第102回国会 物価問題等に関する特別委員会 第3号
昭和六十年三月二十六日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 竹内  猛君
   理事 愛知 和男君 理事 青木 正久君
   理事 亀井 静香君 理事 佐藤 信二君
   理事 金子 みつ君 理事 草川 昭三君
   理事 田中 慶秋君
      伊吹 文明君    尾身 幸次君
      工藤  巖君    長野 祐也君
      湯川  宏君    武部  文君
      中村 正男君    元信  堯君
      小谷 輝二君    駒谷  明君
      塚田 延充君    藤田 スミ君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      金子 一平君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋  元君
        公正取引委員会
        事務局長    伊従  寛君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 厚谷 襄児君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 利部 脩二君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    及川 昭伍君
        経済企画庁物価
        局長      斎藤 成雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    大竹 宏繁君
        経済企画庁調査
        局長      横溝 雅夫君
        資源エネルギー
        庁石油部長   畠山  襄君
 委員外の出席者
        外務省経済局漁
        業室長     秋山  進君
        国税庁調査査察
        部調査課長   友浦 栄二君
        食糧庁業務部長 羽鳥  博君
        水産庁漁政部水
        産流通課長   高木 勇樹君
        水産庁海洋漁業
        部遠洋課長   今井  忠君
        通商産業省産業
        政策局サービス
        産業官     菅野 利徳君
        通商産業省産業
        政策局消費経済
        課長      糟谷  晃君
        運輸大臣官房国
        有鉄道部業務課
        長       平野 直樹君
        労働省労政局労
        政課長     吉田 一彦君
        労働省婦人局婦
        人政策課長   松原 亘子君
        日本国有鉄道旅
        客局総務課長  本田勇一郎君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ―――――――――――――
三月二十六日
 理事浜田卓二郎君同日理事辞任につき、その補
欠として愛知和男君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月一日
 公共料金値上げ反対に関する請願(有島重武君
 紹介)(第一六一四号)
 同(遠藤和良君紹介)(第一六一五号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第一六一六号)
 同(坂井弘一君紹介)(第一六一七号)
 同(玉城栄一君紹介)(第一六一八号)
 同(橋本文彦君紹介)(第一六一九号)
 同(水谷弘君紹介)(第一六二〇号)
 同(森本晃司君紹介)(第一六二一号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第一六二二号)
 同(吉浦忠治君紹介)(第一六二三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 物価問題等に関する件(物価対策及び国民生活
 行政等)
     ――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事浜田卓二郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に愛知和男君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○竹内委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 この際、金子経済企画庁長官から、物価対策並びに国民生活行政について発言を求められておりますので、これを許します。金子経済企画庁長官。
○金子国務大臣 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでございますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
 世界経済は、アメリカの景気拡大等に導かれて、国別なり地域別の相違はありますものの、全体として景気回復基調にあります。
 しかし、アメリカに端を発する世界的な高金利、欧州諸国を中心にした高水準の失業、あるいは世界的な経常収支不均衡、また発展途上国の累積債務等幾つかの懸念材料がございまして、こうした状況を背景として保護貿易主義的な傾向は依然として衰えを見せておりません。
 我が国経済も、物価の安定が続く中で、一昨年春以来、着実な上昇を続けており、その内容も次第に内外需のバランスのとれた景気拡大過程に入ってきております。しかし、対外面を見ますと、経常収支はかなりの黒字を示しており、また、長期資本の大幅な流出が続いております。
 こうした内外経済の動向を勘案すると、昭和六十年度の我が国経済は、次に申し述べますような政府の諸施策と民間経済の活力とが相まって、実質で四・六%程度の成長を達成するものと見込まれます。
 このような内外経済情勢のもとで、私は、特に次の諸点を基本として、今後の経済運営に努めてまいりたいと考えております。
 まず第一は、国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図るとともに、雇用の安定を確保することであります。
 このため、引き続き行財政改革の推進に努め、民間経済の活力が最大限発揮されるような環境整備を行うとともに、景気動向に即応した適切かつ機動的な政策運営に努めてまいります。財政政策の面では、厳しい財政事情のもとではありますが、昭和六十年度予算におきましては、一般公共事業の事業費につきまして、前年度を上回る水準を確保することとしたところであり、また、今後とも、景気動向に即応した適切かつ機動的な財政運営を図ってまいる所存であります。
 また、金融政策の面では、その適切かつ機動的な運営を図っていくことが重要であると考えております。
 同時に、民間活力の発揮の観点から、特に先端的あるいは基盤的な技術分野等における研究開発の促進を図るとともに、今日の緊急かつ最重要の課題である規制緩和の問題につきまして、今後とも強力に推進してまいる所存であります。
 第二は、物価の安定基調を持続させることであります。物価の安定は、国民生活安定の基本要件であり、特に今後社会の高齢化が急速に進行する中で、最も重要な政策課題の一つであると考えております。
 今後の物価動向については、引き続き安定基調で推移し、昭和六十年度は卸売物価一・一%程度、消費者物価二・八%程度の上昇にとどまるものと見込んでおります。
 今後とも物価の動向に細心の注意を払いながら機動的な対応に努め、物価の安定基調を維持してまいりたいと考えております。公共料金につきましても、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分に考慮して厳正に取り扱っていく考えであります。
 さらに、国民生活をめぐる条件変化に対応しつつ、生涯を通じて国民生活を豊かなものとすることを圧指して、人生八十年時代にふさわしい経済社会システムのあり方など総合的方策について検討を進めますとともに、情報化、サービス化の進展等の新たな事態に適切に対応する消費者行政の充実等消費者利益の擁護、増進のための諸施策を推進してまいりたいと考えております。
 第三は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済への貢献であります。今や我が国は、みずから率先して保護貿易主義に対する巻き返しを図り、その国際的地位にふさわしい積極的な貢献を行っていくことが必要であります。
 このため、政府は、累次にわたる対外経済対策を決定し、その推進に努めてまいりました。昨年十二月の対策においては、他の主要先進国に先駆けて東京ラウンドにのっとった関税引き下げの前倒しを実施するほか、特恵シーリング枠の拡大など特恵関税制度の改善を図る等の措置を講ずることといたしました。
 今後とも、対外経済問題の解決に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後の中長期の経済運営の課題は、来たるべき時代に備えた経済社会の適切な枠組みづくりに取り組むとともに、内需中心のインフレなき持続的成長を達成するよう目指すことであります。
 我が国経済はその潜在力を最大限に発揮することによって、活力に富んだ経済社会の実現が可能であると確信いたします。
 私は、このような経済社会の実現を目指し、我が国経済のかじ取りに全力を傾けてまいりたいと考えております。本委員会の皆様の御支援と御協力を切にお願いする次第であります。
○竹内委員長 次に、昭和五十九年における公正取引委員会の物価対策関係業務について、高橋公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。高橋公正取引委員会委員長。
○高橋(元)政府委員 昭和五十九年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
 昨年の我が国経済は、世界景気の回復、物価の安定等を背景に輸出が引き続き増加し、国内需要も緩やかながら増加するなど、着実な拡大を続けました。また、技術革新の進展を背景に経済のソフト化、サービス化、情報化が進むなど、経済社会の構造変化には著しいものがあります。このような中で、民間活力が十分に発揮されるような経済環境の整備を行うことがますます重要になっており、公正取引委員会といたしましては、公正かつ自由な競争の維持、促進により我が国経済の活性化、効率化を図るべく、独占禁止政策の適正な運営に努めてまいったところであります。
 特に昨年は、独占禁止法違反事件の迅速な審査に努めるとともに、独占禁止法の運用基準の明確化や広報活動等により予防行政を推進いたしました。また、経済、社会の構造変化の過程にあって生じる独占禁止政策上の諸問題に積極的に取り組んだほか、下請取引を初めとする中小企業関係の取引の公正化に努めたところであります。
 まず、独占禁止法の運用状況について申し上げます。
 昭和五十九年中に審査いたしました独占禁止法違反被疑事件は二百九十件であり、同年中に審査を終了した事件は百九十一件であります。このうち、法律の規定に基づき違反行為の排除等を勧告いたしましたものは九件、法的措置をとるには至りませんでしたが警告を行いましたものは八十三件であります。また、一件一名に対し二十二万円の課徴金の納付を命じました。
 次に、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、昭和五十九年中に、それぞれ千二十六件、七百五十九件、合わせて千七百八十五件の届け出があり、所要の審査を行いました。
 事業者団体につきましては、昭和五十九年中に成立居等千四百六件の届け出がありました。また、事業者団体の活動に関する事前の相談に対しましては適切に回答を行うよう努めるとともに、相談事例を取りまとめて公表することにより違反行為の未然防止を図りました。
 国際契約等につきましては、昭和五十九年中に四千三百五十件の届け出があり、改良技術に関する制限、競争品の取り扱いの制限等を含むものについてはこれを是正するよう指導いたしました。
 独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、ガイドラインの別表掲載の十五業種について実態の把握及び関係企業の動向の監視に努めました。
 価格の同調的引き上げに関する報告徴収の業務につきましては、昭和五十九年中に価格引き上げ理由の報告を徴収したものは、一般用カラー写真フィルム、乗用車及び鋳物用コークスの計三品目でありました。
 次に、経済実態の調査といたしましては、生産、出荷集中度調査、情報化の進展が競争秩序に与える影響に関する調査、民間企業における研究開発活動の実態に関する調査等を行いました。また、流通分野においては、家庭電気製品、オフィスコンピューター等の業種別の実態調査に基づき、独占禁止法及び景品表示法上問題のある行為につきまして、所要の改善指導を行いました。
 政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度につきましては、我が国経済における民間の活力を生かし、経済の効率性を高める見地から、引き続きその見直しのための検討を行いました。
 独占禁止法上の不況カルテルは、昭和五十九年に実施されたものはありませんでした。なお、独占禁止法の適用除外を受けている共同行為の数は、昭和五十九年末現在で四百四十一件となっておりますが、その大半は中小企業関係のものであります。
 国際関係の業務といたしましては、OECD等の国際機関における会議に積極的に参加するとともに、アメリカ、EC等の独占禁止当局との間で意見交換を行うなど、国際的な連携の強化に努めました。
 次に、不当景品類及び不当表示防止法の運用状況について申し上げます。
 昭和五十九年中に同法違反の疑いで調査した事件は三千五百九十四件であり、このうち、排除命令を行いましたものは二十件、警告により是正させましたものは千四百二十七件であります。都道府県の行いました違反事件の処理件数は、昭和五十九年一月から九月末までで四千二百十件となっており、今後とも都道府県との協力を一層推進してまいる所存であります。
 また、同法第三条の規定に基づき、衛生検査所業及び旅行業における景品類の提供を制限する告示を制定いたしました。
 事業者が自主的に規制するための公正競争規約につきましては、医療用医薬品製造業における景品類の提供の制限に関する規約など九件を認定し、昭和五十九年末現在における公正競争規約の総数は百二十二件となっております。
 以上簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
 今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。
○竹内委員長 次に、昭和六十年度の物価対策関係経費の概要について、斎藤物価局長から説明を聴取いたします。斎藤物価局長。
○斎藤(成)政府委員 昭和六十年度の物価対策関係経費と予算関連公共料金等の改定の概要につき、お手元に配付いたしました資料に即して御説明申し上げます。
 まず、物価対策関係経費は、一般会計及び特別会計予算に計上される経費のうち、物価の安定に資することとなる経費を取りまとめております。
 お手元の資料の「昭和六十年度物価対策関係経費」左側区分欄に示してありますように、七項目に分類して整理しておりまして、総額は、最下欄中央、合計欄でごらんいただけますように、四兆三千四百七十四億四千万円であります。
 その左、昭和五十九年度予算額四兆三千五百三十一億五千二百万円に比べまして、五十七億一千百万円の減、比率で〇・一%の減少となっております。
 次に、経費の内容を、今の紙の後ろでございますけれども、縦長の六枚つづりの資料によって順次御説明申し上げます。
 項目の第一は、低生産性部門の生産性向上であります。農林漁業、中小企業などの低生産性部門において生産性を向上させ供給力の増大を図ることは、物価の安定の面から極めて重要であり、経費総額では、一兆八千五十二億八千二百万円となっております。
 内訳といたしましては、農林漁業対策の面で農林漁業者の資本装備充実のための農林漁業金融費、農業や漁業などの生産基盤を整備するための経費などが計上されております。
 また、中小企業対策関係では、二ページ下の方から三ページにかけてお示ししてありますように、中小企業金融費、小規模事業対策の推進経費などであります。
 第二の項目は、三ページの中ごろ、流通対策であります。流通機構の合理化や近代化を通じて流通コストの節減に資する経費でありまして、総額は三百九十一億二千百万円となっております。
 具体的には、野菜価格安定対策経費、卸売市場施設整備費などが計上されております。
 第三の項目は、四ページの下の方、労働力の流動化促進でありまして、労働力の質を高め流動化を図るということで、物価安定に役立つ面があるものと考えます。経費は総額三千七百九十五億二千六百万円。内容は、四ページの一番下右側にございますように、雇用安定等の事業を実施するものであります。
 五ページに移りまして、第四の項目は、競争条件の整備であります。価格が公正かつ自由な競争を通じて適正に形成されますよう、市場の競争条件を整備するための経費が取りまとめられておりまして、その総額は二十八億八千五百万円、公正取引委員会の経費がその大部分であります。
 第五の項目は、生活必需物資等の安定的供給であります。生活必需物資及び公共輸送等のサービスの安定した供給の確保に資する経費を取りまとめております。総額は一兆一千四百三十八億九千八百万円。石油安定供給対策費、中央より少し下のところにございます日本国有鉄道関係助成費などが主な項目であります。
 次に六ページに移りまして、第六の項目は住宅及び地価の安定であります。住宅供給を促進し、土地の有効利用を図り住宅及び地価の安定に資することを目的とするものでありまして、総額は九千七百四十二億七千万円となっております。右側の中央のあたりの公営住宅建設事業費、住宅金融公庫補給金等経費などを内容としております。
 最後に第七番目、その他には、総額としまして二十四億五千七百万円が計上されております。国民生活安定対策等経済政策推進費などであります。
 次に、昭和六十年度予算に関連する公共料金等の改定につきまして、お手元の別の一枚の資料に沿って御説明申し上げます。
 まず米価につきましては、御存じのとおりなお売買逆ざやが存在すること等の事情を考慮し、本年二月二十五日から平均三・七%の改定を実施いたしております。
 医療費につきましては、三月一日から医療費ベースで診療報酬を合理化、適正化等の観点から三・三%引き上げると同時に、薬価基準等を二・一%引き下げ、この結果、医療費全体としては一・二%の引き上げとなっております。
 国鉄につきましては、合理化等の経費節減努力を続けてまいりましたが、なお多額の損失が避け得ない財政状況にあります。このため六十年度予算において運賃改定により一千五十億円の増収を図ることとし、国鉄は四月二十日から競争条件を考慮し大都市圏運賃等の抑制を図りつつ客貨平均で四・三%の引き上げを申請しております。この取り扱いについてはただいま検討中でありますが、お手元の資料には、とりあえず申請ベースの内容を記載しております。
 国立学校入学料につきましては、国立、私立間の格差の現状等を勘案し、六十一年度入学予定者から国立大学学部で現行の十二万円を十五万円にする等の改定が予定されております。
 以上、これら予算関連の公共料金等の改定による六十年度消費者物価指数への影響は、右側の影響額を合計しまして〇・二%強程度になるものと試算しております。
 公共料金の改定につきましては、今後とも経営の徹底した合理化を前提とし、物価、国民生活への影響を十分考慮して厳正に取り扱ってまいりたいと考えております。
 以上で御説明を終わります。
○竹内委員長 次に、昭和六十年度の消費者行政関係経費の概要について、及川国民生活局長から説明を聴取いたします。及川国民生活局長。
○及川政府委員 昭和六十年度の消費者行政関係経費についてお手元に配付しております表に沿って御説明申し上げます。
 この表は、昭和六十年度の予算案から、各省庁の消費者行政にかかわるものを一括して整理したものであります。
 一枚目の表では、消費者行政関係経費を十二の項目に分類しておりますが、これはおおむね消費者保護基本法の体系に沿ったものであります。十二の項目のうち、項目の一の「危害の防止」から項目の六番目の「契約の適正化」までの項目は、主として事業者活動を適正化することを内容とする事項であります。項目七の「消費者啓発」以下の諸項目は、消費者が自主的、合理的な消費生活を営むことを支援助長することを内容とするものであります。
 以下、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一の項目の「危害の防止」でありますが、消費者の生命、身体に係る危害を防止し、安全を確保することは、消費者保護の基本的課題であります。このため、医薬品や家庭用品等品日の特性に応じてきめの細かい施策を講じているところであります。本項目の総額は三十四億九千九百万円で、消費者行政関係経費全体の約三分の一を占めております。なお、前年度と比べますと五千三百万円ほどの増加となっておりますが、これは主として自動車の審査設備の充実等によるものであります。また、健康食品として販売されている商品の中で、薬事法上の無承認無許可医薬品に該当するものに対しては監視の徹底を図るための経費等が新たに計上されております。
 第二番目の「計量の適正化」から第六番目の「契約の適正化」までは、いずれも消費者の合理内かつ適切な選択等を確保する上で欠くことのできない経費でありますが、二番目の「計量の適正化」は適正な計量の実施及び普及のための経費であり、三番目の「規格の適正化」はJASやJIS制度の運用等のための経費であります。
 第四の「表示の適正化」については、不当表示の取り締まり、家庭用品の品質表示の適正化等に要する経費がその内容となっております。
 第五の「公正自由な競争の確保」につきましては、独占禁止法の施行費等が、第六番目の「契約の適正化」には、割賦販売、訪問販売等の適正化を図るための経費、悪質な貸金業者や不動産業者の取り締まりを行うための経費などがそれぞれ計上されております。
 次に、項目七番目の「消費者啓発」から項目十一番目の「消費者組織育成」までは、消費者の利益の擁護及び増進を消費者のサイドから確保する上で重要な経費であります。
 七番目の「消費者啓発」は、各種の情報の提供、講演会の開催などによりまして、消費者が自主的かつ合理的に行動できるように消費者を育成、支援するための経費であり、前年度と比べますと六億八百万円の減少となっておりますが、これは主に本年度、単年度限りの経費でありました農林水産省関係の食品普及関係の補助金が減額になったことによるものであります。
 項目の八番目の「意見の反映」は、各種モニター制度や消費者との懇談会等を通じて消費者の意見を迅速かつ的確にくみ上げ、消費者志向を一層促進するための経費であります。
 九番日の「試験検査施設整備等」では、商品テストを効果的に行うための経費が計上されており、十番目の「苦情処理体制整備」では、各省庁の消費者相談窓口等における苦情の受け付け処理等に要する経費がそれぞれ計上されております。
 さらに、十一番目の「消費者組織育成」のための経費については、消費生活協同組合の貸付金や消費者と産地を直接に結ぶ事業に対する助成等がその内容となっております。
 最後に、項目の十二について申し上げます。
 この項目のうち、まず(一)の「国民生活センター」につきましては、教育研修や情報提供、苦情相談、商品テストなどの事業を行うための経費として十九億円が計上されております。
 (二)の「地方消費者行政推進事業等」についてでありますが、この経費につきましては、昭和四十二年度から消費者啓発費補助金等により地方消費者行政の推進に努めてきたところでありますが、このような国の助成の効果もあって地方の消費者行政は定着しつつあることにかんがみ、国と地方との役割分担を明確にしながら今後とも地方消費者行政の充実を図る方向で予算を計上いたしております。
 すなわち、今後消費生活センターにおける苦情相談など地方の固有業務は地方公共団体の一般財源にゆだねることといたしまして、これに対する奨励的補助金は五十九年度をもって廃止することといたしました。一方、都道府県を越える広域的消費者問題、全国的消費者問題等に関する対策は全額国の責任で充実することとし、地方公共団体の協力を得ながら国と地方との生活情報ネットワークの整備等を図るため生活情報体制整備等交付金を新たに計上いたしました。さらに、今後自主的に運営されます地方消費者行政が適切に推進されますように、国としての指導助言体制を整備するため、消費者問題国民会議の開催、地方消費者行政推進委員会の開催等のための経費を新たに計上いたしました。これらの経費は約二億四千万円となっておりますが、そのほか消費者行政の基礎的な調査、生活関係事犯の取り締まりの経費などがこの項目の中に計上されております。
 以上が各項目の概要でございます。これら各項目の経費を合計いたしますと百二億一千万円ほどとなります。前年度の百九億八千万円に比べますと、先ほど申し上げました食品普及関係の補助金の減少等を主因といたしまして七億七千万円程度の減少となっておりますが、事業内容といたしましては、御説明いたしましたような新規の施策等も含めて展開することといたしております。
 これを省庁別に集計したものが二枚目の表でございます。
 以上、昭和六十年度の消費者行政関係経費の概要を御説明申し上げました。何とぞよろしくお願いいたします。
○竹内委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。尾身幸次君。
○尾身委員 尾身幸次でございます。
 ただいまの金子大臣の所信表明に関連いたしまして、我が国経済の当面する課題と経済運営につきまして二、三の質問をさせていただきます。
 最初に、対米関係についての質問であります。
 先ほどお話にもございましたが、五十九年度の実質成長率が五・三%に達すると言われておりますように、我が国の経済は着実な上昇を続け、景気の拡大の過程に入っていると言われているわけであります。その順調な発展の最大の原因の一つは、アメリカの経済が好況である、そしてその好況に支えられて対米輸出が大幅に伸びているということが原因であると考えているわけでございますが、そこで、今後このアメリカ経済が順調な発展を今までと同じように続けていけるかどうか、そういうことについて、大臣のお考え、政府の見通しをお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 昨年の日本経済は、御指摘のようにアメリカに対する輸出が大幅に伸びたものですから、それに引きずられて日本経済も活況を呈したわけでございますが、新年度に入りますると、ある程度アメリカ経済はスローダウンするのじゃなかろうかという見通しで、四%前後に軟着陸するというふうなのが犬方の見方でございますが、特に最近発表になりました一−三月のアメリカのGNPの伸びが比較的鈍化しておる。二・一%増というような数字が出ましたために、いろいろ御心配をかけている向きも多いかと思うのでございますが、これは輸出が大幅に減ったことが原因でありまして、個人消費は依然として着実に伸びております。設備投資はやや横ばいの状況でございまするけれども、物価は安定し、失業者も減っておるというような状況でございますので、そう大きく景気が落ち込むということはなかろう。アメリカの景気の鈍化によって日本経済が深刻な影響を受けるようなところまではなかなかいくまい。やはりアメリカ経済は政治的にも経済的にも相当な強さを持っているというふうに世界的に認識されているというふうに我々は見ておるわけでございますが、しかし油断はできないので、今後の動きを十分見ながら必要な対策をとってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○尾身委員 今の大臣のお話でございますと、アメリカの経済は今後も今までどおりということにいくかどうかは別として、全体として順調な発展をしていくであろうというように伺ったわけでございますが、もう一つ、ここ何年かの間アメリカ向けの輸出が大幅に伸びた原因は、円の対ドルレートが、アメリカの高金利政策のために、いわゆる輸出入品の価格の実勢よりもはるかにドル高・円安に推移してきている。つまり、実勢から見れば一ドル二百二十円とかあるいは二百三十円ぐらいのところが妥当だと思われるのに、現実には二百五十円あるいはそれ以上になってきているという状況であると見ているわけでございますが、こういう為替レートがアメリカの高金利政策のために実勢よりも円安・ドル高になっているということが、今まで対米輸出が非常に伸びてきた、むしろ伸び過ぎてきたという原因の一つにもなっていると思います。
 この点につきまして、政府としては為替レートの現状についてどうお考えになっておられるか。それからまた、アメリカの高金利政策の為替レートへの影響、そういうものを踏まえて、これにどう対応していくのか。むしろアメリカにこの高金利政策の是正ということをしっかり申し入れて、正常な為替レートに戻すような、そういう対応をしていくべきではないかというふうに感じておりますが、その点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 尾身先生の御指摘のとおりでございまして、アメリカの高金利、ドル高が世界経済をひっかき回しているというのが偽らざる現状でございます。
 それで、高金利の是正策につきましては、従来とも政府は機会あるごとに、特にこの高金利の是正をしてもらわぬことには何ともならぬぞということでいろいろ申し入れもしてきたわけでございますけれども、来るべきOECDの閣僚理事会あるいはまたボン・サミット等におきましても、高金利の是正については各国ともこれは相当強く申し入れることになっておると考えております。
 ドル高対策につきましては、アメリカは従来比較的協調介入の姿勢に消極的でございましたけれども、先般の一月でございましたか、先進国五カ国の蔵相会議では、アメリカも積極的にこれに加わってある程度のドル高の是正に介入しようということで、関係各国の中央銀行と連絡をとりながら努力をしてくれておる。それは一つの大きな前進であると思いますけれども、なかなかやはり大勢としてドルが高くなるのを食いとめるだけの力がなかったというのが実際のところでございますけれども、最近は、アメリカのある州の貯蓄銀行が破綻したというようなことをきっかけにいたしまして、そこへ持ってきて一−三月のGNPが落ちる、スローダウンしそうだというようなことで、ややドルが下がってきた。しかしこれもいつまで続くかわかりませんけれども、必ずしもドル高一辺倒で今後も推移するとは私ども考えていないわけです。日本の経済パフォーマンスが非常にいいですから、もう少し実勢を反映したような姿に持っていくような努力を今後も着実に続けてまいりたいと考えております。
○尾身委員 今この日本の景気がよくなった原因は、一つは対米向けの輸出が非常に伸びた、それを軸として輸出全体が伸びたということでございまして、これ自体は非常にいいことであると思いますけれども、しかし、ここ三年ばかり我が国の経常収支の黒字が三百四十億ドルという非常に高い水準を続けているわけでございます。そしてその中で対米の貿易収支が三百億ドルにも達しているということでありまして、こういうことが続きますと、やはりアメリカを中心とする外国からの対日本満といいますか、対日感情の悪化やあるいは貿易摩擦の問題というのが再燃してくる。いろいろなところでそういう動きがあるように感じておりますけれども、その貿易摩擦問題が深刻化することが懸念されます。
 そこで政府としては、つい先日も中曽根総理がアメリカを訪問したときにいろいろな話し合いをして、四項目についてこれから日米協議をやるということでございますけれども、しかし今のままで対外経常収支が推移するということが果たしていいのか、やはりもう少し日本側としてもこの点については対外貿易黒字幅の縮小という、そういう方向でいろいろな手を打っていくべきではないかと考えておりますけれども、政府のこの点についての方針をお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 新年度に入りますと、アメリカの景気も落ちる、それから円がヨーロッパの通貨に対しても割高になっておる、あるいはOPECの経済が悪いというようなことで、だんだんと今までのような輸出の伸び一辺倒の日本経済ではなくなるのではなかろうかというふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、五十九年度並みの輸出超過、貿易収支の黒が出るというようなことになりますると、アメリカ、EC、ASEAN各国からの日本に対する非難というものがますます高まる危険がございますので、今政府を挙げて、対外市場開放をどこまで持っていくか、最大限の努力をしておる最中でございます。河本大臣を中心に、総理とレーガンとの間で話し合いがありました四項目については、できればOECDの閣僚会議の前、あるいは遅くともボン・サミットの前には具体的な結論を出そうということで今努力をしておられるような最中でございまして、我々としても、日本は貿易立国でございますが、買えるものはぜひひとつ外国からもどんどん入れるような方向で、これは世界各国が保護主義をとり出したら大変なことになりますから、自由貿易の原則をあくまで世界各国に貫いてもらうような努力を今後とも着実にやっていくべきだと考えております。
○尾身委員 そこで、これからの経済運営の重点は、先ほど大臣の所信表明にもございましたように、何といっても内需を拡大していくことであると考えております。しかし、御存じのように、厳しい財政事情のもとで、財政面で拡大基調をとるということはなかなか難しい、限度があるわけであります。したがいまして、これからの経済運営の重点は民間の活力や民間資金を活用して需要拡大を図っていく、そういう大臣のお考え、私は全く同感でございます。
 そこで、民間活力の発揮のためには、一つは、自由な経済活動を阻害している各種の規制を緩和していく。例えば土地利用に関しまして、調整区域の指定などでその自由な利用が制限されているわけでございまして、もちろん規制にはそれなりの理由はあるわけでございますけれども、そういうものをもっと弾力的に緩和していくということが民間活力の活用のために極めて重要であると考えておりますけれども、政府としてこの問題に具体的にどういうふうに取り組んでいくのか、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
○金子国務大臣 民間活力の拡大のために具体的にどういう措置をとっておるのかというお話でございますけれども、日本の行政を見ておりますると、民間の経済活動に対する許認可事務が余りにも多過ぎる、それから法律的な、行政的な規制が多過ぎるものですから、やはりこれを一つずつ着実に取り払って、民間経済が伸び伸びと活動できるような方向に持っていくことが基本的に一番大事なことでございまして、これは前の中西国務大臣が中心になって今までいろいろやってこられたのを引き継いで河本さんのオフィスで今やっておられるわけでございます。
 特に土地規制につきまして御指摘がございましたけれども、今、民間の消費を伸ばす上においては、やはり住宅建設等が経済に与える影響あるいはそのすそ野が広いと申しますか、住宅建設なんかをどんどん進めようとする場合に土地規制というものが非常に大きな障害になっていることは事実でございます。例えば建設省の調整区域だとか市街化区域とかいろいろな規制がございますし、農林省は農林省で規制を加えておりますし、自治省は自治省で規制を加えておるといういろいろな問題がございますので、こういった点につきましてひとつ思い切った緩和策を講じて、住宅がもっと前広にどんどんできるような政策をやるべきだということで、今調整区域の緩和等につきましても地域指定の緩和につきましても建設省を中心にやっておるというのが現実の姿でございます。
○尾身委員 財政面で、先ほど申しましたように財政事情が厳しい折でございますから、政府が内需の拡大のためにやれることには限度があると思っていますけれども、しかし、いわゆる公共事業の前倒し、これにつきましては政府がその気で決断をすればできるわけでございまして、私としては新しい昭和六十年度におきましてもぜひこの点を実現していただきたいと強く要望するわけでございますが、この点につきまして大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○金子国務大臣 財政的な余裕がありましたならば思い切った公共事業費の増額ということも考えなきゃいかぬと思っておったわけですが、それが十分できない。ただ、一般公共事業の事業量におきましていろいろ工夫を凝らして、六十年度は五十九年度より三・七%事業量をふやしております。これは一つの救いであったかと思うのでございますが、まだ予算が成立する前でございますから今からこうなりますよということを申し上げるのは早過ぎまするけれども、予算が成立いたしました暁には全般的な前倒しをいたしまして、あるいは異常に公共事業等に依存している不況の地方に対して傾斜配分をするとか、そういうことによって景気振興を図っていくことが大事なことでございますので、そういう点につきましても私どもぜひ推進してまいりたいと考えております。
○尾身委員 次に、これから内需を振興させるために特に民間の経済活動を活発化したいという大臣のお考えでございましたが、そのための一つの方策は、古くて新しい問題、いわゆる金融政策でございます。これにつきましては、やはり企業の金利負担が高いということが一つの問題となっておりまして、民間企業の設備投資の促進に一つの制約条件になっていると考えるわけでございます。この点について、これは日銀の方の問題かもしれないわけでございますが、公定歩合の引き下げを含めた金利全般の引き下げについて前向きに対応できないだろうかというのが私の考えでございますが、この点につきまして政府のお考えを伺いたいと思います。
○金子国務大臣 金利の、特に公定歩合の問題、これは日本銀行の所管でございますから私どもがとやかく言うわけにはまいりませんけれども、ただ、一般論として申し上げますと、今アメリカとの金利差が五%ぐらいあるものですから、せっかく日本が稼いできた貿易黒字が、ほとんど向こうの証券投資あるいは直接投資に流れ込んでしまって、国内で使えないような状況なのです。これは、さらに公定歩合を下げるということになりますと一段と金利差が大きくなるわけでございますので、そういう点いかがかという感じがいたします。
 それから、最近数年間の金利の状況を見ておりますと、六%前後というようなことで比較的金融が緩和しておる状況であろうかと思うのでございまして、現在のところではむしろ金融は緩みぐあいで、もう少し締まってくる、どんどん需要がふえて金利が上がるということなら別でございますが、今のところはすぐ金融を緩和する段階ではないのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
○尾身委員 私がお伺いしたのは、金融の資金的な需要供給の緩和ということではありませんで、むしろそういう緩和基調にあるのならば金利の引き下げを考えていただきたいということを申し上げたわけでございます。外国との金利差の問題は確かにございますが、それについてはむしろアメリカ側に今の高金利政策の是正を主張すべきではないかということでございまして、国内の企業が現在の状況のもとにおいて非常に高い金利負担に苦しんでいることは事実でございますので、再度この点についての大臣のお考えをお伺いしたい。
○金子国務大臣 お話の点は十分頭に入れながら、今後の金融政策を推進してまいりたいと思います。
○尾身委員 景気の現状についていろいろ大臣からお伺いをいたしたわけでございますが、私の選挙区で中小企業の方々と話し合いをしてみますと、まだまだ多くの中小企業が日本の景気の拡大から取り残されているのが現状でございます。日本経済の順調な回復と言っておりますけれども、そういう方々はまだまだその恩典に浴さないで、本当に必死で経営努力を続けているのが実情でございます。
 他方考えてみますと、今申し上げなかった技術開発の推進というような問題も含めまして、財政事情は非常に厳しい折ではございますけれども、政府の政策よろしきを得れば日本経済はさらに順調に拡大していくことができるのじゃないか、そしてそれによって先ほどのお話にありました政府見通しの四・六%程度の成長は十分達成可能である、あるいはもう少し高い成長も実現できるのじゃないかと感じているわけでございます。
 財政面の制約はありますけれども、対外経済摩擦の解消のためにも何といっても内需の拡大が重要でございます。そういう意味で、先ほどの金融政策あるいは公共投資の前倒しあるいはその他の、民間に対する規制の緩和という問題も含めまして、政府として内需の拡大、景気の振興のためにできる限りの方策をとっていただきまして、日本の経済の発展をさらに順調に実現していただく、そしてそれによりまして中小企業も含めた方方が安定的な経営ができるように、ぜひ政府として各種の施策を強力に実現されたいということを要望する次第でございます。
 これにつきましての大臣の決意を聞かせていただいて、私の質問を終わります。
○金子国務大臣 尾身先生のおっしゃることは私も全く同感でございまして、今日、日本経済を支える大きな柱は中小企業でございます。業種業態は千差万別でございまして、なかなか日の当たらないところがある。これは全体の景気拡大の中で日を当てて、光を当てていくしか手がないと思うのでございますが、しかし、必要な金融上、財政上の手はあらゆる機会をつかまえてやるように努力してまいりたいと思います。
 そういう意味で、今政府が進めておる行政改革、特に高度成長時代につき過ぎたぜい肉を中央、地方の行政から洗い落として、できるだけ民間に元気をつけてやってもらえるような方向へやる、同時に歳出歳入の見直しもこの際しっかりやって、民間の少しでも助けになるような方向にこれから持っていくように、これは非常に回りくどいようなやり方でございますが、基本はそこにあると私は思います。そういったことで政府もこれから最大限の努力を払いたいと考えておるということを申し上げておきたいと思います。
○尾身委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、武部文君。
○武部委員 私は最初に公正取引委員長にお伺いいたしたいのであります。
 この委員会でかつて京都のMKタクシーの運賃問題が取り上げられまして、いろいろ論議がございました。その後も引き続いて、京都のMKタクシーというのは運賃をめぐっていろいろと問題があったようでございます。
 先般、大阪地方裁判所において、このMKタクシーの値下げ申請を却下することは違法であるという判決が下ったのであります。この判決が下りまして、これに対して業界は当然ながら反対を表明し、また多くの同業の従業員、職員はいずれも雇用問題あるいは賃金問題に関係するとして大変不安を持っておるような報道もございます。また、一部の消費者団体はいち早くこの判決を支持して賛成を表明しておる。こういう状況でございまして、大きな問題になっておると思います。
 そこで、私は公正取引委員長にお伺いしたいのでございますが、ここに判決文の要旨がございますけれども、この判決文の中で独禁法に関して述べておるところが二カ所ございます。
 最初の点は、「昭和五七年五月六日、前記の昭和五六年八月の京都市域におけるタクシー運賃値上げの認可に際し、京乗協が、原告ら三社に対して、前記のように他の事業者と同様の値上げ申請をするよう働きかけたのは、独禁法八条違反の疑があるとして、今後、このような行為を再び行うことがないよう、」こういうことがこの中に載っております。
 ここに掲載された内容は、申請の際に「他の事業者と同様の値上げ申請をするよう働きかけた」、こういう点についてこれは独禁法の八条の違反の疑いがあるとしておるわけですが、公正取引委員長としては、この最初の指摘については間違いなくそのように思っておるというふうにお考えなのかどうか、これを最初に伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 事業者がその料金を定めるにつきまして、認可制度のもとで運賃の変更の認可申請をするということが必要なわけでありますが、その認可申請に当たりまして、それぞれが自己自身の採算に基づいて可能な事業見込みというものを想定いたしまして認可申請をいたすということが道路運送法の定めておる趣旨かというふうに存ずるわけでありまして、その認可申請に当たって他の事業者の申請を妨害する、強要するというような行為がありますれば、これは独占禁止法の規定に触れるわけでございます。つまり、競争の制限に当たるか、不公正な競争方法に当たるか、いずれかである。そういう意味で、判決が判示しておられるその部分につきましては、私どもは五十七年にそのような警告処分をいたしたわけであります。
○武部委員 わかりました。
 それならば、この今度の判決の目玉である判決の最後のこの項についてはどのようにお考えでございましょうか。「同一地域、同一運賃の原則によれば、前述のとおり、同一地域においては、各タクシー事業者のタクシー運賃をすべて同一にすることになるから、各タクシー事業者の経営内容に格差がある場合においても、経営内容の悪いタクシー業者の運賃値上げを認可すれば、経営内容がよくて必ずしも運賃値上げの必要のないタクシー事業者の運賃値上げを認可することになるところ、このような扱いは、タクシー利用者(消費者)の利益を無視してタクシー事業者の保護のみを招く一種のカルテルであって、タクシー運賃の分野における公正な競争を実質的に否定するものというべきであるから、独禁法八条に違反する疑いがあるというべきである」、こう明確にこの判決文はうたっておりますが、これについてはどういうお考えでございましょうか。
○高橋(元)政府委員 ただいまお示しのありました判決でございますが、これにつきましては現在控訴が提起されておあというふうに聞いております。したがいまして、その判決の内容について公正取引委員会としての考えを述べるということを差し控える方が妥当であるというふうに考えますので、御理解いただきたいと存じますが、タクシー運賃の認可に係る運輸省のとっております原則、及びその原則に基づきますところの認可行為、これは事業者の事業活動ではございませんので、それにつきまして独禁法の規制が及ぶところではないというふうに承知しております。
○武部委員 公取委員長は、この判決が出ました後、参議院の予算委員会で質問が出た際に、今お述べになったようなことを答弁しておられます。この判決の最後のことについてでありますが、この前の方は、一緒に申請をした、これは独禁法八条違反の疑いがある。それと同じことを運輸省がやった、これは運輸省の認可事項であって、それは独禁法に抵触しないのだ。こういうお考えですか、端的に言えば。
○高橋(元)政府委員 運輸大臣の運賃認可の処分、これは道路運送法の八条に基づきます認可行為でありまして、したがいまして事業者の事業活動ということにはならないわけでございます。私が前に他の委員会でお答えいたしましたのは、運輸大臣の運賃認可処分は事業者の事業活動に当たらないので、独占禁止法の規制が及ばない、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。
○武部委員 新聞でしかわかりませんでしたが、「同一地域内で何種類の運賃を認可するかという決定は、運輸省が競争政策だけでなく各般の政策にもとづいて判断すべきものだ」、こういうふうに答弁しておられますが、同一地域内で同一運賃ですから、何種類もありません、一種類であります。「同一地域内で何種類の運賃を認可するか」というふうに答弁しておられますが、判決は、同一地域同一運賃の原則に従ってしたことは違反の疑いがある、こういうふうに言っておりますし、現実もそうですが、その点はいかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 ちょっとくどくなりまして恐縮でございますが、事業者、つまり個々のタクシー事業者がいかなる運賃の変更、つまり引き上げの申請をいたすかということは、これは各事業者がそれぞれ自己の判断に基づいて行うべきことで、そこに競争の制限行為があってはいけないし、かつまた、他の事業者に対してこれを不当に抑圧するような不公正な競争方法を用いることは許されない、このことは明らかに先ほど申し上げたとおりでございます。
 そういうことを前提といたしまして申請が出されました認可申請につきまして、道路運送法の八条に基づきますいかなる認可を行うかということは、これは行政行為の問題でございます。大分前にこの委員会でもお答えを申し上げた記憶があるわけでございますが、タクシー運賃につきまして、競争政策の観点からそれぞれの事業者が創意工夫が発揮できるようなあり方が望ましいということは、五十七年に当委員会でそういう見解をまとめまして各省にも申し上げたことがございます。それはそのとおりに思っておるわけでございますが、そういう競争政策なりそれから交通政策なり全体の政策を総合判断して八条に基づく認可をされるわけでありますから、いずれにしても行政行為である認可という処分には独禁法の規定が及び得ない。これは独禁法の性格からしてさようでございますが、そういう法理を前に申し上げておきましたし、今またお尋ねでございますので、そのようなことをお答えをしておるわけでございます。
○武部委員 くどいようですが、それならば同一地域同一運賃というのは独禁法には抵触しませんでしょうか。
○高橋(元)政府委員 事業者がみずから運賃を決定して実施できる場合でありますれば、それは明らかにそういう協定をいたしますれば、事実をよく調べて、独禁法の三条または八条の規定に照らして調査をし、必要があれば処分をするということになるわけでございますが、その間に認可という行為が入っておるわけでございますから、認可申請が自由に行われるというところまで独占禁止法の規定が及ぶ。これは明らかに私どもはさような方針でおりますし、運輸省にもそういう方針を申し上げて、そういう一括代理申請とか、それから申請に応じない業者に対して不当な抑圧を加えないように行政指導をお願いしておるところであります。
○武部委員 これはちょっと論争になってくると思うのですが、仮に、百円で申請したかった、いや、こっちは百五十円だ、百円は安いから百五十円にしろ、こう言って百五十円に足並みをそろえて申請させた、これは独禁法八条違反の疑いがございますね。これはお述べになったとおり、前段の指摘のとおりであります。それと同じことを、行政である運輸省が同一地域同一運賃という行政上の認可行為に基づいてやることは、独禁法は事業者を対象にしておりますからこれには違反があるが、それをやらせる、認可する行政は全く関係はない、このようにとるのですか。そのように解釈しろ、こういうことでしょうか。
○高橋(元)政府委員 昭和五十一年に、大分古いことになりますが、運輸省に対して申し入れをいたしまして、そのような行政指導があったわけでございます。と申しますのは、事業者の数が非常に多い。したがいまして、一地域において運賃の値上げの申請をいたす場合に、一括代理申請という形で、一定の協会なら協会にその申請をゆだねるわけでございます。そうしますと、その場合にはおのずと申請行為に、つまり運賃の認可申請行為について事実上の競争制限が起こりますから、それはぐあいが悪い、そこで、代理申請はやめていただきたいということを申し上げて、それは今現在やめておるというふうに承知しております。そのことは、五十七年の場合にもその点は確認をしていただいておるわけであります。
 したがいまして、同一地域同一運賃で認可の申請をすればそれは独占禁止法の違反である。しかしながら、認可申請がそういう形でなくて適正に行われた場合に、いかなる運賃の認可をいたすかということになりますと、これは行政庁としての運輸大臣が適当と認める形で認可をなさるわけでありまして、その認可行為には、何遍も繰り返して恐縮でございますけれども、その点につきましては独占禁止法の規定が及ばないわけであります。さように御理解いただければありがたいと思います。
○武部委員 それでは、最後にもう一遍お伺いいたします。
 決定的な違反があるという判決が出ておるわけですが、このことについては公取委員長としてはどういう御見解ですか。控訴中でございますから確定じゃありませんが、仮に確定したとすれば、どのようにお考えでしょうか。
○高橋(元)政府委員 控訴中の事件でございますから、私どもの考えを公式の場で申し上げるのは適当でないわけでございますので御容赦いただきたいというふうに存じますが、一般的に申しますと、私どもの競争政策の立場からすれば、まさに同一地域同一運賃ということは必ずしも適当でない場合も起こり得ようというふうには思うわけでございますけれども、現実の行政の中でどういうふうに行われるかということになりますと、そこは総合的な運輸政策の立場としてやっておられるわけで、運輸大臣の行われる認可処分について裁判所の最終的な判断がいずれあるわけでございまして、それを待ちたいというふうに考えております。
○武部委員 今タクシーの話をしておったわけですが、トラックも同じことでありますね。これも同じようなケースでやっておると思うのですが、このことについては公取として何か実情を調べておられましょうか。
○高橋(元)政府委員 区域運送と申しますか、トラックにつきましても同様に申請を強要する行為というのがあったので、それにつきましては調査をして警告をした事例がございます。
○武部委員 現実にトラックの運賃はばらばらであります。タクシー運賃だけがあのような形になって、トラックは全くばらばらな運賃が現実に横行しておる、というよりも実施されておる、こういう事情ですね。
 きょうはこれだけのことにしておきます。いろいろ問題がございますし、私はどうしても納得できないのであります。申請のとき疑いがあったものが、認可のときに同じことが行われておるのに片一方は全く独禁法の適用が及ばないというのはどういうことだろうかという疑問はいまだに解消しません。しかし、これは今の公取委員長の見解もあることですから、また改めて論議することにして、きょうは公取の委員長にこのことについてちょっとお伺いしたかったのでわざわざ御足労いただいたのですが、これで終わりたいと思います。
 次に、農林省にちょっとお伺いをいたしたいと思います。
 この数日来大きくやみ米の問題が報道されております。これほど米が余ってどうだこうだというときにやみ米とは一体何だろうか、非常に国民は、私自身もそうでありますが、疑問に思います。やみ米とは一体何を指して言っておるのか、やみ米大量売買の実態が現実に起きておるのかどうか、その実情をちょっと説明してください。
○羽鳥説明員 お答えします。
 いわゆるやみ米でございますが、これは、食管制度で決められた正規の流通ルートで流通する米があるわけでございますが、それ以外のルート、いわゆる不正規流通米と私ども呼んでおりますが、そういうものであろうかと思います。
 不正規流通米につきましてどういうような形態があるかということでございますが、一つは、生産者から指定集荷業者を通じて集荷するのが通常でございますが、それ以外に、自由米の取扱業者というような人たちの手を経まして消費者の段階に渡るようなものとか、許可販売業者に対して政府管理米を売却するというようなことで流通したものの一部が売れ残りまして、それが横流れするというような形態、いろいろあると思いますけれども、非常に多様でございますし、事柄の性格上その流通自体につきましては十分把握しがたいという状況にございます。
○武部委員 全国で大体どのぐらいな量がやみ米として横行しておるというふうに食糧庁は把握しておられましょうか。
○羽鳥説明員 先ほど申し上げましたように、その性格上、流通実態は十分把握できませんし、量的にもどの程度かということにつきましての的確な把握ということは困難な状況にございます。
○武部委員 全国で百五十万トンぐらいそういう米が動いておるということを報じておりますが、こういう数字は的確な数字でございましょうか。
○羽鳥説明員 いろんな報道がなされておりますけれども、私どもは現実にそういう数量につきまして把握しておりませんので、その数量が正しいかどうかというふうなことについて申し上げられる状況にないので、お許しいただきたいと思います。
○武部委員 全国食糧事業協同組合連合会の会長が関係をしておられる山形県の米の会社が大量のやみ米を売買したということで摘発をされて、現実に今食糧庁はこの処分問題について検討しておるという事実があるようですが、間違いございませんか。
○羽鳥説明員 お答えします。
 今回、山形県下で特定米穀の集荷販売業者、特定米穀と申しますのはくず米とか砕米などのみを取り扱う業者としまして指定ないしは許可された業者でございますが、その二業者が埼玉県下の無許可の販売業者に対して特定米穀以外の米穀を供給した疑いが生じたというようなことで、山形の食糧事務所が調査を行っていたわけでございます。その結果、その当該二業者につきまして食管法違反の疑いが生じたということで、食管法の八条の二の五項により処分を行うというふうなことで、先般公開聴聞という手続をとったというようなことでございます。
○武部委員 処分するためにはそれぞれの手続があって処分をされるだろうと思うのですが、この聴聞会のことをちょっと聞きたいのです。
 このような事実があったときには本人に対して弁明の機会を与える、こういうために聴聞会というものを開催されるということになっておるようであります。ところが、食糧庁は現場の食糧事務所長を通じて、違反の業者に対して、聴聞会に出るな、こういう指示を与えたという報道が大きく各紙に出ました。ごらんになったと思うのですが、この摘発を受けた、これから処分を受けるであろう連中に対して弁明の機会、発言の権利を与える会合に、食糧庁はなぜ食糧事務所長を通じて当該のそういう横流しをしたと言われる業者に出るなということを言うのか。むしろ堂々と出て、事実を事実として弁明をする機会を与える、これが本来正常な、常識的な判断だと思うのですが、逆に出るなということは一体何を意味するだろうか。ここから問題が別な方へ発展をするわけであります。
 今申し上げましたように、全糧連というのは日本最大の連合会であり、米を一手に引き受けておる団体であります。報道されましたように、歴代の食糧庁長官あるいは農林水産省次官の皆さんが十数名題間になっておられる。そういうところの会長の方が大量のやみ米の事件を起こした、こういうことが与える影響は非常に大きい、だれもこれは常識的に考えますね。そういう意味から、この実態が公になって明らかになることを恐れてやったのではないかというふうに疑うのもまた一つのあり方ではないだろうかとも私は思います。そういうことはなかったでしょうか、あったでしょうか。
○羽鳥説明員 私ども早速確認いたしましたが、そのような事実はございませんでした。
○武部委員 まことに奇妙なことが詳細にここに載っておる。これが全く作り事で、つくった作文なら大変なことだと思うのですが、この聴聞通知には、食管法の法令に基づいて、出られぬ場合は延期してもいい、それから、正当な理由がなく出席しない場合は聴聞をしたとみなして改めて公開聴聞をしない、何にも言わぬで黙って出なければそれで終わり、改めてもう一遍出てこいというようなことは言わぬ、大変な法令になっておるわけですが、この二つのことが書いてある。間違いありませんか。
○羽鳥説明員 私ども公開聴聞の通知を先方に出したわけでございますが、その際に、注意書きが幾つかございます。その一つは、例えば、意見を出す場合にはあらかじめいつ幾日までに出してほしいとか、代理人が出席する場合にはこれもまたいつ幾日までに事務所の方に届けてほしいとかというような幾つかの注意書きがございます。ちょっと私その新聞記事、表現が適切かどうか今確認しておりますけれども、そういう幾つかの注意書きをつけて先方に通知を差し上げておる、こういう状況でございます。
○武部委員 確かに注意書きのようです。注意書きの一項目は、さっき私が読み上げたように、出席できなければ都合で延期してもいい、二番目は、正当な理由がなくて出席しない場合には聴聞したとみなして改めて公開聴聞をしない、こういう注意書きがあって、その注意書きを食糧事務所の業務課長が何回も繰り返して読んで聞かせて、そして、欠席すればこれで終わりですよ、二番目の注意書きのとおり、黙って出なければそれをもう一遍出るとかもう一遍やるとかいうことはない、これで終わりということが二番目にございますということを何遍も読んで聞かせた、こういうことがここに記述されておるのであります。そうして、そういうことを食糧事務所が言ったとは言わぬでくれと念を押した、こう書いてあるのであります。
 これは言った、言わぬのことでありまして、本人がここにおるわけじゃないですからいろいろなことがあるでしょうけれども、一番最後に、山形食糧事務所長の話として、たった三行ですが、載っています。追及されて「一般論として親切心で言ったのだろう。みんな親切なので、よく聞いて、注意する。」言わずもがなであります。このたった三行のことが、明らかにそういうことを言ったことを認めておる発言であります。ですから、この業者は聴聞会に出席をしていない、欠席をしておるようであります。それから県が聴聞会をやった、これにも出ていない、そのように私は聞いておりますが、間違いございませんか。
○羽鳥説明員 聴聞会の通知書を持っていきました食糧事務所の職員に事実関係を聞きましたところ、公開聴聞に欠席した方がよいというような、そのような証拠の提出とかあるいは意見を述べる機会を放棄させるというような発言は一切してない、このように確認をしております。
○武部委員 食糧庁はそのような発言はないと反論をしたということも、この新聞に載っております。その後ろに、この食糧事務所長が今私が読み上げたことを言っておるのも載っている。
 これ以上言いません。全く何もないところにこんな報道が出るわけはない。しかもこの大量のやみ米を流した張本人が全食糧連の会長であるという事実からして、大変な疑問を感ぜざるを得ないのであります。したがって、今ここで処分の内容をお聞きするわけにもいきませんし、皆さんの方は何かそういう手続というか調査をしておられるようでありますが、こういう状況が国民の前に明らかになったわけです。全食糧連というのは一手に米の流通を請け負っておる連合会であります。こういうところにそういうような、癒着とまでは私は指摘をいたしませんが、食糧庁長官あるいは農水の次官十数名の方が顧問になっておられるそういう団体の中の最高の責任者の方が関係をする会社が起こした違反であるというところから、こういう指摘が恐らく出たのだろうと思います。
 しかし、さっき読み上げたように注意書きですね。こんなばかけた注意書きというのは私は余り聞いたことがない。ですから、本来ならば出てこなければ延期してでも呼んで事実関係を明らかにして、それに基づいて処分をするというなら話はわかるんですよ。来なければ来ないで終わり、二度も三度もということはないから黙っておりさえすればそれで終わりだというような注意書きをつけて聴聞の開催の通知を出すということは問題がありはしないかと思うのですが、この点はいかがですか。
○羽鳥説明員 お答えします。
 公開聴聞を開く趣旨は、行政処分をする場合に相手方の意見の提出あるいは証拠の提出、いろいろな弁明の機会、そういう機会をつくる、こういう趣旨でございまして、公正を期すというようなことでそういう機会をつくっておるわけでございまして、むしろ機会を提供するというようなことでやっておりますので、その機会を先方が放棄するということについては、私どもの方からそれをさえどうしても出なければいかぬということで強制するというわけになかなかまいらぬ、機会を提供する、こういうことでございます。
○武部委員 おっしゃるように、機会を与えるために聴聞というのはやるのですよ。ところがこの二項というのは、機会を与えるというのではないです。せっかく聴聞というのをやるんだが、今私が読み上げた二項目目は全く逆のことを言っているんじゃないですか。出たくなかったら出てこぬでもいい、むしろ出ぬ方が得だぞということを、この項目を何遍も読んで聞かしたという、これまたおかしな話です。
 あなたとここで今水かけ論をやってもしょうがない。これは食管法の法令に基づいて聴聞が行われ、それについては通知を出す、その通知にこういうような注意書きがしてあったという、その文書を受け取っておるわけです、これを読むと。したがって、聴聞通知についておった注意書きを、文書があるわけですから、ひとつ後で私の方に提出していただきたい。このことを申し上げて、この件は終わります。
 次に、石油製品の輸入の問題についてお伺いをいたします。
 先般来、ライオンズ石油の問題が非常にクローズアップをされまして、シンガポールの現地でも新聞にライオンズ石油というものが載ったというような報道がシンガポール発として載っておりました。石油製品の輸入、特にガソリンの輸入であります。当委員会でも何遍か、この製品の輸入というようなものが話題になったこともあります。
 現在、石油製品として日本に輸入されておるものは、どういう種類のものが、年間どのくらいありましょうか。
○畠山政府委員 現在製品として我が国に輸入されております品目は、まず第一がナフサでございます。ナフサの輸入量は千三百万キロリットルということでございます。それから次にA重油でございますが、これは百七十万キロリットルでございます。それからC重油でございますが、五百七十万キロリットルでございます。それからLPGが千百万トンございます。これらを合計いたしまして石油製品の輸入量は約三千五百万キロリットルでございまして、全体に占める比率が一六・五%ぐらいということでございます。
○武部委員 ナフサは実質的に自由化になっておるというふうに見てよろしいですか。
○畠山政府委員 細かいことはございますが、実質的に自由化されていると御理解いただいてよろしいと思います。
○武部委員 今度ライオンズ石油がやろうとしたガソリンの量は、どのくらいだったのでしょうか。
○畠山政府委員 一カ月に三千キロリットルということでございました。
○武部委員 現在の石油業法からいうと、このライオンズ石油がやろうとしたガソリンの輸入というのは、法律的には届け出さえすれば石油業法上は正当である、このように理解してよろしゅうございますか。
○畠山政府委員 確かに石油業法上届け出という制度になっておりまして、外国為替及び外国貿易管理法に基づきます輸入制限品目に石油製品は入っておらないというのは事実でございますが、ただ同じ石油業法の中に、届け出を受けました際に、これは石油輸入計画の届け出でございますけれども、通産大臣がその変更勧告を出すことができるという規定がございまして、そういう意味では、届け出さえすれば自由に輸入できるということよりも若干ニュアンスが異なりまして、石油輸入計画の届け出がございますると、通産大臣はそれに対して一定の観点から必要と認めた場合には石油輸入計画の変更を求める勧告を出すことができるというふうに書いてございます。
○武部委員 そこのところが大事なんですよ。石油業法の条文上から見れば、これは届け出さえすればいい、このように理解できるのですが、今あなたがおっしゃったように供給計画、こういうものから見て通産省はこれについての何か行政指導というか、圧力みたいなものでしょうが、そういうことができそうな今の答弁であります。しかし、たかだか月に三千キロリットル程度のものが日本のガソリンの供給計画に変更を来すようなものであるとはだれも思いませんね。
 このライオンズ石油の問題は何かうやむやのうちに消えてしまったようでありますが、このガソリン三千キロリットルの製品輸入問題が消滅したという理由は何だと通産省は見ておられましょうか。
○畠山政府委員 今お尋ねが三つあったかと思いますが、まず第一は、石油業法の条文上から見れば届け出さえすれば自由に輸入できるかのごとくになっているのに、行政指導で何かやれるような答えをしたけれどもどうかというお話でございます。
 行政指導と申しますか、先ほど申し上げましたように石油業法上に、これは十二条で準用している十条でございますけれども、「通商産業大臣は、石油の需給事情その他の事情により、石油供給計画の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、」石油輸入業者に対し、石油輸入計画を「変更すべきことを勧告することができる。」というのが石油業法の条文に明記しているわけでございまして、この条文なしに私どもが行政指導をやっておるというわけではございません。この勧告を出します際には審議会への諮問が義務づけられておりまして、二十条の二に基づきまして私ども当然審議会に諮問もいたして行ったところでございます。
 それから第二に、たかだか三千キロリットルの輸入ではないか、これが石油の供給計画の実施に重大な支障が生ずるということにはならぬじゃないかという御指摘でございますが、これは確かに三千キロリットルの輸入でございますけれども、これを認めますと次の三千キロリットルと申しますか、次にまた申請がありましたときにもまた認めていかざるを得ないという論理になろうかと思います。ですから、これは望ましくないということでやったわけでございます。
 それから最後に、なぜ勧告を受諾したのか、その理由いかんということでございましたが、ライオンズ石油の方から私どもに、勧告を受諾する、ただ、シンガポールから貨物を持ってきてしまったものですからそれの買い取りをあっせんしてくれ、それから輸入のソースがなくなりますと国内でのソースがなければいけないので、国内からの供給ソースもあっせんをしてくれという御要請がございまして、第一点につきましては、今後同じようなことをどんどんやられますと困りますので、私どもとしましても今後輸入を行わないということを条件にあっせんを行ったところでございます。第二点についてもあっせんを行いまして、それらのあっせんが終わりましたものですから勧告を受諾したこういうことであったろうかと思っております。
○武部委員 通産省から勧告が出た。この報道にはいろいろなことが書いてありますが、この勧告と同時にライオンズ石油の取引銀行である城南信用金庫を通じて融資の打ち切り、そういう圧力がかかった、ライオンズ石油というちっぽけな会社の取引銀行である城南信用金庫に対して大手の日本石油の方から圧力がかかって、国の政策に反するようなことをやる業者には金融の措置はとれぬ、こういうことをすかさずやられたので、どうにもならぬと手を上げて、バンザイしてこれはやめた、こういうことが報道されておりますが、事実ですか。
○畠山政府委員 そういう報道があったのは事実でございますが、その報道の内容は事実ではないと考えておりまして、まず第一に、私どもから城南信用金庫というところに何らかの連絡をした、圧力をかけたという事実はございません。それから、報道では大手の石油会社が圧力をかけたということも書いてございますけれども、具体的には日本石油でございますが、日本石油から金融機関に対し圧力をかけた事実はないという報告を受けておりまして、また日石は城南信用金庫と何ら取引関係がございませんので、取引上の優越的地位を利用して圧力をかけたこともないという報告を受けているところでございます。
○武部委員 今の答弁は聞きおく程度にしておきます。
 そこで、ガソリンを製品のままどんどん日本に輸入してきたら石油の供給計画に対して大きな影響が出てくる、こういうことを主張されておるようですし、また私は、それは全く事実はないとは言いません。今は日本も原油を輸入して精製して、元売会社がああいう格好でやっておりますね。この場合に、仮に第二、第三、第四のライオンズ石油のようなものがどんどん申請をしてきてガソリンが入り出してきた、そうすれば当然ガソリンの値段は、これは安いものが入ってくるわけですから安くなってくる。このときに他の製品に与える影響というものが生ずるということを通産省は主張しておりますね。それはどういう影響がどういう油種に対して起きるのか、ちょっとそれを述べてください。
○畠山政府委員 どういう油種にどういう影響が及ぶかということでございますが、二番影響が及ぶであろうと思われておりますのは灯油であろうかと思います。
 今御指摘のように、石油製品というのは、原油からガソリンもできるし灯油もできるし重油もできるという、連産品という生産構造になっておりますものですから、ガソリンが安く入ってまいりますると、ほかの油種でその安くなった分を回収しなければいけないということになるわけでございます。それで現在の価格体系は、灯油につきましては、これは生活必需品でございますので、通産省で石油業法に基づきまして九月末までに一定量の在庫を保有するように要請をいたしております。石油供給計画の中にそういう六百七十万キロリットルという相当量の在庫が確保されるように書いてございまして、その要請を受けて石油会社はそれを保有しているわけでございます。保有いたしますると、まずその保有についての金利がかかる、それから灯油をその分生産しなければいけませんものですからほかの油種の供給がやや多目になる、それからそういう在庫がたくさんございますると、荷もたれ感と申しますか、そういうことから価格も安目になる、こういうことがあるわけでございます。
 私ども、今灯油について標準価格を設定いたしておりませんから、ですから価格について直接介入こそいたしておりませんけれども、そういう格好で灯油の供給確保という指導はやっているわけでございます。そうしたときに、精製会社が灯油で安目になってしまった分をどこで回収をするかといいますと、これはガソリンで回収をしているという状況になっているわけでございます。ですから、安いガソリンが入ってまいりまして、ガソリンでその分が回収できないとなりますると、灯油の方でそれを回収しなければいかぬという動きが出てくるのじゃないかというふうに考えられます。
○武部委員 この問題は大変大きな問題でありまして、私は石油審議会で当然論議が行われておると思いますが、石油審議会ではこの石油製品の輸入問題について一体どういう論議をしておるのか、それとも、これからどのようなことをやろうとしておるのか、これを伺いましょうか。
○畠山政府委員 先ほどちょっと御説明いたしましたように、ライオンズ石油の問題について勧告を行いました際に、石油審議会を開きました。その際にも若干の製品輸入についての御議論がございまして、私どもが先ほど御答弁申し上げたようなことを御説明いたしまして、御了承をいただいたところでございます。
 それから、今後の問題、もっと広い一般的な製品輸入問題についてどうするのかという点でございますが、これは今週末三十日に石油審議会を開きまして、国際化の問題、それから石油産業の再編成のフォローアップの問題、そういった問題を中心といたします昭和六十年代石油産業のあり方という問題についての討議を行いますための小委員会を設置をしていただいたらどうか、そこで御議論を始めていただいたらどうかというふうに私ども考えております。
○武部委員 わかりました。
 もう一つ、先月、二月に、外務省が三原則を通産省に申し入れをした、現在のやり方はガット違反の可能性もある、こういう見出しで大々的に報道されました。その三原則というのは、「石油製品貿易を迅速に拡大する」とか、そういうような内容ですね。したがって、この石油製品輸入を実質的に自由化しろ、こういう三原則を外務省がつくって、これは貿易摩擦の解消の関係もあるでしょう、通産省に申し入れた、こういうことが報道されましたが、事実ですか。
○畠山政府委員 外務省の三原則とかいうものの申し入れという事実はございません。外務省は三原則をつくった事実もないようでございますし、申し入れという事実は、文書によっても口頭によってもございません。
○武部委員 そうですか。これはこんな大きな記事ですよ。これ、全くうそですか。
○畠山政府委員 まことに奇妙なことでございますが、そういう事実は全くございませんで、その限りではその大きな記事は間違いでございます。
○武部委員 これは驚きました。こういう報道が全く事実無根、これはもうあと何を言うことありません。これは事実こっちが調べてみなければしようがないので、こういう報道がされて、私は、貿易摩擦解消の一環として、外務省と通産省が石油製品輸入の問題をこの三原則に基づいて話し合いをするのかと思っておったのですが、そのようなことは全く事実無根ということですから、これはこれだけのことにしておきます。
 そこで、私はひとつ最後に提案をしたいことがございます。
 実は、昨年の八月の末に三日間、当委員会は国政調査の視察として鹿児島県に参りました。議員六名が参ったのであります。特にその中で鹿児島県の物価情勢、いろいろなものの調査をしたわけでありますが、あそこは御承知のように、離島が非常に多い。したがって、私どもは奄美大島へ参ったわけであります。そこで、鹿児島県は離島物価という言葉を使っておりまして、離島物価の状況をよく我々は調査をしたいと思いました。また、向こうもよく知ってもらいたいということでいろいろやりとりをいたしました。
 たくさんの課題がございましたが、その中で特に石油製品のことについて指摘があり、要望があったのであります。この島では、特に奄美大島はあそこで一番大きい島でありますから、今までのようなやり方のドラム缶輸送をタンカー輸送に切りかえて、そして港に受け入れ用のタンクを設置した、こういう話でございました。ちなみに、このガソリンの石油製品の値段は、鹿児島が一〇〇とすると離島地区は一一二・七という数字を当時も説明されたのであります。
 このときに名瀬の市長から我々に次のような説明がありました。今申し上げたように、鹿児島を一〇〇として石油製品は一一二・七、「ガソリンやプロパンガスについては、国や業界サイドで流通経路や価格形成の問題について極力検討を願いたい。「離島物価」の問題については、奄美振興対策の一環として考えてもらいたい」、こういう強い要望が市長からございました。このときに我々は消費者の代表の方をお招きしておりましたので、御婦人の方からいろいろ意見も聞きましたし、我々も意見を述べました。このときある御婦人の方がこういう発言をいたしまして、ここに議事録がございますが、「プロパンガスは、五立方メートル当り奄美で二、七七八円、鹿児島市で二、六六一円と、一一七円の差がある。備蓄施設費や運送費が余計にかかると業者は言うが、なぜ消費者が負担しなければならないのか、納得ができない。ガソリンは、一リットル当り奄美では一六二円、鹿児島市で一四八円と、一四円の差がある。葉県議は「船会社は運賃で生活しているのだから、島民はこれを負担できるように高収入を得る努力をせよ」とか、「運賃の補助をすると税金が高くなるから我慢せよ」とか言うが、なぜ島民がこんなに苦しまなければならないのかわからない。婦人は皆、紬などのパートをしなければ生活できない現状である。運賃のメーカー負担、国の助成を実現してもらいたい。」こういう切実な要望が消費者代表の御婦人からありました。確かに、離島でありますから、同本に原油を輸入をして精製して、またそれを鹿児島を経由して奄美大島に運んでいく、こういうところから鹿児島と名瀬との間にもそういう大きな差がある。こういうことで、特にガソリン、それからプロパンガスについて切実な要望があったわけであります。
 そこで我々が考えたことは、ここでガソリンの製品輸入をせめて離島だけでもやったらどうだ。聞いてみると、沖縄も相当高い。それであの辺の島をずっと聞いてみると、やはり高い。したがって、製品輸入を、まあさっきの話じゃないが、大大的にやればいろいろな問題が起きるでしょう。とりあえず離島だけでもガソリンなりプロパンガスというものについての製品輸入の道を開いてやれば、島民の皆さんが生活実感の中から感じておるガソリン高やあるいはプロパンガスの高さが解消できるのではないだろうか、こういうことを考えたのでありますが、そういう点について通産省は何か検討でもして、それは大々的なものになれば問題が大きいわけですから、例えばそうした特定な地域、特にガソリンは、ライオンズ石油がやるようにシンガポールから輸入しておるようですね、したがってこれは航路の途中でありますし、そういう意味からいうと、この間も壱岐、対馬も同じようなことを言っておりましたが、ざっと離島ということにして、特に南の方の離島についてはそういうような製品輸入によって価格を下げることは可能である、こういう点を考えて通産省として検討してもらいたいと要望したいのですが、いかがでしょうか。
○畠山政府委員 非常に貴重な御提案であろうかと思いますけれども、御指摘のようにガソリンなり石油製品の価格は、立地条件でございますとかそういったことで決まってくるものでございまして、全国画一料金というようなことになってないわけでございます。ですから、離島に限らず、立地条件の異なるところ、競争条件の異なるところ、環境が異なるところ、そういったところでは価格が割高なものもあるというのが現状でございます。そこは御指摘のとおりでございまして、例えば沖縄の場合でございますと、洗車をする料金がガソリン価格の中に入っておる。これは、実はあそこで比較的安く使える労働力を用いまして手で洗車をなすっておる、そういったものが料金に入っておるとか、いろいろなことがございます。
 そういう状況の中で、今御指摘のように離島のみを例外としてガソリン輸入を認めるということは、一つの問題は、精製会社の側から見ますと必ずしもああいうところでの販売というものが採算がよくないわけでございますね。ですから、そこだけ製品輸入をやっていくということになりますと、精製会社の側でそこから手を引いていくというようなことが起こり得るわけでございます。それが、この離島の地域への安定供給、そういった問題とどういうふうにかかわりあってくるのかという問題があろうかと思います。石油業者に対しまして、私ども広い意味での供給義務と申しますか、安定供給の責務を課しているわけでございますけれども、それが、必ずしも採算のよくないこういった離島地域にだけ製品輸入が行われるということになりますと、そこから手を引いていってしまうおそれがある。一たん手を引きますとまた供給するということになりませんので、非常に不安定な製品輸入というものだけに離島が石油の供給を依存していいのかどうかという問題になってくるおそれがあろうかと思います。
 それからもう一つは、これは全然違った話で恐縮でございますけれども、今、沖縄の例で申し上げますと、あそこに三つ製油所がございます。その製油所の稼働率が非常に低うございまして、もし製品輸入をそういったところへ認めていくということになりますると、そこの製油所の雇用の問題というのが深刻な問題になってこようかという問題もございまして、御指摘の御提案につきましては、以上のような点を考えながら慎重に検討して。まいりたいというふうに考えます。
○武部委員 精製会社が手を引くということが私はよくわからぬのですが、とりあえず今、庶民の足である自動車のガソリン、それからプロパンガス、こういうものを離島に直接販売を目的として製品輸入の届け出を通産省に仮にやった場合、通産省は今までと同じように勧告がそういう形で断念をするように仕向けますか。そういう例えば特定な地域、切実な要望のある離島、そういうところに限ってこういうものを販売したいからこれだけのものを輸入したい、こういうような申請、届け出が仮にあった場合にはどういう処置をとりますか。
○畠山政府委員 一定の仮定のもとでの御質問でもございますし、勧告は通産大臣の勧告でもございますので、私の一存でお答えするのもいかがかとは思いますけれども、あえて申し上げれば、やはり今るる御説明したような事情もございます。それからもう一つ、離島にだけといいましても、結局そうなりますとそこから本土に移らないようにチェックをしなければいかぬとか、そういったテクニカルな問題もあるものですから、極めて慎重に考えていくということになるのではないかと思います。
○武部委員 あなたに今答弁しろと言ったって、これは無理なことかもしれません。私どもが当委員会でついせんだって現地を訪れて、切実なそういう要望を耳にし、同時にこの目で見てきたわけですから、ここの点について特に申し上げて、あなたの責任でここで答弁しろと言ったって無理なことですから、懸案の事項としてこうした離島の皆さんの声を解決できるように、これから私どももほかの方法でも努力しますが、この機会に申し上げておきたかった、こういうことであります。では通産省、結構です。
 時間が少なくなってきましたが、経済政策のことについて若干お尋ねをして、恐らくこれは時間的にちょっと無理ですから、あとは次の機会にいたしたいと思います。
 今月の十五日に発表されました国民所得統計によりますと、昭和五十九年の十月から十二月、去年の暮れでありますが、実質経済成長率、これは前期に比較をして二・三%上昇、年率換算でいきますと九・六%になる、こういう非常に高い伸び率を示しました。ところが、この内容でありますが、二・三、このうち内需が〇・四、外需が一・九、このように外需が非常に高い。依然として外需がこういう数字を示しております。したがって、この経済成長率を見る限り、外需依存の経済成長であることは明白であります。
 五十九年度の実質経済成長率は、政府の見通しは当初四・一%でありましたけれども、これを上回って五・三というふうになるだろうというので修正されました。これはことしの一月二十五日のことであります。こういう調子でまいりますと、五十九年度は六%程度の成長にまで達するのではないだろうか、このようにも思われるのであります。五十九年暦年の実質経済成長率はどうやら五・八になったようでありますが、そうなりますと五十九年度の見通しというのは五・三%を超えて六%程度になるのではないか、こういうふうに思われますが、いかがでしょうか。
○赤羽政府委員 五十九年度の実績見込みにつきましては、ただいま委員から御指摘のとおり一月に決めました政府の経済見通しにおきまして実質五・三%の伸びと見込んでおるわけでございますけれども、十−十二月期の国民所得統計速報が出ました結果、この五・三%の達成というものは確実になったと見ております。一般に民間の見通しの中には六%近い見込みになるのではないかという見通しもあることは事実でございますし、また五・七%程度というような計算もあることは承知しておりますけれども、現時点で私どもとしては五・三%が確実になったと認識をしておる次第でございます。
○武部委員 五・三は確実だということはこの数字の上からも推定できますが、それを突破してもっと高い六%近い数字になるとは思われませんか。
○赤羽政府委員 六%というのはやや高いかなと思いますけれども、世上反間の研究機関におきまして五・七とかあるいは六%近い数字があるわけでございますから、そうした可能性が皆無であるとは思っておりません。
○武部委員 こうした非常に高い数字というのは、第一次石油ショック以来十年間のうち今までなかったことでありますね。ただ、問題は内容であります。先ほども聞いておりますと、内需だ、外需だといろいろなやりとりがあったようでありますが、この高い数字、大変結構でありますが、しかし、これが外需主導型であることは間違いない、ここが問題だと思います。
 政府の方針は、我共は本会議でいつも聞いておりますが、毎年毎年内需主導型に転換させるのだ、内需主導ということをしきりに口に出しておられるわけですが、結果は今お認めになったようにそういう数字でありますけれども、現実には外需の数字が非常に高くなっておるということが言えると思います。例えば五十八年度の例をとってみましても、内需が二・八、外需が〇・六ということでありましたが、結果は内需が二・二に落ちて外需は〇・六であったはずのものが一・八に上がっておる、こういう結果になりまして、五十八年度は大幅に予想と食い違ったという結果が出ておるのであります。五十九年度、今お話がございましたけれども、これまた内需が三・六、外需は〇・五、合計四二という成長と言っておられたわけでありますけれども、実質の見込みでは、内需は確かに。少し伸びまして三・六が四%くらいに、外需の〇・五がさらに一・三というふうに五・三という成長になった。この数字をもってしても内需主導型というのはほど遠くて、外需主導型の経済成長率になっておるということを五十八年、五十九年いずれも裏づけておる、このように見なければならぬのであります。
 こういうふうに考えてまいりますと、これから日本の経済成長率は一体どの方向をたどるだろうか。貿易収支の問題をとってみても一向にこれは転換をしない、黒字はふえるばかり、こういうことになっておるわけでありまして、政府の見通しを貿易収支の黒字ははるかに突破する、こういう状況が出ておることも間違いない。そうすれば、当然これはまた外需の比率を上げていく結果になる、このように思うわけであります。
 こうしたことを考えまして、一体これからの六十年度はどうなるだろうかということについてお尋ねをしたいのでありますが、政府の見通しは成長率、内需四・一、外需〇・五、合計四・六でありますね。四・六の実質成長を図る、こういう見通してあります。問題は内需主導の成長になるところの要因でありますが、民間の最終消費支出が四・一、それから民間住宅が三・八、民間企業設備八・五、政府支出が〇・五という内容になっておりますね。
 問題は個人消費の問題であります。先ほどもいろいろお話が出ておったようでありますが、個人消費を例にとってみますと、先ほど申し上げた五十八年、当初の見通しは個人消費三・九が実質では三・一に下がっておる。五十九年度も四・一の見通しが三・一に下がっておる。いずれもこの二年連続して個人消費は当初の見通しよりも一%程度下がっておるのであります。こういう結果に終わっております。こういう点を考えますと、政府の言うように消費が四・一という数字になるだろうか、この点について非常に疑問に思います。統計局の家計調査によりますと、実質消費支出の伸び率を見ますと、五十八年暦年で〇・六、五十九年は下がって〇・四、こういうふうにほんのわずかしか伸びておらぬ、こういう状況であります。個人消費というのはもう御案内のようにGNPの約六割を占めるものでありまして、これは最も重要な項目であることは言うまでもないことでありますが、こういう状況であります。
 民間設備投資あるいは民間住宅、こういうものにつきましても政府の言うような、民間住宅は後で申し上げますが、こういう数字にはとてもほど遠いようにも思います。内需が不振の最大の原因は一体何だろうか、この個人消費の不振というのは一体どこに原因があると思っておられるか、これについてひとつ大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○金子国務大臣 お話のように昨年は対米貿易が大幅に伸びたものですから、それに引きずられて外需主導型の経済になりましたけれども、最近は明らかにもう輸出は鈍化の傾向に参っております。特にアメリカ経済やや伸び悩みというような状況がございますので、対米輸出が落ちかかっているところへもってきて、ECへの輸出もあるいは石油産油国への輸出も落ちておるというようなことで、六十年度は輸出は相当の減になるのじゃなかろうかと思うのであります。
 ただ、輸出を中心に設備投資が日本では昨年からずっと伸びてきておりましたけれども、それが単に輸出に支えられた設備投資だけではなくて、幅広く内需中心の方向へすそ野を広げて伸びてきておるというのが昨今の傾向ではなかろうか、私はこの点を大変強く感じ、また関心を寄せておる次第でございます。
 この設備投資がどんどんふえ、特にハイテク中心の新しい技術関連の投資がふえ、あるいはまた刺激が上がることによりまして漸次所得が増加し消費が伸びることを期待しておるわけでございますが、昨年は正直言って、大幅の所得減税がございましたからもっと消費が伸びると私ども見ておったのですけれども、雇用者所得が予想外に伸びが少なかったのが一つと、もう一つは、高齢化社会を迎える、住宅ローンの負担が相当ある、あるいは教育費の重圧があるというようなことで、民間の財布のひもが割とかとうございまして消費が伸びなかったわけでございます。特に昨年の八月くらいにそういう傾向がはっきり出てきたのでございますが、年末から一月にかけては大分状況が変わってまいりまして、特に農村の景気がよかったとか冬のボーナスが大きかったというようなことで、民間消費が伸びてまいっております。統計的に見ましても、昨年の七−九月期が二・七%前期に比べて伸びた後、十−十二月期は緩やかではございますが、二・二%と伸びております。
 しかし、賃金動向を毎月の勤労統計で見ましても安定した伸びを示しておりますし、また大型小売店の販売動向、二月はちょっと鈍化の傾向がありますけれども、十二月、一月は相当伸びておる。旅行、レジャーの関連支出も相当順調に伸びておる、それから自動車の国内販売が前年水準を上回って推移しているというような状況から見まして、家計の伸びも今後大いに期待できるのではなかろうか。全体としてやはり今までの外需中心の経済からだんだんと内需の方向に重点の移った経済に移りつつある、またそういう方向へぜひ今後も持っていかなければいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
○武部委員 私、ちょっと可処分所得のことについて触れたいのですが、先般国税庁が発表いたしました昭和五十二年から五十八年までの六年間のサラリーマンの実質可処分所得の伸びは三%だった、こういう数字が出ました。その反面、税金の負担は実に三倍、こういう数字が五十二年から五十八年に出ました。五十九年は所得減税をある程度やりましたからそれはいいのですが、その前の五十八年までの間にたったの三%、税金の方は三倍、したがって三〇〇対三、こういう国税庁の発表が出まして私もびっくりいたしましたが、これが現実の姿であった、こういうふうに思います。
 現在の状況というのは、御承知のように賃金は上がらぬ、減税は不十分。というよりも、勤労者の所得税というのは、源泉徴収の関係と累進課税の関係でむしろ増税だという傾向にあるわけですから大変だし、そうなれば消費はふえるわけはない、こういう結果になる。先ほど申し上げたように、賃金というのはほとんど一%か二%ぐらいしか上がっておらぬ、こういう状況でございまして、したがって、この可処分所得というものがふえないのは当然のことだろうと思います。
 統計局が出しました家計調査によりますと、昭和三十八年から四十八年までの第一次石油ショック前の十年間の可処分所得は、年平均五・六という数字が出ています。ところが、その石油ショックを境にしてその後の十年間の四十八年から五十八年度は、今度は年平均たったの〇・八。五・六が〇・八に転落をしておる。こういう状況では、これはとても消費が拡大するわけはないと思います。こういうふうな状況でありますが、特に石油ショック後の十年間の後半、五十四年から五十八年、この五年間の平均は〇・四であります。ということは、全くふえておらぬということを意味しておると言ってもいいと思います、この数字から言うならば。そういう状況であります。
 そこで、こういう可処分所得の状況でございますから、大変古いことで恐縮ですけれども、昭和三十八年から四十八年、いわゆる石油ショックの前の十年間、全世帯平均、年平均で五%の消費支出のふえ方でありました。五%ずつ年平均ふえておった。ところが今度、四十八年から五十八年の十年間、石油ショック後の消費支出は年平均一%であります。五%ふえておった消費支出が石油ショックを境にして年平均一%に転落をしておる、こういう数字が統計の上から出ております。先ほどと同じように、今度の石油ショック後の十年間のうちの後半、五十四年から五十八年の平均というのは一%を下回って〇・六であります。平均〇・六、こういう伸びにとどまっておるという数字が現実に出ておるのであります。五十五年と五十六年には、実質的な消費支出はマイナスでございました。実質マイナス消費支出という数字が出ておったことも、これは事実であります。
 去年の五十九年の可処分所得でありますが、これは前年比実質で二・二%ふえました。消費支出の方はサラリーマンの世帯でいきますと実質的には一・七%ふえたのでございますけれども、消費性向は逆に下がっておる。前年の七九・一という数字から五十九年は七八・七と逆に下がっておる、こういう状況であります。なぜか。これは住宅ローンあるいは生命保険とか、そういうものに支出がふえておる。これが可処分所得の前年比実質的に逆に下がったという原因であるというふうに理解できるのであります。
 一体それならば六十年度は、おっしゃったようにこの個人消費の六十年度の実質成長率、民間最終消費支出を四・一と見ておられるわけでありますが、これがこの数字になるかどうかということは、我々の側から言うならば、現在春闘のさなかでございますけれども、春闘の賃上げがどういう決着をつけるだろうか、ここにかかっておるような気もするのであります。さらに、与野党の合意になりました予算委員会での減税の問題、これがどういう決着をつけるかということにもかかわってくると思います。
 五十八年度の春闘の賃上げ率は四・四〇%でございました。五十九年度は四・四六%でありました。この二年連続の数字は春闘始まって以来最低の数字であります。人勧の凍結その他のいろいろな問題がこの中の要素にあるわけでございますが、この賃金の問題について経済企画庁の御見解を聞きたいのでありますが、賃金の問題というのはもっと詳細にやりとりいたさなければなりませんから後で触れることにいたしまして、五十八年度の四・四という数字、五十九年度の四・四六という数字、これは史上始まって以来最低の数字であります。この五十八年、五十九年という年の今申し上げた数字は、日本の国の経済の現状、そういうものから見て妥当である数字というふうに長官はお考えになるであろうか、それともこの数字は低過ぎたというふうに御理解になるのか、これをちょっと最初にお伺いをしておきたい。
○金子国務大臣 武部さん今おっしゃいましたように、賃金につきましては民間の労使双方による自主的な話し合いの場で決められるべきものでありますので、これが適切であったかどうかということは簡単にコメントできないと思うのでございますが、御指摘のように五十八年、五十九年とずっと春闘の賃上げ率が下がっておりますのは、第二次石油ショック後の不況で財政もぐっと締まる、それから企業も非常な苦しい経営に追い込まれるというようなことで、しかも、そのために国民の各層から求められておる所得税の減税がなかなかできなかったとかいうようないろいろな点からこういう数字が出たかと思うのでございます。
 私どもとしては、今税制改正という問題を取り上げておりますけれども、そのポイントは、累進度の極度に高い所得税の改正をまずやりたい、そしてある程度可処分所得を伸ばすような方向にいち早く持っていくことが喫緊の急務である、こういうふうに考えておる次第でございます。おっしゃるとおり数字的に見ますと、八、九年がずっと低くなっておる。しかし、その背景には今申しましたような財政の問題、経済全体の問題、あるいは税制の問題等が響いておるということをはっきり申し上げていいかと思うのであります。
○武部委員 この賃金の問題は後でまたもう少しお聞きしたいのでありますが、時間の関係がありましてしり切れトンボになりますので、それではもう一問だけしまして、残余は次の機会に譲らせていただきたいと思います。先ほど来申し上げますように、昭和六十年度、本年度の実質経済成長率の見通しは四・六%であります。この四・六%が政府の思惑のように内需主導によって――四・六のうち四・一が内需で外需は〇・五というのでありますから、そういう意味で内需主導で実質的に四・六%の成長率が達成できるかどうか。勤労者の可処分所得がふえなければとてもこの数字にはならぬ、これは当然過ぎるほど当然のことだろうと私は思います。
 内需主導ならば、当然可処分所得が大きく期待される原因はあるだろうと思います。同時に、物価が安定しておらなきゃならぬ、これもまた大きな要因であります。ところが、卸売物価がこの一月、二月、前月比〇・三%ずつ上がっておりますね。前年同月比もそれぞれ〇・七、〇・八、卸売物価が上がっておる、こういう状況であります。アメリカでもGNPのデフレーターが五%台になった、物価の心配がアメリカでも出てきておる、こういう状況であります。政府の六十年度の卸売物価の見通し一・一、消費者物価二・八、これが今申し上げた傾向の中で達成できると確信を持っておられるかどうか、これをお伺いしたい。
○金子国務大臣 物価はとにかく国民生活に一番大きな影響を与えるものですから、ぜひこれは目標を達成したいと考えておる次第でございます。一時的に円が少し下がり過ぎたものですから、その卸売物価に対する影響を大変私どもも気にしておったのでございますけれども、石油が非常な緩和状況にございますのと国際商品が低迷いたしておりますような関係で、若干の卸売物価に対する反映はあったかもしれませんけれども、これは一時的なものと考えていいのじゃなかろうか。まあ落ちついてくるだろうとも言っておりますし、それから消費者物価の方も、公共料金の引き上げが若干ございますけれども、これは従来どおり厳正な取り扱いをしてまいりますので、事卸売物価、消費者物価につきましては、日本は世界の最優等生であると言われるように持っていくつもりでおります。また、それが達成できることを確信いたしている次第でございます。
○武部委員 それでは残りは次回に譲ります、
○竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十六分開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。元信堯君。
○元信委員 私は、我が国の伝統的な食糧であり、かつまた産業としても重きをなしております捕鯨問題、鯨の肉の供給、これの将来の見通しについて質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、我が国の食肉全体の中に占める鯨肉の比重と申しますか、政府はどういう認識をお持ちになっているのか、さらにまた、これの将来について一体どうあるべきであるとお考えになっているのか、基本的な認識から承っていきたいと思います。
○今井説明員 お答えいたします。
 まず、鯨肉の供給またはウエートの状況でございますが、国民への動物たんぱくの供給量に占める鯨肉の割合につきましては、昭和四十年度では五%でございました。ところが、昭和五十八年度におきましては〇・五%ということで低下しております。
 供給の面もさることながら、最近におきまして国民の食生活の多様化が進んでいるということも一因であろうかと存じます。このようなことから、捕鯨問題の推移によりまして鯨肉の供給が仮に断たれるよう姿態が生じたといたしましても、我が国の伝統的な食習慣の放棄をするかしないかという問題は別でございますが、動物たんぱくの供給に鯨肉の問題は非常に小さくなっている現状から、動物たんぱくの供給という面では重大な障害が生ずるというようには思っておりません。
 捕鯨の将来についてどう考えているかという二番目の御質問でございますが、アメリカ政府は、昨年十一月に日本との間で日米捕鯨協議を行いまして、その折に、もし日本側が商業捕鯨モラトリアムに対する異議申し立てを昭和六十年四月一日までに撤回する場合には、モラトリアムが発効しました後さらに二年間、各捕鯨、いろいろな鯨があるわけでございますが、各鯨種につきまして同本が捕鯨を行ったとしても、パックウッド・マグナソン修正法及びペリー修正法、そういう米国国内法による対日制裁を行わない旨の意図表明をいたしました。
 ところが、この意図表明に対しまして、アメリカの反捕鯨団体がアメリカ政府を相手取りまして、アメリカの政府が日本と合意したことは違法行為であるということで米国政府を訴えたわけでございます。(元信委員「その辺のことはまた後からおいおい聞くから」と呼ぶ)では、これでよろしゅうございますか。
○元信委員 今、鯨肉の動物たんぱく供給量に占める割合は最近は〇・五%まで低下をしておる、心配はない、こういうようなお話でございましたが、しかし、事は我が国の伝統的な食習慣、文化にかかわることでもあるわけであります。肉はあり余っておるのであるから別に鯨を食べぬでもいいではないか、これは実はアメリカの環境団体の主張でもあるわけでありまして、日本人がそんなに肉を食べたいのであれば、かわいい鯨を食べるのではなくて、アメリカの牛を食ってはどうか、こういう主張を再々にわたっていたしているようでございます。
 そこで、水産庁の今のお話のあったような考え方では少し困るんじゃないかというふうに思うわけですね。我が国の食習慣、あるいはそれで生活をしているという人の将来のことも考えれば、後からおいおい話をしますが、いや別にそんなに困りません、PM法との関係で北洋の魚の方が大事でございますというようなことでは、ほとんど我が国は交渉の力がなくなるというふうに考えます。
 そこで、水産庁として捕鯨の将来をどういうふうに考えているか、一体国を挙げて我が国の捕鯨というものを守っていく気があるのかないのか。まずそこのところを聞きたくて聞いたので、そのほかのことじゃありません。
○今井説明員 お答えいたします。
 先ほどお話し申し上げました日米捕鯨協議と、それから反捕鯨団体が米国政府を相手取って訴訟を起こしたというその後でございますが……(元信委員「守る気があるかないかと聞いているんだ」と呼ぶ)
○竹内委員長 課長、聞いたことに対して答えてくださいよ、余計なことをしゃべらなくていいから。
○今井説明員 水産庁といたしましては、商業捕鯨に関するアメリカ側の主張を現時点で受け入れたわけではございません。水産庁としては懸命な努力を続けておるわけでございまして、我が国の捕鯨が何らかの形で継続するよう今までも努力を払ってまいりましたし、今後も努力を続けていきたいというふうに考えております。
○元信委員 今、水産庁の次長をトップとする非公式な訪米団といいますか、アメリカへミッションが行っておりまして、アメリカ政府と折衝中であるというようなことを承っております。このミッションの目的は何ですか。
○今井説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、四月一日までに異議申し立てを撤回すればその後二漁期を捕鯨してもいいですよという問題と、それにかかわります裁判の問題とがございますが、私どもといたしましては、捕鯨を何らかの形で継続すべく懸命の努力をするために、とりあえず水産庁の次長を派遣いたしましてアメリカと折衝を続けておるわけでございます。
○元信委員 何らかの形というのをもう少しはっきりおっしゃってもらいたいと思うのですが、何らかの形というのは、基本的にモラトリアムを受け入れて、その上で二年間やらしてもらいたいだとか、あるいは調査目的で細々やらしてもらいたいだとか、日本人を原住民とみなしてごく例外的な捕鯨を認めよというのとか、そういうレベルのことを考えているのですか。それとも、あくまで我が国は、IWCに認められました異議申し立ての権利というのがあるわけですから、これを行使をして、アメリカの今のPM法、ペリー法の発動なんというのはどうも言いがかりのように思えるわけでありますけれども、アメリカにどんどん反駁をしていって正当な権利を守っていくというつもりがあるのかどうか。何らかの方法というのは一体どういう方法を考えておるのか、おっしゃってください。
○今井説明員 お答えいたします。
 交渉の機微にわたることでございますから、どういう方法でアメリカと交渉しておるか、またどういうつもりかということに対しましてのお答えは御容赦願いたいと存じます。
 ただし、先生は何らかの形での具体的な事例ということにお触れになりましたけれども、一昨年から昨年までの間に関係の各方々にお願いして組織いたしました捕鯨問題検討会というのがございまして、それからの答申を得ております。その答申につきましては、南氷洋については調査捕鯨、沿岸の捕鯨につきましては地域住民のために不可欠な捕鯨、そういう形の捕鯨を考えるのも一案でありましょう、そういう形で努力してはいかがかという答申を得ているところでございます。
○元信委員 このミッションがどういうことを話をしているかというのは交渉の機微にかかわる、そんな、交渉の機微というような御大層な問題じゃないと思うのですよ、この問題は。ごく単純な問題であって、私が聞いているのは、水産庁としては基本的には一体モラトリアムを受け入れるのかどうか、それを前提にしてアメリカと交渉するのかどうか、そこのところをまず聞きたいわけです。それはちゃんと返事できるでしょう。
○今井説明員 異議申し立ての撤回を受け入れるという前提のもとで水産庁次長が渡米したわけではございません。
○元信委員 けさのNHKニュース、ごらんになりましたか。(今井説明員「はい」と呼ぶ)それから僕のところに静岡新聞というのがあるのですが、ニュースでも新聞でも同じような内容ですが、ちょっと読んでみますと、「日本が今月末までに国際捕鯨委員会(IWC)への異議申し立てを撤回しても日本が米国の了解のもとに今後二年間、どのくらいの規模で捕鯨を継続するかという頭数協議には応じられない」とアメリカは言ったというのが新聞の記事ですね。それからテレビのニュースの方も、これはニュースを聞いて起こしたものですが、要するに撤退といいますか、異議申し立てを撤回してモラトリアムを受け入れて、それで初めの話ですと二年間、二漁期はいいですよというのがアメリカの話だったですね。それすらだめだ、こういうふうに言っておるという。どうも、我々が今まであなた方から聞いていた説明と随分違う話というのが報道によって伝えられている。新聞は「政府筋が明らかにしたところによると、」というのですから、きっとあなたたちがそういう新聞にお話しになったのだと思うのですけれども、今の話と随分違うと思いませんか。
○今井説明員 先ほど御説明申し上げましたPM法とアメリカの訴訟問題とがあったわけでございますが、アメリカ政府が一審判決で敗訴したという状況のもとでは、昨年十一月にアメリカが一方的に意図表明をしました、いわゆるモラトリアム発効後さらに二年間捕鯨を続けてもPM法を発動しませんよ、そこの有効性について疑義が生じたわけでございます。そこで水産庁といたしましては、昨年十一月にアメリカ政府が発出しました意図の有効性はどういうものであろうかということと、日米の捕鯨協議は今後どういうふうに持っていったらいいか、協議のあり方について協議するということでワシントンに水産庁次長を派遣したわけでございます。
 先生御指摘のとおりけさの報道の、捕獲頭数についてアメリカ政府が拒否をしているという記事は私どもも拝見しておりますが、水産庁次長が今協議を行っているところでございますので、その内容につきましては御勘弁願いたいと思います。
○元信委員 おかしいと思うのですよ、今のあなたのお話というのは。意図の有効性だなんて何のことかよくわかりませんけれども、アメリカがPM法の発動をするかどうか、日本がモラトリアムを受け入れるか、つまり異議撤回をするかどうか、期日を切って言っているわけでしょう。いつですか。
○今井説明員 それは四月一日でございます。
○元信委員 四月一日というと、もうあと指折り数えて何日ですか。きょうが二十六日でしょう。それまでに日本は異議申し立てを撤回するかどうか、モラトリアムを受け入れるかどうかということを決めねばいかぬでしょう。今そんなことをのんきに言って、アメリカの意図がわからぬものだからなんというような話はありっこないと思うのですよ。ニュースでも「水産庁に入った連絡では」と言っているのですから、あなたたちはもうちょっと、こういう連絡がありましたと……。
 アメリカはあなたが言っていることと全然違う返事をしているでしょう。アメリカの意図の有効性なんということを言っているのではなくて、もうだめに決まっています。たとえモラトリアムを受け入れるとしてもその後だって全部だめですよ、こう言っているというのがきょうの新聞記事ですね。全然食い違うじゃないですか。
○今井説明員 もう少し立ち至ってお話し申し上げたいと思います。
 アメリカ政府が反捕鯨団体に訴えられまして、その結果連邦地方裁判所では反捕鯨団体の勝訴、アメリカ政府の敗訴という結果になりました。その判決の中身は、日本が既にマッコウクジラを昨年の十月以降とっておるわけでございますが、それは明らかにPM法に違反する、よってパックウッド・マグナソン修正法及びペリー修正法のもとで証明を行いまして、我が日本に対する漁獲割り当てを削減しなさいというのが地方裁判所の判決の第一でございます。IWCが決定しました捕獲枠を超えて日本が捕鯨を行った場合に、その行った捕鯨に対してアメリカが制裁を行わないという日米間で合意をすることを今後一切禁止するというのが判決の第二点でございます。
 判決の第二点を考えますと、昨年の十一月にアメリカが一方的に発出しました、四月一日までにモラトリアムの異議申し立ての撤回を日本政府がするならばその後二年間PM法を発動しませんよというのがございますが、それが果たしてアメリカ政府の一審敗訴のもとで有効であろうかという疑念が生じまして、先ほど先生に御説明申し上げました疑念が生じたので水産庁次長を派遣しましたというのは、その点でございます。
○元信委員 そうしますと、それはモラトリアムが発効後アメリカ政府が認めるかどうかということについて疑念が生じた、こういうわけですね。
○今井説明員 お答えいたします。
 モラトリアムの後アメリカ政府が二年間捕鯨を認めるかどうかという疑念ではなくて、昨年十一月にアメリカ政府が意図表明をしたその意図表明は依然として生きているか、その疑念でございます。
○元信委員 ちょっと確認しておきたいと思うのですが、その意図表明の意図というのはどういうものですか。
○今井説明員 意図表明の内容は、もし日本が昭和六十年四月一日までに商業捕鯨の全面禁止に関する異議申し立てを撤回すれば、モラトリアムに入って後二年間日本が捕鯨を続けてもPM法を発動しませんよ、そういう内容の意図でございます。
○元信委員 そうすると、その異議申し立てを撤回してもその後の粋をアメリカが認めるかどうか、こういうことですね。
 そうすると、それはあくまで全体として異議申し立てを撤回するということが大前提の訪米、こういうことになるわけですか、そこのところを確認しに行ったというのであれば。
○今井説明員 アメリカ政府の考えは、PM法を発動するかしないかの基準、それをもとにしまして、日本が異議申し立てを撤回すればと言ってきたわけであります。
○元信委員 水産庁の態度のことを聞いているのですよ。水産庁は異議申し立てを撤回してもその後どうなるかということが心配なのであって、異議申し立てを撤回しないでいった場合はどうなるかなんということはもう問題外だと考えているわけですか。つまり、異議申し立ての撤回というのは大前提であるわけですか。
○今井説明員 水産庁として異議申し立ての撤回をすると決めたわけではございません。
○元信委員 おかしいじゃないか。異議申し立ての撤回をしないと言う。それなら、撤回をしないと言うのであればその後どうなろうと、そんなことはそう関係ないでしょう。アメリカが日米間で合意したというのは、すべて撤回するというそれを前提としたその先の話ですね。そうすると、もう今水産庁の態度というのは、全面的に撤退をするということを大前提としてその後どういうふうに続けていくか、細々やっていこうというようなことを模索しているにすぎぬ、こういうふうに思えてしようがないのですが、どうなんですか、はっきりしてくださいよ。
○今井説明員 昨年十一月の日米合意の折にアメリカ政府は意図表明をしたわけでございまして、昨年十一月に同米間でただいま御説明申し上げた点について合意したわけではございません。アメリカが一方的に意図表明をしまして、日本側がそれを受け入れるか否かは日本側の選択になるわけでございます。
○元信委員 それはわかっているよ。それはわかっているから質問をしているんで、合意があったんならそんなことが今さら国会審議になるわけがないですね。だから水産庁としては、アメリカに押しまくられて撤回させられたというそこのところを――先のことばかりあなたたちは言っているものだから。
 異議申し立てというのは正当な権利ですね。その権利を守ってPM法だなんというのは、私に言わせればアメリカの我が国に対する内政干渉じゃないかと思うのですね、言語道断なやり方だと思いますけれども、一体それをはね返していく決意があるのかどうか。とにかくPM法あるいはペリー法でおどかされれば仕方がないというのが水産庁の既定方針じゃないかと思われるのです。本当に異議申し立てを行って我が国の捕鯨を守っていくという決意があるのかどうか、そこをもう一遍ちゃんと言ってください。
○今井説明員 水産庁としては、現時点におきましては商業捕鯨に関する異議申し立ての撤回というアメリカの主張を受け入れたわけではございません。水産庁としてはぎりぎりのところまで捕鯨の何らかの形の継続ということで交渉を続けているわけでございます。その気持ちは今後も変わりません。
○元信委員 本当にそうであれば、今アメリカへ行ってやらなければならぬことは、我が国は異議申し立てを撤回しない。その場合、向こうはPM修正法なりペリー法なりを発動するとか言っているわけですね。しかしそれに対して、はいさようでございますか、我が国の漁業政策上結構ですとは言えませんね。そうしますと、それに対してアメリカとの間で一体どういう措置を講ずることができるのか。
 お話があったように、ワシントン地裁ではPM法の発動を政府に義務づけるような判決がありましたけれども、この判決の効力の停止はワシントン連邦高裁で容認をされているわけですね。そういう新しい事態を踏まえて、そこのところこそ我が国が交渉せねばいかぬと私は思うのですが、あなた方はそこのところはさっぱり交渉しないで、受け入れた後どうなるかということばかり相談していると思うのですね。そこのところは一体交渉しているのですか。
○今井説明員 交渉しております。捕鯨を継続するための努力を一生懸命続けているところでございます。
○元信委員 それではその交渉の経過をちょっと、交渉の機微だなんて言ってないで、言えるところを言ってください。アメリカはどう言っているのですか。
○今井説明員 お答えいたします。
 まことに申しわけございませんけれども、交渉の機敏に触れることでございますので、答弁はどうぞお許しいただきたいと存じます。
○元信委員 それではちょっと角度を変えて、アメリカは日本が商業捕鯨をやめない限り、モラトリアムを受け入れない限り、我が国のアメリカの沿岸二百海里内での漁獲割り当てを半減して二年後にはゼロにするぞと、あからさまなおどしですね、我が国からの水産物の買い付けも減らすぞ、こう言っているわけですね。ガットとの関係なんかも出てくるでしょうけれども、水産庁はそれは正当なやり方だ、こういうふうに思っているわけですか。
○今井説明員 法的な問題と感情の問題、気持ちの問題というのがございますが、法的な問題につきましては、IWCは国際法でございまして、IWCの問題につきましては異議申し立ては正当な権利でございます。ところがPM法、ベリー修正法というのはアメリカの国内法でございまして、これには国際法との間と次元の違いと申しますか、性質の違いがございます。ですから、法的な立場から言えば必ずしも両方がぶつかり合う、そごするという性質のものではないというふうなところもあろうかと思います。
 ただし、捕鯨と北洋の漁業というものを考えました場合には、捕鯨と北洋漁業とは何らの関係もないというふうに考えますので、アメリカのやり方は日本側にとりまして実に残念なやり方をとっているというふうに思っております。
○元信委員 きょう外務省にもお越しをいただいておると思いますが、こういうやり方で、いわば人質ハイジャック的やり方だと私は思うわけでありますが、水産庁もお話ありましたように、何の関係もないほかの産業を人質にとらえてアメリカの意図を強要しようだなんというやり方は、IWC、これはアメリカももちろん加盟をしておるわけでありまして、これもお話がありましたように異議申し立てというのは我が国の正当な権利ですね、その正当な権利の行使をこういうやり方で阻害をしようというようなことは国際法に反するんじゃないかと思うのですが、外務省の見解を承りたいと思います。
○秋山説明員 お答えいたします。
 我が国が条約上認められております権利を行使した結果、アメリカがその持つ国内法によりまして対日漁獲割り当ての削減を行うという結果になることはまことに残念なことであると思います。が、この両者は法的には別個の問題でありまして、そのような結果になるということをもって国際法違反と主張することは不可能であります。
 また、このアメリカのパックウッド・マグナソン法等の国内法の規定が我が国に対して発動されることになりますれば、日米の漁業関係にも重大な影響を与えかねないと思いますので、政府といたしましては、それらの規定の発動を回避すべくアメリカと密接に連絡をとりながら、我が国の捕鯨の存続のために鋭意努力を行っておるというのが現状でございます。
○元信委員 国際法違反でないということになりますと、幾ら国際条約に加盟をしていても、それの実際の効力を減殺するような国内法があればその国内法の方にその加盟国は縛られて、国際法上の保護はない、こういうふうに言えるわけですか。
○秋山説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、我が国がIWCの条約上持っております権利に基づいて捕鯨を行うということと、それからアメリカが持っております国内法に基づいて対日漁獲割り当てを行うという問題とは別個の問題でありますから、法的にはそれを関連づけるということは不可能であるということでございます。
○元信委員 しかし、別個のものではあっても事態としてはリンクしているわけですね。我々が国際法上正当な権利を使えばアメリカが関係のない産業に対してアメリカの国内法を発動する、こういうことになりますと、国際的な正義というものは守られないと思うのですね。まさにパワーポリティックスの原理がむき出しになるだけであります。そういうものに対しては、アメリカに対してはひたすらこいねがう以外には我が国には対策はないのですか。
○秋山説明員 我が国がアメリカに対してひたすらこいねがうというような状況ではございませんで、先ほど申し上げましたような経過、すなわち、我が国が捕鯨を行うということを理由に対日漁獲制限を行うということは残念であるという我が方の主張はちゃんと主張しておりまして、そういった問題に至らないようにアメリカとしても十分我が国の立場を認識してほしいということは強く主張し続けてきておるところでございます。
○元信委員 強く主張していればこんなことにはなりはせぬと思うのだよね。そういう我が国のアメリカに弱い外交姿勢というのは、これはここに限ったことではありません。甚だ遺憾に思っておるわけであります。
 こういう国際紛争、国際法とそれから国内法とのそごといいますか矛盾があった場合には、国際的な調停機関として国際司法裁判所への提訴というようなこともあるいは考えられるのじゃないかと思いますが、そういう可能性について検討したことがありますか。
○秋山説明員 お答えいたします。
 その問題について検討したことはございます。その点について簡単に御説明申し上げます。
 先ほど触れましたとおり、国際司法裁判所に提訴するという問題に関しましても、その提訴すべき国際法上の紛争がそもそも存在しないということが第一に言えると思います。それからその次に言えますことは、我が国がアメリカによるパックウッド・マグナソン修正法の発動につきアメリカを相手取って国際司法裁判所に提訴を行おうといたしましても、アメリカがその付託に応ずるとは考えられません。さらに、国際司法裁判所が管轄権ありと判断する可能性はありません。したがいまして、捕鯨問題につきアメリカを相手取り国際司法裁判所に提訴して争う、そういった可能性は閉ざされているというように考えております。
○元信委員 アメリカが応ずるか応じないか、これはアメリカが決めることでありますけれども、我が国の選択として、こういう問題を日米間だけの問題というふうにするのは余り得策でないと思うのです。IWCの歴史を見てまいりましても、当初は、捕鯨国でもって資源管理をやりましょう、こういう理念で出発した団体、国際的な組織だったと思うのです。ところが今ではどうですか、捕鯨国に対して捕鯨をやめさせるというためだけの団体と言って過言でない状況にあると思うのです。
 あれこれ国を挙げて申し上げるのはなんですが、全く捕鯨をやってない、伝統的に昔から捕鯨なんかやったこともないというような国がたくさんこのごろ加盟をしてきた。しかもこれらの国は、政府の代表団も自国の国民じゃない人がやってきて、その政府の代表のようなことを言っている。しかも、IWCの維持のための財政的な負担にも応じない。こういうような国々がいっぱい加盟をして、それがIWCを引き回して、しかも、その主張たるや科学的な裏づけを欠くとしか言いようがない。例えば、IWCの科学小委員会も、適当な資源管理をしていれば捕鯨は差し支えないということを言っているわけでありますし、またFAOも、今回のIWCのモラトリアムについては極めて不可解である、こういうことを言っているわけであります。
 したがって、そういうふうにIWCというのが極めていびつな舞台になってしまって、そこでいろいろなことが議論されるというのが、アメリカ云々のその前の問題としてあるわけですね。したがって、そこのところに我が国も何ら対策をすることなく、と言っていいのかどうですか、何かしたのなら後でお聞かせ願いたいと思いますが、もうちょっとIWC対策に――向こうでは政府機関じゃなくてグリーンピースだなんという単なる民間の環境保護団体があれこれ手を打って我が国の捕鯨を追い詰めようとしているわけですから、政府としてももう少し気のきいた対策をとるべきでなかったかと思うのです。一体、IWCに対してどういう対策をとってきてこういう結果になったのか、そこのところを外交上の問題として御説明願いたい。
○秋山説明員 御説明いたします。
 先生御指摘のように、近年IWCの中においては我が国にとっては到底納得し得ないような議論が展開されておるということは事実でございますし、また、そのメンバーの構成国を見ましてもいろいろな国が入っていることも事実でございます。そこで、そのIWCがだんだんおかしくなってきているのじゃないか、科学的な議論がきちんと行われていないんじゃないかという点は、我が国といたしましてももう何年も前から指摘しておりまして、そういったことを是正すべきである、すなわち、言いかえればIWCの委員会の正常化を図るべきであるということは強く主張し続けております。
 しかしながら、反捕鯨という国際的な趨勢はだんだん強くなっておりまして、そういった中で、我が国といたしましては、IWCすなわち国際捕鯨委員会とか日米捕鯨協議といった場で捕鯨存続に関しましては大変厳しい対応を迫られております。したがいまして、こういったいろいろな国際的な環境とか我が国の国内におきます議論等を十分考慮いたしまして、そのときそのとき最も適当であると思われるような方針を決めて対処していきたいというのが実情でございます。
○元信委員 そのときそのときどういう適当な対処をしたから今日のようなことになったのか、そこのところを聞きたいと思うのですが、要するに何もやらなかったということ。それは主張はしたと思いますけれども、やはりもっと具体的でなくちゃいかぬわけですね。相手側は、反捕鯨団体はいろいろな国に手を回して我が国を包囲するようなことをやったわけですから、我が国だってそれぐらいのことができぬわけじゃないと思うのです、外務省があるわけですからね。そこのところをしっかりやらなかったので今日みたいなことになったのではないか。
 だから逆に言うと、この問題を解決するためには問題を国際化していくということが必要じゃないかと思うのです。幾ら国際司法裁判所に提訴してもアメリカが応じない、それはそうでしょう。応じられるはずがありませんからしませんが、しかし日本はそういうところへ提訴する。アメリカのやり方は不当であるということを国際的な場に持ち出してアピールをしていく、そういう効果があると思うのですね、国際司法裁判所に提訴するということは。それすらもしないというようなことになりますと、結局日米間だけでいつまでもぐずぐず話をしているだけで、結局我が国はPM法でもって、捕鯨の年間生産額と北洋漁業の生産額を見ればそれこそけたが違いますな、そういうものを取引の材料にされると、もう勝負は日に見えている。こっちには交渉のためのカードがない、こういう状態になるのじゃないかと思うのです。一体、そういう国際的な紛争にする以外に、アメリカとの交渉で我が方に何かカードがあるのですか。
○秋山説明員 先生御指摘のような諸点を十分踏まえまして我が国としては、非常に抽象的な表現になりますが、最大限の努力をするという以外はないと思います。
○元信委員 それでは、ちょっと話をもとへ戻さなければなりませんが、けさの報道ですね、最新の報道によりますと、日本が四月一日で撤回をしてモラトリアムを受け入れて、そしてあと二漁期は何とか頼むということを使節は言っているようですが、それすらだめだ、こういうふうにアメリカから言ってきた、水産庁に連絡が入った、こういうことだったのですが、そのことは確認できますか。
○今井説明員 まことに恐縮でございますが、確認いたしかねます。
○元信委員 新聞やらNHKのニュースで堂々と言っていることが、これはもう政府の話として報道されているわけですが、それすら確認できぬ、こういうわけですか。
○今井説明員 そのとおりでございます。まことに申しわけございませんが。
○元信委員 今までもずっとこういうことを言ってきたわけなんですね。その都度どうも後から後から事実となっている。マスコミじゃなくて政府がうそを言っているように思えて仕方がないわけです。
 それじゃ、こういう事態を踏まえて農林水産大臣が首相に打開策を要請した、これも報道ですけれども、事実ですか。
○今井説明員 私どもが存じております範囲では、農林水産大臣は昨日総理にお会いになりました。しかし、その中身については私ども承知しておりません。
○元信委員 「席上、佐藤農相は、日本が今月末までに米政府の要求を受け入れて、IWCに提出しているモラトリアムへの異議申し立てを撤回世ざるを得ないとの判断を伝えるとともに、米側が今後二年間の捕鯨期間中の捕獲頭数を決める協議に応じられない旨通告してきたことに関し、政府全体として打開策を検討するよう要請した。」これが報道ですね。このことについて全然確認できないというわけですか。
○今井説明員 確認できません。
○元信委員 こういうものの出どころは、記者会見をしてあなたたちが言ったに決まっているのだ。ほかにはそんなことありっこない。それを国会では確認できぬなんてばかなことがあるかね。
○今井説明員 農林水産省の記者クラブの要請を受けて、農林水産大臣が総理にお会いしました後の状況につきまして水産省で記者レクをいたしました。その折の応答メモを拝見いたしましたけれども、先生御指摘のような事実については確認できません。
○元信委員 先生御指摘じゃない、新聞に書いてあるんだよ。私が言っているのじゃなくて、あなたたちの記者会見に基づいて新聞記事にそう出ているんだからね。
○今井説明員 お答えいたします。
 私どもの存じている限りでは、新聞報道にあらわれているような記者会見のやりとりは一切ございませんでした。
○元信委員 これだとどうも水かけ論になってしまうわけですが、事は、もう四月一日、緊急のことでありますから、もうちょっと踏み込んで承っておかなきゃならぬ部分も出てくると思うのです。
 もし伝えられるとおり、我が国がモラトリアムの異議申し立てを撤回して、しかもその上でアメリカが今まで約束をしてきた二漁期の分、これもだめだなんというようなことになったとすると、我が国の捕鯨は四月一日からお先真っ暗、こういうことになってしまうわけですね。それに対してどういう対策を持っていますか。
○今井説明員 先ほどから御説明申し上げているとおり、ただいまのところ捕鯨の継続について懸命な努力を行っているところでございますので、これ以上の答弁はどうぞお許しいただきたいと存じます。
○元信委員 いやいや、懸命な努力はいいよ、それはやってもらわなければ困ります。だけれども、あなたたちは責任のある官庁なんだから、交渉は相手があることですからうまくいくときもあれば、どうも今度は余りうまくいきそうもないが、うまくいかぬときもあるわけですよ。その交渉がうまくいかない場合には、もう一週間後からは飯が食えぬという人が実際出てくるわけだ。それに対して対策がないということはな、いでしょう。
○今井説明員 まさに先生が御指摘のとおりの事態になりますと大変なことになります。そういう大変なことを避けるために今懸命の努力をしているところでございますので、どうぞ御賢察いただきたいと存じます。
○元信委員 こういう態度じゃ、本当に僕らも――きょうは物持ですから外交問題とか農林水産問題をやっているのじゃないので……。
 鯨肉の供給を受けて、それに加工し、流通をさせ、消費をしている人があるわけですよ。そういう人たちの生活なりこれからの食生活をどういうふうに保障するかということについてあなたたちは責任があるわけですね。外交交渉を一生懸命やるのもあなたたちの仕事のうち。ですけれども、その結果がどうなるかということについても、もうちょっとまじめに対策を考えるときじゃないかと思うのですね。相手があるのでその相手に一生懸命頼んでいますというだけじゃなくて、頼んだときには、うまくいったとき、うまくいかなかったとき、あるいはその間にいろいろな段階があるでしょう。それに対してそれぞれ対策を持っているのが筋じゃないですか。
○高木説明員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように鯨を原材料といたします加工業者の経営体数は、私どもの調査では全国で九十余と承知しております。ただ、その八割強が兼業でございます。したがいまして、ただいまおっしゃられたような事態が起こりましても、加工業の場合でございますと、そういう実態から直ちに廃業に追い込まれるということはございませんが、いろいろ問題が起こることはございますので、関係の都道府県ともよく連絡をとって、その辺については、事態がいろいろ流動的でございますのでその事態の推移を見ながら対処するように、私どもとしても過去のデータ、それから最近のデータなどいろいろ調査をしているところでございます。
○元信委員 そういうのを人ごとというのだよ。兼業だから別に困りはしないだろうというようなことでは、従事者というのは到底納得できないと思うのですよ。
 具体的に聞いておきたいと思いますが、世界の捕鯨国というのは我が国ばかりじゃない、よその国もあるわけです。例えばソ連も捕鯨をしておりますが、ソ連がとった鯨は大部分日本が買っているというふうに承っておりますが、PM法によりますと、ソ連の鯨を買ってもそれが北洋漁業にとばっちりが来る、こんなふうに聞いております。そうしますと、外国からの鯨肉の輸入もできぬ、こういうことですか。
○今井説明員 先生御指摘のとおりに、PM法の問題につきましては日本の漁獲割り当てが削減される問題がございます。今のは結果でございますが、原因としまして、IWCの枠を超えてとりました場合というほかに、IWCの決めた効果を減殺するということで、IWCに合致しない鯨肉を輸入した場合もPM法の発動があり得るわけでございます。先生の御指摘のとおりでございます。
 PM法の問題はそういうことになっておりますが、ソ連からの鯨肉の輸入、ソ連域外からも輸入しているわけでございますが、鯨の肉の輸入につきましてIWCはいかなる制限も課してはおりません。したがいまして、鯨の肉の輸入問題はIWCと無関係でありまして、アメリカのPM法とだけ関係するということになります。先生御指摘のような事態がPM法の方では起こり得るわけでございますから、アメリカとの交渉の過程を通じまして、事態の推移を見まして、関係省庁、端的に申しますと通産省、外務省という意味でございますが、関係省庁と適切に協議して対応していきたいというふうに考えております。
○元信委員 どれもこれも抽象的でさっぱり要領を得なくて困るのですが、そういう差し迫った事態でありますから、もう幾つかあとの問題についても、私どももそんなことになっては困る、こう思っておるわけですからやはり聞いておかねばならぬ問題というのは出てくると思うのです。
 もし今話をされているような展開になりますと、共同捕鯨の出漁ということばもうほとんどあり得なくなりますね。それから沖合、沿岸の捕鯨も、どれもこれもみんなだめになる可能性が強くなるわけですが、その場合、水産庁としては、補償問題、その転換問題が出てくると思いますが、対策はお持ちですか。
○今井説明員 今、懸命な努力を続けている事態でございますので、しばらくお待ちいただきたいというのが内容でございます。
○元信委員 ばかばかしくなってきて、もう時間も時間でやめたくなるのですが、いずれにしても、そんなに先ではなくてすぐ結論が出ると思うのですよ。この問題はこの場だけではなくて、これからいろいろなところでどんどん問題になってくると思いますが、アメリカとの交渉に我が国として一体どういう態度で臨んでいるのか。今度外務大臣がアメリカへ行くと言っていますから、そのときによくその話もしてもらわなければいかぬと思いますけれども、水産庁次長が帰ってきたら、またどこかで機会をつくってしっかりこの話は聞かなければいかぬと思うのですね。あなたが言っているようにモラトリアムの異議申し立てをあくまでも続けるということを前提として交渉しているのかどうか、それともそれを撤回しますということを前提に話をしているのか、そこのところは行っている連中にはっきりさせてもらわなければいかぬと思うのです。
 もう遠洋課長さんを余り追及しても始まらないと思いますので、きょうはほかの委員会等もあって大臣の出席はありませんでしたが、ぜひよく言っておいてもらいたいのです。我が国の捕鯨を守るという立場ですね。アメリカのPM法なんかにおどかされてこれを軽々に見捨てるというようなことのないように、出先でもしっかり交渉してもらいたい。しかも、こういう報道がじゃんじゃん流されてくるというようなことになりますと、国民世論を誘導しているのじゃないかというふうに思えるわけですよ。新聞を見たりテレビを見た人は、もう日本では鯨がだめになるのだ、ことしから不可能だと。こんな大きな見出しで一面に出るわけですからね。そういうふうになってしまってからではもはや遅いと思いますので、適切な交渉をするように重ねて要望いたしまして、終わりたいと思います。
○竹内委員長 次に、草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 きょうは、前半で新聞販売店の問題を取り上げ、後半で悪徳商法の問題を取り上げさせていただきたい、こう思います。
 新聞販売店の経営の現状が非常に苦しい、当然のことながら新聞販売店で働く人々の労働条件が非常に悪くなる。また、経営も、苦しいという程度もかなり度を超しまして、転廃業が多くなる。中小企業の苦しみというのは、これにすぐるものはないと言われるくらいの問題点があるわけであります。
 私は、過去、この新聞販売店の問題については予算委員会の分科会あるいはまた社会労働委員会等で、あるいはまたこの物価問題特別委員会等でも問題を指摘をしてきた経過があるわけでございますけれども、ひとつきょうは、販売店の店主の方々からも非常に苦しい訴えの手紙が出てきておりますので、そういう現状を中心に、一体新聞というのはどういう流通機構になっているのか、新聞代の値上げがそろそろうわさをされてきておりますけれども、本当に新聞というものは値上げをしなければいけないのかどうか、問題はどこにあるのかということを中心に議論を進めていきたいというように思うわけであります。
 そこでまず最初に、これは通産省の方が統計で持ってみえるかもわかりませんので、俗に言う新聞の販売店というのはどういう現状になっておるのか、あるいは従業員はどの程度お見えになるのか、これを年次系列別に、ここ二、三年でも結構でございますから、五十四年ぐらいから数字を出していただきたい、こう思います。
○菅野説明員 新聞販売店の数あるいは従業員の数ということにつきましては、公式統計では三年に一度ずつ行われております商業統計がございます。最近のものといたしましては五十七年の六月一日ということで実施されたものがございまして、販売事業所といたしまして二万一千四百十八事業所、従業員といたしまして三十四万八千九百四十二人という数字が出ておりますけれども、年次別のデータということになりますと、新聞協会がつくっておる調査データがございます。これによりますと、販売店数でございますが、五十四年二万二千百四十五軒、五十五年二万二千四百六十五軒、五十六年二万二千五百四十一軒、五十七年二万二千八百八十五軒、五十八年二万三千六十五軒ということになっております。
 従業員の数でございますが、同じく五十四年から逐年申し上げますと、三十八万九千四百三人、四十万八百人、四十一万二千九百八人、四十二万八千百七十二人、五十八年でございますが四十三万七千七百四十九人、そういう状況でございます。
○草川委員 全国の新聞の販売店の店数が約二万三千軒、従業員の方々が四十三万七千人、大変な事業所であり産業でもあるわけでございますけれども、こういう方々の労働条件というのは極めて劣悪であり、これは最後にお伺いをしますけれども、労働省あたりも、基準法上非常に問題があると常々指摘をしておるわけであります。
 そこで、一体親会社の方の新聞というのはどの程度現在発行されているのか。朝日、毎日、読売、全国紙があるわけでございますし、その他ローカル紙、さまざまなものがございます。日本ABC協会というのが社団法人であるわけでございますが、月別のレポートというのが出ております。概略で結構でございますから、朝日、サンケイ、日経、毎日、読売、こういう中央紙の朝刊だけで結構でございます、販売部数を、ラウンドナンバーで結構でございますから、答弁を願いたいと思います。
○菅野説明員 主要新聞の発行部数でございますが、ABC協会のレポートによりますことしの二月の数字でございます。読売新聞が朝刊で八百九十万部、朝日新聞が七百五十万部、毎日新聞が四百十九万部、日経新聞二百十万部、サンケイ新聞百九十九万部、こういう結果になっております。
○草川委員 こういう数字もなかなか一般には発表されないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、このような新聞を二万三千軒の方々が配達をしていただいておるわけでございますが、販売店の経営が悪くなりまして、倒産、夜逃げあるいは店を買い取ってもらうというような例はたくさんあるわけでございます。この前私、東京都内の転廃業の方々の数が予想外に多いという数字を示しましたが、実はこの数字というのは、例えば公正取引委員会も通産省も、もちろん経済企画庁も、中小企業の現状ということでつかんでおみえになりません。
 この倒産件数なりそれから転廃業、いわゆる店がかわる、私はこのことの数字だけはきちんと一遍把握をしてもらいたい、どこの省でも結構ですから。私どもがお伺いをいたしますと、五年の間に三分の一の店主がかわるというわけです。これは、平均をするとほぼこういうわけですね。それだけ実は販売店の現状というのは苦しいわけでございますが、ひとつどうでしょう、通産省本気で、ABCの統計をとっておみえになるわけでございますから、店の転廃業、どういう理由で店主がかわっていくのかということを今後調べる、あるいは販売店の組合を通じてもその資料をとって公開をすることが大切だと思うわけですが、どのような考えか、お伺いをしたいと思います。
○菅野説明員 新聞販売店の倒産、廃業等の状況を統計として把握する可能性いかんということであろうかと思いますけれども、個別の業種について統計的に詳細な把握をするというのは、いろいろな意味でなかなか難しい問題があります。御指摘の点は一応念頭に置きまして、今後いろいろ難しい問題があるということをお含みおきの上で検討させていただければと思います。
○草川委員 どうあろうと、ひとつその数字をつかむことが非常に重要だと思いますし、この問題はそう簡単に結論がつきませんので、時間が多少かかっても結構です、業界の組合を通じてでもいいですから、転廃業の実態が公表されるよう資料を求めたい、私はこう思います。
 そこで二番目に、いわゆる一向に進まない新聞販売の正常化という問題を取り上げたいと思うのでございますが、新聞販売の協会というのですか、各社の間におきましても公正取引協議委員会というのが設けられているわけでございます。ここで昨年の十二月十九日付で、ことしの一月にはひとつ正常化のチラシを配布しようではないかというようなことを言われたらしくて、二回ほど配布をするという計画を立てられ、二月二十日には社告の一斉掲示が決定をされました。このチラシは一回しか配布されなかった県もあるのでありますけれども、社告は一応一斉に掲載をされておりますが、どのような形で掲載をされているのか、あるいはこれは全国同じ、各新聞同じ社告になっておるのか、これは公正取引委員会の方にお伺いをしたいと思います。
○利部政府委員 お答えいたします。
 今の正常化の社告につきましては、新聞協会といいますか新聞公正取引協議委員会の決定に基づきまして、それに加盟している全国の新聞発行本社が一斉に、今後新聞販売の正常化をさらに確実に実施する旨の決意を表明したものでございまして、その内容については全社ほとんど同じでございます。
○草川委員 しかし、その内容はほとんど同じだと言いますけれども、同じでない社告もあるわけであります。しかもまだ、このチラシの内容につきましても、これは拡材や無代紙を使いませんという宣言を――今のお話じゃありませんけれども、使いませんとは書いてないわけですね。拡材や無代紙は使えませんというわけですね。だから、使えませんというのは読者にこびるという面もあるわけですね。読者が、おい持ってこいと言われるから、実は使えません、こういう言い方になっているのですけれども、本来は使わないということで自主的に縛るような強い態度を、公取はもっと御指導を願うことが大切ではないか、私はこう思うのです。ひとつ正常化について、社告のとおりこれがうまくいくものかどうか、公取として自信を持たれるのかどうか、お答えを願いたいと思うのです。
○利部政府委員 正直に申し上げまして、甚だ難しい問題だと存じます。遺憾ながら、相当長い期間、拡材の提供とか無代紙の提供、正常ならざる新聞販売の競争が続いておりましたので、それが短い期間で急激に正常化するというのはなかなか難しいことだと思いますが、最近の各社が一致して行った新聞販売正常化の社告、実はこれはその前に社内でも同趣旨を徹底し、かつ各新聞社の系列販売店にも徹底した上で社告という形にしたわけでございますけれども、各社とも正常化を推進していくという方針は強くなっていると思います。
 それから、社告が行われた後の実情を見ましても、少なくとも現在までは相当鎮静化してきているように見ております。この鎮静化してきた状態が一時的なものでなく、今後もそれが続き、かつ正常化がさらに進むように規制、指導をしていきたいと考えております。
○草川委員 公正取引委員会の方が非常に難しいとおっしゃるのは、実はいかがなものかと思うのですけれども、現状が現状だがら、公取の方としても今のような答弁だと思います。
 実は、私、五十八年の三月七日の予算の分科会でも同様な問題を取り上げておるわけでございますが、この中で、公正取引委員会だと思いますけれども、植木説明員から、新聞公正取引協議委員会の代表を私どもも呼んでいろいろと申し出をしておる、それで「昨年の七月から」ということですから、五十七年の七月から正常化ということになった、こういう正常化ということになっていろいろやってきた、いろいろな提案をしておるという答弁をしておるわけでありますが、既に五十六年のときに公正取引委員会は非常に強い言い方をしております。あるいは、新聞業界の方は、それをさかのぼることもっと古く、五十二年に正常化宣言ということを実は言っておるわけであります。あるいは、各社別には、後ほども申し上げますけれども、もう四十年代の中盤から、こんなことでは、販売店なり新聞の過当競争は問題だというので、努力をしようということを言っておみえになるわけであります。だから、きのうやきょうではございませんし、少し時間がかかり過ぎる、こういう問題に私は非常に強い不満を持つものであります。
 しかも、今部長が、今度は多分落ちついたから大丈夫だろうというような言い方をされておりますが、実は昭和六十年、ことしの話です。三月五日に読売新聞の務台光雄代表取締役名誉会長が新聞記者との会見をやっておるわけでありますね。読売というのは中央紙の一番大きいところだと思いますし、朝日、読売というのは代表的ですから、あえて二つの社だけ名前を申し上げますけれども、ここでこの務台さんが新聞記者にこういうことをしゃべっているのですね。「今度(二月二十日付)の社告も協会加盟社が全国一斉に出した。皆に聞きたいんだが、この社告を出したことで正常化ができると思うかね。現状のままではできない。できそうもないことを社告をするというのは」、ここからの言葉が非常に問題ですけれども、「女郎の証文と同じだ。だから僕は社告すべきではなかったのではないかと思う。」その後いろいろと言っておみえになりますけれども、こういう言葉は、販売の神様と言われた方が、正常化をしようという――これはそこらの人たちが門前でビラをまいたというのとは違うわけですね。公器であります。新聞という公器で、新聞社が全国一斉にそれぞれ、文章はほとんど同じ、多少違うところもありますが、「新聞販売正常化を推進」という社告を出しておる。しかも、これは日本の一番中心の報道新聞ですから。それも一面に出ておるわけです。出ておるわけですから、難しいけれどもみんなで頑張ろうやと言わなければいけないのですけれども、たまたま大新聞の会長が、女郎の証文だ、こういう言い方は不謹慎きわまりますし、私は別に読売新聞だけを攻撃するとかいう意味ではございませんけれども、そこに本質的な問題があると思うのです。
 これは大臣も、国民生活という立場、物価という問題にも関係がございますから、真剣に聞いておいてもらいたいのですけれども、単なるやりとりの問題ではなくて、これはできたら予算委員会で総理に答弁を求めなければいけないぐらいの問題なんです。各新聞が取り上げた社告を女郎の証文と言うのは、一体何かということですよ。それは、今はそういう言葉は使われておりませんし、非常にべっ視的な言葉ですから、あえて私が申し上げたというよりも、そうい三言い方で社告というものを使われては問題だと思うのですね。しかもそれは販売ということでありますから、本当に文化国家として恥ずかしいようなことを麗々しく日本の高級な新聞が取り上げておるということについては、我々は、どちらかというと我慢がならぬわけであります。
 先ほど公取からもおっしゃいましたけれども、いろいろな提案をしておるわけでございます。一体、こういうような中で、新聞というのはどういう形でこれからも正常化をしていくのか、一遍お伺いをしたいと思うのでございますけれども、今、利部取引部長、いろいろと御答弁がございましたが、中央協というのがあるのですね。この中央協というのは新聞販売店の一つの組織でございますけれども、ここの第七号、去年の九月十日号、これは社団法人日本新聞協会と新聞公正取引協議委員会というのの機関誌でございますけれども、ここで部長も原稿を書いておみえになるのですね。「新聞販売正常化に望むもの」「正常化を乱す者には厳しく」という見出しの中で、「正常化達成のためには、これを乱す者に対しては、自主規制でも厳しく対処しなければならない。」こう言っているわけです。この務台さんの発言に対して、公取としてどのようなアクションをされるか、お伺いしたいと思います。
○利部政府委員 新聞発行本社が心を合わせて、内心の意図はいろいろ評価がありましょうけれども、心を合わせて正常化を進めるという決意を表明したところで、トップの地位にある新聞社の責任者である者がそれに反する発言をしたということは、甚だ遺憾なことだと思いますが、ただ、一つの企業体として見た場合の販売正常化の進め方につきましては、必ずしもそこに言われたようなふうに動くとは限りませんで、新聞業界全体としても正常化が必要だという認識は漸次浸透しつつあるように思いますし、そういう認識は、今御指摘になりました企業としての新聞社においても同様だというふうに見ております。
 確かに、若干楽観的な面もあるかもしれませんけれども、新聞販売業界がそういう決意で正常化を進めるという前提で当方も鋭意規制指導をしておりますので、御指摘のような発言については新聞販売業界での一部の感想くらいにとって、それはそれとして、新聞業界がみずから決めたこと、あるいは公正取引委員会が責任を持つ法律の施行の励行に努めていきたいと考えております。
○草川委員 どういう立場で、本当にインフォーマルなことでしゃべっておみえになるのかどうかわかりませんから、私も一々目くじらを立ててどうのこうのは言いませんけれども、やはり素直に見て、そこに今の業界の体質があると思うのです。その業界の体質をこの際本気でつぶさないと、日本の新聞というのは多くの国民から不信感を受ける、信用性がなくなってしまう。
 同時に、今回そろそろ値上げが出ておりますけれども、私は国民の一人として、そういうような状況が続けられる限り値上げを認めるべきではないと思うのです。これも業界紙によりますと、朝日新聞も社長が「朝日新聞の値上げの時期はいつごろになりますか?端的に」という質問に対して「年内に上げたい。」という答弁もしておみえになるわけであります。
 では、新聞経営というのは本当にえらいのかどうかということを、これから少し議論してみたいと思うわけであります。
 私のところへたまたま「販売店の手数料、補助と原価(専売店)」というのが手に入りました。これはあるところ、公の場というよりも、ざっくばらんに申し上げておきますと裁判所に提出された資料でございますから、そんじょそこらのいいかげんな資料とは違います。
 会社の名前だけは控えておきますけれども、この場合、朝夕刊のセットで定価が二千六百円であります。ですから、まずこれは東京都内のようなところでしょう、夕刊のないところではございません。その場合の販売店が取る基本手数料、販売店の手取りは八百九十円になっておるわけであります。ですから、この基本手数料というのは、お店のオートバイだとかガソリンだとか店主の給料、アルバイトとかいろいろなお店の経費というもので、一部一カ月間八百九十円手取りになるわけですね。
 ところが、そのほかにさまざまな付加給付というのですか、補助があるわけでございます。例えば維持料が百円、あるいは増紙料三百円、そのほかに特別増紙料というのが四百円、特別奨励金、さらに奨励をするというので二百円。それから週休労務対策費、これは週休二日制とかということもあるでしょうが、実質的には週休二日制なんというのはありませんから経費になるのでしょうけれども、週休労務対策費が百円。それから、これも余り説明ができませんけれども、協力費が三十円。合計二千二十円が店の方に入ることになっておるわけですね。ということになりますと、定価二千六百円から二千二十円を引きますと、原価は五百八十円。五百八十円が新聞社、中央紙の方に入っていくわけですね。ですから、私どもは朝夕刊で二千六百円払っておるわけですが、新聞社は五百八十円取っていくわけです。本社に入るわけです。
 ところが、この五百八十円というのは一体どういう新聞社のコスト計算になるのか、残念ながら新聞社はそれで飯を食っておるのか食ってないのかわかりませんが、五百八十円ですからえらいと言うのでしょうね、用紙代にもならぬと言うわけです。だから値上げの要求をするわけです。特に今日の情報管理の時代では、コンピューター化あるいは国際的なネットワーク、衛星通信も利用しなければならない、あるいは印刷技術も格段の飛躍をせざるを得ない。いろいろな新聞社がそれぞれ先端技術を競い合っているわけでございますから、昔のような植字工がいて、割りつけをして、印刷して、運ぶというようなものではないわけでございまして、大変な技術革新があるわけですから、先行投資もしなければいけない。だから、赤字だから値上げの要求をするのではないかと思うのです。
 ところが、私が今申し上げたこの二千六百円の内訳を見ますと、原価を引いてお店の方の基本手数料を引きますと、維持料、増紙料、特別増紙料とか何だかんだで千百三十円が実際は投入されておるわけであります。二千六百円の半分に近い。定価二千六百円の四十何%が拡大のために使われておるわけです。早く言うならば、朝日が読売に取られたから読売から取り返すという費用です。読売は朝日から取ってくるということです。毎日はその挟撃に遭うから、毎日も必死になって、やれタオルとか洗剤、時計、いろいろなものをばらまいてそれを取り返さないと会社はつぶれるわけです。
 ですから、何のことはない、最初にABCの方からのレポートで御報告がございましたように、日本の新聞全部で何千万部でございますか、この資料を見ますと朝日新聞が七百五十万、毎日新聞が四百二十万、読売新聞が八百九十万、このお互いの一つの枠の中の取り合いの金が四割使われておるわけです。これをやめれば、新聞の値上げなんか何にもすることはないのです。読者だって、洗剤が欲しいと要求するかもしれませんが、言っては悪いけれども、この中にお見えになる方は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、東京新聞をとるのに、洗剤がなければとらぬと言う人は恐らくだれもいないと思うのです。ニュースの記事を見て、それぞれのひいきの新聞を買うわけです。ですけれども、新聞界全体の中では、総売り上げの中の四割の金がお互いの綱引きのために使われておるわけですから、こんな恥ずかしいことはないのではないですか。これをやめれば、新聞の値上げなんというのは全然関係ないと思うのですが、新聞の値上げが我が国の生活にどのように影響するか、経企庁の方から答弁していただきたいと思います。
○斎藤(成)政府委員 CPIの中で新聞代が占めるウエートが一万分の百五、およそ一%でございますから、この新聞代の値上げの影響というのは、それによって御想像できるように、かなり大きなものと言うことができると思います。
○草川委員 答弁は、新聞代の値上げの影響がかなり大きい。大きいけれどもしかじかかくかくの内容だということは私が申し上げたわけですが、公正取引委員会、こういうシステムは一体いかがなものか、このようにお伺いしたいと思うのですが、どうでしょう。
○利部政府委員 御指摘のような販売店への報酬の決め方といいますか、本社との分配の仕方というものは、新聞拡張のために利用することを前提としてそういうシステムが組まれているとか、あるいは新聞販売店の拡材提供行為を助長するようなものであれば、法律上も問題だと考えております。
○草川委員 公取の方から、法律上非常に問題だということをおっしゃっておられますが、私も本当にそうだと思うのです。
 それで、普通の企業が物を売るとか、先ほどおっしゃいましたように企業努力をするという場合には、本社が特別に懐にお金を持っていて、販売促進のためにPRをするとか、あるいは側面的な応援をする、これで営業活動というのは成っていくわけです。ところが、それはトータルとしてはその会社の売り上げ原価には入ってくることになりますから散らばるのでございますけれども、新聞のように明確に定価の中で、店の取り分、基本手数料は八百九十円ありますよ。そのほかに、取った取られたの奨励金なり、あるいはまた今から申し上げますけれども、残紙という問題があるわけです。いわゆる押し紙という問題があります。その残紙、押し紙に対する補助料というのがこの中のどこかにたくさん入り込んでいるわけですね。今私が申し上げましたように、本社の手取りが五百八十円よりない。ということになると、あれだけの大きな新聞社がどうやって経営をしておるか、用紙代にもならぬわけですから。当然のことながらそれは広告料の収入に依拠する以外にはないわけですね。
 そこで一体、新聞にかかわる広告費というのはどの程度のウエートなのか。これは前回私は四五%から五〇%を超すということを申し上げたわけでございますが、ひとつトータルの意味で、これは通産省の方に、一体新聞にかかわるところの広告費というものはどの程度のものかお伺いをしたい、こう思います。
○菅野説明員 広告費の額でございますけれども、これにつきましても公的なデータというのはございません。ただ、電通が「日本の広告費」という本を出しておりまして、その中で媒体別にどれだけの広告費が使われているかというような統計がございますので、そこから引用をして答弁させていただきたいと思います。
 一応そのデータに基づきますと、新聞媒体を通じての広告費でございますが、昭和五十八年で八千三百六十九億円、総広告費の約三割を占めるという形になっております。
○草川委員 だから、新聞社は結局この広告費で赤字を救っておるというのですか、利益を上げておる、こういうことになるわけですね。これは当然そういうことになると思うのです。そこで、そのパーセントは、総売り上げはそれぞれ各社によって違いますので、正確にはかるわけにはまいりませんけれども、四五とか五〇とか五五という、半分は広告収入に依拠せざるを得ないということになるわけでございます。
 そこで、では今度はスポンサーがいるわけです。新聞に広告を出す以上は、当然のことながらその新聞がよく読まれているかいないかによって広告料金が違うわけです。これは当たり前な話でありますね。そこで、先ほど一番最初に御質問申し上げましたABCレポートというのが社団法人によって出されまして、ここでABCレポートというのは、各新聞社がそれぞれの販売経路を通じて販売した販売部数というもの、いわゆる発行部数ではない、売った部数がここにカウントされますよというので、朝日は今月は七百五十三万売りましたといってよく読まれておりますからひとつスポンサーよ、こういうことになりますね。読売は今月八百九十万売りましたよ、こういうことになります。こういうことで、それぞれスポンサーと新聞社との間で広告料金というのが決まることになりますから、このABC協会の、少なくとも販売経路を通じた販売部数というものは、業界にとっても大変大きな影響力を与えることになります。
 そこで、これも販売正常化でかねがね言われておるわけでございますけれども、各社そろって売った部数というのを上げようとするわけです。一生懸命売るわけです。だから、例えば創立五十周年だ、あるいは百年だというような記念で一年間特別に増紙のキャンペーンを張るとか、あるいは何とかの大きなお祭りがあるから、あるいは市制何とかだ、県の何とかだということで、本社が販売店に非常にプレッシャーをかけてくることになります。当然のことながら販売店は一生懸命売るのですけれども、現地では、売った買った、取った取られた、あるいは拡販団がやってきて、ごそっとどちらかに抜かれてしまったというような、切った張ったの戦争が現地ではあるわけですね。そこで、どうしても売れない、戻さなければいかぬ。ところが、戻すと、売れませんということになりますと、本社の方は困るわけですね、少なくともプラスアルファでどんどん増紙のキャンペーンをやりたいわけですから。
 そこで、押し紙だとか残紙だとかという言葉で言われておりますけれども、結局新聞の売れないのを抱え込んでしまうわけですね。これが相変わらず押し紙、積み紙、いろいろな言い方をされておりますけれども、販売店の非常な悩みになっておりまして、私どもがこの国会で取り上げましてから、販売の正常化のために管理センターというのをつくって、それでふやす場合、増紙、減らす場合、減紙の場合は第三者のセンターを通じて親元の発行本社に新聞の部数を注文しようじゃないか、そうすれば親元からの圧力が加わらないからいいというような意見から管理センターというようなものもできたわけでございますけれども、これがなかなかうまく稼働をいたしておりません。そこで公取に、この残紙あるいは押し紙というものについてどのような指導をしておみえになるのか、ひとつお伺いしたい、こう思います。
○利部政府委員 まず押し紙、積み紙でございますが、これは独占禁止法に基づく新聞業の特定の不公正な取引方法というものがございまして、その中で新聞販売店が注文した部数を超えて新聞社が販売店に新聞を送りつける、それでその代金を徴収するという行為は違法行為だというふうに規定しております。これは主として、新聞社に対して弱い地位にある販売店を保護する観点から定められた規定でございます。そういうことから、今のような押し紙、積み紙が新聞社の違法行為になります。
 ただ残念なことに、その違法行為であることを明確につかむことが、御指摘のとおり非常に難しいわけでございます。そういう観点から、おっしゃいましたように、その実際の注文部数、実際に購読されている部数等を客観的に把握しようということで、販売管理センターというものを業界の中で地域ごとにつくるように指導したわけでございます。一部の地域ではそういうセンターができておりまして、ある程度機能しております。また、その他の地域では、販売管理センターという名の組織はできておりませんが、同様の機能が新聞業界の自主規制の組織である公正取引協議会の支部の組織の中につくられておりまして、ある程度機能しております。
 ただ、目標とするところからは、遺憾ながら遠いといいますか、目標を達したとはまだ言えない状況だと思います。これについては、さらにこの面での自主規制を強化するように指導を続けておりますし、同時に公正取引委員会も、公取の職員、地方にもございますけれども、それを使いまして、特に問題の大きい、販売競争の激しい押し紙、積み紙等がしばしば行われるような地域につきましては、公正取引委員会の職員みずからがパトロールをして違反行為の摘発に努めるというような方法を講じております。
○草川委員 公正取引委員会の非常に数の少ない担当者の方々が、各地域で大変苦労をなさってみえることは、私は多とするものです。地方では、公取の方々というのは本当に数が少ないわけですからね。また、このほかにいろいろな訴え、さまざまなものが出てきておるわけでございますから、新聞販売のことだけにかかわり合っていられないという苦しさはよくわかりますけれども、これはひとつもっと厳重に指導していただきたいと思うのです。
 私のところへたまたま山陽道の販売店の方の手紙、これは読むといいのでございますけれども切切たる手紙でございます。例えば「増減管理センターは、販売店がここを通じて発行本社へ注文することになっていましたが、店においては」、店というのは販売店ですが、「その発行の増減管理センターの電話番号さえ知らされず、新聞社がすべて」――親元ですよ、「親会社がすべて報告し、信託銀行の金庫に保管されている書類は各社立ち会いのもとに初めて閲覧が可能であります。」こういうことなんですね。それで、信託銀行の金庫に保管されている資料というのは、いわゆる管理センターの実際の増減の数の問題だと思いますね。
 私は、この際これは公表を――この数はABCとしての報告があるわけでございますが、増減管理センターの数字というのは、各社が立ち会いでなければいけないとか、そうではなくて、きちっと行政指導で、毎月の増減管理はそれぞれ地区において発表しなさい。そうすると手の内は全部わかってしまうわけですから、スポンサーも安心するわけですよ。私どももいろいろなスポンサーの方とお話をすると、それぞれ実際に地域での影響力をみんな知っていますから、それで契約をしておるわけです。だから私は、新聞店いじめみたいな形でやられるようなABCレポートだとか管理センターのあり方というのは問題があるような気がしてなりません。公取は、この管理センターなりあるいは地区の委員会に、複数で業務に従事をしろとかいろいろなことを言っておみえになりますけれども、この事務局長の身分というのは協会の身分でございますが、複数でやれと言われる事務員の方々は、その地域のところで持たなければいけないというので、雇用主が違うというようなこともございまして、問題が非常にふくそうをいたしております。
 そこで、余り長くなっても問題がございますが、一つは管理センターの数字の公表化を図るということについてどのようなお考えか、お伺いをしたいと思います。
○利部政府委員 現在まで、公表化のところまでは私どもの方も検討したことはございませんが、その前に、少なくとも各販売店の実際の部数等を正確に把握できるように、その関係の帳簿、書類を必ず備えつけるとか、それから公正取引委員会ないしは公正取引協議会等の自主検査の場合に、抜き打ちで検査しても資料が得られるとか、そういう仕組みをまず考えてみたい、まずそれを徹底させたいと考えております。
○草川委員 それはそれでぜひやってもらって結構ですが、今でも、この協議会の方もパトロールをやろうということでやっておみえになるわけですよ。ところが、通知があるのが、あしたやりますよ、こういうことらしいのですね。それで翌日行かれる。その間に本社の方から販売局の方々が来て、こうだからひとつこうしろと言って、もう何か名簿ができておるのだそうですね。これを見せろということなんです。ところが、経理上はやりくりが大変ですから、複式の簿記をやっているところでは、そんなこと言われたってやれっこないわけです。ということになると、押し紙というのですか、その差のある分だけはもう一軒出張所を設ける、いわゆる下請ですね。その出張所分ですよという統計の数字を発表するんだそうです。ですから、抜き打ち検査に来た方は、実際売っておる部数と実際押し紙を受けておる差は、出張店の数字を見せられるということで、おたくの社はえらい出張店扱いが多いんですねなんという話が、私調べてみると現実にあるわけです。しかし、その人が本当に下請というのですか、出張店なのかどうかをフォローアップするという努力は、残念ながらできないわけでございまして、そこら辺の問題をいま一歩踏み込んでやっていただきませんと問題があると私は思うのです。
 この増紙の問題については、さる有名な大新聞でございますけれども、大阪において物すごい水増しの申請を、その会社挙げて中央本社に報告をした。それがばれて、その会社の場合は重役が責任をとられたというような深刻な押し込み競争が、実は新聞界には行われるわけであります。こういうことについて、どうでしょう、せっかくABC協会がこういうことをやっておみえになりますが、承知をしておるのかどうか。
 同時にまた、昨日この新聞の方の協会の方々で、販売正常化に対するいろいろな要求なり勉強会というんですか、理事会をやっておみえになるようでございます。そういうようなことで発行本社との販売適正化についての議論があったやに聞いておるわけでございますが、どのように承知をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
○菅野説明員 先生御指摘の前者の点でございますけれども、従来通産省におきましては、販売担当者がいろいろ更迭等の問題があったというようなことについて承知してはおりませんでした。
 後段の点でございますけれども、昨日日本新聞販売協会の方におきまして理事会が開かれたということで、販売正常化の問題についてもいろいろ議論がなされたというようなことにつきましては報告を受けております。
○草川委員 新聞の正常化ということは、通産省あるいは公取その他、強いて言うならば文部省の文化庁という担当になるのでございますが、文部省の場合はちょっと無理がございますので、いわゆる販売ということになりますとこの二つの省でもう少し指導をしていただきませんと、何も介入という意味ではなくて、しわ寄せはますます現場の労働者の方に来るのではないかと思うのです。各新聞社の方々に申し上げますと、いや、私の方は新聞販売については正常化をやっておりますよ、こうおっしゃるわけであります。
 たまたまここに、これも朝日新聞でございますが、「朝日だより」というのがあります。これは東京本社の販売局から出ておりまして、新聞の正常販売さらに徹底。だから現場には物すごいPRをやってみえるんです。ところが、販売店主がこれをもらってくるわけです。しっかり押し紙をやらせぬようにするよ、こういうわけですね。とにかく変な景品なんかやると公取に怒られるからやめとけよと、こう言うわけです。その次の日に行くと、おいおいちょっと来い、松戸のアイススケートの券があるが、これお前持っていけ。持っていけというのは金を払うという意味ですよ。何とかのサウナがあるから、これを持って拡販に使え、こういうわけですね。今のお話ではございませんけれども、社告をやった翌日というんですか、その晩に拡材の部材を積んでずっと拡販団が出動をする、こういう状況なんですね。これが部長、率直におっしゃいましたが、現実なんですね。
 これも大きなポスターでございますけれども、日本経済新聞の従業員用に、こういう自転車だとか冷蔵庫だとかテレビだとかいろいろなものがございまして、三カ月以上縛りカードを二十枚集めたらソニーのウォークマンを渡すとか、五十枚出せばキャノンのカメラを渡すとか、従業員に、売ったらこんなものを出すというのは、ちょっと正常な――これは労働省に聞いた方がいいかもわかりませんけれども、ちょっとおかしいですね、従業員にこういうものを出して射幸心をあおるようなやり方は。しかも、この縛りというのは一体何かといいますと、三カ月以上縛りというのは、とにかく三カ月だけとってくればいいよ、四カ月目にはもうどうでもいいんだから、とにかく三カ月だけ我慢をして買ってくれというのが三カ月以上の縛りというわけです。これを拡販団がやるわけですね。
 この拡販団というのは、非常に強引に読者カードをとって歩くというので、随分問題になっております。これも、通産省の消費相談室にどの程度寄せられておるかわかりませんけれども、余り怖いので、消費相談室には訴えが出ていないと思うのでございます。これも、いろいろと訪問販売規制法、訪販法の規制対象にかかるような行為は取り上げなければいかぬのじゃないかということを思うわけでございますが、その点、これは通産省、別の課になると思いますが、お答え願いたい、こういうふうに思います。
○糟谷説明員 お答え申し上げます。
 現在、私ども通産省で受け付けております消費者トラブルの中で、新聞が関係している件数というのはそれほど多くはございませんが、私ども消費者とのトラブルというのはなるべく少なくしたい、こういうふうに考えているわけでございます。現在、公取の方でも、公正競争規約の作成を指導されるとか、その推進方を指導をされるとか、その他業界の方でいろいろな自主的な努力をしているというふうに聞いておりますので、その成果を見たいというのがまず第一点でございます。
 それからもう一つは、先生ただいま御指摘の訪問販売法の指定商品に加えたらどうか、こういうことでございますが、この問題につきましては、消費者とのトラブルの中身がどういうものになっているのか、それが指定商品にすることによって解決するのかどうか、その辺につきまして、もう少し慎重に見きわめてみたいというふうに考えております。
○草川委員 ぜひこれは、いろいろな角度がございますが、本当に業界が自粛する努力をしないと、私は何回か申し上げますけれども、結局現場の労働者の方々にしわが寄るのが嫌なものですから申し上げておるわけであります。
 時間が大分たちましたので、最後に労働省のお伺いをしたいと思うのでございますが、いわゆる新聞の配達業務については、女子の深夜業を認めるということ、対象業務に入れる方向だということを、昨年の七月二十四日、私は社会労働委員会で当時の望月基準局長に質問をいたしまして、望月さんの方からも、若干のニュアンスがあるわけでございますが、対象業務に入れる方向の示唆があったわけでございますが、その後、どの程度検討が進んでいるのか、あるいはまた、そのことが労働条件の低下に結びつかない対応策も必要で病るという前提で私申し上げておるのでございますが、その点についての検討状況をあわせて求めたいと思います。
○松原説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘ございましたように、私どもいわゆる雇用機会均等法案におきまして、労働基準法の改正も行うことにいたしておりまして、現在この法案を参議院で継続審議ということをお願いいたしているわけでございます。
 その改正労働基準法案におきましては、今御指摘の点につきまして、深夜業は原則禁止という現行法と同じ原則を維持しているわけでございますけれども、若干適用除外業種等をふやすということで対応をいたしておりまして、改正法案の第六十四条の三におきまして、第四号、「品質が急速に変化しやすい食料品の製造又は加工の業務その他の当該業務の性質上深夜業が必要とされるものとして命令で定める業務に従事する者」につきましては、深夜業を認めるということにいたしているわけでございますけれども、今御指摘ございました新聞販売業務がこの業務に該当するかどうかにつきましては、これからこの法案が成立いたしました後に、具体的に検討することにいたしております。
 それで、前国会におきまして、労働基準局長より示唆があったということでございましたけれども、この法案を立案いたします過程で、審議会での議論を長年やってきたわけでございまして、4の審議会の審議過程で、確かに新聞販売業務について、女子の深夜業を認めてはどうかという議論もございましたので、今後省令を検討する段階におきましては、当然新聞販売業務につきましても検討の対象に、いたすことになるとは存じますが、今の段階ではまだ法案の段階でございまして、成立をいたしておりませんので、その後具体的な検討作業は行っていないところでございます。
 それから二番目に御指摘のございました、もし仮に新聞販売業務の深夜業が適用除外、禁止が解除されるということになりました場合には、もちろんその労働条件がそれによって低下することがあってはならないのは当然でございますし、私ども従来から必要に応じまして監督、指導等をやってまいりましたが、今後とも労働基準法の遵守を初めといたしまして、労務管理の適正化等につきまして必要な指導を行ってまいりたいと思っております。
○草川委員 まとめの答弁もまたいただきたいわけでございますけれども、結局今のままの過当競争が続き、そして押し紙等はなくする――公正取引委員会は二%でございましたか、三%でございましたか、押し紙はもうこれ以上はだめだと言っておるのですが、私が聞いたところでは今なお一〇%を超し、そして地方のローカル新聞に行けば行くほど一五%ぐらいの押し紙がある、こういうわけであります。その分だけは店主が、どっちにしても払わなければいかぬわけですね。ということになりますと、労働条件は下がる、それからアルバイトも非常に劣悪な条件になる、基準局からはもう重点的に指導しなければいけない。間に入るのはいわゆる販売店の店主になるわけであります。
 私のところへ来た手紙も、なお末筆に、勝手ながら文中で用いました地区名等より当店の名前が万一新聞社に漏れると、改廃を含めてどのような処置があるかもわかりません、この点を御理解の上、店名の見当がつかないよう特別の配慮をお願いするという、今どき日本でこんな手紙が来るなんというのは、よほど劣悪な労働条件のような気がしてなりません。日本の国でこんな手紙が来るようなところはないと思う。しかもそれが新聞という、日本の報道機関という、それこそ日本の、文化国家の一番のところでこういう手紙が来るわけですから、一体どうなっておるのかということを私は最後に指摘をせざるを得ません。
 そういう意味で、私もこれは今後非常に長期間かかると思いますけれども、本気でやれば親会社ももうかるわけですよ。先行投資ができるわけです。一つのたらいの中の綱引きをやっているだけですから、ちり紙だってタオルだって、そんなに皆さん欲しいわけじゃないわけですよ。そんなものは、なければないで済むわけです。だったら、新聞業も安定し、販売店も安定すると思います。
 そういう意味で、長官、ぜひ国民生活の立場からもこの問題は真剣に考えてもらいたいと思うのです。私が今申し上げたことについて、ひとつ今度は経企庁として、国民生活を守る立場から感想を述べていただいてこの問題は終わりたい、こう思います。
○金子国務大臣 先ほど来の御意見を交えてのお話を承りまして、やはり日本の報道機関中の雄たる新聞の経営のあり方について、真剣に見直さなければいかぬなと考えておるわけでございまして、今後私どもも、直接介入するわけにはまいりませんけれども、そういう方向でぜひひとつ進めるように努力してまいりたいと考えております。
○草川委員 じゃ、新聞販売はこれで終わります。
 続いて悪徳商法の方に移りますが、時間が十分よりございません。実は私、過日の予算委員会で悪徳商法問題を取り上げまして、特に名前を挙げて豊田商事の金の売買、ところが現物まがい、実際上は金を売りつけると言いながら、現物を与えずに預かる、そのかわりにその預かり証を渡して一割相当の金額を被害者に与えていくという問題を取り上げました。これは悪徳商法ではないか、こういうことで関係省庁の御意見を求めたわけでございますが、実はその豊田商事が同様にゴルフの会員権を売って歩く。豊田商事ではなくて、今度は豊田ゴルフという会社がございまして、同じ系列でございますけれども、さらにそれのセールスをするのは鹿島商事という会社がセールスをするのでございますけれども、実際の従業員は、鹿島商事はほとんどが豊田商事からの出向というのですか、そこから派遣をされた方々が多いわけでございまして、その企業系列の上部には銀河計画株式会社というのがございまして、これが一つの、俗に言う豊田グループと言われるものになっているわけであります。
 ところが、そのゴルフというのは、今非常に関心を持っておるわけでございますけれども、豊田ゴルフというのは北海道に二カ所、それから将来は三十カ所ぐらいゴルフ場をつくると言っておるんでございますが、実際は冬場なんかは、北海道でございますから、とてもゴルフができるようなところではございません。ですから、非常に価値の低いゴルフ場を二、三手に入れておりまして、私はゴルフ場を持っておりますよ、将来は三十にしますよ、共通会員権を皆さん買いませんかといって売りに歩くわけであります。その売りに歩くのは、ゴルフをやりそうな方々のところへは行かないわけでございまして、寝たきり老人だとかひとり暮らしのお年寄りのところへそのゴルフの会員権を売りに行くわけであります。
 たまたま私、今ここに持っております。これは大阪の方でございますけれども、八十一歳のおばあちゃんです。しかも市営住宅に住んでおみえになる方であります。別に市営住宅に住んでおみえになる方がどうのこうのということを申し上げるつもりは全然ございませんから、本当に気をつけて聞いていただきたいのですが、市営住宅に住んでおみえになる八十一歳のひとり暮らしのおばあちゃんのところへ行って、ゴルフの会員権を売るわけです。ところが、おばあちゃんはゴルフの会員権なんかはわからないから、ゴルフのお話はそっちのけで、おばあちゃん、いい利殖の方法があるよ、あなた年金をもらっているんでしょう、年金をもらうだけでは利殖にならないから、このゴルフの会員権を買いなさい、そして、あなたはゴルフできないんだから、預かり証というのですか、預かり証でいいから、それを買いなさい、そうすれば一年間で一二%の賃貸料が十年間にわたって払われますよと言って、定期預金だとか定額の郵便貯金と違って、この券を買えば一二%だから大変いい利殖になるよ、しかも値上がりがあるよと言って、オーナーズ契約というようなことをやって、実は入会申込書をずっと配っていくわけであります。
    〔委員長退席、金子(み)委員長代理着席〕
 それで、この会社の実情というのは、ここに豊田ゴルフクラブオーナース証券というのが、私写しを持ってきておりますけれども、一二%で二百万円ならば、一年間で二十四万円ずつ、債券を切るようにしてあなたに渡すよというようなやり方をしておるわけでありますが、私どもが手に入れた資料では、実は昨年の十一月の実績では、北海道の旭川から九州の福岡までいろんな各支店があるわけでございますけれども、五十九年の十一月度の実績で、この鹿島商事は、このゴルフの会員権それから預かり証だけで五百八十九件、売り上げは、何と驚くなかれ、一カ月で九億八千万円の売り上げを上げているわけです。一カ月でおじいちゃん、おばあちゃんのところへ行って九億八千万円ただで持ってくるわけです。それで、一二%の金だけを置いてくるわけですね。こういうのは私はまさしく悪徳商法だというので、先回検察庁、それから警察庁をお呼びをいたしまして、豊田商事のあり方についての問題を提起をいたしまして、重大な関心を持っておるという答弁をいただきました。
 そこできょうは、前回のこの豊田商事、金の現物まがいの商法で全国に被害者をたくさん出しておる豊田商事に対して、国税庁はどのように対処をしてきておられるのか、あるいはまた今後の対処する方針はどうか、これをまずお伺いをしておきたい、こう思います。
○友浦説明員 お答え申し上げます。
 個別にわたります事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げますと、国税当局といたしましては、国会で論議されました事柄や新聞等で報道されました事柄を含めて、広く資料、情報を収集いたしまして、法人から提出されました申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなど、適切な課税に努めているところでございます。
 お尋ねの法人の取引に関しましては、国会や新聞等で取り上げられ、社会的関心が高いことは十分承知しておりまして、本件につきましても、ただいま申し上げましたような観点に立ちまして、適切に処理しているところでございます。また、今後とも各種の資料、情報の収集を行いまして、必要と認められる場合には厳正な調査を行うなど、適切に対処してまいりたいと存じております。
○草川委員 ぜひこの問題については不公平のないように、厳正な対応をお願いを申し上げておきたい、こういうように思います。
 そこで、もう時間がございませんので経企庁にお伺いをいたしますが、このような現物まがいの事件というのは、この物価問題特別委員会で毎年のように出てきておるわけでございますし、長官も厳正な対処をするというような答弁を昨年来なされておみえになるわけであります。その後具体的にどのような対応を立てられておるのかお伺いをしたい、こう思います。
○及川政府委員 金の現物まがい取引など悪徳商法と言われているものについては、最近特に著しい多発ぶりを見せておりまして、国民生活センターその他への苦情も非常に多くなってきております。そこで、昨年十一月の消費者保護会議におきましては特に一項目を設けまして、金の現物取引等と称する悪質な取引につきましては、各省庁が挙げて関係の法令を厳格に運用し、あるいは警察庁の協力等も得ながら、不法事案の取り締まりの強化等も行うことを決めた次第でございます。
 その後御指摘のような事案が多発してきているところでございますので、現在通商産業省におきましては悪質な業者の公表制度等について検討をされておられまして、新年度早々にでも発足する段取りにまで近づいているというふうに聞いておりますし、ただいま国税庁当局からも御答弁がありましたように、国税庁当局、警察庁当局、それぞれ関係する法令等に従って厳正に対処するように、消費者行政担当各省課長会議の場等を通じて協議をしているところでございます。
 消費者苦情が多発し、特に御指摘の豊田商事あるいは鹿島商事の件に関しましては、私どもも例えば八十四歳のおばあさんの事件であるとか、八十一歳のおばあさんであるとか、六十歳以上のお年寄りに関する事件を具体的に把握をいたしておりますので、それらの事例等も参考にしながら対応策を各省と協議していきたいと考えております。
○草川委員 通産省まだお見えになりますか。免じゃ通産省の方からも……。
○菅野説明員 先生御指摘の、ゴルフ会員権をだしにした悪徳商法でございますけれども、その関連の苦情、トラブル件数、当省の消費者相談窓口の方に、昨年の四月以降でございますけれども、トータルの苦情相談件数としては七千八百件ぐらいでございますが、その中でゴルフ会員権絡み、ことしの二月まででございますけれども二十一件と承知しております。そのうち十一件該当するものがあるのではないかというように把握しているところでございます。
 いずれにしましても、こういった問題に対しましては、当省といたしましてもその発生を未然に防止することが肝心であるということに考えておりまして、消費者に対する啓発、PR活動というものに力を入れていきたいというふうに考えております。
○草川委員 最後になりますので、ひとつ長官の方から、今の悪徳商法問題等についての最終的な見解を承って終わりたいと思います。
○金子国務大臣 先ほども局長から御答弁申し上げましたように、先般開催されました消費者保護会議におきましてもこれが一つの大きなテーマとして取り上げられまして、今後関係各省連携してこういうような問題の未然防止と、起こりました後の措置につきましては、厳重な取り締まりをやるように、打ち合わせをしておるような状況でございます。
 きょういろいろな角度からの御意見を賜りまして、私どもも大変心強く思った次第でございますが、今後も一生懸命にやってまいるつもりでございますから、よろしくお願いいたします。
○草川委員 終わります。
○金子(み)委員長代理 次に、田中慶秋君。
○田中(慶)委員 経済企画庁長官の所信表明に関連をしながら、若干経済問題等々を含めて質問をさせていただきたいと思っております。
 経企庁は、我が国の経済のかじ取りとして、国民の多くが経済の見通しや政策に注目をしておるところでございます。昨年十二月の二十日に経済見通しについてお伺いしたときは、具体的な数字が示されず、本年の一月の二十五日、閣議決定として五十九年度の見通しが五・三%として発表されたわけであります。しかし、最近ではまた五・三%を上方修正あるいはまた六%近くに達する可能性が強まっている状態であろうかと思います。政府発表ともなれば慎重を期さなければならないことはわかりますけれども、この問題について見通しのずれがあるのではないかと思いますので、まずこの点について冒頭にお伺いをしたいと思います。
○金子国務大臣 当初数字を発表しました当時から比べますと、ある程度景気の回復が本格化してまいりましたから、あるいは実質、名目、多少上方修正しなければいかぬような空気になるかもしれぬと考えておったのでございますが、最近はまた対米輸出が相当鈍化してまいっております。一方においてなかなか市場開放が進まないで、輸入がそれほど伸びないというような問題もございますので、今後の推移を見ながら経済の運営をやってまいりたいと考えておるのでありますが、ただ目標といたしました名目の六・五%、実質五・三%、これは確実に達成できるという強い自信を持っておる次第でございます。
○田中(慶)委員 この五・三%の上方修正の問題のときにも、経企庁と大蔵省のそれぞれ綱引きみたいな形の中で、大蔵の方は大変慎重にされたわけでありますけれども、そのときに経企庁は五・三%間違いない、こんな形で、それぞれ経済のかじ取りとしての方向を明確にされたわけであります。今回も私は、確かに対米輸出が今鈍化しているということはわかりますけれども、現実問題としてこの全体的な経済の活力等々を考えてまいりますと、経企庁のそれらに対する姿勢というものをもっと具体的に明らかにして、その数値を明確にされた方がよろしいのではないか、こんなふうに思うのですけれども、いかがでしょう。
○金子国務大臣 政府として経済運営の基本的な態度を変更する必要に迫られたような場合には、お話しのように、経済見通しの改定という問題が当然起こるわけでございますけれども、今のところはまだその段階でありませんので、このままやっていけば、まずまず経済運営としては間違いなしというような見方を私どもとっておるものですから、民間の経済潜在力がさらに盛り上がることを期待しながら、今推移を見守っておる最中だというふうに申し上げておきたいと存じます。
○田中(慶)委員 そういう点では、五十九年度がもうすぐ終わるわけでありますので、昭和六十年度、それでは今回・六%、政府としてもこの経済成長率を明確に発表されているわけでありますけれども、長官はこの理由として、外需が今低下しているという問題、あるいはまた内需の増加、個人消費、住宅投資が高まると見込んでいますけれども、民間設備投資がどのくらいか、まあまあのところであろう、こんなことを言われているわけであります。しかし、反面、個人消費についても教育費の値上げ、医療費の値上げ、さらにはまた予想される国鉄運賃の値上げ等々を考えてまいりますと、内需の拡大というものはそんなに簡単にいかないんではないか、こんなふうに考えるわけであります。
 例えば、きょう御案内のように衆議院を通過した一つの問題でも、ここにはそれぞれ、この地方税法等の一部を改正する法律の中でも、県民税が従来五百円が七百円に上がるとか、あるいはまたさらには固定資産税の問題とか、それぞれ自動車取得税等々含めて、公共料金を上げないと言っていながらも、こういう問題等々がそれぞれ改定をされる。こういう形の中で、現実問題として内需がそれほど拡大できるかどうか。こういういろいろな問題を含めて長官としての、この四・六%に対する裏づけなり、あるいはまたそれらに対する考え方を述べていただきたいと思います。
○金子国務大臣 アメリカの経済の最近の動きについてはもう御承知のとおりでございまして、一遍に六十年度に急激に悪くなるということはないと思うのですが、五十九年度のように日本の輸出を引っ張る力はある程度スローダウンせざるを得ないだろう。その効果はある程度考えながら、逆にまた一方において、内需を思い切って振興しなければいかぬということで、いろいろな施策を講じておるわけでございますが、設備投資の方は幸いと、昨年の輸出の好調に引っ張られて伸びてきたものが、輸出に関連のない部分にまでも大きく根を広げ出した。特にハイテク関係の設備、これが中小企業にも及び、相当根強いものがあると私どもは考えておるのでございます。そういったところから、企業の収益も伸びておるにもかかわりませず、予想外に、先ほどお話しの個人消費がどうも盛り上がってきていない。
 やはり一つには、高齢者社会に備えて財布のひもをかたくしなければいかぬとか、あるいは住宅ローンや教育費の負担があるというようなこと、あるいはまたいろいろな有利な貯蓄商品が普及してきたというふうなことで貯蓄の方に回るということもございまして、大幅な減税がございましたにもかかわりませず、年末までの去年の消費は伸びが薄うございました。やはりこれは一つにはタイムラグがございまして、半年以上盛り上がりがおくれておるんだろうと思うのでありますが、それが、今度の春闘でどういうことになるかわかりませんが、年末から年始にかけての消費の一般的な動きあるいは自動車の販売、レジャー関係の動き、百貨店の売り上げ等を見ておりますと、これからしっかり伸びるんじゃないか。急激に盛り上がることはございませんけれども、着々と伸びるようなふうに私どもは考えておりますし、また、住宅産業も、伸びは緩やかではございますが、しっかりとした足取りを重ねておりますので、私どもの見通しは大丈夫達成できるものと考えておる次第でございます。
○田中(慶)委員 四・六%の問題について大分自信がおありのようでありますが、今設備投資あるいはまた住宅産業等の問題について、緩やかではありますけれどもという形の中でお触れになられたわけでありますが、例えば中小企業の倒産件数は、五十九年度が件数にして八・八%増、トータル件数が約二万六千件だったと思います。あるいはまた負債総額にして四一%の増、三兆一千億を超えているわけです。こういう実態を考えてみますと、設備投資が、本当に本格的に地方のある大手企業はできますけれども、中小企業は現実にはできない。住宅産業が緩やかに成長したというけれども、大手の住宅産業は成長しているかもわかりませんけれども、先ほど申し上げた二万六千件のうちの約三三%は住宅産業に属している、こういうことでございますから、私は決して長官とやり合うわけじゃありませんけれども、この数字からしても、完全に回復している、あるいは緩やかな成長といっても、そのいいところと悪いところの差というのは相当開きがあるんではないか、こんな気がするわけです。その辺の認識はいかがになられているでしょうか。
○金子国務大臣 田中先生御指摘のとおり、まだ業種によって、あるいは地域によってまだら模様が大分あるのでございまして、それが本格的な景気回復の過程においてだんだん吸収されるようになると思うのでございます。最初にお話しの倒産件数あるいは倒産のための負債の金額等も、昨年の暮れまで最近にない多額に上っておりましたけれども、十二月からことしの一月にかけて、これは全国的な数字ですから何の業種がどうというわけじゃございませんが、相当減ってまいっておることは、これはもう事実でございます。
 そういう点から見ますと、景気が漸次好転しておるというふうに言っていいかと思うのでございますが、しかし、私どもとしましては、必要な手は今後もどんどん打ってまいりたい。大変残念なことでございますが、財政事情が厳しいものですから、減税を思い切ってやりたいと考えても、正直言ってなかなか財源がない。せいぜい公共事業費の事業量を前年度に比べて三・七%ふやした程度でございますが、予算が成立すればまた不況地域に傾斜配分するとか、何かそういうことは考えなければいかぬと思っているのです。そういう意味において、今後も機動的に適切な財政金融の面での手を打ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○田中(慶)委員 長官が減税問題についてお触れになられたわけですけれども、財政が厳しいからという形の中で、しかし前の長官は減税積極論者だったわけです。財政が厳しい状態でこそ減税を行って、内需の拡大を促進することによって経済のバランスがとれるんだ、あるいは同本経済に活力を生み出すことができるんだ、こういうことを明確に主張されておりました。私もその経済政策には賛成をしておりますし、またそうだと思っている一人なんです。従来アメリカ経済がおかしかったときにレーガン大統領が大幅に減税をされて、そしてまた内需の拡大、昨年までアメリカは非常に大きな成果を得られたと思います。そういう点を含めて考えてみますと、それぞれのサンプルがあるわけで、日本は昨年、大型といってもまだけたが違う減税でございますので、そういう点を含めて、今所得税減税の問題やら住民税減税の問題、政策減税が論じられているわけでありますけれども、経済担当長官として、これらについての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○金子国務大臣 正直言って、本年度の予算編成の際にも今の大幅減税の問題が取り上げられたわけでございますけれども、とにかく累積赤字が相当急増しておりますので、減税をやるとすれば見返りに国債を発行するしか手がございませんけれども、その国債がなかなか売れないという現実の問題がある。実はこれが一番困った問題でございます。
 来年度以降の問題になりまするけれども、今所得税を中心にした税制改正の根本的な見直しをやろう、中心は何といってもやはり個人負担が大きいですし、特に所得税の累進度が高くなり過ぎておりますから、多少間接税の方へ回すことにいたしましても、所得税を思い切って減らすことによって国民の負担感を軽くしよう、公平感を高めよう、それによって民間活力を伸ばすようにしようということで今議論がされ、検討がされていることは御承知のとおりでございます。これは政府、党の税調においても今議論を進めておる段階でございますので、一日も早くそういった方向へ持っていきたい。ことしは大変残念なことでございましたけれども、ちょっと間に合わなかった、こういうことでございます。
○田中(慶)委員 経済政策ですから、減税をしたりあらゆる手法をとってやらなければいけないと私は思っているのです。
 そういう中で、実はいつも問題になるのは、日本の経済が輸出依存型である。特に対米依存の問題を含めても、五十九年の貿易黒字は約三百三十六億ドルという形の中で、対米の黒字が三百三十一億ドルという史上最高を記録しているわけでありまして、そのしわ寄せが逆に、本年度アメリカが日本への総攻撃を今始められているということでありますし、特に国内で思っているよりも対日感情が非常に悪いようであります。私の友人も向こうに何人がおりますし、また私の友人の子供が今留学をされているわけであります。そういう中で、日本人いじめを向こうで現実問題としてされている。こういう問題が、先般も向こうどの長距離国際電話でいろいろなことを話した中で出ておりました。
 そういう点では、政府も国民感情も、あらゆる問題について日本に対する総攻撃をされているという問題を考えたときに、今問題になっております関税の引き下げといいますか市場開放の問題等等、通信機材の問題やらエレクトロニクス等の問題、あるいはまた医療機器あるいは医薬品等々を含めていろいろなことが検討されております。それ以外の問題もいろいろな形で検討されていると思いますが、それらに対してのお考えはいかがでございましょう。
○金子国務大臣 日本はアメリカに相当貿易収支上の黒を持っておるのですが、逆にまた、稼いできた金は証券投資なり直接投資でアメリカに還流しておるのです。だから、アメリカの経常収支の赤を償ってやっておるのは日本だ、あるいはまたそういった金で発展途上国の援助もしておるじゃないかという説明を今までやってきておったのですが、なかなかそれが通じないのですね。現実の貿易上の赤をどうやって消すんだというのが向こうの議会筋の主張でございまして、今資本収支でアメリカを応援しているというようなことは、政府筋はわかってくれるのですが、一般の業界なりはなかなかわからない。
 そういう意味において、市場開放につきましては、河本国務相が中心になって諮問機関をこしらえて、今鋭意努力をして、OECDの閣僚理事会が来月開かれます、あるいはボン・サミットが五月に開かれますので、それまでにある程度のめどをつけたいということで、今せっかくやっておる最中でございまして、電電関係その他ある程度のめどが着々と、輪郭がはっきりしかかっておるというのが今の段階でございます。
 ただ、私どもといたしましては、対米輸出にいつまでも依存するわけにいきませんし、またASEANや石油の産出国、EC等に対する輸出も、これから少しずつ減ることを覚悟しなければいけませんから、やはり内需を思い切って拡大する必要があろうかということで、政府を挙げて今いろいろ努力をしている最中でございます。これは役所がいろいろな民間の活動に規制を加えておる、一々取るようにしておる認許可事務を思い切って整理するとか、法律上、行政上の規制の網を早く取っ払って、思い切って伸び伸びとした民間活動ができるようにしてやる。これは非常に迂遠なことのように思われるかもしれませんけれども、気長に、着実にやっていくことが大事なことであろうと思うのであります。
 と同時に、そういうことによって、今まで国が中心でやっておったような仕事を民間に肩がわりしてさしあける。そのために必要なことは、行財政改革をしっかりやって、国なり地方が引き受けて今まで中心でやってきておった仕事も、民間でできるものは民間でやって能率を上げてもらう。これは大事なことだろうと思うのでございまして、今政府を挙げてこの点に重点を置いてやっておるのは、内需振興のための大事な基本的な手段であるという気持ちでやっておるわけでございます。
○田中(慶)委員 長官がそれぞれ懸命に努力されている考え方は理解をいたしますけれども、例えばアメリカでこういう例があったのです。今アメリカは自動車産業がどうにか持ち返したからいいのですけれども、大変厳しいときに自分の職場をなくしてしまった、それは日本人のせいだ、そしてたまたまそこに殺人行為が起きて、日本人と間違えて殺された人がいた、しかし、それは裁判の結果、生きる権利といいますか、そんな形の中でその人は無罪になった、こういう形の問題もございます。
 いずれにしても、アメリカが次に打ち出してくるのは日本に対する輸入課徴金の問題等々が懸念をされてまいりますから、こういう問題を担当長官として、いろいろなことを含めて先取りをしていかなければいけないと思います。行政改革の問題とか、あるいはまた第三セクターを含めて民間移譲の問題等々を含めても、規制、規制、規制、みんなそういう形で、どちらかというと日本の役所はほとんど手放しをしたがらないわけであります。そういう点では民間移譲、例えば電電、専売はなりました。しかし、国鉄の問題も、民営・分割もまだあんな形でありますし、あるいはまた権限の移譲やそれぞれの問題をもっともっと、メスを入れれば入れることもたくさんできるわけであります。政府はそういう問題について懸命に努力をされているとはいっても、なかなかその期待といいますか、そういうものは大変薄いわけでございますので、それは担当長官を含めて経済政策的な立場で日本の経済に活力を取り戻す。こういう大前提で、今申し上げたような行革の問題やらあるいはまた第三セクター、民間活力の導入等々を含めて、私はもうこの辺が限度ではないか、こんなふうに思っているので、総力を結集する必要があるだろう。
 なぜ私がこんなことを申し上げるかというと、例えば設備投資の減価償却の問題一つをとっても、日本は大体十年から十一年です。アメリカは平均して五年です、イギリスや西ドイツは、先端技術という問題については単年度で消化しております。こういう形の問題を見直す、そういう時期であろう、私はこんなことを予算委員会で申し上げてまいりました。しかし、これは大変ガードがかたいわけですけれども、これからの日本の経済なり活力なりいろいろなことを想定しますと、やっていかなければえらい問題が発生するのではないかと心配しているのです。そうでしょう。日本は減価償却は十年です。アメリカは五年です。そんなことになると、それぞれ設備が老朽化しても、なおかつ制度の束縛の中でそれができなかったならば、そこに近代的な技術革新というものが取り入れられない。こういうものがあるわけですから、やはり長官、こういう問題を含めて経済的な立場で、通産省とかあるいはまたそれぞれのところにも申し入れなり話し合いをする必要があるだろう、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょう。
○金子国務大臣 先ほど輸入課徴金の問題をお取り上げになりました。アメリカ側でそういう意見がときどき議会側に出ることは御承知のとおりでございますけれども、現実問題として保護主義になっちゃうものですから、なかなか、アメリカ政府は反対ですし、輸入課徴金とか輸出課徴金というようなことではなくて、どしゃぶり的な輸出で職場を失わせることのないように、ある程度貿易の規律を守りながらしっかりとやっていくということが大事であろうと思うのでございます。そういう意味において、やはり両者でもう少し話し合いを進める必要があろうかと考えておるわけでございます。
 それから設備の償却の問題ですが、これはいろいろ見方があるのでございます。むしろアメリカ側は設備全体が若返っておるぞ、日本何しておるのだ、ほうっておいたら大変なことになるぞという考え方もあるのですけれども、全体として見ますと、まだ日本の方が設備全体としては若い。ただ、今お話しのように、相当思い切った償却をやらせる制度が一部にはあるものですから、全部じゃないと思うのでございますが、そこら辺の問題につきましては、毎年税制改正の際に取り上げられておるのですけれども、大蔵省側としては税収の面もあって、なかなか簡単に踏み切れない点も多かったろうと思うのでございます。来るべき税制改正の見直しの際には、そういった問題も含めて、田中先生の御指摘になった点は十分掘り下げて検討させるようにいたします。
○田中(慶)委員 いずれにしても緩やかな成長時期に入ってきているわけですから、そういう点では、これからもあらゆる面で経済政策が優先していくのではないか、私はこんなふうに思っております。そういう点では、どちらからというと省庁間の連絡が余り密接にいっていないような気がしますので、そういう点でぜひ今のような問題等も、大蔵の税制の問題にも関連はすると思いますけれども、そういう時期がもう到来しているのではないか、こんなように思いますので、ぜひ長官の趣旨を体して、連携を密にしてやっていただきたいという要望にとどめておきます。
 続いて物価の動向、この辺について若干長官の見解を伺っておきたいと思うのです。
 先ほど申し上げましたように、二・八%という問題を長官は明確に打ち出されておりますけれども、例えば米価、医療費、国鉄運賃あるいはまた教育関係の値上がり等々含めてまいりますと、公共料金の値上げを含んで総体的に二・八%の枠の内でおさまるかどうかというのが大変今心配の要素を踏まえているわけですけれども、その辺はどのようにお考えになっておるのでしょうか。
○金子国務大臣 今御指摘の予算関連公共料金でございますが、消費者米価、医療費、国鉄運賃それから国立学校の入学科、これが消費者物価に及ぼす影響は〇・二%ぐらいと考えております。これに、公共料金には入らぬかもしれませんが、例の自賠責、これの引き上げがあるものですから、やはりこれも合わせまして全体で五十九年度の実績見込みを若干下回る〇・八%程度でおさまるのではなかろうか。そうなると、目標として出しております消費者物価の二・八%、大体ここで抑えられるという見通しを立てておるのでございまして、とにかく物価だけは世界一優秀だと言って自慢の種にしておるのですから、ぜひひとつこれだけは守り抜きたいと考えております。
○田中(慶)委員 確かに今までは安定しておりましたし、また安定することが一番望ましいわけであります。
 実は、私も車の関係でびっくりしたのですけれども、ちょうど車検の時期が参りまして、去年までですと保険料だけで約六万八千円ぐらいだったと思います。ことしが九万五千円ぐらいになっているのですね。それは自賠償の問題やらあるいはまた対物、対人等々の問題を含めてでありますけれども、こういう問題を一つとっても大変なはね返りだと思います。特に今車の保有台数が非常にふえておりますし、免許人口も五千万と言われているわけですから、そういう点を考えてみますと、これらは大変全体的な物価の影響に対する引き金になってきそうな気がするわけです。長官はそういう点を踏まえて二・八%という考え方をお持ちのようなんですが、私はこの辺が現実問題としてちょっと納得いかないので、再度この辺についての長官の考え方をお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 今御指摘のような問題はございますけれども、それが現在の物価情勢、経済情勢のもとですぐ全般的に波及するような状況にあるとは私どもは考えていないのでございまして、大体全般的に落ちついておりますから、しかも一時ドルが非常に高くなりまして円が下がりましたけれども、国際商品に対するはね返りが非常に少のうございまして、卸売物価にもそれほど影響してない。しかも、最近また円が上がったというようなことがあって、大体卸の方も落ちついておりますし、消費者物価自体も最初の見通しのようなことで推移することを、私どもは期待しておるわけでございます。
○田中(慶)委員 例えば国鉄の運賃改定の問題、これが今検討されていると思います。はっきり申し上げて、現在国鉄の運賃改定案について、まず経企庁と運輸省との間で調整をされ、それの物価に対する影響度合いというのはここにも出てくるのではないか、こんなふうに思っているわけであります。運輸省はこれらの問題について、経企庁を含めてでありますけれども、現段階でどのような形で調整をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○金子国務大臣 今回の国鉄運賃の改定は、国鉄の申請ベースで消費者物価に及ぼす影響はおおむね〇・〇八%と私どもは見ておるわけでございますが、目下運輸省と経企庁の間で話し合いをしておる段階でございまして、まだ結論を出しておる状況ではございません。
○平野説明員 六十年度の国鉄運賃の改定につきましては、二月一日に申請がございまして、その後五日に運輸審議会に諮問をしたところでございまして、現在運輸審議会で検討していただいているところでございます。
 また、これと並行いたしまして、ただいま御答弁ございましたが、経済企画庁と協議をしておる段階でございまして、今後さらに検討をいたしまして、また運輸審議会の答申をいただきまして、その後物価問題に関する関係閣僚会議にお諮りをいたしまして結論をいただくということで考えております。
○田中(慶)委員 国鉄の関係について若干質問してみたいと思いますけれども、国鉄は旅客部門では既に値上げ案として四・四%程度と。いう形になっているようであります。しかし、そういう中でも、値上げの問題の中で、東京の山手線とか大阪の環状線または私鉄と競合する特定の区域においては、据え置きなどの配慮がされている点も言われているわけであります。その反面、逆に不採算部門といいますか、というところについて、あるいはまた国鉄がオンリーで走っているようなところについては、こういう問題については利用者の考え方とは逆に、大幅な値上げが想定をされるわけであります。
 こんなことを考えてまいりますと、大変不公平的な値上げといいますか、こんなことも考えられるわけでありますけれども、極端なことを言えば、競合するところは国鉄の経営状態に影響するから値上げを据え置きにする、取れるところから、取りやすいところから取ろうという、こんな形では、逆に利用者に対する不公平感というものが浮き彫りにされるのではないかと思いますけれども、これらについてどのような形で説明をされようとしているのか、あるいはまた具体的に、これらについての考え方を明確に示していただきたいと思います。
○本田説明員 お答え申し上げます。
 今回、山手線あるいは大阪環状線等、大都市圏の運賃の抑制をいたしましたが、これに伴います対象人員というのを申し上げますと、首都圏では、全体の国電の輸送人員が五十八年度で三十六億人でございますが、対象人員が十四億人ということで、約四〇%の割合になっております。また、近畿圏では、これが七億人の国電の輸送人員でありますが、このうち対象人員が三億人でございまして、約五割の対象人員になっております。
 私どもといたしまして、従来から大都市における大手私鉄との運賃格差について、再建監理委員会を初め各方面からその抑制措置について御指摘を受けているところでございまして、今回の改定におきましても、私鉄運賃との格差を現行以上に広げないことを基本方針にいたしまして、東京、大阪のおおむね私鉄の競合路線と考えられる国電区間について、輸送市場の実態、収支の状況、大手私鉄との運賃格差、あるいは旅客の方から見た簡便性、簡明性等を考慮して、今回山手線及び大阪環状線並びにその他の国電一キロから六キロについて、前回改定に引き続きまして抑制いたしましたのでございまして、決して取れるところから取るという思想ではございませんで、そういった状況の中から、現状程度の差はやむを得ないものというふうに考えさしていただいております。
○田中(慶)委員 私は、物のあり方として、やはり不公平感という感じであってはいけないと思うのです。取れるところから取るというのは表現が悪いかもわかりませんけれども、そういう点で、今申し上げたような問題も含めて、やはり明確に説明ができるようにぜひしておいていただきたいし、そういうことであって初めて、納得することによって不公平感というものが消え去るものだと思っておりますので、そういう点の配慮というのをぜひやっていただきたいと思います。
 特に、例えば昭和六十年度の予算審議の過程でも、野党が政策要求として、教育費なりあるいは単身赴任の減税等が要求をされて約束されましたけれども、通学定期等について二年半ぶり、割引率は少し検討されておりますけれども、現実問題として八・一%という考え方が持たれているようでありますから、改定とすれば一番高い率になってくるんではないかと思います。しかし、教育費全体のウエートとすれば、教育費が家庭の中における支出割合が一番高いわけでありますから、こういうことを含めて考えても、やはり当然こういう問題も、単なる国鉄というだけではなくして、総体的な教育費の割合ということも含めながら考えていくことではないか、こんなふうに思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○本田説明員 通学定期にかかわるいわゆる公共負担につきましては、昭和五十八年度の実績では五百二十九億円ということで私ども計算しておりまして、国鉄財政悪化の一要因ともなっておりまして、国鉄としては、かねてより国に対し、その是正措置を要望してきておる次第でございます。
 そういったことで、理由といたしまして、国に対して是正措置を要望します以上、国鉄といたしましても経営上、コストダウン等厳正な経営努力を前提といたしまして、ある程度の利用者負担による是正は必要であること、あるいはコスト的に見ましても通勤定期との割引率に大幅な差のあることはその理由が乏しいこと、それから地方の中小私鉄、バス等の割引率と比較いたしますと、なお国鉄の方が大きく割り引いておりますというようなこと等から、今回の運賃改定に当たりましては、従来の是正、三%お願いしてきたわけでありますが、今回一%の是正をお願いするということにしたものでございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても運賃値上げ等々は、公共料金、物価等々の問題を含めて、慎重かついろいろなことで総体的に御配慮をお願い申し上げたいと思います。
 次に、先ほど長官も言われておりましたように、これからの内需拡大は賃金改定いかんによるというようなニュアンスに受け取れる発言もございました。私は、そういう中で、この賃金の問題について若干触れてみたいと思っております。
 内需拡大は個人消費によるところが大であるわけでありますから、この賃金改定について、労働諸団体が同盟を中心として、平均して約七%の要求を続けて、現在活発な交渉が始められているところであります。公共料金の値上げなどを含めて、そういう点では実質賃金が低下しない、あるいはまた個人消費などの伸びを期待できるよう、需要の拡大等々含めて賃金の改定に対するとらえ方をしなければいけないだろうと思っております。現在の内需の拡大等々考えてまいりますと、これらについて所見をお伺いしたいということが一つ。
 もう一点は、時間の関係もありますので、続いて質問させていただきますけれども、経企庁は、現在経営側が毎年主張されております生産性基準原理は妥当と考えているかどうか。すなわち、この中には物価上昇分が加味されていないわけでありますから、本来ならば生産性基準原理プラス物価上昇等々を含めて考えるのが妥当ではないか、こんなふうにも考えるわけでありますけれども、この辺もいかがでございましょうか。それぞれ労働省あるいは経企庁、両方からの答弁をお願いしたいと思います。
○金子国務大臣 ことしの春闘の結果がどうなるか、これは労使双方で決められることでございますので、この際コメントは差し控えたいと思うのでございますけれども、収益もある程度上がっておりますし、妥当な線で結論が出ることを私どもは期待しておるわけでございます。
 それから、今の生産性基準原理の問題でございますが、これはいろいろ見方がございまして、一つの意見であることは確かでございます。ただ、賃金に関しての考え方は、このほかにもいろいろな見解がございまして、これだけがすべてであるというようには私どもは考えておりません。
○吉田説明員 ただいまの先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。
 賃金につきましては、先生御案内のとおり、本来民間企業の労使が自主的に決定するものでございます。従来から、労使が国民経済的な視野に立って諸般の事情を非常に認識されまして、自主的な話し合いを通じまして、合理的かつ円滑に解決が図られてきておるというふうに私どもは承知をいたしておる次第でございます。本年の賃金交渉におきましても、労使の良識のある適切な対応がなされるというふうに私ども期待をいたしておる次第でございます。
 政府といたしましては、先ほど来お話が出でございますように、経済の安定成長、雇用の確保、物価の安定等々周辺条件の整備に最大の努力を傾注してまいりたい、かように存じております。
○田中(慶)委員 時間の関係で最後になりますけれども、実は公務員賃金等々の問題についても、それぞれ民間賃金の昭和六十年度のその実績に基づいて人事院勧告が行われます。しかし、中身を見てまいりますと、調査対象とかあるいはまた業種別の問題、それぞれプロットの仕方が多少問題があるようでございます。そういう点も含めて考えてみますと、これからの、一つには人事院の問題の扱いもありますけれども、労働省としてのデータも参考にされるわけでありますから、そういう点ではそれぞれ人員別、企業別、産業別あるいはまた職種別、きめの細かいデータの把握をできるだけ敏速にされることが望まれているわけであります。そういう点で、いずれにしてもこういう問題についての労働省としてのとらえ方、この辺について見解をお伺いしたいと思います。
○吉田説明員 賃金問題につきましては先ほどもお答えいたしました。経済情勢等、特に春闘等の関係はいろんな議論がございます。先ほど来お話が出てございますように、景気動向については少しばらつきが残ってございますが、全体といたしましては景気は拡大を続けておるということもございます。いずれにいたしましても、データの整備その他を含めまして、私ども最大の努力をしていきたいと思いますが、賃金につきましては民間企業の労使が自主的に決定されるものであると承知しておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
○田中(慶)委員 以上をもちまして、時間の関係で終わらしていただきますけれども、いずれにしても経済のかじ取り役は経企庁でございますから、そういう点を踏まえて、これからもそれぞれの対応の仕方を鮮明にして、できるだけ早く先手先手という形の中でそれぞれの指導性を発揮していただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○金子(み)委員長代理 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 大臣所信についてお伺いをいたします。
 まず最初に、消費者行政の問題からお尋ねをしていきたいと思います。
 私は、昨年も消費者啓発費補助金の問題を取り上げさせていただきました。その際に大臣から、この補助金の廃止についてこういう御答弁をいただいているわけです。御記憶だと思いますが、私読み上げてみます。「大変力強い御支援をいただきまして、心強く思っております。」私は、廃止やめろ、こう主張いたしました。それに対してこういうお答えです。「国の助成があってだんだんと消費者保護の体制が整備されてまいりましたことは事実でございまするけれども、先ほど来お話のございましたように、情報化、サービス化あるいは高齢化等のいろんな変化が目まぐるしく行われている際でございますので、私は消費者行政の重要性というものは、これからもますます大きくなってまいると思います。そういう際でございますから、皆さんに御安心いただけるようにしっかりとやってまいりたい、」大蔵省は財政的な見地からいろんな主張をするけれども、私どもは私どもの立場から最後まで頑張っていきたい、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、その後の経過について……。
○金子国務大臣 消費者の啓蒙につきましては、国の助成の効果もございまして、地方の消費者行政が定着をしてまいりました。したがって、国民生活センターにおける苦情相談等の地方の固有業務は、今後地方公共団体の自主性にゆだねることとしまして、これに対する奨励的な補助金は五十九年度をもって廃止することといたしたのでございます。しかし同時に、都道府県域を越える広域的な消費者問題や全国的な消費者問題に関する対策は国の責任で充実することとしまして、地方公共団体の協力を得て国と地方との生活情報ネットワークの整備を図りまするために、生活情報体制整備等の交付金を振りかえで新設することにしたのであります。あわせて、今後自主的に運営される地方消費者行政が適切に推進されまするように、国としての推進体制を整備することとしておりまするので、全体としては後退しておると私は考えておりません。
○藤田(ス)委員 全体として後退するとは考えていないということなんですが、しかし、結局消費者啓発費補助金が廃止されまして、具体的に消費生活相談員の謝礼だとかあるいは商品テストの事業費あるいは消費者啓発事業費などは国から補助が出なくなったわけです。県によっては、補助金が出されるということを前提にして既に予算を組んでいるところがあるわけで、そういうところは非常に影響が心配されるわけなんです。経企庁はこういう問題に対してはどういうふうにお考えでしょうか。
○及川政府委員 消費者啓発費補助金は、御存じのとおり、最初は昭和四十二年度にモニター補助金として発足し、途中消費生活センターの建物の建築費補助金に切りかえました。それから、御存じのように、相談員の謝金やその他のセンターの運営費的な補助金に切りかえて現在まで至っているわけであります。
 そして、昭和四十二年にこれは発足していますが、当時は消費生活センターが全国に二カ所しかございませんでした。私どもの奨励的補助の効果もありまして、現在ではそれが二百六十六カ所になっております。そして、当時の県の消費者行政予算というのは、一県当たりにしますとわずか六百万円でございました。それが現在は一県当たりにして約二億円というふうになっております。御存じのとおり、消費生活相談の処理も、地方公共団体で年間二十六万件も処理するようになりました。一県当たり一億九千何百万か、二億円近いということは、トータルで申しますと都道府県の消費者行政関係事業費は、人件費を除きまして現在九十億円以上になっております。私どもの補助金、呼び水としての補助金は二億円余でございまして二、三%のものでございますが、このような二十年近い奨励的補助の効果がありまして、消費者行政が地方において定着をしてきたものというふうに考えております。
 ただ、この二億円余の補助金を廃止することによって、地方公共団体の地方消費者行政が後退してはいけないというふうに考えておりまして、地方公共団体に照会をいたしたわけでありますが、大部分の都道府県から、この際補助金はなくしてもらってもいいが、一般財源の手当てをしていただきたいという要望がありました。そこで、自治省と交渉いたしまして、地方交付税でこの補助金削減分の二億数千万円余の一般財源手当てをいたしたところであります。財源的にも手当てしたわけであります。さらに、この二億数千万円の補助財源を使いまして、国としては、国と地方の役割分担を踏まえながら、消費者行政を後退させないように、同じ金額を使いまして国としてやらなければならない仕事を充実することにいたしました。具体的には、各都道府県域を越える消費者問題の処理でありますとか、そういう消費者問題の情報交流のためのネットワーク体制の整備でありますとかいうようなことについて、全額国費で実施することにいたしました、
 さらに、固有業務であります地方消費者行政、苦情相談を含めまして地方に任せることといたしたわけでありますけれども、任せました地方消費者行政が円滑に推進されますように、経済企画庁に地方消費者行政推進委員会、仮称でありますが、そういうものを設けまして、地方の消費者行政が円滑にいくように指導助言の体制を整備することにいたしましたし、さらに、地方消費者行政白書を毎年出しまして、各都道府県ごとに消費者行政の相互比較の情報が入手できるような、そういう予算措置もいたしました。
 さらにもう一つは、地方の消費者行政が消費者団体やら企業やら学者やらの協力も得て、民間の総力を合わせて自主的に進められるように、消費者問題国民会議というものを開催することにいたしまして、中央で一回、地方でブロックごとに年三回、消費者問題国民会議を開催し、行政、消費者、事業者、さらには学識経験者等がディスカッションする舞台を設けるというようなことを、全額国費でやることにしたわけであります。
 そのような形で、地方消費者行政、国の消費者行政とも、六十年度から若干の模様がえをしながら前進をするものと期待しております。
○藤田(ス)委員 補助金の廃止のときに地方に照会をしたが、意見としてはその廃止は結構だというふうにお答えがあった。これは私、一言言っておきますけれども、それは地方の消費者行政担当官に聞くときに、財政部に意見を聞けよ、こういうふうに言って照会されているのですよ。だから、その意見を聞いて、みんな廃止がいい、廃止してもらっても結構だという意見が圧倒的だったというようなことは、これは大変問題のある聞き方だというふうに、そのときから私は思っていたのです。そのことを一言申し上げておきます。
 いろいろずっと手だてをしたから心配ない、こういうお話のようでありますが、その認識は非常に甘いのじゃないかというふうに私は思うわけなんです。なぜなら、各都道府県の消費者行政の予算が、ここ五十七年、五十八年、五十九年の期間で振り返ってみましても、削減されていっているわけなんです。だから、そういう傾向の中で国からも補助金が出なくなる。そういうことがどういうふうに影響が出てくるかということになったら、これはやはりマイナスの影響になっていくのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。
 私は、経企庁の方に、したがって五十七年、五十八年、五十九年、この三年間にわたる都道府県の消費者行政の予算の動向について資料をよこしてほしいとお願いをしたわけです。それはございませんということでしたが、本当にないのですか。
○及川政府委員 私、恐縮でございますけれども、その資料要求があったということは聞いておりませんでした。資料はございます。ただ、恐らく資料がないと申し上げたのは、委員が御要求になったのが非常に細かい資料であったのではないかなというふうに思っております。都道府県の消費者行政予算の総額が幾らであるかという資料は、毎年業務統計として調査をいたしております。その金額を申し上げますと……
○藤田(ス)委員 いや、結構です。その総額は結構です。
 私は、細かいところをつかんでいかなければその動向がわからないから、細かいところを聞いたのです。例えば本庁費とセンターの運営費は、この三年間で予算を削減しているところは何件あるでしょうか、こういうことを知りたいから非常に細かいデータを求めたわけです。そしたら断られたのです。しかし、調べていらっしゃるのですか。調べていらっしゃるのだったら、私がこれから言いますから、それにトータルで答えてください。そういうところまで調べておられないというなら、仕方ないですから、一生懸命電話したりして調べたことを私は今から言いますから。どっちにしましょうか。
○及川政府委員 細かい内訳は調べてありません。各都道府県ごとに事業の中身が非常に複雑多岐にわたっておりますから、内容を集計することは無意味だと思って、集計もいたしておりません。
○藤田(ス)委員 私は、国の予算の組み方も大きく変わって――それがいいとか悪いとか今言っているのではないのですよ。だけれども、少なくともそういうふうに大きく流れを変えていこうとしているときに、この三年間の地方の消費者行政の予算がどういうふうに変わってきているかという傾向をつかんで、そして本当に地方に定着したのかということについて、今役割分担といって本当に地方に任せていいのか、こういうことまでも綿密に検討してしかるべきじゃないか。恐らく経企庁のことですから、そんなことを全く調べていないというふうに私は思いたくありませんし、それは余りにも無責任に過ぎる話ですから、私は善意に解釈をしておきたいと思います。
 ただ、そちらの方から資料の提供がございませんでしたので、私が調べた範囲で申し上げますと、消費者行政の予算の状況で見てみますと、三十一都道府県の本庁費とセンター運営費を合計した消費者行政予算、五十七、五十八、五十九年の三年間、二十五の都府県がセンター運営費を削減しているのです。もっと詳しく見てみますと、センター運営費のうち苦情相談受け付け処理事業費を削減しているところが十八府県もございます。また、市町村に対する消費者行政の育成、普及ということは今なお求められているわけですが、この市町村の指導育成事業というのを行っている三十七都府県のうち、この事業費を削減しているところが二十四府県に上っているわけなんです。
 私は、こういう予算の削減がずっと行われている県の動きを見まして、これは大変だと思いましたけれども、こういう地方の消費者行政の予算の削減状況を確認なさっておられるのか、あるいはその原因についてどういうふうに考えておられるのか、さらに今回の補助金の廃止によってこういう問題は本当に心配ないと言えるのか、この三点のところだけお伺いしたいわけです。
○及川政府委員 個別に、各都道府県ごとにどのような予算を組み、どのような事業をやっておるかということは、事業内容や金額を含めて、当然のことながら把握をしております。
 私が先ほど申し上げましたのは、本庁費、センター費総額という形では集計に意味がある。ですから、集計の金額を申し上げようとしたわけです。集計に意味がありますけれども、個別に、例えばあの県では地方の相談員、市町村の何とかの仕事をやっています、こっちの県ではそれをこっちの費目で立てています、いや、こちらの団体は印刷物の何とかいう費目で立てますというような、いろいろなバラエティーがありますから、その細かいバラエティーに対応した都道府県別集計というのは、そう大きな意味がないということを申し上げたわけであります。
 おっしゃるように、都道府県のセンター運営費、過去三年の数字を申し上げますと、五十七年度には二十一億一千二百万円、五十八年度には二十二億一千三百万円、一億ふえておりました。そして五十九年度には、これは当初予算でございますが、二十一億九千五百万。五十八年よりはやや減っておりますが、五十七年よりはふえております。これをもう一つ前と比較しますと、五十五年には二十億でありましたし、五十年には十三億でありましたから、十三億が二十億になり二十一億になり二十二億になり、二十一、二億で今のところ地方も財政が厳しいので、横ばいになっておるというふうに了解しております。そして、その厳しい財政の中で、おおむね同額の予算を消費者行政に配分して横ばいになっておるわけでありますが、都道府県ごとにいろいろ工夫をして、少ない財源の中で、こちらは少なくしてこちらに重点を置こうというようなことがありますから、トータルしますと、ある分野は減ったところがありますが、ある分野はふえておるというような中身になっておるという実態は、個別にはそれぞれ把握しております。
 そういう意味で、今回の補助金の削減でどういう影響が出るかというお話であるわけですが、冒頭に申し上げましたように、都道府県の消費者行政予算は、発足当時は全都道府県で二億か三億でありましたものが、二十億になり五十億になり八十億になり、現在、数年は九十億という形になっておりまして、そのうち国の補助金額は二億円余でありますから、二、三%程度の影響は当然あるということを申し上げたわけですが、ただ、二、三%程度の金額は交付税で一般財源手当てをしておりますから、これは地方公共団体の長の姿勢によるところもありますが、地方消費者行政が財源的な意味で後退するようなことはないように、経済企画庁、政府としては措置したつもりであります。ただ、一般財源でありまして、地方公共団体の長がどのように予算を配分するかということでありますから、それについては地方公共団体をよく指導したいと思っておりますし、また、地方公共団体ごとに、相互に県民なり消費者自身も情報を得ることが必要であるかと考えまして、都道府県別状況を詳細に記した地方消費者行政白書を、来年度からつくるようにしたいと考えておるわけであります。
○藤田(ス)委員 センター運営費が全体で五十七年よりも若干ふえて五十九年は若干落ちたということ、あるいは非常に過去からさかのぼって、消費者行政がまだ皆目海のものとも山のものともでき上がってなかった時代から今日九十億にふえたということで、余り威張らんといてほしいな、私はそういうふうに思うわけなんです。各都道府県が例えば市町村の指導育成事業を削減しているというのは、やはり国と県との役割分担論、これを同様に市町村に持っていっている、このことのあらわれだ、こういうふうに私は思うのですね。
 ところで、私は、市町村の消費生活センターを持っている、そういうことで進めている県というのは一体どういうふうな状況になっているかなと思って、これもいろいろ調べてみました。間違って言ったら言ってください。県センターがその県に一カ所しかなくて、かつ市町村には一カ所もないという、つまり、もうどこを探してもその県の消費生活センター一カ所しかないというのが全国でたしか八県だった、私はそういうふうに調べたわけです。例えば私の地元大阪府は市町村センターを十三カ所持っております。大阪府消費生活センターは別に、市町村のセンターが十三カ所。けれども、私の選挙区は八市二町ございますが、その八市二町の中で消費生活センターを持っているところはたった二市なんです。そうしたらあとの六市二町の住民はどうするのかというと、よほど消費者問題にすぐれた人は、大阪の桜橋まで電車に乗って行きますけれども、しかし消費者問題について相談するところがどこなのかということを全く知らない人たちが圧倒的多数なんです。
 また、非常に熱心な人は市の方に参りまして、一体消費生活問題はどこで相談してくれるんやというようなことでねじ込みますと、それは経済開発課だとか商工課だとか、言ってみればちょっと裏腹な関係にあるんじゃなかろうかというようなところを紹介されるわけです。しかし、そこの職員にしてみたら、この節、悪徳商法のはんらんしている中で一つ抱えたら本来の仕事ができなくなるということで、これも大変困っているわけです。つまり、おっしゃるほど国民生活に消費者行政が本当に定着したとはまだ言えない。住民があああ、そこに消費生活センターというのがあるんだな、だったら自分はこういうふうなのにひっかかったけれども、ほなそこへ行こうかというほどまだ目の届くようなところにでき切っていない。私はそういうふうに思うのです。一県でたった一つ。山越え海越え、電車に乗ってそんなところに一々相談に行くじいちゃん、ばあちゃんなんてありませんよ。そこのところの認識が非常に甘い、私はこういうふうに考えるわけです。
 大臣、しきりに首を振ってくださいますので大変満足なんですが、経企庁はネットワーク化で消費者行政を推進する、こういうふうにおっしゃいますけれども、現状から見てそれもそう単純にはいかぬぞ、こういうふうに考えざるを得ません。それは、ここ数年非常に相談業務がふえてきているんです。けれども、それに対して人がふえたかというと、人はふやされていませんよ、地方は。それもお調べになったらわかることです。私は資料に基づいて物を言ってますから。結局相談業務がふえたけれども人がふえない。だから、苦情相談窓口に殺到してくるそういう相談業務あるいは紛争の解決あるいはあっせんというような仕事に追われている消費生活センターが、その上にコンピューターの端末機が置かれて入力をしていかなければならぬ。これはもちろん将来的には非常に効果的な役割を果たしていくと思いますよ。しかし、当面の現場からいえば、その作業が大変なんだ。そのために手がとられて、逆に肝心かなめの消費者からの訴えに対して薄情な扱いになりはしないか、こういうふうに心配をする声が出ているわけです。
 一体この問題をどう考えられますか。私はネットワーク化を頭から否定するわけではありません。それはそれで非常に意義のあることだと思うのです。しかし、それを受ける体制が不備であれば、せっかくのネットワークも使い切れないまま、消費者からの苦情相談を受ける体制が脆弱になっていけば、有効な活用がされない、生きた情報が収集されてこない、そこのところを私は大変心配しているわけです。これに対してどう答えられますか。
 あわせてこの際、各府県の端末機の設置の計画を示していただきたい。
○及川政府委員 まず、消費生活センターの数の話が最初にあったわけでありますが、消費生活センターの数については、各地方生活園に一カ所程度は必要なのかなという考え方で整備を進めてきたわけであります。生活圏ごとに一カ所という考え方で日本の地図の上にプロットいたしますと、おおむね八割方はカバーしている、人口ではもう少し多くカバーしておることに相なるかと思っております。もちろんその中には、まだ消費生活センターがない地域があります。ただ、消費生活センターという建物をすべてつくることがいいのかどうか。一部の消費生活センターは、御存じのように、建物はっくったけれども十分に機能していないところもなきにしもあらずということも聞いておるわけでありますけれども、各地方公共団体の中で特に市町村が消費者行政体制を、そういう意味では充実することが、今の段階では非常に必要であろうかというふうに思っておるわけであります。地方自治法でも、あるいはこの委員会で御発議になりました消費者保護基本法でも、苦情相談の担当部局は市町村ということを法律上お決めいただいているわけでありますが、市町村の消費者行政体制が非常に不十分だというふうに私どもは考えておりまして、そういう点、都道府県と協力しながら、これからさらに体制整備を進めていかなければならないと思っておるわけであります。
 それからネットワークの話でございますが、私どもはネットワーク整備を、単にコンピューターの端末を入れることだけとは考えておりません。各県の消費者センターや苦情窓口が相互に連絡をとり合いながら情報を交換して、苦情相談を本当に効率的に進めていくような仕組みというふうに考えております。そういう意味で、今回創設しましたネットワーク整備交付金はコンピューターの経費はもちろん見ますけれども、例えばいわゆる電話ファクシミリのような経費であるとか、その他の情報連絡の経費であるとかも含めて、私どもはネットワークというふうに考えております。この中でコンピューターの端末を入れるということが多くなるわけでありますが、コンピューターの端末に情報を入れることに時間をとられて本来の相談ができないということでは、コンピューターを入れることの本末転倒だと私どもも考えております。まさにそういう情報交換をしたり苦情相談処理をしたりすることをより効率的に、効果的に行うために、ネットワークを組もうとかコンピュータを入れようとかいうことを考えているわけでありますが、より効率的に行われるように、この交付金で全国一斉に無理やりコンピューター端末を入れようということは、私どもとしては考えておりません。
    〔金子(み)委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、コンピューター端末の導入計画ということでございますが、実はコンピューター端末は、都道府県と政令指定市合わせて五十七になるわけですが、五十七には入れていきたいと考えておりまして、五十九年度で七つの県と一つの市の八つの団体に既に入っております。六十年度では、現在希望を聞いておりますが、八つを含めまして合計でおおむね三十程度の団体が希望してきております。希望してきているところにもちろん優先的に導入をお願いしていきたいと考えておりまして、地方公共団体の体制が整ってなかったりニーズがないところにまで、コンピューター端末を入れることを強要しようというような考え方はありませんでして、あくまでも効率よく効果的に消費者行政や苦情相談処理、情報伝達が行われるような道具にしたいと考えております。
○藤田(ス)委員 市町村の体制が不十分だということはお認めになりました。ただ、これから実際に国の方がその補助金を廃止してしまって、そしておまえのところは市町村を充実させなあかんぞあかんぞと、ただで府県にハッパをかけても、どの程度都道府県が聞いてくれるかということになりますと本当に難しくなっていく、そういうふうに言わざるを得ません。しかし、この点はお認めになったわけですし、私は非常に大事なことだと思いますので、ぜひとも各地方生活圏に一カ所ずつそれの完備は強力に進めていただきたいわけです。よく見れば非常に偏って、まんべんなく置かれているのじゃなしに、ある県はよく整備されているけれども、また県の中でも北部が整備されていて南部が空っぽというような状態も、やはり国全体の視野からもう一度見詰め直していただきたいと私は思います。
 それにしても、私がこういうことを言いますのは、先ほども本末転倒と言われましたが、やはり総合的な消費者行政を強めていく必要があるから、このことを非常に言いたいわけなんです。一体今日の消費者行政の後退、地方の消費者行政予算の削減問題の核心はどこにあるのか。私はやはり臨調行革にあるというふうに思わざるを得ません。臨調行革で消費者行政不要論が出されました。そして、国民生活センターの民営化構想が打ち出されたのです。これは国民生活センターのネットワークの中核機能の鈍化ということになっていったわけですが、引き続いて国民生活センターの予算が削減され、現在でも嘱託という身分の人が苦情相談業務を受けている、こういうふうな状態で、そこも縮小されようとしているじゃありませんか。そしてこういう中で各都道府県の消費者行政の位置も非常に弱まってきているわけです。消費者保護基本法では、地方は国に準じてこれを行うというふうに書かれておりますけれども、やはり国のこういう姿勢が非常に大きな影響を与えてきている。予算で見れば二、三%であっても、これは姿勢の問題として非常に大きな影響を与えていくというふうに考えざるを得ません。
 どうしても総合的な消費者行政を強めていくという点で、もう一度土性骨据えでやってもらいたい。そういう転換を求められているときだ、したがって国が消費者行政の位置づけを実質高め、そして地方の位置づけも高めていく、そういうふうに考えるべきじゃないかと思いますけれども、大臣に御答弁をいただいて、次の問題に移りたいわけです。
○金子国務大臣 藤田先生から、先般の会議でもそうでございましたが、いろいろ適切な御提言をいただいて大変感謝いたしております。消費者行政はここ数年、前進こそすれ決して後退しておるとは私どもは考えておりません。中央の消費者会議を中心にいたしまして、ことしは補助金のかわりに交付金ということで切りかえをいたしましたけれども、趣旨はできるだけ広範囲にセンターをこしらえて消費者の指導に当たりたい、消費者問題をなおざりにするとますます問題がふえるだけでございますので、私どもはこれはしっかり全国的に充実してまいらなければならぬと考えておるような次第でございます。
 ただ、御指摘のございましたように、国の予算全体がある程度削減を受けざるを得ないような状況の中で、比較的被害が少なくて済んだと私どもは考えておるような状況でございますけれども、今後さらにこの問題についてはしっかりと土性骨を据えて頑張ってまいるつもりでございますから、ひとつこの上ともの御鞭撻をお願い申し上げます。
○藤田(ス)委員 きょうはせっかく通産の方から来ていただいておりますので、せんだって「消費者保護へ新制度」ということで、訪問販売に対して情報提供制度というのが創設された、こういうことが報道されておりました。この訪問販売法につきましては私もこの委員会で、一九八一年の四月二十一日に、訪問販売を行っている業者で悪質なものについてはそれを公表するべきだというふうに要求をしてきたわけですが、今回この新制度に大きな期待をかけております。また、この新制度を設けるに当たって、地方の消費生活センターの皆さんも大変理論的にそれを積み上げて、そして今日までこの情報提供制度を創設していく上で大きな貢献をされたということは、大臣もぜひ覚えておいていただきたいんです。消費生活センターというのは、こういう大きな役割を果たしているんだということを覚えておいていただきたいと思います。
 ところで、今度の制度は、不適当な勧誘方法について九項目の情報提供基準を設ける、こういうふうに言っておりまして、この九項目の基準というのはどういう中身になっているのかということをお示しいただきたいのと、それから、こういうトラブルが続発した場合に、企業名は伏せて、そのトラブルの情報はいち早く消費者に伝えながら今度は業者の方を指導して、なおかつその指導にこたえない業者に対しては名前を公表するんだ。私はこういうふうに理解をしておりますけれども、しかしこれは時期を逸しますと、というよりも、トラブルを起こす悪徳業者というのは、おおむねその時点で倒産をしてドロンをしてしまう。こういう格好になりまして、公表したときにはもう鳥もカラスも飛んでいてへんというようなことになりかねない。そういう点では、時期を失せず適切に対処するべきで、既にもう現在、この時点でも悪徳業者、もう名前を公表しなければならない業者というのは現実にあると思いますが、この業者の公表はいつ行われるのか。第一号の公表です。
 それから、地方自治体には情報公開条例を設けたり、あるいは地方消費者保護条例を設けまして、もう現実にセンターのニュースなんかに悪徳業者の名前を知らせているというようなところがございますが、間違ってもこういう自治体の積極的なやり方にブレーキをかけるようなことがあってはならない、こういうふうに考えます。
 以上です。
○糟谷説明員 それでは、ただいまの御質問に対して、取りまとめてお答え申し上げます。
 私どもでは、訪問販売にまつわるトラブルが非常に多いというところから、法律の運用その他で対応してきているわけでございますけれども、特に最近感じますのは、特定のトラブルが特定の商品あるいは地域、場合によりましては、今先生お話しのございました特定の企業に集中して起こるという傾向がございますので、こういうことに効果的に対応する手段を考えたいということで、勉強を重ねてまいりました。その結果、現在その制度の最終的な取りまとめをやっておりまして、まだ最終的に決まったということではございませんけれども、一応これから申し上げますような仕組みを考えているわけでございます。
 それは二段階に分かれておりまして、一つは消費者トラブルの中から同種の事例が非常に多いというようなものを取り上げまして、これを情報提供として消費者あるいは地方自治体に提供するということでございます。この場合には、先生今お話しがございましたような一定の基準、これもまた最終的には完全にセットしておりませんけれども、例えて申し上げますと、訪問販売員、セールスマンがあたかも官公署の職員であるようなふりをして消費者に近づくような場合、あるいは契約に関する主要な事実を故意に告げない、さらには現実よりも有利な取引条件を示唆する、今いろいろな基準を考えておりますが、そういう基準に該当するようなトラブルが集中的に起こるというような場合には、これを情報提供として消費者にお伝えをしたい、こういうことでございます。この際、あわせまして、私どもはその企業に対する強力な指導をやるという予定をしているわけでございます。
 これらの対策によりましてなおかつ効果が上がらないという場合に、第二段階のところへ移るわけでございますが、この場合には企業の名前を公表するということでございますので、第一段階に比べるとやや慎重な手続が要るかと思いますけれども、そういう手続を経まして、第二段階で企業名の公表ということまで考えたいというふうに思っております。
 この実施の時期でございますけれども、一応研究会の検討は終わりましたけれども、詳細につきまして今最後の詰めを行っておりますので、これをできるだけ早く取りまとめまして、結果の公表ということも、年度がかわるかと思いますけれども、できるだけ早い時期に第一号として公表をしたい、情報提供をしたい、こういうふうに考えております。
 それから、地方自治体で既にやっておられますいろいろなそういう消費者に対する啓発活動との関係につきましては、この研究会の中に地方自治体の方にも入っていただきまして、十分慎重に議論したつもりでございますけれども、私どもはそういう地方自治体の努力と私どもとが同じ趣旨から出ているものでございますので、お互いに相補いながら運用をしていきたい、こういうふうに考えております。
○藤田(ス)委員 以上で終わりますが、大臣お聞きのように、消費者センターのこれまでの活動の中で、一つのまた新しい消費者保護の制度が生まれようとしております。そういうものを本当に生かしていくためにも、今後とも消費者行政には本当に誠意を持って総合的に進めていくように、特段の力を入れていただきたい。私はそのことを最後にまた申し上げて、これで終わります。
 どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十五分散会