第102回国会 社会労働委員会 第2号
昭和五十九年十二月六日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 戸井田三郎君
   理事 愛知 和男君 理事 稲垣 実男君
   理事 小沢 辰男君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君
      有馬 元治君    伊吹 文明君
      稲村 利幸君    古賀  誠君
      斉藤滋与史君    自見庄三郎君
      谷垣 禎一君    中野 四郎君
      長野 祐也君    西山敬次郎君
      野呂 昭彦若    浜田卓二郎君
      林  義郎君    藤木 孝雄君
      綱岡  雄君    河野  正君
      多賀谷眞稔君    竹村 泰子君
      永井 孝信君    森外 忠良君
      新井 彬之君    沼川 洋一君
      森田 景一君    森本 晃司君
      塚田 延充君    梅山  勝君
      小沢 和秋君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 下村  健君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省社会局長 正木  馨君
        厚生省児童家庭
        局長      小島 弘仲君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        厚生省年金局長 吉原 健二君
        社会保険庁年金
        保険部長    長尾 立子君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局共 坂本 導聰君
        済課長
        厚生大臣官房総
        務審議官    長門 保明君
        厚生省年金局年
        金課長     山口 剛彦君
        社会労働委員会
        調査室長    石黒 善一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月六日
 辞任         補欠選任
  浦井  洋君     梅田  勝君
同日
 辞任         補欠選任
  梅田  勝君     浦井  洋君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第百一回国会閣法第三六号)
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関
 する法律の一部を改正する法律案(多賀谷眞稔
 君外四名提出、第百一回国会衆法第四四号)
     ――――◇―――――
○戸井田委員長 これより会議を開きます。
 第百一回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案及び第百一回国会、多賀谷眞稔君外四名提出、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 両案につきましては、前国会におきまして既にそれぞれ趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
 国民年金法等の一部を改正する法律案
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関
  する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○戸井田委員長 両案について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
○池端委員 私は、まず最初に、物価スライドの問題、例の二%の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
 既に御承知のとおり、さきの特別国会で、社公民三党は、百年の大計を決める年金大改革案と厚生年金、国民年金あるいは福祉年金の二%スライド部分を抱き合わせたこのような法案は、まさに木に竹を接いだような法案であって、これは切り離して処理すべきである、こういう立場から分離法案を提出したところでございます。しかし、残念ながら継続審議に終わりまして、依然としてこれらの受給者の方々にはいまだスライド分二%は支給されておらない、こういう状況にあるわけであります。この問題は理事会において時間をかけて議論をしてきたところでございますけれども、現段階におきましては、スライドの年内支給については最大限努力をするという域を出ておりません。年の瀬も押し迫ってまいりました。あと二十日余りでございます。この問題は、単に厚生年金、国民年金の受給者千七百万人の方たちのみの問題ではない。福祉年金を受けておられる方、あるいは共済年金でもいわゆる通年方式と言われている人たちについてもこれは影響するわけでございます。これらの方々はまさに一日千秋の思いで待っておられるわけであります。
 そこで、最初にお尋ねしたいのは、さきの理事会で与野党合意で、スライド分の年内支払いのための準備を行うようにということを事務当局に要請をしたところでございます。この点の準術は万端怠りないと思うのでありますが、その準備状況についてまずお尋ねをしたいと思います。
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 年金額の改定に伴います差額の支払いに関しましては、年内にこれを行うことができるように、社会保険庁の業務一、二課並びに都道府県の国民年金課及び社会保険事務所におきまして所要の準備作業を進めております。
○池端委員 準備状況についてはわかりました。
 そこで、大臣にお尋ねをいたすわけでございますが、先ほど申し上げたとおり、年の瀬まであともうわずかでございます。このような時期を迎えて、スライド分を分離して実施をする、そして年内支給をするという決断の時期に来ていると私は思うのでありますが、大臣の決断のほどをお尋ねしたいと思います。
○増岡国務大臣 スライド部分のことにつきましては、先ほど準備状況を申し上げたわけでありますけれども、私どもは、スライドの年内支給と同時に、将来の本格的な高齢化社会に備えて基盤の安定を図っていかなきゃならぬということが焦眉の急だと思っておるわけでございます。特に婦人や障害者の方々のための改善措置も盛り込まれておるわけでございますので、ぜひ同時に今回の改正法案を全体としてお取り上げいただいて御審議を進めていただきたい、一日も早くやっていただきたいというふうに考えております。
○池端委員 いや、それは、我々もこうやってきようも審議に臨んでおるわけであります。この問題は極めて重大な問題であるということで、本当に皆さん慎重審議をしようということで、きょうも長時間をかけて審議をするわけであります。
 しかし、今大臣言われましたように、同時に審議をお願いしたい、こう言うのでありますけれども、しかし事柄は急を要する問題もあるわけであります。二%の物価スライドの問題、既に共済年金の大部分の方、恩給の方は受け取られておる。日ごろ官民格差を口にする政府・自民党が、この問題についてはまさに口をつぐんでしまっておるというのは、私は異常な状況だと思うのです。きょうはもう十二月六日ですよ。そういう時期に来ている。従来のようなことをオウム返しに言う、そういう状況ではないと私は思うのであります。だから、私はあえて、決断の時期を迎えているのではないか、こう言ったのであります。厚生大臣、はっきり言ってください。
○増岡国務大臣 二%の問題が重要でないというふうに申し上げるつもりはございませんけれども、私は、やはり制度改正全体も同様に緊急を要する問題である、法律が通りましても相当な期間、一年余りも準備を要する問題でございますので、改正法案の全体の御審議をお進めいただきたいというふうに思っております。
○池端委員 制度改正全体の問題についてはまだ後で申し上げます。大臣が言っていることについて私は反論もございますので、それは後ほど申し上げます。
 しかし、これはそもそもボタンのかけ違いがあったと私は思うのであります。どだい、二十一世紀を展望しての大改革案、こう言われるものと、五十九年の四月から引き上げるものと合わせて一本というような形で法案として出してくる、そして二%欲しければ早く本体を上げなさい、まさにそれを人質にとるかのようなやり方というのは、極めてこそくなやり方だと私は思うのですよ。そのときあなたは大臣じゃなかった、厚生大臣じゃなかった、局長も当時年金局長でなかったから、あなた方はあるいは責任はないとおっしゃるかもしれないけれども、政府全体の姿勢として、こういう法案の出し方をする、これはまさに邪道とも言うべきものです。邪道ですよ。ですから、私どもは、こういう過ちを直ちに改めて、そして本当に一日千秋の思いでこれを待ちあぐんでいる皆さん方に少しでもやはりおこたえをする、そういう姿勢が必要ではないか、そういうことで申し上げているのですが、大臣、もう一度。
○増岡国務大臣 そのような意図的なことはないと思っておるわけでございます。制度全体の改正見直しはもう数年前からやっておるわけでございまして、たまたま二%問題もあり、同じ法律の中身でございますので一本で出された、そういうように理解しております。
○池端委員 どうも歯切れの悪いお答えだ。大臣にとってはきょうは最初の答弁みたいなものですから、もうちょっと歯切れをよく、増岡厚生大臣ここにありという姿勢をやはり示してもらいたい、こう思うのですよ。(小沢(辰)委員「国会で決めることだよ」と呼ぶ)まあ小沢理事がそういうふうにもおっしゃいますが、もちろんこれは今後とも理事会で協議する問題でもあります。理事会でも十分協議します。しかし、私は、大臣の腹一つでこれは決まる問題でもあると思っているのですよ。だから、私はあえてあなたにお尋ねしているのであります。あともうわずかですよ。あなたも十分そのことを念頭に入れられて今後とも対処せられたい、そのことを強く要求しておきます。
 それでは、次に、スライドの積み残し分の措置についてお尋ねをしたいと思います。
 五十九年度は二%の引き上げになっておりますね、これはまだ決定しておりませんけれども。法案としては出されている。これは昭和五十七年度、五十八年度の物価上昇率よりも下回った数字だと私は思うのですが、両年度の物価上昇率といわゆる積み残し分はどのような数字になるのか、それをまず明らかにしていただきたいと思います。
○吉原政府委員 五十七年度の物価上昇率は二・四%でございました。それから五十八年度の物価上昇率は一・九%でございました。したがいまして、五十七年、五十八年の累積合計が四・三%となるわけでございます。で、今年度の物価スライド率が二%でございますので二・三%分が積み残しになっている、こういう状況になっているわけでございます。
○池端委員 そこで、ただいま局長から御答弁のありました二・三%の積み残し分はいつ措置をされるつもりか、お尋ねをしたいと思うのでありますが、もうちょっと具体的に申し上げますと、この数字でいきますと、昭和五十九年度の物価上昇率、これはまだわかりませんね。わかりませんが、昭和五十九年度の物価上昇率が二・六%以上になりますと、これは掛け算をいたしますから、積み残し分と合わせて五%を上回るわけでありますね。そうしますと、昭和六十年度の予算で義務的に、これは五%を上回るわけでありますから措置をしなければならない、こう思うわけでございます。仮に二・六%を下回ったとしても、五十九年度、本年度は公務員賃金並みの措置をとろうとしているのでありますから、昭和六十年度においても、まだ最終決定をしておりませんが、人事院勧告をはるかに値切った三・三七%というものが予定されているようでありますけれども、この三・三七%を下回ることはない、そういうスライドが昭和六十年度は行われる、こういうふうに理解してよろしいか。
 一つは、五%を上回ったら当然これは義務的に措置する。それから、仮に五%を上回らなくても、ことしの公務員賃金で閣議決定された分並みにこれは物価スライドが行われる。こういうふうに理解してよろしいか、こういうことであります。
○吉原政府委員 五十九年度の物価上昇率がどのくらいになるかまだ定かでございませんが、仮にこれが二・六%以上のときは、先ほど申し上げました積み残し分の二一三%と合わせまして五%を超えるということになりますので、お話の中にございましたように、法律上当然スライドをするという義務が生ずるわけでございます。
 仮に本年度の物価上昇率が二・六%を下回って、合わせて五%に達しないときにどうするかということになるわけでございますけれども、そのときには、スライドをするかどうか政策判断ということになるわけでございますが、私どもとしては恩給、共済年金がどうなるか、そういうものを見守りながら、それとバランスのとれた形で措置をとる必要があるというふうに考えているわけでございます。
○池端委員 恩給、共済横並びと、こういうことだと思うのでありますが、ことしは公務員賃金並みにスライドをしたわけでございますから、当然これに対する期待権というものは皆さんあるわけであります。したがって、私どもは、最低でも三・三七は下回らない措置がとられるべきである、こう思うのであります。ですから、そういう皆さん方の期待にこたえるためにも、年末の予算編成の段階にこれは大きな問題になると思うのでありますが、ひとつ最大限の努力をしていただきたい、こう思うのでありますが、この点はいかがですか。
○吉原政府委員 御趣旨に沿って、最大限の努力をしたいというふうに思っております。
○池端委員 物価スライドの問題に関連して、もう一点お尋ねをしたいと思います。
 実は、昭和五十八年七月の十五日に出されました社会保険審議会厚生年金保険部会の意見書では、「スライドの基準へ五%)についても、近年の物価動向等からみて引き下げる方向で」――「引き下げる方向」ですよ、「見直す必要がある。」こういう意見書が実は出ているわけでございます。しかし、今度の改正案では依然としてこの部分は従来どおりでございまして、この五%問題については何ら手を加えておらない。
 確かに、この物価スライドの問題につきましては、附則事項から本則事項に移すとか、年度平均を年平均にするとか、あるいは実施時期を四月に繰り上げるといったような部分的な改善はございますけれども、この五%の問題については全く手が触れられておらない。この理由はなぜなんでしょうか。こういう意見書が出ておりながら、こういうものを尊重するという従来から立場をとっておる、それが建前である厚生省が、この問題に手をつけなかった理由を明らかにしてもらいたいと思います。
○吉原政府委員 確かに社会保険審議会では、このスライドの問題につきましては、五%という基準の引き下げの問題、それから実施時期の問題、そういったものについて見直しをするようにという御意見をいただいたわけでございますが、その後、政府部内でいろいろ検討をいたしました結果、スライドの実施時期については四月からの実施に改善をする、引き上げるということにいたしましたけれども、スライドの基準そのもの、五%という基準そのものにつきましては、人事院勧告が御案内のとおり、民間との給与較差が五%以上増減するような場合に勧告されるというような措置になっておりますこと等々を勘案をいたしまして、当面、この物価スライド基準についても五%にしておこうということになったわけでございます。この考え方、この基準については今後の課題としてさらに検討をさせていただきたいというふうに思っております。
○池端委員 人事院勧告が民間給与との比較で五%以上の場合ということを一つの理由にされて、それとの兼ね合いから従来どおりにしたというのはちょっと理由にならないのではないか、物価スライドの問題とそれとは全く別個の問題である、次元の異なる問題だ、こういうふうに私は思うのですよね。ちょっとそれは局長、こじつけというものですよ。
 そこで、せっかくこうやって意見書も出ているわけですよ。これを尊重するというのが従来の厚生省の立場ですから、今、若干努力をしたい、検討したいというようなこともおっしゃったけれども、もっとこれは前向きにやってもらいたいと私は思うのですが、どうですか。
○吉原政府委員 年金の基準改定というものを何を基準にしてやるかというのは従来ともいろいろ議論がございまして、物価だけでいいかという議論も基本論としてあるわけでございます。
 そういったことで、例えば今年度の今御議論いただいております二%の物価スライドというのも、いわば物価スライドということよりもむしろ恩給、共済が二%上がった、そのもとをただせば人事院勧告でベースアップの率に合わせて恩給、共済が上がる、それに合わせて今度年金を上げようという措置も現にとっているわけでございますから、いろいろな考え方がある。そのときにやはり、物価スライドだけでいくとすれば、それは五%を下げるという行き方もこれは一つの考え方かもしれませんが、賃金や恩給や共済のそっちの方の動きもにらみながらバランスのとれた格好でやっていく余地を残すということにすれば、物価スライドとしては当面五%にしておいて、あといろいろな諸状況というものを考えながらそれぞれ適切に対応していくというようなこともいいんじゃないかという判断があったわけでございます。
 ただし、審議会の御意見にもございましたように、この五%でずっと将来ともいいとは必ずしも私ども思っておりませんので、検討させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
○池端委員 我々は、賃金スライドでやるべきだという基本的な方針を持っているということを念のために申し添えておきますけれども、これはせっかくの御提言でございますから、鋭意前向きに検討をいただきたいということを強く要望しておきます。
 次に、この改正案の実施時期の問題でございます。
 政府や自民党の皆さんは、この改正案は昭和六十一年の四月に実施をしなければならない、そのためには相当の準備期間が必要だ、したがって急がなければならないということを盛んに強調するわけであります。
 そこでお尋ねをしたい。一体六十一年四月、ぜひここでやらなければならないという決定的な理由は何なのか、それをまず最初に明らかにしていただきたい。
○吉原政府委員 この年金改正につきましては、私ども三年ぐらい前から検討を続けてきたわけでございまして、できるだけ早くやりたいという基本的な考え方を持っていたわけでございます。臨調等におきましても、年金の改革、速やかに着手をすべきであるというような御意見、御答申もいただいておりましたし、早ければ早い方が実は望ましい、また早く手をつけなければ改革自体が大変風難になるという考え方を持っていたわけでございますけれども、いろいろこれだけの大きな改革をやるということになりますとどうしても一年半程度の準備期間は必要だということで、できれば六十年度実施を考えておったわけでございますけれども、準備期間を見て新年度の六十一年四月からというふうに決めたのが一つでございます。
 それから、六十一年四月という考え方のもう一つの理由と申しますのは、一つは、国民年金制度が始まりましたのが昭和三十六年でございますが、ちょうど六十一年で二十五年、いわば国民年金の資格期間を完全に満たした人の年金の受給権、受給者が発生をするという時期でございまして、その年金額というものを基準にして、今後の年金制度の基準、新制度の給付水準のいわば出発点にしたというようなことがあるわけでございます。
 したがいまして、将来の給付計算、財政再計算、すべてその六十一年四月の国民年金の二十五年の基準というものを出発点として、いわば原点として再計算をしてこの法案の審議をお願いしているわけでございまして、そういう二つの意味から、六十一年四月というのを施行日といいますか実施期日にさせていただいたわけでございます。
 そういったことも背景にございまして、閣議決定におきましても、法律は五十九年度に成立をお願いし、実施は六十一年四月ということが、既にこの法案の提出と同時にお願いをいたしましたことしの二月の閣議決定で決まっているわけでございますので、何とかこの閣議決定どおりの実施ができるようにお願いをしたいというふうに思っております。
○池端委員 私も、何も悠長にやればいいなんという立場で物を言っているわけではないのですよ。そのことだけは誤解のないように。
 ただ、この問題はまさに、先般参考人として出席されました小山教授でございますか、あの方が言われておりました、もう年金改革の最後のチャンスだと思ってこの問題に取り組んだ、まさにこれからの二十一世紀を展望しての百年の大計を決める大改革なんですよ。それだけに我々は、この問題は本当に国民の共通のコンセンサスを得なければならない重要な問題だろう、こう思うのです。
 現に、時々審議会の答申を引用して恐縮でございますが、この社会保障制度審議会の答申でも、「諮問のごとき重大な改革に際しては、その趣旨と内容を十分に明らかにし、国民の理解と納得を得るように、最善の努力を尽くすことが先決の問題である。」先決の問題である、こうまで言っているわけでございます。ですから、この問題は、事柄は重要でありますから、拙速に走ることなく、やはり真剣に検討しなければならない。そのためには、どうも今政府の言っているのは、昭和六十一年四月というものがにしきの御旗になっている、まず最初に昭和六十一年四月ありきだ。だから、おまえたちこれに合わせるように国会も審議をやれと言う。これは私は本末転倒ではないかと思うのです。閣議決定を押しつけたり、六十一年四月を我々に押しつけて、そして審議を急げなんというようなやり方は、立法府を何と思っているのか、こう私は言いたくなるのですが、その点はいかがですか。
○増岡国務大臣 先生おっしゃるとおりの百年の計画でございます。また、それだけに私どもは、御審議の委員会の御都合もあろうかと思いますけれども、その限られた時間の中で、中身の濃い、濃密な御審議をぜひともお願いをいたしまして、一日も早い御可決をいただきたいというふうに考えております。
○池端委員 全く趣旨不鮮明ですな。何を言っているかわからない。
 大臣、私は「公的年金制度改革の経緯」という資料を厚生省からもらいましたが、この問題に着手したのが実は昭和五十年八月十二日、自来九年の歳月をかけて政府部内でも検討されたのでしょう。それに、社会保険審議会の厚年部会でも、昭和五十六年十一月以降五十八年七月十五日まで、一年八カ月の歳月をかけ、実に三十回の部会を開いて慎重に討議をされたのです。またこれは、事柄の重要性からいって当然そうあるべきだと思うのです。それを、何か年内に同時決着などということが盛んに言われてきている。これで本当にこの「国民の理解と納得」が得られるでありましょうか。
 しかも、内容を子細に吟味してみますると、掛金は大幅に上がる、給付も非常に下がる、国庫負担も大きく削減をされる、まさに国民の生活に大変な影響を及ぼす法案ですよ。こういう欠陥法案、問題法案というものをきちっと正していくのが国会の責任だ、こう私は思うのです。ですから、先ほど局長は、改善されている面もあるんだからと、婦人の問題であるとか障害者の問題を言われましたね。確かに障害年金の充実はありますけれども、しかし、障害年金の問題でも三級の方については従来よりもむしろ改悪されているという問題点もあることだって、これははっきりしておかなければならないのですよ。ですから、そういうふうなことを言うのはフェアではない、こう私は思うのです。
 しかも、お尋ねをしますが、厚生省が発行しております「年金改革を考える」というこのパンフレットの一番最後に、「実施までの準備に二年程度は必要」と書いてある。「現行国民年金法の公布(昭和三十四年四月)から施行(昭和三十六年四月)まで二年を要しています。」その経験に照らして二年程度は必要だ。しかし、皆さんどうですか、実際に、おたくが予定をしておる昭和六十一年四月まであと何カ月ありますか。
○吉原政府委員 大変大きな改革でございますので、今コンピューターで処理しております記録、裁定、支払い、そういったものを全部システムを変える必要があるということでございまして、そのためには事前の事務的な準備作業、それから本作業、それからそれのテストといいますかテストラン、そういったものに大変膨大な事務量と期間が要るわけでございます。それで私ども、それ全部に大体最小限二年程度必要という見積もりをしていたわけでございますけれども、御案内のとおりもう一年余りの期間しかなくなってしまいました。私どもとしては事務的な準備作業、内々事務的にできる作業は率直に言って進めさせていただいておりますけれども、やはり法律の成立、内容が確定いたしませんと大部分の本体的な作業に入れない、こういう状況にあるわけでございます。そういったことで、大変期間が短くなってきておりますので、ぜひ早く年内に法律の成立をお願いしたい、こうお願いしているわけでございます。
○池端委員 初めは二年だと言ってみて、今になったら一年ちょっとでもやれる、現実にはもう一年三カ月しかないわけですよ。一年三カ月でもまあやれるんだ、また年を越したら一年でもやれる、もうちょっと行ったら半年でもやれる、こんなふうに変わってくるんじゃないですか。どうも宣伝がごろごろ変わって、おたくの都合のいいようなPRが行われている。これは私は、国民を愚弄するものだし国会を軽視するものだと思いますよ。最低二年程度は必要だ、こう言って大量のパンフレットを流しているんでしょう。ところが、実際は、仮にこの十二月に上がったとしてももう一年三カ月しかないのです。物理的に不可能じゃないですか。そこを私は聞いている。皆さん方のように六十一年四月、最初に六十一年四月ありきというようなやり方、これはおかしいじゃないか。どうですか局長、もう一回。
○吉原政府委員 私どもとしては、この今度の法案が六十一年四月実施を前提に給付の水準、保険料負担、そういった水準も決めておりますし、財政計算を六十一年四月実施を前提にして実はやっております。そういったこともございますし、ことしの二月の閣議決定、これを申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんが、政府の方針として年金制度の改革は六十一年四月から共済も含めて同時に実施するということが決まっておりますので、その線に沿いまして何とか、あと期間はわずかではございますが、六十一年四月に間に合わせたくいろいろなことで準備をし、またお願いをしているわけでございます。
○池端委員 これ以上質問をやっても水かけ論に終わりますから、この程度にとどめておきますけれども、六十一年四月が絶対的なものだという理由は全く私はないと思うのですね。ところが、あなた方はそれを金科玉条、にしきの御旗にしているところに私は問題があると思う。それをあえて申し上げておきます。
 次に、問題を変えまして、国民年金における保険料免除者及び無年金者の実態とその問題点についてお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、幾つか実態の数字をお聞きしますから、それをお答えいただきたい。
 第一、国民年金における保険料免除者の実態はどうなっているか。法定免除、申請免除別に、その実態を明らかにしていただきたいと思います。
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 国民年金の保険料の免除者数でございますが、昭和五十九年の三月末現在の数字で、法定免除の人が八十七万人、申請免除が二百二十一万人、合計三百九万人でございます。この免除率でございますが、法定免除は四・七%、申請免除は一二・〇%で、合計いたしまして一六・七%になっております。
○池端委員 次に、都道府県別の実態はどうなっているか。全部言うことは必要ないですから、ベスト五ぐらいお答え願いたい。
○長尾政府委員 都道府県別の免除率の状況を申し上げます。
 免除率の多い県を申し上げたいと思いますが、一番多い県は沖縄県でございまして四三・三%でございます。法定免除は九・三%、申請免除は三四・〇%になっております。次が福岡県でございまして二四・八%、うちの法定免除が一一・三%、申請免除が一三・五%ということになっております。
 低い方を申し上げますと、一番低いのは石川県でございまして九・四%、法定免除は四・二%、申請免除は五・二%、次に茨城県の一〇・六%、法定免除は四・一%、申請免除は六・五%等でございます。
○池端委員 国民年金の被保険者の所得階層別、職業別の実態はどうなっておりますか。
○吉原政府委員 まず国民年金の被保険者の所得階級別の状況を申し上げますと、少し詳しくなりますが、強制加入世帯の構成割合、平均所得額が二百四十五万円でございまして、一番分布が多いところが百万円から二百万円の階層でございまして二八・七%、その次が二百万円から三百万円の階層でございまして二〇・九%、こういうことになっております。
 それから、職業別の構成でございますが、強制加入者の中で職業を有する人について申し上げますと、農林水産業が一番多くて三百七十七万人、ちなみに、強制加入者のうち職業を有する方は国民年金の被保険者約二千六百万人のうち千五百万人でございますが、そのうちの農林水産業が三百七十七万人、二五・六%、それから小売業が三百四十四万人の二三・四%、サービス業が二百九十四万人の二〇%、建設業が二百三十一万人の一五%、製造業が百七十七万人の一二%、その他というような状況になっております。
○池端委員 最後の実態でありますが、いわゆる無年金者、俗に百万人とも二百万人とも言われておりますけれども、厚生省はいわゆるこの無年金者についての実態をつかんでおりますか。
○長尾政府委員 無年金者になるケースといたしましては、年金制度に加入していないことによるものとか、国民年金の保険料を滞納されたということによるものが考えられますが、その実態を正確に把握することにつきましては大変難しい状況にございます。つまり、市町村の段階では、例えば厚生年金保険や共済組合等地の制度の被保険者期間があったかとか、受給権者であるとかということにつきまして、公簿等によって把握することが困難でございます。また、現在のところは、加入期間が資格期間として不足しておると考えられるものでございましても、過去におきまして被用者年金の加入期間等を持っておりまして、それを合算いたしますと通算老齢年金に結びつくケース等がございますので、今、先生お話しのように、無年金者が百万であるかというようなことにつきましては、私どもから確たる数字は申し上げられないわけでございます。
○池端委員 無年金者の数はわからなくとも、保険料の収納状況はどうなっているか、それはわかると思うのですね。私どもは、大都市では未納の状況が一〇%にも達する、こういうような話も聞いておるわけでありますが、その実態はわかるでしょう。
○長尾政府委員 国民年金の保険料の収納状況でございますが、現在の五十八年度のいわゆる検認率、つまり、当該年度において被保険者が保険料を納付すべき延べ月数に対しまして保険料が納付されました延べ月数の比率を申し上げますと、九四・六%となっております。
 先生御指摘の都道府県別の状況でございますが、大都市という意味で東京都を申し上げますと、東京都は八七・六%でございます。大阪府が九一・五%、神奈川県が九一・八%ということでございまして、御指摘のとおり都市部では未納者が多いことは事実でございます。
○池端委員 今いろいろ数字を挙げていただきました。免除者の数あるいはその都道府県別の状況、あるいは無年金者の実態はわからなくても収納状況、いろいろな数字を挙げてもらいました。私は、これは大変な数字だと思うのですよ。今、簡単に皆さんおっしゃったけれども、その中には大変な問題が含まれている。この今の数字の結果、あなた方はこれは何を物語っていると思いますか。数字は何を物語っているか。
○長尾政府委員 先生御指摘のように、免除率が相当に多いとか、検認率におきまして大都市で一〇%未納者がいるという実態につきましては、事業を主管いたします者といたしまして、私どもの努力が大変至らないと思っておるわけでございます。
 保険料の現在の納付でございますが、国民年金につきましては三カ月分をまとめて納付するというふうになっておるわけでございますが、自営業者の方、農家の方にとりまして、三カ月分をまとめまして納付するということにつきましては困難な面もあるかと思うわけでございます。
 私どもとしましては、被保険者の方ができるだけ納めやすいような環境づくりということに努力をいたしたいと思っておるわけでございますが、一つは、この三カ月分まとめてというのを、できる限り毎月納付というようなことを実施いたしたいと思っております。現実の市町村におきまして、二〇%程度の市町村が毎月納付をやっておりますけれども、こういったものを推進いたしたいと思っております。
 もう一つは、口座振替の推進でございまして、米の代金等が入りました口座からこういった保険料を納入していただくような振替措置も推進をいたしたいと思っておるわけでございます。
 また、今回の改正案におきましては、六十四年度には全国的に毎月納付に移行するということになっておるわけでございまして、こういったものを通じまして保険料を納入していただくような措置を考えていただきまして、また、私どもといたしましても努力をさしていただきたいと思っておるわけでございます。
○池端委員 今、長尾さん、いろいろおっしゃいましたけれども、あなた方の努力が足らないからこういう数字になっていると必ずしも私は思わないのです。もちろん、もっともっと努力してもらわなければならない点もあると思いますよ。しかし、努力が至らなかったからこういう数字になっているんだという状況ではないと私は思うのです。さっき挙げてもらいましたように、自営業者の中には農業をやっておられる方もあるし、五人未満の中小零細企業の人もおる、あるいは自由業の人もおる、日雇いの方もいらっしゃる、そうしてこの中には失業者の方もいるのですよ。いろいろな階層の人が混在をしている。ところが、保険料は、こういう人たちの所得の格差には何らお構いなしに、現行では月六千二百二十円、一律であります。この定額負担というところに大きな問題があるのではないか。これはやがて六千八百円になる。そしてまた一万三千円に上っていく。これは大変なことですよ。この定額負担に大きな問題があるから、払いたくても払えない。確かに、口座振替や毎月納めるというようなやり方をすれば、それは多少改善はされるでしょう。しかし、そういう事務的、技術的な問題でこの事柄は解決しないと私は思うのです。だから、沖縄や福岡や、言われなかったけれども北海道に保険料免除者が多い。失業多発地帯です、有効求人倍率も全国平均よりはるかに低い、こういう地域に多いということ、これが私が今申し上げたことを如実に証明しているのだろうと私は思うのです。
 ですから、こういう社会保険方式による定額制の保険料を徴収するというのはもう限界に来ている、端的に言ってこういう状況ではないですか。
○吉原政府委員 国民年金の場合には確かに所得のない方も含めて全部強制的な被保険者、原則として強制被保険者にして保険料を納めていただく、こういう仕組みをとっておりますがゆえに、ただいま御指摘のございましたような免除あるいは無納、保険料の未納者、そういった方々が発生するわけでございます。被用者保険と違いまして、必ずどこかへ勤めておる、給料を必ずもらっている、給料から天引きすればいい、こういう仕組みがとれないというところに実は国民年金の難しさがあるわけでございまして、それにもかかわらず、全国民を一応適用対象にし、保険料を払っていただいて年金を出すという仕組みをとりましたのは、やはりそういった社会保険方式でないと今後の安定した年金制度の運営というものが困難である、そういう判断で国民年金は出発したわけでございます。
 今度の新しい年金制度におきましても、そういった社会保険方式による年金制度は今後とも維持をすべきである。確かに、そういったものには限界があって、税方式に変えたらどうだというような御意見も伺うことはございました。そういう御意見もございましたけれども、大部分の先生の方方あるいは社会保険審議会の委員の方々の全体としての御意見は、従来からも日本の場合には社会保険方式で出発をし、既に二十年以上の歴史を持っているわけでございますので、それを踏まえて、それとの円滑な移行ということを考えた場合にも、今後ともそういった方式は堅持をすべきである、こういう御意見だったわけでございます。そういったことで、新しい年金制度におきましても、従来と基本的には同じ考え方でやっていくということにしているわけでございます。
○池端委員 きょうは時間が限られておりますのでこれ以上申し上げませんけれども、これ以上保険料の免除者や無年金者が増加をするということになれば、まさに国民年金制度は崩壊の道をたどる、こういうふうに思うのですよ。この社会保険料方式というものはもう限界に来ている、こう思います。
 そこで、既に大臣や局長も御案内かと思うのですが、我が党は「「くらせる年金」…社会党の年金改革構想」、こういう貴重な労作をまとめました。これは長い間の年月をかけて、我が党の英知を結集してやったわけであります。これをぜひひとつ熟読玩味してもらいたい。しかもこれは、かつて制度審でもそういう提起があったわけですからね。いわゆる税方式、所得型付加価値税ですか、いわゆる税方式ですね。こういうものによっての基本年金構想というものがここに示されているわけであります。私は、本当の年金改革というものはこういう道をたどっていかなければ真の年金改革はできない、こういうふうに思いますから、これはひとつ貴重な労作でありますので、十分御検討を賜りたいということを申し上げておきます。
 次に、国民年金の二階に所得比例という問題であります。
 これは、国民年金審議会の答申でも社会保険審議会の答申でも、ぜひ検討せよ、こういうことになっておる。この間、私ども地方に参りましていろいろ意見陳述をお願いをいたしましたら、自民党推薦の意見陳述者の中にも、ぜひとも自営業者にも所得比例方式というものを採用してもらいたい、二階建てをやってもらいたいという強い要望が出されておるわけでございます。したがって、これについてはどのような検討を厚生省としては現段階で行っておるのか、検討の状況についてお示しをいただきたいと思うのです。
○吉原政府委員 国民年金に所得比例制を導入したらどうだというのは、実は国民年金をつくりますときからの御議論であったわけでございます。先ほども申し上げましたように、年金制度としては、やはり所得に比例した保険料を出していただいて、所得に比例したそれに見合った給付ということが、制度としての魅力も出てまいりますし、国民の納付意欲といいますか年金に対する参加意欲、そういったものも大きくなるんじゃないかと思います。
 ただ、実際に国民年金の場合にそういった所得比例が導入できるかどうか、現実的に可能かどうかということを考えますと、大変いろいろな意味の難しさがあるわけでございます。
 一つは、何といいましても、先ほど申し上げましたように収入のある方、職業を持っている方が全体として非常に少ない。過半数にすぎません。職業なり収入を持っている方が加入者のうち過半数にすぎないということ。しかもその職業が多種多様であるということでございます。業態も全く別々である。それから同時に、収入が全体として低い。先ほども申し上げましたように、国民年金の加入者の平均の所得額は二百万円台でございます。所得比例を導入した場合には、例えば四百万とか五百万あるいは八百万以上の方については高い保険料を取っていただく、こういうことになるわけでございますけれども、仮に五百万円以上の人がどのぐらいいるかといいますと、国民年金の場合には六%ぐらいしかおられません。それから八百万円以上ということになりますと四%という、ごく所得の高い人、所得比例でもって高い保険料を負担していただける方が非常にその数が少ないということが一つあるわけでございます。
 もう一つは、やはり所得の公平な把握ということが大変困難である。税金の面でよくクロヨンだとかクシピンだとかというようなことが言われますけれども、所得の公平な把握ということが非常に難しい。やはり所得比例保険料を取るとした場合には、所得の把握が公平にできるという前提条件がないとなかなか実際問題として難しい、こういうことがあるわけでございます。
 こういったことをいろいろ検討しました結果、なおかつ、国民年金の所得比例の導入の問題は今後の課題、今後の宿題としてひとつ検討を続けさしていただきたい。当面は今のような形で継続をさしていただきたい、こういう結論になったわけでございます。
○池端委員 現実に可能かどうか非常に困難な問題がある。いろいろな理由を挙げられておりますが、所得の把握も非常に難しいというようなお話でございますけれども、私は、一つは国保の例等もありますから、やろうと思えばこれはやれないことではない。難しさは確かにあると思いますけれども、やってやれないことはない、こう思いますよ。要するに、やる気があるかないかの問題だ、こう思うのですね。ですから、これはくどくど申し上げませんけれども、審議会の答申にもきちっとありますし、前々から検討されておったということでありますから、ぜひこの国民年金にも二階建て、二階の部分にこの所得比例制を導入するという方式について前向きに検討に着手してもらいたい、このことを申し上げておきます。
 次に、時間も大分来ておりますので、国庫負担の問題についてお尋ねをいたします。
 国庫負担の問題について、従来の国会答弁を聞いておりますと、政府側は、国庫負担率は現状を変えないとか、あるいは給付に対して三分の一負担しているので、全体の国庫負担の量そのものについては確保されていると理解している、こういう極めて抽象的な答弁に終始しているのです。聞きようによっては、国庫負担は削減しないんだ、従来と同じなんだよ、心配しなさんな、こういうふうにも聞こえるのでありますが、私はこれは答弁のまやかしてはないかと思うのであります。この辺、はっきりしてもらいたいと思うのです。
 実は、きのうの朝日新聞に「補助金削減に延長論」という大きなトップ記事が出ておる。これをずっと読んでいきますと、「例えば、特例法による削減の柱である年金について、いま審議中の国民年金法改正案が成立すると、六十一年度からは特例法と同様の歳出削減が行われることになり、あと一年間だけ延長すればすむ。ところが、年金法案の早期成立が難しくなってきたことにより、財政当局の思惑が狂ってきた。」こう書いてあるのです。国庫負担が大幅に削減されるというのはこういう報道からも明らかなんでありますが、この点について明確に数字を挙げて、我々が理解できるような答弁を願いたい、こう思うのです。
○吉原政府委員 今度の年金改革によって、私ども国庫負担の削減を考えているわけでは絶対ございません。国庫負担の水準といたしましては、現行制度の水準をあくまでも新制度においても維持をするという考え方に立っているわけでございます。
 ただ、国庫負担の仕方が、従来各制度ごとにばらばらでございました。従来、国民年金は三分の一、厚生年金は定額部分、報酬比例部分を含めて原則二〇%ということであったわけでございますけれども、それを、今度の新しい制度におきましては基礎年金部分に集中をする。基礎年金部分に三分の一集中をするということにしているわけでございまして、厚生年金の二階建ての報酬比例部分にはもう国庫負担はつけない、こういうことにしているわけでございます。
 それが全体としてどうなのかということでございますが、国民年金は従来も三分の一、今度も基礎年金で三分の一ですから同じでございますが、厚生年金の場合に、じゃ一体、基礎年金の三分の一というのは低くなるのじゃないかという御心配があろうかと思いますが、厚生年金について申し上げますと、厚生年金の現行制度は基本的には今原則二〇%でございますが、在職老齢年金というのがございます。在職中に支給される老齢年金については、現行制度も国庫負担がございませんで、全額保険料で賄われているわけでございますけれども、それを込みにいたしますと、厚生年金の国庫負担率というのは一六ないし一七%というのが現行制度の水準なんでございます。「厚生年金の場合には、定額部分と報酬比例部分が大体半半、平均的なケースで半々でございますので、その基礎年金部分に集中、定額部分が原則として基礎年金の方になるというふうに考えますと、基礎年金に三分の一、三三%入れるということは、現行の報酬比例部分を含めた一六ないし一七%が、横に基礎年金部分に三分の一ということになるわけでございますから、水準としては現行制度と新制度では変更がない、変わらない、現行の国庫負担の水準を維持するということになるわけでございます。
 基本的にはそういうことでございまして、あと経過的な国庫負担として、現行制度でも、例えば国民年金の免除期間に相当する国庫負担でありますとか、あるいは経過的な年金の優遇加算でありますとか、厚生年金の昭和三十六年四月前の加入期間の国庫負担とか、いろいろな国庫負担があるわけでございますが、それについてはこれからも国庫負担は引き続きつけていくということでございますので、総体の国庫負担の水準は変わらない、また変えるつもりはございません。
○池端委員 それじゃ、総体の国庫負担の水準は変わらない、こうおっしゃるなら、具体的に数字を出してください。昭和六十一年四月、この法改正でやった場合の国庫負担はどうなるのか、現行制度でいった場合の国庫負担はどうなるのか、具体的な数字を出してください。
○吉原政府委員 六十一年度に国庫負担がどのくらいになるか、現行制度の場合と改正案の場合でございますけれども、六十一年度ということになりますと、やや大ざっぱな推計になるのをお許しいただきたいと思いますが、現行制度のままですと、厚生年金が約一兆二千四百億円、国民年金が福祉年金を入れまして一兆四千二百億円、合計で二兆六千六百億円でございますけれども、改正案では、新しい制度におきましては、厚生年金は一兆七千八百億円、国民年金が約九千億円、合計二兆六千九百億円、数字的に見ましても、現行制度の場合と今度の新制度に改めた場合の国庫負担の金額的な水準は変わらない。むしろ、今の私の申し上げました数字では、若干新制度の場合の方が多くなるというようなことになっております。
○池端委員 二兆六千六百億円と二兆六千九百億円ですね。現行法でいったら二兆六千六百億円、改正でいけば二兆六千九百億円、まあ三百億円程度むしろこれはふえているんだ、こういうことですね。経過的にはそういうことがあるかと私は思うんですよ。
 そこで、六十一年はわかりました。それじゃ、それ以降はどうですか。それ以降の推移はどうなっていくか、六十一年以降の推移、それをやはり具体的に出してください。
○吉原政府委員 先ほど申し上げました国民年金の現行制度、一兆四千二百億円、これは障害福祉年金は入っております。それ以外のものは入っておりません。
 それから、六十一年度以降はどうなるかということでございますが、制度全体の大きな変更、改定、改正でございますので、将来どうなるかというのは、いろんな要素がまた絡んでまいりますので、推計がなかなか難しいわけでございます。そういったことで、基本的には私ども金額で申し上げるのが難しいわけでございまして、考え方としては、先ほども申し上げましたように三分の一ということで、おおむね現行の国庫負担の水準は将来とも変わらないというふうに考えているわけでございます。
○池端委員 だめですよ。おおむねだとかなんとか言ってごまかそうとしたってそれはだめだ。数字がないんですか。そんなばかな話ないでしょう。これだけの大法案ですよ。給付水準がどうなるのか、掛金がどうなるのか、国庫負担がどうなるのか、これは大きな柱でしょう。それすらも出さないで審議を急げなんて、そんなべらぼうな話ってあるかというんだよ。はっきり示さなければこれは審議できませんよ。示してください。
○吉原政府委員 制度発足後、おおむね五年程度あるいは十年程度の大ざっぱな推計を試みにいたしますと、制度発足五年後、六十五年度における現行法と改正案を比較をいたしますと、現行法の場合には大体三兆四千億、改正新制度の場合には三兆三千億円ぐらいということだろうというふうに推計をいたしておりますし、昭和七十年度におきましては、現行法のままですと四兆四千億、改正案の新制度の場合ですと四兆円程度ということではないかというふうに推計をいたしております。
○池端委員 ちゃんと数字を持っているんでしょう。都合の悪い数字は出さない。どういうことですか、これは。上がるところだけぽつんと出して、水準は変わりません、こう言っている。ところが、六十五年はどうですか、あなた。現行法でいけば三兆四千億円、改正案でいけば三兆三千億円、一千億円削減でしょう。七十年は四兆四千億円、そして改正案で四兆円、四千億円も削減。こういうような数字を持っていながらそれは示すことができないなんてそうやってためらって、それで審議できませんよと言ったら、泡食って出してくる。こういうこそくなやり方はやめなさいというのですよ。これは「これによって国庫負担が減少することのないよう、配慮すべきである。」という答申ですよ。現実にこれだけ国庫負担が減るではありませんか。これでもあなた方は水準は維持している、こうおっしゃるのですか。
○吉原政府委員 新制度の場合と現行制度の場合とを比べる場合に、やはり考えなければならないことは、あくまでも今度の改革のねらいが、現行制度のままにしておきますと給付の水準が大変高くなる、保険料の負担の水準も大変高くなる、国民の負担能力の限界を超える、それを適正なものにしたい、こういうことがねらいであるわけでございます。したがいまして、年金制度に対する国庫負担は現行制度と同じ水準を維持するにいたしましても、給付水準自体が適正なものになる、いわば現行制度のままよりも相対としては少なくなるわけでございますから、当然に国庫負担の水準も額も金額的に見れば現行制度のままよりか低くなる、これは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 それで、保険料負担も、現行制度のままですと当然四〇%近くになる保険料負担を三〇%以下、二八%にとどめたいというのが私どものねらいでございまして、そういった意味におきまして、給付も国庫負担も保険料負担もすべて適正なものにしていく、これが今度の年金制度の改革のねらいでございますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
○池端委員 給付水準の適正化を図るという美名のもとに、結果的には国庫負担の大幅削減、これはもう臨調行革路線の社会保障、社会福祉切り捨て以外の何物でもないということは、この改革案ではっきりしていると私は思うのですね。そういうことで、これでいくと明らかに大幅な国庫負担の削減が行われるんだ、これがきょうの国会答弁で政府側から明らかになったということを確認をしておきたいと思います。時間がございませんので、この問題も大変大きな問題ですが、また後ほど同僚議員が申し上げますので、私はこの程度で終わりたいと思います。
 次は、児童手当の問題でございます。
 児童手当制度見直しの問題がこのところ大変急を告げているようでございます。この問題は、実は御案内のように年金問題と無関係ではございません。非常に密接な関係を持っている問題だと思うのであります。そういう立場から二、三御質問をしたいと思うのでありますが、児童手当制度検討の経過はどうなっておるのか、経過についてまずお伺いをしたいと思います。
○小島政府委員 児童手当制度、昭和四十七年一月から発足しているわけでございますが、これにつきまして最初に抜本的な検討が行われましたのは、五十五年の中央児童福祉審議会の意見書でございます。これについては、現在三子目以降となっております給付対象児童の範囲を第一子からに拡大する、それとともに、いろいろな財源対策を検討してはどうかという御趣旨の意見具申をいただいております。
 その後、財政再建絡みで、臨時行政調査会、第二臨調におきまして、五十六年七月の第一次答申で、児童手当制度につきましては、公費負担を伴う給付については、低所得者階層に給付を限定するなど制度の見直しを行えという御指摘がございまして、これを受けまして、行革関連法案において所要の措置が講ぜられたところでございます。
 さらに、同法案におきましては、児童手当制度の抜本的見直しの必要性が指摘されておりますので、中央児童福祉審議会におきましては、五十七年六月以降今日まで、当面の改革策についての検討を進められてまいっておりまして、近く御意見の具申をいただけるものと考えておるところでございます。
○池端委員 近くというのはいつですか。
○小島政府委員 今月の中旬を目途に今最終の意見の取りまとめが行われているところでございますので、我々としては、十日前後ぐらいにいただけるものと期待しながら、その推移を見守っているところでございます。
○池端委員 どのような方向での改革論議がなされておりますか。
○小島政府委員 まだ御意見を取りまとめ中でございますが、審議の御様子を拝聴しておりますと、やはり基調は五十五年答申の線に沿いまして、本来第三子以降というのが制度のあり方として必ずしも適当ではないのではなかろうか、支給対象児童の範囲を拡大して一般化する方向で考えるべきではないかという御意見が強いように拝聴しております。
 ただ、さはさりながら、現在の厳しい財政状況のもとでございますので、そうした場合の実現の方策等についていろいろの詰めが行われているところでございます。
○池端委員 現在の第三子からの支給を拡大をするという方向だ。それは第一子ですか、第二子ですか。
○小島政府委員 基本的な方向としては、第一子から考えるべきであろう。ただ、当面の財政状況を考えてみた場合に、第一子が適当だとする意見と、この際やはり第二子ということで考えてもいいのではなかろうかという意見とがあるように拝聴しております。現在、その辺のところの意見の最終の詰めが行われている段階だろうと思います。
○池端委員 対象の拡大はわかりましたけれども、要するに手当の支給期間ですね。何かこれの短縮が問題になっているように聞いているわけであります。現行は義務教育終了、十五歳までですか。これを大幅に圧縮しようという動きがあるというふうに聞いておるのでありますが、その点はどうですか。
○小島政府委員 現在の財源の範囲内で賄うということになりますと、対象者を拡大すれば相対的に給付期間をある程度短縮するか、手当額を減額するかというような問題が選択の幅として残されているわけでございますが、それにつきましてもいろいろの御意見があるところでございまして、ただ、手当というからにはある程度意味のある額ということを考えるべきであろう、そういう範囲で、当面妥当と考えられる給付期間はどう考えたらいいか、というような兼ね合いで、現行制度の評価も含めましていろいろ御議論のあるところでございます。
○池端委員 報道によれば、三歳未満に限定するとか就学前に限定するとかあるいは十歳で切るとか、いろいろなことを言われておりますね。私どもは、これは大変な問題だと思うのですよ、正直な話。これはやはり、これからの高齢化社会を迎えて、我が国の年金制度を支えていく子供さんたち、また現にいるお子さんたちのことでございますから、これはすべての社会が連帯して支えていく義務があると私は思うのであります。そういう立場から言うと、こういう給付期間の急激な短縮というのは絶対許されないと思うのですが、そういうことも、三歳未満とか就学前とか十歳とかも現実に議論されているのですか。
○小島政府委員 これは年限を切った議論というものは具体的にはございません。ただ、給付期間を短縮するとしても給付の範囲を拡大した方がベターか、あるいは三子以降と限定する現行制度にした方がベタ一かという、比較検討の問題として御議論になっているところでございます。
○池端委員 まだ答申が出ない段階で、政府側に答弁を求めてもなかなかつらいところであろうと思いますが、もう一つ問題は、支給対象世帯の年収の上限、現行四百一万円を三百万円程度に引き下げるというような動きもあるやに聞いておりますが、これについてはどうですか。また、これについて厚生省はどういう立場で臨みますか。
○小島政府委員 御承知のとおりに、臨調では低所得階層に限定するなどという御意見の方向で見直しが迫られまして、それで特例法の措置になったわけでございますが、中央児童福祉審議会の御意向としても、また厚生省の考え方としても、これは単なる低所得階層と考えるべきではない、むしろ三子以降、多子世帯への手当ということでそういうような誤解も招いているのではなかろうかというようなことも考えまして、これは、その本旨に沿うような形での今後の改革の第一歩を踏み出すような形で考えてまいりたいと思っております。
○池端委員 大臣、これは前渡部厚生大臣も、何とかそういうような制度改悪はさせないで、改善の方向でいきたいということを国会でも答弁されておるわけでございます。我が国の合計特殊出生率は一・八というふうに聞いているわけです。これはまた異常なことでございます。先ほども申し上げましたけれども、二十一世紀にやってくる高齢化社会を支えるのが今の子供たちであり、また今後生まれてくる子供たちなんです。その子供たちを社会全体で育てていく、連帯して育てていくということが本当に重要なことだと私は思うのであります。世界の動きを見ても、私の乏しい知識では、大体第一子からこの手当を支給しているというのが大半のように聞いておるわけでありますから、そういう世界の動向等もありますので、この問題の改悪は絶対許さないという立場で臨んでもらいたいと思うのでありますが、大臣、いかがでしょうか。
○増岡国務大臣 先生おっしゃるとおり、次の時代を支える児童について、社会全体が責任を持ってやっていかなければならぬということはそのとおりでございます。したがって、今、臨調からいろいろな制度の抜本的見直しを求められておるわけでございまして、その過程で今日、先ほど御説明申し上げましたような児童福祉審議会、審議中でございますけれども、今先生の御意見も承りまして、本来の制度の趣旨というものを見失うことなく、今後に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○池端委員 それでは、時間も迫りましたので最後の問題になると思いますが、実は先般、札幌における意見聴取の場で、年金生活者の皆さん方から切々たる訴えが出されました。それは積雪寒冷地居住の年金生活者に対してぜひ何らかの寒冷地手当を支給してもらいたい、こういう要望であったわけであります。いろいろお話を承っておりますと、この問題でもう既に九年間にもわたっていろいろな運動を進めてきた、小沢厚生大臣にもお会いしてお願いをしてきた、こういう話もございました。園田厚生大臣のときには、何とかひとつこの問題を前向きに検討しようというような話もあった。いろいろな経過等もありました。本当に、北海道を初め東北あるいは甲信越等の積雪寒冷地に居住している年金生活者の皆さん方の、冬場における燃料代というものは大変なものであります。北海道でも大変な高い灯油を買って暮らさなければならない。食事は一食抜くことができても、暖房だけはとらないというわけにはいかない。たとえ一人家族でも、単身家族でも二人家族でも、暖房代はほぼ変わらなく必要だ。だから、何とかこの問題を解決してもらいたい。これは北海道だけじゃありません。東北の人も、北信越の人もあるいは山陰の人もそうであります。本当に切実な要求を持っておるわけでございますし、先般、四日の日にも、増岡厚生大臣にもお会いして陳情したところであります。何とかこの願いをかなえてあげてもらいたい、切実な要求を持っておるわけでありますが、いかがでしょうか。御見解を承りたい。
○正木政府委員 先生のお尋ねの寒冷地世帯に対する援助の問題、特に暖房費を中心としました御要望がかねてよりあることを私ども十分承知をいたしております。それから、北海道の市町村の一部におきまして現に援助事業が行われている、この事情も十分承知をいたしております。それから、先生方の御要望が歴代の厚生大臣になされた、その事情も承知をいたしております。
 しかしながら、この問題というものは、こういった問題に対して国がどう対応していくか、これは財政上の問題もさることながら、福祉施策のいわゆるバランスと申しますか普遍性の問題、そういったような取り上げ方についていろいろ難しさがあるわけでございます。さらに申し上げれば、地域特性に応じた施策というものについて国がどういった関与をするのか、あるいは地方、市町村なり都道府県がどういう取り組み方をするのか、この辺についていろいろ議論も分かれる点だと思います。率直に申しまして、なかなか難しい問題だというふうに私ども事務的には考えておるわけでございます。
 この問題につきまして先生方からの御指摘もあったわけでございますが、単に役所だけでなくて、やはり第三者の方々の意見も聞いてみることが必要ではないかという御示唆もありまして、先般先生方がお見えになりましたとき、厚生大臣からも、一、二カ月のうちにそういう福祉の専門家の方々の検討機関を設けて、そこで十分御議論をしていただいたらどうだろうというようなお話がございました。私ども、そういった機関を発足させました暁におきましては十分諸問題について検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
○池端委員 専門家会議を設ける、こういうことですね。大体どういう構成でしょうか。
○正木政府委員 これはやはり第三者的な立場で御議論をいただくということが必要だと思いますので、福祉の専門家の方々、人選を行っておるところでございますが、そう多人数でもあれだと思いますので、五、六人の専門の先生方にお集まりいただきまして、地域特性に応じた福祉施策というものは一体どうあるのか、その一環としまして、この問題につきましても十分御論議をいただきたいというふうに考えております。
○池端委員 この問題は、今私がお聞きしましたら、社会保険の単価の中にもそれは組み込まれている、そういう問題もございますし、生活保護の中にも冬季の加算みたいなものもある、こういうような制度上の問題もございますから、これは私はやってやれないことはないと思うのであります。したがって、これはもう長年の要求、要望でございます。何とかこれは私、増岡厚生大臣の在任中にそれを実現さしてほしい。広島の増岡さんが東北や北海道や甲信越のこともやってくれた、そういうことで北海道に銅像が建つような実績をひとつ示してもらいたい、このことを私は心からお願い申し上げますが、大臣、どうでしょうか。
○増岡国務大臣 ただいま局長から御説明申し上げましたように、近く専門家の人選を終え、一、二カ月後にスタートさせるということでございます。その場で、先生おっしゃったような御趣旨が真剣に取り上げられることと思います。私もそれを期待いたしておるわけでございます。
○池端委員 きょうは、実は大蔵省の方にも共済年金のことでいろいろお伺いしたいと思っておいでを願った。今までお待たせをして本当に失礼をいたしました。時間がございませんので、これは他の同僚議員がお尋ねをすることにいたします。きょうのところはひとつ、質問いたす機会がございませんのであしからず御了承いただきたい、こう申し上げておきます。
 以上をもちまして質問を終わります。
○戸井田委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時二十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十二分開議
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。河野正君。
○河野(正)委員 質疑に入ります前に、まず国民年金に対する政府の基本的な姿勢についてお尋ねをいたしたい、こう思います。
 そこで、もう大臣御承知のように、今度の国民年金法等の改正に当たっての提案理由の説明がここに書いてあるのですね。その中のさわりだけちょっと読み上げますけれども、「年金制度は、国民が安心して老後生活を営んでいくうえで最も重要な柱であり、このような社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、長期的に安定した制度運営」を行うと、こう書いてあるのですね。ですから、どこまでも国民が安心をして老後の生活を営む、そういうことが年金の究極の目的でなければならぬ、そういう意味のことが提案理由の説明の中にあることは御案内のとおりですね。でございますが、今日まで長い間の質疑の中でもいろいろ述べましたように、果たして老後の生活を営むに適当な内容であるのかどうか、こういう疑問が数多く実は指摘をされておるところでございます。
 でございますから、大臣は就任早々でございますけれども、一体この提案理由の説明どおりに事が運ぶというふうにお考えになっておるのかどうか、これは基本的な問題でございますけれども、まずお尋ねをいたしたい、こう思います。
○増岡国務大臣 これまでの年金制度の改善につきましては、諸外国の給付水準に追いつくということが中心であったろうと思います。しかし、急激な高齢化社会を迎えるに至りまして、その経営基盤の安定ということが言われるようになりました。そのことが、先生のおっしゃるような御趣旨に近い、老後を安心して暮らせるような年金ということになったろうと思うわけでございます。したがって、私どもは、そういう安定をした経営基盤、それからいろいろな年金間の格差の問題がございますから、給付と負担の公平化を図っていきたい、そういう気持ちでおるわけでございます。
○河野(正)委員 今御答弁いただきましたけれども、御案内のように基礎年金制度が導入される、これが五万円、しかもそれは四十年掛けて五万円、その間、物価というものがどんどん上昇する、物件費が上がっていく、そういうことを考えてまいりまする場合に、今までなかった基礎年金制度を導入したんだからというこの趣旨は私ども全然評価せぬわけじゃないけれども、果たしてそれで、提案理由に言われておるような、老後生活を営んでいく上で最も重要な柱であるという年金の名に値するのかどうか、そこを実は申し上げておるわけです。
○増岡国務大臣 詳しくは局長から説明をいたさせますけれども、これは当然今の価格の五万円でありまして、将来それが物価にスライドをしていくという機能もあるわけでございますので、決して十分とは申しませんけれども、しかし、これが適切な額であろうというふうに考えております。
○河野(正)委員 それが適切な額であるというふうなお考えであると、それは困るのですね。それは諸般の事情で、いろいろな意見があり、いろいろな要望もあるけれども、しかし財政事情もこれありということなら話がわかるけれども、その五万円が適当な額であるというような御答弁では、新任早々の大臣でございますけれども、大臣、なかなか人格者だそうでございますが、その点は私ども、はい、そうでございますかと言うわけにはまいらぬ、こういうように思います。
 やはりこれは、諸般の事情があるわけですからと。それは我々は我々の言い分がありますよ。しかし政府は政府として、財政を預かっておられるわけですから、政府の立場もありましょう。そこで、それをどういうふうにミックスし調整をしてうまくやるかというのが私は政治だと思うのですよ。それを、もう五万円が適当な価格である、適当な水準である。それでは、私どもちょっと、この問題を今から審議をしてまいるわけにはまいらぬと思うのですよ。ですから、その辺はもう少し、政治というものはこうだという立場から御回答をいただかなければならぬのではなかろうか、こう思いますが、いかがですか。
○吉原政府委員 基礎年金五万円の考え方といいますか、五万円にした理由でございますけれども、あくまでも、今度の新しい年金制度におきましては、この基礎年金でもって全国民、各制度共通の給付というものをつくるということでございまして、その給付の水準をどうするか、いろいろな考え方があるわけでございますけれども、私どもがとりましたのは、基礎年金でもって老後生活の基礎的な部分というものを保障できるような水準にしようということを考えたわけでございます。
 老後生活の基礎的部分は具体的には一体どのくらいな水準なのかということでございますけれども、その際に私どもが参考にいたしましたのが、全国消費実態調査という総務庁でやっております調査がございますが、それの五十四年の結果によりますと、六十五歳以上の単身者の方、老人の単身者の方の消費支出の中で、衣食住を中心にした基礎的な消費額というのが四万七千六百円という数字が現実に出ているわけでございます。調査の時点が古うございますので、その後の物価上昇なんかを見込みまして、大体現実に六十五歳以上のお年寄りの方がどのくらい生活費として使っているか、せめてその程度のものは基礎年金として保障すべきでないかということで、五万円というものを考えたわけでございます。
 それから同時に、やはりこの新しいこれからの年金構想につきましては、社会保障制度審議会の御意見なりあるいはいろいろな各種の団体からも御構想をいただいておりますし、社会党からも、社会党の考え方というものをこの間私も拝見させていただいておりますけれども、大体、基礎年金というものの水準としては、夫婦で八万とか十万とかという水準が妥当であるというような御意見もいただいておりますので、そういったものも勘案をいたしまして、現在時点の価格で五万円、こういうことにしたわけでございまして、もちろん将来だんだん物価も上がっていく、あるいは賃金も上がっていく、それに伴って五万円というものも上げていくという前提で、あくまでも現在の五十九年の価格で五万円というものを基礎年金の額として保障しよう、こういうことにしたわけでございます。(発言する者あり)
○河野(正)委員 まじめに質問しておるわけですから、ひとつ周囲の方もまじめに傾聴していただきたいと思います。(「こちらもまじめにやっておりますよ」と呼ぶ者あり)周囲の人たちにいろいろと答える必要はないわけですからお答えいたしませんが、私どもが今日まで長年言い続けてまいりましたのは、例の憲法二十五条ですね。これはもう長年の懸案ですから御承知だろうと思うのです。これには「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」そしてその後段に、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」こういうふうに二十五条では明記してあるのですね。ですから、その中でいろいろございますけれども、社会保障、社会福祉、この部分の向上及び増進に努めなければならぬ、こういうことですね。
 そうしますと、率直に申し上げますけれども、むしろ、今回出てまいりましたいわゆる国民年金法等の改正というものは、給付率が下がるし掛金が高くなるし、そういう議論は随分あったわけですから、具体的には申し上げませんが、いずれにいたしましてもそういう議論があるわけですから、そういうことから考えてみますと、どうも二十五条の精神というものが十分尊重されておらぬのではないか。これはもう行政ですから、政治ですから、そのときそのときの事情がありましょうけれども、しかし常に考えておかなければならぬのは、やはり今申し上げましたように、社会福祉、社会保障の向上及び増進に努めなければならぬということは、これは常に憲法を守っていく以上は念頭に入れておかなければならぬ問題だと思う。
 そうしますと、どうも今回の改正では、少なくとも国民の福祉の向上、増進ということとはいささか縁が遠いのではなかろうか、こういう感じがしますね。その辺については一体どういうふうな御見解であるか。これは基本的な理念ですけれども、どうでしょうか。
○吉原政府委員 私どもも、今後の年金制度のあり方、その基本的な理念としては、今御指摘のございました憲法二十五条に規定しております考え方、理念、そういったものに即応して年金制度というものを将来安定したものにしていきたい、公平なものにしていきたい、こう考えているわけでございます。
 むしろ、現行制度のままにしておきますと、この憲法に書いてある理念の実現というものが阻害されるといいますか、なかなか実現の困難性というものが生じてくるというようなことを考えまして、そうあってはならない、現行制度のままであってはならない、制度の安定化、基盤の安定化、そして各制度間の格差の是正、そういったものをねらいにしながら、憲法の理念に基づいた年金制度に将来とも持っていきたい、こういうことで今度の改革案を御審議いただいているわけでございます。
○河野(正)委員 おっしゃっておることと実際はかなり矛盾があるような気がするのです。というのは、先ほど申し上げましたように、憲法の精神では国民の福祉の向上、増進に努めていかなければならぬわけですから、これは常に努めていかなければならぬわけです。今やりなさいということじゃない、これは未来永劫やっていかなければならない、憲法が守られる以上は。しかし、現状は、例えば厚生年金にいたしましても、ここで制度改正しておかなければ高齢化はどんどん進んでいく、年金はパンクするというようなことで、現状でこのモデル年金というものが賃金の八三%、二十一万一千百円、これを六九%に抑える。それから国民年金でも、今の制度でずっと計算してまいりますとこれも一人が約七万八千円、それを五万円で抑える。ですから、それはいろいろ言い分があることはわかるのです。高齢化がどんどん進んできて年寄りがふえるわけだから大変なことになる、それはわかるけれども、しかし、憲法二十五条では福祉の増進と向上に努めていかなければならぬということですから、少なくともこのように抑えるということは、そうでしょう、今申し上げますように、今の制度では厚生年金が二十一万一千百円、平均賃金の八三%、そういうふうになるし、国民年金にいたしましても大体七万八千円ということであります。でございますから、厚生年金の場合は八三%が六九%に抑えられる、国民年金は五万円に抑えられる、こういう状況になるわけです。そういうことが、憲法の精神から言って、向上、増進に努めなければならぬと書いてあるわけですから、それをそこで抑えていこうということは、それは全然わからぬことはないですよ、財政事情の問題があるわけですから。それは、今までのを計算したらこのくらいで抑えなければ財政がパンクしますというような言い方であろうと私は思うのですが、ですけれども、憲法の精神から言えば、少なくともこの程度に上げ幅を抑えていかなければならぬということは、まあ財政事情が非常に厳しいということでこれくらいしかやれぬ、それは福祉の向上、増進に。「努力」というものがその文にあるわけですから、その辺私は別に論ずる必要はないと思うのですが、しかし、少なくともこのように抑えていくということは、向上、増進に努めておることにはならぬのではないか、こういうふうに申し上げているわけです。
○吉原政府委員 その点が、実は私ども先生のおっしゃる考え方とちょっと違うかもしれませんが、必ずしも年金の給付額を上げていくことが憲法の精神に沿うというふうには考えないわけでございまして、年金の給付の水準はあくまでも、例えば保険料負担との関係、それから現実に働いておられる勤労者、労働者の方々の賃金とのバランス、そういったもので公平でかつ適正なものでなければならないであろう。今のままにしておきますと六八%の水準が八〇%以上になる。これは年金の水準としては、現に働いている人の賃金の水準から見ても高過ぎるということになるだろうと思いますし、現実にそれだけの年金を払おうとすれば保険料負担がまた月給の四割近いものになってしまう。これでは、年金の給付の面からだけ言いますとあるいは高ければ高い方がいいという御意見かもしれませんけれども、それでは年金制度としてはどうだろうか。やっていけない。非常に不安定な要素を持つことになるわけでございます。そういったことを考えまして、給付も適正なものにしていく、同時に、やはり保険料負担も適切なものにしていく、そして制度全体を将来とも安定したものにし、公平なものにしていく、そういったことで、国民の信頼できる、老後のしっかりとした支えになり得る年金制度にしていこう、そのことがむしろ憲法の考え方に沿っているのではないかというふうに私どもは思っているわけでございます。
○河野(正)委員 しかし、社会の現状は、それは物価だって年々歳々上がりますね。ですから、物価が下がるとかあるいは物価上昇が全然ゼロになるとか、そういう情勢は今日考えられませんね。そういうことになりますと、年金額を上げることだけがというような御意見ですけれども、上げなければ、物価の方は上がるわけですから結局実質的には下がるわけでしょう。だから私どもは、今申し上げますように、少なくとも現状を考えれば、むしろ上げなければ、物価上昇その他があるわけですから、したがって実質的には下がりますよ、こういうことを指摘をしておるわけです。ですからそれを考えてもらわぬと、物価が上昇するとかなんとかということを考えぬで展望をされますと、今言いますように、受給者というものは大変マイナス面が出てくるというふうに私どもは心配をするわけです。
 これはいずれも、具体的な事実で今からずっと申し述べてまいりますが、そういう実情があるということを私は特に指摘をいたしておるわけです。
○吉原政府委員 物価が上がっていった場合に年金額をどうするか、これはもう先生おっしゃるように、私ども当然、物価なり賃金の上昇に見合って今後とも年金額の水準を上げていきたい。これはもう公的年金といいますか社会保障としての公的年金の基本でございますので、それは当然それを前提にして申し上げているわけでございます。
○河野(正)委員 そこで、そのことに関連をして申し上げるわけでございますけれども、最近マル優問題が日々議論の極めて強い対象になっておりますね。そこでその議論を聞いておりますと、貯蓄をするということが、例えば税金逃れだとか財産隠したとか、だからひとつマル優を廃止しようじゃないかとか、そういう意味では、このマル優問題が何か悪い状況を与えておるというような議論もあります。
 しかし、現実に今、日本の国民は世界で一番たくさん貯蓄をする国民ですね。これは御承知のように、諸外国の例を見てまいりましてもわかりますように、日本人の場合は貯蓄率が二〇%です。それからアメリカが七%、イギリスが一〇%。こういう諸外国に比べますと、日本の場合の貯蓄率というのは極めて高いわけです。なぜ高いのか。それはもう世間で言われておりますように、貯蓄を奨励すれば国内の消費が上がらず、それからまた世界各国との経済摩擦が出てくるというような、いろいろな議論があることは御承知のとおりです。でございますけれども、今これは国民年金の審議ですから、私どもそういう立場から申し上げたいと思うのですが、やはり貯蓄をしなければ老後の生活の安定というものが考えにくい、言葉をかえて申し上げますならば老後の不安がある。それは年金もありましょう。ありましょうけれども、それだけではやっていけぬ。だから、今の日本の年金の状態の中では、やはり貯蓄をして、できるだけ蓄えておいて、そして老後の生活を安定させていこう、こういう願いというものがあることは事実だと思うのです。別に今のマル優が悪いことばかりではないと思うのです。そういう欠陥もありましょうけれども、今申し上げますように、やはり老後生活を支える一つの柱としてこういう貯蓄というものが考えられておる、私はこれはやはり否定できぬと思いますね。
 こういう点をどういうふうにお考えになっておるか、ひとつお答えを願いたい。
○吉原政府委員 お話がございましたように、日本の場合に諸外国に比べて貯蓄率が非常に高いわけでございますけれども、何のために貯蓄しているか。貯蓄の目的というものは、日銀の貯蓄増強中央委員会というものが調べた資料がございますけれども、それで見てみますと、一番多いのが、病気とか不時の災害に備えてという目的の貯蓄が一番多いようでございます。その次に来るのが、これが二十代、三十代、四十代、五十代、六十代と年代階層によって違いまして、今お話のございました老後の生活のためもございますし、それから子供の教育費のため、あるいは住宅資金のため、子供の結婚のためというようないろいろな目的、一つじゃございませんで、いろいろなことを考えて貯蓄をしているというようなことであるようでございます。
 それから、そういった貯蓄の背景には、今申し上げましたいろいろな経済的な目的のほかに、日本の国民性といいますか、勤倹貯蓄というものを美徳とする生活態度、そういったものもあるんじゃないかと私は思います。
 今後の貯蓄率、貯蓄の高さというものを一体老後生活との関連でどう考えていったらいいかという御質問かと思いますけれども、私ども、年金制度は年金制度として、公的年金制度としてしっかりしたものにしていかなければならない、こう思いますけれども、公的年金だけで老後の生活が全く心配ないかといいますと、必ずしもそうも言い切れない。また、それぞれ個人によっていろいろな老後生活のニードといいますか、欲求といいますか、それがあるわけでございますから、そういった自分なりの老後生活を充実したものにするためには、公的年金だけというのはなかなか不十分な面があろうかと思います。そういった意味において、貯蓄でありますとかあるいは生命保険に入るとか個人年金に入るとか、そういったさまざまな自分の努力といいますか、自助努力でもって公的年金のあれを補っていただいて、全体として自分の老後というものを充実したものにしていく、そういう努力というものはこれからも必要であると思いますし、お願いをしたいというふうに思います。
○河野(正)委員 私はなぜこの問題を取り上げたかといいますと、今、局長から御答弁がございましたけれども、実は私どもの承知をしておる、例えば井上淳二さんという方が「定年準備読本PARTI」という著書を最近出されたのですね。その著書の中身は、今度いよいよ定年になる、その準備をする、そういうことを含めての著書ですね。その中には明らかに、やはり貯金をしておかなければ老後生活というものが非常に不安定だ。いろいろ物の考え方はあると思いますよ。例えばマル優をどうするかという問題でもいろいろ議論が行われておるわけでしょう。ですから、今、局長おっしゃるような議論もありましょうが、私が承知しておる新しい著書「定年準備読本」、それには貯金を無理をしてでも――美徳とおっしゃったけれども、今は美徳なんてそういう生易しいことじゃない。着る物も遠慮し、ごちそうを食べたいけれどもごちそうも遠慮し、そして貯蓄をするというのが現状じゃないでしょうか。現在は余裕があって貯蓄するというような現状じゃないと思うのです。ですから、とても美徳で解決するような問題ではないと思うのです。
 それはさておくといたしまして、今、定年準備のためにどういうことをしなければならぬか。それはやはり、一つは老後生活のためには貯蓄をしなければなりませんよ、こういう著書も出ている。これはベストセラーになっておるのですよ。ですから、かなりの人がそういうことには重大な関心を持っていらっしゃる。これはもちろん子弟の教育の問題もありましょう。定年になったころは子供が大学に行くとかいろいろありましょう。それから、病気になる、あるいは不時のいろいろな事故が起こるというようなことがありましょうが、今申し上げましたように、ベストセラーの中身の中で今言うようなことが指摘されておるわけですから、私は、専門的なことは局長、政治的なことは大臣、こういうふうにできるだけ区別して御質問いたしますから、そういうふうな気持ちでひとつお答えいただきたいと思います。
 そういう意味で、今マル優問題がいろいろ議論されておりますが、これは自民党の中でもいろいろ議論されておるようでございますが、やはり貯蓄というものは、税金逃れとか財産隠したとか、そういうことでマル優を利用する人もおるかもわからぬけれども、しかしながら、今申し上げるように、定年後やはり老後の生活の安定というものを考えて、食べたいものを辛抱して、着たいものも着ることを遠慮して、そしてこつこつと老後のためにためていらっしゃる、こういう方も数多くいらっしゃるわけですから、その定年準備のための読本が非常に売れて読まれておるというような現状があるわけですね。ですから、やはりそういう点は、貯蓄の問題等でいろいろ議論のある場合は、そういう老後の安定のために数多くの国民というものが粒々辛苦して貯蓄をしておる、そういうこともぜひひとつ大臣踏まえて、そういう方々のためにお力添えをいただかぬと、ただ美徳だというだけで片づけられてはこれはかなわぬですね。
 ですから、やはり今申し上げるように、特に零細な方は、とにかく公的年金、まあ私的年金もございますが、これだけでは十分な老後の安定ができぬ、だから一生懸命我々は苦労して貯金しておるんだ、そういう多くの階層があることも大臣としては十分ひとつお踏まえをいただきたい。これは年金と非常に関連するわけですから。貯金しないで済むような十分な年金がいただければ、だれも貯金しませんよ。だから、私の持論ですけれども、日本の貯蓄率が高い、さっき申し上げましたように、アメリカが七%、イギリスが一〇%ですか、日本は二〇%ですからイギリスの倍も貯金しておる。ですから、貯蓄率が高いのは自慢じゃなくて、むしろそれだけ日本の社会保障がおくれていますよ、私はそういうふうに言いたい。それはいろんな考え方がありましょう。ありましょうけれども、今の貯蓄は、税金逃れとかあるいは財産隠しとか、いろいろな意見もあるけれども、しかし、数多くの国民がやはり老後の生活を安定させる意味で粒々辛苦して貯蓄しておる、こういう現状にあることをぜひひとつ大臣も踏まえて、今後とも行政の中で生かしていただきたい、こう思いますので、その点は大臣の方からお答えいただきたい。
○増岡国務大臣 先生御指摘のように、貯蓄の目的の一つに老後の問題を考えておられることは間違いないと思いますけれども、それ以外の要素、先生もおっしゃいましたように、病気でありますとか、不時の災害でありますとか、学校でありますとか、そういう費用にも充てたいというお考えの方々も多いわけでございます。そして、先生が今お触れになりましたけれども、マル優の制度につきましては、これは制度が悪いのではなくして、悪用する人がおるだけだ、私はそういうふうに思っております。
○河野(正)委員 今大臣からお答えがありましたが、この国民の貯蓄というものは、単に財産隠しあるいは税金逃れということでなくて、老後の保障のためにやはり粒々辛苦して貯蓄をしておるのですよ。こういうことをぜひ踏まえて行政に生かしていただきたい。ですから、私はさっきも申し上げたように、貯蓄率が高いということはむしろ恥ずべきことだ、本当のことを言えば、貯蓄せぬでも老後は保障していただける、病気になったらちゃんと完全に医療はやっていただける、面倒を見ていただける、そのことが一番望ましいわけですけれども、そうもいかぬでしょう。だからせめて貯蓄でもしようかということですから、こういう方々に対してはぜひひとつ今後ともお力添えをいただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、財源の問題、先ほどから幾つか憲法の問題等を取り上げながらお話をいたしましたが、やはり財源の確保、これは古くから言われておるわけですが、保険主義でいくのか保障主義でいくのか。これは医療でも同じことですが、こういう議論がもうつとに今日まで展開されてきたところです。それについて、今度の年金制度が保険主義でいくということで、掛金がどんどん上がっていきますね。ですから、公平な負担・給付というのが政府の売り言葉でございますけれども、やはり憲法の精神から言えば保障主義で財源確保をすべきじゃなかろうか。これは議論の分かれることは承知していますよ。ですけれども、私どもは、そのことがやはり憲法二十五条の精神に沿う道ではなかろうかというふうに思います。
 そこで、これは本会議でも質問の際にお尋ねをしたところですが、もう古くから、医療を初めとして年金問題もそうですが、財源確保は保険主義でいくのかあるいは保障主義でいくのか、これは議論の分かれ目ですね。私はやはり、保障主義でいくことが先ほど申し上げた憲法の精神にも沿う道ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。逆に、保障主義でいけば税金は高うなりますよ、そういう議論が出てくることは私は承知いたしておりますが、今申し上げましたように、やはり憲法の精神から言ってもそういう方式をとるべきではなかろうかというふうに思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
○吉原政府委員 保障主義、もっと端的に言いますと、恐らく税金を財源にした年金制度にすべきだ。私どもの考え方は、税金ももちろん導入をいたしますけれども、原則として保険料を納めた方に老後に給付をという、いわば社会保険方式をとっているわけでございますが、税方式か保険方式か、確かに二通りの考え方があることは事実でございますけれども、私どもとしては、あくまでも保険方式でいくことが、我が国の場合には、今後の年金制度を安定的に維持していくためにはその方がよいという結論になったわけでございます。
 これはもう関係審議会でもいろいろ御議論をいただきましたし、いろいろな方、いろいろな団体の御意見や御提言、そういったものを十分参考にさしていただいた上でそういうことをとったわけでございますが、やはり一番問題は、仮に税方式を導入して年金制度をやるとした場合に、大変な財源というものが今新たな税として、財源として必要になってくる。基礎年金だけでも、税方式でいたしますと六兆円ものお金がかかる。それを全部新しい税金で一体やれるかどうか。現在年金のために国庫負担を導入しておりますけれども、使っております税金が二兆円余りでございますけれども、約倍ぐらいな税金をさらに年金のために新たに増税をしなければならない、こういったことが現実問題として可能かどうかということがございます。
 それからもう一つ、やはり、従来の日本の年金制度は、国民年金にいたしましても厚生年金にいたしましても全部社会保険料主義でやってきている。これを一挙に税方式に切りかえることができるかどうかということを考えてみますと、今まで納めた人の保険料は一体どうなるのだというようなことが出てまいります。
 したがいまして、既存の制度からの円滑な移行ということを考えた場合にも、税方式に変えるというようなことは、たとえそういったことがよいということになっても、円滑な移行ができるかどうかというと、これは非常に難しい問題があるということがございます。あくまでも、今までの長い歴史、沿革、それとの連続性といいますか継続性の上で新しい制度というものを考えるということになりますと、社会保険方式でなければ実際問題として新しい制度への移行はなかなか難しい、こういうこともあるわけでございます。
 それから、諸外国の制度を見てみましても、やはり税方式というのはしょせん行き詰まりやすい。給付がどうしても税というものによって財源的に制約を受けやすいということがございますので、なかなか、特に今日のような日本の置かれている状況の中で、今、税方式でやるとした場合に果たして十年、二十年、安定的にやっていけるかどうかといいますと、私どもとしては到底自信が持てないということでございます。
○河野(正)委員 これは今始まったことでなく、年金だけじゃございません、医療においてもそうでございますね。そして、その間いろいろな議論があったことは私も承知しております。承知いたしておりますが、私どもの見解からいえば、やはり保険方式になれば負担が高くなるかあるいは給付が落ちるか、どちらかしかありませんね。ですから、根本的には、これはもう今諸外国も社会福祉の一つの政策の曲がり角に来ているのですね。従来社会保障でやっておったところも、なかなか財政が厳しくなって、今からどうしようかというような事情が諸外国にあることも承知いたしております。いたしておりますが、これはもう長年の懸案でして、私どもの立場からいえば、今の保険方式でいけば保険料が高くなるし、それから、余り高くなれば、負担能力の限界ということで今度は給付を落とさなければならないというようなことですから、多少無理があっても、保障方式でいくべきではなかろうかというのが私どもの立場で今日までやってまいりました。
 しかし、現状は御承知のように健保も改正されて、保障どころかどんどん保険方式、保険方式というよりも自由化の方向にというような状況にあることも御承知のとおりでございます。ですけれども、これは諸外国は今曲がり角に来て、どうしようかというような事情もこれあり、私はやはり、もう頭から保障方式はだめだということでなくて、そういう声あるいはそういう考え方を持つ人も多いわけですから、この社会保障制度審議会にも私はかなり長く出ておった時期がございますが、その当時は皆さん、保障方式でいけというような意見が強かった。しかし、社会主義国もそうですけれども、財政事情の問題等がこれあり、保険方式にならざるを得ないのではないかというような意見のあることも承知をいたしております。先ほどから局長も、各界の意見を聞いたらそういう声が強いという、そういう声もあることも承知しております。しかし、これはもう見解の相違ですね。ですけれども、そういり方もあるということは念頭に入れておかないと、やたらと保険料が上がって、将来給付内容が落ち込んでいくということでも困るので、私はそういう保障方式というものもやはりある程度参酌しながらやっていくという見解というものが、考え方というものがなからねばならぬのではなかろうかというふうに思うわけです。ですから、それは白か黒かでなくていいですから、今申し上げるような私どもの見解に対して、それにどう対応するのかということについて、ここで若干の見解を述べていただきたい。
○吉原政府委員 御指摘のお話もよくわかるわけでございますが、やはり税方式か保険料方式がというのは、基本的には私は国民的な合意、どちらが国民的なコンセンサスが得られるかということが一つ。それからもう一つは、いろいろな歴史なり沿革のある日本の年金制度の上で現実的にそういったことがうまくいくかどうか、うまく移行できるかどうか、その点がもう一つあろうかと思います。
 現在の時点では、もう将来、遠い先のことはともかくといたしまして、現時点で今の年金制度をそういった税方式に思い切って変えてしまうということについては、なかなか国民的なコンセンサスというものはどうも得られないし、現実的な移行の可能性ということを考えました場合にも、非常な困難と無理があるように思います。そういったことから、審議会でも、現行の社会保険料方式というものを維持してやっていくべきだ、こういう結論になっているというふうに理解をしておるわけでございます。
○河野(正)委員 大臣、細かいことはもう聞きませんから、今申し上げましたように、保険方式でいくのか保障方式でいくのか、これはもうずっと長い間の議論の分かれ画なんですよ。ですから、これを今ここで改めたら大混乱が起こる。これは例えば健保の改悪だってそうでしはう。大混乱が起こると私は言ったのです。しかし、それもあえて成立しました。ですから、それはまあこちらにおきまして、そういう保険方式でいくのがいいのかあるいは保障方式でいくのがいいのかというのは議論の分かれ目ですから、学者の中でもこれは意見があることは事実ですから、過去の社会保障制度審議会の中ではそういう議論が多かったのですよ。それがだんだん、財政が厳しいやら、いろんな政府のサゼスチョンもあるでしょう、そういうことでだんだん意識、意向が変わったことも私は承知しておりますが、しかし、これはやはり一考に値する議論だ、私どもそう考えております。
 ですから、それをどうするこうするじゃなくて、大臣がお聞きになって、やはりそういう議論も一応考えてみる必要がある、こういう御見解があれば、この際ひとつそういう見解を述べていただけば結構だと思います。
○増岡国務大臣 私どもが具体的な政策として取り入れようとしておるのは保険方式でありますけれども、しかし、税方式という議論がありますことも事実でございますから、そういう意味では、念頭に置いておかなくちゃならないことだと思います。
○河野(正)委員 限られた時間の中で申し上げるわけですから、まあ検討の資料としたいということですので、そういうことで、結果は別として、ひとつぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。
 そこで、日本の平均寿命というものが非常に伸びてまいりましたですね。私どもが申し上げるまでもなく、男性が七四・二、女性が七九・七、人生八十年時代がやってきた。こういうように、日本の平均寿命というものが非常に急速に伸びてきた。いずれがんの特効薬ができれば、人生百年の時代も間もなく来るだろうなんという学説もないわけではないわけです。でございますが、この平均寿命が急速に伸びてきた、これにやはり日本の医学医術というものが大きく貢献をしたということは否めぬところですね。ですから、日本の医学医術がこの日本の高齢化に非常に大きな役割を果たしてきた。しかし、残念ながら、この十月から健保が改正されました。それから、去年の春から老人医療の一部負担が導入されました。そういうように、今まで日本の高齢化が急速に進んできた、これはいろんな要因があるでしょう。食生活とか環境とか、そういうこともあるでしょう。でしょうけれども、何といっても、やはり医学医術というものが日本の高齢化に非常に大きな役割を果たしたことは、これは否めない事実だと思うのです。ところが、今申し上げるように、高齢化に役立つような医学の貢献それが例えば、老人医療が一部有料化される、それから健康保険で一部負担制が導入されるということになりますと、これはやはり、今まで日本の平均寿命が急速に伸びてきた、それに対して日本の医学医術というものが大きく貢献した、その貢献したのに水を差すという状況になるわけでしょう。
 例えば、率直に言いますと、後で聞く時間があるかどうかわかりませんが、受診率が十月から落ち込んだ。これは確かにそうだと思いますよ。落ちていますよ。あるいは老人医療が無料だったのが一部有料化された。それは確かに老人医療が無料だったための弊害も全然ないとは言えませんね。サロン化されておるじゃないかとか、いろんな議論があります。それからまた、健康保険で一割負担が導入をされてきました。それにもいろんな弊害があるとかないとかいろんな問題がある。ですけれども、少なくとも日本の医学医術というものが、日本国民の平均寿命を伸ばしていくという意味で大きな役割を果たしたことは、それがどの程度であるかは別として、これはもう否定はできないと思うのですね。
 ですから、政府としても、当然、そういう日本の医学医術というものが高齢化に役立ってきた。それが、医学医術というものの制度が後退をすることによって高齢化がとまるということになると大変ですね。それはまあいろいろ考え方はあるけれども、やっぱり健康でできるだけ年金をいただいて豊かな老後を行う、そういう意味でのお年寄りがふえることは結構ですよ。不幸な年寄りがふえるということはそれはみじめでなりませんけれども、今申し上げたように、健康でしかも年金もいただける、そうすれば何とか最低の老後が保障される、そういうお年寄りがふえることは、これは厚生省、賛成でしょうね。
 そういうことになりますと、どうも、今の医療政策というものは、今申し上げますような日本の高齢化あるいは高齢化社会、そういうものに逆行する形になりはせぬかというように私は考えるわけですが、どうでしょうか。これはお答えしやすいと思いますので、大臣に。
○増岡国務大臣 先生おっしゃるとおり、日本人が長生きできるようになったことについて医療機関の果たされた役割は大変大きいものだというふうに思っております。ただ、先般の健康保険法改正の結果につきましては、またどのような影響が出ておるかということがはっきりいたしておりませんので、恐らく今月下旬ぐらいにならないとわからない問題かと思いますけれども、大要私の聞いておりますところでは、さほどの診療率の激減ということはないように聞いております。
○河野(正)委員 私の質問の言葉が足らなかったかもわからないけれども、日本の高齢化、日本のお年寄りの平均寿命が伸びましたね。それに日本の医学医術というものが大きな役割を果たしておるわけですね。だから日本の高齢化が非常に進んできたのだ。それはいろいろな要素はあると私どもは思いますよ。医学医術だけじゃなくて、ほかにも食生活が違ってきたとかあるいは環境がよくなったとか、いろいろありましょうけれども、少なくとも医学医術が日本の高齢化に対して大きな役割を果たしてきた、この要因というものは割合大きいと思うのですよ。
 ところが、その役割を果たしてきた医療制度というものが今後退をしておるわけです。例えば老人医療が一部有料化になった、あるいは健康保険は一部負担しなければならぬ。そうすると、高齢化に水を差すような形になりはしませんか。それはもうパーセンテージは別ですよ。そういうことになりはしませんかと。だから、本当に日本の高齢化を我々が期待するならば、当然、医療政策と兼ね合わせて考えていくべきではないかというふうに私はお尋ねをしておるわけであります。
○増岡国務大臣 いろいろの見方もございましょうと思いますけれども、そういう高齢化社会に移行し、今後とも長生きをしたいというのは日本人の願いであろうと思いますから、それを守っていくためにも、長期的に安定した、有効な機能を発揮できるような制度にしなければならぬという考え方でやっておるつもりでござい、ます。
○河野(正)委員 まだ全体的な私どもの問いが御理解いただけておらぬようでございますけれども、しかし、時間の制約がございますからそこだけにこだわるわけにまいりませんので、さらに進めてまいりたいと思います。
 先ほど申し上げたように、私どもの立場から言わせた場合、今日まで医学医術の進歩によって日本の高齢化が非常に進んできた。ところが、この一、二年少し伸び方が落ち込んできておる。これは急速に進んできたから、それより先に伸びることは非常に難しいということはわかります。これはスポーツでも何でも同じことでしょう。ある程度さあっと立派な記録が出たけれども、それ以上の記録を出すことはなかなか難しいというのと同じように、高齢化が急速に進んできた、だからそれから先どれだけ伸びていくか。それがだんだん幅が薄くなっていくということはある程度常識で考えられますね。ところが、男の方は縮んでおるのです。御承知のように、女性と男性の平均寿命を比べてみますと、大体五歳から六歳違う。男性が七十四で女性が七十九ですから、大体五歳ぐらい違う。ですが、その違う方の男性の寿命の伸び率が落ちているわけです。一体これはどういうことか。ですから、その辺がまた医療と関係しはせぬかというようなこともこれあり、お尋ねしておるわけです。これをどういうふうにお考えになっておるかということですね。ひとつお答えをいただきたい。
○長門説明員 先生、ただいまの平均寿命の動向でございますが、ちょっと今手元に数字がございませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、近年におきまして、簡易生命表、毎年その年の出生、死亡の動向を前提にいたしまして平均寿命を計算いたしましたところ、ある年だけ男性の平均寿命が前年に比べましてダウンしたことはございますが、これは各年に、おきます死亡の傾向、秩序を前提にいたしまして、人間が各年齢ごとにその死亡率に従って生存し続けていくとすれば何歳まで生きられるかというのが平均寿命の考え方でございますので、ちょうどその年には流感等の特定の疾病が流行したという要素があってダウンしたというふうに承知しておりますが、それを別にいたしますれば、大体前年に比べまして伸びているという状況でございます。
○河野(正)委員 実は、今お答えになった内容は現実と違うわけですよ。非常に違うのです。政府委員といろいろ連絡し合っていますから、そういうような連絡の不手際もあったかどうか知りませんけれども、今せっかくお答えいただきましたけれども、実は実情と違います。
 というのは、前年と比較して女性はわずかに伸びています。男性は落ち込んでいるわけです。それに対して政府は何とおっしゃっているかといったら、男性の自殺が多かった、こうおっしゃっているでしょう。これは審議官がおっしゃったかどうか知りませんよ。私が承知している範囲ではそうだ。
 だから、私がなぜそう言うかというと、女性は平均寿命が上がった、男性は落ち込んでいる、そしてその理由の一つに自殺が多かった。だから、ここが私が言う老後の保障ですよね。自殺するのは老後生活の安定と関係があって、そして結局とうとい命を絶たなきゃならぬというようなことになったのではなかろうか。そういうことで男性の平均寿命の伸びというものが落ち込んだら大変ですよ。ここが言いたいから実は私、あえて取り上げたわけです。全然無関係なことを言っているわけじゃないのです。
 ほかの細かいことは既に皆さんがそれぞれおっしゃっておりますから、ひとつできるだけ角度を変えてやろうということで、いろいろ随分あれこれして、きょうこういう御質問を申し上げているわけです。これは全部、年金といいますか老後保障と関係のあることを申し上げているのです。
 自慢じゃないけれども、そういうことをいろいろまとめるのに大変な時間をかけてまとめたのですが、今申し上げましたように、今審議官がお答えになったことと私どもが聞いておることとは全然違う。それは政府委員との連携に何かいろいろあって、おたくの方が十分調査できなかったんだと思うのですが、昨年に比べて実は、女性は若干平均寿命が伸びたけれども、男性は若干ですけれども落ち込んでいるのですね。初めてですよ。その理由は何かと言ったら、まず男性の自殺が多かった、こういうふうに言われておるわけですよ。政府が言われているわけです。だから、男性が年とって自殺するなら、やはり老後の生活というものが不安定じゃないだろうか、そういう感想を持つものですからあえて私は取り上げておるわけです。
 残念ながら、今の審議官のお答えでは、厚生省が今まで言われたことと若干食い違うておる。それでは困るんで、これはもう今さらここでいろいろ言ったっていたし方ございませんから、もし私が申し上げたように、男性のお年寄りの自殺率が高くなってそれのために今日の平均寿命というものが落ち込むというようなことだったら、これはもう大変です。だから、年金を含めて老後保障、これはまたひとつぜひお考えいただかなければならぬですよ。
 これは非常に細かいことですけれども、それがやはり人生の機微に触れた政治じゃないでしょうか。そういう意味であえて取り上げたわけでございますので、大臣、これはひとつ十分耳にお取り入れいただきたいというふうに思います。ただ、厚生省の御答弁がちょっと私の聞いたことと違っていた点は非常に残念だと思いますが、それはここでとやかく言っても始まらぬことですから、その点ひとつ、大臣、お答えは必要ございませんから、ぜひ耳に入れておいていただきたい、こう思います。
 そこで、いま一つ年寄りの問題で非常に深刻な問題は、老人性痴呆ですね。私も「ぼけ」という言葉は差別用語じゃなかろうかということで実は随分遠慮してきたわけですけれども、今「ぼけ」という言葉は当たり前のようになってしまいましたので申し上げるわけですけれども、私もできるだけ注意しようということで、できるだけ「ぼけ」という言葉は使わぬで、老人性痴呆というふうに申し上げたいと思うわけです。
 高齢化が進んで、いろいろな問題がありますね。そこで、今深刻な問題になっております一つはいわゆる老人性痴呆対策、これが非常に不十分ですね。ですから、極端に言いますと、要するにもっと早く診察をして、早くいわゆるぼけ症状を見つけて治療したならばもっと減るという専門家もいらっしゃる。
 厚生省、御承知でしょう。田中多聞君というのがおりますね。これは東京都がいろいろパンフレットや何かで使っておるようですが、彼の著書によりますと、もっと早く痴呆症状を見つけて治療したならば、これだけぼけ老人をふやすことはなかった、そういうふうな専門家の意見もございますが、残念ながらそういう対策がおくれておる。
 今、日本にぼけ老人と言われておるのが大体五十六万、それが実際に施設に収容されておる者は三万しかいないのです。大部分が家庭におって、要するに家庭の介助で非常に迷惑をかけておるというような実情があるわけです。そこで調べてみました。六十五歳以上でぼけ老人というのが一体どのくらいいらっしゃるのか。東京都で四・六%、横浜市で四・八%、全国的には五十六万。そして施設に収容されておるのが三万ということですから、たくさんな方が家庭に残されておるという実情でございます。
 そこで、今、私は医療対策を申し上げたわけですが、今度の年金改正が二十一世紀を展望し、高齢化社会を予測して立案をした、こういうふうに言われておることは御承知のとおりです。そこで、私ども考えるわけですが、やはり医療対策というものが後退すれば、そういったぼけ老人対策に対して国が特に力を注がなければならぬ、今はこういう時期でもございます。やはり医療対策が今どんどん後退しておると私どもは言うわけですが、ここもやはり考えていただかなければいかぬ。老人問題の対策というのは年金と医療ですね。この二つは車の両輪のようなものでしょう。健康な人にはできるだけ年金を差し上げる、病気になればひとつ治療を差し上げるということですから、老人対策というのは極端に言えばこの二つに尽きる。車の両輪のごとく、一つは医療対策、一つは年金対策、こういうふうに思うわけですが、残念ながら、ぼけ老人を見てまいりましても、やはり医療対策について今後十分考えていただかなければ、年金とあわせてこれは大変な事態になるんじゃなかろうか。現在五十六万と言われておりますけれども、この五十六万という数字というものはどんどんふえていくんじゃなかろうか。施設がどんどんできるわけではありませんからね。
 施設もとても大変なのですよ。ときどきテレビで放映されていますね。大臣もごらんになっていると思うのですが、あの実情を見ましても、大変です。そしてレポーターは、放映されぬ部分の方が大変ですよと言っている。そういうことでございまして、これは私は別に前大臣のことをとやかく言うわけではございませんけれども、新聞社の対談の中で、どうも国民は政府に頼り過ぎると言っておる。しかし、国民が政府に頼らなければ、今のぼけ老人対策だってあるいは高齢化の問題だって、先ほど高齢者の自殺の問題を申し上げましたが、これは政府がきめの細かい行政をやっていただかぬとそういう問題はなかなか解決できぬのじゃなかろうか。何でもかんでも頼みますよ、これもやってください、そんなには財政の問題があるのでできませんよ。それは私どもわからぬことありません。ですけれども、やはりそれだけ国民が政府に期待しておる。その期待にはやはり政府はこたえる必要があるのじゃないか。いろいろ国民が言うから、国民が政府を頼り過ぎておる、もうおまえたちは、自分らは自分らでしっかりせいというような言葉も暗にあるようでございます。別にやめられた大臣のことをとやかく言うわけではございませんが、新大臣は人格者のようでございますし、そういう国民のいろいろなニーズに対してはやはり謙虚に耳を傾けてそれらの問題に対応する、そういう行政をぜひひとつ果たしていただきたい。それが私は新大臣に特に期待しておるところでございますので、それらについては大臣の方からお気持ちをお聞かせいただきたい、こう思います。
○増岡国務大臣 先生御指摘のとおり、老人性痴呆になる以前に予防するということが理想的なことだろうと思います。そのためには良質な医療が行われなければならぬということであろうかと思いますし、また、ほかの病気になりましたときにも医療機関が安定した経営基盤の上で治療を行わなければならぬということもおっしゃるとおりであろうと思います。
 したがって、私どもといたしましては、今日法律や制度の中で構造的にそういうものの欠陥があらわれておるとは考えておりませんけれども、その制度の中で運用よろしきを得ない面があるといたしましたならば、これは是正をしていかなければならないというふうに思っておるところでございます。
 先生が御指摘のとおり、長生きできたのは医学医術のおかげでありまして、また、今後、年金と医療とが高齢化社会におきましては特に大切な存在になってくるということもおっしゃるとおりでございますので、その点を念頭に置きながら政治をやってまいりたいと思います。
○河野(正)委員 ぜひひとつ、そういうことでよろしくお願いいたしたいと思います。
 そこで、一つ関連して。実は健保の改正当時もございましたが、私ども社会労働委員会でいろいろ議論しておると、どこかでいろいろなことが決められる、こういう現状もございます。これは法律ですから、制度ですから、やはり所管の委員会できちっと明らかにしていくということが望ましいと思うのです。そこで、就任早々の大臣でございますので、私どもそういう点は特に期待をいたしております。
 ただ、先月の二十一日に、決算委員会で、健保の問題でちょっとお尋ねをいたしました。そのときに、まだ十月のデータは出ていないわけですから、したがって的確なお答えができにくいということは私ども十分承知いたしておりました。でございますが、実は別なところでは、医療費の引き上げというものは当然考えなければならぬ、薬価差益分だけで賄えるかは疑問があるので、薬価差益以上に医療費を上げざるを得ないだろうということがございました。大臣は、十月の改正の後の結果も十分明らかでないので、中医協では、体系の改善についてさらに努力してほしいというあいさつをした、こういう話です。ですけれども、医療費を上げるとか上げぬとかいう問題は、行政が財源措置をするわけです。もちろんその方は自民党の有力な方ですし、私どもかなり親しくしておりますから、とやかく申し上げようとは思いませんけれども、やはり行政のあり方としては、この所管の委員会で明らかにしていくということが正道じゃないでしょうか。ところが、今言うように、ここでは明らかにされぬけれども、こちらではどんどん花火を上げたように上げられておる、これでは私は、国会審議というものは意味がないと思うのですよ。そういうことが日医のシンポジウムで言われておるわけですから、これは厚生大臣としても、きちっとここでしてもらわぬと困る。大臣も非常に言いにくいところがあると思いますよ。私はそういう行政のあり方についてかねがね疑問を持っておるものです。大臣はここでは慎重に慎重に、ところが一方ではどんどん花火を上げてやられる、それは本当の行政のあるべき姿じゃないと思うのです。ですから、今の診療報酬についてはそういうことが言われておりますから、大臣としては、一体行政としてはどう考えておるのか、それはやはり明らかにされる必要があると思うのですね。非常に厳しいと思いますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○増岡国務大臣 先般、決算委員会での先生の御質問にお答えしたわけでありますけれども、診療報酬の問題は、従来から中医協におきまして、薬価の適正化と技術料重視ということで、診療報酬全体の合理化を御検討いただいておるわけであります。私どもは、その御審議の際に、医療機関の経営の安定ということもひとつお考えをいただきたいというお願いをして、その結論を待っておるところでございます。
 新聞で報じられておりますようなことは、どういうお考えで、どういうお気持ちで発言なさったか私どもわかりませんので、その真意をお伺いしてみたいとは思いますけれども、責任はやはり厚生省にあると思いますから、厚生大臣の責任でやらしていただきたいと思います。
○河野(正)委員 実は三%前後が攻防かと、パーセンテージまで書いてあるのですよね。行政の責任者は厚生大臣ですから、大臣が財政措置をなさるわけですね。大臣が財政措置をなさるのに、財政のわからぬ部分で三%が攻防だ、こういうことを言われますと、いずれにしても、医業も不評判な部分もたくさんございます、ですかう、それは信賞必罰じゃないけれどもはっきり処断をしていただきたい。しかし、健全な経営、まじめな経営者がおるわけですから、それらについては当然考慮していただかなければならぬし、前大臣もそれはおっしゃっておりました。でございますから、どこかで三%が攻防だ、こう言われる。しかし厚生大臣は、自分はまだわかりませんでは話にならぬので、やはりどこからか出てきていると思うのですよ、大体この辺でしょうと――だろうと思うのです。ですから、これは新聞にもでかでかと書かれておるわけですから、やはり大臣としても、そのことに拘泥される必要はありませんよ、それは大臣の自主性というのはあるわけですから、拘泥される必要はない。ですけれども、やはりそういう情勢は踏まえて処理をしていただかぬといかぬのではなかろうか、こういうふうに思います。そういう意味で、その辺の答えだけはひとつきちっとしておいてもらいたい。
○増岡国務大臣 今、中医協にお願いしておる最中でございますから、数字を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、新聞やその他で報ぜられておるような数字が、中医協の意向に反映して、そのとおりになるということはあり得ないことだと思っております。
○河野(正)委員 あり得ないということですか。
○増岡国務大臣 中医協が独自の判断でなさるわけでありまして、ほかのことには影響されないと思います。
○河野(正)委員 やはり中医協といえども、政府がいろいろ資料を出して、それに基づいて審議をなさるわけですね。これは、中医協が勝手にやみくもでやるわけではないのですよ。それは国の財政事情も考えなければなりませんから。ですから、だれかがどこかで言うたからそれに左右されるということはなくても、現状が現状ですから、恐らく中医協としても政府が考えておる方向で御検討なさるであろう、そういうお答えならここで私はやめますよ。それをひとつ。
○増岡国務大臣 先生のお考えに近いと思います。
○河野(正)委員 よろしくお願いいたします。
 そこで、もう時間が余りありませんのでここからはしょってやってまいりますが、一つは今のことに関連をしてでございますが、先ほどぼけ対策を申し上げましたね。そういうことに関連をして申し上げるわけでございます。
 精神衛生法の中に「医療及び保護」という第一条があるわけです。このうちの一部は、前大臣の御見解で明快に解決いたしました。ところが保護の面で、すべてが解決したわけではないのです、特にぼけ対策、こういう問題がございますので、この保護の面、特に精神障害者の保護の面について、さらにひとつ御検討いただかなければならぬ。時間がございませんから、個々具体的に申し上げても大変だと思います。
 一部は健保改正の折に渡部厚生大臣の決断によって解決されましたが、一部は残っております。ですから、そのぼけ対策その他、そういう問題に関連をして、精神障害者の保護の残された問題、いろいろ問題があるのですよ。それは危険性の問題もありましょうし、あるいはまた非常に取り扱いが難しい問題もありましょう。ここで議論するまでもございませんけれども、ぼけ対策が出てまいりましたから、この点についてひとつ厚生省の方からお答えをいただいておきたい、こういうように思います。
○幸田政府委員 河野先生御指摘の、精神衛生法で医療と保護の両面を規定しておるわけでございまして、先般の国会で御論議のあったこともよく承知をいたしております。保護といいますか、危険といいますか、手間がかかるあるいは手数がかかるという問題につきましては、精神衛生法上の対応もあり得ると思いますけれども、人手を要するという意味で、看護面でのアプローチでございますとかあるいは入院面からのアプローチ等いろいろあると思いますので、具体策をよく検討いたしてみたいと考えております。
○大池政府委員 ただいまの保険局長と同様なことでございまして、よく両局連携をとりながら検討をしたいと思います。
○河野(正)委員 前大臣の場合は非常に明快に御検討いただきましたので、それに準じて明快にひとつ検討の結果、御決定をいただきたい、こういうように思います。具体的には、きょうはそれが主ではございませんので、たまたまぼけ問題が出てまいりましたからあえて申し上げたところでございます。
 そこで、あと時間がわずかになりましたので申し上げますが、一つは農林年金の問題でございます。実はいろいろな試算が行われた結果、これはもう試算の条件によってそれぞれ見解は違うと私は思うけれども、しかし当事者の言によりますと、四百六十七万八千円政府の方から収奪をされるということになる、これではたまったものではないというようなことで、厚生省にも陳情に行ったが、その数字そのものは否定をされなかった、しかしそういう誤りを正そうということにはならなかった、こういうお話でございました。これは恐らく、私もいろいろ考えてまいりまして、やはり試算の条件、金利の問題があるでしょう、それから物価の上昇率の問題がある、それをどの程度と踏まえるかということで若干の行き違いがあるんじゃなかろうか、こう思います。しかし、聞くところでは、否定はされなかった、だけれどもそれを正そうという御発言がなかった、ぜひひとつ国会でやってくれということでございましたからあえて申し上げますが、どうでしょうか。政府委員の方にもそう申し上げておいたのですが。
○吉原政府委員 ただいまのお話、今全く初めてお伺いしたことでございますので、どういう御趣旨の御質問なのか、またここでどうお答えしていいのか、全くわかりませんので、また後から……。
○河野(正)委員 それは、これだけは私のオリジナルではないわけですよ。今までやったのは全部私のオリジナルですが、これは陳情がございましたので申し上げておる。だから内容は、私の見解としては、金利のとり方とかあるいは物価の上昇率とか、いろいろありましょう、そういう条件によってそういう差が出てきたのではなかろうかと私は思う。しかし、厚生省に陳情に行ったら、そういう矛盾が出てくることについては否定はされませんでした、こういう話なんです。ですから、きょうお答え願うようにということで、実はきのうちゃんとその旨を説明しておいたのですが、答えが出てこなければ話になりません。私の方ではこの表を見せてきちっと言うたつもりですけれども、今局長のおっしゃったように初耳なら、連絡が悪かったのでしょうからいたし方ございません。いずれ御検討の上お答えいただきますようにお願いいたします。
 それから、いま一つは厚生年金第三種に関する問題でございます。これはもうお聞き取りだろうと思いますけれども、ぜひひとつ善処を願いたい。それは、石炭産業、金属鉱山で働かれる方々は太陽のないところで長い間苦労なさっておられるわけですね。そういうことで今日まで特例措置がとられてきた。ところが残念ながら、六十一年以降は期間の計算方法が変わりまして、従来三分の四倍になっておったが今度は三分の三ということで、従来十五年であれば二十年と計算されておったけれども、六十一年からは十五年は十五年。長い間地下で、太陽のないところで苦労して頑張ってきた、にもかかわらず、そういう制度の改革はどういうことだということでございます。
 私どもも随分、炭労出身の方もおられますので、しの制度については政府に対しましてもいろいろお願いした経緯がございます。それが今度いよいよ廃止されようとしている。これは、今まで長い間太陽も見えない地下で、これは石炭産業だけではございません、いわゆる金属鉱山その他もございます。これはもうけい肺その他いろいろあるわけですが、その年金制度が改悪される。これでは困るということで、私どもの社会労働部会でも、これについては絶対政府に善処を願わなければいかぬという決定をいたしております。でございますから、きょうは、党としてそういう方針を決定いたしておりますから、ぜひこれは善処してもらいたいということを強く要請いたしますので、ひとつ特に温情あるお答えをいただきたい、こう思います。
○吉原政府委員 第三種被保険者といいますか、坑内夫の方々の年金制度の上での取り扱いの問題、実は坑内夫の方が一般被保険者に比べて大変有利になっているといいますか優遇措置が二点ございまして、一つは支給開始年齢が五十五歳、一般が六十歳、それからもう一つは今御指摘の期間計算を三分の四倍して計算する、こういう二つの大きな優遇措置、特例が行われておるわけでございます。
 これはあくまでも、国民年金制度ができます以前におきまして通算制度も何もなかったときに、坑内夫として働いた期間がなかなか年金に結びつかないということで、こういう二つの特例措置が認められてきたわけでございますが、今の時点で考えますと、やはりどうしても一般の被保険者の方との間に不均衡、不公平があるのではないかという御議論が非常に強くなってきたわけでございます。そういったことで、この特例措置は率直に言いましてもう廃止をすべきでないかという御議論もあったわけでございますが、審議会でいろいろ御検討いただきまして、この二つのうち、支給開始年齢につきましては従来どおり五十五歳のままにしておこう、ただ少なくともその期間計算、十五年働いたら二十年の計算をするという期間計算の特例だけは、所要の経過措置にも配慮しながら見直すべきであるという審議会の結論になったわけでございます。
 これは大変いろいろ御議論がございまして、残すべきであるという御議論ももちろんありましたけれども、最終的には見直すべきである、廃止すべきであるという御意見をいただきましたので、その御意見に沿ってかような措置をとらしていただいておるわけでございます。
 そういった経過もございますので、私どもとしては、今の政府原案で御審議をお願いしたい、こう思っておるわけでございます。
○河野(正)委員 時間がございませんから、最後にもう一言申し上げます。
 問題はやはり既得権です。でございますから、今から新しい制度というのは別として、既得権ですから、私どもが申し上げているのは、既得権は既得権として尊重する。もう山灰鉱労働者、鉱山労働者がどれだけおりますか。減るばかりでしょう。そう大した問題じゃないです。ですから、いろいろな意見があろうけれども、先ほど言うたでしょう、明快にひとつ温情あるお答えをいただきたい、こう言ったのです。その温情は一体どういうことかといったら、今言うように、大多数の意見がそうだから廃止をしよう。それじゃあ温情にはならぬ。もう時間がないそうですから、時間が参りましたと書いてありますから、大臣の方から、温情ある、十分検討してみようということのお答えをぜひいただきたいと思います。
○増岡国務大臣 この件につきましては、従来からいろいろ御議論がありましたことは局長から申し上げたとおりでございます。先生のおっしゃいます中で、全部を取り上げたわけでもございませんので、一部分は従来の制度も残してございます。今度の実施をいたしました上で、今後の課題として考えさせていただきたいと思います。
○河野(正)委員 この際、最後に、局長でいいところはそのままお答えとしていただいて結構ですが、局長で不十分なところは、大臣が自主性を持ってやっていただく、そこに私は大臣の温情を期待しまして、今、検討するとおっしゃったから、その検討することに期待して、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○戸井田委員長 森本晃司君。
○森本委員 いよいよきょうから、さらにまた本格的な年金の法案の検討に入ったわけでございます。さきの百一国会でも、私が本会議場で質疑をさせていただきましたが、三十六年から続いてまいりました今日までのこの年金法は、我が国の人口構造の持つ特殊性あるいは社会経済の状況の変化に伴って、今どうしてもこの大改革をしなければならない時期に来ている。また、そのときに当たって、今、我が公明党がかねがね主張してまいりました二階建て、我々の方では二階建て年金と申し上げておりましたが、今回の大改革、基礎年金導入という形でのそういった視点からして、我我も、今回の年金改革の法改正については、二十一世紀へ向かって非常に大事な改正案である、このように思っておる次第でございます。
 また、婦人の年金権が今度は確立されるという問題等々を考えても、非常に大事な改革に入ってきたと思うわけでございますが、それでも、今回政府の出されました改正案についてはなお多くの問題点がございますし、基礎年金の導入という形をとるからこそ皆年金という形への歩みをとっていくわけですけれども、そこにも大変な無理が今生じられているのではないだろうか。果たしてこのままの今の改正案のみでいいのかどうかということ、数多くの疑問点がございます。
 今日まで、同僚の沼川議員を初め我々の同僚議員がいろいろな論点を述べてまいりましたけれども、たび重なる点もございますが、きょうは、そういった点についてもう一度整理しながら質疑をさせていただきたいと思いますので、御答弁のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 また、新しい増岡大臣も誕生いたしましたので、さらにもう一度念を押して、いろいろな点について質疑をさせていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、一つ一つの質疑に入る前に、まず最初に、この五十九年もいよいよ暮れようとしているわけでございますけれども、朝からも論議があったかと思いますが、共済組合制度等々の二%の物価スライドに対することは既に実施されておりますが、この厚生年金、国民年金はいまだそのままになっております。この法案を出されますときに、厚生省にいかなる流れがあり、いかなる手続があったのかわかりませんが、この五十九年中に実施しなければならない問題と、そして六十一年からいよいよ実施する大改革と、ともに合わせて決着をつけなければならないというふうな考え方で今進められているところに、数多くの疑問点を私は感ずるわけでございます。五十九年中に決着をつけるものはつけなければならない。一千五百万人ほどの人が、今この年内を楽しみにしながら、期待しながら多くの国民の皆さんが待っておられるわけですが、大臣、その二%アップに対する決着のつけ方に対する考え方をお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 御指摘の点でございまするけれども、本日もこうやって改正案全体につきまして御審議いただいておるわけでございますので、精力的に御審議をいただきまして、制度改正とともに年内支給ができますことをお願い申し上げたいと思います。
○森本委員 大臣は、お願いを申し上げたいとおっしゃったわけでございます。これは理事会等々でもこれから当然検討されていくことでもございますし、委員長の方も新委員長をお迎えしてのこの社会労働委員会でございます。大臣からお願いするという形よりも、理事の中には、自民党さんの方の中でも、何とか年内決着をつけるよう努力をしてみましょうというお気持ちをお持ちの方や、発言されたかどうかわかりませんが、そういうお気持ちであられると思うのですが、大臣、その点はいかがでしょうか。お願いすると言うが、大臣の決意としてはいかがなものか、お尋ねしたいと思います。
○増岡国務大臣 二%問題も人情的には大変大切に扱わなければならぬと思いますけれども、やはり何といっても二十一世紀ということを考えていかなければならないと思いますので、そこまでの長期的な観点に立った大切な制度改革でございますので、この方の御審議も鋭意進めていただきたいと思います。
○森本委員 大臣、二十一世紀へ向かっての大改革なので慎重審議ということでございますが、そのとおりでございます。大臣のおっしゃるとおりでございます。だからこそ、その問題については今慎重審議をし、長い時間をかけてやろうというふうにやっておるわけでございまして、その問題と、それがあるからこの二%を抱き合わせていくんだという考え方は、ちょっと腑に落ちないなと私は思うのです。二十一世紀に向かっての大事な法案は一生懸命これから慎重審議しよう、だけれども、当然なされるべき二%の問題については、千五百万人の人が待っているのだからまずこれに決着をつけていこう、この二%の部分に対する大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 制度改革と二%の問題でありますけれども、私は、今の若い働く方々は、自分の年金が将来一体どうなるんだろうか、財政が破綻するんじゃあるまいか、こういう御心配を持っていらっしゃる方は、恐らく五千二百万人加入者のほとんどではないかというふうにも思っておるわけでありますから、したがって、その方々の不安の解消ということもぜひともお願いしなければならぬという気持ちでおります。
○森本委員 先ほど申し上げましたように、その問題については一生懸命各委員の先生方も、また大臣自身も、心労を重ねてくださっているということはわかる。だから、今その審議をしているわけです。その問題と二%を分離して、そしてこれは当然決着をつけなければならないところなんですよ。物価スライドの二%アップというのは当然決着をつけなければならない問題なんですが、その問題をどう考えておられるかを伺っておるわけです。
○増岡国務大臣 そういう急ぐ問題もありますので、この法案全体をぜひとも年内に御可決いただきたい、そういう切なる願いを持っております。
○森本委員 これは恐らく朝までこのままやっても決着がつかないのじゃないか、このように思います。私も数多くの論点を抱えておりますのでその方に移らしていただきたいと思いますが、どうか大臣も、また委員長も、この問題を早く、年内に実施されるようによろしくお願いしたい。こちらの方こそお願いしたいような思いでございますので、また、各理事の先生方も一生懸命その方向に向かって論議をしていただける、このように確信をしまして、次に移らしていただきます。
 今回の改正の最大のポイントは、何といいましても基礎年金の導入というところでありますが、この基礎年金導入の定義、それからいかなる性質のものか、こういったものについて新大臣にお伺いしたいと思うのです。
 大臣には、十一月二十日の社労委員会の場で大臣に就任したごあいさついただいたわけでございますが、「高齢化社会というと暗いイメージで語られがちでありますが、私は、本来喜ぶべき長寿を心から喜び、生きがいを持って安心して長生きできる明るい社会の構築に努力していかなければならないと思っております。」そしてそこで、「社会保障の分野では、公平で安定した制度の確立に努める」、こういうふうな非常に力強いごあいさつを伺ったわけでございますが、その点も踏まえまして、基礎年金の定義、考え方についてお願いしたいと思います。
○吉原政府委員 基礎年金の定義や考え方につきまして、私からお答えをさしていただきたいと思います。
 基礎年金といいますのは、簡単に言いますと、今日本の年金制度にはいろいろな種類のものがございますけれども、その各制度に共通した給付として基礎年金を設ける、全国民に共通した給付として基礎年金を設けるという考え方でございまして、こういったことによって、今制度ごとに給付の面であるいは負担の面でばらばらになっておる、あるいは非常な不公平があるといういろいろな問題を、基礎年金の導入によって解決をしていこうということが一つでございます。もう一つは、基礎年金ということになりますと、給付も等しくなると同時に、負担の面でも全国民がその基礎年金の財源を公平に負担をする、こういうことになるわけでございます。
 そういったことによりまして、この基礎年金については非常に財政的にも安定したものになる、公平であると同時に安定した財政基盤というものができる、こういったことによって、日本の年金制度全体を公平かつ安定した制度にしていこうというのがこの基礎年金の考え方、ねらいでございます。
○森本委員 今お答えいただきましたのは、全国民的に共通したものをやる、それから公平な負担、こういう二点で御回答をいただいたかと思うのですが、性格、定義という段階になってまいりますと、やはりもう一度日本の法律に戻らなければならないのじゃないかと思うわけでございます。
 国民年金法の第一条には「憲法第二十五条第二項に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって」云々、こういうことが書かれてございます。
 さらにまた、そのよって立つ日本国憲法の第二十五条の第二項には、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」こういう日本国憲法を基盤として国民年金法ができ、そこから今度の基礎年金法というのは考えられるべきである。こういうふうに考えてまいりますと、私は、この基礎年金というのは、一つは無年金者がなくなるような制度でなければならないのじゃないだろうかと思うわけです。先ほど局長さんが、全国民だれでもとおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりでございまして、無年金者がなくなるような制度でなければならない。また、そのためにはだれにでも負担できるようなものでなければならない。それから第三番目には、年金法、また日本国憲法の第二十五条の精神に基づいていきますと、水準は生活の最低保障がされなければならない。こういう大きな三つになってくるんじゃないかと思うのです。
 そこで、まず、今申し上げました中の第三番目からでございますけれども、今、政府が出されております五万円の基礎年金というのは、果たしてそういう生活の最低保障ができる額なのかどうか、この五万円の基準の出し方、私は五万円ではとてもじゃないけれども憲法の精神に基づく最低生活保障ができる額ではないと思っておるわけですけれども、ちょっと局長の考え方を伺いたいわけでございます。
 これは生活保護基準の一級地の中位とすれば十一万五千八百八円ですし、二級地でまいりますと十万七千五百四十円、その間をとりましても最低十一万円、すなわち一人当たりに換算しますと五万五千円が要るのじゃないか、私はこのように思いますが、五万五千円あるいは五万円以上じゃなしに、五万円だという局長の考え方をお伺いしたいと思います。
○吉原政府委員 基礎年金の五万円の考え方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この基礎年金というのは、全国民共通の給付として、老後の生活の基礎的な部分はこの基礎年金によって保障されなければならないものだというふうな基本的な考え方に立っているわけでございまして、老後生活の基礎的な部分というのは、具体的な金額の水準として一体どの程度のことを考えればいいのか、こういうことになると思います。
 それで、私どもは、実際問題として、老人一人当たりの生活費は月額にいたしまして一体どのくらい支出されているのだろうかというのを調べたわけでございます。総務庁、当時の総理府が行いました統計によりますと、六十五歳以上の単身者の月額の生活費といいますか消費支出額は大体四万七千円、五万円程度のものでございます。厳密に言いますと、全体的な金額は七万二千円程度でございますが、その中で衣食住といった基礎的な生活費がどのくらい占めるかといいますと、七万二千円のうち大体四万円余りという数字があるわけでございます。やはりこれを基礎年金の具体的な金額水準を考える場合の一つのめどとして考えてみたいということが出発にございまして、その後の物価の上昇、生計費の上昇といったものもあわせまして、基礎年金としては大体五万円ぐらいで老後生活の基本的な部分が賄えるのじゃないかということが一つございます。
 それからもう一つは、今も御引用がございましたけれども、それでは生活保護の基準が一体どのくらいの基準になっているのかということでございますけれども、御案内のように、この生活保護の基準も級地、年齢によって、また住宅あるいは教育扶助等いろいろな扶助がございますので、なかなか厳密な意味でどれを基準にするかというのが難しいわけでございますけれども、一級地は東京とか大阪に非常に高いところがございますが、全国の二級地の基準で六十五歳以上の男女平均をとってみますと、単身では大体五万三千円でございますが、夫婦二人の場合をとってみますと一人当たり大体四万一千円ぐらい、二人で八万二千円程度という金額が出てまいります。単身の場合には五万円ちょっと超す金額でございますけれども、生活扶助の基準額といったものとあわせて考えてみました場合にも、現在の貨幣価値で基礎年金としては五万円というところが大体妥当な水準なのではなかろうか、こういうふうな結論になったわけでございます。
 それから同時に、将来の年金制度のあり方として、社会保障制度審議会でございますとかいろいろな団体から年金構想が発表されておりますけれども、そこで基礎年金というのは大体どの程度の水準のものが考えられているかというと、やはり夫婦二人で十万円程度でございますので、そういったことをもとにいたしまして、厚生省の今度の政府案におきましても、単身で五万円、夫婦で十万円、現在の貨幣価値で大体そういうことでどうだろうか、そして将来、物価の水準なり賃金などの上昇に従って当然上げていくという考え方をとったわけでございます。
○森本委員 今の局長のお答えは、一つは全国消費実態調査、消費支出から見た六十五歳以上の方の基準、それからもう一つは生活保護基準、この二つの角度から御回答いただいたと思うのです。
 まず、総理府統計局から出てきた消費実態調査の分でございます。これはせんだって同僚の沼川議員が、今の局長のお答えの四万六百八十五円だから五万円でいいのしゃないだろうかという考え方に対して、そうではありませんよ、お年寄りについては保健医療費や交通・通信費というのを考えていかなければならないのじゃないか、そのときこういうふうな質問をして、時間がなくて次の質問に移ったわけでございますけれども、私もよくよく考えてみますと、そのとおりだ。お年寄りの生活を考えるときに、衣食住費、いわゆる食料費、住居費、光熱費、被服費のほかに、六十五歳以上のお年寄りが生活することにかかる費用の中でどうしても欠いてはいけないのは保健医療費ではないだろうか、私はこのように思うわけです。この保健医療費も今は無料でございませんし、年がいけばいくほど病気にかかりやすいのですから医療費が要るわけでございます。今そういう点を考えてみたとき、保健医療費を組み入れたもので考えていかなければならないと思うのです。それから交通・通信費。公明党試算では四千六百十九円というのがあるわけでございますけれども、これからだんだんお年寄りがふえてくると、交通・通信費、なかんずく通信費がお年寄りの目であり、耳であり、手であるわけでございます。衣食住と同じような機能になっているわけでございます。私はこれを除いて考えられないと思うのです。
 厚生省が、五十八年度厚生行政年次報告書を出していただきましたけれども、これを読ませていただきますと、「そのうち六十歳以上の単独世帯(いわゆる「ひとり暮らし老人」)の割合は一〇・七%(昭和四十年)から二一・三%(昭和五十八年)と倍増している。」またその後に、「今後こうしたひとり暮らし老人の数は増加していくことが予想される。」ということで、これからだんだんひとり暮らしの老人が多くなっていく。戦前の三世代世帯がおってその中で生活をしていたお年寄りの時代と、今のひとり暮らしの老人がふえている時代とは随分変わってきている。そういう意味では、今後そういったお年寄りの方の試算を出す場合には、先ほど申し上げました医療費や交通・通信費というのを十分考えていかなければならない。これからの情報化社会の中で、生活の中に通信費を考えないということはもうあり得ないと私は思うのです。せんだっても世田谷で例のような事故がございましたけれども、あれがあっただけでも大変な機能麻痺をしたわけでございます。それと同時に、独居老人等々に至りますと、もう電話がすべての頼みであり頼りであるわけです。
 そういうことから考えましても、私は同僚の沼川議員が言った保健医療費、交通・通信費、これをも加味した中で考えていかなければならない。その試算によりますと、消費支出は雑費も含めて四万七千三百十一円になる。それに物価上昇率二・一七〇%を掛けていくとどうしても五万五千三百五十四円、五万五千円が必要なんだ、こういうことがその全国消費実態調査から一つ言えると私は思うのです。
 それから二級地の場合でございますが、さっき私も、あれっ、何で四万になるのかなとちょっと思ったわけでございますが、五十九年度の生活保護基準でいきますと十万七千五百四十円ではなかったでしょうか。これは夫七十二歳、妻六十七歳の老人世帯に対するものですから、二人で割りますと五万円を超えていくものでございます。この二点から考えますと、どうしても一人当たり五万円以上の年金が必要になってくる、このように思われますが、いかがでしょうか。
○吉原政府委員 生活保護の方から先にお答えをいたしますと、先ほど二人世帯の場合に一人当たりにしますと四万円だというふうに申し上げましたけれども、先生の場合、恐らく計算の中に住宅扶助九千円を入れた金額でおっしゃっておられるのだと思いますが、私ども、生活保護基準と比べます場合には、生活扶助の基準で比較するのがむしろ適当なのではないかという判断で、住宅扶助を抜きにして生活扶助の基準で申し上げたわけでございます。それが一つの違いでございます。
 それからもう一つは、全国消費実態調査の中で、雑費の中に保健医療費だとか交通・通信費が入っておるわけでございますけれども、年金として実際に必要な額、一般の老人の方が平均的に支出している額全部を基礎年金として支給をするということでありますと、そういった保健医療費だとか交通・通信費あるいは教育費、教養娯楽費、それからいろいろな交際費、そういったものも実際には要るわけでございますから、そういったものも全部含めてという考え方もあり得ると思いますけれども、私ども、基礎年金の額は、水準としてはあくまでも基礎的な生活費を賄うに足りるものにしたい。基礎的な支出の額ということになりますと、昔から言われておりますように食料費でありますとか、この中にはもちろん入れておりますが、住居費でありますとか、光熱費でありますとか、被服費でありますとか、いわゆる衣食住を中心にした基礎的な消費支出にどのくらい使われているか、それをもとにして算出をいたしましたのが先ほど言いました四万七千円、こういう金額でございます。
 それから、今度の新しい年金制度での給付水準としては、基礎年金の五万円だけでお考えいただくのではなしに、サラリーマンの場合には基礎年金の上に報酬比例の部分の大体七万円というものが二階建て部分としてあるわけでございまして、サラリーマンに対する年金給付としては夫婦で十万円、その上に報酬比例の七万円で、やはり現在の十七万円程度の年金額はこの新しい制度で保障する。基礎的な部分、各制度共通の部分としては夫婦で十万円、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○森本委員 サラリーマンにはあと厚生年金が入ってくるという御説明をいただくと、さもたくさん入ってくるように思うわけでございます。サラリーマンの方はそうであるかもわからないですけれども、その問題をあわせて考える考え方ではなしに、最初に申し上げましたこの基礎年金ということに対する性格、定義、それから憲法に基づいた、あるいは年金法に基づいた定義から考えると、この人は五万円だけれども、こっち側の人はあと七万円ほどありまして十七万円くらいになりますよ、これを抱き合わせて説明されるとおかしいのではないかと思うのですよ。要するに基本的な部分ですから、こっち側の部分は既得権でございますから、それはそのままでいい。一番基本的な部分を今論じ合っているわけでございますので、サラリーマンの場合は十七万円になるのだという考え方は、今の基礎年金の考え方の論議とは別問題であって、それは分けていかなければならない。そうでないと、何でも一緒にしていけば、それでは立派な家で相当大変なお金があり余っている人、そういう人にも五万円であと一千万円もありますよと、極端な話をしますとそういう話になっていくわけでして、その部分はその部分で分けていかなければならない。今度新しく基礎年金という考え方を導入するのですから、その部分のみで考えていかなければならないと思うのです。
 それから、先ほど局長の御答弁の中では、生活保護基準のときには住居費を省いて、こっち側の単身世帯層の場合には住居費も入れるという御回答でございましたね。家なしては住むことはできないのですから、やはりその辺は同様に考えていかなければならない。
 それから、生活保護の一部分である生活扶助額、どなたかの御質問のときに局長さんは、平均三万二千円だという考え方を出されましたけれども、局長さんの頭の中にはこれがあって、だからいけるんだという考え方に立っているんではないのだろうかと思うのです。その考え方と今度の基礎年金の考え方は別にして、基礎年金は基礎年金だけで最低生活を営めるようなものにしなければならない、だから五万円以上のものを出さなければならないというふうに私は考え、主張するわけでございますが、いかがでございますか。
○吉原政府委員 基礎年金の額と生活扶助の額というものをどういうふうに考えたらいいのか。先生の考え方は、基礎年金という以上は生活保護基準よりも高いものでなければならないじゃないか、それが憲法の考え方に沿っておるんじゃないか、こういう御意見だろうと思います。
 年金の給付水準を考える場合に、確かに生活保護の基準とか生活扶助の基準が一つの参考といいますかめどになりますけれども、年金の基準というものは絶対にそれよりも高くなくちゃいけないんだという、必ずしもそういう考え方でなければならないというものではございませんで、よその国の制度の年金の金額を調べてみましても、必ずしもそういった関係にはなってないわけでございます。むしろ生活保護の基準と年金の基準とは理論的には全然別のものとして考えるべきだというのが議論としてあるわけでございますが、私どもは、そうはいいましても、やはりそれでもって生活費の相当部分が賄われるような年金でないと年金としては意味がないということは十分考えて、この基礎年金の額を決めたわけでございます。
 それからもう一つ、これからの年金の金額の水準を考えます場合に、やはり負担との関係を考えませんと、給付の水準としてはできるだけ高い方がいい、高くあるべきだというお考えも一つのお考えとしてわかりますけれども、保険料負担との関係を考えますと、やはり適正といいますかほどほどの水準でないと、長期的に年金制度の維持というものが非常に難しくなる、こういうことがございます。
 基礎年金五万円、それは確かに高くないという御意見があるいはあるかもしれませんけれども、これを賄うのに必要な保険料というものは現在は六千二百円でございますが、制度発足時には六千八百円、それを少しずつ上げていかないと、この五万円の基礎年金の給付も将来はなかなか難しくなる。将来は保険料負担を一万三千円くらいにしないと四十年で五万円の給付ができない、こういうことになるわけでございますので、そういった保険料負担との関係も考えて基礎年金の水準を決めていかなければならない、これが私どもの基本的な考え方でございます。
○森本委員 保険料の負担とも当然がみ合わせて考えていかなければならないのがこういった制度のあり方でございますけれども、私は、その点についても国庫負担との関係でやっていけるんじゃないだろうかと主張するものです。
 国庫負担との関係でいきますと、現行厚生年金法による国庫負担は二〇%で、一人当たり平均四万二千二百二十円というふうに考えられます。また、現行の国民年金法による国庫負担は四十年加入夫婦の年金で三三・三%ですから、これは五万三千九百三十三円という数字が出てまいります。ところが、今度の改革案によりますと、政府の国庫負担は基礎年金に対して三分の一のみがかけられる。そうすると、三分の一のみでございますから、政府の基礎年金の負担は一人当たり三万三千三百三十三円になるのではないかと思うのです。現行で国庫負担が一人当たり平均どれだけかかっているかというと、最初に申し上げました四万二千数百円と五万三千九百円との平均をとると、足して割ってみますと四万八千七十七円というふうになってくるわけでございまして、これからは国庫負担が現行よりも一万五千円少なくなるというふうな計算になってくるわけでございます。私はこの国庫負担を漸次、一挙にとは言いませんけれども、十五年なら十五年かけて漸次上げていって計算をいたしましても、仮に五万円以上、その五万円以上の中の五万五千円、夫婦で十一万円というふうに計算をいたしましても、国庫負担の四〇%に満たない額で十一万円は出せるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○吉原政府委員 国庫負担でございますけれども、これは先ほど午前中の審議でもお答えをいたしましたが、基本的には、今までの国庫負担の水準を新制度においても維持をしていく、変えないという考え方に立っているわけでございます。今御指摘のございましたその金額と計算、それが適当かどうかというのはちょっと後でまた拝見をさせていただきたいと思いますが、基本的には、国民年金の国庫負担は現行三分の一、これが基礎年金になっても三分の一、これは同じでございますね。それから厚生年金は、今原則的には報酬比例部分を含めて二〇%の国庫負担をしておりますが、在職老齢年金の国庫負担がございませんので、給付費総体に対しては一六、七%という国庫負担率になっているわけでございます。定額部分と報酬比例部分とが大体半々の割合になっておりますので、今度、新しい制度におきますとその定額部分が実質的に基礎年金の方に移行する、そうすると、その部分が大体三三%の国庫負担ですから一六が三三になる、下の方に厚く、基礎年金部分に集中して国庫負担をサラリーマンの場合、厚生年金の場合には入れるということになりますので、基本的には、国庫負担の水準といいますか率というものは現行制度と新制度では変わりがないわけでございます。
 それから、将来国庫負担を上げていけばもっと高い基礎年金が出せるではないかというお話でございますけれども、私ども、この年金制度の基本的な考え方として、国庫負担の現状維持といいますか、現行制度での国庫負担を将来とも維持するということは困難である、それと同じような意味において、現行制度をそのままにしておきますと、現行の国庫負担の維持すらなかなか難しい、こういうことがあるわけでございます。そういったことで、給付全体を適正なものにし、保険料の負担も適正なものにし、同時に国も、水準としては同じ水準を維持しながら、国庫負担の総額も適正なものにしていきたい、こういうことがあるわけでございます。
 現行制度の国庫負担を将来も維持することを前提に新しい制度を考えよという御意見は、私どもとしては実際問題としてはなかなか難しいのではないかというふうに思っているわけでございまして、今後、国庫負担につきましてはあくまでも、そのときどきの財政状況ということも関連をしてくると思いますけれども、適正な国庫負担を維持しながら、給付としては安全でしかも老後の生活の柱になり得るようなものを確保していきたい、これがこの制度の改正の基本的な考え方でございます。
○森本委員 先ほどの計算の問題でございますが、後でまたいろいろ御計算いただければと思うのですけれども、この「年金改革を考える」の十四ページにある「現行制度の課題と改正案の要点」の中の加入人数をとらしていただきました。厚生年金保険の人数、それから国民年金保険の人数がほぼ同数でございますので、したがって、非常に粗っぽい計算であったかもわかりませんが、その二つを足して二で割るという平均的な考え方で出させていただきましたので、また後で御計算いただければそう遠くは離れていない数字になるのではないか、そのように思うわけでございます。
 それから国庫負担ですが、私は何も一挙にやれと言っているわけじゃないし、未来へ向かって考えるときに、やはりこれは漸増しながらやっていかなければならない。現状よりも減らすことはあってはならない。むしろ現状を維持できる体制の中で、現在国庫負担が厚生年金で二〇%、国民年金で三分の一ですから、この状況を維持できる国庫負担の考え方の中からいけば出てくる数字だ、私はこのように判断しておるわけでございます。
 さらにまた、これからの国庫負担のパーセントの考え、これは四〇%を超えてしまいますと、日本も諸外国のように働く意欲をなくすといいますか、諸外国の五〇%を超えて、働く意欲もなくなって、行き過ぎの福祉になっている、私は何もそれを求めているわけでもございませんで、四〇%前後まで何とかその数字を漸増していけばいけるのではないかと思うわけです。
 同時に、そんなことを言っても将来の日本のことだからなかなかわからないので、今から負担はできるだけ軽減していかなければならないというふうな局長のお考えのようでございますけれども、私は同時に、日本の経済の今後の成長率等々もよくよくかみ合わせて考えていただいて、そのトータルの中から、今こういう状況である、将来はこういうぐあいになるから心配しているのだ、ここで抑えたいのだというものがあればいいわけでございますが、何となく先行きの心配、当然戦争や石油パニック等々が起きますとこれは大変なことになりますけれども、経済企画庁で出しました「二〇〇〇年の日本シリーズ」「二〇〇〇年の日本」を見ますと、これから四%ずつ経済成長率は伸びていくのだというふうに書いてあるわけでございまして、現在の国民所得は百七十万円ですから、二十年後には大体三百五十万円ぐらいになるのではないだろうか、ここまでぐらい国民所得が上がっていく。あるいは、GNPは現在二百九十七兆円で、二〇〇〇年になりますと約六百兆円ぐらいになる、二十年後に大体倍になるのだというふうな予測が、この「二〇〇〇年の日本」という本の中でされておるわけでございます。これは厚生省もたしか加わっておられて一緒に作業をされたのではないかと思うわけでございますけれども、こういう状況から見てみますと、今よりも負担を下げる必要は何らない。現状を維持しながら、その中から、一挙ではないけれども漸増しながらいくと五万円を超える額が出てくるのではないだろうか、私はこのように申し上げておるわけでございますが、どうでございますか。
○吉原政府委員 おっしゃるとおり、これから二十年、三十年日本の経済も成長をしていくと思いますし、それに従って国民所得もふえていくと思います。
 ただ、考えなければならないのは、公的年金の場合にはそれと並行して年金の水準も上げていかなければならないということでございまして、そこに一つの年金制度の運営の難しさの原因があるのだろうと私は思うのです。ですから、国民所得が上がるからあるいは経済が成長していくから負担が楽になるということではございませんで、年金の水準も同時に上げていかなければならない、同時に年金の受給者も多くなる、そういったことから、私どもの推計いたしますところでは、国民所得に対する例えば年金の保険料負担というものが将来は一五、六%ぐらいになってしまう。社会保険の負担としましては、ほかに健康保険の負担もございますし、児童手当だとかあるいは雇用保険の負担もございますし、それから税金で賄う部分については租税負担というものがございますから、租税負担なり社会保険料の負担を合わせますと、今のままですと五〇%を超えてしまうというようなことが容易に想像できるわけでございます。そういった国民の将来の負担というものを考えまして、年金も給付水準を適正なものにし、年金に対する保険料負担を適正なものにしたい、こういう基本的な考え方に立っているわけでございまして、国民経済の成長、それは当然前提に置きながら、十分な問題意識を持っているわけでございます。
○森本委員 もう一度、生活保護の内容、それからこの消費実態調査、それから国庫負担の考え方からあわせて今いろいろと論議をさせていただいたわけでございますが、今後よくまた御検討いただきまして、我々は、五万円以上の要求というか、それがやれるというふうに主張しておもわけでございまして、十分御検討いただきたいと思います。次に移らせていただきますが、障害福祉年金、母子福祉年金、これは今回改善されまして、非常に喜んでおるわけでございます。障害福祉年金、母子福祉年金を受ける方々は、大変今回のこの年金改正については心から喜んでおられるわけでございますが、私は、今回この中で置き去りにされているものがあるのではないだろうか、これ以外のところで置き去りにされているものがある。それは何かといいますと、老齢福祉年金受給者にはこの基礎年金導入の理念が今回一つも入っていない、全く反映されていない、何のメリットもないのではないだろうかと思うわけでございます。
 これらの方々は、今日までのこの日本の大変厳しい状況の中で日本の基盤を築いてきてくださった方々でございますので、今回の年金改正のときに、大いに敬意を表しながら経過措置をとって、老齢基礎年金の額に引き上げていくべきではないだろうか。この今忘れ去られている老齢福祉年金受給者の問題について、考え方をお伺いしたいと思います。
○吉原政府委員 今度の年金改革というのは、将来に向けて年金制度というものを安定的なものに、していこう、給付の水準なり保険料の負担の水準を適正なものにしていこうということでございまして、現在の年金の受給者、これは老齢福祉年金に限りませんで、厚生年金なりあるいは。船員保険、共済組合、いわゆる拠出制年金を受けておられる方も全部含めまして、現在の受給者については給付水準を下げたりどうこうというようなことのないように、今のまま、むしろスライドをして上げていくという考え方をとっておるわけでございます。
 将来に向けて年金権を、お年寄りになって年金をもらうような方について、給付水準が今のままですと物すごい高いものになってしまう、賃金に比べて高いものになってしまう、あるいは保険料負担が物すごい高いものになってしまう、そういったことのないようにということで、両方の適正化をしようということでございまして、現在の受給者については手をつけない、それは既得権の問題もございますし、手をつけないということを基本的な考え方にしておるわけでございます。
 それで、障害福祉年金と母子福祉年金ですか、これは基礎年金の中に入れることにしておるわけでございますけれども、老齢福祉年金はなかなか障害と遺族と同じような扱いにはできなかったわけでございます。
 これはなぜかといいますと、やはり、今度の新しい制度におきましても、あくまでも老齢については、保険料を一定期間掛けて五万円の年金を支給する、こういった拠出制といいますか社会保険の考え方を基礎にしているわけでございまして、福祉年金というのは、それは年金制度の発足がおくれたとかいろいろな事情があるわけでございますけれども、いわば無拠出で全額国庫で財源を負担している年金でございまして、一応それはそれとして別な考え方で今後充実を図っていく、こういうことにしているわけでございまして、拠出制の年金を上げたから福祉年金をそのまま上げていく、仮にそういう考え方をとりますと、老齢福祉年金だけではございませんで、老齢福祉年金よりもほんのわずか、百円程度高い五年年金というのがございますし、それから約五千円ほどの差がございますけれども三万円程度の十年年金というのがございますし、それから十一年年金、十二年年金、いろいろな年金があるわけでございまして、福祉年金を上げることによって、バランス上、上げなければならない拠出年金が全部ある。もし極端な考え方をとりますと、老齢福祉年金を五万円にすれば、今五万円以下のあらゆる年金をやはり上げなくてはならない、こういうことになってしまうわけでございまして、実際問題として、老齢福祉年金まで上げるというのは、財源の問題もございますし、ほかの年金、手当への影響というものを考えますとなかなかできない、できなかったということでございます。
 ただ、障害と遺族、母子年金につきましては、やはり短期給付ということでございますし、保険料を納めているか納めていないか、それはむしろ要件として余り問わないで、あくまでも予測できない事故でございますので、この基礎年金の中に吸収をして給付の改善を図った、こういうことでございます。
○森本委員 局長、もう少し温かく考えてあげていただきたい、そういうように思うわけです。他のバランスとかいろいろという御説明を受けますけれども、私は、本来はそういった方々にフル年金を与えるぐらいの気持ちで取り組んでいかなければならない問題ではないだろうかというふうに思うわけです。障害福祉年金あるいは母子福祉年金、これがすんなりといけたのは、局長初め皆さんの温かい心とともに、もう一つは、申し上げますとあれですが、人数が少ない。いわゆる財政面から考えた考え方で出てきたのではないだろうかという変な勘ぐりもしたくなるわけです。私は、老後のこういった老齢年金はもっともっとフル年金に近いようにしていってあげなければならない。しかも、私が思いますのは、それは何も一挙にしていくのではなしに、徐々に徐々にの形でもいいからそういうふうにしていくべきだ、このように思うわけであります。
 それから、財源が大変厳しいというふうにさっきおっしゃいましたけれども、決して財源は厳しいのではなしに、むしろこれからこの財源は少なくなっていく性格のものであるわけですね。
 それで、老齢福祉年金の支給された給付金を五十五年から見てみますと、五十五年には八千二百六十三億円、それからだんだんだんだん下がってまいりまして、五十八年には六千八百八十六億円となっております。差額として、もう既に、五十五年から五十八年までは千三百七十七億円減ってきているわけです。私は、この制度が発足したときから考えて、該当する人たちは今七十三歳の人が一番お若い方でありまして、これからだんだんこういった方が、こういう表現はちょっと不謹慎かもわかりませんが、七十三歳の人が最年少ですから、これから年とともにこの給付金は、既にこの数年間で千三百七十七億円下がっていったように、だんだんだんだん下がっていく性質のものであると思うのです。八十五年ぐらいになりますともうゼロになるのじゃないかなというふうな試算がされるわけでございます。
 そうしたことを考えてみますと、私は、これは財源的には十分出るのではないだろうか。また、この財源は租税の部分で十分いいのじゃないか。新たな財源を必要としないものでございますから、財源はそういうことじゃないかと思うのです。そういうことで、私は、新たな財源をむしろこの老齢福祉年金は必要としないものですから、だからこそきちっと温かい配慮をしてあげるべきだと主張するものです。
○吉原政府委員 老齢福祉年金の受給者に温かい配慮というのは本当によくわかりますし、私どもも、できるだけ福祉年金の受給者についてもこれからも改善を図っていきたいと思います。
 ただ、財源のお話でございますけれども、確かに老齢福祉年金は受給者が減るに従ってそのための費用といいますか、国庫負担は減っていくわけでございますが、実は年金に対する国庫負担は老齢福祉年金だけで考えるわけにまいりませんで、老齢福祉年金の費用が減る以上に、それよりもはるかに大きな勢いで、厚生年金の国庫負担の額がふえていっているわけでございます。それで、今後、年金制度全体に対する国庫負担がどのくらいふえるかといいますと、現在二兆七千億、三兆円近くの国庫負担でございますが、現在の貨幣価値で十年、十五年後には五兆ないし六兆という金額になってしまう、さらに二十年後には八兆から九兆という金額になるということが当然予想されているわけでございまして、福祉年金の財源が減るからそれを改善のために使えばいいというようなやり方が実際問題としてとれない、ほかの財源はどうするのだ、こういうことになるわけでございまして、あくまでも、年金制度全体に対する国の負担あるいは年金制度全体に対する国民の保険料負担というものを全体として考えていかなければならないと思うわけでございます。
○森本委員 この老齢福祉年金だけが今回の改正案の中から取り残されたという感がぬぐい取れないと国民は考えております。どうか、またよく御検討をいただきたい、こう思うわけでございます。
 次に参りますが、今度は保険料の負担の問題でございます。
 私は、この保険料が高過ぎて今後払えない人が続出してくるのではないだろうかと思うわけでございます。これは、基礎年金導入の国民皆年金という考え方が今の保険料のままではまた崩れていってしまうと思うわけでございます。
 そこで、まずお尋ねしたいわけですが、今、保険料免除者数というのはどれほどあるわけですか。
○長尾政府委員 現在の保険料の免除者数を申し上げます。
 昭和五十九年三月末で、人数にいたしまして三百九万人が免除でございまして、これを率で申し上げますと一六・七%となっております。
○森本委員 今のは、五十八年四月の保険料五千八百三十円の段階での数字でございますね。
○長尾政府委員 そのとおりでございます。
○森本委員 今、五千八百三十円という段階の中で一六・七%とお答えいただきましたが、ということは六人に一人でございますね。これは法定、申請合わせての数でございますね。それ以外に、滞納している人たちの数というのは一体とれほどあるのですか。法定、申請の数では今三百九万人と伺いましたけれども、支払っていない人の数というのはどれほどあるものですか。
○長尾政府委員 保険料を納入しておられない方、いわゆる未納者の数字でございますが、国民年金の保険料の収納状況を申し上げますと、被保険者が保険料を納付すべき延べ月数に対して保険料が納付された延べ月数、その差が延べ月数で未納ということになるかと思いますが、同じく昭和五十八年度で申し上げまして九四・六%でございます。したがいまして、五・四%が未納になっておるということでございます。
○森本委員 もう一度済みませんが、人数にするとどれほどですか。
○長尾政府委員 大変恐縮でございますが、私どもの方の徴収状況が、今申し上げましたように数字的に月数ということで出ておりますので、今申し上げました五・四%を全被保険者数に掛けていただきますと、二千五百万の五・四、大体百二、三十万になるかと思いますが、そういう人数になるわけでございます。
○森本委員 五千八百三十円のときで百二、三十万ということになるのでしょう。これが、三十六年に施行されて今日までの間に、今までの人、滞納者の人に、どうかやってくださいということで三回特例をもってやって、それでまだ百二、三十万の人が残っている、そういうことですね。
○長尾政府委員 ただいま申し上げました数字は、五十八年度に現に被保険者でおられる方がどの程度保険料を納めておられないかということを申し上げた数字でございます。したがいまして、いわば三十六年以来の全期間において全被保険者が延べでどれだけ保険料を未納なさったかということになりますとこれは大変難しいわけでございますが、その年その年の検認率が私どもの方で出ておりますが、これは年によって非常な差がございます。昭和三十六年、三十七年時点は非常に検認率が低うございます。この時点におきましては、例えば昭和三十六年でございますと検認率が七三・九でございますので、二六%程度の方が保険料を滞納なさったということになるわけでございますが、こういった方々につきまして今先生がおっしゃいましたいわゆる特例納付ということを三回実施いたしたわけでございまして、この方々は既に納めなかった期間について納付をなさいまして年金権に結びつけられた、こういうような措置になっておるわけでございます。
○森本委員 今お話が出ましたように、この三回の特例をもってしても、現段階でまだ百二、三十万の人が払っていないというわけでしょう。ですから、いずれにしても相当な数の人がまただんだん漏れていくのじゃないだろうかと思うのですね。
○長尾政府委員 先生の御質問の趣旨は、年金権に結びつかないような形で保険料を未納する者がふえているのではないかという御質問かと思うのでございますが、この件につきましては、現在の皆年金の仕組みの中では、他の被用者年金制度に加入しておりました方が国民年金の被保険者になりまして、保険料の滞納がありましても年金権に結びつくケースがございますので、現在無年金者がどれくらいいるかということは、私どもの方では、市町村を通じましては正確な数字は確認ができないということでございます。
○森本委員 大事な厚生行政の部分ですから、その辺も、これからいよいよ基礎年金を導入するのですから――私は、いずれにしても相当な数の人が納めていないのじゃないだろうかと思うわけです。
 私の友人とも話をしましたが、よく聞かれます。今は六千二百二十円ですけれども、六千八百円納められない人がいっぱい出てくると、今度のこの年金制度もまたパンクしてしまってだめになってしまうのじゃないだろうか、そういう危惧をしている人がいっぱいおるわけです。
    〔委員長退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
 これは、一つは、保険料金が高過ぎて国民が負担にたえられないというところから来ているのではないだろうか、しかもこれが、定額という流れの中でそれが出てくると私は思うのです。所得比例、これを加味していくならば、この問題が解消していくのではないだろうかと思うわけです。定額は定額の部分、それに今度は所得比例部分というのを加味し考え、計算してやっていくやり方であれば支払える、ほとんどこの皆年金保険という趣旨に合致してくる、支払える程度になってくるのですけれども、今の五千数百円で払えない人たちがいっぱいいるのに、これがさらに六千八百円等々になってしまったときに払えない人、脱落者がまた数多く出てしまう。私は、今この問題についてもう一度よく考えてやらないと、将来大変なことになあと思うのです。
 かつて、イギリスの社会保障制度が壊れていった例がございます。これも厚生省の年金局でお出しになった本から私は学んだわけでございますが、このイギリスのビバリッジ方式が、十五年ほどして、定額ではなくして、もう少し考えなければならないという方向に変わっていったという例もあるわけです。そういう例から考えていきますと、今またこれが非常に高額な料金でこのまま進んでしまいますと、船は出たけれどももう少し行くとまた沈んでしまうのじゃないだろうか。国民はなぜか泥船に乗っていっているみたいな感を受けるわけでございますが、その辺いかがですか。
○吉原政府委員 英国のお話がございましたが、英国と日本の違います点は、英国というのは、サラリーマン、被用者も含めて全部均一給付、均一拠出で始めたわけでございまして、サラリーマンにとっては甚だ不満足な制度で出発をしたわけでございます。そういったことから、いわば被用者、サラリーマンについては、所得比例の給付で所得比例の年金をというものを導入をしたということがあるわけでございまして、日本のように農業、自営業者は国民年金、定額給付、定額拠出、サラリーマンは厚生年金、そういった制度で出発したのとは事情が全く異なるということが一つございます。
 ただ、国民年金に今おっしゃいました所得比例が導入できないかということでございますが、私ども、国民年金を創設いたしました昭和三十六年のときから、大変その議論があったわけでございます。できればそういった所得比例を国民年金の中につくりたいという気持ちは十分持って、いろいろ検討したわけでございますが、なぜその定額拠出、定額給付でないとできないのかといいますと、一つは、無業者も含めた全国民を対象にした制度に国民年金はしているということがございまして、先ほども数字を申し上げましたけれども、国民年金の適用者の中で職業を持っておられる方の数というのは、五〇%ちょっとでございます。それはサラリーマンの妻の方、任意加入の方もございますけれども、それを含めますと、今二千六百万人のうち職業のある方、きちんとした収入のある方が過半数にすぎない、こういう事情が一つございますし、また、持っておられる職業も、農業あり、自営業あり、建設業あり、水産業あり、まことに多種多様でございまして、収入の程度も違いますし、収入の把握もなかなか難しい。こういう業種が多種多様であるということが一つございます。
 それから、仮に所得比例の保険料を取るとした場合には、どうしても根っこの所得の把握というものが公平にできないと、所得比例の保険料というのは取れない。ところが、御案内のとおり自営業者、農業等については所得の把握が非常に難しい。税金ですらなかなか公平にできないという御指摘があるわけでございます。その上に国民年金でまた所得比例、あなたの所得は幾らだから幾ら払いなさいということを強制的に果たしてできるかというと、今の時点ではなかなか、公平な制度として私どもはすぐには実施できないという点が一つございます。
    〔丹羽(雄)委員長代理退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、やはり先ほども申し上げましたように無業者の方が多い。そういった人たちを年金の対象から外すという考え方が、国民年金をつくったときからあったわけでございます。そうしますと、無年金者というのは逆に言うと出てこない。何らかの所得のある人、職業のある人だけを対象にしますと、無年金者なんという問題は出てこないわけでございますが、それではやはり、国民にできるだけ老後年金をという考え方からいいますとそれではよくない。無年金者といいましても、ずっと生涯収入がない、あるいは職業がないということはやはりあり得ないわけですから、一時的に収入のない人、あるいは失業した人、職業のない人には免除という制度を設けることにして、国民年金の加入対象に入れたということがあるわけでございます。
 したがって、私ども、今度の新しい年金改革、どういう案をつくるかということに際しまして、いろいろ国民年金に所得比例制の導入ということを検討はいたしましたが、今の時点でもなかなかすぐ所得比例の導入は難しい、こういう結論になったわけでございます。将来ともこのままでいくかといいますと、そうではございませんで、私ども、将来は国民年金の中に所得比例の保険料なり所得比例の給付というものをつくりたい、実際にうまく機能するような形でつくりたいという考えは持っておりまして、ひとつ今後の課題として、宿題としてやらしていただきたいというふうに思っているわけでございます。
○森本委員 将来検討すると、今局長さんは答えていただいたわけでございますが、将来もさることながら、まず、もうすぐに六千八百円ずつを払わなければならない人たちが出てくるわけでございますので、私は今の段階で、もう一度この問題についてはよく検討してもらわなければならない。義務教育と同じぐらいにまで考えてこの皆保険というのに取り組んでいかないと、取りこぼしができてしまうと本当に意味がなくなってしまうと思うのです。
 比例方式というのは、現に社会保険もそういう状況で行われておりますし、私は考えればやれないことはないと思うのです。病気にならない人はあったとしても、年がいかない人はございませんので、必ずそういう問題が出てくると私は思います。
 どうですか大臣、当然免除者は別にしまして、六千八百円を全国民が本当に納められると思いますか。
○増岡国務大臣 一人残らずというわけにはいかないかと思いますけれども、相当数の家庭はお払いできるのじゃないかと思います。
○森本委員 大臣の御答弁、ちょっとはっきり聞こえなかったわけでございますが、聞こえないように非常にうまくおっしゃったのではないだろうかというふうにも思ったりするわけでございます。
 大臣、本当に我々思いますのは、三分の一程度、金額にいたしますと二千円前後、その残り分を比例制を導入してやっていってはどうか、二千円前後であれば大半の人が払っていけるのではないだろうか、このように思うわけです。六千八百円になりますと、これは月に六千八百円ですから、本当に脱落者がいっぱい出てくるのじゃないかと思うのです。その辺も局長さんが心配されて、将来このままでいっていいかどうかということを考えなければならないというふうにおっしゃっているわけでございますが、先で考えるのであれば、今本気になって考えていただければと、このように思う次第でございます。この問題について、将来ではなしに、今からもう一度よく御検討をいただきたいと思います。これを論じていますとまた時間がだんだんなくなってまいりますので、次の具体的な問題に入らしていただきたいと思います。
 従来の国民年金の強制被保険者であって保険料未払いの期間がある方についての取り扱い、いわゆる未加入期間への取り扱いでございますが、今度はサラリーマンの奥さんは空期間が認められるようになってまいりました。私は、年金権を取得させるために今までも何回も未加入者にそういう措置を講じてこられましたが、今回限りの措置として、未加入期間も空期間として資格期間に認めていかないと、またここで未加入者がそのままになってしまう、また取り残されてしまうということになってしまいますので、その辺の考え方を伺いたいと思います。
○吉原政府委員 従来、保険料を納めるべきでありながら免除の手続をとらずに納めなかった方に対して、いわば特例納付という措置を過去三回とってきたわけでございますが、特例納付のこの措置につきましては、過去いずれも非常に御意見、御批判がございまして、本来社会保険というのは毎月保険料を払っていって給付を受ける仕組みであるはずだ、それを払わないで、後になって一括して払って年金を受けるというのは、一体それでいいのかというような御意見が非常に強かったわけでございます。しかし、国民年金の場合には、いろいろ先ほどから御指摘ございましたような問題もございますので、いわば特例的に過去の分の保険料を一括して納めるということを講じてきたわけですけれども、三回目の措置をやりますときに、もうこれが最後です、それは今後はやりませんということを申し上げて、実は三回目の特例納付措置をやったわけでございまして、非常にまじめにといいますか、きちんと保険料を納めていた方々からは大変御批判があったわけでございます。そういったこともございますので、今またその特例納付のような措置を新しくやるということはなかなか私どもとしては踏み切りにくい、こういう事情があるわけでございますが、そうでない、やむを得ず、やむを得ずといいますか、例えば外国に行っていた、あるいは日本におられる外国人の方で本来その法律上の適用がなかった方につきましては、過去のそういった期間も資格期間の中に算入をして年金に結びつくような措置をとっているわけでございまして、本人の責任といいますか事情によらないような無年金者、無資格者が出ないような措置は、今度の場合にも制度上取り入れているわけでございますが、御本人の事情によって納めなかったという方についての特例納付という措置は、今までの経緯もございますのでなかなか難しいかなというふうに思っております。
○森本委員 それでは、もうその方々を積み残したままで出発するわけですか。
○吉原政府委員 積み残しと言われますと大変心苦しいのでございますけれども、私どもとしては、今からきちんと納めていただければ恐らく大部分の方については資格に結びつく。この保険料というのは、サラリーマンの場合ですと給与の天引きでございますからおくれるということがないわけでございますけれども、国民年金の場合には二年間過去の保険料を追納することができるという制度上の措置もございますし、それから、この新しい制度では、本来六十歳まで保険料を納めることができるわけでございますけれども、六十歳から六十五歳の間の五年間、過去払わなかった分は追納できる、こういう措置も講じているわけでございます。それから、仮に免除の手続をとられた方につきましては、過去十年間さかのぼって免除期間分の保険料も払える。そういった面ではできるだけ制度的な配慮を、過去の保険料を後から払うというような配慮をしているわけでございますので、こういった措置でもって、大部分の方は今後も年金に結びつかれるのじゃないかというふうに思います。
○森本委員 今回は大改革でございますし、この基礎年金導入は、国民年金の今までの特例を設けたのとこの基礎年金を導入したのと、これはおのずと違うと私は思うのです。今回はもう大改革で、無年金者をなくしていこうというときでございますから、空期間として認めていくということも十分今後とも検討していただきたいと思うのです。今回の大改革の本来の趣旨から考えてみますと、私は大事なことではないだろうか、このように思うわけです。
 それで、さらにまた次へ行きたいと思いますが、二十歳以上の学生さんが今障害者になりますと、被保険者にはなっておりませんから、二十蔵以上で障害者になった学生さん、しかも保険を掛けていなかった人たち、これは今全く何らのあれもないわけですね。二十以上の学生さんで保険を掛けていなかった人が障害者になったとか、脊髄損傷になったとか、こういう人たち等々いらっしゃるわけです。私も学生時代、二十を超えてからのときでございますが、運動をやっておりまして、武道をやっていましたけれども、やはりけがもする、そういったことは非常に多いわけですね。これからやはり、交通地獄とも言われる時代でございまして、学生さんが運転しているのが非常に多くて、それで二十になってから学生であって、学生は今まで強制加入でなくて任意加入だったものですから、納めていない人たちがけがをした場合に何らの年金的な保障もないわけです。どうされるのか。こういった方々、二十以上の学生さんについての考えを伺います。
○吉原政府委員 学生の適用につきましても、国民年金は二十歳以上の万全部を、サラリーマンを除いて強制加入にしているわけでございますが、学生さんの扱いをどうするかというのも、年金制度ができるときから大変議論がございまして、強制適用にすべきじゃないかという議論もあったわけでございます。
 今回の場合にも、新しい制度で強制適用にしてほしいという御要望もございました。理由は、今おっしゃいました、学生のときにけがをしたときに障害年金が出ないではないか、こういうことでございますけれども、ただそういったことだけで強制適用にした場合、保険料は学生さんですから負担能力がまずない、一般的にはない、こう考えざるを得ないわけなので、保険料の負担能力はない。それで免除にすればいいではないかということでございますけれども、あらかじめ、当然免除対象者というものも一挙に強制適用にしてしまっていいかどうかという別な議論が審議会の中にも出てまいりまして、ちょっと学生の適用についてはいきなり強制適用というのはまだ問題が多いということになったわけでございます。
 そういったことで、私ども、学生の適用についてもいろいろ御議論がある、できれば強制適用にしたいという気持ちは持っていながら、今の法案の中では従来どおり任意加入ということにしているわけでございまして、任意加入の道はあくまでも開いておりますので、任意加入ということにして、強制適用の問題については今後の宿題ということになっておりますので、そういったことでお願いをしたい、そういったつもりでおります。
○森本委員 任意加入という条件下で今日まで来たわけですけれども、最近はそんなことはなくなっているかもわかりませんけれども、発足当時は、そういった方々の話を聞きますと、学生だから任意加入なので、入らなくともいいんですよと役所の窓口で言われて、払わなくていいものであればできるだけ払わないでおこうという考え方から、ただそれだけでもなかったかと思うのですが、学生だから経済的に大変な問題もありますしね。そういう意味で、任意加入しなかった人たちの中からげが人が出たりして、今大変悩んでおられる方がございまして、私のところにも、脊髄損傷の団体の方から、その事情をるると訴えた陳情も届いているわけでございます。
 本当はもう少し大臣にもこの内容を伺っていただきたい、こう思っていたわけでございますが、今後、そういった人たちもまた出てくる可能性も大でございます。今るるとして訴えられている大学生のそういった悲劇等々も、今からでも遅くはございませんので、もう一度よく検討をしていただきまして、どうすれば大学生の場合には一番いいのか。しかも、恐らく、現行の六千八百円で大学生が納めていくということになってくると、さらにまた納めない人たちが多くなっていくのじゃないだろうか。これが低額になればもう少し、学生さんでも入っていこうという人がいっぱい出てくるのじゃないかと私は思うのです。学生さんで車に乗っておられる方々、車は買う力もあり、言うならば授業料も払う力がある方々でございますから、そういう意味では、だから払えというわけじゃなしに、もう少し基礎率等々を考えていった場合に、低額負担ということで少なくしていった場合に、学生も被保険者として扱っていくことができるのじゃないだろうか、このように思うわけです。こういった方々のこともよくお考えおきいただきまして、学生の問題については今後も十分御検討をいただきたい、そのように思いますが、いかがですか。
○吉原政府委員 今後検討をさせていただきたいと思います。
○森本委員 次に、障害の等級でございます。
 今度の改革によりまして、厚年は一級、二級、三級とこうある中で、片方の国年は二級までという状況になっておりますし、また今回、障害の等級を決めるのは政令とされましたですね。法律別表ではなしに政令とされたその意味について、私は、これは政令でなくて法律の別表とすべきである。何とならば、障害の等級というのは受給要件ですから、それが政令でそのときそのときに応じて変わっていくのでは大変厳しいのじゃないかと思うわけです。この政令にされた意味、私は受給要件であるだけに法律別表にしてはどうかというふうに考えるわけですが、その辺の御回答をお願いいたします。
○吉原政府委員 障害等級表の扱いでございますけれども、現行制度は、国民年金と厚生年金ではそれぞれ障害等級の決め方が違いまして、もちろん法律で決まっているわけでございますけれども、厚生年金は一級、二級、三級まで、それから国民年金は一級、二級でございますし、国民年金は、日常生活能力を基本にした障害という考え方をとっております。厚生年金は、労働能力の喪失程度というものを基本にした考え方をとっておりまして、基本的にそんなに大きな違いはないのですが、若干の違いがある。それを今度、両制度共通の基礎年金を設けるに当たっては、この障害等級というものを一本化したい、こういう考え方を持っているわけでございます。むしろどちらかといえば国民年金を基本に置いた考え方に統一をしたいという考え方を持っておりまして、これは、この法律成立後六十一年の実施までに、ひとつ一番合理的な適切な障害等級表をつくりたいということが一つございます。
 もう一つ、法律ではなしに政令におろした理由といたしましては、現に年金が必要かどうかという障害等級の決め方というのは、その障害に対する医学医術の発展といいますか、あるいはリハビリテーション技術の発展といいますか、そういったものの程度に応じて実は障害等級というものが変化するということがあるわけでございます。そういったリハビリテーション技術等の進歩なり発展、変化に対応した障害等級表にしておく必要があるということが一つございます。
 それから、もともと障害等級なんというものは法律事項じゃないかというお考えもあるかと思いますけれども、それは今までは確かに法律で決めておりましたけれども、必ずしも法律でなくちゃならぬということでもございませんで、実際問題として、こういった種類のものを政令あるいは省令で決めている例もあるわけでございまして、労災等の場合には政令ではなしにむしろ省令でこの障害等級表を決めているということがございますし、それから公害健康被害補償法でありますとか医薬品副作用被害救済基金法でありますとか、地方税法では障害者の範囲を、所得税法では障害者の定義を政令で決めているというような立法例も既にございますので、私どもとしては今後政令で一番合理的なものにしていきたいというふうに思っているわけでございます。
○森本委員 大事な受給要件でございますので、これが政令、省令の場合には変わりますから、確かにリハビリテーションの状況云々と今局長さん答えていただきましたけれども、私はきちっと固定したものでなければならないというふうな考え方に立っておりますので、従来も法律別表でやってきたんですから、そのまま踏襲していただきたいと思うわけです。
 それから、先ほどちょっとお答えいただきましたけれども、もう一度確認をとっておきたいわけですが、この厚生年金の一級、二級の障害の程度を厚生年金に合わせるのか国民年金に統一するのかという考え方でございますが、もう一度確認をしておきたいと思います。私は国民年金と同様の体制でいくべきだと思いますが、局長、もう一度お願いいたします。
○吉原政府委員 専門家の御意見を聞いた上で最終的に決めたいと思っておりますが、基本的には国民年金の考え方に即した障害等級表に統一をしたいというふうに思っております。
○森本委員 ぜひ国民年金に統一していただきたいと思います。
 次に、同じ障害の中でございますが、これは一級、二級、三級というふうにございますが、サラリーマンの障害の方は三級になりますと途端に子供の加算がなされない、妻の加算がなされないということなので、金額が三級の人は冷遇されるケースが出てくると思うのです、今回のこのままでいきますと。
 現在、サラリーマンで三級の障害の人は、現行法でいきますと九万一千円になるのではないかと思うのですが、改正法でいきますとどのくらいになりますか。
○吉原政府委員 現行制度でございますと、その方の平均標準報酬が幾らであったかによって違いが出てくるわけでございますが、平均標準報酬が二十万円と仮定をいたしますと、現行制度では月額約六万六千円の三級障害年金が出るということになるわけでございます。
○森本委員 改正では三級の人はどれくらいになるのですか。
○吉原政府委員 従来はこの三級障害年金は二級障害年金の四分の三が基準でございまして、定額部分、報酬比例部分とも、二級の四分の三が年金額の基準になって、それが先ほど申し上げました六万六千円ということなんですけれども、今度の年金改正によりますと、基礎年金は一級、二級だけを対象にすることにしておりまして、三級の場合には厚生年金独自の給付として基礎年金の支給対象にはしない。厚生年金だけがそういう扱いになっておりますので、各制度共通の障害年金としては一、二級までというふうに合わせることにしているわけでございます。
 それで、従来の三級の方に対する障害年金は原則として報酬比例部分だけを独自の給付として出すということにしておりますので、実は金額が今までよりも下がるということになるわけでございまして、先ほどの標準報酬が二十万円の場合を計算いたしますと三万七千五百円程度のものが出る、こういうことになるわけでございます。
○森本委員 現行で六万六千円と最初お答えいただきまして、それで今度の改正では三万七千五百円になるわけですね。この方々の問題をやはり我我は考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。
 厚生年金保険法の三級の方のところをよく読みますと、第一二のところには「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」、さっき局長も、これは労働を基準にしたものであるというふうにお答えをなさいました。ということは、労働を基準にしたものですから、三級の人は働く条件が極めて不利になってくるというわけです。働く条件が極めて不利になってくるので、三級障害になっておられる方に妻加算、子供加算がないということは、この三級の障害の方は大きく給付を受ける額が落ちていって、これは問題をそのまま残していくのではないだろうか。さっきもお答えいただきましたように六万六千円から三万七千五百円ですから、私はこのまま放置しておくわけにはいかないというふうに思うのですけれども、どうですか。
○吉原政府委員 この三級障害の扱いをどうするか、この点だけ見ますと確かに三級障害の方については給付が不利になるということでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、私ども障害年金としては大幅な改善ということをこの制度で考えている。ただ、あらゆる従来の障害年金の水準をそのままにして改善だけやるということになりますとなかなか実際問題として難しいわけでございまして、今度の年金改正の考え方は、年金の必要度に応じてめり張りをつけるといいますか本当に必要なところへ手厚い給付をやる、それほどでもないケースについては若干御遠慮いただくというような考え方をとっているわけでございます。
 三級障害の場合の扱いというのは、実は年金制度によってばらばらでございまして、三級というのは、簡単に言いますと、親指と人さし指がない程度のいわば障害者の中では軽度の障害の方に対する年金でございまして、そういった障害年金というのは、共済なんかの場合には働いている間は出ないというような措置にもなっているわけでございます。厚生年金は働いている場合でも出る。こういうことになっておりまして、将来のこの三級障害に対する年金の扱いというのは各制度共通にひとつ考えていく必要があるかな、こう思っているわけでございますけれども、実際問題として、この三級障害を受けておられる方には、確かに労働能力の制限はございますけれども、実際には働いておられる方が多いわけでございまして、二級障害とか一級障害の場合とはかなり実際上違うということも率直に言ってあるわけでございます。
 そういったことで、これから三級障害になられる方については今までよりも大変不利になるわけでございますが、その点はひとつ御辛抱いただいて、障害年金全体としては別な面で大きく改善をさしていただいておりますので、御辛抱いただきたいという気持ちでいるわけでございます。
○森本委員 御辛抱いただいてと言っても、私が辛抱するわけじゃないのですから。六万六千円もらっている人が三万七千円になった方々、これは辛抱しかねるんじゃないだろうかというふうに思います。
○吉原政府委員 今の三級障害年金を受けておられる方が下がるということはございませんで、これから三級障害になられる方についてそういうことになるということでございまして、今の方は下げるということでは決してございません。
○森本委員 ですから、そういう条件の人が今度の改正で下がる。今の方ではありませんけれども、これから受ける人が下がっていくという条件下でございますのでその点についてもよく考えていただいて、あるいはやり方によってはもう少し、そこまでいかなくともやれる方法があるんじゃないだろうかと思うわけです。ですから、この基礎相当部分に値する分に妻や子の加算というものを考えていけば、相当その下げ幅が短くなっていくんじゃないか、このように思います。その点についても、今後もよく御検討いただかなければならない、そのように思うわけでございます。
 次に、サラリーマンの遺族年金についてでございますが、中高齢の子供のいない妻に対する遺族厚生年金への加算額は、夫の死亡時における妻の年齢によって段階を設けていってはどうかと思うわけです。手なし妻というのは今後どういう形になりますか、サラリーマン遺族の手なし妻。現行はどうで、今後どうなっていくか。
○吉原政府委員 厚生年金についての御質問でございますが、現行制度ですと、厚生年金の遺族年金、これは子供の有無にかかわらず遺族年金が受けられるということになっておりまして、その金額の水準は、定額部分、報酬比例部分合わせまして二分の一ということになっておりまして、その上に加給をつけるという体系になっているわけでございます。
 遺族年金につきましても、今度の制度におきましては、やはり子供のいる方と子供のいない方はもう少し差があっていいのじゃないか、何といっても遺族年金というのは、子供さんがいる方にはむしろ具体的に言うと手厚くする、子供のいない方については若干の差があってもいいんじゃないかという考え方を取り入れておりまして、子供のいる方については手厚く、そうでない方については今までよりも、さっきの障害じゃございませんけれども不利になるということになっているわけでございます。
 ただ、子供がいなくても、例えば四十歳以上の方、御主人が亡くなられたときに四十歳以上の方につきましては、もう年をとって中高年でございますからなかなか自立ということが難しいということもございまして、四十歳以上で子供のない方については基礎年金の四分の三程度の加算をすることにしているわけでございます。それで、四十歳以下で亡くなった方についてはその加算はない。したがって報酬比例部分だけを出す。全然出さないのじゃありません、報酬比例部分だけを支給する、こういうことにしているわけでございます。そういったことで、基礎年金部分が出ないということになるものですから、例えば三十代、四十歳未満で御主人と死別された方については、子供がいない方ですけれども、今までよりも不利になるということになっているわけでございます。
○森本委員 手なし妻であれば二万八千百二十五円、平均で考えてみますとそういう感じになる。ところが、四十歳以上のときに御主人が亡くなられますと、それに三万七千五百円が加算されるわけですね。六万五千円ほどになるわけです。この落差が非常に大きいと私は思うのです。非常に極端な例で申しわけないかもわからないのですけれども。四十歳以上の方については六万五千円出ます。三十九歳十一カ月で御主人が亡くなった場合、極端な例でございますが、この方は生涯その三万七千五百円は加算されないわけですね。二万八千百二十五円でいくわけです。
 この点、私は、こちらの部分をトータル的にもう一度見て、三十五、六歳ぐらいからずっと、あるいは四十五歳ぐらいまで年齢に応じて上げていくようにしてはどうかな、こういう計算は成り立たないものだろうか。余りにも落差の大きさ、この辺はやはり考えていってはどうかなというふうに思うわけです。いろいろ試算してみますと、三十六歳ぐらいで四千円プラスし、三十七歳で八千円プラスしていく、そして上限、四十五歳以上は四万円程度というふうに、年とともに段階的に上げていくという形をとれば、三十六歳と三十五歳との差も余りなくなってまいりますし、その辺の試算を厚生省もよく考えてやっていただかないと、四十歳以前と四十歳になったときとの余りにも大きな落差、三万七千五百円というのは大きな落差ですからね。
 確かに四十歳以上から中高年に入ると労働ができなくなるという部分もありますけれども、逆に言うと、三十代の人も、子供のない人たちでございますけれども、そういった人たちもやはりいろいろな問題を抱えているのだし、年をとれば同じ条件になってくるのじゃないか。ですから、もう少しこの落差を緩和する方式をとってはどうかと提案を申し上げたいわけでございますが、いかがでございますか。
○吉原政府委員 その落差は少し大き過ぎるではないかということもわかります。わかりますが、御主人が亡くなったときの年齢で年金額をだんだん差をつけるとかふやしていくという方式は、年金制度の場合にはなかなかとりにくい。そういった例も本当にございませんし、とりにくいということもありまして、いわば四十歳ということで割り切りのような格好になっているわけでございますが、御指摘のような御趣旨は私どもとしてはよくわかります。
○森本委員 その辺もよく御検討いただきたいと思います。
 質疑時間が参りましたので、これで終えさせていただきます。
○戸井田委員長 塩田晋君。
○塩田委員 私は、民社党を代表いたしまして、質問をいたしたいと思います。
 前国会の最終段階におきまして、我が党の小渕正義委員が相当詳細に、各般にわたりまして御質問を申し上げております。そこで我が党の態度も基本的には明らかにされておるところでございます。
 私たちは、この年金法の改正はぜひとも早期に成立をしなければならないものだと思っておるものでございます。といいますのは、我々が福祉プランとして立ててまいりましたもの、そして関係の団体等が長年月をかけまして審議をして、個々につきましてはいろいろ問題はございますけれども、大筋におきましては、これは我々の望むところの方向に一致しておるという認識を持っておるからでございます。それは、年金という国民の最も大きな関心事、これが安定的に制度が維持される、保険料を払っておるが、いよいよ年をとって、老後になったときに年金がもらえないというような財政破綻の状況では困るということであり、また、今後高齢化が進む中におきまして世代間において不公平があってはならない、給付と負担のアンバランスがあってはならないという観点から、それをこの際十分に配慮して、二十一世紀にまたがって今後安定的に年金が維持されるということが必要なわけであり、そのためにも抜本的に改革をしなければならない、こういう観点があるわけでございます。
 また、現在の制度におきまして、各種の年金制度が行われておるところでございますが、各制度がばらばらで、いわゆる官民格差と言われるものが生じ、これが非常に国民の関心の的であり、その是正を求める声が強い中におきまして、そういったものにもこれから踏み込んでいく。この格差の解消のやり方についてはいろいろございますけれども、格差は国民感情としては許せない、こういう観点からこの制度の改正に大きく前進をするものだ。いわゆる年金制度の一元化を図る大きな第一歩を踏み出すものだ。このように観念しておるところでございます。
 また、障害者の関係につきましても、一刻も早くこの法案に盛られておる前進的な部分、これを評価して、早く成立をさせてもらいたい、こういう要望が関係者の間にもあることは事実でございます。
 その他いろいろと問題がございますけれども、そういったものはできるだけ問題点を処理いたしまして、修正をするところは修正をして、これを早期に成立させるということが、私たちの基本的な態度でございます。
 そこで、まず第一点。この法案の中身に盛られております当面の急務であります年内の二%スライドアップ分、これの処理につきましてどのようにお考えか。我々は年内にぜひとも支給できるようにいろいろと配慮をしてまいってきたわけでございますが、これをどのようにされるか。既に恩給あるいは共済年金等につきましては措置済みでございます。民間の年金受給者につきましてこれが取り残されている。年内にぜひとも処理しなければこれはおさまらない問題だと思いますが、大臣、いかがでございますか。
○増岡国務大臣 御指摘の問題につきましては、社労委員会の御同意をいただきまして、法律案が成立するまでに準備をさせていただいておるところでございます。したがいまして、今この法律案を一括して制度改正とともに御審議をいただいておるわけでございますので、私どもといたしましては、ぜひとも年内に御可決をいただきまして、二%支給が実行できますようにお願いを申したいと思っておるわけでございます。
○塩田委員 既に当委員会でたびたび質問もあり、答弁もあったことではございますけれども、なお確認をしておきたいと思いますのは、この抜本的な大改正の中に、今年中に措置をしなければならないスライドアップ分の措置の法律案が出ておるということにつきましてはかなりの問題があるわけでございまして、そのためにも法律技術的にかなり難しい問題が生じておることは御存じのとおりでございます。これにつきましては、やはりこれは与野党一致して年内に支給しなければならないという考えに立っていかねばならぬものでありまして、このスライドアップ分につきましては、衆議院を上げることはもとより、参議院でもこれを通過させて成立させなければならない性格のものでございます。したがいまして、この部分は分離をして、技術的にいろいろ問題はございますが、現在出ております法案の中からその部分を取り出して、そしてその部分につきましては、参議院も含めて年内に支給できるように法律的に措置をする、この考えに立ちたいと思うわけでございます。
 しかし、本体部分につきましては、これは前国会からも論議をしてまいりましたし、あるいは閉会中におきましても委員派遣によるいわゆる地方公聴会も開かれたことでございますし、また閉会中の一般行政の質疑の中でも年金が議論されてきたところでございますから、かなり進んでおるものと思います。しかし、参議院におきましては、これはもう年内にということは不可能でございます。物理的に不可能でございますから、この部分を引き離してそして措置をしなければならないと思うのでございますが、これについて大臣はいかがお考えでございますか。
○増岡国務大臣 おっしゃるとおり、審議の日数に限りがあることはよく承知をいたしておりますけれども、しかし今なお望みを捨てておりませんので、一〇〇%だめだとは考えていないわけでございますので、極力、鋭意審議を進めていただきますように、これは法律改正案全般についてでございますけれども、お願いを申し上げたいと思います。
○塩田委員 それでは、分離することについてはいかがお考えでございますか。
○増岡国務大臣 制度本体と御一緒に御可決をいただきたいと思います。
○塩田委員 それでは、技術的にはこれは分離をしてこの国会で措置をせざるを得ないという事態、年内に支給ということを考えれば、技術的にはそうせざるを得ないということは、大臣もおわかりになっておると思うのです。しかし、政府の立場として、出した法案につきまして何とか上げてもらいたいということで、御希望はわかるのでございますが、少なくとも事柄はわかっていらっしゃると思うのです。
 そこで、これは国会、特にこの社会労働委員会の場でいろいろと論議されまして、その技術的な処理をしなければならぬ。これはもう分離をせざるを得ない事態になっておることは明らかでございます。そのときには政府としては協力をしていただきたい、少なくとも反対をしないでもらいたいと思います。そして、いかに一体としてこれを早く上げてもらいたいと言われましても、衆議院では修正いかんでは我々としては協力することも場合によってはあり得ると考えますけれども、参議院の場では本体的なこれだけ大きな改革の大部のものをまだ審議をしていない。これは年内には到底無理なことは間違いない。ですから、その点、年内に参議院も含めて分離しないでスライド分と一体ということはもう到底無理だと思います。これは何回尋ねましても大臣は同じ答弁だと思いますが、そのような事態が進展をしているということについては十分御認識をしていただきたいと思います。それについて政府なりの対応をしていただきたいということをお願いいたしておきます。いかがでございますか。
○増岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、ぜひとも改正法案全体を上げていただきたいというふうに思っております。
○塩田委員 政府の希望、大臣の御答弁はそれ以上のものは出ないということはわかりましたけれども、私が申し上げましたことは十分御認識をいただいておるもの、また常識的に考えて私が申し上げたこと以外にはならぬと思うのでございます。
 それで、私は、個々の問題につきましてお伺いをしたいと思うのでございますが、既に問題点は七月二十六日の小渕委員の質問におきましてほとんど全部出ております。重要なものがかなりございますが、重複いたしますので、時間の関係もございましてこれを質問申し上げるのを避けたいと思いますが、項目的には、特に重要と思われますもの、基本的な部分、すなわち基礎年金の額を五万円ではなしにもっと上げるべきだとか、あるいは年齢、六十五歳支給開始というのはどうかという基本的な問題がございますけれども、これは将来の問題として検討していく問題でもありますし、今回の大改正の中の基本的な部分でございますので、この点につきましては前の議論を繰り返さないつもりでございます。
 しかし、妻が六十五歳になるまでの間の給付水準の問題、これにつきまして前向きに御検討いただいておる、前にも御回答を得たわけでございますが、その後も御検討いただいておるものと思います。ぜひともこれは前向きで検討していただきたい。
 それから、障害三級の給付水準の問題でございますが、これも前に質問をいたしまして御回答を得ております。その後特別の進展があればお答えいただきたいのでございますが、その後の状況はいかがでございますか。
 それから、四十歳未満の子なし寡婦の給付水準の問題につきましても言及し、また御答弁を得たところでございますが、これにつきましてその後どのように進展をしておるか。
 以上、前向きに検討していただき、また一定の前進が得られたものと期待しておるわけでございますが、今の段階で言っていただけるものがありましたら、まとめましてこの三点、御答弁を局長からいただきたいと思います。
○吉原政府委員 今御質問のございました三点につきましては、私どもとしても検討させていただいておりますが、もう既に法案を提出をし、御審議をお願いしておりますので、なかなか具体的な結論というのは今の段階ではまだ出せないわけでございますが、なお趣旨はよく検討させていただいております。
○塩田委員 こういった問題につきましては、難しいものもあれば、大英断を振るってもらえばできないわけでもないという内容のものもあると思います。ぜひとも前向きで、引き続き早急に詰めをしていただきたいと思います。我々も、場合によっては修正案としてこれらの問題について関係のところと折衝したい、このように考えております。ぜひともいい答えが得られるように御検討を早急にしていただきたい、このように要望いたします。
 次に、事後重症制度の改革、改善でございますが、これにつきましては我が党の委員はまだ触れておりません。これは、現行がどうなっておってこれがどのように改善されるか。また、改善点について問題点があれば御説明いただきたいと思います。
○吉原政府委員 現行の厚生年金では、障害年金というのは病気やけがをして一定の障害の状態になったときに年金が出ることになっているわけでございますが、その発病なりけがをした事故が起きたときから障害の状態がいわば固定をするまでに、一定の期間がかかることがあるわけでございます。そういった場合に、国民年金についてはそういう制限はございませんが、厚生年金については発病後五年以内に障害が固定をしないと年金が出ない、こういうふうに現行の制度がなっているわけでございます。
 今度の改正案におきましては、五年を過ぎて障害が固定をした、一定の障害状態になったときにも年金が支給されるようにしたいという、その五年の制限を撤廃をしたい、これを事後重症の制限の改善あるいは撤廃ということで御審議をお願いをしているわけでございまして、外部障害の場合もございますけれども、例えば慢性腎炎で人工透析をするようになったときとか、糖尿病で両眼を失明したというような方について、こういった事後重症五年の制限撤廃というものは、改善として障害年金の支給の道が開かれることになるわけでございます。
○塩田委員 この該当者は全国で何名と見込んでおられますか。
○吉原政府委員 対象者、該当者といたしましては二万二千人程度ではなかろうかと推計をしております。
○塩田委員 これは五年という制限期限を撤廃するということが主でございますね。しかし、ずっといつまでも撤廃するのではなしに、もちろんある年限があるわけでございましょう。
○吉原政府委員 六十五歳までということでございます。
○塩田委員 本法案が国会に提出されまして議論されておる中で、事後重症制度の問題については法律が成立し次第これを速やかに施行するという方針と承っておりましたが、現段階ではどのようにお考えでございますか。
○吉原政府委員 この事後重症制度の改善、これも年金制度の基本的な制度改革の一つというふうに思っておりますけれども、この点の改善につきましては六十一年四月を待たずに、法律が成立した場合には一定の準備期間、恐らく三カ月程度の準備期間は持たしていただきたいと思いますが、法律成立後できるだけ速やかに実施に移さしていただきたいというふう。に思っております。
○塩田委員 原案では八月ごろという予定ではなかったですか。一カ月ぐらいじゃなかったですか。
○吉原政府委員 原案の考え方は、二月に法律を提出させていただきましたので、大変申し上げにくいのですが、恐らく五月か六月ごろ成立をしていただけるのじゃなかろうか、それで八月ぐらいからの実施ということで原案は考えておったわけでございます。
○塩田委員 わかりました。三カ月以内に、できるだけ速やかにこれを施行するということを確認してよろしゅうございますね。
○吉原政府委員 そういうことでございます。よろしくお願いをいたします。
○塩田委員 この点は了解をいたします。全国で待っておられる方が二万二千人おられるということを念頭に置きまして、我々もこの問題に対処してまいりたいと思います。
 次に、三種厚生年金の問題であります。
 この三種の問題につきましては、既に若干触れておりますので繰り返しになる部分もございますけれども、なおこれをこの際強調して、善処方をお願いしたいわけでございます。
 私どもの試算をしたものによりますと、現行法とこの改正法との間でかなりの落差が生ずるという試算でございまして約一割ぐらい、これはいろいろなケースがございますが、二十年あるいは標準月収を二十万と設定した場合に試算をしたわけでございますが、一割ぐらいになると思います。厚生省ではどのような試算をしておられますか。落差があることはお認めになると思います。どのように考えておられますか。
○吉原政府委員 大変複雑な仕組みになっておりますのでどうもお答えしにくいのですが、坑内夫の方につきましては、五十五歳以上で既に退職をした方については従来の計算方式で年金が出る、こういうことになっておりまして、今五十五歳以下の人でその方が退職をされる場合と比べますと、ある程度の差が出ることになっていることは確かでございます。それは、現在のこの改正案によりまして経過措置というものを、六十歳から漸次下げていって二十年かけて経過措置をとっております。ただ、坑内夫の方については五十五歳というその支給開始年齢をそのままにしたために、こういった落差といいますか差が出てくるということになっておるわけでございます。
○塩田委員 いろいろなケースがございますから一概に言えないということは局長が今おっしゃったとおりでございますが、私どもの試算、一つのあり得る標準的なケースで申し上げますと、法施行時までの被保険者期間が二十年、平均標準報酬月額が二十万円の場合で、現行だと百十三万八千円、新法ですと百三万五千九百二十円、したがいまして十万二千八十円の差が出る。これは全体に合わせまして九%だ。なおこれよりも低いところ、十万円、被保険者期間二十年となりますと、これが一〇%を超える、こういう差が出てくるわけです。こういう試算をしているのですが、大体そう変わらない試算になるかどうか、ちょっと見当を課長からお答えいただきたい。
○山口説明員 先生御指摘のケースにつきましては前提がございますし、単価等技術的な計算をいたしませんと正確なことが申し上げられませんので、今の数字そのものが正確かどうかというのは差し控えさせていただきたいと思いますが、今のような前提を置いて既裁定のものとそうでないものを比較した場合に、若干の差が出てくることは間違いのない事実でございます。
○塩田委員 私どもも前提を置いていろいろな想定をして試算をしておりますから、これがきちっと正確であるかどうかについては、厚生省の側も、ずばりそうだということは直ちに答えは出ないと思うのですが、若干の差は出るものという御答弁ですけれども、若干の差が一、二%ならそんなに騒がれないと思うのですよ、それでも騒ぐ人はもちろんあるかもわかりませんが。一〇%ということはかなりの落差だと考えられるのですが、およその感じでそういう試算は恐らくされたと思うのですね、およそ一割ぐらい、一割前後と考えられるのですけれども、それはそうか。いや、そんなに多くはないとおっしゃるか。その辺の感触を伺いたいわけです。
○山口説明員 私どもの前提を置いた計算でございますが、仮に平均標準報酬が二十万円、被保険者期間が三十年、実期間で三十年ということで計算をいたしますと、五十五歳で施行日前に退職をされた方と施行日直後に退職をされた方の年金額の差は一割弱という計算を一応私どももしております。
○塩田委員 私の方の資料では今のは大体九%になっておりますから、今言われましたように一割弱、九%ぐらいだということは了承されたと思うのです。
 大臣、実はこれだけの差があるわけであります。坑内労働につきましては、また船員労働につきましては、歴史的な経過があることは御存じのとおりでございます。あらゆる日本の社会保障制度あるいは社会保険制度の中におきまして先行してきたわけです。坑内における、また船内、海上における特殊な労働、その態様、そして労働の歴史からいきまして、特別に扱わなきゃならないという事情があったから今日に至っておるわけであります。そういった歴史的背景、経過があるわけであります。これを無視はできないと思います。
 坑内労働は依然と変わっていない。むしろ炭坑の入り口から切り羽までは長く延びてしまっておる。労働そのものは、カッペ採炭とかいろいろな技術革新もあり、態様は変わっていっております。しかし、坑内において長時間の日の目を見ない労働、しかも危険作業に従事している、この状況は変わっておりません。こういった事情を考えればこの一〇%の落差というのは余りにも大き過ぎはしないか。また、これを一般の労働者並みに合わせていくという方向は大筋におきましては了承できるのでございますが、今申し上げました特別の事情というものも勘案すれば、やはり段階的にこれを合わせていくということが必要だと思うのです。一〇%のこの差が余りにも大き過ぎるという観点から、もう少し段階的に落差を縮めていくというような努力をしていただけないものかどうか、お伺いいたします。
○吉原政府委員 確かに五十五歳以上でも、退職をした方とそれから施行日以後退職される方に差があるわけでございますけれども、施行日以後退職される方については、坑内夫の方以外の一般の方々とのバランスではやはりそうでないと、乗率にいたしましてもあるいは定額の金額にいたしましても、それと合わせているために実はそういうことになっているわけでございまして、結論的に申しますと、もし今のような差をなくそうとすれば、一般の労働者の方との何か差がまた非常に出てくるという問題があるものですから、大変技術的に、修正といいますかおっしゃるように単純に差をなくすことで是正ということは、難しいというのが率直なところでございます。
○塩田委員 制度の大改革でございますし、各制度歴史的にもいろいろと発足、経過が違う中でこれから一元化していくという方向ですから、共済年金も今後出てまいりますとなおさらそういう問題が生ずると思うのです。しかし、そのときどき経過措置をとり、段階的に解消していくという方向で持っていっていただきたい、この配慮を引き続き御検討いただきたい、このように思います。
 なお、細かいことを申し上げますけれども、十四年以下で坑内から坑外へ転職した場合、第一種の取り扱いになるわけですね。そして、第一種の取り扱いで年金が支給されるということになりますね。その場合、細かいことを言いますけれども、保険料が違うわけでしょう。坑内員の場合は一三・六%、それから一般の男子の場合は一二・四%、これは各保険料は違ってきているはずですね。ところが、坑内から坑外に出て、一般の年金になると一般になってしまう。保険料を多く納めただけ、その分が返ってこないということになりますね。この点はいかがお考えですか。
○吉原政府委員 坑内員の方についての特例というのは、一般の方との行き来というものがそう多くない、激しくないという前提での特例措置が認められているわけでございまして、そういった意味で期間計算では十五年の期間を三分の四倍する、それから支給開始年齢も五十五歳から、そのかわり、おっしゃるように保険料も一般よりも少し高いということになっているわけでございます。仮に、坑内夫の期間がほんの短くてすぐ一般の職場にかわったという場合に、保険料を少し納め過ぎたので何とか返せと言われましても、確かにその分だけ高い保険料を払ったという結果的にはそうなりますけれども、その分を制度的に何とかするというのは実際問題として年金制度の上では大変難しいわけでございます。
○塩田委員 制度ができましたときは、坑内から坑外に移るということは余り考えられない状況なんです。また船にいたしましても、海上勤務というのは昔は長期間ありましたね。そのころにこれはできているわけです。今は船に乗っていて陸上勤務にかわる人もかなりありますね、関連会社に行く人も。坑内と坑外も昔のように固定しておりませんし、また生産性が非常に上がってきておりますから、坑内員につきまして坑外に勤務ということも起こってくるわけですね。そういう事情の変化がありますから、前に考えておったように、そんなに今もないということではないのですね、十分転換があり得る。現に起こっているんです。だからそういった問題があるということですね。これをひとつ早急に御検討いただきたい。その辺を反映さしてもらえないか、こう思うわけでございます。いかがですか。
○吉原政府委員 もちろん検討さしていただきますが、実際上の扱いとしてなかなか難しいかなという感じは持っております。やはり一定期間、十五年以上坑内なら坑内で働いた期間があることによってその期間計算の特例あるいは支給開始年齢の特別措置、こういったものが出てくるというふうに考えていいのじゃないか、私ども基本的にはそういうふうに思っているわけでございます。
○塩田委員 今の点はひとつ前向きで、引き続き御検討いただきたいと思います。そういう問題があるということを御指摘申し上げますので、御検討いただきたいと思います。
 それから定年延長、再雇用の問題に移りたいと思いますが、厚生年金改定施行日は、法律が通れば昭和六十一年の四月一日となっておりますね。三種の者が施行日以降定年延長、再雇用された場合は、改定案に基づいて実施されるために状況が違ってくるわけですね。三種の受給資格者の定年延長、再雇用の際の厚生年金受給額が低下しないように、昭和二年から昭和六年までの出生者は既裁定者と同じように扱ってもらえないか、みなしてもらえないか、こういうことでございますが、いかがでございますか。
○吉原政府委員 坑内夫の方についてだけ、そういった再雇用の場合に有利な額が存続、適用できるようにすべきでないか、できないかというお話でございますけれども、一般の労働者の方の場合にはそういった同じ扱いにできませんので、坑内夫の方だけ再就職、再雇用の場合に有利な計算で年金が出るような扱いというのは、やはりこの年金制度の問題というのは一般の方々全体の公平ということが大事でございますので、なかなか坑内夫だけについて特別の措置をとるということは問題があるのじゃないかというふうに思います。
○塩田委員 制度全体の一元化の問題、大改革に際してのいろいろな細かい点でございますが、各方面で今御指摘申し上げましたようなそういう問題が起こり得る、起こっておるということを御認識いただいて、そういったところができるだけ少なくなるように前向きで検討して、改正すべきところは将来にわたって改正する、あるいは修正できるところはしてもらう、このように強く要望いたします。
 大臣、いかがでございますか、基本的な姿勢でございますが。
○増岡国務大臣 ただいまのお話の中で、一般年金者全般とのバランスを重視した結果、定年退職の年限によって多少の有利、不利が出るということでございます。目下のところ、これも年金格差をなくするというような意味合いからもまことにやむを得ないことだと思いますけれども、法改正により実施しました後、詳細な点については再度検討してまいりたいと思います。
○塩田委員 大臣から、細部につきましていろいろな問題点について今後検討していくという前向きの御答弁をいただきましたので、この問題は以上にしておきます。
 次に、女子の支給開始年齢の繰り上げ及び女子の保険料率の引き上げにつきまして、もう少し激変緩和措置ができないかどうか、この点につきまして見解をお伺いいたします。
○吉原政府委員 女子の保険料率でございますけれども、現在男子の場合に一〇・六、女子の場合に九・三となっておりますけれども、従来でも、女子の場合につきましては、男女の間で保険料率について格差があるのはおかしいということで、その格差の縮小を進めてきたわけでございます。毎年〇・一%これまでも格差を縮めてきたわけでございますけれども、できるだけこういった格差というのはやはり早くなくすべきだという御意見が社会保険審議会等でもございましたので、少しその縮小のテンポを速めて〇・二にしたいというのがこの改正案の考え方でございますが、やはり男女間格差をいろいろな面でなくせというような考え方、御意見が強くなっているわけでございまして、保険料率の面におきましても〇・二程度の格差の縮小でしたらそう無理な縮小ではないんじゃないか、私どもはそう考えているわけでございます。
○塩田委員 従来〇・一%ずつやってきたものを一挙に二倍、〇・二%ですね。急速に倍速して縮めていくということですね。もう少し緩和の措置というか考え方はとれぬものでしょうか、一挙に速度が二倍になるわけですから。この程度はと言われますが、〇・一と〇・二は〇・一しか違わないという感じですが、速度からいうと倍になるわけですから、その込もう少し緩和のお考えに立てないものだろうか、お伺いいたします。
○吉原政府委員 私どもとしては、いろいろな御意見を踏まえてこういうことで御審議をお願いしておりますので、ひとつそういうことでお願いをしたいと思います。
○塩田委員 これまで申し上げました個々の問題につきまして、今かなり詳細にわたって、細かい点もございましたが大きいものもございます、全体的に前向きの姿勢で御答弁をいただいたわけでございますが、なお我々は、これにつきましては、満足のいける御回答とは思いませんので、今後なお折衝をいたしまして、これらの問題につきまして、我々の許容できる限度きりぎりいっぱいまで皆さん方と話を詰めていきたい、このように思います。したがいまして、これらの問題につきまして前向きに臨んでいただきたいということを強く要望いたします。よろしゅうございますね。
○吉原政府委員 はい。
○塩田委員 よろしいということでありますので、確認をしておきます。
 最後に御質問申し上げますのは、これも以前に、私が当委員会で年金の質問のときに最後に申し上げました件でございますが、国民年金、厚生年金の積立金が現在今年度末で四十八兆円になるだろうという見通しを述べておられます。それは現在も変わっておりませんか。
○吉原政府委員 今年度末で厚生年金四十五兆円、国民年金三兆円、合わせて四十八兆円の見込みでございます。
○塩田委員 その運用につきまして、前回は大蔵省もお呼びいたしまして御答弁いただいておりますが、厚生省としての希望はいかがでございますか。大蔵省は自主運用はさせない方針だということをこの場で言われましたが、厚生省はそれでもうあきらめておられるのですか。
○吉原政府委員 この積立金の運用についての厚生省の考え方でございますが、厚生省としては、この積立金というものは将来の膨大な年金給付の原資に充てるべきものでございますから、できるだけ安全かつ有利に運用をすべきである、していただきたいというふうに思っているわけでございます。
 同時に、やはり一方におきまして、国民の方々からいわば強制的に出していただく保険料の集積でございますので、被保険者の方あるいは受給者の方の福祉の増進に役立つような分野にある程度積立金を運用すべきである、こういう考え方も持っているわけでございまして、従来から、資金運用部の中に預託をしておりますけれども、一方でその安全かつ有利な運用、一方で福祉還元的な運用ということを大蔵省に主張してまいりましたけれども、今後とも基本的にはそのような考え方でまいりたい。
 特にこれからの年金財政というものを考えますと、できるだけ安全ということも大事でございますけれども、もう少し自主的な有利な運用ができないだろうかということで、関係審議会でもいろいろ御意見をいただいておりますので、その御趣旨に沿って大蔵省と折衝しているわけでございます。
○塩田委員 厚生省としては自主運用をぜひともやりたい、そういう観点、態度で大蔵省と折衝したいということでございますね。
○吉原政府委員 厚生省といたしましては、自主運用といいましても、実際問題として、資金運用部から離して厚生省が独自に運用することは、現時点では実現が難しいというふうに思っておりまして、資金運用部の中でできるだけほかの資金と区別をした形で運用してもらえないか、しかもその運用利率といいますか預託利率は、現行七・一%でございますけれども、もう少し有利な運用ができないかということで、大蔵省とやっているわけでございます。
○塩田委員 運用につきましては、大蔵省は、財政政策あるいは金融政策の一元的運用の必要から、これは従来どおりやっていきますということをこの場で回答されました。これはなかなか難しい問題、多年の懸案でございます。これはぜひとも、もう少し自主運用ができるようにしてもらいたいというのが年金関係者の一致した意見だと思います。なお一層努力をしていただきたいと思います。
 この積立金は、今言われましたように厚生年金で四十五兆、国民年金で三兆、合わせて四十八兆ありますね。これはしばらくはまだふえていきますね。それがやがてピークに達して、それから急速にどんどん減っていきますね。給付額がふえていく段階で積立金がなくなってきますね。この見通しは、今この時点で大体どう考えておられるのでしょうか。
○吉原政府委員 積立金の推移でございますけれども、現在四十八兆でございますが、六十一年度では大体六十一兆になると思っております。その後もだんだん積立金としてはふえてまいりまして、六十五年には八十三兆、七十年には百十一兆。将来とも、何といいますかそのときどきの名目価格で言いますと積立金はふえ続ける、こういうことになるわけでございます。例えば昭和百年ですと百七十兆ぐらいになる、こういうことになるわけでございますが、同時にそれは、年金の支出、年金額、給付費自体もそれ以上のスピードでふえてまいりますので、積立金としての何といいますか、年金給付額との対比で見た場合の保有高というのはだんだんと小さくなってくるわけでございます。
 その点をはっきりさせるために、五十九年度価格で一体年金の積立金が将来どうなるかというのを試算してみますと、現在は、五十九年度価格で六十一年度は五十五兆でございますけれども、七十五年ぐらいまでは実質的にふえてまいります。五十九年度価格で言いますと六十一兆ぐらいになりますが、八十年からだんだん減ってまいりまして、将来は二十兆余りの積立金しか保有しなくなるという関係になるわけでございます。
○塩田委員 この問題は、またいずれ時間をかけてもう少し究明しなければならぬ問題を含んでおると思います。時間の関係でこの辺にしておきたいと思いますが、これの運用利子につきましては、どういうふうに運用されておりますか。
○吉原政府委員 現在の資金運用部の預託金利というのは七・一%というふうになっておりますけれども、この資金運用部の預託金利の考え方は、一つは、政策金融といいますか開銀等の基準金利というのがございまして、それが現在七・六%でございます。それから、郵便貯金の金利、三年以上で現在五・七五%でございますが、その間で資金運用部の預託金利を決めるという考え方で大蔵省は来ているわけでございます。現在はその預託金利が七・一%ということになっているわけでございまして、この基準金利の変動、それから郵貯金利の変動、それから民間の長期プライムレートといいますか、そういった利率の変動、あるいは公定歩合の変動、そういったものの変動に応じて資金運用部の預託金利も上げ下げがある。過去を見てみましても、非常に高いときは八分五厘ぐらいまで預託金利も上がったことがございますけれども、現在は七・一%という水準になっているわけでございます。
○塩田委員 その七・一%の利率で、利子分が三兆なり四兆出てまいりますね。厚生省は、自主運用の中でそういったものをいろいろなものに使わしてもらいたいというお考えがあるのかどうか。そういう考え方に立って自主運用を主張しておられるのか。七・一をもっと有利に上げてもらって、そしてどうしようとしておられるのか。給付費に回すために、あるいは積立金をふやすためにそう言っておられるのか。自主運用というのはどういう観点から言っておられるのか。給付費に持っていったりあるいは積立金をふやすだけなら、別段自主運用云々ということで大蔵省との折衝はないわけでしょう。何を意図して言っておられるのですか。
○吉原政府委員 厚生省が自主運用ということを主張した時期もございましたけれども、現時点におきましては、自主運用というよりか、資金運用部の預託金利というものをできるだけ有利に具体的に言いますと上げてもらいたい、高い金利にしてもらいたいということを主張しております。それから同時に、資金運用部の預託金利なり運用の仕方につきまして、拠出者側の意向というものが反映できるような何か措置というものをもっと考えてもらいたい、現時点ではそういう要求を大蔵省にしているわけでございます。
○塩田委員 それはわかるのですが、拠出者側の意向を反映さしてもらいたい、その具体的に金利を上げて出てくる二兆、三兆、四兆をどういうふうにしたいということでそう言っておられるのか。
○吉原政府委員 預託金利を上げることによる利子でございますが、それはあくまでも将来の年金給付に充てるための財源に使うということでございまして、保険料の水準は当然これから上げていかなければならない。同時に、その預託金利を上げることによって利子分の増加を考えていく、そういうことによって少しでも保険料負担の上昇というものを低く抑えていきたい。こういう気持ちを持っているわけでございます。
○塩田委員 それは当然のこととしてわかるのですが、今まで年金会館とか年金保養基地、こういったものをつくっておられましたね。これはやはり特別会計から福祉という面で還元をするという考え方の上に立ってやられたものだと思うのです。そうですね。いかがですか。
○吉原政府委員 積立金の運用について二種類のものがございまして、年金福祉事業団なんかを通じてやっております住宅融資、それから福祉施設への融資、そういったものは、いわば資金運用部に一たん預託したものを福祉還元としてそういった福祉の方途に使っているということでございますが、大規模保養基地は、むしろ福祉施設の中でそういった大規模保養基地の建設、整備に充てていくということでございます。
○塩田委員 大規模年金保養基地のできた経緯なり考え方につきまして今局長さんは言われましたが、福祉施設として、年金に付随してやる事業としてこれを管理しておられるし、その考え方は今後とも変わりませんか。
○吉原政府委員 今すぐこの考え方を変えたいというふうには考えておりません。
○塩田委員 この考え方は今後とも維持したいということをお聞きいたしました。
 大臣、私は前の大臣にも申し上げたのですが、年金保養基地等は福祉という面で年金拠出者あるいは受給者に還元されるものですから、この考え方はいいと思うのです。ただ、運用としてはいろいる問題があります。しかし、年金保養基地という今まで考えてこられたものは、これは厚生年金もそうですが、全部陸上ですね。陸上のみならず、これから二十一世紀を展望して将来を考えますと、海、空も考えるくらい福祉余暇活動は広がっておりますから、ひとつそういった観点で、陸だけにとらわれないで、そういった考え方を大きく、広く夢を持って広げていただくように要望したいと思いますが、大臣、いかがでありますか。
○増岡国務大臣 年金の掛金によって生じておるお金でございますから、福祉関係にかなりの部分が使われるのは当然だと思いますし、今おっしゃったようないろいろな方面のことも考えられますけれども、ただ、貴重な掛金をお預かりいたしておるわけでありますので、採算性ということも十分考えていかなければならないと思います。
○塩田委員 そのことを強く要望いたしまして、終わります。
 ありがとうございました。
○戸井田委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 今日、いわゆる高齢化社会を迎えまして、老後保障を確立するということは最大の政治課題になっており、その中心的な問題は年金問題ではないかと私は思っております。こういう立場から、今回のこの年金法案を私たちは非常に重視しておるわけでありますけれども、調べてみればみるほど、現在と未来のすべての国民に非常に深刻な打撃を与えるような内容になっております。それだけに、私たちとしては、これについても十分な審議を尽くさなければならないということを主張してまいったわけであります。 ところが、スライド制の問題あるいは障害者の関係の改善を急ぐというようなことで、十二月一日に通常国会を急いで召集して、このわずかな期間にばたばたこういう重要な法案を上げてしまおうというような動きになっているように見えることは、非常に遺憾だと私は思っております。ですから、委員長、また各党の皆さんにも、これは本当に慎重に審議を尽くされるように、まず最初にお願いをしておきたいと思います。
 具体的な質問に入りたいと思いますが、最初に、年内処理のことで大きな問題になっているスライドの問題をお尋ねをしたいと思うのです。
 まず大臣にお尋ねをいたしますけれども、このスライド制というのは、公的年金と私的な年金とをいわば質的に区別をする指標になるほどの決定的に大事な問題じゃないか。このスライド制があってこそ、公的年金制度としての国民からの信頼を保証できるのではないかというふうに私は考えておりますが、その点、大臣の御見解をまず伺いたいと思います。
○増岡国務大臣 仰せのとおり、区別をする大きな部分を占めておると思います。
○小沢(和)委員 私もそう思っておるわけです。最近は大体このスライドが定着をして、いわゆる五%以上であった場合は義務的だ。逆に言えば、五%未満であったときには義務的でないという状態のもとでも、このスライドが実施をされるというような状況にまでなっておりた。ところが去年飛んで、ことしは二年ぶりの引き上げになるわけであります。二年分ということになれば、先ほどから問題になっているとおり四・三%は引き上げなければ理屈に合わないと思うわけですが、それを二%に抑えてしまった。これは私は、それこそ公的年金の制度の信頼にかかわる問題じゃないかと思うのですけれども、いかがお考えですか。
○吉原政府委員 今の制度は、法律では、物価が五%以上上がった場合に法律上スライドをするということでございまして、それ以下の場合には、そのときどきの諸事情を勘案した上での政策的な判断、処理ということになっているわけでございます。累積で五%上げたときにも当然物価スライドということになっておるわけでございまして、残念ながら昨年は人勧もベースアップがございませんでしたし、共済、恩給の年金もスライドがなかったということもございましたので、厚生年金、国民年金もスライドがされなかったわけでございますけれども、物価の上昇の程度、それから他の年金制度、特に共済や恩給の上昇、スライド、そういったものを勘案しながら厚生年金、国民年金にもこれから適切に対応していきたい、バランスのとれた格好で対応していきたい、こういうように考えております。
○小沢(和)委員 ほかとの横並びで考えたということだろうと思うのですけれども、横並びということであれば、考えてほしいのは、例えば国民年金などにはもう生活保護にすれすれのような低所得者がたくさん入っておられるということですね。ところが生活保護などの場合は、これは最低の保障だから、今の物価の上がった分なども反映をしていかなくちゃいかぬということで、五十七年度六・八%、五十八年度三・七%、五十九年度二・九%と、年ごとに上げていっているわけです。これにもうすぐ隣接するようなぎりぎりの生活水準の人が国民年金などで非常に多い。こういうような実態を考えてみた場合、ほかの年金との横並びでこういうような国民年金などについても全く同じように扱っておるということは、社会的な公平という点で見てもこれは考えなければならないのじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょう。
○吉原政府委員 最低生活のいわばぎりぎりの保障としての生活保護あるいは生活扶助の場合の年年の改定の考え方と、年金の給付水準の毎年の考え方、これは私は違いがあって当然だというふうにむしろ思います。生活保護とのバランスよりか、むしろ物価全体の上昇の程度、それから他の公的年金、特に共済、恩給、そういったものの取り扱い、そういった横並びでもって判断をするのが、私は、今のそういった政策判断の基準としてはやはり妥当なんではないかというふうに思います。
○小沢(和)委員 今二・三%の積み残しがあるわけですね。これについてどうしていくのかということです。
 新聞の報道などによりますと、今年度の人勧が三・四%ほど引き上げられる。これを来年度は年金の引き上げに反映をさせていく方針だというようなことが伝えられているわけですけれども、三・四%を来年度引き上げると言うのであれば、この二・三%というのはそのまま来年度も全然埋まっていかない、このままずっといってしまうということになりかねないのじゃないかと思うのです。
 特に、今、実態としては生活保護にもうすれすれのような人たちが非常に多いという点で国民年金の名前を挙げましたけれども、全体として、私は年金生活を送っている人というのは苦しいと思うのですよ。だから、この二・三%を永久に積み残しのままでいくなどということは私は絶対に許されないのじゃないかと思うのですが、これはどういう形で手を打っていかれようというお考えですか。
○吉原政府委員 この二・三%の積み残してございますが、当然、ことしの物価上昇率がどのくらいになるか、この二・三%とことしの消費者物価上昇率というものを合わせまして五%を超えた場合には、五%を超えたスライド率でスライドをしていく、積み残すのじゃなしにその中で二・三%をスライドしていくということになるわけでございます。
 仮に、ことしの物価上昇率がそれほど高くなくて、今までの積み残し分と合わせまして五%を超えないときにどうするかということがございますけれども、そのときにはスライドをしない――法律上それもできることになっておりますけれども、スライドをしないということではなしに、共済や恩給のアップ率、そういったものとのバランス、横並びで考えなければならないのではないかというふうに今の時点では考えているわけでございまして、いずれにいたしましても、この結論はことしの予算編成のときに出したいと思っております。
○小沢(和)委員 今の局長の答弁というのを聞いておりますと、ことしの物価の上昇率とこの二・三%の積み残しとを合わせて五%を超えなかった場合には、来年引き上げないこともあり得るというように聞こえるわけです。
 これは新聞報道ですけれども、恐らくあれは大蔵省の考え方じゃないかと思うのだけれども、三・四%を引き上げる方針だというように大蔵省自身が言っているときに、年金の担当者が、引き上げるかどうかまだ腹も決まっておらないというような姿勢に聞こえるようなことでは困ると思うのですよ。だから、私は、そのことは時間の関係もあるからもうこれ以上お尋ねしないけれども、この二・三%も含めて来年度は必ず実施させるように、あなた方の努力を望みたいと思います。
 次に、年金の本体の問題について、さっきも言いましたように、私どもはこれは来年になってじっくりやろうじゃないかと言っているわけですけんども、しかしせっかくの機会ですから、私もこの問題について幾つかの質問をいたしたいと思うのです。
 今回の年金の改革については、政府に言わせると、高齢化社会を迎えて二十一世紀に向けて制度を安定させるんだ、そのためにいわゆる基礎年金制度を導入して、これを中心にして年金全体を再編成するというふうな考え方が示されているわけですけれども、結局国民にとってどういう結果になるかといえば、掛金は倍、三倍と上がって、給付されるお金の方は三割以上も下がってくる、そして国庫の負担は減り、大企業なども年金の負担は低いままで据え置き、結局こういう高齢化社会の負担というのは挙げて国民におっかぶさってくる、こういう改革案になっているんじゃないかと思うのです。
 私は、その中でも一番問題なのは基礎年金制度じゃないかと思うのです。よく最初のボタンをかけ違うとあとみんな違ってくると言われますけれども、この基礎年金制度が非常に問題じゃないかと思うのです。
 そこで、大臣、まずあなたにお尋ねしたいと思うのですけれども、基礎年金と言うからには、すべての老人に最低生活を保障するのにふさわしいようなお金を出していく、これでなければ基礎年金という名に値しないのじゃないかと思うのですけれども、果たして今回のこの提案されている内容がそういうふうに言えるものでしょうか。
○吉原政府委員 基礎年金が最低生活を保障するもの、具体的に言うと生活保護基準を念頭に置いての御質問かと思いますが、それよりも高くなくてはならないという考え方は私どもはとっておりません。もちろん生活保護基準の水準、そういったものも十分念頭に置きますけれども、やはり老後生活の衣食住を中心とした基礎的な部分を賄えるに足りるものであれば基礎年金として適当なものと言えるのじゃないか。同時に、年金の水準を考える場合に、保険料負担との関係を考える必要がございますので、そういった国民の保険料負担との関連において基礎年金の水準も決めていく必要があるというふうに思っているわけでございます。
○小沢(和)委員 今、予防線を張って、生活保護以下だということを前提にして局長が物を言われたのですが、そのことは今まで大分議論されていますから、私、繰り返そうとは思いません。私の周りでは、五万円年金というふうに政府が盛んに宣伝するものですから、この改正がなされたら自分たちもすぐにも五万円の水準のお金をもらえるのじゃないかと期待して、私などにそんな質問をする人たちもときどきおるのです。しかし、現実には全受給者の七割以上を占める二万円台の低年金あるいは無年金の人たちは、今度のこの改正では全くそのままで放置された状況になるのじゃないかと思うのですけれども、この人たちに対してあなた方は何らかの意味で改善を考えておるのですか。
○吉原政府委員 現在の年金の受給者につきましては、今後とも、物価上昇あるいは生活水準、賃金なりの上昇といったものを考えながらこれからも考えていきたいと思っているわけでございます。
 今度の年金改正の主なねらいは、あくまでも将来に向けて給付水準を適正化していく、あるいは国民の保険料負担の逓減を図っていくということでございまして、将来に向けて制度全体を安定的な確実なものにしていこう、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 今、現にこういう非常に低い水準にある人たちのことについては知らぬ、それから先のことだ、こういうような姿勢では私は困るのじゃないかと思うのです。あなた方がこういう人たちのことについて非常に関心がないなと思ったのは、午前中無年金者はどれくらいいるかという質問があったと思うのですけれども、結局ほとんど答弁らしい答弁がなかったと思うのです。無年金者は推定することも全く不可能なほどつかめないものなんですか。
○長尾政府委員 無年金者と申しますのは、被用者年金、国民年金、いずれかの制度によりましても年金権を獲得することのない人ということになろうかと思いますが、これを私どもの国民年金を所管いたしております第一線の市町村で把握するといたしますと、市町村の公簿上の資料によりますと、こういった方々が、過去に厚生年金その他共済組合等の被用者年金に加入しておられたかどうかという実績がつかめませんために、無年金者が確実に何人であるかを申し上げられないというふうにお答えをいたしたわけでございます。
○小沢(和)委員 だから、確実に何十何万何千何百何十何人と言ってくれなどということを言っているのじゃないのです。およそどれくらいか。よく四十万だ、五十万だというような話を聞くし、実際に私の周りでもしばしば、いかなる年金にも自分は該当しないのだというような人たちがいるのです。だから私は、いかにあなた方がそのことについて関心を払っておられないかということを示す一つの事実じゃないかと思って、そのことを改めてお尋ねしたわけです。
 そして、今後は改善をされてくいというふうなお話なんですけれども、きのうの新聞などによりますと、「年金は強制加入のため、厚生省は「ほとんどの国民に五万円が行き渡る」という。」というように報道してあるのですが、本当に今後、いきなりとは言いませんけれども、何年かぐらいのうちにはほとんどの国民に五万円が行き渡るような状況になるんでしょうか。
○吉原政府委員 正確に申し上げますと、四十年保険料を納めた方に対して六十五歳から五万円の支給をするというのが今度の年金改正の柱でございまして、ただ四十年というのは、この制度発足時に既に相当年齢に達している人については四十年の拠出期間というのが無理でございますので、その期間を二十五年から三十九年に短縮をしているわけでございます。その期間保険料を納めていただければ五万円の年金が出るということでございます。当然、その間に保険料の免除を受けた方については国庫負担分相当の三分の一しかその期間についてはつきませんので、五万円より低くなる、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 私は、今あなたも触れられたその免除者の推移などというのを考えてみただけでも、これは将来大変な事態になるんじゃないかと思うのですよ。昭和五十二年度の免除率が九・一%ですね。それが年ごとに確実にふえていって昭和五十八年で一六・七%、もう既に六人に一人という状況になってきているわけですね。ところが、これは全国平均なんですね。
 先ほどもちょっとお話がありましたから、もうあえて私からお尋ねせずに、いきなり数字を言うけれども、沖縄県などでは四三%というから、これはどうかしたら二人に一人ですよ。私の地元である福岡県が二五%というから四人に一人、こういうような人たちが免除を受けているということになるというと、これはもう本当に、今後しばらくたったら五万円の人が続出するなどと言っておられないのじゃないですか。しかも、今言いましたように、年ごとに着実にふえていく、これはもうしばらくしたら下がり始めるであろうとかというような見通しがどこかにありますか。
○長尾政府委員 免除の率がどういった指標との連関、相関があるかというようなことでございますが、私どもとしましては、経済情勢、一般の生活水準というようなものと関連が深いと思っております。
 今、先生おっしゃっていただきました免除率の高い府県を見ますと、確かに生活保護率等が高こうございますし、一人当たりの県民所得も低いところでございます。したがいまして、現在、全体といたしまして所得水準、経済の状況が大変不況でございますので、そういったことがこの数字に反映されているのではないかと思っております。
 もう一つは、先ほど申し上げましたのですが、国民年金の保険料が三カ月分まとめて納付していただくという仕組みになっておるということでございますので、この点も保険料の納入を困難にしておる環境にあるのではないかと思っております。
 この点につきましては、現在行っております毎月納付ということを推進する、または口座の振りかえを推進する。また、今回の制度におきましては六十四年までに毎月納付ということになるわけでございますが、こういった環境づくりを進めることによりまして、現在の水準より下がるような方向で努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
○小沢(和)委員 今の部長の答弁を聞いておりますと、三カ月分まとめてだから大変だ、だからこれを毎月支払えるようになれば大分緩和されるのではなかろうか。これは、私は実務担当者の努力の姿勢としては評価をして伺いたいと思うのです。しかし、こういうふうに免除者が非常にふえてきたというのは、この国民年金の保険料というのがかなり急激に上がってきていることと相関関係があるんじゃないのですか。だから、今後、あなた方が、この法案が通ったら六千二百二十円から早速六千八百円に上げて、毎年三百円ずつずっと水準を上げていく、最後一万三千円までもっていくということになったら、途中でたえられなくてはたばた落ちていく、こういうような状況になってしまう。とても、間もなく五万円年金が行き渡りますよなどというようなことは言えないのじゃないですか。
○長尾政府委員 免除率の長期間の推移を見てみますと、昭和三十六年の制度発足時におきましては実は免除率は一〇%を超える高い数字を示しておりまして、例えば三十七年、三十八年は一二・一というような数字を示しております。それで、その後保険料の面につきましては引き上げが行われておるわけでございますが、四十年代、いわゆる日本の経済が大変成長いたしました時期にはこれが下がっておりまして、一番下がりましたところで八%台まで下がっていったというような状況がございます。その後五十四年からこの部分がまた上がり始めだというような経緯になっておるわけでございまして、純粋に保険料だけでこの免除率が動くものとは言えないかと思います。で、先生御指摘のような、保険料自体がこの免除率の上昇に影響はなかったかということを考えますと、それは必ずしもそうとは言えないと思います。
○小沢(和)委員 保険料が今後さらに急激に上がっていく中で、しかも今、日本の経済もこれからそんな高度成長を遂げるというような状況じゃない、むしろ景気がよくても失業や倒産はふえているというような状況を考えてみるならば、私は非常に厳しく見ざるを得ないわけです。
 しかも、もう一つは、その一方で年金の給付される内容はこういうふうに悪くなってくるということになるというと、頑張って納めようという意欲が一層減退するんじゃないですか。ある人が私に言ったわけです。もう一方三千円を保険料として払うようになったら、一万三千円を四十年ずうっと掛け続けて、そして六十五歳から五万円の水準でそれを返してもらって、今日本人の平均寿命は、さっき話が出ていましたが男の場合だったら七十四歳ぐらいですか、そうしたら、九年といったらその一万三千円を四十年間払ったより少ないのですよ。そうしたら、利子分も国からの負担もそんなもの全然関係なしに、自分が払ったものが返ってくることもなしに死んでしまう、これじゃ納める気がしませんなと言われたけれども、全くそういうような状況じゃないかと思うのですよ。ぜひそういう民の声も聞いて考えていただきたいと思うのです。
 それでもう一つ、五万円年金というあなた方のふれ込みにもかかわらず、その水準を下げる大きな要因は老齢年金の繰り上げ支給の問題だと思うのですよ。これも調べてみてびっくりしたわけですけれども、五十二年度が繰り上げ率が五八・三%だった。これもまたずうっと一貫して上がっているのですね。五十八年度で繰り上げ率が何と六三・六%ということになっている。だから、三分の二の方は繰り上げてもらうということになるのですね。私の記憶では、たしか六十歳でもらうというと四十何%の減額率じゃなかったですかね。そうしたら、半分近くに減ってもいいから六十歳でもらいたいという人たちがこんなに出ておる。これもまた年金の水準を非常に下げてしまうということになる。どこから見ても、こういうような数字を幾つか見たら、もう五万円年金というのは結局手が届かずに終わってしまうのじゃないかという気がするのですけれども、どうですか。
○長尾政府委員 確かに先生おっしゃいましたように、繰り上げ請求の実績につきましては、五十一年末が五八%でございますが、現在それが六〇%を超えるような形で繰り上げの比率が高まっておることは事実でございます。
 この繰り上げの行われます実績をどういうふうに評価していくべきかということになるかと思うのでございますが、これは大変アバウトなお話で恐縮でございますけれども、一つの見当といたしましては、高齢者だけで生活をしている世帯、つまり年金が高齢者として生活の上で意味の非常に大きい世帯では繰り上げ受給をされず、お子さんと同居をしておられる世帯の場合に繰り上げ受給を希望する傾向が見られるというふうに言われておるわけでございます。こういうことを考えますと、年金についていわば生活の上に占める比率が低い場合に多い。例えば年金というもので生活をしているような方の場合には、一人前の年金額が出るまで待たれて年金を受給されるというような傾向があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○小沢(和)委員 私、大分五万円年金というのは手が届かないのじゃないかというお話をしたわけですけれども、私が結論的に言いたいのは、基礎年金がこういうような非常に暗い見通しになるというのも、もとはといえば、非常に高い保険料をしかも収入の低い人たちに掛けて、これを基礎にして基礎年金を形成していこうというふうにあなた方が考えたから、こういうふうな先行きの暗い話になってしまうのじゃないかと思うのです。
 私は、さっきも申し上げたように、基礎年金というからにはすべての六十歳以上のお年寄りに最低の生活を保障する、しかもそれも今直ちに保障するという立場で考えなければならないと思うのですけれども、それは、私は、この最低保障の年金というのをいわゆる保険料によって賄っていくという考え方ではどだいできないのじゃないかと思うのです。結局それは、国庫の負担あるいはまた企業の負担というものによって最低保障年金というのをつくり上げて、その上に皆さんが拠出をするものによって国民年金あるいは厚生年金を上積み年金として乗せていく、これでないとこういうような問題点は解決していかないのじゃないかというふうに考えるのですが、その点はいかがですか。
○吉原政府委員 いわば全額税金があるいは企業の負担で年金をやればいいじゃないかという御意見でございますが、多くを申し上げる必要はないと思いますが、実際問題として、そういった年金制度は今すぐ実現の可能性があるかということになりますと、私どもとしては、はっきりないというふうに申し上げる以外にないと思うわけでございます。
 それから、やはりこれからの年金制度の将来の運営あるいは発展ということを考えた場合にも、果たして全額税金の年金制度というものでやっていけるかどうかということになりますと、そちらの方が見通しとしてははるかに暗いものになるのではないかというふうに私どもは考えております。
○小沢(和)委員 いまさっきの説明ではっきりしていると思うのですが、私どもは年金制度全体を税金で貯えというふうに言っているのじゃないですよ。最低保障の年金制度をそういうものでつくれと。実際、何も社会主義の国を引き出さなくても、資本主義の国でも、もうあなたは専門家だからよく御存じのとおり、スウェーデンなどでは、いわゆる国民年金と言われるものについては事業主と国の負担でつくって、その上に付加年金などというのがあるわけですね。スウェーデンのを見てみると、付加年金までが事業主負担だけで運営されておるように私が見た資料ではなっておったけれども、私たちはそうまで言っておるわけじゃないのです。それは上積みの方は保険料でやったらいいじゃないか。既に日本では保険料によって運営する制度というのは根をおろしているのですから、だから、やる気のある、なしの問題じゃないか。政府として本当にそういう決断を下してやるということになるならばやっていけるんじゃないかというふうに私は考えるのですけれども、その可能性という点でさっき言われたんですけれども、可能性がないとかあるいは低いというのはどこですか。私は、それは政府の姿勢の問題だと思うのですけれども。
○吉原政府委員 どんな方式、特に財源調達をどんな考え方で年金制度を考えていくか、これは確かにいろいろ御議論がございますし、全額税金あるいは事業主負担、これは基礎年金だけについて申し上げても結構ですけれども、私はそういった考え方が考え方として成り立たないというふうに思っているわけではございませんが、我が国の年金制度の今日までの経緯、それから運営の実態を考えてみた場合、それから将来の年金制度、我が国の将来の経済なり財政、社会経済の変動の中で、年金制度というものをどういうふうに運営していくか、あるいはできるかということを考えた場合に、今すぐ全額税金で年金制度を発足させることが国民的な合意が得られるかというと、これは率直に申しまして、とても今国民的な合意は得られないだろうと思いますし、審議会等の議論でも、やはり従来の社会保険方式でやっていきなさい、それが一番いいと、こういう御結論、御意見をいただいているわけでございます。
 私どもとしては、あくまでも社会保険方式でやっていく、もちろん当然相当の国庫負担はその中に入れていく、それは当然でございますけれども、基本的にはそういう方式でやっていくべきだというふうに思っているわけでございます。
○小沢(和)委員 国民的な合意ということを言われたんですけれども、私は、これは、本当に年金の問題についてもっともっと国民的な討論を巻き起こしていく中で、だんだん私どもが主張しているようなことも理解をされていくんじゃないかと思うのです。だから、それは私も、いきなり今すぐそのことがぱっと国民の皆さんに一〇〇%わかるであろうとは思っていませんけれども、しかし、私は、年金問題を抜本的に解決する方向はそれ以外あり得ないというふうに考えております。
 時間もありませんから、もう一つお尋ねしたいのは国庫の負担の話です。先ほどからも議論が出ておりましたけれども、これだけ国民に大きな負担をさせておきながら、国の負担が減るじゃないかということです。私は、これはそれこそ国民の理解が得られないんじゃないかと思うのです。
 午前中、あなた方は数字を出すのを大分渋ったけれども、たしか六十五年には一千億、七十年には四千億、現在の制度のままでいったよりも減るというふうな計算を示されたと思うのですけれども、私どもの試算ではもっと大きくなるようになっております。六十一年度、つまり制度の発足の年が千二百十四億、六十五年度は四千四百五十一億、七十年度は九千七百五十四億というふうに、あなた方が示された数字よりは随分国庫負担が減る額が大きくなりますけれども、そのことについて論争しようとは思いません。
 要するに、こういうふうに国庫負担が減る傾向になるのだということはあなた方も認められたわけですね。国民にこれだけ負担をさせながら、国の方は、これは財政危機だからということかどうか知りませんけれどもちゃっかり減らす、私はこれは合意は得られないと思うのですが、どうですか。
○吉原政府委員 誤解のないようにしていただきたいのですが、国庫負担が現在よりも減るということはあり得ないのでございます。やはり、現在より国庫負担の額が減るということは将来にわたってあり得ない。今、大体二兆数千億の国庫負担を年金制度にしておりますけれども、将来とも、この改正案では三兆になり、四兆になり、例えば昭和六十五年度におきましては三兆三千億ぐらいの国庫負担になるだろう、こういうことになっているわけでございます。
 ただ、保険料負担あるいは給付費総体との関係におきまして、現行制度のままにしておきますと保険料負担が大変なことになる。厚生年金について言いますと保険料負担が三八%、その程度の保険料率になる。それを二八%程度にする。それと同時に国庫負担等も、給付全体の率、国民の負担、保険料負担だけじゃなしに国庫負担に対する国民の負担、そういったものも国民の負担限度の範囲内に適正なものに抑制をしたい、こういうことでございまして、国庫負担の額そのものがこの制度によって減るということは絶対あり得ないということを御理解いただきたいと思います。
○小沢(和)委員 それは、私もまるっきりの素人じゃないのですから、絶対額そのものが減るであろうなどということを言っているわけじゃないのですよ。今度の改革が行われた場合と行われなかった場合と比較すればこういうような差が出てくるじゃないかということで議論しているのですから、それはわかっての話なんです。
 きのうの朝日新聞の記事で出ておりましたけれども、この年金法の改正によって、いわゆる行革特例法による年金関係の歳出削減額にほぼ見合うぐらいの額を国庫負担としてカットできるという見通したというような記事が載っておりました。これは、さっき言いました六十一年度一千二百十四億ぐらい浮くのじゃないかというふうに我々が試算した、むしろそれを裏づける記事のようにも思うのです。そのことは一言指摘だけしておきたいと思うのです。
 私、この機会にもう一言質問をしておきたいと思うのは、こういう国の負担をできるだけ減らしていこうというのは、結局のところ、いわゆる臨調からそういうことを指示されて、それでやるということになってきたのではないかというふうに考えますけれども、その臨調との関係などはいかがですか。
○吉原政府委員 臨調でも、確かに年金制度についての改革を早急に進めるようにという御意見をいただいております。ただ、私どもは、単に臨調から御意見、御指摘をいただいたからやるということではなしに、やはり将来の人口の高齢化、高齢化社会の到来、あるいは人生八十年時代の到来、そういったものにふさわしい年金制度にしていこうということでやっているわけでございまして、臨調の御指摘があったからこの改革をやろうということではございません。
○小沢(和)委員 臨調の問題で私、大臣にぜひ一言お尋ねをしておきたいと思うのですが、いわゆる臨調路線というのがどんどん推し進められてくる中で、新聞などでもよく書いておりますけれども、ここ数年前と比較してみるというと、軍事費だけは二二・三%も伸びておりますけれども、社会保障費はわずか五・五%しか伸びない、実質的には当然増になるようなものまでどんどん社会保障関係については削られてくる、こういう状況になっているわけですね。そして、おととしは老人の医療費が有料化をされる、そしてつい最近は健康保険の本人が一割負担、今度は年金、こういうふうにもう社会保障関係が集中攻撃を浴びているわけですけれども、軍備などはどんどんふえていく中で社会保障費がこんなにまで削り込まれていくということたついて、私は、年金もそういう一つの流れの中で、国庫負担を大幅に減らせということがやはり至上命令になって、その面からもこの法案というのは成立が急がれているのだと思うのですけれども、大臣の立場でその辺どうお考えになりますか。
○増岡国務大臣 この年金改正、案につきましては、決してそのような立場ではございませんで、長期的な年金制度の基礎の安定を図ってまいりたい、また給付と負担の公平化もやってまいりたいということからスタートした改正案でございます。
○小沢(和)委員 時間がありませんから、この国庫負担との関係で、今行革特例法という名前が出ましたので、そのこともちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、この行革特例法が今年度いっぱいで終了することになっているわけですね。ところが、今私が引用しました昨日の新聞記事によるというと、大蔵当局はこれを延長する意向だ。つまり、相変わず厚生年金の四分の一カットを続けるということかと思うのですけれども、このようなことについてはあなた方の方はどうお考えになるのか。むしろ、私は、今年度で終了させろ、そして積極的に早く返してくれという意思表示をしなければならない立場じゃないかと思うのですが、この点についての御見解をいただきたいと思います。
○吉原政府委員 特例法の期限が今年度で切れるということはそのとおりでございますが、これを延長するかどうか、私どもまだ結論を出しているわけ。やございませんで、ことしの予算編成時点におきまして政府全体として結論が出されるものというふうに思っております。
○小沢(和)委員 いや、だからあなた方としてはどうされるおつもりなのか。私どもとしては、ことしで切れるんだからもうそれでやめてもらいたい、そして、今までの分についてはどういう形で返還をしてもらうかはっきりさしてもらいたいということで、意思表示をすべき立場ではないかと言ってお尋ねをしておるわけですよ。
○吉原政府委員 私どもとしては、特例法の期限が三年、今年度限りでございますから、そういうことで来ておりますので、そういう結論が出されることが望ましいとは思っておりますけれども、最終的にどうするかは、年末の予算編成のときに、厚生年金だけの問題ではございません、ほかにもいろいろな特例措置があるわけでございまして、その期限が来るわけでございますので、全体として政府として適切な結論が出されるものというふうに思います。
○小沢(和)委員 時間も迫ってまいりましたので、あと厚生年金のことで一言お尋ねをしたいのです。
 よくあなた方が、現在の給付水準はほぼ維持するということを言われるのですけれども、厚生牛金について言いますというと、六十歳でもらうようになった場合でも、奥さんの部分についてはこれはもらえない。だから、そのために実際には非常に大きな減額率になるんじゃないですか。四十年の勤続で大体十七万六千円ということで言われるのについて計算してみるというと、十四万一千円になるわけでしょう。本来だったら、ずっと納めておったら、四十年で今のままでいけば二十一万一千円になるはずのものから見るというと、三三・二%もの減額になるわけです。
 私、特に今言いたいのは、ほぼ給付水準を維持するということで十七万六千円というふうに言われるけれども、実際には十四万一千円ぐらいにこの人たちは切り込まれていくということですよ。特に奥さんが、平均するというと日本人は大体三歳ぐらい年下だということになるから、この奥さんの年金をもらえるようになるのは御主人が六十八歳ぐらいになるわけですね。そうするというと、六十歳から六十八歳まではこれだけ水準がダウンした中で生活しなければならないという点、これは非常に深刻な問題じゃないかと思うのですね。あなた方はもうこれはしようがないということじゃないかと思うのですけれども、私どもはこれはしようがないでは済まないのではないかと思うのですがね。この点、どうお考えですか。
○吉原政府委員 やはり、年金をもらう年齢というものを何歳ぐらいからというふうに考えるのが適当かという問題が一つあるわけでございまして、基礎年金というのは、あくまでも夫婦とも六十五歳のときからそれぞれ五万、合わせて十万の年金がもらえるようにしよう、こういうことでございます。
 厚生年金につきましては、従来の夫婦単位といいますか世帯単位の年金というものを個人単位の考え方に改めていく。その結果、おっしゃるような、奥さんが六十五歳にまだ到達しておられない若い場合の年金水準が今までよりも低くなるということは確かでございますけれども、それはやはり給付水準の合理化、適正化、そういうことの結果としてそういうことになるというふうに私どもは考えているわけでございますし、また、こういった措置も急にそうなるということではございませんで、約二十年ほどの経過期間を置いて徐々にそういった給付水準の適正化をとっていきたい、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 婦人の年金権を確立するということで、あなた方が大変格好のいいキャッチフレーズを打ち出したわけですけれども、実際に婦人の年金権確立ということで実益が出てくるのは、離婚したときと障害を受けたときというぐらいで、現実には、大部分の奥さん方には、六十歳で厚生年金を御主人がまさにもらうようになっても、自分自身が六十五になるまではもらえないというのが、婦人の年金権が独立をしたという実践的な大部分の奥さんにとっての結果だということになってしまうわけでしょう。これは私は考えてもらわなければいけないと思うのです。御主人については、もともとが六十歳からだったというので、あなた方は、特例支給ということですけれども、御主人の五万円に当たる部分については出すわけですね。そうだとしたら、奥さん方の分についても、やはりそういう期待権というのは尊重して考えていくというようにしなければ私は不公平じゃないかと思うのです。その辺さらに考える意思はないかということをもう一遍お尋ねをして、終わります。
○吉原政府委員 奥さんが六十五歳以前の方につきましては、基礎年金は出ませんが、従来どおり厚生年金から一万五千円の加給金の対象にはする、こういうことにしているわけでございます。ですから、具体的に違いますのは、そういった加給金の問題にかかわってくるわけでございますけれども、やはり将来の年金の給付水準というものをどういうふうに適正化していくかということを考えた場合に、今までどおり年金をそのままにしておきますと、どうしても将来の年金の給付というものが大変なことになって負担も大変なことになる、こういうことでございますので、確かにその部分は今の制度と比べますと年金額が減る部分でございます。減る部分であることは確かでございますけれども、年金制度の給付全体としては合理化なり適正化という考え方で御理解をいただきたい、私はこう思っているわけでございます。
○小沢(和)委員 理解できません。
○戸井田委員長 野呂昭彦君。
○野呂委員 大変お疲れのところでございますけれども、あとしばらくということでお願いを申し上げます。
 私はまだ一年生議員で、駆け出しの立場でありますけれども、若いという立場から考えますと、若いがゆえに、より一層、来るべき二十一世紀の時代というのがどういう時代であるのか、大きな関心と、そしてまた、さらにより一層大きな責任を感じておるようなことでございますけれども、今、我が国が国際化だとかあるいは高齢化社会を迎えようとしておる、あるいはまた社会が成熟化していくなどと言われておるわけであります。こんな中で、年金に対するところの国民の期待と関心というのは大きな高まりを見せてきておるわけですが、しかし、同時に、いずれこういう年金制度が破綻していくのではないだろうか、破滅するのではないだろうかという漠然とした不安が高まっておるのも事実でなかろうかと思うわけであります。私は、戦後すぐの生まれ、団塊の世代のちょうど始まりのところであります。私ども、その同じ若い立場で、年金なんかの話が出ますと、どうせ年金に頼っておったってもらえなくなるのではないか、こんなことを言う人も若い人たちの中にも少なくないわけであります。こういう不安に対しまして、年金制度の現状を明らかにしつつ解決へ向けての処方せんを出していく、これはまさに政府としての大きな責任であろうかと思うわけでございます。年金のこの改正案についても、既に前回、またさきの国会に引き続き閉会中の審査あるいは地方公聴会を通じて、もう問題点も相当出されてきたと思うわけであります。
    〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
 そこで、改めて、今回の改正につきまして背景とねらい、そしてまた、今回の一番のポイントは基礎年金の導入をしたということであるわけでありますが、その辺のねらいにつきまして、まず大臣から承りたいと思います。
○増岡国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、将来の年金に対する不安感というものは、年代の若い方々にこそ強いわけでございます。
 したがって、そういう制度でありますけれども、なおその制度の中に制度間の格差がある、あるいはまた基盤の強い、弱いがありますけれども、この年金を改正するにつきましては、基盤の安定と負担と給付の格差の是正ということが中心になっておるわけでございます。したがって、基礎年金というものを導入しておりますけれども、この導入によって安定し、なおかつ、公平な制度の実現を図ろうというものであるわけでございます。それだけに同氏の期待も強いものがあろうと思いますので、ぜひとも一日も早く御審議を議了していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
○野呂委員 今、大臣から、この法案成立にかける強い御意思、政府としてのお立場をお聞きさしていただいたわけであります。今、この基礎年金というものは国民のすべてがひとしく加入するということになっておるわけですが、議論の中で、この基礎年金の部分を社会保険方式ではなくて、税方式でやってはどうかという議論がかなり出てきておったわけであります。外国におきましてはそういう例もあるようでございますけれども、今の日本の現状から社会保険方式、こういう立場でおとりになったということについて、改めてお伺いをしておきたいと思います。
○吉原政府委員 先ほどからの御議論にもございますように、年金を基本的に税方式でやるかあるいは社会保険方式でやるか、二つの考え方があるわけでございますが、私どもは、いろいろな方、各方面のいろいろな御意見を聞いた上で、将来とも日本の場合には社会保険方式でやることが望ましい、いくべきであるという結論になったわけでございます。社会保険審議会でもいろいろ御議論をいただいたわけでございますが、その最終的な御意見は、今これを読み上げますと、「これまでの公的年金制度の長い歴史に鑑み、加入者が給付と負担の両面に係りあいを持つ社会保険方式を維持すること。」というような、非常に短い文章でございますが、そういった御意見、結論になったわけでございます。
 やはり日本の、国民年金にいたしましても厚生年金にいたしましても、共済もそうでございますが、すべての制度が拠出制年金として発足をし、もう三十年、四十年の歴史を持っている。その中でこれからの年金制度の安定、健全な発展を考えた場合に、やはりその税方式にこの際一挙に変えるということは実際問題としてなかなか難しいことだと思いますし、仮に税方式がいいということにいたしましても、例えば基礎年金部分だけを税でやるにいたしましても、一挙に六兆円の財源が必要なわけでございます。六兆円の財源を一体どういうふうにして、どんな財源、どんな税として国民に負担をしていただくのかということになりますと、御案内のようなこういういろいろな問題を持った時期でございますし、現在のような社会経済あるいは財政状況のもとで税でやるということは、いわば率直に申しまして、言ってみるだけで現実性といいますか、なかなかそれは難しい。そういった意味で、国民的なコンセンサスも得にくいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○野呂委員 さっきの大臣のお話でも、年金の長期的な安定ということを考えていかなければならない、ところが切迫した状況があるわけで、そういう中でいわゆる社会保険方式というふうな立場をとらざるを得ないんだ、こういうことであろうかと思うわけでございます。
 最初私も申し上げましたように、今度のこの年金改正というものが、公平といいますか、世代間の公平ということが、特にこれは、制度間の格差の是正の問題とともに大変大事な問題であろうかと思うのです。やはり長期にわたってそういうものが安定的に運営されるということでなければ、私どもの世代の若い人たちの不安というものは大変大きなものがあろうかと思います。
 それで、この年金改正に、先ほどの基礎年金の導入ということで四つの大きな柱を、導入の点とほかにあと三点、大きな柱として厚生省は挙げておられるわけであります。それは基礎年金の導入と給付の負担の適正化、そして婦人の年金権、障害年金の充実、こういうことになっておるわけであります。
 そこで、婦人の年金権のことにつきましては、離婚等による無年金の解消というふうなことがありますし、夫婦世帯と単身世帯の水準の適正な分化というもの、こういうことを中心に、サラリーマンの夫人の方々を中心にこの改正の意味合いは大変大きいのではないかと思います。
 もう既に議論も出ておったと思うのですが、いま一度確認をさしていただきますが、遺族基礎住金に絡んで母子年金あるいは準母子年金、遺児生金というものは遺族基礎年金になるわけでありますが、母子福祉年金もそういうふうな同じ処置になるということでございます。そうすると今回、今月額三万二千七百円というのが今年度の改正で三万三千三百円になり、それが六十一年の四月からは子供二人の場合に八万円、これは大変大幅な引き上げになってまいるわけですが、そういうことで承知しておいていいわけでございますか。
○吉原政府委員 従来の国民年金による母子福祉年金及び準母子福祉年金の支給要件に該当する方は、この法律が成立後は遺族基礎年金が支給をされる、こういうことになるわけでございます。
 それから、現在既に母子福祉年金なり準母子福祉年金を受けておられる方がどうなるかといいますと、その方も、厳密に言いますと裁定がえをして、新法による、新制度による遺族基礎年金が支給をされるということになるわけでございます。
 この場合の年金額がどうなるかということでございますけれども、今も御質問の中にございましたが、子供が一人いる場合の金額はどうなるかと申し上げますと、五十九年スライド後の母子福祉年金の金額は月額で三万三千三百円でございますが、制度改正後、六十一年からはこれが六万五千円になる。それから、子供二人の場合には三万八千三百円が八万円、子供三人の場合には四万三百円が八万五千円、こういうことになるわけでございます。
○野呂委員 福祉年金の該当者というのは数としては少ないというようにお聞きはしておるのですが、大変な福音であろう、こう思うわけであります。婦人の年金権の確立とともに、障害年金の充実ということ、これは殊のほか大きな柱の一つではないか、こう思うわけであります。障害者の方にとりましては、これはまさに大きな福音であり、一日千秋の思いで待っておられることだと思うわけであります。
 この障害年金の改正については、幾つかの点があるわけであります。特に、障害年金受給者の半数以上に当たります障害福祉年金の受給者が、先ほどの母子福祉年金と同じでありますが格差が是正される処置がとられるということ、それから、国民年金にはなかった子の加算が新たにつくことになること、厚生年金の事後重症の五年制限が撤廃されること、さらに障害福祉年金の所得制限の改善が、扶養義務者の所得制限がなくなって本人所得の制限だけになる、そして、年金ではないけれども特別障害者手当の支給が創設される、こういう点があるわけでございますが、この一つ一つ、大変画期的なものでもありますし、障害者の方々の切なる願いというものが込められてきておったものでございます。私も、障害者の関係の方方に個人的にもいろいろとお話を聞き、また、党としてもこの方々の切実な叫びというものを耳にしてきたわけであります。
 そこで、この障害年金の細かいところで、既に議論も出ておったかと思いますが、少し取り上げてお聞きをしてまいりたいと思います。
 先ほどもあったかと思うのですが、障害の等級につきまして、厚生年金と国民年金で仕組みあるいは基準が若干違うところがあるわけであります。改正後の等級の取り扱いがどうなるか、確認の意味でもう一度お聞きをいたします。
○吉原政府委員 障害等級の取り扱いでございますけれども、現在、国民年金は障害等級というのが一級と二級の二つに分かれておりまして、日常生活の用がどの程度足せるか、どの程度それが制限を受けるか、そういった観点から等級表が定められているわけでございます。一方、厚生年金の方は等級が一級から二級、三級までございまして、こちらの方は、労働能力がどの程度制限を受けるか、あるいはそれがなくなってしまったかというような観点から障害の等級が定められているわけでございますが、今度、両制度に共通した給付として基礎年金、障害者に対しましては障害基礎年金というのができるわけでございますけれども、当然、障害の程度あるいは考え方というものを合わせる必要があるというふうに思っておるわけでございまして、この新制度におきましては、国民年金、厚生年金の障害等級表というものを一本化をしたいというふうに考えているわけでございます。
 障害基礎年金の対象としては、国民年金の現在の一、二級の二段階の障害等級で考えていきたい。その場合に、日常生活の用をどの程度足せるかという観点からの等級表を定めたい。これは、法律が成立いたしましたならば、専門家の御意見を聞きながら最も適切妥当な等級表を定めていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
 従来の厚生年金の三級につきましては、先ほどもお話がございましたけれども、これをやめるということではなしに、三級障害の方につきましては、従来の基礎年金は出ませんけれども、報酬比例部分について障害年金をこれまでどおり厚生年金の独自の給付として出すことにしていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○野呂委員 今度は事後重症のごとでございますけれども、これは五年制限が撤廃されるということで、既に過去に涙をのんでいる人も適用されるということでございますね。それで、先ほどの質問に出ておりましたが、対象者が今現在で推定できるのは二万二千人くらい、こういうことであったかと思います。事後重症の関係者の方々の期待感というのは相当大きなものがあると思いますし、緊急度も高いのではないか。
 これは当初八月一日から実施をしたい、こういうことであったわけであります。本改正案はまだ成立がおくれているわけでありますが、成立した段階で直ちに施行いたす考えであるのかどうか、これを確認しておきます。
○吉原政府委員 この事後重症制度につきましてはできるだけ早く施行実施に移したいというふうに思っておりまして、最初は、現在御審議いただいております法案では、実はことしの八月からもう実施をさせていただきたいということであったわけでございますが、法律の成立がまだでございますので、私どもとしては、できるだけ早く成立をさせていただいて若干の準備期間、三カ月程度以内の準備期間をいただきまして、この事後重症制度だけは六十一年四月を待たずに実施に移させていただきたいというふうに思っております。
○野呂委員 今回のこの障害年金の改善というのは大変画期的なものだと思うわけでありますけれども、今の事後重症の年齢制限の撤廃だけでも二万二千人からの人が新たに救われる。そして、これまでの年金を既に受けておられた方々を足しますと、これでその恩恵を受けられる障害者の方々というのは大体どれくらいの人数になられるのでありますか。
○吉原政府委員 今まで障害福祉年金を受けておられた方が障害基礎年金の支給ということになるわけでございますが、こういったことで額が大幅に改善をされる、その対象者は約六十二万人でございます。
 それから、事後重症制度の改善の対象になる方は、今もお話がございましたが、約二万二千人でございます。
 それから、扶養義務者等の所得制限を撤廃することにしておりますが、その対象になる方は約五千六百人ぐらいでございます。
○野呂委員 そうしますと、これにさらに、福祉年金でないところのあれがまだあるわけでしょう。
○吉原政府委員 拠出制の国民年金を受けておられる方についても若干の改善が図られることになっておりまして、具体的に申し上げますと、国民年金の一級の方につきましては現在月額五万九千七百七十五円が六万二千五百円、それから二級の方につきましては四万七千八百十七円が月額五万円、基礎年金相当額に上がるということになるわけでございまして、国民年金の一級の受給者の方は現在十五万六千人、二級の方は十三万人、合計で二十八万六千人ということになっております。
○野呂委員 この関係者の方々、相当な数に上るわけでありますし、その障害者の方々のすぐ近くで取り巻いておられる関係者の方々、あるいは国際障害者年に始まりまして大変世論の高まりというものもあるわけでございます。そういう意味から、この障害年金の改革ということの内容につきましては大変期待するところが多いのではないかと思うわけであります。
 先般の地方公聴会の中で御報告にもありましたが、障害者の代表から、今回の年金改正は一方的な恩恵と思いたくない、これが呼び水となって自分たちが支える方の立場に立つのだ、こういう御意見の陳述もあったわけであります。障害者の方方の自立のためにどれだけ大きな支えになるんだろうと思いますと、想像を絶するところがあるんじゃないかと私は思います。大臣、ひとつその辺の所感を……。
○増岡国務大臣 障害者の方々が、こういう法改正を契機にますます自立自助の精神を発揮していただくことが、大変社会にとっても有意義なことであろうかと思います。
 なお、今後ともいろいろな面で、厚生省と力を合わせながら、そういう方々が本当に社会にお役に立つことができますようなそういう施策を進めてまいりたいと思います。
○野呂委員 大変力強い御答弁であります。障害者の方々にも早く喜んでもらえるように、一日も早く改正案を成立させなければならないと思うわけであります。
 そのほかにも大変重要な内容を含んでおるこの法案、今、分離して本体の方はゆっくりとというような議論も出ておるわけでありますが、私ども、これは緊急に急がなければならないということを強く思っておるわけであります。政府もそういう意味で、大臣もたびたびおっしゃっておられるわけでありますが、いま一度その御決意を一言だけお述べいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○増岡国務大臣 御承知のように、日本じゅうの年金の負担と給付の公平と基盤の安定を図るわけでありまして、その基盤になりますのは、被保険者の九割、五千二百万人を超すこの厚生年金、国民年金の確立が何よりも大事でありまして、これができなければ、ほかの年金制度というものもどういう方向に進んでいっていいかわからないというのが実情でございますので、ぜひとも一日も早く御審議、御議了いただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
○野呂委員 どうもありがとうございました。
○愛知委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十一分散会
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