第104回国会 本会議 第24号
昭和六十一年四月二十五日(金曜日)
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 議事日程 第二十一号
  昭和六十一年四月二十五日
    正午開議
 第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件
 第二 生物系特定産業技術研究推進機構法案(内閣提出)
 第三 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案(内閣提出)
 第七 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員安倍晋太郎君に対し、院議をもつて功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 日程第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件
 日程第二 生物系特定産業技術研究推進機構法案(内閣提出)
 日程第三 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第七 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時四分開議
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
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 永年在職議員の表彰の件
○議長(坂田道太君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました安倍晋太郎君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員安倍晋太郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
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○議長(坂田道太君) この際、安倍晋太郎君から発言を求められております。これを許します。安倍晋太郎君。
    〔安倍晋太郎君登壇〕
○安倍晋太郎君 ただいま永年勤続議員として、院議をもって表彰の御決議を賜りました。身に余る光栄でございます。
 本日の私のこの栄誉は、ひとえに諸先輩、同僚議員各位並びに郷土山口県の皆様の御指導、御支援のたまものであり、ここに心から御礼申し上げます。(拍手)
 私が本院に議席を得ました昭和三十三年、我が国は日米安保条約改定交渉に取り組んでおりました。当時の日本は、ようやく戦前の経済水準を回復し、先進諸国に追いつくことを目指して前進を開始したばかりでありましたが、経済的にも政治的にも、その国際的地位はまだ極めて低いものでありました。以来今日まで、我が国は、国民のすぐれた英知とたくましい活力に支えられて、世界に比類なき発展を遂げ、今日、先進諸国に伍して、地球上で最も自由で平和で豊かな国の一つとなるに至りました。私は、この歴史的大事業を果たされた国民各位に心からの敬意を表しますとともに、その過程に議会人として微力ながらも一役を担い得ましたことを、深い喜びと感慨をもって想起いたすものであります。(拍手)
 しかしながら、国民的努力によるこの達成の結果、我が国は、かつてとは全く異なった国際的な立場にその身を置くことになりました。すなわち、今や我が国は、世界の平和と繁栄の受動的な受益者ではなく、その積極的な創造者となることを求められており、この国際社会の要請を果たすことなくして、みずからの平和と繁栄を維持することができなくなったのであります。これは、我々日本人がかつて経験したことのない課題であり、その意味で、戦後最大の試練であると申して過言ではありません。
 立ちはだかる困難は大きく、味わう苦痛もまた少なくないでありましょう。しかし、我々は、次代に美しい日本を引き継いでいくためにも、この試練を克服しなければならないのであります。論語に「本立ちて道生ず」という言葉がございます。今こそ、議会制民主主義の基本に立ち返り、国民の創造力を引き出すべきときではないでしょうか。私は、この偉大な国民の力によってこそ初めて、我が国の未来への道が切り開かれるものと信じます。(拍手)
 私は、本日の表彰の感激を胸に秘め、政治を志した日の初心に戻って、ただ粉骨砕身、国勢の伸長に精進する決意であります。
 皆様の長年の御厚情に重ねて感謝申し上げ、私のごあいさつといたします。(拍手)
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 日程第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件
○議長(坂田道太君) 日程第一、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事浜田卓二郎君。
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 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に記載〕
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    〔浜田卓二郎君登壇〕
○浜田卓二郎君 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、労働省の所掌事務の効率的な遂行を図るため、公共職業安定所及びその出張所の設置等について、国会の承認を求めようとするものであります。
 本件は、去る四月八日付託となり、十五日林労働大臣から提案理由の説明を聴取し、二十二日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
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 日程第二 生物系特定産業技術研究推進機構法案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第二、生物系特定産業技術研究推進機構法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長大石千八君。
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 生物系特定産業技術研究推進機構法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔大石千八君登壇〕
○大石千八君 ただいま議題となりました内閣提出、生物系特定産業技術研究推進機構法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、今後におけるバイオテクノロジー等先端技術の急速な進展の可能性にかんがみ、農林漁業、飲食料品製造業等の生物系特定産業技術に関する民間の試験研究を促進する等のため、農業機械化研究所を改組し、新たに、特別認可法人として生物系特定産業技術研究推進機構を設立しようとするものであります。
 同機構は、民間が行う生物系特定産業技術に関する試験研究に必要な資金を供給するための出融資事業、国の試験研究機関と民間とが行う共同研究のあっせん、国による遺伝資源の提供についての民間研究者に対するあっせん、その他の業務を行い、あわせて、農業機械化促進法に基づき、従来農業機械化研究所が行っていた農機具の改良等に関する試験研究等の業務を行うこととしております。
 本案は、去る三月二十日本委員会に付託され、四月九日提案理由の説明を聴取した後、四月十五日には参考人からの意見を聴取する等、三回にわたり慎重な審査を重ねてまいりました。
 かくして、四月二十二日質疑を終局し、日本共産党・革新共同から反対討論が行われた後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第三 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(坂田道太君) 日程第三、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長野田毅君。
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 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔野田毅君登壇〕
○野田毅君 ただいま議題となりました化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、化学物質の安全性確保対策の一層の充実を図るため、化学物質の規制に関する国際的動向を勘案しつつ、化学物質の規制をさらに強化する措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、現行法の「特定化学物質」を「第一種特定化学物質」に改めるとともに、新たに「第二種特定化学物質」及び「指定化学物質」の定義を定めること、
 第二に、厚生大臣及び通商産業大臣は、製造または輸入前に届け出られた新規化学物質が指定化学物質等に該当するか否か等の判定を行い、指定化学物質と判定したときは、遅滞なく指定し、その名称を公示しなければならないこと、
 第三に、指定化学物質を製造または輸入した者は、毎年度、前年度の製造等の数量を通商産業大臣に届け出ることとし、厚生大臣及び通商産業大臣は、必要と認めるときは製造業者等に対し、有害性の調査及び報告を指示することができること、
 第四に、第二種特定化学物質を製造または輸入する者は、毎年度、製造等の予定数量を通商産業大臣に届け出ることとし、厚生大臣及び通商産業大臣は、一定の条件のもとに製造等の予定数量の変更を命ずることができること、
 その他、技術上の指針の公表、製造等の制限の勧告、指導助言、環境庁長官の主務大臣等に対する要請等について定めること
等であります。
 本案は、去る四月四日参議院から送付され、同日当委員会に付託となり、同月十六日渡辺通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十二日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○課長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第四、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長福島譲二君。
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 道路交通法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔福島譲二君登壇〕
○福島譲二君 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、本案の主な内容について申し上げますと、
 第一に、最近の都市部における駐車問題の深刻化に対処するため、公安委員会は、時間制限駐車区間を指定して、従来のパーキングメーターのほか、新たにパーキングチケット発給設備を設置、管理することとし、その区間における駐車の方法等について定めるほか、警察官等は現場に運転者等がいない違法駐車車両の所有者等に対して、当該車両を移動させるべき旨を告知する標章を当該車両に取りつけることができること、警察署長が行う違法駐車車両の移動保管に係る事務を指定法人に行わせることができること、駐車及び道路の使用等に関する相談、照会等の事業を行うものとして、全国及び都道府県センターを指定すること等の措置を講ずることとしております。
 第二に、道路交通法の違反に対する抑止機能を回復させるため、罰金の額及び反則金の限度額を、それぞれおおむね二倍に引き上げることとしております。
 第三に、最近における平均規制速度の引き下げによる刑罰適用者の増加に伴う事務処理の軽減を図るため、毎時二十五キロメートル以上三十キロメートル未満の速度超過を反則行為とする等、反則通告制度の適用範囲を一定の範囲で拡大することとしております。
 本案は、三月二十四日本委員会に付託され、同月二十七日小沢国務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十八日交通安全対策特別委員会との連合審査会を開く等慎重に審査を行いました。
 質疑におきましては、時間制限駐車区間の指定に際しての地域環境、交通状況等への配慮及び関係住民等との協議の必要、路外駐車場の利用及び公共空間の活用等による増設対策の推進、指定車両移動保管機関等に対する警察業務の委託のあり方、交通違反取り締まりの重点化と指導活動の強化、反則金の限度額の引き上げと第四次交通安全施設整備五カ年計画における単独分の規模拡大との関係、指定自動車教習所における交通安全教育の充実、道路交通法の抜本的改正の必要等、広範にわたる論議が行われました。
 四月二十二日質疑を終了し、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、九項目にわたる附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第五 有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第五、有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長宮崎茂一君。
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 有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔宮崎茂一君登壇〕
○宮崎茂一君 ただいま議題となりました有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、テレビジョン放送等の再送信の円滑かつ適切な実施を図るため、テレビジョン放送またはテレビジョン多重放送の再送信の同意に関し、有線テレビジョン放送事業者と放送事業者との間で協議が調わない等の場合の措置として、郵政大臣のあっせんの制度にかえて、裁定の制度を設けることとし、これに関する所要の手続等を定めるとともに、郵政大臣による再送信の同意をすべき旨の裁定が当事者に通知されたときは、その裁定の定めるところにより、当事者間に協議が調ったものとみなすこととするものであります。
 なお、郵政大臣は、再送信の同意に関し裁定をしようとするときは、政令で定める審議会に諮問しなければならないこととしております。
 本案は、去る三月十八日当委員会に付託され、四月十六日佐藤郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、翌十七日質疑に入り、二十三日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第六 プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案(内閣提出)
 日程第七 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第六、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案、日程第七、著作権法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文教委員長青木正久君。
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 プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び同報告書
 著作権法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔青木正久君登壇〕
○青木正久君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案について申し上げます。
 本案は、さきの第百二回国会において成立いたしました著作権法の一部を改正する法律により、プログラムの著作物に係る登録については、別に法律で定めるところによると規定されたのを受けて、プログラムの著作物の特性に応じ、その登録の手続及び登録機関等について著作権法の特例を定めようとするものであります。
 次に、著作権法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、データベース及び有線テレビジョン放送等有線系ニューメディアの急速な開発、普及に対応するため、データベースについて、著作権法により保護される著作物であることを明確にするとともに、有線系ニューメディアについては、有線による送信に関する規定の整備及び有線放送事業者に対する著作隣接権の創設等を行おうとするものであります。
 本委員会におきましては、四月十八日海部文部大臣から両法律案の提案理由の説明を聴取した後、両法律案を一括して審査に付し、質疑に入り、参考人の意見を聴取する等慎重審査を行い、去る二十三日質疑を終了し、採決を行った結果、両法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両法律案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第八 厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(坂田道太君) 日程第八、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長志賀節君。
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 厚生省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔志賀節君登壇〕
○志賀節君 ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を報告させていただきます。
 本案は、高度専門的な医療の進展に果たすべき国立医療機関の役割にかんがみ、特定の疾患等に関し、診断及び治療、調査研究等を行う国立高度専門医療センターの設置等を機動的に行うため、厚生省設置法の一部を改正しようとするものでありまして、その内容は、国立がんセンター、国立循環器病センター及び新たに本年十月一日から設置することが予定されている国立精神・神経センターを国立高度専門医療センターと総称し、各センターの名称及び所掌事務は政令で定めることができるようにすることといたしております。
 本案は、三月十四日本委員会に付託され、四月十六日今井厚生大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、慎重に審査を行いました。
 質疑におきましては、国立医療機関の地域医療に果たす役割、国立病院及び国立療養所の再編成計画にかかわる諸問題、国立病院特別会計制度の見直し等、広範多岐にわたる質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、四月二十四日質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同の小川仁一君及び日本共産党・革新共同の三浦久君から、それぞれ反対の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、報告とさせていただきます。(拍手)
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○議長(坂田道太君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(坂田道太君) この際、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣小沢一郎君。
    〔国務大臣小沢一郎君登壇〕
○国務大臣(小沢一郎君) 地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、地方制度調査会の答申に基づき、機関委任事務制度について職務執行命令訴訟制度を見直すとともに、機関委任事務に係る議会及び監査委員の関与を拡充し、監査委員制度について監査委員の職務権限の拡大等その整備を図り、議会制度について議会運営委員会の設置等につき所要の措置を講ずるほか、地方公共団体の公有地について信託制度を導入する等により、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図ろうとするものであります。
 以下、その概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、機関委任事務につきまして、議会の検閲・検査権及び監査請求権を認めるとともに、これを監査委員の監査の対象とすることとしております。
 また、職務執行命令訴訟制度の見直しにつきましては、知事の機関委任事務の処理につき法令等の違反あるいは怠慢があり、著しく公益を害することが明らかであるときは、主務大臣は勧告、命令、知事の不履行の事実を確認する内閣告示を経て代行することができることとし、知事の方からは内閣総理大臣への不服の申し出を経て、主務大臣の命令の取り消しを求める訴えを起こすことができることとする等所要の改正を行うとともに、地方公共団体の長の罷免の制度を廃止することとしております。
 第二に、地方議会につきまして、参考人制度及び議会運営委員会制度を整備することとしております。
 第三に、監査委員の職務権限を拡大して、事務監査、公の施設の管理の受託者に対する監査ができるようにするとともに、地方公共団体の職員であった者を監査委員として選任することについて一定の制限を設ける等監査委員制度を整備することとしております。
 第四に、地方公共団体の普通財産である土地等について議会の議決を経てこれを信託することができることとしております。
 なお、これらの改正のほか、地方自治法の別表の規定を改正する等所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(坂田道太君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。五十嵐広三君。
    〔五十嵐広三君登壇〕
○五十嵐広三君 日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま上程された地方自治法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に御質問申し上げたいと思います。
 現行地方自治法は、新憲法と施行日をともにする唯一の法律で、我が国の戦後民主主義の基盤をなしてきたものであり、私どもはその重要性を忘れてはならないのであります。しかるに、このたびの自治法一部改正案による機関委任事務の職務執行命令訴訟制度の見直しは、その最も大切な地方自治の基本ルールを崩そうとするものであります。本改正案の裁判抜き代執行に反対し、先日全く自発的に、五百人を超える公法学者などの学者、研究者が、憲法理念に反するとして要望書に連署し、政府に提出したのも、この制度見直しが地方自治を後退させるものであることを強く懸念したためにほかなりません。
 機関委任事務というのは、まことに疑問の多い制度であります。地方自治法の規定を全部ひっくり返しましても、機関委任事務という文字は出てこないのであります。先日も、内閣法制局のある幹部のお方がお書きになった論文の中で、「現行法制上、国の機関とする規定もなく、任命行為もないのに、単に事務を処理する権能が法律等により与えられただけで国の機関になるということは、およそ考えられないことである。都道府県知事が任命制であった戦前の地方制度をそのまま引き継いで制度をつくったことによる、一種の錯覚ではないだろうか」と述べているのであります。(拍手)今日では、単に地方団体関係者や学者だけでなくて、この方のように広く中央官僚の中にも、機関委任事務への否定的な意見が多いのであります。
 そこで、自治大臣にまずお聞きいたしますが、機関委任事務というのは一体何なんですか。その根拠は一体どこから来ているのでありますか。正確には何件あるのでありますか。あるいは、地方の事務総体のうち、どれほどの割合を機関委任事務が占めているのか、お調べになったことがございますか。このわけのわからない機関委任事務なるものは、法律、政令などで一方的に事務を押しつけて、上級行政庁として知事、市町村長らを命令、指揮監督しながら、財源の付与は不十分で、常に超過負担、別に任命されたわけでもなく、もちろん給与の支給もない。しかも、知事や市町村長たちが、めったにないことですが、例えば人権擁護上、政府と意見の対立をして協力できない事務が生じますと、怠ったとして、代執行と罷免の制度まで用意されているのであります。
 このたびの改正案の中心は、この職務執行命令制度が、これまでは二度の裁判を経た上でなければ国は代執行できなかったものを、今度は、裁判に時間がかかるというので、司法の判断抜きにして、行政だけの判断で実施するように改めようとするものであります。現行代執行制度は、生まれてから四十年近くたっているのでありますが、この間、実際に代執行が発動されることになりまして、それに対する裁判の判決が出されたのはただ一度、昭和三十五年のいわゆる砂川事件の最高裁判決があるのみでありますが、このときの判決は、現行制度の趣旨を明快に説いているのであります。
 すなわち、機関委任事務の関係における地方公共団体の長に対する国の指揮監督を、役所内部の上意下達のように行うのは、地方自治体の本来の自主独立性を害するものであり、憲法で定めた地方自治の本旨にもとるおそれがある。そこで、知事や市町村長の本来の地位の自主独立性を尊重するということと、一方、国側の委任事務を処理するための指揮監督の実効性を確保することとの間にどうしても調和を図るために、職務執行命令の訴訟の制度を採用したものだ、およそこのように述べているわけであります。そして、この条文によって裁判所が関与するのは、国と自治体の長の間に意見が対立したときなどに、裁判所がその中に立って、国の指揮命令が適法であるかどうかを判断し、適法と認めたときに初めて代執行権が行使できるようにして、その調和を図ったものであることを明らかにしているのであります。
 自治大臣、以上の判決の趣旨に照らしても、司法の関与を抜き取る今回の代執行制度見直しは、肝心の地方自治との調和を欠き、憲法の趣旨にも背くことであろうと思うのでありますが、いかがですか。(拍手)
 このたびの改正案で、地方自治体の長の罷免制度が廃止され、機関委任事務への地方議会及び監査委員の関与を認めようとすることにつきましては、これはむしろ遅きに失したとはいえ、評価をいたしたいと思います。もともと住民から公選された長が、中央政府から罷免されることがあったなどということは、国民にとっては信じがたい、驚くべきことなのであります。また、機関委任事務への議会の関与や監査委員の監査にいたしましても、今日、各地方自治体は事実上、何の差別もなく取り扱っているのが実態でありまして、いずれもこの改正の部分は当然のことであろうと思います。
 この改正案では、「他の方法で是正を図ることが困難で、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかである場合」に代執行するのだとされているのでありますが、どうもその内容が全くわからない。行革審の答申では、「万が一、生じた場合」などと述べているのでありますが、自治大臣、ぜひ発動する場合を具体的に、例えばこの事務のこういう場合なのだと、国民にわかりやすくこれを例示してほしいと思うのであります。制度は、どんな制度でも、一たん設けられますと生きて動き出し、地方自治体や国民の権利義務に重大な影響を与えるのでありますから、制度論というような抽象的なことではなくて、明快にお答えをいただきたいと思います。
 六十年度防衛白書にもありますように、防衛庁はかねてから、有事法制の研究を手がけて、有事に際して自衛隊の円滑な行動などを確保する上で法令上問題があると、各省庁にまたがる条文すべてについてチェックをして、これを明らかにしているのであります。例えば、部隊移動のためには道路法第二十四条外二条。陣地構築のためには、海岸法第七条外二条、河川法第二十四条外六カ条、森林法第三十四条、自然公園法第十七条外六カ条などが挙げられています。また、建築物の利用のためには建築基準法第十八条外十一カ条。野戦病院のためには医療法第七条外九カ条など。そして、戦死者の埋葬のためには墓地、埋葬等に関する法律第四条、五条などに至るまでここに示されているのであります。もちろん、これらの法律に基づく事務は、国の機関委任事務として地方が行うことにもなるものでありますが、防衛庁長官、これらの自衛隊の行動上問題があるとする法律について検討なされている理由、今後どのようにこれに対応していくとお考えになっておられるか、この際、お伺いをしたいのであります。
 また、ぜひお伺いをしておきたいのは、逗子、三宅島の問題であります。
 逗子市では、米軍住宅建設に対する緑の保護をめぐってこの一年半、市長選と二つのリコール投票が行われた。これらの全体をあわせ考えますと、逗子市の市民たちが緑の保護を強く望んでいるということはよく理解できるのであります。三宅島のNLP、すなわち米軍艦載機の夜間発着訓練飛行場の建設問題では、村長や村議会は強固にこれに反対し、在島有権者の八五%が反対の署名をしています。逗子の場合は、主婦を中心にした生活実感に基づく市民運動であり、三宅島の場合は、島民の生活をかけた、まさに全島ぐるみの住民運動であります。いずれも自分たちの住む地域の幸せを自分たちでつくっていこうということから生まれる運動であって、イデオロギー闘争とは別な次元のものなのであります。
 防衛庁長官、逗子、三宅島問題について、従来の方針にこだわることなく、弾力的に、柔軟な発想で対応する考えはありませんか。あるいは、あくまで自治体の長や住民が同意しないなら、住民の意思をけ散らしてでも国の意思を強行すると考えておられるのか。また、自治大臣はどのような思いでこれをごらんになっておられるのか、それぞれお答えいただきたいのであります。これに関連して、さきに小沢自治大臣のリコール制度見直し発言が波紋を呼んでおりますので、この際、その点も真意を明らかにしていただきたいと思います。
 今日、都道府県の総事務量の実に八割、市町村の約五割は、国からの機関委任事務と言われているのであります。この膨大な機関委任事務には、さきに述べた各省庁の指揮命令によって必ず中央政府の不要な干渉が存在している。このために、自治の侵害はもとより、国と地方の往復事務は煩雑をきわめて、二重行政や二重監督の弊害は枚挙にいとまありません。行政効率の上から見ても、最も不合理かつ有害な存在であり、地方団体や地方制度調査会などが言うように、自治分権の視座に立って、その廃止を目指して抜本的改革を行うことこそが、真の行政改革の本命と申すべきと思いますが、総理並びに自治大臣の御見解をいただきたいと思うのであります。
 さて、総理、あなたは、今国会に安全保障会議設置法案を提出し、内閣の権限を集中強化しようとしています。さらに、政府・与党の首脳会議の方針によれば、国家秘密法案を再び今国会に提出する動きがあるようであります。そしてまた、この機関委任事務の裁判抜き代執行制度による中央権力の地方への貫徹が提案された。これら一連の措置は、まさに危機管理体制の確立であって、そのための権限の一点集中と、これを阻害するものを排除するためのものであり、民主主義体制に逆行する中曽根政治の本質を示していると思うが、総理、いかがですか。また、国家秘密法案は再提出すべきでないと思いますが、与党総裁の立場も含めて、提出の意思があるのかどうかもお伺いしたいと思います。
 今回の改正案に突然入ってきたものに、選挙管理委員の罷免制度があります。行革審の答申にはない、地方制度調査会の答申にも出てこない、しかし、にわかに思い出したように、議会による選挙管理委員の罷免制度が提出されてまいりました。世間では、タイミングから見て、一部地方選管が協力しない場合に備えたもので、どうも定数是正なし選挙の布石ではないかというような声もありますが、いかがですか。
 最後に、最近の異常な円高対策など重要問題が山積する折から、まさかダブル選挙など行う余地もないというふうに思いますが、この際、総理の決意を伺って、私の質問を終えたいと思う次第であります。どうもありがとうございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 五十嵐議員の御質問にお答えいたします。
 まず、代行制度と地方自治の関係でございますが、今回の代行制度の改革については、その発動を著しく公益を害することが明らかである場合に限るとともに、知事の不服の申し出を含む慎重な手続を経て、最終的には執行の停止をも含めて裁判所の公正な判断を仰ぐようにしてあるわけであります。同時に、罷免制度の廃止、機関委任事務に係る議会、監査委員の権限の拡充等、今回の改正は、地方自治の立場を十分配慮した改正案なのであります。
 機関委任事務の改革につきましては、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点に立って、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体で処理する方向で、国と地方の機能分担の見直しを推進することは、行政改革の重要な課題となっております。このような観点から、今国会に法案を提出いたしましたが、さらに今後とも、機関委任事務の整理合理化の推進に努力する考えであります。
 安全保障会議の設置は、行革審答申を踏まえまして、国防会議の任務をそのまま引き継ぐほか、重大緊急事態に迅速適切に対処し、事態がさらに悪化するのを未然に防止することにより、国及び国民の安全を確保しようとするものでありまして、これは民主主義体制に逆行するものではありません。
 代執行制度の改正の意図でございますが、今回の職務執行命令訴訟制度の改革は、現実に制度として事実上動いていないとか、公選された知事を内閣総理大臣が罷免するのはおかしいとか、そういう批判に制度論として応じたものなのでありまして、特定、具体的な事件、事例を念頭に置いたものではありません。
 国家秘密保護法、いわゆる国家秘密法、スパイ防止法は、日本の現在のようなスパイ天国の状態を放置しておいてはよくない、外国並みに国家の秘密も保護すべきである、そういう考えに立って、自民党において、この種の立法が必要であるという立場から、現在、種々の調整を行い、国民の皆様方の御意見も広く今聴取しておるところでありまして、慎重に検討しておるところであります。
 次に、選挙管理委員の問題でありますが、今回、監査委員の服務及び罷免の規定を整備することに伴い、選挙管理委員についても規定を同様に整備したものであります。
 次に、衆議院議員の定数是正問題については、現在、各党間で鋭意協議が行われておりますが、今国会において速やかに定数是正が実現するよう強く念願しておりまして、現在、解散は考えておりません。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣小沢一郎君登壇〕
○国務大臣(小沢一郎君) 五十嵐先生にお答えいたします。
 まず、機関委任事務の問題でございますが、機関委任事務は、法律またはこれに基づく政令によりまして、知事、市町村長等地方公共団体の執行機関に委任された国の事務でございまして、その件数は、地方自治法別表第三及び第四に掲げられているものといたしましては、五百八件でございます。
 次に、代執行と地方自治との問題でございますが、総理からも詳しく御答弁ありましたが、今回の改革と地方自治との関係につきましては、今回の代行制度の改革につきましては、昭和三十五年六月十七日の最高裁判所判決にも留意をした上、地方公共団体の意見を十分尊重しつつ、慎重かつ適切に機能し得る制度といたしまして、地方制度調査会の答申も踏まえ、今回の改革を行うこととしたところでありまして、憲法の趣旨に反するとは考えておりません。
 それから、発動の要件でございますが、著しく公益を害する場合とは、代行についてはできるだけこれは慎重にしなければならない、そういう見地から、代行が行われる場合を、社会公共の利益に対する侵害の程度が非常に甚だしい、そういう場合に限定しようとするものでありまして、その判断につきましては、そのときの具体的事例に即して判断を行う以外にないものと考えております。
 それから、三宅島、逗子等の問題でございますが、国と地方の基本的な関係につきましては、国民福祉の向上という共通の目標に向かって、それぞれ機能と責任を分かちつつ、相協力する関係としてとらえられるべきものであると思います。この観点に立ちまして、国も地方も、相互の立場を尊重しつつ、意見調整を行った上で、当該施策が円滑に行われることが望ましいと私どもは考えております。
 これに関連いたしまして、リコールの問題で私の発言についてございましたけれども、この制度は、住民自治の徹底を図るために設けられた制度でございますが、制度の乱用があってはならないことは言うまでもないところでありまして、私といたしましては、自治の担い手である住民自身が、制度を正しく理解し、運用していただくことを願っているという意味で申し上げたわけであります。
 それから、機関委任事務の整理合理化につきましては、総理からも答弁がございました。従来より地方制度調査会の答申等におきましても、機関委任事務の整理合理化を推進すべき旨指摘されてきたところでありまして、これまでの措置をもってもなお不十分である、そのように考えておりますので、さらに一層これを推進するため、今後ともあらゆる機会をとらえて努力してまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣加藤紘一君登壇〕
○国務大臣(加藤紘一君) 有事法制研究についてお答えいたします。
 いわゆる第二分類につきましては、一昨年、五十九年十月の国会に対します御報告によりおおむね完了した、こう考えております。防衛庁といたしましては、これら研究結果に基づきまして法制が整備されることが望ましいと考えておりますけれども、今後の取り扱いにつきましては、国会の御審議、また国民世論の動向等を踏まえて対処してまいりたい、こう考えております。
 それから、池子と三宅の問題につきまして、柔軟に対処すべきではないか、今後強行するつもりはあるか、こういう御指摘でございましたけれども、この二つとも、日米安保体制の効果的かつ円滑な運用のためにはぜひ必要な施策でございます。
 逗子につきましては、緑の保全に十分に私たちも注意いたしております。ですから、神奈川県の環境アセスメントの手続を的確に、そうして正確に踏んでいるつもりでございます。また、三宅につきましては、私たちとしては、国側の説明をまず聞いていただぎたい、その上に御判断いただきたいという気持ちでございまして、現在、地元にそういった話し合いの機会を設けてほしいと申し入れているところでございます。いずれにいたしましても、これら問題の解決のためには、地元の御理解、御協力を得つつ、今後ともその実現に努力してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(坂田道太君) 宮崎角治君。
    〔宮崎角治君登壇〕
○宮崎角治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 地方自治法は、日本国憲法とともに昭和二十二年五月三日に施行され、間もなく四十年を迎えようとしております。我が国の憲法は、平和、人権、民主の三原理を基本としておりますが、憲法の特色の一つである地方自治は、憲法との同時施行が示すように、その三原理の基盤を構成しているのであります。
 私は、長崎の原爆被爆者の一人として、平和について身にしみて実感しており、中曽根総理の唱えるいわゆる新国家主義というものよりも、地方自治の健全な発展こそが平和を支え、人権を守り、民主的国家の礎となり得ると考えるものであり、その立場から、以下、若干の質問をするものであります。
 戦後、新たに地方自治が発足して、今日まで我が国の社会経済情勢は幾多の変化を遂げてまいりました。この間、地方自治体は、生活、産業基盤の整備や人口の急激な移動に伴う地域社会の整備を進め、また、国に先駆けて福祉行政を推進してまいりました。どの時代においても、国民生活や経済発展の下支えを行ってきたのが地方自治体であります。今後、高齢化、国際化が進行する中で、一層きめ細かな施策が求められておりますが、住民の日常生活に密着した地方自治体は、ますますその役割の重要性を増すものと考えられるのであります。
 しかしながら、現行の国、地方間の行政、財政関係は、従来の画一的構造のままになっており、臨調、地方制度調査会等から数多くの制度の改革が提言されておりながら、現在に至るまで何ら見るべき改革は行われておりません。地方自治体が今後の課題に積極的に取り組み、豊かで活力ある地域づくりを推進するためには、これまでの国の下請的構造を大胆に転換しなければならないと考えるものであります。総理は、こうした地方自治の実態をどう考えておられるのか、現行の地方自治制度に対する認識並びに評価及び今後の改革の方途について、まずお伺いしたいのであります。
 さて、今回提出されました地方自治法の一部を改正する法律案についてであります。
 本改正案は、機関委任事務について、議会が検閲し検査し、また、監査委員が監査することができるよう、制度の改正をすることとしております。この点については、私たちは、機関委任事務の大半が住民生活に密着した事務であるにもかかわらず、地方議会等の関与ができないことは、地方自治の原理から見ても不合理であるとして、かねてその改革を主張してきたところであり、今回の改正は当然で、むしろ遅きに失した感さえあります。しかしながら、本改正案の最大の問題は、地方自治の後退を招くことが明らかな職務執行命令訴訟制度の改正をも同時に行い、いわゆる裁判抜き代執行を可能にしようとしている点であります。
 この改正の発端は行革審地方行革推進小委員会報告でありますが、同小委員会の審議において、その報告案を作成する段階になって突如この問題が提起され、その改正の必要性については確たる理由も明らかにされないまま、取りまとめが行われたのであります。また、去る二月、この問題が地方制度調査会で審議された際にも、答申案を多数決で採決するという異例の方法がとられたのであります。総理は、これらの審議過程をどのように感じられておられるのか、御見解を伺いたいのであります。
 現在、知事、市町村長は、それぞれの地方自治体の執行機関として、その固有事務を執行するとともに、国の事務もまた、機関委任事務としてその執行が義務づけられております。そして、この機関委任事務を執行する場合、知事、市町村長は国の機関として主務大臣の指揮監督のもとに置かれるのであり、知事、市町村長は、住民代表としての立場と国の機関としての立場の二面性を持つのであります。このため、現行制度は、この二面性を持つ立場の特殊性を考慮し、知事、市町村長の行う機関委任事務の執行について、国、地方間で対立が生じ、主務大臣が知事、市町村長にかわってその事務を執行することとなる場合には、事前に中立、公正な裁判所の判断を求め、両者の調和を図ることとしております。これが職務執行命令訴訟制度であります。そして、これが憲法で保障された地方自治を真に生かす制度であることは、既に最高裁判所の判決が明確に認めるところであり、また、国、地方間の正しい行政秩序として深く定着しているところであります。
 ところが、今回の改正は、この事前の裁判所の関与を排除し、主務大臣が直ちに代執行できることにするものであります。知事、市町村長に異議がある場合の事後の取り消し訴訟を認めているとはいえ、改正の本質は何ら変わるものではなく、これは地方自治の現在までの流れに逆行して、中央集権化を強化しようとするものと言わざるを得ません。一体この時点で、どうしてこのような地方自治制度の根本を変更するような改正をあえて行うのでしょうか。総理の言う「戦後政治の総決算」の地方自治における具体的な展開がこれであるとするならば、それは憲法の諸原理の変更をも行うものであり、断じて認めることはできないのであります。この際、総理の明白な真意をお間かせいただきたいのであります。(拍手)
 次に、機関委任事務の整理についてお伺いいたします。
 私たちは、これまで、機関委任事務についてはその廃止を強く要求してまいりました。これはまた、臨調、行革審や地方制度調査会でもその整理の必要性が強調されてきたのでありますが、これまでの改革を見ると、既に役割を終えたもの、事実上効力を失ったものなどについて法文の整理をしたというにすぎません。肉を切り、骨に達するという本来の行革にはほど遠く、肝心なものには全く手をつけていないと言っても過言ではありません。にもかかわらず、今回、さきの職務執行命令訴訟制度の改正を行うことは、本末転倒と言わざるを得ないのであります。
 総理は、一昨年九月、地方自治体に対する補助率の引き下げの見返りとして、機関委任事務の整理等を指示されたのでありますが、今回提案されたその整理法案は、わずか十項目の廃止と三十三項目の団体委任事務化を行うにすぎないのであります。総理は、これをもって見返りであるとするのでしょうか。また、私たちは、機関委任事務については、思い切った整理を行うことを強く主張するものでありますが、この点について、政府の前向きの答弁を求めるものであります。(拍手)
 さらに、今回の改正案には、選挙管理委員の服務及び罷免の規定が新たに設けられておりますが、過去幾多の地方自治法改正においても取り上げることがなかったこの問題が、どうして今日突如として、地方制度調査会の審議を経ることもなく浮上したのでありましょうか。昨年夏の最高裁判決以来、本院の定数是正は焦眉の急であり、定数是正なき解散は、憲法に違反するにとどまらず、また選挙執行にも支障を生じかねないという声を耳にするとき、この改正の企図が那辺にあるのか、強い疑念を持たざるを得ないのであり、その理由を明らかにしていただきたいのであります。
 最後に、地方六団体の国への意見提出権についてお伺いします。
 今回の地方自治法の改正に当たって、法令の制定、改廃について地方六団体の国への意見提出権の法制化が予定されていたのでありますが、今回、この改正が法案に盛り込まれておりません。まことに遺憾に思うのでありますが、何ゆえにこの改正を行わなかったのか、明らかにしていただきたいのであります。また、この改正に対する今後の見通しをお伺いしたいのであります。
 以上、重要な問題に絞ってお伺いいたしました。総理並びに関係大臣の国民及び地方自治体関係者に対する率直な誠意ある答弁を期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 宮崎議員にお答えをいたします。
 まず、地方自治への基本認識でございますが、「地方自治の本旨」と憲法にも明記してありますように、地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであると考えております。最近の人口の高齢化やあるいは安定経済成長への移行等を迎えまして、地域の特性や創意を尊重した地域づくりが重視されている折から、地方公共団体の果たすべき役割はますます重要になってきております。今後とも、地方分権を尊重して、これを推進してまいりたいと考えております。
 次に、職務執行命令訴訟の問題でございますが、行革審では、機関委任事務のあり方について、昭和五十八年秋から小委員会において検討され、昨年七月に答申が行われたものと承知しております。審議経過については、昨年四月ごろ、機関委任事務制度は正しく活用されるならば有効な制度であるとの認識において小委員会で一致し、その結果、機関委任事務制度に関連する地方議会や監査委員の関与の制度及び職務執行命令訴訟制度の審議が行われ、慎重な検討、審議が行われました上に答申が提出されたものと考えております。
 次に、地方制度調査会の審議の経過でございますが、同調査会においては、制度の見直しに当たっては極めて慎重な配慮を要するという立場から、議論に議論を重ねて、最終的に適切に機能し得る制度として答申を取りまとめたと聞いておるところであります。
 次に、改正理由でございますが、地方制度調査会は、現行の職務執行命令訴訟制度が、現実に制度として動かないとか、公選された知事を政府が罷免するのはおかしいとか、そういうような批判がございますのを受け入れまして、今回そのような提案をしたものなのであります。政府としても、答申に即した改正が必要と考えております。
 次に、機関委任事務の整理の問題でございますが、御指摘のとおり、さらにこれは整理する必要があると考え、今回は十一省庁四十三法律六十一事項の改正を予定しておりますが、さらに整理合理化をしていくつもりでございます。
 選挙管理委員の問題については、今回、監査委員の服務及び罷免の規定を整備することに伴い、選挙管理委員についても規定を整備したにすぎないのでございます。
 残余の答弁は自治大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣小沢一郎君登壇〕
○国務大臣(小沢一郎君) 宮崎先生にお答えいたします。
 機関委任事務の整理合理化ですが、これはただいま総理からも答弁がございました。従来より地方制度調査会からも指摘されておるところでございまして、私どもも今後、あらゆる機会をとらえまして、さらに一層これを整理合理化努力するようにいたしたいと思います。
 それから、選挙管理委員の服務規定等の新設についてでありますが、現在の選挙管理委員の服務及び罷免につきましては、暫定的に地方自治法の施行規程で定められているところであります。今回、監査委員についてその服務規定を整備することの関連で、規定を整備しようということでありまして、ほかに何ら意図はございません。
 それから、地方六団体の意見提出権についてであります。自治省といたしましては、今回の地方制度調査会の答申に沿いまして、地方公共団体の全国的な連合組織の意見提出権を制度化しようということで、粘り強く折衝してまいったのでございますが、合意が調わずして、今回この改正は盛り込まれておりません。この点につきましては、まことに残念に思っております。今後とも引き続き、地方公共団体の意向が国政に適切に反映されるよう、御指摘の点にも留意いたしまして努力をいたしたいと思います。(拍手)
    ─────────────
○議長(坂田道太君) 三浦隆君。
    〔三浦隆君登壇〕
○三浦隆君 私は、民社党・国民連合を代表しまして、ただいま議題となっております地方自治法の一部を改正する法律案に対しまして、総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
 言うまでもなく、国と地方公共団体との基本的な関係は、国民生活の安定、福祉の向上という共通の目標に向かって、それぞれ機能と責任を分かち合いつつ、相協力する関係にあります。しかるに、我が国の現状は、一般に三割自治と呼ばれていますように、権限も財源も国に偏重し、地方公共団体は細部に及び国から干渉され、地方自治は名ばかりの存在になっております。このような現状を是正し、憲法が保障する地方自治の本旨に従い、その健全な発展を図ることは、二十一世紀に向けて、我が国に高度福祉社会を創造するために不可欠の課題であります。
 この課題を解決するためには、第一に、物質的には豊かになりつつある今日、経済の量的発展よりは、精神面でのゆとり、生活の質的充実、物心両面の均衡のとれた地域生活の確立が重要であります。そのために、地方の立場を強化し、地域住民の多様な要求を調整しつつ、これを充足することが必要であって、中央集権的発想は、かえって不合理と非効率を招くものと思います。第二は、真の住民自治を確立するとともに、住民自身の責任において、その地域における公共性にかかわる受益と負担の関係を調整していくという原則を確立することが、民主主義を守り育てるために不可欠であります。
 地方公共団体が、かかる時代の要請に応じて主体的役割を果たせるようになるためには、国に偏った権限や財源を大幅に地方公共団体に移譲することによって、地方自治の健全な発展を図る必要があります。それは、今日の行政改革の最大の課題の一つと言えましょう。しかし、残念ながら、臨調答申以来今日まで、改革が最もおくれているのは地方分権の推進であり、それは、中央省庁の根強い抵抗により、遅々として進んでおりません。逆に、補助金負担の地方転嫁の例に端的に示されていますように、国の財政政策の失敗を地方にしわ寄せし、地方公共団体の主体性を踏みにじっているのが現状ではありませんか。
 総理、あなたは、施政方針演説において、我が国を「たくましい文化と福祉の国」とすることを表明し、また、魅力ある地域社会づくりに努められることを約束されました。そのためには、地方分権を促進し、地方自治の健全な発展が不可欠でありましょう。私は、このような観点から、国と地方との役割分担を根本的に見直し、国に偏った権限、財源を大幅に地方公共団体に移譲すべきだと考えるものであります。そこで、総理にお尋ねいたします。総理は、地方自治発展のために、今後具体的にどのような措置を講ずる方針であるか、また、総理が行革審の後を受けて今後設置すると表明された機関において、地方分権の推進を主要議題の一つとされるのか否かという点について、御見解を求めます。
 次は、本法案の主題であります職務執行命令訴訟制度の改正について、順次質問をいたします。
 その第一は、現行制度を改正するに至った理由についてであります。
 現憲法体制のもとでは、地方公共団体は、国の機関の下部行政組織としてではなく、独立の地域住民団体として構成されております。したがいまして、国の事務についても、住民の公選によって選挙された長に対し委任されているのであって、国の下部行政機関に対して事務を分担させ、上命下服の関係として職務執行命令が認められているわけではありません。現行法では、地方公共団体の長は、国の機関委任事務についても、「自らの判断と責任において、」誠実に管理、執行すべきこととされております。そして、首長の自主独立性の尊重と国の機関委任事務の確保との調和を求めるために、職務執行命令を認めつつも、代執行を行う前に、いわば中立的第三者機関としての機能を期待して、裁判所の介入を認め、国と地方公共団体との事務処理の相違を調整しているのであります。
 このような現行制度のどこに不備があり、改正しようとするのか、その理由について総理並びに自治大臣の御見解をお伺いいたします。また、国の裁判抜き代執行制度につきましては、土地収用法や都市計画法などの特別法において既に制度化されておりますが、これらと今回の改正とはどのような関係を持つのか、あわせて自治大臣にお伺いいたします。
 第二は、機関委任事務の大幅整理についてであります。
 全国的な行政水準の確保あるいは権利義務等にかかわる公平性の確保などの必要性から、国の機関委任事務について、地方公共団体がその事務の遂行を命令に違反して行わない場合、国が裁判抜きで代執行することは、行政の効率化を図る上で妥当な場合もあることと考えます。しかしながら、それは機関委任事務の中でも、あくまで著しく公益を害する場合に限って認められるべきであります。地方自治の建前からかなり厳しい批判が加えられています機関委任事務が、無数に存在している現状を放置したままで本制度を適用することは、国と地方公共団体の事務にいたずらなあつれきを引き起こし、地方自治への重大な侵害となりかねません。したがいまして、現在の機関委任事務について、これを真に必要不可欠なものに整理縮小すべきであると考えますが、政府は、今国会に提出されているいわゆる機関委任事務整理法に引き続き、今後機関委任事務をどのようにして整理合理化していく方針か、総理の御見解を求めます。
 第三は、国が代執行するか否かについて、だれが判断するのかということについてであります。
 今回の法改正によれば、主務大臣は、知事の処理する国の機関委任事務の管理、執行について、法令、主務大臣の処分に違反または懈怠があり、他の方法でその是正を図ることが困難で、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかである場合に、知事に対する勧告、命令、知事の不履行の事実を確認する内閣告示を経て、知事にかわって当該事務を行うこととされており、主務大臣にその判断をゆだねております。しかし、このような重大な判定を主務大臣の判断にのみゆだねることは、極めて問題であります。したがいまして、主務大臣に国の代行を認める場合の基準をより明確にするとともに、その判定を第三者機関にゆだねることも検討の対象とすべきではないかと思いますが、総理並びに自治大臣の御見解を求めます。
 第四は、地方議会の検閲・検査、監査請求権の効果についてであります。
 今回の改正により、普通地方公共団体の議会は、その団体の執行機関の権限に属する機関委任事務について、政令で定めるところにより、検閲、検査し、監査委員に対し監査を求めることができることとされております。この規定に基づき、地方議会が機関委任事務に及ぼす検閲、検査の範囲はどの程度のものか、国に対する意見具申にとどまるのかどうか、地方議会の決定は機関委任事務に関する国の決定にどのような効果を持つのかという点について、自治大臣の御見解を求めます。
 第五は、機関委任事務の公開の問題についてであります。
 現在、各自治体においては、情報公開条例が制定され、行政事務の住民への公開が制度化されつつあります。しかし、これらの条例においては、国の機関委任事務にかかわる情報の公開化については、十分とは言えません。今回の法改正により、機関委任事務に対する地方議会の検閲・検査権を認める以上、それを実効あらしめるためには、住民への情報公開をより一層広げ、住民の代表である地方議会の審議の充実を図るべきであると考えます。例えば、公文書の閲覧及び写しの交付を阻むケースとして、「国側との協力関係を著しく害するおそれのあるもの」という場合、このような「著しく害するおそれ」という抽象的表現では、実質的に公開化を骨抜きとすることにもなりかねません。政府は、国の機関委任事務に対する情報公開化に対して、どのようにお考えになるのか、自治大臣の御見解を求めます。
 最後に、地方団体の国政への参加の問題についてであります。
 現在、地方公共団体は、地方の行財政改革にかかわる国会の審議や行政府の政策決定に意見を反映させる何らの権限もなく、自治省による交渉を通じてその成り行きを見守るしかありません。昨年及び今回の国庫補助率カットに顕著に見られたように、地方公共団体に直接かかわる政策決定が、国側の理由により一方的に決定され、地方はいわば当事者能力を否定された格好となっているのであります。
 私は、このような現状を改め、地方公共団体の声が国政に反映されるようにするため、地方自治法を改正し、一定の要件を備えた地方公共団体の全国連合組織が、地方公共団体が処理する事務にかかわる法令、地方公共団体の負担を伴う法令、その他地方自治に影響を及ぼす法令の制定、改廃に関して、内閣に、内閣を経由して国会に意見書を提出することができるものとし、内閣はその意見を尊重して必要な措置を講ずる制度を設ける必要があると考えるものであります。本法改正の土台となった本年二月の地方制度調査会の答申においても、この趣旨の制度化を求めております。
○議長(坂田道太君) 三浦君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○三浦隆君(続) そこで、なぜ今回の法改正において、この項目が無視され、制度化されなかったのか、今後地方団体の国政決定への参加を制度化する方針はあるのかどうかという点について総理にお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 三浦議員にお答えをいたします。
 まず、地方自治発展のための措置でございますが、先般来申し上げますように、地方自治は、民主政治の基盤であり、内政のかなめであると心得ております。人口の高齢化や安定経済成長への移行、住民の多様なニーズの発生、こういうような新しい時代に即応いたしまして、地方の仕事は地方みずから果たすべきものである、それが効率的である、そういう考えに立って、中央、地方の事務負担の調整、あるいは地方の権限や財政力の充実、こういう問題についても政府は今後努力してまいりたいと思っております。
 次に、ポスト行革審の問題でございますが、行政改革推進審議会が終わりました後の行革体制の推進方策につきましては、今後の検討課題であります。各方面の御意見を踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと思いますが、目下は白紙の状態でございます。
 職務執行命令訴訟制度改正の理由でございますが、現行の制度が現実に動いていないとか、あるいは、公選で出てきた知事を中央政府が罷免するのは適当でない、そういうような御意見がありまして、これに従った、それが提案の一つの理由でもございます。
 次に、機関委任事務の整理合理化推進の問題でございますが、機関委任事務の整理合理化については、地方の自主性、自律性強化を図る観点から、不断に見直しを進める必要があります。今回の法案もその一環であり、今後ともその推進に努力してまいります。
 代行の基準と判定機関の問題でございますが、今回、代行制度を改革して、その発動を著しく公益を害することが明らかである場合に限定しておりますが、その判断は、具体的事例に即して行うべきものであり、これを第三者機関にゆだねることは、その構成メンバーや権限等についていろいろ議論がございまして、地方制度調査会の答申は、そのような議論を踏まえた上で、今回のようなものにおさまったということであると聞いています。
 地方六団体の意見提出権の問題でございますが、地方公共団体の意見は、従来からいろいろな機会を通じて、御意見を尊重し、検討をしておるところでございます。地方公共団体の意向が国政に適切に反映されるよう、今後とも努力してまいります。
 残余の答弁は自治大臣からいたします。(拍手)
    〔国務大臣小沢一郎君登壇〕
○国務大臣(小沢一郎君) 三浦先生にお答えいたします。
 第一は、今回の改正理由でございますが、総理からも御答弁がございましたけれども、いろいろな地方自治の本旨についての慎重な議論の末、地方制度調査会といたしましても、制度論としてはこれにこたえざるを得ないと判断したものであると思います。政府といたしましても、このような論議の結果を踏まえまして、今日の急務である機関委任事務制度の改革の一環として、今般、改正法案を国会に提出することとした次第であります。
 次に、地方自治法の新しい代執行の制度と個別法による代行制度との関係についてでございますが、今回、代執行につきましては、特定の事務を念頭に置いているものではありませんで、一般法として、制度として定めたものであると思います。これに対しまして、個別法の代行規定は、それぞれの法律のその目的に照らしまして特にこれを置く必要があると認められる場合に、特定の事務についてその必要に応じた手続で代行できる道を開こうとするものである、そのように解釈いたしております。
 それから、第三者機関に判断をゆだねるべきではないかという問題ですが、これも総理から答弁がございました。私どもといたしましては、地方制度調査会の答申に基づき、最終的には裁判所の公正な判断を仰ぐということにする今回の改正案のような仕組みを御提案いたした次第であります。
 それから、機関委任事務の検査権の効果についてでありますけれども、今回の改正は、機関委任事務につきましても、地方議会の検査権の対象としようとするものでありますが、この検査権は、当該事務の執行が法令または主務大臣の処分に従って行われているか否かを検査し、適正ならしめようとするものであります。したがいまして、検査の過程で事務の執行の改善等を国に要望する必要が生じた場合には、地方自治法の第九十九条第二項の意見書の提出等、そういう方法によって関係行政庁に対し申し出ることになるとするものであります。
 それから、情報公開についてでございますが、機関委任事務に関連いたしまして作成、収集されました情報、いわゆる文書等についてでございますが、この管理につきましては、地方公共団体の長の責任と判断におきましてこの情報の公開について対応していくべきもの、そのように考えております。(拍手)
○議長(坂田道太君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十一分散会