第101回国会 外務委員会 第10号
昭和五十九年四月二十五日(水曜日)
    午前十時十七分開議
出席委員
  委員長 中島源太郎君
   理事 石川 要三君 理事 野上  徹君
   理事 浜田卓二郎君 理事 山下 元利君
   理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君
      佐藤 一郎君    仲村 正治君
      西山敬次郎君    野中 広務君
      町村 信孝君    井上 普方君
      岡田 春夫君    河上 民雄君
      小林  進君    八木  昇君
      玉城 栄一君    渡部 一郎君
      岡崎万寿秀君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
 出席政府委員
        外務大臣官房長 枝村 純郎君
        財務省アジア局
        長       橋本  恕君
        外務省北米局長 北村  汎君
        財務省中南米局
        長       堂ノ脇光朗君
        財務省経済局次
        長       恩田  宗君
        外務省条約局長 小和田 恒君
 委員外の出席者
        外務大臣官房審
        議官      遠藤 哲也君
        外務委員会調査
        室長      高橋 文雄君
    ―――――――――――――
四月二十日
 核巡航ミサイル・トマホークの米太平洋艦隊艦
 船への配備、日本寄港反対等に関する請願(津
 川武一君紹介)(第三〇六五号)
 非核三原則堅持に関する請願(梅田勝君紹介)
 (第三〇六六号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第三〇六七号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第三〇六八号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第三〇六九号)
 同(東中光雄君紹介)(第三〇七〇号)
 同(藤田スミ君紹介)(第三〇七一号)
 同(正森成二君紹介)(第三〇七二号)
 核巡航ミサイル・トマホークの配備反対に関す
 る請願(中島武敏君紹介)(第三一四一号)
同月二十三日
 非核三原則厳守等に関する請願(小谷輝二君紹
 介)(第三一九七号)
 同(藤田スミ君紹介)(第三一九八号)
同月二十四日
 核巡航ミサイル・トマホークの米太平洋艦隊艦
 船への配備、日本寄港反対等に関する請願(梅
 田勝君紹介)(第三五二七号)
 非核三原則厳守等に関する請願(経塚幸夫君紹
 介)(第三五二八号)
 同(東中光雄君紹介)(第三五二九号)
同月二十五日
 朝鮮民主主義人民共和国へ帰還した日本人妻の
 里帰り促進等に関する請願(葉梨信行君紹介)
 (第三七〇九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○中島委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林道君。
○小林(進)委員 限られた時間でございますので、駆け足で御質問を申し上げます。
 アメリカの大統領レーガンさんがいよいよ明日中国へ行かれるようであります。また、来月の九日には胡耀邦総書記が朝鮮民主主義人民共和国、長過ぎますからこれは北と言わせてもらいますが、北朝鮮へおいでになる。その間になりましょうか、ソ連の第一副首相が中国を訪問する。それとまた前後いたしましてユーゴの党幹部会議長、何と申しましたか、ちょっと忘れましたが、ユーゴの党幹部会議長が中国を訪問する。どうも諸般の事情では、中国はユーゴの党幹部会議長の訪中を一番重要視して、中国の基本的な外交政策を世界に向かって発表するという段取りを進めているようでございます。いずれにいたしましても、まさに外交は中国を中心にして動こうとしている。その中で、レーガンさんが、中国へ行かれたときに、問題の焦点はどこだ。対ソ、対朝鮮半島あるいは対台湾。その中でも中国は原子力発電所それから石油の開発等、いわゆる技術協力の面で一番レーガンさんに要求を強めているという感じだが、わからぬ。わからないが、この中国とアメリカとのトップ会談の中で対ソ、ソ連関係がどのように話し合われるか、いま一つは朝鮮半島の問題をどういう方向へ持っていくか、この二つが日本にとっては一番重要問題ではなかろうか。でありまするから、きょうはこの二つに絞って外務大臣に質問いたします。
 ただ、その前にちょっと聞いておきたいのは、今の中国は、アメリカの経済協力、経済援助といいますか、原子力発電所だとか技術交流の問題について――これは私ども行ったときにはトップは率直に言っておりました。アメリカは技術協力や経済協力に対して条件がどうもやかまし過ぎる、それから持ってくる値段が高過ぎて、どうもアメリカのやり方は気に入らぬ。我々は何もただ物をくれと言っているのじゃないのだ、正当な価格で売買交渉をやろうというのだが、どうも我々の意図のように動いてこないということを言われたのです。
 そこで、私が今お伺いしたいのは、中国に対するアメリカのいわゆるココムだとかチンコムというようなあの国際条約といいますか規定といいますか、一体まだ生きているのかどうか、これは単純な問題ですから、ちょっと事務的に聞いておきます。ココムとチンコムが対共産圏、対中国貿易の中に今日まだ生きているのか、生きていないのか。
○橋本(恕)政府委員 建前といいますか形としてココムはそのまま生きております。
○小林(進)委員 そうすると、中国に対するアメリカの貿易や経済の交流がやかましいというのは、チンコム、ココムを基盤にしてそういうやかましい条件をつけていると理解していいのですか。
○橋本(恕)政府委員 私の理解では、ココムは先ほど申しましたように形といいますか建前の上では生きておりますけれども、具体的などの技術あるいはどの製品をどういうふうに中国に輸出あるいは引き渡すかについては、個別にみんなが相談して決めるわけでございますから、したがいまして、それは相当にココム構成員の各国の裁量といいますか相談がまとまれば、相当の幅といいますか裁量の余地がある、こういうふうに理解しております。
○小林(進)委員 こういう問題なんかも、首相、外務大臣も中国へ行かれて非常に親密の度を加えてきたのですから、ある程度仲介の労をとって余り米中の関係が心やかましくならないような御配慮をひとつやっていただきたい。これは日本と中国との永遠の交流のために、これが一つです。
 時間がありませんから次に進みますが、ただ、レーガンさんが行かれたときに、中国はソ連に対する基本原則、国境の兵力を下げろ、あるいはアフガニスタンをどうせい、あるいはベトナムに対する戦争協力をやめるという三つの条件があると思うのです。この問題に関連をいたしまして、御承知のとおり来月の六日ですか、ともかくレーガンさんが帰った後にソ連の第一副首相アルヒポフが中国へ、北京へ入ってくる。私も中国へ行ってきたのですが、中国はこれを非常に期待をいたしております。ソ連における三大副首相の中でも一番親中国である、中国のために一番実績を残してくれたのがこのアルヒポフ氏だ。だから中国は、個人の恩義もあるから挙げてこれを歓迎いたしますと言って、今までには見られないような熱を込めた歓迎をしている。アルヒポフさんは御承知のとおり経済専門の副首相ですけれども、実力者であることは間違いないから、中ソの間に相当密度の細かい話があると私は見ている。ならば、今レーガンさんが行かれるのですから、ここで中国を真ん中にしてアメリカとソ連、この間の話し合いがどういうふうに変化をしていくか、この問題を私どもは非常に関心を持っているわけです。
 そういう変化の問題は別として、私が外務大臣に言いたいのは、我々が今一番考えてやらなければいけない――これは中国も同じです。日本の外務大臣も同じだと私は思っている。安倍外務大臣の外交政策というものは、私はある程度支持をしている。あなたはなかなかいい線をいっておられるところがあると私は見ているんだが、それあるがゆえにあえて申し上げるけれども、今世界を、人類を震え上がらせている問題は米ソの対立なんです。核軍拡競争なんだ。外交の真髄はあらゆるチャンスをとらえてこの米ソ二つの対立を緩和する、伸びに伸びる拡大競争を縮小する、そういう方向へ私は外交というものは常に進んでいかなければならぬと思うのだが、この考えにおいては中国も同じです。今中国は、右にアメリカの大統領を迎え左にソ連の実力ある第一副首相を迎えようとしているんだから、このチャンスを日本の首相、外務大臣としても逃がしてもらっちゃ困る。いいチャンスだ。
 そこであなたに要望、なおかつ質問したいのは、中国と親密の度を加えてきたばかりだから連絡をとってあるかないかわからぬ、あればなおさらだが、米ソの巨頭が来るんだから、この際米ソの仲介の労をとって両国の話し合いを進める、軍縮の方向へ持っていく、STARTでもよろしいしINFでもよろしいですよ。そんなことを一つ一つでも話し合いの中でこの対立を狭めていくような話し合いの場を北京の場所で進めるわけにはいかないか。あなたが中国でお会いになった胡耀邦なり趙紫陽などとお話をされて、そういう一つの動きを出すわけにはいかないか。どうですか。外交はテクニックじゃないですからね。外交というのは誠意と哲学なんだから、それは困難であろうとも一つの目標に向かって勇敢に進んでいくところに外交の信義があるのです。どうですか、このチャンスをつかまえて、あなたは中国と連絡をとってこの中ソの仲介、仲介とまでいかないにしても、その幅を狭めるという方向に何とか動きを示す必要があるのではないか。おやりになる勇気があるかどうか、これを聞きたいと思います。
○安倍国務大臣 なかなか難しいお話ですが、レーガン大統領が今度中国を訪問する、その背景には今、小林さんからお話しのような、中国を中心にしたいろいろな動きがあるわけですから、レーガン大統領も中国訪問には大変重大な関心を持っておるし、また中国を訪問したそれなりの成果が何らかの形で生まれることを非常に期待をしている、アメリカの大統領の訪問としては最も期待された訪問じゃないかと私は思うわけです。したがって、その結果につきましては日本も大変関心を持っているということで、シュルツ国務長官が、私たちは留守をしておりますが、わざわざ日本に立ち寄って、そして中国と話した内容について日本にも即刻伝える、こういうことになっておるわけでございます。
 そういう中で中国が一番期待しているのは、先ほどからお話がありましたアメリカの高度技術を輸入するということであろうと思いますし、これにはアメリカも相当前向きに今日まで対応をしてきておりますから、この辺の成果はある程度上がるのではないだろうか、私はこういうふうに思っております。
 それから、確かにお話のように米ソ関係が行き詰まっております。その米ソ関係について、恐らくレーガン大統領からも説明があると思います。それからまた、中ソ関係については中国からこれまでの経過について説明があると思うわけでございますし、また中国は、今お話しのソ連のアルヒポフ副首相をレーガン大統領の訪中直後に迎えるわけで、これも私は中国の首脳と話をして聞いてみましたら、アルヒポフ副首相というのは中国にとっては恩人である。かつてソ連が同盟時代に中国に対して非常に協力をしてくれた、大変中国に好意を持った計らいをしてくれた恩人であるから大歓迎をするということで大変な期待もあるようです。しかし、反面、中国とソ連の間には三つの前提条件があって、これが何ら解決の方向に向かってないということで、何とか中ソ関係を打開したいのだけれども、根本的な問題が解決しない限りは幾ら恩人が来られてもこの辺はなかなか打開が難しいということを言っておったわけですが、しかし非常な歓迎をするということでございますし、そういうふうな米中ソ、世界の超二大国と中国をめぐってのこれからの動きというのがレーガン大統領の訪中というものを一つの機会にいろいろと出てくる可能性がないわけではないと私は思っております。
 また、朝鮮半島につきましては日本も大変な関心を持っておりますし、これは米中間でどういう話が行われるか、いずれにしても緊張緩和に向かって米中間の対話というものが行われるであろう。ただ、これが現実に具体的に前進するかどうかというのはこれからの情勢を見ないと、また会談の内容等を把握しないと判断がつきかねるわけでございます。
 確かに今おっしゃいますように、米ソの関係あるいは米中関係をめぐって今度のレーガン大統領の訪問は非常に重要な意味を持つわけでありますし、日本も注目しておりますし、また日本としてもいわゆる米ソの和解のために何らかの役割を果たすことができればそれはやらなければなりませんけれども、今の日本の実力ではそういう状況にはありません。しかし日中関係も大変良好な関係にありますから、日米関係で情報を交換すると同時に、日中関係においても意見の交換、情報の交換等を行って、いわゆる世界の緊張緩和あるいは朝鮮半島の緊張緩和に向かって我々も努力をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○小林(進)委員 私が先ほど申しました質問の要旨は、ともかく北京で日本と中国がこのチャンスに共同作業で対米ソの関係で何かアクティブといいますか行動的なモーションを起こせないかということ。いま一つは朝鮮半島の問題です。来月の九日には胡耀邦総書記が北朝鮮へ行くのですから、このチャンスに何とか朝鮮半島の問題を日本と中国は意思を統一して問題処理の方向へ持っていけないかということ。これが私の質問の趣旨でございます。
 確かに中国は技術交流だ、これを中心にレーガンさんからもらいたいということから、台湾などの武器輸出も余りやかましく言わぬでいこうという中国の態度が見えている。しかしそれはアメリカと中国の関係ですからどうぞ御自由におやりください。しかしアメリカとソ連の緊張緩和を一歩でも二歩でも近める方向へ中国も日本もこのチャンスをとらえるということは世界の平和に対する重大な問題です。だからこういう大きな仕事をひとつ外務大臣として――あなたは次期の総理・総裁候補だから、総理・総裁のウォーミングアップとして、中国と密接に連絡をとって、レーガンさんが直接ソ連に言えないことは日本が、中国が仲介してソ連に言う。ソ連の言い分も直接アメリカにぶつけられないものは北京を仲介地にしてアメリカに通じよう。あなたの好きな間接対話です。そういうような形でもいいから、このたびのレーガン訪問、ソ連の副首相の中国訪問のチャンスにその空気をつくり上げてもらいたい。これはやっていただく時間がありません。これはお願いしておきましょう。しかしあしたにもレーガンさん行くんですから、期日は逼迫しておりますから、あなたのデザインをかいてひとつ何とか実行に移していただきたい。
 次に私が持っていきたいのは朝鮮半島の問題です。これも私なりに野党外交の一翼を担って北京政府等ともいろいろな話をしてまいりましたが、問題は中国とアメリカ、そして日本、この三つの国が北と南の統一に一番関係のある国なんだが、話を聞いてみますと、中国はやはり社会主義国家です、北と関係がありますから、これはしようがない、北の要望というものに重点を置きます。アメリカは何といっても韓国、南との友好国ですから、南の主張に中心を置く。日本の首相、外務大臣は南北朝鮮の問題、どこにポイントを置いておくのかわからないけれども、北とは国交がない、南と国交があるのですから南の主張に重点を置かれるのじゃないかと思う。
 その要点は、あなたも御承知のとおり、私も行ったとき言いました、何といっても南北の緊張の緩和、これが第一だ。第二番目は南北の連合形態による統合だ。民主的、自主的連合形態による統合、この二つは南北においても、アメリカにおいても、中国においても反対はない。ただそこに至る手段、方法にいろいろの考えがある。これについては胡耀邦総書記は、私どもにも、外務大臣もおいでになったとき言われたと思いまするけれども、アメリカを含めた三者会談を北は主張しているのでありますから、この三者会談の形をとるためには北と南が話をして並行的にアメリカと北と話をしたらいいじゃないか、そういう方法があるのじゃないか、それをひとつ推進をしていくことができないかということを言っている。ところが南の方は、あなた方の支持しているアメリカは、南と北が直接話し合いをする、そして緊張緩和、統一の方向へ行った方がいいというから、アメリカは北と南の直接の話し合いを支持するという形だ。だから、石橋委員長、土井副委員長も行かれたけれども、こっちは北の立場に立ちまするから三者会談をひとつやったらどうか、こういう主張をアメリカにぶつけてきたが、アメリカは承知しなかった。それはそうでしょう、南の方は三者会談を拒否しているのですから、アメリカはそれに乗ってくるわけがない。
 そういう状況ですが、その中で、私どもも行ったときに、私どもの日中友好議員連盟会長の伊東君は、個人の意見だがと言って、四者会談はどうだ、その中に中国を入れ、アメリカを入れ、アメリカ、中国、北、南、四者会談をする、場所の提供は日本がやってもよろしいという話をしたが、中国は乗って来ませんでした。それは北の意向がありましょうから乗ってくるわけはない。
 そこで、今あなたがこれまたおもしろい、おもしろいと言っては甚だ失礼でありまするけれども、安倍見解というものをお出しになった。間接対話ということをおやりになって、韓国の言い分を日本が聞いて中国へ、中国は北にそれを通ずる、北の意向は中国が受けて、日本の外務大臣がそれを受けて韓国に伝える、こうやって北と南の間接対話をやりながら、不信感や誤解を取りながらひとつ南北の緊張緩和、統一の方向へ行く方法もあるじゃないかという、これはあなたの説だ。私は、これも何か考えの一つであると思っているのですが、今、舞台は北京です、アメリカは北京へ行くのだから。北を代表する中国、南を代表するレーガンが北京で会うんだ。これで話をまとめるようにしてもらえば南北統一の問題はうんと前進しますよ。ましてや北京にいるレーガンさんと、シュルツさんも行くようだが、シュルツさんはあなたと一番、兄弟分のように仲がいいのだから、そのシュルツさんと連絡をとって何とか南北朝鮮の緊張緩和と統一の問題についてはぜひひとつ妥結点を見出してくれ、アメリカの考えに対してこうだというその連絡を密にしながら、北京の舞台において南北統一の話し合いをする骨組みができ上がらぬかということであなたに重大なる役割を演じて折り合ってもらえないか。これはレーガン、シュルツさんの北京とすぐ連絡をとる、あるいは中国の北京と連絡をとりながら南北朝鮮の問題で統一する見解を出してもらえないか、その努力をしてもらえないか。安倍外務大臣、いかがですか。
    ―――――――――――――
○中島委員長 議事の途中でございますが、ただいまESCAP東京総会に出席されているマレーシア、ネパール、西サモア、スリランカ、バヌアツの各国の代表の方々が本委員会の傍聴にお見えになっております。御紹介申し上げます。
    〔拍手〕
    ―――――――――――――
○中島委員長 審議を続行いたします。安倍外務大臣。
○安倍国務大臣 朝鮮半島の緊張緩和を推し進めるということについては、日本だけじゃなくてアメリカも中国も全く同じ考えであることは間違いございません。
 ただ、緊張緩和のあり方、行き方につきましてはそれぞれの考え方が、今おっしゃるように道筋が違うわけで、基本的には日本もアメリカも、まず南北で話し合いをやってもらう、それからいろいろな関係諸国との対話等も始まってこの南北の統一とかそういう方向へ進んでいくのじゃないか、こういうふうにまず南北の基本的な対話を前提に考えておるわけでございます。さらに、そうした南北の対話を基調としながら、中国とアメリカがその間にオブザーバー的な立場で加わっていくということについてアメリカもそれは結構じゃないかということを言っております。
 これに対しまして北朝鮮あるいは中国は、今お話しのように、南北だけじゃなくてアメリカも加えた三者会談によって緊張緩和を推し進め、南北の統一を進めるべきであるというのが彼らの考え方でございまして、その辺は方策としてはいろいろと相違があるわけでございます。しかし、最終的に緊張緩和をして、そして南北の統一を進めようということについては基本的には意見が一致しているわけであります。
 ですから、道筋は違いますが、最終段階においては意見は一致しているわけでありますから、そういう中でこれからどういうふうに動いていくかというのは、お互いに話し合う中で今のような基本的な考え方は考え方としながら、お互いに弾力性を持ちながら対話、議論を進めていけばいいのじゃないか、そういう中にまただんだんとコンセンサスが生まれてくる可能性もあると思うわけであります。それには、おっしゃるように日本と中国との関係あるいは日本とアメリカとの密接な関係が今後どういうふうにこれから朝鮮半島の解決、緊張緩和に向かってこの対話を進めていくかというのは非常に重要な意味を持つと私は思っております。そういう立場で私も朝鮮半島問題については日中間でこれまでもしばしば話し合ってまいったわけでありますし、また、日本とアメリカとの間でもいろいろと検討を重ねておるわけでございます。
 我々が中国に行きまして日中首脳会談あるいは外相会談を行いましたが、特に朝鮮半島をめぐっての我々の考え方、会話の内容等についてはアメリカにもある程度伝えております。また、アメリカも今度中国で話し合う内容については日本にも伝えようということでありまして、そうした密接な関係を持ちながら何とか、こういう全体の空気がせっかく盛り上がったわけでありますから、何か緊張緩和の方向に具体的に一歩前進する、そういう中で日本が一つの役割を果たすということは大事であると思うし、私もその役割を果たすべくこれからも具体的に努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思っております。
○小林(進)委員 時間もありませんから長話もしておられませんけれども、今のところは、南の方はいわゆる三通、通話、通信、通商、まずこれを北とやることから道を開いていきたいということに対して、北の方は、何といってもまずアメリカの軍隊を引き揚げてもらって独立の姿で話し合いに入ろうという条件を出している。これは中国政府も言っております。これはなかなか難しい。難しいが、北の言い分も南の言い分もよく詰めてみれば、そんなにかたいものでもないのです。その中に道が開けていくやわらかさというものはある程度あるのだ。仲介をやる方でいま少し熱意をかけてくれば、これは必ず可能性はあるという見方もとっていたのでありますが、くどいようだけれども、今ちょうどアメリカと中国がこの朝鮮半島の問題で――これは必ず北京の話の中心議題になるのだから、そこへあなたのアイデアも入れて、幸いにして日米中の三者間で朝鮮半島の妥協の何らかの話し合いができ上がれば、問題処理に対する大きな前進だと私は思う。その機会をひとつとらえてもらえないか、これは外務大臣に対する私の要望なんです。これをぜひやってもらいたい。
 いま一つは、あれほどかたくなな中国であったけれども、ああやってスポーツを通じて南との交流を始めた。今度は新聞記者、文化交流で韓国の新聞記者も中国へ入れたという状態です。一歩一歩道を開いて、中国と韓国との非政治性の交流が今開かれた。
 これを見ると日本の政府だって、中国に右へ倣えせえというわけじゃないのでありますけれども、日本も朝鮮半島の北と非政治性で窓口を開いてもいいじゃないか。さしあたりはこの漁業交渉の問題だってそのとおり、日本の政府が頑固なことを言うから、日本の漁民を泣かしながら漁業問題が今交渉もできないで停滞している形でありますけれども、こういうことも含めて、外務大臣は北に対してこれからどういう姿勢で臨んでいかれるのか。
 確かに、あなたが北京へ行かれたときには、中国は、北の方に対する何か非政治性の日本の要望でもあればいつでもお使いに立ちましょうという非常に好意的な意見も出している。これに対して外務大臣は、捕らえられている漁船員の釈放の問題だとか日本人妻の所在の問題だとかその他もひとつ頼んでみようか、話をしてみようか、この程度のことは私も新聞紙上で見ましたけれども、これが具体的にどう進められているか。
 いま一つは、中国の仲介で北に対する、これは中国の好意ですから、私はこれを外務大臣がやっていただくことを慫慂しておるのです。大いにやってもらいたいことを根底にして私は言っているのですが、あわせて、中国もそうだが、日本国内においても、野党第一党の社会党は北とは親密友好の関係を結んでいて、いろいろな話は自由にできる仲だ。最近は若干少し細い傷ぐらい入ったか入らないか知りませんけれども、非常に親密な仲にあるのだから、外務大臣、あなたの御意見があれば、あなた方政府の意向ならば、我々だっていつでも北に伝えることもできるわけです。
 そういうわけでありますから、私はこの問題についても外務大臣の意向を承っておきたいと思います。
○安倍国務大臣 北朝鮮と日本との関係、北朝鮮とアメリカとの関係、そして中国と韓国との関係をいろいろ比較してみますと、今その中で比較的一番交流が盛んなのは日本と北朝鮮との関係であります。政府間の交流はありませんけれども、民間では経済交流もありますし文化の交流、人的交流もあるわけでございまして、そして中国と韓国との関係はほんのはしりとしてスポーツの交流とかそういうものが始まったばかりでございまして、これは非政治面で我々としては中韓関係が拡大をすることを期待をしておるわけであります。アメリカと北朝鮮との関係はほとんどないに等しいと言ってもいいのじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。
 そういう状況でございますが、しかし、日本としては何といいましても朝鮮半島の緊張が緩和し、同時にまた、最終的には朝鮮半島の統一が行われることを期待をいたしておるわけであります。現実の問題としては韓国との外交関係を持っておりまして、北朝鮮とは持っておらないし、今外交関係を持つという考えもないわけですが、しかし、最終的な緊張緩和あるいは民族の統一に向かっての環境づくりにはやはり日本は貢献をしていきたい、こういうふうに思いますし、そういう立場で民間における日本と北朝鮮との関係というものがこれからも朝鮮半島の緊張緩和の中で進んでいくことについては、政府としてもこれに対して十分理解を持つわけでございます。残念ながら今はラングーン事件というものがありまして非常に冷たくなっておるという状況でございますけれども、したがって、そういう中で例えば漁業関係も、民間漁業協定の延長すらできないということで日本の漁民の皆さんも大変困っておられることは私たちもよく承知いたしておるわけで、そういう状況でございますから、我々やはり民間の日本と北朝鮮との間の交流がいろいろな形で進んでいく、そういうことを期待し、それはやはり全体の緊張緩和に大きく貢献をしていく可能性も出てくるのじゃないか。その大前提としては、やはり南北の基本的な話し合いというものが始まっていくということも非常に大事じゃないか。ぼつぼつ南北関係でもスポーツとかいろいろな面で多少の接触も始まっているようですから、そういう南北間の対話とか交流というものが今後やはり進んでいくということについては我々も大変関心を持って期待をいたしておるわけであります。
○小林(進)委員 これで終わります。
 残念ながら時間が来ましたものですから、私は、日米経済交流、貿易交流、それから農産物の問題もお聞きするつもりで――通産省来ているか。それから農水省も呼んでいたのだけれども時間がないからできませんから、あなた方には資料を要望しておいた。その資料を持ってきたのは全部私のところによこしてください。特に日米交渉では一言言っておくけれども、海を越えて一年間で六百億、こんな巨大な二国間の貿易をしておる国なんか世界じゅうにないですよ。そのうちの三〇%、二百三十億ドルも五十億ドルも入超で、なおかつ日本の品物を買ったりしてくれる国も、これはイデオロギーを別にして、ないのだ。そんなところで三億か五億のオレンジだ、牛肉だといってわちゃわちゃ言うのはやはり木を見て山を見ないというような状況で、こういうところは間違えちゃいかぬと思ったから、通産省も農林省もいるから、これは場所を改めてひとつ質問しますから、きょうは時間がありませんから、要求した資料だけ持ってきてもらって、私の質問をこれで終わります。
○中島委員長 次に、高沢寅男君。
○高沢委員 最近の国際情勢を見ますと、例えばニカラグアで機雷の封鎖というような問題がありました。あるいはペルシャ湾がいつ封鎖されるかというふうな心配も持たれておる。あるいは日本も三海峡封鎖というふうな議論が出ておりますが、こういうことは本当にやるとするといわゆる海上封鎖ということになるわけです。
 そこで最初に、この海上封鎖というのは国際法上一体どういう概念のものであり、どういうことをやることを海上封鎖というのか、まずその基本論からお尋ねをしたいと思います。御説明をお願いします。
○小和田政府委員 お答えいたします。
 大変一般的な広い問題でございますので、非常に基本的なことについて御説明申し上げますと、今高沢委員がお挙げになりました幾つかのケースにつきまして、状況は必ずしも同じではないと思うのでございますが、例えば日本の関連で議論されております三海峡における通航阻止という問題は、一般に国際法上言われております封鎖、ブロッケードという言葉でございますが、封鎖という概念とは別でございまして、三海峡における船舶の通航、特に相手国の軍艦等の通過に対してそれを通らせまいとする実力行動のことを三海峡通航阻止という問題として議論されているわけでございます。
 他方、ペルシャ湾の問題について議論されておりますのは、御承知のとおりイランとイラクとの間に交戦状態がございまして、その交戦状態の中における交戦権の行使の一環としていわゆる封鎖ということがやれるのかどうか、これはブロッケードの問題として封鎖ということがやれるのかどうかという問題が一つ議論されていると思います。それからもう一つは、そういうことを離れまして、事実上第三国の船があそこを通って入ることを阻止できるかどうかというような問題もあると思います。
 それから、ニカラグアについて今生じております事態というのは、これは具体的な事情が必ずしもはっきりいたしませんので、具体的なコメントはなかなかしにくいのでございますけれども、御承知のとおりニカラグアとの間に交戦状態にある国というものは一つもないわけでございます。今起きておりますのは、ニカラグアの政府とそれに対する反政府団体とのいわば内乱的な状況がございまして、その反政府団体が特定の港に入る入り口のところに機雷を敷設したのではないかということが言われているのでございますので、その限りで見れば政府と反政府団体との間の事実上の行為として機雷を敷設したことがあるとかないとかということが問題になっているのだと思います。
○高沢委員 今の御説明を踏まえて、それではいわゆる国際法上の海上封鎖というふうなものをもしやるとしたらどういう要件が必要かというその要件を、じゃここで説明してください。
○小和田政府委員 ただいまの御質問は戦時国際法の封鎖ということについてだと思いますが、これは第一次大戦の前、特に一九〇七年のハーグでの平和会議がございまして、それから第一次世界大戦の後の、第一次世界大戦を通じましての実際の慣行でございます。それから第二次大戦の慣行と、こういろいろ事態が推移してまいりまして、第二次大戦後の今日において戦時国際法上の封鎖というものが合法であるのかどうか、合法であるとすればどの程度合法であるのかということが今日はかなり混乱した状態になっているということを申し上げなければならないと思います。
 そこで、特に第二次大戦後の事態につきましては、御承知のとおり国連憲章で戦争という行為が一般に禁止されまして、許されるのは国連自体による制裁行動としての武力行使と、それから五十一条に基づく自衛権の行使としての実力行使、これだけが認めもれるという形になりましたので、戦時国際法、特に中立国の権利義務というようなものは、国連憲章のもとでは中立というものは本来あり得ないという考え方とも関連いたしまして、今や非常にあいまいになっているということを申し上げなければならないと思います。
 そういう前提の上でお答えするわけでございますけれども、基本的に従来の戦時国際法の封鎖という概念を規律しておりましたのは、交戦国が相手交戦国の港であるとか海岸であるとか、そういう一定の区域を区切りまして封鎖の宣言というものを出しまして、その封鎖の宣言を出すということが一つの要件でございます。それから、それが実効的でなければならない。ただ口で言うだけではなくて、実際に封鎖の行為というものを行うことができるという実効性というもの、それから、特に中立国に対してそれを告知する義務ということが要件の主要な点であろうかと思います。
○高沢委員 私は、まず今のような前提をお聞きした上で具体的に質問を進めたいと思いますが、この海上封鎖というものが国際法上の純粋な概念に当たるかどうかは別として、現実に各地でそれに類することがあって、それによる損害が生じているわけであります。その場合、その損害の賠償問題や補償問題ということが出てくる場合、その前提にある封鎖行為あるいは阻止行為というものは国際法上合法的でなければいかぬ、こういうことが出てくると思いますが、その点はまず前提としてそういうふうに考えてよろしいですか。
○小和田政府委員 おっしゃるとおり、幾つかのケースについてその前提条件がいろいろ違うわけでございますけれども、それぞれの枠の中において合法的な行為であるということが前提でございまして、それが合法でなければ国際法上の不法行為を生ずるということは一般的にそのとおりだと思います。
○高沢委員 そこで、今度は具体論で、私はニカラグアの問題に触れてお尋ねをしたいと思います。
 これに触れるというのは、つまりここで日本の船舶が敷設された機雷によって被害を受けた、こういう事実があるからそれに関連してお尋ねをするわけであります。まず、先ほど、ニカラグアの場合には内戦状態というか、そういうものに伴って起きている現象であるというような御説明がありましたが、内戦状態であるにしても敷設をした側、つまりニカラグアでは反政府勢力ですね、この側がいつから、またどの区域で、いわゆるロンドン宣言でもって確定されている海上封鎖の条件がありますが、こういうふうな条件に該当する日時の宣言であるとか区域の宣言であるとか等々のこういう要件を含めた宣言としてやっているのかどうか、まずこの実態をお尋ねしたいと思います。
○小和田政府委員 事実関係の詳細につきましては中南米局長からさらに補足して御説明申し上げた方がいいかと思いますが、一言今の高沢委員の御質問との関連で申し上げたいと思いますのは、先ほども申し上げましたように、これは具体的な状況がどういうことであるのかということの詳細が私どもにもわかっておりませんし、それから世界の大多数の第三国の人々にとっては必ずしもよくわかっていないという状況にございます。したがって、そういう状況のもとで国際法的な判断をすることは非常に困難でございますけれども、とりあえず起きておりますことは、先ほど申し上げましたように、ニカラグアの正統政府と反政府勢力との間で実力行使が行われておる、内乱的な状況があるということでございまして、それを前提にして考えます限り、先ほど委員が御指摘になった例えばロンドン宣言であるとか、あるいはロンドン宣言にあらわされているような一般国際法上の戦時封鎖というものの適用はない事態ではないかというふうにとりあえず考えられます。
 事実関係の詳細につきましては、中南米局長からもう少し補足して申し上げたいと思います。
○堂ノ脇政府委員 事実関係について御説明いたします。
 ニカラグアにはゲリラ団体、反政府団体二つございまして、一つはニカラグア民主革命同盟、ARDE、アルデというのがございます。これは現在のサンディニスタ政権の片割れと申しましょうか、元国防次官などが入っておるグループでございまして、これがニカラグアの南の方におります。このグループは、二月二十四日にカリブ海にございますエルプラフという港に機雷を設置した、それから三月一日ごろでございますが、今度は太平洋岸の方のコリント港に機雷を設置した、そういう声明を出しております。それから、もう一つのゲリラグループは北の方にございまして、FDN、ニカラグア民主勢力というグループでございますが、これはもとのソモサ政権時代の警察官たちでつくっているグループだと言われておりまして、このグループがやはり機雷を敷設したという声明をその後行っております。
 ただ、だれが具体的にどのような形で、どのような状況のもとで、アメリカの支援を得て行ったかどうかという点につきましても、これらの団体は説明をしておりまして、このARDEというグループは、自分たちはCIAの援助は一切受けていないということを繰り返し発表しているという事実もございます。
○高沢委員 その結果でしょうが、日本の船、日本郵船が用船をした輝潮丸という船が機雷に触れた、そしてその結果損害を受けた、こういうふうに新聞報道がありますが、この実態は掌握をされていますか。
○堂ノ脇政府委員 お答えいたします。
 三月三十日夜八時ごろ、現地時間でございますが、日本郵船のチャーターしております輝潮丸が接岸するための航路上で突然爆発によると思われる非常に大きな振動がございまして、その際、乗組員は二十名くらいでございましたが、そのうちの二人が転んだりして軽いけがをした。それから船内も若干、電気系統の故障などが出たようでございますが、船体自体には航行に差し支えるような被害はなかった、これは潜水夫が調べた結果そうであるということを現地の大使館より報告をもらっております。
○高沢委員 さて、この損害を受けたことに対して、外務省はしかるべきところ――しかるべきところというのは、ニカラグアの反政府勢力に対してやるのかどうか、ともかくその損害の賠償措置を求めるということをお考えになっているのかどうか。それをやるとしたら、一体どういうふうにやることになるのかどうか、その辺のお考えはどうでしようか。
○堂ノ脇政府委員 ただいま申しました輝潮丸は四月十二日にニカラグアを出港しておりまして、予定よりも一週間くらいおくれたわけでございますが、今月末、日本に帰ってくるということでございまして、運輸省の方でこの具体的な状況その他聴取をされるというふうに聞いております。損害の点についてはまだ聞いておりません。
○高沢委員 それではこういうふうに聞きますかね、輝潮丸が帰ってきて、そして損害の程度が明らかになって、船主とか被害を受けた乗組員とかから損害賠償の要求が出るというふうなことになったときは、その損害賠償の請求について外務省がしかるべき外交上の手段をとられる、こういうふうに考えていいでしょうか。いかがでしょう。
○堂ノ脇政府委員 今回の輝潮丸の損害がもしあるとしました場合、その損害が果たして機雷によるものかどうか、また、機雷はだれが敷設したものか、果たして外国の政府に国際法違反の行為があって、それに対して抗議をするとか損害賠償を要求するとか、そういうことが必要になるかどうかということによるのだと思います。したがいまして、現在の段階では実態がわからないということで何ともお答え申し上げられません。
○高沢委員 大変不可解なお答えですね。機雷に触れたことは確かです。まさか、このことは私は事実に間違いないと思う。そして、その触れた船が帰ってきて、例えば乗組員があのときの機雷に触れた衝撃によってこういうけがをした、あるいは船体を調べてみたら、その機雷の結果船体にこういう損傷を受けているとかいうことになってくれば、私は、当然賠償問題が出てくるだろうと思います。船主や乗組員が賠償の請求をするというふうになったときに外交上の手続はとりますかと、こう聞いているわけです。
 その点については、さかのぼって言えば、例えば古い話ではあるが、あのビキニの水爆実験で第五福竜丸が重大な損失を受けた。あのときは外務省はアメリカ政府に賠償の要求をして、実現をしたわけです。日本の日昇丸という船がアメリカの原潜にぶつかって真っ二つに割れて沈んだときも、外務省はアメリカに対する賠償の手続をとって実現された。こういう前例があるわけですから、被害の大きさはあるいははるかに違うかもしらぬけれども、事柄は同じだと私は思うのです。そうすれば、そういうふうな賠償請求が出れば外交ルートを通じてやるのだということに当然なろうかと思うのです。もちろん、損害がなければ別です。この点はどうですか。
○小和田政府委員 一般的な形で、今高沢委員が御指摘になった問題について、高沢委員が置かれたような前提で、損害は確かにあった、それは機雷によるものであるということが全部そのとおりであるという前提で考えれば、常識的に考えて、この輝潮丸が何らかの不法行為の対象になったであろうということはまず間違いないところであろうと思われるわけです。ですから、その意味におきましては、損害賠償の請求をすべきであるということは委員のおっしゃるとおりであろうと思います。
 ただ、恐らく中南米局長が今申し上げましたのは、その場合にその請求が一体だれに対して向けられるものなのだろうかという点が必ずしもはっきりしないというところに一つ大きい問題があるように思うわけでございます。例え話で恐縮でございますけれども、例えば道に自動車を駐車しておいたところが何者かによって夜爆破されてしまった。その爆破された人は損害賠償の請求権を持つわけでございますけれども、それは一体だれに対してしたらいいのかということは、だれがやったのか、どういう状況のもとでやったのかということがはっきりしなければなかなか手の出しようがないのと同じような、ちょっと例えが正確でございませんので恐縮でございますが、いわばそれに似たような状況がございますので、例えばそれがニカラグア政府が不注意であるためにそういうことが起きたのだということでニカラグア政府に向けるべきものなのか、それとも反徒がやったのだから反徒に対して請求すべきものであるのか、あるいは反徒がやったのではなくて第三国がやったのだからその第三国の責任を追及すべきであるのか、そこら辺のことがはっきりいたしませんと、確かに不法行為と思われるものがあって、その結果として損害が出ているのだから、その損害に対する請求をなすべきであるという委員の御指摘はそのとおりだと思いますけれども、それを具体的にどういう形でやったらいいかということは、船が帰ってまいりましてからもう少し状況を調査しないとなかなか申し上げにくいところであろうということを申し上げておるわけでございます。
○高沢委員 機雷によって損害を受けたとすれば、これは不法行為による損害であるから賠償請求はすべきだ、まず今小和田局長は一般論としてこれを肯定されました。
 問題はだれにするかというふうなお話ですが、具体論として次の話を進めるとすれば、この場合はまず何と言ってもアメリカにもしなければいかぬ。にもと言いましょう。ニカラグアの反政府勢力というものもありますから私はにもと言いましょうが、今アメリカでは、御承知のとおり、この機雷敷設の行為は実はアメリカのCIAがやったということが明らかになってきているわけであります。そういたしますと、自動車が置いてあってだれが爆破したかわからぬという話ではなくて、この自動車を爆破しようとして爆弾をかついできたのはあの人だともうはっきりわかっているのですよ。こういう状況のもとでそれならばだれに請求するといったら、その人に請求するということになるべきだと私は思うのです。CIAが敷設した、このことは既にアメリカでも明らかになって、アメリカの上下両院でも決議を行っている等々の事態、アメリカのニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの権威ある新聞も皆それを報道しておるというこの事実を、これは大臣でしょうか、この事実を一体日本の外務省はどのように認識されているか、お尋ねしたいと思います。
○堂ノ脇政府委員 お答えいたします。
 CIAが機雷敷設に関与したかどうかということがアメリカのマスコミで四月六日ごろからいろいろ報道されておりまして、そのような報道については私どもも情報を入手しております。ただ、CIAが議会との間でいろいろ論争しておりますのは、CIAの活動すべてを議会に報告する必要がある、その義務を怠ったのではないかということでもめているのが実情でございまして、CIA筋の話として機雷敷設に関与したという話はございますけれども、米国政府の正式の声明としては、米国政府は関与してないという声明が三月二十一日に国務省のスポークスマン、それから四月八日にワインバーガー国防長官の発言としてあるばかりでございまして、まだCIAがやったということについての確認がとれてございません。
○高沢委員 今あなたの言われた四月八日にアメリカ政府が関与してないと言った。その後の四月十日、アメリカの上院が決議しています。四月十二日は下院が決議しています。その決議の内容というのを私も報道で見ましたけれども、非常にはっきり言っていますね。機雷敷設行為は全く議会に知らされていなかった、議会に知らせずにやった、こういうことです。第二は、この機雷敷設行為は戦争行為そのものである、戦争行為をやるときは議会の承認を得なければならぬというアメリカの国内法に違反してこれがやられた。それから第三は、こうした国際法違反の行為がやられたことによってアメリカの威信は大きく傷ついた。こういう三点において上院も下院もアメリカ政府に対する非難の決議をしておる。これが四月十日と四月十二日のアメリカの事実なのです。
 私は、アメリカの上下両院のこうした決議は、まさかありもしない単なる推定、単なる疑惑とかいうことでこれだけの決議は行われるはずはない、こう思うわけであります。この点についてこれだけのアメリカの国会の決議がなされてきたということになれば、日本の船舶が損害を受けたことはアメリカのCIAがその原因であるというまことに重大な可能性が出てきておる。こうなったときに、日本政府は外交ルートを通じてアメリカ政府に対して、その事実の関係は一体どうか、CIAがやったと言われるがその事実の関係はどうか、アメリカの議会でこれだけの決議をしているが事実の関係はどうか、少なくも問い合わせをされるのが当然ではないかと思いますが、おやりになったか、あるいはこれからやるのか。どうですか。
○堂ノ脇政府委員 ただいま高沢先生が御指摘になったアメリカの上下両院の決議でございますが、恐らく新聞報道等が取りまとめた表現だと思います。私どもが持っておりますアメリカの決議は非常に簡単なものでございまして、ここにございますけれども、今言ったことではなくて、「議会の法律において今まで支出を承認され、または今後支出を承認されることがあるいかなる資金も、ニカラグアの港または領海における機雷敷設を計画し、指導し、実施し、または支援する目的で使用されてはならない。」という非常に短い決議でございまして、CIAがやった云々ということがこの決議の中に盛り込まれていることはないと承知しております。
○高沢委員 今あなたの手元にあるのを資料でひとつ我々にもらいたいと思います。それはお願いします。
 同時に、私はこういうことも言いたいのです。これは四月十五日です。さっきの議会の動きのさらに後の動きでありますが、四月十五日、アメリカのモイニハンという上院議員が、CIAによるそういう行動に抗議して私は上院の情報委員会副委員長を辞任する、こう言っているのです。情報委員会の副委員長たる責任ある立場の人が、私はそれをやめます、ここまで言うということの前提には、今言った事実関係は決していいかげんな単なるルーマーではない、確実な事実を踏まえてこれだけのことが出てきておる、こう思うわけですが、さっき言った問い合わせをしますかどうですか、それに答えてください。
○堂ノ脇政府委員 アメリカ政府に対しましては、在京大使館を通じまして、一般論として機雷の敷設によって航行を脅かされるということは、我が国も海洋貿易国家でございますから、非常に我々としては懸念している、そういう懸念の表明は行っております。
○高沢委員 先ほど言いました輝潮丸が帰ってきて、損害が明らかになれば、当然その賠償請求が出るというふうなことになれば、懸念の表明ではなくて、事実関係をしっかりと確認する、そして本当にそうだということになれば、アメリカに対して損害賠償を請求するということに外交ルートでなるわけであって、その意味において、懸念の表明では外交当局の責任を果たしているということにはならぬと私は思いますよ。明らかにどうだったのか、こういう上院、下院の動き、あるいはアメリカの報道を踏まえて、事実関係はどうかということを問い合わせをするということが私は必要だと思いますが、これはひとつ大臣からお答え願います。
○安倍国務大臣 アメリカ上下両院の決議だとか、いろいろな動きがあることは私も承知しておりますし、また国際関係の動きも承知しておるわけでございます。輝潮丸が被害を受けた、こういうことでございますから、日本としてももちろん関心を持たざるを得ない問題でありますが、問題は、この機雷敷設というのがだれによって行われたかということが、もっと事実関係が明らかにならないと、日本としてのはっきりした行動といいますか、対応ができないということでありまして、現在の段階では、アメリカ政府もこれは否定しておりますし、それから上下両院の決議を見ておりましても、今局長が言っておるように、明確にこの点は触れておるわけではございませんし、ですから、我々としては、もっとこの事態についての事実関係を把握した上で対応しなければならぬ、こういうふうに思います。ただ、そうした動きがあるわけですから、我々としてもアメリカに対して、一般的には、今局長が言うように懸念の表明をいたしておることは、これはそのとおりであります。
○高沢委員 敷設された機雷がまだあの海の中にあるわけですよ。これからまた行って船に触れるような被害があったら大変ですね。そういうことのない保障を求めるには、敷設されている機雷を掃海艇で撤去するということも当然今やらなければならぬ問題として出てくる。日本の外務省は、世界の至るところにおける日本の国民や日本の船舶の安全を保障する責任があるわけです。そうすると、先ほど小和田局長が言われたように、ニカラグアと交戦関係にある国はどこにもないのです。どこにもない状態で、しかしニカラグアに行ったら機雷でやられるというような危険な状態を除去するには、そういう敷設された機雷を撤去するということをしなければならぬので、その撤去をこの際アメリカに要求したらどうですか。イギリスやフランスは既にアメリカに抗議の申し入れをして、場合によれば撤去を私の方でやってもいいですよとイギリスやフランスは言っている、これもニュースの報道ですが。アメリカに言って、もしアメリカがやりましょうと言えばそれで結構。そうでなければ、ひとつ日本の力で機雷の撤去をしましょうかと言うことくらいを含めて対アメリカの交渉をすべきじゃないのか。この場合には、ニカラグアの反政府勢力と言ったって、それはどこにいるかわけのわからぬというような存在は正式な政府、オーソリティーではないわけですから、そういうものとして交渉するとすれば、アメリカしかないです。そういうことをやるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○安倍国務大臣 我々としても、もちろん事態が平穏に処理されることを期待しておりますし、各国のいろいろな船舶が出入するわけですから、機雷が除去されることを期待するわけですが、しかし、ニカラグアそのものがいわば主権国家でありますし、ニカラグアに内乱状況も発生しているわけですから、こういう状況の中で日本がみずからこういうことをやるということは、もちろんいろいろと問題もあると思います。アメリカがやるとしても、アメリカがそこまで介入すべきかどうかということは国際法的にもいろいろと問題もあると思います。アメリカが敷設した機雷ならアメリカが撤去すべきでありましょうが、その辺のところが、我々も事実関係を明らかにしておりませんので、もっと事態をはっきり見た上でこれに対して対応すべきだ、こういうふうに考えています。
○高沢委員 では、これに関連してもう一つ先のことをお尋ねしますが、これも報道によれば、今アメリカは盛んに反政府勢力を援助してやっておるということはもう天下周知の事実ですが、それでもまだるっこくなって、直接アメリカの軍隊をニカラグアヘ入れるというふうな話も随分あるわけであります。レーガン大統領の周辺ではそういうことまで検討しておるというふうにも伝えられておる。そういう事態がもし出たら、これ、どうですか、アフガニスタンにソ連が入った、同じ事態じゃないですか。アメリカに対して断固抗議、制裁措置、これをおやりになりますか。国際法上は全く同じ事件だ、どういうふうになりますか。
○小和田政府委員 機雷敷設との関連で先ほど来申し上げておりますように、こういう状況についての国際法上の評価というのは、具体的な状況が明らかになりませんと、仮定の問題について一般論でお答えすることはなかなか難しいわけでございます。
 機雷の場合につきましても、先ほど申し上げましたように、それが本当に反政府団体が自分で敷設したものであるのか、あるいは反政府団体が自分で敷設したけれども、だれか第三国の援助を得てやったものであるのか、あるいは第三国がみずからの手で敷設したものであるのかというようなことによって国際法的な評価も変わってまいりますし、また、それだけではなくて、敷設に当たって、どういう状況があって敷設をしたのか、敷設をする側に敷設をすることについての国際法上の正当な理由があったのか、あるいはまた、例えばニカラグア政府が主権国家としてその水域を管理する責任があるわけでございますけれども、その管理する主権国家として十分な告知義務をやったのか、あるいは危険水域の通報をしたにもかかわらず、輝潮丸がそこのところに危険を承知の上で入ってきたのか、そういういろいろな、具体的な状況のもとで判断しなければならない問題でございますので、一概に、その責任がどうであるとか、国際法上の評価がどうであるのかということはなかなか申し上げにくいわけでございます。
 今の、武力侵入というようなケースにつきましても、これは仮定の問題でございますし、アメリカ自身がそういうことを言っているわけではございませんので、仮にそういうことが起こるとした場合に、それがどういう状況のもとで起こるのかという状況によって評価は非常に変わってくると思いますので、ちょっと一概に一般論としてお答えすることは非常に難しいということで御理解いただきたいと思います。
○高沢委員 一般論じゃなくて、今これほど、現にホンジュラス側からは、その反政府勢力を使ってどんどん侵攻させておる、コスタリカ側からもどんどんやらせておる。その後ろに、国境までアメリカ軍が行っているのはだれでも知っているじゃないですか。そのアメリカ軍が今度ぐっとニカラグアに入る、こうなったらどうだと私は言っておるのですよ。一般論どころじゃない。これほど具体的な話はないのですよ。それを、その損害賠償にしたって、通報したかどうか、だれがやったか、だれが援助したかわかりませんと。それじゃ、輝潮丸が帰ってきて損害の賠償請求が出たら、その請求書を持って国連の議場を、だれですか、だれですか、これをやったのはだれですかと、紙を持ってうろうろ回るのですか。そんなふざけたような、無責任な政府、外務省の答えでは、残念ながら、日本の国民の安全を負託できない、私はそう言わざるを得ないですね。少なくもこれだけはっきりとした状況の中でこれだけのはっきりとした結果が出たならば、日米親善友好関係かもしらぬが、しかし是は是、非は非ですから、それに対しては抗議もし、そして賠償の請求もするというようなことをやって、そういうことをきちんと解決をする中でまた本来の日米友好も進むんじゃないですか。言うべきことは何にも言わずに、だれがやったかわかりませんと、本当に八幡のやぶ知らずみたいな中へどんどんどんどん、みずから物事をあいまいにしていってしまっている。言うべきことも言わぬということでは、外交の責任は到底果たせない。先ほど小林先輩から、いずれ総理・総裁ということで安倍外務大臣に対する大きな期待がありましたが、やはりここら辺で、総理・総裁を期待される安倍大臣が、おれならこうやるというふうなひとつ毅然たる決意を示してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。もう一度答えてください。
○安倍国務大臣 今おっしゃったような事態が起これば、その段階でこれは日本も判断をしなければならぬと思いますけれども、今アメリカが反政府団体を支援していることは確かに間違いないわけで、アメリカ自身も言っておるわけですから間違いないと思いますが、しかしアメリカ側が直接介入するとかしないとかということは、まだ何もそういう状況が出ているわけでもありませんし、アメリカが言っているわけでもありませんし、我々はそういうことにはならないことを期待するわけです。日本は、いずれにしても国連憲章を守っていかなければならぬ。国連憲章に反するとか、あるいは国際的正義に反するということになれば、日本はそれなりの対応というものをしていかなければならぬことは当然だと思います。具体的にそういう仮定の状況というのを、事態というものを予測して判断するということはちょっと早計じゃないかと思います。
○高沢委員 もう予定した時間がありませんので、このことはきょうはここまでにしておいて、なお事態の発展があれば、それを踏まえてまたひとつお尋ねするとして、最後に一つだけお願いします。
 今度は、海上の安全を図るということでこの条約の批准を早くされるべきじゃないかということで、その見通しをお尋ねしたいわけです。
 一九七九年の海上捜索救難に関する国際条約、SAR条約というふうに略称しているそうですが、この条約は、十五カ国が批准すると発効する。いま既に十四カ国が批准しているそうです。あと一つ。とすれば、そのあと一つは少なくとも最大の海運国である日本が批准をして、それによって発効をしたというふうにぜひやるべきではないか。私、いろいろな海運関係の人たちからそういう強い御要望も受けているわけでありますが、この条約を国会に提出して承認を求めるというふうなことをできるだけ速やかにやるべきだと思いますが、その見通し、あるいは今の取り組みはどうか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、今十四カ国が締約国となりまして、あと一つでございます。実はこの条約ができましてちょうど五年でございますけれども、それ以降、日本の実施体制、それから日本を取り巻く国際環境等を勘案しまして、日本としましてもなるべく早い機会にこれに入りたい、入るのが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
 他方、この条約を実際実施していきますときには、結局日本の場合、近隣諸国といいますかアジア・太平洋諸国が一番関係をしてくるわけでございますけれども、今までのところ、日本の近隣諸国を見ましたとき、アメリカ、カナダを除きましてはどこもこの条約をまだ締結していないわけでございます。必ずしもその見通しが立ってない状況でございます。したがいまして、日本としましては、近隣諸国の動向、それからこの条約発効の時期等も勘案しまして、国内体制の整備を図りながら検討を進めてまいりたいと思っております。現にこの条約につきましては、海上保安庁その他と事務的な検討は目下進めておるところでございます。
○高沢委員 それでは、最後に御要望を申し上げて、これで終わります。
 今のあれも、日本がそうやってもたもたしている間に仮にソ連が加盟したとしたらどうしましょう。それじゃ、ソ連と日本との間で領土領海の線をどう引くかというようなことが、いやでもそういう問題が出てくるということになりますね。受け身でそうなるのじゃなくて、それならば日本の海運関係者が皆強く希望しておるように、日本が主体的に早く批准手続をとって、そして関係国とそういう調整を早く進めるというようにやるべきだというふうに要望として申し上げて、私の質問を終わります。
○中島委員長 次に、土井たか子君。
○土井委員 最近、朝鮮半島をめぐる緊張緩和の機運ということに対して国際間でも大変注目が集まっているのでありますけれども、先日アメリカに参りました節、議会人と話をしておりましたら、一方では韓国のいろいろなあり方の中で、政治犯に対しての取り扱いが以前に比べると緩やかになってきたという意見が出る一方で、しかしまだ問題は多く残っているという発言も私は聞いたのです。外務大臣におかれましては、韓国における政治犯の中で、わけても私どもにとって決して無関係ではない在日韓国人の方に対する政治犯としての取り扱い方がこの節どういうことになっているかというあらましの問題に対して掌握をされていると思いますが、まずその点について最近とのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるかをお尋ねをしたいと思います。いかがでございますか。
○安倍国務大臣 在日韓国人が韓国におきまして政治犯として処分を受けておる、そして今留置等も行われておる、これはある程度の数も掌握しておるわけでありますが、相当な数に上っておるわけでございます。これは法律的には韓国の国内法によって処分されたものであるし、また、身分が在日韓国人ということでございますから、日本政府がこれに対して介入をするということはまことに困難でございますが、しかし在日韓国人でございますから、日本には長く居住しておられる方でありますし、そういう意味におきまして日本政府としても、人道的な立場ではこの韓国政府の処分に対しましては我々も何とかひとつ配慮してもらいたいという政府としての気持ちを持つのは当然のことでございます。したがって、私も外務大臣になりましてから二年間近く、韓国の外務大臣あるいは要人と会うたびに、この政治犯の取り扱いについて人道的な配慮を加えてほしいということをしばしば申し入れて今日に至っておるわけであります。
○土井委員 その人道的な配慮ということで当外務委員会で私が取り上げまして、幾たびとなくそういう御返答を私も耳にし、そして韓国当局に対してもその立場でお骨折りをいただいてきて、いまだに大変深刻なありさまのままで、一向によい方向で進展を見ていないという問題がここにございます。
 それは京都で生まれ育って、そして在日韓国人二世として母国のソウル大学の法学部に入学をして勉強をされていたところ、一九七一年春に二人の兄弟がともに韓国当局に検挙されて、国家保安法等に違反したということで学園浸透スパイ団事件で懲役七年を宣告された。一九七一年当時に七年ですから、とっくの昔の話なんですが、いまだにこの問題の、特に弟の徐俊植さんは七年の刑が一九七一年に確定してから後今日に至るまで収監されたままであります。その事情は、その都度私は外務委員会で、一九七八年、昭和五十三年五月園田外務大臣当時にもお尋ねをし、一九八○年、昭和五十五年当時には大来外務大臣にお尋ねをし、次いで一九八二年、昭和五十七年当時には櫻内外務大臣に数だびお尋ねをしてきたわけなんです。御案内のとおりで、この刑期が満了いたしました昭和五十三年、一九七八年五月二十七日という当日を考えまして、私たちは刑期が満了して出てこられたときに日本では温かく迎える用意をぜひお願いしたいというふうな気持ちを込めての質問をいたしましたそのときには、私たちの期待を大きく裏切られまして、社会安全法によって保安監護処分を受けて清洲矯導所に収容されて、二年ごとにこの保安監護処分というのは更新をされますから、昭和五十三年以後二年ごとに更新されて今日に及んでいるのです。通算しますともう十三年にも及ぶ監獄生活が続いているわけでありまして、私は考えるだに人ごとではないという気が実はいたします。
 大臣、御承知でいてくださるに違いないと私は思うのですけれども、この徐兄弟の御両親というのは小さいときから大変な苦労を積み重ねてこられまして、特にお母さんの場合なんかは十歳にもならぬうちから京都の西陣の織物問屋などに子守に出て、奉公に出なければならなかったというふうな苦労から始まりまして、父母とも大変な商売上の苦難と闘いながら、子供たちが高等教育を受けて成長していくことを最大の喜びとして懸命に生きてきたという御両親だったわけなんです。この二人の兄弟が日本の高等学校を終えた後、母国の大学に進みたいと言ったときには毅然としてこれを許した御両親でもあったわけなんですが、ちょうど大来外務大臣当時に、この徐俊植さんが収監をされて九年もたって、そしてその間傍聴や面会の数を数えてみると何と六十回以上も大変つらい思いで足を運ばれたお母さんが重病の床にあってあしたも知れない状況になっている、何とかこの問題に対して明るい方向での解決をということを申し上げたそのお母さんも残念ながら既に亡くなられてしまったわけです。考えてみると本当にいたたまれないような気が私はするのです。五月の二十七日がもう目の前に参ります。外務大臣、今度という今度は何とかしていただきたい、こういう切なる気持ちでございますけれども、これに対してどのようなお気持ちでお取り組みをいただけるでしょうか。
○安倍国務大臣 徐兄弟の問題につきましては土井さんからこれまで歴代の外務大臣に対して御質問もありましたし、また歴代の外務大臣がこれに対して人道的配慮を加えるよう韓国に要請する、こういうことで韓国側にも要請を続けてまいったわけでございます。私のときになりましてからも、先ほど申し上げましたように、要請を行ってきたわけでございますが、残念ながらこうした我々の人道的配慮という要請について韓国側からいまだはっきりした回答といいますか見通しを持った回答に接していないわけでございまして、日本政府としては韓国内の司法の問題ですからこれに対して介入することはできないわけでございますが、しかしこれほど日本政府が人道的な問題として重要視して要請をしてきておるわけでございますし、また私も今後ともこの点については要請したいと思っておりますので、そうした我々の考えというものは、韓国側も最近では政治犯の釈放等について相当前向きに対応しつつある、こういう客観的な情勢もあるわけでございますから、韓国側の今後の積極的な前向きの対応というのが期待されるのではないか、またそのために我々としてもひとつ努力を重ねてまいりたい、こういうふうに存じます。
○土井委員 前回は五月に入りましてから五月二十七日を意識して質問をいたしましたところ、もう既に時期が五月当初においても遅うございました。ことしも五月二十七日を目の前にいたしまして、したがいましてきょうこのように質問させていただいているのも実はせっぱ詰まった気持ちで私はいたしております。一日一日五月二十七日に向けて貴重な日でございますので、もう可及的速やかにそういう問題に対しても韓国側に対して意のあるところをぜひとも伝える必要があるのじゃないか、このように私は思うのですが、大臣、これはきょう、あすじゅうの問題としてよろしゅうございますね。いかがでございますか。
○安倍国務大臣 今長い間の問題について土井委員から質問も出ましたわけでございますし、これまで日本政府がこれに対して韓国政府に伝えておるわけでありますから、そうした時期の問題等もあるわけですから、それは十分我々としても踏まえまして、韓国側に外交ルートを通じまして、今ここで質問が出、また私が答弁したそうしたことに基づきまして日本政府の要請を伝える考えてあります。
○土井委員 今私がここで具体的に申し上げたのは弟さんの方の徐俊植さんの問題ですが、お兄さんの方の徐勝さんは無期懲役という形になっているわけであります。外務大臣、今度七月に韓国側との間に外相会談をなさいますね。その節、この政治犯の取り扱い方についても議題としてひとつ話の中にしっかり織り込んでしていただくというわけにはまいりませんか。これは非常に大事な問題だと思うのですよ。やはり在日韓国人の方々に対してのこういう問題一つ一つを通じて日本の国民は韓国の姿勢について意識するわけでありますから、これは非常に人道上の問題であると同時に、今後本当の日韓友好というものを築いていくことからいたしますと大事な問題であるということを私は言わざるを得ません。外務大臣、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 これはこれまで外相会談のたびに取り上げている問題です。政治犯の問題については、これは何といいましても韓国国内の司法の問題ですから、何回も言いましたように、日本政府がこれに対して介入するということは内政干渉にもわたることだと思いますけれども、何といいましても在日韓国人ですから日本に生活の基盤があるわけであって、日本にも親族もおられますし、日本の多くの知己友人、非常に日本との深い関係にある。それだけに日本の友人としても、また日本政府としてもこれは放置できないわけですから、我々内政干渉にわたらない範囲内で人道的配慮を韓国政府に対しては絶えず求めていきたい。したがって、この七月に行われる外相会談におきましても、今の委員の御要請等も十分踏まえて対応する考えてあります。
○土井委員 最後に、もうこれは五月二十七日に向けて今申し上げたことを、きょうも御答弁の中で既にはっきりいただいておりますから、あとは御努力を特に要請を申し上げて私は終えたいと思いますけれども、徐俊植さんの場合は私は今まで立派な姿勢だと思うのです。収監されてもただただ自分の真実に生きる。そして、人間の思想とか信条に対しての自由というもののとうとさということをこれほど純粋に追い求めているという姿、形というのは本当に胸を打つものが私はあると思うのですが、御承知のとおり、二年前にはまた二年間の更新が社会安全法の名のもとに決定をされて、保安監護処分が更新された節、社会安全法と保安監護処分更新決定の無効確認請求訴訟を起こして今日に至っているわけであります。最近に至りますと、接見することに対して、韓国に行くことの手続もいろいろな無理を重ねなければどうにもならないような状況になってきておりますので、渡韓する場合のそういう難儀なんかを見ますと、なかなか厳しいものがあるということを私どももよく考えます。したがいまして、状況がより一層わかりません。どういうふうな状況でおられるかということも、五月二十七日の問題に向けて気持ちを喚起すると同時に、事情を把握することも御努力方お願い申し上げたいということを最後に申し添えさせていただきまして、質問を終えたいと思います。これもよろしゅうございますか。
○橋本(恕)政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げました趣旨を十分私どもも体しまして、誠意を持って努力いたします。
○土井委員 終わります。ありがとうございました。
○中島委員長 午後零時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十分休憩
    ―――――――――――――
    午後零時十九分開議
○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡部一郎君。
○渡部(一)委員 きょうは、平和という問題につきまして、少し整理をいたしまして後の参考になるようなきちんとした質問をさせていただきたいと実は思っております。
 まず、核兵器に反対するNGOの皆さん方の活動というものは世界じゅうで非常な大きなレベルに達しているのでありますけれども、その活動の中から提示されている幾つかの提案に対して、私は政府の率直な見解と見識を求めるものであります。
 現在の核戦争に対する世界的な恐怖と反感というものは大きなレベルに達しておりますけれども、一方で、核兵器というのは余りにも巨大でありますがゆえに、かえって人々の気持ちの中に核の不感症というものが生じつつあります。何回叫んでも同じではないだろうか、何度反対の声を上げても同じように核兵器は存在しているではないか、我々が何か努力しても仕方がないのではないかという感情であります。そして、その上に大きくのしかかっておりますのは核兵器を所有する国々の巨大な相互不信でありまして、また、その後ろにありますところの国家間の相克、国家間のエゴというものがこれを支えているわけであります。したがって、このような巨大な不信感、巨大なエゴとエゴの対決というものを核兵器を武器にして行うことを何とか食いとめていかなければならないとは思うものの、人類の一人ずつの力は余りにも小さく、弱く、そのために絶望感が支配するということになりかねないのであります。したがって、こういう状況にかんがみて、私どものなすべきことの一つは、日本政府の――平和憲法を持ち、非核三原則を持ち、その上に平和外交を基調とする我が国の外交の持つ使命というものは極めて重要ではないかと考えるわけであります。原理的なことからまず申し上げたわけでございますが、この辺についての大臣の御見識をまず承りたいと思います。
○安倍国務大臣 まさに今、世界における核兵器の存在は、もしこの核兵器が使われることになれば世界全体が滅亡することは火を見るよりも明らかでございます。そういう意味におきまして、平和を考える場合に一番大事な問題はやはり核兵器の問題であろうと思いますし、核の絶滅を行う、あるいはまた核兵器の軍縮を行うということが現実的に平和への道を探求する上において非常に大事な人類的な課題であろうと思うわけであります。
 そういう中で、具体的に国家間の対立であるとかあるいは相克の中で、超大国の間で核の軍拡が行われておる、その他の核保有国の中においてもそうした傾向が見られるということは大変残念な次第でありまして、我が国はそういう中にあって平和憲法を持っておりますし、同時にまた、非核三原則を国是といたしておるわけでありますし、軍事大国にならないで平和外交を推進していくというのが我が国の基本的な国策でございますから、同時にまた、日本が戦争中に原爆を受けた唯一の被害国である、被爆国である、こういうことからいたしまして、我が国こそまさに声を大にして核について警鐘を乱打するということは、今最も大事な日本の置かれておる立場からの日本の課題ではないだろうか、こういうふうに認識をしておるわけでございます。
○渡部(一)委員 そこで、ひとつ念のためにお尋ねいたしておくわけでございますが、大臣は政府を代表して非核三原則を堅持する、こういうお立場でございますね。と申しますのは、例の有名なライシャワー発言でございますが、ライシャワーさんの発言の際に、かなり重要な問題が新聞記者とのインタビューで示されております。このポイントの中には幾つかのポイントがあります、ライシャワーさんの意見、そして当時の日本政府の対応についての彼の発言が。ライシャワー氏はここにおられませんし、そしてその相手側であられた大平外相も亡くなられているわけでございますから、これについての真相というか見解を示されるのは安倍外相でなければならぬと私は思います。そして日本政府の立場も、ここでもう一度示していただく必要があると思います。
 一番目、ライシャワー博士の言っているのは、「アメリカの核兵器を日本に持ち込ませない。その一方で日本はアメリカの核のカサに依存することを続けるという政策を選択している、という指摘です。」と質問したのに対して、「そう、それは矛盾していますね。まったく、そのとおりです。」と言っています。
 まず第一、このライシャワーさんの意見に政府は賛成されるのか、賛成されないのか。
 もう一回言い直しますと、核兵器を日本に持ち込ませないと言いながらアメリカの核に依存するということは、矛盾しているとライシャワーは言っているわけであります。それに対して、ライシャワーは、反対の言葉を述べているわけであります。政府としてはどうなのか。
○安倍国務大臣 私は、核兵器を持ち込ませないということとアメリカの核に日本の平和と安全が依存しているということについては、これは矛盾していない、こういうふうに思っておるわけであります。これは、持ち込まなくても核の抑止力は働く、こういう認識を持っておるからであります。
○渡部(一)委員 議論するのを避けまして、二番目へ行きます。
 持ち込みと日本語で彼は言っているわけでありますが、
  「モチコミ」と、アメリカ側のいう「イントロダクション」とは、二つの異なったことを意味したからです。アメリカの船は(核兵器を積んで)入港していたのです。
  たとえ核兵器を艦上に積載していたとしても、それはアメリカの見解ではイントロダクションではないのです。アメリカ側にとってのイントロダクションとは、核兵器を陸上にあげて、配置することを意味するのです。それに対し日本語の「モチコミ」は、核兵器を単に日本の領海に持ち込むという意味にもとづいてつくられた表現ということになっています。
  そして私は両者の間に誤解が……日本の国民とアメリカ政府の間には確実に解釈の誤りがあったと思います。日本政府とアメリカ政府の間にも、同じ誤りがしばしばあったと思います。
 なぜなら私が思うには、日本政府は合意のいくつか、つまり核兵器を積んだ船が日本領海を通過したり、港に入ったりするのはまったく問題がないとされている口頭による合意事項が、どんなものであったかを忘れてしまったのです。
 さて、持ち込みとイントロダクションは、違うか、同じか。
○安倍国務大臣 日本政府としましては、いわゆる寄港あるいは領海通過、これは持ち込みである、こういうふうに判断しております。
○渡部(一)委員 非常に警戒されて、言葉少なく答弁されるのはわかりますが、そうすると、持ち込みと寄港というものに対しては、非核三原則に違反し、そのようなことをアメリカはしないと理解されておられるのですか。
○安倍国務大臣 核の持ち込み、すなわち核を搭載した艦船の寄港あるいはまた核を搭載した艦船の領海通過、これは日米間の了解事項によって事前協議の対象になる、こういうことでございます。
○渡部(一)委員 アメリカ側の言うイントロダクションという言葉と日本の持ち込みという言葉は意味が違っていたとライシャワーは主張していますが、あなたはその見解に同意されますか、反対されますか。
○安倍国務大臣 いわゆるイントロダクションという言葉は、日本語で我々が言っている核の持ち込み、こういうことです。
○渡部(一)委員 そしてここのところにもう一つ、「アメリカの船は(核兵器を積んで)入港していた」と事実上彼は言っているわけでありますが、それについての見解はいかがですか。
○安倍国務大臣 安保条約が施行されまして、そしていわゆる核の持ち込みというのが事前協議の対象になるということが明快になったわけでございまして、それ以後において、日本に核を積んだ艦船の寄港あるいは領海も含めた核の持ち込みという事態はあり得なかったということでございます。これはあくまでも事前協議の対象でありますし、日本政府の方針としては、この事前協議があった場合にはこれを拒否するという日本政府の見解が明確に打ち出されておったからである、こういうふうに確信しております。
○渡部(一)委員 ライシャワー氏はこう述べています。「しかしそういうこと」、これは著者が書き込んであるのですが、
  (アメリカの核装備艦艇の日本への入港や領海通過)をしてもさしつかえないというのが、確実にアメリカの軍部や政府の理解だったのです。
  だからこそ私が駐日大使だった間、この問題が日本の国会で取りあげられ、日本政府の代表が答弁に立って、通過や寄港は許されないのだという、われわれとは異なった解釈に沿った発言をし、「しかしわれわれはアメリカを信頼している」と述べるたびに、私は何度も、非常に恥かしい思いをさせられたのです。なぜなら日本側のそうした発言は、アメリカがなにか不正をしているような立場におくことになるからです。だから私は実際に、日本の外務大臣にこの問題について話をし、「どうかそういうふうには答弁しないで下さい」と申し入れました。
  質問者 藤山外相にですか。
  ライシャワー いいえ、違います。大平氏です。   
  質問者 当時の大平外相にそういうことはしないよう要請したわけですね。
  ライシャワー 「アメリカにとって大変な当惑となるから、どうか、そういう言い方で答弁しないで下さい。なぜならそれは事実がこうだというアメリカ側の了解とは違うからです」と申し入れたわけです。そして大平氏は日本政府の代表たちに違った表現で答弁させるようにすることを、とても手際よくやりました。そして
 この問題全体は非常に急速に消えてしまいました。
あなたの御答弁を聞いていると、これは消えていない感じですな。
 さて、アメリカ側にとっては恥ずかしい思いをさせられるような言い回しを、アメリカ側だけが悪いことをしているみたいな言い回しをするからやめてくれと大平外相に言った。もし本当に言ったのなら、歴代外務大臣としてあなたはそれに拘束されるはずですね。そして、ライシャワー氏は「アメリカにとって大変な当惑となるから、どうか、そういう言い方で答弁しないで下さい。なぜならそれは事実がこうだというアメリカ側の了解とは違うからです」と述べている。お打ち合わせをされても結構ですから、ゆっくり答弁してください。これは下手にまごつくと大臣の首が飛ぶし、将来の総裁は望めなくなりますから、これはゆっくり慎重に答弁していただくように。
○安倍国務大臣 これは慎重に答弁いたします。
 今その本にはいろいろ書いてありますが、ライシャワー元大使が事前協議の対象となる核持ち込みについての米側の理解につき当時の大平外相に申し入れた旨述べておられる。これはその本に書いてあるとおりでございますが、これが事実かどうかということですが、そのようなことがあったとの事実は、少なくとも私は承知しておりません。これは歴代の外務大臣は、いろいろな問題について、特に安保関係の重要な問題については引き継ぎをするわけですが、そういったことがあったとの事実は承知しておりませんし、さらにまた、このライシャワー発言にあるような核積載艦船、航空機の寄港、領海通過は事前協議の対象としないという口頭了解は存在しない、こういうことをはっきり言わしていただきたいと思います。
○渡部(一)委員 そうすると、あなたは、非核三原則は堅持する、少なくとも、日本国の領海の中を核艦船が通過すること、あるいは日本の港に核搭載艦が立ち寄ることというような部分は非核三原則から外そうなどという議論がしばしば出たわけでありますが、そういう議論にはくみしない、非核三原則は言葉どおりの意味で堅持する、アメリカ側もまたそれを理解してくれているはずである、こうお述べになるわけですね。
○安倍国務大臣 日本政府そして私の言っているところの非核三原則の中には、もちろん、核の持ち込み、そしてその核の持ち込みはいわゆる寄港であるとかあるいは領海通過も含むということでございます。
○渡部(一)委員 先日、沖縄の海域においてソビエトの原子力潜水艦とおぼしきものが故障を起こし、浮上し、他の潜水艦に曳航されて脱出した際、日本政府はそれに対して領海侵犯であると最初に述べ、途中から領海侵犯とは認めないと述べました。これはたしか宮澤大臣の当時の出来事だったと思いますが、これをどうお考えになりますか。
○小和田政府委員 突然のお尋ねでございますので、私ちょっと正確な資料を手元に持ち合わせておりませんが、私の記憶しておりますところでは、この事件を起こしましたソ連の潜水艦がどういう種類の潜水艦であるかということについて我が方が必ずしも承知しておらず、核の通過との関連において問題があり得るという判断に基づいてソ連側に照会をした事実があったと記憶しております。結果的には、この潜水艦は核搭載型の潜水艦ではなくて、通常型の潜水艦として日本の沖縄の島々の間を通り抜けて日本海側に抜けたという関係であったかと思います。
○渡部(一)委員 私の理解では、当時ソビエト側の返事は日本政府に対して全く寄せられず、日本側の勝手な解釈によってそう決めつけただけだと私は理解しております。後ほど追加で調査の上、御答弁いただければと思っております。
 私は、この非核三原則、確かに堅持しにくいいろいろな諸問題というのがあるのは理解しているわけでありますが、あくまでも非核三原則を堅持するというお立場であるならば、アメリカの航空母艦あるいは水上艦艇等がここのところ核兵器を搭載することが日々常識化しつつあるときにおいて、これは断固として守る、アメリカ政府に対してもそれは注意を喚起してでも守る、場合によっては申し入れをしてでも守る、こういう強い姿勢を今後もおとり続けになるかどうか、くどいようですが、伺っておきたい。
 なぜかというと、非核三原則を守るというのは、我が国だけで守るのではとても無理なのであって、周辺の諸国に対しても、世界的にも非核三原則に協調する国家をふやしていくという、むしろ攻撃的な立場で日本外交を運用しなければならないと考えるからであります。その基盤となるべき非核三原則が揺らいだのでは交渉の要件が成立しないわけでありまして、私はその点を大臣にもう一回お尋ねしたいと思います。
 というのは、先日、ソビエトの軍人が日本に対して、三カ所ばかりけしからぬ基地がある、これは核兵器搭載機が飛び上がったり核搭載艦があるからだ、そうしたところに対しては先制攻撃を加えることもやむを得ないというような発言を公然と行い、新聞紙上にもそれが登載された。我が国政府としては、そうした問題に対して的確に反応し、その誤解を解くように努めるべきだと考えるわけでありますが、どうやらその問題に対しては応答が余り的確ではなかったかのごとく見えるわけであります。こうした問題については我が国の国是とも言うべき問題であると歴代の総理は述べているわけでありますが、国是と言うのならばもう少し激しくこれを守らなければならないと考えるわけでありまして、もう一度大臣にその御決意を承りたいと思います。
○安倍国務大臣 非核三原則は日本として平和を守るためにどうしても守らなければならない、堅持していくということでございます。そしてまた、アメリカとの関係におきましては、御承知のように日米安保条約、その関連規定がありまして、これは両国が条約を結んだ以上はこれを守っていかなければならない義務が存在をいたしておりますし、なおかつ、日米関係はいわば日米安保条約を通じましてまさに同盟関係に近い存在である、それだけに多くの深い信頼関係で結ばれなければならぬわけでありますし、また結ばれておると私は確信をいたしております。そういうことで、アメリカ自体も日本の非核三原則の何たるかはもう十分理解をしておる、日本の国会での政府の答弁等についても彼らは十分以上に知悉をしておると私は考えております。
 そういう中でのこの安保条約、そしてその関連規定の遵守の義務、さらにまた事前協議条項の遵守の義務、これは両国関係において確固として存在をするわけでございますから、日本が非核三原則を貫くという中で、核の持ち込みについては事前協議の対象になる、そしてその核の持ち込みについては領海通過も寄港もこの中に入る、こういうしばしばの日本政府の発言についてはアメリカも十分理解し、そして安保条約、さらにその関連規定を守るという立場から、このことについてはアメリカ自身もこの日本の明快な立場にこたえて今日まで来ておる、私はそういうふうに信じております。
 なおしかし、日本政府としましては、国民の間にいろいろと疑惑が出る、あるいは国会でいろいろと論議が起こる、そうしたような具体的な問題が生じておるような場合、例えば去年エンタープライズが入港するという事態があった、あるいはまたF16の三沢配備という事態があったときにおいては国民的関心も非常に大きくなりました。その際、アメリカに日本の非核三原則をもう一度念には念を入れて知らしめなければならないし、日米安保条約あるいはその関連規定はお互いに守っていかなければならないということ、さらにまた、核の問題については事前協議というものがあるし、事前協議においては日本はこれに対してはあくまでもノーであるということをアメリカ側にも念には念を入れて知らしめる必要がある、こういう事態が起こったときには、そのときに応じて一般的にアメリカ政府に対して申し入れをしてまいったことは御承知のとおりでございます。
○渡部(一)委員 それでは、この問題をそこで打ち切りまして、デクエヤル国連事務総長の一九八三年の年次報告によれば、世界全体の年間の軍事費は八千億ドルに達し、世界情勢の現実は失望的であると報告されております。また、米国の軍縮協会など民間機関の手でまとまった報告によりますと、一分間に世界で約三億円の軍事費が使われ、一方、一分間に三十人の子供が飢えや病気のために死亡し、核潜水艦一隻の建造費は途上国の一億六千万人の児童の年間教育費と同じであり、核弾頭の貯蔵量は五万発に達し、第二次大戦で使用された全弾薬量の五千倍以上となり、第二次大戦後戦争で死んだ人は九百万以上でありますが、これを想起すると恐るべき数字になるわけであります。また、八二年に米国が使った軍事費は一人当たり約二十万円で、大戦前の十一・四倍となり、軍事費はどこの国の予算も圧迫し、福祉予算を削減させていると報告されているわけであります。また、ILOが発表した雇用と軍縮の関連レポートによりますと、軍隊、軍需産業など軍事に直接、間接にかかわっている雇用人口は世界全体で約五千百万に上ることがわかっております。
 このような恐るべき戦争行動というものが世界を動かしつつある。単に戦争反対と一言唱えるだけでは、とてもではないけれども、こうしたシステム全体を覆し得ないという考え方が起こってくることもうなずけるところであります。
 したがって、我が国がここで力を尽くさなければならないのは、世界の核兵器に反対するだけではなくて、この膨大な軍事費を何らかの形で民需用の予算に切りかえるための努力、そうしたものを率先して行うべきではないだろうか。世界の声なき声の民衆の平和に対する渇望を代弁されて、日本外務省は強力に奮闘されるべきではないかと考えるわけでありますが、どういうお考えでございましょうか。また、今日まで国連においてどのような提案をされ、そして活動してこられたか、この面について伺いたいと思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、世界の軍事費が、去年の国連事務総長の報告によりますと、八千億ドルに上がっておるということが言われております。御指摘の、殊にこういったような莫大な軍事費が発展途上国あるいは先進国を問わず、世界の社会あるいは経済に大きな圧迫をかけておるのは、そのとおりだと思います。こういう観点から、第二回の軍縮特別総会、この一昨年行われました総会には、鈴木前総理が軍縮の柱の一つとして、軍縮によって創出された人間能力と資源の有効利用の重要性を指摘したわけでございます。
 しかし、問題は、それではどうやってこの膨大な軍事費を圧縮して、それを民生の発展のために役立てるかということでございまして、それにはやはり軍縮をしなくちゃいかぬということで、それも先生冒頭におっしゃいましたように、軍縮につきましてはいわゆる理想論といいますか、それと、もう一つは、なかなか軍縮はできないのだという悲観論と、この二つが存在すると私は思います。そこで我々はその両方ともにくみするのではなくて、現実的な軍縮措置を一歩一歩積み上げていくといういわゆる現実主義、これが必要なのではないかと私は思うわけです。
 それで、今御指摘の軍事費の削減の問題でございますけれども、まず今国連で一つ検討されておりますのは、軍事費と抽象的に言いますけれども、では軍事費とは一体何か、世界の軍事費というのはどういうようなものかという統一的な基準というもの、それによって軍事費の公正な算定、比較、それがなされなくちゃいけないという動きがございまして、まず軍事費の圧縮の基礎になる軍事費の具体的な比較、算出というものにつきましては我が国もずっとこの動きには賛成し、協力をしてきているところでございます。確かにこういったことは本当に小さな動きかもわかりません。しかしながらこういったこと、それからひいてはさっき大臣からも申し上げましたような核軍縮あるいは一般軍縮、この促進に努めていくことが結局それから放出される人的資源なりあるいはお金というものを民生に振り向ける一番大きな目的というか手段ではないか、こういうようなことから、私どもはさっき申し上げたような現実的なアプローチということをとって今後ともやってまいりたいと思っております。
○渡部(一)委員 これは「日本経済いまひとたびの離陸」という宮崎勇さんの書かれた文章の中から読み上げてみますが、
  今日の兵器輸出総額は約二六〇億ドルの規模である。世界の商品輸出総額は一兆六〇〇〇億ドルを越えているから比率としては小さい。しかし、武器輸出はたとえばアセアン諸国の輸出の半分以上、またいわゆる低所得国の総輸出を若干上回る金額であるから、決して小さな金額ではない。
  兵器輸出総額の八割は米、ソ、仏、英の四カ国によって占められ、これに西ドイツ、チェコ、イタリア、ポーランドを加えると全体の九〇パーセントになる。輸入する側からみれば七割近くが第三世界、なかでも中東が大口輸入国である。
  兵器の輸出は、それが援助と相殺でないかぎり輸出国にとって外貨手取りとなり、有力な国際収支対策であるし、また国内効果としては「一〇億ドルの武器輸出は五万人の職場を創造する」といわれるように、それなりの雇用効果はあろう。さらに中東むけの武器輸出には石油供給との交換というメリットもあろう。フランスの例では、石油輸入代金の四分の一以上は武器輸出で相殺しているとの報道もある。ソ連の場合は、CIAなどの推計では第三国むけ輸出総額の約半分は武器輸出の代金によって占められている、という。こうなっておりますが、このおぞましい話は、要するに武器輸出というものが今や機構としても大手を振って世界経済の中で一定の価値を占め、そして幅をきかせているということでございます。先ほど御担当の方が軍事費の公正な算定の問題、確かに現場の問題としては大切かもしれませんけれども、このような八千億ドルというとんでもない金額、しかも武器産業というものがいわゆる先進諸国の米、ソ、仏、英、西独、チェコ、イタリア、ポーランド、こうした八カ国で九〇%を超えるというような状況に対して、我が国は余りにも物を言わなさ過ぎているのではないか、これこそまさに外交において一時期を画されている安倍外相が世界じゅうを歴訪されているたびに声を大にしてこのような愚かな仕組みに対して抗議をし、声を上げ、それに対するカウンターの何かを言われることが必要なのではないかと私は思うわけであります。
 特にこうした愚かな金額を傾ける一方で、難民の多くの人々が餓死をし続けている姿があらわれており、八千億ドルというような膨大な金額が一方で表示されていると思うと、難民のために発展途上国全部に与えられているお金はわずかに二百億ドルと計算されている。このばかばかしいほどの落差、そして我々の心を痛めるような難民の方々の窮状というのは見るに忍びない。私はもう少し――何を言おうとしているかというと、情熱を傾けて、日本外交は燃えていいのではないか、これこそ非核三原則を持つ日本の国、これは日本の声価を大きく高からしめたと思うのでありますけれども、日本外交というものがこういう人道主義の立場において、より強力な行動と発言を繰り返される必要があるのではないかとあえて申し上げるのですが、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 私も世界各国を回ってみまして、首脳者ともしばしば会談をするわけでありますが、日本に対する信頼感が日一日と高まっているような感じがいたします。これは日本が経済的な実力あるいは貿易大国になった、こういうことだけではなくて、やはり日本が世界の経済、政治の中で大きなウエートを持ちながらもこの非核三原則という独特なプリンシプルを持ち、そして軍事大国にならない、こういう基本的な国の方針を持ち、さらにまた外国に対して武器あるいは武器技術を輸出しない、これが非常に評価をされておるところで、これが日本に対する信頼感につながっておる。例えば東南アジアの諸国ともいろいろ話をしてみましても、結局はやはり日本に対するおそれがあるわけで、日本が軍事大国になるんじゃないかというおそれを気持ちの奥底では持っていないとは言えないわけですが、しかし、今の日本の姿、そして日本の対外的な武器を輸出しないという姿勢が続くならばそれはもう日本を信頼するというのが彼らの態度であります。あるいはまたイラン、イラク。戦争が拡大をしておりますが、両国がやはり日本に対して一つの信頼をおくといいますか、手が汚れていないということで日本に対する評価をしておりますのは、やはり日本が両国の戦争に直接手をかさない、いわゆる武器の輸出等をしない、こういうところにあるのじゃおいか、私はこういうように思うわけでございます。
 したがって、こうした日本の歩んでおる姿というものを諸外国に対して理解をせしめる。もちろん、日本は平和でありますけれども、しかし現実世界というものは厳しいものであることは、我々も現実政治家としてよく承知しておるわけでございますが、日本のそうして歩んでおる姿、そして日本が世界に対して今求めておる純粋な気持ちというものを世界に知らしめることが日本に対する信頼をさらに大きくし、また日本が世界に対して貢献する道をそれによって開くことができるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございまして、そういう面から日本の立場というもの、あるいはまた日本の持っている独特な国家の体制、システムというものをこれからもやはり諸外国に対して積極的に売り込んで、そしてそれを一つの世界平和の貢献のために役立たせたい、また役立たせなければならない、こういうふうに私は考えております。

○渡部(一)委員大臣 ちょっと悪口を言いますと、そういう言い方を聞いていると、町内会で寄附を渋るおじさんの言い分とよく似ていると思うのですね。町内をよくするために橋をかけましょうよ、何とかしてくださいよと言うと、私は町内の発展は非常に祈っております、私もいろいろやらしていただいているところでございます、今後ともどうぞよろしくと言って帰ってしまう人とよく似ている。
 話の中身としては、我が国は手が汚れていない、我が国の態度をみんな理解してくれているというところまで今おっしゃいました。私が今求めているのは、もう一つ進んで、何かをしなければいけないのではないですかと聞いているわけです。行動を求めている。考え方を求めているのではない。日本の行動が立派である、今の武器輸出や何かの問題についてきれいであるというだけでなくて、難民を救うために募金をしようじゃありませんかと言い出すことの一番能力があるのは日本じゃありませんか。世界の人々の教育のための、発展途上国の多くの人たちに教育をするための費用を出そうじゃありませんかと勧進元になることがどうしてできないのでしょうか。世界の熱帯地方の多くの難民の人たちは日陰を持っていない。差しかけの屋根さえも持ち合わせていない。そういう人々に対して木陰を与えなければいけない、家の陰を与えなければいけない、家を与えなければいけない、そうした問題について日本は発言する能力があるのではないでしょうか。私は、それがないというよりも、足らないというか、情熱が足らない、仕掛けが足らないということについて申し上げているのです。日本はその何十という仕掛けを提案する能力とノーハウと立場を今持っている。そしてそれは、世界じゅうの人々が、いや私の方は軍備に忙しいのでだめですとは言っても、積極的にそうした問題について日本国は叫び続ける、行動する資格があるのではないか。そのせっかくの資格を持ちながら何ということだろうと私は思うのですが、いかがですか。
○安倍国務大臣 私が先ほどから言っているのは、日本がみずから宣伝しているわけじゃなくて、最近は相手の国々が、日本は手が汚れていない、イラン、イラクは率直に私にも言いますよ。ですから、イラン・イラク戦争の調停とまではいかなくても、しかし平和的な環境をつくるために、日本なら何かやってくれるだろうという期待もおのずから出てくるわけで、それにこたえて日本もやっているわけです。
 あるいはまた、難民問題につきましても、アジアにおける難民対策については日本は最も積極的にこれに取り組んでおりますし、大きな成果も上げておることは事実が証明をいたしておるわけでございます。これからも日本は、おっしゃるように積極的にやっていかなければならぬ。
 南北問題についても、私もサミットに二回ほど参加しましたが、先進国の中では少なくとも日本が一番積極的だと私は思います。UNCTADの総会に去年出ましても、南北問題に対する日本の姿勢は南側の諸国には非常に高く評価をされておる。そして日本に対する期待感が満ちあふれているという感じがいたします。それには堅実にこたえなければなりませんから、これからの日本は、財政等非常に厳しい状況ではありますけれども、そうした世界の声にこたえて、さらに積極的な対応をしていかなければならないということは、私も全く同じような考えを持って、そしてこれに今後ともひとつ全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうふうに決意もいたしておるわけであります。
○渡部(一)委員 日本語が何か通じないような気がして仕方がないですね、私は。というのは、きょうも多くの難民たちがばたばた死んでいる。食事がない。水がない。紛争地であるために、赤十字のトラックさえうまくままならないところもある。そうしたところに民間人の単なる善意でもってする援助、そうしたものはもうほとんど不可能に近い。そういう現状に最近の難民問題は悪化しておる。しかも、そこへ飢餓とか天災とか特別の干ばつが寄り集まっている。今のアフリカにおけるところの難民問題は、そうした困難な情勢が全部一緒くたにミックスして登場しておる。日本の国が立派に今までやってきた、随分よくやってきたということについて私は今論じようとしているのではなく、こうした問題について世界の各国政府が応じられない、機能が麻痺しておるという問題について私は問題にしているわけであります。これについて日本政府はもっとやるべきことがあるのではないか、国連外交についてもやることがあるのではないか、もっと何か工夫できるのではないか、日本の政府の力というのはもっとあるのではないか、今畳みかけて申し上げておるわけであります。
○安倍国務大臣 これからの国際社会における日本の役割というのを考えると、日本なりにやるべきことも随分あると思います。まだまだやらなければならぬこともあると思います。少なくとも、比較の問題として言うならば、日本の今の例えば難民対策に対する協力は、多国間協力あるいはまた二国間の協力も含めて、日本は世界の中で最も進んだ協力をしておる、こういうふうに思うわけです。しかし、事態は深刻になっておりますし、そしておっしゃるように、今世界の先進国がそれに対して対応できるような情勢になくなってきておる、こういう面もあるわけですから、それなりに日本がより積極的に取り組んでいくという気持ちを持っていかなければならぬことは、これはもう当然であろう、こういうふうに思うわけで、今までも決してやってないことはない。比較の問題として取り上げるならば、十分、特にアジアの難民対策等については、まさに日本は最も進んだ形で、多国間、二国間について協力をしておる。アフリカに対しましても協力をしておるわけでございますが、今のアフリカの飢餓の状況からすると、まだまだ日本の協力の度合いは少ないということは認識せざるを得ないわけでございまして、これからもできるだけのことはしていかなければならない、こういうふうに思います。
○渡部(一)委員 私は、この問題についてもう少しこの次にお話をしようと思います。そのときまでにもう少しいい答弁ができるように御研究をいただきたい。私が外務大臣でございましたら、世界各地にちらばっている大使たちに、難民の状況に対して取り組むべき日本政府のやり方について、彼らに意見具申をせしめ、難民問題に対する大使・公館長会議を開催することによって世界の注目を集めつつ、日本政府はその意見を取りまとめて提案するぐらいのお芝居はできるのではないか、仕掛けはできるのではないかと私は思います。また特使を派遣してこれらの諸国を歴訪せしめ、その生のひどさというものを、おのおののところだけではわからないひどさというものを日本政府の口を通して国連へ持ち込むということも十分できるのではないかと思います。また、日本政府のある部分の資金というものを基金として提供することによって世界の先進諸国にもその基金の拠出を求めて、今までの難民救済機関のさまざまな活動に加えて、こうしたものについて基金的な援助もまた考慮されるのではないかと思います。こうしたアイデアは無数にある。そして、それは気がつかぬわけではない。ただ、そのおのおのが今まで小さい次元ではいろいろなところで行われておる。そうすると、それでとんざしてしまうという形になっているだけだと思うのです。アイデアは多い方がいいし、資金も多い方がいい。だけれども、それを言い続ける政府があるということが今世界で一番求められている。このところを十分お考えをいただきたいなと私は思っているわけでありまして、次回にまたこの続きをさしていただこうと思っております。
 さて、核兵器の話にもう一回戻りますが、日本政府としては、包括的核実験禁止条約について国連において随分御努力をされておられると承っております。また、先制核不使用条約についていろいろな努力もされていると承っておりますが、これは両方ともでき上がらない。非常に残念なことに思っているわけであります。実情について御説明をいただけないかと思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 最初の、軍縮の中で日本が一番最優先に考えており、努力しておりますのは核軍縮でございまして、核軍縮をそれじゃどうやって進めていこうかということの第一の手段としまして、核実験の全面停止、これにとにかくまず第一に取り組むべきではないかということで、日本も従来からこれをやってきたわけでございます。ところが、この核実験の全面禁止につきましては、検証問題というのが非常に大きなネックになっておりまして、そこでもってまだその検証問題が解決というか合意に至らないばかりに、この核実験全面禁止の条約というものがまだ実現していないわけでございますけれども、日本としましては、やはり何とかこの検証問題を関係国に受け入れられるような形で解決したいということで、気象庁の地震専門家の方々にも審議に御参加を願って取り組んでおります。核実験全面禁止につきましては、今後とも日本としましては最大限の努力を払ってまいりたい、こういうように思っております。
 それから、先生御指摘の第二番目の、核の先制使用の禁止につきましては、日本としましても、殊に唯一の被爆国であり、非核三原則を堅持する日本としましては、核の惨禍を二度と繰り返してはならないということは心からの念願であり、かつ、あらゆる手段を尽くしてそれに努力していくべきであるわけでございますけれども、しかしながら、核兵器の第一使用の禁止問題につきましては、現在、世の中というのは、先生御承知のとおり、核兵器と通常兵器の総和のバランスによって平和と安全が維持されておるという厳しい国際情勢にかんがみまして、核兵器の第一使用の禁止という形で核兵器の使用に制限を課すことは、むしろ国際情勢あるいは国際的な軍事バランスを不安定にし、国際平和にとっては必ずしも好ましくないのではないか、こういうような立場をとっているわけでございます。むしろ問題は、核軍縮の目的に沿って一歩ずつ具体的な実効ある措置をとっていくことが必要かと思うわけで、したがいまして、核実験の全面禁止というのは、核軍縮実現への私どもの非常に大きな柱と考えておるわけでございますし、核兵器を持つ国がこれ以上ふえてはいかぬというNPT体制の強化、これを二つ目の柱というか、順序は不同でございますけれども、もう一つの柱というふうに考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 今の御答弁を承っただけでも、現在の核交渉の難しさというのが如実に出ていると思います。それは実際に検証しなければいけない、後で調べられるようにしておかなければいけない、そうしないと、いい格好だけを言う国に名をなさしめる、そして危険をかぶらなければならぬという意味で、西欧諸国が特に検証問題を強力に主張され、日本政府もまたその立場にあられるということは今御答弁のとおりだったろうと思います。
 しかしながら、こういう言い方をいたしますと、例えば先制不使用の問題について、核兵器を先に使わないぞ、第一次的に使用しないぞということを両方で約束した場合に、ソビエト側は検証しないのでそれをいつでもこちらに対して撃ち込んでくる、こちら側は厳格に守ってしまう、そうすると恐ろしいという面と、それから核兵器だけでなくて、核兵器と通常兵器と両方足し合わせてバランスがとれているのに、そのバランスをさらに大きく崩すことになるぞという二点で、そう簡単には賛成できないというふうに言われているのはわかるわけであります。しかし、そういたしますと、永遠に核兵器の問題はこれ以上一歩も前進なく、実際的には何一つ前進ができないのではないかという危惧の念を抑えることができないわけであります。
 したがって、こうした立場を堅持していくということについて、最近の世界の平和を求める、特にNGOの方々はこの立場を見直すことを求めているのではないか、多くの議論が輩出するところを見てもそれを感じるのであります。したがって、お互い同士いい格好だけを言う、検証問題で衝突して何もしない、悪いのは相手だということをお互いにどなり合うだけで国際会議が終わっていくのでは、核兵器はいつまでたってもなくならない、だんだんふえていく、そして軍備がふえていくというのは先ほど申し上げたとおりであります。
 そこで、私の提案でありますが、毒ガス兵器の禁止に関しまして、過去にジュネーブの議定書がございますが、この毒ガス兵器を禁止する際においては検証措置というのはとられていないわけであります。そして、お互い同士毒ガスはやめましょうやと言っただけでありまして、これはむしろ宣言と言うべきものでございましょう。しかしながら、この宣言と言うべきものの効果によって、その後毒ガスを用いてするところの全面戦争は国際的に避けられ続けてきた。小さい例は幾つかあった。ベトナムにおいてもそれがあり、今度のイラン・イラク戦争においても、毒ガスを使ったものはあったけれども、ともかく毒ガスを使うのは人道にもとる行為であるだけでなくて国際協定に違反しているぞというブレーキがかかっておる。ところが、核兵器と生物兵器についてはそれすらないという状況であります。したがって、この例を私は考えておりますと、先制不使用についても、協定でなく両者の宣言あるいは誓約というような形でまず先進大国が合意されるというやり方で、核兵器を先に使うということは犯罪行為である、人類の名において、国際協定の名において、国連の名においてそうしたことをまず鮮明にされる、その立場をはっきりすることが大事ではないかと思いますが、いかがでございますか。
○小和田政府委員 一九二五年の毒ガス禁止に関するジュネーブ議定書についての渡部委員が御指摘になった点は、そのとおりでございます。ただ、委員もちろん御承知のとおりに、毒ガス禁止に関しましては、例えばアメリカは、この議定書に加入するに当たりまして、先方の違法行為に対する対抗措置としての毒ガスの使用の権利というものは留保しておりますし、考え方としては、そういう権利は一般国際法上認められる、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、今、核兵器の場合についてこれを考えますと、核兵器について、相手が禁止の条約に違反をして使った場合に、こちらがそれに対して対抗して使うという権利を留保するということが、安全保障上どういう意味を持つかという問題があるわけでございまして、毒ガスの場合にもその危険性というのは非常に大きいわけでございますけれども、少なくとも戦争の帰趨を決定したりあるいは一方の民族が絶滅に瀕するというような事態は出てこないわけでございますが、核兵器に関しましてはそういうことが一つ問題になってくる。
 したがって、先ほど委員も御指摘になりましたように、それぞれの国家の政治的な意思あるいは信頼関係というものがどこまであるかということの国際政治との絡み合いにおきまして、この条約で一方的に禁止をして、それに対する検証の手段を置かないような、そういう意味で実効性を欠くような条約を結ぶということが、安全保障とのかかわり合いにおいてどの程度の意味を持つのかというその程度の問題ということが、毒ガスと核兵器とを比較した場合においてかなり問題になってくるという面がございます。したがいまして、御趣旨としてはおっしゃることはよくわかるわけでございますけれども、核兵器の使用禁止というような問題については、その手順、手だて、実効性という問題が持っている意味というものが、この約束そのものの法律的、政治的な意味合いというものに持っている意味、その重さというものが非常に大きいという点を御理解いただきたいと考えます。
○渡部(一)委員 私は、核兵器完全不使用を述べているのではありません。私が申し上げているのは、最初に第一撃をやることについてお互いの手を引こうという国家意思を表明することであります。そして、それについてどこかの国が留保をつけることは、私は論じておりません。それを論じる必要はないと思います。
 ただ、今国家関係において、核兵器を先に使うということについて、それは非人道行為であると決めつける国際的なものが何もないということです。抽象的には国連憲章もあります、何もありますけれども、決めつけるものがない。だから、極めて薄い壁かもしれません、そしてある意味で整合性を欠いている点があるかもしれませんけれども、毒ガス禁止のジュネーブ協定が果たした役割を想起するときに、私は今のような大胆な提案が日本政府からあってもいいのではないか、それは考慮に値するものではないか、そして、それはタイミングを見なければなりませんけれども、タイミングもまた考慮のうちに入れるべきではないかと申し上げているのですが、いかがでございますか。
○遠藤説明員 先生の今の御質問にお答えします前に、化学兵器について一言つけ加えさせていただきたいと思うのでございます。
 確かに、一九二五年のジュネーブ議定書によって使用は禁止されたわけでございます。ところが、その後の状況、殊に最近の状況等、かつ化学兵器生産技術の発展ということを踏まえまして、どうもこれだけでは不十分である、やはり検証を伴った、かつ、その生産過程から使用過程まで全体を含めた化学兵器の禁止、これは、検証を伴った化学兵器の禁止ということがジュネーブの軍縮会議では非常に大きな問題になってまいりまして、今ソ連側も、まだいま一歩でございますけれども、廃棄のところまでは検証はある程度受け入れてもいいというところまで来ておるわけでございます。いずれにしましても、化学兵器の問題もやはり、最近の状況から見ますと検証というものが非常に大きな問題になっておるということを一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、第二番目の宣言でございますけれども、私はやはり何よりも実態面での核兵器の削減に向かって、あるいはその前段階の実験それから削減ということに向かっての交渉が行われるべきではないかということを強く考えまして、したがいまして、さっき申し上げましたような核兵器の実験の全面禁止であるとか、あるいは今米ソ間で行われておりますSALT、INFの交渉、こういったことによって、確かに一歩ではございますけれども、実効ある措置を積み重ねていくことがやはり究極の目標に到達する最も現実的な方法ではないか、こういうふうに思っております。
○渡部(一)委員 今の答弁は、私は余りよろしくないと思う。それは我が外交の選択肢を一つ切り落としてしまうからであります。私はジュネーブ協定のことを引用いたしましたが、ジュネーブ協定は不十分でありながらも毒ガスを抑制する効果を持ち続けて今日に至っているというプラス面を私は述べた。あなたは反対に理解されて今言われたと思います。私は、核兵器の使用に関して効果的な協定のない段階において、それを抑制するために先制不使用を各国がともかく宣言するという行き方をとるということ、それを我が国政府が提案するということは、日本外交の平和的姿勢を明らかにする上においてプラスではないかと述べたわけであります。毒ガスについて私は専門家であります。原料について講釈される必要はありません。DDTからも毒ガスはできる、フマキラーのたぐいからもできるのです。そこまで厳格に議論したい気持ちはわかりますが、それはむだな議論と言うべきでありましょう。
 私は、そうした面ではなくて、今回どうしてもしなければならないのは、世界の国々の中に核兵器に関して何一つ効果的な協定ができないで検証問題で暗礁に乗り上げているとき、その暗礁を乗り越し、相互不信の壁を破るため、日本政府、日本外交は考えるべき余地があるのではないかと申し上げているわけでありまして、この点、大臣にお答えをいただければ幸いであります。
○安倍国務大臣 なかなか重要な御提案でありまして、核兵器を絶滅する、核軍縮を実行して世界の平和を実現していくというのは日本の理想とするところであります。それなりにあらゆる努力を国連あるいはその他の舞台で行っておるわけでございます。
 そういう中で、今の核兵器の先制不使用、そういう条約が実効的に行われて、具体的に締結される、あるいはまた各国で、特に核を持っておる国々の間でまじめに論議をされる、こういうことになれば、日本の趣旨、日本の理想というものに従った一つのあり方かもしれませんけれども、しかし私は、今の世界の現実の状況は、日本がそういうものを提案してそれがまじめに論議される事態になるかどうかということに対しては、多少の疑問を抱かざるを得ないわけでございます。今の世界の状況から見ますと、何といいましでも米ソが核についての軍縮交渉を行っておるわけで、この米ソのINFとかSTARTとかそういう核軍縮が既にテーブルにのっておるわけですから、これが再開をされて、動いて、そして具体的に、米ソを中心としまして核兵器の保有が全体的にレベルダウンしていくという方向へ進んでいくこと、最終的には核の絶滅というところに持っていくことが今の現実社会の中においては妥当性があるのじゃないだろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。
 しかし、我々は核の問題についてはあくまでも一つの理想を持ち、その理想に向かって邁進をしていかなければなりませんので、その方向に向かって日本も努力していくわけでございますから、そういう中での一つの提案として、今後の課題として研究はさせていただきたい、こういうふうに思います。
○渡部(一)委員 質問時間がいっぱいになりましたので質問を閉じざるを得ないのでありますが、大臣、私が今言ったことは、私が考えて考えて考え尽くしたあげく、我が国としてできることを提案したのです。これは、我が国政府が今後この問題でリーダーシップをとる、ほとんど唯一とも言っていい、ほんの数点の提案の一つになるでしょう。私はそれを予言しておきます。十分御研究をいただいて、よいタイミングで言われることが必要だと思う。
 私は米ソが、首脳が協議をするなと言っているのではないのです。今誤解をして言われたようですけれども、私はそんな議論をしているのじゃないですよ。あなたはさっき休んでおられたから、私はわざわざ大声を出さないで言ったんだけれども、米ソ両国がINF交渉、START交渉等を一斉に始められることは望ましいことです。それはやらなければいけない。我が国もそれを進めるように両国に要請しなければならない。私はそれは要請すべきだと思っている立場です。しかし、それにはきょうは言及しておりませんでした。それだけの話です。
 ただ、この行き詰まっている交渉を突破する提案を、我が国のような特殊な、平和的な立場の政府は言い続けなければならない、その幾つかの選択肢の一つとしてきょう私は申し上げたわけでありまして、これは今後とも十分御考慮をいただいて、日本の平和外交の姿勢を示していただきたい。膠着状態のこういうときにこそ世界の平和の機運というものはできもするし、壊れもするという重要な状況のときにあるからです。
 私の質問はこれで終わりますが、前回宇宙三条約のときの御討議の中で、答弁されましたお役所の方から、事情が変わったそうで、答弁の一部を変える形でお話があるそうですから、それを承りたいと思います。
 また、先ほどのソビエトの原子力潜水艦の件についてもお調べが行き届いたようでありますから、両方承りまして、私のきょうの質問の終わりとさせていただきます。
○遠藤説明員 昨年の今ぐらいだったと思いますけれども、宇宙三条約の御審議を本委員会でお願いしましたときに、渡部委員から、国内法を何も作成しなくていいのか、こういうふうな御質問があったわけでございますが、それに対しまして、その当時私どもから答弁申し上げましたのは、現在の時点――現在の時点というのは去年の時点でございますけれども、去年の時点においては、日本で人工衛星を打ち上げておるのは文部省管轄下の宇宙科学研究所と、それから宇宙開発事業団、両方とも政府ないし準政府機関でございます。したがいまして、特に新しい国内体制をとる必要は今のところはない、こういうふうな答弁を申し上げたわけでございます。しかしながら、最近の動きを見ておりますと、先生御指摘のように、民間企業が人工衛星を打ち上げるというような話もちらほら新聞等々に出ておるわけでございます。
 それで、その問題につきまして、私は二つに分けて御説明申し上げたいと思うわけでございますが、一つは実態面、もう一つは法律面でございます。
 実態面としましては、仮に将来の問題としまして、日本の民間企業が人工衛星を打ち上げる場合というのは、二つの方法が考えられるのではないかと私は思います。一つは日本にあります発射機関に打ち上げを委託するか、あるいは第三国の発射機関に打ち上げを委託するか、このいずれかの方法ではないかと思うわけでございます。
 次に、法律面に入るわけでございますけれども、まず関係する法律といたしましては宇宙条約と、それから去年御審議いただきました、特に損害賠償条約の二つがあろうかと思います。
 これは、条約を申し上げて恐縮ですけれども、宇宙条約の第六条に「非政府団体の活動」、これは民間も入ると思いますが、「非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。」こういうふうな条項がございます。それを受けましたというか、宇宙三条約の方では、先生御承知のとおり第二条に、もしその宇宙物体が損害を与えた場合には、打ち上げ国は無過失責任を負うということがございます。それでは、打ち上げ国とは何かというのがこの条約の第一条にございますけれども、そういう宇宙損害賠償条約の第一条、第二条それから宇宙条約の第六条、そういったことを片っ方におきましてこの新しい事態とこの条約体制との間をどういうふうに整合をつけていくかということを、こういうふうな新しい事態も予見されてまいりましたので、現在事務当局間で詰めに入っておりますので、この詰めに若干時間がかかると思いますけれども、そういうふうなことで本件に取り組んでおりますので、いましばらく時間をおかしいただきたいと思います。
○渡部(一)委員 終わります。
○中島委員長 次に岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 私も戦争と平和の問題に関して主としてトマホーク配備の問題を中心に質問したいと思います。
 先週の本委員会で私の方から安倍外務大臣に、アメリカのテレビ映画の「ザ・デイ・アフター」について関心をお持ちいただきたいということを申し上げました。これは御承知のようにアメリカのカンザスシティーが米ソ戦争の中で壊滅するというドラマなのですが、昨年の十一月にアメリカ一億人の人々がくぎづけになって空前のショックを与えたというものでございます。この間も申しましたように、その教訓というのはその翌日では遅過ぎるということだと思うのです。今も質問がございましたが、私も今日の核戦争の危険について真剣に国民の立場からどうすればこれを阻止することができるのか、そのことを聞いていきたいというふうに考えています。
 それで、まず全般的なことから聞きますけれども、核の抑止力によって核戦争が防止されているというふうに御答弁なすっていますけれども、本当に核の抑止力さえあるならば核戦争は、現在その可能性としてあるのは米ソの全面核戦争やあるいは限定核戦争だと思いますけれども、それがないと信じられているのか、あるいは科学者の国際雑誌にも世界運命の日の時計が四分から一分進んで三分になったというふうにその表紙に載っていますけれども、そのような世界の人々の核戦争の不安、危険を共有される立場にあるのか、その件について大臣の見識をお聞きしたいと思うのです。
○安倍国務大臣 第二次大戦が終わりまして世界は国連というものをつくったわけで、これは理想に燃えて永久に戦争を否定して平和を実現していこうということで国連が生まれたと思うわけでございますが、残念ながら世界の現実の姿は国連の理想とは違いまして、国家間の対立、紛争というのが戦後の社会の中で絶えないわけでございます。そういう中でいわゆる米ソを中心にしまして核保有というものが拡大をしていったということであります。そうした厳しい現実でとにかくも平和が保たれてきているというのは、私は核の抑止力そしていわゆる通常兵力も含めた核兵力の均衡、そういうものが残念ながら今日までの世界の平和を保ってきた、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。そういうふうに認識をしております。
○岡崎委員 したがって、核戦争の危険、不安を感じられているのかどうか、端的にお伺いしたいのです。
○安倍国務大臣 常に人類は、私も含めて核戦争の危機は感じておると思います。
○岡崎委員 では、具体的事実について漸次聞いてまいります。
 一つは、トマホークの配備に関してですが、現在アメリカ太平洋艦隊に配備されているトマホークはニュージャージーだけ、これは非核だと認識しておりますが、それでよろしゅうございますね。
○北村政府委員 トマホークというミサイルは核、非核両様のミサイルでございまして、現在私どもが承知いたしておりますところでは、トマホークの運用能力が達成されたあるいは達成される時期といたしまして、まず対艦攻撃用のトマホーク、これは通常弾頭のトマホークでございますが、これは戦艦ニュージャージーを含めまして、攻撃型潜水艦あるいはその他の水上艦艇に大体去年からことしの初めにかけて運用能力が達成されておる、こういうふうに承知しております。
 それから、対地攻撃用のトマホークがございます。これは二つに分かれまして、一つは通常弾頭の対地攻撃用であり、他は核弾頭を持った対地攻撃用のミサイルでございます。通常弾頭の対地攻撃用のミサイルは、戦艦ニュージャージーについては去年の三月ごろに運用能力が達成されており、その他については大分おくれまして八六年の後半になるだろうというような情報を得ております。それから、最後の核弾頭の対地攻撃用のミサイル、これはことしの六月ごろということに承知いたしております。
○岡崎委員 わかりました。今おっしゃいましたように、ことしの六月ぐらいから核弾頭つきの対地攻撃型ミサイルが太平洋艦隊に配備されるということなんですが、これの計画はどういうふうになっているでしょうか。今外務省において認識されているような状況について御報告願いたいと思います。配備計画です。
○北村政府委員 配備計画として私どもが承知しておりますのは、まずトマホークが配備されることが予定されておる艦艇として、アメリカは御承知のように核の所在は明らかにしないというのが一般の政策でございますし、それからまた具体的にどの艦にトマホークが配備されるかということは通常明らかにしておりません。ニュージャージーの場合は特別でございます。
 そこで、私どもが承知しておりますのは、いわゆる艦級と申しますクラスの名前でございますが、例えばアイオワ級の戦艦、それからスタージョン及びロサンゼルス級の攻撃型潜水艦、これはいずれも原子力推進でございます。それから、タイコンデロガ級の巡洋艦、それからスプルーアンスとバーク級の駆逐艦、それからロングビーチ、バージニア、カリフォルニア級の巡洋艦、これはいずれも原子力推進でございます。
○岡崎委員 そういうように、大体何隻ぐらい、そして何基ぐらいをいつまでに積む計画なのか、そのことについてお聞きしているのです。
○北村政府委員 私どもの方としましては、先ほど申し上げましたクラスの艦船の中の具体的にどの艦船に、あるいは何隻の艦船にトマホークを配備するということは承知いたしておりません。また、アメリカはそういうことは明らかにしておりません。
○岡崎委員 外務省の方は詳細つかまれてないということでしよう。
 それで、対地の非核トマホーク、これは現在ニュージャージーに積んでいる以外には今後八四年度までは搭載されないというふうに見てよろしゅうございますね。
○北村政府委員 先ほど御説明いたしましたように、ニュージャージーには去年の三月に運用能力がつけられたというふうに聞いておりますが、その他の艦船に対するものは八六年の後半になるということを今聞いております。
○岡崎委員 これは去年の四月五日のアメリカの下院軍事委員会の文書なんですが、対地通常攻撃型のトマホークの調達というのは八四年度まではゼロ、そして対地核攻撃型が、八二年度は四、八三年度が二十八、八四年度が百十二となっているわけなんですね。そうしますと、六月に配備されるトマホークというのはすべて核トマホークだというふうに認識できると思いますけれども、これは間違いございませんね。
○北村政府委員 先ほども申し上げましたように、対地用の核弾頭のものはことしの六月からということでございますが、通常弾頭の対地用のものはニュージャージーには去年の三月から配備されているということでございます。
○岡崎委員 そのことは先ほど聞いたとおりなんです。私聞いているのは、六月から配備される対地用のトマホークはこれは核だけですねということを念を押しているのです。
○北村政府委員 六月から配備される核弾頭つきのトマホークということを我々は聞いておりますから、六月以降、例えば対地用のミサイルというものがあるとしますと、それはやはり通常弾頭とそれから核弾頭の両方があるということでございます。ニュージャージーの場合には通常弾頭のものも入っておるわけでございます。
○岡崎委員 遠回しに言われましたけれども、要するに六月以降は核つきのトマホークだというふうに認識していいと思います。
 そういたしますと、そこから問題になることは、この核トマホークは、射程距離二千五百キロ、水爆弾頭は広島型の二十発の威力を持っている非常に精巧な無人ジェット機と言われるものなのですが、これが配備されるということはアメリカの核戦略にとっても画期的なものだということは数多くの専門家やアメリカの高官の発言、証言にも載っているわけなんです。
 これまでアメリカの太平洋艦隊で直接ソ連の領土を攻撃できる能力を持っているのは空母だけだったと思いますが、これからは、二千五百キロも飛ぶわけですから、これが搭載されるすべての艦船がソ連領に攻撃できる能力を持つことになるわけなんですね。そうしますと、極東周辺のソ連基地がトマホークの攻撃にさらされる。これについてソ連はどのように受け取っているのか、またどのように対応しようとしているのか、御答弁願います。
○北村政府委員 私の直接の担当ではございませんけれども、ソ連はこの極東地域において一貫して軍事力を増強してきておるわけでございます。でれば委員よく御承知のように、SS20のほかバックファイアも近年顕著に増強されておりますし、また太平洋艦隊は二十年以上にわたって増強を続けておりまして、現在では百六十二万トン、八百二十隻という大きな規模になっております。また、全作戦航空機の数も二千百機という数でございます。これに比べまして西太平洋地域におけるアメリカの兵力というのは大体一九七四年、ベトナム戦争終結の当時以降大幅な変動はないわけでございます。空母を含む艦艇約六十五隻、作戦機約六百二十機、こういうことで、先ほど申し上げましたソ連との対比においては数において非常に劣っておるわけでございます。そういうことで、私どもとしましては、ソ連の一貫した軍事力の増強というものに対して軍事バランスというものを回復するためにアメリカはいろいろ努力をしておるわけで、その努力の一環として今回のトマホークの海上配置というものもあるのではないかというふうに考えております。
○岡崎委員 アメリカがそう認識していることはいいのです、そういうことはもうよく聞いていますから。ソ連がどう認識しているかということなんですよ。そしてどう対応しようとしておるのか。つまり相手はソ連なので、そのことをどう理解されておるのか、それが聞きたいのです。
○安倍国務大臣 ソ連がどう認識しているかはソ連の問題ですから、私は判断がつきません。
○岡崎委員 日本の外交を預かっているところですから……。トマホークを配備しようとするならば、それはこれまでと違って直接ソ連領を攻撃できる能力を持っているわけなんです。この前の当委員会でも安倍大臣はSS20は大変増強されていることをお話しになったでしょう。そういうものはやはりそれに対抗しようとしてやっているわけなんで、どうなっているのか知らぬというのではちょっと無責任だと思うのですよ。この問題についてはソ連は非常に重視して扱っていることは言うまでもないと思うのですね。我々もソ連のSS20の極東配備というものについて反対であることはしばしば表明しているとおりでございますけれども、しかし、このように日本の周辺にアメリカやソ連の戦域核戦力がどんどん増強される、軍事緊張が強まってくる、これは非常に憂慮すべき事態だというふうに考えるのです。
 同時に、私心配するのは、必ずしも極東地域の紛争からのみ核戦争が起こるのではなくて、例えばアメリカの国防報告、一九八一年会計年度のものですが、これを見ましても、こう書いてあります。「例えば、欧州において大規模な戦争が勃発した場合、」これは欧州なんですよ、「私はまた、我々とわが同盟国は必要な地中海の制海を確保し及び」、これからが関係するのですが、「オホーツク海と日本海から太平洋への主要な出口を封鎖できると信じている。」つまり三海峡封鎖を日本がやってくれると信じているということなんですね。同じようなことはソ連の方もチェルネンコ書記長が中央委員会で報告しています。「INFを含め核戦力の問題は諸国民の死活的利益にかかわる問題であり、欧州で核戦力の衝突が起きれば紛争を欧州だけに限定することはできない。」これを見ましても、これは米ソとも、例えば欧州や中東で問題が起こった場合は、アメリカの方は同時多発戦略と言っていますけれども、極東においてもやはり紛争が起こるんだ、こういう戦略と態度をとっているわけなんですね。
 そうしますと、このトマホークが対地ソ連攻撃能力を持って、しかも広島型原爆の二十倍の威力を持ったトマホーク積載艦船が日本周辺にうようよしているとなりますと、ソ連のSS20などがそれに対して攻撃をする、アメリカのトマホーク積載艦船がそのような核攻撃の目標になることはないのか、この辺をお尋ねしたいと思うのです。
○北村政府委員 先ほどからの委員の御指摘を伺っておりまして、アメリカがトマホークを配備するからソ連はそれに対してまたいろいろ対抗措置をとっていく、こういうような御趣旨にうかがわれるところがございましたが、私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、ここ十年間をとりましてもソ連の軍備増強というものは一貫して非常に急激なものがある、それに対してアメリカの場合はそれほど増強されていない、これが現実でございます。したがいまして、アメリカが今回とりましたトマホークの配備という計画、これもやはり軍事バランスを回復するための措置であって、むしろ因果関係はソ連の方にあるというふうに我々は考えておるわけでございます。
 それを一つ申し上げまして、ソ連がトマホークを積載する艦船に対してそれに対する作戦上のことをいろいろ考えておることは、これはお互い当然であろうと思いますけれども、私はソ連がどういうふうなことをやっておるかについてはつまびらかにいたしておりません。
○岡崎委員 因果関係論につきましては、これはまた別途の問題ですので、これはおきましょう。ただ、今言われましたように、ソ連を攻撃する能力を持っているトマホークが太平洋艦隊に配備された場合、今北村さんも認められたように、それはソ連の方もこれに対して攻撃の目標にすることはあり得るという点ですね。これはよろしゅうございますね。これは大事な点なんです。
○北村政府委員 私は、これは全く軍事作戦的な仮定の問題として、当然お互いは自分の方を守るということから相手方に対する用意を万端整えるということで申し上げたわけでございますが、基本的には私は、抑止というものが大事であろうと思います。このトマホークの配備というものも、やはりその軍事バランスを維持することによって抑止を万全にしようということからきておるわけで、抑止が破れた場合のことよりも、むしろ私どもは抑止を維持するための措置ということが大事であろうと考えております。
○岡崎委員 抑止に対する議論は後にしましょう。しかしいずれにせよ、作戦的にはこういう対ソ攻撃能力を持った核トマホーク積載艦に対して作戦的にはソ連が攻撃目標にすることはあり得るということを今言われましたが、そうしますと、そうしたアメリカのトマホーク積載艦が日本に寄港した場合でも、これは当然ソ連の認識としては、それは核を搭載していると言うのでしょうから、政府の方は、非核三原則を守れているので、ないとおっしゃっても、それを信用している国民は少ないし、まして対象国であるソ連としてみては、日本に寄港している核トマホーク積載の艦船について攻撃を加えることは当然論理上あり得ると思いますね。それはよろしゅうございますね。
○北村政府委員 まず、トマホークというのは、先ほどからも申し上げておりますように、核、非核両様のミサイルでございまして、トマホークの運用能力を持ったアメリカの艦船が日本に寄港いたす場合、これは私どもとしては、当然非核のトマホークを持っておるものであるということで、核のトマホークを積載しておる場合には、これは事前協議の対象であり、私どもはその持ち込みに対して必ずノーと言う、こういうことでございます。
 そこで、日本に寄港するアメリカの艦船に核がないということは、これは私どもとしては当然のことであると考えておりますけれども、核を積載しておるアメリカの艦船が太平洋におるということ、これは日本の領海以外の場所でございますけれども、それはやはり先ほどからも申し上げておりますように、この極東方面における抑止をできるだけ強めるということであると私どもは考えております。申すまでもなく抑止というのは、攻撃をすれば耐えがたい反応を受けるということでございますから、そういうトマホークがあるということはやはり一つの抑止として今以上に日本に対する安全が高まるのであろうというふうに考えております。
○岡崎委員 抑止力論につきましては後でゆっくりやります。ただ、言われましたように、日本周辺で核トマホーク積載のアメリカの艦船は、作戦的にはソ連の報復攻撃目標になるということはお認めになったとおりでございますが、入港した場合は、これは非核三原則を前提にしているのだから核は積んでいないのだからとおっしゃっても、相手がどう思うかということなんですよ。日本国民でも、非核三原則を守れていると思っているのは、これは世論調査を見ましてもごく少数で、NHKの八二年十二月の世論調査でも、毎日新聞のことしの一月四日の世論調査でも、核持ち込みが行われているというのが七九%、六五%に達しているのであります。日本の国民自身でさえもそう思っているのです。まして、相手のソ連が、核が持ち込まれていると思うのはやむを得ないことでありまして、周辺では核攻撃の目標になるものが、日本に寄港しているときは核攻撃の目標にならないということはないと思うのです。その危険性を私たちは言っているわけなのです。
 しかも、時間がありませんから続けて言いますと、ジェーン年鑑によりますと、核トマホーク搭載予定の原子力潜水艦、これも時間がありませんから私の方で言いましょう。ロサンゼルス級、これはすべて核搭載になるわけですが、八二年に二回、十九日間。八三年には五回、三十六日間。スタージョン級、これも核搭載可能艦だけですが、八二年に八回、四十九日間。八三年に八回、六十三日間入っているわけですね。これは原子力潜水艦だけに限定しましても、八三年におきまして十三回、九十九日間、百日近く寄港しているわけなのです。しかも増加しているわけですね。こういう、一年のうちの約三分の一に近い期間、核トマホークの積載予定原子力潜水艦が入っているし、その他の艦船も日本に寄港してくる。そういうときに万一、例えばヨーロッパや中東その他で紛争が起こった場合、当然作戦的に攻撃目標になるということは、これは論理的に見ましても事実から見ても否定できないと思うのです。その危険性をお認めになりませんか。
○北村政府委員 先ほど来委員がおっしゃっておられますのは、あくまでもその抑止が破れた場合、その場合にソ連がアメリカの艦船を対象として攻撃をしかけてくるのではないか、こういう御議論であると私、承知いたしましたけれども、抑止が破れた場合のことよりも、むしろ抑止を破らせないためにいろいろアメリカの方が努力をしておる、そこを私どもは重要だと考えておるわけでございまして、これは抑止のバランスが崩れましたら抑止が崩れるわけでございます。そのときには確かに大きな危険があると思います。したがいまして、抑止のバランスが崩れないようにやはり努力をしていくということが大切なんであろうと思います。
○岡崎委員 抑止のバランスというのが戦争防止になるかどうかにつきましては、これはまた議論しましょう。しかし、少なくとも今お認めになったのは、大きな危険になるということは、日本に寄港中の核トマホーク搭載艦が攻撃目標になるということをお認めになったというふうに理解してよろしゅうございますね。その核抑止を守ろうとなさるのはいいですよ。崩れたような場合でもいいです。その場合、周辺では作戦的には受けるとお認めになったのですが、日本寄港中の核トマホーク積載艦、これは攻撃目標になる、そう考えてよろしゅうございますね。
○北村政府委員 日本に寄港いたします米艦船には核は搭載しておりませんので、そういうことで寄港中の核搭載艦ということはないわけでございます。
○岡崎委員 時間がないのは残念ですけれども、論理が矛盾していますよ。相手がどう思うかなんですからね。これはまだこの次にやりましょう。少なくとも周辺にいるトマホーク搭載艦については、作戦的には攻撃目標になり得るということはお認めになったわけで、この後に論理を発展させたいと思うのです。残念です。時間がありません。これで終わります。
○中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十九分散会