第101回国会 環境委員会 第5号
昭和五十九年四月十三日(金曜日)
    午前十時三十分開議
出席委員
  委員長 竹内 黎一君
   理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君
   理事 畑 英次郎君 理事 福島 譲二君
   理事 岩垂寿喜男君 理事 中村  茂君
   理事 春田 重昭君 理事 中井  洽君
      衛藤征士郎君    榎本 和平君
      金子原二郎君    工藤  巖君
      齋藤 邦吉君    中村正三郎君
      林  義郎君    金子 みつ君
      上坂  昇君    馬場  昇君
      山本 政弘君    斉藤  節君
      竹内 勝彦君    薮仲 義彦君
      近藤  豊君    藤田 スミ君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 上田  稔君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       加藤 陸美君
        環境庁企画調整
        局長      正田 泰央君
        環境庁企画調整
        局環境保健部長 長谷川慧重君
        環境庁水質保全
        局長      佐竹 五六君
 委員外の出席者
        議     員 福島 譲二君
        厚生省環境衛生
        局乳肉衛生課長 難波  江君
        水産庁振興部振
        興課長     守矢  哲君
        水産庁研究部漁
        場保全課長   山添 健一君
        通商産業省基礎
        産業局基礎化学
        品課長     高島  章君
        通商産業省基礎
        産業局化学製品
        課長      蕨岡 達慈君
        環境委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十一日
 辞任         補欠選任
  田澤 吉郎君     島田 安夫君
同日
 委員島田安夫君が死去された。
同月十三日
 辞任         補欠選任
  田村  元君     工藤  巖君
  渡辺美智雄君     衛藤征士郎君
  山本 政弘君     馬場  昇君
同日
 辞任         補欠選任
  衛藤征士郎君     渡辺美智雄君
  工藤  巖君     田村  元君
  馬場  昇君     山本 政弘君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(福島譲二君外三名提出
 、衆法第三号)
     ――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 福島譲二君外三名提出の水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤節君。
○斉藤(節)委員 水俣病も随分長い期間になりまして、にもかかわらず、いまだに多くの患者が大変な状態にあるということを私は大変遺憾に思うわけでございますけれども、熊本県としては何回か国に対して水俣病の対策に関する要望書などを出しているわけでございますが、ここに五十八年十二月に熊本県から出されました「水俣病対策に関する要望書」というのがございますが、この要望書でいろいろ要望されているわけでございますけれども、環境庁長官としてこれに対してどのように対処していくお考えか、御答弁願いたいと思うわけでございます。
○上田国務大臣 水俣病対策につきまして、熊本県の方におきまして、また鹿児島県、新潟県、新潟市その他におきましても非常に力を入れて対策をおやりいただいておりまして、国といたしましては感謝を申し上げておるのでございます。しかしながら、諸般の事情によってその認定業務というのが非常におくれておるのでございますが、あるいはまた水俣湾におけるいろいろの対策事業、これもやはりおくれてきておるのでございますが、そういうことにつきまして熊本の知事さんからいろいろ御要望が参りました。いろいろごもっともなことを御陳情の中で述べていただいておるのでございます。
 国といたしましても、何とかその御要望に沿って認定業務あるいはまた対策がスムーズにいくようにさせていただきたいと念願をいたしておるのでございまして、大変厳しい現下の予算でございますので、その中でも力を入れてやらせていただきたい、こういうふうに考えております。
○斉藤(節)委員 そのような国の姿勢に対して私は大変ありがたいと思うわけであります。
 では、具体的にひとつ御質問申し上げたいと思うわけでございます。
 要望事項でございますけれども、「水俣病対策を円滑に促進させるため、次の措置を講じられたい。」というようなことで、「水俣病認定業務の促進を図ること。」これは非常に問題になっているわけでありますからまた後ほども御質問申し上げますけれども、こういったようなこと。あるいは二番目として「水俣病対策に要する財政援助の強化を図ること。」ということで三つほど出されておりますけれども、これらについてどのように対処される考えなのか。いよいよ五十九年度予算も成立したわけでありますから、その辺どのように考えておられるのか、どのくらい通るのか、その辺についてお答え願いたいと思います。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 要望事項の中の「認定業務の促進を図ること。」という中の第一番目の「ねたきり申請者に対する検診促進」でございますが、これは体の御都合が悪くて来られない方々に対してその家庭まで訪問して検診をするというようなことで、今年からきめ細かな配慮をしながらやっていこうというぐあいに考えているところでございます。
 その関連で、(2)のAに「ねたきり申請者の検診促進に必要な検診機器整備」というのがあるわけでございますが、これにつきましては予算で前年より約七百万ほど多く計上いたしまして、そういう検診機器を整備いたしまして、在宅の方々に対する検診が行われるような形でやってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
 それから、(1)のAの「検診医師の拡充」の問題でございますが、現在はいわゆる百五十人検診体制ということが行われますような検診医師の確保を行っているところでございますけれども、県ともよく相談をしながら、さらに関係大学等とこの検診医師の拡充強化に努めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
 それから、Bの「水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の改正」につきましては、ただいま御審議いただいておるところでございます。
 (2)の@は、いわゆる県費の過剰負担の解消という問題でございますが、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように非常に厳しい情勢にございますけれども、いろいろ工夫をしながらできるだけ県費負担が過重にならないように配慮してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
 それから、Bの「認定申請者治療研究事業の財源確保」という問題でございますが、これも非常に厳しい予算の中でございますけれども、全体といたしましては前年より約一千万ふやしまして、五十九年度の国の補助額は一億八千万ということで計上いたしているところでございます。この予算の額で三県市のこの治療研究事業が円滑に行われるように私ども県と十分連絡をとりながら対応してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
○斉藤(節)委員 今年度につきましてそのようなことを考えておられるようでありますけれども、実は水俣の認定業務促進対策でこのような計画がされておるわけでありますが、現在患者の認定というのはいわゆる厳密な臨床医学的判断で行っているということでもあるわけですが、私どもの沼川議員がさきの予算委員会の第五分科会でも質問いたしましたように、死後の解剖結果から水俣病と認定されたという例が幾つかある。生前には認定されていない。何回も、再び申請してもなおかつそれが認められないでとうとう死んでしまった。解剖したところが水俣病患者であった、それで認定された。それからまた、そのほかにはとうとう認定されないで首つり自殺して死んでしまった。その人についてやったところが、解剖の結果水俣病患者であった、そういった例があるわけでありますけれども、肉体的にも精神的にも患者は大変な苦痛を味わっているわけでありますが、現在の臨床判断でやれば多数の患者を見落とす結果になるのではないか、そんなふうに私は思うわけであります。したがいまして、疫学的条件と神経症例とがあれば認定する、そういった七一年のやり方が一番いいのじゃないかと私は思うわけでありますけれども、この辺厚生省の考えをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。環境庁でも結構です。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 四十六年当時の事務次官通知と現在の認定基準との関連に関するお尋ねであろうかというふうに思うわけでございますが、先生のお話にあったのでございますけれども、公害健康被害補償法によります水俣病の認定につきましては、臨床医学的に健康被害があるかどうかという点で行われるものでございまして、解剖後の病理所見と申しますのはその臨床所見を裏づける、あるいは臨床所見を想像させるといいますか予測させる参考資料ということで取り扱われているものでございます。水俣病の認定申請者が死亡の後に解剖されまして水俣病と認定されたケース、あるいは先生のお話にございましたように、実際当時亡くなられた方のケースにつきましても、いわゆる病理所見、臨床所見あるいは疫学所見をあわせまして総合的に判断した結果でございます。五十二年七月の判断条件、これは環境保健部長通知でございますが、その五十二年七月の判断条件あるいは五十三年七月の環境事務次官通知、これはいずれも水俣病の判断の適切さを期しまして、水俣病認定業務の促進に資するために、四十六年の環境事務次官通知、それ以降にいろいろな機会にいろいろな形で明らかにしてまいりました水俣病の範囲に関します基本的な考え方を、医学的知見の進展を踏まえまして再度確認する目的を持って整理統合したものでございます。公害健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るという趣旨に沿うものでございまして、四十六年当時の事務次官通知、五十二年の環境保健部長通知、五十三年の新次官通知、いずれも同じ趣旨、同じ内容のものであるというぐあいに理解しております。
○斉藤(節)委員 同じ内容であるということでありますけれども、どうも被害者というか患者といいますか、こういう方々の受ける考え方が大分違っているのじゃないかと思うのですね。現に認定制度に関しまして、実際は被害者を迅速に救済するという目的を持っているはずなのですね。にもかかわらず、最近の検診が非常に煩雑である、そういうふうに患者自身も感じておるし、また、その辺関係者も感じているわけでありますけれども、煩雑であってしかも不便である。そういった点で患者の苦痛を招いていることから検診拒否、こういったことですね。現に、これは全員でないかもしれませんけれども、そういう被害者、患者がいるということですね。また、検診忌避、本当に我々はちょっと考えられないような状況を招いているわけでありますけれども、迅速な判断を望む被害者が、自分にとっては自滅的とも思われるような態度をとっているということは、検診制度そのものを含む審査制度に対して被害者が不信感を持っているのではないか、そんなふうに私は思うわけです。これに対してどのように考えられるのか、お答え願いたいと思うわけでございます。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 先生からのお話の中にもございましたが、水俣病患者を早期に、迅速に救済するため国、県におきましては、これまでもいろいろな面で認定業務に必要な検診、審査体制の整備等いろいろな施策を講じてまいったところでございます。今後ともこれらの施策を円滑に推進するためにやっていかなければならないと思っているわけでありますが、特に長期の未処分者の方々につきましては、検診希望期日等を照会した上で申請者の方々の都合に合わせまして検診を受けていただく、あるいは寝たきり等で検診センターになかなか来られないという方々につきましては家庭を訪問して検診を行うなど、申請者の個々の事情に応じましてきめ細かな配慮をしながら検診を進めていく必要があるだろうというぐあいに考えておるところでございます。そのようなことでさらに一層申請者の理解を得て検診を進めてまいりたいというぐあいに思っております。
 先生のお話にございましたように、非常に検診が複雑といいますか数多くの科目にまたがって検診を行わなければならないという事情もございまして、申請者の理解を得るのがなかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、できるだけ申請者の御都合に合わせまして、理解を得ながら検診を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
○斉藤(節)委員 人間は感情の動物でありますからちょっとしたことでも、特にそういう被害に遭われているような患者は精神的にももろくなっておりますので、そういう点、いたわる気持ちでやっていただかないと、ちょっとしたことを問題にして拒否したりなんかすると思うわけです。そういう弱い立場にある人々ですから、その辺をよく理解された上で診断、臨床などもやっていただきたいと思う。そして、的確に迅速に認定業務を進めていっていただきたい、かように思うわけであります。
 そこで、ちょっと患者から離れますけれども、別な問題になりますが、水俣湾の堆積汚泥処理事業につきましてお伺いしたいと思うわけですが、現在水俣湾はどういうふうになっておりますか、現状をお聞かせ願いたいと思うのです。
○佐竹政府委員 お答えいたします。
 水俣湾のヘドロ除去対策事業につきましては、熊本県を事業主体といたしまして、運輸省第四港湾建設局を施行主体といたしまして、昭和五十二年十月に着手されたわけでございます。その後訴訟の影響等がございまして若干おくれましたけれども、昭和五十七年度までに仮締め切り堤、それから第一工区の護岸及び余水処理工事が完成いたしました。五十七年度末から五十八年度の初めにかけまして試験しゅんせつが行われているところでございます。試験しゅんせつにより工事の安全性等が確認されたため、五十八年六月から本しゅんせつ工事が行われ、五十八年度には埋立地の表面処理等を残して第一工区のしゅんせつを終了しているところでございます。本年度は、前年度に引き続きまして二工区の護岸工事等が行われる予定であるわけでございます。
 以上が工事の現状でございまして、私どもは慎重の上にも慎重にこの工事を進めるように工事主体等を指導しているところでございます。
○斉藤(節)委員 水俣の堆積汚泥処理事業をやっているわけでありますけれども、これは実際は五十八年度までであったわけですね。それが、今訴訟などによっておくれたと言いますけれども、六年間延長しているわけです。この事業費も百九十三億円から四百三十五億円にしなければならなくなったというようなことがあるわけですが、その理由についてもう少し詳しく御答弁願いたいと思うのです。
○佐竹政府委員 工事費が非常に増高した理由でございますけれども、これは事業がおくれたことに伴いまして物価上昇というようなこともございますけれども、まず第一に、一般水域と工事水域を区分いたしまして施工しているわけでございます。さらに、一般水域と工事水域の境界には二重に締め切り網を設置しまして、その開口部には高さ三メートルの底建て網を設置いたしまして、汚染された魚群が出入りしないように音響による遮断装置を設けております。さらに、水俣湾北側の湾口部には仮締め切り堤を設置し、湾内の潮流のスピードを三〇%減ずるとか、それから処理対象汚泥中の汚染度の高い水俣湾の湾奥部はそのまま埋め立てて封じ込める、その他護岸の背後には、陸地には余水処理施設を設置して、試験工事として埋立区域の海底汚泥はカッターレスポンプ船等を使用するという非常に特殊な工法を利用いたしまして、汚泥がまき上がってそれが広がらないように非常に注意を払って工事をしているわけでございまして、そのようなところから、先ほど申し上げましたような一般的な物価上昇もあって工事費が大幅に増高することになった次第でございます。
○斉藤(節)委員 その護岸工事でありますけれども、あのヘドロ、今どのくらいまだ水銀を含んでいるのですか。同時に、今音響遮断で魚群の通過を防いでいるという話でございましたけれども、音響遮断で本当に完全にいっているのかどうか。それから、潮流を三〇%減させていると今言われましたね。そういうことでありますけれども、そういう潮流であるにもかかわらず、音響遮断だけで可能なのかどうか、その辺のことを御説明願いたいと思うのです。
○佐竹政府委員 細かいデータは後刻御説明いたしますが、私どもは、この工事の安全性を確認するという見地から監視委員会を設置いたしまして、観測地点を水俣湾内に五点、丸島漁港に一点、さらに補助観測地点も設けまして常時モニターしながら工事を進めているところでございまして、その結果が予想された数字を大幅にオーバーする場合には工事を施工停止するように、そういうシステムで工事を進めているところでございまして、現在までのところ、工事が中断したことはございませんことから見まして、一応安全に工事は進められているのではないか、かように判断している次第でございます。
○斉藤(節)委員 水俣湾から外側の海洋の付近の魚をとって実際に水銀はどうかということを調べられたことはあるわけですか、この辺をちょっとお尋ねします。
○佐竹政府委員 水俣湾外でも、数種類の魚について漁獲いたしまして、その水銀濃度を調べているわけでございますが、その水銀濃度はいずれも魚類の水銀濃度の暫定基準値を下回っている状況でございまして、問題はないというふうに判断しているわけでございます。
○斉藤(節)委員 問題はないということで、私もそれは調べておりますから、問題はないというふうにも考えておるわけですけれども、大変重要な問題でございますので、さらにその辺はチェックしておいていただきたいと思います。
 そこで次は、熊本県のチッソ県債についてお尋ねしたいのでありますけれども、熊本県といたしましては、五十三年の六月の閣議了解に基づきまして、チッソ株式会社に対して、同社の経営基盤の維持強化を通じまして患者に対する補償金の支払いに支障を生じないようにすることと、それから地域経済社会の安定に資するという観点から県債を発行しているわけでございますが、チッソ株式会社に対しまして金融支援を行っているわけです。しかし、県債も五十三年十二月の第一回から第十一回の発行を行っているわけでありますけれども、融資の累計も二百六十二億三千四百万円にも達しているわけです。それにもかかわらず、チッソ株式会社の経営状態は好転どころか非常に悪くなっている。そのようなことから、五十七年度末処理損失も七百三十五億円にも上っているわけでありますけれども、このような状態を国としてどのように考えているのか、環境庁の方にお答え願えればと思います。
 それからもう一つ、今後国はどのような指導をこれに対して行っていくのか。これは予算委員会じゃありませんので、ちょっと的を外れているかもしれませんけれども、一応お聞きしておきたいと思います。
○正田政府委員 内容につきましては先生御指摘のとおりになっておるわけでございますが、現在の支払い方式、現行方式によってやらしていただいておりますが、患者の補償金の支払いという一番大事なことについては現行の方式で支障がないと思っておりますので、地元あるいは関係者といろいろ相談の上、現在の方式を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
 チッソの経営状態、関係機関で今後もいろいろ御指導いただくことにはなっております。しかしながら、いろいろな事態も将来起こるということを予想するわけではございませんが、円滑にチッソが償還をしていくことを期待しておりますし、また、そう思っておりますが、いろいろな事態がある場合には、関係行政機関あるいは地元と相談して対応策を講じてまいりたいというのが従前からの基本的な考え方でございます。
○斉藤(節)委員 このような大変な金額をチッソに応援していながら、チッソがなおかつこのような状態で、果たしてこれが再生できるのかどうかということを私は非常に疑問に思うくらいなんですね。そのようなことから、今まで水俣公害関係で費やされた費用、これはもう、今すぐ即答できないかもしれませんけれども、国及び民間も含めて、おおよそどのくらいのお金がかかってしまったのか、その辺のことを、もしわかれば御答弁願いたいのですが……。
○正田政府委員 ちょっと私どもの知っておりませんこともございますので、明確にお答えできなくて申しわけないと思いますが、先ほど御指摘ございました県債で今まで補償費を支払った、これが二百六十二億ございます。それから、根っこといたしまして補償金の支払い額が五百九十億、チッソがございます。それから、民間金融機関によりますところの金融支援、元本の返済猶予とか金利の棚上げとか、そういうのがございますが、これが五百億ぐらいございましょうか。それから、子会社に対する金融の融資とかございますが、その他ちょっと予想できないこともございますので、明確にお答えできない、申しわけございません。
○斉藤(節)委員 そのように、予想もできないぐらいの金がかかった。これは申すまでもなく、一企業によって起こされた公害であるわけですね。しかも、とうとい人命が失われ、あるいは傷ついているわけです。また、今の御答弁にありましたように、考えられないほどの経済力も失われてしまった。これはまさに国家の大損害だったと私は思うわけです。結局これは当時の為政者初め指導者らの、生命の尊厳あるいは人権ということを無視して経済一辺倒の考え方の大きなつけが現在ここにある、そう言っても過言じゃないと私は思うわけです。当時この問題が起こりかけたころに、学者あるいは研究者、また良識ある人々の意見を素直に聞き入れて当時対処しておれば、このような重大問題に発展をしないで済んだのだ、私はそんなふうに思うわけです。そういう点から、甚だ残念なことだなと私は思うわけであります。そういう点で、一日も早く被害者救済並びに問題解決を図っていただきたいと思うわけです。これについて環境庁長官、いかがでございましょうか。
○上田国務大臣 先生のお話のとおり、なるべく速やかにその救済方法を考えていかなければいけない。国も、県も知事さんも非常に力を入れてやっていただいておるのですが、まだ十分に進んでおらないということは非常に遺憾と存ずる次第でございます。今後も力を入れて促進を図っていきたいと考えております。
○斉藤(節)委員 大臣の御答弁、私、大変ありがたいと思うわけであります。
 ところで、この水俣公害は、申すまでもなく、有機水銀の汚染によってもたらされているということでございます。特にメチル水銀あるいはエチル水銀でございますけれども、そういった有機水銀、アルキル水銀ですね、アルキル水銀の影響でこのように起こっているわけでありますけれども、これは今さらここで述べるまでもないわけでありますけれども、チッソ株式会社では、アセチレンとそれから水とを反応させる、それによってアセトアルデヒドをつくる、こういう工程であったわけでありますけれども、その工程では触媒として硫酸水銀、いわゆる無機水銀である硫酸水銀を触媒として使っていたわけです。当然、硫酸水銀は無機水銀でありますから、まさか有機水銀に変わるなんということは考えられなかったわけでありますけれども、しかし反応工程で――私たちも化学で習った当時は、触媒というのは、反応物質には関係なく、関与せず、反応を促進する物質である、あるいは減退させる物質である、そんなふうに触媒というものを私たちは学問の上で習ってきたわけでありますけれども、しかし実はそうじゃなかったということですね。触媒といえどもその反応生成物によっては反応するんだ、そういうことでもあったわけです。したがって、アセチレンと水との反応でアセトアルデヒドをつくる工程において硫酸水銀が触媒ではあったけれども、しかし、さらにその生成物のアセトアルデヒドなどとの反応によってメチル水銀ができていたということで、それが結局排水口へ流れていってそのような大きな問題が起こったのであります。ですから、先ほども申し上げましたように、そのようなことが初期の段階ではわからなかったかもしれないけれども、だんだんだんだんわかってきた段階においてすぐ対処すればよかったのではないか、そんなふうに私は思っているわけなのです。私自身も科学者でありますから、その方を非常に心配しているわけです。
 その心配の一つに、実はこの次に御質問申し上げますトリブチルティンオキサイド、TBTOというふうに略して言っておりますけれども、三つのブチル基がすずにくっついているわけです。すずというのは、申すまでもなくこれは金属であります。この金属とブチルアルコールのブチル基とがくっついてできた、しかもビス型になった非常に大きなものでありますけれども、このトリブチルティンオキサイド、これが今非常にたくさんとは私は申しませんけれども、漁網などに使われている。これはもともと船底に塗料とともに塗りまして使っていたものであります。これを何に使っていたがといいますと、これは実は猛毒でありまして、毒であるから、船底などに塗っておきますと、貝とかあるいは海藻とか、そういったものが付着しないわけですね。ですから、船の底に海藻とか何かがつきますと、スピードダウンしたりあるいは腐食の原因にもなりますから、そういう点で船底塗料として塗っていたわけでありますけれども、それを最近漁網に使っている。どういう漁網かと申しますと、生けすあるいは定置網、長い時間海のところへ置いておかなければならないもの、そういうような網に使われている。それを使うことによって、網の目がそういう海藻とかそういったものによってふさがることもなく、そして海流も流れがとまることもなく、生けすの養殖ハマチなどをやる場合に非常に都合がいいわけです。そういう点で使われているのですけれども、実はそのトリブチルティンオキサイドというものは網に完全に化学結合しているのではないんですね。化学結合しているのではなくて、しみ込ませてやるだけなんですね。染色じゃないのです。
 私もついこの間、四日ばかり前、沼津へ飛びまして、沼津のハマチ養殖場を全部調査してまいりました。そのような網をどのぐらい使っているかどうかということも全部調査してきたわけでありますけれども、幸いなことに余り使っていなかったんですね。私は安心して帰ってきたわけでありますけれども、しかし、それを向こうの漁師の人たちは染色というふうに言っているんですね。染色じゃなくて、ただ塗りつけて乾燥させて一時的にしみ込ませておいて使っているだけなんですね。そうしますと、どうしても溶け出すわけです。ああいう生けすの中に閉じ込められているハマチは、そういう有機すず化合物によってどうしても汚染されてくるということは、これは言わなくてもわかることだと私は思います。
 そういうようなことで、まず初めに、そのトリブチルティンオキサイド、TBTOが我が国でどのくらい生産されているのか、通産省の方からお答えを願いたい。
○蕨岡説明員 御質問の漁網防汚剤といたしまして昭和五十八年で五千四百トン程度生産されていると推定いたしております。
○斉藤(節)委員 五千四百トンと大量に使われているわけでありますけれども、このうち船底塗料に使われている場合が相当多いと思うのですけれども、おおよそで結構ですけれども、何%ぐらい漁網に使われているか、お答えを願いたいと思います。
○蕨岡説明員 お答えいたします。
 ただいま申し上げました五千四百トンは、漁網防汚剤としての生産量でございます。したがいまして、TBT〇にしますと、二〇ないし二五%ぐらいであろうかと推定しております。これが漁網防汚剤として使われているようでございます。
○斉藤(節)委員 私は五千四百トンというのはトータルかと思ったら、実はそうじゃなくて、網を染めるだけにこれだけ使っているということでありますので、およそこれだけのものが生けすあるいは定置網の防藻剤として、藻は藻類という意味、昆布とか何かですね、そういう防藻剤として使われているということであるわけですけれども、私は有機水銀ほどすずは毒じゃないと思っています。
 これは皆様方に申し上げますけれども、亜鉛、カドミ、水銀というのは同族でございます。つまり、兄弟でございます。それの有機化合物というのは大変危険なものでありますけれども、水銀が一番危険ですね。二番目がカドミウム。カドミウムはイタイイタイ病で御存じだと思いますけれども、そのように大変な有毒物質です。亜鉛になりますとそれほど毒性はありませんけれども、しかし、これも有機化合物になりますと、大量に体内に入ってくると危険だろうと私は思っているわけです。
 それに対して、すずの場合は、これはチタン、すず、鉛というのが同族でございます。化学的に兄弟です。それから鉛、鉛有機化合物というのは非常に毒気が強いです。これは申すまでもなくガソリンに鉛が入っているわけでありますけれども、あれは四エチル鉛が入っているわけですね。四エチル鉛というのは猛毒であります。そういう四エチル鉛として使っていて、鉛公害なども随分ありますけれども、それと兄弟であるすずが、有機すず、特に有機すずでもブチル基がついていますと非常に危険だと私は思うわけです。
 そういう意味で、このようなものを五千四百トンも年間生産されて漁網を染めているということ、これについて環境庁としてどのようにお考えになりますか。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 環境庁といたしましては、既存の化学物質につきましては、一般環境中におきます残留レベルを把握するということによりまして適切に対策に反映させるために、化学物質環境安全性総点検調査というものを実施しているところでございます。この中におきまして、TBTOにつきましても、昭和五十七年度に環境試料にかかわります微量分析法を開発いたしまして、五十八年度、昨年度におきまして、全国の二十五地区の水質及び底質につきまして調査を行っているところでございます。現在、その調査の結果の整理を行っているところでございます。
○斉藤(節)委員 そのTBTOのハマチといいましょうか、魚肉の中のTBTOの分析方法は確立されたのですか。
○長谷川政府委員 環境庁といたしましては、環境中にありますTBTOの分析ということでございますので、いわゆる自然の水だとか川にあります、泥の中にあります、そういうものを検出する手法を五十七年度開発しまして、五十八年度にその調査を一部実施しておるという段階にございます。
○斉藤(節)委員 これは実は農林水産省の水産庁の方から国立公衆衛生院の方に、魚肉中のTBTOの分析法について依頼されていたはずですけれども、その辺水産庁の方からお答え願いたいと思います。
○山添説明員 私どもは、いわゆるTBTOが、養殖網に使った場合に魚肉中に移行するのかどうか、こういう調査を五十七年度から開始したわけでございますが、それまで魚肉中のTBTOをはかるという技術がございませんでしたので、先生今おっしゃいましたように、国立公衆衛生院並びに分析機関の方々にお願いしまして、そういう技術を開発をしまして調査をしたという次第でございます。
○斉藤(節)委員 五十七、五十八年にやられているはずですけれども、分析法は完成していると思いますけれども、実際にこのような網を使った生けすで生産されたハマチ類にすずがどのくらい含まれているかといったようなことについては、まだはかられていないのじゃないかと私は思うのでありますけれども、しかし、このような生けすで生産されているハマチの量はどのくらいですか。ハマチあるいはタイですか、そういったものを養殖されているはずですけれども、どのくらいの生産量があるのでしょう。
○守矢説明員 お答えします。
 養殖ハマチの生産量は昭和四十年くらいから急激にふえてまいりまして、五十年には十万トンの大台に達しました。最近の生産量は十五万トン前後で推移しております。
 今、先生お尋ねの、このうち漁網防汚剤を使った魚の生産量はどのくらいかということでございましたが、これにつきましては統計がございませんが、主要生産地等からの聞き取り調査によりますと、昭和五十年代の前半ですね、五十三年から五十五年くらいにかけましてはおおむね半数が漁網防汚剤を使いました網、これを使って生産をしている、こういうことでございます。しかしながら、最近時点におきましては水産庁及び業界団体、これらの漁網防汚剤使用の自粛運動の指導、こういうこともありまして、次第に使用割合は減ってきていると聞いております。
○斉藤(節)委員 今のお話の中で、かなりの魚が養殖されているわけでありますけれども、このようなものを、私は今回の調査で感じたわけですけれども、使わなくてもやっていけると思うのですよ。なぜかと申しますと、いろいろ漁民の方々と話しましたところ、これは丹念に生けすの網を取りかえてやれば何ともないんだと言うのですね。ただ、それを楽をしようとするとやはり長くほったらかしておく、そういう楽をしようとすればそういったものも使った方がいいだろうということでございまして、私はやはり今の使わない方向に指導しておられるという話を聞いて安心したわけでありますけれども、さらにこれを強力に推し進めていただきたいと思うわけであります。
 同時に、これはやはり船底塗料としても大量に使われていることでもございますので、海が少しずつでも汚れていく、そういうことは考えられるわけでありますので、環境庁といたしましてもまず海水中のこういう有機すず化合物のバックグラウンドを早く今のうちに調査しておいていただきたいと思うわけです。と同時に、すべての有機金属化合物のバックグラウンドもまだ余り汚れてない状態でもって早くチェックしておかないと、これから汚れてきたのかどうなのかということはわからなくなるわけでありまして、私はそういう点、ぜひとも環境庁にお願いしておきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○佐竹政府委員 最近の水質汚濁傾向といたしましては、先生御指摘のような微量汚染が非常に問題になってきておるわけであります。ただいま御指摘のありましたTBTOにつきましては、環境保健部の調査結果の取りまとめも見まして、要すれば所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
○斉藤(節)委員 今のうちにやっておかないと、大気中の水銀レベルも、これは私、予算委員会一般質問でやったわけでありますけれども、大気中の水銀も環境庁長官の御答弁では今何ともないからというようなことを言っておられましたけれども、先ほども私、水俣病について、早く手を打っておかないと取り返しがつかないことになる、大変な我が国の損失になるということを申し上げましたけれども、そのように水俣病の轍を踏まないようにぜひとも今からこういった大気中の水銀――いろいろあります。私、分析させれば、この中にカドミもありますし水銀もありますし、いろいろなものが微量粉じんとして存在しているわけでありまして、これのバックグラウンドを早く研究機関に委託しましてやっていただきたいと思うわけであります。
 特にこの有機すず化合物、トリブチルティンオキサイドの研究も、実は研究をやっていらっしゃる方々が私の友達でありますので、そういう人々と話している間にいろいろわかったのでありますけれども、これは全国水銀等の調査ですか、そういったような名目で研究費は直接、全国水銀等の影響調査ということで一貫したそういうプロジェクト研究でやっておられるそうでありますけれども、そこへ回るすずの研究のための金額というのは余り多くないというふうに私は感じたわけでありますけれども、その辺いかがでございましょうか。水産庁の方にお答え願いたいと思います。
○山添説明員 先生が今おっしゃいましたように、漁業公害調査委託費という形で重金属等による魚介類の汚染に対処するための予算、一括して計上されておるわけでございますが、今回の漁網防汚剤に係る調査につきましてもこの予算の一部を使ったわけでございます。ただ、この調査の実施に当たりましては、いろいろな学識経験の専門家の方より成ります委員会を設けまして、委員会の助言、御指導に基づきまして必要な調査をやったり、また、これに必要な経費もこの中から支出してきたということでございまして、今後も必要な経費については予算の支出を図っていきたいというふうに考えております。
○斉藤(節)委員 こういったことは大切なことでありますので、もう少し力を入れて大いに研究開発をやっていただきたいと思うわけであります。
 現在、水産庁としては相当いろいろ研究機関にやっておられるのでありましょうけれども、もう少し具体的に、どういうところへどういうふうにやっておられるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
○山添説明員 TBTOの調査に当たりましては、いわゆる魚の検体の採取、こういうものにつきましては都道府県にお願いしておりますし、それから分析につきましてはいわゆる指定検査機関といいますか、日本食品分析センター、冷凍食品検査協会、油脂検査協会、それから、もう一カ所ちょっとあれしましたが、そういういわゆる指定分析機関ですべて分析をやっておる次第です。
○斉藤(節)委員 では、厚生省にお尋ねいたしますけれども、食品安全という意味からこのような養殖ハマチについてどのようにお考えになっておられるか、御答弁願いたいと思います。
○難波説明員 お答えいたします。
 養殖魚介類の食品衛生上の安全の確保につきましては、養殖時における対策と非常に密接に関係するものでございますから、従来から私どもも水産庁とよく連絡をとりながら対策を講じておるところでございます。先ほど先生御指摘のように、TBTOを主成分とする漁網防汚剤の魚体への移行残留につきましても現在水産庁が調査をされていると伺っておりますし、近く結果がまとまると聞いております。
 私どもといたしましては、これら魚介類の安全性の確保、国民の健康を守るという観点から、もし養殖魚にTBTO等有害物質が残留するというような実態が出てきた場合には、直ちに専門家に必要な検討をお願いするとともに、それらの結果に基づきまして必要な処置を講じてまいりたいと考えている次第でございます。
○斉藤(節)委員 これはやはり食品公害の一種になるわけでございまして、厚生省としても、このような重金属有機化合物による汚染の魚については、どのような状態で現在養殖されているのか、また、どのような経過を通ってきて消費者の口に入るのか、その辺のこともいろいろ検討されまして、安全をどこまでも確保していくような食品安全ということを考えていっていただきたいと私は思うわけでございます。
 そういうようなことで、このようなトリブチルティンオキサイドというような物質によって海洋が汚れているということだけじゃなくて、いろいろの重金属化合物があるわけでございます。と申しますのは、これは必ずしも人為的につくられるばかりじゃなくて、無機金属化合物と有機物質があればそこでバクテリアの働きで有機金属化合物ができる場合が非常に多いわけです。こういう研究も、特に有機水銀につきましては相当研究されておりまして相当わかっておりますけれども、我々の生活が重金属類を非常に大量に今使っている時代でありますので、それはどうしても川を伝って海洋に入るといういろいろなことがありまして環境が汚れていくわけでありますので、環境庁といたしまして、その辺全国的に、海の水ばかりじゃなくて、川の水もまた湖沼等も水についてチェックをやっていっていただきたいと思うわけでありますけれども、その辺、環境庁長官、いかがお考えですか。
○上田国務大臣 斉藤先生の御指摘のとおり、新しいと申しますか、今までわからなかった有機化合物ができてまいりますので、環境庁のこれからの進むべき道といたしましては、そういうものによって公害が起こらないようにこれからやっていかなければならないと考えております。まず、はしりに地下水の調査をやらしていただきましたが、先生御指摘のように、海水中のもの、また河川水の中、湖沼水の中、表流水、そういうものについて検討をしていきたいと考えております。
○斉藤(節)委員 そのようにいろいろ長官が考えておられるので、私はぜひとも大いにやっていっていただきたいと思っているわけであります。最近幸いなことに、企業、特に工場からの排水などで余り問題にはなっていないようでありますけれども、私一番心配しておりますのは、重金属及び弗素含有排水、この弗素と重金属はどういうところでよく使われておるかと申しますと、半導体の製造工場だとかその周辺の製品製造工場あるいはブラウン管、螢光灯製造工場、金属表面処理工場、ガラス工場、窯業工場、それから、ごみ焼却場も入りますけれども、火力発電、こういったところで重金属と弗素化合物が排水の中に含まれてくることが非常に多いわけです。これらについて、複合排水でありますけれども、環境庁として実際にその後もずっとチェックしておられるかどうか、その辺ちょっとお聞きしたいのですけれども。
○佐竹政府委員 御指摘のように、弗素化合物が洗浄剤あるいは処理剤として半導体工場、ブラウン管工場等で使われておるわけでございますが、半導体工場、ブラウン管工場あるいはごみ焼却場、いずれも水質汚濁防止法の規制対象となっております。その排水中のカドミウム、鉛、水銀等の重金属、それから弗素も排水規制が行われているところでございます。
 これらの水質汚濁防止法の規制対象となる工場につきましては、都道府県が定期的に立入検査を行って排水の水質を調査し、適宜指導を行っているわけでございます。都道府県からの報告によりますと、五十七年度は半導体工場やブラウン管工場を含みます金属製品、機械器具製造業に分類される事業所数が千九百九十六工場、それからまた、ごみ焼却場の数が千三百十四ございますが、このうち重金属に係ります排水基準違反は、金属製品、機械器具製造業が、六価クロムにつきまして、二件ございます。それから、弗素に係る排水基準違反はゼロということでございまして、環境庁といたしましては今後とも公共用水域の水質が適正に保たれるよう、産業界の動きに対応しまして水質汚濁防止法の適切な運用を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
○斉藤(節)委員 もう時間もなくなりましたので、これで乱やめることにしますけれども、いずれにしましても、環境庁長官並びに環境庁の方々、各省庁の方々に、環境というのは、最近海水も河川水も湖沼水も、また大気も土壌も、我々の生活が大変複雑になればなるほど汚れてくることが非常に多いわけでありますので、その辺のバックグラウンドをすべてチェックしておいて、統計的にどうなっているのかということをどこまでも調べていっていただきたい、これを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は、今回この質問を前にしまして、実はこの日曜日と月曜日、水俣に行ってまいりました。この間、大臣はぜひ水俣を訪ねてほしい、調査をしてほしいということを随分言われておりましたけれども、私はやはり少なくとも環境庁長官は水俣に行って、御自身で水俣を見てほしいということを改めて思ったわけであります。水俣病をめぐる問題というのは、とても一口では言いあらわせないほどの複雑多岐にわたっておりますし、かつ大変深刻であります。だから、今議題になっております認定促進の問題だけではない。認定申請者の問題というのはほんの氷山の一角と言われるほど大変広範にその被害が広がっていて、その被害の全容の解明の問題というのも大変大事であります。また、水俣湾を復元する問題あるいはまたこの水俣病によって有形無形の被害をこうむっている地域の振興の問題、さらに、いわゆる県債の問題、こういうふうに問題は極めて多いわけであります。そういうことを私は水俣を訪ねて改めて認識するとともに、けれども積極的に取り組んでいけばそこから必ず大きな展望が開けてくるということもまた思いました。そういう認識の上に立って、きょうは幾つかの問題について政府の見解をただしていきたいと思います。
 まず第一に、この法律の名称にあります認定促進の問題ですが、この認定促進の大前提は、何といってもこれが患者の切り捨て促進ということになってはならないわけでありまして、しかし、そういうことを抜きにしましても、滞留申請者をなくしていく、認定か棄却かということを別にしても、この滞留申請者をなくしていく、この点だけ見ても私は今回のこの臨時措置法を含む政府の対応というのはもう破綻をしているというふうに思わざるを得ないわけであります。政府は、この認定促進については、昭和五十二年にいわゆる百五十人検診、百二十人審査体制というのをつくりました。そして、五十三年に、議員立法ですが、この水俣病認定促進臨時措置法というのをつくっていったわけです。
 まず、最初にお伺いいたしますが、昭和五十三年以降各年度末ごとの滞留申請者の数はどうなっているか、お示しをいただきたいと思います。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 五十三年度以降各年度末の未処分者の数を申し上げます。五十三年度末におきまして六千二百十三人、五十四年度末におきまして六千百十五人、五十五年度末におきまして五千七百二十一人、五十六年度末におきまして五千五百四十八人、五十七年度末におきまして五千四百三十一人、五十八年度末におきまして五千七百四人ということになっております。
○藤田(ス)委員 いかがでしょうか。この数を聞いておりましても、要するに、水俣病の関係閣僚会議までつくって対策をやったけれども問題は解決しなかったということじゃないでしょうか。特にこの臨時措置法について言えば、認定促進にはほとんど役に立たなかったし、今後も役立つものとは思われないわけなんですが、この臨時措置法は五十四年二月から施行されておりますが、その臨時措置法の対象者、すなわち旧法による申請者は何人いたのか。そして、今日までそのうちの何人がこの臨時措置法による申請を行っているのか、お伺いしたいわけです。
○長谷川政府委員 臨時措置法が施行されました昭和五十四年の三月末現在の数字でございますが、臨時措置法が対象といたしております数、いわゆる旧法申請者の方々の数でございますが、千四百二名でございます。本年二月末現在ではその方々の数は四百三十一名という形になっております。
 また、この臨時措置法施行後五十八年末までに、この臨時措置法に基づきまして環境庁長官に申請された方は七十二名いらっしゃいまして、これらの方々につきましては既に所要の処分を終えておるところでございます。認定が二十名、棄却が五十二名ということになっております。さらに、本年になって新たに二十三名の方々から申請がございまして、現在所要の準備を進めておるところでございますが、できるだけ早く審査会にお諮りいたしまして所要の処分を行いたいというぐあいに考えております。
○藤田(ス)委員 毎年七百から八百という単位で申請者が出ているのです。それにもかかわらず、この五年の間に大体百人程度、これが認定促進というようなことになるのでしょうか。認定促進ということに役立たなかったと言われても、私はこの数からも仕方がないと言わなければならないと思います。昨年言い渡されたいわゆる待たせ賃判決の中でも、この法律、この臨時措置法は全く空文化したものだというふうにまで言われているわけでありますが、この点、提案者の御見解をお伺いしたいと思います。
○福島議員 確かにこの判決の中で「空文化」という言葉が使われておりますが、私はこの法律自体に大きな欠陥があったり実情に沿わない点があれば「空文化」と言われてもやむを得ないかと思いますけれども、そういうことではなくて、申請者の方々が何となく国の審査会の方が県の審査会よりも厳しいのではないかな、こういうような感じをお持ちになって国の方にはなかなかおいでにならないという気分が私は背景にあるのではないかというような感じがいたしております。そういう意味で、「空文化」というのはいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、お話しのように、滞留者がたくさん現在なお残されておる段階でこの審査会というものを自然消滅させるということはいかがなものであろうか。申請者の皆様方の御理解というものをいただきながら、県の方でも国の方でもどちらでもあいている方で速やかに審査を受けていただく、そういうような体制に持っていくように私どもといたしましても今後なお一層の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
○藤田(ス)委員 県に申請するよりも国に申請したら厳しくなるのではないか、そういうふうに患者の皆さんが思われて国への申請が少ないというふうな程度しか認識をされていらっしゃらないというのは私は大変残念に思います。この法を施行したときに、先ほどの御報告にもありましたように、千四百三名ですか、おられたわけですね。今日その対象者というのはもう四百三十名でしょう。そうでしょう。それでもこの認定促進に役立つというふうに思っていらっしゃるのかどうか、この点私は重ねて提案者にお伺いをして進めていきたいわけです。
○福島議員 私どもの考えは、この法律を、臨時措置法というものを自然消滅させてしまう、いわば門戸をそれだけ狭めていかなければならないという現在の情勢ではない。むしろ県にしても国にしてもできるだけもっと強化をいたしまして、そして現在の申請、認定の体制というものを一層整備していく必要があっても、この門戸を狭めていくということは政治的にはどうしてもとりがたい状況である。そういう意味で、今回三年間の延長をお願い申し上げた次第でございます。
○藤田(ス)委員 この法律ができてから本当に百人というぐらいのわずかな数しか実際には仕事をしていないわけですね。だから、判決の方でも「古法律は全く空文化したものと言わざるを得ず」という厳しい言葉を出しているわけです。何か自然消滅とか門戸を狭めてしまうと言うと大変脅威に聞こえるわけですが、しかし、この臨時措置法によるこれまでの実績を見れば、そして現状を見れば、これが認定促進に何ら役立つものではないということを私は申し上げたいわけです。だから、こうした点からいえば、今回の延長はまさに待たせ賃訴訟の裁判対策だとか、水俣病対策の破綻を覆い隠すための極めて政治的理由によるものである、こういうふうにもまた思わざるを得ないわけであります。
 そこで、もう一度滞留申請者全体の問題に戻ってお伺いをしますが、昭和五十二年に百五十人検診、百二十人審査という体制をつくって、しかし滞留は一向に減らない、五十四年以降はようやく、年度ごとに見れば処分者の数が申請者の数を上回るようにはなっています。しかし、単純に処分者の数と申請者の数とを差し引きして計算しますと、五十四年ではわずか九十九人、五十五年では三百九十三人、五十六年では百七十三人、五十七年では百十七人というようなペースでしか処分者を消化していないわけです。このペースでいきますと、その年ごとに百人ずつ申請者よりも多く処分をしていったとしても、滞留者が五千人以上ですから、一番多い五十五年の三百九十三人消化した年と比べましても十年以上かかりますね、単純に言えば。言っていることはわかりますか。
 年度ごとに申請している人、その年に処分をした人、その差し引きでいきますと、ようやく五十四年から処分者が確かにふえていますから、その分だけずっと滞留者を消化することができるわけです。しかしながら、滞留者は五千人以上おりますから、最高に処分者の方が申請者よりも多かったという状態であった五十五年、三百九十二人、処分者の方が申請者よりも多かったという年を取り出してみて計算をしても十年以上かかるということになるでしょう、三百九十三人に対してまだ五千人滞留者がいるわけですから。これは算数の単純な話で言っているのです。そういうことで、五十七年のように差し引きすれば申請者に対して処分者がわずか百人しかオーバーしていないというような状態では五十年もかかっていくという話になるわけです。
 こういうふうに考えますと、環境庁はこういう事態についてどういうふうに考えておられるのか、また、どういう見通しを持っておられるのか、改めてお伺いをしたいわけです。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生から先行きの見通しのお話があったわけでございますが、私どもといたしましては、過去のそれぞれの年次におきます申請者数あるいは処分数ということは先生のおっしゃるとおりでございますけれども、傾向から申し上げますと、申請者数は年々減っておるところでございまして、五十四年以降は千名を切っておる状況にございます。一方におきまして、五十四、五年のころにおきましては、処分数が千五百件ぐらいはやった実績等もございまして、いわゆる検診、審査体制が軌道に乗りますればかなりの処分等が進められるであろう。一方におきましては、申請者の方々は年々減少傾向にありますので、そういう面では、先生のお話のように、三百件ベースあるいは百件ベースでの将来推計ということは、必ずしもそうならないのではなかろうかというぐあいには思っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、先行きの見通しにつきましては、申請者の状況あるいは処分の状況等によりまして非常に厄介な問題でございまして、現在のところにおきまして見通しを申し上げることはなかなか困難で、何とも言われないというところでございますが、私どもといたしましては、従来より検診医の確保なり検診機器の整備に努めまして、検診、審査体制の充実によりまして迅速な処分を進めてまいりたいというぐあいに思っているところでございます。
○藤田(ス)委員 大変正直におっしゃいました。現実にはその見通しを何とも示すことができない、大臣、こういうことであります。もちろんこれには被害者十万人以上と言われる、そういう被害の規模が大変大きい。だから、私は申請者が減ってくるだろうなんて認識はとんでもないと言いたいわけですが、これはまた別の議論になりますからやめますが、まだまだ認定申請者の数は減るというようなものじゃありませんよ。この点だけははっきり申し上げておきます。ただ、この問題の解決の一つのかぎというのですか、それはどういう立場で政府が認定申請に取り組むかということにかかっていると思うわけであります。
 そこで、お伺いをいたしますが、例の新事務次官通知が出るまでの昭和五十年から五十三年までの四年間の審査の数、その中での認定と棄却の数と率、それから新事務次官通知が出た以降、昭和五十四年から五十七年の同じく認定と棄却の数とその割合、これをお示しをいただきたいのです。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 昭和五十年度から五十三年度までの間の審査の件数は五千八百三件、そのうち認定数が八百六十六件、棄却数が千七百十一件でございます。審査数で認定の数を割った割合は、いわゆる認定率でございますが、一四・九%、同じように棄却率は二九・四%ということになっております。また、五十四年度から五十七年度までの間におきましての審査件数は五千七百五十三件、そのうち認定の件数が三百九十件、棄却の件数が三千三百七十七件でございまして、先ほど同様に審査の総数で認定数を割りましたいわゆる認定率、機械的な計算でございますけれども六・七%、棄却率は五八・六%という形になっております。
○藤田(ス)委員 ただいまのお話のように、認定率は一四・九――私の計算では一五・九となっておりますが、間違いですか。一四・九でいいのですか。
○長谷川政府委員 一四・九であろうと考えております。
○藤田(ス)委員 認定率は一四・九%から六・七%というふうに半減ですね。一四・九%認定率があったのが六・七%ですから、半減ですね。棄却率の方はどうでしょうか。今のお話にありましたように、棄却率は二九・四%から何と五八・六%、これは倍増ということになるわけであります。だから、現地に行きますと、認定されるのは宝くじに当たるようなものだ、これはもう本当にだれもが言っているわけです。こういう状態では幾ら国の方に申請してくださいと言っても、検診拒否だとかまた再申請ということにもなるわけでして、こういう基本姿勢を変えないで政府が幾ら認定促進と言っても問題は解決をしていかない、こういうふうに考えます。
 そこで、その検診拒否の問題ですが、確かに意識的に検診拒否しようという一部の患者さんもあることはありますが、この検診拒否という問題について政府はその理由を一体どういうように承知をしておられますか。
○長谷川政府委員 先生御案内のとおり、五十五年の九月に一部の認定申請者団体が検診拒否運動を始めたところでございます。国及び県におきましては、五十一年末に行われました不作為違法確認訴訟判決、その後特に検診、審査体制の整備等認定業務の促進のために必要な措置を講じてまいりまして、その結果、認定業務が促進されつつありましたやさきにおきまして、不作為の違法解消に誠意が見られないというような理由を主張いたしまして、申し上げましたような検診拒否運動が始められたものでございまして、このことはまことに残念なことというぐあいに思っておるところでございます。
 申請者が水俣病であるかどうかを判断するためには、申請者の方々に検診を受けていただくということがどうしても必要でございますのに、申請をしていながら検診を受けていただけないということにつきましては、いろいろな理由等があるとは思いますけれども、どう理解してよろしいのか苦慮しておるところでございます。
 私どもといたしましては、熊本県とも十分相談いたしまして、申請者に認定制度の趣旨を十分理解してもらうように努めまして、検診を受けてもらうことによって認定業務の促進を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
○藤田(ス)委員 私も検診拒否ということについて一番知りたいから水俣に行ったのです。そして、患者さんといろいろお話をしました。それは確かに理由はいろいろあります。私も実際に自分で検診センターに行きまして、どういう検診をしておられるかというのを、目のくるくる回ってくるやつだとかいろいろ音が聞こえるかとか、そういうようなこともいろいろテストをしてもらいました。大変煩雑であり、正直、苦痛ということは、私は自分自身もそういうふうに思ったわけです。また、そもそも検診とはイコール棄却ではないかという不信感も大変多いと思います。しかし、理解をしていただけないということに対して苦慮していると言われますけれども、あそこに行って、あそこの中で患者の皆さん、申請をしておられる皆さんの声を聞けば、本当になぞが解けるような気がするわけなんです。それはシンジンチクチクと水俣病特有の症状というのがありますが、シンジンチクチクとするかは気持ちが愚かもんですたい、こう言われるわけです。棄却されても棄却されてもシンジンチクチクはちっとも変わらない、こう言うのです。しかも、仕事はできぬ、生活はきつか、せめて医療費なりとも、こういう気持ちが底深くある中で、検診拒否というのは、これは本当に水俣に住む、そして非常に大きく広がっているこの被害の中で、暮らしの中から出てきている悲痛な、何というのですか、これはだれかに呼びかけられたとかそういうものじゃなしに、悲痛な声だというふうに私は受けとめてまいりました。結局早く言えば、治療研究事業、医療費の問題を理由としたものなのです。ここのところはどうしてもわかっていただきたい。大臣、わかってほしいわけです。
 簡単に言えば、申請してから一年たたないと医療費が支給されません。そして、一度棄却されると再申請をする。だってシンジンチクチクがちっとも変わらないわけですから再申請をする。そうすると、医療費の方は一年間ストップされてしまうのです。また一年たたないと医療費が支給されない。その間には、仕事に行かなければならないし、医者にも行かなければならない。そこで大変深刻な状態が出てまいります。だから、棄却されないように検診を受けない、こういうようなことになってくるわけです。
 大臣、みずから認定を希望して申請をしながら、それに必要な検診を受けたくとも受けられないという、この被害者にとってまさに自滅的ともいうような態度をとらざるを得ない実態をどういうふうに思われますか。
○上田国務大臣 お答え申し上げます。
 まさにその辺のところが悩みがいろいろおありになるのじゃなかろうかとは思うのでございますが、一応研究費ということでなっておるのが今の予算の状況でございます。それをいろいろ考えて医療費にお使いをいただけるようにしていこうということでやらしていただいておるのでございますが、ひどい方というか、それの判定もまたこれはお医者さんの認定によるわけでございますけれども、半年で研究費をおつけするということもやらしていただいておるところでございます。何分、医者に早く検診を受けていただくということによってシンジンチクチクのところをわかっていただけるようにしてもらわなければいけないのじゃなかろうかと私は思うのでございます。極力検診を早めてそういう問題に対しての解決を図っていきたいというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 ちょっとよくわかっておられない。検診を受けられないと言っているのに、検診を早めてなんと言ったって、そんなことはちっとも話にならないわけですね。だから、どうしても水俣に行ってほしいというふうに重ねて申し上げたいわけです。申請者といいましても、それぞれの水俣に住んで、そして魚を食べて、主治医からこれは水俣病だという診断を受けて申請をしているのですから、そして申請即医療費といっても、だから、やみくもに申請しているものじゃないわけです。そうなんですよ。そして、この治療研究事業については、既に昨年の待たせ賃訴訟判決では、「その給付の始期、額においてなお制限があるもので、水俣病患者の救済ということには程遠いものである」、ここでこういうふうにはっきりと言っております。要するに、裁判所もこの制度には初めの一年間支給されないということも含めて、問題があるということを認めているわけなんです。
 この申請即医療費がどうしてできないのか、もう一度明確に御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川政府委員 申請者治療研究事業に関するお尋ねでございますが、先生御案内のとおり、これは水俣病認定申請者が申請されましてから処分までの非常に長い期間にわたる場合もありますことから、その申請者の方々の病状の変化を把握するというために、その間に治療に要した経費の一部を助成するということで、研究を目的とした内容でやっている事業でございます。したがって、この事業は、先生のお話にございますように、申請後一年以上、症状の程度によりましては六カ月以上経過したものと、一定要件のもとに実施いたしているところでございまして、申請即医療助成ということをとることにつきましては、この治療研究事業の趣旨からいっても適当ではないというぐあいに考えているところでございます。
○藤田(ス)委員 治療研究事業の趣旨からいっても、研究というのには十分役立つじゃありませんか。棄却をした。再申請をする。棄却をした人が再申請をする。シンジンチクチクがきのうときょうも同じだから再申請する。だったら、そのまま研究したら十分研究が拡大するということになるじゃありませんか。実態は、その患者さんの病状をずっと研究していくためにということで治療費として出しているわけです。だから、その一年の待たせ期間を待たせないで、シンジンチクチクするんだ、棄却と言われたけれども、そうじゃないと思う、ちっとも症状は変わらないということになって、医者がそう判断する、そうすれば、医療費をそのまま支給して、その患者が本当にそういう状態でなぜなのかという研究をしていけばいいじゃないですか。それは研究の拡充であって、研究とちっとも矛盾するものじゃありませんよ。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 水俣病であるかどうかという判断につきましては、先生お話しの中にございましたが、検診センターにおきます検診データというような資料を踏まえまして、水俣病に関する医学につきましての高度の学識と豊富な経験を有する審査委員の先生方にお集まりいただきまして、その審査会の場において個々のケースごとにいろいろ疫学条件なりあるいは臨床所見というものについて御審議いただきました結果、水俣病であるかどうかという判断をなされておるわけでございます。
 そういうことで、一たん棄却をされた方もいらっしゃるわけでございますが、棄却される時点におきましては、その方々の病状というものにつきましてはある程度の把握はできておるという要素もあるわけでございまして、そのようなこともございますので、現在の治療研究事業と申しますのは、先ほども申し上げましたように、申請後一年、程度によっては半年の方もいらっしゃいますけれども、それ以降の方々について研究を続けるという観点で行っているということでございます。
○藤田(ス)委員 その制度の中身の目的は私よくわかっているのです。だから、中身の目的をより達成していくために、その一年の待たせ期間を、申請で即医療費の支給でいったってちっとも矛盾は起こらない。要するに、これはお金の問題だけじゃないんですか。県の方も財政難を理由に、できないんだと言っているわけです。二千五百万円が県の負担、国も同額ですから二千五百万程度です。これは県が二千五百万程度あれば申請即医療費の支給ということは実現できるんだ、だけど財政難でということを言っているわけです。だから、お金の問題なんです。大臣、そういうことなんです。
 治療研究事業というのは、審査会で棄却したけれどもその患者がどうなったか、本人が訴えていて医者もその症状に変化がないということで判断をして再申請をするわけですから、そういうふうに判断をして再申請した人にすぐ医療費の支給をしていけば、これはむしろ治療研究事業の充実拡大につながるのであって、要するに予算の問題なんです。だったら、私はこの辺で誠意を見せるべきじゃないかというふうに考えます。
 大臣、もう一度お答えをいただきたいわけです。
○長谷川政府委員 事務的なことを御説明申し上げます。
 治療研究事業と申しますのは、本来申請者が速やかに処分等が行われますれば、この治療研究事業は必要ないものというぐあいに考えているわけでございますが、現在のところ、申請から処分までの期間が非常に長くわたるというようなことから病状把握という観点で行っておるということでございまして、比較的短い期間に処分が行われる形になればこの治療研究事業は本来必要ないものであろうというぐあいに考えているところでございます。
○藤田(ス)委員 そんなのは答弁になっていませんよ。もともとそんなふうに患者を待たせているのも国の責任じゃないですか。そこら辺の責任を全く胸に問わないで、そんなことはいけませんよ。余りこれにこだわっていたら時間がなくなりますから、私さっき患者の声をそのまま熊本弁で言ったわけですが、大臣、もう一度この問題についてお答えください。それから続けていきたいと思います。
○上田国務大臣 先生からいろいろ具体的にお話があったのでございますが、病状の重い方については六カ月といいますか、一年でなくて早くそういう研究費をつけてその状態を把握させていただくようにさせていただいておるのでございます。それの判断はやはりお医者さんの判断によるわけでございまして、そういう点でいろいろと私どもも予算を要求をさせていただいておるところでございます。
○藤田(ス)委員 本当にもうこれ以上尋ねてもしょうがないなと思うのですが、医者の判断によって支給をしていくものだ。だったら、医者は判断しているわけです。医者は見事に判断していますよ、この人は棄却されたけれどもその症状はちっとも変わらない。だから、要するに予算なんです。大した予算がかかるわけでもないのに、そういうふうに理由にもならない理由をいっぱい言われて、そして認定促進だという言葉を何ぼ使われても、それはもう本当に言葉だけのものだというふうに思わざるを得ないわけであります。
 次の問題に移ります。
 先ほど、認定促進はどういう立場でやるのか、もちろん絶対に棄却促進であってはならないということを申し上げたわけでありますが、その点で極めて問題なのがいわゆる死後認定の問題、解剖の後の認定の問題です。この点は参議院で我が党の近藤議員も簡単に触れておりますけれども、熊本県ではこれまで解剖を受けた人の二百六十二人のうち認定されたのは百四十四人、認定率は五四・五%、最近の数字で言っても五十八年は二十六人中十四人、認定率は五三・八%です。先ほど私が認定率をお伺いしましたときの御答弁では、最近では六・七%と認定率は落ちております。そういうことからしたら随分大きな差があるわけです。
 この死後と生前との認定率の差について政府はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 法によります水俣病の認定につきましては、先生もよく御案内のとおり、臨床医学的に健康被害が存在しているかどうかという点で行われるものでございまして、解剖後の病理所見というものは臨床所見を裏づける資料というような形で取り扱われているものでございます。
 水俣病の認定申請者の方々が亡くなられまして、解剖されて水俣病と認定されたケースにつきましては、数字の割合で言いますと先生のお話のとおりでございますが、このそれぞれのケースは臨床所見に解剖後の病理所見を加えまして、先ほど申し上げましたように、専門家のお集まりでございます審査会において総合的に判断された上で水俣病であるというぐあいに認定された方々でございます。そういうことで、それぞれの専門の先生がお集まりの認定審査会において個々のケースごとに御審議をされまして水俣病であるかどうかの判断をされるわけでございますが、その結果、積み重ねたといいますか足し算いたしたものが、先ほど先生からお話がございましたような件数、認定率になっているというぐあいに理解いたしております。
○藤田(ス)委員 ちょっとそういう話は納得できないですがね。
 そうしたら、これはどうなんですか。生前棄却された人、さっき医療費が打ち切られて困ると私が言った人、この棄却された人々を解剖したらその結果認定された、こういう人もおられるわけですね。これは長谷川部長が参議院で、五十八年には、棄却されて、そして再申請中に解剖したら十名のうちの認定は二名あった、こういうふうに御答弁されていると思うのです。間違いありませんね。この割合でいけば、過去棄却された方は全部で五千四百七十二名というふうに承知をしておりますが、その五千四百七十二名のうち二割、十人のうち二人ですから、単純に言えば二割、そうすると実に千人実は水俣病であった、こういうことになると考えるのですが、この点はどうでしょうか。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 現在申請中の方々で、処分されていらっしゃらない方々がおよそ五千名近くいらっしゃるということは先生のおっしゃるとおりでございますし、それから一方におきまして、過去に一たん棄却をされて、再申請中に亡くなられて解剖された方は十名中二名が認められたというのも先生のお話のとおりでございます。そのようなことでございますので、現在処分が決められていない五千名の方々の中に患者さんがいるかいないかということにつきましては、どの程度いるかというお尋ねでございますけれども、それにつきましては数字的に申し上げることは非常に難しいだろうと……一藤田(ス)委員「どの程度いるかなんて、そんなこと、ちっとも言ってませんよ。その差、そういうことになるんじゃないかということを言っているのです」と呼ぶ)先ほどもお答え申し上げましたように、解剖後の病理所見を含めまして臨床的所見に基づきまして総合的に判断した結果、解剖した方々についての認定割合は、先生お話しのように、五〇%近くありますというぐあいに申し上げたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、個々のケースごとに審査会におきましてそれぞれ判断されて、その結果を積み上げますとそういう形になりますということでございますので、何と申し上げてよろしいのか、生きている方々の認定率と亡くなって解剖された後の認定率の差があったというのは、たまたまそういう方々の個々のケースを積み上げた結果そうなっておるというぐあいに理解いたしておるところでございます。
○藤田(ス)委員 その差はたまたま個々のケースを積み上げた結果そうなる、私は、そういうことを言われると本当につらいのですよ。何か本当に胸が痛いのです。だって、そうでしょう。解剖するというようなことは並みや大抵の話じゃないのですよ。遺族の人だってどんな気持ちだと思いますか。それをあえて解剖して、そして認定された、そういう冷厳とした事実が出てきているのです。それを、たまたま積み上げた結果だなんて、その数字はたまたま個々のケースを積み上げていった結果こうなるんだというような話では、私は本当につらいです。
 病理と臨床とは違う、こういうことも言われるわけですね。だから、解剖したらそういうことで出てくる場合もある、しかし、数は少ないとはいえ、実際に棄却者の中の二割は水俣病だった。このことは冷厳な事実なのです。そして、全体で言えば半数以上の人々が頭をあけてみたら実は水俣病だったというのは、これは厳然とした事実じゃないですか。私は、そのことをもっと環境庁が本当に胸に受けとめてほしい、そういうことを言いたいわけです。そして、こういうふうに生存者の認定率が解剖の結果出てきた認定率と余りにも違うということであれば、これはもう一度解剖後の認定患者の生前の症状を洗い直して、そして、死んで初めて認定されるというようなこんな悲劇をなくしていくためにも生存者の認定基準を検討し直してみる、こういうことが今非常に大事になっているのじゃないでしょうか。
○長谷川政府委員 先生のお話にございますように、亡くなられた方々がそれぞれ解剖されるということにつきましては、いろいろな状況等において非常に御苦労されておられる、いろいろなことをお考えになっていらっしゃってその上であえて解剖されておられるという、個々のケースにつきましては確かに先生の御指摘のとおりでございまして、そういう面では、私ども非常に大変なことだなというぐあいに思っておるわけでございます。しかしながら、そういうケースが、解剖されまして病理所見が得られ、それを審査会において総合的に判断されて、個別ごとに認定なり棄却なりの判断をされておるということでございます。その結果、先ほど申し上げましたように、先生のお話にもございましたように、いわゆる認定率にかなりの差があるということにつきましては、たまたまそうなったものというふうに解釈しておりますというぐあいに申し上げておるところでございます。
 なお、現在の判断条件についての見直しに関するお尋ねでございますが、現在の判断条件につきましては、水俣病患者の迅速かつ公正な保護を図るという趣旨で水俣病の判断の適切さを期しまして、また水俣病の認定業務の促進に役立てるために、医学的知見の進展を踏まえまして実際に水俣病に関しまして研究あるいは認定審査を行っておられる医学の関係分野の専門家の方々に御検討をいただいた結果、それらを整理統合したものでございまして、これを見直す必要もないというぐあいに考えておるところでございます。
○藤田(ス)委員 たまたまというようなことだとか、今の新通達において行われている認定基準が迅速かつ公正なものであるとか、そういうことは事実がもはやおっしゃることと全く違うということになっているわけなんですよ。私はさっきから何遍も言っているでしょう。新事務次官通知が出るまでの認定率だったら、解剖後の認定率とほとんど一緒ですから納得があるわけです。ところが、新事務次官通知が出てから認定率が半減した。だけれども、解剖したらやはり半数以上ある。旧事務次官通知のころの認定率と同じだけ。これだったら、子供でもどっちが正しいかと言ったら旧事務次官通知の方が正しいと言って丸をつけるような話になるじゃないですか。事は大変単純なんです。
 だから、生前の症状をもう一度洗い直してみられたらどうか、その上でこの認定基準を見直してみたらどうか、私はそのことを申し上げているのですよ。わかっていただけますか。もう一度御答弁ください、簡単で結構ですから。
○長谷川政府委員 現在の判断条件は五十二年の
○藤田(ス)委員 判断条件のことを聞いているのじゃないのです。再申請して亡くなられた方――再申請ということは、その前に棄却されているわけですけれども、再申請して亡くなられた方、そういう方が五十数%、半分以上、解剖した結果認定になっているわけです。棄却されていた人も二割が認定になっているわけですね。だから、この基準の問題を真摯に検討するということで、まず、そういう解剖した人の生前の症状を洗い直してみたらどうですかということを言っているのです。それくらいは答えてくださいよ。
○長谷川政府委員 お答え申し上げます。
 水俣病の認定の基準につきましては、私ども、水俣病に関しましての医学の専門家の方々の御意見を随時お聞きいたしまして、見直すといいますか検討いたしておるところでございます。そのような観点におきまして、現在の認定要件、認定基準につきましては、その専門家の方々の御意見を伺いましたところ、現在の認定要件で差しさわりないといいますか、これを特に変える必要はないという御判断をいただいておるところでございますので、この判断要件のもとでやっていただきたい。
 なお、先生のお話にございますけれよ、私ども四十六年の次官通知、五十二年の保健部長通知、五十三年の次官通知は同一のものというぐあいに考えているところでございます。
○藤田(ス)委員 私の言おうとしていることを全くわかっていらっしゃらないはずはないと思うのに、どうしてそんなふうに答弁をゆがめてしまわれるわけですか。私は新基準を見直せとストレートに言っているんじゃないのですよ。解剖された方で生前棄却された方、再申請している方の生前の症状を見直してみたらどうですか。そうすれば、今これこそ絶対に正しいとかたくなに言われる新次官通知が、あるいはその基準がおかしいということになるかもしれない、ならないかもしれない。私は、ならないかもしれない、そういうこともあるかもしれないと思うけれども、生前の症状を一度洗い直してみたらどうかということを言っているわけです。
○長谷川政府委員 解剖された方々の病理研見、それから、その方の生前中の臨床所見につきましては、現在熊本県の中におきましてもこの両者の資料を集めましていろいろ検討いたしているところでございます。
○藤田(ス)委員 そういうような姿勢では全く何をか言わんやだというふうに言わざるを得ません。私は、この裏にはチッソの支払い能力、経営危機といったことがあると思えてならないわけです。要するに、支払い能力の範囲内でしか認定を行わない、こういうことじゃないですか。これも水俣に行きましたら、もうだれもが言っていることの一つなんです。つまり、熊本県がチッソ支援のために発行している県債の発行額、第二回以降は二十億円から二十五億円の間で見事に数がそろっているのです。さらに、県債発行と同時に新事務次官通知を出して、認定率をそれ以前の二分の一に抑え込んでしまった。
 こうしたことを見てみたら、認定率の低下について、これは待たせ賃訴訟の判決の中でも、この間における申請者の水俣病症状が、従前のそれと比べて特に著しい変化を来したとは認めがたい、にもかかわらず認定が減り、棄却がふえていると述べているわけです。そういう点では県債発行、新事務次官通知、認定の激減というのはまさに一体不可分のものとなっていると言わざるを得ないわけですが、この点、長官の御答弁をお願いいたします。
○上田国務大臣 今先生の御指摘の点がどうも少しはっきりしなかったのですが、結局、県債を発行してチッソにそれを貸しておる、そういうことから認定の方をおくらしておるということと関係があるんじゃないかというお話でございますが、認定業務というのは、患者さんの御都合をお聞きをして、認定を受けに来ていただいた方は、これを拒否するとかなんとか、そういったようなことは全然なくお受けをいたしまして、そして、やらしていただいておるものでございますから、県債とそういうものとは全然無関係にやらしていただいております。
○藤田(ス)委員 そういうふうに言わざるを得ないと思いますが、チッソの経営状況、これはもう時間がなくなりまして、通産省にお伺いしたかったのですが、せっかくおいでですから一言だけチッソの今後の経営の見通し、簡単で結構です、時間がありませんから。
○高島説明員 簡単に御説明を申し上げます。
 御案内のように、チッソの主力は石油化学工業でございまして、これは国際的に大変不況なさなかでございます。今後の見通しにつきまして、策定作業というのは役所としては大変難しいことでございますが、二つばかり明るい見通しがございます。一つは、法律に基づきます構造改善で、石油化学工業が徐々に自立の道を歩みつつあることが一つ。それからもう一点は、チッソの大変な努力で新規事業分野に明るい芽が出つつございます。この二つで何とか将来的には明るい問題が出てくるのではないかと思っております。ただ、短期的に五十八年度で見ますと、上期の二億円の赤をやっとこの下期の最近の変化によりまして埋め合わせることができる、黒字に転向することができるという状況でございます。
○藤田(ス)委員 五十八年からチッソはいよいよこれまでの県債に対する返済が始まっております。そして、毎年その返済を約二十億円――間違っていたら言ってください、七十年前後をピークとして大体それぐらいの額になっていくんじゃないかと思いますが、私はこのまま県債を継続していったとしても、借金は雪だるま式にふえていくばかりで、早晩行き詰まりが来るんじゃなかろうかと思っております。この県債方式によるチッソ支援は、国としても苦肉の策だったろうというふうにも思うわけですが、その後の経過を見て、これはもう行き詰まっていくことは明らかではないか。その点で私は、今まさに、国やチッソが一体になって、被害が出たときにそれを否定し、みずから被害を拡大させてきたというツケが回ってきたと思うわけです。
 いずれにしても、県債方式の行き詰まりが明白になった以上、日本環境会議が提言しているような国や県、そしてチッソ関連企業などによる基金構想など、こういうことも当然考えていく必要があるのではなかろうか、そうしたことこそ、とりもなおさず現在のような支払い能力の範囲内での認定、否定されておりますが、実際にはそういうことになっている、そういうあり得べからざる状態も改善の一つにつながっていくんじゃなかろうかと考えるわけであります。
 時間がありませんので、最後に長官に御答弁をいただいて、もう一つの問題が残っておりますので、お願いをいたします。
○上田国務大臣 今チッソのいろいろな会社の実情をお聞きをいただいたと思うのでございますけれども、石油産業が一時非常に不況でございましたが、だんだんと上向いてきておる。それからまた、新しいチッソの会社においても開発を始めておるということで、その業績が黒字に転じて、そして県債の返還にも応じられるようになってきておるわけでございますので、国、県、チッソ、もちろんこれはいろいろ打ち合わせをさせていただいておりますけれども、その返済はやっていただける、こういうふうに確信をいたしておるところでございます。
○藤田(ス)委員 幾らかのんきに過ぎる。この問題について期限が来ておりますのでまた国の方として対策をやがて考えなければならない、このときに一番の責任者である長官がそういうことでは大変不安になります。ぜひ水俣をお訪ねください、もう一度重ねてそのことを申し上げておきたいと思います。
 私たちがなぜこの法案に反対をしなければならないのか、このことを一言最後に申し上げておきたいと思います。
 そもそもこの法律の制定経過は、昭和五士二年六月の水俣病対策関係閣僚会議で、熊本県の県債発行による対チッソ金融支援という形で国がチッソの経営危機のしりぬぐいを熊本県に押しつけるかわりに患者切り捨てを促進する新事務次官通知を出すこと、及び昭和四十九年以前の認定申請者については環境庁長官に対し認定申請することができるとした本臨時措置法の制定を約束したことによるものであります。
 我が党は、前回の制定に当たって、これが従来の認定基準の大幅な改悪である新事務次官通知とセットとされていること、認定業務は自治体の事務であるという公害健康被害補償制度の大原則を崩すものであること、さらに、棄却された場合、環境庁長官への異議申し立てが却下された後は行政不服審査の道が閉ざされていることなどの点から、本法律が一層の患者切り捨てに道を開く危険性を持っているとして反対をいたしました。その後の経過は、患者認定率がそれ以前の半分以下に大きく落ち込んでいることからも、本法律制度の本質が患者切り捨てにあったことは事実によって証明されていると考えるわけであります。
 今回の延長は、第一に、対象者が既に約四百三十名と現在の申請者全体の一割以下にまで減少しており、改めて延長することは形だけのものにすぎないこと、第二に、これが依然として新事務次官通知とセットである点に変わりはなく、今後ともこの臨時措置法に認定の促進を期待できる根拠は全くないこと、第三に、今回の延長措置は、国や県の怠慢による認定業務のおくれを不作為の違法とした判決及びこの判決に基づき国、県に対し、認定待ちの待たせ賃を払えという判決など、一連の裁判対策と、県や患者に対し国も努力しているとの体裁を繕おうとするためのものであると考えるわけであります。
 以上の理由により、本法律の三年延長の措置によっては水俣病認定業務の真の促進にはならない点を指摘し、速やかに実効ある抜本対策を講ずるよう要求して、本法案に対する私の反対意見を述べて終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。上田環境庁長官。
○上田国務大臣 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案については、政府としては、異存はないとの意見であります。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありましたが、先ほどの理事会で協議の結果、御遠慮願うことといたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
 これより採決に入ります。
 福島譲二君外三名提出の水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、岩垂寿喜男君、馬場昇君、春田重昭君及び中井洽君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。春田重昭君。
○春田委員 私は、ただいま議決されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 臨時審査会は、水俣病患者が一人でも見落されることのないように、全部が正しく救われるような精神にのっとって審査を行うこと。
 二 臨時審査会委員を新たに任命するにあたっては、患者の信頼を得るよう十分に配慮すること。
 三 臨時審査会は、県、市の認定審査会と並列的なものであり、従って、そのような趣旨の運営を図ること。
 四 本法の異議申立てについて、環境庁長官は、不服審査会委員及び主治医の意見を十分尊重すること。
 五 認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務について、患者との信頼回復に努めること。
 六 国及び地方公共団体は、水俣病の検診業務に従事する常駐医の拡充強化等認定業務の促進のために、諸般の施策を講ずること。
 七 認定業務について、各県、市認定審査会、当該地方公共団体の長、患者代表の意見を十分に聴取し、今後とも一層改善に努めること。
 八 昭和五十三年七月三日付、環境事務次官通知「水俣病の認定に係る業務の促進について」のうち、4処分にあたって留意すべき事項中(2)の「所要の処分を行うこと」の対象となる者に対しては、法の救済の精神を尊重し、単なる患者の切捨てにならないよう、今後とも配慮の手段を見出すべく努力すること。
以上でありますが、その趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 以上であります。
○竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立総員。よって、本案については、岩垂寿喜男君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、上田環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。上田環境庁長官。
○上田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして、努力いたします。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 この際、お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十九分散会