第102回国会 本会議 第37号
昭和六十年六月十八日(火曜日)
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  昭和六十年六月十八日
    正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)、私立学校教職員共済組合
  法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、
  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)及び地方公務員等共済
  組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出
  )の趣旨説明及び質疑
    午後零時三分開議
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
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 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。大蔵大臣竹下登君。
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のように我が国は、近年、人口構造の高齢化の進行等により年金制度のよって立つ基盤そのものに大きな変化が生じており、このような社会経済情勢の変化に対応しつつ、長期的に安定した年金制度が維持されるよう公的年金制度全般にわたる見直しが迫られております。
 このような状況にかんがみ、政府は、昭和七十年を目途に、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その改革を推進することといたしたところであります。
 今回提出いたしました改正案は、このような趣旨に基づき、国民年金、厚生年金保険等の制度改正と同様、国家公務員等共済組合の組合員等についても、国民年金の基礎年金の制度を適用することとし、同時に共済年金制度における給付と負担の長期的均衡を確保するため給付水準の適正化を図る等の措置を計画的に講ずることとするものであります。
 また、共済年金制度は、公務員制度等の一環としての性格をも有しているので、この面にも配慮を行っているところであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一点は、共済年金制度に基づく給付は、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とし、給付の種類としては、退職共済年金、障害共済年金及び遺族共済年金等といたしております。
 第二点は、共済年金の給付の内容でありますが、共済年金の年金額は、厚生年金相当部分の年金額に公務員制度等の一環としての職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とすることといたしております。
 厚生年金相当部分の年金額の算定方式については、厚生年金と同様のものとしており、職域年金相当部分の年金額については、その水準を厚生年金相当部分の二割相当としております。
 なお支給開始年齢については、経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。
 第三点は、各年金給付の個別の改正であります。退職共済年金については、配偶者等に対する加給年金制度及び低所得者に対する在職老齢年金の制度を設け、障害共済年金については、事後重症の制限期間を撤廃し、遺族共済年金については、給付率を二分の一から四分の三に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 第四点は、公的年金の併給調整の実施、所得制限の強化等給付の合理化を図ることといたしております。
 第五点は、既裁定年金の取り扱いにつきまして、改正後の年金額の算定方式に類似している、いわゆる通年方式により算定した額に改定することといたしておりますが、従前の年金額は、これを保障することといたしております。
 第六点は、費用負担についてであります。共済年金の給付に要する費用については、使用者としての国または公共企業体等と組合員との折半負担とすることとし、いわゆる公経済の主体としての国庫等の負担については、基礎年金拠出金の三分の一とすることとしております。
 その他、年金額の改定方式について、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制を採用するほか、国鉄共済年金について、その財政状況を勘案し、職域年金相当部分については給付を行わないこととしております。
 なお、今回の制度改正についての施行期日でありますが、国民年金、厚生年金保険の制度改正と同様、昭和六十一年四月一日といたしております。
 以上、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 文部大臣松永光君。
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 私立学校教職員共済組合の年金制度については、共済組合設立以来、国公立学校教職員の年金制度に準じて、その充実を図ってまいりましたが、近時、人口の高齢化の進行等により年金制度のよって立つ基盤そのものに大きな変化が生じております。
 このような社会経済情勢の変化に対応し、長期的に安定した年金制度が維持されるよう公的年金制度全般にわたる見直しが必要となり、政府としては、制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その改革を推進することといたしたところであります。
 今回、提出いたしました法律案は、私立学校教職員共済組合の組合員等についても、国公立学校の教職員と同様に、国民年金の基礎年金の制度を適用することとし、同時に、共済年金制度における給付と負担の長期的均衡を確保するため、給付水準の適正化を図る等の措置を計画的に講ずることとするものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一に、共済年金制度に基づく給付は、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とし、給付の種類としては、退職共済年金、障害共済年金及び遺族共済年金等といたしております。
 第二に、長期給付の給付額の算定の基礎となる平均標準給与月額は、組合員であった期間の全期間平均の標準給与の月額としております。
 第三に、長期給付の支給等に関する事項については、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案における該当規定を準用することといたしております。
 このことにより、共済年金の年金額については、厚生年金と同様の算定方式による厚生年金相当部分の年金額に、その二割に相当する職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とするほか、支給開始年齢については、経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。
 また、退職共済年金について加給年金制度及び低所得者に対する在職中支給の制度を設け、障害共済年金について事後重症の制限期間を撤廃し、遺族共済年金について給付率を引き上げる等の措置を講ずるほか、公的年金の併給調整の実施、所得制限の強化等を行うことといたしております。
 さらに、既裁定年金の取り扱いについては、改正後の年金額の算定方式に類似している、いわゆる通年方式により算定した額に改定することといたしておりますが、従前の年金額はこれを保障することといたしております。
 なお、年金額の改定方式については、消費者物価による自動スライド制を採用することといたしております。
 第四に、共済年金の給付に要する費用については、使用者としての学校法人等と組合員との折半負担とすることとし、国庫補助については、基礎年金拠出金の三分の一とすることといたしております。
 最後に、この法律の施行日につきましては、各公的年金の制度改正と同様に昭和六十一年四月一日といたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 農林水産大臣佐藤守良君。
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
○国務大臣(佐藤守良君) 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元比等の改革の一環として、他の公的年金制度の改正と同様、農林漁業団体職員共済組合制度についても所要の改正を行おうとするものでございます。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林漁業団体職員共済組合制度に基づく給付につきましては、原則として、基礎年金に上乗せして支給する給与比例年金とすることとしております。
 第二に、本制度により支給する年金の額につきましては、厚生年金相当部分の年金額に職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とすることとしております。
 第三に、既裁定年金者の年金額につきましては、いわゆる通算年金方式により算定した額に改定することといたしております。なお、これにより現在受けている年金額が減額することがないよう、従前の年金額はこれを保障することといたしております。
 第四に、農林漁業団体職員共済組合の給付に要する費用につきましては、使用者である農林漁業団体と組合員との折半負担とすることといたしております。また、国庫補助につきましては、公的年金制度共通の措置として、基礎年金に要する費用に一元化することとし、組合が納付する基礎年金拠出金の三分の一を補助することといたしております。
 第五に、本制度による年金の額につきましては、消費者物価による自動スライド制に改めることといたしております。
 第六に、農林漁業団体職員共済組合の組合員等につきましては、基礎年金制度を適用するための所要の法的措置を講ずることといたしております。
 最後に、今回の制度改正の施行期日につきましては、昭和六十一年四月一日といたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 自治大臣古屋亨君。
    〔国務大臣古屋亨君登壇〕
○国務大臣(古屋亨君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化等の改革の一環として、地方公務員等共済組合法に基づく長期給付についても、基礎年金制度を適用するとともに、給付水準の適正化を図る等国家公務員の共済年金制度の改正と同様の措置を講じようとするものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一は、給付の通則に関する事項についてであります。
 長期給付の給付額については、平均給料月額を基礎として算定することとし、その種類は、退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金等とすることといたしております。
 第二は、共済年金の給付の内容についてであります。
 年金額につきましては、厚生年金相当部分の額と公務員制度等の一環としての職域年金相当部分の額を合算して年金額といたしております。
 退職共済年金については、組合員期間等が二十五年以上である者が、退職した後に六十五歳に達したとき等に支給することといたしておりますが、当分の間、六十歳から退職共済年金の特別支給を行うこととしております。
 なお、支給開始年齢につきましては、現行の経過措置を短縮することといたしております。
 障害共済年金については、組合員である間に初診日のある傷病により、障害等級に該当する程度の障害の状態になったときに支給することとしております。
 遺族共済年金については、組合員、退職共済年金の受給権者等が死亡したときに、その遺族に支給することとしております。
 このほか、地方公共団体の長について、従前の取り扱い等を勘案した特例措置を講ずることとしております。
 第三は、給付に関するその他の事項についてであります。
 退職共済年金等の年金額の改定につきましては、消費者物価指数による自動改定とすることとしております。
 また、退職共済年金等の受給権者が厚生年金保険の被保険者等となったときは、その間、その者の給与所得に応じ、年金額の一部の支給を停止することとしております。
 さらに、受給権者が複数の共済年金の給付または他の法律に基づく年金である給付を受けることができる場合には、原則として、その選択する一の年金を支給することとしております。
 第四は、既裁定年金に関する事項についてであります。
 既裁定年金につきましては、その額をいわゆる通年方式による年金額に改定することとしております。なお、この場合、従前の年金額はこれを保障することとしております。
 第五は、費用負担に関する事項についてであります。
 長期給付に要する費用は、組合員と地方公共団体等が折半して負担することとし、公的負担の額は基礎年金拠出金の三分の一に相当する額とすることとしております。
 第六は、団体組合員に関する事項についてであります。
 団体組合員につきましては、新たに地方公務員等と通算措置を講ずることとするほか、地方公務員に対する措置と同様の改正を行うこととしております。
 第七は、地方議会議員の年金に関する事項についてであります。
 地方議会議員の年金につきましては、国会議員の互助年金の取り扱いに準じ、高額所得停止制度の導入及び支給開始年齢の引き上げを図る等の措置を講ずることとしております。
 最後に、組合員等についても基礎年金制度を適用することに伴い、国民年金法等を改正する等所要の措置を講ずることとしております。
 以上、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。塩島大君。
    〔塩島大君登壇〕
○塩島大君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案外三法案につきまして、総理大臣及び関係大臣に対しまして若干の質問を行い、その御所見を伺いたいと思います。
 我が国は、諸外国にも例を見ない速さで高齢化社会に向かって進んでいます。戦後のベビーブームに生まれたいわゆる団塊の世代が年金を受け取る今から三十年後には、我が国は高齢化社会のピークを迎え、このときには年金世代一人を現役世代二人で担うことになると予測されています。このようなことから考えますと、老後生活の柱となる公的年金制度の役割はますます重要になってまいります。また、現在の公的年金制度は幾つにも分立しており、このため、産業構造や就業構造の変化により制度によっては被保険者と年金受給者のバランスが崩れ、財政的に不安定となることもあり、その端的な例が国鉄共済年金の財政破綻であります。このような背景から、さきに我が国公的年金制度の大宗を占める国民年金及び厚生年金について、基礎年金制度の創設等抜本的な改正が行われたものと承知しています。
 以上のような状況は共済年金についても言えることであり、二十一世紀に向けて、共済年金を長期にわたり健全かつ安定的に運営していくための基礎を確保する必要があると考えます。聞くところによりますと、どの共済年金制度をとっても、現在の制度のままでは昭和八十年代には保険料が大幅に上昇し、組合員の負担の限度を超え、財政的に行き詰まるということでありますが、長期的に安定した制度とするためには、まず世代間の負担の公平性、言いかえれば保険料を負担する現役組合員と年金受給者であるOBとの給付と負担の公平性を確保することが必要であると考えます。また、現行制度のまま放置すれば将来の給付水準は高くなり、ひいてはそれが現役の負担の増加につながることを考えれば、将来に向かって給付の適正化を図っていくことが不可欠と思います。
 以上のような観点から、共済年金制度についても、国民年金、厚生年金と同様、世代間における給付と負担の公平姓及び各公的年金制度間の調整を図るため抜本的な改正が必要であると考えますが、改革の方向につきまして総理の基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、共済年金の改正案の内容についてであります。
 共済年金制度についても、昨年二月の閣議決定において、厚生年金、国民年金の改正の趣旨に沿った改正を行うとされているところであります。閣議決定にあるように、昭和七十年の給付と負担の一元化を目指すためには、まず給付面において厚生年金に準じた改正が必要であると考えます。しかしながら、公務員には争議行為の禁止や政治的行為の制限等種々の身分上の諸制約が課せられており、そういった公務の特殊性等を考えれば、この面について何らかの配慮をする必要があると思いますが、これらの点を含め、今回の改正の内容について、大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、官民格差の問題についてであります。
 共済年金は、従来から厚生年金に比べ優遇されている、いわゆる官民格差があるということで種々指摘されております。これについては、必ずしも巷間言われているような格差はないという反論もありましたが、しかし、合理的でない制度間での差は、これを正すべきであると考えるものであります。従来指摘されていた事項について今回の改正案ではこの点どのように解消されるのか、厚生年金との違い等も含めて大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 いずれにせよ、最初に述べたごとく、今後二十一世紀には高齢化社会が到来し、その時点で安定した年金制度を確立する必要があります。既に国民年金、厚生年金はこの方向で改正を行い、六十一年四月から実施の運びとなっております。今回の共済年金の改正は、全国民共通の基礎年金を導入しようとするものであり、また、報酬比例年金については厚生年金と同じような改正を行い給付の一元化を図ろうとするものであって、六十一年四月から国民年金、厚生年金と合わせて同時実施は不可欠であると考えます。仮に同時実施が不可能となれば、公的年金一元化が実現できず、種々の問題が生ずると思いますが、この点について年金問題担当大臣たる厚生大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
 なお、今回の改正法案は、将来に向かって給付水準を適正化することが主眼となっておりますが、既に年金を受給している方々の年金額が下がるというようなことはないのか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 最後に、国民の一部には、今日財政再建が至上な課題となっているので、今回の共済年金法の改正も、さきの国民年金、厚生年金の改正も、国庫負担の減少のみをねらいとするものであるとの指摘がありますが、この点についてどうお考えか、大蔵大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 塩島議員にお答えをいたします。
 共済年金の改正理由でございますが、高齢化社会の到来に備えまして、給付と負担の均衡を図り、公平で安定した年金制度の確立が不可欠であります。この趣旨に沿いまして、民間の人々については、既に基礎年金の創設、厚生年金の給付の適正化のための法律が成立しております。共済年金についてもし改正を行わないとしますと、御指摘のように給付と負担の均衡が崩れ、制度間の格差が拡大する等の問題があります。また、公的年金一元化の観点からも改正をぜひ必要とするわけであります。
 この給付と負担の不均衡の点を申し上げますと、現状のままでいきますと、大体、今の掛金の約四倍前後にならざるを得ない。これでは若い人たちの活力をそぐ危険性もございます。そういう意味において、世代間の公平を図るということがやはり必要であると思います。また、国鉄の年金の御指摘がございましたが、国鉄の年金にいたしましても、遺族扶助料等加えますと、現在で十人の人たちが十三人の方々を養っているという状態でございます。このままいけば、もう早晩、国鉄の年金支払いが難しくなる、そういう危険性がございます。現在、電電の皆さんやたばこ産業の皆さん方によって支えられておるわけでありますが、この支える枠をもっと広げないと、国鉄年金が危機に瀕するという状態になることなのでございます。
 そういういろいろな点を勘案いたしまして、今回、年金体系の根本的な改革を図ろうとして行っているものでございまして、ぜひとも御支持を仰ぎたいと思う次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は四点ございます。
 まず、改正の主な内容いかん、改正案の具体的骨格は次のとおりであります。
 まず一つには、共済組合の組合員及び配偶者にも全国民共通の基礎年金を適用する、これが一つであります。二つ目は、共済年金は基礎年金に上乗せする報酬比例年金として設計して、共済年金の内容は厚生年金相当部分に職域年金相当部分を加えたものとする。三番目は、厚生年金相当部分の年金額は厚生年金と全く同様の算定方式により算定することとし、職域年金相当部分の年金額は公務員等の職域年金加算として基礎年金及び厚生年金の八%程度とする。
 以上が主なる内容であります。
 それから、官民格差についてであります。
 現行制度において給付及び負担に制度間の差異があって、給付要件の一部を取り上げていわゆる官民格差の批判があることは承知しております。これに対して今回の改正は、共済年金は基礎年金に上乗せする報酬比例年金として設計し、厚生年金相当部分については、年金額の計算方式を含め給付の内容、水準ともに厚生年金と均衡のとれたものとしておるわけであります。したがって、公務の特殊性という面から多少の上積みはありますものの、従来かも言われていたいわゆる官民格差の問題、例えば年金の計算方式あるいは報酬のとり方、支給開始年齢、所得制限、これらすべての点において解消されるものと考えます。
 次に、年金額が下がる人がいやしないか、これでございます。
 今回の改正は、給付と負担の均衡を図って公平で安定した年金制度を確立するために行うものでありますが、既に支給している年金額を引き下げることは予定しておりません。ただ、所得の高い人たちが選んでいらっしゃる一般方式による年金額については、当分の間、すなわち厚生年金に近い形の通年方式により算定した額が追いつくまで、スライドを停止することとしておるわけであります。
 次の、年金制度の改正と国庫負担の問題であります。
 高齢化社会の到来に備えて、公的年金制度の一元化を展望しながら、給付と負担の均衡を図って、公平で安定した年金制度を確立することを目的としております。このため、年金の給付水準を適正化しますとともに、将来の組合員の負担を軽減しようとするものであります。御指摘の国庫負担につきましては、現行制度に比べれば、給付の適正化に伴いまして長期的にはある程度の変動が予想されますが、むしろ基礎年金給付に要する費用に集中することとしておりますので、全国民に公平な国庫負担を付するという結果になるものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣増岡博之君登壇〕
○国務大臣(増岡博之君) 同時に実施できなかった場合の問題点についての御質問にお答えいたします。
 今回の年金制度の改正は、全国民を通じての基礎年金を導入することによって制度間の格差の是正を図ることを大きなねらいとしております。共済年金の改正も国民年金、厚生年金の改正と同時に実施することを改革の大前提といたしております。
 仮に共済年金の改正が昭和六十一年四月に同時に実施できなくなった場合には、まず第一に、いわゆる官民格差がますます拡大することであります。次いで、共済組合員の被扶養者の妻については、新国民年金の適用除外となり、障害になった場合無年金となるおそれがあることであります。さらに、障害福祉年金の改善分を民間グループだけの負担で行うことになるなど不公平が生ずることになります。したがいまして、年金問題担当大臣という立場からも、来年四月から同時に実施ができますよう各共済年金改正法案の一日も早い成立をお願いいたします。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 富塚三夫君。
    〔富塚三夫君登壇〕
○富塚三夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました国家公務員、地方公務員等の共済年金法改正案に対しまして、総理及び関係大臣に御質問を申し上げます。
 この法案は、さきの国民年金法の改正に次いで、年金の一元化に向け、明年四月以降改正しようというものですが、共済年金制度は歴史が長く、複雑な制度であっただけに、財源の調整とか官民格差の是正といった観点だけでなく、本来あるべき社会保障制度の重要な柱としての今後の年金制度をいかに充実させるかという展望に立って検討し、慎重審議を進めていくべきだと考えます。
 過日、NHKの国会討論会の席上、藤波官房長官は、高齢化、老齢化社会という表現は国民に暗いイメージを与えているから、中曽根総理は長寿社会という明るい表現に変えたいと言われたのに対し、我が党の山口国対委員長は、幾ら表現を変えても年金を改悪してはだめと端的に反論されましたが、多くの国民の皆さんは、この短い言葉のやりとりの中に今日の政治を見定めたように思われます。(拍手)
 なるほど、世界一の長寿国となりつつある日本で、今高齢化社会の極限が予測される中で、互いに負担を分かち合って年金制度を維持し、各種年金の格差をなくし、公平化を求めていくのは当然ですし、各種年金の統合も時代の流れであることは認めます。しかし、高齢化社会を迎えて高齢者の方々に価値観を持った生き方、すなわち高齢者に適した仕事を見つけ、希望を持って働ける場所をつくるとともに、一方では年金、医療、住宅といった社会保障の充実を図ることこそが、今問われている国家的、政治的使命であることを忘れてはならないと思います。それだけに年金制度は社会保障制度の重要な柱として、国民一人一人が安心して老後を送れるように充実した制度に改正していくべきだと考えます。
 そうした観点に立って、まず総理にお尋ねをいたします。
 第一は、本来年金制度は、憲法に保障された国民の生存権を貫くために一人一人の権利として保障されなければなりません。
 そのために社会保障の主要な柱として、年金生活者の最低限の保障、すなわち国民一人一人の権利としてナショナルミニマムを確立されるべきだと考えます。政府が国民年金法の改正に次いで、この法案改正も、負担と給付のバランスを予測して財源調整の面を重視し、将来に向けて掛金をふやし給付を減らすという内容では、真の社会保障制度としての年金改正とはならず、改悪であると言わざるを得ません。そうした点で、さきに、内閣の諮問、建議の権威ある機関であった社会保障制度審議会いわゆる制度審が、今は亡き、多くの国民に尊敬された大河内一男会長が、与野党、官僚、他の有識者とともに心血を注いでつくり上げた基本年金構想、すなわち、一定の税方式により国民一人一人の権利としての基本年金制度の採用をこの法案審議を通じて再検討してほしいと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
 質問の第二は、この基本年金構想を受け入れられないとするならば、一歩譲って、今回改正の柱となっている基礎年金導入制度の見直しを通じて制度審の答申案に近づけることはできないだろうか。
 我が党は、基礎年金制度は、従来の縦割り年金制度から北欧型の横割り年金制度に改正することは制度改革としては一歩前進と評価していますが、政府案の基礎年金では将来に向けて極めて不安定であるだけでなく、給付と負担の公平化は実現できないのではないかと見ています。すなわち、さきの国民年金法等の改正審議を通じて明らかになったように、四十年間保険を掛けて最高五万円という額では本当に基礎年金に値するだろうかという疑問と、保険料を四十年間払えず満額の五万円をもらえない人も出るし、六十五歳以上の老人の方のうち五ないし六%の人が無年金者になることが想定され、とりわけ定額保険料が月六千八百円、夫婦で一万三千六百円では、低所得者層に脱落者が多く出ることは必至だと思います。また、年金水準が抑制されるために国庫負担も二兆五千億前後が削減されるなどの問題点を将来に向けてどう検討するかが問われています。そして、二十年後実施までの間には世の中の状況変化あるいは激変が起こるかもしれないと思います。
 そこで、過般の国民年金改正案議決の際に、参議院において我が党が、基礎年金の改革について、六十五年再計算期前に速やかに基礎年金の性格、国庫負担、特別会計、無年金の解消について総合的に見直すことを要求し、法案にその旨を追加しましたが、その点について、政府は具体的にどのように見直しを進めていこうとしているのか、総理及び関係大臣にお尋ねをいたします。(拍手)
 第三の質問は、年金改革によって国庫負担が大幅に軽減するということは、それだけ社会保障を軽視するだけでなく、そのしわ寄せを国民に向けることになると考えます。
 さきの国民、厚生両年金の統合案審議の際明らかにされたのを見ると、現行制度で年金受給者の増加水準が急増することによって、国庫負担は来年度二兆七千億から二十年後は六兆五千億、ピーク時の二〇二五年には八兆三千億に達するのに対し、新制度では二十年後に五兆二千億、ピーク時も二〇一五年に早まり五兆八千億に達するが、後は減少に向かうという試算が明らかにされています。それは、現行厚生年金のままだと、現役サラリーマンの平均月収の八三%に達する年金給付水準を月収の六九%に抑える、また、現在は厚生年金が給付額の二〇%、国民年金が三分の一となっている国庫負担が、全年金共通の基礎年金の三分の一に統一するために国庫負担が少なくなるわけですが、給付水準の引き下げ、そして国庫負担の軽減、それを官民格差解消の名のもとに共済年金受給者に連動させることについては納得できないのであります。国庫負担をふやし給付水準を適正に維持してこそ、経済大国を自負する政府・自民党の年金改革の基本姿勢であるべきだと思うのですが、総理はいかがお考えでしょうか。(拍手)
 また、これに関連して総理にお尋ねをいたしたいと思います。
 目下、国の防衛予算すなわちGNP一%枠をめぐる論争が繰り返されておりますが、政府は執拗に防衛費の増額を図ろうと意欲的ですが、GNPすなわち国民総生産の拡大と国の年金負担分の比率をどのように考えていらっしゃるのか。今日、世界の多くの先進国では、GNPの拡大に伴って社会保障費をふやすことを建前にしているし、社会主義国も社会保障制度拡大を重視しております。日本だけが防衛費拡大に力を注ぎ、国の年金負担分を減らすというのでは、国民の皆さんが一体納得するでしょうか。総理、国の年金負担分をGNP比でどのように考えているのか、その考え方と、中長期の展望に立って具体的数字を示していただきたいと思います。
 第四に質問いたしたいことは、公的年金の課税強化についてお尋ねをいたしたいと思います。
 大蔵大臣は、国民年金法等改正案に関する参議院の連合審査で、公的年金の課税強化は将来の検討課題だと述べられています。目下、財政再建のための大型間接税導入や課税強化についてさまざまな議論が行われている現状の中で、いち早く公的年金の課税強化を政府税調の答申を受けて六十二年度から実施したい旨、検討されていると聞きますが、本当にそのようにお考えになっているのでしょうか。国民は、年金の掛金がふやされ、給付水準が下げられ、あげくの果てに公的年金の課税強化までなされるということになると、お年寄りは、生活の糧年金にまで増税するのかと総反発することは間違いありませんし、これでは踏んだりけったりということになるのではないでしょうか。
 総理は、さきの国会で、税制改革の基本方針として、年金税制は所得税制に組み込まれているので、年金課税の強化だけを先に実施することはできないと答えておられたが、公的年金の課税強化について六十二年度から実施するのか、年金税制とのかかわり合いについてどのようにお考えになっているのか、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。(拍手)
 五番目の質問は、年金の受給年齢を本則において六十五歳に定めているが、雇用の実態を無視して受給年齢を決定するということは、雇用と年金との関係にギャップを生み、大きな混乱を起こすものと思います。
 御存じのように、民間の場合には雇用問題とりわけ定年制の線引きも労働協約によって解決できます。しかし、団交権さえ持たない公務員労働者は、そのときの政治状況、例えば行政改革などにより一方的に定年制が決められ、雇用関係に影響が出てきます。それだけに、労働大臣の諮問機関である雇用審議会が定年延長の立法化問題を取り上げています。雇用保障と年金受給年齢は一体とすべきでありますが、総理、厚生大臣、本日は労働大臣が外遊でおられませんから、総理、厚生大臣にお尋ねをいたします。
 六番目の質問は、組合員が禁錮以上の刑に処せられたときまたは停職以上の懲戒処分を受けたときは、退職共済年金の職域加算額の減額をうたっていますが、行政処分と年金の支給制限といった制裁は、ILOの一九七六年公務員合同委員会の決議によって明らかなように二重罰禁止をうたっている精神にも反しますし、本来、年金は個人の生活を保障する権利であるという立場から考えるならば、これを改めるべきであり、厚生大臣はいかがお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
 最後に、国鉄共済年金対策について質問をいたします。
 四月十日の制度審の答申では、現下の共済年金制度で最大の問題は国鉄共済年金であり、国鉄問題の検討に当たってはこの年金問題を抜きに考えられず、国民の公的年金制度への信頼を失わせないよう特に留意されたいとあります。また、地方公務員の共済組合審議会答申でも、国鉄共済組合に対する救済は国の責任分担を明確にすることを答申しています。国鉄共済年金がもし崩壊に直面するならば、公的年金の一元化どころか、すべての年金制度へ波及し、国民の年金制度への不信につながることは火を見るより明らかであります。
 国鉄は、戦後の復興と日本の経済成長に貢献してきました。今、モータリゼーションの発達に伴い、有効な手の打てなかった交通政策の貧困により、監理委員会答申を待って新たな改革案が政治日程に上ろうとしています。この案では職域年金を国鉄だけ実施しないことになっていますが、第一次財政計画で既裁定年金受給者のスライドのストップに加え、なぜ国鉄いじめのこうした措置をとるのでしょうか。さきの処分と年金の二重制裁とあわせ、これこそ官民格差になるのではないかと思うのであります。再建監理委員会の亀井委員長は、国鉄年金問題を重視したいと申されています。総理は国鉄改革に意欲を燃やしておられるようですが、どのようにお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
○議長(坂田道太君) 富塚君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○富塚三夫君(続) 総理、締めくくりとしてお尋ねしたいのは、政府が公的年金制度全体の一元化を七十年を目途に完了させると言っていますが、公平で整合性のある一元化作業がそれまでできるとお考えでしょうか。すなわち、基礎年金を一階部分とし、厚生、共済両年金を報酬比例によって上乗せし、共済はさらに二〇%の職域年金支給という、いわゆる二階ないし三階建ての年金ということになりますが、両制度間の問題点、例えば恩給絡みの共済年金の措置、上級公務員の天下り後の高い賃金と高い年金の併給、年金、恩給制度の生い立ち、既得権への対応など難しい課題を整理し、一元化できるとお考えですか、明らかにしていただきたい。
 以上、質問をいたしまして、御答弁をお願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 富塚議員にお答えをいたします。
 まず、基本年金制度の採用問題でございます。
 我が国の公的年金制度は、これまで社会保険方式で運営されており、拠出に応じて給付を行うという考えで、これは我が国社会に定着しているところでございます。この体系を新たに租税方式でやるという、これも一つの御見識ではございますが、この巨額の税負担を国民に課するというやり方が果たして国民になじむかどうか、この点は大いに検討を要するところであると思います。また、税という問題の場合に、保険料を拠出した者と拠出しない者と同じような給付を行うということがもしあるとすれば、両者の公平が図れるかなどの問題もあります。したがいまして、引き続き社会保険方式を維持することは妥当であると考えておる次第であります。
 基礎年金の問題でございますが、先般の年金改正法案の議決の際に法案修正をいただきました。これは水準の問題やらあるいは費用負担のあり方等についてでございます。これらの点につきましては、その御趣旨を体して今後とも検討してまいるつもりでおります。
 国庫負担の増大の問題でございますが、国庫負担も結局は国民の税金で賄われるものでございまして、納税者の負担になります。したがって、今回の一連の年金改正におきましては、公的年金制度を公平で安定したものにするために、国庫負担も含めて、給付と負担の適正化を図ることを目的としておるものであります。二十一世紀においても公的年金制度を揺るぎないものにすることが基本でありまして、この点については御理解をいただきたいと思うのであります。
 次に、年金負担とGNPの問題でございますが、いわゆる高齢化社会、長寿社会に向けて、今後年金給付費は急速に増加いたしますが、将来の国民の負担が過重とならないように配慮することもまた必要であります。その場合については、保険料それから国庫負担を含めた総合的な観点でこれをとらうべきでありまして、国庫負担だけを取り出して議論するということはいかがかと思われます。すなわち、保険料の問題あるいは給付の内容の問題あるいは給付の開始の時期の問題、これらを総合的にやはり考うべき問題であるのではないかと思います。
 国鉄共済の問題でございますが、国鉄は六十年度以降国家公務員等共済の他組合からの救済を受けておるのが実情でございます。我々のところへ来ている資料によりますと、現在、国鉄職員三十二万名が三十六万人の退職者を養っている、こういう状態であります。言いかえれば、十人で十三人を養っているという状態で、こういう状態でいけば、現職者の年金負担率というものがさらに大きくなってまいるわけでございます。
 こういう面からも、やはり世代間の公平感ということも考えなければなりません。厚生年金相当部分の給付を確保することが国鉄にとっても優先していると考えます。六十五年度以降、国鉄共済の財政不足はさらに巨額になることが予想され、一元化の趣旨に沿い、公的年金体系を通じて負担の調整を図る必要がある、このように考えておるわけであります。
 次に、年金制度の一元化の問題でございますが、本格的な長寿社会を迎える二十一世紀におきましても、公平で安定したものにすることが年金については必要であります。年金改革につきましては、既に国民年金、厚生年金保険については基礎年金の導入等の改正が行われております。また、共済年金についても、昭和六十一年四月の同時実施を大前提として、同趣旨の改正をお願いしておるところであります。これらを踏まえまして、さらに昭和六十一年度以降も、昭和七十年を目途とする公的年金制度全体の一元化に取り組もうとしておるわけであります。このような大きな意味を持っておりまするので、共済年金改正法案の一日も早い成立を念願してやまない次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する質問は三つでございます。
 まず一つは、課税強化の問題でございます。
 この問題に関しましては、五十八年十一月の中期答申におきまして、「今後、制度の成熟等に伴い、公的老齢年金の支給の増大が確実に見込まれること、世代間の負担のバランスをより重視していく必要があることを考慮すれば、公的老齢年金についても、現行の課税の仕組み・負担水準を基本的に見直すのが適当である」、このような御答申がございます。今後、高齢化社会を迎えて、公的年金または私的年金を通じて整合性のとれた税制の整備を行うことが将来の検討課題であるというふうに考えております。
 それから、国家公務員等の共済年金制度は、公的年金制度としての性格とともに、国家公務員法に基づく年金制度としての、公務員制度等の一環としての性格がございます。したがいまして、今回の改正においても、国家公務員等共済年金のうち職域年金相当部分につきましては、国家公務員等の職務の能率的運営に資するという目的と相入れない法令違反行為等に対しては、一定の給付制限を行うこととしておるわけであります。
 それから、今回の年金制度は、まさに給付と負担の適正化を図ったということでございます。国庫負担のみならず、保険料を含めた負担をどの程度にすべきかという観点から検討すべきものと思われますが、この場合、年金が世代間の扶養システムであることにかんがみ、年金受給者と現役世代とのバランスを考慮していく、これが何よりも肝要であると考えます。(拍手)
    〔国務大臣増岡博之君登壇〕
○国務大臣(増岡博之君) お答えいたします。
 基礎年金の見直しについてのお尋ねでございますが、国年、厚年の改正につきましては先般その改正法案を成立させていただいたところでありまして、現在その円滑な実施に全力を挙げるとともに、共済年金の改正法案の一日も早い成立をお願いしているところであります。国民年金、厚生年金の改正法案の議決の際に法案修正等で御指摘いただいた点につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、老齢年金の支給開始年齢の問題についてのお尋ねでございます。
 今後の高齢化社会の到来を展望すると、支給開始年齢の問題は避けて通れないものと考えております。しかし、今回の改正につきましては、支給開始年齢の引き上げは時期尚早との意見もあることを考慮し、厚生年金の男子六十歳の支給開始年齢については現状を維持しております。この問題については、今後定年の動向、高齢者の雇用実態等を勘案しつつ、関係審議会の御意見等も十分に承りつつ、今後とも総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、公的年金制度の一元化についての御質問でございますが、本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀に向けて公平で安定した年金制度を確立することは、今や国民的課題であると考えております。このため、既に公的年金制度の改革に着手しておりまして、今国会において、国民年金、厚生年金保険について基礎年金の導入等を内容とする法改正を成立させていただいたところであり、共済年金についても、昭和六十一年四月の同時実施を大前提として同趣旨の改正をお願いしているところであります。さらに、昭和六十一年度以降においても、以上の措置を踏まえ、給付と負担の両面において制度間調整を進め、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることが国民の期待にこたえることであると考えております。いずれにいたしましても、まず共済年金改正法案の一日も早い成立をお願いする次第であります。
 また、ILOとの関連でお尋ねでございますけれども、今回の件につきましては、別段支障がないものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(坂田道太君) 上西和郎君。
    〔上西和郎君登壇〕
○上西和郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題とされました共済年金関係四法案のうち、主として私立学校教職員共済組合並びに農林漁業団体職員共済組合に関し、基本的に反対の立場を鮮明にしながら、以下、順次中曽根総理並びに関係各大臣に御質問を申し上げたいと思います。(拍手)
 まず最初にお尋ねしたいのは、昭和二十九年一月一日発足をした私立学校教職員共済組合が、この三十年余り私立学校に勤務する教職員並びにその家族の福利厚生の増進を図り、ひいては私立学校教育の振興に果たしてきた役割とその功績をどのように評価されているかということであります。また、創立以来四半世紀の歴史を持つ農林漁業団体職員共済組合が、それぞれ経営規模や内容に大きなばらつきを持っている各事業団体の役職員とその家族の福祉増進のために大きく貢献し、結果として我が国農林漁業の発展に役立っているこのことをどう認識されているのかということであります。この点に関し、所管大臣である文部大臣並びに農林水産大臣の御見解をまず承りたいと思います。
 特に、私学、農林両共済年金が積年大変な自助努力の上に財政の健全化を図っている実態、また、経営基盤に大きなアンバランスを持ちながら国庫の補助も含めて共済制度を堅持してきている農林漁業団体共済組合の実情などを見るとき、いたずらに高齢化社会の到来を強調し、国家財政の窮迫を訴えることにより国庫負担を大きく削減するとともに給付内容の大改悪を行おうとすることは、断じて認めるわけにはまいりません。(拍手)
 というのは、我が国の社会保障制度の一翼を担っている軍人恩給制度についての中曽根内閣の方針が余りにも対照的だからであります。昭和二十年八月十五日、大日本帝国が崩壊した日をもって一たん姿を消した軍人恩給制度は、昭和二十八年法律百五十五号をもって復活をし、その後幾つかの補完作業を行って、現在戦前の姿に完全に戻っております。特にその中には、かつて東条内閣時代制定された戦陣訓の教えである「生きて虜囚の辱めを受くるなかれ」の言葉に結果的に反した形になる抑留加算まで新設されている現実を知っていただきたいのであります。もちろん私は、軍人軍属という立場に立って日本国や国民のために命をかけて戦った方々に対する補償の重要性を理解をし、その内容充実に決して反対するものではありません。ただ、口を開けば軍人恩給は国家保障だから改定をする意思はないと繰り返し明言される政府が、なぜ公的年金制度には冷酷非情な態度をおとりになるのか、素朴な疑問を抱かざるを得ないのであります。
 敗戦の混乱から現在の経済大国に成長発展するまで果たしてきた一般国民大衆の努力をどう見るのか。それらの方々に対する国家補償である公的年金制度をなぜ虐待するのか。とりわけ本年三月末で既に四十五兆円という巨額の累積剰余積立金を持ち、財政的に長期安定の状態にある厚生年金の大改悪を断行した暴挙は、心ある国民の大きな憤激を買っている事実を指摘したいと思います。こうした観点から見て、国公、地公、私学、農林四共済年金の改悪の真の意図は那辺にあるのか、より具体的に明確にお答えいただくよう、総理に見解を求めるものであります。(拍手)
 次に、改定内容に関して若干の質問を申し上げたいと思います。
 その第一は、年金の計算方法の改定についてです。
 現行二通りある計算方法のうち、退職直前一カ年間の給与を基準とする原則共済方式はこれを廃止し、もう一つの厚生年金方式に準拠する特例通年方式に絞るというのが改定内容です。その上、計算基礎にある退職直前一カ年間の給与を廃止し加入全期間の平均給与に置きかえるというのでは、すべての加入者に大きな打撃を与える内容だと断言せざるを得ません。特に、両年金ともスタート当初から長年の努力によって現在の計算方式を確立し、しかも、それは国会の同意によって行われているという歴史的経緯を見るとき、私はさらにこの思いを強くするのです。なぜこうした実態を無視して一挙にもとのもくあみの姿に戻そうとされるのか、私はその真意をはかりかねるのですが、この点に関し大蔵大臣から、建前ではなくずばり本音そのものをお聞きしたいと思います。
 その第二は、妻に支給されると言われる基礎年金五万円についてです。
 国民の皆さんにバラ色の幻想を与えているこの年金は、四十年間国民年金に加入している方が六十五歳から支給されるという内容であり、文字どおり絵にかいたもちと言ってよいでしょう。
 ここで総理にお尋ねしますが、その前提条件となる昭和三十六年四月一日国民年金発足以来保険料を完納し、将来五万円給付の資格を有するサラリーマン夫人の数は一体どれだけなのか、具体的に説明を求めたいと思います。
 その第三は、兵役期間の通算の問題についてです。
 御承知のように、軍人軍属の期間は、若干の条件はあるにしても、国家公務員、地方公務員両共済年金には加入期間として通算され、年金計算の基礎に算入されることになっております。それに比べて、厚生、国民両年金はもちろん、私学、農林両共済年金とも、身分が民間だからという理由で加入期間の通算が認められていないのであります。国家の命令によって生死をかけて戦った者が、戦後従事した職業によってその兵役期間が生かされたり殺されたりするようでは、一体国民は何を信頼して生きていけばよいのでしょうか。特に、全国的に繰り広げられている旧軍人軍属恩給欠格者全国連盟の動きなどを見るとき、私はひとしおこの感を深くするものであります。この現実にある大きな矛盾や不公平を無視したままで、なぜ大改悪の道をひた走りに走ろうとされるのか、私にはどうしても納得できません。
 私は、この軍人軍属の期間をすべての公的年金制度に通算をし、その部分の必要な原資は軍人恩給予算で賄うという一つの具体的な解決策を持っております。また、こうした戦時にかかわる問題の解決を急ぐことこそが政府に与えられている急務であると考えるのですが、戦時中海軍士官として弾丸雨飛の中で戦った厳しい体験を持つ総理に、この点について重ねて御見解をただしたいのであります。
 また、仮に民間だからどうしても兵役期間は通算できないというのなら、せめて私学、農林両年金にだけでも、障害年金を厚生年金並みに在職中から給付するという改善策をなぜ提案しないのか、所管大臣である文部、農林水産両大臣にただしたいのであります。
 第四点は、来年三月三十一日にとられる、形の上であるとはいえ、全員一斉退職の方法の持つ問題点であります。
 このことは、その時点で年金額を計算をし、四月一日以降勤務した場合当然新しい方式による計算になりますから、毎年勤続年数すなわち保険料納付年数が伸びても逆に年金額は低下を続けるので、三月三十一日の年金額は最低保障するという内容です。これでは、まさに来年四月以降は掛け捨てではないかと言われても返す言葉がないのではないでしょうか。しかも、保険料は年々増額されるのですから、まさに泣き面にハチというのはこのことを指すのではないでしょうか。共済年金加入者がひとしく憂えているこの点に関して、年金額の推移を含め具体的数字を挙げてどういう経過をたどるのか御説明をいただくよう、大蔵大臣に回答を求めます。
 第五点は、現在受給中の方々に対する事実上のスライドストップという手厳しい措置についてであります。
 本議題の中にも明記してあるように、来年四月一日を期して、受給中の方々の年金額も新しい方式によって全員再計算されます。当然のことながら、結果的に新年金額が現行受給中の年金額を上回る人は一人もおりません。さすがに政府も胸の痛みに耐えかねてか、たとえ新年金額がどんなに低くなっても、現行給付額は保障するという方針を明らかにされております。ここで問題なのは、来年度以降のスライドは、保障される現行年金額に対して行うのではなく、新しく計算された低い年金額に対して行い、これの連続の結果として、現行年金額に到達するまでは、実際に受給できる年金額はびた一文も値上がりしないということなのです。
 このことは、さきに改定された厚生年金や国民年金についても共通して言えることであります。総理、年金生活者には、在職中のように超過勤務手当もなければボーナスもないことは言うまでもありません。国民年金や各福祉年金の受給者を含めて、年金生活者にとって唯一最大の楽しみはスライドの実施だと言ってもよいでしょう。現に昨年暮れ、辛うじて年内に清算支給ができた老齢福祉年金について、受給者であるお年寄りの皆さんが、わずか月五百円のスライドを正月の小遣いができたといって随喜の涙を流す姿を、私はこの目ではっきりと見てきております。(拍手)
 こうした年金生活者の実態を見るとき、今回の事実上のスライド見送りの措置は、年金受給者の最大の喜びを取り上げ、長寿の秘訣を奪い去る無情な仕打ちであるばかりでなく、受給者の方々の財布をがっちりと締めてしまうという現象を招き、その結果として、総理が呼びかけておられる国民一人当たり百ドルの舶来品購入の実現どころか、逆に内需の落ち込みにつながるのではないかと心から懸念するものであります。日本経済の置かれている現実を冷静に判断するとき、少なくとも年金受給者の皆さんに対してとられるこのスライドストップの措置は、まさに時代錯誤の大愚行だと広く国民各層の厳しい糾弾を受けてもやむを得ないと考えます。
 総理、私はあえて申し上げますが、ライン川でローレライをドイツ語で歌い、先進諸国首脳に親密の意を表するよりも、こうした国民生活の実態に光を当て、年金生活者に対し、たとえわずかであってもスライドを実施することの方が、我が国経済の活性化にとってはるかに有意義であり重要だと大臣に指摘したいと思います。この点に関し、総理の反省を促すとともに、見解を明らかにされることを求めます。
 最後に、私は総理に対し、ただ単に高齢化社会の到来を強調して社会保障、福祉、年金の各制度の後退を図るのではなく、例えば私が指摘した厚生年金の累積剰余積立金四十五兆円を、加入者である被保険者のために直接役立つような方向で、その使途について抜本的検討を加え、また、そうしたことを含めて公的年金制度間の不公平や矛盾をよい方向に是正することこそが当面の緊急課題であることを強く要望し、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 上西議員にお答えをいたします。
 まず、公的年金制度と恩給との関係でございます。
 恩給につきましては、公的年金制度とその性格が基本的に異なっていると考えております。すなわち、これは戦前からの恩給法に基づきまして恩給を受くるの権利として国家が保障しておるものであり、また、掛金も既に支払われておるものでございます。したがいまして、年金と同一に論ずることはできない要素を持っておるのであります。また、臨調答申等にもあるとおり、公的年金制度の改正とのバランスをも考慮して、将来これが検討を行うことも一面においては必要であると考えております。
 次に、基礎年金五万円の問題でございますが、今回の制度改正では、社会保険方式を維持することとしておりまして、基礎年金の額は昭和三十六年四月以降の年金制度への加入実績によって決まる仕組みになっているのは御指摘のとおりでございます。御指摘のサラリーマンの妻で昭和三十六年当時任意加入された者は百二十万人と見込まれております。そのうち現在まで引き続き保険料を納めてこられた方がどの程度おられるかについては正確に把握することはできませんが、現在までの国民年金への任意加入状況等から見て、相当数が月額五万円に近い基礎年金を受けられるものと見込んでおります。
 次に、厚生、国民年金、私学共済、農林共済年金の軍歴通算問題でございます。
 民間の被用者や自営業者等を対象とする一般的な社会保障制度であるこれらの年金制度におきまして、軍歴期間のある者だけを特例的に扱うことは、公平の観点から困難であると考えております。
 次に、既裁定年金の裁定がえとスライド停止の問題でございます。
 今回の改正では、既裁定年金のうち、厚生年金類似のいわゆる通年方式による年金については従前どおりにいたしております。ただ、所得の高い人たちが選んでいる、いわゆる一般方式による年金については通年方式に改定いたしまして、従前額は保障するがスライドについては一定期間停止するということにしております。このような措置は、今後現役の公務員について給付の適正化を図ってもなおかつ掛金負担が大幅に増加せざるを得ない状況にある等から見まして、現役と退職者との給付水準のバランス、給付と負担のバランス、制度の恒久的安定化を図って必要であると考えた次第なのでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、まず私学共済、農林漁業共済の改正法案に関連して今回の共済年金の改正の考え方を問う、こういうことでございます。
 共済年金制度は、恩給や旧法年金を引き継いで発展してきたという歴史的な経緯、沿革、これがございます。年金額の計算上の基礎給与につきましても、これらの制度に準じ、最終給与に近い退職前一年間の平均給与を用い、この給与をもとに一定の率を乗じて算出いたしますところのいわゆる共済方式ともあるいは一般方式とも申します、これと定額的要素を加味したいわゆる通年方式とを併用して今日に至っておることは御指摘のとおりであります。今回の改正の目的は、公的年金が長期的に安定した制度として営まれますように給付と負担のバランスを図って、他方、公的年金制度の整合性ある発展を図るため、その一元化を展望しながら給付水準の適正化を図ることにあるわけでございます。そのため、共済組合の組合員に対しても全国民共通の基礎年金の制度を適用いたしますとともに、共済年金を基礎年金に上乗せする報酬比例年金として設計をして、その給付水準についても、基礎給与のとり方を含め厚生年金と均衡のとれたものとしたということでございます。
 それから次の問題は、今回の改正によりまして年金の給付水準の適正化を図ることとしておりますが、これに伴う年金額の激変を避けるために、施行日における年齢に応じた経過措置を設けることとしておりますので、施行日以後に給付事由が生じた年金につきましては、新しい年金算定方式によって計算した額と現行制度によって計算した額とは、大多数の人の場合大差はないものと考えております。ただ、俸給が高く、その結果現行制度によって計算した年金額が高い人につきましては、昭和六十一年三月三十一日において退職したものとして算定した現行制度によります年金の額を保障することとしておりますが、当分の間、すなわち新制度による年金額が追いついていくまでの間、スライドを停止するということにしておるわけであります。昭和六十一年三月三十一日における現行制度で算定した年金額と新制度による年金額との差は、その者の給与、加入期間、年齢、これによって各人によって大変まちまちでございますので、したがって、停止措置の期間がどのくらいになるかということを一概に申し上げるのは困難であります。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) 私に対する御質問の第一点は、私学共済組合の設立の沿革と今日まで果たしてきた役割についての評価いかんという点でございました。
 我が国の学校教育において私立学校は極めて重要な役割を担っており、私立学校の教職員が安んじてその職責を果たすためには、教職員に対する福利厚生制度を整備することが必要であります。そのため、国公立学校教職員の共済制度との均衡を配慮しつつ、昭和二十九年に私立学校教職員共済組合が設立されたことは先生御承知のとおりです。設立後、逐次教職員の福利厚生の充実に努めてきたところでありまして、このことにより、私立学校教育ひいては我が国の学校教育の振興に大きく寄与してきたものと考えております。
 御質問の第二点は、私学共済組合の経営基盤の安定実績についての見解についてでございました。
 私学共済年金の財政は、関係者の御努力と私立学校の発展により、現時点においては他の公的年金制度に比べて比較的安定していると承知しております。しかしながら、今後における年金受給者の増加等による給付費用の増大を考えると、私学共済年金自体についても将来を見通した給付と負担の適正化を図ることは不可欠なことであると考えておるわけでございます。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
○国務大臣(佐藤守良君) 上西議員にお答えいたします。
 まず、農林漁業団体職員共済組合の設立の沿革と今日まで果たしてきた役割の評価についてでございますが、農林漁業団体は、我が国の農林水産行政の推進上極めて重要な役割を担っておりますが、これら各団体の役職員につき市町村の職員等に劣らぬ資質のすぐれた人材を確保するためには、各団体の役職員に対する福利厚生制度を整備することが必要であります。農林漁業団体職員共済組合は、このような観点から昭和三十四年に、公務員、私立学校教職員等の共済制度との均衡に配慮しつつ設立されたものでございます。設立後、逐次その充実に努めてきたところであり、このことにより、農林漁業団体の事業の円滑な運営ひいては我が国農林水産業の発展に大きく寄与したものと考えております。
 次に、農林漁業団体職員共済組合の経営基盤の安定実績に対する見解についてでありますが、農林共済年金の財政は、多数の組合員が長期間にわたって掛金を納め、これが相当な額の積立金となって本制度を支え、安定さしてきたわけでありまして、これに至るまでの各団体及び組合員の自主的な努力につきましては十分評価いたしている次第でございます。しかしながら、今後における年金受給者の増加等を考えると、農林共済年金としては、制度の長期的安定を図るためには、将来を見通した給付と負担の適正化を図ることが不可欠であると考えております。
 次に、農林共済年金にも厚生年金並みの障害年金の在職中給付を実現すべきではないかというお尋ねにつきましては、農林共済年金の障害年金につきましては、他の共済年金制度と同様に、従来から農林漁業団体を退職して共済組合の職域を離れた者のみについて年金を給付することといたしておりますが、今回の改正案におきましては、障害年金の特性にかんがみ、在職中であっても給与が低い障害者につきましては一定の年金を給付することにいたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(坂田道太君) 吉井光照君。
    〔吉井光照君登壇〕
○吉井光照君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法の一部を改正する法律案外三案について、総理及び関係各大臣並びに人事院総裁に対して質問を行うものであります。
 今回の共済年金制度の改正は、公的年金制度全体の一元化を実現するための重要な法改正であると位置づけられていることは御承知のとおりであります。しかしながら、その実現の見通しが極めて不明確である上、一元化を目指して共通の制度設計を目指すという改正内容そのものについても、多くの疑問点を指摘せざるを得ないのであります。
 以下、重点項目に絞って質問をいたします。
    〔議長退席、副議長着席〕
 まず、今回の法改正と関連する年金制度改革についての政府の基本方針及び基本的な考え方についてであります。
 周知のとおり、政府は、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるという方針を打ち出しております。高齢化社会を迎えて年金財政を維持していくためには、私は率直に言って、公的年金制度全体の一元化は避けられないと考えるものであります。ところが今回の改正案では、破産状態にある国鉄共済年金については六十五年度以降どのように対応するかという方針は全く示されておりません。しかも、現在のところ、共済グループの一本化についても極めて困難な実情にあるのであります。去る四月二十四日、国民年金法等の一部改正案が成立をし、国民年金、厚生年金加入者には、給付面での切り下げ、また負担面においてもいや応なく重荷を背負わせることになるのであります。その上、また今回、共済年金加入者にも同じような措置がとられようとしているのであります。私は、こうした状況下にあればこそ、将来の公的年金制度全体の一元化構想の内容を明確に示し、そのプロセスを明らかにすることが政府の責務であると考えるのであります。
 そこで、まず総理に対し、六十五年度以降国鉄共済年金をどのように救済されようとしているのかを含め、年金制度全体の一元化についての具体的方針をお尋ねいたします。
 新しい共済年金制度の制度設計は、基礎年金部分の比重が過半を占めているのでありますが、それだけに、共済年金の立場から見ても、基礎年金について問題点を指摘しなければなりません。言うまでもなく、基礎年金はすべての年金加入者に共通する制度であり、基礎年金の性格づけから見て、この給付水準は最低生活の保障をするに足るものでなければならないはずであります。私は、基礎年金に対する国庫負担を四〇%に引き上げることにより、年金額を最低保障水準に引き上げるとともに、所得比例保険料を導入し、所得の低い人たちの保険料を引き下げるべきであると考えるのでありますが、この点に対して、総理並びに大蔵大臣の見解を求めるものであります。
 あわせて、この機会に、関連して定年延長についてお伺いいたします。
 今回の共済年金を初め、すべての年金が将来六十五歳支給開始を予定しているのでありますが、私は、六十五歳支給開始はあくまでも定年とリンクするようにしなければならないと考えるのであります。定年の延長は高齢化社会にあっては特に重要であります。この定年延長問題への政府の取り組みについて、方針をお示しいただきたいのであります。
 第二は、国家公務員の年金制度のあり方及び改正の内容についてであります。
 申し上げるまでもなく、国家公務員は、国家公務員法によって、憲法に定める労働基本権に制限が加えられるほか、政治的行為が禁止され、守秘義務も課せられ、私企業からも隔離されるなど特殊な服務規律が定められているのであります。しかも、これらに対する違反行為に対しては罰則の制裁がとられることになっております。今回の改正で、いわゆる三階建ての部分として職域年金が設けられておりますが、報酬比例年金の二〇%相当分という水準は余りにも不明確であります。本来、職域年金の水準は、保険料とのバランスを考えるとともに、公務員の公務の特殊性への配慮や、厚生年金における企業年金とのつり合いを十分に考慮したものでなければならないことは言うまでもありません。大蔵大臣は、国家公務員の公務の特殊性と年金との関連をどのような具体的根拠に基づいて決定されたのか、答弁を求めるものであります。
 また、人事院総裁は、当然国家公務員法第百八条によって意見を申し出るべきであったと思うのでありますが、この職域年金についてどのような見解をお持ちなのか。また、今後企業年金等の実態を調査するとともに、この結果を公務員の年金に反映するよう努力するおつもりなのかどうか、お伺いをいたします。
 ところで、今回の改正案のように、いわゆる一般方式を選択する高額な年金受給者の物価スライドを停止することは、年金制度への信頼という面や軍人、文官恩給等との関連からいって疑問を呈する向きもあるものの、私は、現役国家公務員の負担を勘案するとともに官民格差の是正が要請されている現状から見て、やむを得ないと考えるのであります。しかし、一般的に有利とされる共済年金でありながら、例えば中堅以下の退職者で通算年金方式による年金受給者の中には、厚生年金以下の年金額を受給している者もあるのであります。また、遺族年金にしても、その受給要件や計算方式において厚生年金の方が有利な仕組みになっていたのであります。したがって、共済年金の水準を厚生年金並みに抑えようとするならば、もともと厚生年金より不利な条件のもとに置かれていたこのような既裁定年金は、厚生年金並みに引き上げないと片手落ちになると思いますし、また、これらの人たちの掛金は厚生年金より相当に高い水準であったことにも留意しなければならないのであります。大蔵大臣は、このような実情を是正する考えはないのかどうか、お伺いいたします。
 次に、人事院は、かつて公務員の生涯給与について、民間より公務員の方が低い実情を示す資料を公表いたしましたが、人事院総裁は、厚生年金よりも不利な条件にある共済年金の既裁定年金受給者がいることをどのように認識されているのか。また、こうした実情があるにもかかわらずその是正に努力されてこなかったことは、国家公務員法第百七条及び第百八条の規定から見ても大きな疑問を抱かざるを得ないのでありますが、総裁の見解を伺うものであります。
 次に、国家公務員の年金を論ずるに当たってどうしても触れざるを得ないのは、人事院勧告制度についてであります。私は、人事院勧告の完全実施をあくまで要求するものでありますが、六十年度の人事院勧告の取り扱いについて、政府の方針をお伺いするものであります。
 また、人事院総裁は、ここ数年に見られるごとく、労働基本権の代償措置である人事院勧告制度が財政上の理由によって事実上形骸化されている実情をどのようにお考えになっているのか、あわせて御所見をお伺いしたいのであります。
 次に、日本電信電話株式会社、日本たばこ産業株式会社、両社の年金制度についてお伺いいたしますが、両社が民間の会社として発足した以上、将来にわたって共済年金制度へ閉じ込めておくことは不可能であろうと思います。両社の年金制度の将来についてどのように考えているのか、その御見解をお示し願いたいのであります。
 最後に、地方公務員、私立学校教職員、農林漁業団体職員の各共済組合法の改正についてお伺いいたします。
 今回の地方公務員の共済年金の改正では、掛金及び年金の算定基礎に給料月額を用いることとし、これに補正率を乗ずることとしておりますが、厚生年金方式と異なった方式を採用することは社会保障水準たる厚生年金との関係が不明確となり、今後に問題を残すことになりかねないのであります。また、地方公務員にかかわる基礎年金の国庫負担分を国にかわって地方自治体が負担するということは、基礎年金という性格から見てどうしても納得できないわけですが、こうした諸点について、自治大臣の答弁を求めるものであります。
 次に、私立学校教職員の共済年金についてでありますが、私立学校で働く人たちの年金を公務員の場合と同様に一律に規定する必要はないと思うのであります。特に、近年の企業年金等の実態からすれば自由設計によるメリットの方が大きく、厚生年金基金の例に倣って労使の話し合いによる自由設計が可能な制度にすべきであり、通算年金方式による年金受給者の多い両共済は、むしろ早い時期に厚生年金保険法の適用に戻すべきであります。
 また、農林漁業団体職員の共済年金については、関係団体の経営基盤が脆弱で賃金水準も低いことから、年金支給額も社会保障水準以下にある者が多い実情にあります。しかも、今回の改正による掛金負担のアップは、これら関係団体に対し一層重い負担を強いるわけであります。我が国農林漁業を取り巻く現状には厳しいものがありますが、掛金負担の重圧等にも対応できるよう、これら関係団体の経営基盤の強化が必要であります。
 この私学共済年金と農業団体職員共済年金について、総理の御答弁をいただきたいのであります。
 以上、数点にわたって質問をいたしましたが、政府の明快なる御答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 吉井議員にお答えをいたします。
 まず、公的年金制度の一元化の問題でございます。
 さきに国民年金並びに厚生年金の改正をお願いをいたしまして、今回この共済年金の改正が実現しますれば、基礎的部分が統合一元化されることになり、大きく公的年金制度一元化は前進するのでございます。昨年二月の閣議決定に沿って国鉄共済を含めた公的年金制度全般について昭和七十年を目途に一元化を完了させることとなりますが、その具体的内容、進め方は、来年四月の新しい年金制度発足後の検討課題といたしております。いずれにせよ、公的年金制度全体として給付と負担の公平化が確保され、整合性のとれたものになるよう、閣議決定の方針に沿って最大限の努力をいたす予定でおります。
 基礎年金の水準とその国庫負担の割合の問題でございますが、基礎年金の水準は月額五万円としておりますが、これは国民の老後生活の基礎的部分を保障するものとして妥当なものと考えております。また、基礎年金の国庫負担三分の一、これを四割とすることにつきましては、現実問題として、極めて厳しい財政事情にある今日においては困難であると考えております。
 次に、所得比例保険料制度の導入の問題です。
 御指摘の考えも一つの御見識であると思いますし、衆議院の修正条項の中には、自営業者の保険料を検討するようにという御指摘もございます。しかし、自営業者等の所得の把握等非常に困難な問題、複雑な問題がありますので、将来の課題としてこれは検討してまいりたいと思う次第でございます。
 支給開始年齢と定年延長の問題でございますが、長寿社会におきましては、長い老後を意義あるものとして過ごすことは重要であり、一定年齢までは働く能力と場所がある限りは就労によって生活を支えて、その後の生活は年金に頼る、このようにしていくのが望ましいと思います。年金の支給開始年齢の問題は、今後の長寿社会を展望すると避けて通れない課題であります。そして、高齢者の雇用就業対策の推進につきましては、六十歳定年の一般化の実現に向けてさらに努力するとともに、六十歳台前半層についても、短時間勤務を含む雇用延長の推進等多様な雇用就業機会の確保に努力したいと思います。今後の対応としては、高齢者の雇用の動向を踏まえ、雇用と年金保障との適切な組み合わせが図られるように対処してまいりたいと思います。
 六十年度人事院勧告につきましては、勧告制度尊重の基本姿勢に従いまして、勧告が出された場合には、その段階で国政全般との関連を考慮しつつ、勧告の完全実施に向けて最大限の努力をいたす所存でございます。
 民営会社の年金制度の問題でありますが、電信電話及びたばこ産業の職員の年金制度については、その沿革等に配慮し、経営形態変更後も引き続き国共済制度を適用しております。この両社の職員に対する年金制度の将来の方向については、公的年金一元化の過程で検討してまいる所存でございます。
 私学共済年金の厚生年金保険法適用問題でございますが、私学共済制度は、私立学校教職員の福利厚生について、私学振興の観点から国公立学校教職員との均衡を図るべく制定されたものであり、現行どおり私学共済制度として適用してまいりたいと思っております。
 農林漁業団体の経営基盤の強化の問題でございますが、農林漁業をめぐる諸情勢は依然として厳しく、これらの団体の健全な展開が図られるように努力していく必要があります。経営基盤の確立には、農林漁業者のニーズに応じた事業量の拡大あるいは経費節減等による経営合理化、生産性の上昇等が必要であり、政府としても今後必要に応じて適切な指導を行う方針でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) まず、最初の基礎年金の国庫負担割合、この問題は総理からもお答えがございましたが、現行の年金、共済に対する国庫負担割合は制度ごとに異なったものとなっております。このため、今回の年金、共済制度改革におきましては、国庫負担を老後保障の基本的部分である基礎年金の部分に集中し、その割合は現行制度で最も高い国民年金と同一の三分の一として制度間の公平を図った、これが基本的な考え方でございます。
 それから次は、国家公務員の年金制度のあり方、そして公務員の特殊性等に対する御意見を交えての御質問であります。
 公務員には、公務の公平、中立の立場の確保という観点から、職務専念義務、私企業からの隔離、信用失墜行為の禁止等服務上種々の特別の制約があります。したがって、共済年金制度のおり方を考えるに当たっても、社会保障としての公的年金部分のほかに、公務という職務上の特殊性の面も考慮した配慮が必要であると認識をしておるわけであります。このため、今回の改正案では、共済年金の中に職域年金相当部分を設計することとしたわけでございます。
 これについて、水準決定等のお尋ねでございました。
 共済年金の中に、職域年金相当部分として若干の上積みを行っております。職域年金相当部分の年金水準につきましては、民間における企業年金の態様、水準、費用負担の割合等その実態は千差万別で、それとの比較において一様の結論を得ることは困難であります。しかし、民間企業についてもいわゆる企業年金が相当普及しているという点も考慮いたしまして、あわせて先ほど御指摘のあった公務の特殊性にも配慮しながら、同時に、その費用を負担する現職者の負担の限度、年金受給者と費用負担者の世代間のバランスの維持等から、給付水準にはおのずと限界があることを考慮して、公的年金相当部分の二割程度、基礎年金を含めた公的年金全体の八%程度を職域年金部分として上積みすることにしたものであります。
 それから次の問題は、共済年金と厚生年金では、制度の経緯、沿革等の違いから、年金額の計算方式、支給開始年齢、所得制限等さまざまな面で相違が生じておりますが、年金額の算定に当たりましては、厚生年金類似のいわゆる通年方式を導入することによりまして、厚生年金に比べ著しく不利になることがないよう措置しておるところであります。厚生年金に比して低い水準にある者の見直し、改善につきましては、支給開始年齢、所得制限等の相違等もありまして一様に比較できないほか、今回の改正で一般方式から通年方式への裁定がえを受ける人とのバランス等制度内における均衡上の問題が生じること、あるいは年金財政を維持し給付水準の適正化を図ろうとする今回の制度改正の趣旨に照らして適当とは言えないと思うのであります。
 それから、人勧の問題は総理からお答えがございました。勧告制度尊重の基本姿勢に立って、勧告が出されれば、その段階で国政全般との関連を考慮して、最大限の努力を尽くす所存であることは言うまでもありません。
 それから、NTTとたばこ産業の年金制度の問題でございますが、その歴史的沿革、制度の類似性等に配慮して、経営形態変更後も国共済制度の適用を受けることにしたところでございます。この両社の職員の方々に対する国共済法の適用につきましては、将来公的年金の一元化が進んで公的年金全体の再編成が行われる時点で検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しが行われていく、こういう考え方であります。(拍手)
    〔国務大臣古屋亨君登壇〕
○国務大臣(古屋亨君) 吉井議員の私に対する質問は二つございまして、一つは、地方公務員に係る年金額の算定基礎の問題でございます。
 地方公務員につきましては、平均標準報酬を用いないで、給料を基礎とする平均給料月額を用いまして年金額を算定するということにしております。これは、民間の場合には基本給と諸手当との関係が種々でございますが、公務員の俸給表あるいは給料表は、職務の性格、責任の度合い、勤務環境等を総合的に反映していることが一つ、もう一つは、地方公務員の場合、地方公共団体によりまして手当が区々でございまして、平均標準報酬では同種の職務の地方公務員間でも年金額に相当な差が出てくるというなどの理由によるものであります。しかし、平均給料月額も、全期間について給料に公務員の平均的な手当の率を勘案した補正率を乗じて算出することになっておりますので、全体の年金水準は厚生年金と均衡のとれるものとなっておりまして、公的年金制度一元化に当たっても問題はないと考えております。なお、今回の改正案につきまして御審議をいただきました地方公務員共済組合審議会からも、給料を基礎とすることが適切であるという全委員の意見の一致を見た旨御答申をいただいておるところでございます。
 第二番目は、公的負担を地方公共団体が負担する問題でございます。
 公的負担の負担主体につきましては、地方公務員共済制度では現行と同じように地方公共団体といたしております。これは、今回の公的年金制度全体の改革におきましても、公的負担というものは、共済年金におきましてもあるいはまた厚生年金におきましても、そういう各制度に対する負担であるという考え方でございまして、従来からの経緯もありまして、今回の改正におきましては現行どおり地方公共団体の負担といたしたものでございます。(拍手)
    〔政府委員内海倫君登壇〕
○政府委員(内海倫君) 御質問に対しまして、それぞれの点につきましてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、共済年金関係でございますけれども、今回の改正案の中の職域年金部分につきましては、公務の能率的運営に資するという観点から、公務員の身分上の制約等の特殊性、民間における企業年金の動向をもにらみながら、総合的に勘案して設定されたものと承知いたしております。公務員の退職年金制度が引き続き公務員制度の一環として機能するためには、このような公務の職域年金の設定は当然に必要であると考えております。
 次に、私的年金の関連の問題でございますが、民間企業の企業年金につきましては、退職年金制度等公務員制度との関連から私どもも強い関心を持っております。この制度は今後もだんだんに普及してくるものと思われますので、今後の公務の職域年金のあり方との関係が、さらに調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 次に、お尋ねの年金の水準あるいは生涯給与等の大小の問題でございますが、そしてまたそれに対する是正措置に関する御質問でございますが、公務員の退職年金制度は公務の公正かつ能率的な運営に資するという公務員制度の側面を有し、退職公務員の生活維持の主柱をなしており、まずまずの給付水準が保たれておると認識いたしております。今回の年金制度の改正は、高齢化社会の到来等に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るために改革を進めるという基本的な考え方に基づくものと承知いたしておりまして、公務員にとりましてはかなり厳しい内容ではございますが、一方において公務員制度の側面を考慮し、職域年金が設けられておりますことなどを総合勘案いたしますれば、今回の改正は基本的にはやむを得ない面があるものと考えております。なお、この問題につきましては、ただいま申し上げましたように、公務員にとりましては極めて重要な問題でございますので、私どもとしましては、重大な関心を持って今後の成り行きを見守りつつ、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 最後に、人事院勧告制度についてのお答えでございますが、人事院勧告制度は、申し上げますまでもなく、公務員について労働基本権が制約されていることに対する代償措置として設けられておる制度でございまして、これが尊重され、機能しているということが大変重要なことであります。ここ数年、勧告の取り扱いにつきましては、各方面の御尽力にもかかわらず、見送りあるいは抑制実施という大変残念な結果となっております。人事院としましては、勧告制度に対する各方面の御理解を得て、勧告を完全実施していただくよう今後ともに努力をしてまいる所存であります。国会及び内閣におかれましても、今後ともこれを維持、尊重されるということでございますし、どうかこの制度が完全に機能するよう特段の御理解と御教示を賜りたいことをお願いして、答弁を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(勝間田清一君) 玉置一弥君。
    〔玉置一弥君登壇〕
○玉置一弥君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま趣旨説明の行われました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案並びに私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 我が国は二十一世紀に向けて急速に高齢化社会に移行しつつあることは、もう既にだれもが認めるところでありますが、社会の諸制度が人生五十年のころの時代から進展しないままに人生八十年の時代を迎え、国民の間では従来以上に老後の生活に対する不安が高まっております。医療、年金、福祉等においては、時代の流れに対応した制度の整備が求められ、社会情勢の変化から世代間の給付と負担の適正化を図る必要が生じ、また、量的なカバーから質的な充実と自助努力を併用した方向に変化してきているのであります。こうした中で、老後の生活の柱となる公的年金制度において、厚生年金、国民年金、共済年金の各制度の改革にようやく手がつけられるに至りましたが、年金制度の長期安定化が図られたとはいえ、国の財政状況、高齢化の速度等考えると、自分たちが年金受給の資格を得たころに本当に年金がもらえるのかどうかというのが、今の若い人たちの率直な気持ちであります。
 国民の年金に対する願いは、老後の生活保障としての給付の確保、年金制度の存続、過大な負担の解消、公平の原則の確立であり、これらを満たすには、適正な国庫負担の確保と適正な給付、料率の設定が必要なことは言うまでもありませんが、国民の負担能力を保障していくためには、経済、財政の適切な運営が不可欠であります。
 国民の所得が伸びないまま制度を維持していくために国民の負担だけが増大している今日の状況から見ると、将来の年金制度の運営が国民生活を守る本来の目的から外れ、財政再建の観点からのみ考えられている可能性もあります。総理は、絶えず国民の意識調査を行っておられるとお聞きしますが、今回の政府が昭和七十年に向けての公的年金制度の一元化等の取り組みの中で、国民の年金制度に対する期待についてどのように受けとめておられるか、お尋ねをいたします。
 年金制度を維持していくためには、適正な料率設定と適正な国庫負担の確保が必要でありますが、ともに国民の負担であり、その能力の限界内に抑えることが条件であります。税負担、社会保障負担それぞれにおいて、国民負担の能力の限界をどのように見ておられ、どの程度に負担の設定をするのが適切と思われますか、総理の御所見をお伺いいたします。
 また、財政再建の現在の状況から見て、これから相当の期間にわたって財政運営の苦しい時代が続くと思われますが、税負担と社会保障負担の割合がある程度の比率で固定されると見るのか、それぞれひとり歩きするのか、総理の御所見をお聞かせください。
 次に、民間における定年制の問題についてお尋ねをいたします。
 御承知のとおり、公務員については本年四月より六十歳定年法が実施されておりますが、民間においては定年法の制定がまだ行われておりません。定年と年金をつなげていくことが理想でありますが、民間における定年延長の進展は遅く、一方で年金の受給資格年齢はどんどん引き上げられ、空白の期間が拡大してきております。六月十三日に雇用審議会におきまして「今後の高齢者の雇用・就業問題について」の報告書が出ましたが、これによりますと、昭和六十年度中に六十歳定年の一般化を図ることを目標とし、行政指導を積極的に推進することになっております。総理は、六十歳定年法の制定を考えておられるのか、また、定年問題についてどのようなお考えを持っておられるのか、お伺いいたします。
 高齢者福祉対策についてお尋ねをいたします。
 高齢者福祉対策は、個々の政策で前進しつつあることは十分承知をしておりますが、生きがいや心の豊かさを求める質の高いニーズに対応したものでないのも事実であります。それは、現在の縦割り行政に欠陥があるために万全な対策が不可能となっているからであります。総理はこのことを十分承知しておられ、高齢化社会政策大綱の策定、高齢化対策閣僚会議の設置や役所内の組織変更を発表されたと聞いておりますが、高齢者問題は行政だけでなく社会全般が分担して解決していかなければならない重要なる課題であります。そのためには、政労使及び国民各層からの代表で構成される高齢者対策国民会議のようなものを設置し、行政も含めたそれぞれの意見の集約と高齢者に対する政策の策定、各分野の分担を行うべきだと考えますが、総理の御意見をお伺いいたします。(拍手)
 我が国の公的年金制度は、厚生年金、国民年金、共済年金に分かれ、共済年金はさらに業種別に分立し、制度間での格差と制度によっての財政基盤の弱さが問題となっていました。年金制度一元化の動きの中で、世代間の給付と負担のバランス、長期的制度運営の安定強化が図られ、指摘されてきた不公正な部分についても改善が加えられてまいりました。今回の改正法案については、その点で一応の評価をいたしておりますが、抜本改正であるため、まだいろいろの論議が提起をされております。
 その一つは、二階建ての上に報酬比例部分の二〇%の職域年金が上積みされている点であります。職域年金は、民間の企業年金に当たるものと説明されておりますが、企業年金は民間の全企業にまで普及していないこと、また退職金の一部を財源としていることなどから、民間側からは新たな官民格差であるとの指摘もあります。また、民間に比べて高い退職金については是正を行うべしとの意見があります。民間における企業年金の普及状況から見て、なぜ職域年金が必要なのか、総理にお伺いをいたします。
 また、民営化された日本電信電話株式会社及び日本たばこ産業株式会社の共済組合における職域年金については、独自に設定することを認めるべきだと考えますが、総理の御見解をお聞かせください。(拍手)
 国鉄共済年金問題は極めて重要な問題でありますが、その安定化と公平化のため、六十五年度以降の財政調整基盤の拡大についていかがお考えでありますか。
 厚生年金、国民年金では将来の標準年金額の推移が示されておりますが、共済年金における将来の標準年金額はどうなるのか、総理並びに関係大臣にお伺いをいたします。
 次に、支給要件についてお伺いをいたします。
 改正案では、本則六十五歳、特別支給六十歳となっていますが、定年制を持たない共済組合にあっては、年金受給の空白期間が生ずることになりますが、他の共済組合との比較においての格差をどうするのか、関係大臣から御答弁をいただきたいのであります。
 次に、年金積立金の管理運用についてお伺いをいたします。
 現在四十五兆円もある厚生年金、国民年金の積立金の全額が資金運用部に預託され、財投資金として大蔵省で統合運用されておりますが、共済組合の年金積立金は従来から自主運用となっております。急速に進む高齢化社会の中で、年金の保険料が年々引き上げられている現在、年金積立金の管理運用も効率的に進めていかなければなりません。運用利回りがたった〇・一%向上するだけで四百五十億円もの増収になる運用益は、年金の貴重な財源であります。四十五兆円もの資金を一気に自主運用するのは、金融市場の混乱を考えると無理ですが、厚生年金積立金の一部について自主運用すべき時期に来ていると考えますが、総理並びに大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 年金改正のスケジュールについて、お伺いをいたします。
 先般の厚生年金、国民年金、今回の共済年金の改正は、昭和六十一年四月同時スタートとして閣議決定されております。共済年金の国会における論議はこれから始まるところであり、共済年金については六十一年四月スタートが危ぶまれております。私は、各年金が同時スタートで行うべきと考えておりますが、総理並びに関係大臣のお考えをお伺いいたします。
 最後に、年金制度改革に当たって国民の不安を取り除き、将来の活力を保持できるよう、国民の理解と合意の上に立った制度確立のため、総理の御決意をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 玉置議員にお答えをいたします。
 まず、年金制度に対する国民の御期待でございますが、公的年金制度に対する国民の御期待は非常に大きなものがあるように思います。公平で安定した年金制度を築き上げて国民の御期待と御信頼にこたえるために、今般も年金制度全般にわたる改革を行っておる次第でございます。今回の共済年金の改正も、このような観点からして長寿社会に向かって不可欠の改革であると思います。来年四月にぜひとも国民年金、厚生年金の改正と同時に実施できるよう、早期の成立をお願いいたす次第であります。
 次に、国民の負担率の問題でございますが、国民の負担率の水準の中長期的な方向につきましては、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」あるいは臨調最終答申等におきまして、今後、高齢化社会の進展等により、現状よりは上昇することとならざるを得ないが、徹底的な制度改革の推進により、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめるよう努力する、こう書いてあります。この線にいくように努力してみたいと思います。
 定年立法化の問題でありますが、六十歳定年の立法化問題については現在雇用審議会において御審議いただいております。政府としては、その結論を得た上で対処する所存でありますが、いずれにしても、六十歳定年一般化の実現に向けて、指導、援助、奨励を行っていくつもりでおります。
 総合的な高齢者対策の推進であります。
 この長寿者対策につきましては、内閣総理大臣を本部長とする老人対策本部というのが従来ございました。この老人対策本部という名前も悪いし、内容も刷新する必要があるというので、今その改革案を練っておるところでございます。長寿者対策のビジョンにつきましては、随時いろいろ各方面の意見を伺っておりまして、懇談会等を開催しておりますが、さらに体制整備につきまして政策を進めてまいりたいと思っております。
 次に、職域年金の問題でございます。
 これは、公務員の身分上の制約等の特殊的な性格にかんがみ、また民間における企業年金の内容等も考えまして、公務員の退職後の生活の安定と福祉の向上に資する目的で設定したものでございまして、御理解をいただきたいと思う次第であります。
 次に、電電そのほかの民営会社の職域年金の問題でございますが、電信電話及びたばこ産業の両社の職員につきましては、その沿革に配意し、経営形態変更後も国共済制度を適用いたしております。したがって、職域年金部分につきましても同じ国共法を適用し、国家公務員と同じようにやりたいと思っております。なお、民間部門におきましても私立学校、農林団体等の職員についても同様でございます。
 次に、将来の標準年金額の問題でございますが、一般組合員の場合、平均加入期間は三十五年で、平均年金額の現役公務員の月収に対する割合、いわゆる給付水準は約六九%程度と考えております。今後加入期間が伸びていき、改正案によれば四十年加入で現在と同程度の年金額を確保することに相なると見積もられております。
 年金積立金の運用でありますが、厚生年金で約四十九兆、国民年金で約三兆、約五十二兆の積立金がある様子でございます。将来の年金給付の貴重な財源であり、安全かつ有利に運用することが必要であります。これらの運用に当たりましては、公共的な運用を行う必要があり、さらに有利な採算性というものも考える必要があります。今後とも拠出者の意向が十分反映されるように配慮もいたしていきたいと思っております。有利運用等積立金の運用改善につきましては、厚生、大蔵両省間で協議中でございます。
 次に、制度の同時スタートの問題でございますが、長寿社会の到来に備えまして、御指摘のように、共済年金の改正についても改正法案の早期成立を図り、厚生年金等の改正と同時に実施することが必要であります。
 制度改革に当たっての決意でございますが、公的年金制度は世代と世代の助け合いの仕組みでありまして、長期的に安定した揺るぎのないものにして老後生活を保障していくということは非常に大事な政策でございます。これには、国民の御支援と合意がさらにまた大事でございます。国民のこの御期待にこたえまして、公平で安定した年金制度の構築化に向かいまして全力を注ぐつもりでおります。このためにも、今回の共済年金の改正法案について来年四月に実施ができるよう特段の御配慮を賜りたいとお願いいたす次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) まず、モデル年金の問題でございますが、総理からもお答えがございました。
 今、現役公務員の月収に対する割合六九%、今後改正案による年金額は十九万四千円、したがって若干高い、こういうことになろうと思っております。それから、現行制度のままでは、将来年金額は給付水準では約八一%に達しまして、負担と給付のバランスが崩れて制度の安定性を損なう、こういうことになるわけであります。
 それから運用問題でございますが、いわゆる国の制度、信用を通じて集められる資金でございますので、その運用に当たりましては、まず公共性の要請が優先されなければなりません。一方、年金積立者、貯金者等の利益をも考慮する必要がありまして、これらの要請を原資から運用を通じた一つのシステムとして調和を図っておるというのが、今日の統合運用制度のあり方でございます。したがいまして、これらにつきましては、やはり公的資金の政策的重要性に応じた配分を行って、そして財政金融政策との整合性を保つ、これが統合運用だからこそ可能であるということが言えると思うのであります。仮に、このような公的資金をばらばらに分離運用することになりますならば、公共的な資金需要に応ずることができなくなりますなど、バランスのとれた資金配分が困難となるわけであります。資金運用の主体が多元化すると、財政金融政策との整合性あるいは資金運用の効率性、機動性、こういうものも損なわれ、行政簡素化にも逆行する、こういうことが種々指摘されておるところでございます。
 それから、NTT、たばこ会社の問題について総理からもお答えがありましたが、私の方からお答えします観点は、年金の支給開始年齢と企業等からの退職年齢とは相互に一致することが望ましいことではございますが、定年制をどのように設定するかは個別企業ごとに決められる問題でありまして、年金の支給開始年齢と企業からの退職年齢との不一致の点は、厚生年金の被保険者民間企業についてもいまだ同様の事情にあるわけであります。共済年金としては、支給開始年齢について他の公的年金とのバランス等を考慮して、昭和七十年に六十歳となるよう措置することとしておるわけであります。
 それから次は、制度間調整の問題でございますが、共済年金制度は、公的年金制度としての性格を有しますとともに、公務員制度等職域年金制度としての性格をあわせ有しておるものであります。このため、公務の能率的運営に資するという観点から、公務員の身分上の制約等特殊な性格にかんがみまして、公務員等の退職後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的として、共済年金の中に職域年金相当部分として若干の上積みを行っておるわけであります。職域年金相当部分の年金水準につきましては、民間企業におかれても、いわゆる企業年金が相当普及しているという実態があること、それから職域年金相当部分については、費用を負担する現職者の負担の限度、年金受給者と費用負担者の世代間のバランスの維持等を考慮して定めておること、そして公務員の身分上の制約等公務の特殊性があること等を総合的に判断すれば、妥当なものではなかろうかと考えるわけでございます。
 それから、総理からこれもお答えがございました、要するに重ねてお願いいたしますことは、御指摘なさいましたように、共済年金の改正につきましては、改正法案の早期成立を図って、昭和六十一年四月一日から、厚生年金等の改正と同時に実施することが必要であると考えておりますので、ひたすらお願いをしておるわけであります。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣増岡博之君登壇〕
○国務大臣(増岡博之君) 年金制度に対します国民の期待につきましては、総理からお答えいただきましたとおりでございます。
 その信頼にこたえるためには、まず、公平な制度でなければならないと思います。したがって、国年、厚年、共済年金の改正を同時に実施させるべきであります。もし仮に同時実施ができない場合には、一に、いわゆる官民格差が拡大すること。二に、共済組合員の妻が無年金となるおそれがあること。三に、障害福祉年金の改善を民間グループの負担のみで行うという不公平が生ずること等さまざまな問題が生ずることになりますので、来年四月に同時実施できるよう、各共済年金改正法案の一日も早い成立をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(勝間田清一君) 正森成二君。
    〔正森成二君登壇〕
○正森成二君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、いわゆる共済年金四法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 政府・自民党は、今盛んに、厚生年金、国民年金の改革で共済年金との差がますます広がった、共済改革法案の成立を急げと宣伝しております。とんでもない話であります。厚生年金、国民年金の改革とは一体何であったのか。我が党の追及が明らかにしたように、それは年金給付を現行より三割以上も引き下げ、保険料は二倍から三倍も引き上げ、国庫負担は現在の半分近くに減らしてしまうという、年金制度創設以来の大改悪であります。口では、長寿社会は喜ばしい、自民党が寿命を八十歳にしたなどと言いながら、実際にはお年寄りを社会の邪魔者扱いし、生活の糧を奪い取る中曽根政治の冷酷非情さをこれほどはっきりと見せつけたものはありません。
 今回の共済年金四法案は、中曽根内閣による年金制度抜本改悪のいわば総仕上げであります。逆に言えば、この四法案の成立を食いとめることが、改悪された厚生年金、国民年金をもとに戻すだけでなく、さらに全国民的見地から抜本的な改善を図り、いわゆる官民格差を真に解消していくてことなるのであります。私は、このような見地から、単に六百万共済年金加入者と二百万受給者のみならず、全国民の利益のために、この四法案に断固反対することをまず明らかにしておきたいと思います。(拍手)
 言うまでもなく、公的な年金とは、お年寄りや障害によって働けなくなった人々の生活保障であり、その受給は国民の権利、その給付は国家の義務であります。そこで総理に伺いたい。これこれの額の年金を支給するという約束をして加入者を募っておきながら、保険者たる国の都合だけで全く一方的に契約内容を書きかえ、不利な条件を押しつけることがどうして許されるのか。総理が賛美されてやまないレーガン政権でさえ、年金給付はエンタイトルメント支出、すなわち国民の権利として保障された支出であると規定し、びた一文の切り下げも現在まで行っていないではありませんか。軍備拡大、戦争瀬戸際政策をまねるのではなく、こういう点についてこそ大いに参考とすべきではありませんか。
 社会保障を社会保障として成り立たせる基礎は、制度に対する国民の信頼であります。「信なくんば立たず」という言葉は、昔も今も政治の要請であります。ところが、老人医療の有料化、年金物価スライドの停止、健康保険本人一割負担の導入、今国会における年金の大改悪と共済四法案によるその総仕上げ等々、臨調行草路線に基づく制度の相次ぐ改悪、国民生活に対する攻撃と裏切りを重ねれば重ねるほど、結局国民の信を失い、社会保障は、その外形においてのみならず、まさにその内側から崩壊して、いかざるを得ないことを、私はこの際政府と総理に厳しく警告するものであります。(拍手)
 次に、共済四法案の具体的内容について伺います。
 第一は、給付水準の大幅な引き下げであります。
 加入期間四十年、退職時の本俸三十五万円の共働きや単身者の場合、現行では六十歳から月二十四万五千円もらえるはずのものが、政府案では十四万六千円と、実に四割も切り下げられるのであります。総理、在職中の本俸の半分以下の年金で一体どうして暮らしていけというのですか。農林共済の場合はとりわけ深刻であります。農協職員、漁協職員の劣悪な労働条件を反映し、同共済年金受給者の平均は現在でも月額十一万一千五百円にしかすぎません。これが一体もらい過ぎですか。これをさらに二割から四割も引き下げられた後の年金生活者の暮らしを想像できますか。農林大臣の御見解を承りたいのであります。
 第二に、保険料の大幅値上げであります。
 各省の説明によれば、将来の保険料率は、給付水準を切り下げたとしても、国家公務員が現行の二・四倍、私学が二・八倍、農林が三・O倍になるというのであります。そのようなことになれば、所得税、住民税、短期共済の負担が現行水準のままとしても、本俸二十五万円の四人家族公務員労働者の場合で実に八万円も給料から先取りされるのであります。これでは老後の生活が成り立たないばかりか、現役労働者の暮らしも成り立たないことは明らかではありませんか。総理はあくまでもこのような実質大幅賃下げを強行されるおつもりなのか、伺っておきたいと思います。
 第三に、現に年金を受けているお年寄りに対する物価スライドの停止であります。
 新しい方式の計算によって、現在の年金受給者の過半は十年近くにわたって物価スライド停止を受けますが、これはとりもなおさず受給額の二割前後に上る大幅減額を強制されることにほかなりません。これはさきの厚生年金の改悪にもない、共済年金独自の大改悪であります。お年寄り世帯の実質収入が毎年毎年確実に減っていく、その心細さは想像に絶するものがあります。年金制度の本質から見て、このような冷酷な仕打ちがなぜ許されるのか、総理の答弁を求めるものであります。
 第四に、支給開始年齢を本則で六十五歳としていることであります。
 周知のように、公務員の定年は法律によって六十歳と決められております。首を切られるのは六十だが年金は六十五からというのでは、退職労働者はその間どうして生きていけばよいのでしょうか。まさか総理もかすみを食えとはおっしゃりますまい。納得のいく説明を求めたいと思います。
 第五に、国鉄共済問題であります。
 国鉄共済行き詰まりの最大原因が、戦後の満鉄職員など中国本土での鉄道従業員の大量吸収、最近の徹底的な人減らしという、まさに国策そのものにあることは今さら言うまでもありません。政府は、負担のすべてを国鉄労働者そして国家公務員、旧電電、専売労働者全体に押しつけ、みずからの責任には一切はおかぶりする無責任きわまる態度をいつまでとり続けるのか、発想を根本から改めるべきではないか、総理にお答えいただきたいのであります。
 第六に、国庫負担の削減であります。
 今回の法案によって、公経済の主体としての国や自治体は、共済年金本体については全く一円も出さず、基礎年金の三分の一だけに限るというのですから、負担が大幅に軽減されるであろうことは明らかであります。厚生省は、さきに厚生、国民年金について国庫負担推移の試算を発表しましたが、右試算では、改正後、国庫負担は旧制度に比し年々低下を続け、昭和百年には従前に比べ二兆七千億円もの削減となります。共済年金の場合、現行に比べて一体どれだけの削減になるのか。法案審議の前提となる重要資料であるにもかかわらず、計算中などと称して隠しているのは全く許せないことであります。大蔵大臣、今直ちにこの場で明らかにするよう要求するものであります。
 総理、労働者には二倍から三倍の負担を強要しながら、国の方はどんどん軽く、これでは余りに身勝手過ぎるのではないでしょうか。実はそれが最大のねらいだ、浮いた金は軍備増強に回すとでもおっしゃるのでしょうか。答弁を求めるものであります。
 以上、私は六点にわたって法案の問題点を指摘し、政府の釈明を求めてまいりました。政府側の答弁の基調は恐らく、負担と給付のバランス上やむを得ない、世代間の公平を図るためだということでありましょう。それが果たして正しいのか、今回の法案の核心ともいうべき基礎年金に即して伺いたいと思います。
 月額五万円の基礎年金を受け取るためには、毎月一万三千円を四十年にわたって納め続けなければなりません。その積立金が実質金利年三%の複利で運用され、受給者の平均寿命を八十歳としてみましょう。受給者は、国に三分の一を負担してもらうどころか、積立分さえもらえず、逆に八百七十九万円もの額を国家に寄附して死んでいくことになるではありませんか。一万三千円の保険料は将来のことだという抗弁は成り立ちません。六千八百円で出発し、政府計画どおり毎年三百円の値上げが行われれば、ことし、来年加入する人もやはり四百九十五万円の払い過ぎという結果になるのであります。
 厚生大臣、この驚くべき事実をなぜ国民の前に明らかにしようとしないのですか。総理、これではそれこそ自助努力で銀行預金した方がよっぽどましてはありませんか。負担と給付のバランスが一体どこでとれているのですか。世代間の公平とは、政府の年金政策の破綻を覆い隠し、責任を棚上げし、労働者、国民に犠牲を転嫁する口実にしかすぎないことは明らかではありませんか。年金統合を大義名分にした基礎年金導入は、そのための壮大ともいうべきマヌーバーであり、国民すべてに共通する基礎年金どころか、国民すべてから搾り取る基礎収奪とでも呼ぶべきでありましょう。私は、このような悪質きわまる構想を、共済年金はもとより厚生年金、国民年金についても即時撤回し、国庫負担を基礎として全面的に再検討するよう強く要求するものであります。(拍手)
 政府は、口を開けば、高齢化社会の到来で年金財政が破綻すると、まるで不可抗力の天災が来たかのように国民を脅迫しております。しかし、高齢化問題は突如として出てきたのではなく、十年も二十年も前から当然に予想されたことではありませんか。それへの対応を意識的に怠ってきた自民党政府の責任こそ問われなければなりません。我が国は資本主義国第二位の経済力を持っております。今後の経済成長をゼロとするあり得ない仮定のもとに、年金負担に耐え得ないなどという誤った結論を導き出すのではなく、我が国の国力を国民の福祉のために生かすならば、健康で文化的な生活を保障する年金給付を行えないはすがありません。ヨーロッパ諸国のように労使の負担割合を、使用者としての国を含め現在の五対五から三対七に切りかえるならば、労働者負担を現行のままとしても大きな財源を得ることができるのであります。
 何よりも軍拡最優先の財政運営を根本的に見直すべきであります。臨調路線四年間の伸び率が今後も続くとすれば、昭和八十四年度には絶対額においても軍事費が社会保障費を追い抜き、九十九年度には実に社会保障費の二倍以上にもなります。問題が財源の困難にあるのではなく、それを生み出す決意があるかどうかにあることは明らかではありませんか。軍事費をこそ真っ先に削り、社会保障の充実に回すべきであります。バターと大砲は両立しません。軍備拡大と戦争政策に反対し平和を守る、ここにこそ年金制度の将来と国民の幸せを確保する道があることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 正森議員にお答えをいたします。
 年金給付に対する国家の責任の問題でございますが、前から申し上げているとおり、公平で安定した社会、長寿社会に備えるためにこのような大きな改革を行っておるものなのであります。共産党の言うことを聞いていますと、非常にいいことずくめが多いように思いますが、言うのは非常にやさしいけれども、現在、英国やフランスや北欧諸国が浴びているあの困難な問題等を考えてみますれば、やはり着実な、長期的な安定した政策が必要である、そう思うのであります。長寿社会の出現というのは国民の協力と自民党の政策の成功を物語るものである、こう確信しております。(拍手)共産党の諸君の言うとおりやったら、大増税があるいは年金制度は崩壊するということになると私は考えております。
 次に、社会保障制度の改正と国民の信頼の問題でございますが、社会保障制度の改革は今後の長寿社会に備えまして非常に大きな重要な課題であると考えて、このような法案を提出した次第でございます。
 なお、夫婦ともに六十五歳以上のモデル年金の例では、現職組合員、夫婦子供二人の場合におきましては、平均本俸の約七〇%の年金を支給するということになっております。
 次に、国鉄共済年金の問題でございますが、前から申し上げているとおり、国鉄におきましては十人の現役が十三人のOBを養っているという状態でありまして、このまま放置しておいたら両三年にならずに年金会計が崩壊する危険が今あるのであります。今まで電電や専売の皆様方に支持して助けていただいているわけですが、やはり規模が小さ過ぎる。したがって、もっと大規模の保険集団で支えなければ、国鉄年金が崩壊する危険性が出てきておるのであります。そういう意味におきまして、今回の改正も、国鉄自体も考えてやっているということを申し上げるのであります。
 国庫負担の削減につきましては、組合員の負担の軽減を図ると同時に世代間の公平性を確保しよう、こういう考えに立ちましてやっております。給付の適正化に伴いまして、長期的にはおる程度の変動は予想されますが、基礎年金の給付に集中するためにむしろ全国民に公平な制度になってきていると私は考えるのでございます。
 次に、基礎年金の導入と国民の負担の問題でございますが、長寿社会に備えまして、二十一世紀においても年金制度を公平で安定したものにするように、基礎年金の導入によりこれを計画的に行わんとしておるものであり、現役勤労者と年金受給者とのバランスや世代間の公平に十分考慮したところでありまして、御指摘の点は当たっておりません。
 次に、年金財政の問題でございますが、我が国の年金制度は諸外国に比べて歴史が浅く、これまで年金給付の面において諸外国の水準に追いつくことに努力してきたところです。この結果、我が国の年金水準は国際的に見ても遜色のないものとなりました。したがって、今後はこの年金制度を高齢化のピークを迎える二十一世紀においても公平で安定したものとしていくために、長期的な展望に立って制度全般にわたる改革を行うことがむしろ政府の今日の責任であると考えておるのであります。来年四月実施できるように、共産党も御協力を願います。
 次に、労使折半の問題でございますが、諸外国におきましても労使折半というものが大体普遍的に行われております。西ドイツ、アメリカにおいてもそうでございます。イギリス、フランスにおきましては若干違いますが、こういうような関係におきましても、国家負担の増大に伴いましてイギリス、フランスが財政的に非常に困難していることは御存じのとおりでございます。そういう意味におきまして、長期的安定を考えまして今回の改革を行っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) お答えをいたします。
 まず第一の保険料、例示として二十五万に対し税金を含めて八万円、こういう例示がございましたが、高齢化社会を迎え、今後の組合員の掛金負担を大幅に増加せざるを得ない状況にあります。給付と負担のバランスを確保することが必要であって、今回の改正案も給付水準の適正化を図ることによって掛金負担の増加を緩和しようとするものであります。
 それから、既裁定者の問題がございました。これは申すまでもなく現役と退職者との給付水準のバランス、給付と負担のバランス、これを図るための必要な措置であります。
 それから、六十歳と六十五歳の問題が議論されました。厚年の改正に合わせて本則上六十五歳としております。しかし、厚年と同様に退職共済年金は附則において六十歳で支給されており、かつ経過措置もあって当分の間は改正後においても六十歳以前から支給することとされておりますので、特段の支障はないと考えております。
 それから、国庫負担の大幅軽減は四共済でどのぐらいになるかということでございましたが、今回の制度改正は、年金の給付水準を適正化しますとともに、将来の組合員の負担の軽減を図って世代間の公平性を確保しようとするものであります。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣増岡博之君登壇〕
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘の基礎年金を含めまして公的年金制度は、私保険と全く違うわけでございます。積立貯蓄的な性格のものとは考え方を異にしております世代間の扶養の仕組みでございます。したがって、年金の額も数十年という長い将来にわたって物価が変動しても実質的次価値が損なわれないようにするという機能を持っておるわけでございます。また、基礎年金給付費の三分の一につきましては、将来にわたって国庫負担を保障することといたしておりますので、このような基礎年金の機能、性格からして、基礎年金では受給者が国に寄附する結果になるというような御指摘は全く理解いたしかねるものでございます。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
○国務大臣(佐藤守良君) 正森議員にお答えいたします。
 農林共済年金は、今までもその額が低く、これでも引き下げを行うかとのお尋ねでございますが、農林共済年金は、制度の仕組みとしては他の共済年金と同水準のものであり、現行の給付水準の格差につきましては、主として組合員の加入年数が他制度に比して短いことによるものと考えております。したがいまして、今後における組合員の加入年数の伸長、年金受給者の増加等を考えると、農林共済年金としても制度の長期的安定を図るためには、将来を見通した給付と負担の適正化を図ることが不可欠であると考えております。
 なお、今回の改正案では、既に給付を受けている年金の額につきましては、その額を保障することとしております。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十分散会
     ―――――・―――――