第104回国会 本会議 第23号
昭和六十一年四月二十二日(火曜日)
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 議事日程 第二十号
  昭和六十一年四月二十二日
    正午開議
 第一 研究交流促進法案(内閣提出)
 第二 新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案(内閣提出)
 第四 昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)
    昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)
    昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)
 (承諾を求めるの件)(第百一回国会、内閣提出)
 第五 昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)
    昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)
    昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)
 (承諾を求めるの件)(第百二回国会、内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
 日程第一 研究交流促進法案(内閣提出)
 日程第二 新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)
      昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)
      昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)
 (承諾を求めるの件)(第百一回国会、内閣提出)
 日程第五 昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)
      昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)
      昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)
 (承諾を求めるの件)(第百二回国会、内閣提出)
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案(内閣提出)
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 中曽根内閣総理大臣の帰国報告についての発言及び質疑
    午後零時三分開議
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
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○議長(坂田道太君) お諮りいたします。
 参議院から、内閣提出、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
○議長(坂田道太君) 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案の参議院回付案
    〔本号末尾に掲載〕
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
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 日程第一 研究交流促進法案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第一、研究交流促進法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術委員長大久保直彦君。
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 研究交流促進法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔大久保直彦君登壇〕
○大久保直彦君 ただいま議題となりました研究交流促進法案につきまして、科学技術委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、科学技術に関する国の試験研究について、国と国以外の者との間の交流を促進するために必要な措置を講じ、我が国の科学技術に関する試験研究の効率的推進を図ろうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、試験研究機関等において研究に従事する研究公務員に外国人の任用ができるようにすること、
 第二に、研究公務員に職務専念義務の免除による研究集会への参加の道を開くこと、
 第三に、国の委託研究または国との共同研究に従事するために研究公務員が休職により民間等に出向する場合、退職手当上不利益にならないようにすること、
 第四に、国の受託研究の成果から生まれた特許権等に関する取り扱いを改善すること、
 第五に、外国政府等との共同研究の成果から生まれた特許権等について、当該外国政府等に対し、無償または廉価で使用させることができるようにするとともに、国際共同研究の実施に伴い生ずる損害賠償の請求権を放棄することができるようにすること、
 第六に、国有の施設を利用して試験研究を行う者に対し、一定の条件のもとに当該施設を廉価で使用させることができるようにすること、
 第七に、国は、国の研究に関し国際的な交流を促進するに当たっては、条約その他の国際約束を誠実に履行すべき義務並びに国際的な平和及び安全の維持について、特別の配慮を払うものとすること
であります。
 本案は、去る三月二十日に提出され、四月九日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、四月十日河野国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、その後、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、同月十八日質疑を終了し、同日、日本社会党・護憲共同より、研究交流に関する基本方針の規定を加える等の修正案が提出され、討論、採決の結果、修正案は否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、研究交流を促進するに当たっての基本的考え方等に関する附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 討論の通告があります。これを許します。小澤克介君。
    〔小澤克介君登壇〕
○小澤克介君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま報告のありました研究交流促進法案に反対の討論をいたすものであります。
 そもそも科学技術の研究交流は、人類の平和と福祉の向上のためにこそ促進されるべきものであって、軍事目的の研究交流は国際的にも国内的にもむしろ抑止することこそが、平和憲法を持つ日本の義務でもあります。ところが、日本では、国家公務員一般と自衛隊員とは、今日まで法体系においても基本的に区別されてきたところであるにもかかわらず、本法案においては、他の国家公務員と全く同等の立場で自衛隊員が加えられ、産学官軍の共同研究体制が公然と整備されようとしております。
 具体的に言えば、本法案第一条は、科学技術の概念に軍事技術を公然と含め、第五条から第九条までは、防衛庁関係研究機関や自衛隊員と民間や外国の研究機関との共同研究を容易にし、さらに、第五条は、一般の研究公務員と自衛隊員がそれぞれその出向先で合流して共同研究を行うことをも容易にし、また、第九条は、民間等に出向した自衛隊員が一般の国立研究機関の施設を使用して研究することをも容易にするものです。本法案は、まさに軍事研究交流法と言わなければなりません。
 また、見逃せないのは、本法案は明らかに、目下アメリカから強く要請されているSDI研究開発への参加を容易に可能にするための法整備であることです。なかんずく、原案にはなかったにもかかわらず、閣議において突如追加された「配慮事項」第十条なるものは、既に内閣が武器輸出三原則を破って推進している日米武器技術供与を土台に、日米安保条約と日米相互防衛援助協定及びそれに伴う秘密保護法等々を誠実に履行すべき義務を定め、あるいは先端技術の東の諸国や低開発国への流出の防止に努めることを要求して、いずれにせよ、SDI計画への参加を可能にしようとするための言語道断な条項であると言わなければなりません。
 SDI、すなわち宇宙戦争構想なるものが、どんなに危険なもので、日本国民と世界諸国民をどんなに深刻な事態に追い込むものであるかは、委員会審議における参考人の陳述からも明らかになっております。この研究開発への参加が、宇宙の開発と利用は平和の目的に限るとする国会決議に真っ向から反するものであることは、小学生にもわかることであります。SDIが軍事目的のシステムではなく、平和目的のシステムであるなどということは、全くの詭弁にすぎません。左手に盾のみを持つ場合、これを防御兵器と言い繕うことはできます。しかし、同時に右手に矛を持つならば、これは、一体として機能することは明らかです。
 これは、国会決議をほごにするばかりでなく、憲法の第九条に反し、その上、軍事機密や企業機密の名のもとに研究発表の自由を制限して、学問の自由を保障した憲法第二十三条を無意味にし、また、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と定めた第十五条にも反して、研究公務員に特定私企業への奉仕者、さらには特定外国への奉仕者になることを強いるものであります。
 このような危険な法律案は、ぜひ不採択としていただくとともに、改めて科学研究者の地位に関するユネスコ勧告及び日本学術会議の一九七六年の勧告に基づき、科学研究基本法をこそ速やかに制定し、その上に、研究公務員の身分保障を定める研究公務員特例法をこそ制定すべきであります。
 以上をもって、研究交流促進法案に対する反対討論といたします。(拍手)
○議長(坂田道太君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第二 新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第二、新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長瓦力君。
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 新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔瓦力君登壇〕
○瓦力君 ただいま議題となりました新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 新住宅市街地開発法は、昭和三十八年に、健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地の大規模な供給を図ることを目的として制定され、以来、今日に至っているのでありますが、近年、新住宅市街地開発事業について、地域整備上の要請に即した魅力的な町づくりの建設、住宅の近くの雇用の場の確保などの要望が高まっております。
 本案は、このような状況に対処し、健全な住宅市街地の開発を図るため所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、居住者の雇用機会の増大及び昼間人口の増加による事業地の都市機能の増進に寄与し、かつ、良好な居住環境と調和する特定業務施設を新たに事業地内に立地できるものとしております。
 第二に、準工業地域が定められている区域を含む区域について、新住宅市街地開発事業を施行することができるものとしております。
 第三に、住区をおおむね六千人からおおむね一万人までが居住することができる地区とするものとしております。
 第四に、建築義務期間を二年以内から原則として三年以内に延長するものとしております。
 本案は、去る三月十二日本委員会に付託され、四月十六日江藤建設大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十八日質疑を終了、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しましては、新住宅市街地内の特定業務施設の適正配置等三項目の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第三 天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第三、天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長小泉純一郎君。
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 天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔小泉純一郎君登壇〕
○小泉純一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、政府が、現在、臨時通貨法によって発行を認められております五百円以下の臨時補助貨幣のほかに、天皇陛下の御在位六十年を記念して、特別に十万円及び一万円の臨時補助貨幣を発行できることとし、他の臨時補助貨幣の例にならい、その法貨としての通用限度をそれぞれ二百万円及び二十万円とするとともに、十万円及び一万円の臨時補助貨幣の素材は、それぞれ金及び銀、量目は、それぞれ二十グラムとし、品位及び形式は、政令で定めることとしております。
 本案は、四月十八日竹下大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、同日質疑を行い、質疑終了後採決いたしましたところ、多数をもって可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第四 昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)
      昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)
      昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)
 (承諾を求めるの件)(第百一回国会、内閣提出)
 日程第五 昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)
      昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)
      昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)
 (承諾を求めるの件)(第百二回国会、内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第四、昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件(承諾を求めるの件)、日程第五、昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件(承諾を求めるの件)、右六件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。決算委員長角屋堅次郎君。
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    〔報告書は本号末尾に掲載〕
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    〔角屋堅次郎君登壇〕
○角屋堅次郎君 ただいま議題となりました予備費等各件について、決算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 これらは、財政法の規定に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。
 そのうち、昭和五十八年度の予備費等(その1)は、昭和五十八年四月から十二月までの間に使用が決定されたもので、一般会計予備費は、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費並びに河川等災害復旧事業等に必要な経費等三十件で、その使用総額は七百二十一億九千百万円余であります。
 特別会計予備費は、農業共済再保険特別会計農業勘定における再保険金の不足を補うために必要な経費等三特別会計の三件で、その使用総額は十七億千万円余であります。
 特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額は、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業の調整に必要な経費等六特別会計の十件で、その増加の総額は八十八億二千六百万円余であります。
 次に、昭和五十八年度の予備費等(その2)は、昭和五十九年一月から三月までの間に使用が決定されたもので、一般会計予備費は、雇用保険の求職者給付に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費及び国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費等二十六件で、その使用総額は千百二十五億二千万円余であります。
 特別会計予備費は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定へ繰り入れに必要な経費等四特別会計の六件で、その使用総額は千七百十五億五千五百万円余であります。
 特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額は、郵便貯金特別会計における支払い利子に必要な経費等の二件で、その増加の総額は九百六十八億三千三百万円余であります。
 以上の各件は、去る六十年十二月二十四日、それぞれ委員会に付託されました。
 委員会におきましては、昨四月二十一日各件について政府当局からの説明を聴取した後、質疑を行いましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 同日質疑を終了し、討論に付しましたところ、自由民主党・新自由国民連合及び民社党・国民連合は各件に賛成、日本社会党・護憲共同及び公明党・国民会議は各件に反対、日本共産党・革新共同は、昭和五十八年度一般会計予備費(その1)、昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額(その1)及び昭和五十八年度一般会計予備費(その2)に反対、他の各件に賛成の意見をそれぞれ表明されました。
 次いで、採決の結果、予備費等各件はいずれも多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) これより採決に入ります。
 まず、日程第四の三件中、昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)及び昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)の両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。
 次に、日程第四のうち、昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。
 次に、日程第五の三件中、昭和五十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。
 次に、日程第五のうち、昭和五十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)及び昭和五十八年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)の両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えるに決しました。
     ────◇─────
○桜井新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長福家俊一君。
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 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔福家俊一君登壇〕
○福家俊一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における国際交流の活発化に伴う国際的法律事務の増大とこれに対する的確な対処が不十分である現状等にかんがみ、渉外的法律関係の安定を図り、あわせて、外国における日本法に関する法律事務の取り扱いの充実に資するため、相互の保証のもとに、外国の弁護士となる資格を有する者が国内において外国法に関する法律事務を取り扱うことができる道を開き、かつ、その法律事務の取り扱いを弁護士の例に準じて規律する等の特別の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、法務大臣の承認を受け、かつ、日本弁護士連合会の登録を受けた者は、外国法事務弁護士となることができるものとすること、
 第二に、右の承認及び登録を受けるための要件は、相互主義の要件を満たす外国の弁護士となる資格を有し、かつ、当該外国において五年以上の実務経験を有するもの等とすること、
 第三に、外国法事務弁護士は、我が国の弁護士と同機の使命及び職責を有するものとするとともに、我が国の裁判所における訴訟手続の代理等一定の法律事務を除き、原資格を取得した外国の法に関する法律事務を行うことを職務とするものとすること、
 第四に、他の外国の弁護士となる資格を有する等一定の要件を備える外国法事務弁護士は、法務大臣の指定を受ける等の手続を経たときは、指定を受けた外国法に関する法律事務についても行うことができるものとすること、
 第五に、外国法事務弁護士の権利及び義務は、我が国の弁護士の例に準ずるものとするほか、外国法事務弁護士の名称、事務所、我が国の弁護士との関係等について、その特性に応じた規律をするものとすること、
 第六に、外国法事務弁護士は弁護士会及び日本弁護士連合会に入会するものとし、弁護士会及び日本弁護士連合会が、その指導、連絡及び監督に関する事務を行うものとすること、
 第七に、外国法事務弁護士の登録及び懲戒に関する処分の適正を図るため、日本弁護士連合会に外国法事務弁護士登録審査会、同綱紀委員会及び同懲戒委員会を置くものとし、弁護士、裁判官、検察官、政府職員及び学識経験者がその委員となるものとすること
等であります。
 委員会においては、去る四月十一日鈴木法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、参考人の意見を聴取する等慎重審査を行い、本日質疑を終了し、直ちに採決を行ったところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
○桜井新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(坂田道太君) 桜井新君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ─────────────
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長山崎拓君。
    ─────────────
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔山崎拓君登壇〕
○山崎拓君 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における社会経済情勢にかんがみ、労災保険の保険給付の内容を改善整備するとともに、メリット制度の対象事業場の範囲の拡大等を図ろうとするもので、その主な内容は、
 第一に、年金たる保険給付の給付基礎日額について、労働者の年齢階層ごとに最低限度額及び最高限度額を定めること、
 第二に、労働者が所定労働時間の一部について休業した場合の休業補償給付及び休業給付の額は、休業による賃金喪失分の六〇%とすること、
 第三に、休業補償給付及び休業給付は、監獄等に収容されている者に対しては支給しないこと、
 第四に、通勤災害について、通勤経路からの逸脱または中断後の往復が通勤とされる行為の範囲を、日常生活上必要な行為であって労働省令で定めるものとすること、
 第五に、事業主が故意または重大な過失により労災保険の手続を怠っている期間中に生じた事故について、保険給付を行ったときは、政府はその費用の全部または一部を事業主から徴収することができること、
 第六に、継続事業のメリット制度の適用範囲を拡大し、使用労働者数二十人以上の事業場とするとともに、有期事業のメリット収支率についても所要の改正を行うこと、
 第七に、労働保険の保険料の納付の手続について、口座振替による納付の方法を導入すること等であります。
 本案は、去る四月七日に付託となり、八日林労働大臣から提案理由の説明を聴取し、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)
○議長(坂田道太君) 内閣総理大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣中曽根康弘君。
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 私は、今般、国会のお許しを得て、四月十二日から十五日まで安倍外務大臣とともに米国を訪問し、レーガン大統領と二度にわたり会談を行ったほか、米国議会上下両院の指導者と懇談し、四月十五日に帰国いたしました。ここに、その概要を御報告申し上げます。
 私の今回の訪米の主な目的は、貿易経済問題を初めとする日米関係全般に関し、レーガン大統領との間で幅広い意見交換を行うとともに、三週間後に迫った東京サミットの成功に向け日米間の協力を確認し、さらに、世界的な広がりを有する日米両国間の協力関係につき同大統領と話し合うことでありました。二回の会談での率直な意見交換を通じこのような所期の目的は十分達成され、実り多い訪問でありました。特に、第一回の首脳会談のためにレーガン大統領夫妻よりキャンプ・デービッドの山荘に招待され、大統領との不動の友情と相互信頼関係を確認することができましたことは、ますます緊密化する日米関係を象徴するものとして、私の大きな喜びとするところであります。(拍手)
 レーガン大統領との会談においては、日米両国の大きな関心事である経済問題に関し、レーガン大統領以下米政府首脳より、MOSS協議や円ドル・レート等に関する最近の成果への積極的評価の表明とともに、先般の国際協調のための経済構造調整研究会報告書を、日本経済を国際経済に調和させるための歴史的一歩として高く評価し、同報告書の諸提言の実施への強い期待感の表明がありました。また、レーガン大統領よりは、議会における保護主義と断固闘っていくとの強い決意の表明がありました。
 これに対し私よりは、保護主義と闘うレーガン大統領を最大限支援する旨述べるとともに、経済構造調整研究会報告書を参考として我が国の経済構造調整を推進すべく、推進会議を設け、政府・与党の協力のもと、現在の膨大な経常収支の不均衡に関し、適正バランスを回復することを国民的目標として樹立し、当面実施すべき政策、中期長期に検討、措置すべき政策を策定し、順を追って適切に推進していく旨説明し、レーガン大統領は私のこのような姿勢を歓迎いたしました。
 また、レーガン大統領と私は、日米経済関係における最近の進展をより確かなものとし、米議会における保護主義を防圧していくため、両国間の協議、対話を一層強化すべき点で意見の一致を見、MOSS協議の継続及び日米構造問題対話の開始を確認いたしました。また、個別問題についても、引き続き協議を通じて解決を図っていくこととなりました。この関連で、私は、今次訪米中、二十名を超える上下両院の有力議員と昼食をともにしつつ懇談を行いましたが、これは米議会の日米経済問題に対する認識を深める上で大きな成果を挙げ得たものと考えております。
 レーガン大統領と私は、五月の東京サミットが、先進国、開発途上国を問わず世界の諸国民に将来についての明るい展望と自信を与えることになるよう協力することで意見の一致を見るとともに、自由貿易推進のためガット新ラウンド交渉の促進が必要である旨再確認いたしました。また、国際通貨問題、国際開発金融機関等についても有意義な意見交換を行いました。
 平和と軍縮の問題については、私より、東西関係の安定と核兵器の大幅削減を目指すレーガン大統領の強い決意に敬意を払い、昨年の米ソ首脳会談により弾みを与えられた米ソ対話が今後着実に進展することを強く希望する旨表明いたしました。レーガン大統領と私は、この問題に関して、自由主義諸国が引き続き緊密な意思の疎通と協調を維持していくことの重要性を再確認いたしました。この関連で、私より、アジア地域に十分配慮しつつINFのグローバルな全廃を目指す大統領の努力を高く評価している旨述べました。また、SDIについては、官民合同調査団の報告をよく研究の上、政府部内で我が国の対応につき慎重に検討していく旨説明いたしました。
 なお、地域問題についての話し合いで、私はレーガン大統領とともに、アキノ政権のもとにおけるフィリピンの発展と安定のための日米両国の一層の協力の必要性、及び開発途上国の経済状況や累積債務問題についての日米それぞれの貢献の必要性を確認いたしました。
 また、日米間の相互理解を今後一層促進するとの観点から、今次訪米の機会に、私は日米友好基金に対し三百万ドルの資金を贈与する旨の意向を表明いたしました。
 私は、今次訪米を通じて、日米関係が今や真に世界的広がりと重要性を有するに至っていることを痛感いたしました。日米両国の国民が力を合わせて世界の諸国民の平和と繁栄に多大の貢献をなし得るよう努力をしていくことがますます必要となっております。私は、以上の次第を国会を通じて国民の皆様に御報告申し上げ、引き続き国民の皆様の御支援と御理解を賜りますようお願いいたします。(拍手)
     ────◇─────
 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)に対する質疑
○議長(坂田道太君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。塩川正十郎君。
    〔塩川正十郎君登壇〕
○塩川正十郎君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、中曽根総理の訪米帰国報告に対し、質問を行うものであります。
 私は、まず、中曽根総理並びに安倍外務大臣が東京サミットを直前にして、忙しい日程の中で、米国レーガン大統領をキャンプ・デービッドの別荘に訪問され、極めて親しい友人同士の関係で二回にわたって率直な話し合いを行い、東京サミットの議長国として国際的な地ならしを行い、さらに、共和、民主両党の有力議員と懇談され、日米連携のきずなを一層強められたことに対し、深く敬意を表するものであります。(拍手)
 しかしながら、幾つかの問題については、一部に誤解されている面があるように思いますので、今回の首脳会談の成果が国民に正しく理解され、今後の協力と支援が得られますよう、若干の問題について質問を行い、総理の率直な御所見を承りたいと存じます。
 第一に、軍備管理及び軍縮並びにSDI問題についてであります。
 米ソ間の軍備管理及び軍縮交渉は、昨年の米ソ首脳会談により弾みを与えられ、その後、両国より新たな提案がなされるなど、世界は次回の首脳会談の開催を期待しておるのでありますが、いまだ次回開催の見通しも明らかでなく、軍備管理・軍縮の分野の合意も予断を許さない状況にあります。しかも、その焦点は、米ソ間のSDI開発についての駆け引きにあると思います。
 長年にわたる核兵器の増産と改良が、米ソの対立を一層激化している現実を見るとき、SDIが米国の主張する核兵器の廃絶につながるものであるとする理念及び目的に照らせば、核兵器廃絶を願う我が国としては、早急に研究に取り組むべきであると考えます。また、SDIの開発は、予知せざる先端技術の水準向上にも寄与すると聞いております。近く官民合同調査団の報告書も提出される予定でありますが、米ソ交渉の見通し及びSDI問題について、どのような話し合いが行われたか、お尋ねいたします。
 次に、日米の経済問題についてであります。
 今回の首脳会談においては、日米間の経済問題が中心議題となり、幅広く、かつ深い意見の交換が行われたと聞いておりますが、米国においては、五百億ドルに近い対日貿易赤字を背景とした根強い保護主義のために対日批判が絶えない状況にあります。また、本年秋には、アメリカは中間選挙が予定されており、米国内における保護主義圧力は今後ますます高まることが予想されます。総理は、首脳会談後、共和、民主両党の有力議員を招かれ、多岐にわたる意見交換をされたと聞いております。米国の世論を反映し、政策決定に多大の影響力を持つ議員との懇談については、私も大きな関心を持つものであります。
 そこで、今回の首脳会談及び議員との懇談で、日米経済問題についてどのような議論がなされたか、特に通貨問題についてはターゲットゾーンなどが議題となったのか、また、具体的な貿易問題に関係してMOSS協議を今後とも行っていくのか、また行うとするならば、その対象はどのようなものとなるのか、お尋ねいたします。
 特に関心の強い問題として、総理が米国側に手渡された国際協調のための経済構造調整研究会報告書についてお尋ねいたします。
 総理は同報告書の趣旨を大統領に説明されたことを受け、米国側が発表していることによりますと、日本は今や歴史的転換点にあり、経常収支不均衡の縮小を国民的目標とし、経済を内需振興型とし、さらに輸入志向型へ転換していくことを提言したとして、右報告書が米国で高く評価され、その実行に大きく期待しておる旨報道されております。この米国側見解をめぐって、我が国産業界、特に中小企業は、将来に大きい不安を持っております。
 本報告書の内容を検討いたしますと、今後の我が国経済の方向が大筋として同報告書の方向にあると考えます。しかしながら、これを具体化していけば、厳しい転換を余儀なくされる個別経済分野も出てくるのであり、実行に当たっては、緻密な計画と十分な時間が必要であり、国民の理解と協力を得ることが大切であります。また、経済構造の転換には、重要な法制の改正が必要となりますので、政権与党たる自由民主党とも十分な協議をなされることが肝要であります。
 そこでお尋ねいたしますが、総理の私的諮問機関から受けたこの報告書を、国の総合経済政策の中でどう位置づけされるのか、また、いかような方策でその内容を具体化されていくのか、この報告書をめぐってレーガン大統領との間にどのような議論がなされたのか、日米経済政策の調整問題について率直にお話を承りたいと存じます。
 第三に、東京サミットについてであります。
 東京サミットが世界の諸国民に明るい希望を与えるものとなるよう協力することで意見の一致を見たと言っておられます。しかし、現下の世界経済は御承知のとおり、幾多の困難な問題に直面しております。またさらに、我が国の経常収支不均衡に対しても、各国の関心はますます高まりつつあります。総理は、このような状態の中で、世界経済の成長に明るい見通しを与えるため、大統領とどのような話し合いをされたのか。また、総理は、平和と軍縮、東西関係の将来、フィリピン、中米問題等についても、幅広く意見を交換されたと伺っております。具体的にどのような話し合いをされたか、お伺いいたします。
 さらに、安倍外務大臣は、訪米後、引き続きOECD会議に出席され、東京サミットが成功するよう参加国外相等に国際的な根回しをされたと聞いております。多忙な日程、まことに御苦労さまでした。
 各国の当局と話し合われた結果、東京サミットで西側の結束を固める意味においていかなる政治問題が焦点となるのか。また、特に最近、国際テロ活動が活発化し、非常に危険な状態にあることに対し、世界の平和と安寧を守るためにも、国際テロ活動に対抗する有効な措置を協議されることと思いますが、安倍外務大臣にこの点、お伺いいたします。
 最後に申し上げたいのであります。今や我が国は、自由世界の主要国として、国際協調のもと、世界の平和と経済の発展のために大きく貢献していかなければならない責務を負っております。しかし、我が国は、経済大国と言われ、世界の生産工場的な役割を果たしてきましたが、先般の日ソ漁業交渉、また日米航空交渉の推移等を見るとき、我が国の国際交渉における非力さを痛感するのであります。我が国の正しい主張が世界各国に認められるためには、経済力のみが国力ではなく、我が国の国際的な地位をなお一層向上させていかなければなりません。
 私は、この日本対米国、欧州をめぐる問題の背景には、双方の文化の相違が大きく作用しているように思うのであり、文化の交流をさらに進めていかなければならないと考えます。明治の開国以来、我が先達は、多大の努力を傾注して西欧文明の吸収に努め、日本文化の理解を求めてまいりました。しかし、お互いが真剣に理解し合うためには、不断の努力と多年の歳月を要するのであります。
 極めて感動的な一例でありますが、米国ニューハンプシャー州ポーツマス市に、日米慈善基金が明治三十八年、一九〇五年以来存在しているというのであります。この基金は、日露講和条約締結のためポーツマス市を訪れた小村寿太郎全権が講和会議の後、ポーツマス市民にお世話になったお礼として一万ドルを寄附し、これが慈善基金のもととなって八十年後の今日まで続いており、日米友好のかけ橋となっているというのであります。また、日本に留学した東南アジアの青年たちが、日本を正確に理解され、日本との交流のためにいかに大きく貢献されてきたか、私はその事例を多く知っております。今回、訪米に際し、総理が日米友好基金に三百万ドルを寄贈されることを表明されましたが、これが日米の交流に一層役立つことを願うものであります。
 そこで、今後の日米欧及び諸外国に対する関係をさらに一層緊密なものとするため、文化の交流をいかに進めていかれるか、お伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 塩川議員にお答えをいたします。
 まず、米ソの軍備管理交渉の問題でございますが、私より、東西関係の安定と核兵器の大幅削減を目指すレーガン大統領の強い決意に敬意を払い、昨年の米ソ首脳会談により弾みを与えられた米ソ対話が、今後着実に進展することを強く希望する旨表明いたしました。平和と軍縮の問題に関して、自由主義諸国が引き続き、緊密な意思の疎通と協調を維持していくことの重要性を再確認したところであります。なお、この関連で、私から、アジア地域に十分配慮しつつINFのグローバルな全廃を目指す大統領の努力を高く評価し、引き続き努力をお願いした、そういうことでございます。
 SDIの問題でございますが、私より、官民調査団に対する米側の協力を感謝をいたしました。三回の調査が終わったところでございます。この報告を参考としつつ、今後、この問題の処理について、我が政府内部において慎重に検討していく旨を表明した次第であります。レーガン大統領からは特別の発言はございませんでしたけれども、大体今のSDIの情勢は、調査団の報告によりますと、アメリカとしては、一九九〇年代の初めごろ大統領や要路の当局者が判断を下す研究材料を今研究を進めてその資料を整えている、こういう状態で、一九九〇年代の初めごろその開発やあるいは配備の問題が決定されるであろう、それまでの今基礎的な調査研究を行っている、こういうことであると考えております。
 次に、日米の経済問題でございますが、我が国からは、今までの市場アクセスやアクションプログラム、あるいは累次にわたる関税の引き下げ等の状況を説明し、経済構造調整に対する段取りも説明いたしました。米国側の保護主義防圧のための両国の話し合いをさらに一層強化して、保護主義防圧のために断固として闘い抜くということで一致したものなのでございます。
 通貨問題につきましては、私自体も、首脳会談においても話をいたしまして、急速な乱高下を回避しなければならない、安定することが大事である、そういうことを強調したところでございます。また、有力議員との懇談会におきましても、一部からはターゲットゾーンの話も出ましたけれども、私はむしろ、ターゲットゾーンとかレファレンスゾーンというのは無理である、それよりもいわゆるマネージドフレキシビリティーと言われておる調整弾力化、そういう改善が好ましいのではないであろうかということを説明したところであります。
 いわゆるMOSS協議につきましては、新しい分野について、両国の事務当局において、何を選ぶか、今後相談していくということになったわけであります。
 いわゆる経構研、国際協調のための経済構造調整研究会の報告につきましては、この取り扱いを私は慎重にいたしておりまして、まず、これは私的研究会の報告である、したがって、いわゆる国家行政組織法上の八条機関の答申とは違う、政府としては、これを参考にして、自主的にみずからこれは政策を練っていくべき性格である、与党とも十分調整をし、協力の上で、審議会にかくべきものはかげ、当面行うべきこと、中長期にわたる措置等について一つ一つ順次行っていかなければならない、そのように考えておるところでございます。
 そのため、本日、経済対策閣僚会議において、同会議に、関係閣僚を横成員として、自由民主党の役員等の出席を求めて、推進会議を設置する、そしてその後の第一回会議におきまして、経済構造調整推進の基本方針を決定したところでございます。今後、この基本方針に沿いまして、関係審議会等における調査審議等を鋭意進め、与党とも十分連携を図りつつ、具体的な検討を行い、その結果を踏まえて適切に対処していきたいと考えておるところであります。
 次に、東京サミットの問題でございますけれども、東京サミットに関しては、これを世界に希望を与える明るいサミットにしたいという点においては、レーガン大統領と一致をいたしまして、アメリカ側は、全面的に日本側に対してもこの希望に対して支持を与えるということになったのでございます。
 私は、今回の東京サミットは、従来のサミットと違って、やや重大な性格を持っておると思っています。昨年の九月以降の円ドルあるいは世界の通貨関係の変化、あるいは石油の低落、そのほかのいろいろな問題が起きております。そうして、国際協調はさらに積極的に進んでまいりました。国際的な金利の低下とか、あるいは通貨関係の調整であるとか、あるいはベーカー長官における債務国に対する措置であるとか、ともかく積極的な態度が打ち出されているわけであります。したがいまして、今後、東京サミットにおきましても、各国間の積極的な政策調整、それから積極的な構造改革、アメリカにすれば膨大なる財政赤字、日本にすれば膨大なる輸出超過、ヨーロッパにすれば科学技術や労使関係の構造調整の問題、あるいは途上国や債務国に対する対応、そういうような諸問題についてさらに協調して実を上げて、世界に希望を与える方向に進めていきたい、そして自由貿易体制をさらに推進するために、ガット新ラウンド交渉の促進が必要であり、そういう点において推進力たらん、こう考えておる次第であります。
 次に、地域問題についてでございますが、特にアジア地域に配慮をしつつ、INFのグローバルな全廃を目指す大統領の提案につきまして、私はこれを評価したところであり、また、アキノ政権下におけるフィリピンの発展と安定のため、日米両国の一層の協力の必要性を確認したところでございます。
 最後に、欧米諸国との文化の交流でございますが、確かに御指摘のとおり、非常に重要な問題が残されていると思うのであります。我々は、今までは、外国文化を吸収するのに急でありまして、受信機は発達しているが、発信機は余りない、そういう意味において、発信をさらにする必要もあるのであります。両方のバランスをとるような努力を、政策的にも今後とも努力してまいりたいと思いますし、あるいは文化の交流につきましても、留学生の増大であるとか学者間のフォーラムの設置であるとか、あるいはジャーナリストや学者の招聘であるとか演劇や芸術関係の交流であるとか、こういうような諸般の問題について、今後とも積極的に努力してまいりたいと思います。なおまた、民間レベルの交流も、姉妹都市等を通じて行われておりますが、さらに政府としても、これを奨励し、支援してまいりたいと思っておる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 塩川議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、東京サミットの目的は、経済問題のみならず、時の国際政治問題あるいは政治情勢につきまして、各国首脳間で率直な意見交換を行って、各国相互の立場に理解を深めるものであります。政治問題に関する議題は、現時点では未定でございまして、現在では、首脳の個人代表が最後の詰めを行っておるわけでございますが、米ソ軍備管理交渉を初めとする東西関係につきましても、話題になるものと予想をされております。
 次に、国際テロに関しましては、我が国は、国際テロは国際社会の平和と安定を損なうものであり、理由のいかんを問わず、いかなる形のテロ行為も断じて許すべきではないという基本的立場であります。したがって、国際社会全体の問題として、その再発防止のための国際協力を積極的に推進していく所存であります。また、サミットにおける本件の取り扱いについては未定でありますが、仮に本件が取り上げられた場合には、我が国としては、ただいま申し上げました観点に立って建設的な討議が行われることを期待しておるのでございます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 嶋崎譲君。
    〔嶋崎譲君登壇〕
○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました今回の日米首脳会談に関連し、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。
 現代の国際社会において、首脳同士が胸襟を開いて語り合うこと自体、大きな意義があり、回を重ねることも大切であることは言うまでもありません。しかし、今回の訪米は、東京サミットへの地ならしの課題を持っていたとはいえ、むしろ外交的な必然性より、衆参ダブル選挙、総裁三選に向けての政局の動向をにらんだ演出ではなかったかという疑問は、私一人ではありますまい。(拍手)首脳外交が単なる一つのショーであってはならないのであります。
 ましてや、その際の発言が、外国向けと国内向けとに使い分けることは断じて許されません。今回の訪米に関する私の質問に対しても、従来と同様、いや先方にそうは言わなかったなど、恐らく内外使い分けの答弁をなさるでしょう。恐らく中曽根総理として、外国に出かけていっての首脳会談は今回が最後だと思いますが、その最後の舞台であなたの発言は、観客である国民、特に零細な中小企業者や農民など勤労国民にとって、拍手をするどころか、将来における重いツケを背負わされ、不安を拡大させただけなのです。総理、あなたの責任は重大です。
 総理、あなたのための私的諮問機関、国際協調のための経済構造調整研究会が、四月七日、あなたに報告書を提出されました。そのいわゆる前川リポートなるものは、行政組織上からいってどのような地位にある文章なのですか。単に総理が勉強するための私的文章と見てよいのか、それとも国の一つの政策として価値を持った文章であると見てよいのですか。もし国の政策の基調となる提言とすれば、我が国は、大統領制でなく、議院内閣制をとっている関係上、当然、党内、部内、閣内の連絡調整、意見の一致のための努力を経て政策決定されるべきものであります。しかし、与党議員も知らないうちに、総理の私的委員会から提言されたものが国の政策に変わっていったということなのでしょうか。これは、議院内閣制度の根幹にかかわる問題でありますので、経構研報告の地位について明確なお答えを願います。(拍手)
 総理、あなたは、経構研報告をアメリカにおいて国際公約されたのですか。これまでの報道によると、総理は、日米首脳会談で、経構研報告の実行は、百年ぶりの外科手術、党や官僚の抵抗を排して自分の責任でやり抜くと断言、文字どおり国際的公約あるいは確約をしてきたやに伝えられております。総理は、十六日の首相官邸における政府・与党連絡会議でレーガン大統領との首脳会談に触れ、経構研報告は、我が国の中長期的経済政策の方向として大統領に紹介したにすぎない、アメリカ側に約束したものではないとの見解を表明したと伝えられております。総理は、日本に帰り、アメリカ大統領に語った経構研報告の実行の確約の事の重大さに驚き、確約を隠すため、約束でなく中長期的と言ってごまかしているのではないですか。現に、四月八日、発表と同時にアメリカとECに説明員を派遣しているではありませんか。だから、米国はもちろん、世界各国は、中曽根首相は対米公約をしたと受け取り、外電はすべてそのように報道されているではありませんか。国際公約問題について明確な答弁を求めます。(拍手)
 経構研報告が米国から高い評価を得たとしても、この提言の内容は果たして実現できるものなのですか。経構研報告の問題意識は理解し得るとしても、それは抽象的なきれいごとを羅列しただけで、具体性が全く欠けております。これをどう実現するかの具体的対策がないではありませんか。また、関係省庁の対立一つとっても、実行の可能性のないことを実証していると言えるのではないですか。例えば、去る十三日の日米首脳会談で、日米間の貿易不均衡を是正するための構造調整協議会を設置することが合意されたことに対し、具体的にどのようなテーマで話し合うのか、日米間ではもちろん、日本の政府内部ですら十分に煮詰まらず、大蔵、通産は、新協議の場にさえ難色を示していました。関係省庁の対立をどのようにおさめるつもりなのか、この協議会についての大蔵、通産両大臣の御意見を承りたい。
 また、経構研報告の実現のため日米協議会を設け、日本経済の構造変革を米国が監視するということになると、日本への内政干渉にならないのか。そのもとでは、米国の輸出攻勢で、日本農業は壊滅してしまうのではありませんか。中小企業も、次々と倒産の憂き目にさらされるのではありませんか。総理の御答弁を伺いたいのであります。(拍手)
 報告は、対外不均衡の現状が経常黒字GNP比三%台という危機的状況にあるという認識から出発している。ところで、根本的な問題点は、日本の大幅な経常黒字の原因は日本側にあり、この黒字を圧縮するのは日本経済の責任である、日本側の行動によってこれを解消しなければならないという認識を、当然の基本的な前提としているように思われます。エコノミストや米国の中には、輸出超過が発生するのは、日本の貯蓄超過の結果であると論ずる者が少なくありません。この議論を承認するかのごとく、報告でも、貯蓄優遇税制の抜本的見直しの項だけが具体的に特記されております。しかし、この議論は全くの誤りであります。今日の日本の輸出超過は、決して貯蓄超過のため起こったものではありません。もしそういう状況であれば、日本経済は大変な不況になり、所得は減少し、失業が増大し、設備過剰が生ずるはずであります。
 日本の輸出超過が急激にふえたのは、ここ三年間のことにすぎません。その間、設備投資はふえ、雇用も実質賃金も少しずつ改善してきたのです。経常収支の大幅黒字を生み出したのは、日本の貯蓄過剰によるものではなくて、日本の投資不足と米国経済の運営の誤りによるものであります。米国のドル高、高金利、その背後にある米国財政の大幅赤字による国債増発が元凶であります。米国の経済運営の誤り、それに基づく米国の異常な輸入超過を不問にして、日本側だけの行動で事態を正常化しようとするのは無理であります、なぜ米国の財政運営について注文をつけなかったのか。財政赤字の削減について確約もとらずに、国内対策としての経構研報告を米国側に示せば、一方的に日本が譲歩したことになるのです。この提言は、日本の輸出削減、輸入増だけで黒字を減らそうという極めて一方的な、日本に不利なものと言わざるを得ないのであります。総理の対米発言は重大な過失と言わざるを得ないと思うが、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 経構研報告は、財政再建との関係がぼかされています。内需拡大を強調しているが、財政との関係はどうなるのですか。同報告書は、内需拡大のため、民活を呼び水に財政上のインセンティブが必要としているが、建設国債の活用には言及を避けています。政府の言う財政再建と報告の言う対外不均衡の是正、内需拡大とは両立しがたい課題ではないですか。報告は、きれいな目標を掲げたのに比べ、これを実現する政策手段には何も触れておりません。全く絵にかいたもちに等しいと思うが、大蔵大臣の答弁を求めます。
 次に、新しい市場分野別、MOSS協議をどうするかについてお聞きします。自動車部品、背高コンテナ、ワイン等々、米国は日本市場への進出に熱心です。このようにして次々と日本市場の開放へ政治的圧力をかけられたら、日本産業、特に中小企業は参ってしまうのじゃありませんか。大変なことです。通産大臣の答弁を求めます。
 また、報告を受けて、政府は、当面の総合経済対策を決定しましたが、この内需拡大効果をどのように判断されているのか、お尋ねします。日米首脳会談で総理は、八日に政府が決定した総合経済対策で内需を十一兆円、GNP比〇・七%拡大させる効果があるとレーガン大統領に伝えたと言われています。一けた間違っていませんか。ところが、総合経済対策を策定した当の経済企画庁は、驚いてこれを否定したという。一体どれだけ拡大効果があるのですか、総理の答弁を求めます。
 次いで、当面する円高の進行についてお尋ねします。
 為替相場の安定と今後の円相場をどのように考えておられるのですか。米国からさらに円高を求める外圧がかかっているのではありませんかとさえ考えられます。四月八日、竹下蔵相とベーカー財務長官の会談の後、竹下蔵相が為替相場安定の重要性で認識が一致したと述べたことに対し、ベーカー長官が不快の念を抱き、ローソン英国蔵相がベーカー長官との合意に基づき、もう一段の円高を求める発言を行ったと外電は報じております。米国は、日本の円をさらに上げようと外圧をかけているのではないですか。円相場の安定のため、もっと積極的な手段をとるべきではありませんか。全く市場に任せて放任するつもりですか。それでは、日本経済は不安定化するばかりです。この点について総理は首脳会談で何らかの発言をなさいましたか、総理並びに大蔵大臣の見解を求めます。
 政府の総合経済対策では、円高不況の克服も内需拡大も実現できないのではないですか。政府は、秋には景気が円高差益頼みで上向くと楽観的です。しかし、産業界は円高不況におびえています。民間の銀行や調査機関は、いずれも経済成長率の見通しを下方に修正し、政府の言うような実質四%成長を言うものはいません。二%台後半から三%の見通しが大部分です。一方、日本経済の経常収支は、八六年度八百億ドルも黒字を出すであろうとOECDは推定しています。このような状況の中で政府は、六十一年度緊縮予算を組み、さらに六十二年度も同じ方針で緊縮予算を編成するつもりであると伝えられていますが、内需拡大の対米公約をどうして実現するのですか、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 経構研報告の中でただ一つ積極的な面、個人消費の拡大、そのための賃上げと所得減税を具体化するために、昭和六十一年度予算野党修正要求に盛られた積極財政や二兆円減税、住宅、社会資本の計画的充実などを直ちに実行に移すべきであると思いますが、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 次に、SDIについてお尋ねします。
 最近行われた米国の物理学者に対するアンケートでは、その三分の二が、SDIは米国民を守る有効な手段とはならず、軍拡競争をエスカレートさせるだけであると考えていることが明らかになっております。さらに、アメリカの上院歳出委員会の三人の議員は、研究は見るべき進展を遂げておらず、研究が進むにつれて、かえって幾つもの困難に直面しつつあると悲観的な見通しを述べたリポートを公表して、SDI研究に対する批判は、アメリカ国内でも一層強まっているのが現状であります。
 このような中で、総理は、従来の研究と理解の立場から一歩踏み出す姿勢を示したとの報道がなされておりますが、一体レーガン大統領にどのような発言をなされたのですか。恐らく米国向けの発言は、日本の研究参加が近いと期待を抱かせるような発言だったのではなかろうかと推察できるのでありますが、いかがですか。SDI参加について関係閣僚会議を設置することを決めたようだが、SDI参加は、宇宙の利用は平和目的に限るとする日本の宇宙開発の基本政策、非核三原則の国是とも相入れないことは明白であります。関係閣僚会議で問題を煮詰めた後に最終態度を決めるそうでありますが、協議した結果、SDI参加拒否という選択も当然あり得ると思うがどうか、この点明確な答弁を願いたい。(拍手)
 最後に、米国によるリビア爆撃についてお尋ねします。
 総理、あなたは日ごろ、ロン・ヤス関係の親密度を誇示しておられますから、当然、レーガン大統領から事前にリビア爆撃の内容を聞いていたと思っていました。しかし総理、あなたは、十五日には何も聞いていないとしておきながら、十六日には一般的説明を受けたというふうに変わりました。十七日になると、ホワイトハウスのスピークス副報道官によって、リビア爆撃を日本が支持したことが明らかになったのであります。総理がいかに打ち消そうとも、スピークス副報道官によって、日本は英国に次いで支持したことになってており、そのニュースは全世界を駆けずり回っています。本当にアメリカの行為を支持していないのであれば、スピークス発言に抗議と訂正を申し入れるべきでありませんか。恐らく、あなたはそのようなことはできないと思います。結局、ここでも総理の発言は、客観的に見て、米国向けと国内向けの発言を使い分けているとしか言いようがないではありませんか、御答弁を願います。
 私は、国際テロ行為を憎むものであり、撲滅すべきものであると思っております。しかし、戦争行為に等しい爆撃といった報復行為によって、テロ活動が撲滅できるとは到底思えません。アメリカの行為は、外国の領土を攻撃し、主権を侵害する行為であり、これは国際法等諸原則に違反するもので、国際的に非難さるべきであると思うが、いかがでしょう。
 さらに、もし国際社会からリビアを孤立させるための協力をアメリカから求められた場合、我が国はいかに対処なさるのか、総理並びに外務大臣の御所見をあわせて伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 嶋崎議員にお答えをいたします。
 まず、いわゆる経構研報告の取り扱いの問題でございますが、先ほど来申し上げましたように、これはいわゆる八条機関の報告あるいは建議というものではない、私的研究機関の意見書である、そういう立場はよくわきまえておりまして、これを参考にして、政府は独自に、政府・与党一体となりまして政策を練っていこう、そういう考えで推進会議を結成したと御報告申し上げたとおりでございます。
 次に、これが対米公約ではないかという御質問でございますが、私は、この経構研報告を読みまして、政府・与党で会議をいたしまして、これは時宜を得た非常に貴重な、適切な報告であると考える、評価する、こういうふうに言ってあるのであります。しかし、アメリカに対しましては、この報告はこういう性格を持っている、いわゆるこれは私的諮問機関の報告であって、これを今後どういうふうにしていくかということは、政府・与党は自分たちで独自に政策を形成していく、その際に参考にすべきものである、そういうふうに申し上げてきておるのでございまして、別に対米公約というような性格のものではございません。
 次に、経構研報告の具体化の方法でございますが、これは推進の会議をつくりまして、今後どういうふうに短期、中期、長期にわたってこれを実行していくか、そういうような手順をこれから検討して策定していくということでございます。
 日米構造問題につきましては、アメリカとしては、先ほど来申し上げましたように、膨大なる財政赤字があり、あるいは金利の問題があり、輸出努力の問題があります。これは私も指摘したところであります。日本側といたしましても、膨大なる輸出超過の問題がございます。あるいは、市場アクセスの問題も言われております。そういうような両方の構造問題についてお互いで認識を深め、これをどう是正していくかということについて協議しよう、そういう意味で行ったので、新たな合意とか結論を求めて交渉を行うという、そういう性格のものではないのであります。政府部内において、これは既存のフォーラムを活用して行う、例えば日米高級事務レベル会議の場等を活用する、こういうような一つのアイデアも示しまして、そういう方向でお互いが了解をしたということであります。
 次に、経済構造変革の影響の問題でございますが、現在の対外不均衡の問題につきましては、厳しい外国の批判があります。しかし、この研究会報告及び政府・与党で決めておりますこの態度を見まして、外国は日本の努力を見守ろう、こういうふうに変わってまいりまして、OECDの閣僚会議に出た安倍外務大臣やあるいは企画庁長官の報告によりますと、昨年ほど厳しい対日批判というものはなかったという報告であります。私がアメリカへ参りまして、厳しいアメリカの議員諸公とも会いましたけれども、前のときほどの強い、厳しい批判はありません。
 しかし、日本のこの黒字に対する大きな懸念及び保護主義に走ろうとする潜在的な圧力というものは、非常にまだあるわけなのであります。アメリカの皆さん、議員が言っておりましたけれども、秋の選挙を控えまして、いわゆるオムニバス法案と言われる包括的な保護主義法案が今、議会に用意され、通過されようとしておる。現在、予算と税制改革で熱を上げておりますけれども、いつこの法案がその間を縫って出てくるかわからぬ、そういう重要な圧力を受けているということも私は聞いたところであります。したがいまして、このような日本に対する批判をかわし、あるいはそのような批判を我々が減殺していくというためにも、日本がみずからこういう方向で努力するということを示すことは、最も大事なことなのであります。そういう努力をしないでおけば、ますます円は強くなるという形にならざるを得ぬのであります。そういう意味におきましても、我々は、我々の行うべきことを、国民の御理解をいただき、与党と一体になって、野党の御協力もいただいて、実行していきたいと考えておるところでございます。
 次に、国内産業への配慮の問題でございますが、この点につきましては、特に中小企業に対する影響を我々も憂慮しております。特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法等を初め、諸般の金融そのほかの対策を強力に今後も推進してまいります。農業の問題につきましては、私は前から、農は国のもと、生命産業である、そういうことを言っているとおりでございまして、農業につきましては、各国ともに特有の対策を持っておるわけであります。ECとアメリカの現在の一番大きな対立は、農業問題であります。そういうような面から、各国は農業に対してはみんな特有の対策を持っておるのであります。日本といたしましても、やはり食糧の安全保障、あるいは国土緑化に対する影響、あるいは社会や日本の精神的構造に関する農業の貢献、そういう諸般の問題についても我々は配慮しつつ、内外が調和するような政策を慎重にとっていくということを申し上げる次第でございます。
 今回の日米会談におきまして日本が譲歩したのではないか、公約したのではないかというお話でございますが、そういうことはございません。日米両方の努力で自分たちが持っておる問題は解決すべく努力しよう、そういうふうに話し合ったということでございます。私は、アメリカ側に対しましては、特に膨大なる財政赤字、あるいは金利の問題、あるいは輸出努力の問題等々について強く要望してきた次第なのでございます。
 総合経済対策の影響につきましては、御存じのように、金融政策の機動的運営、公定歩合を三回にわたって引き下げまして、ドイツと同じように今、有力国では最低になっております。公共事業の施行の促進、円高及び原油価格の低下に伴う差益の還元及び価格の適正化、規制緩和による市街地再開発の促進、住宅建設、民間設備投資の促進、中小企業対策等の推進を内容とするこの経済対策を強力に推進してまいりたい、そう思っておるところでございます。この間の総合経済対策によりまして、六十一年度上期における対策の効果を年率で換算しますと、名目GNPの〇・七%程度の増加に相当する、こういう企画庁の報告でございます。
 為替相場の安定の問題につきましては、私は強く、乱高下とか急激な変化は望ましくないと断言してきておるのであります。そして、長期的安定のために両国が努力すべきであるということも申してきたのでございます。現在の情勢を見ますと、相場の動きが急に過ぎて、やや乱高下と判断される気配がなきにしもあらずでありまして、我々は、適時適切なる措置をとる考えで今見ておるところでございます。
 次に、首脳会談での円相場についての発言でございますが、先般の九月二十二日のG5の会議の結果については、お互いにこれは結果的にはよかったという評価で一致しております。しかし、今後の問題等につきましては、やはりお互いでよく協調し、協議していこう、そういうことで一致しておるわけでございます。
 次に、内需拡大の問題でございますが、これは先ほど来申し上げました諸般の政策を行いまして、内需を中心とした景気の維持拡大に努めたいと思っております。しかし、最近は石油の値段がかなり落ちてきておりまして、これらは日本経済にとってはまたプラスの面でございます。既に電力やあるいはガスの利益は還元いたしました。そういう意味におきましても、これは日本にとって大きなプラスでございます。これらを我々は、景気上昇の一つのばねに使っていきたいと考えておるところでございます。
 次に、六十二年度の予算編成と内需の問題でございますが、六十二年度予算編成に当たりましては、そのときにおける景気動向にも配慮し、各種の工夫を重ねつつ、着実な財政改革を進めてまいるつもりでおります。我が国財政が極めて厳しい状況にあることを考えると、建設公債の増発による公共投資の拡大は困難な状況にございます。所得税の減税の問題については、税調審議の結果を待ち、あるいは各党の御協議の内容を見守っておるところでございます。
 SDIの問題でございますが、私よりは、今般の官民調査団に対する米側の御協力を感謝するとともに、今後、調査団の報告を参考としつつ、研究参加問題についての我が国の対応を政府部内で慎重に検討していく、そのように言明した、それにとどめてあるわけであります。
 SDIについては、従来より繰り返し申し上げていますが、レーガン大統領より、非核防御の兵器であって、究極的には核の廃絶を目指すものである、こういう説明を受け、我が国としては、そのようなものとして理解を表明しているところです。非核三原則とSDI研究参加との関係については、非核三原則は、我が国が主体的意思に基づいて、我が国の領域内に核兵器の存在を許さないことを内容とする政策であるので、米国が行うSDI研究との間に特に関係があるとは考えておりません。国会決議については、政府としてこれを尊重することは、従来から答弁しているとおりでございます。
 リビアの問題につきましては、米側より、米として先般の西ベルリンにおけるディスコ爆破事件にリビアが関与していた確実な証拠を有しているということ、また、将来同様の事件が再発する可能性のあることについて説明があり、近いうちに米国が必要な措置をとる可能性があるという話が一般的にございました。しかし、アメリカ側の話はあくまでも食事中のそのような一般的な話であり、いつどこで何をするかというような具体的な話はなかったのであります。安倍外務大臣が十五日ワシントンにおきまして、米国が今回の攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細については承知していないので、事態の推移を重大な関心を持って見守る、そして拡大を望まない、そのように言明したのが日本の態度でございます。
 残余の答弁は外交当局から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 嶋崎議員の米国のリビア爆撃問題に関する御質問にお答えをいたします。
 米国が今回の攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることにつきましては、米国としての理由があると考えますが、詳細については承知しておりませんので、具体的行動に対する法的判断を行う立場にはありません。我が国としては、国際テロ事件が頻発し、今後事態が一層悪化、拡大することを深く憂慮し、事態の正常化、鎮静化を強く希望しているところであります。我が国は従来より、理由のいかんを問わずいかなる形の国際テロにも断固反対しており、今後とも国際社会全体の問題としてこれらテロ防止のための国際協力を積極的に推進していきたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対するまず第一の質問は、構造調整協議会の問題についてであります。
 日米両国の構造問題に関し、政府の高級レベルで二国間対話を行うことについて合意されたということは、承知をいたしております。本件対話は、あくまでも対外バランスと日米両国の構造問題の関係について相互の認識を深めることを旨としたものでありまして、日米両国政府のそれぞれ首脳が相互の問題について認識を深めるということは、お互いに意義のあることであると考えております。
 次は、経構研報告についての問題であります。
 政府は、従来から、六十五年度までに特例公債依存体質から脱却、そしていま一つは、建設国債を含めた全体としての公債依存度の引き下げ、この二点に努めておるわけであります。この大きな枠のもとで、内需拡大等のためにはもろもろの工夫を図って、限られた財源の中で最大限の政策効果の発揮に努めてきたところであります。経構研報告書の内容には、この基本路線と異なるものではなく、安易に拡張的な財政運営に転換することなく、従来の枠組みの中で、財源の効率的、重点的配分、民間活力の活用、規制緩和、これら種々の工夫を図っていくことを求められておるものである、このように考えております。
 次の問題は、為替相場の問題であります。
 確かに、先週後半からかなり急速なドルの全面安、このような状態になっております。先般訪米いたしました際、米国のベーカー財務長官と、最近の為替相場の動向を含め、率直な意見交換を行ってまいりました。為替相場の問題については、特定の水準についてではないが、一般的に相場の安定が重要であるということで意見が一致をいたしておるところであります。したがって、今後とも、各国の政策協調が何ものにも増して重要でありますが、相場の動きが急に過ぎ、乱高下と判断される場合には、適時適切に介入することを考えております。
 それから次の問題は、総合経済対策についてであります。
 我が国の経済は、昨年度策定した二度にわたる内需拡大策、それから三度にわたる公定歩合の引き下げの効果、円高や原油価格低下の効果が徐々に発現すると期待されます。さらに、今回の総合経済対策は、電力、ガス料金の引き下げなど、円高及び原油価格低下のメリットのうち、市場原理の機能しにくいものを経済全般に浸透させる措置、公共事業の施行促進、電力の繰り上げ発注等が含まれておりますので、内需を中心とした景気の維持拡大をより確実なものにすると思われます。また、特に中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度等の貸付金利の引き下げを行うなど、一方きめ細かな措置を講じたところであります。
 次は、六十二年度の予算問題についてであります。
 六十一年度予算、これは限られた財源の中で公共事業の事業費、これを四・三%増ということを確保するなど、内需の拡大に配慮したものであります。六十二年度予算編成に当たりましては、その時点での景気動向にも配意しつつ、各種の工夫を重ねながら、引き続き着実に財政改革を進めていく努力を行わなければならない、このように考えます。
 次は、いわゆる二兆円減税でありますとか、そういう観点からの御意見を交えた御質問であります。
 総理からもお答えがございましたが、私どもいろいろな配慮をしておりますが、日米首脳会談におきまして、我が国より、総合経済対策等に従って内需拡大に努めていることを説明し、米側はこれを評価したと承っております。
 野党共同修正要求に盛られております建設公債増発による公共投資追加、そして所得税減税、この提案について申し上げますならば、建設公債増発によって公共投資を追加いたしますならば、確かに一時的効果はございますが、利払い等いわば財政体質を一層悪化させるということにも、十分配慮をしなければならない問題であります。また、所得税減税におきましては、税制調査会において今まさに抜本審議が行われておるさなかでありますので、その結論を得ない段階で減税を実施するということは、政府としては適当でないと考えております。ただ一方、三月四日の与野党幹事長・書記長会談の合意があります。したがって、この問題は、各党間でいろいろ御協議をなすっておることも承知をいたしております。目下、その協議の推移を見守るという立場をとっておるところでございます。
 以上で私のお答えを終わります。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 日米首脳会談でお話のあったという構造調整協議会設置についての、具体的にどうするんだということでございますが、これは、現下の対米バランスの問題等について、両国の構造的な問題などいろいろ認識を一致させるための話し合いをやっていこうというように考えております。
 それから、この協議会の場をつくるについて、通産、大蔵は難色を示したと言われるがどうだということですが、これは、こういう問題は話し合いの過程でいろいろな議論があることは事実でございますが、最終的に意見の一致を見ているということであります。
 それから、市場分野別の協議を新しくどうやっていくかということでございますが、これは、具体的新分野の設定については、まず日本国内のコンセンサスを得なければならない、それがまだ得られていないということでありますので、引き続き今後ひとつ協議をしていこうということになっております。いろいろ米国から要求もあることもありますが、しかしこちらは、聞けるものは聞きますけれども、聞けないものは聞かない、こちらの言い分はきちっと申し上げていきたい、そう思っております。(拍手)
    ─────────────
○議長(坂田道太君) 正木良明君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔正木良明君登壇〕
○正木良明君 私は、公明党・国民会議を代表して、中曽根総理の訪米報告及び関連する当面の諸問題について質問するものであります。
 先進国首脳会議が七年ぶりに東京で開催されます。サミット発足以来十二年、世界情勢も大きく変化いたしました。サミットの性格も、それにつれて変わり、政治的色彩が一段と強くなっているとはいえ、私は、先進国首脳が一堂に会するサミットは、世界経済の安定的成長を図り、世界の平和と軍縮を実現していく上で、極めて大きな役割を持つものであると考えます。しかし、この二つの課題を推し進める具体的な対策には、かなりの政策調整が必要であります。その意味で、ホスト役を務める中曽根総理の役割とその責任は重大であり、質問の最初に政府から、サミットに臨む我が国の方針並びにホスト役としての決意を伺うものであります。
 総理、東京サミットへの地ならしを目的として開催された今回の日米首脳会談は、会談それ自体の意義を評価するにはやぶさかではありません。しかしながら、広範に取り上げられ、討議された日米間の当面する諸問題についての合意事項の内容には、極めて重大な問題が含まれており、とても見過ごしにはできるものではありません。
 その第一点は、構造調整の問題であります。
 日米首脳会談の大きな焦点であった経常収支不均衡問題について、総理が、構造調整、すなわち日本経済を内需主導に、輸入、とりわけ製品輸入が相当に増大するような経済構造への転換を、日本の国策としてアメリカに提示、すなわち総理の私的諮問機関の報告の政策化を国際的公約として約束してきたことに対し、率直に伺うものであります。
 一つは、私的諮問機関の報告を、国会の審議を経ることなく、我が国の国策として米政府に提議し、国際的公約とすることが正当なこととして許されるのでありましょうか。二つには、政府が経済構造調整推進会議を本日設置し、その具体化を図ろうといたしておりますが、実行プログラムの中身は、賃上げ、所得税減税、労働時間の短縮などであるとマスコミに報じられております。総理の考える実行プログラムは何か。これら二点について明らかにしていただきたい。
 総理、日本の経済社会の構造調整は重要な課題であり、私ども公明党は、この推進の必要を否定はいたしません。しかし、総理が極めて唐突に口にし始めたことに疑問なしとはいたしません。急激な円高による輸出産業の不振、不況に加えて製品輸入の拡大は、国内同種製品産業、特に中小企業、農業の競争力の喪失による不況というダブルパンチを受けることは必至であります。そこで問題となるのは、構造調整に対し、いかなる政策手段とスケジュールを考えておられるのかということであり、より重要なことは、急激な構造改革がもたらす国内産業への影響に対する政策的配慮を、どのように考えておられるかということであります。その基本的な考えを、ここにぜひ明らかにしていただきたいのであります。
 あわせて、日米貿易不均衡は、日本の産業構造にすべての原因があるのではなく、アメリカのドル高や財政赤字等にも大きな責任があったわけでありますが、総理は、米国自体の持つ問題点についてレーガン大統領に具体的に指摘されたのかどうか、この点も明らかにされたいのであります。
 第二点目の問題として伺うのは、我が国の経済成長について、総理が四%の実質成長を対外的に約束されたと言われる問題であります。
 総理は、レーガン大統領に、六十一年度の我が国の経済成長率について、四%成長を約束されたのか。私は、政府が六十一年度予算の持つ性格が一変するかのような大胆な政策転換を行うなら別ではありますが、現状プラスアルファ程度の施策では、この円高不況が懸念される中、四%成長の達成は到底困難であると思うのであります。
 ある経済研究機関の予測では、円相場が一ドル百七十五円で推移すると、六十一年度の実質成長は一・九%になるとしており、また、OECDの見通しでは、ことしの日本の経常黒字は七百七十億ドルに達するであろうと見ております。また、円高はさらに進み、百七十一円となりました。円相場の安定は極めて重要であります。そこで総理に伺うのでありますが、四%成長が達成できるという根拠は何か、及び経常黒字が五百十億ドルでおさまるのかどうか、また円相場の安定の方策はどうか、その見通しをお示しいただきたいと思うのであります。(拍手)
 第三点目の問題として、この際私は、日本経済を内需主導型に転換していくための緊急課題である、財政の出動による所得税減税の断行と建設国債を財源とする公共事業の追加について、具体的な提案を交えつつお尋ねいたします。
 現在、共産党を除く与野党の政調・政審会長間で、この三月四日の幹事長・書記長会談の合意を受けて、六十一年中の所得税減税の実施を目指して協議を続けております。総理、あなたが米国において経構研の報告の政策化を公約された以上、報告の中で重要性が指摘されている所得税減税について、財政出動型の形で、総理みずからが決断をされるべきであります。総理の方針をぜひ明らかにされたいと思います。
 さらに、経構研の報告では、抽象的ながら財政の機動的運用を提言いたしております。六十一年度の公共事業については、前倒しの結果、後半には息切れすることが目に見えております。我が国の公共投資にかかわる多くの中期計画がこれまで未達成のままで終わってきたことは、逐一その具体例を挙げるまでもありません。世界のGNPの一割を占める経済大国になりながら、例えば、住宅、下水道などの生活関連の社会資本整備が、余りにも欧米諸国に比較して貧弱であります。同様に、年金財政が逼迫し、年金支給額の画期的な増額が困難な状況において、高齢化社会における老齢者への社会サービスを増大するための福祉施設の整備によって生活を豊かにするための配慮という見地からも、ここで、建設国債を財源とする生活関連の公共事業を思い切って追加すべきでありますが、総理の御所見を伺うものであります。
 さらに、住宅土地政策の不備を補うために、住宅ローンに対する利子を全額所得控除する画期的な措置や、地価の抑制、土地供給の増大につながる規制の緩和など、まさしく重層的な政策が用意されなければならないと私は考えます。総理のお考えをお示しいただきたい。
 所得税減税に関連して、非課税貯蓄制度についてお伺いいたします。
 総理、経構研の報告では、全体に抽象的な記述が多い中で、非課税貯蓄制度の廃止だけを明確に打ち出しております。しかし、いわゆる庶民が貯蓄する目的は、住宅建設、教育費、老後の蓄えといった性格のものがほとんどであり、これは政府の住宅対策の貧困なこと、年金制度の不備などからきているのであります。こうした事情を無視し、しかも名寄せの努力、すなわち限度額管理も徹底せずして、マル優の不当利用の防止を名目として制度を廃止してしまえでは、納得できません。私は、まず、すべての預貯金の限度額管理の徹底を強く主張するものでありますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
 次に、戦略防衛構想、いわゆるSDIについて伺うものであります。
 総理は、今回の訪米の折に、レーガン大統領に対し、官民合同調査団の正式報告を受けて政府部内で検討すると述べたと伝えられております。このことは、総理が、従来の研究に理解という立場で慎重に検討するという態度を踏み出し、日本が参加することへと前向きの姿勢を示したのではないかとも思われるのでありますが、レーガン大統領とSDI問題でどのような話し合いをされたのか、また、米国で進められているSDIに対し現在、政府はどのような評価を持っておられるのか、あわせて明らかにしていただきたい。この問題は、我が党が再三指摘いたしましたとおり、国会決議との関係を初め、多くの問題が存在するのであります。慎重の上にも慎重を期すべきであり、国会での十分な論議が必要であります。総理は、このSDI研究の日本の参加問題についてどのように取り組まれるのか。
 さて、総理とレーガン大統領は、国際的テロ防止で協調することを確認し、東京サミットの課題として取り上げられるようでありますが、こうした内容を持った日米首脳会談の直後に、米軍のリビアへの爆撃という事件が生じたのであります。テロ行為は、いかなる理由にせよ、断じて許されるものではありません。しかし、今回の米軍のリビアへの爆撃は、相互に報復を繰り返すことによって、戦争へ拡大する道を開くものとして、極めて危険な冒険であると思います。現に国際的な批判の声も高まっておりますし、国連憲章に違反するのではないかとも思うのでありますが、政府は、どのように判断しておられるのか。ともあれ、こうした行為が国際緊張を高め、昨年の米ソ首脳会談で芽生えた対話路線に重大な支障をもたらすことを、私は憂うるものであります。総理は、かかる行為に対し、レーガン大統領に自制を求めるべきであると思いますが、見解をお伺いいたしたいと思います。
 質問の最後に、フィリピン問題について伺います。
 今回の首脳会談で、フィリピンのアキノ政権を支持し、対フィリピン援助の拡大で一致したことに、私も異論はありません。しかし、いわゆるマルコス疑惑を放置したままでフィリピン援助を拡大することは、国民の納得が得られるものではありません。政府には、マルコス疑惑を徹底的に糾明する決意があるのかどうか。フィリピン政府は、日本政府から要請があれば資料を提供するとまで言っているのに、政府はなぜ要請しないのか。すべての国民が不可解に思うこの問題に対して、総理の明快なる答弁を求めて、以上で私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 先ほどの嶋崎議員に対する答弁漏れについてお答え申し上げます。
 まず、GNPを〇・七%押し上げ、それから十一兆のメリットというところでございますが、先般の四月八日の総合経済対策を行えば〇・七%GNPを押し上げる力がある、これは政府も申し上げたとおりでございます。十一兆の問題は、国民経済研究協会の数字が、円高メリットとしてたしか十兆から十五兆見当あるというのを私読んだことがございまして、それが記憶にございましたので、大体大まかな概数、見当を申し上げた次第でございます。
 正木議員にお答えを申し上げますが、サミットに臨む我が国の方針についてでございます。
 まず、世界経済のインフレのない持続的成長の確保、国際的な通貨の安定、自由貿易体制の維持強化、累積債務問題を含む途上国が抱える諸問題への取り組み等について討議が行われると思いますし、さらにまた、東西関係の平和、軍縮の問題についても討議が行われるであろうと考えております。特に、先ほど申し上げましたように、最近の世界経済の動向、各国の協調ぶり等から見まして、発展途上国等が期待していることにもかんがみまして、先進国の政策協調それから構造改革を、おのおのが分担すべき問題を実行していくというような点について、積極性を織り込みたいと考えておるところでございます。
 次に、経済研究会の報告の問題でございますが、これは、状況説明をアメリカ側にし、かつまた、これを参考にして、自由民主党と政府が一体になって政策を練り上げて実行していくということを申し上げたのでありまして、国際公約というべき性格のものではございません。これが具体化につきましては、関係審議会等における調査審議等も逐次進め、与党とも十分連携をとりつつ、具体的な政策を進めて手順等も決めてまいるつもりでおります。
 次に、国内産業への配慮の問題でございますが、やはり現下の対外不均衡の問題に対処するために、いわゆるアクションプログラムあるいは内需の拡大策、あるいは中小企業への影響も配慮しつつ、積極的に産業構造の調整政策を行うということも必要であると思います。国際協調のための経済構造調整研究会の報告におきましても、国際協調型経済を重視しておりまして、内需主導型の経済成長を図るとともに、輸出入、産業構造の適正バランスへの転換を推進していくということを指摘されておるところであり、政府といたしましても、本日の経済対策閣僚会議におきましても、これを推進するための方策を講じたところでございます。
 次に、米国自体の持つ問題について強くなぜ指摘しないかという御質問でございますが、首脳会談におきましても、相互の問題を私は提示いたしまして、アメリカの財政赤字削減あるいは金利の問題あるいは輸出努力等についても強く要望したところなのであり、かつまた、日米双方においてこれらの問題については協議を継続していくということも合意したところであります。
 六十一年度の成長率の問題につきましては、これは本年度予算の内容、あるいは今推進しつつある総合的な経済対策、あるいは石油価格の低落等、すべて諸般の情勢も考えてみまして、四%の成長は可能であると私は考え、その見通しをアメリカ側にも言ったところであります。これは公約というべきものではなくして、見通しを申し上げたということなのでございます。
 次に、為替相場の安定の問題でございますが、御指摘のとおり、為替相場の安定は、今や非常に重要な問題であると思っております。為替相場は、動くにしても、なだらかに動いて、ある程度の用意をできる態勢にしておく必要があると考えるのであります。そのためには、各国の政策協調が何よりも重要であり、かつまた、いわゆる経済のファンダメンタルズ、基礎的条件に合致するような為替相場の動きというものが中長期的には望ましいものでありまして、特に投機による乱高下というようなものについては、大いにこれは回避されなければならない、そういう場合におきましては、適時適切に介入すべきことである、そう考えておるのであります。
 所得税減税の問題につきましては、来年度大幅な減税政策をお諮りしたいと思っておりますが、本年度の問題につきましては、各党のお話し合いの中身を見守っておるというところでございます。
 公共事業の推進の問題でございますが、我が国の財政が今厳しい状況にあるところを考えますと、建設公債を増発して公共事業を拡大することは困難でございます。六十一年度予算におきましては、国民生活充実の基盤を支える社会資本の整備にも配慮して、一般公共事業の事業費は確保したところでございます。中長期的にバランスのとれた経済社会を目指して機動的に対応を図るといわゆる経横研報告にも書いてございますが、財政改革の推進による財政の対応力の回復も大事であると考えておるところでございます。
 住宅政策でございますが、六十一年度税制においては、住宅取得者の負担の軽減を通じ、内需拡大に資するため、住宅取得促進税制を創設する等思い切ったぎりぎりの措置を講じたところであり、今後、この措置が有効に活用されるように積極的に努力してまいります。
 地価の抑制については、近年、全国的には安定しておりますが、東京等の都心部商業地域において、地価の上昇が急激な点が一部見られます。東京等の都心部商業地域の地価上昇につきましては、事務所用地等の供給策とあわせ、投機的な土地取引等を抑制するため、国土利用計画法の的確な運用に努めてまいる所存であります。なお、土地の投機的金融等につきましても、先般、慎重なる措置を行うように関係方面に連絡したところでございます。
 次に、規制緩和でございますが、先般の総合経済対策におきましても、線引きの見直しの推進、開発許可手続の迅速化、宅地開発等指導要綱の行き過ぎの是正等について指摘したところであり、これらの政策を積極的に推進してまいる所存でございます。
 非課税貯蓄制度の廃止の問題でございますが、限度管理の適正化措置は、本年一月から実施しておるところでございます。なお、将来の問題につきましては、税制調査会において現在検討中でございまして、その結果をもって適切に処置してまいりたいと思います。
 SDIの問題につきましては、先般来、三回にわたる調査団を派遣いたしまして、その調査結果を今や分析をして、そして、政府部内におきましてこれの対応ぶりについて検討しているという状態でございます。
 リビアとの問題につきましては、米国がこの攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明しているということについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細について日本が承知しているわけではないので、事態の推移を重大な関心を持って見守っておるところでございます。政府としては、事態がこれ以上悪化、拡大しないことを希望しており、この点につきましては、十五日に安倍外務大臣がワシントンにおいて、また後藤田官房長官が東京において発言をしているとおりであり、これは米側にも伝達済みであります。いずれにせよ、理由のいかんを問わず、いかなる形の国際的テロにも断固として日本は反対であります。今後とも、国際社会全体の問題として、これらテロ防止の国際協力を積極的に進めてまいりたいと思います。
 フィリピンに対する資料提供要請の問題でございますが、真相究明については、できるだけ積極的にも努力してまいりたいと申し上げたところでございます。我が国みずから資料等の情報整備に努めると同時に、もし日本の国法に違反することとか、汚職事件の容疑が濃いとか、そういう場合におきましては、外交当局等を通じて、フィリピン政府に対して資料の提供を求めることがございますが、現在の状況におきまして、そのようなことを行うべき段階にはないと考えております。(拍手)
    ─────────────
○副議長(勝間田清一君) 米沢隆君。
    〔米沢隆君登壇〕
○米沢隆君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました総理の訪米報告に関し、若干の質問をさせていただきます。
 今般、日米両国首脳が、東京サミットの成功へ向け、日米間の政策調整を行うことを目的に、当面する緊急課題につきお互いに緊密な意見交換を行われましたことは、まことに時宜を得たものであり、私どもは率直に評価をいたします。しかし、総理が首脳会談において発言をされ、またアメリカに対して公約してきたと思われる宿題の中には、看過し得ない大きな疑問点もあり、マスコミ等の報道を見ましても、首脳会談における総理の発言と帰国後の発言の間には、大きな隔たりがあるのではないかと思われます。帰国後、政府・自民党の中においてさえ、発言内容の真意が問われ、その調整に腐心されている姿を見ますと、ますますその感を強くするのであります。
 この際、総理は、一体どのような課題につき意見交換を行い、みんなが心配しております製品輸入増大や経済構造調整などにつき、いかなる対米公約をなされたのか、また、その公約につきどのように具体化していくと説明なさったのか、国民の不安を解消するためにも、この点をわかりやすく、具体的にその内容をお示しいただきたいと思います。
 総理は、一連の会談において、我が国の経常収支の不均衡の縮小を国民的目標に掲げ、日本経済を輸出依存型から内需依存型に転換させることを約束され、特に、日米間の構造調整については、単に総理の私的諮問機関にすぎない、さきの国際協調のための経済構造調整研究会の報告をもとにして、歴史的転換に全力を尽くすとの決意を表明されたやに伺いますが、このような国を挙げての重大な政策の転換を、十分な国内論議を経ずして他国の首脳と公約を交わすことで表明していく、こうした政治姿勢は極めて遺憾であると言わねばなりません。さらに、解決の非常に困難な内政問題を、対外的に簡単に公約してしまうことは、ひいては、我が国の立場を必要以上に悪化させてしまうことになりかねないと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 さて、もとより、日米の友好関係の維持促進は、世界の発展に不可欠な要件であり、かつ、日米間の基本的スタンスは、イコールパートナーを原則とすべきであると考えます。欧州との関係についてもまた、しかりであります。その意味において、現在、世界経済が直面している諸課題の解決のためには、日本が世界経済で果たすべき役割を明確にし、それを着実に実行することは当然でありますが、同時にまた、それはひとり日本の責任だけではなく、米国や欧州諸国にもその責任の分担が求められていると考えます。今回、日本の対米公約だけが大々的に取り上げられておりますが、しからばアメリカは、今回の会談の結果、一体何をしようということになったのか、そのこともお聞かせいただきたい一つであります。
 アメリカ経済が本質的に赤字を抱え込む構造になっていること、アメリカの財政赤字、国際収支の赤字はアメリカの責任こそ問われるべきであること、ドルを中心にした国際通貨の改革問題など、総理は、アメリカの果たすべき構造調整やアメリカの責任について、会談ではどのように言及されたのか、それに対してレーガン大統領はどのような約束をされたのか、パートナーシップのあかしを明らかにしていただきたいと思います。また一方では、欧州諸国には、日米間の過度の緊密化に対する警戒感があるやに聞いておりますが、この点、十分な配慮をすべきであると考えます。どのように具体化されますか、あわせ御答弁をいただきたいと存じます。
 さて、今回の首脳会談は、我が国経済の構造調整の問題が主要課題となりました。政府は、その理解を得るために、経構研の報告を英文にしてアメリカに渡されたという事実からして、アメリカは、この報告全体を日本が早急に実行すると認識し、これを高く評価した可能性が強いのではないかと私は受けとめておりますが、これから日米の貿易不均衡が数字の上でどのように是正されていくのか、その結果いかんによっては、日米間に新たな不信と新たなあつれきが生まれるのではないかと懸念されますが、それは杞憂にすぎないと総理はお答えになるのでしょうか。この際、総理は、これから経構研報告すべてを実行に移す考えなのかどうか。ならば、今後、それをどのように消化していかれる方針か。また、その実行によって貿易不均衡の是正はどのように変化していくと見通しておられるのか。以上三点につき、明確な答弁をいただきたいと存じます。
 私は、今回の経構研報告は、中長期的に対処すべき問題と、緊急に取り組まねばならない問題とに大別できると考えますが、まず、政府がまず第一に実行すべき課題は、我が国経済を輸出依存型から内需依存型へと転換する中で、いかに国民生活の向上に資する経済を確立するかという問題であろうと考えます。そこで、当面する政策課題について、以下、総理の御所見を求めます。
 まず第一に、円相場の安定についてであります。
 私どもは、対外貿易不均衡の是正のために円高誘導したことは、基本的に理解をいたします。しかし、昨日の一ドル百七十一円に見られるごとく、最近の余りにも急激かつ大幅な円高は、我が国経済に大きな打撃を与え、このまま推移するならば、とりわけ中小輸出産業の倒産が五月の東京サミットの前後から多発することが予想されます。そして、円高不況が恒常化するならば、国内には、円高そのものを否定する世論が噴出するでありましょう。今こそ政府は、円高の行き過ぎは我が国の構造調整の前進にとって決して得策ではないことを先進諸国に理解を求め、先進諸国が一体となって為替相場の安定化に協力してもらうよう、本気になって働きかけるべきだと考えますが、総理の御見解はいかがでありましょうか。
 第二に、内需拡大の具体的推進につき、政府はどのような決意とどのような方針を持っているかという問題であります。
 私どもは、我が国経済が直面する対外経済摩擦解消のためにも、円高不況克服のためにも、また「増税なき財政再建」のためにも、大幅所得減税や各種政策減税及び法人課税の軽減などの六十一年中の実施、適度な建設国債の増発による公共投資の拡充など、内需拡大策の積極的推進こそ我が国にとって緊急かつ重要な課題であるとして、口が酸っぱくなるほど政府にその実現方を要請し続けてまいりました。しかし、六十一年度予算においてもその実現は見送られ、予算成立後の四日八日、政府は総合経済対策なるものを発表されましたが、それも、内需拡大の実現には力不足の一語に尽きると言わざるを得ません。総理は、このままで今年度の実質四%成長のお約束は確実に達成できると本当に思っておられるのか、また、このようなことで、アメリカに約束してこられた我が国の外需依存型から内需主導型の活力ある経済成長への転換が図られると思っておられるのか、まずお伺いしたいところであります。
 そして、さきの日米首脳会談を終えられ、東京サミットを前にした今日、少しは総理の経済運営観も違ったと見ておりますが、これからの内需拡大策は、さきの総合経済対策だけでお茶を濁されるおつもりか、それで果たして東京サミットを乗り切ることができるのか、それとも、今以上に踏み込んだ対策の検討を考え、所得減税、公共投資の拡充などを柱とする大型補正予算を編成する用意でもあると思っていいのか、これから先の内需拡大策につき総理の御答弁をいただきたいと存じます。
 第三に、経済構造の歴史的転換や内需拡大策を行う場合、財政のあり方が問題でございます。
 私は、端的に言って、総理の言われる経済構造の歴史的転換を図るためには、その背景となる財政面での裏づけが不可欠であると考えます。しかし、このたびの経構研の報告には、その財源対策の提言が極めて不十分であり、財政出動のあり方についても、財政改革路線は維持すべきだが、中長期的につり合いのとれた経済社会を目指し機動的に対応を図れと言うのみで、意味不明瞭な点が目立ちます。総理は、経済構造の転換とそれに要する財源の問題をどのように考えておられるのか。また、六十五年度に赤字国債依存体質からの脱却という政府公約は、既に死に体同然となっております。この辺で、内外情勢の変化も踏まえ、財政の立て直しの道筋を抜本的に練り直すべきだと思いますが、総理の見解はいかがでございましょうか。
 第四に、今回の経構研の報告書では、内需拡大策の一つに「消費生活の充実」という観点から、成果配分としての賃金、所得減税、労働時間の短縮などについての画期的な提言がなされております。もしこれが政府においてその実現方に強力なリーダーシップを発揮していただくとするならば、これは特筆すべきことだと言っても過言ではありません。この際、総理は、これらの提言の一日でも早い実現のため、最大限の努力を払うべきだと思いますが、総理の決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
 さて次に、我々は内需拡大に逆行する増税は断じて行ってはならないとかねてから主張してきました。とりわけ、非課税貯蓄制度の廃止は、まさに庶民を苦しめる大衆増税にほかなりません。しかし、経構研の報告では、この大衆増税を容認しておりますが、我が党は断じて容認できないのであります。非課税貯蓄制度については、昨年、アメリカから廃止するよう強い要求があった経緯からして、この制度の見直しを総理がアメリカに公約したのではないかとの危惧の念を抱くものであります。いかがですか。私どもは、非課税貯蓄制度は、今後とも維持していくべきものだと考えますが、政府税調云々で逃げるのではなくて、総理自身の考えをお示しいただきたいと存じます。
 次に、中長期的な課題への総理の取り組みについてお伺いいたします。
 まずは、農産物の自由化及び今後の農政にどう対応されようとしているかという問題であります。
 報告書は、「国際化時代にふさわしい農業政策の推進」として、市場メカニズムの一層の活用と基幹的農産物を除く農産物の輸入拡大に努めることをうたい、輸入促進論に拍車をかける内容になっております。総理は、今回の訪米中にアメリカの首脳に、このような農政の推進を約束したものと思われますが、真相はいかがなものでしょうか。たとえ明快な約束はされなかったにせよ、今後の農政運営の基本方向として、今述べたようなことを予定しておられることは明白であります。
 しかし、農業については、その生産基盤の脆弱性と食糧安全保障の見地から、各国とも保護政策をとっており、アメリカさえも例外ではありません。その中で、日本だけが農業を犠牲にせざるを得ないのは一体なぜなのか。また、守るべき基幹的農産物とそれ以外のものとを具体的にどのように区別されるのか。さらに、自由化の対象となる農産物の生産農家に対しては、どのような代償措置をとろうとされるのか。以上の諸点について、総理の明快な答弁を求めます。
 次に、総合的な安全保障の見地から、国内産業を守るという視点も必要であります。
 今回の報告書は、石炭産業の切り捨てを主張していますが、これは、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性を考慮するとき、断じて容認できないものであります。我々は、石炭産業の切り捨てに方向転換すべきではないと強く要求いたしますが、石炭対策につき、総理の具体的措置について明快な答弁をいただきたいと思います。また、円高等により非鉄金属産業は深刻な不況に陥っており、その救済は急を要する課題であります。非鉄金属産業の不況打開策に対する総理のお考えを示していただきたいのであります。
 最後に、SDIに対する我が国の参加問題について一言質問いたします。
 総理は、首脳会談において、SDIへの参加問題については、政府都内で十分相談していくと発言されたと報ぜられておりますが、この問題についてどのような議論がなされたのでありましょうか。SDIについては、先般の第三回調査団の報告が近々まとまり、また、参加問題についての関係閣僚会議も開催されると伺いますが、総理は、これらの結果を踏まえた上で、参加問題に対する我が国の最終的な結論を出すおつもりでしょうか。
 以上、総理の明快かつ誠意ある答弁を要請し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 米沢議員にお答えをいたします。
 まず、日米首脳会談における対米約束のことでございますが、レーガン大統領との間では、経済問題を中心とする二国関係、東京サミット、国際情勢あるいは発展途上国問題、東西軍縮問題等々について、いろいろお話をいたしましたが、公約とか約束という事実はございません。
 次に、構造調整の問題でございますが、これは、日米両国がおのおのの持っておる課題について積極的にみずから努力すべきである、そういう話においては一致いたしました。そのためにお互いが協議もしよう、情報の交換も行おう、そういう努力をしたところで、アメリカ側に対しましては、財政赤字の削減、金利の低下、輸出の努力、こういう問題を私から指摘したところでございます。
 ECへの配慮も非常に重要な点でございまして、EC側も、ある程度の景気回復が見られますが、依然として失業、構造調整等の困難な問題を抱えております。また、米国の保護主義の動きもありまして、EC側は極めて神経質になっている点もあり、日本のこれだけの膨大な輸出超過についても、深刻に彼らは考えている面もあるのであります。したがいまして、これらのEC側の懸念に対しまして、我々としては、最善の努力をしてこれを払拭する努力をやる必要がある、同時に、EC側の構造調整推進についても協力する必要もあるのでございます。そういうような両方の協力関係を確立しつつ、日本・EC関係を良好な関係に推移していきたいと考えております。
 先般、ドロール委員長が参りましたときに、両国のこれらの経済諸問題等について、適当な代表を出して、調査、サーベーランス、レビューをやろう、そういう話をいたしまして今、その人選について話し合いをしておるところでございます。これらは、関係改善に大いに役立つであろうと考えております。
 いわゆる経構研報告の具体化につきましては、これは私的研究会の報告、意見書であり、これを参考にいたしまして、政府・与党一体となって、我々はこれから短期、中期、長期のおのおのの政策を練り上げていく、そして逐次これを実施していく、そういう考えに立ちまして、本日この推進の会議を決定したところでございます。
 為替相場の安定につきましては、これは非常に重要な問題でありまして、なだらかな移動が望ましいということは申すまでもございません。そのためには、各国の政策協調が何にも増して重要であります。特に、いわゆる経済基礎条件、ファンダメンタルズを適切に反映した為替相場のあり方というものが長期的安定に資するゆえんでございます。相場の動きが急に過ぎ、乱高下と判断される場合には、適時適切に介入することといたしております。
 次に、四%成長の問題でございますが、先般来の総合経済対策及び六十一年度予算等々、あるいはさらに三回にわたる金利の引き下げ等々を総合して実行していくならば、四%の成長は可能である、このように私は見通しをつけ、レーガン大統領にもその見通しを申し上げた。これは公約とか約束という類のものではございません。
 公共事業につきましては、我が国経済は、円高や原油価格の低下、物価の低落等々の原因から、インフレなき安定成長が持続いたします。それと同時に、六十一年度予算の発動を待ち、かつ、総合経済対策等も適切に運用する等々の行為によりまして、特に公共事業の量におきましては、昨年を上回る四・三%の伸び率も確保しておりまして、これで四%成長は可能であると考えており、公共事業等の補正追加は、目下考えておりません。減税につきましては、これは税調において今やっていただいておる最中でございます。
 賃上げと時短の問題につきましては、先般の経済の指針に対するリボルビング及び先般の経構研の報告、意見書にも指摘しておるところでございます。しかし、具体的な配分等については、これは労使の自主的な話し合いを通じて適切に対応さるべき問題であります。政府としては、適度な経済成長、物価の安定、週休二日制の促進等、環境整備に努めてまいります。今後の労働時間法制のあり方については、中央労働基準審議会における審議結果等を踏まえて、労働基準法の改正について今検討しておるところでございます。
 非課税貯蓄の問題につきましても、これは税調において今いろいろ審議しておるところでございまして、その結果をもって適切に処理したいと考えております。
 農産物につきましては、農業は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の供給を初め、国土、自然環境の保全等極めて重要な役割を発揮しておりますし、さらに、地域社会における就業機会の提供等地域経済社会の健全な発展を図る上でも極めて重要な役割を果たしております。農産物の輸入に当たりましては、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に大事であると考えております。
 基幹的な農産物という点につきましては、基幹的な農産物を除いて、内外価格差の著しい品目について着実に輸入の拡大を図ると提言がなされております。いずれにせよ、政府としては、この提言を参考として、今後、農業における内外の調和を図りつつ、関係審議会における調査、審議も含め検討していく所存であります。
 石炭産業の問題につきましては、現在、石炭鉱業審議会において幅広い観点から検討中であり、その結論を待って対処したいと思っております。非鉄金属の問題につきましても今、非鉄金属産業が非常に苦境にあることは十分承知しております。先般決定した総合経済対策に従って、金属鉱業経営安定化融資制度等の活用を行うとともに、鉱業審議会において、同産業の高度化、合理化の方向について速急に取りまとめを行うことといたしております。
 SDIにつきましては、レーガン大統領との会談において、官民調査団に対する米側の協力を感謝すると同時に、今や我が国におきましては政府部内で慎重に検討していく旨を表明をいたしました。SDI研究参加については、この調査結果をも踏まえ、今後の対応ぶりにつき、あらゆる角度から慎重に検討してまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(勝間田清一君) 中島武敏君。
    〔中島武敏君登壇〕
○中島武敏君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいまの総理の帰国報告に関し質問いたします。
 私は、日本国民の根本的利益の擁護、日本外交の自主性の確立、民族自決権尊重の立場を貫いてこそ、世界平和も経済摩擦の真の解消も初めて実現できると確信するものでありますが、この立場から日米首脳会談の経過と結果を見るとき、重大な疑問を抱かざるを得ないのであります。(拍手)
 まず、リビア問題であります。
 アメリカによる今回のリビア侵攻は、みずからの意に沿わないものを軍事力で押しつぶすという、レーガン政権の力の論理、砲艦外交を端的に示すものにほかなりません。もちろん、無辜の市民を巻き込む卑劣な無差別テロは絶対に許されてはならず、我が党は、国際的な防止策の確立を強く主張するものであります。しかし、だからといって、テロ防止を口実に戦争を引き起こしてよいなどという居直り強盗のような論理が通るはずはありません。国際法が自衛権の発動に、急迫不正の侵害があり、他にとるべき手段がなく、必要最小限という厳しい三条件を課していることは政府自身も認めており、アメリカの行動がこれに完全に違反していることは明白ではありませんか。レーガン大統領からリビア攻撃を告げられたとき、総理はなぜ批判の意思を表明されなかったのですか。また、聞き流したというのであれば、まさに黙示の承認を与えたということではありませんか。いつとは言わなかったからというその場逃れの口実が通らないことは、外交上の常識であります。
 重大なことは、NATO諸国がイギリスを除いてこぞってアメリカのリビア攻撃に反対しているにもかかわらず、アメリカはNATOの基地を使用してリビア攻撃を行ったことであります。リビアの最初の反撃はイタリアの米軍通信基地に向けられました。これは、米軍基地を置いている国では、その国の国民の意思に反して他国への侵略に利用され、その結果として戦場化する危険をまざまざと示すものであり、日米安保条約によって米軍に基地を提供している我が国に対しても、重大な反省を迫るものであります。総理の答弁を求めます。
 次に、フィリピン問題であります。
 総理はレーガン大統領に、フィリピンの発展と安定のために一層の日米協力を約束しましたが、一体どんな安定、何のための協力を行うというのでしょうか。アジア最大のスビック、クラークの両米軍基地の維持のために反共独裁のマルコス政権にてこ入れし、フィリピン国民に塗炭の苦しみを負わせてきたのはアメリカ政府であります。日本政府、とりわけ中曽根総理の責任も重大であります。佐藤内閣以来、七代の内閣がアメリカを補完し、マルコス政権に注いだ金は、円借款だけでも四千六百億円に上りますが、中曽根内閣一代だけで実にその三分の一、千五百億円を占めております。伝えられるように、円借款の一五%が独裁者の懐を肥やすリベートに化けたとすれば、それは総額七百億円の巨額に上るのであります。これこそ、日比両国国民の血税浪費の最たるものであり、このマルコス疑惑の全容解明こそ先決ではありませんか。
 そのためには、政府の資料を全面的に公開すること、丸紅、トーヨーなど企業側及び経済協力基金側関係者の証人喚問を行うことが不可欠であります。総理・総裁として、これに応じるのかどうか、はっきりお答えいただきたい。(拍手)
 総理が中南米諸国への援助拡大を約束したことも、見逃すことができません。
 アメリカが現にニカラグアに対して経済封鎖、機雷封鎖を強行し、反政府武装部隊を訓練して送り込むなど、余りにも明白な自決権侵害、内政干渉をエスカレートさせているにもかかわらず、それに抗議一つしないのは一体どのような理由によるものでありますか。干渉を容認した上に周辺国への援助を強化することは、ニカラグア包囲網への加担そのものではありませんか。メキシコ、パナマ、ベネズエラなどコンタドーラ及び同支援グループ八カ国は、本年一月、中米平和の基礎が民族自決権擁護、内政不干渉、外国軍隊の撤退にあるというカラバジェダ宣言を発表しました。レーガン支持ではなく、中南米諸国のこの良識ある決意に対する支持をこそ表明すべきであります。総理の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、会談の主要な議題となったという経済問題について伺います。
 第一に、総理は、アメリカに輸入大国への転換を約束しましたが、製品輸入と海外直接投資の事実上の無制限拡大が、労働者の失業の大量発生を引き起こすことは明らかであります。通産省の産業構造審議会中間報告は、これによる雇用減少を合計二百万人と試算しておりますが、大量失業は当然であり、甘受せよとおっしゃるのか。
 第二に、我が国中小企業、とりわけ輸出産地と下請企業は、一ドル百八十円を切る異常な円高のもとで、既に商談ストップ、大幅単価切り下げの苦境にあえいでおります。この上に市場開放と積極的産業調整の名による淘汰策を講じるというのであれば、一体中小企業が生きる道はどこにあるというのですか。
 第三に、あなたは、基幹的な農産物を除いて輸入を無制限に拡大するという、とんでもない誓約をしてきました。基幹的農産物とは何と何なのか、はっきりとお示しいただきたいのであります。(拍手)
 第四に、石炭の国内生産水準を大幅に縮減するといいますが、現状の乏しい助成措置をもさらに縮めようというのでしょうか。
 第五に、庶民の零細貯蓄を守るマル優制度の見直しを経済構造調整研究会報告に盛り込んだのは、総理自身の強い指示があったからだと伝えられておりますが、事実ですか。あなたは、国会にも政府税調にも諮らずに、その廃止までレーガン大統領に約束してきたのですか。
 総理は、経構研、いわゆる前川委員会の十九回の会合のうち、実に十八回に出席し、論議をみずからリードしたそうですが、従来の経済政策及び国民生活のあり方を歴史的に転換させるというほどの重大な政策を、国会にも一切諮らずに、あなた個人と側近グループだけで決定し、あたかも国策であるかのごとくその実行をアメリカに約束し、さらには対米公約として国民に押しつける権限を、だれに、何によって与えられているというのですか。みずからを大統領になぞらえて、国権の最高機関たる国会の上に置き、アメリカと財界の意向をあたかも天の声のごとく押しつけようとするあなたの態度は、議会制民主主義の原則と絶対に相入れるものではありません。(拍手)
 しかも、会談を通じて総理は、日米経済摩擦のアメリカ側の原因、すなわち巨額の財政赤字を生み出したレーガン軍拡と、国内投資を怠り、製品輸入を急増させた米多国籍企業の利潤本位の行動を一切不問に付し、解決の責任のすべてを日本が負うという、恐るべき事態をつくり出しました。これでは今後、アメリカの対日赤字が減らない場合、日本側が一方的に責め立てられる結果になることは、火を見るよりも明らかではありませんか。だからこそ、自民党内からも、報告書を英文にして米側に渡し、これでよいかと伺いを立てるようなやり方は、まるで米国の属国のようだとの声が噴出していると報道されているのであります。新たに設定することを合意した日米の次官クラスによる協議機関が、反国民的政策の実行をアメリカが日常的に監視し、絶えず圧力をかける場となることは、必至と言わなければなりません。私は、前川レポートと対米約束の全面撤回を要求するものであります。
 最後に、人類の生存にとって緊急かつ根本的問題である核戦争阻止、核兵器廃絶について伺いたい。
 総理、この問題の核心が、核兵器廃絶そのものを米ソ交渉の第一義的課題とするかどうかにあることは、今さら言うまでもありません。一月のゴルバチョフ書記長提案の積極的意義もそこにあります。さらに先日、インドなど非同盟六カ国が米ソに対して核兵器廃絶を求める書簡を送るなど、今や世界にその声がますます広がり高まっております。こうしたとき、総理は何ゆえに、中距離ミサイル削減などのあれこれに問題を矮小化し、核兵器廃絶という根本課題の棚上げを図るレーガン大統領に全面的な支持を表明したのですか。唯一の被爆国の総理として、あなたは、国民の願いにこたえ、核兵器廃絶を米ソ交渉の緊急課題とするようレーガン大統領になぜ求めなかったのですか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 総理が、宇宙にまで核軍拡競争を拡大するスターウォーズ、SDIへの協力問題で、従来の理解から政府部内で正式に検討すると大きく踏み込んだことも、極めて重大であります。SDIへの参加は、政府であれ民間企業であれ、明白な軍事協力であり、憲法と非核三原則、とりわけ宇宙開発と利用を平和の目的に限った一九六九年五月の本院決議の明らかな侵犯であります。既に政府自身が認めているように、SDI計画の柱であるエックス線レーザーのエネルギー源は、宇宙及び地上における核爆発であり、米空軍当局者も、第三世代核兵器であると明言しております。これへの参加が非核三原則、平和の目的とどうして両立できますか。そして総理、平和の目的とは非核、非軍事の意味にほかならないことは、本院の有権的解釈によっても、歴代政府の答弁によっても、繰り返し明らかにされているところであります。決議に従う限り、参加も協力もそもそもあり得ないのであり、いかなる意味でも検討の余地すらないことは明白ではありませんか。お答えいただきたいのであります。(拍手)
 以上、私は、我が国政治、経済、外交のすべての分野でレーガン政権の意向を最優先するあなたの屈辱的追随姿勢をただしてまいりました。そしてそれが、国権の最高機関である国会と国民の意思を踏みにじって恥じない、民主主義じゅうりんとも分かちがたく結びついていることを指摘してまいりました。今あなたは、空前の異常警備のもとで、天皇の戦争責任を一切免罪して在位六十周年記念式典なるものを準備し、さらには、東京サミットを大々的に演出することによって大国日本を宣伝し、国民の目を政治の現実からそらそうとはかっております。しかし、日米首脳会談の本質を多くの国民が知ったとき、国民からの痛烈な批判があなた自身にはね返ることは確実であります。このことを私は最後に指摘して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 中島議員にお答えをいたします。
 まず、リビアに対する攻撃の問題でありますが、本件については、米国は自衛権の行使であるとの立場を表明しております。我が国としては、本件の当事者でもなく、かつまた、米側が行動を行った場合の具体的事実関係の詳細を承知しているわけではないので、具体的な行動に対する法的判断を行う立場にはないと考えております。
 次に、リビアへの攻撃の話でございますが、これは食事の懇談の際に行われたもので、いつ、どこで、何を行うかという、そういう正式の通報ではないのであります。したがいまして、今のような、これを聞き流した、聞きとどめたという程度にとどめておいたものであります。
 米軍通信基地の問題については、巻き込まれということをおっしゃいますが、問題は、巻き込まれ以前に、紛争をいかに未然に防止するかということが大事なのであります。そのために、万一紛争が発生した場合に、これに最も有効に対処し得る態勢を整えておくこと、米軍が円滑かつ効率的に活動し得るような施設を我が国に保持することが抑止力につながるのであり、日米安保体制の抑止の確保の観点よりこれは大事であると考えております。
 フィリピンのマルコス疑惑の問題につきましては、これも誠心誠意努力して、真相究明に努めたいと思っておるのであります。しかし、日本の国法に違反する行為であるとか、あるいは汚職事件等の疑惑が濃厚であるという場合、そういう場合にはもちろん資料は要求すべきでありますが、そういうことが行われてない現段階においては、まだそういう段階には至っていないと考えております。証人喚問の問題につきましては、これは委員会において、国会でお決め願いたいと思っております。
 中米問題等に対しましては、コンタドーラグループの和平努力を我々は今後とも積極的に支援してまいりたいと思います。中米諸国に対しても、福祉の向上、民生の安定等のために援助も続行してまいりたいと考えております。
 次に、産業転換と失業の問題でございますが、我が国は、今後とも、中長期的に内需中心の持続的な成長を図ることによりまして、拡大均衡を維持し、達成していきたいと思っております。新たな技術革新の成果を生かすこと等によって、多様な消費のニーズの拡大を伴った産業の高度化を図り、それによって雇用を造出していく、そういう考えに立って進んでまいりたいと思います。
 中小企業につきましては、去る二月に特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を施行し、中小企業の事業転換の円滑化及び緊急経営安定のための対策を講じており、また、四月八日の総合経済対策におきましても、同じようにさらに金利の引き下げ、下請中小企業対策の拡充等も行い、今後も万全を期してまいります。
 いわゆる基幹的な農作物という問題につきましては、政府・与党で今後検討していくべき問題であります。
 石炭対策につきましては、審議会の結論をもって対処いたしたいと思います。
 次に、対外公約の問題でございますが、経構研の報告というようなものは、これは素案ができましたときにアメリカ及びECに人を派遣しまして、相手側の反応も見たわけでございます。その反応をよく見た上で我々は我が国の政策を決めていきたい、これが外交の手配というものであるとお考え願いたいのであります。
 次に、アメリカ側との摩擦解消の問題でございますが、これは日米双方の努力が必要であり、アメリカ側に対しましても、輸出努力、金利の低下あるいは赤字財政の改革、こういう問題を強く要望したところでございます。
 いわゆる経構研の報告につきましては、先ほど来申し上げましたように、短期、中期、長期の問題に分けて逐次、与党と相談をして練り上げていきたいと考えております。いわゆる対米公約というようなものはないので、撤回する必要はございません。
 米ソ交渉と核廃絶の問題でございますが、核兵器の究極的廃絶に向けて努力しているレーガン大統領の二月の対ソ回答というものを我々は評価しております。米ソがまず適切に適用された攻撃核の五〇%削減の原則の実施及びINF合意という必要な第一歩が達成されることが重要であると思っております。特に、全世界の平和にとって重大な意味を持つINFミサイルの削減に関し、八九年までのグローバルな全廃を提案している点は、我が国の立場にアメリカ側は十分配慮したものと評価しているところであります。
 非核三原則とSDIとの関係につきましては、非核三原則は、我が国が主体的意思をもって、我が国の領域内に核兵器の存在を許さないことを内容とする政策でありまして、米国が行うSDI研究との間に特に関係があるとは考えておりません。国会決議については、政府としてはこれを尊重することは、従来から答弁しているとおりでございます。SDIにつきましては、目下検討中であります。
 天皇制に対する共産党のお考えは、国民の大多数は絶対に賛成しないと考えております。(拍手)
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十八分散会