これは結果がどうなったかわからない。それから「不明」の中には、販売業者との間で全く連絡がとれなかったというのが大半だと思いますが、これは九・三%ですね。
 こう見てみますと、要するに苦情処理として扱った中で、クーリングオフあるいは無条件で解約できたものは非常に多いわけですね。これだけむちゃくちゃな商法をやっておるということ。もう一つは、苦情があって販売業者に連絡をしたけれども連絡がとれない、これは数が随分と多いわけですね。まさにごまのはいみたいなものです。そして結局どこへ行ったかわからない。
 そして、さらに問題点の中にも指摘してありますが、訪問販売法の適用を阻害するためと申しますか、クーリングオフ期間の四日間は人に言えば御利益がなくなる、あるいは不幸な目に遭うとか言って説明をするとか、あるいは現金一括払いを強要する。これは調査結果の中を私は正確に読んでおるのですけれども、つまりクーリングオフの期間を全くなくしてしまう。これを見て私はもうとにかくびっくりしたのです。こういう商法が、徳川時代ならいざ知らず、今の時代の中で全国的に蔓延して、横行しておる、こういう実態ですね。
 経企庁、もう一つ、今私が申し上げた問題点あるいは処理の中身について、これはあなたのところでまとめたものを私は正確に読んだつもりですけれども、その点ひとつ確認だけしておいてください。
○照井説明員 この調査結果でまとめたものは、先生今おっしゃられたとおりでございます。
 ただ、四日間ということについて、つまりその間に何かやると要するに御利益がなくなるとか、そういう販売なものですから、そこのところはむしろもっと我々が啓発していかなければいけないということは考えております。
○野間委員 それから、これは全国にまたがった販売なんですよ。この調査結果でも販売業者の数が五百十五件ほど、それから「同名異業者がある可能性があるので、正確には把握できない」、しかしながら、「背後では相互に機構的つながりがあるものと推測される。この点を調査できれば元締的事業者の数はかなり少数に絞られるものと思われる。」こういうことですね。恐らく物品は韓国産だと思いますし、問題点の中にも、絞り込めばというふうに書いてありますが、これは絞り込んで調査をしておるのかどうか、その点も含めてひとつ答えてください。
○照井説明員 実は、「この点を調査できれば」というふうに書いておりますとおり、この点を例えば消費生活センターが調査できるということは非常に難しゅうございます。つまり、いろんな業者名で出てきておって、そこを名寄せするということもほとんどできませんし、それから実際に消費生活センターでやっておりますのは、事業者と消費者の間に入って、ある苦情案件を解決するのに精いっぱいでございまして、そこまで消費生活センターの中でやれということは非常に難しい。もちろん、消費生活センターの中には各県の県警と連絡をとられて調査されているところもあるようですけれども、それもなかなか立証できない、あるいは販売業者がなかなか連絡がとれない、ないしはいなくなったとか、そういうことで調査は非常に難しいということで、ここのところは、企画庁ないしは国民生活センターあるいは地方の消費生活センターとして、その後は特にこの点については調査はやっておりません。
○野間委員 先ほど挙げました「北のくらし」の中でも、北海道では株式会社レックス、それから創運社、有限会社フロンティア商会、この三つの販売業者が「苦情の多い会社」として指摘をしつつ、この「三社の関係は細部までは分らないが、販売商品が同じで、売り方も極めて似ている。このことから卸元は同一で、三社間で人事の交流もあるものとみられる。」あるいは「いずれも韓国産という。大規模な輸入代理店の介在が予測される。」こういうことも北海道の消費者協会の調査の結果には出ておりますけれども、これは恐らく生活センターでまとめられたことと大体一致すると思うのですが、いかがですか。
○照井説明員 今回の調査がきっかけになっていることは間違いないと思いますが、ただ、地方の消費生活センターと申しますのは、これは先生御承知と思いますが、都道府県の中の機構でございます。ですから、県によっては、実は業者名を挙げるのはむしろ苦情を寄せた人間が今度わかってくる可能性があるものですから、そこのところは慎重にという県が非常にございまして、北海道の場合はむしろ非常にレアケースというふうにお考えいただければと思います。
○野間委員 そこで刑事局長にお聞きしますが、この犯罪の手口ですね。先ほど七つの類型の説明が経済企画庁からありましたけれども、原価の点についてはまだ後で申し上げますけれども、例えば多宝塔の場合には原価率が〇・二%、これは五百倍にも売るわけです。これは後で言いますけれどもね。手口一つとってみても、病人に対して、買えば病気が治る、さあ買えとか、あるいは購入しなければ先祖の犯した罪のたたりによって近い将来事故死するとか、あるいは長時間にわたる勧誘あるいは暴力的行為を伴う勧誘など精神的圧力を加えて販売したもの、これは後でまた勉強していただきたいと思いますが、先ほど経企庁からもこういう手口の説明がありましたけれども、詐欺あるいは恐喝、これは刑法犯としても立件しなければならぬというケースが非常に多いと私は思うのですけれども、経企庁の今の説明をお聞きになって、局長、どういうふうに思われますか。
○筧政府委員 個々の点につきましては、いろいろまた事実関係が必ずしも明確ではございませんので、一概には申し上げられないかと思います。ただ、今お聞きいたしておりまして、それにさらに売り込みの際の双方の事情とかいろいろな話のやりとり、いろいろな事情があるかと思います。そこらの事実関係のいかんによっては詐欺あるいは恐喝というような犯罪が成立する余地が十分あろうかと思います。
○野間委員 そこで警察庁に聞きますが、印鑑とか、いろいろあると思うのですが、この特徴は、かつては高麗ニンジンとかニンジンエキス、これが大理石のつぼ、あるいは多宝塔、印鑑にかわったのですが、こういういわゆる訪問販売という名に籍口した恐喝あるいは詐欺というようなことで今まで検挙したものがどのくらいあるのか、一遍聞かしていただきたいと思います。
○清島説明員 答弁いたします。
 印鑑なり多宝塔あるいはつぼに関してどのくらい検挙しておるかということでございますが、それに限った統計は実はとってございませんので、今明確には答えられません。
○野間委員 じゃあ正確な数は別として、かなり数が多いかどうか、それだけ。
○清島説明員 私どもの方に一々事件報告がございませんですけれども、最近近辺でどのくらい検挙しておるのか、ちょっと調査いたしましたところ、ここ二、三年の間に警視庁の方で詐欺あるいは訪問販売法違反として検挙を数件やっておりますし、御承知のとおり青森県の方では恐喝で検挙をいたしております。
○野間委員 稲葉委員の方から前の委員会の中で弘前支部の恐喝事件の判決、これは千二百万でしたか、幾つかやはりあるんですよね。検挙ないしは裁判にかけられたものが幾つかあるのですけれども、しかし数としては非常に少ないのです。こういう手口によるでたらめな販売がこれだけ横行しながら、実際に警察の網にかかるのは本当にごく一部です。ここに、今の大理石のつぼとか多宝塔の販売、これにかかわる一番大きな盲点と申しますか問題があるというふうに私は思うのです。
 これは通産省の所管でもあるのですが、後で申し上げますけれども、末端の販売業者というのは、統一協会あるいは勝共連合、それの事業部門でありますハッピーワールドという会社がありますが、すべてそこに凝縮するわけですね。末端というのは、一番末端の統一協会の信者とかあるいは勝共連合の会員であるとか、そういう者が一人、二人組むとかあるいはそれのダミーをつくって販売する。これがこの販売の特徴になっているわけです。ですから、飯の上のハエを追うようなことで、末端のことをちょろちょろさわっておるだけでは全く解決がつかないということも事実だと思うのですね。
 私は、訪問販売法の関係でも、通産省は当然末端からもとを手繰っていく作業をしておると思いますが、それは一体どうなっておるのか。警察に対しても、同じように、こういう実態があり、しかも経企庁の今の話でも、調査の結果もすぐに各都道府県警あるいは警察庁の方にも連絡しておる、こういうことを言っておるわけですね。これは今までどういった対応をしておるのか、あるいはどう対応しようとしておるのか。これは絶対放置はできないわけですからね。その点について通産省、それから警察庁にお伺いしたいと思います。
○牧野説明員 私どもといたしましては、この訪問販売の適正化という問題につきましては、あくまでも現在の訪問販売法を厳正に適用するということでまず対処いたしたいというふうに考えております。
 御承知のように、現行法におきましてはセールスマンの氏名等の表示、あるいは契約あるいは申し込みをした場合の書面の交付、これは罰則担保でございますが、あるいはクーリングオフという行為規制がかぶっておりますが、これはいずれにいたしましても訪問販売を行う者についてこの行為規制を厳格に守ってもらう、この点につきましては私ども厳重に監視はいたしますし、あるいはこういった制度があることを消費者にも十分に御理解いただくという点でPR等をやっているところでございます。
 御指摘のように、末端から大もとにというお話でございますけれども、特定の訪販業者が悪徳であるかどうかということにつきましては、これは今申し上げましたように訪販法の適用外の問題であろうかと思いますが、ただ、いずれにいたしましても、この訪問販売が消費者トラブルを起こしていることも事実でございますし、あるいは業界の健全な発展という点からも、こういったことは根絶する必要があろうかと思いますので、私どもといたしましては業界を指導いたしまして、日本訪問販売協会というものを五十五年からつくってもらっておりますけれども、この業界の自浄作用、例えば倫理綱領をつくり、非常にひどい商業道徳に反するような行為はお互いに慎む、あるいはセールスマンをみずから教育をして登録を、これは民間の制度でございますが、登録をするといったようなことで、間接的ではございますけれども、こういった自浄作用を図るように指導をしてきたところでございますし、今後ともこういった方向を一層強めていきたい、かように考えております。
○清島説明員 お尋ねの件につきましては、五十八年三月三十一日付で国民生活センターから警察庁に調査結果が送付されまして、苦情の対処方の要望があったところでございます。
 この商品販売に係る不法事犯につきましては、いわゆる訪問販売法等を適用いたしまして取り締まりに努めておるわけでございまして、昨年一年間、参考までに申し上げますと、百十三件の百五名というものを訪販法違反で検挙しているところであります。
 ただいまお話のありました問題を含めて、いろいろ全国の消費生活センターに多数苦情等が寄せられておるということでございましたので、私どもといたしましては、五十八年五月に全国の警察に対しまして、この種事案を含めた訪問販売に係る不法事犯の実態把握と的確な取り締まりについて指示をしてきているところでありまして、今後ともそのように努めてまいりたいと思います。
○野間委員 通産省も警察も、今までもまじめにやっておって、これからもやる、そういう答弁。しかし、現実にこういうケースがうんとあり、これが今なお後を絶たない。私もかなりこれは相談を受けまして解決もしたケースがあるのですけれどもね。これは元締めがハッピーワールドというのはみんな知っておる公知の事実だと思うのです。みんなそう言っているわけですね。手口も一緒なんです、後でまた時間があったら触れますけれども。
 そこで、こういう元締めをずっと手繰っていって、そしてこれが韓国でつくられて日本に輸入されて、そして元締めからずっと幾つかの販売経路を経て末端の勝共連合あるいは統一協会の会員がこれを売らされるというメカニズム、仕組み、やはりそこにメスを入れ、根源を明らかにする以外に解決のしょうがないと思うんですね。法務大臣、お聞きになっておってどういうふうにお考えでしょうか。
○筧政府委員 御指摘のように、あちこちで苦情等がたくさん出ておるかと思いますが、それがなかなか犯罪というところまで明確にならないというのが一つと、それから犯罪になりました場合にも、その根源へということが、事実の確定とその行為者の処罰ということでその犯罪責任を追及するという限度で、先生御指摘の、大もとの大もとというところまではなかなか行きにくいというのが現状ではなかろうかと思います。
○野間委員 そうしたら大臣、これはどうやったら根絶できるのでしょうか。今幾つかの関係省庁の答弁がありましたけれども、それでもこれはいっぱいあるわけですよ。しかも、今の刑事局長の答弁でも、根絶するということはなかなか難しいということですね。それじゃ、これはそのまま放置しますか。どうしたらいいでしょうか。
○住国務大臣 先ほど来、経済企画庁の話、通産省の話、それから取り締まり当局の話も聞いておりまして、とにかく今も刑事局長が申し上げましたように、根絶まで刑事の面でさかのぼるのはなかなか難しい点もあるのじゃなかろうかというようなこと、専門家がそう見ておるわけですから、私も、そうかなあと思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、あることは、御指摘のような状況でございますから、これは消費者の教育も必要でしょうし、とにかく関係省、関係者協力して根絶、被害の防止を図っていく、こういうことで対処していかなければならぬのじゃないかなあと今考えておるわけでございます。
○野間委員 ですから、これは経企庁、通産省、警察、それから法務省ですね、やはりここらの関係する省庁が十分協議して、その。上で、根絶するのにどうしたらいいのかということをひとつきちっとしていただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○住国務大臣 そういうような方向で一遍検討させてみたいと思います。
○野間委員 刑事局長にお聞きします。
 神戸地裁の第三刑事部の判決、これは事件番号は昭和四七年(わ)第一六五三号、同第一七四二号、昭和四八年(わ)第八五号、これらの併合事件ですね、これの判決。これは外為法違反、石井光治外の外為法違反の被告事件。これは主文は無罪になっておりますが、しかし、この理由中のいろいろな判示はいろいろ興味があり、関心がある判示をしております。
 ここで私がお聞きしたいのは、勝共連合、それから統一協会、それから幸世商事、これらの関係について理由中に判示しておりますが、これらの関連についてどういうふうに判断しているのか。これは確定判決ですね。その点、ひとつ刑事局長、答えていただきたいと思います。
○筧政府委員 お尋ねの、昭和五十二年一月二十一日、神戸地裁の判決で、石井光治ほかに対します外為法違反事件でございます。
 判決の認定するところによりますと、まず、宗教法人世界基督教統一神霊協会と政治団体国際勝共連合とは、団体としては別個のものであるが、思想的には相連結するところがあり、また、両者の間には役員、会員、賛同者の共通する者が多く、その点において両者は組織上も関連するところがあり、さらに、両者の間に資金面の関連も否定できないとされております。そして、幸世商事株式会社については、もとより法的には統一協会とは別個の法人ではあるが、両者の間には人的及び金銭的な関連が認められるというふうにされております。
 以上、判決認定部分の概要でございます。
○野間委員 さらに、そのところに、韓国からこういう統一産業あるいは幸世商事等々を介して銃砲あるいは石材工芸品、それからニンジン、これらがずっと入ってきた、こういうことも判示しておりますね。
○筧政府委員 そのとおりでございます。
○野間委員 さらに、今判決の中にありました幸世商事、これが商号を変更して「世界のしあわせ」、そして今では株式会社ハッピーワールド、これは登記簿謄本がありますし、御案内だと思いますが、その点間違いありませんね。
○筧政府委員 その点は私どもは確認いたしておりません。
○野間委員 登記簿謄本があるので、また次の機会にこの点についてさらに詰めていきたいと思いますが、勝共連合のマスコミ部門の世界日報の内部の抗争がいろいろありまして、そこでいろんな事実関係、資料が全部出てきたのです。私もたくさん持っておりますけれども、今までいろんな個別の事件とかうわさがありましたけれども、これで大体実態が明らかになったと思うのです。きょうはたくさんの省庁から来てもらっておりますけれども、商売の手口も例えば原価率〇・二%、つまり五百倍に売れ、この間、稲葉委員も言っておりました。これは多宝塔ですね。それから大理石のつぼは四百億で売れとか、みんな指示があるわけですね。マージンをどこにどう落としていくのか全部指示がありまして、しかも末端のセールスマンには七割をそこに与えることにするけれども、それは帳簿上だけで、それを全部天に吸い上げる。天というのは文鮮明という統一協会の教祖ですが、そういう仕組みで、そして高く物を売って日本でどんどん金を集めて韓国に金を持って帰る、こういうような仕組みになっておるようですね。いろんな資料が物語っておるのです。
 最後に、二月十四日に大蔵省がハッピーワールドに対して調査に入った。この前も稲葉委員に対してお答えになりましたけれども、これは査察ですか、どういう根拠に基づいてやっておるのかということと、今調査の結果どうなっておるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
○木下説明員 まず第一点、査察がどうかということでございますが、査察をしたことはございません。それから、本件につきましての調査結果というお話でございますが、従前から個別の納税者に関する調査結果等についてはお答えを差し控えさしていただいておりますが、一般的に申し上げまして、私ども、あらゆる資料を納税者から出されました申告書と突合いたしまして検討いたしまして、必要あらば実地調査を実施するなどして適正に処理をしております。特に本件のような社会的に問題があるという法人につきましては特に注意深く処理しておるつもりであります。
○野間委員 時間が参りましたので最後に一点だけ、外務省をお呼びしておりますので、最後に簡単にお聞きしておきたいと思いますが、先ほど申し上げた世界基督教統一神霊教会の教祖であります文鮮明という人物ですが、五十七年七月十六に脱税容疑でアメリカのニューヨーク地方裁判所で懲役十八月、罰金が二万五千ドル、これが高裁に行きまして、ニューヨーク州の最高裁判所上告棄却、それから連邦最高裁判所の上告の申請をした、三月ごろにその結論が出るやに私聞いておったのですけれども、こういう経過と、そして結末はどうなっておるのかということ。
 それからもう一つは、入管局長に聞きたいのは、もし国外法、つまり外国の法律に基づいて刑事処分に問われ、一年以上の懲役ないしは禁錮以上の刑に処せられた者、これは我が国の入国管理法に基づいて上陸の拒否をしなければならぬ、こういう仕組みになっておると思いますが、この二点について最後に外務省と入管局長にお聞きして質問を終わりたいと思います。
○高島説明員 御指摘の文鮮明氏に対します脱税等の事件の審理につきましては、昭和五十七年七月十六日ニューヨーク南部地区連邦地裁におきまして第一審有罪判決が下されております。その後五十八年九月十三日に上級の裁判所で控訴棄却となり、現在は連邦最高裁判所に事件移送を申し立て中というふうに聞いておりますが、それ以上の詳細は承知いたしておりません。(野間委員「懲役十八月と違いますか」と呼ぶ)その判決の内容等も私ども詳細承知いたしておりません。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。
 入管法との関係の御質問でございますけれども、入管法第五条に上陸拒否の事由が書いてございまして、その第一項第四号に「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮に処せられたことのある者。」これは上陸を拒否するということになっております。
○野間委員 これはこれからまだいろいろな問題がありまして、大蔵省にもきょうおいでを願っておるのですけれども、大蔵省の方、悪いですけれども次回にまたお聞きしたいと思います。
 終わります。
○宮崎委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は、裏磐梯自然公園の猫魔ケ岳のスキー場の新しい施設について、これは御承知のとおり今問題になっております福島交通が一枚かんでいるわけなんですが、私が調査した現地の動きと私が管轄である環境庁や林野庁とに問い合わせした実情とは大分がけ離れておりまして、正確な事実を現地に知らしてやらないと妙な政治的な策動が介入する可能性が非常にあると思うのですが、猫魔ケ岳の新しいスキーリフトの建設について環境庁の方へは手続は今どういうことになっていますか。あるいはどういう経過を御存じですか。
○田村説明員 お答えいたします。
 磐梯朝日国立公園につきましては、昭和四十八年から国立公園につきまして公園計画の見直しということを全国的に進めてきておりまして、磐梯朝日の国立公園のうちの磐梯吾妻猪苗代湖地域の公園計画の見直しにつきましては昭和五十三年に全般的な再検討を行ったわけでございますが、この公園計画の再検討後は五年ごとに点検を行って現地との整合性を図っていくということにしておりまして、今年がその点検の時期に当たっております。これにつきまして今点検の作業をしている最中でございます。現在、環境庁の原案を作成するために関係県のいろいろの要望を整理している段階でございまして、整理の後、関係県の意見照会、関係各省と調整いたしまして、審議会に諮って決定するということでございます。
 この猫魔のスキー場につきましては、地元の北塩原村の方から既に何回かスキー場の設置につきましての陳情を受けているというのが実情でございます。
○林(百)委員 何回か陳情を受けているのですけれども、環境庁への正式な申請か何かあるのですか。ということは、現地では第三セクターの設立が非常に具体的に進んでおりまして、例えば北塩原村と福島交通、会津乗合自動車、日本ロイヤルクラブ、林野弘済会、小針暦二氏の娘婿の山田克爾氏、この人たちが加わって第三セクターをつくるということで、既に資本金総額、株数で五百八十株、一株五万円で計二千九百万円、うち村の方は過半数の三百株、千五百万円、残り二百八十株は福島交通、会津乗合自動車、日本ロイヤルクラブ、これは旧裏磐梯観光ホテルです、それから林野弘済会、これが各六十株、小針暦二氏が二十株、山田克爾氏が二十株、こういう第三セクターの設立を進めているのですが、この第三セクターは環境庁の方へ何らかの手続をしているのですか、してないのですか。
○田村説明員 お答えいたします。
 公園計画の見直し等につきましては、先ほど申しましたように、北塩原村からスキー場のことについて陳情を受けているということでございまして、公園計画等につきましては、この公園の中に公園利用上また地域の振興上スキー場が必要だということの要望があっているということでございまして、公園計画を決定する際には事業主体がどこであるかということは余り直接関係がないということで、環境庁の方では第三セクターでやるという話もお聞きしておりませんし、第三セクターというのも環境庁に直接陳情に参ったことはございません。
○林(百)委員 しかし、施行規則でいうと、新たに工作物をつくるものは公園計画、事業計画が決まってからでないとできないのですけれども、申請することはしなければいけないわけですね。だから、これが、申請する資格を持って申請の準備を今しなければならないような、そういう公園計画なり事業計画は環境庁ではもう決まっているわけなのですか。
○田村説明員 公園の中でいろいろな行為を行います場合に、公園計画に基づきまして国立公園の事業としてやる場合と、通常、工作物と申しまして、例えば家を建てたりそういうことをする場合に、手続が許可と認可という形であるわけでございます。そういうことでございまして、現実的にスキー場を国立公園の中で実施をするという場合には、その位置に公園計画がなければできないというのが実情でございます。
○林(百)委員 公園計画がなければできない猫魔ケ岳への新たなスキー場の建設については、それではまだ公園計画の見直しはしていないということなんですね。ちょっとここで答弁してください。
○田村説明員 猫魔のスキー場につきましてはそのとおりでございます。
○林(百)委員 ところが現地の状態は、これは朝日新聞の福島地方版に載っておるのですが、現地では、五月にその審議会があるのだ、だから、もう手続はできるようになっているのだ、それから三月に県知事の意見聴取をすることになっているのだ、これは七日になっているのだけれども、七日現在ではまだやってないというような記事が載っているわけなのですが、五月に審議会をやるなんということがどうして現地にわかるのですか。あるいは環境庁ではその予定なんですか。
○田村説明員 先ほど申しましたように、この地域の点検につきましては、現在、環境庁の原案を作成するために関係県等の要望を整理しているという段階でございまして、その整理した段階で原案を事務的に取りまとめまして、これに基づいて正式に関係県への意見照会、関係各省の協議という形で進めるわけでございます。私ども、現在、この件につきまして五月に審議会を開くというようなことはいまだ考えておりません。
 ただ、一言申し上げますと、通常、法律上の事業の決定とか、こういう案件は、例年、春と秋に審議会を開いております。そういうことで、この見直しの案件とは違う意味でそういうように御理解をいただいたんじゃないかなというように考えております。
○林(百)委員 そうすると、五月に審議会が環境庁ではあるはずだと言っておるのは、だれかがそういうことを伝えなければこんなことが出るはずないわけなんですがね。
 そこで、お聞きしますが、公園計画の見直しをするためには、見直しがあって初めて新たな工作物の設置の申請等も具体化してくるわけですが、その前に公園計画の見直しをしなければならないわけです。そのためには審議会も開かなければならないと思うのですが、どういう手続を経てます公園計画の見直しが行われるわけですか。
○田村説明員 公園計画の見直しの事務的な進め方でございますけれども、昭和四十八年に見直しの通達を局長から関係都道府県知事に出してございます。一応、社会情勢の変化を踏まえて見直しをしていかなければならぬというのが基礎でございますが、現在の社会情勢に合わせまして、自然保護の強化を基調にしてということで通達を出してございます。(林(百)委員「手続だけを聞いている」と呼ぶ)はい。関係各県といろいろ調整をいたしまして、関係各県の御意見を出していただく。それが保護計画、利用計画内で整合性があるかどうかということで御意見を出していただくわけでございます。
 これを踏まえまして、環境庁が保護計画、利用計画のバランスをとりながら、環境庁で原案をつくりまして、これを各県に照会をいたします。各県はこれを受けまして関係市町村、それから国の関係出先機関と調整に入るわけでございます。そして、調整した案を環境庁に提出をいただきまして、それで環境庁は正式に関係各省に協議を申し上げる。そういう協議が終了次第、環境庁は自然環境保全審議会で意見を聞きまして、それの答申を得て告示に至る。告示したことによって、その公園計画が法的に動き出すというのが仕組みでございます。
○林(百)委員 そうすると、まず環境庁が各地方機関の実情を調査し、そして見直しの案をつくり、それを各省庁との連絡で調整をし合い、そして審議会にかけ、それで初めて公園計画の見直しができるわけですね。公園計画の見直しができて、今度は、ここは開発地域で、あるいは人が集まるような施設をつくってもいいというような計画があるとすれば、そこで初めてスキー場の申請なら申請が出せるということになるわけですね。そういうことでしょう。
○田村説明員 事務的にはそういうことでございます。
○林(百)委員 そうすると、それは大体どのくらいの期間を通常必要とするわけですか。
○田村説明員 いろいろ見直しの幅と申しますか、指定されてから非常に年月がたっている公園について新しくやる場合には何年もかかってございます。四十八年に通達を出しましてから、まだ見直しの済んでいない国立公園が現在がなり残っております。今度の場合は点検でございますので、通常、事務に入りまして、各県へいろいろ意見照会、それから各県のまとめ、そういうものを含めますと、そう何年もかかるというふうには考えてございませんが、相手のあることでございますし、鋭意努力いたしましても一年で済むということはないのではないかというように考えております。
○林(百)委員 一年後に初めてそういう新しい工作物を設置してもいい、そういう計画の見直しが起きるというのに、今から第三セクターをつくって、もう手続は全部済んで五月の審議会にかかるのだというようなことは、これは事実と違いますね、そうすると。第一、五月に審議会をやるかどうかも環境庁ではまだ具体的に考えていないのでしょう。
○田村説明員 当該地域の点検につきましては昨年からある程度現地の方といろいろ事務的な話はしておりますが、現段階ではまだ環境庁の最初の原案をつくっているという段階でございまして、一年も二年もかかることはないと思いますけれども、全体の見直しをやる場合にはまだかなりの、あす、あさってというわけにはまいりませんで……(林(百)委員「五月の審議会を考えているかどうかということです」と呼ぶ)現在のところ、まだこれから原案をつくりまして、県の意見を照会し、国の出先といろいろ調整をするわけでございますから、今この件について五月にやるというふうに決めているわけではございません。
○林(百)委員 ところが県の審議会を通して、そして環境庁の方へも手続をしている、環境庁の方は林野庁が協議に応じないので動きがとれないでいると言っている。要するに、環境庁の方はやりなさい、手続を進めていきなさいと言ったけれども、林野庁の方が我々の方はにわかに賛成しがたいということでストップしているのだと言うのですけれども、県の審議会を通ってそして環境庁の方一、あるいは出先でも――日光に何か環境庁の出先があるそうですが、そこへは何か書類が来ているのですか。
○田村説明員 先ほどから申し上げております点検の原案につきましては、事務的に県の方が進めていただいて、県の段階でいろいろ県の内部で調整をいたしまして、その案につきましては、素案でございますが、現在私どもまで来ております。私どもはこの素案をもとに環境庁の原案を取りまとめていくわけでございますので、その原案を作成するためにその要望の中身を整理しているという段階でございます。
○林(百)委員 その素案というのはどういう性格を持っているのですか。それがそのまま通る可能性があるのですか。あるいはそれを基礎にして公園計画の見直しをするので、それが決まるのは一年ぐらい先になるということで、まだ確定的にはならない。ほんの県から来ている素案ということですか。ましてや林野庁の方は賛成できないと言っているのだから、各省庁との練り合わせの場合は、これはにわかに環境庁だけで決められない段階なんですが、その素案はどういう性格を持っているのですか。
○田村説明員 県の担当部局でいろいろ調整をしておりますので、自然公園、国立公園の趣旨は十分理解した上で公園の保護と利用のための案をつくっているということでございますので、あくまでも当初から、四十八年から見直しの要綱と申しますか、そういう方針を伝えてございますので、そういう方針にのっとって出てきておりますので、この素案につきましては、環境庁原案をつくるための参考にしているというのが実情でございます。
○林(百)委員 そうすると、環境庁の原案というのはまだできていないわけですね。そしてまた、その原案をつくるための審議会を近く開くという予定もまだ今のところは固まっていないというようにとっていいでしょうか。
○田村説明員 原案をつくりますのは、事務的に環境庁がつくりまして、それで関係各省なり最終的に県の意見をお聞きしまして、それで環境庁の原案に基づいて関係各省の御意見を踏まえ、環境庁の案をつくってこれで審議会に諮るということでございまして、環境庁の原案をつくるために審議会に諮るということはございません。
○林(百)委員 新聞の報ずるところによりますと、――環境庁の方の計画課長田村久仁夫さんというのはあなたですか。
○田村説明員 はい。
○林(百)委員 あなたの方は、ちょっとあれがあるのですけれども、この計画については「他の公園計画との絡みで、事務手続きが遅れただけ。林野庁とはまた正式に協議していない。」林野庁の方は「前橋営林局がスキー場建設を検討しているのは知っているが、第三セクターの内容も詳しく知らないし、環境庁との協議はこれからの話だ。」ということになっておるのですが、あなたは何か事務的手続がおくれたりしているので、林野庁とはまた正式に協議していないと言っているし、林野庁の方ではまだ第三セクターの話などは知らないと言っている、こういうことですか。まだあなたの方は林野庁の方に相談――事務的手続がおくれているだけということはどういう意味ですか。
○田村説明員 通常、審議会にいろいろな案件を諮問する場合に、お忙しい学識経験者の先生方がたくさんいらっしゃるわけでございますので、一つの案件だけで諮問をいたすというようなことはしておりません。現在国立公園二十七、国定公園五十四カ所あるわけでございますので、それを全部見直しを鋭意進めておるわけでございまして、審議会を開きますと、一度に三公園とか四公園とかという形で御諮問を申し上げまして御意見をいただくということになっておるわけでございます。
 新聞に書いてございますのは、私の方に電話がかかってまいりまして答えた内容でございまして、何かあっておくれているのではないかということで私が答えたのは、ほかの公園もどうせかけるのであれば何件もかけなければなりませんので、この件についてはかの公園の計画との絡みで今事務的に整理している段階であるということを申したことがこういうふうに書かれているというふうに理解をいたしております。
○林(百)委員 この猫魔ケ岳の近くに小針グループの日本ロイヤルクラブですか、名前がなかなか変わっておりますが、旧裏磐梯観光ホテルですね、この土地が九十二ヘクタールあるということは御承知ですか。だから、ここでもし猫魔ケ岳にスキー場ができれば、ここの地価というのは非常に上がってくる。しかもこの日本ロイヤルクラブですか、これが買い上げたところは第二種保護地域になっているのだ、他の地域は二種から一種にしたりして、それで買い上げて二千六百八十七万が二億四千万になって、約八倍の利益を得ているが、そういうところは森林で開発も何もできない。開発できる檜原湖の南側の非常に観光にいい土地は第二種保護地域にして、これが九十二ヘクタール、日本ロイヤルクラブの所有になっておる、こういうことは御存じですか。
○味蓼説明員 お答えいたします。
 ロイヤルクラブに係る九十二ヘクタールでございますか、その土地所有関係については承知いたしておりません。
○林(百)委員 それではこういうことは知っていますか。北塩原村ではもう一つの通称デコ平、ここにこの地域の方々の共同でスキー場を建設することを申請しまして、猫魔ケ岳と二つが共存した。しかし、いつの間にかこのデコ平の方は消されて、小針暦二氏の持っておる土地の地価が非常に上がる可能性のある猫魔ケ岳のスキー場にその後一本になった、こういう事情は県から聞いていますか。あるいは環境庁では知っていますか。
○田村説明員 私の方は承知しておりません。
○林(百)委員 じゃあ林野庁の方にお聞きしますが、林野庁ではこの猫魔ケ岳のスキー場の建設の問題について何か相談を受けていますか。
○野村(靖)説明員 猫魔ケ岳スキー場の開発につきましては、地元の北塩原村から御要請を受けておりまして、これに基づきまして前橋営林局において検討をいたしておるところでございます。
 一方、前橋営林局では、福島県の自然公園担当部局から、当該スキー場の開発とも関連いたしまして、当該地の国立公園計画の問題について御相談を受けておりますが、林野庁としては、まだ国立公園計画の変更につきましては環境庁から協議は受けてない状況でございます。
○林(百)委員 そうすると、林野庁としてはまだ環境庁から何らの相談も受けておらない、こういうことですか。ただ、出先の前橋営林局では何か書類を受け取っておる、こういうことですか。
○野村(靖)説明員 現地の前橋営林局におきましては、先ほど申し上げましたように、北塩原村からの御要請あるいは県自然公園担当局からの御相談を受けておりますけれども、林野庁といたしましては、環境庁からまだ御協議はいただいておりません。
○林(百)委員 そこで、五十三年にやった土地の見直しで問題がいろいろと言われておるのですが、第二種の保護地域が一種になっている。これは山林地域なんです。それから、特別保護地域が今度は逆に二種に格下げになっている。それから、福島交通が観光ホテル名義で取得している土地は、この特別保護地域の近くであるけれども、二種保護地域にしてある。この見直しについてはどういう理由でそういうことになったのですか。二種が一種になったり、特別地域が二種になったり、一種になったところは全部買い上げて、それで福島交通に――私の方で調査しましたが、簿価で二千六百八十七万が二億四千万円になっている。要するに、開発したり、あるいは開発の可能性のあるところは買い上げなくてそのまま残して、今九十二ヘクタールを福島交通系統で持っているわけですけれども、いわゆる開発業者としては役に立つ可能性のないところはわざわざ二種を一種にして、そしてそれは県が買い上げている。
 これはいかにも福島交通の小針にすべてが都合のいいように、小針が、福島交通が開拓できないところは県に八倍もの値段で買い上げさせる。将来開拓できるところは二種にしてそのまま九十二ヘクタール残している。しかもその近くにその地価をさらに上げる猫魔ケ岳スキー場をつくる動きが今起きている。これは小針君のために全く都合のいいようなやり方を環境庁でやっているわけですが、小針さんのためにやったのだとはまさかここでは言えないと思いますが、これはどういうことなんですか。これには多くの疑問があるのですがね。
○田村説明員 お答えをいたします。
 公園計画は――ここの場合は昭和二十五年に国立公園の指定でございまして、御承知のとおり、日本の自然公園の制度は、国有地、民有地にかかわらず、すぐれた自然の景観を保護し、適正な利用に供するというのが法律にございますように、そういうふうになってございまして、したがいまして、いろいろ関係機関との調整の結果、昭和二十五年に指定したときに当時の計画になっていたわけでございます。非常に長い年月がたっておりますし、社会情勢も変わってきておりますので、先ほど申しましたように、環境庁といたしましては、保護計画の見直しに際しましては、景観の質の再評価を行いまして、保護強化の方向で検討することといたしておるわけでございます。
 当該地域の場合について申し上げますと、先生ただいま御指摘の地域でございますが、この地域は従来二特であったのが第一種特別地域に格上げされた地域でございまして、磐梯山北斜面の火山泥流地形上に広がるアカマツを主体とした森林でございまして、非常に雄大であり、当該国立公園の中の景観の核心部である。二番目といたしましては、植生の遷移の面から見て、学術上非常に価値が高い。三番目は、第一種特別地域に格上げした地域につきましては、裏磐梯の最大の利用拠点でございます剣峰、五色沼等から非常に展望される地域でございまして、この地域を格上げをして守るということで、第一種特別地域にしたというのが経過でございます。
○林(百)委員 理屈はそうつくかもしれませんが、結果的にいえば、持ち分は三十分の十四ぐらいが竹中グループ、それから三十分の六が福島交通、要するに三十分の二十が県の買い上げ地域、十二億幾らですか、そのうち政府の補助金が十億二千万ですか。だから、ほとんど竹中グループと小針グループが三分の二を持っているところは開発ができない。あなたの言うように大事なところだということで、県が八倍もの値段で買い上げている。だから、もうけていますね、これは二千何百万円で買ったのが二億幾らになっていますから。そういう大企業のグループが買い占めたところは県が買い上げている。将来大企業が開拓する可能性のあるところは二種にしてそのまま残している。買い上げないでいる。これは、竹中も一枚かんでいますが、いかにも結果的には福島交通に利益を与えている、便宜を与えている。あなたの方が意図したかどうかは別として、そういう結果になっているとお考えになりませんか。
○味蓼説明員 お答えいたします。
 私どもの方の特定民有地買い上げ制度でございますが、御案内かと思いますが、この目的につきましては、国立公園、国定公園の中の重要な自然景観地を積極的に公有地化し、自然保護の推進を図っていくという基本的な考え方での制度でございます。このために、国立公園、国定公園における特別保護地区、また第一種特別地域、さらには鳥獣保護区の特別地区について、特に特殊鳥類であるとか、天然記念物に指定された鳥獣の生息地であるとか、さらには国際条約上の対象になっている鳥獣の飛来地等であるとか、こういった重要な地域について制限を受けている地権者の私権というものを調整しながら適正な自然公園の管理を進めていく、こういう趣旨の制度でございます。したがいまして、国立公園計画に基づく特別保護地区の決定なり第一種特別地域の決定がなされた場合については、要綱の中に定められておる諸要件を十分に満足しておれば、その内容等について慎重に審査をして都道府県からの補助申請に対応しているところでございます。
 なお、本件について今お話がございましたけれども、福島県が昭和五十四年三月にこの制度に基づきまして裏磐梯地区、これは御案内のとおり裏磐梯の山林組合の所有に係るものでございますが、これを買い上げたわけでございます。この買い上げ価格については、若干お話がございましたが、十二億二千万、国庫支出金額に関しては十億二千五百万、こういった内容で、価格についても客観的な評価を得た上で交付決定をいたしております。
 それから、今お話がございました福島交通株式会社に係る二千六百八十七万円について、いつどこで取得されたかについては私どもは承知いたしておりません。
○林(百)委員 だから、私の方で独自に調査をして、それは簿価で二千六百八十七万円で買っている。これは読売新聞に出ておりますが、このとおりで買っているのですよ。それが県の買い上げで二億四千万ということになると、八倍の利益を得ていることになるわけです。しかもここは手がつけられなくて、持っていてもしょうがないところなんですね。将来手をつけて開拓のできるようなところは二種にして、残りが九十二ヘクタールあるわけです。
 それで、この九十二ヘクタール、県買い上げから残った地域を福島交通が地元から五億一千四百六十万で買って、その福島交通が裏磐梯観光ホテルヘ六億八千百三十六万円で転がしをしている。同じグループの会社で土地転がしをして、今度は裏磐梯観光ホテルから、これが日本ロイヤルクラブと合併されましたので、今や日本ロイヤルクラブになっている。こういう土地転がしが行われているということを知っているかどうか。環境庁、どうですか。
○味蓼説明員 御指摘の土地転がしの実態については承知いたしておりません。
○林(百)委員 それでは、この県が買い上げた残りの九十二ヘクタールの土地、この部分に御承知のとおり、もとは裏磐梯観光ホテルがあって、それが焼けて残っておるのですが、営業はしているようです。それを今度は美福という同族会社が約十六億円の金をかけてこのホテルを改修する、そして猫魔スキー場の開発ということは知っていますか。
○味蓼説明員 今の経緯に係る部分については承知いたしておりませんが、株式会社ロイヤルクラブが、かねて事業を執行しておりました宿舎事業の執行に係る変更承認申請書を提出したことは承知しております。現在環境庁の出先機関であります日光国立公園管理事務所におきまして申請内容について審査中でございます。
○林(百)委員 これは四月九日の読売にあるのですが、福島地検が疑惑解明へ動く、こういう記事が出ておるのですが、これは検察庁の方では御存じですか、御存じだとすればどういう事実ですか。
○筧政府委員 四月九日でございましたか、新聞にそのような記事が出ておったことは承知しております。
 福島交通関係の件につきましては、前々から申し上げておりますとおり、検察庁におきましても新聞その他の報道あるいは国会におきます御論議等を承知しておりますので、関心を持って推移を見守っており、事態に応じて、必要に応じ適切な措置をとるというふうに私どもは考えているわけでございます。
 それ以上に、今何をやっているかやっていないかという点については、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○林(百)委員 時間がありませんので、恐縮ですが、簡潔にやらしていただきます。
 刑事局長、商法四百八十六条の特別背任で「其ノ任務ニ背キ」というのは、これは大審院の判例ですが、大正十五年九月に金融機関の例が出ておるのですが、取締役、支店長等が回収の見込みのない不良貸し付けをした場合は「其ノ任務ニ背キ」に該当する、それから「会社ヲ害センコトヲ図リテ其ノ任務ニ背キ会社ニ財産上ノ損害ヲ加ヘタ」ということは、実害が発生しなくても、その危険が生じた場合も財産上の損害を加えたということになる。
 そこで問題は、この福島交通が、使途不明金八十億とか百億とか言われるような福島交通不動産へ五百五億千七百五十八万円の貸し付けをしているわけですね。使途不明金が百億近くも出ているような会社へ、しかも資本金四千万円の会社へ五百五億千七百五十八万円も福島交通が貸し付けをするということは、今の判例からいって商法四百八十六条の特別背任の構成要件に該当する疑いが十分あるんじゃないですか。
○筧政府委員 特別背任、任務違背行為、林委員が今御指摘の判例があることは承知しております。
 ただ、具体的な今の福島交通に関して、融資しました額が五百億あるいは何百億ということ自体から直ちに任務違背行為とまではいかないんじゃないか。つまり、融資した際の融資先の経理状況、あるいは融資した方がそれをどう認識しておったか、融資した際にどういう目的で融資をしたかとか、非常に危ない場合でも、それを救うために融資をするという場合ももちろんございます。そのときどきのそれを取り巻く事実関係によりまして任務違背行為になる場合もならない場合もあろうかと考えております。
○林(百)委員 それなら調査をしてごらんになりますか、そういう嫌疑があるとすれば。資本金四千万で昭和四十七年からなら百億近くの使途不明金があるという会社へ五百億もの貸付金をするということは、これはやはり任務に背いた、回収の見込みのないところに貸し付けをする、具体的に損害が起きなくとも損害の起きる可能性があればそれは背任になるのだという判例がちゃんとあるのですから、これを検察庁が調査もしないということはおかしいじゃないですか。
 現に新聞では福島地検が捜査しているというのですが、これは事実ですか。仮にあなた方の立場に立って、捜査にいかないにしても重大な関心を持ってこの問題を検討しているということなのですか。全然本庁では知らないのですか。
○筧政府委員 先ほど申し上げましたように、新聞あるいは国会等の論議を十分承知していると思いますので、関心を持って推移を見守っておる、その間に必要に応じ適切な措置をとっていくというふうに考えておるわけでございまして、今直ちに何をする、何を調査するということを申し上げているわけではございません。推移を見守って必要に応じ適切な措置を講ずる。
○林(百)委員 こういう発表はしたのですか。
○筧政府委員 それはいたしておりません。
○林(百)委員 福島地検はしてない。
○筧政府委員 それはいたしておりません。
○林(百)委員 では、福島地検でしないことを新聞に書いてあるということですか。それじゃ、地検は訂正を申し込むべきじゃないですか、こんな重大な問題ですから。
○筧政府委員 検察庁ではどういう調査をしているかということは発表しない方が普通だと思います。恐らく報道機関においていろいろなほかの、どういうことか知りませんが、そこでそういうことであろうという記事が書かれたものというふうに考えております。
○林(百)委員 検察庁が動き出したか動き出さないかということは重大な問題ですから、ちょっと時間をいただきたいのですが、そうすると、新聞がいろいろ当たって見て多分こうだろうということがここに書いてあるというのですか。この記事を見ますと、「地検、疑惑解明へ動く すでに関係者ら聴取」とあるのですよ。これまで書かれているのに、事実はそんなことはありませんでした、推測でしょう、これでいいのですか。それならそれでちゃんと地検は新聞社に、これは行き過ぎな記事だ、あるいは訂正してもらいたいと言ったらいいじゃないですか。
○筧政府委員 事実が違うと申し上げているのじゃなくて、地検としてはどういうことをやっている、やっていないということは外へは発表はいたしませんので、それが合っている、あるいはそれは違うと訂正を求めるという必要もないかと思います。
○林(百)委員 じゃ、やってもいないし、やっているとも言えないし、とにかく検察庁で動きを新聞に発表するようなことはあり得ないけれども、新聞社がいろいろな情報から総合してこういう記事を書いたのだと思う、だから、やってはいないとも言えないということですか。これは天下の大新聞が書いているのに、国会であなたがそう言うなら新聞社だって名誉にかけて事実をはっきりしなければいかぬことになります用地検だって事実をはっきりさせなければいかぬですよ。関係者聴取まで書かれているのですから、それをあなたは知らないなんて、それで通れますか。
○筧政府委員 私は、知る知らないではなくて、やっておるかやっていないか、何をやろうとしているかというような具体的なことにつきましては検察庁の方では外へは発表はいたしませんし、私の方からもそれをお答えすることは差し控えさしていただきたいということを申しておるわけでございます。
○林(百)委員 それじゃ、その事実を調べて、もしこういう公のところで言えないなら、別室でもいいから私に事実をどの程度のことかひとつ言ってもらわないと、これは新聞社の名誉にもかかわるし、地検の名誉にもかかわることで、これを言われっ放しで、国会で質問したら何とも答えられませんでは、国会の権威にもかかわることですから、少なくとも質問者の私には言っていただきたい。
 最後に民事局長にお尋ねしますが、これはきょう自民党の方も質問しておりましたが、小針グループというのは資本金三千万か四千万というような傍系の会社が三十社もあるわけです。それが株価を七百倍にもして、同族会社の例えば美福という会社が福島不動産に五十円株を三万七千円で売りつけて百六億円の金を福島不動産から取って、それで百億の借入金がたちまちなくなったとか、あるいは今言ったような土地転がしをしているとか、あるいは多額の使途不明金のある会社があるとか、そういうのが約三十社ぐらいありまして、そして同族会社でやっているわけです。
 そこで、この前大蔵省にお聞きしましたね、監査役が意見を差し控えると言っているが、これはどういう意味なのかということを早急に確かめてみたいと思います。
 それから、民事局の方には、今言ったようにこういう幽霊子会社みたいなのが同族会社で三十もある、それで土地転がしをしたり、同じ会社同士で架空の株のやりとりをして借金を返したというようなことをしていることに対して、商法の立場から経理を明らかにして規制していくということについて、きょうの朝、自民党の方からの大小株式会社の区分の質問に対して、小さい資本の会社の経理についても株主の権利を保護するために適当な改正法案を今審議会で審議していると言いましたけれども、県内外におよそ三十社、しかも資本金を見ますと大概は二千万、三千万。二百万なんというのもあるのですね。こういうのを規制していく必要はないのかどうか。
 それから、民事局の方から見て、監査役が株主総会で、株主の利益を図るために会社のバランスシートについて点検をして、それに、対して責任ある回答をすべき監査役が意見は差し控えますというような意見を出す事例があるのかどうか。あるとすれば、全国にたくさんの会社があるが、一体どのくらいのパーセントがそんな意見を出すのか、またそういう意見を出す場合は、民事局としてはどういうことが考えられるか、この事案の内容をまだ民事局では十分御存じないかもしれませんが、どういう場合に一般的に考えられるか、その二つを大蔵省と民事局にお聞きして私の質問を終わります。
○枇杷田政府委員 商法の上では全般的に会社経理が明朗かつ適正に行われなければならないという面からいろいろな手当てを講じております。その中でも親子会社との関連で不正な経理が行われるとか、業務の執行が適正を欠くようなことがあってはならない、そういう面での監査をどうするかという面での法制がございます。
 御承知のとおり、親会社の監査役につきましては子会社についても報告を求めたり調査をしたりすることができますし、また計算書類の上でも、子会社に対する貸付金等も明記するというような措置も講じられておるところでございます。したがいまして、親会社の方の監査役が十分監査をいたしますと、そこで経理の内容が明らかになるわけでございますが、ただいまお話しの意見を差し控えるというのは、監査役が自分の職責を果たすためにいろいろな調査をしようとする場合に、取締役その他が十分な資料を出してくれない、したがって、適正な経理がなされたかどうかについて自分の意見が述べられないという場合には、その旨を監査報告書に書くということが商法の規定の上で定められております。したがいまして、ただいまの意見を差し控えるという記載は、もしあったとすれば、その商法の監査報告書に関する規定に基づいた監査役の意見の表明であろうかと思います。
 また、子会社の関係につきましては、ただいま御指摘のとおり一般的に小規模の会社が多いわけでございまして、そういうものにつきましては、午前中にも御質問がございましたけれども、今度の改正の作業の中でもう少し経理内容を明確化するという必要があるのではないかという観点から、計算書類につきましては、いかなる会社も何人に対しても請求があればその計算書類を公開するというふうにしてはどうかという問題点の指摘、それから、小会社の中でも一定規模以上のものについては、外部の会計の専門家による会計監査という制度を導入してはどうかというふうな問題の提起をいたしまして、それについて近く各界の御意見を伺いたいという考えでおるわけでございます。
○中島説明員 お答えいたします。
 本件につきましては、たしか四月四日の当委員会だったと思いますが、林先生から御質問がございまして、私どもの方から、有価証券報告書上の記載はこういうことになっておる、それに対しまして、先生、監査役と申されましたが、公認会計士が監査意見を差し控えるという意見差し控えの意見を表明しているというような事実関係について申し上げたわけでございます。
 公認会計士の意見には、適正意見と不適正意見と意見差し控えと三つございまして、適正意見というのは、企業の財務内容を財務諸表が適正に表示しているという場合につけるわけでございます。不適正意見と申しますのは、逆に財務諸表が企業の財務内容を適正に表示していないという場合につけるわけでございまして、意見差し控えと申しますのは、公認会計士が公認会計士としての監査意見を形成するだけの合理的な基礎といいますか、そういうものが得られない場合に意見を差し控える、つまり意見を留保するといったような形態になるわけでございます。
 実際問題といたしましては……(林(百)委員「問い合わせしたかどうかですよ」と呼ぶ)その点につきましては、私ども先般お答えいたしましたように、できるだけ早く公認会計士等からの事情聴取を通じまして事実関係を確認いたしたいということで、現在その具体的な作業を進めているところでございます。
○宮崎委員長 次回は、明後十三日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。一
    午後四時三十三分散会