第102回国会 交通安全対策特別委員会 第5号
昭和六十年五月十五日(水曜日)
   午前十時開議
出席委員
  委員長 小川新一郎君
   理事 浦野 烋興君 理事 太田 誠一君
   理事 鹿野 道彦君 理事 高村 正彦君
   理事 関山 信之君 理事 永井 孝信君
   理事 坂井 弘一君 理事 玉置 一弥君
      糸山英太郎君    臼井日出男君
      加藤 卓二君    北川 正恭君
      津島 雄二君    中川 昭一君
      仲村 正治君    船田  元君
      山村新治郎君    天野  等君
      上野 建一君    沢田  広君
      森中 守義君    伏屋 修治君
      伊藤 英成君    辻  第一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   古屋  亨君
 出席政府委員
        内閣法制局第二
        部長      関   守君
        警察庁長官   鈴木 貞敏君
        警察庁長官官房
        長       鈴木 良一君
        警察庁交通局長 太田 壽郎君
        総務庁長官官房
        交通安全対策室
        長       波多 秀夫君
        運輸省地域交通
        局次長     熊代  健君
 委員外の出席者
        警察庁交通局交
        通企画課長   安藤 忠夫君
        警察庁交通局交
        通規制課長   越智 俊典君
        総務庁行政管理
        局管理官    八木 俊道君
        総務庁行政管理
        局管理官    長田 綏男君
        大蔵省主計局主
        計官      吉本 修二君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       鏡味 徳房君
        文部省体育局学
        校保健課長   下宮  進君
        通商産業省産業
        政策局商政課長 山下 弘文君
        通商産業省機械
        情報産業局自動
        車課長     黒田 直樹君
        資源エネルギー
        庁石油部流通課
        長       広瀬 勝貞君
        運輸省地域交通
        局陸上技術安全
        部長      神戸  勉君
        運輸省貨物流通
        局陸上貨物課長 植村 武雄君
        建設省道路局高速
        国道課長    布施 洋一君
        特別委員会第一
        調査室長    内野 林郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  伏屋 修治君     木内 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  木内 良明君     伏屋 修治君
五月十五日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     仲村 正治君
  野上  徹君     中川 昭一君
  林  大幹君     糸山英太郎君
  網岡  雄君     天野  等君
同日
 辞任         補欠選任
  糸山英太郎君     林  大幹君
  中川 昭一君     野上  徹君
  仲村 正治君     石川 要三君
  天野  等君     網岡  雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五一号)
     ――――◇―――――
○小川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
○太田委員 既に前の回に質問をしたことでありますが、今後の法改正、道路交通法などを改正する上でぜひともお考えをいただきたい点でありますので、同じ内容でありますけれども、再度これは質問をさせていただきたいと思います。
 ここ十年ぐらいの間に、例えばイギリスのサッチャー政権ができたとか、アメリカにレーガン政権ができたのはどういうことかというと、政府がだんだん大きくなってきて民間の経済が息苦しくなってきた。つまり、一般の社会が政府が大きくなり過ぎることによってもろもろの規制がふえてきて、もうこれ以上はたまらないという空気が強くなったところで、十年ぐらい前に、自由主義を標榜し、小さな政府を求める国民の声を反映して、レーガン政権とかサッチャー政権が登場してきて、反規制といいますか、反統制という路線をしいてきたわけです。これは、ある意味では税金の負担がふえてきたことももちろんあるわけですけれども、それだけではなくて、法律をつくるたびに、前の法律はそのままにしておいて、前の規制はそのままにしておいて次々と新しい規制をつくっていく、規制の上に規制が積み重ねられていってだんだん窮屈になっていくということがあったから、そのような機運が欧米の国に生まれてきたということだと思うわけであります。その結果、例えば今アメリカでは弁護士という司法の世界が大変たくさんの雇用人口を抱えてしまって、何かというと訴訟になる。そして大きな企業からいえば、巨大企業が政府の規制に対してみずからの立場を正当化するためにたくさんの弁護士を抱えて法廷闘争に明け暮れなければいけない。同じ管理部門の中でも司法のセクターが大変大きなウエートを占めるようになり、国民所得のかなりの部分がそのために割かれるようになってきた。つまり、規制がふえたために一つの産業のようなものが成り立つようなところまで来てしまったということであります。
 これは我が国の場合にも言えるわけでありまして、特に法律の上に法律を重ねていく、昔の法律はそのままになっているということから、特に道路交通法の分野においてもそのようなことがあるのではないかと想像をするわけであります。これは、きちっとした数字がきょう準備ができませんでそろっておりませんが、多分、我々が運転免許を実際に取るときに法規の試験を受けるわけでありますけれども、法規の試験を受けるために自動車学校に行くと本を渡されるわけでありますが、その本の厚さも年々厚くなってきているのではないかと想像もされるわけであります。規制がふえればふえるほど、運転免許を新たに取る人が勉強しなければいけない、頭の中に入れておかなければいけない分量もふえてくるし、また、それだけの必要性が本当にあるのだろうかと素朴に私どもは思うわけであります。先般も申し上げましたように、我が国のように、あるいは欧米の先進諸国すべてそうでありましょうけれども、いやそうではなくても、人間というものはそんなにばかではないわけでありまして、車の運転をすることに伴って人間として持っていなければいけない能力というものは一応みんな兼ね備えているわけでありますから、一つ一つの行動の細部に至るまでこうしなさいああしなさいと決めていけば、細かいところまで規定していけば、大変な分量になるのは当たり前のことでありまして、結局このまま進んでいけば、それこそ百科事典並みのものを頭の中に入れていかなければ試験に通らないということになってしまうのではないかということを恐れるわけであります。
 今回道交法が改正されるに当たりまして、条文の数がどんどんふえてきているということについて、そのような細部にまで規制することを警察庁では一体どのようにお考えなのだろうか、そこを伺いたいと思います。
○太田政府委員 ただいま御指摘がございました問題でございますが、先日も御答弁申し上げましたけれども、日本におきます車社会の急激な発展に伴いまして、車の利便を共有する人口、これはドライバーが五千万人を突破するというような面もございますけれども、反面、交通事故によって毎年九千人以上の人が死亡する、非常に多数の死傷者が出る、さらに交通公害の問題が出るという、いろいろな問題点が出てきているわけでございます。日本の場合、特に道路の施設が今の急速な車社会に必ずしも追いついていかないというような面もございまして、勢い交通の公害あるいはいわゆる交通弱者の保護というような面を含めましてきめ細かな条文というようなものも必要になってくるということで、国会にお願いして決めていただいているという状況でございます。
 今回の道交法の問題につきましても、今申し上げましたような観点に立ちまして必要最小限の問題に絞りましてお願いをしているわけでございます。ただ、運転免許を受けようとする人が試験を受けるというような場合には、基本的なものをまずしっかりマスターしてもらう必要があるということで、条文の形になりますととかくわかりにくいということもございまして、問題もございますので、交通の教則というものも定めまして、わかりやすく要点を中心にまとめ上げて、そういう方を含めまして一般に道交法の内容を理解していただく、そういう糧にしているというような状況でございます。
○太田委員 それぞれの国によって交通事情がもちろん違うわけでありますし、特に我が国の場合は国土が狭隘でありますし、道路面積も非常に乏しい。それに、今おっしゃったように自動車の普及率も大変高いというところで、若干ほかの国とは違うかもしれませんけれども、例えば私七、八年前にアメリカで現地の免許を取ったわけでありますが、そのときに公安委員会みたいなところに行って、これだけ勉強してきなさいというものが配られるわけです。それを受け取って中を見ると、我々が想像しているような厚い本はなくて、ごく薄い小冊子があって、この小冊子を読むのに幾ばくの時間もかからないわけです。それを読んで試験を受ければ大体できるわけでありまして、分量が全然違うわけです。ドライバーのライセンスを取るための分量が全然違うわけであります。そして日本人はテストなれしておるというか、分量の多いものを読んで暗記してテストするのはなれているから、日本人がアメリカに行って免許を取ると、大体みんな九十点以上を取るわけであります。そのくらい日本人は試験に強い。しかも法規の試験なんかには、アメリカに行けばものすごく強い受験者になるわけであります。ということは、アメリカと日本と比較して、アメリカで要求されている、ドライバーが持っていなければいけない法律上の知識は非常に少ないものである。あとは本人の良識でやるんだ。アメリカの免許を取るときの一番最初のページに、自分の責任でやれということを書いてあるわけでありまして、それは自由主義国家の基本ではないかと思うわけであります。
 こういう海外の欧米の先進国との比較ということが必要だと思うのですけれども、その辺については何か勉強しておられるでしょうか。欧米先進国の規定については、我が国との比較で何かお考えになることがおありでしょうか。
○太田政府委員 欧米の道交法の法定につきまして、その形式等が異なりますので一概には言えない面があろうかと思いますけれども、総体としては道交法といいますか、その法律自体はかなり詳しい点まで決めているようであるというふうにも聞いております。
 それから、この前も申し上げましたように座席ベルトにつきましては、御案内のように三十カ国におきまして罰則を含めました形でいわゆる着用の強制、これはほとんどが法律という形で行われているというようなことでございますが、諸外国の関係法令につきましてもこれから研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
○太田委員 最初の答弁で、必要最小限度の規定である、今回の法改正についても必要最小限度の規制を加えたものであるというふうなお話でありましたが、これは法律自体に今さら私が反対するわけではないのですけれども、二段階の右折ということをあえて規定をする必要はないのではないかというふうに思うわけであります。それは、原付自転車に乗っておる者が、運転者がある道路に来て、この道路が中央線まで行って、交差点の真ん中まで行って右折するのが危険だと思えば、みずからその危険を感じ取って端っこを二段階の右折で曲がるでしょうし、そうではなくて二段階の右折をするまでもない、車の交通量も少ない、それから例えば道路も細いというふうなときに、たまたま信号があったからといってわざわざ向こう側に渡って二段階で行くというふうなあえて不便な方法をとらなくてもいいような場合もあるわけでありまして、そこは運転者の自己責任でもってやってもらえばいいようなことではないかと思うわけであります。ですから、この二段階の右折ということが今日こういうふうな新たな規定の百八十度の変更があったおけでありますが、前にも申しましたように、それでは前の何年間になるか知りませんけれども、かなり長期の間、交差点の中央まで行って右折しなさいというふうな規定をしていることによって対向車にひかれた人は浮かばれないじゃないかというふうに思うわけであります。ですから、必ずしも今おっしゃっているような意味で、今回の法改正についても必要最小限度の規定を追加したにすぎないということは当たらないような気がするわけであります。その点について、重ねてになりますけれども、最後にもう一回交通局長のお答えをいただいて、私の質問を終わります。
○太田政府委員 ただいま原付の二段階右折の問題について具体的に御指摘があったわけでございますが、現在の過密混合化いたしました道路におきまして、車両の通行方法について明確な規定を設けませんと交通の流れの錯綜を招いていたずらに混乱を生じさせる、あるいは弱い立場の原付の運転者の方が被害を受けるというふうなことになるわけでございまして、このたびお願いいたしておりますのは、原付がある交差点で二段階右折をするか一回でするかはその原付の運転者だけが判断してその者だけがわかっているというのでは、今のような道路情勢からいたしまして必ずしも十分ではない、その交差点に参ります交通参加者のすべてがその原付がどういう行動をするであろうかということを十分予知し一理解し得る、そういう中において二段階右折というものを設ける必要性というものを認めたわけでございます。
 もちろん先生から御指摘がございましたような、そういう基本的な精神といいますか、御趣旨は十分踏まえながら今後も対応していかなければならないと思いますけれども、二段階右折の問題については今申し上げましたような特別な事情がございますので、御理解賜りたいと存じます。
○太田委員 どうもありがとうございました。
○小川委員長 次に、上野建一君。
○上野委員 第一にお伺いしたいのは、今までの議論などもずっとお聞きをしておりまして、今度のシートベルトの問題は死者を少なくする、あるいは事故を軽くする、そういう意味で効果があるということでありまして、そのこと自体は結構なことだと思いますが、問題は、これは事故が起こってからの対処であって、いかに事故を起こさないか、起こさせないか、あるいはそれをどう予防するかということに道路交通の問題については対処しなければならぬ、そう思うわけであります。したがって、ある意味ではシートベルトなどをつけなくても済むような交通の状態、安全が確保される状態まで何とか持っていかなければならぬ、こうも考えられるわけであります。
 そこでお伺いしたいのは、取り締まりを事実上強化されるわけですから、その強化は、本来この取り締まりに罰則その他を加えるということは決して好ましいことではないと思います。そうだとすれば、この罰則その他を振りかざさなくてもシートベルトを着用する、あるいはいろいろな方針あるいは指導しておる安全の対策を関係者が進んでやる、こういうことが重要だと思いますが、そういう意味での広報活動、教育活動といいますか、それは今後具体的にはどのような形でおやりになるのか。この辺も、予算の関係もあるでしょうから、一生懸命やりますと言われても、具体的にどういうことで効果を上げようとするのか、ちょっとわからない点がありますので、まず第一にその点をお伺いしておきたいと思います。
○太田政府委員 座席ベルトの着用義務化に関連いたしまして、国民に幅広い形で座席ベルトの効用というものを正しく理解していただいて、それで率先してみずからの身を守る、さらにドライバーとしての社会的責任を果たすという観点から、罰則なり、今度の改正案では罰則は別に予定しておりませんが、行政処分点数というようなものの制裁措置なしでできれば一番望ましいわけでございますが、これらの問題につきまして一応制裁措置といたしましては罰則ではなくて行政処分の点数ということでいくのが我が国の実情に一番合うのではないか、国民の理解を一番得られるのではないかというふうに考えているところでございますけれども、今申し上げましたように、広報の問題ということが非常に重要になるわけでございます。今御指摘もございましたように、予算の問題等もございましてなかなか徹底させるという点については警察のみではできない、これは当然でございまして、総務庁初め関係行政庁の幅広い協力によりましてこれを行うということが何より必要でございます。
 警察といたしましては、具体的には各種の更新時の講習とか、その他いろいろな講習等を行っております。そういう講習の場におきます具体的な教養といいますか、座席ベルトについてのお話をする、さらには街頭指導というような形でも個別的な形でお話をするというようなことも考えておりますが、やはり内容からしてテレビとかそういうような広報媒体というものが使えれば非常に効果も大きいわけでございまして、この辺の問題については関係省庁とよく相談して対応してまいりたいというふうに考えております。
○上野委員 そこで、交通安全の問題として、点数も私は広い意味では罰則に通ずるんだと思うのですね。ですから、そういう意味でも私は申し上げたのですが、行政処分だってこれが重なってきますと大変なことになるので、これを受けとめる方はそう軽いものじゃないわけです。そういうことですが、そこで、一方でこういう法律をつくって安全を強化するんだ、こう言っておりますが、特定交通安全施設等整備事業計画というのがございますね。この計画に従って五カ年計画を第一次から順次積み重ねてきておりますが、ところが、今年度で終わる第三次五カ年計画を見ますと、この達成率は六九%しかいってない。これは公安委員会関係の方ですが、それから道路管理者の関係についても八九%しかいってないのですね。ですから、ここで大蔵省にも、これは関係当事者にお伺いしたいのですが、一方でこういう行政処分などを強化することをやっておきながら、本来国の責任でやらなければならぬ、行政機関がやらなければならぬ安全施設の整備事業、しかもみずからが決めた事業の計画も達成できない、これはどう考えてもおかしいじゃないですかね。そういうものをやって、それと並行していろいろなものが出てくる、より安全性を追求する、こういうことはわかりますが、そうじゃなくて、今度の場合は、特に公安委員会関係では、予算の額だけから申し上げますと六九%しか達成できない。これはどう考えても遺憾なことだと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○太田政府委員 御指摘のように、本年は第三次交通安全施策等整備事業の最終年度になっておりまして、五カ年を通じましての公安委員会分の事業の達成率六九%というのは御指摘のとおりでございます。五カ年を通じまして計画上の事業費に及ばなかったということは、私どもといたしましてまことに遺憾に存ずるところでございますけれども、人命の尊重というものを何よりも優先するということを基本にいたしまして、当面緊急に交通の安全を確保するため、必要のある箇所に適切な事業量を重点的に振り向けていくということで、交通安全対策に遺憾のないように配慮しているところでございます。
○上野委員 これは大蔵省からもちょっと意見を聞きたいのです。
 例えば予算の中で達成率の低いのは、道路標識それから交通管制などが特におくれている、こういう予算の配分になっていますね。このまま続けるのでしょうかね。やはりこういうものは何とかしなければいかぬのじゃないですか。それをやらないでおくと、この間のバスの転落みたいなものも起こるし、あるいは、例えば道路標識なんかを明確にしないと、注意が明確じゃない。いわゆる広報活動とも関連すると思いますけれども、道路標識が明確じゃないのに取り締まりだけやられたのでは、これも困る。したがって、この五カ年計画は、過分なやり方じゃなくて、最小限この程度をやらなければだめなんだということで計画を立てられていると私は思うのですね。それなのに、これが六九%しかいってない。特に交通管制なんかは六四%ですね。それから道路標識は六八%、こういう達成率なんです。そういう観点から、大蔵省もこの削り方がちょっと激しいのじゃないですかね。一〇%カットというのなら九〇%までいくはずなんだけれども、それ以上カットされている。これは何ですか。交通安全というものを軽視しているということなんでしょうかね。率直に言ってもらいたい。それならそうと言ってもらいたい。
○吉本説明員 御指摘のとおり、五カ年計画の達成率が現実に公安委員会分については六九%に本年度予算の結果なっておるというのは、私どもまことに残念なことだと思っております。ただ、御承知のとおり、極めて厳しい財政状況の中にありまして、現実的にそのときどきの、毎年度の財政事情もにらみながら、かつ経費の重点的配分ということを考えて、検討を毎年やってまいりました。その結果、どうしても必要だというぎりぎりの線は確保して何とかやってまいったというふうに考えておるところでございます。
 この交通安全施設に対する施策というものが必要でないとか軽視しているとかいうようなつもりではございませんで、全体としての警察庁予算の中でどういうふうに重点的に経費をつけるかという、全体の考え方の中で結果的にこうなってまいったということでございます。警察庁と十分相談しながらやってまいったというところでございますので、御了解をいただきたいと思います。
○上野委員 了解しろと言ったってこれは了解できないので、やはりこういう全体の交通安全ということを考えるなら、まずやるべきことはちゃんとやってから、それから法律上いろいろな手を打つ、それから国民に責任も問うという、そういうものでなければこれは納得がされないだろうと思うのですね。ですから、その点はぜひとも今後の問題として明確に、この予算の上積みを何とか考えることだろうと思うのですが、きょうは公安委員長はいないのですか。
○小川委員長 きょうは見えておりません。
○上野委員 警察庁長官、いらっしゃいますね。
○小川委員長 長官はいます。
○上野委員 それでは長官に、この点をこの際努力をするつもりはないのかどうか。特に来年度予算の問題まで入ってきていますから、しかも決して死者は減ってない。これは事故の数もそう減ってないわけで、そうだとすれば、長官としては、これらの予算措置も含めて努力の発言をしてもらわないと全体にかかわって交通対策は確立しない、こういうことじゃなかろうかと思いますので、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
○鈴木(貞)政府委員 御質疑の交通安全施設関係での予算の問題でございますが、仰せのとおり、残念ながら緊迫した財政状況の中で、我々の望むとおりの充足率といいますか、そういうものに至ってないというのは事実でございます。
 交通の安全を期するというためには、行政的にいろいろの面から手を打っていかなければなりませんが、やはり土台になるのは、何といいましてもこの交通安全施設を充実していくということが基本になければならないだろう、こう思っております。そういう面におきまして、今後とも関係機関と十分協議し、中長期的な立場からも十分検討を加えまして、安全施設の充実強化という面について引き続いて努力してまいりたい、こういう気持ちでおりますので、よろしくお願いいたします。
○上野委員 それでは、大蔵省も今の長官の発言を受けて、来年度予算では新しい計画が始まるのでしょうけれども、今までみたいなこういうことのないようにひとつ努力してもらいたい。要望しておきます。
 そこで、本題の方に入りますと、まず死亡事故の場合、スピードを出し過ぎるというのが、それによって死亡しておる場合が圧倒的に多いのですね。ずば抜けている。そういうことが死亡の一番の原因だとすれば、やはりスピードを出させないようにする努力が私は必要だと思うのです。
 まず最初に聞きたいのは、このいただいた統計の中でも、五十九年度二千百三人、最高速度、いわゆるスピード出し過ぎでもって死亡していますが、これに伴って死亡した関連は何人いるのか。このスピードで、当事者としては二千百三人いるけれども、さらにこれによって関連して死んだ場合があるだろうと思うのですが、その人数を第一にお聞きしておきたいと思います。
 それから、これは運輸省の方ですが、車のスピードが出せないようにできないものか。例えば高速道路だって百キロ以上出せるところというのはそんなにないと思うのだけれども、余り詳しいことを僕は知りませんが、高速道路だって六十キロのところもあれば八十キロのところもある。ところが、車のスピードだけはやたらに出せるようになっているのですね。そして申しわけ程度に、あれは九十キロですか百キロですか、一定のスピードになると音が出ますね。それは申しわけ程度にあるけれども、車は出そうと思えば、そんな音なんか無視してやろうと思えばもうどんどん出る。したがって、制限速度の五十キロオーバーなんというので捕まっているのも聞いたことがありますけれども、問題は、車の構造にも問題があるんじゃないでしょうか。そこら辺の研究はやっておられるのでしょうか。
 例えば制限速度を超えたら、音が鳴るのも結構ですけれども、一たんはスピードが落ちる設備をつけるとか、何かそんなことができないのかどうなのか。あるいは、せいぜい百キロぐらいまでしかスピードが出ないエンジンをつくれないのかどうか。競走自動車じゃないのですからね。競走自動車ならそれは競走自動車で別の構造でいいのですけれども、一般の乗用車が二百キロも出せるような車というのは一体どういうことなのか。ここら辺の指導は運輸省としてはどうなさっているのか。そのことの方が僕はシートベルトよりも効果があるような気がするのですけれども、シートベルトの問題ですから何もそのことは深くは言いませんが、そういう車の構造についてもうそろそろ考えていいんじゃないだろうか、そう思いますので、この辺について考え方、それから具体的に何かなさっているのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○安藤説明員 第一点の死亡事故につきまして、事故件数は、先生お示しのとおり五十九年中は最高速度での死亡事故件数二千百三件でございますが、これに伴った死者は何人かという統計はちょっと把握してございませんので、御了解いただきたいと思います。
○上野委員 それはどうして出ないのですか。これは簡単でしょう。事故が起こって、それで何人死んだかというのはわかるでしょう。
○安藤説明員 その違反類型別に、原因別に、最高速度あるいは信号無視その他多数の違反類型があるわけですが、それぞれ別の死者の件数はちょっと統計上計上してございませんので、手元に持ってないわけでございます。御了解いただきます。
○神戸説明員 お答えいたします。
 自動車の速度の問題につきましては、安全上極めて重要な問題であろう、我々も先生の御意見と全く同じでございますが、ただ、自動車を安全に運行し、また交通の流れと申しましょうか、円滑化を保つためには、車のエンジンそのものが一定の加速性能だとかあるいは登坂性能というものを、エンジン出力として相当の余裕を持つ必要があろうかと思っております。このような観点から申し上げまして、また、最高速度というのも道路によって先生御指摘のように五十キロ、六十キロとか、いろいろな種類があるわけでございまして、最高速度の遵守というものはやはり運転者の運転マナーの問題が第一であろうかと思いますし、そういう面で的確な運転速度を確保するため、運輸省としましては、一定の速度を超えた場合にその旨を運転者に警報するための速度警報装置だとか、あるいは運行記録計等を備えることを規制しているわけでございます。
○上野委員 この統計の方はぜひ出してもらいたいですね。一つの事故で運転した人が死んだ、あるいはぶつかった方が一人死んだということで死亡事故、これはそうだろうと思うのですね。だけれども、それに伴って二人死ぬ場合もあれば三人死ぬ場合もあるわけですから、僕はこれは最初そういう意味で出ていたのだと思ったのですよ。そうしたら、当事者しか出てないのですね。それに伴ってぶつけられて死んだ人もいれば、いろいろあるでしょう。現実に、全体としては八千八百二十九で、死亡者が九千二百六十二人になっておりますね。ただ、それに伴って何人死んだのか、これが出てないのですよ。これはぜひ出してもらいたい。出さないとわからないですよ、そういう内容がなければ。これは出てないはずがないと思うのですけれどもね。あれですか、警察で出しますね、きょう何名死亡というの、あれもやはりこれ式なんですか。やはり事故で死んだ人全部出ているのでしょう。出ておりますよね。そうだとすれば、その仕分けぐらいは難しくないと思うのですけれども、これはどういう事情か、我々はちょっと理解に苦しむのですが、それをぜひ、今まで出てないのはやってないならこれからやってもらいたい、これを要望しておきたいと思います。
 それから運輸省にお伺いしたいのは、現実に音が出たり何かするのは、私も車に乗りますから知っておりますよ。わかっているんだけれども、しかし最高速度、例えば八十キロなら八十キロ、多くて百キロくらいまでしか出せないのに、なぜ車は二百キロも出せるような構造にいつまでしておくのだということなんですよ。一般の自動車ですよ。競走自動車のことを言っているんじゃないのですよ。それについては何もやってないのですか。変えるつもりもなければ、研究もしてないのですか。
 それから安全施設にしたって、モラルの問題、マナーの問題だと言うけれども、マナーの問題で済むなら何も行政指導とか何か必要ないので、行政処分も必要ないわけで、そのマナーがよくない、一定程度しかうまくいかないということを前提にしていろいろなことをやるわけですね。あるいはマナーを促すためにいろいろな施設が必要なわけで、そうだとすればこの構造を変えて、そんなスピードを出す車じゃなくて何とかならぬのですか。そういう研究も何もやってないということですか。もうちょっと親切に答弁してくれませんかね。
○神戸説明員 答弁が下手で、いろいろ誤解を招いて申しわけありません。
 先ほどお答え申し上げましたように、確かにスピードが出る、そこで抑えるというのはある一つの考え方であろうと思います。ただ、自動車のエンジンというのは単にスピードを出すためだけに性能を設けているわけじゃなくて、やはり交通の流れが円滑に進むよう、あるいは坂道になったときにも円滑に動けるよう、あるいは追い抜き等のときにも支障なく追い抜けるようということで、エンジンの出力に対して相当の余裕を持たせないと、ある意味でそういうことが原因でまたほかの追い越し時の事故とか、総体的に見たときに、余裕がないということは多分に大きな安全上の問題にもなり得るわけでございまして、そういう意味でエンジン出力そのものに相当の余裕を持っているのは事実でございます。ただ、我々の方でやっているのでそう二百キロも出るような車はないと思いますけれども、相当のスピードが出ることは事実でございますが、そういう車がそういう高いスピードで走れるようにということで競ってそういう性能を持たしているわけではございませんので、その辺の御配慮をいただきたいと思います。
 また、保安基準で規制しておりますのは、ガットその他世界共通化ということで今進めておりますし、ガットの場で話し合ってもいるわけでございますけれども、諸外国の例を見ましてもそういうような規制の動きというのは全然ない状態でございます。
 これで答弁を終わらせてもらいます。
○上野委員 それでは、エンジンというのは今の制限速度を維持してやっていくにはどれだけの余裕があればいいのですか。今のあなたの言うスピードは、そうすると余裕を持つために欠けてならないスピードですか、速度を出せるエンジンの出力ですか。
○神戸説明員 お答えいたします。
 我々、エンジン性能でどれだけの余力を持たなければというところまで現にお答えする数字は持っておりませんけれども、我々としても先生の御指摘の面、十分受けとめまして、慎重に今後検討してまいりたいと思います。
○上野委員 そこら辺のところ、今検討されてやるということですから、私はその点について質問をやめますけれども、ぜひ国民の納得のできる、例えば八十キロ走るためにはこれだけのエンジンの力を持たなければだめなんだ、こういうことでひとつ検討してもらって、車をつくる方はなるべくでかいものをつくりたくなるだろうと思うのですね、エンジンのすごいものをつくることになるだろうと思いますけれども、そこのところを検討してもらいたい。
 それから、追い越しとか何か先ほど言われましたけれども、全体が緩くなれば追い越しなんかそんなにスピードを出さなくたって追い越せるわけですね。それから、私、一番これから研究してもらいたいと思うのは、制限速度、一定のところを超えたら一たんエンジンが少し緩くなるとか、自然に自動的に何かそういうことだって考えられないか、別の設備になるかもしれませんけれども。そういうことで、何か構造について、これは私の狭い考え方ですから、ぜひ専門家でやってもらいたいのですが、そういう何か交通安全に新しい時代に適応できるような構造を車全体としても考えていくべきじゃないか、こういう意味ですから、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、これは警察庁長官あるいは担当の方にお伺いしたいのですが、前にもちょっと質問があったような気がしますが、今、車の許可を取るとき、車庫証明を要求されますね。ところが、これは、一カ月なら一カ月借りて、車庫証明をもらって車を買えば、後は車庫の場所は返上しても何ら困らないのですね。したがって、車庫のない車が町の中にごろごろしている。もう違法駐車が至るところにある。私は、きょう朝うちを出て、電車に乗ってここに来るまでの間でも、歩道には駐車してあるし、もうめちゃくちゃなところに駐車してある。公園の中まで駐車してあるという状態があります。そういうことなんですが、そうすると、この車庫証明の段階だけで車庫を持つ。これは車を持つということは、それを保管する場所がないというようなことはどう考えてもおかしいので、そこら辺の関係は何とかならぬのかと思いますが、例えば一年後にもう一度車庫証明を出させるとか、あるいはその点検をするとか、そういうことは今の法律ではできないのかどうか。あるいはそこまでやらなければいかぬのじゃないかという気もするぐらい最近はひどいのですけれども、これはどう考えたらいいのか。どう対処されているのか、お伺いします。
○太田政府委員 ただいまの御指摘の車庫証明の問題でございますが、お話しのように、証明後の保管場所の確保ということにつきまして、現行の法律では保管場所の確保が自動車の保有者の義務とはされておりますけれども、その場所が申請時と同一の場所であるというふうに限定はされていないというのが現行法上の建前でございます。しかも、この義務規定は罰則もございませんので、非常にその意味で担保力が弱いという点もあるわけでございます。ただ、道路上を保管場所として事実上使うという行為に対しましては、そういう面に着目して処罰ができるという仕組みになっておるわけでございます。
 それからもう一点、例えば一年後にとか、そういうチェックをしたらどうかという御指摘でございますが、これも制度的にそういうことをやっていくということになりますと、行政側の負担あるいはユーザー側の負担といいますか、そういう問題を考えた場合にも、今のこの車社会、現在、例えば五十九年の例で申し上げますと、保管場所の証明の受理件数だけでも八百六十五万九千件というふうになっております。それから保管場所の証明の対象の車両になるもの、これはいわゆる白ナンバーの自家用車でございますが、これが三千三百五十万台余り、こんなような非常にたくさんのものがそれぞれ一年なり何なりでチェックをしていくということになりますと、相当の負担もかけるというようなことで、その辺の問題が非常にございますので、この点については関係機関とも今後慎重に検討してまいりたいと思いますが、さしあたりまして、道路上を保管場所として使用しているというものに対しては厳しく対応してまいりたいというふうに考えております。
○上野委員 そうすると、この車庫の問題は、率直に言って今以上は手がつけられない、どうしようもないということのようですね。そう思っていいのでしょうか。もう打つ手はない、だから、あとは駐車違反を取り締まることしかない、こういうことですか。
○太田政府委員 非常に重要な問題と思いますので、今後関係機関と慎重に検討はしていく必要がある問題であるというふうに理解をいたしております。ただ、目の前すぐそれを、例えば現行法を改正をお願いいたしまして、車検の都度その車庫証明を実地に調査して、それが確保されているという証明を例えば出していただくというような仕組みになりますと、今申し上げましたようないろいろな隆路というものがあるわけでございまして、その点慎重に検討しなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 それから、五十九年中の保管場所法違反のいわゆる青空駐車といたしまして取り締まりました件数は、全体で八万五千三百件余りでございます。
○上野委員 それじゃ、もうちょっと具体的なことをお伺いしますが、今度のこの法律が決まりますと、いろいろ問題点がまたやはり出てくると思うのです。例えば、仕事上シートベルトがあると非常にぐあいの悪い場合がありますね。例えばタクシーの場合に、金をもらったりする場合困る、そういう意見も具体的に聞いてみたら言っていました。それから車でも、前に運転手も入れて三今後ろに三人乗れる車もありますが、この場合、大体見ますと、シートベルトというのは四つしかついていない。これをつけるのもやはりなかなか大変らしいのですが、こういうものについてはすぐつけさせるのか、あるいは一定の期間を、余裕を見るのか、そこら辺の指導はどうなるのでしょうか。
 それから、今のシートベルトも必ずしも、伸びたり縮んだり、前よりは随分よくなったと思いますが、それでもこの法律との関連ではまだ不十分だと思いますが、これらの対策はどうなさるのか。
 これらの点について、具体的な問題ですので、お伺いしておきたいと思います。
○太田政府委員 御指摘のございましたタクシーの運転手さんの場合、料金の受領等にも支障があるのじゃないかということでございますが、現在、座席ベルトには何種類がございますけれども、ELR方式、エマージェンシー・ロッキング・リトラクターという、こういう方式のベルトが今非常に普及しているわけでございます。御案内のように、タクシーにはもうほとんどすべてこれが装着されているというふうに考えられておりますけれども、これは通常の身体の動作には十分対応できるような性能を持っているものでございまして、料金受領なども可能な構造になっているというふうに考えられるところから、その辺の問題はないんではないかというふうに考えておるところでございます。
 その余の問題につきましては、運輸省の方から御答弁を申し上げることになります。
○神戸説明員 二番目の質問にお答えいたします。
 自動車のシートベルトにつきましては、道路運送車両の保安基準に基づきまして、構造及び性能につきまして規制を行っているところでございます。先生御指摘の中央座席のシートベルトの装備の義務づけにつきましては、これまで中央座席の利用頻度が低かったこと、またシートベルトの着用率が悪かったこと、また車種によりまして構造上中央座席に装備することが困難なものがありましたこと等によりまして、今まで義務づけてはこなかった状態でございます。
 しかし、シートベルトが極めて有効、有益なものであること、また着用率の向上も見込まれているわけでございまして、このようなことにかんがみまして、中央座席にもシートベルトを装備させる方向で現在検討を進めているところでございます。
○上野委員 そうすると、今度はこのシートベルトをつけておったために、例えば逃げおくれたとか川に飛び込んだときに脱出できなかったとか、何かそういう心配は実際問題としてどうなんでしょうか。この間タンクローリーがひっくり返りましたね。あれは聞くと、していなかったそうですね。していなかったので早く逃げられたということもあるようですけれども、そこら辺はどうなんでしょう。そういう場合のシートベルトの現在の構造なりそういうものも大丈夫なのか、やむを得ないというのか、そこら辺はいかがでしょう。
○太田政府委員 座席ベルトをしていたために、今お話しのように例えば脱出できなくて被害がかえって大きくなったというようなケースは、具体的なケースとしては承知はいたしておりませんが、お話しのように、一般的というか、抽象的には考えられないことではないというふうに思われます。
 ただ、そういうような場合は、おおむね衝突のショックによりまして失神状態等になりまして、むしろ脱出がそういうためにおくれて死亡に結びつくというようなことも多いわけでございまして、座席ベルトをしていればそういう場合に失神に至らない、したがって適切な対応がとれるということの方がより多いのではないかというふうに、これは推測でございますが、そういうふうに考えられております。
 それから、座席ベルトをしていたために被害がかえって大きくなったというようなケースについて、慶応大学の佐藤先生がこの種の問題についていろいろ御研究になっておられますけれども、やはり座席ベルトの問題というよりは正しい装着をしていなかったというような点にむしろ問題があったようなケースの方が多いようなお話も承っておるところでございます。
○上野委員 そこで、もう一度運輸省にお伺いしますが、さきの構造とも関連するように思うのですけれども、日本の車はどうもぶつかったときに弱いというのですね。外車の方が強くて安全性があるというのですが、そういうことはないですか。
 それから、外車との関連でついでにお伺いしておきますが、日本の車は国内で売る値段と外国で売る値段が違うそうですけれども、これはどういう形で違うのか。これは通産省がな、それはどちらでもいいのですが、ちょっとその辺のところをお聞かせ願いたい。
○神戸説明員 第一の問題につきましては我々運輸省の問題であろうかと思いますので、第一の問題につきましてお答えいたします。
 車がぶつかったときに日本の車は弱いというお話でございますけれども、大きい車と小さい車ということでは差異はございますが、同じ大きさの車で比較していただきますと、外国の車、日本の車、そんなに差が出るほどのものはないと我々認識いたしております。
○黒田説明員 自動車の国内価格と輸出価格の差異についての御質問でございますけれども、今国内でも、御質問の過程でいろいろな基準の話がございましたように、各国によりましていろいろ構造上の基準と申しますか、そういうものが変わっているわけでございまして、したがって、日本の車を外国に輸出する場合におきましては、当然のことながら、仕向け先国の保安基準に合わせるような形で自動車を製造するということが必要になってくるわけでございます。したがいまして、各国の保安基準の違いによりまして、例えば排ガス規制が非常に厳しいとか緩いとか、あるいはその他いろいろな、こういうシートベルトを義務づけている国あるいは義務づけてない国、いろいろ規制が違うわけでございまして、そういう規制の違いに応じましてそれぞれの輸出用の自動車も値段が変わってくる、こういうことでございます。
 ただ、今申し上げましたのは日本の国内でいわゆる自動車メーカーが製造した価格でございまして、これがまた販売ということになりますと、その過程で運賃があったり保険があったり、あるいは販売上のいろいろな手数料その他いろいろございますので、そういうことから国内価格と輸出価格、そういうものはいろいろ変わってくる、こういうことでございます。
○上野委員 そろそろ時間がなくなりましたので最後になりますが、今度の法律が決まった場合、これが決定されて正式に法律になった場合に、その後の措置をお伺いしたいのですが、警察庁はすぐ全面的にこれを適用するのですか。例えば一般道路の着用率の問題などとの関連で一定の広報期間も必要でしょうし、それから、これになれる期間も特に一般道路なんかでは必要だ、こう言われますが、これらに対してはどのように対処されるのか。これは皆さんの方に任されている点もかなりあるようですけれども、これは今の段階ではどうお考えでしょうか。
○太田政府委員 座席ベルトの非着用に対する行政処分点数の付加の問題でございますが、私どもといたしましては、当面は高速道路における運転者の非着用、この場合に限って行政処分点数一点を付与するという方向でまいりたい。それから、座席ベルトの効用についての正しい理解を国民の方々に幅広く持っていただくための広報活動というのを強力に行いまして、それで座席ベルトの認識というものが深まればおのずから着用率というのも高まってくるのではないかというふうに期待しているわけでございますが、高速道路の助手席については次の段階。それから一般道路につきましては、一般道路における着用率がおおむね五〇%を超えるところを目途にいたしまして、そういう段階になれば一般道路についても行政処分点数の付与ということを考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○上野委員 それじゃ、今質問を申し上げた趣旨は、交通事故が起こらないようにその予防策にぜひ力を入れてもらいたいという趣旨が最も重要な点だと考えて申し上げたわけでありますので、広報活動、あるいは行政処分とかなんかに至らないようにいろいろな意味で指導をいただきたい、この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小川委員長 次に、沢田広君。
○沢田委員 最初に、極めて限られた時間でありますので簡潔にお答えをいただきたいと思います。
 これは警察の方でお答えい。ただきたいのですが、シートベルトの着用に要する時間、それから外すために必要とする時間、おおむねどの程度を考えてこの法案の立案に当たったのか、その標準的なものをまずお答えいただきたい、こういうふうに思います。
○太田政府委員 着用あるいは外す方、おおむね数秒というふうに考えております。
○沢田委員 数秒というのもピンからキリなんでありますが、大体どの程度を想定しておられるのですか。
○太田政府委員 なれその他もあるわけでございますが、二、三秒から七、八秒というふうに考えております。
○沢田委員 そうすると、なれてない者が八秒ぐらいかかる、熟練している者は二秒ないし三秒でできる、こういうふうに判断してよろしいですか。
○太田政府委員 おおむねそういう範囲内であろうと考えております。
○沢田委員 それから夜間と昼間なんでありますが、それは差があると考えていますか、ないと考えていますか。
○太田政府委員 ほとんどないというふうに考えております。
○沢田委員 これは、夜間でこれからやろうと思う者にとってみれば、局長は自分で運転するわけじゃないから恐らく想像で物を言っているんじゃないかと思うのでありますが、そうは簡単にいかないですね。私も実験をしてみると、夜と昼ではそうは同じ時間にはならない。やはり夜間の方が見つけるのに苦労するという状況がありますから、装備の中身によっても違ってきますが、局長、これは同じだと解釈するのは少し訂正した方がいい。もし何だったらきょうの夜、帰りにやってみてもらえばわかると思うので、ひとつ担当者の方で昼間と夜とどういう違いがあるか、お答えいただきたい。――答えが出てくるまでの間、先に行きます。
 この「シートベルト着用の効果」というきょう拝見した本もあるのですが、これがすべてだとは思わないのですが、この法律をつくる場合に、シートベルトをつけるというのは公共の福祉の上においては何を視点として考えたか、お答えいただきたい。
○太田政府委員 まず本人、それから交通事故が起きた場合の関係の当事者の生命の問題というのが一番重要でございます。さらに付随的な問題といたしまして、それに伴います各種の責任というようなもの、さらには交通事故が発生した場合にその形態によりまして生ずるであろう交通渋滞その他のそういう交通公害的な問題がもたらすであろう被害といいますか、そういうものも考えておるところでございます。
○沢田委員 とんとんとこう来たのですが、公共の福祉に対する法をつくる意味、役割というものに対する答弁としては若干薄弱じゃないかなという気がするのであります。本人の命なりけがなりを少なくさせるというための法律が主体であるとすれば、登山の場合における安全であるとかあるいは船、ボート等の安全であるとか、そういうものも当然関連してくる立法上の基本点に該当してくる問題である。従来、火災であるとかあるいは事故によって他人に迷惑をかけた場合は免責ということが今日の日本の法律の体系であります。これは御承知のとおりだと思いますが、いかがですか。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
○太田政府委員 具体的には、例えば火災が起きた場合に日本の従来の木造家屋が非常に多いというような実情を反映いたしまして、民事責任を軽減するという意味の特別法というようなものがあることは承知いたしております。
○沢田委員 だから、今言ったようないわゆる不作為の行為によって起きた災害についてはその責めは負うものではないということですから、シートベルトをつけさせるということが――いわゆる危険を予期する能力、もし本人がこれは危険であると判断ができる通常の能力を持っておれば、シートベルトをつけるつけないの判断は法律の規制によらないでみずからの判断によって行うのが至当なのではないのか、法体系としてもしそれによって不作為の過失であれば免責の処分になるだろうし、それが若干の不注意が伴えば、その不注意に伴ってそれぞれ所要の法律上の罰則なりを受ける、これが基本、原点ではないのか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○太田政府委員 先ほども申し上げましたように、座席ベルトを締めることによりまして救うのは本人の命だけではないわけでございまして、当然その関係の当事者の傘といいますか、そういうものも関連をしてくる。さらには、事故時の救護義務の履行を助ける、あるいは当事者の責任の加重にわたることを回避する、それから例えば交通渋滞をより少ないものに終わらせることができるといったような、交通秩序全体に寄与するという意味でこの法制化をお願いしておるわけでございます。
○沢田委員 三番目は、これは何もシートベルトをつけたから渋滞がなくなるというんじゃなくて、車が多いから渋滞するのであって、これはどうも該当する中身とはそう直結しないのです。しかし、長い時間をかけて各党が努力されたものなんですから、私も水を差すようなことは言いたくないのであります。しかし、基本的な法律の原点というものを求めていくと、今言った問題に対してある程度解明をしておかないと将来禍根を残すという気がするわけであります。
 そこで、あえて、他人というならば、じゃ、一人で乗っているときには必要があるかないかという問題になる。もし助手席に乗っていないと仮定をすれば、それはあくまでも本人自身の判定による。責めは本人が食えばよろしいということになるのではないか。また、この程度の速度でこういう走り方をして危険であるかないかの判断がつかないようでもし運転免許証を与えているとすれば、それは運転免許証を与えていく業務の資格要件に関係してくるのではないのか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
○太田政府委員 場合としてはいろいろあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように座席ベルトを締めることによって保護されるであろう公共の利益といいますか、そういうものは非常に多いわけでございます。交通渋滞の問題、確かにワンクッションあるような感じもないではございませんけれども、座席ベルトをしていたために、本来していなかった場合に起こるであろう事故よりもうんと少ない事故で済んだという場合に、それによって交通渋滞が少なくて済むということは、当然相当因果関係の範囲内において認定されるべきことであろうというふうに考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、諸外国におきましても、先進国を含めまして三十カ国余りにおいて現在罰金等の制裁措置を伴う座席ベルトの着用義務化というものが既に法制化されているという面から考えましても、国際的なレベルで見た場合でも、座席ベルトのいわゆる社会的な効用といいますか、公共の福祉に役に立つという点については認められているのではないかというふうに考えるところでございます。
○沢田委員 その辺が若干まだあれですが、これは委員長も我が県の出身の委員長で、慎重に審議をされたのだろうと思うのでありますが、もしこれが将来続いていった場合に、この効果が上がればいいですが、効果がだんだん薄れていって、結果的には面倒な方と小うるさい方が優先して、そのことが直接物の価値判断をしていく上においてそうプラスにならない、こういう蛇足といいますか、蛇の足になることをおそれて、私も仲間の委員長のところでやっておるわけですから、なるべくいいものであってほしい、こういうふうな気持ちも込めながら申し上げているわけなんであります。
 そこで、今言われたような公共の福祉に対する解説は、今のでは私は十分ではない。さっき言ったように、じゃ、一人で乗っているならばそれはつけなくとも、もし助手席にいる人――後部席は関係ないですね。後部席も「努めなければならない。」となっていますから、この努めるという程度の義務は、どこまでが努める限界ですか。例えばお客さんでも何でも、ひとつ後ろの方はシートベルトをつけてくださいと、友人であろうとお客さんであろうと一回そういうふうに忠告をする義務を運転手は持つという意味ですか。具体的には努めるというのは何を意味しているのですか。
○太田政府委員 場合によっていろいろあろうかと思いますけれども、少なくとも罰則なり、あるいは今度の場合のような行政処分の対象になり得るような、そういう義務ではないということでございます。
○沢田委員 その一点の減点の方も、じゃ、趣旨はわかりました。ですから、ひとつ現場の人たちは法を守ることを職業としているわけでありますから、現場の警察官は、していなければこれはもう悪者であるというふうに見ていくのが、法律をつくる者とそれを扱う行政との違いだと思うのですね。我々がこうやって議論している場合は、それほどこんなことになるとは思わなかったというふうに、想像するところ、恐らく議員各位も考えるのじゃないかと思うのですよ。
    〔委員長退席、関山委員長代理着席〕
ところが、実際にやってみたら、あっちでも注意され、こっちでも注意されるということで、紛争が余計起きるというようなことは我々願いたくないことなんです。
 それで、段階的には、さっき同僚議員も質問しておりましたが、高速道路が当面は主体である。高速道路についても、当分とにかくこれが日本の風土に合うように慣行化されるまでは、減点等の取り扱いについても十分配慮しながら、大岡裁判もあるわけですから、そういう意味においては、いわゆる十分慎重に周りの条件、社会情勢、そういうものも判断をしつつ対応をしていく、こういうふうに私たちは考えていきたい。余り早道を通らないで、三角形の直線を行かないで、やはり三角形の二辺を回るような、急がば回れということわざもあるわけですから、そういう措置で警察当局が現場に対応していただける、私はそういう良識を警察庁は持っておるというふうに信じたいと思うのでありますが、その点はいかがですか。
○太田政府委員 この法案を御審議いただいた過程で国会で出ました御議論、そういうものを十分踏まえながら第一線の指導に当たってまいりたいというふうに考えております。
○沢田委員 それは結果的には、今私が言ったような意味で、直接効果をねらうことよりも、段階的に国民の生活、習慣の中ににじみ込んでいくような発想、そういう段取り、そういうものを持って対応をしていく、重ねての質問でありますが、そういう気持ちで現場には対応するんだ、こういうふうに判断をしてよろしゅうございますか。
○太田政府委員 座席ベルトの性格上、今お話しのようなそういう気持ちで第一線の方を指導してまいりたいというふうに考えております。
○沢田委員 もっと具体的に言ってしまうと、あなたは答弁は必要ないですが、結果的には減点の一点も法律的にはここで決まってくるけれども、高速道路の運用状況あるいはそのときの情勢あるいは社会情勢等も勘案をしつつ、その切符の切り方等については、当分といいますか、時代の推移を見詰めながら実行措置に移る、こういう考え方で措置していくものなんだというふうに理解をしていきます。そういうことでよろしいわけですね。そういうことで、首を縦に振っていただけば、もう答えていただかなくて結構です。それで了解して先に進んでいきたいと思うのです。
 そこで、反則金等の罰則規定も拝見させていただきました。その前の根本には、行政不服審査法の適用が問題で、ぜひこれは関係してきますので、不服申し立ての制限というのは、道路交通法では百十三条の二に「この法律の規定に基づき警察官等が現場に」、これは検事とか警視とか、そういう者を「等」と言っているのだろうと思うのですが、道交法では「現場においてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。」こういうことになっておりまして、警察官がその現場でいわゆる一時停止違反であるとかあるいはスピード違反であるとか、そういうような処分をした場合については行政不服の対象にはならないというのがこの趣旨なんだと思うのであります。
 そこで、それぞれの府県の公安委員会が決定をして行っていく事項、それは当然行政不服審査法の対象になっていく。この百十三条の二の警察官が現場で行った処分以外は行政不服の審査の対象である。これは総務庁ですか、でお答えいただくわけですが、行政不服審査法の中ではこう書いてあるわけであります。「処分についての不服申立てに関する一般概括主義」と書いてありまして、第四条で「ただし、次の各号に掲げる処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、この限りでない。」とあって、国会の両院、裁判所等の行ったこと、あるいは各判例がたくさん出ておりますが、「刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行なう処分」はこの行政不服審査法の適用は受けない、こうなっているわけであります。
 そうしますと、行政不服審査法とこの道路交通法の中の行政不服審査法との間のいわゆるすき間は、公安委員会等が行った行為は当然行政不服審査の対象となる、こういうふうに判断するのが適当だろうと思いますが、さっき申し上げたように行政不服審査法を所管をしているところで、総務庁からお答えいただきたい。
○長田説明員 お答えいたします。
 行政不服審査法は、条文にございますように行政庁の公権力の行使というのが具体的にございまして、それで直接個人の権利、利益が侵害されたという場合に迅速な行政庁内部での救済手続を定めておるということでございます。一般的に規制を行う、例えば公安委員会が行う交通規制、そういったものについては、それ自体では不服審査の対象にはならないというふうに私ども考えております。
○沢田委員 そういうあいまいな、何だかわけのわからないような回答では――だから、行政不服審査法に警察官が現場で処分をした事項はならないよと書いてありますね。それは認めますね。ここにある一般概括主義としては、行政不服審査法が本法ですから、その他のものは、その他の法律で規定されるそれぞれの適用除外例は別として、それ以外は当然行政不服審査の対象になる。これはあなたの答弁にはないけれども、警察官が現場でやったものが行政不服審査法の対象にならないというのは、一過性である、瞬間的な現象であるから、それを六十日以内にというのは現実的に若干無理だから対象としないのだというのが従来の答弁ですね。これは後でまた聞きますけれども、内閣法制局等の答弁だと思うのです。
 だとすると、あなたの言われていることは、その間は当然行政不服審査法の適用になる。公安委員会がここに白線を引く、あるいは標識の設置の場所がいいとか悪いとか、そういうことは、安全協会がやるか警察がやるか、だれがやるかは別として、これは一過性でないのですから、全交通行政を預かっている公安委員会が見えない場所に置いてあるものが、これはまずい、こういうことは口頭であれ書面であれ行政不服審査はできるわけですから、それは当然対象となる、こういうふうに解釈するのが妥当ではないのですか。それをイエスかノーかで答えてください。
○長田説明員 お答えします。
 今先生が言われたような、例えば一時停止の線を引くとか、そういうのは、一般的には対象者がそれはだれでも交通安全のために守らなければいかぬということで、不特定多数の者を対象にするわけです。行政不服審査法がここで言っておりますのは、例えば免許証であれば停止されるとか、そういう個々の具体的な権利侵害があったという場合に救済する手続ということでございまして、一般的なものについては、不特定多数を相手とするような、交通で言えば規制でございますが、そういうものについては不服審査の対象にならないというふうに考えております。
○沢田委員 普遍的な事項については、いわゆる定義づけというか、普遍的な事項については対象とならない、それはそれでわかりました。しかし、沢田広なら沢田広が、信号の標識が見えない場所にあって起きた事件ということになれば、当然これは不服審査法の対象になる、こういうことですね。一般的には普遍的な事項について、例えばこの線の引き方は悪いとか斜めに曲がっているとか距離が短過ぎるとか、そういうことは普遍的なことだから対象になりませんよ。しかし、見えないということによって――これは判例にも出ているんだ、あなたが幾ら頑張って言ってみたってね。見えない場所になっていたり、逆さまになったりしている場所を入っていったり、一方通行でも入っていけば、これは違反にならない。これは判決が出ているのです。だから、判決は出ているけれども、行政不服審査の対象にする範疇に属するかどうかという問題なんだ。それは個々の問題だから入るということになるのではないですか。
○長田説明員 先生のおっしゃられたようなケース、仮に規制がありましてそれがよく見えなかったといった場合に、規制の仕方自体についての問題は別途あろうかと思いますが、規制自体については、別にそれは先生を特定して規制するわけではございませんから、規制自体については一般的に不服申し立ての対象にならないということでございます。
○沢田委員 だけれども、個人がそれによってみずからの権利を侵害されて被害を受けるわけですから、あなたのさっき言った答弁で個人的に及ぼされた被害――不特定多数と言ったって、単なる一人だけの問題なんというのはありっこないですよ。世の中はすべて法のもとに平等であり、法のもとによってそれぞれ生活しているわけですから。沢田広のための法律なんというのはあるわけないのですから。だから、常にだれかとだれかが対象となるわけなんであって、例えば信号なり一時停止、進入のマークなりというものの設置場所等については当然それは行政上の措置なんですから、民地を借りるか道路にくっつくか、それはわかりませんけれども、当然それは行政不服審査の対象になる。では、ならないとしたらそういうものに対してはどういう措置があるのですか。あなたの方の考え方では、ならないとしたらだれがどういうところへ文句をつけていったらいいのですか。
○長田説明員 行政不服審査法はあくまで個々の具体的な直接的な権利侵害に対する救済措置ということでございまして、先生の言われたような一般的な規制に対しての交通反則というものについては、今の不服審査では対象にはならないというように考えております。
○沢田委員 だから、では何だったら国民の権利を守れるのですか。あとはもう裁判以外はないんだ、おまえらあきらめろ、そういうものはすべて行政権を越えて司法権に入るんだ、こういうことで国民はもう泣き寝入りになれというあなたの主張ですか。では、見えないものに対して苦情を申し出る法律上の権利はどこに存在するのですか、ないのですか。
○長田説明員 裁判のことはその後にあるわけでございますが、実際上は行政不服審査法上は適用になりませんので、その間の、具体的に道路交通法をどのようにスムーズに運用していくかということは警察庁の方でもいろいろお考えになっていると聞いております。
○沢田委員 あなたの所管するところでいわゆるそのはざまを、国民の立法段階の問題として道路交通法にはこう決まっています、それであなたの方は、その間については、それは警察の方で考えてくれと言われますが、これは何も警察だけの問題じゃないんだ、その他一般にも全部関係してくることなんですよ。あなたの答弁では全然進んでいかない。では、その間は泣き寝入りかと言ったら、そのことには答えない。その間は全然法で埋めるものはない、救済措置がない。もう問答無用、おまえら黙ってそれを認めていればいいんだ、そういうことはお上のやることであって下々の者の申すことではない、あなたの今の主張を簡単に言えばそういうことでしょう。
○長田説明員 今先生の言われました行政不服審査法上で救済できるかどうかということについては、今の行政不服審査法上は対象と……(沢田委員「だから、何ならできるんだと聞いているんだよ」と呼ぶ)
○八木説明員 別の担当をいたしております行政管理局の管理官でございます。
 行政救済制度全般につきましては、先生御承知のように、明治二十三年でございましたか、訴願法というものがございまして、これが概括的列挙主義というものをとったわけでございます。これを拡大いたしました昭和三十七年の法律で一般概括主義、今日の行政不服審査法になったわけでございますけれども、ただ、何分この行政不服審査法自体の組み方と申しますのがやや司法型に近いと申しますか、丁寧な手続でございます。したがいまして、先ほど長田管理官から御答弁申し上げましたとおり、この行政不服審査法によりますところの権利救済というものは、行政庁が公権力の行使に当たるに当たりまして直接具体的に特定人の権利侵害を行うということを対象にしておるというところから、御指摘の道交法の規定なども出てくるわけでございますけれども、ではしからばその他の方策がないかということになりますと、これは例えば総務庁におきまして行政相談という制度を一つ起こしておりまして、行政相談委員法という法律をもちまして苦情のあっせん等に当たっているわけでございます。
 これは法律上の制度化されたものでございますが、同時に政府部内におきましては、行政相談制度を徹底する、こういう観点から累次の閣議決定におきまして各省において行政相談の窓口をつくる、実はこういうふうな対策を講じておりまして、警察庁等におきましても、もちろんその内容につきましては非常に非定型的なものを対象にするわけでございますから、拘束力云々ということになりますとこれは事実上の問題でございますけれども、いろいろな事案につきまして住民の方々の御批判、御注意を参考にいたしまして行政改善を図っていくというスタイルがございます。そのほか、例えばしばしば国会でございますような請願でございますとか各種の事実上の御意見、御陳情、御要望、これに対して行政がいわば窓口を開いて風通しのいい行政運営を持っていく、こういうことであろうかと思っております。
○沢田委員 要するに、下々の民よ、何も文句を言うなというのが結論なんでありまして、だからそこにこういう特に反則――刑事事件については私はとやかく言いません、これは司法の問題ですから。行政上の範囲内の問題については、総括的に国民の民主主義に、国民に権利が移った、主権在民だと言いながら、法体系の中においてはいわゆる泣き寝入りの法律が現存し、現在生きているわけですよ。だから、今のような交通行政の中において、特に例を挙げればそういうことによってより紛争を起こしておる。国民は主権在民ということだから、それは集約されたものであろうとあるまいと、それぞれが税金を納めている限り国民の一人としての権利を主張するものを持っているわけですから、当然そういうことにおいて、今言ったような答弁で一々警察官が対応できますか。また、警察官がそう言ったからといって国民が納得しますか、どうですか。これは警察の方で聞いてみましょう。
 今のような総務庁の答弁で、それは行政相談でやるのですから、この切符は、あなたの言い分はあるだろうけれども黙って持っていきなさい、そう丁寧にも言わないだろう、持っていけ、これ、判こ押して、ぐらいなところがせめてものことでしょうが、私がワンランク下げて言えばそういうことになるわけですが、果たしてそれで現実の問題として対応になるかどうか。これは、委員長はかわってしまったけれども、ここの部分の穴をきちんと整理してもらわなければ僕は正確なシートベルト法案の意味はなさない。しかも一点の問題は、若干は余裕はあるにしても、これはそのまま問題が残っていくわけですから、その点についてはもう少し明確にして、国民に主張する場あるいは自分の立場を説明する場を与えなければいけない。しかも警察官がやることすべて正しいかというと、現実的にはそうではないのですね。たくさんの問題が出て、最後には裁判で負けているという判例もたくさんあるわけですから、それがすべて警察官は正しいという前提に立っていくこの法律体系、しかも行政不服の審査もできない、あるいは申請もできない、こういうことでは済まされるものではない、私はこういうふうに思いますが、いかがですか。
○太田政府委員 今先生から御指摘いただきました内容としていろいろな形態のものがあろうかと思いますが、一つがいわゆる反則行為と言われるようなものでございまして、これにつきましては先生も先ほどお話しございましたように、道交法に、まず現場の警察官が反則切符を切る、それで七日以内にもし仮納付をしなければ今度は通告センターの方にそれが回っていく、通告センターで担当官が切符を切られた方の言い分も十分伺うというようなことで、これは法律上きちっとした仕組みができているところでございます。
 それからもう一つ、さっきの例えば一時停止の標識の出し方がおかしかったりあるいはそれに伴う道路標示がおかしいというような問題につきましては、一般論といたしまして、先ほど総務庁の方から御答弁申し上げましたように、いわゆる一般的な処分であるということで特定個人の問題ということに結びつかないという意味で行政不服審査法の救済は受けられないわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、この種の問題につきまして交通警察の運営というものは地域住民の御理解を得ながらやっていくというのが何といっても基本である、そのためにはいろいろな苦情とかそういうものを聞かしていただく窓口を設けるということで、当時、四十三年以来そういう窓口を実はつくっているわけでございます。警察署等においでになった場合にあるいはお目にとまったかと思いますけれども、玄関のところとかあるいは中に入りましたところに交通事故苦情相談所というような看板を出しましたりプレートを立てて、そこで管内の住民の方々のそういう交通事故あるいは交通に関する苦情の相談の窓口をつくっております。これは現に運営されているところでございまして、こういうところで自分のところのペイントの引き方がおかしいということであれば御指摘いただければ、これは当然そういう形で出てきたものは上司に報告し、必要があれば県警本部の方にも上げて必要な対応策をとっていく、そういう仕組みをつくって、今お話しのような一方的に押しつけをしていくというような形でない交通警察の運営というものを図っているところでございます。
○沢田委員 これはこの前の交通の委員会でやりましたが、いわゆる歩行者妨害の横断歩道の左折、右折の車両のあり方、これは法律では著しく歩行者の横断を妨げてはならない、こういうふうに書いてある。しかし、その判定は警察官のそのときの判断で決めてしまう。これはそれぞれ論争のあるところですけれども、では八メートル道路の場合はどうだ、十六メートル道路の場合はどうだ、あるいは四メートル道路の場合はどうだと、それぞれ私もその部分に応じて聞いたことがあります。では、車線が分離をされている場合に、一方はいない、一方から、向こうから半歩踏み出した、そのときは渡りかけというのか、歩行者妨害というのかという具体的に詰めて、結果的にはそれは歩行者妨害ではない、そういう答弁になったわけです。だから、著しく歩行者の横断を妨げてはならないというその言葉の表現を判断する者が、単なる警官一人の判断でその後それぞれ処置をされていくことについては極めて間違いを起こしやすい。
 普通ならこれは委員長に言って、この段階においてこの穴を埋める措置を、今の苦情処理じゃないのです、国民の持つ固有の権利、主張権、そういうものを確保してもらうという措置は必要なんですね。何か苦情相談所で繰り言みたいなことを言って物が終わるというものではなくて、法体系としてやはり自分の主張が言える。それじゃ、後、裁判所に行きなさい。この前も言うように、四千円や五千円ぐらいの反則金で一々弁護士を頼んで裁判所に現在の国民が行けるかといったら、これは現実問題として泣き寝入りなんですよね。
 ですから、少なくとも行政の分野では、この前も言いましたが、徳川時代だって目安箱があったんだ。何も自分の捕まった署へ行ったって、これはぶん投げられるに決まっているのですよ。それだったら、本庁なら本庁に置くとか、あるいは他の分野に置くとかして、自分の子分がやったものを署長が罰するわけないですむ。おまえ、ようやったと言うだけの話であって、国民は泣き寝入りになるのは火を見るより明らかだ。それなら本庁に目安箱を置いて、これこれしかじかだからということで審問なり、あるいはそれぞれ主張をさせる場所をつくる。せめて行政不服審査法が適用されるのが本来のあり方だと私は思っていますよ。思っていますが、そうでないにしても、一応そういう措置を講ずるということが当然必要である。自分が捕まったり処分を受けた警察へ苦情処理に行けば、筒抜けなんですもの、そんなことできっこないでしょうよ、あなた、常識的に考えて。だから、それはよその局でやるか、さもなければ警察本部でやるか、やっぱりその辺は考えてもらわなければ、私はこれで引き下がれない、こういうことになってしまうのですがね。だから、それはその間の穴を埋めるように措置をしてもらうということは必要だと思うのです。自民党の大先生方も来ておられますが、このままではやっぱり国民の固有の権利というものは守られない。これは自民党の議員さんもたくさん経験されていることだろうと思うのですよ。ですから、そういう意味において、その間の穴を埋めるような措置はとにかく講じてもらう、こういうことを私は約束をしてもらいたい。
 それから総務庁も、そんなだらしのない答弁してないで、やっぱり国民の権利を守るためにはこうあるべきだというふうな一つの提言があってしかるべきだということで、私の質問時間が終わった後でもいいから、これが採決前にひとつ委員長と相談して、委員長というのは、今の委員長だとうちの仲間になってしまうからなかなか大変だろうから、委員長並びに理事会等でそれぞれ相談して対応をしてもらう、こういうことをひとつお願いをしたい。それぞれ一言ずつお答えいただきたい。
○太田政府委員 先ほど申し上げましたように、警察本部も含めまして、現在交通苦情処理に関する業務を受け持つ交通相談所というものを設けておりますが、これを今の御趣旨を踏まえてさらに活性化をして、今の御趣旨を十分反映できるように対処してまいりたいというふうに考えております。
○八木説明員 国民の権利の保護その他につきまして、行政相談活動の積極化、こういう問題につきましては、政府の方針でもございます。関係各省庁と十分協議をいたしまして、これに取り組んでまいりたいと考えております。
○沢田委員 相談じゃなくて、やっぱり勧告権を持ってそれぞれ是正をされる。公務員もすべて善ならず、こういうことが現状ですからね。だから、公務員がやることが、警察官がやることがすべて万全であるということで物を判断、物差しをつけていくということにはやはり問題があるわけですから、その立場に立って、その相談だけではなくて、そこにやはり国民の権利が保障される担保をつけてもらうということが必要だということで、後は委員長の方にお願いをしておくということにしていきたいと思うのです。
 それでは最後に、今の答弁の中で、公安委員会というのがあるわけですね。公安委員会がつくるという方法もあると思うのです。どうも警察じゃ、仲間同士のことですから、やっぱりやりにくい。だから、公安委員会の中にそういう分野を設置するというのが、一方また客観性を帯びた一つの方法じゃないか。その中には弁護士なりあるいは学識経験者なりを置いて、そういうものの承り所をつくっておいて、そして処置をするという方法も一つ考えられる。これは私の私案ですが、そういうこともひとつぜひ考慮の中に入れてほしい。やった者が裁くというのは、これはやっぱり不当だと思うのですね。これはひとつ参考としてお聞き取りをいただきたいと思うのです。
 時間が参りましたから、次に、財産権の問題でお伺いします。
 財産権で、住宅の場合は二十年ないし二十五年契約がない場合はそのまま契約が存するものとして賃借者はそれを借りている権利を保有する、こういうことになっておりますが、例えばその本人が刑務所に行こうと海外へ在住しようと、その点の権利は変わらない。その点、これはそうですね。一応これは警察庁に関係することで聞いているわけでありますが、簡単にお答えいただきたいと思います。法制局の方が専門が。
○関(守)政府委員 ちょっと御質問の趣旨を十分理解しているかどうかあれなんでございますけれども、借地法におきましては、今のような借地人の権利というのを保護しているところでございます。それは、私、具体的なケースについては十分承知しておりませんが、一般論として言えば、借地権がある以上、借家権も大体同様だろうと思いますけれども、そういう制度になっているのではないかというふうに思っております。
○沢田委員 それでは、もう時間がありませんから、簡潔に結論に行きますが、車の場合に、物にした。遺失物法に適用させた。三百万の車もあれば、五百万の車もある。
 今度は大蔵省に聞きたいのですが、今の税法で、大蔵省が税金を車にかけている重量税と、そのかけている客体に対する価値観というものを考えた場合に、これを単なる物と見て考えていくという方法が果たして妥当かどうか。言うならば、今言ったように、家を借りていて、七年ぐらいいなくて、失踪が七年でありますが、七年ぐらいたってもその借地権は存在する、あるいは借家権も存在する、そういう一方の民法上の権利がある。車については、道路法は道路についてだけの権利なんです。それを移動した後の権利は、これは道路法が適用されない。当然ある一定の駐車場なりの置き場に置かれるわけですから、これは道路法ではない。とすれば、そこに置かれた車の財産権というものは、今言ったような程度において言えば、借家で言えば二十年、失踪で言えば七年、せめてその程度まではその財産権は及ぶのではないかというふうに思いますが、その点、これは大蔵省あるいは警察庁からお答えいただきたい。――立つ人がいないので、しようがないから、もう質問時間が切れたから、時間は守ります。守りますから、これは後でひとつ委員長なり理事の方へ答弁してもらって私の方へ回してもらうということで、その他質問事項はありますけれども、私の質問は以上で終わりますが、やはり財産権の問題等についてはそういう区分がもっと明らかにされる必要があるということを申し上げて、以上、私の質問を終わります。
    〔関山委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
○浦野委員長代理 以上で沢田広君の質疑は終了いたしました。
 続きまして、坂井弘一君の質疑に入ります。
○坂井委員 私は、シートベルトの着用を推進するという立場から、今回の法制化に対して若干お尋ねしていきたいと思いますが、その前に、この法律によって義務づけるということに対して非常に根強い反論といいますか、あるいは反発というものがやはり一部にあるようでございまして、この法制化の是非をめぐって私なりの考えを若干申し上げて警察当局のお考えを聞いておきたいと思うのです。
 例えばある企業がありまして、その企業はシートベルトの着用を義務づけておる。したがってその企業に従事する人、社員、従業員は、会社の車を使って勤務するときはシートベルトの着用率というのはほとんど一〇〇%に近い。ところが、自分の車に乗りかえまして、マイカーで通勤するということになりますと、がたんとこの着用率が落ちる、こう言うのですね。これが実態だ。これをよく考えてみますと、やはり会社の車を使っての勤務中というのは、この会社の車は言うなれば公的な職場、公的な居室というのでしょうか、そういう意識。しかし自分の車、マイカーということになりますと、これは全く私的な個室なんだという意識がやはりその根っこにあるのではなかろうか、そういう見方があるようでございます。
 そこで考えなければならぬのは、今、車社会と言われますが、そうなりますと、すべての車というのはプライベートな個室というわけにはいかぬのじゃないか。つまり公的な空間、公共的な空間、道路、通路、これを車が占有をしている、こういう意味を持つわけでございますが、そういうことになりますと、むしろプライベートな個室ではなくて、公的な居室におるのだというような意識を絶えず持ちませんと車社会というものは成り立たないのではないか。したがって、そういう意味で今日の社会秩序の中においてこの問題が個ということと公ということ、これは永遠の課題だろうと私は思いますが、この個と公をどうとらまえるか、そういうことを考えます際に、今のような車社会の中においては公的な居室である、こういう意識を持たなければ今日車社会の秩序は成り立たない。したがって、現状においてはシートベルトの着用義務化の法制化というものはやむを得ないであろう、こういう意見がございまして、私はこの意見には賛成でございます。
 つまり、このシートベルトの着用というのはある意味では一種の社会的な行動である。今日車社会のマナー、規範あるいはルール、そういうものから要請されていることに対して、そういう規範に対するいわゆる社会的規範意識といいましょうか、そういうものを高めていかなければならぬ。さらにまたそれを維持させていかなければならぬ。それが人々の生命、安全に対して自分が大きく参加していくことなんだ、かかわっていくことなんだ。そういう社会規範意識を高め、維持していくことの担保、裏づけとして、あるいはそういう役割を演出する一つとして法的規制があるのだ。法制化というのはまさにそういう位置づけ、意義づけということなんではなかろうかと実は私は思うわけでございます。したがって、前段申し上げましたのがやむを得ないという考え方ですが、しかし私は、むしろ今日車社会において法制化というのは、やむを得ないということではなくて、積極的にそうあるべきではなかろうかと個人的には思うわけでございまして、当局のお考えをまず承っておきたいと思います。
○鈴木(貞)政府委員 今坂井先生のおっしゃったこと、お伺いしてまことに私としても同感でございます。言葉に交通戦争という言葉が随分昔から使われておるわけでございますが、御承知のとおり、昭和四十五年、これが一万六千余の死者でございました。その後年々減ってきまして八千人台、約半減したわけでございますが、最近になりましてからこれがまた九千人台、一万人になんなんとするという死者が出ている。戦争という言葉、これはマスコミ用語とも思いますが、いずれにしましても戦争であれば殺される、死ぬということを前提にしたものでございますが、そういう意味での戦争しやない。ある日突如として不幸に見舞われる。残った遺族はまさに塗炭の苦しみで幼い子供を育てていかなければいかぬ、こういうことでございます。
 車社会という中には、やはり人は人にあらず、人間である、人と人との間、そこにまた車というものが介在すれば大変な公共的ないわゆる責任が負荷されるというものであると思うわけでございまして、そういう意味でシートベルトの着用、そして一人でも死者が減っていくということが、やはり安全な幸福な社会の実現というためには今の段階で極めて緊急の問題であろう、私はこういうふうに思っておるわけでございます。
○坂井委員 法制化に当たりまして、この物事に対するとらまえ方、考え方につきましてはただいまのとおりと思うのですが、ただこの立案ということになりますと、イギリスの交通省道路安全局のロビンスさんの助言といいますか、次のように実は言っておるわけでして、非常に示唆に富んだことだと思っておりますので御紹介申し上げますと、「とかく政策立案者は、性急になりがちである。しかし立案が実現するまで焦らずに、経験的、科学的証拠に基づく普及を重ねつつ、世論の意識・態度がその方向を向くまでまつ。そして、ついに案が成立したら、その施行まで十分な準備期間をおいて、法が法としての効果をもつようなキャンペーンを強化する。これが今回の強制着用法の施行までに、我々が辿った経過である。」
 私は実はこれに尽きていると思っておりまして、こういう慎重さといいますか、同時にまた国民世論、すべてが車社会の中の一員であるという自覚、そして積極的に安全に参加していこうという意識の高揚、そういうものが相まちながら立法化、強制法、法律がさらに効果を高めていく、こういうことであろう。したがって、法律ができたから何でもかんでもこの法律で縛りつけて功をせくとか、そのことのためにかえって反発を招くとかいうようなことが決してあってはならぬ、こう実は思うわけでございまして、その点につきましてひとつ慎重にお願いをいたしたいと最初に要望しておきたいと思います。
 そこで、若干諸外国の例を見ながら考えてまいりたいと思いますが、一つはフランスでございます。フランスはヨーロッパにおきまして最初に法制化した国でございますが、この強制着用法、これを導入しました理由に大きな理由が二つあった、こう言われております。
 その一つは、この法律制定に当たりまして諸外国の着用状況を随分丹念に調べました。そういたしますと、義務づけないときはほとんど三〇%程度である。ところが義務づけた場合、例えばオーストラリアなんかは、これは各州ありますが、ビクトリア州等の場合は一カ月後に七五%以上になった。したがって、なかなかやはり法律によらないと着用率は上がらないんだなということで、外国の経験を見て強制着用法に踏み切った、これが理由の一つ。
 次の理由は、もう一つありますが、シートベルトの着用は、衝突の際のショックからドライバーを保護する、そして運転を継続することができる、したがって同じ道路を走っております他の車を事故に巻き込むことを防止する、こういうことでございます。つまり、この考え方は、単に運転者あるいは同乗者の生命、身体を守るということだけではなくて、非常に積極的な意味は、シートベルトをつけておったためにそのショックから自分を保護すると同時に、他の車に対して迷惑をかけない、巻き込み事故を防ぐ、他人の安全に対しても非常に大きな効果がある。
 この二点がフランスが法制化に踏み切った最大の理由であった、こういうことのようでございます。
 私は、まことにこれはもっともな理由である。ともすると、我が国におきまして、死ぬのは勝手である、こういう極めて無責任な考え方が時には横行しておる。まことに嘆かわしい限りでございまして、自分の命を大事にするということは、また、とりもなおさず他人の今も大切にするということに通ずるわけでございまして、お互いに車社会の中で相互に関連しながら生きているわけでございますので、お互いの安全ということをしっかり考えたときに、シートベルトの着用、またその法制化ということは、まことに理のあるところであると私は思っているわけでございます。
 そこで、具体的にお尋ねをいたしたいのでございますが、今回法制化されるこの法改正で、高速道路における着用率はどれくらい上がるというようにお考えでしょうか。見込みとして伺っておきたいと思います。
○太田政府委員 実は、はっきりした見込みを検討したことはございませんけれども、一応運転者に限定はいたしますけれども、行政処分点数の担保があるということを加味いたしますと、相当高い率が高速道路の運転者に関しては確保できるのではないかというふうに感じております。
○坂井委員 そこで、そういうことをお尋ねしたのは、先般も交通局長は、一般道路においてもおおむね五〇%程度まで着用率が上がれば行政処分点数を付加するというお答えだったと思いますが、一般道路で五〇%、約半分ぐらいになるのは一体いつごろになるだろうか。どうですか、その辺の見込みは。
○太田政府委員 これは、座席ベルトの効用についての正しい理解をドライバーの人々に持っていただくということが何よりも大事で、それが知れ渡ってきますと、おのずから着用率も上がるのではないか。それから、ペナルティーは科さないにしましても、法律的には着用が義務化されるという心理的な意識の変化といいますか、そういうものは非常に大きく作用するであろう。
 ただ、今先生からお話がございましたような、例えばおおむね五〇%を超えなければという御答弁を申し上げているので、作為的に無理をして五〇%という状況をつくり出すというようなことは決して考えていない。十分ドライバーなり同乗者の理解を得ながら、そういう情勢のもとで着用率が高まるということに働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。
○坂井委員 そうでしょうね。というのは、私それを申し上げたのは、まさに今局長おっしゃいますが、実は早くそうしたいという気持ちがある。着用率が上がって、一般道路も半分以上、そういう状況が早くできればいい、それが望ましい、そうありたいということと、それからまたもう一方では、さっき言いましたように、余り功を焦って、どうも強制、押しつけのようなことが露骨にといいますか、前面に出ますと、かえって協力を得られないといいますか、そういう点がありますので、その時期等についてはいろいろ御検討もあるのでしょうけれども、そう意識されないで、むしろこのキャンペーンあるいは教育、そういうことをしっかり先行させながらお考えになった方がよろしいのじゃなかろうかな、実は若干こんな気がするものですからお尋ねしたわけでございます。
 着用率を上げるためにどうするかと、いろいろな人のいろいろな意見があるようですが、どうも人間というのは、はたから押しつけられるとちょっと反発したくなるというのが習性、本能的なことのようですね。自分がそうするんだという、自発的な意識を涵養していくという、そういう教育あるいはキャンペーン、これが私は大事じゃないかなという気が実はしておりまして、例えば「シートベルト着用」と、こう目の前にぼんとポスターが来ますと、看板が来ますと、ちょっと抵抗を感じますな。それを「シートベルトは正しくつけよう」とかということであれば、ちょっとこう抵抗がない。自分が参加するという意識、感じですね。シートベルトを着用しよう、着用しよう、着用だ、こういうのは何か押しつけられる。そうではない、自分でシートベルトは締めるんだ、つけるんだ、しかもその締め方、つけ方が問題でありまして、正しくつける、正しくつけよう、あなたも私もそうするんだというような、そういうみんなの気持ちを、一人一人の気持ちを、参加するという、そういうものを促していくようなキャンペーンのあり方ということが非常に大事じゃないかなという気が実はしているわけでございます。人間というのは、参加することによって動機づけられる。シートベルト着用の動機、それを考えたときに、今のような参加していくということ、そういうことの中で、例えばシートベルト着用推進友の会とかなんとか、そんなようなことの組織づくりというようなこともあるいは一つの方法がなという意見もあるようでございます。
 各職場におきましては、安全運転の管理者、さらには運行の管理者が置かれておりますね。そういう組織を通じその推進、そういうこともお互いに参加していくという意味合いにおいては有効ではなかううか。特に大企業の生産現場に働く人々の着用率というのは非常にいいですね。また私は地元のことを申し上げて恐縮なんですけれども、住友金属の和歌山製鉄所、ここはもうこの会社の従業員だけではなくて、この会社に出入りするすべての人はシートベルトをつけませんと構内に入れないですな。もうそれが慣習化されていますね。何の抵抗もありません。あそこに行くのにシートベルトを締めないと恥ずかしい思いです。どうしてそういうことになったのだろうか。つまり、参加していこう、お互いそうなんだという運動というものが起こってきた。上から押しつけられたんじゃない、そういうものにまで昇華されていった結果ではないかな、実はそんな気がしているわけでございます。御参考までに申し上げております。
 そこで、一つお尋ねしておきますが、そうしたシートベルト着用率の向上あるいは定着化を図るという意味におきまして、シートベルト着用のモデル事業所とかあるいはモデル地区とかあるいはモデル路線とか、そういう指定を進められているようですが、その状況あるいはその効果の測定等はいかがですか。
○安藤説明員 シートベルトの着用推進運動を総務庁等を中心に昭和五十年以降、春秋の安全運動あるいは八月のシートベルト着用強調月間等を設けて行っておりますが、そういう月間時には、先生お話しのように、モデル路線あるいはモデル事業所の拡張ということで関係機関に働きかけて、徐々にその数は上がっております。ちょっと手元に数字は持ち合わせておりませんが、一般的にはかなり盛り上がってきつつある、上昇機運にあるというふうに理解しております。
○坂井委員 シートベルト着用の動機ですが、いろんな調査があるのでしょうが、一番多いのは、やはりまず自分の安全のためにというのが多いようですね。それから二番目には、テレビあるいは映画、雑誌、ポスター、パンフレット、そういうものを通じて重要性を知った、だからつけるようになった、これが二番目に多いようですね。それから三番目には、免許更新時の講習を受けて、それでつけるようになった、こういうことが大体平均的な着用の動機の順位のようでございます。
    〔浦野委員長代理退席、永井委員長代理
    着席〕
 いろいろ問題があるようですが、自動車のセールスマンに勧められてというのはゼロだという調査結果もあるようでございまして、シートベルトを締めてくださいよなんてセールスマンが言いますと、すぐ事故を連想するということで、車の販売にはこれはちょっとマイナスですね。ですから、これは言いたがらない、心理的にはこれはわかります。ただ、それでもなお着用率を上げていくということで、国民全体、一人一人がその意識を持つ、参加をしていく、そういう中でセールスマンというのは非常に重要な立場にある。そういう人が積極的にシートベルト着用を呼びかけていくというようなこともやはり考えの中に入れておきませんといけないんじゃないか。同時にまた、車の実際の販売から考えましても、少し長期的な目で見れば、かえってそのことの方が、セールスマンにしても、シートベルトをつけましょう、これが安全ですよ、結果として非常にそれが事故の減少、安全につながっていった、それの方がプラスであるということもあるでしょうから、そういうところもしっかり細かく見て対応していかなければいけないんじゃないか、このように思っております。
 それからもう一つは、やはり先ほど言いましたように、周りの人がみんなやっているから、自分だけがやらないのは恥ずかしい思いがする、これも人間心理の一つだろうと思うのです。周辺がやっていませんと、自分が締めるのは今度は格好悪いのですね。ですから、できるだけ多くの人々が周辺でシートベルトを締めている、そういう状況をつくり上げていく。そのためにはだれがまず率先してやるか。一つは、いかがでしょうな、公用車、公務員の皆さん、我々が率先してやりませんかね。この法律をつくる以上は、少なくとも強制するわけですからね。やっておれば、じゃ、まねてやりましょう、これは身でもっての啓発キャンペーンだろうと思いますね。そういうこともやはり考えていかなければいけないんじゃないか、こう思います。
 それから、若い世代の着用率が非常に悪いようですけれども、全体的な着用率がなぜ悪いか、なぜ着用しないのかという理由は、一番はやはり面倒くさい、それから二番目は窮屈である、それから次は格好が悪いということですね。これは若者に多いようですが、格好が悪い。なるほどあれは格好が悪いのか、あるいはむしろ格好いいなということにならぬものかな。ファッショナブルなシートベルトの開発なんてことになると、それがいいのかどうか私には直ちにわかりませんが、若者の意識に少し格好悪さということをなくすようなシートベルトというものは考えられないものか、この辺も大いに検討の余地のある部分だろうと思います。
 それから、大事なことは、シートベルトが安全であるということを情緒的に訴えたのでは、これは余り効果は実はありません。いただきました「シートベルト着用の効果」、これは、見ますと非常にいいですね。こういう具体性のある、実際にこうだったんだというようなものをより多くの国民といいますか、ドライバー一人一人の目に触れ、これによって啓発されていく、そういうことも大事だと思いますし、同時に、安全ということを医学的に、あるいは生物学的にというのか工学的にというのか、そういう研究の成果、統計的な証拠といいますか、そういうものをわかりやすく、こういう形のものをもっとさらに平易にしたようなもの、そういうPRの仕方はないものだろうか。
 同時に、着用率の追跡調査ということで、死傷率と着用率との関係ですね、やがてこの法ができまして施行される、施行後一定期間事故の統計を分析しまして、着用率と事故との関係を明確にするというような調査をしたらどうだろうか。さらには傷害の種類と程度、これがシートベルト着用によってどのように変化をしてきたか、医学的効果はどうであったか、そういうことの追跡調査をきちんとすべきだと思いますけれども、そういう御検討はされておりましょうか。
○太田政府委員 ただいまの御提案、非常に重要なことだと拝聴いたしたところでございます。法が施行になるという段階になりましたら十分準備をいたしまして、今のような点を踏まえながら所要の分析あるいは調査というものをやってまいりたいというふうに考えております。
○坂井委員 私は、シートベルト着用の法制化ということは大変大きな皆さんの御認識、全くそうだろうと思うのですけれども、つまり、車社会の中で五千万ドライバーと言われますが、一億一千万国民全体が車へ乗って、免許証のない人もみんな車へ乗って、乗せられて走る。もうまさに車というのは国民の足であり、赤ん坊から老人に至るまで、みんながかかわる非常に大事な立法をまさにしようということでございまして、シートベルト着用義務化法律、この立法ができましたらば、これによって本当に死傷者というものがこういうふうに減ったぞということを医学的にも生物学的にも実態的にきちんとして、だからよかったんだ、だからなおこの着用率を上げていこうという国民運動にまで発展させるぐらいの気構えで臨みませんと、またそれだけの価値のある問題だろう、私は実はこう思っているわけでございます。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
 したがって、そういう意味では今言いましたようないろいろなデータをそろえまして、それを分析して、これは警察だけでおくのじゃない。医学的にも各界の専門家、お医者さん初め学者あるいは交通関係の仕事に携わるいろいろな方々、業界の方も結構でしょう、いろいろな専門的な立場の方々を網羅して、そこで専門的にデータを分析し、それがまた医学的にもしっかりと把握されまして、それが次へのPR、キャンペーンに結びつき、さらに効果を高めていく、こういう総合的な取り組みといいますか、連携的な立体的な取り組みが必要だろうと思いますので、ただいま交通局長も御答弁いただきましたが、よりそういう点に留意いただきまして進めていただきたいとお願いをしておきます。
 それから次に、若干問題が変わりますが、タクシーなんですが、今毎日全国で二十五万台ぐらい走っている。いろいろ議論があるようですが、助手席のお客さんにベルト着用を勧めるということでやはりトラブルの心配がされているようです。特に短い区間乗り込んできたお客さんですね。メーターで最初のあれぐらいの区間、そこからそこまでじゃないか、なぜ締めなければいけないのだとか、あるいは酔っぱらいですね。そんなことを考えるとちょっと頭が痛いという運転手さんもおるようでございます。一声か二声かけろというのですが、あのウインドーのどこかにステッカーでも張って、それからテープレコーダーでつけてくださいと流したらどうだろうかというのですけれども、どんなものでしょうか。その辺、心配ないでしょうかね。
○太田政府委員 確かにタクシーの運転者は乗客に座席ベルトを装着させる義務とともに運送を引き受ける義務も有しているわけでございまして、今御指摘のような乗客が座席ベルトの装着を拒否するという場合では、その限りでいわゆる義務の衝突というような状態が出てくるわけでございます。したがいまして、前から御答弁申し上げておりますように、運転者が助手席同乗の客に座席ベルトを装着させるように相当の努力をしていただいた場合には道交法上の責任は問われないというふうに解しているわけでございまして、ここで言います相当の努力というのは具体的なケースによって若干異なるかと思いますけれども、一般的には今お話しのように誠意を持って一声かけていただくということで十分であろうと解釈しているところでございます。
○坂井委員 と申しますのも、多くの外国でタクシーの運転手は除いていますね。除外規定の中に含めておるようでございまして、例えばニュージーランド、ルクセンブルク、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、カナダ・オンタリオ州、西ドイツ、フランス、それからスイス、イギリス、こういう国においては業務走行中のタクシーの運転者は除く、こうなっていますね。それから、これはいただいたもので国際交通安全学会のレポートですが、タクシーの運転者だけではなくて、さらに業務走行中の運搬業者等についても除外規定の中に含めている国がたくさんあります、これは一々読み上げませんが。こういう国々においてタクシーの運転手であるとかトラック運転手、主としてタクシーの運転手ですが、これを省いた理由というのは何なんでしょうか。
○太田政府委員 これは詳しくはわかりませんけれども、乗客の乗りおりに際しまして一々おりていってドアの開閉をするというような業務形態に着目したものであろうというふうに理解されております。
○坂井委員 名古屋に行きますと、あそこは車王国と言われるところだな、さすがだなと感心したとある人が言うのですが、タクシーの運転手さんがほとんどシートベルトをつけておる、プロの運転手が締めるんだから私もという気持ちになりました、これは非常にいい例ですね。そういうようなところに進んでいけば結構だろうと思う。しかし、業務の内容上、タクシーの運転手からすれば煩わしいなという気持ちもなきにしもあらず、ましてさっき言ったような酔客でありますとか短区間のところに乗ってきたお客さんに締めてくれとは言いづらい。無論それもわからぬではない、その辺よく慎重に見ていただきまして、柔軟な対応ですか、とにかく言うなれば四角四面の取り締まりというようなことにならないように十分ひとつ御配慮をいただきたい。
 それで、例えばイギリスなんかの例を見ますと、最初はタクシーの運転手は除外規定に含まれていなかったのですね。タクシーの運転手もその例外にあらず、みんな締めなさい、こういう法律。しかし、後で除外規定の中に含めていますね。そういう例もあるようでございます。いろいろと御研究、御検討されていると思いますけれども、十分その辺も意を用いていただきたいということでございます。
 それから次に、後部座席の問題でちょっとお尋ねしておきたいのですが、フランスが一九七五年に前部座席にシートベルトの装備の義務づけをしておりまして、続いて、これは段階的にあったのですね、三年後、一九七八年には後部座席に義務づけをした、こういう経過をたどっておるようでございます。なぜそうしたかといいますと、衝突のときに運転者が後部座席の同乗者の直撃を受けて死傷する例が二〇%もあったということのようでございます、レポートによりますと。そういうことで後部座席の義務づけをしているようでございます。あるいはイギリス等の例を見ましても、もし後部座席でシートベルトを着用しておれば死亡した人員の七四%が助かっていたはずだというような予測がイギリスでもなされておる。つまり、そういうことになりますと後部座席のシートベルト着用も非常に効果が大きいということのようでございますが、先々のことを申し上げて大変言いづらいのですけれども、また私もまとまった考えはあるわけじゃございません、ございませんが、関係当局、警察庁では後部座席のシートベルト着用については何らかの検討、研究はされておりますか。
○太田政府委員 今お話しのように、後部座席に乗っている方もかなり事故で死亡しているというのは事実でございまして、座席ベルトをしていれば、後部座席の方でかなりの人が助かったであろうというようなことは容易に推測できるところでございます。
 ただ、諸外国の例も今お引きになりましたけれども、問題は、やはり非着用の場合の担保の措置、これを行政処分の点数というような考え方で参った場合に、運転者の人に、後部座席についてまで、そういう後部の人がしなかった場合に自分が責任を負うというのは余りにも酷ではないか。後部座席に乗る人のいろいろ社会的な立場とか、そんなものも関係してくる場合が非常に多うございまして、余り例外を多くするのもいかがかというような点もございますし、諸外国のように罰金というような形で、運転者というものじゃなくて、そこに現に同乗しているその人に対して義務違反ということで制裁を科するという仕組みになれば、後部座席についても今お話しのような制度というものがとりやすくなるのではないか。しかし、さしあたって今の原案のような形で出発をさせていただきまして、それの推移というものを十分見定めた上で、またそういうものについてもあわせて検討してまいりたいというふうに考えております。
○坂井委員 誤解があってはいけません、あえて申し上げておきたいと思います。
 私は、後部座席に今すぐにということでは決してございませんで、むしろこれは慎重にした方がよろしかろうと思っております。ただ、今局長の答弁のとおりで、これからの状況をしっかりよく見ていただきたい。恐らくや、前部座席、高速道路から始まりまして、効果が非常に大きいぞ、だから私も、また私もというような広がりをずっと見せていく、着用率がどんどん上がっていく、そういう過程、段階で、あるいは必然的に、非常に自然な形で、ドライバーの中からそういう後部座席にまでという意識が芽生えてくればそれは大変結構なことであろうというような感じを持ちながら実はお尋ねしたわけでございまして、決して急いでという意味ではございません。
 それで、関係方面の意見も警察庁は随分お聞きになって今回の法改正に踏み切ったということのようでございます。いろいろな反対意見等も中にはあったであろうと思いますが、どうでしょうか、総体的には最終的にもう皆さんが納得されたということのようでございますが、もし反対だという強力な意見があったならば、その反対意見の最たるもの、そういうものはどんな意見だったでしょうか。あるいはどう対応されましたか。簡単にお願いしたいと思います。
○安藤説明員 この改正案をまとめる際に、昨年十二月に交通警察懇談会ということで各界の有識者に約二十八名ほど出席をいただきました。学識経験者あるいは業界代表あるいは自動車関係労働団体代表等の代表者ばかりでございましたが、そのときの論調は、当時の新聞等にもございましたが、基本としては妥当な方向ではないか、ただ、実施に際しては、特にトラックあるいはタクシー業界等から運用の点については十分な配慮をしていただきたいという意見でございました。
○坂井委員 いろいろ細かい要望とかもあったのでしょうが、そういうことに対してはひとつ十分意を用いて、反対といいますか、反対というよりも、これでは困るとか、今後においてもいろいろなことが出てくるだろうと思いますが、それはひとつ謙虚に聞いて、それに対しては柔軟に、かつ、よくそういう実際の運転者の意向というものを尊重するといいますか、そういう形、考えで対応していただきたい。これも要望として申し上げておきたいと思います。
 先ほど申しました着用しない理由に、まず第一番目は面倒くさい、これが一番。二番目に窮屈だ、こう言うのですね。それからずっと聞いてまいりますと、シートベルトを締めるのほかえって危険だ、だからつけません、これが理由。それから次の理由に、自分は安全運転しているんだから、シートベルトなんかつける必要はありません、徹底した安全運転ですから、こう言う。
 この二つの理由というのは、これはもう明らかに間違いですね。誤解も甚だしいですね。これは僕は大問題だなと思いますね。こういう間違った考え方の人が事実いるということ、このいるということはやはり直視しなければいけませんね。これはとんでもない、けしからぬぞと言うんじゃなくて、こういう人たちにあなたのお考えは間違いなんですよということをやはりしっかり教えるといいますか、なるほどそうか、じゃわかった、こうならなければいけませんね。その辺に対してもひとつ配慮いただきたいと思いますね。案外多いのですよ。自分は間違いないんだから、安全運転だから。そうじゃないのです。今の車社会の中で自分がいかに気をつけても、これはいかんともしがたい事故の巻き添えということもあるわけですから。この間、この例も読みながらなるほどなと思って私は感心したのですけれども、急ブレーキを踏んでひっくり返ったり、前の車にぶっつけたというようなのもありますね。何が起こるかわかりませんね。そういう不時のときにシートベルトがいかに自分を守り、また他の車の人の生命も守るか、そこのところをしっかり教えていただきたい、啓発をしていただきたい、お願いをしておきたいと思います。
 それでうんと死傷事故が減ってもらえればありがたいのですが、やはり一般道路の着用率いかんというのが非常に大きなかぎでしょうね。高速道路における大事故というのはシートベルトをつけているのも多いし、むしろシートベルトの効果が歴然と実証されるのは一般道路でしょうね。そういう意味において、一般道路で早く着用率を上げたいというお気持ちは随分おありなんだろうと思うし、また、実は私もそうありたいなと願う一人でありますが、かといって、冒頭申しましたように、余りにも焦って押しつけがましくなってはいけませんよ。その辺は随分配慮しながらですが、しかし何とか一般道路における着用率を上げて、厳然とシートベルトの効果というものがこのようにあらわれたという結果をやはり出したいものだ、こういう気持ちの中から、死者だけではなくて負傷者も減る、重傷が軽傷になる、軽傷が無傷で済む、いろいろな試算があるのだろうと思うのですけれども、どうなんでしょうね、実際この法が施行されて、死傷事故がこれくらいは減るであろうというような、これは希望的観測でありましても、何かそういう一つの目安といいますか、そうありたいなというような数値がありましたら、ひとつお教えいただきたい。
 同時に、死傷者が減るということは、医療でありますとか、救急あるいは保険等々、いわゆる社会的費用が非常に大きく助かりますね。軽減しますね。社会的費用として総額、金額でどれぐらい助かるかというような試算等もありますか。ありましたら……。
○波多政府委員 総務庁におきまして、第四次の基本計画を策定するために必要な調査といたしまして、交通事故発生状況の長期予測に関する調査研究というのを昨年行ったところでございます。その中で、座席ベルトの着装の効果という点につきましても試算をいたしておるわけでございますが、着装率が九〇%になった場合には死者の数につきましては六十五年には二千人程度減る、こういった試算をいたしております。そのほか、重傷のものが軽傷で済むとか、あるいは全体的な社会的な費用といった点につきましては、残念ながらまだデータを持っておりません。
○坂井委員 どうか法施行後、最初申しました追跡調査をしっかりやって、その辺のデータもしっかりそろえていただければ、次へのさらに大きな成果、着用率向上に結びついていくと思いますので、お願いしたいと思います。
 着用率を上げていくということは、さっき言いました教育、キャンペーン。二つ目が法制化、これがそれを担保していく。それから三つ目には、やはり保険の問題があります。これも若干議論されてまいりましたが、保険の問題については、法制化と同時に保険のシステム等を検討して、やはり新しい保険上のシステムで出発すべきではなかったのかという気が実は私はしておりまして、大蔵省あたりでも随分検討されてまいったのでしょう。これはむしろ中長期的な問題だというわけで、今後の検討課題として引き続きいろいろ検討を進められていくのだろうと思うのです。
 例えばスイスの例で見ますと、スイスは第一次強制着用法が施行されたのが一九七六年一月です。それと同時に、スイスは自動車保険の損害担保につきましては変えています。きちんとした規定を設けました。強制着用法施行と同時です。どういうふうな規定がといいますと、着用しながら廃疾、死亡、その場合は保険の支払いは五〇%ふやします。シートベルトを着用していない場合の事故については、過失責任として保険の掛金が五〇%今度はふえる。つまり、保険上のメリット・デメリットでもってシートベルトの着用率を上げていこうというねらいと同時に、やはり着用しながら事故に遭い死傷した場合、着用しないで死傷した場合、あるいは相手の車との関係もあるでしょう、着用しないで相手に危害を与えるようなことになった場合、つまり巻き添え事故を起こしてしまった等々、いろんなケースが考えられるわけでございまして、そういう場合には保険上のメリット・デメリットをうまくそれに対応させておる。
 保険料の割引あるいは割り増し、あるいは補償限度額の引き上げの問題、過失相殺の問題等々、そういうことについて今検討を進められていると思いますが、これをやられますね。私は、保険上の財政は相当助かるだろうと思っているのです。損害保険会社もこれは重大関心事でしょうね。死傷者が減るということになりますと、保険会社はほくほくですから。それでいいのですよ、ほくほくであれば保険料を下げるとか、あるいは不幸にしてシートベルトをつけながらも死傷事故になったという場合には割り増しするとか、いろいろなことを考えなければいかぬと思いますが、その辺の御検討はどうでしょう。
○鏡味説明員 先生から御指摘がありました点でございますが、現在高速道路につきましてはシートベルトの着用が義務化されておりますけれども、高速道路につきましては、任意の自動車保険につきまして搭乗者傷害保険の死亡保険金のほかに特別保険金が割り増しとして支払われる制度になっております。これは高速道路に限定しておりますのは、現在高速道路等において自動車を運転する場合には座席ベルトの装着が義務づけられていて、その確認が警察当局の御協力によって確保されているという点でございます。今般道交法の改正によってこれが一般道路にまで拡大されるということになりますと、道交法改正の具体的実施方法によってその装着の事実が確認されるかどうか、警察当局の御意見も伺いながら、保険制度を拡大していくことを業界において検討するように指導してまいりたいと思っております。
○坂井委員 時間がだんだんなくなってまいりました。はしょりまして、ちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、三ない運動ですね、車は買わない、乗らない、免許を取らないというもの、これはいかがなことですかね。本当に実情を聞けば聞くほど、見れば見るほど、またいろいろな人の意見を聞けば聞くほどに、こんなばかなことを何で今どきなお続けているんだろうかと思って、私は不思議で仕方がないのです。
 文部省、おいででしょうか。三ない運動なんてことはおやめになったらどうでしょうか。今、車社会ですよ。あの年代は車社会の一員としてこれから実動していこうという人たちですよ、十六歳以上の。車社会の中で、車の運転のマナー、規範、ルール、これを守って、お互いに車社会の中で、車は我々の足だけれども、自分の命も大事に、人様の今も大事に、マナーも心得て、安全教育もしっかり受けて、実技もしっかり積んで、そういう中の一員として、我々も、あなた方も一員としてこれからそういう社会に出ていくのですよという積極的な教育をどうしてしないのですか。事なかれ主義、管理主義、それから責任のなすり合い、責任転嫁、それから責任の分散、こんな逆立ちした考え方が今日まかり通っていることが不思議で仕方がない。これははっきりお答えいただきたい。
○下宮説明員 お答えします。
 先生御指摘の二輪車の運転に関するいわゆる三ない運動のような規制は、現在の交通環境等を踏まえ、学校側あるいはPTA、父兄、教育委員会等関係団体の相談の上で、その地域の実情に応じて、生命尊重の観点から交通事故を未然に防ぐために行われている措置でありまして、これは現実的な対応としてやむを得ないものであると私どもは考えておるわけでございます。
 しかしながら、こういった管理的な措置ということだけではなくて、高等学校におきます交通安全教育の必要性は先生御指摘のように大変重要でございまして、私どもも一昨年来生徒用の交通安全教材あるいは教師用の交通安全指導の手引を刊行いたしまして、これを全国の高等学校に配付しているわけでございます。また、こういった資料の配付と並行いたしまして、文部省では五十七年から中央段階で一週間の日程で交通安全教育の指導者養成講座を開設いたしまして研修を行うとともに、その成果をまた都道府県のレベルで浸透させるべく講習会の開催をやっていただいているわけでございまして、今後とも交通安全教育が充実いたしますように努力を重ねていきたいと思っているわけでございます。
○坂井委員 今の文部省の考え方は私はおかしいと思う。講習だとか安全教育をやります、そんなものは三ない運動を実施している学校は受け入れませんよ。そんなもの必要ないのですから。免許は取らない、車は買わない、乗らない、我が校はそれを徹底しております、何でそんな必要があるのですかということで、現実に拒否しているでしょう。あるいは免許を取ったらば、学校側がその生徒に、免許を持ってきなさい、学校が保管しますといって保管するのですよ。そうすると、保管された生徒は自分でまたもう一回免許を取りに行くわけだ。つまり不正取得、免許の二重取り、それで乗っているのです。そんな学校が次から次へあるでしょう。しかも、学校でそんなむちゃなことをするのはけしからぬといって、生徒のボイコット運動まであるのですよ。そんなことが相次いでおる。
 そういう事態に対して文部省が適切な手を打たない。適切な手というのは当たり前のことなんだ。十六歳以上は免許を取得する権利があるのです。取得するのは自由ですよ。学校の生徒だからといって免許を取ったらいけません、そんなばかなことを決めるなんて一体何事ですかと言いたいですね。交通安全というのは、安全のためにこういうふうな交通マナーを守りましょう、講習もしっかり受けましょう、どうして積極的なそういう考え方にならないのか。車から隔離すれば事故は起こらない、こんな短絡的なその場限りの逆転した物の考え方を文部省が持っていること自体が、私は憤慨にたえぬですね。
 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、このことにつきましては機会を改めまして、ひとつしっかり議論したいと思います。終わります。
○小川委員長 次に、玉置一弥君。
○玉置(一)委員 今回、シートベルト法案ということで我々も取り組みを行ってまいりましたけれども、社会党さんが気にされるように、その他非常にたくさん盛り込まれているということもございまして、最後にいろいろ確認をしておきたいと思います。
 まず、一番の問題点でございました車両を保管した場合の処分についてお聞きしたいと思うのです。
 この中の問題点としましては、個人に帰属いたします車両の所有権を勝手にといいますか、ある期間ある手続を設けて所有権の解除をする、そして車両をお金にかえてしまう、こういうことでございまして、法案が出されましたときから一番の問題点になったのではないかと思います。そういう意味で、どういう手続を行われるのかをまず明確にしていただきたいし、その手続上のいろいろな証拠書類といいますか、それをどういうふうに保管されるのか、そしていろいろな業者なり専門知識を有する人の選任についてはどうやっていくのかということを、より具体的に明確にお答えいただきたいと思います。
○太田政府委員 換価処分の手続でございますけれども、遺失物法等多くの法令で定められました手続と同様に、競争入札により売却するというのを原則にいたしております。競争入札に付しましても入札者がない車両につきましては随契ということにならざるを得ないわけでございますけれども、原則はあくまでも競争入札ということでまいりたい。
 それから、車両を売却した後は、売却した車両を特定いたしまして、その経緯を明らかにする一連の書類を残しまして、記録的にも不備が生じないよう、きめ細かな内部処理規定というものをつくってまいりたいと考えております。
 それから、換価処分のための車の入札業者の選定等の問題でございますけれども、これは遺失物法寺他の法令の規定と同様に、今申し上げましたように競争入札でございますが、一般競争入札または指名競争入札ということによりたいと考えております。一般競争入札の場合には、公示を行いまして不特定多数の人の参加を求めて最も有利な価格で申し込みをした者を契約の相手方とするという形になるわけでございますが、指名競争入札の場合には、あらかじめ資力あるいは信用その他について適当と認められます特定多数の参加人を選んでおきまして、その指名された参加人の入札によって競争が行われ、その中から相手方を特定してその者と契約を締結するということになるわけでございます。特に、指名競争入札におきましては特定の業者を選定するということになるわけでございますが、この場合は公平性を担保するために地方自治法あるいは都道府県の規則等で参加資格要件が定められておりますので、これらの規定に基づいて業者を選定するということにいたしたいと考えております。
 なお、入札者のない場合には随契により売却ということにならざるを得ないわけでございますけれども、この場合の業者の選定も入札の際に準じて行うことにいたしたいと考えております。
○玉置(一)委員 政令案の提示をいただいたときに、「現行政令十五条各号に掲げる事項を、当該警察署の掲示板に十四日間掲示すること。」ということで、この公示によって所有者を見出そうということになっているかと思います。そして、公示期間が満了しても知ることができない場合には官報なり新聞なりに掲載をする、こういうことになっておりますけれども、例えば同一府県内で駐車違反車両ということで各警察署に持ってきた場合には比較的見つけやすいと思いますが、盗難車両の場合に、他府県、とても考えられない地域というようなところに出てまいりますと、届け出をされていればいいのですけれども、されていない場合非常に難しいと思うのです。これをどうするのかということ、そして、警察署の前の公示で本当に見つかるかどうかということもお聞きをしたいと思います。
○太田政府委員 当該警察署の掲示板に十四日間掲示をする内容でございますけれども、これは現在の政令の十五条に規定してございます保管した車両の車名とか型式等々、四項目にわたって詳しい内容を掲示をするということになるわけでございます。
 それから、公示の期間が満了いたしましてもわからないというような場合には、その公示の要旨を官報に掲載をする。前にお配りをしておきましたものには「又は新聞紙」ということであれしておりましたけれども、その後いろいろ当委員会での御議論と御指摘等も拝聴いたしまして、この点は慎重の上にも慎重にすべきだというふうに考えますので、官報に掲載をするということに統一をしたいというふうに考えているところでございます。
 それから車につきましては、いわゆる登録ファイルという仕組みが、非常にかっちりしたものができているわけでございます。言うなれば、不動産に準ずるようなその車についての各種の記載事項というものを登載した登録ファイルがあるわけでございます。したがいまして、この押さえました、押さえましたというか、移動保管をいたしました車について、そのナンバープレートがついていれば、まずそれに基づきまして登録ファイルを当たる。それによって登録ファイル上の所有者あるいは使用者というようなものはわかるわけでございますが、これにつきましては警察の組織を挙げて、具体的にその人の所在というものを突きとめていくということにしたいというふうに考えておるところでございます。
○玉置(一)委員 道路でないところで放置してある自動車がございまして、風致上も非常に美観というか、そういう面からもあれですし、子供が遊んで上に上って危ないということもあるが、そういう車は対象にならないと思うのですよ、駐車違反じゃないからということで。今回こういう手続があれば、そういう車も処分できると思うのですけれども、いかがでございますか。
○太田政府委員 今先生も御指摘になられましたように、そういう場所の場合には道路交通法の規定の適用外ということになりますので、態様によりまして清掃関係の法令というものの対象になることがあり得るかというふうに存じます。
○玉置(一)委員 例えば各市町村が清掃のところへ持っていくのが面倒で、道路の方へちょっと移動させれば、これは警察の方で処理していただけるわけですか。
○太田政府委員 形態にもよるわけでございますけれども、特にナンバープレートが既にはがされているというようなものにつきましては、いわゆる駐車違反を行い得るようなまともな車というふうなものとして取り扱うべきかどうかという点については、十分慎重に検討しなければいけないというふうに思います。
○玉置(一)委員 次に移りたいと思います。
 今回の法案の改正の中で原付自転車の運転方法、特に右折の方法についての変更というものがございました。これは事前のお話を聞いておりますと、国際法上の関連があるということでございました。その面についての状況がどうなったか、今まで話がありましたけれども、それを簡単にお願いしたいのと、それから今まで既に保有されております方ももう何百万人というふうにおられるわけで、果たしてこの法律施行になってすぐに皆さんがなじまれるかという心配もあるわけでございますから、この変更後、法律施行の完全な形で実施されるまでの手順、それから啓蒙についてどうされるのか、この辺についてもお伺いしたいと思います。
○安藤説明員 原付の二段階右折でございますが、御指摘のように、現在原付は千四百万台で、二輪と四輪の混合交通で非常な危険を呈しているわけでございます。そういう趣旨からして、広幅員道路では、車線変更をして中心点に寄って右折することの危険性を回避するために、これは日本独特のルールになるわけでございますが、原則三車線以上の広幅員道路については自転車と同様に二段階で右折する、対面交通との接触を避けるという考えから今回とらせていただいた措置でございます。
 なお、施行までの準備といたしましては、交差点によっての横断歩道の移設だとか、あるいはたまり場所あるいは交差点改良を伴う等の、必要な、安全に二段階右折できるような事前の措置は相当講じていかなければならないというふうに思っております。
○玉置(一)委員 家庭の主婦の教育だとか特に高齢者の方の教育だとかというのは、これは今までこの委員会で論議をされてきたけれども、交通安全についてもなかなかうまくいかないというような状況でございまして、本当にある一定期間内でそういう切りかえができるのかなというような心配もあるわけです。
 今回の附帯決議の論議をしている中で、警察当局に対する非常に不信感というか、こういうものがあったのはよく御存じだと思いますけれども、こういうことも踏まえて、取り締まりの各府県警のレベル、これを統一的にやっていただかなければ、ある府県は非常にやさしくというのは変ですが、かなり柔軟な対応ができる、片方では決まったものはしようがないということでびしびしとやるということもあるかと思うのですけれども、こういうことを踏まえて、原付だけではなくてほかのことも踏まえて、警察当局として各府県に対して今回の法改正の中でのいろいろな問題点、あるいは柔軟なというか、運用をやっていく場合にそれぞれの現状に合った形でのこれからの行政のいわゆる執行をお願いしたいと思います。
 この辺について、警察庁長官、今までのいろいろな理事会でのお話を聞いておられると思うので、その点を踏まえてお話をいただきたいと思います。
○鈴木(貞)政府委員 交通行政、これは国民行政と言ってもいいような状況でございますし、また実態から見まして、まさに広域的ですね。今制度的には都道府県警察を中心とする警察行政ということでございますけれども、交通に限りません、あらゆる面において広域的に全国的に広がっている。なかんずく交通問題、これはまさに広域的な立場からやはり全国斉一にやるということが非常に肝要と思いますので、今先生のおっしゃいました点を踏まえまして、警察庁、管区というふうなそれぞれの立場で、全国が斉一に同一の認識とレベルでそれぞれ誠実にやっていくということで指導してまいりたいし、そういうことでやってまいるように努力してまいります。
○玉置(一)委員 再び原付のお話でございますけれども、二段階右折方式になった場合に、交差点の左方に車両が一たん停止をするというような形になるわけでございまして、今までのいろいろな交差点で見ておりますと、原付の人というのは意外と前へ前へ進もうという気がありまして、道路にかなりはみ出てとまるということもあります。右折方法が変わったために、逆に言えば交差点の改良ということをやらなければいけないのではないかというような気がするわけでございまして、この辺について警察庁と建設省とどういう連携をとられて、どういうことを考えておられるか、その辺についてお聞きしたいと思います。
○太田政府委員 二段階右折は、今お話がございましたように原付の非常に多数の方を対象に実施をしていただくというようなこともありますので、当面は片側三車線以上の広幅員の道路、これから実施をしてまいりたい。
 それで、全くの試算でございますけれども、片側三車線以上の道路延長というのは約二千キロぐらいはあるのじゃないか。そこにある交差点というのは、約五千ないし六千ぐらいあるのじゃないか。これはまだ全く腰だめの話で恐縮でございますけれども、かなりの数になるわけでございます。そういうところをまず最初にやってまいりたいというふうに考えておりますが、そうした場合に、今の数千という交差点の中に似、お話しのように片側三車線以上であっても交差点の向こう側に車がたまるというようなことで非常に危険な場所というのもないわけではございません。そういうところにつきましては、交差点の改良というものを含めまして、さらに自転車の横断帯だとか横断歩道の移設あるいは交差点の中に誘導標示を行うというようないろいろなことを考えましてそれで対策を講じていく、これをやるにつきましては道路管理者と十分連携をとってやってまいるという考え方でございます。
 そういうような現場での措置をいろいろ行いましてもなおかつ原付の滞留スペースが確保できないというような場合には、道路標識によりまして、逆に、片側三車線以上であっても二段階右折を実施しない交差点ということではっきりさせてまいりたいというふうに考えておりますが、今御指摘の道路管理者との緊密な連携というのは、各段階におきまして十分これから詰めてまいりたいというふうに考えております。
○布施説明員 建設省といたしましても、従来から交差点を整備していくということは極めて重要だと考えておりまして、道路の建設に際しましては交差道路の交通状況や周辺の状況などに応じまして右左折車線でございますとか変則車線あるいは交通島あるいは隅切りといったようなことを含めました安全、円滑な交通を確保する上の交差点の整備を進めてまいってきているところでございます。また、既存の交差点につきましても、周辺の土地利用状況等からいろいろ制約はございますが、鋭意交差点の改良に努めてきているということでございます。
 私どもといたしましては、交差点の改良というのは単に交差点における交通事故対策というだけではなく、円滑な交通を確保する上でも有効と考えておるところでございまして、今後とも公安委員会等の関係機関と連携を図りながら、さらに改良整備に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○玉置(一)委員 今交差点の話が出ましたので、ついでに交差点のことでお聞きしたいと思います。
 大体事故の六〇%は交差点内で発生しているということが統計上出ておりまして、どこに停車位置があるかという問題、あるいは信号のつけ方の問題、いろいろなことがあるかと思いますけれども、先ほども建設省の方からお話がありましたように、最近ようやく隅切りが通例ということになってまいりましたが、まだまだ十分隅切りができる、あるいはなされてないというところもあるわけでございますし、またいろいろな、今度は民間の建物でございますけれども、それが非常に出っ張ったままになっているということもあります。見通しという問題からいくとまだまだ改良する必要があるのではないか、あるいは道路標識等でかえって見にくくなっているということもございまして、こういう面の現状を十分調査されてもっと改良をやっていただかなければ、徐行をしながらぶつかるということもあるわけでございますから、もっとそういう面での現在の交通量の実態に合わせた対策というものを考えていかなければいけないのではないかというふうに思うわけでございます。
 まずここで一回切りまして、現在の交差点が現状に合っているか、今ちょっとお話しございましたけれども、そういう認識のもとにこれから何をやるべきだと思っておられるか、もう一回要点だけをお願いしたいと思います。警察庁と建設省でございますか、もう一回、今の中でずっと羅列されましたけれども、優先順位もあると思うので、その辺もお伺いしておきたいと思い良す。
○布施説明員 先ほど羅列して申し上げましたものが幾つかございます。右左折車線とか変則車線、交通島、隅切りということを先ほど申し上げました。それぞれ円滑な交通を図る上で重要でございまして、どれということを申し上げるのもいかがかと存じますが、まず交通の処理ということでは右折車線を整備する、キャパシティー確保という意味では右折車線の整備ということが重要かと思います。
 また、先ほど御指摘のございました視距とか、そういう点からいいますれば隅切りというようなものも非常に大きな意味を持ってあろうと思いますし、さらに交差点自体の効率を上げるという意味では交通島というようなものも必要になろうかというようなことでございまして、明快にどれが一番というお答えではございませんが、今申し上げましたような考えですべてを含めた総合的なあり方として考えてまいりたい、かように存じます。
○越智説明員 御指摘のように交差点事故は人身事故でいきまして約六〇%、死亡事故でいきまして全体の四〇%を占めておりまして、交差点事故をいかに抑えていくかが事故防止上の重要な課題になっております。私どもといたしましても、道路管理者の交差点改良等と関連づけながらこの対策をとってまいりたいと思っておりますけれども、大きな交差点につきましては右左折専用レーンというようなものを設置し、進行方向別の通行区分、さらに矢印信号機の整備という形で直進、右折、左折の車を整然と流していくようにするという対策が大事だと思っております。中小交差点につきましては一時停止の位置あるいは横断歩道の場所の点検、これらで安全を確保してまいりたいというふうに思っております。
○玉置(一)委員 交差点付近での車線変更というのがかなり接触事故につながってくるということと、それからいろいろな渋滞を見ておりますと、今までは右折で込んでいたのですけれども、右折、左折のために三車線ありましても結局一車線しか使えないということになっておりまして、かなり左折を無理して渡るというような方も非常にふえているというような感じもありますので、歩道の信号との時間差ももうちょっと大きくとるべきじゃないかというふうに思いますし、今お話がありました左折車線というのはなるべくたくさん設けていただければいいかと思います。
 ただ、幾ら法律で決まっていても、交差点内に入り込んでとまってしまう車両が非常に多いわけですね。前方の車両が通過をしない限り、本来は入れないと思うのです。一番身近なところで日商岩井のそこの前のところがありますが、毎日通っているから気にするのですけれども、大体前にとまられると前に進めないのは当たり前でございまして、これが一歩手前で待つようになればもっと交通の流れというものがスムーズになるんじゃないかというふうに思います。今まで交差点内で停止をして我々自身も余り指導されたことがないということなんですけれども、警察当局として一番簡単なお金のかからないことでございますから、この辺についてどういうふうにされるのか、本当にこれはいいのか悪いのか、その辺について聞きたいのと、それからどうされるのか、この辺について確認したいと思います。
○太田政府委員 特に交差点内にとまっている車というのが最近非常に目につく。昔は黄色の信号になりますとまず交差点の中に入らないというのが非常によく守られていたわけでございますが、最近はむしろ黄色になると慌てて何とか交差点を突破しようというのがふえてきている。全赤というような形で一時的に全部の通行をとめるというようなことが普及してきたというものとの関連もあろうかと思いますけれども、非常に危険な状態でございますので、そういう点については、きちっと守るべきことは守ってもらうということできめ細かく、特に問題のある地点については指導をするという方向で第一線の方にも話をしてまいりたいというふうに考えております。
○玉置(一)委員 同じようなことですけれども、特に交差点付近での駐車が非常に多いということ、それから例えば荷おろしのために二重駐車をするというのもたくさんございます。二重駐車の前の一重目がもう既に違法であるというのが非常に多いわけですね。不思議なのは、我々も時々飲みに行きますけれども、飲みに行くところに何であんなにたくさん車があるのだろうというふうに思うわけです。この辺がどうも、駐車禁止として取り締まる地域とそうでない地域が暗黙のうちに警察の内部にあるのじゃないかというような感じがします。そして逆に、車がほとんど通らない工場街の裏、そういうところでも駐車禁止になっている。そして、住宅街の場合にはいろいろ注文がつくかと思いますけれども、メーン道路でも数分間置いただけで注意されるところと、丸一昼夜置いておいても何でもないというのもあるわけですし、余りにも駐車禁止を全国的に広域にしたためにもう取り締まりができないのじゃないかというふうに思うわけです。逆に、もうそれだけ置かれてあるならば、駐車禁止の解除をもっとやるべきじゃないか。そして、駐車禁止の場所をもっと限定して取り締まりを十分にやるべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでございますか。
○太田政府委員 特に都市部におきます駐車規制については、駐車に対する需要と供給といいますか、それぞれの地域におきます各種の利害というのが複雑に対立というか、介在するという非常に難しい面があるわけでございます。しかし、幹線道路等におきましては、駐車によりまして大きな事故を招く、あるいは道路の持っている効率というものを大きく妨げるというようなこともございますので、これは厳しく規制をしてまいりたい。それから、やむを得ない駐車需要があって、しかも交通環境上支障がなく、短時間の回転が可能であるというようなところにつきましては、極力バーキングメーター等の設置を促進するなどいたしまして、地域実態に合った規制を行うよう各都道府県警察の方を指導してまいりたい。
 駐車の問題については非常に難しい問題があるということは私ども十分認識しておりますけれども、それについて一気に全面的に駐車禁止を解除して云々というのはなかなか難しい面もあるということで御理解賜りたいと存じます。
○玉置(一)委員 例えば交通標識で、駐車禁止のマークというのは全国統一だと思うのです。その同じマークを見ながら、車を一時間以上置いておいても何ともない地域と、十分ほどでべたっと張られる地域とあるわけですね。だから、これ自体標識を変えないといけないと思うのです。
 それと、広範な地域で本当に取り締まりができるのか。やるならばもっと警察官が全員出払って出歩かないとこれはとてもできないと思うのですけれども、現体制で本当にできなければもうあきらめたらどうだろうかと思うのですが、その辺どうですか。
○太田政府委員 もちろん取り締まりが担保になっているということは事実でございますけれども、規制があるということによってそれを規制どおり行動していただくという良識あるドライバーというのが大部分だろうというふうに私ども理解しております。したがいまして、全体的な立場から駐車を規制する必要があるということで規制をかけている、そういう判断に立っているわけでございまして、取り締まりがあるいは今お話しのように区々になるということが全くないとは言えないかもしれませんけれども、やはり基本は、道路なりあるいは地域の環境なり、そういうものを確保するための所要の交通規制であるということで御理解賜りたいと思います。
○玉置(一)委員 先ほども言いましたように、例えば一時間くらいとか三十分くらいとか巡回されていますね。巡回されていましても、標識にはそういうふうに書いてないわけですね、三十分いいですよとか六十分いいですよとか。そういう標識もありますよ。六十分以内の駐車は可というのは六十と書いていますよね。そういうのが書いてなくて、何で今の普通の駐車禁止の標識でいいのか。だから、それは、六十分でよければ全部そういうふうに書きかえるべきじゃないかと思いますね。それから、そうでないところはやはりもっと強く取り締まるべきであるというふうに思いますが、この標識を現状のままじゃなくて、実態に合わせて変えていくということが考えられるか。というか、やらなければいけないと思うのですけれども、これについていかがですか。
○安藤説明員 一台当たりの駐車時間を制限する規制でございますが、実際上この車が三十分あるいは一時間を超えたかどうか張り番をしているわけにもまいりませんので、電波式のいわゆるパーキングメーターを設置して行いますと、制限時間を超えたかどうかが表示で一目瞭然にわかるので、現在はそういう方式を主として採用しているところでございます。
○玉置(一)委員 駐車禁止というのは何分というのがなくて、見つけたらその場で張ればいいのですから、何も猶予する必要はないわけですが、それをやらないのは警察当局の怠慢ですね。それは法的にどうなんですか。行政が若干余裕を持って対応できるようになっているわけですか。
○安藤説明員 一般の駐車禁止は現認し次第明白な証拠がありますので、すぐ張ることができるわけですが、お尋ねの一時間以内はとまってよろしいという規制がありますと、果たしてそれが一時間いたかどうかという確認がとれませんので、現認してからさらに一時間見張った上で初めて違反になるということで、実務担保上なかなか困難な問題があるという点がございます。
○玉置(一)委員 私が言っているのは、普通の駐車禁止の標識で大体一時間くらい可ということになっているということですよ。同じ標識で六十と書いてあっても書いてなくても同じことがやられているんじゃないかということです。
 時間がないので、もう簡単に聞きます。駐車禁止の標識は何分までいいのか、六十と書いてあったら六十でいいのか、それだけ言ってください。そして、六十と書いてないところで一時間も猶予を置いていることがあるのかないのか。
○安藤説明員 法律で定義がありますように、通常の駐車規制は、駐車しておりますことそれ自体でまさに駐車違反になっているわけでございます。
 ただ、一台当たりの駐車時間を制限しての駐車規制もできるということもございますので、そちらの点は先ほど申しました担保措置が難しいということを申し上げたわけでございます。
○玉置(一)委員 よくわからないですね。私が言っているのは、普通の駐車禁止の標識がありながら、今一時間も見逃しているじゃないかということがあります。これはあるのですよ。これがわからないようでは、警察当局として自分のところの所轄の管内の動きが十分把握できてないと思うのです。そして、六十分のところでも同じ処置がとられていますよということです。だから、同じ標識で六十と書いてあればわかるのですけれども、そうじゃない、今お話がありました駐車禁止の標識でも一時間も猶予を持っておる、だからみんな置くようになるのですということなんですよ。だから、そういう規定になっていないわけですから、そういうところはやはりもっと強く取り締まる、あるいは取り締まりをされると支障が出てくるという地域であればその地域と話をして、あるいは交通のいろんな流れから見て標識を変えるべきじゃないか、こういう話をしているわけで、同じ標識でありながら扱いが違う。あるいは片方が六十と書いてあって、片方が書いてないにもかかわらず一時間以内はオーケーだということになっているということが問題じゃないかということを言っているわけで、これについて、時間がなくなりましたけれども、一言だけどういうふうにするのか、お願いしたいと思います。
○太田政府委員 御案内のように、駐車とは車が継続的に停止すること、あるいは運転者が車から離れていてすぐに運転できない状態で停止することをいうということで、人の乗りおりや、あるいは五分以内の荷物の積みおろしのための停止の場合は駐車にはならない、それ以外はすべて駐車になるというのが法律上の解釈でございます。
 それで、今たまたま同じような、片一方には六十分はいいという表示が出ている駐車禁止の標識と、それから何も書いてない標識のところで扱いとして同じようなことになる場合もあるじゃないか、これはおかしいじゃないかというお話ですが、これはたまたまそういう結果が出ていたというだけのことであって、法律上は決して許されていることではない。それがさっき申し上げましたような執行力といいますか、取り締まりの重点の振り向けの一つの結果といたしまして、たまたまそういう状態が取り締まられないで済んでいるというにすぎないということであろうというふうに解釈いたしております。
○玉置(一)委員 当理事会で非常に心配しましたのは、現場の警察官が非常に自由裁量があり過ぎて、規格どおりなかなかいかない。だから、先ほども長官にお願いしたのですけれども、各府県警別にやはり統一した動きをしてほしい。ですから、単なる駐車違反の問題ですけれども、これはこんな時間がかかるとは思わなかったですね。もう二、三分で済むのじゃないかと思ったら、大変かかりましたけれども、やはりそれだけに、同じ標識を同じように守りながら不公平があるということです。
 この辺、十分認識していただいて、例えば我々が暇があれば本当はいろいろ通報しないといけないと思うのですけれども、やはりそのぐらい各警察署管内だけでも差があるわけですから、府県警単位になるともっと差があるということでございまして、今の駐車禁止の問題、これはうそだと思うなら一回びしっと調べていただいて――私もちょっと資料要求しましょうかね。出してください。府県別、場合によっては警察署別にどういう扱いをしているのか、それを一回我々の方も調査さしていただいて、警察の対応がどういうふうになっているかということの一つの事例として、参考にいただきたいと思います。委員長、よろしいですか、資料要求して。
○小川委員長 はい。
○玉置(一)委員 ではお願いします。ということで、終わります。
○小川委員長 次に、辻第一君。
○辻(第)委員 私は、当委員会で四月十七日に営業トラックの交通事故の問題について質問をいたしました。引き続いて、その問題で質問をしたいと思います。
 営業トラックの事故が年々増加をしておる。しかも、重大事故の発生率が高い。また、その起こった事故というのは、非常に悲惨な事故が多いというようなことであります。どうしてもこの問題を解決をする。その原因についていろいろ考えてみるわけでありますが、これは昨年の十一月の運輸白書、「トラック運送事業対策」というところの中に、「約三万五千に上るトラック運送事業者はそのほとんどが経営基盤の脆弱な中小企業であり、荷主に対し取引上弱い立場に置かれることが多い。このため、運賃ダンピング、過積載、過労運転、違法白トラ等のいわゆる輸送秩序の乱れが生じ、問題となっている。」この中に営業トラックの交通事故の原因というのがかなり明らかにされているのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 そういう中で、前回の質問のときには、過積みの問題を警察庁に、また運輸規則、運行規則の中に乗務規制あるいは時間規制を入れるべきではないか、こういうことを運輸省にお尋ねをしたわけであります。そのときに、国家公安委員長の過積みに対する御答弁の中で、「早急に十分な対策をとるように警察庁に指示いたして検討させます。」こういう御答弁がありました。警察庁として、これを受けて早急に十分な対策をとっていただいたと思うのですが、いかがですか。
○太田政府委員 過積載時の現場措置の原則につきましては、先日申し上げたとおりでございますけれども、時間、場所等によりまして原則どおり行うのが非常に困難だということもないではないというところで、この前大臣からも、そういう問題を含めて早急に検討するという御答弁を申し上げたところでございます。しかしながら、この問題は実は非常に重要な問題でございまして、先生から御指摘の諸外国の実情というようなものも参考にしながらその対策を検討しなければいけないということで、そういうふうな幅広い面から現在検討をいたしているという状況でございます。
○辻(第)委員 過積載で同じ日に二度捕まるということについては、これはすぐ十分な対応がとっていただける、こういうことだと思うのです。いろいろな観点から十分な対応をしていただきたいということを申し上げて、次に移ります。
 このような過積みの問題あるいは長時間労働の問題、こういうことも本当に大切な、大事な対策でありますが、そういうことのよって来る背景といいましょうか、原因といいましょうか、これは運輸白書の中にもありましたね。「荷主に対し取引上弱い立場に置かれることが多い。このため、運賃ダンピング、過積載、過労運転、違法白トラ等」こういうふうにあるわけです。今の過当競争の中で、流通コスト等を引き下げるというようなことは企業の中で当然やっていることだと思うわけでありますが、こういうこと、そして荷物が少ないというような状況があります。需給バランスが崩れている。そして弱い立場。こういうことになりますと、それがいわゆるダンピングになってきますね。企業の側から言えば、こういう状況の中でいわゆる採算に乗らないような運賃を強要するといいますか、そういう形になるということも当然考えられますね。
 そういうことで、ここのところを解決しないと、幾ら過積みがだめだ、長時間労働がだめだと言いましても、本来業者も、あるいは労働者も、そういうことをしたくなくても、経営を守る、あるいは生活を守っていくためにはやむを得ずやるというようなことになる側面がありますね。どうしてもダンピング、原価を償えない運賃というような状況、ここのところに基本的にメスを入れなければどうしても解決をしない、こういうふうに考えるわけであります。
 そういう点、運輸省と通産省はどのようにお考えになっているのか、御答弁をいただきたい。
○植村説明員 先生御指摘のとおり、輸送秩序の確立の問題、中でも安全にかかわります過積載の問題でございますとか、あるいは過労運転、またその背景になっておる運賃ダンピング、これは私どもとして非常に重要な問題で、これの防止に努めなければいかぬ、こう思っております。
 御存じのとおり、道路運送法で運賃というのは認可制になっております。上下一〇%の幅を持った、基準運賃から上に一〇%、下に一〇%、合計二〇%の幅を持った運賃でございますけれども、我々としては、その幅の中でいろいろな契約関係が処理されることでいろいろ指導しておる、こういったことでございます。
○山下説明員 通産省の方で荷主の方の立場から御説明さしていただきますと、先生今御指摘のとおり、企業の競争の中でなるべくいいサービスを得たいという気持ちは非常に強いかと思っております。ただ、過積載の問題というのは、既に御承知のように昭和五十六年に各省で対策を決めておりまして、それに基づきまして、私どもといたしましても、問題が起こりそうな荷主の業界に対しましてそういうようなことに配慮しながら対応するようにということを逐次指導しておりまして、最近では四月の時点でも生コンの業界に対して関係課長から指導方を団体に対して要請したような経緯がございます。
○辻(第)委員 運輸省並びに通産省から御答弁をいただいたのですが、それなりにやっていただいているということだと思うのですが、実態はますますダンピングがひどくなってきているという状況だと思うのですね。言うなら戦車にピストルを撃っておられるというような実態ではないか。言い過ぎならごめんなさい。そういうような実態だと思うのですね。どうしてもここで強力なメスを入れない限り、私はこの問題は本当に解決していかないというふうに思うのですね。
 昭和五十六年の八月二十九日に「過積載による違法運行の防止に関する当面の対策について」というのが、これは当時の内閣総理大臣官房交通安全対策室長や警察庁交通局長、それから農林水産省、通産省、運輸省、いろいろな局長、建設省の局長、こういう連名で出されておる。御存じですね。これは大型貨物自動車の過積載による違法運行ということでありますが、その中でもダンプカーということでありますね。非常にこれは強力な対策といいましょうか、その一例で見てみますと、「建設業者に対し、過積載を行っていると認められる資材納入業者から資材を購入しないこと、及び資材の購入等に当たって資材納入業者の利益を不当に害することのないようにすることについて指導に努めることとし、下請建設業者については、元請建設業者を通じてその徹底を図る。」これは一例でありますが、非常に強力な対策ということであります。引き続いて九月四日に運輸省の自動車局長からの通達も出ている、こういうことであります。どうしてもこのような強力な対策を、もちろんこのような関係したいろいろな省庁は少なくともこの程度の規模で十分な対策をとっていただきたい、こういうように思うのですが、いかがですか。
○植村説明員 先生御指摘のとおり、過積み、特にダンプカーの問題というのは大きな問題でございまして、私ども運輸省の立場といいますのは、差し枠の禁止でございますとか、そういった車両の設備面の対策と、それから営業用のダンプカーを使っていただこう、あるいは白ナンバーの場合でありましても合法的な場合はいいわけでございますが、それにつきましてもダンプカー協会に所属する車両を使ってくださいというようなことで、関係の方面には絶えずお願いをいたしておるというところでございます。(辻(第)委員「その点は企業に対する、荷主に対する対応というのは」と呼ぶ)私ども直接荷主様に対して例えば通達を出す等の措置はとっておりませんが、それぞれの関係省庁にお願いをいたして、関係省庁を通じて指導していただく。先ほど通産省さんの答弁にございましたように、折に触れお願いを申し上げまして、所管省庁から関係業界団体の御指導をお願いしておる、こういう実態にございます。
○辻(第)委員 それじゃ、通産省いかがですか。
○山下説明員 先ほど申し上げましたように、先生御指摘の対策を受けまして、通産省といたしましては各所管、そういう問題が起こりそうな業界の所管局長からそれぞれの団体に対して、九月の三十日の前後にかなりの団体に対してそういう決まったことの趣旨をお流しして御協力をお願いするということでやらしていただいております。
○辻(第)委員 それでは交通安全対策室長に要望したいのですが、荷主に対する対策ですね、本当に強力な実効のある対策をぜひとっていただく。そのことについて五十六年にありましたね。こういうことをやる、ぜひ交通安全対策室長がその中心になってやっていただきたい、こういうように思うのですが、いかがですか。
○波多政府委員 御指摘のように、昭和五十六年の八月に申し合わせを行いまして対策を進めておるところでございますが、今後とも現在設置してございます過積載防止対策連絡会議等の場を通じまして、関係省庁と力を合わせまして強力に対策を推進してまいるよう努めてまいりたいと存じます。
○辻(第)委員 具体的にこういうものを出すとか、運輸省からそれに応じた通達を出すとか、そういう点までやっていただけるということにはなりませんか、いかがですか。
○波多政府委員 対策の基本的なものにつきましては、既に申し合わせで定めておるところでございます。それをいかに推進するかという点につきましては、今後さらに検討いたしてまいりたいと存じます。
○辻(第)委員 そして、もう今日物流管理システムというのが非常に発達をしてまいりまして、殊に大企業八重化学工業や素材産業などではこれが非常に行き届いてきているというのが今日の状態だと思うのですね。何時にどこを出発して、どのコースで、そして何時にどこへ着く、どれくらいの品物を載せる、そういうことがちゃんと設定をされて、そしてそれが書類で運輸業者に渡されて、そのコースの上を運輸業者が走っていく、こういうような状況が今日非常に多くなっていますね。こういうことでありますから、その中に過積みの問題であるとかあるいは長時間労働をやらざるを得ないというようなものが含められてやられているという実態があるわけですね。こういうことで、やはりここのところにきっぱりとメスを入れる必要があるのではないか。
 そういうことで、労働組合であります運輸一般が具体的な提案をされておるわけでありますが、私はこの運輸一般の提案をぜひ検討していただきたい、このように思うわけであります。それは、「荷主など輸送依頼者は貸切トラックの利用にあたって、そのトラックの登録番号、最大積載量、輸送トン数と発時間と到着指定時間を記入した輸送状を運転手に渡すことを法律的に義務づける。過積、無理なダイヤを設定した場合、荷主など運送依頼者がこの輸送状により自動的に罰則の適用をうける。」こういう提案をされておるわけであります。この問題につきましては、過日の運輸委員会で我が党の梅田議員が質問をしたところであります。答弁をよく存じているわけでありますが、再度この運輸一般の提案を検討していただきたい、強く運輸省に要望して、時間がありませんので次へ参りたいと思います。
 そして、今一部では規制の緩和やあるいは自由化というような声や論が高まっているということでありますが、今の運送業界の実態というのは、先ほど来触れておりますように非常に深刻な事態ですね。経営危機がどんどん押し寄せてきている。その中で過積みだとか長時間労働だとか、あるいはスピード違反というような反社会的なことをやりながら何とか生き抜けている、そういう側面もあるのですね。
 それで、こういう状況の中で業者やあるいは労働者が本当に今願っている規制の問題というのは、今の経済的な規制は厳密に実施をしていきながら、交通安全の問題であるとか公害であるとかあるいは労働者の権利の問題、こういうことを含めた社会的な規制をさらに強めていくというのがこれらの業者や労働者が本当に願っている規制の問題だ、こういうふうに考えるわけであります。そういう状況の中で、運輸省としてはこの規制の問題についてどう考えておられるのか、どのようにしていこうと思っておられるのか、お答えをいただきたい。
○植村説明員 トラック運送事業に対する規制のあり方につきましては、現在運輸省で検討会をつくって勉強中でございまして、まだ結論が出ておりませんので細かいその方向というものは申し上げられませんけれども、考え方としましては、トラック運送事業は中小零細企業が非常に多い、また労働集約的でもございますし、また活動の場が道路という公共の場でございます。安易に規制を緩和したことが、経済的規制の安易な取り扱いの変化が結果的に交通事故等の発生を招いて、安全問題に影響を与えるということになってはいかぬというあたりを基本的なスタンスにしておりますので、先生の御質問にお答えになりましたかどうかわかりませんが、私どもは社会的規制の問題については非常に大事な問題だという認識で今作業を進めておる、こういうことでございます。
○辻(第)委員 運輸省のお考えをお聞きしたわけでありますが、今のこのトラック業界の置かれている現実の中で、現在の経済規制、これは厳密に実施をしていただいて、そしてなおかつ社会的な規制を強化をしていくということでぜひ対応していただきたい、強く要望をして次に移りたいと思います。
 いろいろ先ほど来お尋ねをしたわけでありますが、原因といいましょうか、背景といいますか、ここのところに本当にしっかりとしたメスを入れて、実効のある対策をぜひとっていただいて、営業用トラックの重大な交通事故が本当になくなっていく、そのために一層の御努力をいただきたいと強く要望をするわけであります。
 次に、五月六日、東京の目黒の環七ですか、その交差点でタンクローリーの横転、炎上という事故がありました。そして六棟が焼けるという大変な交通事故が起こりました。この問題で、私はどうももう一つ合点がいかぬ。非常に低速で運転をしておった。ところがどうなったのか、ブレーキの問題がどうなのか、構造上の問題なのか、横転をするというような問題。それから、ああいうタンク車がトレーラーであるとかセミトレーラーということになりますと、構造上非常に安全性に問題があるのではないか。これは、この関係の労働者から前から言われていたことだったと思うのですが、そういう問題。あるいは横転をしたことでタンクにひび割れが生じて、そして油が漏れて事故が一層大きくなったというようなふうにも聞いているわけであります。
 このタンクローリー車のタンクの安全基準の問題、こういうことをいろいろお尋ねをしたいわけでありますが、あと五分というような時間になってきましたので、そういうところに問題点があるというのは、私気づいたところだけを申し上げて、その辺の点については十分な対応をしていただきたいと強く要望をしたいと思います。
 言うなら、こういうタンクローリーというのはだんだん大型化し、トレーラー化していくということになっているのですね。そういうことになりますと、大きな爆弾が町の中を走り回っているというふうに思うような実態ですね。そういう点で、先ほど言いました問題点も含めてぜひ十分な対応をしていただきたい、こういうように思います。
 この会社がエッソという会社だったようであります。エッソの油を輸送していたということだったのですね。エッソが五十七年六月から入札制度に変えてきたということであります。当時、いろいろ所属県のトラック協会の中でこれは問題だということで、全ト協あたりにも何とか対策をというような声もあったようであります。タンク車というのはほかに転用がききませんね。使用の目的が非常に限定されているわけであります。こういうようなものが入札によってこれまで仕事をしていた人が外されるというようなことになりますと、これはすぐ仕事がかわりがないというような状態になると思うのですね。
 そういうことで、この入札制度というのは、入札制度そのものが問題ということじゃありませんが、こういう特殊なほかに転用がきかないような車、しかも大変危険な仕事、こういう特殊な仕事のところに入札をやるということは、その中には先ほど申しました運賃のダンピングというようなことは当然考えられることでありまして、当時の新聞その他を見てみますと、やはり認可運賃から大きく下回ったところで契約がされたというようなことも聞いております。こういうことになりますと、もちろん経営上の問題もありますが、そのことが安全対策上非常に大きな影響を持ってくると私は考えざるを得ないわけであります。この事故とその入札と直接どうだということではないわけでありますが、大きい観点から見てまいりますとやはり安全上重大な問題がある、こういうように思いますが、このエッソの入札問題について通産省はどのようにお考えになっておるでしょうか。
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 エッソ石油の場合、確かに先生御指摘のとおり石油製品の配送に当たりましては入札によりまして業者の選定を行っておるわけでございます。ただ、契約のやり方につきましては、いろいろな法令の定めるところに従ってその範囲内であれば基本的にはいろいろなやり方があり得ると思いますので、入札だからどうこうということではないと思っております。
 しかしながら、石油類の配送ということになりますと安全の問題についてはやはり十分な配慮が必要でございまして、私どもの聞いておるところによりますと、エッソの場合、入札をするときに道路運送法に基づく認可料金の範囲内ということも含めまして不当な入札のないような条件を課しておる、あるいは現に契約をするときにもそのあたりも十分チェックをしておるというふうに聞いております。
 なお、一たん契約をされますと、先ほど先生が御指摘になりましたように、これが専用の車になるわけでございますから、しょっちゅう変えられたのではやはり運送業者の方もたまらぬということはあると思います。エッソの場合、一たん契約をいたしますと一応四年間の長期契約で運送をお願いしておるというふうに聞いております。
○辻(第)委員 今四年間とおっしゃったのですが、一年というのもあるのではないですか。ですから、最低三年か四年ということはぜひやっていただきたい、こういうふうに思います。一言。
○広瀬説明員 一年というのがあるかどうか、すべてについて聞いたわけではございませんが、少なくとも大変残念ながら事故を起こしたこの契約につきましては四年間の契約というふうに承っております。
○辻(第)委員 終わります。
○小川委員長 次に、永井孝信君。
○永井委員 今までの三日間にわたる審議を通しまして出されました問題、さらに確認をしておきたいこと、あるいはさらに明確にただしておきたいことなどに絞って簡単に質問を申し上げますので、簡単にお答えいただきたいと思います。
 まず第一番に、シートベルト関係について、タクシー運転手など職業運転手が横座席の同乗者にシートベルトを着用させることの限界及び責任の範囲についてどう考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
○鈴木(貞)政府委員 タクシー運転手等職業運転手が助手席に乗客を乗せる場合にありまして、その乗客が座席ベルトを着用するよう相当な努力をすれば、結果的にその乗客が座席ベルトを着用しなくても違反にならないと考えます。
 なお、相当な努力をしたというためには、少なくとも一声かけていただくことが必要であろう、こう思います。
○永井委員 横座席同乗者の義務違反について当分の間処分点数を付加しないとの方針であると聞いておりますが、間違いございませんか。
○鈴木(貞)政府委員 処分点数の付加は、当面高速道路における運転者自身の非着用のみを対象といたします。
○永井委員 一般道路におけるシートベルト非着用者に処分点数を付加することの判断基準について、二点にわたって確認をしておきたいと思います。
 その一つは、着用率がおおむね五〇%に達した段階と言われておりますが、その統計上の数値は何で確認するのか。また、この間における指導取り締まりの方針についてどう考えているのか。
 二つ目は、着用率を高めるためにもシートベルト規格をELR方式に見られるようなものに可能な限り統一するように努力すべきだと思いますが、どうですか。
○鈴木(貞)政府委員 警察庁においては、春と秋の交通安全運動期間及び夏のシートベルト着用強調月間におきまして座席ベルトの着用率を調査しております。この調査において得た数字により五〇%を確認したいと考えております。なお、着用率の状況については適宜本委員会に報告いたします。
 また、この期間にあっては関係機関にも働きかけ、いわば国民運動的にシートベルト着用推進運動を展開していきたいと考えており、指導取り締まりに当たりましても座席ベルトの効用等についての啓発を第一義に考えてまいる所存であります。
 次に、座席ベルトの構造につきましては、装着率を高めるためにはより使いやすいものに改善されていくことが望ましく、そのような観点から、当庁としても関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。
○永井委員 シートベルト着用義務の適用除外に関する政令の具体的対象についてどう考えておられるか、明らかにしてください。
○鈴木(貞)政府委員 適用除外については、まず運転者に関しては、一つ、自動車をバックさせるとき等安全確認のため体を動かす必要があるとき。二つ、身体が著しく大きいか小さいため座席ベルトが装着てきないとき。三つ、疾病等のため座席ベルトの装着が適当でないとき。四つ、いわゆる緊急自動車を運転するとき。五つ、短い区間において頻繁に乗降する業務に従事しており、現に当該業務につき頻繁な乗降が必要とされるとき。例えば清掃車、宅配業務に従事する車、郵便車など特定の区域を分担して業務に従事している車が該当することになります。六つ、突発事案に備えることを内容とする公務に従事しているとき。七つ、公職の候補者が選挙用自動車を運転しているときを考えており、助手席同乗者に関しましてもこれに準拠して考えております。
○永井委員 改正法第七十一条第五号の三のいわゆる空吹かし等の騒音禁止規定について、正当な理由がなく著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音の判断基準及び処分点数の付加についてどのように考えておられるか、明らかにしてください。
○鈴木(貞)政府委員 正当な理由がなく著しく他人に迷惑を及ぼすことになる騒音に当たるかどうかにつきましては、通常の感覚を有する一般人の判断を基準として客観的に認定されるべきものであると考えており、具体的にはいわゆる暴走族またはこれに準ずるような者の乱暴な運転を主として念頭に置いた規定であります。
 違反者に行政処分点数を付加するかどうかについては、なお法制上の問題について検討中であります。
○永井委員 違法駐車車両について売却などの処分をする場合に、所有者の氏名、住所を知ることのできないことを立証し公表することの手続についてどのように対応されるのか、明らかにしてください。
○鈴木(貞)政府委員 所有者等の調査については、陸運支局、自動車税事務所、市役所、自動車販売会社等に対する照会をするなど手段を尽くすとともに、所有者が変遷している場合にはその点を書類上明らかにするとか、あるいは所有者の住所が不明の場合には近親者や知人等を探すとか、または車中に名刺等が残っているような場合にはそれをもとに調査をするとか、手を尽くし、その経緯は書類上明らかにしておきます。
 このように従来以上に万全を期してまいりますが、それでもなお所有者の氏名、住所を知ることができない場合には、警察署の掲示板に十四日間掲示する、なお知ることができない場合には官報に掲載する、これらの処置とともに、保管車両一覧簿を備えつけ、自由に閲覧してもらう、こういった措置を講じてまいる所存であります。
○永井委員 最後に、この委員会でいろいろな立場から質問がされたわけでありますが、その中で、交通警察のあり方についていろいろ問題提起がされました。交通警察というのは、当然のことでありますが、国民の信頼と協力がないと成り立たないと思われるわけであります。今回の改正法の運用に当たりましては、いわゆる検挙主義に陥ることのないよう、現場警察官に対する指導教育が極めて大切だと考えますが、警察庁長官としてお答えをいただきたいと思います。
○鈴木(貞)政府委員 御指摘の趣旨を踏まえまし保て努力してまいりたいと考えております。
○永井委員 以上で終わりますが、まだまだ不十分な点があります。したがって、この法が施行されるまでの間に、さらに問題点については問題とならないように十分な配慮の上にも配慮を重ねた上で最終的にこの法の施行に移ってもらいたいということを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。
○小川委員長 先刻の沢田広君の質問について、行政不服審査権を定めた精神を十分配慮し対応するよう、前向きに検討いたさせます。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○小川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 道路交通法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○小川委員長 この際、本案に対し、浦野烋興君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。永井孝信君。
○永井委員 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読させていただきます。
    道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、本法が国民の日常生活に密接したものであることにかんがみ、その趣旨の周知徹底を図るとともに、特に次の事項について留意すべきである。
 一、座席ベルトの効果と正しい着用方法の広報活動及び締め易い座席ベルトへの改善指導を行う等着用率向上のための施策の推進に努めるとともに、助手席同乗者の着用義務に対する運転者の責務については弾力的運用を図ること。
 二、一般道路における座席ベルトの非着用に対する行政処分点数の付加については、一般道路における着席率がおおむね過半数に達した段階で実施に移すよう配慮すること。
   なお、ベルト着用率の推進状況を適宜当委員会に報告すること。
 三、座席ベルト着用義務化に伴う除外対象については、運転者の利便を考慮し、業務及び日常生活に支障を来さぬよう、その範囲及び取締り対象道路について弾力的な運用を行うよう留意すること。
 四、今回の法改正による取締り規定の運用、特に、空ふかしによる騒音禁止及び初心の自動二輪運転者の二人乗り禁止規定の運用に当たっては、公平性を保ち、いやしくも取締りのための取締りに偏することのないよう、現場警察官への教育、指導に周到な配慮をすること。
 五、違法駐車車両の移動、保管後の措置については、国民の財産権の侵害にならないよう、所有権者等の調査の徹底及び車両価額の評価、売却等の手続きに当たって慎重なうえにも慎重を期すること。
 六、交通事故とりわけ営業用貨物自動車、営業用乗用自動車の事故抑止のため、過積載、過労運転等に対する施策を強力に推進すること。
 七、自動車交通の伸張にかんがみ、道路交通の安全と円滑を図り、快適な交通環境を確保するため、引き続き交通安全施設等整備事業を計画的に推進すること。
  右決議する。
以上であります。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
○小川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 浦野烋興君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、国家公安委員長より発言を求められておりますので、これを許します。古屋国家公安委員会委員長。
○古屋国務大臣 政府は、ただいまの附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、万全の措置を講じてまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○小川委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
   〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後二時十五分散会