第101回国会 農林水産委員会 第3号
昭和五十九年三月二十七日(火曜日)
    午前十時九分開議
 出席委員
  委員長 阿部 文男君
   理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君
   理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君
   理事 吉浦 忠治君
      太田 誠一君    鍵田忠三郎君
      佐藤  隆君    鈴木 宗男君
      田邉 國男君    高橋 辰夫君
      月原 茂皓君    野呂田芳成君
      羽田  孜君    保利 耕輔君
      三池  信君   三ッ林弥太郎君
      山崎平八郎君    上西 和郎君
      串原 義直君    新村 源雄君
      田中 恒利君    細谷 昭雄君
      松沢 俊昭君    安井 吉典君
      駒谷  明君    斎藤  実君
      武田 一夫君    水谷  弘君
      神田  厚君    菅原喜重郎君
      津川 武一君    中林 佳子君
  出席国務大臣
        農林水産大臣  山村新治郎君
  出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
        農林水産大臣官
        房総務審議官  塚田  実君
        農林水産省経済
        局長      佐野 宏哉君
        農林水産省構造
        改善局長    森実 孝郎君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    小島 和義君
        農林水産技術会
        議事務局長   関谷 俊作君
        食糧庁長官   松浦  昭君
        林野庁長官   秋山 智英君
        水産庁長官   渡邉 文雄君
  委員外の出席者
        農林水産大臣官
        房審議官    谷野  陽君
        通商産業省貿易
        局農水産課長  土田 清蔵君
        農林水産委員会
        調査室長    矢崎 市朗君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二日
 辞任        補欠選任
  武田 一夫君    矢野 絢也君
同日
 辞任        補欠選任
  矢野 絢也君    武田 一夫君
同月五日
 辞任        補欠選任
  水谷  弘君    玉城 栄一君
  神田  厚君    渡辺  朗君
同日
辞任         補欠選任
  玉城 栄一君    水谷  弘君
  渡辺  朗君    神田  厚君
同月九日
 辞任        補欠選任
  太田 誠一君    丹羽 兵助君
  神田  厚君    小平  忠君
  津川 武一君    不破 哲三君
同日
 辞任        補欠選任
  丹羽 兵助君    太田 誠一君
  小平  忠君    神田  厚君
  不破 哲三君    津川 武一君
同月十日
 辞任        補欠選任
  神田  厚君    渡辺  朗君
同日
 辞任        補欠選任
  渡辺  朗君    神田  厚君
同月十二日
 辞任        補欠選任
  神田  厚君    渡辺  朗君
同日
 辞任        補欠選任
  渡辺  朗君    神田  厚君
同月二十三日
 辞任        補欠選任
  上西 和郎君    関  晴正君
同日
 辞任        補欠選任
  関  晴正君    上西 和郎君
同月二十六日
 辞任        補欠選任
  小里 貞利君    園田  直君
  太田 誠一君    足立 篤郎君
  中林 佳子君    中川利三郎君
同日
 辞任        補欠選任
  足立 篤郎君    太田 誠一君
  園田  直君    小里 貞利君
  中川利三郎君    中林 佳子君
    ―――――――――――――
三月二十一日
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第二七号)
 地力増進法案(内閣提出第四四号)
 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
 共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
 の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)
 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第四三号)(予)
同月八日
 食糧の輸入依存反対に関する請願(森田景一君
 紹介)(第八五一号)
同月十四日
 農用地開発公団の拡充等に関する請願(池田克
 也君紹介)(第九六六号)
同月二十六日
 農用地開発公団の拡充等に関する請願(柴田睦
 夫君紹介)(第一五四一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月五日
 農畜産物輸入自由化・枠拡大阻止に関する陳情
 書外七件(山形県東置賜郡高畠町議会議長小林
 貞一外七名)(第三四号)
 農地三法推進施策の拡充強化等に関する陳情書
 外四件(京都府北桑田郡京北町中川定雄外四名
 )(第三五号)
 酪農経営の安定等に関する陳情書(九州各県議
 会議長会会長熊本県議会議長小材学)(第三六
 号)
 水田利用再編対策に関する陳情書外四件(近畿
 二府六県議会議長会代表三重県議会議長下井正
 也外十一名)(第三七号)
 畑作対策に関する陳情書(北海道上川部下川町
 議会議長平肇)(第三八号)
同月二十七日
 畑作対策に関する陳情書(北海道雨竜郡幌加内
 町議会議長太田二郎)(第一四〇号)
 北海道における農業発展方策に関する陳情書
 (北海道爾志郡乙部町議会議長麓光成)(第一
 四一号)
 水田利用再編対策に関する陳情書外二件(四国
 市議会議長会会長徳島市議会議長板束実外二
 名)(第一四二号)
 農林水産行政に関する陳情書(北海道雨竜郡幌
 加内町議会議長太田二郎)(第一四三号)
 農業構造政策の強化推進に関する陳情書(福岡
 市博多区千代四の一の二七藤本巧)(第一四四
 号)
 農業基本政策の確立に関する陳情書(九州各県
 議会議長会会長熊本県議会議長小材学)(第一
 四五号)
 特殊病害虫ウリミバエ・ミカンコミバエの根絶
 防除対策に関する陳情書(九州各県議会議長会
 会長熊本県議会議長小材学)(第一四六号)
 農林漁業対策の推進に関する陳情書(静岡市追
 手町九の六早戸新一外三名)(第一四七号)
 農畜産物輸入自由化・枠拡大阻止に関する陳情
 書外五件(関東甲信越一都九県議会議長会代表
 東京都議会議長田辺哲夫外十四名)(第一四八
 号)
 山陰沖における韓国漁船の不法操業防止に関す
 る陳情書(中国五県議会正副議長会議代表山口
 県議会議長藤生仕郎外四名)(第一四九号)
 病害虫被害等による農業災害対策に関する陳情
 書(京都市上京区西洞院通下立売上ル広野義雄
 )(第一五〇号)
 農林業における山村振興施策の拡充等に関する
 陳情書外一件(関東甲信越一都九県議会議長会
 代表東京都議会議長田辺哲夫外十名)(第一五
 一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策並びに畜産及び蚕糸問題)
     ――――◇―――――
○阿部委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村源雄君。
○新村(源)委員 先般、農林大臣の所信表明をお聞きいたしまして、その前段で、今我が国の置かれておる農林水産業の現状を述べておられます。
 その一つは、食糧消費が伸び悩んでいる、あるいは農畜産物の価格が低迷している、労働力が高齢化をしている、さらには諸外国のいわゆる輸入外圧、あるいは内部にあっては行政改革を初めとする農業に対する経済的な請求、こういうもの等を指摘をされておるわけでございます。これはまさしく今日の農業を端的にあらわしているわけでございますが、これらの問題を一つ一つ分析をしていってみますと、これは農業の内部から出てきた問題ではなくて、今の日本の経済体制の中から、いわゆる日本の農政の中からこういう農業の現状というものが仕組まれてきているように思えてならないわけでございます。したがって、衆議院、参議院におきましては既に食糧自給力強化の決議あるいは衆参の農林水産委員会においての輸入自由化あるいは枠拡大の阻止の決議、こういうもの等が行われておるわけでございまして、今日本の農業をしっかり立て直すというときには、この決議を基本として少なくとも閣議決定くらいで日本の農業のあるべきビジョンを示すべき時期に来ているのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点について大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○山村国務大臣 今先生おっしゃいましたように、今日の農業をめぐる情勢は、一部の農産物の需給の緩和、そしてまた土地利用型農業の経営規模拡大、これが停滞をしております。それからまた、先生おっしゃいました高齢化への進行、また諸外国からの市場開放要求、いろいろな厳しい状況下にあることは事実でございます。
 このような情勢にかんがみまして、今後の農政の進展に当たりましては、農政審議会の答申それから報告、これを踏まえまして生産性の向上と需要の動向に応じた農業生産の再編成を推進し、我が国の農業の発展に努力してまいるつもりでございます。
 具体的に申し上げますと、栄養バランスがとれまして、そして我が国の風土に見合ったところの日本型食生活の定着促進、そしてまた水田利用再編対策を通ずる農業生産の再編成、技術、経営能力にすぐれた中核農家の育成確保、また優良農地の確保と農業生産基盤の計画的な整備、豊かで活力ある農村社会の形成、農用地、森林等の緑資源の維持培養、これらの各般の施策を推進してまいるつもりでございます。
 なお、当面新たに力点を置くべきものといたしまして、米の連続四年不作に対して天候不良にも耐え得るようなたくましい稲づくり、そして将来とも安定した農業生産が可能となるような健康な土づくり、また若い農業者に夢を与える、また村のすべての住民に生きがいの場を提供するという豊かな村づくり、この三つの施策を基本として展開してまいるというようなつもりでございます。
○新村(源)委員 大臣が今おっしゃいましたことは、所信表明の中でもおっしゃっておるところでございますが、大臣、日本農業新聞の「こだま」という欄にこういう記事が投稿されておるわけです。「やっぱり心配農業の将来」という表題で
  僕の幼かった時、家の周りの田んぼが皆、大型の水田に造成された。馬がいなくなり、代わりにトラクターが納屋に入った。乾燥機が入り、はさ掛けもしなくなった。農業は一体どれだけ科学化されるかと、少年だった僕の胸は高なった。
  去年の秋、雪で倒伏した刈り入れ前の田んぼに入った。地方の落ちた田んぼの稲は弱かった。生まれて初めて、倒れた稲を一列一列、手で起こしては、かまで刈った。コンバインは泥土に埋もれ、役に立たなかった。「科学」の力は、自然の前には余りにも、もろかった。
  でも、どんな時でも、歯を食いしばって頑張っている父の姿は、米作りにかけた男のロマンがあった。そんな父のロマンさえも、政治は踏みにじっている。それが悔しい。
  とうとう、家には、跡継ぎがいなくなった。父は何も言わないけれど、その横顔が少し寂しそうだ。兄二人は家を出、一人は東京、一人はアフリカに。そして、今度は僕も。兄弟三人、それぞれの道でしっかり歩むことが、土を愛し、自然と共に生きてきた父への心からの尊敬につながると信じている。
  「でも……」と、やっぱり思ってしまう。日本の農業の将来があまりに心配だから。
  百姓に米作らせぬ農政を恨むが如(ごと)く冬の田の哭(な)く
これは、旭川市神居町の学生の投稿によるものなんですよ。
 今日本の農業は、特に若者はこういうように農業の未来に対して大きな暗影を感じております。それが先ほど申し上げましたように、大臣の言われた農村が高齢化していっているということに直接つながっているわけです。したがって、大臣、これからの農業の発展の方向に向けて各般にわたっていろいろ申されておりますが、もっと農業の将来展望を明確にすべきである、こう考えるのですが、もう一度この点についてお伺いしたい。
○角道政府委員 お答え申し上げます。
 将来の農業の展望につきましては、従来農家の方々に具体的なイメージがなければ意欲は出てこないということもございまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように五十五年に「八〇年代の農政の基本方向」というものを定めました後、具体的に地域別にどういう農家あるいはどういう経営が成り立つかということにつきましていろいろ検討いたした結果、一昨年農政審から「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」ということで、例えば北海道であるとか都府県ではどうであるかにつきまして其体的な中核農家の像をお示ししたわけでございまして、さらに農政局におきましては、農村の地域地域に応じまして経営の姿というものを具体的に検討いたしております。また、各都道府県におきましてもそういうものを参考にしながら将来の像を描いておるわけでございまして、私ども現段階において将来の展望につきましてはこれらをもって当面は足りると考えておるわけでございます。
 ただ、今御指摘のように経済の変化も非常に大きいところでございますし、さらに今後の長期の経済がどうなるかにつきましては、内閣においても第四次全国総合開発計画であるとか長期の土地利用計画の見直しが始まっておりますので、私どもこれらの四全総あるいは国土利用計画の進捗状況を見ながら、必要があればこれらの問題につきまして、さらにさきに述べた答申等につきましても検討する必要があるかというように考えております。
○新村(源)委員 ただいま御答弁いただいたことは、それはそれなりとして強力に推進してもらうということでございますが、先ほど申し上げましたようにもう少し明確に、日本農業というのは食糧自給率は例えば六〇%なら六〇%に持っていくんだ、あるいは水田、あるいは畜産酪農、果樹、これらの生産の目標というものをもう少し明確に示すべきである、こういうように考えるのですが、大臣、もう一度どうですか。
○角道政府委員 大臣の御答弁の前に、具体的に私から事実につきまして若干御説明させていただきます。
 具体的な自給率の見通しにつきましては、先ほども申し上げました「八〇年代の農政の基本方向」を定めます前提といたしまして、六十五年におきます需要あるいは生産の見通しはどうなるかということにつきまして、品目別に数量、自給率の目標、見通しを掲げております。
 ただ、見通してございますが、私どもとしましては、それができるだけ実現するように全力投球でやっておるわけでございまして、例えば米につきましては六十五年度におきましても完全自給、これは現状から見ますと将来消費が減退していく、そういうことも踏まえまして供給が需要に合うように、むしろ供給過剰をなくしますように、それはさらに今後とも需要の増大が見込まれる小麦とか大豆とか飼料作物とか、そういう成長作物あるいは需要の望まれるものに再編成をしていく。そこで、小麦につきましては、現状におきましては大体一〇%から一一、二%でございますが、六十五年におきましては一九%、これは国内めん用の需要量を完全に賄う、また大豆につきましては食用の約六割を賄うというように、それぞれの品目別に具体的自給率をお示ししているわけでございますし、また経営の姿といたしましては、能率的な経営というものは北海道ではどの程度というものにつきましても具体的な姿をお示ししているわけでございます。
○山村国務大臣 先生今閣議決定というようなことも言われましたが、昭和五十五年十一月七日、いわゆる自給率の現状と見直しということで閣議の決定もいたしておりますので、これに沿ってこの目的達成のために全力を挙げてまいるつもりでございます。
○新村(源)委員 ちょっと話題を変えまして、政府は昨年の十月に「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」を策定しております。それで、これは昭和五十六年から六十五年をめどにしたそれぞれの生産計画を立てておるわけですが、この中で特に問題点は、第三次酪農近代化計画が同じように昭和五十年度に策定し、発足している。ところが、残念ながらこれが発足をしてわずか四年で事実上破綻をしている、そういうことが北海道、日本の酪農畜産に大きな負債を残す、こういう形になったわけですが、この十月に策定をされた酪農及び肉用牛生産の近代化の推進のために、第三次酪農近代化計画の失敗をどのように受けとめて、今後これをどういうように推進をされようとしているか、この点についてお伺いをします。
○谷野説明員 ただいま御質問がございました第三次酪近計画の点でございますが、先生御指摘のように五十一年に第三次の酪近計画を樹立いたしまして、その後牛乳が過剰ぎみに推移をし、生産者団体におかれまして生産調整等に御尽力いただいたということは御指摘のとおりでございます。
 私どもも、酪農につきましては、そういう経験にかんがみましてやや過剰を起こしやすい体質があると考えておりまして、今回の基本方針を策定いたします際にも、先ほど話がございました六十五年の需給見通しをもう一度チェックしたわけでございます。その結果、現在までのところおおむね六十五年見通しの線に沿って推移をしてきておる、またその将来の見通しにつきましても、六十五年見通しはほぼ適当なものであるという考え方で基本方針を樹立した次第でございます。
 酪農に関します伸び率は、同じ牛の関係でございます牛肉がこれよりもかなり伸びると見通されておりますのに対しまして、そのような経験にかんがみまして年率二%台の伸び率というふうに、前回に比べましてやや抑制ぎみに考えている次第でございます。
○新村(源)委員 この生産計画に基づきますと、今問題になっております牛肉あるいはオレンジの自由化問題にもおのずから関連してまいりますし、今月中に決定されようとしております乳価並びに限度数量にも関連してくると思うわけです。しかし、国内の生産体制は、ただいま説明をいただきましたように、ややもすれば過剰に陥りやすい、過剰に走りやすいということをおっしゃっているわけです。したがって、生産計画というのは輸入と国内生産との関連をどうしても避けて通ることはできないと思うわけです。
 そういう点について牛乳の面で見てまいりますと、今の限度数量であります二百十五万トンというのは乳製品市場のわずか四三%のシェアしか持っていない。そうすれば、むしろこの近代化計画というものは国内生産に歯どめをかけていく役割をしてきているのではないか。これは外国の輸入をそのままにしておいて、あるいはそれ以上伸ばしておいて、そして国内の生産をその範疇におさめようとするところに第三次近代化計画の破綻があり、今回もそういう傾向がかなり強く見られると思うのです。この近代化計画というのは国内生産を抑制していく役割を果たしているように思えてならないのですが、この点どうですか。
○谷野説明員 ただいま御質問がございました基本方針における生産と輸入の関係でございますが、私どもは、いろいろな要請にかんがみまして、我が国で合理的に生産が可能なものにつきましてはできる限り我が国で生産を続けていくということで、それで足りないものについて輸入をするという考え方を基本方針において明らかにしておるわけでございます。そういう全体的な考え方のもとに、主な乳製品につきまして一元輸入の制度をとりまして畜産振興事業団を通じて輸入をするということになっておるわけでございますし、またそのほかの品物につきましても、主なものにつきましては輸入制限品目に残すというような諸般の策を講じておるわけでございます。今後ともこれらの制度の運用の中で基本方針の線が実施されますように努力をしてまいりたいと考えております。
○新村(源)委員 ただいま私が申し上げましたように、近代化計画というのは国内生産を抑える役割をしているのじゃないかということに対して、もっと端的にお答えをいただきたい。
○谷野説明員 今申し上げましたように、基本方針におきましては、国内で合理的に生産が可能なものにつきましてはこれを推進していくという考え方でございます。現在、乳製品につきましても、ナチュラルチーズその他のものを輸入しておるわけでございますが、これらにつきましても所要の振興措置を講じまして、計画に立てました程度の伸び率の国内生産を確保していく、全体といたしまして、輸入に対します率につきましても現行とほぼ変わらない程度のものとなるであろうというのが基本的な考え方でございます。
○新村(源)委員 この計画によりますと、乳牛におきましては二百五十一万頭、肉牛につきましては三百九十二万頭、こういう生産計画を持っておるわけです。今特に牛乳に限って申し上げたいと思いますが、昭和五十六年に策定された計画から六十五年に到達していくのには、大体年率四%の増加が見込まれておるわけですね。ところが、昭和五十八年度の生産は四%ちょっと伸びたということで、今年度の限度数量の問題についてそこら付近で非常に伸びたということが警戒をされて、先ほど答弁がありましたように過剰を起こしやすい、こういうことに警戒をしながら限度数量を伸ばすことを非常にためらっているという感じがするのですが、そういうことはございませんか。
○谷野説明員 基本方針に定められております数字につきましては、ただいま先生御指摘のように、乳牛につきまして六十五年で二百五十一万頭、肉用牛につきまして三百九十二万頭という数字を掲上いたしております。この数字を昭和五十三年から六十五年までの年の平均伸び率という観点で換算をしてみますと、年率二%の伸びということになっておるわけでございます。このほか、乳牛自体一頭当たりの泌乳量がふえるというような生産性の向上も見込んでおりまして、乳量全体といたしましては二%台の伸びというものを前提に想定しておるわけでございます。牛乳の需要につきましては、その年その年のかなりの変動がございまして、ここ数年前には大変な過剰状態が現出をしたような苦い経験を持っておるわけでございます。幸いにいたしまして、この一、二年生産者団体の自主的な調整の効果も上がりまして過剰在庫がほぼ正常になり、そういうことから昨年は限度数量につきましても所要の数量の増額を行ったわけでございますが、私どもといたしましては、そういう過去の経験を踏まえまして慎重に対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○新村(源)委員 先ほど申し上げましたように、現在の限度数量の二百十五万トンというのは国内の乳製品のシェアから見ると四三%より持ってない。五割以下より持ってないわけですね。そこにわずかに伸びてきたというだけで限度数量というものを厳しく抑え込もうとしている。そういうことではなくて、四三%の占有率より持ってないわけですから、これはもっと自由に伸ばしていく。そして、それが国内の需給調整に重要な影響が出てくる、輸入を操作してもなお出てくるという時分まで国内の酪農というものを自然な形で伸ばしていくべきが国内の酪農の発展の方向ではないかと私は思うのです。
 それがそうではなくて、輸入の操作というものを実行しないで、その中における国内の生産調整ということに余りにも意を用い過ぎている。こういうことで、私は、やはり国内の牛乳の生産というのは、農民の意欲やそういう努力がそのままある程度認められていく、そして三年とか五年とかという長期展望のうちにただいま申し上げましたようなどうしても過剰が避けられないというところに初めて緩やかな調整をしていくことが日本の酪農発展のために不可欠な基本方針だと思うのですが、この点についてはどうですか。
○谷野説明員 ただいま先生からお話がございましたように、非常に過剰の時代におきましては、各種の施策を私どもも講じまして調整に努めてまいったわけでございますが、幸いにしてここ一、二年、その状況が大分緩和をいたしまして、いろいろな施策のうちあるものにつきましては一般の生乳生産の方に向けられることができるようになってきた次第でございます。
 輸入の乳製品の量についてでございますが、これにつきましても昭和五十七年、八年はおおむね前年とほぼ同様の水準で推移をしてまいっておりました。現在輸入しておりますナチュラルチーズでございますとかあるいはえさ用の脱脂粉乳、その他のものはそれなりに我が国の酪農あるいは乳製品の消費の中に位置づけられているわけでございまして、私どもは今後ともこのような輸入につきましても十分意を用いまして安定的な推移になるように努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○新村(源)委員 今まで国内の乳製品の過剰の状態をつくり出してきたというのは、これはもう十分おわかりのようにココア調製品であるとか調製油脂とか、こういう枠外の乳製品が多く出回ることによって国内に過剰な状態を生む、これが一番大きな原因をなしているわけですね。そういうことで、国内生産と輸入との関連で、どうしても輸入をそのまま投げっ放しにしておいて国内生産だけにブレーキをかけていく、こういうことがずっととられてきているわけですが、これはここら付近でどうしても直してもらわなければならぬ、それが日本の酪農あるいは今農民が将来に展望を見出せないでいる一番大きな盲点ではないかと私は考えているのですが、こういう点についてはどうお考えになります。
○谷野説明員 ただいま御指摘がございました具体的な品目といたしましていわゆる調製食用油脂、それからココア調製品、これらにつきましては制度上自由化をされておりまして、それなりの数量が年々輸入をされていることは事実でございます。私どもも調製食用油脂等につきましては、これらのものが異常に増加をするということは必ずしも望ましいことではないというふうに考えておりまして、一たん自由化をした品目ではございますが、輸出関係国と協議を重ねまして現在その自主調整を求めておるわけでございます。
 また、その自主調整の裏づけといたしまして、調製食用油脂につきましては、輸入貿易管理令によります事前確認制度を導入してきたものでございます。この点につきましては、実は昨年の暮れに一つの節目が参りまして、輸出国との間の話し合いあるいは事前確認制につきましての問題が出てきたわけでございますが、各方面と話をいたしまして、現在外国との間ではさらに協議を続け、国内的には事前確認制を引き続き実施をするということで対処をしてきておる次第でございます。これらの措置によりまして食用調製油脂あるいはココア調製品につきまして、五十八年度の輸入はほぼ前年の同期と同水準程度に推移をしているということでございます。
○新村(源)委員 自由化品目であるから積極的に調整はできないということですが、審議官も御案内のように、調製油脂の中にはバターが大量に含まれてきておる。あるいはココア調製品の中に脱粉が多く含まれてきている。それを国内に持ち込んできて、調製油脂の場合は溶解度が違うから簡単に分離ができる、あるいはココア調製品の場合には比重度が違うのでこれを分離できる、こういう大きな抜け道があるわけですから、こういう点についてはどのようにとらえておりますか。
○谷野説明員 ただいま御指摘がございましたように、例えば調製食用油脂につきましてはその中に含まれるバターの分が非常に多いということは御指摘のとおりでございます。私どもも外国と折衝いたします際には、一たん自由化をしたものではございますからなかなか交渉は難しいわけでございますが、今先生から御指摘がございましたように、実際にそういうものがどういう用途に供されるのか、それが我が国の酪農業なり諸制度にどういう影響を及ぼすのであるか、あるいは諸外国においての取り扱いというようなことを強調いたしまして、関係国と鋭意折衝しておる次第でございます。
○新村(源)委員 そういうことで、今年度、今農業団体が強く要求をしております限度枠の二百四十万トンはひとつ確保してやる、そしてそれ以上のものは、国内の過剰の状態をつくり出していこうとしている今までのそういう原因は徹底的に抑え込んでいく、こういう姿勢で、そういう理論であれば二百四十万トンというのは限度数量として私は設定して差し支えないと思うのですが、どうですか。
○谷野説明員 生産者団体が二百四十万トンという御要求をなさっていらっしゃることは私ども十分承知をいたしております。また、乳製品の需要を調べてまいります間に、その乳製品の量というものがかなりふえる傾向にあるということも、一つ果実としてはあることも私ども承知をいたしております。しかしながら、その内容等につきまして精査をしておるところでございますけれども、その中には、生の乳と相互に代替関係の非常に多いような用途、例えば発酵乳でございますとか白い乳飲料でございますとか、そういうものに回っている分もまたあるわけでございまして、不足払いの制度の考え方といたしまして、どういうふうに整理をすべきかということを含めまして現在検討をさせていただいている段階でございます。
○新村(源)委員 そういたしますと、ただいまの答弁から大体私が感じたわけですが、二百四十万トンの実現をめどに検討する、こういうように受けとめて差し支えないわけですね。
○谷野説明員 生産者団体から二百四十万トンという御要求があることは十分承知いたしておりますが、私どもといたしましては、乳製品の需要の実態、その内容というものを精査をいたしまして慎重に検討しておるということでございます。
○新村(源)委員 日本の酪農の発展の上から見てもぜひ二百四十万トンを確保する、そういうように全力を挙げて努力をしてもらう、こういうように要請をして次に移りたいと思います。
 畜安法の第七条に「政府は、牛肉の輸入については、この法律の規定による牛肉の価格の安定を図るため、畜産振興事業団がその目的に従って一元的な運営機能を有効に発揮することができるよう措置す」べきである、こううたっておるわけです。これは、事実、今まで牛肉の価格の波といいますか、こういうものが振興事業団の対応のまずさと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、どちらかというと対応が遅い。価格が徹底的に暴落をしてから、あるいはうんと高騰してから、こういうときに初めて事業団が介入をしてくるという経過があったわけですが、この法律からいえば、そういう状況が出てきた場合に直ちに事業団がこれに対応する、そういうようにせいと言っているわけですが、今政府は、酪農畜産のそれぞれの対象品目について価格操作の上でどのような態勢で対応しておられるかということをお伺いいたします。
○谷野説明員 現在の乳製品及び牛肉の価格安定制度は、ただいま御指摘がございましたように輸入との関係におきまして畜産振興事業団に非常に重要な役割を付与しておるわけでございます。
 まず乳製品の点でございますけれども、既に御承知のように、かつて一時非常な過剰在庫がございまして、事業団といたしましてはかなりの期間これを保管をしておったわけでございますけれども、最近乳製品市況が堅調に転じましたために、昨年以来幾らかのものを放出をした次第でございます。現在なお多少のものが事業団の在庫として残っておるわけでございますけれども、先生今お話がございましたように、需給の先行きの見通しというのは大変慎重を要するものでございまして、ある瞬間に手おくれぎみに措置をいたしますとかえって需給の不均衡の原因になるというようなことも配慮いたしまして、現在は市況の状況を見守っているという段階にあるわけでございます。
 また、牛肉につきましては、今御指摘がございました条文で畜産振興事業団が一元的にこれを取り扱うということで、一般枠の九割を畜産振興事業団が輸入をいたしましてこれを市中に売り渡しているわけでございます。牛肉の場合は、数量で申しますと需要の三割近くのものが輸入になっておるわけでございまして、この輸入牛肉が国内の市況に及ぼす影響というものは大変大きいものがあるわけでございます。先生御指摘のように、かつて国内の市況が上限価格をかなりの期間にわたって超えて、それに対する事業団の対応が必ずしも適切ではなかったのではないかという行政管理庁等の御指摘もございまして、私どもといたしましては、それらを教訓といたしましてできるだけ適時適切に対応するようにさらに努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。高騰した反動といたしまして輸入量をふやしました結果、多少の問題が生じまして、事業団がその在庫機能を活用いたしましてしばらく売りを抑えたというようなこともございまして、ここ一、二年につきましてはおおむね価格帯の中で牛肉についても推移しているというふうに承知をしておるわけでございます。
○新村(源)委員 事業団の運用につきましては、先ほど申し上げましたように適時適切な措置をとりながら、生産者に対しては生産費さらに所得が補償されるような価格が維持できるように、そしてまた消費者には安定をした価格で供給できるような万全の措置をとってもらうことを要請いたしまして、この事項を終わりたいと思います。
 次に、五十八年度の保証乳価の関係あるいは指定精肉の関係でございますが、これはそれぞれ農業団体が統一価格として要求されていることは御案内のとおりでございます。今まで農林省当局といろいろ接触をしてまいりましたが、必ずしも我我の要求するような方向で考えておられない。非常に残念なことだと思うわけです。
 そこで、私は、農業団体等の積算されたいわゆる九十九円七十五銭の乳価について積極的に支援するという立場から、さらにまた、政府が昨日発表いたしました農林統計等の資料、こういうものを今ここで論議をしようとは思っておりません。しかし、最近、乳価の決定が生産費所得補償方式のみによって決定されても酪農家の農家経済が維持できないという情勢があらわれてきておるわけです。それはとりもなおさず、昭和五十四年当時から実施をしたいわゆる価格の据え置きと生産調整ということで非常に多くの負債を抱え込んでおる、これに要するところの元利の支払い、こういうものから見れば、経営上非常に重大な、経営危機的な状況の農家が非常に多くなってきておるわけでございます。したがって、乳価の算定に当たっては、当然、生産費、所得を補償すると同時に、少なくとも専業農家である以上は経営全体が維持できる、再生産が可能である、そういう立場に立って乳価を算定すべきであると思うのですが、この点についてはどうですか。
○谷野説明員 加工原料乳の保証価格につきましては、不足払い法によりまして加工原料乳地域におきます牛乳の再生産を確保するとともに、酪農経営の合理化を促進することを旨として定めなければならないことになっている.わけでございます。この生乳の生産費の問題でございますけれども、これはただいま先生の御質問にもございましたように、投下された財、資本に関します各種の費用を積算をして生産費に乗せる、こういうのが建前になっておるわけでございます。したがいまして、直接投下されたいろいろな資本、資材等に関する費用、例えば機械施設等に対する償却費あるいは投下資本に対する利子というものは生産費の中に織り込まれるというのが建前でございまして、従来から一定の方式でそのようにしてきた次第でございます。
 ただいま御質問にございました趣旨につきましては、あるいはそれを超える償還分があるのではないかというようなお話もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、牛乳の価格につきましては、法律の定めるところによりまして生産費を基礎としてこれを検討してまいるという考えになっておるわけでございます。
○新村(源)委員 酪農家の負債の状況につきましては、北海道において、いろいろその地域地域の特殊性を持っておりますが、私がここに持っておりますのは酪農専業地帯であります根室管内の負債の状況でございます。これは全酪農家を平均した推移でございますが、昭和五十五年には負債額が二千八百十九万円、五十六年には三千十八万円、五十七年が三千百十三万円、五十八年には三千三十九万円。こういうように依然として二戸平均三千万円台の負債を持っておるわけです。したがって、この負債が今酪農民の経営を非常に苦しくする、あるいは最初に申し上げましたように、農業を志す青年がもうこういう面から意欲をなくしていく、こういう例が間々あるわけでございまして、残念ながらこの地域の離農の状況も依然として絶えないわけでございます。これは、昭和五十四年に十三戸、五十五年十六戸、五十六年十五戸、五十七年二十二戸、五十八年二十六戸と、こういう負債の重圧が農業の展望を暗くしている、こういうことでございますから、これを一体どういうように解決していくか。私は先ほど、償還金や金利というものは、酪農以外に収入はないわけですから、当然経営費として見ていくべきである、こういうように申し上げたのですが、どういうような方向でこれらの問題を解決していくべきものなのか、こういう点について御意見をお伺いしたい。
○谷野説明員 酪農につきましては、近年急速に規模を拡大いたします過程で、一部の農家におきまして借入金が大変増大をし、かつ、その償還についていろいろな問題が生じておるものがあるということは御指摘のとおりでございます。
 私どもも昭和五十六年からこれらの問題を取り上げまして、いろいろな既存の借入金の償還延期というような措置に加えまして、酪農経営に対しましては酪農経営負債整理資金という長期低利の資金をつくったわけでございます。北海道におきましても、道庁及び北海道の農協系統の御協力によりまして多くの農家について調査が行われ、それぞれ負債の程度、償還の可能性というようなことを分類しつつ、さらに改善計画を樹立していただきまして、毎年必要な資金につきまして長期低利の資金に借りかえる措置を現在講じておるわけでございます。こういう施策の性質上、借りかえを行いましても借入金の残高そのものは急速に減少するわけではございませんが、私どもといたしましては、長期低利の資金に借りかえることによりまして次第にこれらの制度の効果があらわれ、負債の整理が進むということを期待いたしておるわけでございます。
○新村(源)委員 ただいま御説明がありましたように、負債整理は昭和五十六年から北海道で三千八十五戸を対象にして三百九十九億円余の対策を施してもらったわけでございます。そして、これはこれなりにいい結果をもたらしてきているであろう、こう私は思うのですが、今北海道の酪農家は大体一万九千戸でございます。したがって、三千八十五戸といえばほんの一部に当たるわけです。そして、ちょうどこの制度が発足した当時、この制度自体が非常に厳しくて、例えば固定資産は購入してはだめだ、あるいは償却資産についても農協その他とよほど協議をしなければだめだ、あるいは生活資金も規制をされる、こういう非常に厳しいものですから、特に若い青年のおるところでは、こういう対策を受けているのであれば嫁さんも来ない、こういうような話まで広がりまして、歯を食いしばってもこの対策に乗らなかったという戸数がかなりにあるわけです。そういう水準以下の農家でその対策を受けられなかった農家というのは今非常に苦しんでおる、こういうような現況でございます。したがって、これの対策についてどうお考えになりますか。
○谷野説明員 私どもこの施策を講じます際に、ただいま御指摘のように、こういう資金の性質上いろいろ農家において御尽力をいただくようなことを申し上げたことは事実でございまして、それを踏まえましてこれらの制度が行われておるということでございます。
 これらの制度を実施します際に、どの程度の御希望があるかということを私どもあらかじめ予測をしたわけでございますが、道庁が中心になりましていろいろ御検討になりました結果、金額的には私どもが当初考えていたものでなお不足をする、こういうお話がございまして、私どもはそれにつきましてはそれなりに対応するということをした次第でございます。私どもといたしましては、かなり一般的な調査その他を道の方でおやりになりまして対策をお立てになったというふうに伺っておりますので、一応この制度につきまして乗ってきていただくようなものについてはこれだけの数ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 なお、この制度は特別の制度でございますが、このほかにも一般的な制度といたしまして自作農資金の再建整備の制度等もございまして、これはある年を限ってやるものではないわけでございまして、それなりの融資枠の確保等も行われておるわけでございますので、個別のケースにつきましては、これらの制度の活用につきなお御相談を申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。
○新村(源)委員 農家の負債対策につきましては自作農維持資金制度その他があることは承知をしておりますが、しかし、こういう構造的に発生をしてきている負債の状況にはなかなかそれだけでは対策がし切れないという状態があるわけです。したがって、この負債整理対策につきましては、基本的には正しい乳価を設定をする、いわゆる前向きの対策で、乳価でもってかなりな部分が吸収できるようにしていく。そしてさらに、そういうものについて対策のし切れないものは当面今の制度の枠を拡大する、あるいは条件緩和をする、償還年限の延期あるいは金利の引き下げ、こういうもの等を行いながら段階的に酪農家の経営安定の方向を図っていくべきであると思うが、この範囲の拡大あるいは融資枠の拡大、さらには償還年限の延長や金利の引き下げ、こういうものについてぜひやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
○谷野説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、この制度の発足の際には私ども現地の御要望に対しましてそれなりに対応したように思っておるわけでございます。また条件につきましても、その他の資金との関係から申しますとそれ相応に低利長期のものになっておるというふうに考えておりまして、これらをさらに低利にする、あるいは長期にするということは大変難しいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 今後の問題につきましては、先ほど申しましたとおり、既存の制度をできるだけ活用いたしましてこれに対応してまいりたいというふうに考えております。
○新村(源)委員 非常に時間が制約をされておりますので、この問題については後日また改めて御質問をし、意見をお伺いしたいと思っておりますが、当面、昭和五十九年度の保証乳価については、こういう極めて困難な情勢にあるという見地から、農民の要求しておる九十九円七十五銭はぜひとも実現をしてもらいたい、それと限度枠の二百四十万トンをぜひとも実現してもらいたい、こういうことを強く要請をして、この事項は終わりたいと思います。
 次に、今の不足払い制度の中では、保証乳価は生産農民の経営を守る、そして基準取引乳価は乳業のいわゆる経営安定を図る、こういう二重の性格があると思うのです。ところが、最近、基準取引乳価を試算をする、この内容をずっと見てまいりますと、乳業の安定を図るということは日本の酪農発展のためにどうしても必要なことであるけれども、どうも何かこの中で農民だけを置き去りにして、乳業が非常に恵まれているのではないかという、そういう資料が出ておるわけです。
 例えばバターを例にとってみますと、昭和四十二年からバター一キロつくるのに原料乳が十三・四九キロ必要だ、こういうようにして去年までずっと動いてないわけですね。ところが農民の立場では、今、乳質改善、量よりも質であるということから、種畜の改良に主力を置いて乳質の改善に最善の努力を払っておる。その結果、脂肪分においては昭和四十六年に三・六%であったものが昭和五十五年以来ずっと三・六七に安定的に上がってきておるわけです。ですから、今取引されておりますのは〇・一キロが一円でございますから、〇・〇七キロ当たり七十銭ですね、これだけのものがいつも農民が損をしてメーカーの方はこれだけプラスになる、単純に見ればそういう計算が出ておるわけです。これは無脂固形分あるいは全固形分においても同じことが言えるわけなんですが、これはどうなんですか。
○谷野説明員 生乳の中の今御指摘がございました脂肪分でございますとか無脂固形分につきましては、いろいろな品種の改良等が進みましてそれが上昇しているということは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、その実態は承知をしておるわけでございますけれども、現在のところ地域により時期によりまだかなりばらつきがございまして、このような制度の運営の基本といたしますものといたしましては、従来から生乳につきまして取引基準がございました三・二%、それから無脂固形分につきましては八・三六%を基準として算定をいたしておるわけでございます。実態的にはこれを上回る牛乳、特に乳脂肪について三・二%を上回るものがかなりあるわけでございますが、これらにつきましては、それぞれの取引の中で、ただいまちょっとお触れになりました数字と似ておるわけでございますが、北海道におきましては乳脂率〇・一%について一円の追加支払いというものが行われておるというふうに承知をしておるわけでございます。
 私どもといたしましては、制度の価格というものは一つの基準に基づいて算定をし、さらにそれを超える分についてはそれぞれの取引の中でしかるべき加算が払われるというのが制度の運用上適当なのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○新村(源)委員 今、三・二以上のものについては取引の中で解決されているということですが、それはそのとおりですが、しかし三・二以前のものがいわゆる必要乳量算定の基礎になるものですから、その面についての農民の損失といいますか、こういうものはどうしても避けることはできないものだ。それに、これは乳脂肪に限って申し上げたいと思いますが、三・二以上のものはそういうことで吸収されても、三・二以下の基準取引に示される脂肪率においての損失というのは依然として農民の側から免れることはできない、こういうことが言い得ると思うわけでございまして、これはできるだけ近い将来、この基準取引乳価算定の改善といいますか、そういうものをぜひ実現をしてもらわなければならないし、できるならば今年の乳価算定の中に、いわゆる九十九円七十五銭を達成する一つの枠内としてぜひこれを改善してもらいたい、こういうことを強く要求をいたしまして、時間が参りましたので、どうも言い足りなかったのですが、質問を終わりたいと思います。
 最後に、その点についての見解を求めたいと思います。
○谷野説明員 乳成分の向上につきましては、先ほど申しましたとおり、私どもといたしましては、取引の基準となっておりますものが乳脂肪につきましては現在取引慣行上三・二%というようなことでもございまして、そういうものを基準といたしまして、それを超える分につきましては取引の実態の中でしかるべき支払いが行われるという方向で考えていくということでございます。
○阿部委員長 上西和郎君。
○上西委員 まず最初にお断りをしておきます。私、きょうで当選して百日目の一年生議員でございまして、しかも初めての、言うならば処女質問です。私なりに気をつけますが、言葉の表現あるいは質問の内容等についてやや適切を欠くところが出てくるかもしれません。その点は、あれは新人だからやむを得ぬと温かいお許しをいただきたい、このことを前もってお断りをし、以下、山村新治郎農水大臣の所信表明に関して幾つかの質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、大臣にずばりお尋ねをしたいのは、今や全国民の最大の関心事になっております農畜産物の輸入枠拡大、このことについてであります。
 昨日お帰りになった佐野局長、大変御苦労さまでした。私はテレビで、佐野局長が早朝一人、とぼとぼとは言いません、しかし大きな責任を持って会場に行かれる姿を拝見するたびに、ほぼ同年の佐野さん大変だなと思いながら、あなたの双肩に日本の農業の将来がかかっているのだ、頑張ってほしいと、心ひそかに声援を送ってきた一人でもあります。そうした観点から見てみますと、昨夜省議でいろいろお打ち合わせになった後の記者会見の模様等をマスコミを通じて拝見をした限りにおいては、山村大臣、あなたの今の真意はどこにあるのか。あなたのお気持ちは、二月二十二日の所信表明で少なくとも日本の農業を犠牲にしない、こう明確におっしゃったが、そのお気持ちにいささかも変化はないのか。かつて「よど号」事件のときに、ああこんな立派な政治家がおられる、男山村新治郎ここにあり、日本民族の本当にシンボル的な存在であった山村大臣が、よくぞこのとき農林水産大臣の座にあった、日本の農業を守り抜くためにそれこそ方丈の気を吐いた、私はこういうことをぜひ山村大臣にやっていただきたいのであります。
 大きな期待を寄せて、まず山村大臣、胸打ち割って現在の心境、お考えをお示しいただきたいと思います。
○山村国務大臣 私の心境、これは、ずばり日本農業を守るという立場を堅持してまいります。
 そして、きのう佐野局長がお帰りになっていろいろ打ち合わせもいたしました。交渉上でございますので、その内容等についてはお許しはいただきたいと思いますけれども、ただ、局長に交渉の経過をいろいろお伺いしましたところ、これでは日本農業は守れないということで、打ち切りではございませんが、私としては日本農業を守るという立場からいきますと、これはできないということで、一応佐野局長に帰国を命じたわけでございます。
 そういうようなことで、ちょうど一昨年四月農林水産委員会の決議もございます。また、本年一月の農林水産委員会からの申し入れもございます。この趣旨を踏まえまして、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展していくということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
○上西委員 大変心強いお答えをいただいたのでありますが、そこで少し具体的にお尋ねしたいと思います。
 問題は、けさの朝日などによりますと、藤波官房長官がマンスフィールド駐日アメリカ大使にVANとの一括処理をという考え方を示した、これは極めて重大だと思うのであります。ところが、この記事を読んでまいりますと、後半で、山村農水大臣はそういう話は聞いていないとなっている。この真偽を明確にしていただきたいと思います。
○山村国務大臣 昨日の参議院の予算委員会におきまして、ちょうど官房長官と隣同志でございまして、そのときに官房長官から、マンスフィールド大使がおいでになった、そこで農産物問題についても弾力的にアメリカ側もこれに応じてもらわなければとても解決はしないと思うということを言われました。ただ、そのときに、VANの問題そのほかというのは全然官房長官からは聞いておりません。
○上西委員 これは大変重大な問題だと思うのであります。少なくとも中曽根内閣の顔である藤波官房長官が、明確にVANとの一括処理ということを示された。片や農産物輸入枠拡大の主管大臣である山村農水相がこのことについて全然聞かされていない。果たして中曽根内閣はどういう基本的な方針でこの問題に対処しようとしているのか、私は極めて素朴な疑問を抱かざるを得ないのであります。たとえ中国でどんなに熱烈歓迎を受けようと、今日本の内閣がやらなければならないのは、大臣がおっしゃったように、日本の農業を守り抜くことではありませんか。日本の国民が抱いている基本的な危機感、危惧といいますか、これに明快に回答を与えることではありませんか。そういったことについて、内閣の不統一とまでは申し上げませんが、あと一歩突っ込んだ大臣のお答えをいただきたいと思います。
○山村国務大臣 少なくともこの農産物問題に関しましては、担当大臣である私が最終決定をいたしますし、実は対外経済閣僚会議ですか、その席で官房長官も同席しておりましたが、ちょうど安倍外相が訪米される直前に、安倍外相並びに他の大臣の皆さんにも、少なくともこの農産物に関しては私が最終的に決める、私が決定権があるのだから、これだけは頭に入れて忘れては困りますということを申しておりますので、それは官房長官は忘れてはいないと思います。
○上西委員 ここでは、山村大臣のそれこそ良心、良識、そのことを深く信頼しまして、今のお答えを一応受けとめておきます。
 ただ問題は、では佐野局長があれだけ努力をされたが、結果的に大臣は帰国を命ぜられた。今後の交渉の進め方についての御見解、これをまずここで改めてお答えいただきたいと思うのです。
○山村国務大臣 私としましては、できればこの三月中に何とか決着をつけたいと思っております。この日米の話し合いというものが、いわゆるアメリカ国内にある対日強硬派への抑止力といいますか、歯どめになっておるということも聞いておりますので、できるだけ三月中にやりたいとは思っておりますが、しかし、今の段階では、私が参りましても決裂して帰ってくるだけだろうと思います。そこで、あとはアメリカ側がどういうような対応で来るか、これを今待っておるところでございます。
○上西委員 では、結局こちらからボールを投げたのだから、あとは向こうの対応待ちだ、いわゆる日本の側の提案というか、考え方というのは、佐野局長が今度最終案だとお示しになった。それは最後の一線で絶対に守り抜く、仮にアメリカがそれに対応しないときは決裂やむなし、ガット一括提訴を含めて、そうした厳しい姿勢で農水省は対応される、このように確認しても構いませんか。
○山村国務大臣 昨日、局長が帰ってきて一緒に記者会見したわけですが、そのとき私から申しましたが、少なくとも日本側としては清水の舞台から飛びおりるつもりでという表現をいたしました。そのつもりで対応してまいります。
○上西委員 では、ちょっとこのことについて、問題がやや小さくなるのでありますが、佐野局長にお尋ねをしたいのであります。
 けさの日本農業新聞を読んでおりましたら、結局アメリカが圧力をかけるかけると言っているが、たった二人の議員しか動いていないのだということで、向こうの広報担当のディビット・スクノーバー広報官ですか、この方の言動などについて向こうからの記事が載っておるのでありますが、その辺について、大変アメリカで御苦労なさった佐野局長から、実情について少しく御説明いただきたいと思います。
○佐野政府委員 お答えいたします。
 実は、私、けさの日本農業新聞をまだ読んでおりませんので、先生引用されました記事がどういうものであるかよく存じませんが、アメリカの議会の動きについて一般論として申し上げますれば、来月の二日に日米牛肉問題を主題とする公聴会が開かれることが予定をされておりまして、そういう中でかなり意気込んでいる議員さんが大勢いることは事実でありまして、たかが一人や二人というふうにもし日本農業新聞が報道しているとすれば、それはちょっと、いささか事態の深刻さを軽視し過ぎているように私は思います。
○上西委員 大変お疲れの佐野局長、けさお読みにならなかったのは残念でありますが、少なくとも日本農業新聞の記事によりますと、米国農務省のディビット・スクノーバー広報官は、「米国ではほとんど問題にならぬことに、日本側がワイワイさわいでいるだけだ」、こうした返事を取材に当たった記者にしゃべっている、こういうことが出ているわけです。日本農業新聞というのは、全国で相当の農家の方々がお読みになっている。こういうのを見ますと、少なくとも政府・自由民主党はアメリカの圧力だ圧力だということで日本農業を犠牲にしながら、ということになりかねないと思うのであります。したがいまして、こうしたことが少なくとも日本農業新聞の社説の横に大きく出ておりますので、これらについてあと一つ、佐野さんお読みになっていなければ、どなたか適当な方から少しく補足説明をいただき、少なくとも日本農業新聞の読者を含む多数の国民の皆様方に、農水省として、言うならば一応の安心感を与えていただきたい、このように考える次第です。
○佐野政府委員 済みません、ちょっと読ませてください。――ただいま先生からいただきました新聞を読んでみますと、「日本への圧力の震源は、主にこの二議員である。」二議員というのは、フロリダのアイルランド下院議員と、牛肉はボーカスでございますが、「六百五十人中の二人でしかないことを、日本の交渉担当者はよく頭にたたきこんでおくべきである。」ここまでは日本農業新聞の特約通信員である中村さんの御意見であります。それから、そこから先、「今回の交渉の取材にあたり、米国農務省のディビット・スクノーバー広報官は「なぜ、何もいうことがないのか」との質問に対し「日米会議に対する典型的なメディアの態度まる出しではないか。米国ではほとんど問題にならぬことに、日本側がワイワイさわいでいるだけだ」と、実にしらけた返事を返してきた。」というふうになっておりまして、そのスクノーバー広報官が日本に圧力をかけている議員は二人しかいないというふうに述べているのではないようになっております。
 それで、私の承知しているところでは、この中村さんという方は私も存じ上げておりますけれども、日本の交渉担当者は大変弱腰のダラ幹で、アメリカの圧力に恐れおののいて交渉をしているという偏見をお持ちになっておられる方でございまして、どうも筆の調子がこういうふうになっておるようでございますけれども、たかが二人というのは、これは、私、中村さんの偏見の方だと思います。
 それから、スクノーバー広報官の発言というのは、これは私の解釈でございますが、日本の新聞記者の取材攻勢の激烈さにやや感情的になって反発をしたのが引用されておるという性質のもののように思いますが、スクノーバー広報官自体は、たった二人が騒いでいるだけだなんということは言っているわけではございません。
○上西委員 今の佐野局長のお答えで、私は一応それなりに了としますが、少なくとも今農産物の輸入枠拡大・自由化問題がどう動くか。例えば私の選挙区、これは日本でも有数の畜産県でありまして、牛、豚、鶏、すべて飼育頭数は第一位だ、このように私考えておりますけれども、そうしたところでは、例えば安倍外務大臣がアメリカに行くという記事が出ただけで子牛の値段が暴落をする。これほど敏感なんですね。ですから、私、日本農業新聞の記事もあえて取り上げたのでありますが、農家の方々は本当に自分の生死をかけて関心を持っている、こういうことを強調したいがために、少しそういったものを引きました。
 あわせましてもう一つ、農産物輸入枠拡大についてお尋ねをしておきたいのでありますが、EDBの問題であります。
 去年の九月、アメリカの連邦政府の環境保護局がEDBの危険性について指摘をし、アメリカは幾つかの対策を立て出した。ところが、どうも日本はこの対応が非常に遅いのでありまして、私、気になってしょうがありません。少し話題が飛びますけれども、かつてサリドマイド児が発生をしたときに、同じあの薬を使っていた西ドイツでは、発売も製造も同時に禁止をした。日本は製造を禁止したが、半年間は発売を認めた、こういう記憶を私はまざまざと呼び起こすのであります。アメリカがその危険性を認めてやった、このことについて幾つか具体的な問題を出しますので、一括してお答えいただきたいと思うのです。
 まず、農薬指定を行っている農水省は、その安全性についてどのような試験によって確認をしたのか、これが第一点です。二つ目は、極めて揮発性が高いから作物への残留は全くないとしている根拠は何か。というのは、アメリカではその残留性を確認したために新しい規制に踏み切った、このように私たちは理解しておりますので、この点。さらに、アメリカでは発がん性試験や変異原性試験で陽性の結果が得られたと報告されているが、我が国ではどうなのか。さらに、アメリカ側からの輸入穀物のうち小麦及びトウモロコシだけを残留調査の対象にしているが、その他の穀物については不安がないのか。さらに、日本でも新しい規制をすべきではないか。とりわけ日本向けのアメリカ農産物にEDBが絶対に使用されていないという保証があるのか。
 こうしたことが、農家の方だけではなく関係する方々、あるいはそうしたものを現に飼料穀物その他で使っている方々、いろいろとありますので、今一括して並べましたけれども、EDBに関して農水省側からのお答えをいただきたい、このように考えます。
○小島(和)政府委員 まず、我が国におきましてEDBを登録いたしましたときの安全性のチェックでございますが、いろんな農薬につきまして残留性ということが問題になるわけであります。
 このEDBは非常に揮発性が高い農薬でございます。我が国におきましては大部分が土壌消毒剤として使用されておりまして、土壌に対する残留、あるいはその土に生えております作物についての残留ということは全く問題にならない農薬でございますので、その意味におきまして、ただいま問題になっておりますような発がん性とかあるいは変異原性というふうな試験までは行わずにその当時登録をいたしたものでございます。
 アメリカの方で昨年九月以降一連の規制措置を発表いたしておりますが、まず九月に即刻使用禁止ということにいたしましたのは土壌消毒でございまして、これにつきましては、作物の残留とか土壌残留ということを問題にしたわけではなくて、あるいはまた作業者の安全ということも問題にしたわけではなくて、地下水に検出されたという事実をもって禁止の最大の理由にいたしておるわけでございます。
 我が国におきましても同じような問題が起こり得るということで、昨年秋に全国たしか二十カ所ぐらいだったと思いますが、地下水の汚染状況を調査いたしておりますが、昨年秋の段階では検出限界値以下でございましたので、ただいままで使用禁止にいたしておりません。また、この春の使用最盛期に再度さらに広範な調査を実施いたしたいと考えております。
 次いでアメリカが行いましたのは、小麦等の穀物類につきましてその消毒剤としての即時使用禁止とEDBの残留ガイドライン値について決めたわけでございまして、これは、穀粒につきましては九〇OPPb、中間製品につきましては一五OPPb、最終製品につきましては三OPPbといたしております。それから、かんきつ等の生果実につきましては本年九月一日以降使用禁止ということとあわせて、残留基準値を全果実について二五OPPbというふうに定めるべく手続を開始いたしております。
 それから我が国の扱いでございますけれども、現在のところ、果実につきましては、食品衛生の見地から関係省におきまして残留基準を一三OPPbというふうに決めておりまして、これが遵守されれば人間が食べる段階においては残留はこの数字以下になるという前提のもとにこういう残留基準を決めておるわけでございます。それから穀物につきましても、最近の調査によりますれば、アメリカが定めました残留のガイドライン値以下になっているというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、事は人間の健康に関係する問題でございますので、私どもといたしましても、関係省庁と十分協議をいたしまして、その安全性につきましてさらに慎重を期してまいりたい、かように考えております。
○上西委員 私、ただいまの答弁はそれなりに理解ができるのでありますが、問題は、例えば厚生省が輸入小麦の残留調査を行っていると聞いておりますが、ただいまのそうした数値について、農林水産省としての徹底した検査の結果、あるいは自信を持ってそうした数値をお決めになって、国民に対して胸を張って責任を持ってお答えできる内容なのかどうか、このことを確認しておきたいと思います。
○小島(和)政府委員 農薬行政につきましては、直接の所管官庁は私どもでございますが、いわゆる作物あるいは食物についての残留基準というのは厚生省が決定をいたしておるわけでございまして、私どもは、その基準に合うか合わないかということによりましてその農薬の使用方法を決めておるわけでございます。
 ただいま申し上げました果実についての残留の基準、それから穀物につきましては目下その基準はございませんで、アメリカのガイドラインによりまして、それに合っているかどうかという調査を食品衛生の見地から厚生省がいたしておるわけでございます。それらの結果を踏まえまして、今後厚生省がどういう対応をするかということによりまして、私どもの農薬行政もそれに沿うべく協力をしていく、こういう仕組みになっているわけでございます。
○上西委員 余り時間がありませんので、農産物輸入枠拡大・自由化の問題についてはこの程度で切り上げますけれども、重ねて大臣にお願いしておきたいと思うのであります。
 それは、先ほどお答えがありました。大変心強く思いました。私の所管だ、すべて私が決めるのだ、そのお気持ちを最後まで守っていただいて、少なくとも上で風見鶏がどっちを向こうと男山村ここにありで、徹底してこの問題については日本農業の守護神としての役割を十二分に発揮されることを心から御期待申し上げますと同時に、ただいまのEDBについては、国民の中にもまだまだ不安感が残っております。少なくともそれを払拭できるような対策をおとりくださいますことをお願いをし、この問題についての質問を終わらせていただきます。
 次にお尋ねしたいのは、水田利用再編成の問題であります。
 私、四年間連続不作なんというのは、言うならば日本列島が誕生してからの最大の異変事だと思っております。選挙区に帰りましてあちらこちらと回ると、鹿児島あたりはいわゆる米の保管倉庫は空っぽです。そして十万トンしかない。
 私、思うのです。国家石油備蓄基地なんとなると、いや九十日必要だ、百日必要だということで、何千億もかけてつくっていこうとする。片一方は一けたでしょう、国民が食べていく米の量からいくと十万トンというのは。そういうことをなぜ放置をされるのか。極論するならば、ガソリンを飲んで生きていけるものなのか、私、本当に素朴な疑問があるのであります。にもかかわらず、大臣の所信表明の中では、依然として今度も続けて三年間やります、こうなっていきますと、農水省は一体どららをどうお向きになって考えているのか、極めて疑問が出てまいりますので、このことについて山村大臣は、後世に向かって、日本民族の将来に向かって、本当に自信を持ってこの水田利用再編成計画を推し進めているのだ、こういうお気持ちなのか、所信表明をお聞きしましたけれども、改めて念を押したい、こういうことであります。
○山村国務大臣 先生おっしゃいましたように四年連続不作ということで、米が足りなくなるのではないかという心配でございますが、少なくとも国民の皆さんに主食たる米を安定的に供給する、これが農林水産省としての役目でございます。また、本年度においては間違いなく安定的に供給できるということでございますが、しかし、先生今おっしゃった備蓄という問題もございます。これから、本年、来年、再来年と三年間にわたりまして四十五万トンずつ備蓄をやっていくということでございまして、安定的供給というのは、これは間違いなくできるというぐあいに思っております。
○上西委員 大臣が信頼せよ、そうおっしゃるから信頼したいのであります。しかし、少なくとも私どもは農村地帯の出身で、過去の日本の農政、特に高度経済成長時期の農政の目まぐるしい変転に農民はついていけない。日本政府を信頼し、昔からのお上を信頼してやっていったら、ビート、てん菜糖が典型的な例であります。当時の農林省の言うことを聞いたらぶっつぶれたという農家がたくさん出てきた。
 先ほども我が党の新村議員からお話がありましたけれども、私のところだって畜産農家で何千万円と借財を持っているのはごろごろしている。億を超えている農家が出てきている。彼らは、極端に言えば農水省をのろっているのです。米作について水田利用再編成をやってみた。公民館か何か、名前はいろいろありますが、いろいろなものができていったけれども、田んぼはつぶれていった。
 私などは昭和一けたでありますから、旧制中学校のころ、グラウンドを掘り起こして、こちらで言うサツマイモ、鹿児島で言うカライモをつくった体験を持っております。ありとあらゆるところを田んぼに切りかえていった。そうして、辛うじて食いつないできた戦時中、終戦直後の混乱期を身をもって体験しておりますから、今山村大臣は実に淡々と御信頼くださいとおっしゃるけれども、あと一つ吹っ切れないものがあるのであります。ですから、そうした意味合いについてあと少しく御見解を、局長からでも結構ですが、国民に対する安心感を、信頼できる御説明をお聞きしたい、このように考える次第です。
○松浦政府委員 米の需給につきましては、ただいま大臣からお話のあったとおりでございまして、少しく詳しく補足いたしまして計数的に申し上げたいと思います。
 実は昭和五十八米穀年度におきましてもやはり需給の逼迫が言われたわけでございます。その際に、私ども非常に綿密な需給の操作をいたしまして、予定どおりでございますが、五十八米穀年度につきましては十万トンの在庫水準をもちまして五十九米穀年度に引き継いだわけでございます。ただいま先生御指摘のように、去年の産米、五十八年産米は四年連続の不作ということで、残念ながら一千三十七万トンという水準で、これをもとに私どもは需給の計画を組まなければならぬわけでございますけれども、前年からの持ち越し十万トン、さらに加えまして五十三年産米十万トンないし十五万トンの需要がございまして、実際売却をいたしておるわけでございます。それを考えますと、需要の状態もあわせて考えましたときに、ただいま大臣から申し上げたとおり、米の需給に不安はないということを申し上げて、計数的な裏打ちをもって申し上げているわけでございます。
 そこで、ただいま先生御指摘の十万トンの在庫水準では低いではないか、確かにそのとおりであると思います。私どももそれは認めるわけでございます。したがいまして、これを積み上げて安定的な需給の操作ができる、こういった状態を実現できるということが現段階では非常に必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 さような観点から、第三期の転作の目標面積というものは本来七十万ヘクタールなければならないということでございますけれども、それを六十万ヘクタールに抑えまして、十万ヘクタール分だけ、つまりただいま大臣から御説明ございました毎年約四十五万トンの在庫の積み増しを図る、これをもちまして安定した状態をつくっていこうというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、この四十五万トンが妥当であるかどうかということにつきましては、いろいろと御議論があろうかと思いますけれども、一方におきまして過剰という問題も考えざるを得ない問題でございます。かつて昭和五十年から五十三年の四年の間、しかも五十一年は不作であったにもかかわらず六百五十万トンのお米がたまったわけでございます。さような状態も考え、また消費者の新米志向の問題、さらに加えまして財政負担の問題も考えまして、そこで四十五万トンというものを目標に設定しました。これは現在着実に在庫積み増しをしようということで考えているということでございます。
○上西委員 私などの世代ですと、頭の中には豊葦原の瑞穂の国しか出てきません。世界のあらゆる学者が研究した結果、日本のお米ほど栄養も味もいい、すぐれた食物はない。強いて欠陥を上げれば、塩をつけると一番おいしく食べられる、こういうふうに我々は聞いておるのでありますが、せっかく日本民族がそれこそ長い歴史をかけてつくってきた米を何か足げにするようなやり方は食糧庁長官としても本意ではないと思いますが、農家の皆さん方だけではなく、さっき申し上げた石油に比べて何と米を粗略に扱うのか、我々はこういう気持ちを禁じ得ません。
 そうした観点から、食管制度を堅持をしながら日本の米作を守り抜く。いざというとき、どんなことが周辺で起きようと日本人が食べる食物は国内で自給自足できる、こういう体制に持っていかれることを大臣並びに長官、関係各位に重ねて強く要望して、この質問を終わらせていただきます。
 三番目にお尋ねしたいのは、国有林の収支の問題であります。まるでどこかの株式会社か商店みたいに、おまえのところは単年度で赤字だからけしからぬというやり方を国有林にされたら、私は間尺に合わないと思うのであります。
 私は少しく林野庁長官にもお尋ねをしたいのでありますが、率直に言って、林野庁の収支が黒字であったころ、日本の政府は言うならば大分搾取をしております。退職金の引当金を認めるどころか、もうかったのだろう、出せ出せと吐き出させていた時期があります。このごろは、赤字になってきたら、何のことはない、七・一%ですか、サラ金に匹敵するような高利で融資を受けなければならない。こんなことで国有林の経営が安定してできるのかと、私は素朴な疑問を持たざるを得ないのであります。
 そうした観点で、まず国有林の経営について基本的な考え、姿勢というのをお尋ねをしたい、このように考えます。
○秋山政府委員 国有林野事業は国民経済上あるいは国民生活の上にも極めて重要な役割がございまして、木材の持続的供給の問題であるとか、あるいは先生御案内の水資源涵養、国土保全というふうな公益的機能の拡充強化、さらには山村振興という重要な使命がございますが、これらの使命を十分に果たしていくためには、まずもちましてこの経営の健全化を図らなければならぬ、こういうことであります。
 そこで、私どもこれまでも五十三年以来経営改善に取り組んでまいったわけでございますが、この国有林内の諸事情あるいは木材需要の低迷、価格の低下というふうな問題がございまして大変財政上厳しいわけでございますので、私どもはまずもちまして自主的努力を一層行いながら、さらには必要な資金につきまして一般会計から繰り入れをいただきながら、できるだけ早くこの健全性を確保し、国民の要請にこたえた国有林野事業を今後推進してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○上西委員 少しく古い話を持ち出して恐縮ですが、五十一年の六月に鹿児島県には六十年ぶりの集中豪雨が襲来をしました。三十名を超える犠牲者が出たのであります。大変な災害でした。このとき私はもちろん野にあって大隅半島に居住していたのでありますが、当時の災害対策特別委員長が児玉末男議員でありまして、暇だったらついてこぬかということで、私は生まれて初めて国会議員団の現地調査に同行していったのであります。
 そのとき、もう今退任をされましたが、鹿児島県の林務部長であった島崎保さんという方と私は旧知だったので、いろいろ同行者の方とお話をしました。大隅半島を錦江湾の側から見ますと、ずっと山が並んでいるのです。見ますと、あちらこちらはげているのですね。土砂崩壊をやっているわけです。それこそきれいに絵の具で塗ったようになっている。緑があり、地肌が出てくる。それで、部長さん、一体これはどうしてなったのですかと私がお尋ねをしましたら、その島崎部長のお答えは、私にはまだ鮮烈に残っているのでありますが、上西さん、あの山はすっかり乱伐で裸になっていた、はげ山だった、だから県の林務部や林業公社が中心になって一生懸命植林をやった、直根木が一番成長が早いから直根木を一生懸命やった、今度の集中豪雨が襲来した結果、直根木を植えて三年以上たった山は立派に守られていった、三年未満のところは残念ながら土砂崩壊、山崩れを起こした、こう言われた。
 私は、大臣並びに長官に申し上げたいのであります。直根木を植えて三年たったら、六十年に一回という集中豪雨にもびくともしない防災ができているわけであります。これをどうお金に換算しますか。その三年の山が売れますか。そういう観点で、国有林にしても県有林その他の公有林にしても民有林にしても、森林が持つ機能というものを改めて見直さなければいけないと私は思うのです。
 大臣、そうした意味で、何か林野庁は大変な赤字だ、言うならば若いころはそれこそ吸い上げるほどもうかっていた、このごろはどうもすっかり悪くなった、昔の大名時代で言えばおしとね辞退だと言わんばかりにつれなく手当もやらない、金が要るなら金利を取るぞ、こんな形で、悪いのは林野庁だ、赤字を出しているのは長官以下林野庁の職員だと言わんばかりのやられ方をしますと、上は長官から下は営林署の第一線の現場に働く方まで萎縮をしていくのじゃなかろうか、これが一番こわいのであります。私も長いことサラリーマンでおりましたから、おまえのところは金食い虫だとかおまえのところはもうかっているからということが出てきますたびに士気に微妙に影響していくのであります。私は森林が果たす役割、持っている効能、機能ということを考えますと、とりわけアメリカの学術会議の異常気象についての発表の中でも、森林の崩壊が異常気象の原因だということを指摘しているでしょう。このことに大臣も長官も関係の皆さん方ももっと着目をし、少なくとも林野庁の収支の赤字について厳しくとがめ立てをするような風潮というものは一掃していただきたいし、七・一%なんという政府部内におけるサラ金に近い高金利などについては大臣が体を張ってでも改善、緩和をし、そうして思い切って伸び伸びと林野庁の皆さんに仕事をしていただく、山を守っていただく、こういうことをやっていただきたいと思いますが、その点について一言大臣からまずお受けをしたいと思うのであります。
○山村国務大臣 今先生おっしゃいましたように、森林というのはただ単に木材をつくるというだけではございませんで、防災、また自然保護、水資源の涵養、大きな役割を果たしておるわけでございます。そういう意味からも、せんだっても各署長さんお集まりのときに、今先生おっしゃいましたように、ひとつ現場へ帰ったら誇りを持って取り組んでもらいたい、日本の国を守っているのはあなた方だというようなことでお願いしましたが、私もそういうつもりで長官と一体となってやってまいります。
○秋山政府委員 ただいま大臣から申し上げたとおり、森林の持っております各種の機能を多能的に発揮するために、よりよい森林を造成することが我々の役割でございますが、やはり経営内部で改善すべきところは改善し、極力そういう形での対応もしながら効率ある林業経営がなし得るような生産体制をしていくことも極めて重要でございます。そういうこともやっていかなければ国民の御理解を得られないと私ども思いますので、ぜひともそういうところにも十分配慮して進めてまいりたいと考えております。
○上西委員 大臣なり長官のお答えはわかるのです。ただ、少なくとも林政審の答申などというのは、私などから言わせれば、ちょっと表現が穏やかでないかもしれませんが、でたらめではないかという気さえするのであります。だから、先ほど冒頭に申し上げましたように、どこかの株式会社や商店の赤字黒字を論ずるようなことではいけないということを、私、ここで重ねて強調しておきたい。ことしだって異常気象でございましょう。私なんか生まれて初めて東京に長くいてみて、大変な雪です。ずっと調べていくと、出てくるのは何か。植林を怠ったツケが回ってきている、こういったことでマスコミがそれぞれ伝えていますね。権威あるアメリカの学術会議がそうしたことを指摘している。そうした意味合いで、私は重ねてその点を強調したいのであります。
 少なくとも国有林の収支の赤字をいたずらに強調することはやめていただきたい、これがまず私の率直にお願いしたいことであります。と同時に、農水省だけではなく、林野庁だけではなく、すべての国民の皆さん方に山の持つ効能、果たしている役割、これをもっとわかりやすく理解を求めていく、その中から国有林のあるべき姿を求めて、言うならば探していくということをぜひお願いしたいと思います。林政審がああいうことを言いますと、どうも行革、臨調以来ああした答申の方が優先してしまいまして、何か悪いのは林野庁だというようなことになっていきますと大変なことだと心から懸念をしますので、そのことを強調いたしまして、この問題に関する私の質問を終わります。
 何かございましたら、大臣からでも長官からでも一言お答えいただきたいと思います。
○秋山政府委員 国有林野事業がその使命を十分に果たしていくためには、経営改善をより積極的に進めていかなければならぬわけでございます。そういう意味で、私どもは、この林政審答申というのは一つの方向性を示しておりますので、十分この趣旨を理解しながら進めてまいりたいと考えております。
○阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時九分開議
○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。上西和郎君。
○上西委員 私、ここでお尋ねしたいのは、農業者年金についてであります。
 今は亡き佐藤元総理のツルの一声で誕生した本年金制度、私はこのように聞いているのでありますが、少なくとも現在市町村の農業委員会の職員が集まって交流会があるときに合唱が起こるそうであります。合唱の中身は何か。農業委員会よいところ、農業者年金がなければ一番よいところ、こういう歌が歌われる、このように聞いております。
 それはなぜか。鳴り物入りで宣伝をして加入を勧めた結果、現実に受給権者が発生をしてくると、申請をしますとあなたはだめだという現実の姿が出てくるわけです。こうしたことについて、少なくとも今の経営移譲年金の給付条件を何らか改善、緩和をしない限り、百万人に近い農業者年金の加入者は泣きの涙で過ごしていくのではなかろうか、このように私は憂慮してならないのであります。
 そうした点について、まず大臣並びに関係局長の所信をいただきたいと思います。
○山村国務大臣 農業者年金制度につきましては、制度発足以来十三年を経過しております。経営移譲の促進を通じて農業経営の細分化の防止、また中核農家の規模拡大、農業経営主の若返り、これを進めるとともに、農業者の老後保障に大きな役割を果たしておると思っております。しかし、農村社会の高齢化がさらに進行しており、一方、構造政策の強力な展開が要請されておる中で、農業者年金制度の役割はますます重要になつてくるものと思います。このため、国民年金等公的年金制度全体の改革案を踏まえ、本年金制度がその使命をよりよく達成できるよう制度の安定を確保するとともに、中核農家の育成と農業構造の改善に一層資するための検討が必要であろうというぐあいに考えております。
○森実政府委員 農業者年金の主力をなします経営移譲年金でございますが、御案内のように、この制度は当初は所有権の移転を基本にしておったわけでございます。しかし、強い要望を受けとめまして使用収益権の設定による方法が認められまして、かなり幅広く受給機会を拡大する方向に働いていることは事実でございます。率直に申し上げまして、現在のところ農業者年金制度自体は財政的に一応の安定をしておりますが、長期的視点に立って見ると、年金財政は憂慮すべき状況にあるわけでございます。また一方において、もっと構造政策に徹底純化した支給要件の厳格化という意見もあるわけでございます。
 そういった点で、私どもやはり当面の問題といたしましては、どうやって年金財政基盤の確立を図っていくかという問題と、もう一つは実情に即した運用の改善ということを並行して考えていくことが重要ではなかろうかと思っているわけでございます。
○上西委員 今のお答えに私は少し反論があるのであります。
 年金財政を云々する前に、入れた責任はだれがとるのかと僕はあえて問いたいのです。加入させたではありませんか。市町村を挙げて動いた、そうして加入がどんどん進んだ。もらおうとすれば、あらかじめ指名した直系卑属の一人かつ農業経験三年以上を有する者にすべての田畑、耕作反別を移譲しなければだめだ、それがなければ第三者の農業者に十年間完全に貸し付けなければだめだ、こんな過酷な条件をくっつけていて、一体本当に農業者年金は農家の方々を救うのですか。
 私はあえてここで具体的に申し上げたい。農業経験三年をゼロにしてほしいと言いたいが、せめて一年に短縮をする。経営移譲年金はざっくばらんに言って六十歳から六十五歳までしか出ないと言っていいでしょう、六十六歳になると一割になるのだから。今もらって年間六十万、去年から初めて。それまでは五十万台だ。それを一割しかもらえないようなことだったら、給付条件を十年と言わずに五年の貸し付けでやったらどうですか。おわかりですか。第三者に貸し付ける期間を、今十年でしょう、それを五年に短縮をする。農村地帯は日本の古きよき時代が残っておりますから、貸す方も借りる方も律儀ですよ。十年借りて途中で万が一ぽっくりいったらどうなるかという不安が皆ある。自分自身がぽっくりいったら家内が返してくれるかという不安が出てくる。そういったことがありますから、せめて農業経験を一年に短縮をする、貸付期間十年を五年に短縮をする、そうしたことによって現に給付が受けられないで泣いている方々を救済する方法をお考えいただけませんか。
○森実政府委員 この問題はなかなか経過のある問題であることは事実でございます。御指摘のように、農業経営を行う意思と能力を備えているかということを経営移譲年金では判断していかなければならない。そういう意味で、経営を譲り受ける時期までに引き続き三年以上農業に従事しているかどうかを要件としておりまして、これは実は租税特別措置法で、農地等の生前一括贈与についての納税猶予の特例措置についても三年の農業従事の条件があるということと平氏を合わせているわけでございます。
 しかし、実態につきましては、私どもこの三年についてはかなり弾力的な配慮もやっておるつもりでございます。例えば農業従事期間を見る場合に、大学とか高等学校で農業に関する学科を学んでいる場合はその期間を三年の中に加算していく、あるいは現実には広範に存在いたします兼業農家の中で、学生生徒や給与所得者が農繁期とか休祭日に農業に従事した場合でもその全期間を含めて差し支えないという運用の改善を行っているところでございます。
 それからもう一つは、支給要件の緩和に関連いたしまして、権利の存続期間を五年に短縮できないかという御指摘があったと思います。これは、先ほど申し上げましたように、使用収益権の設定による方法が認められておりまして、これは今日の農地所有の実態に着目した制度として、財政的収支の面からいろいろな議論もございますし、構造政策純化論からいろいろ議論もありますが、私はそれは受けとめていいと思っているわけでございます。しかし、御案内のように農業者年金の給付の中心になります経営移譲年金の支給期間が六十歳から六十五歳までの六年間ということになっておるわけでございます。そこで、使用収益権の存続期間を五年に短縮いたしますと、何といっても老齢化社会が進んできているわけでございますので、経営の再開の誘発等の制度の運用が非常にルーズになるという議論があることは否みがたいわけでございます。
 もう一つは、やはり構造政策の一環として実施しておりますので、先ほど同様、農地法、農地制度との関係が実はございまして、農地制度におきましても賃貸借の期間が十年以上のものについては現行法では解約に当たっての許可は要しないということにしておるわけでございます。いわば農業の経営の安定のためにも十年が要るということを頭に置いての制度であるということは、どうぞ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○上西委員 お答えはお答えなりにわかります。ただ問題は、せっかく納めてきた、受給権が発生をした、ところが加入する時点ではほとんど聞かされていなかった厳しい条件が目の前にあって、もらえないと言って泣いている人がたくさんいるわけでしょう。私だって、自分の周辺にたくさん知っていますよ。だから、その人たちに少なくとも農業者年金の経営移譲年金が何らか改善、緩和することで給付できる、給付に主眼を置いた改善、緩和をもっと大胆に考えてほしい、この要望を私はぶつけておきたいと思うのです。ぜひ大臣初め関係の皆さん方でお知恵を絞っていただきたい。
 それから、私「のうねん」という雑誌を時々読ましていただくのですが、この中に出てくる年金相談の内容はほとんど九〇%、法解釈が優先しているのです。例えば、これは去年発行の七十号ですが、この中の「受給者加入者の声」に「この制度の加入中に、病に倒れ、身体障害の身となってしまいました。」というのがある。ところが、この「のうねん」は、これは農水省が直接監督するとは言いませんけれども、あなた方に間接的に関係があるわけだ。この障害者となった方に、あなたはとりあえず国民年金の障害年金をもらいなさい、そうして加入期間を満たしておれば経営移譲年金を繰り上げてもらえるのですよといったような回答はどこにも出てこないのです。この「のうねん」の編集は農業者年金加入者にとって生きてない。私は現に、人工透析を受けている、脳血栓で倒れた、こうした方を自分の選挙区だけでもこの一年間で三人、実際にお手助けをしてまいりました。
 「のうねん」の編集について、主管省である農水省ももっと気を配り、加入者の立場に立って年金相談に応じる姿勢をこの中にぜひ盛り込んでいただきたい、これもあわせてお願いをしておきます。
○森実政府委員 確かに御指摘のように、「のうねん」という広報誌は農業委員会とか農業協同組合等の業務受託機関に配付するという性格であったものでございますから、一般の人にわかりやすい親切な解説の形をとってないということは事実でございます。しかし、こういう情報化社会でございますし、農業者年金が発給する雑誌、広報誌が一般の方に読まれるということは、私、先生の御指摘のとおりであると思います。そういう意味で、だれにでもわかる年金の話という視点を頭に置きまして、また、今御指摘がありましたように、農業者年金は国民年金の付加年金でございますが、確かに農業年金から国民年金を見る目というものも必要だと思います。そういう意味で、両者を含めてだれにでもわかる年金の説明というふうに内容を改めていくように、少し強く指導してまいりたいと思っております。
 このほかに、先生御指摘のような要望もほかにございまして、実は昨年の十月から農業者年金相談員を設置しておりまして、この活用にさらに努力してまいりたいと思っております。
○上西委員 ぜひそうした方向での御努力をできるだけ早く実現されるよう、お願いしたいと思います。
 なお、重ねて大臣に、農業者年金のとりわけ経営移譲年金の給付条件の改善、緩和に具体的にお取り組みいただくことをお願いをして、この質問を終わります。
 最後に、志布志湾国家石油備蓄基地と沿岸漁業の関係について、水産庁長官から見解をいただきたいと思うのであります。
 この農水委員会は国家石油備蓄基地のことを論ずる場ではありませんけれども、鹿児島県が案を発表してから少なくとも十三年目になります。第一次試案はしゃにむに日産百万バレルの石油コンビナートだ。第二次試案は三十万に変わった。そしていつの間にかそれが雲散霧消したら、突然国家石油備蓄基地が出てきた。それに共通しているのが、あの白砂青松の地、沿岸漁業の残されている宝庫の一つと言われている志布志湾の埋め立てなのであります。
 二百海里問題が出てから日本の漁業、水産業界が直面している厳しい状況を思うときに、農林水産省、とりわけ水産庁がこの石油備蓄基地の建設、そして志布志湾の埋め立てに関連をしてどのようなお考えをお持ちか、そのことについて率直にお尋ねしたいと思います。
○渡邉(文)政府委員 御指摘のように、二百海里体制が五十二年にしかれまして以降、水産物の安定的供給の場としての沿岸漁業の重要性はいやが上にも増してきておるわけであります。志布志湾につきましては、先生からお話ございましたようにかなり前から県御当局でいろいろな構想があったようでございますが、現時点におきましては、石油備蓄基地ということで約二百ヘクタールを埋め立てて、五百万キロリットルの備蓄基地をつくるということでございます。
 率直に私の考えを申し述べさせていただきますと、水産行政を担当する者といたしましては、大事な沿岸漁場が埋め立てられるということにつきましては大変心が痛むわけでありますが、反面、漁業の生命でございます石油の備蓄の必要性というものにつきましても、私自身第二次オイルショックのときに水産庁で担当部長として大変苦労をいたしました。あのときに、漁業調整上必要な水産庁の持っております取り締まり船が四十隻ばかりありますが、その油がなくなりまして沿岸に係留せざるを得ないというような羽目にまで陥ったわけでございますし、各地の漁協から油がなくて漁船が稼働できないという訴えもしばしば受けたわけであります。そういった経験からしましても、石油の備蓄という問題につきましての重要性は、私もそれなりに必要性があるということは実感として受けとめておるわけでございます。
 しからば、そういう失われた漁場に対する沿岸漁場振興上何か手があるのかということではないかと思うのであります。
 これは一般論で大変恐縮でございますが、現在水産庁が一番大事な仕事として進めております沿岸漁場整備事業というのがございます。これは魚礁を投入して漁場の生産力を上げたり、あるいは土木工事を行いまして養殖場を増設する等の水産庁の一番大きな仕事でございますが、これによりまして既存の漁場の有用化といいますか、あるいは活性化といいますか、そういったことで年次計画を持ちまして年々多額の国費を使って現在進めておるわけでございます。数字で示すことが適当かどうかは別といたしまして、年々の埋め立てられる面積は、年によりましても違いますが、二千ヘクタールないし四千ヘクタール程度ございますが、沿岸漁場整備事業で年々整備されております海面の面積も、計算しますと約一万数千町歩に相なっておるわけであります。それがトータルとしましてはそういうバランス関係になろうかと思いますが、志布志湾につきましては、現在県御当局と関係の四漁協で、当該基地がもしできたとすればどういう漁業振興策が必要かということの御相談が進められているやに聞いております。その結果によりまして、私どもとしまして、そういった事業を活用することによって対応ができるものがあればできるだけ予算的にも対応してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○上西委員 お答えはわかりました。ただ、チリメンジャコで具体的に申し上げてみましょう。これは志布志湾が日本で最大の漁獲量を上げていると我々は聞いております。したがいまして、そこが失われていくことが具体的になってまいりますから、水産庁長官としても、そのことについて鹿児島県から何らか上がってきたときに、関係がないとかなんとか行政の縄張りではなくて、日本の水産業、漁業を守っていくという観点でぜひ助言なり御指導をいただきたい、このことを重ねて強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。
○阿部委員長 駒谷明君。
○駒谷委員 私は、先ほど質問をされました上西委員と同様、初めて農水委員会で質問をいたすわけでございます。不十分な点があるかと思いますけれども、ひとつ御当局の皆さん方、よろしく御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 最初に、全体の問題を把握するという意味で、米の需給ギャップの動向についてまず確認とお伺いをいたしたいと思います。
 一九八〇年代の後半、すなわち昭和六十年から六十五年にかけまして予想される米の需給ギャップは極めて大きくなる、ますます拡大の傾向にあると思われるわけであります。米の生産量は、昭和四十二年以降、土地改良の進展、米の品種改良、肥培管理技術の向上など生産力は向上しつつありますけれども、一方、国民の米の消費量は昭和三十七年度をピークにいたしまして年々減少を重ねており、その結果さらに米の生産調整の必要に迫られ、五十九年度からはさらに水田利用再編第三期対策の計画がなされているところであります。これは日本の農業の再編にかかわる重大な要素をはらんでいると思っておる次第でございます。
 そこで、この需給の不均衡拡大の要因について、生産面と消費面からどのような動向になっているか、どのように認識をなさっていらっしゃるかをお伺いいたしたいと思います。また、昭和六十五年にはその需給ギャップはどのように推計をされておられますか、その点もあわせてお伺いいたします。
○小島(和)政府委員 今お話ございましたように、米の生産力の向上というのは大変著しいものがございまして、今から二十四年前、昭和三十五年におきまして日本の米の反当たりの収量が初めて四百キロを超えたわけでございます。昨年は作況指数で申しますと九六ということで作柄はよくないわけでございますが、それでも単収は四百五十九キロということで、日本の歴史始まって以来六番目の収量を上げておるわけでございます。そういうことで、米の生産力の水準というのは高まってまいりました。
 反面、消費の方は、今御指摘ございましたように、三十年代の後半におきまして千三百万トン以上の消費がございましたものが逐年低下をしてまいりまして、近年では千五十万トン前後という水準まで来ておるわけでございます。
 そういう需給ギャップを何とかして解消しなければならないということから、四十六年ごろから米の生産調整が始まりまして、今日では、昭和五十三年度以来、水田利用再編対策ということで、その需給の均衡を図るための対策、あわせて日本国内において甚だ自給度の低い作物への転換ということをやっておるわけでございます。
 今後の見通しでございますが、昭和六十五年の長期見通しによりますれば、この傾向はなお継続いたしまして、六十五年度においては七十六万ヘクタール程度の水田の過剰が出る、かような見通しが立っておるわけでございます。
○駒谷委員 消費面での状況は年々減少しておる。一方、生産性の向上については単収の増加がある。そういうことでさらにギャップがひどいということが基本的にわかったわけでございます。
 そこで、米の消費拡大の方策について、関連がありますのでお伺いをいたします。
 米の需給ギャップを少しでも解決をする方法、これは大臣が所信表明の中でも明確に言われておりますように、米の消費の拡大、これを進めていかなければならない、そのように思うわけでございます。日本型食生活という意味から、極めて栄養のバランスのとれた主食であり、消費拡大というのは今後大変重要な問題であろうと思うわけでございます。しかし、口では言いますけれども、実は容易なことではない。実際に御当局の方でいろいろと御苦労をなさっていらっしゃるわけですけれども、なかなか思うように出ていないのが現況でございます。したがって、毎年この消費拡大の関係の予算が相当計上をされ、そして施策が実行されておりますけれども、そのうち学校給食への米飯導入、これについては少しずつ効果が上がってきております。これは大変結構なことでありますけれども、しかし、その他の施策につきましては毎年いろいろと努力をなさっていらっしゃるわけです。県、市、町を含めて総合対策に取り組んでおられるわけでございますけれども、三十七年をピークにして総需要量というのは減少に転じ、第三期対策におきます需給計画におきましても、消費の見込みというのは一千四十万トン、昭和六十五年長期見通しては、先ほどもお話がありましたが、消費量は一千万トンを切るのではないか、そのような見通しが出ているわけですね。確かに食生活の変化など消費拡大を制約する要因というのはあるわけですけれども、拡大ではなしにさらに減少をたどる。そのような問題を何とか克服をしていかなければならないし、有効な対策が今後ますます必要になってくると思うわけであります。
 現行の施策の効果をどのように今認識をなさっていらっしゃるのか、今後の方策についてお伺いをいたしたいと思います。
○山村国務大臣 お答えいたします。
 米の消費拡大につきましては、米の需給均衡を図るとともに、長期的には我が国の風土、自然に適した基本食糧であります米を中心とした、今先生おっしゃいました日本型食生活、これを広く維持、定着させていくということを基本として、米食の習慣を身につける、特に学童期にこれを身につけさせるということで、学校米飯給食をやっておるところでございます。現在でも、臨調関係でいろいろ補助金の削減とか言われましたが、五十九年度においても六割これを補助してやっていくというような予定でございます。
 また、米の消費問題は、今先生おっしゃいました国民の個々のいわゆる嗜好や生活様式にかかわる問題でございまして、総合的に実施することにより初めて効果が上がるものというぐあいに思っております。したがいまして、今後とも長期的視点に立って、地道で多角的な対策を継続実施していくことが重要ではないかというぐあいに考えます。
 詳細につきましては、政府委員の方から御説明申し上げます。
○松浦政府委員 米の消費拡大につきましては、当面の需給というようなことを超えまして、先生おっしゃいますように、長い目で見て消費の拡大を図っていくということが非常に重要であるというふうに考える次第でございます。
 ただいま大臣からも御答弁がございましたように、私どもとしましては、消費拡大のための予算として、五十八年度におきましては、特に学校給食を中心にいたしまして二百四十億ほどの予算でございましたが、五十九年度は二百六十億ということで、厳しい財政事情のもとで、特に学校給食に中心を置きながら拡大をしてお願いをしているという状況でございます。
 特にただいま私どもが考えておりますのは、一つは、米についての正しい知識を普及開発するということで、これはお医者さんとか婦人団体、こういう方々も含めまして消費者の啓蒙開発ということをお願いする。その場合には、先生おっしゃいました特に日本型食生活、それを中心にして、いかに日本型の食生活が健康によいかということを説明していくということだろうと思います。
 それからまた、都道府県あるいは市町村において、地域に密着した米の消費を図るということで、地域ぐるみの消費拡大の運動をいたしております。
 また、新しい米の用途はないかということで、新製品の開発といったようなことに米を無償交付するといったような制度もつくっておりまして、さようなことで一生懸命やっておるわけでございますが、先ほども大臣から御答弁ございましたように、特に学校給食につきましては、やはり将来の消費者に、学童の時代からお米を中心にした食生活をやっていただくということで、これに期待をかけているわけでございまして、そのような意味で、いろいろ難しい問題もございましたが、五十九年度予算の中では六〇%の補助をそのまま継続するということをやっておるわけでございます。
○駒谷委員 食糧庁長官、今いろいろと御答弁いただいたのですが、中身はわかっているのですね。先ほどずっと質問の中で申し上げたように、六十五年には消費が約一千万トンを割るだろうという推計がもう既に出ているわけですね、ずっと年々低下をすると。そして実際には、大臣もおっしゃったように、施策として米消費拡大の予算というものを組みながらいろいろと努力をなさっていらっしゃる。努力はするけれども、どんどんと減少をする。確かに大変難しい長期的な問題だろうと思いますけれども、実際に今やられていらっしゃる施策がどういう効果があるのかというのは、私も県会議員で十二年間おりましたときに、毎回それは論議に出るわけですね。もっと効果的なことがないかということがあるわけですが、そういう面を踏まえて、今後も十分にこれに対する対策を、大臣、食糧庁長官等も含めて、ひとつ御検討をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 時間がありませんので次の問題に移りますが、この消費の関係に含めまして、自主流通米の動向について、これは食糧庁長官にお伺いを申し上げたいと思います。
 先ほども言いましたように、地元の兵庫県でも、米の消費ということについては県としても大変認識が深いわけであります。したがって、消費者に対して、米の好みというものを再三いろいろな形でアンケートをとる。最近の傾向として、値段よりもむしろ品質あるいは銘柄、おいしいお米というのを消費者は好んでおるわけであります。昭和四十四年から食管法の枠内でこの自主流通米制度が発足をいたしまして、ちょうどこれで十五年を経過しておるわけでございますけれども、政府米と自主流通米については、この自主流通米というのは常に作柄として奨励が行われているところでありますが、五十九米穀年度の供給計画によりますと、主食用ウルチの政府米と自主流通米の比率は五七対四三、そういうことになっております。
 米の管理を通じて日本型食生活の主食たる米の安定供給の確保、そういう点から、この管理というのは大変重要なことでありますけれども、一方、需給均衡化や消費者の志向に即した流通、こういう面から考えていくと、政府米と自主流通米との比率、これは今後どのように考えていったらいいのか、その点について御所見を伺いたいと思います。
○松浦政府委員 これは、食管制度の運用面において非常に重要な課題であると私ども思っております。特に、ただいま先生おっしゃいましたように、消費者の良質米志向というものがございますので、このような消費者の志向を受けまして自主流通米の流通数量は年々拡大をしてきておりまして、現在約二百八十万トン、四割を超す分が自主流通米になっておるということでございます。政府管理米の中でこのような非常に大きなウエートを占めてきたわけでございますが、また同時に、消費の拡大という観点からはこの自主流通米の拡大ということが必要であるという御議論もあろうかと思いますけれども、一方におきまして、余りにも自主流通米の数量が無秩序にふえてしまうということになりますると、私どもとしては別な問題が出るのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。つまり、もちろん自主流通米というものも政府管理米の一つでございまして、食管制度のもとに政府がきちんと管理していくべきものでありますが、政府米、つまり直に政府が売買の操作をする政府米の市場規制力というものは食管制度の中の非常に大きな一つの力でございまして、そのようなことから、米全体の需給あるいは価格というものの安定を期してまいる場合には、政府米の機能というものも十分に考えていかなければならぬというふうに私どもも思うわけでございます。
 したがいまして、ただいま先生御質問なさいました政府米と自主流通米との比率をどう持っていくかということにつきましては、私どもとしては一概に何%がいいということではないと思います。つまり、そのときどきの需給事情を反映いたしまして、両者の関係が一体となって運用できるような、そういう適正な比率に持っていくということが必要じゃないかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、今後は単に自主流通米の数量的な拡大ということだけではなくて、市場の実態に応じました合理的な流通が図れる、その場合にも政府米の機能というものにも十分着目しながら流通割を決めていくということで対処してまいりたいというのが私どもの考え方でございます。
○駒谷委員 この点についてもいろいろ議論があるところでございますが、次の問題に入らせていただきます。
 米の品質保持、それから病害虫の発生やら事故を防止する、こういう問題を踏まえて、政府の倉庫米の整備計画についてお伺いをしたいと思います。
 実は、過日、我が党の農水部会は、吉浦部会長を先頭にいたしまして、東京都の江東区にあります深川政府倉庫にお訪ねをいたしました。現地をつぶさに視察をさせていただいたわけでございますが、米の保管管理の現況、大変いろいろと御苦労をなさっていらっしゃる点を十分に伺ったわけでございます。しかし、この倉庫は大正十二年に起工されて、昭和四年に鉄筋コンクリートで十八棟、そして昭和九年には木造四棟が増設をされて現在に至っておる、そういう状況でございます。米の収容力につきましては、東京都の米の消費量の一・ニカ月分に相当する大変なウエートを占めておる倉庫のように見るわけでございますけれども、現在の保管管理の近代化という問題から考えていきますと、果たしてこれで十分なのかどうかというふうに思っておるわけでございます。むしろ建築の年月から考えますと、保管管理の近代化の面、あるいは火災あるいは盗難の防止、また荷役能率を高めるという点から、この倉庫の建てかえ整備というものも考えていかなければならないのではないか、そのように思うわけでございます。
 全国の政府倉庫は十五県にまたがって、約二十カ所の政府倉庫があるというふうに伺っておりますけれども、この政府倉庫の整備計画について、確かに食管の赤字の問題、いろいろとございますけれども、どのような計画を持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○松浦政府委員 先般、政府の倉庫、特に深川の倉庫をごらんになっていただきまして現状を把握していただきまして、まことにありがたかったと思っております。
 実は、政府倉庫はただいま先生もおっしゃいましたように全国で二十カ所あるわけでございますが、その中で既に整備を終わりました、例えば大阪にございます茨木の政府倉庫は非常に新鋭の倉庫でございまして、近代的な設備も持っておりますし、また、その内容も新しい流通の形態に沿うような形で非常に立派なものがございます。ただ、首都圏の倉庫は、ただいま先生がおっしゃられました深川の倉庫は、一棟だけ最新の低温の倉庫がございますが、そのほかは大正十二年から昭和四年にかけましてつくりましたものでございまして、外観から見ましてかなり老朽ではないかというふうにお思いになったのではないかと思うわけでございます。私どもも逐次これを整備していくという考え方は持っておるわけでございますが、やはりそういう時代でございますので、中身と申しますか、倉庫の中はごらんになっていただいたと思うのでございますけれども、まだかなりしっかりした設備も持っておりますので、できるだけ部分的な補修、改修工事をいたしながら、これを今後とも有効活用していきたいというふうには考えておりますが、何分にもかなりの年月がたっております。私ども代替地の問題が実はあるわけでございまして、その問題で深川の倉庫の新鋭化ということがなかなか着手できない状況にあるわけでございますが、先生ごらんになったような状況でございますので、今後逐次これを整備していくということで考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○駒谷委員 それでは、主食、食糧の安全保障という観点から、倉庫の管理というのは大変重要な役割でございますので、その点十分に踏まえながら整備計画も着実に進めていただきたいことをお願いをいたしておきます。
 最初に需給ギャップの問題から御説明をいただきました水田利用再編の第三期対策に絡む問題で、転換作物の定着化という点についてお伺いをいたしたいと思います。
 昭和五十九年から昭和六十一年まで三年間を一期とする水田利用再編の第三期対策が実施をされることになっておるわけでございますが、今回新たに、転作面積のうち年間三十万トンの他用途利用米を生産する制度が導入されることになっております。この問題は既に種々論議が行われましたので、私は、麦、大豆、飼料作物等の農業生産再編にかかる基幹作目について、将来の自給率向上の上から転換作物の定着化についてお伺いをしたいと思うわけでございます。
 米の生産を主体といたしました農家にとっては、水稲単一経営から複合経営、経営の構造の転換に通じるものであるだけに、転作の定着条件というのは大変重要な問題であろうと思います。
 一つには、この条件として、圃場整備あるいは排水など土地基盤整備、出荷それから集荷体制、機械化など資本の装備、技術の習得、いろいろと対策が必要であるわけでございます。
 もう一つは、農家にとっては将来にわたって安定した収益性、安心して増産に励むことができる農産物の価格、いわゆる価格のメカニズムによる誘導が大変重要であろう、そのように私は条件として考えるわけであります。
 したがいまして、この一番の問題は後日に譲るといたしまして、価格政策について、現在の転作誘導の手段として、第三期対策においても転作奨励金が交付されるようになっておりますけれども、この奨励金の問題は、国の財政事情などから将来大変不安な状態の内容であります。特に第二臨調などで転作奨励金から早期脱却を求められている。これにかわる転作をなさる農家の皆さん方の長期計画という問題から見ますと、終始大変不安な状態で転作に応じなければならないという問題があると思います。したがいまして、将来の価格の安定対策、米と転換作目との収益性のアンバランスについてどのように考えておられますか、また奨励金の問題も含めて、今後の方策についてお伺いいたしたいと思います。
○小島(和)政府委員 我が国の水稲作経営は大変長い鷹史があるわけでございます。水田に水をためましてかんがい農業として発展をしてきた、こういう長い歴史を持っております。そういう中で、米の過剰に端を発しまして転作をお願いいたしておるわけでございますが、そういう転作の問題は、単に収益性だけの問題ではなくて、水稲中心の経営からほかの作物を取り入れた経営に転換をし、その中でそれぞれの作物が根づかなければならないという意味において大変難しい問題を含んでおるわけでございます。
 今御指摘になりましたような各般の対策が必要なわけでございますが、中でも収益性の差というものをどのようにして埋めていくのかがこの対策を始めましたとき以来の一貫した国の助長策であったわけでございます。今日の水田利用再編対策の奨励補助金と申しますのは、米の平均的な収益性と転作作物との収益性格差に根拠を置きまして、その差を補てんするという考え方によりまして交付をいたしておるわけでございます。ただ、その中におきまして、比較的収益性の高い作物の中には収益性だけから見れば米のそれを上回るというものが現にあるわけでございますが、それにもかかわりませずやはりある程度の奨励金を出さなければ簡単に米に戻ってしまうという現実もまたあるわけでございまして、お話がございましたように、流通条件の整備とともに価格面の対策も充実をさせまして、これらを何とかしてそれぞれの地域に定着させようと思っておるわけでございます。
 その中で、今お話のありました麦、大豆、飼料作物は、いずれも収益性の面から見れば米に比べて相当に低い現実があるわけでございます。また、収量の平均だけで見ましても、米が八俵ぐらいはとれるという中にありまして、麦で言えば五俵ぐらい、大豆で言えば三俵ぐらいというふうなことでございますから、単位当たりの価格条件だけではいかんともしがたいギャップがあるわけでございます。その意味で麦、大豆についてもそれぞれ価格対策を講じておりますし、また自給飼料につきましては畜産物の価格支持という格好で価格対策をやっておるわけでございますが、その差が簡単に縮まらないという状況でございます。その意味で、今後、水田利用再編対策は十年の対策ということで始めておりますが、この対策が終了いたしました後の段階においても何らかの対策は必要なのではないかと現在考えておるわけでございます。
 しかしながら、今の収益性ギャップの問題について簡単に断念してしまっておるわけではございませんで、各地の実情を見てまいりますと、従来非常に低かった単位当たりの収量にも向上の兆しが見えておりますし、また麦のような裏作になりますると、表作との組み合わせによって総合的な収益性を高めることが可能になってまいります。また大豆につきましても、これは比較的作期の短い作物でございますから、これまた他の作物との組み合わせが可能になるというふうな事情もあるわけでございます。そういった価格対策とあわせて生産対策の面での適切な対応というものを組み合わせまして、何とか米の過剰問題に対処し、あわせて日本農業全体として望ましい方向に誘導してまいりたいと考えておるわけでございます。
○駒谷委員 稲作転換の問題に関係しまして、現在の日本の農業の中で大変なウエートを占めております二種兼業農家の位置づけ、そして役割等についてお伺いをしたいと思うわけであります。時間が余りありませんので、ひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
 農業の問題、二種兼業農家の問題につきましては、農政審議会の「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」と題する報告によりますと、今後の日本の農業の直面する重要な課題として三つの課題を挙げておるわけであります。その一つの中に農業の体質の強化、いわゆる構造政策という問題を取り上げておるわけでございますけれども、優秀な農業者の育成、いわゆる中核農家を指していると思いますが、現今の農業の実態から、御承知のとおり、二種兼業農家の比率は大変今大きいわけであります。五十八年一月現在で資料をちょうだいしたところによりますと、総農家数四百五十二万戸、これに対し二種兼業農家の戸数は三百二十万戸、七一%を占めておる。また水田耕地面積におきましても、総面積二百八十一万ヘクタールに対して二種兼業農家は百四十七万ヘクタール、五二%という、耕地面積でもかなりを占めておる現況でございます。現在水田利用再編対策が進み、中核農家の育成にポイントを置かれておるわけでございますけれども、どうしてもこの中核農家の方向としては農用地の規模の拡大ということが一つの大きな問題であろうと思います。農用地の流動化が進む過程において自然に二種兼業農家の農耕地を巻き込むことになっていくのではないか、そのように思います。今後の農業の発展の上から、この二種兼業農家に対し、特に増産意欲を持っていらっしゃる二種兼業農家もたくさんいらっしゃるわけでありますが、そういう農家の人たちの位置づけをどのように考えておられるのか。将来の農業技術の指導、そのあり方等について基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○山村国務大臣 お答えいたします。
 第二種兼業農家は、農村社会の甘貝として地域社会の安定に重要な役割を果たしております。また、農業生産面におきましても重要な地位を占めております。ただいま先と言われましたように、米の問題ですと半分以上は第二種兼業農家が生産ということにもなるわけでございます。これらの第二種兼業農家に対しましては、今後とも農業を継続しようという意欲のある農家に対しましては、高能率な生産組織の一員としてそれぞれ役割分担に応じた農業生産に従事するように誘導してまいりたいと思います。またさらに安定兼業農家、この数が多くなろうと思いますが、この農家に対しましては農業を縮小する意向ということでございまして、それは中核農家に農地を貸し付ける等、そのほか農地を地域農業の振興に役立てるようこれを誘導していきたいと考えております。このために、昭和五十八年度から、集落を基礎として中核農家や兼業農家を幅広く取り入れた地域農業集団を広い範囲で育成し、その活動等を通じて地域農業への組織化を進め、地域全体として生産性の高い営農の実現を図っているところであります。
 さらに、安定的な就業の促進、生活環境条件の整備、混住化に伴う土地、水利用のスプロールの防止等により、活力ある農村地域社会を形成しようといたしております。これに伴いまして、農振法、土地改良法を改正しようと今検討中でございます。
○駒谷委員 ありがとうございました。
○阿部委員長 武田一夫君。
○武田委員 私は、大臣の所信表明につきまして、バイオテクノロジー等の先端技術の開発、この問題についてお尋ねをいたします。
 大臣は、二十一世紀の農業の一つの大きな課題として、いわゆるバイオテクノロジー等の先端技術の開発に強力に力を入れていくということを申されました。農林省も、農業の生産性の飛躍的な向上を目指して官・産・学の連帯強化によるバイオテクノロジーの研究開発に本格的に取り組むということを明言しているようでありますが、その現況はどうなっているか、それをまずお尋ねをしたい。
 次に、それとあわせまして、超多収米の開発の一環としてのハイブリッド米の開発、これにも取り組んでいるようでございますけれども、その現状と今後の展望をどのようにお考えか、この点をお答えいただきたい、こういうふうに思います。
○関谷(俊)政府委員 お尋ねのありました第一点のバイオテクノロジーの問題でございますが、これは、従来から私ども農林水産省の試験研究機関におきましても、いろいろ細胞融合等の基礎的な技術の開発に取り組んでいるわけでございます。しかし、この際、御指摘のございましたようないわゆる官・産・学の連携というような幅広い体制を整備しましてこの先端技術の開発を進めたいということで、当面大体四つのことを考えております。
 一つは研究体制の整備ということで、昨年十二月でございますが、農業生物資源研究所というような、特にこの関係の開発に重点的に取り組みます研究機関を新設いたしたわけでございます。また五十九年度からは、技術会議事務局の中にバイオテクノロジー室というような、このバイオテクノロジー関係の総合調整に当たります室をつくりまして、ここを中心にいわゆる官・産・学の連携体制を整備していくということでございます。
 このほか、国では基礎的あるいは先行的、基盤的な技術の開発を進めるということで、特に細胞融合とか核移植とか組みかえDNAについてはかなり基盤的な技術の開発がこれから必要である、この部分を国が担当しますと同時に、民間につきましては、例えば家畜の酵素免疫法によります疫病の判定とか、そういうような部分的に開発された関係技術については民間の助成もいたしまして研究を進めていきたい、こういうことで、特に五十九年度から総合的な推進体制をつくりたい、かように考えております。
 第二点の超多収米の開発、特にハイブリッド稲の開発の問題でございますが、超多収稲の開発につきましては、五十六年度から大体十五年間で五割ぐらい高い多収の品種をつくろうということで研究開発を進めておりまして、これまでのところでは主として外国稲の導入、こんなことをやっておりました。ハイブリッド稲につきましては、私どもの農業研究センター等の育種関係の組織でこの関係に重点的に取り組もうということで、当面一番大事になりますハイブリッド稲、日本でできるような稲の組み合わせをつくる、また、それに必要な育種あるいは種子生産の技術も含めて開発をするということで、五十八年度から本格的に取り組む、かようなことにいたしております。
○武田委員 バイオテクノロジー室ですか、これを四月から設置する、こういうことですね。それで新技術の開発に民間と共同で取り組みをすることも考えている。それからもう一つは、通産省にはバイオインダストリー室というものが既にあるわけですね。この間、ヨモギの問題で特許庁と農林省でちょっといさかいがあったようですね。これは最後にちょっと聞きますけれども。
 こうなりますと、いろいろと両省庁の調整等もこれあり、今後この部門が非常に重要な部門になってくるだけに、そこに企業が一生懸命に研究をしている、アメリカなども大変な研究をやっている、ハイブリッドが中国からアメリカへ行って、アメリカから日本にまた入ってきた、こういういろいろな関係がありますと、この分野に対するしかとした方向と連携をよくやっていかぬと大変な事態になるのではないかと心配もするので、この問題を聞きますが、民間との共同で取り組むというようなときにはどういう形でやっていくのか。それから、通産省の既にできているバイオインダストリー室というものとの縄張り争いなどが起こらぬような、そういうきちっとしたお互いの連携、調整というものをどういうふうにやっていくのかという問題が一つ。
 それからもう一つは、予算を五十九年度十二億二百万計上する、これだけで果たして十分なものができるかという問題。
 というのは、新しい分野は何でも同じですが、相当強力な組織と投資が必要だと思うのです。ちびちびやっていてほかの方から追い抜かれたら、これはたまったものではない。民間の投資はかなりしっかりしております。ですから、特に外国との提携による野菜とかその他のものについても、例えば中国と三菱かどこかが提携をやって、あるいは住友等々のそういうものがいろいろな形で提携をしながら考えているということになりますと、国がおくれをとりまして、農家あるいは国全体にマイナスな事態があるようなことを非常に心配するものですから、これは初めにしかとした打ち出しをして、くさびを打っていきたいと私は思うわけで、この点をお尋ねするのですが、どうでしょうか。
○関谷(俊)政府委員 まず民間との共同部な研究体制の問題でございますが、私ども率直に反省しますと、従来国の研究機関あるいは県の研究機関と民間との共同部な体制というものは必ずしも十分ではございませんでした。そういう意味で、実は五十六年度からでございますが、民間との共同研究という道を開いておりまして、これは従来のところでは主に食品産業関係で、研究体制の共同部なものが、プロジェクトがかなり進められております。
 お尋ねのございましたバイオテクノロジー、特に育種の関係の問題になりますと、従来はこの共同研究の中では取り扱っておらなかったのでございますが、五十九年度から早々に育種の関係についても民間との共同研究を始めよう、そういう道を開こうということで、これはいわゆる契約的な形になりますが、民間と共同の研究計画をつくりまして経費を出し合い、また、できました新品種等については共同で品種登録の出願をする、あるいはその許諾の対価をこういうふうに処理する、こういうような実施の仕方を今検討しておりまして、そういう形で、民間の方としては国の持っております非常に基礎的な育種関係の技術については大変関心を持っておるわけでございますから、そういう共同体制のもとで研究を進めていきたい、かように考えておりますし、また、そのベースとしては、国の方も民間の研究員を養成すると申しますか、優秀な研究者を育てる、こういう面でもこれからもっと事業的にそういう面を開拓しなければいけないのではないか、かように考えております。
 そういう意味で、お尋ねの中にございましたように、民間会社の中には外国等でのいろいろな育種関係との提携なども考えているようでございますが、現実には日本の国内で生産される農作物につきましては、御承知のように国及び公立の研究機関が従来持っておりました育種関係の蓄積が大変ございますので、そういうものをうまく民間でも活用し、また国としても民間の活力を大いに活用していく、そういうような形で共同体制をしっかりつくっていきたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、これに関連しまして、いろいろ育種の基礎になります外国の遺伝資源を導入しまして整理をして利用できるような総合的なシステム、こういうものの整備にも取りかかっているような次第でございます。
 なお、通産省のバイオインダストリー室等との関係でございますが、これは全体的には科学技術庁が、例えば組みかえDNA技術というようなものについては実験指針を定めるというようなことで調整しておられます。農林水産省のバイオテクノロジーということになりますと、やはり農作物あるいは林産物、水産物というような農林水産物の新しい品種の開発、あるいはそういうものの種苗の生産技術をもっと効率化する、それから農林水産省の所管産業でございます食品産業関係でバイオテクノロジー技術を開発する、こういうことで、私どもの所管の分野の農林水産業なり食品産業の発展に役立つような先端技術を開発していく、これが我々の分担すべき使命ではなかろうか、かように考えております。
○武田委員 それでは、その植物の新品種について、特許庁と農林省との見解の相違でいろいろともめたことがありましたね、二月二十六日の新聞に載っておりましたが。これは、植物特許は五十三年の種苗法の成立のときに随分両者で話をして調整しながら、理解をして、それで話がまとまったと我々は記憶している。見解の一致があったと思うのですが、どこにこういう問題が発生する原因があったのかということをちょっと確認しておきたい。というのは、もしこれが処理を誤ると、農業生産者にとってもかなり大変な事態が来るわけですから、今後の対応も含めまして、この問題をまず最初に聞きたいと思うのです。
○山村国務大臣 先生おっしゃられるように、ヨモギの問題から端を発しまして、いろいろございました。しかし、その後両省間の意思疎通を密にして、せんだって通産大臣も御答弁いただきましたが、少なくとも農業の健全な発展を確保するという基本的立場に立って今後もこの話は進めてまいりたいというぐあいに考えております。
○武田委員 そうすると、この問題については恐らくまたこれからいろいろ話し合いをしていって、それで結論的なものを出すのではないかと思うのですが、これは今はまだ結論は出ておりませんよね。それはどうなんですか。
○小島(和)政府委員 これは御記憶もあろうかと存じますが、大変長い経緯がございまして、昭和四十年代の終わりごろまでは特許の世界では植物、動物の品種は特許対象とならないというのがほぼ定説になっておりました。農林省の側におきましては、農産種苗法という法律がございまして、優秀な品種を育成した者に対しましては名称登録という形である種の権利保護を与えておったわけでございますが、これまた欧米各国と比較すれば権利保護としては不十分であるということから、育種者などが中心になりまして、通産、農林両省に対しまして、我らのための権利保護の法律をつくってくれという要望があったわけでございます。
 特許庁はそれを受けまして、昭和五十年に、特許においても新品種の出願を受け付けるという審査基準を発表いたしたわけでございます。農林省の方は、外国の諸制度に範をとりまして、UPOV条約という国際条約の線にのっとりました新しい法律をつくるということにいたしまして準備を進めてまいりまして、五十三年に国会に提案する運びになったわけでございます。そのときに両方の法制についてどういう調整をするかということが大変大きな問題になりまして、双方譲らず果てしなき議論があったわけでございますが、結局特許庁といたしましても、従来どおり審査はする、しかしながら実際に植物の品種につきましては、特許の必要とする新規性あるいは進歩性という要件を充足するようなものはまずほとんどないだろうということで、ほとんどのものは種苗法に来ることになる、こういう理解であったわけでございます。
 しかし、そういう本来制度論をもって律すべき問題を事実論で解決をしたという経緯がございますから、理論的にその特許の可能性を封じたということにはなっておらないわけでございます。そこに今回の問題の発端があったわけでございまして、今問題になっておりますヨモギについて特許庁が発明の要件たる新規性、進歩性ありと認めかかっておるということで、ただいま特許の公告が出されているという段階でございます。特許庁もこのことについて最終的な態度を決めておるわけではございませんので、この制度をつくりましたときの両省の話し合いというものの線にのっとりまして、この問題は、個別問題と同時に今後もまた同じようなケースが起こり得る問題でございますから、改めて両省間の物の考え方を突き合わせまして、この種の問題が重ねて問題にならないように見解をよく詰めたい、かように思っておるところでございます。
○武田委員 これは、バイオ技術の進歩が著しくなってきますと農業生産のかぎを握りますね。そうすると、万が一通産、特許がそこに目をつけて、日本新薬でしたか、申請したような品種に特許権を与えるということになりますと、それが非常に突破口となって、通産行政が農林行政の方に入ってこないという歯どめはなくなってしまうと私は思うのです。しかも、これは出願、公開でしょう。そして公告、特許と、こう行くわけですね。ですから、公開の時点あるいは出願の時点等等の場で、それがしかと農林省との話し合いか意見の交換の中で抑えられなかったのかな。公告の段階に来ていると、これは異議の申し立てをしなければ特許になるわけでしょう。もう寸前まで来たときにわかったわけですから、これはしかと農林省もこの公開あるいは出願の時点あたりで相談を受ける、話し合いができるような取り組みをしていかなくてはいかぬ、私はこう思うわけです。これは通産省との話し合いでひとつよろしく、そういう歯どめをきちっとするために、その時点になって泡を食わないような対応を私はお願いをしておきたいと思うのです。
 それから、時間なんですが、ハイブリッドの種子の売り込みがかつて外国からありましたね。どうですか、こういう事態、今後ハイブリッドの種子が日本に入り込むというような心配はございませんか。
○小島(和)政府委員 ハイブリッド米の売り込みがあったというわけではございませんで、昭和五十七年の三月及び六月に、アメリカのある種子会社からハイブリッドライスについてその技術的な特徴等について説明をしに来たことがございます。その際、当方からは、我が国の種子対策の基本的な考え方、それからハイブリッドライスにつきまとう技術的な問題点ということについて説明をいたしまして、その後同社から特段のアプローチはございません。
 それから、ハイブリッドライス等の種子もみについてでございますが、種もみにつきましては、食糧の国内自給との関係もございましてその一番の基礎になるものでございますから、食糧の安全保障の観点から、国内で必要量を生産するということは基本的な考え方でございます。また、現在日本国内で作付されております品種は、長い歴史のもとに立地条件や国民の志向に即したものとして育成されてきたものでございますし、これまでのところ、外国の品種で、品質、食味、耐冷性、耐病性等から見て我が国にとって必要であるというふうなものは見受けられないわけでございまして、目下種子もみの輸入の必要性を全く認めておりません。また、制度的にも食管法に規定がございまして、少量ならいざ知らず、大量のものを国内に持ち込むことは農林水産大臣の許可が要る、こういうことになっておりますので、制度的にも種もみの輸入は封じられておる、かように理解をいたしておるものです。
 もちろん試験研究用の遺伝資源として外国産のものを輸入するということは、これは研究発展の上においても必要なことであろうと思っております。
○武田委員 時間が来たのですが、このハイブリッドの種子の問題を含めまして、日本の植物防疫法というもの、例えば台湾とか朝鮮がそれから外れておるわけですが、それのすき間を通して向こうから入ってこないかという心配、それから、少量と言ったけれども、百キログラム以下の試験研究用、これが各所で何カ所かで試験研究用として入ってきた場合、十カ所だったら千キロですわ、三十カ所となると三千キロ、そういう盲点を突いてこないかというような心配、こういうところで、さっきの特許庁の新種の切り込みというものとあわせて、これからそういうバイオテクノロジーの世界が非常に魅力ある存在なだけに、しかと農林水産省が日本の農業を守るという観点からいろいろともっと慎重なあらゆる対応をしておかぬと困る事態が来るのではないか、こういうふうに思うものですから、大臣、さっきの特許庁の問題とこの問題については、通産その他外務省等々ありましょう。関係機関としっかと綿密な連携の中で取り組みをしてほしいと思うのですが、この点お願いしたいと思います。
○山村国務大臣 バイオテクノロジー、これに関しましては、当省としては全力を挙げておるところでございます。予算を見ていただいてもおわかりのように、五十九年度予算、マイナスシーリングと言われましたその予算の中で、これだけは倍増でございます。一生懸命やってまいるつもりですが、先と言われました特に稲について、これは我が国の国民の主食でございます。これについても全力投球でやってまいりますが、ただ、言われた、外国からの種が入ってきたらどうするか、御心配の点は政府委員の方から御説明いたします。
○小島(和)政府委員 基本は、外国から種を買わなければならないといったような、我が国の種が劣るというふうな状態をつくり出さないことにあるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、現在のところは我が国の品種の優位性というのは十分確保されていると考えております。
 また、植物防疫の問題でございますが、台湾とか韓国につきましてはその植物相が大体日本と同じであるということから、我が国に未侵入の稲のもみにつく病害虫がないという意味において植物防疫の世界では禁止をしていないということだけでございまして、そういう地域から積極的に入れるという政策を持っているわけでは決してございません。
○武田委員 それでは、時間が来ましたので終わります。
○阿部委員長 菅原喜重郎君。
○菅原委員 日ごろ厳しい市場開放要求の中で我が国農業の保護育成に腐心している努力には多とするところがありますが、長いこと農業問題に取り組んできました私にとって、今日ほど日本農業の浮沈にかかわる歴史的転換期に直面しているときはないと思っているわけでございます。さらに、農政において見ますと、どうも総花的な予算配分のもと、何が日本農業の近代化に大切で、何が重点施策として執行されなければならないかの目標欠如があったがゆえに近代化のおくれを来しているとも私は考えているのでございます。このため、我が国農業の前途は政府の農業政策いかんにかかっているわけでございますので、今直ちに市場を開放すれば日本農業は壊滅に瀕しますので、現時点での自由化には私は絶対反対するものであります。農林大臣もしかとこの点を心に受けとめていただきたい、こう思うわけでございます。
 しかし、一方、日本農業の国際競争力を付加させること、また付加させなければならないことは私たちの責務であります。この点について、大臣の所信表明に、本当に日本農業を国際競争下で対抗できるような、そういう確固たる政策の自信の発露があるのか、読んでみましたらどうも薄いような気がしたわけでございます。
 このことに関してお尋ねする次第でございますが、私は、太陽光線と水の再生産資源を豊富に持っている我が国の農業は成長産業たり得ると思っております。また、国際競争に負けぬ先進産業にまで、施策のよろしきを得れば技術的にも成長発展させることができると自負しております。現に育種、果樹、かんきつその他において一部輸出している分野もありますし、主穀生産においても、国際競争に負けない技術で農業を営み、開発、経営している農家も出ているわけでございます。これらのことが全体に敷衍されてくるなら、将来輸出産業化も可能であると私は思っております。
 そこで、政府は、このような観点からさしあたって世界農業との関連で日本農業の長期展望を策定しているのかどうか、また、今はまだそういうような策定をする段階じゃなくして、劣勢産業の日本農業の体質を脱却させようというところにだけ腐心しているのか、この点をお伺いしたいと思うわけでございます。もしこのような長期策定をお持ちなら、作物ごとにいつごろの時点で国際市場との競争力をつけられるか、またそういう指導を農家にしていくことができるか、そういう長期試算だけでも聞かせていただきたい、こう思うのでございます。
○山村国務大臣 我が国農業の将来展望につきまして、現在、省内で検討が進められております。
 詳細は今政府委員の方から御説明申し上げます。
○角道政府委員 お答えを申し上げます。
 現在、我が国の農業の将来展望といたしましては、農政審議会におきまして昭和五十五年に「八〇年代の農政の基本方向」というものが出ておりまして、その答申を受けまして、一昨年の夏、農政審議会からさらに「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」というものが出ておりまして、その中におきまして将来の農業の姿というもの、六十五年における姿を具体的に示しているわけでございます。
 なお、今大臣からお話がございましたが、最近経済状況が非常に変わってきておりますので、政府全体といたしまして第四次全国総合開発計画あるいは国土利用計画というような、我が国の経済展望そのものを基本的に見直そうという動きがございますので、私どもはそれを念頭に置きまして、必要があれば現在持っております将来の展望につきましてもさらに見直す必要があるのではないかとは考えております。
 現在、私どもとしてございますのは、今申し上げましたような六十五年におきまして農業従事者がどうなるか、あるいは農地がどの程度になるか、農家戸数がどうなるか、都府県あるいは北海道におきましては中核的な規模を担う農家というのはどのようになるかというものを持っておるわけでございまして、それを受けまして、各農政局におきましても地域別に営農類型的なものをお示ししてございます。それを参考といたしまして、県によりましては具体的に各県の地域に即した類型を立てているところもあるように承知をいたしております。
○菅原委員 今の答弁では非常に抽象的でわからぬですが、農政審議会で「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」という一応長期展望を出しておりますが、この展望は今のところEC段階並みの価格に引き上げる、そういうあたりを目標にしているわけでございますか。幾らか数字を入れて御返答をお願いいたします。
○角道政府委員 価格水準といたしまして、具体的には生産者あるいは消費者ともおおむね長期的にECの価格水準になる程度と考えております。現在、中小家畜等におきましては、鶏、豚等でございますが、あるいは野菜等、施設利用型のものにつきましては、西欧各国と比べましてもそれほど大きな遜色はないと考えております。大家畜あるいは特に土地利用型の穀物等につきましては、非常に大きな格差がございます。
 そういうことを前提といたしまして将来的にECの価格水準というものを頭に置いておるわけでございますが、先ほど委員御指摘のように、国際競争力いかんという話になりますと、こういう穀物等を見ました場合には、アメリカ、豪州というように経営規模からいたしましても日本の百数十倍というようなものとの競争力というのは、具体的な問題といたしましては私どもなかなかとりにくいわけでございます。特にアメリカということを考えました場合には、経営規模におきまして百数十倍、しかも地価は日本の三十分の一か四十分の一、そういうように土地利用型の基盤になります土地の価格自体が非常に違う。また、その上で耕作している農家の方々の土地の利用権についての執着といいますか、これも非常に違いがあり、土地利用型の経営規模を一挙にアメリカあるいは豪州型に持っていくことは、まず絵にかいたもちだと思います。そこで、地理的にも条件の似た欧州、また世界各国を見ました場合にも欧州というのは一応大きな勢力でございますので、そういうものを一応念頭に置いて考えているということでございます。
○菅原委員 土地利用型の主穀農業あるいは大家畜の農業においては豪州とかアメリカ等にもうてっぺんから対抗できないというふうに考えているようですが、実は今日本の農家で米一俵がもう既に五千円を割って生産できている農家が出ております。そうなりますと、輸送賃をかけて日本に持ってくるアメリカの穀物価格、向こうがトン六万円くらいで売ったとしましても、こちらは八万円くらいになるかもしらぬですが、こういう価格から見ると、何もこういう大規模土地利用型の経営じゃなくとも、日本農業で単価において対抗できる農業形態をしている農家が出ているわけでございます。そうなりますと、最初から土地利用型の大規模経営を中心として日本農業を指導しないとアメリカや豪州に対抗できないのだ、こういう観念をちょっと改めてもらわないといかぬ。
 といいますのは、私は長いこと百姓をやった人間でございまして、日本の水田は基盤整備と水の確保さえできれば大変な生産力のあることを自信を持っているから言うわけでございますので、ひとつこの点を今後勉強していただきたい。また、このような水田の活用のためには、私はどうしても栽培管理技術の効率の増大するところの中耕複合農業形態が水田を汎用耕地化した日本の今後の農家の生きる道である、こう思っておりますので、こういう観点からの長期展望を、資料を提供いたし、また政策も助言したいと思いますので、大臣、何とか担当官に命じて、いっか私の意見を話し合える機会をつくってもらえるかどうか、お聞きいたします。
○角道政府委員 御指摘のように、確かに一部の大経営におきましては、相当規模の借地というものの上で、相当の機械化ということで、非常に効率的な農業をやっていることも事実でございます。ただ、全国的にそういうのが成立するかということになりますとなかなか難しゅうございまして、現在日本で要ります一千万トンあるいは一千百万トンの米をそういう大農家だけで生産するということはなかなか困難でございます。
 具体的な数字で申し上げますと、昭和六十五年に、現在大体稲作の平均規模が〇・八ヘクタールでございますが、これが十ヘクタール程度になる。その場合に、トン当たりどの程度の生産費になるかということを試算してみますと、一次生産費で現在二十二万円程度のものが大体半分ぐらいになるということでございます。ただし、これは一次生産費でございますから、これに地代、資本利子等を入れますとやはり現在ではトン当たり三十万円、将来を考えましても二十万円近くのものになるというのが私どもの今の試算の内容でございまして、こういうものが稲作の場合には中心になるであろうという想定はいたしております。
 その場合でも、国際価格を考えました場合、米につきましては現在の国際価格はトン当たり六万から七万でございますが、我が国の米は第一次生産費としまして十一万、第二次生産費を考えればやはり二十万近い。しかも、トン当たり六万、七万というのは、東南アジアであるとかカリフォルニアというような大穀作地帯、あるいは労賃が非常に安い、地価も安いというところで成立するような価格でございますので、こういうものを基礎にして日本全国にそれだけのものができるということは現実問題としては非常に難しい。ただし、私どもとしては、今先生御指摘のような、できるだけ能率的な経営ができるような指導もし、またそのための経営条件の整備、利用権の集積であるとか基盤整備であるとか、そういうことを今後とも最重点の施策として取り上げていくという現状でございます。
○山村国務大臣 先生おっしゃられました、今米一俵五千円、本当にこれほどいいことはございません。ぜひ資料をお借りして勉強させていただきたいと思います。
○菅原委員 どうもありがとうございました。
 実は今基盤整備の問題の重要性について答弁されましたように、現在の日本の土地条件あるいは土地自体の地価の問題その他からいきますと、やはり今おっしゃられたような悪条件もあるわけでございます。しかし、日本農業の近代化は必ずやり遂げなければ、これは日本の国家安全保障問題でございますから、何とかこれに取り組んでいかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
 そのためには、まず市場問題、土地問題、技術問題あるいは人材育成問題等の改革が必要でございまして、このために今後農業政策を重点的に施策する方向に転換させていかなければならないのではないか、こう考えておるものでございます。政府の役割は、何といいましても優秀な農業者が自由に活動し、技術革新を実現できる状況を設定してやることでありまして、こういう設定さえありますと、今申し上げましたように本当に低廉な、国際競争力に対抗できる農産物の生産ができるわけでございます。ですから、私は、重点施策を設け、そのためには作付等は自主選択とし、市場原理にかかわる分野への政府の介入は控え目にさせ、基盤整備、研究開発、技術普及、情報、公共財の提供等に積極的に役割を果たしていく方向にこれから質問していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思うわけでございます。
 そこで、この中で何といいましても、大臣も表明しているところの農地の整備と水資源の確保は最重要でございます。私は、この水資源の確保と基盤整備とが相まって日本農業の近代化、国際化の基礎となり、二十一世紀に向かって人間と機械と土地の新しい結合関係を生む母体であると思っております。現にこのような基盤整備とかんがい設備が実現されますと、私たちの隣接自治体では、水田所有者七十四名が約三十五町歩を出し合って所有者による生産者組合、いわゆる水稲協業組合を設立したわけでございます。そういたしますと、たった六人の専業者によって水稲と転作作物が栽培、管理、運営されまして、一反歩当たり提供した農民に七万五千円相当の配当を出しているわけでございます。これはこの二、三年前から続きました冷災害にも全然影響されないで収益を上げているわけでございます。また麦作は、これは先ほど言いましたようにアメリカ農業にはまだちょっと至らないのですが、一反歩当たり小麦においては四百キロ、大麦においては五百キロ以上がたった一人の労働生産力でいわゆる播種から刈り取りまで行われているわけでございます。
 そこで、今政府は、こういう土地の集積、流動化対策として農地流動化奨励金を出していただきました。これは大変結構なことでございます。十年以上の契約者には三万円が交付されるようになっているわけなんですが、実は個人にやりますと、現実におきましては土地集積は成りましても分散された錯圃がどうしてもできできますので、量産されても収益は現実にはなかなか上に上がってこない。そうなりますと、また政府で何らかの対応をしないといかぬ、そういうことが出ているわけでございます。私は、このように基盤整備、かんがい排水の充実を何としてでも最重要施策として取り上げていただきますならば、さらに国家が国権のもとに全額国家投資で強行するような気迫を持ってこれを推進してもらいますと、農民はばかではございませんので、効率的な対応ができてくることはもう目の前にはっきりわかっていることでございますので、ひとつこの点、ぜひ大臣にもお願いしたいわけでございます。
 つきましては、こういう観点から、現行の基盤整備の進捗率で全国水準の大半を完了するのには何年かかるのか、全く私は不安になっているものでございます。といいますのは、第一次土地改良長期計画、第二次土地改良計画におきましても、進捗率は五〇%以下で終わっているようでございます。第二次土地改良計画が完了されました時点でも三二%ぐらいの進捗率でございます。そこで、今度第三次土地改良長期計画が発表されまして、三十二兆八千億円かの予算化がなされているわけでございますが、これは昭和六十七年度に六八・七%ぐらいが水田において完了されるんじゃないかというわけです。しかし、今までの進捗率からいきますと、第一次から計算しますと二十七年たってやっと全体の五〇%ちょっと超えたか、そこら辺になるのじゃないか。これではとても日本農業の近代化、自由化問題に対応すると言ってもなかなか対応できないし、これは国家の安全保障にもかかわる問題でございますので、ひとつこの点について、大臣の見通しと、あと技術的な問題はどなたかにぜひ御発表をお願いしたい、こう思うわけでございます。
○山村国務大臣 先生おっしゃいますように、近代農業を推進するためには、何といっても基盤整備事業は重要でございます。先と言われましたように、全額国費でやってしまえ、私の方ははっきり言うとやりたいですが、大蔵省がとてもこれは許してはくれないと思います。しかし、先生おっしゃいましたように、六十七年度までに整備率を約七〇%というところまでやってまいる気持ちでやっておりますが、今の状況でそこまでいけるのかということになりますと、まだちょっと達成というのには、本年度の予算等をずっと見ていきますとそこまでいかないのじゃないか。そうでございますが、しかし、これから財政事情がよくなりますれば、もっともっと金をぶち込んで、できるだけ早く目標を達成したいというつもりでございます。
 詳細につきましては政府委員の方から。
○森実政府委員 整備水準がどうなるかという問題でございますが、御指摘のように、確かにことしの予算が横ばいで推移し、事業費の単価を前提にしますれば、第三次の土地改良長計で予定いたしました七割という整備水準の確保は非常に難しくなってくる、五割前後になってくるということは否みがたいところでございます。公共投資の計画、土地改良の長期計画もその一つであるわけでございまして、やはり財政経済事情によって影響されるところがありまして、今大臣も申し上げましたように、今日の状況のもとで、公共事業全体が横ばいのもとではなかなか難しい問題もありますが、やはり長期的視点に立って、予算の確保と、それからもう一つは、事業の地域の自然的、経済的条件に応じた効率的実施ということに努めてまいりたいと思います。
 国庫負担をどう考えるかという問題は、私はなかなか難しい問題だろうと思います。一方においては、これは私有財産の形成に資する問題で、圃場整備等については補助率を引き下げろという強い御議論が一部にあったことは事実でございま.す。しかし、やはり土地改良事業というのは自然生態系の段階的な改造であり、また同時に、完成された土地というものは勝手に処分できるものではないという視点で、現行の補助率はどうしても確保したいということでいろいろお話し申し上げて、基本的な御了解を得たという状況もあるわけでございます。その意味で、今日の財政事情、またいろいろな議論を踏まえますと、なかなか難しい問題もあると思いますが、事業の進捗に必要な有効な措置はこれからも研究させていただきたいと思っております。
○菅原委員 国家負担の問題、これも大義名分の問題なんですが、実は個人の所有地、資産であるところに国家の負担ということは難しいという論に結局なるのですが、国土そのものを改造するということ、我々の住む国土を国家安全保障の立場から改造していくという、そういう観点から、今農民の中では、基盤整備の負担金で大変で、基盤整備はやりたいけれども負担金のために困ってこれに反対している農家がありまして、聞いてみますと、強制執行をかけられても国家が全部やってくれるということになったら、やってもらった方がいいという声が多いわけでございます。ですから、今こういう切迫している農業自由化問題もありますので、何としてでも基盤整備、このことをやりますと農民が対応していきますから、ひとつこのことを念頭に置いていただきたい。
 それから、この整備をする際に、私は今までの農業経験からも、やはり田畑輪換可能な汎用耕地に造成していただきますと、裏作で、米作に優位する生産作付が幾らでも開発できるのでございます。ですから、米の調整も、米以上にもうかるものを開発してやれば農民は何も米の問題で政府にとやかく要求してこないわけでございますので、そのためには、やはり完全な排水工法を施すことが必要でございます。そういう完全な排水工法の施された田畑輪換汎用耕地の造成のために、またこのことは、日本の中耕複合農法の飛躍的な発展向上を図るもとでございますので、これからの政策にぜひひとつ取り上げていっていただきたい、こう思うわけでございます。
 今、時間がなくなってまいりましたので、ほかの問題まで行きたいわけなんですが、その前に、農政審議会で発表されました「八〇年代の農政の基本方向」を見まして、これは非常に大切なことで、また、よい展望をなしているわけでございますが、不測の事態における食糧供給への影響ということで、もし輸入がゼロになった場合千三百四十カロリーぐらいしか確保できないというような見通しがありますが、この中で大きな見落としがあるのは、実はこういう状況のときはガソリンも入ってきませんので、ポンプアップのできるような耕地では、現在こういう試算が出てこないわけでございます。そういたしますと、水は等高線条に流すような水の確保を計画しないとこれは大変なことでございますから、現在このことでポンプアップしている面積はどうなっているのかということを農林省の方に聞きましたら、まだ今急に試算できないからというので、ここで資料を持ってきませんが、随分ポンプアップなされておりますから、そうなりますとそういう農地はだめになる。そうなりますと、大機械もだめになる。そうしたら、水田を一反歩人力で一体どのくらいつくれるか、これはもう我々は、かつての終戦後の食糧難のとき経験していますから、そういうところから試算され直すことをひとつ検討していただきたいことを要望しておきます。
 次に、林野庁長官にお聞きいたしたいわけでございますが、時間がなくなりましたので、林野庁長官には本当はこの時間を全部お聞きするつもりでいたのが、通告だけしておきまして大変申しわけございません。
 今、林業行政は大変な事態に立ち至っております。一方で採算制を要求されますと、どんどん天然林を切らざるを得ないというようなことでございます。しかし、一たん切りました天然林というのは、もう再植林いたしましてもまたこれを復元することは難しいような、そういう状況でもございます。こういう点で、今こそ本当に日本の国土保全のため、あるいは森林の公益的機能評価額を見ましても、一年間に、林野庁の計画課調べでは、昭和五十六年度の調べですが、二十五兆四千三百億円もの機能を発揮しているわけでございます。ですから、何としてでも、皆伐人工林方式が今大勢を占めておりますが、これを選択伐採、択伐施業方式に切りかえていっていただきたいと思うわけでございます。
 また、今なぜこのように短伐期の皆伐人工造林の繰り返しがなされるようになったかといいますと、これは密植の方法が原因ではないかとも考えております。私のじいさんが私を小さいとき連れていって植林したときは、一反歩に百本くらい植えて、それも健苗を植えて力枝が張って三角に木が上がらないと百年、二百年という林相はできないんだというのでやったのですが、どうも戦争中の人手のなくなったとき密植栽培が出てきた。この密植栽培が出てきますと、除伐、間伐がちょっとでも手おくれになりますととても健康な、百年、二百年というような林相は出ないわけでございます。こういうことでどうも皆伐人工林方式に切りかえられてきた、こういうふうに考えるわけでございます。こういう点で、天然林それから何百年もたった林相というのは日本国民の勲章でもございますから、こういう点も考えたきめ細かな対策を講ずべきである、こう考えております。
 この点についてひとつ御意見を。
○秋山政府委員 ただいま林野庁におきましては、森林資源の造成につきましての基本計画といたしまして森林資源に関する基本計画というのがございます。現在は昭和五十五年に策定されたものでございますが、これに基づきまして、長期視点に立ちましての森林整備を進めているわけでございますが、将来の方向としましては、今先生お話ございましたが、人工林と天然林が半々くらいの割合になるような計画でございます。
 林業と申しますと、立地条件が極めて重要で、自然条件に合った形でこれを進めることが極めて貢要でございますので、今お話ありました択伐等に適するところについては択伐をする。また、森林所有者の皆さんが人工林で植えていくというようなところはそれに合うような形で、要はその自然条件に合った形で森林の持っておりますところの多面的機能を十分発揮させるというところに重点を置いているわけでございます。特に今お話しの天然林の施業問題につきましては、私ども、高冷地あるいは北海道の森林等については択伐施業が極めて有効でございますので、そういうところには導入すると同時に、山村のシイタケ原木等については、クヌギの造林とか場合によっては大径木生産と、いろいろな方法をとりながら現在進めておりまして、全体としての森林の機能が高まるようにしてまいりたいと考えておるところでございます。
○菅原委員 このことについても実はもうちょっと深く御質問したいのですが、後ほどまた御質問を通告していきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、国有林野事業の年度末手当についてでございますが、年度内支給を実施するためにはもう時期的に労使交渉妥結の限度であると判断しておりますが、このことについてお聞きします。
 もう一つ、本日の東京新聞を見ますと国鉄、林野を除き妥結となっておりますが、国有林野事業の赤字は、治山治水等今申し上げましたような公益的機能発揮のための構造的赤字でもありまして、今後国有林野事業の経営改善を進めるに当たって、職員の職務意欲を高揚するために従前の〇・五カ月分の支給をすべきが妥当であると考えているわけでございますが、この二点についてどのようなお考えか。
○秋山政府委員 国有林野事業の経営改善を進めるに当たりましては、やはり職員の職務意欲を向上させることは極めて重要でございます。そこで、本年度の年度末手当につきましては、ただいま私ども公務員の給与をめぐる諸問題であるとかあるいは財政事情その他いろいろな状況を勘案しながら、最後のぎりぎりの詰めをしているところでございますが、私といたしましては誠意を持って取り組みたいということで、できるだけ早く回答するように努力したいと思っております。
○菅原委員 また林野三法の審議もございますので、林業行政につきましてはそのときに譲ることにいたしまして、きょうはこれで私の質問を終わりたいと思います。
○阿部委員長 小川国彦君。
○小川(国)委員 今、日米農産物交渉が大詰めを迎えている重大な局面の段階で、私は、山村農水大臣を初め農水省の当局にオレンジの割り当て問題について質問いたしたいと思います。
 大臣、連日どうも御苦労さまでございます。公式の農林水産委員会で初めて大臣に質問するわけであります。同じ選挙区でありますけれども、ともに農政推進という立場で論議を尽くさせていただきたい、こういうふうに思います。
 まず、牛肉、オレンジにつきましては御承知のように割り当て制度というものが実施されているわけでありますが、きょう私はかんきつ類のオレンジ割り当て制度について伺いたいと思うのです。これは、日本の農業と農民を守る立場からオレンジ割り当て制度というものが実施されている、こういうふうに考えるわけでございますが、大臣の見解はいかがでございましょうか。
○山村国務大臣 オレンジにつきましての輸入割り当て制度、この理由は、輸入規制を廃した場合に生ずる国内産のかんきつに対する重大な影響、これを防止するためのものでございます。したがいまして、農林水産省としては、オレンジの時期別の出回り量に重大な関心を有しており、具体的には上期、下期の数量、季節枠、年間枠、これらの数量の決定について万全を期していきたいというぐあいに考えております。
○小川(国)委員 このオレンジの割り当て制度につきましては、通産省、農水省がそれぞれ協議をして行っているわけでありますが、割り当て制度の実態については農水大臣も関心をお持ちだと思いますが、オレンジの割り当て商社の中にいろいろ不良商社があったりダミーがあったり幽霊商社が存在する。大臣もこれから日米交渉に臨む中で、アメリカ側から日本の割り当て制度というものは商社の利権化しているのではないか、だから自由化した方がいいんじゃないか、こういうような議論も農業団体の人が参りますとしきりになされる。我々は、三十万のかんきつ生産農民の立場に立てば、大臣おっしゃるように割り当て制度はしっかり守っていかなければならない。しかし、そのためには日本の割り当て制度の中で今申し上げたような不公正なことが行われていてはならないわけで、この是正の問題については、大臣としてはどういう御見解をお持ちでしょうか。
○山村国務大臣 せんだっての予算委員会で小川先生の御質問、私もあそこで本当にいろいろなことを勉強させてもらったわけですけれども、今後もオレンジの流通の実態をよく調査しまして、私の方は流通面ということになりますが、流通面で何か支障があればそれに対応していきたいというぐあいに考えております。
○小川(国)委員 ところで、オレンジ割り当ての最大の割り当てを受けているのが藤井治商事という商事会社でありますが、これが日本の八万二千トン輸入しているオレンジの約一四%、第二位のスマル商事が七%、その他は五%、四%、三%、一%と、一%以下もかなり多いわけですが、百二十一社の商社に割り当てられている。しかし、八万二千トンの一四%前後ですね、最大の割り当てを受けている藤井治商事、実は農水省所管の中央競馬会がここを告訴しているわけですね。
 このことで事務当局からちょっと伺いたいのですが、藤井治商事に競走馬の輸入をこれからもやらせるのか。これは今まで長年にわたって輸入してきているわけですが、今競走馬輸入をやめさせたというのは、現在の方針としては貫く、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
○谷野説明員 お答えいたします。
 種馬問題に関しまして競馬会が行った調査の結果、藤井治商事ほか一社に対しまして、それぞれ外国商社から、競馬会が委託契約に基づき支払うべき手数料のほかの手数料として配分が行われていたことが判明をしたわけでございます。このため、競馬会は昨年十月二十四日付で両社に返還請求を行いましたところ、一社は調停による解決を希望いたしましたが、藤井治商事は返還請求には応じられない旨回答いたしましたので、昨年十二月七日付で東京地方裁判所に対しまして損害賠償請求の訴えを提起したとの報告を受けておるわけでございます。
 なお、種馬の購入の問題につきましては、それに伴いまして買い付け方式を改めまして、競馬会が直接外国の馬主等と契約をする方式に改めた次第でございます。
○小川(国)委員 今御報告のように、大臣所管の特殊法人中央競馬会に対して農水省の畜産局に競馬監督課というのがあるわけですが、ここでは、今申し上げるようにもう商社を通しての輸入はしない、いわば藤井治商事はもうやめさせた、こういう形で、しかも一億九十七万円という金を返せという返還訴訟を起こしているわけです。
 ところが、一方では通産省が八万二千トンの一四%の割り当てをしている。これが推計によれば、この間日本農業新聞では九億と言っているのですが、私は十億くらいにも考えられるのですが、年間十億くらいに達する利益を藤井治商事に与えている。
 そうすると、一方で農水省が一億九十七万返せという裁判を起こして、一方で通産省がそこに年間十億近い利益を上げられる商社割り当てをしている。これは非常におかしなことだ。しかも、今農水省はそこに対しては競馬の輸入業務をやめさせた、こういう事態もあるわけです。
 ですから、これは日本の政府として考えてみれば、政府は一つでございますから、一方で一億九十七万返せと裁判している相手に割り当てをして利益を上げさせる、これはどうにも筋道が通らないことではないのか。これは、山村農水相が訪米するに当たっても国内問題としてぜひ解決していかなければならない問題ではないのか、こういうふうに考えるわけですが、この点、大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
○山村国務大臣 中央競馬会の訴訟問題とオレンジの輸入割り当て問題、これは言うなれば別の問題でございますが、しかし、せんだっての小川先生の御指摘等いろいろあったので、これは我々としては輸入枠には口を出せないわけでございまして、やはり通産省の方で通産省としての立場でいろいろ配慮するものというぐあいに私は考えます。
○小川(国)委員 農水省とか通産省とかいう縄張りの立場で考えますとこれは通産大臣の縄張りだ、こういうことになるのですけれども、日本国政府の大臣という立場で考えてみますと、やはり通産省、農水省の立場を超えて、日本政府を代表して農水相は行かれると思うのですね。そういう立場から考えてみれば、これはどうも矛盾しているのではないか。大臣がせっかく苦労して向こうの拡大枠を目いっぱいぎゅっと抑えて帰ってきたけれども、しかし国内においては、その割り当て枠の大半を使っているところが農水省の告訴している相手だということは、やはり矛盾点として残るのではないか。これは大臣にぜひ取り組んでいただいて、こうした国の政治の不当というか、矛盾というか、そういうところはすっきりさせていきませんと、どうもオレンジ割り当ての上に不正な者が利権を得ているという形が国民に強く印象づけられていると思うのです。この辺の是正について、省の枠を超えて取り組むお考えが持てないかどうか、この点を重ねて伺いたいと思います。
○山村国務大臣 小川先生の言われるのはまことにごもっともでございます。私は私なりに考えていきたいと思っております。
○小川(国)委員 まことにごもっともでと言われるのですが、私の言う考えがおありになるとすれば、ひとつ大臣の方から農水省としても積極的に通産省と話し合ってこの矛盾を解決するという、その大臣のお考えの片りんでも聞かせていただければと思うのです。
○山村国務大臣 通産省の方とよく相談きせます。
○小川(国)委員 通産省お見えになっていると思いますが、通産省の方では、先般私の指摘した百二十一社のいろいろな問題点についてこれの是正に取り組む、藤井治商事を含めて今申し上げたような問題点、それから幽霊会社、ダミー会社の存在に対する調査に大臣の指揮で着手する、こういう御答弁をいただきましたが、それは現在どのように進行しておりますか。
○土田説明員 オレンジのIQホルダー全社に対しまして、現在実地調査等を含めまして実態調査を鋭意努力して行っているところでございますが、まだ調査結果をまとめるまでには至っておりません。
○小川(国)委員 農水大臣が訪米して、今後割り当て問題が現状のままで行くかあるいは増枠になっていくかは当然これからの交渉にゆだねられておりますが、少なくとも結論が出るまでに、そうした今までの百二十一社の問題点の是正の方針はお持ちですか。
○土田説明員 私ども、五十九年度の上期の割り当てからオレンジのIQホルダーの申請資格要件を厳しくする予定にしてございまして、不適格者は排除していく方針でおります。ただ、まだ具体的には目下鋭意検討を行っているところでございますが、いずれにしましても五十九年度の上期の割り当てには反映させていきたい、かように考えております。
○小川(国)委員 その不適格者を排除するという中に、先般来指摘している藤井治商事に対する是正の措置もお考えになっておりますか。
○土田説明員 どの社に対してどういうような措置をとるかということにつきましては、目下調査続行中でございますので、具体的にはただいま申し上げることはできませんので御了解いただきたいと思っております。
○小川(国)委員 その藤井治商事を含めてということに理解してよろしいですね。
○土田説明員 ただいまの藤井商事に対します問題につきましては、先般の予算委員会の分科会におきまして私どもの貿易局長から、先生からの御質問がございました際に、オレンジの輸入割り当ては輸入実績に応じて割り当てを行うこととなっており、訴訟とは全く別個の観点で行っている旨の御説明をしたところでございまして、私ども割り当てを行うに当たりましては、輸入の安定的、継続的な確保ということを第一義的に考えております。したがいまして、割り当てを受ける企業が割り当て品目の輸入とは無関係の企業活動におきまして、国との関係で仮に民事訴訟を行っていたといたしましても、そのことをもって当該割り当て品目の輸入の安定的、継続的な確保を損なうとは言いがたいのではなかろうか、こういうようなことで、割り当ての可否をそれによって決するのはいかがかというふうに考えております。
○小川(国)委員 時間が参りましたので、今大臣お聞きのように、どうも通産省は片目しか目が見えないという状況で、左手で悪いことをしていても、右手でまじめなことをやっていればいい。いわゆる継続的、安定的に通関の取引を右手でやっていれば、左手で悪いことをやっていても、左手の方は目をつぶる、こういう言い方なんですね。国の行政としては、これはやはり片手落ちだ。両目を開いて見てもらいたい。片方で悪いことをしているのに片方で割り当てしているというのは、どうしても筋が通らないと思うのですよ。やはり破邪顕正を明らかにする山村大臣なら、この辺のところは勇断をもって正せるんじゃないか、私はこういう期待を持っていますので、先ほど通産省と相談させますというお話がございましたが、大臣みずからもこういう問題を是正していく、こういう方針をひとつ明確にしていただきたいと思います。
○山村国務大臣 私の方は、御存じのとおり、競馬会出入り差しとめ、そういう態度でもおわかりいただけるのじゃないかと思います。
○小川(国)委員 時間が参りましたので、大臣の是正に期待をいたしまして質問を終わりたいと思います。
○阿部委員長 以上で農林水産業の基本施策についての質疑は終わりました。
     ――――◇―――――
○阿部委員長 引き続き、畜産蚕糸問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
○太田委員 まず最初に、大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、今日畜産は農業総産出額の三分の一を占める我が国農業の基幹部門になっているわけであります。しかしながら、今日では諸外国からの市場開放要求、そして内にあっては生産調整を余儀なくされている情勢であります。
 そこで、最初に、このような厳しい情勢のもとで我が国畜産をどのように振興していくのか、その基本方針をお伺いしたいと思います。
○山村国務大臣 先生おっしゃいましたように、農業産出額の三分の一を占めるのが畜産でございます。これまで我が国の畜産は順調な発展を遂げてまいってきたというぐあいに認識しております。我が国農業の発展を図る上では重要な役割を担っております。また、畜産物は国民生活上の重要なたんぱく質供給源でもございます。従来ほどの高い伸びはないけれども、しかし、今後とも安定的な需要の増大が今のところ見込まれております。このため、畜産については、今後国民への畜産物の安定的供給と畜産経営の健全な発展を図ることを基本として、それぞれの部門の実態に即してその振興を図っていきたいというぐあいに考えております。
○太田委員 先ほどから何度も出ているテーマでありますけれども、今回のワシントンでの交渉は不調に終わったということでありますが、大臣として、今後の日米農産物交渉についてどのように対応されるおつもりでしょうか。
○山村国務大臣 昨日佐野局長が帰ってまいりまして、詳細に会談の内容を伺いました。先週の二十二日から二十四日まで三日間にわたって協議してまいったのですが、しかし、依然として日米間の隔たりというものはかなり大きなものがございます。そこで、私といたしましては、これだけ大きな隔たりがあった場合に、常々農林水産委員会で皆様方に御答弁しておる日本の農業を守るという立場は、私が行ってもその立場を貫けばこの交渉は壊れてしまうというぐあいに考えておりますので、とりあえず今アメリカからの回答待ちということで静止しておるというような状況でございます。
○太田委員 今回の交渉の中で、特に牛肉についての双方の主張に大きな開きがあったと聞いておるわけでありまして、肉用牛生産というのは需要の伸びも今後期待できる我が国農業の戦略部門であり、また安易な妥協はすべきではないというふうに考えるわけであります。特に牛肉の枠拡大については、肉用牛経営のみならず、酪農経営に与える影響も大きいので、不必要なものまで輸入するというような枠の拡大は決して行うべきではないと思うわけであります。
 そこで、この点でお伺いしたいのでありますけれども、どのような基準と申しますか、政策目標を持って農産物の交渉に当たるのか。つまり、国内の牛肉の価格が低下をしないように持っていくんだ、はっきり具体的に言いますと、畜産農家の経営に大きな打撃を与えないように行うというのが交渉の基本方針であろうかと思うわけでありますけれども、それではどこで畜産農家に打撃を与えたことになるのかならないのかということになりますと、これは牛肉の価格が大幅に下がらないということが一つの指標になるかと思うわけであります。そうして、そうでありますと、今の乳用牛、乳用雄の値段というのは、価格安定制度が導入されました昭和五十年度を一〇〇といたしますと九六ぐらいになっておるわけでありまして、むしろ十年近くたって値段が下がっている。実質的に見ますとこれは大幅に下がっているということも言えるわけでありまして、特に輸入牛肉と競合するのは、和牛というよりもむしろ乳用雄といったところが競合するものではないかというふうに私は思うわけであります。そこで、これは肉用牛経営のみならず酪農経営に与える影響がまことに大きいと思うわけであります。
 今後、これは精いっぱいこの交渉で頑張っていただいて、枠の拡大をともかく最小限度に抑えていただくことはもちろんでありますけれども、さりとてどのような事態が起こるかわからないわけでありますから、酪農家あるいは肉用牛生産農家の経営体質の強化ということのために、何か施策を講じていかなければいけないと思うわけであります。その点についてどうお考えでしょうか。
○山村国務大臣 今先生おっしゃいましたように、今度の交渉に当たっては農家に打撃を与えないというのが私の主目的でございます。大きな打撃を与えるというのは、先生おっしゃいました肉の値段が安くなるということ、これが大きな打撃だ、確かにそうでございます。私はそれを念頭に置きまして、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が、牛肉で言いますれば畜産業が、今後とも着実な発展をするということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
 その詳細につきましては、政府委員の方からお答えさせます。
○谷野説明員 輸入枠の問題につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
 なお、御質問の後半の部分でございますが、そういう中で我が国の酪農及び肉用牛の生産振興をどのように図っていくかという点でございますが、ただいま御指摘もございましたように、我が国の牛肉の生産の三分の二はいわゆるホルスタイン系統、乳牛系統からの生産でございます。そういうことを勘案をいたしまして、昨年の国会で酪農振興法を改正していただきまして、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律が制定されたわけでございまして、国といたしましては昨年の十月に同法に基づきまして「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」を策定、公表したところでございます。
 この方針におきまして、大家畜生産、つまり牛の生産でございますが、これが我が国土地利用型農業の基軸となるべきであるという考え方のもとに、土地面積その他の条件が非常に違っておりますアメリカ、オーストラリアとの比較は困難でございますが、比較的条件の似ておりますEC並みの水準に将来到達することを目標といたしまして、長期的な観点から総合的な振興、合理化を図ることとしておるわけでございます。
 具体的には、その中に、肉用牛につきましてはなお経営規模が小さいものが多いわけでございまして、規模の拡大あるいは飼料自給率の向上、また肉質につきましてもより経済肥育の方向を目指すというような方向性を示しておるわけでございます。また酪農につきましては、規模だけについて見ますとECの水準にほぼ到達しておるわけでございますが、さらにその体質の強化を図るという方向を打ち出しておるわけでございます。
○太田委員 次に、畜産物価格の決定についてお伺いしたいわけでありますが、今言いましたようにもうかなり長期にわたって畜産物価格の低迷が続いており、そして畜産経営は負債の増加で大変厳しい状況になっておるわけであります。五十九年度の畜産物の政策価格の決定に当たっては、畜産農家が再生産を確保できる水準になるように配慮すべきであります。また、限度数量の拡大についても配慮すべきと考えます。
 そこで、畜産物価格の決定に当たっての政府の基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山村国務大臣 加工原料乳の保証価格等につきましては加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、また指定食肉の価格安定につきましては畜産物の価格安定等に関する法律に基づき、それぞれの生産条件や需給事情の変化、畜産経営の状況等各種の要素を総合的に考慮して、畜産振興審議会の意見を聞いた上で今月末までに決定をするということになっております。
 昭和五十九年度の指定食肉の価格安定については、本日、畜産振興審議会食肉部会で御審議をいただいておるところでございまして、その答申の趣旨を尊重いたしまして、関係方面との調整の上、適正に決めていきたいというぐあいに考えております。
○太田委員 今お答えのありましたように、今や牛肉の七割が酪農経営の方から供給をされているわけでありまして、酪農経営の安定ということは、これはある意味で大切な問題となっているわけであります。
 そこで、昨年から自民党にも飲用牛乳の流通問題についての小委員会というのが設けられていろいろ検討をしてまいったわけでありますけれども、飲用牛乳市場の正常化を図るために既にいろいろ試みがなされているわけであります。
 例えば、北海道の飲用牛乳の値段は道内向けの価格と府県向けの価格というものが随分開きがあるわけでございます。そして、最近になりましてホクレンでこの価格差を縮めるといいますか、その努力をしていただいております。府県向けに、言ってみればダンピングの状態といいますか、差別独占というふうな状態にあったわけであります。商品というものは普通は一物一価でなければいけないわけでありまして、それは高いとか安いとかいう問題ではないわけであります。そして、地域によって違う値段で出しておるというのはまことに正しい状態とは言えないわけであります。それを是正するために、ただいまホクレンの方で大変な努力を続けていただいておるわけでございます。
 ところが、今回の加工用原料乳の限度数量というものが、ただいま見込まれております実需要額といいますか、そして生産がそのようになるであろうというふうに予想されております二百四十万トンを確保できないということに仮になりますと、その加工用として確保できなかった、限度数量からはみ出した部分というものは当然飲用牛乳の市場に回ってくるわけであります。そしてその結果、せっかく今北海道のホクレンの方でそのような価格流通の正常化を図っている中にそのはみ出した部分が出てまいりますと、正常化がまことにやりにくい、せっかく流通環境が整備されてきても、それがやりにくいという事態が生ずるわけでありまして、これは何としても、この際、この時期に限度数量の二百四十万トンというものを確保していただかなければいけないわけであります。
 この点についてお考えを伺いたいわけであります。
○谷野説明員 ただいまお話のございました市乳の価格形成につきましては、かつては政府がこれに対しまして一定の指導をしたこともあったわけでございますが、いろいろな経緯によりまして、現在では市乳の価格形成は当事者間の交渉の問題として行われているというのが実態でございます。
 ただいま御指摘がございましたように、地域間の牛乳の流通をめぐりましていろいろな議論が行われ、また、それがいろいろ混乱を惹起をしておるのではないかという御指摘もあるわけでございます。私どもといたしましては、北海道から内地への牛乳の移入につきましては、内地への飲用牛乳流通の混乱が起きないように、不足する分について移入をするというのが基本的な考え方であるというふうに思っておりますが、これは価格形成の問題でございまして、これにつきましては現在関係者の間でせっかく折衝がなされておる状態でございますので、私どもとしてはこれを見守りたいと考えておるわけでございます。
 なお、限度数量の問題でございますが、ただいま御指摘のございました二百四十万トンという数字は、各方面からの御要請として私ども承っておるところでございます。ただ、これらの不足払いの対象となります限度数量、これでできてまいります乳製品の用途等につきましていろいろの問題もないわけではございませんで、本来生乳からつくられるのが望ましいようなものに向けられておるのではないかとかいうような論点もあるわけでございまして、現在、その点を含めまして鋭意検討を行っているところでございます。
○太田委員 いずれにいたしましても、これまでの数年間、全国の酪農家は生乳生産計画を忠実に守り、そして血のにじむような努力をして今日の市場の自主性を守ってきたわけでありますから、限度数量の確保については、何としても二百四十万トンを確保していただくように重ねてお願いを申し上げたいわけであります。
 それと、これは今の時期の畜産物価格あるいは限度数量といったことからは少しはみ出す問題でありますけれども、先ほど申しましたように酪農家の経営ということについて大変重要な問題がただいま生じておりまして、それを少し説明さしていただきたいと思います。
 これは、乳牛の雌で乳を搾った後のいわゆる淘汰廃用牛というふうに言っておりますけれども、淘汰廃用牛に対する、これを転売をした場合の課税ということでございます。淘汰廃用牛への課税は、従来青色申告の制度にのっとって自主的に、あるところではこれを譲渡所得と考えていた、あるところではこれは譲渡所得として申告をしていなかったところもあるわけでありますが、ともかく従来はこれは譲渡所得として扱われてきたわけであります。それが五十二年ですか一年ですか、から国税庁の方で突然これは事業所得であるというふうに解釈が変わった。というよりも、新たにそのような見解が出されてきたようであります。これによって、ただいま一部で大きな混乱が起きているわけであります。
 何をもって譲渡所得とするか、もちろんこれは淘汰廃用牛というもの、これが固定資産であるかどうかということであるわけであります。所得税法の三十三条にこれは規定をされてあるわけでありまして、こういうものは固定資産ではあるけれども譲渡所得としては扱わないと言っているものも、例外条項ももちろんあるわけでございます。例外条項はどういうふうに明記されているかといいますと、「営利を目的として継続的に行なわれる」譲渡、これが例外になるわけであります。まさに素直に淘汰廃用牛というものを見詰めてみれば、これは営利を目的として淘汰廃用牛を売っているわけではなくて、淘汰廃用牛の場合には、まさに目的は乳を搾るために飼っているわけでありまして、肉を売るために飼っているわけではない。したがって、これは営利を目的として継続的に行われる譲渡ではないわけでありますから、所得税法三十三条の素直な解釈では、これは固定資産であって譲渡所得とみなされなければいけないということになるわけであります。素直に読めばですね。
 そしてまた、実際に国税庁が出しました、五十五年だと思いますけれども、基本通達というものがありまして、所得税二十七の一というのがあるわけであります。これによりますと、譲渡所得とみなされないものはどういうものがあるかというのでざっと書いてあるわけでありますけれども、貸し衣装業における衣装類の譲渡とか、あるいはパチンコ店におけるパチンコ器の譲渡、あるいは養豚業における繁殖用または種つけ用の豚の譲渡、養鶏業における採卵用の鶏の譲渡、こういうふうに書いてあるわけであります。こういうふうにまことに具体的に、徴に入り細に入り例を挙げてあって、しかも畜産関係のことがこれだけ出てくるのにもかかわらず、ここには牛のことは何一つ出てこないわけです。豚が出て鶏が出てきたわけでありますから、当然これはだれだって連想としては牛も出てくると思うわけでありますけれども、ここはきっと課税当局も自信がなかったと見えて、牛のことは何も出てこない。にもかかわらず、突然あるときからこれは譲渡所得ではないというふうなことを、解釈の変更をされたわけであります。
 実は、これを譲渡所得という制度を利用して、一つの控除を利用していたということは全国的には行われていなかったかもしれないわけでありますけれども、福岡国税局の管内では、福岡県酪連と福岡国税局との間に協定を結んだ。そして、そこでこれは譲渡所得とみなすということを文書でもって取り交わしているようであります。そして、今の時点で、ことしになって急に福岡国税局の方も、これはやはり譲渡所得ではないということで変更を申し出てきたようであります。実はその流れだけを見ますと、全国の酪農家の中で福岡県の酪農家だけがいまだにごねている、ごね得をねらっているというふうにも解釈をする、誤解をする向きが一部にあるわけでありますけれども、そうではなくて、これは青色申告の普及というものが福岡県の酪農家で特に高いわけであります。全国では青色申告は二五%程度でありますけれども、福岡県の場合は七〇%であります。これは長く優秀な税理士を雇って、どうやったら節税ができるかということを工夫を重ねてきたわけであります。むしろ福岡県以外のところではそのような研究が十分に進んでいなかった、あるいはそのような税に関する認識がなかったということでもって、この制度を利用していなかったということが実態であります。そういう経営について、まことにシビアな姿勢で経営に取り組んできたところが最後に残って、そしてそれが今急に解釈を違えて、新たな税負担を強いられているという状況にただいまあるわけであります。これは、ぜひとも従来どおり譲渡所得として認めるべきであろうというふうに私は思うわけであります。
 それともう一つ、譲渡所得かそれとも事業用の所得かということのほかに、もう一つこの点については論点が提起をされ得るわけであります。
 それはどういうことかといいますと、肉牛の生産については、肉牛を売ったことによって、従来から和牛についてはそうでありますし、また乳雄あるいは未経産牛についても、おととしあたりから一頭百万円以内については非課税というふうな扱いがなされているわけであります。これは我が国の食糧政策の一つの大きな柱になっていると思うわけであります。牛肉の量を我が国の国内で確保するという目標に従ってこのような特例措世がとられているわけであります。
 ところが、この中に入らない、特例措置の対象になっていない、非課税扱いになっていないただ一つのものが今言いました淘汰廃用牛であります。淘汰廃用牛だけがこの肉牛の特例措置から外されているわけであります。そうであれば、ここで一つ考えられることは、なぜ淘汰廃用牛がこのような免税措置から外されているかといいますと、これは先ほど、一番最初に私が申し上げました、営利のために売ったのではない、つまり肉として売っているのではないという解釈があるからこそ淘汰廃用牛だけがこの免税措置から外されているわけであります。
 したがって、つまりどっちかにしなければいかぬのではないか。つまり、これは肉として売るんだと考えているのならば、ほかの乳雄とか未経産牛と同じように淘汰廃用牛も免税の対象にしなければいけない。もしそうではなくて、これは肉ではないんだ、肉の増産の対象としては考えられないんだということであれば事業所得として考えることはおかしいというふうに、どちらに転んでも何も特例措置をしないで、ただ解釈だけを変えて税の増収を図るというのは首尾一貫していないというふうに思うわけであります。特に、もしこれで淘汰廃用牛というものを牛肉の一つの重要な供給源だというふうに考えたならば、これは飼い直しということを行えばいいわけでありまして、一たん乳牛として養ってきたものと肉牛としてこれを飼う場合には飼い方が違うわけでありますから、肉牛として飼って太らせてそこで売るという習慣をつければ、ともすれば我が国の牛肉の生産について将来不安定であることが危惧される向きもあるわけでありますから、この際前向きにこれを牛肉の一つの重要な供給源として考えて、飼い直しの方を奨励するというのも一つの考え方ではないかと思うわけであります。
 それらのことも含めて、淘汰廃用牛についての税制というものをすっきりしたものに、そして肉の供給あるいは酪農家の経営についてプラスの役割を演ずるような方向にはっきりした方針を確立すべきだと思うわけであります。
 これは大蔵省に聞くべきことでありますが、まず農林省がこの問題についてはっきりした考え方を持っていただかなければいけないわけでありますから、私、今大変長い話を申し上げましたけれども、趣旨に沿って前向きに検討をお願いしたいわけであります。
○谷野説明員 ただいま大変詳細にお話がございまして、拝聴をしておったわけでございますが、何分いろいろな論点が中にあるような気がするわけでございます。償却資産の扱いと償却後の資産の処分の問題、それから二つの税制の関連というような論点もございますし、この点につきましてはひとつよく実態等を調査の上、税務当局と相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○太田委員 ありがとうございました。
○阿部委員長 安井吉典君。
○安井委員 畜産振興審議会がきょう食肉部会で食肉の価格の諮問、あす酪農部会で乳価の諮問、こういう段階でありますので、価格問題を中心にして伺いたいと思います。
 まず、畜肉については、昨年酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律を私たちがここで審議をして成立をさせました。この法律は、今までは酪農だけの振興だったのが、牛肉をその中に一つ位置づけて、これは日本農業の戦略部門だ、そういうふうに政府も説明したし、私たちもそういう期待を持って審議に応じたわけであります。ですから、そういう大きな期待のもとに、農民の方も、指定食肉の安定価格は生産費、所得を補償し、その生産振興と酪農及び肉用牛、養豚経営の安定を図るための価格とすべきである、そういうことで御承知のように去勢和牛肉その他の去勢牛肉、豚肉というふうに農民の要求が出ていたわけであります。しかし、その期待と全く裏腹に、きょう出された諮問案は昨年度と全く据え置きという価格が諮問されているわけであります。
 短い時間で私もよく読んでいませんが、この諮問の価格の問い方は、例によってPイコール云々という大変難しい算式の中にいろいろな係数を入れ込んだ三通りの計算が行われて、全部計算してみたら大体去年と同じになってしまう、まさに神わざ的な計算方式をまた今度もおやりになっておられます。
 ただ、私が気になるのは、この資料の中にあります「昭和五十九年度指定食肉安定価格(案)総括表」というのがありますね。ここに総括的な説明、考え方を書いてあります。「五十九年度の指定食肉安定価格は、その生産条件、需給事情、その他の経済事情を総合的に考慮して五十八年度と同水準とする。」こう書かれています。私は、ここで一つ大事な考え方が落ちているのじゃないかと思います。畜安法の大事な考え方が落ちているのじゃないかと思いますが、お気づきですか。
○谷野説明員 五十九年度の指定食肉の安定価格の試算につきましては、ただいま先生からお話ございましたように、総括表の中で書いてございますように、「生産条件、需給事情、その他の経済事情を総合的に考慮して」、そこに掲げてありますような金額ということにしたわけでございます。
 計算の内容といたしましては、従来どおり需給実勢を基準とする方式を採用いたしまして試算をいたしておりまして、去勢和牛につきましては中心価格で一・九考の上昇、その他の去勢牛肉につきましては〇・一%の低下、豚肉につきましては〇・二%の上昇というふうに計数的には試算が行われておるわけでございますが、いずれも小幅でございまして、価格安定帯という趣旨から申しましてこれを変更するほどの変化ではないというふうに考えて、先ほど申し上げましたような諮問をした次第でございます。
○安井委員 審議官、あなた、一つ忘れているのですね。畜産物の価格安定等に関する法律の第三条第四項がこの規定なんですよ。それには「安定価格は、原料乳又は指定食肉については、これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、」決定する、こう書いてあります。あなた、大事なことを忘れているのですよ。初めの部分の「生産条件、需給事情、その他の経済事情を総合的に考慮」だけしか書いてない。大事な「再生産を確保することを旨とし、」という言葉がここで落ちているのです。つまり、私は、ここで書いたか書かないかということよりも、今度の価格決定に臨む農林水産省の態度が、一番大事なことが欠落していることだと思うのですよ。どうですか。
○谷野説明員 御指摘のように、法律の条文にはそのような趣旨が書かれておるわけでございます。私どもといたしましては、従来から需給実勢方式というもので算定をしておるわけでございますが、そういう価格の推移の中で、現在まで食肉の生産というものはおおむね消費の増大に沿って順調に推移をしてきておるわけでございまして、そういう結果といたしまして、法律の趣旨にかなっておるというふうに考えておるわけでございます。
○安井委員 だから、あなた方の考え方は法律違反だ、率直に言えばそういうことになるんじゃないかと私は思います。「その他の経済事情を考慮し、」それからその最後のとどめは「これらの再生産を確保することを旨とし、」決めるというのですよ。その「再生産を確保」という観点が初めからなしに、もう経済事情の考慮で、今のような状況だから去年の据え置きだと、初めに据え置きありき、それでいろいろな計算が起こされて、文章ではしなくもそれが暴露されている、私はそうじゃないかと思うのです。
 そして、今の御説明の中で、去年の告示と試算値とはほとんど変わりがないから、それで去年どおりにしたんだというお答えがありました。私、これをよく読んでみましたら、なるほどいろいろな加減をして試算が出されているわけでありますが、それにいたしましても、豚肉は中心価格が去年が六百八十九円で、この試算が六百九十円ですから、わずか一円ぐらいの差ですね。だから、去年どおりにしたというのはわかりますよ。その他の去勢牛肉についても、これも五十八年度のものが千二百八十五円三十四銭で、この試算値が千二百八十四円五銭ですから、これもほんのわずかの差だ、こういうことになると思います。
 ただ、去勢和牛肉の方は、あなた方がこんな難しい方式で計算した試算値は、上位価格で千八百五十一円、基準価格で千四百二十五円。この上位価格は、今年は千八百二十円ですよ。千八百二十円が試算では千八百五十一円八十六銭になっている。そして去年どおりということになると、試算よりも三十一円八十六銭だけ安く決めているわけですよ。基準価格においても二十五円七十六銭だけ安く決めているのですよ。去年とことしの試算とは余り変わりがないからというのは、うそじゃないですか。つまり、いろいろあなた方が加減してつくったこの試算値においても、一たん出たものを去年並みにするために三十一円も落とした価格で諮問をしているわけですね。おかしいじゃないですか。
○谷野説明員 ただいま御指摘のように、去勢和牛につきましては、この三つの中では一%強ということで上昇率が最も大きいわけでございまして、御指摘のような計数につきましては私どもも試算でお示しをしているわけでございます。
 こういう試算値が出まして、それを安定価格帯としては据え置きということにいたしました要素といたしましては、去勢和牛につきましては、これが上昇しております要因といたしまして、昭和五十四、五十五年度を通じます枝肉価格の高騰時の影響がかなり出ておるわけでございまして、その際にかなり牛肉の消費が減退をしておるわけでございます。さらにまた、肥育期間がかなり長期化をいたしておりまして、そういう意味で生産の効率性という点から多少問題があるのではないかというようなことも考えておりまして、これらの点を総合的に考慮いたしまして据え置きの諮問をしたわけでございます。
○安井委員 ですから、その他の去勢牛肉だとか豚肉については、試算をやってみても去年と同じ価格だった、これはわかりますよ。説明でわかるけれども、しかし、去勢和牛肉については、試算してみたら去年よりも三十一円も高い試算が出ている。それを去年並みに落とした価格で諮問をするというのはおかしいじゃないですか、どう考えても。初めの説明と全然違うでしょう。三十一円とかそういう数字は大した額じゃないと言っても、実際牛を飼っている農民にとってみたら、これはキログラムですから、大きな差ですよ。それを大した違いじゃないなんていうような言い方で、いいかげんな説明で過ごそうといっても、これは向こうの審議会の方ではどういうふうな議論になっているか知りませんが、私は今見つけましたので、これはおかしいと思いますよ。これは後でいろいろ検討していただくことになると思うので、私もこの質問は保留しておきます。
 それから、時間が短いから多くの問題を取り上げるわけにはいきませんが、では、今度は酪農の方に移ります。
 酪農については、農業粗収益では一応伸びてはいます。しかし、農業の所得率は大幅に低下をしていますね。また、低下をしている上に、資産に対する農業所得の比率、利回りとでもいいますか、これは昭和五十二年が一八・九四%から現在は九%台に落ちていますから、資産の大きさに対して約半分になっているわけですね。とりわけ負債の残高は、昭和五十二年に酪農家一人当たり千二百八十二万円ぐらいだったのが、五十七年には実に二千七百三万円と、二・一倍という膨大な上がりょうであります。
 こういうような悪化した状況にあるだけに、酪農家としたら大きな借金を返していくためには乳の値段が幾らかでも高くなってほしい、それから限度数量をふやしてほしい、それが期待なのであります。ですから、あすはその期待にこたえるような試算乳価を山村大臣一お示しになるのかどうか。聞くところによると、肉も据え置き、乳も据え置き、それでいくのだというようなことの腹固めを農水省はしているというふうな情報がありますが、あすはどういう諮問をされるおつもりですか。
○谷野説明員 乳価の方の諮問につきましては、現在検討をいたしておるところでございまして、先ほど申しましたような生産条件、需給の変化、畜産経営の状況等の要素を総合的に考慮いたしまして畜産振興審議会に諮問をすることといたしたい、かように考えております。
○安井委員 総合的に考慮したらまた据え置きになった、どうもあしたのあなたのせりふは大体私も見当つくような気がしますよ。
 現在、乳価を押し上げる要素もあると思います。さらに、押し下げる要素もないわけではないと思います。それはどういうふうにつかんでおられますか。
○谷野説明員 牛乳の加工原料乳の保証価格につきましては、主たる加工乳の生産地域の生産費を基礎として算定をするわけでございますが、いろいろの要素といたしまして、押し上げる要素といたしましては、その中に入っております労賃単価が上昇しているということが一つございます。また、配合飼料につきましては値上がりが昨年からことしへかけてございました、というような要素があるわけでございます。
 また一方、これを引き下げる要素といたしましては、生産費調査の結果等を見てみましても、一頭当たりの搾乳量が増加をいたしておりますし、また二頭当たりの労働時間が減少をしておるわけでございます。これらの要素が重なりまして下げの要素を構成するというようなふうに考えているわけでございます。
○安井委員 今価格問題は議論してもしようがないわけでありますけれども、ひとつさっきの畜肉の段階で私が申し上げましたようないいかげんなことで据え置きだなどというような諮問は絶対に出さないでほしいということだけ申し上げておきます。
 もう一つの問題は限度数量でありますが、昨年から二百十五万トンということに四年ぶりになったわけでありますが、しかし、ことしの最終需要は生乳換算で二百三十四万八千八百トンぐらいになるというふうに私ども聞いております。実際は二百十五万トンしか限度数量として不足払いの対象にならぬわけですね。しかし、二百三十四万トン以上も加工されている、加工ということで出回っているというわけでありますが、そこで今決められている限度数量というものの矛盾を感ずるわけですね。何でこうなっているのか、それをもう少し説明してください。
○谷野説明員 加工原料乳の不足払いの対象となっております関係の乳製品の需給の問題でございますが、これにつきましては、ただいまお話のございました数字にほぼ近いような数字ではないかというふうに私どもも考えておるわけでございます。
 ただ、その内容をいろいろと検討してみますと、例えば発酵乳でございますとか、あるいはいわゆる白い乳飲料でございますとか、本来でございますと生乳がこれに向けられるような性質のものが、不足払いを受けた、あるいはそれと同等の乳製品から製造されておるというような実態もあるわけでございまして、この数字をどのように評価するかということにつきましては、そういう問題を含めまして現在鋭意検討を行っておるところでございます。
○安井委員 検討は幾らしてもらってもいいのですけれども、しかし、現実に限度数量というのは、この分だけは生産農民がつくった乳を加工に向けますよ、市乳にすればもっと高く売れるんだけれどもということで、そこでこれが出ているわけですね。しかし、実際は出されたそれ以外のほかのわけのわからない乳で加工乳がつくられているということになれば、これは問題だと思いませんかね。それと、数字の上には事業団の放出も入っているんじゃないかと思いますね。その分はまだわかるのですけれども、それ以外の分が、はっきりオーソライズされたものでないものが充てられているということは問題だと私は思います。ですから、五十九年度はそういうようなことにならないような配慮で限度数量を決めなければいかぬのじゃないですかね。つまり、来年度の製品というものは、限度数量で出されたものだけで来年のバターや脱脂粉乳がつくられる、そういう建前を貫かなければならぬと思いますが、どうですか。
○谷野説明員 限度数量の考え方でございますけれども、先ほど来お話がございますように、限度数量を超えて乳製品ができておるという事実もあるわけでございます。私ども限度数量というものを考えます際には、実際にどれだけの乳製品が需給上消費されておるかということはもちろん基礎になるわけでございますけれども、そのような乳製品がどういう状態で生産され、どういう状態で最終消費者に渡っておるかということにつきましても非常な関心を持たざるを得ないわけでございまして、そのあたりのことにつきまして十分注意をいたしませんと、本来生乳をもって充てられるのが最も望ましいと思われるものに対しまして加工した製品からの迂回的な供給が行われるということになりますと、これはまたいろいろな制度の難しい問題点を構成するわけでございます。私どもはそういうことを現在総合的に考えておりまして、検討しておるわけでございます。
○安井委員 それでは観点を変えて、来年度の牛乳の需給見通し、とりわけ特定乳製品の需要にかかわる問題です。それについて農水省はどういうふうに見通しを持っておられるのか、それを伺いたいわけです。
 中酪会議は、総需要量を七百八万九千トンにして、特定乳製品の需要を二百トンにしていますよね。その問題を含めて、農水省としての考えを教えてください。
○谷野説明員 ただいま御指摘がございましたように、中央酪農会議は、総量で七百八万八千トン余りの生乳需給についての計画を立てておるわけでございます。私どもは現時点でいろいろ検討はいたしておりますが、全体の考え方を申し上げますと、生乳需給の総量については、私どもの試算とこの数字は余り大差はないのではないかというふうに考えております。
 しかしながら、用途別の需給計画につきましては、先ほど来申しましたとおり、製品についての考え方その他の問題がございますので、現在鋭意検討しておるところでございます。
○安井委員 メーカーの方の乳製品協会の来年の需給見通しは二百三十九万七千トンというふうに聞いておりますが、これらとの関係はどう考えていますか。
○谷野説明員 先ほど来申し上げておりますように、それぞれ長い歴史と経験をお持ちの団体が御試算になっているわけでございますから、私どもはそういうものを十分拝見をしなければならないと思っているわけでございます。
 ただ、不足払いの限度数量とこういう計算との関係ということでございますと、先ほど来申し上げておりますように、なお検討すべき問題点があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○安井委員 けさも私たち中央酪農会議から詳しい説明も聞きましたし、農民団体や農業団体、いろいろな皆さんから一応話は全部聞いて、私どもはその上での質問なわけでありますけれども、審議官は検討検討と言いますが、あした諮問案を出すのでしょう。あした諮問案を出すのに、今ごろ一月も二月も前の検討という言葉を言っているのはおかしいじゃないですか。もう腹が決まっていて、二百十五万トンの据え置きでいこうということで考えているものだから、検討という言葉できょうだけごまかそうとしているのじゃないですか。どうも私はそんな気がしてならぬわけですね。あした出さなければいかぬでしょう。もう印刷までできているのじゃないですか。そういうその場逃れの検討では困ると思うのですね。ひとつもう少し明確な答弁を願いたいと思います。
○谷野説明員 大変恐縮でございますが、私どもも現在鋭意検討しておるところでございますので、これ以上のことは申し上げかねるわけでございます。
○安井委員 大臣、ちょっとおかしいのじゃないですか。あしたですよ。あしたまで何時間あるのです。大臣のお考え、ちょっと聞かせてください。
○谷野説明員 私どもといたしましては、先ほど来申し上げましたようないろいろな要素についてはそれぞれ検討を重ねてきているわけでございますけれども、なお最終的な決定には至っていないということでございまして、本日のところはこれでお許しいただきたいと思うわけでございます。
○安井委員 短い時間ですからもう余りやりとりしている余裕もありませんので、別な側面から聞いていきたいと思いますが、畜産振興事業団の在庫です。現在どれくらいあるか。去年は十一万トンでしたか、放出をしてしまって、もうほとんど在庫はないのですよね。ですから、来年度は、乳製品の中に事業団の放出を入れてそれで全体的な需要を満たしたという経過があるのですけれども、もう事業団は出すあれはないでしょう。いっか緊急輸入というので、バターを三千トン入れましたよね。その余りが少し残っているだけじゃないですか。一月分もあるかないかでしょう。ですから、その需要の問題について、畜産振興事業団の現在の在庫状況はどうなのかということ。恐らく放出の見通しはないのじゃないかと私は思うのですがね。その点が一つ。
 それからもう一つ、民間在庫について、きょう資料を見ましたけれども、余りそういうのが書いてないような気がするのですが、民間在庫について現在どういうふうに見ておられますか。
○谷野説明員 畜産振興事業団の在庫は、ただいまお話がございましたように昨年かなり放出をいたしまして、現在持っておりますのは、バターで約一千トン、脱脂粉乳では九千トンということに相なっているわけでございます。
 民間在庫でございますが、民間在庫につきましては最近減少してきた傾向が、昨年の暮れあたりから少し様子が変わってまいりまして、私どもの調査したところによりますと、バターについては二月末で大体二・七カ月分程度、それから脱脂粉乳については大体ニカ月程度の民間在庫がある、このところ多少ふえぎみであるというふうに理解をいたしております。
○安井委員 在庫がもうないのですね。底をついてきているということからすれば、これはどんなことがあっても新しく搾った乳で来年の乳製品をつくらざるを得ないということになるわけです。そういうことからすれば、逃げ道がないのですよ。どうしても限度数量を上げなければいかぬじゃないですか。それとも、いっかみたいに突然バターの輸入をやる。農民の憤激を買ったし、私どもも全く無視されたわけです。怒りに狂ったことを今思い出しますけれども、そんなような安易な考え方を持って、検討という言葉でごまかそうとしても困るのですよ。緊急輸入というようなことはまさかしまいと思うし、それからまた放出の可能性もないと私は思うのですが、その点はどうですか。
○谷野説明員 ただいま御説明を申し上げましたとおり、民間在庫につきましては、バターは二・七カ月分程度あるというふうに私ども理解をいたしておりまして、これは決して低い水準ではないと考えております。したがいまして、放出の点につきましても、現在事業団といたしまして早急に事業団在庫を放出する予定はございません。
 以上のような条件でございますので、私どもとしましては、現時点でバター、脱粉ともにこれを輸入するという考え方は今のところ持っていないわけでございます。
○安井委員 それはよく伺っておきます。
 そこで、限度数量をふやせば、乳価を上げなくても結局政府の財政支出がふえるから、その金の出どころがないだろうということでさっきからあなたの検討という言葉になっているのじゃないかと思うのですけれども、昨年の場合も例の基準取引価格を三円五十六銭引き上げて、乳業会社がその分だけ利益を吐き出した形になるわけですね。ところが、吐き出したにかかわらず乳業会社の利益は大いに上がっているわけですね。これは政府の資料の中でも明らかです。私、細かい数字を持っていますが、言いませんけれども、利益が非常にふえていることだけは間違いありません。しかも、需要はますます高まっているというような状況もありますので、やはり安定指標価格の問題でもう一度考えてみるという可能性はありませんか、どうですか。
○谷野説明員 安定指標価格の問題につきましては、やはり消費の問題を私ども考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。現在、乳製品の価格はかなりいい水準にあるということでございまして、その点では支障がないわけでございますけれども、これにつきましては、他の製品等々の関係もございまして、私どもは慎重に対処しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○安井委員 私が今申し上げたような処理の方法は全く考えていないのかいるのか、これもあすまでの何時間かの問題ですよ。どうなんですか。
○谷野説明員 メーカーの製造経費の査定等につきましては、従来から私どもそれなりに厳しく査定をしてきたつもりでございまして、一般的な他の食品企業等々との関係から、いろいろとそちらの方面からの御議論もあるわけでございますが、私どもといたしましては、例年どおりこの製造経費につきましてもきちっとした査定をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、数字の点につきましては、先ほど来申し上げておりますようにまだ最終的な考えを決定をいたしておりませんので、御容赦をいただきたいと思います。
○安井委員 まだたくさん問題がありますけれども、もう一つ伺っておきたいのは、酪農経営の負債の問題です。
 さっきも、私、数字を上げましたけれども、負債整理資金は従来からもいろいろ計上されておりますが、負債残高は上がる一方であるわけですね。そういうような状況の中で、必要な資金枠の確保、債務保証の機能の充実、あるいはまた既往の借入金の償還期限の延長だとか金利の負担軽減だとか、一番望まれている長期低利特別融資の措置、こういうようなさまざまな要求が出ているのは御承知のとおりであります。もっと具体的な対応があってもいいと私は思うのですが、短い時間でなんですけれども、ひとつ考え方だけお聞かせください。
○谷野説明員 酪農経営の負債整理対策の問題につきましては、拡大の過程においてかねてからそういう負債の増加という問題が指摘をされておるわけでございまして、私どもも五十六年度から負債整理につきまして特別の措置を設けて実施をしてきておるわけでございます。北海道を中心といたしまして、いろいろ都道府県及び農協等の御協力を得まして現在のそういう計画が進んでいるわけでございまして、当初の計画を超えた金額についての御要望があったわけでございますが、私どももそれなりの対応をしたわけでございます。現在既にかなりの金額になっておるわけでございますけれども、既に貸し付け等につきまして決定をいたしました農家の将来の資金需要につきましては、さらにその年々で十分検討の上対処をしてまいりたいと考えております。
○安井委員 もう一つ、今のハイテクノロジーの段階で、酪農についても情報システム、INSの導入が北海道で進んでいます。横路知事のその計画の中にも、ずっと五十九年度の予算も組まれているわけですが、つまり酪農経営の生体管理、えさの管理、繁殖情報、衛生管理の情報、牛肉の改良に関する情報、土壌や飼料作物管理、それから経営管理、そういったような情報を、現在これはばらばらに、それぞれ農林水産省の出先やら道の出先がみんなあるわけですけれども、それをコンピューターシステムに載せた仕組みを考えていて、とりあえず北海道の十勝地方にモデルパイロット事業を実施するということで、五十九年度でも道費で約三千万円くらいの予算をつけてやっているようであります。この全体的な計画はなかなかおもしろいし、また畜産局の方でもお聞きになっているんじゃないかと思うのですけれども、管理が十分に行き届けばえさだってむだなえさなしに飼養効果を上げるということにもなるだろうし、その他の生産管理も、若干コストがかかるわけですけれども、その投入コストを上回る成果が上がるのではないかという期待があるわけであります。
 きょうは時間がありませんので詳しい話はできませんけれども、自治体が現にこういう計画を立てている段階ですから、国の段階においてもこれらに協力をしていく、資金援助をしていくとか、そういうような考え方が今後必要ではないかと思います。ハードのいろいろな問題もあるし、それからソフトの開発についてもお金が大分かかりますからね。そういうような考え方をぜひ持っていただきたいと思いますが、どうですか。
○谷野説明員 コンピューターの向上によりまして、いろいろの分野にコンピューターの導入が可能になったということは御指摘のとおりだと思うわけでございます。現に先進的な農家におきましては、既に飼料の計算その他に小さなコンピューターを導入するということもいろいろあるわけでございますが、コンピューターの利用のためにはいろいろなデータの整備その他のバックグラウンドの整備が非常に重要であるということは御指摘のとおりだと思うわけでございます。私どもといたしましても、さらに研究をしたいというふうに考えております。
○安井委員 最後に、大臣に伺います。
 さっきからお待ちかねだと思いますから、ぜひ誠意のある最後の一発回答を願いたいと思うのですが、きょうは畜肉の諮問、その諮問は全く私ども、さらにまた農民の期待を裏切ったものであったと思います。しかし、諮問で決まったわけではありませんから、これから最終段階、今月中に結論を出すということだし、それから乳の問題についてはあすの問題で、畜産局も随分検討に検討を重ねているようです。したがって、乳の問題については、ぜひみんなの期待を裏切らないような諮問案を出していただきたい。そして最終的には、日本の農業の成長部門である肉や乳の問題に前途が明るく開けるような、そういう農政を展開してほしいと思います。そのことのお考えを伺いたい。
 佐野経済局長、せっかくおいでいただいたのですが、時間の関係で失礼しました。それだけ申し上げて、私の質問を終わります。
○山村国務大臣 あす諮問をいたしまして、畜産振興審議会、この意見を聞いた上で、先ほど来政府委員の方から申し上げておりますように生乳の生産条件また需給事情、酪農経営の状況等、これを総合的に考慮して、そして三月末までに決定するという方法で原則としてやらしていただきます。
○安井委員 終わります。
○阿部委員長 串原義直君。
○串原委員 まず、大臣に伺います。
 二十二日からワシントンで開かれました日米農産物交渉は、アメリカ側が大変強い姿勢を崩さなかったということから、月内解決の糸口を見出せないまま日程を終了したようであります。私は具体的なことはわからないけれども、報じられるところ、アメリカの要求はとても無理なものである、こういうふうに判断をしている。ここで政府が米国の要求をのんで枠拡大が行われるとするならば、あすの日本の農業というものは崩壊の道をたどっていく、将来に大きな禍根を残す、こういうことになろうと思う。このような情勢になればなるほど、農林水産大臣は、輸入自由化はもちろんのことですけれども、枠拡大阻止のために毅然たる態度で対処すべきだと思う。ある報道によりますと、そろそろ政治決着をというようなことを考えている向きがあるとか言われますけれども、私は絶対に容認できない。
 この際、大臣の所見を伺っておきます。
    〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
○山村国務大臣 残された日数は少なくなってまいりました。できれば何とか月内という気持ちは変わりませんが、しかし、期限にとらわれて無理な決着を図るつもりはございません。
 ただ、二十二日から佐野局長に行ってもらいまして、昨日佐野局長が帰ってきたわけでございますが、牛肉、かんきつ、十三品目、これらを、かなり核心に迫ったところまでいったのですけれども、依然として日米間の隔たりが大き過ぎます。しかし、今我々といたしましては、そうかといってこの交渉が決裂したわけではございません。アメリカ側からも、今後とも話し合いを続けていこうということで双方は合意しております。しかし、現段階において日本側といたしましては、先方の出方を見守りたいというのが今の我々の姿勢でございます。
○串原委員 大臣に重ねて伺いますが、牛肉、オレンジ等々、特に牛肉の場合、我が国は輸入量について譲れない限度量というものがあるはずなんです。あえて私は、きょうは、大臣はどう考えていますかと量のことは触れません。触れませんけれども、限度量というものはあるはずだ。そうでしょう。大臣、答えてください。
○山村国務大臣 私は、何回もこの委員会で答弁いたしましたが、今度の農産物輸入に関しましては、農産物の輸入というのは、我が国農産物の需給動向を見た上で、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展するというのを前提にしてやっていかなければならないと思います。そして、着実に発展するというのが限度数量であろうと私は思います。
○串原委員 私は、きょう、あえて数量には深入って触れませんけれども、言うならばこれ以上超しては困るという線があるはずだ。限度量というものがあるはずだ。大臣、そうでしょう。だから、あえて私は再度伺いませんけれども、その限度量というものを超えて話し合いをしなければならぬという懸念がある場合には、月内決着はもちろん、いささか契約の切れた期限が、例えば二月、三月延びることもあるでしょう、延びるとも、限度量を超えて話をしなければならぬかなという懸念がある場合には、農林大臣、アメリカに行っちゃいかぬと私は思う。行っちゃいけません。いかがですか。
○山村国務大臣 このたび佐野局長が帰国いたしましたのも、その限度量をかなり超えたものでございまして、とても受け入れられないということで帰国したわけでございます。ですから、我々といたしましては、この期日にとらわれて無理な決着はいたさない、こういうぐあいに申し上げております。
○串原委員 大臣、佐野局長が御苦労なさっていることは、私は労を多といたしますよ。いたしますけれども、大変な事態ではあるが、今大臣が言われるように限度量をいささか超えた要求を今なされているわけでありまするから、その状況の余韻があるうちには、大臣、アメリカへ行っちゃいかぬ。行きません、こういう明確な答弁をしておくべきだと思う、我が国農民のために。どうですか。
○山村国務大臣 何遍も申し上げておりますように、期限にとらわれて無理な決着はいたしません。
○串原委員 それでは、そういうことで無理な決着はしない、妥協はしない、きちっとした腹を大臣はお持ちで答弁をされたということで、次に進んでいくことにいたします。
 先ほど私どもの安井委員も指摘をいたしましたが、本日肉畜価格の審議会が始まりまして、畜産価格の諮問が行われました。資料をいただきまして、すばりと申し上げますと、まさに据え置きのための逆算と私は思う。大変な資料をいただいておるわけでありまするけれども、非常に難しい計算がなされた資料をいただいた。ところが、結論は据え置きということを決めておいて、そのために計算機を走らせただけにすぎないと思う。物価は上がる、農業資材は上がる、労賃は上がる、飼料は上がる、それなのに肉畜価格だけは据え置きでよろしいという計算がどう出るのですか。一口でお答え願います。どうですか。
○谷野説明員 先ほどお答え申し上げましたように、それぞれの食肉につきまして昨年と同じ算式の中にそれぞれの過去のデータを入れて計算をしたものでございまして、その結果が先ほど来お話し申し上げておりますように、物によっては〇・一%の引き下げ、下に来るわけでございますし、物によっては一・九%前年を上回るという数字になった結果でございまして、算式その他につきましては、昨年と同様の計算をしておるわけでございます。
○串原委員 算式の資料につきましては今申し上たようにいただいてありますけれども、私の伺うのは、実際の農家は大変苦しんでいる。賃金は上がる、えさ代は上がってくる、農業資材は上がってきている。それなのに肉の価格だけは上がらない、据え置き価格になります、去年と同じ計算になって出てまいりました。どういう下がる要素があったのでしょうかということを聞いているのです。
○谷野説明員 試算価格の方式につきましては需給実勢方式というものを採用しておるわけでございまして、過去においての価格関係が比較的安定的に推移しておるというのが基本になっておるわけでございます。
 なお、基準期間におきます生産費の関係につきましては、これを五十九年度の数字に置き直して計算いたしておるわけでございます。
○串原委員 私の聞いているのは、私の常識で判断いたしますと、畜産農家は、賃金は上がっております、飼料代は上がっています、資材代は上がっております、にもかかわらず据え置きになるということは、何か反対に下がっている、経費が下がっている要素があるはずだ。そうでなければ、肉畜価格だけが据え置きということにはならないでしょう。下がっている要素はどういうことなんだ、私にはわからない、こういうことを言っているのですよ。簡単にお答え願えませんか。わかるでしょう。
○谷野説明員 私どもの話間の基礎になっております資料は需給実勢方式でございまして、いろいろの要素があるわけでございますが、基本的には過去における価格の安定というものが反映されておるわけでございます。
 なお、生産費の方の関係でございますが、これにつきましては、生産性の向上によりまして労働時間は下がっておりますし、また、物によりましては子牛の値段が今回出荷されるものについては相当低いものがあるわけでございますが、私どもの基本的な考え方は需給実勢方式での数字をはじいて諮問しているわけでございます。
○串原委員 価格論議だけしておりますと時間が過ぎますから、これ以上申し上げませんが、私はあえて強調したいことは、まさに据え置きのための逆算価格である、こういうことを強く指摘しておきたいと思う。また機会を改めて時間を得て議論をしてみたい、こう思っているところです。
 時間の関係上、進めさせていただきます。
 次に、蚕糸問題につきまして伺いまするけれども、五十九年度、つまり本年産繭を二五%減産いたしまして四万七千五百トンとする、こういうことに決めたということが報道されました。大変なことです。つまり、農家にとりましては所得が二五%減少したということと同じです。私の承知しております範囲内では、生産者、つまり養蚕農家の皆さんは絶対にこんなことは承知できないということで強く反対をしているわけでありますが、どんな経過でそういうことになったのか、御説明を願います。
○小島(和)政府委員 近年、絹の消費量が年を追って減少してきております。最近の数字で申しますと、昭和五十三年ごろには大体四十六万俵ほどの消費量がございました。これは国産、輸入を問わず国内で使われた総消費量でございます。それが昨年の場合で申しますとついに三十万俵を切りまして、二十九万俵余となっております。これは暦年で申し上げたわけでありまして、会計年度で申しますと、この五十八年度は二十八万俵程度になるというふうに見られておるわけでございます。
 この間、消費の減少に見合いまして輸入の削減、さらには需要の喚起が必要でございますので、考え得るいろいろな需要拡大対策をやってまいりました。二年ほど前には当委員会の御発議によりまして、需要拡大のための新規用途売り渡し等につきましては減額売り払いの道も講じたわけでございます。しかしながら、需給事情は依然として改善をいたしませんで、これに反比例的に事業団の在庫はふくれ上がってきておるわけでございます。この一年間で見ましても約三万五千俵ほど新規の買い入れをいたしましたし、また別途養蚕団体と製糸団体が金倉を負担し合いまして四千八百トンほどの繭を明年度に持ち越しておるわけでございます。こういう事態が今後も続くということになりますると、ただいまの繭糸価格安定制度の一つの軸となっております蚕糸砂糖類価格安定事業団の運営も危殆に瀕してまいりますし、ただいまの中間安定制度も守り切れないという事態が出てくるわけでございます。
 それらを考えましていろいろ検討いたしました結果、これまで国産につきましてはこういう需給事情の中でも減産ということはお願いしてこなかったのでございますが、事ここに至りましては減産もやむを得ないということで、この一月以降生産者団体等に呼びかけをいたしておったわけでございます。
 具体的には、この二月の中旬に繭計画生産推進協議会というのを生産者団体、都道府県、その他の関連団体を含めまして開催をいたしまして、二月の下旬に至りまして具体的な方針のようなものを決めたわけでございます。
 かいつまんで申し上げますと、官民一体となって減産指導を行う、生産目標につきましては私どもの方と養蚕団体が相談をして決める、決めた目標については国から都道府県、都道府県からさらに都道府県の末端指導機関まで配分をするというふうな趣旨のものでございます。
 その後、生産者団体とどれぐらいの目標にするかということについて相談を続けてまいったわけでございますが、先週末に至りまして、ただいまお話しになりました四万七千五百トン、これは昨年の基準収繭量に対しまして約二五%減の数字に当たります。昨年の実際の繭の生産量に比べますと二二%ぐらいの減産ということになるわけでございまして、そういう目標でことしはひとつ何とか需給改善の努力をしてみよう、こういう経過でございます。
○串原委員 つまり、農林省がそういう考え方を示して、生産者団体は承知をした、了解をした、こういうことですか。
○小島(和)政府委員 生産者団体からも若干の事項についての前提条件と申しますか、注文がついておるわけでございますが、そういう注文を踏まえながらこの目標については同意をする、こういう経過になっております。
○串原委員 その若干の前提条件というのはどういうことですか。
○小島(和)政府委員 一つは、今後とも生糸、綿製品等についての輸入の削減に努めるということ、第二には現在の繭糸価格安定制度の堅持、第三には基準糸価の維持、第四には繭の生産性の向上及び減反推進に必要な助成をしてくれという四項目でございました。
○串原委員 これは、局長、若干の前提条件なんという表現じゃないと私は思う。大変なことですよ。今示された四項目を具体的に、養蚕団体、生産者団体、養蚕農家の期待にこたえて示していくということになりますと、これは大変なことでございます。これは、今示された四つの条件、前提条件とあえて言いましょう、これを承知をして、頑張ろう、やりましょう、こういうことにして、農林省と生産者団体が二五%減産ということで合意をした、こういうことですか。
○小島(和)政府委員 そういう生産者団体からの御注文であるというふうに受けとめておるわけでございます。私どもも最善を尽くしたい、かように考えております。
○串原委員 最善を尽くすということは当然でしょうけれども、この四つの前提条件は、ただ単なる陳情とか要望とか、そういうものでない受けとめ方を政府はしなければならない。何としても努力をしてやらなければいかぬ、こう思う。その受けとめ方をあなたはどう考えていますか。
○小島(和)政府委員 単なる陳情という域を超えたものというふうに受けとめております。
○串原委員 大臣、今の私と局長とのやりとりでお聞き及びのように、二五%減産の方向というものは大変だと思う。下手なことをいたしますと、日本の伝統産業と言われる養蚕、蚕糸業が崩壊する、あるいは消えていってしまうという運命にあると言っても言い過ぎではない、この方向で行くならば。重大な事態だと思う。そして、前提条件と言われた、今局長の答えられた四条件、これを達成するにも政府の立場では大変な汗を流さなければならぬ重大な課題だと思うのです。これを大臣としてどう受けとめ、この好ましくない二五%減産、五年前から比べますと日本の繭生産は半分に落ちたということになるわけですよ。この重大な事態に対して、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○山村国務大臣 養蚕業というのが戦前に比べて確かに農業生産全体の中ではかなり落ちてきておる。戦前は農業生産の四分の一、二五%を占めていた。現在は二%弱というようなことだそうでございます。しかし、これは山村や農村において農業経営上重要な複合作物の一つであると認識しております。この繭糸価格安定制度の運営等を通じて養蚕業の保護育成を図ってきたところでございます。
 しかし、最近、先ほど局長からお話がありましたように、五十三年度をピークといたしまして内需が著しく落ちておるということを聞きまして、今、局長、二五%減、そして四万七千五百トン五十九年度生産ということ、これを生産団体の皆さんと約束したようでございますが、これにつきましては、ただ単なる約束とか陳情とかなんとかというものじゃなくて、何が何でもやらなければならない問題だ、そういうぐあいに考えております。
○串原委員 その決意を踏まえて進めてもらいたいわけでありますが、その立場で、若干いまの四条件について議論を深めてまいりたいというふうに思っているわけであります。
 まず、難しいことではあろうけれども、今の前提条件の第一の、生糸、絹織物の輸入阻止、輸入削減、まことに重要な問題であろうと私は考えているわけです。これはある新聞でありますけれども、小島局長はこういうことを言っているわけですね。これは、言われたから記者の方が書いたと思う。「「バケツに水があふれたら、水道の元栓を締めるのが常識だ」とたとえ、繭減産が制度を守る」ことになると言われた、こういうのであります。バケツに水があふれているというその原因は、二つ水道の口があることを理解しなければいけませんね。国内生産と輸入。どっちの水道を締めるかということが腹の据えどころじゃないか、こう思っているのですよ。
 まず、国内の養蚕業を守る、蚕糸業を守るという立場に立って、苦しいことではあるけれども、この際輸入という水道の蛇口を締めなければならぬ、私はこう考えておる。簡単ではないことは承知しておる。しかし、これはやらなければならぬ。そうでなければ国内の養蚕業、蚕糸業が崩壊してしまう。こういう事態でありますから、これは従来と違った腹固めをしてもらわなければならぬ、こう考えているところです。これにどういうふうに対処しますか。
○小島(和)政府委員 おっしゃるとおり、私どももまず外国からの方の蛇口を締めにかかっておるわけでございます。五十三年と五十七年との協定ベースの輸入量を比較いたしますと、生糸につきましては、五十三年対比で既に七割減らしておるわけでございます。絹糸につきましては、大体五〇%弱減らしております。それから、絹織物は面積ベースで約四割減らしておるわけでございます。その意味では、既に自由化してある品目につきまして、日本の苦しい事情を相手国によく説明をいたしましてここまで減らしてきたというのは、自分の口から言うのも変でございますが、並み大抵のことじゃなかったということも御了知願いたいと思うわけでございます。
 しかしながら、ここまで減らしてまいりましたけれども、さらに大幅にまたこれを減らすというふうなことができるのかどうかということになりますと、相手も発展途上国が大部分でございますし、大幅にカットするということについてはなかなかいろいろ難しい問題が出てくるわけでございます。その意味で、三十万俵弱の消費に対しまして国産が二十万俵ぐらいでございます。残りの三分の一の方を若干締めるというふうなことではもはや対処できない事態まで来ていると思います。三分の二を占めております国産につきましても相当程度の減産をお願いしなければ、先ほどの例えではございませんが、バケツの方があふれてしまう、こういう危機感に基づきまして協力方をお願いした、こういう経緯でございます。
○串原委員 したがいまして、局長、これは数字は若干違うでしょうけれども、私の手元にある数字では、去年、つまり五十八年度の絹の需要はおよそ三十一万六千俵、三十一万俵前後、国内の生糸生産数量は二十万余俵。つまり、そういたしますと、生糸の供給不足量、これは十一万から十万九千俵前後ということになりますね。足らないことは明らかですけれども、この国内生産だけじゃ足らない部分について、輸入しなければならないが、在庫がふえているわけでありますから、在庫がふえているという状況を踏まえて私はあえて申し上げまするけれども、生糸と絹製品を、苦しい話し合いをしなければならないが、我慢をして完全に一年輸入をストップをしたならば適正在庫に戻る、これは単純計算でありますけれども、単純計算でいって適正在庫に戻るという計算になる。どんなに譲っても一年半で事業団の適正在庫五、六万俵にはなる計算になるはずです。これだけの努力を通産省等とも連絡をとり合いながらやらなければならない時代に来た、こう思う。その決意をお持ちですか。
○小島(和)政府委員 私どもも、気持ちとしては全量輸入をストップできればいいなと思っておるわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、これは日本の蚕糸業がまだ国際競争力が非常に強かった時代に既に自由化した商品ばかりでございます。また、一部のものは工業製品でもあるわけでございます。したがって、これを完全にストップするということは、口で言うことは簡単でございますけれども、相手国との関係等を考えますと容易ならざることでございます。その意味におきまして、計算上は確かにおっしゃるとおりでございますけれども、全面的にとめるというふうなことは到底不可能だと私どもは考えております。
○串原委員 したがって、完全に一年ストップをするということは、これは確かに無理でございましょう。単純計算でいくなればそういうことになりますというように私は申し上げたわけですけれども、不足部分が仮に十万俵の場合、輸入量を半分にして二年間で適正在庫に持っていくということは計算上不可能ではないはずです。したがって、非常な努力をする中で、農水省だけではなくて通産省とも連携をとりながら、何としてもこれだけの犠牲を農家に求めるならば、輸入の蛇口を締めるということも全力を挙げなければならぬ。今までと同じような考え方ではとてもこれは解決しない、こう考えているわけです。重大な事態だと思うから決意を新たにしてください、しなければいけません、こう申し上げているわけですよ。いかがでしょう、もう一度。
○小島(和)政府委員 輸入交渉の場合には常に日本側の事情は篤と説明をしてあるわけでございますが、同時に、相手国の事情もあるわけでございます。今般これだけの国内措置をやるということは、交渉の場におきましても一つの大変有力な材料として相手国を説得するに足るものであるというふうに考えております。
 しかしながら、先ほども申し上げましたように、既に輸入につきましては相当な削減をしてきているという事情も一つお考えいただかなければならぬわけでございます。昭和五十三年当時約四十六万俵の消費があったと申し上げましたが、そのうち国産が約二十六万俵ぐらい、輸入が二十万俵ぐらいございましたが、五十八年の数字で申しますと、二十万俵の輸入が大体十一万俵ぐらいになってきているわけでありますから、既に五割近い削減を相手国に押しつけてきておるという経過があるということもひとつ御了承いただきたいと思います。
○串原委員 なお一層の努力をするように、強く要請をしておきます。
 そこで、次の問題でありますが、話し合いの中における前提条件の次の問題。
 繭糸価格安定制度、これは大臣に伺いまするけれども、時によりますと、この安定制度が揺らぐのではないかというようなうわさも一時出たこともあるわけでありまして、この問題については生産者団体、養蚕農家とも非常に神経をとがらしている。この制度が揺らぐようなことがあってはならない、こう思う。したがいまして、繭糸価格安定制度につきましては将来ともに堅持していくべきである、いささか厳しい条件が出てきても堅持していくべきである、こう私は思うのでございますが、大臣の所見を伺っておきます。
○山村国務大臣 先生御存じのとおり、蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫は現在十七万五千俵と言われております。まさに危機に瀕しておると言ってもいいと思います。私は、今言われました繭糸価格安定制度、これは引き続く需要の大幅な減退、需要構造の変化等に伴い極めて厳しい立場に立たされておるというぐあいに思います。
 今、学識経験者から成る研究会を開催して検討を行っておるところでありますが、私といたしましては、我が国蚕糸業の基本的な制度である繭糸価格安定制度については、伝統ある我が国蚕糸絹業の健全な発展を基本に置きつつ、研究会の検討結果を見て適切に対処したいというぐあいに考えております。
○串原委員 研究会の検討結果ということでございまするけれども、その研究会において検討願うことは大変結構でありますが、大臣としてはこの制度は堅持しなければならぬ、こう考えているのかどうかということを私聞いているのです。
○小島(和)政府委員 繭糸価格安定制度につきまして検討を進めているゆえんのものは、臨調の御指摘ということもございますけれども、私どもとしても若干の問題意識を持っておるわけでございます。と申しますのは、一つの安定帯の中で価格を支持するという仕組みは、これは畜産物なんかでも同様でございますけれども、値段が下がりました場合には事業団が買い入れ、保管をする、値段が上がりました場合にはそれを放出するということで価格の安定を図るという仕組みでございます。そのためには、前提として需要の変動が循環的にくる、こういう前提でございますが、最近のように需要が年を追うて落ち込むだけということになりますと、事業団は買い入ればありましても売り払いができないということになるわけでございます。そのことがまた今日のこの難しい局面の理由でもあるわけでございますから、果たして今後の絹全体についての需要の水準なりあるいは構造なり、それをどのように見るかという問題が一つあるわけでございます。
 いま一つの問題は、かつてこの制度ができました当時におきましては、日本国内だけの供給を念頭に置けばよかったわけでございますが、今、大体四十年代後半ぐらいから日本の蚕糸業の国際競争力が急激に失われてまいりまして、輸入品も入ってくる、こういう事態の中で国産と輸入とをどのように調整していくのか、こういう問題意識があるわけでございまして、ただいま行われております一元輸入制度も、生糸につきましてはその意味で大変効果的な対策でございますが、生糸を抑えれば絹糸あるいは織物、さらには二次製品という形で入ってくるということが避けられないわけでございます。そういった国産と輸入とのいわば調整の仕組みというものについてどのように考えていくのか。
 この二つが研究会としてぜひまとまった結論を出していただかなければならぬ問題だというように考えておるわけでございまして、その根底にありますのは、先ほど大臣から申し上げましたように、何とか我が国の蚕糸絹業の安定的な維持発展を図る、こういう観点からであることにおいては変わりないわけでございますが、今のままでいけるかどうかということで検討しておる、かように御理解いただければ幸いでございます。
○串原委員 それでは、研究会の議論も踏まえて若干の経過を見させていただくことにいたしましょう。
 次の、条件の三つ目でございますか、この現行基準糸価の維持の要請につきましてはどう判断しておられますか。
○小島(和)政府委員 大変もっともであるという受けとめ方をいたしておるわけでございます。
 ただ、一面におきまして国内の生糸の需要者でございますところの絹業者の側からは、今の糸価ではなかなか事業継続が困難である。織物業が寂れてしまいますと我が国の生糸は売り先を失うわけでございますので、そういう意味で絹業者の側からの何とか基準糸価の引き下げをしてくれという要望があるということも事実でございまして、そういった相異なる要請に対してどのように調整をして結論を導き出すかというのがただいま頭を痛めておるところでございます。
○串原委員 時間が参りましたから進めてまいりますが、前提条件と言われた中のお話の四つ目、繭の計画生産、生産性向上にかかわる助成措置ということにつきましては、現状どう考えていらっしゃるか。そこで、二五%繭の生産を制限するとするなら、つまりことし二五%桑が余るわけですよ。日本じゅうの桑が余る、そう言えるわけですね。余った桑はどうするのですか。
○小島(和)政府委員 繭の生産量の上限と申しますか、それは桑園面積によって確かに規制されるわけでございますが、同じ桑園面積がございましても、どれだけの掃き立てをするかということは個々の経営の態様によって違ってくるわけでございます。年に五回、六回とお蚕を飼う人もいれば、二回、三回にとどまる人もおるわけでございます。したがって、減産が即一定の桑園が不要になるというふうには必ずしも考えてないわけでございまして、その保有桑園の中で掃き立ての箱数を調整するという形で対応をしていただくのがいいのではないかと考えておるわけでございます。
○串原委員 そういたしますと、繭の計画生産、生産性の向上にかかわる助成措置という要請につきましては、どういう判断を今なさっていらっしゃいますか。
○小島(和)政府委員 これだけのことを進めるわけでございますから、全く手ぶらというわけにはまいらぬわけでございまして、減産を進めるための直接的な対策というもので国の助成にふさわしきものがあれば助成するにやぶさかではないわけでございます。具体的にどういう事項について助成をしたらいいかという問題については、なお生産者団体と詰めたいと思っております。
 それから生産性向上に関する助成の方でございますが、生産性向上に関する対策というのはもちろん必要なわけでございますが、こういう時期においてはややもすれば生産刺激的な効果をもたらすという意味がございますので、私どもとしてはできればことしのようなときには生産性向上のための対策も一回休みにしたいという気持ちを持っておるわけでございますが、生産者団体側からの要請でございますので、どういう意味の対策ならば今回の減産対策を損なわずに、かつ今後に向けてのコストダウンに貢献するかということを十分詰めまして、必要な対策があれば助成をいたしたいと考えております。
○串原委員 この計画生産あるいは生産性向上にかかわる助成措置については、生産者団体と話し合いをして、いい方法があれば考えていきたいということでしたから、これは生産者団体と大いに詰めてください。経過を見守りたいと考えています。
 時間が参りましたので急ぎますが、二五%減産というのは大変急激な施策であって、養蚕農家にとってはショックだったと思うけれども、これはことしだけの措置なんですか。
 もう一つは、ここ数年来の状況からいいますと、このままでは国内の繭の生産量をどんどん落としていくという結果になる、どんどん落としていかざるを得ない、現実そうなってきた、私は大変なことだと思う。少なくとも自国で確保していく数量というものに一定のめどがなければいけない。これだけは国内で生産したいというめどがなければいけない。そのめどに基づいた長期計画というものをいま一度検討し直すべきだと私は考えているのです。それに対してどんなふうにお考えですか。
○小島(和)政府委員 私どもも、ある種の将来の展望がなくして毎年毎年の対策ということには限界があるという気持ちを持っております。その意味で、この対策は五十九年度の臨時応急の対策というふうに考えております。
 しからば長期的にどうするのかという問題については、先ほど大臣からお述べになりましたような繭糸価格安定制度に関する研究会というのを持っておるわけでございます。問題はなかなか難しいのでございますが、私どもの希望とすれば、できればこの夏までには一応の結論を出してもらいたいと思っておるわけでございまして、恐らくその研究会報告の中にも将来展望のようなものが触れられると思いますが、それを踏まえて六十年度以降の見通しと申しますか、計画と申しますか、それを明らかにしてまいりたいと考えておるわけでございます。
 ただ、そのことは、五十九年度辛抱すれば六十年度から大変明るい展望が開ける、こういう意味では決してございませんで、六十年度以降の見通しも相当厳しいものにならざるを得ない、こういう考えを持っておりますが、いずれにしろ先の見通しが立たないというよりは一つの展望が明らかになった方が生産者としてもついてきやすい、こういう問題でございますので、その意味で精力的に詰めていきたいと考えております。
○串原委員 時間が参りましたから終わります。
○玉沢委員長代理 斎藤実君。
○斎藤(実)委員 最初に、日米農産物交渉についての御質問をいたしたいと思うのです。
 この交渉に当たっては農水当局が大変努力をされておることに敬意を表したいと思うのですが、大臣は先ほど、日米交渉に当たっては需給動向を勘案しながら農家に打撃を与えないことを基本姿勢として交渉する、こうおっしゃいました。これは間違いありませんか。
○山村国務大臣 私は、日米に限らず、農産物の輸入というものに対しましては、我が国農産物の需給動向を見た上で、我が国の農業が今後とも着実に発展するということを前提に置いて交渉すべきものだ、そういうぐあいに考えております。
○斎藤(実)委員 新聞報道によりますと、事務レベルの交渉が不調に終わった、高級牛肉、オレンジ輸入の拡大の数量について手持ちの譲歩案のぎりぎりなものを示したが、アメリカ側はかたい態度を崩さなかった、こういう報道をされておるのですが、手持ちの譲歩案のぎりぎりというのは一体どんなものですか。
○佐野政府委員 お答えいたします。
 今回は、山村農林水産大臣とブロック通商代表との間の会談ということを念頭に置きまして、そのためにスミス大使と私との間で予備的な協議を行ったという性質のものでございます。したがいまして、その内容につきまして詳細を御説明することは控えさせていただきますが、手持ちの譲歩案のぎりぎりを出し切るとか出し切らないとか、そういうふうに描写されるにはちょっとなじみにくいものでございます。
 しかしながら、そういうこととは別にいたしまして、例えば牛肉の場合で申しますれば、牛肉の需給動向なり、その中での牛肉の価格安定制度というものがあるわけでございますから、そういう点から申しまして、当然超えられない制約というのはあるわけでございまして、私どもとしては、交渉に当たっては常にそれは念頭に置いてやっておるつもりでございます。
○斎藤(実)委員 局長、ちょっとマイクが悪いのか何か知らないけれども、聞こえないのです。はっきり言ってくれぬかな、ずばっと。
○佐野政府委員 譲れる限度というのは、需給動向なり牛肉の価格安定制度なりから見て当然超えられない限界というのはあるものと思っております。
○斎藤(実)委員 大臣、今答弁がありましたように、いろいろな状況を勘案して今交渉に当たっていると言うのですけれども、譲るべきは譲るという、これは外交問題にもなっておりますので、いろいろ大臣も頭が痛いと思うのですが、大臣は、この譲るべきは譲るという考え方を持っていらっしゃるかどうか、お尋ねしたいと思います。
○山村国務大臣 私は、今度の日米農産物交渉に当たりましては、当委員会で一昨年四月御決議をいただきました。そしてまた、本年一月申し入れもいただきました。この御決議と申し入れの趣旨を体しまして、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展していくということを頭に入れて交渉に当たってまいります。
○斎藤(実)委員 それでは、日米関係全体に悪影響を及ぼすということで、高度な政治判断で大幅な譲歩をするということはありませんね。どうですか。
○山村国務大臣 高度な政治判断は私のところでさせていただきます。
○斎藤(実)委員 ぜひひとつその決意でお願いしたいと思うのですが、なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、昨年十月に「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」というものが出ておるわけですね。この中身は、牛肉の需給については「国内生産で不足する部分については需給の動向に十分配慮して輸入を適切に行う」というふうになっておるわけですね。ですから、この肉用牛の生産振興を高らかにうたっておるわけですね。牛肉の輸入枠を大幅に拡大するということになれば、この方針は画餅に帰するわけでございまして、この輸入の枠拡大というものが国内の需給バランスを壊してしまうし、国内生産への悪影響は極めて大きいものがあるわけでございますので、ぜひひとつ大臣、毅然たる態度で臨んでいただきたいと思うのですが、再度決意のほどを伺いたいと思います。
○山村国務大臣 私といたしましては、この農林水産委員会の御決議、申し入れの趣旨に反さないようにやってまいります。
○斎藤(実)委員 私は、畜産物の価格問題に入る前に、農産物の価格全般に関することについてお尋ねをしたいと思います。
 最近、我が国の農業、農政に対しては、臨調等も言われておりますが、価格制度や補助金あるいはまた輸入制度といったこと等をめぐって、日本農業は過保護だ、こういった各界の批判が強まっておりまして、一昨年、五十七年の八月に農政審が出された報告は、その影響を受けたかどうか知りませんけれども、マスコミ等からは、政策の重心が価格政策から構造政策に移った、こういうふうに言われておるのですが、確かに報告の内容はそのようなものになっていると思われても仕方がない内容だと私は思うわけです。果たして価格政策を軽視してよいのかどうか。私は、安易な価格政策は農業経営の担い手の生産意欲を喪失させるものと思うわけでありますが、このことは構造政策へも悪影響をもたらすことになると思うわけです。
 そこでお尋ねいたしますが、政府は一体、今後の農政の中で価格政策をどういうふうに位置づけようとしているのか。構造政策と価格政策との兼ね合いをどういうふうに理解をしておられるのか、基本的な考えをお尋ねしたいと思います。
○小島(和)政府委員 これは私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、省全体の問題でございますからお許しいただきたいと思いますが、農産物につきましては、確かに豊凶変動というものもございますし、それから市場との関係におきましても需要の増減ということもあるわけでございまして、価格対策というものがそういう農産物の価格変動に対して有効な役割を果たしておるということは否めないところでございます。
 ただ、価格対策偏重ということになりますと、個々の経営体の所得の上昇を価格政策にのみ強く依存するということになりますと、二回においては財政という問題もございますし、一面においては農業の生産体質がそれだけ脆弱化していくという問題もあるわけでございます。その意味におきましては、農業の所得を生み出すその根源というのを農業の体質強化に置いていく。ただいま農林省が進めておりますような土地利用型農業で申しますと規模の拡大、あるいは労働集約的な作物で申しますれば資本装備の高度化といったことを通じまして、それぞれの農業経営の合理化の中から所得を生み出していくという努力がより一層強く求められている状況であろうというふうに考えておるわけでございます。
 したがって、今後の農政の中心的な課題は構造政策になるわけでございますが、同時に、価格政策もまたそういう農民の努力を補完するものとして有効な役割を果たしていく、こういうのが両者の関係ではないかと私どもは考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 農政審の報告によりますと、食糧の「消費者価格については、中長期的には、できる限り西欧諸国と同程度の水準の実現をめざす」こういうふうになっておるわけですが、農林省もこの報告を尊重しておるようでございますが、この場合、中長期的というのは具体的に何年先のことを言っているのか。また、その価格水準とは、例えば米は米同士の価格で、あるいは牛乳は牛乳同士の価格で、または小麦は小麦同士の価格でというふうに、食料品の各個別品目ごとの価格水準のことを言っているのか、あるいはそうではなくて、トータルの価格水準で言っているのか。もしトータルの価格水準であるとすれば、それはどのようなとらえ方をした場合の価格水準を言おうとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
○小島(和)政府委員 中長期というふうに言っておりますのは、別に何年という具体的な目標年次があるわけでございません。また、ヨーロッパといえども日本に比べますれば一戸当たりの農耕地は大体十倍以上でございますから、土地の置かれている条件からいたしますと、日本よりははるかに有利な条件にあるわけでございます。
 ただ、ECあたりの最近の動向を見ておりますと、これは国内の農業政策だけではなくて、いろいろな政策の帰結だろうと思いますが、毎年のように農産物価格が上昇していく傾向にあるわけでございます。一方、日本国内におきましては、さまざまな合理化投資、さらには価格政策の運用もございますけれども、比較的農産物の価格上昇が鈍い状況にあるわけでございます。その意味で、日本の方が大幅にコストダウンをいたしましてヨーロッパに接近するというよりは、向こう側の方の条件がだんだん悪くなってまいりまして、日本との競争関係というのが日本の方にだんだん有利になりつつある。そのことをとらえまして、さらに私どもの努力、農家側の努力によりましてヨーロッパに肩を並べるところまで何としても持っていきたい、こういうことを言っておるわけでございまして、具体的な作物別の比較によって何円まで持っていく、こういうことを目標として掲げておるわけではございません。価格水準といいますか、抽象的な両者の価格関係というものを均衡する点に持っていきたい、こういうことをあらわしているものと理解をいたしております。
○斎藤(実)委員 局長、確かにこの報告では、日本はEC水準を目指すと言っているわけですが、これは実現可能かどうか、ちょっと私も心配するわけですが、これは本当に実現可能かどうかということを伺いたい。
 また、ECはECで米国の水準を目指しているというふうに言われているわけですが、そういうことであれば、日本は米国の水準を目指して頑張らなければならないという大変な目標を目指すことになるわけです。頑張るということはいいのですが、余り無理を強いると国内の生産者を犠牲にしかねないのではないかと懸念をしているわけですが、果たしてこの目標は実現可能なのかどうか。また、国内の生産者の理解と協力が得られるかどうか、心配しているのです。御答弁願います。
○小島(和)政府委員 先ほども申し上げましたように、これは作物の種類によりまして必ずしも一様ではないわけでございます。例えば小家畜のたぐいにつきましては、現状においてもECに比べて遜色ないというふうなものもございますし、牛肉のように大分接近してきたなというものもあるわけでございます。また、穀物類のように日本の農耕地規模をもってしてはなかなかECの水準を抜けないというものもあるわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、具体的に現在何円のものを何円にする、そういうことではございませんで、農業の面で我が国に比較的立地条件が近いと思われるECを目指そうという私どもの意気込みと申しますか、そういうもののあらわれでございます。
○斎藤(実)委員 では、肉用牛の生産振興のための具体的な施策について伺いたいと思うのです。
 さきの通常国会で酪農振興法が改正されました。肉用牛の生産振興について法制的に整備されたわけでありますが、五十九年度においては具体的にどういう施策を行うのか。特に飼料基盤や施設の整備、家畜導入対策、経営指導体制の整備についてどういう施策を行うのか、伺いたいと思います。
○谷野説明員 ただいま御指摘のございましたように、昨年の国会で酪農振興法を改正していただきまして、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律というものに改まったわけでございます。
 私どもといたしましては、これに基づきまして、基本的な方針といたしまして、昨年の十月「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」というものを出しておるわけでございます。この中で、肉用牛につきましてはまだ経営規模の拡大を行わなければならないということが一つございます。また、飼料の自給率が大変低い状態にございまして、肥育牛、繁殖牛ともにさらに自給飼料の増強をしていかなければならないというようなことを考えておるわけでございます。また、我が国の肉牛と申しますか、牛肉の七〇%はいわゆるホルスタインの肉でございまして、乳肉間の複合的なものの考え方を取り入れていく必要があるというようなことを私どもとしてはこの方針の中で打ち出しておるわけでございます。
 具体的な五十九年度の施策といたしましては、自給飼料の生産を増強するような施設等を中心といたしまして、新たに無利子の融資制度というものを導入したいということで現在予算で御審議をいただいておるわけでございますし、また、自給飼料基盤の整備につきましては、いわゆる草地開発の点につきましても、補助率につきまして調整係数を導入するというような新しい施策を取り入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 昭和五十九年度の加工原料乳の保証価格の算定について基本的に伺いたいと思うのです。
 明日酪農部会で意見を聞いて決定をするということになっておるのですが、この生乳の生産条件や需給動向について農林水産省はどういうふうに考えておられるのか、具体的にお尋ねをしたいと思います。
○谷野説明員 保証価格算定の基礎となります今お尋ねの諸条件でございますけれども、まず需給の点につきましては、数年前に大変な過剰の状態がございまして、いろいろと計画生産をお願いしたこともあるわけでございますが、そういう時期は解消いたしまして、現在のところ、需給につきましてはおおむね均衡状態にあるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、酪農の生産力が非常に上がってまいりましたことの反面といたしまして、我が国の酪農は比較的過剰に陥りやすいような傾向もあるわけでございまして、その点は慎重に対応しなければならないというふうに考えております。
 また、価格のもとになります生産費につきましては、統計情報部から先般生産費の調査も出たわけでございますが、一頭当たりの乳量が増加をする、あるいは労働時間が短縮されておるというような下げの要素もあるわけでございます。一方では、飼料価格の問題でございますとか、その他上げの要素も中には含まれておるわけでございまして、その辺を現在総合的に勘案し、検討を進め、明日御諮問を申し上げたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 加工原料乳の保証価格の推移を見ますと、五十二年から五十六年までの四年間八十八円八十七銭、据え置きですね。それで五十八年が九十円七銭です。五十九年度の保証価格について、生産者団体は一キログラム当たり九十九円七十五銭というものを要求しておりますが、これは全国の生産者団体が強く要望しておるわけでございますが、この要求についてどういうふうにお考えですか。
○谷野説明員 団体の御要求の数字は私どもも承っておるわけでございますが、私どもは、従来どおり私どもの考え方を整理をいたしまして、明日諮問いたしたいというふうに考えております。
○斎藤(実)委員 審議官、あしたの諮問のことを聞いているのじゃなくて、今の生産者価格についてどういうふうに考えるか、安いとか高いとか、もう一遍ちょっと答弁してください。
○谷野説明員 具体的な数字について申し上げることは控えさせていただきますが、率直に申しまして、生産者団体の御要望の数字は、私どもの考えでおります数字よりもかなり高いものではないかというふうに考えております。
○斎藤(実)委員 保証価格は生乳の再生産を確保すると定められているわけでございますが、現実問題として酪農農家戸数の大幅な減少というものが現実に今起きておるわけです。そこで、再生産の確保ということは一体どういうことか、伺いたいと思うのです。
○谷野説明員 法律にはただいま御指摘の再生産の確保ということが書かれておりますが、同時に、酪農経営の合理化の促進ということも書いてあるわけでございます。私どもといたしましては、今までの乳価のもとで牛乳の生産は順調に伸びてきておりまして、先ほど申しましたように、供給が格別不足をするというような事態もないわけでございまして、そういうことから申しまして、現在の価格水準というものは再生産に大きく支障があるような水準ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 保証価格の算定に際しましては経済事情を考慮することになっているわけでございますが、その一つの具体例として考えられる平均生産費の評価がえのときに、物価修正は直近三カ月の変化率を用いることになっているわけでございますが、これでは短期間ですから、結果的に平均生産費の評価がえということは無理ではないか。不十分だ。物価の動向をより正確に反映させるためには、少なくとも半年とか一年とかという変化率も加味するような工夫がされてしかるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○谷野説明員 ただいま御指摘のように、生産費調査の物財費の評価がえにつきましては三カ月という数字を使っているわけでございます。これにつきましては、いろいろな考え方があろうかと存じますが、私どもといたしましては、物価がどちらかと申しますと下がるというよりは上がることがかなり多いというような観点から考えますと、できるだけ近い期間の数字を使うという考え方で直近三カ月ということにしておるわけでございまして、そういう点から申しまして、私どもはこういうやり方について格別問題はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 保証価格の決定とあわせて加工原料乳の限度数量も決定するわけでございますが、これまでの経緯を見ますと、五十四年度以来百九十三万トンであったものが、五十八年度は乳製品の需給が逼迫をしたことなどから二百十五万トンと二十二万トンも拡大されているわけでございまして、五十八年度においては乳製品の需給動向についても引き続いて逼迫ぎみで推移をしているわけでございます。畜産振興事業団から数度にわたって脱脂粉乳、バター等が放出をされ、その在庫も底をついているというような状況になっているわけでありまして、中央酪農会議の五十九年度生乳需給計画でも、特定乳製品向け牛乳供給量、これはバターとか脱脂乳でございますが、二百四十万トンと推定をされておるわけでございます。
 こういう動向を見ても、五十九年度の限度数量については適正な拡大が必要だというふうに私は考えるわけですが、いかがですか。
○谷野説明員 乳製品の需給につきましては、ただいま御指摘のようにひところの非常に過剰な状態を脱しまして、需給は均衡に達しておるというふうな実態があるわけでございます。私どもといたしましては、こういう状態をできるだけ続けたい、再び過剰な状態に陥ることについては警戒をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 ただいま御指摘の数字でございますが、乳製品の在庫の状況を見ますと、畜産振興事業団の在庫は数次の放出によりましてかなり低い水準になっておるわけでございますが、最近の市中の在庫の数字を見てまいりますと、かなり市中での在庫積み増しが進んでおるというような実態もございまして、この辺はなかなか判断を要するところではないかというふうに考えておるわけでございます。具体的な数字につきましては、精査をいたしまして、検討いたしまして、明日諮問をいたしたいというふうに考えております。
○斎藤(実)委員 文部省来ていますか。――それでは、最近の乳製品需給動向についてお尋ねをしたい。
○谷野説明員 乳製品の需給でございますが、乳製品の需給はひところの過剰の状態を脱しまして、現在はおおむね均衡状態になっておるというふうに考えておるわけでございます。
 なお、在庫の状況につきましては、市中の在庫が最近かなり積み増しが行われておりまして、この辺を慎重に判断すべき問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 時間が参りましたので終わります。
○玉沢委員長代理 津川武一君。O津川委員 最初に、この間の日米農産物交渉から入りますが、二十二日から二十四日まで行われた交渉では話がまとまらなかったと聞いておりますが、この交渉に政府はどんな方針で臨んだのか、まとまらなかったのはなぜか、今後どうするのか、この三点を聞かせていただきます。
○佐野政府委員 お答えいたします。
 二十二日からの協議に当たりましては、私どもといたしましては三月末の期限切れを目前に控えまして何とか妥結にこぎつけたい、そのためには山村大臣とブロック通商代表との間の協議ということを念頭に置きまして、そのための準備をするというのが主体でございました。
 私どもがこの協議に臨むに当たりましての方針というのは、当委員会からちょうだいいたしました御決議と申し入れの御趣旨を体してやるということでございました。結果的には所期の目的は達成されませんでしたが、所期の目的が達成されなかった一番大きな理由は日米間の懸隔がいまだに大き過ぎるということでございます。
 それから今後の対処ぶりでございますが、現在のアメリカの態度を見ますとなかなか容易なことではございませんので、しばらく米側の動きを見守っているより仕方がないと思っております。
○津川委員 そこで、スミス・佐野会談で、一部の報道は、スミスが言葉を荒げて、アメリカが牛肉について年間七千五百トン、オレンジ一万一千トンの増枠を求めていると伝えられているが、これは米側の示した数字ではなく、要求数字より低いというふうに言ったというふうな報道がされておりますが、日本側の譲歩なくして交渉の前進は望めないという強い態度で来ているのじゃないかと思います。
 そこで質問ですが、政府は、交渉をまとめるために日本側が新たな譲歩をしなければならないという認識に立っているかどうか、この点答えていただきます。
○佐野政府委員 私どもといたしましては、交渉を前進させるためには米側の態度が変更されることが先決であると考えております。
○津川委員 わかりました。
 政府は、既に昨年十月の交渉で、牛肉だけについて言うと毎年三千二百トン、それからことしの一月の東京交渉では日本側が四千二百トン、さらに今回の交渉では五千六百トン、こういうふうに譲歩案を提示したと伝えられております。そこで、今後さらに譲歩がされるならば大変だというのが日本の農民の声でもあり、消費者の声でもあり、国民のコンセンサスにもなっておりますが、これ以上の譲歩は一つでも私たちは絶対だめなんですけれども、政府が今まで出したこの譲歩、これ以上超えることはないでしょうね。
○佐野政府委員 交渉の今後の対処方針につきましては、繰り返し御答弁申し上げておりますように、当委員会の御決議を体して全力を傾けて事に当たりたいと思っておりますということにとどめさせていただきます。
○津川委員 そこで、参考までにECの態度を見てみたいと思うのです。
 フランスなどは、アメリカが過大な要求を持ってきたならばそいつを放置しておく、期限が来ても自国の方針は変えないで貫く、アメリカが気に入らないならばアメリカ品の輸入をしないと割り切っている一これでかなりECの方は国民を納得させている。私は、これが主権国家のとるべき態度だと思うのです。対等、平等の民主的な交渉の姿勢をとらなければならないのだけれども、今度も、ガットで提訴するぞとおどかされるとこちらの枠を少し広げてみせるなどということがありますが、はっきり主権国家としての態度をとり続けるべきだと思いますが、農水大臣、この点を閣議などではっきり言われているのかどうか。官邸あたりから政治解決が出てきたときに、大臣は先ほど、おれが決める責任者だと言っていますが、そこらあたりの主権国家としてのあり方を大臣がどう考えているのかということ、これを閣議ではっきり確認されているのかということ、この二点を伺います。
○山村国務大臣 閣議では言っておりません。対外経済閣僚会議、この席上でははっきり外務大臣に対しまして、担当大臣は農林水産大臣である私である、最終責任は私の責任によって決着をするんだから、これはひとつお忘れなくということをはっきり言っております。
 たびたびこの前で御答弁しておりますが、今度佐野局長が帰ってまいりましたのも、期限にとらわれて無理な決着はしないということのあらわれでございます。
○佐野政府委員 フランスの態度についてでございますが、いささか私どもの認識と食い違う点がございますので、私どもの認識を答えさせていただきたいと存じます。
 ガットとの関係につきましては、フランスはかつてアメリカからガット十一条違反ということで、何品目でございましたか、二けた、相当多数の品目につきまして十一条一項違反ということで提訴されました。ガットの結論は、アメリカ側の言い分が正しいという結論を出しました。フランスは、ガットの結論に従いまして大部分の輸入制限を撤廃をいたしました。
 その点、今の先生のおっしゃったフランスの態度と実際に起こったこととは大分違うように思っております。
○津川委員 そこで、佐野局長、日本は向こうから要求される、聞かなければガットに提訴する、こういう桐喝を受ける。そうすると、これに公式に抗議なりすることがない。こちらから積極的にどうするということを提案するのじゃなくして、向こうから呼ばれれば会いに行って向こうの要求を聞いてくるというふうな弱い態度、ずっと局長の行動を見るとそういうふうに報道されているし、これは農水省全体としてもそういう態度だと思うので、あえてECのことを出したわけであります。
 そこで、農水大臣、主権国家として経済閣僚会議の中では、懇談会では決まっている。このところを閣議了解、もっといいことは閣議決定、こういうことにする方が国民もさっぱりすると思うのです。そうすると、あなたはおれが最高責任者だということが貫かれると思うし、どうやらきょうの新聞あたりにも「政治決断の危険も」ということが出ている、これがいっぱい広がっているんだよ。もう一度、ひとつ大臣の決意を。
○山村国務大臣 津川先生の方は心配のようでございますが、今の閣僚メンバーすべてが、山村農林水産大臣にこの日米農産物交渉は全部任せてあるという気持ちでおりますので、重ねてそういうようなことはやる必要はないと思います。
○津川委員 アメリカの中にも意見の不統一があるようだが、先ほどその話も出たようだが、日本の意見の不統一が困るのです。農民は、輸入自由化はもちろんのこと、枠拡大はまかりならぬ、消費者の方もそうなっているときに、財界や一部労働組合が輸入枠を拡大せい、お米なんかつくらなくともいいと言う。そうなってきて、こちらの世論が分裂している。これが向こうのつけ込むつけ目なんだね。そこで、中曽根内閣の閣僚についてはそんな心配はないと言っているが、小此木通産大臣とこの財界の自由化に対する見解を大臣が先頭を切って調整しなければ、我々が非常にやりづらい。どうしても心を一つにしてアメリカに当たって、ここは守りたい。もう一回答えてください。
○山村国務大臣 小此木通産大臣につきましては、小此木国対委員長、山村議運委員長でコンビでやっておって、気持ちが一番合っているつもりでございます。この農産物問題につきましても本当に好意的で、頑張ってくれというようなことを言っておりますから、ひとつ御心配なく。
○津川委員 そこで、農水大臣として、農業界と財界との意見の食い違い、もしくは山村農水大臣と財界との意見の食い違い、これを調整しなければだめだと思うのですが、いかがでございます。
○山村国務大臣 私が会った財界の方はみんな、農産物を輸入したらいいというような非常識な人はまだ一遍も会っておりません。
○津川委員 あなたたちの内部文書を見せましょうね。財界のやつに対して農水省が反論していますよ。あの反論は小さいところで反論している。これが農水大臣の反論になってきたらすばらしくなる。ここのところに問題があると私は言っているわけです。
 進めます。
 政府は輸入拡大についてはこんな格好で、私としては少しさっぱりしない。そこで、グレープフルーツの自由化が今度心配されてきたわけです。やらないやらないと言っていながら、金子前農水大臣は、大臣を退職してからの回顧録の中で、グレープフルーツの自由化はしてもいいのではないかと考えたという。山村大臣はそんなことはないでしょうね。グレープフルーツの自由化はないでしょうね。念のためにお伺いします。
○山村国務大臣 昭和五十七年四月、衆議院農林水産委員会の決議におきましては、米国等からの牛肉、かんきつの完全自由化等の要請を軽々に受け入れることは我が国農業、漁業に壊滅的な打撃を与えることは必至であるとの認識を示され、また、自由化及び輸入枠拡大等については農業者、漁業者が犠牲になることのないよう対処すべきであるとされました。私は、この趣旨を体しましてやってまいります。
○津川委員 グレープフルーツの自由化はないものという答弁をいただいたと思って、次に進めていきます。
 そこで、畜産物の価格でございますが、この間、私、北海道の根室地域、岩手県の北上山系の中の大規模酪農団地を見せてもらいました。国が土地改良や機械化などでかなりの金をかけながら、入植者の経営は借金で首が回らなくなっていました。その借金の度合いの大きいのに私もびっくりしましたが、中春別というところで三百二十戸の中から百四十何戸が負債整理資金の対象になっておって、この中の四十六戸が八千万円から一億六千万円の膨大な借金なんです。この人たちは何と言ったか。乳価がせめて百円していたならばこんな借金にならなかった。私は、今度この問題がありますので、肉牛農家の何軒かを訪ねて座談してみました。肉牛農家は、えさが何とかならないかな、問題はえさなんだ、肉の値段もさることながら、問題はえさがもう少し下がるならばなというのがこの人たちの願いだったわけです。養豚農家、いいと思って少し値が上がったと思うと事業団から放出して値が下がる、こういう点でいつも採算がとれるかとれないかのところの不安定な価格で上がり下がりしていて、この価格が採算がとれるような形で安定してくれたならば、これが畜産農家の声でございます。
 私たちも、農業をやるかわりにはその生産物が生産費と生活費を補償する値段でなければ農業は続いていかないと思いますが、この農産物の価格、いかが考えておりますか。あしたの酪農の値段も恐らくきょうと同じような格好になるのじゃないかという心配が先ほどの質問者からも出ていましたが、この点で、農産物の価格に対して大臣の基本的な姿勢を伺わせていただきます。
    〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕
○山村国務大臣 加工原料乳の保証価格、これらにつきましては加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、生乳の生産条件や需給事情の変化、酪農経営の状況等各種の要素を総合的に考慮いたしまして、畜産振興審議会の意見を聞いて今月末までに決めるという方向で参ります。
○津川委員 極めて一般的な答えで、私も頭が悪いのか、何を答えていただいたのかわからないのです。
 そこで、もう少し具体的に伺います。
 乳価のことを決めるときに決定的な問題は、自分の労働費。いざ買ってきて、それをピンはねして差額を取ってもうけるなんということはできない。結局問題を決めるのは、汗水流して働く自分の労働、その労働の対価、労働費がどうかで決まるわけです。そこで、酪農農家の労働報酬ですが、五十四年には一H九千八百十三円、五十七年には六千七百七円、こういうことなんです。平均五人以上働いている製造工場の常雇い労働者に比べると、この酪農農家の労働報酬が五十七年で五八%、これだけしかない。五十八年で六六%。これでは農業をやっていけない、これでは酪農をやっていけない、この点を補償しなければ酪農をやめてほかに行く、こういうことになる。今度皆さんが試算する。こういう労働費でやっているんだが、大臣、今晩みんな呼んで緊急会議を開いて、あしたの酪農の値段をこの立場から都市労働者並みのところまで上げて再考すべきだと思いますが、いかがでございます。
○谷野説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございました数字は、いわゆる統計情報部のつくっております生産費調査の家族労働報酬の数字だというふうに存ずるわけでございます。この計数は、乳価決定と申しますよりは、いろいろな関係で実現をしましたものを一定のルールで、いわばほかのものを先に引いた結果としての計数として出てきているものであると私どもは理解をしておるわけでございます。
 乳価の決定、不足払いの対象となります加工原料乳の価格の決定に当たりましては、この生産費調査を基本といたしますが、その中での飼育労働及び飼料作物労働につきましては、一定のルールでこれを評価がえをいたしておるわけでございます。飼料作物の関係の労働につきましては、農村における雇用賃金、これは農業ばかりではございませんで、建設業あるいは運輸通信業その他の業務も入っておるわけでございますが、それに基づいて評価がえをしておるわけでございますし、また飼育管理労働につきましては、従来からこれを主要加工原料乳地域における製造業労賃をもって評価がえをしておるということでございます。
 かようなわけでございまして、私どもといたしましては、今回につきましてもそういう労賃を用いまして評価がえをして計算をしたいと考えておるわけでございます。
○津川委員 大臣、聞いてくれたでしょう。酪農農家の労働報酬が五割、六割足らずなんです。これを上げていただかなければ、今説明員が話した今度の飼育農家の労働賃金は千六十六円なんですよ。これはいいのです。ところが、えさをつくるときの労働が安いのです。九百六十七円。一家の人が同じ酪農をやりながら、片一方は千六十六円、片一方は九百六十七円、こういう労働政策をあなたの部下たちはとっているのです。だから、ここらは抜本的にやらないと農業に人がとどまっていかない、ここのところをぜひ大臣から答弁いただきたいのです。
○谷野説明員 私どもが今御指摘のように飼料作物の労働の問題につきまして従来から農村雇用賃金を用いておりますのは、私どもといたしましては、これが当該農村地域における最も標準的ないろいろな業種を込みにした場合の賃金として相当であるというふうに考えておるからでございます。
 なお、飼育管理労働につきましては、原料乳地域における製造業の労賃、これは規模が五人以上でございますが、これで評価がえをしておるわけでございます。この飼育管理労働は年中無休でございますし、非常に拘束的なもので技術水準もかなり必要とするということに着目をいたしまして、特に製造業労賃をもって評価がえを行っているということでございます。
○津川委員 大臣、いろいろ説明を聞きましたけれども、私はちっとも納得いかないのです。えさをつくる技術がこのごろ非常によくなったのです。草の品種改良をやる、土地の改良をやる、機械化する、これはもう本当に専門的な労働になってしまっている。それにもかかわらず、今度のように区別する。だから大臣に、酪農における、畜産における労働賃金の見方を根本的に改めるよう重ねて要求していきます。
 そこで、きょうもらった畜産局長の畜産審議会に対する趣旨説明によると、「生産条件、需給事情、その他の経済事情を考慮し、再生産を確保する」建前から去年と同じようにやった。この再生産費の中に利息が入っていますか、借りた元金を返すお金が入っていますか、借金で買った機械の償却費が入っておりますか、この点をまず答えていただきます。
○谷野説明員 生産費の考え方といたしましては、長期に使います機械その他の施設につきましてはこれを償却費として計上するという考え方になっております。
 なお、金利につきましては、実質支払い金利のほかに自己資金の金利について相応のものを見込むというのが生産費の考え方でございます。
○津川委員 利息が払えないのです。そうして農協や公団が遠慮会釈なく元利払いを要求してくる。買った機械が古くなって償却が終わって、新しくかえなければならぬ、このお金がないのです。皆さんが出したこの資料、経費算出基準、これは実によく書かれている。飼育労働費、飼料費、敷料費、光熱費、建物費、農機具費、素畜費、二十数費目も書いてあるが、利息がないのです。どこがら払えばいいのですか、これは。この勘定はこれでいいのですか。
○谷野説明員 ただいまのごらんになっております数字は俗に言う第一次生産費でございまして、この第一次生産費をもとにいたしまして第二次生産費をはじきます際に、今御指摘の金利等が入ってくることになるわけでございます。
○津川委員 あなたたちも経理を覚えているだろうけれども、損益計算書の中に利息は入らないんだ。利息は特別損失でどこからか出してこなければならないんだよ。その第二次生産費の中にも入らないんだよ、利息は。大臣、ここの点が一つ問題。
 もう一つの問題は、借金を何とかしてあげなければならぬ。そこで、青森県の県庁で百万以上の滞納をしている農家を調べてみたんだ。そうしたら、二戸当たりリンゴ農家が六百四十万、畑作は六百二十万。ところが、酪農が八百五十万、肉用牛が千六十万、養豚が千七百万。米もリンゴも畑作も借金があるけれども、畜産がべらぼうに多いのだ。県庁も、これでは金を融資してやるとしても特別な指導と今まで借りた借金の総合返却体制をつくってあげなければならぬと言って、県が八百五十万まで利子補給して酪農農家を救うということになったわけです。生産費もさることながら、この借金を片づけないことにはまた再生産ができなくなっていきますので、この農家の借金対策について総合的に何らかの措置を講ずるように。苦しくなって土地を売らなければならぬとすれば、自創資金がある、文句なしに適用になる。自創資金の特例を開くと八百五十万までできる。この制度を申し込んだ人たちに適用するとなってくると、青森県の特別な利子補給八百五十万、自創資金の特例の八百五十万まで出ていくとなってくると、私は、今の借金苦からかなり救われると思うのでございます。農水大臣の大英断を求めます。
○谷野説明員 ただいま御指摘になりました数字、私どもちょっとつまびらかにいたしませんが、畜産の場合にはその性質上かなりの投資を一時期に行う場合がございまして、それが負債の残高ということになって残っているケースがあろうかと存ずるわけでございます。この問題は、それがそれなりに生産力につながっておりまして、償還等が行われれば問題はないわけでございますが、急速に規模を拡大しました過程におきまして、幾つかの点について問題を生じているケースがあるというふうに私どもも思っておるわけでございます。
 酪農につきましては、五十六年にその問題につきまして特別の制度を設けまして、現在その実施を行っておるわけでございますし、肉用牛も一度そういう制度を適用した例があるわけでございます。私どもといたしましては、さらに問題点を精査をいたしまして、ただいま御指摘になりました自作農資金等の活用を含めまして、できることだけはやってまいりたいというふうに考えております。
○津川委員 本当にお役人というのは偉いもので、しゃべるけれどもわからない答弁をなさるのがこれでよくわかりました。
 そこで、大臣、後でいま答弁した人に酪農家の借金がどのくらいあって、どんな形で返しているか、この返しているお金というのはどういう形で生み出しているかを調べさせて私に報告していただいて、その後また次の機会にこの借金対策を尋ねていきます、そうでないと今これは進めませんので。
○山村国務大臣 後で詳細に聞きまして、前向きに対処してまいります。
○津川委員 最後にえさの問題ですが、時間がなくなったから省いてしまいますが、アメリカから来る単品の原料のえさ、これを配合すればいいのです。これを今度えさ工場に持っていったり、飼料工場に持っていったり、配合するためにいろいろなことをやっているために、どのくらい取るかというと、トン一万円から一万五千円経費がかかってしまう。これをそのまま自家配合のところに真っすぐによこせばこの一万なり一万五千円が省かれるわけで、養豚で一貫経営している場合、五十頭持っているとすれば一頭六トン食べるので三百トン、トン一万円は楽になってくると、養豚農家は三百万円違う。ここにえさの根本問題があるわけです。えさは全農まで途中のからくりをやっていって懐に入れている。こういう形のものをひとつ考えていただければえさの問題が解決していく。この私が今話した例は、茨城県の全日本農民組合連合会が調べたりやったりしている実例なんです。この点を、えさに対していい施策を大臣ひとつ考えていただくようお願いし、大臣の答弁があれば大臣、なかったら説明員からでもいいです。
○谷野説明員 飼料につきましては、現在特別の関税の制度を設けておりまして、配合飼料工場におきまして飼料とするものについては無税ということになっておるわけでございます。また、ただいま御指摘のございましたものと類似のものといたしましては、いわゆる二種混合という制度がございまして、保税工場において魚粉その他とまぜてこれを流通させるという制度がございまして、これの量は年々増加をしておるわけでございます。単味の問題と申しますか、全くまぜないという議論もあるわけでございますが、これがトウモロコシの場合、コーンスターチとしてでん粉原料との競合の問題が生ずることがございますので、私どもといたしましては、配合飼料もしくは一種混合の形での流通について考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○津川委員 これで終わりますが、山村農水大臣、これは五十一年に農家の自家配合に対して次官通達が出ているのです。それをもう少しあのまま進めてくれれば問題は解決するのです。あんな答弁は要らないのです。もう既に皆さんのところでやっているのです。
 終わります。
○阿部委員長 次回は、来る二十九日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十分散会