第102回国会 科学技術委員会 第3号
昭和六十年三月十九日(火曜日)
    午前十時三分開議
出席委員
  委員長 鳥居 一雄君
   理事 平沼 赳夫君 理事 大原  亨君
   理事 渡部 行雄君 理事 矢追 秀彦君
   理事 小川  泰君
      有馬 元治君    伊東 正義君
      櫻内 義雄君    若林 正俊君
      小澤 克介君    遠藤 和良君
      和田 一仁君    山原健二郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     宇賀 道郎君
 委員外の出席者
        参  考  人 
        (大阪大学教授)難波  進君
        科学技術委員会
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月九日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     山原健二郎君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  佐々木良作君     和田 一仁君
同日
 辞任         補欠選任
  和田 一仁君     佐々木良作君
    ―――――――――――――
三月六日
 放射線被曝線量の規制緩和反対等に関する請願
 (小澤克介君紹介)(第一八八〇号)
 同(土井たか子君紹介)(第一八八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件(レーザー
 科学の研究開発の問題)
     ――――◇―――――
○鳥居委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件、特にレーザー科学の研究開発の問題について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として大阪大学教授難波進君の御出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鳥居委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○鳥居委員長 この際、難波参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 本日は、レーザー科学の研究開発の問題につきまして、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、議事の順序についてでありますが、まず参考人に一時間程度御意見をお述べいただき、次いで委員の質疑に対して御答弁をお願いしたいと存じます。
 それでは、難波参考人にお願いいたします。
○難波参考人 ただいま御紹介いただきました難波でございます。きょうは、こういう晴れがましいところでお話をする機会を与えられまして、非常に光栄に存じておる次第でございます。
 レーザー科学の進歩というものは最近非常に目覚ましいものがあるわけでございますが、私はレーザー科学というよりレーザー技術という方が専門でありまして、話はむしろそちらの方になるかと思います。
 今世紀のエレクトロニクスの分野での二大発明ということでございますが、よく言われるのがトランジスタの発明とレーザーの発明というわけであります。戦時中非常に強力に進められたレーダーの研究成果、それの発展上にトランジスタあるいはレーザー、そういうものの発明があったわけであります。御承知のように戦時中レーダーの研究というものが非常に強力に進められまして、これは主として米国を中心に行われたわけでありますが、ここに史上例を見ないような頭脳の集中と研究費の集中といいますか、それも時間的な制約を伴っての、いわゆる今の言葉で言う非常に大きなプロジェクト研究というのが行われたわけであります。それに伴って当然レーダーは非常に進歩したわけでありますが、それの基礎としていろいろな研究が行われまして、その発展上にトランジスタの発明とレーザーの発明、そういう大きな成果が出ておるということが言えるかと思います。
 それで、最初に私ごとで恐縮なんですが、戦時中の原体験といいますか、そういうものをちょっと話しておきたいと思っております。
 私は戦時中十六から十七ぐらいにかけて海軍兵学校へ行っておりまして、そこで二年間ほど教育を受けたわけでありますが、その教官連中が前線から帰ってきまして異口同音に言っていたのがレーダーにやられたということで、それをいつも聞いておったわけであります。第二次世界大戦の決定的な敗北は、最後は原爆で行われたわけでありますが、その前に海軍が壊滅したのは、飛行機の差もありますが、主として伝統的な海軍の戦術で言いますと測距儀とレーダーの戦いで、レーダーの方が当然すぐれておったということが言えるわけであります。そういうことがあってかどうか知りませんが、我々のクラスメートで戦後大学へ行った連中の中には、通信工学へ行った連中が非常に多かったわけであります。最近、教育問題が非常に注目されていろいろ臨調なんかで取り上げられておりますが、そういう少年時代の原体験というものがその後の人生にかなり大きな影響を及ぼすと思えるわけであります。
 それで、ちょうど大学へ行っておりますときに、昭和二十二年でありますがトランジスタの発明がありまして、そのすぐ直後に、昭和二十四年でしたか、その当時東北大学の渡辺教授が全国を行脚されてトランジスタなるものを解説して回られたわけであります。二十四年にその話を聞いて非常に感激したわけでありますが、その後二十五年に大学を出てすぐ理化学研究所へ入りまして、研究に入ったわけであります。研究を始めてしばらくして、昭和二十八年ですか、ノーベル賞をもらったタウンズという先生、これはメーザーからレーザーの研究でノーベル賞をもらった方でありますが、その講演がありまして、そこで初めて分子を使った発振器というアイデアが示されたわけであります。
 私は、その後昭和三十年ごろから、原体験があったせいかもしれませんが、光変調という研究に入っていきまして、光変調に有効な結晶の製作とか、光を変調するのにとうやったら一番有効に変調できるかというふうな研究をやっておったわけでありますが、三、四年研究しておりましたころ、トランジスタの延長線上にあるマイクロエレクトロニクスという分野が非常に活発に研究をされ始めたわけであります。これは人工衛星が上げられたこととも非常に関連が深いわけでありますが、あるいはアメリカのミサイルなんかの研究と関連してでありますが、そういうものに搭載する電子機器を非常に小型化しなければいかぬというので、マイクロエレクトロニクスの研究が非常に強力に取り上げられたわけであります。私は光変調の研究をやっておったわけでありますが、それが一段落しましてちょっと行き詰まっておるときにちょうどマイクロエレクトロニクスの研究というものが出たものですから、そちらに方向転換いたしまして、その後マイクロエレクトロニクスの基礎的な研究ということで、電子ビームによる微細加工とか、あるいはそれに関連して、しばらくしてまたレーザーが出た後レーザー加工なんかもやってまいりましたが、いわゆる電子ビームとかイオンビームとかレーザー、そういうビームを使った半導体のプロセスというのを中心に研究を進めてきておるわけであります。
 ちょうど光変調の研究からマイクロエレクトロニクスの研究に切りかえたころ、昭和三十五年にレーザーの発明があったわけであります。これは私にとって非常に残念なことで、光変調の研究を続けておりましたらすぐレーザーの研究に結びつけたわけでありますが、ちょうど中断してマイクロエレクトロニクスの研究がスタートしたときにレーザーの発見が報ぜられたものでありますから、すぐにそちらに研究を進めることができなくて、二年ほどおくれて研究がスタートするようになったのであります。いずれにしましても、何らかの意味でエレクトロニクスの二大発明であるトランジスタの延長線上にあるマイクロエレクトロニクス、現在で言うとLSI、超LSIという分野と、それからレーザーの延長線上にあるレーザー加工とかレーザープロセスあるいはレーザーによるレーザー誘起化学とか、そういう分野の研究の両者に携わることができたことは非常にラッキーだったというふうに考えております。
 それで、年代的に言いますと一九六五年、昭和四十年ころがしSIの研究が始まったころでありますが、ちょうど昭和三十年から昭和四十年ごろにかけて、我々が若い研究者であったころの米国のその方面における圧倒的な強さというのは非常にかけ離れておりまして、日本からたまにアメリカへ行ってみると驚くようなことはかり見聞きしたのでありますが、それから十数年たった昭和五十年代になってきますと割合に米国の技術と日本の技術が接近してまいりまして、現在ではそんなに離れてないという感じが非常に強いわけであります。分野によっては、例えば軍需とかそういう分野では、日本では研究する体制ができてないものですから依然としてかなり差は大きいわけでありますが、民需に関係するような問題ではかなり接近しておる。あるいはある面では多少日本の方が米国をリードしておる面もあるという状況でありますが、昭和三十年代に研究をやっておったころから見ますと、非常に今昔の感があるわけであります。
 現代は情報化社会になるわけでありますが、それはコンピューターテクノロジー、コンピューターと光通信といいますか、そういうものの二本の柱で支えられておるということが言われておりますが、そのコンピューターのもとになっておるのが、トランジスタの発明からしSI、超LSIと進んできた半導体技術であります。また光通信に結びつくもとがレーザーの発明にあるわけでありまして、まさしく現代の情報化社会というのは、そういう終戦直後にありました二大発明によって方向づけられておるというふうに言ってもいいかと思います。
 資料をお配りしておりますので、それによってレーザー科学の研究開発の概略をお話しいたします。
 最初に、レーザーがなぜそんなにいいかということを説明していかなければいかぬわけでありますが、これは既にこの前、霜田先生からのお話もあったと思いますが、レーザー光の非常に特徴的な性質にかかわっておるわけであります。その一つは、非常に可干渉性が大きい。可干渉性がよくて、それはとりもなおさず単色性がいいということになるわけでありますが、そういうレーザー光の一番大きな特徴があるわけであります。気体レーザーでは、同一位相で光を放出する時間、といいますから、光が波として続いておる時間でありますが、それが最も長い場合で〇・一秒くらい続いておる。〇・一秒といいますと、光の進む速度が毎秒3かける10の10乗センチメートルでありますから、3かける10の7乗メーターでも干渉し得るというわけであります。これに対しまして従来のこういう螢光灯なんかの光ですと、同一位相で発振する時間というのはせいぜい10のマイナス9乗秒程度でありますから、干渉する距離もせいぜい数十センチを出ないというものであります。そういうレーザーでは可干渉時間が長いということは、当然スペクトル線幅も非常に狭く、非常にシャープな単一波長の光を出しておるということが言えるわけであります。レーザー光の一つの大きな特徴が単色性ということにあるわけでありますが、その特徴を生かした応用がいろいろまた発展しておるわけであります。
 それからもう一つは、非常にいい指向性を持っておるということが言えるわけであります。平行度が非常によいということで、光の開き角は気体レーザーでは10のマイナス4乗ラジアンから10のマイナス3乗ラジアン、固体レーザーで10のマイナス3乗ラジアンから10のマイナス2乗ラジアンといいますから、気体レーザーでは大体何秒というオーダー、固体レーザーで分のオーダー波になるわけであります。太陽光線はどのくらいかといいますと、今までは太陽光線は平行光線だと言われておったわけでありますが、その開き角は10のマイナス2乗ラジアンでありますから、固体レーザーの悪い方と大体似たようなところであります。すなわち、この指向性を使ったいろいろな応用が出てきている。例えばお月さんまで行っても余り広がらないとか、したがってお月さんに鏡を置いてきて、地球上でその鏡の反射光をとらえるということも可能になるわけであります。
 それから、三番目に高出力性というのが言われております。これは、パルス発振の固体レーザーでいいますと非常に大きい10の13乗ワット、もっとそれ以上にも達しておるというわけで、これは後ですぐ応用に出てまいりますが、レーザー核融合なんかには非常に高出力であるということを応用するわけであります。それから、連続発振の気体レーザーで最高五十キロワット程度の出力が出ております。これはレーザー加工とか、そういうものに応用としてはつながるわけであります。比較のために、太陽光線が地球表面でどのくらいの照射量がといいますと、一平方センチ当たり〇・一ワットですね。それに比べてレーザーがいかに大きなパワーかということがわかるかと思います。したがって、こういう高出力で指向性のよいレーザー光をレンズで集束いたしますと、非常に小さい部分に非常に大きなレーザー出力を投入することができるということで、種々の加工あるいは核融合等に使えるわけであります。
 その四枚くらい後に表がございますが、表1というのにいろいろなエネルギー源でどのくらいの最小スポット面積が得られるかということをちょっと示しております。例えばよく溶接なんかに使われておりますアセチレンガスですね、それが最小スポット面積が10のマイナス2乗平方センチ、したがって強度といいますと10の4乗ワット・パー平方センチメーターということになるわけであります。太陽光がそれより一けたスポット面積が小さくて、したがって強度が一けた大きいというぐあいになります。それから最近よく使われております電子ビーム、溶接なんかに非常によく使われておりますが、電子ビームが最小スポット面積が昨平方センチ、強度が10の9乗ワット・パー平方センチということになります。それに対してレーザーは、最小スポット面積は電子ビームよりも少し劣って10のマイナス5乗というふうに大きいわけでありますが、レーザーの方が強度は強いということで10の9乗ワット・パー平方センチぐらいになります。それから、パルス発振ですと多少スポット面積は大きくなりますが、強度は瞬間的に非常に強い強度が得られるので10の17乗ワット・パー平方センチメーターということになり、ほかの方法では考えられないような大きな瞬間的なレーザー出力強度が得られるわけであります。
 それから、もう一つのレーザーの重要な性質に、非常に短パルスにできるということが言われます。レーザーでは光の放出時間というのを非常に短く制御することができます。パルス幅にして、今まで最高が10のマイナス14乗秒程度のレーザー光のパルスを得ることに成功しております。10のマイナス14乗秒といいますと、光の進む距離にしまして約三マイクロメーターぐらいでありますから、千分の三ミリぐらいです。我々の実験室でもこういう10のマイナス14乗秒には行ってないわけでありますが、10のマイナス12乗秒ぐらいの実験はいつもやっておるわけでありまして、10のマイナス12乗秒といたしますと、光の距離にして約〇・三ミリくらいですね。そういう実験をやっておりますと、光が3かける10の10乗センチの非常に高速で空間を飛んでおるわけでありますが、その約〇・三ミリの板状の光が空間をずっと流れていっておるというふうなことになるわけであります。
 それで、なぜそんな短い光を必要としておるかといいますと、これはいろいろな科学研究で非常に短時間に起こる現象とか、化学反応の一番初期の過程とか、あるいは半導体なんかの中で起こっておるあの電子現象の非常に速い現象、そういうものを研究しようというときに、こういう非常に短いレーザーパルスで固体あるいは液体を励起して変化が起こるわけでありますが、その変化をまた非常に短いレーザー光線を照射して測定するというふうな研究が最近非常に盛んになっておるわけであります。こういう研究は、レーザーを使う以外には方法はないわけであります。
 それからまた今の表に戻らしていただきまして表2というのがございますが、ここに、今出ておりますいろいろなレーザーの特性というものを書いております。一番左の端に固体レーザー、気体レーザー、色素レーザー、半導体レーザーというふうに書いておりますが、特徴のあるところだけちょっと説明いたしますと、固体レーザー、これは一番最初に昭和三十五年に発振に成功したのがルビーでありますが、ルビーの〇・六九四三の赤い光、これは変換効率がマキシマム一%くらい、開き角が10のマイナス2乗から10のマイナス3乗ラジアンくらいの光であります。その後ネオジウムガラスで発振に成功いたしまして、最近では同じようなネオジウムですが、YAGという結晶の中にネオジウムを入れたものがよく使われております。しかし、結晶ではガラスのような大きなものはできないので、さっき言いましたような核融合に使われるような十の十何乗ワットというような大きな出力になりますと、大面積のガラスを使いまして発振とか増幅とかをやらしておるようでございます。
 それから気体レーザーでは、下から二番目に書いてありますヘリウム・ネオンレーザー、これは昭和三十六年に発振に成功いたしたわけでありますが、これもネオンの赤い光であります。それから、下から四番目に書いてありますがアルゴンイオンレーザー、それから窒素レーザー、そういうものが出てまいりまして、かなり出力の大きなレーザーが出てきておるわけであります。しかし気体レーザーでは、炭酸ガスレーザーというのが一番よく使われておるわけでありまして、これは変換効率が極端にいいわけであります。一〇%ぐらいの変換効率が見られる。出力も五十キロワットぐらいまで出ておるということで、ガスレーザー、気体レーザーとしては非常に重要なレーザーでありまして、ハイパワーを要求されるような応用にはほとんど炭酸ガスレーザーが使われておるというわけであります。それから、最近よく見られるレーザーショーなんかで、スクリーンの上でレーザーを飛ばしていろいろなことをやっておりますが、ああいうことによく使われておりますグリーンの光、これはアルゴンレーザーから出ておる光でありまして、また赤い光はヘリウム・ネオンレーザーを使っておるわけであります。
 それから、その次に色素レーザーと書いてありますが、これは波長を変えられるということに非常に大きな特徴がありまして、そういう用途にいろいろ使われておるわけであります。
 それから一番下に半導体レーザー、これは昭和三十七年、レーザーの発見の二年後、半導体レーザーが発振に成功しまして、これは非常に小さい半導体から強い光が出るということで、強いといってももとが小さいのですからそんなに強い光は出ないわけでありますが、レーザー発振ができるということで、光通信なんかの光源に非常によく使われておるレーザーであります。それから最近ではコマーシャルにレーザーディスクなんかの関係で半導体レーザーの大量生産がぼつぼつ始まりかけておるわけであります。
 次に、レーザーの応用ということについてお話しいたしますと、今のようなレーザー光の非常にすぐれた特性である単色性とか指向性とか高出力性とかあるいは短パルス性、そういうものを使って、あるいはそういうものを制御して各種の応用が考えられておるわけであります。
 一番最後のページに図1というのがありましてレーザーの木を書いておりますが、レーザー科学というものが一番根っこの幹のところにありまして、種々のレーザーが開発されておりますが、その上の方にいろいろな応用が出ております。一番右の方が光強度の応用で、レーザー加工とか医療技術とか核融合、そういう応用があります。また、その中に光線兵器なんかも入るかと思います。それから、周波数の制御ということで、単色性の非常にいいということを利用したレーザーの分光学というのが非常に進んでおりまして、それをもとにして同位体分離、そういうものも進んでおります。それからまた、長さの標準にするというふうなことも行われております。また干渉性が非常にいいということを使った、あるいは直進性が非常によろしいということを使ったようなレーザー計測の分野があります。これは各種の干渉計測とかあるいは測量とか、そういうものにいろいろ使われておるわけであります。それから、レーザー光線を時間的に制御する。これはいわゆる光変調でありますが、そういうことをして光通信に使うという研究は、最近では実用化の段階に達しておるわけであります。その中にレーザーレーダー、いわゆる通信ですね、それと高速度写真とか、あるいはさっき言いましたピコ秋分光、非常に短パルスにできるということを利用したピコ秋分光というのもあるわけであります。
 そういう中から幾つかの例を多少詳しく御紹介しておきたいと思います。私の関係しておりますのはレーザーパワーの応用としましてレーザー加工とかそういう分野が主でありますので、その方が中心になるかと思いますが、少し詳しく説明いたします。
 それで、二ページ目にレーザー加工ということが入っていますが、我々子供のときから太陽光をレンズで集めて紙を焦がすとかあるいはたばこに火をつけるというのがよくあったわけであります。それと同じことでありますが、高出力のレーザー光を集束してやりますと、非常な高融点材料も溶かしてやるとか蒸発させてやるとか、そういうことができるわけであります。これはレーザーが発明された途端にこういうことが言われておりまして、我々も昭和三十七年にレーザー研究を始めたとき、まず電子ビームによる微細加工というものをやっておりましたものですから、レーザーによる微細加工をそれと比較しながらやろうという計画をやっていたわけでありますが、昭和三十八年ごろレーザー加工装置というものを試作しまして、これは日本では最初の加工装置だったかと思いますが、それでかみそりの刃に穴をあけたりあるいはステンレスの薄い板に穴をあけたりという実験をしておったわけであります。その当時はまだ日本ではレーザー加工というのは珍しくて、たしかこれは理研に皇太子殿下が来られたときにレーザー加工の実演をした覚えがあります。それから溶接とかあるいは切断とか、いろいろなことができるわけであります。そういうレーザー加工の例を五ページ目の表3に示しております。
 まず、穴あけというのは、ダイヤモンドとかルビーとかプラスチックとか、いろいろなものに小さい穴をあける。これは加工の一番最初にだれもが手がけるところであります。特にダイヤモンドとかルビーとか、普通の方法ではなかなか穴があけにくいものにレーザーでやるとすぐ穴があくということで、非常に有効に使われておったわけであります。
 それから、いろいろな切断ですね、金属とか木材、繊維、ガラスとか皮、いろいろなものに使われておりますが、金属の切断というとかなりパワーが要るので多少後になるのですが、例えば繊維の切断。洋服のデザインなんか型に沿って洋服生地を何枚も重ねておいて、それをずっとレーザーで型どおりに切断していく、そういうことは随分昔からレーザー加工の応用としてやられておるわけであります。これは、多数重ねた布をはさみで切るというのは非常に難しいようでありまして、レーザーで切ると非常によろしいというので前からやられております。それでその切断でありますが、ちょっと数値を示さないとどのくらい有効かということがよくおわかりにならないと思いますが、表4と表5に、金属チタンを切断した場合のほかの方法とのコストの比較あるいは切断速度の比較というのがあります。
 表4をごらんいただきますと、金属チタンを切断した場合のコストですが、例えば切断方法は、のこぎりとかレーザーとか酸素アセチレンガスあるいはプラズマ、そういういろいろな方法があるわけでありますが、そういうもので切断した場合に、板厚にもよるかと思いますが、一番右の端が十二・七ミリの板厚のチタンですが、それを切った場合に、のこぎりでやりますとメーター当たり二千七百円もかかる。それをレーザーでやると八百円ぐらいで済むとか、あるいは酸素アセチレンだと九百何十円、レーザーの方がむしろ安い。装置価格はかなり高いわけでありますが、コストは装置価格の償却も入れてのコストだと思いますが、それはかえって安くなる。
 それから切断速度でありますが、表5に書いておりますが、例えばのこぎりの場合が十二・七ミリの厚さのチタンの板ですと毎分二十五ミリ程度しか切れないというのに対して、レーザーは一分間に一メーターぐらいのスピードでかなり切断速度も速いということで、こういう分野にはかなり広範にレーザーが使われておるというわけであります。
 それから、いろいろありますが、例えば上から五番目に書いてありますトリミング、これはレーザーならではの応用でありまして、非常に細かいマイクロサーキットなんかの抵抗値とかあるいはコンデンサーの容量などを測定しながらレーザーで切っていくということをしますと、ある所定の値にきちっと合わせてやることができるというわけであります。これは測定しながらできるという意味で非常に有効な方法であります。例えば皆さんの時計の中にある水晶振動子、電子時計はみんな水晶振動子で時間を決めておるわけでありますが、それの振動数がばらばらだと時計の生産に困るわけでありまして、それを合わせるのに水晶振動子の振動数を測定しながらレーザー光で削っていくと、厚みをきちっと所定の値にして振動数をきちっと合わせてやれる。こういう使い方をレーザートリミングと言っておりますが、少しずつ削っていくというやり方であります。これは非常にいろいろなところに使われております。それからマーキング、いろいろな電子部品とか、あるいは最近では食品なんかにもいろいろなマークが入っておりますが、そういうマークをつけるのにレーザーを使うと非常に能率がいいと言われております。それから溶接、焼き入れ、こういうものはどうせ非常に強力な熱加工になるわけでありますから、当然溶接、焼き入れに使える。あるいはグレージング、表面をグラス状にして強くしてやろうということにも使える。
 溶接には非常にたくさん使われておりますのでちょっと表を用意しましたが、表6というのがあります。炭酸ガスレーザーによる溶接のデータでありますが、溶接速度をごらんいただきますと、例えば二十ミリの厚みのステンレスで二十キロワットの出力を使いますと百二十七センチ・パー毎分ということで、毎分約一メーターの速度で溶接できるというわけであります。ちょっと図をごらんいただきますと、突き合わせのところで溶接した跡がこういうふうになるわけでありますが、こういう溶接ができるわけであります。これは非常な速度で溶接ができるということで、溶接なんかにはかなり広範に使われようとしております。まだ現在のところ装置が非常に高いものですから、実際にこれを入れるのにちゅうちょしておる企業もあるようでありますが、これから相当その方向へ伸びていくと思われます。ちなみに米国のGM、ゼネラル・モーターズでどのくらいレーザーのこういう加工装置を使っておるかといいますと、どこの工場かちょっと忘れました、一つの例でありますが、溶接に三十七台使っておるとか、あるいは今の抵抗のトリミングに二十台使っておる、熱処理に二十一台使っておる、穴あけに十四台とかカッティング、切断に十四台使っておる、その他いろいろ入れますと百二十台くらいのレーザーが一つの工場で動いておるということでありますが、まだ日本の工場では大きな工場でそういうふうに使われておるというのは聞いていないわけであります。
 それから、下から二番目に書いてありますレーザー・エイデッド・マイクロ・ファブリケーションといいますのは、いわゆるマイクロサーキットとかそういうものの加工にレーザーが使えるということで、その一つの例としてここにグレーティングというのがあります。これはこういうふうな鏡なんですが、この上に、一ミリの中に二千本くらい線を引いております。こういうものが、レーザーを使った干渉を使いまして非常に簡単にできるようになったわけであります。これは我々の研究室で開発した方法で、最近の分光器に乗せられて実用に供されておるわけであります。従来はこれを機械的に送りながら、ダイヤモンドのカッターで線を引きながら一ミリに二千本くらい引くわけであります。非常に精密加工でありまして、精密加工の粋、最高レベルと言われておったわけでありますが、レーザーが出現しまして、我々のところの学生でもこういうものはすぐ簡単につくれるようになってきまして、名人は必要なくなっておるというふうに言えるわけであります。これはいわゆる分光器で使う、太陽光線なんかをこれに当てますとにじになって出てくるというものです。興味のおありの方は、ここに置いておきますから、後でごらんになってください。
 それからレーザーCVDというのは、最近半導体プロセスなどで非常に有望視されておる方法でありまして、これもレーザー加工の一つの応用例かと思います。御承知のように、最近の超LSIとかいうものは非常にたくさんのプロセスを一枚のシリコンウエハーの上に重ねて処理していきまして、一センチ角に恐らく百万個くらいのトランジスタを配線した形で乗せて機能を持たせようとしておるわけであります。その処理の過程で炉に入れて温度をかけるわけでありますが、その温度が高過ぎますと、せっかく前につくったものが壊れてしまうとかいう問題がありまして、その辺の工程の順序をどうするかとか非常に難しいところがあるわけでありますが、そういうプロセスが多くなるにつれてそういうプロセスを低温でやろう、低温といいましても二百度とか三百度とか、その程度を低温と言うわけでありますが、比較的低い温度でやろうという要望が非常に強いわけであります。それにレーザーの光線を使って反応温度を下げようという試みが、最近半導体メーカーで盛んに研究されておるわけであります。これはレーザー・アシステッド・ケミカル・ベーパー・デポジションというふうに言われて、レーザーCVDということで呼ばれておるわけであります。
 余り加工の話ばかりしておりますとあれですから、次に(ロ)のレーザー通信にちょっと触れておきたいと思います。これは最近ファイバーを使った光通信というのが非常に盛んになってまいりましたので、皆さんよく耳にすることかと思いますが、この技術ではファイバーにしても半導体レーザーにしても日本が今一番進んでいるというふうに言われている分野であります。レーザー光は位相がそろっておるということで通信に利用できるわけでありますが、現在使われておるレーザー通信、光通信というのは位相がそろっておるということを使っておるわけではないのであります。これは指向性が非常に鋭いということで、これは通信の一種かと思いますが、計測の方ですか、レーザーレーダーとかあるいは最近よく話題になっておりますのは、サブマリン通信、潜水艦への通信とかいうのがレーザーを使ってやれないかということで、これはアメリカなんかでかなり問題になっておるようであります。HgBrレーザーで五百二ナノメーターという光が出るわけでありますが、その光を使って潜水艦への通信に使おうというので、こういうふうにサテライトに潜水艦から送りますと、そこからまた海の中の潜水艦に送れるということになったわけであります。それからまた、地上局からサテライトに送りまして、そこから潜水艦に通信を送るというふうなやり方もあるわけであります。これは水中でのロスが一番小さいのが四百八十ナノメーターにあるわけでありますが、そこら辺では強いレーザー発振をするものがないのか、五百二ナノメーターのHgBrの光が通信に使われております。
 それからその次に、少し急ぎますが、計測への応用というので、レーザー光は指向性が非常にいいので今言ったレーザーレーダーにも簡単に使えますし、レーザー測距計、それからトンネル工事なんかで言いますと坑道が真っすぐ行っているかどうかというのを調べるのはレーザーを一本通しておけばいいというように、非常に用途が広いわけであります。レーザの測距計といいますと、最近話題になりましたのが、アメリカが月に鏡を上げておりますね。それを使って大陸の移動を測定しようというような実験がなされまして、一年前にオーストラリアと南米との間で、一遍地球上から月に光を当てまして、それから返ってきた光を測定してその時間差を見るわけです。どのくらい時間差があるかというのを見てその距離をはかるわけでありますが、それが地球表面上で一センチメーターの誤差ではかれるというので、一年前そういう方法ではかって、オーストラリアと南米が毎年四センチメーター動いておるというふうなことが報じられております。それからまた、レーザー光の非常に強いことと単色性のいいことを使って、レーザーを当てて散乱してくる光を測定してやりますと大気汚染なんかがそのままわかるというので、これはいろいろ環境問題として実用されております。
 それから医学への応用と書いてありますが、これは最近非常に盛んになってまいりまして、そもそもの始まりは網膜剥離の治療であります。従来、網膜剥離は、目を取り出して裏側から網膜剥離を治療しておったわけでありますが、非常に大変な治療で、時間と患者の方は非常に忍耐を要する治療だったわけでありますが、レーザーをぼっと当てますと、目がそのままレンズ作用しますから、ちょうど網膜の上にうまく焦点を結んでくれまして、レーザーを当てるだけでそこがいわゆる溶接できるということで、これは入院しなくともすぐ治療できるわけでありまして、非常にたくさん使われております。これなんかが医療への応用の一番最初に実用化した例であります。それからまた、細胞の一種の切断加工です。これは最近レーザーメスというふうに言われてテレビなんかでよくやられておりますが、出血の少ない手術というのでかなり使われ始めておるようであります。また、従来は出血が多くて手術が困難であった脳の手術とがそういうものは、レーザーを使って出血を少なくして手術をするというふうなことも可能になっておる。あるいはまた、女性にとって非常に悩ましいことであった例のあざをレーザーを当ててとるということも、かなり広範囲に最近ではやられておるようでございます。また将来の問題としては、内視鏡を使って、その中にレーザー光を入れて、胃を切らずに中からレーザー光で腫瘍なんかを焼いてやろうというふうなことがぼつぼつ行われようとしておる段階であります。それからまた、レーザーを使ったはり治療ということも言われておりまして、医学面でいろいろなところにレーザーの応用が出てきておるようであります。
 それからその次に、レーザーを使った光線兵器というのが出ておりますが、これもいろいろなところで、アメリカ、ソ連を中心に使われております。アメリカでは、ニューメキシコのカートランド空軍基地の兵器研究所などでは非常に強力なレーザーの研究が進められておるということでありまして、既にレーザー光線で無人の標的機を撃墜したというふうな報道もされております。化学レーザーの研究が非常に強力に進められておると聞いております。ソ連では、中央アジアのセミパラチンスクで非常に大規模なレーザー兵器の開発が行われておるということを聞いておるわけでありますが、ソ連の様子は我々にはなかなかわからない、どこまで進んでおるかというのは全然未知であります。
 それから最後に、レーザーによる同位体分離という研究がございます。これは我々今、理化学研究所でレーザーによる同位体分離という研究を、これは科学技術庁のプロジェクト研究としてやらしていただいておるわけでありますが、これはどういうことを利用するかといいますと、レーザーが非常に強いということと非常に単色性がいいという、その二つの性質をうまく利用した方法であります。
 それで、ここの下の絵にちょっと書いておりますが、左と右で同位体Aと同位体Bとしておりますが、同位体Aと同位体Bの間でhf1と書いてありまして、横線を引いてあります。その横線の位置がちょっとずれておりますね。それを同位体シフトと言うわけですが、少し重さが違いますと吸収スペクトルの波長がちょっとずれるのです。普通の分光器ではとてもこんなずれは見つからないのですが、レーザーのように非常にシャープなスペクトルの線を使いますとそのずれをきちっと見分けて、しかもそのずれた一方だけに合った光を当ててやることができる。例えばこの図で言いますと、同位体Aの方だけがレーザー光線を吸収して励起される。上の棒のところへ行くわけですね。そこへもう一つのレーザー光線を当ててやりますと、ちょうどそこへ来たものだけが励起されて、hf2という光を吸収して上に上がる。これで、例えばイオン化されるといたしますとイオンになりますから、それは電圧をかけてやれば同位体Aだけが電極に引きつけられるというふうなことで同位体分離をしようということであります。この方法の特徴は、非常に高い分離比が得られるということ、あるいはエネルギー効率が非常に高い、あるいは装置が小型であるというふうなことで非常に有利なわけであります。
 現在、同位体分離についての基本的条件の検討がいろいろ行われて、何種類かの原子や分子については既に実験が成功しておるというわけであります。これは米国においても非常に熱心に研究が行われておるわけでありますが、こういう同位体分離の研究というのはベールの奥に隠れて発表が全然ないわけであります。我々の方でも初めから全部データをとっていきまして、それで同位体分離のできるデータを現在ウランについては大体そろえたという段階であります。それで去年、一九八四年の春ですか、それを一部発表いたしました。それが契・機になったのかどうか知りませんが、最近米国の学術誌にもぼつぼつそういうウランのデータが出てまいりました。これは我々の方で発表したのがきっかけになっておるのか、向こうで秘密のベールを多少解きつつあるのかと思えるわけでありますが、そういうこともいろいろ研究されておるわけであります。
 それで、レーザーの特性から応用について一連のお話をしたわけでありますが、世界のレコードはどこまでいっておるかといいますと、例えばエックス線レーザーですと現在十五ナノメーター、百五十オングストロームのエックス線を出すというところまでいっております。それから、今一番短いパルスを出すというのでは、さっき10のマイナス14乗と言いましたけれども、正確には1.6かける10のマイナス14乗秒というわけてあります。それからパワーでは、去年は日本の大阪大学の山中研究室のレーザー核融合用のレーザーが一番パワーが大きかったわけでありますが、ことしはアメリカのローレンス・リバモアの装置ができて動き出したものですから、現在パワーは大阪大学のものよりもそちらの方が多少大きくなっておるということでありまして、大阪大学のが一パルス当たり二十五キロジュール・一ナノセックですから、10マイナス9乗秒の中に二十五キロジュールのレーザー光線を出しておる。これは去年では世界一だったわけであります。中性子の場合の4かける10のマイナス10乗というのは、いまだに世界最高というようであります。これは大阪大学の例でありますが、アメリカのローレンス・リバモア研究所のは百キロジュール・パー・ナノセック、10のマイナス9乗秒中百キロジュール出すというのが一九八四年末完成されて、今動いているのかどうかちょっとわからないのですが、動けばこれが世界最高ということになるわけであります。
 今のレーザー技術の最高のレベルというのは、パワーではその辺でありまして、波長の方では、今エックス線レーザーをねらって世界各国で競争が行われておるところであります。核融合と一言に言いましても、これは非常に大変な技術でありまして、大阪大学の例ですと、レーザー光線を増幅しながら約三百メーター走らすわけです。いろんな増幅の段階に応じてレーザーの大きさを変えながら、しかも波面をきちっとコントロールして三百メーターずっと走らせるのです。一番最後の段階では、三百メーター走らせた十二本のレーザー光線を百ミクロン、〇・一ミリのボールに全部集中させるわけですね。それがちょっとでもずれると爆縮がうまくいかないというので、三百メーター走ってきたレーザー光線を数ミクロンの精度で百ミクロンの玉に当てる。しかもそのパスを全部そろえてやらなければいけないわけです。ちょっとでもずれると片一方が先に火がついたということになりますので、それも時間を合わせてきちっとそろえてやるということで、今のレーザー核融合の実験装置なんか見ますと、これはまさしく光の工場であります。ここにちょっと写真がありますが、こういう大きな工場で、光が三百メートルのパスをわっと走って、これは空中を走るといろんな擾乱が起こるので、走るところは真空ではないのですけれども全部保護しておるわけで、そういう装置であります。この程度のことをやろうと思うと費用もかなりかかりまして、毎年大体二十億円くらいの金をつぎ込んでここ十年間くらいやってきておるところであります。アメリカの例を見ますと、このレーザー核融合に毎年五百億円くらい使っておりますけれども、日本では大体二十億円くらいのところでしょうか。
 それから、今のエックス線レーザーで言いますと十五ナノメーター、百五十オングストロームというのがレコードだと言いましたけれども、現在世界各所でいろんな方法でエックス線レーザーを早く開発しようという研究が進んでおります。アメリカの場合ですとやはり軍需を優先しておりまして、例えば最近話題になっておりますSDIなんかで、最初のフェーズはエックス線レーザーを使おう。これで、そういうミサイルなんかのソフトキルと言っておりますが機能を麻痺させようというのにエックス線レーザーを使おう。それからセカンド・フェーズとして、それの漏れてきたものには今度はハードキルと言って落とすわけでありますが、この両方のどっちかを使おうというので、これは化学レーザiを使ってやろうというような計画が出ておるようであります。それから一番最後の段階サード・フェーズでは、粒子ビームとかあるいは普通の化学レーザーでハードキルといいますか撃ち落とすというような計画がつくられておるようでありまして、そういう一環としても、恐らくかなりの金を使ってエックス線レーザーを進めておるところだろうと思います。日本でもエックス線レーザーの研究を始めかけたところでありますが、日本ではそういう十分なプロジェクト研究としてはエックス線レーザーというのはまだ出てない、これからの問題であります。
 時間も来たようでありますが、私自身がレーザーの研究とそれから超LSI関連のマイクロエレクトロニクスの研究というのをやってきておりますが、こういう超LSI、半導体素子というような最先端技術の研究というのは、既に一メガビットが売られようとしておるということで、こういうものは工業生産と商売がすぐに結びつくというようになっておるわけでありまして、半導体素子というのはコンシューマーの方向に向けての最先端技術を集約したものであると言えるわけであります。ところが一方レーザーは、今お話ししたような最先端技術のエックス線レーザーというものにいたしましても、すぐにはなかなか商売にならないということで、日本では企業が大きな金を出して取り上げてくれないというふうな研究になるわけであります。同じ最先端技術といいましてもちょっと意味合いが違うわけでありまして、こういう分野の最先端技術をアメリカなんかと競争して本当にこれから開発をしていくためには、やはり国の助成がさらにもう少し必要であろうかと思えるわけであります。
 最後に、きょうお話ししましたようなレーザーというのは、物質内の励起状態の反転分布を使いまして、誘導放出で光を増幅したりあるいは発振させたりする技術でありますが、まさしくエレクトロニクスの方法を原子や分子の世界に拡張した新しい科学技術ということが言えるわけであります。こういうことで、レーザーによって今までの電波の領域が光の波長まで拡大されて、新しい分野が開けようとしておるわけでありまして、これは通信だけでなく計測、加工あるいは医用とか核融合、同位体分離と多方面に研究が進められておるわけであります。先ほどエレクトロニクスにおける二大発明と言いましたが、ある人に言わせますと、今世紀最大の発明は原子力の開放とレーザーであるというように言う人もあるくらいの今世紀最大の発明の一つでありますから、我々技術者にとってこの開発は大きな目標の一つでありまして、特に私の関心から言いますと、今のエックス線レーザーなんかは早く開発して、日本の場合は先ほどのSDIのソフトキラーというふうなことではなくて、むしろエックス線顕微鏡というふうなものを早く実現させて、いろんな応用に供したいというふうに考えておるわけであります。
 ちょっと時間を超過いたしましたが、どうもきょうは長時間ありがとうございました。(拍手)
○鳥居委員長 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
○鳥居委員長 それでは、これより質疑を行います。
 この際、委員各位に一言申し上げます。
 質疑につきましては、時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。なお、委員長の許可を得て御発言をお願いしたいと思います。
○平沼委員 きょうは難波先生、ありがとうございます。
 このレーザー光線に関して軍事面の利用ということでちょっとお触れになりましたけれども、これは米ソが断トツで先行している、こういうことです。我々はSDIというものを非常に興味を持って見ているわけですが、多少お触れになりましたけれども、これから宇宙戦争時代にこのレーザーというものがどういう形で展開されていくのか、その辺の御意見をお聞きしたいというふうに思うのです。
○難波参考人 これは非常に難しい質問なんでありますが、今の地上からレーザーを発射してというのは、かなり吸収もありますしなかなか難しいのだろうと思うのですが、宇宙空間へ人工衛星にレーザーを搭載していくというのはこれからそんなに難しいことではなくて、そんなに近い将来ではないと思いますけれども、かなり研究を積めば不可能ではないということだろうと思います。一つには、原爆を使って宇宙でレーザー発振をさせてという話もあるのですが、これはかなり波長の短いエックス線が出るようでありますけれども、ちょっとその辺は我々も耳にかじっておるだけでして、余り詳しいことは知らないわけです。ただ、今の化学レーザーなんかを使いますと、電源とか何かの目方がそんなに重くならないですから、スペースに持って上がるのにはそんなに困難な問題ではないと思っております。
○平沼委員 宇宙空間で、例えばSDIなんかは上がってきたミサイルを第一フェーズ、第二フェーズで落としていくということですが、人工衛星なんかからレーザーで地上に向かってやる破壊兵器、そういうことも考えられるわけですか。
○難波参考人 地上というのは非常に幸いに、あれだけ物すごい光源の太陽光線があっても人間は焼け死なないというのは、空気で囲まれておるからそこでほとんど吸収されてしまうわけですね。だから、人間の体に必要な光だけが多少通り抜けてきている。あるいは紫外線なんかがじゃんじゃん来たら人間はすぐやられてしまうわけですけれども、幸いなことに空気がある……。
○平沼委員 真空状態で非常に効力を発揮するということですか。
○難波参考人 ええ。だから地上まではそんなに来ないのじゃないかと思いますね、相当強いものでやり合っても。そういう意味では、原爆とかなんとかというものは上でやり合うのが全部地上でもろに影響をかぶりますけれども、レーザー光線というのは上でやり合っても、落とされたものはどうなるかわかりませんけれども、ともかく光線銃自体はそれで相手の目標物だけをやっつけるというので、ほかには影響ないという意味では、これは非常にいい意味の兵器ですね。
○平沼委員 ありがとうございました。
○渡部(行)委員 光というのは我々は目でとらえて感じているわけですが、ルビーとかあるいはその他のレーザー光線をつくる材料を通せば、レーザーとして全く変わった性質のものになっていくというのは、原理的にはどういうことなんでしょうか。
○難波参考人 一番わかりやすい例を言いますと、例えば昔から我々はネオンサインになじんでおりますね。あのネオンサインに鏡を二枚つけますと、恐らくあのままではそうならないかもわかりませんけれども、もうちょっと強いパワーを入れて明るくしてやりますとレーザー発振をすると思いますね。要するに、ネオンサインもある原子の励起状態の間で光を吸収したり放出したりするわけですが、放出の方が多くなると発振につながるわけです。吸収の方が多いとやはり吸収なんですけれども、そのバランスで、レーザー発振というのはある原子の二つのレベルの間で吸収よりも放出を多くしてやるという状況をつくってやるとレーザー発振になるわけですね。普通の状態では必ず吸収の方が多いわけです。そうなんですが、何らかの方法でエネルギーの高い状態のアトムを余計つくってやる。そうしますと、光がここに入ってきた場合に下から上に吸収して励起するよりも上に上がっているのが多いと、それを誘導放出で落としてやる方が多くなる、その差でどんどん増幅していくわけです。だから光が入ると、例えばルビーに赤い光を入れると、ネオンサインのネオンでもいいのですけれども、ネオンのチューブに赤い光をぶつけてやりますと、ずっとこっちへ行って出るときはもっと強くなって出るというような、それがレーザーなんですね。それに共振器をつけてやると、その中を往復するうちに何回でも増幅を受けて、それでとうとう発振状態になるというのがレーザーなんです。
○渡部(行)委員 それから、私も今非常に問題になっているSDIというものについてお伺いしますが、目標を破壊するに足る十分な出力というのは、今実験段階で、ある程度証明されておるのですか。これが一つ。
 それから、非常に狭いビームに絞り込む反射鏡と申しますか、そういう集束鏡の設計というのはどの程度精密になっているのか。
 それから三番目は、このビームを的確に目標に指向、追尾させる技術はどの程度に進んでいるのか。
 それから四番目が、目標の捜索、通信、情報処理等の支援技術がどういうようになっているのか。
 それから五番目が、破壊の確認、目標の変更、戦闘手順等の戦闘遂行に関する技術、これがどのようになっておるのか。
 大体知っておられる範囲内でお伺いしたいと思います。
○難波参考人 非常に難しい問題であります。
 ただ、今の四番目でしたか、相手を確認したりレーザー自体を制御したりという技術は、何もレーザーでなくてもほかの方でかなりやられておるわけです。ただ、それが光を使いますと、キャッチした後、相手の位置を計算してそれから相手に発射するわけですが、発射して到達するまでの時間が短いものですから、計算は非常に楽になりますね。それは言えると思います。だから、最初はそういうことで、アメリカのレーザーの研究というので軍が物すごい金を出したのは、まず第一はそこではないかと思うのですね。膨大な計算機が要るところが計算の手間が省けて、位置を確認してレーザーが行けば非常に速いので確実に当たるものですから。普通は、撃って当たるまで向こうは動きますから、それを全部計算に入れなければいかぬわけですね。
 それから一番最初の、破壊するだけのパワーがあるかどうか、これは全然わかりません。ただ、今地上でやっている実験では、五十キロワットくらいまで出せば、当てた瞬間にコンクリートなんかは溶けてしまいますね。これはほとんど瞬間的にわっと穴があきます。このくらいの厚いコンクリートがわっと穴があきます。
 それから、二番目は何でしたか。
○渡部(行)委員 二番目は、非常に狭いビームに絞り込むための集束鏡といいますか……。
○難波参考人 それはいろいろ研究されておりまして、日本ではそういう大型のをつくるのはちょっと少ないのですけれども、例えばこれは小さいので見づらいかもしれませんが、人間はこの大きさで、こんな大きな鏡を今アメリカなんかでは研究をしているのですね。日本ではこういう研究はまだ全然ないですけれども、人間が鏡の上に上がってずっと調整しているというような鏡が、これはどこでしょうか、ちょっと僕にはあれですけれども、五メーターのレーザー集束鏡、それがこのくらいの大きさなんです。今アメリカでSDIなんかでやろうとしているのは二十五メーターと言っていますから、これのさらに五倍の径ですから、この部屋ぐらいの鏡をやろうかというふうな、しかもかなり面をきちっとやらぬといかぬものですから大変な技術かと思います。そういう兵器をつくるというのは、ちょうど最初に私が言いましたような戦時中のレーダーに向けての集中的な、学者を集中して、しかも研究費を集中してやるというふうな研究をある程度しないとなかなか難しいものですね。こんなの一つか二つつくればいいというので、なかなか会社でやっても採算に合わぬから、日本ではどこもやらないでしょうね。
 それから何でしたか。
○渡部(行)委員 ビームを的確に目標に指向、追尾させる技術というのはどうなっているのか。
○難波参考人 それは僕は、今の地上でやっているいろいろなことで、別にスペースヘ持っていってもそんなに違ったものではないと思います。
○渡部(行)委員 これは反射鏡で反射をさせて相手をやるというけれども、衛星にレーザー兵器を積んで、逆にそこから発射したレーザー光線が反射鏡に行って地上の基地をやるということも不可能ではないじゃないですか。
○難波参考人 それは不可能ではないと思います。今の光の波長で大気の窓というのがありまして、ちょうどその光を使えばできるかもわかりませんが、普通の光では大気はほとんど通らないですね、これは相当強い吸収層ですから。大気を通ってきてもなおかつ破壊能力があるというふうなことはちょっと難しいと思います。
○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。
○小澤(克)委員 SDIなんですけれども、聞くところによればエネルギー源として核爆発を使うというように聞いておりますが。
○難波参考人 そういうのも聞いております。
○小澤(克)委員 そうだとすると、恐らく装置自体が一回しか使えないということじゃないかと思うのですが、一発しか撃てないなどというものが果たして実用性があるのかどうか。
 それからあと二点。レーザーによるウラン濃縮、それからレーザー核融合、この二つについて原理的な可能性はあるということでしょうが、見通しはどうかということ。
○難波参考人 これも非常に答えが難しい問題であります。一発だけでだめなんではないかという話ですが、これは確かに今の核爆発でやる場合ですと、ぼんぼんそんなもの上でやられたらかなわぬ。だけれども、恐らくこういう方法ですと一つのソースで、一回で一つをやるというようなことになりますね。だから、たくさん来るとたくさんやらないといけないようなことになるのでしょうね。今ちょっと資料を見てみますと、核爆発では一・四ナノメーターの発振をしているというのです。これはアメリカがネバダの実験場でやったというのですけれども、本当かうそか資料の確認ができないものですから、ちょっとわかりません。
 それから、二番目の質問のウラン濃縮、核融合の可能性ということですが、おっしゃることは、恐らくウランを濃縮できる原理的な実験はできても採算が合うのかということだろうと思いますが、これはあくまで今までやっている方法との比較で言いますと、採算は合うと思うのです。ただ、今までやっている方法が物すごい電力を使ってやっていて、本当に原子力で発電した電力でそれをペイしておるのかというと、そういうデータをちょっと今僕は持っていないのでわかりません。だから、このウラン濃縮のために使った全電力を積算して、それでできたウランを燃やしてその電力をカバーできるかどうかというのは、私ちょっとわかりません。それはウラン濃縮のために使った装置の製造に使った電力まで全部入れるとなかなか難しい問題で、ちょっと答えかねると思います。
 これは核融合についても同じことなんです。レーザー光線を入れたレーザーのパワーに対して核融合を起こすときに得られるパワー、それのエナジーバランスというのはいろいろ計算でやられたり、実験でももうすぐブレーイーブンまで近いというのはそこを言っているわけですね。今度はそういうふうなレーザーを、今ちょっと写真でごちんに入れたような物すごい装置でやっているわけですから、ああいうのをつくるためには、今の三百メーターでびゅうっと走らせて数ミクロンの誤差で当てようとしますと、部屋全体を除振にしないといかぬですね。そういうふうな費用まで全部含めてペイするかというと、これは非常に難しい問題だと私は思います。だから、入れたパワーと出たパワーがどうなるかということを今議論しておる段階なんですね。
○遠藤委員 二点お伺いします。
 一点は、いわゆるSDIに、これは日本のレーザー技術の水準にもかかわる問題ですが、レーザー関係の技術供与を日本の国に求められるような可能性については大体どういうふうにお考えになるかということと、もう一つは、ただいまもお話がありましたが、レーザーによるウラン濃縮技術、これの実用化を諸外国では例えば大体二十一世紀の中ほどであるとか前半であるとか、そういうふうなめどをつけてプロジェクトを組んでいるようなものがあるのかどうか、この二点についてお願いします。
○難波参考人 SDIに関して日本の技術供与ができるかどうかというのは、日本のレーザー技術はそういう面に関してはそこまでいっていないと思います。むしろ日本のレーザーは民生品の方に向いておりますから、半導体レーザーとかそういう方では物すごくレベルは高いのですけれども、こういう物すごいハイパワーを出そうとか大きなレーザーをつくろうとかいう方向へは向いていないと思うのです。
 それから、ウラン濃縮あるいは核融合も同じようなことかと思いますけれども、各国でプロジェクトは出ておるわけであります。大体二十一世紀を目指してのプロジェクトなんですけれども、いつごろどうなるかというのはちょっとわかりません。アメリカでは、レーザーによるウランの濃縮に関しましては分子法と原子法とありまして、分子法をロスアラモスでやっております。それから原子法をローレンス・リバモア研究所でやっておったわけですが、おととしでしたか、二年ほど前にチェックしまして、原子法の方がレーザーの開発が楽であるというので、原子法を優先するということで分子法は切っちゃったわけでございます。日本では今、原子力研究所が原子法で、理研が分子法ということで分担してやっておるわけです。
○山原委員 一つはウラン濃縮ですが、濃縮技術というのは今まで大体国家機密的な性格を持っておるわけですね。今度のレーザー濃縮というのはそういう性格を持つのか、それともオープンな形で行われるのかということをお聞きしたいのです。
 それから、SDIの中にあるレーザー兵器というものがなぜ核爆発を必要とするのか。この二つをちょっとお聞きしたいのです。
○難波参考人 今のウラン濃縮は、確かにアメリカにしてもソ連にしても、それはソ連の状況は全然わからないのですが、アメリカはデータを出しておりません。我々日本でデータを出せ出せと言ったものだからちょっと出してきたという感があるわけですけれども、これはどうなんでしょうかね。どういう反応を及ぼすかというのはまだわからないのですけれども、日本の場合は公開の原則というのがありまして、研究は公開してやっていこうということで我々は進めておるというわけですが、それに障害が出るようだと、恐らく我々の研究もちょっと考えざるを得ないのではないかと思っております。これは昔そういう例があるのです。ビキニ環礁のときに、例のあれは福竜丸でしたか、大分灰をかぶって帰ってきましたね。あの灰を分析して、あのときアメリカがまだ言ってなかった水爆というのを、日本の学者がこれは水爆であるということを言ったわけです。そういうのでちょっとアメリカさんもびっくりしたという例があるのです。最近では、なるべく日本の研究というのは秘密性のあるところには今までは余り行かぬようにしておったのですけれども、これからはそうばかりも言っておられぬので大分近いところまで行くと思いますけれども、完全に秘密にしろと言われると、恐らく我々は研究を放棄せざるを得ない、ほかの方向、発表できるような研究の方向へ進むのではないかと思います。
 それから、今の第二の質問の、核爆発を使うのはなぜかというのはちょっと私もよくわからないのですけれども、要するにエネルギーの注入はどんな方法でやってもいいわけでして、その一つとして、核爆発が瞬間的にエネルギーをばっと出すのには一番いいというので、核爆発を使うのだろうというふうに思うのです。
○小川(泰)委員 ちょっと済みませんが、一つだけ。
 中身は我々素人でよくわからないのですが、先生はずっとこういう大変な御研究をなさっていらっしゃって、先生の方から何かもっと研究を進めたいとか、いろいろなものをやる場合にこうしてほしいなというような要望がありますか。それをひとつ聞かせてくれませんか。
○難波参考人 これは、さっき一番最初に申し上げましたように、エレクトロニクスの二大発明というトランジスタとレーザーというのは、レーダーに関するアメリカの集中的な軍事研究から生み出されたものである。戦後、そういうふうな集中した研究の例はないのですね。恐らくレーダー以前にも、これだけ集中した研究というのはなかったかと思います。だから、どこかの時点でそういうことができれば科学技術というのは飛躍的に進むものであるということは言えるかと思います。
 非常に卑近なところで言うと、例えばエックス線レーザーなんかをアメリカと競争してやりたいと学者なんかは皆思っているわけですね。それにはかなりの資金とマンパワーが要るわけですけれども、それは、アメリカと競争してどこまで行けるかというふうなことは、しょっちゅう学者としては考えているわけです。自由研究、自由研究と学者はよくそういうふうなことを言うのですけれども、そうではなくて、やはり研究もスポーツと一緒で競技なんですよ。だから、短距離が好きなやつもいるし長距離が好きなやつもいるし、それ相応に研究者は、長距離の好きなやつは自分でずっとスケジュールを立てて、あの時点で勝負と出よう、アメリカのどこそこでやっているのと勝負してやろうというふうな、短距離選手は短距離で勝負しようとしているわけでして、そういうふうなスケジュールをうまくやっていけるようなサポートというのは必要なわけですね。
 ところが、日本の予算制度というのは、予算を申請して、来るのが大体二年ぐらい先になるのですね。そうすると、最初は物すごく張り切っているのですけれども、ちょっと中だるみぐらいなときに予算がぼっとついてきたり、その辺をもう少し先生方のお力で、我々学者が本当にやりたいときに予算がつくということになると、そんなに大きな予算でなくても、予算の使用効率が非常に上がると思うのですね。これはひとつぜひ考えていただきたいと思います。
○鳥居委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 難波参考人には、本日長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 次回は、来る二十六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十六分散会