第102回国会 大蔵委員会 第26号
昭和六十年五月二十八日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 越智 伊平君
   理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君
   理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君
   理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君
   理事 坂口  力君
      糸山英太郎君    大島 理森君
      金子原二郎君    瓦   力君
      塩島  大君    田中 秀征君
      中川 昭一君    東   力君
      平沼 赳夫君    藤井 勝志君
      山岡 謙蔵君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    伊藤  茂君
      渋沢 利久君    戸田 菊雄君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      矢追 秀彦君    安倍 基雄君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      簑輪 幸代君
  出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
  出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        大蔵政務次官  中村正三郎君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    北村 恭二君
        大蔵省主計局次
        長       平澤 貞昭君
        大蔵省主税局長 梅澤 節男君
        大蔵省理財局長 宮本 保孝君
        大蔵省理財局次
        長       中田 一男君
        大蔵省証券局長 岸田 俊輔君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        大蔵省国際金融
        局長      行天 豊雄君
 委員外の出席者
        外務大臣官房外
        務参事官    太田  博君
        文部省体育局学
        校保健課長   下宮  進君
        厚生省保健医療
        局健康増進栄養
        課長      郡司 篤晃君
        厚生省保険局国
        民健康保険課長 近藤純五郎君
        林野庁管理部長 穂積 良行君
        労働省労働基準
        局補償課長   佐藤 正人君
        労働省労働基準
        局安全衛生都労
        働衛生課長   福渡  靖君
        自治省財政局調
        整室長     鶴岡 啓一君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
五月二十七日
 所得税の課税最低限度額引き上げ等に関する請
 願外二件(経塚幸夫君紹介)(第四七三八号)
 身体障害者使用自動車に対する地方道路税、揮
 発油税免除等に関する請願(武部文君紹介)(
 第四八一七号)
 同(中井洽君紹介)(第四八一八号)
 同(春田重昭君紹介)(第四八一九号)
 同(福岡康夫君紹介)(第四八二〇号)
 共済年金の掛金引き上げ反対等に関する請願
 (浦井洋君紹介)(第四九〇五号)
 同(小沢和秋君紹介)(第四九〇六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を
 図るための特別措置に関する法律案(内閣提出
 第九号)
 国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第一〇号)
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一一号)
     ――――◇―――――
○越智委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 幾つかの点について質問をさせていただきます。
 本法案に関連をいたしまして、財政の過去、現在、未来、大きなテーマでございますが、順を追って幾つかお伺いをしたいと思います。
 まず、当面のことであります。主税局に伺いたいのですが、もう五十九年度の税収の締めの状況も目の前ということになっているわけでありますが、五十八年度は御承知のとおりに若干の国債発行を取りやめるとか、またその上に若干の剰余とかいうことでございましたが、五十九年度締めの状況の中で、概況どうでございましょうか。また、法人税、所得税、酒、物品とか幾つかの主要税目の動向など、どんな特徴でありますか。
    〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
○竹下国務大臣 主要税目等につきましては事務当局からお答えをいたします。
 実は今ちょうど閣議が終わりまして、それから総理の御了解を得まして、出納整理期間内発行を千五百億ほど発行させていただこう、と。そういたしますと、非常に大ざっぱな語をしますと、八百三十数億を発行しなくて済んだ。ちょっと表現はおかしいのでございますが……。その千五百億を発行することにしましたのは、税収があと六兆円くらい残っておるわけでございますね、それの中で見込みが一千億くらい仮に減になっても、とんとんの決算ができるということで――持ってまいりましたので、大事なことですから、ここのところ正確に申し上げます。
 出納整理期間発行分について、次のような見込みの考え方のもとに千五百億円発行することとしておる。五十九年度特例公債の出納整理期間繰越額は四千七百三十億でありました。例年より繰越額が多額でありましたが、五月に二千三百九十四億円発行したところでありまして、現在二千三百三十六億が残っております。一方、一般歳出の不要は予備費込みで約千四百億円、それから税外収入の増が五百億円程度見込めます。
 そこで、他方、五十九年度の年度を通した税収については、ウエートの大きい法人税の三月期決算の申告がまだ残されていることから、確たることを申し上げる段階にはありませんが、三月期決算法人の申告は好調と見込まれることから、いずれにせよ補正後予算額と大きな相違を生ずる結果にはならないと考えております。
 ただ、そうは申しましても、現時点において予算達成のために必要な税収規模として六兆円を上回るものが残されており、万一の場合に備えておく必要がありますことから、今回発行規模を千五百億円としたものでございます。この場合において、なお六月に出納整理期間発行予定の国債を約八百億円留保することになりますが、仮に税収が千億円程度下回ることとなる事態に対しても、とんとんにはなる。安全運転といいますか、そういうことでいろいろ悩みましたが、千五百億円発行して、したがって発行しなくて済むものが八百三十億程度ということになるわけでございます。
○梅澤政府委員 五十九年度の税収につきましては、御案内のとおり補正予算で法人税と有価証券取引税の増額補正、酒税につきましては減額補正を中心にいたしまして、ネットで二千三百九十億円の増額補正をいたしました。この予算額に対しての最終的な税収見積もりにつきましては、ただいま大臣の御答弁にあったとおりでございますが、お尋ねの個々の税目について状況はどうかということでございます。
 現在三月までの税収が判明いたしておりますけれども、好調な税目、やや不振な税目がございます。トータルで申し上げますと、伸び率が七・二%でございますから、予算の伸び七・七と若干の差がございまして、進捗率からいきますと、前年同期と比べまして〇・三ポイントまだ下回っている状況にございます。ただこれは、五月に年間の法人税収の三分の一を上回る三月期決算を中心とする税収が入ってまいります。これも先ほど大臣の御答弁にありましたように比較的好調でございますので、結果的には予算額にほぼ近い線、そう大きな隔たりはないだろうと見ておりますが、個々の税目を見てまいりますと、主要税目では源泉所得税、それから法人税は先ほど申し上げましたけれども、有価証券取引税、関税等好調な税目がございます。恐らく予算額を上回る状況にございますけれども、残念ながら酒税につきましては、予算で減額補正いたしましたけれども、これをやはり下回ることは避けられないといったような状況にございます。
○伊藤(茂)委員 今伺いますと、けさの閣議でそういう話があったようでございますが、五十九年度決算はやや手がたく、好調のうちにというふうなことではないだろうかと思います。主税局長のお話がございましたが、傾向として三月期決算法人税の好調あるいは前々から私ども指摘をしておりますが、源泉を含めた所得税も伸びている。酒、物品、有価証券取引税、さまざま問題はあるわけでありますが、総体としては手がたく進んでいるということだろうと思います。私は、六十年度に入りまして、まだ入ったばかりでありますが、今日の景気、経済動向、さまざま問題は抱えておりますけれども、大体今お話のあった五十九年度よりは悪くはならない方向で手がたくいくのではないだろうかというふうな感じがしているわけでありますが、現時点で何かその辺の見通しなど、どういうふうに思われておりますか。
○梅澤政府委員 六十年度の本格的な税収が始まりますのは、委員御案内のとおり六月からでございますので、現時点で六十一年度税収を、正確に見通せるという状況にはないわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、トータルとして私どもが六十年度の税収見積もりをいたしました土台になります五十九年度の税収の土台がそう狂わないとすれば、あえて言えば現在私どもが予算の見積もりをいたしました状況で推移するであろう。全体の経済状況から見まして、御承知のとおり法人税収の動向が非常に注目されるわけでございますが、これにつきましても昨年秋、企業のヒアリングをやりまして、そういった状況と、これからいろいろ各機関、期を追いまして各企業の経常利益の見通しなど、最新のデータがそろそろ入ってまいると思いますけれども、六十年度の法人税収につきましても、税制改正によって増収をお願いしました分を除きまして、いわゆる経済の実体に即した自然増収についてはかなりのものを見込んでおりますので、あえて言えば、現在の時点では税収見積もりを行いました状況の線に沿って推移をいたしておるというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 大臣に伺いたいのですが、今の時点で特に財政を担当される大臣としては、ほかと違いまして、これから先のことはなかなか言いにくい面があるということも私よくわかりますが、例年夏の終わりごろか秋か、景気対策、さまざまな対策を講じまして経済活性化に備えるということになっているわけであります。その中で財政の占める役割というものが必ずしもそう大きくは期待できないというのも、これは今日の大蔵省、政府の対策からいって私の見ているところでございますけれども、ことしの場合にはまた別の意味でさまざまな問題がこれから出てくるだろうと思います。貿易摩擦、景気対策、内需その他の面も含めた経済運営をどうしていくのかという問題がさまざま今も議論になっておりますが、これから国会が終わりまして、さらにそういう問題もクローズアップする可能性もあるだろうと思います。例年補正予算の問題が出ますが、これ自体は人事院勧告がありますし、なければいいのですが、起こった場合の災害対策とか、いろいろなことが発生をしてくるわけでありまして、例年補正が組まれるということは当然の話でありますが、また一部の大臣からは、景気対策を含めた補正という観点が必要ではないかというふうな発言もあるようであります。
 何か私が考えますと、今伺ったような税収も手がたい状況、五十八年度よりはちょっと額は少ないけれども、五十九年度としても堅調にいっている。六十年度をどの程度見越して、この秋あるいは年末近くの時点で対策を講ずるのかということもあり得るのではないだろうかというふうな可能性のこともいろいろ議論をされているという問題があるわけでありまして、それらのことについて今までも当委員会で財政出動、景気対策の可能性という議論はございましたが、税収とか財政運営とか、そういう展望のもとでどういう御感想をお持ちでありましょうか。
 兼ね合わせて、減税問題があります。与野党で本格減税について、あるいは私ども野党と合意をいたしました三つの政策減税ということがテーマになって協議が続けられているわけでありますけれども、何か新聞報道などを見ますと、三つの政策減税のうち、大蔵省としては寝たきり老人の皆さんに対する対応ぐらいは何かあり得るのではないだろうか。しかし、あとの二つの教育減税とか単身赴任とか、こういうことは税制からしてもあるいは銭目の実態からしても極めて難しいというふうなことを言われているような報道を先日読んだわけでありますが、何か大蔵省の方が非常に防波堤を張っているというふうなことではないだろうか。やはり与野党相談をしていい知恵を出しながらそれをやるというのが、議会政治として当然なことであろうというふうに思うわけでございます。その辺の所見も伺っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 予算が通ったばかりであるということが一つ、それからやはり公的支出における景気対策としては公共事業、これが補助金一括法を通していただいて、いわば大車輪で執行にかかっておるということでございますので、まだいわば指標らしいものは、そういう点からはありません。が、設備投資等は比較的順調に推移はしておるということが言えるではなかろうかなというふうに思うわけであります。
 したがって、今の段階でそれは大蔵大臣が補正を用意しなければなりませんというようなことを言うわけにももちろんまいりませんし、従来の経緯からいたしましても、昨年は補正は十二月編成しまして二月上げてもらいましたが、今から補正予算を云々すべきものではない。だから、与えられた権限の中において、せっかく議了していただきました線にのっとって、公共事業などは自然体のような考え方でおりますが、自然体といいましても、やはりだんだん各省ともなれてきておりますので、補助金等一括法のおくれがあっても、私はみっともない数字にはならないだろうと思っておりますので、いま少しその様子等を見なければ、経済全般を見通すということは非常に難しい問題ではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 それで一方、税の問題ということになりますと、税の問題というのは環境が三つ存在しておるなと思います。
 一つは、かねがね当委員会等で申し上げておりますように、六十年度税制について政府税制調査会から、異例のことながらとして、抜本見直ししなさいよ、こういうことが言われております。その作業をまず一つは国会の論議を正確に整理した上で、どういう形でか税制調査会へ諮問を申し上げなければいかぬ、こういうことが一つあります。
 それからもう一つは、先ほど御指摘のありました各党間の幹事長・書記長会談によって、各党の専門家が寄って相談しよう。これについてはその推移を見守りつつ尊重していく、こういう立場を当然のこととして申し上げておるわけであります。
 それから三つ目の環境としては、これは対外経済対策の中の内需振興に関する事項の中で、いわば貯蓄、投資、消費、これについての税制上の措置を勉強すべきだ、こういう御提言をいただいておる。
 そういう三つの環境の中に置かれておるわけでありますので、その三つをどういうふうに組み合わせていくべきかと思っておりますが、その二番目として申し上げました、今御指摘のあった各党間の申し合わせの問題については、あした第一回でございますか、というようなことを承っておりますので、それに対しては資料を出せとかあるいは今までの税制調査会等のプロの議論を出してこいとかいうことがあろうと思いますので、それに対しては万全の協力を申し上げる準備態勢を整えておかなければならぬ、こういうことであります。
 それで今度は、政策減税の中の三つの問題について私も新聞で散見をいたしましたけれども、これは恐らく大蔵省がそういうことを言っているということよりも、従来の税制調査会の審議の中のことからして、今御指摘なさったような論評がなされたのではなかろうか。当然プロの議論をなさるわけでございますから、それに対して最大限の尊重をするという立場は堅持しておるというのがきょうの時点の段階であります。
○伊藤(茂)委員 今の大臣のお話の、税についての三つの環境がある、その一番目のことでありますが、大臣も言われましたように、政府税調が異例の意思表示を年度税制答申で行ったというわけであります。国会はあと一月足らずで終了いたします。例年よりもちょっと遅いのかもしれませんが、税調の方も本格的な議論を開始するということになってまいるわけであります。この国会の冒頭時点から、今後の税ということがさまざま活発な議論の対象になりました。その中の一つに、政府税調にどのような諮問、あるいは活動をしていただくのかという議論がございました。また当委員会に政府税調会長がお越しいただいたときには、昨年末の異例の意思表示の上に立って、かねて主張している課税ベースの広い間接税ということを本格的に議論をしてまいりたい。それを議論する際に、これはいいとか、これはらち外であるとか余り注文をつけないで、自由に勉強させていただきたいというふうな意味でのお話も伺ったわけであります。
 そういう意味で申しますと、これから失政府税調にどのような諮問――単なる一年だけの当面のごとではないと思います。税調自体が、今こそ国民各界各層の意見を基礎に本格的な税制改革をしなければならないと言っているわけでございますから、やや大きな柱を設けた御審議をお願いするというふうなことになるのではないかと思いますが、その辺のことと、それから政府税調が従来言ってきた課税ベースの広い間接税を大きな重点にしていきたい、政府税調の中では会長としてはそう言われておりますが、それらに対する対応姿勢というものをどう持っていくのか。国会が終わってすぐだと思いますけれども、どういう対処をなさいますか。
○竹下国務大臣 結論から言いますと、まだどういう諮問をするかということについての固まった考え方を持っておりません。それから、税調そのものがどういうふうに推移していくかということは、あらかじめ予見を持って申し上げる段階にこれまたございません。六十年度税制のあり方について、ああいう異例の答申をいただいた。しかも総理はそれを受けまして公平、公正、簡素、選択、活力ということで、国会でたびたび申し上げておる。そうなりますと三年に一遍国税、地方税のあり方についてという諮問を今までしておりますから、その中でやってくださいと言えばできぬわけでもございませんが、やはり国会の論議を整理して、諮問文でございますね、諮問の前文、そういうものをどういうふうにするかということを何か考えなければいかぬなという気持ちにはございます。国税、地方税のあり方について、任命初会合のときにもう諮問しているから、その一環だからいいというわけにも、これほど国民次元で税論議がなされた今日、そういうのもいかがかな、その辺も含めてこれから、これは総理大臣の諮問機関でもございますので、お上とも、お上しゃございません、総理とも相談をしてみなければならぬな、こんな感じでございます。
○伊藤(茂)委員 お上の方が十分わかっている人かどうか別にして、わかっているのはやはり大蔵省ということだと思いますし、そういう意味からいいますと、今も大臣おっしゃいましたが、どうぞ御自由に立派な審議をしてくださいというわけにはまいりませんで、やはり一つ力点を置いたといいますか、税制全体からすれば、政府税調も、自民党税調の皆さん方の答申の文章にもあるように、大変大きな由がり角だということになっているわけであります。
 私は思うのですが、そういう意味で抜本的なというのか、総理も四つか五つのプリンシプルをお立てになりましたが、そのような視点を含めた審議をしていただきたい。税調の言葉からすれば、今こそ国民各界各層の意見を求め、税調会長も、従来パターンで惰性でやるわけにもまいらぬでしょうというようなことを言われておりましたが、シャウプ以来の総括と展望あるいは今後の対応というような視点のことが当然入るだろうと思います。
 もう一つは減税問題も、諮問をなさる視点からは欠かせないと思います。総理の御発言でも、衆議院段階ではさまざまの増税項目についての議論がございましたが、参議院に参りましたら、予算審議の参議院段階では減税をしたい、しかしその財源は白紙である、まだ決めてないというようなお話でございました。法人税、所得税の減税をしたい方に随分力点を置かれていたようであります。それらの主要なポイントを文章にどう表現するかは別にして、政府として税調に期待をする、そういう形での税調の活動のスタートになるという感じがいたしますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
○竹下国務大臣 総理も公平、公正、簡素、選択、活力というほかに、本院においてもあるいは参議院におきましても、減税に対するみずからの願望、そういうことも申し述べておりますし、国会の中でも、各党間でいわゆる所得税減税とかいう青葉が使われております、政策減税とか。したがいまして、そういうものを念頭に置いて審議されるであろうということは、私どもも正確にそういう国会での論議を報告いたしますから、そうなるであろうということは予測できますが、それ以上になりますとまず整理して、そして会議を開いてみませんと、どういう格好で進められていくのだろうかということについては、ちょっと予見を申し上げるという段階には、残念ながらないと言わざるを得ません。
○伊藤(茂)委員 今度は主税局長にお伺いしたいのでございますが、今大臣もおっしゃいましたような今後の政府税調の作業、それから大蔵省主税局の大変御苦労な仕事が始まるわけであります。梅澤さんには御苦労さまと申しましょうか、御苦労さまでしたと言うのはまだ早いかもしれませんが、どういうことになるかわかりませんけれども、しかし国民の注目する重要なテーマであろうと思います。幾つか、こういうことがどういう話題になるか、どう考えているかという考え方を伺いたいのであります。
 例えば、一つはマル優制度、非課税貯蓄の問題があります。これは数々の議論があったことは、蒸し返しはいたしません。また、政府税調としては当分休戦状態で、しばらく置いておくのか、あるいはまた今年度も十分な議論をこれに対してしなければならないということなのか。自民党税調との意見の違いということもございましたが、また先般は山下元利さんが、新しい減税などの財源としてこの問題をという、新しい提案といいますか状況などもございましたが、その辺を一体どういうふうにお考えになっていくのか、どういう対応をなさるおつもりなのかということが一つであります。
 それから、前にもちょっと話題になりましたが、法人税税率の上乗せの問題があります。ああいう経過で今日に至っておるわけでありまして、その後の予算案その他予算編成の状況を見ながら最終判断をしたいということでございましたが、大蔵省あるいは税当局としてどのような対応をしていくのか、その後の態度の進展はどのようにお考えになっておりますか。
 それから、今までの議論で税の検討の対象になりまして、さまざま反対その他がございまして実現をしなかったテーマも前からいろいろあるわけであります。広告税などもございますし、あるいはまたさまざまの意見もこの委員会でございました。退職給与引き当て準備率の問題などもございます。話題にはなっておりますが、いろいろあって実現をしない。また、税の内容からしても若干大きなものがそこで見込めるし、あり方もさまざま議論をされたというようなことがあったわけであります。
 二、三申し上げましたが、幾つか懸案の項目について、国会が終わった後の作業などについてどういう姿勢をお持ちでございますか。
○梅澤政府委員 今後の税制全般のあり方につきましては、一昨年の五十八年に税制調査会としての中期答申が出ております。その後、先ほど大臣がお触れになりましたように、六十年度の答申では抜本的に見直すということが出ておりまして、国民各層の御議論とかあるいは国会の御議論、その後いろいろ出てまいっておるわけでありますから、国会が終わりました後、国会の御論議等を税制調査会に御報告申し上げて、税制調査会としてももちろん五十八年の答申以降の新しい状況を踏まえて、新しい観点からいろいろ御検討いただけるものというふうに事務当局としては考えておるわけでございますが、ただいま委員が御指摘になりました幾つかの視点がございます。
 まず、利子・配当課税の問題につきましては、税制調査会の六十年度の答申は、さまざまな議論がございましたけれども御案内のような答申でございます。ただ、これにつきましては、本年度の税制改正で法律を通していただきまして、先般、この実行のための政令、その細目省令はできれば今月中に出したいと思っておりますが、六十一年一月から新しい制度の実行が始まるわけでございますので、事務当局の見解といたしましては、やはりこの状況の推移、実行状況を見なければならない問題であると考えております。ただ、中長期的には、利子、配当の問題は所得税の非常に大きな分野を占める問題でありますから、税制調査会でどういうふうな御議論が改めて展開されるのか、注目したいということでございます。
 それから、法人税の暫定税率の引き上げの問題は、差し迫って六十一年度どうするかという問題にかかわってくる問題でございます。ただ、これにつきましても、六十一毎度打ち切るのかあるいは引き続いてお願いすることになるのか、これは専ら六十一年度の予算編成なり財政状況その他全般の経済状況を見ながら、その時点で改めて判断すべき問題であろうというふうに考えております。
 広告税等新しい課税問題につきましては、これは五十八年の答申以前にも税制調査会で長い間御議論のある問題でございまして、なかなか意見がまとまらないテーマでございますが、こういった問題も含めまして、今度の抜本改革の中では広範な角度から検討するということでございましょうから、恐らく議論の対象になろうかと思います。
 それから引当金の問題につきましては、これは毎度申し上げておりますように、基本的には期間損益を的確に税制上計算する手段でございまして、これ自体を世上いわゆる企業優遇税制とは考えておりませんけれども、税制調査会の答申にもございますように、経済あるいは企業の経理の実態等をにらみ合わせまして、この繰り入れ率等については絶えず適正な水準に持っていくように見直さなければならないということでございますので、これも引き続きそういった方向での検討課題であろうかと考えております。
○伊藤(茂)委員 国債整理基金の関係の質問を幾つかしたいと思います。
 六十年度の国債整理基金特別会計の残高は、その特別会計の趣旨からしても危機ラインに陥るということが指摘をされているわけであります。そして六十一年度にはどうするのか。四年連続で繰り入れ停止をいたしてまいりましたが、今のままで放置することはできないということであろうと思います。また、六十一年度にも二兆円近い繰り入れ必要額が、ルールからすればあるわけであります。また、六十一年度必要な額がそこにあればいいというわけではありませんで、年度末にも、先行き見通し一定の余裕がそこに存在をするということも必要であろうと思います。その辺の御判断をどうなさるのか。片方では、一兆円余りの赤字公債の減額をしなければならないという六十五年度赤字公債脱却の目標からした数字が、試算でも並んでいるわけであります。そうなりますと、今日の議題になっておりますNTTとたばこの株の問題、これの売却も当然六十一年度には必要な内容になってくるということではないかと言われているわけでありますが、どうお考えか。
 また、前にも一遍議論がございましたが、そもそも借金を返すのに積み立てをするという方式が是か非かという根本的な姿勢がございます。国債整理基金がゼロになっても別途の方法を講じてというのも理屈かと思いますが、財政制度審議会などの答申内容を見ましてもそういうことはないと思いますけれども、それらを含めて国債整理基金の本年度から来年度の状況御判断をお伺いしたい。
○平澤政府委員 委員が今おっしゃいますように、六十年度末の国債整理基金の残高は、現段階で考えられるところによりますと一兆円弱、九千九百億円と見込まれるわけでございますが、それに対しまして六十一年度においてネットの償還額として見込まれるものが一兆五千九百億円でございます。したがいまして、一般会計から何らかの繰り入れ等がない場合には、六十一年度において償還財源が不足するということはおっしゃるとおりでございます。
 そこで一つの問題は、今委員がおっしゃいましたように、仮に何らかの措置をとって繰り入れたといたしましても、基金残高をゼロとするだけでは問題なのではないかということでございますが、おっしゃるとおりゼロということはやはり不適当でございまして、国債整理基金特会が今後国債管理政策、特に償還等を行っていく場合には、何らかの財源が六十一年度においても必要であるということはそのとおりだと考えているわけでございます。
    〔堀之内委員長代理退席、熊川委員長代
    理着席〕
 そこで、それでは財源が不足するではないかという問題でございますが、その場合電電株あるいはたばこの株、これをどう考えていくかという問題が一つあろうかと思いますけれども、現段階では、これについてどうするかということはまだ政府としては決めてない状況にあるわけでございます。
 以上でございます。
○伊藤(茂)委員 まだ決めていないは結構なんですが、そう株式の売却というものを考えないで、六十一年度の国債整理基金あるいは財政、予算編成を行う可能性は現実に大きいという気持ちがございますか。
○平澤政府委員 この電電株あるいはたばこの株、いずれにいたしましても、民営化の趣旨からいいますとできるだけ早くこれを処分していくということが一つの考え方だと思うわけでございます。しかし、本委員会で大臣からもたびたび御答弁がございましたように、それでは具体的にどう売却していくかという問題、これは御存じのようにいろいろの問題もあるわけでございます。特に、この両株式会社の決算がない状況のもとにおいてこれをどう考えていくかという問題もあります。それから、いずれにいたしましても国民の貴重な財産ですから、これを公正な価格で適切に売っていくというための仕組みそのものをどう考えていくかということも、今後の課題になっているわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、現段階では具体的にどうするかというところまでまだ検討の状況が至っていないということでございます。
○伊藤(茂)委員 そういうお話ですと、大臣、ちょっと二つ、どうしても申し上げなければならぬわけでございますが、決算がない状態のもとでどうするのかは決められない。それから、決算を見てと言いましても、予算編成は年末ぎりぎりであります。決算が出るのは三月三十一日ということになるわけであります。そういうことからいったら、大体今年度の法案として、百二国会の法案としてこれをぜひやらなければならないという理由は、理屈上も現実上も一つもないという話になるわけでありまして、私どもは六十一年度も相当厳しい編成にならざるを得ないであろう。これは全然話題にならなくて、六十一年度に一千億か五千億か知らぬけれども、全然手をつけないで、与党内部でもさまざまの予算増額要求がある。大臣は厳しい姿勢でと言われているわけでありますが、常識上できるのだろうかと思いながら実は議論をいたしているわけでありまして、今のお話のようですと、この百二国会におきましてこのような法案を審議をし、成立をさせるという必要性というものは、政策上も理論上も現実上もないではないかというふうに言わざるを得ない。
 もう一つは、本会議でもちょっと苦言を呈しましたが、大臣にもうちょっと気持ちを伺っておきたいわけでありまして、私は竹下さんという方が腹黒い人だとは全然思っておりません。ただ、昨年末の経過を考えますと、十二月二十一日に政府・自民党の偉い人が集まって、あのような合意をなさいました。国会で審議をなさっている途中では、議事録を繰ってみましてもはっきり書かれておりますけれども、政府部内において慎重に検討して、そしていささかも疑念を抱かせない、厳正、公正云々という言葉が大臣からも、また総理からも繰り返し表明をされたというふうな次第であります。慎重に検討して、今のお話のように一年間ぐらい一般会計に置いておいて、それからやるというのならば、結果はともあれルールとしてはフェアでございましょう。ただ、国会で審議が終わった、その直後にあのような決定をなされるということを見ますと、審議をなさっているときには、あのような政府部内で慎重検討ということを言われていたけれども、実は頭の中、腹の中ではちゃんとああいう結論になるということは、かねてお考えになっていたのであろう、ちょっと腹黒いではないかとか、けしからぬじゃないかということになってくるような、実は実際の経過であるわけであります。
 私は大臣の人間性を疑うわけじゃ全然ございませんが、事実の経過として政治的にはそういうことになるわけでありまして、振り返ってみて率直なお気持ちを伺っておきたい。
○竹下国務大臣 確かに、本委員会あるいは予算委員会さらには逓信委員会、連合審査会等々を振り返ってみますと、どちらかといえば財政当局筋の議論というのは、これは委員会の中においてもそうでございますが、国民共有の財産だから国民共有の負債に充てるべきだ、こういう議論。それから逓信関係のサイドは、これはどちらかといえば労使協調のたまものによってできたところのこういう資産であるから、会社の運営上これらに対して十分配慮すべきものである。大別すればこんな両論、ニュアンスの重点の置き方の相違において二つに分けられるのかな、こう思います。
 それで、それら国会の議論等を十分踏まえて、最終的にはやはり予算編成の段階でこの問題はどうするかを決めよう、こういうことで決めたわけでありますが、それが国会が終わった後、時期的に非常に早かったということでございましょうが、あくまでも予算編成の過程で決めざるを得なかったということでございます。
 それで、今度は来年度どうするか、こういうことになりますが、確かに決算も出なければ財務諸表も出ない、あるいは中間決算ということもなかなかないようでございます。そうなると、しかしこれを通していただくと、一つは民営に移管したから可能な限り早く株を放出すべきだ、これは大原則としてございますが、もう一つは、財政当局の考え方として、国債整理基金等々の問題が頭にありますと、物すごい心の支えではあるのです。これの売却収入が帰属して、それが赤字公債の償還に充てられるということは、これは物すごい支えでございます。
 ただ、今悩んでおりますのは、余り決算の諸指標が整わない整わないと言いますと、ははあ来年は売る気はないんだな、こういうふうに受け取られるし、売ります売りますと言うと、一体株の評価はどうするんだ、現実にこういうことになりますわね。十二月に予算案をつくりますと、それを数字として載っけなければいかぬ。率直に申しまして、部内で検討しております。例えば簿価で計上しておいて、そういうことが可能性としてあるものだろうかとか、宝物のように欲しい財源でございますから、その辺がどうにも、今かくかくしかじかにして評価をして計上したいと思いますというところまで断定できないというのが、素直な今日の心境でございます。
○伊藤(茂)委員 この話はそれぐらいにしておきましょう。
 それで、そういう意思表示がございましたが、いずれにしろ早晩具体的な問題となる、これは当然のことであります。これをめぐりましてさまざまの議論がございます。私どもは、先ほども苦言を呈しましたように、本来この国会で決めるのはおかしい。昨年の法案審議のときの政府の意思表示からしても、時間をかけて十分譲論をする。逓信委員会にも百二通常国会になってから小委員会をつくられたことも伺っておりますが、国民共有の財産にふさわしい対応は何かということを各界の意見を含めて詰めていく。民営化されたNTTがどのような今後の活動をやっていくのか、順調にやっていけるのかどうか。新聞報道を見ましても、思いのほか公的負担が非常に大きいことも指摘をされております。そういう意味でいって、約五兆円の負債に一部を充てることも何らかの方法で必要ではないかという議論も、私どもございます。
 それらの議論をずっと見ておりまして、一つ話題として出ておりますのは、日本でのこういうたぐいの幾つかの経験もございますけれども、似たような最近の大きな経験として、イギリスのサッチャー政権が行いましたブリティッシュ・テレコムの民営化と株の売却ということが話題になるわけであります。これも私どもも勉強してみましたので、改めて内容の御紹介は要りませんけれども、ブリティッシュ・テレコムが全株式の五〇・二%、三十億一千二百万株を売却して、その売却の仕方の面でも、株価を安目に設定する、額面は二十五ペンス、売り出し価格は百三十ペンス。そして考え方としては、大々的にPRをして、なるべく広く浅く、特定のところに偏ることのないように極力広く所有をしてもらうという政策をもってこれが行われている。払い込みは一年半に三回の分割払いとか、あるいは七%程度の配当を示唆しておくとか、また個人株主については十株当たり一株式を追加交付するとか、従業員の株式購入に対する優遇措置を設けるとか、さまざまの実例がございまして、これとの比較でという議論がいろいろ行われている。また、ブリティッシュ・テレコムの場合が非常にいいではないかという議論も指摘されているところでありますが、BTの場合と今度のNTT、たばこの場合と比較をして、情勢、環境、やり方を含めまして共通の状況もあると思いますし、また状況、環境の違いという面もあるだろうと思います。その辺はどのようにお考えになりますか。
○中田政府委員 お答えいたします。
 英国電信電話株式会社が昨年の十二月に全株式の五〇・二%を放出いたしまして、民営化をして株を売りに出すということでは格好の先例に当たるわけでございますが、ただいま伊藤委員からも御指摘がありましたように、やはり情勢、環境等においてかなりの違いも見られるという感じがいたします。
 イギリスの株式売却の一つの大きな特徴は、最初から値段を決めて売りに出たとか、あるいは最初から五〇%を超える量を一度に売却した。これなどは、イギリスの制度では株を売却しておいて払い込みの方を分割にする、三回に分けて払い込みをするという制度が行き渡っておるようでございまして、それを使ったわけでございますけれども、我が国の場合は、最初の五年間で半分を目途にということで、順次というような感じが出ておるところなども枠組みとして違うようでございます。また、一度に五〇%を超える株を売却した背景を見てみますと、やはり民間会社として位置づけるためには株の五〇%以上が民間に持たれておることが必要だという制度的な面があったり、あるいは一度民営化したものが再び国営化に戻らないように株の売却を急いだというような事情があったりいたします。
 そういったことで、幾つか事情の違いがあるので、これが直ちに先例としてそのまま参考になるという状況ではないのではなかろうか、こんな感じがいたしております。
○伊藤(茂)委員 そのまま参考にはならない、それは条件の違う外国の例でありますから全く参考にできないと思います。
 ただ、私は一点、共通性といいますか参考にすべき点があると思います。それは、なるべく広く所有をしていただくという方法をとったわけであります。一括大量、二週で大量にというふうなことについては違うと思いますが、今申し上げた点は、私は政府の見解とも共通をすることではないだろうかと思うわけであります。政府の昨年の議会における意思表明でも、いやしくも国民に疑惑を抱かせることは断じて許されないので厳正、公正に対処するというふうなことでございましたし、あるいはまた昨年十二月十三日の段階での総理の逓信委員会の御発言の中にも、公正かつ民主的に行い広く国民が所有できるようにするというお考えがございました。また、政府のこのような見解発表あるいは附帯決議などを通じまして、特定の個人、法人などに集中するのではなくしなければならないというふうな趣旨のことも共通しているわけであります。私はそういう面では、政府の現段階での御発言とBTの場合のやり方のそういう物の考え方は、共通する考え方ではないだろうかと思うわけであります。
 私がこんなことを申し上げるのも、大事なことは、政府が今まで何遍も意思表明をされてまいりました公正とか民主的とか疑念を抱かせないようにとか、あるいは資産形成の経過、あるいは国民共有の財産にふさわしいとか、やはり最も民主的でフェアな方法でこれが将来とも処理をされる、これは当然のことでありますし、私もそのとおりしなければならないと思います。しかし現実には、さまざまの雑音が起こるわけであります。雑音程度で終わればいいのですが、問題となったら大変だと思います。そういう雑音あるいはアンフェアなことは絶対ありませんよということをきちんとしていく、そういう社会に向けた処理を一つ一つ具体化していくのが政府の責任なり役割であろうと実は私は思うわけでありまして、そういう意味では一つの共通性というものを感ずるわけでございますが、いかがですか。
○中田政府委員 御指摘のとおり、電電の株式は国民共有の財産でございます。したがいまして、その売却に当たっては特定の個人等に集中することを避ける必要があるだろう。また、この趣旨から去る四月の本会議においても、伊藤委員の御質問に対しまして大蔵大臣から、売却に際して一般投資家が参加し得るという点についても十分配慮する必要があるとお答えいたしましたとおり、できるだけ広い人に持っていただく機会をつくっていくことが大事だと思っております。しかしながら、いずれにいたしましても電電株式の具体的な売却方法等につきましては、今後民間の有識者の方々の御意見を聞きながら、公正かつ適正に売却を行うよう十分慎重に検討してまいりたいと考えております。
○伊藤(茂)委員 今も御紹介がありましたように、去る四月二日の衆議院本会議での私の質問に対して、検討の仕方の問題について竹下大蔵大臣から、民間有識者の意見も聞きながらいい案を考え、検討していきたいというふうな趣旨の御答弁がございました。
 これは具体案は別にいたしまして、えらく具体的なことまで言うわけではありませんが、考え方といいますか方針と申しましょうか、そういうことで意見を伺いたいわけでありますけれども、法的に申しますならば、国民共通の財産、国有財産でございますから、国有財産法九条の二、九条の三などが関連をいたします。また、具体的な売却の問題になりますと、法的ベースとしては会計法二十九条の三に何項かにわたる項目がございます。私はそれらのベースを考えますと、例えばそういうものの処分の方針を決める国有財産中央審議会が全然関係なしというのもちょっとおかしいのではないだろうかと思います。ただ、そこにこういうことについてのいい案をつくる、しかも社会的に最もフェアないい案をつくる専門家が必ずしもおそろいというわけでもございませんでしょうし、大臣がおっしゃるように民間の有識者の意見も聞くということも当然でございましょう。そうなりますと、国有財産中央審議会と並行して大臣の諮問委員会か諮問機関のようなものをおつくりになるとか、国有財産中央審議会の中に小委員会をつくるとか、何か両面を含めたルールと知恵とシステムというものが必要であろうという気がいたします。
 それから、これは念のためでございますけれども、民間の学識あるいは有識者と申しましても抽象的で非常に幅広いわけでございます。少なくともそういうところが、おれは大口の所有者になりたいとか、何とか必死になって、引受シ団というものはないと思いますけれども、幹事役になりたいという関係首で構成されるのは望ましくないので、公平あるいは中立というのは、利害関係者以外の中から最もフェアな案をつくるにふさわしい仕組みが考えられるということではないだろうか。大臣の、民間有識者の意見も聞きながらというのと関連して、ルールとしてはそういうことではないかと思うわけでございますが、いかがでございましょう。
○中田政府委員 これまで政府が持っておりました株式を売却した先例の一つといたしまして、日本航空とか電源開発株式会社の場合などは、国有財産中央審議会の中に分科会を設けて議論していただいたという例があることは確かでございます。しかし、今回の電電株の売却というのは、それに比べましてかなり大きな難しい問題だというふうに認識しておりますので、先例どおりでいいのかどうか、その点今後どのような形で民間の有識者の方々の意見を伺っていくかということについて、部内でまだいろいろ検討しておる段階でございまして、現在までのところ具体的な方法は決まっておりません。その点も今の伊藤委員の御意見なども十分参酌しながら、慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
○伊藤(茂)委員 まだ決めてなければ結構なんですけれども、私はもう決めるかということを言っているのではなくて、考え方、ルールのことを言っているわけであります。国有財産法などに基づいた法的ベースの処理というものも必要な条件でありましょう。また公平、中立、学識豊かなと申しましょうか、そういう方々の専門的知恵も必要でございましょう。そういうのを組み合わせて考えていくということが、具体的な仕掛けは別にして、考え方としてそういう筋合いではないかという法的解釈を言っておるわけでございますが、よろしゅうございますか。
○中田政府委員 お答えいたします。
 伊藤委員の御指摘のとおりだと思います。
○伊藤(茂)委員 気の早い新聞には、先々月あたりから「新電電株売却で専門委 大蔵省、来月にも設置 方法・時期など諮問 秋にも詰め」ということが、これは権威あるマスコミなどに報道されたりしておりまして、私は政府、議会、私どもの役割は、こういうものが最もフェアにどのように社会のために処理されるのか、アンフェアだと考える人がいたら、そうではありませんよということを次々手を打って、国民の信頼できる措置をとっていくというのが、議論する私どもの方も、また政府としても責任であろうということで申し上げているわけであります。
 もう一つ、これも理論的なと申しましょうか、考え方のレベルでお伺いをしたいわけでありますが、会計法二十九条の三にさまざまな一般的な処分についての方式がございます。その中で一般競争というのが原則であるというようなことも書いてございますし、恐らく方式でございますから、従来の方式から申しましても、一定の指し値というのか標準値段というのかあるいは裁定というのか、NTTもたばこもそれぞれ定款の附則に資産株価と申しましょうか、そういうものも表現をされております。NTTで二十一万幾らでしたか、たばこで約四十万でしたか、それも表明されておりますし、それらのことを考慮しながら、さまざまな計算方式などをベースにして処理をされるというふうなことであろうと思います。
 それで、これも考え方か方式の問題として伺いたいわけでありますが、先般の四月二日の大臣の御答弁で一般投資家の参加というお話がございました。私も前向きに理解をしているわけであります。会計法二十九条の建前などからいたしますと、少数の引受シンジケート団方式ではなくて、広く参加をするという形での考え方というのが物の考え方の方式として考えられるのではないだろうかと思いますが……。
○平澤政府委員 今回の電電株及びたばこ株も国有財産でございますので、委員がおっしゃいますように、原則論は会計法第二十九条の三の規定によることになるわけでございます。第一項は、先ほどおっしゃいましたように一般競争入札が原則でございますけれども、その三項と四項に例外の場合が書いてございます。三項がいわゆる指名競争でございまして、四項が随意契約による場合。今、委員がおっしゃいましたのは三項の指名競争入札の場合であるわけでございますけれども、その条文の中にございますように、契約の性質または目的により競争に加わるべき者が少数で一般競争に付する必要がない場合及び一般競争に付することが不利と認められる場合ということになっております。これ以外に政令でさらに一般的に決めることが書いてございますので、必要があらはさらに政令で臨時特例的なことを決めていく前例があるわけでございます。法律論としてはそういう構成になっております。
○伊藤(茂)委員 そういたしますと、先ほどブリティッシュ・テレコムの場合と環境の違う点、また考え方の一定の共通性もあるのではないかという私の考え方を申し上げましたが、法的なルールあるいは昨年末の議会における総理の御答弁、附帯決議などの内容、先ほど来おっしゃっている国民に信頼性の高い方式を、法律の立場もあるいは知恵も含めてお願いをしてつくっていくというふうなことになりますと、そしてまた特定の個人、法人ではないという意思表示もかねてからあるわけでありまして、そういう理解をいたしますと、BTの場合と具体的には違いがあっても、考え方としては近い方式の、言うならば相当オープンなシステムの中での方式というものが考えられてしかるべきではないだろうかというふうに思いますが、どんな御所見をお持ちでございましょうか。
○中田政府委員 電電株の売却の場合に、私どももこういうものの処分は一般競争入札というのが会計法上原則になっておりますというふうに申し上げてきましたように、そういった原則を頭に置きながら、いろいろな方々のいろいろな御意見を聞いてこれから慎重に検討をしていきたいと思いますので、今の段階でこういうやり方の方がいいだろうとか、こういうやり方が望ましいとかいうことを申し上げるほど私どもの検討はまだ煮詰まっておらないというのが現状でございます。
○伊藤(茂)委員 念のために将来のことを伺っておきたいのですが、売却、それからやがてマーケットに上場されるという手順がとられます。何か報道で見ますと、これは取引所の規則で決めることのようであります。その背景に商法か証巻取引法か、法的な関係があるのか知りませんが、実績などを見て五年とかいうふうな内容が決まっているようであります。それに対して行政指導も含めて特例というふうな形も考えられているようであるというようなことも言われているわけでありますが、それはどうでございましょうか。また、いずれそういう段階をやがては迎えるわけでありまして、そうなった段階では今議論しているようなややこしい話じゃなくて、それはほほ市場における適切な状況のもとでの値段というようなことで処理をされることになると思いますが、将来はそういうことでしょうか。
○中田政府委員 電電株の場合、現在は一人株主という状況でございますからマーケットのつきようがないわけでございますけれども、これが売り出されて多くの人々の手に渡りました後は、できるだけ早くマーケットで値段がつくというふうなことになれば、それから後の処分などが非常にスムーズに行えるようになるのじゃないかという感じはいたしておりますが、まだそういうことも具体的に今の段階でどうこうということが煮詰まっておる状況ではございません。
○伊藤(茂)委員 この株の処分の問題について、私はさっき申し上げましたが、政府がかねてから法案審議の段階で表明をされてきたそういう方向に信頼性を高める措置を機敏にとっていただきたいというふうに実は思っているわけでありまして、そういう意味で、広くまた特定に偏らないようにという大原則で機敏に考え方が提起をされていくということを望みたいと思いますが、そういう中の一つとして社員持ち株制の問題があります。
 これも今まで日本の中で似たような株の処理の場合にもさまざま議論もされ、あるいは一部実行もされてきたというふうな問題であります。大きな会社でございますし、四月一日以降の経過を見ましても、春闘も自主交渉で、大蔵大臣がそう心配しなくてもいいようなことで大体解決をするというふうな状況のようであります。また、緊張した中にも安定した労使関係ということが言えると思います。また労働組合の方も、大胆な参加路線とか電気通信産業の将来の担い手となっていくとか、公益性、パブリックな分野での将来を担っていくとか、今日の時代にふさわしいさまざまな発言もされているというふうな状態であります。
 私どもはそういう中で、これは世間の常識でございますから、社員の持ち株制というのもできるだけ早い機会に、また政府の売却の時点など早い機会にそういうものがスタートをしていく、これは主として本来的には労使関係の問題でございます。労働組合の方から提起があり、取締役会がそれをオーケーをすれば具体化ができるというふうなことになるわけでありますし、また先ほど申し上げましたBT方式の場合には、さまざまそれについての特例の措置もとられたというのも御承知のとおりであります。
 ひとつ簡単に伺いたいのですが、今この社員持ち株制というのはどの程度行われておりますでしようか。
○岸田(俊)政府委員 全国証券取引所協議会によります昭和五十八年度の上場会社の従業員持ち株制度実施状況調査によりますと、この従業員持ち株制度実施上場会社数は千五百五十六社でございまして、全上場会社千七百九十社に対しまして実施会社の比率は八六・九%でございます。また、同制度実施上場会社の従業員の加入数でございますが、これは百六十八万人でございまして、これは同制度実施会社総従業員数四百三十三万人に対します比率は三九%でございます。それから従業員持ち株会の所有株式数でございますが、三十二億株でございまして、これも同制度実施上場合社発行済み株式二千二百六十五億株に対しまして一・四一%という状況でございます。
○伊藤(茂)委員 今お話がございましたように、上場会社の八六・九%において実施をされている。また従業員加入比率が三九%。会社、労働組合、労使関係、いろいろなことがございますから、平均の数字よりも高いところも低いところも当然いろいろあるだろうと思います。しかし、今日の日本の資本主義社会におきまして広く行われているシステムであるということは、これは否定できない事実でありますし、私はそういう面から考えますと、いろいろな建前からいって、政府売却時期とも兼ね合って前向きにこれらのスタートを検討していく、そういう意味で前向きに検討すべき課題ではないだろうかというふうに思うわけであります。
 これは労働者の参加ということもございます。それから、今日の日本の株の所有構造というものは、ほかの資本主義国家と比べてみても異常に法人持ち株数が多い、しかも固定した構造ですね。これは大衆持ち株とか大衆何々とかいう時代じゃないわけですね。ですから、私どもも法人税の基本的仕組みの中での擬制説とか実在説とかいうような議論に対しても、実体からして今まで行われていた審議の中身はわかしいというふうに実は思っているわけでありますが、それは別にして、そういう構造を変えていく。民主主義国家で、一定のそういう中流階級が幅広く存在しているというのは、一つの社会安定の要件とも言えるだろうと私は思いますが、そういう今日の日本の株式の所有構造の将来という面から申しましても、あるいは今後の非常にパブリックな部面を持ったこのような事業の将来、いろいろな面から申しましてもそういうことが必要なことではないだろうかと思うわけであります。こういうことも将来これからさまざま具体化を検討されるわけでありまして、検討すべき問題の中の一つの課題ではないだろうかと一つの判断として思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
○竹下国務大臣 先ほど証券局長からもお答えがありましたように、社員持ち株制というのは我が国の経済社会の中においてはかなり定着した制度でありますし、なお企業自身から考えてみても、これは実際問題として安定株主にもなり得るものでありますし、そして従業員の方が経営参加の意欲も持たれ、愛社精神、そういう表現が適切かどうか、そういうものも起こってくるわけでございますから、私はなるべくしてそのようなシェアが広がってきた制度だというふうに考えております。だから、これはいいことだといつも思っておるわけであります、いささか個人的見解になりますけれども。
 したがって、今度の株の問題は、そういう御議論があるということも十分認識の上で検討していかなければならぬ課題だ。問題は、特定の方に価格が安くとかいうような問題、どういうふうな形で価格形成がなされているかというような点は大変難しい問題だなというふうに考えるわけでありますが、いわゆる社員持ち株制というようなものが今日の法人企業の中に果たしてきた役割、そしてまたこの法律案審議に当たっても、その問題が提起された非常に重要な問題だという問題意識で対応すべきではないかな、こういうふうに思っております。
○伊藤(茂)委員 大臣、そこはBTの場合の社員持ち株制についての扱いという一つの経験もございます。それと全く同じにできるかできないか、検討課題でもございましょうし、それから労使の間でも、これは買い入れ額の五%程度が会社から奨励金として払われているというのも、大体世間の実態ということでございましょうし、今後どうするのかという問題とNTTの労使間の問題と含めて検討されなければならないということでありますが、前向きに検討されるべき課題であろうと思います。
 残された時間、これから六十一年度あるいは周期的に問題となるであろう若干のことを質問させていただきたいと思います。
 一つは、先般、補助金一括削減法案と私ども申しましたが、処理されたわけであります。そして今後どうするのかということの具体的な議論をする仕掛けも昨日スタートをいたしたようであります。それに関係して一、二お伺いをしておきたいわけでございますが、検討するための専門家の組織がスタートをいたしました。また国会の従来の審議の経過を見てみますと、衆議院及び参議院含めた附帯決議、最終政府答弁という中で、これは一年限りの措置である、今後については制度それからあり方などを含めて十分検討していく、言うならば乱暴に一割カットとか銭日で何ぼ削るとかということではない、合意のできる知恵を出したことを考えましょうというふうな実は趣旨であったと思います。
 ちょっと懸念をされることがございまして、一つは新聞の見出しにも、大蔵省恒久化をねらうとか、本年度五千八百億以上の財政的な費用を要望、要求しているとか、銭目が優先、筋は後みたいな形のことが実は時々見出しで報道されるわけでありまして、大蔵省のこれに対応する姿勢というものがちょっと心配になるわけであります。
 私どもも法案の中で議論いたしましたが、いずれにしろこういう状況の中で銭目のやりとりという視点も当然持ってございましょうが、私どもの主張からすれば、分権型財政あるいは地方の時代、国と地方とのあるべき今後の税財源の関係などなどをベースにした本格的な一つの考え方を持っていただきたいし、理解も深めていただきたい。少なくとも恒久化とか銭目が光とかいう形で外にも報道されるというふうな姿勢は好ましくないと思いますし、そういう姿勢が優先ということでは好ましいことではないだろうと思います。そういう具体的な検討に臨む姿勢あるいはこの七月でしょうか、シーリングの時期ぐらいに一つのめどを持たなければ、枠組みが先になって理屈が後というふうな危険も感じざるを得ないということも前に指摘を申し上げましたが、その辺の姿勢の問題が一つ。
 もう一つは、五十九年度からスタートいたしました地方交付税の特例加算減額というのですか、六十年度は一千億、これはカットした見返りの話として、対応として上乗せをするというふうな措置、五十九年度もまた一千何百億でしたか、その措置があったというふうに実は思うわけでありますが、何かこれも最近の動きを見ますと、交付税特別会計に相当大きなお金がある、そこのところを国の方にという意識が先に立って、そういう対応の相談が行われようとしているというふうな感じがするわけであります。国税三税の三二%というのは地方財政からすれば憲法のような存在で来たわけでありまして、その本体部分にこの加算減額措置というものを利用して財政のつじつまを合わせる措置をとっていくというのは、国と地方との今日の関係からしても望ましい発想ではないだろうというふうな気がしてならないわけでありますが、どのようにお考えでしょう。
○竹下国務大臣 最初のお尋ねの閣僚会議、この間の閣議で口頭了解、きのう初会合をやりました。そして専門家の方の検討会をつくる、第一回会合が三十一日、こういうことになっております。したがって気の早い人は、その次は何日で、そこのところから大体事情聴取が終わってというようなことを言う人がきょうの新聞記者会見でもおりましたが、そこまではっきり決めたわけじゃございません。
 基本的な物の考え方は、国と地方とのいわば業務分担と費用負担のあり方、こういうことになるわけでありますから、それは主張はいろいろ各省ともおやりになれば、まず財政ありきという角度からの主張もあれば、いろいろな主張があろうかと思いますが、まず第一回会合をやってみて、その専門家の方々の検討会がどういうふうな形でスタートするのか、今のところ、これも税制調査会流じゃございませんが、一回会合、二回会合をやってもらうまで余り予見めいたことを言うことはやめようじゃないか、こういう話をきのうもしておったところでございます。したがって、あくまでもこの業務分担と費用負担のあり方、こういうことから論議に入ってもらわなければならぬ課題だな、こういうふうに考えておるわけであります。
 それから、それについて御意見としてありました概算要求、これも頭の痛いところでございますが、では、あらかじめその辺で中間報告してもらおうかとかというような議論も、少し急いだ議論としてはそういう御質問をなさる向きもございます。しかし、いずれにしてもそれらも含めて、とりあえずは第一回会合、第二回会合と積み上げていこうじゃないかというようなスタンスを今日とっておるということでございます。
 それから、財政議論をしておりますと、国と地方との問題についてのいろいろな各方面からの議論が確かにございます。それにつきましては、要するに交付税率の問題、これは地方財政全体にかかわる問題でございますから、交付税というものを目の前に置いて検討するという性格のものではなく、税源配分がどうなっておるか、補助金のあり方がどうであるかとか、そういうすべての中で、地方財政全体の中で検討さるべき課題であって、それを引っ張り出してまず初めに議論していくという方向は、従来からも適切ではないじゃないか、こういうふうに考えておる。非常に抽象的な域を出ませんが、今そんな段階であります。
○伊藤(茂)委員 先般の補助金法案関連のときにも各委員から指摘がございましたが、この際、国、地方を含めた今後の二十一世紀初頭を展望すると申しましょうか、深い議論がなされることを期待いたします。専門委員に任命をされました、検討をなさる皆さんがいらっしゃるわけでありますけれども、やはりそういう社会展望に立った視点からの政治的な判断というものが大事なことではなかろうかと思うわけであります。
 二つ目に、防衛費の問題について伺いたいわけでありますが、GNP一%枠をめぐる問題などなど、たくさん報道もされておりますし、たくさんの議論がございましたから、それと同じような議論をするつもりはありません。ただ、竹下さん、四回目の大蔵大臣をお務めになりましていろいろとお考えもあると思いますが、例えば昭和五十五年以降の各主要経費、主要歳出の平均的な伸び率を見ましても、防衛費が七・一とか社会保障関連費が三・一とか文教関連費が一・四とか公共事業関連がマイナス〇・九とかいうみたいな状態があるわけであります。もちろん、このほかに一番大きいのは実は国債費というものがあるわけであります。これらが今策定をされております五九中業とかいろいろな中でさらに加速をされていく、そういうことに対する批判あるいは危機感を持った私どもの見解が、実はこの国会でも大きな焦点として展開をされてきたわけであります。私ども日本社会党は、流れを変えようというスローガンを前から言っておりましたが、この際竹下さんも、流れを変えようというお気持ちを持ってなされるべきではないだろうか、財政当局の責任者としてはそうではないかという気持ちを今非常に深くするわけであります。
 幾つか新しい今日の状況、条件というものが生まれていると思います。先般もちょっと議論がございましたが、一つは、アメリカの上院、下院双方で来年度の予算の中での軍事費を削減をするという決議がなされました。上下両院の協議も行われるというふうなことのようでありますが、これは一つの大きな変化であります。さまざまこれについての評論とかあるいは見解の表明なども新聞や雑誌で出されておりまして、読んでおりますと、共通しているのは、そういう決議が上院、下院で通った大きな原因の第一は財政赤字への危機感であろう。幾ら軍備が増強されても経済が弱体化してはどうにもならないし、異常なドル高で西側の結束が緩んでいってもどうにもならない。そういう赤字財政に対する危機感が、さまざまの議論があったのでしょうけれども、このような結論に至らしめたのではないかということが実は共通して言われているわけであります。
 さっきある雑誌を読んでおりましたら、ガルブレイスさんとか都留重人さんとか非常に学識の高い方々の討論会のことが載っておりまして、その中でガルブレイスさんが、今日の異常ドル高、高金利、二つの赤字というアメリカの体質についてこういう御発言をなさっております。これらの状況に対する「対症療法はまた、一部の米国人がいろいろな形で迫っているように、日本に軍事支出を増加させたり、財政赤字を増大させたりすることではなく、さらに日本の金利水準を引き上げさせて日米の金利格差を埋めさせることでもありません。解決法は、われわれの米国が連邦政府の財政赤字を減らすとともに、外国資金をひきつけている金利水準を引き下げることです。軍事支出に対するいっそうの緊縮政策」云々と、私は過剰核殺りく力、今のSDIとかというものに反対であるというふうなことをずっと述べておりまして、先ほどちらっとこれを読んでいたのですが、そういう状況というものは、大蔵大臣の哲学というのか姿勢というのか、物のお考えと決して無関係ではございませんで、非常に考えさせられるべき問題ではないだろうかというふうな気がするわけであります。
 この間も、竹下さん持論のふるさと論に関連をして、何か宇宙から地球を見ても、地球全体が人類のふるさとというふうなことにしたいというお話がございましたが、竹下さんがお考えになるその地球的なふるさとというイメージは、平和な地球というのが当然だろうと思います。宇宙から見てあっちの方は赤組、こちらは黒組、おれはどっちの方だとかというみたいな意味でおとらえになっているわけではないだろうというふうに思うわけでございまして、そういう意味で、財政担当の責任者として考えなければならない一つの曲り角といいますか、状況があるのではないだろうか。
 そのほかにも、米ソ関係の新しい機運が始まろうとしているというふうな状況もございますし、最初に申し上げましたさまざまの主要歳出の伸び率の状況が今の状態で、さらに格差が加速をされていいのかということについてもあるわけであります。そういうお考えを持ちながら、五九中業とかあるいは一%問題とか、来年度の予算編成の大要というものをなさるべきではないだろうか。これは社会党とか私ではなくて、客観的に考えてそういう状況が今生まれているのではないだろうかと思うわけでございますが、御所見をお伺いをしたい。
○竹下国務大臣 確かに人間はそれぞれ空想の世界と非常に現実的な世界とを持っておりますが、政治家というのは、きょうよりあすへとかあるいは無限の理想への挑戦とかそういう一面と、厳しい、お互いが一票一票を獲得していくという現実的努力と二面性があります。
 そういう立場にありながら、一人の人間としてあるいは政治家として考えた場合に、これは私が言ったことではございません、本当は小松左京さんが言っておった宇宙ふるさと論というものから、私がそれを少し体系づけようと思って考えておるだけの話でございますけれども、そういう地球上にそれこそ赤組と白組とがおったり、それから広島の原爆の百万発分の核兵器が現存しておったり、そうしたら宇宙全体が汚染され、人類全体が死滅するというようなことであっちゃいかぬから、本当に地球全体がふるさとみたいな、これは外国語ではなかなか言いにくいのですが、ハイマートとかネーティブプレースとかスイートホームとか、こういうようなことでいえるのかなと思っておりますが、そういう理、想を追求する際に、俗に言ういわゆる軍事費というものが軍縮交渉の中で、理想的に言えば直ちになくなり、また現実的に言えば漸次それが管理されていくという方向へ移っていきたいものだなという悲願は私にもございます。唯一の被爆国民であるだけに、そういう考えは日本人共通の一つの考えとしてあり得る考えだと思うのであります。
 それを今度は、予算編成というまさに現実的な問題に対応してまいりますと、予算編成というのはもとより一つの哲学があらねばならぬと思っております。私の哲学を無理して申し上げますならば、後世代への負担をかけない、こういうことが一番理想ではないかというふうに考えるわけでありますが、しかし現実、今度は財政当局者として見ますと、もろもろの歳出圧力というものがございます。それは私にとっては歳出圧力であるわけでございましょうけれども、それぞれの国民のニーズから言えば、まさにそれは要求であり、願望である。その辺をどう調和していくかというふうになりますと、ますます現実的な論議になりまして、諸施策とのバランスをとりながら、ぎりぎりの調和点をどこに求めていくかというコーディネーターの役割と申しますか、それが私どもに課せられておる現在の仕事ではないか。
 空想の社会から現実的な社会に入りますと、例えばきょうこの委員の先生方が、私がきょうは六時間で済むとこう言いましたら、我々の社会では審議がきょうは六時間で済むというと異例の短さでございますが、ほかの社会ではそういう言葉が平易には理解できない言葉かもしらぬ、こういうことを聞きまして、非常に現実的な面になると、本当に諸施策のぎりぎりの調和をどこに求めていくかということに結果としては尽きるのじゃないか、こんな感じでおるところでございます。
○伊藤(茂)委員 私はアメリカの上院、下院の決議、それらについてのさまざまな評論を読んでおりまして、ある意味ではこれは与野党の課題、与野党の論議の白熱的焦点という、日本はそういう状況にあるわけでありますが、実はそういうことじゃないのじゃないだろうかなという気もいたします。私どもも、与党が全部軍国主義とは思っておりませんで、非情に良識ある平和主義の方もたくさんいらっしゃるし、そういうことは認識をいたしておりますが、これは与野党の激突という意味ではない、考えるべき問題ではないだろうか。ひとり大蔵大臣が重責を担って御苦労なさるということだけではない状況が、やはりあるべきなのではないだろうかという気もして、実は申し上げているわけであります。
 また、今最後の方に、コーディネーターとしての苦労と申しましょうか、理想と現実というお話もございましたが、何か私どもも野党の立場から見ておりまして、権力というのか当局というのか、非常に構造というものを実は感ずるわけであります。竹下さん自身も、宇宙から見ても地球がふるさとということを含めた平和社会を哲学としては持っておられるようでありますけれども、現実、予算編成は先ほど申し上げた数字のような状況になる。そういうことを強く御要望なさっている防衛庁長官も、いい人柄の政治家だなというふうにかねて思っておりますが、そのポストになるとなかなか立派な防衛庁長官になるというようなわけでありまして、そこを乗り越えていくさまざまの努力というものが必要ではないだろうかというふうな気もいたします。
 ちなみに申し上げますと、この間毎日新聞ですか、新聞の世論調査が出ておりまして、私はいいことだなと思ったのですが、防衛費の一%枠内堅持といいますか、調査では七八%が支持だそうであります。政党別に出ておりまして、支持政党別に見た防衛費一%枠に対する見解、枠内を守る、もっと縮めるべきである、自由民主党支持者の皆様で七四%、圧倒的多数という状態でありまして、ぜひこういう数字が自民党の政策に反映されればいいなというふうに実は思ったわけであります。念のため申し上げますと、我が社会党支持者では八四%、公明党支持の皆さんでも合計しますと八四%、民社党支持の皆さんも合計八四%、社公民は全く同じ数字で八四%、並んでおります。共産党さんが九一%、さすがというふうに思いましたが、こんな状況を見ましても、この世論調査が完全に当たっているかどうかは別に見まして、やはり一つの世論の動向ではないだろうかというふうに思うわけであります。
 いずれにいたしましても、人事院勧告の時期それから概算、要求、年末、重要な由がり角の暗期を迎えるわけでありまして、声を大にして与野党激突をする、うちの委員長が言っておりますとおりに不信任案をぶつける、そういう構図よりも、与野党対立てはない様式をもってさらに考えていくということも大事ではないかと思うわけであります。
 あと二つほど伺いたいのでありますが、今後の歳出の焦点の一つとして、ODAの問題であります。先般の当委員会でも御議論がございました。私は、こういう気がするわけであります。きのうですか、新聞に報道されておりましたが、大蔵省はODAといえども聖域ではない、大胆にこれは抑えなければならぬ、一けたに厳しく抑制をするという形で予算編成に対応をしていきたいというふうな報道がございました。いろいろな意味で、私はこれも発想の転換というのか、広い視野からの見方というものが必要だと思います。一つは、ODAの額の問題もあります。それから、かねてから議論されている質の問題もあります。
 また、これはお伺いしたいのですが、どういう展望、戦略を持つのかということであります。昨年暮れ以来、戦略援助ということがいろいろと議論の焦点の一つになりました。戦略と言った場合に、いろいろな戦略があると思います。軍事戦略的視点が一つあるわけでありますが、これは我が国は政府も含めてとらないという立場を表明をされていると思います。政治的な意味での戦略というのがあります。これはアメリカが、レーガンさんが大統領になってから軍事援助をふやす、それから多国間の関係での援助は減らしていく、二国間の非常に政治的な思惑、色彩を持ったものはやっていく、日本に対して肩がわりを要求をする、期待をすると申しましょうか、そのような傾向が強まっておりまして、さまざまのアメリカの当局者の発着の中にも、また先般ほかの法案のときに申し上げましたが、日米の政府が任命をしている諮問委員の皆さんの答申の中にも、そういう政治戦略的な意味合いを持ったレポートが出されておりますし、また私どもは主張しているわけでありますが、本来の意味でのあるべき国際協力、平和、格差の是正、貧困の追放あるいはまた相互の発展、また南北問題の打開などを含めたあるべき戦略というものもあるだろうと思います。
 三番目のそういう戦略をとるべきであろうと私は思いますが、事実上は二つ目の戦略に乗っかっている。私は、こういうことだったらふやしたってしようがないと思います。かえってまずい国際構造ができるかもしらぬというふうに思うわけであります。あるべき方向への努力をしていくという意味での戦略援助についての考え方を持っていく必要があるのではないだろうかというふうに思うわけであります。
 それから、内外に影響を持つ問題でございますから、日本は東西南北の焦点と私は言っておりますけれども、南の方にもあるいは北の方にもさまざまな意味で接点を持っている日本という立場ということになるわけでありまして、いろいろな意味で大きな努力をしなければならない。精いっぱいさまざまの知恵を出し、精いっぱいさまざまの努力をし、そうして国際社会に対応するという基本姿勢の中で、ODAの問題のあり方やあるいは額の大きさに対応されるべきではないだろうかというふうに思うわけでありまして、何か報道で出ておりましたように、断固厳しく抑制をするというのが前面に出るというのは、我が国としてはふさわしい姿勢ではないのじゃないかなというふうに思います。
 それから、これは外務省と御相談になるのでしようが、第三次の中期計画、おくれているのでしょうか。何かそんなみたいな状況でありますが、大蔵省としてはどんなめどで対応されるのか。
 ODAに関係をいたしまして二、三お伺いをいたしましたが、御見解を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 ODAの基本的な物の考え方というのは、まずは民生安定ということで、そこに白組、赤組をつくるべきではない、こういう基本的な考え。そして我が国の場合は、今日までいわゆる国際機関というものの性格に照らして、方向としてそういう方向がとられてきておるわけであります。
 それからもう一つの特徴は、人口の五七%ぐらいがおりますのがアジアでございます。そのアジアの一員という物の考え方からしまして、趨勢としては、金額等からすればやはりアジアが特にバイラテラルなものなどはふえていっておる、こういうことになろうと思うわけであります。しかも、これからODAの新目標をどうするか。過去の目標、ODAのいわば一般会計予算の問題は、おおむねことしの伸びによって実現、国際公約とでも申しますか、それは果たし得たということでありましょう。
 全体につきましては、私はいつも疑問をもつのでありますが、約束したときはたしか一ドルが二百円ぐらいのときでございますから、あのときの計算で全部やって、しかも絶えず日本の方が国際機関のときにおよその見当を立てた金額を全部カウントして、そして各国のディスバース、全部順調に物が運んで金が国外へ既に出ておったといたしますと、全部で十分な約束履行はできたなというふうに私は思っておるわけであります。
 が、さて、今度の新規目標ということになるとどうなるか。この間、外務大臣と経済企画庁長官と私とで、お二人さんがOECDの閣僚理事会にいらっしゃる前にお話をしまして、新目標をつくろうということは決定をいたしたわけであります。それを、さて今度は具体的に伸び率をどうするかとか、そういうことになりますと、これはいわば聖域という物の考え方であってはならぬ、現在の財政事情等も十分勘案しながら、どの辺が妥当かというのはこれから議論して詰めようじゃないか、こういうことになっておるわけであります。そして、外務省の方でも調査もなさるようでございます。フォローアップでございましょう。
 私もこの間サミットに参りましたときに、各国のカウンターパートと話をしておるときに、例えばスコッチウイスキーの大きなたるの上に乗っかって食糧を配っておる。あれだけのスコッチウイスキーを飲みながら配っておる。余りにも差が激しくて、現実我々の援助が行き届いているんだろうかなんという話が割にフランクになされますので、私はどちらかというとそういう点は遠慮しながら言いますが、若干国民性の違いもあるのかなと思っておりました。いずれにしても、確かに私どもは日本航空のチャーター便で参りますが、各国の方、特に我が国から援助をしておる国の方々が全部専用機でいらっしゃったりして、一体どうなっているんかなという、こんな感じがないでもございませんけれども、そういういろいろな実効がどうなっているかということについて外務省でもよく調査をしていただいておるようでございますので、それらを含めてどの辺が目標として妥当か、こういうことをこれから予算編成までには詰めていかなきゃならぬ課題だという問題意識を持っておるところでございます。
 ただ、その前に、六月の末でございますか、ASEANの閣僚会議がございます。そういうときにはODAの中期目標という問題とは別に、個別問題としていろんな議論がまたなされていくであろうなという環境の中に立っておりますので、これからも実効が上がるように、そして日本の今日の力からして国際国家としての役割が果たせるように、そういう立場で検討をしていかなきゃならぬと思うわけであります。
 なかんずく金額がだんだん大きくなってまいりますと、やはりいろいろな世論も出てくると思います。伊藤さんや私の年配は、本当は世界銀行の金を借りたりして今日の繁栄があったという体験を持っておりますから、債務国であったという体験は結局、意識するしないにかかわらず、体質の中に物すごく出ておるという感じがいたしますが、世の中も変わってまいりますと、どういうふうにそれを理解していくべきか。ただ、国際国家としての果たさなきゃならぬ役割、これだけは心の底に置いて対応していくべき課題ではないかというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 わずかの時間でございますから、あと一つだけ話題にさせていただきたいと思います。
 防衛費、平和の問題と世界と仲よくということを申し上げまして、もう一つ緑のことなんでありますが、先般の日米貿易摩擦、合板問題、その後どうなっておりましょうか。まだ詰まっていないようでありますが、何か経過を見ましても、アメリカとの約束の方が先行をいたしまして、林業活性化のために政府がどうしていくのか、総理はお金も出すように大蔵省と話をしているからというわけでありますが、それの方はなかなかめどがつかないというふうな気がするわけでありますが、その中の一つとして国有林の問題であります。
 当委員会でも前にも議論がございましたが、私は目の前のことではなくてこれから先を考えますと、今の国有林野特別会計の収入、それからその中での事業収入の状況、一般会計から、財投からの融資、歳出の見通し、それからさらにはこれから改善計画期間どうなっていくのかということを考えますと、非常に難しい気がするわけであります。言うならば、ことし予算編成があり、若干の手当てもしていただき、来集も同じような方向でどうなるのか、その次の年かそのあたりを考えますと、今のようなやり方ではつじつまが合わなくなる、予算編成が立てにくくなるというふうな状態になる。第二の国鉄と申しましょうか、非常に難しい局面が近づいているという気がしてならないわけであります。したがいまして、地域的にもそうでありますが、当面これから先、年末六十一年度予算編成に向けて、あるいはそれから先の展望を含めて、何か新たな対応を持たなければならないというふうなわけでございます。
 一つは、林野庁お越しいただいてお待ちいただいて、また短い時間になりまして大変恐縮でございますが、林野庁として一般会計からの繰り入れの増額とか、特に借入金の償還条件の緩和、利子補給などの問題とか、相当切実な御要望があるのではないかと思います。自己努力もまたさまざま御努力を考えられていると思います。その辺の状況認識のことをかいつまんでひとつ伺いたいということと、もう一つは大蔵省にこれは御判断をお伺いをし、またお願いをしたいというふうに思うわけであります。
 私は、いろいろな意味で主計の捜さんも、また理財の皆さんも御勉強をなさっていると思います。四月号の「ファイナンス」を読んでおりましたら、「財投こぼれ話」というところの中に、これはお書きになったのが資金二課長補佐の山本さんという方でありますが、非常にいいことが書いてありまして、緑の価値、山の価値、その国民から見た大切さというようなことが書いてございます。例えばその中の一つには「森林の酸素供給機能」とありまして、前から私どもそんなことを時々言っていたのですが、余り話題にはしてくれなかったのですけれども、大蔵省の人がこういうことを書いていただく。「人間は一口当たり酸素を約〇・七五キログラム消費するので一ヘクタールの森林は、人間四十四人の呼吸に必要な酸素を供給する」。国会議事堂で審議をしている我々の吸っている酸素もそこから出るのかなというふうに思うわけでありますけれども、あるいは森林と憩いの場の問題とか、それから公益的な機能の問題とかというようなことが響いてございまして、さまざまの改善の努力が必要であろうというようなことも書いてございます。
 私は、こういうことを考えますと、二つの面での努力が必要ではないだろうか。一つは、今の延長では将来物になるのが物にならない。あるいは先般のある雑誌にも「日本の森林はダメになる」という見出しの記事が載っておりましたが、そういうことになりかねないわけでありまして、相当考えた、これについての力点を置いた対応というものが財政的に必要であろうと思います。それから、財政当局と林野庁当局などが相談をいたしまして、さまざまの知恵を出して、さまざまの意味で外部資金を導入をする新たな知恵というものを考えなければならないと思います。建設省も含めて議論があると聞いておりますけれども、いろいろな方角があるというふうに実は思うわけであります。
 私の地元の横浜なんかでも、山梨県に道志村という山を一つ買っております。何十年か前の人が相当のコストをかけて買ったのでありましょう。しかし、水源林としても、市民の憩いの場としても、これは本当に大事な財産になっているというふうなわけでありまして、何十年か前の市長がそういうコストとしての意識を持ちながらそういう手当てをして、今私どもはそれを非常に活用しているというふうなことになるわけでありまして、教育の森とか憩いの星とか触れ合いの何とかとか、いろいろなものがありますけれども、さまざま負担を求める方法も考えられる。その両面から新たな知恵を出していくということが必要ではないだろうか。
 時間がなくなって恐縮でございますけれども、これから先の予算編成、その中で非常に大事な点ではないかと思いますので、林野庁からの現状認識、お考えと、大蔵省側の対応、こういうことを大事な検討課題として勉強していきたいというふうにぜひお考えいただきたいと思いますが、それを伺って質問を終わりたいと思います。
○穂積説明員 国有林野事業の現状でございますが、昭和六十年度の予算で申しますと、歳入歳出が五千四百六十七億円、そういう規模で私ども国有林野事業に課せられた使命を果たすべく懸命の努力をしておるところでございます。残念ながら、お話がございましたように林業をめぐる情勢が大変厳しい情勢でございます。私ども国有林野事業の経営といたしまして、収入のもとは木材の販売収入でございますが、その木材の価格が長期的に低迷いたしております。現在の価格水準が昭和五十五年度ごろに対しまして二四、五%下落し、およそ十年前と同じくらいの材価水準でございます。こうしたことから、まず木材によって得られる収入というものが非常に厳しい情勢のもとに置かれている。
 さらに、この木材収入のために伐採する木材につきましては資源量の制約がございます。戦後造林いたしました山が現在育成過程でございまして、この六十年代の後半、昭和六十八年以降になりませんと伐採量をふやすことができません。六十年度の伐採量は千二百九十万立方メートルという予定をしておるわけでございますが、これがさらに千二百四十万立方まで落ち込み、昭和六十七年度ごろまでこの状況が続く。さらに木を切るにつきましても、公益的機能を十分念頭に置いた森林施業をしなければならないというような制約もございます。
 こうしたことで、ほかに収入の道を得るために林野あるいは土地の売り払い処分ということで収入の工夫をいたしておりますが、これは昭和五十九年度から五年間でおよそ三千億の収入を見込んでいます。その中にはまた分収育林というような制度も設けまして、六十年度では百億円を超える収入を、現在育成中の山につきまして権利を設定するというようなことで収入を上げよう、さまざまな工夫をいたしておるわけでございます。
 そのようないろいろな収入だけでは、実は現在の造林あるいは林道整備といった事業的施設費あるいは人件費といったものを賄うことができませんで、これには財投資金からの借入をお願いをいたしておるところでございます。財投資金は六十年度で二千三百二十億円の長期資金をちょうだいする予定でございますが、これは造林あるいは林道といった生産投資、それから退職手当に必要な財源のためにお借りしているわけでございます。こうした借入金には利子、現在の水準では七・一%でございますが、六十年度、利子で九百二十億円、期限の到来しました元本償還で四百三十一億円ということが予算上の数字でございます。
 いずれにしましても、こうした資金調達によりまして必要な事業運営を図っていくわけでございますが、この事業運営につきまして私どもは懸命の合理化努力といいますか、事業の能率化を図り、また要員規模の縮減を図っております。これは五十八年度の定員が合わせて約五万五千人でございましたが、六十三年度末までに四万人の規模に下げるということで、既に六十年度初頭におきましては四万八千人台まで落としております。しかし、人件費につきましては当然労賃の上昇といったことなどもございまして、要員縮減と労賃上昇の兼ね合いで縮減もなかなか難しいというような状況もございます。しかし、努力はしてまいらなければならないと思っております。
 こうしたいろいろな状況のもとで、六十年度の予算に引き続きまして、六十一年度予算をどのように組むかということで現在検討に入っております。その場合に、材価水準は今後どうなるか、あるいは私どもの自主的努力といったことの成果をどう上げていくかということなどがございまして、いずれにしましても、困難な中ではございますが、国有林野事業の将来の展望を開くためにいろいろな工夫をしてまいらなければならないと思っております。
 そのいろいろな工夫ということの基本は、昨年六月に国有林野事業改善特別措置法に基づく長期的な改善計画を新たに定めまして、新しい改善計画のもとに事業運営の効率化あるいは要員の縮減といった自主努力をさらに続けていく。そうした中で財政措置等も、これまでいろいろと財政当局の御理解を得ながら講じてまいりましたが、その延長の中で必要な資金確保等も行い、事業運営を国民の皆様に御納得いただく方向で改善するべく努力してまいりたい、こういう状況でございます。
○竹下国務大臣 いわゆる国有林野特会の問題につきましては、今林野庁からお答えがございました、あの特別措置という問題を進めることによってそれらの環境を整備していきたい。そして具体的に六十一年度予算につきましては、まだ協議をしておる段階ではございますが、適切な対応をしなければならぬというふうに思っております。
 対外経済問題からくるいわば林業全体の持つ問題につきましても、まだ具体的には施策を相談するという段階にはなっておりません。これは国有林、民有林を問わず、鋭意当局でお考えになっておるのではなかろうか。
 今のお話を聞いておりましても、私はよく言うのでございますが、日本は他の先進国に比べて雨が面積当たり大体倍降ります。そして、真ん中に山があって、川が急流でございますから、いわば水源涵養、森がなかったら直ちに洪水になる、こういう宿命的な環境にあります。しかし、その森林資源たる木材がそれだけでペイする状態にあるならば、造林というものもある意味における循環性においてできてくるわけですが、今日の時点で国際的に見ましてペイするかどうか、こういう点については先ほどのお話のごとく、宿命的なあるいは構造的な木材価格の低下というものに対応していかなければならぬ。そうすると、木を植えるというのはダムをつくると同じ議論に、ある意味においてはなってまいりますが、セメント、コンクリートからは酸素が出てまいりませんし、また、緑というロマンからしても、やはりそこには森林というものが必要である、こういうふうなことからいろいろお考えになって、先ほどもありました分収育林、俗に触れ合いの森でございますか、そういう制度をおとりになって、昨年が二百ヘクタール、ことしが六千ヘクタールでございますか、いろいろ工夫していらっしゃるということについても、私も非常な興味を持ってこれを眺めさしていただいておるという現況であります。
○伊藤(茂)委員 終わります。
○熊川委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十九分開議
○熊谷委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂口力君。
○坂口委員 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案並びに産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案につきまして、一括して質問をしたいと思います。
 この国債の問題につきましては、もう既に多くの議論がされ尽くされてまいりましたし、国債残高を減らすために行政改革によって歳出を減らす方法、あるいはまた景気対策を強く打ち出して税収を上げる方法、あるいはまた増税をする議論、こうしたことがあらゆる角度からやられてまいりまして、大きな総論的な面での議論が進んできているわけでございますが、きょう提案されております法律案は、いろいろそうした意見のある中で、今回のこの法律案は一歩そこから下がって、現在発行されております国債をいかに円滑に消化、流通並びに償還をするかというところに焦点が当てられているわけでございます。したがいまして、そうした法案の内容に沿いまして議論をさせていただきたいと思います。
 実は、新幹線に乗りまして、東京に向かいます車の中で、つれづれなるままにと申しますか、暇に任せまして本を読んでおりましたら、「無税国家論」という論文に突き当たりました。一橋大学の野口先生の書かれたものでございますけれども、おもしろいものですからそれを読んでおりまして、そうしましたら、「無税国家論」というのは理論的には十分に成立をすると自信を持ってお書きになっているわけであります。地方税をどうするかとか、あるいはまた相続税をどうするかとか、あるいはまた固定資産税をどうするかというような問題は残るけれども、しかしこれは、国税はすべて出さない、無税国家論、公債一本やりでいくという案でございまして、どうも国債の残高がどうだの、あるいはまた予算に占める比率がどうだのというような議論をしておりますのが何となくむなしくなってくるような内容でございました。それを見ながら、このことを竹下大蔵大臣にお聞きをしたら、竹下大蔵大臣はどんなお顔をしてどんな答弁をされるであろうか、こう思いながら、実は新幹線に乗ってそれを読んできたようなわけでございます。
 ただ、一つ条件がついておりまして、この「無税国家論」が成り立ちますためには、財政の成長率が利子率を上回ること、この一つの条件がついているわけでございますけれども、これが達成されればこの無税国家は成り立つという主張でございまして、最後に、これは夢物語ではなくて、近代的な経済理論、財政理論に裏づけされたことである、こう書かれております。
 一言、竹下大蔵大臣の感想をお聞きをして、質問に入っていきたいと思います。
○竹下国務大臣 私も、つれづれなるままに日暮らしすずりに向かうことが全くないわけではございませんが、その今の論文を読ましていただいたことがございません。が、私どもは、近代国家の発展過程から見ますと、まず最初、オオカミに襲われたら大変だというので、能力に応じてオオカミの番人を雇って、いわば夜警国家論というところから外交、防衛、治安、教育、社会保障、そういう順番で近代国家の形成過程の中に、応能とか応益とかに応じた税制というものがおのずからできていく。こんなことでございますので、「無税国家論」というものがあり得たとした場合、無税でさて財源が何であるか、その辺が私には、論文を読んでおりませんので、坂口博士の論評をむしろお聞きした方がいいかと思います。
○坂口委員 多少余分な話でございますけれども、話のついででございますので、もう少しだけ紹介させていただきますと、当然、すべて国債で賄うわけでございます。したがって、その利子も国債ならば、孫利子も国債、すべて国債で賄う。そうすれば膨大になってそれはやっていけないのじゃないかという疑問があるけれども、決してそうではない。もとの一般財源、最初の財源を一とすると、利息、孫利子、その次の利子と全部足しましても一・一一一とずっと続いていくだけで、無限に大きくなるものでは決してない。
 この野口先生が最後に、なぜ「無税国家論」というものを書き、そしてなぜ望ましいと思うかというところを書いておみえになるところがございまして、興味がございましたので、そこだけちょっと紹介させていただきますと、一つは、節税または脱税のために投入される人的資源が非常に惜しいと書いておる。非常に有能な人材が、税制という仕組みのために投入をされる、そして建設的でない、浪費的な仕事の中に有能な人間が多数入っている、これは大変残念なことだ、こう言っておみえになるわけです。大蔵省の主税局の皆さんや国税局の皆さん方には大変申しわけないような感じの一文でございますけれども、その有能な人をそういうところに使わずに、もっと別なところへ使えるじゃないかというのが一つの理由。
 それからもう一つは、必要経費と認められる支出について、浪費が生じやすいということが書かれておりまして、「かりに法人税が全廃されるとすれば、それによって最も打撃を受けるのは、社用消費ができなくなる重役諸氏であり、銀座のクラブや赤坂の料亭でしょう。そして、政治献金も大幅に減少するから、政界も随分浄化されるのではないかと思います。」こう実は書かれております。
 「無税国家を提唱するいま一つの理由は、税を廃止することによってはじめて、財政支出の徹底的な見直しと合理化が可能になると考えられることです。」こう実は書いてございまして、なぜこれを書いたかというその理由が書かれてありますことを申し添えておいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 経企庁の方が少しおくれるようでございますので、話が多少前後いたしますけれども、国債の長短比率の問題からお聞きしていきたいと思います。
 国債の累積をどうして解決していくかというのは一つの大きな問題になるわけでございますが、これを急速に償還をしていこうと思いますと、そこに程度の差はあれ、デフレ効果を生じやすい。デフレ効果を和らげる一つの方法として、短期国債の比率を高める必要がある、そんな理由も並べることができようかと思うわけでございますが、今回の法案の中で、短期債が発行されることになりました。これは今申しましたデフレ効果云々のことではなくて、償還を円滑に行うためということで、今回この措置がとられたものと思います。
 本格的に短期債が導入されることになったわけでございますが、借換債という名のついております短期国債でありますけれども、名前は借換債でございますが、これは一般国民の側から見れば普通の短期国債というふうに考えてよろしいのではないかと思います。それで借りかえをするための短期国債というのは、発行額は償還額の範囲内に限られるということになっているわけでありますが、償還額の範囲内に限られるというのも、多少抽象的な表現でありまして、償還する額というのは、これは例えばことし、昭和六十年なら六十年に九兆円なら九兆円の最終借りかえを必要とする国債があるということなのか、あるいはもう少し踏み込んで、例えば十年債なら十年債が、十年はたっていないけれども、九年なら九年、八年なら八年しかたっていないけれども、償還をされるものについてはそれも償還範囲に入るのか、この辺のところに若干はっきりしないところがあるわけですが、その辺ひとつ説明をしていただきたいと思います。
○平澤政府委員 今回御審議願っております国債整理基金特別会計法の第五条の新しい改正案でございますけれども、「政府ハ各年度ニ於ケル国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ借換国債ヲ起スコトヲ得」となっております。したがいまして、償還以外に整理の場合も入るわけでございます。
○坂口委員 そうすると、発行額の限度というのは決まっていて決まっていないと申しますか、新しく発行すれば歯どめがかかっているようで余りかかっていないような気もするわけです。さらに償還は、これは長期だけではないわけですね。中期もその範囲になるわけですね。
○平澤政府委員 今五条の改正案を読むのに省略させていただきましたが、「借換国債」の後に括弧書きがございまして、「(当該年度内ニ償還スベキモノヲ含ム)」ということでございますので、すべてということでございます。
○坂口委員 今回、短期債が発行されることになりますが、じゃこの短期債の借りかえは一体どうなるのかな。中期、長期だけではなくて、これから短期債も発行される。その短期債の借りかえも将来含まれていくとすれば、発行額に歯どめがかかるということがなくなる可能性がありはしないか、そういうふうな疑問を持ったものですから、今質問を実はしているわけなのです。この法案の文章を読む限りにおいては、その辺のところは明確になっていないのではないかと思いますが、いかがですか。
○平澤政府委員 短期のも含まれるわけでございます。したがいまして、結果的には短期を仮に何遍もこなすというときには、その額を足してまいりますと、かなりの額に達するということになるわけでございますが、国債管理政策を行う上で、そういうむだなことは政府として行うことはございませんので、あくまでこの第五条の規定にございますように、「整理又ハ償還ノ為必要ナル額」という範囲でやるということでございますから、その「必要ナル額」の中に、既に政府を規制する考え方が当然入っているわけでございます。
○坂口委員 多分そういうむだなことはされないと思うし、それは必要最小限度におさめられるであろうと私も思うのですが、やろうと思えばそれはできないこともない。
 この短期債は一般会計にも載らない、それから発行限度額も定められないということになりますと、これはとめどもなく短期国債を次から次に出そうと思えば出すことができる。したがいまして、今までの国債論議で、長期のものあるいは中期のものをなるたけ早く、どれだけにするかということを非常に厳しく国会で議論をいたしまして、今回のように借りかえをどうするかとかいろいろ細かくこれまで議論をしてきたわけで、そうした国債に対する考え方からいたしますと、確かに短期国債、その一年の間にほとんどのものは借りかえられるということですが、年度をまたぐものもまた時にはありということで、これはどこまでも転がしていけばだんだん大きくなっていく可能性もありますしいたしますから、今までの国債管理政策からいたしますと、ややもするとここだけがはみ出てしまう可能性もなきにしもあらずではないか。私は、そうなると、あるいは皆さんがそうしようと思っているということを申し上げているわけではなくて、なる可能性をこの中に秘めていないだろうかという心配をするわけでございます。何かございますか。
○平澤政府委員 先ほどの説明がちょっと足りない部分がございましたが、一つは借りかえのために行うわけでございますから、国債の残高は減らないしふえもしない、借りかえる範囲でございます。したがって、新たにどんどん残高がその結果ふえていくということではなくて、現在ある国債のポートフォリオが一番財政当局に、あるいは国民のために有利なように国債管理政策を行っていく。例えば長期のものが償還期が来たので、短期の金利がかなり低い場合には短期に借りかえることによって税負担を少なくする、そういう方向でやっていくために今回の措置をお願いしているわけでございますので、一つはそういう意味で残高はそのまま変更ないということと、それからもう一つは、それをやる趣旨はやはり納税者の負担を結果的に少なくするように、できるだけ債務者である国にとって財政負担の少ない方向でやっていこうという、その二点の措置であるということを申し上げたいわけでございます。
○坂口委員 何度か申しますように、皆さんがそういう特別な意図を持ってこれをおやりになっているというふうに私は感じているわけではないのですが、しかし、そういう今申し上げたような危険性があるということを申し上げましたのは、その十年のものがあと一年とか半年とかといういわゆる期近債も含めまして、そうしたものにもこれが当てはめられる、それを償還のために当てはめるということになれば、発行額はある程度予測によってやらざるを得ない。満期のものだけにやるというのであるならばこれはきちっと限られておりますが、その満期の近いものについてもそれができ得るということになれば、ある程度予測を持ってせざるを得ないということがあるわけでありまして、そうしますと、その考え方をだんだん拡大をしていきますと、借りかえだけだから全体の発行量はふえないというふうに果たして言えるだろうかなという疑問を、理屈の上からは僕は持てると思うわけです。
 ただし、いかにしてこの国債を償還をしていくか、そして減らしていくかということに一生懸命になっておみえになる皆さん方が、こうしたことを悪用していろいろなことをなさろうとされるというふうには私は決して思っておりませんし、また、そんなことは起こり得ないだろうと思います。しかし、やろうと思えば起こり得る可能性はその中に秘められていはしないだろうか。したがって、発行限度額あるいはまた歯どめといったものについて、法律ではそこまで明確にされておりませんが、何らかの形でこれは明確にしていく必要はないだろうか、そんな疑問を一つ持ちますが、いかがでしょうか。
○平澤政府委員 今回の短期国横は、年度内に償還されることが一つは原則になっておるわけでございます。したがいまして、原則といたしまして年度を越す際には、仮に年度の途中で少し早目に短期国債を発行しましても、財源をためておきまして償還に充てるわけでございますので、一時的にはダブる時期もございますが、年度を締めた場合にはその部分は償還されてきれいになっているということが制度的に仕組まれておる、したがいまして、その意味での歯どめというのはあるわけでございます。
 ただ、ほかの条文のところに前倒しの規定がございます。したがいまして、今回その限度は一兆円でお願いしているわけでございますけれども、その部分については、発行すれば年度末においては残があるということは、制度として可能性がある仕組みにはなっているわけでございます。しかし、あくまでも限度は、国会の議決を経た額で縛られることになっておるのでございます。
○坂口委員 大事なところですので、大臣の御意見を一言聞いて、次の問題に入りたいと思います。
○竹下国務大臣 借りかえということを議論する場合に、従来の経過からすれば、建設国債は要するに六十年間償還で、十年に六分の一というものを積み立てという形で償還してまいります。赤字国債は借りかえは断固としていたしません。それを借りかえを認めていただくことにした。
 そのときの議論の背景は、要するに今田までも同じことでございますが、いわゆる新発債でないわけでございますから、いわば現在保有する資金の中に埋め込まれる、すなわち借りかえますけれども、もともとそれの所有者はその資金の中へ吸収されていくわけでございますから、このことについて財政節度の問題とは別として御理解をいただきたい、こういう形でやってきたわけであります。しかし、そうはそうとしても、しょせん負担するのは国民でございますから、それが絶対に有利な形でやっていかなければならぬ。したがって、今申しましたように、ある時期はたまっておる場合がございますが、その年度を通した場合にそれがきっちりして、そのときどきの市況の状況等を見て、可能な限り有利な条件で発行するということでやってまいりますと、いわば短期がいい、こういうことでなくして、長期、中期、短期の組み合わせをどうするか、そのときの市況によって判断するということしか、結論からいえばないじゃないか。だから、いわゆる国債管理政策というものは、絶えず市況の状態等を見ながら注意して運んでいかなければならぬ課題であるというふうに思うわけであります。
○坂口委員 前半言われたことに対して多少不満がないわけではございませんけれども、こればかりやっておりますと時間がたちますので、次に進みたいと思います。
 特に最近、債券流通市場におきましてTBの流通が非常に大きくなっておりますね。特に昭和五十九年におきましては、これも流通ですから総トータルな話ですが、二百五十兆に及んでいる。これは非常に大きくなっているわけです。このTBと今度出ました短期国債との関係をどうするかという問題が将来残るだろうと思うのです。一方の方は資金繰りに使われ、一方の方は国債の借りかえた、こういうふうに言っております。しかし、表面上のそうした分け方はございますけれども、これが流通を始めますとそういう差はなくなってくるわけでありまして、受けとめ方は、そういう別々の受けとめ方ではなくて同じような受けとめ方になってくる可能性もあるわけであります。
 TBの方は、利率はかなり低く押さえられておりますね。どのくらいでしたか、四・八七五ですか。ところが、今度短期国債の方は市中公募されるわけで、この辺のところも将来どうなるのか。そして五十九年あたりTBに二百五十兆円と、非常にそこに集中しておりましたけれども、そこは金利が非常に低く押さえられていた。そこへ今度は短期国債が入ってまいりまして、これが市中公募ということになってまいりますと、こちらの方に大挙全部押し寄せてくる、そういう構図になる可能性というのは多分にあると思うわけですが、その辺をどういうふうに裁かれるのか、あるいはそれをどういうふうにお考えになっているのか。将来これを一本化するような方向に持っていかれるのか、もう初めからの役目どおりこのままで残しておかれるのか、審議会にもいろいろ意見が出ていたようでございますけれども、ひとつ意見を聞いておきたいと思います。
○宮本政府委員 御指摘のとおりの問題が生じてまいると思いますが、当面は、今先生も御指摘になられましたように、TBは国庫の資金繰りの話でございますし、短期の国債はまさに歳入債の借りかえのためのものでございまして、おのずから性格が異なっているわけでございます。この点につきまして、一方で短期の国債は入札で行うわけでございますから、金利は自由な商品でございますし、それからTBの方は非常に巨額の資金を一度に調達したりあるいは償還したりしなくちゃいけない、国庫の資金繰りで非常に巨額なものが一度に出てくるというふうな点もございます。それから、何かの原因によりまして、期間とは別にいきなり繰り上げ償還するとか、多額のものを何かの事情によりましていきなり繰り上げて償還するというふうな事情もこれあり、その短期の国庫の資金繰りについてこれを市中で公募していくというのがなかなかなじまないのじゃないだろうか。現在は一応公募主義をとっておりますけれども、残額は日銀引き受けということでやってもらっているわけでございまして、日銀が引き受けましたものについて、日本銀行が余剰資金を吸収いたしますときに、TBを売りましてそして資金を吸収している。そのために一時的に出回るTBについては、今先生御指摘のように、取引が最近は非常にふえてまいりまして、二百五十兆にも達するというようなことになっているわけでございます。
 これからどうしていくのかという点につきましては、今後短期の国債を果たしてどのくらい発行する必要性が生ずるのかとか、また発行された後どの程度市場で取引が行われるのかとか、いろいろ短期の国債の先行きという点につきましては発行してみないと実はわからないわけでございますので、その点について十分見きわめる必要があるということと、一方で、当面はやはり国庫の資金繰りにつきましてはなかなか公募に踏み切るというわけにいかないのじゃないだろうかということで、そういう短期の国債の流通がふえてくるに従いまして、その段階で国庫の短期の資金繰りをどうするのかという点につきましては、これは改めて検討していかなくちゃいけない問題じゃなかろうかと思っております。仮に短期のTBにつきましても公募するということになってまいりますれば、今先生御指摘のように、短期の国債とTBとは、買う方にしてみれば同じような商品でございますから、性格としては大変似てくるかもしれませんけれども、TBの公募については、我々としては当面それに踏み切る考えはないわけでございます。
○坂口委員 このTBの方は有価証券取引税はかからないわけですね。今回の短期国債の方も取引税はかからないのですね。
○梅澤政府委員 蔵券を含みますいわゆるTBについて有価証券取引税が非課税になっておりますのは、これは多分に沿革的なものでございまして、一括日銀に引き受けられて市中を転々流通しないということでございますので、沿革的に非課税ということで今日まできております。
 今回の短期国債につきましては、市中消化というものが前提になるといたしますと、税制の立場からいたしますと、各種の有価証券の流通等考えますと、課税のバランス上当然課税問題が検討されるべき問題であろうかと思います。今回この法律によりまして新たに短期国債というものが出るわけでございまして、今後の短期市場の流通状況というのもやはり新たな問題でございますので、よほど考えなければならぬということでもございます。したがいまして、そういうものとの関連で当面、非課税措置の規定を今回手直しはいたしておりませんけれども、将来、今申しました短期市場との関連等も見ながら検討し、適切に対処していかなければならない問題であろうかということで、現時点ではこの非課税措置をまだ手直しをいたしていないわけでございます。
○坂口委員 いつも歯切れのいい主税局長さんにしてはどうも歯切れが悪かったですね。
 そういたしますと、現在のところはこの短期国債は有価証券取引税はかかると判断した方がよろしいわけですか。
○梅澤政府委員 ただいまちょっと説明がまずかった点があるかと思いますけれども、非課税でございます。
○坂口委員 わかりました。
 そういたしますと、この短期国債といいますのは一年未満になるわけですが、二年物、三年物、そうしたものとの関係やら、それからTBとの関係やら、こうした関係の中で課税するもの非課税のもの、その長さによっていろいろ違ってくる。したがって、同じ国債の中でもそうした差が出てくるということで、非常にわかりにくい形になってくることは確かにありますね。長期のものでも期近債になってまいりまして、六カ月ですとか三カ月とかいうようなものになってまいりまして、それが転々流通をするということもあるでしょうし、そういたしますと、それらにはかかる、しかし短期債にはかからない、いろいろややこしい形がそこに出てくるわけでありますが、この辺のところは一応今までTBの方が有価証巻取引税は、沿革的にはという言葉を使われましたけれども、かからないということになっておりますので、それに足並みをそろえられるということになるのだろうと思いますが、将来こうした問題をもう少し整理するということになるのでしょうか、それとも、これはこうした状態でまあまあ様子を見なければならないということなんでしょうか。
○梅澤政府委員 先ほど申し上げましたように、現在のTBというものは日銀一括引き受けで市中に転々流通するということを予定していないという沿革的な理由で非課税になっておるわけでございますが、今回の短期国債というものは市中消化、市中を転々流通するということを想定されているものであるとするならば、税制の理屈としては、現在のTBの扱いと今回の問題とは切り離して考える必要があるだろうということでございますが、先ほど申しましたように、短期市場等の今後の動向等も考えながら、将来の検討課題として考えるということでございます。
 それとの関連で、ただいま委員がおっしゃいましたように、期近債なんかの関係で少し取り扱いがややこしくなるあるいはバランスを欠くという御議論がございましたけれども、私どもはそれはそう考えておりませんで、長期の債券がございまして、償還期限までの残存期間によって税負担に変化が生ずるというのは、委員御案内のとおり、有価証券取引税というものは証券の取引に伴いますいわば流通税ということでございますので、むしろそういうものにいろいろな差を設けるというのはかえって金融市場を撹乱するのかもしれない。ポイントはやはり、今回の短期国債を将来課税物件として扱うのが適当かどうかということについて、もう少し情勢を見なければならないだろうということを申し上げておるわけでございます。
○坂口委員 よくわかりました。長期債の期近債を同じように扱うことについては無理があるというお話、ごもっともだと思います。したがいまして、その辺のところの整理がなされないと非常に混乱するおそれは、しかしあると思うわけであります。最近期近債が流通する確率が非常に高くなってまいりましたが、こうしたことに短期債の発行というものが大きな影響を与えるということになってくるだろうと思いますし、その辺のところをひとつ今後見守りたいと思います。
 それでは、この短期債の問題はこれくらいにいたしまして、経企庁お見えをいただいたようでございますので、国債償還の速度の問題、速度というとえらい物理的な言葉で恐縮ですが、速さと申しますか、国債償還を徐々に行うか、それとも急速に行うか、そうしたことにつきまして少し議論をしてみたいと思います。
 これは今さら言うまでもなく、国債本来の二大機能といたしまして、一つは資源の適正な配分という問題がございますし、あるいは一つは景気調整機能という問題がございます。国債償還をおくらせて、例えばその分を公共投資に回すという考え方をいたしますと、その時点だけを考えますと国債発行によって公共投資をふやしたのと同じ形になるわけでありまして、国債償還の速度というのは、それを早く行うか、あるいはおくらせるかということはまた景気調整機能に大きくかかわってくる話だと思うわけでございます。
 そこで、景気回復のために予算はどう使われるべきかという問題、大変大きな問題でございますが、以前のように公共投資一本やりというような形ではなかなか景気の回復が難しくなってきた、そういう印象を強く受けているわけでございますけれども、いわゆる景気調整能力というものをより現実的に受けとめていかなければ、国債を償還していくスピードをどのようにするかということは決まってこない。そういう角度から、きょうは経企庁に来ていただきましたので、景気回復のために、予算配分におきまして今までとどういう違いが生じてきたかというところのお話をひとつ先に伺っておきたいと思います。
○赤羽政府委員 お答えいたします。
 大変難しい御質問でございまして、私どもとしても即答するだけの能力がなかなかございませんけれども、従来景気調整機能ということで財政の出番を考える場合には、歳入面、歳出面両方あるだろうと思います。歳出面ということになりますと、どうしても中心が公共投資を拡大する、そのときの経済全体に対する効果を乗数効果という形で把握する、こういうことではなかったかと思います。
 他方、歳入面で考えるということになりますと、いろいろな税制を工夫をする、投資振興税制でありますとか、あるいは逆に貯蓄優遇税制でありますとか、そういうふうな考え方もありますけれども、全体として国民の所得をふやすための所得税減税というものを中心に考える、可処分所得をふやす形で国民の消費をふやす、こういう形で景気を刺激をする、こういったようなことが考えられたと思います。もちろん景気を刺激する一方ではなくて、景気の過熱のとき、インフレが心配されるときにはその逆ということで公共事業を抑制をする、あるいは減額をする、あるいは増税をする、こういうことが考えられたということだと思います。
 問題は、それぞれの乗数効果という形であらわされますものが、そのときの条件によってそれぞれ大きさが違うのではないか、さらには経済に対する見方によりまして、乗数効果というものを大きく考えることができるだろう、こういうふうに考えられる論者と、それからそんなに大きなものではない、むしろ経済というのは自由な市場のメカニズムの中で競争させる形で活力を守り立てていくのがいい、こういう方面から議論をする人と、そういったようなことで幾つか見解が分かれているのではないか、こう思います。
 大変難しい御質問なものですから、私の回答が少し的外れであるかもしれませんので、追加の御質問を受けましてもう少しお答えを申し上げたいと思います。その点お許し願いたいと思います。
○坂口委員 もう一度お聞きする前に、大臣、国債償還につきましてもっとスピードをおくらして、徐々に償還をしていいんじゃないかという議論もございますし、いや、もっと早く赤字国債だけはなくしてしまうべきだという議論もあるわけですね。ところが、早くすべきだという意見も、おくらせてもいいんだという意見も、それじゃ何を根拠にした話なのかということを突き詰めていきますと、いずれもさほど確たる根拠のないことが多いわけでございまして、したがって私は、返還のスピードをどうするかということを考えていきますときに、今申しましたように財源をいかに景気対策に向かわしめるか、そこが明確になれば、例えば二兆円なら二兆円返すべきところをことしは一兆円にしておく、そして一兆円は景気対策の方に回していくということも考え得るのではないだろうか。早ければいいというものでもないし、遅ければいいというものでもない。そこがもう少し明確になれば、この議論は案外すっきりとするのではないかということを日ごろから考えておりまして、今経企庁にも実はお聞きをしたわけでございます。
 それからもう一つは、逆の面から申しますと、今度は国債を減額していくスピードが非常に速かったときに、デフレ効果が出ることもまたあるわけであります。そうしますと、不況になる、あるいは失業者が出る、税収の落ち込みが起こる、あるいはまた財政赤字が起こるというようなことになっていく可能性もあるわけで、大体どういうスピードでいけばどんなデフレ効果に結びついてくるのだろうか。これは諸般のいろいろな事情の積み重ねでなるものでしょうから、一つだけでどうこうということは言いがたいとは思いますけれども、こちらの方のことも考えながら、両面から考えてこのスピードは決めていかなければならないのではないだろうか、私はそんなふうに考える一人であります。ところが、突き詰めて考えていけば、一体具体的にどうなるのかということにつきましてはなかなかわかりにくい面が多いものですから、ひとつお教えを請おう、こういうことでございます。そういうことでお聞きいたしましたが、国債償還のスピードをどうするかという大臣のお考えをひとつお聞きしておきたいと思います。
○竹下国務大臣 いろいろな前提がございますけれども、非常に大ざっぱな話をいたしますと、償還をことし二兆円すべきものを一兆円にするということになりますと、それだけ残高が残りますから、利払い費はふえていく、こういう結果になります。
 それともう一つは、年々の償還を減らし財源を捻出するということになりますと、現在の減債整理ですね、六十分の一ずつ積んでいくという、その問題が一つは基本の問題として出てくるな、こういう印象で今承っておりました。
 今考えることは、やはり予算というのには性格が二つありまして、いっぱいありますが仮に二つの面をとらえれば、一つは教育をしたり道路をつけたり、いろいろな普遍的なことをするほかに、もう一つは富の再配分でございますね。その能力に応じて税金をちょうだいして、生活保護その他へ配分していくその富の再配分で、再配分に使うものがますます利払いがふえるということは、個人であれ法人であれ、持てるところへいくわけでございますから、まず初めに利払いありき、こういうことになりますから、残高がふえるというのは、やはり本来の予算の富の再配分機能というものから考えれば適切でない。
 しかし、今坂口さんがおっしゃるのは、いささか硬直的に六十五年脱却なんと言うと、非常に歳出を締めてそれがデフレ効果をもたらすから、そのときは弾力的に対応するのが自然じゃないかと。よくソフトランディング理論の人の話はそういう場合があり得る。これにつきましては、非常に難しいと思いつつも、六十五年脱却という努力目標がありませんと、お互い人間様のすることでございますから、やはり一遍歳出圧力というものに抗し切れなかった場合、ずるずるといってしまってとめどもなく財政改革の期間が長引いていく。したがって私は、やはり努力目標というものの設定は現実問題として必要なものではないかな、こういう感じを持っております。
 そこで、現在の認識、どう受けとめるかということは、お互い意見の相違も時にはございますが、仮に今景気が自律的に上昇気流にあるとすれば、今こそそれにてこ入れをして急上昇させるべきだという議論の人と、私どもが言っておりますのは、自律的回復傾向にあるときこそむしろそれを財政改革の機会としてとらまえていって、いわばその自律的回復というものを阻害せぬ程度に公的支出を削減し、財政改革の方向へより思いをいたすべきだ、こういうことでございますから、今の場合我々は、努力目標というのは、一つの歯どめがなくなってしまうということと、それからいま一つは、今自律回復基調にあるときこそ、そういう財政によるてこ入れというよりも、財政を引き揚げて財政改革を進めていく時期である、そういう受けとめ方で今日けちけち財政をやっておる、こういうことになろうかと思われるわけであります。
○坂口委員 赤羽局長さんにもう一度お聞きをしておきたいと思うのですが、昭和五十年代の前半、非常に景気も落ち込み、そして税収も落ち込みまして、それに対して赤字国債も多額に出たわけでありますが、これは赤字国債ですから、これが公共事業に使われたというわけではありませんが、予算全体から見ますと、景気対策として公共事業に非常に大きなウエートが置かれたこともまた事実でございます。
 以前、高度経済成長時代におきましては、公共事業に対する予算がたくさんつきますと敏感に反応いたしまして、景気の立ち直りということが行われたわけでございますけれども、最近はそうしたことが、決してないわけではありませんけれども、以前のように敏感な反応は起こさないような状態になってきたように見受けるわけでございます。そうすれば、景気を回復せしめるのに、いつか来た道で同じように公共事業というだけではなくて、そこに何らかの景気対策としての変化があってもよろしいのではないだろうか。その変化は一体どんなことで、そしてそれに対して財政の方からの配分はどのように変えていったらいいのであろうかという私の疑問であるわけでございまして、ある意味では先ほどお答えをいただいた分もございますけれども、つけ加えて何か新しい動きとして、ここをもう少し押せば景気というものに対して大きな影響を与える、そういうファクターがあるのだというようなことがございましたら、ひとつつけ加えてお話しをいただきたいと思います。
○赤羽政府委員 高度成長期におきまして公共事業をふやす、こういうことになると敏感に経済全体が反応して成長率もまた高まった、こういう御指摘をなさいました。確かに事実としてそうだっただろうと思います。
 しかし、この点をもう少し深く内容に立ち入って分析をしてみますと、高度成長期におきましては、やはり成長の天井というのが国際収支にあったと思います。少なくとも四十年代の初めぐらいまではそうだったと思います。したがいまして、経済自体にどんどんと成長しようという意欲はありましたけれども、成長を始めますと、成長率がある程度以上高まりますと途端に国際収支が赤字になって外貨が不足をする。今と情勢が違うものですから、そうなると経済活動を引き締めざるを得ない。当然そのときには公共投資についても抑制がなされた。もちろん金利も引き上げられた。こういうことで無理に抑え込んでいた。つまり、膨れようとするゴムまりというものを無理に抑え込んでいた。したがって、その抑制が外れるとともにまた再び成長率が回復をする、またそういう時期であるがゆえに公共事業もまた伸ばすことができた、こういう点があったと思います。
 それを考慮しなければいけないなというのが一つでありますし、さらには、経済全体が新しい技術革新、その場合の技術革新といいますのは、先進諸国においてもう既に達成されていた技術革新というものを日本でキャッチアップをする、こういうことでありますので、どんどんと新しい設備投資をふやしていかなければいけない。それの制約になっておりましたのが国際収支であった。それが外れたときにはまた再び民間の投資もふえる。全体に経済の規模が小さく、生産能力というものが小さいわけですから、経済が成長する、膨らんでいくということになりますと、それに合わせてまた投資をふやさなければいけない。その当時、投資が投資を呼ぶと言われる現象、そういうふうに名づけられましたけれども、こういったような条件のもとで公共事業の効果というのがさらに増幅されてあらわれた、こういうふうに理解しているわけです。
 そういう点からいいますと、五十年代、特に最近の時点にはそうした条件というのがそろっていない。むしろ経済全体が非常に国際化しておりますし、また、貿易の自由化なども進んでおる。こういうことで、また財政政策の効果が国内だけにとどまらない。外国に対しても漏れていく。逆に言いますと、アメリカの財政政策の効果が、アメリカの国内にとどまるよりはむしろ世界経済全体に対して裨益をする、こういう現象が見られているわけですけれども、日本についても、規模はアメリカほどではありませんけれども同様なことが言える。そういうようなことで、国内に対する効果というものが昔に比べて小さくなってきている、こういうことではないかと思います。
 他方、GNP自体もまた非常に大きくなっている。例えば四%成長といいますと、数字は高度成長期の一〇%成長に比べますと非常に小さいようでありますけれども、経済の規模が大きくなっているものですから、この四%によって、例えば二十年前でいいますと、二〇%近い成長が実現しなければ自由にならなかったような新しい資源、所得というものが自由になるようになる。そういう状況のもとで、数字だけで見て余り効果がないじゃないか、三%、四%ではちょっとも景気が回復しているとは言えないじゃないか、こういうふうに言いましても、やはりその点、一%、二%というそのものの持つ意味合いが変わってきている。こういったようなことをすべて総合的に評価をいたしませんと、なかなか単一の指標だけでその効果があるとかないとか言えないのではないか、こう思います。
 どうもやや理屈っぽい話になりまして恐縮でございますけれども、そのように考えております。
○坂口委員 ありがとうございました。
 大変難しい議論になりましたので、それでは次に移らせていただきまして、金融自由化の問題に少し触れさしていただきたいと思います。
 この国債の償還と大変大きなかかわりがございます金融の自由化につきまして議論を進めていきたいと思いますが、先日、アメリカからもこの金融の自由化について強い要求があったというようなことがマスコミあたりでも報道されておりまして、小口預金に対する自由化まで早急に進めよというような外圧もあるようでございますが、今までのこの金融自由化のスケジュールというものを、そうした最近の社会情勢と申しますか対外的な情勢、特にアメリカからの要求、そうしたものによってスピードアップをするとか、あるいはまた内容を変化させるとかいうような計画変更というものが起こっているのかどうかということを、まずお聞きをしておきたいと思います。
    〔熊谷委員長代理退席、堀之内委員長代
    理着席〕
○竹下国務大臣 いささか私見にわたりますけれども、金融の自由化、国際化、これは一つの世界的な流れである。そこで、今度は日本の円の国際化、自由化という問題になりますと、確かに日米円ドル委員会というのは大きなきっかけにはなりましたけれども、アメリカがそれを要請したということではそれは大きなきっかけにはなりましたが、結論から申しまして、円が国際化すべき環境に到達しておったというふうに私はこれを理解をしておるわけであります。新たに今度は何をせい、かにをせい、例えば今おっしゃいました小口金利の自由化、これは原則的には自由化しなければなりませんが、日本の歴史的土壌もありますので、そうあしたあさってからやれるものじゃないというようなことはどこも理解をしておりますし、そこを直ちに今要求の形で出ておるというふうに私は理解をしておりません。
 ただ、きのうも議論をちょっとしましたが、月曜日ですから国会がございませんでしたので、わずかな時間でありましたが、では大口からやっていく、大口の定義は何ぞや。そうすると、国際金融局長さんと銀行局長さんと二人が、ではMMCは五千万でCDは一億かな、こう決められたらその額が大口ということになるのか、まあこういう冗談を言っておりましたのですが、大口というのは、自由化していく度合いの場合にそれが大であって、自由化されないものが小である、こういうことに定義づけざるを得ぬのかな。学問的定義ではございませんでしたけれども、そんな話をしておりましたので、今さらに外圧が加わっておるということには、私は考えておりません。
 ただ、間々外圧と言われますのは、相互の国で事情が違いますね、例えば長短分離とかあるいは銀行、証券でございますとか。ヨーロッパは、どちらかと言えば銀行、証券みんな一緒にやっておる、アメリカ、日本はそれが違うとか、そういう制度上の問題で、日本の銀行はヨーロッパへ出て極端に言えば証券と両方やりなさる、うちは出たら銀行しかできぬじゃないか、別会社でないと今度はおたくへ出たら証券業務はできぬじゃないか。これはだんだん議論を詰めますと、世界統一銀行法、世界統一証券業法にしなければいかぬようになる。それは一挙に進むものではございませんから、外圧ではなく、それはおのおのの制度の違いからくる垣根をいかに少なくして、相互が自由に乗り入れするような体制をつくるかという話し合いはしますけれども、必ずしもそれが外圧とまでは今は受けとめておりません。いささか私見を交えてのことでございますけれども……。
○坂口委員 そこで、銀行に対する行政指導、それから規制の問題がございまして、これにつきましても、金融の自由化とともにすべてを緩和せよというわけではありませんけれども、金融の自由化につれて行動の自由というものをある程度認めるべきものは認めていく必要があるのではないだろうか、やはり金融の自由化とこの行政指導、規制というものとの結びつきというのも、これはある程度はパラレルにいかなければならないのではないだろうか、こういう議論もたびたび出るわけでございまして、銀行局の方でこのことについてどうお考えになっているかということを、この際にひとつ聞いておきたいと思います。
○吉田(正)政府委員 銀行を含めての金融機関に対する行政指導緩和いかがか、こういう御質問というふうに考えられます。
 私どもの基本的スタンスで申し上げますと、昭和五十六年に銀行法を改正いたしましたときに、法律の目的の中にはもちろん信用秩序の維持、預金者の保護ということを本旨とすべしということになっておりますが、その銀行法はいわば金融機関の監督の基本法だと思いますけれども、そこでも経営の自主性を尊重すべしということが法律にもうたわれているわけでございます。
 先ほども大臣が申し上げましたように、私どもの金融の自由化というのはかなりの速度で進んでおると私は思っておりますが、今おっしゃいました規制の分野、行政指導の分野で申しますと、まず第一には金利規制の問題があるというふうに考えておりますが、これはただいま大臣が申しましたように、非常に急速に進んでおる、着実に実施されているというふうに考えておるわけでございます。例えばCDの発行条件の弾力化とかMMCの導入など、最近でも着実に進めているわけでございますが、ほかの指導について、若干具体的になりますけれども、例えば店舗規制など一つの行政指導の規制のものだと思いますけれども、これにつきましても、自主性の尊重という見地から逐次規制の緩和を図っておるわけでございます。例えば店舗振替制の導入とか店舗設置基準の弾力化あるいは店舗設置枠の拡大、店舗設置の認可制を最近では一部届け出制にも変えるということで、省令も改正することになっております。それから、例えば経済集積度の高い地域では、今までどおり制限があるわけでございますけれども、経済集積度が高い、ニーズの高いところなどには設置基準を緩和するとか、そういうようなことで、金融機関の自主性尊重の見地から店舗規制の緩和を図っておるわけであります。
 それから業務ということになりますと、金融機関は公共性が高いということ、預金者保護ということで免許業種になっているわけでございますので、本業に専念しなければいかぬという基本枠がございます。そういう本業専念義務とか公共性の観点というものは必要でございますけれども、やはり経済社会情勢が変化をしておりますし、ユーザーのニーズも高まっているという点では、ただいま申し上げましたような一定の限度がございますけれども、業務範囲についても緩和しておるわけでございます。
 これもちょっと具体的に申し上げさせていただきますと、五十七年には既に金の取り扱いを行う。それから五十八年には公共債の窓販、これも金融機関が個人に公共債を窓販することで消化の非常に大きな部分を占めておるわけです。金融機関の引受債の四割、三割というのが窓販になった。海外CP、CDを取り扱うとか、去年からは公共債のディーリングで、ことしの六月からは本格化するようなことになる。それからもう一つは、本来業務がございますけれども、関連会社の業務につきましてもリース業務とか計算受託業務とか、最近三月には投資顧問業務も認めることといたしたわけでございます。これが業務でございます。
 新商品の開発分野というところにつきましても、先ほど申しましたような金融秩序とか法令との関連で問題のない限りは、自主性尊重の理念から新商品の開発を活発に行っているのについては前向きに受けとめる、ということでございまして、例えば預金をしながら利子で国債を買っていくというような国債定期口座とか、普通預金と中国ファンドの相互振替サービス、それから定期預金から一時養老保険への自動振替サービス等々のような新商品についても、なるべく前向きに受けとめておるわけでございます。
 このような感じでございまして、先ほど申しました銀行法の目的にも自主性尊重の精神がございますので、金融行政の自由化、弾力化を図っていく点については今後も変わりはございません。ただ、自由化ということでございますから競争が強くなってまいります。金融機関の格差の拡大もしてまいります。そこで、信用秩序の維持と預金者の保護というのは、先ほど申しましたような法律の目的のもう一つの大きな柱でございますから、その点の環境整備を図ることを並行して進めながら、ただいまのような金融行政の自由化、弾力化を着実に推進してまいりたい、こういうのが私どもの基本方針でございます。
○坂口委員 ありがとうございました。
 金融自由化の問題、まだまだお聞きしたいことがたくさんございますし、外国向けと申しますか対外的な問題もございますし、国内で整備をしなければならない問題もある。また、対外的な問題ばかり進めてまいりますと国内的な問題との整合性を欠いてくる。非常にいろいろの問題がございます。
 最後に大臣に、我々選挙区を歩いておりますと、小口の預金金利の自由化というのは一体いつごろから起こるのかという質問をしばしば受けるわけなのです。そのときにいつもはたと困るわけでございますが、大臣は今どんなふうにお考えになっているか、ひとつお聞きをして次に進みたいと思います。
○竹下国務大臣 私も時々いつになりますかという質問を受けますと、これは国会答弁で行うと同じように、それは郵便局を初め歴史的な土壌がございますので、慎重な上にも慎重を重ねてやらなければならぬと思っておりますという答弁の限界を出ないのが実情でございます。
 実際問題、先ほども大口とは何ぞや、小口とは何ぞやと言いましたけれども、これはまさに話として聞いていただけばいいのですが、CDが一億でMMCが五千万、ははあ、そうするとそれで決めたところが大口でそれの以下が小口だな、そういう定義しかないのじゃないか、こんな感じを受けておりますだけに、よく聞かれるのは、いわば郵便貯金を初めとするそういうものに対していつ自由化しますか、こういうことでございますから、これについては何年後ということを言うだけの自信は率直に言ってございません。
○坂口委員 大臣が思っておみえになります小口と私の小口とはどうも大分開きがあるようでございますので、余りこの話をしておりますと何となくミゼラブルになってまいりますので、もうこの辺にしておきます。
 もう一つ、金融の自由化と非常に関係のございますのが財政投融資の問題でございます。この金融の自由化が進むにつれまして非常に影響を受ける部門でございますし、それからまた国債の引き受け手といたしましても今まで大きな役割を果たしてまいりました。昭和六十年三月末で二十三兆円、そして今年さらに五兆円でございますから二十八兆円になろうといたしております。こうした多額の国債を引き受けてきました財政投融資でございますが、現在国債の方の利率が七・〇九九%とお聞きをしました。そして、預託金利の方が七・一、これは表面利回りで、クーポンで六・八、したがって七・〇九九と七・一と、逆ざやではございませんけれども全く横並びになっている。いろいろの手数料を考えますと、国債を買えば買うほど損がいくというような状態に現在なっているのではないだろうか。過去に非常に利率のよかったときのものは今もよろしいのかと思いますが、少なくとも現在、国債を預かろうとすると財政投融資は非常に苦しい状態に追い込まれる。しかもこれから金利の自由化が進んでいけばいくほど、そうした不安というものがさらにまた増してくるというような状態にあるのではないかと思います。しかし一方におきましては、百五十兆になんなんとする資金残高を持っているわけでありまして、これをまたいかに有効に使うかということもまた大事な話でございます。
 これから先の話でございますけれども、現在の状態がいつまで続くかということはわかりませんから一概には申せませんが、現状のような状態のときに財政投融資に国債をより強烈に押しつけていくというのは非常に問題がありはしないか。引受額のパーセントを見ましても、最近また財政投融資のパーセントがふえているわけでありまして、金融機関の方が下がってきている、こういう状態になっておりますが、このところをどう解決したらいいのか。例えば郵貯なら郵貯をたくさんしておみえになる方はあるわけですから、もっと個人に国債を買ってもらった方がいいのか、郵貯として出してもらったものを財政投融資の形で非常に苦しいけれども引き受けた方がいいのか、この辺一考を要するところではないだろうかと思うわけであります。ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
○宮本政府委員 今御指摘のような問題があるわけでございまして、先ほど先生御指摘の国債の条件は四月債の条件でございまして、実は五月債はさらに国債の条件が低下しておりまして、六・八四二というふうに応募者利回りが下がっております。また、六月債はさらに下がるんじゃないかというふうな見込みでございます。したがいまして、今のままでございますと……(坂口委員「十年物ですか」と呼ぶ)十年物でございます。六・八四二でございます。それで、六月からはまたちょっと下がる予定でございまして、六・七〇八まで下がるというような状況でございますので、預託金利が七・一のまま国債を持ちますと、確かに運用部は大きな赤字になるということで、その限りにおいては問題であろうかと思うわけでございます。一般的に、現在やはり預託金利が預貯金金利に連動しているという慣行があるものでございますから、いろいろ円の問題等もございまして公定歩合が動かないということもございまして預貯金金利が下がりませんので、結局預託金利も下がらないという状況でございます。したがいまして、やはりこの問題につきましては預託金利のあり方の問題とも実は絡んでくるわけでございます。
 それは別にいたしまして、私どもとしては、運用部の資金の配分につきましては、国と地方とそれから財投機関、この三つの部門にバランスよく配分していくのが役割じゃないだろうか。特に、国の資金需要、地方の資金需要、それから財投機関の資金需要、それの実態を見きわめながら配分していく。実はことしの財投計画、五兆円を国債に回したわけでございますが、これは最近の傾向といたしまして財投機関の資金需要はだんだん減少してきているわけでございます。その一方で、国の資金不足が多くて非常に国の資金需要が強いものでございますから、私どもといたしましては、できるだけそういう資金需要の強いところに資金の配分をしていく。
 それからまた、国債は余り市中に出しますと、国債の価格が下がりまして金利が上がってしまうというような点もございますので、やはり民間の資金はできるだけ民間で活用していただくというような点も必要でございましょうから、そういう意味も含めまして財投の国債引き受けをふやしたわけでございますが、それによって運用部の収支が悪化するという点につきましては、別途、預託金利というものによっての考え方、あり方というものを見直すことによって解決していかざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
○坂口委員 この資金運用部資金のことにつきましては、いつか共済年金のときにも実は申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、郵貯あるいは年金、とりわけ年金のお金を預かっているわけでございますから、その運用が悪ければ悪いほどこれは年金にはね返ってくるということになるわけでして、これは慎重の上にも慎重にひとつ取り扱っていただいて、大事な年金の資金を預かっております以上、それがより大きく生かされるような方向に使われることが望ましいわけでございます。
 しかし、今おっしゃったように国債との絡みにおきましても、それをすべて市中に出してしまいますと値下がりということにも響いてくるからここで預かっておかなければならないんだということにもなるんだろうと思いますし、これは一概には申せませんが、特に年金資金を含んでおりますだけに、この運用というものについては、私は非常に疑問と言うとちょっと言い過ぎでございますけれども、もう少し何とかならないのだろうか。こういうふうな状態で多くの国債を引き受けて、そうしてむしろ損をしていくというようなことでございますと、その分だけまた一般会計の方から年金に対して多額のお金を出さなければならないということになってくる。回り回って、国の方といたしましても非常に大きな損失になってくるわけでありまして、この財投が一般の金融機関のようにいろいろな株を買いましたりとか、そんなことはできないことは百も承知でございますし、ましてやサラ金に貸すわけにもまいりませんし、そんなわけにはまいりませんけれども、しかし現在のような状態でいいのであろうか。
 もう少し国債の方も、個人の方もかなりふえてはきておりますが、個人の保有というものがまだふえる可能性があるのではないだろうか。そうようなことで、アメリカと日本の長期、中期、短期の保有の率を出していただきまして拝見をいたしますと、アメリカにおきましては日本に比べましてかなり多くの短期の保有がなされて、短期が非常に多くあり、そしてまた、個人におきましてもそれがかなり大幅に持たれておるということが示されているわけであります。日本の場合に、個人と申しましても法人も含んでいるようでございますが、現在、国債の持ち幅約四〇%ということでございますけれども、その四〇%の中身が、長期がどれだけで中期がどれだけで、短期というのは、余り今までなかったですから中期、長期とどんな割合になっているのかということは、ちょっとお聞きしましたところよくわからないということ――わかっておりますか。わかっておりましたらお示しいただきたいと思います。
 そうした状態にあるようでございますので、何とかひとつ、もう少し国債の引き受けの側の変化というものを求めるべきではないだろうか。貯蓄率もかなり高いわけでございますから、まだまだ個人の方にもいけるような気がするわけでございます。財投も非常に大事なものでございますだけに、非常に痛めつけた形での国債を押しつけるというような形にしないために、どうしたらいいかということをもう少し考える必要があるのではないか、そんなふうに思いますが……。
○宮本政府委員 御質問の法人、個人部門で長期がどのくらい、中期がどのくらいという数字を私ども把握いたしておりませんので、そういうお答えでお許しいただきたいと思います。
 それから個人につきましては、このところ非常に個人消化に力を入れてきておりまして、先ほど銀行局長も話しておりましたが、金融機関の窓販とかディーリングというようなことは、そういう個人、法人部門への資金配分といいますか、国債の消化ということに非常に役立っているわけでございまして、ちなみに個人、法人の所有状況は、五十年度が七・八だったわけでございますが、逐年上昇いたしまして、五十一年度一三・四、五十二年度一九・二、五十三年度一二・九、五十四年度二七・八、五十五年度三五・九、五十六年度三七・七、五十七年度三九・五、五十八年度は四〇・七にまで上昇してまいりましたので、いろいろな証券、金融業界を通じます販売努力によりまして、この比率は漸次また高まるのではないかというふうに思っております。
○坂口委員 大臣、今話をいたしましたような財政投融資の方の状況でございまして、私が挙げました七・〇九九よりもさらに五月には六・八四二に下がり、六月には六・七〇八にさらに下がっていくというようなこと、一方預託金利は七・一というようなことで、財政投融資の側としては非常に苦しい形になっているわけであります。何か名案はないものかというふうに思いますが、御意見をお伺いしたいと思います。
○竹下国務大臣 大体郵便貯金というものは、ある人がこれは無税国債だ、こう言ったことがございますが、なるほど、それが一方財投という形で各種公共的なものの融資に使われる限りにおいては、その方のおっしゃるとおりある意味においては無税国債、三百万以上はない理屈でございますから、そういう性格を一方持っております。それで今度は、今の財投資金というものを、国の信用において集めたものは郵便貯金であれ年金であれ、いわば一元化運用をさせていただいておる。ところがその一元化運用というものは、有利であると同時に、公共性があってしかも安全、確実でなくてはいかぬ。そうすると、やはり一元化運用の方がリスクが一番少のうございますので正しいというので、今日までその一元化運用を貫いてきておるわけでありますが、今おっしゃいましたような状況が出ておることも事実でありますし、理財局長からもお答えを申し上げておりましたように、預託金利との関係において種々工夫を重ねていかなければいかぬなという問題意識は私どもは持っておりますが、今直ちに坂口さん、こういう名案がありますというものがあるわけではございません。
○坂口委員 財政投融資につきまして、国債の問題とは若干離れますけれども、今後のあり方といたしまして、今までの計画からさらに新しい財政投融資のあり方を求めていかなければならないだろうと思うわけでございます。今まで財政投融資の方が行っておりましたものの中には、金融の自由化等が進んでまいりますと一般商業銀行あたりがかわって十分に行うというような面も出てまいりますし、そういたしますとまた新しい分野を求めなければならないということになるだろうと思いますが、これから先どんな方向に財投の貸出先を求めていくのか、その辺のところをひとつお聞きをしておきたいと思います。
○宮本政府委員 財投のお金は、それぞれの時代の変遷に応じまして資金配分の重点を変えてきているわけでございまして、二十年代、三十年代、四十年代、五十年代というふうなことで、そのときどき、経済社会情勢の変化に応じまして配分先を変えてきているわけでございます。
 今御指摘がございましたように、六十年代を展望いたしまして、やはり六十年代の経済社会情勢にマッチした資金の配分先を見つけていかなくちゃいけない。いわゆるスクラップ・アンド・ビルドということが非常に必要でございまして、必要がなくなったところはどんどん資金を吸い上げていきまして、これから政策的にぜひ必要だというようなところに資金をめり張りをつけて配分していくということが必要かと思うわけでございますが、高度情報社会を迎える、あるいはハイテクとかあるいはバイオテクノロジーとか、先端技術であるとかあるいは都市の再開発であるとか、あるいはさらに引き続きエネルギー問題等々、これからの社会的あるいは経済的に特に必要とする分野に配分先を変えていく。このためには、絶えず私どもといたしましても財投のあり方、その資金の配分先について幅広い御意見をちょうだいしながら、ニーズにマッチしたことを考えた上で財投計画を策定していくべく努力いたしたいと思っておるところでございます。
○坂口委員 では最後に、国債の問題に戻りまして、ことしの一月末ごろでございましたか、大蔵大臣が国債発行残高の新しい歯どめとして対GNP比でとらえてはどうかというふうにおっしゃったという新聞記事が出たことがございます。真偽のほどはちょっとわかりかねますが、この国債発行残高を国民総生産比でとらえるのも一つの考え方ではないかということを言われたということであります。これは考え方としては非常に新しい考え方のように思いますが、あるいは予算委員会等で議論になったかもしれませんけれども、このことについてどういうお考えかということをひとつお聞きをしておきたいと思います。
○竹下国務大臣 財政改革の第一目標、これは六十五年度をめどとして赤字公債を歳入とするところの体質から脱却しよう。第二はどうだというと、残高を滅していこう。その残高というのはどこで比較してみたら一番いいかということになりますと、国際比較等でも対GNP比較ということをよくやっております。そこで、対GNPに比較しての残高を逐次減していかなければいかぬというめどにはなりますが、GNPのどこまでは許容されるとかいう考えは実は持ったことはないわけであります。
 しかし一遍になくなるわけございませんから、ある程度目標を置きながら減らしていかなければいかぬだろうなという数値としては、対GNP比というのが一番一般的な数値であるんじゃないかと思いましたが、これはないがいいに決まっておりますし、どこまでは許容されるという数値に使うべきものじゃない、こんな感じで思っております。
○坂口委員 初めにも御紹介しましたように無税国家を言う人もあるぐらいでございますから、国債がなしでいければそれにこしたことはございませんけれども、しかしそうした見方で一定の割合を許容していくという行き方も、一つの行き方としてはそれも当然考え得るのだろうと私は思います。その場合に、これまたGNPの何%とかGNPでどのぐらいだとかいうようなことを申しますと、それがいつまでも残りまして、外れだてはないか、どうしたじゃないかという議論になる可能性がございますけれども、もしGNP比で見るということであるならば、大体どの辺を大臣は許容の限度としてお考えになっているのか。現在のようなところが大体のところだというように思われるのか、もう少し下がったところだというふうに思っておみえになるのか、その辺はある程度のお考えをお持ちになって発言をされたのではないだろうか、そんなふうに思ったものですからお聞きをしたわけであります。
○竹下国務大臣 対GNP比でいきますと、日本とイギリスが残高は高こうございます。したがって、対GNP比で諸外国と数値を比べると非常にわかりやすうございます。だが、どこまでが許容されるというものではない。だから、可能な限り二十一世紀までにはどれぐらいまでにしたいとか、例えばそういう努力目標としての設定の数値としてはあり得るかもしらぬ。まだそこまでの、赤字公債の脱却の第一期に汗流しているわけでございますから、だからどこまで許容されるというような性格のものではないのじゃないかなと思っておるわけであります。
 実際振り返ってみますと、三十九年までは国債発行しておりませんし、四十九年まで発行したのを皆足して九兆七千億でございますか、五十年赤字公債発行に至るまでは。だから、あの時代はこの程度かなというような印象はありますけれども、元来、どこまでは許容されるという性格ではない、あくまでも努力目標として比較するための数値である、こういうふうに理解をしていただいた方が適切ではなかろうかなと思います。
○坂口委員 これで終わらせていただきますが、初めにも申しましたとおり、短期国債の扱い等につきましてはぜひひとつ十分な配慮のもとに行っていただきますことをお願いいたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○堀之内委員長代理 蓑輪幸代我。
○簑輪委員 財確法と国債整理基金の法律、それから産投法ということでお尋ねをするわけですけれども、まず最初に、産投特会に関連してお尋ねをしたいと思います。
 今回、産投特会法の一部改正で、たばこ株式会社の株式総数の二分の一、それから電電株の三分の一を産投に無償で所属がえをするということになっているわけですけれども、これは到底納得できない措置だと考えます。
 昭和五十八年度の出資金残高を見ますと、資本金十億円以上の大企業への貸付残高が九六・五%を占める輸銀が全体の五五・四%、そして同じく資本金十億円以上の大企業への貸し付けが八六・八%を占める開銀への出資残高が一三・四%、これとほぼ同様の機能を持つ北海道東北開発公庫への出資金一・六%を加えると七〇・四%、このほかに船舶、鉄建、石油各公団、それから電源開発、日本航空、合わせると産投会計の九〇%以上が全く大企業のために使われているわけです。
 今回の基盤技術研究促進センターへの出資八十億、貸し付け二十億、これはその最たるものでして、このセンターが企業に融資する場合は、据置期間は無利子で、さらに技術開発に失敗したときは七・一%の金利も免除する、徹底した大企業への恩典集中的施策ということになっています。財政が苦しいからということで社会保障費、教育費というものが容赦なく切り捨てられるという状況のもとで、こういう苦しい中でありながら大企業向けの予算だけは至れり尽くせりということは到底納得できないことだと考えます。
 特にまた、一般会計と別に特別会計というのを設けて二重会計にしておく必要性というのは一体どこにあるのだろうか。私は、この特別会計制度そのものが非常に問題があると考えるわけです。本来ならこれはきちんと一般会計で処置すべきものではないか。もちろんこの産投特会というのが当初、戦後の経済復興という役割があったことは承知しておりますけれども、その役割は既に終えておりまして、その必要性はもうなくなったわけですから、それをそのまま換骨奪胎して大企業に大々的に融資する仕組みをさらに強化する必要は到底ないと考えるわけです。特に、国民の財産であるたばこと電電の株式を所属がえして、大企業のために財源を特定して使うというような措置は絶対に承知できません。低利と利子補給による政策金融は、大企業百五十社の隠し利益など内部留保が二十七兆五千億円余りにも上っている今日、到底こういうことは認められないということを重ねて申し上げたいと思います。
 したがって、私は、産投特会の必要性ということは役割を終えて、既にもうこれ以上こういう新たな大企業奉仕の役割を持たせることは間違っていると考えますが、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 どうもよって立つ物の考え方の基盤が違うのじゃないかなというふうに思うわけでございます。大企業というか、いわば資本主義とでも申しますか、そういうことを否定した立場であるとすればその論理も成り立つのでありますが、私どもはその基盤の上に立っておりませんので、したがって、基本的な見解を異にするということになろうかと思います。
 確かに、経済社会のニーズの変化に応じましていろいろ変化を遂げております。最初はそれこそ輸出奨励でございますとか、あるいは国際競争力をどうつけるとか、あるいは外貨の獲得でございますとか、いろいろな政策目標がございましたが、今日はまさに基盤技術というようなところで非常にリスキーなものに対する対応といたしましては、それが大企業においてその研究がなされましょうと中小企業において研究がなされましょうと、将来二十一世紀や二十二世紀を眺めてみましてもそういうことは必要なことであるという事実認識の上に立って審議をお願いしておる、こういうことになるわけであります。
○簑輪委員 私は、当然のことながら資本主義を前提とし、決して大企業を否定するという立場で申し上げているわけではございません。現に大企業が存在し、その大企業としての役割を果たしていることについて何ら異議を唱えるものではありません。ただし、今日大企業がこのような利益を上げている中で、さらにこうした財政危機の中で国民生活に重大な犠牲が押しつけられている中であえてこういうことをするということはいかがなものであろうか、問題があるという指摘をしているわけでございますので、大臣の御答弁は納得できないところでございます。
 しかし、さらに進みまして、大企業を中心とする法人企業というものについて、脱税に関連していろいろお尋ねしたいと思います。
 この大企業の脱税というのが、少なく見積もっても年間一千億円の巨額に上っていると言われています。昨年一年間に国税庁が摘発したものだけでも、大成建設の六十六億円の所得隠し、申告漏れを筆頭に、長谷川工務店、大洋漁業、石川島播磨重工業、東京銀行、それに三菱商事、三井物産、兼松江商、こういう大商社などの大企業が悪質な脱税を行っているということが明らかになっています。一九七八年以降の七年間における大企業(上場企業)の脱税事例を新聞等でリストアップしてみましたところ、実に三十二社に上っております。大成建設、大洋漁業など、二回も顔を出している企業もございます。
 さらに、国税庁国税局調査課所管の資本金一億円以上の企業についての一九八三事務年度の課税実績によると、国税局が実地調査した四千六百社、所管法人二万七百社の二二・二%だそうですけれども、その中で実に九四・九%の四千三百社に総額三千五百二十五億円もの申告漏れがあり、そのうち九百社で意図的な経理操作で三百十五億円の所得隠しが行われていたということです。
 こうした脱税大企業は、一方で自民党の政治献金の受け皿である国民政治協会に毎年多額の政治献金を行っています。しかも、脱税の真っ最中に政治献金を行っているということです。
 大成建設の場合、五十六年三月期、五十七年三月期の二期、申告漏れ六十六億円、追徴金二十六億円、そして政治献金は五十七年だけでも四千四百七万八千円。石川島播磨重工業は五十六年、五十七年、五十八年の三年間で百五十億の申告漏れ、追徴金が七十億円。この間だけでも、五十六年千六百二十六万円、五十七年二千四百八十六万円、五十八年回千七百三十万円、計八千八百四十二万円の政治献金を行っている。兼松江商は、五十四年から五十八年三月期の間に、申告漏れ三十億円、追徴金が十億円余り。この間の政治献金、五十四年千三百四十五万円、五十五年千百七十五万円、五十六年千四百八十月円、五十七年千二百八十万円、五十八年千六百五万円、計六千八百八十五万円政治献金を行っているわけです。
 そこで、大蔵大臣にお尋ねをいたします。これら脱税大企業に、実は輸開銀などの政府系金融機関から多額の融資が行われているという実態がございます。五十九年三月末の融資残高を調べてみましたところ、日商岩井、輸銀で千二百九十九億円、住友商事、輸銀千百五十八億円、三井物産三千百十一億円、丸紅二千八百九十七億円、三菱商事三千百九十二億円、大成建設、開銀四十六億円、大洋漁業、輸銀二億円、開銀五十一億円、石川島播磨重工業、輸銀千九十八億円、開銀四億円、このように輸開銀から多額の融資が行われているわけです。
 こういう実態を見まして、私どもはこういう脱税企業に対して輸開銀からこのような有利な融資が行われるということは到底納得できないわけです。一方で自民党に政治献金を行っていながら脱税をし、そして有利な融資を受ける、このようなことは到底国民感情を納得させるものではありません。こういう実態を踏まえて、政府系の金融機関からの融資はこういう企業に対しては絶対に行わないという基準を確立していただきたいと私どもは思いますが、大臣の御見解を伺います。
○竹下国務大臣 まず、政策金融というのは言ってみれば優遇措置でございます。したがって、優遇措置を受けているような企業が脱税行為を行うということは好ましいことではないというのは、これはだれしもそう感ずるであろうと思っております。融資そのものは、いずれも個々のプロジェクトの国民経済的政策意義に着目して、個々の案件について厳重な審査を行った上で融資適格である、こういう判断をしたことに対して行っておるわけでありますから、融資判断が企業の特定の行為を理由に左右されるものではないということは言えると思うわけであります。また、違法行為ということについては、個々の法律によって制裁が行われるべきものでありますので、そうした問題を金融上の措置に加えるということは慎重であるべきものと私は考えております。が、元来好ましいものでないということは、これは言えることでございます。
 それから、政治献金の問題は、自民党へ献金したから融資が受けられているわけではございませんので、政治資金規正法という法律に基づいてまたそれはそれなりに的確に処理されておる問題だというふうに考えるべきであると思います。
○簑輪委員 私が申し上げているのは、そのような脱税ということが行われている企業が片一方で政治献金をやっているというこの事実は、国民感情として絶対に納得できないわけですね。その上にさらに融資が行われる。これは別の配慮で行われるので、それとこれとは別でございますというような答弁は、それは理屈上成り立つやもしれません。大臣の理屈では成り立つかもしれません。しかし国民にとりましては、こういうようなことが別でございますというふうに開き直られて、これからも脱税を別途行っても、それはそれで始末すればよろしいのではないかということになっては困るのではないかというふうに思うわけです。私は、大臣の答弁は到底――今、国民がこういう補助金カットを押しつけられたりあるいはまた福祉や教育の予算が削られたり、大変な事態の中だからこそ、厳正に融資は使われなければならない。企業は厳正に企業運営を行わなければならない。そういう点で、こうした企業に輸開銀が全く別にどんどんと融資をするということはやはり問題があろうかというふうに思うわけで、私はこのことを重ねて強く求めたいというふうに思います。
 しかし大臣は、さようでございますかとはおっしゃらないだろうと思いますので、続いて、いまおっしゃった政治資金規正法の問題にちょっと移りたいと思います。
 実際問題としてこの政治資金の問題について、先ごろ自民党の金丸幹事長が政治資金規正法の緩和を目指すという発言をされて、そしてこれに経団連の首脳が賛成だというふうに言ったことが報道されております。それは賛成だと自民党の皆さん方はおっしゃるかもしれませんが、実際、国民感情としては到底理解できないところなんですね。そもそも政治資金規正法は一体どういう経過でできてきたのか、そして何を目指しているのかということを考えてみたときに、これを緩和するというのは到底理解できないところだろうと思います。
 朝日新聞の社説でも言っていますけれども、「逆立ちした企業献金の増強諭」「台所が苦しくなった自民党が、政治資金規正法を改正して、企業がもっと献金できるようにしたい、といい出した。話が逆である。経済界に依存する体質を、少しずつでも改めていくというのが、この党の約束だった。」そういう約束をされたというふうに国民は受けとめているわけですね。ところが、「いまでさえ、たとえば連夜の資金集めのパーティーに、いったいどうなっているのかと不審の目が多いのである。 政治資金規正法は、黒い霧事件、田中金脈、ロッキード事件と、政界の三つの腐敗事件とこれに対する世間の批判を経て現行の形に改正されてきた。 企業献金の制限と、派閥や個々の政治家の収支もガラス張りにするというのが改正の眼目で、」「昭和五十年のこの改正の際、野党は企業献金の全廃を主張し、政府・与党はその方向で努力し、五年後に法改正を図ると約束した経過もある。」
 ところが、五年後の見直しというのは緩和の見直しというふうに勝手に解釈して、今回、物価も上がってきたことだし云々ということでそういう動きが出ているようですけれども、これは本当に本末転倒だというふうに思います。私は、政治が企業と癒着し、そして汚職をもたらし、不正がはびこる、そういう中で国民の批判が大きく高まってきたという経過も踏まえて、今日、清潔な政治を実現していくという国民の期待にこたえるためにも、企業献金の禁止こそが大事であると思います。大臣の御見解を伺います。
○竹下国務大臣 一国の政治をよくしようというので、企業であれ個人であれ、法に定められた範囲内において献金をしていくということは、私は政治浄化にもつながることだというふうに考えております。
○簑輪委員 企業であれ個人であれという認識が示されましたけれども、私は、その企業がどれだけ政治を左右し、そして癒着し、そして不正が出てきたかというようなことは、これまでの経過の中で国民がそれを踏まえて、献金問題について厳しい目を持っていると思うのです。ですから私は、企業献金の禁止ということを目指さない限り国民の信頼はかち取れないということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 さて、国債整理基金の状況は大変な事態を迎えておるわけですけれども、短期の借換国債を発行するということで、金融市場の自由化が大変促進されるのではないかというふうに言われています。金融自由化のあらしを前にして金融機関等もさまざまな対応をということになっているようですけれども、過当競争が激化して、金融機関に働く労働者にもさまざまな労働強化が生まれております。
 特に、駿河銀行で自動車保険の募集まで行っているという事実があります。これについては、銀行局長の四十年五月三十一日でしたかの通達がございますけれども、ここでは「業務上金融機関と密接な関係にある代理店についても、金融機関の取引上の地位を利用して不当な契約募集を行なうことのないよう厳に戒めること。」というふうにされておりますが、これと真っ向から反する事実がございます。こういうことは直ちに是正すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○吉田(正)政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたけれども、私ども実は事実関係をよく承知しておりませんので、事実関係を調査させていただいて、その上でこれが保険募集の取締に関する法律とかあるいは銀行法とか、あるいは先ほど先生が御引用になりました四十年の銀行局長通達「金融機関代理店の取扱いについて」ということでございますけれども、それのようなものと照らしまして、問題があればしかるべき指導を行うようにいたしたい、かように考えております。
○簑輪委員 私どもの方に実態を知らせて是正を求める声があるわけですので、ぜひ調査をして対処していただきたいというふうに思います。
 それで、続いて来年度の予算編成に関連して幾つかお伺いをしたいというふうに思います。
 再三これまでも論議されてまいりましたけれども、国債整理基金へ四年連続定率繰り入れを停止したために、基金残高見込みが九千九百億円、一方、六十一年度の国債要償還額から借換債発行収支を差し引いた純償還額は一兆五千九百億円ということで、六十一年度も定率繰り入れを停止すると基金は約六千億円の不足が生じるということになるわけですが、これを実際どのように解決していくのか、再三論議されておりますので、簡潔に二言だけお答えいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 簡潔に一言というと、ちょっと一言じゃ言えませんから二言くらい言わなければならぬわけでございますけれども、やはり財政審でいろいろ協議していただいた結果、減債制度の基本は維持しなさい。でございますので、そういう考え方のもとに、六十一年度予算編成時にぎりぎりの知恵を絞っていかなければならぬ課題だというふうに考えております。空っぽにするわけにはいかぬ課題であります。
○簑輪委員 実際問題として大変困難な課題だと思いますけれども、国債がますますふえる中で整理基金が枯渇するなどということは、もともときのうきょうわかった話ではありませんで、前から大体こういうことになるということはわかり切ったことでありますけれども、直面しないとなかなか対応がとられないというのがこれまでの実態であり、今後の問題から考えましても、すべてやはり早目に対策を立てていかないと鼻を突くということになるのではないかということを、これでしみじみ思い知らされる思いがいたします。
 ところで、国債の事務取扱費の中で国債引受手数料というのがございますけれども、これを幾らか引き下げることはできないものだろうかというふうに考えるわけです。これまでこの国債引受手数料というのはどんな推移を示してきて、そして引き下げる展望についてはどうなのかということをお答えいただきたいと思います。
○宮本政府委員 国債引受手数料の推移でございますが、四十一年の一月から五十銭、四十七年一月から五十五銭、五十三年四月から六十銭、五十八年四月から七十銭、こういう推移でございます。
 それで、この点につきましては、現在の引受シンジケート団方式によります国債の発行は、あらかじめシ団と契約いたしました金額を契約した条件で募集いたしまして、それから生じた残額は同条件で引き受けまして、所定の期日にいかなる事情があろうともそのかわり金を振り込む責任を負うという方式で行われているわけでありますが、この募集引受手数料はこうした一連の募集の取り扱い、そして残額引き受けの対価として支払われておるものでございます。シ団引受発行方式をとることによりまして消化の確保が図られるのでございますので、他の公社債におきましても、あるいはまた諸外国におきましても、シ団引受発行方式をとる場合には同様の手数料が支払われているところでございます。
 現在、我が国の長期国債をシ団引受方式で発行いたします場合には、先ほど申し上げましたように額面百円につき七十銭を支払っているところでございますが、これは政保債や地方債等他の公社債の引受手数料や外国市場で起債する場合の手数料と単純に比較いたしますと、かなり低くなっているわけでございます。例えば外国で発行する場合の引受手数料を見てみますと、我が国は七十銭でございますが、アメリカの場合では八十銭、スイスでは三円、西独では二円五十銭、ユーロ市場では二円二十五銭。それから我が国の引受手数料を公社横別に見てみますと、国債は七十銭でございますが、政保債は一円十五銭、公募地方債は一円四十銭、事業債がAA格で一円九十銭というふうになっておるわけでございます。
 しかしながら、厳しい財政事情にかんがみまして、あらゆる経費につきまして聖域を設けることなく、絶えずその見直しを行っていくことは必要でございます。このような観点から、国債にかかる経費につきましても、円滑な消化を確保しながらもその効率化を図るという見地から考えてまいりたい、こう思っております。
○簑輪委員 国債費につきましては、これはもうどうしようもないということで全くの別枠になるわけです。その際、元利については変動しようもなく、その支払いについてはやむを得ないものでしょうけれども、引受手数料については引き下げる可能性もあるのではないかというふうに思います。したがって、今お話しのように厳しい財政事情下にあるということを考えてみますと、この引受手数料の削減というか引き下げというか、これは検討課題になり得るものだというふうに思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○竹下国務大臣 それは財政事情からいいますれば、七十銭といいましても、あれは五十二銭と、四十八銭に三十何・何ほかを掛けて足しますと七十銭になるという計算でございます。国債発行に関する経費の節減という範疇でとらえますと、できるだけ経費がかからぬように、何ぼ一つが一銭だ二銭だといいましても総体すれば、まさに聖域なしで一生懸命やっているときでございますから考えなきゃいけませんが、今手数料というものは比較してみますと低い手数料ではないかというふうに私は思っておりますので、直ちに引き下げますという性格のものではない。経費が余計かからぬようにという意味においては、いつの時点でも検討は続けていかなきゃならぬ課題だというふうに考えております。
○簑輪委員 私はやはりできるところから削減する、引き下げるという点で、この点もぜひ厳しく見直していただきたいと思っています。
 さて、来年度の予算シーリングということになるわけですけれども、基本姿勢というのをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 これはいつも申し上げますように、やはり財政が好転しているという環境にはありませんので、厳しい姿勢で概算要求基準は設定しなければならぬだろうな、こういうふうに考えております。
○簑輪委員 マイナスシーリングというようなことで、一定の方針がまた示されるということになるわけでしょうか。
○竹下国務大臣 厳しいものにならざるを得ない。合いわばこれからでございますので、国会が終わりまして概算要求、法律に定めるところ八月末、その前は概算要求基準というのは行政行為でございますけれども、勢い厳しいものにならざるを得ないだろうという判断の上に立っております。
○簑輪委員 厳しいということでマイナスシーリングなどが設定されてまいりましたけれども、その中でも例年、例えば軍事費とか海外援助など、これは特別に伸びを認めるというような状況が続いてまいりました。来年度もこういった一般的な状況とは別に、軍事費、海外援助等伸びを認めていくという考えで臨まれるのでしょうか。
○竹下国務大臣 これは諸施策との調和の中においてぎりぎりの調和点を求めていかなければならぬ課題だ。ただ、聖域にして、これは触れませんというものではないということでございます。
○簑輪委員 聖域にしないという言葉についてはもう大臣に前にもいろいろお尋ねをしましたけれども、聖域にするというのは、それは全く触れないという意味で聖域というふうに何かお考えのように承るわけなんです。したがって、それを対象として厳しく切り込むというのも聖域にしないわけだけれども、それを対象としてさらにつけ加わるというのもこれは聖域でない。特別に削ったりつけ加えたりということがない、ノータッチである、アンタッチャブルであるというところが聖域であるというふうに何か承れるのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○竹下国務大臣 概算要求基準というものができます。そのときに、例えば国債費でございますとか、それから後年度負担の中で債務負担行為に基づく当然増でございますとか、そういうものが出てまいります。その他のものは、あらゆる施策ともにこれをアンタッチャブルだというふうには考えてはいけない、こういうことであります。
○簑輪委員 そういうことで軍事費、海外援助についても聖域ではない、見直した結果ふえた、こういうことになってきているようですけれども、特に私はきょうはODAについてお尋ねをしたいと思うのです。
 まず最初に、我が国の海外援助の基本方針、基本理念といったものを明らかにしていただきたいと思います。
○太田説明員 お答え申し上げます。
 我が国は平和国家として、また自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、世界経済の発展及び世界の平和と安定に貢献するという観点から、経済協力を積極的に拡充していくことにいたしております。経済協力というのは南北関係を基調に進めるべきであるというふうに考えておりまして、我が国といたしましては、南北関係の根底にあります相互依存とそれから人道的考慮、この二つを基本の理念といたしまして経済協力を実施いたしております。
 我が国の経済協力の目的は、開発途上国の経済社会の開発、民生の安定、福祉の向上を支援することにありまして、軍事的な用途に充てられる援助は実施しないというのが我が国の経済援助の基本的な考え方でございます。
○簑輪委員 相互依存と人道的考慮というようなことが基本となる、その精神に立脚するということが述べられましたけれども、私は、最近のアフリカの飢餓等大変深刻な事態を見るにつけ、まさに人道的考慮という観点というのはまことに重大なことだというふうに考えますが、大蔵大臣もそのようにお考えでしょうか。
○竹下国務大臣 人道的考慮、なかんずくアフリカのサブサハラ地域、そういうところへ大いなる関心を持っておるべきである。サミットでもそのことは合意をしておるということであります。
○簑輪委員 大臣は関心を持っておるべきであるというふうにおっしゃいましたけれども、関心を持つということは入り口でございまして、それから事実を把握し、そしてその対応をする。具体的には、例えば援助をふやしていくというようなことになって初めて、人道的な対応をしたということになるのではないかというふうに思うのですね。
 特にLLDC諸国への援助という点について格段の配慮をしなければならないというふうに私は思うのです。海外援助全体の額等いろいろ論議もありますけれども、私はその中で特にLLDC諸国への援助がどれだけの比率を高めていくのか、そこに格別の配慮がされるのかどうかという点は重要な注目点だというふうに思いますが、大臣は、そういうふうな点でLLDC諸国への援助を金額的にもふやすべきであるとお考えでしょうか。
○竹下国務大臣 LLDCに対する援助は我が国ODA全体の一八・三%を占めておりまして、DAC諸国平均の二〇・五%、これに近い割合になっておる。これは現状はそうなっておる。LLDCに対する配慮というのは、これはいつの時代でも援助の問題としていかなければならぬというふうに考えます。
    〔堀之内委員長代理退席、中川(秀)委員
    長代理着席〕
○簑輪委員 そこで、ODAの二国間援助についてDAC諸国の、LLDC諸国、国連基準の三十六カ国ですけれども、このLLDC諸国へのODA比というのが一九八一年以降どういうふうになっているのか、その金額と構成比についてお答えいただきたいと思います。
○太田説明員 お答え申し上げます。
 LLDC三十六カ国ございますけれども、一九八一年以降の我が国の二国間援助の額でございますが、八一年が二億九千三百六十万ドル、これは我が国の二国間ODAの一三・〇%でございました。八二年が四億六百八十万ドル、シェアは一七・二%、八三年が二億六千五百十万ドル、シェアが一〇・九%ということでございました。
○簑輪委員 一九八三年のLLDC向けの援助のシェアが一〇・九%ということですけれども、我が国は大変な経済力があると言われながら、このLLDC向けの援助の比率というものは極めて低いわけですね。デンマーク四一%、フィンランド三五%、ノルウェー三六%、スウェーデン二八%などと比較してみますと、LLDC向け援助というのが非常に低いというのが明らかなわけです。
 さらに我が国のODA二カ国間援助費のうち、LLDCの中のさらに飢餓国とされているアフリカ十五カ国に対する援助についてはどのようになっているかをお聞きしたいと思います。当該十五カ国のおのおのについて、それぞれ人口一人当たりの援助額というのが一九八一年以降どのように推移しているのかをお答えください。
○太田説明員 お答え申し上げます。
 八一年度以降の我が国の対アフリカLLDCに対する受け入れ国の人口一人当たりの援助額でございますが、八一年度が〇・六三ドル、これはちなみにDAC諸国中の第九位ということでございました。八二年度が〇・八〇ドル、同じく九位、それから八三年度が〇・六一ドル、DAC諸国中の十位というのが実績でございました。
○簑輪委員 ただいまの数字を見ていただいても、貧困、飢餓に苦しむ国に対しての受け入れ国の国民一人当たりの援助額というのは伸びていないのですね。DAC諸国での順位でも九位、九位、十位ということで伸びていないのです。私はやはり特に日本が人道的考慮という点に重点を置いてやっていく場合に、この点に着目をして、ここでの数字が上がるように格別の配慮をしなければならないのではないかと思うわけです。
 他方、受け入れ国の国民一人頭どれだけの援助額になっているのかというのをLLDC全部で見てみたり、あるいはまたアメリカの戦略重点国とされている部分などについても全部調べてみますと、特に飢餓国に対するものがいかにも低いということを思い知らされるわけなんです。そこで、アメリカが戦略重点国という形で指定している国がありますけれども、アメリカの海外援助に当たっての戦略重点国としているその基準というのは一体いかなるものなのか、それがわかれば教えていただきたいと思います。
○太田説明員 お答えいたします。
 アメリカが援助を行う場合にどういう国が戦略的に重要と考えているかということでございますけれども、これはアメリカのそのときどきの外交政策、それから与えられた国際情勢等によってアメリカ自身が判断していく問題でございますが、一般的に申しますと、アメリカの軍事外交的な世界戦略の視点から、その時点その時点で重要と考える地域あるいは国に対してアメリカがいわゆる米国の言う戦略援助を行っているということであるというふうに了解しております。
○簑輪委員 ことしの三月に次官級会議ということで日本の外務審議宵とアメリカの抵当国務次官の会議が行われたということですけれども、そのとき日本はアメリカから一体何を求められて、日本はそれに対しどのように対応したのか、お答えいただきたいと思います。
○太田説明員 お答えいたします。
 本年三月、外務省の浅尾外務審議官とアメリカの国務省のアマコスト次官が協議を行いましたが、この協議におきましては援助問題について日米両国の基本的な方針の説明があり、その際特に日本側からはODAの計画的拡充の努力を強調いたしました。これに対して米側から、我が国のODA拡充、特にその地理的な広がりを評価するというコメントがあり、今後とも我が国が量、質の両面でODAの拡充に努めることを期待する、そういう発言がございました。これに対しまして我が国の方から、我が国としても日本独自の観点から今後とも一層ODAの拡充に努めていきたいという発言をした次第でございます。
○簑輪委員 日本とアメリカで次官級の会議が行われるというのも、そもそも日米諮問委員会報告にも掲げられておりますように、ここで指摘されたことが何か実行されているという感じが私はするわけですね。日米諮問委員会におけるこの報告で見ますと、外交関係については日本が戦略的に重要な地域に対する援助の拡大ということで評価されているわけです。先ほどの答弁でも、まさに日本が援助対象国をふやしていったことに対する評価があったようですけれども、ここでの「戦略的に重要な地域に対する」という「戦略的に重要な」という意味は、アメリカが戦略的に重要など考えているものなのか、日本が戦略的に重要な地域というふうに考えているものなのか、一体どういうことなんでしょうか。それがわかりましたら……。
○太田説明員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の日米諮問委員会の報告には「戦略的に重要な地域に対する援助の政治的重要性を日本が認識している」という表現がございますが、これは日米諮問委員会の報告の表現でございまして、政府レベルといたしましては、我が国はアメリカが戦略援助という表現を時として使うことは承知しておりますけれども、我が国としてはアメリカの言うような形の戦略的な援助という考え方はとっておりませんで、先ほど申しましたような我が国が基本理念として考えているところにのっとって経済援助をしているということでございます。
○簑輪委員 この日米諮問委員会報告では、「最近になってみられるエジプト、パキスタン、トルコ、スーダン、ソマリア、およびアラブ湾岸諸国の一部、さらにカリブ海地域などに対する援助の拡大は、戦略的に重要な地域に対する援助の政治的重要性を日本が認識していること」というふうに書いてあるわけですけれども、これはアメリカの世界戦略から考えて重要だと考えている地域に、日本も重要性を感じて援助を拡大してきていることを評価しているというふうにも読めるわけですね。私どもとしては、今回の日米次官級会議でアメリカが戦略重点国としている国に我が日本の援助をもっとふやすように求められたということは、当然あったのではないかというふうに思うわけですけれども、そういったアメリカの強い要請というものは絶対になかったと言えるのでしょうか。
○太田説明員 お答えいたします。先ほど申しましたように、本年の三月に行われました次官級協議におきましては、一般的なODAの拡充の話のほかに、若干の地域、例えばフィリピンでございますとか中南米、アフリカ等の地域に対する日米それぞれの援助の考え方、実績等についての情報と意見の交換が行われました。その意見の交換を通じまして、当然のことながら我が国は我が国の援助の基本方針にのっとって、今後ともこういう地域に対する援助を強化していくという考えをアメリカ側に対して説明した次第でございます。
○簑輪委員 アメリカが戦略重点国としている国と、日本が平和のための援助対象国とでもいいますか、特別に重点的な援助対象国としている国々を重ね合わせてみますと、日本の重点としている国はほとんどアメリカの戦略重点国と重なってくるわけですね。最初からこういうふうになっていたのではなくて、日本がどの国を重点的に海外援助するのかという判断をするに当たって、アメリカの戦略重点国に特に重点的にやるようにという強い圧力のもとでこのような方向が出てきたのではないかというふうに私は思わざるを得ないわけです。
 一方で、先ほど申し上げましたように、ODAの絶対額がふえてもLLDCへの比率は低下しておりまして、その分結局、戦略重点国と言われるLLDC以外のところへの比率がふえてこざるを得ないし、現実にそうなっているわけです。こうした実態は、財政危機の折大変だけれども、海外援助については特別重要な施策であり、増額というふうに政府はやってきているわけですけれども、それは、例えば海外援助というのは本当に人道的考慮に基づいて、特にアフリカの飢餓国などには格段の温かい配慮がされていると思っている国民の善意を踏みにじっているとしか言えないのではないかと思うのです。
 来年度のODAについて、特に配分の問題について、LLDC諸国への重点配分という点で大蔵大臣が格別の意を用いて、アフリカ諸国の飢餓にさらされている人たちの熱い期待にこたえ、さらに善良な日本国民の善意にこたえて、それを外交政策の面でも反映させていくことが必要ではないか。ぜひ来年度ODAについて、LLDC諸国への重点配分という点で大臣の御決意をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 援助の問題でございますから総合的に、LLDCに対する配慮は執行上の配分の問題でございます。要するに予算をつくりまして、それは外務省の判断がもとより中心になるべきものでございますが、LLDCに対する配慮は当然のこととして私どもの頭の中にもあることでございます。
○簑輪委員 当然のこととしてというふうに言われますけれども、現実には特に飢餓国に対する援助という点で極めて不十分であるということを再三申し上げておりますだけに、その辺についてはぜひ一層の思いをいたしていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。今後の計画を立てられるのに当たりましても、LLDCに対する優先配分という海外援助のあり方の基本姿勢を第三次計画の中に盛り込んでいただくように大臣の御努力をお願いいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
○竹下国務大臣 ODAにつきましては、去る四月四日の大臣合意によりまして六十年以後も新たなる中期目標を設定する。その中期目標をどうしてつくるか、こういうことになりますと、財政事情、それから先ほどもちょっとお答えいたしましたが、ODA実施効率化研究会というので外務省が検討をちょうだいをいたしておりますので、そういうのを見定めて引き続き検討をしていこうということでございます。
 実際問題として、我々飢餓国に対する毛布が百七十万枚でございましたか、それからいろいろな形で食糧援助等をしておりますが、いろいろな疑問が出てまいりますのは、これは私が主張したよりも、むしろサミットの場合などでは他の国の主張の方がかなりございましたが、実際問題届いているだろうかとか、いろいろな問題もございました。そういうところで、外務省におかれましても実施効率化研究会等で恐らくそういうことも御研究をしておられるというふうにも承知しておるわけでございますので、効果的に、そしてそういうことを念頭に置いて実施すべきものであるという基本理念は私どももいつも持っておるところであります。
 もう一つだけあえて言わせていただきますならば、いわゆる援助国というものに日本がなった歴史から見ますと、一番古いというわけじゃございません、援助国であったとは申しませんけれども、例えば産投会計ももとをただせばガリオア、エロアでございまして、そういう点から見まして急速に量的な面、質的な面も充実して今日に至っておると私どもは理解しております。
 あえてもう一つ申し上げますならば、どうしてもアジア、ASEANに五七%の人間もおりますし、そして歴史的、地理的関係等がその辺へ志向しておるという歴史的経過もあるのかな、私なりにそういう分析を時たまいたしておるところでございます。
○簑輪委員 LLDCの中にはアジアの諸国も入っておりますし、いずれにしても、基本的な認識として相互援助と人道的配慮という点で重ねてのお願いをしておきたいと思います。
 続いて昭和六十年度の財確法で、今度健康保険法に基づく政管健保への国庫補助について、その健保の黒字見込み分九百三十九億円を削減するという措置が盛り込まれております。これは、昨年の健康保険法の改悪によって、健保本人一割自己負担が導入されたために受診率が大幅に落ち込むなど、その結果として政管健保が黒字になったと言われております。健保本人の負担ということで生じてきた黒字でもあり、これを国が召し上げてしまうというのはちょっと筋違いではないかと私は思います。こうした黒字分については十割給付復活に向けて活用するのが本筋であり、今回の措置は到底容認できるものではありません。
 今後健保本人の二割の負担が導入されるのではないかと言われておりますし、そうなれば一層の受診率低下によって政管健保財政の黒字が拡大して、またその分を国が召し上げていくということがたくらまれているように思われます。政府はかねて健康保険への国庫補助をなくす方向を示しておりますし、今回はこういった一時的な措置というよりは、今後もこの健保の黒字をつくり出していって、その分補助金をカットするという仕組みを恒常化する第一歩とも思われるわけでございます。
 そこで、いやいや決してそうではない、こういうことはどんなことがあっても次には行わないというふうに明確に断言していただくことができるものかどうか、そのことをお尋ねしたいと思います。
○平澤政府委員 今、委員がおっしゃいました一つが昨年十月から施行された健保法の改正の問題でございますけれども、これの趣旨とそれから今回行われました趣旨とは違っておりまして、昨年十月に実施いたしました改正は、言うならば高齢化のスピードを加える我が国において、健康を支える医療保険制度を二十一世紀においても揺るぎないものとするための基盤づくりを目指している、そういうことから、まず将来の負担が大きくなり過ぎないようにするための医療費の適正化、効率化ということと、それから制度間の給付と負担の公平化をねらいとして行っているわけでございます。したがいまして、この改正は非常に長期的な視野からの制度改正であるわけでございます。
 それに対しまして今回御審議をお願いしております政管健保の九百三十九億円の方でございますけれども、これは一般会計が非常に厳しい財政状況にある、たまたまこの一般会計から多額の給付費補助等を受けている政管健保において、単年度の収支差が生じているというところに着目しまして、その厳しい一般会計の財源の確保を図るということから、六十年度単年度において政管健保勘定から一般会計が実質的に財源調整をしてもらうということを行っているわけでございます。そういう意味では、両方の施策を行う趣旨、目的が全く違っているということでございます。
○簑輪委員 私が申し上げているのは実態論なんです。どのようなもくろみでつくられたかということは、去年の論議に私も参加しておりますので、あえて繰り返していただくまでもございませんけれども、ただ現実問題として受診率が大幅に落ち込んだ、そしてこういう結果も生まれている、それでそれを召し上げていく、これからも二割にしてまた召し上げていくのではないかという不安に対して、いやそういうことは断じて行いませんということを明確に言えるかどうか。またこれからも可能性がある。例えば黒字になってくれば、財政事情は少しも好転しないわけですから例えわずかでも全部いただきたいという大蔵省の心理からいいましても、あるいはまた補助をできるだけカットしたいという方向からいいましても、このことを大変心配するわけなんですね。だから、こういうことはもう二度と行われるはずのものではないのか、あるいは可能性はまたあるのかということだけを二言でお答えください。
○竹下国務大臣 一般論としまして、各種会計間の財源調整措置というのは、これはあり得ることでございます。
○簑輪委員 またこれからもやる可能性があるという御答弁なんですね。私は大変問題があるということを指摘して、次に進みたいと思います。
 昨年改悪されたのは政管健保だけではありませんで健康保険全体ですけれども、特に国民健康保険について最近危機感が増してきております。退職者医療制度というものが導入されて、これによって国保会計をよくするんだ、したがって国庫補助率を引き下げるという措置がとられたわけですけれども、現実には当初加入見込み四百六万人を大幅に下回って、二月末で二百六十四万人、六五%にとどまっているというわけです。四百六万人加入を前提に国庫補助率が下げられたわけですから、市町村国保会計、五十九年度は大変な赤字になっております。この赤字の見通しは大体幾らになるのか、厚生省はつかんでおられますか。
○近藤説明員 お答え申し上げます。
 私ども現在調査中でございまして、退職者の数が少ないことなどによりまして市町村の国保財政にかなりの影響を与えているということは承知しておりますけれども、具体的な額がどの程度になるかといいますものは現在調査中でございまして、あと一月か少々かかると思っております。
○簑輪委員 厚生省の方はそのようにおっしゃっておりますけれども、現実に直面している市町村は大変なわけで、この影響について全国市長会、全国町村会から既に試算が出されております。それによりますと、昭和五十九年度における国保会計決算見込みの収支差し引きは二百三十八億円、前年度が八百五十四億円で、こういう二百三十八億円の黒字ということになっておりましたけれども、一般会計繰入金及び市単独事業の経費分を除いた国保会計のみで収支差し引きをしますと、逆に六百七十四億円の赤字となるわけです。この結果、五十九年度国保会計において赤字決算となる市は、前年度三十四市に比べて七十七市多くなって百十一市となっております。赤字額の合計は三百二十億円、前年度百六十七億円ですから大変なものです。これも国保会計のみでの運営により収支差し引きを行った場合の赤字は二百九十四市となりまして、赤字額の合計は千三十億円というふうになります。
 厚生省はこの制度改正の際、この制度改正に伴い負担増を生じさせないということを約束してきた経緯もあり、こういう見込みのもとで大体この程度のものであろうというふうに想像されるわけですけれども、この調査結果を受けとめてどのようなふうに対応されるおつもりなのか、お答えください。
○近藤説明員 先ほどもお話しいたしましたが、現在実態調査を行っている最中でございまして、この結果を踏まえまして、私どもといたしましては国保財政が安定的に推移できるような方策を幅広く検討したいというふうに考えております。
○簑輪委員 えらくのんびりした答弁ですけれども、実際には大変なことだということで、あすにでも国保会計に関連して全国の市長さんなどが集まられて、危機突破の中央大会が開かれるという情勢になっているわけですね。そうしたことから見ましても、緊急に手だてをとらなければならないというふうに思うのです。
 自治省にお伺いしますけれども、全国町村会においては、この制度改正に伴う五十九年度の国保会計の赤字については、市町村の一般会計からの繰入金によって補てんしないで、赤字決算とするという申し合わせができているというふうに伺っておりますけれども、これについての自治省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○鶴岡説明員 お答え申し上げます。
 全国町村会におきましては、今回の退職者医療制度の創設等の制度改正に基づく五十九年度の国保会計の赤字につきまして、今先生がおっしゃいましたように、市町村の一般会計からの繰り入れによって補てんしないよう申し合わされていることは承知しております。
 自治省としましては、従来から国民健康保険事業につきましては、本来保険料と国庫支出金で賄えるものであるというふうに考えておりまして、今回の国庫補助制度の変更に伴う赤字額等につきましても、一般会計からの繰入金により補てんすべきものではないというふうに考えております。
○簑輪委員 退職者医療制度の創設とあわせて国庫補助がカットされておりまして、現実にはもう赤字が生じているわけですから、これを乗り切っていくために一体どういうことになるのかということを考えてみますと、全国町村会では、その影響が国保税の増税という形で見込まれてくるのではないかという、二百四十八町村を抽出して調査を行った結果が出されております。それによりますと、何と国保税二〇%以上の増税を余儀なくされるという町村が全体の三一・五%に達していることが明らかになりました。
 自治省、厚生省は、こういった状況を踏まえて、この国保税、国保料の引き上げ状況というものを把握しておられるのか、そしてそれについてどのようにされるおつもりなのか、もう一度自治省を含めて厚生省の見解もお尋ねしたいと思います。
○近藤説明員 お答えいたします。
 全国町村会が調べました抽出調査につきまして、私どもも承知しております。ただ、中身を精査いたしますと必ずしもこのような状態にはなっていないと私ども承知しているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今度の制度改正によりまして余り大きな保険料のアップになりましては私どもとしても困るということでございまして、この辺は急激な負担は避ける。保険料のアップの原因にはいろいろあるわけでございまして、必ずしも今回の制度改正だけによるものではないわけでございまして、過去の累積赤字の解消とか、急に医療費が伸びだとか、いろいろな事情があるわけでございますので、この辺を十分精査いたしまして、私どもも従来から健全な財政運営をやってきた、にもかかわらず今回の制度改正によりまして大きな保険料のアップを余儀なくされている、こういったものにつきましては、私どもとして精いっぱい財政的な援助も考慮したいと考えておるわけでございます。
○鶴岡説明員 ただいま厚生省の方からお答えがありましたとおりでございますが、私どもとしましても、国保税なり料につきまして、今市町村におきまして、特に六月議会を前にしていろいろ御苦心が多いというのは聞いております。いずれにしましても現在厚生省の方でいろいろ調査をし、先ほどお話がありましたように、大幅な国保税の引き上げがないような何らかの措置を国においてとってくれるのではないかという前提で、私どもとしても市町村に対していろいろな面で相談に乗ってまいりたいと考えております。
○簑輪委員 自治省の方からは一般会計の繰り入れ等で賄うのは筋違いであるというお考えで御答弁をいただきましたが、現実には一般会計の繰り入れもしくは国保税の値上げということで対処しない限り、赤字をどうしようもないという市町村の思いを深刻に受けとめなければならないと思います。
 厚生省にお伺いしますけれども、財政調整交付金ということで今回のこの赤字を十分補てんできるとお考えでしょうか。
○近藤説明員 お答えいたします。
 国保の財政調整交付金は、市町村によりまして所得の水準とか医療費の水準がまちまちでございますし、経営状態もさまざまである、こういうふうな状態でございますので、これを調整する機能があるわけでございます。昨年の制度改正によりまして、この財政調整交付金の枠が広がったわけでございますが、退職者医療制度の対象者のばらつきが市町村であるわけでございまして、これを調整するという意味もあったわけでございます。
 現時点におきまして、退職者の数が非常に少なかったというふうな点がございまして、この点によりまして財政の苦しい市町村もふえてきているわけでございます。私どもといたしましては、県と協力いたしまして各市町村の財政状況を例年以上にきめ細かく把握いたしまして、財政状況が非常に苦しいというところに重点的に配分するといったような運営面の工夫を尽くしてまいらねばならぬと考えているわけでございます。
○簑輪委員 財政調整交付金の額と赤字の類とを考えてみましただげでも、それで十分補てんできないことは明らかです。ただ厚生省が特に財政状況の厳しいところにいろいろな配慮をして、と言うことは当然のことだと思いますけれども、それでは事はやはり根本的には解決できないわけですね。
 そこで大臣にお尋ねするわけですけれども、今回の事態を招いた根本は、健保改悪に当たって厚生省の見込み違い、国の行政の見込み違い、失態と言われてもやむを得ないと思いますけれども、そういったことから生まれてきているわけだと思うのです。したがって、これは国が責任を持って解決していかなければ、自治体としても到底信頼関係を確保することはできないという悲痛な叫びがあるわけです。そこで五十九年度、六十年度の赤字分はもちろんのこと、このままでいきますと六十一年度も同様な問題が起こってくるわけですので、それをも含めて、この赤字解消のために大蔵大臣として特別の財政措置をとるよう格段の配慮をしていただくことが必要かと思いますが、その面での大臣のお考えをお聞かせください。
○竹下国務大臣 一義的には財政調整交付金、こういうことになろうかと思います。今厚生省の方で実態調査をしていらっしゃると承っておりますので、その結果また厚生省と協議すべき課題だろうと考えております。
○簑輪委員 その協議に当たって、大臣がやはりこういう事情を踏まえて、赤字を抱えている自治体の要望を真剣に受けとめ、十分な配慮をするという決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 基本的には厚生省の問題でございますので、あらかじめすべてを蓑輪さんのおっしゃったのを前提にしてお答えするという立場は、所管の省もございますので差し控えた方がいいのじゃないか。ただ厚生省の調査、そしてそれに伴って協議があれば真剣に対応するということは基本的に私も考えております。
○簑輪委員 今回国保会計赤字によって全国の各地で国保料の引き上げが行われているわけです。この国保料の引き上げについてはさまざまな要因があるということを先ほどもお話しになりましたけれども、しかし、この赤字が大きな要因になっていることは疑いない事実でございます。保険料が払えなくて、そのために保険証をもらえないということが今日起こっている、こういうことを厚生省は御存じでしょうか。
○近藤説明員 現在、国民健康保険を含めまして国民皆年金制度ができているわけでございまして、保険者証を渡さないことはないというふうに思っております。
○簑輪委員 昨年来の審議の中でも私はこの問題を出して、滞納を理由に保険証がもらえないケースがあるけれどもそれはどうなのかとただしたときに、法律上そういうことはできないことになっているという御答弁を厚生省からいただいております。ところが現実には、こういう事態が全国各地で起こっております。
 私の住む岐阜市の場合でも、滞納があってことしの一月から三回にわたって督促をし、その中で特に二月四日の通知では、「来庁され納付文はご相談いただかないときは、新しい保険証はお渡しせず市で預かることとなりますので、来庁されるよう再び通知いたします。」来ない限り保険証は渡しませんというおどしが書面上明らかになっているわけです。現実にそれでも市役所へ行かなかった人たちが七百世帯余り保険証を受け取ってないという客観的事実があるわけです。もちろん収納率を高めることが健全な国保会計を維持するためには必要なことでありますし、そのことに努力されるのは当然のことだと思いますけれども、保険証を渡さないということは許されないことだと思いますのに、こういうやり方が岐阜市だけではございませんで、例えば長崎でもやられている、あるいは福岡でもやられている。その結果、もう保険証なんか要らぬという人も出てきているとか、いろいろな意味で大変な問題になってきているわけですね。保険証をもらわぬでもいい、薬を買って飲んで何とかしていくというような人も出てきているわけです。
 私は、こういった事態を厚生省が、あり得ないことだから知らないということではなしに、現実を調査していただきまして、そういうことは絶対にしてはならないという指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○近藤説明員 お答えいたします。
 先生先ほど御指摘のように、医療保険制度は被保険者全体の相互扶助で成り立っているものでございまして、国保制度の維持ということからしますと、国保料の徴収は非常に重い意味があると考えているわけでございます。したがいまして、国保料の納付がない場合、特に長期の滞納をされているという方につきましては、国保の被保険者資格が喪失している場合もございますし、ほかに移転されている方もあるわけでございます。また、被保険者がまだ残っていらっしゃるといたしましても、保険制度の趣旨といいますものをやはり本人に直接にお話しする方が筋であるという考え方をしているわけでございまして、市町村の窓口に来ていただきまして保険証をお渡しする。その際に、保険料の納付等につきましていろいろお話を申し上げるということを間々市町村でやっていただいているわけでございまして、このような努力というのは私どもとしては当然だというふうに受けとめておるわけでございます。
○簑輪委員 保険証をお渡ししないということも当然なんですか。
○近藤説明員 窓口に来ていただいて、いろいろお話しの上でお渡しするという形をとっておるわけでございまして、保険証は必ずお渡しするということを指導しているわけでございます。
○簑輪委員 現実に保険証を渡されてないという事態があるわけですけれども、その点についてはいかがお考えですか。滞納は滞納としてきちんと払うように別途半段をとる、そして保険証は必ず本人に渡るようにするというふうにすべきではないかと私は思うのですけれども、そういうふうにお考えでしょうか。
○近藤説明員 岐阜市の例で私どもちょっとお聞きしましたら、やはり窓口に来るように何度も何度もお願いしたけれども来ないということでございまして、そういうふうな方といいますのは義務も怠っているわけでございまして、その辺も踏まえて対処する必要があるわけでございますけれども、保険証を交付しないという点につきましては、私どもとしては余りいいことではないというふうに考えております。
○簑輪委員 余りいいことではない、何か言葉がはっきりしませんけれども、よくないということではありませんか。
○近藤説明員 いろいろの人の態様であろうかと思いますので、その辺私ども一概に悪いとは言えないのですけれども、基本としてはよくないことだというふうに思っております。
○簑輪委員 どうしてはっきり言っていただけないのか、私どうも納得できませんけれども、国民皆保険という精神からいって、保険は保険できちんと保険証を渡す、そして滞納は滞納できちんと正しく払ってもらうような手だてをとる、これが当たり前ではありませんか。再三申し上げているのですけれども、これ以上のことを押し問答しても時間がなくなりますが、厚生省の方としては、ある程度収納率を上げるためには保険証を人質にとって呼びつけるという方法もよろしいのではないかという御指導さえ、ひょっとしたらなされているのではないかという疑いさえ持たざるを得ないような気がするのですけれども、そんなことは毛頭ございませんでしょうね。
○近藤説明員 お答えいたします。
 そういうふうな指導はしておりません。
○簑輪委員 何か事が起こってからでは本当に大変なことになります。私は、厚生省が実態をきちっと把握し、適切に保険証を交付されることを強く指導していただくようにさらに確認をしておきたいと思います。
 そして、こういうことが起こってきているというのは原因が別にあるのです。世帯収入階層別の国保負担率というのを調べてみましたところ、昭和五十二年度では四・七五%、五十三年度五・一四%、五十四年度五・五〇%、五十五年度五・三八%、五十六年度五・九八%、五十七年度六・一三%、五十八年度六・九五%ということで、国保料の負担率が、その世帯で占める割合が年々高まってきているということなんです。こういうことが家計を圧迫して収納率を引き下げている要因になっているのではないかということも指摘し、この面での配慮もしながら、例えば減免申請など親切な指導を行うことによって収納率を高め、国保を運営していくということが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 時間もなくなってきましたので、関連して、たばこと健康に関する問題についていささかお伺いしたいと思います。
 この委員会で私、再三この問題を取り上げてまいりましたけれども、これまでに国鉄が禁煙列車を増設したり、文部省でも学校保健会を通じて禁煙教育用の指導審作成費が予算化されたりして一定の前進はありましたけれども、たばこ産業株式会社に衣がえしたのに伴って、外国たばことの販売競争で特に若い女性たちが限りなく巨大な潜在市場としてターゲットになっています。若い女性の喫煙は、本人への悪影響のほか、妊産婦は胎児に、そして母親の喫煙は乳幼児に悪影響を及ぼすということが明らかになっております。婦人が喫煙の習慣を持つということは非常に重大な問題に発展するというふうに指摘されているわけです。特に、五月二十二日参議院の環境特別委員会で、愛知県がんセンター研究所疫学部長富永博士を参考人として招いてたばこ問題を審議しておりますけれども、富永博士は、日本男子の喫煙者の率は世界的に見ても高い、欧米先進諸国は三〇%台に下がっているのに六五・五%、未成年者も高校生が三〇から五〇%、常習者もいる、中学生も一〇%程度いると報告されております。私が昨年の審議のときでは、何と小学生にも喫煙が広がっているということを申し上げたことを覚えております。婦人と未成年者の喫煙を防ぐというのはまことに緊急事態を迎えているのではないかと思います。
 そこで文部省にお伺いしますけれども、禁煙教育というのが特に重要だと思いますが、中学、高校はもちろんのこと、小学校の段階から禁煙教育、喫煙の害、それは本人にとって害だけではなく、周りの人たちの健康をも損なうという点も含めての禁煙教育という点について積極的な取り組みをお願いしたいということで再三お願いしておりますが、今日どのような施策、それから今後どのようにお考えでしょうか。
○下宮説明員 お答えします。
 たばこの有害性に関する教育につきましては、中学校及び高等学校における教科の保健体育において行うとともに、特別活動の学級指導、ホームルーム、学校行事などの機会をとらえて指導しているわけでございます。また、未成年者である児童生徒の喫煙は、健康に悪影響を与えるばかりではございませんで、非行の前兆でもあることから、各学校におきましては生徒指導上の重点事項としてその防止に取り組んでいるところでございます。
 文部省といたしましては、従来からそういった指導をより充実しますために、教師用指導資料として生徒の問題行動に関する基礎資料の作成とか、各種の研修会を通してたばこの有害性についての専門的な知識や喫煙防止のための指導方法の向上に努めてきているところでございます。さらに、今年度から三カ年計画で小中高等学校における教師用の禁煙指導の手引を作成することにいたしているわけでございまして、本年度は小学校教師用の手引を作成いたしますとともに、たばこの有害性に関する教材映画の作成を行うことにしているわけでございます。今後とも、これらの指導資料をもとにして指導の充実を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
○簑輪委員 国立がんセンターの平山博士の研究結果によれば、未成年で喫煙を開始した場合は非喫煙者の五・七倍も肺がん死亡率が高く、三十五歳以上で喫煙を開始した人と比較してみても三・八倍も高率になっているということです。未成年者の喫煙は法律で禁じられているわけですけれども、未成年者自身が犯罪者ということではありませんで、未成年者に喫煙させるということが禁じられているその法の趣旨も正しく理解しなければならないというふうに思います。禁煙教育予算については今後もさらに十分な措置をとらなければならないと思いますし、自動販売機の設置の問題、さらに先進諸国にはめったにないたばこのテレビコマーシャルが野放し状態であるということなど、総合的に検討し直さなければならない時期に来ているのではないか。
 再三厚生省にもお願いをしておりますけれども、禁煙の問題は、教育問題、医療問題、運輸問題、宣伝広告、環境汚染等、各省庁にわたって問題が広範多岐にわたっております。そこで、厚生省を中心としてこの問題について喫煙と健康に対する対策本部というようなものを設置するなど、総合的な取り組みに大きく踏み出していただきたいというふうに思いますが、その御決意のほどを伺いたいと思います。
○郡司説明員 お答え申し上げます。
 厚生省といたしましては、今後とも国民の健康を守る立場から、喫煙の健康影響について行政的な判断をしていかなければいけないというふうに考えております。これらの科学的な判断に基づきまして喫煙対策を進めなければならないわけでありますが、今委員御指摘のとおり、喫煙に関する行政は大変多くの省庁にまたがっておりますので、これらの各省庁が科学の進歩に遅滞なく、また効果的な行政を進めていくためにどうしたらいいかということにつきまして、現在省内で検討しているところでございます。
○簑輪委員 事は愛煙家の趣味、嗜好の問題ではございません。大臣が今度を外されておりますけれども、大臣は前にこれは嗜好の問題のような御理解を示されたことがございますけれども、夫の喫煙に持続的にさらされると妻が喫煙者でなくても肺がんの死亡率は二倍になる、受動喫煙というのは本当に重大な問題になってきております。東京女子医大の滝沢さんは、乳幼児期にたばこの煙にさらされると気管支の発育が妨げられ、繊毛が破壊されるというふうに報告しております。それで、乳幼児、幼い子供にたばこが害があるということがかなり認識が広まってきたようにも思いますけれども、自分の子供の前ではたばこは吸わないけれども、職場ではぷかぷかたばこを吹かすという人が大変多いわけです。特にたばこの受動喫煙の問題について正確な認識が要求されるというふうに思います。
 特に日大医学部産婦人科グループの報告によりますと、妊娠中の喫煙によって未熟児が生まれたり早産が起こりやすいのは、妊娠維持に必要なステロイドホルモンの生成が阻害されるためであるというふうに言われております。それから名古屋で開かれた日本内科学会では、喫煙者の子供は非喫煙者の子供に比べて気管支や肺炎にかかりやすく、入院回数も多いことが指摘されております。京都市内の幼稚園児二百十九人を調査の結果、尿中のニコチン値は非喫煙家家族の園児を一〇〇とすると、喫煙する家族のいる園児は一五〇と一・五倍も高く、喫煙者の増加に伴って尿中のニコチン値が比例的に上昇していることを報告しています。
 アメリカ国立環境衛生科学研究所のD・サンドラー博士のグループは、この二月論文を発表していますが、子供のころ家庭内に喫煙者がいてたばこの煙にさらされた人は成長してからがんになりやすく、家庭内に喫煙者が一人いると白血病やリンパ腫の発病率は、一人もいない場合の約三倍、二人いると五倍、三人いると七倍になる、乳がん、肺、気管支、のどのがん、子宮がんも同様な傾向だったと報告しています。WHOの国際がん研究機関も、二月にフランスで開かれた世界の専門家五十人を集めた研究会議で、たばこの煙と人間のがんには明らかな因果関係があると断言しています。
 ところが、たばこ産業の長岡社長さんは、他人のたばこの煙を吸わされてそれで病気になるということについては、科学的には全くと言ってよいほど証明できていないというのが現状だなどというような認識不足ぶりを示しておられますけれども、こういうことでは国際的には到底通用しないというように私は思います。こういう事態で、未成年者の喫煙ということを何としてもなくさなければなりません。テレビコマーシャルで人体に有害なたばこを「やすらぎ」とか「冒険」とかイメージで宣伝し、若い女性や青年たちを誘うようなやり方は犯罪的とも言えると思います。WHOの勧告を尊重する立場ならば、たばこの販売促進は到底できないというふうに私は思います。たばこ株式会社に対する指導、コマーシャルの規制、禁煙教育に対するさまざまな対応が迫られておりますけれども、特に大蔵大臣はこれにもかかわり合いがあるわけで、ぜひとも大臣の決意を伺いたいわけです。
 先日の参議院では石本環境庁長官も、禁煙の輪を広げるためにも各省庁の協力体制が重要なことを痛感したと発言しておられます。これは民族の未来にもかかわります。特に中曽根内閣においてはがん対策関係閣僚会議なども設けて、がん撲滅運動に取り組んでいるはずでございますし、そのメンバーの中に大蔵大臣も入っておられます。たばこによって健康が害され、逆に医療費もかさむなど、国民福祉、国民経済いずれの立場から見ても、たばこは促進すべきものではなく、やめた方がよいものであることは明らかではないでしょうか。そして、がんの原因の重大なこの部分を野放しにしておいてのがん対策は、画竜点睛を欠くと言わなければなりません。このたばこの害を正しく認識して、大蔵大臣としての職責を果たして禁煙対策に取り組まれるよう強く求めたいと思いますし、たばこを愛するのではなくて国民を愛する立場から大蔵大臣の御決意を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 私自身が平均的なたばこ吸いでございますので、みずからの意思の弱さを日ごろ反省しております。
 蓑輪さんのおっしゃったこと、科学的に全部正しいかどうか、私は定かな知識を持っておりませんけれども、御趣旨の点は十分体していかなければならぬという素直な印象を受けました。
○簑輪委員 前にも大臣は、サミットに出てたばこを吸うのは自分一人で、肩身の狭い思いをしたというふうにおっしゃったことがございますけれども、今世界の流れは趣味、嗜好の問題ではなくて、健康という問題からいって禁煙というのが常識になってきている、主流になってきているという状況でもあるというふうに私は思います。その点で、政治家としての大蔵大臣がこれからさらにこの問題について積極的に取り組まれるかどうかというのは、大臣の未来を占うことでもあるように私は思うわけです。その点で、趣味、嗜好の域ではなしに、広く政治家として、たばこと健康という問題について、それは証明されているかどうかわからないとかという姿勢ではなくて、この際真剣に取り組んでいただいて、そして禁煙問題が一層前進するように、がん対策の関係閣僚のお一人として積極的に取り組まれますように強く求めておきたいと思います。
 たばこの問題についてはまだまだ申し上げたいことが山ほどございますけれども、時間がなくなってきましたので、次の問題に進ませていただきます。何かほっとしていらっしゃるような感じですけれども……。
 次は、VDTの問題なんです。八二年二月二十七日の予算委員会の分科会で、私はVDT労働者の健康問題を取り上げ、この問題について労働省、厚生省の対応を要求してまいりました。このVDTについては、その後も大蔵委員会でたびたび質疑してまいりましたけれども、昨年二月二十二日の当委員会で労働省からは、五十八年度はVDT作業による健康への影響という観点から千事業所を対象にしてアンケート調査をして、それから個人調査に入って現在調査中というふうに御答弁をいただきました。その後この調査結果はまとめられたと思いますが、それがこの五十九年八月二十四日のOA機器等の導入実態調査結果というものなのでしょうか。
○福渡説明員 お答えをいたします。
 昭和五十八年度から、私どもの関係の機関であります産業医学総合研究所及び産業医科大学の共同研究で、VDT作業に伴う健康への影響というものを中心にいろいろと調査研究を進めているところでございます。昨年お答えを申し上げましたように、この調査研究の一番最初のものとして手事業所に対する調査を実施いたしました。それで、この調査の結果をなおいろいろな学問分野から裏づけるという形で現在研究が進められておりまして、今のところはまだその結果が得られておりません。
 それで、今御指摘の調査はいつの分ですか。(簑輪委員「八月二十四日、労働省労働大臣官房政策調査部から出されたものです」と呼ぶ)これは労働省自体が調査をしたものでございまして、今三年計画で進めているものとは別のものでございます。
○簑輪委員 昨年お答えいただいたこの調査結果というのは、そうするとどのようなことになるんでしょうか。
○福渡説明員 ただいまも申し上げましたように、三年計画で全体の検討が終わるように計画が組まれておりまして、現在まだ産業医学総合研究所、産業医科大学でこの研究に取り組んでいるところでございます。
○簑輪委員 もうぼちぼちアンケート調査の結果は出ているのではないかと思ってお尋ねをしたわけですけれども、三年計画が終わらなければこれは出てこないということなんですか。
○福渡説明員 アンケート調査だけでは結論が得られないということで、そのアンケート調査の結果を含めていろいろと現在吟味中であるということで、まだ取りまとめが終わっておりません。
○簑輪委員 労働省は緊急のガイドラインというものを発表されましたし、さらに昨年八月の調査結果も発表されましたけれども、その中で労働省として何が一番問題だというふうに受けとめられましたでしょうか。
○福渡説明員 現在三カ年計画で行っております調査研究については進行中でございますので、その点についてはまだ意見が出ておりません。ただ、昨年発表いたしました労働省自身が行いました調査の結果については、これは第一にはOA機器がどのような形で事業所に導入をされているのかという実態把握が主目的でございまして、それに関連をいたしまして作業時間、それから健康への認識というんでしょうか、自覚症状についての項目が少し入っております。
 ただ、これだけでは結論が得られませんけれども、問題点として考えられるのはやはり目と手の負担ということになろうかと思いますが、これがVDT作業と直接かかわるかどうかということについての吟味がまだ十分に行われていない。そういう点で、現在三年計画の中でそれをできるだけ明らかにしていただくようにお願いをしている、こういう状況でございます。
○簑輪委員 さまざまな問題があるのですけれども、私は既に八二年にも、カナダでのVDTによる妊産婦の異常出産の問題を指摘しました。日本でも先日、総評の調査でこの異常が現実のものとなって既に結果が出てきてしまっているわけです。こういう問題については、因果関係が証明されなければ、それはどうのこうのと言っているうちに事実がどんどん進行して抜き差しならないという事態になってしまう、そういう大変いい例だというふうに私は思うのです。だから、早急に厳しい対応をとらないと取り返しのつかないことになってしまう。現に欧米諸国に比べて日本の労働条件というのは長時間ということで大変ひどいわけですから、余計に被害が急速に進行するだろうというふうに思います。
 昨年八月にはイギリスの公務員医療諮問機関から一つの調査結果が発表されています。スクリーンディスプレー方式の事務処理機器を使用している妊産婦の三六%が流産、死産、障害児出産をしたという報告です。同じセンターでもこの種の機器を使わない部門の女性の場合は、この比率が一六%にとどまっているということから見ても大変な事態だというふうに思います。ここでは、さらに詳細な結果が出るまではその機器を使わないように妊娠中の女性公務員に呼びかけているわけですけれども、こういう重大な影響が出てくるということは十分予測されることでございますので、特に妊娠中及びその前後の女性についてはVDT作業を禁止するというふうにすべきではないかと思いますが、その点どうなんでしょうか。
○福渡説明員 先ほどお話に出ました総評が行いましたVDT労働と健康調査の結果でございますけれども、この調査は総評が大変努力をされまして、約一万三千名の対象者に対して調査を行われたわけでございます。その熱意のほどがうかがわれるところであり、私どももその調査結果についてはできるだけ参考とさせていただきたい、このように考えております。
 ただ、今御指摘の調査の中で流死産、妊産婦にかかわる問題でございますが、これは調査対象の中で二百五十人の方が妊娠をしたというふうに答えておられるわけでございますけれども、その中で、流産のあった方が八人、死産であった方が五人、これを合わせますと全部で五・二%という数字でございます。このほか異常というふうに挙げられましたのは、貧血があるとかあるいは妊娠中毒症になったとか、こういうようなことでございまして、これは調査の仕方によっては、私は正直言ってかなり幅のある項目であろうかと思います。
 そこで、この流産、死産については、これはほぼ間違いがない数字であろうかと思いますので、これをほかの調査でどのようになっているのかということを見てみますと、厚生省が行っております人口動態統計が毎年出されておりますが、昭和五十八年には全出産中の死産の割合が四・五五%ということでございます。それからさらに「産業医学」という雑誌がございますが、そこに昭和五十四年に発表された論文でございますけれども、「勤労婦人の妊娠中の労働態様と流死産」というものがございます。これによりますと、流死産の発生割合は、保母で一八・二%、看護婦一二・六%、事務職員七・六%、こういうような数字が出されております。これらと直接比較をするということは、調査の技法上大変困難かと思いますが、どういうものと比較をすればいいのか、私どもも十分に吟味をしたいと思いますけれども、こういうような数字があるということから考えますと、VDT作業従事者というふうに限定をして考えた場合に、流産、死産の率が必ずしも高いというふうには現時点ではまだ言えないのではないか、このように考えております。
○簑輪委員 大したことないのじゃないかというふうな受けとめ方だとすれば、それは重大なことになると思うのです。実際問題として、それが他のケースと比較して特別著しい数字を示していないという言い方も数字のとり方によってはできるかもしれませんけれども、その点については、今私が指摘しましたような諸外国のケース等も含めて、まだこの問題については始まって間もない障害ということもありますので、そういう点も含めた十分な調査でなければならないというふうに思います。積み重なって事が相乗的に広がってきて取り返しがつかなくなってからではいけないということを再三指摘しているわけですけれども、日本の労働条件については、まだまだ十分このVDT作業の労働条件というのは確立しておりませんで、特に欧米の規制法というのは、例えば一時間につき十五分の休憩を義務づけるとか、VDTからの放射線防護装置をつけるとか、そういう法違反者に対しては千ドルの罰金を科すなどの措置がとられているところもあります。労働者を保護している労働省としては、こういう規制を積極的に進めていくということが必要ではないかというふうに思います。VDT作業最長労働時間というようなものもきちんと決めるべきですし、ヨーロッパの場合四時間としている場合がほとんどのようで、一週で二十時間、こういうようなことも参考にしていかなければならないのではないかと思います。
 それから、時間もなくなりましたので、もう一つ重要な問題点でお尋ねしたいと思いますが、派遣労働者のような、異なる会社でVDT作業をする場合に、その作業というのは一体どのような規制をすればよいのか、あるいはもし異常が生じた場合、そのVDT作業と障害との因果関係というのはどういうことになるのだろうか、もし病気になったりした場合には一体だれが責任を持ってくれるのだろうかというような大変な問題が横たわっているというふうに思います。労働省はこの問題についてどのようにされるおつもりでしょうか。総評の調査では、九二・九%が兼務しているということもありますので、兼務していると問題が明確に出てきません。そういう点も含めてどのようにされるおつもりなのか、お聞きしたいと思います。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 まず、VDT作業によります健康障害といいますのは、盛んに社会的にも言われておりますけれども、その中でもとりわけ視神経障害とかあるいは眼精疲労等につきましては、先ほど衛生課長も申し上げましたとおり、現在のところ医学的に未解明の分野があるというようなことでございまして、私どもの方の業務との因果関係につきましてもまだ明らかにされておらないという点がございます。しかし、御指摘のような健康障害につきましては、労災請求があり次第、個々に私どもは行政判断をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、具体的には、やはりその労働者の就労実態あるいは産業環境等十分な調査を行いますとともに、必要に応じましては専門医の意見等を聴取いたしまして、総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、今後の問題でございますけれども、労働省としましては、このVDT作業による健康障害ということについては重大な関心を持っておりまして、既に専門家に対しましても調査研究を依頼しておりますし、さらには今後とも必要な医学的情報の収集に努めてまいりたい、このように考えております。
○簑輪委員 三年間の調査結果が発表された時点でさらに充実した方針が出されるとは思いますけれども、事態は刻々進んでいるというようなこともありまして、あえてお尋ねをする。そしてさらに、この派遣労働者のような場合には、実際問題として、これは労災の申請があった都度適切に判断してまいりたいと言われますけれども、大変困難なことではなかろうか。それは、一人も漏れのないように正しく救われるように処置していくためには、今後の大変重大な課題ではないか。したがって、この点について十分な労働者の立場に立った対策というものを強く求めておきたいというふうに思います。
 最後に、五月四日の朝日新聞に大変ショッキングな話が紹介されております。「大学生の一割が精神障害者、大学によっては一四、五%。そして、その三分の一は直ちに精神科の加療が必要――新学年、新入生など学生の面接に追われている各大学の保健センターや相談室カウンセラーの、最近の報告」ということで述べられております。これは「入学直後の環境変化による一時的精神落ち込みの「五月病」や、無気力、無感動の「万無主義」などとはまた異なる、はっきりとした病的な状態の深まりだ」というふうに指摘されております。「男女共学のある大学では、新入生の一四%、千人のうち百四十人が精神障害者。うち約三分の一の三十八人が、すぐ治療を始めなければならない学生だった」というふうになっています。
 こういう大学生の実態なんですけれども、これについて小林教授は「大学生の精神障害の増加については、受験第一主義の教育のあり方や、管理強化の社会的ストレスなどが原因と、カウンセラーの見解は一致している」ものの、さらに今どんどん普及している「VDTなどの機器による「テクノストレス」が、目の疲れや、けだるさといった身体症状だけでなく、孤立・無力感、短気、不機嫌、関心・自発性低下などの精神症状も招いている」というふうに指摘しています。こういう実態で、大学生がテクノストレスということで精神障害までということは大変なショッキングなことですけれども、翻ってみますと、こういう大学生だけにとどまりませんで、今パソコンとかいろんなところの広がりは、高校生、そして小中学生、ところによっては幼稚園教育で、うちはパソコンを使ってやっていますということを売り物にして園児を募集するところさえ出ています。幼いころから、まだ心身ともに未発達段階にある子供たちがこのようなVDTにさらされたらどういう影響が出てくるか、こういう精神障害にまで行き着くのかということさえ、ちょっと心配されるわけですね。
 そこで、学校教育現場でこれからさまざまなコンピューターなどが導入され、こうしたビデオ・ディスプレー・ターミナルが教室にもどんどんと出てくるという事態が計画されているというふうにうかがえますので、文部省としては、そういう教育におけるVDTの実態と、それからそれが子供に与える影響というようなことについて調査をきちっとして、対策を立てていただきたいというふうに思うわけです。その点での文部省のお考えをお聞かせいただきまして、終わりたいと思います。
○下宮説明員 お答え申し上げます。
 学校教育におけるコンピューターの普及は、社会の他の分野に比べれば余り多いことではございませんで、昭和五十八年五月現在の調べによりますと、一台以上保有している学校の割合は、全国で小学校〇・六%、中学校三・一%、高等学校五六・四%となっております。また、保有している学校における平均台数は、小学校一・八台、中学校一・四台、高等学校四・二台となっているわけでございます。
 現在の学校教育におけるコンピューター等の実態はそういうことでございますが、今日の我が国は高度の情報化社会への途上にあって、情報通信システムの発達やコンピューターの利用の進展が見られるところでございまして、学校教育においてもその対応が求められるということから、ことしの一月に、今後一層の進展が予想される情報化社会に対応する初等中等教育のあり方についての調査研究を行うため、省内に協力者会議を設けて、学校におけるコンピューター利用の基本的なあり方とか、各学校段階における学習指導とコンピューターの利用のあり方等、この中には健康の問題も含めまして議論をすることになっているわけでございまして、今後その協力者会議の成果をもとにいたしまして対応してまいりたいと考えているわけでございます。
○簑輪委員 妊産婦に対しての重大な影響を指摘しましたと同時に、やはり成長過程にある子供たちに対する影響というものも、医学的にも大変注目されなければならないところだろうというふうに思います。特にテレビの見過ぎで近視になるというようなことなんかも指摘されたりしておりますし、このVDTというものは学校だけではありませんで家庭でも大変普及しているというようなことを考えますときに、成長過程にある子供たちへの対応ということを十分健康問題を配慮して進めていただきたいということを念のためにお願いをして、終わります。
○中川(秀)委員長代理 次回は、明二十九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会