第101回国会 大蔵委員会 第34号
昭和五十九年七月十三日(金曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
  委員長 瓦   力君
   理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君
   理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君
   理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君
   理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君
      大島 理森君    熊谷  弘君
      小泉純一郎君    椎名 素夫君
      塩島  大君    田中 秀征君
      中川 昭一君    東   力君
      平泉  渉君    平沼 赳夫君
      藤井 勝志君    松永  光君
      宮下 創平君    村上 茂利君
      山岡 謙蔵君    与謝野 馨君
      上田 卓三君    沢田  広君
      渋沢 利久君    戸田 菊雄君
      広瀬 秀吉君    藤田 高敏君
      堀  昌雄君    坂井 弘一君
      柴田  弘君    宮地 正介君
      森本 晃司君    矢追 秀彦君
      安倍 基雄君    玉置 一弥君
      正森 成二君    簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        厚 生 大 臣 渡部 恒三君
        郵 政 大 臣 奥田 敬和君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      大出 峻郎君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        外務省経済局次
        長       恩田  宗君
        大蔵政務次官  堀之内久男君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       小野 博義君
        大蔵大臣官房審
        議官      山崎 高司君
        大蔵省主計局次
        長       平澤 貞昭君
        大蔵省主税局長 梅澤 節男君
        大蔵省関税局長 矢澤富太郎君
        国税庁直税部長 冨尾 一郎君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省教育助成
        局長      阿部 充夫君
        文部省体育局長 古村 澄一君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省児童家庭
        局長      小島 弘仲君
        中小企業庁長官 石井 賢吾君
        郵政省放送行政
        局長      徳田 修造君
 委員外の出席者
        国立がんセン
        ター研究所疫学
        部長      平山  雄君
        日本専売公社総
        裁       長岡  實君
        日本専売公社総
        務理事     岡島 和男君
        日本専売公社総
        務理事     西村 忠弘君
        日本専売公社総
        務理事     森  宗作君
        日本専売公社理
        事       生平 幸立君
        日本専売公社理
        事       遠藤  泰君
        日本専売公社理
        事       丹生 守夫君
        日本専売公社理
        事       友成  豊君
        日本専売公社企
        画開発本部研究
        開発部長    中山 道夫君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十三日
 辞任        補欠選任
  笹山 登生君    松永  光君
  川崎 寛治君    広瀬 秀吉君
  坂井 弘一君    森本 晃司君
同日
 辞任        補欠選任
  松永  光君    笹山 登生君
  広瀬 秀吉君    川崎 寛治君
  森本 晃司君    坂井 弘一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 たばこ事業法案(内閣提出第七四号)
 日本たばこ産業株式会社法案(内閣提出第七五
 号)
 塩専売法案(内閣提出第七六号)
 たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等
 に関する法律案(内閣提出第七七号)
 たばこ消費税法案(内閣提出第七八号)
    ―――――――――――――
○瓦委員長 これより会議を開きます。
 たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 昭和四十六年の二月八日、今から約十三年ぐらい前になりますけれども、この二月八日の予算委員会で、私は佐藤総理との間で、実はこのたばことがんの問題について論議をいたしました。私が、
  ちょっと総理にお伺いをいたしますけれども、あなたの前任者であった池田さんが在任中に病気になられてなくなられました。池田さんがなくなられたことは、何の病気でなくなられたと総理はお考えになっておりましょうか。
 ○佐藤内閣総理大臣 いまさら私が言うまでもなく、ガンだろうと思います。
 ○堀委員 私、この間、長く池田さんのそばにおられた登坂議員に、池田さんほどのくらいたばこを吸っておられましたかと聞きましたら、ずいぶん吸ってましたが、一日に五十本以上吸っておったでしょうね、こういう話でございました。
ということで、皆さんも御承知のように、池田さんは喉頭がんで実は亡くなられたわけであります。四十六年の二月八日のこの議論を通じて、実は現在たばこに表示がしてありますところの「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という表示がつけられることになったのであります。ですから、そういう意味では私は、この四十六年二月八日という日は、日本のたばことそういう健康の問題について、日本のたばこの史上には一つのスタートになったのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで、後で健康関係の問題は全部触れますけれども、きょうは、この問題は少し後の方に回しまして、最初に、今度の法案の基本的な問題のところを少し伺っておきたいと思うのであります。
 大蔵大臣に伺いますけれども、もう何回も答弁しておられますが、会議録を読む方に前後の関係からやはり認識をしていただくために、今度のこの法律改正というものの主たる原因といいますか、法律改正をやらなければならなくなった原因、そうしてその原因に対してどういう対応をしなければいかぬということで今度の法律の提案になったのか、ひとつ大蔵大臣からお答えをいただきたいと思います。あらましのことで結構です。
○竹下国務大臣 やはり今度法律改正をお願いしております背景は、一つは、我が国の経済的な国際的地位が高まるに従い、いわゆるある意味における外圧と申しましょうか、また我が方から言えば開放経済体制への即応とでも申しましょうか、そういうことからいたしまして、まずは輸入の自由化をした。しかし、我が国の国産葉たばこの現状等からいたしまして、やはり製造独占は認めた。そして新しい経営形態の中で開放経済に即応した競争力等を確保するための活力を得せしめるための環境を整備した、こういうことではなかろうかと思います。
○堀委員 今のお話で、私もそうだと思うのであります。
 そこで、実は竹下大蔵大臣、今度大蔵大臣として、先般は金融関係の自由化という問題でこれは大変な英断を持ってアメリカの要望にこたえられるという処理が行われ、たばこについても一九八五年の四月一日から輸入自由化ということになりまして、ずっと見ておりますと、大蔵省はそういうアメリカの要請に対しては大変協力的に処理を進められた、こういうふうに私は認識をしております。アメリカとの関係を正常な状態に置くことは、日本にとっては大変重要な問題でありますから、そういう点では私は、金融の自由化にしても今度のたばこの自由化にしてもこれは避けられない選択であった、こう認識をしておるのでありますが、そこでちょっと伺いたいのは、一体、それでは公社のままでは、今お話しになったこと――活力を拡大して対応できるような環境整備をするためにやったとおっしゃる。私は、ここが一番制度の問題に触れると思うのですが、公社のままではこの問題について対応が都合が悪いという点がなければ、変えることはないのじゃないか。ですから、変えるという以上は、これまでの公社のやり方ではうまくこれが対応できない、だからこういうふうにして対応できるように変えたというものがないと、私は、この法案を提出されたという基本的なところに明確さを欠くことになるのではないかという感じがしますので、ちょっとその点についてお答えをいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 やはり我が国たばこ産業が国際競争力を確保して、そうして健全な発展を遂げていくというための中心的役割とすれば、今のたばこ、いわゆる専売公社であるわけでございますけれども、この専売公社の合理的企業経営を最大限可能にしていく、私が先ほど、競争原理の中における環境の整備という表現をいたしましたが、そういうことからすれば、今の公社以上に活力が、労も使も、あるいはたばこ産業を取り巻く耕作者団体も小売店も含めて、お互いの合意の中において競争場裏の中で今後の経営活動を展開していくというためには、今の公社の中の、今日御審議いただいておるものよりもより不自由な面と申しましょうか、活力をいささかでもセーブするものを、可能な限りそれを抜いた自由闊達な活力を付与するという経営形態がより必要であるという考え方であります。
 一方、それは申すまでもなく、臨時行政調査会の答申等からいたしましても、これはただ専売公社のみならず、いわゆる特殊法人自体に対して民間活力を導入することが、大きな流れとしての存在意識としてもう一つそこにあったことも事実でございます。
○堀委員 実は、かつては特別会計だったのですね。私は、電電の問題で大蔵委員会における審議の中で歴史的な問題に触れてきたわけでありますけれども、それがなぜ電電公社という公社にしなければならなかったか。これは歴史的に見ると、二・一ストライキの問題が起きて、マッカーサー司令部としては現業職員に団体交渉権がないということはアメリカのいろいろな物の考え方から見て納得ができない、そこで政府の職員であっても現業労働者には団体交渉権を与えたい、与えるために公労法ができ、あわせて専売と国鉄が公社になった、こういうふうに私は歴史的な認識をしておるわけであります。少なくとも昭和三十年の補正予算までは恐らく、私はそのころはよくわかりませんが、団体交渉によって給与の問題というのは処理されてきたのだと思うのですが、そこから大蔵省が予算統制をかけることになって、本来当初構想されておった公社というものの考え方が実はまた特別会計に逆戻りしたというのが歴史的な経過ではなかったかという感じがしておるわけであります。
 もちろん長岡総裁も、大蔵省に長くいらっしゃいましたけれども、昭和三十年には大蔵省に入っていらしたのですよね。長岡総裁は、予算統制をかけたころにはお仕事は何をしていらっしゃいましたか。
○長岡説明員 昭和三十年は大蔵省主計局建設係の主査でございます。
○堀委員 そうすると、予算統制をかけるときには直接には御関係はなかったけれども、予算統制をかけた主計局のお一人であったということであります。
 要するに、そこで日本の公社や公共企業体の問題というのは大きく変わったと私は思うのです。どちらかというと、三公社とあとの現業との関係では、公社と現業というのは明らかに違いがありますから、その差をどこかに残すべきではなかったのかと私は振り返って思うのですが、一律の処理になってしまった、こういうことなんですね。今日ようやく、公社にしていろいろな弾力的な処理をしよう、させるべきだと考えた当時の考え方が今度この法律によって初めて実現する。大変回り道をしてきたなという感じがいたしてならないわけであります。
 そういう意味では、今いらっしゃる方には特に責任はありませんけれども、大蔵省が公社及び現業に対しての賃金統制をかけたということが今日大変大きなマイナスをもたらしてきておる。安易な横並び主義だ、これほど業種の違いがあるものを一つのルールで処理しようというのはどういうことだ、当委員会で随分何回も私はこの議論をしてきました。今度は民営でありますから、いわゆる公労法の枠内におけるところの拘束を受けることはなくなる。私は、そのことはたばこ事業にとっては将来を展望して大変いいことだな、こう思っております。
 そこまでにして、この自由化の問題に関連してちょっと私は申し上げておかなければいかぬことがあるというふうに思います。
 その一つは、アメリカが日本に対して自由化を要請をして、その結果なったことは大臣が今お話になったところですけれども、この五月十八日の朝日新聞の夕刊によりますと、「「喫煙は肺がんや心蔵病を引き起こす」といった、現在より厳しい四通りの警告をたばこのケースや広告に明示するよう義務づけた法案が十七日、米下院エネルギー委員会(ディンゲル委員長、民主)で全員一致で可決された。たばこの害をこれほどはっきり表示させる規制は世界初という。上下両院とも近く成立の見込みである。」こういうあれが出ているのですね。そこで、「その内容は、「喫煙は肺がん、心蔵病、肺気腫を引き起こす」「いま禁煙すれば健康に及ぼす重大な危険は大幅に減る」「妊婦の喫煙は胎児を傷つけたり未熟児出産をもたらす可能性がある」「たばこの煙には一酸化炭素が含まれている」というもので、いずれも公衆衛生局長の警告の形をとる。また警告が目立つように、文字はいまより五〇%大きくし、太線で囲むことも義務づけられる。」こういうふうになっているわけでありますね。
 アメリカでは議会で全会一致でたばこは健康によくないですよと決めておいて、しかし日本に対しては大いに自由に売らせるというのは、これはどうも道理の通らない話だなという感じがしますが、大臣、その点いかがですか。
○竹下国務大臣 これはアメリカのみならず私自身が毎度感ずることでありまして、私は堀先生のようなお医者さんでもございませんのでそう詳しいわけではございませんが、本院等でたばこの害について質問があるたびに、みずからが、一つは財政物資としての歳入の確保を図るという立場と、これが本当に害があるということ、一体自分はこの矛盾をどうそしゃくしていいものかという矛盾を感じながら答弁に立つのが私の偽らざる心境でございます。
 したがって、有害であるという断定のもとに、一方有害なるものを承知の上でこれの販路を広げていくということは、また企業責任者も企業責任者として私と同じような気持ちも持っているのじゃなかろうか。それは先般、輸出会社の認可でございましたか、しましたときにも、その輸出先というものをいろいろ予測してみますと、害があると言いつつも、吸い過ぎに注意しましょうという観念は維持しながら輸出に当たるといたしましても、私自身もその中に自分で消化し切れないものを感ずるように、経営者もそれぞれ人の子でございますから、同じような自己矛盾と申しますかそういうことを感じながらやっておられるのではないかな、そういう割り切れない感じが私自身に残っておる。だから相手がどうこうという意味は別といたしまして、私自身にも矛盾した心境が渦巻いておることは事実であります。
○堀委員 アメリカが日本に要請しているのは、もちろんそれはたばこの会社が議員か政府かを突き上げて、政府がそれを代弁して自由化を迫ってきた、こういうことだろうと思うのです。ですから私は、この点では大変論理が一致しないという気がしてなりません。
 それはそこまでにしまして、そこで、このアメリカのたばこがどんどんふえれば日本の生産量に影響するということもありますけれども、結果的にはたばこの消費量がトータルでふえるということになるのなら、私はアメリカの自由化ということは大変重要な問題をはらんでおるな、こういう感じがします。幸いに関税が日本も二〇%、アメリカも二〇%程度のようですから、自分のところの関税をそのままにして日本の関税を下げるという話は、これは筋が通らないからいいのですが、今度のたばこの問題で、今大臣もおっしゃいましたけれども、製造独占という問題ですね。この製造独占という問題は、欧州のいろいろな経過から見ると大変重要なそういう自由化に対する障壁だ、私はこう考えているわけですね。なぜかというと、ECのたばこの関税は域外には九〇%なんですね。しかし、実はどんどんECでアメリカのたばこが売れている。結果的にはどうも、域内にアメリカの会社が出てきてそこで製造しているものだから、九〇%の関税があってもこの関税が働いていないのじゃないかという気がいたします。
 ちょっと公社に聞きますけれども、ECに日本のたばこは輸出されていますか。
○森説明員 お答え申し上げます。
 私どもは、輸出につきましてはいろいろの国で行っておりますが、ECにつきましては、関税が九〇%で先生御指摘のとおり大変高いものでございますから、主としてライセンスという形でもって、イギリス系のBATという会社、それからレームツマ、ドイツでございます、それからオーストリー、そういったところで相互のたばこをお互いにつくり合って売るという形が主体として行われております。
○堀委員 まあ大した量ではないのでしょうが、ざっとでいいですけれども、大体どのくらい輸出されていますか。そうすると、輸出じゃないのですね。ライセンス生産というのですか。
○森説明員 五十八年度でもって約七百万強の数量になっておるというふうに思っております。
○堀委員 今ので大体事情はわかりましたけれども、日本のたばこの問題というのは、もうあとは関税の問題というのが今後の一つの重要なファクターだなというふうに私は感じますが、これについて総裁の意見をちょっと伺っておきましょう。
○長岡説明員 お説のとおり、やはり関税は輸出の面では大変重要な問題があろうかと存じます。
○堀委員 その次に、昨日当委員会で総裁が経営の合理化の問題について発言をしておられるようでありますが、合理化をやっていくという場合には、現状として葉たばこ耕作者というのは一体どういう分布で、どの程度に葉たばこを収納しておるのか、金額的にどういう分布になっているかというようなことが明らかになっていないと、こういう対策は、やはりどちらかと言えばウエートの低いところに――ウエートの低いというよりも収入の低いところの方に、そしてまた問題としては耕作者数が一番集中している部分というものにどういう影響が出てくるかというような客観的な分析の上に立って対応をされる必要があるのじゃないだろうか。最近、予算の問題で一律ゼロシーリング、マイナスシーリングというのは問題があると大分自民党の中でも意見が強く出ておるようでありますけれども、いろいろなことをやるときに、一律というのはどうも適切でない、やはり実情に応じた対応をしたときに初めて最も効果が上がるのだ、私はこう思うのであります。ひとつ、葉たばこ耕作者の代金階層別の耕作者数とその割合をちょっとお答えいただきたいと思います。
○長岡説明員 ただいますぐ調べまして、お答え申し上げます。
○堀委員 それではちょっとそれは後にいたしまして……。
 そこで、実は葉たばこというのは反当たりで収益性が大変高い商品なんですね。資料をいただいてずっと調べてみると、ともかくも葉たばこの収益性というのは、現在五十七年で十アール当たり四十八万五千円ぐらいになっていますね。これに匹敵できるのは、春キュウリトンネル半促成という商品がありますが、これが十アール当たりで五十五万円というのでありますから、ここにいただいた資料で見ると、春キュウリトンネル半促成というのが収益性が一番高いが、その次で、もう米の三倍以上というような収益性があるということでありますから、これは、葉たばこ耕作者の皆さんに何らかの代替物を植えると言っても、たばこを植えていたときに比べたら随分収入が減るということになってくる。もちろん、耕作反別を減らすわけでありましょうから、耕作反別を減らせば収入が減るわけです。
 私は基本的に、企業合理化ということは、そのことによって合理化を受ける人たちがこれまでの生活条件よりは生活条件が悪くなるようなのは合理化だと思わないのですよ。合理化というのは、そういう対策を講じてもそれにかわる何らかの対策を含めて行うことによって、確かに葉たばこの耕作の面積は減るけれども、その他の代替のものを何かつくることによってそれが十分カバーできるように、そういう対策を講じなければ合理化ではないのじゃないか。企業の合理化でもそうだと私は思うのであります。企業で合理化をするときには、要するに退職される方に十分な補償をして、そして場合によっては退職される方にその会社のノーハウを与えて新しい職場をつくるような前向きな積極性で対応しながら、そうして結果的には後の残った人はその問題を含めて条件が少しよくなるということでなければ、要するに縮小の方向でやっていくのが合理化というのじゃなくて、結果的には拡大する方向になるような合理化が本当の合理化じゃないか、こう私は認識しておるのですけれども、この点についての総裁の今後の合理化、これは耕作農民については減反でありましょうし、それから職員については人員削減だと思いますが、そういう面についての総裁の基本認識をちょっとお伺いしたいと思います。
○長岡説明員 葉たばこ耕作農業の面におきましては、合理化という場合に、現在のたばこ産業の現状からいたしまして需給関係が葉たばこの生産の方がやや過剰ぎみであるということから、減反の御協力をお願いせざるを得ないというふうに考えておるわけでございますけれども、合理化の基本的な問題というのは、やはり投入労働時間を減らしまして、そして生産性を高めると申しますか、生産コストを引き下げていくということだろうと思うのでございます。
 そこで問題は、減った労働時間を一体どう使うのだ、これの使い方がうまくいけば合理化によって農家にしわ寄せが行われないで、それだけのまた反射的な利益が加わることによって農家の経済が維持されるということになるのだろうと思います。その点につきましては私どもも、現在の非常に大きな労働時間を使っております葉たばこ耕作農業が合理化によって時間が生み出されてきた場合に、それじゃその時間をどう使うかということにつきまして農林省と現在相談しながら鋭意詰めている段階でございます。
 まだそういう段階でございますから具体的には申し上げられませんけれども、日本全体を見ましたときに、葉たばこ耕作農家というのは、堀委員もよく御承知のように、第一種兼業と専業とを合わせますと八五%を占める、二種兼業が一五%しかないという非常に農業に力を入れているグループでございますから、全国的に見て農業が合理化されて浮いた時間で二種兼業がふえていくような傾向がある中で、葉たばこ耕作農業につきましては地域農業の担い手として何とかその浮いた時間が使えるような方向はないだろうか、そういう方向でまた知恵もかしてほしいということで農林省と相談をいたしております。
 それから、私どもの公社自体の合理化の問題は、やはり御指摘のように機構を簡素化し、定員も減らせるものは減らしていくということであろうと思います。この点につきまして、人員にしわ寄せをして生首を切るといったようなことでは、その結果企業の経営が成り立ちましてもそのしわが職員に寄せられたということになりますので、そういうことではなくて、自然減耗をどこまで補てんするかといったようなことを中心にし、また、もしたばこ産業部門でそれだけの人が必要ない、もっと小人数でやれるということであれば、幸い今回の制度改正でお認めいただきます業務範囲の拡大の中でその労働力を吸収して雇用の安定を図るということを基本に考えてまいりたいと思っております。
○堀委員 私は残念ながら、たばこ産業が今後隆々と拡大をしてというのは諸条件から見てどうも大変困難なことであって、そう急激に縮小することはないにしても長期の展望に立つとどうしても避けられない問題が起こってくるだろうと思うのですが、そのときには、今お話しのように一種及び専業農家である耕作者の皆さんが今後も生活水準が維持できるような対応を考えてほしい。
 この間、私は実は中央研究所に参りまして、そしていろいろな点を勉強させていただきました。この中央研究所でやっておられる仕事の中にはなかなか興味のあるものがたくさんございました。実は昆虫生理研究室というところで、フェロモンという化学物質でありますか、これによって害虫駆除の問題をやっておられるという研究を見て、私はこれも大変いいお仕事だと思うのです。今米価の問題の時期で、米の問題として重要な問題になったのが、昭和五十三年産の貯蔵米が臭素を使った害虫駆除をやったために、その臭素が米に残っておる。それは廃棄処分にする。廃棄処分にするとそれだけ加工米に穴があく。そこで韓国から米を入れる。それを入れるようなら減反をやめるということで、そもそものもとは臭素のようなものを使って米の消毒をしなければいかぬところに問題があるのですから、これはぜひ今のフェロモンのような問題の発想をうまく拡大をすれば米の害虫に対しても十分使用可能な方法が生み出せるのではないかな、こういうふうに研究所の皆さんの御説明を聞きながら感じたわけなんですね。だから、こういう方面で今後専売公社は、皆さんの認識は別としても健康に害があるものをともかくつくる産業であるならば、国民の健康を守る仕事をまた片方でしっかりやる。そういう意味で少し今の業務範囲の拡大、それが有効に、経営にもプラスになるようにやっていただくということがどうも必要ではないかという感じが私はしておるわけであります。
 そういう意味では、私見でありますけれども、中国の石家荘にある病院に大量の薬草の栽培園がありまして、この間それを実際に見てきました。私は医者として、今の近代医学というものは確かにそれなりの努力をしておりますけれども、なかなか解明できない問題がたくさんあるのです。その中で現在東洋医学というものが再認識をされつつあるのでありますが、私の祖父も医者でありますけれども、この祖父は昔から、代々が医者でありますから家で自分で漢方を結構つくって患者に与える、そうして新しい明治の医学を受けた洋医でありますからいわゆる西洋の薬品も使う。漢方と西洋のものを併用して治療をやっていて、私は祖父がいろいろとせんじ薬だとかその他粉末の薬、生薬を使っての薬、いろいろなものをつくっていたのを子供のときに記憶しているのでありますが、ひとつこの薬草類で、それをまた今の研究所でやっておられるような細胞融合とかあるいは成長点培養とかあるいは細胞培養等、いろいろな方法でさらに上手に転化しながら健康に役に立つ薬草を開発できれば、それはもう今の普通の農産物とは違いますから単位当たりの価格は相当高い価格で販売ができるようになるんじゃないか。将来方向としてはどうしても減反は避けられない、しかし減反をカバーするものがもしあるとするならばこれは非常に明るい展望になるのではないか、こう思いますし、もう一つは、さっき私が申し上げたように、減反のあり方を収納金額別できめ細かく対応する必要があるのじゃないか、こう思うのですけれども、総裁、その点はいかがでしょうか。
○長岡説明員 ただいまの薬草類の研究並びにその栽培を葉たばこ耕作農家が分担するというような方向を考えてみたらどうだという点につきましては、私は大変有益な御示唆をいただいたと考えております。率直に申しまして、現在までのところは、葉たばこという植物の中から堀委員も御承知のように心臓薬の原料になるソラネソールをとるとか、そういうことによって薬品をつくっていくという方向では研究は相当進めておりますけれども、もう少しその範囲を広めてみたらどうだという点につきましては、真剣に検討させていただきたいと存じます。
 それから、葉たばこ耕作農家の収入階層別を見て、仮に減反の協力をお願いせざるを得ない場合にきめ細かく減反のあり方を考えるべきであるという御趣旨はよくわかるのでございますけれども、ただ一方におきまして、葉たばこの生産性を高めていく場合にはやはり一戸当たりの経営規模が大きくなる方が確かに生産性を高めることが可能なんでございまして、ある意味では、それだけをとりますれば現在収入を相当上げている農家の方にむしろ集中していくんではないかという傾向があり得るわけでございます。現実の問題としてそういう問題がございますので、堀委員の御質問の御趣旨が、要するに非常に収入の少ないところに余りしわ寄せしてはいけないという御趣旨であれば、我々も一律にそういうところにしわ寄せするつもりはございませんけれども、結果的に申しますと収入の少ない農家はどちらかといえば二種兼業が多うございまして、毎年少しずつ自然廃作の方もおられるわけでございますから、そういう意味で大変難しい問題を含んでおる。ただ、一律に押しつけるようなことなく、地域の耕作団体その他の意見も十分聞きながらお願いをしていくことになろうかと存じます。
○堀委員 買い入れ代金階層別耕作者数というのは答えられますか。
○生平説明員 先ほどは大変失礼いたしました。
 五十八年度の買い入れ代金階層別の耕作者数でございますが、百万円未満の耕作者の数が一万九千五百四十九人でございます。全体の中での割合は一二%でございます。それから、百万円以上三百万円未満が四万六千七百二十八人、全体の中での割合が五〇・三%。これが一番大きゅうございます。それから、三百万円以上五百万円未満の階層が一万七千五百七十六人でございます。全体の中での割合が一八・九%でございます。それから五百万円以上一千万円未満が八千五百七十二人、割合が九・二%でございます。一千万円以上の耕作者は五百五十四人、割合は〇・六%でございます。
○堀委員 今お聞きになったように、今の総裁のお話を聞いておりますと、この百万円未満の一万九千五百四十九人、二一%というのは、二種兼業がかなりウエートが高いということでございましょうか。
○生平説明員 いろいろありますが、大体の傾向としてはそういう傾向を示しております。
○堀委員 そうすると、さっき総裁がおっしゃった生産性の高いところというのは、この五百万円以上くらいのところが生産性が高いということになるのでしょうか。三百万円から五百万というところも、それは相対的でしょうからあれですが、生産性の高い方なのか。今の所得階層別で見てどこらが一番中心になっているか。
 要するに、数で見ますと百万円以上三百万円未満というところが五〇・三%で、次のところが一八・九%でありますから、両方入れて約七〇%というのが真ん中にあって、分布のモードは百万円から三百万円というところにあるのでありますが、さっきの総裁のお話の生産性との関連ではどうなりますか。
○生平説明員 お答え申し上げます。
 やはり所得代金の大きい階層といいますのは耕作規模も大きゅうございますから、そういうところでは大型の機械の導入とか、あるいは施設なんかもいろいろ大きいものをつくっている、あるいは共同でやっているというようなことでございまして、生産性が高くなっている状況でございます。
○堀委員 確かに生産性が上がるということは、結果的には葉たばこの費用が安くなるということでしょうから、それは公社としても大変大切なことでしょう。
 そこでひとつ、減反という問題の中で……。私は大体、米の減反、実は最初から反対だったんですよ。それはどうして反対かというと、米を減反しながら金を出すという話ですから、これは完全に後ろ向きの財政対策なんですね。そこで、つくるのは自由におつくりください、しかし減反の枠に入ったものは食管会計とは別の扱いにさしていただきますよ、要するに、ある意味で市場価格で売買をしてもらうというか、そうすれば、皆さん田んぼをつくりたい人はつくればいいし、つくりたくない人は転作なさろうと自由ですね。そして、確かに価格は安いかもしれないけれども、つくっておればいつでもまた今度のようなことがあったときにはすぐ米がつくれるわけですね。つぶしちゃったところはもう米がつくれないわけですから、日本のような食糧の自給率の低い国でそういう後ろ向きの金を出して減反をやるというのはおかしい、こういうのが私の考えであったけれども、政府は減反をやった。
 私、予算委員会で、その問題のずっと前に米の問題を取り上げて、これだけ米が余ってきたら飼料に回したらどうかという話をやったことがあるのです。そうしたら、そのときの答弁は、米を飼料に回すわけにはいきません、こういう答弁でした。その後で農林省の人が私のところへ来てこう言いました。いや、私どもはやがて先生の御提起のように米を飼料に回さなきゃならぬ時期が来ると思います、同時に、先生もう一つ頭に置いておいてください、ミカンがやがて過剰になります、このミカンの過剰対策を今からやらなきゃいけないのですが、なかなかやれないのです、これも一つ頭に置いてくださいといって、農林省の担当者が私に説明してくれました。
 要するに、どうも日本のいろいろな問題を見ますと、常に後手後手で対応がおくれている。率直に言えば、今の葉たばこの在庫がこんなにふえる前に大体の見通しを立てて対応していけば、こんなことにならなかったと私は思うのですが、どうも見ているといずれも大変後手後手に回って、まずいというのが現状だと思うのです。どうかひとつ、これからは専売公社ではなくて日本たばこ産業株式会社でありますから、少なくとも中長期の展望をきちんと立てながら、そうして、展望は中長期でありますけれどもアプローチはステップ・バイ・ステップで確実にこれの経営をやっていただくということにしないと、私はやはり、今の生産性の問題、それからそれに対する対応の問題が後手後手になればなるほどやりにくくなるという感じがしますので、ぜひ前向きの対応をお願いしたい、こう思います。
 そこで、次にちょっと給与の問題に触れさせてもらいます。
 さっき私は公労協の横並び賃金がおかしいということを言ってきましたが、最近の例をちょっとお答えをいただきたいのです。五十九年度でベースアップの率、専売の場合を出していただいて、これの仲裁裁定は幾らであったのか、同時に、五十九年の食料品製造業のベースアップの率はどんなふうであったのか、これを最初にお答えください。
○岡島説明員 まず、私どもの仲裁裁定の率でございますが、四・三四%、八千九百五十四円という数字でございます。食料品製造業でございますが、これは労働省調査と日経連調査と少し数字が違っておりますが、率にいたしますとどちらも四・七%ぐらい、絶対額で申しますと労働省調査は一万八百五円、日経連調査は一万六百四十円、こういう数字でございます。
○堀委員 あわせて昨年の五十八年もお答えくださいませんか。
○岡島説明員 仲裁裁定でございますが、五十八年度は四・一七%、八千四百三十二円。それから食料品製造業でございますが、労働省調査四・九九%、一万一千五十九円、日経連調査四・九五%、一万七百九十七円、こういう数字でございます。
○堀委員 総裁、そこで、これからたばこ株式会社になりますから、たばこ株式会社になったら給与の問題ではベースアップが当面一番大きな問題になってくるわけです。このベースアップというのは、残っておる公共企業体等の仲裁裁定とかいろいろなものが今後も出てくると思いますが、少なくともこれとは直接かかわりなく、新しく民間産業として望ましいベースアップをやることが必要だと私は思うのです。ということは、生産性を上げるということを皆さんがやる気でやるかやらないかの話なんです。
 きのうの新聞で、中国から万元農家の見学団が来ているわけです。中国の農家の最近の状況は、平均すると大体五百元くらいというのが一般的平均値のようですが、それの二十倍もの収益を上げる農業が出てきた。いろいろなことを言っておられるけれども、要するに均一がいいんじゃないのだ、しっかり生産を上げることが中国の近代化に役立つのだという格好です。だから、人間というのはどうしてもそういう物質的なインセンティブがなければ発展しないと私は思う。
 私は旧制高等学校以来のマルクスボーイであって、国会へ当選してきたころはまだマルクス主義の基本的な考え方に立っていましたが、昭和三十五年に大蔵委員会に来ていろいろやってきているうちに、ははあ、これはどうも問題があるぞ。というのは、私が昭和三十五年に大蔵委員会へ来て間もなく気がついたのは、競争原理というのは体制の問題ではない、要するに資本主義であれ社会主義であれ、生産を拡大しなければ経済は拡大しないのですから、国民生活はよくならないわけですから、どうやって全体を拡大しようかということになれば、競争原理が働いて生産性が上がっていって初めて、社会主義であれ資本主義であれ、国がよくなるわけです。
 そこで私は、党の中で昭和三十七年くらいから、競争原理というのは体制の問題ではありませんよ、マルクスは「ゴータ綱領批判」の中で、要するに、社会主義の段階では、能力に応じて働き、働きに応じて分配する、しかし共産主義のように生産量が非常にたくさんふえれば、能力に応じて働き、必要に応じて取れるようになるということを「ゴータ綱領批判」の中で言っているのですけれども、だからそういう意味では、社会主義であっても生産性を拡大するためのインセンティブが必要だという考えであったわけです。やがてリーベルマンが利潤概念導入などという問題を出してきて、今日のソ連も、そういう意味では物質的インセンティブを有効に使いながら生産性の拡大をやっているわけなんです。
 そうすると、これから生産性を上げるということは、一番端的には、生産性が上がったときにその上がったものを職員の給与の中でどう分配していくかということがなければ、このたばこ産業の生産性の向上というのは難しいだろう。これまでの仲裁裁定などという桎梏から解き放されたわけですから、昭和六十年度における賃金の問題というのは今後を占う大変重要な賃金問題だと私は考えるわけです。
 その限りでは、今の昭和五十八年、五十九年を労働省の調査で見ますと、五十八年度で一万一千五十九円と八千四百三十二円、ざっと二千五百円ぐらいベースアップの差があります。ことしも約二千円近く差があります。公社の経営状態その他にもよるのでありましょうけれども、経営状態を改善していくためには、どっちが先でどっちが後かということになりますが、来年の民営化された後における春闘の賃金問題というのは今後の公社職員の士気に非常に大きく関係すると私は思います。そういう意味で、さっき申し上げましたように、いきなりすぐこれに追いつくということは無理でしょうが、基準は食品産業が一つの基準になっていいのではないかと思いますので、この食品産業のベースアップにできるだけ早くキャッチアップできるように最大限の努力をやってもらいたいと私は思いますけれども、総裁、いかがでしょうか。
○長岡説明員 新会社に移行した後の第一回の賃金決定問題というのは、大変難しい問題だろうと思うのでございます。基本的には、今御指摘のように、民間の類似の産業の状態等を十分に参考にしながら考えてまいらなければなりませんし、また当然のことながら、その時点における企業の業績あるいは企業としての支払い能力といったものも念頭におきながら、労使間で交渉して決めるべき問題だと思うのでございます。
 ただ、世間の注目は、公共企業体が会社になったら途端に給与が物すごく上がったということに対してどういう目で見るか。本当にそれだけの必然性があってそういう給与決定が行われたのかどうかという点につきましては、これは労使ともに真剣に考えて結論を出さなければいけない問題でございますし、いわんや、競争激化の中で今後の企業体質を高めながら、一方においては堀委員が御指摘になりましたように職員の労働意欲が阻害されないように、むしろ労働意欲を向上してもらうようなあり方というものを求めるのは、率直に申しまして大変難しいと存じます。
 しかし、いずれにしましても賃金決定の場合に労使ともに忘れてならないのは、企業を支えるものは基本的には安定的な労使関係が維持されるということであろうと思いますので、その基本的な考え方を念頭に置きまして、ただいま申し上げましたような諸要素を加味して労使間で十分に話し合って詰めていくべき問題であろうというふうに考えております。
○堀委員 そこで、ちょっと教えてほしいのですが、皆さんの方の「専売統計要覧」昭和五十八年版を見ておりまして、当期純利益が一番下にあるのです。「指数は昭和四十年度を一〇〇とした場合である。」というので指数で出ているのでありますが、指数は昭和四十八年度が一九二、そこからだんだんふえてきて、五十一年度は四一二までふえて、それが五十三年度の三三五、金額では六千五百四十五億一千百万円のところまで来て、五十四年度から指数が三九、七三、七〇、五九と、がたがたっと下がっているわけです。上の方の特別納付金のところを見ると、今のたばこ納付金や専売の本来のものはいいけれども、これはどうも財源確保のために専売公社はかなりここのところで国庫に納めさせられてきた、その結果五十四年度からこういうふうに下がってきたのかどうか。そこらのところをお答えいただきたいと思います。
○岡島説明員 今先生御指摘のように当期純利益がこの資料集で急激に減っている形になっておりますが、これは納付金率法定制度というのが五十四年度から導入されまして、五十三年度までは純利益の中から専売の納付金を納めることにしておったわけでございます。ところが五十四年度から制度がかわりまして、納付金率が法定されまして、納付金を引いたものが純利益になるということになった制度の改正によるものでございまして、先生のおっしゃったのとは少し違っておる、こういうことでございます。
○堀委員 そうすると、ここには五十七年までしか出ていませんけれども、当期利益は五十五年をピークに五十六年、五十七年とどんどん下がってきていますね。これはなぜこんなに急激に下がってきたのでしょうか。
○岡島説明員 これは、五十五年度に定価改定を実施いたしまして、そこで純利益がふえるわけでございますけれども、自今若干のコストアップが毎年少しずつございまして、いわばコストがそれだけふえるということが毎年少しずつ出てまいりまして、それによって純利益が少しずつ減っていくというのが私どもの経営のパターンである、こういうことでございます。
○堀委員 五十八年と五十九年見込みの当期純利益というのはどうなりますか、ちょっとお答えください。
○岡島説明員 五十八年度は先般決算が出まして、たばこ事業の当期純利益は八百七十億ということでございます。予算は実は見込みにつながっておったわけでございますが、三百六十九億円というのが本年度の予算に予定しておりますたばこ事業の純利益でございます。
○堀委員 この資料を拝見しておりますと、制度改正になった後の五十五年には一千四百二十四億、それがその後、一千三百六十三億、一千百五十億、八百七十億、三百六十九億というのでは、大変急激に純利益が減りつつあるという感じがするのですが、結局こういうものは、確かに物価の上昇その他のいろいろな関係もあるのでしょうけれども、そうするとやがてどこかでまたたばこの値上げということをやらなければならぬということになるんじゃないですか。その場合には、今度は仕組みはどうなるのですか。たばこの会社がたばこの値上げをしたいというのは、民間の会社だから別に幾らにしてくれというのはいいんじゃないか。酒もそれは自由にはできないので、多少そういう財政資金に関係のあるところは大蔵省と協議になるのでしょうけれども、これがどんどん下がってくるのでは、やがて純利益じゃなしにマイナスが立つということになる可能性は割に近いところにあると思うのですが、その点は総裁いかがですか。
○長岡説明員 新会社移行後におきましてもでき得る限り値上げの時期はずらしたい、またそれだけの努力をしなければならないと考えておりますが、数年後にはあるいは値上げをお願いする事態にならないとも限りません。その場合には、新しい法律によりましても大蔵大臣の認可が必要であるという仕組みになっております。
○堀委員 私がちょっとここに触れたのは、会社の経営状態というものが今の給与に関係があるわけですから、そうすると、ともかくもさっき私が触れておるように、ベースアップ問題というのは後よりも一番最初が肝心なんですよ。だから、これから来年まで大分時間がありますから、十分ひとつ組合と話し合っていただいて、そして今御答弁をいただいた食品産業の現実のデータがあるわけですから、そういうデータに対して今後この民間会社というのはどうあるべきかということはぜひ考えてほしい。ちょっと総裁は世間を気にしておられるようでありますけれども、私はそういうものを世間を気にする必要はないと思うのです。もう長岡さんは会社の経営だけを気にしていただいて、そして職員が持てる能力をフルに発揮できるような条件をつくるための方に専心してほしい。要するに日本というのは大体が横並び意識の強いところですから、こうやって右向いて左向いて物を決める。これはいい面もあるけれども、よくない面もあるのですよ。転換点で横並びという話はおかしいのでして、転換点にはやはり転換点らしい新しい一歩を踏み出したなということでないと問題があるのじゃないか、こう思うものですから、重ねてこの問題を伺って、この関係は終わりにしたいと思います。
○長岡説明員 御趣旨はよくわかりますけれども、私が申し上げましたのは、当然のことながら民間賃金に準拠という考え方で、民間の類似産業の実態を見て労使間で決めていくべき問題だと思うのでございますが、ただ、今度は民間の立場からいたしますと、私どもの新会社を見た場合に、あれは株式会社とはいうけれども独占企業じゃないか、我々のように本当に血の出るような競争をして、合理化をやった上でから取った賃金であるかどうかというような感情論もあり得るだろう、そういうことも念頭に置いて考えていかなければいけないという趣旨で申し上げたわけでございます。
○堀委員 まあ独占であるし、政府が全額当分持っているわけですから、民間といえどもどうも余り民間的でないという問題があるかもしれません。しかし、それはそれとして、やはり会社の経営ということが一番優先するのじゃないかと私は思うのです。それは独占であるかないかということになれば、ある意味では電力だって独占なんですよ。九分割していたって、その地域では地域独占ですからね。ただ、電力の場合には非常に格差がありまして、今や電力料金の一番安いのは関西電力、一番高いのは北海道電力です。恐らく料金の上で一五%ぐらい差があるのじゃないでしょうかね。結局、これは原子力発電がたくさんできたところは相対的に安いし、それから石炭をたいているところは依然として高いという客観的な地域条件もあると思うのですけれども、しかし、それにしてもこれは独占なんですからね。だから、そこらも含めてひとつお考えをいただきたいということを特に強調しておきたいと思います。
 そこで委員長、計数を言いますのには資料があった方がいいものですから、皆さんに御配付いただきたいと思います。
○瓦委員長 はい。資料をお配りください。
○堀委員 国立がんセンターの平山疫学部長は御出席になっておりますか。――ありがとうございます。
 今お配りをいたしました資料は、実は平山先生がお出しになりました「予防ガン学 一九八四年」という本の中から資料として引用をさせていただいたわけであります。時間がかかりますので私の方からちょっと御説明をいたしますが、この資料というのはそういう意味では平山先生のお仕事であるということをまず最初に申し上げておきたいと思います。
 これから、健康とがんという問題について考えていきたいのでありますけれども、最初の表5は「年齢階級別年次別全死亡中に占めるガン死亡の割合 死亡者総数、男女計」ということであります。そこで、一番右の一九八〇年のところを見ていただきますと、全体の死亡の中で、要するにこの年齢の区分、例えば五十歳から五十五歳というところが一番ピークで〇・四四、ということは死亡者の中の四四%が実はがんで死亡しているということでございます。それでよろしいのでございますね。ですから、それをずっと見ていきますと、どうも最近はみんな長生きするから、そこでがんの患者数がふえているのじゃないか、死亡数がふえてきたのじゃないかという考え方が実は言われるわけでありますが、これを年齢別に見てみますと決してそれはそうではなくて、各階層でがんがふえている。その比較をするために、戦後の方が理解がしやすいと思いますので一九四七年というところと一九八〇年とを比較してみますと、一番ピークだと私の申し上げました五十歳から五十五歳のところは、一九八〇年は四四%になっているのですが、一九四七年にはわずか一七%しかがんによって死亡していない。ずっと近年へ来るに従ってどんどんがんの死亡の割合というのは実は高くなっておるということがこれで明らかであります。
 その次の表6というのは男性の数値でありますが、ここは主として男性の方が多いものですから、男性は大体こういうことですよ。ですから御自分の命の年齢のところを見ていただくと、大体自分と同じぐらいの年齢の者というのはどのくらいがんで死ぬのか。
 私は、母親ががんで亡くなっておりますので、息子は今巣鴨の癌研究会附属病院に十五年ほどお世話になっておるのでありますが、息子が私に言うのは、おやじさんようやく峠を越したよ、こう言うわけですね。どうして峠を越したといいますと、私は今満六十七歳、この十二月が来ると六十八歳でありますから、この六十五からというところを見ますと男性の場合は三三、こうなるのですね。ですから、もうここから先は七十歳になると二七、その次の七十五歳以上になると二〇と、だんだん減りますので、もう一踏ん張りで大分がんになる確率が減ると息子が私に言ってくれているので、これはもう一つ頑張って峠を越せば確率は減るな、こういうことなのであります。
 そこで、それはそれとして、その次に「ガンの部位別にみた非喫煙者の場合を一・〇〇とした毎日喫煙者の標準化死亡比」というのがございます。これを見ますと、たばこをのむ者とのまない者で、一番上ですね、横になっている棒グラフでありますが、一番高いのが喫煙の場合は喉頭がん、これは一・〇〇に対して三十二倍ですね。すごいですね、喉頭がん。要するに池田さんはさっき私が最初に四十六年の予算委員会で申し上げたように大変なヘビースモーカーでして、私は既に、池田さんが総理になられてからの答弁を聞きながら、どうしてあんなに声がひどく傷んでいるのかな、たばこを吸って、少しこれは問題があるな、こう思っておりましたけれども、残念ながら喉頭がんで亡くなられたわけです。その次が肺がんですね。その次が咽頭がん、口腔がん、食道がん、膀胱がんというのが一・七一で、ここらへ来ると大分のまない人との差が縮まりますけれども、大体この資料で見ても明らかなように、実は喫煙が非常に高い影響を持っているということが明らかになると思うのであります。次に女性の分も出してありますけれども、女性は喫煙者の数も少ないからこうなるのでしょうが、男性に比べると喉頭がんや肺がんは著しく低い、こうなっておりまして、これは統計上の客観的な事実ですから、たばこをおのみの皆さんはそういう客観的事実があるという認識をお持ちになる方がよろしいのではないだろうか、こういうふうに思います。
 そこで、その次の図は「喫煙本数別にみた喉頭ガン肺ガンの死亡比」ということでありまして、一体一日に何本吸っているとどういう結果が起こるかという資料であります。これはいずれも男性でありますが、喉頭がんの一日喫煙本数別に見た資料の図3というのを見ますと、吸わない人が一に対して一日二十五本以上吸っている人は九八・六、ほぼ百倍の死亡率があるわけです。野口さん、よく聞いておいてくださいよ、これは客観的な事実ですからね。そうして、肺がんの方はこれに比べると、今の二十本から三十本程度のところは四・九倍くらいで、一番高いのは五十本を超えると十五・三倍になるということでありますから、いずれにしても、たばこを吸っておるということが喉頭がんなり肺がんに非常に大きな影響を持っておるということは、これはもう客観的な事実として証明されておるわけなんですね。
 その次に非常に問題なのは、喫煙の開始年齢の問題なのであります。要するに未成年のところからたばこを吸っておるということは、実は肺がんになる確率が大変高くなっているのでありまして、ごらんのように、最初の図7というのは、十九歳までにたばこを吸っていた人というのは、吸わない者が二三でありますが、一三〇、二十歳から二十四歳までの間に吸い始めた人は一〇八・六、二十五歳から二十九歳までに吸い始めた者が九〇・六、年をとってから吸い始めた人は実は相対的にがんの死亡率はだんだんと少なくなっている。
 その次の「喫煙開始年齢別一日喫煙本数別肺ガン標準化死亡率比」というのが最後に出ているわけでありますけれども、これで見ますと、未成年のときから吸おうと二十歳以後になって吸おうと、どっちにしてもやはりたくさん吸ったのが害が多いというのが出ているわけですね。そうして、要するに未成年からのんだのと二十歳以上とを比べるとやや違うが、どっちにしても常に十九歳未満でのんだ人の方が死亡率が高いということでありますから、いかに未成年の喫煙というものが肺がんに大きな関係を持っておるかということは明らかなのであります。
 以上が、私がこの「予防ガン学」というのを拝見をして、一番皆さんに客観的事実としてひとつ頭の中に入れておいていただきたいということなのであります。
 これについて、ひとつ平山疫学部長の方から、今申し上げたことについての先生のお考えをお答えいただきたいと思います。
○平山説明員 ただいま私たちの研究の成績の一部が御紹介ございましたけれども、WHOが今まで報告書の中で、直接喫煙、そして間接喫煙の害等を種々示しておりますが、私たちの研究もそれを裏づけていると考えております。きょうお示しになったこの成績のほかに、例えばたばこを吸わない妻がたばこをたくさん吸う夫を持ちますと、肺がんで死ぬ危険性が二倍近く高くなるということも、私たちのこういった研究の中で観察しております。
 こういうことを考えますと、国民の健康を最優先して正しくそれに対応するということが一番望まれるのじゃないか、こういうふうに考えます。
○堀委員 実は、昭和四十六年十二月十四日、大蔵委員会に今の平山疫学部長さんと財団法人癌研究会研究所実験病理部長の高山昭三さん、財団法人癌研究会研究所長吉田富三さん、人間科学研究所長の宮城さんに参考人として来ていただきまして、私が質問させていただきました。そのときに吉田富三先生は、ともかくも肺がんとたばこというのは病理学的その他では因果関係は明らかになっていない、こういうお考えでありまして、私は、それはそれとして、しかし、たばこというのは健康には害があるのじゃないでしょうか、医者の立場として私はそう思いますがと言ったら、それは害があります、こういう話でした。実は、吉田富三先生は大変なヘビースモーカーでありまして、その後間もなく肺がんでお亡くなりになったという経緯になっているわけであります。しかし、たばこをのむかどうかは自分が決めることでして、自分で危険を承知してのむ限り、これは嗜好品ですから、それをとやかく言うのは難しいと実は思っているのです。
 それではどこに問題があるのかといいますと、実は、今平山先生が御指摘になった、たばこを吸わない者の健康にそばでたばこを吸っておる者の影響がどういうふうに起きるか。これは国民の健康管理の上で極めて重要な問題になってくるのですね。要するに、のむ人は自己責任でのんで、早く死にたきゃ大いにしっかりのめばいいので、日に百本のめばもっと効率が高くなるので、そんなことまで私はここで論議をする気は毛頭ないのであります。しかし、今の問題を通じて、どうしても私どもが考えなければならないのは、青少年の喫煙問題ですね。これは、その人の将来に非常に大きな禍根を残すということでありますから、この問題というのはどうしてもこれからひとつきちんとしていかなければいけないだろう。さらに、最近日本でも残念ながら女性の喫煙がふえてきましたね。これも妊産婦にとっては大変重要な問題です。さっき私はアメリカの問題に触れて、今度アメリカが新しく表示をするというのは、これに関連するものが一つ入っているわけですね。「妊婦の喫煙は胎児を傷つけたり未熟児出産をもたらす可能性がある」というのを今度はアメリカでは法律によって義務づける、こういうことになっているのでありますから、これはそういう意味で大変重要な問題なんですね。ですから、要するに、私どもがこれからこの問題を考えるときには、さっきの、たばこをのまないでいる人たちの健康の問題というのは非常に重要な問題なんでありまして、この三つ、たばこを吸う場所といいますか、非喫煙者に対しての健康の配慮を十分するということ、そして妊娠、未成年といいますか、この問題は何としても対策をきちんとしていかなきゃいかぬ、こう思うのです。
 そこで、今のこの問題に関して後で総理にもお伺いをするのですが、たしか中曽根総理は一九八四年に対がん制圧十カ年計画というのを提起された、こう承知をしておりますが、大蔵大臣、御存じでしょうか。
○竹下国務大臣 私もその会に出まして承知しておりますが、専門家の先生ばかりいらして、私だけが大変疎外感を持って聞いておりました。
○堀委員 後で総理の御出席をいただいたときにこれを伺うわけでありますけれども、厚生大臣が御出席いただきましたので……。
 実は今、がん、特に肺がん、喉頭がんとたばこの関係をちょっと資料で――大臣にも資料をお渡ししてください。後でゆっくりごらんいただけばいいのですが、要するに因果関係がはっきりしているという資料なんですね。それを御説明したのです。
 そこで、今たばこに「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という表示をつけているわけですね。これは私が昭和四十六年二月に予算委員会で佐藤総理、福田大蔵大臣と論議をして、その結果つけることになったものなのですが、そのときに私はこういう表示をつけてほしいと言ったのですよ。「たばこの吸い過ぎはあなたの健康を損うおそれがあります」、今のイギリスの表示にちょっと近いのですけれども、せめてこの程度の表示にしてください、こう言ったら、当時の泉副総裁は、やはり専売公社というのは国の一部でございますから、国の一部が国民の健康を損うおそれのあるものを売るというのはこれは何としても困るのですと。だから、「健康を損うおそれ」というところを何とかひとつ直してくださいませんか、こういう泉副総裁のたっての御要望でございました。私も考えてみれば、国が国民に健康を損うおそれのあるものを売るというのじゃ、これは大変筋が通らないから、仕方がないなと思ったのです。そのときに思ったのは、将来これが国でなくなったら、要するに民間の会社になるような時期になったら、今度はこれに対する責任は、アメリカの公衆衛生局長とか各国がやっているように、国民の健康を守る責任は基本的に厚生省が負うことになるのですね。
 ですから、きょう大変時間を差し繰りして御出席をいただいたのは、これからどういう表示をつけろとかなんとかということはきょうは議論をいたしません、ただしかし、諸外国でいろいろな表示をつけておることはもう御承知だし、後から厚生大臣おいでになりましたから、要するに、アメリカでは五月十七日米下院エネルギー委員会で現在より厳しい四通りの警告をたばこのケースや広告に明示するよう義務づけた法案が全員一致で通って、上院も通る見込みだ、こうなっています。そしてその内容は、「喫煙は肺がん、心臓病、肺気腫を引き起こす」「いま禁煙すれば健康に及ぼす重大な危険は大幅に減る」「妊娠の喫煙は胎児を傷つけたり未熟児出産をもたらす可能性がある」「たばこの煙には一酸化炭素が含まれている」というもので、いずれも公衆衛生局長の警告の形で記載をしなければいけない。そして、これまでの文字に比べて五〇%字を大きくしろというのですよ。これは専売公社からちょっとお借りしたアメリカのたばこですが、この表示、五〇%というとかなり大きな字になりますね。そうして、これは余り太くないのでしょうね、太線で囲むよう義務づける。こういうことを法律でやるということが起きておるわけですね。
 私は大体が、物事を進めるにはいきなり二階に飛び上がろうというようなことはだめだという主義でして、要するに一歩一歩階段を上がって、しかし途中で立ちどまらないで確実に一歩ずつ上がっていくということになれば、必ずある一定の水準に行くわけですから、そういう意味では厚生大臣は、今度の専売公社からたばこ事業株式会社に移るところで新しい責任を負わなければならなくなってくるのだ、こういう認識をぜひ持っていただきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
○渡部国務大臣 今、たばこの健康に与える問題で、先生から大変御心配をいただいて、ありがたいことだと拝聴しておりました。特に、今度専売公社を民営にするというようなことになりますと、先生御指摘のように、今まで持っておった一つの節度というものが自由競争というようなことで失われるようなことになっては大変でありますので、私どももこのことについては、民間に変わることによってどうなるのかということに大きな関心を持っておりました。
 たばこと健康の問題は、先生御心配のようにたばこの吸い過ぎが国民の健康に好ましくない、特に肺がん等に大きな影響があるということについては、私はもう国民的な合意ができておると思います。WHOの資料などを見ますと、最近では喫煙を選ぶか健康を選ぶかというようなショッキングな訴え方などもやっておるようでありまして、やはり私どもは国民の健康を守る役所でございますから、専売公社が民営化されることによって、そういう節度が失われることのないように、私どもも重大な関心を持って見守ってまいりたいと思います。
○堀委員 ちょっと、見守ってというのじゃ困るんですね。要するにあなた方の責任として対処してもらわぬと、何か傍観者のように見ておりますと言われたのでは、厚生大臣、これは答弁にならないのですよ。
○渡部国務大臣 いや、今私が申し上げたのは、専売公社の形が変わることによって先生御心配のように、今までは一つの国全体の施策の中で節度を持っておられたのが、その節度を外すようなことにもしなったら大変だということを心配しておったという意味でございまして、もちろん先生御指摘のように、国民の健康を守る役所は厚生省でございますから、そして国民の健康を守るために、喫煙というものが少なくともたばこをのみ過ぎないようにしなければならないということの合意はあるわけですから、そういうことのためにこれは努めて努力をしてまいりたい、こういう意味でございます。
○堀委員 やはり厚生行政というのは、WHOの勧告を受けてぜひやってもらいたいと思うのですね。そのためには要するに対策本部を具体的に厚生省で設置をしてもらいたいと思います。これまでは、国の一部がやっていることに厚生省が対策本部といっても、これは国と国との関係でちょっとやりにくいという面もあったでしょうけれども、今度はたばこの株式会社というのは、全額国が持っておるといっても民営なんです、株式会社なんですから。そうすると対策本部をつくって――今がんに対する対策本部というのはあると思うのですが、それは医学的な研究に対してあるわけですね。要するに新しい抗がん剤の発見だとか、がんの治療の面だとか、いろいろな面での対策本部というのはあると思うのです。しかしそれではなくて、さっき私が言ったように、これからの問題というのは非喫煙者の健康をどうやって守るのか。
 例えば、新幹線もひかりの一号車は禁煙車でございますというふうになっていますね。私は急ぐときは飛行機に乗るものですから、飛行機では実はおおむね禁煙席というものが設けられて、シートを決めるときには、どちらですかと向こう側が聞いて、私はノースモーキングと答えるということなんですが、そういう具体的な問題、例えば広告の問題、後で奥田郵政大臣にも伺いますけれども、こういうふうな問題がばらばらでは困るんですね。だから、やはり国民の健康を守る厚生省が中心になって、そういう喫煙する国民の健康に及ぼす問題についての対策本部をつくって、そこでひとつ各行政官庁とも協力をして――運輸省も関係があるわけですね。今のような喫煙者をどうするか。この間箕輪議員から、ともかく逆にしたらどうか、要するにのむ方を固定して、のまないのが原則で、喫煙をする人たちの列車を決めた方がいいじゃないかという提案がありましたが、今日本のたばこを吸っておる成人男子の比率が六〇%ぐらいですか、ちょっと答えてください。
○森説明員 お答えいたします。
 昭和五十八年におきましての調査で、男子の喫煙者率は六六・一%という数字になっております。
○堀委員 女性もあわせて一緒に言ってください。
○森説明員 女性につきましては一三・五%という数字であります。
○堀委員 何しろ成人男子の六六%が吸っておるのに、主たるものがノースモーキングになったのじゃそれはなかなか大変でしょうから、私は何も物事を一遍にやれと言うわけではないので、しかしターゲットを決めるということは厚生大臣、必要ですね。そうすると、一種の年次計画をつくって、非喫煙者が喫煙をする人のために迷惑をこうむるのをできるだけ減らしていくということは、国民の健康を守る上において非常に重大な問題だ、こう思っているのです。
 私は新幹線に乗っていまして、飛行機なら安心して乗っていられるのですが、新幹線で隣にヘビースモーカーの人が来たら、これはたまったものではないのですね。座席指定だからどこかへ逃げていってかわるというわけにはいかない。いやこれには往生するのです、率直に言って。だから、そういう意味ではグリーン車でも一部のところはやはり禁煙席をつくるべきだと思うのです。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)全部やれと言うのじゃないので、一番から十番まで、十一号車は禁煙席というものがあれば――賛成の声も出ておるけれども、そういうような問題を、ばらばらでは困るのですよ。だからそういう対策本部を厚生省につくって、運輸省に対しても、あるいは後で郵政省に申し上げますけれども、郵政省の問題についても、各省にわたるのです。教育の問題も非常に重要なんですね。今度は日教組が子供の喫煙の問題についての教育をひとつやっていきたいといって、日教組の対策委員会をつくってもらっているようですが、文部省もこれは重要なファクターになりますね。
 だから、各省にわたってこの健康問題について、要するにたばこと健康という関係をきちんとするというためには、これはWHOの勧告もあることですから、ぜひ喫煙対策本部というのを設置して、そして外国はこういうふうにやっているな、外国との交流を通じて、やはりいいところはできるだけ外国と協調して物を考えるとか、実態を調べてみてそれに対してどういう対応をするとか、そういうプログラムとターゲットをひとつぜひこの際、まだ少し時間がありますから、来年の四月一日からたばこ株式会社になるのですからその間にあと半年以上ありますから、厚生省として準備をして、ぜひ来年の四月一日に対策本部はちゃんとできているようにしてもらいたい、こう思うのですが、厚生大臣、いかがですか。
○渡部国務大臣 先生のおっしゃる話に私も同感でございますが、今の本部をつくってはというお話は、何しろ今初めてお聞きいたしますので、これは役所のいろんなやり方がありまして、がん対策十カ年計画、これの本部でも官房長官が座長になって、私ももちろん入っておりますけれども、やっておるというようなことがあるので、この問題が果たして厚生省で呼びかけてやるものか、あるいはどこの役所でやるものか、そういうことがあると思いますので、そういうものの研究はさせていただかなければならないと思いますが、考え方としては先生の御趣旨に私も共鳴いたしておりますので、勉強させていただきたいと思います。
○堀委員 なるほど、各省にわたるというのじゃ厚生省だけというのはまずいかもしれぬけれども、しかし問題は厚生省の問題ですね。国民の健康を守るというのは厚生省の問題で、これは総務庁とかあるいは官房長官のところでやるとかという話じゃないと思うのですね。ですから、その点はいろいろ御相談いただいて、私の問題提起に対しては同感だとおっしゃっているわけですから、ぜひひとつお願いしたいと思います。
 後で総理が出られますから、そのときにそのことも申し上げて、総理からも、対がん制圧十カ年計画というのをおつくりになったのなら、十年後までに今のそういう喫煙の関係をどうするかということを年次別計画を含めてそこでやってもらわなければならぬ。しかし私の感じでは、この対がん制圧十カ年計画というもののメンバーを見ますと、さっき大蔵大臣も言っておられましたけれども、皆さん学者でどうもちょっと疎外感があったとおっしゃるように、どうもこれ自身というのは、私も詳しくは知らないのですが、今言った学者の医学的面における問題だろうと思うのですね。
 しかしこれは、あなたも今度健康保険法の改正とかいろんな問題をおやりになっていて、要するに予防が治療にまさるということは厚生大臣としては十分御認識になったと思うのですが、その点ちょっとお答えになってくださいませんか。
○渡部国務大臣 これも全く同感でございます。私は厚生大臣に就任しまして二十一世紀を目指す医療ビジョンというものを立てておりますが、これにも最初にまず予防をスローガンに掲げまして、病気にかからないようにする、国民の皆さんが病気にかからないようになれば健保財政も楽になりますし、大蔵省も非常に楽になるのでありますから、これは予防にまさるものなしと考えております。
○堀委員 二十一世紀の医療問題にお触れになりましたが、あの中にもがん対策がちゃんと入っていますね。いかがでしょうか。
○渡部国務大臣 大きな文字で入ってございます。
○堀委員 そうすると、がんの予防ということは、前段のあなたの御答弁と今の御答弁で、これは二十一世紀を展望して極めて重要な課題だ、こういうことになりますね。御答弁いただきます。
○渡部国務大臣 そのとおりでございます。
○堀委員 今の青少年の問題、これも非常に重要な問題です。
 私は戦争中に、ちょうどセレター軍港が落ちた後に、駆逐艦に乗っていてシンガポールに入りました。そしてシンガポールに入って驚いたことは、あのシンガポールで子供がたばこを吸っているんですよ。これを見たときに私はびっくりしましたね。これは大変なことが行われている。恐らく今のシンガポールはそんなことはないはずです。リー・クアンユーさんという人は非常にきちんとした人ですから、そんなことはないと思っておりますが、当時は子供が我々に、たばこをくれないか、私はのまないから持っていませんけれども、そういう事態があって驚いたのですが、最近のいろいろな資料を見ると、そういう比較的若い年齢からたばこを吸っているという問題が我々の想像を超えた問題として起きているようであります。
 そういう意味では、今の文部省も真剣にやってもらわなければいかぬし、こうなると、これはまさに来年の予算委員会での総括質問のテーマですな。中曽根さんがどうなるかは別として、予算委員会ではこれは非常に重要なテーマになるだろうと思うのですが、どうかひとつ、そういう意味で、まずその問題をきちんとしていただきたい。
 それから、これからこれに対するイニシアチブは、結果としてたばこの箱にどういう表示をするかというのは、たばこ事業等審議会というのができて、そこが決めることになるのだと思います。大蔵省が。しかし、このイニシアチブは、世界の各国は皆、公衆衛生局長とかそういうものがイニシアチブをとっているわけですから、厚生省が今後はこういうふうにしたらどうですかというような――これからはシステムが変わりますからね。これまでは大蔵省の専売審議会が決めて処理をしておったのですが、今度はそうではなくなるわけです。そういうところに対して国民の健康を守る立場からイニシアチブをとるということも、さっきからの大臣の御答弁で私とそう認識に違いはないということが確認できましたので、そういう問題を含めてひとつ考えていただきたい、こんなふうに思います。
 厚生省の場合には、もう一つ、病院の中の禁煙問題ですね、これをひとつきちんと指導していただきたい。
 私はちょっと心臓の病気があったものですから、大阪にある国立循環器病センターで治療を受け、ちょいちょい受診にも行きますが、ここは全部きちっとノースモーキングになっているのです。しかし、病院によっては、民間病院ではまだそうでないところもあるので、せめて病院ぐらいは全部禁煙というふうな処理をするとか、何らかそういうことを進めるための対策本部をということですね。病院その他は厚生省の管理ですから、そういうところでまず始めていただきたいというふうにお願いいたします。
 それでは次に郵政大臣にちょっと伺うのですが、その前に専売公社の方から、先進国におけるテレビ、ラジオの規制問題について御答弁をいただきたいと思います。
○森説明員 お答え申し上げます。
 諸外国のテレビ、ラジオにつきましての規制は区々でございますけれども、私どもも必ずしも詳細な情報を把握しておるわけではございませんが、私どもの入手いたしております資料によりますと、イタリアのように全面禁止というのもございますが、一般に先進諸国におきましては、テレビ、ラジオにつきましては法律あるいは業界の自主規制という形によって使用が禁止をされておるというようなことでございます。
 主な国につきまして幾つか申し上げますと、テレビ、ラジオが法律によって規制をされておりますのがアメリカ、西ドイツ、フランスでございます。自主規制というような形で禁止しておりますのがイギリス、カナダ、スウェーデン等でございます。
○堀委員 ちょっと裏返して聞きますけれども、主要先進国で、規制をしてない国があるとしたらどこか。小さい国は別ですよ。主要先進国で今自主規制であれ法律であれ規制をしておるのですが、規制をしてない国があったらちょっと言ってくれますか。
○森説明員 ほとんどは規制をされておりまして、先進国といいますか、香港あたりではやられておるというようなことでございます。
○堀委員 郵政大臣、きのう郵政省の方に来ていただいてお話を聞くと、放送法第三条で、番組については郵政大臣は介入をしないというような法律があるようですね。どうせ時間のかかることですからきのうまだ見てないのですが。
 ただ、郵政大臣、私が心配しますのは、今吸っている人は広告宣伝しなくても吸うのですよ、もう習慣になっているから。私も医者として治療しておりまして、健康上の問題で酒とたばことやめなさいという指示をするときに、どちらがやめやすいか。酒というのはやめなさいと言うとやめる人が割に多いのですよね。ところがたばこというのは、わかりましたと言って一時やめるのですが、また吸うのですね。なかなかこの習慣性はとれにくい。だから私は、もう今吸っている人はさっきの質問の中で言っているように自己責任ですから、その人たちにどうこう言う気はないのですけれども、今、女性は日本では一三%くらいの喫煙率、外国は多いのですよね、三〇%に近いような喫煙率で、多いのです。幸いにして日本は一三%なんですね。これをこれからふやさないようにするためには、テレビというのは最大の媒体ですから、何かこの前には、テレビの広告見ていたら、たばこは動くアクセサリーといったかな、何だっけな、たばこは何とかのアクセサリーという……(「動くアクセサリー」と呼ぶ者あり)動くアクセサリーでしょう。私が言ったとおりだ、専売公社首を振ったけれども。
○長岡説明員 今、堀委員のおっしゃいましたのは大分昔のことで、そのころにはたばこは動くアクセサリー、あるいはたばこは生活の句読点といったようなものがございましたけれども、それはもうずっと使っておりません。
○堀委員 いや、今使っておるという話ではないのですよ、そういうコマーシャルを使ったことがある。そうしますと、若い女性なんというのはやはり動くアクセサリーで格好がいい、害とかなんとかの話よりも格好の話になってしまいますから、だからその点では、テレビの問題ですね。ラジオというのは余りもう、あれを聞いているのは車で走っている人が主で、それから音楽だけウォークマンで聞く人も多いのかもしれませんが、まあテレビもラジオも同じことですから一緒にやらないと不公平になりますから、諸外国は全部テレビとラジオは一緒に制限されているわけですから。
 郵政大臣、今までずっとお話をしてきたことで、要するに青少年と婦人の喫煙をここでひとつ抑えていきたい、それが国民の健康を守るために非常に重要だという私の認識からしますと、ぜひこの問題を、方法、手段は郵政大臣にお任せをいたします。私はいついつまでと余り短い時間を限ってどうこうしようという気はないのですよ。私がタッチした法案というのはいずれも大体三段階というのが多いのでして、この間のサラ金規制法でも三段階になっているのです。ですから、要するに確実にやっていただけばいいので、それがいつになるかというのは皆さんの御検討の結果ですから。来年からすぐにしなさいなんて言ってできるかどうかわかりませんが、しかし問題意識としては、世界の先進国が全部やっていることを日本だけがやらないなんということはやはり問題があると私は思うのですね。
 ここの点は後で総理にももう一遍お尋ねをしますけれども、本当に国民の健康、そして今厚生大臣が、予防にまさる治療はない、こういうことを私の提案にお答えいただいているわけですから、これこそまさに予防なんですね。予防という点では、テレビの広告を禁止することは非常に大きな予防効果になるわけですから、そういう意味でひとつ郵政省としても前向きの検討をしていただいて、できるだけ近い時期にこれが実施に移されるような努力をお願いしたい、こう思うのですが、郵政大臣いかがでしょうか。
○奥田国務大臣 先生も御指摘いただいたように、各主要先進国は法律によったりあるいは自主的な広告基準の規律によってたばこの広告は禁止しているというのが実情だと思っております。スペインくらいが日本と同じくたばこの広告をやっておるくらいで、そういった意味においては私たちも、こういったたばこの広告という形については、先生からのこういった国会での御論議の経過を踏まえまして、民放の方にも自主的にできるだけそういった形で慎んでもらうように要望してお願いしようと思います。
 ただ現実には、たばこの広告に関して民放側も、これはスポンサーである専売公社の意思でもあると思いますけれども、未成年者の喫煙は禁止されておるということも大体必ずと言っていい形で明記しておると思います。
 そういうことでございますので、先生からも御指摘ありましたからくどくど言いませんが、やはり放送法の三条規定で、コマーシャルも含めて番組の自由、表現の自由という形の編成権というものがありますから、これを個別の法律によって禁止していくという形については憲法との絡みもあって相当慎重に対応しなければならぬと思います。しかし、御指摘の趣旨は十分わかりますので、各民放には番組を編成する際の共通なコードと申しますかそういった基準もございますし、また番組審査といいますか、各社に、そういった形で青少年に公序良俗から余りにも飛び離れたようなコマーシャル、番組については良識のある編成を求めておるところでございます。今度は、民放の業界総会等の機会におきまして、先生からこういった御指摘もあり、こういったことはやはり民放自体が自粛する、そしてまた新専売と申しますか、たばこの製造、販売に当たっておる専売側も自粛していただいてやっていくということが一番好ましい方向ではなかろうかと思います。
○堀委員 今の問題は、前向きに受けとめていただいておりますから、ぜひそういうことでお骨折りをいただきたいと思います。特に、法律の前に手段としてはやはり自主規制を呼びかけて、自主的にやっていただくのが一番望ましいと私は思うのですよ。しかし、どうしても自主的に問題の処理ができないときには、最後はやはり法律によってでもそれをやるべきではないか。そこに未成年者の喫煙は禁止されていますと書きましても、こういう訓示規定というのは実は余り効果ないのですね。それよりもそういうものを目にしない方が影響力が違うものですから、そこらを含めて郵政省として、今の御答弁をいただいたので前向きな対応をしていただくことはよくわかりましたから、できるだけ早い時期にそういうことが実現しますように、ひとつ郵政大臣のお骨折りをお願いしたいと思うのです。これは何もたばこの会社の売れ行きを減らそうとかなんとかいうことではなくて、要するに、これ以上新しい青少年や婦人の喫煙がふえないようにするということが国民の健康を守る意味で我々政治家として重要な責任がある、私はこう考えておるものですから、ぜひそういう御認識のもとに郵政大臣の今後の御協力をお願いいたしたいと思います。
 そこで、最後に大蔵大臣に伺いますが、今、厚生大臣、郵政大臣とも、この国民の健魔を守る問題については大変前向きの答弁をいただきました。これは私が期待をいたしておりました方向だけはここで決まったと思うのですね。しかし、このたばこ株式会社の監督というのは、行政上大蔵大臣が監督者でありますから、今の厚生大臣の、予防にまさる治療なし、二十一世紀ではともかくもがん対策というのは非常に重要な課題にしていますというお話があるので、これは後で総理がおいでになったときにも伺うつもりでおりますけれども、ともかくも青少年や婦人、特に妊婦、それからたばこをのまない国民の被害を食いとめるために、大蔵大臣としてもただ財政収入さえ上がればいいという話ではないのでありますから、ひとつそういう点の大蔵大臣の認識をお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○竹下国務大臣 常日ごろ申しますように、確かに、たばこ関係の法律案を審議していただくたびに、みずから心の中で自己矛盾をいつも感じながら対応しておるわけであります。もちろん財政収入を図るという大きな役割を持っておりますが、それと、健康の問題からするいわゆる節度の問題、その節度とはどれが節度かという基準を自分なりに模索しておってもなかなかそれがつかまりませんでしたが、きょうの問答を聞いておって、私どもの同僚である厚生大臣、郵政大臣、それぞれのつかさでなかなかしっかりしたことをおっしゃって、こういう人に教えられて、私もきちんと対応しなければならぬなあという認識を深くいたしました。
○堀委員 終わります。
○瓦委員長 午後二時三十分より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十分開議
○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
○広瀬委員 私は、たばこ事業法案、たばこ産業株式会社法案等、専売関係五法が大蔵委員会で大分長時間にわたってそれぞれの委員から質疑が行われ、審議が進められてまいったわけでありますが、それらについて極めて重要なポイントだと思われる点を一つ一つ、主として大臣、総裁の御所見を伺って確認をしてまいりたい、こう思うわけであります。
 日本のたばこ産業は、御案内のように約八十年を超える長い間専売制度のもとにたばこ事業が営まれてきたわけでありますが、今回専売法がなくなる、専売制度もたばこからなくなっていく、こういう事態を迎えました。それにはそれなりの国際的な理由、これは経済の広域自由化の方向というような外圧もありますし、また国内的な面におきましては、高齢化社会を迎えるのと歩調を合わせつつ、たばこの消費量の伸びが非常に減退している、こういう問題があるわけでありますが、そこへもってきて嫌煙権運動のような健康と喫煙の問題について非常に関心の高まりを見せているという問題もありますし、そういう中でまた、今日まで運営の衝に当たってきた専売公社において一年分余にわたる葉たばこの過剰在庫を持っているという問題なんかがありますし、さらにまた葉たばこの国際比価を見ましてもかなり割高になっているという面もあるわけであります。そうかといって、製造たばこをどんどん値上げするということもまたほぼ限界じゃないかと思われるような今日の状況にある。
 それらのもろもろの条件を反映して、私は、専売制度でも、光栄ある孤立を守ってでもやれないことはないという考えは持っておったわけであります。運営の方式や何かを、民主的要素、国民の立場、それからまた経営の自主性というものをもっともっと加えていけば、これは専売制度でも、世界的に光栄ある孤立を守ってもやれないことはないという感じは持っておったのでありますが、今さら専売制度をとれということは申しません。
 ただ、それらの状況を踏まえて、公社制度から専売制度が外れて、そういう面からの突っかい棒というかそういうものなしに、とりあえずは政府全額出資の特殊法人ということで発足をするわけでありますが、国際的なたばこのビッグスリー、国際巨大資本からの外圧というものの中で、そしてまた国内的な諸要因の悪化の中で新しく発足をしようとしているたばこ産業株式会社が、国民の期待にしっかりこたえて、よくて安くて、そして健康にも害のないたばこを安定的に供給し得る、そして一定の財政寄与もしていく、こういうことに耐えられるかどうか、まあある程度の不安がなきにしもあらずだと思うのでありますが、その点について、まず第一に、どういう条件のもとでどういうことをやっていけばそういう事態の中で立派に国家的財政寄与あるいは地方財政に対する寄与を果たしつつ、またたばこ産業に対して期待される国民のニーズにこたえて立派にやっていけるかどうかということを専売の総裁からもお伺いをして、同じ問題について大蔵大臣の所信もひとつ伺いたい、こう思うわけであります。
○長岡説明員 御指摘のとおりたばこは特殊な商品でございまして、一方においては財政物資として国及び地方公共団体の財政に貢献しなければならないという性格を持っておりますし、また、喫煙と健康問題等との関係から、一般の企業活動のようにただ売り上げをふやせばいいということで、広告、宣伝もどんどんやって販売競争を激化させていっていいという性格のものでもないと思います。新会社になりましてからも製造独占でございますから、そういったような面におきましては、やはり株式会社とはいえ公的使命も帯びておるという性格を十分に踏まえまして、社会的な責任を果たしていかなければならないと考えております。
 ただ、何と申しましても、やはり株式会社組織になることによりまして、経営の自主性は現状より格段に付与される、業務範囲の拡大等につきましても御配慮がいただけることになろうと考えておりますので、新会社の経営に当たる立場にある者といたしましてまず考えなければならないのは、その経営の自主性を発揮しながら、一方において企業体質を合理化して強めていく、また、従来の経験を生かして商品力、マーケット力を強化していくといったようなことを通じまして、輸入自由化後の国内における輸入品との販売競争にも負けないようにやっていかなければならないし、またやっていけるのではないかと考えておる次第でございます。
○竹下国務大臣 開放体制化に対応して、我が国といたしましてもたばこのいわゆる輸入自由化を断行をした。しかしながら、国内産葉を抱えている実態から考えまして、私どもとしてはどうしても製造独占というものを新会社に与えなければならぬ、しかも新会社は国際競争にたえ得る環境を整えなければならぬ。さすれば、私どもとしても、ある種のノスタルジアからいえば名誉ある孤立という考え方もあり得るでありましょうが、より自由闊達な企業活動が労使双方の協力によって可能な限りできるとすれば、やはりこれは特殊会社たる株式会社に移すべきであろうという筋に沿って今日まで御審議をいただいたわけであります。
 したがって、御審議の途中においてもろもろの御指摘を受けた問題に対して絶えず配慮をしながら、この法律の志向する方向に全力を挙げて、私どもの立場からすれば、労使、耕作者、小売店、それぞれ日本のたばこ産業を支える三大要因としての自覚に立って活躍されることを期待し、そして、それに対して我々のなすべきことあらば、十分の指導体制もとっていかなければならぬというふうに考えておるところであります。
○広瀬委員 それぞれ御答弁をいただいたわけでありますが、私もその点全く賛成でございます。これから新会社に移行した後に、一方においては国際たばこ資本と競争力において劣らない会社でなければならぬ。そういう意味で最大の武器は、製造独占を維持するという、そこに今度の株式会社法につきましてもあるいはまた事業法にいたしましても非常に大きな意味があると考えるわけであります。
 それともう一つは、何といいましても財政面からの寄与がむしろ今までよりも以上に新会社にも期待されるというような事態もあります。そうかといって、それではどんどんたばこをつくってどんどん売れる、かつて高度成長時代の初期においては八%、時によっては一〇%も消費量が伸びる、製造本数が伸びるというような時代もあったわけでありますが、最近ではずっと停滞を続け、そして去年からことしにかけては若干減少ぎみであるというような事態、こういう事態があるいは続くのではないかということになりますと、そうかといってたばこの価格を国内的に引き上げるということが対外競争力の面からいってもなかなか問題である、そういう意味では下方硬直性、また上方の、値上げという面でもかなり硬直的な問題がそこにはあるという状況ですから、その埋め合わせとしては、新しい特殊会社に移行をいたしました場合に何としても業務範囲の拡大、こういうようなことが非常に必要になる。雇用をそういうところに吸収して、いたずらに雇用不安を、これは法律によりまして現在の公社の職員はそのまま新会社に引き継がれるわけでありますが、その点では若干の安心はできるにしても、国際競争に立ち向かうに当たってはやはりどうしても労働者へのしわ寄せというところに行かざるを得ない、人減らしというようなことが、雇用不安というようなことが際立って大きくクローズアップされてくるんではないかと思うわけであります。
 そういう点を考えるわけでありますが、それらの点について、まず製造独占というものは将来にわたって恒久的な立場で続けられるんだ、やれ民営・分割だということで働いている人たちに不安を与えてはならないし、また関係者全体、これは農民も関係をしてまいりますし、小売商店も関係をしてまいりますし、あるいはまたその他のいろいろな資材を納入したり運搬をしたりという非常に広範な接触点を持っている関係者の人たち、こういう人たちに不安を与えることになろうと思いますので、その辺のところを大蔵大臣から、今までも大体そういう方針が言われたようでありますけれども、ここでもう一遍明確に御答弁いただきたいと思うのです。
○竹下国務大臣 いかに開放経済体制下にあって我が国が輸入の自由化、そこまで踏み切ったといたしましても、国産葉たばこという割高なものを抱えてたばこ産業全体を考えますときに、今度の法律がいわば民営・分割のワンステップであるという位置づけを仮にいたしたといたしますならば、関係方面の理解は私は得られようもない問題ではなかったかという事実認識に立ちまして、各方面との意見を十分協議し、そして御提案、御審議を申し上げておるものでございますだけに、まさに分割・民営の一歩としてこれを印するという考えは全くございません。
○広瀬委員 その点非常に明快な御答弁をいただいたわけでございますので、私も全く同感でありまして、そういう方針でいってもらいたい。このことが、日本のたばこ産業を守る新しい法制度のもとにおいても非常に大きな力になり、武器になるであろうと考えるところであります。
 ところで、専売法がなくなり公社制度がなくなる、そして政府全額出資といえども、これは法的にはやがて三分の二あるいは二分の一以上というようなことで、二分の一以上は常に永久に株を保有しなければならない、こういうことになるわけでありますが、そういう特殊会社に移行いたしました際に、業務範囲の拡張の問題を含め、いわゆるそういう特殊会社をつくるということでやはり国際競争に備えようというわけでありますから、その中にはやはり企業の自主性というものが最大限に尊重されなければならないだろうと思うのです。企業の活力をそこから生み出していく、労使ともそれぞれの自主性ある経営手腕の最大限の発揮、そしてまた労働者も希望に燃えて、たばこ産業の重大性にかんがみて持てる力をフルに発揮できる、そういうようなものは、お互いに自主性を持ちつつ、労使の間においても信頼関係に結ばれて、しっかり話し合いの上にたばこ産業の発展を期していくということにならなければならぬだろうと思うのです。
 そういう立場において、いわゆる当事者能力、こういうものに対して法律を見ますと、大蔵大臣の認可、許可、これが余りにも多過ぎるのではないか。この法案を見ますと、何十項目にわたって大臣の認可、許可、こういうような条文があるわけであります。そしてまた、立入検査を受けなければならぬ、また博類、帳簿を提出しなければならぬ、そういう規定もあるわけであります。こういう問題について、余りにも認可、許可に係らしめるということは、企業のせっかくの活力をそぐことになりかねないのではないかという心配があるのですが、その辺のところの運用は、私はやはりいわゆる経営と所有の分離が非常に大事なポイントであろうと思いますし、そういう立場から、会社の言うならば所有者であるということですけれども、新会社を担うのはやはり代表取締以下役員でありますから、あるいは職員でありますから、そういう人たちが十分に伸び伸びと手腕、力量を発揮できるということに対していささか水を差すような結果になりはせぬかということを非常に恐れるわけであります。今法律がいろいろそういう点規定されておりますけれども、やはり要は運用であろうと思うのです。
 そういう点で、認可あるいは許可の衝に当たる大蔵大臣としての御決意なりお考え方、心構え、そういったものについてお考えをお示しいただければと思います。
○竹下国務大臣 まずもろもろの議論を重ねた上でこの法律をつくっていこう、その際、特殊会社、しかし従来政府にあります各特殊法人等の中で、条文等の中でも最も政府の関与の度合いの少ない形の書き方がまずできないかというところから作業に入ってみたわけであります。しかし、私のような素人でも見ますと、なるほど認可にかかわる事項というようなものが目につくことは、特殊法人たるものやむを得ないことではなかろうかというふうにも考えるところであります。したがって折に触れ、収支試算計画につきましても添付書類とするとか、給与統制的なものにわたるようなことは一切やりませんとか、そういうことを答弁の形でお伝えしてきたわけでございます。
 要は、自主性を基本にするという心構えをその衝に当たる者は絶えず将来にわたって持っていかなければならないことではあろう。したがって私は、商法に準拠することと一方労働三法に準拠すること、それを基本とするところにこの自主性というものが発揮される可能な限りの環境が整備された、そのように理解をいただいて、また衝に当たる者もそのような認識で当たらなければならない課題であるという理解をいたしております。
○広瀬委員 これは事務的なことでございますが、ちょっと監理官にお伺いします。
 今の専売公社制度の中では、大蔵省に監理官が設けられて管理監督の任に当たってこられたと思うのですが、これから先は大蔵省はどういう行政組織で、官房の中に今までの監理官的なものがおって、許認可の問題や何かについても事務的な衝に当たるということになるのですか。これはどこがどういうように担当するのか、その辺の考えはどうなっていますか。
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
 現在、先般の法律改正に伴いまして専売監理官というのは政令職になっているわけでございますけれども、少なくとも日本専売公社監理官という名称は、法案が通りました暁に変わることは間違いないということだけは申し上げられるわけでございます。
 ただ、その後におきまして、事業法あるいは会社法等にございますような許認可であるとか一般的な監督であるとかそういう仕事は当然残るわけでございまして、それについてどうするかにつきましては、六十年度予算編成に向けて現在内部で検討中でございます。もちろん全く試案の段階で、いろいろ考えていることはございますけれども、現時点でこの場で御答弁申し上げるようなところまでにはまだ至っておりませんので、詳細についてはお許しいただきたいと思います。
○広瀬委員 監理官はまだ答弁できるような状況ではないとおっしゃるのですが、大蔵大臣の権限として許認可事項や何かたくさんあるわけでありますが、そういうものをどの部局に担当させて、大蔵大臣の補佐として具体的に事務処理を扱わせようと考えておられるのか、お考えがあったらお示しをいただきたい。
○竹下国務大臣 いわゆる専売監理官というものはなくなるだろう、こういう常識は私もございますが、どのような位置づけをしていくかというのは、これから部内で、また先生方とも相談しながら運んでいきたいと思っております。これは十二月の予算編成までには結論を出さなければいかぬわけでございますので、そういう考え方で臨んでいきたい。今直ちに、どのようなポストでどのような位置づけをして、人はどれくらいでというところまでお答えするだけの準備を私も持ち合わせておりません。
○広瀬委員 そこまでまだ準備できてないんだと言われればそれまででありますが、ちょっと何か物足りない感じはいたします。この法案を審議している最中にそういうことをはっきりされないと、将来新会社と大蔵省との間を今までの監理官のような役割をやってパイプを結んでいく、そういうことについてちょっと構えが足りなかったかなという感じを持つわけでありますが、その点はそれくらいにいたします。
 さて、もう一つの問題、業務範囲の拡大は、先ほど申し上げたような大きなバックがあるわけであります。これは特に現在働いている製造関係の労働者たちが、かなり合理化、人減らしというような方向に進まざるを得ないだろうという点で、非常に雇用の不安を持っておられることは事実だと思うのです。これは当局も認められるだろうと思うのであります。
 特に製造工場等は女子労働者の比率が高い。大ざっぱに言いまして五〇%をやや超しているんじゃないかと思います。今、女子労働者が製造工場を中心にして一万数千はおられるだろうと思うのですが、この人たちは最大の不安を持っておる方々ではなかろうかと思うのです。
 聞くところによれば、今東洋一と言われる北関東工場で四千回転の巻き上げ機が入った、といっても既に五、六年たつわけでありますけれども、それが、もっと高速巻き上げ機が導入されるというようなことにでもなれば、何年後かわかりませんけれども、工場の統廃合ということなんかもあるいは起こってくるかもしれぬ。同じ県に二つあるものはすぐ異動できるが、今の製造工場の配置も三十五工場それぞれが県を別にしているというようなことで、県を越えて配置転換に応じなければならぬ。女子は家庭の主婦の割合も非常に多いわけでありますから、子供の教育の問題、生活の問題など主婦の果たす家庭での役割というようなものを考えますと、これは非常に難しい問題になってくるのではないか、このように思うわけであります。したがって、どういう点で業務範囲を拡大していくか、目的達成業務というようなものでかなり自信を持ってやれる、そして相当雇用吸収力もあるというようなものについてお考えがあるならば、聞かしていただきたいことが一つであります。
 それから、新しい製品を開発していく。たばこに関連する研究の中で、あるいはバイオマス的な問題なんかについて、研究所でも研究開発の蓄積がある、そういうようなものを企業化していくということは当然だろうと思いますが、それを地方ごとにやってしまう、新製品をどんどんつくって、雇用吸収が偏るというようなことがないように、事業範囲の拡大というものを相当広範囲に、合理化される工場自体で女性労働力も吸収し得るような地域的な配慮、そういうものまで考えていただいているかどうか。その二つについて、総裁でも大臣でも結構ですがお答えいただきたい。
○長岡説明員 業務範囲の拡大を考えてまいります場合に、一方においてたばこの製造工程の合理化等に伴う余剰人員をどう吸収していくか、また吸収できるような仕事を考えて選ぶべきであるという点は、御指摘のとおりだと思います。
 ただ、再三お答え申し上げておりますように、業務範囲を拡大していく場合にどんなことが考えられるかという点につきましては、私どももある程度の考えは持っておりますけれども、それが具体的にどの程度の規模になり、またそれによってどれだけの雇用が吸収できるかといったようなところまでの詰めはまだ行っておりません。したがいまして、私どもは今後業務範囲の拡大を考えていく場合には、一方において公社を挙げての合理化によってコスト競争力を高めて、輸入品に負けないようにしていくというその合理化努力と並行しながら考えてまいりまして、工場配置等につきましても、その工場に働いている職員がほかに行けないような歩合には、何とかその工場が、これは仮にの話でございますけれども、仮にたばこの製造はやめてもそれにかわるべきものの製造ができて、そこでその雇用が吸収できるかどうかといったようなことは当然判断しながら考えていかなければならないと思っております。
 思いつきのようで恐縮でございますが、機械の輸出、技術の輸出あるいはバイオを応用しての新製品といったようなもののほかに、身近なものとしては喫煙具とかあるいはたばこのパッケージのデザインを応用した消費物資といったようなものもあるわけでございまして、そういったようなものであれば工場生産も可能ではないか。ただ、それがどれだけの量になるかという点はまだ詰めてないというのが正直なお答えでございます。
○広瀬委員 事業範囲の拡大について、これは認可をする権限を大臣が持っておられるわけですが、大蔵大臣として、その認可に当たってこういう場合にはこんなふうにして対処したいというお考えがあろうと思うのですが、その辺のところをひとつ聞かせておいてください。
○竹下国務大臣 業務範囲の拡大の問題は、一方から見ますと、いわゆる合理化等に伴う新しい雇用の創出という意味にもなろうかと私は思うわけであります。したがいまして、その業務範囲の拡大につきましては十分心をいたしていかなければならぬ課題であります。
 それをどういう範囲にするかということにつきましては、大蔵省と現在の専売公社の中でいろいろな話を詰めつつあるように私も承っております。その私が承った範囲内においては、非常に適切な方向でこの話し合いが行われておるというふうな認識をいたしておるところでございますが、今広瀬さんのいわば締めくくり的な質問とでも申しましょうかに対しまして、長岡総裁からも私から見ますとかなり踏み込んだお答えもしたような感じにも受けとめておりますので、そのような方向をサポートしながら、これからも自主性を尊重する中で私どもの対応はなさなければならない課題であるというふうに考えております。
○広瀬委員 総裁から確かに一歩踏み込んだお答えをいただいたと私も思っています。
 それで、女子労働者が非常に多いという面について、大臣はその御認識を今持っていただいたでしょうか。どうぞ御所見を。
○竹下国務大臣 先般、伊藤さんの質問でございましたか、カルメンもまたかつてはたばこ工場の労働者であったというお話がございましたが、そのカルメンの話を聞くまでもなく、日本の現状は今広瀬さん御指摘のとおりであるという認識を私も等しくいたしております。
○広瀬委員 時間も限られておりますから次に移りますが、近代的労使関係、これは大蔵大臣に今までの専売の労使関係は世界一であるという評価をいただいたようですけれども、いずれにいたしましても、全専売労働組合がずっとあるわけです。専売の労使関係というのは、労使の信頼関係のもとに本当に話し合いを尽くして物事を決めていく、こういう点では、私もはた目で見ながら、これは立派な組合だと思ってきたわけでありますが、そういう中で積み上げてこられた労働協約なんかが現にあるわけですね。
 これは、専売制度の中での労使関係、公労法の適用の中での労使関係ではあるけれども、労働協約がちゃんといろいろな勤務条件、労働条件についてできているわけですね。そういうものについて、新会社に移行しても職員はそのまま引き継がれていくわけでありますから、新会社になりましてもほぼそのような趣旨のものが横滑りしていけるものと、こういうように考えますし、それがまた急に逆転をするというようなことになりますと、せっかく今日まで積み上げてきたよき慣行というようなものが崩れて労使関係不信の状態になってしまいかねないおそれがありますから、その辺のところについては労使の自主性というものを認めていくというのは、そういう中では当然だろうと思うわけであります。
 そういうよき労使慣行で積み上げられ、練り上げられてきた労働協約、こういうようなものが伝承されていくということについて、新しい会社に対する株主権の行使としても、あるいはその他の面からの許認可権を持つあるいは監督権を持つ大臣としてどのようにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。
○竹下国務大臣 今いみじくも使われた表現、私もそのような表現が適切かと思っておりましたが、この長い歴史の中で積み上げられてきたところのよき慣行、これが今日の労働条件である。それをまず維持していくということが、根本的にその考えが底にあるべきであると思っております。そして、さらに近代労使関係というものをより充実していくために、労働三法の適用の中でそれがより充実していくという方向であるべきことを私も期待し、そして、言ってみればとりあえずと申しましょうか、いずれにしても全額出資の株主の立場から考えましても、そのような慣行が持続していくことを私は心から期待をいたしております。
○広瀬委員 どうぞ労使問題は、労働三法適用という状況になるわけですけれども、ひとつ自主性を尊重しながらそういう方向に受け継がれていくようにしていただきたい、こういうように思っておるわけであります。
 ところで大臣、職員はこの附則において新会社に受け継がれるということはあるのですけれども、総裁とかその他の今現に公社の役員になっておられる方々、理事になっておられる方々、こういう人たちは、設立委員とかそういうようなものになったり、あるいはまたある程度新会社の、これは全部が全部そのまま横滑りということではないのでしょうけれども、労使の正常な関係をお互いの信頼関係の中で結ばれてきておるということになりますれば、設立委員の中にもある程度現在の専売の役員の人たちがなられるのか。実態はかなり強い形で受け継がれて製造独占の新会社ができるわけでありますが、例えば今の専売の総裁なり副総裁なり理事の皆さんというような方々がまるっきり素人にかわってしまうというようなことなのか、それとも、今労働者の場合を例にして触れたのですけれども、それとの信頼関係で、労働三法適用でなお労使の信頼関係が安定的に保たれていくというようなことならば、そういう人たちが一体どういう立場になっていくのだろうか、私も勉強不足がもわからぬけれども、設立委員の場合もあるいは新会社の役員もどういう形で選ばれていくのだろうかということが全く実をつかむようでわからないわけです。その辺のところは、今の公社の役員の人たちがどういうふうに引き継がれていったりあるいはやめざるを得ないということになるのだろうかということについて、今考えておられることがありましたら見解を聞かしておいていただきたい。
○小野(博)政府委員 現行の法律と今回改正されます法律との関係の問題でございますので、一応私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、職員につきましては、まさに先生御指摘のように、引き続き会社の職員としてとどまるというふうに規定してございますけれども、役員につきましては、任命の根拠が日本専売公社法から商法並びに日本たばこ産業株式会社法に変わるわけでございますので、法律的に申しますと、公社の役員の身分というのは公社の解散とともに消滅して、新会社の役員は改めて新会社の創立総会及び取締役会で選定されるという手続になるわけでございます。しかしながら、ただいま先生おっしゃいましたように専売公社と新会社というものは継続性があるわけでございますし、創立総会、取締役会等におきましても、そういうことを十分踏まえまして選任が行われるものであろうというふうに考えております。
 なお、設立委員につきましては、従来の例からいたしますと、関係各省庁とかあるいは経済界とか、広く外部から人を求めているのが通例のようでございます。
○広瀬委員 今まで専売の労働者の人たち、これは事務部門も工場部門も全部ひっくるめての話でありますが、大体三万六千ちょっとのところになっておるわけでありますが、新会社に移行する際に先ほども労働協約等がほほ同じような形で伝承されていくであろう、そういう方向でいきたいということを大臣からも答弁をいただいたわけですが、雇用の問題で、新会社になってすぐに今度は雇用がかなり不安になり現実に生首が飛ばされていくというようなことになってはならぬだろう、そのためにも新事業の開拓、事業範囲の拡大ということも言われておるのだと思うのですが、雇用を一気に減らすあるいは生首を飛ばすというようなことはないのでしょうね。その辺、総裁どうですか。
○長岡説明員 広瀬委員御承知のように、今日に至るまでも専売公社としては工場配置の合理化その他各方面での合理化は進めておりますが、その際には労使間で十分に話を尽くした上で、その了解を得ながら進めてきております。その過程におきまして、今後も合理化は避けて通れない道であろうと思いますけれども、それにいたしましても生首は飛ばさないということも一つの約束事項のようになっております。公社が会社になった後におきましてもそのような考え方は当然継続していくものと考えております。
○広瀬委員 次の問題に移らしていただきますが、今まで専売納付金制度があった、そして地方のたばこ消費税があった。今度はそれを国のたばこ消費税と地方の独立税としての地方たばこ消費税、こういうように分かれて、税法もこの国会で審議をされて、間もなく通過しようとしているわけであります。
 大体今までの納付金とたばこ消費税を合わせたものと、国の消費税と地方の消費税を合わしたものとほぼ同じくらいの比率にする、五六・四ぐらいの消費税率になっている。この国の場合と地方の場合を合わした総合的な合計消費税率は、もう限界であるとお考えなのか、まだまだこれは六〇%でも七〇%でも取るのだというお考えですか。
 私は、ここ十年来と言っていいでしょう、たばこを消費することによって財政に寄与する比率は大体その辺のところで推移してきたと思うのです。一種の法的安定性を持っている限界はこの辺だなという感を深くするわけですけれども、その辺について大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。やみくもにどこまででもふやしていく、無際限はもちろんあり得ないことでしょうけれども、この辺が限界だなという感じを私は持つのですが、その点で大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 まず当面は御案内のとおりでございまして、消費税率は現在の平均専売納付金率と周率で設定していく、そして将来ともそういう形の継続に努めるということを申し上げてきておるわけであります。
 ただ、この問題では確かに各方面からいろいろ議論がございます。いわば消費税というものであって間接税であるから、間接税体系全体の中において税体系のあり方としての関連と、もう一つは、嗜好品であるという特殊性あるいは諸外国との税負担の水準の動向、そういうことを幅広く考えて、位置づけといたしましてはそのときどきにおいて現実的に判断すべき性格のものである。しかし、消費者に負担を求める消費税でございますから、納税義務者である新会社の経常状況等によってその税率を変更するという性格のものではない、だから間接税体系の中の一環としての消費税、嗜好品、諸外国との水準の動向等は絶えず見ていなければならぬ課題だと思っておりますが、私ども心構えとしては、出発に際してはまさに納付金率と同率ということで設定していく、それの継続に将来とも努力をしていく。ただ、税体系全体が国際的に見ても大きな変化があれば私どもも考えなければいかぬこともあるでございましょう、しかし当面それを前提に置いて物を考えておるというものではございません。
○広瀬委員 微妙な答弁ですけれども、主税局おいでになっていますか。今、日本国内の消費税率で一番高い税率は何ですか。
○梅澤政府委員 我が国の場合、個別消費税の税目が多いわけでございますが、今回たばこ消費税を消費税として純化させていただく、一つの独立の税目として考えさしていただくわけでございますが、そういたしますと、消費者の最終負担率と申しますか、価格に対する租税負担率というところで判断をいたしますと、新しくできますたばこ消費税の税率がやはり国税の中では一番高い税率構造になるというふうに言えると思います。
○広瀬委員 消費税率としても、かつてビールなんかの場合に六割というような時代もありました。しかし、これはだんだん下がってきた、酒税なんかも皆下がってきたということで、この五六・四%、今も大臣一本つけられたわけだけれども、大体一本十円、そのうち五円六十四銭は税金を吸っていらっしゃる、こういうことになるわけです。私なんかもヘビースモーカーで一日四、五十本吸うわけです。なるほどそれは健康と喫煙の問題等も、まだ未確定分野は非常にあるけれども、最近非常に騒がれているというようなことだけれども、やはりたばこは嗜好品だ、それから個人個人で好きな人もあるし、嫌いな人もある。そういうものではあるけれども、大体五六・四%という今日の消費税率、今までの並びで納付金制度から完全消費税制度に切りかえたわけだけれども、消費税率としてはもう限界だなという感じを深くするわけですが、大臣、そう思いませんか。
○竹下国務大臣 私はヘビーじゃなくミドルスモーカーぐらいでございましょうが、そういう意味において私は広瀬さんと認識が大変かけ離れておるとは思いません。が、まさにたばこを吸わない方々、なかんずく健康とたばこの問題を議論される方は、もっと十倍ぐらいにしたらおまえらも吸わぬようになるのじゃないかというようなことも、これは町の話としても我々はよく聞く場合がございます。そして世界的な傾向というのはどんなものかなというある種の関心を持ちながら見ておりますと、私は基本的に広瀬さんと考えは変わっておるわけじゃございませんが、健康とたばこという問題から税の問題を展開される議論を時に聞いてみますと、全く耳を傾けない課題でもないなと、今財政でどうしようという意味とは別にそういうことを考えることがあるものですから、素直にそういうことを披瀝してみただけのことでありまして、基本的に広瀬さんと私の考え方に大変な開きがあるというふうには思っておりません。
○広瀬委員 私の見解に、もうこれが限界だろうという率直な答弁を私はいただきたかったのだけれども、まあ財政を預かる大臣としてはそこまでよう言い切らぬのでしょうけれども、余り開きはない考えだということですから、この辺のところで、その問題はまた後に譲りたいと思います。
 ただ、消費税をこれ以上上げますと、定価が今のままであるとすれば、六〇%まで上げられたといえばそれだけ新会社にリザーブされる内部留保にも響いてくるでしょうし、そしてまた価格を上げざるを得ない。大臣の認可権の網を通らなければならぬにしても、そういう場合には価格を上げるというようなことにならざるを得ない。そうすればまた消費量がその面からの反撃で減ってくるというようなことになる。そうすれば消費税率を上げても財政寄与分は、ちょうど今の日本の経済と財政の悪循環みたいなことを繰り返すのではないかということもやはり当然論理の延長線上で考えられることですね。したがって、そういう面からもひとつその辺のところは慎重に考えていただきたい。これはやはり相当、少なくともここ数年来、私の経験では十年来と言ってもいいと思うのですが、そのくらいのところで適正などころとして、もうこの辺以上は無理だという線で設けられたような気がするのです。ですから、その辺のところは慎重を期して、やみくもに消費税率を上げればいいというようなことではないという、その考えに近いというのですから、そういう立場でひとつ御確認をいただいて結構であるかどうか、ちょっとイエス、ノーだけ。
○竹下国務大臣 お話の筋はそれで結構だと私は思います。それから、仮に消費税率が上がった場合、それが経営状態を無視してコストの中へ繰り込ましてしまう、そういうことはおよそ考えられもしません。ですが、広瀬さんが必ずしもそこまで窮屈におっしゃっているわけではございませんが、これがすべての限界だという断定をするのはいかがかと思っただけの話でありまして、基本的に考え方が違っておるわけではございません。
○広瀬委員 問題を次に移します。
 葉たばこ関係者が、今度の新会社移行に伴いましてやはり不安を持っていらっしゃると思うのです。その点では全量買い上げという、私どもはこれは早々とことしの二、三月ごろから大臣にも要求してきたことであります。全量買い上げということは実現して、製造独占と並ぶものとして全量買い上げ制をとる、こういうことも言われてまいりましたし、また、災害補償等についても今までとほとんど変わりなしにやっていきます、それから面積や価格も、今までと同じような審議会を設置するということでその問題も処理していきますということになったので、かなりの程度は安心ができたけれども、その中で、製造に適さない葉たばこという表現があるわけですね。全量買い上げといっても、たばこ製造に「適さないものを除きこということになっている。そうすると、その点は今までと変わりがあったのかどうか。今までは大体できたものを買っておった。その際にそういう表現は別になかった。そのたばこ製造に「適さないものを除きこという部分はなかったわけですが、しかし今度の場合に、今までの全量買い上げとその点でどの程度に違いが出てくるのか。
 これは鑑定の問題等とも絡むわけでありますけれども、その辺について農民の不安のないようなことを考えているのか。これは幅の広げようによっては、これも適さない、これも適さないと言われたら、全量買い上げというものがほとんどナンセンスになってしまうということに結びつきかねない。その辺のところに対してどの程度のお考えを持っておられるのか。今までの鑑定の関係と今度のそういう文言が入ったということでどれだけの差があるか、ほとんど実質的には差がないということなのかどうなのか、その辺のところ。
○長岡説明員 結論から先に申し上げますと、従来とほとんど変わりはない、従来どおりの運用というふうにお考えいただいてよろしいと思います。
 御承知のように、現在におきましても、等級外のものについては廃棄処分その他をやっていただいておりますけれども、新しい制度になりましても、たばこの製造の用に適しないというのはやはり等級外の問題でございまして、しかも、その等級が主観的に決められるということじゃなくて、耕作者の意見も十分に組み入れた上で一つの客観的基準とでも申しましょうか、そういったようなものが決められて、それに照らして判断するということでございますから、従来と変わりはないと御理解いただいてよろしいと存じます。
○広瀬委員 それともう一つは、専売法五条に価格決定の方式について書いてあったわけですね。これは、物価であるとかその他の経済事情であるとか、そういうようなものを考慮して適正な収入を得させることを目的とするという原則が決められておったわけですね。それが今度は「再生産を確保する」という表現に改められたわけであります。
 これは前の泉総裁のときだったかと思いますが、私質問をしまして、適正な収入を得させる、その趣旨は再生産を確保できる価格、そういう意味でありますという答弁をそのときに聞いたわけですが、今度その答弁がそのままずばり法文にあらわれてきた。そういう意味では全く価格算定の考え方について変わりはない、こう見てよろしいですね。そういう経緯もあることなものですから、これはだめ押し的な質問ですが、お答えいただきたい。
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
 現在「適正な収益を得させる」という表現がとられておりますのは、専売制度のもとにおいて葉たばこを一方的に収納する、その収納価格については公社が一方的に定めるということになっておることとの関係がと考えられます。
 葉たばこの購入につきましては、今回契約制度に移ることに伴いまして一般の農産物価格と同じような「再生産を確保する」という表現に改めたわけでございますけれども、ただいま先生が御指摘になりましたように、現在でも耕作審議会の御審議を経まして、生産費を基礎として価格の算定がなされておるわけでございます。そういう意味におきまして、実質的に基本的な相違はないというふうに考えております。
○広瀬委員 そのとおり確認をいたしておきます。
 もう一つの問題点は、前々から総裁も、これは大蔵大臣も恐らく答弁されたのではないかと思いますが、製造たばこの原料として国内産葉を主たる原料にするということで、長岡総裁になってからも一回聞いたかと思うのですけれども、国内産葉と輸入外葉とミックスをする比率というか使用比率、これは輸入比率と必ずしも正確には一致はしませんけれども、輸入葉の比率というものは原料の大体三三%ないし四%というのが今までの最上限だろうと思うのですね。この辺のところで、あと残りの六五、六%というのは国内産葉であるということで、一年分の十四カ月に及ぶ過剰在庫を葉たばこで抱えておる現状ですから、それ以上の比率で外葉を輸入して原料葉たばこに使用するということはありませんね。その辺のところをひとつ明確にしていただきたいと思うのですがね。今までの考えに変わりはないかどうか、その限界あたりのところも踏まえて。
○長岡説明員 たばこ製造をいたします原料としての葉たばこのうち、輸入の葉の占める割合はおっしゃったとおり大体三三%ぐらい、過去を見ますともう少し高い時代もございましたけれども、ここ数年間は約三三%で推移いたしております。
 今後の問題でございますけれども、簡単に三三%が維持できるという問題ではないということを御理解いただきたいのは、外国品との競争あるいは消費者の嗜好が高級品を非常に好むようになってきておるというようなことから申しますと、それはやはり外国産の葉たばこのうち非常に香喫味のいいものを入れたりする必要は今後とも出てくるわけでございますけれども、ただ、私どもといたしましては、一方において国内の葉たばこ生産者の方々に生産性を上げ品質のいいたばこをつくっていただくように新会社も御指導申し上げることになろうかと思っておりますけれども、そういう努力をしていただく。また、製造たばこをつくる面においても、技術的にいろいろと努力をいたしまして、国産葉を使ってもなおかつ外国品に負けないような香喫味のあるたばこをつくるという努力も今後当然やってまいります。そういったようなことを通じまして、基本的な考え方としてこの率を維持して、国産葉を主たる原料として今後も使い続けていくという基本方針で進むべきであろうというふうに私は考えております。
○広瀬委員 最初の前置きのところは聞かなかったことにいたしまして、最後の部分だけしっかり承っておきます。
 そこで、葉たばこの問題につきましてはもう一つ気になる問題があるわけであります。これは今度新会社に移行する。そうなりますと、今までの納付金、地方消費税相当額が消費税でまず先取りされるという状況になります。そしてそのほかに今度は、今まで負担から除外されておった利益部分にかかる法人税あるいは事業所税あるいは法人住民税、県民税、市町村民税、それぞれあります。あるいはまた印紙税等の税金の負担、そしてまた法定福利費等についても、労災補償というような面での新会社が負担しなければならない公租公課、税負担、こういうようなものは非常に増加していくわけですね。そういう中で、しかも特殊会社に移行して民間的な手法、活力というようなものを導入して経営をしっかりやっていこう、国際競争にもたえていけるようにしようというわけでありますから、葉たばこの買い上げ価格そのものが国際価格よりも割高であるということは、それも一種の農政負担であると言ってしまえばそうかもしれないけれども、例えば構造改善事業あるいは乾燥施設に対する助成金であるとか、あるいはまた農業共済組合の制度から外れて公社が今まで全額災害補償をやってきたというような問題等について、特殊会社たる新法人にそれまで見させていくというのはやや過剰な期待にすぎはせぬか、こういうように思うわけであります。
 そういう点で、農林省の予算の中でそういう構造改善のための助成であるとか、あるいは災害対策の全額とまで言わないにしても、これを将来農業共済の中に取り込めるかどうか、このような点も含めていろいろ検討もあろうと思いますが、そういう農政負担分というようなものは、公社時代ならば結構ですけれども、新会社に移行してはやや筋として無理があるのではないか、こう思うのですが、大臣の御所見を伺います。
○竹下国務大臣 いわゆる農政負担と申しましても、概念が二つあるのかなという感じがいたします。
 一つは、従来とも農林水産省の方で手厚く対応していただいております基盤整備、土地改良あるいは近代化資金の貸し付けとか、そういう一般農政全体の中で特に畑作作物としてのたばこというものを対象にしながらもろもろの農政をやっていただいておる、それは当然これからもお願いしていくべきことであろうというふうに私は考えておるわけであります。
 先般も答弁を聞いておりましても、今も広瀬さんからお話がありましたように、農業災害補償法の中に取り込めるかどうかというのもやはり研究課題だというふうにおっしゃっていただいておるわけでございますが、私どもといたしましても、従来対応しておるものはやはり新会社でも対応していかれるべきものでございましょうし、しかし、初めから今までとは別の意味において財政負担というものに過大な期待を寄せることによって、自主的合理花の環境をつくりながらそれに対する意欲をそぐようなことになってはいかぬ、したがって、別の財政負担を前提として考えてはいない、が、全般的な農政の中では今後ともお願いすべきものも多々ございますし、新会社自体としても考えていかなければならぬ問題も存在しておるという事実認識は十分に持っておるところであります。
○広瀬委員 その問題、まだ検討の余地はあろうかと思いますけれども、実はこの前、本会議の席上で、大臣の隣に自民党の専売対策特別委員長の澁谷さんがおいでになって、私はそこへ行って大臣の耳に聞こえるように話したわけでありますけれども、同じ問題だったのです。それで、与党としてもこれは筋として全く広瀬さんのおっしゃるとおりである、こういうことも言われておるわけで、あのとき大臣の耳に聞こえたのではないかと思ったのですが、聞こえなかったようでございますが、これは筋としてそうするのが当然ではないかという気がいたします。これはまた、ことし一年だけの問題ではありませんから、私は筋としてそうあってほしい、これは農政負担として農林省がちゃんと持つべきである。今までの慣例は、財政物資であるたばこに対して大蔵省が所管をしておるのだから、農林省からは全然切り離れたものとしてそういう負担が行われてきたのです。そういうような立場からいけば、これは今度の新会社、新特殊法人への移行ということになれば、その辺のところは考え直してしかるべきだろう、こういう意見だけ申し上げて、次に移らせていただきます。
 外国たばこの輸入自由化、開放経済体制ということで、ビッグスリーを中心とした日本に対するたばこの売り込みが非常に激烈をきわめてくるだろうし、この傾向は、最近でも海外のたばこの伸びというのが年率二〇%にもなるというようなことで、もうほんのわずかな数量であるということから、これが急速に年率大体二〇%で伸びてきて、国内総消費量の約二%近くにもなってきている。これは大変な伸びである。
 そういう状態の中で、かつては九〇%の関税をかけておった、それが三五%に下がり、二〇%という経過をたどってきているわけです。専売公社であった時代においてもこれはなかなか厳しいものであったろうと思うのですが、たばこ産業株式会社に移行した後においても、やはりこのくらいのものがなければ今のビッグスリーに太刀打ちできないものであろう。これは必要最小限度の保護措置であり、EC各国でもあるいはアメリカ自身でも、外国のたばこを防ぐためにはその程度のものは維持しているというのが現状で、あれだけたばこを外に出しておきながら、アメリカ人の好みで外国から買う場合でもそれだけの関税はやっているということでありますから、この辺のところは、よほどの状況の変化がない限りは二〇%の関税というものは当然必要である、そういう御認識に大臣も立たれるかどうか、この点をお伺いしたい。
○竹下国務大臣 今おっしゃっておりました九〇、三五、二〇、それもそう遠い話でなくして、近時急速にそうなってきたわけであります。これはまさに開放経済体制の中で自由化を求められ、それが一つには段階的に関税の引き下げということに対応して今日まで来たわけであります。
 今おっしゃいましたとおり、アメリカも従量、従価まぜてではございますが、日本と同じ二〇%。先般も、たばこの責任者でございましょう、リーガン財務長官ともお話ししましたが、今私どもに対してさらに関税率の引き下げを要請しておる向きも全くございませんし、むしろ今日の輸入自由化というものに対して大変な評価をしておる。だが、仮にそういう要請があったとしましても、まさにこれはぎりぎりの線である、もっと平たく言えばまさに適正そのものであるという考え方で対応すべきであると考えております。
○広瀬委員 大臣の明快な御答弁をいただきました。
 次の問題に移らせていただきますが、新しい特殊会社に移行するに当たって資本金額を幾らにするかということは、どなたに聞いてもまだ発表する段階ではない、考えを述べることも差し控える、こういうお気持ちのようでありますが、これは非情に大事な点だと思うわけです。
 新しい特殊会社ができる。その資本金を一体幾らにするかということは、これは資本金額を多くすれば当然その株式の配当というような問題とも結びついてくる。その資本金額が多ければ多いほど国の期待する配当も多くなる、こういうことにもなるだろうし、また余りにも額が過大に過ぎると、それはそれなりに回り回って経営の圧迫要因にもなりかねない諸問題も発生する。そういうようなところで、この資本金額を資産などから逆算をするような形で最も適正な、そして新会社がその資本の力によって適正に運営されていくということも当然担保されなければならない。
 いろいろな要素を考えて、聞くところによると千五百億以上は無理であろう、まあその辺のところより若干低いところかなという感じの答弁があったやに聞いているのですけれども、公社の資産の状況、一兆八千億ぐらいの総資産、二兆円に近いのですけれども、そのうち半分以上はむしろマイナス要素の強い葉たばこの過剰在庫、しかもそれを維持するために借金もしている、金利も払っているというようなもので占められている。また、固定資産が大体四千数百億だ、こういうようなことにもなっておるわけであります。
 それらのことを考えれば、やはり千億から千五百億の間ぐらいが適正な資本規模ではないかな、私どもいろいろな角度から、またこの委員会でも千五百億ぐらいが上限だろうという御答弁もいただいたという話を聞きまして、その中間ぐらいのところがいいところかな、一千億ぐらいでもこれは十分いけるだろうという感じでありますけれども、どういう面を考慮して適正な資本金額を決定するお考えであるのか、その辺のところ、答弁できる範囲で結構ですけれども、今まで以上に少し前進した大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 日本たばこ産業株式会社の資本金は、会社の設立過程におきまして定款を定める段階で決定する。しかし、ただ漠然とそれだけの抽象的な答えてはいけない。そこで、いろいろ議論をいたしまして、おおむね千五百億円が上限ではなかろうか、ここまでお答えしておるわけであります。
 今御指摘なさいましたとおりでございまして、葉たばこの過剰在庫を抱えておるという点を考慮しなければならぬのは言うまでもないことでございます。この在庫が大きいという新会社の抱える特殊性と、資本決定にどのようにそれを反映させていくか、これはまさに今検討中の問題でございますが、先ほども指摘がございましたが、結局設立委員会の場で、本日御議論いただいたようなものも全部披露して、十分議論をしていただこうという基本的な考え方に立っておるわけでございます。
○広瀬委員 監理官、何かありますか。
○小野(博)政府委員 今大臣からも御答弁がございましたので、私の方からつけ加えることもございません。
○広瀬委員 どうも明快な答弁は現状では無理だろうと思いますが、やはり千五百億を超えない、それよりも低いところで設定をされるのが一番適正ではなかろうかという私の見解を強く申し上げて、いかなる理由によって適正かということはほんの概括的な理由しか述べませんでしたけれども、諸般の事情を御賢察の上、その辺のところに設定されるようにしていただきたい、こういうように思います。
 それからもう一つ、今全額政府が株を持つわけでありますが、当分三分の二、その当分というのはどのくらいまでのターム、時間的期限を意味しているのか。それから二分の一に至る、そういう段階では逐次株を放出していくわけですが、その放出の仕方。これは重要な国の財産の処分ということにもなるでしょうから国会の議決を経なければならぬということにもなるのでしょうけれども、その辺のところで株をどういう対象に売り払って引き受けてもらっていくのかということについて、例えば専売の労働者なりあるいは全国的にたばこ耕作者、今は大体十万を切ってしまっておりますけれども、そういう関係の人たちあるいは小売商の人たちとか、そういう関係にこの株を放出をしていくということなのか。一般公開でそういうものが行われるのか。それから当分の間というのはどのくらいの期限なのか。その辺のところで、示せる限りにおいて示していただきたいと思います。
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
 第一点、既に先生御指摘のとおり、一般に株の処分につきましては国会の議決によることは法律に書いてあるとおりでございますが、まず三分の二の当分の間の件でございますけれども、この点につきましては、今回の改正法におきまして特殊会社が一定の政策目的を持った会社として設立されるという関係がございます。そういう中で、たばこ産業の中核的存在としてたばこ産業全体を支えていかなければならないわけでございますから、そういう場合の運営が適正に行われるよう三分の二という規定を置いたわけでございます。したがいまして、今後新会社の経営が安定する、あるいはそういった中でたばこ耕作者初め関係者の不安がなくなる、そういう状況が生じたときに三分の二の当分の間という期間が満了したことになると思いますけれども、事の性質上、現時点においてそれが何年後であるかということは御容赦いただきたいと思うわけでございます。
 また、株の処分の問題でございますけれども、これはただいま先生がまさにおっしゃいましたように、重要な国有財産の処分の問題でございます。したがいまして、どういう手続でどういう対象にどういう価格で放出していくかということにつきましては、その放出の時点において適正な方法を考えていかねばならないと思っております。ただ、一般的に言えますことは、それがあくまでも公正なものでなければならないということであろうと思っております。
○広瀬委員 もう一遍大臣に資本金の問題で、これは今までの審議の経過で、千五百億よりは少なくした方がいいのではないか。これは、政府にとっては大きくしておけば、配当が他社並みの配当、例えば一〇%なら一〇%ということで、多ければ多々ますます弁ずで都合がいいかもしれぬけれども、新会社発足当時にそういう配当負担が余りにも過重になるようなことであっても困ると思うのです。それで、増資の道あるいは転換社債とかそういう道も開かれているわけですし、そういうことを考えれば、ある程度、この前何かの機会に示されたその限界よりは低いところに抑えたいというくらいの気持ちはここでお話しできませんか。
○竹下国務大臣 今の広瀬さんのような御意見を貴重な意見として、設立委員会の中へ反映してもらうということではなかろうかなと思っております。
○広瀬委員 その辺でこれはとどめておきますが、私の見解と希望はよく頭に置いていただきたいと思います。
 健康と喫煙の問題では、先輩堀委員が午前中いっぱいやったわけでありますが、私はやはりこの問題も重視しなければならぬだろうと思うのです。民間的活力を利用して国際競争にたえる、そういうことで、法改正もまさに専売制度を閉じてそういう方向に行くわけでありますが、やはりある程度は営業成績、経営基盤の確立、そして財政寄与、こういうものに追いまくられますと、どうしてもその方が今まで以上に――専売なるがゆえにこの問題でも相当力を入れて努力したと思うのですが、そういう面への配慮というものが特殊会社移行後に著しく落ちることのないようにしなければならぬ、こういう希望を持っております。
 それと同時に、国際たばこビッグスリー、こういうものが輸入自由化でありますからどんどん入ってくる。そうすると、もうとめどもなしに、宣伝の好きなアメリカから主として来るわけでありますから、大変な勢いで宣伝もやるんじゃないか。これに対する有効な規制が大蔵大臣としてできるのか。日本の新たばこ産業株式会社が横やりを入れるわけにもいかない、国際的なライバル関係で。そういう広告の規制という点などについて有効な措置が考えられているかどうか。特に輸入たばこの点について、その辺のところのお見通しを聞かしてください。
○竹下国務大臣 これからも低ニコチン、低タール、これの研究開発に努めなければならぬということ、それからきょう午前中の審議の際に、郵政大臣あるいは厚生大臣も御出席の上で御審議いただきましたときにも、そのつかさ、つかさにある両大臣から、今の宣伝の問題も含めながら、原則的に今日の放送法によって法規制の問題はあるものの自主規制の中でも十分指導監督していきたい、こういう御意見もございましたので、私どもの方からもそのような御趣旨は絶えずお伝えすべき課題であると考えております。
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
 現在、我が国の広告につきましては、専売公社を中心といたしまして外国メーカーあるいは輸入業者等が集まりまして、一定の自主規制のルールをつくっておりまして、それに従って広告規制が行われております。それがそれなりに現在実効を上げておると考えております。
 そういう状況の中におきましては、制度改革後におきましても基本的には業界の自主規制によって適正な広告が行われるということが望ましいものと考えておるわけでございますけれども、先生御指摘のように、制度改革後において輸入製品との販売競争が激化する、そういうようなことも十分考えられますので、法律の中におきまして、そういう状況があった場合には現在の専売事業審議会の後身になりますたばこ事業等審議会におきまして御審議をいただいた上で適正な指針を大蔵大臣が定め、それに基づいて勧告をする。その勧告に従わなかった場合には従わなかった者の氏名とか商品名等を公表するというような規制措置を法律の中に設けておるところでございます。
○広瀬委員 今の小野監理官の答弁だけでは非常に不安だと私は思うのです。こういう新しい制度に移行しますと、大蔵大臣はたばこ産業株式会社の監督権を持ち株主権を持っている立場においても、この広告規制についてはなかなか難しい立場に立たれるだろうと思うのです。それでどれだけ有効に規制されるか。大量にデモンストレーション効果を持つ今のテレビ時代においてがんがんやられたら、これは相当急ピッチで日本のたばこ産業が侵食される可能性というのは出てくるのじゃないかと思うのです。これについては、大臣以下、専売公社も含めて、新会社設立に向けてその問題は非常に大きい問題だと私は考えているものですから、これは要望にしておきます。
 もう時間も二分くらい過ぎたようですが、あと二、三分よろしいですか。
 それじゃ、お許しを得ましたのであと一、二問だけでとどめますけれども、塩の専売、これは大丈夫でございますね、これは当分ずっと続ける。私は、塩ぐらいは、まさにしようのないことになったと言われないように、ずっと続けてもらいたいという気持ちを持っておるのですが、その点についての大蔵大臣の決意をひとつ伺いたい。
○竹下国務大臣 この問題も恐らく締めくくり的に御指摘なさった問題であろうと思いますが、塩産業の自立化のめどが得られた段階で慎重に対処していく問題であるということを重ねて申し上げておきます。ひとつしようのないことにならないようにいたします。
○広瀬委員 それからもう一つだけ。
 いろいろな審議会が法改正後も設けられるわけでありますが、これらの中に国民的な立場で民主的な要素を取り入れていく、そういうことが非常に大事だと思うのです。これらについて、例えば働いている人たちの代表だとか、消費者の代表であるとか、葉たばこ耕作で苦労している代表であるとか、そういう人たちなんかも大胆に取り入れて、民主的構成、さらに民主的運営を図っていく、こういうような点での大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○竹下国務大臣 各審議会の構成、それから運営、これは今広瀬委員御指摘のような考え方を十分踏まえて、適正に対処してまいるつもりでございます。
○広瀬委員 もう一問だけ。
 事業報告書を提出させるわけですけれども、現在の予算書に日本専売公社損益計算書とか事業計画というのが出ておるのですが、各収入支出項目にわたって全部数字ですね。このようなものとしての事業計画書を出させるおつもりなんですか。特に予算統制、給与統制ということについては慎んでもらいたいということで、それは外れているわけですけれども、事業計画書の中にこれだけ細かい数字があって、それを提出させるということなんですか。それともこの制限は緩和されていくのか。事業計画書の内容、これはまだ未確定な分野があると思うのですが、大体こういうものを考えておられるのかどうか。予算書に書いてあるような事業計画、そういうようなお考えでしょうか。その点、監理官でもいいです。
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
 事業の内容につきましては現在公社と私どもの方で鋭意詰めておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、今回の会社が特殊会社として一定の政策目的を持って設立されるということにかんがみまして、政策目的を担保するといいますか、そういう意味での考慮と、一方では会社の経営の自主責任体制というものを確保するという両方の観点から適正なものとしたいというふうに考えております。
○広瀬委員 これで終わります。
○瓦委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日午前中にたばこ関係法案の質疑をいたしまして、後半でたばこの喫煙と健康の問題を取り上げました。
 総理大臣にお伺いをいたしますのは、この六月七日に「対がん十カ年総合戦略」というものが閣議決定をされたようであります。これは新聞の伝えるところによれば、中曽根総理の御発案であるというふうに承知をしておりますが、それほ、どういうふうなお考えに基づいてこれが行われることになったのかを最初に承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 日本における死亡率を見ますと、最近はたしか年間約十七万人近くががんで死亡して、第一位にのし上がってきた、今日本の皆様方の病気の最大関心事の一つががんになってきている。こういう状況を見まして、何とかこの問題に対する解明を早め、治療、予防の方途を講じよう、こういう考えに立ちました。
 最近、発がん遺伝子の解明がかなり進んでまいりまして、各国の状況及び国内の状況を見ますと、今やがん解明の前夜に立ち至ってきておる、そういう状況で、がん学会は非常に色めき立っておるわけであります。そういう意味からも日本はおくれてはならない、こういうことで国の総力を結集してこの解明に入ろう、そういうことで「対がん十カ年総合戦略」をつくりまして、あらゆる分野からこれに肉迫していこう、こういうことで決めたわけでございます。
○堀委員 この「対がん十カ年総合戦略」の、がん対策関係閣僚会議の決定ということでここにペーパーがございます。これにずっと目を通してみますと、これは要するにがんの発生の原因といいますかそのメカニズム、そういうふうな問題と、それに関するDNAの技術だとか単クローン抗体法の新しい技術の進歩とか、こういうものを利用しながら核心に迫るということのようでありますけれども、がん対策で大変重要なのは、私はがんの予防だろうと思うのです。
 今度の健康保険法の改正案、先ほど通ったわけでありますけれども、私は出身が医者でありますから、実は医療というのは、これは病気が発生したことに対する問題ですけれども、病気を発生させないようにするということがやはり医療の一番の根本だろう。先ほど厚生大臣にも入っていただきまして、厚生省としても二十一世紀の医療ということでがん対策について真剣にやりたい、そうして私の言う治療にまさる予防が大切だという点についても、厚生大臣と私が意見が一致をしたわけであります。
 そこで、がんの問題は、確かに治療方法なりあるいはその原因の究明なりは大変重要な問題でありますが、実はこれはいずれも学術的な部分なんですね。きょうあすに間に合う格好のものではない。ここでも、十年ぐらいのタームを置かなければいかぬだろう、そこにターゲットを絞って今ぜひ国際的な協調もやりたい、私はこの点については大賛成であります。ただしかし、それまで総理ががんのことを御研究になっておるとするならば、現実にたばことがん、特に喉頭がん、肺がん、これらの関係については恐らく現状を御承知だろうと思うのでありますが、午前中に資料をお配りしましたので、総理にこの中の特徴的なところをちょっと見ていただきたい、こう思うのであります。
 そこで、これの二枚目、一枚目はちょっと後から申し上げて、二枚目に横の棒グラフがございます。これはどういうことかといいますと、「ガンの部位別にみた非喫煙者の場合を一・〇〇とした毎日喫煙者の標準化死亡比」ということで男性がとってありますが、一番上の喉頭がん、これは一・〇というものに対して三二・〇、実は喫煙をしない者に対して喉頭がんの発生率は三十二倍である。肺がんは、それに比べると落ちて四・四三倍。咽頭がんが三・一四倍、口腔がん二・五七倍、食道がん二・一六倍、そこからがくっと減るわけであります。要するに、煙が通るところで一番大きい喉頭、その次肺、それからのどの辺の咽頭、口の中ということで、要するに実は喫煙者と非喫煙者で明らかにこれだけの違いがあるということは、既にWHOが発表しておりますし、世界の国々が、たばことがんの関係については非常にそれぞれの対策を講じておるという面から見ても明らかだと思うのであります。
 そこで、実は五月十八日の朝日新聞の夕刊が、
  「喫煙は肺がんや心臓病を引き起こす」といった、現在より厳しい四通りの警告をたばこのケースや広告に明示するよう義務づけた法案が十七日、米下院エネルギー委員会で全員一致で可決された。たばこの害をこれほどはっきり表示させる規制は世界初という。上下両院とも近く成立の見込みである。
  現在、米国のたばこメーカーは「喫煙は健康に危険である」という公衆衛生局長の警告をケースや新聞、雑誌の広告に表示しているが、今回の法案によると、さらに厳しい四種類の警告を約三カ月ごとに順番に明示しなければならない。
  その内容は「喫煙は肺がん、心臓病、肺気腫を引き起こす」「いま禁煙すれば健康に及ぼす重大な危険は大幅に減る」「妊婦の喫煙は胎児を傷つけたり未熟児出産をもたらす可能性がある」「たばこの煙には一酸化炭素が含まれている」というもので、いずれも公衆衛生局長の警告の形をとる。また警告が目立つように、文字はいまより五〇%大きくし、太線で囲むことも義務づけられる。
こういうふうに、実はアメリカは、法律で規制をしながら、国民にこのたばことがんの関係についての注意を喚起しようというところへ来ておるわけであります。
 午前の審議でも、これらについて詳しく申し上げてきたのでありますが、今非常に問題なのは、この対がん十カ年戦略というのは今の学術面だけに限っているわけでありますから、明らかにこういう問題については――たばこをのむ方のことは、私はさっきも言っているのです。自己責任でおのみください、それががんになっても、これはもう承知してのんでいらっしゃるのだから、その人たちにやめなさいということを私は申し上げる意思はないのですが、未成年の少年、それから妊婦、それから妊婦になる婦人は、現在のんでいない人たちはたばこをのまないようにしてもらいたいということを政府の責任において国民の中に周知徹底するということが、まず、がんが起きてからの治療方法を開発するよりもさらに重要ながん対策ではないのか、こう考えました。
 そこで、実は厚生大臣に喫煙と健康に対する対策本部というものを、これはWHOが実は勧告をいたしておりますので、そのWHOの勧告に基づいて喫煙対策本部というものをひとつ設置をして、そうして例えば、きょう郵政大臣にもお入りをいただいて、テレビ、ラジオについての広告をひとつ自粛できるように御検討いただきたいという問題提起をいたしました。というのも、今テレビが持っておる影響力というのは非常に大きな影響力がありますが、これを見ておりまして、これに触発されるのはもうたばこをのむ年齢の大人ではなくて、そういう未成年の人たちが一番触発される。さらには、やはり若い女性などというのが触発される。ですから、新たに喫煙者をつくらないような対策ということは大変重要ではないか、こう私は思っておるわけですが、そういう意味で、私は厚生大臣にそういう対策本部をつくって現実に指導していただきたいということを申し上げたのです。
 今、がん対策関係閣僚会議というのが設けられて、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、科学技術庁長官及び官房長官が入っておやりになっているようでありますが、要するにこの中に、航空機は既に実施して、かなり効果のある対応で禁煙席というものが設けられておりますが、国鉄の場合は、さっきもお話をしたのですが、我々グリーン車に乗ってしょっちゅう動いていますけれども、これは指定席になっていて任意に動けない。隣でどんどんやられますと、私は、大阪―東京三時間十分ですから、これはたまらぬですね。とてもたまらない。だからさっき提案をして、グリーン軍にもひとつ一部禁煙席をつくってもらいたい、そうしたら早くから予約をしてその席をとりたいということなんでありまして、どうか、たばこを吸わない者の健康を守るために、ひとつ政府の責任において新たな対策本部を設けて、今総理がおっしゃったように、ともかくもがんの死亡率が大変上がってきまして、今のところ四〇%ぐらいががんによる死亡になってきたのでありますから、これはもう大変重要なことなので、お考えをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 ただいまの堀さんのお話は非常に傾聴に値するお考えであると思います。特に妊産婦とかあるいは青少年の場合は非常に注意しなければならぬと思います。それから、一般の公衆のおる場所において、人の迷惑をも顧みずすぱすぱ吸うということは適当でないので、それらに対するエチケットの問題もあります。大体、私はたばこを吸わない方ですから、あなたと同じ陣営におる、そう思うのであります。
 そういう意味におきまして、対策本部をつくるのがいいかどうか、これもひとつ厚生大臣とも相談をしてみます。特に学校教育等において、保健体育等の時間でこの点はよく生徒たちに教え込む必要がある、そういうように思います。
○堀委員 総理もたばこをお吸いにならないようですから、共通の認識というものがあると思うんですね。というのは、吸っている人は全然意識ないのですけれども、横にいて煙がぱあぱあぱあぱあ来ますと、これは本当に公害だなあという感じがするんですね。
 ですから、そういう意味ではそういう対策本部があって、今総理もおっしゃったように教育は大変重要なんですね。特に青少年の喫煙については大切であるし、同時にまた、その教育を通じて妊産婦のたばこをやめるということも、これも社会教育としてしっかりやる必要があるということでございまして、これは大変重要なことであります。
 さっき申し上げたように、それは自主規制によるか法律によるかは別としても、実は全部先進諸国はテレビやラジオの宣伝を禁止しております。だから私はきょう奥田郵政大臣に、方法のいかんは問いませんし、今すぐやれということを言いません、しかし、少なくとも今の青少年や婦人たちに対する影響というのは、テレビのあれは非常に大きいですから、そういう点では十分にひとつ検討を進めていただきたいとお願いをし、郵政大臣も、よくわかります、検討を進めたい、こうおっしゃっておるのでありますが、ともかく中曽根総理がやっていらっしゃる中で、私としては最大に評価をしたいのはこのがん対策です。ですから、このかん対策について、学問的研究、大変結構ですからこれはぜひしっかり予算をつけて――大蔵大臣、いいですか、金がなければ研究はできませんから、マイナスシーリングなんか言わないで、ここへはしっかり予算をつけて総理の今のお考えを推進をするように、ひとつ大蔵省も考えてもらいたい、こう思うわけであります。
 あわせて、今の、たばこを吸わない者のある意味での人権ですね、健康を守りたいという人権を守るということを、何とか私は国民全体の意識にしたい、こう考えておるわけであります。そういう意味では、公共の場所その他における喫煙の制限ですね。今おっしゃったように、たばこを吸う方は、一定の時間が来たらどうも我慢ができないと見えて、皆さんよく吸われるわけですね。しかし、場所が指定してあって、ここは禁煙となっておると、吸わないで廊下へ出て吸うとかいろいろあるわけですけれども、やはりこういう問題はひとつ処理がされるということが大変重要ではないか、こう考えておるわけであります。
 時間が二十五分でありますから、最後に、今申し上げた喫煙と健康に関する対策本部をつくっていただく、これはWHOの勧告でありますから何とか総合的な対応をひとつやっていただきたいということ。それから、さっき厚生大臣にも申し上げたのですけれども、病院や何かでまだ依然として制限されていないところが残っておるのですね。厚生省としてはそういうことは今のこの線に沿って厳しくやっていただきたい。私が言っておることは、がんの原因、治療方法の開発もいいけれども、あらゆる点を網羅しながら予防対策に精力をかけていただくことが総理が願っていらっしゃる十年の戦略の中の非常に大きな実行部分である、そしてそれをやれば効果が上がることだと私は確信をしておりますので、その線に沿ってやっていただきたいと思います。それについてのお答えを伺って、私の質問を終わります。
○中曽根内閣総理大臣 よくわかりました。御趣旨に沿って努力してみたいと思います。
○堀委員 終わります。
○瓦委員長 戸田菊雄君。
○戸田委員 ただいまの堀委員のお話もありましたから、私はヘビースモーカーの方ですが、一時間我慢してやってみたいと思います。
 そこで、総理に質問をしてまいりたいと思うのでありますが、本題に入る前に一、二点、総理の見解をお伺いしておきたいと思うのです。
 その第一点は、七月八日付でありますが、ニューヨーク・タイムズ紙に、東京特派員の記者のクライド・ハバーマンという方が総裁選について一定の掲載をやっておるのです。どういうことを言っているかというと、日本の総裁選が間近にやってくるが、首相選びの争点は生活の質ではないか。恐らく中曽根総理は故佐藤総理に次いで二年以上再選をされるのではないかという感想を述べているのですが、これに対する総理の感想はいかがでございますか。
   〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理
    着席〕
○中曽根内閣総理大臣 私は今このたばこ産業株式会社法案以下重要法案を通すことに一生懸命でありまして、そういうところまで考えの及ぶ余裕がないのでございます。
○戸田委員 この間、各新聞社でも報道になりましたが、かつての官房長官宮澤さんが資産倍増計画というものを出しました。これはどうお考えでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 あの中身ちょっと読んでみましたが、臨調答申を尊重して行政改革を優先してやるというお考えのもとにおやりになっておるようで、我が同志を得た、我が味方を得たと思って、喜んでおります。
○戸田委員 私が読んだ限りでは、私の理解ではそう思わない。総理は臨調行革路線によりまして徹底した節約財政方式をとっているわけですね。ところが宮澤さんの言っている倍増計画というのは、戦後の日本では社会資本整備、つまり住居とか道路、下水道、公園、こういったことに余り金を使っていないのではないか、したがって、具体的に数字まで挙げて、十年間でこうします。もちろん実行のプロセスはまだはっきり言っておりません。こういうことになりますると、総理が今日まで実行してきた、公言をしてきたものと大分ニュアンスが違うのではないか、こう考えるのですがどうでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 私らでも下水道の問題とか道路その他の公共投資の問題には非常に関心もあり、日本はストックを増すという点では外国からは離されておるのですから努力していきたいと思っておるのでありますが、やはり財源問題というものが絡んでまいります。しかし、民間活力を大いにこの際活用して、それによってどんどん仕事を起こしていこう、そういう方向で私努力しておるところであり、宮澤さんもそういうお考えを持っておるようでありますから、その点においても一致しているのではないかと思っております。
○戸田委員 それから、「中期的な財政事情の仮定計算例」、これは予算委員会に大蔵省から出されました。これを見ますると三段階方式がとられておりまして、成長率が五%、三%、〇%、こういうことでそれぞれ区分けをしております。あくまでも仮定計算であります。しかしいずれにしても、六十年度で要調整額というものが五%の場合三・八兆円、三%の場合三・二兆円、〇%で二・二兆円等々、六十五年度までそれぞれ要調整額というものが出るようになっておるわけですね。
 間もなく八月からシーリング態勢に入る。そういうことになりますると、あらかじめ税収不足がわかっておるわけですから、六十年度の予算編成に当たって総理はどういう大綱方針と、これらに対する具体的施策というものをどうやっていくでしょうか、その見解をお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 まだ来年度予算編成には着手しておりませんものですからお答えする余裕はございませんが、しかし、原則的にまず臨調答申を尊重していく、それから「増税なき財政再建」の理念に従って行う、六十五年赤字公債依存から脱却する、そういうような原則を守りながら来年度予算を編成していかなければならないであろう、そう考えております。
○戸田委員 総理、税金の種類は今どのくらいありますか。
○中曽根内閣総理大臣 政府委員から答弁させます。
○梅澤政府委員 お尋ねは税目の数でございますか。
○戸田委員 国税と地方税合わせて。
○梅澤政府委員 国税の一般会計所属の税目は二十四でございますが、地方税と合わせると――ちょっと調べさせていただきます。
    〔中村(正三郎)委員長代理退席、中西(啓)
    委員長代理着席〕
○戸田委員 これは大蔵省で発行しているのです。非常に親切に税金のこと何でも書いてある。この二十九ページ、国税の種類は全部合わせますと二十五あります。それから地方税関係は三十余あるのです。いずれにしても五十九あるわけですけれども、その中で一番所得税の徴収割合というものが多い。
 これは時間がありませんから余り詳細はやりませんが、例えば一般会計歳入予算の分類、当初ベースでいきますと、八四年は三十四兆五千九百六十億円でありますが、そのうちの所得税が八四年で十三兆九千八百五十億円、それでなおかつ、源泉所得税がその中で七八%を占めますね。ですから、総理府でもって調査をやりましたけれども、この調査によりますと重税感と不公平感というものを国民は非常に感じとっている。こういう状況がこのまま推移するとすれば非常な社会的な問題になりかねない状況じゃないだろうか、こういうふうに私は考えるわけです。こういった問題について、不公平と目されるそういうものをまず是正をしていく必要があるのではないだろうか。
 そこで、問題になりましたグリーンカードの問題でありますが、これは五十九年以降三年間凍結ということになっておりますが、間もなくこれは凍結解除をされなければいけないと思います。配当や利子課税等に対しては一定の総合課税に持っていく、こういうのは税制改正の公平を守る立場からまず着手しなければならない内容ではないだろうか、私はこういうように考えるのですが、そういう見解について、最近、金丸総務会長でございますか、その問題について三つの方法などがいろいろ出されて検討された、こう言うのでありますが、総理としてはこれらの処理についてはどうお考えですか。
○中曽根内閣総理大臣 税の問題につきましては、今、政府税調におきましていろいろな分野から検討が開始されておるところでございます。特に、源泉分離課税の問題につきましては特別部会がつくられまして、それを中心にいろいろ御議論願っておるところでございます。それらのお考えは、いずれ来年の十二月にグリーンカードの凍結期間が過ぎますから、それに間に合うようにしかるべく回答をしていただけるものであろうとも考えておる次第であります。
○戸田委員 これは一貫して改善措置をとられないのですね。一九六五年からずっと見てみましても、殊に七七年、給与所得課税最低限が二百一万五千円、片一方は四百四十万三千円ですから、結局不労所得が倍以上も課税最低限でもって甘くまけられておる。八四年で、今回若干課税最低限を上げていきましたけれども、二百三十五万七千円で、片や五百十三万円で、これも上がっている。だから、こういうものは国民としては不公平税制の最たるものではないだろうか、私はこう感じとっているわけですから、この問題の早期改善措置をぜひお願いをしたいと思っているのです。
○中曽根内閣総理大臣 不公平税制の見直しにつきましては臨調答申でも指示されておるところでございまして、政府としては常時これが見直しについて今後も努力してまいるつもりでおります。
○戸田委員 まあ仮定計算でまいりますと、公債発行はむしろふやすどころではなくて一兆円以上毎年減らしていく、こういうことですね。そしてなおかつ、六十年度おおむね五%増ぐらいの歳出増でいきますとそのぐらいになるかどうか、これからでございましょうが、どうしてもさっき言ったように三・八兆円とか三・二兆円とか二・二兆円というものが歳入欠陥として生まれてくる、要調整額が出てくる。そういうことになると、どうしても税制の見直しをして何らかの増収策をとらなければ予算は組めないのじゃないだろうか、こういうふうに私は考えますが、総理は、その点どう考えましょう。
○中曽根内閣総理大臣 この点については、大蔵省が「中期展望」というものでその財政の構想、考え方というものを示しておりまして、A、B、Cにわたる試算表を出しております。そういうものは一つの参考資料でございますが、そういうものを参考にしつつ、毎年度、毎年度実収入を検証しつつ予算を編成していくということであります。
 先ほど申し上げましたように、六十五年度、赤字公債依存体質から脱却する、そういう目標に目がけて予算編成というものをやっていかなければならない。その場合に、税収をどうするか、あるいは税以外の収入をどういうふうに確保していくか、あるいは歳出をどのように抑制していくか、そういう諸般の問題については、それらの税収の実証性、根拠に基づきまして予算編成をしていくべきものである、毎年、毎年の努力である、そういうふうに考えております。
○戸田委員 今回の専売公社の改革につきましては、一応五十七年の七月に臨時行政調査会基本答申でもって、三公社改革の基本的方向、こういうものが指示をされました。したがって、日本専売公社に対しましては、一つは経営形態を基本的に民営化すべきである、これに至る前段階として特殊会社とする。葉たばこの全量買い上げは取りやめなさい。耕作許可制度を廃止しなさい。葉たばこの耕作面積と価格、これは特殊会社とたばこ耕作者との契約によりなさい。両者が希望する話し合いがつかないというときには調整機関でやりなさいよ。こういうことに答申ではなっておるわけであります。さらに、競争原理の導入を図るために、流通専売制度を廃止。輸入品については、民営の一般的販売体制をとりなさい。現行の納付金制度を廃止して、消費税体制をとりなさい。これが臨調答申の基本答申であるわけであります。
 さらに、これに対して、専売公社当事者なりあるいは自民党の小委員会等いろいろ意見としては出てまいりましたが、結果的には、専売事業調査会の答申に基づいて、大体その線で今回改革法案というものは実行されている、こういうふうに私たちは考えます。
 すなわち、専売事業調査会というものは、巨大外国たばこ企業に対する競争力の確保、国内葉たばこ問題の対処等の観点から、製造独占は維持しなさいと、専売事業の根幹は維持する態度を明らかにしておるわけでございます。それから小売指定制、定価制、これも所要の改善を図った上で実質的に維持をしなさい。さらに、今後の税制については、税水準の現状を維持して、たばこ産業の立場に留意した税構造を検討しなさい。
 こういうことで、専売事業調査会の答申と基本答申というものはちょっと違ったニュアンスでありましたが、今の改革法案は、結果的には大体専売事業調査部会答申に基づいてぴちっとしている。しかし基本は、答申に言うところの、将来は民営か分割方式をというようなことは言っておるわけでございます。
 しかし、私たちは、これに対して五項目の基本要請を出して、製造の独占は守りなさい。それから定価制は守って、小売指定制はやりなさい。それから流通専売は廃止してもいいです、これは自由化の対応ですから、そう言っている。しかし、小売指定制と定価制というものは守りなさい。それから消費税構造については、私たちは従価と従量の組み合わせでいきなさい。これは当然、ECあたりでも民営専売あるいは公営専売いろいろありますけれども、EC体制全体としては従価体制を軸に置いて消費税たるものを作成しているというのが今の状況ですから、そういう要求を出して、大体そういった状況がつくられて今回の改革案というものが成立を見ている。
 基本答申と専売事業調査会答申、実質的な改革法案、こういうものに対して、私はそういった現行体制というものは持続をさせるべきだ、こういう観点に立つのでありますが、総理の見解は基本的にどうでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 大体戸田さんがおっしゃったようなことが法案に盛られているのではないかと思います。ただ、臨調答申を一〇〇%実行していないのはまことに遺憾ではありますけれども、しかし外国たばこの輸入の自由化、そういうような問題、それから経営に関する自主責任体制への前進と申しますか、そういう面ではやはり前進が認められております。
 しかし一面において、たばこの問題はたばこ耕作組合の皆さんの生活問題もありますし、小売店の生活問題もありますから急激な変動は避けなければならぬし、それらの人々が安心して移行できるような体制をつくるのが政治の、御政道の筋である、そういう考えに立ってこういう案ができたので、現段階においては妥当な考えであり、製造たばこの独占という体制は維持していく、そういう考えでおるわけであります。
○戸田委員 本委員会も五月以降本改革案について極めて慎重に、丁寧に、真剣なそういう討議を経て、きょうで十何回目でしょうか、もちろん連合審査、関係の委員会の皆さんに来ていただき、現地調査もやり、とにかく念には念を入れて、そして本委員会で大蔵大臣といろいろな角度で確認をしてまいった諸事項がございます。そういうことで当然委員会で確認をしてきているわけでありますから、そういうものについては総理といたしましても十分尊重されるものと判断をいたしますが、いかがでございましょう。
○中曽根内閣総理大臣 当委員会におきまして国務大臣が述べましたことは、私も内閣として遵守してまいるつもりでおります。
○戸田委員 殊に私が総理に念を押して確認をしておきたいことは、行政改革のねらいの大きな柱は、行政府の干渉を極力排除して、そして企業経営の自主性を強める、こういうところにあるかと思うのでありますが、御存じのように、出てきているものもありますし、まだ出てきてないものも相当あるのでありますけれども、政省令による項目というのは非常に多いのです。たばこ事業法関連で政令で十六項目ございます。省令で二十四項目ございます。会社法関連で政令が三項目、塩専売法関連で政令が九項目、省令が三十六項目、関連整備法関連で政令が六十本、省令が三十八本、たばこ消費税法関連で三十三項、地方税法関連で政令が五項目、省令が十二項目、その他実施政令、実施省令、通達は多数に上っておりまして合計で二百三十六であります。
 こういうものはいまだに具体的な検討対象には入らなかった、こういうことでありますから、改革法案の基本的なそういう条文や法律に基づく諸措置については、十分やりましたけれども、それに違反しないような省令、政令というものを設置をしていただいて運用に誤りのない体制というものを私はとっていただきたいと思うのですが、この点はいかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 法律に決められましたことについて政令、省令は忠実でなければならぬと思います。そういう意味におきまして、法の趣旨にのっとった政令、省令をつくるように督励してまいるつもりでおります。
○戸田委員 殊に基本となる本委員会で審議をして確約された大綱というのは、一つはたばこ製造の独占、それから新会社の経営の自主性、労働三法の完全実施、雇用の確保の観点から業務範囲の拡大を図る、資本金は極力抑える、配当は非常識にわならない、こういう範囲のものでそれぞれ確認をいたしておりまするが、こういった問題等についても、十分ひとつ総理も最高責任者として御配慮をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 今申されました御趣旨を尊重して経営の効率化、重点化、能率化、合理化等に努力してまいりたいと思います。
○戸田委員 そこで、数がちょっと多いものですから読み上げて総理の御確認をいただきたいと思うのでありますが、一つは自主性、当事者能力問題でございますが、輸入自由化後の激しい国際競争のもとで、職員の雇用安定を図り、たばこ耕作者等たばこ事業関連集団全体の維持発展を図るためには、その中核となる新会社の効率的、弾力的経営の確保は何にも増して必要である。そのためにも当事者能力を確保し、近代的労使関係を確立することが必須である。その意味で、特殊会社化は所有と経営の分離に本旨があり、経営は専門家に任すとの内容でなければならない。
 しかし、会社法に定められた大蔵大臣の事業計画の認可、目的達成事業の認可、役員の任免等々の具体的運用いかんでは、真の当事者能力の確保を制約するおそれがあります。委員会審議の中で、予算、給与統制はしない、事業基盤拡大のための事業領域の拡大等の方向が明らかにされたで、予算、給与統制はしない、事業基盤拡大のための事業領域の拡大等の方向が明らかにされたが認可の実施にあたりいやしくも新会社の自主性を妨げるようなことがあっては今次改革の趣旨にもとると考えますが、これらに対する運用上の当事者能力の確保の問題についても明確に確認をしてまいりたいと思うのですが、総理の見解をひとつ。
○中曽根内閣総理大臣 本法制定の趣旨にかんがみまして、経営そのほかの効率化、能率化あるいは労働権の回復、経営の自主責任、そういうような問題について趣旨に沿うようにいろいろ措置してまいりたいと思っております。
○戸田委員 これは大蔵省の方に若干確認をしておかなければいけないのでありますが、いわゆる特例措置三十四銭の問題です。この問題は同僚の川崎議員と伊藤議員のほうでそれぞれ確かめておるのでありますが、伊藤議員に対しましては小野監理官の方から、十分考慮いたします、そういう回答であったと思います。しかし、主税局長が同僚の川崎議員に回答したのは、極めて異例措置であることを念頭に置いて六十年度予算編成に当たりたい、こういう趣旨を述べられているわけですね。同時に 異例がまた重ならないよう努力したいということですから、五十八年度、五十九年度で終わって六十年度以降はこういう特例措置はやりませんよということと判断いたしますが、いかがでしょう。
○平澤政府委員 先ほどの件は私が御答弁申し上げたわけでございますが、五十八、五十九両年度で法律上のその措置は切れますので、したがって当然にその措置につきましては終わりになるということでございます。
 したがいまして、引き続き六十年度以降どうかというお話でございますけれども、前にも申し上げましたように、極めて臨時異例の措置でございますので、軽々にそういう異例の措置がまたあることのないよう我々としても努めてまいりたいと考えております。
○戸田委員 この前いただいた回答の内容でいいのでしょう。今ちょっと表現が違うようですけれども、どうですか。ここをはっきり確認しておきませんと……。総体で一千億ですね。だから税金で六〇%持っていかれ、配当や内部留保を四〇%でやらなくちゃいけないわけでしょう。そういう状況の中で、これがまた特例措置として延長されて実行されるということになると、一千億違ってくるのですね。この前、資本金、資産内容というものを全部話をしましたから、ああいう状況でやらなくちゃいけないのですから、これはぜひそういうことでぴっちりやめますよということを言ってもらいたいですね。
○平澤政府委員 その件につきましては、前回の答弁と同じ趣旨で今御答弁申し上げました。
○戸田委員 わかりました。ぜひひとつそういうことで……。ただ、念頭に置いてということで、実行するということは入ってないからね。実行するでしょう。
○平澤政府委員 何分にも制度の問題でございますので、その点につきましては考え方を申し上げたわけでございます。
○戸田委員 こちらが要望する内容は十分酌み取っていただいて、こちらとしては、そういう要求内容が考慮されている、こういう判断をしていいですね。
○平澤政府委員 委員のおっしゃる趣旨は、我々としても十分に理解いたしております。
○戸田委員 総理、これはどうでございましょう。大臣がそれの認可を与えてぴちっと処理をすれば、そういうことで事務当局でそういうことを六十年度以降はやらない、こういうことで御理解できましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 ただいま事務当局がお答えしたとおりでございます。
○戸田委員 現在、在庫は三十七万トンでございましょうか、おおむね年間消費が十七万トン有余でありますから、三年分に近いものを持っているわけであります。こういうものを持ってなおかつ世界的に競争体制でやっていくとすれば、これはアメリカと比較しても二倍程度になっているわけですね。だから、こういう問題に対する生産体制の向上、あるいは何らかの合理化方式をとっていかなくちゃいかぬと思うのでありまするが、そういう問題に対して、経営安定の立場から現行関税率二〇%、ECは九〇%だと思いますしアメリカは二〇%、それぞれ違うようでありますが、どこでも今のところそういった保護政策がとられておる。ですからこの二〇%というのは、当面の経営全体の内容を考えますると最低の水準ではないだろうか、こういうように私は考えまするけれども、大臣、これはどうでしょう。
○竹下国務大臣 いわゆる関税率の問題でございますが、確かに近年九〇から三五、二〇。しかも、お説のとおりECは九〇、アメリカは二〇。この点についてはアメリカ自身も評価をしておることでございますし、私どもとしてはぎりぎりの線であり、かつ国際的に見てもまさに適正なものである、こういう確信の上に立っております。
○戸田委員 これは総理にお伺いをいたすわけですが、今各省、それから国鉄や電電もそういうケースがあるのでありまするけれども、言ってみれば葉たばこ農家への助成の内容が、公社自体が負担をしている部面がございます。施設の種類でまいりますと、土壌改良用機械施設、葉たばこ乾燥施設、農業機械、貯蔵施設等々がありまして、額におきまして三十三億七千四百万円の助成をやっております。それからもう一つは、たばこ作作業一貫体系受委託促進事業ということで、いわゆる育苗・移植あるいは乾燥、本畑機械等々千二百万円見当いっております。ですから総額にして三十三億八千六百万円を超えるわけでありまするけれども、こういったものは本来は政府全体として、農水省で一部負担すべきじゃないか。ことに農水省関係は共済制度というものがございまして、七つの共済があってたばこだけが除外をされておるのですね。だから、そういう問題については当然農水に帰属させて、その部面で全体としてそういう助成体制をとっていく、この方が非常に整合性を持っていいんじゃないか、こういうふうに考えまするが、この点の総理の御見解はいかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 ほかの各省との並びの問題がありますので、政府委員から答弁させます。
○竹下国務大臣 たびたび農林省からも今日までいわゆる葉たばこ産業に対しましていろいろな助成措置等をいただいております、基盤整備のための土地改良でございますとかあるいは近代化のための資金供与でございますとか。今おっしゃいましたいわゆる農業災害補償法の問題は、先般の御質問に対して農林省当局からのお答えは検討すべき課題であるというふうにお答えをいただいておりますので、私どもといたしましても、きちんと現状認識の上に立って協議すべき課題であろうというふうに考えております。
○戸田委員 それから、この前述べましたが、塩の専売は維持することに確定をされております。ただし、公社の考えといたしましては、一社の生産体制は三十万トンに引き上げなさい、価格は一万七千円見当に引き下げなさい、こういうことで対外競争力をつけようということでありますが、これはあくまでも当該七社の自主的判断に任せるべきではないかというふうに私は考えますけれども、これはどうでしょう。
○友成説明員 お答えいたします。
 製塩各社は、現在国際競争力を持つほどのコストに向かって鋭意合理化を進めてまいっております。この合理化に当たりましては、製塩各社はそれぞれいろいろな歴史を背負っておりまして、設備その他いろいろ条件が違います。そういうことで各社とも自主的な合理化努力といいますか、各社がそれぞれ経営努力を払うということで合理化を進めてまいっておりまして、決して公社の方で一律的に合理化を進めるという形はとっておりません。そういう意味では、先生おっしゃられるとおりに自主的な合理化を進めてまいっております。
 なお、一万七千円の問題につきましては、一万七千円自体が国際競争力の価格ということではございませんで、塩業審議会の答申に沿いまして、将来国際価格競争力を持つ、そこまで合理化を進めるに当たっての誘導価格といいますか、合理化が誘導できるような価格政策を進めなさい、その段階といいますかそのプロセスといたしまして、当面五年先をにらんで各社の実態に立って合理化誘導政策としての価格を決めなさい、そういう意味での一万七千円でございます。
 したがいまして、一万七千円自体は、輸入塩のコストに関税相当二〇%を加えまして、さらに粉砕塩コストを加味した金額でございまして、これを当面の目標といたしまして、将来的には国際競争力を持つという面に向かって各社がさらに合理化を進めていくということになろうかと思います。
○戸田委員 総理の御見解はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 三十万トン一万七千円体制というのは一つの努力目標であって、大いに努力していくべき目標であると思っております。
○戸田委員 塩の場合に各種審議会がございます。一つは塩業審議会、それから塩収納価格審議会等々があるわけであります。これは今後も恐らくそのまま存続をされるのだと思いますが、その辺の見解。
 それから、例えば塩業審議会は今十三名おられて、指名されている人はそれぞれ立派な人でございますけれども、生産にじかに携わっている人が入っていなかったり、数の上からいけば非情に少ないということは言えるのじゃないかと思うのです。例えば塩収納価格審議会は十名でございますけれども、しょうゆ屋さんの代表が入っておったり、評論家もおりますが、もちろん消費の立場でしょうゆ屋さんなんかは必要かもしれません、そういうことも配慮しているのでしょうが、あとは各会社の鳴門塩菜、社団法人日本塩工業会副会長、讃岐塩業株式会社、崎戸製塩株式会社社長等々入っていますが、じかに生産に携わっておる人は入っていないのじゃないでしょうか。これはどうでしょうか。
○友成説明員 お答えいたします。
 塩業審議会につきましては、十五名以内でもって組織することになっておりますが、先生おっしゃられるとおり現在十三名でございます。その中には、生産業界を代表する委員、それから、消費の一番多いのはソーダ工業でございますのでソーダ工業会を代表する委員、それから消費者を代表するといいますか、一般用塩としては一番消費が多いのはしょうゆでございますので、醤油協会から委員が一人入っておられます。
 それから塩収納価格審議会につきましては、学識経験者として四人、消費者委員として消費の一番多いソーダ工業会と醤油協会から一人ずつ、生産者委員として、先生おっしゃられました三つの製塩工場の社長さんと七社で構成いたします社団法人日本塩工業会の副会長の者が一人、この十名でもって成立しております。
 製塩工場に勤務する職員を代表する者がいないのではないかという先生の御指摘でございますけれども、それぞれの会社の責任者ということで社長さんに入っていただいておりますので、これで十分機能しているというふうに私どもは思っておる次第でございます。
○戸田委員 たばこの方も各種審議会がございます。専売事業審議会は現在までは公社法によっておったわけでありますが、今回、たばこ事業等審議会は政令で設置することになります。それから、たばこ専売事業調査会という総裁の諮問機関が、今度は社長の諮問機関として設けていくのかどうか、こういうものは取り扱い未定になっておるのですが、私は存続させるべきだと考えておりますが、この辺の見解。
 それから、たばこ耕作審議会は従来専売法で明確にしておりましたけれども、葉たばこ審議会がたばこ事業法で明確に決まっておる。ただし、消費者懇談会とか消費者会議等々の問題は同じように取り扱い未定ということになっております。私は、会社移行してもそれらについては明確に存続させて、しかるべく相談をしてやっていく方が事業の発展等のためにもいいのじゃないだろうかと考えておりますが、その辺の御見解もあわせて聞かしていただきたいと思います。
○長岡説明員 先ほどの御質問にございました塩業審議会、塩収納価格審議会、ただいまの御質問にございましたたばこ専売事業調査会、これらはいずれも新制度に移りますと新会社の経営者の諮問機関になるわけでございますが、それらの審議会の性格にかんがみまして、新制度に移行した後も、新会社の経営者の諮問機関として存続すべきであろうと現在私どもは考えております。
 なお、消費者懇談会及び消費者会議につきましても、やはり存続すべきであろうと考えております
○戸田委員 大蔵大臣、これは今度の新しい会社の社長指名になりますから、大臣の認可条項は必要ないわけでしょう。――わかりました。
 それで、最後に一点、総理にお伺いして終わりたいと思うのであります。
 これは昭和六十年度たばこ消費最見通しを内容にして若干の試算をやったのですが、資産、資本金等の内容についてでありますけれども、消費量が大体三千百七十一億本、収入が三兆一千四百十六億円、財政収支寄与一兆五千億ないし一兆六千億、予算の関係では一兆二千億、今年度の八四年予算で専売納付金は当初ベースで一兆二百十六億、だからその辺では六十年の見通しと八四年の専売納付金に対する予算上の問題とはちょっと違うようでございますが、いずれにしても六十年度たばこ消費量見通しがぴちっとつくられたわけでありますから、それに基づきました。
 一兆五千億ないし一兆六千億、収入三兆一千四百十六億円、税収分として、新しい課税制度ができますし約六〇%持っていかれます。そういうことでいろいろやりますと、税引き前利益が六百億とした場合に約四百五十三億の税収ということになります。三百億でいく場合につきましては、大体二百六十五億ばかり取られます。いずれにしても、おおむね一兆六千億見当の内容で総体の事業を全部やっていくということになってまいります。私は非常に厳しいのじゃないだろうかと思います。
 アメリカ等はまさに事業拡大、多角経営でピールもやれば海運もやる、スーパーもやる、いろいろな拡大方式でやっておるわけですから、どうしても一面では事業拡大をやって雇用の安定、耕作者の安定、そういうものを図ると同時に、生産コストを下げて、そして生産性をもっと上げていかないと世界的な競争対応がとれないということになるんじゃないかと思います。殊に、アメリカあたりでビッグスリーと言われるそういった会社等々は、外国のシェアも五六%確保されておりますから、一定の見通しで五%程度、こう見ておるようでありますが、しかしそれじゃおさまらぬのじゃないだろうか、各般の宣伝その他もやってこられますから。こういったことになりますと、どうしても事業拡大はもう必須条件だと私は考えるわけでございます。
 そういう点について、大蔵大臣もそのような御見解、これから十分検討されましていろいろやっていく、当事者の総裁の方も、それはそのとおりだということで多角経営をやりますということに確認をされておりますが、この辺について総理はどういう御見解を持っておられましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 今回の新しい形態への移行というものは、一面におきまして民間的手法を取り入れた経営というものも重視する、そういう意味において自主責任体制という面が強調されてきていると思います。それと同時に、機構や人員、経営体制の合理化というものにも思い切った措置をやっていただく、そして国際競争力を増加していただくように、ともかく営々たる努力をしてほしい。今まで公社という政府機関であったのに対して、特殊法人という新しい模様がえをするわけでありますから、公社の職員の皆さんも経営に当たられる方々も、ここで心機一転して、労使協調のもとに生産性を上げて所期の目的を達するように努力していただきたい、そのように念願いたしております。
○戸田委員 ぜひ各般の確認事項を誠実に実行していただくことをお願いをいたしまして、終わります。
 ありがとうございました。
   〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
○瓦委員長 柴田弘君。
○柴田(弘)委員 まず私は、専売改革の問題は後に譲りまして、ただいま戸田委員からもいろいろと質問がありました来年度の予算編成の問題につきまして、数点にわたって総理の御見解をお聞きをしておきたいと思います。
 まず第一点は、先ほど総理がおっしゃいました来年度の編成方針は、一つは臨調答申を尊重する、「増税なき財政再建」を堅持する、そして三つ目には六十五年度赤字国債脱却、これが一つの基本的なお考え方である。
 いよいよこの十一月には自民党の総裁選挙があるわけであります。総理は、大型間接税につきまして中曽根内閣においては導入をしない、再三再四、私の去る二月の本会議の代表質問においても御答弁になり、予算委員会等々でも御答弁になっておる。いよいよそういった時期を迎えまして、私は確認の意味を込めて御質問いたしますが、この大型間接税の導入については、導入をしないとはっきりと明言ができるのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 いわゆる大型間接税なるものを導入する考えはございません。
○柴田(弘)委員 そこで、先ほど財政の「中期展望」のお話がありましたが、六十年度は三兆八千七百億円、六十一年度は五兆四百億円、六十二年度は五兆七千七百億円のいわゆる「財政の中期展望」における要調整額があります。そこで、この要調整額をどうして具体的な手法によって埋めていくか、こういった問題が残ってくると思います。
 そこで、六十年度大型間接税を導入しないということでありますが、やはり六十一年度、六十二年度になってくればますますそういった要調整額というのはふくらんでくるわけでありまして、中曽根内閣である限りにおいては、六十年度はもちろん、六十一年度、六十二年度も大型間接税は導入しない、こういうふうに判断をしてよろしいかどうか、重ねてお尋ねしておきます。
○中曽根内閣総理大臣 中曽根内閣におきましては、そういうことはいたしません。いつまで続くものやらわかりませんが……。
○柴田(弘)委員 そこで、減税の問題ですが、今年度一兆一千八百億円の大型減税があった。ところが残念なことに、一方において酒税、物品税、法人税を初めとする増税が行われました。大蔵大臣もくしくも言っておりますが、増減税チャラである。いわゆるせっかくの減税の効果というものも相殺をされてしまった。最近、河本経企庁長官はこの減税問題について、この二、三年間で大型減税をしていかなければならないとおっしゃっております。総理の閣内でそういった意見もありますし、また、最近の労働省の労働白書によりましても、家庭における消費支出は世帯主の収入よりも多い。こういったことで奥さんが働きに行かれる。こういった実態であります。
 この所得税減税あるいは地方税の個人住民税の減税という問題については、これははっきりと御答弁をいただきたいのでありますが、六十年度においては総理の頭の中には全然ない、こういうふうな判断でよろしいものかどうか、お聞きをしたいわけであります。
○中曽根内閣総理大臣 来年度予算編成にはまだ着手しておらないのでございまして、来年度予算編成に当たりまして、党ともよく相談をして、いろいろ検討してみたいと思うことであります。今ここで、するとかしないとかということは言いにくい点でございますが、しかし、臨調答申を尊重する、それから六十五年度赤字公債脱却を目指して進む、「増税なき財政再建」を行う、そういう線に沿ってやるということでありますから、やはり相当厳しい予算編成にならざるを得ない、そういうことは申し上げられると思います。
○柴田(弘)委員 大体、まあ言外に総理の御意向も私は酌み取りました。
 そこで、関連をしてパートタイマー減税についてお聞きをしますが、昨日、本会議におきまして二万円アップをいたしまして九十万の非課税限度額、こういうことになりました。まことに喜ばしい限りであると思っております。
 そこで、私どもがこのパートタイマー減税を当委員会においても取り上げるときにいつも大蔵大臣からお話が出るのは、いわゆるパートタイマーとはというその定義づけ、位置づけというものが今しっかりしてない、だからそれを税制面だけで考えていくということは非常に問題があるのではないかというふうな意味の答弁を正直に言っていただいております。最近のパートタイマー、特にパートタイマーで働く家庭の主婦の実情は、先ほど私が指摘しましたように、御主人の収入を少しでもカバーをしていこうということで働きに行かれる。現実に労働省の調査によりましても、今約三百万人になんなんとする働く家庭の主婦、しかもその収入は年間百万ぐらい、これが一つの常識になってきておる。しかも第二次産業、中小企業が約一〇%、しかも労働条件からいいましても、社会保険の適用についても大体三分の一程度、一般労働者に比べての賃金指数を見てみましても七六%程度、こういったことで、最近になりまして、労働省の方もやっと重い腰を上げまして、今仄聞するところによりますと、いわゆるパートタイマーの対策要綱というものを策定をしている、こういうようなことも漏れ承っておるわけでありますが、こういった問題、今日の社会情勢、産業情勢というものに照らして、そろそろ政府においてもきちっとした定義づけ、位置づけというものをしてくる段階に入ってきたのではないか、正直に言いますと、こういうことを私は思うわけであります。
 きのうも一般質問の中でいろいろ議論がされておりましたが、税法上から言いますと、これに絡めての内職の問題もあります。あるいはまた、所得税体系というものをどういうふうに考えていくかという問題もありますが、その根本のパートタイマーとは、これが政府においてきちっと位置づけ、定義づけられておる、これが私は必要だと思います。
 総理は選挙のときに、働く婦人を大切にすると公約をされました。だからそういった観点で、これはお願いの意味を込めて質問をいたしますが、パートタイマーについてのそういった位置づけというものをぜひひとつはっきりとしていただきたい、心から要望いたしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 日本の経済構造を見ますと、流通とかサービスの部門も非常に拡大されつつあります。パートタイマーが割合にそういう方面で吸収されている面もあると思います。そういう意味におきまして、パートタイマーというものの定義をできるだけ一定の秩序のもとに整備するという必要性は、委員御指摘のとおりであると思います。
○柴田(弘)委員 そこで、これは先日も大蔵大臣にお見せいたしましたが、総理、ちょっと見てください。これを見ていただくとわかりますが、今回九十万になりました。ところが、九十二万、百万、百十万、百二十万になってきますと、税負担が当然余分にかかってくる。それから、奥さんの国民健康保険の保険料負担もしていかなければならない。あるいは、御主人の扶養手当もカットされる。こういうことになるわけであります。つまり俗に言う逆転現象が、これは二万円でやっておりますけれども、一万円でももう起こってしまうわけでありますね。だから、そういった逆転現象というものを考えてみますと、働く人あるいは雇う方も、九十万で切られてしまいますとやはりそこまでしか働かない、こういうようなひずみというものが今起こっているわけであります。
 今私が言いましたように、常識的にいって、私どもは一足飛びに百二十万にしろとか百三十万にしろとか、それは多ければ多いほどいいわけでありますが、そんなことを申しているのではなくて、今の社会通念上からいって、せめて百万までは非課税限度額を上げていく。じゃそのあとの分はどうするかといえば、例えば十万円でも特別控除という方法があるのではないか。私はそういう点も先日大蔵大臣に申し上げたわけでありますが、どうか総理、こういった逆転現象を解消する意味においてもパートに対する定義づけを早急にきちっとやっていただいて、このパートに対する税体系あるいは内職その他の所得税法のあり方というのは一体どういうものであるかということを見直していく方向での検討というものも進めていただきたい。重ねて質問をいたしますが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 よく検討するようにいたしたいと思います。
○柴田(弘)委員 そこで、今戸田委員からも指摘されましたグリーンカードの問題です。
 私も、昭和五十五年以来何回かにわたり、このグリーンカードの問題をいわゆる不公平税制の是正という観点から取り上げさせていただきました。先ほど総理から御答弁をいただきましたように、確かに今政府税調においてこの問題を審議をしている、それを見守っていらっしゃるという段階ではありますが、本来ならばこのグリーンカードは三年の凍結でありますから、凍結解除をしていくべきだというのが私の基本的な考え方であります。ところが、どうしても凍結解除、復活があり得ないならば、今回のマル優の見直しに当たっては、やはりいろいろな考え方があるでしょうが、守らなければならない原則というものがあるのではないかと思います。
 私が質問するのは、じゃどういうふうに制度を改革するかという問題ではありません。総理の哲学、理念の中に、今回のこのマル優制度の見直しあるいは利子配当所得の税制改正に当たってはどういった考え方があるのか。私は、私なりに考えて三つあると思います。不公平税制の是正、先ほど総理もおっしゃいました。これはあくまで貫いていただきたいということ。それから二つ目には、やはり今日の経済社会の発展というのは、今日までの営々とした国民の貯蓄にあったと思いますね。しかも住宅ローンの支払いあるいはまた高齢化社会に対応しての蓄えあるいはまた教育費の蓄え、こういったものに対する政策的な配慮というものが二つ目になければならない。そして三つ目には、言われておりますマル優の見直しによって資金が移動して、金融秩序、これの混乱が起こり、国民経済にこれまた混乱が起こってはいけない、こういうように私は考えております。
 昨日、小倉税調会長の答弁をいろいろ聞きました。非課税貯蓄制度は残そう、そういう方向かもしれない。はっきりとはおっしゃいませんが、そういった方向。それから総合課税についても見捨てたものじゃない、こういった趣旨の答弁をいただいておりますが、私は、制度をどうするかということでなくて、先ほど申しました三つの観点からやはりこれは来年度の税制改正に向けていかなければならないんじゃないか、こういうふうに考えておりますが、総理の基本的な理念、哲学というものをお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 この点は今政府税調におきましてせっかく精力的に検討、審議をやっておる最中でございますので、私が横からとやかく申し上げることは差し控えた方がいいと思います。政府税調の答申がどういうふうに出るか、見守ってまいりたいと思います。
○柴田(弘)委員 基本的な考え方もないのですか。先ほどの質疑に対して、不公平税制の是正ということをはっきりおっしゃったわけですから、どうでし立つか。政府税調を見守っていかれるということなんですが、私の言った三つの点というのは、これはほぼ間違いはない、私はこう思っておりますが、どうでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 その点は非常に技術的な要素がかなり入ってくると思います。したがいまして、いろいろの内外の情勢を考えつつやりませんと、うっかり素人論議をすると間違った結果を引き起こす、社会的にも影響力の大きい大事な問題でありますので、慎重を期したいと思っております。
○柴田(弘)委員 じゃ、またそのときになりましたら御質問いたします。
 それで、最後の一点でありますが、シーリングの問題ですね。シーリングというのは昭和三十六年から行われてきたというふうにお聞きしております。しかも、ゼロシーリング、マイナスシーリングというのは五十七年度以降でありますが、最近マイナスシーリングということによって非常にひずみが出てきたのではないか、私はこういうふうに思います。
 例えば五十九年度予算をマイナスあるいはゼロシーリングの前の五十六年度予算と比較をしてまいりますと、一般歳出の伸び率は一・七%増になっております。その中で、公共事業費は二%の減、文教・科学振興費は二・六%の増、社会保障費は五・五%の増、こういうように抑制ぎみでございます。ところが一方、防衛費は二二・三%増と、これは異常突出をしているわけであります。こういうマイナスシーリングというのは、やはり対象経費と例外経費とでずっと続けてまいりますと非常にひずみができてくる、こういうことですね。やはりそこに福祉切り捨て、教育の切り捨て、そして防衛費異常突出の予算というふうになってきて、しかもこの防衛費の突出については、マスコミ等の世論調査によりますと、大体七〇%から八〇%の国民が防衛費の異常突出については反対をしている、こういうことでありますね。
 でありますから、やはり私は、予算を前年度に対してどれだけやっていくか、こういったことでなくて、必要に応じて原点から洗い直すということで、本当に内閣のリーダーシップを発揮していただいて政策別のシーリングというものを設けていった方が国民の共感が得られるのではないか、こういうふうに思いますが、この辺の考え方、そしてまた、大蔵省はマイナスシーリングということでありますが、来年度予算編成についてはやはり五十九年度予算と同じような方向でマイナスシーリングというものを続けるかどうか、ひとつ総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 まだ来年度予算編成に着手しておりませんので、どういうシーリングをやるかということも白紙の状態でございます。
 しかし、いずれにせよ、先ほど申し上げましたような臨調答申を尊重して六十五年度赤字国債依存体質から脱却する、しかも「増税なき財政再建」を堅持していく、そういうことでやるので厳しい予算にならざるを得ない、こう申し上げましたけれども、やはりそういう線でいくということであると思います。その中で今までのように、党の重点政策というものはございますから、最終的に十二月に予算編成をする、そういう段階になれば、党とも十分相談いたしましてその意向をもって重点政策というものを考えていく、これが政党政治であり、今までやってきたところであると思っております。
○柴田(弘)委員 それでは専売問題で御質問させていただきたいと思いますが、いろいろと今日まで議論を積み上げてまいりました。私どもといたしましては、今回の改革法案はいろいろな点に問題があるのではないか、こういう点をずっとやってまいりましたが、ここで私は、総理から確認の意味を込めてひとつ御答弁をいただきたい、こう思っております。
 今回の改革案、一つは株式の問題であります。本則では二分の一、それから附則で三分の一つまり当分の間三分の二、こういうことであります。それで、じゃその株式の保有に対してはどうするかということについては、これはもう国会の議決にはなっておりますが、やはり明確な回答も得られませんでしたし、当分の間についても、じゃいつかということも明確な答弁がありません。二分の一以上、三分の二以上ということでございますから、政府が一〇〇%株式を保有してもいいわけであります。そういったことを考えてまいりますと、本当に今までの親方円の丸主義が脱却できるかどうか、政府の発言権というものが余りにも強い。私は、経営の自主性、効率性、企業性というものが果たしてどの程度まで発揮できるかということを疑問に思っておるわけです。その点が一点。
 それから二つ目には、国産葉たばこの全量買い取り制度、これが維持をされました。しかも小売販売は、当分の間、大蔵大臣の許可制である。また品目ごとの小売定価も大臣の認可を受けなければならない。本当に企業性、効率性というものがこのような状態で発揮できるかどうか、これもまた疑問であると思います。
 それから三点目には、そういった中で葉たばこの全量買い取り制度は維持をされましたので、また政府が株式保有で影響力を行使して、国際価格の何倍もする、臨調答申では三倍と言っておりますが、国産葉たばこを必要以上に押しつける、こういうことになるならば、過剰在庫も減らず、新会社は競争力が弱まる、そしてそのツケは必ず耕作者を初めとする日本たばこ産業にはね返ってくる、果たしてこういった状態というのは将来どうなるだろうか、こういうことで、過剰在庫の解消策を初めとするいわゆるコストダウンについての明確な答弁を求めましたが、これもまだこれからの段階である。私は非常に不安を抱いております。
 また四つ目は、国際競争力の強化というものを旗印にしていながら、役員の選任あるいは解任、これも大蔵大臣の認可になっております。利益処分、事業計画、これも大蔵大臣の認可、とにかく許認可事項が余りにも多い。しかも監督権、立入調査権もあるわけでありまして、本当に臨調が言います公的関与を極力排除して企業の経営の自主性というものを重んじていくという方針には今回のこの法案を見る限りにおいてはないのじゃないか、私はこういうことを非常に心配をいたしております。
 そこで、この点の指摘についての概括的な総論的な立場で総理の御答弁をいただきたいのでありますが、いま一つは、でありますから、法律施行後、先日も大蔵大臣が答弁しておりましたように、やはりこの法の運用に当たっては絶えず見直していくという柔軟な姿勢で今後とも政府としては対応していただきたい、こういうふうに考えるわけでありますが、その辺の総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 本法を施行いたしまして、これはどの法律でも同じでありますが、常時見直していく、そしてある段階に来て、これはもう直すのが適切である、そういう段階に至れば改正する、そういうことになるのはこの法律においても当然のことである、そう考えております。
 それで、臨調答申を受けましてこういう改革をやるという趣旨は、経営の効率化あるいは民間的経営の手法を導入して大いに効率化を行おう、そういう趣旨で改革が行われているものであると考えておりますが、しかし、たばこに関しましては、たばこ耕作者の生活問題というものもございますし、また指定小売店の生活問題というものもありまして、それらの方々に非常なショックを与えない、それもまた政治として考えなければならぬ点であります。そういう配慮を行うという面においては、余り急激な民間手法の導入ということにのみ走るということは、安定性という面からもまた我々は政治家として考えなければならぬ面でもあったわけであります。そういう点をよく考慮いたしまして、まずこの辺でいけば妥当である、そういう線をつくりましたのが今回の法律案でありまして、臨調的視野から見れば不十分であるという指摘をされる面も確かにあると思います。ありますけれども、しかし、これは今の日本が持っておるたばこの宿命と申しますか、現状から見まするとやむを得ない安定的措置である、そういうふうに御理解願いたい。しかし、経営に関しましては、公社のときから比べればかなりの民間的手法が振るい得るようにできております。事業につきましても、事業計画及びその改正、修正に対する認可というものはありますけれども、それ以外についてはほかの特殊法人に比べてかなり予算統制から解除しておるのであります。
 それから、大事につきましていろいろ御議論がございましたが、これは大体普通の特殊法人並みのことで認可という形にいたしております。これもある意味における、例えば関西空港から見ればいろいろまだ足りないじゃないか、こう言われるかもしれませんが、これもやはり国がある程度関与しているという姿を見せるという点が、たばこ耕作者やあるいは指定小売店等に対する配慮から必要な面も多少はあるのであります。そういうような面も配慮しつつ、ここら辺でという意味で現行の制度をつくったということなのでございます。そういう点について非常に苦渋に満ちた選択をしたということで、ぜひ御理解をお願いいたしたい。
 しかし、これはあらゆる制度と同じように常時見直しを行って、特に、この法律を施行いたしましてどういう経過をたどっているかということは、これは毎年毎年見直しを行いまして、そしてある段階になってこれはこう直すのが適切である、そういうことになれば当然改正も考えなければならぬ、そういうふうに考えております。
○柴田(弘)委員 それで、先ほど申しましたように許認可事項が非常に多い。もう一つは、法律を見直すということも大事でありますけれども、この許認可事項をがちっとはめてしまえば、企業の自主性、効率性というのはなくなる。やはり、この法の運用についても、よく新会社と相談をして、できるだけ新会社の自主性を尊重するという方向で法の運用をしていただきたい、私はこのように思いますが、一言で結構です。
○中曽根内閣総理大臣 それはもう法の趣旨にのっとりまして、この法律の範囲内におきまして大蔵省はできるだけ予算統制とか煩瑣な報告とか、そういうものは排除して、できるだけ経営の手腕を発揮できるように配慮すべきことは当然のことであると思います。
○柴田(弘)委員 もう一つは、業務範囲の拡大であります。目的達成事業、これも大蔵大臣の認可になっているわけであります。いろいろと総裁からも今後を聞きましたし、横浜にございます中央研究所が調査をしておる。機械面のノーハウ、いわゆるハード面、ソフト面、将来の輸出あるいはまたバイオテクノロジーの分野、こういった面で非常に期待が持てるわけであります。でありますから、私は、目的達成事業とはいうものの、この法の運用に当たってはできるだけ業務拡大を図っていく、これはまさしく臨調の趣旨でもあったと思いますが、こういった点の認可についても直接的には大蔵大臣の認可でありますが、やはり政府としてもどんどん拡大の方向で取り計らっていただきたい。これが一つです。
 それからもう一つ、私、素人考えをいたしますが、今後新しく新会社が発足をされる。先ほど人事の自主性という問題を出しましたが、例えばあの電電公社の総裁、かつては石川島播磨の社長さんである。いろいろお聞きいたしますと、今は朝七時半から行って、あの人は技術屋の出身で、非常に若い人たちを励まして、生き生きとしていらっしゃる。かつては日本の造船事業を世界に冠たる造船事業にまで持っていかれた方で、あるいはまた、今、電電公社の先端技術産業というものもやはり世界的な水準にまで今日こきつけている。こういったことを考えますと、民間頭脳の導入と申しますか、ただ人だけ入れればというものじゃありませんが、いろいろなノーハウについて民間人の活用というものを図っていけば、将来また相当のところまで来る。例えば、一つの考えとして、社外重役等、そういったすばらしい民間人を登用することも一つの考え方である。あるいは、先ほども言いましたノーハウとかいろいろあると思いますが、総理の好きな民間経済の活力、こういったものの導入についてはどのような御見解であるか。業務範囲の拡大と、この二点、お尋ねをいたします。
○中曽根内閣総理大臣 附帯業務等につきましては、公社から特殊法人に移行する、そういう法の趣旨にもかんがみまして、適切にこれを行えるようにしてあげることが大事である、そう思っております。
 それから、経営につきましては、今、真藤さんのお話がありましたが、今度はそういう意味の民間的手法を入れる余地がかなり出てきた。内部の合理化、あるいは工場間の運用、あるいは葉たばこの管理、あらゆる面について民間手法を入れる可能性が出てきておりますし、そういう意味においてはおっしゃるとおり努力してまいるべきものであると思います。
○柴田(弘)委員 いま一つ、今回の改革法は、製造独占、これは恒久措置だと繰り返しおっしゃっている。私は、現段階においては、それはそうだと思います。当然、葉たばこ耕作者を守っていかなければならない、関連産業を守っていかなければならない。私は、これは当然のことだと思いますが、果たしてそれで開放経済体制を志向する我が日本、自由主義国の中でGNP第二位の日本がこのままの状態で行けるであろうか。いわゆる資本の自由化という問題は絶対ないのだ、今後外国からのいかなる圧力があったとしてもはねのけていくのだ、中長期の展望に立っての確信があって製造独占がある、こういうふうに私は思っておるわけです。その辺の、将来の資本の自由化というものの展望については総理はどのようにお考えになっているのかということ。
 それからもう一つは、製造独占が恒久措置だというふうにおっしゃるならば、どのような外圧に対しても、もうこれ以上はありませんよ、あるいはまたこの二〇%の関税率も――かつて私が泉総裁に質問したときに、あれはたしか九〇%から三五%に関税率が引き下げられた。もうこれ以上下げられません、こうおっしゃっておられました。ところが、二〇%になったじゃありませんか。あるいはまた今回のこの法案審議においても、公社の長岡総裁から、資本の自由化なんというのは公社としては完全にだめだ、当然だと私は思いますがね。ところが、これは国対国の関係であり、世界の中の日本ということを考えてまいりますと、こういったものがずっと否定していけるかどうかということ、私は疑問であると思います。中長期の展望に立ってはっきりと、いかなる外圧に対してももうこれ以上ははねのけるのだ、こういった決意がおありかどうか、御答弁をいただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 現状においては、製造独占というものは維持していくべきものであると考えております。資本の自由化の問題にも関連するところでありますが、公社が民営に移行し、特殊法人に移行しまして、将来、国会の承認を得て株式を放出する、そういうような場合に、外国資本がこの株式を買えるか買えないかとか、そういう問題が自由化との関連で出てくると思いますが、私は、外国資本も買えるのではないかと、そう思います。
○柴田(弘)委員 外国資本が買えるというのは、具体的にどういうことですか。
○中曽根内閣総理大臣 外国人がそのたばこ産業株式会社の放出された株式を買うということは自由ではないか、そういう意味です。
○柴田(弘)委員 総理、資本の自由化と私がいっているのは、要するに外国資本が日本へ上陸してきて、ひとつ日本でたばこをつくらせてくれ、こういうことなんです。どうです、断りますか。
○中曽根内閣総理大臣 ですから、最初に、現状におきましては製造たばこの独占というものは維持すべきものである、そう言っておるわけです。(柴田(弘)委員「現状でしょう。中長期です」と呼ぶ)この法律に明記しているとおり、維持していく、こういうことであります。
○柴田(弘)委員 それでは、将来、いかなる外圧に対してもこれ以上ははねのけていくんだ、こういうことでよろしゅうございますな。
○中曽根内閣総理大臣 法案に明記しているとおり、維持していくということであります。
○柴田(弘)委員 どうもこれは不安ですね。
 だんだん時間がなくなってまいりまして、あと九分少々しかないわけであります。そこで、私は、健康と喫煙の関係についてお伺いしておきたいわけであります。
 今、公社は、二億円を超える委託研究費、病理学的な研究をしていらっしゃる。片や厚生省はどうかといえば、確かに疫学的な研究の助成というのは行っているのですが、やはりどちらかというとノータッチ、非常に遠慮した形ではないかと私は思う。今回、この新会社発足、完全民営ではありませんが、一つの公共企業体から新しい方向へ来た。むしろたばこをどう売ろうか、外国等へもどんどん進出される、そういうところへ来まして、私は決して今日まで続けられてきた公社のそういった委託研究というものに対しては否定をするものではありません、でき得れば充実をしていただきたいと思いますが、私は今日までの国のこういった喫煙と健康に関する研究の取り組みというものは極めて消極的であったというふうに思っておるわけであります。これは私が言うまでもなく、総理もよく感じておられる。だからできれば大蔵省と厚生省の枠を超えた中立的な研究機関をつくって真剣にやってもらいたいというふうに私は感じておるのですが、そこまでいかなくとも、やはり厚生省、もう少し本当に国民の信頼に足る研究というものを充実をしていただきたい、こんなふうに思っておりますが、総理としての御見解はどうでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 やはり厚生省が中心になりまして、研究を充実すべきものと思います。厚生省は自分でやると同時に、大学に委託をするなり、さまざまな方法を講じて研究を充実すべきものと思います。
○柴田(弘)委員 ぜひそういった方向で取り組んでいただきたいと思います。
 それから、先ほども議論が出ておりましたが、児童生徒に対していわゆる禁煙教育の問題。最近の実態を見てまいりますと、これは警察庁の調査でありますが、とにかく毎年喫煙によって補導された未成年者が多い。昭和五十三年は三十万ちょっとでありましたが、昭和五十七年度には五十六万二千人にふえているわけであります。やはり喫煙は非行化、不良化、これとは大いに関係があることは当然でありまして、非行のバロメーターである、こういうふうに思うわけであります。
 そこで考えてみまするに、一つは、こういった喫煙というのは非行化につながるわけでありますから、きちっとした生徒指導というものをしていかなければならない。実態を見てまいりますと、小学生が吸っているわけですね。吸って補導された、これは氷山の一角であると私は思う。補導された人員ですから、隠れてやっている。だから、そういった生徒指導というものをやはりもう少し充実していくという教育というものが私は必要じゃないかというふうに思います。
 それからいま一つは、まさしく喫煙と健康の関係において、今総理が答弁をなさっておったように保健体育の時間でやっている。これは当然ですが、しかし、今生徒に対して本当の有害性というものを教えているかといえば、必ずしもそうじゃない。愛知県のある都市で保健所がいろいろ調査をいたしました。確かに生理的には有害である。ところが、真の有害性というものについてはやはり先生も生徒も余り知っていない、こういう面がその調査によって出てきたわけであります。文部省もこういったことを言っているわけでありまして、決して否定をなさらない、こう思います。でありますから、やはりいわゆる禁煙教育というもののあり方ももう一遍見直して、臨教審もいよいよ設置をされるということになると思いますが、これは一面からいえば教育改革の一面から論じてもいい問題じゃないか、こう思います。だからこういった禁煙教育、今中学校と高校では保健体育の時間がありますが、小学生も吸っているという実態から、香川県の坂出小学校ということが、中学生からではいけない、遅いということで小学生から始めた、こういうことでありますが、文部省の方も今これを非常に関心を持って見守っている、こういう状態であります。
 今後の教育改革の中で、小学生の禁煙教育というものも何らかの形でやっていけないだろうか、こういうふうに私は考えておりますが、この生徒指導の問題と禁煙教育の問題、この二点について御答弁をいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 喫煙に関しまして、未成年の子供たちあるいは生徒、学生等に対しまして、徹底的にそれを教育して教え込むということは非常に大事であるだろうと思います。やはりそのとき、若いときにちょっとした好奇心や何かで始めだということが習癖になっていくという可能性が経験的にも非常に多いように思うのであります。そういう面からも、学校及び社会一体になりまして、禁煙教育については今後とも徹底してやるようにいたしたいと思います。
○柴田(弘)委員 言葉だけあって実体がないと困る。徹底してやりたい、本来ならこれは具体的なスケジュールなり年次計画というものも教えていただきたいのですが、ひとつ指示をしていただきまして、先ほどおっしゃいましたようにきちっとした計画を策定して、徹底してひとつやっていただきたい。
 それから最後に、今回葉たばこ審議会、委員十一名、これは耕作者代表と学識経験者十一名、こういうことでありますね。それで、私どもとしましては消費者代表を入れるべきではないかということを議論してまいりました。公社の方も、学識経験者の中にそういった人を入れていく、こういう御答弁をいただいたものですから、了解をしているのですが、私は我が国のたばこ産業の発展ということを将来考えてまいりますと、当然新会社を中心にして、それを取り巻く関係者、葉たばこ耕作者あるいは小売人の皆さん、あるいはまた関連産業の発展はもちろんでありますが、やはり忘れてはならないのは消費者であり、愛煙家であると私は思いますね。そういった面の配慮というものが果たして今回の法案でどの程度配慮されているかと言えば、これは余り際立ったものはないように私は思います。こういった立場から、この葉たばこ審議会には必ず消費者代表を入れていただくということと、やはり消費者あっての日本たばこ産業の将来でありますから、そういった関連業者との調和ある将来の発展というものを私は申し上げたい、こういうように思いますが、その点を含めて総理の御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 お示しのとおり、お客さん、消費者というものは非常に大事であると思います。特に株式会社という形に移行いたしますと、それは当然、お客さんを一番大事にしなければ商売成り立たぬという形になるわけでございまして、今まで公社時代にあるような硬直したあるいは官僚的なやり方から、もっと柔軟性に富んだ、そういう民間手法を取り入れた方法でお客さんに対して十分考慮を払うように努力していただきたいと思っております。
○柴田(弘)委員 では、時間ですので、これで終わります。
○瓦委員長 米沢隆君。
○米沢委員 最後の質問になりましたが、重複する部分があるかもしれませんが、御勘弁いただきたいと思います。
 今回の一連の専売改革の基本は、今般たばこについても開放経済体制に即応するという立場から、たばこ専売制度を廃止し、たばこの輸入自由化に踏み切るための措置を講ずるとともに、今後ますます激化するであろう国際競争の中で、我が国たばこ産業が将来にわたって健全な発展を期し得るよう、たばこ事業を新しい会社に行わしめ、同時にたばこ事業を取り巻くもろもろの環境を整備することであったと認識いたしております。総理も同じような認識だろうと思いますが、したがって、本案はこのような認識を受けとめるような中身のものであってほしかった、そう私たちは考えます。
 しかし、この一連の専売改革法案が発表されましたとき、御案内のとおり異口同音に出てきた声は、政府の改革の内容は臨調答申に比べて大きく後退したものだという批判が圧倒的でありました。また、私どもが検討した結果でも、この内容だったら大方の批判もむべなるかなという感じがしたわけでございます。この法案は、政府におかれましても行政改革関連法案の一つであるというふうに位置づけられておりますが、あえて行革法案と呼ぶにしては余りにも臨調答申との乖離が大き過ぎる。我々はこの法案に対して最終的に賛否の判断に迷ったのはまさにこのことであり、これで果たして我が国たばこ産業の健全な発展を期し得るのかどうかということでありました。
 そこで、この法案と臨調答申との大きな乖離について、総理はどのような説明をなされるか、この際、見解を伺いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 法案と臨調答申との乖離について厳しい御批判をいただきまして、まことに恐縮に存じておる次第であります。
 確かに御指摘するような内容もあると私らも反省いたしておりますが、しかし、これは先般来申し上げましたように、葉たばこ耕作者組合の皆さん、あるいは小売店の皆様方に急激な変化を与えないようにする必要がある、あの人たちの生活問題も十分考えてやる必要がある、そういう配慮からいろいろ考えた結果の選択であるのであります。
 しかし、一面におきまして、輸入たばこの自由化という点は、これは一つの大きな前進であると思いますし、また経営の合理化及び民間手法の導入ということは、今後大きくこれは展開し得る中身を持っております。現に、予算統制等につきましても、事業計画及びこれが修正という場合に認可になっておりますけれども、それ以外の問題については、予算面あるいはバランスシートの問題等については自由にしておりますし、そのほかの面についても、いろいろ今までの煩瑣な統制をできるだけ解除するように努力さしておるところでございます。
 今後の運用に当たりましても、そういうような特殊法人化への趣旨を十分生かした運用をやるように、監督官庁におきましても十分措置するように私からも指示してまいりたいと思っております。
○米沢委員 いろいろと御答弁をいただきましたが、私どもは、今後このたばこを取り巻く環境がますます厳しくなるであろう、そうした中で、果たして用意されたこの法案で新会社が所期の目的を達成し得るであろうか。そういう目的達成のためには、少なくとも私どもは次の三つの点が新しい専売改革法案で盛られている必要がある、こう判断をいたしました。
 第一の問題は、今や最大の重荷になりつつあります国産葉たばこ問題について、新会社の少なくとも経営の健全性、国際競争力に与える影響等を考慮して、企業的に対処できるようになっているのかどうか。第二の問題は、今後国際競争にたえ得る新会社として、経営基盤の整備強化に資するための配慮がなされているのかどうか。第三に、企業的経営を阻害する諸規制をでき得る限り排除し、経営の自主性及び責任体制を確立することが担保されているのかどうか。以上の三つの視点が必要だと考え、そういう立場から審議に参加してきたつもりでございます。
 審議を通じて得た印象は、結論的に言うならば、政府答弁は私どもの危惧に対して不満足なというか、行き着くところは最後は霧の中というような答弁に終始したと私たちは考えております。これでは新会社の行く末が憂慮すべきことになるのではないかという危惧の念を払拭できないわけでございまして、総理は、私の申し上げましたこの三つの視点、この視点が本法案に生かされていると本当にお思いですか、その点について御見解を伺いたい。
○中曽根内閣総理大臣 今御指摘になりました点が一〇〇%生かされているとは思いません。それはまことに遺憾な点ではございます。しかし、やむを得ない事情もあるのであります。しかし、先ほど来申し上げましたように、予算統制の面において、それから労働関係においてかなり大きな前進が行われていると思います。
 予算統制の面においては、先ほど申し上げましたように、事業計画及びこれが修正については認可になっておりますけれども、資金計画とかあるいは収支予算については、それを対象から外しておるという点がございます。それから社債の発行とか長期資金の借り入れとか、こういうものも外しておるという点がございます。そういう点は、ほかの特殊法人のものと違う面がかなりここで取り払われて考えられておるわけなのでございます。こういうようないろいろな面と、それから経営につきまして、工場の管理であるとかあるいは原料の管理であるとかあるいは人事であるとか、さまざまな面において、心機一転のもとに、公社と違った、新しい民間的手法を取り入れた効率的経営を十分やるようにしていきたいと思っておるところであります。
 もう一つは労働問題でありまして、できるだけ自主的管理というもの、責任経営という方式を取り入れるということがやはり効率性、生産性を上げるもとでもあります。公共企業体関係から普通の民間の労使関係に事態は移行いたしまして、これによって両方の緊張関係も生まれ、経営に対する責任感も生まれてくると思うのであります。そういう意味において、今までとはさらに変わった空気のもとにこの会社経営というものが行われるだろうと思います。そういう点において私は大きな前進が行われた、そういうふうに考えております。
○米沢委員 今、総理からお答えいただきましたように、確かに現在までの公社とは違っていろいろと前向きな考え方が取り入れられておることは、私も認めるにやぶさかではございません。しかし、そういうことを認めた上でも、これから新会社の行く末を眺めたときに、たばこは構造的な不況に陥っていくであろう。その上、輸入たばこが入ってくる、そして葉たばこという大きな重荷を背負って外国企業と伍していかねばならないという、その行く末を見れば見るほど、今おっしゃったような今までの専売公社とは違った考え方が導入されたとはいえ、その分を考慮した上でも何かしら大変不安を感じるという、それが私の今度の審議を通じた印象でございました。
 具体的に申しますならば、この一連の専売改革法案で、農家の問題等があるとはいえ、果たして葉たばこ問題が解消する方向に向かうのであろうか。それにしてはちょっと従来と同様に束縛が大き過ぎはしないか。あるいはまた経営形態は、本案のごとくで真に親方日の丸的な経営体質から脱却できるのだろうか、甘えの構造から抜け出せるのか、民間の活力の導入というものは一体どうなったのか。政府は、政府関係特殊法人の中で最も経営の自主性の認められる特殊会社に改めたとおっしゃっておりますけれども、取締役の任免、定款の変更、利益の処分、事業計画、目的達成事業の決定等々大臣の認可にかかわらしめる問題等が数多くございまして、公的関与を必要最小限度にとどめることを基本にするという臨調答申に比べて関与が多過ぎるのではないか。なぜここまで介入しなければならないのか。これでは新会社に経営の自主性、責任体制の確立や機動的経営を求めることは大変困難ではなかろうかという疑問が総理のお答えを聞いてもまだ払拭できないのでございます。改めて総理の口から明確に、私どものこの疑問が払拭できるようなお答えをいただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 確かに、米沢さん御指摘のように不十分な点はあると思います。しかし、これは今の日本のたばこ産業の現状からかんがみましてやむを得ざる配慮である、こういうように御理解をいただきたいと思うのであります。
 しかし、専売公社改革後の新会社の経営のあり方等につきましては、法施行後の我が国たばこ産業を取り巻く状況等をにらみながら絶えず検討を加えていく姿勢が必要であると思っております。そして、政府としても常にこのような姿勢に立って対応していかなければならないと思います。いろいろ経営上やってみまして、そして効率性がある経営になっているかどうか、あるいは生産性を向上するような体制になっているかどうか、そういういろいろな面、あるいはさらに顧客である消費者の声というものもよく聞いてみて、その期待にこたえているかどうか、こういうような面も十分点検をする必要もあると思います。したがって、本法律に盛り込まれている点はもちろん、盛り込まれていない点につきましても、今後たばこ産業をめぐる問題を生じた場合には常に見直しを行うことにはやぶさかではありません。今後、この問題につきましては、米沢議員の御発言の趣旨を十分踏まえて、適切に対処して見直してまいりたいと思う次第でございます。
 取締役の選解任に関する大蔵大臣の認可制度については、葉たばこ問題を抱える我が国たばこ産業の現状にかんがみまして、公社改組後の新法人を特殊会社としたことにもよるやむを得ない措置ではありますが、このことにより新会社の活動が束縛されたり自主性が損なわれるようなことがあってはならないと考えております。したがって、本法施行後へ新会社の自主性の確保を図るという本法の趣旨に反するような事態が生じた場合には、速やかにこれをまた見直してまいりたいと思います。
 以上の問題に関して、政府において十分な対応が見られないことが仮にある場合には、ぜひ皆様方から問題を提起して、積極的に叱咤激励していただければありがたいと思う次第でございます。
○米沢委員 今御答弁いただきましたような内容を、私どもはでき得ればこの法律の附則に盛り込むべきであり、同時に、大蔵大臣の認可にかかわる人事等については少なくとも代表取締役だけに限って、その他は自由に裁量を発揮できるような環境をつくることが、新会社が機動的に経営を発揮できる、そういう趣旨を生かすことになるのではないか、そういう気持ちで修正案等も用意いたしましたけれども、今総理の方からかなり前向きな答弁もいただきましたので、その点はぜひ附帯決議に盛り込んで、この法案を理解したいと思います。
 しかしながら、今後のこの新会社の行方というものは、我々が危惧したとおりにならないことを祈るわけでありますけれども、これからの厳しい環境を考えれば考えるほど、本当に険しい道のりをたどらねばならないであろう、そういう感じがするのでございまして、今総理がおっしゃったようなことは、新しい会社の社長がいろいろと考えてもどうも大蔵省には言いにくいとか、あるいは大蔵省が考えても新しい会社には物が言いにくいとか、少なくともそういうことがないように、本当にこのような検討すべき問題が発生したときには可及的速やかにこの法律を改正をしていくこともやぶさかでない、そういう態度で今後も臨んでいただきたいと思います。その点について、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 御趣旨に沿いまして、そういう方法で処理してまいりたいと思います。
○米沢委員 この際聞いておきたいのでありますが、例えば電電二法には見直し規定が法律に盛られております。あるいはまた、関西国際空港会社の人事の認可は代表取締役に限る、こういうことになっておるわけでございまして、先ほどからその他の特殊法人との横並びでどうだこうだという議論が多いのでございますけれども、このような例外的なものがあるというのは、何か特別な理由があったのでしょうか。そのあたりは総理はどういうふうに御理解されておるのでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 たばこの問題は農業問題が一面において直接付随しております。それから中小企業問題がまた同じようにすぐ密接につながっておるわけでございます。そういう点で関西国際空港会社のような場合とは性格が違っておるわけでございますし、また電電の場合とも直接的には性格が違っておる面があります。
 ともかく農業問題というのは、非常に社会性を持っておる複雑な重要な問題でもあります。また中小企業問題にしても、現下の情勢から考えるとよほど配慮しなければならぬ、これが直接密接に関係しておる問題でございます。そういう面から申し上げましたような措置をとらざるを得なかったのでございまして、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○米沢委員 最後の質問でありますが、今からまた六十年の予算編成に向かって努力をしていただかねばなりませんが、今度の国会に出されましたいわゆる行政改革法案も、ほぼ重要な問題についてはめどがついた。今後の六十年度の予算に向けて、総理の頭の中で行革問題としてどのあたりが今度は最重要課題になってくるのか、六十年度の行革の主たるテーマはどういうふうにお考えなのか、その点をお聞かせいただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 まだ六十年度予算編成については白紙の状態でありますから、六十年度予算の編成に関してと直接触れて申し上げるわけにまいりませんが、一般政策として考えられますことは、私は補助金問題という問題があるのではないかと思います。それから中央と地方との仕事の調整、財源配分、こういう問題があるのではないかと思います。それから過剰人員の縮減、こういう問題等があるのではないか。さらに特殊法人の合理化という問題も残っておるのではないか。さらに、恐らく国鉄問題が来年ぐらいには浮上してまいりまして、国鉄の経営形態というものをどういうふうにしていくかという大問題が次第に隆起してくるであろう。そういうものについてどういう考えを持っていくべきかという面も準備していかなければならないであろう、そう考えております。
○米沢委員 大体わかりましたが、私一つだけ総理に御苦労いただきたいことは、いわゆる今国家財政がかなり逼迫した状況にあって、どのようにして再建していくのかという問題でありますが、これは単に一般予算だけではなくて、財政投融資、あそこはいわゆる郵便局あたりが集めてきたお金を使っておるところでございますが、その中でもかなり不良財団といいましょうか、結果的に将来的には税金で処理しなければならないけれども今の段階ではどうしようもないという形で放置されておるようなものが多々あるような感じがしてなりません。この問題はまた改めて一般質疑等で質問させていただきたいと思いますが、総理には、この財政投融資のあり方、これは完全に問題の大きな部分でありますから、ぜひそこらにも関心を持っていただいて、メスを入れていただくような政治姿勢をとっていただくわけにはいかぬだろうか、いかがなものでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 財投問題は非常に重要な問題であると思います。御趣旨に沿いまして、財投につきましては十分点検をしてまいりたいと思います。
○米沢委員 終わります。(拍手)
○瓦委員長 箕輪幸代君。
○簑輪委員 総理にお伺いいたします。
 たばこが健康に有害であることは総理も十分御承知と思いますけれども、これはもう既に国民的合意あるいはまた国際的合意を得ているというふうに言っても言い過ぎではないと思っております。
 実はアメリカでも、二十一世紀を目指して禁煙の世代をつくるということを政府みずからが方針として取り組んでいるわけです。そのために、広告の規制とか有害表示をさらに厳しくするとか、いろいろ取り組んでいるわけです。ところがそのアメリカが、自分の国からはたばこを追放しようという政策をとっていて、実はたばこの消費の伸びが見込めないという中で、たばこ会社自身としてはその活路を多角経営とか海外への進出ということに見出しているというのが実情なわけです。アメリカのたばこ会社は、日本の市場は非常に消費者が多いということで、ぜひ輸入の自由化を図れということで迫ってまいりまして、日本の政府としてもこれを受け入れたということになるわけですが、私は、このたばこというのはほかの商品とは違いまして有害商品ということであるならば、自分のところで追放したいと思うようなものをよその国へ押しつけるというのは、まことに考えられないようなひどい仕打ちではないかというふうに思います。そしてアメリカは、日本に押しつけてくるだけでなく発展途上国にもこれを大変輸出しておりまして、発展途上国では未成年者の喫煙等の問題が起きておりますし、驚くことにニコチンやタールの含有量の多いたばこを輸出して、そしてそこでたばこの中毒化を促進しているというような指摘も行われているような状況です。
 今回、日本たばこ産業株式会社というふうにしようという法案なわけですけれども、私は、アメリカのたばこ会社とは違いましてこの特殊会社という意義から見ましても、日本がこれからどういうふうにこのたばこ問題に取り組んでいくのかというのは非常に重要なことだというふうに思っております。専売公社としても、この四月に日本たばこインターナショナル社というのを発足させたわけですけれども、やはり活路を東南アジアヘの輸出というところに見出そうということを方針として出されているわけです。こういう問題で、フィリピンから総理大臣あてに、ぜひこういうたばこの輸出はやめてほしいという申し入れがされたと思いますけれども、そういう要請書を総理はごらんになったことがございますでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 まだ見ておりません。
○簑輪委員 実は、この二月にフィリピン消費者運動機構会長のジュリー・A・アマルゴさんという方から、中曽根総理大臣あてに手紙が出されておるわけです。
 ちょっとかいつまんで申し上げますが、「「日本たばこインターナショナル社」が、今年四月一日から東南アジア市場に「マイルドセブン」や「セブンスター」「キャビン」の商標でたばこの輸出を始められる旨報道され、驚いています。現在、世界中に喫煙に対する強力な反対運動があり、喫煙者のみならずたばこを吸わない人々にも紫煙は大きな害を及ぼしていることはご案内の通りです。シンガポールでは、劇場内で喫煙をした場合、五〇〇ドルの罰金が課せられ、マレーシアでは政府の建物内では喫煙禁止、サンフランシスコでは雇用者はたばこを吸う人と吸わない人を会社内で分けるように規制しています。またカナダやスウェーデンでは、学校教育で喫煙の危険性ばかりか、たばこを吸う人の吐く煙で非喫煙者にも害を及ぼしていることを教えています。」というようなことで、フィリピンの消費者運動の代表者として、ぜひたばこの輸出をやめてほしいという要望書なんです。それで、「たばこの煙のない世界の、健康な非喫煙者からのお願い。」ということでこの手紙が出されております。
 既に総理も御承知と思いますけれども、WHOでは喫煙制圧に関する専門委員会報告というのを出しておりまして、特に発展途上国の問題をここで取り上げております。「発展途上国の中には、既に喫煙関連疾患の流行が公衆衛生の問題として伝染病や低栄養に劣らぬ規模にまで高まっているところがある。」と指摘しています。「タバコが二国間援助の対象にとりあげられたり、工業化の国々ではタール量が多いため用いられないタバコが、タールの害に気づいていないか無関心の貧しい国々の消費者に売られたりすることは最も望ましくないことである。」というふうに指摘しております。
 先進国と言われております我が国が発展途上国に対して有する責任ということから考えても、この日本たばこ産業株式会社が今後どのような方向をとっていくのか。東南アジアヘの輸出ということでこの活路を見出していこうという方向をとることは、これらの諸国から厳しい非難を受けるのではないかというふうに私は思います。総理は、先進国の一員として世界に対して恥ずかしくない発展途上国に対する責任を果たすという意味でも、この輸出問題についてどのようにお考えか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 その文書を私見ておりませんが、たばこは国際商品でありますが、吸い過ぎるとよくない、そういう性格のものだろうと思います。ですから警告についても、吸い過ぎるとよくない、そういうふうに書いてあるし、たばこを少し吸ったから絶対的にそのまま少しの分も有害であるというようなものではない、吸い過ぎた場合には有害になる、だから注意しなさい、そういうことではないかと思います。そういうような注意をもって各国とも輸出をしておると思うのです。ですから、そういうレベルにおける輸出というものは見逃していいのではないか、国際商品として日本も扱っていいのではないか、このように思いますけれども、しかし、くれぐれも相手国の国民の健康というものには注意しつつそれは行うべきであると考えます。
○簑輪委員 私は今の総理の御答弁は納得できないのです。やはりこれが健康に有用なものであるならばそれはどんどんと諸外国の状況も踏まえながら考えるということはあり得るけれども、このたばこの問題は、量さえ過ごさなければ決して構わないというような認識は今後大変な事態を招くのではないか。何せ、たばこ産業が生きていくためにはこれはどうしても売りつけたいという気持ちが働くわけで、その際に問題が起こってくるのであろうということを強く指摘しておきたいと思います。
 それから、ことし六月、ロンドン・サミットの経済宣言ということでちょっとお尋ねしたいと思います。
 その五番目に公共支出に関する部分があります。「公共支出にたいする負担が増大していること、なかんずくいくつかの国においてはこれが社会保障の負担の増加に起因していることを少なからず懸念している。」ということが原案では述べられていたわけですけれども、成案では「なかんずく」以下の部分が削られている。これはフランスが反対をして削られたのだというような報道もされておりますけれども、総理自身はこの問題についての議論の中で、こういう「いくつかの国においてはこれが社会保障の負担の増加に起因していることを少なからず懸念している。」という項目についてどのような態度をとられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
○中曽根内閣総理大臣 ロンドン・サミットにおきましては、節度ある財政金融政策を今後とも維持し、必要に応じ強化する。また「公共支出は、我々の国民経済が負担しうる限度内にとどめておかねばならない。」これはやはり節度ある財政金融政策を維持強化する、そういう面から、こういうような面も出てきたのだろうと思います。
 しかし、今御指摘のような議論はいろいろな議論の過程においてはありますけれども、文章になると、最終的にみんながまとめるというときにはこういう文章にまとまったということなので、今申されました社会福祉とかなんとかという問題はこの公共支出の中に含まれる、そういうふうに解釈していただけば結構であると思います。
○簑輪委員 そうすると、総理は基本的に、この社会保障支出というのが国の財政に負担になっている、公共支出の中の一部としての社会保障が負担を増大しているという認識にお立ちなわけですね。
○中曽根内閣総理大臣 国によってはそういう考えを持っている国もあったということは言えると思います。
○簑輪委員 我が国についてはどのようにお考えですか。
○中曽根内閣総理大臣 我が国におきましては、これは物によりけりだろうと思うのですね。冗費であるかどうか、あるいは本当に必要なものであるかどうか、そういう選択と評価の問題にかかわってくるだろうと思います。
○簑輪委員 社会保障の分野というのは、今、国民の大変重大な関心を集めているところです。財政が厳しいからといって、これを福祉や教育にしわ寄せしないでほしい、それが国民の強い要望だと思うのですね。だから、これが負担を増加させているということでそれの削減に向かうということが大変懸念されるわけで、来年度の予算編成を前にして、こうした社会保障負担というような言い方で、負担を軽減するために予算を削減することのないように、一層の充実強化を私は総理に強く要望したいと思います。
 それに関連して、行革の臨時特例法というのが既に五十六年に制定されまして、五十九年度が期限になりますけれども、このときに、厚生年金の国庫繰り入れの削減や四十人学級の凍結が行われました。これはもう、期限が切れるわけですから、六十年度には当然もとに戻さなければならないと私は思います。
 この問題について、臨時行政改革推進審議会地方行革推進小委員会でこの問題に触れて、「「第五次公立義務教育諸学校学級編制及び教職員定数改善計画」及び「第四次公立高等学校教職員定数改善計画」の実施は、引き続き当分の間、厳しい財政事情を考慮して抑制する。」との報告を出しております。
    〔熊川委員長代理退席、越智委員長代理着席〕
四十人学級の問題につきましては、ぜひとも一日も早く実現してほしいという強い国民の声とあわせ考えてみますと、何としても、このような報告の線で進めるのではなくて、来年度はぜひ予算化をしていただきたいと思っておりますが、総理も、この報告と同様の考えでしょうか、それとも違うのでしょうか、お聞かせください。
○中曽根内閣総理大臣 行革特例法の期限が来るということはよく知っております。臨行審において今審議中でございますから、その答申を待ちまして、よく検討してみたいと思います。
○簑輪委員 総理は臨教審で審議中とおっしゃいましたけれども、臨教審はまだこれから参議院で審議が行われるわけでございますので……(中曽根内閣総理大臣「臨教審じゃない、臨行審」と呼ぶ)
 それで、総理が教育改革ということを言っておられるならば、何はともあれ四十人学級の早期実現ということを最優先してやらなければ説得力が全くない、およそ教育改革の名に値するものではない。私どもは断固として四十人学級の実現を要求しているわけです。とにもかくにも、マンモス校の解消と四十人学級の早期実現というのは、私どもは、私自身が中学生と小学生の子供を持つ母親としてもじかに感じております。
 私の住んでおります岐阜市におきまして、岐阜市立の長森中学校というところでは、この四十五人学級制度のもとで、千九百七十二名の生徒で四十五クラス、先生が九十三人ということで、大変なわけですが、四十四、五人の子供が入っております。一部四十六人の子供が入っているクラスまでできてくるありさまなんですね。成長盛りの子供たちが狭い部屋の中でひしめいておりまして、先生方も、十分目が届くように努力をしておられながら、なかなか厳しい環境であるということをあわせ考えてみますと、どう考えても、この四十人学級の早期実現ということを決断していただきたいというふうに思うのです。そういう現場の先生方の声、また父母の声を踏まえて、そういう声を酌んだ対策をぜひお願いしたいと思うのですが、改めて四十人学級制について御意見を伺います。
○中曽根内閣総理大臣 御意見としてよく承っておきたいと思います。
○簑輪委員 御意見じゃなくて、総理のお考えをお聞きしたいのです。
○中曽根内閣総理大臣 行革特例法の期限が来るということは、よく知っておりますと申し上げたとおりでございます。一方におきまして、臨時行政改革審議会、臨行審におきましてこの問題の取り扱いを今審議しておるところでございますから、その答申を見ましてよく検討してみたいと思っております。
○簑輪委員 その答申というのが、既にこの四十人学級制に向けて、前向きというよりは、それを凍結するという姿勢を示しているときだけに、私は、総理にあえてこの質問をさせていただいたわけです。ですから、その辺のところを、答申の意のままにということではなくて、生の声をじっくり酌んだ総理の前向きの対策というのをどうしてもお願いをしたいというふうに思います。何度お聞きしても総理の腹のうちは少しもわかりませんので、私は、ぜひそのことをあえてお願いをするということで、次に進みます。
 最後に、中小企業向けの官公需の問題でございますが、御存じのように、現在の景気、大企業の景気は非常によいわけですけれども、中小企業の倒産は史上最悪の事態を迎えております。
    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕
国等の中小企業向け発注というのが、五十八年度の目標は三七・三%と、三木内閣の当時は五〇%に持っていきたいという答弁もございましたけれども、現在もなお、実績はもちろんのこと、目標さえこのような低いありさまなわけです。毎年、中小企業者に関する国等の契約の方針という閣議決定が行われているわけですが、一昨年は六月二十九日、それから昨年は七月十二日に決定されております。ことしはまだこの官公需の閣議決定が行われていないわけですけれども、一体、いつ行われる予定でしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 政府委員から答弁させます。
○石井政府委員 できるだけ今月中に決定をいたしたいということで、今各省と調整をいたしております。
○簑輪委員 非常に重要な問題ですので、早期決定し、実現のために全力を挙げていただきたいと思いますが、去る六日に、衆議院の商工委員会で我が党の小沢議員が小此木通産大臣にこの問題で質問させていただきました。そして、中小企業向け官公需の発注を五〇%以上に義務づけて仕事を確保し、この中小企業の危機の打開のために集中的にてこ入れをというふうに求めたところ、大臣は、景気回復に大変重要なことで努力をしたいという答弁をしておられます。総理もぜひ現下の経済情勢、中小企業者の声、そういうものを踏まえて、真に危機を打開するという姿勢で、この中小企業向け官公需の発注を五〇%以上に持っていく、それに最大限の努力を行うという御答弁をいただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 今、総発注量の三六、七%ぐらいですから、一挙に五〇%に持っていくということは、率直に申して非常に難しいと思います。しかし、できるだけこれをかさ上げしていくように、今後とも努力してまいりたいと思います。
○簑輪委員 こういう事態でございますので、私は、総理が一挙には難しいとおっしゃいましても、それを一日も早く実現していただくよう重ねてお願いをしまして、終わります。
○瓦委員長 これにて五法律案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○瓦委員長 これより討論に入ります。
 五法律案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
○中川(昭)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、専売改革関連の五法律案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 御承知のように、たばこ専売制度は明治三十七年に、日本専売公社制度は昭和二十四年に創設され、国民になじみの深い制度として定着しており、また、長い間、国及び地方公共団体の財政収入の確保に大きく寄与してきたところであります。しかしながら、行財政改革に対する国民的要請の高まりや海外からの市場開放要請など、時代の変遷、環境の変化等を背景として、これらの制度を見直す必要が生じてまいりました。
 こうした状況を踏まえ、一昨年七月、臨時行政調査会において行政改革に関する第三次答申が提出され、専売制度、公社制度の抜本的な改革について提言がなされたところであります。
 この五法律案は、いずれもこの答申の趣旨に沿って、たばこ産業関係者等との意見の調整や意思疎通を図りながら、政府部内で鋭意検討を進めてきた結果、今国会に提出されたものであります。この調整のために払われた関係者の精力的な努力とその結果とを私は高く評価するものであります。(拍手)
 この改革法案の基本的な柱は、まず第一に、開放経済体制に即応する等のため、輸入自由化に踏み切り、たばこ専売制度を廃止すること、第二に、国際競争力確保の観点から、公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改組することの二点に要約されると考えます。
 御案内のとおり、我が国のたばこ市場は自由世界第二位の規模を占めているにもかかわらず、輸入品のシェアは五十八年度で一・八%にすぎず、今後とも諸外国から市場の開放を強く要請されるものと予想されるところであります。貿易立国であり、開放経済体制を志向する我が国としては、この要請に対し適切に対応することが望まれるところであり、また、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状態にしておくことは適切ではないと考えるものであります。
 そこで今回、たばこの輸入自由化に踏み切り、たばこ専売制度を廃止することといたしているのでありますが、我が国の世界経済に占める役割等を考えますと、まことに時宜を得た適当な措置と認められるものであります。
 次に、我が国のたばこ産業は、広いすそ野を有し、また、国民経済において重要な位置を占めているため、市場開放後においてもその健全な発展を図っていくことが極めて重要であります。
 巨大な海外たばこ企業との対等な競争関係のもとで我が国たばこ産業の健全な発展を図るため、たばこ産業の現状にかんがみ民営とはせずに、政府関係特殊法人の中で最大限合理的な企業経営が可能な政府出資の特殊会社に改組し、その新会社に製造を独占させることといたしているのであります。我が国たばこ産業の健全な発展等を図りつつ、国際競争力の確保も図る観点から考えますと、これまた時宜を得たものと認められるのであります。
 その他、たばこ耕作者、たばこ小売店等たばこ産業関係者に対して急激な変化が及ぶことのないよう、例えば葉たばこの全量買い取り制の維持、葉たばこ審議会の設置、小売人指定制、定価制の実質的維持等、きめ細かく、かつ慎重な配慮が加えられているのでありまして、現実的改革案として極めて適切かつ妥当な措置と認められるのであります。
 また、塩専売事業については、公益専売を目的として運営することを明らかにするほか、所要の措置を講じた上でこれを新会社に行わせるとともに、現行制度の基本的枠組みを維持しつつ必要な手当てを行い、その自立化促進のための措置を講じようとする改革であり、時宜を得た措置と考えるところであります。
 さらに、たばこ専売制度の廃止に伴い、現行の専売納付金制度にかえて設けられるたばこ消費税制度も、今回の制度改革の趣旨から見て、また、重要な財政物資たるたばこに対する負担の求め方として適切なものと認められます。
 最後に、今後の新会社の運用面におきましては、国産葉たばこ問題など非常に苦労の多い、処理すべき事案も山積していることと存じますが、単に利益追求のみを図るのではなく、たばこ産業の中心的担い手として経営の効率化を図りつつ、たばこ産業全体の一層の調和ある発展に心がけ、たばこ耕作者を初めとするたばこ産業関係者に不安を抱かせることのないよう、十分に配慮することを切に希望いたしまして、私は、五法律案に対して全面的に賛成の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
○瓦委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま質疑を終了いたしました専売五法案に対し、反対の討論をいたします。
 今、我が国のたばこ産業は、八十年にわたる専売制度の歴史、三十五年の公社の歴史から会社に移行するという大転換に直面しております。この大改革に当たりまして、将来どうなるのか、約十万の葉たばこ農家、二十六万の小売店、約四万人の職員を含め、多くの人々が不安を込めて見詰めているのが現実であります。
 しかも、内外ともに我が国のたばこ産業をめぐる環境、条件が厳しいだけに、その不安を解消するのが大きな課題と言わなければなりません。今日までの真剣な審議を通じ、政府並びに公社の皆さんから幾つかの面で前向きの答弁があった点は評価いたしますが、いまだ不安は解消されていないのであります。私は、今日までの長い審議にもかかわらず、たばこ産業の過去、現在、将来にわたって、幾つかの問題を強く指摘せざるを得ないのであります。
 まず指摘したいのは、今日までの公社に対する基本的姿勢と今回の対応についてであります。日本の安企業は、残念ながら本来のパブリックコーポレーションとしての活力ある発展を阻害されてまいりました。その原因は、各般にわたり官僚的拘束、政治的圧力が余りにも強過ぎたためであります。私は、本来、安企業こそが近代的な新しい経営モデルをつくるという先見性、積極性を持つべきものだと思いますが、政府のやってきたのは全く逆でございまして、事業計画、予算、給与統制に加え、恣意的な特別納付金を押しつけてまいりました。私たちの主張してきたような民主的改革がなされていたならば、今回のような対応措置とは大きく違っていたでありましょう。
 さらに、現在から将来にかかわる今回の法案審議に当たりましても、私どもが期待するような姿勢はあらわれておりません。発想の転換を強く求めたいと思います。
 このような立場から、幾つかの具体的問題を指摘せざるを得ないのであります。
 例えば、経営の自主性が重要視されている中で、この法案は余りにもそれに反する規定が多いのであります。二百項目以上にわたる政省令委任事項、許認可にかかわる事項、さらに、監督官庁としてあるいは株主としての大きな権限という法律構造を見ますと、今日要請されている方向と相反しております。質疑を通じて自主性尊重という言葉が答弁の中にありましたが、本来、それらは法体系自体にそれが表現されるべきものであります。
 また、今後の厳しい経営環境の中でどう将来を展望するのか不明確であり、大きな不安が残されております。消費の低下傾向、流通自由に伴う外国たばこのシェアの拡大、新しい設備投資負担の拡大、雇用をめぐる深刻な状況、さらに過剰葉たばこの重圧などの諸条件を考えれば、それらの条件を踏まえて将来を展望する戦略、中期計画が必要であります。これらの点について真剣な見解表明はございましたが、問題は、具体的な経営展望、開発戦略であると言わなければなりません。
 さらに、葉たばこ農家への対応についても、理解と合意によって将来対応を考えることは当然でございますが、会社に移行する以上、政策的経費は政府が負担するのが基本ルールであります。これらの点を含め、葉たばこ農家に将来計画が立つようにしなければなりませんが、これも残念ながら後に残されております。これらの点を初め、質疑の焦点となりました数々の論点を振り返りますと、多くの不満が残されているのであります。
 以上、見解を述べましたが、私は、審議を通じお約束をされました事項、あくまで民営・分割を行わず製造独占を維持すること、自主性の尊重、塩の専売制の維持、業務範囲の積極的拡大、現行関税率の維持、各種審議会の民主的運営、さらに広告宣伝のコントロール、未成年者の喫煙防止など、喫煙と健康に関する諸対策などにつきまして確実なる執行がなされますよう強く要望するものであります。
 以上で反対の討論を終わります。(拍手)。
○瓦委員長 矢追秀彦君。
○矢追委員 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりましたたばこ事業法案外四法案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 本法律案は、中曽根内閣が最重要課題として掲げる行財政改革の一翼を担うものであります。行財政改革は、改めて申すまでもなく、肥大化した行財政制度の合理化、効率化を推進するものであります。我々は行財政改革には基本的に賛同しておりますので、たばこ専売の改革についても、葉たばこ生産農家など関係者の生計維持を図ることを前提にして、臨調の第三次答申の示す方向を支持する立場を貫いてまいりました。
 今回の改革法案は、特殊会社という経営形態については現在の専売公社より効率性が高まることが期待できる上、輸入販売の自由化は貿易摩擦の緩和に若干貢献をするものと評価をしておりますが、全く問題なしとは言えないのであります。
 問題の第一点は、改革法案では全額政府出資とし、原則として株式の二分の一以上は政府の保有するものとし、当分の間は三分の二以上を保有することにしております。つまり、将来において民営化するとの考えがあるならば、まず政府保有以外の株式を一般に公開する予定時並びに当分の間についても、その具体的な時期を示すべきであるにもかかわらず、明確に示されていないことであります。
 問題の第二点は、新会社になっても、全取締役の選任と解任、事業計画の決定、重要財産の譲渡などについて大蔵大臣の認可を必要とするため、政府の関与が続き、これでは新会社の自主性が確保されるのかどうか甚だ疑問であり、また外国たばこ産業との競争についても危惧を抱かざるを得ないのであります。
 問題の第三点は、国内産葉たばこは、価格が外国産に比べて三倍もするものがあり、その上過剰在庫も多く、専売公社の経営を深刻化させているため、全量買い取り制度の見直しが叫ばれておりました。我々も、約九万三千戸もある全国の葉たばこ生産農家にとって当分の間、全量買い取り制度を存続させることが生計維持に対する激変緩和のために必要であることを否定するものではありません。しかし今後は、広く国民の声を取り入れるとの観点から、葉たばこ審議会の人員の拡充を図るとともに、葉たばこにかわる次善の作物の指導、開発に対する助成など、その方策を明示すべきであります。
 以上、幾つかの問題点が存在するものの、行財政改革推進の立場及び市場開放の波に乗った国際化時代を迎えた今日、本法律案は一歩前進のものと評価し、賛成いたします。
 なお、最後に、健康と喫煙、未成年者の喫煙防止の問題については、国民の健康な生活にとって重要な課題であるため、政府が責任を持って積極的に取り組んでいかれることを強く要望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○瓦委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま審議を終了いたしました五法案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。
 本法案は、言うまでもなく、たばこ輸入の自由化を契機として、従来の公社制による独占形態を廃止して、民間企業の持つ自主的な経営姿勢を導入すべきであるとの臨調の答申に沿うたものでありますが、たばこ事業の持つ特殊性等にかんがみ、特殊会社としての形態をとること、当面製造独占を継続することなどを主たる内容とするものであります。
 この基本的考え方については、民社党としては従来から行革を徹底的に行うべきであるという立場をとっており、賛成であります。しかし、我が党としては、本案が経営の自主性を貫く上において不十分なところがあると考え、次の二点を内容とする修正案の提出を用意いたしました。
 その一つは、本案において新法人の全役員、すなわち取締役、監査役選任の議決を大蔵大臣の認可に係らしめている点について、代表取締役の認可のみで十分ではないかという点。その二は、当面本案の制度で運営していくとしても、新会社の経営状況その他諸般の事情の推移を見て、五年以内にこれを見直すという規定を設けるという内容のものであります。しかし、附帯決議と総理答弁とによって修正案の趣旨が実質的に盛り込まれることを確認いたしましたので、我が党としては、本法案の早期成立の必要性にかんがみ、本案に賛成することを決定いたしました。
 今後は、政府がこの附帯決議に盛り込まれた趣旨を体して本法を適正に運用していくことを期待して、賛成討論を終わります。(拍手)
○瓦委員長 正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題のたばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、たばこ消費税法案のいわゆるたばこ関連五法案に対し、反対の討論を行います。
 反対する理由の第一は、これらの法案が、反国民的な臨調行革の一環として、アメリカや財界の要求を忠実に実行するものとなっていることであります。
 我が国たばこ市場の開放が、アメリカを中心とする国際巨大たばこ資本の年来の要求であるとともに、工業製品輸出の拡大に伴う経済摩擦の緩和策にしようとする我が国財界の主張であったことは明白であります。この事実を隠して、行革や経営効率化の名のもとに八十年の歴史を持つ専売公社制度を突き崩すことは、理不尽きわまりないものであります。さらに、民営化を進めることによって、国民の財産であるたばこ事業と公社の資産を大企業等に譲り渡す道を開こうとしているのも重大な問題であります。
 第二は、公社の公共性を放棄し、国民生活に悪影響を及ぼすことであります。
 公社の公共性は、専売制度によって、うまくて安くて、できる限り安心できるたばこの提供と財政収入の確保を調和させることや、食塩の安定供給を確保することに求められてまいりました。ところが、本法案によって公共性は投げ捨てられ、利潤追求第一の企業主義に取ってかえられようとしています。これでは今日国民的関心を集めている喫煙と健康の問題への積極的な取り組みは望むべくもありません。それどころか、輸入自由化された外国たばことの競合から行き過ぎた宣伝や売り込みを招いたり、宣伝費や新規市場開拓などのためのコスト増大、さらには価格の自由化で高価格化を引き起こすことにならざるを得ません。また、政府は民営化で開放経済にたえられる活性化を図ると称していますが、質問の過程でも、民営化に伴い法人税等で五百億円以上が新たな負担として内部留保から流出し、この埋め合わせの合理化が必要とされるなど、経営上も重大な問題が生じることは必至であります。
 食塩も、民間会社に行政権限を引き渡すという問題に加え、専売制度の廃止に向かう中で値上げとなる可能性が強いと言わざるを得ません。国民にとっては何ら利益にならないと断ぜざるを得ないのであります。
 第三は、葉たばこ農民の切り捨てとなるおそれがあることであります。
 葉たばこの農業収入は米に次ぐ重要な地位を占めていますが、公社在庫の過剰や外国産葉より割高なコストを理由に、最近では耕作面積も耕作者数も年ごとに減らされてきております。今回の法案では、あたかも全量買い取り制を存続させているかのように取り繕っていますが、事前契約面積分に限定される上、契約そのものが企業主義的判断のもとに行われざるを得なくなるのであります。これは、今後の葉たばこ買い取りを価格の面でも量の面でも抑制し、ひいては葉たばこ農民の経営を一層窮状に追いやるものにほかなりません。
 第四に、公社労働者等に犠牲を強要するものであることであります。
 臨調行革によって、現在も労働者の削減や工場の統廃合が進められてきております。本法案による市場開放や経営効率化が、国際競争力や経営基盤の強化を至上の課題に祭り上げ、まずまず厳しい人員削減や労働強化、工場の統廃合を促進し、労働者に犠牲を押しつけみことは明白であります。また小売店の場合も、販売競争の強化や大量取扱店の出現などで小零細店の経営が苦しくなるおそれが十分あります。
 以上のような重大な問題点を持つたばこ関連五法案には断固として反対するものであります。
 我が党は、国民犠牲、財界本位の臨調行革によるこのような法案の成立を阻止するため、引き続き院内外で闘う決意であることを表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○瓦委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○瓦委員長 これより採決に入ります。
 まず、たばこ事業法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、日本たばこ産業株式会社法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、塩専売法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、たばこ消費税法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○瓦委員長 ただいま議決いたしました五法律案に対し、越智伊平君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。野口幸一君。
○野口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨を御説明申し上げたいと存じますが、趣旨は案文で尽きておりますので、その朗読をもって説明といたします。
    たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案に対する附帯決議(案)
  今次改革は、約八十年にわたる専売制度及び約三十年に及ぶ公社制度の大転換である。たばこをめぐる外国との競争の激化、社会的環境の変化等、厳しい内外情勢の下、新会社は将来とも民営・分割することなく、今日まで専売公社制度が果たしてきた社会的、公共的役割を継承しなければならない。本改革は消費者に「安くて、うまくて、安心して吸える」たばこの供給と地域経済の発展に貢献するものでなければならず、移行に当たっては、たばこ耕作者、だはこ小売人、関連産業等事業関係者の不安にも適切に対処することが必要である。したがって、政府及び新会社は、以下の事項について万全の対策と最善の努力を傾けること。
 一 政府は、新会社の自主性と責任体制との強化確立のため、所有と経営の分離の立場を守るとともに、各種の監督規定等の公的規制を極力排除し、積極的かつ活力ある経営ができ得るよう配慮すること。
 二 新会社は、我が国たばこ産業の健全な発展を図るため、一層の経営の効率化、合理化に努めるとともに、事業範囲の拡大、研究開発を積極的に推進し、経営基盤の強化を図ること。
 三 新会社は、職員の雇用の安定、労働条件の維持・向上等一層安定した労使関係、労働三法に基づく公正な労使慣行の樹立等近代的・民主的な労使関係の確立に努めること。
 四 政府は、事業計画等の許認可に当たっては、輸入自由化の下で厳しい国際競争を迫られる新会社の経営の自主性の発揮を妨げることにならないよう十分に配慮すること。
 五 政府は、新会社への移行に伴う資金問題、新たな税負担等から新会社の財政負担が増加することにかんがみ、必要に応じ適切な配慮を行うこと。
 六 国内葉たばこ生産の長期的な安定化を図るため、新会社及びたばこ耕作者は一層の生産性の向上、品質の改善に努めるとともに、今後の葉たばこ耕作の在り方について、耕作者の理解と合意を深めるため、葉たばこ審議会の民主的な構成と運営の確保に十分配慮すること。
 七 政府は、国内葉たばこ生産の安定化と国内製品の競争力の確保を将来にわたり両立させるため、農政費用負担の在り方等その方策について、多角的に検討すること。
 八 政府は、国内産葉たばこの実情等にかんがみ、製造たばこの現行関税率水準を将来とも維持するよう努めること。
 九 政府は、たばこ小売店の零細性にかんがみ、許可制度の適切な運用等により流通秩序を維持し、その経営基盤と生活の安定に十分配慮すること。
 十 たばこ消費税の税率については、現行の納付金率の水準に配意し、国・地方の安定的な財政収入の確保という観点のほか、今後におけるたばこ消費の動向等にも即して適正な水準を維持するよう努めること。
 十一 昨今の国民の喫煙と健康に関する関心の高まりにかんがみ、喫煙と健康の科学的研究をより充実し、国民が安心して吸えるたばこの供給が図られるよう努めるとともに、非喫煙者の健康を守りたいとする立場にも十分配慮するほか、広告・宣伝が過度にわならないよう留意し、未成年者の喫煙を誘発するおそれのある広告・宣伝は厳に自粛すること。
 十二 塩が国民生活の重要な物資であることから、公益専売制度を維持するとともに、食料用塩の自給率の向上に努めること。
 十三 国内塩産業の自立体制の確立に向けて生産面及び流通面の一層の合理化を推進するとともに、その推進に当たっては、今後関係業界と十分協議の上、画一的でなく業界の実態に即した方策により行うこと。
 十四 販売特例塩制度の積極的拡大を図り、生産流通各企業の自主性の強化及び市場競争環境の整備を一層推進し、もって塩産業の自立化の促進に資すること。
 十五 たばこ事業等審議会をはじめ各種審議会の構成運営に当たっては、たばこ事業及び塩事業関係者の意見が十分反映されるよう配意するとともに、公正かつ民主的な構成と運営が期せられるよう十分配慮すること。
 十六 塩専売事業運営委員会の構成については、産業界等からも塩の生産流通に関しすぐれた識見を有する人材を幅広く求めることとし、運営に当たっては、塩事業の実情も踏まえ、塩事業関係者の意見が十分反映されるよう配意するとともに、塩専売事業の公共性の確保、国内塩産業の自立化達成等本法の趣旨が十分活がされるよう努めること。
 十七 日本専売公社総裁の諮問機関としての塩業審議会及び塩収納価格審議会については、従来の経緯にかんがみ、本法施行後においても引き続き塩事業責任者の諮問機関として存置すること。
 十八 新会社の役員の選解任に関する大蔵大臣の関与の在り方については、本法律施行後、新会社の経営の自主性の確保と責任体制の強化を図るという本法律の趣旨に照らし、その運用の実態について問題が生じた場合には、必要に応じ所要の措置を講ずること。
 十九 政府は、たばこ事業法及び日本たばこ産業株式会社法の施行後、我が国たばこ産業を取り巻く諸情勢を見極めつつ制度改革の趣旨に沿って、両法律の施行の状況について検討を行い、その結果に基づいて適切な措置を講ずること。
以上であります。
 何とぞ、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。(拍手)
○瓦委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○瓦委員長 起立多数。よって、五法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。
○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
○瓦委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました五法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時十三分散会