第101回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
昭和五十九年八月二日(木曜日)
    午前十時三分開議
出席委員
  委員長 渡辺  朗君
   理事 上草 義輝君 理事 高橋 辰夫君
   理事 深谷 隆司君 理事 川崎 寛治君
   理事 玉城 栄一君 理事 青山  丘君
      大島 理森君    鈴木 宗男君
      中川 昭一君    仲村 正治君
      野中 広務君    村上 茂利君
      奥野 一雄君    加藤 万吉君
      新村 源雄君    有島 重武君
      日笠 勝之君    岡崎万寿秀君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 後藤田正晴君
 出席政府委員
        北方対策本部審
        議官      本多 秀司君
        北海道開発庁計
        画監理官    滝沢  浩君
 委員外の出席者
        外務省欧亜局ソ
        ヴィエト連邦課
        長       野村 一成君
        特別委員会第一
        調査室長    内野 林郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二日
 辞任         補欠選任
  瀬長亀次郎君     岡崎万寿秀君
同日
 辞任         補欠選任
  岡崎万寿秀君     瀬長亀次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 沖縄及び北方問題に関する件
     ――――◇―――――
○渡辺委員長 これより会議を開きます。
 沖縄及び北方問題に関する件につき調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
○中川(昭)委員 私は、北方領土問題、そしてまた北方隣接地域の振興等々につきまして、後藤田大臣、そして関係各省庁に質問させていただきます。
 まず、第九十六国会に提出されまして五十七年八月二十日に成立しました我々自由民主党外三党共同提出の北方領土問題特別措置法の趣旨説明におきまして、北方基金の総額は、その運用収入から補助すべき対象として見込んでおります事業量等にかんがみ百億円を想定して、というふうになっております。この百億円というのは、我が自由民主党の最高幹部の合意事項でもあるというふうに聞いております。
 また一方、この特別措置法によれば、国は「五年度以内を目途として」というふうに条文にはっきり書かれておるわけでありますので、本法律の趣旨は、毎年二十億円ずつ基金を積んでいき、五年で百億円を基金として完成するというふうに、私は素直に読めば解釈するのでありますけれども、この点につきまして政府、そしてまた大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○本多政府委員 先生今御指摘のとおりでございますが、北方基金の根拠法でございます北方特別措置法の立案過程におきまして、基金百億円が想定されていたということは、国会における法案の趣旨説明あるいは審議の過程を通じてよく承知しているところでございます。
 もう一つ、先生御指摘のございましたとおり、法律上、基金に係る国庫補助金は五年度以内を目途に交付するということも十分承知しているところでございます。
○中川(昭)委員 大臣、この件でひとつお願いいたします。
○後藤田国務大臣 今政府委員がお答えしたとおりでございます。
○中川(昭)委員 私の考えでは五年で百億というふうに理解をしておるわけでありますけれども、現実には五十八年度、五十九年度とも国の補助は八億円、そして北海道が二億を出して、合計十億円ずつ二年間基金が積まれておりまして、私は、この数字については、先ほど申し上げました法の趣旨から見て、まことに残念だというふうに考えております。仮に五十八年度、五十九年度と同じ状況で五年間続いたとしますれば、毎年十億円ずつ五年で五十億円しか基金が積まれない。万が一そういうふうになった場合、この法律の趣旨に反しまして、まことに遺憾であるというふうに私は考えております。
 この基金の百億円、五年以内に造成をするということについては、当然のことながら、北方領土隣接地域、根室市一市、そして四町、約十万人の方がこの地域に住んでおりますが、この地域の方々は、今申し上げたような条件での基金の完成を一日千秋の思いで望んでおるわけであります。また、基本方針に基づきました道が策定する振興計画、これは内閣総理大臣も承認なさっているところでございますけれども、この振興計画を作成し、また基金の五分の一の金額を負担しております北海道も非常に強い要望を出しております。またさらには、二月七日が「北方領土の日」であること、あるいは全国で約三千六百万人の方が北方領土返還ということで署名をなさっておるわけでありますので、そういう意味から、私は、この基金の五年で百億という問題は国民全体の方が強く望んでいることではないかというふうに強く確信をしております。
 このような状況の中で、例えば財政状況が厳しいとかいろいろ状況があるとは思いますけれども、責任政党である我々自由民主党も、五年で百億円という目標に向かって党としても全力を挙げて努力をするつもりでございますが、政府におかれましても、六十年度予算概算要求の締め切りが目前に迫っておりますが、六十年度予算の編成を控えて、五年で百億円達成のために、政府、特に後藤田大臣の力強い御決意を伺わせていただきたいというふうに思います。
○後藤田国務大臣 先ほど政府委員がお答えいたしましたように、この立法の経緯、そしてまた地元の方々の強い御要望、これも私、十分承知をいたしております。私、自治大臣をやっておりましたときに北海道の長官をやっておりまして、そもそもそのときに予算の傾斜配分というような問題がありまして、それでこういう立法という姿で結実したわけですから、経緯は十分承知しております。
 そこで、私としては、一方に厳しい財政事情もございますから、厳しい財政事情等もにらみ合わせながら精いっぱい努力をしてみたい、かように考えております。
○中川(昭)委員 北海道の事情、そしてまた地方行政に大変お詳しい大臣、しかも実力大臣でいらっしゃいます後藤田大臣に私は特に強い希望を申し上げまして、ひとつ六十年度予算に当たりましては、いろいろな事情は私も承知しておりますけれども、今申し上げましたような国民の方々の長い間の念願があるということをどうか御理解いただきまして、大臣、そして関係省庁の方に御努力をしていただきたいというふうに思います。繰り返しますけれども、我々自由民主党も、このことにつきましては全力を挙げて目的の完成に向かって突き進むというふうに決意をしております。
 それでは次に、この基金の事業の大半を実際に所管しております北海道開発庁にお伺いをしたいと思います。
 この法の趣旨からいたしますれば、地元の意向を最大限に尊重しながら隣接地域の振興、そしてまた住民の生活の安定というものを強力に推進すべきものというふうに考えますけれども、六十年度予算に当たりまして北海道開発庁はどのように対処なさるか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○滝沢(浩)政府委員 北方領土の隣接地域の安定、振興対策につきましては当庁が所管しておりますが、六十年度の予算につきましては、地元の意向を十分聞きながら、その先生の趣旨がよく実現されるように努力してまいりたいと思っております。
○中川(昭)委員 先ほども申しましたように、これは一市四町十万人、そしてまた五百七十万道民にとって非常に重大な関心を持つ事項だというふうに私も理解しておりますので、また私も北海道の住民の一人として、また北海道を地盤とする衆議院議員ということで、私も今のお答えに対しまして、ひとつ全力を挙げていきたいというふうに考えております。北方対策基金につきましてはいろいろな経緯がございまして、そしてまたいろいろな厳しい状況等もあります。いろいろと御質問していきたいと思いますが、時間の関係もございますので、次に移らせていただきたいというふうに考えております。
 次に、北方領土返還運動、これはもう終戦から約四十年間営々として続いておるわけでありますけれども、この返還要求運動の中核として重要な役割を担っている北方領土に住んでおられたいわゆる元居住者の方々に対する国の措置ということが非常に大きな問題であるというふうに私は考えておりますので、北方領土に住んでおられたいわゆる元居住者、旧漁業権者も含めまして、居住者の方々に対する国の措置についてお伺いをいたしたいと思います。
 昭和三十六年に北方地域旧漁業権者等に対する特別措置法による融資制度が創設されました。これによりまして、北方地域の元居住者の方々は、この地域が我が国の領土であるにもかかわらず帰っていくことができないということでありまして、しかもそればかりではなく、周辺地域で漁業ができない、いわゆる生活の糧が奪われておるという特殊な事情のもとに置かれていたわけであります。こういう事情から、融資の対象者というふうになっていると思います。そういう中で、いわゆる終戦、昭和二十年八月十五日当時に約一万七千人の方が元居住者というふうに言われておりまして、そのうち既に四十年を経過いたしまして約六千四百人の方がお亡くなりになりました。そして、残った一万一千人の方もその四十年という流れの中で高齢化し、また世代の交代というふうに転換期を既に迎えてもう大分たっているのではないかというふうに思っております。
 このような状況の中で、元居住者の特殊な地位というのは次の世代、お子さんやお孫さんにも引き継がれていくというふうに私は考えております。そういう意味で、そうした地位に伴ういわゆる融資資格も、その次の世代に引き継がれるべきだというふうに私は考えておりますが、現在の法では、この融資対象は旧漁業権者や旧居住者等、実際に終戦時点で北方領土に住んでおられた方々に限られているというふうになっております。こうした意味から、私は元居住者だけではなくて、その後継者、いわゆる二世や三世の方々にも融資対象が広げられるように制度の改革、そしてまた融資枠の拡大をぜひ実現していただきたいというふうに思います。総務庁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○本多政府委員 今先生御指摘のとおりでございますが、北方地域元居住者の方々、北方四島に六カ月以上終戦当時において居住されていた方々、あるいは当然のことながら、そのお子さんやお孫さんでも居住要件を満たす限りにおきましては、今先生が御指摘の融資制度の対象になるわけでございますが、こういう方々が、まだ北方領土の返還が実現していない現状において、まさに先生御指摘のとおり、特別な地位に置かれているということでございます。したがって、北方領土問題対策協会における貸付事業の融資資格を、これらの方々のお子さんとかあるいはお孫さんにも拡大すべきである、そういう強い要望が元居住者の方々を中心に出されているということは、私どもも承知しているところでございます。
 一方、現在の法律によりましては、先ほど申しましたように、単に世帯主だけではなくして、六カ月という居住要件を満たす限り、配偶者もあるいはそのお子さんも含むすべての世帯員が対象になっておる、またこの融資制度の目的そのものが、北方地域に生活のいわば本拠を有していた方々の生活の安定を図るというところにこの法の目的があるということでございますので、御提案の趣旨につきましては引き続き慎重に検討させていただく必要がある、こういうふうに考えております。
○中川(昭)委員 総務庁におかれましては事情をよく御存じで、そして慎重に検討をするというふうに今お答えになりました。
 確認の意味で大臣、この問題に関しましてひとつ前向きなお答えを期待しておりますので、よろしくお願いします。
○後藤田国務大臣 中川さん、例えば交通事故で働き手が亡くなったという場合に、私が過去に調査した結果は、大体影響が三代に及ぶというのです。そこらを考えてああいう場合に対処しなければならぬ。こういう生活の本拠を奪われた方、一応一万七千人の方が帰られた。これは大変な打撃ですよ。そのときに一体どこまで影響が及んでくるのか、ここらも真剣に検討しなければならないと思いますね。この場合は、たしか終戦当時に生活の本拠を持っておった方々に対する救援の措置ですね。そこで赤ん坊であってもこれは対象になると私は承知しているのです。
 今御質問の趣旨は、こちらへ帰ってきてから生まれた二世、三世、こういった方をもう少し考える、こういうことですから、これは私はやはり検討の課題であると思っております。ただ、それをもう少し慎重に、科学的といいますか、検討して、どの程度までこういう場合に生活に重大な影響を与えるのか、ここらをはっきりして、必要とあればこれはやはり考えなければならないのではないのか、かように考えておりますから、その点御理解をしておいていただきたい、かように思います。
○中川(昭)委員 ありがとうございました。
 やはり北方領土問題、そしてまた隣接地域の振興ということになりますと、国民の理解を深める、世論を高めるということで、長い目で見た場合に、次の世代を背負う若い方々、いわゆるお子さんの方々の義務教育の中でこれを求めることも私は非常に大切ではないかと思っております。一方では、先ほど申しましたように「北方領土の日」の制定でありますとか、あるいは全国約三千六百万人の方々の署名、あるいは数々の北方領土返還の願いを込めた記念碑や博物館等々がいっぱいあるわけでありますけれども、他方では、北方四島の名前を挙げてみろと言われたら、まともに答えられないという子供たちもいっぱいいるというふうに聞いております。このような状況の中で、学校教育における北方領土の取り扱いはおのずと限界があるというふうに思われますので、この問題について掘り下げたいわゆる副読本というものを作製して全国の小中学生に配布して、北方領土に対する理解を深めていただくということが考えられると私は思いますが、総務庁、この件に関しましてお答えをお願いいたします。
○本多政府委員 まさに北方領土問題は日本全国民の課題でございまして、学校教育でも大いに取り上げられ、適切に指導されることが必要かつ重要なことである、こういうふうに理解いたしております。そういうような見地から総務庁といたしましても、青少年向きのわかりやすい解説書というものについて非常な関心を払っているところでありまして、現在検討中であるということを申し上げたいと思います。
○中川(昭)委員 次に、外務省にお伺いいたしたいと思います。
 法の趣旨にも書かれておりますけれども、北方領土の返還運動というのは、地域の振興、そしてまた地域住民の方の生活の安定、そしてまた国内世論の喚起と並んで、やはり海外における世論の喚起というものも非常に重要であるというふうに私は理解をしております。そういう意味で、海外において諸外国がこの北方領土、いわゆる北方四島をどのように見ているのかということは非常に興味のあるところだというふうに思います。
 その例といたしまして、例えば現在、世界各国が北方領土、北方四島をどのように、要するにどちらの国に帰属した書き方で記載されているのかということをお伺いしたいと思います。万が一、北方領土が仮にソ連領というふうに地図に記載されておれば、これは我々日本人にとっては理解できないというか、ゆゆしき問題でありますので、外務省も正式なルートを通じて訂正を申し入れなければならないというふうに私は思います。この現状と外務省の対応についてお伺いいたしたいと思います。
○野村説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がありましたように、特に、存在しないというふうなことをソ連側が言っているという現状におきまして、やはり国際世論に訴えるということは非常に重要だと思っております。その観点で地図の御指摘がございました。
 昭和五十五年に在外公館を通じまして、外国の地図はどうなっているかということを全面的に調査いたしました。その結果、まことに遺憾ながら、大半の地図は我が国の領土主張に沿った形になっていないというのが実情であるということが判明いたしました。その後現在に至るまで、鋭意在外公館を通じまして、特にそういう地図を出版している会社に個別に訂正方申し入れている現状でございます。こういう努力というのは、地図の場合には一たん出版しますとその次の出版までに何年間かかかるということで、非常に息の長い努力をする必要がございまして、私どもの申し出の結果、トルコとインドネシアにおける地図が我々の主張のとおりに変わったというようなこともございます。御指摘のとおり、地図の問題というのは非常に重要でございますので、今後とも努力してまいりたい、そういうように思っております。
○中川(昭)委員 今、外務省の御指摘によってトルコとインドネシアが日本の領土というふうに変えられた、これは非常に結構なことだと思いますが、現状では世界の国、いろいろな会社が地図を出しておるのでしょうけれども、おおよそ言ってどのような感じになっているのでしょうか。
○野村説明員 私、先ほど申しましたように、大半の地図が私どもの主張に沿ってないということでございまして、私どもの主張に沿った形で記載されている国の地図としまして、韓国、中国、西ドイツ、それからパナマの例がございます。特にアメリカにおきましては、地図の場合に若干注釈をつけておるというような例がございますけれども、私どもの考え方からしますと、国の基本問題、やはり日本領であるという記載をぜひしてもらいたいわけで、遺憾ながらそういうのが実情でございます。
○中川(昭)委員 世界百六十数カ国あると言われておりますが、わずか数カ国しかこういうことでないということは、非常に遺憾なことだと思います。これは外務省だけではないと思います。我々国民一人一人の運動の結果だと思いますけれども、引き続きこのことの運動を続けていただきたいというふうに私は強く希望をいたします。
 それでは、時間もございませんので、最後の質問をさせていただきます。
 冒頭に申しましたように、とにかく法の趣旨に基づいた基金の目標の達成、そしてまた北方地域の振興、生活の安定、そして最終的な目的である北方四島の返還の早期実現というものは、一地域の問題ではなくて、日本人の四十年間、約半世紀にわたる悲願であります。この悲願達成のために担当大臣である総務庁長官に、北方領土並びに北方領土隣接地域を実際にその目で見ていただいて、実情を肌で感じていただくということが非常に重要なことではないかというふうに私は思っております。そういう意味で、大変公務御多忙だとは思いますけれども、後藤田大臣にも一日も早くこの北方領土、すぐ目の前に広がっておる四島、そしてまたその隣接地域である一市四町を御視察いただくということを切にお願いをいたしたいと思います。大臣のお答えをお願いいたします。
○後藤田国務大臣 申し上げるまでもなく、北方四島の返還問題というのは国民的な悲願の問題でございますから、何よりも国内での国民に対する粘り強い復帰の運動を展開する必要があるし、同時にまた、国際世論に日本の正当なる主張を訴えていく必要がある、あるいは対ソ外交の面においては、何といったって相手がロングレンジで物を考える国民でして、日本人とは性格が違いますから、日本の外交というものはこの面についてはいかなる場合においても粘り強く話し合いを、日本の主張を強硬に主張すべきであろう、こういったことを考えております。こういったことで、総務庁の長官が北方対策の本部長になっておりますから、私といたしましては、機会をできるだけ早く見つけて、できるならば現地へも参りたいと考えておりますが、いかんせん、今御案内のように店開き早々で、しかも予算編成といったようなことで、その機会をとらえることができなくて大変残念に思っておる次第でございます。
○中川(昭)委員 総務庁ができてすぐの時点での担当大臣の御視察というものは極めて大きな意味があるというふうに考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○渡辺委員長 奥野一雄君。
○奥野(一)委員 今度新しい機構になりまして、後藤田総務庁長官が北方問題も担当されるということになったわけでございます。二月二十八日の当委員会では、当時の担当大臣の方々からそれぞれ所信表明があったわけでありますが、せっかく新しい機構の中で新たに担当される大臣に、決意のほどというのですか、取り組むべき姿勢について、簡単で結構でございますけれども、ひとつ表明をお聞かせいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 先ほど中川さんにお答えしましたように、私、北方対策本部長を命ぜられたわけでございますが、この問題は国民的な悲願であり、何としても対ソ外交の粘り強い展開、国際世論への日本の主張の正当性の訴え、そして何よりも国内の世論の喚起、これまた粘り強くやらなければならないということ。いま一つは、やはり何といっても一万七千の方々、現在生存している方は一万一千数百名でございますが、こういった方はああいった戦の結果、大変悲惨な境遇に落とされたわけでございます。しかも、北海道あるいは日本の本土の方に帰ってこられての生活の困窮も大変なものであったと思いますが、ことに北海道に定着した方は、漁業問題という厳しい環境のもとで生活の再建を図らなければならなかったということ。同時にまた、この北方四島問題に関連をしての隣接地域の方々の理解と協力がなければなりませんが、そういった隣接の地域の振興の問題、こういったことをやはり幅広く、粘り強くこの問題はやっていかなければならない、かように私自身は決意をいたしておるつもりでございますので、皆様方の格別の御鞭撻をお願いを申し上げたい、かように思います。
○奥野(一)委員 先ほど中川議員の方からも言われておりましたように、戦後四十年、ほとんど進展していないわけですね。それだけにやはりこの問題非常に難しい問題だというふうに思っておりますので、もちろん対ソ外交の方は外務省の方が中心だと思いますが、国内の隣接地域の振興整備などの問題についても、先ほどから質疑があったような状態でございますので、ぜひひとつ新しい感覚の中で取り組みを強化していただきますように、この点は御要望を申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、今も申し上げましたように、戦後四十年たっておりますけれどもほとんど進展を見ていないという状況なんですが、今日まで政府として北方領土返還実現のために具体的にどういうようなことをされてこられたのか、そしてまた、その成果というのですか、効果がどういう状況の中であらわれてきているのか、この点について外務省当局、それから総務庁の方からひとつお答えいただきたいと思います。
○野村説明員 先ほど長官の方から御指摘ございましたように、非常に粘り強い対ソ折衝をやっていくということ、これ以外にないわけでございまして、しかもこれを積み重ねていくということが、ソ連との関係におきましてこの問題解決のための一つの交渉の大きな力になる、そういうふうに考えておるわけでございます。
 今までの外交努力、これは先生御承知のように、戦後一貫して北方四島返還という形で臨んでまいりました。国交回復交渉の時点で、平和条約の締結の後に歯舞、色丹を引き渡すという形で共同宣言が作成されたわけでございます。その後、平和条約交渉という形で七二年から行われまして、七三年の田中元総理大臣の訪ソのときには、戦後の未解決の諸問題、この中に北方四島の問題が入るということで、私ども、当時のブレジネフ書記長の確認を得ている次第でございます。その後ソ連側は、御承知のように、存在しないとか解決済みであるということを主張してまいりました。最近では、ことしの二月の安倍大臣、グロムイコ大臣との会談では、私どもの方からこの問題を強く持ち出したのに対しまして、もうソ連側の立場というのは日本側でよく御承知のことだ、したがってこれを繰り返さない、そういうふうな対応に出ておるわけでございます。
 基本的には、ソ連側がそういうまことに遺憾な態度をとっておるわけでございますけれども、私ども、今後ともこの問題を粘り強くソ連側に主張していかないといけませんし、特に対話という形で、とにかく物事は話し合わないことには全然進展がないわけでございますので、今後いろんな形でソ連側との対話の機会があるかと思います。その際に、言うべきことはどんどん主張する、通すべき筋は通すという形でソ連側の理解を少しでも得るという方向に持ってまいる、そういう努力を粘り強くやっていきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○本多政府委員 総務庁といたしまして、北方領土返還のためにこれまでとってまいった施策等について申し上げますと、一つは、北方領土返還を実現するためには、何と申しましても返還要求運動の全国的な定着化について努力をする、あるいは推進していく、こういうことが極めて肝要である。そういうことによりまして国民の世論を結集するといいますか、これがひいては対ソ外交をバックアップする力になる、こういうふうに認識をしておるところでございまして、全国各地域の北方領土返還運動の推進基盤とも言えます県民会議、これが現在四十二県において設置を見ているところでございます。返還要求の署名につきましても、五十九年五月の末現在では三千五百万人を超えるということで、返還要求運動に向けての成果が上がりつつあるというふうに考えております。
 二番目の柱と申しますか施策については、北方領土元居住者等に対する援護措置でございます。これにつきましては、先ほど大臣からも申し上げたとおりでございますが、引き揚げ当時、終戦当時四島に居住された方々が一万七千人でございましたが、現在は約一万一千人となっておる、こういう方々に対しまして北方領土問題対策協会を通じました融資制度でございますが、その融資制度によりまして生活の保護あるいは福祉の向上あるいは次世代への運動の継承、こういうものを図るべく対処してまいってきたところでございます。
 三番目の柱と申しますのは、北方領土の隣接地域の振興でございますが、先生御承知のとおり、先般成立いたしました特別措置法に基づきまして当該地域の振興計画が策定され、基金制度も発足を見た、こういうことでございます。
 これらの業務全体の方向づけにつきましては、昨年七月に政府の基本方針が定められておりますので、この基本方針に沿いまして、総務庁としまして北方領土問題解決のために努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○奥野(一)委員 外務省の方にもうちょっとお尋ねしたいのですけれども、お聞きしておりましても、実際にはほとんど進展していないというような状況なんです。
 先ほどちょっと中川議員からも触れられましたように、例えば地図の問題なんかでも、ほとんどの国が日本領ということでは認めていないという状況ですね。これはもちろん、ソビエトとの交渉ということも当然必要だと思いますけれども、サンフランシスコ平和条約の締結をした当事者のそれぞれの国、こういうところに対する働きかげとかあるいは国連に対する働きかけとか、そういうようなものは具体的にはどういう状況になっているのですか。
○野村説明員 アメリカ政府は、我が日本の立場を支持するという態度を明らかにしております。イギリスについても、基本的には私どもの立場を支持するという態度を表明しておるわけです。
 あと、まさに、先ほど来御指摘ございましたように、この問題につきまして国際世論に訴えるという側面が非常に重要だということでございまして、国連総会の場がございます、そこで外務大臣の演説の中にこの問題を入れまして各国の理解を求めるということを行っておる次第でございます。
○奥野(一)委員 二月二十八日の当委員会の安倍外務大臣の所信表明の中で、「北方領土返還実現のため対ソ外交を強力に進めていくためには、国民の統一された世論の力が大きな支えとなります。」と言われて、「政府の北方領土問題をめぐる今後の対ソ外交に対し、深い御理解と力強い御支援をお願いしたいと思います。」こういうことを言われているわけです。また、今までの予算委員会の質疑を見ておりますと、中曽根総理は、日本はあらゆる国に対して友好と親善を求める、そういうオープンな態度を持っていることが非常に好ましいと思っており、ソ連を敵視したり対決を求めるような考えはない、こういう答弁をされているわけです。
 しかし、私は現実の問題として考えてみた場合に、中曽根総理が訪米をされたときに、日本は西側陣営の一員として立つのだ、こういうことを言われているという報道がされているわけです。特に最近、アメリカの強い要請などによって海峡封鎖だとかシーレーンだとかいうようなことが言われているわけでありまして、これは考えてみますと、米ソの二超大国が力の均衡というのですか、今そういう状態になっているわけであって、その中で日本が西側の陣営の一員として立つ、そういう外交政策を進めるということはソ連を敵視しているということになっていくんじゃないだろうか、こう考えざるを得ないのです。そういう状態の中で先ほど引用いたしました中曽根総理大臣の答弁にあるような形が生まれてくるんだろうか、そういう中で北方問題に対する話し合いがスムーズに行われるとお考えになっているのかどうか、外務省の方の見解をお尋ねしたいと思うわけです。
○野村説明員 私ども、決してソ連を敵視するという対応でやるべきでないこと、これはそういうふうに思っております。ソ連は我が国にとって非常に重要な隣国である、そういう基本的な認識で対応すべきことは当然のことだと考えております。
 他方、私ども日本の置かれた立場は、自由主義社会の一員として応分の協力を行うという、これは我が国の外交の基本方針としてあるわけでございまして、その枠の中でソ連との関係も対処していくということだと思います。領土問題というのは国家の基本の問題だと思いますので、これはそういう枠の中で真っ先に最優先的に解決しなければならない懸案である、そういうことであらゆる機会をとらえて、重要なこの問題について二国間で粘り強い交渉を積み重ねていくことが、私どもにとりまして交渉を行う上での大きな力になると考えておるわけです。
 と申しますのは、現在、ソ連に対してオープンに領土返還要求を行っておる国としまして、私が知っているのは日本だけだと思います。ソ連がどういうふうに考えておるか、私はそれは承知しません。これはもう四十年にわたってこれが続いておるわけです。今後、国家百年の計に立ってこの問題をソ連に粘り強く対処していく。実際の交渉は先生も御指摘のように政府がやるということかと思いますけれども、その返還要求の国民の声というのが、長い目で見ると大変な力になるんだろうと私は思います。そういう基本的な考え方に立って、今後とも時間をかけて平和的手段、すなわち交渉によって解決を図っていく、そういうふうにやりたいと思っております。
○奥野(一)委員 私は、もちろん外交問題についてそんなに詳しく知っているわけじゃございませんけれども、考えてみますと、終戦直後から鳩山内閣の時代、それから先ほどちょっとお答えのあった田中内閣のころあたりまでは、まだこういう問題について幾らか話し合いができるという可能性があったと思うのです。鳩山内閣の当時には、とりあえず二島ですか、その後、平和条約を結んでから残りの二島を返還しましょうというところまで一時はいっておったわけですね。それがこのあたりから、最近ではもうかたくなに、領土問題については存在しないという状況に変わってきた。それは私は、決してソビエトの方の一方的な都合だとは考えられないのです。やはり日本の外交政策における姿勢の問題がそれに関係をしているのではないかという気がしてならないわけなんです。そういう中で、例えば国民の世論を統一して盛り上げるということになっても、基本というのは、日本とソビエトとの関係は、先ほど中曽根総理が言われたような本当に友好と親善ということを基調にしているのか。こうなると、日本の今日までの外交政策というものを見た場合には、どうしても疑念が解けないわけであります。そういう中で、相手側の方に我が方の土俵に上がってもらうということは非常に困難だと思うのです。
 私は、端的に言いますと、北方領土の返還というのはもちろん国民的な悲願であるけれども、北海道の一部分という考え方が国の方にあるのではないか、こういう感じがしてならないのです。だから、日本全体の外交政策から見ると、西側の陣営に立ってアメリカとの協調の中ですべての外交政策が進められていく、そのために、極端な言い方になりますけれども、北方領土の問題が進まないという、言うならば犠牲を北海道の方が強いられている、こういう感じさえしてならないわけなんです。
 私は、甘いと言われるかもしれませんけれども、本当に北方領土の返還を求めるということになれば、どちらの側の陣営にも立たない、日本という国は本当に平和を求めるということで国民の世論が一致をしている、その中で北方領土の返還を求めているんだという姿勢が相手側に示されていかないとこの交渉は非常に難しい交渉になっていくのではないか、こう思われてならないのですが、その辺の見解はどうでしょう。
○野村説明員 戦後の日本の繁栄、これは西側の一員としての日本であるという基本的な認識でソ連側とのこの基本問題についても対応していく、そういうのが我が国の基本的な外交方針でございます。
○奥野(一)委員 時間がありませんから、いつかの機会にぜひ議論をしてみたいと思うのです。私も四十二年、北海道議会に出ましたときに、この問題では随分議論をしてまいりました。今のお答えの中ではまだ釈然といたしません。しかし、そっちの方ばかり今時間をかけているわけにもまいりませんので、これはまた後日、機会を見つけて一遍意見の交換をしてみたいと思っているわけです。次に、具体的な問題について若干お尋ねしておきます。
 先ほど中川議員の方からも指摘がございました。また今までの当委員会の中でも、私どもの同僚議員の方からも同じような質問が出されているわけであります。そういうことを考えますと、実際には、なお現地には不満が残っているんだと思わざるを得ないと思うのです。ですから、現地の人たちとよく話し合いをして、その中で何らかの方策を考えるべきではないか、こう思っているわけでありまして、そういうことを前提にしながらお尋ねをしてまいりたいと思います。
 これは、先ほど中川議員の方からも質問がありました北方領土隣接地域振興基金の関係であります。重複は避けて端的にお尋ねしてまいりますが、政府の方では百億円という基金の積み立てをするつもりがあるのか、それとも、とにかく五年という年数が来れば百億円にならなくても打ち切ってしまうのか、どちらの考えであるか、お答えいただきたいと思います。
○本多政府委員 先ほども申し上げましたが、この基金の根拠法である特別措置法の立案の過程におきまして、おっしゃるとおり、法文上基金の総額を百億円と明記すべきである、そういう議論もあったが、結局適当でないという御判断のもとに見送られた、こういう経緯があるということは承知いたしているところでございます。しかし、最終的には法律の中に百億円という金額は明示されなかった、そしてそれは立法府の方の努力目標といいますか、公約ということで努力していこうじゃないかということになったというふうに理解しているわけでございます。したがって政府といたしましては、財政状況等も勘案して、特段金額について明確なお約束をできるような状況になかったというのが今までの経緯でございます。
 もちろん、今先生の御指摘のとおり、地元におきまして基金に対する大変強い期待と申しますか、希望を持っておられるということも承知しておりますので、今後、財政状況等の伸展を勘案しながら最大限の努力を払っていきたいということを申し上げておきます。
○奥野(一)委員 提案理由の説明の中では百億円程度を想定するとありますから、決して固定したものではないと思うのです。例えば百億円という一つの目標といいますか、このくらいは欲しいものだという、願望と言ってもいいと思うのですけれども、そういうものであった。しかし、今のお答えから判断すると、そうならなくても五年で打ち切るということになるわけですか。そこのところを私は聞きたかったわけです。
○本多政府委員 現時点におきましては、こういう財政状況下に置かれておるわけでございますので明確な判断を差し控えさせていただかざるを得ない、こういうふうに思いますけれども、昨年度から国が八億、道が二億、したがって二年度で二十億でございますから、このペースでまいりますれば五年で五十億ということに相ならざるを得ない。したがって、他の客観的な情勢が現時点においては非常に不透明でございますので、そういう諸般の情勢を見ながら真剣に検討してまいりたいということでございます。
○奥野(一)委員 隣接市町村の地域振興については、いろいろな要望が今日までずっと出てきているはずですし、実際にもそういう仕事をやってきていると思うのです。今のペースでいったら五年で五十億くらいということにならざるを得ないということも言われているわけですが、そういう地域振興のための事業の状態から考えて、もちろんたくさんあればそれにこしたことはないというふうになるわけでしょうけれども、一体どの程度の基金が望ましいというふうにお考えになっているのですか。
○本多政府委員 いかほどの基金が適当かということは、その前提としまして、やはり根室管内における地域振興のための必要かつ適切な事業としてどういうものがあるかということが一つの根拠になるんじゃないかというふうに考えております。
○奥野(一)委員 では、次の方をちょっと聞いていきますけれども、いろいろな要望が出ておると思うのですが、そういうものの今日までの実績あるいはこれからの見通しをお伺いしたい。
 それから、ついでですが、北海道の場合には、御承知のとおり開発庁の方でも道自体でもそれぞれ開発計画というものを持っているわけでありまして、今の北海道の開発計画が始まった当時はこの制度はなかったわけですから、北海道開発全体との整合性というものも図っていかなければならないと思うのですが、そういう面についての考え方を一緒にお答えいただきたいと思います。
○本多政府委員 先ほど申し上げましたように、五十八年度において十億円の基金が積み立てられた、したがってその運用益の実績額は約三千二百万でございます。総務庁所管の施策について申し上げますと、世論の啓発関係につきましては、北方領土返還祈念シンボル像、これの祈りの火と申しますか、領土返還を祈念してのともしび、これに関する経費、あるいは元居住者の援護措置でございますが、先生御承知のとおり、元島民、元居住者の唯一の団体と言われます千島歯舞諸島居住者連盟の育成強化、こういうものを合わせて六百万程度でございます。
 五十九年度におきましては、五十八年度の基金の十億円が加算されますので、五十八年度分と五十九年度分を合わせました基金二十億の運用益約九千二百万というふうに見込まれております。五十九年度についての予定といたしましては、隣接地域の住民の研修事業とか北方領土コーナーの設置事業、これはいずれも世論の啓発事業と位置づけられると思いますが、これに約一千百万。それから相談員、つまり北方領土問題に関するいろいろな相談、後継者の育成とかそういう相談員の設置事業、それから北方領土の資料の整備、例えば北方ライブラリーとかそういう資料の整備のための事業、こういうものに約一千万ということを予定しているというふうに聞いております。
 なお、地域振興にかかわる事業の実績と計画につきましては、北海道開発庁の方から御説明させていただきます。
○滝沢(浩)政府委員 まず最初に、基金による北方領土隣接地域の振興対策の状況について御説明申し上げます。
 五十八年度から発足したわけでございますが、五十八年度は二千五百六十万の資金をもちまして水産資源の増大対策をやっております。五十九年度の予定といたしましては、七千九十四万の予算を計上しまして、六つの柱についておのおの予算を配分して、諸般の施策を進めることといたしております。
 柱だけ申し上げますと、第一番目が水産資源の増大対策事業、二番目が水産加工研究開発事業、三番目が漁業経営強化対策特別事業、四番目が社会教育施設整備事業、五番目が文化財整備事業、六番目が生活環境施設整備事業、以上でございます。
 それから、先生が御質問になりました北海道総合開発計画と北方領土隣接地域の安定振興計画との関係がどうなっているかということでございますが、私どもは、戦後四番目の計画である新北海道総合開発計画というものを五十三年度に策定したわけでございます。そのときにも北方領土が未解決であるという認識は持っておりまして、外務省、それから当時の総理府から御意見がございまして、隣接地域を含めて何らかの方策を講じなければならぬという問題認識を現在の計画の策定段階で持っておりました。その後、北方領土の問題の解決に関する法律が制定されましたので、具体的に北海道総合開発計画との関連がどうかという問題になったわけでございます。
 端的に申しますと、北海道の総合開発計画は、先生御承知のとおり、北海道の豊かな可能性を総合的に開発して、北海道はもとより日本の発展に役立つようにやるということで、北海道の全土について総合的な計画を立てるというものでございます。これに対しまして北方領土隣接地域の振興安定計画は、北方領土が未解決であるという特殊な要因によりまして、地域を一市四町と特定しまして、そこを北方領土啓発運動なり返還運動の拠点として特別な安定振興策を講じようというものでございます。
 二つの計画の関係ということになりますと、目的が若干違うわけでございますが、北海道総合開発計画も十分に協力し、支援しなければならぬ分野がございますので、私どもとしましては、北海道総合開発計画を推進する立場からも開発予算の重点配分だとか、あるいはただいま申しました基金についてきめ細かな施策を講じていくというようなことで、重点的、積極的にこの安定振興地域の計画が達成されるように努力していくという立場でございます。
○奥野(一)委員 今の点、ちょっと確認をしておきたいのですが、北海道総合開発計画の中でやられる部分というのがあるわけですね。この隣接地域の方は、こっちの方の基金があるからということで開発の方のものがネグられるというのですか、そういうことはないでしょうね。北海道開発は開発で、今の開発計画ができたときにはこの制度がなかったわけですから、それなりの施策は計画されていると思います。その上に上積みというような格好ということで解釈していいわけですね。
○滝沢(浩)政府委員 二つございます。一つは公共事業とかあるいは一般的な非公共事業につきまして、振興計画に盛られた事業につきましては北海道開発予算なり、非公関係については各省の協力をお願いしまして、地域に重点配分をやっていくという立場から進めるものだと考えております。それから基金につきましては、隣接地域に特別に計上されて設けられたものでございますから、それは独自に進めていくということであると思います。
○奥野(一)委員 次に、これも先ほどちょっと出ておりました北方地域の旧漁業権者に対する救済措置、この点については政府の方ではすべて解決済みだ、こういうことを今まで言われておるわけですが、地元ではそう考えてないですね。沖縄や小笠原に比較するとどうも均衡を欠くのではないか、こういうことを現実に今でも言われておりますし、恐らく今度の国の予算の折衝などにも当然そういう要求が出てくると思っているわけですが、地元では解決してないと思っている、政府の方はいやそれは解決済みなのだ、どうしてそういう食い違いが出てきているのか、この辺も明らかにしてもらいたいと思います。
 それから、北対協の融資事業の関係についても先ほどちょっと触れておられましたけれども、これがそもそも旧漁業権者に対する救済措置という形で出てきたということを考えてみますと、漁業権の継承というのですか、そういう立場から考えると、子供さんやお孫さん、実際に島で生まれなくてもそういう方々に適用できるのではないか、こういう感じがするわけなのですが、そういう面で一遍再検討、先ほどは慎重に検討したいということを言っているわけですが、融資対象を拡大することは可能ではないかというふうにも考えるわけですが、その辺はいかがでしょう。
○本多政府委員 先ほど大臣からの御説明で申し上げましたとおり、元居住者の次代継承につきましてどの辺まで範囲を広げるべきであるか、これについては一つの検討課題として今後慎重に検討していきたいと考えております。
○奥野(一)委員 今後の検討課題ということについては先ほどお答えがあったからよく承知しているわけなんですが、今の前段の部分で、沖縄と小笠原と比較をして均衡を欠くのではないか、こう現地では言っているわけなんですけれども、その辺はどうなんですか。
○本多政府委員 地元におきましての御要望は私もいろいろな機会に聞いておりますけれども、その中の問題の一つといたしましては、先ほど触れましたように、例えば旧満州から引き揚げてこられた方々との均衡の問題とかいろいろな問題がございますので、地元の方々からの御要望等は伺っておりますけれども、この場で即断的に、範囲を広げるべきであるとかべきでないとかということを判断するには材料がまだ非常に少ない、こういうふうに考えております。
○奥野(一)委員 先ほどからの御答弁、前段の中でも言われておったのですけれども、元島民、島に居住しておられた方々が北方領土運動の一つの大きな原点になってというようなことをずっと言われておったと思うのです。しかし、だんだん年数がたっておりますから、そういう方々が減っていくのは当然のことでございますね。ですから、次の世代の方々がそういうことについても継承していかなければならないことになるわけです。そういうことから考えていきますと、後継者の方々が自分の父祖の住んでおった島を忘れないでということは非常に重要な問題になっていくと思うのです。
 先ほど後藤田長官の方からも、例えば交通事故であっても三代に累を及ぼすのだという意味のことを言われておったわけですけれども、そういう面から考えてみて、後継者の方々に対する対策についても早急に考えてやらないと、戦後四十年たっているわけですから、今一万一千人ぐらい残っておられるのですが、いかに長寿国になりましてもそんなに長く残れるということではないと思うのです。早目にやってやらないと何も効果を上げられないということになってきて、そこから運動が停滞をするとか沈滞をすることになればかえってマイナスだと思うのです。これは急いで検討してもらいたいと思うのですが、急いでやっていただけますか。
○本多政府委員 先ほどの北方基金との関連もございますが、つまり、北方基金によりまして隣接地域の地域振興に役立てるべく運用基金を活用しているわけでございますが、その基金の運用益によりまして、例えば今先生が御指摘になりましたような元居住者の方々の次代の人々のいろいろな施策、例えば北方領土問題についての関心を深めるとか技能的な研修を行うとか、いわば地域ぐるみといいますか、そういう形での援護措置が現在進行中でございますので、もちろん先生御指摘のとおり、それと並行いたしまして継承権の問題についても早急に検討を始めてまいりたいと思っております。
○奥野(一)委員 時間がなくなりましたので、最後に北方地域の墓参の関係、しばらく途絶えておるわけでありますけれども、樺太の方は今また始まりました。北方墓参の方についてどういう状況になっているか、ちょっと経過をお知らせ願いたいと思います。
○野村説明員 先生御指摘のとおり、北方地域の墓参につきましては、五十年以降、有効な旅券、正式な渡航手続で来てもらいたいということをソ連側が言っておることの結果、中止のやむなきに至っております。本年度につきましても、ぜひこれの実現方を鋭意折衝してまいりましたが、六月十一日、ソ連側がまた同じく、通常の渡航手続によって査証を得た上で入国してもらいたいということを言ってまいりました。これに対しまして六月十三日、モスクワ空港で、一時立ち寄られました私どもの安倍外務大臣より出迎えのカピッツァ外務次官に対しまして、昭和五十年まで行われていたのであるから、身分証明書による地域の墓参を認められるよう重ねて強く要請いたしましたが、カピッツァ次官は、いろいろ困難があるということで、前向きの回答をしなかったわけでございます。時間的な制約もありまして、本年度につきましても、遺憾ながら北方地域は除いた形で墓参を行わざるを得なかったわけでございます。
 これは引き続いて今後とも強くソ連側に求めていきたい、そのように考えております。
○奥野(一)委員 これは人道上の問題と言ってもいいだろうと思うのですね、それらの方々はそういう父祖の眠っている地域に墓参ができないということですから。もちろん、領土問題が絡むということですから、非常に難しい問題があると思うのですが、そういう面では皆さん方、非常にうまい方法を考え出すことがお得意のような感じがするわけですが、何とかひとつうまい方法を講じて元島民の方々の希望が達せられるように、これからもぜひ最大の御努力をお願いしたいと思うのです。
 時間ですので、終わります。
○渡辺委員長 玉城栄一君。
○玉城委員 後藤田長官にお伺いをいたしますが、北方領土、これは我が国固有の領土でありますが、絶対に我が国に返してもらわなくてはならない、どう返させるかということが問題なんです。私は、外務委員会等でこの問題を取り上げまして、安倍外相は、日ソ友好というものは大事であるということをその都度おっしゃっておられますね。長官の御認識として、基本的に日ソのあり方についてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○後藤田国務大臣 申し上げるまでもなく、日本の外交は、世界全体の平和の中で、平和維持という観点で外交政策を展開をする。しかし日本は、御案内のように西側の陣営の一員として、その上に立って日米関係を基軸にした世界的な外交を展開する。そういった考え方のもとで対ソ関係についても、これは敵視するわけじゃありませんので、平和的な話し合いの中で懸案事項は解決をすべきものである、私はさように考えておるわけでございます。
 先ほどの御質問の中で、それではかえってソ連を敵視するのではないか、それが領土交渉を困難にしておるのではないか、こういう御意見がございましたが、そういう御意見もあるかもしれませんが、そのことがまさにソ連の一つのねらいでもあろうと私は思わざるを得ないので、日本としては既定の方針のもとに、西側陣営の一員である、そして日米関係を基軸にして国の安全を図りながら、同時にまた世界に向かっては平和外交を推進していく、そういった考え方のもとに対ソ交渉もやるべきものである、私はさように考えておるわけでございます。
○玉城委員 それは前提とされましても、最近の日ソ関係はやはり非常にぎくしゃくしている。何か冬の時代のような感じがするわけです。それで最近安倍外相も、例のソ連のアフガニスタン侵攻以来、対ソ制裁措置についても柔軟にするのだ、事実上大幅に緩和する、そういう日ソ友好というものは大事にしていかなくてはならない、そういう中で対話を重ねる、さっきも長官御自身もおっしゃっておられましたように。ですから、具体的にそういう対話を粘り強く積み重ねていく、それにはいろいろな形での日ソ間の相互の人的な交流、それを盛んにやって粘り強い対話を重ねることも一つの大事な点であると思うのですが、長官、いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 まさに私も、あなたがおっしゃるとおりであろうと思います。人の交流、文化の交流、経済交流、ありとあらゆる面での接触を深めて、そして話し合いの中で懸案を解決していく努力が必要であろう。今確かに冬の時代と言われておりますが、世界の外交全体の中でのそういう空気のあふりも受けていると思いますけれども、日本としては、あくまでもソ連との関係においても粘り強く友好的な関係を樹立するという観点で話し合いをしなければなるまい、かように考えております。
○玉城委員 そこで、後でまたおしかりを受けるかもしれません、実はこの特別委員会が関係理事の大変な御尽力で、閉会後適当な時期に海外派遣するということが決まっているわけであります。そこでけさの理事会でも、この特別委員会という性格からして、北方領土返還についての対話という問題も含めて、やはり訪ソした方がいいという意見も出ているわけですが、長官、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。
○後藤田国務大臣 これは国会でお決めになることであって、私が意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○玉城委員 先ほどの長官の、人的交流ということは大事なことであるということからすれば、今おっしゃることの裏側にそういうことも含まれていると理解しながら、長官御自身、北方対策本部長として、国内的な振興策と同時に、北方領土が我が国にどう返ってくるかという大事な問題ですから、それを対話をする意味でも適当な時期に訪ソするというお考えもお持ちになったらいかがかと思いますが、いかがですか。
○後藤田国務大臣 私は内政面において北方対策を担当しておるのであって、これはやはり安倍さんの管轄事項であろう、かように思うわけでございます。
○玉城委員 ですから、北方領土がどう返るか、どう早く我が国に返させるかということが基本的な根っこの大事な問題ですから、それに伴って、その間のつなぎといいますか、いろいろな振興策というものがあるわけですから、領土を返還させるということで、長官御自身、重要な閣僚のお一人として向こうの首脳と対話を重ねるということは大変意義があると思います。重ねてお伺いいたします。
○後藤田国務大臣 御意見として拝聴させていただきます。
○玉城委員 ぜひそういう機会をとらえていただきたいと思います。
 それで、ちょっと質問を変えます。私たちも所管が違いますので、長官とこのようにお会いする機会がなかなかなかったもので、きょうはいい機会でありますので、ちょっとお許しをいただきましてお伺いしたいと思います。
 長官は、臨調を推進される、いわゆる行政改革を推進される長官であるわけですけれども、私は、行政改革を進めるというのは、何でも役所をばたばた切ればいいとか、役人さんの首をどんどん切ればいいというものではないと思うのですね。ぜい肉の部分はあると思いますけれども、それは当然切らなくてはならぬ面もあると思うのですが、物によっては強化、手当てしなくてはならぬところも当然出てくると思うのです。例えば我が国の国益上、食糧の問題だとかエネルギーの問題とか、そういう強化すべき面も出てくるところには当然手当てをしていく、余ったところをそれに回していくとか、そういうことも行政改革という趣旨ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 行政改革というのは、本来的には行政組織、機構の中の合理化、効率化を図っていく、これが本来的な意味での行政改革なんですね。ところが、今進められておる臨時行政調査会の答申に基づく行政改革は、これの発足が財政再建ということと絡み合って出てきたという経緯がございます。そこで、本来政治の分野である政策課題にまでメスを入れた改革、答申ということになっておるわけです。したがって、一口に言えば行財政改革ということでございますから、昭和三十九年の佐藤調査会の答申よりはやや幅が広くて深い、こういうことで、現在の国が置かれておる客観情勢から見ればこういう改革意見にならざるを得ぬな、こう思いますけれども、それだけに従来以上に、総論は賛成であってもいざとなれば困難を伴う、こういう性格を持っておると私は思います。
 いずれにいたしましても、こういった行財政改革というのは、今日肥大化しておる行政の組織、運営、そしてまた制度、施策の基本にまで、つまり政策課題にまで切り込んだ改革ということは、現状から見て私はやらなければならぬ仕事だと思います。そういう面ではどうしてもネガティブな印象を与えがちなのが今日の行財政改革であろう、こう思いますが、それではいけません。やはり切るべきものは切らなければならない。しかし同時に、それは新しい時代への変化への対応、これを考えなければ本当の意味での行財政改革は成らぬ、私はこう考えているのです。ところが、世の中どんどん進みますから、切るべきものを切らないで、それに対応して組織も拡大する、国なり地方なりが手を伸ばしていかなければならない課題がふえていくということになると、国民の負担がたまらなくなるということにならざるを得ないわけですから、変化への対応ということを絶対忘れてはなりませんけれども、同時に、今日の肥大化した面は削減をしていく、こういうことであろうと思います。
 したがって、今お話しの例にもございましたが、日本は資源のない海洋の国家である、こういった国家はやはり賢い外交の選択と国内の安定が必要だ、そして先を見て考えなければ立っていけなくなる国だ。今日の状況から見れば、一番肝心なのは先導的な技術の研究開発、これにはまずそれがための戦略目標を立てて対応していくべきであるということを最近私が主張しておるのも、こういった変化への対応のことを考えなければ本当の意味での行財政改革ではない、私はこういう考え方で進めさせていただいておりますので、その点をぜひ御理解をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。
○玉城委員 長官は大変御見識も豊かな政治家でもいらっしゃいますし、前に官房長官もやっておられたわけですから。そこで、今のお話の流れからしまして、基礎的、具体的な問題の一つなんですが、今もおっしゃいましたように、我が国は資源が乏しいわけですから、せめて国内にある資源については、その実態を政府としてもちゃんと調査して掌握しておく必要が当然あろうと思います。
 そこで、例の沖縄に所属している尖閣海域の海底資源、これは専門家でも石油資源を含めて大変豊富にあるという指摘もあるわけですから、我が国海域の海底資源を政府としても当然調査をしておく必要があろうと思います。いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 今私が先端技術の研究開発と一まとめにして申し上げましたけれども、宇宙開発、航空開発、それから今御質問の海洋開発、それとライフサイエンス、新素材、こういったものにやらなければならないではないかということを私は申し上げておるのです。その中の一つに今おっしゃったような海洋開発、したがって尖閣列島、これは中国との間でいろいろな問題もあろうかと思いますけれども、やはり海洋の資源開発、これは日本の将来にとって極めて重要な、力を入れなければならぬ部面である、かように考えております。
○玉城委員 私も、通産省、資源エネルギー庁あたりに今の件でちょっと伺いましたら、全くそういう調査がされていない。ちょっとおっしゃいました外交上の問題もあるということのようですが、外交上の問題は全く別の話だと思います。日中友好というのは大前提、これは崩してはなりません。ところが、我が国海域の海底資源は、おっしゃるように当然我が国二十一世紀に向けて大事な資源調査というのは、開発ということになれば日中でやるかどうか、これはまた別の話としましても、ある資源についてはどういう実態であるかということを把握する調査は当然されるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 全く同じ意見でございます。
○玉城委員 今度は北方問題の事務局の方に伺いますが、五十六年は、二月七日「北方領土の日」、「四島のかけ橋」あるいは鈴木総理の訪ソ等非常に盛り上がった年だと言われているわけです。ところが、五十七年、五十八年、五十九年、これといったものがないということで、これからさらに盛り上げなくてはならないという大事な段階ですが、何か目玉的なものを考えていらっしゃるかどうか、いかがでしょうか。
○本多政府委員 総務庁といたしましては、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、昨年度から例の北方基金が実際の運用過程に入っておりますので、これをできるだけ充実しながら北方領土隣接地域のための振興計画に充当する、これはもちろん、先ほど先生から御指摘もありましたとおり議員立法ではございますけれども、その施行につきましては総務庁といたしまして力を入れていく、これが目玉と申しますか、この数年の重点事項の一つ、こういうふうに理解しております。
○玉城委員 行ったり来たりで申しわけありませんが、最後に、長官の先ほどおっしゃいました先端技術の話も含めまして、沖縄という日本列島の最南端で亜熱帯地域、先日のこの沖特では中西長官が、バイオマスランド構想、そういうハイテクノロジーを活用する、そういう位置づけとして非常に有望である、それは東南アジアあるいは環太平洋地域、そういう拠点としてバイオテクノロジーとかバイオマス、そういう構想を非常に熱意を込めておっしゃっておられたわけです。そういう意味では、日本列島の最南端でそういう一つの大事な拠点だという意味からしまして、沖縄に対する長官の御認識と、その沖縄のこれから果たすべき役割あるいは展望、長官のお考え、何かありましたら承りたいのですが。
○後藤田国務大臣 沖縄の地政学的な位置、それから第二次大戦で悲惨な運命に陥った沖縄、同時にまた、現在も米軍の基地が非常に広範囲にわたって置かれておるといったような特殊な沖縄の重要性というものを考えた場合に、中西さんがかねてから主張していらっしゃるのですが、四十七都道府県の一つの県であるといったような考え方は、これは狭過ぎるのではないか、もう少し沖縄というものを別の角度から、国政全体の中で重要視して見るべきである、こういう中西前長官の見識に対しては、私は全く同意見でございます。
○玉城委員 以上です。
○渡辺委員長 青山丘君。
○青山委員 先日来、新聞で、外務省は、ソ連の占領から来年で四十年を迎える北方領土問題の風化を防ぐために義務教育課程での領土問題教育を強化する、そういう必要があるということで、今年度から四カ年計画で始まった北海道内全域の小学校五年生と中学校二年生に対する領土問題の副読本の配布を、四年間の計画を三年間に繰り上げて達成をするんだ、さらに続いて、六十二年度からは新たに約十カ年計画で、全国の同じ学年、すなわち小学校五年生と中学校二年生の生徒全員を対象に副読本を配布する方向で関係省庁などとの調整を進める、こういう方針を固めたという新聞報道があります。
 私は、これは大変意義深いことで、ぜひ進めてほしい、新聞報道だけでそう感じましたけれども、もう少し詳しくその背景と目的を明らかにしていただきたいと思います。
○野村説明員 北方領土問題につきましては、先ほど来から申し上げますように、まさに長期国家百年の計に立って粘り強くソ連と交渉すべき懸案である、国民のこの問題に対する理解度が年月を経るとともに低下するということが生じてはならない問題である、そういった国民の問題理解度の高揚というのは、本来義務教育の中で求められるべきではないか、そういうふうに考えておる次第でございまして、現在北海道で、実は私ども外務省の認可法人でございます北方領土復帰期成同盟が作製しました小学校五年、それから中学校二年用の副読本がございます。これを私、今持ってきておるわけでございますけれども、非常にわかりやすく、北方領土のいわれをよく示した本でございまして、これはできるだけ早く北海道の小中学校で副読本として利用していただく、そういうふうにしなければならない、そういう基本的な認識から出発しておるわけでございますが、領土問題になりますと国の基本問題でございますので、ひとり北海道だけの問題ではございませんで、やはり全国的規模で教育の対象にならなければならないのじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。
 今申しましたようなことから、この全国的規模への拡大というのを具体的に考えたいわけでございまして、新聞には十年とか何か出ておりますけれども、今後どういうふうにいたしたらいいかということにつきましては、関係省庁ともよく協議して、できるだけ早くできるように実現を図りたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○青山委員 今おっしゃったように、北方領土問題は相当息の長い交渉を続けていかなければいけない、これはなかなか容易ならざる事業だと実は私も思っているのですが、ただ北方領土問題を息長く続けていくためにも、本来ならば国民世論を喚起して、それを息長く続けていく。そして、そういう時期が来るまで国民の強い要望として確固たる要求をし続けていく。ただし、そのためには次代を担ってくれる青少年の北方領土に対する認識、理解、これを正しく育てていかなければいけないと思うのです。そういう意味では私は、この副読本方式は押しつけ教育とは違うんだ、こういうことで外務省が考えておられる意図というものを理解するし、それなりの意義というものを率直に評価しています。
 ただ、副読本方式で進めていくという意味は、やはり現行の検定教科書の北方領土に関する記述というものが不十分だから副読本方式に頼らざるを得ないのだというふうに私は理解するのですけれども、そのとおりなのか。そうだとするならば、やはり基本は検定教科書の記述の充実を図るべきだと私は思うのですが、評価しながらこういう聞き方はどうかと思うけれども、しかし率直な意見として、なぜ副読本方式に頼らなければならなかったか、その辺をひとつ御説明いただきたいと思います。
○野村説明員 教科書の問題になりますと文部省の所管になるわけでございますけれども、私ども、検定教科書にかえてということを申し上げているわけではございません。それに加えてやはり国民の義務教育課程の中でこの問題をより深く理解していただきたい、そういう趣旨でございます。
 それで、教科書にももちろんこの北方領土問題は扱われておりますが、何分社会科の教科書の中の一部分でございますので、非常に記述も簡単でございまして、私ども、この問題は、具体的な戦後の歴史の流れとかあるいはいろいろな文章で、もうソ連側が言っているような解決済みとかそういうのじゃないのだ、これは本当に日本の固有の領土だということをわかりやすく説明する、そういう文章が必要だろう、そういう基本的認識で出発しているわけでございます。
○青山委員 誤解していただくといけませんけれども、副読本方式がいけないと言っているんじゃないんですよ。これはこれで私は率直に認めているのです。ただ、こういう機会ですから少しお尋ねするが、副読本方式をとってきますと、地方自治体に負担の問題が出てくるのじゃないかと一つは思います。
 それから、この点について後でお答えをいただきたいが、もう一つは、現在の学校で果たして本当にこれが利用してもらえるのかどうか、有効に活用してくれるのかどうか、こういう心配が一つはあります。その辺はいかがか、どうでしょう。
○野村説明員 確かに御指摘のとおり、副読本でございますと、検定教科書と違った面があるわけでございますが、学校に配りまして、子供の勉強の自由時間でそれを使ってもらうようにそれを配慮するとか、あるいは社会科の先生の中には本当に、これはひとつ自分の正科の授業で使ってみよう、そういうことを考えていただける、そういう先生がおられるのじゃないかと思っておりまして、そういうことに期待している次第でございます。
○青山委員 総務庁後藤田国務大臣、せっかく来ていただいていますので。
 実は昨年の六月ですけれども、大学教授を初め十六名の方々から、北方対策本部長及び文部大臣の方に要望書が出ております。この要望書の内容は、「現在、全国の中学校で使用されております社会科教科書の「北方領土」に関する記述は、ソ連による「北方領土」占拠の不当性、及び、わが国の「北方領土」返還要求の正当性を生徒に理解させるには、甚だ不十分であります。のみならず、むしろソ連側の主張を代弁するかの如き記述傾向が多くの教科書にみられることは、国民の悲願である「北方領土」返還の実現にとって、まことに由々しき問題であると思料いたします。よって、「北方領土」に関する教科書記述の是正について、早急に善処してほしい」旨の要望書が実は出ております。
 先ほどの副読本の話じゃありませんが、副読本はそれなりに大変重要な意義深い本でありますので、ぜひ出していただきたい。ただ、同時に私は、本来的に北方領土返還の問題というのは非常に息の長いもの、そして国民世論を喚起していかなければいけないし、それを持続していくためにも、次代を担ってくれる青少年の北方領土に対する正しい理解、認識を育てて、深めていかなければいけないにもかかわらず、この要望書が指摘しているような教科書の記述であってはならない。これは大変なことだと実は思いました。
 そこで、実は私は全国で発行されております社会科の教科書をずっと調べてみたんです。この要望書の中に指摘してあります清水書院の社会科の教科書も私、実際買って読んでみました。そうしますと、やはりこの指摘のとおりだと判断せざるを得ない記述の内容です。私はこういうことでは、長官が国民世論の喚起を促す本部長として、国民世論を喚起し、またそれを持続させていくためにも、次代を担ってくれる青少年の認識、正しい理解のためにも、教科書の記述がこういうような内容であったら大変なことだなと実は深く憂慮しています。
 そこで私、ぜひこの世論喚起の担当者である大臣、これはいろいろの取り組みをしていただきたいと思うのですが、まず、この要望書をごらんになっておられますか、どうですか。
○後藤田国務大臣 前長官に十六名の有識の方から領土問題に関する教科書の記述が甚だ不適当であるといった要望書ですね、これは私、承知をいたしております。
○青山委員 そこで、要望書の中にもいろいろな記述がされておりますが、「ある中学校の社会科の教師から、次のような話を聞いた。「いま使っている歴史の教科書で授業をしていると、比較的よくできる生徒から、「いまさら北方領土がわが国の領土であると主張しても、その理由や根拠がないのではないか」という質問が、たびたび出ます」というのである。」先生から聞きますと、生徒からこういう質問が出るというのです。これはやはり教科書の問題だろうと思います。
 そこで私は、教科書の記述の問題で、ぜひ担当文部大臣とそしてまた副読本を発行して地道な外交努力をしてくれている外務大臣等も交えて、後藤田総務長官が北方領土の記述に関する教科書の件について話し合っていただいたら大変意義深いんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 この要望書にありますように、現在の教科書の記述の中に、北方領土の占拠の不当性、我が国の北方領土返還要求の正当性、これを理解させるのに不十分な記述がある、「のみならず、むしろソ連側の主張を代弁するかの如き記述傾向が多くの教科書にみられる」、こう書いてございますが、申しわけありませんが、私、教科書は読んでおりませんが、教科書の中にこの種の記述があるとするならば、領土問題というものは国家の基本の問題であるということに対する認識がまことに不十分である、私は非常に遺憾千万に思います。
 したがって、教科書の検定の問題は、これは所管の文部省でしかるべき御処置をせられるものと思いますが、国務大臣の立場に立って、やはりこういうことは私は認められない、政府全体として是正に取り組むべき筋合いのものだ、かように考えます。
○青山委員 ありがとうございます。長官言ってくださったように、この教科書の記述の問題、ぜひ前向きに取り組んでいただきたい。ただ、検定の問題は、文部省、いろいろおっしゃると思いますよ。しかし、記述の内容について、学習指導要領の改訂等で方法としてはこの要望書の中にも提言として出ておりますので、そういう点もぜひひとつ参考にしていただいて、文部大臣とよく話し合っていただいて、副読本に頼らない、いや、副読本は副読本としてそれなりに専門的な一つのテーマを持ってまとめてくれましたので、大変いい内容ですし、ただ教科書の記述の内容がこのような憂慮される状況では、今後の返還運動に重大な支障を来す時期が来てはいけない。例えば外交問題ですから、どういう事態が出てくるかわかりません。北方領土が返還されるにふさわしい要件が整ってきて、ところが外交努力を幾らしても、国内の中でもう返ってこないんだというようなあきらめムードが出てきますと、これは大変なことです。そのためにこそ青少年の教育が非常に大事でありますので、大変前向きな長官の答弁をいただきましたので、私はこれをもって質問を閉じたいと思います。
 ありがとうございます。
○渡辺委員長 岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 私も、ただいま質問がありました北方領土副読本の問題に関連しまして、北方領土、千島問題の教育について質問いたします。
 この副読本自身について私たちも、内容はともかく、こういう形で大いに国民にも啓蒙、教育していくべきだというふうに考えています。そこで、これは義務教育の生徒に教えるものですから、やはり内容は正確じゃなければいけないし、しかも教育ですから、国家百年の将来を見通したものでなければいけないというふうに私たちも考えます。そうしますと、全千島の問題ですね。これは国後、択捉は言うまでもなく、得撫島以北においても平和的に日本が取得しました歴史的な領土であるわけですから、そして戦後処理問題につきましても、カイロ宣言、ポツダム宣言というのは領土不拡大の原則をうたっておりますので、当然これは本来日本に返すべきものだ、今ソ連が占拠しているのは不当である、こういう立場ははっきりと貫くべきだと思うのです。そういうことで子供に教えるべきではないか。サンフランシスコ条約によって放棄したといっても、将来は平和交渉によってこれは日本に返してもらわなければいけない、そういう立場を明確にこの副読本の中にも取り入れる必要があるように思いますけれども、長官、いかがでございましょう。
○後藤田国務大臣 副読本は、私も検討しておるのですが、これは大変必要な、やらなければならぬ仕事だ、かように考えておりますが、いずれにしましても、これはちっちゃな子供に教えるわけですから、おっしゃるようにあくまでも客観性を持った適切なものでなければならぬ、これは大前提ですね。
 ところで、千島全島を置いたらどうだ、こういうお話でございますが、かねてから政府としては、立法上でも、特別措置法には国後、択捉、歯舞、色丹四島ということに、政府の方針はこの問題については決まっておるわけでございます。したがって、私どもが今主張しているのは四島の一括返還ということでございますから、これは政府の立場に立っておりますので、そういう立場で副読本の編さんにも当たっていきたい、かように考えておるわけでございます。
○岡崎委員 四島であることは政府の問題でしょうけれども、今の政府がいつまでも続くというわけじゃないのですよ。子供たちは将来何十歳も生きていくわけですね。それに教育するわけですから……(「共産党」と呼ぶ者あり)これは共産党じゃないのですよ。日本の問題なんですね。そうした場合は、北千島につきましても本来平和的に取得した日本の領土なんですから、これは当然日本に返すべきだ、そういう立場で編集するのは当然じゃございませんか。どうでしょう。
○後藤田国務大臣 共産党の方が全千島の返還であるべきだという御主張を持っておることは、私は百も承知をいたしております。ただ、政府が四島一括返還ということを主張しているのも、これはまた政府としては十分根拠のある主張として日本側がやっているんだということはぜひ御理解を願いたいと思いますが、それが客観性があるかどうかということについては、外務当局が今来ておりますから、歴史的な経緯その他の点については全部御説明を申し上げさしたいと思います。
○岡崎委員 政府の立場は前からわかっているのです。しかし、得撫島以北も日本の領土であることはお認めになるでしょう。なぜそれをそういうふうにはっきり書かないのか、それが問題なんですよ。あなた方のやっている四島返還ということは、果たして交渉の上でうまくいっていますか。四島返還だったらうまくいくけれども全千島返還だったらうまくいかないということは、これまでの経過から見てもそうでしょう、どっちだってうまくいってないのですよ。ですから、はっきりと、もっと国際的にも通用する論拠に立って主張していく必要があるというふうに思うのです。国後、択捉は放棄した千島列島に入らないという政府の今の答弁、これは国際的には通用しないと思うのですよ。これ自身、昭和二十六年十月十九日でしたけれども、御承知でしょうけれども、当時の西村条約局長がサ条約の特別委員会で、この条約に千島とあるのは、北千島及び南千島を含む、そういう意味であると解釈しているとはっきり言明しているわけですね。政府のこの解釈が違ったのは、それから五年の後なんです。ですから、こういう歴史的事実ははっきり踏まえなくてはいけない。西村条約局長の発言は、当時このサ条約の国会承認の場で、いわば立法過程での発言ですから極めて重要な意味を持ったものだし、これが当時の国際的な理解であったわけです。それを変えたのは政府自身なんですけれども、少なくとも歴史的な経過といいますかそういう事実は、子供に教える場合は、今の政府の当面の解釈ではなくて、歴史的事実に立って正確に教えるべきじゃないかというふうに思いますが、その辺、どうでしょう。
○後藤田国務大臣 政府は歴史的事実、同時に条約上の解釈、こういったような点から北方の問題は四島一括返還、こういう立場でございますから、この方針で臨んでいくつもりでございます。
○岡崎委員 では、先ほど言いました西村条約局長の言葉、あれはいつから訂正なさったのですか。
○野村説明員 御指摘の西村条約局長答弁は昭和二十六年のものでございまして、一方において千島の中にいわゆる南千島も入るとしながら、他方で南千島と北千島は歴史的に見て違うんだということで、サンフランシスコ平和条約で放棄しました千島列島の範囲について若干明確でない、誤解を与える嫌いがあるような答弁をしたことは事実でございます。そういうことで、そういう誤解があってはならないということで、昭和三十一年政府の公式見解としまして、国後、択捉は日本の固有の領土であってサンフランシスコ平和条約二条で放棄しました千島列島の中に入らない、そういうはっきりとした態度を打ち出しておるわけでございます。
○岡崎委員 五年たってからやったのが、果たして誤解であったのか。つまり、立法過程での当事者、責任者の発言というのは極めて重みを持っているわけなんですよ。それを政府の都合によって五年後変えたわけでございますけれどもね。これはやはり歴史的な事実として政府としてはもう少しまじめに考えるべき問題であろうと思うわけです。
 ところで長官、北は要らないのですか。北を一緒に含めると四島返還もできないからという理由かもしれませんけれども、しかし、これは本来日本が要求していい、道理のある歴史的領土でしょう。その点はどうでしょう。
○後藤田国務大臣 要るとか要らぬとかいうことを申し上げているのではないので、日本としては歴史的な事実と条約上の立場に立って国後、択捉というものは放棄した千島には入らない、これは当然日本の固有の領土である、こういうことでございます。
○岡崎委員 いずれにせよ、副読本の問題というのは、子供の教育に使うわけだし、今の自民党政府がいつまで続くか知りませんけれども、政府がそういう解釈をしているからそのように教えるというだけでなくて、正しい歴史的な事実と国際的な道理のあるそういう中身でつくるべきだというふうに思うのです。私も先ほどお見せになりました副読本を今持っていますが、読んでみますと必ずしもそうなっていない。そういう点では、内容自身についてはさらに検討すべきであるというふうに私は考えているのです。これ自身が千島樺太交換条約によって平和的に日本に入ったわけでございますので、それは当然歴史的な日本の領土である。この第一はお認めになると思うのですよ。二つ目には、今度の太平洋戦争の戦後処理という問題は、領土不拡大というのが原則であったはずだ。ヤルタ協定というのは間違いですよ。それで、サ条約二条(C)項によって放棄してはいますけれども、もともと領土不拡大という原則に立つならば、これは国際的にももう一回正す、これができるはずでございますね。
 そういう見地に立つならば、今の政府が四島一括返還方針を持っているから、北の方については放棄してもやむを得ない、当然視するような姿勢は正しくないというふうに思うのです。事子供の教育ですよ。百年の大計ですからね。その点で私は長官に聞いているわけです。その辺のところで、歴史的な事実については正確に書く。どう判断するかは、それは子供自身でございましょう。しかし、少なくとも今の政府の方針の枠内で書くべきじゃないと思うのですよ。どうでしょうか。
○後藤田国務大臣 我が国の主張は、歴史的な事実と同時に条約上の立場も踏まえて主張しなければなりません。そういう立場に立って四島の一括返還ということになっておりますので、副読本においてもその線に沿った編集をすべきであると考えます。
○岡崎委員 条約上といえばサンフランシスコ条約の二条(C)項だと思いますけれども、しかし、戦後の領土問題の処理という点からいいますと、領土不拡大の原則という点から見るとこれは正当じゃないと思うのです。そういう点では、それ自身を訂正させる要求もあっていいと思うのです。そうしないと、今、南の方は実は千島に入らないというような、当時の国際的な認識と違ったような主張だけではなかなか通用しないのです。だから、私たちはもう一回原点に戻って、はっきりとあの領土は北の方も含めまして歴史的に日本の領土であった、そして太平洋戦争の戦後処理というのは領土不拡大の原則であったはずだ、サ条約二条(C)項というのはゆがんでいる、もう一回そこから正していく姿勢が必要だろうと思うのです。自民党がそういう方針をおとりになっているのは結構だと私は思いますよ、私たちは批判しますけれども。しかし、子供に教える副読本ですから、その辺のところは、繰り返し言いますけれども、正確にしなければいけないと思うのです。どうでしょう、子供に教える教育ですよ。自民党の方針の四島返還という枠内にとどまってはいけないと思いますが、もう一回お考えいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 あなたの御意見は拝聴いたしました。しかし政府としては、あくまでも歴史的な事実と条約上の立場を尊重して、そして毅然たる態度で主張すべきものは主張していく、こういうことでなければならない。それで、私どもとしては択捉、国後は放棄した千島には入らぬということでございますので、あなたの御意見は拝聴させていただきました。
○岡崎委員 歴史的事実という点でもどうかと思います。西村条約局長の例を出しましたけれども、政府は歴史的事実を途中からゆがめていると思います。これは自民党政府の解釈ではあっても、国際的には通用しないと思うのです。その方針だけではいつまでたってもうまくいかないと私は思います。歴史的事実についても正確でないし、条約の問題でも、領土不拡大の原則があるわけですから正せばいいわけでしょう。サ条約は永久的に絶対手をつけていけないというものではないはずですから、そこに迫る要求、国際的な世論の喚起と国民教育、国民運動の発展ということこそが必要だと思うのです。それに役立つ副読本にしてもらいたいと思うのです。
 私がこれを言っても、あなたは要望というだけでしょうから拝聴されるでしょうけれども、この側面も考えないと、いつまでたってもあなた方がおっしゃっている北方領土返還、正確には千島返還ということが実現できないと私は思うわけです。
 こう言っても、もう返答は同じでしょう。そうでございますね。――それじゃもうしようがないです。これで終わりましょう。
○渡辺委員長 次回は、来る八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四分散会