第101回国会 予算委員会 第8号
昭和五十九年二月二十日(月曜日)
    午前十時開講
出席委員
  委員長 倉成  正君
   理事 小渕 恵三君 理事 原田昇左右君
   理事 松永  光君 理事 三塚  博君
   理事 山下 徳夫君 理事 岡田 利春君
   理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君
   理事 大内 啓伍君
      相沢 英之君    伊藤宗一郎君
      石原慎太郎君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    大村 襄治君
      奥野 誠亮君    海部 俊樹君
      小杉  隆君    砂田 重民君
      田中 龍夫君    高鳥  修君
      谷垣 禎一君    玉置 和郎君
      橋本龍太郎君    原田  憲君
      三原 朝雄君    武藤 嘉文君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      井上 一成君    稲葉 誠一君
      上田  哲君    小川 国彦君
      大出  俊君    島田 琢郎君
      清水  勇君    武藤 山治君
      矢山 有作君    湯山  勇君
      大久保直彦君    草川 昭三君
      斉藤  節君    木下敬之助君
      小平  忠君    渡辺  朗君
      梅田  勝君    工藤  晃君
      瀬崎 博義君    東中 光雄君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        法 務 大 臣 住  栄作君
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 森  喜朗君
        厚 生 大 臣 渡部 恒三君
        農林水産大臣  山村新治郎君
        通商産業大臣 小此木彦三郎君
        運 輸 大 臣 細田 吉藏君
        郵 政 大 臣 奥田 敬和君
        労 働 大 臣 坂本三十次君
        建 設 大 臣 水野  清君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     田川 誠一君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)藤波 孝生君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖縄開発庁長
        官)      中西 一郎君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (国土庁長官)稻村佐近四郎君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 栗原 祐幸君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      岩動 道行君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 上田  稔君
 出席政府委員
        内閣参事官   中村  徹君
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  禿河 徹映君
        内閣法制局長官 茂串  俊君
        内閣法制局第一
        部長      前田 正道君
        行政管理庁長官
        官房総務審議官 古橋源六郎君
        行政管理庁長官
        官房審議官   佐々木晴夫君
        行政管理庁行政
        管理局長    門田 英郎君
        行政管理庁行政
        監察局長    竹村  晟君
        北海道開発庁総
        務監理官    楢崎 泰昌君
        防衛庁参事官  古川  清君
        防衛庁参事官  西廣 整輝君
        防衛庁参事官  友藤 一隆君
        防衛庁参事官  冨田  泉君
        防衛庁長官官房
        長       佐々 淳行君
        防衛庁防衛局長 矢崎 新二君
        防衛庁人事教育
        局長      上野 隆史君
        防衛庁衛生局長 島田  晋君
        防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君
        防衛庁装備局長 木下 博生君
        防衛施設庁長官 塩田  章君
        防衛施設庁総務
        部長      梅岡  弘君
        防衛施設庁施設
        部長      千秋  健君
        防衛施設庁労務
        部長      大内 雄二君
        経済企画庁調整
        局長      谷村 昭一君
        経済企画庁総合
        計画局長    大竹 宏繁君
        環境庁自然保護
        局長      山崎  圭君
        国土庁長官官房
        長       石川  周君
        国土庁長官官房
        審議官     田中  暁君
        国土庁長官官房
        会計課長    安達 五郎君
        国土庁水資源局 
        長       堀  和夫君
        法務省刑事局長 筧  榮一君
        法務省入国管理
        局長      田中 常雄君
        外務省アジア局
        長       橋本  恕君
        外務省北米局長 北村  汎君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省経済局長 村田 良平君
        外務省経済局次
        長       恩田  宗君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        大蔵大臣官房日 
        本専売公社監理
        官       小野 博義君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    吉田 正輝君
        大蔵省主計局長 山口 光秀君
        大蔵省主税局長 梅澤 節男君
        大蔵省理財局長 西垣  昭君
        大蔵省証券局長 佐藤  徹新
        大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
        大蔵省国際金融
        局長      酒井 健三君
        文部大臣官房長 西崎 清久君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省学術国際
        局長      大崎  仁君
        文部省管理局長 阿部 充夫君
        厚生大臣官房総
        務審議官    小林 功典君
        厚生大臣官房審
        議官
        兼内閣審議官  古賀 章介君
        厚生大臣官房審
        議官      新田 進治君
        厚生省公衆衛生
        局長      大池 眞澄君
        厚生省環境衛生
        局長      竹中 浩治君
        厚生省医務局長 吉崎 正義君
        厚生省薬務局長 正木  馨君
        厚生省社会局長 持永 和見君
        厚生省保険局長 吉村  仁君
        厚生省援護局長 入江  慧君
        社会保険庁医療
        保険部長    坂本 龍彦君
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
        農林水産省経済
        局長      佐野 宏哉君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    小島 和義君
        農林水産省畜産
        局長      石川  弘君
        林野庁長官   秋山 智英君
        通商産業大臣官
        房審議官    山田 勝久君
        通商産業省通商
        政策局長    柴田 益男君
        通商産業省通商
        政策局次長   村岡 茂生君
        通商産業省貿易
        局長      杉山  弘君
        通商産業省機械
        情報産業局長  志賀  学君
        資源エネルギー
        庁長官     豊島  格君
        資源エネルギー
        庁石油部長   松尾 邦彦君
        運輸省鉄道監督
        局長      永光 洋一君
        郵政省貯金局長 澤田 茂生君
        郵政省電気通信
        政策局長    小山 森也君
        労働省労働基準
        局長      望月 三郎君
        労働省職業安定 加藤  孝君
        局長
        建設大臣官房長 豊蔵  一君
        建設大臣官房会
        計課長     牧野  徹君
        建設省計画局長 台   健君
        建設省都市局長 松原 青美君
        建設省河川局長 井上 章平君
        建設省道路局長 沓掛 哲男君
        自治大臣官房審
        議官      田井 順之君
        自治大臣官房審
        議官      土田 栄作君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省行政局選
        挙部長     岩田  脩君
        自治省財政局長 石原 信雄君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局次長    佐藤 雅信君
        日本国有鉄道総
        裁       仁杉  巖君
        予算委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十日
 辞任         補欠選任
  金子 一平君     谷垣 禎一君
  中馬 弘毅君     小杉  隆君
  井上 一成君     小川 国彦君
  小沢 和秋君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  小杉  隆君     中馬 弘毅君
  谷垣 禎一君     金子 一平君
  小川 国彦君     井上 一成君
  東中 光雄君     梅田  勝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十九年度一般会計予算
 昭和五十九年度特別会計予算
 昭和五十九年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十九年度一般会計予算、昭和五十九年度特別会計予算、昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢山有作君。
○矢山委員 まず最初に、日米安保条約に関連する問題でお伺いしたいと思うのですが、質問を進めていく段取りがありますので、最初に、我が国の国防の目的は何かということについて御答弁いただきたいと思います。
○栗原国務大臣 私が申し上げるまでもなく、我が国の防衛の目的は、我が国が他国から侵略を受けた場合に、これを排除する、もちろん憲法の枠の中でございますから、固有の自衛権に基づきまして、最小必要限度において実力行使をする、そして我が国の平和と安全を保つ、そういうことでございます。
○矢山委員 五十六年の防衛白書だったと思いますが、それには、我が国の防衛の目的というのはこう書いてありますね。「守るべきものは、国民であり国土であると同時に、多様な価値観を有する国民にそれを実現するため、最大限の自由を与え得る国家体制であると考えるべきではなかろうか。換言すれば、」「民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。」こう言っておりますが、これ、間違いございませんね、今簡単な御答弁いただきましたが。
○栗原国務大臣 もちろん間違いございません。
○矢山委員 そうすると、まあつづめていうと、我が国の防衛の目的というのは、今の我が国の国家体制を守るということになろうと思います。そこで、我が国のそういう目的に沿った防衛力というものはどういうものなのか、はっきりこの際しておいていただきたいと思います。
○栗原国務大臣 これも再三申し上げてありますとおり、「防衛計画の大綱」、それに基づきましていろいろ対処しよう、そういうことでございます。
○矢山委員 「防衛計画の大綱」によって対処しておるということでありますが、そちらからお答えがありませんから、中身に立ち入って、私の方から防衛白書に基づいて申し上げますので、それで間違いがないかどうか、ひとつ御確認をいただきたいと思います。
 わが国の防衛は「防衛計画の大綱」で決められておる。それはいわゆる基盤的防衛力構想というものである。その基盤的防衛力構想というものはどういうものかと中身を考えてみますと、「東西間の全面的軍事衝突又はこれを引き起こすおそれのある大規模な武力紛争が生起する可能性は少ない。」こういう情勢認識に立って、「平時において十分な警戒態勢をとり得るとともに、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処」することだ、こう言っておりますが、間違いありませんね。
○栗原国務大臣 それまでの文章は間違いございません。その後の文章もございます。
○矢山委員 じゃ、その後の文章言ってみてください。
○栗原国務大臣 その後の文章は、侵略の……これは正碓を期するために政府委員から答えさせます。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 「防衛計画の大綱」におきます考え方でございますが、……(矢山委員「簡単にひとつ」と呼ぶ)まずその「目的及び趣旨」のところに、
  わが国が保有すべき防衛力としては、安定化のための努力が続けられている国際情勢及びわが国周辺の国際政治構造並びに国内諸情勢が、当分の間、大きく変化しないという前提にたてば、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組織及び配備において均衡のとれた態勢を保有することを主眼とし、これをもって平時において十分な警戒態勢をとり得るとともに、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処し得るものを目標とすることが最も適当であるということが書かれておるわけでございます。
 それから、その後の方の「三、防衛の構想」というところで、二番に「侵略対処」ということがございますが、そこに、
  直接侵略事態が発生した場合には、これに即応じて行動し、防衛力の総合的、有機的な運用を図ることによって、極力早期にこれを排除することとする。この場合において、限定的かつ小規模な侵略については、原則として独力で排除することとし、侵略の規模、態様等により、独力での排除が困難な場合にも、あらゆる方法による強じんな抵抗を継続し、米旧からの協力をまってこれを排除することとする。
というふうに述べているわけでございまして、そこの「原則として独力で排除する」という原則としてという意味は、これは日米安保体側を背景といたしまして、日米で協力をして共同で対処することもあり得るということがこの背景にあるわけでございます。その意味で、先ほど大臣から、この後にさらに詳しく書いてあるという趣旨のことを申し上げた次第でございます。
○矢山委員 それでは、日本の防衛力の構想というのはわかりました。
 そこで、アメリカの防衛力というのはどういう基本的な立場に立ってつくられておるか、アメリカの防衛戦略といいますか、それはどういうふうに考えておられますか。
○北村政府委員 アメリカの防衛戦略は、アメリカの国防報告その他のアメリカ側の発言などを総合いだして考えますに、あくまでも防衛的なものであるということがその基本でございます。
○矢山委員 それじゃ答えにならぬのですわ。時間の関係があるから私の方で、言いましょう。
 八四年度の米国の国防報告の中にも出ておると思いますが、アメリカの防衛力というのはどういうことから考えられておるかというと、この国防報告の中にも見えておりますが、「ソ連が米国並びにその権益に対して最も大きな軍事的脅威を現に与えており、予見し得る将来においても与え続ける」、「ソ連だけが米国に対して致命的打撃を直接与え得る軍事力を保有している。」こういう考え方、認識のもとに、米国並びにその権益を守るためのものとして考えられておる、こういうことじゃないんですか。木で鼻をくくったようなことを言っちゃだめだよ。
○北村政府委員 アメリカ側から見まして、アメリカにそういう軍事的な物理的な損害を効果的にもたらし得る国はソ連以外にはない。これはもう当然のアメリカ側の認識でございます。そこで、そういう認識の上に立って、いかにしてそういうこと、紛争が起きないようにそれを抑止する、それがアメリカ側の防衛力の基本でございまして、その抑止力を高めるために、アメリカ自身大いにその軍事力の効果的な運用を図ると同時に、また同盟国との間でいろいろ協議もし、抑止力を高めていく、これがアメリカ側の防衛の戦略でございます。
○矢山委員 余りくだくだしく言葉を多く言う必要はないので、簡単に言うなら、アメリカの防衛力というものの考え方は、それが防衛的であるとか抑止的であるとかということは抜きにして、要するに、ソ連を標的にした、いわば対ソ世界戦略である、こういうことに一言にしたら言えるんじゃないかと私は思うのです。そのとおりでしょう。余り言葉をあれこれ言わないで、簡単に言ってください。
○北村政府委員 先ほども御答弁いたしましたように、アメリカに対して物理的な脅威をもたらすのはソ連以外にはないという認識でございますから、アメリカの防衛戦略というものはソ連というものを中心に考えておる、この点はそのとおりでございます。
○矢山委員 そうすると、そこで、私はここで何を感ずるかというと、日本の防衛力の構想とアメリカの防衛戦略との間には大変な相違があるというふうに思うわけです。なぜかというと、日本の防衛力というのは、先ほど御答弁がありましたように、日本の安全を守るために、小規模かつ限定的な侵略に対しては、まず第一義的に日本が独力でこれに対処する、それができなくなる、難しい状態においては、アメリカの軍事力に頼ることになっているわけですね。そうすると、日本の防衛という立場からいうなら、日本はアメリカの軍事力というものを補完的なものとして考えておるわけですね。これは間違いないでしょう。これは長官、あなたでわかるだろう、何も一々事務当局言わぬでも。
○栗原国務大臣 もちろん私でもわかりますよ。
 いわゆる矢山さんのような見方からすれば、その補完という言葉が出ますけれども、私どもの方からすると補完とは考えていない。我が国の防衛は我が国自体が主体となってやるということでございます。
○矢山委員 いやいや、我が国の防衛は我が国が主体になってやるんです、おっしゃるとおり。それで、我が国で独力対処できないときにはアメリカの防衛力に依存するわけでしょう。そういう意味で言うなら、日本の防衛というのは日本が独自でできるだけやって、その足らざるところはアメリカの軍事力というものを補完的なものとして考えているわけでしょう。
○栗原国務大臣 それはそのとおりでございます。
○矢山委員 そのとおりですね。
 ところが、アメリカの防衛戦略というのは、ソ連というものを対象にして全世界的な規模で考えられておるわけです、自分みずからの軍事力、そして同盟国の軍事力を総合して。そうすると、アメリカの戦略というのは、自国の安全なり権益を守るために、世界的な対ソ戦略を展開する中で、自分の力だけではそれは不十分である、なかなか難しい、そこで同盟国の、例えば日本の軍事力を補完的なものとして考えているわけです、こうなるでしょう。そうですね、言葉の筋道からいうたら。どうですか。
○栗原国務大臣 アメリカが同盟国の防衛について、同盟国自体がしっかりやってもらいたい、そういう期待を持つのは、これは当然だと思います。
○矢山委員 いやいや、それはアメリカが日本の防衛なら日本の防衛は日本がしっかりやってもらいたい、それはわかるのです。そうじゃなしに、アメリカの戦略からいったらソ連というものを標的にしての戦略を立てているわけですから。それはもう国防報告や軍事情勢報告ではっきりしているでしょう。立てておるわけです。それで、その中でできるだけ同盟国は独力で自分の国は守りなさいよ。しかし、対ソ世界戦略においては、アメリカはやはり同盟国の力というもの、例えば日本の軍事力というものを補完的なものとして考えておるということの位置づけになるでしょうが。そうじゃありませんか。
○栗原国務大臣 アメリカがそういうふうに考えるか考えないかは、これは私の方で言及すべきことではございませんが、少なくともアメリカは、日本には憲法上の制約がある、日本は専守防衛であるということをよく承知しておりますので、その節回内で日本に対する防衛力の整備というものについて期待を持っているということは事実だと思います。
○矢山委員 肝心なところでちょっと話がかみ合わぬのですが、私は、お聞きになっておる皆さんにはわかると思うのです。日本が日本みずからを守る力を持てというのは、それはアメリカの言っていること。それを言うのは何かといったら、アメリカの対ソ世界戦略の中から、できるだけ自分の国でやってくださいよということなんで、アメリカの戦略自体としては、そういう構想の中で日本というものあるいは同盟国の軍事力というもの、それを世界戦略遂行上の補完物として考えておるということは、私はこれは否定できない問題だと思うのです。
 そこで、私は何が言いたいかというと、そういうふうな基本的な物の考え方の相違があるわけですから、したがって、防衛力の整備の問題にしてもなかなかかみ合ってこないという面が出てくるんじゃないですかということを私は言いたかったわけです。そう思いませんか。
○栗原国務大臣 それはアメリカの方からすれば日本に対する期待、また日本が自主的にやる、その問題との間に、アメリカ側からすればもっと早くやってもらいたいとかもっとしっかりやってもらいたいという気持ちが残ることはあり得ると思います。
○矢山委員 どうも私の言い方がまずいから理解してもらえぬのかどうかわかりませんが、やはり日本の防衛は日本の防衛ということを中心にして日本は考えて防衛力整備をやっておる。アメリカの防衛力整備というのは、それが防衛的であるとかなんとか言葉の修飾はいいのであって、対ソ世界戦略という立場に立って、アメリカの国家と権益を守るという立場でやっておられる。基本的に物の発想の根底が違う。これはだれが考えてもはっきりすみことじゃないかと私は思うのです。
 どうもあなたと私のやりとりが一つところを堂堂めぐりしておるので、そこで堂々めぐりするわけにいきませんから先へ進みますと、であるから、アメリカが我が国に対する防衛力のあり方に対していろいろ注文が出てくるのじゃなかろうか。ただ単に日本の立場だけを考えて、アメリカと切り離した関係でアメリカが言っておるのじゃないと私は思うのです。アメリカが日本の防衛力をもっとふやすべきだとか、あるいはああしろとかこうしろとか、陸よりも海空を重点にやれとか、いろんな注文をつける、そしてまた予算編成の時期等には、特に集中をして防衛力、防衛費をふやすという問題についていろいろな言動が見られるというのは、やはりアメリカが我が国の防衛力というものを自分の世界戦略を遂行する中で位置づけておるから、そういうことを積極的に言ってくると私は思うのです。日本の方からアメリカの防衛力をこうしてくれ、ああしてくれ、おまえさんのところは少し空軍力が足らぬぞ、海軍力が足らぬぞ、これをふやしなさいというようなことを言うことありますか。それはないでしょう、今まで。どうです、言ったことありますか、あなた。書いや、長官は言ったことあるかね。
○栗原国務大臣 私は今までもなかったと思います。私もそういうことは申し上げません。
○矢山委員 それはないだろうと思うのです。私は、歴代の日本政府がアメリカの防衛力について、海空軍力をふやすべきだとか、おまえさんのところは予算が低過ぎるぞ、もっとたくさんつけろとか、そんなこと言ってないと思うのですね。そこで、アメリカはあくまでも日本の軍事力というものをアメリカの戦略上の補完物として考えておるから、遮蔽会釈なしに内政干渉とも思われるようなそういうことをどんどん言ってくるわけであります。私はそう思っておるのです。
 そこで、私は思い出すのは、八二年の三月末に日本にワインバーガー国防長官が来ましたね。そのとき日本の記者クラブで演説しておるのです。そのときにこういうことをその演説の中で育っております。日本が北太平洋における海と空の防衛を提供し得る能力を持つことは、同地域での米国の戦略的能力及び通常戦力を補足することになる、こう言っているのです。こう言っているんですね。これは明かに日本の軍事力というものを、アメリカは自己の戦略上の補完物として考えておるから、こういう言葉がはっきり出てくるわけですね。
 そこで私はお聞きしたいのは、ここでワインバーガーが言っておる北太平洋における米国の戦略的戦力というのは、これは何なんですか。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 我が国の海上交通安全保護のための防衛力整備の考え方といたしましては、円本周辺数百海里、航路帯を設ける場合は千海里ということでやっておるわけでございます。(矢山委員「そんなことは聞いていないのです」と呼ぶ)それにつきまして、我が方の、日本の防衛力の状況といいますのは、これは現在においては必ずしも十分でないということでその強化をやっております。(矢山委員「もうやめてくれ。委員長、答弁になってない、注意してくれ」と呼ぶ)そのことがアメリカから見れば、結果的にアメリカの防衛力というものの運用の弾力性を増すというような意味合いから、アメリカ側としてはそういう考えを(矢山委員「委員長、もうやめさしてくれ、時間がかかるだけだ」と呼ぶ)持つことはあり得ると思います。
○矢山委員 私が育っておるのは、矢崎さん、あなたが答弁するのなら、私の質問をよく聞いておいて的確な答弁をしてほしいのだ。言葉数が多いだけで、的を外した答弁をしてもらったんじゃ、限られた時間で質疑が進まないのですよ。私が聞いておるのは、ワインバーガー国防長官が――もう一遍言いますよ。日本が北太平洋における海と空の防衛を提供し得る能力を持つことは、同じ地域での米国の戦略的能力及び通常戦力を補足することになる、この場合に言っておるアメリカのこの太平洋地域における戦略的能力とは何を言っておるのですか、こう言っておるのです。あなた、それに的確に答えられぬのなら、もう手を挙げないようにしてください。
○古川政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問でございますけれども西太平洋においてのアメリカの戦略と申しますのは、一貫して力を増しておりますソ連の極東における軍事力に対処をいたしまして、(矢山委員「そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ)柔軟的な戦略をもってこれに対応するということをやっておることでございます。
○矢山委員 こんな答弁をやっていて、防衛局長か審議官か知らぬがよく務まるね。太平洋における米国の戦略的戦力というのは何かというのですよ。これははっきり知っているじゃないですか、だれでも。アメリカの太平洋における戦略的戦力というのは、原潜を主力とした核戦力、第七艦隊の空母を主力とした攻撃能力、これじゃないのですか。違うのですか。
○古川政府委員 まさしく先生のおっしゃっておるとおりでございます。
○矢山委員 けしからぬよ、あなた。注意をしてくれ、注意を。わかっていて答えないというのは。注意をしてもらわなきゃ困るよ。
○倉成委員長 意味がわかりませんが……。
○矢山委員 驚いた連中だね、全く。頭がよ過ぎるのか悪過ぎるのか、どっちなのかね。
 じゃ、戦略的戦力を補足するというのはどういうことなんですか。答えられるのですか、的確に。このアメリカの戦略的戦力というのは、先ほどあなた、そのとおりですと言ったね。その戦略的戦力を補足するというのはどういう意味だ。
○古川政府委員 私が今答弁申し上げた前提としては、ソ連の一貫した極東地域における陸海空における戦力の増強というのが前提としてございますわけで、アメリカが今申し上げたような考えを持って進んでおりますことは、とりもなおさず極東におけるアメリカの抑止能力ということを向上させるということを目的としてやっておることでございまして、日本に対してそういったことがもしあるとすれば、それは当然西側全体の極東における抑止力の向上、こういうことがねらいでございます。
○矢山委員 あなた方、国防報告や軍事情勢報告は読んでおるんだろうね。読んでおるんだろう。読んで承知しておいて、質疑になったら的確な答弁をしないで、時間を引っ張ろうというのは、これはいささか非礼ですよ。戦略的戦力を補足するというのは、要するに、日米の共同作戦のもとで、端的に言うならソ連の原潜攻撃、アメリカの原潜を守る、あるいはアメリカの第七艦隊空母機動部隊等を守る、こういうことでしょうが。そういう役割でしょうが。それでいいんじゃないの、長官、どうなの。これはあの連中じゃだめだ。
○矢崎政府委員 我が国が自衛権を発動いたしますのは、我が国が武力攻撃を受けたときでございまして、そのときの対処の仕方につきましては、日米共同対処が基本でございます。それは、五十三年に日米間で合意をいたしましたいわゆるガイドラインで、そのことが決めてあるわけでございます。
 その中に「日本に対する武力攻撃がなされた場合」の対処ということでございまして、示しておりますのは、「日本は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する。侵略の規模、態様等により独力で排除することが困難な場合には、米国の協力をまって、これを排除する。」そして「自衛隊及び米軍が日本坊術のための作戦を共同して実施する場合には、」双方は緊密な調整を図って効果的にやっていく、そういう基本原則が定まっているわけでございます。
○矢山委員 それは私も読んでいるから知っているよ。
 それじゃ聞くのだけれども、P3Cを大変たくさん買うわね。これは何に使うのですか。F15をたくさん買うわな。これは何に使うのですか。護衛艦のミサイル化を図っているね。これは何に使うのですか、一体。日本の防衛のために使うと言えば、それはそのとおりだ。しかし、同時に、アメリカの戦略的戦力を補完するものだと向こうは位置づけているのですよ。日本の方は、それは自国を守るためだと言っておるんだ。だから私は、防衛力というものを考える場合の基本的な認識が違っておるから、そういう言い方の食い違いができてくると言うのです。それだから、防衛力の問題について、防衛の問題について幾ら議論しても、我々とあなた方の議論はかみ合わないわけだ、基本が間違っているのだから。どんなことを考えても、あなた方は、日本の防衛力は日本を守るのだ、その基本を離れては議論しようとしないのだから。議論したら大変だと思っているのだろうね。
 ところが、(「専守防衛だ」と呼ぶ者あり)だれか今専守防衛と言ったけれども、専守防衛どころの話じゃないんだ、今。それだから、私が言ったように、戦略的戦力を補足するというのは、結局何をやるのかというと、P3Cをたくさん買う、F15をたくさん買う、護衛艦のミサイル化を図って、これをまたつくっていく、こういうことによって、いざというとき、有事のときにソ連の原潜を攻撃するとか、あるいはアメリカの原潜やあるいは空母機動部隊の活動を守る、共同作戦のときには、そういう役割になるのでしょう。共同作戦のときというのは、あなた方が言う日本が武力攻撃を受けたときと限定してもいいですよ。限定してもいいが、その武力攻撃を受けたときに日本が果たす役割は、そのくらいのことしか果たせぬのじゃないですか。日本が直接敵の領域に出かけていって攻撃をする、アメリカの役割を果たすことはできぬのでしょう、そうじゃないのですか。
○矢崎政府委員 我が国の自衛隊は、我が国が有事のとき、すなわち武力攻撃を受けたときに、これに対して、これを排除するために活動するわけでございまして、先ほど御指摘のございました各種の装備品、これはいずれもそのために使われるものでございます。
 我が国に対する攻撃といたしましてはいろいろな態様があり得るわけでございますが、例えば経空の脅威、空からの脅威に対しましては、やはり戦闘機をもってこれを要撃するということが必要でございますし、それから、四面環海で、国民の生存の維持のためには海上交通路を確保するということが不可欠でございますから、そういうものを守るためには護衛艦なりP3Cというような哨戒機を使いまして、いろいろな作戦を展開をしなければならないわけでございます。そういった意味で、全体としての総合的な防衛力を形成をするというために、現在我が国の防衛力の整備に努力をいたしておるというのが現状でございます。
○矢山委員 何遍聞いてもこれは恐らく同じ土俵での議論というのは期待できないでしょうね。その矛盾はどこから来たかというと、やはり平和憲法のもとで強力な軍備を持ちつつある、そういうことの中からそういう矛盾が起きてくる。しかし、そこのところで議論をとめておりますと、先に行きませんから、私の方で話を進めてまいります。
 つまり、戦略的戦力を補足すると彼らが言っておる。彼らは日本の軍事力をそういうふうな位置づけをしておる。そういう位置づけをされておる中で、昨年の一月に中曽根さんはアメリカに行かれた。そして、ワシントン・ポストの記者との会見の中で何を言われたかというと、ここにワシントン・ポスト紙、中曽根首相発言の全文の翻訳したのがありますから、肝心な部分だけを申し上げてみますと、日本列島全体あるいは日本本土が不沈空母のようになり、ソ連のバックファイア爆撃機の侵入に対する巨大な防衛のとりでを立てなければならない、これが一つです。第二の防衛力の目標は、日本本土を通り抜けている四海峡を完全に全面的にコントロールし、ソ連の潜水艦の通航や、その他海軍の行動を許さないことだ。第三の目標は、海上交通路を確保し、維持することだ。海上に関して言えば、我が国の防衛範囲を数百海里まで延ばすべきだ。シーレーン確立ということになるなら、グアム−東京、台湾海峡−大阪間のシーレーンの防衛が我々の望みとなるだろう、こうおっしゃっている。
 つまり、このことは私は何が言いたいかというと、アメリカの側が対ソ戦略を考える中で、太平洋地域においてアメリカの戦略的戦力を補完するものだと考えておる。そして、アメリカの戦略的戦力を補完するということで、具体的に何を期待しておるのかといえば、先ほど言ったようにソ連の原潜の攻撃だとか、あるいは米国の原潜や空母機動部隊を守る、こういうことを期待しておるのだ。そのことは、いみじくも中曽根総理がアメリカで言われたこの三つ、そのための防衛力整備の目標として中曽根総理はこれを言われたと思うのですね。
 したがって、私はこのことで言いたいのは、総理はまさにアメリカの対ソ戦略にみずから進んでその補完的な役割を果たすという意思を明確にされ、それを果たすための軍備力の整備を図るということを言明されたんだと思うのですが、総理はどういうふうにお考えになりますか。
○中曽根内閣総理大臣 今お読みになったワシントン・ポストの記事と称するものは、翻訳は必ずしも正確でありません。私の真意を伝えていない部分もございます。
 私が申し上げたいことは、要するに憲法のもとに今までの諸原則、諸国策を守って、専守防衛の範囲内において我が国の防衛を全うする。必要最小限度の防衛力を整備して全うする。それにつきましてはいろいろな態様があります。防空という問題がございます。いかなる外国の侵略機も浸透を許さない、あるいは侵略を許さない、あるいは日本の本土、島嶼等に対する上着陸を許さない。もし万一そういうことがあった場合はこれを的確に排除する。あるいは海上防衛活動を活発にして日本の鉛その他が侵略有事の際に撃沈されないように、我々の国に対する燃料や食糧の補給が途絶えないように懸命の努力を払う等々のいろいろな機能を発揮できるように平素からよく準備しておく。そういう場合に、我が足らざる場合が出てまいります。そういう場合には安保条約を発動してアメリカの救援を求める、こういう体制であります。
 しかし、一般平時におきましては、日本は日本の憲法の範囲内で自衛隊は守って、抑止力をつくりつつ、そういう侵略を誘発させないような処置もとっておく。アメリカはソ連と同じように、いわゆるスーパーパワーとして世界全体の平和の維持等に関心を持っておると思います。そしてヨーロッパにおいてはNATOをつくり、あるいは太平洋、南の部面においてはANZUSを持ち、あるいは韓国との間、あるいは日本との間に、それぞれ安全保障関係の取り決めを持っておりまして、これらはやはり世界的スケールにおける平和の維持あるいは自由や民主主義の擁護、人権の擁護というようなアメリカの理想達成のために協力を惜しまないでおる、そういう点があると思うのであります。
 ですから、安保条約の中におきましても、日本自体の防衛の問題と、極東の平和及び安定維持に寄与するという面があります。書いてあります。これらは、一面におきましては、アメリカがある程度の戦略的抑止力あるいは戦術的抑止力を保有しつつソ連との間に侵略やら戦争を誘発させないようなふだんからの努力をしている、そういう面もあると思っております。
○矢山委員 今あなたがおっしゃった、そういうことをやるための、日本の防衛ということであろうと何であろうと、そういうことをやるための日本の軍事力の整備が、アメリカの目から見たら、それはまさにアメリカの対ソ戦略について非常に大きな役割を果たしてくれる、つまり十分な補完能力を持ってくれる、こういうふうに私は考えておる。そう考えておらなければ、なぜ日本の防衛力の問題について手とり足とり干渉してくるのか。私は、いずれの国でも自国の防衛を第一義的に考えない防衛政策というものはないと思います。日本は日本の防衛を第一義的に考えて、今皆さんがるる答弁されたようなことで行こうとしておる。アメリカはどうあろうとアメリカの国益、アメリカの国を守ること、権益を守ること、それを第一義的なものとして、そのためにいろいろな戦略を立てておる。こういうことは間違いないことなんですから。
 したがって、繰り返しになりますが、総理が今おっしゃったような防衛力の整備をやるということが、アメリカにとっては、非常に自己の足らざるところをアメリカの対ソ世界戦略を遂行する上に補完をしてくれる、そう認識しておるから、彼らは日本の防衛費がぐんとふえた場合、あるいは自分の期待するところがまだ不十分だとは思っても、まあまあその方向に向いていっておるとする場合には非常な評価をしておるわけです。今度も、最終的に六・五五%という防衛費を首相裁断で予算化したのだと私どもは伝え聞いておりますが、それに対して早速ワインバーガーが大変な評価を与えた。異例の声明まで発表して評価をしだということが、今言ったようなことを裏づけておるのではないかというふうに私は思うわけであります。したがって、防衛の問題を考えるときに、ただ単に、今まであなた方が言っておったようなことだけを言い続けるということで問題が解決するような状況にはもはや今日ないということを私は申し上げておきたいと思うのです。
 そこで、日本が侵略を受けた場合、攻撃を受けた場合に、守るのだ、守るのだということが中心になって言われておるわけでありますから、では、日本有事というのはどういう場合を想定されて日本有事と考えておられるのか、それを承りたいのです。
○矢崎政府委員 お答えをいたします。
 現在の国際情勢のもとにおきましては、米国を初めといたします西側諸国が抑止力の維持強化に努めていることもありまして、東西間の全面的な軍事衝突でございますとか、それを引き起こすおそれのあるような大規模な武力紛争は抑止されているのが現状だろうと思います。しかしながら、東西間の全面的な軍事衝突に至らないような限定的かつ小規模な侵略生起の可能性は否定ができないわけでございますし、また、国際情勢は本来流動的なものであるというところから、さきに述べましたような状態が将来にわたって永続するとは必ずしも断言できないということではないかと思います。
 我が国に対する武力攻撃の態様といたしましては、武力紛争の原因でございますとか、そのときどきの国際環境等によってさまざまだと思います。そこで、代表的なものを挙げろということでございますれば、まず一つは、陸海空戦力をもっていたします岩上陸侵攻という形態もあり得ましょうし、二つ目には、海空戦力をもってする武力攻撃もありましょうし、それからさらには、海空戦力をもってする海上交通の妨害といったような態様があると思います。しかし、これらがまた複合して起こることも多いと考えられるわけでございます。(矢山委員「委員長、もう中止させて、やめさせてくださいよ」と呼ぶ)どういう事態がどういう態様で起こってきても対応できるように、我我としては備えておく必要があるというふうに考えている次第でございます。
○倉成委員長 政府委員に申し上げますが、答弁は丁寧かつ簡潔に願います。
○矢山委員 聞いておると、だらだらだらだら、どこに焦点があるのかわからぬような答弁をしているわけですよ。これが官僚答弁というのだろうと思うのです。だから日本の官僚は頭がいい、こう言われるのだろうと思うけれども、そういうことでなしに、もっと聞いたことに端的に答えてくださいよ。
 日本が有事の場合というのはどういう場合なんだ。大まかに分ければ、日本が単独で、日本だけが攻撃される場合、それが一つあるでしょう。もう一つは、他国の紛争、例えばアメリカがいつも言っているように、米ソ紛争に巻き込まれて日本が攻撃を受ける場合、こういうふうに大体分けられるのではないですか。防衛局長ともあろうものが、そんな答弁書、厚いものを持ってきてべらべら読まなければ答弁できないのですか。こんなあなた、これは常識的な論議ではありませんか。それ以外にありますか。日本だけがどこからか攻撃を受ける場合、一つの有事、例えば米ソ紛争に日本が巻き込まれて、その状態の中で攻撃を受ける場合、それ以外に何かありますか。何かあるのならあると言ってください。
○倉成委員長 防衛局長。
○矢山委員 防衛局長じゃないよ、こんなものは。
○矢崎政府委員 ただいまの先生のような物の考え方で整理をいたしますと、日本が単独で攻撃を受けるという場合もございましょうし、あるいはまた、他地域におきます紛争が波及してきて日本がさらに攻撃を受けるというケースもあり得るかと思います。
○矢山委員 最初からそういうふうに答弁すればいいんですよ、いろいろなことをごたごたごたごた並べぬでも。
 そこで、そういう二つが予想される、こう言う。ところが、八二年三月十七日にアメリカの下院外交委員会の対日公聴会でギンという前在日米軍司令官が証言をしております。その証言を見ると、「日本だけが攻撃され、単独で対応しなくてはならないような事態はあり得ず、日本へのソ連の限定攻撃は、米ソの世界的対決の中だけであり得る。」こういうふうに言っておるわけです。この考え方というのは、防衛庁OBの皆さんの書かれたものをいろいろ読んでみても、大体こういう見方で一致しておるのではなかろうか。日本が単独で今の国際情勢の中で攻撃を受けるというようなことは、まず想定されない。米ソのどこかの地域における紛争、衝突が起こった、そういう場合に日本が巻き込まれていく、日本が戦禍をこうむる、そういうことが一番可能性の強い問題として考えられる、これが大体共通した認識じゃないですか。これは防衛庁長官、どうですか。
○栗原国務大臣 そういう考え方はあると思いますね。私もそれは否定いたしません。ただ、戦争といいますか、有事というものは予測を許さない、そういう意味合いからいたしますると、日本だけが単独に攻撃を受けるという場合もあり得ますので、一概にそれで決めるというわけにはまいらぬと思います。
○矢山委員 こういう論議をするときには、なるべく共通な場というものを設定をして議論をしませんと、万一万一万一万一万一論でいくと、これはとてつもない議論になってしまうのです。だから、大切なのは、今の国際情勢、今の日本を取り巻く情勢の中で予見できるものは何か、これを踏まえて議論しなければならぬ。そうしなければ、いつまでたってもかみ合いませんので、このことを私は特に申し上げておきたいと思います。
 そこで、もう一つお伺いしたいのですが、八二年の六月十六日にハロウェーという前の海軍作戦部長が上院の外交委員会で証言しております。その証言の中で、こういうことを言っております。「西欧−NATO方面での戦争発生は、同時に太平洋方面での米ソ戦争となることは必至であり、米国の(全世界的)戦略概念の成否は、米国及び日本が、直ちに宗谷、津軽、対馬の三海峡を封鎖できるかどうかにかかっている」と言っております。そしてさらに、それにつけ加えて、「海峡封鎖を一定期間以上維持する能力が必要であること、とくにそのためには、十分な対潜、対艦、対空能力が必要であることから、日本単独での実施は不可能であり、日米共同作戦ということになろう」というふうに証言をしております。さらに続いて、三海峡封鎖による利点の一つとして、「ソ連太平洋艦隊が大西洋方面に回される可能性を防ぐ」とも言っておるわけです。このことは何を言っておるかと言うと、戦場が欧州方面に限定されそうな状況の中でも三海峡封鎖を求めるという方針を明らかにしたものだろう、私はこういうふうに考えておりますが、皆さんのお受け取りはどうですか。
○矢崎政府委員 この海峡防備の問題につきましては、日本が有事でない場合に、日本が海峡封鎖をしてくれというような話をアメリカから要請されたことはございません。日本が有事の場合、つまり武力攻撃を受けたときに、各種のいろいろな作戦の中で、自衛の範囲内で必要であれば海峡防備の一環として通峡阻止の作戦をすることはあり得るということでございますが、あくまでも日本が武力攻撃を受けた事態において必要に応じてやるということでございます。(大出委員「去年の二月の総理答弁と違うじゃないか」と呼ぶ)
○矢山委員 これは今大出さんから出ておりますが、去年の二月の総理答弁から考えたら、これは大分歩調が合っていない、ハーモニーが合っていないんだ。
 だから、それはそれとして、私が聞いておるのは、あなたが、日本の立場で今までやった、やらなかった、そんなことを聞いておるんじゃない。このハロウェー氏が言っておる、このことをどう思いますかと聞いているのです。私、今言ったでしょう。もう一遍読まなければいけませんか。勘弁してくださいよ、時間がないから。あれをお聞きになっておって、そのことをどうお感じになりますか、こう言ったのですよ。それを感じた受け取り方、解釈の仕方、あなたの、あるいは長官の、あるいは総理の、それを言っていただけばいいのです。
○矢崎政府委員 そのような趣旨の証言が行われたということは承知をいたしておりますが、日本の立場としては、あくまでも私が先ほど申し上げましたような考え方で対処をしていくということでございます。
○矢山委員 ここで時間があれば、去年二月の総理の、アメリカ単独で海峡封鎖を認める発言というものを問題にしなければならぬのですが、残念ながらその余裕がございませんので、話を次に移して、ひとつ具体的にお聞きしたいと私は思うのです。具体的に聞かぬとどうも話がかみ合わぬ。
 一つは、今言ったのでわかりましたね。ハロウェーが言っておるのは、「ソ連太平洋艦隊が大西洋方面に回される可能性を防ぐ」、こう言っているのでしょう。ヨーロッパで米ソ紛争が起こった、その場合に「ソ連太平洋艦隊が大西洋方面に回される可能性を防ぐ」、つまりこれは、戦局は欧州に限定された場合でも、アメリカとしてはソ連の太平洋艦隊がウラジオから出て大西洋の方に、紛争地点に。回っていく、そのことを阻止しなければならぬ、こういうことをハロウェーは言明しておるわけです。
 そこで、こういうことを踏まえながら具体的にお聞きしたい。
 ハロウェーの言うように、欧州に戦争が起こった、それが欧州地域に局限されておる、こういう状態が一つ。その場合に、ハロウェーの言葉によるならば、三海峡封鎖という要求があるということが予想されます。その三海峡封鎖を要求する場合に二つあると思う。一つは、日本に日本の軍事力で封鎖をやってくれという場合。もう一つは、アメリカ自身が単独で封鎖をやる、どうだという場合。それからもう一つは、欧州で起こった紛争が欧州に限局されない、限定されない、アジア方面にも波及をするということが考えられる。そういう場合、一つは日本がまだ攻撃をされておらぬ、そのときに三海峡封鎖を求めてくる。その求めるのは先ほどと同じで、日本の軍事力で封鎖をやれと言ってくる。もう一つは、米軍で単独でやりましょう、それをひとつ承知をしてくれという話が来るかもしれない。こういうふうに、まだ立ち入っていろいろな場合を想定すればたくさんあります。こんなことをやっていたらとても時間がありませんので……。
 そういう今言ったようないろいろなケースが想定されるわけでありますが、その場合は、いずれにしても日本への相談があると思う。その相談はそのときの態様によって安保条約の四条による協議になることがあるだろう。あるいは、場合によっては事前協議という形をとることがあるかもしれない。恐らく協議の形をとる場合はどういう場合かとひとつ考えてみれば、欧州で戦争が、欧州に局限されておるのだ、限定されておるのだけれども、アメリカとしては、ソ連の太平洋艦隊が大西洋の方に、回航されることを防がなければならぬ、だからどうしても三海峡封鎖をやりたいんだ、これをやろうと思う、こういう相談がある場合が一番可能性が強いでしょうね、これ一つは。そういう場合に、これは恐らく四条協議になるだろうと私は推察するのです。その他いろいろ今言いましたような時点を踏まえて、それぞれ四条協議あるいは六条協議、こういうことになると思う。その協議があった場合、日本の政府の対応はどうしますか。これは総理なり長官から言っていただく筋であろうと思います。
○小和田政府委員 お答えいたします。
 若干仕組みの問題について御説明する必要があると思いますので、一言だけ申し上げたいと思います。
 昨年の三月八日に政府見解で申し上げましたように、今委員が御指摘のケースは二つのケース、つまり日本に対して武力攻撃がある場合とない場合とございます。(矢山委員「これは言ってません、ある場合はいい」と呼ぶ)ない場合につきまして、日本自身にやってくれというケースと、アメリカ自身がやりたいということを要請してくる場合と、二つのケースがあるということも委員御指摘のとおりでございます。日本自身に対してやってくれということをアメリカが要請してくる場合につきましては、答弁の第一段で申し上げましたように、仮に米国からの要請があっても、我が国に対する武力攻撃がまだ発生していないわけでございますから、日本の自衛隊が通峡阻止のための実力の行使を行うということは憲法上認められないということは昨年お答えしたとおりでございます。他方、アメリカ自身がやるということについて我が国の同意を求めてきたときにどうなるかということにつきましては、昨年の総理答弁との関連でお答えしたとおりでございまして、具体的にどういう状況のもとでアメリカが言ってくるかという、その態様が、仮定のケースで、想像することが非常に難しゅうございますが、通常の場合で考えますと、日本に対する武力攻撃はまだないわけでございますから、そういう意味で我が国自身の安全の確保のためにこの要請に応ずるということが必要であるということはなかなか考えられないだろうという気がいたします。したがって、そういう意味で、原則的には拒否するということになるであろうと思います。
 ただ、答弁の後段にございました、委員御承知のとおりの、非常に理論的な可能性の問題として、状況が非常に緊迫をしておって、我が国に対する武力攻撃がまさに差し迫っておるというようなことが想定されるというような状況において、どうしてもこのアメリカの要請に応ずることが我が国自身の安全の確保のためにぜひとも必要である、こういう可能性も、今仮定の問題として考えますと、完全に排除することはできないというふうに考えられますので、そういう例外的な場合には、そういう事情も考慮に入れる必要があるであろうということを申し上げたわけでございます。もちろんその場合に基準になるのは我が国自身の安全の確保という国益が中心でございますので、それを基準にいたしまして自主的に判断する、こういうことになります。したがって、その場合には、政府の責任において判断はいたしますけれども、国民の意思というものを十分に考慮に入れて考えたいということでございます。
○矢山委員 その場合、四条協議という可能性もあるわね。
○小和田政府委員 四条協議という可能性はございます。
○矢山委員 そこで、私はそういう幾つかの場合を仮定をして申し上げたわけでありますが、そういう場合に、拒否する場合、拒否しない場合、いろいろおっしゃったわけです。拒否しない場合の例として、昨年二月の総理答弁を持ち出されましたが、きょうは私はこれに触れません。拒否する場合があるということをおっしゃったのですが、果たして日本がそのアメリカの要請を拒否するということだけで済むというふうにお考えになりますか。拒否したらアメリカは引っ込んでしまって、もう後何も言うてこぬとお考えになりますか、どうですか。これは肝心なところですからね。まず答えられる人、答えてくださいよ、時間がかかるから。
○北村政府委員 さっき委員が御指摘になりましたように、四条協議でアメリカがそういう要請をしてきた、日本がそれを拒否した、アメリカがその拒否に応じない、こういう場合はどうするかという御質問でございますけれども、要するに日米間の今までからの緊密な情報連絡、そしてまた、信頼関係の上に立っておるこの両国間の関係におきまして、そういうような、日本が拒否し、アメリカがそれに応じない、こういうようなことは考えられないところでございます。
○矢山委員 全くこれは仏様みたいな答弁だ。アメリカが自分で封鎖をやろうとするにしろ、日本にやってくれと言うにしろ、その場合は態様によって四条協議の場合があるだろうし、あるいは六条による事前協議という形もとる場合があるだろう、その態様はいろいろあるが、その場合に、拒否した、拒否しっ放しで済みますかと私は言っているのです。アメリカにとっては米ソ戦争がおっ始まっておるのですよ。そのときに海峡封鎖をして、例えばアジア方面に戦局が及ばないとしても、ソ連太平洋艦隊がインド洋から向こうの方に回っていくこと、これは断固として阻止しなければならぬ。あなた、アメリカの生死にかかわる問題ですよ。そのときに拒否して、日本とアメリカは信頼関係がある、ああそうですか、まあ仕方がありませんな、こう言って引っ込むでしょうか。そんな非常識な答弁は納得できませんね。
○北村政府委員 先ほど条約局長からも御説明をいたしましたように、日本がそういうことを拒否する場合、これはそういう拒否するに当たって十分の根拠があって拒否するわけでございますし、また今先生がおっしゃいましたような情勢判断、国際情勢がどれだけ緊迫しておって、どれだけそれが日本の安全保障にとって緊密な、緊迫した関係にあるかというその情勢判断は、これは日米ともに常日ごろからお互いに意見を交換しておるわけでございますから、そういう情勢判断において日米が違った判断をするということは考えられない。そういう意味におきまして、日本が拒否した、そういう情勢についてアメリカが違った情勢判断を持ってさらに押しつけてくる、そういうようなことは私どもとしては考えておらない、こういうことを御説明したわけでございます。
○矢山委員 ひとつ当面の折衝の責任者、外務大臣から聞きましょう。
○安倍国務大臣 今、局長も答弁をいたしましたように、これは安保条約第四条協議あるいは第六条協議による場合だろうと思いますが、いずれにいたしましてもイエスの場合もあるしノーの場合もあるわけです。ですから、日本が日本の安保条約運営という立場からノーと言うことは、これは条約上当然あり得るわけでありますし、日米間の緊密な協議の中においてそういうことがあったとしても、それはまた情勢の中で当然受け入れられる、私はそういうふうに考えております。
○矢山委員 これは日本の大臣、政府関係者は全くお人よしだ。こういうお人よしを相手にしておるからアメリカは何でもできるということになるのですよ。私は拒否できぬと思いますよ。拒否できない法的根拠が安保条約の中にちゃんとあるじゃないですか。それでも拒否できるとおっしゃるのですか。
 例えば、一番極端な場合は、欧州の戦争が欧州で限定されておる。太平洋には波及しない。しかし、それでもアメリカは、ハロウェーが言っているように、ソ連太平洋艦隊が大西洋に進出する、これを恐れておるわけです。だから三海峡封鎖をやらす、三海峡封鎖をやるのだ、こう言っておるわけです。そういうような一国の死命を制するような重大な問題について、いかに日米間の信頼があろうと、日本が嫌だと言ったから、はい、そうですかと言って引き下がる、そんなことは考えられません。また、そういうことをする必要のないような安保条約の構成になっておるじゃありませんか。
 例えば第四条の協議条項、これについて意見が合わぬ場合一体どうなるのだ。これはこういう解釈をされておるのですね。いいですか。条文の前文に、日米「両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、」云々となっておる。つまり極東、日本の安全については日米両国は共通の関心を持っておる。共通の関心を。アメリカは、欧州で戦争が勃発した、何としても三海峡封鎖をしてソ連太平洋艦隊を大西洋に回させぬようにしなくてはならぬ。それは極東の平和と安全のためにどうしてもやるんだ、偉大な関心を持ってそれを言うてくるわけだ。日本はその極東の平和と安全については共通の関心を持っておる、はっきり言っておる。共通の関心がある問題についてアメリカが対処しようと言うのにそれを拒否できますか。私は、こういう問題は、条約をつくったのだから条約に則してきちっと解釈をしないと、ひとりよがりで、日米は信頼関係があるから拒否すれば向こうは引っ込むだろう、そういうような考え方を持っておるということは大変な間違いですよ。これは外務大臣なり総理なり防衛庁長官、どうなんですか。
○小和田政府委員 委員のただいまの御質問につきましては、政策的な面と制度的な面と二つあると思いますが、制度的な面について若干補足して御説明申し上げたいと思います。
 安保条約第四条のもとにおける協議があり得るということは先ほど私が申し上げたとおりでございます。で、これは第四条に規定するところの随時協議というものが場としてあるいはチャネルとして利用されるということを申し上げたわけでございます。他方、なぜこの問題が日米両国間の協議の対象になるかという実質の問題につきましては、これは先ほど来想定しております事態の性格というものについて若干補足して御説明する必要があるかと思いますので申し上げたいと思います。
 今問題になっておりますのは、国際航行に使われる海峡において、沿岸国でないアメリカがその海峡における船舶の艦船の通航を阻止しよう、こういうことについて日本に相談をしてきているケースでございます。その場合に、日本が持っております一般国際法上の権利といたしまして、国際航行に使用される海峡の沿岸国としての立場というのは、当然、公海の使用について沿岸国が持っておる立場ということと、沿岸国の安全保障上の考慮というものがございます。そういう立場から、アメリカが一般国際法上勝手にそういうことができるのではなくて、沿岸国である日本の立場というものを尊重して相談してもらわなければならないというのが日本の考え方であるということは、昨年も御答弁したとおりでございます。
 したがって、そういう意味で日本が実質的にこの問題について同意を与えるという権利を持っておるわけでございまして、そのための場として第四条の随時協議が使われることがあり得るということを申し上げたわけでございます。
○矢山委員 それは、そういう解釈があるということは承知しております。しかしながら、そういう解釈がありつつ、なおかつ第四条の協議の場合に「脅威」というものの判定をどうするのか、協議をしたが意見が一致しないという場合にどうするのか、そこの問題にまで突っ込んだ話に今なっておるわけです。協議をしたけれども――協議をする以上、あなたがおっしゃったようなことを向こうさんもちゃんと踏まえて協議をしてくるわけです。正式の協議をしてくるわけだ、四条の。あるいは事前協議の場合もあるかもしれませんよ、事態によって。協議してくるわけだ。ところが、その協議をしてきた場合に、それを断固として断れないような条約の構文になっておりはしませんかということを言っておるわけです。できないのじゃないですか、これは。事前協議の場合も同じですよ。
○小和田政府委員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、この問題には制度的な面と政策的な面とあると思いますが、条約上の仕組みについて申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように、日本が一般国際法上権利を持っておるわけです。したがって、その権利に基づいてノーと言うことは国際法上十分許されることであるということをお答えしたわけでございます。
○矢山委員 それじゃ、国際法上のそういう権利が日本にあったとしても、日米安保条約というものが結ばれておる。その日米安保条約と一般国際法との関連からいうなら、私は、日米安保条約の解釈の方が優先するだろう、したがって、法的な解釈としては、今私が申し上げたようなことで恐らく拒否できないような状態に日本は陥らざるを得ないだろう、こう言っておるわけです。しかし、あなたはあくまでもそれは拒否するのだ、拒否ができるのだ、こうおっしゃるからもう一つ話を進めてまいります。
 そうなってくると、私は、旧地憲章のいわゆる敵国条項というものが問題になると思う。これの関連をどう考えられますか。そういう場合に、アメリカの生死浮沈にかかわるような重大な戦争局面において、一般国際法の手続を踏んで協議を持ってきた、安保条約四条を踏まえて。ところが、日本は拒否した。それであなたがおっしゃったような日本の法文解釈で、ああそれは仕方ありませんなと、私は言わぬだろうと思うが、言ったと仮定して、日本のその法解釈を向こうが認めたとして、私は、その上でなおかつ拒否できないような事態が来はせぬか。それは国連憲章の敵国条項というものは厳として残っておる、これとの関連においてあなたはどう考えますか。
○小和田政府委員 お答えいたします。
 国連憲章にいわゆる敵国条項と称される規定が入っていることは御指摘のとおりでございます。ただこの条項は、戦後の、第二次大戦後の経過的な措置として、旧敵国に対する連合国のとった措置の合法性というものを確保するために入った規定でございまして、国連憲章、御承知のように第四条の規定によりまして、国連の加盟国はすべて平和愛好国である、こういう規定がございます。したがいまして、日本が国連加盟を認められたそのことによりまして、日本は平和愛好国として、敵国条項は、そういう国連加盟国である日本に対してはもはや適用がないものとなったというのが政府が従来から一貫して申し上げております立場でございます。
○矢山委員 それは政府が一貫して言っているわけだから、日本政府の解釈だ。もし、国連に加盟した、国連の一員になったんだ――国連の一員になった、敵国という立場がなくなったのはかっての旧枢軸国全部だ、全部国連に加盟しておるのだから。だったら、どうしてこの敵国条項を残しておくのですか。条文に明白に残っておる以上は、これは動きますよ、必要なときには。法律の規定を明文のままに残しておいて、その効力を失わせるような正式の手続をしないで、あるいは法文自体、条文自体を改正しないで、残しておいて、それで日本は国連加盟国だから適用されぬのだ、そんな気のええことで済みますか。
○小和田政府委員 いわゆる旧敵国条項の取り扱いにつきましては、従来から国連においてもいろいろ議論があったことは委員御承知のとおりでございます。国連憲章の改正ということを含みますので、手続的にはいろいろ厄介な問題がございます。したがいまして、この問題は、最終的に憲章の改正という形でまだ実現はしておりませんけれども、我が国が先ほど申し上げたような立場をとっておるということ、それから、そのことを大多数の旧連加盟岡が認めておるということは申し上げられると思います。
○矢山委員 だから、また堂々めぐりになるのだけれども、我が国がそういうふうな解釈をしておる、国連の多数が認めておる、そういうのにかかわらず敵国条項をなくすることができない。なくすることができないのはなぜなんですか。日本はこれをなくするために何をやったんですか。なくすることができないというのは、この敵国条項を残しておることによって、その方がいいと考える国々があるのかないのか。また、なくしてもいいんだというふうに表では育っておるけれども、これを残しておけばいざというときにこれを生かして使えるから、これぐらい便利なものはない、それをなくする必要はない、便利なものをなくせぬでもいい、便利なものは残しておけ、こうなるのじゃないですか。どうなんです。
○小和田政府委員 私が御答弁申し上げるのは必ずしも適当でないかもしれませんが、一言だけ、今委員御指摘の点について申し上げますと、日本は従来からこの旧敵国条項は削除すべきであるということを国連の場において主張してまいりました。これは第二十五記念総会における日本の立場以降何回かそういうことを明示的に主張してきております。他方、同時に、国連憲章の改正は、委員御承知のとおり、加盟国の三分の一とそれから安全快陣理事会の常任理事国が賛成をしなければ実現しないという手続的に非常に厄介な問題がございますので、今日まで実現しないで至っておるというのが経緯でございます。しかしながら、さっきも申し上げたことの繰り返しになりますけれども、日本政府がそういう立場をとっており、そのことは国連加盟国の大部分がそういう立場を認めておるということでございます。
○矢山委員 とにかく、あれこれつべこべ言ったってだめなんですわ。敵国条項が歳として残っておる。これの改正、削除を何遍も申し出たけれども、これができない。それは国連の中のいろいろな事情がある。つまり、一つには、この敵国条項を先ほど言ったように残しておいた方がいい、あくまでも削除することには反対であるという勢力があるのかもしれない。あるいはまた、現在の時点で、今の情勢の中では、例えば日米の間においては極めて信頼関係が厚く、関係は良好である、したがって、今はこれは実体的には効力はないんだ、こう青いつつ積極的にこれを変えようともしない。いざというときにはこれは使えるからじゃないのですか。例えば米ソ戦争になっておる、これは米ソ両国にとっては大変なことですよ。食うか食われるかですよ。アメリカだって、だてやひょうたんにソ連と戦争を始めるわけじゃないのですから、これは死活にかかわる問題ですよ。そのときに、アメリカの死活にかかわる問題であるのに海峡封鎖に応じない、そのときにアメリカの判断は、日本は敵対的な立場に立った、こう判断をしたならば、この敵国条項が動いてくるじゃありませんか。そうしたら強制力を使われますよ、強制力を。日本のお役人や日本の閣僚の皆さんと言うたら失礼になるかもしれませんが、日本の関係者のようにお人よしじゃないんですから、向こうは。そうなるのじゃありませんか。私はそれを一番恐れるのです。
○安倍国務大臣 敵国条項につきましては、今、条約局長が答弁したとおりであります。国連でも我が国はこれの削除を要求しておりますし、それに対して一部の反対があることも事実でございます。そして今、三分の二の多数であるとかあるいは安全保障理事会の常任理事国の賛成がなければならぬわけですが、その反対があるわけですからこれが実行できないのですが、少なくともおっしゃるような日米間においては、今の信頼関係からいきまして、敵国条項を残して何かのときにこれを使おうというふうな、そういう意図がアメリカにはないということははっきり申し上げておきます。
○矢山委員 これ以上、水かけ論になりますからもうやりませんが、ただ最後に一言言っておきたいのは、今は日米は信頼関係が厚く、極めて関係は良好である。しかし、先ほどの繰り返しになりますが、アメリカの死活にかかわるような戦争状態のときに、海峡封鎖をやる、その申し出を日本が拒否した、なれば、まさにアメリカにとってはこれは死活問題である。信頼関係というものは根底から崩れる。その場合に、敵国条項が残っている以上はそれをアメリカは発動する。発動すれば軍事力行使だってできる。私はそれを言ううのです。そこまであなた方が信頼関係だから大丈夫だとおっしゃるんなら、これを変えるための努力をどうするのですか。我が国がこう解釈しておるから、国連の多数はそれを認めておるから、日米の信頼関係が厚いから大丈夫なんだでは済まされぬでしょうが。万一の危険を我々は取り除いておかなければならぬ。しかも国際連合憲章でしょう、どうするのですか、これを。そのための努力を今まで日本は何をやってきたんですか、具体的に。
○安倍国務大臣 敵国条項については、これはもう事実上死文化したと同じことだという判断に立っております。したがって、これはあくまでも削除すべきだ。(矢山委員「死文化してないんだ」と呼ぶ)現実的にはもう死文化している。日本はもう既に国連に入って、平和愛好国として世界の大半の国々から認められておるわけです。ですから、事実上死文化しておると言っても過言でないわけで、それであるからこれを削除すべきであるということを我々は主張し、そして憲章の改正委員会等でもこれを主張し続けておるわけですが、しかし、大半の国連加盟国はこのことを認めておる、にもかかわらず、一部の反対等もありましてなかなかこれを実現するということが今困難な状況にあります。しかし、我々は、これは当然のことであろうと思いますし、今後ともこの削除というものは要求し続けていく、そして、国連憲章からこれを外すためにこれからも全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○矢山委員 余り楽観論を吐かないで、こういう危険な条項が残っておるということは、日本という立場に立って、しかも日本の国の運命を背負っておられる閣僚の皆さんとしてはこの問題をどうするかというのは真剣に考えなければいけませんよ。情勢というのは変化するのだから、日米がどんなに信頼関係があろうと崩れる場合が万一ないことはない。かつてあなた方は中国敵視だと言った。我々があれほど日中の国交回復をすべきだという長年の努力をしておったときでも、中国はだめだ、アメリカとも関係が悪いと言ってあなた方はやってきた。ところが、急転直下、日中の関係というものは現在のように非常に良好な関係になった。つまり、国際関係というものはそのときの情勢によってどう動くかわからぬという要素を持っておる。それを考えるなら、この敵国条項を軽く見逃すことはできませんよ。今後この削除を全力を挙げて努力しますか。あるいはこれを無効ならしめる決議を実現する、総理、どうですか、これは。
○中曽根内閣総理大臣 外務大臣が答弁したとおりであります。
○矢山委員 努力するのですか、せぬのですか、やらぬの。外務大臣、あなた責任ある問題だよ。
○安倍国務大臣 これは国際連合における憲章の改正委員会等におきまして、日本はこれまでも努力しておりますし、今後とも努力をしてまいります。しかし、敵国条項が少なくとも日米間でそうした状況になり得るということは、日米の今日の同盟関係、信頼関係からはあり得ないということははっきり申し上げられると思います。
○矢山委員 これは総理、あなたが内閣の責任者として一番真剣に考えなければならぬ問題なんですよ。あなたは日本の国をこよなく愛しているわけでしょう。日本の国防のために全力を挙げているわけでしょう。そのあなたが、国連憲章にあるこういうような大きな欠陥を、それを見てあの一外務大臣の言った答弁で、あの言ったとおりです、こういうことで済みますか。(発言する者あり)いや、閣僚の中の一ですよ。あなたがその決意を明確にする責任があるのじゃありませんか。
○中曽根内閣総理大臣 私はこの国連憲章五十三条等にある敵国条項の……(矢山委員「百七条もありますよ」と呼ぶ)だから第五十三条等と申し上げたのです、にある敵国条項については、これは総理大臣になる前から大きな関心を持っておって、たしか私の本にもかつて書いたことはあります。そういう関係もあって、総理大臣になった後も敵国条項の問題というものは常に頭にあったわけです。それで外務省に対して、この問題は今までどういうふうに取り扱われてきたか、よく調べさせました。外務省もいろいろ努力をしてきておるようで、外務大臣が御答弁のとおりであります。
 しかし、実態は友好国間においては名存実亡であると断定してよろしい。名存実亡である、文章はあるけれども死に体のものになっておる。これは事実上、国際条約とか国際機関というものはいわゆる生きている機構、リビングオルガニゼーションですから、文章とか活字がそのもの生命体ではない、生きている関係自体、リビングオルガニゼーションあるいはリビングリレーションズというのが実態なのであって、それを維持していくためにいろいろ努力しているわけであります。そういう意味におきまして、日米間におきましては相互の信頼に基づいて物が動いている、日中間においてすら、共産圏と資本主義圏あるいは自由主義圏と共産圏でありますけれども、やはりこれは私が相互信頼という言葉をこの間入れて、四原則の中に相互信頼というものでやっていこうということで、つまりこれが生命力を吹き込むという形になっているわけです。共産圏と自由主義圏でありながら、四原則を維持して、リビングオルガニゼーションというもので、生きているわけです。そういうためにも二十一世紀委員会をつくろうという努力をしておる。いわんや日米間というものはもう三十数年の戦後の長い因縁と提携と努力の成果、蓄積というものがすでにできておりまして、国連憲章敵国条項というものは完全に死に体になっておるのであります。ところが、この改正問題につきましてはいろいろ努力もしてまいりましたけれども、国連全体の中の情勢を見ますというと、必ずしもそこまで行っているという状態ではないのです。そういう状態から、この問題の扱いについては、いろいろ努力はしておるけれども、情勢を見つつ慎重な対処をしているというのが現実の状態でありまして、政府は全然こんなことは無関心でおるという問題ではないということを御了知願いたいと思います。
○矢山委員 最後に申し上げておきます。
 あなたが盛んにおっしゃる現実の関係というのは、情勢というのは動く場合がある。これは未来不変のものではありません。動く場合がある。我々が因の安全を考えるなら、その動く場合があるかもしれないそのときにこの敵国条項が利用されないような封じ手だけは考えておかなければならぬ。これは国の政治の最高責任者としては重大な責任であると私は思います。このためにあなたがどんなに苦労なさろうと、これが実現すれば、あなたが何をやったよりも大きな功績になるのじゃないですか。それを実現するために、その敵国条項を残すことに賛成の一部の国があるとするなら、こんな名存実亡のようなものをいつまでも残すべきじゃないという説得をやって、そして条文自体を変えるなり、なくするなり、あるいはこの条文が万々一のときに生きていかないような国連の決議を取りつけるなり、何らかの方法において努力するということを、強く国の責任者としてのあなたに私は要望しておきます。
 そこで、余り時間をとり過ぎて、武器技術の問題等をやれなくなってまいりましたが、一つだけちょっと対ソ関係で簡単にお聞きしておきたいと思います。
 何か二月十八日の新聞報道によると、大型の対日経済交流代表団をソ連が日本に派遣するということで非常に積極的になっておるということのような記事が伝えられておるのです。これはあなたもこの間ソ連へおいでになったのだから、何らかの感触を持ってお帰りになっておるのが当然じゃないかと思うし、もしそういうことがあるとするなら、それに対して日本政府としてはどういう対応をするのか、消極的な対応をするのか積極的な対応をするのか、どういう対応をするのですか。
○安倍国務大臣 これは昨年実は永野日商会頭を中心にしまして、日本の経済界の大型ミッションがソ連を訪問いたしまして、経済貿易関係の協議を行ったわけでありますが、その際に、ことしは日本にソ連の経済貿易ミッションを迎える、こういう約束になっておりまして、その具体化についての協議が今続けられておる、こういうふうに承知しておりますが、今、日本の責任者である永野日商会頭が病気をしておられるということで、その協議につきましてもなかなか急速に進まないということでありますけれども、政府としましては、こうした民間の交流が行われるということにつきましては、何も反対する筋合いはありませんし、今の日ソ関係、対話を促進するという上においては、これは結構なことである、こういうふうに考えております。
○矢山委員 そこで、例のアフガニスタン事件それからポーランドの問題等々が契機になって、アメリカが対ソ経済制裁措置というのをとっていますね。日本もこれに同調していますな。私は、やはりこういう代表団が来るというのなら、この経済制裁措置に対してどういうふうな考え方を持つかということも、今から政府としては検討しておくべきじゃないか。この経済制裁措置が緩和されなければ、代表団がやってきても、やはり経済交流というのは一定の枠があってなかなか動かぬのじゃないか、そういうふうに思うわけです。今ソ連の政権もかわったのだし、あなたもこの間帰ってこられて、いろいろな新しい動きもなきにしもあらずのようなことを言っておられたわけですから、現在の東西の対立関係、その中心は米ソの緊張対立関係ですが、これをやはり緩和していくということに対しても、日本は、日本の出方によれば相当大きな力を持っておると思うのです。したがって、こういうものに対しては積極的に対応して日ソの交流の枠を広げる、そして日ソ間の関係を良好なものにしていく、それを通じて米ソの緊張対立の関係を緩和していく、このことが、私は今非常に重要だ、こういうふうに考えておりますので、ぜひそういう努力を総理にもやっていただきたいと思いますが、どうお考えでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 先般来ここで申し上げますように、日ソ関係の打開につきましては、私も大きな関心を持っており、今ソ連の新しい政権の政策形成をじっと見ておる状態であります。そういう意味におきましても、外務大臣が答弁したとおり、日本側の民間団体と話し合いができて、そして、おいでになれば、我々は喜んで迎えたいと思っております。
○矢山委員 私は、ほかに武器輸出の関係等も日米安保の観点からとらえて、いろいろ御意見をお伺いしたい、こういうふうに思っておったわけでありますが、その時間がありません。しかし、今、海峡封鎖の問題一つ端的に取り上げて、日米間の協議、事前協議を含めての協議の問題でいろいろ御質問申し上げましたが、私の根底にあるのは、やはり日米安保条約というのは、これは日本の国を守ってくれるための条約なんだというのが一般化しておるわけです。しかしながら、私は必ずしもそういうふうにばかりは考えることはできない。アメリカはアメリカの考え方があって日米安保条約を結んだ。そのアメリカの考え方というのは、やはり結んだ当時から米ソ間の関係というのが東西対立の中心になっておったわけですから、そういう観点で、やはり対ソ戦略というものの立場から日米安保というものを考えてきたと思うのです。それであるからこそ、例えば三海峡封鎖の問題で協議の問題一つ取り上げても、今言いましたような非常な難しい問題を抱えておるわけです。ですから、私は、日米安保というのが日本の安全を守るためにあるのだ、そういうふうに単純な考え方はできない。やはり日米安保条約を結ぶ最大の力を持っておったアメリカが自国の不利になるような条約を結ぶわけはないのですから、この日米安保条約というのは、やはり何といっても第一義的にはアメリカ自身の利益のために結んでおるということは、私は覆いがたい事実だろうと思います。それが私は先ほど来の論議で証明できたと思っておりますので、この点については、また改めてさらに進んだ論議をさせていただきたいと思いますが、これで終わっておきたいと思います。
 そして、次に質問を移したいのでありますが、最近、御存じのように、地球的な規模で緑の資源、つまりその代表的なのは森林資源ですが、これが枯渇をしておる、消失をしておる、その危機的な状態について非常に論議をされておるわけであります。テレビや新聞等にもたびたび出ておるわけでありますが、そういう問題に関連をしてごく簡単に一つ二つお伺いしておきたいと思います。
 まず、森林というものは、国土保全あるいは水源の涵養あるいは空気の浄化、そういったいろいろな機能を有しておるというふうに言われておりますけれども、これらの公益的な機能について政府の方では調査をし分析をしておる、そういったような資料がございますか。ございましたら、この際明らかにしていただきたいと思いますが、時間の関係がありますので、余り詳しい話をされますと困りますので、詳細なことにつきましては、後で資料をいただいてもよろしいから、簡単に御説明をいただきたいと思います。
○秋山政府委員 お答えします。
 森林には、委員御指摘のとおり、公益的機能もございまして、これにつきましては昭和四十七年に水資源涵養機能並びに国土保全、森林レクリエーションその他のものにつきまして価額に評価をした経緯がございます。これにつきましては、当時の価額といたしまして十二兆八千億でございまして、現価に換算しますと約二十五兆円になりますが、さらに新しい手法で現在また検討しておる次第でございます。
○矢山委員 例えば、国土保全機能の面で、ある程度あなた方の方で調べてはおられませんか。今の森林の状況から見てどういう現状にあるかというのは調べておられぬですか。
○秋山政府委員 お答えいたします。
 国土保全機能と申しますと、二つに分けまして土砂流出防止並びに土砂崩壊防止に分かれると思います。これにつきまして、まず流出防止の方の機能といたしましては二兆ニ千七百億、それから崩壊防止につきましては五百億という当時の数字がございます。これをただいまの時価に換算いたしますと、五兆四千億、さらには一千二百億というふうになります。
○矢山委員 その御説明もありがとうございました。
 同時に、私がちょっと調べたのによると、土砂の流出ですか、これの状況を見ると、林地とそうでないところと大変な相違があるのですよね。林地に対して草地は一・一六倍の流出だという。耕地は八・二二倍の流出だ、裸地は四八・三九%の流出量だ、荒廃地は一七〇・五〇%の流出だ、こう言っているわけですね。ですから、私は、国土保全機能という点から見ても、非常に今の森林の状態というのは問題があるのではないか、こういうふうに思っているわけです。
 そこで、最近、この間も長崎の災害がありましたね。それから山陰地方の災害、こういうところで山崩れや土石流の山地災害というものが大変たくさん起こっておると思うのです。これらの状況は、ただ単にそれは異常な集中豪雨で出たんだ、こういって済ますわけにはまいらぬというふうに思うのですが、この災害の発生状況なり、その被害額なり、それからそれに対する災害復旧独なり、そういったものの現状はどういうふうになっていますか。
○秋山政府委員 お答えします。
 私ども林野庁としましては、これまでも造林事業、治山事業というふうなものをもとにしまして森林の整備を図り、同時に各種制度を総合的に実施しておりますが、ただいま先生御指摘の長崎県並びに昨年の島根県は日雨量が五百五十ミリを超える非常に異常な量でございまして、森林の持っております機能を超える被害があったことは事実でございます。
 そこで、私ども、過去におきます被害額を見てまいりますと、五十六年は千二百億、五十七年が二千四百八十億、五十八年は千九百八十億ということでございまして、私ども、まずは災害の起きた跡地につきましては二次被害の出ないように緊急浴山事業で対処し、さらに翌年度からは計画的に復旧事業で進めてまいっておる次第でございます。
○矢山委員 私は、いろいろな資料を調べてみまして、例えば森林の持つ公益的機能としての国土保全機能、これ一つを見ても、最近の森林というのはその機能を果たすことができないほど荒廃しておると思うのです。そこで、森林機能を適正に維持していくのには、林業の生産活動というものを通して山村に仕事をつくり、生活を安定させ、地元住民が定住できるような条件を整備して林業労働力を確保することが必要だと思うのです。しかしながら、現実は、過疎が進行し、林業労働者は高齢化する、年々高齢化して年々減少しておる、そういう現状でありますが、このままで推移するなら国内林業の継続は極めて困難な状況だと私は思います。
 そこで、林業白書を見ますと、地域における林業発展の条件意向調査ということで発表されております。それによると、市町村の林業施策、林業問題に対する意向として、まず第一は、若年層の流出による山村地域の高齢化と後継者不足、これが一番だ、それからもう一つは、農林業が長期にわたって停滞しておること、こういうふうに言っておるわけですね。そして、林政審の答申を見ると、林業の担い生育成が一番重要だ、こういうことで、一つには、林業事業体の経営基盤の強化、それから、林業労働者の労働条件の改善、安全衛生の確保などの指導の拡充を図る、それから、林業労働の季節性、間断性を考えれば、地域における林業、農業、畜産、特用林産、農林関連産業等の地場産業の振興を通じて就労の確保、定住条件の整備を図る幅広い政策展開が必要だと指摘しております。しかしながら、残念ながらその具体策については示してな。わけです。
 具体的にはどういう施策をやろうとしておるのか。既にお考えがまとまっておられればひとつ側説明を願いたいと思います。
○秋山政府委員 お答えします。
 林業の振興のためには、御指摘のとおり、担い手を育成しこれを拡充強化することが極めて重要でございまして、これまでもいろいろな施策を講じておりますが、特に五十九年からは二つ掲げてございます。第一点は、林業地域の活性化の対策事業でございます。最近の林業の停滞にかんがみまして、特にこれからは農業、林業を複合しながらやってまいるとかあるいは地場資源を有効に活用するとか、そういうふうなことにさらに力を入れながらそれに関連する施策を進めてまいるということが第一点。もう一点は、林業事業体の雇用体制整備振興対策事業というのをしたいと思っています。これは、やはり林業は季節的な側面がございますし、また各山村地域に分散しているということもございまして、なかなか林業事業体が弱うございます。したがいまして、各県に指導員を附置し、林業事業体が強くなるような施策をしながら、これまでやってまいりました各種の施策を総合的に進めてまいるというようなことで、これからも積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
○矢山委員 最後に、総理にお伺いしておきますけれども、今、国有林野班業というのが財政的に非常に難しくなっていますね。国有林野事業の問題を解決していくためにも、やはり日本の林業全体としての前進を図らなければ、国有林野事業だけを切り離して物を考えたってやれぬと思うのですよ。
 そこで、国有林野事業の活性化を図る、そして公益的な機能を十分果たさせるようにする、そして林業生産も上げていく、こういうことになると、やはり相当な財政的な施策、特に適切な施策というものが要ると思うのです。こういうことについてぜひ御努力をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 戦後の諸政策の中で割合おくれて残念なのは林政だろうと私は思っております。これはいろいろな事情がございますが、やはり外材が安く入ってきて、そのために内地材の採算がとれないというような面から非常におろそかになって、間伐の費用すら出ないという実情です。そういう面から公団造林だとかいろいろなものが考えられてきておりますが、それでもまだ不十分でありまして、林相を整えるということは日本の政策として非常に重要な面だと思います。
 その中に国有林というものも含まれておりますが、残念ながら国有林は非常に赤字を出しておりまして、それも随分批判を受けて、それでもいろいろ努力を積み上げてやっていただいております。さらにこの簡素効率化の努力をしていただきまして、それと伴って、政府も林政全般の一環として日本の林相を整え、効率化していくために努力していくべきであると考えております。
○矢山委員 この問題は、時間の関係がありますので、また一般質問その他でお伺いをしたいと思います。
 そこで、残った時間はもうわずかですが、財政の問題に関連して、私はどうも奇異に感じておる問題が一つありますので、その点をひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
 まず第一にお伺いしておきたいのは、大蔵大臣、調整財源ですね。調整財源というのは大蔵査定のときに一体どのくらいあったのですか。
○竹下国務大臣 いわゆる公共事業八百億、非公八百億、計千六百億。その前の段階の俗に言う官房調整費という問題につきましては、それぞれ金額で捕捉することは難しいのじゃないかと思います。
○矢山委員 それで、大蔵大臣、調整財源などというものは何のためにあるのですか。そしてそれは調整に便利だから多いほどいいのですか、それともできるだけ少ない方がいいのですか。その辺の御見解はどうなんですか。
○竹下国務大臣 これはなかなか難しいところでございまして、かって予算規模の小さいときは四百億というような時代もございました。私ども考えてみますと、まあ五十兆あります。そうなると、最終的な調整財源というのは、かれこれ考えてみて今程度が適切かなという感じはしておりますが、予算規模に応じてどれくらいあればいいかということになると、ちょっと私も感じ以上のものをお答えする能力がありません。
○矢山委員 失礼ですが、さっき調整財源というのは、公共事業分が八百億と言われましたね。それから一般その他で八百億ですか。
○山口(光)政府委員 もう一遍お答え申し上げますと、五十九年度予算では、調整財源、これは主として大臣折衝以降に調整財源として使うもの、これが六百億でございます。それから事務次官折衝までに使うものが二百億、それは全体の話でございまして、公共事業費にっきましては、公共事薬費の中に公共班業未配分といたしまして事業に配分しておりませんものを八百億、内示段階ではそういうふうにしております。
○矢山委員 ちょっと大蔵大臣のがはっきりしなかったから。わかりました。
 そこで、大蔵原案の段階から五日間あったわけですね。その間に調整をやって、いわゆる復活ということをやって増減が出たわけですね。主要経費別で言うと大体どういうふうにふえたり減ったりしたわけですか。
○山口(光)政府委員 社会保障費が三百九十億増でございます。文教及び科学振興費が四百二十二億増でございます。それから国債費は増減ございません。恩給費が百十一億の増でございます。地方財政関係費は増減ございません。防衛費が三百八十五億の増でございます。それから公共事業費は、先ほど申しましたように、公共事業費の中で八百億の調整がございますので、トータルは同額でございます。
 あと細かい点について申し上げましょうか。(矢山委員「いいです」と呼ぶ)
 以上でございます。
○矢山委員 そこで、私ちょっとわからないのが一つあるのです。主要経費別の項の中でその他の事項経費というのがあるわけです。これは大蔵の査定段階では約百十億あったわけですね。百十億ふえたのです。〇・三%ふえたのですよ。ところが、それが最終的には六百九十六億ですか、減になっている。差し引きすると、ここで大体七百億ぐらいの差が出てきておるのです。これは私ちょっと見てわからないのですが、ほかのところは全部ふえたところへ復活させてふやしておる、あるいは減らしたところを復活させて減ったものが減ってきておる、こうなっておる。ところが、その他事項経費だけは、ぽんと大蔵査定でふえたものが、今度最終の査定になると七百億ぐらい減っちゃっているのですね。これは一体どういうことなのか。
 そこで、その他の事項経費というものは一体何があるのか。何が何ぼあって、これが上がったり下がったりしたのか。そこのところどうなっているのですか。
○山口(光)政府委員 その他の事項経費というのは、この主要経費の中で分類してないものすべてでございますから、なかなか申し上げにくいのでございますが、ここに上がってないものすべてを含んでおるわけでございます。
 ただ、この費目が今御指摘のように六百九十六億内示から決定までの間に減っておる、これはどういう現象かというお尋ねかと思うのでございますが、例えば文部省でございますと、文部省に内示の段階である金を内示いたしますが、具体的な経費に配分しません部分があるわけでございます。これはいわゆる官房調整費と称しておりますが、それは当初の内示の段階の整理ではその他事項経費、いわゆる雑件として整理しておりますけれども、復活折衝の段階で、文部省予算の中で具体的に費目が確定してまいります。そうすると、主要経費の方に移ってまいるわけでございますので、主要経費の方に引っ越していく。したがって、この雑件の部分が減っていくということになるわけでございます。
○矢山委員 しかし、それはちょっとおかしいんじゃないですか。これは私は、きょうはもう時間がありませんから言いませんが、では、どこの経費からどういうふうにこうなったんだというのを後で全部お示し願いたいのです。それが一つ、お願いしておきます。
 それから、結局、調整財源として公共事業関係で八百億、それから六百億と、事務次官段階で二百億、合わせて千六百億、あなたはこう言っていた。つまりこれが復活財源になったわけでしょう。よく考えてみたら、ここへぽかっと大体七百億の隠し金が出てきちゃったわけです。これも復活財源に使われているわけですよね。復活財源、調整財源としては千六百億だと主計局長がおっしゃる。この七百億というのが飛び出しちゃった。大蔵省というところは予算編成の専門家がそろっていて、きちっとやっているのだろうと思う。こんな隠し金がたった五日間ほどの間でぽこっと出てくるというのは、えらい手品ですね。これには私もびっくりした。どうなんですか、これは。
○山口(光)政府委員 ただいま御指摘のような事実はあるわけでございますが、これは政府部内で予算折衝を進めてまいります上には、現実問題としてどうしてもそういうようなやり方をとらざるを得ない面がございます。それについて資料を出せというお話もございますけれども、これはいわば政府内の意思決定のプロセスにおける一過程の話でございまして、いわば台所事情を明らかにしろというようなお話でございますので、従来からこの点は提出するのを差し控えさせていただいております。
○矢山委員 しかし、一国の予算を編成するのに、百円や五百円あったというなら、あるいは十万や百万あったというならわかるけれども、七百億もの金がぽこんと出てくる。それで、表向いては調整財源千六百億だ、千六百億だと言っておいて、七百億円が事実上は打ち出の小づちのようにちょろっと出てきて、これを含めると二千三百億というものが調整財源に使われているんですよ。こういうことをやっておるから、調整財源を目当てにしていろんな団体がおれのところへよこせ、おれのところへよこせと言う。自民党さんの中でもそれぞれの立場から、これをよこせ、これをよこせと言って奪い合いをやる。そして、東京におる人が奪い合いやっているならまだそれほどの被害もないでしょうが、これだって大変な話ですよ。ところが、この奪い合いをやるために、地方の人は東京へ日参しなければならぬ。この間どこかの新聞の囲みに書いてありましたが、予算編成時期に行ってみると、いろんなものが机のわきに積んであるそうです。復活をしてくれと言って行くのにやはり手ぶらでは行きにくいんでしょうね。名刺がわりというようなことかもしれませんが、いろんなものを提げて、一生懸命おれのところへよこせと言ってやるわけですよ。こういう現象が起こるのは、こういう調整財源の分捕りが目当てなんでしょう。これは大変な不正常な予算編成のやり方ですよ。しかも、表に出たのは千六百億円だが、しかしながらぽんと七百億円が飛び出してきた、さあこれも、こんなでたらめな話はないでしょう。財政改革をおっしゃるのなら、この予算編成のやり方から根本的に改めなさいよ。これをやらないで財政再建、財政改革と言ったって成り立ちませんよ。大蔵大臣、どうなんですか。
○竹下国務大臣 先ほど私も申しました、いわゆる官房調整費の問題になろうかと思いますが、やはり各省それぞれのプライオリティー、優先順位を持ちながらお考えになっておりますね。そういう問題を第二段階においてまさに官房調整をしていくということは、私はやはり私なりの経験でそれは必要なことだと思います。(矢山委員「それは分捕りのためか」と呼ぶ)分捕りとは若干性格が違うと思うんですね。例えて申しますならば、第一段階で当然義務的諸経費等々を充足する。そして、その次のいわゆる復活折衝に当たって、政策経費等々につきまして、これがいいかこれがいいか、いろいろそういう優先順位も各省にあられます、そういうものを調整し、そして第三段階が、公共事業の八百億は総額の中で、では住宅か道路がどっちを優先するかということで、最後に、わずかな金でございますが、これでそのときどきの傾向を示すわけですね。そして、いま一つの二百億と六百億の非公共に関する調整財源というものは、まさに政府・与党一体の責任で最終的な決着をつけるための調整財源。だから、官房調整費に関するものは、言ってみますならば、事務折衝の段階においてそれぞれ各省庁等の優先順位の中で消化されていく問題だ、率直に言って、大蔵省の方から、これが優先ではないか、これが二番目ではないかと言う性格のものではございません。やはりその所管省が一番詳しいわけでございますから、その所管省の中でそれぞれ調整されながら優先順位を示して、それに対して大蔵省がまさに調整作業を行う、こういうことであります。
○矢山委員 しかし、大蔵大臣、あなたも大臣をなさらぬときには、この調整財源目当てにいろいろと、予算よこせということをおっしゃったかおっしゃらぬか知らぬけれども、おっしゃらぬとまるで否定はなさらぬと思うのです。調整財源があることがやはり予算の分捕り合戦の一つは根になっておるわけだから、こういう調整財源というのはできるだけ少ない方がいいし、また、調整財源を設けなくても予算編成ができるやり方というものを考えてみるべきなんじゃないですか。今までの惰性で、まず大蔵原案、それから次官折衝、それから大臣折衝、それから党の中で最終的に、こういう段階を設けて十年一日のごとくやりよるところにも私は問題があると思うのです。こういうような、財政改革が叫ばれる、財政再建が叫ばれるときになれば、やはり予算の組み方に、ついても、できるだけ分捕り合戦を避けるようなことを考えてみる、そういうこともひとつやはり検討されなければいけないのじゃないですか。
 それともう一つは、表に出した公開財源以外に、何と理屈をつけられようと、隠し財源があるというのは許せませんよ。それで、しかも、その内容を明らかにすることはちょっとぐあいが悪いんだ。予算審議ですから、予算を国会で審議する以上ガラス張りにしなければいけませんよ。それを、大蔵省の役人が七百億ぐらいポケットの中に持っておって、それをあなた方は知っておったのか知らぬのか知らぬよ、恐らく大蔵大臣は知っておったと思う。知らぬような顔をしておるのだろうと思う。だから、表向きは八百億と二百億、六百億、総計千六百億が調整財源です、復活財源と、こう言ってリードをしてきておる。ところが七百億というものがあったわけだ。こんなべらぼうな話はありませんよ。やはり予算の編成の中身というものはきちっと明らかにして、疑惑を持たれないように、そしてまた、それが利権あさりの道具にならぬように、そういうふうな予算編成のやり方というものを私は考えるべきだと思うのです。来年から、こういうような隠し金がぽんと出てくるというようなことになると、これはまた問題です、そんなことはやめてもらいたい。
 それから、さっき主計局長は、その中身が出せぬとおっしゃる。出せぬことはない。閣僚の皆さんだってそうでしょう、隠し金をこしらえておって、それがどうなるのかわからぬというようなべらぼうな話はないですよ。その隠し金はやはりその他事項経費で上げであるものは何か、全都一遍各省で洗い出してごらんなさい。少しは大臣も予算の編成について、もっとあなた実質的に物が言えるようにしたらどうですか。まあ隠し財源という言葉がいいのか何か知りませんよ。いずれにしても、わけのわからぬ金がたった五日間の間に七百億円飛び出してきたということなんだから。しかもそれが復活財源になっておる。
 しかも、御案内のように、党首会談をやられたんでしょう、野党の言い分も聞きましょうということで。党首会談をやりながら、私どもは党首会談のことが反映したものがあるとは思っていませんよ。二千三百億も復活財源じっと抱えておって、形の上だけで党首会談をやった。二千三百億の分捕り合戦は、自民党の諸君でこれをやった、こういうでたらめなことはやめてもらいたいですね、こんなことは。政権をとれと言っておるけれども、政権とったらでたらめなことをやってもいいということじゃありませんよ。政権をとればとるほどやはりこういうような不明朗なものをなくさなければいかぬ。国会の中で明らかにしてくださいよ。国会の中で明らかにするんなら、私はあえて不明朗だとかけしからぬとか言いませんよ。それを出さずにおいて、年々どのくらいのこの財源をこういうふうに手品のように生み出したのか知らぬけれども、ことしは、五十九年度予算は七百億だ、いずれにしても。これは少ない金じゃありませんよ。どうですか。来年度こういうことが再び起こらぬようにしてください。そのためには、その他事項経費の中身をきちっとしてください。どうですか。
○竹下国務大臣 これは、五日間とおっしゃいましたが、従来よりもだんだん短くなりまして、それは分捕り合戦でないようになって、私の方は減すことを少なくしてくれ、こういうふうにだんだん対応の仕方も変わってきたと思うのであります。
 それと、もう一つは党首会談、これもことし党の方で配慮されて、いわば大蔵原案を出す前にこれを行おう、それについても正確に、この分は要望に応じられましたとか、これは残念ながら要求がございませんでしたとか、そういうことはやはり正確にお答えするのが筋だと思って、そのような配慮をしたつもりであります。
 それで、最終的には官房調整費の問題ですが、現実、予算編成、私の経験では三回目でございますけれども、やってみますと、その官房調整費というものは、やはりその省の最終的な優先順位を判断してやられるために、私は過程としては必要なものだ、こういう感じがいたしております、最後の政治折衝の問題は別といたしまして。しかし、この財政改革のときだから何でもかんでもきちんと一発勝負でもできるような工夫をしろと言われる提言に対しては、私もまじめに検討させていただきます。
○矢山委員 これで最後にしますが、どういうふうな理由をつけられようと、私は、調整財源を目当てに予算の分捕り合戦というものが行われておる、この事実は否定できぬと思うのですよ。それを、もし与党の皆さんが、たくさんの陳情者が押しかけてきて、あれを頼む、これを頼むと言う、来る人間が多ければ多いほどおれの政治力が強いのだというふうな間違った考え方をお持ちにならぬ方がいいと思うのです。そうでなしに、こういうふうな不明朗な予算編成というものをやっぱりもう一遍反省し直す、こういう姿勢というものは私は極めて重要だと思います、財政改革がこれほど言われておるのですから。それについて私は総理の見解も伺いたい。
 やはりこの財源を分捕り合戦をやることが、先ほども言いましたが、利権に結びつくわけなんです。だから、この予算編成の態度はどういうふうにするか、ひとつ再検討して改めていただきたいと思いますが、総理、どうですか。
○中曽根内閣総理大臣 矢山さんのおっしゃることはわかりますが、実際予算編成というものをやってみますと、やはりこれは政党政治でありまして、それで結局、国民の多数の意思というものをどういうふうに収れんして、自民党なり社会党なり、あるいは他の野党が盛り上げて政策に実現していくかという過程の一つの技術論にすぎないのです。そこで、今まではほとんど、大分前は大蔵省がほとんど全部自分でチェックして、金額まで決めておって、各省ほとんど融通がきかなかったわけです。そのために予算編成が非常にぎごちないことがありました。そこで、この部分はもう農林省に任せなさい、農林省に自分でもう政策選択をやらせなさい、そういう意味で各省の自主性を認めて大蔵省が手を放したという点で、大蔵省のコントロールを外すために自民党も随分努力して、その結果できたのが官房調整費であります。
 しかし、それだけではまだ国民の世論というものがそのまま全部実現されるわけではない。自民党では、政調会の中において予算編成ごとにあらゆる審議をやってマル政事項というものをつくっていきますね、政治家が判断する重要事項を。だんだんそれを絞り上げていって、そして最後に幾つかのものが今度は党と内閣の最終決定にゆだねられるわけです。そういういろいろな過程の中で、政党の世論をくみ上げ、国民の世論をくみ上げていくためにはお金の用意が要るので、そういう意味で調整用に持っておるので、これは現実、予算編成を円滑にやろうと思うと、必要やむを得ざるものなのでありまして、矢山さんも政権をおとりになるとよくわかっていただけるのじゃないか。それは御理解いただきたいと思うのです。
○矢山委員 私は時間が来ましたからこれでやめて、改めてまたお伺いする機会があると思うのです。
○倉成委員長 これにて矢山君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開講
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でござ。います。
 まず最初に、総理にお伺いをしますが、この十五日に私どもの矢野書記長と総理との間でいろいろと教育問題についての議論があったわけでございますけれども、その中で、総理の方から日本教職員組合の態度について、私どもが承っている中では何か非常に理解のあるというのでございましょうか、一歩踏み込んだ形で評価をされておるやのニュアンスを実は受けたわけでございます。私は私なりに非常にそれは結構なことだと思うのでございますが、特に教研集会におけるまじめな議論等というようなお言葉がございましたが、具体的にはどのような点を新しい立場から御評価をなすっておられたのか、お伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 日本教職員組合、いわゆる日教組につきましては、この前も申し上げましたが、設立された当初の教師の倫理綱領、あれはどうも感心できない。それははっきり申し上げて、あれは直せないものかなと思っているけれども、人のことでありますから内政干渉がましいことは申されないけれども、やはり父兄の皆さんの中にはあれについて批判が非常に強い。つまり、階級主義的な、戦闘的な性格が強過ぎて先生になじまないという、そういう空気が非常に強いということを申し上げたのですね。しかし、その後いろいろ変遷もあって、そして最近は、教研集会等の議論等も拝聴しておると、中には現場でいろいろ得られた経験をお互いが報告し合って、どうしようかという点で建設的な議論も見られるようになっていると思われる。そうでないのもあります。しかし、そういうところまで来ているということは、やはり私は前進しているのではないか、そう思っております。
 しかし、日教組全体の今の行動と申しますか考え方というものについては、必ずしも私は全面的に賛成しているわけではない。これは文部大臣の仕事でありますから私は干渉がましいことは申し上げませんが、しかし、いいところはいい、悪いところは悪い、そういうふうにやはりある程度考えておることが正しいと思っております。
○草川委員 これも前回の議論の延長線になるわけでございますが、教育のように社会百年の計画を必要とする問題は、これは与野党はもとより、国民の圧倒的な人たちが納得のいく公平なメンバーによって諮問がなされることでなければ意味がございませんし、しかも、これは非常に長期間の時間がかかることであります。で、そういう答申ができたときの例えば政権がかわっていても、その答申案が納得されて受け入れられるような形の審議の進め方が実は必要だと思うのです。そういう国民の同意が非常に必要という意味では、教職員組合の代表の方々も当然参加にならなければいけませんけれども、私は、今の状況ではなかなかそうはまいらぬのではないか、こう思うのです。
 そういう意味では、本当に総理が非常に熱意を持ってみえるわけですけれども、その熱意を遂行するためにも、日教組の委員長あたりと時によっては直接お話をするというような機会があっても私はいいと思うのですが、そういうような考え方についてはどのようにお考えになるのですか。
○中曽根内閣総理大臣 今会う考えはありませんけれども、しかし、文部大臣の意見も聞いて、これからどういうふうに日教組というものに対して対処していったらいいか、検討したいと思っております。私は、私固有の考えを持っておりますけれども、こういう公の場所で言うことは余り適しないだろう、そう思っております。
○草川委員 ひとつぜひ、この問題は重大な関心があるだけに、英国の王室何とか委員会のような例もあるわけでございますから、本当に国民の方方に同意ができる、しかも中立性ということが明確になるような形で進められることを望みたいと思うのです。
 行管庁の長官にお伺いをしたいわけでございますけれども、いずれにしても、この総理の考え方を進めていきますと、新しい審議会が設置されることになるわけでございますので、臨調答申の精神にこれは反するのではないだろうか、こう思うのですが、この点はどのように考えられるか。
 あるいはまた、これは将来のことでございますが、いろいろな制度改革だとか教育の多様性等について教員養成などの答申等が出ますと、文教行政の減量化ということが臨調答申には出てくるわけでございますが、おのずと観点が違うと行管庁長官はおっしゃっておられますけれども、そうもいかないと思うのですが、その点はどのようにお考えになられるのですか、お伺いをします。
○後藤田国務大臣 行政の改革は、御案内のように行政の簡素効率化をやりなさい、同時に変化への対応、つまり、新しい国民のニーズにこたえて、必要なものは必要なものとしてやってよろしい。しかしながら、ニーズの変化に伴って需要の少ないものについては思い切って削減をやれ、こういう御趣旨だと思うのですね。そうしますと、いま論議せられている教育の改革、これは国民的な課題になっておりますから、そこで今文部省を中心に内閣等とも打ち合わせの上で幅広い目配りをしながら、文部省の枠を超えて内閣全体として取り組むべしといったような議論になっておりますから、その結果審議会等をどうするという結論が出てくると思いますが、その際には、私は、これは臨時の機関でございますから当然置いてしかるべきものと、かように考えておるわけでございます。
 それから同時にまた、その審議の内容がどうなるかわかりませんから、いまの段階でどうこう言うのは時期が尚早だと思いますけれども、御質問のような予算を伴うとか増員を要するといったような事態になればなったで、その事態においてこれは必要なる行政の対応であるということを考えて、やはり行政改革のさなかでもそれには応じていく。しかし同時に、要らざる面は縮減をして、そして全体としての行政の効率を上げる、こういうやり方にならざるを得ないのではないか、かように考えておるようなわけでございます。
○草川委員 じゃ、そのことはもうこれで終わります。
 二番目の問題でございますが、閣僚の資産公開が発表されましていろいろと話題を呼び、本委員会でも議論になっておるわけでございますが、私は、これは個人的なことを率直に申し上げますと、よって来るいろいろな経過があるわけでございますから、閣僚の家がどうだこうだとか、大きいとか小さいとかというそういうことではなくて、実は企業との癒着というところにもっと厳しい対応があってもいいのではないだろうか。でございますから、少なくとも関係閣僚、特に許認可権等をたくさん持ってみえる役所があるわけでございますから、その役所の影響を受ける企業に対する株の取得には一定の制限があってもいいのではないか、絶対持ってはとかなんとかではなくて。そのためにはいろいろな関係する法規があるわけでございますし、それから、古くは明治時代の官吏服務規則というのがあるのでございますけれども、その官吏服務規則等でも、やはり当該する企業というのですか、綱紀粛正という意味での原則が示されておるわけであります。
 そこで、私は、今申し上げましたように、私企業との癒着を防ぐためにも一定の株式の制限ということがあってもいいのではないか、そういう申し合わせを閣議でなされた方がすっきりするのじゃないだろうかというのが私の意見であります。そのようなことは、例えば憲法上非常に疑義があるのかということからちょっとお伺いしたいと思いますので、法制局長官に御答弁願います。
○茂串政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま御提案のありました御見解につきましては、実体論としてはいろいろと難しい問題が内存しているのではないかと思われますが、その点は別として、仮にそのような見解につきまして各閣僚がそれぞれ自主的な判断により了承され、あるいはまた賛意を表される、その上で閣僚間で申し合わせを行うというのであれば、そのこと自体として憲法との関係で問題があるとは考えられません。
○草川委員 そういうお話でございますから、これは私の意見でございますが、例えば行政上非常に密接な関係の企業の株を持ってみえる方も現閣僚の中にはお見えになるわけでございますので、大変恐縮でございますが、河本さんなんかは特に船会社に大きな影響力を持っておみえになるわけでございますが、もしこれが運輸大臣だとかということになりますと、あるいは通産でもそうでございますが、これはどうしたってやはり個人的に強い御関心を持たざるを得ない。それが行政に反映をするのかしないのかというのは、私は非常に重要な問題があると思うのです。河本さん、もし私のこのような提案が、閣議の申し合わせにしてもらいたいということを私は言っておるわけでございますが、どのような御見解でございますか、お伺いします。
○河本国務大臣 今初めてお聞きをいたしますので、そういう点につきましては十分検討してみたいと思います。
○草川委員 総理はどうでしょう。どういう御関心を持っておみえになりますか。
○中曽根内閣総理大臣 閣僚あるいは政府の高官というものは、営利企業との兼職を禁止しております。これは、今あなたがおっしゃったような趣旨において、まずそういうことを法的に決めておるのだろうと思います。そういう法の精神から考え、また政治倫理という最近の情勢から考えてみますと、やはり閣僚とかあるいはその他ほかにあるかもしれません、そういう重要な地位にある人が自分の監督下にある営利企業の株式を相当保有するとか、おるいはそれを動かすことによって会社の利益やその他に影響を及ぼすとか、そういうような危険性がなきにしもあらずということで、外国の立法例では制限したり規制しております。この問題は、実は政治倫理の問題について検討したときに、こちらも勉強もいたしました。今おっしゃったことは研究課題である、そう思っております。
○草川委員 ぜひ一歩を踏み込んでその研究課題を進めていただく、その方が私どもにとってはすっきりするのじゃないか、こういうように思いますので、ぜひそれは私どもの希望にこたえられるようにお願いをしたいと思うわけであります。
 そこで、また次に移りますが、今度の五十九年度の予算で、大蔵省の方は臨調の答申案に大変協力をしたというのですか、自己採点で高い評価をなされておるわけでございます。本来ならば細かい点を少しやりたいと思ったのですが、多岐にわたりますので少しはしょりまして、私、細かい支出のことを目くじらを立てて申し上げるつもりはございませんけれども、たまたま防衛庁の予算支出を見ておりましたら、かなりの大きい金額でございますけれども、教育訓練費というのがあるわけであります。その中で雑誌を購入をなすっておみえになるわけでございますけれども、「郷友」という雑誌が毎月ずっと購入をされております。
 まず検査院の方に、事実経過として購入をされておるかどうかということだけちょっとお伺いしたい、こう思います。
○佐藤会計検査院説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘の月刊誌を自衛隊で購入いたしておることは、承知いたしております。
○草川委員 防衛庁にお伺いをいたします。
 日本郷友連盟が出しておられる雑誌でございますが、毎月二千五百前後の部数を買っておみえになるわけでございますし、金額も、年間五百四十万でございますか、その程度でございますから金額的にはどうと言うことはないわけでございますが、この郷友連盟というのは、憲法改正に対する態度で、「連盟は、現在の日本国憲法がその制定の経緯及び内客の上から不満であるので、元首としての天皇の地位の明確化、防衛力の保持」云々ということを書いておりまして、自主憲法の制定を主張しているということを、非常に大きく、この雑誌の背中のところにもこういうように発表しておる雑誌でございます。
 これはどういうつもりでお買いになっておられるのか、あるいは私が今申し上げました部数について間違っておるのかどうか、お伺いをしたい、こう思います。
○西廣政府委員 お答えいたします。
 「郷友」という雑誌は、教育訓練費の中でもまたさまざまな書籍を買っておりますけれども、いわゆる教科書なりレギュレーションということではなくて、それ以外の、隊員の一般教養を高めるといいますか、一般的な知識を深めるために各種の雑誌等を購入しているわけですが、その一つではございまして、先ほどおっしゃいましたように年間、二千五百部ぐらいを毎月購入をしておるということであります。
○草川委員 もう一回申し上げますけれども、一般教養だから大したことないじゃないかとか、強要の対象ではないからいいじゃないかということでございますが、特に防衛費の伸び率が六・五五というように非常に高いわけでございますし、社会保障費などの国民に関連する予算等が軒並みに圧縮をされておるわけでございまして、実は防衛費というのは聖域に近いわけであります。私どもは、そういう費用で憲法改正に、公然と自主憲法を制定するような主張をしておるような雑誌というものを長期間にわたって購入をするという、そういう姿勢なり感覚というものは甘えがあるのじゃないか、こう思うわけであります。特に公務員は、憲法を尊重し擁護する義務があるわけでありますから、殊のほか慎重にしていただきたい。いわゆる憲法改正に対する態度を防衛庁は購入をしておるのではないかとすら疑われるわけでございますが、この点について長官、どうでしょう。
○栗原国務大臣 思想、信条の自由という問題とも関連をすると思いますが、せっかくの御意見でございますので、私といたしましては十分、場合によっては事情を聞いて、その上で適切な対処をいたしたい、こう考えております。
○草川委員 政治というのは防衛力の統制にもっと力を持たなければいけない。実は私、こういう提案も――提案というのですか、何となくしゃべりづらいような雰囲気というのは、現実にはあるわけであります。私は将来にとって、このようなことは、言うべき点はもっと堂々と主張していかなければいけない、こう思ったのは、実は私の選挙区にも三つの部隊があるのです。私は地域の要求をよく取り上げて、部隊の幹部にもお会いをしたことが何回かございますし、若年定年制でございますから、定年後の方々を後援会の方々に紹介をしたり、それから特に不発爆弾の処理等で隊員の方々が本当に死に装束で準備をなされておるということも十分承知をしておるので、過去、社会労働委員金等においても、不発弾処理の特別手当をつけるべきではないかということをずっと主張してきておるわけであります。
 私は、私なりの一定の理解を持っておる男でございますが、最近の制服、特に隊長の態度というのは率直に申し上げて非常に反動化をしつつあります。地域の要求について政治家が出さなくても結構だ、要らぬことを言ってくれるなと言わんばかりの態度をとられるわけでございますが、かかる態度は、私、一つの予算のことから問題提起をしておるわけでございますが、本当に遺憾ではないか、こう思うわけでございまして、あえてこの問題を一言申し上げさせていただいたわけであります。
 今、せっかく長官の方から考えてみたいというような御意見がございましたので、本問題はこれで終わりますけれども、日本郷友連盟は御存じのとおり政治連盟をつくっておるわけであります。政治連盟では公然と憲法改正をうたって政治活動をしておるわけであります。そういう団体の機関誌というものを、少なくとも国費で購入をし、隊員に紹介をするということ自身はぜひやめていただきたい。
 同時に、防衛庁にも申し上げますけれども、かかる団体の政治連盟の規約を私は求めておるわけでございますが、きょう現在まで防衛庁は資料提供をいたしてくれません。そういうことも不満でございますから、あわせて防衛庁の方に要求をしてこの問題も次に移りたい、こういうように思うわけでございます。
 それで、時間の関係がございますからどんどんはしょっていきますが、今回の予算の中で、大きな柱で医療保険や年金の問題が取り上げられているわけでございます。ひとつ年金のことを触れていきたいと思いますけれども、私は、年金の将来展望が非常に必要であるということを申し上げておるわけであります。特に、これから高齢化がどんどん進むわけでございますから、二十一世紀の前半をどのように乗り切っていくのか。いわゆる医療費の方は経済成長率の伸び率の範囲内に抑えるというようなことを言っておりますが、年金の方はなかなか難しい点があるわけです。政府案は、給付率の現状維持と保険料の段階的引き上げを打ち出しておりますけれども、給付の年齢の時期についての一つの提案もあるわけでございますが、給付と負担の適正水準をどこに置くか、これが非常に重要だと思います。
 まず、その点についての意見をお伺いしたいわけでございますし、それから、公的年金の一元化の展望というものを三十年先に見ておるということを言っておりますが、どういう形になっていくのか、あるいは昭和五十九年にひとつ共済関係も含めて一緒に法案をそろえて出すというようなことが言われておったわけでございますが、そのように間に合うのかどうか、じゃ、それは六十一年にするのかどうか、お伺いをしたい、こう思います。
○古賀政府委員 最初、事務的なことでございますので、年金関係について御答弁をいたします。
 先生今おっしゃいましたように、現行のまま参りますと給付水準というものは非常に高くなる、それとともに、国民の負担というものもまた過重なものになっていくということでございます。したがいまして、これを今度の改正案で適正な水準に抑え、また適正な負担にとどめていこうではないか、こういう考え方でございます。現状のまま放置いたしますると、現在の一〇・六%、これは厚生年金でございますけれども、それが三八・八%になるわけでございます。それを今度の改正案で参りますれば二八・九%にとどまる、こういうことでございます。
 そこで、国民所得に対する比率というものをどのように考えるかということも、先生の御質問の中に含まれておるのではないかというふうに思うわけでございます。そこで給付の伸び率でありますとか国民所得の伸び率をどう設定するかという問題がありますので、正確な将来見通しを示すことは困難でありますけれども、しかしながら、昭和五十七年六月に出されました経済審議会長期展望委員会の推計によりますと、西暦二〇二五年に、というのはほぼ四十年後でございますが、そのころにおける年金の負担の対国民所得比が一六%程度ということでございます。他方、今国会に提出を予定しております年金改正法案によりますと、今申し上げましたように、将来の負担が三割ほど軽減されるということが見込まれますので、一一ないし一二%程度になるという粗い推計ができるのではないかというふうに考えております。
○草川委員 厚生省はかねがね、今のままで行くと、大体今GNPに対して五%だ、それが一五%ぐらいになるのではないだろうか、だから今度の提案をして、今お話しのように一一から一二にとどめていきたい。もちろんこの中には雇用保険も入りますから、一概に厚生省関係だけではなくて、雇用保険あるいは医療保険の負担も入るわけでございますが、私どもとしては、この国会の中でも租税負担ということが盛んに言われておりまして、中期展望を出せ、中期展望の中で一体どの程度かという議論があるわけでございますが、同様に、税で納めるのかあるいは掛金で納めるのか、あるいは医療給付をどうするか、トータルで臨調が言われておりますように四〇%の前段にとどめていかなければいけない、こういうことになるわけでございますが、よほど細かい対応を今から立てていきませんと問題がある。あるいは、公務員あるいは民間との差というものが残るわけでございますが、ひとつ概略的に公務員の共済年金と民間とを一体いつ、どのような形で一元化に加えるのかということも必要になってくると思うわけです。その点はどうでしょう。
○渡部国務大臣 今御指摘のようにいずれ極めて近いうちに高齢化社会が参りますと、保険を納める人数が少なくなって、給付を受ける人数が多くなるわけですから、年金の負担がふえる、あるいは保険負担の問題等も心配されているわけであります。したがって、せめて医療保険の分は掛金をこれ以上ふえないようにとどめたいという願いから、今回保険改正の改革案を出しておるわけでありますけれども、年金についても、これももっと大きな問題になりますので、まず厚生省としては、年金の大宗を占めておるところの国風年金、厚生年金、船員保険、これを共通した基礎年金として発足させるように、今度の国会で法案を提出するつもりであります。
 また、御心配の官民格差の問題、共済年金の問題ですが、これも昨年の五月、政府としてこの改革の趣旨に沿って、昭和六十一年までに所要の改正を行うとの方針を既に、閣議決定しております。さらにこの閣議決定では、昭和六十一年以降年金担当業務の整備等を進め、昭和七十年を目途に制度全体の一元化を図りたいとされておりますので、私も、年金担当大臣として、全力を尽くしてこの趣旨を実現するように努力してまいりたいと思います。
○草川委員 えらい歯切れがいいことをおっしゃいましたので、もうちょっとお伺いしますが、実はそれをやっていただける前に大蔵省と相当やり合ってもらわなければいかぬことがあるわけです。これは年金の一元化の問題です。
 それで、厚生年金ももう五十兆を超したわけです。それから企業年金の方もそれぞれ生保だとか信託に預けて、今海外からの問題、これは後ほど聞きますけれども、出てきておるわけですね。年金をまとめて厚生大臣やっていただけるとするならば、少なくとも私は、財投に今一元的に預けてあるものを、厚生年金の自主運営をやってもらいたいと思うのです。かつて昭和五十五年に財政再計算をしたときに、一%利子が上がると、とにかく現在の厚生年金の積立金がなくなるときには六十兆の藻がある、こう言っているわけです。これは厚生省の方が言っているんです。六十兆もうかるかもうからぬかというわけです。これはもちろん大蔵省は大反対ですけれども、それぐらいのことを厚生大臣が、とにかく私は六十兆取りましたというぐらいの展望を持っていただけるなら、今の大見えを切られたわけでありますから、それは私は本当にかぶとを脱ぎますけれども、それをようやらずに――ようやらずというのは名古屋介ですけれども、ようやらなくて余り威張ってはいかぬと思うのですが、どうでしょう。やりますか、一元化について。一元化をつぶしますか。
○渡部国務大臣 厚生年金の自主逆用あるいは将来に加えての有利運用、これについてはいろいろ私も御意見を承っておりまして、先生のおっしゃるような御意見も尊重しなければなりませんし、私自身もそういう考えもありますが、これは私の一存でまいる問題ではありませんので、今後大蔵省と鋭意そういう方向に向けて協議をしてまいりたいと思います。
○草川委員 そんな程度では、今の大蔵省はだめですよ。そんなもの通るわけないですよ。
 郵政大臣にちょっとお聞きしますけれども、ことしの予算要求でも、三兆円郵貯特会の金で国債をじかに買わしてもらいたいという要求をしたんでしょう、郵政省。三兆円じゃなかったですか。一兆円だったですか。それも断られたわけでしょう。これは郵政省はかなり強く要求をしておるわけでございますが、だめなんですが、郵政省は今後とも自主運用を求めることを主張なされますか、決意だけひとつ。
○奥田国務大臣 簡明と言われますけれども、ちょっと一言言わしてください。
 郵貯は、御存じのとおり八十五兆残高を持っておるということで、郵便貯金の自主運用に関しては賛否両論がございます。例えば経営基盤の確立あるいは預金者に対するサービス充実等々、金利の自由化にも対応して自主運用すべしという意見と、また、非常に巨額な財投原資として預託義務を仰せつかっておりますから、それらのことを踏まえて統合的な運用を図るべしという反対論もあるわけでございます。
 郵政大臣としては、預金者の金利を最大限守っていくということが第一。かといって他方、財投原資であるそういった政策金融に対しても配慮しなければいかぬということがあります。ですから、これらのことと金利の自由化に対応して市場実勢に合わして運用していくのにはどうしたらいいかということも最大の課題でございます。したがって、市川委員御指摘のように、今年度はそれらの点を勘案して一兆円の国債購入をお願いしたところでございますけれども、大蔵省との間では協議が成立せず、断念をいたした。今後も、この点に関して自主運用を願っていくという点について、引き続き大蔵省と協議してまいるということでございます。
○草川委員 ですから、厚生年金の方も基金を含めますと相当な、厚生年金だけでも五十兆を超すわけですから、私ども年金負担を、保険料を上げろということになると、当然のことながら自主運用ということを言わざるを得ません。あるいはまた、財政投融資も本来の使命が徐々に変わってきておるわけでありますから、政策金融というものが、民間金融との競合等もございまして、非常に新しい視点が必要になってきておるわけでございますから、今の程度の厚生大臣の答弁では、保険料の引き上げをすんなりと認めるわけにはいかないという事態が来るかもわかりません。これは十分承知をしていただきたいと思うのです。かねてから主張している郵政省ですら、今のような御意見でございますから。負けたわけですからね。
 もう一つの問題は、厚生年金の実際的な運用の利回りは七・二五です。ところが、同じ私学の共済なんかになりますと、七・五四で利回りをやっております。農林共済が七・七六、国家公務員は低利運用を四〇%やっておりますが、それでも六・八九、こういうわけでございますし、民間の厚生年金基金は信託と生保で七・八八で有利運用をやっておるわけであります。これは民間と役所との年金の差が非常にある。どんどん片一方では有利運用ができる。これも私ども納得できないわけです。ここへもメスを入れてもらわなければいかぬと思うのです。だから、厚生省は大蔵省に対して非常に弱いんです。
 実はきょう少し時間をとって、日雇い健保がなくなるわけでございますけれども、その後の補てんについて、一般会計の支出を法律で特定させるということを全然やってないわけです。これは本当にやりたいところでございますが、大分時間を食ってしまいますので、きょうは次へ行きますが、問題は、この年金の運用についてたくさんの問題がありますが、この企業年金、現在各企業が民間で積み立てております企業年金が七兆を超しました。八兆円近いわけです。同時に、例の退職金の方でやっておりますのが四兆円ございまして、十一兆七千億になるわけでございますが、このお金を目指して今外国、特にアメリカのモルガン銀行が、日本の証券会社と連合をいたしまして信託業務の参入を図ろうとしております。この問題が今非常に話題になっておるわけでございますが、これは進んでいきますと金融業務の垣根が払われることにもなるわけでございますし、あるいは日米の間で相互主義の立場から今いろいろな議論が出ておるところでございますが、たまたま日米の投資委員会も終わり、そして近く二十三、二十四日に円ドル委員会が開かれるわけでございますが、米側の方からこの種の問題が問題提起として出てくるのか、あるいはその他の金融の自由化、国際化、避けて通れないいろいろな諸問題が出てくるわけでございますが、その点についてどう対応されるのか、これは大蔵大臣になると思いますが、答えていただきたいと思います。
○竹下国務大臣 円ドル委員会、これが日本側は私どもの方の大場財務官、米国側はスプリンケル財務次官がそれぞれ議長となりまして、この二十三日、二十四日に始まるわけでございます。この委員会の進め方は、米側とも相談していかなければならぬ問題でございますが、まず一つは、円ドルレートの現状及び評価、それから二番目が、日米共同新聞発表で合意されました両国の措置、これはやった、これは今国会へ法案をお願いしておるというようなもののフォローアップ、それから輸出の円建て化の促進というようなものが追加議題となるのではないかというふうに思っております。その検討を行って春ごろまで、こうなっておりますが、この次三月、あるいは四月になるかなと思いますけれども、今度は私とリーガン財務長官とが議長でその報告書をちょうだいするわけでございます。
 したがって、今モルガン問題等を含めての、例示しての御質問でございましたが、特に金融というものは、やはり長い歴史と土壌の相違がございますので、そういうものをかなり今までも詰めておりますものの、一層理解を深めながら、したがってやはり主体性を持ちながらも、しかし現実金融の国際化、自由化というのは必然的な流れでございますので、それにどういうふうにソフトランディングしていくか、軟着陸していくかというふうなことについて、部内でも勉強しながら、相互理解をまず深めていくための会合としなければならぬというふうに考えております。
 信託にいたしましても、日本は数少ない信託でございますけれども、アメリカになりますと信託業務でも四千ぐらいございますので、そういう国柄の違い等もよく理解をしながら、国際化、自由化の方向でこれからも勉強を続けていかなきゃならぬ問題だ、個別問題がその委員会で議題となるということはお互いないだろうと思っております。
○草川委員 非常にこれは国内の金融制度の問題、秩序の問題、大変な底の深い問題でございますから、本来は外務大臣なり、あるいはこれには河本さんも出られますので、御意見を聞こうと思っていたのでございますが、時間がございませんので、次に移りたいと思います。
 そこで、今度は医療保険の方の制度改正の問題になるわけでございますが、これは大変話題になるこれからの問題だと思います。特に昨年の概算要求のときに二割の本人負担というものが持ち出されましてから、私どもも大変な騒ぎに巻き込まれておるわけでございますが、ちょっと私、素人ですからお伺いをしますが、概算要求を出すあるいは予算要求を出すときには、与党の先生方の部会の了解を得て、これは厚生省は大蔵省に出されるのでしょう。そのことだけ、ちょっと一言だけ。――いや、これは大臣に開きたいのです。あなたはいいですよ、大臣からちょっと。後の質問がありますから。
○渡部国務大臣 もとよりこれは、与党あっての政府でありますから、党とよく相談して出しておるわけであります。
○草川委員 議院内閣制ですから当然ですが、二割負担が出たときに、医師会なり病院団体は猛反対したわけです。そこへ先生方も出られるわけですが、いや、あれは実は我々は知らないんだ、厚生省が勝手にやったんだと言わんばかりのごあいさつがあって、私どもその後のあいさつをするときに非常に困っちゃうわけですよ。それで、現在は二割負担だけれども今度の予算は一割という、こういう提案になるわけでございますけれども、これから相当これは反対運動が始まるわけでございますが、与党の先生方全部含めて、これはもう了解を得ておるわけですね。全く間違いございませんな。
○渡部国務大臣 もとより政党政治でありますから、概算要求の際も、最後は党三役の皆さん方と相談し、そして最後は厚生大臣の判断でこういう要求をしたわけでございます。
○草川委員 声が小さいから、とにかく与党の先生方は了解しておるかどうかだけはっきりしてください。
○渡部国務大臣 これは大臣としてお答えすることがどうかと思いますが、私ども十四年間党におりまして、それぞれの部会がありまして、部会、政調、総務会、党の最高首脳会合、そういうものの議を経ないで法律や予算を出すことはできません。
○草川委員 そうだと思うんですよ、今はね。だけれども、自由民主党の有力な支持団体である日本医師会は、このことについては絶対反対と言って決議しておるわけです。近く大会もやられるわけです。私どもも参加するわけですよ、そこへ。あいさつに行くわけです。そのときに与党の先生がどういうごあいさつをするか、今から私は楽しみにしておるわけです。その事前にきょうは質問しておるわけです。ですから、当然のことながら、医師会が反対したから、そういうことに我我もこたえたいというごあいさつをなされるに違いないと思うんです。これは間違いないと思うんです。そこで体を張って、医師会の皆さん、この政府案に賛成しろということはまず言わぬと思うのです。(「それはわからぬ」と呼ぶ者あり)わからぬ、それは立派な人だ。私はしかしそれは、今ちょっと不規則発言がありましたが、そんなことを聞いたら大変ですよ、選挙区で。それはもう選挙区で聞いたらえらいことになるわけでございますが、問題はこれから議論が始まるわけです。
 問題は、これから議論が始まるんだけれども、全く厚生省としては聞く耳持たぬ、あくまでもこれは突破だというような態度なのか、あるいは議論の中では、与党の先生の方からも、おい、ちょっとこれはまずいぞ、やはり日本の国民皆保険、いろいろな歴史があるわけでありますから、少し考えたらどうかというような声が必ず私は出てくると思うのです。その場合に一体どういう対応になるのか。これは厚生大臣より一回総理大臣にひとつ、ただいまのところ修正をする用意ありなんという答弁は私は求めませんけれども、全く聞く耳持たないのか、あるいはこれほど重要な提議なんだけれども、大臣としても総理としても、いろいろと関係諸団体にはお願いはするんだけれども、ある場面においては十分考慮をするのか、とにかく財政再建上これはことしの予算の大きな目玉だ、目玉だから要らぬことを言うな、とにかく強行突破だ、こうおっしゃるのか、どちらでしょう。
○倉成委員長 厚生大臣渡部恒三君。(草川委員「ちょっと、総理に聞きたいのです」と呼ぶ)主管大臣から答えさせます。
○渡部国務大臣 何度がこの委員会で私は答弁しておりますが、今回の改革案は二十一世紀の国民の健康を守る保険制度を揺るぎないものにするために、医療水準の適正化あるいは負担と給付の両面にわたる公平あるいは制度間の格差、また国民の皆さん方にみずから健康を守るお気持ちを持っていただく健康増進とか、あるいは患者の皆さん方に自分のかかった医療費を知ってもらうとか、いろいろ総合した中で今回の私どもの案が、国民の皆さん方のために、また国民の皆さん方の保険料率をこれ以上上げないように、国民の負担を上げないようにするためにも最善のものであるということで出しておりますので、御了承を賜りたいと思います。
○草川委員 だんだん厚生大臣も元気な答弁をなされて、相当これは準備をなすっておみえになると思うのですが、事はその程度の頑張り方ではおさまらぬ問題なんです、これは。これは相当これからいろんな議論が出てくるわけでございますが、今私の質問に明快な御答弁がないわけでございますが、ここはひとつ総理、えらいお疲れのところ申しわけございませんが、事は非常に、単純なものじゃないのです。総理の地元でも重大な関心があるわけです。ですから、これは私、またちょっと後で薬のことで申し上げますが、医療界は非常に制度の基本的な改悪だという受けとめ方、それからまた病院経営の非常な困難な問題も出てきておるので、殊のほか実は強い要求があるわけでございます。私が先ほど質問をした趣旨に対する御答弁を願いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 厚生大臣が御答弁申し上げましたように、なかなか厳しい現実でございまして、一面におきましては国民医療の世代間の公平、いま払っておる若い世代のときにおいてもこの制度の基礎を崩さずに同じような医療給付を受けられるように、将来長くこれを維持していくという観点、あるいはさらに財政的な今の非常に窮乏しておる状態、いろんな面から考えまして、ある程度段階的措置も考慮してやりつつありまして、こういう状態につきましては関係者にいろいろ御理解と御納得をいただくように、今後とも引き続いて努力してまいりたいと思っております。
○草川委員 押し問答になりますから、これで、じゃ次に行きますが、実は今度の提案の中にも医療費の中で大きな役割を占めます薬剤費の値下げということが三月一日から実施されたわけです。一六・六下がったわけです。これは非常に大きな影響力を与えておるわけでございますけれども、問題は、五十六年に一八・六%下がっておりますし、去年四・九%下がっております。だから、もう約四割薬価というのは下がってきておるわけです。薬価が下がったからその分だけ医療費が本当に節約になるかならぬかという議論を、実は私は今やりたいわけです。薬価を下げれば下げるほど実は中小後発メーカーがつぶれていくということになって、新しい薬がどんどん生まれて高い薬を使わざるを得ないのではないか。これは去年のときにも申し上げておるし、その前から申し上げておるのです。
 具体的な一つの実例でございますけれども、これは文部省にもお伺いをいたしますけれども、東大病院の例でございますけれども、京都大学と東京大学の薬の比較表というのを調べてみますと、下がっていないのですね。五十六年に一八・六%薬が下がって、東大病院の薬の支出金額が下がればいいんですけれども、実質的にはふえておるというデータがあるわけであります。その点、簡単に、五十七年と五十六年の比較があるわけでございますが、文部省の方から答えていただけますか。
○宮地政府委員 御指摘の医薬品費の推移のことでございますけれども、東京大学医学部附属病院におきましては、五十四年度が……(草川委員「五十六と五十七だけでいいです」と呼ぶ)病院全体の経費の中の医薬品の購入費でございますが、五十六年度が決算額で約六百九十三億円、五十七年度が約七百八十二億円ということで、医薬品の購入費そのものとしては、両年度の比較で申し上げれば、五十七年度が約九十億円ほど増加しているというのが現状でございます。
○草川委員 細かい数字はいいのですが、とにかく上がっておるのです。薬価下げても東大の附属病院が払う薬剤費というのはふえておるわけです、一八・六下げていても。それはどういうことかというと、たくさん薬を実は出しておるのか、いや、もう下がった薬はだめだから、新しい薬、高い薬ですね、それを買うという今の証明だと思うのです。これは全国的な一つの動向ですね。私はそれを繰り返し主張しておるのですが、現実には幾ら薬価を下げてもだめなんです。
 だから今度は、もう一回東大の例を引きますが、大学の附属病院――別に東大を目のかたきにするわけではなくて、非常に影響力が大きいから私は言うのですが、今度一六・六%下げましたね、三月一日から。さて来月から値下げ交渉やるのですか。この薬価どおりに買われるわけですか。どうですか。
○宮地政府委員 国立大学における医薬品の購入の件でございますけれども、他の物品購入の場合と同様、各国立大学相互間において購入価格について情報交換等を行いまして、他の取引実例について調査を行うなど、予算の適正な執行に努めるという観点から対応をするわけでございまして、文部省としても、そのような観点から指導してまいりたい、かように考えております。
○草川委員 わかりやすく言うならば、三月一日から薬価引き下げになった段階で値下げ交渉が始まるわけです。これだと切りがないわけですね。薬価下げる、また値下げ交渉する、いわゆるアリ地獄。ですから、メーカーはどういうことをするかというと、新しい薬の開発に乗り出さざるを得なくなるわけです。新薬というのは、やはり類似薬効方式というのがございまして、近くで高い薬がありますから、どうしても高い薬に位置づけをされざるを得ません。ですから何のことはない、幾ら薬価を下げても高い薬を使うということになっていきますから、全体の薬剤費というのは下がっていかないわけであります。だから、ここを少しとめるというのですか、メスを入れるということをやらない限りは、いたずらに単純な薬価の引き下げだけに走っていきますと、私は中小が限界になると思います。中小がつぶれてしまうならば、それはそれなりの行政上の対応をしなければいかぬと思うのです。
 だから、私が申し上げたいのは、もう薬価引き下げもそろそろ限界なんだから、それよりは本質的には、技術料の不足を薬価差に求めざるを得ないわけでありますから、その技術料を引き上げるなら引き上げるという王道を歩んでいく。そしてメーカーに対しては、新薬については思い切ってこれだけかかるのだからこの薬価にしてもらいたいと言って厚生省に申請をして、厚生大臣がこれを決めるというようなシステムにでもしない限りどうしてもだめだと思うわけであります。これは私の意見です。
    〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
 さらに、今一割本人の負担という問題でいろいろと原資の問題がございますけれども、私は先ほど東大のことを申し上げましたが、別に東大に限らずに、全国の大学の附属病院とそれからせめて国立病院、こういうところが銘柄別、同じ中身だけれども、上下に幅がある、Aランク、Bランク、Cランクということを去年も申し上げましたけれども、少し低いところの、中身は同じだから安い薬を買ったら、たちどころに原資というものが生まれてくるのではないか、こういうことを申し上げたいわけです。
 国立病院の全国の試算をいたしてまいりますと、薬代が約八百八十億です。これは国立大学だけの附属病院の薬の購入というのが、昨年の場合は七百八十億でございます。合わせて千六百六十八億というのが国立関係の病院の薬の購入でありますけれども、東大の例を見ますと、たとえばセファレキシンというような一般的な抗生物質は、一〇〇%が一番高い薬を買っておるわけであります。あるいはアンピシリンというような薬も抗生物質ですが、九五%が一番高い位置づけの上位の薬を買っておるわけです。同じようなのが大学の国立病院にも言えるわけでございますから、そのようなところが例えば一割節減をするだけでも大きな金額が浮くわけでございますが、一割ということはございませんから、例えば二割という数字を当てはめてみますと三百三十三億も浮いてしまいます。三〇%低い薬を購入するとするならば、大学の附属病院と国立病院だけでも五百億原資が出てくるわけでございます。こういうような細かい知恵をこれから出し合って考えていきませんと、私は問題が出てくるような気がしてなりません。
 そういう意味で、銘柄間の格差については今回多少間が縮まっておりますけれども、私はいま一歩の対応ということを考えてみる必要がある、そういうことをやっていきませんと、一割負担あるいは六十一年から二割、こういう今の提案はなかなか理解ができないのではないか、こう思うわけでございます。
 これは答弁をいただきましても去年と同じ答弁になると思いますので、問題提起をしておきたいと思います。
 少し医療のチェーン化という問題について厚生大臣の意見を聞きたいと思うのです。
 今、医療も経営ということを前面に出さないと、経営ができなくなってきておるという非常に深刻な状況になってきております。だから、医は仁術だとか、医道というものがどうしても後ろへ下がらざるを得なくなるわけです、こういう形でやってまいりますと。そうすると、勢いスーパーマーケット的な、経営を主体にした医療産業というものが出てくるわけでございますが、これは非常によくない。あるいはアメリカあたりの動きを見ておりましても、採卵の悪い治療は避けようとする傾向があるわけでございます。ですから、チエーン化という問題については少し見直してみる必要があると思うのですが、その点はどうでしょう。
○渡部国務大臣 おっしゃるとおり、医療は国民の生命と健康に密接にかかわっておるものでございますから、もうけ主裁など行われてならないことは当然のことでございます。この考え方から、医療法においては営利目的による病院等の開設を認めず、医療法人の配当も禁止しております。また、厚生省としては、医療法人の運営の適正化と無秩序な病床増加のコントロールなどをねらいとする医療法の改正案を今国会に提出して、御趣旨に沿うように努力してまいりたいと思いますので、御協力をお願いいたしたいと思います。
○草川委員 医療法のことについては従来どおりの考えで出される、こういうことでございますが、ついでに、私、薬の問題でメーカーのことを大分たたいておりますけれども、今のままでいきますと中小がつぶれるということを申し上げましたが、大手は大手なりにも影響があることは事実であります。
 そこで、製薬業界の実態を調べてまいりますと、いろいろな産業がありますけれども、日本の製薬メーカーというのは、外国に輸出をする率はわずか四%です。ほとんど国内で消費をしておるわけです。日本でたくさん売れている薬でも、外国では評価をされていない薬もあるわけであります。非常に問題のところでございますが、スイスなんかでは、大手は九割は外国へ輪山をして、残りの国内の市場は中小が七〇%を擦っておるわけです。こういう意味からいっても、そろそろメーカーに対する輸出に対する指導、売れる、本当に外国で評価をされる薬をつくって売りなさい、そして国内では役割分担をしろというような指導があってもいいと思うのですが、その点、どうでしょう。
○渡部国務大臣 大変貴重な御意見でありまして、製薬業は御指摘のとおり輸入が多く輸出が非常に少ない産業であります。日本人のすぐれた優秀な頭脳というようなことを考えれば、将来製薬産業は大きな先端産業として海外にも進出すべきものと考えておりますので、これには新薬開発の研究、これが非常に重要となってまいりますので、その方を推進するために努力してまいりたいと思います。
○草川委員 日本の製薬メーカーは、どちらかというと内弁慶でございますから、その点は、これだけ厳しい対応を他の産業はどんどんやっておるわけでございますし、自動車は輸出率が五〇%、それに対して、一緒にしろとは言いませんけれども、わずか四%というのは恥ずかしい限りです。これは少し厳格に指導をしていただきたい、こういうように思う次第でございます。
 そこで、ひとつ今度、これは政府の方もがん対策ということで総合十カ年計画というのを出されておられるわけでございますが、がんもさまざまながんがあるわけでございますが、一口に言うなら、がんにならぬようにしなければいかぬわけですよね。ところが、がんになるというのは、今たばこの問題が非常に問題になっておるわけでございますけれども、まずWHO、いわゆる世界的にもたばこの害というのは非常に、肺がんばかりではなくて、きのうもどこかの病院が寝たばこで火事になったというような被害もあるわけでございますが、これは非常に深刻な事態になってきておるわけであります。ところが、日本の対応というのは、たばこの害ということについては非常に薄いわけです。
 これは厚生大臣と総理大臣にちょっとお伺いをいたしますけれども、総理はたばこはお吸いになられませんな。それなりのまた御見識があって吸われないと思うのでございますが、いわゆる対がん対策には総理大臣が先頭に立って、たばこを吸うのをやめよう、専売納付金などというのは目じゃない、専売納付金よりは被害の方が大きいというようなことで努力をされたらどうかと思うのですが、その点、どういうお考えでございましょう。
○中曽根内閣総理大臣 私は、人を煙に巻くのを好みませんから……。
○草川委員 総理は最近、私も聞いておりますが、ジョークが大変うまくなられましてはぐらかされるわけでございますが、これは子供の教育にも実は非常に大きな影響力があるのです。今世界でテレビでコマーシャルが出ているのは日本ぐらいなものなんです。外国では、どんどんテレビのコマーシャルで、たばこはもうやめましょうと言っているのです。専売公社はやっていけませんから、外国へでも輸出をしようじゃないかというような考え方を出しておられますが、そんなことをやったら国際的な恥だと私は思うのです。
 フランスなんかでもおもしろいですね。一九八二年の九月に閣議決定で、たばこの価格に少し課税しようじゃないか、その課税は特定財源にしてがん対策の五カ年計画の費用に充てようじゃないかとか、それから、健康保険組合の組合員の中にも、保険料をたばこを吸う人と吸わない人と分けようじゃないかというような意見が、今真剣に健保法改正の中で出てきているのです。私はそのとおりだと思うのですよ。本来ならば、こういう予算委員会でも、今総理がおっしゃったように、たばこを吸うのは全部煙に巻くということだから、まじめな議論をするためにはたばこを吸うのをやめよう、今の総理のお言葉をそのまま私は返したいわけです。さすれば、煙に巻くような議論はなくなると思うのです。どうでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 たばこの箱のところには、何か注意書きが書いてあるように思います。あの注意書きをよく守っておのみになれば被害はないだろうと私は思います。しかし、みんな好み好みでありまして、あれによって非常に精神的安静を得る人もおりますし、小説家なんかには、たばこがやはり小説をつくっている大事なエレメントになっていると言う人もありますから、人に迷惑をかけない範囲内で、自分の健康を考えつつやればいいのではないかと思います。
○草川委員 今たばこの吸い過ぎはというマークがありますけれども、外国のたばこは、アメリカでもヨーロッパのたばこでも全部そうですが、一々ニコチンは何%だとかタールは何%ありますよ、だから、これは本当に極めて有害ですよという表示なんです。「健康のため吸いすぎに注意しましょう」なんというものじゃないのです。日本のハイライトでも、アメリカヘ行くと同じようなマークに変わるわけです。非常に厳しいのです。だから、今総理がおっしゃった程度の注意書きでは、私は非常に残念だと思うのです。
 今アメリカなんかでは、どんどん本当にたばこを吸う人というのは少なくなってきているのです。今おっしゃったとおりに個人のことですから、非常に自分で気をつけるようになってきておるわけです。だから、それをいわゆる厚生省あたりはもっとヘルプというのですか、先頭に立って動かすように、例えばポスターなんか張るとか、ポスターなんか全然日本の厚生省はつくってくれないわけです。つくろうと思えばできるわけです。ところが、よそへ行ったら、今、総理なんかも外国旅行されるから御経験のとおり、もうたばこを吸わないなんという席は、非常に場所が多くなってきておるわけです。国鉄だって今わずか一両でございますけれども、あれなんかでもどんどんふやさなきゃいかぬ時期になっております。これは今非常に真剣に議論の段階になっておるので、今の総理の御認識の程度では非常に私は寂しいと思うわけであります。
 これは厚生大臣、どうでしょう、少し本気になって取り組むという気持ちになられませんか、お伺いしたいと思うのです。
○渡部国務大臣 おっしゃるとおり、がんのみならず、たばこの吸い過ぎが国民の健康増進にとって決して好ましいことでないということは、もう共通した考えであり、私も全くそう思っております。厚生省としては、国立病院の中で喫煙場所を指定するとか、またこれから保健所等を通じてそういう考え方を進めるとか、これは一生懸命やってまいらなければならないと思いますが、やめようとしてやめられないのがたばこでございまして、私もたばこに懲り懲りしたことがありまして、もうやめようと今努力しておるのですが、なかなかやめられないでおるわけでありますが、これは当然健康を守る厚生省としては、国民の皆さんに健康のためにたばこを吸い過ぎたりしないように、できるだけPRをする努力を進めてまいりたいと思います。
○草川委員 就任のときに比べると大分意見が変わったのですが、今の共通な意見というのは、昔から私はそう思っておったとこうおっしゃると非常に論理が一貫するわけでございますが、私ども、厚生大臣が就任をされたときの御発言で、くそ食らえ、こういう感じの御発言があったので、これはえらい厚生大臣がお見えになったものだ、対がん対策なんというのは、これはどこかへ消えたというように私、思ったわけでございますが、これは本気で、くどいようでございますが、厚生省としてはがん、たばこの害ということを認めて真剣に取り組まれる、こういうことでございますか。
○渡部国務大臣 私が大変誤解を受けるようになりましたのは、健康のときのたばこはおいしい、体がぐあいの悪いときはたばこはまずいというような、極めて言う必要のない、厚生大臣としては不用意な発言をしたために、大変に国民の皆さんに誤解を受けたわけでありますが、厚生大臣として、たばこの吸い過ぎが決して健康に好ましいものでないという考えで厚生行政を進めてまいりますので、御安心をお願いいたします。
○草川委員 じゃあ安心をしますが、実は六十二年に日本で世界の喫煙に関する学者の方々が集まって世界会議をやろう、こういうことになっておるわけです。今の大臣の答弁は、非常に私、前向きと受けとめるわけでございますが、これは北九州で世界の学者が集まられて議論をするわけでございますが、恥ずかしくないような御指導なり対応をぜひ立てられたい、このことを強く要望をしておきたいと思います。
 そこで、時間がございませんので、かねてこれは超党派の先生方も御関心を持って対応を立てておられる丸山ワクチンの問題がございます。それで、これは現在いろいろな有償治験という形で変則的な処置になっておりますが、その時期がことしの十二月で切れるわけであります。これは実にゆゆしき問題であります。
 私は、前々から申し上げておるのは、効くか効かないかは政治家が議論すべきことじゃない。だけれども、明らかにこの審査の内容については差別がある。私、今新薬の問題を申し上げましたけれども、新薬をやるには、厚生省にデータを出すには、ある大きな有力な大学の先生をヘッドにして、そして学者なり助手の先生方が全国に少なくとも五、六百人の協力者をつかまえていろいろな治験のデータの協力をしないと、厚生省をパスしないような仕組みになっております。丸山先生は、はっきり言って要領が悪いわけです。私も何回かお話をしておりますが、学者としては立派かもわかりませんけれども、行政上の手腕については物すごいプアです。同時に、メーカーの方も、ゼリアという名前を挙げては悪いのですけれども、これも弱い。しかも遠慮しておるというようなこと、から、なかなかいいデータを年内に持ち上げることができないわけであります。何回か私も厚生省に対してヘルプしろ、今のままでいったら十二月でこの問題はパアになってしまうよ。だから、これを少なくとも延長させるか、あるいは速やかにデータを取り寄せて何らかの対応を立てるのか、こういうことが必要だと思うのです。
 これは厚生大臣よりは、私、中曽根総理の大きな決断を求めたいわけでございますが、中曽根総理はこのことについては非常に御関心をかねがね持っておみえになります総理であります。特に八田先生がお見えになりましたときには、八田先生のいろいろな会合に出られても、八田先生を褒める言葉として、丸山ワクチンを一生懸命取り上げておる先生だとおっしゃっておみえになるわけです。我々も間接的にその話を聞いて、総理に対して、がんという問題を今日的に取り上げていただいておるのは非常にありがたいが、少なくとも丸山ワクチンぐらいは、これだけもう十二万数千の外来患者が現在でも利用しておるわけですから、今でも毎朝八百人くらい韓国からも台湾からもアメリカからも愚者が来て並んでおるわけですから、あれは何らかの処置があってもいいと思うのでございますが、その点、どうでしょう。
○渡部国務大臣 がん対策を進める上で、がん治療薬の開発はきわめて重要な問題であります。丸山ワクチンについても、私どももそういう強い関心を持っております。ただ、御承知のとおり、丸山ワクチンについては、昭和五十六年八月に中央薬事審議会の答申及びその附帯意見が示されており、現在、申請者にわいて試験研究を継続中でございます。また、現在有償による治験を実施中であります。この治験は、同社の計画により、昭和五十六年十二月から三カ年計画で御指摘のとおり行われております。厚生省としては、これらの治験が速やかに実施され、データが整備されることを期待いたし、今試験研究の実施等に関する相談に対しては、今後とも十分相談に乗ってまいりたいと思います。
○草川委員 十分に相談に乗ってまいりたいというのは、メーカーの方から何らかの要望があれば聞くということですか。あるいは、有償治験の期限というのは十二月に限られておるわけですから、それまでにデータがそろえばいいですよ、だけれども、今の医療界というのですか、学者だとか各病院の流れからいくと、なかなかそれは出てこないわけですよ。だから、私どもはそこをひとつつきたいわけですが、そのことを含めたお話になりますか。
○正木政府委員 お答えいたします。
 丸山ワクチンにつきましては、ただいま厚生大臣からお答えしたとおりでございますが、先生御案内のように、申請者たるゼリア新薬工業が今試験研究を実施中でございまして、この試験研究は、九州大学の野本亀久雄先生ほか三名の先生方が非常に真剣に研究をいただいております。
 同時に、これも先生御案内のように、治験計画三年ということで有償治験を実施しておりますが、そのデータ等もいろいろ取りそろえて、私どもとしては薬事審議会の審議で十分御審議いただけるような資料をいただきたいということで、たびたびゼリア新薬工業の方に進行状況の問い合わせもし、私どもとしてこういったデータが必要ではないかというような相談にも応じております。これからもできるだけそういった方向で早くいいデータが出るということを期待していきたいというふうに思っております。
○草川委員 それは厚生省もよく御存じのとおりですけれども、治験というのも、あれだけの実際の多くの患者の方々が、個人的にはもういろいろな治ったとか、あるいは各地域のドクターもみんな協力をしたデータを出しておるわけですから、私はそれだけの判断でもいいと思うのですよ。そしてさらに不足があるならば、認可をした後追加データを、今だって新薬の副作用情報を後ほども求めておるわけでありますから、少なくとも副作用がないわけですから、それを推し進めたらどうか、こういうように思うわけです。
 だから、これは総理、悪いですが、もちろん担当はそっちですよ、だけれども、総理は随分このことについては御理解のある方なんです。私、よう知っているのです、ずうっと。だから、もう少し総理自身も期待をしたいとか、がん対策をこれだけ出されておる折ですし、中曽根さんにとってはこれは目玉ですよ。大きな目玉だし、国民も支持する目玉ですから、私自身も丸山ワクチンはいかに外野席でがあがあ騒いだって、やはりそれは一つの限界があるわけです。だから、その点は総理の前向きの考え方だけでもいいから出してもらいたい、こう思うのです。
○中曽根内閣総理大臣 丸山ワクチンにつきましては、草川さんからここで何回も御質問をいただいて私も記憶してお力まずし、私もがん対策の上から重大な関心を持って見ておるところでございます。しかし、やはり一面におきましては、臨床実験の例という科学的な要請もあります。また一面におきましては、民衆やあるいは患者さん御家族の皆さん方から、痛みがなくなったとかあるいは治ったというような言葉も聞かれます。この間にあってどういう計らいをするのが政治として穏当であるか。科学を曲げるわけにはまいりません。そういうところで先般来厚生省がやや味のある処置をとってきておるわけで、民衆の要望にも応じる道を講じたところでございます。
 しかし、今実験研究をいたしまして、ある程度のデータもそろってくることでございましょう。でありまするから、この秋にかけましてそれらのデータ等をよく検討をした上で我々も、我々は科学に干渉することはいたしませんが、害がないとかあるいは今までの臨床例やその他の結果どうであるとかというような総合的な判定をして、そうして助言できれば助言もするし、あるいは厚生省におきまして独自に御検討を願いたい、そう思っておる次第であります。
○草川委員 これは私だけではなくて、多くの超党派の先生方も非常に関心を持ち、お願いに上がっている事件でございますので、ぜひ厚生省の方も側面的に応援をすることがこのがん対策の具体的なあかしになるのではないか、こう思うので、お願いをするわけであります。
 その次に、いわゆるレセプト代行の問題をめぐりまして、VANの問題にいきたいというように思います。
 今、これは診療報酬の関係がございまして、お医者さんがカルテというのをつくってそれを支払い基金の方に出し、それぞれの保険者の方からお金を受け取るわけでございますが、レセプトというものに転記をしてそれで請求をするわけです。ところが、今この計算センターというのがどんどん出てまいりまして、事務屋でございますけれども、私が具体的なデータを持ってきましたのはある銀行の計算センターでございますが、それが保険の診療報酬明細書の代行業務をするわけであります。診療報酬いわゆるレセプト、あるいは請求書、個人別診療点数一覧表、あるいは患者名簿、こういうものをつくるわけです。ドクターのところで端末機で打ち込んで、それでフロッピーと言うのですか、ドーナツ盤のようなものを計算センターに持っていきまして、そこでレセプトが打ち込まれるわけであります。つくられるわけであります。
 ここに私、レセプトの一つの名前を消したのを持ってまいりましたが、御存じのとおりレセプトというのは、個人の名前、病名、それからどういう薬を使っておるのかというのが日本語で全部出てくるわけです。これが第三者の目に映るわけですね。たとえば女の子であろうとアルバイトであろうと、そこへ行けばどんどんレセプトができるわけです。たまたまこれは銀行の系列の計算センターがつくっておるわけですけれども、お客さんが余り心配な病気、たとえば今の話のがんだ、これは危いじゃないかといって融資をとめるようなことが出るかもわからない。あるいは個人的な非常にプライバシーにかかわるような病名なり名前なり病院の名前が全部出るわけですから、第三者に際限もなくふえていく事例というのが現実にあるわけです。
 このようなコンピューターによる医療事務のサービスが急速に広がっておるわけでございますけれども、これは刑法上からいって、医師の秘密を侵す罪に当たるのではないか、秘密漏泄に当たるのではないか。ただし、刑法上は故意にという言葉が入っておるわけでありますし、いわゆるいろいろな制約があるのでございますが、何らかのやはり対応を立てていく必要があると思うのです。この点について、まず法務省から御意見を聞きたいと思います。
○筧政府委員 具体的な事実関係にかかわりますので、一般論としてお答えいたしたいと思います。
 御承知のように、刑法におきましては、秘密漏泄罪の主体は医師、薬剤師、弁護士等というふうに限定されております。したがいまして、例えば今の計算センターの職員が患者等の秘密を漏泄したという場合に直ちにこの罪名に該当するというわけにはまいりませんで、例えば主体であります医師と共謀したとか、あるいは医師を教唆して漏泄させたとか、あるいは医師の漏泄行為に加担したという場合に、共犯として漏泄罪の責任が問われるということはあろうかと思います。
 なお、申すまでもありませんが、第三者側がその秘密を漏泄する方法あるいは公表の方法といたしましていろいろな条件がございますが、場合によっては名誉棄損ということは考え得ると思います。
○草川委員 刑法上の問題と、さらに民法上の問題だとか、基本的な人権の問題がここで出てくるわけでございますが、気がついたときにはどうにもならなかったというような事態も予測をされるわけでございますが、とりあえず厚生省としては、現在各医院あるいは病院がこのような事務センターを利用しておるのですが、このこと自身は私はおかしくはないと思うのです、今日の近代化の建前からいって。おかしくないのですけれども、今私が指摘をしたような事実もまた一面では出てきておるわけです。そのような点についてどのような対応を立てておられるのか、お伺いしたい。
○吉村政府委員 秘密が外に漏れるようなことがないように、医療機関とレセプトの代行業者との間で厳重な契約を結んでおるようでございますが、もし医療機関からそういう契約を結んでいる条項につきまして外にあるいは第三者に漏れるようなことがある場合には、医療機関について厳重な指導をしていきたい、こういうように考えております。
○草川委員 ぜひ、くどいようでございますけれども、委託契約にはそういうことのないように、今非常に安易になっておりますから。別に病院だけのレセプトを計算センターはっくっているわけじゃないわけです。会計事務所の仕事も全部やっておるわけでありますし、銀行業務もやっておるわけですから、私は、不特定多数の目にレセプトが触れるということは、厳重な対応を行政の立場から指示をしていただきたいと思うわけでございます。
 これには関係をしませんけれども、実は流れとして今日非常に大きな影響が与えられるであろうという問題に、いわゆる付加価値通信綱の規制問題があるわけであります。いわゆるVANと言われるものでございますけれども、これもいろいろな大型コンピューターを横にジョイントして新しいサービスをしよう、こういうわけでございますから、私どもが東京におって地元でどういう工場を運営しようと何をやろうと、何でもできるというようなことが出てくるかもわかりません。通産省は通産省、あるいは郵政省は郵政省でいろいろな御意見もあるようでございますけれども、特に電気通信事業法案が出てきております。これも一種の規制と二種の規制ということが触れられておりまして、この点についてはかなりの御意見のあるところでございますが、いわゆる付加価値通信網、VANに対する規制という問題について、まず郵政省の方からお伺いをしたいと思うのでございますが、郵政省も放送通信の新しい担当の役所になったわけでございますけれども、外国資本も相互主義の立場から付加価値通信網の事業にいずれ入ってくるわけでございますが、どういうように規制をするお考えなのか、あるいは今度の法案を取り巻く考え方についてお伺いをしたい、こういうふうに思います。
○奥田国務大臣 お答えいたします。
 このVAN、今レセプト業務からそちらにすぐ御発展なされたわけでありますが、確かにこの通信分野に関して一番大事なのは、御指摘のとおり通信の秘密、そういった企業の秘密、プライバシーを守っていくということが極めて肝要であることは当然でございます。
 ただ、今の問題になっているVAN業、これはまだ日本では未成熟な分野ではございますけれども、INS時代のまさに基盤的な業務でございます。したがって、原則自由化の方向で門戸は広く開放しなければならぬということは思っております。しかし、今草川委員御指摘のような問題が起こる可能性は十分あります。したがって、届け出制だけにしよう、そのかわり改善命令等々で、そういった企業機密なり個人プライバシーが侵されるような形というものは、そこである程度規制しなければいかぬと思っております。その法的整備を、今度の電気通信事業法の中でも組み込んでいく考えでございます。
 ただ、今日米摩擦という言葉を使われましたけれども、これは恐らく御指摘の意図は、大型VAN、全国ネットを有して、そして不特定多数のそういった形のコンピューター業務を含めて通信回線で情報処理しよう、この大型VANに関しては、私たちは、外資規制も含めて考えております。
 なぜか。これはやはり通信主権にも関する問題でございますけれども、もしもこのような特定VANが一社独占であった場合、国がこれによってこうむる形というものは、万が一の場合大変なことになるということを想定してのことでございますけれども、私たちは、原則自由で門戸は広く開放して、二種VANに関しては全部自由ですよ、しかし、この特定VAN、特別二種に関しては、こういったおそれもこれあり、当初規制はこの程度でやっていく。これは米人の要人たちも理由を話せば理解をしていただける分野だ、話し合えば決して日米摩擦の障壁にはならないということを確信いたしております。
○草川委員 今は企業のコンピューターを使った単純な情報処理サービスでございますけれども、今お話がありましたように、大型のVANの時代になってきますと、これは国際的な規模の流れがあるわけです。アメリカの電信電話会社ATTもつい最近、アメリカで独禁法ですか、解体をいたしまして、海外での事業がやれるようになったわけですから、向こうは向こうで日本の市場をねらってくると思うのです。これは大型VANだって来るかもわかりません。国鉄の線路を貸せとか、電電公社以外の電力会社のケーブルを貸せとかというようなことでやってくる場合だってあるわけでありますし、ATTだけではなくて、IBMもすでに日本に準備室を持ってやっているわけでございますが、もう非常に目の前だと思うのです。これは先の話じゃないと思うのです。
 もう一つ、私も専門ではありませんけれども、ローカル・エリア・ネットワーク、いわゆるLANというのがあって、一つの丸ビルなら丸ビル、あるいは地域の中で対応するようなことになってまいります。通産省は通産省なりに、この問題はまた別の立場の御意見があると思うのでございますが、通産省は時代の流れに逆行するのではないだろうか。特に、届け出制、許可制の問題に関連をした別の御意見があるやに聞いておりますので、通産省からお聞きをしたいと思います。
○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。
 私どもといたしまして、VANを含む情報処理分野につきましては、民間の活力が最も発揮できる分野であるというふうに思っております。これからの日本の経済を見渡してみますと、日本の経済の活力を維持していくために、この分野における民間活動が自由に行われるような、そういう基盤を整備するということが大変重要な意味を持つというふうに思っております。そこで、そういう意味におきまして、VANにつきましても、これは自由に回線を使用できる、そういう体制というものを整備していくことが必要であるというふうに思っているわけであります。
 先ほど先生から御指摘がございましたプライバシーの侵害あるいはデータの保護、そういったいわゆるコンピューターセキュリティーの問題というのがあるわけでありますけれども、この問題はVANに限らず、あるいは計算センターに限らず、オンラインあるいはバッチ処理を含めまして、他人の情報データを扱いますそういう分野に通じまして重要な問題であるというふうに思います。そういう意味合いにおきまして、私どもといたしましては、従来から、電子計算機システム安全対策基準という基準をつくりまして、業界の指導に当たっているわけでございます。
○草川委員 やはり通産省としては、自由化を前提にフリーの立場で臨んでいきたい、時代に逆行したくないという言葉が裏にはあるわけであります。
 そこで、これは私ども、全く未来の話ですけれども、近い将来出てくる、しかしそれは想像ができないような事態になるかもわからないわけでございますが、ひとつこの通信と情報処理の問題にっきましては、両者の、通産と郵政の考え方の違いということだけではなくて、いま少し、それこそ臨調の精神ではありませんけれども、全く公平な立場で、後代に悔いを残さないような対応を急がなければいかぬと思うのです。
 とにかく、アメリカの場合はガリバーですから、ガリバーのところに情報が握られたら大変なことになるという心配もあります。しかしそうではなくて、小型のVANについて余り規制をするならば、小型VANについて世界の対応におくれてしまうじゃないかということもよくわかるわけ。です。私自身も、そんなに結論を持っておるわけやはないけれども、何か事が重要だということだけはわかるわけです。
 ですから、これは総理も、両者の対応というのですか、調整をしっかりおやりなさいというような御意見を出しておられるやに聞いておるわけでございますが、総理としては、このVANの問題についてどのような御見解を持っておられるのでしょうか、お伺いします。
○中曽根内閣総理大臣 私は、VANの問題につきましても、原則自由、そういう考え方を基本的に持っております。高度情報社会ということを頭に入れておきますと、さまざまな商品が出たりあるいは競争が行われることが望ましいので、尊王攘夷論は通用しない、そう思っておる。したがいまして、原則自由という立場をとって、百花繚乱のようにこの世界が開いていくように期待しております。
 ただ問題は、機密の保護とかあるいは公共の福祉という面から、制限的にあるいは規制しなければならぬ面も出てくるかもしれぬ。しかし、その場合でも、各省同士が、自分たちの方で取り組もう取り組もうというような垣根争いとか、そういうことは許さない。やはり大局的見地に立ったそういう機密とかあるいは公共福祉という面から、もし行う場合には限定的に規制すべきであって、原則自由、そういう立場を貫いて、思い切って競争させた方がいいと思っておるわけです。
○草川委員 確かに、総理が今おっしゃった形だと思いますけれども、外国の資本の資本制限の問題だとか、それから、私は今たまたま、次元の違う話ではございますけれども、レセプト業務、これの一つの秘密の問題を現実提起として申し上げておるわけですが、事は同じだと思うのです。だれかにあらゆる情報を握られてしまい、それに従って我々が、産業なり企業なりが動かざるを得なくなっても、これは大変なことになるわけでございますから、慎重な対応をぜひ立てていただきたいということを要望申し上げます。
 時間が来ましたので、最後に、サハリンに残留をする元朝鮮人の方々、韓国人の方々の問題で、ぜひこれは総理にも、それから当該の外務省にも、あるいは赤十字の方々にも対応をお願いを申し上げたいわけであります。
 私は、たまたま昨年、現地のサハリンまで行きました。行った最大のきっかけというのは、韓国の大都におみえになります、四十年ぐらい前に、ある日、日本の当時の行政官によって自分の夫が強制的に連行された、それ以来一回も手紙がないけれども、サハリンにどうも強制連行をされたようだ、うわさによると炭鉱労働者であったようだ、日本のことわざには、借りたものは返すということわざがあるじゃないか、だから、戦争が終わってもう三十八年、四十年近くなるわけだから、せめて日本は責任を持って私の夫を返してもらいたいという要望があったわけであります。至極当然な話であります。
 私は、昨年の八月に大邱へ行きました。一千名近い留守家族の方々が集まられまして、日本に対する猛烈な攻撃がございました。しかし、私は、率直に日本の過去の非をわび、一人の日本人として反省する、そのかわりに、日本の国内で双方が面会ができるように微力ながらしておるということでお話をしてまいりました。今は亡くなりましたけれども、李範錫外務長官がお見えになりまして、非常に私どものことについても関心を持っていただきまして、ぜひこれは日米の外相会議の話題にもして、我々からもよろしく頼むというお話がございました。
 そういう要望がございまして、現地と話をしてまいりましたが、なかなか現実にはうまくいっておりません、大韓航空機の撃墜事件等もございまして。細々と現地からソ連籍の方々が日本にお見えになることが認められておりますけれども、今、無国籍でどうしても祖国に帰りたいとおっしゃる方々が、二千や三千人はおみえになるようであります。私ども、現地でなかなかそういう方にお会いできなかったんですが、そういう要望は受けてまいりました。
 今、私ども、非常に言葉に気をつけて発言しておるわけでございますが、決して反ソ運動をするつもりでこの問題を言っておるわけではございません。反ソ運動にならないように、ならないように気をつけて物を言っておるわけでございますが、今韓国におみえになる方は、本当に自分の知り合いが今サハリンに生きておるのか生きてないのかも承知をしていないわけです。だから草川君、君、とにかく調べてきてくれ、こういうわけですが、これもそう簡単にはまいりません。だから私は、何らか、この日本に現地の実情がわかるようなセンターでもつくれぬのかどうか。これが役所の担当でできれば一番いいわけでございますけれども、役所は戦後処理はもう終わった、こう言っておるわけですから。しかし、終わってないわけです、これは。
 向こうの方々のお気持ちをくどくどと申し上げるのは何でございますが、残っている、韓国におみえになる家族の方々は、今申し上げたように、少なくとも日本は世界でもう最高の経済成長をした立派な国なんだから、四十年前に強制連行した私の夫を返すなり、あるいはその実情を調査することぐらいはあったっていいじゃないか、こういう切々たる訴えがあるわけであります。
 どうかそういう意味で、これはまず外務大臣に、親族再会を日本で実現をするような便宜なり対応をぜひ立てていただきたいし、国際赤十字の問題としてもこの問題を取り上げてもらいたいと思うのですが、まず外務大臣、それから後で総理大臣から御答弁を願いたい、こう思います。
○安倍国務大臣 まず、本件に対する草川議員の大変な御努力に対しまして、心から敬意を表します。
 昨年サハリンにおいでになったり、あるいはまた大邱においでになったりしたときの実情等もお聞かせをいただきまして、大変参考になったわけであります。また、李範錫外相が生きておられたときに、この問題を議題にして話し合ったこともあるわけでございます。
 政府としましても、親族再会が実現すれば問題解決への前進であると考えておりまして、人道的見地から入国面における便宜供与等、側面的にできるだけのことは行いたいと考えておるわけです。
 他方、本件が実現するか否かは、まずもってソ連側がサハリン在住朝鮮人の出国を認めるか否かにかかっておるわけですが、これまで親族再会のための出国が認められたのはわずか二件、四名のみでありまして、また、政府が昨年八月、モスクワ及び東京において、親族再会問題につきソ連側の好意的な配慮を要請しましたところ、ソ連側は、本件は日本と話し合う問題ではない、こういう従来の立場を繰り返して、前進が見られなかったわけでございます。政府としては、本件実現のためには、今後とも粘り強くソ連側に働きかけていきたいと思っております。
 三月の十二、十三日には日ソの高級事務レベル会談もありますから、その際にもこの問題を提起したいと実は考えておるわけですが、ソ連の態度は今までは変わってない、日本と話し合う必要はないということで、変わってないわけでございます。
 そういう状況ですから、ソ連の態度が変わらないという以上は、なかなか政府としてもこれに対する対応が難しいわけでして、今センターをつくったらどうだというふうなお話もありましたが、なかなかこれは現在の状況では困難であるわけです。しかし私たちは、この問題は、やはり過去、戦前日本が関連したことですから、日本としてもできるだけの便宜を計らうという意味においては、何らかひとつ努力は重ねていきたいと思いますし、ソ連がそういう態度ですから、我々は、日本が政府対政府で話をするということも必要ですが、同時にまた、国際赤十字等も通じまして、今この問題についてソ連側と協議をしてもらっておる、こういうところでありまして、何らかひとつ前進するように、我々もあらゆる面から努力は重ねてまいりたいと考えております。
○中曽根内閣総理大臣 サハリンにおりまする元の韓国人あるいは朝鮮人の皆様方のありさまにつきましては、非常に心を痛めておりまして、我々も最善を尽くして家族との交流等を実現したいと思っております。
 外務大臣が御答弁申し上げたとおり、壁がありまして、現在なかなか難しい状態でございますけれども、引き続いてあらゆる手段を講じまして、御趣旨に沿うように努力してまいりたいと思っております。
○草川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○山下(徳)委員長代理 これにて草川君の質疑は終了いたしました。
 次に、清水勇君。
○清水委員 まず最初に、経済財政の運営に触れてお尋ねをしてみたいと思います。
 これまで歴代の内閣が一貫して縮小均衡政策をとり続けてこられたわけでありますが、そのことが、結果としてデフレ効果を増幅をさせる。例えば、それぞれの内閣が「財政の中期展望」等を国会に出しておりますけれども、残念ながら、ことごとくこれが破綻をする、こういう経過になっていると思うのです。
 例えば五十六年の一月に、鈴木内閣の当時でありますが「中期展望」が出され、その中で、歳入について、五十八年度では五十三兆三千億程度の規模、五十九年度では五十七兆六千億程度の規模、こういう数字を示しているわけでありますが、現に七兆円前後の赤字国債を増発をしても、なお五十八年度も五十九年度も五十兆規模の予算にせざるを得ない、こういう結果になっているわけであります。
 そこで問題は、政府は一貫して、経済財政運営の第一の目標に財政再建ということを掲げておるわけであります。しかし、結果として、今私が申し上げているように、年度年度の税収が大きく落ち込む、そして赤字国債を五十九年度ゼロという公約がございましたが、これも破棄をせざるを得ない、こういうような状況にならざるを得なかったということは、結局は縮小均衡財政、この辺に大きな破綻の原因があるのではないかというふうに感じているわけなのでありますが、まず総理のうんちくを傾けての御所信のほどを承りたいというふうに思います。
○竹下国務大臣 財政の問題でございますので、私からまずお答えをいたします。
 今の清水委員の御指摘、私なりに考えてみますと、言ってみれば一九四〇年代後半それから五〇年代、そして六〇年代が、一番いわゆる積極財政ということではなかったかと思います。これはいわゆる二ドル原油に支えられた、まさにけんらん豪華たる高度経済成長とでも申しましょう。したがって、昭和四十八年暮れから第一次石油危機が参りました、そのときにとった施策というものは、私はある意味においては積極財政じゃなかったか。すなわち、建設国債を増発します。そして昭和五十年代へ入ってまいりまして、そこでそういうある種の積極財政、公債依存の財政運営がそれなりの実を結んだピークが五十四年じゃなかったかな、こういう感じがいたします。
 そこへ第二次石油危機が訪れてまいります。そうするとそのときには、五十六年なかんずく七年にわたりましてのいわば景気の停滞あるいは世界同時不況、そのときには既に対応力そのものを失ってしまった、財政が。したがって、まずは対応力を返すということから、言ってみればそれまでと色合いの違った財政運営、こういうことになったではないか。一概に拡大均衡か縮小均衡がという議論は別といたしまして、そこから色合いが違ってきたのではないか。
 今の場合は、したがいまして若干経済の好転の兆しが見える今日、むしろ対応力を回復するためにいましばらく我慢をすべき財政運営というものをとらざるを得ない状態ではないか、こういうふうな、見解の相違と言えばまああれでございますが、そのような見解を持っております。
○清水委員 今大蔵大臣から、オイルショックの影響なり世界同時不況進行の影響といったようなことも触れられておりますが、少なくとも五十六年一月作成の時点では、当然に「中期展望」の中にそうした要素が織り込まれていた。にもかかわらず、結果としていい結果、つまり財政再建に寄与し得るような結果が得られなかった、こういうことに私はつながっているのだろうというふうに思うのであります。
 問題は、五十八年度初頭からある程度景気回復の軌道に乗ってきているのではないかという御指摘がございますけれども、しかしこれは、予想外のアメリカ景気の回復とかあるいはOPECによる原油価格の値下げ、これにおぶさってきたところが非常に大きいわけですね。政府が期待をした内需中心の形での成長というようなことには必ずしもなっていない。五十九年度の政府の予算編成の基本も、言うまでもなくマイナスシーリングという枠で徹底した歳出の抑制をやる、いわゆる超緊縮型財政である。こういうことでは、つまるところ四・一%の成長をほとんど外需に依存をしない、つまり〇・五%程度の依存で、あとはもう内需で引っ張っていくんだ、こう言っておられるけれども、果たしてそういうことが期待できるのか、こういう点で非常に心配があるわけであります。
 実は、今月の十三日から東京で日本とEC間の高級事務レベル協議というようなものが行われておりますが、EC側から、御承知のように日本政府の来年度の予算の基本的態度に対して、これではますます対外摩擦を激化しはしないか、現に政府自身が経常収支として二百三十億ドルというようなものを予定をしているわけですけれども、つまり、外需依存型に陥って対外経済摩擦を増幅しはしないか、だから日本政府はもっと思い切った内需拡大策をとるべきである、こういうことをやかましくきつく注文をつけているというような経過があるわけですね。ですから、そういうものとあわせて内需拡大で経済成長を引っ張っていくのだとおっしゃるならば、どういう手段方法を具体的に進められようとしているのか、この際御指摘をいただきたい。
○竹下国務大臣 今年度予算、財政面から景気を押し上げるという意味においては中立である、こういうことであります。しかしながら、私どもが中立であると言うのは、四・一%というのを大きく引っ張り上げる力が働いておるとは思いません。が、しかし、私ども考えてみますと、やはり消費拡大のためにいろいろな議論はございましたが、所得税減税を行った。規模について、先生と私との間で恐らく乖離があると思いますが、投資減税もやった。その上に、これは喜ばしい現象とでも申しましょうか、公定歩合の引き下げが行われた後、徐々に金利を含めて金融はいわば緩和基調にある。そうなりますと、ある種の意欲があればそれを吸収するだけの環境は整ってきておるのではないか。こういう意味におきまして、私どもはやはりこの内需中心の形で四・一%というもの、名目にして五・九%、物価が落ちついておりますから、実質で四・一というものは十分期待でき得ることではないか。
 やはり考えてみますと、その三%台の成長、今度四・一%、我々自身が、言ってみれば高度経済成長に非常に体がなれております。したがって、アメリカの景気といっても、マイナス成長からこの三%台の成長になれば、何だか非常に急速度になったような感がいたしますけれども、少なくとも世界の中で、先進国の中においては我国だけが悪くても三%台のインフレなき安定的成長を保ち得た。だから我々自身も、これが普通の姿であるというふうな自己認識に立ちながら、国民の皆様方にも協力をお願いしていかなければならぬではないか、このように考えております。
○清水委員 さてそこで、これは本来は財政問題ですから大蔵大臣に聞くべきテーマかもしれませんが、経企庁長官に承りたいのでありますが、財政再建の手法というやつを考えた場合に、大きくいって四つに分類をされるのだろうと思います。一つは歳出をカットをする、歳出の削減をやる。一つは増収を図る。これは、増収を図るというような場合には、増税か受益者負担、午前中も議論がありましたけれども、最近は厚生行政をめぐっても、受益者負担とか自立自助というようなことが言われるようになっている。
 これは余談でありますけれども、民生に厚い行政を行うという意味合いで厚生省という看板があるはずなのでありますが、自立自助ばかりを中心にするようでは、これは自力更生省とでも言うべき状況にどうもだんだん動いてきている。だから、おのずから、まあこれには一定の限界があるのだろうと思います。
 それから三番目の手法としては自然増収、これは経済成長を通じてということになるわけでありますが、あえて申し上げれば四番目にインフレ方式というようなのがあるだろうと思います。しかし、これはもうインフレで吸収なんということは論外だというふうに私は思うのでありまして、歳出の削減を重ねた結果今日のような事態が現実に起こっている、あるいは増収を図るといっても総理自身、大型間接税等の増税は考えていないとおっしゃっておられるといったことなどを思い合わせて考えると、今後の例えば八〇年代の経済運営というようなものを考えていく場合に、同時に財政再建というようなことも踏まえて進めていく方策としては、手法としては、やはり自然増収を図るという意味での積極的な経済政策の展開ということが必要になってくるのじゃないか、私はそう思うのでありますが、御所信を承りたい。
○河本国務大臣 ただいま財政再建についていろいろ御意見がございましたが、私も大体そういう考え方でございまして、別の言葉で分類をいたしますと、一つは歳出の合理化ということだと思います。第二が税体系の根本的な見直し。それから第三が経済の活力の回復による税収の拡大。こういうことだろうと思いますが、これまでの過去四年間は、第二次石油危機がございまして世界経済全体が混乱をしておりましたし、それから日本経済全体も非常に悪い条件のもとで混乱をしておりました。いわば過去四年間は世界経済が低迷状態にあった。昨年の春からようやくアメリカを中心に少しずつよくなってきたということだと思います。そうであるだけ、これまでの消極的な手法も万やむを得なかったのではないか、こう思いますし、仮に積極的な手法をとりましても、世界全体が悪いときにはなかなか効果が出ないものでございます。しかし、幸いに五年目のことしは世界経済がようやく上方に向かっておりますし、それから日本経済もようやく上方に向かいつつある、こういう感じがいたしますので、こういうときには若干の工夫をいたしますと予想外の効果が出てくるのではないか、こういう感じもいたします。
○清水委員 さてそこで、先ほど内需主導型で四・一%の成長を引っ張っていくのだというふうに言われ、見解は異にするかもしれぬけれどもそのための減税といったような措置も講じたんだ、こういう大蔵大臣の御意見もあったわけであります。一口に内需内需というふうにおっしゃられるわけでありますが、ごく簡単で結構でありますから、どんなところにウェートを置いているのかお聞かせをいただきたい。
○河本国務大臣 やはり内需を考えました場合には、最大の柱は個人消費だと思います。ことしの経済見通しで個人消費は相当伸びるものと見ておりますが、このためにはやはり国民全体がある程度豊かになる必要がございます。国民が豊かにならないで内需は、個人消費は拡大しないわけでありますから、そこが一つの問題点だと思います。
 それから第二点は民間設備投資、これには設備投資、住宅投資、在庫投資とございますが、その中でも一番大事なのが設備投資でございまして、この設備投資につきましても数年ぶりでようやく技術革新投資をやってみよう、こういう空気が出てきております。これも相当評価をいたしております。
 以上二つが大体の大きな柱であろう、こういうように思います。
○清水委員 そこで、民間の設備投資にもかなりの期待をかけたい、大蔵大臣もそのために投資促進税制を用意をしたのだ、こう言われるけれども、これは中小企業の新技術体系というようなものを促進をする意味で投資減税措置を講じていこうというわけですけれども、三百億ですよね。あるいはテクノポリスに対する減税措置についていえば十億ですね。それは、ないよりはましかもしれません。しかし僕は、やはりこの点では民間の設備投資に相当大きな期待を持っておられればなおのこと、一年では、これは特に総理にお願いをしなければならぬ事柄なのかもしれませんが、縮小均衡、縮小均衡という方向で何かデフレ効果が暗に出ていくような方向だけが示されるというのではなしに、よく花と緑なんというような文学的な表現もなさるわけなんでありますが、中小企業家自身が投資意欲を持ち得るような、つまり経済の先行きの展望というものが切り開かれていくような、そういう方向というものが示されていかなければならない。それには財政が経済成長あるいは内需の拡大に中立であるとか貢献度ゼロであるというようなことではいささか消極的なんじゃないか、こう感ぜざるを得ませんので、この点はもうちょっとひとつ、明るい見通しがあるというならばそれを示してもらうというようなことが、設備投資意欲をかき立てるというやつは一つは感覚的な要素というのがあるわけですから、いかがでしよう。
○河本国務大臣 アメリカなどの動きを見ておりますと、大規模減税と、インフレがおさまったということが導火線になりまして個人消費、それから在庫調整、それから設備投資、こういっておるわけでございますが、同時に大規模な投資減税がその背景にあったと思います。
 今のお話は、日本の場合ももう少し財政の分野で工夫をして中小企業の設備投資が拡大できるような規模の設備投資を考えたらどうか、規模が小さいではないか、こういうお話だと思いますが、その点はまさにそのとおりだと思います。ただ、財政との関係がございますので、ことしの中小企業を中心とする設備投資はそんなに規模が大きいとはいえません。したがって、このこと自体で私はそんなに中小企業の設備投資が拡大するとは思いませんが、それより、数年間中小企業の設備投資は大変縮小しておったのでありますが、ようやく数年ぶりに世界経済の展望が開けてきたということ、日本経済もどうやらよくなりそうだ、しかも、その間技術がどんどん進んで、これまでの設備では競争にならない、何とかこの際思い切ってひとつ設備をやってみよう、こういう機運が中小企業の間にようやく昨年の秋ごろから出てきたということがことし設備投資が伸びると判断をしております最大の背景だ、このように御理解をしていただきたいと思います。
○清水委員 さてそこで、内需を引っ張っていくために個人消費であるとか民間の設備投資であるとか、こういう要素が示されているわけなんでありますが、私は同時に、社会資本を整備拡充をするという意味で公共投資というものについて改めて一工夫あってしかるべきなんじゃないか。政府部内に、公共投資というやつは余り景気を押し上げる効果というものはない、こういう乗数効果についての指摘もあるわけですけれども、それはなるほど、かつてのように予算の大半が土地代だとか補償費に食われてしまうというような大型プロジェクトをやればまさにそのとおりでしょう。が、しかし、例えば道路であるとか河川であるとかあるいは老朽校舎の建てかえであるとか、挙げればたくさんございますけれども、住宅を含めたり下水道を含めたりして、そういう生活関連の公共投資に思い切った財政を動かすというようなことになれば、第一、仕事がなくて困っている地域の中小企業に受注機会を増大する。地域経済の活力をそこから呼び起こしていくことができる。雇用の問題も一定程度プラスになるでしょう。全体として地域の経済に活力を呼び覚ますという、少なくともそういう効果があるのじゃないか。そこで私どもは二兆円程度の追加をしてはどうかというようなことをかねがね言っているわけですけれども、特にそういうこととの関連で、これは建設大臣にも関係のあみ話でありますが、まあ大蔵大臣から聞かしてもらってもいいのでありますが、例えば河川の改修。私の持っておるデータによりますと、現在、整備改修が必要な河川は、大河川が一万二千七百キロメーター、中小河川が七万三千五百キロメーターという数字が出ております。これを例えば一時間五十ミリの雨量に耐え得るような建設省の立てている基準に照らして整備をするとすればおよそ五十兆円規模の財政を必要とする、こういうふうな試算があるわけなんでありますが、どうもこれに対して、既に終わった第五次の五カ年計画、今始まっている第六次の治水事業五カ年計画等々を見ると、余りにも必要な要請に対してこたえられない大きなギャップ、乖離がある。例えば、私の選挙区に有名な千曲川というのが流れておるわけで、これはもう三年連続で大雨のために堤防が決壊をする、千曲川水系の中小河川等も次々に堤防が決壊をする、あるいははんらんが起こる。もう惨たんたる災害が反復をされておるわけです。これは何も千曲川水系だけではなしに、全国的にそういう悲惨な状況がある。
 総理は、しばしば国防という問題に対して、つまり安全保障という観点で非常に力を入れておられる。そこで国民生活、住民生活に対する安全保障というような観点から、もっと治水事業といったようなものにウエートをかける、そのことを通じて、残念ながら去年までは大変な災害に遭ったが、ことし以降は何とかなるよ、こういった期待感を、安心感を国民に抱かせるということが政治でなきゃならない。ところが現実には、財政事情が悪いということでありましょう、りょうりょうたる予算しかつかない。こういう必要性と現実との乖離というようなものが何とか埋まらなけりゃならないのじゃないかと思うのでありますが、まず建設大臣から所信のほどをお聞かせをいただきたい。
○水野国務大臣 建設省のことでありますが、公共投資の経済効果が非常に高い、乗数効果が高い、これをやるべきだという御趣旨はおっしゃるとおりでございます。そして五十九年度の、今御審議をいただいております予算案にっきましても、国費については若干の減少を見ましたけれども、財政投融資とかあるいは民間資金の導入とか、そういう意味では全体としてはほぼ昨年並み、この非常に厳しい予算編成の中で何とか前年度並みだけの事業量を確保した、こういうふうに考えております。
 それから、ただいまの河川の問題でございますが、これはなかなかおっしゃるとおりの状態でありまして、治水事業の五カ年計画を現在やっておりますが、年率九・四%ぐらいしか伸びがない。五十七年度から五十九年度までずっと横並びでありまして、現在進捗率が五四・五%でありまして、あと二年で約四六%を確保するというのはなかなか……(清水委員「それは何の進捗率です。全体のですか」と呼ぶ)いやいや、河川です。(清水委員「河川って、中小河川も入れて……」と呼ぶ)全体です。四五・五%ばかり残っておる、こういう実情であります。私どもも、来年六十年度予算、六十一年度予算で何とかこの目標に達したいと思っておりますが、先生からもひとつ御支援をいただきたい、これはお願い申し上げるわけです。
 それから、今ちょっとお話があった千曲川のことでありますが、これは調べてみましたら、当初こういう数字で、御承知だと思いますが総事業費で八十五億余りを見込んでおりまして、三年間で四十二億八千万支出をしております。この進捗率は、先生のおっしゃるとおり全体の進捗率と大体並びでありまして、余りはかばかしくないのでありますが、今回、御承知のとおり災害がありまして、五十八年度から六十一年度の三か年に激特事業を起こしまして、ここで三十一億円ばかりを投入することができた。そこで、千曲川の問題に関しましては何とか御意向にかなうであろう、こういうふうに読んでおります。
○清水委員 いろいろ配慮をされておられることは承知をしていないわけではないのでありますけれども、しかし、基本的にいま大臣から、あなたにも応援してもらいたいという言葉が出るように、なかなか財政的に見るとシビアな環境にありまして、河川流域の住民の不安というものは非常に深刻なんですね。ですから、私はそういう点などについて思い切って財政をつぎ込む、こういうことがなければならないんじゃないか、こう思うのでありますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 いわゆる内需拡大という意味もあるし、社会資本の充実、なおかつ清水先生や、かく申す私どもの方は、いわば公共依存度の著しく高い地域である、したがって、景気のバランス等もそこに存する、なかんずく、その中で河川改修などというものは災害のない国をつくるための基本ではないか、こういう大筋の御意見をまじえた御質問でありますが、経済社会七カ年計画のときを思い出してみますと、公共事業が二百四十兆、一応めどとしたわけであります。そうして下方修正して百九十兆、これはもちろん石油危機の影響でございますが、そうして今は、それを計画的に新しい八○年代の経済計画、なかんずくその一部である財政計画の中へその数値を入れることもできない過去の反省からしても非常に流動的な問題があるという情勢でございます。しかし今、建設大臣からお話がありましたように、今年度も、国費ベースとしては若干下回りましたが、民間資金の活用等で公共事業を一応確保し、さらに、いわゆる民間資金だけでなく、民間活力全体でそういうものを内需主導型に少しでも役立てていこうということ、そうして災害復旧等の問題がございますが、河川改修等につきましても、確かに第六次でございましたか、まだ進捗状態も進んでおりません。私も第五次のころ建設大臣をしておったことがございますが、そういうことをかれこれ勘案しながら、いまのような御趣旨を念頭に置きながら、将来の公共事業というものに配慮していかなければならぬ問題だ。
 いま一つは、清水委員おっしゃったのは、河川になれば土地代も要らぬじゃないか、ほかのところへも景気波及効果も多いじゃないか、こういう御趣旨も兼ねての御質問であったと思いますが、私も考え方は同感でございますが、財政的な見地は必ずしも一致することがあるいはないかもしらぬ、こういうことでございます。
○清水委員 考え方が一致できるのでありますから、何とか財政的にも一致のできるような方向にひとつ奮発をしていただきたいと思います。特に建設大臣は、まあ曲がりなりに国費ベースで前年度並みの予算が確保できたというふうに言われるけれども、事実上マイナス二%、物価上昇分加味すれば事業地ベースではさらに下がりますね。そういうことからいって、全国で大中小建設業者が五十一万社あると言われておりますが、約四〇%ぐらいは地方の中小業者で公共事業に依存をしている。こういう企業ですから、これが縮小されると、結局昨年一年を通して中小企業の倒産が約二万件近くあったわけですが、その大半が建設関連であったと言われるように、さらにそういう事態が再生産されないか、民間の活力を引き出すというようなことを言いながら、これをやはりつぶしていくようなことになりはせぬか。こういうことがあるものですから、大蔵大臣にぜひひとつその辺を念頭に置いていただいておきたい、こう思います。
 さて次に、「一九八○年代経済社会の展望と指針」というものが昨年八月の閣議で決まっているわけですね。これに基づいて予算も編成をされているわけなんですが、この「展望と指針」の中に、六十五年までの経済運営の方針の一つの大きな柱として、「産業構造の高度化に支えられた新しい成長への歩みを進める」という名文句が書かれている。ところが、我が国は言うまでもなく資源小国である。したがって、ある面で言えば、一定の競争力を確保するためには、技術立国という言葉がございますが、そういう意味で、例えばバイオテクノロジーというようなものをどう推進をするか、あるいは最近言われるソフトノミックス化というものをどう進めていくか。つまり、高度先端技術を含めて技術の研究開発をどう進めていくかということが大きな高度化への支えになっていくのだろうというふうに思っているわけなんでありますが、どうもこれ、予算を見てみますと、純粋に科学振興費というものでとらえてみると小さい。わずかに四千百八億円しか来年度計上されていない。通産大臣も外務大臣も最近アメリカヘいらしておわかりだと思うが、念のために申し上げると、現在進んでいる八四年度のアメリカの会計年度の中で、いわゆる研究開発予算がどれだけ組まれているかというと四百六十億ドル、十兆七千億くらいになりましょうか。もっとも、その中にペンタゴンが六割ぐらい占めているのですから、これは僕らの立場からいけば問題じゃありませんが、仮にこれを差し引いても我が国の十倍以上の規模の研究開発予算というものが組まれている。こういうことについてどういうふうにお考えでありましょう。
○岩動国務大臣 ただいま御指摘の日本の置かれた立場というのは、いわゆる資源小国でございます。この点はまさにそのとおりでございますが、しかし、日本の最もすぐれた資源は人材であろうと思います。したがいまして、この人材に新しい分野、つまり科学技術というもりを十分に活用していくことが、日本の二十一世紀への活力のある、そしてまた国民生活を向上し、あるいはまた国際的な日本の役割を果たしていく大変大事な分野であろうと思っております。
 そのようなことで、私どもは科学技術会議に対しましても、今後の科学技術のあり方についての基本的な方向についての諮問をいたしているところでございます。
 そういう中におきまして、特にただいま御指摘のようにアメリカとの予算の比較を申されましたが、まさに科学技術振興だけをとってみますと四千億円をようやく突破をしたということでございますが、しかしまたエネルギー対策とか、さらにまた大学の研究予算とかそういうものを合わせますと一兆二千億円程度のものは計算ができるわけでございます。
 このようにして、私どもはいわゆる産学官の一体となった有機的な活力を科学技術の分野に導入することによって日本の生きていく道を講じてまいりたいと、せっかく今、努力をいたしているところでございます。
○清水委員 いずれにいたしましても、これから産業構造の高度化を進めていく、それを支える技術の高度化というものが当然に求められる。これは大学でも研究機関でも民間企業でも、それぞれ自助努力といいましょうか、リードタイムが長いあるいは資金のリスクが大きい中で努力をされていることは私もよく承知をしているのですけれども、何といいましょうか、そういうリスクの大きい研究開発というものに対しては、これはやはり一定程度国が公的資金でバックアップをしていく、てこ入れをしていく、こういうことがないと十分な成果が上がらないのじゃないか。
    〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
日本の先端技術のレベルは最近非常に高いとよく言われますけれども、それは部分的にはアメリカを凌駕している技術もございますが、全体として見ればなおややレベルが劣っているわけですから、この辺は産業構造の高度化という点ではきっと通産大臣が中心的に心配をされているのでありましょうが、どういうふうな対応を考えられますか。
○小此木国務大臣 おっしゃるとおり、先端技術の開発というものは資源の少ない我が国にとりまして大変重要な問題でございます。情報産業技術、そういうものの進展に加えまして新たな技術がいわば胎動期にあるわけでございまして、こういう時期に当たりまして通産省といたしましては、中長期的な観点にも立ちまして、財政負担等をも勘案しながら政府全体の問題として今後対処していかなければならない。技術開発というものに積極的に大いに努力してまいりたいと存じます。
○清水委員 少し突っ込んでディスカッションしたいところなんですが、時間の関係もありますから先へ参りますが、ここで対外経済摩擦の関連で、これをどう打開をしていくかということに触れて、一定の考えを申し上げながら総理を初め関係閣僚の御意見を承りたいと思うのです。
 実は、総理のところへ昨年の十月でしたか、アラスカ州知事がやってこられたと思います。アラスカ原油を日本が輸入をするようにしてほしいという大筋の話があったと思います。
 私はかねがね言っているのでありますが、現在アラスカ州としてもぜひ出したい。我が国も対外摩擦の緩和に役立つのだから何とか入れたい。ところが、輸出管理法による制約があるとか、アラスカ縦断パイプライン法というものの制約があるなどで思うように今まで輸入という方向に歩が進まない。だがしかし、例の輸出管理法の規制も本来的には昨年の九月に切れているわけですが、さらに五カ月間延長されて、多分今月末までで切れるのだろうというふうに思うのでありますけれども、そういう状況にタイミングとしてはなっているわけですし、当面、少なくても日産打六十万バレルと言われているわけですが、そのうち五万バレルないし七万バレルなら輸出できるよ、日本は特に距離が近いからそういう面でのメリットもある、こういうことが言われ、近い将来には二十万バレル程度の輸出が可能だというふうに言われている。重質油だからと渋る機運が業界の内部にないではなかったけれども、業界も前向きに最近は対応するようになっている。ということになれば、こっち側には輸入をするについてそれほどの障害がないわけですから、この際何とかアラスカ原油を、当面的には五万バレルぐらい、近い将来には二十万バレルぐらい輸入をする、こういうことを通じて貿易収支の改善に充てるというようなことがあっていいのじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
○小此木国務大臣 アラスカ原油のことにつきましては、何よりも第一義的には民間の判断に基づくべきものと思いますけれども、我が国の油が中東に依存し過ぎている、要するに原油の供給構造が非常に脆弱であります。したがって、多角的な供給先を見つけるという意味におきましては、通産省として非常に重大な関心がございます。しかし、今清水委員おっしゃったような、アメリカ国内に法的な規制がある以上は、実質的には輸出禁止でございます。したがって今、日米エネルギー・ワーキング・グループの中で、この規制の解除を含めていかにすべきかということを検討している最中でございます。
 そのためにも三つの問題がありまして、何よりも民間の自主的な判断が一番大事である。二番目は、アメリカ国内の海員組合の動き等によって、アメリカの船によって、これを専ら輸出用に使うべきではないかというような心配もこれあり。三番目には、突如としてアメリカ側から輸出停止というようなことが起こったならば大変なことになりますから、これらを含めて今検討いたしておるということでございます。
○清水委員 特に牛肉、オレンジの問題で、外務大臣いらして大変苦労されたやに仄聞をしているわけでありますけれども、IQ品目二十二品目の自由化というようなことを含めて、たとえばアメリカ側からやかましく農産物の枠拡大、あるいは自由化というようなことを育ってきている。しかし我が国には我が国の農薬事情、あるいは一定程度我が国の農業を保護していかなければならないという政策的な必要、こういうのがあって枠の拡大はできない、自由化もできない、こういうことで突っぱねていると、御承知のような大変な圧力をかけてくる。つまり、対外経済摩擦を緩和をする一助としてアラスカ原油を最終的には二十万バレル程度輸入ができれば、少なくてもこれは二十億ドル程度の規模になるわけですから、五億ドルや六億ドルと言われる農商産物の自由化なんという問題は、少なくても問題でなくなっていくはずなんですね。
 ですから、アメリカ側が我が国の要請に対して前向きにこたえようとしないということで、アラスカ原油というものが、アラスカ州知事があれほど出したいと言っていても出ないのだというような状況があるのだとすれば、やはり農畜産物の問題についても毅然とした構えで臨むというようなことがなければなりませんし、少なくともそういうような意味合いからも、アラスカ原油の輸入というようなものが促進され得るように――今のやりとりを聞いていて、農林水産大臣、どんなふうな気持ちがあるか心境をお聞かせをいただきたい。
○山村国務大臣 お答えいたします。
 いまお話がありましたように、確かに日米の貿易の中からいうと極めて一部分でございます。特に牛肉、オレンジにつきまして、日本では少なくともアメリカの全輸出量の六割、かんきつにしましても四割を今、日本で買っておるわけでございますが、これを全輸出量から見ますと、農産物の中ではわずかに三%、そしてアメリカの全部の輸出量の中から見ますと一%という微々たるものでございます。少なくとも今まで日米間の農産物貿易というものはうまくいっておりました。良好、友好的と言っていいと思うのですが、これが比重の小さいこのオレンジ、牛肉に限られ日米の間がまずくなるというのは残念だということでございます。
○清水委員 どうですか、アラスカ石油の問題で通産大臣からの御発言もありましたが、外務大臣、通産大臣をやっておられたこともあるので、かねがね商工委員会等でも話題になっていた事柄でありますし、とりわけ対外摩擦をどう打開をしていくかというような観点で、この間いらして話題になったのだろうと思いますが、どうでしょう。
○安倍国務大臣 アラスカ石油の問題につきましては、私も通産大臣の時代からアメリカ側とも何回か話してきております。今回も話をいたしたわけであります。
 今の日米の貿易摩擦の非常に大きな要因は、何といっても日米間の貿易のインバランスでありますから、このアラスカ石油のアメリカの輸出が自由化すれば、今お話しのように、もし二十万バレルぐらいの日本に対する輸出が確保されるということになれば、二十億ドルぐらいのいわゆるインバランスは解消していくわけでありますから、そういう意味では、もちろん基本的には通産大臣のお話のようにこれは民間の受け入れの問題でありますけれども、しかし、石油の供給の安定化ということから考えれば、私は、これは民間も今後やはり努力をして受け入れるべきじゃないか、そして同時に、アメリカもいろいろな国内的な規制を外して、日本に対して積極的な輸出体制をとるべきである、こういうことを主張しておるわけであります。それは何回もお話をしてまいっております。なかなかアメリカ、自身もまだ腰が上がらない、こういう状況で、その点は残念に思っております。
○清水委員 外交とか交渉というものは相対的な関係なんですから、農畜産物の問題等についても、やはりそういう相対的な立場を強調してもらうというようなことが必要だと思います。それから供給ソースを多元化する、大事なことだとさっき通産大臣が言われた。それから石油業界の調査団も通産省から要請されて去年の十月調査に行っているでしょう。当面五万バレル程度は受け入れてもいいというような方向にだんだんなっているように私は承知をしているのです。だから、それやこれやを踏まえて、この際積極的に、今後も引き続き対外経済摩擦問題というやつは、増幅することはあっても小さくなることはなさそうでありますから、積極的に取り組んでもらいたい、これは注文をつけておきます。
 さて、せんだって大出さんから武器技術供与について触れられておりますが、その関連で若干だけ触れておきたいというふうに思います。
 実は、二月一日にワインバーガーが国防報告を議会に送っているわけでありますが、その中で日本閥係について、シーレーンの防衛、三沢へのF16の配備、合同筆事演習というテーマに続いて、武器技術協力について触れられているわけでございます。その要旨は、既に承知をされていると思いますが、簡単ですから読んでみると、「日本との間で、バランスのとれた軍備協力計画を確立する上で収穫があった。日本は米国と軍事技術を共有することに合意した。この合意は、日本が武器及び武器技術の輸出を禁止する政策の例外として扱われている。米国は、日本がバランスのとれた軍備協力計画を確立するという総合的目標の一部として武器技術協力問題に取り組むよう、引き続き促していく。」中曽根内閣のなした三原則によらないという形での対米武器技術供与を非常に高く評価をし、さらに今後この面で協力関係の強化を促す、こういうことを実は言っているわけであります。
 実は、レーガン大統領来日前夜に取り急いで交換公文が取り交わされたということについて、私はいろいろな疑義を持っているし、ここでただしたいことがあるのでありますけれども、時間の関係から、きょうのところはいきなり具体的な問題に二、三触れてみたいと思うのであります。いずれにしても、昨年十一月に米国からミッションが来ている。その他伝えられるところでは、米側の関心技価というものはほとんどが民間企業の持つ汎用技術だというふうに見ていいんじゃないかと思うのです。
 そこで、あの交換公文で言うように、従来民間の持つ汎用技術などについては何らの「制限を課されていないことを確認し、」云々という文言が使われているのですが、もし政府が言うとおりであるのだとすれば、通常のコマーシャルベースで技術供与が引き続き可能であったということをいみじくも意味している。なぜ取り急いで、とりわけ三原則の例外などという国会で大問題になるような措置まで講じて、包括取り決めというようなことをせざるを得なかったのか。この辺がどうしても私は理解ができないので、その辺をひとつ教えていただきたい。
○安倍国務大臣 まず私から答弁させていただきますが、対米武器技術の供与につきましては、御承知のように、昨年中曽根第一次内閣におきまして、いわゆる武器技術の相互交流、そしてまた安保条約の効果的な運用という立場から、我が国としてこの武器技術をアメリカに供与するということを政府として決定をいたしました。これについていろいろと議論があったわけでございますが、その後そうした政府の意思が決定をいたしまして、アメリカとの間でいろいろと交渉をいたしました。
 その結果、昨年の十一月に、今御指摘のような日米のいわゆる武器技術、日本の武器技術のアメリカに対する供与についての包括的な取り決めを行ったわけでございます。しかし、これはあくまでも、武器技術の対米供与に当たっては具体的な事例に即して適当と自主的に判断したものについて供与を認めるという基本的な立場に立っております。しかし米側と意見調整の結果、具体的な案件を決定する枠組みをあらかじめ明確に決めておくことが、具体的案件の処理の際の円滑な事務の遂行を確保することになる、こういう共通の認識のもとにこの取り決めを行った次第であります。
○清水委員 本来この種の条約の場合には、品目の付表をつけるというのが常識だろうと思うのですね。それをあえて包括というような形で取り決めたことは納得がいかないわけでありますが、それはさておいて、今、外務大臣が言われるようなことなら、何も、コマーシャルベースで従来も必要な技術についての提供は何らの制限を課することなく提供されていたというのですから――いやいや、汎用技術についてですよ、私の言っていることは。それはそれでいいのですけれども、今度の交換公文の取り交わしに当たってアメリカ側が特に一番ねらっていることは、これまでもそうだったのですけれども、民間企業が民間企業の持っている技術の供与というものについて、これを拒むという傾向がこれまであったわけですね。
 それは通産省も問い合わせがあれば、アメリカ側からの引き合いの技術について、まあ慎んだ方がいいのじゃないかとか、あるいは審査に当たっては三原則とのかかわりで禁止を前提に審査をするというふうなことがあった。ですから、何でもかんでも汎用技術だからといって制限を課することなく出ていったわけではないのですけれども、特にそういう拒む企業について、いわば通産省というものは、これまでの産業政策というものを通じて個々の企業に非常に強い影響力を持っているわけだから、ぜひアメリカが必要とする技術の供与というものについて企業をプッシュして、これが促進されるようにしてもらいたい、これが一番のねらいであって、それを調整するのがJMTC、つまり共同委員会という機構になるのではないか、私はそう思うわけなんでありますが、この点いかがでしょうか。
○杉山政府委員 お答えをいたします。
 民間が保有いたしておりますいわゆる汎用技術につきましては、従来からココム等の制限を除きますと、原則として法的な制限は課されていないわけでございますが、ただ、今先生お尋ねのように、民間の意向に反してそういう技術の提供をさせることはないかということにつきましては、政府としましては、民間の自主的な商業的判断を尊重するという立場に立っておりますし、今回の交換公文の中におきましても、関係当事者の自発的な発意に基づくものについてというふうに書いておりますので、民間の意思に反してこういうものを、対米供与を促進するというようなことは考えておりません。
○清水委員 自発的発意という中には相手側も含まれるのではありませんか。例えばペンタゴンならペンタゴンというようなものが含まれませんか。
○杉山政府委員 もちろん関係当事者の中には相手側も入りますが、日本側の技術を持っている民間企業も当然その当事者の一人でございますから、両当事者の自発的な発意がなければ問題は起こらないと思います。
○清水委員 そうすると、まだ共同委員会は発足していませんかね。
○北村政府委員 武器技術共同委員会はまだ発足はいたしておりません。
○清水委員 いつごろ発足を予定しておりますか。
○北村政府委員 これは米側とも今協議中でございまして、できるだけ早く発足にこぎつけたいと考えております。
○清水委員 いずれにしても、古くは五十六年七月でしたか、ここに大村先生もおいでになるが、大村・ワインバーガー会談の際に武器技術供与というようなものが日程に上って、それ以来もう執拗に迫ってきているわけですね。あれほど急いたにもかかわらず、現実には具体的な技術供与をどうセレクトするかという協議の場がまだ設けられていない。これはどうも私も腑に落ちないのですが、それならば聞き方を変えてこういうふうに聞きましょうか。
 今月の二日、三日と第五回の日米装備技術定期協議というのが開かれておりますね、これは一体共同委員会とどういう関係になるのか。またこの定期協議では、アメリカ側が欲しがっている日本の民間企業の持つ技術というものについてのリストなり何なり出しているのじゃないかと私は思いますが、どうなっているのか。
○北村政府委員 御質問の前段につきまして私から御答弁をさせていただきまして、装備技術定期協議そのものにつきましては関係当局から御説明をいただくということにいたしますが、まず、武器技術共同委員会と、それから御指摘の装備技術定期協議との関係はどうであるかということでございますが、装備技術定期協議と申しますのは、装備技術面における日米防衛当局間のいわば非公式の協力関係でございまして、非公式な会合でございますので、対米武器技術供与問題と直接の関係を持ったものではございません。
 ただ、対米武器技術供与との関連で、例えばアメリカ側がどういう技術が欲しいと考えておるとか、そういうようなことがこの装備技術定期協議の場で話し合われるということはあり得ようかと思いますし、そういう語が武器技術共同委員会に伝わるということはあろうかと思います。そういうことでございます。
○木下政府委員 ただいま北米局長からお話がありましたとおりでございまして、五十五年から防衛庁と国防省との間で装備技術面に関する協議を行っておりまして、その中では当然そういう技術面での協力の話は上がってまいりますが、特に今回の武器技術供与を目的として会合を持つわけではございません。先日開かれました会合におきましては、まだ具体的に何らアメリカの方からこういう技術を欲しいということは言ってきておりません。
○清水委員 本当に言っていないかね。私はどうもちょっとその辺理解ができないのだな。
 木下装備局長の前任者の和田さん、装備局長だったね。彼がこういうことを育っているのだな。「正論」というこれは八二年二月号ですけれども、「防衛の基礎技術と情報」というようなことでの特集材の中で、「日米技術協力−まず共同研究・開発から」というテーマで出ているのですが、和田装備局長は装備局長という肩書で答えているのだけれども、この雑誌の中で、「米国が日本のどんな技術を欲しがっているのかという点に、ついては、米側に対し私にはいわないで欲しい、といっている。」こう言っているのですよ。これはどういう意味ですか。したがって、実際にはミッションが来た、あるいはこの間定期協議があった。欲しい、欲しいというようなことがたくさん言われているにもかかわらず、直接あなたに聞くとそんなことは聞いたことはない。だから、これは私、附に落ちないからちょっと聞かせてください。
○木下政府委員 私の前任の局長が、その雑誌の対談でそういうふうにしゃべったということは、私もその対談のコピーを読みましたので知っておりますが、昨年私が七月に第四回の装備技術定期協議がありましてワシントンヘ行きましたとき、それから十一月に国防省の防衛技術審議会のメンバーが日本にやってきましたときにもずっとこういう問題について非公式な意見交換をしておりますが、まだ具体的なものは今から考えるというような感じでございます。
○清水委員 僕は、あれほど急いで、無理に無理を重ねて、アメリカに我が国の武器技術の供与というような方向に踏み切らざるを得ないという状況までつくらせてアメリカ側がてこ入れをしてきた、てこ入れという言葉が適当であるかどうか別として。ところが、交換公文の取り交わしをした、さて具体的な作業を進めるための共同委員会はどうかと言うとまた決まらない、いつやるかと言うとできるだけ早く、欲しい技術を言ってきたかというと何にも言ってこない、こんなばかなことがあろうはずがない。しかし、現実にあなたがそう言っているのだからこれは仕方がない話なんだが、例えば和田局長はこういうことも言っているんだな。
 これも僕はどうかと思う発言なんだけれども、武器技術供与の問題に関連して、編集者の方から「さっき、きれいごとを色々聞いたが、少し本音の方も聞きたい。」こういう質問をしている。「アメリカの立場からいうと、日本は非常に取引の相手としていいと思う。なんとなれば、日本は武器輸出をしない、絶対しない。アメリカに対しては、検討の結果によってはあるかもしれない。ということは、絶対浮気しない彼女みたいなものだから。貞操堅固この上ない。これは本当、女房にしたいと、そう思うだろう。だからアメリカの目からは理想的な彼女ですね。」NATOなんていうのは、そこへいくと、「覚えた手練手管をもって、」云々というようなことを言っているんだよ。装備局長が現職のま言っているんだ。それほどのことまで言って、当時も国会の中では、何も具体的なことは言っておりませんとあなたが今言われたようなことを言っているんだが、外ではここまで言っているのですよ。だから疑問を持たざるを得ないので、何かあるのだったら包み隠さず言ってください。
○木下政府委員 その雑誌の中で、なぜ私の前任者がそういうふうな発言をしたのか私は承知しておりませんが、ただアメリカ側の立場としては従来から、五十六年に我が国に対して武器技術供与についての要請をしましたときにアメリカ側の姿勢としては、従来から一方的にアメリカ側が技術を日本に出すだけであった、したがって、日本の武器の政策については知っているけれども、アメリカについてはそういうような状況だったので、双方通行にしてほしいというような希望を表明してきたからでございます。それで、まずその双方通行にできるような政策を日本の方ではっきり出してほしいというような希望を持ってそういうような要請を出してきたと私どもは聞いておるわけでございます。したがいまして、そういう態勢ができて以降、アメリカとしては具体的にどういうものを日本からもらえるかという点を研究するというふうに私は考えております。
 それから、具体的な技術につきましては、はっきり日時を覚えておりませんが、アメリカの国防次官補をしておりましたウェストという人がアメリカの議会で発言しましたときに、具体的な技術に対する要望は今のところ持っていないというような証言をしたことを記憶しております。
○清水委員 今装備局長が、相互交流というようなことをやりたい、こう言ってきておる、こういう話ですが、実は最近一年間の経過を見ると、日本へ輸出をするライセンス技術というものが第三国、特にソ連に流出をする懸念がある、だから今後は日本から求められるライセンス技術についての日本への技術移転というようなことはやらない、もしくは著しく制限をする。現にそれを求めている企業がそうした技術が供与されない、提供されないという状況の中で大変に困り扱いているというようなことが通産省の報告などでも明らかにされておるわけなんでありますが、そういう状況が最近一年間出てきておるところへ、今後は我が国の企業が大変なリスクを負いながら、またすぐれた人材の努力によって開発をした技術、これがアメリカの必要に応じて、一方的に必要を満たすために流出をさせられるということは、これは片手落ちになりはしないか。
 かてて加えて、例えばアメリカヘ出ていった技術は公表されないわけなんだから、原則として細目取り決めでも、どういう技術が出ていったかというようなことは明らかにならないわけでしょう。そういう中で第三国へ例えば移転がされる、もしくは民生品になって輸出をされるといったようなことが起こり得るわけですから、そうなってくると、我が国の供与をした技術というものを通じてアメリカなり第三国なりが一定の競争力を持つ、日本製品と競合関係に陥る、一敗地にまみれるというようなことだってあり得ると思うのだけれども、こういうことを考えると、どうも交換公文をずっと貫いている中に一方的に我が国の技術だけが積極的に供与されるというような方向になる、国策上、国益上のデメリットというのがあるのじゃないか、私はそう思うのですが、外務大臣、いかがです。
○安倍国務大臣 一応の武器技術の日本からの供与については、枠組みは御承知のように決めましたけれども、まだ具体的なそれじゃどういう武器技術が欲しいというアメリカ側の要諦は何もない、その段階で、今これからいろいろと細目取り決めとかいうことになってくるわけでございます。これはこれからの問題だ、こういうふうに思うわけなんですが、同時にまた、武器技術のアメリカヘの供与は、アメリカからは一方的に今まで武器技術が入ってきておりますし、あるいは武器そのものが入ってきておる、そういうことで、相互交流をしなければならぬ、それから同時にまた、安保条約の効果的な理用も図っていかなければならぬということでこれは決断をしたわけでありまして、そうしてこの取り決めによりまして今後武器技術がアメリカに移っていくという場合におきましては、これはMDAの協定に基づきまして、アメリカヘ移った武器技術が第三国に渡るということについては日本の了承といいますか了解なしにはできないということは、MDAの協定あるいは細目取り決め等においてこの辺はもう明記しているわけで、その辺のところは歯どめをして行うわけであります。
○清水委員 そうすると、外務大臣、第三国への移転ということはありませんね。チェックできますね。
○安倍国務大臣 武器技術についての第三国への移転については、日本側の了承なしにはこれはできない、こういう建前であります。
○清水委員 つまり、事前同意がなければ移転ができない、こういう理解でいいですね。
 さてそこで、御承知のようにレーガン大統領が広大なるレーガン戦略なるものを一般教書の中で明らかにしておるわけですが、例えば宇宙ステーションを打ち上げる、さらにこれを受ける形でワインバーガー国防長官は、現に打ち上げられている軍事術屋を撃ち落とす軍事用スペースシャトルを打ち上げる計画を進めたいなどといったような構想なり計画なりをこれから進めるというわけですね。宇宙ステーションの打ち上げに約十八億ドルの調査費をつける。十八億ドルというと約四千億円になりましょうか、これは膨大なものだと思いますね。そして現実に、まあ「スター・ウォーズ」という映画もありましたけれども、つまり宇宙戦争というものを想定をしながらその面でもソ連に軍事力の面で優位性を確保する、こういう構想がどんどんと進められようというわけです。
 そこで、これから次々に求められる我が国の例えば軍事百用技術、武器専用技術あるいは汎用技術といったものが、そうしたアメリカの軍事力増強戦略の一翼を担うという形にどんどん用いられていくというようなことになりますと、我が国はいわゆる平和国家としての立場を守り抜かなければならないという立場があるわけですから、この点と明らかに矛盾を来す、こういうふうに思わざるを得ないわけです。これはどなたに聞いたらいいのか知りませんが、防衛庁かな。
○倉成委員長 科学技術庁長官。
○清水委員 いや、科学技術庁の仕事じゃないと思うよ、そんな話は。わかるかね、それ。
○岩動国務大臣 アメリカの宇宙基地計画につきましては、去る一月に……(清水委員「それはわかっているのですよ。僕はそんなこと聞いているのじゃない」と呼ぶ)そこで、その大統領の考え方もあくまでも平和的な利用の問題としてこれを考え、私どものところにもNASAの長官から、総理大臣のところにも書簡が来ているようでございますが、私にあてましても書簡が届いて、そして近く日本にもやってきて協議をしたい、これはあくまでも平和を目的とした計画である、こういうことでございますので、私どもは宇宙についてはあくまでも平和利用、また、国会の御決議もありますので、それを踏まえて今後検討さしていただきたい、かように考えておるところでございます。
○古川政府委員 お答え申し上げます。
 今お尋ねの件は、国防報告にもストラテジック・ディフェンス・イニシアティブという言葉で言われておるところでございまして、これは既にソ連がそういう形のものをかなり開発をしておるというのが前提でございまして、これにおくれをとってはならじということで、一九九〇年までに果たしてできるかどうかということの具体的な調査をやろうということで、十七億四千万ドルの要求ということを議会に対してしておるようでございます。
 このポイントは、打ち出しました弾道ミサイルというものが到着する前に落としてしまおう、飛び上がった瞬間、あるいは空中を、宇宙間を飛行している瞬間、あるいは最終のターゲットに近づいた瞬間において落としてしまおう、いずれにしても爆発する前に落としてしまおうという戦略でございまして、ある意味では画期的な一つの考え方でございます。
○清水委員 私はそういうことを聞いたんじゃないんだよ。弱っちゃうんだな、外務大臣。
○安倍国務大臣 今、古川参事官も言いましたように、弾道ミサイル計画というのはアメリカにとりましてはあくまでもアメリカの安全保障、防御的な兵器ですから、そういう面でまた日本から、これは将来のことですが、たとえ武器技術の供与ということがあったとしても、あくまでもこれは防御的なものであって、いわゆる平和を守る一つの手段、安保条約のいわゆる効果的逆用という中で理解されればこれは供与されるものであろう、こういうふうに解釈いたしております。
○清水委員 これは大いに意見のあるところですけれども、時間の制約がありますので、別の機会に一回改めてディスカッションをさしてもらいたいと思います。
 次に、エネルギー政策に関連をするのですけれども、最初に大蔵大臣、石油税を一・二%上げることになった、LNG、LPGの課税を新たに一・二%行うことになった、こういうわけでありますが、これは釈迦に説法ですからそもそもなどという沿革は言いませんが、石油税創設の際に、一般会計に積み残す額については特会が必要な場合には繰り入れをする、こういう立場で石油税が発足をしているわけですね。ところが、輸入量が減った、あるいは値下げがあったというようなことを通して全体として特会財源が不足をする、不足をしたらまさに積み残し額から、これは今約五千億あるでしょう、繰り入れれば済む話なんです。ところが、それをあえてやらずに増税ないし新税の創設という形で転嫁をする、これはいかにも「増税なき財政再建」という基本にも外れているし、また、石油税創設の沿革からいってもおかしい。第一、通産省の方は、この一般積み残し額を北方領土などと称してその返還を求めると大蔵省にやかましく言っている。僕は、北方領土だなんというからなかなか返ってこなくなってしまう、こういうことを言っているのですけれども、こういういきさつもあるわけですから、僕は、安易な増税でカバーをするのじゃなくて、積み残し額から特会に繰り入れることによって石油税の増税、LPG、LNGの新税の創設はするな、回避をしろ、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょう。
○竹下国務大臣 今、清水委員おっしゃいましたように、そもそもという話は別といたしまして、私どもも、この問題については種々、今お話のありました北方領土という問題も含めて議論のあったところであります。最終的にはもちろん政府一体の責任でこれをお願いすることに決めたわけでございますが、やはりエネルギー供給構造を考えてみますと、中長期的な観点でこれはやらなければならぬ。したがって、エネルギー対策の基本的枠組みの中で施策を推進していくという考え方から、言ってみれば中長期のことを考えながらこのたび増税をお願いした、こういうことになるわけであります。
 そもそもという話を申し上げるつもりはございませんけれども、この種の特別会計と一般会計の間の、俗に我々が政治家的議論をする場合には貸し借りとかいうようなことを申しますが、そもそも国の中のことでございますので、言ってみれば貸し借りというものが数字の上では出てきますが、されば金利がつくかつかないかとかこういう議論はしないわけでございます。そうして、厳しい財政の中で今日いろいろな施策に対応しておりますがゆえに、その分を別途積み立てて残しておるものでもないというようなことから総合的に判断してこのことをお願いして、予算にもまた法律案でもお願いをしよう、こういうことになったわけであります。
 それから二番目の御指摘でございますが、石油税というものが、そもそも便益性の高い有限な資源であるということに着目して代替エネルギー対策費等に当てられておるわけでございますから、今回の石油税法の改正において天然ガス等のガス状炭化水素を課税の対象とするということは、言ってみれば石油税の課税の趣旨の枠内で行うことでございますので、これは、いわば大きく租税負担を変えるような新たなる税制上の措置をとるということを戒めておられますところの「増税なき財政再建」という問題の外において理解していただける問題ではなかろうか、このように考えたわけであります。
○清水委員 実は昨年十一月に改定をされておりますが、「長期エネルギー需給見通し」これが出されているわけです。これを例えば六十五年なり七十年なりにかけて達成していくためには、相当な資金を必要とするわけですね。今どのくらい要るかというようなことは必ずしもはじき出されていないようですから触れません。
 そこで、そうした需給見通しを達成するために必要なエネルギー財源というようなことで、ひそかに海外旗への課税といったようなことが検討されている、こういうふうにだんだん累が広がっていくというようなことになりますと、これはいささか安易に過ぎた増税論になるのではないか。今、臨調の言っている意味はそういう意味じゃないんだと大臣は言われるけれども、一体どこまでこれは広がるのかという、国民の側から見れば素朴な懸念がこれは出てくるわけですから、僕はそういうことをきちっと、例えば海外炭への課税なんというようなことは今考えていない、将来やらないといったようなことを明確にしてもらう必要もあるし、そういうことも含めて少し税制について御意見を申し上げたわけなんです。いかがですか。
○竹下国務大臣 海外炭とかそういう問題に対する知識が実はございませんので、そのお答えはあるいは通産省からでもお答えいただけるかと思うのでありますが、今おっしゃいました趣旨は、おまえは言ってみれば特定財源だから、足りぬときなら上げても勘弁してくれ、こういう答えをしているのじゃないか、しかし、特定財源といえどもやはりこれは財政の大きな一分野を占めるものであるから、安易に増税などを考えてはいかぬぞ、こういう戒めであろうと思っております。その戒めを体してやはり対応していきたい。今度の分はぎりぎりやむを得ざるものだった、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○清水委員 私としては理解のしがたいところでありますが、さらに議論を重ねていくということにいたしまして、そこで、今石油特会の話も出ているわけでありますが、僕は、この際、石油特会の歳出の洗い直しというようなことについて検討してしかるべきときに来ているのではないか、こう実は思っているわけなんです。
 具体的に申し上げた方がわかりやすいと思うのですけれども、石油の国家備蓄というものがある。とれは五十三年から始まっているわけですけれども、当時は消費量が百万キロリッター・パー・デー。そこで、国家備蓄として三十日分を積もうじゃないかということになって、これは我が党も賛成しました。安定供給の確保というようなことで必要だろうと賛成した。ところが、御承知のようにその後省エネ政策があり、代替エネ政策も進み、また景気のこうした低迷もあったりして、コンスタントに、今日的に言えば消費量は五十四万キロリッター・パー・デーに落ち込んでいるわけですね。しかも、昨年十一月に打ち出された「長期エネルギー需給見通し」これによりますと、ここに資料があるけれども、通産省で出したものをひもといても明らかなように、六十五年度になっても七十年度になっても石油の消費量はずっと横ばいでいくということですよ。それはほかの代替エネルギーが開発導入をされるというようなこともありますからそうなる。そうだとすれば、五十八年度三月末をもって千五百万キロリッターの備蓄が達成されるのです。現在千三百七十何ぼになっているでしょう。三月末で千五百万キロリッターが達成される。五十四万で割りますと二十八日分ですよ。だから、かつて立てた三十日分の備蓄というものは、おおむねそれに近いところまで今日達成されてきているというわけだ。ところが、需給見通しの変化というものがあったにもかかわらずあくまでも三千万キロリッターの備蓄をやるんだ、そこで、来年度予算の中では千四百何十億という例えば備蓄費、これを国家備蓄という形で積んでおくために、今四カ所で石油備蓄基地をつくっていましょう。一カ所平均二千億からかけているわけです。それに対する利子補給分として約三百億近いものを予算化をしている。こんなものは実にむだなんじゃないか。景気が低迷を脱し、成長度が進み、石油の消費が加速的にふえるという見通しを立てているなら別ですよ。
    〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
昨年十一月に立てた具体的な需給見通しの中でも、六十五年度になっても七十年度になっても、今の二億四千万キロリッターということで横ばいでいくというのですよ。だったら、何でそういう変化を織り込んで国家備蓄を見直すという態度をとらないのか、承りたい。
○小此木国務大臣 おっしゃるとおり、石油需給の問題は、需要の減退から緩和基調にあるということはそのとおりでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、中東の情勢は依然として非常に不安定でありますし、また、我が国の原油供給は中東への依存度が非常に高いわけでございます。このような観点から、国家備蓄の目標を見直すという段階ではございません。
 数字的な詳細な点は、事務当筒から説明いたさせます。
○清水委員 数字的な説明は要りません。
 私は、大臣、誤解されては困るのですよ。政府が立てた三十日分の国家備蓄は必要だ、こう言っているわけですよ。ですけれども、現に需給関係の変化を通じ、八年後も十三年後も含めて、長期需給見通しによれば石油の消費量がふえないと言っているのです。二億四千万キロリッターでいくと言っているのですよ。だとすれば、いいですか、わかりますか、三十日分というのは一日の消費量が百万キロリッターのときに立てたやつだ。今は五十四万キロリッターに減っているわけだ。そして、これから先もずっといくというわけでしょう。だから三十日分の備蓄が例えば中東等の事情があるから必要だ、これはそのとおりです。私も賛成なんです。けれども、事情が変わっているのですから、何も三千万キロリッター積まなければ三十日分ということになってないわけなんですから、この点、僕は少し洗い直して見直したらどうだ、こう言っているのですよ。
○豊島政府委員 当初、石油備蓄を国家備蓄三千万キロリッターというときは、確かに先生御指摘のように大体三十日分であったということは事実でございます。それで、なぜその程度のものまでは積まなくちゃいけないのかということは、当時IEA諸国の平均の備蓄量というのが大体百二十日分もあった。したがって、九十日の民傭に加えて国家備蓄は三十日ぐらい持つということは、IEAの諸国といいましても、ほとんどの国は日本よりもずっと石油依存度が低く、中東依存度も低いわけでございまして、御承知のように、イギリスのようにほとんど全部自国で賄えるところもあれば、西独とかアメリカも非常に石油依存度が低い、しかも中東依存度が低い。したがって、IEAレベルまでは少なくともやろうというのがそのときの状況であったわけです。
 最近、それではどのくらいの量になったかというと、現在の一日の使用量でいくと、確かに五十日を超える分ぐらいに三千万キロリッターはなると思います。しかし、その後の石油情勢、特に中東情勢等々を見ますと、備蓄の必要性というのはますます強まっておるわけでございまして、現在IEAの平均はどのくらい積んでおるかというと、百六十七日分積んでおります。アメリカあたりは大体三百日ぐらいということでございまして、最も脆弱な日本のエネルギー供給構造から考えますと、この西欧並みの水準というものまでいけるかどうかは別として、先ほどの五十三日分を加えましてもこれよりも相当低いわけでございますので、我が国としては、この際やはり三千万キロリットルというのは最低限必要だ、その方針を変える必要はない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○清水委員 今いろいろエネ庁の長官から話があったのですけれども、イギリスとかアメリカというのは産油国ですよね、一面では。だから、ストックが多いのは当たり前なんですよ、これ。そうでしょう。そんな数字まで持ち出してきて我が国は低いというようなことを言われたってそれは困るのであって、また同時に、民間備蓄も約百日分になりましたね、今。ですから僕は、そういう観点からいって、備蓄しなくていいなんということは一回も言ったことはない、必要だということを強調している。ですけれども、今日、歳出の削減を各方面に行わなければならないほど厳しくなっている財政事情のもとで、ひとり石油の国家備蓄だけがまるで聖域のように何にも触れられないでこのまま進められるということはどうも納得がいかない。そこで、これは勘ぐりでなしに私は言わざるを得ないのだけれども、現在それぞれ四カ所で建設が進められていますね。トータルで言えば、土地代その他を含まずに約九千億以上の建設費を要している。これが全部できれば、例えば三千百八十万キロリッター分ぐらいのタンクの量になる。そうでしょう。そこへもっていって、私は備蓄コストをこの際聞かしてもらいたいと思うのだが、備蓄コストで言えば、今一千万キロリッター分以上の空タンクが民間企業にはあるわけですから、非常に安いコストで一定の期間契約をして、これを借りてここへ積み増しをするというような措置を講ずるならば現実に安いコストで備蓄ができるにもかかわらず、なお上五島以下三カ所に新しい立地をしようという、こういうことがありますね。これは私はあれこれ言いませんよ。言いませんけれども、それぞれの箇所の立地をめぐってマスコミ等にも伝えられるような政治家の動きが出るとか、利権絡みの暗い影があるとか、いろんなことが取りざたをされている。そういうときであればなおのこと、この際私は、需給関係が緩和をされて先行きの見通しもはっきりしているんだから、しかもIEA自身だって、さらにOPECは値下げをするかもしれないと言っているようなやさきに、今の価格で急いで積み増しをするなんというようなことはどう考えたって理解がいかない。僕はこれは一種のむだじゃないかと思うのだが、行管庁の長官、どうですか、安らかにされているときに申しわけなかったが。
○豊島政府委員 幾つか御指摘ございましたが、一つは、要するにアメリカとかイギリスは産油国である、こういうことでございます。もちろんそういうことはございますが、要するに輸入に対して何日の備蓄を持つかということが大事でございまして、国内の生産というのは、当然のことながら災害があるとかストライキがあるからということで、供給不安は、全くゼロということはないかもわかりませんが、主として石油の供給断絶というのは中東の一次、二次ショックによって起こったようなことでございます。そういう意味からいうと、日本としては、先ほど申しましたように、IEAの基準以上に持つということはどうしてもエネルギーの安定供給上必要かと思います。
 それから第二の点は、国家備蓄基地、三千百幾らぐらいあるじゃないかということでございますが、これは四地区でなくて六地区でそうなるということでございます。ただ、それで三千万キロリッターの備蓄をするのに十分かといいますと、これはタンク容量でございますので、実際に貯油するに当たりましては、消防法その他の関係がございましてある程度の空きタンクを設けるということでございますので、六だけではもう少し足らないということも言い得るかと思います。
 それから民間備蓄タンク、民間のタンクが相当あいている、それは安いから使ったらどうかということでございまして、国家備蓄基地の建設もいろんな事情でおくれておりますし、タンクの空きタンクもあるということで、これにっきましては国家備蓄基地のできるまでの間それをできるだけ活用する、それによってコストの低減を図るということも考えておるわけですが、いずれにいたしましても民間備蓄タンクにつきましては、一たん需要が変動する、あるいは先高観が見出されるときには、当然それがほぼ満杯ということになりまして、過去においてもちょっとした変動で沖でタンカーを待たせるというような事態がございまして、国家備蓄としていつまでも民間備蓄タンク、民間の空きタンクに頼っているということはなかなか難しい。したがって、最終的には三千万キロの備蓄に相当するタンクを持たざるを得ない。しかし、その場合におきましても、極力コストの低減、経費の節減等考えていかなくちゃいけない、むだ遣いをなくするということは当然でございまして、そのように努力いたしたい、こう思っておる次第でございます。
○清水委員 行管庁にも聞いておいてもらいたいのですけれども、今エネ庁長官からそういうお話があるのだけれども、仮に百歩譲って国家備蓄を今言われるように積み増しをしていくと仮定をしても、私は問題があると言わざるを得ないのです。それはなぜかというと、これは、国家備蓄は石油公団にやらしておるわけでしょう。そうでしょう。だから、本来なら石油公団の中に備蓄管理部というのがきっとあるのだろうと思うけれども、そういうものを置く、基地を建設中は、現地にはその出先で建設事務所がなんかを配置をする、でき上がって実際の備蓄を始めるようになったら、今度は管理事務所を公団が現地に置けばいいはずなんです。ところが、現在は御承知のように秋田なら秋田、福井なら福井、苫小牧なら苫小牧、むつ小川原ならむつ小川原という立地点ごとにみんなそれぞれの会社をつくる。いいですか、会社をつくる。今だって現に立派な東京のビルの中に本社が入っていますね。そして、少ないところでも七人、多いところは九人の常勤の役員がおられる。平取締役だって八十万円前後、社長クラスになれば百万円前後と言われる月給を取っておられる。三十人、五十人というような社員が配置をされている。たかだか国家備蓄なんという、そんな言い方を私はするつもりは毛頭ありません。備蓄をするというようなことは大変なことですから、所要の管理システムを持つということはいいと思いますけれども、現実に今私が申し上げたような各会社をそれぞれ独立をしてつくらして、無論役人のOBの方もそこに入っておられるけれども、そういう形で国家備蓄に当たらなければならないなんてことは、その分だけ備蓄コストを高くして、備蓄コストが高くなるということは最終末端消費者価格にそれが負担という格好でかぶさっていくわけですし、またそういうコストに対する利子補給とか補助金の支出というようなことを国が税金でやっておるわけなんですから、僕はそういうことはまさにむだなんじゃないか。高成長時代で財政が潤沢なときはいいかもしれない。しかし、あれもこれもということで今切り詰めて歳出をカットをしているようなときに、この面だけが相変わらずそのまま進んでいくというようなことは、これはいかにも問題じゃないかと私は思うのでありますが、後藤田長官、いかがでしょう。
○豊島政府委員 国家備蓄基地の建設、運営の進め方をどうするかということは、この問題をやるときに最初問題になったわけでございまして、石油公団自分でやったらどうか、先生のようなお考え方、そういう考えも当然あったわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、一挙に石油公団の機構、定員を相当ふやさなくちゃいけない、またそれだけ技術者を集められるかというようなこともございまして、どうしてもやっぱり民間を入れてやらなくちゃいけないということで、石油貯蔵設備の建設に経験といいますかノーハウのある民間企業を入れる、それからやっぱりこの建設に当たりましては漁業補償とかあるいは土地の買収、それから建設をいたしますときいろいろの地元との関係もある、こういうことで、公団が主たる出資者でございますが、民間企業あるいは地元を入れた第三セクター方式でやるという方法をとらざるを得なかったわけでございます。そういうこともございまして、公団で直接やらない。それから、会社をつくる場合も、地区別につくることがやはりこの事業をスムーズにやっていく上にどうしても必要であったということでございます。
 ただ、先生御指摘の、そういうことがあっても経費はできるだけ節減すべきじゃないかという御趣旨は当然でございまして、我々もそのつもりで指導しておるわけでございますが、特に今、役員経費、役員もたくさんいる、こういう御指摘ございましたが、その辺、経費につきましては一応民間の出資分の中で賄うということで、これによって国家の財政といいますか支出がふえるというようなことのないような配慮も、十分かどうかは別でございますが、そういうことも十分いたしておるということで御理解いただきたいと存じます。
○清水委員 この国家備蓄について、通産大臣、私の言っていることは、何もむちゃなことを言ったり途方もない発想で申し上げているつもりではない、現実に照らして申し上げているつもりなんで、ここで結論を得ようとは思いませんが、私の申し上げた中で傾聴に値する問題提起というようなのがありとするならば、今後具体的にあれこれと検討の材料にしていくというくらいなつもりで引き続き対処してもらいたいというふうに思うのでありますが、いかがですか。
    〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
○小此木国務大臣 清水委員のおっしゃる御意見、傾聴に値する部分、もちろんございます。しかし、この問題に対してはいろいろな経緯等もございまして、この目標を当分変える意図は我が方にはございませんということを、あえて申し上げておく次第でございます。
○清水委員 それでは、エネルギー政策に関連をしてちょっとIJPCのことについてお聞きをしたいと思います。
 外務大臣も総理の意を受けられながらイラク政府側にIJPCの安全確保ということを強く要望されたということを、私承知をしておりますが、残念なことに、過ぐる十二日でしたかプラントサイト等が爆撃をされた。やっと小康状態が保たれていて工事の再開にというやさきだっただけに、その影響というのは非常に深刻だと私も見ているわけです。もともとイラン革命がある、挫折がある、そういう中で、三井グループの要請にこたえて政府は、五十四年でありましたか、大平内閣の時代にIJPCをナショナルプロジェクトに格上げをしているわけですね。そして、自来、海外経済協力基金から二百億円を出資をするなどという方針も決めて、かなり強力なこれが推進に当たってきている。ところが、どうも最近の状況では果たして工事の再開ができるかどうか。三井は、もうただでさえやっていけない状況だったところへまた爆撃を受けた、この際むしろ撤退をするという方が賢明じゃないかなんといって、撤退を仮にするとすれば輸出保険で相当部分がカバーされるというようなメリットもあるわけですから、そんな動きもある。しかしそうなると、僕はやっぱり日本とイランとの間の象徴的な経済協力事業の一つだと思うのですね、そういうものに暗い影を落とすというようなことになりはしないか等々を含めて、IJPCについてどうするつもりでおられるのか、お聞きをしたい。
○安倍国務大臣 通産大臣のお答えもあると思いますが、私からまずお答えをいたしますが、IJPCにつきましては、今お話しのように、イラン側はこれは日本とイランの協力の象徴的なプロジェクトだ、こういうふうに考えておりますし、また日本側としても、三井グループはイランと協力してぜひともこれを完成をしたいということで、技術者も送りまして事業が進みかけたやさきに爆撃があったわけでございます。したがって、今技術者は退避している、こういう状況でありますが、イラン・イラクの戦争の状況が、一時心配をしておりましたけれども、現在では両国とも国連の調査団も受け入れよう、こういう意向が出ておりますし、さらにまたイランも、今後イラクの攻撃がなければイラクの都市攻撃はしない、こういうようなことも言っておるわけでございますから、今、相当心配しておるような状況からは一時的に小康状況になっておるわけでございますが、我が国としましても、そういう間にあってイラン・イラク両国に対しまして極力戦争の拡大の自制を求めておる状況であります。
 そういう中で、せっかくここまで盛り上がったIJPCのいわゆる協力関係でございますから、外交的な立場からいえば、これからの日本とイランとの関係を考えますときに、ぜひともこれが完成されることを我々は期待をし、そのための外交的な努力はこれからも引き続いてやっていきたい、こういうふうに思っております。
○清水委員 通産大臣はどうですか。
○小此木国務大臣 外務大臣の言われたとおりでございます。
○清水委員 残り時間が少なくなりましたので、またこの点は後で議論をするといたしまして、最後に、豪雪対策について自治大臣あるいは建設大臣にちょっと申し上げて、積極的な手だてを講じていただきたいと思います。
 率直に言って、今度の豪雪はあの五六豪雪以上の状況でありまして、全国各地に大変な雪害をもたらしております。わが党もけさ東北と北陸二方面に雪害調査団を派遣して、その実態の掌握、それから今後災害対策特別委員会等での取り扱いの材料に充てようとしているわけですが、例えば私の選挙区に、この間NHKのテレビにも出ておりましたが、飯山市なんというのがありますけれども、もう現に市街地が三メーター以上の積雪量である。年間降雪量の今までの平均は十メーターそこそこだったわけですが、もう十七メーターを超えている。倍近い状況になっている。したがって、除排雪費用の予算化されていたものが一億三千五百万円ほどありましたけれども、とうに一月の半ばに使い果たして、さらに一億以上支出をせざるを得ない状況。今後またまさにふえるかもしれない。これは何も飯山だけではなしに、全国の豪雪地帯共通の状況なんですね。
 そこで、来るべき特別交付税の交付に当たっては、残念なことに特交枠が五%くらい圧縮されているというようなことを聞いておりますけれども、去年十号台風がある、山陰の豪雨がある、秋田沖の地震もある、そういうところへまたこの豪雪ですから、枠がそのままだと結局甚大な影響を受ける自治体が、財政的にもどうにも首が回らないという状況になる、これが一つ。ですから、特交に、ついては十分配慮をしてもらいたい。
 いま一つは、これは建設省の仕事なんでありましょうが、五六豪雪のときには臨時市町村道除雪費補助というようなものが行われたわけですけれども、これはあの年単独で終わっているわけなんですね。ところが、歴史的に振り返ってみると、大体三年に一回ぐらいの割合で大変な豪雪があるわけですから、ある程度これをルール化して、市町村道の除雪に対して、普通交付税の中である程度豪雪時期の除雪費用なども加味されて配分をされるということを考慮されるべきときじゃないか。少なくとも、当面、今度の五九豪雪に対して市町村道の除雪費用補助というようなものを取り急いで出してやる。豪雪地帯は例外なく自主財源の乏しい、非常に苦境にある自治体ばかりなんですから、この点をぜひお訴えを申し上げて、一定の所信を承りたい、こう思います。
○水野国務大臣 自治省にわたるところは自治大臣からお話があると思いますが、建設省の仕事は、御承知のとおり国道それから直轄の県道が主でございます。これは御承知のとおりであります。建設省では、積雪寒冷特別地域道路交通確保五箇年計画というのがありまして、除雪、防雪、凍雪害防止及び除雪機械の購入の補助、これは御承知だろうと思います。こういうことをやってまいりました。
 時間がないからはしょりますが、今度の豪雪は、二月十五日現在の累計が、過去五年間の平均値を約五〇%上回っておるということも確認をしております。建設省自体ではもちろん雪害対策本部をやってまいりましたが、これでは今度の雪害ではとても規模が追いつかないということで、内閣の方で国土庁長官が本部長になりまして対策本部ができたということも御承知のとおりだろうと思います。
 そこで、建設省として今できることは何かといいますと、ほかの予算の流用、それから道路整備特別会計の予備費の使用を今検討をしてやっております。それで除雪費を何とか国道、県道分については確保していきたい。これは建設省のやれることであります。
 それから、市町村道につきましては、原則として先ほどの御質問にありましたとおり交付金で賄っていく、こういうことでありまして、ただし、この辺がもう既に市町村でも除雪費が底をついているというようなお話でありまして、これは国土庁長官が本部長でございますから、内閣全体としていろいろ今後考えていかなければならない、こういう事態にまで立ち至ったということを考えております。
 以上でございます。
○倉成委員長 簡潔に願います。
○田川国務大臣 御指摘のように、特別交付税の総額が前年度より減っておりますし、また、相次ぐ災害で随分使ってしまいまして、おのずから対応に限度がございますけれども、除雪に要する費用につきましては、関係地方団体からよく事情を聞きまして、普通交付税の処置額等を勘案しながら、ひとつ適切な処置をとってまいりたい、このように思っております。
○清水委員 終わります。
○倉成委員長 これにて清水君の質疑は終了いたしました。
 次に、島田琢郎君。
○島田(琢)委員 日米農産物問題について、まず外務大臣にお尋ねをいたします。
 外務大臣は先月訪米されるに当たりまして、私ども要請に参りました社会党の国会議員を前にして、これからアメリカに行って堀の深さをはかってくる、こう言い残してアメリカに行かれました。その堀の深さは深かったのですか、浅かったのですか。
○安倍国務大臣 これは農産物だけじゃなくて、日米の懸案問題全体について、交渉ではなくて腹を打ち割っていろいろ話をいたしたのでございますが、日米農産物問題に関する限りは、これは残念ながら非常にアメリカにおいても象徴的な問題になっておりまして、非常に政治的な問題にもなっておりまして、またその態度は非常にかたいということでございますので、私が想像している以上に堀は深かったという印象を受けて帰りました。
○島田(琢)委員 堀の深さは想像以上に深かった、こういうお話であります。
 ところで、外務大臣は在米中に随分たくさんのアメリカ政府首脳とお会いになった。このお会いになった人すべてと農畜産物の問題はお話し合いになったのですか。
○安倍国務大臣 農産物問題で話し合ったのは、ブロック通商代表、USTRの大使と、それからブッシュ副大統領が中心であります。その他議員の皆さんとも意見の交換はいたしました。
○島田(琢)委員 レーガン大統領とは、このお話はなかったのですか。
○安倍国務大臣 レーガン大統領との間では、一般的ないわゆる日米関係についての話し合いでございまして、農産物はもちろん具体的には話の中身としては出ませんでした。
○島田(琢)委員 今回あなたが訪米するに当たりまして、私どもは常識として考えられること、それは昨年の十一月に大統領が日本に来ました。そのときに、選挙が終わってからということで、一連の貿易摩擦を含めて先送りになってきたという事情がございますから、当然今回あなたがおいでになるに当たって中曽根総理から何らかのこの問題に対する指示があったと受けとめる、これが常識なんですが、そういうことはなかったのですか。
○安倍国務大臣 別に特別な指示があったわけではありませんが、日米間の大事な懸案であるからこれは十分話し合ってきてもらいたい、こういうことで、私もそれを踏まえて米側の指導者と話し合いをしたわけであります。
○島田(琢)委員 ところで、お立ちになる前日、対外経済閣僚会議懇談会、これは河本経済企画庁長官が責任を持っておられると聞いていますが、この会議が持たれていますね、官房長官。
○藤波国務大臣 前日に開かれまして、アメリカのいろいろな事情等について語り合われたところでございます。
○島田(琢)委員 官房長官、そこでは農産物の問題についてはどういう意思統一をなさったのですか。
○藤波国務大臣 関係閣僚それぞれの立場で意見を述べられましたけれども、そこで意見を取りまとめたということにはなっておりません。安倍外務大臣がお出かけになっていろいろまさに堀の深さを探ってこよう、こういう感じでございました。
○島田(琢)委員 農林大臣、何かあなたは外相訪米に当たって注文をされましたか。
○山村国務大臣 少なくとも農産物に関しては最終責任は農林水産省にあるので、これをお忘れなくということは申しました。
○島田(琢)委員 さて、アメリカにおられる間に日本にも随分たくさんのニュースがこの農産物の問題で届けられました。その中で特にあなたは記者会見でこう述べておられます。牛肉、オレンジの市場開放問題については道筋はついた、責任は果たし果たさなければならない、こういうふうに会見をされています。そしてまた、それをフォローするように米高官は、高官というのはどなたか明らかにされておりません、しかし、安倍外相は懸案の実質的進展のために明確で統一したメッセージを日本に持ち帰ることになる、こう言っておりますが、そうすると、先ほどブロック通商代表なりあるいはブッシュ副大統領なりとお話をされたという結果をもってこの記者会見が行われ、日米両国からこういう発表がなされているわけであります。これは米側が新しい提案を行ったということも含めて一つの示唆だと思うのですが、御見解はいかがですか。
○安倍国務大臣 私は、一昨年外務大臣になりまして以来、農産物の問題につきましては随分アメリカ側とも議論もいたしておるわけです。今度行ったときも随分議論をいたしました。アメリカとしてはこの問題は、先ほど申し上げましたように、日米摩擦の非常に象徴的な、そしてまた非常に政治的な問題としてこれをとらえている、どうしてもこれは解決をしなければならない、こういう姿勢でありました。そしてまた同時に、アメリカとしては譲るべきものは何もない、譲るのは日本である、こういう非常にかたい態度でございました。
 したがって、私は、アメリカのそうしたかたい態度に対しまして、そうしたかたい態度ではこの問題は到底決着ができない、アメリカにとっても象徴的な問題であるとすれば、日本にとっても象徴的な問題である、また同時に政治的な問題でもある、だから、これはやはりアメリカにもっと柔軟な姿勢で臨んでもらわなければこの問題の解決は不可能であるということを強調いたしまして、農産物あるいは農業問題等についても随分議論を闘わしたわけでございますが、その結果といたしまして、アメリカ側としては、いわゆる今後の農産物交渉に当たっては少し懐を開いて交渉に応じようという、弾力的な姿勢を見せたわけでございます。
 したがって、アメリカがそうした弾力的な姿勢でこれに対応するということになるならば、日本としてもこれに対応しなければならぬ、そこには農産物問題を解決する一つの道筋というものが出てきた。当初私が参りましたときのアメリカ側の姿勢、態度では、到底解決の見通しというものはあり得ないというふうに私は思っておったわけですが、帰る段階になりましてアメリカにも弾力的な姿勢が見えてきた、これならお互いに十分冷静に話し合えばこの問題は解決ができるのじゃないか、こういうふうな判断を私はいたしましたので、そういうことを記者会見でも発表いたしたわけであります。
○島田(琢)委員 しかし、あなたはその後また会見をなさって、双方の主張になお開きがある、こう述べておられる。これはかなり具体的だと私は受けとめるのです。双方の主張に開きがあるということは、向こうからも何か提案がされた、こういうことを示唆するものでしょう。我が国の方からこれこれという具体的な量を示さないまでも、あなたの気持ちの中にこれぐらいのところならという思惑が一つあって、アメリカ側から提案されたものと比較されて、なお双方の主張に開きがあるとお述べになったのではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
○安倍国務大臣 私が農産物問題についてアメリカ側と話し合ったすべては先ほどお話ししたようなことであって、具体的な数字の問題、数量の問題、そういうものを挙げての話は一切しておりません。これはまさに農林大臣がおられるわけですし、農林大臣のお話のとおりであります。そういうものは一切話をしていない。ですから交渉したわけじゃないんですね。しかし、私もこれまでアメリカ側との間ではいろいろと農産物問題について話をしておりますから、大体アメリカ側が何を言わんとしているかということはある程度わかったわけであります。そういう意味で、私も農林大臣をやった経験もありますし、感じとしてアメリカは柔軟性を持ってきた、しかし、日本とアメリカとの間ではまだまだ相当の開きがあるということを私は感じとしてつかんだ、しかしこれは決して解決できない道ではない、そういうふうに今思っておるわけであります。
○島田(琢)委員 しかし、普通の常識なら、あなたが農林大臣を務められた経験からいう勘でお考えになったといっても、これは大変重要な段階に差しかかっておりますから、記者会見一つなさるのでもかなり用心をしなければいけないわけで、こういう言葉を一つ聞いただけでも、国内におります生産農家の間には大変大きな動揺が生まれてくるのであります。ですから当初、堀の深さをはかりに行かれた、こう言いながらも、実はあなた自身が相当の任務を負って行っているのではないか、こういうふうに国内でも騒ぎになりました。あなたの所属する自民党の中でも、安倍外務大臣は必要以上のことをアメリカでやってきたのではないかと騒ぎになりました。やはりそういう点を明確にする必要があると私は思うのです。もう一度お答えをいただきたい。
○安倍国務大臣 その点につきましては、確かに私の党内におきましてもいろいろと誤解や疑問等がありまして、これはやはり説明をきちっとしなければならぬということで、帰りましてから説明をいたしまして、政府、さらに党の関係者の皆さんは、先ほどから私がるる申し上げましたような私のやってきたところについて十分な理解をしていただいた、こういうふうに考えております。
○島田(琢)委員 しかし、その後しばらく静かな感じではありましたが、水面下ではやはり動きがありました。自民党の中でも相当の議論がなされているようであります。その点は今いみじくも大臣が党内事情をお話しになりましたから重ねて言う必要はありませんけれども、これは自民党の中もなかなか大変だ。こういうことが連日新聞の紙面に大なり小なり載っておりますので、これには国内の注目が大変集まっているところであります。そういう中であなたがアメリカに行っていろいろなことを話をしてきた。時にはいろいろな密約に近いものもされたのではないかということを勘ぐりながら、しかし、安倍晋太郎という人間を生かすも殺すも日本の政界次第だとまで言う。こうまで言われても、あなたは今まで私に説明したことに固執されるのか。私どもはやはり何かある、こう勘ぐらざるを得ない。その点はいかがですか。
○安倍国務大臣 私が参りまして話をしたのは、日米間の問題については農産物だけじゃありませんで、日米間の全体の懸案問題について話をしたわけであります。それは、昨年の十一月にレーガン大統領が日本にお見えになった、そのいわゆるフォローアップという形においてもある程度解決をしなければならぬわけでございます。そういう問題について我々は話し合ったのですが、しかし、これはあくまでも交渉ではないのですね。先ほどから申し上げましたように、アメリカの考え方をもう一回掘り下げて聞いてくる、そういう中で日本の現在置かれておる立場、そしてまた日本の考え方というものも率直に説明する、こういうことを繰り返してきたわけで、そのことによって、日米間の懸案をこれから処理していく上においては、私の訪米はそれなりの意義があったというふうに私は考えておるわけです。
○島田(琢)委員 しかし、昨日の新聞でありますが、各紙とも、これも大きい小さいの差はありますけれども、日米農産物交渉の問題について報道されております。その後ハワイで開かれた牛肉、オレンジの周辺問題に関する日米農産物交渉から帰国した農林省の眞木経済局国際部長はこう言っていますね。「オレンジの輸入枠を拡大した場合、拡大分の一部を新規の輸入業者に配分する」と。拡大という前提でこの周辺問題が話し合われているという事実がある。そしてまた牛肉につきましても、畜産振興事業団の運用の改善に当たって、これも日本が新たに輸入をする場合に、例えばステーキ用に切り分けた牛肉などが含まれて検討がされている。
 こうなってきますと、オレンジも牛肉も拡大という前提に立って既に事務当局では折衝がなされているじゃありませんか。事務当局が勝手にこういうことをやっているというふうにでもおっしゃりたいのか。政府の事務当局に対する一定の指示がない限り、事務方は動くことはできないはずであります。こういう前提に立って既にハワイで合意をしてきたと報告されているのであります。農林大臣はこの報告を受けましたか。
○佐野政府委員 お答えいたします。
 現在、私どもが牛肉、かんきつの問題につきまして米側と協議を行っておりますのは、この前の東京ラウンドのときの牛肉、かんきつの合意を踏まえて、その合意事項の中にあります次の協議に関する規定に基づいてやっておるわけでございます。その規定によりますれば、例えば高級牛肉の場合につきましては、高級牛肉の輸入を一層拡大する方途につき協議をするということになっておりますし、オレンジの場合につきましても、貿易機会を拡大するということについて協議をすることになっておりますから、程度の問題はともかくといたしまして、拡大の方向で協議が行われるということは既に東京ラウンドのときに決定済みのことでございまして、私どもが新しく何か越権的なことをやっておるという趣旨のものではございません。
○島田(琢)委員 そうすると農林大臣、東京ラウンドで拡大の方向でというお話が今経済局長からされましたが、この拡大はどの程度までという目安、この際私は目安と申し上げておきますが、あるいは目安以上に具体的にこの辺までだという指示がされてハワイの事務協議が行われたのかどうか。責任はやはり農林大臣が負うべきものなんでしょうから、あなたが指示されたかどうか、その点をお聞きしたい。
○佐野政府委員 事実関係でございますので、私から答えさせていただきます。
 今回の協議は、枠の拡大の程度に関する問題は協議の対象外でございますので、その点につきましては、そもそも立ち入るべからずという御指示をいただいて代表団は出かけたわけでございます。
○山村国務大臣 交渉の中身についてはお許しいただきたいと思います。ただ、私といたしましては、いずれにしましても、日米農産物交渉に関しましては日本農薬を守るという立場を堅持してまいりますし、特に一昨年、昭和五十七年でございますか、農林水巌委員会、昭和五十七年四月二十二日、「農畜水産物の輸入自由化反対に関する件」の決議、そしてまた本年の一月、農林水産委員会からの「農畜産物の輸入自由化・枠拡大問題に関する申し入れ」の趣旨を踏まえまして、農業者が犠牲にならないように、我が国農業が着実に発展するということを念頭に置いて交渉に当たってまいります。
○島田(琢)委員 交渉の内容については発表できない、こう言われると、これはもう一遍勘ぐらざるを得ないのであります。今局長は、東京ラウンドでの枠拡大という合意事項に基づいて枠拡大の関連対策に話を限定してきたのだ、こう言ったから、私は正直ですからそうかなと思って聞いておりました。そうしたら、交渉の中身については公表できないと言う。まさにその交渉の中身が聞きたいのに、そこのところをお隠しになるとすれば、何かあったとまた勘ぐらざるを得ない。どうなんですか。
○山村国務大臣 いずれにしましても、我が国農業を守るという立場で交渉に当たりますので、トランプで手の内を相手に見せてしまって交渉をするようなことはできませんもので、これはお許しいただきたいと思います。
○島田(琢)委員 それでは、我が国の農業を守るという、その守るという線はどこですか。
○山村国務大臣 今後も我が旧農薬が着実に発展するということを念頭に置いております。
○島田(琢)委員 そんな答えじゃ答えになっておらぬじゃないですか。今生産者がみんな心配しているのはそこなんです。向山化になってしまうのか枠拡大なのか、枠拡大といったらどこまでが我が国の国内の生産振興に支障のない線なのか、これを明らかにしないといけないのじゃないですか。農業に影響を及ぼさない線、こんな抽象的なことを脚いても、それが一体何万トンまでなら農業に影響を及ぼさないのか、その点、明らかにしてください。
○山村国務大臣 今から交渉をするわけでございますから、ここまでがなどと言って交渉したら交渉になりませんもので、ひとつお許しいただきたいと思います。
○島田(琢)委員 どうやら国民の心配はだんだん本当になっていくのではないかと、いよいよ私も心配になりました。
 外務大臣に重ねて聞きますけれども、あなたの元農林大臣というキャリアは、やはり外務大臣としても行けば相当自覚をされ、また向こうもそういう目で見られるでしょう。そしてまた将来のニューリーダーだなどと言われておりますから、そうなってくれば、アメリカは相当あなたに対して……(「将来なんてことはない」と呼ぶ者あり)今ならなおいいよ。しかしまだまだそうはなりますまい、この総理がおるのでありますから。
 そういう中で相当な話し合いがされただろうという心配、こういう気持ちが相当深刻に全国に広がっています。あなたに対するそういう疑いと同時に、また安倍さんならその点もよく理解してくれて、我が国の農業を守ってくれるだろうという期待と両方ある。この際、あなたがアメリカに行かれたときの問題についてもう一遍正確に、しかもはっきりとお答えいただく、こういうことでないと私は承知できない。
○安倍国務大臣 先ほどから申し上げましたように、私は交渉に行ったわけではありませんが、しかし、農産物問題も相当差し迫っております。御承知のように、三月三十一日にこれまでの協定が切れるわけですから差し迫っております。それで、新しい協定を結ぶかどうかということについて、これまで日米間で何回かにわたって熱心な論議が行われていることも事実であります。私はそういう背景を踏まえて、この問題がアメリカにおいても非常に政治的に象徴的な問題になっておるし、また日本においても非常にセンシティブな政治的な問題になっているけれども、これは三月三十一日に切れるのだから、日米間で円満にこれを処理しなければならない、これが日米間に非常に悪い影響を与えてはいかぬ、こういうことでアメリカとも話をしたわけでございます。
 その背景として、例えばブッシュ副大統領との間においては、日本が一方的に譲るべきだという話がありましたので、それはできないということもお話をいたしました。そして、この農業問題あるいは農産物というのはどこの国でも保護政策をとっておる。アメリカだってそうだし、日本だってそうだし、ヨーロッパだってとっておることであるし、ヨーロッパとの間には、御存じのような補助金の問題をめぐって米欧間で大変な対立もある。あるいはまた、島田さんも保御承知のように、ガットができるときの状況を見ても、アメリカは十二品日を先にウェーバーでとっておる。こういうふうなことも話をいたしまして、お互いに農産物については保護政策をとっておるので、どちらか一方が正しくて、どちらか一方が悪いということではなくて、やはり話し合いでこれは解決をしていくべきだということを強調もいたしました。そして、それには今のアメリカが一歩も譲らないということではこれは解決できない、こういうことも主張したわけです。
 私は、アメリカ側の非常に大きな進歩――進歩といいますか、主張を捨てたわけではないのですが、アメリカは少なくともこれまでは自由化をあくまでも主張して譲らなかったわけですね、自由化が大前提であったわけですが、この自由化についてはちょっとこれを横に置く。決して主張を捨てたわけではないのですが、自由化は横に置いて、日米間の協定を枠の問題で片をつけよう、こういうところまでアメリカが交渉の態度を変化させたということは、私はアメリカとしてはそれなりの前進であると思うわけです。
 しかし、それについても、アメリカの言っておることを聞きますと大変な開きが日本との間にあるし、一方的に日本の譲ることを頑固に主張している。これでは到底だめだ。ですから、あなたの方ももう少し弾力性を持って歩み寄ってこなければ、日本も歩み寄りようがないじゃないか。日本だって一歩も譲らないということでもないでしょう。しかし、あなたの方が歩み寄って来なければ日本だって歩み寄ることができない、だからもう少し懐を開いて、弾力的にひとつ対応してくれればこの問題は解決する道も開けてくるんじゃないだろうか、こういうことを私は率直に話をいたしまして、その結果アメリカも、それでは弾力的にひとつ対応しましょう。そして、今の農産物交渉は中断をしておりましたが、先ほどもお話がありましたように、周辺部分についてよそれではもう一度交渉を再会してこの問題も片づけようということで、この前から議論が行われておりまして、いよいよこれから本格的な核心の部分に交渉としては入ってくるんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。これにつきましては、もちろん農林水産大版が中心となられてこの問題について、今の日本の農業は農業としての限界があるわけですから、そういうものを踏まえて日本とアメリカとの間で交渉がこれから行われるようになる、こういうふうに思っておりますし、私は、今の日米関係から見まして、長い間の懸案でございますから、何とかこの懸案が冷静な話し合いの中で、お互いに歩み寄って、そして円満なうちに解決することを望んでおるわけであります。
○島田(琢)委員 ところで総理、二月八日に我が党を代表して井上普方議員がこの問題について質問をいたしておりますが、このときの総理のお答えは、国内の需給動向、食糧の安全保障、農家経営の状況を踏まえ云々とあります。こういう順序で農産物の自由化の問題について対処なざるというお考えには変わりはないわけですね。
○中曽根内閣総理大臣 私は、前から申し上げておりますように、農業は生命産業である、農村というものは民族の苗代である、そういうことを申しておりまして、単に経済問題としてのみこれをとらえないで、国家存立上も非常に重要な要素として考えておるわけであります。もちろん経済問題もありますが、また社会性もある大きな問題であります。そういう意味におきまして、農村というものを重視し、農家を重視する。それと同時に、一面におきましては、食物が国家の安全性に寄与するという、いわゆる食糧総合安全保障という面が国にあるわけであります。そういう面と、それから今後の農業の生産性の向上という面等も考え、一面においては、しかしまた国際協調という面もございますが、何といっても一番大事なことは、農業が損なわれないように日本の国益を守るということが基本であります。そういう立場に立ちつつ、外国と妥協して調和点を見出そう、そういう立場でやっていきたいと思っております。
○島田(琢)委員 この順序が大変大事なのでありますが、したがって、私は念を押しました。
 さて、その国内の需給動向ですが、ここでちょっと私は閣僚の皆さんに、メンタルテストというほどの大げさなものではありませんが、「あさコメ、ミルクでバランスどおり」、お聞きになっている方はいらっしゃいますか。総理は博学ですからこれは知っておられると思うのですが、どうですか。農林大臣、「あさコメミルクでバランスどおり」、聞いたことないですか。これは山村農水大臣、実はあなたが研究会をつくって、ここで検討願った結果出てきた一つのスローガンなんです。これは大事なんですよ。これから私が聞こうとしている、つまり日本型食生活の指導、私たちの望ましい食生活という面をこのスローガンで言いあらわしている、これが農林省でおつくりになった一つのスローガンになっている。張ってあるのですよ。八項目あるのです。
 時間がないから私の方から解説してしまいましたけれども、総理は博学でもここまで御存じなくても、これは私は許したいと思います。しかし、あなたが知らないというのは困ったものですよ。つまり、日本型食生活、これは話題になりましたでしょう。農政審で大変重要な論議になりました。これは一口に言いますと、我が国の食糧の形態は非常に世界にすぐれているという結論であります。したがって、このいわゆる日本型食生活を、今後このスローガンを推し進めることによってさらに普遍化していこうという考え方であります。
 そこで、今世界各国、先進諸国比べてみまして、我が国の食糧の形態というのは大変バランスがとれている、俗に言うPFCのバランスが大変いい、こういう評価になっている。PFCは御存じでしょうね、時間がないから一々私は解説しませんが。世界の食生活のパターンと比較をしてみても大変すぐれているという評価も一面ではあるのであります。こういう中では、現在とっております食肉も大体いいところまで来ている、これ以上輸入してまでこのバランスを崩すことはない、こういうことをあなたのところの研究会が研究結果として大臣に報告されているのであります。御存じないのでは、これは議論にならぬのでありますけれども、そういう意味で、私は先ほど総理大臣に国内の需給動向について伺ったのです、大変大事な問題でありますから。
 それともう一つ、私はここで改めてお聞きします。昨年酪振法の改正がありました。そして酪農並びに肉牛の生産振興法という法律に変わりました。政府は昨年、近代化基本方針をつくりまして、ただいま各県にこれを指示しております。そしてそれを町村段階までおろして検討し、近代化基本計画として持ち上げてくるようにこの作業が急がれております。ここで示されております牛肉は、アメリカからこれ以上買えと言われるほどたくさん必要とする計画になっているかどうか、その辺のところをお聞かせ願いたい。
○石川(弘)政府委員 お尋ねの酪農及び肉用牛の生産に関する基本方針でございますが、その中では、国内における合理的な肉用牛生産を基礎としながら、不足する部分について計画的に需給の動向を見ながら入れると書いてございます。私ども、そういう趣旨に沿いまして、過去におきましても、牛肉の需給は肉の中で一番需要量の伸びが今までも高かったわけでございますが、伸び率は若干下がっておりますが、今後も増大は期待できる分野でございます。国内生産ももちろんある程度の伸びを期待しておりますが、六十五年の長期見通しの中におきましても、需要全体も伸びる、その中で国内生産も伸びる、それから輸入量も、数量的にはそんな大きい数量ではございませんが、伸びるという前提で試算をしでございます。
○島田(琢)委員 今お話にあった六十五年の見通しの枝肉換算で見ますと、六十三万トンというのが国内の生産量であります。確かにまだ若干伸びるという余地はあるでしょう。しかし、せっかく昨年酪振法を改正したという目的は、国内において牛肉を、今後酪農家と肉牛の生産農家とが一体になりましてこの国内の需要にしっかりこたえていく、そういう体制づくりをねらった法律改正であることは言うまでもありません。つまり、私をして言わしめれば、これは国内における一種の領土宣言なのであります。若干伸びるというアローアンスは持ちながらも、外因から入ってくる若干の余裕は認めながらも、実は国内の生産農家はそれを完全にカバーし切るところまで頑張りたいという気持ちで今いるわけであります。そこの気持ちをあなたは大切にするということを、さっきの国内農業を守るという表現の中に含めているのだろうと私は善意に解釈いたします。しかし、本当に中身がわかっていておっしゃっているかどうか、私はちょっと疑問なものだから、今のところを念押しをして聞いたのであります。そこのところを最後まで守り切るという日米交渉を絶対崩しませんな。
○山村国務大臣 お答えいたします。
 先ほどお話ししましたように、この酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づきまして、今後、規模の拡大、飼料の自給率の向上、牛乳の流通の合理化等を通じて、EC並みの値段にして、できるだけ自給でやっていきたいという気持ちは私もよくわかっております。
○島田(琢)委員 それでは、次の話題に移りたいと思います。
 さて、総理は、施政方針演説の最後のくだりでこんなふうに締ばれました。我が国の行く手には光が見え始めている、その向こうには、アジア大陸の東の岸に波打つ緑の太平洋領家として、東西文明を融合し新しい文明に向かう日本列島の未来の姿が開けている、何ともロマンチックな表現でございます。一面では、何かわきの下をこそばされているような感じさえするのでありますが、あなたは昨年、今ごろでしょうか、花と緑ということを言い出されました。しかし私は、これが単なるあなたの少女趣味的な発言であってもらっては困る。本当にこれを物にする、そういうことが今非常に大切である。そういう意味で、私は緑の問題に集中して、しばらく総理のお考えを聞いてみたいと思うのです。
 どうも私は、この施政方針演説の最後のくだりを聞いておりまして、はあ、またもタカ派中曽根康弘がハト派に変身する見事なくだりでありますなあ、こう思いました。一面では聞かせ、また泣かせます、そんな表現であります。しかし、私は相当意地が悪いが、その実態が緑に偽装された不沈空母でなければいいがな、こういうふうにも大変危惧の念を抱いたのであります。花と緑を言い出されましたあなたの真意、先般、川俣さんの質問に対してお答えになっておりますけれども、私は再度、あなたの花と緑に対する決意を聞きたい。
○中曽根内閣総理大臣 人間はパンのみにて生きるものにあらずと言われておりますように、やはり精神のふるさとをみんな求めていると思います。我々の日本列島は我々日本民族の精神のふるさとでありまして、ふるさとには花と緑が絶えないように我々お互いに心がけて、子供たちにそれを渡していきたい、そういう考えで申し上げたわけであります。
○島田(琢)委員 しかし、総理がおっしゃる以上はやはり、まあきょうは花のことはちょっとおいておきたいと思いますが、この間、川俣議員の質問に対して都市の緑だ、都会のいゆわる緑づくりだというふうにおっしゃった。そもそも都会の緑というのを、例えば東京で限定して考えてみますときに、どれだけあなたのおっしゃっていることが実現可能なのか、私はこの点について大変危惧の念を禁じ得ないのですが、今のおっしゃったようなお話では、これはまるで要をつかむような話でありまして、もう少し具体的にお考えをお聞かせいただきたい、こう思います。
○中曽根内閣総理大臣 昨年、花と緑の運動を提唱いたしましてから、いろいろ各地で、特に市町村におきましてその企画が非常にたくましく前進をいたしております。
 大体、事業例を見ますと、小鳥がさえずる森づくりの推進であるとか、あるいは花と緑の都市モデル地区をつくろうとか、あるいは自然教室推進事業をやろうとか、触れ合いの森をやろうとか、あるいは町の中でも森づくり、あるいはふるさとの森づくり、あるいは町並木をつくろうとか、あるいはそのほか民間団体におきましても、桜の国とか梅を植えようとか、いろいろな面でいろいろな企画が出てまいりました。特に市町村中心に出てきておる。それを中央省庁が、環境庁あるいは国土庁、文部省、林野庁あるいは建設省、自治省おのおのが、今までのやっております事業の上に立ちまして、市町村と連携をとって進めておるわけであります。
 例えば、自治省は財源を確保してあげようというので緑化の宝くじを新しく出しまして、五十八年度でネットで四十億円ぐらいの収益を見込みまして、これを府県、市町村に配分をして、苗木を買うとかそのほかの原資にする、これはもう恒久的に、この四十億円というのは市町村中心に配分されて、苗木になっていくわけであります。
 国土庁の調査によりますと、そういういろいろなところで緑化対策事業を実施している団体は二千百四十七団体で、新しい事業として三六・六%ぐらいふえてきておる。それから緑化推進のための組織を設置している団体、これが同じく三〇・二%昨年でふえておる。それから緑化推進のための計画、構想の策定団体、これは一〇〇%ふえておる。
 こういうようにして、昨年、ともかく自治省にもお願いして各市町村にも督励をお願いいたしましたら、一気に大体三〇%ぐらいの団体がふえ、仕事がふえ、前進をし始めておるというところであります。五十九年度におきましては、さらに馬力を入れましてこの力を伸ばしていきたい、こう思っております。
○島田(琢)委員 今、いろいろ並べてお話がございました。しかし、どうも視点が必ずしも正確でないのではないかと私は思うのです。
 毎度山の問題が出されますと、指摘されますのが今の我が国の山の状態は一体どうなっているのか。ですから、そうしたいゆわる緑づくりという運動の原点がやはり山の上まで広がっていくということが大変望まれることでありますし、やらなければならぬわけでありますが、しかし、現に山の上の方から荒廃してふもとにおりてきているという現況に今なっている。
 その一つは、大変社会的な問題にもなり、ただいま鋭意防除がされております、農林水巌省の言います松くい虫の対策であります。これはもう、とうとう秋田県まで行ってしまいました。緑はもう完全に、北海道を除く列島の大半で制圧されてしまったと、言ってもいい。こういう問題に対して、現況やはりしっかりと把握をしておく必要があると思うのですが、松くい虫の現在の状況というのは、さらに青森までふえていくという心配はないのかどうか。いかがですか。
○秋山政府委員 お答えいたします。
 五十七年度の松くい虫被害でございますが、五十七年に法律改正いたしまして、総合的な防除体系をとって実施しておるということもございますし、また、夏季の気温が低い、また雨量が多かったということもございまして、五十七年度の被害は五十六年に比べまして約三割減になっております。それから本年も、現在実施中でございますが、さらに減少する見込みでございます。
 ただ、傾城につきましては、現在北海道と青森以外にこれが広がっておりますので、特に私どもといたしましては、微害の地域につきまして徹底的に防除をし、これを収束する方向に持ってまいりたい、かように考えております。
○島田(琢)委員 もうほとんど食い尽くされ、山は松くい虫によっていいだけ荒らされてしまった後、対策が後手後手に回っているという指摘を私どもも今まで随分してきました。虫による被害であるのかどうかという議論などもいろいろあって、確かにこの対策に対する踏み込み方にいま一つ真剣さがなかったということを指摘はできると思うのです。
 そうしてまた、こうした状況のもとで造林されました木が大変大事な間伐期を迎えている。これは午前中の矢山委員の質問に対しまして総理大臣から、国の助成策の中で大変おくれているのは林政である、外材主導型になって大変国産材が採算がとれないために、間伐の費用すら出ない、こういうこぼしがございました。
 今、間伐の問題だって一刻を争う状況に山はなっているのです。御承知ではありましょうけれども、民有林においては大体四齢級から五齢級、六齢級のこの辺まで今間伐が必要とされます。緊急にやらなければならぬ、こういう状況であります。やがて四齢級から七齢級にわたりまして国有林の間伐の時期がやってくる。ですから、今この間伐を的確に行っておきませんと、もやしみたいな木ができてしまいまして、これは松くい虫やそのほかの病気にも侵されやすい山の状態になってしまう。したがって、今思い切ってこういう対策に手を打たないことには取り返しのつかぬ山の状態になってしまう、こういうことであります。
 政府の今の対策に対して、非常に手ぬるい、こういう声がたくさんございます。その点についての前向きな姿勢というものが要求される中であるにもかかわらず、大事な国有林の状況というのが非常に心配される状況にある。思い切ってやはり国有林というものを見直すということが今必要だ、こう思っているのですが、政府のお考えを聞きたいと思います。
○秋山政府委員 お答えします。
 国有林は木材供給だけでなくて、公益性の大変強い脊梁山脈地帯にあるわけでございますが、現在の財政内容は極めて厳しいわけでございまして、国民経済的な要請あるいは国民生活への要請を十分果たすためには、まずもちまして経営の健全性を確保していかなければならぬ、かように考えておるところでございます。で、五十三年から経営改善に努力してまいったわけでございますが、その後の木材価格の問題あるいは自燃環境保全等のために伐採量が縮減するというようなことがございまして、今後さらに一層新しい発想に立ちました改革に取り組んでまいりまして、将来の国有林の果たすべき役割を十分果たすべくこれからも進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○島田(琢)委員 長官、そうおっしゃっているけれども、本当にそれができるのですか。人間の持っております揚力の限界というものを、私は今の国有林の経営を見ていてつくづくそう感ずるのです。国有林の状態が今、総理、どういうふうになっているのか、おわかりでしょうか。――長官とはもう農林水産委員会で何度もやってきていますから、この際、私は総理に聞きたいのです。
○秋山政府委員 国有林の財政事情を見てまいりますと、これまでの赤字の累積は四千四百億になっております。私ども、現在業務収入で人件費が賄い得ないというような実態を見てまいりますと、やはり今後要員の縮減を徹底し、合理化を行い、経営の内容を健全化することが当面極めて重要でございますので、自主的努力を鋭意行いながら、不足なところにつきましては財政的に援助をいたすということで進めてまいりたいと考えております。
○島田(琢)委員 長官、総理の前だから思い切って言ったらどうですか。今までのあなたの苦労、並み大抵なものじゃないわけでしょう。そんな格好いいことを言って、どっちみちあなた、そんなにいつまでも林野庁長官やっていられるわけじゃないのでありますから、思い切って山を憂えるという日ごろのあの情熱を、せっかく私が予算委員会の総括でこの問題を出したという意義は、総理にもすぐそばで聞いてもらえるのでありますから、こんな絶好の機会はないのに、農林水産委員会で言うのと同じことを言う。
 それでは総理にお聞きをいたしますが、総理、我が国の森林の価値、時価に見積もりますとどれくらいあるとお感じですか。
○秋山政府委員 お答えします。
 昭和四十七年に総合的な調査をいたしまして、その結果は十二兆八千億でございますが、現在価額にこれを換算いたしますと、二十五兆強に相なります。
○島田(琢)委員 つまり、五十九年度の国家予算のちょうど半分ある。大変な財産であります。この財産を枯らしてしまう、もやしのような木にしてしまう、だれが考えたってそんなことが許されるはずがありません。
 そして、今一刻を争う間伐の問題を取り上げましたが、それだけではないのですね。国有林というのはそもそも他の森林の模範にならなければなりません。この間の林政審答申を見て私は大変遺憾に思うのでありますけれども、やれ切り過ぎた、人が多い、支出を減らせ、経営改善をせい。今長官が苦渋に満ちた顔でそう言っておりました。しかし、それもやらなければならぬ。それは私はやるなとは言いません。しかし、これだけ努力をして、経営改善も臨調に言われる前に国有林はやりました、ことしはさらに千七百人削っていく、行管庁長官、こういう努力をしているのですから、もう少し面倒を見てくれたっていいではないかという気持ちがそこに出てきます。私もその一人です。これはある人がおもしろい表現をしました。今の国有林、そしてそれに対する林政審答申の言っている香葉を聞くと、例えば、苦しいときに身をなげうって働いて健康を損ねた貞淑な妻に対して、色気もおしろい気もなく一生懸命働いたその糟糠の妻に離縁状をたたきつけているようなものだ。私は大変うまい表現だと思うのです。全く同感であります。
 しかも、御承知のように既に一兆円になんなんとする借入金の返済が始まっているのですが、年年金利が元金の三倍、これではどんな有能な長官だってやれないじゃないですか。しかも財投の借入金利ですから、なかなかこれはまけてくれと言うのも難しいが、私は何回か竹下大蔵大臣にも直訴に及びました。せめて民有林並みの三・五、六%ぐらいの金利で考えてくれる方法を財政当用はお願いできないのでしょうか、こういう話もしました。なかなかこれは解決しないのでありますが、このままにほっておいたらどんな状況になるか、これは余りにも先が見えております。具体的に、財政当局としてもこのままにほっておいていいということにはならぬと思うのですが、大蔵大臣、どうお考えですか。
○竹下国務大臣 確かに、この国有林野事業というのは本来はまさに独立採算制を原則として存在しておって、我々幼少のころ、国有林といえばまさに美林でありました。それが、その後いろいろな木材価格の低迷とかそういう問題もございますし、労務管理等にもあったかとも思えます、私も専門家でないからよくわかりませんが。したがって、我々といたしまして、昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法ができた、それで造林とか林道とかそういうものに一般会計の繰り入れを行った。それから、五十八年度からは林道の災害復旧に関する経費を一般会計から入れた。それから国有林野の治山事業について、必要なものについてこれも治山勘定で行うということにした。その後五十九年度に、最近における国有林野事業の経営の状況にかんがみて改善期間を延長、それから、退職される人が、これは従来の労務管理のいろいろな問題があったでございましょうが、激増されますので、その手当の財源の借り入れ、それから利子財源への一般会計からの繰り入れ、こういうようなことを行っておるわけであります。
 そういう形で経営改善に必要な措置を講じて今日きておりまして、林野庁のおっしゃる意味で、六十八年度までに経営の健全性確立に必要な基本的条件が整備されて、それから七十二年度をめどに収支均衡が達成され、そして借入金から脱却できるというように承っております。七十二年といえば確かに私も七十三歳にもなりますし、相当先のことだなと思いながらも、現実、林野庁当局、労使ともに一生懸命でおやりいただいている姿に心からなる期待をしておるという心境であります。
○島田(琢)委員 これは大蔵大臣、期待をしているだけでは期待外れになりますよ。
 しかも、林政審答申のことをさっき私は酷評をいたしました。なぜ酷評したか。大事なこの審議会に答えを出してほしいということを、ほとんどこれに触れていないからです。国有林が再建されるかどうかという今瀬戸際です。そのために七十二年、いやそれをもっと先送りするわけでありますから、それだけ先に延ばして、再建の目標を日にちだけ先に延ばしても、中身がいわゆる改善のできるような具体的な問題になっていない限り、ただ先に延ばしただけにすぎないのです。
 私どもが国有林に対して、一番林政審に期待をいたしましたのが五つございます。
 その一つは、今言いました財投資金の借入条件の改善。これは金利もそうですし、あるいは返還の条件緩和も含まれます。
 それから二つ目には、非採算林分の経費分担のあり方。これがつまり公益機能という面で考えていかなければならぬ部面なんであります。これはひとり国有林だけに責任を負わせるという問題ではない。
 それから三つ目には、大変大幅に住宅の需要が減退をしている。この振興策、特に国産材を大いに使うという、そういうものを含めた住宅のいわゆる振興策が早急に出てこないことには大変だ。
 それから木材価格、お手元に資料として差し上げました。木材価格はこのとおり非常に低迷を続けております。こうした林業の収益低下に対する具体的な策というものが林政審から示されてしかるべきなのに、それが示されません。
 また、山村地場産業の振興とか定住条件を整備するという問題も、これがちゃんとならないと、山に人手がかかるわけですから、その人手が今どんどん山をおりているわけです。なくなっているわけです。こうした山村振興対策というものも一定の方針を出してくれなければ、私は、幾ら改善方法を見直ししたり改善計画を手直ししたって、それは単に問題を先送りするだけでしかない、こういう重要な段階に今差しかかっているのです。
 国家財政窮迫の折からというのが、大体大蔵大臣からいただくいつもの答えてあります。大蔵大臣は大変明瞭に物事をおっしゃいますが、中身については極めて不明のことが多い。まあ自覚されているとみえて、おれは言語明瞭、意味不明なんだと言う。煙に巻かれるわけでありますけれども、この際、私は煙に巻かれてはいられないのです、ここまで来ましたら。国有林の再建という問題について真剣にお考え願いたいと思うのですが、何か策はありませんか。
○秋山政府委員 お答えします。
 まず第一点の貸付条件の緩和問題でございますが、これにつきましては、林政審議会の答申にも今後の課題として検討せいということをいただいておりますので、私ども、今後さらにこれにつきましては検討を深めてまいりたいと考えております。
 それから、非採算林分の経費分担等の問題でございますが、確かに国有林は脊梁山脈地帯に多うございますので、公益的な機能は高いけれども収入の確保に結びつかないという外分を多く持っていることは事実でございます。この森林の適正な管理を行う、同時に、それに要する費用につきましての経費分担のあり方等の問題を解明することも、これは今後の改善を進める上におきましてきわめて重要でございますが、この問題を解明するに当たりましては、森林区分の手法であるとか、管理経営に要する費用あるいは受益効果の把握等幾つかの課題がございますので、さらに今後早急に検討してまいりたいと考えております。
 それから次に、住宅需要の停滞問題、これは非常に難しい問題でございますが、建設省と連携をとりながら需要拡大にさらに一層努力してまいりたいと思っておりますが、特に木材に対する理解が不十分であるという面がございますので、五十九年度におきましては、そういう消費者に対するところの木材の利用につきましてのPRを進めると同時に、川上、川下の関係団体と一緒になりまして、需要開発をさらに一生懸命やってまいる施策も考えております。
 それから、定住条件整備の問題につきましては、やはり林業の担い手が停滞することは森林資源の確保上極めて重大な問題がございますので、私ども、ことしはやはりこの林業地域の活性化という問題につきまして積極的に施策を進め、予算も計上し対処してまいりたいと考えております。なお、今後におきましてもさらに一層、これらの問題については重要でございますので、検討してまいりたいと考えております。
○島田(琢)委員 長官、それだけのことを言って大丈夫なのか。あなた、本当に腹の底からこれができると思ってますか。できるわけがないですよ、今のままで。どうしてこれだけの金を払っていけますか。
 特に水の問題。国土庁長官に聞きますけれども、さっき私が非採算外分という表現を用いました。つまり、公益的な機能を持っているのが今の山であります。長期水需給計画によりますと、大変心配だということが言われています。一九九〇年には、関東、近畿、北九州で九億立米の水が不足するという、そんな計画になっておるのですか。
○堀政府委員 五十三年につくりました長期水需給計回では、おっしゃるような結果になっております。
○島田(琢)委員 どうですか、水の問題一つ考えたって、大変な事態ですよ。それでも長官、ここでおっしゃるように、国有林、あなたは大丈夫だとおっしゃる。
 出づくりが急がれているのですが、そういう中でことしは、先ほどもちょっと触れましたが、千七何人の定員削減なども、お金が欲しいばっかりに人身御供まで出さなければならない。行管庁長官、こんなひどい国有林の今の状況の中で、みんな頑張っているのです。出先の営林署へ行ってみてください。鉛筆一本、紙一枚節約して頑張っていますよ。その上、千七百人、ことしじゅうに生首が飛んでいくのです。来年は定年法がしかれますから、定年になった人も一緒になっていくと、今の林政審の中でいろいろ検討されているようですが、行管がおっしゃっている以上に大変ないわゆる人員削減が行われる、こういうことになります。
 そうでなくても、さっきから私が言っているように間伐も急がなければならぬ、そして水の確保や川を初めとするいわゆる公益的機能をきちっと充実していかなければならぬ、こういうときに、どんどんいわゆる山の男たちが山をおりなければならぬという状態、こんな状態を放置しておいて、なお行政上の問題として定員削減を強行されるとすれば、私は、国民から預かっている大事な国有林は一体この先どうなるのかということを考えますときに、きわめて政府の姿勢は無責任だと言わざるを得ない。どうですか。
○後藤田国務大臣 先ほどからの島田さんの御質疑を承っておりますと、森林資源、これは公益的な機能が大変あるじゃないか、にもかかわらず企業経営的な面から合理化の名のもとに人員の削減なりどんどんやるじゃないか、しかもやった結果、企業経営としても七十二年に収支とんとんになるのか、ならぬじゃないか、だからもう少し国の財政の支援というものをやったらどうだ、こういう御意見だと思います。
 私は聞いておりまして、まあそういう面もあるかもしれません。しかしながら、今日の国有林野は、大体昭和三十年ごろにピークといいますか、どんどんふえたわけですよ。ところが、木材の値段というものは、輸入木材が入るまでは、昭和三十年代の半ばごろまででしたか、毎年上がっていますよ。キティ台風以来、資本の回転率が悪いのですから必ず上がっておった。ところが、外材がどんどん入りましたから、だから国有林の経営がだんだん難しくなってくる。これは伐採時期も影響をしたのだと私は思いますよ。
 そこで、それに対応してやらなければならない。従来、やっておったと思う。思うけれども、あなた、ともかく一年に一千億円の赤字ですよ。赤字の累積五千億前後、借金残高が一兆円近いでしょう。しかも、人員の整理はそれに応じてどんどんやれているのかといえば、事業が縮小すれば人は残念ながら減らさなければならない、企業の経営なんですから。だから、そういう面に着眼をして、第二臨調からも御答申があり、林政審も、この際思い切った改革をやるべきじゃないか。したがって、人員についても、これはもちろん出血をやるわけじゃありませんよ、出血をやるわけじゃありませんが、定員外の職員を含めて、ともかく今の五万人体制でしたか、五万五千人体制ですか、五万五千人体制を四万人体制にしなさい。やはり企業の経営形態でやらなければならぬ仕事で事業が縮小した以上、一般の財政資金を投入しろと言う前には、その前提として最大限の努力をしていただかねばならぬ、私はかように考えておるわけでございます。
○島田(琢)委員 行管長官の視点というのは、今まで私がこれだけ時間をかけてお話をしてきたのにさっぱりお耳に入っていない、極めて残念であります。
 今、山はよくしなければいかぬのです。よく国鉄と林野とおっしゃいますけれども、山はあと十二、三年しますと、また経済力を発揮するようになるんです。なくなってしまわないのです。しかも、さっき二十五兆円と長官が財産的価値を言いました。これを育てていけば五十兆円にもなるかもしれない。その今大事なときが、間伐一つ考えても今をおいてほかにはないのです。そのときに撤退してしまって、お金も入れないで、一体山はどうなるのですか。人は減った、あなたの立場からいえば、人を減らして効率のいい国有林経営になればいいのだということはわかりますよ。あなたの責任の立場で言えばそうでしょう。しかし、政府の一員として、あなた、そんな無責任なことでこの山大丈夫なんですかと言われたときに、それでいいとおっしゃるのですか。私は納得ができませんね。
 総理、いかがですか。それは財政は乏しいかもしれぬ。しかし、今この差し迫った状況にあるという認識はお持ちになったと思うのであります。もう少し財政を投入してでも山を守る。あなたはせっかく花と緑とおっしゃったのですから、緑は単に月の見えるところだけではない、山の奥までやはり緑です。その緑をしっかりつくっていくというのは中曽根内閣の責任でもあります。いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 山は非常に大事であると思いますし、国の宝だろうと思います。したがいまして、花と緑の中には、日本が古来持ってきた国有林というものを大切にするということももちろん含まれるわけであります。林野庁も協力していただいて、国有林相当部分を出して市民に提供して、市民との融合ということも考えていただいておるようです。
 しかし、今の経営状況全般を見ますと、客観情勢との調和という面もある程度考えざるを得ないのです。国鉄があれだけの今整理をやり、苦しさに耐えて独立採算制へ向かって努力しておりますが、林野庁におかれても、同じように努力をしていただかざるを得ないのであります。
 結局、どういうことかといえば、目標を立てて、そして過剰と思われる人員を縮減して――やはり人件費というのが相当大きいようです。それと同時に、自分でやらぬでもいい仕事はできるだけ委託に出すとか、そういうことでできるだけ人間の人手を減らすようにしつつ、生産性を上げていくようにする、それから、持っている財産で売れるものはこの際売っていただく、そういう国鉄のやっているような、そういう手法で思い切った改革をやりつつ、大事なところは大事にして残していき、また保全していく、そういう形でいかざるを得ないのではないかと思っております。
○島田(琢)委員 大蔵大臣、何とかその財政上の問題として、金利ぐらいは考える、あるいは償還の条件緩和、ここもひとつせめて、ただにしてくれとか永久に返さないで済むようにせよなどとは、そんなむちゃくちゃなことは言っておりません。民有林と同じぐらいの条件に持っていというぐらいのことは検討してしかるべきだと思いますが、それもだめですか。
○竹下国務大臣 いわゆる民有林における造林資金等の金利体系ということをあるいは念頭に置いて御議論なすっておるかなとも思うのでありますが、私も専門家でないからはっきりわかりませんけれども、言ってみれば、財投の導入等々を行いましたのは、そういう考え方で行ったものではないというふうに私は理解をしております。したがって、これらの問題については、私どもの側でそれは結構でございましょうとか、それはだめですとかいう考え方を申し述べるよりも、やはり原局の考え方をお聞きになった方が適切ではなかろうかと思います。
○島田(琢)委員 しかし、もう差し迫っておりまして、これは毎年毎年予算のたびに、大蔵大臣も一緒に頭を痛めてもらわなければならぬ大事な問題なんです。あなたのところでおやりいただくごくごく限られた問題で、私は今二つだけ、それは財政当局が考えてくれれば何とかなる、こういう期待を私は持っておるものですから、やはりあなたからお考えを聞かしてもらわないと。
 これは借りた金もあなたのところなら、返すのもあなたのところであります。全く検討の余地もない、こういうにべもない返事ではないだろうと、こう思うのですが、重ねてお聞きいたします。
○竹下国務大臣 意見を承るにとどめなければならない、これはやはり財政当局としてはそういう立場を貫くべきであろうと思います。
○島田(琢)委員 まあ、ことしは農林水産委員会に、先ほど長官が言われました改善法の改正を初めとする林業関係三法案が提出されてまいる、こういうふうに聞いておりますので、また専門のところでこういう問題はひとつ十分の論議をすることができると、こう思います。
 ところで山村大臣、あなたも一言何か、この際ですから、国有林を預かっている所管の大臣として。特に私はいつか、大臣御就任のときに、中曽根総理も味なことをやりますな、まさか田中派としてお選びになったのじゃなくて、山村新治郎、山村振興のための大臣なんだな、これはまた名は体をあらわす、こういうことでもあり、名前負けするということもありますから、この際、ことしは大事な山村振興にかかわります林業関係の法案がたくさん出てきます、あなたの決意のほどを聞きたいし、いまのお話を聞いていて、あなたからも二百ぐらいあってもいいのじゃないですか。私が大臣になったようなつもりで一生懸命、今審議をしているのじゃないですか。
○山村国務大臣 国有林野に関しての本当に応援ありがとうございます。
 私の基本的な考えといたしまして、計画的な整備充実を図り、今後蓄積が急速に増加し、昭和六十年代未からは木材供給可能量が逐次増加すると見込まれておる、そのような観点に立って、森林資源の充実により、水資源の培養、そして山地災害の防止等の多面的機能の十全の発揮も可能にするものと考えておりますので、全力を挙げてやってまいります。
○島田(琢)委員 私は、あなたが在任中にひとつ山をしっかりやっていただき、文字どおりあなたの名前にふさわしい、いわゆる見事な成果を上げてもらいたい、こう願ってやみません。しかし、時間がどんどん詰まってまいりますから、次に移ります。
 国鉄問題でお尋ねをしたいと思います。
 細田運輸大臣は就任のときに記者会見で、ちょびっと喜ばすようなあなたのお考えを発表されたので、いまの国鉄の特に地方線を抱えて大変問題になっております点について、今度の大臣は相当理解がある大臣だな、こんな印象で受け取った人は少なくなかったと思います。だんだんするうちに、あなたもトーンダウンをしてしまって、正体がわからなくなってきましたが、改めて、あの当時の御就任のときの記者会見の決意というのは変わっていないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○細田国務大臣 就任のときに申し上げましたことは、全然変わっておりません。
○島田(琢)委員 そうすると、このように確認していいですか。あなたは、正確に言いますと十二月二十七日、一つは、ローカル線を分割して第三セクターで運営するのは、これはまあ賛成であるが、新幹線や東海道、山陽線などを分割すれば混乱を招くだけだというのに始まりまして、北海道や四国を分離して民営化しても経営は成り立たず、分離するなら国が相当金を出さざるを得ない、こう述べていますね。これは、今の臨調答申や再建監理委員会とは異なった見解を示したとして大変注目を集めました。そうやってあなたは、国が相当責任を持たなければならないという趣旨の発言をなさったわけでありますが、いまお尋ねしたら、そのときの考えと少しも違ってない、こうおっしゃったんですね。おっしゃいましたね。いや、そうおっしゃったんだから私は何もあなたに確認することはないと思うのです。変わってないとおっしゃったんですから。
○細田国務大臣 そのとおりでございます。
    〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○島田(琢)委員 それならお尋ねするのですが、国鉄の再建問題につきましては、確かに今日国民的関心事として注目を集めておることは、ほかのものに比べようもない大変重大な関心事でございます。それで政府は、第九十三国会で強行採決されました国鉄再建法、この内容を政府はフォローするために、あるいはその前提として、「日本国有鉄道の再建について」という大変大事な問題を閣議で了解されました。これはいつのことですか。
○細田国務大臣 お答えいたします。
 恐らくお尋ねの閣議了解は、昭和五十四年十二月二十九日の閣議了解のことではなかろうかと存じます。
○島田(琢)委員 その内容について伺います。
○永光政府委員 お答え申し上げます。
 昭和五十四年度末の国鉄の危機的な財政状況にかんがみまして、国鉄の合理化あるいは経営努力等々に対します閣議の了解をいたしますと同時に、そこにおきまして行財政上の諸措置を講ずるということをうたっております。
○島田(琢)委員 国鉄はこれを受けて改善計画を策定しましたね。そうして、再建のために真剣な取り組みが始まりました。それは、国鉄独自のいわゆる経営努力、そういうことで一生懸命やるので、これについては再建のできる助成措置なども政府としてはやらなければならない、こういうことで閣議は了解をしたわけでしょう。今そのことについて簡単にしかお触れにならなかったけれども、そうですね。
○永光政府委員 失礼いたしました。
 先ほど申しました行財政上の措置としまして、国鉄がその経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的な問題を中心に財政上の措置を講じておるところでございまして、若干詳しくなりますが、五十五年度に五兆五百九十九億の債務を棚上げいたしまして、それによりますところの利子補給金を、三千四百五十七億円毎年支給をいたしておりますし、さらに地方交通線対策につきましても、この運営費に対しますところの赤字補助の助成を行い、あるいは人的要因等によりますところの退職金の急増というようなものに対応いたしますために、この退職者の急増に伴う負担の軽減を図るための助成も行っておりますし、また、年金問題につきましては、国家公務員と公共企業体職員共済組合制度の統合を行う法律の制定を見ております。さらにまた、工事費の補助金等につきましても、国鉄としてやはりやっていかなければならない工事につきましての工事費の助成金等を行っておるところでございまして、これらもすべて五十四年の閣議了解が一応骨子になり、それに基づく再建法等によりましてこの助成措置を講じておるわけでございます。
○島田(琢)委員 それじゃ、その助成を行ったその総額は幾らですか。
○永光政府委員 五十九年度予算におきましては、以上のような内容を盛り込みまして、六千四百八十八億円の助成金を計上しているところでございます。
○島田(琢)委員 それは、閣議が了解をした正当な国鉄に対するいわゆる助成金総額ですか。
○永光政府委員 予算案につきまして五十九年度閣議で御了解を得て、現在国会で御審議を願っておるという内客でございます。
○島田(琢)委員 債務の棚上げに伴います利子補給は幾らですか。
○永光政府委員 先ほど申し上げましたように、利子補給は、毎年三千四百五十七億、棚上げしました五兆五百九十九億並びにその後の二千億余りにつきまして行っております。
○島田(琢)委員 国鉄総裁に聞きますが、総裁、今のような助成金を受けて、経営はよくなってきましたか。
○仁杉説明員 来年度の予算におきまして、いろいろ政府の助成その他をちょうだいいたしており、また国鉄自体もいろいろ合理化に努めておりますが、残念ながら赤字の額が多少まだ増しておりますし、借金の額もふえておるというような状況で、大分改善はされておりますが、まだ経営改善が軌道に乗ったというふうには今の段階では申しかねる状態でございます。
○島田(琢)委員 しかし、相当努力はしてきた。要員の削減も進んでいるし、貨物の合理化も強行した。地方交通線の問題についても目標値を上回って進められている。それでもなお好転しないというのは、国鉄改善法という法律に正確に……(「再建法だ」と呼ぶ者あり)再建法に決められた、先ほどお話のあった政府の助成等ちゃんともらうべきものはもらっていないのではないか、こういう疑いが出るのですが、そんなことはありませんか。
○仁杉説明員 助成金のあり方につきましてはいろいろ議論があると思いますが、国家の今の財政の中では最大限ちょうだいしているというふうに理解をいたしております。
○島田(琢)委員 先ほどいろいろ項目の説明がありました。構造的欠陥問題として政府が助成をしますというのは七つあるとさっき言いましたね。全部もらっている。本当にもらっているのですか。例えば公共負担のところで申し上げましょうか、公共負担。公共負担と言えば、どことどこが負担していますか。
○永光政府委員 いわゆる公共負担の範囲等につきましてはいろいろ問題のあるところでございますが、例えば戦傷病者等につきましては国が負担をしておりますし、一般的ないわゆる割引制度等につきましては、国鉄がその割引を行っていわば負担をしておるという形になっています。
○島田(琢)委員 厚生省が負担している分もあるでしょう。文部省が負担している分もあるでしょう。そこが閣議了解で今までと違って、国鉄に対する助成制度として持ち込まれている分でしょう。あなたの今の説明は、国が持っている、いや、国鉄が持っている一国が持っているというのは、運輸省を指して言っているのですか。あと国鉄が持っているというのは、文部省や厚生省が持たなければならぬところを国鉄が持っているという意味でしょう。国鉄総裁。
○永光政府委員 いわゆる公共負担につきまして、その範囲等につきましていろいろ議論のあるところでありますけれども、一般的に国鉄が、例えば身障者の割引等につきましては二分の一ということで負担をしておるということでございます。したがいまして、その他の省庁等は負担はいたしておりません。
○島田(琢)委員 議論の余地も何もないじゃないですか。ちゃんと決められているんですよ。文部省、厚生省が持ちますとなっているのですよ。違いますか。持つことになっているのですよ。閣議了解はそれを基礎にして了解されているのですよ。何をでたらめなことを言うのですか。
○永光政府委員 閣議了解におきましては、今おっしゃいますような具体的な規定ではございませんで、「関係省庁において検討を進め、早急に結論を得ること」ということになっておりまして、この点につきまして文部省あるいは厚生省等と、関係のところと御相談を申し上げておる、こういう段階でございます。
○島田(琢)委員 一体いつのことですか、それは。さっき五十二年十二月二十九日と大臣がお答えになったこの閣議了解は。そのときにこういうふうに決めているのですよ。運賃上の割引制度を全般的に見直すという中で、「構造的欠損について、国民経済的観点を考慮して、公的助成を含む所要の対策を講ずる。」となっているのですよ。やると言っているのですよ。その後話し合って決めるなんて、どこにありますか、これは。しかも総裁、あなたの方は文部、厚生両大臣に対して、当然いただくべきものに対して申し入れをしていないのですか。
○仁杉説明員 いろいろお願いはいたしておりますが、そういうことにつきましては閣僚懇談会でいろいろお決めになるということになっております。
○島田(琢)委員 それじゃ文部大臣、お開きします。
 総裁から申し入れはなかったですか。
○森国務大臣 御指摘の問題は、先ほどから議論になっておりますように、閣議了解に基づきまして、どのようにその軽減を図ることができるか、ただいま事務当局で調整中でございますし、なお昨年の八月にもまた新たな国鉄再建監理委員会から意見も出されておりますので、政府の考え方がまとまりましたら、文部省はそれに対応していきたいと考えております。
○島田(琢)委員 厚生大臣、いかがですか。
○渡部国務大臣 厚生省としましては、昭和四十五年制定の心身障害者対策基本法の精神にのっとって国鉄にお願いをしているわけでありますが、その後、今お尋ねの五十四年の考え方とこの間にはざまが出てきておりますから、このはざまを埋めるために今検討いたしておりまして、その検討の結果を踏まえて善処してまいりたいということになっております。
○島田(琢)委員 五十二年の十二月に決められたことが、官房長官、まだ今検討されている。こんなとろくさい行政というのは一体あるのですか。五十二年、五十三、五十四、五十五、五十六、五十七、五十八、六年かかってまだ結論が出ない。(「もっと大きな問題があるんだ」と呼ぶ者あり)ばかをおっしゃい。これを全部合わせたら一兆円にもなりますぞ。金利がついているんだよ、金利が。一体こんなでたらめな話がありますか。閣議で了解されてこうやると言って、いいですか、単年度だけで――五十三年八月三日に、総裁、あなた文部大臣と厚生大臣に申し入れに行っているでしょう。金額持っていっていませんか。
○仁杉説明員 お答えいたします。
 今手持ちの資料といたしまして、五十六年度に通学定期割引五百七十三億、それから身障者割引五十一億、合計六百二十四億、五十七年度に五百二十七億が通学定期、身障者は五十三億、合計五百八十億という数字になっております。
○島田(琢)委員 直接厚生、文部両省に言ったのは、五十三年以降の閣議了解後の計算で言えばそうでしょう。しかし、本来国鉄、昭和二十四年から払うということだって当然これは理屈としては成り立つから、累積されればそれぐらいの額になる。それぐらい国鉄に無理をかけてきているのですよ。そうでしょう。しかし、六年も閣議の了解が実行をされないということに責任を感じませんか。これは政府のしかるべき責任ある答えが出てこなければ、私は審議を進められません、こんな無責任な話で。一体何年たったらこれは結論が出るのですか。
○藤波国務大臣 それぞれの立場で考えがあるものですから、検討を進めてはきておると思いますけれども、煮詰まっていないということかと思います。しかし、先生の御指摘を踏まえさせていただきまして、さらに精力的に検討をしてひとつ煮詰めるように努力をいたします。そのように指示をいたします。
○島田(琢)委員 しかし、片一方では合理化がどんどん進められている。それは待ったなしですよ。さっき言ったとおりです。そういうもとで、当然構造的な、国鉄自身が責任を持つ性質でない部分も含まれているということは、国会の論議等でも明らかになっている。そういう中で政府としての負担を決められた。そこのところをいまだに払わぬで、合理化だけやれといって、こんなむちゃくちゃな話ありますかね。細田運輸大臣、あなた、そんなひどいやり方で、それでまともだとお考えになっていますか。
○細田国務大臣 五十四年の閣議了解では、「公共負担の軽減対策について、関係省庁において検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずる。」こう書いてございます。したがって、これは閣議了解でこれを決めたというものではございません。ただ、省庁の協議がまとまっていないので長い間の慣習がそのままになっておるわけでございまして、長い間と申しまするのは、国有鉄道が今日ほど貧乏いたしませんときには、いわゆる公共負担と称せられるものを国鉄が国鉄の財政において負担をしておったという長い伝統があるわけでございます。
 したがって各省に、運輸省、国鉄の立場からいたしますと、何としてもこれは一般会計で持ってもらいたい、厚生省なり文部省なりで持ってもらいたいという立場については一貫して申し上げておるわけでございますし、運輸委員会等でもそういう御議論になっておるわけでございますが、その話し合いが、財政の窮屈な折からでございまして、ついていないということでございますので、我々としてはさらにこの点は進めてまいらなければならないと、今官房長官からも申し上げた次第でございます。おくれておりますのは、長い間そういう関係になっておったということを改めようということのために非常に難航をいたしておる、かように了解をいただきたいと思うのでございます。
○島田(琢)委員 難航するような内容じゃないじゃないですか。それは官房長官、先ほどこれを指導する、指導するといいますか、そういう方向で一つずつ詰めていく、こういう話でありますが、それじゃこれはいつまでもだらだらとやるというようなことは許されません。いつにめどをつけるというお考えですか。
○藤波国務大臣 日限を切れという御指摘でございますけれども、これまで十分その趣旨はわかっておりながら、なかなか検討を進めて結論に至っていないということは、よほどそれぞれ考え方もあるわけでございますので、ここでいつまでにというふうに明確なお答えをすることは避けたいと思いますが、御趣旨を踏まえまして、できる限り早くこの問題に結論をつけるように努力をいたしたいと存じますので、どうぞ御了承をお願いいたします。
○島田(琢)委員 そのほかにもありますよ。地方交通線に対する助成、これも政府はしばしば国会において、二分の一助成を当面行いながらやがて全額を助成するという答弁を行っておる。このとおりに行われておりますか、運輸大臣。
○永光政府委員 現在、地方交通線の運営費補助につきましては、確かに積算上その効率的な経営のもとでの場合に二分の一という形になっております。従来から、創設されてからずっとそういう制度で続いておるわけでございます。
○島田(琢)委員 これは明確に二分の一、今私が申し上げたとおり国会では答えていますね。地方交通線の赤字は一体幾らですか。
○永光政府委員 五十七年度の実績で四千七十三億でございます。
○島田(琢)委員 五十七年度で執行された予算は幾らですか。
○永光政府委員 千二百五十億でございます。
○島田(琢)委員 それで半分になるの。あなたの計算は、どういう計算したらこれは二分の一になるんですか。先ほどの金額の半分は幾らですか。
○永光政府委員 先ほどの半額といいますと約二千億かと思いますが、現実に補助金を交付いたしますときの算定といたしましては、予算要求時点におきまして当該国鉄の合理化等を要するに勘案しまして、そして算定をしたものでございます。
○島田(琢)委員 今地方交通線の助成の問題で、五十七年度の分だけ開いてみただけでも、国会における論議を完全に無視して、政府の一方的な判断によってそういう打ち切りの助成金になっているということ、これで一体全体国鉄の再建ができると考えておりますか。
    〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
 出すものは出さないで、一方的に首切りだけは強行する。国鉄総裁、あなた自信持って国鉄の再建ができますか、もらうものももらわないで。
○仁杉説明員 先ほど申し上げましたけれども、国鉄としては今一生懸命努力しているわけでございますが、なかなか国家の財政上の問題があって、必ずしも十分に助成をちょうだいしているとは言いがたいのでございますが、今後なるべく早くこういう状態でなしに改善できるような方向にしていただきたいというふうには頼っております。しかし、国鉄自体といたしましては、とにかく一生懸命で効率を上げるというようなことで、百姓に向かって努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
○島田(琢)委員 しかし、本当に仁杉さん、あなた総裁として責任持って国鉄の再建ができる、そういう自信があるとは思えませんね、今のような態度で。何も遠慮することはないじゃないですか、やると言ったのだし、もらうということになっているものを。地方交通線なんというのは、今まさに地交線問題が社会的な問題になっている。六十年あるいは第二次路線についても引き続き国鉄のいわゆる合理化が行われていく。合理化だけではなくて、鉄道線路がはがされていくということなんですから……(「勤労意欲の問題だ」と呼ぶ者あり)意欲と住民の要求というのは違うのですよ。住民の足をみんな奪っておいて、赤字の部分の補てんも約束どおりやらない。こんなばかな話がありますか。国会における論議を何と心得ているのか、私は改めて開きたい。
 そういう中でも、時間が刻々来てしまいましたから、もう一つぜひ言っておかなければならぬことがあるので、国鉄の問題は、この後、国会で大きな論議を呼ぶことでしょう。こういうでたらめな、約束一つも守らない、こんな政府の姿勢がそのまま許されるようでは、国会で我々がまじめに議論をするということはあほらしくなってくるのです。
○倉成委員長 細田運輸大臣。――大臣が発言を求めています。
○細田国務大臣 国有鉄道のことについて、非常な御心配をいただいておりますことを感謝いたします。
 国有鉄道で今一番ガンは何だと言いますと、これは累積債務でございます。累積債務が今年度末で二十兆円ございます。六十年三月になると二十二兆円になることになっております。人間の数も減らし、物件費もうんと減らして、五十九年度の予算では五十八年度よりも八百億も国鉄は節減をする。ところが、一方で利息が、一兆数千億の利息を払うわけでございまして、千二百億からの利息が対前年増なんでございます。したがって、非常な合理化に努力をしておるにもかかわらず、利息の方で、もうすでにこれで赤字がふえるというのが実情でございます。
 そこで、根本的にこの問題をどうするかということについて、去年の国会で御審議を願い、誕生いたしました国鉄再建監理委員会でこの根本対策について考えていただくということで進めておるわけでございまして、この中にローカル線の問題やら、あるいは公共負担の問題も含めまして全体として再建の方策を今考えていただいており、また私ども政府としても、この監理委員会と協力しながら根本的なものを立てていこう、こういうことを今やっておるところでございます。
○島田(琢)委員 今の話には私は大分文句があるけれども、もう時間がないから、また別な機会にやることにいたします。
 さて最後に、中国の孤児問題は大変深刻な社会問題として、孤児が訪日するたびに全国の涙をそそる、本当に悲しい場面がいやでも応でも我々の耳にも口にも映ってくるわけであります。このままにしておいていいのかという、そういう問題もいわゆる解決の急がれる、こういう問題の一つであるというふうに思います。
 また、二十五日には五十名の孤児が日本にやってまいります。見ますと、十二、三人名前も年齢もわからないという人も含めて肉親を求めて我が国にやってくるわけであります。聞きますと、総理は来月の下旬ごろに訪中の予定だと伺っています。この際、孤児問題は全国的なボランティア活動によってこれが推進されているわけでありますけれども、いろいろ私たち聞いておりますと、これだけ長い間育ててくれたという養父母に対する感謝の気持ちというのを率直に表現をし、また誠意を尽くしていかなくてはいけないのではないか、そういう指摘がいろいろ耳に入ってまいります。
 よく考えてみますと、歴代の総理の中でも、この問題について感謝の念を率直にあらわしたという総理大臣はいらっしゃらぬ。この際、あなたは中国にせっかく行かれるのだとすれば、この孤児問題について、やはり我が国を代表する感謝の気持ちを述べられるということは、私は大切なことではないかと思いますが、そのお考えはありますか。
○中曽根内閣総理大臣 たしか私の記憶では、鈴木前総理は向こうへ行かれたときに感謝の意を表明したと記憶しておりますが、もし私が参りました際にも、重ねてそのように申し上げたいと思います。
○島田(琢)委員 同時に、孤児問題、これは孤児問題ばかりではなくて残留婦人という問題もありますから、そこを含めまして我が国の基本的な方針というものを策定する必要が私はあると思う。個別にはいろいろ厚生省が中心になって対策が組まれているようであります。この問題に取り組んでおられる努力については、私は一定の評価を与えるにやぶさかではありません。しかしこの際、こうしたことが長い戦争の影を引きずって今日まで社会的な片隅において大変苦労してきているという人たちが、まだ調べた以外のところにもあるかもしれないということを考えますと、やはり我が国の基本的な方針というものが明らかになるということが、あるいは明らかにするということが大変私は大事だ、こう思いますので、この際、基本方針の策定あるいはそれに伴います総合施策を展開するという意味で、前向きに取り組んでほしいと思うのですが、この点についてはいかがですか。
○入江政府委員 中国残留孤児の問題につきましては、五十七年度に厚生大臣の私的諮問機関としまして懇談会を設けられました。この懇談会は、言論界あるいは残留孤児の関係団体の方、その他各界の有識者を網羅しておりまして、しかも論議の過程では関係各省庁も参加していただきまして、一つの基本方針も御提言いただいております。現在、私どもはその基本方針に基づきまして、そこに盛られております各般の政策について順次実施を行っておるわけでございますけれども、関係行政機関の御協力も得まして、現在のところ順調に実施に移しておるというような現状でございます。
○島田(琢)委員 今の説明は、少し違うのじゃないですか。私の言っているのは、ちゃんと国としての基本方針をつくれ、こう言っているのです。今までのある基本方針なんというのは私は固いたこともない、今初めて聞きました。しかし、もう時間がなくなったから、これ以上は答弁を求めませんけれども、そこはきのうからちゃんと打ち合わせしているのに、あなたの説明おかしいじゃないか。こんな話なんというのはけんかの話でないから、それはそうですねという話になるんじゃないですか、厚生大臣。僕はそれだけ開きたかったのです、基本方針だから。全然別なことを答えよる。
○渡部国務大臣 中国残留孤児の問題について大変熱心に御心配をいただきまして、ありがとうございます。
 今お話しのように、残留孤児の肉親捜し、また帰国孤児の定着化、こういう基本方針に沿うて今努力しておりまして、御心配をいただきました定着化センターも二月一日に発足しまして、私も行ってまいりましたけれども、帰国孤児で入所しておる方にお目にかかって、非常に明るい希望を持っていらっしゃる姿に感激し、また、今お話しの熱心にボランティア活動をなされておられる皆さんからもいろんな御意見を承りまして、これらのものを十分尊重してこれから仕事を進めてまいりたい。
 懇談会の問題ですが、これは今援護局長からお話がありましたように、円城寿次郎先生を座長とするまさにそうそうたるノンバーでの懇談会を設けて御意見を承っておるものでありますが、御指摘の点もありますので、なお念には念を入れろということもありますから、いろいろの各般の御意見を承って、これはまさに人道上極めて重要な問題でありますから、御趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
○島田(琢)委員 終わります。
○倉成委員長 これにて島田君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十一日午前十時より開会し、昭和五十八年度補正予算の審査を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十二分散会