第101回国会 物価問題等に関する特別委員会 第10号
昭和五十九年七月二十六日(木曜日)
    午前十時三十一分開議
出席委員
  委員長 金子 みつ君
   理事 青木 正久君 理事 亀井 静香君
   理事 岸田 文武君 理事 浜田卓二郎君
   理事 武部  文君 理事 宮地 正介君
   理事 田中 慶秋君
      熊川 次男君    二階 俊博君
      浜西 鉄雄君    浅井 美幸君
      福岡 康夫君    藤田 スミ君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局取引部長 利部 脩二君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    及川 昭伍君
        経済企画庁物価
        局長      斎藤 成雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    大竹 宏繁君
        経済企画庁調査
        局長      横溝 雅夫君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   浜本 英輔君
        文部省初等中等
        教育局教科書管
        理課長     林田 英樹君
        厚生省生活衛生
        局食品保健課長 玉木  武君
        厚生省生活衛生
        局食品化学課長 市川 和孝君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部計
        画課長     楠本 欣史君
        厚生省薬務局監
        視指導課長   中井 一士君
        厚生省児童家庭
        局児童手当課長 浅野 楢悦君
        農林水産大臣官
        房企画室長   近長 武治君
        農林水産省食品
        流通局消費経済
        課長      松延 洋平君
        農林水産省食品
        流通局食品油脂
        課長      増田 正尚君
        水産庁漁政部協
        同組合課長   樋口 健夫君
        水産庁研究部漁
        場保全課長   小野登喜雄君
        通商産業省産業
        政策局消費経済
        課長      糟谷  晃君
        通商産業省立地
        公害局工業再配
        置課長     高沢 信行君
        通商産業省立地
        公害局工業用水 
        課長      合田宏四郎君
        工業技術院総務
        部研究業務課長 松下  弘君
        中小企業庁小規
        模企業部参事官 小川 忠夫君
        運輸省港湾局計
        画課長     上村 正明君
        運輸省航空局監
        理部航空企画調
        査室長     小坂 英治君
        運輸省航空局飛
        行場部関西国際
        空港課長    竹内寿太郎君
        建設大臣官房政
        策課長     伊藤 茂史君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二階俊博君。
○二階委員 財政再建の問題については、河本長官は、さきの予算委員会等において、一つは歳出の合理化を図る、第二は税体系の根本的な見直し、第三に経済の活力の回復による税収の拡大が必要だと述べておられますが、まさに御指摘のとおりであると存じます。これまで過去四年間にわたって第二次石油ショックによってもたらされた世界経済全体の低迷、混乱の中からようやく昨年の春以降、第二次オイルショック以後五年目にして、世界経済の機関車の役割を果たすアメリカ経済の浮上につれて、日本経済はもとより世界経済も大変明るい兆しが見え始めてまいりました。したがって我が国の経済も、地域別、業種別には多少のばらつきがあるとも、ようやく上昇の気配がうかがわれる感じがしてまいったわけであります。
 しかしながら、国内需要については、回復にいま一つ盛り上がりを欠いている感が率直にいたすわけでありますが、これは長官がかねて「エコノミスト」にも発表されましたとおり、アメリカの政治のような決断があれば、つまり、私もまた政治の決断いかんによって、我が国経済の回復上昇に大きなはずみをつけることが可能な情勢ではないかと考えるものであります。
 そこでお尋ねいたしますが、世界経済の中に占める我が国経済の役割について、次に日米経済の比較について、さらに、アメリカ経済の今後の動向と経常収支の赤字がどの程度となるとお考えになっておられるか、三点について最初に大臣の見解を承りたいと思います。
○河本国務大臣 日本経済は世界経済の中で非常に大きなシェアを占めるようになっております。現在は約一割の経済の力を持つに至っておりますが、それだけ日本の役割、責任というものは大変重いと思います。自分の国のことだけをやっておればよろしいという昔の時代と違いまして、世界経済全体に大きく貢献をするということが我が国の責任だと思います。臨調にも、何のために行政改革をやるかということについて目標が示されておりますが、その一つに、国際社会に積極的に貢献をする、それが我が国の目標である、こういうことを言っておりますが、そのためにはやはり財政の力がありませんと世界全体に貢献するということは難しいと思いますし、財政の力をつけるためには経済に力がつかなければならぬ、このように思います。従来のようなよたよたした経済では財政の力もつかないということでございますので、世界において日本が果たさなければならない責任という観点から日本の経済運営というものを考えていかなければならぬ、このように私は考えております。
 それから第二点、アメリカとの比較でございますが、確かにアメリカの経済は最近非常に強くなっております。しかし基礎的な条件を比べてみますと、例えば物価も日本の方が安定をいたしておりますし、貯蓄性向も日本の方がはるかに高い。こういうことも日本がすぐれておると思います。それから、少なくとも現時点では、一、二の例外を除きまして、経済の競争力は日本の方が強いと思います。まあ一、二年後になりますと、アメリカの大規模な民間の設備投資が進んでおりまして、生産性の向上が大きく期待できますので、一二年後についてはわかりませんが、少なくとも現時点では日本の競争力の方がすぐれておる、こういう感じがいたしますし、それから労働者の素質、能力、経営者の経営に対する考え方、こういうことをいろいろ比較いたしましても、日本経済の基礎的な条件はアメリカよりもすぐれておる、このように私は思いますが、経済の条件がすぐれておる日本経済がもたもたいたしておりまして、経済の条件の悪いアメリカ経済が大変な勢いで今活力を回復しておるということを考えますと、やはり何らかの問題があるのではないか、こういう感じがいたします。問題ありとすれば、それは政治としてよほど慎重に分析検討しなければならぬ課題だ、このように思います。
 それから、御質問の第三点は、貿易、経常収支の展望いかんということでございます。
 ことしの一月に、政府は、貿易の黒字を三百四十億ドル、それから経常収支の黒字を二百三十億ドルと想定をいたしましたが、現在の動きを見ておりますと、まだ年度間を通じて定かな展望はできませんが、大体いずれも百億ドルないし百五十億ドルぐらいふえるのではないか、こういう感じがいたします。いずれにいたしましても、巨額の黒字が計上されるという傾向だと思いますが、私どもの心配いたしますのは、一つの国が余り巨額の黒字を出しますと、それが引き金になりまして世界で保護貿易的な傾向が誘発されるおそれがございますので、その点についてはよほど総合的に日本として判断をしていかなければならぬ、このように考えます。
○二階委員 ただいまのお話のように、我が国の巨額の黒字ということが予測される。そこで国際経済摩擦が一層激しさを増すことが懸念されるわけでありますが、さらにその上、昨今の円安による輸出への拍車がかかるのではないかと思われます。この際、我が国経済もいつまでも輸出依存型ではなく、先ほどお話もございましたが、政府が一工夫をこらして、内需拡大による均衡ある発展を目指すべきであると考えますが、大臣の御所見を簡単に伺いたいと思います。
○河本国務大臣 黒字を減すということのためには、一番望ましいのは拡大均衡だと思うのです。輸出もふえるが輸入もふえる、こういうことですとお互いにいいわけでありますから、それが一番望ましいと思いますが、そのために二つのことが必要だと私は思います。
 第一はやはり通貨が適正な水準に評価されるということだと思います。今若干円安になっておりまして、円安の背景にはアメリカの高金利あるいはアメリカ経済の強さもございますが、若干実力以下に評価されておる、こういう感じもいたしますので、この問題にどう対処していくかということが一つの課題。
 それから、拡大均衡に持っていきますためには国内の購買力が拡大をしなければなりません。そこで内需の拡大ということが起こってくるわけでございますが、今、日本の経済には幾つかの特徴がございますが、その一つの特徴は個人消費がふえないということであります。幾らかふえておるのですけれども、政府の見通しを下回っておる。民間の経済見通しなんかを見ましても、いずれも個人消費に関しては下方修正されておる。それはなぜかといいますと、実質所得がふえない、こういうことが背景にあるのだと思います。何しろ国民経済の六割近くを占めております個人消費のことでございますから、これがふえませんと内需は拡大をいたしません。それからもう一つが投資不足だと私は思います。資金は過剰状態が続いておりますけれども、社会資本投資も十分ではない。民間の設備投資もふえてはおりますけれどもアメリカ等に比べると十分ではない。そこで貯蓄過剰の状態が続いておるというのが現在の状態だと思います。したがって、全体としての投資不足、それから実質所得の伸びが停滞しておるが、これに一体どう対処するのか、こういう問題があろうと思います。
○二階委員 企画庁にお尋ねしたいと思います。
 我が国の社会資本整備の水準は、欧米先進国に比べて著しく立ちおくれていると言われております。下水道、公園、道路、住宅等大変なおくれであります。国土の大きさの差はあるにしましても、アメリカの空港と日本の空港の整備状況、空港の数等を比べてみましても非常に心もとない限りであります。この際改めて政府に対し、欧米先進国と比べて我が国の社会資本の整備水準をどのように認識しておられるか、お尋ねしたいと思います。
○大竹政府委員 欧米と比べました社会資本の整備状況でございますが、我が国の整備状況が欧米並みと考えられますのは、上水道あるいは医療関係、電話の普及率といったような面では欧米並みあるいはそれ以上という水準になっております。しかし、ただいまお話のございました都市公園、下水道あるいは道路の舗装率といったところでは、国土の制約も仰せのようにあるわけでございますけれども、かなり数字の開きがあるというのが現状でございます。
○二階委員 さらに企画庁にお尋ねしたいと思います。
 我が国の社会資本整備の水準のおくれの原因をどのように分析し、欧米先進国に追いつくために今後いかなる政策努力をしようとしているのか、その御方針を伺いたいと思います。民間の活力の導入も大賛成であります。しかし、政府自身が解決すべきこと、努力すべきことがたくさんあります。これについて企画庁の考え方を伺っておきた
 いと思います。
○大竹政府委員 なぜ整備がおくれているかというお尋ねでございますけれども、一つは、我が国が非常に急速に経済成長をしてきたということでございます。その結果といたしまして、整備にかけた年数が非常に短期間でございます。短期間に整備をしなければならなかった、欧米はかなり長期間にわたって整備し、蓄積をしてきた、その辺が一つ違うわけでございます。
 それから、最近の状況は国民のニーズが多様化しておるということも一つ、社会資本に対する需要がさまざまな形で増大しておるということであろうと思います。したがいまして、そうした国民の要望にこたえるために社会資本を整備していかなければいけないわけでございますけれども、一方では社会資本の整備の主体が公共部門になっておるわけでございます。御承知のような財政状況でございますので、ストレートに公共の財源を配分することはいろいろな制約がございます。何か工夫をという仰せでございますけれども、一つは、整備主体が公共部門になっておりますものの中から民間主体に持っていけるようなものがあれば、それは民間でも整備に参加していただく、あるいは公共と一緒にやる、あるいは民間だけでおやりいただく。そのための財源あるいはコストといった問題をどうするかということは、いろいろな御提案も現在民間でも出ておるわけでございます。
 企画庁といたしましては、そういう御提案の趣旨をできるだけ民間でも御活用いただく、あるいは関係各省でも御検討願うということを推進をする立場にございまして、そういう努力をしておる
 ところでございます。
○二階委員 この際、社会資本の定義についても大臣に一言お伺いしたいと思います。
 社会資本の定義については、今日までもさまざまな定義づけや性格づけが行われているところでございますが、これはその国の制度や経済発展の状況に応じて、また国民のニーズによっても当然変化するものと考えておりますが、これについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 さらに、経済社会の変化の方向に対応した社会資本整備のあり方として、高齢化への対応、そして国際化への対応、情報化への対応が迫られているところであります。今後二十世紀後半の社会資本整備の力点をどこに置くべきと考えておられるか、大臣の御見解を承りたいと思います。
○河本国務大臣 社会資本という意味はいろいろな角度から議論しなければなりませんが、日本の場合は社会資本の整備と言えば主として公共事業だ、私はこう思っております。今十五の中期計画が社会資本整備の中核として進められておりますが、欧米は別として日本の場合は、主としてこの十五本の計画の整備を進めることが社会資本の中心であろう、このように思います。
 それから、高齢化社会への対応というお話がございました。また国際化への対応ということもございましたが、それは確かに一つの大きな流れでございます。これは大いにやらなければいけませんが、先ほど来申し上げておりますように、幾つかの政策を進めます上においては先立つものは財政力でございまして、やはり財政力の強化ということが何よりも必要でございます。そうでありませんと空念仏に終わってしまいまして、中身は伴わない、議論倒れに終わるということになりますので、いろいろな政策を進める前提条件はやはり財政力の強化、その前提としての経済の健全な成長、こういうことが必要だと思うのです。特に、今急速な高齢化社会に進もうとしておりますから、日本といたしましても十分な準備を前もって進めていかなければなりませんが、そういう観点からも、私は経済の健全な成長が何よりも大事だ、こういうことを痛感をいたしております。
○二階委員 経済企画庁が考えておられる、つまり二十一世紀への望ましい経済社会を実現するためには、ただいまお話しのような財政的に難しい状況の中でありますが、社会資本の整備は着実かつ計画的に、しかも欧米先進国にはこれ以上のテンポで水をあけられないように、積極的に推進を図っていかなければならないと思うわけでありますが、残念ながらお話にありましたように、昭和五十五年度以降の公共事業費の抑制による各種の公共事業五カ年計画の進捗ははかばかしくないという嘆きの声が聞こえているわけでありますが、公共事業五カ年計画の進捗状況と今後の計画達成に向けていかなる戦略をお考えなのか。もうここらで計画の見直しをされようとするのか。治水治山、海岸、道路、港湾、漁港、空港、住宅、下水道、廃棄物処理施設、都市公園、土地改良、沿岸漁場整備、交通安全、急傾斜地等のそれぞれの中期計画について、この際、建設、運輸、農林、水産、厚生の各省から簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
○伊藤説明員 御説明いたします。建設省所管の公共事業関係の五カ年計画は八本ございまして、五十六年度を初年度として六十年度を目標とするものが多うございます。お話しのとおり、公共事業抑制が始まりました期間とほぼ一致しておりまして、いずれもその目標達成といいますか、予定をしました事業量を完遂することは非常に難しくなっております。ただ、住宅建設五カ年計画につきましては、この中身としまして、公的資金住宅という形のグルーピングがございまして、三百五十万戸ほど予定しておりましたが、これにつきましては、今のところ、その中身といいますか、公営、公団、公庫の中身の差はございますけれども、ほぼ目標達成しそうだ。しかし、ほかのものにつきましては、今のままの状況で推移せんか、七割、七五%ないし八四、五%というところで終わりそうでございます。六十年度が最終年度でございまして、私どもとしましては最後の年に望みをかけたわけでございますけれども、周囲の状況は御案内のとおりでございます。我々としましては、今後の予算編成の過程に向けまして最後の努力をいたしたいと思っております。
 それから、いろいろ工夫をすることはないか、こういうお尋ねでございますけれども、各五カ年計画の中の事業としましては、公団、公庫の事業が相当ございます。これにつきましては、従来から財投資金を投入しておりますので、一般会計からのお金を使うものと比べまして若干余裕があったわけでございますけれども、加えまして最近におきましては、民間資金の活用ということで、公団債でございますとか借入金でございますとか、そういうものを活用いたしております。そういうことでありますとか、あるいは地方単独でありますとか、そういうことの工夫、財源的な工夫は大いにしなければならないと思います。
 それから、あと五カ年計画全体として考えておりました水準を達成する場合にも、おのずとプライオリティーというものが中にあろうかと思いますので、事業の実施に当たりましては、できるだけ地域の経済事情あるいは公共施設の整備水準等々を考えまして、重点的かつ効率的に実施をするというようなことで最後の努力をいたしたいと考えております。
 以上でございます。
○近長説明員 農林水産省は、ただいま五本の長期計画を持っております。具体的には農地の整備を中心にいたします土地改良長期計画を初め漁港、それから沿岸漁場の整備開発、それから治山、海岸保全がございます。
 数字的に申し上げますと、土地改良の長期計画は、実は五十八年度にスタートをいたしまして十年間でございまして、あと八年残っておりますが、現在の進捗率は一〇%強のところでございます。それから漁港整備計画は五十七年度から六年間でございまして、あと三年残っておりますが、現在三六%か七%程度のところでございます。それから沿岸漁場整備開発計画は五十七年度から六年間でございますが、あと三年残っておりまして、現在三〇%強のところでございます。なお、治山事業五カ年計画は、これは第六次でございまして、あと二年でございますが、現在は四割強のところでございます。かなり大きな事業が残ったままになっております。また、海岸の五カ年計画につきましても、あと一年残っておるのですが、現在六四%ぐらいの進捗でございます。このように現在、財政事情を初め大変厳しい状況でございますので、客観的に申し上げて、必ずしもはかばかしいものとは言えないわけでございます。
 農林水産省としては多様な事業がございますので、それぞれの事業の実施の段階でなるべく効率化になるようにということで細かい工夫もしてきておりますが、やはりどうしても財政的な問題についても努力を重ねていかなければいけない。そういう面を含めまして、これからもなるべく当初の計画目標に近づくように最善の努力を払っていきたい、かように考えております。
○上村説明員 私ども、運輸省港湾局では、港湾整備事業と海岸事業、二つの公共事業を分担しております。両事業とも昭和五十六年度を初年度としまして、六十年度を最終年度とします五カ年計画に基づいてやっておりまして、この両計画とも、発足以来四カ年を経過しているわけでございまして、あと一年しか残っておりませんけれども、それらの進捗率は、港湾が五九・八%、海岸が六六・八%にとどまっているわけでございます。
 私どもといたしましては、両事業につきまして、今後とも計画的な実施、着実な実施を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○小坂説明員 運輸省の空港整備でございますけれども、第四次空港整備五カ年計画といたしまして、五十六年度から六十年度に至る五カ年間の計画になっております。五十九年度予算で四年目でございますけれども、調整費を除きまして五二・七%という低率になっております。しかしながら、今後とも期間内、なるべく計画どおりに進めたいということで頑張ってまいりたいと思っております。
○楠本説明員 お答えします。
 厚生省関係は、廃棄物処理施設につきましての公共事業五カ年計画を抱えておりますけれども、廃棄物施設につきまして、やはり五十六年から六十年までに至る五カ年計画ということで進めておりますところ、その進捗状況は、五十九年末で五九・二%とはかばかしくない状況下にございます。また、今後におきましても、やはり客観的な情勢というものを勘案いたしますときには、計画達成は困難な状況下にはあろうかと思います。
 ただ、この廃棄物処理施設は緊急なものが多々ございますので、私ども、そういった中でありながら全体の事業枠、あるいは同じ限られた枠の中におきましても緊急性のあるもの、こういったものにつきまして重点的、効率的にやっていきたい、こういうふうに考えております。
○二階委員 それぞれ五カ年計画の状況を伺いましたが、このような状態では、経済企画庁の長期展望の実現にも支障を来してくるのではないかと思われますが、長官の政治の目標の第一は、国民を豊かにすることにあると言われております。全く同感であります。
 そこで、せっかくのバラ色の長期計画がしぼんでしまうのではなかろうかという今日の状況、また先ほど伺いましたとおり、個人消費が伸びないという状況に対し、国民を豊かにするという政治目標達成のためにも、実力者大臣として、こうすればやれるという何かいい知恵を出していただきたい、国民はそう期待しているわけでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○河本国務大臣 先ほど、今の日本経済の問題点として、投資不足とそれから国民所得の伸び悩みということを申し上げましたが、投資のうち社会資本投資については、ここ数年ぶりでもう少し積極的に判断すべきではないか、こういう議論が強く出てきております。私は、これは当然のことだと思いますのは、昨年までは第二次石油危機で世界経済は停滞期に入ったのではないか、ほとんど成長力がなくなったのではないか、こういうことが言われまして、日本の国内でもそういう議論が比較的強かったものですから、いわゆる我慢経済、まあしようがないかということで、比較的積極的に意見を言う人もなかったんだと思うのです。しかし、昨年の後半からアメリカ経済が大変な勢いを盛り返しまして、思わざる活況を呈しておる、こういう状態を見まして、どうも昨年までの議論はおかしいのではないか、世界経済は停滞期に入ったなどという議論はどうも間違っておる、やはりやり方いかんでは相当大きな成果を上げることも可能だ、こういう認識から、日本でも政策安定度を見直したらどうだ、しかも客観的な条件は日本にとっていい状態になっておる、こういうことから政策の転換を求める声が出てきたんだと思います。
 ただ、従来の経過もございますので、私は若干の工夫が必要だと思うのです。例えば昭和四十年、大変な不況でございましたが、当時佐藤内閣で福田さんが大蔵大臣になられまして、そのとき何としてもこの不況を打開しなければいかぬということで国債の増発をされると同時に、国債だけに頼らないで、債務負担行為ということでひとつ思い切った社会資本投資を拡大してみようという二本立てで政策を進められまして、大きな成果を上げられました。そしてそれが昭和四十年代のいわゆる高原景気、第一次石油危機までの数年間の高原景気の基礎になった。
 こういう経過もございますから、日本で建設国債の増発をするということについて若干の抵抗ありとするならば、私は債務負担行為等をもう少し活用するということも一つの方法であると思いますし、それから公共事業の中には採算性のある公共事業も相当ございます。道路とか空港とか、こういうものがございますので、こういうものに対しては民間資本を積極的に導入するために政府保証債の拡大、こういうことも可能だと思うのです。政府保証債の拡大によって資金を導入いたしましても、採算性のある事業であれば十分これを返済することができる。こういうことも可能だと思います。
 それから、地方の財政と中央の財政を比べましたときには、地方の財政にややゆとりがある、こういうことでもございますから、一時的に補助率等の変更をいたしまして、そして公共事業全体を拡大する、こういうことも可能だと思いますが、その場合には地方債の発行の拡大、こういうことにもなろうかと思うのです。ただ、地方にずっと負担のかけつ放してはこれは問題がございまして、地方もなかなか納得しがたい、こう思いますので、中期的には政府の方が何らかの面倒を見ながら一時的に地方の力をかりる、こういうやり方もあろうと思うのです。したがって、いろんな政策を総合的に進めていくならば、一般会計だけに頼らないで、国全体としての公共事業の量、社会資本投資の量を拡大することが十分可能だと思います。
 党の方でいろんな意見が出ておりますが、これは単に一般会計だけで公共事業の量を拡大せよ、こういう議論ではないと思うのです。と申しますのは、ことしの公共事業の量全体を計算してみますと、一般会計では六兆強でありますが、地方の補助事業、単独事業、それから公社、公団等の事業を入れますと、土地代を除きまして二十二、三兆になっております。土地代を含めますとざっと三十兆でありますが、だから二十二、三兆の公共事業の量そのものを拡大することが緊急の課題だ、こう思っておりまして、先ほど来申し上げますように貯蓄過剰、投資不足という状態でございまして、大量の資金が海外に流れていっておる、こういう状態から考えますと、これは国全体には資金もあるわけでありますから、その点は私は工夫をすれば十分やれる、このように思います。
 それから、一つ誤解がございまして、この点私どもも大変困っておるのですけれども、それは大規模なプロジェクトに民間資金を導入するという計画が幾つかございますが、これは大変結構だと思うのです。しかし、このためにはやはり地元との調整も必要でございますし、環境影響の評価等もございまして、十分な調査と準備が必要です。やはり数年の準備期間が必要だと思うのです。それから工事が始まるということでありますので、民間資金を導入するにいたしましても、今言われておりますこれらの事業は、ことしと来年の経済には関係はない。十年の中期的な展望から考えた場合には大変結構で、大いにやらなければならぬ課題だと思いますが、これがことし、来年の経済と混同される嫌いがややもすればございますので、その点は区別しなければならぬと考えております。
○二階委員 話を伺いまして、さきに自民党の有力なリーダーの一人であります宮澤元経済企画庁長官が資産倍増計画なるものを発表されました。これに対し各界からさまざまな反応が示されていますが、この評価についてある雑誌にこんなことが載っておりました。田中角榮氏は列島改造の裏返したとして高く評価、一方福田赳夫氏はインフレを懸念する、再選を期する中曽根総理は党内の動向を息を潜めて見守っているのが実情、これにはこのように述べております。
 そこで、積極財政論者と言われる河本長官は、この提言を評価しておられるやに伺っておりますが、この際、これに対する長官の見解を承っておきたいと思います。
○河本国務大臣 宮澤さんは一九九五年、昭和七十年を目標にして資産倍増、こういうことを言っておられるわけでありますが、私はこれは大変結構な議論で、そんなに突出した議論でもない、こう思っております。
 と申しますのは、昨年の八月に政府は、昭和六十五年までの指針と展望という経済運営の基本方針について発表しておりますが、これによりますと、昨年から八年の間平均四%成長するということを言っております。名目では六%ないし七%成長。平均四%成長するということは、条件の悪いときには二、三%成長しかできませんし、条件のいいときには五、六%成長する、その平均が四%成長、こういうことになろうと思うのです。これまでは第二次石油危機の悪い影響がございまして経済は混乱をしておりましたから、四%以下の成長、三%そこそこの成長しかできなかったのでございますが、最近はアメリカ経済も立ち直り、客観情勢が大変によくなっておりますから、やはり平均よりも高目の成長、五、六%成長は十分達成できると思いますし、それをやりませんと八年間平均四%ということにはなりません。
 したがいまして、これは自由民主党の内部からだけではなく、先般の予算委員会等を通じまして野党の一部の議論を聞いておりましても、この際は高目の成長をすることによって経済の活力を拡大すべし、こういう議論もございましたし、それから現在の時点では五、六%成長を達成するということは十分可能でございますので、そういう経済成長が続きますと政府見通しも達成できますし、したがって資産の倍増もそのうちにできる、こういうことでございますので、情勢のいいときには高目の成長をせよというのが宮澤さんの御意見だと思うのです。そういう意味で私は大変結構である、こう思っております。
○二階委員 自民党の政策グループの一つであります木曜クラブの国家財源に関する研究会が先般、第一に昭和六十年度予算について、二番目に公共事業執行のあり方について、三番目に新規財源に関する検討等についての提言を発表しましたことは御承知のとおりであります。
 この提言のポイントとして、六十年度予算編成において公共事業費は特に重点配慮すべきである、公共事業予算外であっても、特に防衛費、教育費、社会保障費、外交、対外援助等、本来シーリング制度になじまない予算費目についても、現実を踏まえて弾力的な運用をすべきであると主張しております。これに対し河本長官の忌憚のない御意見、御見解を承りたいと思います。
○河本国務大臣 木曜クラブから発表されました、これからの経済財政運営についての御議論を読ましていただきました。日本の発展に必要な分野については予算を惜しむべきではない。防衛とかエネルギー、それから経済協力、科学技術の振興、こういう分野では必要な資金はどんどん出すべきである。
 従来の方針もそうなっておりまして、最近はそういう分野も削ってしまえという議論がありますけれども、それは暴論だ、私はこのように思います。やはり将来の日本の発展の基礎になる、また日本の国際社会における責任という観点から判断すべき課題については、必要な財政はつけていかなければならぬ、このように思います。
○二階委員 建設公債の積極的な増額等によって、この際公共投資の拡大あるいは大幅に予算を確保されたいという旨の要望が、現在自民党の国会議員三百五十余名の署名捺印のもとに中曽根総理のもとに届けられていることは、既に長官も御承知のとおりであります。また、各党の首脳部も、公共事業の推進について積極的な御発言をされております。政党政治の今日、これだけの内外の極めて強い要望に対し、行革審の御意見のみを金科玉条のごとくにして、政府は今までと同じような説明を繰り返しているだけで果たして事が足りるのかどうか。まさに政治が勇断を求められているときであります。これらの党内外の強い要請に対し、大臣はいかに対処されようとしておられるか。
 なお、この際改めてもう一度確認をしておきたいと思いますが、建設国債の増発による公共投資の拡大は財政再建の理念に反しないと思われますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 国債についての評価をどう考えるかということがその前提になると思うのですが、私は国債について非常に誤解があると思うのです。昭和五十九年度末、来年三月における国債の残高が百二十兆になる。これは大変なことだということで、大変だ大変だという議論が多いのですけれども、これが本当に大変で、しかも国債を発行したことが何か罪悪のように評価される向きもありますが、これは私は行き過ぎだ、このように思います。
 国債の増発を始めましたのは昭和五十年から五十九年まで十年間でありまして、当時は残高が約十兆でございましたが、この十年間に百十兆ばかり増発いたしましたので百二十兆ということになったのであります。しかし、この間GNPは二倍以上にふえております。国民の所得も二倍以上にふえております。しかも、物価は世界で一番安定しておるという状態でありまして、税収なんかを見ましても、昭和五十年には国税は十四兆でありましたが、大蔵省のことし国会に出しております予算書を見ますと国税が三十五兆になっております。それから、地方税が当時八兆でありましたが、ことしの予算書を見ますと地方税が二十二兆になっておる。こういうことで、全体として、二つ合わせて二十二兆しかなかったものが五十七兆になっておるということでありますから、国全体、地方も含めましての広い意味での税収というものは相当拡大しておると思うのです。
 なるほど、百十兆という国債の発行によりまして八兆ばかりの国債金利の負担はふえておりますけれども、一方でさっき申し上げましたように経済の拡大、それから国民所得の増加、しかも世界で最強の経済の競争力を持っておって、歴史上最大の黒字を出しておる。これだけの力を十年の間維持することができたわけですから、百十兆という国債の増加はやはりそういう面からも総合的に考える必要が私はあると思うのです。しかも、これは全部国民の貯蓄を背景にして消化されておる。日本銀行が国債を持ってインフレを起こした、そういうことではありません。しかも外債ではありませんから、利息の支払いといいましてもそれは国内に還元をされるということでありまして、次の経済活動のそれが一つの大きな力にもなっておる。政府から見ますとそれは借り入れでありましても、国民の側から見ればそれは一つの債権、財産である、こういうことでもありますから、そういう背景、経過を総合的に分析しませんと、国債を出して大変だ大変だ、何か大変な罪悪を犯したような評価は間違っておる、私はこのように思うのです。
 で、国民経済全体から考えて、国債の発行は必要とあらばやってよろしい、したがって建設国債の増発もやってよろしい、私自身はこう考えておりますが、ただ、今の段階では反対意見等も相当ございますので、これを来年の予算編成に対してどう取り扱っていくかということになりますと、建設国債の増発によっての公共事業の拡大ということは大変難しい、結論が出るまでに時間が間に合わないのではないか、こういう感じもいたします。そこで、公共事業の拡大は自由民主党の三百五十名の方々が要望されております大きな課題でもございますので、事業量全体を拡大することが必要であって、その拡大の方法として多少工夫をすればそれは十分可能だ、これまでの方針を変えないでそれは可能だ。こういう妥協案といいますか、当面の問題の解決方法を先に、具体的に三つ、四つの例を申し上げたわけでございまして、経過もございますから、従来の経過もある程度尊重しながら、しかも実際の効果を上げていく、こういう解決が望ましい、またそれはできる、このように思っております。
○二階委員 長官のお話はよくわかりました。
 昭和六十年度予算の概算要求はいよいよシーリング方式を改めて概算要求基準を設定するようでありますが、三十一日の閣議決定を前にして、河本長官のいわゆる概算要求基準設定についてのお考えと、先ほどからもお話を承りましたが、来年度予算についての御所見を簡単にお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 この間内閣と党の間で概算要求基準についての方針が決まりました。細目については多分この三十一日の閣議で決まるのだと思いますが、私は概算要求の基準はあの決定の方針でいいと思います。ただ、九月から十二月までの税収状態、それから経済の動向等を見ながら党と内閣との間でよく相談をして、十二月の政府の原案をつくるまでによく検討していこう、こういう附帯条項がついておりますから、概算要求は当然十二月までの間に相当変わる、このように思いますので、概算要求そのものに対しては私はこだわっておりません。
○二階委員 企画庁、ありがとうございました。
 次に、私は赤潮対策についてお尋ねをしておきたいのであります。
 実は、去る六月十五日、三重県長島近海で発生した赤潮は、さらに七月一日に至って和歌山県串本湾付近を中心に串本町、勝浦町及び古座町方面の養殖事業並びに一般の沿岸漁業に大きな打撃を与えているのであります。海の汚染により漁獲量の減少あるいは夏休みの水泳客の減少等観光業にも既に大きな影響を及ぼし始めようとしているのであります。
 私は去る二十一日、二十二日の両日、これらの状況調査のため現地に行ってまいりました。空の青さと海の青さを誇る南紀の海も、しょうゆを流してしまったような悪臭の漂う、まるで死の海と化したような状態の中で、養殖用の施設であるいかだの上に、心配そうに、魚の安否を気遣いながら元気なく立ち尽くしている漁民の姿があちらこちらに見受けられるのであります。五十年もの間毎日のようにこの海を眺めて暮らしておった古老が赤潮の影響の大きさを話すわけでございますが、海がこんな色になったのは初めてだということであります。陸上では、既に死んでしまった何十万匹というタイやハマチを埋める作業がブルドーザーによって行われておる。私は県の水産試験場や付近の近畿大学の教授等に意見も伺ってみましたが、お話を伺えば伺うほど全く大変な問題であります。
 そこで、水産庁は既にこの件に関し調査を開始されていると思いますが、今日までの被害の状況をどのように把握しておられるか、お伺いしたいと思います。
○小野説明員 お答え申し上げます。本年六月中旬ごろから、三重県及び和歌山県にかけます熊野灘沿岸におきまして、ギムノデニウムという植物プランクトンを構成種といたします大規模な赤潮が発生いたしまして、現在も継続中でございます。お尋ねの漁業被害につきましては、両県からの報告によりますと、七月二十二日現在でございますが、養殖ハマチ、タイ等のへい死によりまして、和歌山県におきましては約三十四億円、三重県におきましては約十二億円の被害が出ているというふうに承っております。
○二階委員 今必要なことは、被害の実態を調査することはもちろんでありますが、同時に、これ以上被害を大きくしないように、いわゆる赤潮の専門家を現地に派遣していただいて指導願いたいという要望が強いわけでありますが、これについていかに対処されようとしているか、お尋ねいたします。
○小野説明員 赤潮の発生状況と被害状況を把握するために、既に私どもの赤潮対策係長を現地に派遣しておりまして、現在、現地で情報収集するとともに、関係機関等とその対応について協議しているところでございます。さらに、今回の赤潮被害が非常に大規模であるということにかんがみまして、関係県とも協議の上、赤潮対策に経験が豊富でかつ最新の専門知識を有する専門家を早急に派遣したいと考えております。
○二階委員 次に、救済策の一つとして直ちに考えられる措置は、経営維持安定資金の緊急融資、さらに近代化資金等の返済の繰り延べ等の融資対策を必要とするわけですが、これについてはいかなる対応をされようとしているか、お尋ねいたします。
○樋口説明員 お答えいたします。
 赤潮の被害を受けられた方々の窮状は察するに余りあるところでございまして、水産庁といたしましても、関係県と協議して、融資対策等について検討しておるところでございます。
 先生お話しのように、融資対策といたしましては、過去の負債をどうするかという問題、あるいは購買資金等の返済をどうするかという問題があるわけでございまして、近代化資金の償還条件の緩和、あるいは負債の償還なり購買資金の返済が困難になったものにつきまして、それの経営維持安定資金の借りかえ等が考えられるわけでございます。この点につきましては、ただいま県の方で資金需要等を調査しているところでございますので、今後とも県と協議いたしまして、十分対応いたしてまいる所存でございます。
○二階委員 赤潮は一体いつまで続くのか、こうした事態は今後たびたび発生するかもしれないという不安の中で、積極的に多額の融資を受けようとする気持ちや意欲が漁業者に果たしてわいてくるだろうかとさえ心配する漁業組合幹部の声もあります。したがって、この際、融資についてはできるだけ低利な融資を考えるべきだと思います。
 そこで、被害は養殖の魚だけではなく、えさ、人件費、さらにアワビ、トコブシ、ウツボ、タコ、イセエビ等の沿岸漁業に与える影響、さらには観光業にまで大きな影響を及ぼすわけでありますから、これらについても当然PCB汚染のときと同じような救済策を講ずべきであると考えますが、政府が考えておられる当面の対策を伺っておきた
 いと思います。
○樋口説明員 今回の被害対策につきまして、被害の状況でございますが、今のところ三重県、和歌山県というところで発生しているわけでございますけれども、被害の実態から見ましてかなり地域的なものというふうに私どもとしては考えているわけでございます。したがいまして、国の対策といたしましては、経営維持安定資金というような一般的な対策として対応するしかないと思うわけでございますが、なお地域的な対策として、必要がございますればこれに対して県なり自治体で上乗せして援助するといったことが考えられますので、この点につきましても県と協議してまいりたいと思う次第でございます。
○二階委員 次に、この赤潮の発生源についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいのであります。
 水産庁は今日までたびたび赤潮発生の経験を持っているはずであります。調査研究をどのような形でやっておられるか、つまりどの程度の予算を投入して、どのくらいの人員でこれらに対処しようとしておられるのか、現在の体制で一体大丈夫なのかどうか、今後において自信が持てるのか、こういうことを危惧するものでありますが、この点について、調査研究機関等の整備をも含めて伺っておきたいと思います。
○小野説明員 赤潮は、窒素や燐のような栄養塩類が豊富な海域において、水温が上昇しまた海水が低塩化するというような環境条件が整いますと、微量な鉄などのいわゆる増殖促進物質の存在によりまして発生しやすいというように一般的には考えられております。しかし、これの発生要因というものは、定量的にどのように組み合わされれば、いつどんな種類の赤潮が出るかということまでにつきましてはまだ解明されておりません。
 そこで、水産庁といたしましては、赤潮対策技術開発試験等を行うことによりまして、赤潮発生のメカニズムの解明のために努力を続けているところでございます。また、赤潮が発生した場合にも、赤潮の早期発見とか情報の周知徹底、あるいはその被害をできるだけ軽減するように努めているところでございます。
 予算あるいは体制の件でございますが、赤潮に関する調査研究といたしましては、水産庁の附属機関であります水産研究所、それから大学あるいは都道府県の水産試験場、民間の研究機関が携わっておりまして、それに助成または委託研究をさせているところでございます。その額は五十九年度におきまして約四億円となっておりまして、私どもはこれを少しでもふやしつつ、また、その予算の一層の効率的な運用を図っていきたいと考えております。
○二階委員 最後に、赤潮の被害を受けておりますこの地方は、昨年のちょうど今ごろ、豊かな海づくりをテーマに皇太子御夫妻をお招きして大々的な豊漁祭が行われたところであります。さらに、五十七年度から総事業費四十億円をかけて海域総合開発事業を推進しております。つまり、とる漁業から栽培する漁業へのキャッチフレーズのもとに、ようやく軌道に乗ろうとしていた養殖業であります。しかし、ここで対策を誤ると、せっかく盛り上がろうとしている栽培する漁業への転換が鈍ってしまうおそれがあります。速やかに救済の手を、そして再びこうした事態を避けるために、この際徹底した調査研究体制を確立することが、我が国の漁業の将来のためにも当然のことと考えるものであります。この際政府におかれましても速やかに対策を講じられるよう、そして、先ほど係長を現地に派遣していただいておるというお話でございますが、さらに責任ある立場の方がみずから、できるだけ早い機会に現地を調査されんことを要望して、私の質問を終わります。
○金子委員長 次に、浜西鉄雄君。
○浜西委員 私は二つの点についてお尋ねいたします。
 一つはリッカーミシンの問題、もう一つは全国的に進められておりますテクノポリスの関係、この二つに絞ってお尋ねもし、要望もするつもりです。
 御承知のように、けさの新聞でも、あれは福井県ですか、福井県のリッカーミシンの優秀な社員が自殺されました。やはりこれは起こるべくして起こったという感じがいたします。会社の業績を上げるためにいろいろ苦労された社員の、会社がまさかと思うような状態に陥ったことに対する失望が大きな引き金だろうと、これはあくまで推察でありますが、お気の毒なことであります。したがって、物特とすれば、物価全体の安定のために我々は努力するのが任務でありますが、このような悲惨なことが起こらないようにするのも一つの任務であろうと思うのです。したがって、この問題についてきょうは少し詳しくお聞きをするわけです。
 まず、現在、代金前払いの方式で割賦販売をやっている主要な業種、どのくらい、どのような業種があるのか、実態について冒頭にお伺いしておきます。
○糟谷説明員 それでは最初に実態について御説明申し上げます。
 前払い式の取引というのは、実は中身がいろいろ多様でございまして、今回のリッカーの場合にも、リッカー本社は前払い式割賦販売と申しまして、商品の受け渡しに先立って代金の一部を受け取りまして、その後で商品を引き渡す。これを前払い式割賦販売と言っておりますけれども、この業者の数は、最近時点で申しますと、五十八年度末で五十六社、それから前受け金の総額は、これはちょっと古くなるわけでございますが、五十八年九月末現在で四百八十億円ということでございます。
 それからもう一つの前払い式の取引、これはリッカーの場合ですとリッカー・ファミリークレジットというリッカーの子会社がやっていた取引でございます。いわゆる友の会と言われているものでございますが、これは商品の売買の取り次ぎに先立ちまして代金の一部を積み立て、満額になったところで商品と引きかえる、こういうものでございます。こちらの友の会方式は、五十八年度末で企業数が三百五十五社、それから前受け金の残高、これも五十八年の九月末でございますけれども、千三百九十七億円ということでございます。
 前者の前払い式割賦販売が主として取り扱っております商品は、ミシンであるとか楽器、特にピアノでございますね、それから編み機、こういったものが中心でございます。それからもう一つの友の会と申しますのは、百貨店、大型店、この辺が主としてやっているわけでございまして、したがって取り扱う商品も、前者よりはかなり広いわけでございますけれども、主として家具とかミシン、食器、宝石、こういったものを対象として扱っております。
○浜西委員 およそ想像するに値するような今の状況ですが、問題は、これの前払い式の割賦販売方式というものは、現在の時代には既にふさわしくないのではないかと思うのですが、これの最近の許可状況というか、これをちょっと知っておきたいのです。基本的には、こういうやり方は大変危険なわけで、私は将来やめていくべきだという考えがあるのですが、最近の認可状況と申しますか、そういう申請のあったのは大体どのようなところか。それから、件数はどのくらいあるのか。言ってみれば、だんだん減っていく状況に持っていくべきだと思うのですけれども、法律がある以上、一遍に断ち切るのは難しいでしょうが、その辺の最近の認可した状況、わかれば教えてください。
○糟谷説明員 最近の許可件数でございますけれども、年度ごとのものはちょっと持ってきておりませんが、年度末の企業数の推移を御説明させていただきたいと思います。
 まず、前払い式の割賦販売でございますけれども、五十年度末が六十七社、五十四年度末が六十社、五十八年度末が先ほど申し上げました五十六社でございます。それから友の会の方式は、同じく五十年度末で二百四社、五十四年度末で二百九十二社、五十八年度末で三百五十五社、こういう数字になっております。
○浜西委員 そこで、今回のリッカーの倒産に伴う措置がいろいろ新聞でも報道されておりますが、改めて通産省として、このリッカーミシンの倒産に限ってどのような措置をしたのか。あるいは、これからの消費者に対する保護の立場でどのような措置をとろうとしておるのか、あればそれもこの際答えてもらいたいと思います。
○糟谷説明員 お尋ねのリッカーの件でございますけれども、御承知のとおり、二十三日に和議の申請をしているわけでございます。裁判所に受理をされたということでございます。私ども、このケース非常に重大に受けとめております。と申しますのは、新聞等でも報道されておりますように、前受け金の残高が非常に大きい、関係する消費者の数が非常に多い、こういうことから私ども重大に受けとめて対応を考えているところでございます。
 ちなみに、リッカーとリッカー・ファミリークレジット、子会社でございますが、合わせまして前受け金残高七十一億強に上っていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもとしましては、既に前払い金を払いました消費者に被害が及ばないように、どうしたらいいかということで対応を考えまして、リッカー株式会社及びその関連会社に対しまして、次の三点について指示をしているわけでございます。
 まず第一は、前払い方式で今後顧客を新規に募集することを停止してもらいたいということでございます。これは、こういう和議申請という事態になった以上は当然のことかと存じます。
 それから二番目に、そうは申しましても既契約がたくさんあるわけでございまして、既契約の前受け金というのは月々払い込まれるわけでございますので、こういう前受け金の集金を停止するように指導をいたしました。
 それからもう一つの点といたしましては、消費者は代金を積み立てて商品を購入するというのが最終的な目的でございますので、希望者があれば契約満了以前に、例えばかわりの物で代物弁済をするとか、あるいは一挙に残金を支払って契約商品を受け取るといったことに応じたらどうかという三点の指導をいたしまして、リッカー株式会社もこれを受け入れた次第でございます。
 それからもう一点は、御案内のとおり、割賦販売法に基づきまして前受け金の総額の二分の一について保証措置が講ぜられているわけでございまして、リッカーの場合には日本割賦保証株式会社というところがこの契約を受けております。したがいまして、この割賦保証株式会社を呼びまして、通産大臣から近く供託の指示を行うので、その準備に入るようにということで指示をした次第でございます。
○浜西委員 通産省は三つの指導。まず最初の指導は当然なことで、二番目の既存契約分の集金を停止する、これは裁判所が一定の結論を出すまでのことだろうと思うのですが、これは、債権者との和議が成立をして、会社がそのままさらに事業を開始するということになれば、この停止というものは当然解かなければならぬと思うのですが、この二番目の裁判所との関係で考え方をちょっと聞いておきたい。
 それから三番目の、商品による代物弁済。ほかの会社に肩がわりさせる方法もあるでしょうし、現在ある存庫を、裁判所が和議の成立、一定の見通し、結論を出すまでそれができるのかどうなのか、ちょっと私にはわかりませんが、現在和議申請をしておる状態の中で、代物弁済をするということで勝手にそういう商品を扱うことができるかどうかということ。
 それからさらに、希望者と言うけれども、私の推測では、倒産をしたという、アフターケアも含めて将来性のない会社のミシンを果たして受け取るかどうか、代物弁済が不可能ではないかという気がするのですが、これを現金で清算をしてもらいたいという場合にはどういう措置になるのか。まずこの辺、余りたくさん言うとあれですから、以上の点について聞かせてください。
○糟谷説明員 御説明申し上げます。
 まず全体にかかわることでございますけれども、今回は、リッカー株式会社が和議の申請をして受理されたというところから、ただいた先生御指摘のように、和議法との関係が実は非常に大きな問題でございます。裁判所と現在、私どもコンタクトをしておりますけれども、一般論として申し上げますと、和議開始決定までの間でありましても、通常の業務はやっても差し支えない、こういうことでございます。ただ、やはり債権者を害するということはなかなかできないだろうと思います。その辺が一つの大きな判断基準ではないかというふうに思っております。したがいまして、先ほどの代物弁済の問題、実はこの点は先ほど申し上げませんでしたけれども、裁判所と意見調整をしなければ果たしてできるかどうかという問題は、確かにおっしゃるとおり残っております。
 ここで私ども考えておりますのは、例えば十五万円コースで五万円まで積み立てたというお客さんがある場合に、残りの十万円を払ってミシンを受け取る、これは問題ないわけでございますけれども、五万円相当分のほかの商品、例えばほかの電気製品、こういうもので契約関係を終了させることを望まれればこれに応じたらどうかというのが代物弁済の趣旨でございますけれども、ただ、この場合には本来の契約と趣旨が若干違うわけでございますので、裁判所がこれを認めてくれるかどうか、和議法との関係が問題になるわけでございまして、私ども、この問題をひっくるめて今回の対応策全体につきましては、裁判所の方と常時コンタクトをとりながら、できるもの、できないものの仕分けをしながらやっていきたいと考えている次第でございます。
 それから、先生御指摘のように、こういう状態になったときに果たしてリッカーの物を受け取るだろうかというお話でございまして、それにかわって、契約を解除して現金を返してもらったらどうか。これはわかるわけでございますけれども、まず事実関係から申し上げますと、割賦販売法によりますと、和議の開始をした場合、申し立てをした場合には、消費者はいつでも契約の解除が無条件でできるということになっておりますので、消費者の方が契約解除を望まれればそれはできるわけでございます。ただ、私どもがちょっと懸念をしておりますのは、この契約解除権を行使することが果たして消費者にとって有利になるかどうかということではないかと思っております。契約の解除をいたしますと、消費者はリッカーに対しまして返還請求権をとるわけでございますけれども、そうなりますと、和議法の体系に組み込まれることになりまして、和議法でそういう消費者が持っておりますような小口の債権をどう扱ってくれるのか、実はまだ不明のところがございまして、この点も、先ほど申し上げましたように、現在、裁判所との間で細かく相談をしているということでございます。
 要は、消費者の御希望と同時に、結果がその消費者の利益になるような方向を探していかなければいけない、こう思っておりますので、裁判所とコンタクトをとりながら、どういう方法がいいのかということを現在調整中だということでございます。
○浜西委員 三つの質問に対して、大体そういう答えだろうと思います。さて、そうすると、それに関連をして、今さっき回答がありました前払い金の保全措置のうちの一つで、既にそのことは確保されているようでありますが、これは法の定めるところによって二分の一つまり半分は確実に保証されているわけですが、これから会社が再建するにしても完全に投げ出すにしても、大口と申しますか、債権者との話の中で、半分は戻る保証はあるが、あとの半分を、現物弁済は好まないで、こうなったらもらってもしようがない、したがって全額現金で戻してもらいたいという希望が強いと思います。会社は不動産を初めたくさん財産を持っていると思うのですが、債権者との関係、優先ではないと思うので、その辺が私は法的に詳しくわかりませんが、この際、消費者、関係者の安心のいくように――半分は確実に戻る、これはわかりましたが、あとの半分を現金で戻せという場合にはどのような問題点があるのか。スムーズにいくのか。この際、通産省としての希望観測も含めて態度を明らかにしてもらわないと、裁判所がどう決定をするか、指をくわえて一日一日様子を見守るだけではみんな不安が増長するばかりで、また第二、第三の自殺者が出てこぬとも限らぬわけですから、くどいようですが、その辺を、はっきり言える段階までで結構ですから、ここで明らかにしてもらいたいと思います。
○糟谷説明員 ただいま先生の御指摘がありましたように、日本割賦保証株式会社との契約に基づきまして二分の一までは保証されている、この二分の一の供託金の意味でございますけれども、これは消費者のために一〇〇%確保されているお金ということでございまして、ほかの債権者等は一切これにはかかってこれない、そういう意味で消費者のために最終的にプールされているお金であるというふうにお考えいただきたいわけでございます。
 ただ、そうは申しましても、全体の前受け金に比べますと確かに半分でございまして、残りをどうするかという問題はあるわけでございますけれども、もともとこの商品契約をした場合には、そのリッカーのミシンなり電子レンジを最終的に購入するというのが当初の御希望だったわけでございますので、引き続きそのリッカーの品物を買っていただけるというお客様であれば、これはリッカーに対しましても極力そういう御希望にこたえるように、私どもとしましては指導をしているわけでございますけれども、他方、何らかの理由で、商品ではなくて現金が欲しい、こういう方も当然いらっしゃると思います。その点は、先ほどお話ししました和議法との関係で、私ども非常に難しい問題を抱えているわけでございますけれども、私どもとしましては、裁判所の判断を横で見ているというわけではございませんで、割賦販売法を所管し消費者保護の責任を持つ役所としまして、こういうことをやりたい、こういうことをかなえてほしいという積極的な意見をまとめまして、裁判所の方にお伝えしたいと思っております。それをどう判断されるか、そこまではなかなか私どもも入れないわけでございますけれども、私どもの積極的な希望、消費者保護のためにこうしたいという希望は裁判所の方に伝えて、できる範囲でその希望をかなえていただけるように働きかけをしていきたい、こういうふうに思っております。
○浜西委員 いずれにしても起こったことですから、最大限消費者保護の立場で、通産省から積極的に裁判所などへひとつ働きかけて、消費者保護を第一に考えてもらいたいと思います。
 さて、このような状態がこれからも起こりかねないということをマスコミでは報道もしておりますし、私も大変心配するわけですが、これらの取扱業者の認可、そして認可後の業績のチェックというか、この割賦販売法の二十条との関係を少しここで明らかにしてもらいたいと私は思うのです。
 許可後においてもいろいろ財産の状況が悪くなつたり、資本合計から言ってみれば負債合計を差し引いたのが百分の九十に満たないような場合については、許可条件をつまり満たしてないわけですから、これを取り消すというようなことができるということに私は解釈しておるのですが、一遍許可したら倒産という事実が起こるまで、通産省とすれば手の施しようがなかったのか、やろうと思えばそのことが傷口の小さい間にやれたのではないかと私は思うのですが、一体どうなのか、許可条件とその後の会社の状況をどのようにキャッチする方法があるのか、また業績によって、現在の資産状況によって取り消す、そういう前払い割賦をやってはならないという取り消しができると私は思っておるのですが、その辺少し専門的な立場で説明してもらいたいと思います。
○糟谷説明員 御説明申し上げます。
 現在の割賦販売法では、こういう前払い式の取引をやる場合には許可制の対象としているわけでございます。先生ただいまお話がございましたように、割賦販売法の十五条で許可をする場合の基準というのがありまして、この基準を満たしていない場合には許可はもちろん出せないということでございますが、この許可基準は同時に、原則でございますけれども、この許可業者が営業を続ける場合も維持していかなければならない、そういう条件にもなっているわけでございます。許可のときには、純資産の比率であるとかその他財産的な基礎をきちんと持っているかどうかというところをチェックして、要件に合致するものは許可するということでございますが、その後の営業の過程でこういう指標がどう変化していくかということは、私ども定期的に財務諸表をとりまして内容をチェックしているわけでございます。
 その結果、法律の二十条であるとかあるいは二十条の二という規定がございまして、会社の財務内容が非常に悪化してきているという場合には、それを改善するような命令を出すとか、あるいは新規の契約を締結してはならないという禁止命令を出すとか、そういう法律の規定が用意されているわけでございます。こういう命令に違反した場合には、もちろん許可の取り消しにつながっていくわけでございます。
 私ども、今回のリッカーの事件を例として今振り返ってみますと、確かに決算期ごとの状況はチェックしていたわけでございまして、割賦販売法で求められているこういう維持すべき条件というのは、法律上は満たしていたわけでございます。ただ、最終的に和議申請という不幸な事態が参りましたので、私どもこの点については、法律上の規定だけではなくて、やはり幅広くいろいろなデータや情報を分析してチェックする必要があるというふうに考えておりまして、そういう方向でこれからも努力してまいりたいと思っております。
○浜西委員 私の質問に確実に答えられてないと思うのです。
 許可の取り消し条件というものも今はっきりしました。問題は、実行行為として通産省がどのような手を打ってきたのか、説明がないわけです。というのは、私がここに持っておるのは新聞をそのままコピーしたものなんですが、これは「先週」と書いてある。「通産省は先週、三井銀行、日本長期信用銀行らがリッカーから派遣役員を引き揚げた際、同社から事情を聞いたが、担当審議官は「危機的な状況ではない」とのんびり構えていた。」こう書いてあるのです。そうすると、定期的かどうか知りませんが、許可したところが許可条件が維持できておるかどうかというのをチェックする義務があると思うのです。許可をするということは前払いで、お金を先に取っておいて、後に一定の額に達したときに消費者に現物を渡すわけで、先に金を取るわけですから、それは絶えず危険が伴っておるはずです。万が一ということがあるはずです。かれこれ七、八年前ですか、法改正で二分の一ということになったと思うのですが、それだけ危険が伴うわけですから、許可をするということは簡単にはできないわけで、許可するについては厳重なチェックをして許可をしたはずなんです。したがって、その許可条件が維持できているかどうかということもあわせて、許可をした通産省が責任を持って継続して監視をし、チェックするということがあってしかるべきだ、また、なければならぬ。それでなければ、倒産のときに、それは悪うございました、これからは気をつけますでは消費者は浮かばれないわけですから、そういうチェック機能、実行行為は具体的にどのようにやられたか、これが聞きたいわけです。
○糟谷説明員 先生御指摘のとおり、私ども許可をしたわけでございますから、その許可をされた業者が果たして財産的あるいは経理的にきちんとしたものであるかどうか、常時監視する責任があることは仰せのとおりでございます。
 私ども、定期的にはいろいろな書類を取り寄せて内容をチェックしているわけでございますけれども、それに加えまして、企業によりましては経理内容が危ないとかいろいろなうわさが立つこともございますし、そういうときには必要に応じてヒアリングをするとか、あるいはこれからの経理の改善の方法について書類を出させるとか、そういう形で法律に定められたものに加えまして財務内容のチェックはやるようにしているわけでございます。私ども、リッカーの場合もそういうことで対応してきたわけでございますけれども、結果はこういうことになってしまったということでございまして、やはり会社は生き物でございますので、常時その会社のいろいろな情報を集めて、どういう状態に現在なっているかということを把握する努力は必要だというふうに痛感している次第でございます。
○浜西委員 考え方というより、具体的にリッカーの場合にそういう兆候があらわれたと判断したのはいつごろであったとか、そのためにこのくらいのメンバーで乗り込んでいって調べたとか、そういうものが今の回答の中ではないわけです、言ってみれば基本的な物の考え方、あるべき姿としての回答はありましたけれども。具体的にリッカーがおかしくなった、つまり銀行関係が派遣役員を引き揚げたという段階で当然これはおかしいと見るべきであり、直ちに、最初回答のありました三つの条件の手を打って、これ以上被害が大きくならぬように食いとめるような方策をやるとか、そういうことがあってしかるべきですが、この新聞報道によると、言ってみれば危機的な状況でないと判断をしたということですから、二十四日ごろまで何らの手が打たれなかったというふうに書いてあるわけです。私はそう思いたくない。許可をしたという立場上、当然消費者保護のためにそれなりにチェックを果たしてきたと私は思いたいわけです。したがって、具体的にはどのような手を打たれたかということを聞いておるわけです。
○糟谷説明員 今回のリッカーのケースにつきましては、確かにそういう経営状態が少し悪くなっているという話がございましたので、ことしの五月でございますがリッカーを呼びまして、その財政、経理の再建計画をどう考えているのかという事情聴取をしたわけでございます。その結果リッカーから再建の計画の提出を受けましてその内容をチェックしたということで、五月に私どもリッカーを呼んでヒアリングをしたという事実はございます。
○浜西委員 では、リッカー以外の問題でちょっと角度を広げてやりますが、今日までに、許可をして、途中で許可条件に合致をしなくなったという理由で、早目にその許可を取り消したという例があるかないか、これを聞いておきたいと思う。
○糟谷説明員 これまでのところは許可を取り消したという事例はございません。
○浜西委員 そういたしますと、法的にはそういう取り消しという条項があるにもかかわらず実際になかったということですが、ここに私は将来に対しても不安を感ずるわけです。
 まず、その不安というのは、保全が二分の一ということでいいのかどうなのか。ことしの四月十八日でしたか、商工委員会で割賦販売法一部改正の審議をして成立したわけですが、この際に通産省側からも、前払い方式のこういった割賦販売について、リッカーのことを想定する、しないを別として、その問題が全く提起をされなかったと私は記憶しておりますし、それから委員の側もこの問題について触れておられない。
 このように、こんな大きな金額で倒産ということになるとその被害は莫大なものですから、冒頭言いましたように、まじめな社員が自殺せざるを得ないようなところまで、大変ショッキングなことが起こるわけであります。したがって、この保全について何らかの改善をしておかないと、この前払いの割賦販売というやつは、そういう場合には大変な事態が起こるわけですから、これを二分の一からさらに例えば三分の二というふうなことに持っていくとか、あるいはもっと許可条件を厳しくするとか、あるいは許可後の監視体制というかチェック機能、これを強化するとか、そういう改善が加えられない限り、同じ結果がまた出てくるような気がいたしますので、その点通産省として、これは先走った言い方になるかもわからぬけれども、私はこのままではいけないと思うのです。ならば、どういうふうにして消費者保護のための手を打つか。今私言ったような一部法改正の、三分の二にするだとか、その他考えられる数字があると思うのですが、そういうことをこれから検討されるのか、されておるのか、全くこのままで、また同じように時が流れていくのか、その辺はっきりしてもらいたいと思います。
○糟谷説明員 今回の通常国会で改正されました現行の割賦販売法では、前払い式の取引を許可制の対象としているわけでございます。今回のような事態が結果的に起こってしまったのに、なぜその点に手をつけなかったのか、こういう御指摘でございます。
 私ども、今回の割賦販売法の改正のポイントといたしましては、この十年来消費者に対するクレジットが非常な勢いで伸びてきた、特に信販会社等が介在するいわゆる割賦購入あっせんというのが伸びてまいりまして、それについての消費者保護規定というのが非常に未整備でございましたので、これに重点を置いて消費者保護の徹底を図るということで、法律改正をさせていただいたわけでございます。その中身はあえてここで、繰り返しですから申し上げませんけれども、クーリングオフの適用をするとかあるいは抗弁権の接続をするとか、あるいは多重債務者の発生を防止するためのいろいろな規定とか、そういうものを割賦販売法の改正に盛り込んだわけでございます。前払い式の割賦取引につきましては、お金を前払いする、企業から見れば前受け金を受け取るというところから、危ないではないかという指摘がございまして、これまで何回かの法律改正によりまして消費者保護の規定が次第に強化されてきたわけでございます。したがいまして、今回の割販法の改正では特にこの点は取り上げなかったわけでございます。        .
 リッカー問題を契機とするこれからの取り組み方でございますけれども、私ども、現在の割賦販売法の体系では許可の対象としているということ、その許可の条件あるいは維持すべき条件として純資産比率を一定の比率以上に保たなければならないということから、この点が一つの消費者保護の規定であるというふうに考えているわけでございます。つまり、純資産比率が一〇〇以上であるということは会社として一応健全である、こういうことでございますので、万一何かありましても、一応、資産等を処分することによって債務が完済できる、こういうことでございますので、許可制の条件にそれを持ってきているということは、消費者利益の保護ということからの規定であると考えているわけでございます。それから、にもかかわらず、今回のような破産とかあるいは和議申し立てという事態が生じた場合に備えまして、前払い金の一定割合について保全措置を講ずる、これによっていろいろな手続が簡略化された形で消費者がお金を受け取れる、こういう規定をつくっているわけでございます。
 今回のようなケースになりますと、法律的なこういう救済措置だけではなくて、行政ベースでいろいろな働きかけを企業にやり、あるいは関連のメーカー、関連のいろいろな機関に働きかけて消費者保護を行う、こういうことで、消費者の保護が二分の一にとどまらず、できるだけ一〇〇%の保護ができるようにということで努力をしているわけでございます。
 先生御指摘の、例えば前受け金の保全比率を上げたらどうか、こういう御議論でございます。私ども、ベースとしましては現在の制度でいろいろな要件をかぶせておりますので、一般的には消費者保護への配慮がなされているというふうに考えているわけでございます。
 それからもう一つ、この前払い式割賦というのは、確かに最近では取扱高減少傾向ではございますけれども、消費者から見て幾つかのメリットもこの取引にはあるわけでございます。それは基本的に申しますと代金を前払いするという事実のかわりに、通常の価格よりも安い値段で商品が手に入るというところに、消費者にとっての利便があるわけでございます。消費者保護のために、例えばこの比率を引き上げるということになりますと、当然コストアップという要因になってまいりまして、消費者の手に渡る価格といいますか、消費者利便を損なう面があるのではないかというような点もございまして、こういう問題はやはり慎重に検討していく必要があるのではないかと考えている次第でございます。
○浜西委員 裁判所にゆだねられておりまして、明快な措置、消費者に対する保護の関係、これ以上回答を求めるのは今の段階では無理なようでありますので、この関係についてはこれで質問は終わりますけれども、やはり割賦販売全体について十分な指導がこれからもなお必要だという一例を申し上げて結びにしたいわけです。
 私の地元の山口県からも資料が上がってきておりまして、山口市葵町にあります県の消費者センターに苦情が続出しておる。相談が三カ月で千件あって随分トラブルがふえておる。これは前渡しでなくて割賦販売全体の苦情なのですけれども、こういうのが地方新聞の山口県版にも大きな活字で出て、皆さんに注意を呼びかけるような記事であるわけです。読み上げると時間がむだでありますので読み上げませんが、この際、通産省はもっと消費者保護の立場で手を打つべきだ。前払いのこういう方式はもちろん、法的な措置も含めて、いずれ我々もまた真剣に考えて消費者保護ができるような前進ある法改正などを提起すべきだと思いますけれども、この場でそれではどの部分をどのように改正するか、まだ研究が足りませんので、きょうはそのことは触れませんが、それはそれとしても、全般的にこの割賦販売をめぐるトラブルは激増しておるということであります。これは山口県だけに限らず全国的な問題だと私は思いますので、通産省はもっと業者に対して厳しい指導、ヒアリングその他適切なこれからの指導をお願いしておきます。
 以上で、この割賦販売の問題は時間がございませんからやめておきまして、次に、冒頭言いました二番目のテクノポリスの問題を質問いたします。
 テクノポリスは、それこそ地方の時代と言われて、地方の発展のために全国的に、何カ所か忘れましたが、かなりあちこちで進められておるというふうに聞いております。問題は、地域経済基盤の強化を図るということで具体的な施策がこれから求められるわけでありますが、私は、こういった活力のある地域社会、つまり、地域の産業、経済発展のためにテクノポリスが果たす役割というものは、これからかなりのものがあるというように期待をしておるわけです。まあニューメディア時代と申しますか、先端技術がどんどん導入されて、我々の想像のつかぬような社会がこれから実現するわけです。我々はそれを一口に二十一世紀へ向けてと言っておりますが、テクノポリスの建設というものはそれの重要な役割を果たす、こういうふうに考えております。したがって、物価安定の立場からも、その先端技術を駆使してテクノポリスが完成され、地域の活性化、ひいては日本全体の経済活動の中心になれば、それこそこんないいことはないわけであります。
 そこで、我が国のテクノポリスも含む先端技術開発、こういう技術開発に対する予算的な措置を見る限りでは、少し熱意が足らぬのではないかということがうかがえるわけです。具体的に申し上げますが、一番多いと思われるのがフランスなんです。これは先進諸国の中での比較でありますが、フランスでは国の予算総体に占める技術開発関連予算の割合が六・六%、ずば抜けております。西ドイツが四・八%というぐあいに、大体四%から少なくとも三%以上超えてそういう予算措置がされておる。しかし我が国の場合は、総予算対比で見るとわずか二・九%、こういうことです。
 したがって、鉱物資源を初めとして資源の多い国ならばいざ知らず、我が国はあくまで技術で食っていくという国でなければならないし、それしか生きる道はないわけでありますから、特にそういった先端技術の開発についてはもっと力を入れるべきだと思うが、この予算の状態を見ても非常にその辺の熱意が足らないと私は思うわけですが、将来に向けてそういう先端技術の開発について通産省はどのような考えをお持ちか、これを明らかにしてもらいたい。
○高沢説明員 先生御指摘のとおり、今後の日本経済の順調な発展のために、技術開発の推進は大変重要な役割を果たすと考えております。したがいまして、技術開発予算を引き続き十分確保していくことが非常に大事なことだと考えておりまして、通産省も六十年度の新施策の中では技術開発予算、技術開発を最重点項目として取り上げようと考えておるわけでございます。
 今後ともそういった方向で日本の技術基盤の強化、そういったことに通産省としても積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○浜西委員 考え方はそれでいいわけですが、具体的に予算編成の段階あるいはそれ以前からも通産省、もっと力を入れて、先端技術の開発に対する予算の組み方について、もっと積極的に対処してもらいたいと思います。
 そこで、これらをこれから具体的にそれぞれ実行行為に移していく中で問題点が出てきておるわけです。
 まず一つは、高度技術を研究する研究所というものをテクノ地域に設置すべきではないか。これは国の政策として誘導する形でもよし、あるいは予算を使ってそこにそれなりの研究所を設置するという方法でもよし、いずれにしても、一定のそういう専門家の研究集団というものがあって、そこで絶えず専門的に研究開発されて外国との交流も含め、そういう地域における引っ張っていく頭脳の役割を果たすという研究所を設置すべきであると思うが、このテクノの関係についてそういう構想があるのかないのか、私は必要だと思いますが、その点について伺っておきます。
○松下説明員 お答え申し上げます。
 現在、通産省工業技術院にあります十六の試験研究所のうち、七つの試験研究所が、東京を除きます各地方通産局の管轄区域ごとに設置されておりまして、これらの地域試験所は各地域におきます技術開発推進の中心的な存在としまして、地域の企業、大学あるいは公設試験所等との連携を図り、あるいはコーディネーターとしまして、各地域に関連の深いテーマを中心に、今積極的に研究を実施する一方で、技術指導あるいは技術相談等を通じまして地域への技術移転を推進しているところでございます。
 今後とも地域試験所のこういった機能を充実させてまいりたいと考えております。
○浜西委員 前向きの答弁をもらって大変いいわけです。やはり具体的にはそういうテクノ地域にどんどん設置をしてもらいたいというのが私の方の希望でありますから、そのことをわかってもらえばそれでいいわけです。
 同時に、人材、専門家の発掘と申しますか掘り起こし、これらの人材をそこへ集めるということも必要になってくると思うのです。同時にまた、その人材をそのテクノ地域に定着をさせて、その地域についての指導者たるべき任務を果たしてもらうというような人材の確保についても、もっと一貫的に全国統一した取り組みがなされてしかるべきだ。後ほどまた要望を申し上げますが、そのことに関連をいたしますけれども、人材の確保ということについて、通産省のこれからの二十一世紀に向けての考え方があったら、ここで答えてもらいたいと思うのです。
○高沢説明員 テクノポリス計画との関連におきます人材の養成問題についてお答え申し上げます。
 テクノポリス計画では、産業と研究開発機能、それから潤いのある住宅といった産学住の有機的な連携による新たな町づくりを目指しているわけでございます。その目的は、今先生御指摘のような、技術者等の人材の地域定着の促進を図る、それによる魅力ある都市づくりということを目的としているわけでございます。そういったことから、テクノポリス開発計画の承認に際しましては、一定規模以上の人口を有する都市があること、あるいは自然科学系を中心とした大学の存在といった研究開発機能を有している、そういった一定の条件を付しているわけでございますが、そういった大学等を中心といたしまして、あるいは公設の試験研究機関の拡充等もテクノポリス計画では計画をさせておりまして、大学あるいは公設研究機関、そういった地域の研究開発機関の拡充強化によりまして人材の育成、養成を考えているのが一つでございます。
 それからもう一つは、各テクノポリス地域には第三セクターによる財団法人のテクノポリス開発機構といったものがございますが、そういったところで各地の研修事業といったものを計画しているわけでございますが、それに対します基金の出資等を国からも行いまして、人材の育成等に努めているところでございます。
 あるいはまた税制、財投等で技術振興のための措置等も講じておりまして、そういったことを通じましてその地域の人材の養成、それによる地域の振興、技術を核とした工業開発の推進に努めているわけでございます。
○浜西委員 基本的にはそういう考え方で進めてもらうわけですが、私は、たまたま私の地元の方からも常日ごろこうしてもらいたいという希望もありますので、この際二点だけひとつお伺いをしておきたいと思うのです。
 具体的に言った方がいいと思うのですが、山口具では宇都市を中心としたテクノが進められておるわけですが、佐山工業団地整備事業というのがある。これは通産省の所管だろうと思うのです。それから、新都市建設整備事業、これは建設省の所管でありますから触れませんが、これらを地域振興整備公団事業として扱っていただけないか、これが一つ。
 二つ目は、厚狭川と厚東川、二つの川があるわけですが、これの第二期工業用水水道事業、これは一般的には大坪ダムと言っておりますが、第一期は完全にできて丸山ダムという立派なものができておりますけれども、さらにこれが必要なわけで、この事業をぜひ推進してもらいたいという二つの点について回答をお願いいたします。
○高沢説明員 ただいま先生御指摘の二点ございましたけれども、第一点目につきまして私からお答えを申し上げます。
 山口具が推進をしております宇部フェニックステクノポリス開発計画の優先的なプロジェクトとして、ただいま御指摘のような佐山の中核工業団地の造成ということが計画の中に盛られているわけでございます。同地域は産炭地域でございますので、そういった工業団地の造成ができますれば、産炭地域の振興にも資するものと考えているわけでございます。このため、現在地域公団産炭部門で事業採択の可能性につきまして、県と共同で今その調査中でございます。
 ただ、同団地の採択のためには、山口県の関連公共施設の整備あるいは完成後の分譲等に関する特段の協力等が必要でございまして、これらの協力の度合い及び県との共同調査の結果も踏まえまして、今後対処していく考えでございます。
○合田説明員 先生御質問の、第二の工業用水の問題につきましてお答えをいたします。
 山口の宇部フェニックステクノポリス計画の実施促進のために工業用水が非常に重要であるという点は先生御指摘のとおりでございまして、私どもも大坪ダム等の工業用水の水源を確保いたしまして、工業用水の円滑な供給を行うという考え方でもって今まで進めてまいったわけでございます。したがいまして、山口県とも十分な連絡をとりまして、この点について検討を進めてまいったところでございますが、御指摘の大坪ダムにつきましては、現在用地交渉を行っておるところであると聞いておりまして、その結果を踏まえまして、私どもとしても適宜適切に対処してまいりたい、かように考えております。
○浜西委員 時間が参ったようでありますから、ごく簡略に質問なり、むしろ申し入れと言った方がいいと思うのですが、今の答弁で結構だと思います。ひとつこれからも地域開発のために、それぞれの回答があったように十分対処してもらいたいと思います。ただし、地元の協力度合いということも必要でありますので、私も地元に対して最大限協力するように伝えますけれども、どうかひとつ通産省としても積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 さて、テクノ問題では主管庁が大体通産省、そしてそれにまたがるいろいろな関係官庁がありますので、ここで質問をしても、関連することで全く所管外のことがあると思います。今から申し上げる問題については、この委員会で回答していただければなお結構、なければないで、政府部内のそういう意見調整の場で、こういう申し入れがあったということを通産省から責任を持って伝達してもらって、できるだけ現在のテクノポリス進捗が図れるようにお願いしたいと思います。
 まずその一つは、これは恐らく農林関係になると思うのですが、政府の保安林というのがありますね。テクノ開発に際して、これの取り扱いがしゃくし定規でいくと大変難しいわけでありますが、テクノという、未来へ向かって新しい時代をつくるということでありますから、農地法などを少し弾力的に運用できないか。その辺がちょっとネックとなっていて事がスムーズに運ばないということがありますので、保安林の扱い、つまり農地法などの運用をひとつ弾力的に、こういうことであります。
 さらにその次は、テクノ道路に関連をして、それにくっつく、つまりアクセス道路を整備してもらわないと有効に作動しないわけでありますから、このアクセス道路の整備についても格段の配慮をお願いをしたい、こう思います。
 三つ目は、地元のことを言って申しわけありませんが宇部空港、正式には山口宇部空港の増便をお願いしたい。常時四便を希望いたします。そういうことも一つの進捗に大きなかかわり合いを持つわけでありますから、これも検討してもらいたい。
 それから四番目に、地元に山口大学があるわけですが、この大学院の中に、先ほど私が申し上げました人材養成も含めて、工学研究科ドクターコースを新しくつくってもらいたい。ドクターコースの新設、これを何とかやってもらいたい。これは、さっき言われましたように産学住、私ども産学官というふうに思ったのですが、産学住、これが一体的に協力し合わないとできないわけでありますから、そのうちの学の問題について、最初お尋ねした人材の問題と関連をして、ぜひ山口大学の大学院に工学研究科ドクターコースを新設してもらいたい、こういうふうに申し上げておきます。
 以上がテクノの関係でありますが、最後に、一般的に中小小売商業者と申しますか、小売業者ですね、お店屋さん、これが大型店舗に押されていろいろ問題もあるわけですが、こういった中小の小売業者の人たちを育成強化するというか、あるいは地域のそういった発展に活性化を与えるというか、言葉は適切でありませんが、山口県の徳山市にコミュニティーマート構想というものをつくりまして推進しようとしているわけです。そういった一つのモデルケースに対して、政府は十分な指導なり支援をすべきだと思います。
 以上について、時間がございませんから、回答できるものがあればしてもらいたいし、なければ、それはそれぞれのところへぜひこの旨の実現に向けての努力をお願いしたい。
 以上であります。
○高沢説明員 山口県を含めまして既にテクノポリス計画の承認をされた地域につきましては、これからいよいよ実行段階でございまして、各種の施策が並行的に積極的に進められることが、テクノポリス計画の順調な遂行のために非常に大事なことではないかと考えております。ただいま先生から御指摘のありました保安林の解除の問題あるいは道路の問題、空港の問題、大学の問題、これは残念ながら通産省としてお答えできない問題でございますが、関係省庁にそれぞれ先生からのお話を十分伝えることをここで申し上げたいと思います。
 それから最後に、テクノポリス関係ではございませんが、中小小売商業者の育成強化の観点から、徳山のコミュニティーマートのお話も提起がございましたが、中小企業庁も来ておりませんので、これも責任を持ってお伝えをいたします。
○浜西委員 以上でございます。
○金子委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十六分開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。宮地正介君。
○宮地委員 私は、最初に最近のアメリカ経済の動向と日本経済の関係につきまして、少し大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。
 去る七月二十三日に米国の商務省が発表されましたアメリカ経済の実質経済成長率、これが第一・四半期の一−三月におきましては一〇・一%という上方修正、また第二・四半期におきましても、四−六月で七・五%と、経済の拡大基調に今アメリカ経済があるわけでございますが、この点について長官はどのように分析をされているか、まずお伺いをしたいと思います。
○河本国務大臣 アメリカ政府の経済見通しは、ことしから一九八九年までの数年間四%成長を続けるということが基本になっておりましたが、ことしに関しましては上方修正をしまして、年度間六%の成長をする、こういう目標を設定しておりますが、第一・四半期と第二・四半期が今お説のような状態でありますし、特に第一・四半期などは五%成長と言っておったのが何回か上方修正して、最終的には一〇・一になる、こういう大変な勢いでありますから、後半仮に若干落ち込むといたしましても、年度間の成長六%は十分達成できる、このように思います。
 アメリカ経済を見まして私どもが一番力強いと思いますのは、成長率もさることながら、そういう成長率の中で物価が安定しておるということであります。四%台で物価が安定しておるということが何よりも強みであろう、私はこのように思います。
 財政の赤字と貿易の赤字は巨額な数字が続いておりますけれども、財政の赤字については政府の方もいろいろ考えておるようですし、それから貿易の赤字は、今国内の生産力が新しい投資等の完成間際でありますから、ここ一年ぐらいの間には相当大幅に新しい生産設備が稼働するのではないか、こういう感じがいたします。したがって、貿易の赤字は将来は若干減るように思うのであります。
 それから、資本の流入がずっと続いておるということも、アメリカ経済の強い点だと思うのです。巷間ややもするとアメリカ経済の悲観的なことだけをやや大げさに伝える向きもございますが、アメリカ経済全体は堅調な歩みを続けておる。最近は、少なくとも数年間は四、五%成長が続くのではないかということが幅広く言われるようになりつつありますので、一時的な悲観要因、例えば選挙が済めば経済が落ち込むとか、来年になれば経済が落ち込むとか、そういう説はだんだんと最近のアメリカ経済の状態から少なくなりつつあるのではないか、こういう感じがいたします。
○宮地委員 確かに今長官がおっしゃいましたように、アメリカ経済の特に物価の変動を示すデフレーターなんかを見ましても、第一・四半期が四四%である。ところが、第二・四半期になってこれが三・二に落ち込んできている。非常に物価の基調が安定をしてきている。特にそういう中で私はこのアメリカ経済の中身を精査してみますと、非常に民需主導型になっている。その中でも個人消費支出が最終消費で前期に比べますと一〇・四%増、またもう一つの民需主導の柱である企業設備投資、これが二〇・七%の前期比の増になっている。こういう点では、今長官のおっしゃったように、このアメリカの経済のパワーというものはやはり相当強い、また安定をしているのではないか。ただ私が心配するのは、こうした景気の過熱が金融市場で、大変に今警戒感を持ってきている。この点について、やはり高金利、ドル高というものに拍車がかかっていくのではないか、こういう心配を私は持っているわけでございます。
 この点について、まず第一点として、長官は今後どのように見ておられるか。伝えられるところによりますと、FRBの公定歩合、現在の年九%の再引き上げもそう遠くないのではないか、こういうことも言われているわけでございますが、この点についての見通しなどはどういうふうに長官としては分析されているか、伺いたいと思います。
○河本国務大臣 実は、今お述べになりました点がアメリカ経済の最大の問題点だと思いますし、世界経済に及ぼす一番大きな点だと思います。
 そこで、私どもも何回かこの問題について議論し、分析をしておりますが、アメリカ政府の言い分を聞きますと、物価が安定をしておって、その基調は崩れていない、しかるに金利水準が一三%台であるというのは納得できない、これはインフレに対して将来は物価上昇、こういうことを考えておるせいではないかということを言っておりまして、金利の将来に対しては比較的楽観的な見通しを持っております。ただ、民間ではやはり設備投資が大分盛んになってきたから、その方に相当資金量が食われてクラウディングアウトという現象が起こるのではないかということも言っておりますが、アメリカの企業内部の蓄積を見ますと、一−二月の内部蓄積を年率に直しますと大体四千三百億ドルぐらいの蓄積が進んでおりますので、設備投資と在庫投資が約五千億ドル弱であるということを考慮をいたしますと、そんなに果たしてクラウディングアウトが起こるのだろうかということについても、若干の疑問を私どもは持っております。
 一方で、アメリカ政府は二千数百項目について歳出を合理化していく、こういうことについても検討中だと言っておりますし、それから同時に、増税はしないけれども税の徴収漏れを防ぐ、こういう対策は強化する、こういうことも言っておりまして、御案内のように三年間で千五百億ドルの財政の圧縮を考えておるということも先般決まったとおりでございますので、果たして巷間伝えられるような悲観的な材料ばかりなのだろうかということについて、私どもも若干の疑問を持っております。しかし、いずれにいたしましても、御指摘の点は、アメリカ経済の将来を占う最大の問題点でもございますし、そのこと自体が、先進国の経済はもちろんでありますが、発展途上国の債務累積にも非常に大きな影響を及ぼしますので、もう少し様子を見ていきたい、このように考えます。
○宮地委員 こうしたアメリカ経済の拡大というものが日本経済に及ぼす影響はやはり非常に大きいわけでございます。特に昔から、アメリカ経済が風邪を引けば日本経済は肺炎になる、このくらい相関関係が非常に強いわけです。特に今、そういう中で円安の相場、これが二百四十円台ということで、このアメリカ経済の高金利、ドル高、この影響を非常に日本経済に及ぼしてきているわけでございまして、この円安相場の今後について、日本経済の中の見通しといいますか方向については、長官はどのように考えておられるのか。この円安相場、現在の二百四十円台がまた円安になってさらに進行してきますと、せっかくの日米経済、貿易の摩擦問題が再び大きなネックになってくるわけでございますので、この点についての円安対策、また今後の円の動向については、長官はどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
○河本国務大臣 三月の時点から比べますと一割以上の円安になっておりますから、相当気をつけなければならぬ点だ、こう思います。
 そうして、その原因は何かと言われますと、私は二つあると考えておりますが、その一つは、やはりアメリカの高金利に伴いまして大量の資本の流出が我が国で続いておるということであります。四月、五月、六月を計算してみますと、大体月平均四十億ドルぐらいの資本の流出が続いております。三カ月で百二十億ドルということでありますから、相当大量だと思います。これが大きな原因になっておりますが、もう一つは、やはりアメリカ経済が相当強くなっておる。これまでは日本の経済の条件の方がいいんだ、こう言っておったのでありますが、私は、現時点ではむしろアメリカの経済の条件の方が日本よりも相当よろしい、こういう感じがいたします。経済の基礎的条件そのものはアメリカは悪いけれども、いろいろな工夫と努力によって経済全体が大変強くなっておる。やはり経済の強弱というものが円相場に反映をしておる。こういうことも率直に受け取っていいのではないか、私はこういう感じがいたします。
 ただ、過去数年間の円レートの動きを見ますと、二百七、八十円から百七、八十円ぐらいの間を動いておりますから、現在の水準でそんなに慌てたことはないと思うのです。しかも、一昨年から見ますと相当円高であります、三月から見ますと円安になっておりますけれども。ただ御指摘のように巨額の黒字がずっと続いておりますので、今のような円レートが続きますと、やはり黒字幅がますます拡大をいたしますから、これはよほど注意をしなければなりませんが、これは一時的な介入等によって解決できる、そんな背景ではございませんししますから、もう少し静かに様子を見るより仕方がないのではないか、こういう感じがいたします。
○宮地委員 既に国内でもこうした円安の中で、電力業界を初め非常に警戒心が強まっているわけでございます。私は、現在の円安相場というものは、決して油断をしてはならないし、やはり慎重に監視をしながら、政府としても経済運営をきめ細かに対応していかなくてはならない、このように考えているわけでございます。
 また一方、こうしたアメリカの経済の拡大というものが、日本経済において再び輸出志向型の景気浮揚、こういう感じになってきているのも事実でございます。先端技術を初め自動車など、輸出志向型産業を中心に現在の日本の景気が浮揚されてきておる。特にOECDなどの予測によりますと、日本の経済につきましても八四年は四・七五ぐらいではないか。大分控え目な感じなんですが、政府見通しの四・一に対しても四・七五ぐらいに行くのではないか。また、三菱総研などは既に五・三%、こういう大変高い経済の見通しを五十九年度に立てているわけでございます。そういう中で、河本長官も、さきの大蔵委員会におきましても、五%台ぐらいは行くのではないか、こういうような大変積極的な答弁をされておりました。日本経済、政府の四・一%はもうクリアをして五%台に乗るのではないか。私自身もそういう感じをしているわけでございますが、アメリカ経済の影響の中で、これからの日本経済の景気の見通しについては、長官はどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
○河本国務大臣 内需につきましては、民間の設備投資は政府の当初見通しよりもやや上回っております。ただ、一番大事な個人消費については政府見通しを下回っておりまして、一進一退という状態であります。
 全体として見れば、内需は政府見通しとそんなに変わらぬのではないか、こういう感じがいたしますが、ただ、経常収支の黒字幅が、政府の当初見通しに対しまして、まだ正確にはわかりませんが、最近の動きが累積するといたしますと大体百億ドルないし百五十億ドルぐらい拡大するのではないか、こういう感じがいたします。経常収支が百億ドル拡大いたしますと、ざっとGNP一%を押し上げる力を持っておりますから、いずれにいたしましても五%台になる可能性は非常に強い、このように思います。ただ、まだ四−六の数字も出ませんので、四−六の数字が出るのが九月の後半でございますから、その時点におけるいろいろな正確な数字を見ました上で、やや正確な見通しもできるのではないか、こう思っております。相当大幅な見通しの変更が起こる可能性があれば、当然経済見通しも改めるべきである、九月の後半で改めるべきである、私はこのように考えております。
○宮地委員 そういう中で一つの心配の種が、いわゆる中小企業の倒産が非常にふえておること。特に六月に入って一千六百件台に乗ってきておる。二十三百のリッカーミシンの倒産を初め、技術革新におくれてきているような大型倒産もこのところ非常に続いてきておる。こうした中小企業倒産あるいは大型のそうした倒産、そういうものの中身を精査していきますと、内需の問題、特に建設業を初めとした国内のそうした内需の、政府の政策の対応のおくれといいますか、後手といいますか、もう一歩積極性が足らぬといいますか、そういう点の影響が非常に強いと思います。
 そこで、現在の中小企業倒産のこうした現状を、中小企業庁としてはどのように分析をされておるのか、また、実際どういう状況になっておるのか、報告をしていただきたいと思います。それに対して、その対応について、現在の日本経済の中に置かれたこうした中小企業倒産の実態を長官はどのように見られておるのか、今後のこれに対する対応策、内需拡大策などについて御見解を伺いたいと思います。
○小川説明員 民間調査機関の調査によりますと、昭和五十八年の一年間の中小企業の倒産件数は一万九千百十件、前年比で申しますと一一・八%と、年間ベースで過去最高を記録してございます。また、本年に入りましても、この六月に十八カ月ぶりに前年同月比を若干下回りましたが、依然、件数自体は高水準で推移しているというような状況でございます。
 こうした中小企業の倒産の増加の原因につきましては、ケースにはいろいろございますが、総じて申しますと、特に建設業あるいは小売業、こういった業種を中心にいたしまして、販売不振とか受注不振等のいわゆる不況型の倒産が目立っておりまして、景気自体は全体として本格的な回復基調にあるわけでございますが、非常に長期の不況だった。そういった長期の不況によって体力を消耗した、中小企業の息切れ倒産が生じたためと考えております。
 中小企業庁といたしましては、こういった中小企業の倒産の増加に対処するために、倒産防止対策として、中小企業金融公庫等政府系の中小金融機関によります倒産対策貸付制度とか、あるいは中小企業信用保険法に基づきます倒産関連特例保証制度、あるいは中小企業事業団が実施しております中小企業倒産防止共済事業、さらには全国の商工会の連合会あるいは主要な商工会議所に設置してございます倒産防止特別相談室、こういった各般の施策を活用いたしまして、今後とも対策の充実を図り、引き続き各種施策の機動的な運用に努めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
○河本国務大臣 景気が大勢として回復しておる中におきまして、昨年来、戦後最高水準の倒産が続いておるわけでありますが、そこは、何回か議論になりました内需が思うように伸びていないというところにあるのではないか、こう思います。個人消費が一進一退の状態である。しかも、その個人消費はGNPの六割弱を占めておる。個人消費がなぜふえないか、それは要するに実質所得がふえないからだ、こういうところまでさかのぼって考えていかなければならぬと思いますし、それから過去数年間、社会資本投資が横並び、据え置きになっておるということもこの背景にあろうかと私は思います。一部の産業、先端産業であるとか輸出に関係した産業、そういう面の中小企業は比較的いいわけでありますが、それはごく一部分でありまして、大多数の中小企業というのは、やはり社会資本投資とかあるいは個人消費に関係する企業が多いわけでありますから、この面での内需の拡大ということが中小企業対策のこれからの大きな課題であろう、このように思います。
○宮地委員 そこで、五十八年度のいわゆる税収見積もりが実際には上回りまして、自然増収が四千五百三十九億円、純剰余金が二千四百九十億円、こういう状態が現在示されたわけでございますが、純剰余金というのは、本来の姿からいけばこれは赤字公債の減額に充てる。これは当然の一つの流れでございますが、こうして景気が回復してくる、五十九年度においても、現在の長官の言うような五%台が達成できるならば、私は、法人税を初め自然増収というものも今後さらに見込まれるのではないかという感じがしておるわけでございます。
 特に、いよいよ予算編成の段階に入ってまいりまして、そうした一つの経済の回復基調の中における自然増収という財政的な好転というものを考えていったときに、この六十年度予算編成においてもやはり行政改革というのは進めていかなくてはなりませんが、国民の身近な福祉や教育は、継続すべきものは継続をしていかなくてはならない、こんな感じがしているわけでございます。特に長官の場合は、現在の貯蓄過剰経済、裏を返せば投資不足の経済だ、そういう中で民間設備投資の誘導策、あるいは社会資本の投資、五カ年計画のものが十五もある、今まさに政府の公約を実行するべきである、こう主張されております。
 予算編成の概算要求の時期がやってくる中で、特に児童手当制度の存続の問題、それから教科書無償化の存続の問題、これが毎年存廃論で大きな問題になってくるわけでございます。私は、この両制度は、こうした財政状況に関係なく、国家的見地から存続すべきであると考えているわけでございますが、まず、きょうは文部省あるいは厚生省が来ておりますので、この点について六十年度においてはどのように考えておられるのか、また、経済閣僚の中心である河本長官としては、こうした福祉、教育の根幹の問題であるこの両制度の存廃についてはどのように考えておられるのか、この点について伺っておきたいと思います。
○浅野説明員 先生御指摘の児童手当制度につきましては、御案内かと存じますけれども、五十六年七月の臨調第一次答申でも児童手当制度の見直しが取り上げられまして、抜本的な見直しを加えるようにという御指摘をいただいたわけでございます。
 現在の状況は、その臨調第一次答申を受けた形で、五十七年度から五十九年度の三カ年間につきましては行革関連特例法によりまして児童手当の従来の所得制限、これは六人世帯の場合で四百五十万円でございましたけれども、それを現在は四百一万円というふうに所得制限を強化しました上で、なお所得制限強化の影響を非常に強く受けますサラリーマングループにつきましては、激変緩和措置という意味で特別の所得制限を設けまして、事業主拠出金をもって支給財源に充てるということで特例給付の制度をつくっておるわけでございます。それで、この行革関連特例法による時限措置が五十九年度限りでございまして、それ以降の扱いにつきましては、行革関連特例法の中に、児童手当制度全般について見直しを加えろという条文がございます。そこでこの条文規定を受けて、現在、中央児童福祉審議会におきまして、六十年度以降の児童手当制度のあり方について御検討をいただいておるわけでございます。
 一方、御案内のように、行革推進審議会におきましても昨日意見書が提出されましたけれども、この中におきましても、臨調第一次答申の文言と同じようでございますが、やはり児童手当制度については抜本的見直しを行えという御指摘をいただいておるわけでございます。私どもは中央児童福祉審議会に御検討をお願いいたしておりますけれども、児童手当制度の存続ということを基本線といたしまして、なお時代の要請なりあるいは厳しい国家財政の状況というものを考慮いたしながら、六十年度以降の新しいビジョンというものを踏まえて今後の対応策を種々御検討をお願いし、その意見書を踏まえて政府としての対応策を決めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○林田説明員 義務教育の教科書無償給与制度でございますけれども、この制度は、憲法第二十六条に掲げます義務教育無償の精神をより広く実現するという施策といたしまして昭和三十八年度以来実施してきたものでございます。
 なお、この制度の今後のあり方につきましては、臨時行政調査会から廃止等を含め検討するという指摘がされましたので、文部省といたしましては中央教育審議会に検討をお願いしたわけでございます。中央教育審議会から昨年六月三十日に教科書のあり方について答申をいただいたわけでございますが、この答申におきましては、改めてこの制度の意義を確認いたしまして、この制度を引き続き維持すべきであるという結論が出されているわけでございます。
 なお、この制度につきましては、教科書制度の改善、それから他の文教施策との関連等もございますので、これらの基本問題の検討とあわせまして、昭和六十年度予算概算要求時までに検討することとしまして、昭和五十九年度予算編成に当たりましては、党の取りまとめを確認の上、所要の予算額を計上したものでございます。
 なお、来年度の予算編成につきましてはこれから取り組んでまいるわけでございますけれども、このような経緯を踏まえまして、さらに各界の意見に耳を傾けつつ適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○河本国務大臣 臨調の答申をよく読んでみますと、何のためにこの行政改革を進めるかという目標が書いてあります。その第一には活力のある福祉社会をつくるんだ、それから第二には国際社会に積極的に貢献をするんだ、これが臨調の目標だ、そのためにいろいろ節約しましょう、こういう趣旨のことが書いてありますので、私は、その臨調の目標とするところを忘れてはいかぬ、こう思っておるのです。節約だけを強調して目的を忘れますとその精神が生かされませんから、やはり大局的な判断が必要だと思います。活力ある福祉社会といいますと、これは豊かな国民生活をつくるということにもつながりますし、それから、国際社会に、単なる貢献ではなくして積極的な貢献というのでありますから、従来にも増してしっかりやれ、こういうことだと思うのですが、そういうことのためには我が国の持っております潜在的な力というものが十分発揮できる、そういうことが実現して初めて可能でありますから、やはりこの根本を忘れないようにしながら節約をするというのがこの趣旨だと思います。「角を矯めて牛を殺す」、そういうことのないような大局的な判断が必要だ、このように思います。
○宮地委員 私も長官と全く同感でございまして、この活力ある福祉社会をつくっていく中で、やはり大局的な判断というものが要求されると思います。例えば児童手当の問題につきましても、これから高齢化社会が進む中において、その担い手となる児童の健全なる育成、これはやはり国の責任として対応していかなくてはならない。単に財政的な面で節約、切り捨て、そういう範疇にこの児童手当を置くべきではない。ましてや国庫負担の額から見ましても、五十九年度では六百二十一億、五十八年も六百二十一億、五十七年も六百六十四億と、六百億強の財源で対応できるわけでございますので、私は、この児童手当制度というものは、二十一世紀をこれから目指して日本の国が活力ある福祉社会をつくっていく中において、児童の健全なる育成という立場からぜひ存続をすべきであると強く要請をしておきたいと思います。
 また、教科書の無償給付の制度につきましても、先ほど文部省から話がありましたように、憲法二十六条の基本精神というものを忘れて、単なる行革という名のもとに切り捨てをしてはならない、私はこのように思います。特に、教科書無償給付の財源にいたしましても、五十九年度では四百五十六億円、五十八年度でも四百六十億円、五十七年度でも四百五十三億円と、大体四百五、六十億円の財源で存続ができるわけでございますし、この児童手当と教科書の無償化の国庫負担額というのは合わせて約一千億から一千百億であります。先ほど申し上げましたように、既に景気の回復基調の中で、五十八年度においても現実に自然増収は四千五百三十九億、こういう状態であります。恐らく六十年度におきましても現在の景気回復の基調が進んでいき、五%台に乗るならば、さらに七千億程度の自然増収も見込まれるのではないか、こういうことも既に言われているわけでございまして、私は断じてこの児童手当制度と教科書の無償給付の制度は廃止すべきではない、国家的見地からもそのように考えているわけでございますが、長官に再度その点についてのもう少し突っ込んだ御決意を伺いたいと思います。
○河本国務大臣 個々の問題につきましては、関係の各省が与党と相談をされまして今作業が進んでおる最中でありますから、私から具体的なことを申し上げませんが、先ほど基本的な考え方だけを申し上げたわけでございます。
○宮地委員 それ以上の答弁は非常に難しいと思いますが、基本的考えは、前向きに活力のある福祉社会をつくる、またこれからの日本の健全なる福祉社会の構築の中においてぜひ存続をすべきであるということは、長官の意の中にあるというふうに私は受けとめまして、この問題はこの程度にさせていただきたいと思います。
 次に具体的な問題についてお伺いします。長官、もしお時間があれでしたら、退席していただいても結構でございます。
 次に、残された、限られた時間でございますが、健康食品の問題などについて少しお伺いをしてまいりたいと思います。
 最初に経済企画庁にお伺いしますが、本年三月に「「健康食品」の販売等に関する総合実態調査」というものを発表されておりますが、限られた時間でございますので、この調査の結果どういうことが具体的に判明したのか、そのポイントについて数点ちょっと報告いただきたいと思います。
○及川政府委員 「「健康食品」の販売等に関する総合実態調査」は、経済企画庁が厚生省、農林省、公正取引委員会等の協力を得て実施したものでございますが、約三百品目については表示の実態調査をいたしました。さらに百四十八施設等に立ち入りまして、製造工程等の安全に関する実態調査をいたしました。
 その結果、表示については、例えばラベルや外箱、チラシ、個人向け説明資料等を収集して調査したわけでございますが、病気の予防、治療に効果があるかのような印象を与え、薬事法に違反するおそれのあるもの、あるいは不当表示として景表法違反のおそれのあるもの等が一部散見される状況でございました。
 また、安全上の問題については、特定成分が高濃度に濃縮されているもの、あるいは変質、腐敗しやすいものなどが判明いたしまして、安全衛生上十分な注意や管理が必要であること、あるいは長期継続して使用した場合、栄養学的にも健康を脅かす危険性があるものなどの問題点が判明いたしまして、それぞれ共同して調査いたしました関係省庁において対応策が講じられつつあるというふうに理解をしております。
○宮地委員 また、公取委員会は初めてこの健康食品の効能の表示規則といいますか、そうした取り締まり基準を五月二十九日に実際に公取としてまとめた、このように伺っておりますが、この内容について報告していただきたいと思います。
○利部政府委員 お答えいたします。
 健康食品を主にいたしまして、商品の効能効果について、客観的な根拠がないのに、いかにもあるかのように、あるいはその点について誇大に表示し、景品表示法に違反するおそれがあるもの、一般消費者を欺瞞するおそれの強い事案につきまして、どういう方法で調査をし、どういう措置をすべきかについてまとめまして、景品表示法の権限の一部を持っております都道府県にその基準を示したものでございます。
○宮地委員 また、厚生省がいわゆる薬事法の違反ということで行政処分  これはパナールイオン社の三十日間の製造停止というものが報ぜられておりますが、この点についての報告をいただきたいと思います。
○中井説明員 御指摘いただきましたパナールイオンの薬事法違反の件でございますが、本件はパナールイオンという会社が健康食品として販売しておった商品がパナールイオン紀元素でございますが、これが効能効果をうたっておるということで医薬品とみなされる。したがって、医薬品でございますと、その製造、販売に当たっては厚生大臣の承認、許可を取得しなければならないにもかかわらず、それをしないで販売していたということで、御指摘のような処分をした次第でございます。
○宮地委員 今報告がありましたように、今我が国は健康食品の大変なブームになっているわけでございまして、健康食品というような名のもとにおけるいろいろな表示と中身との差、消費者にとっては非常に大きな問題になっているわけでございまして、こうした健康食品というものについての今後の関係当局のチェックというもの、本当に国民が健康になるための食品ならともかく、実際は中身を精査してみますととんでもない、また表示と違っておるということで、こうした問題に対する苦情も大変多いようでございます。今後そうしたことについて、具体的な問題を掲げながら当委員会で私もいろいろ伺っていきたいと思いますが、きょうは限られた時間の中で、その一つの問題を具体的に伺っていきたいと思います。
 まず、いわゆる玄米酢の黒酢という、こういう製品が最近出回っておりますが、まずこの黒酢、玄米酢というもの、これはどういう製造法のもとにつくられておるのか、またこうした玄米酢がどういうような業者によって今販売をされているのか、その辺の実態などについて御報告いだだきたいと思います。
○増田説明員 御説明いたします。
 玄米酢につきましては、お米を原料といたしましてつくっているお酢でございます。製造法はいろいろメーカー等によってあるようでございますが、主原料はお米ということで、四十グラム以上のものを使ったものを玄米酢ということで統一しているようでございます。それから販売につきましては、調味料につきましては一般の食料品店等で販売をしている状況でございます。
○宮地委員 ちょっと所管が違うのかな、あなたは。余り自信がないので、こちらの方があれなんですが、特に、お酢といえば酒屋さんで売っており、大体酒屋さんから買う。こういうように、普通我々常識ではそう考えるわけでございますが、この玄米酢は、そうした酒屋さんよりもむしろ最近は薬局に出回っておるのですね。まして健康食品である、こういうことで出回っておりまして、今ちょっと自信のないようなお話がありましたので、簡単に私の方からもお話ししても結構なのでございますが、玄米酢というのは、これは原料に玄米を使った醸造酢を言うのであります。そしてJASにおきましては一リットルの米酢をつくるためには四十グラム以上の米を使えばよい、こういうふうになっているわけでございます。そういう中で、特に古来から玄米酢をつくるにはつぽの製法というもの、また角おけによる静置法、またタンクによる速醸法と、こういう三つの方法によってこの玄米酢がつくられているわけでございます。特にこの玄米酢をつくっている製造元を調べてみますと、大体七社が製造あるいは販売元と言われております。特に問題がございませんからお名前を出さしていただきますと、お酢で大変な名門でありますミツカン酢あるいは坂元醸造、オノジュウ、森谷健康食品、ヘルスタージャパン、健康医学社、また一光商会、こういうところが大体醸造酢の製造、販売を行っている業者のようでございます。
 ところが、いわゆる玄米酢という黒酢がなぜ体にいいかということにつきましては、玄米を使うと非常にアミノ酸が入っておる、こういうことで非常にPRしているようでございます。しかし、一つ一つの業者の出された製品をチェックしてみますと、表示の面におきましても中身の面におきましても大変に違いが出てきているわけでございまして、特に消費者にとって最大のものは、果たしてその中身が玄米酢としての適正なものであるのかどうかということと、もう一つは価格の面で非常に違いがあるわけでございまして、例えばミツカン酢などは十ミリリットル当たり七・六円、九百ミリリットルにおいては六百八十円、こういう金額でございますが、最高のものになりますと、一光商会などは同じ容量でありながら三千八百円、このように大変に違いが出てきているわけでございます。特に最近そういう中で非常に高い価格の方向で販売されておる、こういう実態になっているわけでご富ますが、この点についてどの程度この実態を把握されているのか。
 まず具体的に公取として、表示の問題でこうした業者の製品に問題はないのだろうか、こういう点についてはどのような見解を持っておられるか。また厚生省には、食品衛生法の立場から見て、実際に安全性という問題はどうなのだろうか、この点について。また農水省においては、いわゆるJASの先ほど申し上げた規格の中から見て、こうした製品は適切に合致しているのであろうかどうか、こういう点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
○利部政府委員 ただいま御指摘の玄米酢あるいは黒酢というものについて広く調査した結果ではございませんが、不当表示の規制の一般的な考えから申しますと、そういった酢が健康に役立つ、健康増進というようなことで食酢について一般に認められている程度のことを書くにとどまるのであれば特段問題はございませんけれども、当該商品が格段に他の食酢よりも健康上有益であると受け取られるような表示をしてみたり、特にうたいとげている特徴に客観的な根拠がない、あるいは事実に反するものであったり、そういう表示がありますと不当表示、そして景表法違反の疑いがある、取り締まるべきものであるというように考えております。
○玉木説明員 食品衛生法上有毒有害な物質が含まれております食品等、人の健康を損なうおそれがある食品につきましては、製造等が禁止されております。食品の安全性確保については、各都道府県におきまして全国約六千八百名の食品衛生監視員が、製造所への立入検査、収去検査等を行っておりまして、問題がある食品が製造、販売されることがないような監視、指導を実施しておりますが、今先生から御指摘のございました黒酢については、現在のところ食品衛生上問題が指摘されたという報告は、我々のところでは受け取っておりません。
○松延説明員 食酢のJASの規格のあり方の問題でございますが、食酢につきましては、御存じのとおり、製造方法とそれから使われる原料によって幾つかの区分ができております。
 製造方法でまいりますと、醸造酢あるいは合成酢という区分がございますし、原料といたしまして、いろいろな考え方があり得るわけでございますが、私どもとしては、原料のうち穀物酢と果実酢というふうに分類いたしまして、さらにその中を細分化いたしまして、米酢、リンゴ酢、ブドウ酢というようなカテゴリーを設けまして、さらには品質の基準も、例えば味とか香りのような一般性状のほか酸度あるいはエキス分などの規格も厳格につくっております。
 さらに表示の基準といたしまして、使われております原材料とか酸度、製造年月日なども表示を義務づけておりますし、それから内容等の誤認を防ぐような、表示の禁止事項等も規定しておるわけでございます。この規格が設定されましたのは五十八年の七月でございますが、以後格付率も順調に伸びてきておりまして、そういう製造及び流通の合理化に非常に貢献をしてきつつあるというふうに考えております。
 ただ、御指摘の黒酢の問題につきましては、私どもの規格では黒酢という規格はございませんので、あえて規格と申しますと、米酢であるとか純米酢、こういう規格になり得るかと思いますが、実際にこのような規格の表示どおりに、例えば米酢の場合、原材料について、一リットル当たり四十グラム必要となっているわけでございますが、そのとおりあるかどうか、これは格付をしますときに一応厳重にチェックすることにいたしておるわけでございます。
○宮地委員 時間がありませんので、端的に答弁をお願いしたいと思います。
 特に玄米酢の場合は、品質表示法に基づいた表示の義務があるわけでございます。純というのと天然、こういう表示がありまして、消費者から見ると、これはなかなかわかりにくいわけですね。まず、こういう不可解な点についてはどういうふうに公取としてはチェックをされているのか。
 また、先ほど申し上げましたように、玄米酢というのはアミノ酸が豊富に入っている、こういうことで、普通一リットルの玄米酢をつくるためには大体二百五十グラムから三百五十グラムの玄米が使われていて初めて玄米酢、こういうふうに言われているようでございますが、先ほど申し上げましたような業者がつくっている製品を見てみますと、例えば、ある社においては一リットル中に二百二十から二百六十グラムの玄米を使っている、こういうところも二社ばかりございます。また、百八十グラムから二百グラム前後をお使いになっている業者もございます。ところが、ある業者に至っては四十グラムから六十グラム、あるいは二十グラムから三十グラム程度の玄米しか使用していないのではないか。これはアミノ酸の含有量から逆算して分析したデータなのでございますが、実際にはそうしたように、玄米酢といいながら玄米酢でない、こういうような製品がまことしやかに薬局などに健康食品ということで売られている、こういう実態をどのようにお考えになっておるのか。これは、一つは消費者保護という立場から経済企画庁、また実際に農水省としてはこうした実態をどういうふうに見ておられるのか、把握されておるのか、この点について伺っておきたいと思います。
○利部政府委員 お答えいたします。
 純とか天然という言葉は、特に健康食品に関連して使われます場合には、消費者に品質について相当いいものであるという期待を抱かせがちな表現だと思います。不当表示規制の場合でも注意を要する表現だと思いますが、ただ、使い方によりまして、そういう言葉があるだけで直ちに不当表示と言い切れない場合がございます。商品説明として単に天然の材料云々というような叙述的な場合もございますし、商品名にかぶせて当該商品の重要な特徴であるように示しているところもございます。後者のような場合に非常に問題でございまして、そういうふうに言うに足る客観的な根拠がなければ、不当表示になる疑いが非常に濃いと考えます。それから、純玄米酢というような使い方をしていたとすれば、米でない材料あるいは玄米でないものを相当量使っている場合にも、不当表示になる疑いが非常に濃いというふうに考えます。
○松延説明員 JAS法上の天然米酢あるいは純米酢の取り扱いの問題を簡単に御説明させていただきたいと思います。
 御指摘のようにJASの規格及び品質表示上は、「天然又は自然の用語」は、一心表示禁止事項ということで規定されておるわけでございます。これは五十四年の七月にできたわけでございますが、製造の実態等を勘案いたしまして、直ちに一〇〇%その遵守を求めるというのは非常に困難な面があったわけでございますので、当分の間、これらの用語の表示禁止を適用しないこととしまして、現在実態の推移を見守っておるところでございます。また、純米酢とかあるいは純何々酢というような表示につきまして、このような純という言葉を使う場合には、一種類の原材料から製造した醸造酢についてのみその表示を認めるということにしておるところでございます。
○及川政府委員 私どもが今回調査したのはいわゆる健康食品でありまして、通常の食品、通常の状態で摂取するものは対象といたしておりませんでした。そういう意味で、黒酢あるいは米酢は古来から通常のつくり方あるいは使われ方をしている食品でございますので、今回は調査対象にしておりませんでしたけれども、御指摘のように、一部に過度に健康によいような表示があったり、あるいは純とか天然とかということが過度に表示されたりして消費者に誤認を与えるという点については、なお問題点もあろうかと存じますので、関係省庁と相談をしながら、消費者利益が適切に確保されるように対策を講じてまいりたいと考えております。
○増田説明員 いわゆる黒酢につきましては、先生御指摘のようにいろいろな内容のもの等がございまして、実は最近非常にふえておりますこういった黒酢等につきまして、品質内容も含めまして生産、出荷、消費といった実態が必ずしも明らかでないという面がございますので、私どものところでやっておりますニュータイプ加工食品調査というのがございますが、そういう中でこういう特殊な食酢類を取り上げまして、今年度その実態を明らかにしたいというふうに考えております。
○宮地委員 じゃ、終わります。
○金子委員長 次に、田中慶秋君。
○田中(慶)委員 最初に、先ほども質問のありましたミシンメーカーのリッカー和議申請の問題等について若干質問してみたいと思います。
 新聞その他報道によりますと、約一千百億円程度の負債総額、史上四番目というようなことが報道されたわけでありますけれども、リッカーは前払い式割賦販売制度を取り入れておりますけれども、その利用者も和議申請ということで被害を受け、心配をされていると思います。実際、その利用者の数というものが全国的にはどのぐらいになっているのか、積立金残額はどのぐらいになっているのか、これによって被害総額が明らかになってこようかと思いますけれども、これについて、所管は通産省になろうかと思いますけれども、冒頭質問をさせていただききたいと思います。
○糟谷説明員 リッカーの和議申請にかかわる件でございますけれども、リッカーと、それからリッカーの子会社でありますリッカー・ファミリークレジット、この両社が前払い式の割賦をやっておりますので、両方について御説明申し上げます。
 まずリッカーの方でございますが、前受け金の総額が約八億五百万円、それから、口数にいたしましして十一万八千口でございます。それからその子会社のリッカー・ファミリークレジット、これは友の会方式でやっている会社でございますけれども、こちらの前受け金総額が六十三億五千六百万円、口数にしまして六十八万五千口でございます。両社合わせますと、七十一億六千万円余りの前受け金がございますし、口数にいたしますと八十万三千口でございます。
 利用者の数でございますけれども、実は口数と利用者は必ずしも一致いたしませんで、リッカーの申しますところでは、大体六十万人とも七十万人とも言われておりますけれども、正確な数字はそれ以上はわからないという状況でございます。
○田中(慶)委員 現実には約七十一億程度の被害総額といいますか、こういう形になっているわけですけれども、これらについては、前段で二分の一前受け金の関係がありますから、法的保護というものは二分の一は受けられておりますけれども、問題は残りの二分の一が完全に利用者に返還されるか、もしくは製品でというお話でありますけれども、リッカーそのもののこういう和議、すなわちもう倒産ということに近いわけでありますから、そんなことを考えてまいりますと、現実に製品問題についても、その製品の将来性を考えてまいりますと大変不安になってくるだろう。こんなことを考えてまいりますと、現実に消費者といいますか利用者について、具体的にはどのような補償というものがされるのか。この辺がやはり大きな問題ではなかろうかと思うのですが、その辺もとのような形で行政指導をする、あるいは今後どういう形でその解決策を見出していく、こんな形で今検討されていると思いますけれども、その辺についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
○糟谷説明員 私ども、今回の事件は、関連する消費者が非常に多いということ、それから前受け金の総額が七十億を超えているということで非常に重大に受けとめております。
 それで、これからの消費者の救済策でございますけれども、私どもとりあえず現在以上に前受け金の額がふえないように新規募集を停止するとか、あるいは既契約の前受け金の集金を停止するといった指導をリッカー株式会社にしているわけでございますけれども、既に契約を結んでいる人をどうやって救済していくかという問題がポイントになろうかと思います。
 私どもは、大きく分けまして物で支払う方法、それから契約を解除してお金で返してもらう方法、二つあろうかと思いますけれども、前者の方はある意味では比較的まだ楽な面もございますけれども、後者の契約を解除する、これは現在も割賦販売法上、和議開始の手続をしておりますので、自由にできるわけでございますけれども、その契約を解除した結果として得られます返還請求権が和議法上どういう扱いになるのか、もう一つはっきりしないところがあるわけでございます。
 今回私ども、このリッカー事件の対応策を進めるに当たって一番難しい点は、和議法の手続が進められているということでございまして、それとの関係で、例えば代物弁済もうまくいくであろうかとか、あるいは返還請求権が和議債権の中に入ってしまうと、消費者は果たしてどういう地位に置かれるのだろうかとか、こういう問題がございますので、まず第一は、私どもの希望を裁判所の方にお伝えして、何とか消費者保護の観点からできるだけのことをしてもらえないかということで裁判所とコンタクトをしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○田中(慶)委員 今お話にありましたような形で、製品なり現金の問題もありますけれども、ただ和議法の法律解釈論だと思うのです。和議法そのものが消費者保護の立場にあるのか、会社の保護の立場にあるのか、私は後者ではないかというふうに解釈しているのです。その辺、どう思っておりますか。
○糟谷説明員 厳密な法解釈は、私ども専門でございませんので、私どもの受けとめ方だけお話をさせていただきたいと思いますが、和議法になりますと債権者、債務者が相談をしながら当該会社の再建を図っていく、こういうことでございまして、消費者保護という観点は法律上直ちに出てくるというものではないと思います。ただ、和議法の運用に当たりまして、小口の債権者をどうするかという視点もあるわけでございますし、それから和議法の和議の手続を進めるに当たって、現在でも通常の営業活動は認められているわけでございますけれども、その許される営業活動の範囲というのはどこまであるかというところは、まだ必ずしもはっきりしないわけでございまして、この辺の解釈によっては、消費者が事実上救われるということも、現在和議法のもとで認められるものに入れてもらえないかどうか、その辺に私どもとしては希望をつないでいるわけでございまして、裁判所とのコンタクトを進めているというのはそういう趣旨でございます。
○田中(慶)委員 和議法の適用されている過去の例の中で、消費者保護なりあるいはまた企業側に立った保護なり、そういうことを含めて事例なり、あるいは従来その経験があったらそれを述べていただきたいと思うのです。
○糟谷説明員 私どもの割賦販売法の関係で和議法の手続に移って、私どもから消費者保護の観点.でいろいろコンタクトをしたというケースは、我々の記憶している限りではございません。
○田中(慶)委員 それは確かに割賦販売を担当されている部署としてはないかもわかりませんけれども、通産当局として、恐らくこの和議の関係というのはしょっちゅうあることだと思いますから、そういう点で小口の債権者といいますか、利用者あるいは消費者の保護という前提でよくこの辺を調査されて、和議申請をされている中で保護できるような形でぜひこれは努力してやっていただきたい、こんなふうに思います。割賦云々というその分野においてはないかもわかりませんけれども、通産はこれはしょっちゅう取り扱っている問題ですから、そういう点でぜひその辺をやっていただきたいと思います。
 そこで、前払い割賦の制度で企業が倒産した場合、利用者保護という立場に立った場合、現在の制度そのものが問題ないのかどうか。恐らく今度のリッカーの倒産に絡んで、相当いろんな形で消費者の人たちの、今のこの割賦方式に対して不安なりあるいは心配なりというものがこれから出てくると思うのです。私どももまさかリッカーという会社がこんな形になるというふうに思っておりませんでしたし、これからいろんな形で勉強させていただくためにおいても、この制度をできれば再検討される必要があるんじゃないか、こんなふうにも私は思っておりますので、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○糟谷説明員 前払い式割賦販売という制度は、特に戦後非常に伸びたわけでございますけれども、伸びるにはその背景に理由があるわけでございまして、消費者にとっても便利な面があったということはやはり否定はできないのだろうと思います。消費者にとりまして、代金を先払いするというかわりに、市中価格よりもかなり安い価格で商品が買えるということから、消費者利便があるということでこの制度が伸びてきたという背景があるんではないかと思っております。
 そうは申しましても、この制度の一番の問題点は代金の前払いをしなければならないというところでございまして、その観点で消費者保護は十分図られるだろうか、こういう問題だろうと思います。
 割賦販売法では、こういう前払い式割賦取引というものを法律の対象にいたしまして、まず基本的には許可制の対象とするということで、だれでも自由にこの事業はできない、一定の要件を満たしたものでなければ事業はできないし、それから許可を得て事業を開始した後になりましても、このような要件を継続して維持しなければならない、こういう規定になっております。私どももそれが守られているかどうかをチェックする義務があるというふうに考えております。それが一つ。
 それからもう一つは、こういう運用をいたしましても、やはり破産等の不測の事態というのはあり得るわけでございまして、それに備えて前受け金の一定額を保全するという措置を法律上義務づけるという形で、規制の強化を図ってきているわけでございます。この保全の比率も、累次の改正によりまして三分の一あるいは二分の一とだんだん高くなってきておりまして、現行制度でできるだけ消費者利益に配慮した形で制度を整えてきた、こういうふうに私ども考えているわけでございます。
 今後この制度をどうするかという点につきましては、今回の事件もございますので、問題点は謙虚に受けとめることにしておりますけれども、一方で消費者がこういう制度をまだ望んでいるという事実もございますので、その辺を見ながら慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○田中(慶)委員 端的に申し上げて、確かに許可制度の問題ですから、それ一つ見れば安心のようでありますけれども、それでは許可申請を出して不許可になったケースがあるかどうか、あるいはまたこういう形の中で指導に基づいて、指導要綱に抵触するから取り消した、こういう形には恐らくなっていないと思うのです。ですから、そういう点で不許可になったケースがあるか、業務上告さんの指導、勧告に従わないで取り消しになった例があるかどうか、その二点について御説明していただきたいと思います。
○糟谷説明員 まず前者の方でございますけれども、私ども許可申請を受け付ける前に事前にその内容をチェックいたしまして、それで許可条件に合うか合わないか、合わない場合にはそこでお断りすることもございますし、合わない場合でも、改善することによって条件を備えられるということであれば、そこを指導して許可に持っていくということもございます。したがって、正式の書類を出して不許可扱いにするというケースは通常ございませんけれども、許可の相談、許可が得られるかどうかということで相談に参りまして、これではとても条件に合わないから無理だということでお引き取りをいただくケースはございます。
 それから、実際に許可をした後でございますけれども、現在までのところ、許可した業者の許可を取り消したという事例はございません。
○田中(慶)委員 不許可といいますか、前段で行政指導しているから不許可がない、こういうことでありますけれども、現実問題として許可を申請するくらいの企業というものは、恐らくそれぞれいろいろな形で書類上の欠陥がないように整備されて来ると思います。だからそういう点では、これからも厳重にするかあるいは制度の見直しをするか、こんなことを含めて二度と消費者に害の起こらないようにぜひやっていただきたいと思うのです。
 ところで、リッカーの場合、倒産した原因には別業種、ホテル業に手を出したからとかいろいろなことが言われておりますけれども、その辺の解釈はどういうふうに理解しているのですか。
○糟谷説明員 私どもの課では消費者行政ということで割賦販売法の関係を所管しておりまして、和議申請に至った経緯あるいは原因につきましてはちょっと担当が違いますので、その点については私から答えられませんので、御容赦いただきたいと思います。
○田中(慶)委員 いずれにしても、割賦販売業として企業内容をチェックされることになるわけです。しかし、企業内容の中には定款というものがあって、その定款には、割賦販売業だけでなくしてそれぞれの業種の業務を行うことになっていると思うのです。ですから、自分のところは割賦販売業だけの担当だから、その企業が健全経営されているかどうかチェックをするに当たって、割賦販売以外の定款についてはわからぬということであってはいけないと思うのです。今起きたことについてあなたにどうのこうの言うわけじゃありませんので、そういうことを含めて全体的な把握というものをしなければ、割賦販売だけチェックをするということであっては、その企業が健全であるかどうかわからぬわけですから、そういう点でぜひ幅広く定款を含めた中で御検討いただきたいと思う。
 もう既にリッカーさんは昨年の時点から、手形が落ちないとか、いろいろなことも含めて問題になっていたことは事実なんです。昨年の暮れにやっと年を越せるなんという話が出ていたわけです。そして先ほどの話では、何か五月にいろいろな形で勧告したとか、いろいろなことを言われておりますけれども、去年の時点から出ているわけですから、そういう点ではいろいろな形で問題があったと思いますので、自分のところの割賦販売だけじゃなく、定款のいろいろなところの末端の問題まで幅広くネットワークをされることによって消費者が健全に保護されるものと思いますので、そういう点を含めてぜひやっていただきたいということを要望しておきます。あなたの決意を聞かせてください。
○糟谷説明員 私ども、割賦販売法で消費者保護に万全を期しているというお話を申し上げましたけれども、現実に今こういう事態が起こっているわけでございますので、法律に基づいたいろいろなチェックというのは当然でございますけれども、それにとどまらず、できるだけ幅広いデータ、情報を集めて、こういう事態のできるだけ早い掌握というものに努めなければならない、こういうふうに考えております。通産省には、私どもの課だけではなくて、企業を所管しております機械情報産業局もございますし、中小企業庁もございます。そういうネットワークを活用して情報収集、分析に努めたいと考えております。
○田中(慶)委員 このリッカー一連の関係については以上で終わりますので、仕事の関係だったらどうぞお引取りいただいて結構です。
 そこで次は、景気問題について長官初め皆さんにお聞きしたいと思うのです。
 最初にぜひ長官にお聞きしたいわけですけれども、ちょうど予算時期になってきております。野党の党首を初め各党が景気問題について、それぞれニュアンスが違うにしても、公共投資の問題なり減税問題を大きく取り上げて、景気回復を望んでいるわけであります。そういう点では、経済担当の長官であります河本長官も、これらについて拡大均衡政策を打ち出しているわけであります。ところが最近、宮澤さんもそういう点で資産倍増論というような形で打ち出しておりますけれども、政策手段として違う形であろうかと思います。この資産倍増論について、政策的に、住宅の問題なり社会資本の問題、金融資産の問題等々の問題があります。かねてから長官が言っている経済政策と、例えば所得減税の問題をとっても違うわけであります。しかし、これからの国民の経済に対する――その結果、生活の問題も大きく左右されてこようかと思います。あるいはまた、企業が来年度以降に対する経営方針を出すにしても、これまた大きく左右されると思います。あらゆる問題で、それぞれ来年度以降についての取り組みというものが、そういう点で多少なり影響するわけでございますので、改めて資産倍増論なりあるいはまた来年度に対する長官としての基本的な考え方をお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
○河本国務大臣 資産倍増ということは大変結構だと思います。ただ、中間報告という形で意見を発表しておられますので、いずれ総合的な意見が発表されると思います。したがって、それを見た上で私どももいろいろ勉強させていただきたい、こう思っておりますが、それはそれといたしまして、今お尋ねの問題は、予算編成等を控えて、これからの経済上あるいは財政上の一番大きな問題点は何であるか、こういう御意見に対しましてはお答えをいたします。
 今日本経済の一番の問題点は、全体としての内需が弱い、こういうことだと思います。外需の方は予想以上に拡大をいたしておりますが、内需は、個人消費が伸び悩んでおりますことは何回も申し上げました。その原因は実質所得がふえないことにあるということも申し上げてきました。したがって、GNPの六割弱を個人消費が占めておりますから、この問題にメスを入れませんと経済の力が出てこない、私はこのように思います。
 それからもう一つの大きな課題は、貯蓄過剰の状態が続いておりますが、これは裏を返せば投資の不足である。社会資本投資も不足しておりますが、同時に民間の設備投資も不足しておる、その反面が貯蓄過剰、こういう形になっておると思います。内需を拡大しようということになりますと、この投資拡大、社会資本と民間の設備投資の拡大、これをどのように進めるかということが一つの大きな問題点になろうと思います。
 したがって、来年の予算編成をめぐりましては、別の角度からいいますと二つのことが課題になると思いますが、第一は、投資のうちの社会資本投資をどのように拡大するのか、あるいは拡大しないのか、拡大するとすればどういう方法があるのか、これが一つの議論だと思います。それから第二は、やはり税制全体のあり方を再検討すべきではないか、私はこのように考えておりまして、大蔵大臣や自由民主党の政調会長にもこのことを何回か進言をいたしております。その過程で投資減税の問題も検討してもらいたいと思っておりますし、所得減税の問題も検討してもらいたいと思っておりますが、同時に、臨調の言っております直間比率の是正、こういう問題もあわせて議論をしてもらいたい。税制全般の抜本的な改正についての議論と社会資本投資についての議論、この二つがさしあたって重要な課題であろう、このように私は思います。
○田中(慶)委員 長官の前向きな考え方と経済に取り組む姿勢というのは非常にすばらしいし、恐らくあらゆるところから高く評価をされると思うのです。私も長官の考え方に大賛成なんです。ところが総理は、ゼロベース、マイナスシーリング、こういうことを打ち出し、あるいは行革審の方からもそういう点で大変厳しい要望が出ている、あるいは一部経済界からも、そういう点で公共投資に対する非常に消極的な考え方が出ているというわけですけれども、経済というのはある程度の先を見通し、長期的な展望に立ってやることが必要だと思いますので、今一番必要なのは、河本長官の発言がこれから来年度の予算編成に当たっていかに取り上げられていくかということで、それが日本の経済の内需の拡大初め、いかに活力が得られるかということにつながると思うのです。そういう点で、その辺を含めて、経済界なり行革審なり中曽根総理に対して、河本理論というものをもっともっと徹底をさせるべく努力される必要がある、こんなふうに思うのですけれども、河本さんのその辺に対する姿勢と努力、さらにまた相手に納得していただくための方策、こんなことを含めて、ぜひ考え方を聞かせていただきたいと思います。
○河本国務大臣 私は、予算の編成方針はこの間政府と自由民主党との間で決まった方針でいいと思います。概算要求というのは、それがそのまま政府の原案になるわけではございませんで、十二月の段階で政府の原案ができるわけであります。概算要求は従来の方針を基本的に踏襲するけれども、九月から十二月までの段階で、経済や財政の状態を見ながら党と政府の間で十分協議をしていく、こういうことになっておりますから、それで結構だと私は思います。ことし後半の経済と財政の実情に合ったような、そういう政府の原案ができることを期待をしております。
 それから、予算の編成方針につきましては、いろいろな議論が出ておりますけれども、財政の再建をしようと思いますと、これは節約だけではできません。やはり経済の活力を拡大をいたしまして、そこからある程度の財政力を生み出す、税の自然増収等も出てくることを期待する、この二本立てでやりませんと、わずかな節約をすることによってすべての目標が達成されるというように即断するのはいかがか、このように私は考えております。先ほど来意見が出ておりますが、昨年の経済成長三・四%が三・七%になったというだけで約五千億弱の税の自然増収が確保できたわけであります。だから、経済力が拡大をすれば、そこから自然に税の自然増収も拡大をされまして、財政の基盤が強化されるわけであります。幸いに日本の経済は強力な潜在成長力があるわけでありますので、その潜在成長力をできるだけ生かしていくということが望ましいと私は思います。特に今世界経済が非常にいい方向に向かい始めましたので、客観情勢が大変いいと思うのです。こういう客観情勢がいいときには比較的力も発揮しやすいということでありますから、そういう点を十分考慮いたしまして、どういう政策がこれからの日本にとって一番よろしいかということについて、大局的な見地から議論が進められることを私は期待をしております。
 先ほども申し上げましたが、臨調の目的とするところは活力ある福祉社会、それから国際社会への積極的な貢献ということでありますから、その目的を忘れないようにやるべきだ。枝葉末節だけを議論して目的を忘れてしまうということがあってはいかぬ、このように思います。まだ時間も相当ございますので、何かいい結論が出ることを期待をいたしております。
○田中(慶)委員 確かに長官の言われることはよくわかるのです。ただ、もう既に国の方針なり、地方自治体そのものも来年度に対する予算についてそれぞれ御苦労されているわけです。地方自治体でそれぞれ公共事業の拡大を今盛んに国に対して陳情しておるのです。私はもう陳情政治より、今言っているように、長期的な展望に立った経済政策、そしてそれ自体がまだ進行率といいますか、進捗率が達成されていない状態なのですから、公共投資については、そういうことを含めて積極的な姿勢をとらせる方向で具体的な提言をされた方が望ましいと思います。また、今そういう点で十二月の時点で云々という問題がありますけれども、やはり今の時点でそういう発言をできるだけ多くされた方がいいと思うし、例えば臨調あるいは臨行審の問題についてもいろいろな問題があるわけです。長官の言われること、国際社会の問題、福祉社会の問題、いろいろなことを含めて確かにすばらしいことなんですけれども、時によっては、臨調がという形で、困るとあるいはまた逃げ穴にその臨調の方針なりいろいろなことが使われているところがあらゆるところに目立っているわけでございますので、逃げのために行革なり臨調の問題を使ってもらっては困るわけです。
 そんなことを含めて、積極的な経済政策というものを経済担当長官として私は非常に期待したいし、あなたの今までの一連の主張があらゆるところで今期待をされているところなんで、その辺を含めて、自信を持って、各省に対するあるいはまた経済界に対するリーダーシップをぜひとっていただきたい、こんなことを思うのですけれども、その辺いかがでしょう。
○河本国務大臣 これは与党である自由民主党の経済、財政に対する考え方も大分変わってきたと私は思うのです。去年とすっかり変わっていると思います。自由民主党の最高の執行機関である総務会等でも、先般来いろいろな積極的な意見が続いております。それは皆さん、昨年まではもう我慢経済でしかやれないのじゃないか、こう思っておられたと思うのですが、昨年の後半以降アメリカ経済が見事に立ち直ってきた。そうなってくると、どうも我慢経済だけでいいのかどうか。日本にはアメリカ以上の潜在的な力があるはずだ。しかりとするならば、従来の我慢経済を断ち切って、そして我が国の持っておる潜在的な力が発揮できるような財政、経済政策が望ましいという積極的な判断から、自由民主党内部で積極的な意見が相次いでおるのだと私は思います。
 さっき申し上げますように、まだ若干の時間もございますし、それから公共事業の拡大にいたしましても、国内に資金がありませんとこれはどうにもこうにもなりませんけれども、何回か申し上げますように、貯蓄過剰の状態でありますから、工夫をすればいろいろな形での資金調達ができると思います。何も一般会計だけではございませんで、一般会計は全体のせいぜい四分の一ぐらいしか事業量がございません、二十三、四兆の公共事業に対して六兆強でありますから。だから、全体としての事業量をどう確保するかということが一番の大きな点だと思います。そこでいろいろな工夫をいたしまして、事業量全体を確保する。そして今政府が国民に公約をいたしております十五本の社会資本投資計画、これは閣議で決定をして発表したわけでありますから、できるだけ早く軌道に乗せていくということが大切だと思いますが、まだ若干の時間がございますから、だんだんと意見が煮詰まっていくのではないか、こう思います。
○田中(慶)委員 大分通告しておりますけれども、時間の関係で、これからそれぞれ項目を少しまとめて質問させていただいて御答弁をいただきたいと思います。
 長官の方は、そういう点で大変これから期待をしたいと思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ところで、大蔵関係にお聞きしたいのですけれども、現在の投資減税の問題、所得減税の問題の取り組み、こういう問題についてどういうふうに考えられているかということと、減価償却年数、これは日本の場合非常に長いものですから、今後それを検討するという予算委員会での答弁があったわけですけれども、その短縮化を現在検討されているのかどうか、ここら辺についてお答えをいただきたい。
 それから、民間企業に対する法人税の問題で、法人税率の一・三%という新たな課税を五十九年度、六十年度という形でされておりますけれども、長官もいまお話ありましたように、五十八年度、税制年度五十九年度でも約五千億程度の増収の問題があるので、この辺について、時限立法の関係でありますけれども、将来というか六十年度だけで完全に終わるのかどうか、この辺をお聞かせいただきたい。こういう問題。
 特に設備投資減税の問題については、今までの論議の中でも明らかになっておるのですけれども、日本の設備というのは非常に老朽化が進んでいる。そんなことで国際競争――今貿易に頼っておりますし、あるいは輸出に頼っているわけですから、これからの国際競争に優位性を保つためには、やはりどうしても投資減税が必要だろう。こういう点でこれをぜひやってもらう。さらにまた、新しく研究開発の問題が、日本の場合少ない。そういう点では税制優遇対象として強化すべきじゃないか、こんなふうに考えているわけですけれども、これらについて一連の考え方をお聞かせいただきたい。
 運輸省関係については、時間もありません、せっかく来ていただいておりますので、関西空港の関係で質問通告しておきました。それぞれ問題はあろうと思いますし、今一生懸命その計画どおり進めようとしておろうと思いますが、要は環境アセスとか、いろいろな形でそれぞれの手続をしてまいります。そうしてまいりますと、計画どおり進まないのが世の常でありますので、そういう点では景気に対するいろいろな問題、あるいは計画どおり進まないことによって大変な費用が余計かかるわけでありますから、できるだけ前倒しに前倒しにすることによってやっとそれで計画どおり進む、このくらいになろうと思いますので、ぜひそういう点を含めてやっていただきたい、こんなふうに考えております。
 以上です。
○金子委員長 大蔵省浜本税制第一課長。質問はたくさんありましたが、時間もなくなっておりますので、簡潔に御答弁ください。
○浜本説明員 お答え申し上げます。
 経済全体に占めます設備投資だけの規模を拾い出してみますと、我が国の設備投資の規模と申しますのは、西ドイツの倍あるいはアメリカの五割増しというようなレベルにございます。その設備投資が、いろいろ難しい問題を含んではおりますけれども、例えば五十八年の四−六月期以降を見ますと、各四半期ごとに対前年同期比の伸び率だけとってみますと、倍々というような勢いで回復してまいっております。そういう状況が一方にございます。
 他方、そういう経済に向かって税制がどういう働きかけをしていっているかということを考えてみますと、五十九年度予算では、一般に租税特別措置というものに対する合理化あるいは縮減ということが言われます中で、限られた財源ではございますけれども、例えばエネルギー利用の効率化でございますとか、中小企業の事業の高度化でございますとか、そういう重点的な投資減税措置を講じておりまして、現在、まさにその成り行きを見守っているというところでございます。お話の中にございました、法人税負担をどう考えていくかというような問題も含めまして、そういう状況を十分見きわめました上で、来年度以降の税制改正の中で御論議をいただくこと、我々も考えていくべきことかというふうに思っております。
 減価償却の問題でございますけれども、減価償却というのは、御存じのように固定資産を取得しましたときに、企業の各期間期間の利益計算をします場合に、その固定資産の値段をどの期にどれだけずつ割り当てるかという問題でございます。したがって、それはすぐれて物理的なその物の持っております寿命でございますとか、あるいは経済的な陳腐化の度合いというようなものによって決めていくべきものであるというふうに、基本的には考えております。確かに減価償却を加速いたしますと、初めの方は償却額がふえますので、それだけ企業の負担する税額というものを軽減する効果が伴おうかと存じますけれども、後の期に参りますと、本来ならばなだらかに減価償却を続けておりますと続けて落としていける経費が、既にもう前倒しされておりますから、その期においてはかえって税金が重くなってくるという傾向も、裏返しとして生ずるというような問題もございまして、減価償却をどういうふうに考えていくかということは、やはりそのときそのときの企業が使っております固定資産の実態、そういうものに即して見直しをしていくべきものであるというふうに考えております。
 研究開発に対する国の配慮、特に税制上の配慮は十分かというお尋ねでございますけれども、諸外国と比べてみますと、ドイツなどは歳出面で対応しておりますけれども、税制面での対応というものはございません。イギリスは、確かに科学研究のための資本的支出につきまして、初年度一〇〇%償却を行っております。我が国も、かつて昭和四十二年ころまではそれに近い一〇〇%償却というようなことをやっておりました。しかし、それを税額控除に切りかえたわけでございます。現在税額控除でやっておりまして、これに倣うかのごとく、最近になりましてフランスやアメリカがそういう税額控除の措置を始めました。しかし、アメリカの場合などをとってみましても、我が国の場合と違いますのは、試験研究費全体を相手にするのではなくて、その中から減価償却部分を除いた残りの部分につきます、それに見合います税額控除を計算するということでございますから、我が国の税制上の試験研究活動に対する対応の仕方がよその国に比べて著しく劣っているという感じは持っておりません。
 以上でございます。
○金子委員長 運輸省竹内関西国際空港課長。同じく簡潔に御答弁ください。
○竹内説明員 お答え申し上げます。
 先般関西国際空港株式会社法を制定いただいたところでございまして、現在十月一日の会社設立を目途に準備を急いでいるところでございます。会社を設立いたしますと、直ちに地元の漁業協同組合等との調整に入りまして、六十年度の着工あるいは六十七年度末の開港を目途に、鋭意進めてまいる所存でございます。
 今後とも、内需拡大といった観点からも、関西国際空港の建設につきましては、その早期建設ということに努めてまいりたい、かように考えております。
○田中(慶)委員 それぞれ通告しておりましたけれども、時間の関係で終わらせていただきますが、ただ、今一連の質問をさせていただいた中で、税制の問題についても基本的に違う点もあります。例えば減価償却を一つとっても、それぞれの需要と供給の問題、時代の流れ、そしてまた製品の問題等によって相当回転が速くなってきているわけです。昔の法定減価償却と今と全然違うわけですし、モデルチェンジも速いわけですから、そういう点、やはりそれぞれの問題の対応をしなければいけない、こんなふうに思っております。
 いずれにしても時間がありませんので、それぞれの問題についてまた個別に私なりに勉強させていただくなり、またお互いにこの辺を詰めてやらしていただきたい、こんなふうに考えておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
○金子委員長 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 きょうは私は、人工甘味料アスパルテームの問題についてお伺いをしていきたいと思います。
 今このアスパルテームが清涼飲料などに広範に使われてきております。ところが、このアスパルテームについて、ことしの四月十三日のワシントン・ポストに、その安全性に対する特集が記載をされております。きょうはそれを持ってきておりますが、また消費者団体も、このアスパルテームに対する安全性の不安についていろいろと問題を提起してきております。
 そこでまずお伺いをしたいことは、アスパルテームについての食品衛生調査会の安全性の審査というのは、時間的にどの程度行われたのか。また調査会に対して資料はどのように渡されたのか、お伺いをしたいわけです。
 簡単にお願いします。
○市川説明員 お答え申し上げます。
 アスパルテームを含みます食品添加物の関係の、昨年の食品衛生調査会におきます審議資料は、四月の上旬に各委員の先生方に発送しております。
 それから、アスパルテームについての審議時間ということでございますが、これにつきましては、特に私ども記録というようなものを持っていないわけでございますが、アスパルテームを含めまして、当時十一品目の食品添加物の審議があったわけでございますが、これにつきましては四月の十一日及び五月十七日の二回にわたって御審議をいただいているところでございます。
○藤田(ス)委員 そうすると、発送は十日ぐらい前に、そうして審議は十一品目含めて二日間、したがってアスパスチームについての審議時間というのは、取り出して計算できるほどの時間ではなかった、十一品目一緒にその中で審議された、こういうふうに受けとめておきたいと思います。しかし、それは非常に短時間の審査であったと思うわけです。
 ワシントン・ポストと先ほど申しましたが、この記事なんです。ごらんになりましたか。これはことしの四月十五日に発行されておりますものです。そして、ここに書かれております見出しは、最もテストされた食品添加物、かぎ括弧をつけておりまして、引き続き続く疑問、こういうふうになっているのです。記事は随分大きいものであります。そして、最もテストされた食品添加物とは言いますけれども、中をよく見てみますと、それは皮肉の言葉として使われているということがよくわかります。
 このワシントン・ポストによれば、アスパルテームはFDA、これはアメリカの食品医薬品局なんですが、このFDAによって一九七四年に一度使用を認められた後、安全性に疑いがあるとして、その使用許可を延期された、こういうことになっています。そして、一九七五年六月の上院の公聴会で、当時のFDAのシュミット長官は、サール社、アスパルテームをつくった会社ですが、サール社の研究所の動物実験の仕方とそのデータの報告について疑問があると証言をし、さらに、一九七六年四月の議会の証言でも、シュミット長官は、FDAの特別調査委員会の調査結果に基づいて、幾つかのサール社の実験は不十分に計画され、不注意に実行され、不正確に分析され、報告されたと証言をしたわけです。さらに、一九七七年一月に、FDAの主任弁護士であったリチャード・メリル氏は、シカゴの検察庁にあてた要望書において、サール社とその研究所は、アスパルテームの食品添加物申請書として提出された研究報告書に虚偽をなした、こういうふうに言及をしております。厚生省はこれらのことを御存じであったのか、また食品衛生調査会にこれらの経緯は知らされていたのか、これも端的にお伺いします。お答えください。
○市川説明員 私ども、ただいま先生がお持ちになっておられるワシントン・ポストについては承知いたしておりませんが、食品衛生調査会の審議におきましては、各委員に配付されます毒性学的な資料等をもとにして調査審議が行われているわけでございます。配付資料の中に、海外でのアスパルチームの使用の認可状況等について紹介しているところはございますが、アメリカでの認可に至る行政手続等の経緯について、特に調査会にお
 いて説明したとは聞いておりません。
○藤田(ス)委員 これは単なる行政手続の問題じゃないわけですよ。行政という公の機関が、何度も何度もこのデータに問題ありということを、調査委員会をつくっては結論づけてきた。中身は単なる行政上の手続の問題じゃないのです。だから、この衛生調査会に、アスパルテームの安全性を審査してもらうのだったら、これをまず提供していくというのが大前提ではなかったかというふうに私は思います。アスパルテームの安全性を審査するときにサール社のデータを相当使っておられるわけですが、厚生省は、FDAによって、動物実験の仕方とそのデータの報告について問題があると重ねて結論を出したサール社のデータをなぜ使われたのでしょうか。
○市川説明員 米国におきましてこのアスパルテームの認可をいたしましたサール社の動物実験データにつきましては、一九七四年の時点でその信懸性ということについて疑問が提起されたことは承知しております。この認可の根拠となりましたデータにつきまして、データを再チェックするということから、一九七五年に一時販売停止されたというふうにも聞いております。
 その後、一九七七年から七八年にかけまして、米国におきましては、大学の病理学者から成ります第三者機関におきまして、これらのデータにつきまして詳細に検討が行われまして、このアスパルテームのデータは信頼できるということが確認されました。その後さらにFDAで慎重に審議が行われまして、一九八一年の七月に一時停止の措置が解除され、正式な認可がおりたというように承知しております。したがいまして、ここに出ておりますこのアスパルテームの長期の毒性実験データにつきましての信懲性という点については、問題ないものと考えておるところでございます。
○藤田(ス)委員 御説明にあった第三者機関というのは、UAREPのことでしょう。しかしそれはその後、さらにFDAによってつくられた調査委員会で二度にわたって使用許可はできないという勧告を受けました。そうして、アスパルテームが腫瘍の原因となることを否定するようなデータは報告されていない。あるいは脳障害や脳腫瘍を引き起こす可能性がないことがはっきりするまで使用すべきではない、これはFDAがその後――あなたのおっしゃったその後、さらに重ねて調査委員会を組織して出された結論でございます。だからこそ調査会にこういうデータを、アメリカの情報を知らせ、ましてサール社のデトタをたくさん使って、わずかな期間でやるということに大きな問題があるということを言っているわけです。
 次の問題ですが、食品衛生調査会に出されたサール社の実験データを見ますと、一九七三年のデータでは、このアスパルテームを千ミリグラム投与したラットで四四、二千ミリグラムで一匹、四千ミリグラムで四四に星状神経膠細胞腫、こういう症状が出ている。これは厚生省が調査会に出された資料の中に使っておられるわけなんですが、この点では安全性上の問題はどうなんでしょうか。
○市川説明員 実験動物を長期間飼育いたしました場合に、各種の臓器に腫瘍は自然に発生してまいるものでございます。したがいまして、一般に発がん性試験という場合には、投与群での各種臓器で発生した腫瘍と、それからコントロール群と申しますか、非投与群で発生しました腫瘍につきまして、腫瘍のタイプだとか、あるいはその発生頻度等の面から比較して検討を行うということが一般的に行われておるわけでございまして、アスパルテームにつきましては、御指摘のラットでの実験を含めまして、三回の長期の実験結果が報告されているわけでございまして、脳腫瘍発生の用量相関性というような点が認められないということなどから、食品衛生調査会におきましては、アスパルテームがラットに対して腫瘍を発生させるものではないという御評価をいただいたところでございます。
 なお、FAO・WHOの食品添加物の専門家委員会でも、実験で見られた腫瘍は、アスパルチーム投与に起因するものではないというふうに評価しているところでございます。
○藤田(ス)委員 これもワシントン・ポストで、またそのほかのこの問題に関する資料の中でもしばしば使われていますが、ラットの三回のテストをされた。それでこの三回のうちの、あなたは要するに有意差はないということを言いたいわけだと思うのですが、二遍のラットの実験に対して、一つは、がんというのは発生率は常にその数%バックデータというのですか、バックグラウンドとしてあるものだということを言いたかったと思うのです。
 もう一つは、一九七三年だけじゃなしに七四年ももう一回実験されていて、そういうのを見比べていくと心配はない、こういうことをお答えになったと思うのです。しかし、これは脳神経学者の常識では、大体ラットにおける脳腫瘍の自然状態における発生率はゼロ%である、これはワシントン・ポストの中に書かれております。それから一九七四年のサール社のデータは不可解である。これもまたいろいろな資料の中で繰り返し言われていることなんです。
 恐ろしいことだなと思いましたのは、この中で、これは公式の場でFDAが言っているのですが、あるデータでは死んだものとして記録されていた動物が、後では生きたものとして記録されていた。食飼実験中に死んだ百九十六匹のネズミのうち、九十八匹の死体が、解剖される前に一年以上も置かれ、二十匹は全く分析されずに腐らされていた。これほどいいかげんなものだということを言っているのです。そして、日本の脳神経学者も、ラットにおける脳腫瘍の自然状況における発生は大変起こりづらいんだ、こういうことを言っておられます。こういう問題についてはどう判断されますか。
○市川説明員 ラットにおきます自然の腫瘍発生率、特に脳におきます発生率というものにつきまして、私、もちろんその筋の専門ではございませんが、少なくともラットにおきましてそういう脳腫瘍の自然発生がほとんどないということにつきましては、これまでに報告されているバックグラウンドのデータ等から見まして、全く事実に反するものではないかというふうに考えます。
 ちなみに私どもが承知しているデータで申しますと、例えばでございますが、こういうたぐいの報告というのは幾つかあろうと思うのでございますが、ある方の報告では、ある系統のラットで調べますと三%というような高い数字のものもございます。あるいは低いもので見てみますと〇・七%程度というふうな数値の報告もあるようでございます。こういった数値はいずれも報告されている数値でございます。
○藤田(ス)委員 私が引用いたしましたのは、私も専門家じゃありませんが、これはワシントン・ポスト紙の中で、今消費者たちが裁判を起こしているのですね。FDAを相手に裁判をしている、その中で言われている言葉なんです。そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ重ねてお伺いしますが、調査会では脳腫瘍と食品添加物との関係で議論されたことがあるのか。あるのかないのかだけ答えてください。
 もう一つは、その調査会に脳神経学者が加わっていたのかどうか。これもいたのかいなかったのか、それだけ答えてください。
○市川説明員 特に脳腫瘍ということではございませんが、食品添加物の毒性につきまして審議する食品衛生調査会の、特に毒性部会というところでございますが、ここには一般毒性だとかがん、病理、奇形等各分野の専門家が任命されているわけでございまして、日常的にはここで動物発がん実験の結果について調査、審議が行われているわけでございまして、脳腫瘍について専門的な評価を行えるがんの専門家は任命されているわけでございます。ただ、先生御指摘のように、脳神経だけを専門とする専門家がおるのかという点につきましては、こういう御専門の方は任命されていないということでございます。
○藤田(ス)委員 アメリカでは脳神経学者がこの問題を提起し、そしていろいろFDAと協力をして、調査会の中にも加わって活躍をされておられたということだけ申し上げ、それでは日本の方はどうかというと、大変不十分である、これは素人が考えてもそういうふうに思わざるを得ないということだけ申し上げておきたいと思うのです。
 このアスパルテームが認可された後、去年の八月でした。アメリカのマサチューセッツ工科大学のリチャード・ワートマンという博士が、八三年八月一日号の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に寄せた報告で、アスパルテームが脳に影響を与える、特に子供に影響が大きいということを報告されて、臨床的症状とアスパルテームとの関係が研究されるべきだが、それまでの間、医師は人体影響の可能性を警告するべきであると述べておられるわけです。政府は、この報告を知っておられたのでしょうか。ワートマン博士の報告はアスパルテームの認可以降に行われたものですが、ワートマン博士の神経内分泌学の専門家としての真剣な警告をどういうふうに受けとめておられるのか。
○市川説明員 ワートマン教授の提案されました仮説と申しますのは、アスパルテームを大量に摂取した場合に、脳の中のフェニルアラニンの濃度が増加する。その結果、神経の伝達物質に影響を与えるのではないかということがその仮説かと存じますが、この点につきましては、私どもも発表されました当時から承知はいたしております。この点につきましては、実際にこういう形でアスパルテームを空腹時に大量投与いたしますと、血液中のフェニルアラニンというものは、アスパルチームが分解いたしまして血液中の濃度というものは高まる、それに伴って当然脳内の濃度も高まるということは事実でございます。
 しかしながら、神経の伝達物質そのもののレベルには影響を与えてないということが確認されておりまして、米国におきましてこの問題が提起されて以来、FDAが十分検討を行った結果、安全性に問題はないという結論を出しているというふうに承知しております。
○藤田(ス)委員 それでは、次に進みます。
 アスパルテームはpH六・五、すなわち中性付近の水溶液で二時間加熱をしますと八四%が、四時間加熱をしますと九〇%がジケトピペラジン、略してDKPと言いますが、これに変化する、こう言われております。しかも、このDKPがラットに投与された場合に、全く未分解のまま吸収されて肝臓や腎臓に分布するものもある。これは厚生省の添加物のレビューの中に書いてありました。したがって、アスパルテームの分解産物としてのDKPの安全性は、アスパルテーム同様に重視されなければならないと思うわけです。
 そこでお伺いしますが、こういうアスパルテームの安全性との関連で、このDKPの問題についてはどういう評価をしておられるのか。また、アメリカではDKPの安全性に決着がつけられていないということもありまして、アスパルテームの加熱処理を禁止しているわけですが、なぜ日本ではそれを認めておられるのか、お伺いをしたいわけです。
○市川説明員 アスパルテームが分解いたしますと、御指摘のようにジケトピペラジンというものが生ずるわけでございますが、この物質につきましては、このジケトピペラジンとアスパルテームを三対一で混ぜました混合物を動物に長期投与する実験が行われております。その他催奇形作用についても調査がされておりまして、催奇形作用はない。それから変異原性試験も調べられておりますが、これについても結果は陰性であるということが報告されております。
 調査会におきましては、これらの実験を評価の上で、アスパルテームというものは人の健康を損なうおそれがないという評価が行われているわけでございまして、同じくWHOの食品添加物専門家委員会におきましても安全性の評価ということが行われまして、ジケトピペラジンにつきまして、アスパルテームとは別に一日摂取許容量というものが定められている、いわば安全性が確認された分解生成物であると考えております。
 先生御指摘の、米国では表示に配慮しているということでございますが、私ども、この表示の趣旨というものは、安全性が確認されていないからということよりも、むしろ実際にジケトピペラジンに変化してきますと甘味の程度が落ちるということから、このようなものが書かれているのではないかと考えておるわけでございまして、この点につきましては、私どもこれまで日本で製造している業者に対しまして、卓上の甘味料等については、米国と同様な趣旨の表示をするようにということで指導してまいってきたところでございます。
○藤田(ス)委員 WHOと言いさえずれば、何か物すごい、人は黙れと言わんばかりのそういう言い方は、一貫して企業が言っていることなんです。FDAが承知した、WHOがどうのという、そういうものをよりどころにするのは科学的でない、私はそう思います。
 それから、このDKPの問題について、先ほどおっしゃったような御答弁というのは、それはサール社や味の素にとっては大変便利な御発言だと思いますが、そんなもので消費者は、そうかそうか、それならもう心配ないなとは言いませんよ。このDKPというのは、未分解のままで体の中に吸収された後、どういうふうに代謝されて、どういうふうに体に影響を与えるのかということは、だれも明らかにしていないじゃないですか。このことについては、まだ極めて未解明なままこれが動いてきているわけです。
 それから、厚生省の食品添加物のレビューのアスパルテームを見ますと、出の異なる水溶液中でのアスパルテームの加熱データを示すというふうに書かれてはおるのですが、出四のデータしか載せておられません。私はこういうのを見ますと――六・五というふうに出が変わると、すなわちDKPがだんだんふえていくのです。DKPの危険の問題もあって、そういう事実を隠しておられるのかなというふうに思わざるを得ないわけなんです。
 もう一つの問題は、食品添加物アスパルテームの成分規格はDKP含有一・五以下と決めた根拠はどういうところにあったのか、この二点をお答えください。――早くしてください。
○市川説明員 私どもの方で作成いたしましたレビューは、もちろん数多くの文献の中から要点的なところだけを抜粋しておりますので、特に出の関係で申しますと、その、高くすると分解がしやすいという点について隠すとか、そういう意図ではございませんで、私思いますのには、食品というものは一般的にはやや酸性領域のものが多いということから、そういった一般的な多くの場合に適合するような場合にはどうかということで、そこをピックアップしたのではないかと考えます。
 それから二点目のDKPの規格につきましては、私ども今回規格の策定に当たりましては、FAOがつくっている規格というものを参考といたしまして、一・五%以下というふうにしたものでございます。
○藤田(ス)委員 大変残念なんですが時間がこれでなくなったのです。私ははしょってはしょって、何にも質問することができないし、もちろん素人ですから、ほとんど反論することもできない。これで三十分。
 この食品衛生調査会で十一品目をたった二日間、しかも二日間といっても、二十四時間と二十四時間じゃありませんからね。どんなに不十分な審査をやられていたかということが、この事実でも明らかじゃないですか。良心的な科学者であれば、このアスパルテームについては、今までもっとじっくり時間をかけて審査をするべきだと思うと私は思うのです。これは、アメリカの七年間にわたる長い長い審議、その中で言われてきたものを知れば知るほど、もう一度審査をやるべきだという声が挙がってくるはずだと思いますが、その調査会で審査をし直すべきだという声は挙がっておりませんか。簡単で結構です。
○市川説明員 私ども、これを御審議いただきました食品衛生調査会からは、そのような御意見は全くちょうだいいたしておりません。
○藤田(ス)委員 間違いありませんね。断言できますね。
○市川説明員 はい。
○藤田(ス)委員 続けて、最後になりますが、私たちはアスパルテームについては当然再審査するべきだと思います。この点は消費者団体も同様の要求をしておられるわけです。
 この七月十二日に、テレビ朝日がアスパルテームの問題を取り上げました。そしてここで、FDAはこの甘味料、つまりアスパルテームの副作用について、認可をしてから六百件ものクレームが寄せられてきた、このために調査の腰を上げ、一カ月後に予備報告がされる予定だというふうに出されております。アメリカの方でも、消費者団体から再審査をするべきだという声が出てきているということなんです。
 どうなんでしょうか、再審査するべきだと私は思いますが、するお考えがあるのかどうか、お聞きをしたい。それから、調査会の審査をし直すべきだという声は挙がっていないということをあなたは断言できますか。最後にそれだけお聞きしたいわけです。
○市川説明員 お答え申し上げます。
 私、先ほど申し上げましたように、私ども少なくとも現在時点までにおきまして、食品衛生調査会の委員の方から、再度審議を行えという御意見はちょうだいいたしておりません。
 それから、米国におきましてそういった苦情が寄せられているという点につきましては、私どもも今後とも米国の情報の収集には努めてまいりたいと考えております。
 なお、さらにこれを審議すべきではないかという先生の御指摘でございますけれども、現在までの段階で、このアスパルチームについて特に委員の中から、再度審議すべきだという御指摘もいただいておりませんので、現在の段階では再審議するということは考えておりません。
 なお、アスパルチームに限らず、食品添加物につきまして安全上重要な新たな知見というものがありまして、これを再度評価すべきだということが生じますれば、これは特にどういうものであれ、私どもとしては再度評価するということをちゅうちょするものではございません。
○藤田(ス)委員 終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次回は、来る八月七日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二分散会