第103回国会 商工委員会 第6号
昭和六十年十一月二十九日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 粕谷  茂君
   理事 浦野 烋興君 理事 森   清君
   理事 渡辺 秀央君 理事 後藤  茂君
   理事 長田 武士君
      甘利  明君    尾身 幸次君
      加藤 卓二君    梶山 静六君
      高村 正彦君    佐藤 信二君
      椎名 素夫君    原田昇左右君
      奥野 一雄君    上坂  昇君
      浜西 鉄雄君    水田  稔君
      横江 金夫君    和田 貞夫君
      渡辺 嘉藏君    木内 良明君
      西中  清君    福岡 康夫君
      青山  丘君    横手 文雄君
      工藤  晃君    野間 友一君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  村田敬次郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      金子 一平君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    横溝 雅夫君
        経済企画庁調査
        局長      丸茂 明則君
        通商産業政務次
        官       与謝野 馨君
        通商産業大臣官
        房審議官    松尾 邦彦君
        中小企業庁長官 木下 博生君
        中小企業庁次長 見学 信敬君
        中小企業庁指導
        部長      遠山 仁人君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局国
        際刑事課長   津和 孝亮君
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  伊藤 一実君
        法務省刑事局刑
        事課長     原田 明夫君
        国税庁調査査察
        部調査課長   友浦 栄二君
        社会保険庁医療
        保険部健康保険
        課長      佐々木典夫君
        林野庁林政部林
        産課長     脇元 裕嗣君
        通商産業大臣官
        房審議官    高瀬 和夫君
        運輸大臣官房国
        有鉄道部業務課
        長       荒谷 俊昭君
        労働省労働基準      
        局労災管理課長 松本 邦宏君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 井上 文彦君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       中地  洌君
        商工委員会調査
        室長      倉田 雅広君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○粕谷委員長 これより会議を開きます。
 この際、小委員会における参考人出頭要求に関する件につきましてお諮りいたします。
 流通問題小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取したいとの小委員長からの申し出がありました。
 つきましては、小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選及び日時等について委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○粕谷委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横江金夫君。
○横江委員 ジャパンライフとそれからこの訪問販売ハッピーワールドにつきまして質問してまいりたいと思います。
 とりわけ、ここに日経流通新聞というのがありますが、この日経流通新聞を見てまいりますと、五十九年度全国小売業の総販売額が八十兆円であります。しかるに無店舗販売がそのうちの三兆円でございまして、比率では三・七%になっているわけでありますが、今申し上げましたジャパンライフは、その無店舗販売の中で二位を占めております。また、ハッピーワールドは三十三位で、まさにこの企業ともどもに上位にランクをしているわけであります。ここに載っています。
    〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
 そこで私は、このような急成長をしておりますまずジャパンライフからお尋ねをするわけでありますが、五十四年のジャパンライフの売り上げはたった四億円であります。五十五年が八億、五十六年は四十億、五十七年が八十億、そして六十年、千五百二十億、まさに千億国会業の仲間入りをしようというところでございますが、私は、通産とかあるいは経済企画庁は、この急成長する企業に対して重大な注目も当然しておみえになったと思います。あわせて、この商法に対して疑問を挟んでおみえになったのじゃないかと感じますが、まず第一にここらあたりからお尋ねをしていきたいと思います。
○横溝政府委員 ジャパンライフにつきましては、この国会でも何回か取り上げられておりますし、マスコミでも最近非常に報道されておりまして、私どもとしても関心を持っているところでございますが、被害の状況、苦情の状況でございますけれども、国民生活センターの相談窓口に寄せられましたジャパンライフに関する相談件数は、五十九年度が二十七件、六十年度は十月末現在で二十七件でございます。
 ただ、苦情、相談と分けます。その相談といいますか、問い合わせの部分がかなり多うございまして、苦情というのは十件足らずでございます。かつ、苦情、解約等の問題があるわけでございますけれども、センターが仲介しましてジャパンライフと交渉いたしますと大体解決しているという状況でございますので、その苦情の段階では一応解決されておるわけでございますけれども、大変関心を呼んでいるところでありますし、苦情の実態の究明あるいはこの企業の販売方法等については関心を持っているところでございます。
○横江委員 私は、この商法そのものに疑問をお持ちかということをお聞きしておるわけです。今実態の話が出ましたけれども、実態というよりか被害状況、相談件数の話が出ましたが、この商法そのものにも疑問をお持ちじゃなかったかと思うのですね。
 同時に、先般の質問の中でも局長は、これから、この五十五社の中にも入っておりますし、被害者からいろいろな問題も出てきております、よって、この実態の究明を早急にしたい、これは要注意商法なんだ、こういうことまであなたの口から出ているわけでございますから、私は、要注意商法として実態の把握をどこまでしておみえになるのか、この被害状況ということも含めまして今答弁いただきましたから、その商法の問題につきまして、要注意の商法ということについていま一つお尋ねしておきたいと思います。
○松尾政府委員 私どもといたしましては、このジャパンライフの商法につきましては、契約書類等を取り寄せ、また同社の幹部からも種々説明を聴取いたしておりますけれども、従来の同社の商法の概要につきましては、ジャパンライフが代理店との間で委託販売等を内容とする契約を締結し、次に代理店は販売受託者、これは委託販売店セールスマンと呼んでいるようでございますけれども、それとの間で同じく委託販売等を内容とする契約を締結し、委託販売店セールスマンの方は委託商品の販売実績に基づきまして代理店から手数料を受領するというような内容になっているわけでございますが、このような商法につきましては、私ども例えばマルチ商法のような、いわゆるマルチ商法と呼ばれるものではないかという点についてもチェックをいたしましたけれども、御案内のように訪問販売法上連鎖販売取引と申しますのは幾つかの要件を課しておりまして、その一つは、物品の販売の事業である、販売物たる物品の再販売をする者を特定利益を受け取ることをもって誘引して、第三に、その者と特定の負担をすることを条件とする商品の販売に係る取引とされておりますけれども、このジャパンライフの場合の商法につきましては、再販売ではなく委託販売ということになっておると承知しておりまして、訪問販売法における連鎖販売取引には該当しないと認識いたしているわけでございます。
 しかし、この会社に関しまして私どもの消費者相談室に寄せられる相談件数はやはり毎月数件程度あるわけでございます。ただ、その内容につきましては、先ほど経済企画庁の方からのお答えもありましたが、多くは会社やその商法がどういうものかというような問い合わせもございます。それから解約をしたいのだがどうしたらいいかというような問い合わせもあるわけでございます。そのような問い合わせの内容に応じまして、場合によりましては企業に話を取り次ぎましてあっせんする等の措置を従来とも講じてまいってきたところでございます。
○横江委員 今回、山口会長が社会的な批判を浴びたということで会長辞職をする、今またお話がございました委託販売の問題も中止をする等々の中で、近く通産省は幹部から事情を聞くのだという話でございますが、私は端的にお答えをいただきたいと思います。
 一つは、山口会長は本当にやめるのかどうか。山口会長は過般において参考人として前の会社の場合にここでいろいろな指摘を受けているわけでありますが、ここで参考人の非常に怖さというのか、そういう意味合い等からまいりまして参考人の呼び出しを避けたいということで、会長の辞任は茶番劇じゃないかという話も聞くわけでございます。まさに私自身もそんな感じを持つわけでありますが、まずそこらあたりを一つ。
 それから、彼はジャパンライフの株式を七二%も所有しているということでございますが、会長辞任に際してこのジャパンライフの七二%の株をどうされるのか、処分をしたのかどうかを含めて簡単にお答えいただきたいと思います。
○松尾政府委員 先般御案内のように、ジャパンライフは販売方法の変更等今後の経営の進め方につきまして内容を一新するということで記者発表いたしたわけでございますけれども、その中で確かに山口会長につきましては辞任をするということが明らかにされております。山口さんが現実に辞任をした後どのような行動をとるかということにつきましては、今後会社の成り行きを見ませんとよくわからないところであろうと思いますので、私どもとしては引き続き見守ってまいらなければならないと思っております。
 山口会長の持っております株式につきましては、私ども承知しているところでは、相川社長に預ける、そして山口氏は事業から一切手を引く、こういうふうに聞いているわけでございます。したがいまして、この点につきましてはそのような説明を受けておりますけれども、ただいま申し上げましたように、具体的にそのようなことがどのように会社の事業の中で変化を生じてくるかにつきましては引き続き見守ってまいりたいと考えております。
○横江委員 ここらの問題につきましては、流通小委員会等で参考人のお話もあるようでありますから、また具体的な詰めをさせていただきたいと思っているわけであります。
 ただ、問題としては、今被害者が出ておるのでありますが、新しい販売方式に変える、これが妥当性があるのかどうか、端的に言うならば、在庫の返品については新しい販売方式で許すかどうか、ここらが一番ポイントになると思います。まず、返品に応じるかどうかを明確にしていただきたいと思います。
○松尾政府委員 ジャパンライフの従来の商法は、先ほど申し上げましたように委託販売方式ということになっておりますので、契約の建前の上で申しますと、返品をするというような形のものが流通段階にたくさん存在するということはないはずなんでございますけれども、確かに返品についてのいろいろなトラブルがあるような情報はあります。会社の方にもその点を確かめましたところ、その点については十分対応していくということを申し述べているようでございます。
 私どもといたしましては、法人対法人の取引につきましては基本的には商取引の問題かと存じますけれども、仮に個々の消費者が預かりました商品の返品ができないようなケースがもしあるようでございましたら、今後とも実情を把握の上、会社に対しまして適切な対処をするよう指導いたしたいと考えております。いずれにいたしましても、今後の動向を十分注意深く見守ってまいりたいと思います。
○横江委員 答弁に若干の隘路もありますけれども、対応していくということで、次の方へ移っていきたいと思います。
 このようないろいろな問題を醸し出しておる会社に対して、とりわけマルチまがい商法を取り締まることができない。しかも、自殺者や倒産やいろいろなことがたくさん出てきておるわけであります。上の方だけが下をどんどん働かせて、本当にアリ地獄なんですね。その上だけが暴利をむさぼるような商法に対して、当局が何らかの法的な措置をお考えになっていると私は思いますが、現段階としては法的な措置についてはどのようにお考えでございますか。
○松尾政府委員 先ほど申し上げましたように、今後のジャパンライフの経営の進め方につきましてはまだ具体的な細目も定まっていないわけでございますので、今後内容の具体化がどのようなものになってまいるのかよく会社から事情を聞きまして、問題の生じることのないよう注意してまいるというのが基本的な立場でございます。
○横江委員 法務省にお尋ねしますが、五十八年三月、山口会長は二億六千万円の脱税で懲役二年、執行猶予四年の判決を言い渡されておるわけでございますか。
○原田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御質問のように、昭和五十九年八月にジャパンライフ株式会社及びその役員であります山口氏につきまして、法人税法違反ということで判決になっております。
○横江委員 去年の八月ということでございますね。この場合、法人税の脱税というふうに理解させていただいてもよろしゅうございますか。
○原田説明員 そのとおりでございます。昭和五十五年三月から五十七年二月までの法人税二期分、合計二億六千万余りを免れたという事実で有罪判決になっております。
○横江委員 この判決以降税務調査もきちんと実施されていると私は思いますが、国税庁、それ以降脱税の事実はございませんでしょうか。
○友浦説明員 一般的に申しまして、国税当局といたしましては、新聞、雑誌で報道されている事柄とか国会で論議されました事柄についても重要な情報といたしまして、これらの情報とか税務内部で収集しました資料等を納税者の申告と照合して、問題があると認められるときには実地調査を行うなど適切に対処しております。今お尋ねの法人につきましても、ただいま申し上げました観点から適切に対処をしております。
○横江委員 ここに私は内部告発の資料を持っております。「毎年大型脱税の会社」ジャパンライフと出ております、お読みになれるかどうかわかりませんが。この中にいろいろなことが書いてございますけれども、私はとりわけ脱税部分について指摘をしたいと思うのです。
 ジャパンライフのクレジット信販会社との関係でございますが、それは頭に置いていただきまして、「ジャパンライフの商品売上の回収は約八〇%までがクレジットと推定される。約千億分である。信販会社にはこのため平均二十四ケ月払いとして、二百億円の手数料が入る。通常、信販会社はそのクレジット販売店に裏取引として手数料の六%ほどのBMを支払う。これに従うとジャパンライフは約十二億円の不労収入がある。それはそれとして実際に販売し、クレジット契約をした営業所」――倒産等々で問題になっていますが、「営業所には、一円のバックもない。ないところかそうした仕組みでジャパンライフヘ信販会社のBMがあることを内緒にしている。」なお、クレジット売りが大多数のために、クレジット会社よりバックマージンが営業所に入らず、ジャパンライフヘ全部マル秘で山口会長のところに入金されている。実はこういう「毎年大型脱税の会社」としてジャパンライフのこのような内部資料が出てきておるわけであります。
 私は、毎年きちんと税務調査をしておみえになります国税庁でございますから、手落ちはないと思いますが、今お話しの中のように、国会やあるいはその他の事実関係等の質問とか情報というものは真摯に受けとめて、それも情報としてやっていきたい、こういう御答弁もいただきましたが、どうなんでしょう。この事実につきましては御存じでございましょうか、こういう文書について。
○友浦説明員 ただいま御提示になりました具体的なものについては直接私は存じませんが、先ほど申し上げましたように、国会で御議論になった事柄それから部外の情報、そういったものは十分関心を持って事実調査の際に活用していきたいと考えております。
○横江委員 十分関心を持って調査をしていくということでございますか。
○友浦説明員 そのとおりでございます。
○横江委員 私は、これは事実であるならば脱税間違いないと思うのですよ。
 これは警察庁にもお伺いしてまいりたいと思いますが、信販会社とジャパンライフのバックマージンの項目等も必ずあると私は思うのです。ここらあたり、今お聞きする時間等もございませんけれども、今厳重に調査をするということでございますが、国税庁だけじゃなしに――この人は今執行猶予中なんです。会社をやめたといいましても、今の場合はこれから見ていかなければわかりませんという話もあります。そうであるならば、調査の上で、国税庁そして地検も警察も執行猶予中の方であるということで、それなりに、どうなんでしょう、この事件を担当されました警察庁としては十分な関心をお持ちじゃないのでしょうか。執行猶予中だから関心があるとかないとかじゃありませんけれども、その辺のところは、今この事実を示しましたが、執行猶予中の会長の会社だということも含めて、その関心度についても警察庁から御答弁いただきたいと思うのです。
○原田説明員 御指摘のジャパンライフをめぐりますさまざまの問題が新聞等において報道され、また国会においても御論議がなされておりますが、そのことにつきましては検察当局といたしましては十分承知しているものというふうに考えております。
○横江委員 時間の関係等で前に進みますが、この今の中で私はジャパンライフの政治連盟についてもちょっとお尋ねしたいと思うのです。
 健康産業政治連盟が今何か休業状態だそうでございますが、新聞にも出ましたけれども、五十八年、五十九年、自治省に届け出た収支報告書によりますと、中曽根首相以下何人かの方に政治資金が献金されているわけであります。五十八年、五十九年、特に総理が一千万円という数字も出ているわけでありますが、これは自治省の方、そうなんでしょうか。総理だけで結構でございます。
○中地説明員 お答え申し上げます。
 ただいまの数値につきましてはちょっと確認してございませんので、御了承いただきたいと思います。
○横江委員 これは担当はおたくさんのところだと思いますが、今すぐ確認はできないのですか。新聞では堂々と、五十八年、中曽根総理、一千万円政治献金受ける。会長が執行猶予のダーティーの会社から受けるというそんなことは書いてありませんが、事実受けるということは出ているわけなんです。確認してないということは、どうなんでしょうか。
○中地説明員 政治団体におきます収支報告書につきましては、私たちの方でいただいているわけでございます、そしてまたそれを閲覧にも供しているわけでございますが、何分膨大な資料でございますので、事前にこういう形でというのがないと、私ここに資料を持っておりませんので、そういう意味で確認できませんと申し上げたわけでございます。
○横江委員 大新聞すべての新聞に出ておりますから、これはしかも閲覧されている、事実だというふうに理解してまいります。
 この会社の内部告発の中に――今非常に瀬戸際の状態、どうなるか、再建できるのかどうかという、そういう会社であるわけでありまして、まさに関心が高いわけです。そこで、いろんな政治献金等、政治家の皆さんに出しているようでありますけれども、とりわけ訪問販売法の改正やいろいろなことで守ってもらわなくちゃいけないということも含めながら、ここに出ていることを申し上げますと、法改正を阻止をするとかいろいろな関係等で、この商売を守っていくために中曽根総理に対して、パラオ島にあるこの会社が持っている二十万坪の土地を贈呈をしたということが書いてあるのです。総理はパラオ島へお行きになったかどうか知りませんが、何か仄聞いたしますと、息子さんが行かれたとかどうとかという話もあるようでございますけれども、私は、こういう内部告発の中にこれが出てくるということ、パラオ島は外国でございますから、そんなことは外国のことでわかりません、こういうふうなお話なのかもしれませんけれども、ここらあたりについて、これはもう内部資料を私は渡しますけれども、どうか調査をしっかりしていただきたいと思うのです。
 また私は、この企業が、先ほど申し上げましたように今大変な社会的な批判を受けておる会社でございますが、大臣といたしまして、このような内部告発のうわさが出てきておる、表のいいころかげんのうわさではなしに、内部告発として出てきているというこの事実、この記載されている事実等について、大臣お二人お見えになりますが、この問題のジャパンライフの企業の問題から含めて、ぜひ事態、事実の究明を図るべきだと私は思いますが、どうなんでしょう、大臣として。――大臣にお答えをいただきたいのです。僕は大臣の立場で伺っているのですよ。後で大臣答弁していただけますか。
○松尾政府委員 事務的にあらかじめ答弁させていただきますが、先ほど御指摘のありましたこの会社の商法等につきましては、会社の幹部等から累次にわたって事情は聴取しております。
 御指摘の点につきましては、必ずしも私どもの権限に基づく調査事項というわけではございませんけれども、先生のお尋ねがありましたことにつきましては会社の幹部に確認をしてみたいと思います。その上で、また後刻機会があれば述べさせて、いただきたいと思います。
○村田国務大臣 横江議員にお答え申し上げます。
 今御指摘になりましたジャパンライフの経営実態の問題につきましては調査をさせていただいて、対応をしたいと思います。
○横江委員 次に、私はハッピーワールドに移りたいと思います。
 ハッピーワールドにつきましては、さきに述べましたように、日経流通新聞によれば、無店舗販売ランキング三十三位、五十九年度の売り上げ高が二百四十四億円余りであります。まさに急成長の企業でありますが、この会社の設立そして沿革、まあ輪郭ですね、特にどんな商品を扱い、販売をしておるのか、これはちょっと詳細に御説明をいただきたいと思います。
○松尾政府委員 御指摘のハッピーワールド社につきましては、取り扱っております商品といたしましては高麗ニンジン茶あるいは印鑑、つぼ等につきまして輸入、卸売を行っている企業と承知しておりますけれども、事業内容の詳細に立ち至ってまで承知しているわけではございませんが、ただいま申し上げたような事業を行っていると承知しております。
    〔渡辺(秀)委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
○横江委員 苦情相談等はどうなんでしょうか。
○松尾政府委員 私どもの消費者相談室に寄せられております消費者トラブル事例の中に、御指摘のハッピーワールド社によるものがありますかどうかということになりますと、実はこの会社は、直接消費者への小売を行っているわけではございませんで、間に企業も何段階か介在していることもございまして、この企業の具体的なトラブル事例というのは明らかではございませんけれども、先ほど申し上げましたようなこの会社が扱っておりますような種類の商品、例えば高麗ニンジン茶、印鑑、つぼ、多宝塔、そういった商品に関する訪問販売をめぐるトラブルは私どもの相談室にも寄せられております。
 これらにつきましては個別に相談に応じているところでございますけれども、私どもの相談室の件数の統計の分類上、先ほど申し上げましたような、高麗ニンジン茶、印鑑、つぽといったような細かい商品ごとの相談件数の集計はいたしておりませんので、私どもなりの分類に即した相談件数しか整理できないのでございますけれども、それによりますと、五十九年度には訪問販売の関連の相談件数が千七百四十五件ございましたけれども、今申し上げたような品物が入っていると思われます商品分類といたしまして、文具で五十一件、美術工芸装飾品では四十一件、食料品、飲料では九十九件、この三つを合わせますと百九十一件になろうかと思いますけれども、このような件数になっておりますので、御指摘の点につきましてもこれらの件数に含まれているものと考えられるわけでございます。
○横江委員 ハッピーワールドは輸入とそれから卸売、小売店はいろいろな会社がございます。今、その会社を含めてお話がございましたが、小売店等につきまして、名前をひとつ詳細に挙げていただきたいと思います。
 それから苦情件数でございますが、今一括してお話しになったわけでありますが、六十年、ことしの十月五日に中部七県の中部弁護士会連合会が、「消費者被害の予防と救済にむけて」というシンポジウムを開いています。この中でも、今のあなたの数字とはまるきり違う、七県だけでも五十七、五十八、五十九の三年間で開運商法として八百三十二件、これは明確にしているのですよ。この数字は御存じないのですか。
 いま一つ伺いますが、国民生活センターあるいは市町村センターの窓口等では今ではそのような調査をされておりませんが、五十七年、五十八年には当然あなた方も調査されてその数字は把握してみえる、このように伺っておりますけれども、どうなんでしょう。
○松尾政府委員 先ほど申し上げましたように、ハッピーワ一ルド社は多段階の流通経路を経て消費者の手元に至るわけのものでございますので、私ども、その小売店の段階までの企業の実情については承知いたしておらないのでございます。
 それから、先ほどおっしゃいました弁護士会の関係の相談件数のことにつきましては、恐縮でございますが私ども承知しておりませんが、国民生活センターがかつて調べられた件につきましては、企画庁を通して伺っております。
○横江委員 その数字を示してください。
○横溝政府委員 国民生活センターで昭和五十一年十一月から五十七年十一月まで六年間におきまして、今お話に出ましたような印鑑、大理石のつぼ、多宝塔、この三つの品目につきまして、国民生活センター及び地方の消費生活センターの受け付けました苦情相敵の件数を調べておりますが、これの総件数が二千六百三十三件でございます。
 その後はこういう全体的な調べはしてございませんけれども、国民生活センター分について申し上げますと、印鑑につきましては五十八年度が三十六件、五十九年度は十八件、それからつば、多宝塔につきましては、五十八年度三十九件、五十九年度二十三件という苦情相談がございました。ただ、通商産業省からも御答弁のありましたように、このハッピーワールドという名前での苦情というのは直接には出ておりません。
○横江委員 通産省、ハッピーワールドの傘下の関連の小売店を知らないと言われましたが、本当に知らないのですか。
○松尾政府委員 先ほど申し上げましたように、ハッピーワールド社が扱っております品目に絡んでの消費者の苦情相談があるものという意味で申し上げたのは、その品目に相当する苦情があるということは申し上げられるわけでございますけれども、この苦情のある企業がハッピーワールド社とどういう関係にあるかというのは必ずしも私どもの段階で承知し得ないところでございまして、小売段階まで私どもは把握をいたしていないと申し上げたわけでございます。
○横江委員 ハッピーワールド関連の会社、企業、個人、小売店が当然今のような問題の、例えば経企庁からお話がありました二千六百三十三件にいたしましても、ハッピーワールドそのもの、関連全体で当然この問題が出てきていることは、今私が指摘しなくても十二分に理解してみえる。怒りを感じますよ、知らないなんという言い方は。
 例えば、私はここに持ってきたのですが、開運守護印、これは印鑑なんですよ。この印鑑は大臣、幾らだと思われますか。これはハッピーワールドが外国から輸入をして、販売をする小売店が売っているのですよ。小売店の名前も言えないというのですよ。そんなにしり込みをするのですか、あなた方は。小売店の名前まで言えなくて、被害者の数字とかそういうものがよくわかるものですな。大臣、これで幾らだと思われますか。これは原価は一万円もしないのですよ。これは三百五十万ですよ。こんな暴利は許されますか。これも知らないと言うのですか。三百五十万ですよ。一遍これを見てください、開運守護印です。だけれどもこれを知らないと言って、そんな言い方はありませんよ。
 この印鑑からいろいろなことを含めて千十四万円。私はここに全部領収証も持っておりますけれども、まず印鑑から始まりまして、大理石のつぽからあるいは多宝塔からシャカ塔から表札から一切合財で千十四万。こんな暴利で、それで小売店は知らないなんて、この皆さん方は泣いているのですよ、それで消費者行政と言えますか、あなた。
 ちょっと読まさしてもらいます。若干時間はかかりますけれども、許していただきたいと思います。これは事実だから、訴状を読み上げていきます。
  昭和五八年五月五日の午後、被告佐藤
これは出ていますから、ハッピーワールドの小売店の有限会社白龍、小売店をはっきりと明確にしてください。
  佐藤及び同野村が突然原告方を訪れ、「印鑑の訪問販売のものですが」と申し出た。原告は、現在持っている印鑑で十分間にあっていたため、「印鑑なら結構です。」といったんは断った。
 しかし、被告佐藤らは、「印鑑も大事なことですよ。」と言って帰ろうとせず、「ちょっと手相を見せてください。」「無料であなたの手相を見てあげます。」と申し出た。不安に思った原告が、手相をおそるおそる被告佐藤らに見せたところ、被告佐藤らは、原告の手相を見ながら印相の話をし、「この手相は最悪です。」「あなたが現在使用している印鑑を見せて下さい。」と言った。
 そこで、原告が現在使用している印鑑を見せたところ、被告佐藤らは、「この印鑑は最悪です。この印鑑を使用していると短命に終りますよ。」「早急にこの印鑑を作りかえないと大変なことになりますよ。」などと不吉なことばかりを話し、精神的動揺を受けた原告に対し、言葉巧みに印鑑を注文するよう執拗に勧誘した。
 原告は、現在使用している印鑑はいとこに頼んできちんとしたところで作ってもらったのにおかしいとは思ったが、被告佐藤らに原告方に上りこまれ何時間にもわたって執拗に原告の手相・印相について不吉なことばかり言われたため、精神状態が極めて不安定となり、被告佐藤らのいう印鑑を注文しなければ自分が不幸になるものと錯覚・畏怖し、
この場合は十八万二千円で印鑑を注文した。そして署名、捺印をした。
  その後、五月なかごろ、被告佐藤らから、原告方に電話があり、「五月二八日に先生がきて話をされるから、会って話を聞いてみてはどうか。」「講話会場がわからないのなら、私たちが車でお迎えにあがり、連れて行ってあげますよ。」と言われた。
そして、
  五月二八日の午前中、被告佐藤らが、原告方に車で迎えにきて、原告は講話会場へ連れて行かれた。そして、講話会場において、「杉山先生」と回りから呼ばれている人物に、「あなたの先祖の家系を詳しく言いなさい。」とか「あなたが現在持っている財産を正直に言って下さい。」と尋ねられた。すると、原告の家系についての話を聞いた「杉山先生」なる人物は、原告に対し、「あなたの先祖の供養が足りないため、祖先の霊があなたにとりついており、あなたを不幸にしている。」「あなたは、先祖の霊をきちんととむらっていないので、いまだに幸福になれないのですよ。」と話した。そして、韓国の寺にある「多宝塔」のビデオを原告に見せ、「この多宝塔はあなたの御先祖様が授けてくれたものです。」「あなたに、この五三〇万円の多宝塔が授かった。」「霊の宿っているこの多宝塔を買えばあなたは幸福になれますよ。」と、言葉巧みに、原告に対し「多宝塔」を買うように勧めた。」
 原告は、五三〇万円もの大金であったため、家に帰ってよく考えてみると返事をしたが、「杉山先生」なる人物が、「そのような悠長なごとは言ってられません。」「今、この場で買うのを決めないと御利益がなくなります。」と言ったため、今この場で多宝塔を買わなければ自分が不幸になるものと錯覚・畏怖し、同日、被告会社の「多宝塔」一六号を代金五三〇万円で買う旨の契約書に署名・捺印した。
そしてその杉山という人物から、
  「今日のことは他人に話すと御利益がなくなります。」「絶対他人に言わないと約束できますか。」とも言われた。
そして、六月五日にまた原告は弟のために別の印鑑を、そしてまた表札を買っております。
  六月二〇日ごろ、被告佐藤らから原告方に電話があり、「先生が啓示が出たと言っておられるので、明日、講話会場まで来て下さい。」と言われた。このときも、前回と同様にビデオを見せられ、感想文を書きました。そして先生と呼ばれている人物から、あなたの先祖はまだ成仏をしていない、よってこのシャカ塔を買いなさい、そうすれば悪霊が払われます、このシャカ塔は四百四十万円です、このシャカ塔を買いなさいと言って、これもまた佐藤なる者が銀行へ解約に一緒に行って、そしてシャカ塔の四百四十万円を解約して払わしておる等々の内容がここに詳細に書いてあるわけです。
 そして、今申し上げましたように千十四万、こんな暴利な、べらぼうに高いということで解約に行きましたら、全然話にもなりません、断られております。よって裁判になったという事実でありますけれども、こういう事実が、今私が指摘をしました中部七県におきましても八百何十件、あるいは経済企画庁でも二千六百件等々という大きな数字が出ておるのです。にもかかわらず、その関連の小売店を知らないなんて、大臣、これはどうなんです。わかりませんなんという話がありますか。大臣、この開運商法についてどう思われますか。大臣に聞いていますよ、知らない人に聞いたってあきませんもの。
○松尾政府委員 先ほど御指摘のございました印鑑とかつぽとか多宝塔等に関します消費者トラブルが私どもの消費者相談窓口に参っておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。国民生活センターの内容につきましては先ほど経済企画庁の方からお話がございましたが、私どもの方に参っております苦情にも、先生御指摘があったと類似の、運勢を見てもらって印鑑の購入を勧められて契約したけれども、高い値段なので解除したいとか、家族の不和がなくなるということでつぽを購入させられたが、クーリングオフしたいんだけれどもどうしたらよいかというようなお問い合わせ、苦情がいろいろ参っております。
 これらにつきましては、消費者にこの種の品物を販売した販売店との間で、具体的に通産省といたしまして消費者と企業の間に入りまして個別の案件の解決を図るようにいたしてまいってきておりまして、従来、私どもの相談室に寄せられました案件につきましては、おおむねそのような販売業者への指導、あっせん等を通じて解決が図られてまいってきておりますけれども、今後とも、この種の案件がどのような動きになりますかにつきましては、引き続き注意深く見守ってまいらなければならないと考えております。
○横江委員 ついでにこのつぼも言っておきます。これも先ほど申し上げたとおりなんです。訴状を申し上げたとおりです。ここに領収証、契約書等もございますから、これもまた見ていただければ結構だと私は思います。
 どのような処理や指導をしているかということを伺いたいのでございますが、そのような小売の名前が出てこない。売っている小売店、売っている会社に対して指導している、売っている売っていると言うだけであって、名前が出てこないのですね。売っていると言うんだったら、指導するんだったら名前が出てきてもしかるべきなんです。その辺のところを落として言われるなんというのは私は不思議でしょうがないのです。もっと明確に、小売店をはっきり言いなさいよ。どれだけあるか、地域によって違うのでしょう。それは後から答弁をいただきます。
 それと同時に、ハッピーワールドの委託販売員も非常に事故が多いのですね。例えば、名古屋出身、二十二歳の女性がハッピーワールドの委託セールスマンとしてことしの四月五日、アメリカのカリフォルニアで見知らぬ家に一人で着色卵の訪問販売中、白人男性に乱暴されて殺されたという事件がありました。これはハッピーワールド関連の販売員なんです。それから五十三年には、東京でハッピーワールドの委託販売中、この男性は朝鮮ニンジン茶を訪問販売中に過労で死亡したわけです。当然これらの事件については警察当局は十二分に御承知だと私は思うわけでありますけれども、このハッピーワールド関連の訪問販売、物品販売だけで結構です、それ以外のことは聞こうと思っていません。死亡した場合に、すぐ警察が第一次的に取り扱うわけでありますが、その物品販売の変死の関係の中で、ハッピーワールド関係の委託セールスマンの皆さん方の事例というのは把握しておみえになりますでしょうか、どうなんでしょう。
○伊藤説明員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のような組織に関与する人物の中で、どの程度の人数が死亡等の事故を起こしているかは私ども把握しておりません。
○横江委員 この二人のハッピーワールド関連企業の委託セールスマンということは承知しておみえになるわけですか。
○津和説明員 お答えいたします。
 先生御指摘の米国で殺害されたという案件でございますけれども、当時外務省から御連絡をいただいておりますが、本年の四月五日、米国のカリフォルニア州内のレッドランドという市内におきまして二十二歳になる白人男性によって殺害されたその事実は承知しております。
○横江委員 私も実は一覧表を持っておるのです。例えば自殺だとか異常死だとか持っておりますが、ここではこの発表を省略させていただきたいと思っております。
 そこで、例えばアメリカのカリフォルニア州で殺されましたこの女性の場合についても、特に犯罪の多発地帯であるわけです。しかも夜中に一人で行く。安全についての配慮が欠けておる。あるいはまた、過労で亡くなりましたという東京の委託販売員の場合の例でございますけれども、私はこの人ら二人を見てまいりましても、労働災害にまず間違いないという気がするのです。一体、労働省はこの人たちの労働時間や労働条件、給与あるいは労働保険等については掌握しておるのかどうか、ここらあたり労働省。
 厚生省の関係も、国民年金あるいは国民健康保険の加入状況についてもお尋ねしておきたいと思います。
○松本説明員 御質問の件につきましては、実態は詳しく承知いたしておりませんが、一般的に申し上げますと、委託販売員の場合には労働者性が乏しいと考えられますので、労働関係の法規の保護は受けないケースが多いのではないかというふうに思いますが、もう少し実態を調べてみなければわからないと思います。
○佐々木説明員 健康保険あるいは厚生年金に適用がなるかどうかということでございますが、まさに被用者の関係があるということになりますと、健康保険あるいは厚生年金が適用になるわけでございます。
 一方、今の労働省の御答弁と同じでございますが、労働者性がない場合、つまり使用従属関係があるかどうかということで、ないといたしますと、国民健康保険あるいは国民年金で医療あるいは年金がカバーされる、こんな仕組みでございます。
 一般論としては以上でございまして、個別の今の事案については承知いたしておりません。
○横江委員 先ほど労働省として調査をしたいということでございますが、ぜひ調査をお願いしてまいりたいと思っております。
 そこで最後でございますが、私は特にこのハッピーワールド、国税庁にお尋ねをしていきたいと思っております。
 これまた内部からの資料でございますけれども、国税庁はこの資料は御承知だと私は思うのですが、このハッピーワールド、先ほど申し上げましたように二百五十億になんなんとする年間の売上高だ。これは一体どれだけの五十九年度納税額申告があったのか。公表されておる範囲内で実はお聞きもいたしたいわけでありますが、現実にこの会社が、経理士も脱税の手引きというのか脱税の手口というのか、そういう指導をしておるということもこの内部文書で出てきておるわけであります。
 そこで私は、実際の脱税の手口というのをちょっと読ませていただきたいと思います。これをお聞きいただいて御答弁を賜っていきたい、かように考えております。
 ハッピーワールド関連の脱税の手口です。ここで明らかにしたいのは販売活動における脱税の手口である。下部セールスマン、いわゆる委託販売セールスマンのそのやり方の驚くべき資料である。
 「ハッピーワールドの取扱商品は各々三ないし四つの卸売段階を経て販売されていますが、経理はこれらの卸売会社を別々に考えるのではなく、経理上完全に一つの組織であると考えて下さい。この会計処理のシステムはいかに万物をこの世(社会)に渡さず天の側(ハッピーワールド)に復帰するかという事に基づいています。」「卸売会社を数段階に分けたのは、そもそも利益分散すなわち税務対策のため考えられました。」「登記等により表面に出ている販社、代理店に利益を出さず(税務対策)、個人である委託セールスマンに最終小売値の七〇%を利益として落とします。」「この方法では個人の所得税問題が発生しますから高額所得者となっている委託セールスマンをピックアップしておき、ハッピー本社の定期的な人事異動の時に優先するなり、住民票を地方に散らす等の指示に従って下さい。私達は天の知恵で税務署の目を逃れなくてはなりません。更に委託セールスマンに落とした七〇%の利益はハッピー本社に個人の必要生活費を除いて全額返金するシステムです。」これが実は脱税の手口であります。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
これは国税庁、御存じかどうか、御存じだというふうに考えますけれども。そして先ほど申し上げました原価率、例えば多宝塔の例でまいりますと、原価率が〇・二%、小売倍率が五百倍、販売事例が十万から五千万、しかもそのうちで印鑑の場合に七〇%をそっくり本社へ返す。本社はすばらしい利益になりますね。これはどうなんでしょう。御承知でございましょうか。
○友浦説明員 お答えいたします。
 ただいま先生が御指摘になりました文書のあることは承知しております。これにつきましては、私ども重要な情報と考えておりまして、税務調査に当たってこれらの情報を十分検討の上、適切に対処していきたいと考えております。
○横江委員 この内部文書を承知しておみえになります。これは五十五年に出たものでございます。当然、もう五年余りたっておりますから、その適正な措置もおやりになっておると思いますが、五十九年度約二百五十億円の売り上げでございますが、納税金額というのはお示しいただけますでしょうか。
○友浦説明員 お答えいたします。
 ハッピーワールドの決算期は毎年三月でございますが、ここ三年ほど申し上げますと、五十八年三月期公示されました申告所得金額は五億一千五百万、五十九年三月期、七億二千四百万、六十年三月期、六億二千三百万円でございます。
○横江委員 この納税額と、今申し上げました委託セールスマンが七〇%もその利益を戻すということを承知しておみえになりますけれども、ここらは当然に整合性がございますでしょうか。
○友浦説明員 個々の事案につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、税務調査の上では当然会社の経理内容その他については十分調査をしてまいっているはずでございます。
○横江委員 私は調査というよりか整合性を伺っておりますけれども、これは税務の取り扱い上できないならできないで結構でございます。
 あわせて、春山なる税理士が指導しておる。これは豊田商事と同じような、弁護士ではございませんけれども、経理の関係については指導をしておる。こういう点につきましても御承知でございますでしょうか。
○友浦説明員 先生が御提示になりました資料の中にそのような記述があることは承知しております。私ども国税庁としては税理士の監督の仕事がございますが、その面においてもそういったものを十分参考にさせていただきたいと考えております。
○横江委員 時間もございませんが、私は、税はまさに公平でなくてはいけないと思うのです。このような脱税の手口を堂々と出して、しかもその委託セールスマンの住民票も散らばる、こういう脱税の方式まで明確にしておる、これはある意味では挑戦だというような感じも私はするわけです。この事実の実態、まさに公平でなくてはならないと思いますが、承知をしておみえになりますから、まさに国民が納得できるようにどうぞ逮捕していただきたいということを強く申し上げまして、時間も参りましたから、質問を終わりたいと思います。
○粕谷委員長 これにて横江金夫君の質疑は終わりました。
 続いて、西中清君の質疑に入ります。
○西中委員 私は、当面の景気の現状、そして今後の見通しについて若干の御質問をしておきたいと思います。
 初めに、我が国経済のみならず、世界経済に重大な影響を与える米国経済についてでございますけれども、その動向は、月例報告によりますと、景気は拡大傾向をたどっており、七−九月期の実質GNP成長率は対前期比、年率にして三・三%増となっており、四−六月期の一・九%増を大幅に上回っておる現状でございます。そこで、まず米国における景気拡大の背景と今後の見通しについて、個人消費、設備投資、住宅投資また政府支出、こういった動向を踏まえてお話しをいただきたいと思います。
○金子国務大臣 お話しのとおり、ことしの七月−九月期のアメリカの実質成長率は前期比、年率で四・三%ということで、上期に比べますと大幅に上昇をいたしております。物価も引き続いて落ちついておりますし、雇用情勢は緩やかな改善状況を示しております。
 今後の見通してございますけれども、一つは物価が非常に安定しておること、二つ目には個人消費を中心に内需が緩やかに増加しておりますこと、また三つ目には金利の低下傾向が漸次顕著になってまいりましたことのほか、先般九月に行われました五カ国蔵相会議以降ドル高の是正が急速に進展いたしまして、上期中に景気の足を引っ張っておりました純輸出のマイナス幅が小幅になっておるというようないろいろな状況がございまして、今後緩やかな成長を続けるものと私どもは見ております。
○西中委員 今緩やかな成長を続けるというような御判断でございますけれども、やはりいろいろな見方があると思うのですね。民間のある経済研究所では、来年上半期はマイナス二%程度ではないか、落ち込むのではないか、そして米国の景気は総じて不況色が強まるというように出しております。また、こうした兆候としましては、民間の資金需要が非常に減っておる、さらにまたFRBの短期金利、これは若干低目に誘導しておる、このために消費の下支えがなくなったことなどを挙げておるわけでございますが、こういった状況が表面的に出ておるわけでありますけれども、今の御判断はこういったことを踏まえてなおおっしゃっておるのかどうか、伺っておきたいと思います。
○丸茂政府委員 今後、特に来年にかけましてのアメリカ経済の見通しにつきましては、確かにいろいろな見方が先生御指摘のようにございます。ただ、私どもといたしましては、最近の状況を見ておりますと、今後も来年にかけて緩やかな成長が続くというふうに、今大臣が、申されたとおりに考えております。
 御質問でございますので、その根拠というと大げさでございますが、どうしてそう考えるかということを簡単に申し上げますと、ことしの上半期、アメリカの成長率は先生御指摘のとおり第一・四半期が〇・三、第二・四半期が一・九と非常に低くなりました。ただ、その中でアメリカの国内の最終需要を見ますと、年率にしまして大体五%ぐらいというかなり高い伸びを続けておりました。
 それがなぜそんなにGNPとして低くなったかと申しますと、一つは、御承知のドル高によりまして輸入が大幅にふえ輸出が減るということで海外需要が大きくマイナスになったということでございます。それからもう一つは、在庫調整が昨年の暮れぐらいから進んでおりまして、これが在庫投資の減少という形でやはり景気といいますか、生産の足を引っ張ったわけでございます。
 ところが、七−九月ぐらいになりますとアメリカの輸入の伸びもさすがに鈍化をいたしまして、例えば貿易収支で見ますと、四―六月が約三百八十億ドルの赤字でございましたのが七−九月には三百六十億ドル、わずかでございますが減少しております。といいますことは、海外需要がアメリカ景気の足を引っ張る程度が少し小さくなっているということでございます。それから在庫投資につきましては、まだ七−九月では足を引っ張っておりますが、恐らくこれもそう長くは続かないのではないか。そう考えますと、国内需要の伸びがGNPに反映してくる割合が高くなるというふうに考えられます。
 もちろん、個人消費などにつきましては、自動車の販売がこの七−九月に猛烈にふえまして貯蓄率が下がっておりますので、今後は今までほどは高く伸びないのではないか、設備投資についても従来はどの伸びは示さないのではないかという減速の要因もございますが、今申しましたようなプラスの要因もある。加えまして金利がこのところかなり下がっておりますので、これもある程度の、景気を支えるといいますか、プラスの効果がある。それから、ドル高が修正されておりますので、かなりの期間を経た後には輸出入関係でもアメリカの経済にとって若干のプラスの要因が出てくる、こういう点から今申し上げたような判断をしているわけでございます。
○西中委員 不確定な要素も非常に多いわけでございますし、ドルのレートの問題も大変影響が大きいと思うわけでございますが、今緩やかな成長ということだとすれば、来年度世界経済、また、日本経済にどのような影響が及んでくるか、数値が出ておりましたならば、成長率その他についてお伺いをできればと思います。
○金子国務大臣 今度の円高の傾向が相当長い間持続をすると考えられますので、我が国の輸出は数量ベースではもちろん鈍化していくものと考えております。
 ただ、円高による我が国の国際収支への影響につきましては、ドルベースの輸出価格が直ちに上昇する半面、輸出数量の減少がある程度おくれるというようなことのために、短期的に貿易収支黒字が増加をするいわゆるJカープ効果が出てまいります。しかし、ドル安・円高はいずれ輸出を減少させる一方で輸入を増加させることになりますので、日本の貿易収支の黒字と経常収支の黒字を減少させると考えておりますけれども、それではいつまで、来年はこういった効果が数字的に一体どうなるかということにつきましては、もう少し様子を見ないと結論が出せない状況でございます。今せっかくこういった問題の推移を見守っておる最中であることを申し上げておきます。
○西中委員 せんだってのG5以降、為替市場における円のレートは非常に高くなってきたわけでありますけれども、現在二百円台前半を上下しておる。一方またマルクも二・六マルク台と、いずれもドル安ということで推移をいたしておるわけでございます。
 こうしたドル安の影響はアメリカの産業界では一体どういうように考えており、また影響を受けておるのかという問題でございますけれども、輸入規制論議の際に常に登場する米国キャタピラー社が手放しで評価をしておる、こういうような輸入圧力の材料が減るということで、それなりの評価をし、またアメリカ側にとっては効果のある施策であった、そういうように私たちも見ておるわけでありますけれども、この米国内におけるドル安の影響というものが米国景気の面で一体どういうようにこれから作用してくるのか、こういう問題がこれからの経済にとってやはり大きな影響があると私は思うのです。ここには追い風と逆風というふうに見方が両方に分かれておるわけでありますけれども、政府としてはどちらの説をとるような立場にあるのか、伺っておきたいと思います。
○金子国務大臣 西中先生のおっしゃっておりますように、アメリカ自体にも円高・ドル安を高く評価する向きもございますが、また一面におきましては、現実問題として今すぐ日本の黒字が減るわけじゃございません。先ほど申しましたようなJカープ効果もあって、やはり黒字減らしは一年くらいかかってくるんじゃなかろうかと思います。そういう面での不満というか、日本に対する反発はある程度続くことを私どもは覚悟していかなげればいかぬ。
 ただ、我が国といたしましては、市場開放政策を一層推進するとともに、現在の円高の定着を図って、それを通じて対外不均衡の是正に積極的に取り組んでまいりたい。その一つの大きな手がかりを得た、従来の政策に関連して大きな手がかりを得たと私どもは考えておるわけでございます。
○西中委員 私が先ほどお伺いしたのは、米国経済にとってこの円高が追い風になるのか逆風になるのかということでございます。
○金子国務大臣 もちろんアメリカ経済全体にとりましては、これははっきり申し上げまして追い風になる。従来非常に輸出が減少してまいりましたのが、やっとドルが適正化されまして国内の産業の活性化が図られることになったわけでございますから、輸入に依存すればそれでアメリカ経済は十分満足すべき状況であるという気持ちがだんだんこれから変わっていきますから、そういう意味においてはアメリカ経済の活性化に大きなプラスになると考えております。
○西中委員 逆風説によりますと、金利上昇とかインフレ再発というような問題が取り上げられておるわけでございますけれども、その懸念はないという判断でございますか。
○金子国務大臣 見方がいろいろあるわけでございますけれども、現在の動きを見ておりまする限りインフレもおさまっておりますし、金利もむしろ漸次下がるような状況になってきておりますので、私どもの希望しているような方向に、緩やかではございますが近づきつつあるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
○西中委員 これは二つに意見が分かれておるところでございますから、これ以上お聞きをいたしませんけれども、その辺の観測は今後とも慎重にお願いをいたしたいと思います。
 次に、国内経済についてでございますけれども、鉱工業生産はこのところ一進一退の状況にございます。国内需要が緩やかに増加していることによって全体として景気は緩やかな拡大というのが十一月の月例経済報告だと思うのですが、昨今の新聞報道等によりますと、九月の景気動向指数、一致指数でありますけれども、八月に続いて景気の拡大、後退の分かれ目である五〇%を大きく割り込んでおる、景気は七月をピークに既に下り坂に向かっているというように報ずる向きもございますが、この国内経済の現状と今後の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
○金子国務大臣 我が国経済は、物価の安定する中で景気の拡大が続いておると考えております。最近の動向を見ますと、鉱工業生産は、貿易がだんだん落ち込んできておりますから一進一退の状況にありまするけれども、設備投資は着実に増加し、その他の国内需要項目も極めて緩やかではありまするけれども増加しておる。景気動向は、ばらつきは残っておるけれども、景気全体として緩やかな拡大を今続けておると考えておるわけでございまして、先般の月例報告はそういう結論を出した次第でございます。
 ただ、さきに発表になりました景気動向指数におきましては、御承知のように一致指数が八月、九月と連続して五〇%を下回っております。ただ、景気が転換点に達したかどうかの判断につきましては、DIのみならずいろいろな景気指標の動向から今後総合的に判断すべき問題でございまして、政府といたしましては、景気が転換点に達したとはまだ判断してないわけです。
 ただ、最近の急激な円高が景気の先行きをやや不透明にしておることはもう否定するわけにまいりませんので、政府としましては、DIを含めて、これから内外のいろいろな経済動向に十分注意を払って、必要な対策を講じ、また運営の方針を決めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○西中委員 この円高でございますけれども、当然輸出を抑え輸入を促すという面においては、当初からの、国際収支の黒字抑制の一役を果たす、こういう期待があるわけでありますし、輸出に傾斜しております我が国の産業構造、こういう面から見ますと、これは当然大きなマイナスになるわけでございます。
 ここで、新聞が伝えるところによりますと、各業種によってばらつきがございますけれども、およそ一ドル二百円を超えると黄信号、こういうようなことが伝えられておるようでございますが、政府としてはどういうような見解を持っておられるか、伺っておきたいと思います。
○金子国務大臣 今の問題は大変難しい問題でございまして、大企業は、二百円程度ならばというところもございましょうし、あるいは二百円はもう無理だよというところもございますが、特に中小企業が、やはり先行きに対して相当不安を感じ、また年末対策も、実はきょう通商産業大臣と相談して方針を決めていただいたところでございますけれども、やはり相当厳しいところに来ておるなというふうに私どもは感じておる次第でございます。
○西中委員 そこで、景気の見通しといいますか、実質経済成長率は一体どれぐらいに落ちつくのかという問題でございますが、仮にこのまま一ドル二百円で推移をいたしますと、昭和六十年度はどの程度の成長になるか、また、来年、六十一年度はどの程度の成長になるか、予測をお伺いしておきたいと思います。
○赤羽政府委員 六十年度の経済成長率、それから六十一年度の経済成長率でございますけれども、六十年度の経済成長率につきましては、公式な見通しといたしましては、もうそろそろ一年になりますけれども、昨年の十二月末に閣議了解をし、一月に閣議決定したものがあるわけでございます。その際、為替レートというのは二百四十三円ぐらいで見ておりましたのが、先ほどから御指摘のように、現在のところ二百一円ぐらいの段階であります。しかし、九月の二十日ぐらいまでは、二百四十円とか、あるいは月によりましては二百五十円を上回ると申しますか下回ると申しますか、そういう円安が続いたわけでございますので、今年度の平均ということになれば、せいぜい二百三十円近い段階だ、こういうふうに考えます。
 それから、今二百円になっているわけでありますけれども、この効果は主として半年あるいは九カ月というような時間的な経過を必要とするわけでありますから、六十一年度に出てくる、こういうことだと思います。したがいまして、六十年度の経済見通しに対するこの円高の影響というのは比較的少ないものと考えます。
 ただ、政府の見通しとして決められましたのが、もう既に一年も前のことでございます。経済というのは生き物でございますので、その間に大分情勢の変化はございます。私どもとして、六十年度経済を見ましたときに、四つぐらいの特徴点というのを予想いたしました。
 第一は、外需と内需の関係で、内需中心の経済成長が実現するであろう。それから、第二番目の点といたしましては、内需の中で、家計部門とそれから企業部門、個人と企業でございますけれども、そうした両者の部門別のバランスが、五十九年度よりはバランスのとれた姿になるだろう。三番目の点といたしましては、内需中心ということと裏腹の関係になりますけれども、黒字はふえない。四番目の点といたしましては、物価は引き続き安定ということで予想をいたしました。
 こうしたもののうち、まず第一の内需中心というのは、その方向には参っておりますけれども、しかしながらなお、第三番目の特徴と予想いたしました黒字はふえないというのが黒字がふえておりますので、引き続き外需に依存する度合いは強い。このあたりのところは当初の予想と外れておると思います。
 それから二番目の、内需の中でよりバランスのとれた姿、これは、消費それから住宅投資などの個人部門が回復はしてきておりますけれども、伸びてはおりますけれども、しかし当初の見通しよりは少し勢いが緩い。しかし、これに対しまして、設備投資などはこれまでのところ引き続き着実に動いている、こういうことだと思います。
 それから第四番目の、物価は引き続き安定というのは、想定あるいはそれ以上の安定を示している、こういうことではないかと思います。
 このように、いろいろ出入りはありますけれども、六十年度に関する限りは、成長率ということになれば、当初の見通してございます実質四・六%、そのあたりは十分いくもの、こういうふうに考えております。
 六十一年度の経済成長率の見通しでありますけれども、これはまだ作業しておりません。したがいまして、今後、予算編成の進捗ぶり、内外経済情勢の変化、こういったものをよく見きわめた上でこれから作業をしてまいりたい、こういうふうに考えております。したがいまして、現段階でまだ具体的な数字は申し上げる用意がございません。
 以上でございます。
○西中委員 今回の円高というのは、ある面で言うと、政府、日銀のかつてない強引な操作、これによってつくられたものでございまして、それが実態なんだという言い方もあろうかと思いますけれども、そういった為替操作というものによってやはり景気が犠牲になる、これは景気の維持をどうしても損ねていくものだと考えます。そのために、当然輸出マインドは冷え込みますし、輸出企業の採算は当然下落しますし、中小企業、とりわけ下請の中小企業ということになりますと、そのダメージは非常に大きい、こういうように見ておるわけでございます。
 政府はどういう判断をされておるのかわかりませんけれども、一部では、かつて一ドル百八十円ぐらいの状況の中でも危機を克服したというような経験があるから、こういうような声もありますけれども、一当時と現在とは状況、環境もかなり違っておるわけでございますが、その点、私は傷口は今回の方が大きいのじゃないかと見ておりますけれども、政府の御見解を伺っておきたいと思います。
○金子国務大臣 お話しのとおり、一時円は百七、八十円というような時代もあったわけでございますけれども、今回のは、急速に上がった点がやはり産業界に大きく響いているのじゃなかろうかと思うのです。
 ただ、今回のは日銀等の日本の通貨当局の操作と言われましたけれども、もちろん日本も大いに、円高に持っていくことによって日本経済のパフォーマンスを適切なところであらわしたいという努力をしたことは事実でございますが、一つは、従来アメリカで日本の黒字責任論をとっておったリーガン財務長官にかわりまして、財務長官がベーカーになって、日本の黒字の犯人はアメリカの高金利、ドル高だということを認識した、そのことから、アメリカ自体も本格的に円ドル関係の適正化を図らなければいかぬというかたい決意を持って今度の協調介入に臨んだということが一番大きな、急速な円高の効果を上げた、これは円だけじゃございません、欧州通貨も同じでございますが、そういうふうに私どもは見ておるわけでございます。
 ただ、余り急速に上がりますと、中小企業はもちろんでございますが、特に年末を控えての中小企業の輸出関係の企業も先行き大変いろいろな問題を抱えておりますし、また、大企業といえどもうまくいかないところも出てこようかと思いますので、そこら辺の点は、私ども十分注意しながらこれからの推移を見守ってまいりたいと考えております。
○西中委員 大臣は時間が来ているようでございますから、あと通産省にお伺いしますので御退席いただいて結構でございます。
 そこで、この円高でございますけれども、大手企業はそこそこ蓄積もあり技術力もあり、そういった点でこういった環境に耐え得る、一部例外はありますけれどもこういう状況だろうと思いますが、中小企業は極めて深刻な経営環境に置かれておると思うのです。既に中小企業庁等でも御調査をなさっていると思いますけれども、今どういう状況にあるか、御認識があれば伺っておきたいと思います。
○木下(博)政府委員 九月の終わりから円高化が進みまして以降、特に輸出向けの産地に影響が出ているというような感じでございましたので、そういう産地中心に調査をいたしましたし、また、現在も実情の把握に努めておるわけでございますが、その結果、円高が非常に急速であったということもあって、輸出向け産地で新たな注文がとまっているという産地が非常に多いわけでございます。そのために年末に向けて資金繰りが非常に苦しいというようなことを言っております。
 それと同時に、二百三、四十円のレートがずっと続いていたということもございまして、採算レートとして、こういう産地が考えておりますのは二百二十円から二百三十円ぐらいのレートで考えているのが多いということでございますので、二百円そこそこというレートになりますと、採算割れになるところも大分出てきているというような状況ではないかという気がいたします。それと同時に、下請中小企業に対してもいろいろと影響が出るといけないという感じで実情把握等に努めております。
 そのような状況でございますので、中小企業庁といたしましては、今までいろいろと対策を講じ、例えば中小三機関に対して通達を出す、あるいは下請関係の通達を出すということをやってきたわけでございますが、年末に向かいまして対策の必要性、緊急性が出てきたということもございまして、関係閣僚会議がけさ開かれ、そこで年末の緊急の中小企業特別調整対策というのが決まったわけでございます。
 その内容を簡単に御説明いたしますと、今後引き続き円高に伴う対策等は、所要の対策の検討は進めることといたすわけでございますけれども、とりあえずの年末の緊急対策といたしまして、政府系中小企業金融三機関等による特別融資制度、これは六・八%の金利で今年度いっぱいで一千億程度の融資を行うというような制度を一つ創設いたしました。それ以外に中小企業信用補完制度の弾力的運用あるいは中小三機関の貸付枠の確保、マル経資金の活用というようなものを決定いたしております。
 今後予算を決める時期に入りますので、私ども中小企業庁といたしましては、予算折衝の過程においてさらに対策を考えていきたいと考えております。
○西中委員 関係閣僚会議で年末の緊急対策というものをしていただいた、その御努力は評価をいたしたいと思います。ただ、この急激な円高という一面からいきますとやはり相当なてこ入れが必要だろうし、同時にまた、年末ということを考えますと通常でもそこそこの施策が必要だと思うのです。したがいまして、急激な円高という面では緊急の円高対策、これは中小企業にとられなければならない。
 同時に、この定着を目指しておられるということでございますから、長期とは言わないまでも、いわば将来を見通した円高対策というものが必要ではなかろうかと私は思っておるのです。ですから、緊急対策と、それから将来を見通しての対策、こういう面で若干の御質問をいたしたいと思います。
 今お話をいただいたわけでありますけれども、十一月の七日に我が党としましては村田通産大臣に八項目の中小企業に対する年末の緊急対策の申し入れをいたしておるところでございます。これまでいろいろと御検討いただき、対応をしていただいたと思いますけれども、これについてどういう状況にあるか、御説明をいただきたいと思います。
○木下(博)政府委員 十一月七日に公明党としての中小企業関連年末緊急対策の申し入れをいただいたわけでございます。通産大臣としては、いただいた諸御提案について真剣に考えるようにということで私ども指示をもらっておるわけでございますが、いただきました項目ごとに簡単に私どものとっております考え方、施策を御説明申し上げたいと思います。
 一つは官公需の関係でございますが、官公需につきまして年末に向かってその官公需の発注を拡大するような措置をとるべきではないかというような御提案でございました。これにつきましては、御承知のように官公需法に基づきまして六十年度におきましては三九・五%の契約目標を決めております。それと同時に、その契約目標を達成できるように関係各省との協力関係を非常に深めておりまして、できるだけ中小企業の方々がそういう関係各省の契約を受け得るように進めようということで対応策を進めております。十月の初めには中小企業庁長官の名前で、関係各省のそういう担当者に対してできる限り中小企業に契約をするようにというような文書を出したりしておりますので、そういう形で進めさせていただきたいと考えております。
 それから、下請企業関係につきまして下請企業振興協会等の業務を強化すること、それから下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図ることというような御提案をいただいたわけでございますが、この点につきましては、特に円高によりまして大企業から下請企業に対してしわ寄せが起こる懸念もございますので、公正取引委員会と協議いたしまして、通産大臣と公正取引委員長との連名で六千社の親企業に対する通達を出しておりますし、親企業団体あるいは中小企業団体に対しても、この点下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用についての注意喚起をいたしておるところでございます。
 それから、金融措置につきましては三番目に御提案をいただいておりますが、これは先ほど申し上げましたような形で当面六・八%の融資を行っておるわけでございます。
 それから、大企業が円高による影響を下請企業に転嫁しないよう監視を強化することという点につきましても、先ほど下請関係で申し上げましたのと同じようなことで監視を強化していく措置は公取と十分協議しながら続けていきたいと考えております。
 それから、国民金融公庫等の年末特別金融枠を拡大するとともに貸付条件の緩和を図ること、また、信用保証協会の保証審査期間を短縮することという御提案をいただいております。この点につきましては、今年度の中小金融機関の貸付枠は昨年度に比べまして十−十二月において一五%増ぐらいになっております。しかし、年末に至りまして融資の希望が非常に強いということもございますので、本日の決定を受けまして融資枠の拡大を図るということを考えていきたいと考えております。
 それから、民間金融機関の中小企業に対する融資枠の拡大を図るとともに、選別融資及び歩積み両建て預金を厳しく監視することということでございますが、これは私どもといたしまして常時大蔵省とも協議しながらこういう対策をやっておるわけでございますので、このような金融情勢が厳しくなりますとそういう問題がまた起こってまいりますから、十分対応策を考えていきたいというふうに考えております。
 それから、地域中小企業の振興対策ということについての御提案がございましたが、中小企業庁といたしましては毎年度の予算の中で地場産業振興対策というものを重点の柱の一つとして進めておりますので、来年度の予算の中でもその施策を十分に反映させていきたいというふうに考えております。
 それから、技術革新や情報化に対応して中小企業の技術力の向上を図ること、それから機械の耐用年数の見直しを行うことという御提案をいただいております。技術の開発につきましては、本年度法律を通していただいたということでますます中小企業の技術対策を進めていきたいと考えておりますし、機械設備の法定耐用年数につきましても、従来見直しがなかなか行われてこなかったという事情がありますので、随時その見直しを行うよう私どもとしても大蔵省に働きかけております。この問題につきましては、六十二年度の根本的な税制改正の中で検討が行われるものと私どもは考えております。
 それから、八番目の倒産防止関係についての御提案でございますけれども、倒産防止共済につきましては、本年度法律を修正していただきましてその内容の充実を図ることになっております。手続が遅いじゃないかという御不満も聞いておりますので、私どもは中小企業事業団に対してできるだけ早く手続を進めるようにというふうに言っておりますし、それから、倒産防止相談室の巡回指導につきましては、今回の円高問題との関連におきまして、商工会議所あるいは商工会に対しまして、そういう巡回相談室を設けて中小企業の方々の相談には十分に応ずるようにというようなことで指導を行っているところでございます。
○西中委員 それぞれ対応をしていただいておるようでありますが、さらにまた十分なる手当てを強く要求いたしておきたいと思います。
 ただ、今の御説明の中で一つだけ、わかりましたならばお答え願いたいのですが、政府系中小企業金融機関の年末特別融資枠を拡大したいというお話でありますけれども、どの程度に拡大をお考えか、伺っておきたいと思います。
○木下(博)政府委員 現在、中小関係金融機関に実際の申し込みの状況等を聞いておるわけでございますが、中小企業金融公庫に対する申し込みの希望が非常に強いということがございますので、中小企業金融公庫を中心に五百億円程度の枠の拡大を図りたいということで、現在、大蔵省と話し合っているところでございます。
○西中委員 そこで、官公需の発注拡大という問題でございますけれども、ことしは七月の閣議決定で三兆一千八百四十億円、こういう努力目標を決めておられるわけでありますけれども、上半期、一体どういう状況で推移してきておるのか、前年と比べて進捗状況はどうなのか。さらには、毎年この目標が設定されるわけでありますけれども、若干目標を下回っておるという実績がここ三年ほど続いておるわけでありますが、そういう点ではどのような見通しを持っておるのか、伺っておきたいと思います。
○見学政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、本年度につきましては予算の制約が厳しいものがございましたけれども、各省庁の協力を得て三兆一千八百億ほどの、比率は三九・五%ということで、高目に設定をさせていただいたところでございます。
 実績そのものにつきましては、年度途中でございますので把握自体はされていないわけでございますが、各省各庁におきまして今年度の中小企業に対する国等の契約の方針を踏まえまして、鋭意努力していただいているというところでございます。中小企業庁といたしましても、本年十月初めに長官名によりまして、こういった厳しい状況にもかんがみまして、各省各庁にさらに一層努力していただくべくお願いをしたところでございます。
○西中委員 特段の御努力を要望しておきたいと思います。
 そこで、官公需施策改善検討委員会では昨年の九月以来、官公需施策について検討を重ねてこられまして報告書も出されたようでございますけれども、その検討内容及び改善方向としての結論はどういうようになっておるのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
○見学政府委員 中小企業庁におきましては、昨年九月から庁内に官公需施策改善検討委員会をつくったわけでございまして、本年十月にその報告書がまとまったところでございます。
 その報告書の内容でございますが、特に官公需の適格組合制度の問題あるいは随意契約制度の問題、さらには地方公共団体における官公需施策の問題、官公需の対象範囲の問題、官公需施策の対象機関の範囲の問題、さらには対外経済政策と官公需施策の関係の六点について鋭意審議していただきまして、整理がされたわけでございます。
 その結論でございますが、官公需適格組合制度につきましては、証明基準の改善でございますとか適格組合の審査委員会の設置等が提案されております。
 また、随意契約制度につきましては、いわゆる少額契約制度の限度額の引き上げあるいは事業協同組合等に対します随意契約制度の対象範囲の拡大の可能性につきまして、さらに前向きに検討すべきであるということを報告書でうたっております。
 さらに、地方公共団体の官公需につきましては、国等の契約の方針を地方公共団体に一層周知徹底すること。さらには、都道府県自体におきましてもそれぞれ独自の契約の方針をつくっていただくようにしたらどうか。
 それから、官公需施策の対象機関の範囲につきましては、日本電電が民営化し、たばこ産業ができて民間化したわけでございますが、これにつきましては、ストレートには官公需法の対象とはなり得ないかもしれないけれども、在来の経緯にもかんがみまして、監督官庁からの指導でその辺の充実を図っていったらどうかということでございます。
 それから、対外経済政策と官公需施策との関係につきましては、両施策は両立が可能なところがあるということで、その中で努力しなさい、こういったような内容になっております。
 中小企業庁としましては、これらの諸点について、報告書を踏まえまして官公需施策の改善を図ることによりましてなお一層の受注の機会確保に努めてまいりたい、かように考えております。
○西中委員 我が党では特定品目制度及び適格組合制度の法定化を主な内容とする官公需法の改正案を提出いたしておるところでございます。今適格組合について御説明いただきましたけれども、特定品目制度についてはどういう検討がなされたのか、しなかったのか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○与謝野政府委員 公明党も官公需法の改正案をここ数年間提出されているわけでございますが、私どもといたしましては、基本的には、公明党の考えておられることは毎年閣議決定をいたしております中小企業者に関する国等の契約の方針及び現行法のもとでもその対応が可能であるというふうに考えております。また、官公需施策の推進のためには、法改正というよりむしろ実績を着実に積み重ねていくことが重要であると考えております。
 中小企業官公需特定品目の法制化ということにつきましては、既に毎年度閣議決定しております国等の契約の方針において品目指定を行っております。これは現在織物、事務用品等十品目、細かい分類では二百品目について品目指定を行っているわけでございますが、これに関しましても、発注また落札の情報を提供するとともに、特定品目にかかわります発注に当たってはできるだけ中小企業者を指名することにより既に相当の効果を上げているところでございます。今後こうした努力を積み重ねることによりまして、施策の実施面で着実な実効を確保していくという心構えでございます。
○西中委員 法制化の前に実績を上げていくという、基本的にはそういうお話だと思うのですけれども、まず、報告書でも言われておりますが、市町村や国等の地方支分部局への適格組合制度の周知徹底の前提として制度の法定化が必要ではないかというふうに私たちは考えておるわけです。閣議決定事項が法定化されることによりまして、これに携わる官公需担当官の認識、さらには取り組み、こういったものも違ったものになる、こういうふうに私たちは考えるわけでございますけれども、その点はどうでしょうか。
 さらにまた特定品目、そういったことで実績を上げていく、相当の効果を上げていくというお話でありますけれども、こういったものを適格組合とあわせて法定化することは何らかの差しさわりがあるのかないのか、もしもありましたならばおっしゃっていただきたいと思います。
○与謝野政府委員 先生のお話、御質問にございました適格組合制度につきましても、ただいま御答弁申し上げました特定品目制度の場合と同様、基本的には毎年度閣議決定をしております中小企業者に関する国等の契約の方針、また現行法のもとでもその対応は十分可能でございますし、官公需施策の推進のためには法改正というよりむしろ着実な努力の積み重ねが必要だというふうに考えております。
 したがいまして、官公需適格組合制度につきましては、関係省庁の協力も得まして、適格性の証明の基準、証明体制の改善を図ることによりまして、その一層の活用を図ることが重要だと考えております。
○西中委員 これはやはり一つの閣議決定で決まった、だけれども実際官公需の目標は達成しておらないというのが現状でございまして、やはり法定化することによって認識も改まるし、努力もしていかなければならぬというその取り組みの内容は変わってくると思うのですね。ですから、その辺のところは閣議決定で十分満たされるということはちょっと言いがたい面も残されていると思うのです。そういう点で、我々としてはやはりこの点についてはさらに要求をしていきたいというふうに思っておるのです。
 そこで、一つ例を挙げますけれども、閣議決定されるというこの特定品目、これは一体どういう基準で決めておるのか伺っておきたいと思うのです。むしろこの制度を法定化して、こういった特定品目を、現在の品目そのものを政令で指定する、こういう形の方がよりはっきりするのじゃないか、明確化するのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、その点いかがでありましょうか。
○見学政府委員 特定品目をどういう形で定めておるかということでございますが、中小企業性の高い品物と申しますか業種であって、かっやはり官公需を確保するように決めればそれだけ効果が上がりやすい、需要の伸びが期待し得るという観点から十品目を選んでいるところでございます。
 それから、法制化した方がいいのではないか、何か問題点がないのかということでございますが、これにつきましては、当然効果的には同じだというふうに、例えば十分できるということでやっていきたいと政務次官からお答えいたしましたが、ガットの関係で政府調達に関する協定というのがございまして、二足額以上のものにつきましては国際入札でやるべきである、こういう規定がありまして、それを完全な形で中小企業に確保するために、特定品目について法律で確保するよと正面からうたうことが必ずしも適当ではないんではないかという感じも片っ方でいたします。実質的な意味で閣議決定においてそれを確保していくという方がやや効果的なんではなかろうかというようなことを考えている次第でございます。
○西中委員 まだ納得したというわけにはちょっといかないわけでありますが、時間もあと五分でございますので次に移りますが、さらにまたこれは論議をいたしたいと思います。
 それから今度は、当面の緊急対策は一応お伺いをしたわけでありますけれども、将来を見通して中小企業にどのような施策をしていくのがいいのか、こういったところがやはり問題だと思うのです。今新聞報道ではさまざまな報道がぽんぽんと打ち上げられておりまして、本当に深刻な状況にある中小企業者にとっては、ともかく早く施策をはっきりしたものが欲しいというのがやはり実情だと思うのですね。
 例えば通産省でも、新円高対策法というような、こういう法律案をつくるとか、また一部では、為替差損特別措置法、こういった法律をつくって、円高差益を徴収して中小企業対策の財源に充てようとか、さまざまなあれがございます。それに加えてまた、来年度の概算要求の中でも、国際経済調整対策等特別貸付制度の創設とかいろいろあるわけでございますけれども、通産省として現在、将来を見通しての円高に対する中小企業対策というものは一体どういう形でやろうとしておるのか、改めて一遍整理してお話をいただければありがたいと思うのです。
○見学政府委員 円高等中小企業を取り巻く国際経済が非常に厳しい環境にあるとの御指摘でございました。まさにそういう事態になってきておりますので、既に通産省としましては、来年度の中小企業対策としまして、国際経済調整に伴う特別貸付制度を創設したいということで大蔵省に要求中でございまして、これの予備的なはしりと申しますか、そういう観点から本日、関係閣僚会議でその当面の措置が決まったということは先ほど申し上げたとおりでございますが、来年度に向けましてはさらにこれを充実していくということになろうかと思います
 それから円高が定着いたしますと、これで円高が戻ってしまうというわけではないと思われます。そういう意味では、とりあえずの措置のほか、構造的な意味合いで中小企業対策を考えなければならないというふうに当方は考えておるところでございます。中小企業の事業転換法が来年度失効することになっております。それにつきまして、新転換法といった形で新しい法律を考えたいどいうふうに現在考えているところでございます。
 さらに、円高対策そのものについての法律が必要ではないかというような議論が出てきております。既にそういった状況下にございます。それから前回にも前例がございます。そういった観点から、大臣からも検討を指示されているところでございます。今後、円高法の制定を、必要性も含めて検討をしてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、法律で差益を取ろうという動きが新聞等では報道されておりますが、逆にそういった一種の税金のような形で取る場合には、円安になったときに被害を受けたときにはさらにその方に還元しなければならないという問題も起きますし、軽々に判断しにくい問題だというふうに私どもは思っておるところでございます。
○西中委員 私も、新しい税金の法律はちょっと疑問を持っておるところでございまして、これは慎重な取り組みをしていただきたいと思うのです。
 そこで、大体側説明いただいたのですが、何といっても五十二、三年の円高のときには円高法を制定いたしまして、その対策を執行したわけでございますけれども、今回もやはりそれにかわるべきもの、こういったものが当然必要ではないかというふうに認識をいたしているわけでございます。
 そこで、確認の意味でお伺いしておきますけれども、この五十三年の円高法、これは中小企業にどのような効果をもたらしたのか、御説明をいただければありがたいと思います。
○見学政府委員 御指摘の前回の円高時におきましては、急激な円相場の高騰に対処するため、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法という法律を制定いたしたところでございますが、この法律に基づきまして認定を受けました中小企業者数は約三万八千ということでございました。円高によって事業活動に支障を生じました中小企業者の経営安定、事業転換等に大いに効果があったものと信じております。
○西中委員 先ほどもちょっと御説明がございましたけれども、いわば新円高法というようなもの、こういうものをお考えだと思うのですけれども、これは新聞で、いわゆる金融対策、信用補完、税制上の特例措置、事業転換、この四本の柱でつくっていきたいというようなことでございますけれども、この法律はいつごろ御提出をお考えなのか。結局、余りゆっくりしていただくと困るし、やはり当面いろいろな問題が差し迫っておるわけでありますし、同時に予算も関連してくると思いますので、およその時はわかりますけれども、いつごろなのか、それから前回とられた円高対策、円高法とどういった点が違うのか、御説明をいただきたいと思います。
○見学政府委員 現在、どのような法案内容にするか等についてもまさに検討を開始したところでございまして、どのように違うかというところまで固まっているわけではございませんが、前回の円高法でとられた措置について、可能な限りで同様な措置をとりたいという方向で検討をしているわけでございます。提出時期等につきましては、今後の事態の推移等を慎重に勘案の上、お願いするときはお願いしたいというふうに考えている次第でございます。
○西中委員 もう時間も終わりになりましたが、いわゆる事業転換法及び産地中小企業対策臨時措置法、いずれも来年期限切れになるわけでありますけれども、これらはやはり今の経済環境の中ではなお必要なものではないかというふうに私は判断をいたしておりますが、これについて通産省はどういうように対処されようとしておるのか、これを最後に伺っておきたいと思うのです。
 同時に、一つの結論とも言うべき私の意見でございますけれども、これだけ円高が急激に参りまして、深刻な状況でありますと同時に、既に貿易摩擦という面でアクションプログラムその他いろいろな施策が打ち出されておるわけでございます。その柱は、やはり内需拡大ということが至上命令のように叫ばれておるということでございます。これは当然、将来の日本経済の構造的な問題として、外需依存型から内需志向型へという転換をしなきゃならぬことは言うまでもないことでございますけれども、しかし一面からよく考えますと、日本はやはり資源小国でございますから、結局貿易というものへの依存度が高いものであるということについては本質的に変わらない、こういうように判断をいたしておるわけでございます。
 その際日本は一体何をするのかという問題になりますと、やはり技術開発、外国に比べて先を走る高いレベルの技術開発というものが基本的になければ、日本の経済が立ち行かないということもまた明白だろうと私は思っておるのです。ですから、その辺のところの政策をどういうようにうまくバランスをとりながらやっていくのか、これは本当は大臣に聞きたいところでございますけれども、そういった点の問題について御意見なりお考えがあれば伺って終わりたいと思います。
○見学政府委員 御指摘のように産地中小企業対策臨時措置法という、五十二年、五十四年当時の経済的事情等を反映しまして、それに対処するために制定された法律がございまして、六十一年七月にはこれが失効するという時期を迎えつつございます。しかしながら通産省としましては、地域の中小企業の新商品開発でございますとか、デザインの高度化等を支援する地場産業振興対策の充実強化を図りたいということでございますし、特に後半に御指摘いただきました技術開発の問題、この重要性にかんがみまして、六十年五月に御審議いただきました中小企業技術開発促進臨時措置法、こういった法律もできました。その活用を十分図って中小企業の活性化に努めてまいりたい、こう思っているところでございます。
○西中委員 終わります。
○浦野委員長代理 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十二分開議
○粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 この間内閣委員会のときに、皮革・革靴の市場開放の問題と木材の市場開放の問題について触れたかったわけでございますが、時間がなかったので、きょうは時間をいただきまして、その点についての通産省並びに農林省のお考え方をひとつ聞きただしておきたい、このように思います。
 まず、皮革・革靴の市場開放の問題についてであります。
 既に若杉審議官、北畠文化用品課長がアメリカに赴いておるところでございますが、きょうは十一月の二十九日、あすが三十日で、米側の方から日本の具体な対応の仕方を十二月一日までということを言われておるわけでございますので、もうあす一日しかないわけです。きのうテレビニュース等で、アメリカ政府側に当初日本政府が用意をしておりました総量規制から関税割り当てに移行するという案をお持ちになっていって、それもアメリカに受け入れられなかったので若干の譲歩の姿勢を見せておる、こういう報道がなされておったわけでございます。期限がもう差し迫っておるわけでございますので、どのあたりでどのような内容で合意に至るかということを私自身も非常に関心を持っておりますし、業界の皆さんあるいはそこに働く従業員の皆さん、非常に関心がおありでございますので、この機会に通産の方から今日までの状況の報告をお願いしたい、こういうように思います。
○高瀬説明員 ただいま先生御指摘のアメリカとの間の話し合いの状況でございますが、去る九月に大統領決定が行われまして、三〇一条による対応をアメリカ政府として図るということになったわけでございまして、今それに対応すべく両国政府間での話し合いが続いておりますが、九月に大統領決定が行われましたときの日限が十二月の一日でございました。ところが一日が日曜日に当たるということで、なお話し合いの期限は一日延ばしまして二日までということでございますので、二日いっぱいまだ話し合いの時間が残っておりますが、いずれにいたしましても、基本は関税措置で対応するということでございまして、これの意味するところは、やはり国内産業に実質的な悪影響を与えない、その枠組みの中で今後とも精力的に話し合いを続けていくということでございます。
○和田(貞)委員 具体な内容として第二次関税率を六〇%ということで、皮革につきましても革靴につきましても、日本側の案であったと思うのですが、その第二次関税率をやや引き下げるという、そういう案をお示しになっておるというように漏れ承っておるのですが、そういうことについてはどうですか。
○高瀬説明員 具体的な措置の中身につきましては、現在まさに外交交渉をやっておる最中でございますので、明らかにするわけにまいらないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、基本は国内産業に悪影響を与えないということでございます。したがいまして、そういう今おっしゃったようなことを我々としてはあくまでも避けるということでございます。
○和田(貞)委員 そうすると、その第二次関税率を引き下げるということについては避ける、あるいはアメリカ側の方からどうしても合意に至らなかった場合には報復措置として、報復対象候補四十一品目を挙げて、そのいずれかを対象にするということですが、そのことにも全く触れないで、あくまでも第二次関税率を六〇%、第一次関税率の枠をそれぞれ広げていくということで押し切って合意がされるという見通しですか。
○高瀬説明員 対象に挙げられております四十一品目の問題につきましては、まだ最終的にどういう形になるかという見通しを持つに至っておりませんが、基本はあくまで当初考えましたこの関税措置で対応するということを貫くということでございます。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○和田(貞)委員 ついでにお聞きしておきたいと思いますが、その際、円高がさらに進んでいっているわけですが、円ドルレートを幾らぐらいに想定しての関税率になるのですか。
○高瀬説明員 この円ドルレートの問題につきましては、かつて数年前にやはり日米間でこの皮革の市場開放問題が取り上げられましたときにもかなり円高が進んだというような状況がございます。我々、関係業界とも十分連絡をとりながら、どのあたりのレベルで設定すればいいかということを研究してきたわけでございますが、具体的に幾らというはっきりした計算はございませんが、過去の経験に照らしまして、かなり円高が進んでも十分がわし切れる、そういう考えのもとに今関税措置を考え、それを関係国との間で話し合いを進めておるところございます。
○和田(貞)委員 十二月一日が日曜日であるので、十二月二日ということの期限に一日ずらした。
 そこで、今お聞きいたしますと、かたい決意で臨んでもらっておるのですが、私はいい傾向だと思うのですが、最終の期限までに合意に至らなかったという場合にアメリカ側が、今御報告があったように、通商法三百一条を機械的に発動するという可能性について、強行発動するというような感触はどうでしょうか。
○高瀬説明員 先生がおっしゃいましたはうに、若杉審議官以下、関係局長、部長、課長その他大勢の通産省の幹部が今現地に参って交渉を続けております。確かに話は非常に厳しいものがございますが、そういう事態にならないようにということで、現在も最大限に努力を続けておるところでございます。
○和田(貞)委員 これはそれ以上言いませんが、非常に強い決意で臨んでいただいておるということがうかがわれました。非常に関心の強いところでございますので……。
 これはもともとむちゃな話ですよ。これはどう考えてもむちゃな話です。日米貿易摩擦の全く範疇外の産業のことでありまして、アメリカに何の迷惑もかけておらぬ。むしろアメリカの原皮を多量に日本が輸入しているのですから喜ばなければいかぬ。そういうことで、これ以上後退をするというようなことのないように、今審議官が述べられたそういうかたい決意のもとに、米側を説得して納得させるというように通産としてはなおひとつ頑張ってもらいたいと思いますので、通産大臣、そのことの決意をこの場を通して業界の皆さん方にひとつ話してください。
○村田国務大臣 皮革・革靴の問題、先般の内閣委員会でも和田委員から真剣な御質問をいただき、またきょうの御質問をいただいたわけですが、先ほど来政府委員から御答弁申し上げましたように、若杉審議官が実は私の親書を持って折衝をしておりまして、既にヤイター通商代表と数回、スミス次席代表とも数回会っておりまして、非常な苦労を重ねておるところでございます。現在はヤイター通商代表が休養をとっておりますために、先ほど申し上げましたとおり、十二月一日が日曜日、やがてまた折衝を再開するというふうに報告を受けておりますが、私は、若杉審議官の人格、そして手腕、また誠実さ、そういうものを心から信頼をしておりまして、必ずやよき成果を得て帰ってきてくれるものだ、このように考え、毎日のように報告を受けておるところであります。
 言われました皮革・革靴産業の重要性ということについての認識は和田委員と全く同じでございますので、誠心誠意努力をいたします。
○和田(貞)委員 結構でございます。ひとつ御努力をさらにお願いしたいと思います。」なおこの機会に。この皮革・革靴産業というのはそれぞれの地域の中小の地場産業でありますし、それとあわせて、やはり被差別部落の特有の歴史的な産業であるわけであります。これが完全自由化ということになりますと、この産業のすそ野というものは非常に広いわけでございまして、零細な加工業者もありますし、零細な中小企業者もありますし、そこに働いておる労働者も家族を含めましたら三十万、五十万といますが、そういう人たちが差別と貧困の渦中に巻き込まれてどうにもこうにもならぬ、日本の皮革・革靴産業が崩壊をしてしまうということにならないために、せっかくの機会でございますので、この際抜本的な、産業基盤を強化する、そういう立場に立った何らかの振興策というものを講じる必要があるのではないかと思うのでございますが、その間の考え方がありましたらお答えいただきたいと思います。
○村田国務大臣 皮革産業対策の基本的方向というものは、皮革産業を維持し発展させるということでありまして、そのためには国際競争にたえる産業体質を早期に実現することが重要であると考えております。このため通産省といたしましては、技術研修、海外調査、海外見本市への参加、その他皮革産業の体質強化に資するための各種対策を従来から実施しております。また、各種の中小企業関連施策の活用、地方公共団体との十分な連絡等を図ってきたところでございます。
 御承知のように、今回の関税交渉におきましては、委員も御指摘のように、IQからTQへとガット上での相談にするということで鋭意努力をしておるわけでございますが、今後とも皮革産業を取り巻く内外の厳しい環境を十分に踏まえながら、国産業に対するきめの細かい振興策を講じてまいる所存でございます。
○和田(貞)委員 これは業界の方からもいろいろと具体な要望が政府の方にもされておると思いますし、与党の方にも具体にされておると思うわけなんです一
 なお、今アメリカに行っておられる北畠文化用品課長が皮産連の皆さんに対し、業界の活性化を図るために委員会を皮産連内に設置する、それを法人化していってというようなことも指導されておるようにお聞きしているわけなんですね。業界もさることながら、そこに働いておる労働者の皆さんは、大変関心を持って、大変心配しているわけなんです。この問題につきましては、申し上げましたように、長い間の歴史と伝統のある、被差別部落に閉じ込められたいわゆる地場産業であるわけなんです。私はこの際、その体質を強化する、産業基盤を強めるという立場を貫かれるのであれば、その振興策の協議について、労働側もそこに参加をして、そして一体になった振興策を講じていく、意見をお互いに開陳していくというような場をぜひともつくってもらいたいなという気がするのですが、その点はどうでしょうか。
○高瀬説明員 ただいま御指摘の業界団体における委員会設置の問題でございますが、基本的にはこの当該業界が自主的に対処すべき問題であるとは思いますけれども、先ほどの大臣の答弁にありましたように、今皮革産業を取り巻く環境は厳しいものがございます。通産省といたしましては、昭和四十年代の半ば以降、皮革産業対策につきまして予算措置その他の施策を講じてきたところでございます。その効果も徐々には上がりっっありますが、依然として皮革産業、いろいろな面で問題を抱えておるということも事実でございますので、今後ともこの皮革産業対策については一層力を入れていく、そのためには関係者の意見もよく聞きながらやっていく必要があろうかと思います。重要な局面を迎えておりますので、行う措置、施策に取りこぼしがあってはならない、そういう観点からも、御指摘のような労働者の代表が入るような場ができることを我々としても期待しておるところでございます。
○和田(貞)委員 立場が異なっても、やはり心配をするというのは一致しているのですから、政府も御心配されておる、できれば政府機関も参加をし、業界の代表も参加し、労働側も参加し、できれば政労使の三者が一体になって、この機会をとらまえてこの産業の抜本的な振興のためにひとつ積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げておきにいと思うわけであります。
 皮革産業とあわせて木材の市場開放の問題であります。
 これも大変なことでございまして、ここ十年の間に百の木材工場が倒産していっているわけです。その中に、大阪にあります永大産業も含めまして大手と言われた合板の企業、工場が倒れていっているわけですね。そんなことを見てみましたらこれは大変なことで、特に合板の部門と製材の部門はこの市場開放によりまして大変なことになっていくと私は思うわけであります。
 従来、林政審という協議機関、審議機関がありまして、山をどうするか、森をどうするかという川上のことにつきましては非常に積極的に政府の方も取り組んでこられたわけでございますが、この木材産業、林業の最末端のそういう製材業あるいは合板業につきましては、今までそこまで行き届いた政策が余り打ち出されておらなかったのじゃないかと思います。
 政府は既に、五カ年間にわたる一応の活力回復計画を立てられました。そういう中で、政府の出された計画案をいろいろと見てみますと、木材の需要拡大に当たりまして関係諸団体に委員会を設置させる、あるいは木材産業の体質強化のためにもメーカー等関係者によって委員会を設置させる、あるいは再編整備計画の作成に当たっても関係団体に委員会を設置させる、あるいは森林の間伐等についてもというようなことで、非常にきめ細かくこの五カ年計画の中でその具体な対策を立てるためにあるいは計画を作成するために委員会を設けるということは、いろいろな業界の意見を聞く場としていいことだろうと私は思うのです。
 しかし、そういう中で、特に木材産業体質強化緊急対策事業の中で合板製造業及び製材業の過剰設備の廃棄等という項があるわけです。そこで国費を八十五億投じる、四百七十二億の融資枠をもってこれに対処するという内容であるわけです。これも、今その企業に働いている労働者としては一体どうなることだということで、しかし労働者は労働者として労働組合等でいろいろ議論をやって一定の政策というものをやはり持っておるわけですから、これも先ほどの皮革産業と同じように、やはり労働者の発言の場を保障する、できるならば労働者の側も参加した委員会等で、雇用対策を含めた、木材の市場開放に向けての体質強化のためには一体どうしたらいいかというような議論をする必要があるのじゃなかろうかと思うのです。
 そういうことにつきまして、農林省ですか林野庁ですか、ひとつ考え方を述べてもらいたいと思いますし、また労働省としても、この皮革産業や木材産業の自由化のあおりを受けてほっておけない雇用対策ということでございますので、労働省は労働省として、この雇用対策について二つの産業についてどういうような考え方を持って、どういうように対処しようとしているのか、労働省の方からもひとつ考え方を述べてもらいたいと思います。
○脇元説明員 先生お話しございました今般決定されましたところの森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画の内訳でありますが、御指摘ございましたように、第一には、木材の需要拡大を図るためのモデル木造施設の建設等のために国費五十億円を予定しておるわけであります。
 第二の木材産業の体質強化につきましては、これまた御指摘のとおり、合板あるいは製材業の過剰設備の廃棄あるいは新分野への転換あるいは原料転換、こういったことに対します必要な資金に対する利子助成という形で、国費百億円と融資枠六百億円を予定しております。その中に、御指摘のとおり過剰設備の廃棄につきましては国費八十五億円、融資枠四百七十二億円でございます。
 また第三には、間伐等林業の活性化を図るための間伐促進総合対策の促進等を図りますために国費三百五十億円、融資枠四百億円を予定しているところでございます。
 なお、この課題の重要なものであります過剰設備の廃棄に関しましては、工場の経営者の判断によりまして設備廃棄を行う場合にこれを円滑に進められますように、この計画におきましては設備廃棄に伴って必要となります資金繰り資金を銀行等からお借りになる場合に利子助成を行うということでございまして、この資金繰り資金というものの中には従業員の退職金等のものも含まれているわけであります。
 また、五カ年計画に関連いたしました雇用対策につきましては、労働省とも連携を密にしながら、例えば不況業種の指定によります諸対策につきましても適切に講じられますように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 また、先生御指摘の林野行政のいわゆる川上、川下といった重要な事項につきましては、林政審議会という場がございまして、広く各界の意見を徴しながら進めておるところでありますが、この林政審議会には労働界の代表も含まれているところでございます。今回の国内対策並びに関税対応につきましても、これまで折に触れて労働界の代表と話し合いを続けておるところでございます。当面、調査会等を政府として設置することは考えておりませんけれども、折に触れ従来どおりのお話し合いをしてまいるという姿勢には変わりないところでございます。
 また、先生御指摘のございましたように、各種委員会をつくって事業を進めるという考えを持っておりますが、これは各企業の仕事がスムーズに進むために、業界が指導する場合に一定の事務費助成をしようという考えで委員会をつくらせておりますし、その中では、各企業において労使交渉が進むようにまた指導もしております。また、各業界団体におきましても、それぞれの地方あるいは中央の労働界の団体と話し合いを進めておりますし、私どももその話し合いがスムーズに進むように指導をしてまいるつもりでございますが、政府の機関としては従来の林政審議会の場を通じて、あるいはその都度御要望のございます折に適切に話を進めていく、こういうふうに考えておるところでございます。よろしく御理解をいただきたいと思います。
○和田(貞)委員 林政審もこれは結構なんですが、特に自由化によって川下の部分が大変なことになる。せっかく五カ年計画を立てられたわけですから、この五カ年計画を実施するに当たって川下の部分を中心とした調査会を設置するというような考え方はないというように今言われたけれども、官房長官は我々の側に、調査会の設置に努力するという発言もされておるのです。また農林大臣もこのことにつきましては、事態の進展に照らして対応するという言葉も使われて我々に言っているわけなんですね。
 今課長が、政府としては調査会を設置するという考え方がないということでございますが、この川下の部分を中心とした対応というものを今後どうしていくかということについて、政府自体が具体な政策を打ち出していくためにも、業界と労働者というのは非常に犠牲をこうむるわけですから、だから労働側も業界以上に緊急の命題である、何とか官房長官や農林大臣の発言を実体化させてもらいたいということで、政労使が一体となった調査会をつくってもらって、それにひとつ積極的に労働側も参加させていただいてこの木材産業の体質の改善についてこれまた一定の発言も保障してほしい、こういう強い要望があるのですが、依然として先ほどの答弁を繰り返されるのですか。調査会を設置する、そして労働側、業界の意見も聴取して、政府がこれらと一体となった、この場に及んだ木材産業の体質強化のためにひとつ努めるというようになってもらえるのかどうですか。もう一度お答え願いたい。
○脇元説明員 先生御指摘ございましたように、確かにこれまでの林政審議会の審議というのは、戦後荒れた山を緑にするということが中心でございまして、林野行政の中心がそこにあったがために、林政審議会の場における話題も当然そういうふうになってきたということがございます。しかしながら、林政審議会の設置の趣旨は、林業基本法でその一つとして林産物の加工、流通あるいは価格安定、需給安定ということについても審議するということが重要な課題になっておりました。今日、間伐材問題とかあるいは合板問題、製材問題が重要になってきた段階では、いわゆる川下に重点を置いた林政に今転換しつつございます。
 その中では、せっかく基本法でできております林政審議会の場に労働代表も出ていただいておりますので、この場にいわゆる川下問題を大いに提起することによって、あるいは話題提供をすることによって、その場を通じて十分御意見が私どもお聞きできるのではないだろうか。また最近中央の労働団体から、例えばシンポジウムの参加であるとかあるいは講演会であるとかいろいろと要望がございます。その都度私ども出ておりますし、また林野庁においでいただいたときにはその都度お会いして、スムーズに問題解決に当たろうという姿勢は変わりないところでございます。
 なお、先生おっしゃいましたように、先日、官房長官並びに農林大臣に会見があったということは私ども承知しております。その会合の模様も承知しておりますが、なお私ども現在あります制度を十分活用しながら、またそのことでスムーズに対応できないということになるのかどうか、そのことも推移を見守りながら誠意を持って対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○井上説明員 労働省といたしましては、なめし革製造業、革製履物製造業につきましては雇用保険法の雇用調整助成金の指定業種に、一般製材業、合板製造業につきましては不況業種特別対策措置法の対象といたしまして、事業主が行います休業とか教育訓練、出向といった雇用調整や、事業主が雇い入れる場合の雇用奨励金などに対する補助等を行いまして雇用の安定を図っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後につきましては関係省庁と十分連絡をとり、情報を早くして対策を講じてまいりたいと考えております。
○和田(貞)委員 ひとつ労働省の方も、これらの自由化によってあおりを受ける産業の雇用対策ということについて、積極的に真剣に取り組んでもらいたいという意見を申し述べておきたいと思います。
 次に、国鉄のいわゆる六分割・民営化という方向が国鉄再建監理委員会によって答申されておるわけでございますけれども、ここで国鉄問題を基本的に議論しようという時間もありませんが、少なくとも日本国有鉄道というのは民鉄と性格を異にして、いわば民鉄が経営が成り立っていかないということで敷設をすることができないようなところに地方の鉄道網もつくって、いわば自動車に乗ることもできないそういう通学者、通勤者あるいは日常の生活をされておるそれぞれ地域の弱い部分の人たちの足という任務を負っておるのじゃないかと私は思うのです。したがって、もともと国鉄の職員というのは、国鉄に就職をしてきた限りにおきましては本来の国鉄職員としての任務を全うしたいということであります。
 しかし、そういうような再建監理委員会の結論が出、今政府が分割・民営化の方向に走っておるわけでございますから、いわば政府が言うところの余剰人員の対策として安易な考え方でこの措置を考えられると、そのあおりを食らうのは、特に駅周辺の零細な商工業者にもろにかかってくるわけであります。最近マスコミの方でもいろいろと報道されて、国鉄が中小企業分野へどんどんと進出するようなことを考えておるということで、地域によっては周辺の商工業者の皆さんとの間にいざこざが起こっておる面もあるわけです。
 きょうは中小企業担当の、大臣にはまだなっていただいておらないわけでございますが政務次官もお越しであるわけですから、少なくとも中小企業庁というのはやはり中小零細企業者の立場を守る、こういう考え方を通してもらいたいと私は思うのです。そういうような観点に立って、大企業によって商工業者の分野が乱されるというような場合には分野法という法律もありますし、また商調法という法律もあるわけなのですが、いかに分割をしたとても国鉄は大企業に違いないわけでありますし、今公社という形でございますが、国鉄だからこれらの法律の対象にはならないんだというようなことで、少なくとも中小企業庁はそういう考え方になっていただきたくないと私は思うのです。最近におけるところの国鉄が、余剰人員の対策として直接中小企業分野に進出をしようとしておるこれらの動きについてどのように考えておられるか、お答え願いたいと思います。
○与謝野政府委員 先生が御指摘されました事例については、中小企業庁としても十分その事例を承知しているわけでございます。中小企業庁の基本方針は、中小企業基本法にも書いてございますように、中小企業者の事業活動の分野、その機会を確保するということが大方針でございまして、私どもは中小企業者を守るという立場から行政を行っているわけでございます。
 国鉄が幾つかの試みをしておりますが、地元の商店街、中小商工業者との調整がうまくいかないということも十分承知しておりますが、現在のいわゆる分野調整法は国鉄などの公共企業体はその対象とはしておりません。これは、もともと国鉄などは運輸省という非常に強い監督権限を持った官庁の監督下にございまして、国鉄等の行う事業活動と中小企業者の行う事業活動がぶつかった場合には、分野調整法というよりはむしろ監督行政官庁を通じて調整をしていくということが妥当であるというふうな考え方に立っているものと思います。
 なお、中小企業庁といたしましても、御案内のように、分野調整法の対象ではございませんが、中小企業基本法に書いてございますように、中小企業者の事業活動の機会の確保、こういう観点から、それぞれの事例につきまして運輸省を通じまして必要とあらば国鉄に要望、要請を行いたい、かように考えております。
○和田(貞)委員 例えば一つの例といたしまして、今なお付近の書店の組合と出店問題について、片方の国鉄は強行出店しょうとしておる、片方はそれじゃ困るということでもめ続けておる。そのもめる原因をつくっておるのは国鉄でありますが、国鉄が直営で東京駅の丸の内の北口の方に書店の出店をしようという問題があるわけなんです。
 これらにつきまして国鉄当局の言い分は、都の方や中小企業庁に事前に連絡したというのです。事前に連絡をしたところが、中小企業庁は、法的に問題はない、こういう回答をした。国鉄はそういう回答を中小企業庁の方からもらっておる。確かに今次官がおっしゃられたように、法的には適用されなくてもやはり国鉄という大きなずうたいの公共企業体を運輸省というものが監督しておるからという理由を挙げられたわけですが、ただ法的には触れないからということで、国鉄当局は、例えば国鉄の東京南管理局の木下事業部長というのはこういうことをおめおめと言っておるわけですね。我々は何ら法的に拘束されるものじゃない、あるいは業界に理解は求める努力はするが了承を得る必要はない、あるいはそういう計画があったとしても、いろいろな計画があったとしても、それは明らかにする必要がないというような発言をぼんぼんとしておるわけです。
 だから、次官が今言われたようなことを運輸省として果たして国鉄の方に指導しておるのかということを疑いたくなるわけです。これは中小企業庁としては黙っておれないという立場に立ってもらわねばいかぬ。今の発言と私が指摘した部分とどう考えられますか。
○与謝野政府委員 ただいまの具体的な事例につきましては、もちろん国鉄の御発言は十分確認しておりませんのでその真偽のほどは別にいたしまして、法的には問題がないと言ったとすれば、それはいわゆる分野調整法の対象とはなっていないということを申し上げたのだと思います。
 私どもといたしましては、この具体的事例につきましても十分調査の上、運輸省を通じまして国鉄に中小企業者を守るという立場から重ねて要請、要望を行うことには全くちゅうちょはしておりません。
○和田(貞)委員 五十五年二月十八日に通産省の産業政策局長と運輸省の鉄道監督局長との間に覚書を交換しているわけです。そしてその覚書の一項で、中小企業に悪影響を与えることのないよう国鉄を指導する、こういうように運輸省が言っておる。いわば運輸省がそういうようにするということを通産省に約束しておるのです。ところが、先ほど御指摘したように、理解は求めるが了解をしてもらう必要はないとか、それじゃあなた、指導もへったくれもないじゃないですか。そういうような国鉄の今日の強引きというものについて、運輸省は一体どう考えていますか。
○荒谷説明員 東京駅の書店問題につきましては、国鉄は当初十月から開店をしたいということで関係の業界の方々と話し合いをしたわけでございますが、いろいろと問題があるということで調整が長引いております。その間私どもも、いろいろともめているということを聞きまして、国鉄に対しては、形式的に分野調整法の適用がないにしても、中小企業者の事業機会の確保を図る、あるいは不当に侵害をしない、こういう法律の精神を十分尊重して、よく納得が得られるように十分話し合えということを指導いたしてきております。
 それで、先生ただいまおっしゃったようなこと、そのような発言が事実あったかどうか私も正確に把握をしておりませんけれども、業界の団体の方々から同様のことを聞いております。それで国鉄に対しまして、業界の方々に対する説明の仕方なり、あるいは理解の求め方に反省すべき点があったらば十分反省をして、よく話し合って調整を図って進めるようにということを再度指示をいたしておりまして、今推移を見守っている、こういう状況でございます。
○和田(貞)委員 運輸省は土地収用法という法律があるということを御存じですね。
○荒谷説明員 承知いたしております。
○和田(貞)委員 民営の鉄道でさえも、その付近に出店をする場合に地域の商店の皆さんとやはり話し合いをしているわけです。もともとその対象にならぬというのは、公共企業体であるから、この分野法ができるときに国鉄がクリーニング屋をやったり、書店の出店をしたり、写真の材料を売ったり、土地の周旋屋をやったり、そんなことをまさかするというふうには夢にも思っていなかった、だからその対象になってないんですよ。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
 土地収用法によりますと、これは土地収用法ができましたのが二十六年の六月九日ですが、国鉄の歴史というものは、汽笛一声新橋のあの歌の文句のように、そこから百年以上の歴史を持っておる。しかし国鉄の用地というのは、土地収用法でも明確にされておりますように、「日本国有鉄道が日本国有鉄道法第三条第一項各号に掲げる業務の用に伏すみ施設」であるからということで、土地収用法という強硬手段によって土地が取得できるという法律を背景にして、あるいは農民の皆さんから、あるいは住民の皆さんから、あるいは建物を持っておられる方々から土地を取得してきているわけです。クリーニングをやるからとか書店をやるからということじゃ、これは土地収用法の適用は受けられない。
 民間の鉄道が百貨店をつくったり、商店街をつくったり、専門店をつくっておりますよ。土地収用法というのが背景にないんです。その地域のその時点の価額で、民・民で土地を買っておる。国鉄はそうじゃない。そのことを考えたら、まさにその目的外使用ということであれば、この国鉄が取得した土地というものは全く無効です。もとの地主の農民の皆さんや住民の皆さんにその土地を返さにゃいかぬ、こういうことになりかねないわけなんですよ。
 にもかかわらず、その法律は適用しないとか対象でないんだというようなことで、ろくに話もしないで、話はするけれども了解を得る必要はないんだというようなことで、出店を強行的に突破するというようなことは断じて許すことができません。きょうは時間がないわけでございますので、またの機会に譲ることになろうかと思いますが、少なくとも今申し上げた国鉄の用地は、この土地収用法に明記されておる目的のために取得された国鉄用地です。その国鉄用地で、か弱い零細な、分野法をもって大企業から守ってやらなければいかぬそういう分野に食い込んでいくというようなことをやって、そういうものを犠牲にしてまでも余剰人員を何とかはかしていくというような安易な物の考え方は、私は許すことができません。
 少なくともそのことにつきましては反省を促し、今後国鉄当局に対しまして運輸省が毅然とした態度でひとつ指導してもらいたいと思いますし、また中小企業庁は、あくまでも中小企業を守ることに徹した役所である限りにおきましては、法律の適用がどうであれこうであれ、中小零細の企業の皆さんを泣かすことのないように対処してもらいたいと私は思いますが、お二方の意見を述べてもらいたいと思います。
○荒谷説明員 日本国有鉄道法第三条第一号には、日本国有鉄道が鉄道事業及びその附帯事業の経営を行うことができるというふうに書いてございまして、この附帯事業の範囲をどのように考えるかという問題がまさに問題であろうと私ども考えております。鉄道利用者の利便を確保するということで考えておりまして、鉄道事業以外一切やってはいけないということでは必ずしもないというふうに考えております。
○与謝野政府委員 先生ただいま御指摘の事例につきましては、さらに中小企業庁といたしましては調査の上、先生の御発言の趣旨も外しまして運輸省に重ねて要望してまいりたいと思っております。
○和田(貞)委員 時間が来ましたので終わりますが、強行出店をして付近の業者を泣かすことのないように、ひとつ中小企業庁も運輸省もぜひとも真剣に取り組んでいただきたいということを申し述べまして、終わりたいと思います。
○粕谷委員長 和田君の質疑は終わりました。
 続きまして、横手文雄君の質疑に入ります。
○横手委員 私は、急激に襲ってまいりました円高問題、そしてこれが中小企業に対して大きな影響を及ぼし、中小企業のみならず輸出関連産業に対しても先行きに対して大きな不安を醸し出しておる今日のこの事実、さらにはこの問題に対しまして特に関連をする二、三の業種の問題について、通産省の対策をお伺い申し上げたいと存じます。
 申し上げましたように、今回の急激な円高は大変なことであります。したがって、我が民社党といたしましては過般、十一月十三日、通商産業大臣、中小企業庁長官、そして大蔵大臣に対しまして、九項目から成る円高緊急対策の実施に関する申し入れをいたしました。政府におかれても、これらの問題について今いろいろと腐心をしておられるということは承知をいたしております。しかし、いよいよ年末も迫ってまいりました。そうでなくても年末に資金繰りが集中をして年末対策をとらなければならない今日、その上にまた大きなおもしがかぶさってきた、こういうことであります。
 我が党といたしましては、実際にこれらの輸出関連産業がどのような影響を受けているのか、そして受けようとしているのか、これから先の問題についてどうなのか、こういうことについてアンケート調査を行ってきたところであります。そしてまた、現地調査も行ってまいりました。愛知県において、昨日は福井県においてその調査を行いました。と同時に、それらのアンケートに基づきまして、円高関連の中小企業対策、特に緊急年末対策等について、昨日政府に申し入れをしたところであります。これらの問題につきまして、私は以下御質問を申し上げたいと存じます。
 まず一つは、今日のこの円高の問題については、これはいわゆる投機筋から起こってきたということではなくて、まさに政府の主導によって起こってまいりました。しかも、我が国の貿易バランスをとるためにということで、さきに五カ国蔵相の会議によってこのことが決められ、そして我が国の円は、政府の介入によって著しい勢いで円高が推移してきたわけであります。
 アメリカのヤイター通商代表、ボルドリッジ商務長官等においては、貿易インバランス是正を効果あらしめるためには一ドル百八十円から百九十円前後のドル安・円高に移行することが必要である、こういうことも言われております。しかし一方、我が国のいろいろな調査によりますと、二百円を超えたら我が国の輸出産業はことごとく競争力を失うということも明らかになっているところでございます。
 これらの問題について、アメリカの指摘の問題、あるいは国内の状況等について通産省としてどう理解をしておられるのか、どのような見通しを持っておられるのか。また、仮にその水準の円高になるとするならば、我が国の経済が受ける影響は極めて重大であると思います。こういったことが我が国にとって好ましい事態なのかどうか。こういうことも含めて、まず大臣の御所見をお伺いを申し上げたいと思います。
○村田国務大臣 横手委員の御指摘、御質問は非常に重要な問題であると思います。
 九月二十二日のG5の会議以降急速に円高が進んでまいりまして、そしてもう二カ月余りでございますが、最近は一時的に二百円を割るというような事態が生じておるわけでございます。したがって、横手委員御指摘のように、輸出向け企業、また関連中小企業において相当深刻な事態が起こっておる、これはよく承知をしておりまして、通産省でも、産地のいろいろな実態調査をしたり、また関係企業のアンケートをとったりしておるところでございます。
 一体この円高はどのくらいが落ちつく先なのかという問題でございますが、これは率直に申し上げてわかりません。わかりませんが、全体としては、円高基調というのは、今の貿易摩擦の解消あるいはアクションプログラムの実施等々、諸般の状況を考えますと望ましいものであるという考え方に立っておるわけでございますが、一方、そういった対策についても十分考えなければいけないというので、実はぎょう早朝会議をいたしまして、中小企業特別調整対策というのを総理に決定をしていただいたわけでございます。
 これは、とりあえず当面の対応として、六十年十二月二日から、政府系中小企業金融三機関等による特別融資制度の創設でありますとか、中小企業信用補完制度の弾力的運用でありますとか、政府系中小企業金融機関の貸付枠の確保でありますとか、そういう数項目にわたる緊急対策でございますが、さらに六十一年度の予算に向けて金融措置、また特別の立法制度が必要であるか、その他予算対策を含めて、全般的に財政当局としっかりと相談をしたいと思っております。
 ところで、この円高でございますが、我が国は既にここ三十三カ月間ずっと景気は上昇基調にあったわけでございますけれども、最近やや景気の先行きに不透明感が出てきておるということでございまして、円高現象がそれに対してどういう影響を与えるかといえば、一般的には輸入がふえ輸出が減るというのが円高による傾向だととられておりまして、したがってデフレ傾向も若干出てくるのではないか、そういうような見方をしておるわけでございます。そしてアメリカでは、一説によれば、こういった円高・ドル安現象によって貿易摩擦に対するあらしがやや鎮静したのではないかという見方もありますけれども、私はそうは思わない。やはり貿易摩擦問題は、今後まだまだいつ火を噴くかわからないので、私のカウンターパートであるヤイターUSTR代表だとかボルドリッジ商務長官等と真剣に、熱心に協議を続けていきたいと思っておりますが、今後は、この円高がいかにして定着するか、それによって総合的な経済対策を考えていく。そしてまた、かねてから政府として実施しておりますアクションプログラムの実施や輸入アクセスの改善等については引き続いて懸命の努力をしていく。そしてマクロ経済的にこの経済問題、貿易問題を考え、対処していくというのが基本的な姿勢であろうと思っております。
○横手委員 大臣の方から幾つかの問題について御指摘をいただいたわけでございますが、それでは、前提として確認をさしていただきたいことがございます。
 この円高については、先ほど大臣も申されましたように、G5、これを契機にしてやったということでございますから、明らかに政府の主導によって行われたということでございます。したがいまして、政府がその音頭をとってかくのごとき状態に持ってきたわけですから、これはそのことによって多くのひずみが生じてまいります。泣かなければならない問題のところ、深刻な状態に陥ってしまうところもたくさん出てくるわけですけれども、これらの救済問題については政府の責任において行うべきだということを我々は主張しておるわけですが、それでよろしゅうございますか。
○村田国務大臣 確かにG5の介入は、五カ国蔵相あるいは中央銀行総裁等が集まってしていただいた決定でございまして、全般としては、この国際経済基調に対して非常に好影響をもたらしておる面もある、もたらしておる、こういうふうな認識でございますが、これに対する対応の措置としては、もちろん私どもは、中小企業のいろいろな対応を責任を持って、また誠心誠意を持ってやっていかなければなりませんが、自由主義経済体制でありますから、したがって企業自体の自助努力、これは常に必要でございます。円安であれば円安であるように、円高であれば円高であるように必要でございまして、それは自由主義経済体制を前提としておる当然の帰結であると思います。したがって、企業の自助努力及び政府のこれに対応する諸施策と相まってこれからの企業経営の万全を期していきたい、こう思っております。
○横手委員 それでは、別な観点で御質問申し上げますけれども、先ほど申し上げたようなことで、米側においてはいろいろな政府高官の方がこのような発言をしておられるわけであります。
 そこで、通産省としてもそれぞれ御調査をなさったということでございますが、さて、我が国の産業もやはり生きていかなければなりませんし、我が国は貿易立国でございますから、輸出が全くとまったというようなことになればどうしようもない。しかし、輸出をする余り、産業そのものの基盤が余りにも衰退してしまってもまた困るわけでございます。そういった点について、通産省として我が国の産業の実力の段階から見て、円の相場はどの程度であれば我が国の産業が生きていけるというふうに考えておられますか。
○松尾政府委員 為替レートがどの程度であることが、産業の発展の基盤として適当な水準であるかということの判断を一義的に行うことは、なかなか難しゅうございます。と申しますのは、産業の競争力につきましては、先生も御高承のとおり、単に価格競争力以外にも、価格面以外のいわゆる非価格競争力がどのくらい強いものか、あるいは円高によりまして輸入原材料コストが低減されるという面もあるわけでございますので、それが競争力の強化につながる面もあるわけでございます。したがいまして、いろいろな産業ごとにこの為替レートの受ける影響あるいは為替レートをばねとして発展する力はそれぞれ異なっておりまして、一概に申し上げることが難しいということにつきまして御了承賜りたいと思います。
○横手委員 おっしゃることはわかるわけですね。差益と差損と同時に発生する企業、産業、こういったところは相殺しますからそう問題はないと思うのですが、ただ我が国の中小企業の場合には輸入価格、いわゆる差益の部分というものはほとんど来ない、その差損の分だけが来るという面を持っておるわけです。おっしゃるように差益と差損と同時に受ける企業というのはほとんど大企業でございます。その下請、孫請というような中小企業にあっては、輸出競争が厳しくなってくるからこれからは工賃も下げてくるというような、過酷な親会社からの締めつけも出てくるわけです。
 それでは、さきに三和銀行が行いました調査、これは公表されているわけでございますが、二百円以下の円高で推移した場合、採算のとれる輸出関連業種は自動車、コンピューターの二業種しかないとの調査の結果が出ているわけでございますけれども、こういった民間調査に対して政府はどう考えておられますか。
○松尾政府委員 先生御指摘の調査は、輸出産業十六業種、素材産業五業種について、為替レート二百円の段階で調査されたものと承知しております。これも御案内のことでございますけれども、各業種の採算がとれるレートというのはどの辺がということになりますと、いろいろな事情が作用いたしてまいります。先ほども申し上げましたのは、一つには輸入原材料コストがどのくらい下がるか下がらないか、また今度は、先ほど大臣も申し上げましたように、企業が合理化努力をしてコストダウンする余地がどのくらいあるのか、また海外市場の需要の動向が強いのか弱いのか、どのように変わっていくのか、さらには企業の側で新しい商品の企画とか技術革新等をどのように産業の中に取り入れていくか、そしてそれをどのように価格に転嫁していくかという要素もございますので、私どももいろいろ勉強はさせていただいておりますけれども、一概に申し上げることがなかなか難しいわけでございますが、御指摘のように、仮に二百円よりも円が高くなるという水準が継続するような場合になりますと、総体的に申しまして、加工組み立て産業と申しますか一部の機械工業のようなものにつきましては非価格競争力が強いのでございますけれども、それらの業種を除きますと全般的に相当の影響を受けてくるというのが私どもの感触でございます。
○横手委員 それでは、日本の産業の窓口であります通産省としては、この円高が二百円を突破していく、そしてそれがさらに進んでいくという状態に来るとするならば、大変憂慮すべき状態が起こってくるのではないか、こういう見方をしておられるという認識でいいですか。
○松尾政府委員 円高の状況につきましては、先ほど大臣もお述べになりましたように、現在の緊要な課題でございます対外不均衡の是正という観点から考えましても、私ども基本的には円高そのものは望ましいと考えておるわけでございますけれども、ただいま問題になっておりますのは、当面の問題として急激に円高が進んだということで、中小企業を中心に相当影響が出てまいっておる。また、このような急激な度合いがさらに一段と進むようなことがあれば、産業にとっては厳しい局面が予想されるということを申し上げたわけでございます。
 しかし、大臣もお答えになられましたように、産業は産業で活力を発揮して、その適応力を一層充実してまいる面もあろうかと思いますし、私どもとしては円高の定着が円滑に進められるために、全般の景気面でも適切な政策運営を図っていくことがもちろん必要だと思っておりますし、中長期的にも、いろいろ構造面からの対応も考えていかなければならないと思っております。それらの政策面、つまり短期面、中長期面両方あると思いますけれども、政策面と企業の努力と相まって、このような環境に対応していくことが必要なことであろうというふうに認識いたしております。
○横手委員 今御答弁の中にございましたようなことを我々も考えておるわけでございますが、今回この貿易のバランスをとるためには通貨調整が基本的には必要であろうということを、通産省もお認めになっておられるわけであります。しかし、それが余りにも急激であった、しかもそれがどんどん進んでいくということについては、我が国の産業にとって憂慮すべき問題が出てくるということも考えておられるわけであります。
 どう言いましても大臣、我々としても、この円高問題について通貨調整が貿易バランスをとるための一つの要素であるということを、頭から否定するわけではないのですよ。しかし、今の状態を見ますと、それのみが走っておる。つまり大蔵、日銀当局による通貨調整自体が貿易バランスのために行われているという気がしてならないわけであります。そのことがまた輸出関連業界並びに中小企業に対して、今おっしゃったような大変憂慮すべき問題を起こそうとしておるし、これからも起こすおそれがある、そういうことが調査の中でも明らかだ、こういうことなんです。
 そうしますと、内需拡大を強力に推進する方向ということも、貿易摩擦解消の比重をそちらの方に移すとか、それも一つの大きな柱とすることも必要ではないかと思いますが、いかがでございますか、大臣。
○村田国務大臣 内需拡大が必要であるということについては全く同感でございます。
 実は円高が起こりますまで、つまり九月二十一日までの時点において、私どもがアメリカのカウンターパート等に主張いたしましたのは、現在の非常な貿易インバランスあるいはいろいろな貿易上に起こっておる問題について、その根本的な原因の一つはドル高、そしてアメリカの財政赤字あるいはアメリカの高金利、そういうことに原因がありますよということは率直に御指摘を申し上げて、お互いに努力をしなければなりませんねということを言いました。ヤイター通商代表でもボルドリッジ商務長官でも、その指摘自体については率直に同感の意を示しておられたわけでございます。したがって、その後九月二十二日以降円高が始まりまして、これが輸入の拡大あるいは貿易インバランスの解消という面に向けて、よい意味の効果をあらわしてくるであろう。
 しかし一方、横手さんが御指摘になられましたような中小企業等に対するいろいろな影響も考えられるところでございますが、根本的には内需を拡大することによって経済が活発化する、そしてまた、お金と物の動きが活発化するということが、やはりこの問題の解決の大きなポイントでございましょうし、そのためには内需の拡大ということが必要である。今政府がいろいろ挙げておりますような、製品輸入の拡大であるとか、その他基準・認証をできるだけ緩やかにすることであるとか、民間活力の導入であるとか、そういったことにこれから大いに力を入れていかなければならないということについては同感です。
○横手委員 通産省はさきに輸出関連企業のヒアリング調査を行われました。その結果が発表されておりますが、この中にも、さらに二百円以下で推移した場合には大半の企業が採算がとれなくなるということで、調査の結果として厳しい見通してあるという発表をされました。続いて十一月十八日に中小企業庁から発表されました円高の輸出型産業、中小企業への影響ということについても、大変厳しいという見方を出しておられるわけでございますが、さて、この問題についてどういう調査をされて発表された、これに対する中小企業庁の見解はいかがでございますか。
○見学政府委員 お答えいたします。
 円高の進展に伴います中小企業への影響につきましては、九月の下旬に急激に円高問題が起きまして、十月初旬に早速電話その他で連絡をとりまして中小企業への影響をとったところでございます。さらに、御指摘のとおり、十一月初旬時点の関係につきまして輸出依存度の高い産地、四十ほどの産地に対して調査を実施いたしました。その結果、円高模様眺めなどの原因もございまして、新規成約がほとんど全面的にストップしてしまっているというような産地も出ていることが判明をいたしましたし、受注残が適正水準を下回ってしまった、こういうような企業が出ている産地も多数ございました。
 さらに、採算レートはどのくらいを見ていたのかという問いに対しましては、二百二十円ないし二百三十円程度と思っていたというお答えが大半を占めていた。したがって、非常にきつい立場に追い込まれてきているということでございました。さらに、一部資金繰り等につきまして影響が出てきていると指摘する産地もございました。特に、年末までにはその資金繰りが非常に苦しくなるだろうという産地がかなりを占めていたわけでございます。こうしたことから見まして、輸出型の産地を中心に、中小企業への影響がかなり厳しいものを迎えつつあるということであろうかと思っております。
○横手委員 さて、その事実がはっきりしたわけでございますが、私も昨日福井県、眼鏡の産地でございまして、我が国の生産の九五%をこの地方で生産をしておるわけでございまして、輸出も多うございます。したがいまして、関係者の皆さん方とお会いをしてまいりました。今お話があったようなことも現地で聞いてきたわけでありますけれども、問題は幾つかに分けられるわけですが、今は大変だ、何とかしてくれというのが一つございます。そのためには緊急対策として、後ほど触れさせてもらいますけれども、我が党が要望いたしましたようなことを中心にして、早急に手を打たなければならないことも出てくるわけであります。
 ただ、緊急避難という言葉をそのままにいたしますれば、今台風が来た、しばらくじっとしておりなさい、台風一過、また顔を上げなさい、そしてその台風を避けている間こういったことでしのいでおきなさいという緊急避難ということもあるわけですけれども、ただこれは一過性のものではなくて、国策としてやるということであるとするならば、為替レートをこのまま維持するために日銀がどこまで介入できるか、どこまでの力を持っておるのかということもありますが、何としてもこれを定着させたいということであれば、これは緊急問題でなくなるわけですね。恒常問題になってくるわけでありますから、これは緊急避難をしなさいと言ったのが三百六十五日ずっと緊急避難体制にある、こんなことができるはずがないわけであります。
 こういった点について、今来た問題について具体的にしなければならないという問題と、このレートはこのままいくぞという前提に立った中で我が国の産業がいかに活性化をしていくのかという見きわめもしていかなければならないと私は思うのですけれども、その辺に対する認識は大臣、いかがですか。
○村田国務大臣 経済対策というのは、本来緊急避難的なものではないだろうと思います。これは、例えば地震が起こって地震災害を復旧するとか、そういうこととは違いまして、経済全般の問題でありますから、例えば円高であるとか円安であるとかいうことは自由主義経済体制のもとで常にあり得ることでございまして、したがって当然基本にさかのぼって経済対策というものを考えなければいけないことだと思います。中曽根総理の経済に対する考え方もまさにそれでございまして、中曽根・レーガン会談で話し合われていることは、輸出や輸入の量ではなくて、もっと根本的な、これから恒久的に世界がよくなるためにはどうしていったらよいかという経済的な全般の見方だと思います。本来政治というものはそういうものであるべきでございますから、経済に対する対応は、緊急避難ではなく恒久的施策として、非常に落ちついた、しかも国民生活を基本にして考えるべきものであると当然思います。
○横手委員 そうしますと、今申し上げましたようなことについて、これが二百円で落ちつくのか多少動くのかは別にいたしまして、これから先もこの水準であろう、こういう見通しを持っておられるということですか。
○村田国務大臣 円高といい円安といい、為替レートを決定する要因は非常にたくさんあると思います。景気であるとか為替動向であるとかいろいろなものがあると思うのでございまして、そういったXYZと申しますか、そういう与件をすべて読み切ることは、自由主義経済国家としては不可能であります。したがいまして、幾らが妥当であるかということは、私の口から申し上げることは困難な問題だと思います。
○横手委員 いずれにしても、国策として二百四十円では円が安過ぎる、だから他の国の協力もいただいてこれをやったわけですね。このことは我が国の国策だということでおやりになったわけなんですよ。これは大臣、自然と来たんじゃないのですよ。ある日の相場によってこう来たんじゃないのです。これは無理やりに政治的につくった相場なんですね。ということは、国是として、国の基本的な問題として、二百四十円では安過ぎるから二百円前後であろうか、あるいはアメリカに言わせると百八十円から百九十円であろうか、こういうことをつくろうと意図的にやっておられるわけです。だから、これは相場でございますから、またいっこう返ってくるかわかりませんというような答弁は、ちょっと無責任過ぎるような気がするわけです。
 それともう一つは、そういうことであるとするならば、今二百円になった、そして先ほど中小企業庁でお調べになったようなことが、中小企業の実態として出てきたわけですね。これではみんな赤字になったわけですよ。だから、緊急対策をとろうとしておられる。これは私はやるべきことだと思います。しかし、事実は、実態としては今のところ赤字になったから何とか生きていくために緊急対策をします、助成措置あるいは金融政策をやりますけれども、これがこれから先の相場ですよということになってくると、貿易立国である我が国の産業政策としては、円は対ドル二百円前後であるという前提に立った産業の組み立てそのものも考えていかなければならないのではないですかということを申し上げているのでございます。
○村田国務大臣 御質問になっておること、よくわかるのでございまして、私も横手委員の御趣旨を踏まえて答弁をしておるつもりでございます。したがって、国の政策によって介入をした、このことについてはそのとおりであろうと思います。
 ただ、計画経済の国ではありませんから、したがって、それでは二百円に固定できるかとか二百十円に固定できるかということになれば、そのために準備した資金量もありましょうし、対外的な問題もあろう、こういうことを、私はこれは本来のあるべき姿として申し上げておるのでございます。したがって、自由主義経済体制のもとでは原側自由、例外制限というのがやはり自由経済のあり方でございますから、したがって、現在行われておる中小企業対策は、緊急にやらなければならないものはやる、そしてまた恒久的にこれからどういうことをやらなければならないかということについても、制度、予算を含めて国民生活を基本にしてやっていきますよ、こういうふうにお答えを申し上げておるわけでございます。
○横手委員 どうも、もう一つ突っ込んだ答弁を欲しいわけですが、堂々めぐりみたいなことになりますから、いずれにしてもきのう眼鏡産地の輸出業者の皆さん方がお述べになったことを政府の方にお伝えを申し上げたいと思うのですけれども、今回の場合には、その相場でやったのじゃなくて、国の国権が入っていってやったということだから、ある日突然に来たということで大変戸惑いを感じておる。だから、貿易バランスをとるために為替レートを適正なものにしようということであるとするならばそれなりにわかるけれども、余りに急激にやってくれるな、大体あそこらで五%ぐらいのマージンでやっておるわけですけれども、目が覚めたら二割円が高くなっておった、これではどうしょうもないじゃありませんかということが一つ。
 それから、これは政府の介入によって起こった、国策としてやったわけですから、それに対して影響を受けた我々に対しては政府も責任を持ってこれに対処してもらいたいということと、どう見でもやはり中小企業に真っ先に来ます、いらいらします。そうして、円高になったからといって向こうで高く売れるということになれば一番いいわけですけれども、イタリアあたりとも競争しておる。そして円は独歩高である。イタリアよりも、リラよりも既に一一%ぐらい高くなってきておる。同じ値段で売っても、向こうが一割になってくればもうそのバイヤーに対して品質と納期だけでは勝負ができなくなってしまいます。二、三%のことなら技術と納期とそういうものによって勝負しますけれども、一〇%超えるようなことになってくればなかなか勝負ができなくなってきますという大きな悩みを持っておられました。これらのことについてぜひ耳を傾けていただきたいということを申し上げておきたいと存じます。
 それから、昨日我が党が申し入れをいたしました三項目がございます。一つは年末の緊争対策の問題、二番目は中小企業の信用補完に係る必要な予算を確保すべしということ、それから三つ目は、こうなってくると業種転換のやむなきに至る、もう既に競争力を失って我が国で輸出用に産業を興してもどうにもならないという問題が出てきた場合に、中小企業の転換対策臨時措置法に基づいてこれの法的な保護を受けながらやろうということでございますが、これに対しての我が党の観点、申し入れ、四項目ということに相なっておりますが、これを、簡単でいいですから一括してひとつ見解を述べていただきたいということが一つ。
 それから、もう質問を済ませます。特に福井県は繊維産業が主産地でございます。私も質問のたびに申し上げているわけでございまして、去年一年間はまことに不況脱出のときでございました。大臣初め各関係者の皆さん方、大変な御努力をいただきました。そして多くの施策も行われました。おかげでやれやれと思ったところへこの円高でございます。したがって、今織機の共同設備廃棄等も行われておるわけでございますけれども、しかしこれがなかなか実を結ばない。特にことしの春から、初めから行いました在庫品の買い上げ凍結の問題、このことによって在庫が大変ふえてきた。不況カルテルによって一斉操短をしようかということであるけれどもなかなか難しい、こういう問題を抱えておりますし、ならば定番品であるこれらの商品を何とか在庫を減らしていくためには、ワンピックのウオータージェット、これもやはり買い上げの対象にしてもらわなければならない。ところが、これがなかなか値段が折り合わない。こういうことで現地で大変悩んでおられますし、加えてアメリカにおいては、またぞろ対日ダンピング問題等がささやかれているような気配がする。そのことによってまた、一昨年でございましたか、あの正月に大変なことになったわけでございますけれども、あんなことがまた追っかけてくるのだろうか、こういった多くの心配がなされておるわけであります。
 これらの問題について、ひとつ政府のお考えを一括してお聞きを申し上げたいと思います。
○見学政府委員 昨日申し入れをいただきました項目について御答弁申し上げたいと思います。
 第一の緊急融資問題でございますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたが、本日関係閣僚の議を経まして、特別の措置、一千億円の年末に向けてのとりあえずの措置ということをいたしたばかりでございます。年末に向けまして、予算編成過程におきましてさらにその金融につきましては拡充をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから信用保険あるいは補完の問題でございますが、これにつきましてもけさ方、補完制度の弾力的運用ということで、不況業種指定等につきまして弾力運用をするというのを決めましたので、新たに幾つかの業種が指定できるようなことを準備したいと思っております。
 それから事業転換につきましての御指摘がございました。来年現行の事業転換法は期限を迎えるわけでございますが、現在中身につきまして鋭意検討中でございまして、先ほど御指摘がございましたように、円高というものが短期的にどっと来たけれども、その後円高のままいくのだとすれば、短期的な措置だけではだめだろう、こういう御指摘がございましたが、まさにそういったものを踏まえまして、転換問題でありますとかあるいは内需への移行であるとかそういった問題も踏まえまして、事業転換法を現在検討しているところでございまして、民社党の御指摘の内容につきましては鋭意検討させていただきたい、かように思っておる次第でございます。
○高瀬説明員 現在北陸産地を中心に進められております設備共同廃棄事業におけるウオータージェット織機の価格の取り扱いの問題でございますが、この共同廃棄事業の計画が策定されます段階におきましては、このウオータージェット織機を保有しておる企業の転廃業の予定がなかったものですから、特段の価格設定が行われなかったという経緯がございます。ただ、近年この織機につきましても業界の間から買い上げの要望が出てきておるところでございます。ただいま関係団体におきましていろいろ調査及び準備が進められておりますので、政府といたしましてはこの結果を踏まえて対応いたしたいと考えております。
 それから日米間のダンピングその他の問題でございますが、これにつきましては近く日米間で繊維の貿易についての話し合いの場が設けられることになっておりますので、こういう場を通じまして業界に影響が出ないようにという角度から取り組んでまいりたいといいうふうに考えております。
○横手委員 終わります。ありがとうございました。
○粕谷委員長 これにて横手文雄君の質疑は終わりました。
 続いて、工藤晃君の質疑に入ります。工藤晃君。
○工藤(晃)委員 まず企画庁長官に、今恐らく来年度の経済見通しについて作業をやられていることだと思いますが、その問題で簡単な質問をいたしたいと思います。
 これは新聞にも伝えられましたし、私も今手元に持っておりますが、最近幾つかの銀行が、来年度の見通しをめぐって、かなり成長率も落ちるのではないかという見通しを発表されております。三菱銀行によりますと、二百円台、そして短期金利高目誘導が続くならば、来年度の実質経済成長率は円高で一・八%、金融引き締めで〇・四%、合わせて二・二%下方へ引っ張られる心配がある、大体三%台の成長率になるであろう。富士銀行も、今年度の実質見込みは四・二%だが、来年度は二・九%になるであろう、こういうことであります。企画庁として、この円高の影響とか金利の高目誘導の影響などを踏まえて、来年度についてどういう点を検討されているか。きょうの新聞の報道の中には、企画庁の首脳の方が、何とか四%にはしたいという希望を述べられたということですが、率直なところを伺いたいと思います。
○金子国務大臣 円のレートのこれからの見通しにつきましては、為替市場を取り巻く要因が不確定でございますので、この際的確な見通しを立てると言われても、これは正直言ってなかなか難しいのでございますが、円高が我が国の大幅な黒字の改善につながるという基本的な観点から申しますと、高目安定を私どもとしては大変歓迎しておる、一歩大きな前進であると考えておるわけでございますけれども、逆にまた急激な円高によりまして輸出関連の中小企業にも影響が及びつつありますし、そういったことに対する対策をけさ通産省とも相談して決めたばかりでございます。
 それで、来年への影響はどうなるか、経済見通しはどう考えるかということにつきましては、今それぞれの専門の調査機関の数字をお挙げになりましたが、これまた見通しは難しいと思うんです。今まで私どもは市場開放策や内需拡大策を掲げておりますけれども、これだけではなかなか四%台に上げることは難しい。やはり今後の予算編成なり税制措置を講じて、どうにかして四%台に持っていきたいなと考えておる際でございます。
 特にまた、アメリカ経済のこれからの見通しにつきましても、御承知のとおり強弱両方の見方がございまして、まだ的確にこうだと決める決め手になる材料を私ども持ち合わせておりませんので、そこら辺の状況をにらみながら、これからの経済政策をしっかり立ててもらわなければいかぬと考えておる最中でございます。
○工藤(晃)委員 今何とか四%台に持っていきたいということの中には、やはり今の円高がかなり厳しく響いているという判断があるだろうと想像するわけでありますが、ともかく二百円台あるいは二百円を割るような状況については、答弁はできないだろうと思いますけれども、やはりかなり長期に続くというふうに考えた方がいい。それは、何といっても今度の場合は五カ国蔵相会議の合意でありまして、こういうことは今までなかったことでありますし、五月には東京サミットがありますから、まさかそれまでに円がまた安くなるようなことは政府はやらないだろうし、秋にはアメリカの中間選挙があるというような材料を考えますと、かなりこれが続くというふうに考えるのは当然だろうと思います。
 それから、今度の場合の特徴というのは、ともかく大規模に国際間で資金が移動することで為替相場の変動が起きていることから、どうしても金利政策というのをある程度アメリカと合わせてとらなければいけないという方向を進んでいる。そうすると、内需拡大などと言いながら、今のように金利を上げるという逆方向をとっている。
 三つ目の、先ほど長官も言われたのですが、アメリカ経済の見通しですね。どんな明るい見通しがあるか。私は余り明るい方は聞いたことがないのですが、暗い材料の方は多く知っているわけでありますから、そういうことを見るとかなり続く。しかも、これは日本の産業、とりわけ中小企業に厳しく響くものとして、政府は今後の見通しと同時に政策をとらなきゃいけないということを言いたいわけでありますが、もう一点私が長官に伺いたいのはこういう問題です。
 というのは、アメリカにとって対外インバランスが非常に大きい。経常で一千億ドルを超えるようなことになった。前代未聞なんですが、これが今のドル高是正によって、あるいはこれからとられる何らかの政策によって大幅に改善される見通しが果たしてあるだろうかという、その問題なんです。私は、これはかなり深刻な問題だと思います。
 その一つは、レーガン政権のやっている軍拡が続けられるということを私たちは問題にしておりますが、これは金利に響くとか、アメリカの産業の面では競争力を弱める大きな原因になっている、こういうこともあります。きょうここで取り上げたいのは、アメリカの多国籍企業がアメリカの産業を空洞化させているということが今広く取り上げられるようになりまして、ジェトロの海外調査部長木村信雄氏もある新聞に書かれております。
 概略申し上げますと、外資比率五〇%以上の在日アメリカ系企業のアメリカへの輸出が八四年二十億ドルある。これは日本IBMなども含めて言っているわけです。それからOEM輸出が非常にふえている。OEM、相手側ブランドの輸出ですね。これはVTR、コンピューター関連機器、複写機、工作機械、産業用ロボット、油圧式ショベル、カラーテレビ、電子レンジ、農業用トラクター、これは委任生産でOEMとちょっと違うかもしれませんが、乗用車でもそういうことがやられて、これが合わせて約五十億ドルぐらいある。そのほか、アメリカ側の企業の完成品にとって欠くことのできない部品の日本からの輸出が約八十億ドルありますので、合わせると百五十億ドルある。そうすると、国際収支ベースで昨年の日本の対米貿易黒字が三百六十七億ドル、経常の黒字が三百五十億ドルですから、それぞれの四一%そして四三%は、アメリカの企業がみずからの企業戦略によってつくり出した赤字部分ということにもなるわけなんです。
 こういう問題は最近非常に注目されていて、松下電器産業の技術顧問の唐津一氏もある雑誌にこのことをよく書いてあります。例えば「七月五日、ATTは電話機生産の拠点をシンガポールに移すため、八七五人の労働者をレイオフすると発表した。」まさにATTはグラハム・ベルの電話の発明につながる企業であるが、その主要生産物をシンガポールに移すということ。そういうことで同氏はこの中で、「アメリカの場合、他人をアンフェア呼ばわりしながら、一方で工業の解体をすすめつつあることだけは、何としてでも食いとめなくてはならない。」というふうに述べております。
 こういうもっとインバランスをつくり出す大きな原因について余り手が触れられようとしないで、他の方面でのいろいろな対策が講じられているように思いますが、その辺について長官はどうお考えでしょうか。
○金子国務大臣 今度のドル高の是正は、むしろアメリカ自身の発意によるものと私どもは考えておるのであります。今まで円安の原因の重立ったものはアメリカの財政赤字、高金利によるドル高だということを我が国としては機会あるごとに主張し続けてきたのですが、かたくなに日本に責任ありという一点張りでやってきたのでございますけれども、ことしの初めにリーガン財務長官がかわりましてベーカー財務長官になってから、日本の黒字の犯人はアメリカであるということを公式に認めたのが先般のG5の会議の結果だと思うのであります。今まで何回も協調介入をやる話し合いの機会はあったのでございますけれども、本格的にアメリカがこの問題に乗り出してくれたのは、恐らくこういう背景がバックにあるからだと私どもは考えておるわけでございます。やはりそれだけ、アメリカ政府としてもアメリカ経済の空洞化という問題にようやく気がついた、このままほっておいたらアメリカの産業はそれこそ本当に身動きならぬようになるぞという気持ちになったと考えておるのであります。
 しかし同時に、今後段で御指摘になりましたように、世界の分業化と申しますか、アメリカのブランドのものを日本に頼らざるを得ない、部品を日本の産業に求めざるを得ないという国際協力の面が急激に進みつつあることも事実でございます。日本の対米黒字の何%かがそれで占められることもアメリカ政府なり国民に十分認識してもらう必要がある。黒字でもうけたのは日本だけじゃないのですよ、おまえさんの方の会社の産業政策としてこれをやっているんだということを、我々としてはもっと声を大にして理解を求めることが必要な時代になったなということを痛切に感じておる次第でございます。
○工藤(晃)委員 アメリカの企業がもうけるためにそういう空洞化をつくっている問題や、日本の大企業が劣悪な労働条件などを利用しながら、下請中小企業へのしわ寄せをやりながら輸出ラッシュを進める、こういうことでインバランスが生まれて、そのしわ寄せがまた中小企業や勤労者に戻ってくる、この行き方が大変問題だと思って、我が党としてはそこにもっとメスを入れるということを言っているわけでありますが、きょうは特に緊急の問題について伺いたいと思います。
 それは、先ほどもいろいろお話がありましたが、今度の円高は何といっても政府主導の円高である。その結果、輸出型産地の中小企業が非常に今困っている。こういう政府自身が円高を進めておいてその結果大きな被害が起こるというとき、円高の進め方そのものを再検討するということがまず第一でありますが、あわせて政府が一〇〇%責任をとって被害に対応できるようにしなければいけないと思います。通産大臣、そこのところの考え方をぜひ聞かせていただきたいと思います。
○村田国務大臣 円高の起こりましたことについては、G5の九月二十二日の会議がスタートであることは間違いないわけでございます。それに対して、例えば中小企業特別調整対策というようなものをけさも決定いたしまして、総理に決裁を仰いで、そして発表したところでございます。これによっていろいろな救済対策、あるいは今後の六十一年度からの問題については予算、立法措置を含めていろいろな問題に対応していかなければならないと思っております。
 ただ、基本的に考えますのは、自由主義経済体制でありますから、したがって自由主義経済体制の中では企業の自助努力というものが常になければならない、そしてまた政府の施策と相まって今後の企業の経営を考えていくということであろうと思っております。
 私どもは、政府としてなすべきこと、中小企業対策についてはできるだけの努力をしなければならない、このように考え、財政当局にも、六十一年度予算案ないし抜本対策の立法措置が必要であればそういったものをも含めて進めていく、こういう姿勢でございます。
○工藤(晃)委員 今の答弁はちょっと気にかかるわけであります。自由企業体制である、自助努力だと言うけれども、政府がG5の会議で合意して、それで二百四十円を突然二百円に持っていく、にわかに二〇%も円高にしておいて、そしたら輸出関連業者にとってみれば、せいぜい三%、五%の利益だったところがたちまちそれが失われてしまう、輸出もストップしてしまう。いわば政府の行為によって中小企業が犠牲になっている、こういうことが起きているときに自助努力だと言うことは、ちょっと今ふさわしくない言い方ではないかと私は思いますから、それを前提にしてあと時間もありませんから質問を進めます。
 先ほども質問がありましたが、中小企業庁がやられました輸出型産地中小企業の状況調査について、中小企業庁の方からはさっきお答えがありましたが、大臣の方は十一月十八日の状況をどのようにお考えになっていますか。
○村田国務大臣 特に産地の企業の動向、そしてまたアンケート等をとりまして、非常に重要な段階であると思っております。したがいまして、こういった産地の今後の経営につきましては、中小企業庁等を通じましてできるだけの助成措置、その他協議、御相談をしていきたいと思っております。
○工藤(晃)委員 非常に重要な事態になっているということをお認めになったと思いますが、実際に既に契約してあるものでもキャンセル、条件変更は続々と出ていることだとか、新規成約がストップしてしまった産地が非常に多いということだとか、あるいは二百十円とか二百円の場合輸出向け新規成約が減少すると予想している産地が非常に多いし、赤字になる企業が五〇%以上になる産地、これは二百円以下のケースだと二十二産地、調査が四十産地ですからもう半分以上になる。大変厳しい状況が出てきているわけなんです。
 そういうことで、先ほど来ここでも緊急対策が問題にされまして、大臣も御答弁されたわけでありますが、きょう決定したという年末の緊急融資について少し伺いたいわけであります。
 十一月二十八日に各新聞がこの報道をしたとき金利は五%だったのですが、なぜ六・八%になってしまったのか、これは大変厳し過ぎるのじゃないか、このことを一点伺います。
○見学政府委員 お答えいたします。
 通産省といたしましては、来年度に向けまして、アクションプログラムに伴う市場開放措置あるいは円高の問題等々によりまして影響を受ける中小企業者に対しまして、特別融資制度として五%の、一千億の新しい融資制度というものを要求しているところでございます。しかしながら、円高の進展は急激でございまして、また前倒しでやってきたということで、本日関係大臣、閣僚がお集まりいただきまして、とりあえずの措置として措置をしていただいたものでございます。したがいまして、予算編成過程を迎えておりますので、この十二月末の予算編成過程に向けまして、来年度に向けての五%の要求は今後続けていきたいということでございます。現在、その予算措置がとられないでも済むぎりぎりの線のところの新制度を創設していただいたわけでございます。
○工藤(晃)委員 来年度は五%ということでありますが、今年度でも補正とかいろいろあるわけですからできないことではありませんが、この緊急融資制度ができれば、もちろんこれによって救われる部分もあると思いますが、先ほど私が挙げました中小企業庁の調査によりましても、金融機関からの借り入れについては担保が既にいっぱいとなっており、増額借り入れは困難とする産地があるというのが九産地もある、かなりの数あるということになっているわけです。
 それから、大臣も覚えておられると思いますが、去る十一月十二日、私も同席しまして、野間衆議院議員も同席しましたが、そこで中小業者の方が直接大臣に切々と訴えられたわけであります。兵庫県の播州織産地の小林さんという方でありますが、不況と円高で仕事量が減った上、工賃は昨年の三分の一以下、既に三人目の自殺者も出たということを訴えたことを覚えておられると思います。小林さんの場合は、この大会があったから代表して来たという気持ちよりも、ともかくも大臣に直訴したい、大臣に直訴する以外ないということであそこに来られ、直接訴えられたわけであります。
 そして、この兵庫県の播州織産地八千代町赤坂は五十世帯のうち半数がこの平織業だが、お互いに保証し合って借金している、お互いに保証人になっているわけですね。部落中の田畑、宅地建物が全部担保に入っている、一人が倒産すると全員が将棋倒しとなる、大変な状況だからもうやめることもできないということをあそこでもお聞きになったと思いますが、こういう実情を踏まえて、きょう決められた緊急融資だけではとても救われないのではないかということです。その点、大臣どうでしょうか。
○村田国務大臣 今工藤さんが御指摘になられましたように、先般は現地の苦労をしていらっしゃる方々の生の声を聞かしていただいたわけです。
 きょう決定をいたしました中小企業特別調整対策は、例えば政府系中小企業金融三機関等による特別融資制度の創設では、金利が六・八%となっておりまして、融資規模は一千億円程度ということでありますから、これは文字どおり緊急のものでございまして、六十一年度予算要求、そしてまた六十一年度におけるいろいろな具体的な制度は大蔵大臣にも特別に要請をいたしておりますし、これからいよいよ予算折衝の段階に入りますので、誠心誠意、中小企業の苦しんでいらっしゃる方々の救いとなるようなことを前提として努力をしたいと思っております。
○工藤(晃)委員 それならば、さらに進んでもっと抜本的な緊急対策をつくるという方向で検討されているというふうに伺ったわけでありますが、今の保証枠の問題でも、ともかくも担保を使い切ってしまっている。これまでも倒産関連保証の弾力的運用ということもありましたけれども、この実績は本当に少ないわけですから、本当にこの追い詰められた中小業者を救うには、先ほどもお話ありましたし、またこれは参議院で我が党の市川参議院議員が大臣に直接質問をして、検討するということだったわけでありますが、あの七年前のように、信用保険法の改正をも盛り込んだ円高対策法の立法を急速急ぐ必要がある。これは円高関連の中小企業の経営を安定させるための臨時措置法ですね、これをどうしても早くつくる必要がある。このためには、この商工委員会が大いに働かなければいけないと思っておりますし、私もそのため全力を尽くす決意でありますが、何といってもこれは通産大臣の方でその方向を急いでいただきたい。
 前回の円高関連特例保険保証枠、これはもう別枠にしたのですね。ですから、実際の実績を見ましても、昭和五十三年一月から五十四年三月まで一万三千五百七件、一千四百五十億三千七百万円という実績がありました。この法律に基づく中小企業為替変動対策緊急融資も同期間三万五千七件で四千四十七億二千二百万円。先ほど言いました一千億円の枠などをはるかに超えて、こういうことで成果があったと思うわけなんです。
 そういうことから、この政府主導の円高をやっているということ、それから見通しとしてもかなり厳しいことを我々は考えなければいけないというときに、中小企業経営安定の緊急措置法、まあ名前はいろいろあるかもしれませんが、その立法化ということをもっともっと急ぐ必要がある、こう考えます。何か必要があればっくるというのではなしに、もう急速に進める。その点でぜひ大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
○見学政府委員 御指摘のございました信用補完の点でございますが、実はけさほど決めていただきました中にも、信用補完制度の弾力的な運用ということで、不況業種指定を在来の運用に比べまして拡充するということで、新しく十二月から円高によって影響を受けた業種についてはそういった弾力的な指定をしたい、こういうふうに考えておりますほか、先生が御指摘になりました、もっと広い観点での新法をつくらないかということでございますが、これは通産大臣からも我々事務当局に対しまして強い御指示がございまして、検討をせよということでございまして、私ども鋭意検討中でございます。
○村田国務大臣 ただいま事務当局の見学次長からお答え申し上げたとおりでございまして、私どもは抜本的にいろいろな問題を対応しなければならないと考えておりますので、今後検討を進めて対応してまいります。
○工藤(晃)委員 ぜひこれは早く検討して、この立法化をやっていただきたいと思います。
 先ほどの不況業種に関して、指定などで弾力的にと言いますけれども、実はかなりの業種がもう不況業種になってしまっている、こういう事情もあることはよく御存じだと思いますので、やはり抜本的なものが要る。
 最後に一問でありますが、これは産地中小企業対策法の問題で、来年七月一日失効ということになって、以前にも我が党の野間委員がこの問題で質問したのがことしの四月二十四日、当委員会でありましたが、そのときの答弁としては、「産地法は、当時の経済環境の激変、具体的には、円高によりまして輸出が困難になるとか輸入が急増するといったもの、」等々そういう「事態に対処するために産地が結集してやろうとする努力を支援する目的で制定されたわけでございますが、御承知のように、その後経済環境がまた変わりまして、現時点では、このような法制定当時のような事態というのはなくなっているというふうに考えます」というのが当時の答弁だったわけでありますけれども、また当時にまさる厳しい円高がやってきているわけでありますので、失効になるとき、この産地中小企業の法律はもっといい内容にして続けるということを我が党は要求するものでありますが、この四月時点とまたさらに状況が変わった時点において、その問題も含めて通産省としてぜひ検討していただきたい。この点はどうでしょうか。
○見学政府委員 御指摘のように、産地中小企業対策臨時措置法は、五十三年、五十四年当時の経済的事情の著しい変化に対処するために制定されたものでございまして、来年七月に失効することとなっております。
 しかしながら、通産省といたしましては、地域中小企業の新商品開発でありますとかデザイン高度化を支援する地場産業振興対策、こういったものの充実強化を図るほか、特に技術開発の面につきましては、昭和六十年五月に国会にお世話になりまして制定されました中小企業技術開発促進臨時措置法の活用を図り、また事業転換対策につきましては、六十一年十二月で期限切れになります中小企業事業転換対策臨時措置法というのがございますが、これにつきまして特に拡充の上延長する方向で考えておりまして、こういった面におきまして産地対策にも十分配慮の上改正をしていきたいと思っております。
 なお、先ほど来申し上げておりますように、円高に対処しましての法的な措置につきましても、前例もあることでございますので、検討はさせていただいているところでございます。
○工藤(晃)委員 今の答弁で一つだけ。改正をしていきたいと言うから、失効後新しく改正した内容にするということを含めて検討しているということですか。
○見学政府委員 ストレートに産地法自体の延長ということではなく、事業転換法の改正が控えておりますので、これを拡充の上延長したい、そういった対策によって十分を期してまいりたいということでございます。技術問題については技術法ができております。そういった諸般の法律の用意によって産地法は吸収し得るもの、こういうことでございます。
○工藤(晃)委員 もう時間がなくなりましたけれども、今の点については、やはり産地がいかに重要であるかというのは中小企業白書の中にもよく書いてあるところでありまして、皆さんよく御存じだと思いますので、慎重に検討していただきたいし、拡充するという方向をぜひとっていただきたい。
 これをもって質問を終わります。
○粕谷委員長 工藤晃君の質疑は終了いたしました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。
    午後二時四十三分散会