第106回国会 農林水産委員会 第2号
昭和六十一年八月五日(火曜日)
    午後一時五分開議
 出席委員
   委員長 玉沢徳一郎君
   理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
   理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
   理事 松田 九郎君 理事 田中 恒利君
   理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君
      上草 義輝君    大石 千八君
      大原 一三君    太田 誠一君
      木村 守男君    菊池福治郎君
      小坂善太郎君    田邉 國男君
      谷垣 禎一君    野呂田芳成君
      長谷川 峻君    柳沢 伯夫君
      山崎平八郎君    石橋 大吉君
      串原 義直君    竹内  猛君
      辻  一彦君    前島 秀行君
      安井 吉典君    鍛冶  清君
      藤原 房雄君    水谷  弘君
      吉浦 忠治君    寺前  巖君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  加藤 六月君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      竹内 克伸君
        農林水産政務次
        官       衛藤征士郎君
        農林水産大臣官
        房長      甕   滋君
        農林水産省経済
        局統計情報部長 松山 光治君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    浜口 義曠君
        食糧庁次長   山田 岸雄君
        水産庁長官   佐竹 五六君
        建設省河川局河
        川計画課長   角田 直行君
        建設省河川局治
        水課長     近藤  徹君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ─────────────
七月二十五日
 一、農林水産業の振興に関する件
 二、農林水産物に関する件
 三、農林水産業団体に関する件
 四、農林水産金融に関する件
 五、農林漁業災害補償制度に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(昭和六十一年産米穀の政府買入価格等)
     ────◇─────
○玉沢委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、昭和六十一年産米穀の政府買い入れ価格の米価審議会への諮問及び昭和六十年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長。
○山田説明員 それでは、本日午後一時から米価審議会に昭和六十一年産米穀の政府買い入れ価格につきまして諮問させていただきましたので、その諮問の内容につきまして御説明させていただきます。
 まず、お配りしました資料の「諮問」及びもう一つ、一ページめくっていただきまして、「諮問についての説明」、この朗読をさせていただきます。
     諮  問
  昭和六十一年産米穀の政府買入価格について、米穀の需給の均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会の意見を求める。
  昭和六十一年八月五日
         農林水産大臣 加藤 六月
    …………………………………
     諮問についての説明
  米穀の政府買入価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。
  米穀の政府買入価格につきましては、近年の米の需給事情を考慮して、昭和五十三年産以降抑制的に定めてきたところであります。また、一方で水田利用再編対策及び米消費拡大対策を中心とする各種施策を通じて米の需給均衡を回復するための努力が続けられております。
  しかしながら、米の需給は、消費が依然として減少傾向にある一方、潜在生産力は高水準で推移しており、生産調整を行わなければその需給の均衡を図れないという状況にあります。
  特に来年度から開始される水田利用再編対策後の次期対策においては、転作面積の相当な拡大が必要になっております。
  また、米の管理に係る財政運営も、国家財政が厳しい状況にある中で、一層困難な局面に直面しております。
  今後の米の管理におきましては、以上のような事情を踏まえ、ゆとりある米管理と三度の過剰の発生の防止との両面に留意しつつ、米の安定供給を図っていく必要があるものと考えております。
  他方、賃金及び物価の安定、金利の急激な低下等一般経済情勢はこれまでにみられなかった動きを示すとともに、稲作労働時間の着実な減少がみられる等の事情に配慮する一方、米穀の政府買入価格が農家の経営意欲に及ぼす影響に配慮することも必要であると思われます。
  本年産米穀の政府買入価格につきましては、以上の事情を総合勘案の上、現下の米の需給事情に即応しつつ、生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。
 続きまして、もう一つお配りしておりますところの「昭和六十一年産米穀の政府買入価格の試算」、この資料に関連して説明させていただきます。
 まず、資料に入る前に、算定の基本的な考え方について申し上げておきたいと思います。
 基本的な考え方として、本年産米におきましては、五十九年五月の米価審議会において採択されました米価の算定に関する米価審議会小委員会報告の趣旨及び前広米審での御論議をも踏まえまして算定を行っております。
 すなわち、算定方式としましては生産費及び所得補償方式によることといたしまして、対象農家の平均生産費について、物財、雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃で評価がえをし、この評価がえ生産費を平均単収で除して、「求める価格」、これは米全体の農家庭先価格になるわけでございますが、その求める価格を算定しております。
 具体的な算定につきましては、後ほど資料に基づきまして説明いたしますが、主要な点について申し上げますと、まず、生産費対象農家につきましては、生産調整を行わなければ需給の均衡が図れないという現下の米の需給事情を米価算定に反映させることといたしまして、生産費対象農家として、農家を生産費の低い順に並べて、その累積生産数量比率が潜在生産量に対する需要量の比率、これは八二%になりますが、その比率になるまでの農家をとっております。その場合、この比率を求める際の需要量につきましては、主食用等の生産予定量千八十万トンをとっております。
 また、潜在生産量につきましては、六十一年度における潜在生産量千三百七十万トンから、昨年の諮問における試算値と同様に、他用途利用米生産予定数量二十七万トンのほか、転換畑相当分を含む永年性作物等の定着分二十九万トンを控除しております。
 次に、主な算定要素について御説明しますと、まず、家族労働費の評価に用います都市均衡労賃のとり方につきましては、基本的には五十六年度以降のとり方と同様、常用労働者数五人以上千人未満の事業所規模の製造業の賃金について、都道府県別の米販売量ウエートにより加重平均した賃金という考え方に立って算定しております。
 また、自己資本利子及び自作地地代の評価につきましては、金利の動向が大きく影響いたしますが、今年の場合、金利が大幅に低下していることを考慮し、その影響を緩和するようなとり方をしております。すなわち、自己資本利子の金利のとり方としては前年の金利を適用することとし、その際、生産期間の実態に合わせて短期のものと長期のものをいわばミックスしてとっております。
 また、自作地地代の評価につきましては、五十九年産からのやり方と同じく、固定資産税評価額を元本とする土地資本利子という考え方に立ちまして、その際の適用利率については、金利低下の影響を緩和する観点から、十年利付国債の過去一年間の平均の応募者利回りを用いております。
 以上のほかに、近年の激しい収量変動が算定時に実際上大きく影響していることにかんがみまして、米価算定適用年の直近三年平均の単収を基本としつつ、一定の係数を用いることにより収量変動の影響を緩和するようにしております。なお、この考え方は、収量変動を緩和するという性格から、本年のような豊作が強く影響するときだけでなく、不作時においても適用されるものであると考えております。
 以上のような方式による試算結果は、ウルチ一―五類、一―二等平均、包装込みのいわゆる基本米価で、現行米価より三・八%低い一万七千九百六十一円になります。
 それでは、以下資料によって具体的に説明させていただきます。
 この「昭和六十一年産米穀の政府買入価格の試算」の資料をごらんいただきますと、まず冒頭に「算式」がございます。
 この「算式」の中で、Pというのが「求める価格」でございますが、分子にございますのは対象農家の生産費の平均値でございます。分母にございますのは対象農家の十アール当たり収量でございます。ことは従来と変わらないわけでございますが、掛けるアルファという文字をここに置きまして、それから六十キロ換算、一俵当たりに換算するための六十を掛けておるわけでございますが、先ほど申し上げました収量変動を平準化するための係数といたしまして、今回アルファを掛けることにさせていただいたような次第でございます。
 このアルファにつきましては、ページ数八―九ページによって説明させていただきます。
 八ページの後段の3のところを見ていただきますと、「収量変動平準化係数の算定」というのを書いております。これが若干複雑なように見えますけれども、考え方といたしましては、直近三年の平均収量と直近五年の平均収量、いずれも十アール当たりでございますが、それの比率ということが基本的な考えでございます。
 分子を見ていただきますと、アベレージH1、アベレージH2、アベレージH3とございますが、これはそれぞれ今回の生産費所得補償方式によって計算されます対象年度の、アベレージH1が六十年の十アール当たりの平均収量でございますし、アベレージH2が五十九年の十アール当たり平均収量、またアベレージH3は五十八年の十アール当たりの平均収量でございます。それを三で割っておりますから平均ということになるわけでございます。
 分母について申し上げますと、今申し上げましたアベレージH1、アベレージH2、アベレージH3、を足しておりますけれども、そのほかにアベレージH4、アベレージH5を足すに当たりましては、AとかBという調整のための数字をここに置くことにしております。この調整の数字の計算はどうやっておるかといいますと、九ページをお開きいただきますと、Aイコール3分のY3プラスY2プラスY1マイナスY5こういうふうなことになっております。Y1は先ほど申し上げましたような六十年の十アール当たりの平年収量でございます。Y2は五十九年、Y3は五十八年の十アール当たりの平年収量でございます。これの平均値からY5、いわゆる五十六年の十アール当たりの平年収量を差し引いて平均値との格差を求める、それをAということで八ページの分母のところに持っていくわけでございます。同じようにBにつきましては、三年間の十アール当たりの平年収量と五十七年の平年収量との差を求めまして、それを調整のために使う、こういうふうにしておるわけでございます。
 このような調整をいたしましたのは、長期に平均単収をとりましてそれを平均するということになりますと、その間の技術水準の上昇、変動があるわけでございます。この技術水準の変動というものをできるだけ分子の直近三年間に調整しよう、こういう考え方で、分母の方には五年間の平均をとるわけでございますが、そのベースをできるだけ直近三年のベースに持っていきたい、こういうことでA及びBを考えた次第でございます。その計算値はアルファイコール一・〇一九ということに相なるわけでございまして、この数字を先ほど一ページで見ていただきましたアルファに入れまして、「求める価格」を計算させていただいているような次第でございます。
 このような考え方のもとに、収量変動平準化係数を乗じまして求められる実際の値につきましては、ページの二をお開きいただきますと、「求める価格」といたしましては、最終的な計算されるものが一万七千五百二十円に相なるわけでございます。この「求める価格」、いわば農家の庭先価格でございますが、それをベースにいたしまして、これに運搬費を足しましたものが政府買い入れ場所におけるところの価格でございます。これを「基準価格」と言っておりますけれども、基準価格を求めますと一万七千七百円になるわけでございまして、対前年で見ますとマイナス三・八%、額といたしましては六十キロ当たりで六百九十八円になるわけでございます。
 このようにして求めました基準価格をベースにいたしまして、3のウルチ軟質三類一等裸価格を換算させていただくわけでございます。このウルチ軟質三類一等裸価格と申しますのは、類別の、また等級別の買い入れ価格を算定する場合の基礎になる価格でございまして、私どもへそ価格、このように呼んでおるものでございます。その計算方法は、ここに挙げておりますように、基準価格一万七千七百円に一―三等の一―五類平均と三類との格差三十九円、それから一―三等平均と一等との格差百五十六円、歩どまり加算十九円を加除いたしまして、一万七千七百九十八円を算定しておるわけでございます。この価格は、対前年で見ますとマイナス三・八%になりますし、六十キロ当たりで額にいたしまして七百七円に相なるわけでございます。
 このような価格から基本価格というのを算定させていただきます。基本価格と申しますのは、米価が幾ら上がったとか言われた場合の平均的なものでございますが、ウルチ一―五類、一―二等平均、包装込み、生産者手取り予定価格でございます。この計算も一定の方式に従いまして、先ほどのウルチ軟質三類一等裸価格に足すことの一―二等の三類と一―五類平均との格差、それから一等と一―二等平均との格差、歩どまり加算、包装代、こういうものを加除いたしまして一万七千九百六十一円を求めておるわけでございます。この額は対前年で見ますればマイナス三・八%で、差額は七百七円に相なるわけでございます。
 三ページにおきましては、「類別・等級別政府買入価格」を掲げております。これは、先ほど説明させていただきましたウルチ軟質三類一等裸価格を類別の格差と等級別格差でそれぞれ加除して求めたものでございます。なお、括弧内に書いております類間格差は前年どおりの価格でございます。
 次に、細かい「算定要領」といたしまして、それぞれの十アール当たりの平均生産費の算定、家族労働費その他に触れておりますが、時間の関係もございますので省略させていただきます。
 以上でございます。
○玉沢委員長 次に、松山統計情報部長。
○松山説明員 昭和六十年産米の生産費調査結果について御説明させていただきます。
 お手元にお配りしております「昭和六十年産米生産費」という資料をごらんいただきますと、一ページ目に六十年産米の生産費の概要を整理いたしてございます。
 まず、十アール当たりの生産費でございますけれども、労働費につきましては、労働時間の減少と労賃単価の上昇とが大体相殺いたしているわけでございますが、物財費につきまして、農機具費でございますとか農薬費といったものの上昇を反映いたしまして、費用合計から副産物価額を差し引きました第一次生産費で見て十三万七千六百十四円、それに資本利子、地代を算入いたしました第二次生産費で十七万六千六百七十九円ということに相なっておりまして、前年の五十九年産米に対しまして第二次生産費で一・五%の上昇、こういう姿に相なっております。
 十アール当たり生産費のここしばらくの動きにつきましては、五十九年のように、収穫時の天候が非常によくて労働時間が大幅に減ったというような年を別にいたしますとずっと上昇傾向をたどっておりますが、上昇率といたしましては、例えば五十六年五%、五十七年、五十八年が二、三%ということで動いておりますので、伸び率としては比較的穏やかな形になっておる、このような姿でございます。
 これを六十キログラム当たりで見たのがその右側にある数字でございますが、御案内のように、六十年産米は一〇四という豊作でございましたけれども、五十九年産米が一〇八というこれまた大豊作でございまして、平均収量が五百二十七キログラムと前年の五百四十四キログラムに対して約三・一%ダウンしておりますので、この傾向が反映されまして、六十キログラム当たりといたしましては二万百三円、前年に対して四・七%のアップ、こういう姿に相なっております。これも少し長期的に見てみますと、五十八年が二万一千五百円近い水準でございました。それでこの二万百三円というのは、五十六年の二万三百七十八円という水準に大体似通った水準であろうかと考えております。
 次に、収益性でございます。
 まず、粗収益でございますが、十アール当たり収量の減少を反映いたしまして、十七万円余ということでマイナス三・八%、それから所得につきましては、十アール当たり所得でございますが、八万三百八十八円ということで前年に比べて九・三%のマイナス、こういう姿に相なっております。この所得の動きでございますけれども、五十六年から五十八年、いわば不作が続いたわけでございますが、七万円水準で推移しておりました所得が五十九年に約八万八千円にふえまして、それが今回の結果では八万円になった、こういう姿でございます。
 以下二ページ、三ページで費目の構成あるいは主な費目の動向について御説明申し上げたいと思います。
 まず、生産費の費目別構成比でございますけれども、労働費が一番大きくて三七・八%となっております。続きまして農機具費の二九・八、肥料費の七・六、賃借料及び料金の六・〇、農業薬剤費の五・三というような構成割合でございます。この五費目で費用合計の八六・五%を占めておるわけでございます。
 これら主な費目の動向でございますが、まず労働費につきましては、五万四千円余ということでほぼ前年並みでございますが、先ほども申しましたように労賃単価が上昇しております反面、十アール当たり労働時間が二・五%、実数にいたしまして一時間ちょっと減少いたしまして、五十五・一時間になったということを反映したものでございます。
 次に、農機具費でございますが、前年を二・五%上回っております。これは、自脱型コンバインなり乗用トラクターなど高性能機械への更新が進んでおるといったような事情を反映したものでございます。
 肥料費は、前年をわずかに上回っておりますが、これは、単価の若干高い高成分化成への移行等の事情を反映しているわけでございます。
 賃借料、料金につきましては、十アール当たり収量の減少に伴いますライスセンター等の費用あるいはもみすり賃の減少等を反映いたしまして、前年を二%下回っております。
 農業薬剤費でございますけれども、前年を六・三%上回りました。これは、北海道なり西日本を中心といたしまして全国的に発生いたしましたウンカ等の防除のための費用がかかったということ、それから効果の高い除草剤が最近出ておりまして、比較的単価も高いというようなことで、そういうものへの移行を反映しておるわけでございます。
 地代につきましては、前年を一%上回っております。
 なお、作付規模別の生産費でございますけれども、十アール当たりの第二次生産費でみますと、三十アール未満が二十三万四百五十九円ということで最も高くなっておるわけでございますが、作付規模が大きくなるにつれて逓減いたしまして、三百アール以上、三ヘクタール以上でございますけれども、その階層では十四万九千二百十四円と、三十アール未満階層の六五%となっております。
 六十キログラム当たりの第二次生産費につきましては、その傾向がよりはっきりした形で出てございまして、三十アール未満階層の二万七千七十八円に対しまして、三ヘクタール以上層では一万六千五百八十七円ということで、三十アール未満階層の六一%ということに相なっております。
 こういった階層間格差が生じておりますのは、主たる要素といたしましては、規模が大きくなるにつれて農機具の効率的利用等が進む、その結果稲作労働の省力化も進むし、労働費なり農機具費等々の費用の低下ということによって生じておるわけでございます。
 以下、四ページ以下には詳細な統計表をつけておるわけでございますが、時間の都合上説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
    ─────────────
○玉沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
○田中(恒)委員 米価の諮問案の御説明をいただきましたので、本年産生産者米価をめぐりまして若干の御質問をいたします。
 加藤農林水産大臣は当委員会で初めて私どもと質疑を交わしていただくわけでありまして、冒頭に、大変内外の情勢厳しいさなか、特に農林水産行政は、私の短い経験ではありますけれども、どうも守りというか防御の問題に四苦八苦しておる、そんな気がしてなりません。農林水産予算の最近の急激な低下の問題を初め、貿易摩擦の問題、減反の問題あるいは漁業外交の問題、そして基本的な食糧の自給率が残念ながら低下の一途をたどっておる、こういうさなかに日本の農林水産業をどういうふうにしたらいいのか、こういう相当展望を持った農政の路線がしかれなければならない、そんなふうに私ども思っておるわけでありますが、そういう意味では、加藤農水大臣にひとつこの事態を切りかえていただきたい、攻めの農政の方向を築いていただきたい、そんな希望などを持って御就任を期待しておるわけであります。
 今出されました生産者米価の諮問につきましては、本朝来あるいは昨日からずっと与党との間でもいろいろないきさつがあったようでありますが、残念ながら前年度を下回る三・八%の引き下げ米価を加藤大臣は諮問をされたわけであります。まず、この引き下げ米価を諮問されたあなたの考え方をこの際当委員会でお示しをいただきたい、こういうふうに思います。
○加藤国務大臣 田中委員がおっしゃいました前段、私も、内外とも非常に厳しい立場に置かれておる農林水産行政の農水大臣ということになりまして、身の引き締まる思いがいたしますとともに、その責任の重大さを日々感じて行動をいたしておるところでございます。そしてここ数日間、米価審議会に対しましていかなる諮問をいたすかということで随分苦慮もし、考えもいたしまして、先ほど来、政府委員より御説明申し上げました諮問になったわけでございます。その理由あるいは根拠というものにつきまして、私がいろいろ考えてまいりました点をお答えさせていただきたい、こう思います。
 まず、今回の諮問米価は、膨大な潜在需給ギャップがさらに拡大しつつあり、巨額の財政負担により需給均衡を図らざるを得ない事情にあるということが一点でございます。
 二点は、そういう事情のもとで、特に来年度から開始される水田利用再編対策後の、いわゆるポスト三期の次期対策においては、転作面積の相当な拡大が必要になっておるということであります。
 三番目は、賃金及び物価の安定、さらにその上に金利の急激な低下等、一般経済情勢がこれまでに見られなかった動きを示しており、そして稲作労働時間の着実な減少が見られることであります。
 こういった事情に配慮するとともに、最後に私が特に考えましたのは、今後米価が農家の経営意欲に及ぼす影響にも配慮いたしまして、先ほど来御説明申し上げましたような諮問案を決定したところでございます。
○田中(恒)委員 大臣、今の答弁は多分食糧庁のどなたかお役人がお書きになったと私は思うのだが、大臣質問ですから、私はあなたといろいろ議論してみたいと思うのです。
 ことしに入りまして、まず肉畜の引き下げが行われ、先般表、菜種の引き下げが行われ、そしてまさかと思っておりましたが、我が国の農産物価格支持政策のいわゆる基本をなし、土台をなしておる米価に切り込んできた。この流れを見ると、明らかに農産物価格というものを低くしていく、こういう政府の意図を明確に私どもは感ぜざるを得ないわけであります。そこで、価格支持政策という問題、これは金がかかるということが原因でありますけれども、最近の農政の中ではこの問題をどうも軽く見ておるわけでありますが、これからの日本の農業というもの、特に土地と結びついた農業というものに相当力強い活力を与えていくためには、まだまだ当面価格政策の持つ役割は非常に大きい、私はこう思っておるのです。あなた方は構造政策というものを中心に据えてと、こういう考えに切りかえようとしておるわけでありますが、私はそれは非常に大きな過ちを犯すような気がしてならない。
 大臣と私は瀬戸内の海を挟んで向かい合っておるわけですけれども、私たちの地帯は、あなたも御承知のように極めて多彩な農業地帯であるから、米もあります、畜産もある、あるいは野菜もある、施設園芸もある、気候が温暖だからいろいろある。岡山もそうです。私のところはミカンでありますが、愛媛のミカンの生成過程というものを歴史的に細かく調べてみますと、これは私だけじゃありません、私の県の相当有名な学者諸君がやっておりますが、やはり日本の戦後の米価の水準が一万円米価に達したとき、このときから私の地帯では水田に果樹が植えつけられるという傾向が出てまいりました。これがいいか悪いかという問題は今の段階になるといろいろ議論されていますが、岡山だってあの時期から岡山農業の新しい方向が出てきておると私は思うのです。
 これは、農家経済計算からいきますと、経済余剰というものを一万円米価で蓄積し始めておるわけですよ。この事態がないと日本農業の規模拡大や新しい生産転換というのは私はできないと思うのです。これは日本だけじゃなくて、ヨーロッパの農業の歴史を見ましても、あるいは現在の世界の農政の流れを見ても、一応価格支持政策というもので一定の農家の所得を補償しながら、一定の農家経済の経済余剰というものを保障しながら、そして新しい分野に出させていく。これをやらないと、今畜産が借金を抱えて大変な状態になっておるが、これは融資政策というか貸した金でもって規模拡大をやらしていく、こういう過ちを犯していく政策じゃないかという気すら持っておるわけであります。そうではなくて、自己資本の蓄積を基軸にしながら日本農業の方向を持っていかなければいけないので、そのためには、米価というものは残念ながら今日の日本の農産物の中では依然として中心であるわけでございます。そういう意味で、価格支持政策というものを後退させる、こういう事態については、これからの農業の発展の方向と照らしても非常に過ちを犯すと私は思うのです。
 私は、先ほど攻めの農政をやってくれと言ったわけでありますけれども、そこのところについて加藤さんはどういうふうにお考えになっておるか、改めて御意見をお聞きしたい。ひとつ生の声を聞かせてください。
○加藤国務大臣 特に四方を海に囲まれた我が日本として、農産物の価格政策、いろいろ考えるところでありますけれども、米を中心とする各種農産物というものは単なる市場メカニズムで左右できない。いわゆる市場メカニズムというものと、それに加えるに政策というものとのウエート、配置をどう考えていくかということが農林水産行政として一番重要なポイントではないか。そして、田中委員は攻めの農業と言われますが、基本的には足腰の強い我が国の農林水産業、そして国際的抵抗力を持つ農林水産業というものをいかに育成していくかということが今日の我が国の農水省に与えられた大きな任務であるし、私はまたその先頭を切ってやっていきたい。単なる市場メカニズムに任していけないところに今日の我が国の農林水産業の難しさというものがある。
 そして、また一方考えてみると、世界的に見ましても、農業政策が完全に成功し、我が日本が参考になるような国があるかと私も世界じゅうをいろいろ見て、また勉強しましたが、悲しいかなそれはない。また、世界のいかなる国といえども農業に対してはある種の保護政策をとっておるんだな。そういう中で、特に先ほど申し上げました我が日本の置かれておる地球的立場というものを考えますと、足腰の強い農林水産業、国際的抵抗力を持つ農林水産業に育て上げていく、今の我が日本の置かれておる立場というものを認識して、その上で進んでいきたい、こう思っておるところでございます。
○田中(恒)委員 私が質問したのは、ことしに入って畜産から麦から米と引き下げが行われた。米価などは、ここにも書いておりますが、昭和五十二、三年の米価からずっと実質据え置きです。だからよく言われるように、この八年間に米価は八%しか上がらないが賃金は五〇%も上がっておるじゃないか、あるいは経費は三二、三%も上がっておるじゃないか、こういうことではやっていけませんよということが起きておるわけですね。そういう形にして日本の農業がよくなるとお考えになっておる人もおる。しかし、私はそれではよくならないと思っておるわけですよ、そういうことをやったのでは。
 大臣もいろいろの地帯を知っておるから御承知だと思うが、米作地帯が今一番活力がないといえばないですよ。それは私ども政治家だからよく歩きますけれども、もういないでしょう。米作地帯が本当に米作地帯としての姿を示すのは田植えのときだけ、こういうことになっておるのですね。あとは何かがらんどうのような部落になっておるのです。まだ畜産とか果樹とかはそうは言いながら何かあるわけなんですよ。特に最近それはひどいと思うので、これはやはり米価水準というものをこの十年近く抑えてきた結果ではないか、こういうふうに私は思うのです。だけれども、そうしなければ稲作の規模拡大や新しい農業の方向は出てこないんだ、こういうことをおっしゃる人もあるのです。大臣は、それはどちらがいいと思っておられるのですか。
○加藤国務大臣 私としましては、ただいまは米価中心の御議論でございますが、米作に当たりましても中核的農家の育成というのが一番大切であり、そしてまた、これに関連して生産組織の効率化というものを推進していきながら、厳しい土地制度のもとでありますが、その流動性を慫慂しまして、こういう中核的農家が米の生産シェア、販売シェアを拡大していただくことが米という国民の主食の安定的供給に一番利してくる、このように考えております。
○田中(恒)委員 どうもまだピントがよく合わぬな。正確にお答えいただけない。これから大臣とやりとりする機会はたくさんあるけれどもね。農政の問題は確かに難しいけれども、私一つ心配するのは、あなたは自由民主党の中の財政問題の権威で、税制調査会の会長で、そういう面では自民党の政策通の第一人者と言われておるが、今の農業をその方式でやられては困ると思っておるのですよ。それはやりませんね。どうですか。
○加藤国務大臣 経済合理化だけあるいは経済性だけで日本の農業はやっていけないと先ほど申し上げました。これに加味するに政策である。その政策とはどういうものであるかというと、いろいろ議論は分かれると思いますけれども、市場メカニズムだけに任しておけないところに日本の農政の難しさと、そして必要性がある。したがって、言葉をかえて申させていただきますと、いかに立派な政策、制度がありましても、これに血が通っていないとだめであるという認識で農林水産行政に取っ組まなくてはならない、こう私は決意を固めておるところでございます。
○田中(恒)委員 大臣は米の値段は高いと思いますか、安いと思いますか。
○加藤国務大臣 高いか安いかと聞かれましたら、比較する対象あるいはまた消費される方々、生産される方々、いろいろな立場にもよりますが、まあまあの相場であると思っております
○田中(恒)委員 米価を諮問されておるからそんな答えが出るだろうと思いましたけれども、あなたは数字に非常に明るい方でありますが、今の米の値段というのはどう見たって高いとは言えないですよ。私はいつも新幹線に乗って駅弁を食べるけれども、駅弁は千二、三百円か四、五百円しますが、あの中の米の占めておる比重、原料代というのは百円もないんじゃないですか。恐らく七〜八十円だと思いますよ、あとはいろいろ野菜とかなんとかで。いつだったか米価の審議をやるときに弁当づくり屋へ行って原価計算をしましたら、たしか当時で米の原価そのものは五、六十円ぐらいで、あとは野菜とか肉とかいろいろなものがその五倍も六倍もで、あれを見ると、どう考えたって米は高いとは言えぬと思うのですね。ほどほどなどということではないと思います。
 そういうことがあるから、大臣も選挙中に農業団体が要求する米価を支持して、実現に向けて全力を振るう、こうおっしゃったし、私どももそうでありますが、大体国会議員が全部そういう約束をしてきたのです。ところが、あなたが引き下げ諮問をやったものだから、どういうことだと言って今みんな騒いでおるのですが、一体あなたが約束した公約というのはどう変わったのですか。大臣になったら変えなくてはいけないのですか。
○加藤国務大臣 私も、立法府の立場というものと行政府の立場というものの問題があると思います。農林水産大臣といたしましては、食管法第三条第二項の規定に従いまして、国民の理解を得つつ、責任を持って適正に決定する必要がある、こう考えております。先ほど米価審議会も開かれたわけでございますが、米価審議会の意見も承り、関係各方面と協議した上で適正に決定できるように努めていかなくてはならない、このように考えておるところでございます。
○田中(恒)委員 今、米価審議会に出された諮問米価は、米価審議会の意見あるいは当委員会での各委員の指摘や要望あるいはもちろん政党政治であるからあなたの所属する自由民主党、そういったようなものの意見を聞きながら変更もあり得るというふうに理解してよろしいですか。
○加藤国務大臣 先ほど午後一時から聞き始めたばかりでございますから、今これ以上のお答えをすることは遠慮させていただきたい。これから承るわけであります。
○田中(恒)委員 これから承って、この引き下げ米価というものについてはやはり変えるべきだ、こういう意見が相当な人々や層の中から出たという場合には、当然諮問米価を何らかの形で切りかえて上積みをしていく、あるいはもとへ戻していく――もとへ戻すというか、団体は据え置きと言っておるわけでありますが、そういうことが考えられるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、米審には午後一時に諮問案をおかけしたばかりで、米審委員の皆さん方の御意見はこれが済んだ後承るようになると思います。それから、権威ある当農林水産委員会の各党各先生方の御意見も、田中委員をトップバッターとされておるわけでございますが、これから各党の先生方の御意見を承り、そこら辺からいろいろ考えていかなくてはならぬ、こう思っておるところでございます。
○田中(恒)委員 そこで大臣、今度のこの生産費所得補償方式の諮問米価がともかく引き下げになった、三十年ぶりだと言われておりますが、これは極めて異例な状態でありますから、その点が我々も非常に印象強いわけであります。その理由は先ほど来事務当局からも御説明があったように、物価が安定をし、あるいは下がったものもあるし、金利などについても大幅な低下があった、こういう意味で、生産費所得補償方式の中身が計算ではじけば最初は六・六%でありましたが、今は三・八%にまた変更しておりますが、そういう説明があったわけです。
 ところが、生産費所得補償方式の各要素のとり方をめぐって、いわゆる団体は賃金のとり方にしても、あるいは生産費の対象農家の問題にしても、あるいは金利にしても、いろいろな問題について御承知のように幾つかの問題を指摘しておる。これは毎年のように繰り返されておる面があるわけでありますけれども、ことしの特徴は、五十六年と五十七年の不作時に二年連続でしたか、その時期に上がるべきものを上げなかった。少なくとも、五十六年も五十七年も一〇%内外の引き上げ米価が実現しなければいけないものをほとんど据え置いてきた。ところが今度豊作が二年続くから、当然収量はふえるわけでありますから生産費は減る、これを理由にして今度は引き下げる、この理屈は極めて政府の身勝手過ぎる、こういう主張がことしの米価の引き下げをめぐって、要素のとり方をめぐって指摘をされておる。
 このことは、それぞれの賃金なりあるいは生産費対象農家なり、こういう問題についての可否の問題もさることながら、政府自体が上げるべきときに上げずに、その方式でそのままやれば当然今度はめちゃくちゃに下がっていく。こういうやり方は信頼すべき農林水産省の米価算定方式として余り好ましくない。こういうある面では政治の筋に関する――きょうの毎日新聞を見ると、農水大臣はきのう大蔵大臣と話をして、米価問題は筋を通すのだと言われたが、その筋とは単なる理屈の筋ではないので、だれが考えても、上げるときに上げずしてその方式で豊作になれば下げていく、こんなやり方をしたら信用しませんよ。だから、そこのところについては事務当局の説明でなくて、やはり大臣がそういう問題はちゃんとした決断をしなければいけないと私は思うのですよ。ですからそういう各要素についてことしの場合は十分に再検討していく、こういうことはできないのかどうか、この点もお聞きをしておきたいと思うのです。
○加藤国務大臣 私がこの数日間一番苦慮したのは、ある面ではその点でもあるわけでございます。そして昨日から本日早朝におきまして、一番頑張って関係者の間で議論を展開してやりましたのも実はそこにあるわけでございまして、委員が御指摘のような不作時と豊作時の問題、これは考えてみますと、私も昭和四十二年一月に衆議院議員にならしていただいたわけでありますが、その間、増産奨励的な考え方あるいは生産抑制的な考え方、そうして今御指摘になりましたように五十四年から五十八年にかけての五年間の不作時代の算定要素、五十九年、六十年と豊作的な立場における算定要素、いろいろなものがあったわけでございます。そういう中で、不作のときと豊作のときとのバランスがとれるような算定要素はどういうものであるかということを随分苦慮いたしました。またある面におきましては、昭和五十九年度の米審小委員会における米価基準の算定に関する問題もございます。そういういろいろなものを考慮しながら、端的に申させていただきますと、不作のときと豊作のときとのバランスがとれるような算定要素というものはどういうものであろうかということに、ある面ではここ数日間超重点を置いてきたわけでございます。
 その中身につきましては、政府委員から御説明いたさせます。
○山田説明員 大臣から基本的な考えについて説明させていただきましたが、なお具体的に申し上げますと、生産費所得補償方式で算定する場合におきましても、需給事情だとか経済事情といった問題につきましては、その要素をとるに当たりましてそれぞれの事情を十分反映した格好で考えるべきではないか、このような考え方に立ちました。と申しますのは、このような考え方につきましては五十九年の米価審議会の米価算定小委の報告にもあるわけでございまして、こういった基本的な考え方で、特に最近におきましては、三千億とか二千億といった多額の転作奨励金等を負担いたしまして需給の均衡を図るという事態でもございますし、そのような事態を十分考えながら適正な米価の算定に努めていかなければならない、このように基本的には考えておる次第でございます。
○田中(恒)委員 今のお答えに関連をして、私どももよくわからぬのだが、収量変動平準化係数というのをことし取り上げたわけでしょう。これは今のお話を聞くと、三年平均であったものを五年にして、何か係数をいろいろ難しい高等数学で、これはお役人のお得意でありますが、こんなものをつくるから米価は何でできておるのかということが百姓によくわからぬのですが、そういうものを使っていらっしゃるわけです。だから、今言われたように、最近の米の作況というのは確かに非常に揺れが大きい、これは気象関係もあると思いますが、非常に大きいから、それを縮めるということになれば、私はこの三年を五年にすれば一番平準化していくと思うのです。今度の場合はそれを全部やらずに、何か係数を使って三・八%に合わす数字をまた使っておるわけですけれども、何か今さっきの説明を聞いておると豊作のときも不作のときもこういうものを使ってやるということですが、この方式はこれからも固定化していくという考えでありますか。思い切って全部五年にしたらどうですか、一番単純にわかるのだから。
○山田説明員 お答えいたします。
 従来一貫いたしまして、生産費所得補償方式の算定となる期間といたしましては直近の三年間をベースにしてやらせていただいておったわけでございますが、昨年の米価審議会また本年の米価審議会、前広の米価審議会でございますが、そこにおきましても、委員の方々から作況の変動をある程度平準化する方式を考えてはどうか、こういうような御意見もあったわけでございまして、私どももいろいろ検討いたしまして、作況変動をもろに短期間に反映するということにつきましては、算定の安定性なり算定されました価格の安定性という観点から見ましてもできるだけ平準化することが好ましいのではないかということで、一応いろいろ議論した結果、先ほど御説明させていただきましたような係数をはじくことを考え出したわけでございます。
 ただ、先生、お言葉を返すようでございますが、全部五年をとったらどうかという御指摘でございますけれども、御案内のように単収にいたしましても、また家族労働等労働の投下量にいたしましても、やはり生産性が向上しておるわけでございまして、そういった長期間をとりますと、技術水準なり生産性の向上といった問題につきまして非常に古い年度の実績をコストに反映させるということにも相なるわけでございまして、今回もできるだけ技術水準を平準化して基本的な三年間の期間に置きたい、こういうことで調整の係数といいましょうか、調整の数字A、Bというのも先ほど説明させていただいたようなことでございますので、こうした方法につきましては、本年のような豊作が強く影響するときではなくて、また不作時においても適用した方がより平準化するということで適当ではなかろうか、このように考えるわけでございまして、今後米価審議会等の御意見等も承りながら考えてまいりたいと思っております。
○田中(恒)委員 私は、ことしの場合はともかく算定方式を切りかえて、単収のとり方も妙な需給ギャップ方式といったようなものではなくて、本来潜在生産力なんというものはないので、そんなものは架空のものでありますから、千三百万何ぼですかの収量があるなんということはだれもはっきりしてないので、面積だってあなた方が考えておるとおりの実態にはなってないのですから、そんな架空のものを基礎にして需給ギャップ方式なんというものはとるべきでないと思うのです。そういう意味では、やはりことしの場合は切りかえるべきであるという主張を持っておりますが、細部の議論は後で各委員の皆さんからされると思いますので、時間が余りありませんから、大臣に二つ、三つ、当面の米問題についてお聞きしておきたいと思います。
 一つは、最近の傾向からすると、米価はいわゆる売買逆ざやはほとんどゼロという状態になっておるわけでありますから、この上に米の値段を下げるということになると、明らかにこれは逆ざやではなくて順ざやということになるわけでありますが、そうなった場合に、いわゆる米の集荷問題を中心として食糧管理制度の流れが根本的に変わってくるのではないか、よく言われるやみ米というか、不正規米流通というものが非常に出てくるのではないか、こういうことを心配しておるわけであります。つまり、食管制度が内部的に崩壊しないか、こういう考えがありますが、この食管制度の問題について、大臣はこれからポスト三期減反問題と絡んで大変御苦心をされる点だろうと思いますが、大臣の御見解をお聞きしたい。
 いま一つは米の輸入の問題でありますが、こういう状態に米価をずっと抑えていくことによって、外米輸入の地ごしらえというものが将来考えられてくるのではないかという心配があることも事実であります。この際、米の輸入は絶対あり得ない、こういうふうに新大臣は腹を決めていらっしゃるかどうか、この点をひとつ。
 いま一つは消費者米価の問題でありますが、この消費者米価の問題は、ここまで来ると今消費者米価を引き上げる理由は何もないと思いますが、生産者米価に続いてこの問題がまた素材になるというふうなお考えを持っておるのかどうか。
 この三つの点につきまして、米問題に関する当面の非常に大きな問題でありますけれども、大臣の結論だけでいいですからお聞かせいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 まずはっきり申し上げておきますが、国民の主食であり、かつ、我が国農業の基幹的作物であります米については、昭和五十九年七月二十日の国会の決議がございます。その中で、「一 国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米については、その供給を外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による自給の方針を堅持すること。」という御決議がございます。私はこの決議を踏まえ、国内産で自給する方針を堅持していく考えでありますということをはっきり申し上げておきます。
 その次の、政府売り渡し価格についての対処方針はどうなんだ、こういう御質問がございましたが、米の政府売り渡し価格の取り扱いをどのようにするかについては、まだ検討はいたしておりません。しかし、いずれにいたしましても、米の政府売り渡し価格については、食糧管理法の規定に基づきまして、家計の安定を図ることを旨として適正に決定いたしたいと考えております。
 それから、米価が引き下げられて順ざやになれば米の流通が混乱し、食管制度の崩壊につながるのではないかという御懸念の御質問がありました。政府の売り渡し価格の問題については先ほどその考え方を申させていただきましたが、売買価格関係はある面で言いますと順ざやになりますが、このような価格条件のもとでは、理論的には、従来に比べれば不正規流通が発生しやすくなるおそれがあることは否めません。しかし、実際上は、必ずしも従来に比べて不正規流通が多く発生するとは考えておりません。いろいろな資料その他でその点については随分勉強もいたしました。
 そこで、このような順ざやになったといたしましても、三つくらいの考え方があるわけでございます。まず第一は、政府米につきましては、金利、保管料等の米の流通に必要な管理経費のかなりの部分を政府が負担しておるということでございます。二つ目は、適正流通の確保につき、今後生産者や流通関係者の自覚を促していきたい。三番目は、昨年秋御議論いただきました流通改善措置の着実な実施によりまして、集荷、販売の両面にわたる競争条件を整備していくということを進めていきたいと思っております。そういう措置を踏まえまして、米の流通に直ちに悪影響を及ぼしてくることは少ないと考えておりますけれども、今後適正な米の流通の確保に万全を期していきたいと考えております。
 今の御質問、大体以上三点ではなかったかと思いますが、概括的ではございますが、政府の考え方を申させていただいた次第でございます。
○田中(恒)委員 時間が参りましたので、短い時間でありまして十分に意を尽くさない点もございましたが、大臣のお考えの一端を伺うことができた点もあると思っております。
 問題は、この諮問米価、一万七千九百六十一円という引き下げ米価については、私ども社会党、野党全党が、撤回をして速やかに昨年米価を下回らないように上乗せをしていくようなことを考えていただきたい、こういう強い要望、要求を持っておりますので、この点を重ねて強調をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○玉沢委員長 武田一夫君。
○武田委員 まず最初に、加藤大臣の農林水産大臣就任を歓迎申し上げまして、今田中委員からもお話ありましたように、どうかひとつ現下の厳しい農業の実情をよく認識されまして、農家の皆さん方に期待される大臣としての力を存分に発揮していただきたい、こう切望いたします。
 聞くところによりますと非常に勉強家であると聞きました。夜中に書斎にこもって一生懸命勉強をなさる大臣だということでありまして、たくさん問題を抱えているこの農業問題についてもさぞかし相当な勉強を積んでおられると私は思うのでございます。そういう意味で、党内にあっても財政問題については飛び切り力のある方であるということでございまして、そういう話を聞きますと、いろいろと大蔵省との対応にも格段のお力添えもいただけるのではないかと私は非常に期待をしておるわけであります。この間、農家の代表の皆さんがお会いしたときに、私も農民の出であるということをおっしゃったそうでありまして、そういうことを考えますと、私は、余り農林大臣はくるくるかえてはいけない、三カ月あるいは半年、一年などというようなことではいかぬ、世界的にも農林大臣というのは重要なポストである、こう言ってきた手前、正直言って先代の羽田農林大臣の留任を期待したのでありますが、それにかわって加藤大臣が出てきたということは、それ以上のお力をもって頑張っていただけるということを私は信じて疑わないわけでありまして、そのことをまず御期待を申し上げてから質問させていただきます。
 まず最初に、大臣にちょっと概括的に、日本の農業、特に稲作農業のあり方につきましてどういうふうにお考えなのか。いよいよ来年はポスト三期でございます。これは農家の大きな関心事でございますが、その点も含めまして、ひとつ御所見を簡潔にお聞かせいただきたいと思うのでございます。
○加藤国務大臣 武田委員の御激励、感謝申し上げます。
 あいさつにも申し上げましたように、我が国の農林水産行政、内外ともに非常に厳しい中に置かれております。私は身の引き締まる思いがいたしますとともに、責任の重大さを痛感いたしておるところでございます。何と申し上げましても、大自然を相手にして営む米作でございます。そういう中で米をつくる農民、生産者の方々の心というものをよく理解し、また持っていなければこれからの厳しい稲作農業の問題に対処することができない。そういう点におきましては、私も少年のころ、父親、母親とともに苗代をつくり、あの寒い中で田んぼを耕し、稲を植え、そしてそれに対する害虫の発生を、あるいはまた鳥類の侵食ということを、かかしその他を取りつけたり何やかやしながらやってきた数々の思い出があるわけでございます。何よりもその心というものを大切にしていかないといけないという気持ちでございます。
 それから、ただいまポスト三期の問題が御質問に出てきたわけでございます。考えてみますと、先ほど政府委員より御説明いたさせました米審における諮問原案を決定する前後ということと、その後すぐ迫ってくるポスト三期の問題、さらに、若干おくれますけれども、農政審に検討をお願いいたしております二十一世紀を目指す農業のビジョンの問題、こういう二重、三重の大きな問題を控えておりまして、ことしこれから農政審の御答申をいただくまでの間、いろいろな面で、農水省の決断あるいは判断が今後の農林行政あるいは米作農家の皆さん方に大きな影響を与える。そういう中で、稲作農家の皆さん方が稲作に対して意欲を持っていただける方法、そして国民の基幹食糧である米のゆとりある供給をいかに確保していくかという一連の大きな難問が控えておりますが、私たちは我が国の置かれておる立場を考慮しながら、強くたくましく前進していかなくてはならないと考えております。
    〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
○武田委員 大臣の所信、考えを端的に聞かせていただきましたが、きょう、米審に対しまして政府が、本年の生産者米価について三・八%、七百七円の引き下げ諮問をされた。これは非常に重要な問題を含んでいると私は思います。
 というのは、一つは、米を中心として生活する農家がたくさんございます。私は宮城県でございます。東北、北陸等々含めまして、米が生活の非常に大事なよりどころであります。しかも、日本全国をずっと調べてみますと、農業の総生産額が十一兆円から十二兆円、その中の米の生産額は、正確には五十九年三兆九千億、四兆円であります。三分の一が米によって支えられている。ということになりますと、米の値段の動向というのが地域経済を支える大きな力であります。不作になれば不作になったで大変、米の値段が上がらなければ上がらないで大変、そういう地域が日本の食糧供給基地でございます。今回三・八%となりますと、一%で約百五十億農家の手取りが減る、四%と見て六百億であります。これは大変な問題でありまして、もしこれが労働者なら、労働賃金が下がったということで済まされるものか、私は暴動が起きるのではないかと思います。
 これまで、それでなくても五十五年から五十六、五十七、五十八と四年冷害がございましたときに農家経済が大変に冷え込んだ、農家の皆さんは御苦労した。そのときに農家の皆さん方のそういう窮状を温かく見守ってやったかというと、そうではございませんでした。据え置きあるいはまた一%とかいうようなまことに農家に我慢と忍耐を強いる毎年の米価の中で、きょうも来ておりますが、皆さん方はどういう思いで帰っていったか、その心境を大臣も察していただけるのではないかと私は思います。そういうときに三・八%引き下げの諮問を行ったということは、日本の農業に対する希望、大臣は後継者が本当に希望を持って、生産意欲を持って取り組める、そういう配慮をしたいという決意を述べておるけれども、それはもう全く言葉だけのものではないか、そうとられてもしようがない諮問であります。こういうことで、大臣のそういう農家の皆さん方に対する決意とこの諮問というものは我々はどういうふうに考えたらいいのか、その点をひとつ御説明いただいて、納得のいく答弁を聞かせていただきたいと思うのであります。
    〔保利委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤国務大臣 委員から先ほど五十五年からの不作問題が出ました。私もその時分党にあって、不作、冷害関係の救済措置を講ずる責任の一端を担っておりました。東北六県の知事さん方ともたびたび折衝いたしまして、御存じのような冷害、不作対策を講じたことを今覚えております。そうして、そのときに知事さん方と話しましたのは、昭和初期におけるあの冷害、不作のときには、一家離散し、娘を苦界に売り飛ばすというような悲惨な事態が起き、ひいてはそれが第二次大戦の端緒にもなり、あるいは青年将校の決起等にもつながったということを考え合わせると、その時分から考えると、戦後三十数年でありますが、政府と国会、そうしてまた農業団体とが一致結束していろいろな保護、保障、共済政策というものを打ってきた、そこで戦前のような悲惨な事態は免れることができた。ある面では悲しみながらも、ある面では喜んだことを思い出しておるわけでございます。
 そうして、今後の米作あるいは農家という問題を考えるときに、今御指摘にあったような米による生活を中心にされておる方、あるいはまたそれ以外のものとの複合経営をいろいろされておる方、あるいはまた業態別に見ると専業農家、一種兼業農家、二種兼業農家、いろいろな形があるわけでございますけれども、今回の諮問をいたします際にもいろいろ考え、考え抜いた点はあるわけでございます。私として今後期待いたしますものは、先ほど来お答え申し上げておりますが、足腰の強い農家を築き上げていく、そうして米作の中核的担い手あるいは生産組織の効率化、こういうものを念頭に置きながら、米作に意欲を持っておられる方々がその生産シェアを広げていただくように持っていかなくてはならないのではないだろうか。そこら辺が今回の諮問をいたします場合、私が特に意を用いたところでございます。ある面で申し上げますと、そういう点をとことん考え、配慮したのが今回の諮問になったということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
○武田委員 大臣、先ほどもお話があったのですが、米価の算定要素がこれまでいろいろと変わってきた、変えてきた。恣意的だと言われている。それで米価を抑制してきた。ということは、抑制しなくてもいい恣意的な改変もあっていいはずなんです。これまでの四年間の経済的な御苦労を考えたとき、たかが二年くらいでもって値下げなどということを考えるのはまことにもって自民党らしくない。農家を大事にする政党らしくない。今、足腰の強い農家と言ったのですから、ようやくその足腰が、今まで大変だったのが立ち上がって元気がついてきた、このときにもう少し元気をつけてやることが必要ではないか。本当に足腰を強くして、ポスト第三期以降の農業に取り組む生産農家の意欲を喚起する大きな起爆剤にならないかと私は思う。どうでしょうか。たった二年間でしょう。三年、四年くらいはひとつしっかりと体制を整えて、どういう事態が来ようとも頑張れ、こういうのが農政に課せられた一つの大きな課題ではないか。
 財政の問題を言います。食管赤字が五千億くらいある。しかし、食糧を安定的に、しかもおいしい米を提供するということを考えれば、国民は、食管経費からいうと一世帯当たり一万九千円か八千円ぐらいの税金は喜んで農業のそういう大変なところに差し上げますと言ってくれるのではないかと私は思う。それを、財政当局がこれは問題だ、財界がこれは問題だなどと言うことを心の片隅にも入れようとする、そこで農業に対する大きな壁をつくっている。大臣はそうしたことを切り返して説得する、そしてマイナス諮問などというのを撤回して、農家の皆さん方がせめてこのくらいは必要だというものにこたえてやる、そして頑張ってくださいよとなぜ言えないのか。私はそのことを大臣に強く要望したいのでありますが、どうでしょうか。
○加藤国務大臣 今まで算定要素をいろいろとってまいりましたことにつきましては、後で政府委員から御説明いたしたいと思います。
 私が今回一番考えに考えたのは、先ほど武田委員からも御指摘がありましたが、一つは、ゆとりある需給という問題、一つは、第三次過剰時代をどんなことがあっても迎えてはならないというこの非常に選択の幅の狭いあぜ道をどうやって渡り切っていくか、そして国民の主食である米の安定供給という大きな任務を果たしていくかという、そこに一番苦慮いたしたところでございます。一歩誤るとどちらも大変なことになっていく。その中の本当に狭いぎりぎりのあぜ道をことしの米価というものは渡り切らなくてはならないのではないだろうか。それがある面では農家の皆さんに意欲を持ってもらう唯一の方法だ。絶望的になってはならない、あるいはまたあぐらをかいて親方日の丸的になってはならない、そこら辺の選択の幅の非常に狭いぎりぎりのあぜ道を渡る思いが今回の諮問である、こういう基本的な一つの考え方を持ちました。
 さらに具体的には、先ほど来田中委員の御質問にもお答えいたしたところでございますけれども、膨大な潜在需給ギャップがさらに拡大しつつあり、巨額の財政負担により需給均衡を図らざるを得ない事情になりつつあるということ。それから、特に来年度から開始されるいわゆるポスト三期、水田利用再編対策後の次期対策においては転作面積の相当な拡大が必要になってきつつあるということ。それから、賃金及び物価の安定、金利の急激な低下等、一般経済情勢がこれまでに見られなかった動きを示すとともに、稲作労働時間の着実な減少が見られること。そういうものをひっくるめて、こういう事情に配慮しながら、なおかつ、米価が農家の皆さんの経営意欲に及ぼす影響というものにも配慮して決定せざるを得なかったということでございまして、冒頭申し上げましたように、ゆとりある需給というものと第三期過剰を絶対防がなくてはならないという二つの大きなはざまの細いあぜ道を渡るつもりでやったということでございます。
○武田委員 それはいろいろなところで説明されていますからいいのです。そうでなくて、要するに大臣も、私は新聞でちょっと見たのですが、農家の皆さん方が努力された、あるいは苦労して頑張った分に対してはそれなりに評価をして対応するということもおっしゃっています。生産性向上の問題、時間が減ってくる、収量が上がる、これは一生懸命努力をした。それと天候の関係もあるけれども、やはり農家の懸命な努力ですね。転作だって懸命な努力ですよ。東北などの水田地帯というのは転作がほとんど不可能、その中でどれくらい苦労しているかということを知った。その中で、政府の要望に対しては本当に純真に実直に実践してきた。それをちょっとよくなったからといってそれで引き下げなどとなったのでは努力がどこで報われるか。努力というのは一年や二年、三年のものではないのです。十年間近く、その努力の積み重ねの中でお互いに協調し合いながら頑張ってきたわけです。しかも、その間算定要素を見ると、生産費の算定をする対象農家を切ってみたり、かえてみたり、あるいは賃金の問題でいろいろと改定をしてみて、そのたびごとに低く低く抑えてきた。それも不満はありながら一生懸命頑張ってきて、ようやくここ少しよくなってきたというときなんですよ。これをもう少し喜ばせてあげなければならぬと思うのです。
 農家が豊かになってくる。農家の若い連中が、これで我々も頑張れば日が当たってくるな、ちらっと光線がのぞいてきた、この光線がだんだん強い光となって我々を照らすなと思いかけたときにまた厚い雲でその光を閉ざそうということは、中核農家とか自立農家を育てるなどといってもとても育つわけがない。大体、自立農家、中核農家等の皆さん方あるいはまた一種あるいは専業農家の皆さん方ほど米価によって影響を受ける比率は大きい。こういう方々ほど米価が上がる、下がるによる影響の大きい階層はないのです。それとも大臣は、オール二兼農家になって全部職業について農外所得をたくさんとって、それで農業をすべきだ、こう言うのか。新聞等にも、皆さん方の中にも、勤労者よりも所得がいいんじゃないか、こんなことを言うのがいる。まことにこれは遺憾千万です。農家は一人の稼ぎだけではない。多いところは三人も四人もいる。一人当たり平均しても勤労者の八割くらいもらえば精いっぱいだ。これでは幾ら若い人に定住しなさいと言っても、大臣が国土庁長官のときありました。三全総のときだったでしょう。今全然定住しないでしょう。今策定している四全総だってしかり。どんどん都会へ都会へと集中してくるでしょう。それはそうです。所得が、全国を一〇〇にすると東北などは八〇くらい、よくて八七、八でしょう。これでは均衡ある国土の発展などできない。農林水産業の中に占める農業というのは、それこそ国土開発の中の基盤として一番重要な産業です。このことをよく大臣も理解されていると私は思いますが、改めて認識をされまして、生産意欲をしっかりと持てる米価としての農家の皆さん方の要求にきちっとこたえるようにお願いをしたいと私は思うのです。
 時間が来ましたので、この件について再度大臣から決意を聞きまして、私の質問を終わらせていただきます。
○加藤国務大臣 いろいろな方面から御指摘また御激励をいただいたわけでございますが、さらに全国総合開発計画にも言及されました。私も国土庁長官を四年前に拝命したときに、四全総に着手する決意をいたしましていろいろなことを講じました。ことしじゅうにはこの四全総の問題もはっきりさせなくてはならないところに来ておると思います。定住圏構想あるいはまた一つのUターン現象が着実な歩みをしつつあるなと考えておりましたが、ここ一、二年また大都市への集中問題が発生しつつありまして、憂慮いたしておるところでございます。
 考えてみますと、農村、農家というのは、場所にもよりますけれども、住みやすいけれども生きにくい、そして大都市は住みにくいけれども生きやすい、こういう一つの標語がはまるような今日の我が日本というものを、日本全国どこに住んでおっても同じように平等で自由な生活を営むことができるように持っていかなくてはならぬ。それには農林水産行政も大変重要な役割を占めておる。そしてまた、その農家所得の三割を占める米価というものも大変重要な役割を持っており、農家、農民の生活の上にも重大な影響があるということを十二分に認識しながら、これから最終的な決定に向かって配慮していきたい、こう考えておるところでございます。
○武田委員 質問を終わります。
○玉沢委員長 神田厚君。
○神田委員 昭和六十一年度の六十一年産生産者米価に対しまして、農林水産大臣に質問をいたします。
 まず最初に、大臣は、衆議院選挙に際しまして農協から出されましたアンケートに答えて、系統農協の要求米価を支持する、さらに、党内の各種農林会議において意見を開陳します、また関係省庁に積極的に働きかけます、こういう公約をなさっております。しかしながら、大臣が責任者として決めました諮問米価は前年比マイナス三・八%、こういうことであります。大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 田中委員の御質問にもあったわけでございますが、神田委員におかれましても、立法府の構成員である立場というものと行政の責任に立つ場合とではいろいろな問題はあるということは御理解いただけると思います。
 私は、農林水産大臣といたしましては、食管法第三条第二項の規定に従い、国民各界各層の理解を得ながら、責任を持って適正に決定していく必要があると考えているところでございます。今後は米価審議会の意見を聞き、あるいは関係各方面とも協議した上で適正に決定できるように努めていきたいと考えておるところでございます。
○神田委員 答弁を聞いておりますと、大臣になったから要求米価を支持できないという考え方に立っておるようでありますが、立場といいましても、私はその立場を主張する前に、政治家として自分の選挙民に公約をしたものは、大臣になったからこそそれを実現するために努力をするというのが本筋だと思うのでありますが、いかがでありますか。
○加藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、一つの党、一人の国会議員立候補者が選挙公約として挙げたものに対してはこれを実現すべく誠実に努力していくというのは、お互い議会制民主主義のもとにある者としての大前提であると考えております。
○神田委員 しかしながら、責任において諮問された米価は三・八%のマイナスだということ、これはまさに納得できない点でありますが、その点につきましては、私は、大臣を支持しました多くの選挙区の農民が大変失望しているのではないかというふうに思っております。そういうことで、まずこの引き下げ諮問の撤回を求めたいと思いますが、いかがでありますか。
○加藤国務大臣 先ほど午後一時に米審に諮問いたしたばかりでございます。また、当農林水産委員会におきましても、まだ各党の先生方の御意見、御質問が終わってない段階でございます。先ほど申し上げましたように、米価審議会並びに関係各方面の御意見を十分承り、今後誠実に処置していきたいと考えておるところでございます。
○神田委員 それではマイナス三・八%の引き下げ諮問を行った根拠はどういうことなのか。つまり、いろいろな計算の仕方があったわけでありますが、その中で常に大臣は、生産農民に対しまして希望を失わせない農政を行うあるいは米価を求めていくということを主張せられておりましたが、この三・八%という数字の根拠を御説明いただきたいと思います。
○加藤国務大臣 具体的な数字につきましては政府委員からお答えいたしたいと思いますが、私の今回の諮問米価についての基本的な考え方を申させていただきたいと思います。
 それは先ほどもお答えいたしたわけでございますけれども、まず第一は、膨大な潜在需給ギャップがさらに拡大しつつある、そして巨額の財政負担により需給均衡を図らざるを得ない事情にある、このことについては神田委員も御存じのとおりでございます。そして二番目は、来年度から開始される水田利用再編対策後の次期対策、いわゆるポスト三期においては転作面積の相当な拡大が必要になっておる。それから三番目が、これが具体的数字が出てくるうちの一番のポイントになったわけでございますけれども、賃金及び物価の安定、金利の急激な低下等、一般経済情勢がこれまでに見られなかった動きを示すとともに、稲作労働時間の着実な減少が見られること、こういう事情を配慮しながら、先ほど申し上げましたが、米価が農家の経営意欲に及ぼす影響にも十分配慮して決めたということでございます。
○神田委員 そうしますと、ただいま御答弁をいただきましたが、例えば稲作労働時間の減少というのは、ただ単にこれは減少したわけじゃなくて、いろいろ構造改善が進んだりいろいろな条件の中で減少したわけで、それは生産農民の努力があって減少したわけですね。その辺のところの評価といいますか、それはもう少しきちんと見ることができなかったのですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 先生御案内のように、生産費所得補償方式によりますれば、投下労働時間につきましては都市均衡労賃で評価がえする、このようにしておるわけでございまして、その都市均衡労賃といいますものは、製造業におきまして生産性の向上があればそれなりに賃金も上がっておるわけでございまして、そうした賃金を私どもは適用しておるわけでございますので、一応そういった面も配慮されておるのではないか、このように考えておる次第でございます。
 なお、生産性の向上メリットということにつきましては、私どもの計算の方式が過去三カ年間の生産費をとっておる。したがいまして、投下労働時間がだんだんと減少するという傾向、または平均的な収量といいましょうか、十アール当たりの収量が増大するという傾向、これらは傾向値としてずっと上がったり下がったりしている。こういうようなものを三カ年の平均というふうなことでとりますと一応理論的には中央値になるということになりますれば、価格決定年との間に二年間の差があるわけでございまして、二年間おくれて生産性を反映させておる、こういった面は生産者の実質的なメリットにもつながるのではないだろうか、このようにも考えておる次第でございます。
○神田委員 大臣の先ほどの説明を聞いておりますと、ゆとりある需給とそれから第三次の過剰時代を来させてはならないという中のあぜ道を選択をしているのだということでありますが、結局これは、低米価にしておいて米の生産を抑制するという考え方になるわけですが、そう理解してよろしゅうございますか。
○加藤国務大臣 私が申し上げましたのは、ゆとりある需給を確保する、第三次過剰時代を到来させてはならない、その非常に狭いあぜ道を通りながら食糧というものの安定供給を確保していくということでございまして、一つの意思決定を行う場合の重大な要素になっておるということでございます。そして、神田委員がおっしゃいましたが、低米価ということを考えておるわけではございません。生産費所得補償方式というものを守り、そして再生産の道を確保し、そして食管制度を守っていく意味での選択でありますということ、最後の分をちょっと前の御説明で落としたと思うので、誤解があってはいけないと思いますのでつけ加えさせていただきます。
○神田委員 私は、今回の諮問は、これからも政府委員に質問をしますが、非常に問題が大きいと思うのです。このようなマイナス諮問低米価で果たして農家が希望の持てるこれから先の経営というものができるのかどうか。大臣自身、このような米価であっても農家の皆さんは希望を持って農業を続けることができるというふうにお考えになっておられるかどうか、最後に御所見をお聞きしたいと思います。
○加藤国務大臣 神田委員の御質問は、今回のような諮問で今後稲作農業に将来展望が持てるのかどうかという御趣旨ではないかと思いますが、我が国の稲作の現状というのを見ますと、今後我が国の稲作の中心的な担い手と見られる規模の大きい農家や生産組織というものは生産性が高く、小規模農家に比べてより低いコストで生産を行っておりますから、米価は生産費を十分にカバーしており、また所得も高いものになっております。
 今回諮問申し上げました米価は、たびたびお答えしておるように、農家の経営意欲にもできるだけの配慮を加えておりまして、今後の稲作の担い手の経営やあるいは規模拡大に支障を及ぼしたり、あるいは担い手が意欲を失うというものではないと考えております。先ほど来申し上げております私の基本的な考え方の線に沿ったものである、このように考えておるところでございまして、よろしく御理解いただきたいと思うところでございます。
○神田委員 答弁には不満でありますが、時間が来たので終わります。
○玉沢委員長 寺前巖君。
○寺前委員 私どもは先般、「昭和六一年産米の政府買い入れ価格は、生産費をつぐなう水準にひきあげること。算定にあたっては、国民が必要とする米を生産する農家のすべてに労働者なみの労働報酬が保障されるようにすること。」を初めとする申し入れを大臣に行いました。きょう大臣が米審に対して、米価の審議会が始まってこの諮問を出されて、聞いておった生産者団体の代表の方々はこんなものを受け入れられるかと言って審議がストップしているという情報を先ほど聞きました。さもあらんと、私も感情的に同じ思いをするものであります。私も、速やかにこのような諮問案は撤回されるよう、まずは希望を申し上げます。
 その上に立って、十分余りの時間でございますので、二、三質問をしたいと思います。
 農民運動全国懇というところへ行きましたら、ニュースをいただきました。農民の皆さんが憤りに燃えておられる内容をちょっと紹介しておきます。ある新聞に「世界の異端 日本のコメ」、こういう見出しで、国際的には米が安売りされているのに日本だけが食管制度に保護されており、農民は高米価でいい気になっている、こういう趣旨の内容が書かれている。これに対する憤りの声が出ておりました。これに対する大臣の見解を聞きたいわけですが、時間の関係がありますから、内容の幾つかについて大臣の見解を聞きたいと思うのです。
 それは、「新聞は日本の米がタイの一〇倍の価格だ、と非難する。われわれ日本人にとってはまずくて仕方のない味のことはさておき、このタイの米の生産費の安さは何にもとづくものか、知っているのか。」腹が立つ。「バンコクの労働者の賃金は日本の最低賃金の一〇分の一である。美人の多いタイ米生産地チェンマイではさらにその五分の一である。娘を売らなければやっていけないこの飢餓難民と同じ水準」に生活をさらそうというのかという趣旨の内容がこのビラに書かれています。こういうふうにして外国と単純に比較して日本の米は高いという物の見方でいいのかというのが一つの提起です。
 もう一つあります。「アメリカは農民から割高で米を買い上げ、輸出をするときは半値にダンピングしている。その赤字は政府がもつ――つまり補助金つき輸出である。EC諸国も穀物輸出額の半分が補助金である。」「これにたいしては全く批判することなく、日本のコメにだけホコ先を向けて、口を極めて非難している。」ことに対して憤りに燃える、こういう趣旨のものがその第二番目に書かれています。
 第三番目に、「日本の米はアメリカの四〜五倍のコストだと財界も新聞も非難する。だがその最も大きな違いは農機具である。乗用車にくらべたらトラクターなど全く構造は簡単なのに、こんなものが三百万円も五百万円もするのは異常である。農機具の値上がりは一九七〇年に比べると八五年は二〇四・七%であるが、一般機械器具は一三九・六%にすぎない。大企業は農村を絶好の市場としているのだ。トラクターなど、部品がアメリカなみに二〇年、三〇年の長期に補給されるならもっとコストは下げられる」、こういう意見がその内容として書かれています。
 私は一々ごもっともな内容だと思うのですが、大臣のこれに対する見解を聞かせていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 私もけさ、今寺前委員がお読みになられましたペーパーを読ませていただきまして、いろいろな感じは持ったわけでございます。一々これに対して詳しいお答えをするのはどうかと思いますが、今回の生産者米価を考えるに当たって、タイ米やカリフォルニア米との格差問題を正面に据えて議論すべきではないと思っております。ただ、頭の隅のどこかにこの問題は置いておかなくてはならぬ問題であるかなとは考えます。
 それから、世界のいかなる国を見ましても農業というものは大変難しく、また世界のほとんどの国がこれに対して保護政策を行っておるという認識は持っておるところでございます。
○寺前委員 次に、この間、米価集会に日比谷の音楽堂へ行きましたら、ちょうど全国農協中央会が「公開アンケートに対する回答」という本をくれました。これを見ますと加藤農水大臣もお返事を出しておられます。こう書いてあります。「系統農協の要求を支持します。」「また関係省庁に積極的に働きかけます。」働きかけられるどころか、直接みずからの御意見として諮問にかけられたのですから、これは系統農協の要求を支持するというのにふさわしい内容になっているのかどうか、あなたの見解を聞きたいと思います。
○加藤国務大臣 私も組閣本部に呼び出しを受けまして、行く車の中で瞬間的に脳裏をよぎったのは今お読みになったアンケートの中身でございます。ただ、考えますと、国権の最高の議決機関である国会の、いわゆる立法府の構成員の一員になる決意でおったときの問題でございますが、寺前委員も御存じのように、行政府と立法府、さらに司法という三権分立の立場を一つはお考えいただきたいと思うわけでございます。
 そして、社会党の田中委員を初め各党の先生方も、私のアンケートに対する答弁の問題について御質問されました。同じようなお答えをしなければならぬわけでございますが、今申し上げましたような立場に立ちまして、生産者米価については、農林水産大臣といたしましては、食管法第三条第二項の規定に従い、国民の理解を得つつ、責任を持って適正に決定する必要があると考えておるところでございます。また、今後米審の意見も聞き、そして関係各方面とも協議した上で適正に決定できるように努めていきたいと考えておるところでございます。
○寺前委員 農水大臣になった、行政機関になるとそれはいろいろな関係があってまあやれぬのだと言わんばかりの話でございますけれども、そうはいかぬと思うのです。やはり政治家は、天下に公約をして出てきた以上は、それにふさわしいかどうかまずは明確にすべきだ、私はそう思うのです。
 ところで、ちょっと聞きます。農水省からいただきました資料を見ますと、生産費調査は、六十キログラム当たり生産費が二万百三円、ところが政府買い入れの基準価格は一万八千三百九十八円、こうなっていますから、これで見ると、生産費というのは明らかに実際の価格を補償していないことになっています。この米価で引き合っているのを調べてみると、皆さんの資料によると二四%の農家で引き合っているということにしかならない。引き合っている農家というのがわずかである。昭和五十二年以来実質的には据え置きがなされてきたわけですが、それ以来の生産費を見ますと三三・二%と大幅に上昇しているのにもかかわらず、この間の米価が八・三%にとどまっている。これでは日本の農家に日本の農業の展望を与えないことになるのは当然ではありませんか。こう考えてくるときに、農水大臣は先ほどからいろいろな悩みをおっしゃっていましたけれども、農家と農民に対するところの経営悪化の道を開いていくということになって、諮問の前提に書かれておりました再生産を確保することを旨として決めたところの食管法には全く当たっていないのではないかという見解を私はむしろ持つものです。大臣、いかがです。
○山田説明員 先に、生産費のカバー率等の問題で御指摘がございましたので答弁させていただきます。
 今寺前先生から御指摘のように、第二次生産費をとりまして米価との関連を比べてみますれば相当ギャップがあるというふうなことは私どもも十分理解しておるわけでございますが、なお、この第二次生産費の中には自分の持っておる土地、農地、自作地でございますが、それの地代を評価がえして一応経費、コストと見ているわけでございますし、もう一つには資金の問題につきましても、自己資金につきましてその金利部分をコストとして評価する、いわばこれは生産費の中におきましてコストとして見ておるわけでございますけれども、いずれも所得付与的な要素を持っておるところの問題でございますので、こうした点を配慮して考えますと、一応私ども、最終的には農家が生産する場合の物財、雇用労賃を中心に考えてみてはどうか。さらに若干の支払い金利等の経営外部支出の面を見ますと、相当のカバー率でもって農家が補償されておるというふうにも思うわけでございます。
 なお、所得というもので見てみますと、五十九年産なり六十年産の稲作の所得は、おおむね五人以上の規模の労働者の賃金に匹敵するものを所得として確保されているという実態もあるわけでございます。さらに、食管法で、再生産の確保を旨として米価は定める、こういうふうなことに相なっているわけでございますが、私ども、御案内のように生産費所得補償方式によりまして一応価格を算定させていただいておりますし、また、最近までずっと米穀の再生産の確保といった点につきましては努めてまいっておるところでございます。
 以上でございます。
○寺前委員 時間が来ましたので、政府の関係者のお話はまた後にすることにしますけれども、私は特に、新大臣のことでございますので、今の補償をやってきていないということがどういうことになってきているか、あなたたちの資料によっても、中核農家と言われたところが二十五万八千戸から十五万三千戸に減ってきているという事実を見ても明らかで、私は、こういう道筋については極めて遺憾だと言わざるを得ないと思います。
 加えて、日米諮問委員会が一昨年の九月、米を含めて土地利用型の農業は日本には適さない、アメリカなどに明け渡しなさいという報告を、またアメリカの農務長官は日本への輸出を追ってきているという事実も存在しています。こういうことを考えたときに、先ほどのこの資料じゃございませんけれども、加藤さんは、「堂々とアメリカに主張する。」「農産物は世界各国ともに、それぞれの国情に基づいて、農産物の保護」をやっているのだという立場をここに表明しておられるわけですが、これはこれだということにならないようにあえて念を押して、私は、日本の農業とその展望のために日本の政治が生きるように願って、質問を終わります。
○玉沢委員長 小坂善太郎君。
○小坂(善)委員 私は農林大臣に御質問したいと思ったのですけれども、政務次官がかわってお答えのようですから、あなたからよく大臣にお伝えを願いたいと思います。
 まず最初に、今までいろいろ言われたことですけれども、大臣はこの農協の資料の中で、「系統農協の要求を支持します。」そればかりではなくて、非常に積極的に関係機関に話をいたして説得するという趣旨のことを言っておられるわけですね。これの同じところで広島県の宮澤喜一さん、今度大蔵大臣になったわけですが、非常にわけのわからぬような慎重な答えをしているわけですね。これはやはり加藤さんの人間性といいますか、党人らしい生き方と非常に官僚的な宮澤さんの生き方を対比していると思うのですけれども、加藤さんも農林大臣になった以上は、ひとつ妙なことを言わないようにして政治家としての信念を通してもらわないと、やはり大臣は行政機関の長だけじゃなくて政治家ですから、政治家として尊敬されるような言動を持っていただきたいと思うのです。
 そこで、これはあなたから言いにくいことでしょうけれども伝えてください。直接言えなければ私の方から申しますよ。大臣も非常に頭のいい人だし、勉強家だし、それに体もいいので、これは有望な党員であると思うのですけれども、私ども古い者からするとそう思うのでございますが、今度はその試金石じゃないかと思うのですね。今のように、行政機関の長になればそれ相応にやるとおっしゃいますけれども、自分の政治家としての信念を曲げて、行政機関の官僚のとりこになってその中で遊泳するというようなことを考えないようにしてもらいたい。これはぜひひとつお願いしておきます。
 きょう党の方では、三百七十七名の署名があって、これはどうしても系統農協の要求を支持していくんだ、こうしなければ今後の農政について責任が持てないんだという趣旨の話があって、その中で、それでは、党員の上に成り立っている政府がマイナス三・八%というような今までかつてない大幅な引き下げ諮問をするというのは一体どういうことかという議論があったわけです。それに対しまして、米審は一つの諮問機関で、政府はこれに諮問せざるを得ない、しかし、この内容については自民党は関知しない、こういう話であった。政府が諮問したのですから、米審でこれに対していいとか悪いとかいう答申が出てくると思うのですね。この答申が出てきたときに、自民党はそう言っていますが、政府としては、農林省としてはどういう態度をとるか、それをひとつ聞かせてください。
○衛藤説明員 ただいま小坂善太郎先生から加藤農水大臣に対する御要望があったわけでございますが、政務次官といたしまして、正確にかつ率直にお伝え申し上げたいと思います。
○小坂(善)委員 私は、米価というものは単なる行政機関の扱うものじゃなくて、農民の心を扱うものだと思うのです。先ほど大臣は心の問題が大事だと言われたけれども、何か少しばかりこのごろ収量がふえたから、あるいは天候がよくて増産ができたからといっていきなり引き下げるというようなことを考えるのは、大臣はゆとりのある農政というか、そういう言葉を使っておられたけれども、それに反すると思う。やはりゆとりを持って、農民を大事にするという心待ちを政府の農林当局が示さないと、殊に政治家としての大臣、政務次官はそういう心持ちを持たないといけないと思うのですね。
 私は、この際、やはり米価は引き下げるべきでない、系統農協の要求のとおり現状を絶対に守るべきであるという考え方を持っておりますが、これをやりますと農民はもちろん喜ぶでしょうけれども、景気の維持にもなるのです。内需拡大ということを今言っておるわけですけれども、この内需のいろいろな支えというものは農村の景気が落ち込んだらできなくなるのです。そういう意味で私は米価というものを考えなければいかぬと思うのですけれども、政務次官、どうですか。
○衛藤説明員 私も小坂善太郎先生と同じような立場をとっております。御案内のとおり、我が国を支えておる基幹産業は農林水産業である、この認識に立っておりまして、全く同じ立場でございます。
 また、今農林省は、農業団体あるいは農村のいわゆる真の味方というか応援団になり切っていないのではないかというような趣旨の御発言もございましたが、しかし、静かにほかの各省庁のことを考えてみますと、戦後四十一年間、我が農林水産省は、一貫して農林水産業を守るために第一線で体を張ってきた、血のにじむような努力をしてきた、このようなことを私自身認めたいと思いますし、また今後とも、農林水産省はそういう地道な真剣な取り組みをしていく、このように考えております。
○小坂(善)委員 大臣を補佐するあなたとして真剣にこの問題を考えてください。というのは、やはり農村というものは農耕民族である日本人の心のふるさとなんです。このふるさとを荒らしてしまうということは大変なことなんです。やはり食糧の問題というものは安全保障の問題である。社会的な安全保障の問題でもありますし、広義の安全保障だと思うのです。
 そういう意味で、私は、私と同じような見解を持ってくださるあなたですからこの問題はもうこのくらいにして、二、三、多少事務的な問題を時間の許す限り質問したいと思うのです。
 まず、農家所得を見ます場合に、これは農業所得と勤労所得と二本立てでできておるわけですね。これを一括して農家所得として一般の勤労者所得と比較しておられるけれども、これは当を得てないのじゃないかと思うのですね。世帯別に比較しておられるけれども、農家の世帯は普通の勤労者世帯よりも世帯員数が多いわけですよ。これが多いのは当たり前なんです。それをまた逆に多い人数で割ってみれば、一人当たりの所得は少ないことになるわけですね。その点の考慮が抜けているのではないか。
 それから、時間がもうないようですから一括して申し上げますが、四十二年から四十四年まで、これは政府がやってきたことですけれども、生産費所得補償方式というものの中に企画管理労働への賃金の付与をしておったわけです。この賃金は今度はつけないということにされた。これはどういうことであるか。これはやはりもとへ戻すべきじゃないか、生産費所得補償方式、農民の生活を保障してやるということにおいてはこれはもとに戻すべきではないか。
 それからもう一つは、これまた四十二年から四十四年までやっていたことですが、生産性を向上するためにいろいろな投資をした、そのために生産性が上がったというのでその所得の半分は還元しておられる。これを今度していないのはどういうことか。これはぜひもとへ戻してもらいたい。この点をひとつお伺いしたいと思います。
○山田説明員 お答えいたします。
 今、企画管理労働を復活させるようにという御指摘でございますし、また生産性向上のメリットの還元というふうなことも考えてはどうか、こういう御意見であったかと思うのでございますが、今先生も御指摘のように、四十年代の前半と申しますと、外国からお米を多いときに九十万トンぐらい、少なくて二十万トンぐらい年間輸入しておった当時の実態でございまして、お米の需給といたしましてもできるだけ増産を奨励しなければならない、こういうバックグラウンドがあったわけでございます。したがいまして、こうした需給事情のもとにおきましては、コストとしては問題がありますところの諸費用を一応盛り込んで米価を算定してはどうかということで過去にやられておったというふうに聞いておりますが、最近におきましては、御案内のように潜在需給ギャップがだんだんと拡大する方向にございますので、今の時点で四十年代前半と同じような方式の要素を取り入れることは非常に困難ではないかと私ども考えておる次第でございます。
○小坂(善)委員 それから、第三次の土地改良長期計画がございますね。三十二兆八千億円。これが五十八年から四年間にたしか六兆円ぐらいしかできてないのですね。土地改良によって生産性を上げるようなことを言っておいて、そして事実上がった分ももちろんあるわけですけれども、それを今、全部その収益をもぎ取ってしまう、米価に加算しないという考え方はどうしても私は納得できない。これはもっと大手を振って全部――三十二兆八千億ですから、四年間に十五兆円ぐらいのものをやっておるのならそれでもいいのですけれども、こういう点がどうも私には納得できない。御答弁願います。
○山田説明員 今私ども、御案内のように生産費所得補償方式によりまして米価を算定する際には、稲作の生産に係る経費というふうなものにつきましては生産費で一応評価されておりますし、そのそれぞれの物財、雇用労賃、こういったものは物価修正をして織り込みますし、また地代なり、地代のうちの自作地の地代でございますが、また自己資本利子、こういったものにつきましても最近の金利その他を見て金利は織り込む、こういうことでやっておりますので、そういった面から見まして一応適正な米価を算定するというふうに考えておるわけでございます。
○小坂(善)委員 最後に一問。食管の経費というものは、食管制度を維持するということを鉄則にしているわけですし、私もぜひそうしてもらいたいと思うのだけれども、その経費はどうなっているかということについては随分巷間にいろいろ問題が言われておるのですね。これはどんなふうになっておるか、またこれを洗い直してみる気はないかどうか、それをお伺いします。
○山田説明員 お答えいたします。
 食管の経費につきましては、従来からできるだけその節減に努めてまいっておるわけでございまして、現在、食糧管理に伴う経費といたしまして約四千億円の負担に相なっておるわけでございます。このような経費のうち、特に管理経費等につきましては、物の管理、また運搬するなり保管するなり、またそうしたものを売り買いする場合の金利、こういったものはかかるわけでございますが、そうしたものにつきましてもできるだけ合理化し、縮減する方向で努力しておる次第でございます。
○小坂(善)委員 以上で質問を終わりたいと思いますが、どうしても私がわからないのは、米審に政府は諮問しているわけでしょう。ところが、政府は与党の支えの上に成り立っておるわけですね。その政府が米審に諮問しておいて、この出てくるものについてこれをさらにいじるということは、大臣は先ほどそんな意味のことを言われたけれども、そうすると大臣は一体どういうものなのか。同一人格者が、米価についてこれこれが適切であると言って学識経験者に諮問しながら、その答えを待ってこれをまたいじることがあるということはどうも私には納得できないのですが、その点ひとつ。
○山田説明員 お答えいたします。
 先ほど大臣が答弁されました件につきまして私お聞きしておりましたところ、本日米価審議会に諮問さしていただいておりますので、米価審議会の意見を十分拝聴しながら今後関係者の皆さんと協議して適正に決めたい、こういうふうにお答えいただいたものと私理解しておるわけでございますが、その後いじるというふうな意思表示でおっしゃったというふうには私は理解しておらないわけでございますので、何分御理解のほどよろしくお願いします。
○小坂(善)委員 あなたと理解が違いますけれども、時間の関係でこれで打ちやめます。どうもありがとうございました。
○玉沢委員長 鈴木宗男君。
○鈴木(宗)委員 政務次官にお尋ねいたします。
 今回、三・八%の米価引き下げ諮問であります。本来ならば三・八%の引き上げ、さすが自民党三百四議席は違うな、社会党や何かとは違うというアピールもできたはずなんですけれども、三・八%の引き下げでは、これは農民も逆にがっくりしていると思うのですよ。
 特に、私が今政務次官にお聞きしたいのは、私は五十八年十二月当選以来、一貫してこの農林水産委員会に所属させてもらって今日に来ております。政務次官ももちろん委員会の理事として私たちにいろいろ指導してくれました。そのとき言われたことは、鈴木君、米価は上げなくてはいけないということを私は絶えず衛藤政務次官から御指導いただいたのですけれども、その考え方に今もお変わりはないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○衛藤説明員 鈴木先生にお答え申し上げます。
 米価は常に適正でなければならない、このように考えておるわけでございまして、御案内のように諮問米価につきましては、膨大な潜在需給ギャップがさらに拡大しつつあるとか、あるいはこれに伴う巨額の財政負担がかかるとか、そのためには需給均衡を図らざるを得ないとか、あるいは来年度から開始される第三期水田対策後の、いわゆるポスト三期の再編対策の問題であるとか、そのために転作面積をさらに拡大せざるを得ないとか、いろいろのファクターがあるわけでありまして、こういう問題を真剣にとらえつつ、常に米価が適正な価格となるように配慮すべきである、そういう基本的な立場に立っております。
 ただいま鈴木先生から御指摘のございました前段の点につきましては、そのお気持ちはよくわかるのであります。
 以上でございます。
○鈴木(宗)委員 政務次官も立場が立場なものですから苦しい答弁かと思いますけれども、農民を守っていくことに変わりはないということでほっとしているところです。
 ところで、政務次官、消費が依然として減少傾向である、さらには潜在生産力は高水準で維持されている、あるいは国家財政が厳しいという話が今ありましたけれども、これらの問題は農民の責任ではないと私は思っております。これは国の責任であると思うのです。それを農民に嫁せるというのは私はいかがなものかと思いますけれども、どうでしょうか。
○衛藤説明員 御案内のとおり、米価は生産費所得補償方式でございまして、この方式に基づいて毎年毎年生産者米価を決定してきた経緯がございます。オイルショックのときにはオイルショックの情勢を踏まえ、豊作のときには豊作、不作のときには不作の情勢を踏まえながらやってきた。また、先ほど食糧庁次長のお答えの中にもありましたように、あるときには百万トンも外国から輸入したというような時期もあったわけであります。そういうようないろいろのいわゆる経済情勢というものをしっかりと踏まえつつ、それをよく米価に反映させるというような図式をもって今日生産者米価が決定されてきたわけでありまして、ことしだけの生産者米価ではない、過去にさかのぼっての長い生産者米価決定の経緯、そういうものの毎年毎年継続された一つの線上にことしの米価もある、そういうことを御理解いただきたいと思うわけであります。
○鈴木(宗)委員 生産費所得補償方式もわかりますけれども、ただ、農民の素朴な考え方として、作付をしてから、いやことしはこうですから引き下げますというのでは僕は政治がないと思うのです。もし作付しない前に決める制度でもあるならばいいのですけれども、作付をしてから引き下げというのはやはり農民は納得できないと思います。しかも農民にしてみれば、公務員の給料は上がっているんだ、民間企業の賃金も上がっているじゃないか、我々のこの政府が決める価格というのは少なくとも対前年並みのことはやってくれるのではないかという願いを込めて作付していると思うのですよ。私は、その心を大事にするのが今一番大事じゃないかと思っているのです。しかる、選挙が終わった直後、自民党が大勝という中で多くの人は、いろいろな経済情勢がある、それは農民にとっては厳しい、しかし政治があるならばやってくれるのじゃないか、このぐらいの淡い夢や期待は農民は持っておったと私は思うのです。それに水をかけるような今回の引き下げ諮問というのは、私も与党の一員として釈然としないというか納得できないのです。諮問もされておりますのでこれ以上のことは言いませんけれども、姿勢の問題として、農林水産省や政務次官はこれからこの米作農家をどう考えて持っていくのか、さらに米をどの地域につくらせるのか、具体的に教えていただきたいと思います。
○衛藤説明員 御案内のとおり、米作は言うまでもなく我が農水省の中の最も大切な基幹作目でありまして、よく総理がおっしゃるように農林水産業は生命産業である、その生命産業の中でも最右翼にあるものが米である、この認識に立つことは間違いございません。
 また、今鈴木先生から、米づくりについて将来どういう対策をとっていくのかというような御指摘がありましたが、これにつきましては事務方の方から説明をいたさせたいと思います。
○浜口説明員 今政務次官からお話し申し上げましたが、稲作を中心とする水田農業が我が国の農業の基幹であることには変わりはないわけであります。経営規模の拡大や生産組織の育成によりまして稲作経営の体質改善を図ることを眼目にいたしまして、それとあわせまして、水稲と水田を利用して生産するその他土地利用型の作物との合理的な作付体系のもとで、意欲ある担い手によって担われた生産性の高い水田農業の展開を図ることが基本的に重要であると考えております。
 なお、このような水田農業のあり方につきましては、先般、農政審議会にお願いいたしました二十一世紀へ向けての日本農業のビジョンづくりの中で検討を願っているところでありまして、本年秋にはその第一次の取りまとめを行っていただくこととしております。
○鈴木(宗)委員 局長さん、局長さんの答弁を聞いているのではなくて、具体的に米はこれから北海道なのかあるいは東北なのか北陸なのかという考えを持っていると思うので、それを僕は聞きたいのです。
○浜口説明員 ただいまお答え申し上げましたとおり、今後におきます水田農業のあり方あるいはポスト三期等につきましての御議論につきましては、繰り返すようでございますけれども、ただいま農政審議会にお願いをいたしまして、その地域的な分担あるいは二十一世紀へ向けての日本農業のビジョンづくりの中で御検討をお願いしているところであります。そういう意味で、本年秋までには第一次の取りまとめを行っていただくこととしておりまして、その中で農林水産省も検討を行っているということでございます。
○鈴木(宗)委員 時間がないですからその議論はしませんけれども、ただ、政務次官、局長だって、農政審議会に任せていますというふうな無責任な言い方はないと思うのですよ。農林省は農林省で案を持っていて、そうしてまた農政審議会と連絡をとってやっているわけでしょう。そんな子供だましみたいな議論というか答弁は、僕ははっきり言ってけしからぬと思っている。もう少し真剣に取り組んでもらわないと。いいですか、局長。そこらは無責任きわまります。的確な答弁をしてもらいたい。大体、農政審議会に預けているなんてそんなばかな話はない。
 それはいいのですけれども、もう時間がないから言いますが、ポスト三期について私は一つお願いがあります。それは、北海道が傾斜配分を受けていまして、ことしでも四四・二%です。都府県が一八%ですから、約二・四倍北海道がかぶっているのですけれども、ぜひともこのポスト三期では北海道への傾斜配分の是正、見直しをしてもらいたいと思います。局長さん、いかがでしょうか。
○浜口説明員 今先生お話しの北海道の地域的な配分でございます。この点につきましては、先ほど来大臣からもお話しを申し上げておりますように、水田利用再編対策というものが現在、全国の農民の方々の理解と協力を基本として行われてきているわけでございます。この点におきましての転作等の目標面積の配分につきましては、先生御案内のとおり、農業生産の地域特性あるいは産米の品質、さらには麦、大豆、飼料作物等の特定作物への転作の可能性等を総合的に勘案して行っているところでございます。
 六十一年度に終わります水田利用再編対策、第三期対策の次期対策のあり方については、繰り返すようでございますけれども、農政の重要課題といたしまして目下省内で検討を進めているところでございまして、本年秋までに骨格を固めてまいることとしておりますが、この点につきましては、長期的かつ総合的な観点から農業の将来を展望いたしまして、農政審議会を初め、関係各方面の御意見を十分お聞きしながら行うことにしております。転作等の目標面積の配分の問題につきましても、この一環といたしまして検討させていただくことにしているところであります。
 先生が今お話しになりました具体的配分につきましては、以上のような状況を踏まえまして、関係方面の意見も十分お聞きしながら検討して結論を得てまいりたいと思っております。
○鈴木(宗)委員 重ねて局長さんにお願いしますけれども、北海道への傾斜配分の是正を今から強くお願いをしておきます。
 時間がないものですから急いで言いますけれども、米価の際、私はやはり消費の拡大についても十分考えなくてはいけないと思っているのです。例えば、昭和三十七年には一人当たり約百二十キロ、正確には百十八・三キロですけれども、現在七十五キロ、この十年間では一人当たり約二割ですか消費が減ってきている。これはゆゆしき問題であると思うのです。農業団体だって、米価は上げろ、あるいは据え置きにしろと言いながら、農協の店舗に行ったらインスタントラーメンやパンを売っているのです。これではちょっと農協の団体だって、はっきり言って米を守れるかといえば守れないと私は思います。ですから、私は去年も質問しておりますけれども、米価を決める際、消費の拡大にはどういった知恵を使えばいいか、あるいは行政指導をしてでも農協にも協力してもらうとか店舗にも協力してもらうという姿勢が必要だと僕は思うのですけれども、その点、山田次長、どうでしょうか。
○山田説明員 お答えいたします。
 米の消費拡大につきましては、私が申し上げるまでもなく非常に重要な問題でございますので、従来から私ども、知識の普及啓発とか地域的な米消費拡大対策だとか、また学校に米飯給食の計画的な導入を推進していくとか米の新加工食品の開発普及、こういったものを柱にしてやってまいっております。なお、最近におきましては、先ほど申し上げました地域米消費拡大対策といったものを見直しまして、より具体的に実効が上がるような方法でやっていこう、こういうようなことを手がけております。
 また、学校給食等につきましても、従来のような普及の考え方ではいけないだろうと昨年も文部省といろいろと協議いたしまして、一番問題になっておるのは大都会におけるところの学校給食の普及がおくれていることではないかというふうなことで、文部省に中心になっていただきまして大都会中心の学校給食への米飯給食の導入、こういうところに力を入れております。最近におきましては、大阪中とか神戸市とか横浜市といったところでも、小学校なり中学校でも漸次導入し、回数がふえておる、こういう実態に相なっておるわけでございますが、この問題は非常に地道な問題で息の長い話でございますので、私どもも精いっぱい今後とも努力していきたい、このように考えております。
○鈴木(宗)委員 最後ですけれども、せっかくの農林水産委員会ですから、今北海道で一番困っている問題がありますので、ちょっとそのお願いだけしておきますけれども、例の北洋対策の問題です。
 先般、政務次官にも北海道紋別の方を視察してもらって、身近に現況を見てもらったり、あるいは乗組員の声を聞いてもらいましたけれども、今、北海道の業界から五百四十二億ほど救済補償の要望が上がっております。今どのような大蔵省との交渉になっておるか、水産庁長官よりちょっとお話をしていただきたい。
○佐竹説明員 今回の北洋減船の影響はまことに深刻なものがございまして、対策も広範に実施する必要があるわけでございますが、その相当部分は既に実施に移されておりまして、今御指摘の減船関係者に対する救済策だけが残されているわけでございます。これは、具体的に船の数が、どの船を減船するかが決まりませんと積算できないというような関係でおくれていたわけでございますが、関係業界の話し合いによって具体的に船も決まりましたものでございますから、当面減船四業種につきまして査定ができるような状況になりまして、七月末から大蔵省と折衝を開始している段階でございます。
○鈴木(宗)委員 くれぐれも政務次官初め農林水産省にお願いしますけれども、米につきましては再生産が確保できる適正価格を決めてもらいたい、それと今の北洋対策を重ねてお願いしまして、質問を終わります。
○玉沢委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 私は、今度の選挙で初当選をしまして、先月二十五日の特別国会で農林水産委員に選任をされましてまだ十二日目でございます。初質問でございますので、生産者、農家の皆さんの声を代弁する立場から幾つか率直に質問を申し上げたいと思いますので、次官ほか農水省の皆さんの懇切丁寧なる御答弁を賜りますように、初めにお願いをしておきたいと思います。
 さて、先ほど来いろいろ指摘をされておりますように、本日三・八%引き下げの諮問をされましたけれども、これまで乳価を初め麦価の引き下げなど、農業経営がますます困難になっているときに、この政府の値下げ諮問によりまして米の生産農家の生産意欲はますます減退をし、ひいては国民の主食である米の生産、供給に重大な影響を与えることは必至だと思うわけであります。
 生産者、農家の皆さんの率直な気持ちをぶっつけますが、先ほど来指摘をされていますように、加藤農水相を初め、自民党所属のほとんどの国会議員の皆さんは農協中央会のアンケート調査に対しまして、農林水産大臣は、系統農協の要求を支持する、こういうように答えられておりますし、衛藤政務次官は、先ほどの質問を聞いておってさもありなんと思ったのですが、この農協のアンケートに対して「米価は安すぎる。」もう一遍言いますが、「米価は安すぎる。」と明確に言っておられるわけであります。「主食である米の安定供給をはかるため、生産者の所得確保としての適正な価格維持は必要である。」こういうふうに答えておられるわけでございます。農林水産大臣もああいう回答でございますし、次官もこういう回答でございます。いわば農林水産行政のトップに位置される方がこういう見解をお持ちでありながらどうして引き下げ諮問になるのか、多くの農民の皆さんの立場からすればまことにもって不可解千万と言わざるを得ないのではないか、こういうように思っているわけであります。この農家の皆さんの疑問に明快なるお答えを賜りますとともに、選挙の公約に反する諮問は直ちに撤回をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
○衛藤説明員 石橋先生にお答えいたします。
 私もアンケートにつきましては、責任を持ってアンケートにお答えをしたその内容はただいま先生御指摘のとおりでございます。生産者米価というのは農村にとりましてはまさに農政のシンボルである、象徴である、またある意味では農政の哲学そのものである、このような認識に立っておりますから、私といたしましては、広範な、いわゆる大所高所の立場から考えて生産者米価についての私の意見を申し述べたのであります。
 この私の意見を撤回するつもりはございませんが、それにしてもなぜ生産者米価がマイナス三・八%になったのか、こういうことでございますが、なぜマイナス三・八%になったのかということについては、御案内のとおり、生産費所得補償方式によって、しかも各要素をそれぞれはめ込んで正確に積算した結果こういうことになったという、これはまさに事務方の積算の結果でございまして、その内容を、懇切丁寧に後ほど事務方からマイナス三・八%になった経緯を御説明さしていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、生産者米価については、私自身の基本的な考え方はアンケートに述べたそのとおりである、このように申し上げておきたいと思います。
○山田説明員 お答えいたします。
 今年の米価も、御案内のとおり、生産費所得補償方式によって算定さしていただきましたが、その際、経済事情なり需給事情といったものを十分勘案いたしまして諸要素をはめ込んでいく、こういうことを私どもやらしていただいておるわけでございまして、最近の需給事情が、非常に多額の転作奨励金を投資して初めて均衡するというふうな需給状況にもなっておるわけでございますし、また今後におきましては、それにも関連するわけでございますが、潜在需給ギャップがさらに拡大する方向にありまして、転作等をさらに強化していかなければならないという事情もあるわけでございます。また、要素的な問題につきましては、賃金及び物価が非常に安定しておるとか、さらには、先ほども申し上げましたが、金利の評価等に使います金利水準が著しく低下しておる、こういう実態もあるわけでございまして、私ども、そうした金利なり需給事情なり、そういったものを反映させながら今年も米価を算定させていただいたわけでございます。
 特に、収量面におきましては、五十九年、六十年と豊作に恵まれました関係上、過去三カ年間の収量を生産費の基礎としてやりますと大幅な引き下げというふうなことにも相なりますし、また、そうした問題につきましては、できるだけ変動を平準化した方が価格の安定性とか算定方式の安定性といった面もあろうかというふうに考えまして、米価審議会の御意見なりを尊重いたしまして、今回新しくそういう配慮もしてまいったわけでございますので、どうか御理解いただきたいと思います。
○石橋(大)委員 加藤農林水産大臣は、米審の意見なりこの委員会の議論を聞いて最終的に態度決定をしたい、こういう意向を再々表明されておりますので、私もこの諮問米価につきましては撤回を要求しておきたいと思います。
 次に、行革審答申に関連して一、二お聞きをしておきたいと思いますが、今回の諮問の背景には米の需給緩和だとか生産条件の改善などがあるかもしれませんが、この値下げ諮問の一番大きな理由は、行革審答申にありますように、米の生産の合理化、つまり、生産者米価は値上げするなという注文にこたえたものではないか。今、全国の米作農民の皆さんは自民党政府に大きな失望を感じると同時に、怒りを感じていると私は思いますが、行革審では、個々に詳しく申し述べるまでもありませんけれども、食管制度の全量管理方式の見直しを初めとしまして、転作奨励金の見直しまで六項目の指摘をし、その中で、「生産者米価については、米需給の構造的不均衡等にかんがみ、生産抑制的に決定」すべきであると言っておるわけでございます。次官はこの行革審答申についてどのように考えておるのか、伺いたいと思います。
○衛藤説明員 石橋先生にお答えを申し上げます。
 行革審答申は御案内のとおりでありますが、「生産者米価については、米需給の構造的不均衡等にかんがみ、生産抑制的に決定することとし、この場合、稲作の生産構造を改善し、今後育成すべき担い手がその生産シェアを拡大し得るよう配慮する。」これが行革審答申の抜粋でございます。つまり、今後育成すべき担い手がその生産シェアを拡大し得るような配慮をしていくべきだというふうに指摘されておりますが、私も全くそのとおりだ、このように考えておりまして、これからは生産性の向上を図ったり、あるいは需要の動向に応じた農業生産の再編成を進める中で、中核農家やあるいはこれら農家を中心とする生産組織などが生産性の高い担い手となってその生産シェアを拡大していくような努力をする必要がある、このように考えておる次第でございます。
○石橋(大)委員 もう一点、行革審答申に関連して伺っておきたいと思いますけれども、農産物に関して、一つは国際的な要請にこたえる、そしてもう一方では国民負担、財政負担の縮減を図る、そのために農業生産の再編或を進める、生産性向上、内外価格差を縮小する、そして産業として自立し得る農業を確立する、こういうように言われておるわけでありますが、産業として自立する農業が実現する前に、こういう米価の引き下げなどにより農民の皆さんが情熱を失うことによって日本の農業は消滅してしまうのではないか、こういうふうに私は大変心配をするわけでありますが、この点はどうでしょうか、しっかりした歯どめがあるでしょうか、お伺いいたします。
○衛藤説明員 先ほども申し上げましたように、農林水産業は生命産業であるという総理の御指摘があるわけでありますが、まさに生命産業そのものである、このように思っております。また、その中には農業、林業、水産業、それぞれ基幹作物があるわけでありますから、その基幹作物を重点的に守っていく、そしてその生産性を高め、また構造的にも対応策をしっかりしていく、さらには生産部門だけでなく、流通あるいは消費というような構造的な対策もとっていく。こういうようなことによって、私は、これからも生命産業である農業あるいは林業、水産業を守っていかなければならない、基本的には守るという立場でやっていくべきだ、このように考えておる次第でございます。
○石橋(大)委員 御承知のように、生産者米価はこの五年間でわずか五・六%しか値上げされていませんし、五十九年、六十年は完全に据え置きです。過去十年間の農業生産資材の値上がり、物価、労賃の値上がりを見れば、生産者米価は据え置きというよりは実質的に値下げされてきたと言った方が正しいのではないか、こういうふうに思っているわけです。しかも、今回の値下げ諮問できるに値下げしようということでございますけれども、これはどうしても認めがたいことであります。
 農水省は、農政の柱として中核農家の育成と言っておられますけれども、米価が収入の柱であります稲作の中核農家はこの米価の抑制、引き下げによって重大な打撃を受ける、引き下げによって、農水省の言う男子基幹農業従事者のいる農家がますます激減をする、兼業せざるを得ない、こういう状況に追い込まれていっておるわけでございます。五十九年、六十年の豊作によってやっと息をついた稲作農家も米価抑制と不作によって農業所得が低下をし、今までは畜産農家にとどまっていました固定負債も稲作農家に広がっていきつつあるわけであります。かつては米だけは何とか安泰だったわけでありますが、政府の米価抑制政策によって、米作農家も膨大な負債を抱えなければならぬという事態になりつつあります。次官はこの実態をどう見ておられるのか。また、政府の言う中核農家育成に今度の米価引き下げ諮問は逆行しているのではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
○衛藤説明員 御案内のとおり、米については、一つは食管を堅持する、その食管を堅持する中で米穀政策を確かなものにしていく、米穀政策の確立を図る、こういうことであると思うわけでございまして、なぜ食管を堅持し、また米穀政策を確立すべきかということについては、事務方の方から詳しく説明をいたさせたいと思います。
○山田説明員 御案内のとおり、食管法に基づきまして、私ども、生産者の再生産の確保と、また消費者に対しましては家計の安定を図っておるわけでございますし、今後ともこうした食管の最も重要な機能につきましては堅持してまいらなければならない、このように考えておるわけでございますが、そのためにはやはり稲作生産者につきましても、今後ともその生産のシェアの大部分を担っていただいている人々に大いに発展していただく、こういった面におきまして、価格政策はもちろんのこと、ほかのいろいろの生産対策なり構造対策なりといったものも兼ね備えまして、各般の政策のもとでそういった目的を達成していかなければならない、このように考えておる次第でございます。
○石橋(大)委員 御承知のように、政府は昭和五十七年に「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」というものを発表されております。その中で稲作中心農家について、平均五ヘクタールの農家が十万戸になる、こういうふうに見込んでおられるわけですが、六十年の農業センサスを見ても三ヘクタール以上の農家は十一万戸にすぎず、また五ヘクタール以上の農家は二万戸にしかすぎない。確かに豊用地利用増進事業によって請負耕作は進んでいますが、政府の見通しとは大幅に違っているわけであります。それだけ農地の流動化は厳しいということだろうと思います。
 行革審も政府も、米価を下げろ、こう言われるわけですが、果たして米価を下げただけで我が国の稲作の将来が決まっていくだろうか。米価を下げて地価も下がり、地代も下がり、稲作農家の経営規模が拡大できる条件が果たしてできるでしょうか。地価は農業以外の要因で高騰し、生産資材も円高の中でも一向に下がらず、稲作の生産条件はますます悪化する一方ではないのか。米価引き下げや食管をなくせと言う前に、国民の主要食糧である米を安定的に供給するためにも稲作の将来像を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○浜口説明員 稲作の将来像に関連いたしましては先ほど来諸先生の御質問に対しましてお答え申し上げておりますが、現下におきます農業を取り巻く厳しい状況というものに対応いたしまして、日本の農業の根幹をなす稲作農業につきましては、これから農政審の御議論を賜りながら、この秋に第一次の取りまとめをいただきましてその将来展望像というものを打ち立てていきたいというふうに考えております。
○石橋(大)委員 次に、減反問題についてちょっと伺います。
 水田利用再編対策の第三期対策はことしで終わるわけでございますが、先ほどもありましたけれども、第三期後の対策がどうなるかについて農家の皆さんは非常に重大な関心を抱いておられるわけでございます。農水省は、農産物の長期需給見通しの改定を含めて農政審に答申を求めると言われておるわけですが、マスコミ報道では、第三期対策の六十万ヘクタールをはるかに超えて七十万ヘクタール以上の減反が必要だ、こういうふうに伝えられておるわけでございます。しかも転作奨励金の削減の方向が伝えられる中で、農民の皆さんは何をつくったらいいのか、農水当局の的確な将来像が示されない中で非常に不安に駆られているのが実情でございます。
 そこで、ポスト三期の具体的な方向についてお伺いをしたいと思います。同時に、先ほどもちょっと質問がありましたが、ポスト三期の具体的な対策については従来やってこられたことを基本的に踏襲しながらやられるのか、方法自体を抜本的に変えられるのか、こういうことについて少し伺っておきたいと思います。
○浜口説明員 先生の御質問は、ポスト三期対策の具体的な問題についてということだと理解しております。
 基本的な考え方につきましては、米については生産力が需要を大幅に上回っておりまして、その需給ギャップはなお拡大する方向にあります。米の需給を均衡させつつ、農産物の総合的な自給力の向上を図るためには、長期的な視点に立ちまして、需要の動向に即し米の生産を計画的に調整いたしまして、厳しい財政事情にも配慮した上で、麦、大豆、飼料作物等の生産の拡大と、その農業経営における定着化を図る必要があると考えます。以上のような考え方に立ちまして、昭和五十三年から水田利用再編対策が実施されているわけでございますが、現在、同対策の第三期対策が本年をもって終わろうとしているわけであります。この後の対策のあり方につきましては、農政の最重要の課題ということで、今年秋までに骨格を固めてまいる所存であります。
 なお、次期対策につきましては、各般の方面からの検討を加える必要があるものと考えておりますけれども、この場合におきまして、米の需給均衡を着実に実現するよう現下の諸情勢に即応した有効な調整方式であるということが第一であります。
 第二といたしまして、将来の水田農業のあり方というものを展望いたしまして、今後の農産物の需給状況も踏まえた農業生産構造の再編域が図られることであります。
 第三といたしまして、大臣からも申し上げておりますが、生産性が高く、足腰の強い農業をつくり上げる、これが第三であります。
 最後に、日本型食生活の定着という観点も需要の拡大という点から看過できない点でございまして、その点においても重点を志向して行わなければならないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、次期対策につきましては、農政審議会を初め関係各方面の意見をお聞きいたしまして鋭意検討してまいる考え方であります。
○石橋(大)委員 時間も余りありませんが、食糧の自給についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 御承知のように、我が国の食糧自給率は、穀物自給率にして三〇%、これが一〇〇%自給の米を含めての自給率でございますから、したがって、よく知られておりますように麦や大豆はわずか三%から五%、こういうふうに先進工業国では例を見ない低さでございます。我が国の農業の柱は言うまでもなく米でございます。その米も余るからといって減反され、麦、大豆、野菜などに転作をされているわけでありますが、思うような成果は上がらない。労働力不足などから耕作を放棄されている水田が目立ってふえているわけでございます。政府もようやく他用途米と言い出しておりますが、もっと大胆に飼料米を含めた他用途米の拡充を図るべきではないか、そのための多収穫品種の研究開発、流通の整備など積極的な取り組みを進めるべきだと思います。そして、我が国のすぐれた水田を積極的に活用して穀物自給率を引き上げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○衛藤説明員 石橋先生にお答えを申し上げます。
 御案内のとおり、確かに食糧の自給率はそれぞれ基幹作物についてばらつきがあるわけでございまして、結論としましては、総合的な食糧自給力を維持強化するということではないかと考えておるわけでございまして、農政の重要な課題でありますし、今後とも需要の動向に応じた農業生産の再編成を図るとともに、生産性の向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うことを基本に、構造、生産あるいは技術対策等、各般の施策を推進して食糧の自給力の総合的な力を強化していきたい、このように考えておるところでございます。
○石橋(大)委員 最後に、米価審議の公開についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
 米価審議会の審議というのは非公開が原則のようでございますけれども、ことしほど生産者側の要求と農水省、政府の考え方に大きな開きの出た年はないのではないか、こういうふうにも考えられますし、また生産者側の要求自体も、例年に比べると少し多様化をしているような感じもするわけでありますが、いずれにいたしましても、そういう中で米価問題を本格的にあらゆる角度から議論をする時期にあるのじゃないか。そして消費者も含めて、いわば我が国農業の基本方向についての国民的な合意を形成する、こういう非常に重大な時期に来ておるのじゃないかと考えますが、米審の論議の内容を含めまして、米価審議の内容を公開するというお考えはありませんか。一つだけ承っておきます。
○山田説明員 お答えいたします。
 米価審議会におきましては、各委員の皆さん方を学識経験者ということで一応お願いいたしましていろいろと御審議を願っておるわけでございますが、各人の自由な立場から御議論いただく、こういう考え方のもとに、議論していただくその内容は非公開ということになっておるわけでございます。これを一般的な公開ということにいたしますと率直な御意見等がなかなか出てまいらない、こういったこともありますし、現在は非公開にしておりますが、なお、各委員さんの内容がいかにというふうな名前まで挙げた具体的な意見ではなしに、こういう意見があったということはマスコミ等には説明するように私ども現在しております。
○石橋(大)委員 終わります。
○玉沢委員長 竹内猛君。
○竹内(猛)委員 私は、米価問題、それからポスト三期並びに長期の見通し等々に関連をし、関係者から答弁をいただきますが、最初に、先ほど来いろいろ御意見があるように、今度の生産者米価に関する諮問が三・八%の引き下げであるということは、我々も含めて自民党の皆さんも全部が、農協の米価は正しい、支持する、三つの質問に対して同じような答えをしているという関係もあって、これはやはり撤回をすべきだと思うけれども、まだ撤回をしていないようですが、もし仮に撤回をしないで審議をするとしたならば、それならば消費者米価を下げる意思があるかどうか、これはどうですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 先生御案内のように、生産者米価、消費者米価ともども食管法の規定に基づきまして、生産者米価につきましては再生産の確保を旨として定める、また消費者米価につきましては家計の安定を旨として定める、こういうことに相なっておりまして、それぞれを一括して定めるといいますか、考え方として一括してやるというふうに今相なっておりませんし、それぞれの考え方でもって必要に応じて検討し、改定もする、こういうふうに相なっておるわけでございます。それで、現在の状況といいますれば、私ども今、生産者米価につきまして米価審議会に御諮問もし、いろいろ検討願っているわけでございますが、消費者米価につきましてどう扱うかということは全く白紙の状態でおります。
○竹内(猛)委員 食管法の生産費、所得を補償するという立場からいえば、生産者米価は、五十一年以来この十年間というものはほとんど価格は上がっていないと見てもいいぐらいになっておりますね。そして、これに反して物価あるいはその他は五八%ぐらい上がっているし、賃金は三二%ほど上がっている、こういうふうになっている。米については八・二ぐらいでしょうか。そういうような状態からすれば農家の生産費を償っているとは決して言えない。少なくともこの問題については、決め方の基礎にもう一つ別な要素があるのじゃないか。それはやはり第一は、海外にいろいろ米やその他があって、国際分業論あるいは過保護論というものがあり、もう一つは、国内における行財政の改革という財政的見地から問題をとらえているというところに実はこのような諮問が出てくる背景があるのじゃないか。これはどうですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 今先生御指摘のように、海外からの輸出圧力といいましょうか、そうしたものにつきましては、私ども、正式の要請として今までお米については受けたことはございません。ただ、新聞等で、アメリカの高官が何かおっしゃったというふうなことも報じられておりましたが、それについて公式な立場から照会をしてみましても、そういったことは発言されておらない、また専務当局もよく知らないというふうな回答を得ておるような次第でございます。
 また、行財政改革、臨調とかいろいろございますが、そこには確かに、過剰基調にある中で米価を抑制的に定める、こういう答申はございます。私どもといたしましては、先ほど先生も御指摘のように、五十年代の初めごろからだんだんと需給ギャップの拡大というふうなこともございまして、生産調整をだんだんと強化していかなければならないという事情もあったわけでございますので、その辺を踏まえて米価算定をやらせていただいたような次第でございますし、また、こうした算定の考え方につきましては、米価審議会の価格算定小委員会におきましても、やはり生産費所得補償方式というのが現在の状況においては最もなじみやすい算定方式であり、かつまた、その算定方式による際におきましても、需給事情なり諸般の事情を勘案して算定すべきものではないだろうか、こういうふうな指摘もあるわけでございます。しかしながら、米価算定方式の最も重要な部分でございますところの家族労働の都市均衡労賃への評価がえというふうな要素につきましては、最も基幹となる要素であるから、一たん決めれば三年ぐらいはやはり固定してそれを運用すべきではないか、これは方法論の問題でございますが、そういう御意見もいただいておりまして、そういったもろもろの意見を私どもお聞きしながら適正な米価の算定に努めておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 いろいろのお話があるけれども、結果的にはなるべく生産者米価を安くしていこう。それで、消費者米価については今言わないけれども、食管法の三条、四条にはそれは連動はしていかないけれども、今までは、生産者米価を抑えに抑え、消費者米価を引き上げて、なるべく食管のいわゆる逆ざやというものを小さくしていこうということに努力をしてきたことは事実でしょう。
 そこで、それを議論してもしようがないから、この際、本来は大臣に聞くべきだけれども政務次官に聞きますが、農業というものは一体どういう社会的役割をしているのかということについて、基本的な哲学というか理念をちょっと聞きたいのです。いかがですか。
○衛藤説明員 農業は、まず、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の安定供給をしておるということが第一だと思いますし、もう一つは、国土また自然環境の保全に貢献しておるというこの二つの面と、もう一つは、農村地域における基幹産業としての役割、基幹産業として地域住民に対する就業の場所を提供しておる、そのために農業を通じ、あるいは関連産業を通しての農村社会における活性化の中核となっておる、そういうような面から農村のいわゆる健全な地域社会の形成に大きく貢献しておる、この三つではないかな、このように考えております。
○竹内(猛)委員 私はその点ではほぼ賛成ですが、やはり農業というのは、このごろの日本の人口は一億二千七十万ですか、その国民に対して新鮮な、しかも品質のいい食糧を確実に供給する、安全保障だ、安全保障という言葉がこれは大事だ。そして第二番目は、治山治水、緑あるいは空気の浄化、水、こういうものをつくって環境を保全していく、こういう社会的な役割をしていく。三つ目には、今言うように地域社会の担い手であり、一つの雇用の場を与えているという大事な基幹的産業である。そういう理解は、ここまでは間違いないですね。
 大蔵省の主計官、きょうは見えておると思うけれども、大蔵省は、農業というものに対して予算を査定する場合に一体どういう姿勢でやるのか。財政的見地からいくのか、それとも今の安全保障という立場からやるのか、その辺はどうですか。
○竹内説明員 基本的には、今先生のお話にございましたようなお考えあるいは農水省の方からの御答弁にありますようなお考えと同じように私どもは考えております。
 農業問題につきましてはいろいろ御議論がございますけれども、一つは生産の問題、もう一つは地域社会の問題、あるいは今おっしゃいました安全保障の問題も含めまして、国土保全の問題といったようないわば社会的な側面の両面があると思います。私自身は、生産の問題につきましては、他の生産分野と違う、自然条件に左右されるという特色がございますので、その点も考えていく必要がございますが、基本的には、今先生がおっしゃいましたように、国民の基礎的な食糧を安定的に良質に、かつできればなるべく廉価に国民に供給していただく、そういう機能を果たしていただいているというふうに思いますが、その際に農業の特殊性ということも同時に考えていく必要がある。それから、二番目の地域社会の問題や国土保全の問題、農業にはもう一つこういう大きな側面がございますので、そういうことも考えていく必要がある。こういうようなことを一般的な考え方としまして具体的な予算編成に当たりまして、農水省と連日議論をしながら予算の策定作業に当たっているというふうに理解しております。
○竹内(猛)委員 私は、今まで農林水産委員会でいろいろと質疑をしてきた中で、価格の決め方が生産者と消費者という立場に立たないで、どうしても財政的な見地が優先しているのではないか。今まで、例えば豚の価格にしても乳価にしても、あるいは麦にしてもすべてそうですけれども、生産者が要求するものについては必ずこれを抑えて、そして審議会等に諮って答申が出れば若干の政治加算みたいなことをしたり、あるいはお金を貸したりするというような形で格好はつけるけれども、実際に生産者の立場に立った操作はなかなかやられていないという感じがする。今度のように、選挙の前でしょうけれども、すべての党の議員候補者が米価の問題で三つの質問に対してほぼ同じような回答をしておきながら値を下げるということは、これは確かに政治不信にもなるし、農民の心を痛めることにもなる。後でポスト三期の問題も質問しますけれども、せっかく土地改良をやって立派な水田をつくったり畑をつくったりしてみても、それに物をつくれないという状態であればそこはやがては荒れてしまう。自民党の小坂善太郎先生が先ほどふるさとが壊れると言われたその言葉がぴんとくるような感じがする。もう少し生産者あるいは消費者、人間の立場に立って物事が考えられないかどうか。余りにも財政至上主義ではないのか、財界中心ではないのか。その点はどうですか。
    〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
○山田説明員 今先生の御指摘の点は、価格政策全般についてのことであろうかと思います。私ども米麦の価格政策を担当しておる者といたしますれば、生産者の立場も考えなければなりませんし、また消費者の立場も双方考えながら適正な価格水準というものを決めていかなければならないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、食管法におきましてそれぞれ再生産の確保だとか家計の安定というようなことも規定されておるわけでございまして、現実の問題といたしましては、物の値段でございますので、やはりそうした両面についての配慮も当然必要になってこようかと考えておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 私は、国の予算と農林予算と食管の関係について、予算の面からちょっと質問をしたいのです。
 私が最初にこの国会に当選して出てきたのは四十七年です。その翌年、国の予算を一〇〇とした場合に農林水産省の予算は一二・三%ありました。そのときに食糧管理費というのは四三・六%あったですね。これが一般会計に占める比率が五・三%、こういうような比率になっておりましたが、六十一年度には、五十四兆八百八十六億の一般会計の中で農林省の予算は三兆一千四百二十九億、五・八%になった。前年度が六・四ですから前年度から〇・六%減少しておる。食管の費用は一九%になっておって、これが国の一般会計予算に占める比率は一・一ということになった。これだけ国の予算に占める農林省の予算が圧縮をされ、毎年減り、中でも食糧管理の会計がぐんと減っている、二割を切っておりますね。こういう中でまだこれを減らそうということになると、食糧庁というのはもう要らなくなってしまうのではないですか。大蔵省の方からこの辺についてちょっと聞きたいのです。食糧庁がなくなってしまう、食管なんか要らなくなってしまう、これはどうですか。
○竹内説明員 食糧管理費の節減合理化努力をこのところ続けてきておりますのは先生御指摘のように事実でございますが、そのこととこの食管制度の運営のあり方、あるいは食管制度が要らなくなるのか、なくなるのかということとは別問題であるというふうに私は理解をいたしております。財政が非常にきつい御案内のような状況にございますので、各種経費すべてについて節減合理化の努力を続けているわけでございますが、農林省の予算につきましても、そういう厳しい、きつい御努力をお願いしているわけでございます。
 一般会計全体の中でのシェアということでございますと、国債費や地方交付税が膨らんでいる、特に国債費が非常に急膨脹している。これは国債発行の累積の結果でございますけれども、したがいまして、その点は割り引いて考える必要がございますが、割り引きましても御指摘のような傾向をたどっていることは事実でございます。しかしながら、私どもとしましては、限られた財源の中で少しでも政策効果のある、また先々の農業の発展につながるような予算の充実に配慮していくことが求められているのではないかというふうに考えまして、そういう努力を続けているところでございます。
○竹内(猛)委員 人間の安全保障と水や緑あるいは治山治水という形で国土を守っていくという大事な仕事をしている農業の方は毎年毎年予算が削られていく、防衛費の方は野放しにふえていく。ことしは防衛庁の予算の方が農林水産省の予算よりは額が多いですね。そういうことになった。
 ところで、米価大会が各県で行われておりますが、私は茨城県ですけれども、茨城の米価大会に行ったところ、これは前々からこの場所でも質問しましたが、農家の手取りになるのは、不満であっても米を売った価格、畜産物の価格、野菜あるいは果物の価格で、これが十一兆ぐらいになるでしょうか。ところが治山治水、線あるいは酸素、こういうものを計算をすると、前の官房長の田中さんは十一兆から十二兆ぐらいになると言った。ところが、農業会議が会場に配った資料によると三十六兆という額が出ていますね。官房長、これはどうです。
○甕説明員 ただいまお尋ねの農林業あるいは農林地の有する公益的機能の評価額についての試算が農林省におきましてもございまして、これは昭和五十五年でちょっと時点が古いわけでございますけれども、三十六兆六千億という数字を持ってございます。
○竹内(猛)委員 農業会議が会場に配ったのはやはり間違いない。そうすると、農業者あるいは林業は盛んに財界からいじめられて、むだな金を使う、過保護だと言われているけれども、自分が物をつくって売るその物よりも、水とか緑とか酸素とか、そういうものを出している額の方が多い。これは全然還元されてないじゃないですか。こういうものをちゃんと読み込んで、やはり農業の前進のために基盤整備であるとか道路をつくることであるとか価格に対するそれであるとか、そういうことがなぜできないんだ。この点は政務次官よく聞いて、ひとつ反映してもらいたい。どうです、政務次官。
○衛藤説明員 御案内のとおり、我が国は議院内閣制でありまして、その立場からいたしまして政務次官という立場を離れ、国会議員というものが今先生から御指摘のあった点重々理解をし、認識を深めて、またずばり国の一般会計に占める農業予算の獲得のために汗を流す、努力をしなければならない、私はそのように考えております。
○竹内(猛)委員 きょうは、大蔵省の主計官も竹内さんですね、私と同じ名字だ、来ていただいたわけですが、わざわざここに来ていただいたのは、やはり今のことをよく理解をしていただきたいのですね。農林水産省の官房長の答弁でも、五十五年の統計ではあるけれども、やはり三十六兆というそういう緑や水や酸素を農山村がつくり出している。これは無償で社会に提供しているわけですね。こういうようなものについても一定の配慮を読み込んでいく。それから、新鮮な食糧あるいは質のいい製品を人間の安全保障のためにつくり出していく、こういうことは非常に大事な基本的産業なんですから、そういうものに対して物に対する価格を正当にすると同時に、物をつくる人間を粗末にしない、大事にする。でなければ後継者が残るわけはないじゃないですか。現在、高卒の後継者が四千八百人、大学を出て医者の免許を取る者が七千五百人と言われておる。お医者さんの残る数よりも農業の後継者の数が少ない。これでは農村に未来があるかといっても未来はない。なぜないかというと先がわからないからでしょう。そういうことで、この農業をこれから一体どうするのかという問題、この問題が先ほど来議論されている二十一世紀への長期ビジョンという形になると思いますけれども、まず今の問題をもう一度、やはり議院内閣制であり、個人の資格でも結構だから、衛藤政務次官と大蔵省の竹内主計官にぜひ答えていただいて、これはやはりそれぞれの場所で主張していただきたいと思う。どうですか。
○竹内説明員 先生御指摘の農業会議所のデータ等も私ども農林省からお伺いしております。そういう観点につきましてもいろいろ議論もいたしております。私どももそういう観点があるということはよく理解できるし、また勉強していかなければいけないと思います。しかし、私の個人的な感じになるかもしれませんが、この農業問題につきましては、先生の御指摘になりましたお話の中にもありましたように、世上いろいろな御議論がございます。過保護論というような御議論も率直に言ってあります。いろいろな御議論がありますので、そういういろいろな御議論もよくよく勉強して、また農林省と議論もし御理解を深めてまいりたいというふうに考えております。
○衛藤説明員 竹内先生にお答えいたします。
 先ほどお答え申し上げたとおり、私は、農業、林業、水産業というものは基本的には守っていかなければならないものだ、こういう認識に立っておりまして、これは何も我が国だけではなく、世界の先進諸国どこに参りましても、その国は必ずや農業立国であるわけでございまして、当然のことだ、このように考えておるところであります。
 そういう見地からしますと、私ども衆参国会議員が七百六十四名おるわけでございますが、与野党それぞれ七百六十四名の私ども衆参国会議員が、やはり農業、林業、水産業に対する理解と認識をしっかり持って、そして生産地であろうとあるいは消費地であろうと、農業、林業、水産業はこういうものだというしっかりとした哲学あるいは認識というものを披瀝して理解を求める努力をしなければならない。例えば、自民党にあってもしかり、あるいは社会党にありましても、その組織内であっても、それぞれの団体の組織の中でも生産者米価なり等々の問題について理解を求めるというような努力といいますか、そういうことを地道にしていく必要があるのではないかな、私はそのように考えておる次第であります。
 これは国だけではなく、当然都道府県あるいは全国の三千二百五十六の市町村の市町村長あるいは市町村議会議員を初め、あるいは各市町村の農業委員に至るまでこういう問題について同じような考え方に立って、そして努力をする、こういうことでなければ、汗を流すということでなければ解決しないのではないかな、このように考えております。
○竹内(猛)委員 今申し上げたように、これは本当に党派の問題ではなくて基本的な問題ですから、やはり大蔵省の方にもそれから農林水産省の方にも、全体にもこの問題はぜひよく理解をしてもらって、農林水産省の予算を毎年毎年ぶった切ってしまって、やがては見えなくなってしまうようなことにならないようにしないと、そういう小さい中でまたやりとりをするから今のような悩みが出てくるんじゃないか。
 食管だってかつては四三%あったのですよ、私が出てきたころには。今十三年目ですよ。そうすると、一九%だから半分以下になってしまった。それは生産者米価を抑え、消費者米価を上げて逆ざやを小さくした。いろいろなものも、事務職員も減ったでしょうね。一体食管はこれからどうなるのです。次長どうです。
○山田説明員 お答えいたします。
 食管制度といたしましては、御案内のように、米麦につきましてその管理を担当させていただいておるわけでございますが、生産者に対しましてはそれぞれ再生産の確保ということを中心に考えなければなりませんし、また消費者サイドに対しましては家計の安定ということを大切にしなければならないと思っておりますし、消費者と生産者とをつなぐ橋渡しの関係にありまして、ここで管理を効率的に行いながら、食管の目的とする米麦を安定的に流通し流していく、こういう機能は今後とも続けていかなければなりませんし、それに必要な予算というふうなものは今後とも確保させていただきまして、国民の御期待に沿うよう努力してまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 食管は守るということですけれども、形骸化してしまったのじゃだめですからね。ちゃんと内容のある守り方をしてもらわなきゃいかぬ、こういうことだけは強く申し上げておきます。
 さて、もう一つ問題があるのですね。それは何かというと、農家が米をつくる場合だってそうですが、約六割ぐらいは農薬であるとか機械であるとか肥料であるとか、そういうものがあるでしょう。ところがその農薬にしても機械にしてもその他のものにしても、これをちゃんと生産者がつくって、利潤を見込んで価格をつけて、生産者の方から価格をつけて売っているでしょう、一定の規格で。農家は、米のように畜産物のように、自分のつくったものに自分が値をつけることはできない、生産者が。いまだにそうでしょう。この矛盾を一体どうしますか。それで、農機具の原価を明らかにしろ、肥料の原価を明らかにしろ、農薬の原価を明らかにしろ、絶対にこれは明らかにしませんね。全農に言っても全農も明らかにしない。まして農林水産省の担当もこれを明らかにしてくれない。工業がつくるものについては生産費、所得及び利潤、減価償却まで認めながら、農民がつくる米だの畜産物については引き下げをしろ、こんなばかなことはないでしょう。この点はあなた方どう考えるのですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 農業の場合におきまして、先生御指摘のように不特定多数の生産者から生産されたものが販売されるわけでございまして、そうした場合自分の方から格付をし価格を設定してと、こういうことは非常に難しい場合が多いわけでございまして、そのために農産物の価格安定制度なりまた市場といったものなりいろいろ仕組みがあるわけでございまして、こうした仕組みなり制度を活用しながら物流の合理化といいましょうか、また流通の円滑化、こういうことにつないでいかなければならないというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 これは農家からしてみれば大変腹の立つことなんです。自分のつくったものには自分で価格が決められない。政治家が約束してもそのとおりにはしてくれない。一体どうしたらいいんだということにこれはなりますね。
 さっきの大臣の答弁じゃないけれども、出るまでは一候補者だったけれども、大臣になったら今度は行政だ、こう言う。こんなばかな話がありますか。大臣になる前は候補者であって議員なんだ、そんな話はもう聞いてはいられない、本当は。そういう矛盾を感じながら、自分が買うものは店へ行けば相手はちゃんと値段をつけて、安くするかしないかということは相対で話をする。価格の基礎はちゃんとつくった方が決めているでしょう。この矛盾を明らかにしない限り問題はやはり解けないんじゃないですか。だから、ことでもうこれ以上の議論をしてもしようがないから、問題を提起をしておきましょうね。
 さあ、その次だ。ポスト三期の問題について先ほどもお話がありましたが、もうこれは長い間減反をやってきたでしょう。いよいよ今度六十万プラス十万、七十万ヘクタールというものの減反をしなければならない、こういうときになってきて、一体今までの減反政策の中で米にかわるべき、米と同じぐらいの所得が上がるようなものが定着をしない限り、土地改良の負担金も何もかも払えないでしょう。だから減反というもののこれからの方向を単に農政審議会に任せるんじゃなしに、もう少しみずからが地方で農家の生の声を聞きながら、もう少し温かい心でこの減反問題を取り上げなかったら、今度は田んぼに草が生えてだめになってしまいますよ。この減反について本当に真剣に考えているかどうかということについてひとつお答えをいただきたいと思います。
○浜口説明員 先生のお話しの点はポスト三期の問題に関連する問題であります。
 先ほど来大臣、政務次官等から申し上げておりますように、米につきましては潜在生産力は需要を上回っておりまして、その需給ギャップはなお拡大する方向にありますので、今後とも需給に応じて米の生産を計画的に調整する必要があると考えております。現在実施しております水田利用再編対策第三期対策におきましては、計画的な在庫積み増しを行うため、毎年十万ヘクタールを転作面積から軽減した上で転作等の目標面積を六十万ヘクタールとしております。現在の在庫積み増しの状況から見まして、第三期対策終了後は在庫積み増しが必要でなくなるものと単純に計算するだけでも、約十万ヘクタールが転作面積に上乗せされることになります。
 水田利用再編第三期対策後の対策のあり方につきましては、現在鋭意検討を行っているところでございます。次期対策というようなことでございまして、先生御指摘のとおり、これまでのポスト三期、四期というような考え方に立つのではなくて、これまでの各地における農民の方々の英知あるいは経験あるいは教訓というものを踏まえまして検討を行うべきと考えております。転作目標の面積につきましては、その一環として本年度の米の作柄であるとか、あるいは今後の米需給の動向を幅広く見きわめながら慎重に決定していく必要があると考えております。
 なお、今後何をつくるかという問題でございます。この点につきましては、現在進めております三期対策の検討に当たっての重要な検討項目の一つであると考えております。この場合におきまして、将来の水田農業のあり方を展望いたしまして、今後の需要状況を踏まえ、農業構造の再編成が図られるようにすることが必要であると考えております。農政審議会にもお諮りをしながら検討を進めていくことになるわけでございますが、なお転作面積の拡大に対応するためには、例えば労働集約的な作物ではおのずと限界があると考えておりまして、土地利用型の作物が中心になるのではないかと考えております。
○竹内(猛)委員 この問題についてはいろいろ意見もあるし、また言いたいこともあるけれども、またさらに二十一世紀のビジョン、長期見通しについても質疑をしたいと思ったのです。というのは、今のような形で価格が取り扱われるようになると、農家が生産意欲を失って将来への展望を欠くわけですから、そういうことのないようにするためには、どうしても将来に明るい展望を持てるような方向と、やはりそれに予算もある程度裏づけをしなければだめですね。
 そこで、時間が来ておりますが、最後に、私のところで大変恐縮ですが、きのうの晩からきょうの朝にかけて、台風十号によって栃木県及び茨城県あるいは東北の方面が非常に荒らされました。特に茨城県の場合には、下館、下妻あるいは明野、そういうところの河川がはんらんして今緊急避難をしておりますが、この河川のはんらんによる被害に対する建設省の対応、そのときに河川のニュースをキャッチする施設が役をなしていなかった、こういうことが報道されています。こういうことは非常に困るわけでありまして、建設省、この点について今後どのように対応されていくのかということについてお答えをいただきたい。
○角田説明員 御説明いたします。
 情報が不備であったという点でございますが、河川情報センターと申しますものがございまして、出水時においてその流域の雨量や河川の水位等を迅速的確に伝達することを目的としておりまして、九州、近畿、中部、関東の四地方につきまして準備が整ったものですから、ことしの六月一日から供用を始めたわけであります。これまで鹿児島とか熊本、京都等におきましての豪雨では特段のトラブルはなかったのでありますけれども、今回の台風十号で関東一円に豪雨がありまして、ユーザーからの要請に一部応じられない場合が生じたということでございました。
 河川情報センターは、国や地方公共団体等のバックアップのもとに河川情報を、先ほど申しましたが迅速かつ正確に伝達する機関として設置しておりますので、今回の事態の原因はまだわかっておらないのでありますが、早急に原因解明をいたしまして、このような事態を繰り返すことのないよう強く指導し、一日も早くユーザーの期待にこたえられるよう育成してまいるということで御理解いただきたいと思います。
○竹内(猛)委員 機械が十分でなかったのはわかるけれども、それならその河川がはんらんした部分についての被害に対する救済措置はどうするか。
○近藤説明員 鬼怒川、小貝川流域におきましては、先生先ほど御説明ありましたように八月四日、昨日の午前五時ごろから本日の六時ごろまでに三百ミリから三百五十ミリ程度の集中的な豪雨がございました。このため鬼怒川の宝積寺地先においては、五日の四時に警戒水位二・五メートルを突破し、五時に最高水位二・六五メートルに達した後に、現在水位は下降中でございます。一万、小貝川では、黒子地先におきまして、五日の零時に警戒水位三・八メートルを越え、さらに八時には改修の目標であります計画高水位六・〇八メートルをも突破し、二時現在でございますが六・八六メートルに達している状況でございます。
 この出水による被害は現在調査中でございまして、現在までに判明したところでは、鬼怒川においては真岡市内において五カ所の堤防ののり崩れ等が発生しておりますが、越水等による浸水被害等は生じておりません。一方、小貝川におきましては、下館市内を中心に破堤一カ所、越水五カ所により二百戸程度の浸水被害が発生しておりますが、詳細はなお調査中でございます。
 なお、それぞれの河川の治水対策の取り組み状況でございますが、鬼怒川の改修につきましては、下流部の水海道地先等において築堤、護岸、床どめ等を従来から実施しておりまして、本年度も八億円の事業費をもって改修の促進を図っておるところでございます。また小貝川におきましても、五十六年災害にかんがみまして藤代、谷和原地先等において引き堤により河道の拡幅を図るとともに、築堤、せき、橋梁の改築等を実施しており、本年度も十七億八千万円の事業費をもって改修の促進を図ることとしております。
 また、先ほど御説明申し上げましたような今回の出水、被害の状況等も十分踏まえまして、なお一層の改修の促進を図り、重点的な整備に努めてまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 終わります。
○保利委員長代理 辻一彦君。
○辻(一)委員 私は、北陸の米作地、また良質米の産地における農民の声をこの機会に少し反映をしたいと思います。
 まず第一に、選挙期間中に与野党を問わず農民の非常に熱い期待があったのですが、それにこたえるには下げ諮問は余りにも残念である。そういう意味で、私の意見としてはこれは撤回をして、最小限据え置きまでは何としても頑張るべきでないかと思います。これは意見として申し上げておきます。
 そこで、今回の米審が開催されるに至る、諮問案が政府から出されるまでの過程を見ると、政府の、これは農林省、大蔵省含めてですが、いろいろな根回しというか世論に対する操作というか説得、そういう活動がかなり活発に行われておったように感じますが、私、新聞論調を見ると、大体政府がさきに示したような論点に立って今日論陣が展開をされている。いずれも下げ諮問は当然であるし、米価は引き下げるべきであるというような議論が大勢を制しておるように思って、非常に遺憾に思っております。
 そこで、政府筋から流された米価は引き下げるべきであるという論理に対して、若干質問をしたいと思うのです。
 まず第一に、米価が高いと第二種兼業農家等は稲作から離れることができずに、そのために肝心の中核農家が規模を拡大できないという論理がかなり流されておりますけれども、これについて政府の方は、農業の構造政策にかかわる問題でもあるけれども、一体これをどう考えていらっしゃるのか、大体今のような考えであるのかどうか、それをちょっとまず先にお尋ねいたしたい。
○山田説明員 お答えいたします。
 我が国の稲作の現状を見ますと、今後我が国の稲作の中心的な担い手になられるようないわゆる規模の大きな農家や生産組織におきましては生産性が非常に高いわけでございますし、また、こういった農家と小規模な農家を比べてみますと、より低いコストで生産を行っているということから見まして、現在の米価でも、こうした大きな規模の農家におかれましては生産性を十分カバーしておるというふうに私ども見ておりますし、所得も高くなっております。経営規模の大きい層では、また、土地の純収益が支払い小作料を上回っておる、こういうふうなこともございますし、経済的な条件から見まして、今後規模拡大が進められる可能性があるのではないか、こうも考えられるわけでございます。
 今回諮問申し上げました米価は、農家の経営意欲ということにも配慮いたしまして、今後私どもは、こうした生産性の高いいわゆる中核的な農家とか生産組織とか、こういったところに土地の利用権等が集積されまして、また作業の受委託等も行われまして、より効率的な生産性の高い農家でお米が生産されることを期待しておるような次第でございます。
○辻(一)委員 今の表現を若干かえて言えば、第二種兼業農家等は米価を下げれば稲作をやめるから、その土地は中核農家等に大体集中して大規模化する、こういうような考えのように受け取れますが、大体そうお考えなんですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 小規模な農家の方々に稲作をやめるといいますか、やめさせるといいますか、決してそういった面で私ども考えておるわけではございませんで、生産費調査等を見てみましても、小規模な農家におかれますところの所得を見てみますと、その所得よりは、むしろそういった農地を他に貸し付けを行った場合の方が、いわゆる地代として収入した方が多い、こういうふうに見られる農家もあるわけでございまして、この辺につきましては、それぞれの地域におきますところの他産業への就労の条件その他もあるわけでございますし、決して私どももそうした小規模の農家を取り上げてとか、け飛ばしてと言いましょうか、そういった面で考えておるわけではございません。できればそうした小規模な農家の方々もできるだけ効率的な生産組織というふうなものの一員になっていただきまして、その水田が効率的な生産を上げられるようになればいいと期待しておるわけでございます。
○辻(一)委員 そうすると、高米価のために中核農家を中心とした規模拡大が進まないので米価水準を見直すべきだという意見があるというのは、全然そういう意見ではないのですね、そういうことは考えていないということですか。
○山田説明員 私どももそうした意見のあることは十分認識しておりますが、私どもが特にそうした意見を持っておって、だからどう、こういうことではございませんで、むしろ現在の需給事情なり他の経済事情、算定のために使用させていただいております諸要素についての事情、こういったものを考えて米価を算定させていただいている次第でございます。
○辻(一)委員 時間が短いから質問に端的に答えていただけばいいと思うのですね。
 私が言いたいのは、この第二種兼業農家等は米価が上がったから稲作を一生懸命やる、米価が下がったらもうやめるとか、土地は自分で持っておっても貸すとか、そういうものではないので、今、第二種兼業農家はある意味では、一つは土地持ちの勤労者として健康な状況というか安定した状況にもあると思うのですね。
 それからもう一つは、社会福祉や社会保障は必ずしも十分でない。したがって家族全部町へ出て、都市へ出て養うのには子供の教育、老後を考えるととても不安である。だから将来のために、言うならば社会福祉の代行のために土地を残して、それを年寄りがつくるか奥さんがつくって土地は維持していく、こういう形の第二種兼業農家が多いと私は思うのですよ。したがって、これは米価をちょっと下げるとか上げることによって稲作から離れるとかいう問題ではない。自給自足をしながらこういう形をとっている第二種兼業農家がかなり多いと思うのですね。
 だから政府の方は農業基本法において、三十五年ですね、構造政策を打ち出して、そして都市に経済の高成長があれば都市に農村人口を吸い上げる、人口が少なくなればそれを分母にして一定の残った集落の耕地を割れば規模は拡大する、倍になるだろう、こういう計算をしましたね。しかし、若い人は農村を離れても年寄りは農業を守る、奥さんが守る、こういう形で農家戸数はそれほど減少しない。だから基本法に構想した構造政策はやはり進んでいないのですね。西ドイツにもこういう状況が出ておりますが、新しい兼業農家のいろんな形が出てくる。片方においては中核農家を中心にした集団というものが育っているという状況がある。これを考えると、私は中核農家の規模拡大のために米価は下げるべきであるというような論点は誤りである、こういうふうに思いますが、これについてどう思いますか。これはひとつ食糧庁、政府の方と、大蔵省にもお尋ねしたい。
○山田説明員 中核農家育成のためには、価格政策のみならず、もろもろの政策をもって対応すべきであるというふうに考えておりますし、また価格政策におきましても十分安定的な価格、こういうふうな適正な価格水準におきまして安定的な価格を保証するということで貢献する道もあるんではないか、このように考えております。
○竹内説明員 申し上げるまでもなく、生産者米価は生産費所得補償方式でもって算定しておるわけでございますから、食管法の精神にのっとって生所方式で算定されるということでございますので、構造改革を進めるために米価の水準をどうあるべきだ、ことしの米価をどうするという考え方をとるのはおかしいという点は御指摘のとおりだと思います。
 ただ、これも御案内のように、他の農作物、耕種農業部門における農作物に比べまして米価が相対的に、例えば粗収入等を見ましても有利な価格になっているということは事実でございますが、生所方式で算定されました価格水準よりも高い生産者米価を設定したような場合には構造問題に与える影響がないだろうか。もちろん先生がおっしゃいますように、農家の行動が単に経済的な面だけで動くものではないという要素は大いにあると思いますが、しかしながら、先ほど食糧庁の方の御答弁にもございましたように、規模によってコストや所得の水準が相当違うという実態にもございますので、生所方式で算定された価格よりも高い水準に設定した場合に、この小規模の農家が賃貸、請負といったような形で大規模の農家の方に農地の、例えばそういうタイプの移動が行われて、望ましい構造改革が進めるれる上で障害になってしまうということはないだろうかという点について、各方面の御意見を伺ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○辻(一)委員 これだけに私は時間を費やせませんが、米価を抑制すれば中核農家の規模は拡大するというのは誤りとは言わなくても早計である、短絡過ぎる、そういうふうな発想は。だから、私はそういうものをもって米価引き下げの理由として政府が並べているということは考えるべきじゃないかと思います。
 それから第二に、農家の総所得は勤労者所得の三割増、ゆとりがあるから米価を抑えろという論理があるというのですが、総所得を見れば確かに農家は人数が多いから、家族構成員が多いですから多いと思うのですよ。しかし、就労一人の割合でやれば、農家二百七十五万、勤労者三百二十七万というようにこの差はやはりあると思うのですね。さらに、農村の場合には年金をもらっている年寄りが大抵家族にいますが、そういう者も計算的に言えば皆所得に含まれてしまう、こういうことを見ると、農家の実態が一般勤労世帯よりも非常にゆとりがある、こういう言い方がされると、それなら米価を抑えていいだろうということにつながると私は思いますが、こういう見方はできないのじゃないかと思いますが、これについてどうお考えはなりますか。
○山田説明員 お答えいたします。
 五十九年度の農家世帯の総所得は六百七十六万円でございます。一方、勤労者世帯の実収入は五百十四万円となっております。また、農家世帯の就業者一人当たりの農家総所得を見てみますと二百七十五万円、勤労者世帯の有業者一人当たりの実収入が三百二十七万円、こういうことになっておりまして、これは農家世帯の就業者数が勤労者世帯の有業者数を上回っているためと考えております。
 なお、農家世帯の所得を論ずる場合におきましては、今先生も御指摘ございましたけれども、兼業化率が高まっておって農外所得への依存度が高いとか世帯員数が多いとか、また世帯内の就業者数が多い、また、農家の就業者といった場分の把握の方法は、私の記憶ではたしか六十日以上でございましたか、就業した場合には就業者ということでカウントされている、こういうようなこともあったのではないか。ちょっとここは定かでないのでございますが、世帯主の平均年齢が高いということもございますし、農業所得は一般の勤労者所得よりも不安定な、といいますのは生産に変動があるというふうなこともあって不安定である、こういうふうなこともございますので、勤労者世帯の所得水準と単純に比較することは危険ではないだろうか、このように考えております。
○辻(一)委員 私の友達か、もうちょっと若い人で二ヘクタール、三ヘクタールの水田や畑をやっている人はたくさんおりますが、一人前の男というか農業経営をやって二ヘクタールぐらいになれば、水田の所得率が米十俵とって、約半分残って十万として二ヘクタールならば、水田の所得は二百万ですね。ところが、ある農家の経営主はこう言っているのですが、自分の娘が高校を出て五、六年たつと、一年で二百万ぐらいは稼ぐようになってくる。これだけの経験とそれから長い間苦労して、そして比べたときに、農民の所得というのはいかにも低いと実感として言っていますね。
 それから、それでは、この二ヘクタールとかあるいは三ヘクタール、三百万になりますが、こういう人たちが第二種兼業農家のようにもっと安定した仕事を求められるかというと、二ヘクタール、三ヘクタール持てばその土地の経営のために、とても安定した第二種兼業に動くわけにはいかない。そうすると、不安定な形で出稼ぎに行ったり日稼ぎをしたり、いろいろな形で所得をカバーしているという状況、こういうのが実態であって、家族全体が働いている場合には確かに所得は多いでしょう。しかし、七十歳を超えても、じいさん、ばあさんといってもまだ田んぼや畑で真っ黒になって一生懸命働いている人、ここらを含めて総所得が多いということですから、これをもって都市勤労所得よりも農家の方はゆとりがあって三割も楽なんだから米は抑えろというような論理は、ちょっと短絡し過ぎると私は思います。政務次官、あなたも農村のことはよく御存じのはずですが、どうお考えですか。
○衛藤説明員 ただいま山田次長からお答えをしたとおりでございまして、農業所得は気候とかあるいは季節の変動、いわゆる自然条件に影響されるところが大でございまして、こういう点から考えますと、短絡的に比較をすることは差し控えた方がいいと思います。
 ずばり言いまして、農村にありまして高等学校までは子供を出せるけれども、大学は出せない、ところが、都会の方はどうして子供をあのように大学に出せるのだろう。確かに東京を見ると、都会のサラリーマンの方が農業所得よりも低いということになっている、どういうことだろう、そういう素朴な疑問が農村にあることは事実であります。でありますから、今辻先生の御指摘の点については、私もよく理解できるのであります。
○辻(一)委員 そうすれば、余り米価抑制の理由には挙げてもらっても困ると私は思うのですね。
 第三に、国の財政事情が厳しい、それで食糧管理費の節減、合理化が求められている中で米価を下げるべきである、こういう意見もあるということを聞いておりますが、これは先ほどもどなたか御質問がいろいろありましたが、五十七年に三兆七千十億であった農業予算が、六十一年には三兆千四百二十九億というように五千五百八十一億削減されている、こういう点を見ると、もうこれは農業予算はぎりぎり削減の限界に来ていると私はまず思いますね。
 それから、その中で食糧管理費は九千九百三億から五千九百六十二億、三千九百四十一億が節減されているということになりますが、六十一年度における食糧管理費の五千九百六十二億を見ると、食管会計への繰り入れが三千六百三十八億、それから転作奨励金二千三百二十四億、こういうようになっておりますね。これは間違いないと思います。間違っておったら後で指摘をしてほしいと思いますが、そこで、食糧会計への繰り入れですが、主体はもう今、米の売買による逆ざやはほとんどなくなってきた、ゼロではないが非常に少なくなってきた。そうしますと、この主たる中身は政府の食糧管理費になる。言うならば、この程度の食糧管理費は、政府として当然負担をすべきものでないだろうか。
 私はこういうことをちょっと思い出すのですが、昭和三十年に松村謙三先生が文部大臣をやっていらっしゃった、私は全国の青年団の会長をやっていた関係で、青年大会等でよくお尋ねをしたことがあるのですが、当時、松村先生は、一つは、毛沢東や周恩来という中国の日本を知る人がおる間に平和条約をやらないと、反日教育を本当にやったらえらいことになる、だから急げ、こういう論理が一つですね。
 それからもう一つは、食管制度は生産者のためでもあるが、消費者のためにもぜひ必要である。今はありがたい時代になって、あれから随分たっておりますが、さらに変わりましたが、電話を一本かければ米屋さんが米を運ぶから、余分を置いておく必要は全然ない。しかし、日本のような島国で食糧、米が足りぬということが本当に何らかの状況で起こったときに、半俵とか一俵の米を余分に確保しなければならぬ、こういうことになったら大変なことになる、電話一本で国民の食糧を供給できる食管法の存在はこれから後も大事だということを言われた、それを私は記憶している。今、あれから三十年という大変な時間がたっておりますが、本筋は、食管制度というのはそういう意味で今も変わってないと私は思うのですね。
 そこで、日本がこれだけの経済発展をし、これだけの力を持つに至ったこの中には、農村の社会の安定、食糧の供給というものが非常に大きかったのですね。社会の安定というものがもしなかったならば、日本はなかなかここまで来なかったと思うのですよ。そういう意味で、食糧を供給し、社会を安定させて今日の日本を築き上げた大きな力は食管制度、食管法にあったと思うのです。そういう意味で、安心して国民に食糧を確保していくという点で、私は三千五、六百億程度の食糧管理費、いわゆる政府が国民に食糧を安定して供給するための食糧管理費は、それぐらいは国の安全保障として見ても当然じゃないか。これを何としても削減しなくてはいかぬ、だから米価を抑えろというような論理は私はいただけないと思うのですが、この考え方についてどう考えるか、これは農林省の方と大蔵省にもひとつお尋ねをいたしたいと思います。
○山田説明員 食糧管理特別会計への繰り入れが三千六百三十八億円、これは六十一年の予算でございますが、そのようになっております。私どもといたしましては、国の財政が非常に厳しい中で、できるだけ管理経費の節減等には努めていく必要があるであろう、このように考えておるわけでございまして、先ほども御説明させていただきましたが、管理経費等の中には集荷、運搬、保管、事務、金利、こういったものがあるわけでございまして、およそ物を管理し動かす場合には、こういったものはコストとしてほとんどのものが必要経費、こういうふうに見られる面が多いわけでございます。なお一層こうしたものにつきましてもきめの細かい合理化等を展開することによりまして、節減には努めていく必要があるであろう、こう考えておるわけでございます。
 前半の米価そのものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、生産者米価につきましては生産費所得補償方式で算定するわけでございますし、その際、諸要素のとり方につきましては需給事情なり他の経済事情、こういうことで財政事情も全然忘れてできるというものではない、こう考えておるわけでございますが、財政のみに私ども引っ張られまして、それで米価をしゃにむに操作するというふうなことがあってはならないであろう、やはり農業なり消費者なり、そういった方々においても米というものが重要である、こういうふうな認識で今後も価格政策は展開してまいりたいと考えております。
○竹内説明員 財政上の理由から生産者米価の扱いを云々すべきでないという点は、私ども基本的に同様に考えております。
 食糧管理費につきまして、先ほども答弁申し上げましたが、ほかの経費と同様、節減合理化の努力が求められておるというふうに私どもとしましては理解しております。現在負担しておりますこの食管の運営のための経費、これは当然政府が負担すべきであるという御意見もあることもお伺いしておりますが、必ずしもそういうふうに理解すべきかどうかという点については、例えば現在の食糧管理の仕組みがすでにございました昭和二十年代あるいは三十年代におきましては、先ほど次長から御答弁がございました運営のための経費、例えば集荷、運搬、保管料、事務・人件費、金利等々の経費の全部を政府が持っておったわけではないという時代もございました。食糧事情、食生活あるいは農村経済における米のウエートが大分違った時代でもそうだったわけでございますので、必ずしもそういうふうに理解すべきものかどうかという点については、私どもはいささか違った理解をしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう厳しい財政事情にあることは事実でございます。
 そこで、こういう財政事情の中で、食管の負担もできれば節減、合理化を求められているというような環境の中にあって、生所方式で算定された米価がマイナス何%になるという算定値が示されておりますが、生所方式で米価を算定するというのが基本的な現在の考え方でございますので、その考え方に沿って適切にお決めいただきたいというふうに考えております。
○辻(一)委員 私は、むだなものも何もかも全部抱えていかなければいかぬと言うのじゃなしに、それは節減するのは節減しなければいかぬでしょうが、やはり一億二千万の国民に食糧を安定して供給するには相当な経費をかけても当然じゃないかということを申し上げているのです。
 そこで、アメリカは最近、ソビエトにまで穀物に輸出補助金、輸出振興ボーナス制度を発動する、こういうことが新聞で報じられておるのですね。我が国に対しては随分厳しいことを言っているが、自分の方のやっていることを見ると、これは随分問題があるように私は思うので、その点は指摘をすべきであると思います。しかし、各国はそれぞれ主権があって、独自の農業政策、食糧政策を展開するのはまた当然でありますが、アメリカも欧州もそういうやり方をするのですから、日本も――米はこれは輸出はしないですね、しかし輸入もさせない、水際に一線を引いている。世界でこういうやり方をやっている国は余りないと思うのですが、それは日本の置かれたいろいろな条件からやはりこれが必要なんだと思うのですね。だから、こういう日本独自の食糧安定政策というか、食糧政策をきちっとやっていくのにある程度のお金がかかるということは当然なので、この点については私は、アメリカの、欧州の行き方はそれぞれ行き方があるでしょう、日本もその行き方があるんだ、そういうことをお互いに確認してやっていっていいのじゃないかと思いますが、これは政務次官、どうお考えになりますか。
○衛藤説明員 辻先生にお答えをいたします。
 先ほどからお答えしておりますが、我が国もまた先進諸国も、農業に対しては基本的には保護政策をとっておる、このように思っておりますし、例えばいわゆる国境保護措置でございますが、輸入制限品目を見ましても、一九八〇年九月、我が国は二十二品目、米国は十六品目、ECは八十三品目、スイスは八十八品目等々でございまして、この事実が厳然たる事実を示しておると思います。
 また、主要国における農業予算の比較を見ましても、これは一九八三年版でございますが、我が国は農家一戸当たりの農業予算額は六十五万円、アメリカは四百四十五万円、フランスは二百七十万円、イギリスは三百二万円、西ドイツは百五十万円、このようになっております。特に農業予算額を見ましても、日本が二兆九千二百六十七億、フランスが二兆八千六百四十二億、日本とフランスの農業予算額は大体似ておるのでございますが、ただ違うところは、国家予算に占める農業予算のシェアが日本は五・八%、フランスは実に一〇・〇%でございますし、また農業総生産額に対する農業予算の割合を見ましても、我が国は二七・四、フランスは三五・六、先ほど申し上げましたとおり農家一戸当たりの農業予算額は、フランスは二百七十万、我が国は六十五万、こういうようなデータを見ましても、今、辻先生のおっしゃるとおりに、農業あるいは基幹作物である米については十分なる配慮があってしかるべきだ、こういうふうに考えております。
○辻(一)委員 時間の点からも大蔵にはもう結構ですから、よく聞いておいてひとつ頭に入れておいてください。
 それで、最後に十分ほどですが、米価試算の要素の改善の可能性について一、二点お尋ねしたいのです。
 私は時間があれば四点、生産費を調べる場合に対象農家をどこまでとるかということと、それから家族労働の労賃評価をどうするかということ、もう一つは企画管理労働をどう見るかということ、さらに先ほども御質問がありましたが、いわゆる生産性向上による労働時間の短縮、収量の増加等によるメリット分の農家還元、この四点について触れたいのですが、時間からそれはちょっと無理なように思いますから、後の二点を先にひとつお尋ねいたしたいと思います。
 それで、これはちょっと前でありますが、附帯労働という形で、冬じゅうに、米をつくる場合に勉強会をやる、研修会をやる、視察旅行に出る、稲作の講座がある、あるいはずっと一年を通して簿記、記帳をやらなければいけない、こういうために相当な時間を実際は農家は費やしている。これをかつては附帯労働という形で見ておったのですが、米価を抑えなくてはならないというときになってこれが削られたといういきさつがあります。これを考えると同様に、家族労働あるいは生産費調査の対象農家にしても、いずれも五十六年、五十七年に、前は不作が二年ほど続いたが、これを昨年どおり算定すればどうしても試算米価が上がっていく。例えば五十六年は前年どおりに試算すれば一一・一%上がる米価を、この試算要素を変えることによって〇・五%に抑えている。それから五十七年においては、九%余り前年どおりならば上がる予定のところを、新しい算定要素を導入して一・一%に抑えているというように、前年が不作で、二年ほど不作が続けばその次には、三年平均をとればどうしても算定米価が上がる。余り上がり過ぎると困るというので算定要素を改善――私らから言えば改悪であるがいじって、米価を抑制したという歴史がこの附帯労働の問題あるいは家族労働、また対象農家のとり方等にあるわけですね。
 そうしますと、今日二年豊作があって一年不作、二年不作で普通作、豊作一年というときに抑えたならば、二年豊作で一年が普通作か不作という場合には、やはりこれはほっておけば下がるわけだから、これを少し算定要素を過去の歴史を考えるならば考慮して引き上げていく、そうすれば米価据え置きは不可能ではないと思うのです。そういう意味で、まず一つ、こういう冬から一年を通して必要な企画による労働あるいは管理労働、かつての附帯労働は当然稲作の中において正当なる労働として評価すべきであると私は思いますが、これに対しての見解はどうでしょう。
○山田説明員 お答えいたします。
 まず、企画管理労働を評価して賃金の中へ入れたらどうか、こういう御指摘であろうと思うのでございますが、稲作農家の圧倒的な大部分の方々が小規模農家でございまして、いわば経営者報酬といった面から企画管理労働を評価対象とすることにはいろいろ問題があるのではないか、こういうことが言われておるわけでございますし、また現行の算定方式が増産を誘導するようなねらいを持って運用されました昭和四十年代の前半、先ほどもちょっと申し上げましたが、当時輸入量が九十万トンだとか四十万トンだとか、四十年の前半におきましては相当の輸入をしなければならないということもございまして、増産誘導効果を図るという面からも、原価制においては問題のあったものにつきまして採用されてまいった経緯があるわけでございます。現在におきましては、企画管理労働、そういう問題もあることから、四十四年以降においては調査もやってないような実態でございまして、これを評価して入れるということはなかなか至難なわざではないだろうか、このように考えるわけでございます。もちろん、数字がないということだけではなくて、需給事情といいますものが、潜在需給ギャップというのがますます拡大するような現状にございます関係上、増産誘導効果を期待して四十年代の前半に織り込みました企画管理労働をここで採用することはいかがなものであろうかと考える次第でございます。
○辻(一)委員 米自体が潜在的に言えば過剰というか、そういう潜在能力を持っている新しい時代であるということは私もわかります。しかし、全中、全国農協中央会が調査した資料によると、いわゆる管理労働は十アール当たり大体二時間、こう言っていますね。これは私の福井県の農業会議所が二・三ヘクタール平均の相当数の農家を調査をして、具体的に十アールに五・七時間という数字を出しておるのですね。
 中身を参考に読み上げますと、集会への参加一・九時間、技術習得一・二時間、資金の調達〇・二時間、雇用調達は別として、経営設計〇・四時間、それから簿記、記帳に二・〇時間ですね。合わせて五・七時間。全中が言っている二時間というのとは随分開きがありますが、しかし、二、三ヘクタールの農家ではこれぐらいの、いろいろな勉強に時間をかけたり、あるいは記帳をやったり、相当な時間をかけておると私は思うのですね。こういうものは過剰基調にあるとかないとかそういうことは別にして、正当なる稲作の米をつくっていくための労働として評価すべきでないかと思うのですが、これについてはどうですか。
○山田説明員 先ほど申し上げましたように、企画管理労働というものにつきましては、経営者報酬という考え方がございます。したがいまして、私どもの生産費調査におきましてもこういったものを費用として評価してないような状態でございますので、これをやはり価格算定上織り込むということには、先ほど申し上げましたようないろいろの諸条件が違うということと同時に、また理論的にも問題があるのではないかと考えております。
○辻(一)委員 管理労働というものについて政府も今調査掌握していないと思うのですね。だから、本格的にどれくらい実際労働時間が費やされておるのかどうか、この実態をやはりつかまなければいかぬと思うのですね。だから、将来のために食糧庁でこれを調査項目に加えて一遍調査をやってほしいと思うのですが、どうですか。
○山田説明員 生産費調査等直接調査をお願いしておりますのは私どもの統計情報部でございますし、統計情報部の方とも協議してみたいと思います。
○辻(一)委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、今まではやってなかった、それはそれとして、新しくやれないかと聞いておるのですが、いかがですか。やれますか。
○山田説明員 先ほど申し上げましたような理論的な問題もあるわけでございますが、今先生御指摘のように実態を把握するということにつきまして、現在調査を担当していただいております統計情報部ともひとつ相談させていただきたいと思います。
○辻(一)委員 最後にもう一つ。私の福井の方、北陸の米作農家は今随分無理して機械を買い込むのですね。田植え機それからトラクター、コンバイン、そういう機械を買って随分返済に追われておるのですが、高い機械を買ってやると確かに労働時間は減りますね。だから、そういう意味の労働生産性は上がるのですね。だけれども、機械の借金に追われているというのが本当は実態なので、無理をして機械も買い、その結果として収量も上がる、あるいは努力によって収量も上がるし労働生産性も上がってくる。その分を農家にもう少し還元できないか。これは一つの企業であっても、利益が上がれば企業の利潤に一つはなるし、もう一つは労働者の賃金増加分になるし、もう一つは税金になっていくのですね。だから労働生産性が上がるとか、そういったメリット分は農家の努力に対して一定の何かの配分をすべきじゃないか、私はこう思いますが、これについては今度は考えておられるのですか、いかがですか。
    〔保利委員長代理退席、近藤(元)委員長代理着席〕
○山田説明員 お答えいたします。
 生産性向上メリットの還元という問題に相なろうかと思うのでございますが、最近におきます労働時間の減少とか単収の増というふうなこともございますが、いずれも趨勢的に向上するというふうに考えられます。そうした場合、私どもの算定方式が三カ年間の平均をとっておるわけでございますので、三カ年間の平均ということはちょうど中央値は真ん中にある。その価格を使いまして今度、今年でいえば六十一年産の米価を算定しておるわけでございますが、その労働生産性等につきまして、いろいろとバックデータを計算上使っておりますのは五十八年の平均値になろうかと思うわけでございます。したがいまして、現在におきましても、五十八年からあと二年間は既に上昇しておるわけでございますが、その実態が反映されるのは二年後ということでございまして、現在の米価に算定上織り込んでおりますものは二年前の生産性の状況を織り込んでおる、こういうふうにも考えられるわけでございますので、そういった面で、やはり今の計算方式において、二年間程度の生産性の上昇に関するメリット分は算定に入れ込んでおる、こういうふうに私ども理解をしておるわけでございます。
    〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○辻(一)委員 時間が来ましたからこれで切り上げますが、ちょっとそれだけでは納得ができないので、また後日に論議を残したいと思います。終わります。
○玉沢委員長 藤原房雄君。
○藤原(房)委員 最初に、本日米価審議会に対しまして生産者米価三・八%の引き下げ諮問をされましたことにつきまして、私どもは現在の日本の農業の現状からいたしまして、また特に稲作農家の現状からいたしまして、これは現実性がないといいますか、この引き下げ諮問は取り下げるべきであるということをまず冒頭に意見として申し上げておきたいと思うのであります。また、順次そのための問題点について御指摘をしていかなければならないと思います。
 いずれにしましても、四十四年以来今日まで稲作農家の経営につきましては減反政策をし、そして生産調整という強硬策がとられてまいりました。四十四年からですから十七年ですか、この長きにわたって農民は、自分の目の前にある畑、水田しかできないと言われるところにさえもそういう減反を強いられ、そして、ほかの作物を何とかつくらなければならないという非常に厳しい状況を突きつけられ、努力をいたして今日まで来ておるわけでありますが、そのときそのときのいろいろな社会情勢もございますが、そしてまた今日までも議論されてきたのでありますけれども、十七年という長い経過を見ますと、この十七年間の減反政策によって稲作がどういう方向に定着または目標に向かって進んできたのか、こういうことを考えなければならぬと思うのであります。短い期間ならいざ知らず、十数年という長い経過がございますから、そのときそのときの一つの目標を定め、そしてその方向に沿ってきたはずであります。四年、五年ならいざ知らず、十六年、十七年という長い経過があるわけであります。
 こういうことで稲作農家の方々が減反に大変な協力をし、そのために苦悩し今日まで参りましたことについて、農水省としてはどのようにお考えなのか、まずお聞きをしておきたいと思うのであります。
○浜口説明員 今先生お話しの問題は、米の生産調整のこれまでの経緯に関することでございます。先生は四十四年からというお話でございまして、いわゆる四十四年から試行的に行われました稲作転換問題につきましては、昭和四十六年から五十年にかけまして稲作転換対策と打ちまして、一つは米の生産調整、あるいは稲から他の作物へ作付を転換する、こういう二つの目標を掲げまして実施してまいったわけでございます。経過的に申し上げますと、翌五十一年、五十二年は水田総合利用対策ということでございまして、米の計画的生産あるいは米以外の作物の自給力の向上ということでございました。五十三年から現在実施しております水田利用再編対策というものが三期にわたりまして行われまして、当初の考え方はおおよそ十年間ということでございましたが、現在、五十九年から始まっております第三期の最終の年度を迎えているわけでございます。
 その間に至りまして、先生御指摘のとおりでございますが、当初この問題は、やや俗っぽい言い方でございますが、緊急避難的に現在の需給ギャップに対応しようということでございましたが、水田利用再編対策におきまして、先ほど掲げました前二つの対策に比較してみますと、米の計画的生産、あるいは米以外の作物の自給力の向上、あるいは農業生産構造の再編成を三つの目標ということで掲げまして、先ほどの緊急避難的なものから真正面に受けて立つ、そういう考え方に立ったわけでございます。米の需給ギャップは、今まで大臣あるいは政務次官からお話し申し上げておりますように、今後もますます拡大をすることが見込まれるわけでございます。そういったような状況に立ちまして過去を振り返ってみますと、当初の出発点と現状の水田利用再編対策におきまして、農民の方々のこういったような需給ギャップというものを前にしてのいろいろの知恵といいましょうか英知といったようなものが各地におきまして展開されておりまして、私どもはそういったものを教訓とし、あるいは経験とし、集約をしつつ現在実施してまいったわけでございます。
 集約して申し上げますと、これまで、特に水田利用再編対策でございますが、これにおきましては、当初の目標面積というものを各年度におきまして超過達成をしていただいておりまして、そういう意味で、農民の方々の御支援というものによってこの水田利用再編対策というものが実施されたというふうに我々は理解しております。今後におきます点については、既にこれまでも申し上げておりますが、ポスト三期というふうに言われておりますけれども、これまでの特に水田利用再編対策といった第一期からの九年間におきます経験といったものを集約いたしまして、担い手の問題あるいは作付、輪作体系の問題等々を頭に置きまして、日本の水田の基幹的な作物であります稲、それをめぐります水田といったようなものの将来展望を把握しながら立案に当たりたいというふうに考えているわけでございます。
 こういった点につきましては、繰り返すようでございますけれども、農政審議会等におきまして、ことしの秋をめどに御議論を賜っております。そういったような御意見を賜りながら、ことしの秋を一つの目標といたしまして次期対策の立案等にも取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○藤原(房)委員 経過については私もよく知っているわけであります。経過も大事ですが、この十数年経過して今日に至りましても、需給ギャップをどうするかということはいろんな議論もあったわけでありますし、きのうきょう突然起きてきたことじゃございません。それぞれこの需給ギャップを埋め合わせするためにどうするかということで今日までもいろんな検討をし、そしてまた、そのために農民の方々の協力も得て今日に来ているわけですね。こういうことで、今までの増産一辺倒から、減反は四十四年、四十五年、そして実際的には四十六年ですか、五十三年から水田利用再編対策という経緯をたどってまいりましたけれども、そういう努力に対して現状は、時間の経過を経ながらもやはり同じことが繰り返されて、今日同じ議論がまた行われているとしか思えない、こんな感じがしてならないのです。
    〔委員長退席、近藤(元)委員長代理着席〕
 昨日も農林大臣にいろんなことを申し入れに参りました。農業というのは一年に一遍しか作がとれないということで、構造改善や、またいろんな計画を立てるにしても時間と金がかかるんだということを大臣言っておりましたが、そこまでの理解があるならば、今後の農政上やはり時間とお金をかけるという、かかるんだという前提の上にある長期を見通した計画、そしてまた着実な目標設定の中でそういうものが達成できるように農民の協力も得ながらということでなければならないと思いますが、今、この米価決定に当たりまして、今日まで一生懸命政府に協力をしてきた、減反政政策に協力してまいりました農民の方々、そしてまたコスト低減ということに一生懸命努力してきた農民の方々、これが努力をして、そのときそのときの目標に渋々力を合わせてきましても、アリ地獄のように次々とまた問題が提起をされて、需給ギャップとかいろいろなことを言って、そして思うような農業経営が確立できないということが非常に危惧されておる。
 今の農業団体のいろいろな要求書を見ましても、ポスト三期に対して大変な不安を抱きつつ、米価もさることながら、この先またどうなるかということに対する非常な不安を抱いている。十数年経過をしていながら、なおかつまだそういう状態が今後も続くというのでは、これは農民に対して不安感をかき立てる以外の何物でもない。やはりもっと長期を見通し、そしてまた一つの希望の持てるような農政の確立というものが大事だと思うし、今までもそういう目標を定めながら一歩一歩進めてきたのではないかと思うのです。いろいろな、そのときどきの凶作、不作、豊作、事情もございますけれども、振り返ってみたときに何だったのかという、こんなことのないようなこれからの目標設定、そしてまた農民に対する理解ある協力、こういうことで今後の農政についてはぜひひとつ展望の持てる方向性というものを明示していただきたい、こう思うのですが、政務次官、どうですか。
○衛藤説明員 過去十九年にわたりまして努力してきたその歴史というものは、御案内のとおり、一つは食管を守る、しかも単に守るだけではなく、内容のある食管を堅持する、そしてしっかりとした米穀政策を確立する、こういう大枠の中で、この十九年間いろいろの経済情勢の波をかぶりながらあらゆる努力が払われてきた、そして今日があるわけですが、言うまでもなく消費が思うように伸びない、この消費拡大の努力はもちろん払われてきたところでありますが、いかにして消費を拡大していくか、こういうことも構造政策と同一のレベルで真剣にこれからも取り組んでいくべきだ、このように考えております。
 いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたとおり、この十九年間にわたりまして農水省を中心に、また農家の皆さん方の御協力をいただいて懸命の努力をしてまいった、私はこのように考えております。
○藤原(房)委員 その農水省の努力と、そしてまた協力をしてきた農民に対して、この十九年努力をしてきたことに対して、その姿というものをぜひひとつお認めになられ、今後も農民に対して、やはり協力を得ながら進めなければならぬ、農水省だけでできることじゃございませんから。そういうことで現状というか実態といいますか、そういうものに対してはしっかとひとつ見定めて、適切な施策を進めていただきたいと思うのです。
 こういうことから考えますと、毎年議論をしなければならないのが生産者米価決定に当たります決定要件、要素、これが非常に農民の不信感を買うといいますか、豊作のときは豊作、凶作のときは凶作、この数字いじり、最初に数字ありきで、それにそのときそのときの社会情勢に応じて諮問がはじき出される、こんな感じがしてならないし、個々の問題につきましても、先ほど来同僚委員からいろいろお話がございましたが、農家の方々から見ますと、どうも数字いじりして、生所方式とはいいながら実態とはかけ離れた要素が非常に多いということに対しての非常な不満がうっせきしていることは、皆さんも御存じのとおりだと思います。
 今回のこの三・八%の引き下げ諮問ということにつきましても、正当な生産費の補償という生所方式というものが、現在の社会情勢の中で、いわゆる生所方式によってきちっとはじき出されたかどうかということに対する農民の非常な不信感があるわけであります。その問題、個々についてはいろいろ同僚委員からの指摘もあったわけでございますが、こういうことを考えますと、これからまた農民の大きな協力を得ながら次の対策を進めなければならない、こういうことを考えますと、やはり算定方式というものがもっと確固たるといいますか、不信感を抱かせないような形でこれがなされるべきだと思うのでありますけれども、農水省としてはこの算定方式についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、ひとつお聞きをしておきたいと思います。
○山田説明員 お答えいたします。
 現在の私ども採用しております生産費及び所得補償方式でございますが、御案内のとおり、三十五年に採用いたしまして、以来ずっとこの方式でやってまいっておるわけでございますが、先ほど御指摘のようないろいろ問題もあるということで、五十九年の五月に米価審議会に価格算定のための小委員会を置いていただきましていろいろ御検討を願い、それの御報告を受けたわけでございますが、その中で述べられておりますのに、「稲作に要した費用を補てんするとともに家族労働費について都市均衡労賃を補償するという生産費及び所得補償方式の基本的考え方は、現在においても妥当性を失っておらず、また、この方式は農家にとってなじみの深いものとなっているので、生産費及び所得補償方式を維持するという考え方に立ってその安定的な運用を図っていくことが適当である。」このように結論をつけられておりまして、現在なお妥当な方法であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
○藤原(房)委員 過日、北海道で七千戸の農家を対象にしまして農業の実態調査をしたデータがあるのですが、農民の方々も非常に御努力をいただいておる、そういうことがこのデータの中にはよく出ておるのですが、農家の人たちの農業観というのは、三七・五%の人は創意工夫を生かせる、農業というものについては、いろいろな努力をすればそれが創意工夫によっていろいろな面で生かせる、こういうふうに感じておる方がおよそ三七%。また、国民の生命を守るという考えの上に立っている方が一二%。ただ、三〇%近い方々は天候に左右されるということで非常に不安感といいますか、そのときそのときの天候というものに左右される、そういう意識を非常に強く持っている方々が三割。一八・六%の方々は労働が報われないといいますか、自分が一生懸命努力してもその努力が報われないという感じを持っている、こういうデータが出ているのです。
 ですから、それは規模とか立地条件とか、また労働形態とかいろいろな差異がありますから、一様に平均化して言われない点もあるかもしれませんが、非常に意欲的に取り組もうという方々については、自分の創意工夫が生かされるということで非常にそれなりの努力をされる。ところが一方では、一生懸命働いてもそれがなかなか報われない、そしてまた天候に左右されるということで、非常に不安を抱くという方がやはり半分近くいらっしゃるということも事実です。こういうデータがございまして、本当に希望の持てるといいますか、農家の方々に対してもう一歩明るい日差しを当てるならば、やはり希望を持ってやっていける要素というものは十分にあるのではないかと私は思うのです。
 暗い面だけ言われておりますが、北海道のことですから、将来の経営について、今後さらに経営規模を拡大しよう、こういう意欲の人が四五・九%といいますから、およそ半分近い方々がいらっしゃる。そういうことよりも、現状維持でやっていこうという方々が四九%と言われているのですが、他産業に転換したいという方々は非常に少ないわけでございまして、農業をやっておられる現在の方々については、非常に意欲的に取り組もうという姿勢や、また創意工夫を生かせるということに非常に生きがいを見出しておる。しかし、そういう中で一生懸命努力してもその努力が報いられぬぞという方も数多くいらっしゃる、こういうデータがございまして、北海道の場合には平均二千万という負債を抱えているということが言われているわけでありますけれども、そういう中にありながら、こういう一つの生きがいを見出しながら努力をしている。
 今回の米価決定に当たりましても、そのときそのときの諸情勢によって算定要素のとり方を、これは農業団体からも強く指摘をされて、今答弁ありましたが、お話とは違ってやはり非常に厳しく見ておるわけでありますけれども、再生産が可能な方向で、このたびの米価決定に当たりましてはそういう農民の心情というものも、そしてまた将来を見通して営農に意欲を持っていけるような、そういう方向性というものをぜひひとつ農水省としても十分に考えてもらいたいと思いますが、その辺についてはどうでしょう。
○山田説明員 お答えいたします。
 今、先生の御指摘のような生産者の悩み、また意欲、いろいろの問題点のあることも私ども聞き及んでおるわけでございますが、今後できるだけこうした生産者の方々にも現状を十分御理解いただいて、その上で適正な米価を決めることが好ましいのではないか、このようにも思っておりますし、現在米価審議会に諮問させていただいておりますが、審議会の御意見なり、また各界の御意見等もお聞かせ願って、最終的には適正な価格決定に持ってまいりたいと考えております。
○藤原(房)委員 この算定方式について農民団体のいろいろな要望も出されておりまして、その点については十分に農水省としてもおわかりになっていらっしゃることだと思うのですが、この現行方式の不合理の一つとして潜在需給ギャップですね。この潜在需給ギャップを反映させることの意味ですけれども、確かに水田利用再編第三期対策で、六十一年度には他用途利用米も含めて六十万ヘクタール転作を実施しているわけですね。そして千九十四万トンですか、消費量との間にはかなりのギャップのあることは事実ですが、このギャップは生産者の理解と協力で実際は生産されてないわけですよね。それは作がいいとか悪いとかというそのときの少しばかりの変動はあるかもしれませんけれども、需要量に見合った米しかつくられていないという現状の中で、潜在需給ギャップという考え方というのはどうかという疑問を非常に抱くのですが、どうなんですか。
○山田説明員 先生御指摘のように、生産者の方々に転作をしていただきまして、その成果は計画以上のものを上げていただいておるという実態にあるわけでございますが、その実態そのものを私どもも否定するものでもございませんし、また、不必要なものをおつくりいただくということも過剰米というようなことになるわけでございますので、そうしたことは厳に過剰米にならないようにというふうな管理をしていかなければならないと思っております。
 ここで私ども、生産者の生産費を把握する際におきまして、対象の農家をどのように選定するか、こういうことに相なるわけでございますが、その際何らかの需給事情を反映させる方法といたしまして、今先生御指摘のような潜在生産量必要量比率、こういうようなものを計算さしていただきまして、一応対象農家の選定に使わしていただいておるようなわけでございます。確かに作況変動というふうなものはあるわけでございますが、生産者に御協力をいただいておる、こういう面におきましては過剰というふうなものが出ない、こういうふうにも考えられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、多額の予算を投入いたしまして、それで初めて需給が均衡しておる、こういう実態でもございます。そのような実態にあるわけでございますので、やはりこの際生産を刺激して過剰米云々というふうなことにならないように、こういうふうなこともございまして、私どもは現在のような算定方法をとっておるわけでございます。
 この算定方法につきましては、米価審議会の価格算定小委員会におきまして御議論もいただき、大方の合意を得ているような方式でございますので、やはり何らかの需給事情を反映させるという手段といたしまして現在のところ最も適正な方式ではないだろうか、このように考えておる次第でございます。
○藤原(房)委員 生産コストを低下させるといいますか、農業としましてもできるだけ低コストで生産できるように努力をする、そういう努力というものが、努力したものが何らかの形にあらわれて報いられたという形が望ましいわけですが、努力をすればするほど、次にまたそれが報いられるのじゃなくてかえって足かせになる、こういうことではならぬのであって、そういう点で需給ギャップということでいろんな考え方が今述べられましたけれども、先ほど来申し上げておりますように、やはり農民の方々も、自分の努力や創意工夫というものが生かされる、そういう一つの農業に対しての考えがあるわけですけれども、次々と障害が出てきて、努力したことがいろんな数字や何かの要素で削り取られるということでは――確かにこういう国際情勢、日本の経済情勢の中で米価が大きく引き上げられるということは、またかつての二の舞といいますか、大きな生産増を招くことになることは事実ですけれども、しかしこの数字をはじくということの中でそれほどの意味があるのかどうか、私は非常に疑問に思うのですよ。
 とにかく低コストの米づくり、こういうことに努力することに対しては、農水省としても当然そうあるべき方向だろうと思うのですけれども、そういう方向で一生懸命努力したら、それは何らかの形に出てこなきゃならぬ。そういう報われなければならないところが断ち切られるような感じがしてならないのですよ。そこらあたりの意識といいますか、実際農業に携わる方々と、机の上で計算なさる皆さんとの大きな一つの違いなのかもしれません。ぜひこれは今後ひとつ御検討いただきたいと思います。
 時間も来ましたのであれですが、最近、全国の市長会とか町長会、こういうところでも農業がどうあるべきかということについても非常に真剣に討議をされておりまして、六月四日、全国市長会におきましても、農業に対するいろいろな提言といいますか要望といいますか、こういうものが出されておりますね。その中の一つについては、さっきも同点か申し上げましたが、「長期的展望に立った需給見通しと四全総における水田農業の位置づけの明確化。」こういうことが全国市長会の農業を考える一つの基本的な姿勢ということで述べられておりますし、また、「次期対策は地域の振興に資する総合的な施策とすること。」こういう形でも基本的な考え方というのは述べられておるのですよね。
 私は最初に申し上げましたが、十九年近くこの減反政策を続けてきて、今振り返って、これは一体何であったか、これは後日また時間をかけていろいろな角度から議論しなければならぬことだと思うのですが、「長期的展望に立った需給見通しと四全総における水田農業の位置づけの明確化。」というこの全国市長会における要望、要望といいますか基本的な物の考え方というのは、確かにそれぞれの地方自治体を預かる方々にとっては、自分のところの、我が町の地域経済を左右する重要な農業に対しまして、きちっとした位置づけ、そしてまた明確化というものを要望される大事なことだろうと思うわけであります。
 こういう農業に対する強い基本的な考え方が打ち出されておりますし、これらのこと等を考え合わせまして、ぜひひとつ農水省、きょうは米価の決定に対しての問題でありますけれども、それとともにまた、今後どうあるべきかという大事な、これからの未来を指向する、こういうことでぜひひとつ基本的な考え方について政務次官のお考えを聞いておきたいと思います。
○衛藤説明員 藤原先生にお答えいたします。
 先ほど先生のお持ちになる、いわゆる北海道の七千人の農家の皆さんのデータが公表されたわけですが、その中で、農業に対しては創意工夫をしていけばやりがいがある、三七・五%。また、国民の命である食糧を預かっている、そういう立場からやりがい、生きがいを感じている、一二%。合わせて四九・五%、二人に一人の方がいわゆるやりがい、生きがいを農業に持っておる。さらに今後規模拡大をしたいという方々が四五・九%ある。このデータを今拝聴いたしまして、私はむしろ意を強くした一人であります。こういうデータの裏づけの中に、先生の御指摘のありました全国知事会あるいは市長会等の各行政の首長からの御要望である長期的なビジョンに立ったところの農政の確立と、来年度から始まります四全総におけるいわゆる水田農業の位置づけをしっかりしてもらいたい、この二点につきまして、十分に先生の御意見を踏まえまして、農水省の方で対応してまいりたい、このように考えております。
 よく農村は住みやすいけれども暮らしにくい、部会は住みにくいけれども暮らしやすい、こういう言葉があるわけでありますが、これがいわゆる農村の抱えておる一つの問題点でもあるような感じがするわけでありまして、流した汗が報われるといいますか、しかも長期的展望に立った農政の確立、そういうことに向けての懸命の努力をしてまいりたい、このように考えております。
○近藤(元)委員長 代理 神田厚君。
○神田委員 六十一年産米の政府買い入れ価格の問題、米価の問題で御質問しますが、まず最初に衛藤政務次官に、政務次官は選挙の公約で、これは大臣にも御質問したのでありますが、米価問題につきまして、米価は安過ぎる、主食である米の安定供給を図るため、生産者の所得確保としての適正な価格維持は必要である、こういうふうに述べておられますが、マイナス三・八%の諮問米価についてどう思いますか。
    〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○衛藤説明員 私といたしましては大変複雑な気持ちでございまして、事実、選挙時点における国会議員の立場での私のアンケートに対する答えは、私の確信に満ちたものでございます。ただいま政務次官という立場で、御案内のとおり先般大臣が出したいわゆる諮問米価につきまして、ずばり私としまして、農水省の懸命な努力の一つの集約されたものが今回の諮問米価に出ておる、このように考えております。
 御案内のとおり、事前米審、前広米審におきまして、米審の委員の皆さんから資料要求がございました。その資料要求のときに、いわゆる生産費所得補償方式に基づいて、その各ファクターを入れて計算した結果というものは、マイナス六・六%という数字が出ておったわけでありますが、今回農水省におきまして、食糧庁におきまして、大臣が最終的に先般諮問した生産者米価がマイナス三・八%、二・八%の事前米審よりの、いわゆる農水大臣としての、農水省としての生産者サイドに立ったぎりぎりの、というよりも懸命なその努力の成果といいますか、努力の結果が今回の諮問米価にあらわれておる、このように考えておる次第であります。
○神田委員 米価は安過ぎるという選挙民に対するあるいは生産者に対する公約、さらに、現実には三・八%のマイナス諮問がされたという状況、これらを考えまして、やはり政務次官も、立場は変わったということでありますが、政治家としてのその信念というものはお持ちになっておるわけでありますから、生産者の所得確保としての適正な価格維持が必要である、こう述べておりますけれども、このマイナス諮問米価が、そういう意味におきまして適正な価格であるというふうに考えておられるのかどうか。
○衛藤説明員 私は、昭和三十五年から今日までにおけるいわゆる生産費所得補償方式に基づいた米価、また諮問米価、さらに答申米価、さらに政治加算された等々の最終的な米価、その過去のデータ等を私なりに見てとっておったわけでありますが、ことしの生産者米価が、この生産費所得補償方式の図式を当てはめた場合大きくマイナスになる、マイナス六・六になるというようなそういう私なりの判断がなかったわけでありまして、アンケート調査を求められたあの時点において、私は、元来生産者米価というものは安い、これはさらに引き上げるべきだという基本的な考え方を持っておりまして、そのようなアンケートのお答えをしたのであります。きょうこの日、生産者米価がマイナス三・八、このように出たこの厳粛な事実、私にとりまして極めて複雑な気持ちである、そのように申し上げておきたいと思います。
○神田委員 米価審議会は、生産者側委員の猛烈な反発によりまして、結局本日は実質的な審議を行わないで打ち切りになったようでありますが、生産農民の気持ちは、まさに三・八%マイナスという諮問につきましては、大変な憤りと農政に対する失望を持ったのではないかと私は思っております。そういう意味で甚だ遺憾な諮問であるというふうに考えておりますが、我々は諮問を撤回することを要求をして現在さまざまな申し入れ等のことをしておりますが、あす以降の米審の動向をよく注意していかなければならないと思っております。
 そこで、今算定要素の問題が出ましたが、今回この試算の算式を見ておりますと、従来になかった要素が取り入れられております。つまりアルファですね、収量変動平準化係数というものが取り入れられたわけです。これは従来なかった新しいことだと思うのでありますが、これを取り入れた理由等についてちょっと御説明いただきたいと思います。
○山田説明員 お答えいたします。
 今御指摘の収量変動平準化係数でございますが、これを取り入れました理由は、農産物でございますのでやはり収量変動がある、その収量につきましての変動が最近相当著しいものがございまして、従来から計算しておりました三年平均ということでやってまいりますと今年も相当急激な引き下げになる、こういうことも考えられるわけでございまして、昨年米価審議会の委員の方から、このような収量変動に対する平準化の道についても配慮すべきではないか、こういう御意見が一つございましたし、また本年の前広米審におきましても、収量の変動というふうなものについて激変緩和的な何かいいアイデアはないかという御指摘もあったわけでございまして、私どもは、価格算定の安定性が確保される、こういうふうなことにもなり、かつまたいろいろと問題もできるだけ起こさないような方式があるかどうか、先般来から鋭意検討してまいりました結果、ここの算式に見られますような五カ年の収量と三カ年の収量の比を出しまして、それで修正していったらどうか。
 ただその際、五カ年間にわたる収量につきましての平均でございますが、これにつきましては、五カ年間の大幅な期間をとりますと技術水準が相当変わるわけでございますので、それを修正するためのAとかB、こういうふうな計算もやらせていただきまして、分子の方にあります期間と分母にあります期間の技術水準というふうなものをできるだけ整合させるということも考えまして、このような方式を取り入れさせていただいたわけでございます。
○神田委員 答弁を聞いていますと、激変緩和ということで取り入れたということでありますが、非常に複雑な取り入れ方をしているようでありますね。三年とか五年とか分けて、しかもその五年も全部平均でなくていろいろなさっているようでありますが、ことしの米価においてこういうことをやった、新たに取り入れたということでありますが、これは一年限りのものなのですか、それともこれから以降もこういう考え方を持ち続けるのですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 今回は豊作の影響度合いが強く出る、こういうことに相なるわけでございますが、不作時におきましても適用される、こういうことで一応この方式は一貫するのではなかろうかと考えております。
 なお、この問題につきましては、米価審議会にも初めて提出させていただいた方式でございまして、その辺の御意向も聞く必要があろうかと思いますが、私どもといたしましては、豊凶両方に働いて、なおかつ変動が小幅なものになることが好ましいのではないかと考えております。
○神田委員 そうしますと、これは聞いておりますと、どっちにでも使える。要するに不作のとき、豊作のとき、それぞれこの数式をいじることによって、つまりこの収量変動平準化係数という考え方については持つけれども、豊作においても、この係数といいますかその算式をいじることによってそれが激変緩和ではない形になる、つまり両方に使えるような考え方をお持ちになるのですか。
○山田説明員 今回のケースでございますと、具体的に申し上げますと、豊作要因が強く働くことによりましてコストが極端に下がる。コストといいますか、今回の算定でマイナス要因が非常に大きくなるということでございまして、それを平準化することによりまして小幅にしようというわけでございます。また凶作要因が出てまいりました際におきましては、もちろんコストのアップ、それにつながる、ここで算定されます結果も値段が上がるという方向に働くわけでございますが、それも平準化される、こういうことに相なるわけでございます。プラス・マイナスの幅を大きく振れないような格好に平準化しようということでこの方式を採用しているわけでございます。
○神田委員 そうしますと、ことし採用したこの算式をそのまま来年も使うということではないのですね。また、例えばAとかBとか、そんなことも全部いじり直すということですね。
○山田説明員 いや、中身はいじり直すということには当たらないと思うのでございますが、ここで見ていただきますと非常に単純でございまして、数式はちょっといかめしいのでありますが、当てはめる数字といたしましては年々の生産費単収――私たちがこの算定をする場合の単収があるわけでございますが、例えばアベレージH1といいますれば六十年産の十アール当たりの平均収量でございます。アベレージH2が五十九年産、アベレージH3が五十八年産、それぞれ十アール当たりの平均収量でございまして、これを三で割るとか、分母の方にいたしましても今申し上げましたアベレージH1、アベレージH2、アベレージH3はそれぞれ上と同じでございますし、アベレージH4は五十七年産の十アール当たりの平均単収、アベレージH5が五十六年産の十アール当たりの平均単収、これはそれぞれ計数的には非常に固まった数字でございますし、またA及びBにつきましては、九ページの方に挙げておりますようにY1からY2、Y3、Y4、Y5とありますが、これらも統計情報部の方から十アール当たりの平年単収というふうなことで毎年公表されておるものを基礎として計算するわけでございますので、これを恣意的にどうということには使えないものではないか、こういうふうに考えております。
○神田委員 それでは、次に政務次官にお尋ねしますが、このような低諮問米価で果たして稲作農家の将来展望が持てるのかどうか、どういうふうにお考えになりますか。
○衛藤説明員 先ほどから申し上げておりますが、あくまでも食管を守らなければならない、そして再生産ができるしっかりとした米穀政策を確立しなければならない、この二点に立ちまして、もちろん農業後継者の問題を初め生産基盤整備、さらには流通機構の整備等々総合的な政策、構造政策、そういうものを相補いながら、稲作農家がしっかりとした展望を持てるような稲作農政を打ち立てていかなければならない、このように考えております。
○神田委員 ですから、こういう低米価で果たして稲作農家が将来展望を持てるとお思いですか。
○衛藤説明員 稲作農家が将来展望が持てるような懸命の努力をしなければならないし、またできるだけの努力を私どもとしてはしてまいりたい、このように考えております。
○神田委員 答弁の意味がよくわかりませんが、私は、こういう低米価が続いていく状況の中では、稲作経営農家というのはなかなか将来展望を持てない状況になっている、したがって後継者問題を含めて大変深刻な事態に至るのではないかという心配をしております。
 懸命な努力をしていただけるという中で、一つは価格問題についてもう少し努力をしていただかなければならないし、価格問題が生産なり農業経営に対する意欲を相当かき立てるものでありますから、そういう意味ではもっと配慮した価格政策を農林省はとるべきだと私は考えております。
○山田説明員 お答えいたします。
 今、価格政策に言及されまして、今後の稲作農家が将来展望が持てるような積極的な価格政策をとれ、こういう御指摘であったかと思うのでございますが、御案内のように、需給事情等相当の潜在生産力のギャップがあるような事態でございますので、私どもといたしましては、やはり価格政策による所得確保的な効果、これを極端に広げますと、今の過剰というふうなことにも――今のといいますか、従来ございましたようなそちらの方向にも進むおそれもあるわけでございますので、価格政策としては適正な水準で設定させていただきまして、各般の施策を総合的にとることによりまして、今の稲作農家の将来展望というふうなことにつながるような対応をとっていかなければならないと考えております。
○神田委員 一つは、米の消費拡大というものがずっと叫ばれていながら余り進まない状況があります。政府としましてもこれについていろいろな努力はなさっているのだと思うのでありますが、例えば学校給食の問題一つとりましても、まだまだ米飯給食を導入する余地がかなりあるわけでありまして、そういう意味で米の消費拡大、これは国を挙げてその対策に当たらなければならないと思っているのでありますが、その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
○山田説明員 お答えいたします。
 米の生産調整を一方でやらなければならないということも、消費の拡大がどんどん図られればその調整面積等を減らすということにもつながるわけでございますので、私どもも、米の消費拡大対策ということにつきましては、従来から積極的に取り組んでまいっておる次第でございます。
 なお、この問題につきましては、国民の嗜好につながる面も一つにあるということと同時に、一方では食生活が非常に多様化してきておる、こういうこともございまして、その急激な効果を上げるようなものに相なってないわけでございますが、今先生御指摘の学校給食に対する米飯導入、こういうことにつきましても、昨年も導入比率、回数の少ないような大都会の小学校、中学校にどのようにすれば回数をふやしてもらえるだろうか、こういった点についても文部省にいろいろと御協力願いまして、現在では大都会でだんだんと回数がふえておる、こういう実態も出てまいっておるようなことでございまして、今後ともこの問題につきましては地道に粘り強く対応してまいりたい、このように考えております。
○神田委員 どうも本気になって消費拡大をやるという姿勢が余り見えないところに問題がありますね。米価をマイナス諮問をしなければならないような状況に来ている中でありますから、もっと米の消費拡大については農林省を挙げて努力をしていくという形でなければ問題があるというふうに思っております。
 それから同時に、米価と同じように農民が今心配しておりますのはポスト三期対策でありますが、その中でも、転作面積等の問題もございますが、転作奨励金等の問題が非常に心配されておる。米価は上がらない、そして転作奨励金は削減されておる、こういう状況になりますと、まさに日本の農業というものは衰退の一途をたどる、そういう兆しが見えてくる。どこかで希望を持たせるような、どこかで希望が持てるような農政をやっていかなければならないと思っておりますが、この辺の、ポスト三期の奨励金等の問題については現在どういうふうに考えて、大蔵との間でどういう折衝がなされておりますか、経過を御説明いただきたいと思います。
○浜口説明員 ポスト水田利用再編対策の問題について先生からの御質問でございます。
 我が国の農業の基幹作物であります米について先ほど来申し上げておりますが、生産力が需要を大幅に上回っており、その需給ギャップはなお拡大する方向にあります。米の需給を均衡させつつ豊作物の総合的な自給力の向上を図るためには、長期的な視点に立って、需要の動向に即して米の生産を計画的に調整し、先生御指摘のところの厳しい財政事情にも配慮した上で、麦、大豆、飼料作物等の生産拡大と、農業経営におけるその定着化を図る必要があると考えております。このような考え方に立ちまして、昭和五十三年から水田利用再編対策が実施されているわけでございますが、現在その対策も第三期の最終年度に当たっているわけでございます。
 この後の対策のあり方につきましては、農政の最重要課題ということでございまして、スケジュール的には本年秋までに骨格を固めてまいるということでございます。そういう意味で、奨励金等の御質問がございましたが、まず具体的内容につきまして骨格を決めつつ、そういった具体的内容も、今申し上げました秋までの間に決めていこう、こういう考え方に立っております。
 なお、付加的に申し上げますれば、この点につきましては、米の需給均衡を着実に実現するような現在の情勢に即応した有効な調整手段であること、あるいは将来の水田農業のあり方を展望いたしまして、今後の豊作物の需給状況も踏まえまして、農業生産構造の再編成が図られるものとすること、あるいは先ほど御質問のございました日本型食生活の定着という観点に立ちまして、今後とも米の需要拡大に努めていくこと等の諸点を、財政的な面も含めまして配慮する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、次期対策につきましては、農政審議会を初めといたしまして関係各方面の意見をお聞きいたしまして、鋭意検討してまいる所存でございます。
○神田委員 マイナスシーリングという厳しい状況の中でありますが、さらに奨励金等々の切り込みがされるという方向でもあるように聞いておりますけれども、私は、先ほども話しましたように、米価は上がらない、それから奨励金はどんどん切られるというような、まさに夢も希望もないような農政にしてほしくない、今こそ日本の農業というのは危急存亡のときだと思っておりますから、農林省挙げて日本の農業を守るためにあらゆる努力をしていただきますことを要望いたしまして質問を終わります。
○玉沢委員長 寺前巖君。
○寺前委員 遅くまで御苦労さんでございます。私が最後の質問のようですから、最後まで御協力よろしくお願いします。先ほど大臣に質問をしたわけですけれども、さらに深めて聞かせていただきたいと思うのです。
 まず第一点は、五十二年以降算定方法がいろいろ変わってきておりまして、事実上生産者米価据え置きということになってきておるわけですけれども、五十二年を基礎として、あれまでの算定方式のままでいったらことしの生産者米価は一体幾らになりますか。五十二年を基礎とすると何%アップさせることになるのでしょうか。
○山田説明員 お答えいたします。
 五十二年方式で米価を試算いたしますと、基本価格は玄米六十キロ当たり二万一千六百八十九円になります。これは六十年産米価に対しまして一六・二%の上昇でございます。
○寺前委員 政務次官にお聞きしますが、さきに大臣質問のときに私言っておったのですが、生産費は二万百三円で、実際の米価は一万八千三百九十八円、ですから生産費の方が高くついている。これはおたくの方の資料をもとにして出したわけです。明らかに生産費は償えないという事態が生まれている。これは先ほどの質問で終わったことです。
 そこで、この二万一千六百八十九円、あの当時の算定方法をとっておったら極めて合理的なのに、その間の算定方式を変えたからこういうことになってしまっているのではないか、もとに戻すべきだと思うのですが、あなたはいかがですか。
○衛藤説明員 計数等とり方の技術的な問題がありますので、山田次長にお答えさせたいと思います。
○寺前委員 そんな計数のはじき方を聞いているんじゃないんですよ。現実的には生産費を食い込む事態にまでなってしまっているのがことしの諮問案でもある、去年でもあった。ですから算定方式、それは後からいろいろ理屈はつけますよ。何とつけようとも、生産費を補償していないという結果が出ている。それだったら、むしろ五十二年当時にやっておった方がむちゃくちゃではなくて合理性を持っているのではないか、直観的にそういうふうに思うけれども、あなたは思わないのか思うのかということをお聞きしているのです。算定方式じゃないです。
○山田説明員 ちょっと先にお答えさせていただきます。
 今先生の御指摘の点でございますが、生産費は、御案内のように規模の非常に小さいものから大きいものまでの総平均でございますし、したがいまして、私どもの算定しております、特に今御指摘の過剰の状態にだんだん入ってくるような段階のところでございますので、諸要素のとり方は現在のとり方よりは相当違っております。そういった結果もございまして、生産費を償うのではなくて、現在の第二次生産費を割っておる、こういう実態に相なっておると理解しております。
○寺前委員 政務次官、お答えがないので私は非常に残念に思うのです。やはり率直に言って、先ほども大臣のときに私申し上げておりました。あなたたちの資料によっても償えている、生産費補償をやれているというのは、農家全体からいうと部分なんだ、ですから、農家に非常に大きな迷惑をかけているのだよ、これは食管法の基本にも反しているよということを提起しておったわけですが、それでは少し角度を変えたいと思います。
 潜在需給ギャップを米価算定に反映させるといってことしは一八%の農民を除外している、これは間違いございませんね。
○山田説明員 生産しております農家のうち、私ども八二%といいますのは、生産数量の累積でもって八二%というところまでをとっておるわけでございますので、戸数ではございませんで生産量シェアで一八%を除いておる、こういうことに相なります。
○寺前委員 それでは、その一八%の対象は需給計画には入るのですか、入らないのですか。
○山田説明員 こうしたものも需給計画の中には一応カウントされております。
○寺前委員 では政務次官にお聞きします。
 計画に入っていながら、生産費の計算をするときには除外されるというやり方はおかしいのではないでしょうか。私には理解できないですが、あなたはどう思われますか。
○衛藤説明員 お答えいたします。
 総供給量ということで、いわゆる飯米農家の分もその中に入れておる、そういうとり方をしておるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
○寺前委員 もう少し私は研究してほしいと思うのですが、やはり生産費補償というのは、国民が必要とする米全体に対して生産費、再生産できるように補償するという角度から物を見てもらう必要がある。とするならば、この一八%を除くというのは私は解せないということを申し上げて、次に移りたいと思います。
 その次には、労賃のとり方が昔と非常に変わってきています。先ほどちょっと資料をいただいて見ておったのですが、現在、製造業五人以上の労働者の全国平均賃金は、一時間当たり千五百十円です。これに対して、政府がことしの米価算定に当たって家族労働の評価に使った賃金が千百二円と、二七・二%も低くなっています。五十六年から採用した、賃金水準のより低い地方の労働者に合わせて家族労働を評価するというやり方をとってきているわけですが、そもそもこの生産者米価を決めるのに当たって、都市と農村との差を縮めていくんだという精神があったと思うのです。都市並みに農民の水準を高めていくんだ、そういう積極策があったのに、農民の――農村部におけるところの賃金は低いですよ。それは農業が低いからなんです。そこに引きずり込んでいくという賃金の決め方になってきているというのは、また、基本的に最初に食管のときにとった態度とは著しく変わる計算の仕方になってきているというのは、これは解せない問題です。
 きょうの資料を見ていますと、五十五年には千九十三円であったものが六十一年度において千百二円、この六年間に〇・八%しかアップしていないことになっているわけです、農民の家族労働の計算は。ところが、同期間の製造業の労働者の賃金といえば、これは春闘が賃上げをやらない、ストなし春闘何年などと新聞に書かれたその年代になるわけです。その年代であっても、製造業の労働者の賃金は二九・七%もアップしている。農村の労働賃金というのを著しく低く抑えていくという役割を、むしろこの生産者米価の算定のときに果たしているのではないか、そういうふうに私は言わなければならぬと思うのです。昔のように全国の労働者の平均賃金を基礎にしてそこに引き上げていく、都市と農村との差を埋めていく、そういう積極策に打って出るべきだ。そうでなかったら疲弊していく農業は救われないと思うのです。二大産業の一つの柱です。政務次官、どう思われますか。
○衛藤説明員 この計数のとり方については、経済事情とかあるいは労働事情とか、そういうものを織り込んでとらなければならないわけでありまして、一律にこの図式の中にこれを持ち込むということは難しいのではないか、このように考えております。
○寺前委員 この点についてももう少し、農業は本当に二大産業の一つの担い手でありますから、ぜひもう少し深く突っ込んで研究をしてほしいと私は申し入れたいと思うわけです。
 その次に、今回三十年ぶりですか、マイナスの諮問を出されたということになるわけです。それは売買逆ざやが完全に解消され、順ざや状態に突入する、そういうことになります。こうなると、この食糧の管理経費です。これは順ざやになったものですから、管理経費の中に食い込んでいくことになりますよ。あの管理経費というのは、食糧庁の職員の人件費その他ずっと入っていると思う。そうすると管理経費は従前のままであるのか、それとも順ざやになったから削ってしまっていくという方向になるのか。どんどんそのままこういうやり方を進めていくということになったら、食糧庁の職員の経費その他を生産者あるいは消費者、そういう分野で面倒を見させていただきましょうという話に発展する内容になると思う、このやり方を進めておったら。これはどういうふうにするつもりなんですか、食い込むことにならないですか、いかがなものでしょう。
○山田説明員 御指摘の、コスト逆ざやに食い込むことになるかどうか、私どもといたしましては、生産者米価につきましては再生産の確保を旨とし、また消費者米価につきましては家計の安定を旨としてやらしていただいておるわけでございまして、コスト逆ざや部分を解消するために価格改定をする、こういうことは決してとるべきでない、このように思っておるわけでございますが、それぞれの価格について適正に定めた結果がコスト逆ざやの一部分を埋める、こういうことは実態的にはあるというふうに考えております。
○寺前委員 私はよくわからないのだけれども、要するに勘定からいうたらそうなっていくでしょう、食糧庁の職員の給料も全部管理費の中に入っているのだから。ですから、この方式をとっていったらそういうのを面倒見ますというやり方になっていくでしょうと言うのですよ。だからこの順ざやをどんどんふやしていくという方向を今後ともとっていくのか、そこのところは管理費の問題についてどうしていくのだ。管理費自身の合理性の問題とはこれはまた別の問題だけれども、それを政府の買い入れ価格と売り渡し価格との差、順ざや、この差で売る方が高くなっていったら当然のことながら従来の管理費の中に数字としては食い込んでいくことになるから、その分についてこれは全然別個のものとして考えるのか、それとも総合的なものとしてそこに食い込ましていくことでやっていくのか、これは今後の方針上の問題になるだろうと思うのです。だから、この順ざやをどんどんふやすというのを方針として今後とっていくことになるんじゃないだろうかと心配するのだけれども、そこはどうなっていくのだ。
○山田説明員 お答え申し上げます。
 今先生の御指摘の点でございますが、コスト逆ざやを解消するために価格をどんどん改定するとか、また生産者価格につきまして、現在私ども算定の基礎にしております生産費所得補償方式でやっておるわけでございますので、その方式を先生のおっしゃるといいましょうか乱用してとでもいいましょうか、そういうことでコスト逆ざや解消のために使おうという意図は毛頭ございません。適正に価格を決定した結果としてそういうことはあり得るかもしれませんが、目的的にコスト逆ざや解消のために価格を操作するということはやるつもりはございませんので、御理解いただきたいと思います。
○寺前委員 目的としてやらない、それでは結果としてなるかもしれない。しかしそういうことになっていったら、要するに管理費の分野については国が面倒見なくなったら、事実上もう食管としては全然国が責任を持った運営をやらないということになってしまう道に通ずるという問題だけに、これは軽々しく認めるわけにいかないやり方だ、私はそう指摘せざるを得ないと思うのです。これが一つ。これは政務次官お答えいただいたらいいです。それだけ聞いておきましょうか。
○山田説明員 ちょっと御説明させていただきたいのでございますが、今のコスト逆ざやを解消するというふうなことは考えていないわけでございますが、なおコスト逆ざやの一部分が過去におきましても今のような関係になったことはある、こういうふうにも私理解しておるわけでございまして、決して価格改定をしてコスト逆ざやを解消するというふうな意図はございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
 と同時に、もう一つの点は、これはへ理屈かと思うのでございますが、国民の税金で賄うか、また消費者なり生産者なりのある程度犠牲においてそれを埋めるのかというふうな問題ではなかろうかと思うわけでございますが、私どもは最初に申し上げましたように、やはり管理経費的部門といいますのは、物を管理する場合の必要経費であるということも十分認識しておりますし、価格の今後の決定に当たりましては、先ほど申し上げましたような、それぞれ法律が規定しておりますところの趣旨に即しまして適正に対応してまいりたいと考えております。
○衛藤説明員 売買逆ざやでございますが、御案内のとおり毎年段階的な縮小が行われておりまして、現在平均で〇・四%、七十円の逆ざやとなっておりますが、類別に見ますと、既に一、二類は順ざやになっておるわけであります。
 またコスト逆ざやにつきましては、政府の管理経費が国民に対して米の安定供給を行うための必要な経費であることでもありまして、コスト逆ざやの解消自体を目的として、政府買い入れ価格や政府売り渡し価格の改定を行うことは考えていないわけであります。しかしながらコスト逆ざやの縮小自体は必要と考えておりまして、基本的には政府管理経費の節減合理化により対処することにしておるわけであります。
 また、米価の適正な決定を行った結果としてコスト逆ざやが縮小されることにつきましては、米価決定の内容いかんによって起こり得ることでありまして、こうしたことを否定するものではないわけであります。ただ、売買逆ざやがほぼ解消された状況下で米の生産、流通等の変化に適切に対処する必要があり、こうした事情にも農水省としては十分配慮する必要がある、このように考えておるわけであります。
○寺前委員 結局わかったようなわからないようなことで、これからいろいろ考えますわなということにしかならないだろうと思いますけれども、国家が管理をしてやるという立場を堅持しない限り食管はつぶれてしまう。もう事実その方向に向かっているという、これは内容として非常に重要だと思います。
 もう一つ、これと関連してくるのは不正規流通というのか、要するに国が買い上げるよりも売る方が高くなってくるというのだったら、それは不正規な流通方式というのが広がっていくということにならざるを得ない客観的な条件を持っているだろう。現に今でも存在しているのですから、これに一層拍車をかけることになるだろうということを考えるならば、食管の前途というのは事実上重大な段階に立ち至ったということを、私はひとつ指摘をしておきたいと思います。
 時間の都合がありますので次に移りますが、先ほど大臣のおられるところで「全国懇ニュース」のビラの話をちょっと紹介をしておきました。そのビラにも書かれておったわけですけれども、日本の米の生産費増大の主因となっている農機具、肥料、農薬など農業用資材の独占価格という問題について見なければならぬと思う。六割を占めている。ここにメスを入れていく必要があるだろう。電力、石油など円高差益のすべてを早急に還元をさせていく。いろいろな処置をとっていくことが非常に重要だと思うわけです。
 そこでちょっと聞きたいのですが、硫安です。ことしの四月の輸出価格は、トン当たり九千三百三十四円だ。前年の同月と比べると五三・二%、半分に減っている。ところが同期間の国内の価格は、二十キログラム当たり六百二十円前後、トンにすると三万一千円前後になるわけです。輸出と輸入の関係は、単純なやり方はできないにしても、三倍とか四倍とかのこの価格の差、日本の国内にはべらぼうに高く売りつけられているという事実、これは米を管理しておる上において、当然のことながらここにメスを入れることを政府としても考えなければならぬ問題ではないのだろうか。この七月に一六・二%引き下げと、全農とメーカーの交渉でお決めになったようですけれども、そんな程度とは違う。国際的に売り出されている価格と国内価格の間には差があり過ぎるじゃないか、これは農民の皆さんの率直に感じておられる問題なんです。
 同じようなことは、肥料の例として塩化カリの問題があるのですね。塩化カリは製品で輸入されてくるが、その輸入価格は、ことしの四月で前年同期と比べて四割も下がっている。ところが国内での小売価格の推移を見ると、七月より一八・一%卸価格が引き下げられたけれども、小売価格は同期間ほとんど下がっていない。輸入価格の値下がりに比べて余りにも少な過ぎるじゃないか。こういう問題についてどう考えたらいいんだ。これは政府としても原価を公表させて、そして世論でもってちょっとべらぼうじゃないかということを示させていくようにする必要があるのじゃないだろうか。
 農機具一般についても、一九七〇年以降一般機械器具は一・四倍になっているのに対して、農機具は二倍以上になっている。八〇年代に入って一般機械器具は一%下がっているのに、逆に農機具は九%近くもアップしている。先ほど陳情にお見えになった方がこのことを盛んに言っておられました。そこで、こういう問題について今日まで政府としてどうしてきたのか、この問題について政府として今後どうするのか、はっきりした態度をとらなかったら、これは本当に農民に対して安定した生活を保障し、未来を保障してやることにならないだろう。いかがなものでしょうか。
○浜口説明員 資材価格等の問題でございますが、農業生産性を向上させるためには生産コストの低減を図ることが重要であります。とりわけ農業資材につきましては、適切な価格で安定的かつ円滑に供給されるよう指導に努めているところであります。
 最近におきます農業生産資材価格でございます。これは農村物価指数等を見ますと落ちついた動きをしておりますが、特に海外からの輸入原材料に依存しております肥料につきましては、ただいま先生からもお話がございましたように、円高及び海外原材料価格の低下によりまして、六十一年七月から始まります六十一年肥料年度の価格につきまして、硫安等主要十品目平均で前年比で一〇・三%の値下げが取り決められたところであります。基本的に申し上げまして、今後とも適切な価格で安定的かつ円滑に農業生産資材が供給されますよう価格の動向を注意深く見守り、関係機関との連携を図りつつ関係業界、団体の指導に努めてまいりたいと考えております。
 先ほど肥料のこと等につきまして具体的にお話がございました。これは先生御指摘のとおりでございますが、国内の価格といったようなものは、全農と肥料生産業者との取り決めによって行われることになっております。また一方、輸出価格につきましては、それぞれ国際価格に従いまして行われることになっているわけであります。具体的な問題につきまして、先ほど価格の問題が大きいという御指摘でございましたけれども、例えばこのような国内の取り決め価格と輸出の価格との格差につきましては、これも先生御指摘のとおりでございまして、運賃の算入の仕方であるとか、あるいはまた包装形態であるとか、さらには代金の支払い方法、サイトの問題とかそういったようなものがそれぞれ二、三あるわけでございます。
 以上のような形で、具体的に価格の形成の行い方といったようなものが、国際価格に依拠するもの、あるいは先ほどのような全農と生産業者との取り決めによって行われるというようなことによりまして開いておりますけれども、冒頭申し上げましたように、資材価格の重要性というようなことを考えますと、繰り返すようでございますが、農家の方々に適切な価格で安定的かつ円滑に農業資材が供給されますよう、関係機関との連携を図りつつ今後とも指導に当たってまいりたいと考えます。
○寺前委員 指導に当たって結構でございますけれども、成果が上がらなかったら本当に役に立たないことになります。輸出価格と農民が使う価格とが三倍も四倍も違うなんという、こんなことで計算されておった日には本当にたまらぬと私はつくづく感じます。
 このビラの問題についていうと、トラクターなどの問題について先ほどちょっとここで紹介したところですけれども、何年前ですか、この前の農水の海外調査で私アメリカに見に行きましたときに、こういう農機具は、向こうでは二十年も三十年も機械の部品がちゃんと準備されておってよく整備されておりました。日本で聞いてみたら、十年が限度で部品の準備はなくなるのだ、どんどん更新させられていく、機械貧乏になっていくというのがやはり農民の率直な声でもあるわけですね。ですから、そういうものを一つとったって、十年の部品の準備ではなくして、それこそ外国を学んだらいいと思うのです。二十年、三十年ちゃんと準備をさせていく。
 それから、農民の皆さんが言っているように高い価格になっているのですから、原価に対する公表、こういうふうにしてやっているのだよと言うて示したならば、その生産者に対しておかしいじゃないかという声になるだろうから、皆さんが直接指導する上においてもそれがしやすくなる。考えてみたら、原価の公表というのは非常に重要な手段だと思う。そういうような措置がとれないものなのだろうか。そういう措置をやられてこそ初めて指導性が発揮できる農水省になると私は思うのですが、政務次官、希望の意見を含めてお答えをいただきたいと思います。
○衛藤説明員 先ほど農蚕園芸局長がお答えしたわけでありますが、今後とも適切な価格で安定的かつ円滑に農業生産資材が供給されるように価格動向を注意深く監視するとともに、関係機関との連携を図りつつ、関係業界または関係団体との連携を深めて強い指導をいたしてまいりたい、このように考えております。
○寺前委員 機械については、十年じゃなくして二十年、三十年ちゃんと部品を残す、準備をしておくというような指導はできないのか、それから原価の公表というのはできないのか、そういうものを研究してやってみる必要があるのじゃないだろうか、そう私は思うのです。単純に、その問題だけもう一度お答えを願いたいと思うのです。希望的意見で結構ですから、政務次官。
○衛藤説明員 御指摘の二点等につきましては、関係業界とも十分調整をいたしまして、今後の課題として取り組みたいと思います。
○寺前委員 時間が来たようですから、終わります。
○玉沢委員長 竹内猛君。
○竹内(猛)委員 本日午前午後にかけて、各委員から昭和六十一年産生産者米価についての熱心な御質問がございました。
 日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合、日本共産党・革新共同で、昭和六十一年産生産者米価決定に関する決議案をまとめ、政府にその実施を要求いたしたいと思いましたが、同時選挙の前までは、少なくとも個々の議員は農業協同組合の要求した米価については同意をしていたのに、残念ながら決議案に対する自民党の同意を得るに至りませんでした。そこで、四党の米価に対する態度を決議文として取りまとめましたので、朗読して記録にとどめ、我々の意思を明らかにしたいと思います。
    昭和六十一年産生産者米価決定に関する件(案)
  政府は、本日、米価審議会に対し、本年産生産者米価について、三・八%の引き下げ諮問を行った。
  この諮問米価は、稲作農家の経営が永年にわたる生産調整の強行と価格の抑制により極めて厳しい実態にあることを無視したものである。また、同時に、かかる情勢の下で、コスト低減等生産性向上に努める生産農民の努力に十分な評価を与えたものといえず、甚だ遺憾である。
  よって、政府は本年産米価の決定に当たっては、稲作農業の再生を図り、食糧の安定供給の確保をめざす見地から、米の過剰期に用いた従来の算定方法の見直し及び算定要素のとり方について改善に努め、正当な生産費の補償を行うとともに、生産農民の生産性向上意欲を減退させないよう十分に配慮し、少くとも生産農民・農業団体等の主張する米価を決定し、稲作農家の経営に万全を期すべきである。
  右決議する。
    昭和六十一年八月五日
 以上、四党提案の決議に対し、最後に政務次官の御所見を承り、終わります。
○衛藤説明員 ただいまの御意見につきましては、本日の委員会におきまして種々御論議のあったところでありますが、御案内のとおり現在米価審議会で審議中でございますので、その答申を待って適正に決定してまいりたいと存じます。
 よろしくお願い申し上げます。
○玉沢委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十六分散会